うちはイタチに転生…?マジですか?改訂版! (ディア)
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序章
1話
俺の今の名前はうちはイタチだ…え?前は違うのかだと?そうだ。俺は転生者と言う奴だ。オリキャラならまだわかるが死亡フラグバリバリのイタチに転生した時は神を恨んだね。
どのくらい恨んだかというと4歳くらいの時に丑の刻参りで藁人形持って紙に神(シャレではない)と書いて何個も無駄遣いしたくらいだ。それが功を奏したのか今の時点で身体面では原作のイタチよりも強くなった…そのせいか今では上忍だ。
だけどあれだ…イタチはNARUTOの世界では強さよりも人格者として書かれていたからな。そのせいかどうしても原作に関わる必要がある…特にうちは一族滅亡とか。あれのせいでサスケはグレたんだよな…しかもエセマダラことオビトのせいでさらにグレ…悲惨な結果になったから俺はそれを阻止しなければならない。
あ、そうそう俺は前世末っ子だったから、始めて出来た弟のサスケが俺の後を「兄さん、兄さん今日はなにするの?」って言ってトテトテと歩いて来るからめちゃくちゃに可愛いんだ。
しかも今の俺の母親であるミコトさんに顔が似ているから女装させても似合うしな。
とまあそんな俺だが今の状況を説明しよう…
「イタチよ…そちはどう思うかえ?」
大名が俺に話しかけてくる…つまり今の俺は大名の護衛だ。何故か任務のランクがめちゃくちゃに低くなっておりBランクになっていた。しかも報酬がSランク並ときた。金に卑しい俺はこれに飛びつき、火影様に飛びついたらめちゃくちゃに喜んでおり、受けることにした。
「どう思うと言われましても…私には無縁の話です。」
大名の話なんか聞いていなかったから俺はこう答えた。だいたいの大名の話は俺には関係ないからだ。
「そうかえ?お主なら無縁でも無いかと思うのじゃが…」
「私にはほとんど関係ありませんよ。」
『うるせえ!てめえは黙って俺には守られてろ!』と言いたいところだが報酬がなくなったら嫌なのでヘタレとか言うな。
「…やはり、お主はなるべきじゃな。」
大名が意味深なことを言っていたが俺には関係ないし無視しよう…と思っていたんだが大名の周りに蜂が飛んで来たので蜂を撃退する為にクナイを持つと…
「何故わかった!?」
いきなり岩隠れの忍びが集団でやってきました…え?なんなの?これ。蜂は逃げてるからいいか…
などと現実逃避は許されず岩隠れの忍び達が俺に向かって攻撃してきた…ちなみにこんなデカブツよりも蜂の方が護衛任務では危険でこいつらが出て来なきゃ危なかったと言えるから感謝している。
「喰らえ!」
岩隠れの忍びの一人が俺に向かって攻撃してきた…まあ筋はいいけどあれだな。遅い…
「はっ!!」
俺はその忍びにすかさずにカウンターを入れてノックアウトさせた。
「ば、バカな!!」
バカなのはお前の方だよ。お前達がどの位偉いか知らないが動きからして中~上忍くらいのレベルで大名殺そうとしているのは自殺行為に等しいぞ?まあ、そのおかげで俺は楽だわ。
「火遁・豪火球の術!」
俺…というよりもうちは一族が得意とする火遁で全員に攻撃した…そしたら受けた奴ら全員黒焦げになっていた…やっぱ火遁強えー。
前世の時にスレで雷遁が最強、次点に風遁、火遁が最弱なんて言われていたけど実際使ってみるとやばい程応用性があるわ。
例えば火のチャクラ刀を魔改造したらビームサーベルになって余りの斬れ味に三代目火影様から使用禁止命令が出されたし、他には豪火球の術の印を変えて目からビームにして俺の万華鏡写輪眼の警戒して目を合わようとしない連中を殺すことが出来たりした。しかも威力こそ劣化版天照だがチャクラの消費量が少なく、デメリットもないと言っていいくらいだ。チャクラ量が少ないうちは一族にもってこいの技だ。
まあ何が言いたいのかというと…火遁万能だわ。
「待ちな!」
その声の方向に振り向くと大名が岩隠れの忍びに捕まっていた…やばい…俺の金に何してくれてんだ!この野郎!
「へっへっへ…こいつの命が惜しければおとなしくしな…!」
糞…!こんな奴が居るとは…!!Bランク任務だからって舐めすぎていたのか!?
「イタチ…ワシを助けてもたれ…!!」
ああ、もうわかっているよ!!俺の心の中の声がそう響くと俺はクナイを捨てた。
「へっ…!これで終わりだ!!」
奴がクナイで大名に向かって振り落とす…その隙を見逃すはずも無く俺はとあることをした。
「幻術・桃源郷!」
この技はシスイから教わった幻術だが、快楽に溺れさせるという変わった幻術だ。まさかシスイがこんな幻術を知っているとは意外だわ。あいつ幻術と瞬身の術は得意だけど初心な奴だしな。
「あ…はぁぁ~…」
岩隠れの忍びは逆らう間もなく幻術に落ちてその場で大名もろとも倒れた…ん?大名もろとも?
「これこれ、慌てるで無いぞ…」
しまったぁぁぁ!!大名にも幻術を掛けちまった!!
「とりあえず、全員殺しておくか…」
俺は現実逃避をして岩隠れの忍び達を始末することに決めた。
「解!」
全員始末し、土に埋めた後に俺は大名の幻術を解いて大名を目覚めさせた。
「…なんじゃ?ワシの女達は?」
大名は不満そうな顔をしてこっちを見た。…いい歳こいたおっさんが夢に溺れるなよ。
「大名様。ここにはいませんが後で見せてあげますからとっとと行きましょう。」
俺はとりあえずこう言って幻術をかけることを約束しておいた。今は金が欲しいしな…
「では行こう!!」
大名が俺の言葉に喰らい付き、上機嫌になり俺も上機嫌になった。
☆☆☆☆
ワシは火の国の大名だ。それ故に木の葉隠れの里長…つまり火影を決める権限を持っている。だが四代目火影が死んで以来なかなか良い候補が見つからん。
そこでワシは火影と協力し、ワシの護衛を一回だけBランクにする代わりそれを受けに来た上忍に火影候補にするが特別上忍以下だった場合は破棄して依頼も約束もなかったことにしようと賭けをした。
しかし受けに来たのは木の葉隠れの上忍のうちはイタチだった。賭けに負けたワシは仕方なくイタチを火影にしようとしたが…妙案が横切った。
「のう、イタチよ。お主、火影になりたくはないのかえ?」
しかし、イタチはそこにはいなかった。
「ただいま戻りました。何やら不審な人物を見かけたので。」
むう…だがめげぬ。もう一度聞くとするか。
「イタチよ、そちはどう思うかえ?」
ワシがそう聞くとイタチは
「どう思うと言われましても…私には無縁の話です。」
と返しおった。いなくなってもワシの声が聞こえると言うのか!?…面白い。
「そうかえ?お主なら無縁でも無いかと思うのじゃが…」
話を続けるとイタチは衝撃の言葉を告げてきた。
「私にはほとんど関係ありませんよ。」
なんという無欲!尚更火影にしてやりたくなったわい…するとイタチの殺気が強くなり、クナイとやらを持つと…
「何故わかった!?」
いきなり岩隠れの連中が現れてワシ達を囲んでいたのだ。…しかもワシの見覚えのある顔ばかりだ。ワシは大名故、常に狙われる存在…その為いつもはSランクに登録している。つまりこの忍び達は全員暗部かそれ以上の実力の持ち主だ。
「喰らえ!」
岩隠れの忍びの一人がイタチに向かって攻撃してきた…ん?あれはワシの前の護衛を体術のみで仕留め、大混乱を起こした男だな。少々分が悪いかもしれんのう…
「はっ!!」
イタチが何をしたのかわからなかった…だがあのイタチに攻撃をした男はぶっ飛んで気絶していた…
「ば、バカな!!」
ワシもそう思いたい…今まで木の葉の護衛は弱く、あちらにいる一人だけでも全滅という有様だ…木の葉の護衛のレベルを上げるように言っておこう…
「火遁・豪火球の術!」
これも信じられん程の大きさだった。ワシは数々の忍び達を見てきた…だがあれほどの大きな炎は見たこともない!当然ながら被害を受けた岩隠れの忍び達は焼け死んだ。
「へっへっへ…こいつの命が惜しければおとなしくしな…!」
いつの間に!?ワシ殺されるのか!?
「イタチ…ワシを助けてもたれ…!!」
ワシは情けなくイタチにすがるしかなかった…
イタチは歯を食いしばり…クナイを離した。
するとワシの周りは遊女が数人いた。
「ねえ〜大名様〜…私と遊びましょうよ?」
ワシはそれに耐えられるはずも無く遊んで遊びまくった。
それからいつ経ったのかわからないがイタチの顔が写った…
「…なんじゃ?ワシの女達は?」
ワシがそう聞くとイタチは笑ってこう答えた。
「大名様。ここにはいませんが後で見せてあげますからとっとと行きましょう。」
なんと!?ワシの女達と会えるというのか!?それならば…!
「では行こう!!」
その後ワシはイタチに大量の報酬を払っておいた。報酬は多くても問題ないだろう…
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2話
報酬を受け取った俺は火影執務室で任務完了の手続きをしていた。
「火影様。」
「ん?なんじゃ?」
「4日間の休暇と2日間の第43訓練場の使用許可をお願いします。」
俺がそう言うと火影様がはぁ…とため息をついた。
「イタチ…またやるのか?」
そう言って火影様が話しかけてくる…まあ、俺の休暇でやることは修行とサスケと付き合う割合が25対26くらいの割合だ。身体が休んでいないのに休暇なのかとか、割合が微妙とか言うな。
「ええ…勿論。」
「お前は…いや何でもないわい。二つとも許可する。」
「ありがとうございます。」
火影様が何か言いたげだったが俺はそれを気にせずにすぐに礼を言う。こういう時はとっととやるのが正解だ。
「では、失礼します。」
俺は礼を言うと、火影執務室から出て行き、第43訓練場へと向かった…
ついたついた…いや~参った参った。報酬金を銀行に預けてきたらもう大騒ぎ。やっぱり、前世金持ちじゃなかっただけにこういうのは気持ちいいもんだ。
それよりも第43訓練場は水の多い訓練場だ。その為、水遁使いとかに多く使われる。なんでここに来たのかというと…
「さて…やるか、滝登りを。」
俺はまず目の前にある滝を登らないとな。勿論足で。
NARUTOの世界の修行法では色々とある。俺はその中でもチャクラコントロールに目をつけた。この身体に限らずうちは一族のチャクラ量は決して多いとは言えないからチャクラコントロールをマスターしてチャクラの一回の使用量を極限まで減らす必要があった。そうでもなきゃ死ぬしな。
…そんな事よりもチャクラコントロールの修行法は木を足で登ることからスタートする。それが出来る様になったら足場の変化が激しい水の上、泥沼、水の流れのある川、そして滝…と上げてチャクラコントロールをマスターして行く。
とは言っても普通はそこまでやる必要は無い。良くて泥沼くらいまでだろうな。しかし俺は滝登りまでやる必要があった…というかやらないと死ぬ。死亡フラグ全開のイタチに憑依した以上、やるしか選択肢がなかった。
それに全力を出さないで死ぬのは嫌だしな。俺は小6の時まで勉強サボって0点が常識だったからな…しかもチビ…今思えば最悪だったな、俺。
そんな時に俺はNARUTOと出会ったんだっけか?俺はナルトに自分の姿に似ていると感じた…ただ違うところはナルトは努力して認められようとしていたに俺は努力もしていないのに認められようとしていた…だから…俺はナルトの様に努力をした。
それこそ、俺を見放していた家族…親父やお袋、超がつくほどの有名大学に入った兄貴や姉貴に止められる程に。だけど止めることなんて出来なかった…努力すれば認められる…そう思って努力した。
結局は俺だけ私立大学に入ることしか出来なかったけど家族は皆、俺個人を認めてくれた…お前は私達の誇りだって…それが何よりも嬉しかった。この時はNARUTOに出会えて良かったと思った。努力がどれだけ大切かわからせた偉大な漫画だったな…
と…無駄話している間に終わってしまったか。次だ、次!
次の修行法は100kgの重りを付けて泳いで滝登りだ。…何の必要があるかと言うと心肺機能の上昇、筋力の増加、そしてスタミナの増加が期待出来る上に腰に負担がかからないので俺はやっておく必要がある。
木の葉の珍獣ことマイト・ガイは木の葉の周りを逆立ちで周ったというエピソードがある。…もはや人外。
もしガイと戦うことになったら写輪眼対策を使われてしまうからな…身体能力だけでもガイに勝てる様にならないと仙人状態のカブトと戦う時に話しにならない。
まあ…そう言うことだ。最初は重り無しだったんだが自分がより成長するために重りを付けてやり始めたんだが…最初のうちは毎日が死にかけたね。だけど今は慣れて100kgまで出来る様になった。
~数分後~
「はぁ…はぁ…っ」
めっちゃ疲れた…だけどあれもしなくちゃいけないんだよな…
「すぅ~はぁ~…」
俺は一回深呼吸して、印を組んだ。
「水遁・水龍弾の術!」
そう…俺が最後にやることは水遁の術を使いまくってチャクラを出来る限り減らすことだ。そうすることでチャクラの最大量は増えるし、回復力も上がる。とまあ…そんな俺の修行が2日間続けられた。
☆☆☆☆
「はあ…何故イタチはあんな無茶な真似しか出来んのかのぅ…?」
ワシはそう呟いて水晶玉を見る…そこにはイタチの姿があり、拷問同然の修行を続けている。
「まあ…あやつの無茶は今に始まったことではないしの…」
ワシはイタチがすっかり無茶をすることに慣れてしまい飽きれることしか出来なかった。
元はと言えばフガク(イタチとサスケの父)がイタチを連れて戦場に行ったことから始まったんじゃな。イタチが戦場に行き帰ったあの夜…少し物音が聞こえて来た…ワシは他の忍びの者が侵入したかと思い、護衛を付けてその物音の方に歩いて行った。
そこには…藁人形に釘を打ち込んでいるイタチの姿があった…あの時の姿は護衛が失禁するほどホラーだったぞ…4歳児の時点でそれだ。
次に、九尾事件から間もない頃…イタチは火遁のチャクラ刀を作り上げた…それがただのチャクラ刀なら問題はなかった。だがそのチャクラ刀はとんでもなく恐ろしいものでどんな金属でも軽々と斬って見せた…切るのが専門の風遁のチャクラ刀でもあんな斬れ味は出せんわ!思わず使用禁止命令まで出したぞ…あれは。
論点がずれているな…そうそう、イタチがあの修行をやり始めたのはアカデミー主席で卒業した後じゃったな。イタチはチャクラコントロールをマスターして置かないと行けないと思ったんじゃろう…
そう思って観察して見たら…足で滝登りしよったわい…これにはイタチの無茶に慣れ始めたワシも驚いたわ!だがそれだけで済んだなら良かった…イタチはその後泳いで滝登りをするわ、水遁の術をチャクラの限界まで使うわでワシの予想の斜め上を行きワシが疲れてしまった。その日は息子のアスマに心配されたのは余談だ…
じゃが…あやつが変人と言う訳でもない。あやつはむしろ、他人の第一印象は冷静、合理的な思考を持つ男だ。また兄としての面倒見が非常に良く、修行の日以外はサスケの面倒を見ている。
その人間性に上層部はイタチが火影ても問題ないと言っているのでワシは即イタチを火影候補に進めたがやはりゴリ押しでは無理だった。そこで大名に依頼した。Bランク任務と偽ったSランク任務である大名の護衛の依頼書を出すようにした。これはイタチが任務の全てを見るかどうかのテストだった。
これにバカバカしく思った上層部の連中は賭けまでした。イタチがこの依頼書を受けるかどうかを。これにワシは頭にきてイタチが受ける方に賭けた。
しかし、イタチは今は上忍である。そのためBランク任務をやる必要性がないのだ。だからBランク任務の依頼書なんぞ見るまでもない…上層部はそう思っていた。しかしイタチは予想を裏切ってくれた。
「火影様。この依頼受けます。」
イタチが任務を受けにきたのだ。その任務の内容をワシは依頼書を何回も見た。その結果…賭けの対象の大名の護衛だった。
「うむ!良いぞ、受けろ!」
ワシは速攻で依頼書に判子を押すとイタチに押し付けるような感じで依頼書を渡した。
おかげでワシの一人勝ちで随分ウハウハになったわい!おまけに上層部の連中もあやつを火影候補にせざるを得なくなった。これでワシも安心して引退出来るものよ。
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3話
二日間の修行を終えた俺は家に向かっている…そう言えば万華鏡写輪眼について調べないとな…俺はもうなっているからいいけどサスケに万華鏡写輪眼のなり方とか聞かれた時に答えてやらないと。『うわっ…兄貴ださっ。そんなことも知らないの?』とか言われそうで兄としての威厳がなくなる。
しかしだ…逆に知っていれば…『兄さんかっこいい!マジ最高!』とか言われて尊敬される兄になれる。
なんか小物っぽい?原作のイタチは里を抜けるからそんなことはサスケに聞かれることはない?…オホンッ!とにかく知っておけば何かしらの役に立つだろう。
とは言っても万華鏡写輪眼の開眼は謎なんだよな…実際、俺も滝を登る時に失敗して滝壺に落ちてしまい死にかけたから自分の死体を意識したら開眼したんだよな…原作のイタチはシスイ殺して開眼したのにそれでいいのかと思った。
ちなみにどのくらい謎なのか具体的に例で言うと…NARUTOの世界に車や冷蔵庫はある癖に銃はないとかいう矛盾した世界観だ。
そんなことを考えていると弟のサスケが手を振ってきた。
「兄さ~ん!」
我が可愛い弟よ。そんな眩しい笑顔で迎えてくれるとは…兄さんは嬉しいぞ。
「兄さんの手裏剣術見せてよ!」
あの手裏剣術か…原作にもあったよな。ま、やっても減るもんじゃないし見せてやるか。
「いいぞ。その代わり色々と付き合って貰うぞ。」
俺は条件付きで手裏剣術を見せることにした。と言ってもサスケにやってもらうことは簡単なことだしな。
「うん。そのくらいならいいよ!」
眩しい…!眩し過ぎるぞ!サスケ!その笑顔は俺の宝物だ!!
その後、練習場についた俺はクナイと手裏剣を持って構えていた。サスケはそれに喰らい付くように見ている。
「さて…サスケ。よく見ていろよ。」
俺がそう言うと、サスケはキラキラした目で
「うん!」
と言い頷いた。…サスケが頷いたのを確認すると俺はスイッチを入れて完全に一人の世界に入った。
俺はジャンプして幾つか手裏剣を投げる…しばらくしたところでクナイを投げた。すると手裏剣にクナイがあたり、その手裏剣とクナイの投げた方向が変わり、更に角度が変わった手裏剣が別の手裏剣とあたり…最終的には的のど真ん中に命中した…そして、俺はスイッチを切った…
「凄いや兄さん!」
サスケが目をキラキラと光らせて俺をめちゃくちゃ尊敬していた…
「お前も努力すれば出来るようになるさ。俺の弟なんだから。」
本当は注意してやりたいところだが修行の楽しみ方を教えてやらないとな。修行は苦しんでやるよりも楽しんでやる方がいいんだよな。
「うん!」
いい返事だ…ホント原作のイタチがサスケを可愛がっていたのもわかるよ。
「それじゃ、約束通り俺のやることを手伝え。」
「わかった。それで…兄さん。何やるの?」
「チャクラコントロールの練習だ。」
そう…昨日までやったチャクラコントロールの練習だ。
俺たちは豪火球の術を練習する池に来た…
「チャクラコントロールとここが何の関係があるの?」
サスケがそう疑問にするのは無理ないよな…何しろ原作初期の方でも知らなかったくらいだ。
「ここで問題だ。これから俺がすることを当ててみろ。」
ここはあえてクイズにしてサスケに答えさせる。こうすると印象深く記憶に残るからな。
「え!?うーん…チャクラコントロールって言うくらいだから豪火球の術をやって炎の大きさを変える?」
まあ普通はそう答えるけど…
「ハズレだ。」
俺は、にっこりと笑ってそう言った。
「違うの?」
サスケが少し不思議そうな顔をして首を傾げる。…やっぱ母さん似だわ。
「それじゃ、俺が答えを実行するから見ていろ。」
ここは口頭で説明するよりも実行して見せた方がサスケにとって良い。俺がやることは単純にチャクラを足でコントロールして池を渡った。ただそれだけだ。
「凄い!」
サスケの目はもはや尊敬でなく崇拝に変わっていた。
「これは足でチャクラをコントロールして池を渡ったんだ。使うチャクラの量が多すぎても沈む、少なすぎても沈む…」
ここで俺がやったことの解説をする。そうすると更にサスケの頭に残るし、何よりもチャクラコントロールが重要だと思うからだ。
「なるほど…」
サスケは納得した顔で池を見る。
「とは言ってもお前が最初にやることは手を使わずに木を登れるようになってからだ。」
そう言って俺は木を指差す。
「木登り?どうして?」
サスケの疑問も最もだが…これには理由があるんだよな…
「手を使わずに木を登ると言うことは足で登るしかない。だが普通に足を使っても落ちるだけだ。」
「あ!そうか!!そこでチャクラを使うんだね!!」
サスケはそう言って俺の言葉を遮り答えを言う。
「そう言うことだ。たださっきと同じようにチャクラのコントロールが必要だ。チャクラが多すぎると木が陥没するし、少ないと登れない…」
「それじゃ早速見てよ!」
サスケがそう言って俺が指差した木の方向に走っていくけど…今日はもうダメなんだよな…
「ダメだ。今はもう帰るぞ。」
「え!?どうして!?」
サスケが不満の声をあげるがこればかりはしょうがない…何故ならもう昼だからだ。
「もう昼食の時間だ…今帰らないと父さんや母さんが心配する。」
うん…丑の刻参りの時に俺はうちは一族の領地外に出ていたから、うちは一族が宗家の長男がいなくなったから大騒ぎになったよ。あの事件は未だに語り継がれているせいか子供たちは皆早く帰るようになった…火影様に呼び出された時に火影様の護衛がやたら老廃物臭かったのは謎だったけど。
「それじゃお昼ご飯食べたら木登りを見てよ!」
「ああ。元々その為にチャクラコントロールを見せたんだ。何はともあれ帰るぞ!」
そう言って俺達は家に帰ることにした。
☆☆☆☆
兄さんが帰って来た!俺はそれだけでも嬉しくなったのに…兄さんにチャクラコントロールの修行の仕方を教えて貰った。
兄さんは凄すぎる。俺は兄さんがどんなことをやったのか知らないことの方が多いけど、わかるのは俺が2歳くらいの時にアカデミー首席合格したって聞いたから俺はそれ以上のことをやっているんだって期待しているんだ。
「兄さん。」
俺は好きなトマトを飲み込んでから兄さんに話し掛ける。
「ん?どうした?」
「今度幻術について教えてよ。訳が分からないことがあるんだ。」
俺がそう聞くと…兄さんは少し笑って…
「その前にチャクラコントロールを覚えてからな。幻術の基本はチャクラコントロールにある。」
やっぱりチャクラコントロールが大切なんだ…でもどの道チャクラコントロールの修行の木登りはやりたいと思っていたし…
「わかった!」
「よし、それじゃ準備が出来次第行くぞ。母さん、ご馳走様でした。」
え?兄さんもう食べ終わったの?速すぎ…
「はいはいお粗末様でした。サスケのことを頼むわよ。」
てか、母さんも速い…俺と父さんだけになって気まずい…間違いなく父さんも気まずく思っているよ…ほら、なんか冷や汗かいているし!兄さんも母さんも空気読んで!!俺は顔は母さん似だって言うけど性格の方は苦労人の父さん似だと思う…
「サスケ。」
父さんが気まずい空気をなんとかしようと俺に話しかけてきた。
「何?父さん。」
「イタチのことはどう思う?」
兄さんのことか…兄さんは
「憧れ…かな?」
「憧れか。何故だ?」
「兄さんはアカデミー首席合格したからかな。俺もアカデミー首席合格くらいはしたい…!」
俺はそう言って拳を握りしめる。
「そうか…お前はまだいい世代だ。私達の世代では目標がシスイの父…うちはカガミを目標にしていたんだ。」
あ…カガミさんって二代目火影様の側近だったよね…でも創設者のマダラの方が実力は上なんじゃ?
「どうして?」
俺は疑問に思ったので父さんに聞いて見た。
「カガミさんは私達の目標となったのはお前がイタチを尊敬するように私達もカガミさんを尊敬するようになったからだ。ご馳走様でした。」
父さんはそう言って食事を終えた。
「ご馳走様でした!」
俺もお昼ご飯を食べ終わってすぐに支度をした。
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4話
「それじゃ始めるぞ。」
俺はサスケを連れてチャクラコントロールの為の木登りの修行を教えることになった。
「まずは見本を見せる。」
俺はそう言ってサスケにを足のみを使い木を登る。
「わっ…!本当に登れるんだ。」
サスケが驚いた顔をして俺を見る。15mくらいの高さになって俺はクナイを持ち…その場所に傷をつけた。そして俺はサスケのところに戻った。
「サスケ、あそこまで登ったら合格だ。もしお前が今日中に登れたらお前の好きなトマト…それもブランド物を買ってあげよう。」
これで俺はサスケに絶対に今日中にチャクラコントロールが出来るフラグを立てた。サスケはトマトが好きすぎて一時期ケチャラーになったくらいだからな…結局本人が『ケチャップとトマトは違う!』と言ってケチャップの処分に困ったのは懐かしい記憶だ。
「絶対にあそこまで行ってやる…!」
するとサスケはブランド物のトマトに釣られたのか物凄い気迫だった。それは秋道さんのところの食事に関することくらいの気迫だった。
さてと…それまでの間、持ってきた本でも読んでいるか。この本は『君も出来る!忍術・雷遁編』という本だ。この本は名前の通り雷遁の忍術がわかりやすく書かれている。
俺がなんでこんなものを見ているのかというと…雷遁の忍術を身につけておきたいからだ。
俺は火遁、水遁の二つの性質変化を持っている…性質変化の優劣の関係上、土遁や風遁だと少々問題がある。
性質変化の優劣…火遁は水遁に弱く、水遁は土遁に弱く、土遁は雷遁に弱く、雷遁は風遁に弱く、風遁は火遁に弱い…
つまり俺が雷遁を身につけていれば性質変化の弱点がほぼなくなる。
そんなことを考えているとサスケが大声を出してきた。
「兄さん!登ったよ!」
サスケの声が聞こえたのでそこを見てみると…もう15mのところについていた。
「想像以上だ…」
トマトを餌にしただけでここまで早く終わるとは思わなかった…
この後俺はサスケの木登りを何回でもやれるように指導した。次の修行に入る際に木登りが当たり前のようにできないと話しにならないからだ。…原作のパクリだけど。
そしてトマトを買い終わり…サスケを帰らせてしばらくすると声をかけられた。
「よっ、イタチ!」
俺を呼び捨てるのはごく少数だ。父さんと母さん、木の葉の上層部の連中…そして今回声をかけて来たのは…
「シスイさん…」
そう、瞬身の二つ名を持ち、万華鏡写輪眼をも持つ天才忍者…うちはシスイだ。
「ところで聞いたぞ?なんでもサスケのチャクラコントロールの修行に付き合っているとか!」
なんで知っているんだ…この人は。あのペアレントか。
「ええ。あいつの才能はとんでもないですよ。」
「そっか~!俺にも弟がいるんだけど中々チャクラコントロールが上手くいかなくてね…その割には体術が強いんだけど…」
シスイの弟って…原作にはいなかったから最初驚いたけど確か…フブキだったな。
「体術ですか…シスイさんは俺程、得意では無いですよね。」
うん…シスイって瞬身の術と幻術は凄いけどそれ以外のことはパッとしないもんな。一番酷い時だと俺が右手使わずに勝っちゃったし。それ以降は体術もめちゃくちゃに修行しているみたいだけどまだ俺に白星を上げることが出来ていない。
「だから…体術の時だけフブキの面倒も見てやってくれないか?俺もサスケの幻術の修行の面倒を見るから!」
フブキは俺を毛嫌いしているしな。それは俺がシスイをボコボコにしてしまった…つまり自業自得なんだよな。だからといってシスイの幻術は俺を凌いでいるからサスケの幻術の師匠としては一流なんだよな。
「いいですよ…しかし条件があります。」
俺はシスイに条件付きでそれを呑んだ。
「ん?どんなことだ?俺に出来ることならやってやるよ。」
堂々としているのもそこまでだぞ?シスイ?
「今すぐセンスに告白して下さい…」
俺がそう言うとシスイの顔が真っ赤になり、かなり動揺していた。ちなみにセンスはシスイの彼女の名前だ。覚える必要はない。
「な、な、な、何、何を、言うんだ…!イタチ!俺は、ふしだらなれ、恋愛なんかしないぞ!」
面白い程わかりやすいな…そこまでわかりやすいと虐めたくなる。はっ!これがイジメっ子の症状か?イカンイカン…
「そうですか…じゃあ…俺が伝えて置きます!」
俺はそう言ってダッシュで公衆電話に駆け寄るが…シスイが腰を捕まえていた。
「やめてくれ!」
シスイは涙目で俺に懇願してきた。
「ではいつやるんですか?」
俺がそう言うとシスイは口を尖らせ…こういった。
「今度の任務が終わってから…」
シスイ、それは死亡フラグと言う物だぞ?
「忍者は職業柄死ぬのが当たり前でしょう?生きている今しかないんですよ?」
俺はそう言ってシスイを説得する。
「わかった…だけど腕相撲で勝ったらそれは無しでいいか?」
シスイは渋々そう言って抵抗した。まあ周りも『告白っ!告白っ!』って言ってはしゃいでいるし…いいか。
「いいですよ。準備をしますのでちょっと待って下さい。」
俺はそう言って台を用意した…
そして準備が終わった…
「あんさん達、用意はいいか?」
漁師の親父がそう言って定位置につく。
「いいですよ。」
「いつでも。」
「よっしゃ…では…スタート!」
…っ!シスイ…華奢な身体の癖して中々やるな。だけど…
「おらぁぁぁっ!」
俺が叫んでシスイの腕を押す。
「負けるものか!」
シスイも押し返し一進一退した。その後平衡に保たれ、勝負は持久戦に持ち込まれるかと思った。しかし…
バギッ!!
机が壊れてしまい一瞬勝負の行方がわからなくなったが…俺の勝ちだ。何故ならシスイが上を向いていたので俺よりも先にシスイの腕がついた証拠だ。
「俺の…勝ちですね。」
「正義が負けた…」
某ボクシングミドル級世界チャンピオンになった気分だ…
☆☆☆☆
俺は俺の好きな人…うちはセンスに告白することになった…なんでこうなった?…弟のフブキの為だ。俺はそう割り切ろうとして頭を振った。
「さてと…約束通り告白してください。」
ううっ…!センスのことは好きなんだけど告白するとなると…
「イタチ…やっぱり」
『やっぱり明日にしないか?』と言おうとするとイタチから凄まじいまでのプレッシャーがかかってきた。
「やっぱり?」
イタチがそう聞くと目が笑っておらず…口元はニヤッと不気味なくらいに笑っていた…怖ぇよ!
