GOD EATER ~龍と虎を背負いし兄弟〜 (ミスターポテトヘッド)
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無印篇~伝説の始まり~
act.0 悲劇の夜


2067年8月18日悲劇は起きた。そしてその悲劇はとある兄弟の運命を大きく変えることとなる


---------2067年 8月18日 極東支部外部居住区

 

いつもならそこに住む者たちが寝ているため居住区の中は静まり返っているはずだが、この日は違った。

 

居住区に鳴り響く警報音、それとほぼ同時に起きるなにかが爆発したような爆音、それと共に居住区の中になにかが入ってくる。

 

----その名はアラガミ...

 

突如として現れたアラガミは居住区から逃げ遅れた人間を見境なく捕食していく...

先程まで静寂が広がっていた居住区は、一瞬にして人間の悲鳴と血生臭い匂いが充満する戦場へと化した

 

その居住区の一角を逃げる1組の家族がいた...

 

「母さん、タツヤ、トラ大丈夫か!?」

「私は大丈夫よ」

「僕達も平気だよ」

「よし、その角を曲がれば極東支部までもう直ぐだ、あと少しの辛抱だぞ!」

「なんとか助かりそうだね父さん」

「うっ、くそっ」

 

角を曲がった先でその家族の父が見たものとは...

 

「くそ、こんな所にまでアラガミが...」

「父さん、どうするんだよこのままじゃ...」

「母さん...タツヤ達を連れて極東支部の中に避難するんだ、私が時間を稼ぐ」

「でもそれでは父さんが...」

「なぁに引退したとはいえこれでもゴッドイーターだぞ?時間を稼ぐ位問題ないさ」

「...わかりました。行くわよタツヤ」

「わかった、父さん必ず帰ってきてね」

「あぁ必ず帰る」

そう言って父親はアラガミに向かって地面に落ちていた石を投げつけた。

 

「ギャァァァァァァ!」

 

アラガミは石を投げつけた父親に攻撃の的を絞る

 

「今だ!行くんだ!」

 

父親がそう叫んだ瞬間、母親と子供達は極東支部に向かって走り出した。

 

----しかしそれを狙っていたかのように別のアラガミが母親と子供達に襲いかかる...

 

「!? 母さん、危ない!」

「えっ?」

 

突如襲ってきたアラガミ。四本の足を持ち胴体には羽が生え剣のように鋭い尻尾をもつその異径のアラガミの攻撃で母親達は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた

 

「ガッ!げほっげほっ」

「!? 母さん、タツヤ、トラ!」

「タツヤ、トラ...大丈夫?」

「せ、背中が痛いよ...」

「ううっ、背中が...」

 

まだ悲劇は終わらない...

 

「!? 母さん!」

「タツヤ、トラ!」

 

突如として子供達の上に瓦礫が落ちてきたのだ

先に気付いた母親が子供達を突き飛ばし子供達は難を逃れたが...

 

「ううっ...」

「か、母さん?」

「タツヤ...トラを連れて逃げなさい...」

「なに言ってんだよ母さんも一緒に」

「だめよ、母さんは瓦礫に挟まって逃げれそうにないわ。だからあなた達だけでも逃げなさい...」

「そんなこと、できないよ...」

「だめよ、このまま此処に居たのでは皆死んでしまう...だからあなた達は逃げて生き延びなさい」

「でも...」

「行きなさい!母さんの言うことが聞けないの!?」

「...わかった」

「タツヤ!心配すんな父さんが母さんを連れて必ずそっちに行く!」

「うん...行くぞトラ」

「うん、兄ちゃん」

 

そう言って子供達は極東支部に向かって走り出す。

(強く生きるのよ、タツヤ、カゲトラ...)

 

極東支部のゲートが開き始めた、どうやら神機使い達が来るようだ、それを見てタツヤは少し安心した。

しかし、ゲートが開くと同時に後ろで嫌な音がなり始めた。

思わず立ち止まって後ろを振り返るタツヤ。

そこで彼が目にしたものは...

 

「ガリッ!クチャクチャ...」

 

.........両親がアラガミに捕食されている光景であった...

 

「...父さん?母さん?」

「ん? おいお前達そこで何してる?」

 

後ろから聞こえる何者かの声、おそらく極東支部のゴッドイーターの声であろう

そのゴッドイーターはタツヤ達に近寄り目の前の光景を見て全てを察した

 

女性のゴッドイーターはタツヤ達を抱き寄せこう言った。

 

「.........早く支部の中に避難するんだ、お前達が生き延びなければお前達の両親が報われないぞ」

 

そう言って女性のゴッドイーターはタツヤ達を連れ支部へと向かった

 

「ん、姉上その子達はなんだ?」

「さっきそこで保護した、リンドウ支部の中に連れていってやれ、私は居住区に向かう」

「了解です姉上」

「それと1回耳を貸せ」

「ん?」

「この子達はさっき目の前で両親を失っている、くれぐれもその事には触れるなよ...」

「そうか...了解した」

 

そう言って女性ゴッドイーターは恐らく弟であろう人にタツヤ達を預けた。その人も右腕にゴッドイーターの証である腕輪を付けていた。

 

「ここまで来ればもう安全だ。俺は居住区に行くからここで大人しくしてるんだぞ」

 

そう言って男性ゴッドイーターは立ち去った。

 

「なぁトラ」

「どうしたの?兄ちゃん」

「俺決めたよ、ゴッドイーターになる。ゴッドイーターになってあのアラガミを倒す」

「...兄ちゃんがゴッドイーターになるなら僕もゴッドイーターになる」

「そうか...じゃあ2人であのアラガミを倒そう、父さんと母さんの仇をとろう」

「うん兄ちゃん...」

 

この日ある兄弟の運命が変わった。

両親をアラガミに殺されたことで兄弟はゴッドイーターになって親の仇を取ることを誓う

 

桐生タツヤ 14歳

桐生カゲトラ 11歳

 

この悲劇の日から4年後、彼らの物語が動き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、なんとなく思いつきで始めたゴッドイーターの小説です。
小説なんか書くの初めてなんでうまく書けてるか心配ですが初心者なので大目に見てくださると幸いです。
飽きっぽい性格&リアルの都合で失踪の可能性ありです(>_<)
この話の中で出てきたゴッドイーターはツバキさんとリンドウさんです。思いっきり名前だしてたんでわかると思いますが笑


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act.1 神機使いになりました

悲劇の日から4年後の2071年、タツヤとカゲトラの物語は動き出す...


 

----2071年 7月14日 極東支部外部居住区----

 

居住区の中の道を歩く2人の青年がいた

 

「いよいよ明日だね、兄さん」

 

こう話す青年の名は桐生カゲトラ(15)

 

「あぁ、そうだな」

 

こう話す青年の名は桐生タツヤ(18)

 

「あれからもう4年か...月日が経つのは早いものだな」

「兄さん、その言葉おじさんっぽいよ」

 

カゲトラは兄の言葉に苦笑する

 

「おじさんっぽくて悪かったな、それよりもうすぐ着くぞ」

「あ、ホントだ」

 

2人が向かっていた場所、それは...

 

「父さん、母さん、今日は報告があってきたんだ」

 

2人が向かっていた場所、それは両親の墓であった。

 

「俺達、父さんと同じゴッドイーターになるんだ、父さん達の仇を取ってあげるから俺と兄さんを守ってくれよ...」

 

そう言ってカゲトラは墓の前に花を添えた

 

「さぁ、そろそろ行こう。明日は早いしやる事だって沢山あるんだ、今日はもう帰って休むぞ」

「わかったよ兄さん、じゃあね父さん、母さん」

 

そう言って2人は両親の墓を後にする

 

---翌日---

 

タツヤ達はフェンリル極東支部 通称アナグラに居た

 

「...それでは心の準備ができ次第目の前にある神機に手を置いてくれ」

 

そう言われタツヤ達は目の前の神機に手を置いた

置いた瞬間、タツヤ達の腕を挟むように上から機械が落てきた。

それと同時にタツヤ達の右腕に激痛が走る。

 

「っ!?」

「ぐぉぉぉぉ!」

 

数秒後、落てきた機械が上がるのと同時に右腕の痛みは和らいでいった。

そしてタツヤ達の右腕には神機使いの証である腕輪と神機が握り締められていた。

 

「おめでとう、今日から君達もゴッドイーターだ。これにて適合試験は終了だ、気分が優れないときは直ぐに申し出るように」

 

-------------------------

 

「ふぅ~終わった終わった」

「あぁ」

「にしても結構痛かったな〜あれ」

「あぁ、あれは相当な激痛だった」

 

タツヤとカゲトラは適合試験が終わったため、とりあえずエントランスに向かって歩いていた。

 

「ん?もしかして君達も新人?」

 

エントランスに入ると突然声をかけたられた。

「君達も」と言ってくるあたり、おそらく彼も新人だろう。

 

「そうだよ、さっき適合試験が終わったばかりなんだ。あ、俺は桐生カゲトラ、トラって呼んで。んでこっちが...」

「カゲトラの兄の桐生タツヤです。よろしく」

「おぉ兄弟だったのか、俺は藤木コウタ、よろしく」

「コウタも新人?」

「あぁそうだけど」

「じゃあ新人同士がんばろうね」

「おう!それにしてもお前ら兄弟だよな?」

「? そうだけど...」

「なんていうか、あんま似てねえな」

「それ皆から言われるんだよねー」

「俺は父親似でカゲトラは母親似だからな」

「なるほど、トラ達の両親って居住区に住んでんのか?」

「......4年前にアラガミに襲われて2人とも死んだんだ」

「あっ、悪ぃ嫌なこと聞いちまって」

「別に構わないさ、俺もカゲトラも今は立ち直ってるからな」

「うん!そうだよコウタ、気にすることないって」

「...タツヤ、トラ、お前ら強いな」

「おい、お前達」

『!?』

 

3人で話していると突如として後ろから声をかけたられた。

 

 

 

 




やっと本編に入れました...ここまでのストーリーを考えるだけで疲れました。こんなんでやっていけるか不安です。
リアルでの都合上更新は不定期です。今は春休みなのである程度早い更新にはなると思います...多分
指摘コメやらなんやら受け付けてます。


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act.2 初陣

タツヤとカゲトラは無事適合試験を終えエントランスにいた同じ新人の藤木コウタと知り合う、コウタと話していると突如後ろから声をかけられたのであった...


「おい、お前達」

「!?」

『あ...』

「立たんか」

「へ?」

「さっさと立たんか!」

「は、はいっ!」

 

突如として現れた女性に怒鳴られ3人は即座に立ち上がる。

いきなり怒鳴られたためコウタはびっくりした表情をしているがタツヤ達はというと...

 

「お久しぶりですツバキさん」

「ご無沙汰してます」

「ん?あぁ、そういえばお前達も今日から新人だったな」

「えぇ、また今日からお世話になります」

 

そう言ってタツヤは頭を下げる。それを見ていたコウタは頭に?マークを浮かべていた。

 

「別にそんなにかしこまらなくてもいい。それよりこの後の事を説明する。この後お前達3人にはタツヤ、カゲトラ、コウタの順でサカキ博士のメディカルチェックを受けてもらう、サカキ博士の研究室に行くにはそこのエレベーターを使え、以上だ」

 

そう言ってツバキはその場を後にする。

 

「こぇぇー、あの人が教官かよ...」

「やっぱりツバキさんが教官だったね」

「あの人が教官なら安心できるな...」

「トラ達ってツバキ教官と知り合いなのか?」

「あぁ、両親が死んだ時にツバキさんに助けられてな、それからはツバキさんになにかと世話になってる」

「あぁ、どうりで仲が良かったわけだ」

「さて、そろそろメディカルチェックに言ってくる」

「ん、わかった」

「おう、頑張ってこいよ」

(メディカルチェックに頑張ることってあるのか...?)

 

---アナグラ内 サカキ博士の研究室---

 

「やぁ待っていたよ新型くん」

「初めまして」

 

タツヤが研究室に入ると、目の前にあるパソコンを操作しながら話すメガネをかけた人に話しかけられた。

そしてタツヤは即座に挨拶をする。

 

「そんなに改まらなくてもいいよ、僕のことは自由に呼んでくれ、さて、早速メディカルチェックを始めようか」

「はい」

 

-------------------------

 

「ふむ、特にこれと言った問題はないね、けど...」

「?どうかしたんですか?」

「君の体の中に極少量だけどオラクル細胞が存在しているんだ、今はこれといった驚異はないけど、どうしてオラクル細胞が身体の中にあるのか君は心当たりはないかい?」

「...俺にはちょっとわかりませんね」

「そうか...今は驚異ではないとはいえどうなるか分からないから注意していてくれたまえ」

「わかりましたサカキ博士」

 

そう言ってタツヤは研究室から出た。タツヤは分からないと言ったが思い当る節が一つだけあった。

 

(まさかあの時の傷が原因なのか?いや、今は考えないでおこう)

 

タツヤは自分の心の中でそう自己完結させた

 

 

---2時間後---

 

「メディカルチェックご苦労だった。この後の予定だが、タツヤとカゲトラはリンドウと、コウタはサクヤと共に実地演出を行ってもらう、後はリンドウとサクヤに指示を仰げ以上だ」

 

全員がメディカルチェックを終えるや否や直ぐにツバキが招集をかけタツヤ達に以上の指示を出した。

 

「うへぇ、メディカルチェックが終ったと思ったら今度はいきなり実地演出かよ...」

「それくらい僕らは期待されてるんじゃない?」

「そうだといいんだがな」

「でも実際そう思ってないとやってられないぜ...」

 

-------------------------

 

荒廃した街の高台の上で1人の神機使いがタバコを吸いながら任務の同行者を待っていた。

するとそこに同行者達がやってきた。

 

「お、やっと来たな」

「すいません、お待たせしましたリンドウさん」

「お久しぶりです、リンドウさん」

「おう、お前らもとうとうゴッドイーターになったな」

「えぇお陰様で」

「さて、無駄話はここまでだ、今日はここでオウガテイルを討伐してもらう。小型のアラガミとはいえアラガミはアラガミだ、油断はするなよ」

「わかりました」

「了解です」

「よし、行くぞ!」

 

高台から飛び降りて少し行ったところの開けた場所に討伐対象を捕捉した、どうやら建物を捕食しているようだ。

 

「よし、対象を捕捉した。いいか、トラは後衛で銃撃による支援、タツヤは遊撃で、俺が前衛...わかったな?」

『了解です』

「うし、行くぞ」

 

言い終わると同時にリンドウは走り出した、それに続いてタツヤも右側から回り込むように走り遊撃を開始、カゲトラは銃撃を放ち先制を取った。

 

「!? ギャァァァァァァ!」

 

突然の攻撃に虚を突かれたオウガテイルは一瞬動きを止めたが即座に立ち直り攻撃体制に入った。

しかし、オウガテイルが動きを止めた一瞬の隙を彼らが逃すはずもなく...。

 

「おらぁ!」

「そこだ!」

 

オウガテイルが動きを止めた一瞬の隙を突いてリンドウが即座に距離を詰め正面から上段から下段に神機を振るった。その斬撃は見事オウガテイルに命中し、怯んだところを右側からタツヤが横一文字にオウガテイルの胴体を切り裂いた。そこから追撃と思いきや2人はオウガテイルから距離をとった。なぜ距離をとったかというと...

 

「終わりだよ」

 

距離をとったのとほぼ同時にカゲトラが打ったバレットがオウガテイルに命中したからだ。

カゲトラの1撃を最後にオウガテイルは絶命した。

 

-------------------------

 

「なんとか終わったな」

「あとはコアを抜き取るだけですね」

「あ〜緊張したー」

「それにしてもお前ら、本当に初陣かよ。初めてとは思えない動きだったぞ」

「そうですかね?リンドウさんの指示がよかったからだと思いますよ」

「いや、俺が指示を出したのは最初のポジション分けだけだ、後は指示なんてもんは出しちゃいない。それなのにタツヤの追い討ちにカゲトラの先制と最後の銃撃、タイミングがバッチリだったぜ」

「それは褒めすぎですよリンドウさん」

 

カゲトラはリンドウの言葉に口元に笑みを浮かべながら返答する。

 

「さて、そろそろ帰るか」

「そうですね」

「帰ったらなにしよっかなー」

 

3人は任務を終えアナグラへの帰路についた。その途中で...

 

(...この神機、どうにも扱いづらいな)

 

タツヤは神機に違和感を感じでいた...

 

 

 

 

 

 

 




一応ですがキャラの性格を紹介します

タツヤ→クール系
カゲトラ→活発系

設定ではこういう感じになってます。
俺の力ではタツヤのクール力はこれが限界です...


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act.3 姐さん

リンドウとの任務の帰りに自分の神機に違和感を持ったタツヤは整備班のリッカに相談していた



「え?神機が扱いづらい?」

「そうなんですよ」

 

先の任務で神機に違和感を持ったタツヤは帰投後すぐに整備班の楠リッカの元を訪れていた。

 

「うーん、今の刀身パーツがタツヤ君に合ってないんじゃないかな?」

「そうなんですかね?」

「可能性としてはあると思うよ、次の任務の時に刀身パーツをロングから別なのに変えてみたらどうかな?」

「わかりました、それじゃ次の任務はバスターを使ってみようと思うので、リッカさんお願いできますか?」

「ん、了解。調整しとくよ」

「ありがとうございます」

 

そう言ってタツヤはリッカに頭を下げたあと神機保管庫を後にした。

エントランスに出るとリンドウに声をかけたられた

 

「おう、タツヤ」

「あ、リンドウさんお疲れ様です」

「おう、タツヤもな。トラには言ったんだがこの後の事を説明しておく、今日のところは後は特に何もない、自室で休むように、それと姉上から明日の10時にエントランスに集合だそうだ」

「了解ですリンドウさん」

「間違っても集合時間には送れるなよ、姉上は怒るとヴァジュラ12匹分に匹敵するからな」

「あ、リンドウさん後ろ...」

「ん、後ろ?」

「誰がヴァジュラ12匹分だって?」

「あ、姉上...?」

 

タツヤに言われリンドウが後ろに振り返るや否やツバキの静かな一言で場が凍りつく。リンドウに至っては額から冷や汗が垂れている。

 

「ここでは姉上と呼ぶなと言ってるだろう、それとヴァジュラ12匹分ではない、ヴァジュラ2匹分だ」

「いでででで」

(ヴァジュラのとこは否定しないんだな...)

 

リンドウの耳をつねり説教をするツバキ、それに対しタツヤは心の中でツバキの言葉に静かにツッコミを入れていた。

 

-------------------------

 

---翌日---

 

「ふむ、全員いるようだな。それでは本日の予定を説明する、タツヤとカゲトラはサクヤ隊員とコウタはソーマ隊員と合同任務だ、以上。死ぬなよ」

『了解です』

 

---嘆きの平原---

 

高台の上でサクヤはタツヤ達に今回の任務の説明をしていた。

 

「今回の任務はコクーンメイデンの討伐ね、私が後衛から支援するからタツヤ君は遊撃、カゲトラ君は前衛ね」

「了解しました」

「了解です姐さん!」

「あら、いいわねそれ」

「本当ですか?それじゃこれから姐さんって呼ばせてもらいます!」

「ふふっ了解」

「あ、姐さん...」

「あら、タツヤ君もそう呼んでもいいのよ?」

「いえ、俺はいいです...」

 

なんて、他愛もない雑談をしていると、任務開始時間がきた。

 

「それじゃ行くわよ!」

『了解!』

 

高台から飛び降り、少し進んだところに対象を捕捉した。

 

「私が銃撃で先制するから、その間に2人は距離を詰めて攻撃で行くわよ」

「了解」

「了解です姐さん」

「じゃあ行くわ」

 

そう言うとサクヤは自身のスナイパータイプの神機で銃撃を開始した。それを合図にタツヤ達もコクーンメイデンとの距離を詰める。

 

「グォォォォ!」

 

サクヤの銃撃でタツヤ達に気付いたコクーンメイデンはすぐさま攻撃態勢に入る。

 

「兄さん!俺が中距離から支援するから兄さんは後ろに回り込んで!」

「了解!」

 

カゲトラはそう言うと自身の神機を銃身に可変した。カゲトラの銃身はアサルトタイプで、中距離に特化したタイプの銃身である。

 

「グォォォォ...」

 

サクヤ、カゲトラの銃身を浴びコクーンメイデンは呻き声を上げ怯む。

後ろに回り込んでいたタツヤがその隙を逃すはずもなく...

 

(ここだ...)

 

タツヤは自身のバスタータイプの神機を構え、力を込めた。するとバスタータイプの刀身が禍々しいオーラを纏った。それを合図にタツヤが神機を振るった。

 

「これで終わりだ...」

 

ズドォォォォォン...

 

コクーンメイデンはバスター特有の溜め攻撃、チャージクラッシュをモロに受け、悲鳴を上げる間もなく絶命した...

 

-------------------------

 

「2人ともお疲れ様」

「お疲れ様です」

「お疲れ様です姐さん!」

 

3人はコクーンメイデンのコアを回収し終え、回収班の到着を待っていた。

 

「リンドウから聞いてはいたけど、あなた達本当に戦いは初めてなの?」

「はい、今回の任務で2回目ですよ?」

「そう、とても新人には思えない動きをだったわ」

「ありがとうございます」

「でも、油断は禁物だからね」

「はい、それは重々承知してます」

「ん、ならよし」

「あ、回収班が来ましたよ姐さん」

「了解、それじゃ今日の任務はここまで、後は私がやっておくから先に帰ってなさい」

「はい、お疲れ様でした」

「お疲れ様です姐さん!」

「うん、お疲れ様」

 

タツヤとカゲトラの2回目の戦いは無事に終わった...

しかし、その帰り道で。

 

(やっぱり、扱いづらいな...)

 

タツヤは又も神機に違和感を持っていた...

 

 

 

 




やばい、ネタが尽きそうだ(-_-;)
そしてPSPが壊れて原作のストーリーが分からなくなってしまった。これはピンチだ...
そういえばUAが150超えてました、見てくださった方有り難うございます。こんな下手な小説ですがこれからも見て頂けると嬉しいです


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act.4 死神とは名ばかりの...

サクヤとの合同任務を無事終えたタツヤ。しかし彼はまだ神機への違和感を拭いきれてはいなかった


---神機保管庫---

 

「あ、タツヤ君、トラ君お帰り」

「あ、リッカさん」

「ただいまですリッカさん」

「タツヤ君、神機どうだった?」

「なんかまだしっくりこないですね」

「...そっか」

「次はショートを使ってみようと思ってるんですが」

「ん、わかった調整しとくよ」

「毎回毎回すいません」

「大丈夫だよ、それが仕事だもん」

「ありがとうございます、では失礼します」

 

そう言ってタツヤはリッカに一礼し保管庫を後にした。

 

「兄さんの神機どうかしたの?」

 

神機保管庫から出てエントランスに着いたところでカゲトラにこう問われた。

 

「いや特別これといったことは無いんだが、神機が扱いづらくてな」

「あぁ、そういうことか。兄さんはゴッドイーターになる前はそこら辺に落ちてた鉄パイプで特訓してたから余計にそう思うんだろうね」

「確かにそれもあるな。細い鉄パイプからいきなりあのデカイ刀身に変わったからな」

「慣れるしかないんじゃない?又は姉ちゃんの所に行ってオリジナルを作ってもらうとか?」

「...あいつの所に行くのはあまり気乗りしないな」

「確かに、けど神機の事に関しては姉ちゃん物知りだからな〜」

「次の任務でも扱いづらかったら帰りに少し寄ってみるかな...」

「そうしてみたら?何もしないよりはマシだよ」

「そうだな」

「うん。それじゃ今日はあと何もないし休もうかな、明日10時にエントランスだよね?」

「あぁ、送れるなよ」

「了解、じゃあね」

 

(あまり気乗りしないが行くしかないのか...)

 

-------------------------

 

「今日の予定だが、タツヤとカゲトラはソーマ隊員、コウタはリンドウと合同任務だ。以上、死ぬなよ」

 

いつものようにそう言ってその場を後にするツバキ

 

「今日はソーマさんって人とかー、どんな人なんだろう」

「第一部隊に居るくらいだ、かなり腕の立つ人だろう」

「...ソーマはタツヤと同じくらいの歳だよ」

「え!?そうなのコウタ?」

「あぁ、そして結構強い、けど...」

「けど?」

「なんていうか絡みづらい人だった」

「マジか」

 

カゲトラとしては絡みづらい人というのは苦手の分類に入る、それ故少々不安になってしまった。すると...

 

「ようあんたら、次はソーマと合同任務か?」

「あいつは死神だからな、気を付けろよ」

 

突如上から声をかけたられた。

 

「あ、確かシュンさんとカレルさんですよね?」

「お、俺達の名前覚えてくれたんだ。なんか人気者になった感じ」

「それよりカレルさん。死神とはどういう事ですか?」

「あぁそれはな、あいつと任務に行った奴の死亡率が高いんだ。だから死神」

「え!?」

「けど腕は確かなんだよな、それにあいつは仲間が死ぬのを一番嫌ってるだから自分から人と距離を取ってるんだ」

「実際、一番仲間思いなのはあいつなんだよな...」

「けど、それを知らない奴らはあいつの事を悪く言うんだよな。俺達も今死神って言ったけど新人への念のための注意で言っただけだ」

「あぁ、俺達は別にあいつが嫌いなわけじゃない」

「...そうだったんですか」

「ま、なるべくあいつとは仲良くやってくれ、じゃあな」

 

そう言ってシュンとカレルは任務に出かけた。

 

-------------------------

 

---鉄塔の森---

 

鉄塔の森の集合場所には2人の青年の姿があった。その内の1人の青年がタツヤ達の姿を見つけるとタツヤ達に駆け寄り自己紹介を始めた。

 

「やぁ僕の名はエリック、エリック·デア=フォーゲルヴァイデ。エリックって呼んでくれ」

「!?エリック上だ!」

「え?」

「危ない!」

 

エリックが自己紹介を終えるとほぼ同時に彼の上からオウガテイルが襲いかかった。間一髪アラガミの襲撃に気付いたタツヤがショートタイプの刀身をオウガテイルに突き刺したため難をのがれた

 

「あ、危なかった。ありがとう助かったよ」

「いえ、当たり前の事をしただけです」

「命拾いしたな...」

「あっぶなかったー」

 

ひとまず4人は安堵の表情を浮かべる。

 

「ようこそクソッタレな職場へ。自己紹介がまだだったな、俺はソーマだ」

「俺は桐生タツヤです、よろしくおねがいします、ソーマさん」

「俺は桐生カゲトラ、よろしくおねがいします」

「さん付けは止めろ、呼び捨てでいい」

「わかりました。エリックさんもよろしくおねがいします」

「よろしくですエリックさん」

「あぁ、よろしく」

 

4人は一通り自己紹介を終え作戦を立て始めた。

 

「今回はオウガテイルとコクーンメイデンの討伐との事なので、俺とソーマは前衛で主にオウガテイルの掃討。エリックさんとカゲトラは銃撃による後方支援でコクーンメイデンの掃討。これでどうでしょうか?」

「俺はそれで構わねぇ」

「僕は問題ないよ」

「俺もそれでいいと思う」

「じゃあこれで行きましょう」

「了解、行くぞ」

 

高台から降り4人は、ソーマ·エリック、タツヤ·カゲトラのメンバーで二手に別れて索敵を開始した。

 

先に標的を捕捉したのはタツヤペア。

前方にはオウガテイル2体、コクーンメイデン1体

 

「俺の相手は2体か...」

「なるべく早く仕留めて援護に回るから、それまで1人でお願い」

「了解だ、行くぞ!」

 

タツヤが走り出すと同時にカゲトラは銃撃でコクーンメイデンに攻撃し注意を引き付ける。

それをタツヤは視界の端で確認しオウガテイルに上段からの斬撃で先制、突然の攻撃に怯むオウガテイルの隙を突いてタツヤはショートタイプの軽さを利用した連続攻撃でオウガテイルの1体を絶命させた。

 

「次はお前だ...」

 

そう言ってタツヤは次の標的に向かって走り出す。

 

「だぁぁぁぁ、うぜぇぇぇぇ!」

 

それに対してカゲトラはコクーンメイデンの地味な遠距離攻撃に手を焼いていた。カゲトラがコクーンメイデンに与えた攻撃は今の所最初の1手のみ。

 

「あぁもう、ちゃらくせぇぇぇぇ、もう遠距離なんかやめだぁぁぁぁぁ!」

 

カゲトラはそう叫ぶと神機を近接に可変させコクーンメイデンに向かって走り出した。そして遠距離攻撃をジャンプで回避してそのままコクーンメイデンの背後に着地し...

 

「なんだよ背後さえ取れば楽勝じゃん」

 

そう言ってカゲトラは口元に笑み浮かべながらコクーンメイデンを滅多切りにした。

 

2体目のオウガテイルを倒しその一部始終を見ていたタツヤはと言うと...

 

(トラめ、遂にキレやがったな。落ち着くまであのままにしておくか)

 

「あぁん?まだ倒れんじゃねーよ、俺はまだまだ満足してねぇんだからよォ」

 

(あいつは一番キレさせたらいけないタイプだな...)

 

これは余談だがその後対象の討伐を終えタツヤ達と合流したソーマ達はカゲトラの豹変っぷりを見て凍り付いたそうだ。

 

「ふぅこれで任務は終了だね」

「あぁ」

 

回収したコアを回収班に預けエリックとソーマは安堵の言葉を漏らす

 

(......しょうがないか)

 

「さぁ帰ろうか」

「あ、俺は寄る所があるんで先に帰ってて下さい」

「ん?あぁわかった。じゃあな」

「了解、タツヤ君お疲れ様」

「お疲れ様です」

「んじゃ俺も先に戻ってるからなー」

「あぁ」

 

そう言ってタツヤみんなと別れ、1人別なところに向かっていた。その途中で

 

「もしもしヒバリさん聞こえてますか?」

「はい、聞こえてますよ。どうしました?」

「俺、任務帰りに居住区に寄るんで神機の持ち出し許可を取ってもらってもいいですか?」

「はいわかりました、取っておきますね」

「ありがとうございます、では失礼します」

 

途中で通信機を使い神機の持ち出し許可をとった。

 

そして、タツヤは居住区の一角に向かって歩を進めた

 

???「了解した、教えてくれてありがとねトラ」

 

居住区の一角にある家の中で通信機を使ってトラと話している女性がいた。

 

「やっぱり来ることになったか、さて準備しなきゃね」

そう言ってなにやら大きな機械の準備を始める女性。

 

「あんたにぴったりな最高のオリジナル刀身パーツを作ってあげるよ、タツヤ」

 

 

 




カゲトラの裏の顔判明Σ(゚ω゚ノ)ノ
エリックは迷った末生き残らせることにしました。
さて、シュンとカレルは出した、それより...カノン出すタイミング見失った(゚д゚)


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act.5 オリジナル

自分の神機への違和感を拭いきれないタツヤは意を決しある人物の元へと向かう


 

---極東支部外部居住区---

 

外部居住区の端の方に佇む小屋の前にタツヤは立っていた。その表情はこれから嫌なところに行くのだろうと誰もが思う表情だった。

 

「ここに来るのも久しぶりだな。さて...」

 

そう言ってタツヤは小屋の中に入る。

 

小屋の中には特に何もなく、地面に取っ手の付いた扉があるのみ。

 

---ギィィィィィ

 

タツヤは何の躊躇もなくその扉を開け、開けた先にあった地下への階段を降り始めた...

 

いちおう電気は通っているが、階段通路は薄暗く何かが出そうな雰囲気を醸し出していた。そして階段を降りきった所に今度は普通の扉があった。それを開けると...

 

「久しぶりねタツヤ」

 

机に寄りかかりながらそう話してくる女性の姿があった。

見た目感じ歳は20前後で髪型はセミロングの黒髪で白衣を纏っている。

 

「あぁ、久しぶりだなユウカ」

 

タツヤはユウカの挨拶に答える。

 

「さっそく本題に入るが、今日ここに来たのはユウカに頼みがあるからだ」

「自分にしっくりくる神機の刀身パーツを作ってくれってことでしょ?」

「...知っていたのか」

「昨日トラから連絡があったの、兄さんが刀身パーツを作ってもらいにそっちに行くかもって」

「...なら話が早い、作ってくれないか?」

「いちおうもう作ってはあるわよ」

 

その言葉を聞いてタツヤは驚愕した。タツヤ驚くのも無理はない、目の前にいるユウカはたった1日でオリジナルの刀身パーツを作り上げたのだから。

 

「...相変わらず仕事が早いな」

「意外と暇なのよ」

「そんなに暇なら極東の整備班に来ればいいだろ、リッカさんと幼馴染みなんだからやっていけると思うが」

「一応勧誘は来てるんだけど絶賛迷い中よ」

「そうか」

「そんなことより刀身パーツよ」

 

そう言ってユウカは奥にある機械の電気を付けた。

 

「これは...!」

 

タツヤは機械にセットされている刀身パーツを見て又も驚いた。

 

なぜならその刀身パーツは...細かったからだ。

 

ロングの初期装備ブレードよりも少し長く、ロングの火刀よりも少し細い、そんな刀身パーツにタツヤは魅入ってしまった。

 

「どう?私が考えたタツヤ専用のオリジナル刀身パーツは」

「最高だ、使ってなくても分かる。これなら俺にもしっくりくると」

「でしょ?トラからタツヤは鉄パイプで特訓してたって聞いたからなるべくそれに近い形にしたんだよね」

「...ありがとうユウカ」

「別にいいよ、それでその刀身パーツの性能なんだけど結構クセがある仕上がりになったんだよね」

「どんな感じだ?」

「普通の刀身パーツって一つの攻撃法に特化してるでしょ?」

「ショートは貫通力、ブレードは切断力、バスターは破砕力ってことか?」

「そういうこと、でもその刀型はショートの貫通力とブレードの切断力を合わせた刀身パーツだから慣れないと扱いが難しいかも」

「...なるほど」

 

タツヤは心の中で反復練習は必須か...と思った。

 

「それじゃこれは持っていくよ」

「了解、リッカに刀型のメンテの仕方教えといたからメンテするときはリッカに頼みなさい」

「わかった。それじゃ」

「はーい」

 

そう言ってタツヤはユウカの研究室を後にする。

 

小屋から出たところでタツヤは呟くようにこう言った。

 

(相変わらずあの表情からはなにを思ってるか読み取り辛いな...)