「イエ、ナンデモナイデス。」
俺はそう言うと公衆電話に一両入れて覚悟を決めた。
「もしもし?どなたですか?」
この声はセンスだ…
「俺だ。」
「シスイ君?」
これで『誰?』とか言われたら俺はやけ酒をしただろうな。
「そうだ。」
「ところで何のよう?」
「一度しか言わないぞ。」
ああぁぁっ!この時点でめっちゃ恥ずかしい!
「うん。それで何?」
センスがそう言うと俺の喉が渇く…これもフブキの為だ!やるしかない!
「俺は、俺は…お前のことが…」
「もう!何よ!早く言って!」
センスが怒るのは無理ないよな。こんなじれったい行動をしているんだから。だけどこれで克服出来た…ありがとう…イタチ、フブキ、そしてセンス…
「お前のことが好きだ!付き合ってくれ!!」
俺は大声でセンスにそう言った。
「え?本当?」
センスは驚いているだろうな…俺みたいに初心な奴がお前に告白するなんて。
「そうだ!じゃあ明日返事貰うぞ!」
俺はそう言って電話を切った。なんでかって?それは恥ずかしいからに決まっているだろ?
俺が公衆電話から出るとイタチがいるにはいたが別のものになっていた。
「シスイさん…」
イタチの目が笑っておらず、修羅となって俺を見つめていた…俺はちゃんと告白したぞ!!何か間違えたか?!
「なんで明日返事を貰うなんて言ったんですか?」
「それは…恥ずかしいからに決まっているだろ!当たって砕けたら元も子もないしな。」
俺がそれを言うと…イタチは手を俺の肩に置いた。このパターンは…!
「シスイさん…それは死亡フラグと言うものですよっ…!」
痛だだだだっ!痛いっ!関節技をやるなって!!マジで痛いんだぞ!!
「ギブギブ!俺が悪かった!!」
「トドメです。」
イタチがそう言うと俺は気を失った…
「ん?ここは?」
俺が目を覚めるとそこにはセンスの顔があった…?えええぇ!?
「あ、起きた?」
センスが笑って俺を見つめていると俺の顔は真っ赤になった。何故ならこれは膝枕という奴だからだ。俺はすぐに離れて距離をとった。
「照れちゃって…それにしても大変だったんだね。」
ああ、大変だったよ。
「それはもう…」
俺がイタチに失神させられたことを話そうとするとセンスがそれを遮った。
「なんでも任務の帰りに貧血で気絶したとか。」
いやいや違う違う!と言いたいのだがセンスの目を合わせられないのでまともに話すことも出来ない。
「イタチ君が運んでくれたよ。明日お礼でもしとかないと。」
…とはいえイタチのおかげでセンスに告白出来たんだしお礼でも言っておくか。
「そうだな。」
ただし感謝はするが仕返しもしておく…イタチの嫌いなステーキを送ってやろう。俺はそう決意した。
「それじゃ初めてのデートに行こうか!」
センスにそう言われるとまたもや俺の顔が真っ赤になるのを自覚し俯いて歩くことになったのは余談だ…
~後日イタチ宅にて~
「郵便です!」
ん?これは俺宛の宅配物か?誰がこんなものを…?シスイか。中を開けてみると牛肉があった。
「まぁまぁ…これはブランドの牛肉じゃないの?」
母さん…いつの間にいたんですか?
「ところでこれどうする?」
俺が持っていたところでどうしようもないしな。こういうのは母さんに任せる!
「それじゃひき肉にしてハンバーグにしましょうか?」
俺はステーキは苦手でもハンバーグは大丈夫なんだよな。前世はステーキの方が好きだったのにイタチになってからステーキが脂っこ過ぎて食えなくなったし…俺はそれに賛成した。
その翌日シスイに礼を言っておいた。シスイは気づかれないように努力していたがショックだったみたいだ。狙っていたな?こいつ。
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5話
俺は、あれからシスイをセンスのところに運んで普通に夕飯取って寝た。久しぶりのベッドだったぞ?何しろ任務が続くと野宿が当たり前になるからな。
それはそうと、そろそろ気合入れ始めないと任務の時きついんだよな…
「兄さん。今日はなにするの?」
サスケが修行の確認をする。うんうん…いいことだ。努力には二つのタイプがあるからな。
一つ目は興奮型…つまり努力すること自体を楽しむタイプだ。大物にはこのタイプが1番多い。例えば初代火影様こと千住柱間なんかが1番わかりやすい。今のサスケもそうだな。
二つ目は執念型…つまり追い詰められて努力をしざるを得ないことになって、努力をするタイプだ。また名前の通り執念のみで努力するのも当てはまる…このタイプにはうちは一族や努力しなかった奴とかが多い。うちは一族はヤンデレだしな。その代表格のマダラなんか典型的な例だ。
何が言いたいかというと…どっちにしても大物になれるからサスケにはそれを維持して欲しい。
「そうだったな…今日は水の上でのチャクラコントロールだ。」
俺はそう言うと昨日行った池の上に立って見本を見せる。
「おお~…!」
サスケが驚きの声を上げる。
「やってみろ。服の心配なんかせずにチャクラを込めてやるんだ。」
「わかっているよ!兄さん!」
いつの間にか頼もしい子供になって…兄さんは嬉しい!
ドボン!
「わっ!?くそ~…もう一度だ!!」
いかんな…ムキになる前に注意しておかないと…頭に残らなくなる。
「待てサスケ。」
俺は、サスケが水の上に乗る前に呼び止めた。
「何?兄さん?」
「水の上は不安定だ。その度にチャクラをコントロールしろ。」
俺が助言するとサスケは納得した顔で
「わかった!」
と言って水の上にしばらくの間立てた…やっぱサスケは天才だわ。
「ととと…むっ…!」
やばい…サスケの慌てる顔が超面白い…
「サスケ。もういいぞ。上がってこい。」
しかし俺はドSではないため、もう切り上げる。
「え?でも…」
「名残り惜しそうな顔をしてもダメだ。次やることはサスケのチャクラを回復しないとできない。」
「うん…わかった。」
そう言うとサスケは池から上がって来たので、少し休憩を入れた。
そろそろいい頃だ…
「サスケ、休憩は終わりだ。」
俺がそう言うとサスケはすぐに立ち上がり、俺のところに駆け寄った。
「兄さん、次は何やるの!?」
サスケはキラキラした目で俺に質問してきた…
「次はこの池を更に不安定な状態にする…」
「どうやって?」
サスケがそう言うと俺は印を組んでチャクラを溜めて…術を使った。
「水遁・鳴門海峡の術!」
この術の系統は池とか海とか水の溜まっている場所に渦を作る術だ。これは木の葉じゃ余り便利じゃなかったけど霧隠れとか海に囲まれている地域ならめちゃくちゃに活用したね。主に海賊の殲滅とかに。…とはいえ所詮は雑魚を殲滅するのにしか役に立たないから最近は使っていない。
「凄い…」
「これでやってみろ。後、万一のことがあれば駆けつける。」
俺はそれだけ言って本を読み始めた。
「うん…」
サスケは少し不安そうな顔をしたがすぐに修行に取り掛かった。
…どうも不快だな。サスケ以外に視線を感じる。
「誰だ?出てこい。」
俺がそう言うとでで来たのはシスイの弟…フブキだった。
「お前か。」
そういえばシスイに約束していたな。フブキの体術を鍛えてやるって。
「兄貴の紹介で来たんだが…あんただったとはな。」
うん?どうやら俺のことは言っていないみたいだな。
「不服か?」
「不服と言えば不服だ。あんたが兄貴よりも体術が強いことは認めている。だが俺があんたのこと好きじゃないことくらい知っているだろ?」
「まあな…お前はシスイさんに憧れているからな。それをボコボコにした俺が気に食わないんだろ?」
「違う…!俺は兄貴を倒すために体術を鍛えて来たんだ…!あんたが兄貴を超えたことで俺の目標はあんたになった。だからあんたに師事してもあんたを超えることはできない!勝負だ!!うちはイタチ!!」
おいおい…だけどこれを口実に体術の訓練をさせてやるか。
「もし俺に勝てなかったら…どうする?」
「勝てなかったら…俺は木の葉の里逆立ちして20周してやる!」
「よし。この鈴を取れなかったらお前の負けだ。」
俺はそう言って鈴を見せる。フブキが確認をしたのを見て俺はポケットの中に入れる。
「時間は…昼までだ。始め!」
「よっしゃ!行くぞ!」
おいおい…いきなりかよ…
…っ!結構速いな…まあその年にしたらだけどな。重さはやっぱり中忍相当が限界ってところか?だけどこれ確実に原作初期のサスケよりも上だわ。
「おらおら、どうした!?守ってばかりの戦法で俺に勝てるのか!?」
どうしたもこうしたもない…。俺は鈴を守るのが目的なんだ。攻める必要はない。
「はあ…」
俺が思わずため息を吐くとフブキの攻撃が激しくなった。俺はそれを利用して身代わりの術を使う。
「なにっ!?」
フブキは俺が丸太になったのを見て驚き、硬直する…ダメでしょ、硬直しちゃ。そこは冷静になれとは言わないけど、見渡すなり何なりとしないと。
「忍たるもの後ろを取られるな…フブキ。」
俺はそう言ってフブキの後ろで寅の印を組む。そしてフブキの尻を目掛けてそのまま突っ込む。
「木の葉隠れ秘伝体術奥義!千年殺し~っ!!」
これは原作のカカシが使ってた技だけど…あれだ。物凄いカンチョウだ。なんか凄そうな技に聞こえるけど技の正体があれだと使った本人もやる気が失せる…
「うぎゃああぁぁぁぁぁぁーっ!!!」
フブキは尻を抑えながら吹っ飛び池の上にいるサスケの前に沈んだ…さっき俺の術で池を渦巻きにしたので当然フブキはそれに巻き込まれて沈んで行った。まあ…フブキは泳ぎが得意だしなんとかなるだろ。
☆☆☆☆
めちゃくちゃ強え…それがイタチと戦った感想だ。兄貴が敗れたのもわかる…けどな…!
「諦めてたまるか!このヤロー!!」
サスケが、俺が水の中から這い上がってきたことに驚いてドボンしたのは見なかったことにする。
「タフさは大したもんだな…」
イタチが上から目線でそう言って来るが何の痛みはない。さっきカンチョウされたが気合でその痛みはもう治った。
「オラァッ!」
俺は正拳突きをイタチに放ち、手応えがあったように思えたが…
「隙だらけだぞ?もっと強くなってこい!」
イタチは俺の首に手刀を入れて俺を気絶させた…ちきしょー…っ…
「…キ…ブキ…フブキ!」
ん…?サスケか…?
「やっと目が覚めたか。」
イタチがそう言って俺の顔を見る…そうか、俺は負けたんだ。
「今何時だ?」
「12時あたりだ。俺達はもう帰るからお前も家に帰って昼食を取れ。」
このままイタチの鈴を奪っても勝ったことにはならない…俺は諦めて家に帰ることに決めた。
「そうかい…それじゃあな…」
俺はそう言ってイタチ達と別れた。
「で?どうだった?体術の師匠は?」
兄貴がニヤニヤしながら俺の顔を見る。絶対わかってやがる!だがここで表情を出したら負けだ。
「さあな…確かに兄貴よりも上だ。だが俺はイタチを超えるための体術の師匠を紹介してくれって頼んだんだが…あれじゃ一生超えられない。」
俺はそう不満を言って席に着く…そりゃイタチが師匠なんだから超えられないよ。イタチの真似事でイタチを超えるのは無理だ。
「そん時はそん時だ。お前がある程度師事したらイタチよりもトレーニングを重ねればいい。」
なるほど…そう言うことかよ。
俺はその後昼飯を食ってとある事をしていた…
「あ~…くそっ!後何周だ!?」
そう…俺はイタチとの勝負に負けたから逆立ちして木の葉の里を周っている。確かこれで
「5周目か…?だから、後15周残ってやがる…!」
俺がそうブツブツと言って木の葉の里を逆立ちして周っていると…
「いやー青春しているな!お前は!!」
なんか全身タイツで眉が太くて凄い濃いおがっぱのおっさんが俺に話しかけてきた。
「おっさん…何のようだ?」
俺は逆立ちしたままそう聞くとおっさんはニヤリと笑って歯を光らせてこう言った。
「俺の名前はマイト・ガイ!はたけカカシのライバルだ!」
おっさん…もといガイはそう言って笑い続ける。
「少年。それにしても面白い事をやっているな。」
「面白くなんかねえよ。俺はイタチに負けたから罰ゲームを実行しているまでだ。」
俺はガイにそう言うとガイは俺の足を持ってぶん回した。いわゆるジャイアントスイングである。
「バカヤロー!」
ガイはそう言って俺を投げ飛ばし木にぶつかる。
「~って!何しやがる!!」
それがそう抗議するとガイは静かに俺のところに来た。
「練習とは何か!?言ってみろ!」
やたら暑苦しいな…このおっさん。
「あ?決まっているだろ…練習は本番に備える準備だ。」
「そうだ!それを面白くしないと勝てるものも勝てないぞ!」
何言っているんだ?このおっさん…
その後ガイの話しは延々と続き、俺は疲れきっていた。
「…と言うわけだ!わかったか!!」
あ~…面倒だしテキトーに返事しておくか。
「へいへい…わかりましたよ。」
「よし!わかったならいい!!そんなお前にはこれをやろう!」
そう言ってガイが出したのはガイと同じタイツだった。
「いらね。」
俺はそう言って逆立ちして木の葉を周ろうとするが…ガイが呼び止めてきた。
「待て待て待て!このタイツには全身の汗を吸収する超優れものだ!汗をかくならこれがいい!!」
そんな説明を受けて俺はますますいらなくなったので無視して続けることにした。
「しかし…少年何をやっているんだ?」
「見てわかんねえか?逆立ちして木の葉の里を周っているんだよ。」
「ほう…まさか俺と同じ事をやる奴がいるとはな…」
「ガイもやるのか?こういう事を?」
「まあな…カカシとの勝負に負けたら俺はやる。」
「…さっきから言っているカカシってのは何者なんだ?あんたが負ける程の相手だと言うことはわかる。」
ガイは顔こそ濃いが体格は良い。戦う為にあるようなもんだ。そのガイが負けるほど強い相手は…誰なんだ?
「カカシか?6歳で中忍、12歳で上忍になった天才だな。」
「マジかよ…カカシってのも凄えがそれとほぼ互角のあんたも相当凄え…」
そんな特例は近年ではイタチと兄貴くらいのものでそれを超える奴がいたなんて…
「はっはー!だろ?そうだ!少年。俺の体術を知りたくないか?俺は体術が大の得意でな。カカシとの勝負で今のところ体術では勝ち続けていんだぞ?」
ガイに教わって見るのも悪くはないか…
「少年じゃねえ…俺の名前はうちはフブキだ。」
「よし!それじゃ決まりだ!明日ここに来い!」
そう言ってガイは立ち去り、俺は逆立ちして木の葉を予定よりも多い25周して帰った。
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6話
「イタチよ。任務を命ずる。」
火影様に呼ばれて俺は火影執務室に来ていた。
「はい…今回の任務はなんでしょうか?」
俺がそう言うと火影様は依頼書を渡して来た。
「今回の任務はこれだ。」
その依頼書にはこう書かれてあった…『綱手捜索任務』と…
「了解しました。」
俺はそれを受け入れて綱手を捜索することになった…
さて…綱手のことだ。どうせ賭博場かパチンコ店にでもいるはずだ…とはいえ、あれだ。賭博場に入るのは気が引ける。だから俺は変化の術を使って20歳くらいの年に化けてパチンコ店に入った。
「よし!いける!」
俺は思わずそう叫んで、パチンコ台を凝視すると…7が揃った!キタキタキターっ!!
チーン!ジャラジャラ…
「よしよし…これでしばらくの間は大丈夫だな。」
そう言って玉の入った箱を見るとパンパンになっているのが20箱くらいになっていた。店員は涙目になっているが知ったことではない。ん?『綱手の捜索任務なのに、何パチンコやっているんだこの野郎。』とか思ったりしないだろうな?
…これも作戦のうちだ。こうすれば嫌でも綱手の目に留まる。綱手は賭けにめちゃくちゃに弱いから俺の台と交換するように願うはず…
噂をすればなんとやら…ギャラリーの中から綱手がこっちに近づいて俺の肩を掴んだ。
「おい!そこのガキ!私の台と交換しろ!」
ほら…来た。綱手とかの弱小ギャンブラーはこういってパチンコの台の所為にするのが多い。
「別に構いませんよ。」
俺はそう言って玉を持って台を綱手に譲り隣の台に座ってまたパチンコをやる…
十分後…あれから俺は玉を出し続け、綱手は玉を消費し続けていた。
「クソッ!おい!私のと交換しろ!」
俺は綱手に肩を掴まれ、また台を交換するように要求された。
「綱手様、止めましょうよ。この人も迷惑がっていることでしょうし…」
綱手の付き人のシズネが綱手を止めようと努めるが…
「ええい、うるさい!」
と綱手は一蹴して俺に対して、弱いが殺気をぶつけて交換するように求めた。
「ではパチンコが終わった後に少し時間をよろしいでしょうか?」
俺は綱手にデートに誘うように言って話す機会を作る。
「うん?まあ…そうだな。酒の一杯くらいは飲んでやるよ。ほら、とっとと、どきな。」
綱手はそれに承諾して、俺を急かしてどかす。
「では失礼します。」
俺は玉を持って景品と交換して外へ出た。
「待たせたな、坊主。で、どこ行くんだい?」
綱手がそう言って俺のことを呼びかける。シズネは何故かいなくなっていた。
「…そうですね。酒屋でも行きましょう。」
俺はそう提案すると綱手は少し考えて…口を開いた。
「そうだな…それじゃいこうか。」
綱手は了承して近場の酒屋に向かった。化粧していたのは気のせいだろうか?
俺は、今好きなキャベツと昆布のおにぎりを頼み、綱手は酒とつまみ類を頼んでいた。
「さて…それでなんのようだい?」
酒を飲んだせいか綱手が顔を赤くして俺に用件を聞いてきた。
「…三忍の綱手様で間違いないですね?」
もしかしたらフブキのようにイレギュラーが発生しているかもしれないからな。この綱手が2代目綱手とかあり得る。
「ああ、そうだ。」
どうやらそれは杞憂に終わり、俺の知っている綱手だった。
「先日、貴方の受けている依頼の捜索任務の解任がありました。」
これは嘘だ。綱手は行方不明者の捜索を口実にぶらぶらと放浪しているって聞いたからな。となれば綱手を木の葉に戻す方法はその依頼人が捜索願いを取り消したと言っておけばいい。
「なんだと?」
綱手はそれを聞いて少しだが驚く。
「本当です。もし疑うのであれば火影様に確認して下さい。」
「いやそんなはずは…」
「貴方が任務を外されるのは私とて信じられません。しかしこの世の中です。大方、貴方にすがるしかない程人材不足でしょう…」
俺は本当のことも交えながら嘘をついて綱手に話す。こうすれば綱手にバレることはないからだ。
「…そうか。それじゃ明日には帰るからお前も護衛としてついていけ。」
「わかりました。」
俺はそう言ってキャベツと昆布のおにぎりを食べて腹の中に入れる。
「とその前に…」
綱手が俺の腕を掴んでニヤッと笑った。
「賭博場に行くぞ!」
綱手はそう言って酒屋に金を払って賭博場へと俺を引きづり込んだ。ああ…明日は大変なのに…
☆☆☆☆
やれやれ…今日も今日でパチンコは当たらないしつまんないねぇ…なんかいいことないのかい?
「おい、あそこのパチンコ台で物凄い奴がいるぞ!」
「見てみようぜ!」
どうやら、面白いことがありそうだ…私も行って見るとするか。
「ダン…?」
私はそこのパチンコ台に座っている男が髪の色こそ違うが元恋人のダンと雰囲気が似ていたので思わず人混みの中を割いてそいつに近づいた。
「おい!そこのガキ!私の台と交換しろ!」
私は照れ隠しにその男に無礼なことを言ってしまった。
「別に構いませんよ。」
男はそう言って箱を持って移動した。…はぁ。今度詫びよう。
…何故だ。何故来ない!!!あと少しという所で止まるな!
「クソッ!おい!私のと交換しろ!」
私はさっきの男にそう怒鳴り散らし、交換するように求めた。
「綱手様、止めましょうよ。この人も迷惑がっていることでしょうし…」
しかし、シズネが止めて来たので私は思わず…
「ええい、うるさい!」
と言ってしまい、シズネにも怒鳴り散らしてしまった。
「ではパチンコが終わった後に少し時間をよろしいでしょうか?」
男は私の要求に答える代わりに条件を出して来た。
そう言えば私にデートを申し込んだ奴は数多くいるが最近は少し減って来ているな…デートにしてはちょっと相手が若すぎるが…まあいいだろ。
「うん?まあ…そうだな。酒の一杯くらいは飲んでやるよ。ほら、とっとと、どきな。」
私はそう言ってその台から立ち去るように男を急かす。
「では失礼します。」
男はそう言って玉を景品に変えて出て行った。…なんか寂しいものだな。
「待たせたな、坊主。で、どこ行くんだい?」
私はあれからトイレで化粧をしてパチンコ店から出て、男に話しかけた。
「…そうですね。酒屋でも行きましょう。」
酒屋デートか…それも悪くないな。
「そうだな…それじゃいこうか。」
私は了承して近場の酒屋に向かった。…まあこの辺にはいい酒屋があるしそこを紹介しておくか。
「さて…それでなんのようだい?」
私がこう聞いたのは男が歩いている間に忍びだとわかったからだ。大方猿飛先生の使いだろう…今までの奴らはくだらない奴だったが今回は聞いて見ることにした。
「…三忍の綱手様で間違いないですね?」
三忍…懐かしいもんだね。自来也、大蛇丸とともに山椒魚の半蔵にボコボコにやられて生きていたからその二つ名がついた。もっとも私は戦わない…いや戦えないの間違いか。
「ああ、そうだ。」
奴も私を確認してしっかりと目を見つめた。
「先日、貴方の受けている依頼の捜索任務の解任がありました。」
男の言葉は衝撃以外の何物でもなく私は動揺してしまった。
「なんだと?」
私がそう聞くと男は口を開いた。
「本当です。もし疑うのであれば火影様に確認して下さい。」
確かに私はあの時猿飛先生に頼んだはずだ。猿飛先生が死ぬまではこの任務は解任されないようにして欲しいと。
「いやそんなはずは…」
「貴方が任務を外されるのは私とて信じられません。しかしこの世の中です。大方、貴方にすがるしかない程人材不足でしょう…」
そう言うことか…全く、どいつもこいつも情けない奴らだ。私はガキが嫌いだが畑仕事とかそういったDランクの作業なら出来るしな。
「…そうか。それじゃ明日には帰るからお前も護衛としてついていけ。」
私はそれだけ言って酒を飲み干すと男も
「わかりました。」
と答えたので私は上機嫌になったので男の腕を掴んであそこに行かせることに決めた。
「とその前に…賭博場に行くぞ!」
男は嬉しさの余り、涙を流して感動していたのが見えたので私はますます上機嫌となりはっちゃけた。
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7話
「よっしゃ!」
嘘だ…何故、何故そうなる…!!
「ピンゾロで私の勝ちだ!」
そう…俺達はあの後賭博場に行ったは良いものの勝ち過ぎてしまい追い出されてしまったので、宿屋で綱手達と三つサイコロを使ったゲーム…いわゆるチンチロリンをやっていた。
「さてと…どんな罰ゲームになるかな~?」
綱手がそう言って罰ゲームのクジを引いて罰ゲームを決める。
「それじゃまずはシズネだ。シズネは…わさび寿司10貫だ。」
「あひぃー!!」
その罰ゲームの内容にシズネはそう奇声をあげてしまうのは無理ないだろう…何しろほとんど綱手が考えた罰ゲームだからな。シズネ弄りをする為に綱手はこんなことを言い出したんだし…
「次はお前だ、イタチ。」
俺はその発表に喉が渇く…そうそう、俺は綱手に変化も解いて自己紹介しておいたぞ。ただしうちは一族とは言っていないが。
「イタチ…お前はショートヘアーにして付近を周って来い!」
おいおい!そんなことやったら俺が俺じゃなくなるって!家に帰ったら絶対『シスイさん?』とか言われそうだから!!
「ほら行って来い!」
綱手ってこんなに賭けに強かったか…?
はあ…あれから付近を迂回して来たがなんかな…違和感を感じるんだよ。木の葉の暗部の中でも独特の殺気を受けている感じがする…
キン!
俺は咄嗟に飛んできた手裏剣をクナイで弾き、対処する。
「やはりそう簡単には行かんか…」
え?なんでダンゾウがこんなところにいんの?可笑しくね?
「木の葉の平和の為に死んで貰うぞ!シスイ!」
おいぃぃ!そう言うことかよ!
ショートヘアーにした俺が周囲を迂回したからシスイが任務から帰ってきたとダンゾウは勘違いして俺に攻撃して来たって…ダンゾウらしくもない。ショートヘアーはシスイのトレードマークだからってそんな単純なもんじゃないぞ!いやいや…暗闇の襲撃だからわからないのか?
「風遁・大突破の術!」
ダンゾウは早速印を組んで風遁の術を俺に放った。当然俺のすることは単純なことで…
「火遁・豪火球の術!」
風遁は火遁に弱いので俺は豪火球の術でダンゾウの風遁を掻き消し、間を取った。
「月読!」
俺は万華鏡写輪眼でダンゾウを月読の世界に案内した。
「残念ながら、それは分身だ。」
ダンゾウがドヤ顔でこっちを見ていた…
凄えめんどくせえ…ダンゾウは生かしておかないと上層部が騒いで、うちは一族抹殺フラグが立ってしまうからな…ただでさえ血気盛んなうちは一族のことだし上層部が騒いだら、うちはと木の葉の戦争で俺の人生終了だ。
それをやったら俺が人格者と書かれない?上等だ。んなもん捨ててやるよ。俺はダンゾウと戦っている時点でもう引き返せないしな。
「土遁・土流槍!」
土遁系の術かよ…まだ雷遁身につけてないのに厄介なことをしてくれるぜ…ホント。
「チッ!」
俺は禁術扱いになっているチャクラ刀…ビームサーベルを取り出し、土の槍を薙ぎ払う。
「何っ!?」
ダンゾウはそれを使えることに驚きの声をあげて次の印を組む。
「水遁・水牙弾!」
ダンゾウは水遁を使い、俺に攻撃をして来た…となれば…
「火遁・龍火の術!」
俺はそれよりも強い火で対抗して水遁の水を蒸発させてダンゾウに拳を入れる。
「ぬっ…!」
ダンゾウはそれを防ぎ体術の合戦となった。
「はぁぁぁっ!」
俺の拳がダンゾウの腹に入ってダンゾウはくの字に折れる。
「おのれ…!舐めるなぁぁ!」
しかし流石は暗部と言うべきか精神力のみで立ち上がり俺の顔面に蹴りを入れる。
「木の葉龍神!」
俺は身体を超回転させてダンゾウの蹴りを防ぐと同時に攻撃を仕掛ける…この技はアニメ版のチェン老師が使っていた技だ。竜巻の真ん中を突撃することでこの技を破ることが出来るが…ダンゾウはそれができない。何故なら俺の前にいるからだ。
「うおおぉぉぉっー!!」
ダンゾウはあっけなく負け、気絶した。とりあえず縛ってから口寄せで呼び寄せよう…
その後、俺は宿屋に戻ってみると綱手が爆睡してシズネは綱手の枕となり寝ていた。それを見た俺は別の部屋へと移動して寝ました。マル。あれ?作文?
「おい!イタチ、行くぞ!!」
その綱手の声で俺は目が覚め支度をした。
「わかりました。」
俺はそう言って変化の術で髪の毛を切られる前の姿に化けて、食事を取る…短髪になって憂鬱なのにこの人は…はぁ…
「それじゃ行こうか!」
綱手が清々しいまでの笑顔でそう言って木の葉へと向かった…
☆☆☆☆
ワシは木の葉を守るためなら手段を選ばん。故に今日やらなければならない。その為にワシはある男に毒付きの手裏剣を投げ、その男を仕留めようとしたが…
キン!
…今までの中でも完璧なまでの手裏剣の投げ方だった。それなのに関わらず奴はクナイで手裏剣を弾き対処した。
ワシが手裏剣を投げたことで奴も気づいていることだろう…ワシは奴に姿を現した。
「やはりそう簡単には行かんか…」
奴がワシの顔を見て驚いているが無理もない…奴はワシの部下だったからだ。
「木の葉の平和の為に死んで貰うぞ!シスイ!」
そう…奴の名前はうちはシスイ。ワシの目的は奴の万華鏡写輪眼だ。
シスイの万華鏡写輪眼は見ただけでも幻術に落とし、しかもかかった本人ですら気づかないと言う優れものだ。そんなものが敵の手に渡れば恐ろしいことになるがワシの手にあれば木の葉を救うことも容易い…だからワシはそれを保管しておくことにした。
「風遁・大突破の術!」
ワシは早速印を組んで風遁の術を放つ。
「火遁・豪火球の術!」
奴は冷静に判断して火遁を放つ…奴もうちは一族だということもあって中々強力な火遁を使うものよ…
「月読!」
奴がそう言って万華鏡写輪眼に切り替わる…するとそこにいたワシはいなくなる。
「残念ながら、それは分身だ。」
…影分身を使ってワシはうちは一族対策にしていたのだが…やはりワシの手でやるしかないか。
「土遁・土流槍!」
ワシはすぐさま印を組んで最初に出した術とは違う技をシスイに放つ。
「チッ!」
奴は舌打ちをしてチャクラ刀を出した…するとワシの出した槍が次々と切れていき遂にはワシの目の前まで来よった。
「何っ!?」
ワシはその事に驚いてしまったがすぐに印を組み術を発動した。
「水遁・水牙弾!」
「火遁・龍火の術!」
シスイはワシの水遁を火遁で掻き消した…いくらなんでもおかしい…シスイは火遁の術よりも瞬身の術を好む筈。だがここで奴をやらねば意味などない!