 

夕暮れ時の空にそう呟きつつタツヤ極東支部に向かって歩を進めた。

 

 

 

 




今回はタツヤのオリジナル刀身パーツ回でした。形としては日本刀と思ってください。
後9日時点でUA数が300超えてました。見てくださってる方ありがとうございます。これからもよろしくお願いしますm(_ _)m


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act.6 その2人凶暴につき(上)

タツヤがユウカからオリジナル刀身パーツの刀型を受け取ってから数日後、ツバキからとある任務を言い渡された


『コンゴウの討伐?』

 

エントランスにてタツヤとカゲトラとコウタはツバキに向かって声を揃えて言った。

 

「そうだ」

「でも編成が新人の俺達3人だけってキツくないですか?」

「その点は問題ない、お前達はすでに新人とは思えない戦果を残している。ここらで1つステップアップしてもらおうということだ」

「そういうことなら俺としては問題ありません」

「俺も特に問題ないっす」

「では30分後に出発してもらう、準備をしておけ。それとタツヤ」

「なんでしょうか?」

「今回の任務で、お前の刀型の運用データを取ろうと思っているのだが問題ないか?」

「ええ、構いませんよ」

「了解だ、では準備をしておけよ」

「わかりました」

 

-------------------------

 

---1時間後、鎮魂の廃寺---

 

「そういやトラ達と一緒に任務するのって今回が初めてだよなー」

「あ、確かに」

 

現在コンゴウが目撃された鎮魂の廃寺内を探索しながらカゲトラとコウタは他愛もない会話をしていた。

 

「話すなとは言わないがあまり大声で話すなよ、奴らは耳がいいみたいだからな」

「そんな心配しなくてもわかってるよ、な、コウタ?」

「お、おぅそ、そうだな」

(やべぇこいつ絶対わかってなかったパターンだわ...)

 

コウタの挙動不審っぷりを見てタツヤとカゲトラは心の中で同じ事を思った。すると...

 

「...いたぞ、コンゴウだ」

 

タツヤは廃寺の中にコンゴウの姿を確認した。

どうやら捕食中のようだ。

 

「どうすんだタツヤ」

「とりあえずコウタは後衛なのは確定で...」

「あ、おれ遊撃役やるわ。兄さんは刀型の運用データとるんでしょ?」

「まぁな」

「じゃ兄さんは前衛の方がいいでしょ?」

「...そうだな。それでいこう」

 

他の2人もタツヤの決定に同意し戦闘が始まった。

 

まず、コウタが銃撃での先制。そしてタツヤ達はその間に対象との距離を詰める...

 

ここまでは普段どうり...しかし、コウタの銃撃がコンゴウに命中する直前に事件は起きた...

 

「ギィィィィィ!」

「!?」

『は?』

 

なんとコウタの銃撃がコンゴウに当たる直前に別のコンゴウが影から現れ、コウタの銃撃はそちらのコンゴウの尻尾に命中した。

 

相手に命中したあと当たったところに残留し追撃をするよう改良したバレットだったため多段ヒットし尻尾の結合破壊が起きた。

 

だが、その音で2体のコンゴウに気付かれ一瞬にして大ピンチに陥る。

 

「アレーコンゴウガニタイイルヨーニイサン、コレハドウイウコトカナー?」

「偵察隊の報告じゃ1体の筈じゃ...」

「とりあえず考えるのは後にしよーぜ?とりあえずいまは...」

 

コウタはそう言ってポーチからスタングレネードを取り出し地面に叩きつけ...

 

『に、逃げるんだよー!』

 

スタングレネードが発動し周囲が真っ白に包まれコンゴウがそれに怯んだ隙に3人同時にこう叫びとりあえず一旦離脱した。

 

「はぁはぁ、ここまで来ればひとまず安全かな...」

「あぁ、それにしてもなんでコンゴウが1体多いんだよ...」

「恐らく偵察隊の報告後にここに来たのだろう」

 

3人が逃げてきたのは任務のスタート地点だった、ここならある程度の障害物があるため身を隠すにはこのエリアの中では最適の場所とも言える。

 

「で、これからどうすんだ?」

「どうするって、やるしかないんじゃない?」

「でも、俺達だけでコンゴウ2体の相手なんかできるのか?」

「うーん、多分できると思う...」

「は?どうやって?」

「俺と兄さんが本気になれば多分イケる」

「はい?」

 

は、何言ってんのコイツ、とコウタは心の中で思った。それはその筈だ、今カゲトラの口から出た言葉はとても新人が言うような言葉ではないからだ。時と場合によっては敗者の負け惜しみにも聞こえなくもない。

 

「で、久々に本気ださない?兄さん」

「あれをやるのか、気が引けるな」

「でも、実際兄さんやりたくて堪んないでしょ?久々に命のやり取りができるんだから」

「...フッ、読まれていたか」

「当たり前じゃん、15年兄さんの弟やってんだから」

「それもそうか、んじゃやるか」

「そうこなくちゃ」

 

そう言い終わるとタツヤとカゲトラは突然上着を脱ぎ出した。

 

「は!?お前らなにやってんだよ」

 

コウタが驚くのも無理はない。今2人がとっている行動は誰の目にも到底理解不能なのだから。

 

しかし、2人が上着を脱ぎ終わり上半身が露になったところで再びコウタは驚愕した。

 

「な、なんだよお前ら...その背中は一体...」

 

再び驚愕に包まれたコウタの前には龍と虎がいた。

正確にはタツヤの背中に龍、カゲトラの背中に虎がいた。

 

「この状態になるのも久しぶりだな」

「あぁ、そうだな兄貴ぃ」

「お前スイッチ入んの早すぎ」

「そんなことよりよォ、早く獲物探そうぜェ」

「そうだな、いくぞコウタ」

「あ、あぁ」

 

声を掛けられ正気に戻ったコウタは上半身裸のまま神機を持って歩く2人についていく。

 

移動している最中もコウタは2人の背中の龍と虎に圧巻されていた。

 

そして、最初の交戦ポイント付近で再びコンゴウを捕捉した。

 

「2体ともほぼ同じ場所にいるな、これはこちらとしてはありがたい限りだ」

「あぁ、これなら一気にカタがつくな」

「そうだな。さて、コウタはそこで待機しててくれ」

「は?お前らだけで戦う気か!?」

「そうだけど?」

「いくらなんでもそれは無謀すぎるって!」

「まぁまぁ、落ち着いてそこで事の行く末を見てなって」

 

そう言ってタツヤとカゲトラは物陰から身を乗り出す。

 

それに気付いたコンゴウ達はタツヤ達に向かって威嚇をしている。

 

「さて、どっちがどっちを相手する?」

「俺は尻尾の壊れてる方をいただくぜェ」

「了解だ。さて、俺もそろそろ体の中で溜まりまくったアドレナリンの制御が難しくなってきたぜ」

「じゃあ、行くかァ」

 

そう言ってタツヤとカゲトラはひと呼吸置き...

 

『野郎ぶっ殺してやらぁ!!』

 

2人同時にそう叫び2体のコンゴウに向かって走り出した。

 

それを合図に命を掛けた戦い、もとい一方的な蹂躙の幕が上がった...

 

 




えー今回でタイトルの意味が分かったんじゃないでしょうか。まぁ文字どうり2人は龍と虎を刺青として背中に背負ってるだけです。
それと同時にクールキャラタツヤの崩壊の回でした。
あとオリジナル刀身パーツを初めて使う回を作ろうとしていたんですが、ネタ不足によりキング・クリムゾンさせてもらいましたm(_ _)m


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act.7 その2人凶暴につき(下)

前回のあらすじ...タツヤとカゲトラによる一方的な蹂躙が始まりました


 

「なんですかこれは」

 

1人物陰に隠れているコウタは目の前の光景にこう言わずにはいられなかった。

 

なぜならその先には...

 

「まだまだ、壊れんにははえーぞゴラァ!」

「あは、あははははは。頑丈な玩具だ、壊しがいがあらァ!」

 

タツヤとカゲトラによる残酷な蹂躙が執行されていた。

 

(なんだよあの豹変っぷりは、タツヤに関してはクールキャラはどこ行った...)

 

コウタがそう思っていると、タツヤが相手しているコンゴウが命の危機を感じ逃げ出した。

 

しかし、それを狂気と化したタツヤが逃すはずもなく...

 

「おいおい、逃げてんじゃあねぇぞこらァ、こっちはまだまだ壊したりねーんだよ!」

 

あろうことか今度はコンゴウの背に乗り背中にを滅多切りにした。

(あわれコンゴウよ、あの2人に相手はされたのが運の尽きだ...)

 

コウタは心の中で静かにコンゴウに合唱した...

 

---3分後---

 

(ナンテコッタイ)

 

コウタは今度は呆れていた。

 

なぜなら、タツヤ達がコンゴウを絶命させた後も攻撃を止めず、あろうことか2人してコアを破壊してしまったのだ。それによりアラガミの体は消えてしまったのだ。

 

『やっちゃったぜ!』

「いや、やっちゃったぜじゃねーわ!!」

 

これにはさすがのコウタもツッコミを入れた。

 

「これどーすんだよツバキさんに怒られんぞ」

『なんとかなるって!』

 

そう言ってタツヤとカゲトラは親指を突き立てる。

さすが兄弟、息ピッタリである

 

「はぁ...なんか、相手にするだけ疲れるだけだわ」

 

コウタは深いため息をついて2人に呆れてしまった。

 

そんなことよりコウタは2人に思っていた疑問を打ち明けた。

 

「一体お前らの背中はどうなってんだ?」

「あーそれについては帰りながら話す」

 

そう言ってタツヤは帰り支度を始めた。

 

----------------------

 

---帰り道---

 

「で、なんなんだよあれは」

「俺達のあの刺青は、昔アラガミに襲われた時にできた傷を隠すために入れた物だ」

「あんなの入れられる人、居住区にいたんだな」

「今は居ないよ、2年前に病気で死んじゃった」

「そうなのか...」

「さ、昔話はここまでだ、さっさと戻るぞ」

 

そう言って3人は極東支部への歩を進めた。

 

タツヤとカゲトラは、その先に地獄が待っていることも知らずに...

 

 

----------------------

 

---極東支部エントランス---

 

「で、攻撃していて気付かないうちにコアを破壊してしまったと?」

『はい...』

 

現在タツヤとカゲトラはツバキの目の前で正座をして先ほどの任務の事情を説明していた。

 

「事情は分かった」

「許してもらえますか?」

「誰が許すかバカものが!」

「いでででで」

 

哀れカゲトラよ、余計なことを言ったばかりにツバキに耳を強く抓られてしまった。

 

「とりあえず2人には私から厳しい指導が必要だな」

『ひぃ!』

 

タツヤとカゲトラは小さく悲鳴を上げる。

 

それに対しツバキは、かるく微笑んでいるが目が笑っては居なかった。

 

タツヤとカゲトラは何時ぞやリンドウが言っていたヴァジュラ12匹分を思い出していた。

 

「さぁて、特別室にいこうか?」

『いやぁーお助けー!』

 

タツヤとカゲトラはツバキに首根っこを掴まれ強引に連れていかれる。

 

そしてそれを遠くから見ている者たちがいた。

 

「なにやってるの?あれ」

「なんでもコンゴウのコアを回収せずに破壊しちまったらしいぜ?」

「なにやってるんだか...」

 

そう言ってサクヤは頭を右手で抑えた。

 

「自業自得だな...」

 

ソーマは一言だけ呟くと何処かへと言ってしまった。

 

(にしてもコンゴウ2体に3分か...)

 

表には出さないが、リンドウはタツヤ達の戦闘時間に内心驚愕していた。

 

「...このバカものがァァァ!」

『ぎゃぁぁぁぁぁ、お助けをー!』

 

(...ヴァジュラ12匹じゃねーな、20匹分くらいあるんじゃねーか?)

 

 

 

その後タツヤとカゲトラは反省文10枚とツバキによる4時間の説教コースが与えられた...

 

 

 

 

 

 




当初はタツヤをこんなに狂気状態にするはずではなかったのにどうしてこうなった...
次回はあの方がロシアより極東へやってきます


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#キャラ紹介

今回は今まで出てきたオリキャラ3人のキャラ紹介です


桐生タツヤ(竜矢)

年齢 18歳

使用神機 刀型、ブラスト

茶髪の髪色をした本作の主人公。4年前に両親を失っておりそれからはカゲトラとの2人暮らし、両親が居なくなってからは雨宮姉弟の世話になっているが基本的にはスラム街で暮らしていた。そこらへんに落ちている鉄パイプでアラガミと戦うイメトレをしていた故当初は現在配備せれている刀身パーツに慣れないでいた、そのことを知ったユウカが作った鉄パイプになるべく似せた刀型を現在使っている。

背中に龍の刺青を彫っていてアラガミと本気で戦うときはこの刺青を露にして戦う。ちなみに本気で戦うと狂乱状態になり対象のアラガミを壊す(殺す)まで止まらないし止められない。

この本気の時は刺青を出すのと狂乱状態はスラム街で喧嘩をしていた時代からの癖らしい

 

----------------------

 

 

桐生カゲトラ(影虎)

年齢 15歳

使用神機 ブレード、アサルト

桐生タツヤの弟でタツヤよりも濃い茶髪でツーブロックを入れている(上の髪で隠してる)。両親を亡くしてからタツヤと共にスラム街で暮らしていた。タツヤが鉄パイプで修行をしている間暇だったのでスラム街をブラブラしていたところ、スラム街の子供を仕切ってる奴に喧嘩を売られそれを10秒でボコボコにして返り討ちにし、スラムのテッペンなった過去を持つ。ちなみにタツヤは知らない。今でもスラム街に行くと道を開けられるらしい。

背中に虎の刺青が入っており、タツヤ同様本気で戦うときは刺青を露にする。カゲトラは本気になるとタツヤ以上に狂乱状態になる。ある程度ダメージを受けると今度は狂戦士(バーサーカー)状態になり痛覚が麻痺し痛みを感じなくなる。ただしその状態が切れたときの痛みの副作用がハンパないらしい。

 

----------------------

 

秋山ユウカ(幽香)

年齢 21歳

職業 神機研究者

独断で神機の研究をする研究者兼神機パーツ作成&整備士。彼女の技術はフェンリルの技術者の誰よりも優秀である。フェンリルの技術班に何度も推薦されているが、めんどくさいという理由だけでそれを何度も断ってきた。サカキ博士とツバキとはある程度の繋がりは持っている、極東支部のリッカとは幼なじみ。

タツヤとカゲトラの従姉妹で彼らの神機のメンテも時々している。カゲトラはそうでもないがタツヤはユウカの事を少々苦手としている。理由としてはユウカはほぼ表情が変わらないので何を考えているのか、嬉しいのか悲しいのかが分からないという事でタツヤは苦手らしい

 

 




書いていて思った、キャラ紹介は苦手だと...


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act.8 ロシアの新型

ついにあのお方が、メインヒロインが登場です!


---極東支部 エントランス---

 

『ロシアから新型?』

「あぁ、明日来るらしいぜ」

「そんな話は聞いてないんだが...」

「お前らが反省文書いてる時に聞いたからな」

「なんてこったい」

 

エントランスにてタツヤとカゲトラはロシアから新型が来るという話をコウタから聞いていた。

 

「まぁ俺らには関係ない話だ、俺らは俺らの事をやる、それだけだ」

「そうだね」

「プレッシャーとか無いのかよ...お前らは新型としては先輩なんだから抜かれたりしたら先輩としてのプライドズタボロだろ」

『プライドなんかそこらのアラガミにでも食わせとけばいい』

「...さいですか」

 

こいつらにはプライドなんてものは存在しない、本当の自由人だとコウタは思った。

 

「それより任務いかねー?」

「ん、いいよー」

「俺も構わん」

「じゃ行こー」

 

話を終えたタツヤ達3人は任務へと向かった。

 

----------------------

 

「ふぃー終わった終わった〜」

 

任務が終わったあとカゲトラはエントランスの椅子に座って伸びをした。するとそこに

 

「あのー」

「ん?」

「あの、新型さんですよね?」

「そうだけど、君は?」

「あ、申し遅れました、私台場カノンと言います」

 

台場カノンと言う少女が現れ、声を掛けてきた。

 

「カノンさんですね、俺は桐生カゲトラと言います」

「さ、さん付けはやめて下さい恥ずかしいです〜」

「じゃあ、カノンちゃんでいい〜?」

「あ、それならいいですよ〜」

「よろしくね〜カノンちゃん」

「よろしくお願いします!」

「今日は疲れてるから無理だけど、今度一緒に任務やろうね」

「はい、よろしくお願いします」

 

カノンはカゲトラに向かって深く頭を下げた。

 

「ちょ、先輩が後輩に頭下げてどーすんすか」

「あぅぅ、すいません〜」

「カノンちゃんて面白い人だね。さて、そろそろ部屋に戻るね」

「あ、はい。ではまた」

「さよならっす」

 

カゲトラとカノンは互いに手を振りながらカノンはカゲトラを見送った。

 

(カゲトラ君か...かっこよかったな〜)

 

どうやらカノンは気付いていないようだが、カゲトラに一目惚れをしてしまったようだ...