そんなことを考えていると奴が拳をワシの腹に入れ…
「ぬっ…!」
ようとしたがワシは咄嗟に判断して防いだ。その後体術の攻防戦が続いた。
「はぁぁぁっ!」
当然ながら年老いたワシよりも若い奴のスタミナのほうが多い。その為ワシは奴の拳を腹に入れられてしまった。
「おのれ…!舐めるなぁぁ!」
しかしワシもそう簡単には諦めきれん!ワシはこの為に女子供を利用してまでシスイの行方を探したのだ。
シスイは数日前から行方がわからずどこかに逃げたのかと思いありとあらゆる手段で調べたが…白だった。奴はこの里内にいる筈だと調べても調べても…全く手がかりが見つからず困り果てていた。そこで老若男女問わず幻術をかけてシスイの行方を探すようにした。そして今日…やっと見つけたのだ。ここで諦めたら…ただの外道だ。
「木の葉龍神!」
奴はワシの蹴りを高速に回転することで防ぎ、更にその回転を利用してワシを攻撃した…その姿はまるで龍神だった。
「うおおぉぉぉっー!!」
ワシはそれに巻き込まれ気を失った…
「…ようやく起きたか?」
ワシが目を覚ますと三代目火影ことヒルゼンがワシの顔を覗いていた。
「ヒルゼン…ここは?」
ワシは状況を確認する…縄で縛られ、正座をしている…やはり裏切ってもない仲間を殺そうとした罪は重いか…
「ここは執務室じゃよ。」
ヒルゼンがそう言うとワシは現実に戻りため息を吐く。
「そうか…」
ワシはそれだけ言うと何故かホッとした。
「ところでお前の処分なんじゃが…」
「わかっておる…死刑だろう?」
ワシが言うのもなんだがワシは色々とやり過ぎた…
「いやいや…お前の処分は160年の謹慎処分に決定した。」
それは実質ワシが上層部から離れると言うことだろう。ワシはそれを聞いて謹慎生活を送った…
~オマケ~
その頃表面上行方不明となっていたシスイはと言うと…
「センス…遅いぞ!」
シスイはソワソワしておりセンスをずっと待っていたような感じだった。
「両親の話が長引いちゃって…」
センスはそれだけ言い訳するとシスイは呆れた顔をした後に笑って…
「それじゃ行こうか…」
シスイは、センスの手を握ってラブホテルに指をさした。
ここにイタチがいれば『シスイ…お前は初心だったくせにもうそこまで行ったのか!?』とか『こっちはお前に勘違いされてダンゾウに絡まれて大変だったんだぞ!!』とか言いかねない。
「ええ…」
センスもまんざらでもなく顔を赤らめてシスイの手を握り返した。その後ラブホテルから二人が出るのは3日後だとも5日後だとも言われる…
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8話
あれから俺達は無事に木の葉に戻り、カツラを買って帰ろうとしたら何故か大名と火影様から呼ばれた…
「さて…イタチよ。お前を呼び出したのは他でもない…」
そう言って火影様がシリアスな顔をする。
「イタチ…そちは火影になれ。これは命令じゃ。」
大名が意味不明なことを言って来たのでしばらく思考停止した…
「は…?もう一度お願いします…」
しばらくして、俺は思考停止という名の現実逃避をやめてそう大名や火影様に聞いた。
「五代目火影になれ、命令じゃ。」
おいおい横暴すぎないか!?五代目火影になれって…原作だと綱手だろうが!!俺はその為に綱手を連れて来たのに無駄足かよ…
「そちを五代目火影になる様に命じているのは何も意地悪で言っているのではない。」
大名が俺の心中を察したのか大名が俺を説得する。
「綱手は気難しく、戦争のショックで笑うことは30年近くなかった…またお主以外の使者を送っても帰ってくる様子はなかった…だがお前を使者に任命して綱手を説得させて、綱手が木の葉に来てからはあやつに笑顔が絶えずに気難しさも消えつつある…」
すると今度は火影様が俺に説得して来て綱手のことを言って来た…
「しかし…私はまだ13です。クーデターとか出る恐れが…」
折角うちは一族のクーデターフラグを叩き折ったのに他の一族がクーデターを起こしたら元も子もない…しかも13といったら歴代火影どころか他の里含めて最年少だぞ?
「何、心配いらん。今やれとは言ってはいない。」
今やれとか言われたらやばかった。
俺が成人しているならともかく、今火影になったら他里だけじゃなく木の葉の名家の連中が俺に暗殺者を向けてくる可能性があるからな…
「では7年後に私は火影になります。」
俺がそう言うと二人は首を振った。
「ダメじゃ。長過ぎる。」
…大名、火影様…あんたら理解出来ている?
「そうでしょうか?私が成人する歳の前に火影になるのはいささか問題があるかと思いますが…」
俺がそう抵抗して意地でも妥協するが二人には無駄だった。
「昔の成人は15からと言うがの?ヒルゼン。そちはどう思うかえ?」
無理無理。史上最年少の五影になった我愛羅も16歳だって…
「大名様の言うとおりです。私もイタチが早めに火影になってくれれば私はらk…木の葉もより優れた里になると思います。」
おいこら今本音出てたろ。楽って言いかけたよな?おい?
「いやしかしですね…」
俺は何が何でも必死に抵抗する。この歳で火影になる訳にはいかん!死亡フラグをへし折る為にも!!
「そうじゃな…お主が数え年で20になったら火影に任命する。」
数え年で来たか…実質18歳でやれってことか…
「わかりました。」
俺はそう言ってそれを認めた。
とはいえ火影になるメリットがないわけでもない。俺が火影になればうちは一族初の火影となり完全にうちはのクーデターフラグは叩き折れる。
残るは…あいつだけだ。そう…オビトを攻略してうちはに関する死亡フラグは全て叩き折れる!!…だがうちは一族を滅ぼさない俺にオビトと接触する機会なんぞもう無い。そこで俺は考えた…オビトが唯一執着している奴に接触すればいいと。
「で?なんで俺なんかと勝負したい訳?」
そう言って俺に話しかけるのは銀髪で木の葉の額当てで左眼を隠している男…はたけカカシだ。
「簡単ですよ。フブキ…シスイの弟がガイ上忍に体術を師事していると聞いたのでライバルであるカカシ上忍と勝負すればフブキがどのくらい強くなるか知りたいだけです。」
「ふーん…でも俺に出来ることなんてほとんどないよ?そりゃガイの体術は知っているけど完全に防げる訳じゃないし、何よりも最近体術合戦で負け続けているよ?」
野郎…逃げる気だな?そうは行くか。
「それは体術合戦のみの話しでしょう?忍術、体術、幻術全ての総合力ならガイ上忍よりも上でしょうに。」
そう言ってカカシを褒めてやることで上機嫌となり勝負ができる…と考えたのだが…
「そりゃそうだけどな。」
カカシはまだやる気を見せない。なんて奴だ…誉め殺しが効かないなんて…仕方ない。奥の手を使うか。
「カカシ上忍、そう言えば裏ルートでこんな本を手に入れたんですよ。」
そう言って俺はとある本を見せる…
「…ん?これは…まさか…!?イタチ、どこで手に入れた!?」
カカシはその本を見て驚く…カカシが愛読している本のシリーズ『イチャイチャパラダイス』の初期版の本だ。この本は市場にはもちろん、闇取引でも滅多に見かけることのない超がつく程のプレミア品だ。これを手に入れるのには結構金を使ったよ…
「それは秘密です。それで返事はどうするんですか?」
俺はカカシにそう言って追い打ちをかける。
「…わかった、やろう。」
そう言ってカカシに了承の返事が取れたので本を渡しておく。カカシがマスク越しに気持ち悪いほどニヤニヤしながらそれを閉まって構えたところを見て俺は構える。
「では…行きます!」
そしてカカシとの勝負は始まった。
☆☆☆☆
突然俺の目の前にうちはの天才ことうちはイタチが現れた。
「はたけカカシ上忍ですね?」
イタチは有無を言わさない態度で俺に迫って来た。
「ああ…そうだが?」
「一回だけ勝負してくれませんか?」
俺はそれを聞いて一瞬目を丸くしたが俺は少し冷静になり事情を聞くことにした。
「で?なんで俺なんかと勝負したい訳?」
「簡単ですよ。フブキ…シスイの弟がガイ上忍に体術を師事していると聞いたのでライバルであるカカシ上忍と勝負すればフブキがどのくらい強くなるか知りたいだけです。」
ああ、こいつ…俺よりも無表情だけど中身はガイ並に熱い男だ。そういうのが一番面倒なんだよな…
「ふーん…でも俺に出来ることなんてほとんどないよ?そりゃガイの体術は知っているけど完全に防げる訳じゃないし、何よりも最近体術合戦で負け続けているよ?」
そう言って俺は誤魔化そうとしてその場を立ち去ろうとしたが…イタチも何も考えていない訳ではない。
「それは体術合戦のみの話しでしょう?忍術、体術、幻術全ての総合力ならガイ上忍よりも上でしょうに。」
痛いところを付くよな…最近の子供は。
「そりゃそうだけどな。」
俺は否定はせずにそう答えた…こう答えてしまったのは昔の悪い癖だろう…
「カカシ上忍、そう言えば裏ルートでこんな本を手に入れたんですよ。」
イタチがそう言って取り出したのは一冊の本だった…
「…ん?これは…まさか…!?イタチ、どこで手に入れた!?」
そう…その一冊の本は俺がどんなに探し求めてもどこにも売っておらず超がつく程のプレミアがついている『イチャイチャパラダイス』の初期版の本だ。
なんでも当初自来也様がこれを出版したが全く売れずに自来也様は処分の為に、何冊か記念にとっておいたのを除いてほとんどを燃やしてしまい初期版は幻の存在となってしまった…その後自来也様のお宅に訪れた客人がそれを読んで『イチャイチャパラダイス』を出版するように求めたらバカ売れしたそうだ。自来也様はバカ売れしたので忙しくなり疲労のせいか誤って初期版も売り飛ばしてしまい流通してしまったという…
「それは秘密です。それで返事はどうするんですか?」
世界に数冊しかないこの本を目にして黙っていられるだろうか?いや俺は黙ってはいられない!もしここでイタチの誘いを断ったら他人の手に渡ってしまう!俺の返事は決まった…
「…わかった、やろう。」
俺がそういうとイタチは俺に本を渡して来た。俺はそれを受け取り、貴重品のところにしまっておいた。良いもの手に入れたな…ほんと。
そして俺は構えてイタチと向き合う。
「では…行きます!」
イタチも構えて俺に迫ってきた。イタチの拳が俺の腹に…!くっ…重い!ガイ以上だ!
「まだまだですよ?」
木の葉にこんなに強い奴がいたとは…ただの天才ではなかったってことか…
「水遁・大瀑布の術!」
この術はかつて霧隠れの連中が使っていた術だ。まさか最初に忍術を使わせる羽目になるとは思いもしなかったけどこれで終わりだ。
「水遁・水牙弾!」
イタチは更に強力な水遁で俺の術を押し返す…
「土遁・土流壁!」
俺はすぐに土の壁を作り防御する…
危なかった…もしイタチが水遁の使い手でなく雷遁の使い手だったら負けていたかもしれない…俺は水遁、土遁、雷遁を得意としているので風遁では防げない…
「甘いですよ。」
イタチの声が後ろから聞こえて来たので振り返りクナイを振って攻撃するとポンッと音を立てて消えた。
「影分身だと!?」
ダミーに騙されてしまい思わず俺は声を上げてしまう…その次の瞬間!
「土遁・千年殺し!」
俺の真下の土からイタチが現れ…勢いの増したカンチョーをした…なんて技だ…俺は真上に上がり気絶してしまった。
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9話
影分身がカカシと戦っている間に俺はカツラを外して付近を散策して気配を完全になくして仮面の男…オビトを見つけて後ろに回り込み…そしてオビトの首元の締めた。
「なっ…!?誰だ!?」
オビトに対する攻撃はカカシの神威以外なら不意打ち、カウンターなどが有効だ。実際に四代目火影こと波風ミナトはそれを利用してオビトに勝っていたしな。
「侵入者に名乗る名前は無い!」
俺はそう言ってオビトの首を関節技で更に締める。
「くっ…!」
オビトがそれを外せずにもがく…おかしい…オビトはマダラに多彩な忍術や体術を学んでも関節技とかは学んでいないのは不自然だ。となれば俺は幻術にはまっているのか…?
「解!」
俺は自分にかかっている幻術を解いた。するとオビトが丸太になり、今まで木だったものがオビトになった…おそらく首を締めた時に既に入れ替わっていたんだろう…結構不覚だ…
「ふん…プレゼントだ。とっておけ。」
そう言ってオビトが投げて来たのは起爆札付きのクナイだ。
「っ!」
俺はクナイを二つほど投げてオビトの投げたクナイの方向を変えた。
「なるほど…そう来たか。ならばこれはどうだ?」
オビトがそう言うと巻物を出し、口寄せをする。その中身は大量の武器で、俺に向かって攻撃をして来た。
「水遁・水流壁!」
俺はさっきカカシが使った土流壁の水遁版で防御して武器から身体を守った。
「水遁・水牙弾!」
さらに俺は殺傷性のある術でオビトに攻撃する。
「無駄だ。」
オビトは神威の応用で俺の術を避け、そして俺の術が終わるとオビトはすぐに攻撃に移った。
「くっ…!」
俺は術を発動した後なのでほとんど動けず、危ない目にあったがかろうじて防御に間に合った。
「流石だな…うちはイタチ。」
オビトがそう言って俺を上から目線でそう評価する…てかダンゾウは俺のことシスイと勘違いしたのになんで俺だとわかったんだ?
「…木の葉の里に何のようだ。侵入者。」
俺はオビトに一応そう聞く。理由なんぞカカシから情報を聞くためだろうが…
「お前に答える義務などないが答えてやろう…木の葉に忘れ物をしたからそれを取りに来ただけだ。」
「それは…九尾のことか?」
「安心しろ。今日は九尾を取りに来た訳じゃない。」
「ならばなんだ?木の葉の住民の命を取りに来たと言うなら…意地でも殺す。」
これはマジ。オビトを殺しても原作崩壊くらいしかデメリットはないしな…後はカカシの両目写輪眼フラグくらいだな。
「さあ…どうかな?」
今度はオビトが俺に襲いかかる。当然俺のやることは決まっている訳で…
「はぁっ!」
俺はカウンターでオビトを殴り飛ばす。
「ぐおっ…!?」
結果、オビトに攻撃を喰らわすことが出来、ダメージも負うことが出来た。
「月読!」
俺はすかさず万華鏡写輪眼を発動させて月読を発動させる。
「ぐぁっ…!」
オビトはそう言って膝をつく…成功だ。
「拷問の時間だ。」
俺も月読の世界に意識を持って行き、オビトに会う。
「まさかこんな青二才にやられるとはな…」
オビトがそう言って俺を睨む。
「確かにお前は強い…俺がお前の弱点を見つけなければお前は俺に勝っていた。」
「…いつ俺の弱点を知った?」
「水牙弾の術とその後のお前の攻撃だ。」
実際には違うけどな。原作知識だ!
「成る程…確かにな。お前程の男なら気づかないはずがないか。」
「さて…無駄話は終わりだ。その顔を拝ませて貰おう。」
俺はそう言ってオビトの仮面を外した。
「…やはりうちはオビトか。」
知っていたには知っていたが絶対はないからな。
「何故俺を知っている…!」
オビトが殺気を込めて俺にそう聞く。
「オビト…お前は元とはいえ四代目火影様の班だろう?更にうちはの創設者うちはマダラの子孫でもある。それらが原因でお前の名前と写真はうちは一族に知られている。それにお前のやって来たことが木の葉都市伝説に載るくらいだ。俺がお前のことを知っているのは当たり前のことだ。」
これは半分嘘だがオビトの都市伝説という名の珍記録はマジだ。うちは一族としては遅刻回数最多記録、うちは史上初のアカデミー最下位などなど…酷いものだった。その悪名が有名になってうちはの呪い(笑)なんて言われているくらいだからな。
「そうか…」
オビトもそれを思うところがあるのか遠い目をしていた。
「だが何故お前は生存報告もせずに木の葉に戻ってきた?俺が知っている限りお前は木の葉を愛していたと聞くぞ。」
「…わからん。だがわかるのは何もかもが俺は世界全てがクズだということだけだ。お前になどはわからないだろうな。」
そう言ってオビトは息を吐く…
「確かに俺はお前の言いたいことはわからない。だが一言言わせて貰う。恨むのは世界じゃなくお前自身の弱さに恨むことだ。」
「何だと?」
「お前がもし無事にカカシ上忍と一緒に三人一班だったら…どうなっていた?」
「…」
オビトはそれに思うところがあり、話しを聞いていた。
「二代目火影様はどうだ?二代目火影様は三代目火影様に火影の意思を授けた。その意思は見事に伝わり三代目火影様は歴代最強の火影とまで崇められることになった。それは何故かわかるか?うちはオビト。」
「…」
この時点でオビトは答えを理解した。
「二代目火影様の授けた意思が強かったからだ。だからお前も二度とあんなことが起こらないようにして貰いたい。」
「…強くなったところで俺はもう引き返せない。殺せ…」
説得失敗か…オビトは殺してもデメリットはないけど生かしておけばデメリットはあるけどメリットはあるんだよな。主に蛇対策とか、写輪眼の使い方とか。
「なら…せめて楽な最期をくれてやる。」
俺はそう言って印を組む。これからやるのはシスイから教わった幻術だ。
「幻術・桃源郷!」
オビトは安らかに眠りについて植物状態となった。何故植物状態かと言われるとこの幻術は快楽に溺れさせる幻術なので殺す幻術ではない。それに俺はこの世界の時間を操ることが出来るからな…眠りに付く時間も長くも出来るし短くも出来ると言う訳だ。
さて…やたらさっきからウザい目線をどうにかしないとな。
「出てきたらどうなんだ?」
俺がそう言うと誰かが出てくる。
「ふふふ…まさか気づかれるとはね。驚いたわ。」
その出てきた男…大蛇丸はあっさりと出て来て俺の目の前に立った。
☆☆☆☆
私は写輪眼を手に入れるためにイタチ君をつけてみたら相当面白い展開になって来たわ…仮面の男も相当な使い手…綱手の好きな賭け事にするなら私は仮面の方を応援するわ…それほど今こそ劣勢だけど彼の実力は高いはず…
「ぐぁっ…!」
仮面の男はそう言って膝をついた…面白くもなんともないわ。ここでイタチ君を屈服させるところでしょう!?
「出てきたらどうなんだ?」
どうやら強く殺気を出し過ぎたようね。
「ふふふ…まさか気づかれるとはね。驚いたわ。」
私が笑って対応するとイタチ君の殺気が強くなった。
「あれだけ殺気を送っておいてそのセリフか?」
「そう言う貴方も相当な殺気を送っているくせして何を言っているのかしら?」
「貴方はビンゴブックS級の忍びだ。警戒して当たり前のことだ。」
「釣れないわねぇ。」
「獲物が釣れるのいいが蛇を釣ったところで面白くもない。」
「つまり…それは私は賞金首の価値しかないってことかしら?」
「…少なくとも自来也様よりも人としての価値はないことは確かだ。」
ここで自来也の名前を出して挑発するとは考えたわね…
「あらそう?まあ人の価値なんて人それぞれだし、私の趣味は貴方には理解出来ないし、貴方の趣味は私には理解出来ないわ。」
私は総動員で怒りを抑え、冷静に返した。
「…俺はこの男を木の葉の病院に預けに行く。勿論貴方の存在をなかったにしてだ…」
存在をなかったことにね…つまり見逃すってことね。確かにここにいてもいい事はないし言葉に甘えさせて貰うわ。
「そう…それじゃお暇させて貰うわ。」
私は研究所に戻り、イタチ君のことを調べ直していた。履歴書は…えーっと…ないわね…カブトが勝手に整理したのかしら?あったあった。
「って何よこれ!?」
イタチ君の履歴をみて思わずそう突っ込まずにはいられなかった。そこには…
4歳で三代目火影の護衛を失禁させるほどのトラウマを植える。
5歳で禁術開発。
…その他の履歴は大したことはなかったけど5歳で禁術を開発させるのはわかるとしても4歳で三代目の護衛を失禁させるほどのトラウマって何をしたのよ…イタチ君
…って呆れている場合じゃないわ!!もし、イタチ君の身体を乗っ取ろうとして失敗したら…動くことすら出来ない操り人形になるのは確かね…そうなったら屈辱以外の何物でもない!!
私はそう考え、イタチ君があの場で逃がしてくれたことを感謝し、研究を進めた。
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10話
「イタチよ。お前にSランク任務を与える。」
オビトを病院に入院させてから数日後に火影様から呼び出され、依頼書を渡された。その内容は護衛だった。しかも大名とかお偉い方ではない普通の子供の護衛だ。
「Sランク任務…ですか?集団の護衛ならともかく普通の子供の護衛がSランク任務と仰るのですか?」
子供の護衛なら国を動かすような者で無い限り普通はCランク、あるいはDランク任務に当たる。しかしだ。それが大名並の待遇のSランク任務になっている。つまり訳ありの任務だと言うことだ。
「…うずまきナルトという少年は知っているな?」
「はい。知っています。」
「お主が護衛をするのはそのナルトの護衛なんじゃよ。」
はぁぁぁ!?What!?いやこの場合はWhyだ!!なんでこの爺さんは全力で俺にフラグを立たせようとしているの!?
あー?ひょっとして理解出来ない?そうか…わからないなら教えてやる。こんな感じでヤバくなる。
1、ナルトの体内に九尾がいる
2、九尾事件を起こしたのはその九尾
3、だけど一部ではうちは一族の誰かが九尾を操った噂有り(オビトが操った)
4、九尾をうちは一族である俺が守ったらその噂が広まりうちは一族に被害が及ぶ。
5、うちは一族と木の葉に、せっかく埋めた亀裂が広がる。
6、うちは一族と木の葉の戦争。
7、負けたら一族終了。勝っても隣国に攻められてしまい疲労した状態で戦って負けることは一目瞭然なので一族終了…
8、万一勝てたとしても俺はうちは宗家の長男なので暗殺者来訪の毎日が待っており暗殺かストレスで死ぬ。
とまあそんな感じだ。8に関しては火影になった時も同じ?馬鹿を言うな…平和な里のトップと戦争でギスギスしている一族のトップの息子…どっちが死にやすいか想像つくだろう?
予防策は顔を絶対に見せない…これが一番ベストな方法だ。
「そう言うことですか…」
ナルトは九尾の人柱力だからな…ランクが跳ね上がっても無理ないよな。オマケに里人からナルトの命だけ守るのが事例になっているし。
「うむ…お前にナルトの護衛をやって欲しいのだ。引き受けてくれるな?」
「わかりました…引き受けます。」
どうせここで断ったらうちは一族と木の葉の関係が悪くなる原因になりかねないので半分諦めてそういった。
「おお!引き受けてくれるか!」
おいおい…火影様はナルトにばかり目が行っているんじゃないのか?あるいは俺がそう考えていることを見越しているのか?
「ええ。ですが…仮面を貸して下さい。」
「仮面か…そのくらいは良かろう。」
そう言って適当に火影様は仮面を出した。
「ほれ持っていくが良い。」
「ありがとうございます。」
俺は礼だけしてその場を去り仮面をつけた。
俺が思うに、ナルトは余りにも虐げられ過ぎだろ…?俺は前世は家族から見捨てられかけたけど努力すれば認めてくれた。それだけだった。だけどナルトはどんなに努力しても認めてくれるのがイルカだけって…そんなん悲しすぎる…だから…
「何をする!?」
「忍びが一般人に手を出していいのか!?」
そう…俺はナルトを守るために一般人に手を出してしまった。
「黙れ…!」
俺はこれまでに無い以上怒っていた。俺も言葉を覚えるのが遅くて幼稚園時代は虐げられていたからな…だからナルトを見捨てられなかった。俺は原作のイタチとは違う…原作のイタチの行動なんか俺の知ったことではない。俺は俺だ。
「ひっ…!」
「お前達はこの子を虐げていたみたいだがこの子が何かしたのか?」
俺はそう言って殺気をかなり強くする。すると中には気絶する者が出て来たが俺は殺気を止めることをやめない。
「そいつは化け物だ!だから…」
俺の殺気に耐えてそう意見するのは中忍のモブキャラだ。
「ほう…化け物だという理由でこの子を虐げていたのか?だとしたら…もしこの子が忍びに成らずに大きくなってお前達と同じことをしたらどうする?お前達はともかくお前達の子供をこの子が最悪殺すことになるのかもしれないのだぞ!!それをわかって言っているのか!?」
原作ナルトは性格が歪まなかったから良かったものの、もし歪んでいたら…サスケよりも先に木の葉を抜けて原作オビトの二の舞になっていただろうな…いやそれ以上かもな。
「…」
俺がそう言うと全員黙り込む…
つーかこいつら馬鹿か?いくら里の決まりがあるとは言えどんな報復があるか考えろよ。殴った奴は覚えていないけど殴られた奴は覚えているからな。小物臭くとも恐ろしい報復があるのは確かだしな。
「それでも理解出来ない様なら…死ぬぞ?」
俺は最後にそう言って今までの最大の殺気を放つ。すると全員硬直して動けなくなってしまった。
「さて…少年、立てるか?」
俺はそう言ってナルトに接触する。
「うん…立てるってばよ。」
そう言ってナルトは立ち上がり、震えながら俺を見る。…あれだけ殺気を木の葉の住民に当てたんだ。無理もないか。
「俺は余程のことが無い限りお前を助けてやる。何かあれば言えよ?」
「それじゃあさ…ちょっと相談に乗ってくれる?アカデミーでわからないことがあるんだってばよ。」
ナルトは警戒を止め、俺にそう聞いてきた。
「まあ…いいだろう。本来はお前に必要最低限しか接触するなと言われているが…あの様子じゃアカデミー教師もそうだろう?」
「うん…俺が質問しても無視するのがほとんど。中には違うことを教えている奴もいるから訳がわかんなくなって成績はビリになっちまう…」
「それ以上は他の場所で話そう。ここでするのはナンセンスだ。」
俺たちはこの場を立ち去り、ナルトの家へと向かった。
「それで?わからないこととはなんだ?」
俺はナルトの家に入り、椅子に座った。
「座学がどうしてもわからなくて…」
「成る程…具体的には?」
「全部。」
「そうか…ならー」
その後、俺はナルトの座学を指導し、ノートの取り方からチャクラの概念まで指導した。
「今日はここまでだな。」
俺はそう言ってナルトの家から出る。
「ありがとう!仮面の兄ちゃん!」
ナルトが顔を出して俺に礼を言う。
「それじゃ、また会おう。」
俺はその場を後にした。
☆☆☆☆
「おらっ!」
まただ…なんで俺のことを蹴り飛ばすんだってばよ…!
「ふげっ!…ううっ…」
俺は逆らってもそれ以上の報復をされるのはわかっている。だから俺は逆らわない…それが一番良いからだ。
「これで最後だ!」
そう言って里の大人は俺に向かって思いっきり殴ろうとした。けど…
「やめろ。」
俺よりも一回り年上の仮面をつけた人が里の大人の腕を掴んで止めた…
「何をする!?」
「忍びが一般人に手を出していいのか!?」
仮面の兄ちゃん、俺のことなんかほっといてくれよ…出ないと兄ちゃんに迷惑掛けちまう…
「黙れ…!」
その仮面の兄ちゃんから物凄い威圧を出して周囲の大人をビビらせた…へっ、ざまあみやがれ…!
「ひっ…!」
「お前達はこの子を虐げていたみたいだがこの子が何かしたのか?」
そう言えば俺が虐げられることが当たり前すぎて理由とか考えていなかった…なんでなんだ?
「そいつは化け物だ!だから…」
化け物…?俺が?
「ほう…化け物だという理由でこの子を虐げていたのか?だとしたら…もしこの子が忍びに成らずに大きくなってお前達と同じことをしたらどうする?お前達はともかくお前達の子供をこの子が最悪殺すことになるのかもしれないのだぞ!!それをわかって言っているのか!?」
仮面の兄ちゃん…ありがとう…
「…」
「それでも理解出来ない様なら…死ぬぞ?」
それだけ言うと仮面の兄ちゃんは里の大人から離れて、俺に近づき姿勢を低くした。
「さて…少年、立てるか?」
仮面の兄ちゃんはさっき里の大人とは違って優しく俺に接した。
「うん…立てるってばよ。」
俺は立ち上がり、ズボンについていた埃を払った。
「俺は余程のことが無い限りお前を助けてやる。何かあれば言えよ?」
「それじゃあさ…ちょっと相談に乗ってくれる?アカデミーでわからないことがあるんだってばよ。」
「まあ…いいだろう。本来はお前に必要最低限しか接触するなと言われているが…あの様子じゃアカデミー教師もそうだろう?」
「うん…俺が質問しても無視するのがほとんど。中には違うことを教えている奴もいるから訳がわかんなくなって成績はビリになっちまう…」
うん…アカデミーで無視する奴は大勢いるけどそんなかでも酷えのが…俺の同級生よりもアカデミー教師なんだよな。年上の世代に行けば行くほどより酷くなるんだから俺からしたら迷惑なもんだってばよ。
「それ以上は他の場所で話そう。ここでするのはナンセンスだ。」
仮面の兄ちゃんはなんでここまでしてくれるんだろう…?火影の爺ちゃんくらいしかいなかった…俺はそう考えていると目から汗が流れてきそうだった。俺はそれを抑えるのに必死で仮面の兄ちゃんの話しを聞いていなかった。
そして着いた先が…俺の家。当然と言えば当然だよな。教科書がないとどこをやったらいいかわからない。
「それで?わからないこととはなんだ?」
仮面の兄ちゃんが椅子に座るとどこからともなく団子を出して器用に仮面を少し外して食べた。
「座学がどうしてもわからなくて…」
俺はそれをスルーして話しを続ける。
「成る程…具体的には?」
「全部。」
ホント訳わかんねえ…国語は漢字が読めないし、算数はまだ四則計算はできるけど面積とか濃度とか意味不明!俺ってば感覚で覚えるタイプだから理屈がどうこう言われても頭に入らない!
「そうか…ならー」
仮面の兄ちゃんがノートの取り方から全教科の座学を教えてくれた。
教え終わると仮面の兄ちゃんが立ち上がって今までよりも真剣なオーラを出した。
「次は忍術の源…チャクラについて話す。」
「チャクラねぇ…どうせ忍術の指導やるなら火遁の術とか風遁の術とか教えてくれよー!」
アカデミーに入ってからチャクラについてはもううんざりするほどやったのになんで今更?