 

----------------------

 

「本日から彼女は第一部隊に配属される」

 

翌日エントランスに集められた第一部隊は新しく第一部隊に配属されるロシア支部からきた少女をツバキから紹介されていた。

 

「本日付で第一部隊に配属されることになったアリサ、アリサ·イリーニチナ·アミエーラです」

「彼女は神機使いになってからまだそれ程経ってない、けれどロシアではまばゆい成績を残してる、ボヤボヤしてると抜かれるぞ」

 

そう言ってツバキは第一部隊の面々、主に同じ新型のタツヤとカゲトラにプレッシャーをかける。だが、それは無意味である。

 

「別に抜かれたっていいっすよ、誰であろうと強い人が居れば心強いし」

「だな」

 

彼らは根っからの自由人でプライドなんてものは存在しないからだ。

 

「まぁいい、彼女の世話は同じ新型のタツヤとカゲトラに任せる、以上だ」

 

告げる事を告げるとツバキは何処かへと行ってしまった。

 

「へぇー意外とカワイイじゃん。俺はコウタよろしく」

 

コウタはアリサに自己紹介をする、しかしアリサから返って来た返答は...

 

「よくそんなのでここまで生き残れましたね」

「は?」

「あなたのような人が先輩だなんて最悪です」

「なんだと!?」

「コウタ、落ち着け」

 

アリサから返って来た見下すような返答にコウタは激怒して突っかかって行くが、タツヤにより止められる。

 

「あなたは私と同じ新型のようですが、負けませんよ!」

「桐生タツヤだ、勝ち負けはどうでもいい、同じ新型同士よろしく」

「...よろしくお願いします」

 

タツヤとアリサは握手をするが、アリサは少し嫌そうだった。

 

「俺は桐生カゲトラ、よろしくね〜」

「あなたもそのような軽い感じでよく生き残れてきましたね、少し兄を見習ったらどうですか?」

「それ、よく言われるんだけどいくら見習っても治んないんだよねー」

「はぁ、もういいです」

 

アリサはそう言うと何処かへ行ってしまった。

 

「なんだよあいつ!愛想わりーな」

「まぁまぁ、落ち着けコウタ」

「そーそー気にしたら負けだぞ」

 

アリサが居なくなった途端愚痴をこぼし始めるコウタとそれを止めようとするタツヤとカゲトラを見て、リンドウは

 

「なぁサクヤ、ソーマよぉ」

「何かしら?」

「なんだよ」

「こりゃあひと波乱ありそうじゃないか?」

「あー、確かに何かはありそうね」

「あぁ、コウタとアリサで何かありそうだな」

「あぁ、大事にならなきゃいいんだが」

「でも、アリサのあの態度は少し頂けないわね」

 

リンドウ達はアリサの態度について語っていた。




さて、ついに登場ですアリサさん。それと少々強引ながらカノンも登場させました。
次回はリンドウさん&新型3人のシュウ2頭討伐です。GE無印時代はここで1回詰んだな〜


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act.9 新型と旧型

今回はリンドウさん&新型3人の合同任務回です(*´ω`*)


『合同任務?』

「あぁ、これから合同任務やるぞ」

 

エントランスでリンドウに捕まったタツヤとカゲトラはリンドウに合同任務に誘われていた。

 

「俺らとリンドウさんの3人すか?」

「いやさっき暇そうにしてたアリサも誘った」

「...彼女はなんと?」

「嫌そうな顔してたけど同意してくれたよ」

「そうですか」

 

まだアリサが極東支部に来て1週間も経っていないがその高飛車な態度のせいで彼女は孤立しかけていた。

 

「まぁ、俺達は同じ部隊だからコミュニケーションが必要だろうと思ってな、それには一緒に任務に行くのが一番だからな」

「それには同感です」

「だろ?さて、30分後に出発するからそれまで準備しとけよー」

『了解です』

 

----------------------

 

---40分後 贖罪の街---

 

集合場所には桐生兄弟とアリサ、リンドウの姿があった。

 

「今回の任務はシユウ2頭の討伐なんだが...俺以外新型か、まぁ明日引っ張らないよう頑張りますわ」

 

リンドウは軽くジョークをかます。

 

それに対しアリサは...

 

「旧型は旧型なりの仕事をしてくれればいいと思います」

「おいアリサ、それは失礼すぎるぞ」

 

アリサの神機使いとしても年齢としても先輩のリンドウに対する失礼な物言いにさすがのタツヤも注意した。

 

「厳しいね〜。ま、よろしく頼むわ」

 

そう言ってアリサの肩を叩こうとした瞬間。

 

「きゃあ!」

 

アリサはリンドウの手を避けるように後ろに飛び退いた。

 

「あーあー、随分嫌われたなぁ」

「す、すいません」

「んー、アリサよ」

「なんですか?」

「緊張してるときは空を見ろ、そして動物に似た雲を探すんだ、そしたら少し緊張も無くなる」

「いえ、私は」

「いいから探すんだ。俺達は先に行ってるから動物に似た雲を見つけてから来るんだ」

「...わかりました」

「よし、んじゃ行くぞ桐生兄弟」

『了解』

 

リンドウ達が行ったあとアリサは雲を探し始めた。

 

(なんで私がこんな事を...)

 

----------------------

 

「あの子は少し訳ありでな」

 

リンドウと共に出発し少しした後唐突にリンドウがタツヤとカゲトラに話しかけてきた。

 

「訳ありとは?」

「アリサは神機使いとしての技術は高いんだが少々精神が不安定なんだ、定期的にカウンセリングも受けている」

「アリサが?」

「あぁ、だから同じ新型同士お前らがあいつを支えてやってくれ」

「...わかりました」

 

しばらくするとアリサがやってきた。

 

そして、リンドウがアリサの後ろに居る奴に気付くのとタツヤが動くのは同時だった。

 

「っ!?アリサ伏せろ!」

「え?」

 

アリサが何事かと振り向くと、そこにはアリサに向かって鳥の羽のような腕の先にある拳を振り下ろそうとしているシユウの姿があった。

 

「!?」

 

あまりの唐突な出来事にアリサの体と思考回路が止まった。

 

それと同時にアリサは直感的に死を感じた。しかし...

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

リンドウが気付くのと同時に動いていたタツヤがアリサに拳が当たる後数センチの所でアリサを横に突き飛ばした。

 

そしてタツヤはアリサを突き飛ばした方と反対側に回避する。

 

「でかしたタツヤ!」

「さすが兄さん」

 

タツヤの咄嗟の判断でアリサは九死に一生を得る。

 

「立つんだアリサ!戦わなければ死ぬぞ!」

「!わかりました」

 

タツヤの言葉でアリサは我に返りすぐさま戦闘体制に入る。

 

そしてリンドウとカゲトラも合流し戦闘が始まった。

 

一番最初に動いたのはアリサ。神機を銃形態に可変し後方から先手の銃撃を浴びせる。

 

「!?ギャァァァ...」

 

その内の一発がシユウの頭に命中しシユウがひるんだ。

 

「ナイスだアリサ!タツヤはこのまま俺と前衛、カゲトラは遊撃だ」

『了解』

 

リンドウの指示でそれぞれ攻撃に入る。

 

「そこだ!」

「おらぁ!」

 

タツヤとリンドウがシユウの斬撃の弱点である拳に攻撃する。

 

「食わせろ!」

 

その間にカゲトラはシユウを捕食形態で捕食しバースト状態に、そしてすぐに銃形態に可変し他の3人にアラガミバレットを渡し3人はリンクバースト状態に。

 

『ナイスだ!』

「アラガミ弾、打ちます!」

 

アリサの声に反応したリンドウとタツヤはその場から離れる。

 

それを確認したアリサはリンクバーストで得た凝縮アラガミバレットをシユウに打ち込む。

 

「これで決める!」

 

アリサは引き金を引きアラガミバレットをシユウに打ち込んだ。

 

「グォォォォォォ...」

 

見事アラガミバレットはシユウに命中したが、まだシユウの生命活動は終わらない。

 

「おいおい、こいつぁタフすぎねーか?」

「それにこれ程戦闘音を出してるのにもう一体が来ませんね」

「こいつが食ったんじゃない?それならこいつがタフなのも説明がつくし」

「かもな、けどもうちょいだお前らが踏ん張れよー」

「わかってますよ、俺が最後決めます」

 

そう言ってタツヤは、地面に片足を付けて呻き声を上げているシユウの頭に標準を合わせ足に力を込め集中力を高める。

 

そして集中力と込めた力が限界に達したとき...

 

「居合·一閃!」

 

そう言って凄まじい速さでシユウに近づき抜刀斬りを浴びせた。

 

それを頭にピンポイントで食らったシユウは悲鳴をあげる暇なく絶命した。

 

----------------------

 

シユウのコアを摘出した後、無線で他にアラガミ反応がない事を聞くとリンドウから任務終了を言い渡された。

 

その帰り道...

 

「あの...」

「ん、どうした?」

 

タツヤはアリサに声をかけられた。

 

「...さっきはありがとうございました」

 

恥ずかしそうにアリサは助けてもらった礼をタツヤに言う。

 

「別に礼を言われることはしてないよ、俺は当たり前の事をしただけだし」

「でも、それでは私の気が済みません!なにか恩返しをさせて下さい」

 

どうやらアリサはタツヤに恩返しをしたいようだ。

 

「別にいいよ、そんなことまでしなくても」

「いいえ、させて下さい」

「とは言われてもな〜」

「じゃあ今はしません、けどいつかは恩返しさせてもらいます!」

「それならいいけど」

「絶対この借りは返しますからね!」

 

2人が盛り上がってる後ろでは...

 

「おーおー熱々だねーあの2人は」

「そーすかねー?」

「俺の勘だが、あの2人はお似合いな感じがするな、もしかしたら将来くっつくかもな」

「いやいやありえないっすよ」

「いーや俺はくっつくと思うなー」

 

リンドウの勝手な想像で盛り上がっていた。

 

 

 

 

 




龍が如く0欲しいけど高くて手が出せないうぷ主です。
今回はシユウとの戦闘とタツヤ×アリサのフラグ回でした。
次回はおそらくリンドウ救出回になりそう...
次回が無理でも次次回は確実にリンドウ救出回になります。
あと今回出てきた居合·一閃は刀型専用の攻撃法、居合モードから発動する仕様にしてます。これから居合と付く技は全てこのモードから発動ということにします。


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act.10 蒼穹の月(上)

さて、前回の予告どうりリンドウさん救出編だす。


 

『...なんでここにいる?』

 

シユウ討伐後、極東支部に戻ったタツヤとカゲトラは目の前の人物にこう告げた。その人物とは...

 

「トラちゃんおひさ〜」

「なんでここにいんだよユウ姉!」

 

桐生兄弟の目の前に居たのはユウカだった。

 

「今日は極東支部の皆さんへの挨拶とタツヤへの新しい刀身パーツを届けにきたの〜」

 

あいも変わらずユウカは無表情のまま淡々と話を進める。

 

「新しい刀身パーツ?刀型とは別のやつか?」

「違うよー、今タツヤが使ってるのは試作型みたいなもんだからホントの製品版を届けに来たのー」

「...これ試作型だったのか...」

「んで、新しい刀身パーツがこれね。その名も《村雨》名前は昔この地方に存在した妖刀からもらってきた」

 

そう言ってユウカは自信満々に刀型刀身パーツ《村雨》を見せる。

 

それを見たタツヤは...

 

「...村雨か...最高だ」

 

一目見ただけでタツヤは納得してしまった、それほどユウカの作る刀身パーツは人を惹きつけるのだろう。

 

「気に入ってくれてよかったよかった。それと私これからここの整備班に入ることになったから」

『は?』

「いやだから、今日から私はここの整備班に入るから。だからここの人達に挨拶してきたんだよ」

 

ユウカはタツヤに刀身パーツを渡すと次にタツヤとカゲトラに爆弾発言をかました。

 

『なんてこったい、明日は雨が降るわー』

「ちょっとそれ酷くない!?」

『いや、だって万年あのボロ小屋で神機開発っていう理由使ってニート生活してて働きたくないでござる雰囲気を醸し出してたユウカが整備班で仕事って...』

「いやそれは言いs...」

「トラ、俺らは少し働きすぎたな、ユウカが働くと言っている幻聴が聞こえる」

「奇遇だね、俺もそう聞こえるよ」

「2人してひどい...私に恨みでもあるの?」

 

散々好き勝手言われたユウカはエントランスの端っこの方でいじけてしまった。

 

(あ、やべぇイジりすぎた...)

 

そこからユウカを立ち直らせるのに1時間はかかったそうな...

 

----------------------

 

その晩、タツヤは夢を見た。

 

一面真っ白な世界にタツヤは居た、そして目の前には...

 

「父さん...?」

 

タツヤとカゲトラの父親の姿があった...

 

「タツヤ...お前は龍になれ、天を自由に翔ける龍神になれ」

 

そう言って父親は消えていく...

 

「ちょっと待ってよ父さん!それはいったい...」

 

そこでタツヤは夢から覚めた、時刻は午前7時。

 

「父さん...」

 

タツヤは父親の言葉に疑問を残しながらも体を起こし着替え始めた...

 

----------------------

 

「今から任務?」

「あぁ、旧市街に出たヴァジュラの討伐だ、ツバキがお前を連れてけだとよ」

「了解」

「30分後に出発だ、準備しとけ...」

 

そう言ってソーマはエレベーターに乗り何処かへ行った。

 

タツヤはエントランスのターミナルで準備を始めた。

 

---45分後、贖罪の街---

 

今回の任務のメンバーはタツヤ、サクヤ、ソーマ、コウタの4人だ。

 

「そういえば、コウタとタツヤはヴァジュラは初めてよね?」

「そうですね」

「ヴァジュラは初めてでもヴァジュラ20匹分の恐怖は味わったことあります...」

「あー、あの時ね...」

 

サクヤの問いにタツヤは過去の嫌な記憶を思い出した。どうやらタツヤと返答にサクヤも思い出したようだ。

 

「おしゃべりはここまでだ、来るぞ!」

『!?』

 

ソーマがそう言うと目の前からヴァジュラが走ってきた。

 

まず、サクヤとコウタが後方から銃撃を浴びせる。

 

---グォォォォォォ!

 

しかし、ヴァジュラはその巨大な図体からは想像し難い身体能力と反射神経でその場から横に回避した。

 

「そこだ...!」

 

しかし、ヴァジュラの行動を先読みしたのか、ソーマがヴァジュラの前足に向かってバスターによる強力な重い一撃を叩き込んだ。

 

---ギャァァァ!

 

これにはさすがのヴァジュラも耐えきれずその場でダウンする。

 

「今だ!タツヤ!」

 

ソーマの合図でヴァジュラの正面に構えていたタツヤは、溜めていた力を開放する。

 

「居合·一閃!」

 

居合モードからの抜刀斬りをヴァジュラの頭に浴びせた。

 

そして、新たな刀身パーツ、《村雨》は一撃でヴァジュラの頭を結合破壊させた。

 

「さすがユウカだ、いい仕事をする」

 

そう言うと今度は横にステップしヴァジュラの右前足に上段からの斬撃を叩き込む。

 

すると今度はその一撃で右前足が結合破壊した。

 

「おいおい...」

「タツヤ君の刀身パーツ、そこら辺の刀身パーツより数倍も強いわね」

 

サクヤとコウタが後方支援している間、こう話してるうちにタツヤが尻尾を、ソーマが左前足を結合破壊させていた。

 

「この程度か...」

「いける...この刀なら、心置きなく限界の領域まで...」

 

そう言うとタツヤはその場から後退し刀を上段からヴァジュラに向けて振った。

 

傍から見ればその行動は只の素振りにしか見えないがその後に変化が起こった...

 

---スパァァァン...ズドォォォン!

 

ヴァジュラの体が、頭から尻尾までまっぷたつになった...そしてヴァジュラの後ろにあった壁には縦一文字の斬撃の後が残った...

 

「な!?」

「なによ、今の...」

「おいおい、それはチートすぎんぞ」

 

タツヤの常識外の攻撃に3人は驚きを隠せなかった。

 

「ふぅ、刀身にオラクルを溜めてそれを飛ばすか...意外と上手くいったな」

「今のはオラクルの斬撃だったのか?」

 

タツヤの呟きにソーマが反応する。

 

「そうだよ、この刀身パーツを作った奴に言われたんだ、このパーツならそれができるって」

「...なんつーバケモノ級の技だ、そしてそれを可能にするパーツを作るやつもバケモンだな」

 

「お前ら、なにやってんだ?」

 

そうこう話していると後ろから何者かに声をかけられた、そして4人が振り向くとそこには...

 

『リンドウ(さん)!?』

 

なんとリンドウがいた。そして後ろにはアリサとカゲトラの姿もある。

 

「これはいったい...?」

 

サクヤは疑問に思った。

 

それもその筈だ、なぜなら、緊急時を除き同エリアに2つの討伐チームが入るのは危険なため基本的に禁止されているからだ。

 

すると...

 

---ギャァァァ!

 

突如、ヴァジュラの体に人面の頭を持つ白色のアラガミが大量に集まってきた。

 

「じょ、冗談だろ?」

「チッ」

「この量はまずいわね...」

「チッ、ハメられたか。俺はアリサと中の奴を相手する、お前らは外の奴らをなんとかしてくれ!」

『了解!』

 

突如としてやってきたヴァジュラ亜種に迎撃を開始する2チーム...

 

サクヤチームは外のヴァジュラ亜種を、リンドウ·アリサチームは中のヴァジュラ亜種1体を。

 

「先手の必勝だ!居合·一閃!」

 

タツヤは10体はいるうちの1体に抜刀斬りを浴びせる。

 

するとヴァジュラ亜種は一撃の元に絶命した。

 

「!?こいつ、そんなに強くない!」

 

タツヤはヴァジュラ亜種がそんなに強くないと気づくと勝機を見出した。

 

「皆さん!こいつはそんなに強くないです!的確に弱点を攻撃していけば勝機はあります!」

『了解!』

 

そしていざ攻撃しようと思ったら...

 

---パンッ...ズドォォォン!

 

後ろから1発の銃声と何かが崩れる音が聞こえた。

 

「!?」

 

何事かとサクヤはその場に向かうと...

 

「あ、、、あ、、、」

 

リンドウがヴァジュラ亜種と戦っている教会内へと続くゆういつの通路が、瓦礫で塞がっていた...

 

そしてその前でアリサがへたり込んでいた。

 

「!?アリサ、なにしてるの!?」

「おい、サクヤ!いるのか!?」

「!?」

 

サクヤの怒声にリンドウが反応した。

 

その間にコウタ達も教会入口前に集まってきた。

 

「サクヤ、俺の代わりそいつら連れて逃げろ!」

「え....?」

「このままじゃ間違いなく全滅する、そうなる前にお前らは逃げろ!」

「っ!?」

 

リンドウの命令にサクヤは絶句する、そして...

 

---パァン!

 

瓦礫に向かってサクヤは一発銃弾を打ち込む。

 

「いやよ!私も残って戦うわ!」

「っ!?何言ってやがる!いいから俺に構わず行け!これは隊長命令だ!」

 

しかし、それでもサクヤは言う事を聞かない、するとコウタが...

 

「サクヤさん、リンドウさんの言うとうりここは撤退しよう!このままじゃ皆共倒れだよ!」

 

コウタがサクヤの腕を掴んで説得する。

 

「いやよ!リンドウ!」

「おい、お前ら早くしろ!こっちも限界だ!」

 

入口でヴァジュラ亜種の足止めをしていたソーマからそう言われるとコウタは強引にサクヤを引っ張って撤退した。

 

「さぁ行こうサクヤさん!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ソーマは全員が教会内から出てくるのを確認すると即座にスタングレネードを投げ、撤退した。

 

撤退している途中タツヤとカゲトラは...

 

「兄さん、どうする?」

「このまま見捨てる訳ねぇだろ、見計らって俺は戻るぜ」

「じゃあ、今行こう、今なら皆撤退する事に気を取られてるからここを逃したらチャンスはないよ」

「了解、いくぞトラ」

 

タツヤとカゲトラは頃合いを見計らって再び戦場に戻った。

 

----------------------

 

---極東支部前---

 

「ここまで来ればなんとかなるだろ、全員いるか?」

「なんとか...ん?」

 

コウタは全員を見回すと異変に気付く。

 

2人足りない。

 

「ソーマ!タツヤとカゲトラがいない!」

「なんだと!?」

 

タツヤとカゲトラが足りないのだ。

 

「多分戻ったんだ!リンドウさんを助けるために!」

「あいつら!」

「どうする?ソーマ」

「とりあえず支部に戻ってサクヤとアリサを預けるぞ、これじゃあこいつらは戦えない」

「了解」

 

そう判断し、ソーマたちは足早に極東支部に戻った。

 

一方、贖罪の街教会付近では...

 

「教会への入口が塞がってる以上入るのはここしかねぇ」

「あぁ、そうだな兄貴」

 

タツヤとカゲトラはアラガミが教会内に入るために使う大穴の前にいた。

 

「俺が中に行く、トラは俺を上に持ち上げてくれ」

「了解、兄貴が戻るまでここは俺が死守するぜ」

「頼んだ、じゃあいくぞ!」

 

タツヤはそう言うと少し後ろに下がり、カゲトラに向かって走り飛んだ。カゲトラはタツヤの足の裏を持ち、腕を上に振り上げる、それによりタツヤは普段アラガミしか通れない高さにある穴にたどり着いた。

 

そして、タツヤが教会内に入ると同時にカゲトラの周りに再びヴァジュラ亜種が集まり出した。

 

カゲトラはヴァジュラ亜種に向き合い、上着を脱いだ。

 

上着を脱いだことによりカゲトラの刺青が露わになる。

 

「ここはぜってー通さねぇぞ!漢カゲトラ、筋通させてもらうぜ!」




リンドウ救出編前編です、途中タツヤがやったオラクルを斬撃にして飛ばす技はワン〇ースのゾ〇の技を参考にしました。技名はいいのが思いつかずまだ付けてません。いいのないですかね?
次回は救出編後編とタツヤが覚醒?するかも...


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act.11 蒼穹の月(下)

リンドウさん救出編後編だす


「やっと終わったな...」

 

教会内でリンドウはヴァジュラ亜種を倒し壁際でへたり込むように座りながらタバコを吹かしていた。

 

「あいつら、無事に帰ったかな...」

 

---ガォォォォォ!

 

突如として、リンドウの前に黒色のヴァジュラ亜種が現れた。容姿は黒色のヴァジュラの体に白色のヴァジュラの頭よりも邪悪な頭を持っていた。

 

「おいおい、少しは休ませろよ」

 

そう言ってリンドウはタバコを放り投げ、ヴァジュラ亜種に向かって行った...

 

----------------------

 

「そうら!」

 

リンドウと黒色のヴァジュラ亜種との戦闘が始まって既に10分が経過した、それでも一向に決着がつく兆しが見えない。

 

「ぐぉ!?」

 

一瞬の隙を突かれてヴァジュラ亜種の突進がリンドウに直撃した。

 

無論、体力と精神力を先の戦闘で使い果たしたリンドウはその衝撃に耐えられず壁まで吹っ飛んだ。

 

「くそっ、ここまでか...」

 

ヴァジュラ亜種はリンドウに向かって飛びかかる。

 

(後は頼んだぞ、サクヤ...)

 

リンドウは死を覚悟した...

 

しかし...

 

---「させっかよぉぉぉぉ!」

 

リンドウに飛びかったヴァジュラ亜種が、リンドウとの距離あと数メートルで地面に叩きつけられた。

 

無論ヴァジュラ亜種を叩きつけた人物は...

 

「大丈夫っすか!?リンドウさん」

「タツヤ...」

 

---桐生タツヤだ。

 

「お前、なんでここに...?」

「俺は人を見捨ててまで生きるくれーなら、死んだ方がマシです」

「!?なるほどな、んじゃ2人でこいつ倒すぞ!」

「了解です!」

 

そしてタツヤは上着を脱ぎ捨てた。

 

そして例の如く、背中の刺青が露わになる。

 

「おいおい、なんだよそれ」

「説明は後っす、来ますよ!」

 

タツヤがそう言うと、体勢を立て直したヴァジュラ亜種がタツヤ達に向かって雷球を放ってきた。

 

「フッ!」

「よっと!」

 

それをリンドウとタツヤは左右に分かれ回避する。

 

「この狭さじゃ銃撃は無理です、接近戦で押し切りましょう!」

「了解だ」

 

タツヤとリンドウは走りながら攻撃パターンを伝え合い、ヴァジュラ亜種に向かっていく。

 

「決めるぜ!牙突!」

 

タツヤは、刀型のショートにも劣らない貫通性能を活かしヴァジュラ亜種の頭に高速の1突きを叩き込む。

 

それによりヴァジュラ亜種の右目が潰れた。

 

---グォォォォォォ!

 

ヴァジュラ亜種は右目を潰された痛みで大きく仰け反る。

 

「そこだ!」

 

リンドウはヴァジュラ亜種の後ろ足に斬撃を叩き込む。

 

そしてすぐさまステップで移動し、もう片方の後ろ足にも斬撃を叩き込む。

 

---グォォォォォォ!?

 

バランスを崩されたヴァジュラ亜種は堪らず倒れ込む。

 

「よし!ここだ!」

 

タツヤはこれを好機とし、ヴァジュラ亜種と距離を取る。

 

そしてヴァジュラにやったときと同じよう上段から神機を振り落しオラクルを飛ばす。

 

しかし...

 

---グォォォォォォ!

 

なんと、ヴァジュラ亜種は倒れながらも雷球を作り出し、それをタツヤが放ったオラクルにぶつけ相殺させた。

 

「こいつ、強ぇ」

 

そしてヴァジュラ亜種は立ち上がり、タツヤ達に襲いかかると思ったが、タツヤ達に背を向け逃げていった。

 

「...終わったのか?」

「多分」

 

タツヤとリンドウは構えていた神機を下ろす。

 

「なんとか生きれたな。ありがとなタツヤ、助かったぜ」

「別に礼なんかいいっすよ」

「サンキューな、それにしてもタツヤよぉ、その背中はなんだ?」

 

リンドウはタツヤの背中を指さす。

 

「あぁ、これはあの時の傷を誤魔化す為に入れたんすよ。トラの背中にも入ってますよ」

「...なるほどな」

「さ、ここから脱出しますよ」

「あぁ、どうやって脱出する?」

「俺のブラストで爆発バレットを崩れた瓦礫に撃ち込みます」

「大胆だねぇ」

「それしかないですよ」

 

タツヤは神機を銃形態に切り替え、瓦礫に爆発バレットを撃ち込んだ。

 

すると、瓦礫は跡形もなく吹き飛んで無くなった。

 

「さて、行きましょ」

「おう」

 

タツヤとリンドウは教会から外に出る。そして、そこにいたのは...

 

「あ、リンドウさーん、無事だったんすね」

 

白色ヴァジュラ亜種の死体が山積みになって、その上に座っているカゲトラの姿であった。

 

「こいつ全部一人で相手したのか?」

「そっすよー意外とザコかったんですぐ終わりました」

「んなことはいい、さっさと帰るぞ」

 

タツヤ達は白色のヴァジュラ亜種のコアを抜き取ろうと、神機を捕食形態に切り替えたとき、悪魔はやって来た...

 

---ズドォォォン!

 

『!?』

 

突如としてやって来たソレは地面に降り立つとタツヤに襲いかかった。

 

---ガキン!

 

タツヤはすんでのところでガードに成功する。

 

『テメェは!』

 

タツヤとカゲトラの声が重なる、なぜなら...

 

ソレは両親を死に追いやったアラガミだからだ...

 

漆黒の体、頭には後ろに伸びた4本の角を持ち、強靭な4本の足、左右の前足と後ろ足の間に巨大な翼を持ち、尻尾は槍のように鋭く、剣のように鋭利だ...

 

その姿、まるで龍...

 

「リンドウさん、こいつは俺とトラでやります...」

「いや、お前らだけじゃ危険だ!」

「こいつは俺と兄貴から両親奪った仇なんすよ」

「なんだと...!?」

「だからこいつは...」

『俺達が殺す!』

 

タツヤとカゲトラは、仇のアラガミに向かって走り出す。

 

---ギャァァァ!

 

アラガミもタツヤ達に気付き戦闘体勢に入る。

 

「おらぁ!」

 

まず、タツヤがアラガミの胴体に斬撃を叩き込む...が

 

---ガキィィィィン!

 

タツヤの一撃はアラガミの胴体に弾かれた...

 

「!?こいつ、硬い」

 

---ギィィィ!

 

「グハッ!」

 

攻撃を弾かれ、タツヤが体勢を崩した隙を突いてアラガミが振るった尻尾がタツヤに直撃した。

 

そして、タツヤは10メートルほど飛ばされ、壁にめり込んだ...

 

「!?テメェ!」

 

カゲトラはアラガミに向かって怒りの一撃を叩き込んだ。

 

しかし、その一撃は空振りに終わった...

 

---ギィィィ!

 

アラガミはカゲトラに目もくれず、弱っているタツヤに狙いを絞っていた。

 

タツヤは未だ壁にめり込んでいて動けない、そしてそのまま...

 

---グチャ...

 

タツヤの腹部に、アラガミの尻尾が突き刺さった...

 

 

 

 




前回の後書きでタツヤ覚醒回と言ったな、あれは嘘だ。
タイトル的にタツヤ覚醒には合わないと思ったので次回に繰り越します。
タツヤが使った牙突はスピアの突進と同じです。
今回登場したタツヤ達の仇のアラガミはモン〇ンのミ〇ボを参考にしました。ミ〇ボの尻尾がスサノオの尻尾になったとイメージすれば分かり易いと思います。

あと、前回と今回タツヤが出したオラクルを飛ばす技の技名を募集しています。
20日まで募集したいと思うので案のあるお方はコメント欄にお願いします


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act.12 龍の目覚め

前回の予告通りタツヤ覚醒回だす


 

「...あ?」

タツヤは自分の身に何が起きたのか理解できなかった...

 

しかし数秒後に自身の腹部に違和感を感じると、激痛がこみあがってきた。

 

「がぁぁぁぁぁぁ...!」

 

---ギィィィ!

 

アラガミはタツヤの腹部から尻尾を抜き取る...

 

そしてタツヤの腹部からおびただしい血が流れ落ち、タツヤは地面へと落下していく...

 

「なにしやがんだテメェ!」

「...くそったれがぁぁぁ!」

 

カゲトラはアラガミに向かって怒りをあらわにし斬りかかっていく。タツヤがやられたことにリンドウも怒りを覚えカゲトラと共にアラガミに向かっていく。

 

(あぁ...俺、死ぬのか...)

 

タツヤは自身から溢れ出る血の量を見て死を覚悟した...

 

(父さん、母さん...俺もそっちに行くよ...)

 

タツヤは静かに目を閉じた...

 

(でも、あいつは殺しておきたかったなぁ...夢で父さんが言ったみたいに俺が龍だったらなぁ...)

 

タツヤは自分の思う龍をイメージする。

 

すると...

 

---ドクンッ!

 

タツヤの心臓が大きく動き、タツヤの体が光はじめる...

 

---ドクンッ!ドクンッ!

 

タツヤの心臓の鼓動が速くなるのに比例して、体の光も強くなっていく...

 

---ギィィィ!?

 

「なんだ、この光は...?」

「兄貴...?」

 

タツヤから発せられている光がより一層明るくなり、辺り一帯が光で包まれた...

 

そして光が止むと...

 

---グォォォォォォ!

 

タツヤがいた場所には、白銀に輝く龍の姿があった...

 

---ギィィィ!

 

「なんだありゃぁ!?」

「兄貴...なのか?」

 

突如現れた白銀の龍に、リンドウとカゲトラだけでなく、アラガミも驚愕し動きを止める...

 

---グギャァァァァァ!

 

白銀の龍はアラガミに突進攻撃をした。

 

---ギィ!?

 

突然の攻撃にアラガミも反応できず、突進をモロにくらい、壁まで吹き飛んだ。

 

---ガァァァァァァァァ!

 

次に龍は、アラガミの上空に赤みを帯びた白い雷を形成し、それをアラガミに向かって落とした...

 

---ギギャァァァァァァァ!

 

アラガミはそれをすんでのところで回避するが、左の翼の先が黒く焦げていた...

 

---ギィィィ!

 

次に龍は口から火球をアラガミに向かって吐き出した...

 

『なんだよ、これ...』

 

龍とアラガミが戦っている間、リンドウとカゲトラは、目の前の事態を把握できずに立ち尽くしていた。

 

「あの龍はタツヤなのか?」

「あのアラガミを攻撃してる所を見ると、おそらくそうかと...」

 

リンドウ達がそう話している間に、龍はアラガミに向かって、火·氷·雷·神、それぞれの属性のブレスをくらわせていた...

 

その中で、氷と神が一番効くと理解し、氷と神の攻撃を連続で繰り出していく...

 

---ギャァァァ!

 

さすがのアラガミも生命の危機を感じ、その場から逃げ出した...

 

しかし、龍はその場から動こうとはしなかった...

 

そして、リンドウとカゲトラの方を向くと...

 

「おいテメェら、無事か!?」

 

リンドウ達の後ろから、ソーマとコウタがやって来た...

 

「っ!?新種か!?」

「チッ!リンドウさん、カゲトラ!」

 

ソーマとコウタは、龍に向かって武器を構えた。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

武器を構えたソーマ達の前に、カゲトラが立った...

 

「そこをどけ!さっさと片付ける...」

「それは勘弁!この龍は兄さんなんだ!」

「なんだと!?」

 

カゲトラはソーマにここで起こった事態を説明する...

 

その間、龍となったタツヤは広いスペースを探して、そこに伏せてカゲトラ達を見ていた...

 

「...なるほどな」

「まさか、このでっかいのがタツヤなんて...」

 

ソーマとコウタは驚きを隠せなかった...

 

「襲ってこない所を見ると、意識はあると思うんだ。だから少し話してみる」

 

そう言ってカゲトラはタツヤ(龍)に向かって...

 

「兄さん、元に戻らないの?」

 

そう語りかけた、すると...

 

---ギィ...

 

タツヤ(龍)は立ち上がり、前足の爪で地面に何かを書き始めた...

 

---モドリタイケド、モドリカタガワカラナイ

 

「マジか...」

「こいつは驚きだな」

「ほんとにタツヤなのか...?」

 

コウタの言葉にタツヤ(龍)は...