「まあ聞け。チャクラの練り込む量が多いほど強い術もあればチャクラの練り込む量が多過ぎても少な過ぎてもダメで適量でないと発動しない術もある…心当たりないか?」
「…あっ!!」
俺の心当たりは分身の術だ。変化の術は上手く行くのになんで分身の術が上手くいかないのか始めてわかった気がした。
「気づいたみたいだな。それじゃ教えるぞ」
その後俺は人生で一番真剣に話しを聞いた。
「今日はここまでだな。」
「ありがとう!仮面の兄ちゃん!」
「それじゃ、また会おう。」
…火影もいいけど仮面の兄ちゃんのような忍びになりたいな…
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11話
これはイタチが大名の護衛から帰って来た後のとある会議のお話…
「三代目…我々はこのままでは納得がいかん!」
上層部の一人が三代目火影にとあることに納得していなかった…
「それはワシも賛成だな。」
ダンゾウもこの会議に出席しており最初に発言した上層部の一人の意見に賛成していた。
「しかし、お主達はイタチが火影でも問題はない…と言ったはずだが?」
そう…これはイタチが火影にふさわしいかどうかの会議だ。
「それとこれは別だ。それにワシらはイタチが火影でも問題はないとは言ったがふさわしいとは言ってはない。」
「むう…」
「それに、うちはが火影の名を背負うことになれば木の葉は滅びる。」
「火影とうちはは水と油の関係…混じってはいけないものだ。」
「屁理屈ばかり聞こえるが、一体誰ならふさわしいと思うか述べてみよ…」
「自来也はどうだ?あいつは一応三代目…お前の弟子だろう?」
自来也とは…三代目が直々に育てた弟子…伝説の三忍の一人でもある。しかし致命的な欠点があった…それは取材と言う名の覗きなどをしていることだ。
「あやつは確かに火影にふさわしい…と思うがあやつの火影に対するモチベーションはゼロじゃ。なったところでほとんど仕事はせんでワシに押し付け、エロ本書くのが目に見える…」
しかし自来也はやる時はやる。それに自来也は一応四代目火影の候補となったこともある…がその時に火影就任を頑固として辞退していたので三代目火影は自来也に火影の仕事をやらせても火影としての仕事をやるとは思っていなかった…
「それならば綱手姫はどうかな?」
自来也と同じく三忍の綱手は、今でこそ常識だが当時としては斬新な三人一組の班に医療忍者を一人取り入れ、戦争による犠牲者を大幅に減らした実績もある。また綱手は初代火影の孫でもあり、綱手が推薦されるのも無理はなかった。
「綱手か?確かに悪くないが、あいつは金にルーズ過ぎる…木の葉が借金だらけの里になり得るわい。それに奴は任務中で里にはおらん。」
一方で綱手はギャンブルによる借金が酷く、その内容は余りにも多い…その上踏み倒した借金もある為借金取りのブラックリストに載っている。もし…そんな人が火影になったら…?里に良い印象はない…
「なるほど…それでイタチに決めた訳じゃな。」
「ワシが見た限り、あやつにあの二人ほど致命的とも言える欠点はない…」
実際にはイタチは弟離れしておらず、休暇の日は休みもせず、修行かサスケと遊んでいると知ったら上層部は驚愕の顔に染まるだろう…
「だが奴はうちはぞ?それをわかって言っているのか?」
「何故そこまでうちは一族に拘る?」
「マダラだ…そして九尾事件の真犯人にしても然り、うちは一族が木の葉を滅ぼす原因となっておる。」
「いや、それは違う。二代目様の元側近…うちはカガミはうちは一族に戦争を起こさないように呼びかけている。ワシらに問題があるからこそうちはは木の葉は敵だと思っているんじゃないのか?」
「しかしだな…」
その後会議は延々と続き…
「ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う。このままでは永遠に決着がつかん。」
「ならば…うちはイタチに綱手を連れて帰ると言うのはどうだ?」
ここでダンゾウが意見を出した。
「何だと?何故そうなる?」
「綱手は任務中だが…意見を聞くためにも一度帰還させる必要がある。」
「しかし何故イタチなのだ?」
「火影ともなれば大名以上のお偉い方や他里との交流も数多い…今回はイタチの交渉力を見ると言っておこう。」
「(してやられたか…)」
三代目火影がそう思うのは無理なかった。綱手はかなり気難しく、これまで数多くの忍びを送ったが帰る気配を見せず、酷い時にはその忍び達から酒代を請求された時もある。つまり…今回の任務は誰も達成したことない任務失敗率100%のものだった。
「それでどうするのだ?」
「(ここで断れる理由がない…イタチを火影に推薦するにはこれしかない。)わかった。認めよう…」
その後火影はイタチに綱手捜索の任務を与えた。
数日後…火影執務室にて
「失礼します。入ってもよろしいでしょうか?」
「その声はイタチか…良いぞ。」
「では失礼します。」
そう言ってイタチが入室した…
「…」
三代目火影はイタチの姿に唖然とする…
「どうしました?」
そう…今のイタチは短髪になっておりシスイに似ていたからだ。
「…何があったんじゃ?」
三代目火影はイタチがどうしてこうなったか気になり、つい質問をしてしまった。
「綱手様を探す経緯でこうなりまして…」
「そ、そうか…」
その言葉に三代目火影は口元をヒクつかせしばらくの間固まった。
「猿飛先生、罰ゲームでそうなったんだ。」
すると綱手がネタバラシをしてイタチの顔は真っ赤になった。
「綱手様…!」
「そう怒るなって…そもそもお前が負けたのが悪いんだろ?」
イタチはその後怒るが綱手はイタチを誤魔化すというループが続いた。
しばらくして…
「火影様…これからは重要なことを話すので少し周りの護衛に席を外すように呼びかけて下さい。」
イタチがそう言って目つきが変わった。
「わかった。下がれ。」
三代目火影はそれを了承し、護衛の忍び達を下がらせた。
「私がいたら邪魔そうだね…私も席を外そう。」
「では…話します。」
それからイタチは綱手捜索任務の最中に勘違いでダンゾウに襲われたこと、そしてダンゾウを返り討ちにし生け捕りしたこと、更に任務を成功させたこと…全てを話し、ダンゾウも引き渡した。
「うむ…わかった。それにしてもまさか成功させるとは驚いたわい…」
「?何か仰いましたか?」
「いやなんでもない。とにかく任務ご苦労じゃった。下がって良い。」
「はっ…ありがとうございます。」
イタチの報告が終わり、再び会議が始まった…
「それでは今回はうちはイタチの件についてだ。」
「しかし…何故そこまでうちはイタチに執念する?三代目?他に火影にふさわしい者はいるだろう?」
「確かに…だがワシは九尾事件についてこうも考えている。四代目火影である波風ミナトは忍びの一族だが新米の家柄…木の葉の古参の一族に比べると家柄が木の葉の中では格下じゃ…九尾事件を起こした犯人はミナトが火影になったことを恨んだ連中じゃと思う。事実ナルトが産まれる際に精錬された暗部が全てやられよった…」
「…大蛇丸ではないのか?」
「確かに素質のみなら不可能ではない…があやつに九尾を制御する幻術はない。写輪眼…それも万華鏡写輪眼でもない限りな。共犯としては高いがあやつは人の手を借りた後に毒を入れて殺すタイプの人間だ…自来也の報告からはそんな情報はない。」
「ではうちは一族の仕業だと言うのか!?」
「落ち着かんか…話しはこれからじゃ。もしうちは一族の誰かが火影に推薦され、いや火影にしなければうちは一族は木の葉にクーデターを起こす可能性もある。」
「考え過ぎではないのか?」
「マダラという例もある以上そうとは言い切れん。それに…マダラは一人で木の葉に戦争を仕掛け、しかも初代様がいたから良かったものの…今の世代にうちは一族全体を止められる者はいない。それに今の若い世代で最強と呼ばれるのはイタチやシスイなどのうちは一族の名前が連なっておる。」
「…確かにな。」
「書類等での影響力はうちは一族は低いものの、うちは一族が任務を放棄されたりすると木の葉に多大な影響が出る…」
「何かしらうちは一族に飴を与えないとそれこそ木の葉が潰れる…と言うことか。」
「そういうことじゃ。今日の会議はここまで!解散!」
その後イタチを呼び出し火影候補にした…
上層部による陰謀が始まった。
「イタチは実績が足りない。Sランク任務をやっていない火影とは…あまり宜しくないな。」
一人の上層部の人間がそういうと周りも感染し始めた。
「四代目火影も戦争時代だったとはいえSランク任務はやってある。」
「何よりもあんな若造に火影なんぞ務まるか!」
その不満の声がきっかけとなり、上層部の人間達はとんでもないことを考えた。
「ナルトを利用したらどうだ?うちは一族が九尾を操ったという噂を使う。」
そう…ナルト諸共イタチを嵌めるつもりだ。
「成る程…確かにいい案だ。ナルトが死んだらイタチのせいに出来る上、イタチが過保護にナルトを守ればその噂が流れる…」
「決まりだな。」
そして上層部の人々は三代目火影をうまく丸め込みイタチにナルトの護衛任務を付かせた。
その数日後、イタチがナルトの護衛任務についた初日の夜…丑の刻の時間だった。
…ほ…!里…!!
「なんだ?一体?どこから聞こえるんだ?」
上層部の一人が目を覚ました。そして現場に行ってみると…
「お前達もか?」
他の上層部の人々もそこにいた…
「ああ、不気味な声が聞こえるしな…」
「それにこんな騒がしいと眠れんわい…」
なお三代目火影はおらず、全員が偶然にもイタチを嵌めようとした上層部の人々だった。全員がそれに不思議に思い首を傾げると声が聞こえた。
…は…ばれ!…金が…い…リア充は…
などと言う声だった…後半は欲がただ漏れだったが時間が時間なので上層部の人々は恐怖心は当然出てきた。
「こっちだ!」
冷や汗をかいている上層部の一人がそういうと全員が『赤信号、皆で怖くない!』と言わんばかりにそっちに向かった…
その現場へ向かうと…白装束の男が藁人形に五寸釘を打っていた。
「誰だ?」
「さあ?わからん…」
上層部に一人がそう言っても返事はわからない…するとその男が振り向くと…赤い眼をしており、ニヤッと笑った。これを十人中十人がみたら泣くことは違いないだろう。
「「「ぎゃぁぁぁぁ!!」」」
やはりと言うべきか上層部の全員が大声をあげて失神しまった。(流石に上層部とあって失禁はしなかったが。)
「(うおっ…ビックリした…!)」
その白装束の男はイタチであり、丑の刻参りをしていたのだ。丑の刻参りは本来は呪うものであるが一部の地方では願いを叶えるというものもある。イタチが実践したのはその地方の方だ。
ちなみに何を願ったのかと言うと…『三代目火影様の考えが改めますように!』『ナルトに関して里の奴らも同じく!!』『リア充はくたばれ!』『金が欲しい!』と言った内容だ。
赤い眼の正体は写輪眼であり、写輪眼を使っていたのは周りを見やすくしていたのだ。
またイタチが笑ったのは藁人形に五寸釘を打ち終えてスッキリしたからであり、失神した人たちを見つけたからではない。
「…なんにしても証拠隠滅だな。」
イタチは即行動に移し、藁人形を燃やした後失神した上層部全員を家に送り、証拠を隠滅した。
その翌日丑の刻に起きた上層部の人々はげっそりとしており、三代目火影はそれを見て心配し、会議を減らすことに決め、ある意味イタチの願いが叶った。そして時は流れた。
☆☆☆☆
髪を伸ばし終えるまで俺は休暇を取るどころか家に帰らずに長期任務を取ってサスケに会えない毎日…辛かった…
なんでそんなことをしていたのかと言うとサスケに『こんな髪は兄さんじゃない!偽物めーっ!!』とか『シスイさん…兄さんはいませんよ?』とか言われそうで凹むからだ。
だが今日でそれも終わりだ…!
「あーっ!?兄さん、久しぶり!!」
「サスケ…ただいま。」
やっぱりサスケが一番に迎えてくれたか…
「すまなかったな…休暇が中々取れなくて。」
「兄さんが無事ならそれでいいよ。」
「それじゃ行こうか…」
「うん!」
今日の休暇の過ごし方は主にサスケの修行を見ることともうひとつある。
「兄さん!やっと出来たよ!」
そう言って俺のところに駆け寄るサスケ…マジで可愛いわ…はっ!いかんいかん…危うくホモ&ブラコンに目覚めてしまうところだった…
*貴方は既にブラコンに目覚めています。
「よくやったぞ…サスケ。それじゃ次の修行だ。」
俺はサスケの頭を撫でて出来たことを褒める。
「うん…だけど兄さん…」
サスケは顔を赤くしながら何か言いたげだったので撫でるのを一旦やめた。
「なんだ?」
「頭撫でるのはちょっとやめてくれよ…俺はもう子供じゃないんだし…」
なぬぅ!?サスケがグレた!?なんとしてでも改善させないと…
「何を言っている。俺もお前もまだまだ子供だ。」
俺はそう言ってサスケを説得する…頼むぅぅ!グレないでくれ!この為に俺は努力して来たんだ!
「…そうなの?」
「そうだ。俺もまだまだ未熟だ…お前かフブキが中忍になるまでにフブキに勝てたら子供扱いはやめてやる。」
「わかった。」
サスケは俺の言ったことに渋々認めた。
するとここへフブキが現れた。
「フブキ?どうした?」
俺がそう言っても返事はせずフブキはフラフラと歩いて俺の前で止まると…
「勝負だ!イタチィ!!今度こそは絶対に勝ってやるからな!」
フブキはそう宣言し、俺に襲いかかってきた。
「お前も懲りない奴だ…」
「うるせえ!この日の為に毎日木の葉の里を逆立ちで一日25周して来たんだ!覚悟しやがれ!!」
マジでやったのかよ…フブキ。しかも毎日って…シスイでも出来ないぞそれ。
「待った!」
そこへサスケが割り込み、フブキを止めた。
「サスケ…なんのようだ。」
「兄さんと戦いたければ俺と戦え。」
あああっ!サスケ…兄さんは嬉しいぞ!!最高の気分だ…だけど止めてやんないとサスケがヤバい…フブキは中忍クラスのスピード、パワーを持っている…比べてサスケはそれ以上のものを持ってもいないし回避する術もない…故に止めるしかない。
「やめろサスケ…今のお前では勝てん…」
「でも!」
「でもじゃない。俺の言うことが聞けない奴は後でお仕置きだ…」
主にサスケの女装とか。軽い罰ゲームには良いんだよな…今のサスケは女顔だし。暗部の女たちにその写真を見せたらショタコンが増えたのは余談だ。
「う…わかった。」
「さて…邪魔もいなくなったし…行くぞ!イタチィィ!」
フブキがそう言って俺の顔に拳を入れようとするが…当然俺はガードする。
「甘い!」
更に俺はフブキに蹴りを入れて吹っ飛ばす。
「舐めんな!」
しかしフブキもそれを予想していたのか受け身をとり、そのまま俺に突っ込んできた。
「だから…何がしたい?」
俺は突っ込んできたフブキにカウンターを合わせた。
「がっ…!」
流石のフブキもそれには耐えられずに崩れ落ちた。
「次から俺に挑む時は俺以外の上忍を三人同時に相手に戦って勝ってからにしろ…」
俺は余りにもフブキが経験慣れしていないのを見て、ついそう言ってしまった…
「…覚えてろ…」
フブキはそのまま気絶してしまいシスイの家に届ける…これが俺の休暇の午前中の過ごし方だ。え?フブキやサスケがなんでいるかって?決まっているだろ…俺がアカデミーの休日に合わせて休暇を取っているんだよ。
午後は影分身にサスケの指導を任せて…本体の俺はと言うと…報告をする。
「隊長…報告します。」
俺が報告するのはうちは宗家当主かつ、木の葉警務部隊隊長のうちはフガク…つまり俺の父親だ。
「ん?なんだ言ってみろ。」
「私、うちはイタチは五代目火影に就任します。」
「…なんだと?」
「ですから火影に就任することになりました。」
「本当か!?イタチ!!」
そう言って隊長は肩を掴んでくる…
「とは言っても数え年で成人した時ですが…」
「そうか…流石だなお前は。」
「イタチ…サスケの方はどうなんだ?」
「そうですね…サスケは優秀ですよ。サスケは成績表とか見せないんですか?」
「自来也様もアカデミーでは落ちこぼれだったと言う事実がある以上アカデミーの成績表なんぞ当てにならん…」
まあ…ナルトが大きくなってエロに走ったのが自来也様だしな…
「とは言っても今のアカデミーはレベルが高いですよ?サスケの2つ上の世代はシスイの弟、フブキを筆頭にした世代…その1つ下は日向始まって以来の天才、日向ネジを筆頭にした世代…そしてサスケの世代は秋道、油女、犬塚、日向、奈良、山中…と木の葉の古参の家柄の子供達がいます。十分に成績表を見るだけでも参照になるのでは?」
「宗家の子供達が優秀とは限らん…」
ま、確かにな…この時はシノ以外の古参の家柄の子供達は問題児ばかりだしな…例えば山中いのは短気…日向ヒナタは臆病…秋道チョウジ、犬塚キバ、奈良シカマルの3人はサボリ魔…まあ他にも色々と問題点はあるけど強いて上げるならその辺だな…
「確かに…ですが大化けしますよ。あの子供達は。」
「かもしれん…そう言えばサスケは何をしているんだ?」
「チャクラコントロールの修行ですね。これから…教えるんでしょう?豪火球の術。」
「ああ…お前がいない間にな。たまには俺もサスケを見てやらないとサスケが成長しないしな…」
原作のサスケは万華鏡写輪眼無しだと、ただの中二病キャラになって痛々しいからそれだけは阻止しようと人に頼らせようとしていたんだけど…まあそう言うならしょうがないか?
「ええ…俺ももうそろそろやるべきことを見つけなきゃいけなくなりましたし。」
兄としての壁を超えて欲しいので俺は来年からはサスケの修行には手を出さないように決めている。
「そうか…なら俺は止めん。お前のやりたいことをやってこい!」
「…わかりました。」
そんなこんなで今日一日が終わった…
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12話
俺が任務を受けるために任務受付所へ向かう際に黒い何かがあった…俺はもちろんそれを無視して立ち去ろうとしたが…何かから手が生え、俺の足を掴んだ。
「…イタチ、落ち込んでいる親友を無視していくのか?事情くらいは聞けよ。」
そう…その何かとはシスイだ。何故黒い何かと表現したのかと言うとシスイが影ができるほど落ち込み、暗くなっていたからだ。
「廊下で落ち込んだり、俺の嫌いな食べ物…ステーキを送ってささやかな復讐を望んだ人は親友ではありません。では…失礼します。」
俺はそう言ってシスイの手を振り払う。
「ちょっと待て!俺もお前も互いにサスケとフブキの師匠の仲だろ?!話しくらいは聞いてくれよ!?」
「断る!俺は常に強い者の味方だ!貴方のようにいじけている弱者に同情する気はない!」
某嵐を呼ぶ幼稚園児の作った某豚のセリフを使って俺はシスイに喝を入れた。
「頼むよ~!」
あ、シスイの目の下にクマがあるな…シスイがこのまま歩いたら子供が泣いてビビるな。しょうがない…聞いて見るか…
「はぁ…わかりました。それでなんで落ち込んでいるんですか?」
「よく聞いてぐはっ!」
シスイの言葉にイラっとしたので思わず殴ってしまった。
「お前な…」
シスイが涙目になっているが無視だ。
「無駄なことは嫌いです。早くしてください。」
「わかった!わかったから!その腕を下ろしてくれ!」
おっと…思わず手が上がっていたようだ。気をつけないとな。俺ってSに目覚めつつある?
「ふう…それじゃ俺が落ち込んでいた理由を話すぞ。」
「俺が落ち込んでいたのはセンスに三日前にフラれたからだ」
「フラれた?」
「そうだ…それ以来俺は自信がなくなって食欲も睡眠欲も性欲もなくなって困っている…これを見ろ!」
シスイがそう言って腹を出すとシスイの腹はガリガリになっており、骨がむき出しの状態だった。…確かに何も食べずにいたら、いずれはそうなるだろうがたった三日でそうなるのか?
「それで?俺にどうしろと?」
「え?」
「俺は医者でもなければ貴方の恋人でもありません…俺にそれを言ったって何も変わりませんよ。」
「…だから俺を励ましてくれよ!親友のお前だけが頼りなんだ!!」
「…と言われても何をどう具体的にすれば良いのかさっぱりわかりません。」
「例えばセンスに化けて励ますとか!」
「それは虚しくないですか?中身が俺なので無駄でしょう?」
「無駄ではないぞ!外見はセンスが励ますんだからな!!」
シスイって…こんな性格だったけか?もうキャラが崩壊しすぎて訳が分からない…
「じゃあ…幻術をかけて慰めますので少々お待ちください。」
「いやいや…俺は生のセンスを味わいたいんだよ!」
どうあっても俺をセンスに化けさせるつもりか…
「うるさい!幻術・桃源郷!」
俺はそう言ってシスイに幻術をかけた…が。
「ああ…センス…可愛い!可愛すぎる!なんで俺をフったんだ!」
…めちゃくちゃうるさい。
「センス!好きだ!だから結婚してくれ!」
「うわっ!」
シスイは何故か束縛系の幻術の最中なのに関わらず俺に抱きつき、キスを迫った…
ってまずいだろ!このままBLの展開になったら…大蛇丸とかその他諸々の腐った奴らが集まってくるぞ!
「へっくしょい!」
「どうしたんです?そんな男らしいくしゃみをして…」
「きっと誰かが私の噂をしているに違いないわ…」
止むを得ん…口と手にガムテープでも貼って綱手様にでも出すか。
「これでもくらっとけ!」
俺はガムテープをシスイの口に貼り、その後手足を縛っておいた。
「んんん~っ!」
俺はその不快極まりないBGMを聞きながら綱手様の元へと運んだ。
「ん?イタチじゃないか?どうした?そんな奴を背中に乗せて?」
「これをみてください…」
そう言ってシスイのガムテープを剥がし、綱手様に見せる。
「センス~!」
そう言ってシスイが綱手様に抱きつこうとしたが綱手様は一撃KOでシスイを動けなくした。
「ほう…これは幻遊病だな。」
「幻遊病?」
「まあ…簡単に言えばこの病気は幻術をかけられても無意識に身体が動く病気で、寝ていても現実のように動いてしまう病気だ。」
「はあ…それで治るんですか?」
「こいつを治すには入院する必要がある…こいつはどうやら自覚があったらしいしな。まだマシな方だ。幻術を解いてやれ。」
「わかりました…解!」
「はっ!俺は…?!」
その後綱手様が病気のことについてシスイに説明し、シスイは入院することになった。その幻遊病を調べておくか。
「イタチ…フブキを頼む。親父はもう歳でフブキを育てられない。」
「…わかった。フブキはうちは宗家が預かる。」
その会話でフブキの動向が決まった。
☆☆☆☆
「親父…なんで俺がうちは宗家に行かなくちゃ行けないんだ?」
「決まっているだろう…シスイが入院してお前の面倒を見る人がいない。」
んなことはわかっている!兄貴がなんかの病気にかかって入院して俺の世話を見る相手がいないと思っているんだろ!だけどな…!
「俺は一人でもやれる!」
「フブキ…お前はまだ子供だ。火事にでもなったらどうする?」
またかよ…なんでどいつもこいつも俺を子供扱いするんだ?
「不満そうなのは無理ないか…」
「ったりめえだ!」
だいたいそんなことをしたらイタチを超えるために密かに修行しているのがバレるだろうが!!分かれよ!
「イタチ君が嫌いなのはわかるが他にあてがないんだ。」
なんで親父も勘違いしているんだ!?イタチもそうだったけど俺はイタチを恨んでいるように思っているが、実際はイタチを目標としているが恨んではいない…ただそれだけのことだ!
親父はため息を吐き…懐から手紙を出した。
「シスイからの手紙だ…読んでおけ。」
兄貴からの手紙…?書いたのは3日前…兄貴が入院した時だな。
「『お前はこのままこの家にいてもイタチに勝てない。その原因は環境だ。父さんには悪いけどこの家は環境が良いとは言えない…母さんはお前を産んですぐに死んでしまい、父さんは残業…そんな孤独の環境でお前がこれ以上育つとは思えない。ここは我慢してイタチのところで過ごしてくれ。byシスイ』…」
なんだよ…相変わらず決めつけやがって…俺はなんで涙なんか流してやがる?悔し涙か?分からない…俺は懐に手紙をしまった。
☆☆☆☆
「フブキ…これでわかったな?」
そう言ってシスイとフブキの父、カガミがそう言ってフブキに問う。
「今回は兄貴の言葉に従うまでさ…じゃあ…俺は宗家に居候しに行くから。」
フブキは納得した顔で宗家に居候することになった。
「ああ、行ってこい。」
フブキはカガミと別れ、そのまま終わるはずだった。
『追伸.この手紙は開いてから5分たったら燃えるから気をつけろ。』
恐らく証拠隠滅の為だろうがシスイはこんな仕掛けを用意し、フブキの火だるまが完成した。
「あぢぃー!!水、水!」
「水遁・水龍弾の術!」
そこへイタチが通りかがり、水遁の術で火を消し、フブキがびしょ濡れになったのは余談である。
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13話
シスイが入院してから数年が過ぎた…その間、俺は任務を増やし、フブキとサスケの二人きりにする機会を増やした。何故ならフブキとサスケは俺とシスイのような関係になって欲しいからだ。結果大成功だった…サスケは俺の代わりにフブキを兄のように慕い、フブキはサスケを弟のように可愛がって世話をしている。
しかし…フブキの髪型が一年経つに連れて変わっていくのが気に食わない。フブキの今の髪型はフランスパンみたいなリーゼントだ。昔は細長いカレーパン程度だったのに…どうしてこうなった…?
「イタチ。」
火影様が現実逃避していた俺を呼び戻す。…そうだった。俺は重要な話しがあるって聞いて飛んで来たんだ。
「なんでしょうか?」
「お前を担当上忍に任命する。」
「…何故でしょうか?」
『何を言っているんだ?この爺さん…とうとう呆けたか?この野郎。』
と内心罵倒しまくった。俺は後三年で火影になるんだぞ?それまでの間に教え子を全員中忍にしろってことか!?しかも出来なければゲームオーバー…なんて無理ゲーだ…
「今年のアカデミーの卒業生にシスイの弟フブキがいる。」
その話しを持ち込んだってことはフブキが俺の担当する班員になるってことか…面倒な…
「写輪眼の指導ならカカシ上忍でも問題はないのでは?」
「いや…そうではなくフブキは余りにも強すぎるんじゃよ。」
「強すぎる…?どういうことです?」
「ガイの話しによるとフブキはアスマ、カカシ、ガイの三人同時に相手に勝ったと聞く…」
マジでやりやがった…確かに俺に挑むなら上忍三人相手に勝てと言ったけど本当に勝つとは思わなかった…しかも原作メンバー…
「しかし火影様が言った五代目火影に就任の件については…?」
これだよ…俺が一番心配しているのは。火影に就任すると言う口実を作って担当上忍にならないようにする。
なんでかって?フブキは俺に指導してもらうよりも他の人と実戦でやった方がより強くなる…俺が指導してもフブキの邪魔になるだけだしな…
「あ~それがじゃな。上層部が『今まで担当上忍になっていない火影はいない』と抜かしおって勝手にイタチの動向を決めたんじゃ…それに火影になっても担当上忍は出来るようになっておる。」
なるほど…確かにそうだな。初代と二代目は三代目の担当上忍、三代目は自来也様、綱手様、大蛇丸の担当上忍、四代目はカカシとオビトの担当上忍…皆担当上忍をやっているな。原作の五代目は綱手でそのジンクスはなくなって、六代目はカカシで七代目のナルトや俺の弟サスケの担当上忍…俺というイレギュラーだけでこんなに原作を崩壊するとは思わなかったよ。
「…わかりました。」
「では班員を言うぞ。」
☆第四班
○担当上忍兼班長
・うちはイタチ
○副班長
・うちはフブキ
○班員
・凱旋タキオ
・木道アキホ
「それが私の班ですか…」
タキオの方は聞いたことないな…アキホの方はちょっとチラチラ名前が出ていたけど何の噂までかわからなかった…
「そうじゃ…ただフブキ以外の二人はフブキが余りにも優秀過ぎるためにかなりの問題児になってしまった…」
「問題児?」
やっぱりか…フブキは一応やることはやるし、成績も優秀だってシスイも言ってたしな。
「凱旋タキオは今までの授業出席日数12日…歴代史上最低の出席日率を更新しておる。」
なんだそりゃぁっ!?テストとかどうしているんだ!?
「なんでそんな問題児を…アカデミーに置いているんですか?」
「やめさせようにもそれ以上の成績を出しているんじゃ。忍術ではフブキと互角…素質のみならお前やフブキをしのぐかもしれん…」
なんて問題児だ…忍びとして育てるよりも人として育てる必要があるな…
「木道アキホの方は?私もチラチラとその名前を聞いたことがありますが詳しいことは知りませんので教えてください…」
「アキホはとんでもない不良娘でな…いじめっ子のリーダーで窓を割ったり、アカデミー教師を殴って数多くのアカデミー教師を辞めさせたり…アカデミー始まって以来の超問題児じゃ…しかもカネとコネもある故にアカデミー教師も報復を恐れているから退学にも出来ん…それ故アキホの噂は少ししか流れん。」
こいつもかよ…もうこの時点でこの班終わってやがる…
「まあ…皆素質自体はあるし、性格さえ治せば優秀な忍びとなろう…」
「いきなりそんな問題児を担当するなんて…マジですか?」
なんでそんな面倒なメンバーをやらなくちゃ行けないんだ…
「ワシの時もお前程ではなかったがそんな気分だったし、それに班員達が活躍すると案外嬉しいものだぞ?」
「そう言うものですか…」
「とにかく、お前が担当上忍をやらないと上層部は納得がいかない…頼んだぞ。」
憂鬱だ…
☆☆☆☆
ふ~やれやれ…担当上忍か…チームワークのなっていない奴を徹底的に落とさないとその班は駄目な班になるし、メンツってものもあるし…大変なんだよな…ホント。
「カカシ上忍も担当上忍になったんですか?」
後ろから声をかけられて振り向くとそこにはイタチがいた…
「イタチ…お前も担当上忍になったのか?」
「ええ…カカシ上忍の班とは違って問題児ばかりで大変ですよ…」
「あー…そう言えばフブキもいるんだって?」
フブキは俺、ガイ、アスマと同時に戦わすために俺らの大事な物(俺はイチャパラシリーズ)を盗んで挑戦状を叩きつけたのは新しい記憶だ…
「あいつがいるとチームワークなしで俺を倒しそうで嫌なんですよ…」
「ハハハ…確かにな。俺も実際にしてやられちゃったし…」
いくら俺たちが油断していたとは言え…まさかフブキが俺たちに勝つとは思わなかった…
「カカシ上忍も油断せずに試験がんばってくださいよ?」
確かに油断する訳にはいかないよな…油断して鈴取られたら話しにならない…
「ああ…じゃあな…」
イタチが立ち去り、俺はまた本を読み始め…ゆっくりして行った…その後数時間遅れたのは言うまでもない。
☆☆☆☆
「さてと…それじゃ自己紹介して貰おうか…」
俺は四班の全員にそう言って自己紹介をすることにした。
「イタチ…まずはあんたがやれよ。」
「それもそうだな…フブキは知っているとは思うが、俺の名前はうちはイタチ。好きな物はキャベツと昆布オニギリだ。嫌いな物は…無駄とかそういったマイナスな言葉だ。将来の夢…長く幸せに生きることだ。」
「イタチの嫌いな食べ物…ステーキだろ?」
俺はフブキの言葉を無視した。
「それじゃフブキお前からだ。」
そう言って俺はフブキを指名し、自己紹介させる…
「と言っても俺のこと全員知っているんだろ?やる意味ないぞ?」
「いいからやれ。」
「ったく…俺はうちはフブキ…好きな物も嫌いな物も教える気はない。将来の夢はイタチ…お前を倒すことだ。」
「物騒な発言だな…次、そこの女の子。」
「俺は木道アキホ…好きなことは誰かを弄ること…嫌いなことは誰かに弄られること。将来の夢は拷問・尋問部隊に所属すること。」
自分の性格がわかっているのか…アキホは…
「拷問・尋問部隊ともなれば自分が拷問や尋問されたりすることもあるから克服しろ…それじゃラスト。」
「あ~…俺?俺の名前は凱旋タキオ。好きなことは睡眠、嫌いなことは面倒なことに巻き込まれること。将来の夢は…あ~考えるの面倒だ。パス!」
「お前の場合将来の夢金持ちになってだらけるとかじゃないのか?」
「それで構いませ~ん!つーか家帰って寝たいんでとっとと説明してください。」
タキオ…意外だな。普通の駄目人間は『もう用はないので帰っていいですか?』とか言うからな…ちゃんと考えることは考えるか…
「明日、下忍昇格試験をやる。これを見ろ。」
俺はそう言って全員に集合場所と集合時間が書かれてある紙を渡した。
「また試験か…」
「うわ~…やりたくね~!」
「ここからめちゃくちゃ遠いな…ダル~…」
一人だけ違うことを言っているがわかるだろ…?
「もし、一人でも遅れて来たり休んだりしたら全員即失格とする。」
「「タキオ!絶対遅刻するなよ!」」
「面倒なことになったぜ…」
「それと朝飯は抜いておけ…吐くぞ。それじゃ解散だ。帰っていいぞ!」
そう言って俺は第四班の最初のミーティングを終わらし、色々と準備を始めた。
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14話
「ん~…眠い…」
「「起きろバカ!」」
「おやすみ…」
なんでこんなバカを起こさなきゃなんないんだ!?
「おい!起きやがれ!」
アキホ…言葉遣い直せよ…まあ俺もアキホと言いたいことは同じだし何も言わないけど。
「zzz…」
幸せそうな顔しやがって…!こうなったら…
「しょうがない…アキホ…俺にいい案がある。」
「何だ?変な案だったらぶっ殺すからな。」
「こいつに幻術をかけて起こす。」
普通、幻術は起きている間でないと出来ないんだが写輪眼を使えば目を合わせるだけでも十分。そもそも幻術というのは視覚が対象にした技が多い…実際に兄貴は目を合わせるだけで幻術をかけられるしな。
ただ…当然ながらこの手は俺だからこそ出来る技なんだよな…アキホは写輪眼を持っていないから出来ない…
「お?いい案だな。やってくれ。」
アキホは当然ながら賛成した。
それじゃ…タキオの目を開かせて…と目を合わせる。
「写輪眼!」
その瞬間、タキオは幻術にかかりうなされる。
「う~ん…!助けてくれー!アキホに犯さ「起きろ!」うげっ…!」
おいおい…アキホ、もうちょっと軽く起こせよ…
「ここは…?なんか変な夢見たからすげー目覚め悪いんだけど…」
「キリキリ歩け!ゴミムシが!」
はぁ…憂鬱だ…
☆☆☆☆
「揃ったな。」
タキオもなんだかんだでいるな…よし!
「イタチ…こんなところで何をするんだ?」
「お前達には巻物を探してもらう…」
俺は試験の説明に入った。
「巻物?」
「そうだ…中身は『合』と書かれた巻物と『格』と書かれた巻物が一つずつある。その中身を探してこい…そして俺に届けた奴を合格とする。また制限時間は十時間だ。」
つまり、十時間以内に巻物探して俺に提出しろってことだ。
「ちょっと待て。それだと二人しか合格出来ないじゃないか?残りの一人はどうなる?」
フブキ…甘いな本当に…とは言えこの試験の目的を理解出来ないのは無理ないか?
「通常であればアカデミーに強制送還だ。留年組として次の試験に備えることになるな。」
不合格になった奴らはアカデミーに強制送還させて留年組として次の試験に挑ませるんだが…一部の子供は諦めてアカデミーを辞めるんだよな…
「じゃあ、俺落ちます~…眠いんで…」
タキオがそんなふざけたことを言ったので俺は少しキレた。
「タキオ…俺は『通常であれば』と言ったはずだぞ?お前のようにアカデミーの問題児はどうなるか…わかっているのか?」
「あ~面倒なことは嫌いですし…やりますか。」
タキオはさっきの言葉をなかった事にしてやる気を少し出した。
「それでいい…次に三つだけ注意点を言っておく。一つ目はここら辺には俺が集めた忍鳥達がいる。そいつらは中忍クラスの実力を持っているから気をつけろ。」
隠れて行動しないと体力を使う…隠れても精神的に疲れる…そういう罠だ。
「二つ目はダミーの巻物がある。ダミーを俺のところに持って来ても合格にはならない。」
これは親切な助言だ。そうでも言わないと中忍試験並の試験になってしまうからな…
「三つ目…俺はここにいるとは限らない。」
これは…あれだ。俺も人間だから腹も減るから昼飯の時とか、おやつに甘味を食べたいからいなくなる…そういうのが一番の理由だけど…何よりもその手で合格させる気はない…
「あ~マジすか…」
「それじゃ…はじめ!」
さてと…甘い物でも食べにいくか…
☆☆☆☆
フブキは上忍三人を相手にして勝った為、当然ながら自分の体力に自信がある。その為…
「おらおらおら~っ!」
忍鳥も何のその!爆進してただひたすら突き進んでいた。
「へっ…!忍鳥と言っても大した事ねえな。この勝負貰った…!」
フブキがそう思うのも無理はなかった…何しろ、自分の障害となりうる忍鳥はめちゃくちゃ弱く(フブキ主観)巻物も見つかるのも時間の問題だからだ。
「おっと…!ブービートラップか…そんな物に引っかかるかよ。」
フブキはブービートラップを見つけそれを避けた…それが間違いだった。
「カァーッ!」
フブキを観察していたカラスがいきなり大声を上げた。
「なんだ?」
フブキがそう言うとオウムがやって来た…そうフブキがブービートラップを避けたことによってやって来たのだ。
「オマエ、オレノエジキ。シネ!」
オウムがそう言うとフブキをつつき始めた。
「てめえ!」
「ハハ、オコッタオコッタ!」
オウムはフブキを挑発して怒らせた。
「うるせえ!」
気が短いフブキは当然ながら怒り、オウムを捕まえた。
「てめえは俺を怒らせた…焼き鳥にして食ってやるから安心して俺の昼飯になりな。」
フブキはそう言うとヨダレを垂らし、オウムを握りしめた。
「ヘルプ!ヘルプ!」
オウムはそう言って命乞いをした。
「挑発しておいて命乞いをするか?この野郎…!」
フブキはそう言ってオウムの首をさらにしめた…
「突撃ーっ!!」
突然そんな声が上がり、フブキに大量の忍鳥達が襲いかかってきた。
「何だ!?」
「あのリーゼントをやれ!」
巨大な鷹がそう言って忍鳥達がフブキのリーゼントをつつき、リーゼントを解体し始める。
「やめろ、お前ら!このリーゼントは天然で出来た物なんだぞ!?」
フブキはそう怒鳴り、多少抵抗したが多勢に無勢…倒しても倒してもすぐに増え続けてしまう。故に無駄に終わり、リーゼントが壊れたハリボテのようにむちゃくちゃになったのは言うまでもない。
それを見ていたアキホは…コソコソと隠れて過ごして忍鳥達の目を欺いていた。
「あの忍鳥がフブキの相手をしている間に探さないと…俺はこの班の中じゃ弱いしな…」
アキホの言う通り…アキホは中忍であるアカデミー教師こそ倒しているがほとんど不意打ちに近いもので真正面から戦うとなると分が悪い。故にあの忍鳥達を相手にするとなると無謀に近いものだった。
「かと言って…このままコソコソしていたら…時間が足りない。」
アキホの推測通り、巻物だけでなくイタチも探さないといけないのでこのままでは時間が足りない。巻物は放置されているので動くことはないだろうがイタチは動くので見つけるのが難しい。
「となれば…今しかねえ!」
アキホは忍鳥達の隙をついて、全速力で走り、巻物を探した。
「いたぞ!捕まえろ!」
先ほどと同じ鷹がアキホを見つけ、忍鳥達を使ってアキホを攻撃する。何故鷹がアキホを発見出来たのかと言うと、鷹の目の視力は6.0以上ある。その為、アキホを見つけるのは簡単だった。
「んのやろー…!」
アキホはフブキみたいなリーゼントではない為、反撃も多少は出来た。
「ええい、何を躊躇っている!俺がやる!」
そう言って鷹が直々にアキホの相手をし…アキホをボロボロにして帰って行った。
「…これで完璧だ。」
タキオは完全に目が覚め、巻物二つを回収していた。
「さて…中身は…?」
そう言ってタキオが巻物を開くと『合』の字と『格』が見られ、試験の巻物だと確定した。
「よし…やはり間違いではなかったか…」
タキオはイタチが二つ目と三つ目の注意点を言った時点で気がついていた。イタチが二つとも巻物を持っていたことに…確かに普通の人間なら忍鳥のいる方に目が行く…しかしタキオは違った。
タキオは歴代最低の出席日数の持ち主である。それなのに何故アカデミーを追放されなかったかと言うと…タキオは洞察力、観察力、頭の回転が非常によい。それこそ並の上忍を上回る程に…
「(だがこれだけじゃねえはずだ。おそらく、俺が巻物を持っていると知ったら二人は俺を攻撃して巻物を奪い取るはず…)」
タキオは考えながら人里のほうに歩いてイタチを探す…
「(このまま俺が巻物を出してもう一人が巻物を出しても、最後の一人が不合格になる…だがそれはおかしい。三人一組班はバランスを考えた上で組み合わせが出来た…他の班ならともかく俺らの班はアカデミーでも希代の問題児が二人…しかもアカデミー主席合格者が一人…誰かが欠けてもバランスは大きくズレる。もしこのうちの一人を不合格にして留年組から導入するとなれば…バランスがかなり変わってしまう。)」
タキオは恐らく下忍とは思えないほどの思考で必死に答えを導こうとする。
「わかった…!」
そしてタキオは答えがわかり、イタチを探した。
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15話
俺は病院に来ていた…その理由は…
「イタチ、元気か?」
そう…うちはシスイの面会だ。
「シスイさん…」
シスイの顔は前見た時よりもガリガリになっており、やつれていた。
「な~にそんな暗い顔しているんだ!もしかして俺の事心配しているのか?」
何でこの人は…こう明るいんだろう…?原作のシスイの性格と変わりすぎじゃないか?
「心配していなければここに来ませんよ…」
「俺の病気は幻術にかからなければ何の問題もないらしいし、体調の方もしっかりと整えているから大丈夫だ。」
あのな…シスイ。そう言うセリフはやつれていない状態で言えよ。
「そうですか…」
俺はそれを指摘せずに返事をしておいた。
「お前のおかげで病気に気づいたんだ。ありがとよ…イタチ。」
「礼には及びません。」
「ところで…フブキの担当上忍…お前なんだってな?フブキは大丈夫なのか?」
フブキから聞いたのか…兄弟だし当たり前か?
「ええ…フブキは問題ありません。」
数年前のフブキなんか屁でもない位の問題児のおかげで、今ではフブキの悪いところを見つけようにも見つけられない。
「そうか…そう言えばフブキ以外の班員はどんな奴なんだ?」
この質問絶対くると思っていたんだよな…
「サボり魔と暴力女。二人とも問題児で頭痛いです…」
サボり魔はタキオ、暴力女はアキホ…この二人のせいで今頃試験がカオスになっているはずだ…ただでさえ低い合格率があの二人のせいで下がると言っても過言でもないしな。
「ははは…俺病院に入院して置いてよかった。」
冗談にしても本気にしても…シスイ…それは言っちゃいかんぞ。
「いつかストレスが原因で入院しかねませんよ…俺。」
「俺は担当上忍やったことがないけど…担当上忍は大変だ。お前なんかはしばらくSランク任務やAランク任務の仕事をしていたから、尚更な…」
「わかりました…」
その後いろいろと30分ほど雑談をして時は過ぎて行った。
「そろそろ俺は行きます…身体にお気をつけて。」
「ありがとよ…見舞いに来て。」
「では失礼します。」
俺はここを後にした。なぜならもうひとつ行くべき部屋がある。
「…」
その部屋にいるのは不機嫌な青年…オビトだ。
「オビト…少しは冷静になったか?」
「ふん…余計な事を…」
「まだ現実から逃げる気か?」
「現実から逃げようとも…誰にも迷惑はかけん…」
全く…どうしようもないな…
「言っておくが俺は常に強い者の味方だ…お前のような現実逃避するような弱虫の敵だ。」
「勝手にしろ…俺はリンのいない世界なんかに興味はない。月読計画がイタチ…お前に妨害され失敗した以上…何もすることはない。」
まるでダメなオビト…略してマダオだなこりゃ…
「なら…何故お前が生きていると思う?」
「リンの代わりに生きている…とでも言いたいのか?…ふざけるな!俺はリンが全てだった!!そのためにカカシにリンを任せるべく写輪眼を渡した!!!なのにあいつは…!」
よく言うぜ。カカシにめっちゃこだわっていた癖に…そのせいで俺は捕まえることが出来たんだからな。などと心の奥に秘め、冷静に返した、
「…全くもってその通りだ。うちは一族の全員がお前と同じ立場だったらうちは一族のほとんどがお前の意見に賛同していただろう…」
「何…?」
「むしろお前はよく我慢した方だ…そもそもうちは一族の写輪眼の開眼条件は負の感情による物…万華鏡も同じく負の感情によって開眼する…そこまではお前も知っているはずだ。」
「…」
「だがその開眼条件故に…写輪眼に使われることが多い…」
「使われる…だと?」
「ああ、写輪眼は酒と同じだ。お前は酒飲んでいる酔っ払いだ…」
「俺が酔っ払い?笑わせるな。俺は俺の意思でやったんだ。」
「…なら、リンさんが死んで以来楽しいことはあったか?」
「ないな。さっきも言ったはずだ…リンのいない世界に興味はない。」
「俺もシスイもうちは一族の穏健派の写輪眼を開眼した人々は皆楽しいことを見つけた…」
よくよく観察してみると過激派の人達って性癖とかヤバイんだよな…例えばサドだったりマゾだったり…ヤンデレとか(この三つはまだマシ)、アブノーマルにもほどがあるだろと思わず突っ込んでしまうような性癖まであった…
「お前も楽しい事を見つけろ…それがお前の一番やるべき事だ…」
俺の楽しいことはサスケの面倒と修行だな…最近サスケが反抗期になって『うるせえ!うざいんだよ、クソ兄貴!!』なんて言われた時はショックで枕元に涙が流れたのは懐かしい思い出だ…
「俺はリンのいない世界に興味はない…だが興味をそそるものがあればそれはやっておく。」
「それじゃ俺はもう行く…」
俺は担当上忍の仕事をするべく病院から出て行った。
☆☆☆☆
「イタチ、元気か?」
俺がそう声を掛けるとイタチは心配そうな顔で俺を見ていた。
「シスイさん…」
全く…心配すんのはあれだけにしとけって言ったろ?
「な~にそんな暗い顔しているんだ!もしかして俺の事心配しているのか?」
「心配していなければここに来ませんよ…」
ま、それもそうだ…だけど…
「俺の病気は幻術にかからなければ何の問題もないらしいし、体調の方もしっかりと整えているから大丈夫だ。」
幻術使いの致命的な病気…『幻遊病』は一瞬でも幻術にかかると身体が勝手に動くから幻術返しが出来なくなる病気…最初にその病気になりそれを発見したお方…剣間様の名前から別名『剣間病』とも言われている。
剣間様は父である初代火影様や叔父の二代目火影様が得意とした土遁や水遁は使わず、幻術と感知で戦ってきた幻術と感知のスペシャリスト…その名前は幻術使いなら誰でも知っている。
「そうですか…」
「お前のおかげで病気に気づいたんだ。ありがとよ…イタチ。」
「礼には及びません。」
「ところで…フブキの担当上忍…お前なんだってな?フブキは大丈夫なのか?」
フブキから聞いてみたんだがイタチが担当上忍とは驚いた…イタチはまだ若いからな…
「ええ…フブキは問題ありません。」
「そうか…そう言えばフブキ以外の班員はどんな奴なんだ?」
「サボり魔と暴力女。二人とも問題児で頭痛いです…」
サボり魔と暴力女って…どんな奴なんだ!?
「ははは…俺病院に入院して置いてよかった。」
イタチがなった以上俺も担当上忍になりかねないからな…その時は入院生活の始まりだな…
「いつかストレスが原因で入院しかねませんよ…俺。」
イタチがこんなに頭を抱えるなんて本当にどんな奴なんだよ…
「俺は担当上忍やったことがないけど…担当上忍は大変だ。お前なんかはしばらくSランク任務やAランク任務の仕事をしていたから、尚更な…」
「わかりました…」
イタチと雑談してしばらくすると…
「そろそろ俺は行きます…身体にお気をつけて。」
イタチが椅子から立ち上がり、椅子を片付けた。
「ありがとよ…見舞いに来て。」
「では失礼します。」
そう言ってイタチが立ち去った…
☆☆☆☆
「…」
俺が考え事をしているとイタチが入ってきた…
「オビト…少しは冷静になったか?」
イタチ…お前は何を考えている?
「ふん…余計な事を…」
「まだ現実から逃げる気か?」
「現実から逃げようとも…誰にも迷惑はかけん…」
確かに俺は現実逃避をしている…だけどそれがどうした?イタチ…俺の苦しみが分かるはずがない…
「言っておくが俺は常に強い者の味方だ…お前のような現実逃避するような弱虫の敵だ。」
「勝手にしろ…俺はリンのいない世界なんかに興味はない。月読計画がイタチ…お前に妨害され失敗した以上…何もすることはない。」
「なら…何故お前が生きていると思う?」
「リンの代わりに生きている…とでも言いたいのか?…ふざけるな!俺はリンが全てだった!!そのためにカカシにリンを任せるべく写輪眼を渡した!!!なのにあいつは…!」
俺はカカシや木の葉なんぞどうでもいい…俺にとってリンが全てだ!俺の身体を犠牲にしてまでリンを託したのにそれが出来ないと言うのは余りにも残酷すぎる…
「…全くもってその通りだ。うちは一族の全員がお前と同じ立場だったらうちは一族のほとんどがお前の意見に賛同していただろう…」
…?どういうことだ?
「何…?」
「むしろお前はよく我慢した方だ…そもそもうちは一族の写輪眼の開眼条件は負の感情による物…万華鏡も同じく負の感情によって開眼する…そこまではお前も知っているはずだ。」
「…」
確かにマダラから写輪眼の開眼条件はそんなものだと聞いたな…
「だがその開眼条件故に…写輪眼に使われることが多い…」
「使われる…だと?」
「ああ、写輪眼は酒と同じだ。お前は酒飲んでいる酔っ払いだ…」
写輪眼が酒?
「俺が酔っ払い?笑わせるな。俺は俺の意思でやったんだ。」
俺は俺だ…写輪眼に操られているはずがない。
「…なら、リンさんが死んで以来楽しいことはあったか?」
「ないな。さっきも言ったはずだ…リンのいない世界に興味はない。」
「俺もシスイもうちは一族の穏健派の写輪眼を開眼した人々は皆楽しいことを見つけた…」
「お前も楽しい事を見つけろ…それがお前の一番やるべき事だ…」
「俺はリンのいない世界に興味はない…だが興味をそそるものがあればそれはやっておく。」
もう俺の楽しみは決まった…イタチ…お前の活躍を見ることだ。
「それじゃ俺はもう行く…」
イタチ…せいぜい頑張りな。
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16話
俺が病院から出ると辺りは夕方…になるはずもなく正午辺りだった。当然俺のやることは…決まっている…
「一楽でも行くか…」
昼飯にラーメンを食うことだ。
「らっしゃい!何にしますか?」
何にしようか…ん?良い物があった。
「キャベツ豚骨味噌ラーメン大盛りで。」
まさかキャベツがあるとは思わなかったな…
「キャベツ豚骨味噌ラーメンですね!了解!」
ラーメンが出来るまでの間待っていると…原作の主人公であるナルトがやって来た。
「おっちゃん!俺豚骨ラーメン大盛りで頼むってばよ!」
豚骨ラーメンとは…意外とシンプルだな。
「おう!豚骨ラーメン大盛りだな!ナルトちょっと待ってろ!この兄ちゃんのラーメン作っているからよ!」
ナルト…この時からお前ラーメン屋の主人のテウチと知り合いだったのか?
「おう!」
ナルトは返事をすると俺の方に向いた。
「ところで兄ちゃんは何を頼んだんだってばよ?よかったら教えてくんない?」
人懐こい笑みで俺に尋ねた…俺のカウンセリングが効いているのか?
「俺か?」
「そうそう…兄ちゃんの頼んだラーメンが気になってしょうがないんだってばよ。」
「それは…来れば分かる。」
「え~!?ケチ…」
「へい、キャベツ豚骨味噌ラーメンお待ち!」
そう言って店主テウチが出したのはキャベツを大量に乗せたラーメンだった。
「兄ちゃん…よくそんなにキャベツ食べられるな…」
ナルト…キャベツって美味いんだぞ?だからそんなに引くなよ。
「人の好みをどうこう言う物ではない…では頂きます。」
やっぱ一楽のラーメンは美味いな…
「それよりもナルト…お前試験に合格したのか?」
テウチがナルトにそんなことを聞いてきた。
「落第だってばよ…」
落第か…まあ原作通りなのか?
「なんでだ?」
「それが…今回の試験難しくて…」
いやいや…色々と俺が教えたはずだぞ?
「どんな試験だったんだ?」
「縄抜けの術…」
縄抜けの術って原作スタートの一年前じゃなかったのか?
「ふ~ん…ところで兄ちゃんは忍びだったよな?」
「まあな…」
「どうだい?よかったらナルトの世話をしてやらないか?」
「いえ…俺は担当上忍ですのでこの子の世話を見るとなると…中々厳しいものです。」
実際は、ナルトのことを見ているからその必要はないんだよな。
「そうか…兄ちゃん人が良さそうだし断らないと思ったんだけどな…」
「まあ、世の中そんなものです。ご馳走様でした。会計は?」
「100両だ。」
日本円にすると1000円分か…あれだけの量の割りには結構安いな。
「では…預かりました。またのお越しを。」
そうして歩いていると…少し殺気を感じた。少しでも殺気を感じたら俺は攻撃に備えておく…これは常識。
ブォン!
そんな物騒極まりない音がしたが俺は避けた。
「やっと見つけたぜ…」
そう言って現れたのは俺が担当している下忍達だった。
「アキホ…何の真似だ?」
俺はそう言って構えを解いた。
「当然…てめえのような下忍に嘘をつく上忍をぶっ叩きに来たんだ!」
「お前達は下忍じゃなく下忍候補だ。勘違いするな…」
「うるせえ!お前のような嘘つきは俺にぶん殴られろ!」
何と言うか…結構ガキ大将っぽいな。アキホは。
「断る。それに仮とはいえ上官に逆らったらお前は不合格だぞ?」
「良いから殴らせろよ!」
やれやれ…面倒だな。試験を始めるか。
「…お前達全員失格だ。アカデミーに帰れ。」
俺は冷たい声でそう告げた。
☆☆☆☆
「はあ!?なんでだ!?」
アキホ…お前わかっていないのかよ?
「うわー失格だー(棒)」
俺はあえて棒読みで言ってやった…その方が楽だしな。今、イタチ上忍に巻物出したら空気読めない奴だと思われるし。
「まだ時間内だろ!?」
フブキ…そのふざけた髪型の割にまともなのは何故だ?
そんなことを考えているとさっきの忍鳥達がやってきた…すると…
「アキホ!お前はフブキを見捨てて巻物を取りにいく…班員を見捨てるとは何事だ!」
忍鳥達が俺たちに説教を始めた。ああ…面倒だなこれ。
「う…あれしか方法がなかったから…」
まあそうだよな…アキホの強さは所詮そんなものだ。ベストよりもベター…それがアキホだ。
「フブキ!お前は単独行動で突っ込む!自分の力を過信しすぎだ!そしてその変な髪型やめろ!」
思わずフブキの髪型に追求されたことについて吹きそうになったのは余談だ。
「うるせえ!俺はイタチを超えるのにてめえごときに負けてたまるかよ!それに髪型は関係ねえだろ!!」
おいおい…お前もイタチ上忍の弟…サスケも同じようなこと言っていたぞ?確か『俺は兄さんとフブキを超えるんだ!』だったけか?
「そしてタキオ!お前はフブキやアキホの手伝いもせずただ自分のことを考えている大馬鹿だ!」
「で?何か?」
「何だその態度は!?俺を舐めているのか!かかれーっ!!」
って…おいおい…!