 

---タツヤダヨ、コウタ

 

こう地面に書いた。

 

「おぉ、ほんとにタツヤだ」

 

コウタはようやく納得する。

 

「じゃあ、兄さんはどうやってその状態になったの?」

 

---シヲカクゴシテ、ソノマエニリュウヲイメージシタラコウナッタ

 

「ふむ...じゃあ今度は兄さんの人間の姿をイメージしてみて」

 

カゲトラはタツヤに提案する。

 

---ン、ワカッタ

 

タツヤ(龍)は目を閉じ元の姿をイメージした、すると...

 

タツヤ(龍)が光り始め、光が収まると...

 

「これは、戻ったのか?」

 

元のタツヤの姿があった...

 

「やっぱりね」

「トラ、どういうことだ?」

「じゃあここにいる皆に説明するよ」

「あぁ、頼む」

「まず、俺が疑問に思ったのは、兄さんが龍をイメージしたら龍になった事、だったら元の姿をイメージしたらそうなるんじゃね?って思ったら見事に当たってたってわけ」

「なるほどな...じゃあもう一回龍をイメージしたらそうなるのか?」

「それはわかんないっす、リンドウさん」

「じゃあ、もう一回やってみますか?」

 

タツヤはリンドウにそう言う。

 

「いいのか?」

「戻り方も分かったんで別に構いませんよ」

「そうか?んじゃ頼むわ」

「了解です」

 

タツヤは目を閉じ、先程の龍をイメージした...

 

すると、タツヤの体が光り始め、龍に変形した。

 

「おぉ龍になった」

 

リンドウは目を見開いて龍を見る。

 

タツヤはまた目を閉じ、元の姿をイメージする。

 

すると、体が光り始め、元の姿に戻った。

 

「こいつぁ使い方によってはアラガミに対して有効だな」

「とりあえず戻るぞ...サクヤとアリサを置いてきたままだからな」

「ん、そうだな...」

「一応タツヤはメディカルチェック受けた方がいいんじゃね?」

「あぁ、そうするよ...」

「ところでタツヤ...」

「ん?」

「その刺青はなんだ...?」

「これはアラガミに襲われた時に受けた傷を隠すために入れたんだよ。カゲトラにも入ってる」

「...なるほどな」

 

 

ソーマはタツヤに刺青の事を聞くと、支部に向かって歩き出した...

 

それに続いてタツヤ達も歩き始める...

 

 

 

 




以上タツヤ覚醒回でした。
タツヤの龍形態はモン〇ンFのディス〇ィロアの体がミラ〇ーツみたいに白銀になったとイメージしてください。そのモンスターを知らない方はググって見てください。






...あれミラ〇ーツって白銀だっけ?


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act.13 アラガミ化

やりすぎた感がありまくる前回の続きです。
アラガミになれる人ってタグ追加しようかなぁ...


 

---極東支部 サカキ博士の研究室---

 

「ふむ、これは中々興味深いね...」

 

この研究室の責任者で極東支部の研究者、ペイラー榊は自身の前にあるモニターに映るタツヤのメディカチェックの結果に興味を持っていた。

 

「どうですか?サカキ博士」

 

ベッドから起き上がったタツヤはサカキに問う。

 

「タツヤ君の体の中のオラクル細胞が限りなく多くなっている。現状で言うと君の細胞の50%はオラクル細胞になっている」

「つまり俺は...」

「...認めたくは無いだろうが半分アラガミ化しているね」

 

メディカルチェックの結果、タツヤはアラガミ化していた...

 

「だけどアラガミ化したことで良いことも少しながらなるよ」

「なんですか?」

「アラガミ化したことで身体能力が飛躍的に向上したことだ、君の身体能力は他のゴッドイーターに比べて非常に高くなっていると思うよ」

「確かに、それならあの新種のアラガミ...プリティヴィ·マータだっけ?あれを簡単に倒せたのも説明がつきますね...」

 

タツヤのその言葉を肯定するようにサカキは頷く。

 

「けど納得のいってないことがあるんだ...」

「なにがですか?」

「君が体もアラガミになったことだ、普通半分アラガミ化したのなら全身がアラガミになるなんてことはない、腕などの一部がアラガミにはなるけど...」

「...確かにそれはよくわかりませんね...」

「それと、なぜアラガミになっても人としての意識を残せたのか...」

 

サカキは再び考え込んだ、すると...

 

「...あの時の傷かな?」

 

タツヤが突如として話し出した。

 

「傷とは?」

「俺とトラは昔アラガミに襲われて背中に傷を負ってるんですよ...その時に少量ながらオラクル細胞が体の中にあるって医者に言われて...」

「なるほど...君がゴッドイーターになった直後のメディカルチェックの時に発見したオラクル細胞はそれだったのか...」

「よく分かりましたね、ゴッドイーターになった時、体の中に他のオラクル細胞も入ったというのに」

「少し特殊なオラクル細胞だったからね...他のオラクル細胞と比べるとその細胞は明らかに人の細胞と混ざりあって共存していたんだ」

「...もしかして、今俺の中にあるオラクル細胞も...」

「君の思っているとうり、人の細胞と共存しているよ...それがアラガミ化しても人格を失わない理由なのかもしれないね」

 

サカキの口から驚愕の事実が発せられた。

 

普通ならば有り得ない事態に伴い、定期的にメディカルチェックを受けるようにとサカキに釘を打たれタツヤは研究者を後にする。

 

そして、研究者を出てすぐの所にある一つの扉の前で止まった。扉には...

 

---面会謝絶---

 

と、張り紙がしてあった...

 

「アリサ...大丈夫かな...」

 

その扉の向こうは病室で、そこにはアリサが入院している。

 

「後でまた来よう」

 

そう言ってタツヤはエレベーターに乗ろうとして...

 

「メディカルチェックは終わったか...?」

 

エレベーター乗り場の隣にある少々広い椅子のあるスペースから声をかけられた。

 

その声は酷く冷たく一瞬でタツヤの顔が青ざめていく。

 

「あ、いいい今終わりましたよ、ツツツツバキさん...」

「そうか...」

 

タツヤは恐怖の余り上手く言葉を発せられなくなっていた。

 

それもその筈だ、リンドウを助けるためとはいえタツヤとカゲトラは重大な命令違反をしたのだから...

 

現にツバキの右側には気を失って倒れているカゲトラがいる...

 

「タツヤ...」

「ははいっ!」

「姉として愚弟を助けてもらった礼はする、ありがとう」

「い、いえ、俺は当たり前のことをしただけです!」

 

タツヤはツバキの礼にシャキッと答える。

 

「だが、それは姉としてだ...これから私は教官として、命令違反をした新人のお前らに罰を与えねばならん...」

「デ、デスヨネー」

 

タツヤは自身の身にこれから起こる事態を想像し恐怖した。

 

「弟を助けてもらった恩人に罰を与えるのは複雑な気分だが、罰は受けてもらう!まずは私からのありがたい説教だ、その後は私の監視の下、反省文100枚だ...完成するまで開放せんから覚悟しておけよ?」

「フルコースじゃないですかやだー」

 

ツバキはタツヤとカゲトラの襟を掴んで引きずって行く。

 

「ちょ、襟は勘弁、首締まる、死ぬ...」

「これくらいのことで死んでどうする!それとも私と特訓でもするか?」

「いや、それはさらに勘弁で...」

「じゃあ我慢するんだな...」

「鬼教官...」

 

タツヤのボソッと呟いた一言を拾ったツバキはタツヤに拳骨を落とす、その一発でタツヤは意識を闇に落とした...

 

----------------------

 

---2日後---

 

「や、やっと終わった...」

「ま、まさか反省文の後に特訓までさせられるとは...」

 

タツヤとカゲトラは自室で倒れ込んでいた。

 

「とりあえず俺は少し寝る、しんどい...兄さんは?」

「俺も少し寝るよ、このままじゃ任務中に寝そうだ...」

 

そう言ってタツヤは眠り始めた...カゲトラ数秒後に眠りについた。

 

現在の時刻は午前6時、2人が起きたのは11時だった...

 

 

 

 




今回はタツヤのアラガミ化の理由を考える回と鬼教k...ゲフンゲフン、ツバキさんの教育回でした。

あるお方からの指摘を受け、戦場への移動手段を少々変えたいと思います。

今までは徒歩にしていたのですが、今まで出た3つのエリアは車での移動にし、まだ出してない地下街と空母エリアはヘリで移動にしたいと思います。(地下街は入口までヘリで、地下街へは徒歩)


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act.14 感応現象

まずい、書く時間が少なくなってきた...


 

---極東支部 サカキ博士の研究室---

 

研究室にはアリサを除く第一部隊のメンバーが集められていた。

 

「.......という理由から、タツヤ君がアラガミ化しても人としての意識を残せていると私は推測する」

 

集められた第一部隊のメンバーは、タツヤのアラガミ化の件でサカキ博士から説明を受けていた。

 

「まさか私が居ないときにそんな事になってたなんて...」

 

唯一タツヤがアラガミ化した時にその場に居なかったサクヤは、未だその事実を完全に飲み込めてはいなかった。

 

「...理由は分かったけどさ、アリサはどうすんだ?」

 

コウタがこの場に居ないアリサの事を口にすると第一部隊全員の表情が曇った。

 

しまったとコウタは口に手を当てるが時すでに遅し。

 

だが、そうなっても仕方ないのかもしれない...アリサはタツヤとカゲトラの働きがなければ仲間殺しをするところだったのだから。

 

「...アリサの件は俺が何とかしてみる」

 

不意にそう語ったのはタツヤだった...

 

「何とかするったって、あいつはリンドウさんを殺しかけたんだぞ?一体どうすんだよ?」

「けど、アリサは精神面に少し問題があるからなぁ。あんときに精神不安定になったんじゃねーのか?」

 

コウタの重い言葉に被害者になったリンドウは軽々と返す。

 

「リンドウさん...死にかけたのに随分と軽いですね...」

「でも、タツヤ達のお陰で生き残れた。その前に起きた事なんて関係ない、大切なのは生き残れたって事だ」

 

リンドウの言葉にコウタは反論出来なくなる。

 

そして、リンドウは第一部隊のメンバーに対して...

 

「お前らも、今は無理でもアリサ許してやってくれ」

「...リンドウさんがそう言うなら...」

「そうね、大切なのはリンドウが今生きてるって事だものね」

「...俺には関係のない事だ...」

 

リンドウの言葉にコウタ、サクヤ、ソーマは合意する。

 

「タツヤとトラも許してやってくれないか?」

「俺は元からそのつもりです、アリサの原隊復帰にも協力するつもりでした。けど、トラは...」

「グー....グー...」

『ね、寝てるし...』

 

タツヤはリンドウの言葉に同意したが、トラに関しては罰の疲れから、立ちながら寝ていた。

 

「ま、まぁ姉上のお仕置きを受けた後だからしょうがないか...」

「あれくらいの罰を受けた後なら俺でもああなります...」

 

爆睡中のカゲトラを見てリンドウとコウタは苦笑する。

 

それにつられ他のメンバーも苦笑する。

 

「んじゃ、アリサの件はタツヤに任せるってことで今日は解散だ。おい、トラ起きろ」

 

リンドウは皆に解散を告げ、カゲトラを起こす。

 

「ふぁ...あ、リンドウさん...あれ?もう終わりました...?」

「あぁ、もう解散するからお前はとりあえず部屋で少し寝ろ」

「了解で〜す」

 

リンドウに解散を告げられたカゲトラは研究室を後にしようとするが、寝ぼけていたのか研究室の扉に頭をぶつけてしまった。

 

さすがのこれには第一部隊のメンバー&サカキ博士も笑いを吹き出した。

 

----------------------

 

サカキ博士の研究室を出たタツヤは病室の前に来ていた。

 

「お見舞い?」

「あ、サクヤさん」

 

病室に入ろうとした所でサクヤに声をかけられた。

 

「リンドウ事だけど、ありがとうね、助けてくれて」

「いえ、俺は当たり前のことをしただけですよ」

「ふふ、ありがとうね。それじゃアリサの事お願いね、私も協力はするから」

 

そう言ってサクヤは立ち去る。

 

サクヤが行ったのを見届けてタツヤは病室に入る。

 

病室に入ってすぐ右のベッドにアリサは寝ていた。

 

そして置いてある椅子に腰掛けアリサを見た、どうやら寝ているようだ。

 

すると...

 

---プシュー

 

病室の扉が開いて一人の男が入ってきた。

 

「君は、確か」

「俺は第一部隊の桐生タツヤです」

「ああ、君がタツヤ君か。私はアリサの主治医のオオグルマだ、今日は面会に来てくれてありがとう」

 

アリサの主治医、オオグルマと名乗る男に礼を言われる。

 

「お見舞いに来てくれたのはありがたいけど、今は見ての通り寝ていてね。先程届いた正直強い鎮静剤を投与したばかりなんだ」

「そんなにアリサの様子はひどいんですか?」

「あぁ、未だに精神があまり安定していないんだ。こんなに酷くなるのは今まで無かったのだが...」

 

オオグルマからアリサの様子を聞いたタツヤは、アリサの手を握る。

 

すると...

 

「!?」

 

タツヤの意識が一瞬飛んだ。

 

そして、気付くと何処かの建物の中にいた。

 

---もういいかい?まぁだだよ---

 

どこからか声が聞こえてきた。

 

声は3人、その内の一人の声は聞き覚えがあった。

 

アリサの声だ...

 

「これは、アリサの記憶か?」

 

タツヤは未だに混乱している頭で無理矢理整理をつけた。

 

すると、左側から2人の男女がやってきた。

 

見た目から察するにアリサの両親だろう

 

そして、2人は一つのタンスに近づいていき...

 

---ギャァァァァ!

 

突如として現れた黒いヴァジュラ亜種、ディアウス·ピターに捕食された。

 

「!?」

 

そこで、タツヤの意識は元の病室に戻った。

 

すると...

 

「ん...」

 

アリサが目覚めた。

 

「今....私....あなたの....」

 

そこまで話してアリサはまた眠り始めた。

 

「い、意識が回復しただと...まさか...失礼する!」

 

突然オオグルマは慌てだし病室を後にした。

 

病室を出たオオグルマは誰も居ないことを確認すると、電話を取り出し、扉のそばで誰かと通話を始めた。

 

「はい、まさか意識が回復するとは...詳しくは分かりませんが...ええ、例の...はい、新型同士の感応現象かと...はい、どうしましょう、隔離しますか?...そうですか、ではしばらくこのまま...はい、では私はこれで」

 

オオグルマは誰にも聞かれていないと思っているが、この会話を1人だけ聞いている人物がいた...

 

「...野郎ォなんか裏があるな...」

 

オオグルマの会話を聞いていた人物、それはタツヤだった。

 

アラガミ化した事により得た、ゴッドイーターより数倍も優れた聴覚によりオオグルマの会話を聞いていたのだ。

 

「さすがに通話相手の声までは聞き取れないか...だが、オオグルマ...あいつは要注意だな...」

 

そう言ってタツヤは病室を後にしようとする。

 

その時、病室に入ってきたオオグルマとすれ違った。

 

「もう、帰るのかい?」

「はい、もうそろそろ時間なので」

「また来てくれ、アリサも喜ぶ」

「はい、では失礼します」

 

タツヤはスラム生活時代に培ったポーカーフェイスでオオグルマに怪しまれないようやり過ごす。

 

そして、エレベーターに乗り...

 

「...リンドウさんにだけでもこの事を伝えておくか...」

 

そうつぶやきタツヤはベテラン区画のリンドウの部屋に向かった...

 

 

 

 

 

 




ここからはオリジナル展開が続きます。
アリサの過去を完全に見るのは原作ではもう少し後なのですが少々省略しました。
後タツヤの技名を募集している都合上、次の投稿は22日になると思います。


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act.15 黒幕

本文内で募集していた技名発表します(ゝω・)b


 

---極東支部 ベテラン区画---

 

「え~っと、リンドウさんの部屋は...」

 

ベテラン区画にあるリンドウの部屋に向かっているタツヤは一つの部屋の前で立ち止まった。

 

「あった、ここだ」

 

そしてその部屋の扉を2回ノックすると中からリンドウの声が聞こえてタツヤは中に入った。

 

「失礼します」

「おぉタツヤか、どうした?」

 

リンドウはビール瓶が置いてあるテーブルの近くのソファーに座ってタバコを吸っていた。

 

「リンドウさん、吸いすぎは良くないですよ」

「サクヤみてーに固いこと言うなよ。んで何の用だ?」

 

タツヤの注意を軽く流しリンドウは要件を聞いた。

 

「実はさっきアリサのお見舞いに行ったら...」

 

----------------------

 

「...ていうことがあったんですよ」

 

タツヤは一通り説明を終えてリンドウの顔を見ると、リンドウの顔が焦りの色に変わっていた。

 

「...タツヤ、その話はここではマズイ、場所を変えるぞ」

「え?」

 

リンドウはそう言うとタツヤを連れて手頃な任務を受け、車に乗り込み贖罪の街に向かった。

 

「とりあえず任務が終わったら詳しく教えてくれ、それまでこのことは話すな。分かったな?」

「あ、はい」

 

リンドウはそれから一言も話さず贖罪の街に車を走らせた。

 

----------------------

 

「タツヤ!そっちいったぞ!」

 

リンドウとタツヤは贖罪の街でヴァジュラを相手していた。

 

そして、リンドウに言われるとタツヤはヴァジュラと距離をとり、神機を上段に構え...