「なんて糞面倒な事をしてくれるんだ…!!」
俺がそう愚痴る理由はあいつらが襲って来たからだ…俺が目を瞑ると忍鳥達は俺を襲ってこなかった…
「…?」
目を恐る恐る開けるとその理由がはっきりとわかった…フブキやアキホが忍鳥達を殴り飛ばしていたからだ。
「お前ら!何をやっている!?」
俺がそう大声を出すと二人は笑ってこう言ってきた…
「うるせーよ。サボリ魔がギャーギャー喚くんじゃねえ…!」
「全く…俺はこういうのは得意じゃないが…どうせやるなら思い切りやらないと気が済まない。そう言うことだ。覚悟しやがれ!糞忍鳥共!」
「お前ら…」
俺は不覚にも感動してしまった…これでフブキやアキホ達に迷惑をかけることは出来なくなった…
「イタチ上忍…頼みがある!」
俺は思い切ってあることをイタチ上忍に懇願してみる…
「ん?」
「この二人を合格にさせてやってくれ!全ては俺がこの二人を見捨たせいでこうなったんだ!巻物は取ってある!俺の不合格と引き換えにこれで二人を…合格にしてやってくれ!」
俺は土下座をしてイタチ上忍に必死にフブキとアキホを合格させるように言った…
「断る…」
「お願いだ!俺の責任でフブキとアキホが下忍になれないなら自殺したっていい!頼む!」
「何を馬鹿な事を言っている…俺が断ったのは二人を合格させることじゃない。お前の不合格と引き換えに合格させることだ。」
「え…?」
俺はイタチ上忍が言ったことにそんな間抜けな言葉を出してしまった。
「前言撤回しよう…お前達は合格だ!今回の試験はチームワークを見るものだ。チームワークがない班は真っ先に潰れる…」
そう言うことか…俺の懇願がイタチに評価されたって訳か。
「だがチームワークを発揮した班は一人の上忍をも凌ぐ班となり得る。お前達にはその上忍を凌ぐ班となって貰いたかったから俺はあえて巻物の場所を誤解させるような言い方で言っておいた…だが結果正解に最も近い答えを出したのはお前だった…タキオ。」
「そうかよ…もう解説はいいから早く解散してくれ…」
俺は答えがわかったように思えたけど実際はもっと違うものだったんだな…
「これで最後だ…俺が言いたいのはお前達は最後の最後でチームワークを発揮したと言うことだ…明日は任務受付所で任務の受け方を説明する…遅れずに来い!では…解散!」
やっと昼寝出来るぜ…おやすみ…
「おい!タキオ!?」
「しっかりしろ!!」
あー…?俺を二人が呼んでいるような感じけどもう意識が…zzz
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17話
「第四班、合格です。」
うちはイタチは三代目火影に報告していた。
「あの班が合格したのか?」
三代目火影がそう言ってイタチに経緯を聞く…
「ええ…フブキは戦闘における能力ならば上忍を凌ぎ、タキオは私から巻物を盗み、アキホは不合格覚悟でタキオを庇うために真っ先に動きました。これならばもう十分に班として動けます…」
イタチは三人の特徴を言ってチームとしてやって行けることを説明した…
「わかった。では翌日から第四班の任務与える。ご苦労じゃった。」
三代目火影はイタチを帰らせ、再び仕事へと入った。
その頃シスイは…
「あっはっはっは!」
大爆笑していた…その理由は一人の少年にあった。
「…」
少年がシスイに笑われたことで不機嫌になる。
「ククク…」
シスイは必死に笑い声を落とそうとするがその少年の髪型をみてしまい…
「ぶはっ!ダメだ!はっはっはっ!」
シスイは思い切り吹いてしまった。
「おい…兄貴。そんなに俺の髪型おかしいか?」
少年の正体はフブキであり、自慢のリーゼントが壊れたハリボテのようにボロボロのままでシスイに下忍になったことを報告していたのだ。当然シスイはボロボロになったフブキの姿を見て大爆笑と言う訳だ。
「すまんすまん…何しろお前のリーゼントがそんなにボロボロになった のを見たことがなかったからな。」
シスイは大して詫びれもせずフブキにそういった。
「そうかよ…ならこの機会に髪型を新しく変えるか…」
フブキは思い切り開き直ったのか髪型を変えることにした…
「本当か!?」
シスイはそれに驚く…何しろフブキのリーゼントのこだわりはサスケのトマトよりも凄い。
「まあ期待してな。俺の自慢の髪型を変えるんだからな…」
フブキはそういいシスイを一人残らせ帰った…
~イタチ・サスケ宅~
「イタチ…担当上忍になったそうだな。おめでとう。」
イタチとサスケの父、フガクがそう言ってイタチを祝う。
「ありがとうございます。」
イタチは珍しく笑って礼を言う。内心では…
「(やべえーよ!父さんめっちゃデレた!すげー!)」
などと思っていたがイタチの身体スペックのせいかどんなに喜んでも少し笑う程度しか出来ない。
「お前の笑顔を久しぶりに見たな…イタチ。」
その為フガクがイタチの笑顔を見ることなどほとんどない。笑っているイタチを見てフガクが上機嫌になった。
「そうですか?」
逆にイタチはかなり笑ったり喜んだりしている。だがそれはサスケの前でしか見せないので無理もないが。
「それはそうと…お前の班はどんな下忍が集まったんだ?」
「皆個性的で才能はありますよ。」
「そうか…お前らしいな。夕飯にするぞ、サスケを呼んでこい。」
「わかりました。」
イタチがサスケを呼びに立ち去るとフガクは夕焼けを見て…
「流石、俺の息子…などと言ってはイタチに失礼だ。流石、うちはイタチだ。」
イタチがサスケを連れて戻り、シスイの弟フブキも連れて行き、夕食を取っていた。
「フブキ…シスイさんの様子はどうだった?」
イタチがフブキにシスイの話題を持ち込みコミュニケーションを取ろうとする。
「兄貴か?まあ相変わらずだ。」
フブキはイタチの質問にあっさりと答え、話題を終わらせようとする。
「そうか…だがシスイさんは気丈に振る舞っているだけだ。」
イタチはフブキとコミュニケーションを取ろうと必死に話題を繋げる。
「そうなのか?」
「あの人の病気は幻遊病と呼ばれる病気だ。別名剣間病。それを調べてみたことろ初代火影様の息子であり綱手様の伯父にあたる千手剣間がその病気にかかり、未知の病気だと発見したことから由来している。」
「わかっんねえよ…それだけじゃ。早い話兄貴は治るのか?」
「治るといえば治る。ただ…」
「ただ?」
「千手剣間様は治すことには成功したが忍びとしては致命的なチャクラコントロールが出来ないという弱点を背負うことになり…引退に追い込まれた。」
何故イタチがそんなことを知っているのかと言うとイタチは学歴もかなり優秀でアカデミーに通って一年で卒業した身である。その為歴史も覚えるのは必須だった為に知っているのだ。
「じゃあ兄貴は二度と戦えない身体なのか?」
「間違いなくそうなるな…」
イタチはそう告げて夕食の半分を食べ終えた。
「…全くふざけやがって。」
フブキはイタチの話を聞いて不貞腐れていた。
「何がだ?」
イタチは不思議に思い、フブキに不貞腐れている理由を聞く。
「ようは兄貴は役立たずになるって言いてんだろ?」
フブキが不貞腐れている理由は単純なものでシスイが弱くなってしまい、戦えなくなると思ったからだ。
「確かに今よりか役立たずになるな。」
「今よりか?どういう意味だ?」
イタチの言った言葉にフブキは食らいつき、不貞腐れるのをやめた。
「確かにシスイは弱くなる…だがな忍びというのは道具の使用次第でどんな敵も倒せるんだ。」
「つまり兄貴が道具を使えばイタチよりも強くなる可能性もあるってことか?」
「その可能性は否定出来ない。」
イタチはシスイが今よりも強くなる可能性を肯定した。
「それじゃご馳走様。」
イタチが夕食を食べ終わると他の男三人は『食べ終わるの早すぎだ…』なとと思っていた。
この男三人の沈黙の中、口を開けたのはフガクだった。
「サスケ。」
「何?父さん?」
「明日の朝、湖の前に来い。」
「え?」
「大方、お前はチャクラコントロールは教わっても、うちはの火遁をイタチに教わっていないのだろう?」
「う…」
事実その通りだった。イタチは基本が大切ということでチャクラコントロールのみに徹底したのだ。
「イタチは自ら火遁の術を作り上げたから言わずとも豪火球の術が出来る。だがその形状はうちは一族のものとは違う。責任感の強いイタチはそれ故にお前に教えなかった…」
「…そうだったんだ。」
「イタチの道は我々が通るべき道ではない。」
「どうして?」
「イタチは忍びであることを徹底出来るからだ。」
「我々とて人間だ。感情を出したりもするし、戦争の歴史もある。戦争を止めるにはトップを止める必要がある…それが出来るのはイタチだけだ。」
「兄貴は…シスイはどうなんだ?」
「シスイも止められる人間だ。だが親バカではないがイタチ程の影響力はシスイは持っていない。」
「…そうか。」
「ご馳走様だ。」
フガクが立ち上がり、ご飯を片付け始めた。
「…フブキ。」
「どうした?」
「俺、兄さんを超えられるかな?」
「戦闘だろうと何だろうと超える壁を乗り越えなきゃいけねんだよ。イタチはその乗り越えなきゃなんねえ壁がどんなのか知らねえが乗り越えたからあそこまで強いんだろ。」
「そうだな。」
「この話しはおしまいだ!ごっそうさん!」
フブキ、サスケもようやく食事を終えて片付けを始めた。
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18話
それから2年が経ち、俺は三人を呼び出した。
「フブキ、タキオ、アキホ、お前達三人を中忍試験受験の推薦をする。」
俺は呼び出して早々にそう告げた…一昨年はルーキーが出ると敵を多く回すことになるから推薦しなかったが去年は違う。去年は推薦し、三人は受験したがタキオが寝坊してそのまま三人共々試験を受けることなく脱落。そのあとの気まずさは半端ではなかったため、1日に平均6回という量を342日間、一ヶ月に一回有休と5日間×2の長期休みという無茶苦茶ハードなスケジュールでやらせてようやく気まずい思いがなくなった。もっとも1日4回を6回に変えただけだったから親からの苦情はなかったな。三人はそれが常識だと思っているし、親達も子供が問題児だからという理由で苦情を入れることはなかった…
「試験中は任務を受けなくていいんすか?」
「そうだ…だがタキオ、お前はもう試験会場である301号教室前で待機していろ。」
「なっ…!?」
「寝坊しないで来れるというなら別だが…お前は去年の事もある。」
「はあ…ういっす…」
タキオは項垂れて返事をし、どんよりと影を落とした。自業自得だ。
「アキホ、お前は試験官に暴力を振るうなよ?お前の事だ…やりかねん。」
「何年前の話だ!」
こいつのドSは少しなりを潜めたがそれでもドSだ。前に任務で理由は全く持ってわからないが拷問の任務が回ってきたのでアキホに一任したところ拷問部隊のイビキさんから物凄い感謝された。そのおかげかアキホはこの試験を落としたとしても中忍と下忍の間の職…特別中忍となる。
「フブキ、お前には言うことはない。強いて言うならば班長としてこいつらの面倒をみろ。」
フブキは何故か禁術であるはずの影分身を覚えているし、上忍3人を1人で倒してしまうとか本当は転生者なんじゃないかと思ってしまうくらい謎が多い奴だが任務では有能であることは間違いない。もしかして転生しなかったイタチの代わりなのかもしれないな。
「わかったよ。」
「それじゃ解散!」
俺は甘味堂で団子を食べることにした。
…中忍試験の前に波の国編はどうしたって?去年のとある出来事によってそんなイベントは起きていない。再不斬も白も抜け忍として生きている。原作じゃ2人とも殺されていたんだが波の国を牛耳ってた海運会社がその前に潰れちゃ意味ないよな…
去年…その会社の社長ガトーはあろうことか綱手に借金の返済を求めた。俺は止めたんだぞ?原作の事もあるしガトーがここで死んだらサスケ達の成長にも繋がらないし…そんな俺の努力もむなしく綱手は正当防衛として逃げるガトーやその部下達を含め血が出ない程度にボコボコにし借金を踏み倒した。その後拷問部隊に引き渡され任務で来ていたアキホが拷問してガトーは永遠に金儲けを企む事はなくなったし、今もムショの中だ。
そのおかげで原作前に橋が完成してその名前は綱手橋と呼ばれるようになったのもエピソードの一つであり、綱手は波の国じゃ英雄だ。
まあ簡単に言うなら馬鹿が勝てもしない相手に挑んで自滅したってことだ。しかし後々他人任せをするのは批判されかねないのでサスケが成長しなかった分は俺が負担することになり、たっぷりとしごいてやった。
「おい、イタチ。」
などと考えて団子を待っているとフブキにやられた3人組の1人、猿飛アスマが立っていた。
「なんでしょうか?」
「お前大丈夫か?ウチの班は問題児だがお前の所はその比じゃないからな。」
「ああ…まあ今回は大丈夫でしょう。不安なのがタキオです。」
「タキオ…例の遅刻の子だな。」
「問題はタキオだけなんですよ。後の2人に関しては中忍試験をパスする分には問題はないでしょう。」
「上忍試験は…?」
「アキホの場合ですと上忍試験はキツイでしょうね…彼女は上忍よりも特別上忍に向いていますから。」
こと拷問・尋問にかけては拷問部隊からスカウトが来ているくらいだしな。
「確かに…後1人は?」
「フブキですか?彼は問題ないでしょう。心の何処かに慢心がなければの話ですが…」
「俺達も油断してフブキにやられたんだ。その事をフブキがどう解釈するかで決まるな。」
「「…」」
俺とアスマは気まずい空気になり俺は耐えきれずにその場を立ち、財布を確認した…がなかった。そういえば最近現金からカードに変えたんだっけか?
「では「誰だ!?」…」
『では猿飛上忍。後はよろしくお願いします。』という俺の台詞を遮り、アスマは甘味堂の屋根の上を見たので俺はそちらに振り向くと俺の座っていた場所がクナイで刺されていた…やっぱり担当上忍をやっているせいか殺気に鈍感になっている…いやそれ以上に驚いたのは殺気を放っていないにもかかわらずクナイの刺さった場所が変だと言うことだ。
「流石にそう簡単には殺せんか。」
…なんで角都がここに来ているんだ?しかもこんな物騒な奴を通す門番も門番だ…何処ぞの紅い屋敷の門番の様にサボっているのか?しかも相棒の飛段はいないのか…?これも俺が引き起こしたイレギュラーって奴か?
「誰だと聞いている!」
アスマは怒鳴り声を上げ、気色悪い角都に話しかけた。
「俺の名前は角都。うちはイタチ…その首頂きに来た。」
全く面倒ごとを起こしてくれるな…本当に。てかオビトがいなくても機能するのか?暁は…いやするんだろうな。オビトはサソリの代わりのトビとして入っていたがそれ以前はどうかなんてのは知らないし、知っていたとしても無駄だろうな。ある程度は動けるようには仕向けているのか…とりあえずやることはこの角都と戦うことだ。
☆☆☆☆
結果は散々だった…俺は忍び界で最高懸賞金額の首…うちはイタチを狙い、木の葉隠れに来ていた。イタチがどういう奴なのかははっきりとわかっている…当然だな。懸賞金が高いとなると知名度も高くなる。だが知名度と強さは別物だ。中には懸賞金がほとんどないにもかかわらず手こずる相手もいる。もちろんそういった割に合わない奴を倒す仕事は引き受けない。逆に言えば割に合えば別だ。うちはイタチは確実に強いだろう…初代火影を除けばおそらく俺が戦ってきた奴の中では最強だ。それでも戦うべき理由はある…イタチの懸賞金は1億両(10億円相当)だ…
そんなに高いのが理由として、まず純粋に戦闘力が高いこと。次にうちは一族でも歴代に数人しか開眼しなかった万華鏡写輪眼の持ち主であること。そして史上初のうちは一族での火影候補というだけあって里人の人気が高い。言ってみればうちはイタチは里の象徴だ。
イタチを潰せば少なくとも木の葉隠れの里に動揺が走るのはよくわかる…それだけイタチの影響力は絶大だ。
しかし俺はイタチの隙をついて狙ったつもりが逆に誘われ、失敗に終わった。戦闘もしたがあっという間にやられてしまい、チャクラもほぼゼロだ。俺は必死で逃げた。イタチの班には拷問のアキホがいるからな…あいつの手によればどんなに頑固でも口を開いてしまうと言われるくらいだ…
「そうですか…角都さん、あなたらしくもありませんね。」
こいつの名前は干柿鬼鮫。こいつの顔は鮫のような顔で身体を改造した俺と同類かと思ったが、生まれつきらしくその事に触れるのはタブーとなっている。一応俺と同じ暁の仲間だ。
「放っておけ…俺はイタチとは2度とやらん。」
「おや?金に執着するあなたらしくない…それほどまでに強いのですか?イタチというのは?」
「強さそのものが厄介なのではない…あいつの勘の鋭さが厄介だ。当たったと思っても避けられる…戦闘においてこれほど嫌なものはない。」
「ならば次は私がやりましょう。」
「勝手にしろ。」
俺たちのやりとりはここまでにして俺は相棒探しを続けた。
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19話
「…」
俺は影を落とし、深く落ち込んでいた。その理由は角都を逃がしてしまったことだ。三代目火影様からは被害がなかっただけでも儲け物だと言っていたけど俺としては捕まえたかった。その理由は角都を捕まえてアキホに渡しておけば暁の情報も少しは手に入るからな。何もかもが原作通りとは限らないし、ある程度のことは情報は流しておいた方が自然だ。
「イタチ、俺よりも落ち込み方が酷くないか?」
するとシスイが話しかけてきた。
「シスイさん…病院はどうしました?」
現在俺のいる場所は火影岩のところで病人がいて良い場所ではない。
「ん?抜け出してきた。」
あっさりと答えたシスイは呑気そうに空を見上げた。
「抜け出してきたって…そんなことをしたら狙われますよ?」
「大丈夫だって!お前の様子を聞きに来ただけだ。すぐ戻るよ。」
「シスイさん、死亡フラグ立てないでください。」
「死亡フラグもクソも…こんだけ死亡フラグ立てときゃ、もう生存フラグも立つだろ?」
むちゃくちゃな理屈で押し通すあたりフブキに似ているんだよな…
「そういう問題じゃなくてですね…」
「俺が死ぬのを想像出来るか?」
出来るわ!ここまで露骨に死亡フラグを立てた奴は初めて見たぞ!
「な?思いつかないだろ?」
…もういい。シスイ・フブキ兄弟はこういう奴らなんだ。
「ま、俺のリハビリにも付き合ってくれよ。」
「はあ…シスイさん。10分だけですよ。」
「わかってるって。」
こいつは本当にわかっているのか?幻術かけられたら終わりなのに…
「それじゃルールは幻術なしの訓練式の戦闘…でいいよな?」
幻術かけられたら即終わりだしな。それにあれだ…身体を動かすのに幻術は必要ない。
「文句はありませんよ。ただ貴方のリハビリですから無茶はしないでくださいよ。」
リハビリで無茶をすると忍びとして死ぬことになりかねない…そうなったら俺はシスイを殺したことになる。それだけは避けたい。
「わかってるって!行くぞイタチ…!」
シスイは笑顔の後すぐに忍びの顔になり、俺に攻撃を仕掛けてきた。
「火遁・豪火球の術!」
俺はすぐに火遁を放ち、シスイを攻撃する。
「甘い!甘いぞイタチ!」
シスイはそれを見極め、最低限の動きで避け俺に迫る。
「チッ…面倒だ。」
こういった敵はあまり得意ではないが仕方ない。俺は印を結び、指をシスイの方に差すとそこからビームが出た。
「うわっ!?なんだその術!?」
この手からビームは目からビームを応用したもので印を結ばなきゃ出来ないのが欠点だ。その代わりチャクラの消費量は印を結ぶ分少なくなっている。
「終わりです、シスイさん。」
俺はシスイを気絶させ、病院まで運んだ。
~病院~
「全く…この人は。」
俺は呆れながらシスイを病室まで運んでベッドに下ろすとフブキがそこにいた。
「フブキ…」
「よう…イタチ。すまねえな、兄貴が暴走しちまってよ。」
「お前の時に比べればなんでもない。だから気にするな。」
「そうか。まあとにかく兄貴につきあってくれてありがとうな。」
妙だな。俺は幻術にでもかかっているのか?解!…かかっていないか。
「どういたしまして。それよりも中忍試験…頑張れよ。」
「ああ。俺は一発で合格してやるよ。」
今回の中忍試験で中忍になったのって原作じゃシカマルだけだし、なんとかして中忍になって貰いたいよな。
「一発で中忍になったら回らない寿司屋で食べ放題だ。」
任務をこなして金は有り余っているし、このくらいは出来る。
「そうか。それじゃ金欠にならないように注意してくれよ?」
フブキはそう言って窓からジャンプして家に戻った。
「俺も戻るか。」
俺も家に戻り、帰ることにした。
☆☆☆☆
~イタチ宅~
「そう言えば二人とも明日から中忍試験だったな。」
フガクがフブキとサスケを見てそう言った。
「そうだ。」
フブキが答えるとフガクは目を閉じ、過去を思い出していた。その過去は仲間が死ぬ姿…あまり思い出したくない思い出だがどうしても思い出さざるを得なかった。二人とも顔こそ違えどその仲間に似ていた。フガクがその二人のこととフブキとサスケを重ね合わせるのは無理なかった。
「戦時中ならばお前達はとっくに中忍になっていただろう…だが今は戦時中じゃない。その分中忍になるのも厳しくなっているが…お前達ならやれる。生きて中忍になって帰ってこい!」
フガクがそう言うとイタチは内心拍手を送り、感動していた。
「こんなところでつまづくようじゃ兄貴は超えられねえよ!」
シスイを基準としているあたりフブキらしいがフガクの思いは届いたようだ。
「もちろんだよ!父さん!」
サスケは素直にそう答え、満足気に答えた。
「それじゃ中忍試験がどう言うものなのか先輩として教えよう。」
イタチはそう言うと二人とも注目した。
「中忍試験はあくまで中忍になる試験だ。それをよく意識して受けてみろ。そうすればおのずと合格できる。」
「アドバイスになってねえじゃねえか…火影様が言いそうなセリフだぜ?」
イタチはその火影様の候補なのだがあえてイタチは言わない。
「他にアドバイスはないぞ。あったとしてもこれ以上の身内贔屓は出来ないしな。」
「まあそんなもんがあってもなくても同じだ。明日からやってやるよ。」
こうして中忍試験前最後の日を過ごした。
次回から中忍試験編です!
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中忍試験編
中忍試験一次~三次予選ダイジェスト
☆☆☆☆
俺はアンコを担いで医務室に来ていた。
「全く…脳震盪を起こしているよ、この馬鹿は…」
綱手は呆れた声を出してアンコを見る…そういえばアンコって綱手からしてみれば姪弟子見たいなものだしな。
「起きるのにどのくらいかかりますかね?」
「う~ん…打ち所が打ち所だからな。半日は少なくともかかるだろうね。」
「どうします?彼女試験官なんですよね…三代目様に試験を延期させますか?」
原作知識に関係なく、アンコが試験官だというのは担当上忍に既に聞かされているので全く問題ない。
「そうだな。今回新規登録してきた音の里も大蛇丸が関わっていると聞く」
音の里と聞くと音の5人衆がギニュー特戦隊のポーズをしている姿を思い浮かんでしまったのは仕方ないよな?危うく吹きそうになったが堪えて真面目な話しを聞く。
「…イタチ、この馬鹿の代わり出来ないかい?」
「俺、担当上忍ですよ?第二試験がサバイバルとはいえまずくありませんか?」
担当上忍が試験官をすることは基本的にない…色々と問題になるからな。例えば試験の点数を甘くしたりとか事前に答えを教えたりとかで試験をパスする奴がいるからな。
「大丈夫だ。お前達の班はそんなに弱くないだろ?」
フブキ…上忍3人を相手に勝ったうちはシスイの弟だが脳筋。
タキオ…一応シカマルを超える天才だがナルト以上のトラブルメーカー。
アキホ…メンタルキラーの異名で自里からも他里からも恐れられているドS。
…確かに弱くはないが不安しか残らねえ!監視するという意味では良いかもしれない…
「それにお前の弟が大蛇丸に目をつけられたらどうする?」
あっ…!? そうだった!! ここでサスケが呪印つけられるんだ!そうとなれば決まりだ!!
「イタチ、お主を第二次試験官に任命するからマジで離してくれんかのう……」
気が付いたら三代目火影様を脅していた。怖いな…ヤンデレになりかけているし精神科にでも通ってみるか?
「ありがとうございます」
とはいえこれほどありがたいことはないので三代目火影様を離した。
「それと数々の無礼申し訳ありませんでした」
俺は三代目火影様に謝った。
「まあお主がそんな行動をするのは無理あるまい…何しろ大蛇丸じゃからな」
大蛇丸の名前が出ただけでシリアスになり、俺もシリアスな雰囲気を醸し出した。
「戦闘力もそうですが、戦闘力よりも生命力が脅威ですからね。蛇の癖にゴキブリよりもしぶといですから」
「うむ…かつては天才と呼ばれたあやつが何故こんなことになったのかと思うとワシは頭が痛いわい……」
「私の所のタキオもああなるんでしょうか?」
「可能性は否定出来ん故に正しい道を歩ませてやれ。良いな。」
「はい。では失礼します」
俺の難儀な日常がまた始まるな。
数日後。俺は当然の如く問題を起こしたあの三人に説教していた。
「全く…お前達は良い意味でも悪い意味でも予想の斜め上をいく奴らだ。」
「褒めるなよ。」
俺は青筋を立てながら皮肉をいったが3人は口を揃えて照れる。
「試験官の仕事もあるからあそこに入る文字はタキオから聞け」
俺はそう言って元の場所に戻ろうとするがこんなことを言われしまった。
「職務怠慢!」
「黙れ。こっちは事後処理が多すぎて大変だということがわからないのか?」
「大変ですね」
アキホが他人事のようにつぶやいた…キレても問題ないよな?
「他人事じゃない。8割はお前達の行動が原因だ!」
演習場をあんなに破壊しやがって……後始末大変なんだぞ?
「それじゃ俺達のケツ拭き頑張ってくださいね。下忍をこき使ったイタチ上忍」
こき使ったことがバレた?それであんなに狂っていたのか…だがそれはそれ、これはこれだ。
「あとで覚えていろ…中忍にならなかったら休みなしで働かせるからな!」
俺はめちゃくちゃ大人気ないセリフを吐き、その場から消えた。
「くそ、あの班の教育どこで間違えたんだ?」
俺は日頃の行いを反省しながら事後処理をやる。といっても執務室で書類を書くだけだが量が半端ないので影分身を使ってやっている。
「イタチ上忍大変です!」
「どうした?」
「変死体が、試験会場の外にありました!」
今更遅えよ。もうこっちは大蛇丸と遭遇しているんだ。
「安心しろ。その件についてはもう火影様に報告してある」
ただし影分身だがな。俺本人が行く必要はないだろ?
「本当ですか? では私はこれにて」
「待て。せっかく来たんだ。俺の仕事も手伝え」
中忍が逃げようとしたので俺は肩を掴んで引き止めた。
「いやいや私は」
「写輪眼!」
有無を言わさず俺は写輪眼で幻術をかけて言いなりにした。
「イタチ上忍ニ従イマス。」
よし、部下が出来た。これで一安心出来るぜ…
おっと? 火影様の報告が終わったみたいだな。厳重警戒にする方針だな。その気になれば見つけられるだろうが大蛇丸のことだ、何をしでかすかわからないから先手でも打っておくか。
「これでよし」
俺はその書類を書き終えると鴉を使ってとある人物に渡すように命令した。大蛇丸の慌てる姿が目に浮かぶ…木の葉にわざわざ出張したのが仇になったな大蛇丸!
「イタチ上忍!」
ハイになっていたところでまた中忍が入り込んできた。
「今度はなんだ?」
「イタチ上忍に会いたいという方が……失礼」
「誰だ?」
「それがそのトビという仮面を被った男なんですが」
あいつが? 珍しいな。
「入らせろ。敵だとしてもお前達が敵う相手ではない」
「はっ!」
そして数分後。
「イタチ随分と忙しそうじゃないか」
「当たり前だ。それよりもなんのようだ?」
「まあ待て……俺は少し前にリン、俺の班員の夢を見たんだ。」
「それがどうした?」
「リンは俺に私のことを思い出すのは勝手だけどお嫁さんを見つけて幸せに生きて欲しいって言ってきた……わかるか? この言葉の意味が」
俺はカウンセラーじゃないんだぞ、全く。まあいいか。
「お前が望む世界はリンさんと幸せに暮らすことか?」
「そうだ」
「そもそも幸せってなんだ?答えてみろ」
「知らん」
「俺はな、戦争で亡くなった仲間を讃え、そういった悲しみや苦しみを乗り越えて生き残った仲間と一緒にバカやったり、平和な日常を過ごすことを指すと思う。だから慰霊碑があるんじゃないのか?」
「……そういうものか。俺はこれで失礼しよう。」
やけにあっさり引いたな。オビトのことだからうるさくなると思ったんだがな。
数日後、砂隠れの里に観光旅行に来ていた木の葉の忍びが風影暗殺を阻止したとの朗報が入るとは予測出来なかった。
「さて……試験はどんな状況になっているんだ?」
俺はテレビをつけてどんな奴らが残っているか確かめる…影分身を元に戻さないのはサスケをフォローする為だし、ホイホイとそんなに使えるものではない…ってナルト達がもう塔の前まできている!?
「おいおい、ナルト達もう巻物を手に入れたのか?」
おかしい。ナルト達は滑り込みで入るはずだったがサスケを鍛え過ぎたのが原因か? ちなみにサスケはチャクラコントロールを原作よりも早くから特訓しているせいか出来るようになって写輪眼を始めとしたチャクラを使う技に関しては強くなっている。体術はフブキが基準だからなんとも言えないがまあ少しは強くなっているとは思う。
いやサスケが原作よりも足手まといじゃないにしても音の三人衆にナルト班と同じ天の書を渡したから接触してもこんな短期間で地の書を奪うのは無理なはず。
「いや~それにしてもラッキーだってばよ!空から地の書が降ってくるなんてよ!」
空から地の書?
「本当ね、しかも重さといい、紙の質といい本物だし!」
他の班がダミーを仕掛けるにしてもよほどの複写技術がないと無理とはいえ、それが試験官側の用意したダミーだったらどうするんだ?
「まあ兄さんはダミーを渡しても失格とは言っていないからこの地の書がダミーだとしても失格になることはないだろうな」
なるほど、俺に見せればダミーかどうかはわかるし、何よりも塔の前で待ち伏せしていれば他の班をボコしてしまえばいいだけの話だな。
「一応調べてみるか」
俺は鳥達を使って記憶映像を見た。
★★★★
フブキ達がある一班と接触していたがフブキ達は滅多斬りにして巻物を回収していた。
「おっ!巻物発見!」
タキオがその巻物を拾うとそれはナルト達が持っていた地の書だった。そしてフブキ達の配られた巻物も地の書だった。
「チッ……地の書かよ」
タキオが寒いギャグを言うと周りは寒くなり二人は固まる。
「そ、それよりもこれどうする?」
その空気に耐えられなくなったタキオは慌ててその巻物について話し合わせようとする。
「こうする。運がいい奴にプレゼントだ」
フブキはバイクから降り、その地の書を手に持ち、槍投げの構えを取った。
「うおりゃぁぁぁ~っ!!」
キラン☆
そしてその地の書を天に届きそうな勢いで投げた。はっきり言ってむちゃくちゃである。体術最強の忍びマイト・ガイでもこんな真似はできない。
「これでよし」
「後で戦うことになり得る奴らが増えるがいいか。試合が多いとその分寝られるし」
「……」
フブキは満足気に、タキオはポジティブに、アキホは唖然として三者三様の反応を示した。
「よし! それじゃ行こうぜ!」
そして再びフブキ達は森林破壊を行った…アキホが憂さ晴らしにやっていたのは言うまでもない。
その頃ナルト達は安全を確保するために周りを警戒しながらもくつろいでいた。
ドズッ!!
「うわっ!?」
ナルトの目の前にフブキが投げた地の書が突き刺さった。
「一体なんだってばよ…これ」
「待てナルト、迂闊に触るな!」
至極真っ当なことを言っているこの少年、うちはサスケはナルトにその巻物を触らせないようにする。当然といえば当然である。
「写輪眼!」
赤くなった目の中に二つのおたまじゃくしが出来、写輪眼の状態となった。うちは一族にしか現れない写輪眼は動体視力が上昇し、チャクラを始めとした様々な動きを読み取る能力がある。その中で最もポピュラーなのは忍術や体術のコピーであるが写輪眼をうまく使えば一瞬で幻術を見破り、罠をも見抜く力を備わることも出来る。今回サスケが使っているのはそちらの方だった。
「ナルトとっていいぞ」
「おう!」
サスケの合図に従い、ナルトは地の書を持ち回収した。
「しかしなんでこんなものが降ってきたんだってば?」
「……兄さんの班だろうな」
フブキの班二人、つまりタキオとアキホはサスケと面識こそないがイタチを通してその情報は聞いている。
まずタキオは面倒くさがりな上にトラブルメーカーだが有能な少年。下忍になった当初は真っ先に寝るような奴だったが最近は寝るだけでなく悪ノリが目立ち、アキホやフブキが止めなければ自重しない程酷い。
次にアキホだがまだタキオに比べればマシだが一度スイッチが入ったら完全にドSとなる。例えば拷問の時は対象者が絶対に縄を解かないように関節を外した状態で亀甲縛りをし、顔を下にして馬で引きずり、時々蹴っ飛ばすといったことを平気でやるのだ。
…ちなみにその対象者とはナルトを利用した挙句殺そうとしたミズキである。彼はアキホの名前を出すだけでビビってしまうほど精神状態は危うくなり、一生外へ出ず牢獄の中で過ごしたのは余談だ。
「ああ〜なるほどね〜」
「サスケくんのお兄さんの班?」
ナルトは納得したがサクラは首を傾げた。
「あの赤いリーゼントいただろう?…あれをリーダーとした班だ」
「えっ!? あれが……!?」
「あいつらは非常識なんだ。関わらずに行こう」
サスケ達はその後カブトとも出会うことなく二次試験をクリアした。
☆☆☆☆
呪印も受けず音の忍びも遭遇せずに合格したか…原作と大きくズレたな。
「これでプラス方向に働ければいいんだがな」
原作と違うからと言って必ずしも俺が次期火影候補になり、うちは一族のクーデターを止めたようにプラス方向へと変わる訳じゃない。例えばタキオなんかが一番いい例だ。あいつほど迷惑をかける存在はないと言っていい。しかも有能だからなおさらタチが悪い。
「まあやることをこなせばいいだけの話だ」
とにかく俺は二次試験が終わるまで書類仕事を進めた…誰か変われよ!
★★★★
その後、三次予選が終わり本選に出場したのはイタチ班員3人、カカシ班2人、アスマ班1人、紅班1人、砂隠れ2人の9人だった。
「では本選の説明をする。本選は一ヶ月後に負け抜けのトーナメント形式で行われる」
三代目火影が本選の説明をしているとシカマルが口を開いた。
「ってことは中忍になれるのは1人だけっすか?」
「そんなことはない。本選で活躍すれば勝たずとも中忍になれる」
「ありがとうございます」
シカマル……いや他のものもそれを聞いて理解した。勝てば勝つほど活躍の場が多くなり中忍になれる確率も高くなるということを。
「他に質問はあるか?」
「三代目の爺ちゃん、なんで一ヶ月後に本選を行うんだってばよ?この場でもいいじゃん?」
「いい質問だ。この一ヶ月は言ってみれば準備期間じゃな。本選には大名などを始めとした上の者、そして我々木の葉隠れや砂隠れなどの里の人々が諸君らの活躍を見にくる。そのための準備期間が丁度一ヶ月という訳じゃ」
「ふ〜ん。それまで俺達はどうするんだってばよ?」
「別に拘束はせん。ただしこの本選は言ってみれば戦争みたいな物じゃ。木の葉が勝てば木の葉の権力が強くなり依頼も多くなる」
「えっ!?」
それを聞いたイタチ班全員がイタチに振り向くがイタチは咄嗟に写輪眼に切り替え目を合わせて幻術をかけて黙らせた。
「どうかしたのか? イタチ」
「いえなんでもありません。それよりも話しを」
「そうかの……逆に木の葉の忍びが負ければ依頼も減るという訳じゃな。つまり諸君らが勝てばより良い依頼を受けることが出来る訳じゃ」
「つまりこの一ヶ月間は修行をしている方がベストか」
「別に修行だけとは限らん。羽を伸ばしても何しても一番良いと思ったことを実行すれば良い。他に質問は?」
「……」
全員はもうやる気マンマンの表情を見せており、誰1人も手を挙げなかった。
「ではみたらし特別上忍例のものを前へ」
「それじゃこのクジを引いてね」
二次試験中ずっと休んでいたアンコが復活して本選に出場した全員にクジを引かせた。
最初に引いたのはフブキだった。
「8番」
フブキがそう言って試験官達にみせて確かめさせるとタキオとアキホがクジを引いた。
「2番…」
「4番だ」
タキオは2番、4番はアキホだ。イタチ班は見事にばらばらに別れた。
「3番だってばよ」
「……1番」
サスケとナルトはくじ運が相当悪いのか、よりによってアキホとタキオと当たってしまった。それを見てホッとしたのはここにいる下忍全員だろう。
「9番っす」
シカマルは幸いにもイタチ班にあたることなく自分のくじ運が恵まれたことに一息ついた。
「6番」
シノも無表情ながらもホッと一息ついていた。
「5番じゃん」
「7番だ」
砂隠れの2人は不敵に笑った。というのも我愛羅は単純にタキオにやられた記憶を思い出せず、カンクロウはイタチ班ではなくシノと当たったのでよかったと思っていた。
「では皆のもの、一ヶ月後に試験会場にて会おう」
こうして三次予選は完全に終わった。
本選の試合をまとめます。
第一試合
うちはサスケVS凱旋タキオ
第二試合
うずまきナルトVS木道アキホ
第三試合
カンクロウVS油女シノ
第四試合
我愛羅VSうちはフブキ
第五試合
奈良シカマルVS第四試合勝者
以上です。
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21話
さてようやく解放され俺は久しぶりに病院へと向かっていた。
「よっ!イタチ!」
明るく元気に挨拶をしたシスイが笑いながら俺に近づいてきた…これが普通ならよかったと思うが…なんていうかシスイの笑みは目が笑っていない。
「ところでフブキから聞いたんだが…休暇がほとんどない状態でB~Dランク任務までの任務を何回も続けていると聞いたけど…イタチ?どういうことか説明してくれるよな?」
「…すまん。」
俺はそう呟いて瞬身の術で逃げた。
「あっはははっ!俺が瞬身の術の使い手だってこと忘れたのか?」
しかし瞬身のシスイからは逃げられない!俺の脳内にそう響き渡り、逃げようと必死に考えるがシスイの腕が首を絡んでしまい逃げられなくなった。
「シスイさん。話せばわかります。だから離してください。」
「はっはっはっ。YADA☆」
その後シスイの一方的なプロレス擬きが始まり、タップしても離さず看護師さんが来るまで苦しみ続けた。
「酷い目にあった…」
「お前がつまらんダジャレを言うからだ。」
ダジャレ…?「話しますから離してください。」…あっ!?ダジャレ言ってたわ。
「無自覚だったのか…まあいいさ。これを見ろっ!」
そう言ってシスイはドヤ顔で一枚の紙を見せた。
「退院許可証…!?」
おいおいマジか。通りでシスイのテンションがいつもよりも高い訳だ。
「どーだ恐れ入ったか!」
うわ…凄え嬉しそう。まあ無理もないよな。シスイはこれまでリハビリの毎日で優秀すぎる忍びであるが故に外に出ることはおろか自由に行動することすらも許されなかった。それが退院したことにより自由を得た。…まあもっともシスイが一々脱走するからそうしたんだとは思うけどな。
「いやーこれ見たときはびっくりしたぜ。何しろ綱手様が直々に持ってきてくれたからな。これを渡された時なんかもうなんども幻術か確かめて本物だとわかったら興奮しちゃって鼻血を出して綱手様をビビらせちゃったよ!」
むちゃくちゃ子供っぽくなってるな。それにしても鼻血でもダメなのか…綱手様は。
「ハハハ…」
俺は二つの出来事に乾いた笑いしか出来なかった。
「それじゃ、フブキの修行の手伝いに行ってくるぜ!」
そう言ってフブキは瞬身の術で立ち去った。大丈夫か?フブキはガイに師事するとか言っていたけど…
~数分後~
「イダヂ~…!フブキが…フブキが他の男ど…一っ緒にいだょ~っ!」
案の定、シスイはフブキに撃退され涙と鼻汁を流して帰ってきた。てかその表現やめろ。お前がホモっぽくみえる。いや弟を思う気持ちはいいけどな?やりすぎは良くないぞ。
…サスケを女装させたお前が言うなとかそんな声が聞こえたがあれは別だ。サスケを女装させようとするとサスケが敏感に反応して逃げるから忍びの訓練としてやっているだけだ。決して俺がサスケの女装姿をみたい訳ではないっ!
「まあシスイさんはフブキとは全く逆のタイプですからね。幻術を中途半端に覚えるよりも体術の技を覚えた方が効率的なんでしょうけど。」
フブキはガイと同じ戦闘スタイルだ。幻術型のシスイのような戦闘スタイルとは程遠いし、俺とも違う。俺の戦闘スタイルは基本的にはオールラウンダーだがクナイや剣、投石などの道具を使い忍術を付け足した戦い方だ。俺の班の中ではタキオが一番近いな。あいつのはやりすぎだけど。
「だからって…忍術や幻術を教えないのは流石にマズくないか?」
まあ流石にアカデミーのままじゃマズイと思うけどな…その心配はないっ!
「俺自身が休みの日にフブキに忍術や幻術を教えました。」
実際には休みの日じゃなくあいつら三人を月読で忍術や幻術の指導をしていた。月読って便利だよな。あそこは時間も質量も操れるから外の世界で1秒経つとこっちでは3日。反則だろ…と思う俺はおかしくない。そしてそれを使える俺もイタチスペックにチートぶりに呆れた。まあそのせいでタキオが失格しなければなんでもありの狂人になってしまったのは反省点だ。何事もやりすぎはよくない。
「何~っ!イタチお前だけズルいぞ!」
ズルいって…確かに転生した時点でズルいとは思うがそこまでフブキの面倒見たかったのか?
「そんなことを言われてもシスイさん。俺はあいつらの担当上忍です。一応やることはやります。」
ドン引きされるだけでやっていることはやっているよな。任務は最低量を大きく上回り、修行も月読の世界とはいえキチンとこなしている。…まあだからと言ってタキオが性質変化を、アキホが形態変化を自在に操れるようになったことは予想外だった。あれは通常影分身を使うものだが俺の月読は時間を極限まで伸ばすことが出来るので理論上は可能だな。ただかなり俺もあいつらもヘトヘトになるので一回につき月読の世界で3、4年くらいが限界だがな。…その上使い過ぎると視力が落ちるので月読の世界で合計20年くらいしか使っていない。それでも十分だけどサスケの万華鏡写輪眼と俺の万華鏡写輪眼を交換してお互いに永遠の万華鏡写輪眼になれば…完璧なのにな。いや無理か。永遠の万華鏡写輪眼は他者の万華鏡写輪眼を取り込まなきゃいけないしな。
「俺も兄としての威厳を保ちたい…」
シスイはフブキに余程構って貰いたいのかそう言ってorzになった。
「イタチーす。」
「随分と斬新な挨拶だな…アキホ。」
俺に舐めた挨拶をしてきたのはアキホだった。
「お前修行はどうした?」
「いやーそれがイビキさんにお前に教えることはない…とか言われて暇なんだ。暗部にいた上忍も特別上忍も逃げられて三代目様にも頼んだけど忙しい上に紹介出来る忍びはいないって断られた。」
どんだけ嫌なんだ?教育者なら誰か一人くらいはやってもおかしくなさそうだが…無理か。アキホの悪名はアカデミー教師に広く知れ渡っている。そんな奴を班員にしているイタチSUGEEEEEEEとなるくらい有名だ。実際にはこき使っているだけだけど。
「それで担当上忍の俺に鍛えて貰おうと考えた訳か?」
「まあな。俺の最初の対戦相手…ナルトは根性バカだからな。俺とは相性が悪い。」
あ~…確かに。絶対に心が折れねえもんなナルトは。勝てない訳じゃねえけどアキホの一番相手にしたくない相手だ。
「…なあイタチ。こいつを俺に預からせてくれないか?」
…シスイ正気か?と思ってしまった俺は悪くない。こいつは見た目美少女だが極悪非道のティーチング・キラーだぞ?近年アカデミー教師を辞めた理由のNo. 1がアキホの暴力行為って噂が流れているくらいだ。シスイもそのくらいは知っているはず…
「そんなこと言ってシスイさん…センスはどうするんですか?」
「ああ…センスか。センスは医療忍者志望で綱手様の弟子のシズネさんの元でチャクラコントロールの修行をしているみたいだからここしばらくは会えない。」
シズネって微妙じゃないか?…そんなことを思った諸君は前に出なさい。この場にいないセンスに代わって俺がしばいてやるから。…綱手様の元で修行を積める原作のサクラやイノ達がおかしいだけだ。センスは必死にシスイの為に綱手に頼んでも微妙な顔をしていたし、まだまだ心を完全に開いていない状態だ。次期火影候補としてどうにも出来ないってのはどうなんだろうか?
「それじゃ、任せましたよ。…アキホ。シスイさんの言うことは聞いておけよ。」
「ういっす。」
アキホがシスイに弟子入りして立ち去り、俺は自由を改めて手に入れた…そう思ったのがフラグだった。
「イタチ!賭博場に行くぞ!」
今度は綱手様に捕まり、賭博をやる羽目になった…今日くらいは仕方ない。諦めるか。
★★★★
俺はイタチに軽い挨拶を交わし、一枚の紙を見せた。
「これを見ろっ!」
この紙は俺が追い求め、遂に手に入れた念願の紙だ。
「退院許可証…!?」
そう、退院許可証だ。俺は何度も諦めずに申請(という名の脱走)をした。
「いやーこれ見たときはびっくりしたぜ。何しろ綱手様が直々に持ってきてくれたからな。これを渡された時なんかもうなんども幻術か確かめて本物だとわかったら興奮しちゃって鼻血を出して綱手様をビビらせちゃったよ!」
あん時は人生で一番幸せだったかもしれない…何しろ弟どころか自分すらも守れないという不幸から救われたんだからな。
「ハハハ…」
「それじゃ、フブキの修行の手伝いに行ってくるぜ!」
フブキを見つけたのはいいけど全身緑タイツの男がフブキと話していた。もしやフブキの師匠か…?もしフブキに変なことを教えていたらぶっ飛ばそう。
「ガイ…質問がある。」
「言ってみろ。」
「雪山で遭難し、食料も尽きチャクラも使えない場合はどうすればいい?」
そんなことになるのは二流の忍者だけど一応聞いておくか…
「いい質問だ…俺の経験上の答えだが…山を殴って噴火させれば暖かくなって凍死はしないぞ!」
頭を打たれるような衝撃を受け、俺は動きが止まった。
「わかった。」
何て奴だ…俺がいない間にこんなにも信頼できるやつがいたなんて…
その後俺はしばらく記憶がなくなっており、わかったのはフブキが俺を頼ってくれなかったことだ。
「俺も兄としての威厳を保ちたい…」
そう呟くと1人の少女が手を上げてやってきた。
「イタチーす。」
イタチとちーっすを合わせてそうなったのか?最近の子供はわからないな…
「随分と斬新な挨拶だな…アキホ。」
イタチも俺と同じことを考えていたのかそういって頭を掻いた。…ん?アキホ?
「お前修行はどうした?」
「いやーそれがイビキさんにお前に教えることはない…とか言われて暇なんだ。暗部にいた上忍も特別上忍も逃げられて三代目様にも頼んだけど忙しい上に紹介出来る忍びはいないって断られた。」
間違いない…メンタルキラーのアキホだ。尋問率100%という木の葉屈指の尋問の天才だがこいつに(精神的に)殺られた被害者は数知れず。敵は発狂、味方は胃薬不可欠になるトラブルメーカーだ。まさかイタチの班の問題児がこいつだとは思わなかった…
「…なあイタチ。こいつを俺に預からせてくれないか?」
気が付いたら俺はイタチにそう言っていた。アキホは見た目からして体術は不得意そうだ。忍術や幻術についてはわからないけど後々イタチから聞けばいい。俺がこいつを鍛えたい理由は簡単だ。俺はアキホに眠れる獅子とも言える強さを感じ取った。それが何かは鍛えないとわからないがそれを磨いてみたい…それだけのことだ。
「そんなこと言ってシスイさん…センスはどうするんですか?」
センス…そう言えば俺を気遣って最初のうちは俺の見舞いに来てくれたけど俺がやつれていくのを見て嫌気がさして見舞いを止めて引きこもってしまった。それを知った俺は荒れてセンスの家に殴り込みに行ったらセンスがただ引きこもっていたんじゃなく医療忍術の勉強をしていたことがわかった。それを知った俺は自分が恥ずかしくなって病院のベッドで不貞寝した。
「ああ…センスか。センスは医療忍者志望で綱手様の弟子のシズネさんの元でチャクラコントロールの修行をしているみたいだからここしばらくは会えない。」
その後俺は綱手様に何度も頭を下げてセンスを弟子にするように頼み…それが昨日叶った。今日から修行の毎日らしく俺はそれを見届けて外に出たんだ。
「それじゃ、任せましたよ。…アキホ。シスイさんの言うことは聞いておけよ。」
「ういっす。」
センスは綱手様を師事し、アキホは俺を師事する。不思議なもんだな。運命ってのは…
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22話
私とイタチは変装して賭博場へと来ていた。変装した理由は私はある意味ブラックリストに載っているしイタチは次期火影候補だ。そんな奴らが賭博場に来ていたらかなり大騒ぎになる。
…デートなんて冗談はやめてくれ。私達はデートしにここに来たんじゃない。確かにイタチとデートしたことはあるがあれはイタチの話を聞くだけにおわったし今日は勝ちに来たんだよ。私の借金も相当なものだし、それを取り戻せば…
「宜しゅうござんすね?入ります…さあはったはった!」
おっと…もうか。それじゃ一稼ぎするか!
「丁!」
私がそう言うとイタチは少し考え…
「半。」
と答えた。…少しは私を信用しろ。いくら「伝説のカモ」と呼ばれても悲しいもんだぞ!
「シゴの半!」
…イタチ済まん。私が間違っていた。だからそのドヤ顔はやめてくれ。
「では宜しゅうござんすね?」
その後、イタチは勝ち続け、賭け金が多くなりすぎて「もうやめてくれ!」とせがまれて止めることになり私達はその場を立ち去り甘味堂へと行く事にした。私か?惨敗に決まっているだろ!イタチと逆に賭けたんだからな!!
「…」
そんな訳で私は大変不機嫌だ。イタチが私を信用しなかったのもそうだが何よりも手持ちの金がなくなったのも痛い。
「まあまあ。ツナ。そんなに拗ねるなよ。」
ツナというのは幼い頃に変装している私の名前だ。…お祖父様もそう呼んでいたからそう呼んでほしいなんて考えてはいないぞ。
「うるさい。」
「ほら好きなものを食べろ。俺の奢りだから。」
「当たり前だ。」
私は草団子を一本取ってそれを食べる。
「ツナ…俺は火影に向いているか?」
イタチは呟くように私にそう尋ねてきた。
「どうしたんだ?いきなり…」
「…初代様は木の葉隠れの里を作った。二代目様はアカデミーを設立し木の葉を繁栄させた。三代目様は初代様や二代目様を差し置いて歴代最強の火影と言われている。そして先代の四代目…九尾事件から木の葉を救った英雄。…そんな中に何もしていないうちはの血統が取り柄の俺が入っても良いのか?」
何が言いたいのかといえばそんなことか。
「お前はうちはの血統が取り柄じゃないだろう。三忍の中でもっとも気が荒いと言われている綱手姫を武力を使わず木の葉に戻した。それだけでも十分さ。それに歴代火影も欠点だらけの馬鹿達さ。」
「馬鹿?」
「お祖父様…初代火影は私に賭博を教えたダメ人間、二代目は穢土転生とかいう死者を愚弄する術を開発、三代目のジジイは大蛇丸という木の葉最大の汚点を育ててしまった。四代目は息子を残して満足して逝った大馬鹿ヤローだ。それに比べたら可愛いもんさ。」
「…評価低いですね。」
イタチ…敬語になっているぞ。まあどうでもいいか。
「ったり前だよ。三代目のジジイなんて自来也にエロを教えたようなもんだからな。お前の欠点も弟子に受け継がれるかもしれないから注意しろよ。」
自来也のエロはその後四代目には受け継がれなかったがカカシには伝えられたんだよな…覚醒遺伝ならぬ覚醒師範ってやつかね。
「ええ。身を以て経験していますから。」
シスイから聞いている話ではフブキの欠点とイタチの欠点の共通点は無茶をするくらいか?それ以外に思いつくのは無理だな…二人とも違いすぎる。
「そうか。ならもう1本食べよう!」
ビュンッ!
私が返事をすると何かが通りかかり、風を起こした。
「休みだ休みだ!ヤスミダゴッフゥォォォーーッッ!!」
その風の原因はやたらとハイになってはしゃいでいるガキだった。成長すればいい男になりそうだが…今起こしている行動が残念過ぎて女に恵まれなさそうな奴だ。
「…何だ今のは?」
私は思わずイタチにそう尋ねていた。イタチなら何か知っているかもしれない…そう思ってイタチの顔を見るとため息を吐いているイタチの姿があった。
「アレも俺の担当する下忍です…彼の名前は凱旋タキオ。アカデミー史上最低出席日数の持ち主でありながら忍としてのスキルは高く、筆記試験でも満点という優れた忍びです。」
「アレがか?どう見たってただのバカじゃないか?」
「いえ…一応試験中に人柱力の忍びと戦った際に尾獣…一尾の守鶴を退け、本戦にも出場しています。」
「なんだそれは!?」
あの尾獣を退けたのか!?尾の数こそ違えどあの四代目が相打ちになってようやく封印出来る尾獣を退けさせるとは…なんて奴だ…おい?イタチなんで目をそらす?
「タキオはサボり癖がひどいのと合理主義過ぎるのが欠点…それでもタキオは俺に似ているか?ツナ。」
「合理主義はお前もそうだろうが。」
イタチはそれを聞いてorzの姿勢になり、「違う…絶対に違う…俺はタキオみたいになんでもやるような男じゃない。だから頑張れうちはイタチ…」とブツブツ言いながら地面を殴っていた。そんなにショックだったのか…?
☆☆☆☆
綱手様に愚痴るとだいぶ楽になり、俺は金を払って帰った。
「それにしても修行か…」
何か忘れているような気がするけどとりあえず俺は新しい術…というか技を考えていた。
螺旋丸はチャクラの形態変化を極めたものだ。俺の目からビームは螺旋丸を応用したものではあるが螺旋丸のようなデカイ状態でないので形は維持しやすく、そのままビームとして使える。さらにそこに火遁の性質変化を付加させることによって威力が上がる。しかも火傷によるものなのでその痛みは相当なもののはず。
さてここまで整理して新しい技が思い浮かばないとなると結構厳しいかもしれない。原作のサスケもこんな感じで迷っていたのか?…そういえばこの世界の価値観に合わせる必要もないよな?俺はそう思い、理想の技を描く。
それは螺旋丸を細かいビーム状にして弾幕として放つ技だ。何故こんな技を思いついたかというとサスケと某シューティングゲームの妹様を連想させてしまったからだ。よくよく考えれば俺の技はほとんどが別の漫画の技ばかりだ。今更ゲームにしたって問題はない。そしてさらに2つほど技が思い浮かび紙に書いていった。
・妹様の弾幕
・イタチストラッシュ
・大王波
…どっからどう見てもパクリかつ厨二病です。本当にありがとうございました。
さてそのネタはともかくイタチストラッシュについては元ネタが「大地、海、空全てを斬る」から必要な性質変化が大地で一つ、海で一つ、空で一つ、そしてそれらをまとめるのに一つと最低4つ以上になり俺は3つしか性質変化が出来ないのでその劣化版しか出来ない。ちなみにこの場合の出来ないは使えないことはないが威力はガタ落ちになるという意味だ。
大王波はあれだ…もうわかっているのは思うが威力が大きい分タメや隙が大きくチャクラの燃費が悪い。その上チャクラを放出し続けるので螺旋丸よりも形態変化を極めなきゃいけない。まさにナルト向きの技だ。
妹様の弾幕は聞くまでもないだろう。さっき説明した通り螺旋丸を作り出してから細かいレーザーに変えて雨を降らす感覚で放つ。この技の欠点は低コストの関係上どうしても弱くなるので我愛羅のような絶対防御を持つ強敵向きではなく多数の雑魚相手向きの技だ。
ん?雑魚…魚…!思い出した!!!そうだ鬼鮫だ!原作じゃ鬼鮫とイタチがナルトを連行しようとしたんだ!暁はオビトが抜けたけど角都の様子から鬼鮫が来てもおかしくない。ああ見えて戦闘狂だし…俺はとにかく変なコートを来た男が来ていないか探した。さっきの茶店は原作イタチがいたから来たので鬼鮫がそんなところに来るとは思えないので他の場所へと向かった。
今回はネタが多かったので解説します。
某シューティングゲームの妹様…東方projectのフランドール・スカーレット
イタチストラッシュ…ダイの大冒険のアバンストラッシュ
大王波…ドラゴンボールのかめはめ波
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23話
★★★★
二人の人外(一人は認めないだろうが)が猿飛アスマ、夕日紅と対峙していた。
「これはこれは…私とあろうものがご紹介遅れましたねぇ…私は干柿鬼鮫…以後お見知りおきを。」
そのうち一人は干柿鬼鮫。人外だと認めない方の鮫…のような青い肌の人間だ。背中に巨大な刀、鮫肌を背負い、元霧隠れの里の額当てを当ててセンス皆無の暁のコートを着ていた。
「お見知りおきなんてねえよ。お前はここで死ぬんだからな!」
アスマが自らの武器である刃付きナックルを取り出して構えるともう片方の人外…白い肌のフードの男が口を開いた。
「俺の名前はシン…死ぬまで覚えておけ。」
その片方はシン。アスマは袖の間から見るとその腕には多数の写輪眼が埋め込まれていた。
「おい写輪眼を何故持っている!」
「それは戦争ではよくあることだろう?」
何故腕に写輪眼が埋め込まれているのか、あるいはそれを何に使うのか…何にせようちは一族から奪ったものであるものには違いないし、カカシと同じく写輪眼を持っているこのシンという男は決して侮れない…二人はそう結論してチャクラを練った。
「私の方も無視しないで貰えますかねぇ!」
鬼鮫が動き、アスマに襲いかかる…
「木ノ葉旋風!」
が、何者かが現れ鬼鮫は後退して避けた。その男は緑のタイツで全身を包み、髪型はおがっぱ。だがそれに宿る魂は熱き魂!かつてないほどにその男は燃えていた。
「何者ですか?貴方は…」
「人呼んで木ノ葉の猛獣!マイト・ガイ。」
そう、マイト・ガイだ。彼が矢鱈ハイテンションなのは気にしてはいけない。今更である。
「猛獣…?珍獣の間違いじゃないですか?」
鬼鮫が呟くとシンは頷き、ガイを可哀想な目で見ていた。
「アスマ、紅、あの写輪眼の男…俺に任せてもらえないか?この中で写輪眼対策が出来るのは俺くらいのものだろ?」
「…そのためにフブキを弟子にしたのか?」
「いや違う。フブキはイタチを越える為に俺を利用したんだろう。お陰で写輪眼対策はバッチリだ!」
キラン!
ガイは親指を立ててドヤ顔にするとアスマ達が引いていたがそんなことはお構い無しにシンの方へと向かう。
「鬼鮫…手を出すなよ。こいつの剛体は新しいサンプルになるかもしれないからな。」
「わかりましたよ。では残りは構いませんね?」
「もちろんだ。」
シンは腕の袖を巡り、腕に仕込んだ写輪眼を露にすると何かを感じ取り横にジャンプした。
「なんだよありゃぁっ!?」
その光景を見たアスマが目を開き、思わず突っ込む。その光景とは無数のミニ螺旋丸が雨のように上から降ってきたのだ。所謂弾幕である。
「くそっ!」
アスマ達はシンと反対方向へと避けて対処するとアスマ達のいた場所の土が抉れ、受け止めたりしないでよかった…と内心そう思い、シン達の方向へ弾幕は移動した。
「仕方ありませんねえ…鮫肌、少し痛みますが食べてくださいよ!」
鬼鮫は鮫肌を取り出し、ぶん回して弾幕を鮫肌に食べさせた。ここで言っておくが鮫肌は生きている刀でチャクラを喰らうので食べさせると表記する。
「流石に暁と言うだけあってそう簡単にはやられないか。」
そこにはイタチがいた。
「イタチィ!!死ぬかと思ったぞ!!」
アスマが眼が白目になるほどキレ、怒鳴り散らす。
「待って、アスマ…あそこ見て。」
紅が先程いた場所を指差すとそこにはシンの白い腕があった…つまり、アスマ達に最小限の怪我で済むようにイタチは誘導していたのだ。
「こいつは…!?あいつの腕か!?イタチ…もしかしてこの事を…?」
☆☆☆☆
やたら高評価されているうちはイタチです。妹様の弾幕やったら上手く行き過ぎてアスマ達にも被害を与えてしまい、怒らせたかと思えば機嫌がよくなった。
「キヅイテマシタ。」
とはいえ流石に今怒らせても無意味…というか冷静さを失い、鬼鮫にやられてしまう可能性が高い。あいつらとは違って空気読めるからな!
「流石ですね…うちはイタチさん。」
そう言って俺の右から声が聞こえた。そいつは干柿鬼鮫…原作のイタチの相棒だ。
「お前は…干柿鬼鮫か。」
俺は鬼鮫に振り向くと鬼鮫は驚きの顔を見せた…
「ほう、次期火影候補ナンバーワンの貴方が私の名前をご存知とは光栄ですね。」
忍び足るもの、名前等は知られるような者は忍びとしての素質はない。これはアカデミーの教科書にも書いてあることで誰もが知っている常識だ。それ故に鬼鮫の言ったことは皮肉だ。
「お前のやったことは有名だからな。それにその鮫人間みたいな容姿が何よりの特徴だと聞いていた。」
原作知識でも知っていたがイビキが愚痴っているときに鬼鮫の話となりその情報を得ていた。
「どうせ私は鮫人間みたいな容姿ですよ…」
鬼鮫ってそう言えばその方面の精神攻撃に弱いんだっけか?二次創作のギャグでも苦労人ポジになるしな。
「俺のことを忘れてないか?」
…おいおい。こいつが俺の代わりかよ。
うちはシン
原作のサスケの娘、つまりイタチの姪っ子であるサラダを誘拐した野郎だ。こいつは大蛇丸よりも屑野郎で自分のクローンを盾代わりにしか思っておらず最期は自分のクローンに殺されるというどこかで聞いたような話を見事に再現してくれた奴だ。
ただ実力はあり、瞳力はマーキングした物体を自在に動かせると言うもので全盛期から少し離れたとはいえ成長したナルトやサスケに傷を着けた奴だ。しかもダンゾウをとっとと捕まえてしまったから両腕は健在だ…こいつはマズイな。アスマや紅が相手していたら死ぬ。
「アスマ上忍、紅上忍、マイト上忍は鬼鮫の方は任せました。俺はその白男を相手します。」
「わかった。」
「気をつけてね。イタチ。」
「写輪眼には写輪眼をと言うしな…イタチ任せた。」
「そちらもお気をつけて。」
シンをどうやって倒すか…原作のサスケ通り倒しても問題ないが…オーバキルは避けたい。目立つしな。
「イタチィ…あんたは俺の目標だった。大蛇丸から聞いたぜ…5才で三代目火影の側近達を失禁させたって話じゃないか。」
ん?なんか音がするな…何の音だ?
「だから?」
シンの話よりもその音が気になり適当に聞き流して視野を広め、見てもどこにもいない。
「あんたを超えれば俺はその伝説を塗り替える事になる!だから今げふぅ!?」
シンが後ろから馬に蹴られた。その事実に周囲の空気が凍った。
「よう!イタチ!」
恐らくここにいる木の葉の忍び全員が聞いたことのある声の持ち主が俺を呼び、腕をあげる。しかしそいつは宇宙制覇と書かれた特効服を着ており、髪もリーゼント、背中には日本刀を差していた。…どうしてこうなった!?
「イタチ知り合いか?」
最悪だ…一番質問されたくない質問が来てしまった。どう答える?今かまだか…って、違う!素直に答えるか?
「マイト上忍の弟子ですよ。」
Q 聞かれたくない質問を答えるには?
A 答えつつも他人に押し付ける
我ながら完璧だ…
「違う!俺はこんな奴は知らん!」
ガイが首を全力で横に振って冷や汗をだらだらと流す…まあそうだよな。ガイに任せたらこいつが見ないうちにこれだけアホな格好になって来るとは思いもよらなかったし、俺がガイ自身だったら横に首を全力で振る。
「もしかしてフブキじゃないのか?」
アスマ正解…そんな君にはイタチポイント5点分上げよう。1000点集めればサスケの女装写真集を進呈する。
「絶対にあり得ん!昨日フブキには根性を鍛えると言う名目の元、鉄の国の伝説の名刀 桜吹雪を頂戴するように命じたはずだ!少なくとも鉄の国にいくまで何日もかかるからあり得ん!」
確かに…暗部の奴が愚痴ってたけか?鉄の国の任務は長期任務が多くてホームシックとかで憂鬱になるとか。
「ああ、それならすぐ近くにいた死にかけの侍のオッサンを介抱したらくれたぞ。ほら。」
フブキがガイに桜吹雪を渡すと目を丸くし、凝視した。
「そんなバカな…本物だ。」
にわかに信じがたいがフブキのいっていることが本当なのか。
「さてと…この雑魚はどうする?」
「雑魚って言ってやるな…そいつはテロ集団、暁の構成員だ。少なくとも危険度Aクラスはある。」
「そうか?じゃあ殺すわ。」
グキャ!
うわぁ…仮にも未来のナルトやサスケを苦戦させた相手を首を折って雑魚のように殺しやがった。しかも鬼鮫の前で。
「それより木の葉の忍びとして働かせたいやつらがいるんだがイタチのコネで何とか出来ないか?」
「物凄く嫌な予感がするが一応会うだけ会ってみよう。」
「口寄せの術!」
今ここでやるなよ…ん?なんか音の数多くね?そしてその煙が晴れるとそこにいたのはシンのクローン達(後で数えたが99人)だった。
「「「「フブキの兄貴!お疲れ様です!!」」」」
「ちょっと待て、何があった。」
思わずそう尋ねるとフブキは「何言っているんだ?こいつは?」と言いたげに俺を見た。
「見りゃ分かるだろうが。こいつらがイタチに紹介したい奴等だ。」
「そうじゃなくてだな…そいつらとお前が今殺した奴と似ていないか?」
「そう言われれば似ていなくもないよな…?でも違うような気もする…」
フブキがそう唸っているとクローン達が声を出した。
「もしかしてオリジナルじゃね?」
「え?まじで?」
「あの糞野郎死んだ?」
「マジマジ。」
「首が曲がっている。」
「マジだ!すげえ!」
「俺たちの時代キタコレ」
「オリジナル\(^o^)/オワタ」
「フブキの兄貴すげえ!」
「パネェ!」
スレ住民か!