 

「絶風刃...」

 

そう呟いたあと神機を振り下ろし、オラクルの刃を飛ばす。

 

アラガミ化により更に巨大に、強力になったそれはヴァジュラの体を容易くまっぷたつにした。

 

その後コアを抜き取って回収班を待っている間、リンドウは先程の事を話始めた。

 

「なぁタツヤ、さっきのこと少し詳しく教えてくれ」

「あ、はい。まず、アリサが目覚めたとき突然オオグルマが慌てだして病室を出て誰かに電話をし始めたんですよ」

「...」

「それでアラガミ化して聴力が増した耳で俺が聞いた重要そうな点は、感応現象と俺とアリサを隔離するってとこですね。通話相手は分かりませんが」

 

タツヤは重要そうな要点を簡潔にリンドウに話した。

 

「...感応現象って言うのは分からんが、隔離するということには心当たりがある」

「本当ですか?」

「あぁ、通話相手も大体予想は付いてる」

「...それは誰なんですか?」

 

タツヤはリンドウに通話相手の事を聞いた。

 

「...話してもいいが、それ相応の覚悟が必要だぞ?」

「俺はアリサを守りたいんです...覚悟はできてます」

 

リンドウはその言葉を聞き数秒目を閉じたあと...

 

「...分かった、今から真実を話す。これを聞いたらもう後戻りはできない、今ならまだやめれるぞ?」

「構いません、続けてください」

 

「じゃあまずは通話相手の事だが、それは恐らく支部長だ」

「!?」

「そしてこの間の事件、あれを仕向けたのも支部長だろう、そして精神が不安定なアリサを利用して俺を殺そうとした。まぁ、これは俺が考えている仮説でしかないが大体は合っている筈だ」

「なんでそんなことを...」

「それは俺が真実を知り過ぎたからだ...だがあの事件の時のアリサの豹変、あのピッタリなタイミングで精神を不安定にさせる、恐らくあれは...」

「...アリサに催眠術的な何かを仕込んだ...」

「...正解だ、本来なら俺はそこで死んでいたがお前とトラのお陰で生き残れた、んで俺を殺す事に失敗し、またアリサに催眠術を施そうとしていたところでお前とアリサの感応現象だ...」

「催眠術を施す障害になりかねないから隔離するということですね」

「そういうことだ」

 

そこまで言ってリンドウはタバコを吸い始めた。

 

「アリサの件は納得がいきました。けど支部長の事で知り過ぎたというのは...」

「...それは時が来たら話す、それまでこのことは内密にな」

「了解です」

 

回収班の車が見えたのでリンドウは話を止めた。

 

----------------------

 

帰りの車の中で、リンドウはタツヤに一つ質問をした。

 

「そういやさっきアリサを守りたいって言ったが、友達としてなのか?」

「...自分でもなんでそう言ったのか分かりません、なぜか咄嗟にアリサを守りたいって言ってました」

 

(タツヤめ、自分では気付いてないがアリサに好意を寄せてるな...)

 

リンドウはタツヤに気付かれないよう意地の悪い笑みを浮かべた。

 

 

 




許可取ってないので名前はあかせませんが、タツヤの技名はとあるお方の絶風刃(ぜっぷうじん)にしました。
次回はカゲトラメインの外伝になると思います...


艦これやりてぇ、でもPCない(´;ω;`)
長いけどvita版待つしかないか...


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外伝1 救出の裏で

前回の予告どうりカゲトラメイン回だす。


---贖罪の街---

 

タツヤをリンドウの居る教会内に送った後、カゲトラは...

 

「おらぁ!」

 

教会の中にプリティヴィ·マータを入れさせないよう教会への入口を死守していた。

 

目視できるプリティヴィ·マータの数は6体、新人とは思えない戦績を残してるカゲトラでもこの数を相手するのは無茶なことだ。

 

「そこだ!」

 

カゲトラは1体の頭にブレードの火刀を突き刺した。

 

しかし...

 

---グォォォォォ!

 

「がぁぁぁぁぁ!」

 

1体に集中するあまり他の個体からの攻撃に直前まで気付けずマータの突進をモロにくらってしまった。

 

それにより壁まで吹き飛び地面に落ちてしまった。

 

マータ達はカゲトラを捕食しようと近づいていく。

 

---グパァ

 

その内の1体がカゲトラを捕食しようと口を開くと...

 

---スパァァァァン...ドシャ

 

捕食しようとしていたマータの頭が吹き飛んだ。

 

「ハァァァァァァ!」

 

頭を吹き飛ばした人物はカゲトラだった。しかし今のカゲトラの雰囲気が前とは比べ物にならないくらい怒りに満ち溢れている。

 

---ギャァァァァ!

 

1体のマータが口を開けてカゲトラに飛びかかる。

 

---ガチン!

 

マータが口を閉じると、そこに響いたのは歯と歯が当たる音だけだった。

 

「おせぇんだよ!」

 

マータの攻撃をかわしたカゲトラは真横からマータの胴体に斬撃を叩き込む。そして追撃をしようとしたところで...

 

「ちっ!」

 

カゲトラはマータから離れる。するとそこに無数の尖った氷の塊が飛んできた。

 

---ギィィィィィ...

 

その氷の塊の数個がカゲトラが攻撃したマータに直撃しマータは倒れて動かなくなった。

 

(...体が軽い、それにどこから攻撃が来るか見える...これならいける!)

 

そこからはカゲトラによる一方的な戦いが始まった。

 

マータに斬撃を叩き込み、氷柱による遠距離攻撃が来ればかわしてそれをマータに直撃させまた斬撃による攻撃。

 

それを繰り返すこと15分...

 

「とりあえず終わったか?」

 

カゲトラの目の前にはマータ8体が倒れていた。最初からいた6体と途中から乱入したきた2体だ...

 

「まだ中で戦ってるみたいだな...んじゃ暇つぶしに」

 

カゲトラは倒れているマータを掴み...

 

「おらぁぁぁぁぁぁ!」

 

なんとマータを担いでしまった、そして担いだマータを別のマータの上に置いた。その作業を7回繰り返し。

 

「こんなもんかな、さて登ってみるか」

 

8体のマータを積み上げたものの一番うえに登った...

 

「意外と見晴らしいいな~、にしてもまさかマータを担げるとは...なんかさっき壁に吹っ飛んでから腕力強くなってるような、あと体がなんか軽い」

 

そんなことを考えているとタツヤが教会内に入った所から黒色のヴァジュラ亜種が逃げていった。

 

それから少ししてから教会内で爆発音が聞こえた...

 

「どうやらあっちも終わったみたいだね」

 

...act.11に続く

 




いよいよ不定期更新のタグが活躍することに...
これから色々忙しくなるため更新が安定しなくなります。
カゲトラの外伝はこんな感じで進めていきます。act.11でカゲトラが言った意外とザコかったという言葉は見栄をはってるだけです笑


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act.16 原隊復帰

今回は話が飛んでアリサの原隊復帰からです。


 

「本日付で原隊復帰します」

 

エントランスに集まった第一部隊の前でアリサは原隊復帰のあいさつをしていた。

 

「おう、今日からまたよろしくな」

「よろしくね」

「とりあえずお帰り」

「おかえり~」

「おかえり、アリサ」

 

アリサの原隊復帰のあいさつに第一部隊のメンバーはそれぞれ言葉を返す。

 

ただ、そういうのに興味を示さないソーマは壁に背を預け俯いている。

 

そしてその近くを2人の神機使いが通りかかった。

 

その2人は...

 

「おい、あいつってリンドウさんを殺しかけた奴だろ?原隊復帰したのか」

「あんな奴と任務なんか行きたくねーぜ。もしあいつと任務一緒の時、殺されないよう注意しようぜ」

「だな」

 

ヒソヒソとタツヤたちに聞こえる声でそう話して歩っていく2人を見て、タツヤとカゲトラは怒りを露にし...

 

『おい、てめぇら』

『あ?』

 

タツヤとカゲトラに呼び止められた2人組は、タツヤ達の方に振り返ると、表情が凍りつき顔が真っ青になった。

 

「アリサだってやりたくてやったわけじゃねぇんだ、アリサを傷つける事は言わないでくんねぇかなぁ?」

「今回は手は出さないけど...次言ったらアラガミの餌にしてやっから覚悟しとけよてめぇら...」

 

2人組が振り向いた先には、あからさまに殺気を露にしたタツヤとカゲトラがいた。

 

側にいる第一部隊のメンバーもタツヤ達程ではないが怒りの表情を露にしている。意外なことに、ソーマも2人組をガン見して怒っている。

 

「お、おい行くぞ!」

 

2人組は第一部隊からの威圧に耐えきれず、その場からそそくさと逃げていった。

 

「みなさん、すいません...」

 

アリサは自分の為に怒ってくれた第一部隊のメンバーに謝る。

 

「怒るのは当然だ、仲間が侮辱されて黙っていられないし」

「ありがとう、タツヤさん。でも大丈夫、無くした信用は任務で取り戻します!」

「そうか、でも無理はしないように」

「はい、後タツヤさんに相談が...」

「ん、なに?」

「あとで話すので私の部屋に来てもらえますか?」

「わかった」

 

そしてアリサの原隊復帰のあいさつも終わりタツヤはアリサの部屋に向かう。

 

「アリサ、俺だけど」

「あ、タツヤさん、入っていいですよ」

 

---プシュー

 

そう音を立てドアが開く。そして左側にあるソファーにアリサは座っていた。

 

「今飲み物を用意するので座っていて下さい、コーヒーでいいですか?」

「あ、うん」

 

アリサにそう言われソファーに座る。そしてコーヒーを入れてきたアリサが隣に座った。

 

「それじゃあ早速本題に入りますねタツヤさん」

 

コーヒーを一口飲み、本題に入ろうとするアリサ。

 

「その前にちょっと待て」

「なんですか?」

 

本題に入る前に、タツヤに止められた。

 

「エントランスから気になってたんだが、なんでいきなり敬語?」

「いや、ちょっと、今までの話し方は失礼すぎたと改めて実感したので...」

「そういうことね、俺らはほぼ同期だし別に敬語じゃなくていいよ」

「そ、そうですか。でも、慣れるまでは敬語でお願いします」

「ん、そこはアリサの好きにしていいよ」

「ありがとうございます」

 

そこまで話してやっとアリサは本題に入る。

 

「では本題に入りますね」

「了解」

「タツヤさんに頼みたいのは、私の特訓に付き合ってもらいたくて...」

「特訓?」

「はい、戦いの感覚をもどすのと、皆を守れるよう強くなるための特訓に付き合って貰いたいと思って...」

 

アリサはなんだか申し訳なさそうにタツヤにお願いする。

 

「そのくらいならお安い御用だよ、俺もアリサに見せたいものあったし」

「本当ですか!?ありがとうございます!それと見せたいものって?」

「それは任務先で話すよ。んじゃ早速行こうか」

「あ、はい!」

 

タツヤとアリサは特訓の為に出かけて行った




投稿が遅れてしまい申し訳ないです。
最低でもバースト編が終わるまでは失踪はしません、ゆっくりですが投稿していきます。
後、1話の平均文字数が1500くらいなので所々飛ばしたりしますが見逃してくださいm(_ _)m


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act.17 特訓

特訓回!


 

---愚者の空母---

 

海に面したこのエリアはアラガミさえ居なければ夕陽を見る上で絶景のスポットである。

 

そのエリアに1機のヘリが来た。そして、ヘリから1組の男女が降りる。

 

「ここが今日の狩り場か」

「はい、標的はボルグ·カムラン1体です」

 

極東支部のゴッドイーター、桐生タツヤとアリサだった。

 

ヘリは2人を降ろすと再び飛び立っていった。

 

「んじゃ早速始めますか。今回アリサは病み上がりだし後衛から援護頼む」

「了解」

「んじゃ行こう、多分ここから見えないってことは橋の先の広いとこに居ると思う」

 

標的の居るであろう場所を予想して2人は進んでいく。

 

そしてタツヤの予想通り標的は橋の先の広い場所で瓦礫を捕食していた。

 

「...周囲に小型アラガミは居ないな、叩くなら今か」

「先制攻撃しますか?」

「頼む、目視で確認できる範囲には他のアラガミは居ないけど戦闘音で寄ってくるかもしれないから一応注意しといて」

「了解です、では先制いきます!」

 

アリサは物陰から身を乗り出し先制の銃撃を撃ち込んだ。

 

そしてタツヤはアラガミとの距離を一気に縮める。

 

その速さは通常のゴッドイーターの速さを大きく上回っている。これもアラガミ化の恩恵である。

 

---ドカァァァン!

 

「しっ!」

 

---ザシュ!

 

そして、タツヤの攻撃はアリサの銃撃が当たってから3秒後にアラガミに届いた。

 

---ギィィィィィ!?

 

のんびり捕食していた状態で急に奇襲され、即座に追撃までされボルグ·カムランは驚愕に道溢れた奇声をあげた。

 

そして、タツヤとアリサの姿を確認し即座に戦闘態勢に入った。

 

「ここからが本番だ、アリサ無理だったら後退しろよ」

「大丈夫です!」

 

アリサはボルグ·カムランに弱点である氷属性のバレットを撃ち込んだ。

 

「上等!」

 

タツヤはボルグに連続の斬撃を叩き込む。

 

力を溜めないぶん一発の威力は無いが手数で補う斬撃技だ。

 

「とりあえず8連でいいか、乱舞VIII(乱舞エイト)...」

 

---ギャァァァァァ...

 

ボルグはアリサの銃撃とタツヤの連撃に堪らずダウンする。

 

「決める、絶風刃!」

 

そこで終わり。タツヤの十八番技になったオラクルの斬撃でボルグはまっぷたつになった。

 

「これ、特訓になってないような...」

「あ~ごめん、ちょっと連撃技を試してみたくて」

 

ボルグからコアを抜き取りながらタツヤはアリサに謝る。

 

「んじゃあお詫びにアラガミ化でも見せてやるよ」

 

そう言ってタツヤは目を閉じる。

 

そしてタツヤの体が白く光ると、タツヤの姿が龍に変わった。

 

「...これが、タツヤさんのアラガミ状態...」

 

アリサはタツヤの龍の姿に魅せられた。

 

そして龍の体が白く光ると、今度は龍がタツヤになった。

 

「アラガミ状態じゃなくて龍状態の方がいいな」

「あぁ、すみませ...ってタツヤさん!なんで上半身裸なんですか!」

 

龍状態から通常に戻ったタツヤの体は上半身が全裸になっていた。

 

「なんかねー龍になると上半身だけ服なくなる」

「そんなこと言ってないで早く服着てください!」

「わりぃ、服無くなるんだわ」

「そ、そんな~」

「まぁこっち見てみ」

「見れません!」

「大丈夫だって背中向けてるから」

「むぅ~、わかりました」

 

アリサは伏せていた顔をあげる。そしてタツヤの背を見て...

 

「...これは...」

「アリサにはまだ見せたこと無かったなーって」

 

アリサが見たのはタツヤの背に描かれた龍だった。

 

「...これが美しいというものなのでしょうか...」

 

アリサはまたも魅せられてしまった。

 

「へぇ、これを美しいと言ったのはアリサが初めてだ」

「これ、確か感応現象で...」

 

アリサは不意にある事を思い出した。

 

「あれ、アリサも感応現象で過去を見たんだ」

「はい、うっすらとですけど...まさかタツヤさんも私と同じだったなんて...」

「そこまで知ってるか...なら背中の龍の意味も教えるよ」

「意味?」

「あぁ」

 

そこでタツヤはひと呼吸置き再び話し出した。

 

「アリサも知っての通り、俺とトラはアリサと同じでアラガミに両親を殺されてるんだ」

「.........」

「その時に俺とトラは背中にアラガミの攻撃で傷ができてさ、んでその傷を隠すのと同時にある誓いを立ててこの刺青を入れた」

「誓い?」

「...両親を殺したアラガミを2人で殺すというのとアラガミに怯える人達を助けること、そう誓いを立てて俺は龍を、カゲトラは虎の刺青を彫った」

「...そんなことが...」

 

アリサはタツヤの話を聞いて俯いた。自分と同じ境遇でも2人は自分のように復讐だけで生きてはいないからだ。

 

復讐だけでなく、他の人達を守る。復讐の事しか考えていなかった自分に落胆したのだ。

 

その事をなんとなく察したタツヤはアリサに声をかける。

 

「別に復讐が悪いとは思ってない、俺もそうだからな。けど、復讐だけに生きたら大切な物を失うだけだ、そうならない為にも復讐以外のことも考えるんだ。あくまで復讐するのは両親を殺したアラガミと対峙した時、それ以外では考えた復讐以外の事をすればいい、たったそれだけで失う物は無くなるはずだ」

 

タツヤはアリサに自分の考えを言った。

 

「俺らしくもねーな、説教臭くなっちまった」

「いえ、タツヤさんの言う通りです。前までの私なら復讐の事ばかり考えていました。そのせいでこの間の事件で他の部隊の方からの信頼というものを失ってしまいました...これからは復讐以外のことも考えてみます!」

 

アリサはタツヤの言葉を素直に受け入れた。それは今までの彼女なら考えられない事であった。

 

それほど、アリサはタツヤを信頼しているのだ。

 

「それでいい、んじゃヘリも見えてきたし帰るか」

「ふふっ、そうですね帰りましょう」

 

---ヘリの中にて---

 

「あの~」

 

アリサは向かいに座っているタツヤに話しかけた。

 

「ん、なに?」

「また、一緒に任務に行きませんか?」

 

アリサは気恥ずかしそうにそういった。

 

「ん?俺でいいならいつでもいいよ」

 

その言葉を聞くとアリサの表情が明るくなった。

 

「本当ですか!?では、帰ったら直ぐに行きましょう!」

 

そして軽く暴走状態になってしまった。

 

「いやいや、今夕方だぜ?夜戦は勘弁」

「あ、すいません...」

 

タツヤの一言でアリサの暴走状態は収まった。

 

「今日は病み上がりでの任務だったからな、今日はゆっくり休むんだ、任務は明日な」

 

そう言ってタツヤはアリサの頭をポンポンっと軽く撫でた。

 

「!?」

 

アリサの顔が赤くなっていった。それは自分でも分かるくらいに。そしてアリサは顔を下げ。

 

「それは、反則です...」

 

アリサは静かにそう呟いた...