「まあ、Dランク任務なら腐るほど余っているし、問題ないだろ。」
「やったな!お前ら!」
「「「「「「フブキの兄貴!一生ついていきます!」」」」」」
こうしてシンのクローンが仲間になり、ありとあらゆるところで目撃されたそうな…めでたしめでたし。
ちなみに鬼鮫はクローンを呼び出した時にどさくさに紛れて撤収していたらしい。抜け目のないやつだ…まあ今回はナルトと接触しなかっただけマシか。
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閑話
★★★★
イタチ達が報告している頃、木の葉競馬場…ではなく机の上にあるラジオのイヤホンを片耳につけそわそわと動いている少女がいた。
【さあうちはヤスナリ悲願のダービー制覇へ向けてウチハトップロードが先頭だ、ティーエースラオウが追い詰める!】
「よしそのままいけぇ!3-6来いやぁっ!」
とても少女とは思えぬ言葉遣いで叫ぶ美少女。彼女の名前は木道アキホ。一応ハイレベルと言われた今年の中忍試験の第三次試験の突破者である。
【おっと大外からナミカゼベガが迫る迫る!】
「あ″あっ!?ざけんな!落馬して死ねクソジョッキー!」
だが第三次試験に向けて休みが取れたアキホはブラック企業以上に過酷な任務で得た金で賭博に使い込んでいた。そして嵌ったのが競馬だ。その理由はムチ、マスク、調教の三単語だけで連想して貰いたい。
【トップロードも粘るが大外からナミカゼベガぁーっ!!】
「クソッタレぇ!!」
アキホは机ごとラジオを壊し、馬券を破る。何度でもいうがおっさんではなくまごうことなき少女である。それも少女の前に美がつく人間である。残念にもほどがある。
「俺の馬券返しやがれ!3-6が鉄板って言うから買ってやったって言うのに…金返せクソ情報屋がぁっ!」
アキホは綱手並とは言わずともかなり弱かった。綱手の賭博の弱さがレベル1のスライムだとするならアキホはスライムベスといったところだろう。はぐれメタル並の強運なナルトからしてみれば五十歩百歩の違いである。
さてそんなアキホの1日を覗いてみよう。
☆尋問・拷問部隊
本来、下忍がここに来るべきではないのだがそれはアキホが尋問や拷問が得意なアキホたる所以だろう。
「イビキ隊ちーす。」
イタチだけでなくイビキにもそのような口を聞けるあたり、アキホは優秀なのだろう。
「ん?アキホか…今日は尋問・拷問部隊の仕事はないぞ。」
「マジですか?」
「マジだ。それにお前中忍試験に向けて準備はしてあるのか?」
「大丈夫、大丈夫。いざとなればこう…まあ、とっておきの方法でぶちのめしてあげますから。」
「トイレの最中や寝込みを襲うなよ?あと夜襲もするなよ?だからといって昼間襲うのもダメだからな。というか朝昼晩全てにおいて襲撃はやめろよ。後始末が大変なのは俺達なんだからな。」
後始末が大変と言っているのはナルトの中にいる九尾が暴走してしまう心配から来ている…のではなく、アキホがタキオと同様にハッチャケたりしないかどうかの心配から由来していた。
「……それじゃ失礼します。」
「(本当に大丈夫なんだろうな?…念には念を入れておくか。)」
イビキは暗部の伝手を使い、試験当日までアキホやアキホの対戦相手であるナルトを監視を強化させた。
尚その中にはナルトの穴を狙っていたゲイがいたようでアキホの監視以上に大変なことになっていたのは言うまでもない。
☆うちはシスイ
アキホはシスイに師事しており、幻術の指導を受けていた。
「(話が長え…)」
しかしアキホは不良である。ダラダラと長い話を聞くなんてことはできない。その為シスイの話を聞くと眠くなる。居眠りはタキオの専売特許であるがアキホも大概だった。
「という訳でやってみろ。」
「え〜…んなことよりも身体動かしたい…」
「アキホ。そんなに動かしたければ動かしてみろ。」
「言われなくとも…ん?動けない?」
「幻術をちょっと応用すればこんな風に気づかれずに出来るんだ。解除方法はわかるね?」
「チャクラの流れを元に戻せばいいんだろ?」
「そう、幻術返しはそれが基本。だけどこの幻術はチャクラコントロールを完全に出来ないと解けないようになっている。早い話が…」
シスイの話が長く続き、アキホは思わずあくびをする。
「(大人ってのは話が長くなるから嫌いだ…)」
シスイの言葉を完全に無視してアキホは自分の身体のチャクラを緑溢れる森の中で清らかに流れる川のようにイメージし、コントロールし始めた。
「(頭よりも身体で実践した方が良いと…)」
シスイは頭の中でアキホの特訓方法を考えていた。
☆うちはフブキ
修行を終えたアキホが一楽へ向かうとそこにはシスイとその弟フブキがラーメンを食べていた。
「よう、フブキーストン。それにシスイースター島。」
「その変な渾名をつけるのは…アキホか。」
フブキが振り向くとアキホがその隣に座り、注文する。
「おっちゃん、豚骨ラーメン大盛りで。」
「…そもそもイースター島って何処の島?」
「兄貴、アキホが渾名をつける時は訳がわからんから無視していいぞ。」
「そうだよな。」
「それよりも二人揃って食事なんて珍しいじゃねえか。…おっちゃん!唐揚げ追加だ!」
店主のテウチが「あいよ!」と元気よく返事するとフブキに近寄る。
「それよりもフブキ、お前はどんな奴に師事しているんだ。」
「マイト・ガイ上忍だよ。イタチから聞かされてないのかい?」
シスイがそう答え、尋ねるとアキホは首を振った。
「マイト・ガイ…ああ、あの緑タイツのおっさんの方か。」
「そうだ。緑タイツ一号だ。」
「フブキ、もしかして二号もいるのか?」
シスイが口を挟むと、何を当たり前のことをと言わんばかりにため息を吐いた。
「いるぜ。ロック・リーって言ったけか?あいつがそうだ。ふざけた見かけなのに下忍の中じゃ体術は飛び抜けて強い奴だ。ちなみ俺も三号にされかけた。」
「されかけたって…何があったんだ?」
「俺が一号に師事して間もない頃、緑タイツを渡された。」
「なるほど…」
二人はその言葉に納得した。
「へい、豚骨ラーメン大盛りと唐揚げお待ち!」
アキホの注文した品が届き、アキホは嬉しそうに手を合わせ「いただきます」と声を出し、箸を持ってラーメンを食べ始めた。
「そう言えばアキホ、タキオと連絡取れないのか?最近会ってないから不安で仕方ないんだが。」
「もあ?…どうせいつものところで寝ているだけだと思うぜ。」
「イタチの教育のせいで最近とんでもないことをやり始めるようになったじゃねえか。例えば劇物、J・アンシチューの再現とか。」
「J・アンシチュー…?」
アキホはその単語に首を傾げた。と言うのも何度でも言うがアキホは不良であり、授業の話など聞いてもない。当然そんなマイナーな劇物も知るはずもない。
「昔聞いたことがある…J・アンシチューは初代火影様やうちはマダラを始めとした木の葉の重鎮達を食中毒に追いやった禁術当然の劇物らしい…」
「らしいって…なんで断言しきれないんだ?兄貴。」
「その事故が起きたのも三代目火影様がまだ初代火影に弟子入りする前の頃の話だからね。その劇物を作った犯人やレシピ、そしてそれを知る人達も話題にすることなくその劇物の存在はこの世から消えた。」
「…それを再現したら木の葉はど偉いことになるんじゃないか?」
「まあそのJ・アンシチューもつい最近作られた都市伝説みたいなものだ。今度会ったらそんな劇物を作らないように伝えておいてくれよ。」
「わかったよ。」
アキホはラーメンや唐揚げを食べ終わると会計し、その場を離れた。
☆凱旋タキオ
「タキオーすっ!」
山の奥でタキオを見つけたアキホが声をかけると何やら料理を作っていたらしい。
「アキホか。」
「何をやっているんだ?」
「ゴキブリを寄せる餌作り。」
「はぁぁぁっ!?そんなもの作ってどうする気だよ!?」
アキホはおっさんらしい行動を取っても所詮は少女。大の男ですら逃げるあの黒い虫には敵わない。
「今度の試験で対戦相手に投げつけるに決まってんだろ。だからと言って最初の対戦相手にはやらねえけどな。イタチの溺愛している弟だし…」
「俺に向かってそんなことをしたら絶交だからな!」
もはやアキホは涙目だった。それだけあの黒い虫は嫌なのだ。
「フリか。」
「フリじゃないっ!そんなことをしたら、わ、わさびをお前の鼻の穴に入れちゃうよ!」
思わず女らしい言葉遣いをしてしまうアキホ。それほどまでにあの黒い虫は女性陣にとって天敵なのだ。男であっても苦手な者は多いが。
「わかったわかった、お前じゃなきゃ良いのか?」
「余程嫌われている奴でもない限り、投げたら女子全員から嫌われるぞ…」
「…そう言えばアキホ、お前の最初の対戦相手はナルトだったよな?よかったら使うか?」
「俺がそんなもの投げたら俺がゴキブリ女とか言われそうだから投げないぞ!」
「そうか残念だ。そうなると俺は使えないか…油女の虫好きにでもやるか。あいつ以外使わなそうだし。」
「勝手にしろよ…それとフブキから伝言だ。今話題になっている都市伝説の劇物、J・アンシチューのような毒は作るな。だそうだ。」
「…その手があったか!アキホ、サンキュー!」
タキオは姿を消してしまい、アキホはため息を吐いた。
☆綱手
そして夜。疲れ切っていたアキホはぶらぶらと歩いていた。
「あの情報屋コロス…!」
前言撤回。情報屋を探す為に目を凝らし、賭博場をグルグルとうろついていた。その様はまるで殺人鬼のようだった。何故情報屋を探しているかは冒頭を参考にしてもらいたい。
「助けてください〜っ!」
シスイほどの年齢の女性が強面の男達に追いかけられ、逃げ回っていた。
「あのネーチャンも災難だな…ん?」
アキホはそれを無視した。しかしとある男が視界に映り込み目の色を変えた。
「あ″っ!?あの野郎…待てやゴラァっ!」
その男はアキホに情報を与えた情報屋だった。思わず殺気をモロ出しすると情報屋達はそれに反応してアキホを見る。
「ぎゃぁぁぁぁっ!?鬼だ!鬼が出たーっ!!」
「助けてくれーっ!!」
男達は阿鼻叫喚。顔が歪むほどまでに怒り狂っていたアキホは構わず追い詰める。そして男達は逃げ…捕まった。
「お前らの足が使い物にならなくなるのと、金を出すのとどっちがいい?」
アキホの目は完全に座っており、なまじ美少女なだけに余計に恐怖を与えた。
「金だ!金を出すから!勘弁してくれ!」
「そうか…賢い判断で残念だ…とりあえず眠っとけ。」
「ぎゃぁぁぁぁっ!!!」
男達は叫び声を上げ、その場で寝てしまった。
「幻術・都市伝説の恐怖…なんてな。しばらくの間金を見るのも嫌になんだろ。」
アキホはそういって情報屋達から追い剝ぎをした上にズボンを下ろし、パンツ一丁の姿にする。まさしく外道のそれだった。
「あの!ありがとうございました!」
その作業の途中で情報屋達に追いかけられていた女性がアキホに頭を下げた。
「あん?助けた覚えなんてねえぞ。」
「その人達はあくどい商法で市民からお金を騙し取る悪い奴らなんです。この人達に騙されて私は危うくAV動画に出演されかけました。」
「てめえふざけやがって!俺だけじゃなくこのネーチャンのことも意図的に騙したのか!!」
アキホは情報屋の股間を蹴り、踏む。被虐趣味の変態であれば興奮しただろうがこの場にいるのは寝ている詐欺師である。というか八つ当たりだと気づいていたことに驚きである。
「それよりもどうしてそんなに金が必要だったんだ?」
「師匠の師匠が賭博に使う金が必要だからって言って…」
「…それであんな奴らに金をもらおうとしたのか?」
「はい…」
「ならそいつはどこにいる?賭博の金が足りないから近くにいるんだろ?案内しろ!」
「は、はい!」
アキホはその女性について行き、賭博場へ入る。すると金髪の女性がそこにいた。
「センス、持ってきたのか?」
どうやらこの金髪の女性が例の師匠の師匠らしく尊大な態度をとっている。
「いいえ…綱手様、それが…」
「何?どういうこと…!?」
そしてその金髪の女性、綱手が振り向くとそこには般若の顔をしたアキホがいた。
「綱手姫、これはどういうことですか?」
「こ、これは失礼致しました!アキホお嬢様!」
綱手は土下座をしてアキホに頭を下げる。アキホはお嬢様だったがその窮屈な生活が嫌になり忍者になろうと決意してアカデミーに入ったのだ。しかしどこに行ってもお嬢様扱いされた。お嬢様扱いされるのが嫌なのにそうされてはたまったものではない…アキホは次第にグレ、アカデミーで不良行為を働くことになった。
「そう畏まらないでください。俺は所詮一介の下忍、それに対して貴女は上忍。だから俺に頭を下げる必要はありませんよ。」
しかしアキホはお嬢様としての生活を忘れた訳ではない。幼き頃から学んだ上品な言葉遣いは多少(一人称くらい)は崩れているがまだまだ残っている。というかこの話し方が素なのだ。
「はっ…では…」
「ただし!そこのセンスさんからお金をカツアゲするとは何事ですか!?パワハラですよ!すぐにこの女性に頭を下げなさい!」
「すまなかった、センス!」
「いえ…」
「かつて三忍と呼ばれた綱手姫とあろうものが情けない…このことは父を通して報告させてもらいます。」
「そ、それだけはご勘弁してください!」
「ではセンスさん。貴女はどうしたいですか?」
「綱手様に謝って貰えればそれで充分ですよ…」
「ふむ、そういえば綱手姫、彼女は何を教わっているのですか?」
「医療忍術を少々…」
「綱手姫、これからは貴女もセンスさんの医療忍術の修行に付き合いなさい。」
「是非やらせていただきます!」
「ではセンスさん。不幸なこともありましたがこれからは綱手姫がつきっきりで面倒を見てくれるようですよ。」
「はい!ありがとうございます!」
「これにて一件落着…では失礼します。」
アキホはそう言って綱手達と別れ、アキホのとても濃い1日が終わった。
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25話
ちなみに今回はタキオの修行回です。フブキ、アキホと続いて彼の修行回をお楽しみに。
☆☆☆☆
俺は火影執務室で頭を抱えていた。その理由はただ一つ。原作知識が使えなくなり始めたことだ。確かに戦闘に関する情報はまだ使えるだろうがマダラとかカグヤとかそんなラスボスみたいな奴らでなければパワーアップしたフブキ一人でどうにでも出来そうな気がする。しかしフブキは言ってみればチェスのクイーンのような存在だ。下手に動かせば木の葉の戦力ダウン待った無し。采配は俺に委ねられている状況だ。
まあここは普通にイレギュラーとか名前が出てこなかった強キャラを止める役割に回すのが一番良いんだろう。原作イタチならフブキを上手く使う…というか多分ナルトの役割を果たさせるんだろうが…所詮中身は俺。信長の野暮用のステータスでいうなら武力と内政が少し上がってそれ以外のステータスが下がったようなもんだ。…それらが上がった理由?確かに漫画で見る原作イタチはいくら過大評価しても仕切れないくらいの天才&人格者だが世間はどうだ?
最終階級中忍(前世の世界でいう高卒or係長)&うちは一族皆殺し&木の葉の内政に関わることなく抜け忍となった&暁の命令(九尾を連れてこいなど)の失敗&最期は弟に殺される
これだけ聞けば誰だって無能&残酷だって思えるわな。サスケとかナルトとかサスケとかヒルゼンとかサスケとかキラービーとか実際にイタチの性格を知った上で会った奴は無能扱いに頑固抗議するだろうが世間の目はそんなものだ。ナルトが九尾を封印した英雄じゃなく、木の葉を潰そうとした九尾として評価されるようにな。
…え?俺が原作イタチを上回っているはずがない?はっはっはっ…何を馬鹿なことを。うちはマダラですら火影になれなかった火影(前世でいう総理大臣ポジ)に就任するという功績面では俺はうちはマダラすらも上回る。でなきゃ俺は原作イタチよりも優秀なんて考えねえよ!
「イタチ上忍。お邪魔するぜ」
そんなことを考えながら書類整理していると珍しくタキオが俺の元へやってきた。
「どうした?」
「チャクラの性質変化3つくらいは自在に扱えるようになったんだが形態変化の方で行き詰まったんだ。それで誰か良い人はいないか相談しに来たんだよ」
なるほど性質変化は3つ出来る…って既に3つも出来るのかよ!?末恐ろしい奴だ。上忍達でも3つの性質変化は中々いないっていうのに…流石アカデミー歴代最低出席者。天才ってのはこういう奴のことを言うんだな。
「…息抜き程度に軽く教えてやる。それでマスターしろ」
俺はタキオの肩に手を置いてそう告げるとタキオは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。どうせこいつは一を見て十を知るような奴だ。軽く見せるだけでもいいだろ。
〜某演習場〜
「それじゃタキオ。お前も形態変化をいくらか使ったことはあるだろう…それを言ってみろ」
「チャクラ刀…他には日向一族の柔拳くらいか?」
「当たりだ。他にも人形使いが使うチャクラ糸が挙げられるな」
「チャクラ糸?あんなのが形態変化なのか?」
「そうだ。チャクラの形を変えるのが形態変化の定義みたいなものだ。だからチャクラ糸も形態変化と言える」
「それは理解したがそんなものが役に立つのか?見た感じチャクラ糸は人形使いにしか使わなそうな気がするが…」
「チャクラ糸を応用すればこんなことも出来る」
そう言って俺は通常の10倍以上も太いチャクラ糸を作って木にくっつける。そしてチャクラ糸を自分の方へ引っ込めると木が地面から飛び出し、チャクラ糸とともに引っ張られた。
「どうだ上手いもんだろう?」
「そういう使い方があるのか…」
「並の相手なら引き寄せられるし、他にもやりようによっては…巻物等の軽い荷物を奪うのにも便利だ」
戦闘にも役に立つと言いたかったがタキオの場合、戦闘面よりも任務遂行面で例えた方がいい。
「しかしどうすれば形態変化の修行ができるんだ?」
「これを使え」
タキオに水風船を渡すとタキオはそれを見て一瞬で理解した。
「なるほど、この水風船の中の水をチャクラでかき回してやれば良いのか…」
普通そこまで頭が回るか?普段その力を発揮しろよ。確かに無能な働き者は処刑しろとはいうが有能な怠け者も考えものだよな。
「それだけじゃダメだ。確かに形態変化は習得出来るかもしれないが今俺が教えているのがその形態変化の究極形…螺旋丸だ」
「螺旋丸?」
「四代目火影様が開発した一撃必殺の技だ。これさえ出来ればお前は実質形態変化をマスターしたことになる」
「それってただイタチ上忍が教えたかっただけだろ…」
「何か言ったか?」
「何でもない。それよりも螺旋丸の見本見せてくれよ。螺旋丸がどんなものなのか見てみたいし」
まあどうせこいつのことだ。見本さえ見せればすぐに習得するだろう。…習得失敗フラグとかいうなよ!?
「よし、見せてやる」
俺はタキオに右手を見せるように前に出す。そしてチャクラを右手の掌に集中し、搔き回すようなイメージを持って螺旋丸を作る。
「これが螺旋丸だ。さらに螺旋丸に性質変化を加えることによってこんなことも出来る!」
俺は螺旋丸に火遁を加え、炎の剣を作り上げる。ビームサーベルとは違い範囲が馬鹿デカイのが特徴だ。
「螺旋炎剣!」
ネーミングセンス皆無なその炎の剣を木にぶつけると木が蒸発し、灰すらも残さなかった。
「タキオ、これが螺旋丸に性質変化を加えたものだ」
俺がそう言いタキオの方へ振り向くとタキオはものすごい勢いで地面に式を書いていた。
「…チャクラの塊である螺旋丸を半径をrとした球体と見なす。その場合はπ×r^3×3/4に従い…ブツブツ」
…ダメだこりゃ。タキオが時折「必要最低限のチャクラ量は…」とか「あれ以上威力を増すには螺旋丸のチャクラを…」とか最早物理学者の如く解析している。こういったことは任務の最中でもよくあり、それが原因で任務も増えたものだ。
例えば大量生産中心のいちご農家の肥料撒きの手伝いをした時はブツブツ言いながら肥料を弄って土に植えたら翌日、タキオの肥料を撒いた所全てのいちごが1個180g以上成長しブランド品になり、農家達から引っ張りだこになった。サスケの好きなトマト農家もタキオの肥料によって育てられたものだ。
とある貴族の大庭掃除の時にはフブキとアキホが箒や雑巾を持って真面目にやっている最中、タキオは物足りないからと言う理由で庭にジェットコースターを設計して2時間で作り、取り付けたと言った様々な武勇伝を残している。その後貴族の間でジェットコースターブームが到来し、またしてもタキオは引っ張りだこだ。昼寝したい本人からすれば迷惑でしかないが。
こうなったらタキオが解析し終わるまで待つしかない。どんなに時間がかかっても5分くらいで終わるし、何よりも良い結果になることには違いない。
「よし、計算完了だ」
タキオがそう呟くと背を向け、水風船を右手に持つと螺旋丸が水風船という殻を破り現れた。…嘘だろ?写輪眼も真っ青なコピー能力かよ。1日くらいで出来てもおかしくないと思っていたがこれほどまでに早いとは思わなかった。
「さらに風の性質変化を加え、接近形螺旋丸から放出形螺旋丸に変更!」
タキオは螺旋丸のチャクラを変え、竜巻状に変化させる。するとタキオは腕を前に出した。
「竜巻螺旋丸!」
タキオがアレンジした螺旋丸はナルトの螺旋手裏剣とは違い、腕を中心とした竜巻が木を切り裂く。まんま獣王会心撃そのものだ。違うところといえば僅かに感じるチャクラが風に乗って乱回転しているところだ。
「タキオ。螺旋丸を完成させるだけでなく性質変化も取り入れるとは天晴れという他ない。」
「当たり前だ。式や法則に従えば大抵のことは何とかなる」
いやこれは式や法則に従えば何とかなるってレベルじゃないぞ。螺旋丸の習得ランクはA、さらに性質変化を取り入れたものはSランクだ。あのカカシですら螺旋丸は出来ても性質変化を取り入れることはできないからな。
「しかし腕は大丈夫なのか?」
「腕?ああ、確かに理論上風の性質変化を加えた螺旋丸は腕の近くでやると使い物にならなくなる危険があるが、俺は螺旋丸の威力を消さずに前に放出したから何も問題はない」
「ならいいが…万一腕に異常があったら放ったらかしにせず病院へ行け」
「わかりましたよ。イタチ上忍。これ以上聞くこともないので失礼します」
全く…とんでもない天才が世の中にはいたもんだ。フブキやアキホもそうだがこんな奴が原作にいたら間違いなくナルト達の最大の壁になっていただろうな。
はい、という訳でタキオのチート回でした。次回から試験に戻りたいと思います。
尚、どうでもいいですが私の活動報告にて新規投稿小説のアンケート(ちなみにNARUTO関係ない)を行っています。よろしければそちらのほうにお顔を出してください。
ちなみに上記の文が規約違反していたら即刻消しますので私の方にご報告してください。
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26話
世の中には邪魔者という居てはならない存在がある。そいつのせいで戦争を引き起こしたり、マダラを蘇らせたりと、とにかく害にしかならない。そいつの名前はゼツ。こいつがいる限り何度でも戦争が起こる。何故ならゼツは母親であるカグヤを蘇らせる為に行動していて、原作において一番こいつに振り回されたとも言える存在だ。物語としては必要な悪役かもしれないがこの世界においては邪魔者そのものでしかない。
と言うわけで。俺はオビトを呼び出した。
「トビ。お前に任務を与える」
「俺に任務だと? 随分俺を信頼しているな」
「お前にしか出来ないことだからな。やむを得ない」
「俺にしか出来ないことだと?」
「オビト。お前はうちは一族に伝わる歴史を知っているのか? ……あれは嘘だ」
俺は間髪入れずに嘘と断言する。マダラがオビトに無限月読のことを話している。つまり間違った情報が次から次へと伝わっているんだよな。あれ。
「うちは一族に伝わる歴史が嘘だと?」
「無限月読。それがお前のかつての目的だったんだろう?」
「……」
「うちは一族に伝わる歴史は石碑によって伝えられてきた。しかしそれは歴史を重ねる内に悪し者の手によって改竄された」
そこで息を入れ、俺は水筒の水を飲んだ。
「それがマダラと言いたいのか?」
「いいやマダラもまたその改竄された情報に振り回された被害者。うちは一族、いや六道仙人の石碑を改竄したのは別の者だ」
「誰だそいつは?」
「お前がゼツと呼ぶ生物だ」
俺の発言にオビトはとうとう固まってしまった。そりゃそうだよな。この時のゼツって暁に所属しているだけの存在だし、そいつが黒幕なんて誰も気づける訳がない。そこまで気づけた読者は予知能力をお持ちになっているか未来人のどっちかだよ。
「あいつが、本当にそうなのか? あいつは柱間の細胞から生まれた存在だ。そんな奴がマダラの目を盗んで石碑を改竄するなんて真似は出来ないはすだ」
オビトの言うことは一つを除けば正しい。だけどその一つのことのせいで推測もすべて間違いになってしまう。
「忍び足る者、裏の裏を読め。もしそれが嘘でゼツが初代様よりも前に生まれていたとしたらマダラの目を盗むどころか生まれる前に改竄出来る」
そう、ゼツは柱間が生まれる前に生まれている。それなら矛盾もない。
「そう言われてみれば確かに、そうかも知れない」
「ここから先は話しが長くなるがかまわないな?」
「わかった……」
「うちは一族、そして千手一族の祖先である六道仙人を初めとしたご先祖様達はかつて悪し者を封印した。その悪し者は封印間際に六道仙人達に悟られぬよう、自分の分身を作り出しそれを世に放った。その分身こそがゼツだ。ゼツは自らの本体を復活させる為に六道仙人の後継者争いに敗れた我々うちは一族の祖先インドラを焚き付け、千手の先祖アシュラと対立させるだけでなく子々孫々までその争いを巻き込ませた」
偉く迷惑な話しだよな。カグヤを復活させる為だけに戦争を起こして俺達を巻き込んだんだからな。
「何故だ? その悪し者を復活させるのとうちは一族と千手一族を対立させる意味がわからない」
「わからないか? 封印の鍵は無限月読だ」
「無限月読だと? 馬鹿な……あれは地上の人間全てに同一の幻術をかけ、意識を統一した上で月読の幻術世界へ引き込む。そう聞いたぞ」
「それは間違いじゃない。月の光を浴びた生物を生け贄とし、悪し者を完全に復活させる。それが無限月読だ」
実際にはもっと違うが、否定することによる事態の危険性を伝えるにはこれで丁度良いだろう。とにかく無限月読=危険だということを伝えればいい。
「話を戻す。お前の任務はゼツを封印することだ。生死は問わないが出来ることなら殺せ」
「出来ることなら?」
「ゼツは無限月読を使わずとも悪し者を復活させることが出来る。ただしうちは一族と千手一族、両方の体を媒体としなければならない。つまりトビ、お前を媒体として悪し者を蘇らせる可能性もあるんだ」
原作ではマダラがカグヤの触媒になったが、オビトはマダラに柱間の細胞を埋め込まれているからその可能性はあるんだよな。
「では何故、俺にゼツを封印するように頼んだ?」
「けじめが主な理由だが、それ以外の理由はゼツを油断させる為だ。奴が忍びらしく情報を操作したならこっちも忍びらしく騙して殺る。実にゼツらしい死に方だろう? それにゼツの行方を知っているのはお前だけだ」
「……えげつない奴め。それで俺が失敗したらどうする?」
「その時は悪し者が復活している時だ。俺達も死ぬ……後は任せたぞトビ」
俺がそう告げるとオビトはお得意の時空間忍術でその場から去り、消えていった。
「これで策は成ったな」
ゼツさえ死ねば後は小物だけだ。大蛇丸がマダラを蘇らせるなんてことは出来もしないし、やらないだろう。あいつ真実知っていたっぽいし。ところで今まで何故、ゼツ暗殺をやらなかったのかというと本当に無理だからだ。暁の活動拠点を知っていてもゼツがそこにいるとは限らない。むしろ暁の中では危険度の薄いとされているゼツをターゲットにする理由がなく、指名手配もろくに出来なかった。だがこうしてオビトが味方になったことによってゼツに怪しまれずに殺すことが出来る。悪いなゼツ太。この世界はカグヤの為にはないんだ。
「……終わったぞイタチ」
また時空間の裂け目が現れ、オビトが戻ってくる。それを見た俺は写輪眼にしてチャクラや仕草などを見分ける。
「そうかご苦労だった」
俺がクナイ投げオビトを襲う。そしてそれはすり抜け、オビトが正真正銘本物だと確信した。
「イタチ、いきなり何の真似だ?」
「あれだけ歴史を書き換えた奴だ。チャクラを変えお前に化けている可能性も否定できない。だから試させて貰った」
そう、ゼツの厄介な所はチャクラをもコピーし他人に成り代わることも出来る。しかし弱さは相変わらずで、戦闘以外ならばともかく戦闘になるとその正体がバレてしまう。それにオビトの時空間の移動は万華鏡写輪眼によるものだ。故に写輪眼にチャクラが集まっていた時点でゼツじゃないとほとんど確信がついていた。しかし奴らとてバカではなく眼の付近にチャクラを集めることなど動作もないはずだ。この世で一番うちは一族を研究していたのはゼツといっていいくらいだからな。
「今のでトビが偽物ではないことを確信した。よく帰って来てくれたな。オビト」
「勘違いしてもらっては困る。俺はまだゼツを全て滅した訳じゃない。殺ったのは本体だけだ」
「幹だけか……残る枝葉は?」
「あまりにも数が多すぎるからな。地道に回収する」
まあ、やむを得ないか。あいつら忍界大戦の時めちゃくちゃいたしそこら辺が妥当だな。
「俺からも後始末をするように呼び掛ける」
「また会うときはお前が五代目就任した後だ。その時に報告する」
そしてオビトが瞳術を使いその場から消える。それにしても五代目就任か。タイミングを見て就任する必要は……ないな。いつ就任してもいいようにゼツの後始末を全てやる気迫があったからな。
「一人で背負うなよ」
それは俺自身に対しても、オビトに対しても言ったのかもしれない。だけどもうじき中忍試験本選が開催され、木の葉崩しが起こる。そして木の葉隠れは……全壊どころか半壊もしないだろうな。うちの班のパワーインフレが酷すぎるからな。大蛇丸一人程度ならどうとでもなるし、こっちにはシスイもいる。サスケが闇落ちしないように注意するだけだな。
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