 

 

 

 

 

 




恋愛系を書くのはどうも苦手だなぁ
というかこのままのペースだとact.30くらいで無印のストーリーが終わりそうな予感が...
次回は外伝の予定です


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外伝2 カゲトラとカノン

どうも、最近またモンハンFをやり始めたうp主です。
なんと今回、過去最高の長さです...


 

「あ〜暇だ〜」

 

極東支部のエントランスでカゲトラはそう呟いていた。

 

今現在、第一部隊のリンドウ·サクヤ·ソーマ·コウタは緊急の任務に出ており、タツヤとアリサはカゲトラに特訓してくると言って任務に出てしまった。

 

それ故に彼は今1人なのだ。

 

実力はソロでも大型アラガミ2体は倒せるくらいあるが、やはりソロには恐怖感があった。リンドウ救出の時のような余程の事がなければソロなんてやらない、そう彼は決めていた。

 

「それにしても暇だな...」

 

あまりの退屈さにカゲトラは2回も暇だと呟いた。

 

そこに...

 

「そ、そんなに暇なんですか?」

「んん?」

 

カゲトラにとって見知った人が現れた。

 

「あ、カノンちゃん」

 

出会った日にカゲトラに一目惚れした第二部隊の台場カノンだった。

 

「お、お久しぶりです。あ、あの...髪型変えたんですね...」

 

カゲトラとカノンは何だかんだで1週間くらい顔を見ていない。それは最近居住区にアラガミが寄ってきやすくなったからだ、それ故カノン達防衛班の出撃回数が増え尚且つ新人離れした実力を持つカゲトラも出撃回数が増えているからだ。

 

「なんかあの髪型飽きたしね、それにこっちの方が俺に合ってるって兄貴も言ってたし」

「そうなんですか、それより暇なら一緒に任務に行きませんか?」

 

カノンは暇だと呟いていたカゲトラに任務に行かないかと誘った。そして暇だったカゲトラからの返答はもちろん

 

「いいよ~、いい暇つぶしになるし。それに初めてあった日に約束してからまだ一度も一緒に任務に行ってないしね」

 

もちろん返答はyesだった。

 

「それじゃあ行きましょうか、どんな任務にします?」

「とりあえず大型種のやつで。そのほうが暇つぶしになるし」

「了解です、では選んできますね」

「はいよ~」

 

カノンは任務を選ぶためヒバリの所へ向かった。

 

----------------------

 

---贖罪の街---

 

「ふぃ~到着っと」

 

カゲトラは車の運転席から降りて背伸びした。

 

「カゲトラさんって車の運転できるんですね...私なんか怖くて出来ないのに...」

 

カノンは助手席から降りてカゲトラに言った。

 

「まぁ、オートマだしね。ドライブに入れてアクセル踏めば勝手に進むし、それに瓦礫とかを乗り越えて行く時の事も想定して車自体頑丈に出来てるからね」

 

カゲトラはカノンにこう返して武器を取り出し構えた。

 

それに続いてカノンも武器を構える。

 

「今回の標的はヴァジュラ1体だっけ?」

「はい、この辺りの小型アラガミを捕食して少し強化された個体みたいです」

「了解、他のアラガミが乱入してくる可能性もあるから気を付けてね」

 

そこまで言ってカゲトラとカノンは歩を進めた。

 

----------------------

 

「よし、見つけた」

 

物陰に隠れながらカゲトラはそう言った。彼の目線の先にはオウガテイルを捕食しているヴァジュラの姿があった。

 

「とりあえず俺が飛び出すから、そしたらカノンちゃんはヴァジュラに銃撃して」

 

そう言ってカノンの方を見たカゲトラは少し身震いした...

 

「...了解です」

 

なぜなら言葉こそ普通だがカノンの目が餌を見つけた獣のようにギラついていたからだ。

 

「それじゃ3カウントでいくよ。3、2、1、Go!」

 

そう言ってカゲトラは飛び出した。

 

そしてヴァジュラとの距離残り数メートルというところで後ろからの衝撃で吹き飛んだ。

 

カゲトラは一瞬他のアラガミに殺られたと思ったが直ぐに原因を突き止めた。

 

「...射線上に入るなって、私言わなかったっけ?」

 

冷酷なまでに冷たいカノンの声が辺りに響きわたった。

 

そしてカゲトラは1つ思い出した...

 

「あ~そういやカノンちゃんの誤射率は世界トップクラスだったな...」

 

カノンの誤射率は世界トップクラス、あるいは世界一だという事を。

 

そしてカノンの誤射でヴァジュラはこちらに気付き奇襲は失敗した。

 

「こんな誤射受けてたんじゃこっちの身が持たないや...しゃーないこうなったらやるしかないか」

 

そう言ってカゲトラはヴァジュラに向かっていった。

 

「おりゃ!」

 

カゲトラはヴァジュラに斬撃を叩き込む。

 

そして咄嗟にその場から離れる、すると先程までカゲトラがいた場所が...

 

---ドォォォォン!

 

...文字通り爆発した、カノンが爆発系バレッドを撃ったのだ。

 

「まだまだぁ!」

 

カノンは連続で爆発バレッドを撃ち込む。

 

「全神経を集中させればなんとかあの誤射を避けれるか...でもこんなの何回も続けてれば俺の神経がイカれちまうな...こうなりゃ出し惜しみは無しだ、速攻で決める」

 

そしてカゲトラはヴァジュラに向かって走り出した。

 

---ギャァァァァァ!

 

カゲトラの接近に気付いたヴァジュラはカゲトラ向かって右足を振り上げる。

 

しかし、カゲトラはそれを避けようとせず致命傷にならない程度に調整してその攻撃を受けた。

 

「!?カゲトラさん!」

 

これには狂化していたカノンも我に返る。

 

そしてカゲトラは吹き飛んで地面に倒れた、そして...

 

---ユラァ...

 

フラフラとカゲトラは立ち上がった。そして...

 

「しっ!」

 

---スパァァァァァン!

 

目にも止まらぬ速さでヴァジュラに斬撃を叩き込んだ...

 

その圧倒的な速度、それはまるで地を駆ける虎の如く。

 

そして今のカゲトラは以前のような優しい雰囲気ではない。

 

口元に怪しい笑みを浮かべ、目は狂気に満ちた目になっている。

 

その表情にカノンは凍りついた。

 

.........今のカゲトラは狂戦士(バーサーカー)状態になっていた。

 

これはRPG等のゲームでいうなら一定以上のダメージを受けたら自動発動するスキルのようなものだ。

 

しかしカゲトラは時間をかけられないと思い、意図的に一定量のダメージを受け狂戦士状態になった。

 

「簡単に壊れんなよォ...」

 

そう言ってカゲトラは目にも止まらぬ速さで斬撃を繰り返した。

 

カゲトラが狂戦士状態になると脳で考えるということを放棄するのだ。それ故反射的に繰り出す攻撃をそのまま叩き込んでいるためこの様な素早い斬撃が繰り出せる。

 

そしてもう一つ、人間の脳は体が壊れないよう本来の30%しか力を出せないようリミッターが掛かっているのだ、しかしカゲトラは狂戦士状態になるとこのリミッターを外した状態、すなわち狂戦士の間は常に火事場の馬鹿力状態なのだ。

 

それ故...

 

---ギャァァァァァ...

 

あの素早い斬撃の1つ1つが重たい一撃になっているため一番効率よくアラガミにダメージを与えられるのだ。

 

しかし、1つ忘れてはいけないことがある。それは狂戦士状態は一定以上のダメージを受けた状態で発動するという事だ、そのため今の彼は瀕死まではいかないが相当のダメージを受けている。次にまともな1撃をくらえば間違いなく瀕死、最悪の場合死ぬ。

 

狂戦士状態は諸刃の剣なのだ...

 

しかし、今回は最悪の結末にはならなかった。

 

---ギャァァァァァ...

 

カゲトラに攻撃をしようとしたがその素早い動きにヴァジュラは付いていけず、そのまま成すすべなく絶命した。

 

----------------------

 

「あの、あれはいったい」

 

ヴァジュラのコアを抜き取って回収班を待つ間カノンはカゲトラに先程の事を質問した。

 

「あぁ、あれは一定以上のダメージ喰らうと俺は豹変するみたいなんだ、俺はその間の記憶はないけどさ...」

 

カノンの質問にカゲトラは返答する。

 

「大半の人は狂戦士(バーサーカー)って言うけど兄貴は狂乱状態(マッドネス)って言ってるよ。まぁ2つとも大した差はないけど」

 

そして返答にこう付け加えた。

 

「そ、そうなんですか...」

 

カノンは疑問に思いながらも納得したようだ。

 

「まぁ、カノンちゃんの豹変っぷりにも驚いたけどな」

「あぅぅぅ、それはわすれてください...」

 

カゲトラに自分の豹変の事を言われカノンの顔が赤くなる、目も少し涙目になっている。

 

「俺らって豹変するところとか似てるよな~」

「ふぇ?」

 

カゲトラの似てるという言葉を聞きカノンの顔が更に赤くなり、変な声を出してしまった。

 

「俺ならカノンちゃんの誤射をなんとか避けれるからな~俺らがペア組んだら意外と強いかもよ?」

 

カゲトラは笑いながらカノンにこう言った。

 

そしてその後に...

 

「また一緒に任務しようぜ!」

 

こう言われてカノンは涙を流し始めた。

 

「え、えぇ!?俺なんか悪いこと言った!?」

 

カゲトラは慌ててカノンに謝ろうとする。

 

「いえ、ただ...また一緒に任務に行こうって言ってくれる人なんて...初めて...だったので...つい...」

 

そう、今までカノンと一緒に任務に行ったゴッドイーターはその豹変っぷりと誤射率の多さを目の当たりにし、一緒に任務に行くのを嫌がるようになっていたのだ。

 

最早その光景に慣れてしまって普通に任務に出てくれる人達も居るが、それは何度も任務に行くうちに慣れた人のみで、初めて一緒に任務に行ってその日の内にまた一緒に任務しようと言ってくれたのはカゲトラが初めてだったからだ。

 

「あれ、そうだったの?俺的には普通の時と任務の時のギャップがあっていいと思うけどな~」

「っ!?...今のタイミングでその言葉は反則ですよ、カゲトラさん...」

 

カノンがそう呟いた時だった...

 

「っ!?あぶねぇ!」

 

カゲトラはカノンを抱えその場から前方に緊急回避をした、すると今までカゲトラ達がいた所にオラクルの矢のような物が落ちてきた。

 

そしてその攻撃をしたきたアラガミはカゲトラにとって今一番会いたくないアラガミだった。

 

漆黒の胴体に2つの翼、鋭く剣のように尖った尻尾、後ろに伸びた4本の角を持つ頭...

 

 

 

「...コクリュウ」

 

 

そう、そのアラガミはこの間正式に名前がコクリュウに決まり、部類は急遽設けられた第一種接触禁忌種の上の特殊接触禁忌種だ、この部類のアラガミに接触した神機使いは例えベテランでもその場から離脱しなければならないというルールがある。そこまでするくらいに目の前のコクリュウというアラガミは危険なのである。

 

だがもう一つルールがある、ある程度の弱点や行動パターン等が判明したら第一種接触禁忌種に下げるというものだ。いつまでも逃げていたのではこのアラガミに人類は滅亡させられてしまうからだ、それ故今は離脱しなければならないが、いつかは狩らねばならないのだ。

 

そして、早く第一種接触禁忌種に下げられないかと一番に願っていたのはカゲトラであった。このコクリュウは自分の両親の仇だからだ。

 

だが、まだコクリュウは特殊接触禁忌種なのだ攻撃パターンも分かっていない、それ故仇ながら今一番会いたくなかったのだ、先程の攻撃も避けたと思っていたが、1つの矢が背中を掠って服に亀裂が入っていた。

 

それくらいこのコクリュウの攻撃は正確かつ強力なのだ...

 

ここでカゲトラ達がとる行動はもちろん1つだった。

 

「っ!カノン!逃げるぞ!」

「は、はい!」

 

カゲトラはスタングレネードを投げると同時に車を置いた場所にカノンの手を引きながら走り出した。

 

無論破れた背中を部分はカノンに見られるわけで...

 

(カゲトラさんの背中に何か書いてある...?)

 

カノンはカゲトラの背中に書いてあるものに気を取られたが直ぐに頭を切り替え逃げることに集中した。

 

「回収班聞こえてるか!?」

 

カゲトラは焦りながらこちらに向かっている回収班に無線を繋ぐ。

 

「こちら回収班、どうした?」

「今贖罪の街で特殊接触禁忌種のコクリュウに遭遇した、今すぐ引き返せ!コアは緊急時引渡し場所で渡す!」

「っ!?了解した!じゃあ引渡し場所で落ち合おう!」

 

そこでカゲトラは無線を切った。

 

「カノン!コクリュウは追いかけて来てるか!?」

「追ってくる気配はありません、多分さっきのスタングレネードが上手くいったんだと思います!」

「よし、今のうちに逃げるぞ!」

その後2人は全力で車まで向かいその場を離脱した。

 

そして緊急時引渡し場所で...

 

「これがコアだ」

 

カゲトラは回収班にコアを渡していた。

 

「たしかに受け取った、それにしても災難だったな、ここなら少しは安全だちょっと休んでいくといい」

「はい、そうします」

 

回収班の男にそう言われ少し休息をとるカゲトラとカノン。

 

この引渡し場所は極東支部からあまり離れてなく車で10分くらいの所にある。周りは壁で囲まれていてアラガミの行動範囲からも少し離れている。

 

それ故この場所は任務で疲弊しきったゴッドイーターの途中休憩所のような役割も果たしている。

 

「あの、背中の事を聞きたいんですけど」

 

カノンはカゲトラにこう言った。

 

「やっぱり見られてたか、まぁ別にいいんだけどさ」

「すいません、でも、どうしても気になって」

「分かった、それじゃあこの背中について説明する...」

 

そしてカゲトラはタツヤがアリサに説明した事と殆ど同じことをカノンに行った。

 

そして全ての事を聞いたカノンは...

 

「そんな過去が...」

「まぁ俺も兄貴も立ち直って今はこうやって生きてるけどね」

「カゲトラさんもタツヤさんも凄いです...私じゃ絶対立ち直れませんよ...」

「ま、俺らも時間は掛かったさ。俺も立ち直るまでは随分荒れたからな...さて、そろそろ戻るぞ」

「あ、はい。そうですね、戻りましょう」

 

 

カゲトラとカノンは再び車に乗り極東支部に向かった。

 

 

 

その途中カノンは...

 

(時間は掛かるかもしれないけど、カゲトラさんを守れるようになりたい!ううん守れるようになるんだ!また一緒に任務に行こうって言ってくれたカゲトラさんの背中を預けてもらえるように...)

 

 

カノンは心の中で1つの誓いを立てていた。

 

 

 

 




なんてこったい、過去最高の長さで本編より長いではないか...

カゲトラの髪型なんですが、ストラ〇ク·ザ·ブ〇ッドのヘッドホンしてるキャラの髪型と思ってください。ツーブロックとかよりそっちの方がカゲトラには合ってそうな気がしたので...

あと補足ですがキャラ紹介にてカゲトラの狂戦士が解けたあとの副作用は狂戦士の時に受けたダメージがあれば副作用で現れるのですが、今回は初狂戦士ということで受けたダメージは0ということにしてます


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act.18 リベンジ(前編)

今回は少し飛んでタツヤとアリサの特訓が一通り終わって入院で鈍ったアリサの戦闘能力が戻ったところからです。


 

タツヤとアリサの特訓が始まった日から約2週間が経ったこの日、第一部隊のタツヤ、カゲトラ、リンドウ、サクヤの4人はエントランスに集められた。他の3人は別任務に出かけているためこのメンバーになった。

 

そしてこの4人を集めたツバキがエレベーターから降りてきた。

 

「今日は一体なんの要件で?姉う...いてててて」

「何度言ったら分かるんだ?リンドウ......ここでは姉上と呼ぶな」

 

リンドウはツバキに耳を抓られてしまった。もはやこの光景には慣れてしまってるので皆はスルーしている。

 

「で、今日はなんで集められたんですか?」

 

サクヤはリンドウが言おうとしていた事を代弁した。

 

「うむ、今回はお前達4人を集めたのはアラガの討伐を頼みたいと思ってな」

「それより教官殿...そろそろ離してくださいな...」

「あぁ、すまない」

 

リンドウはやっとツバキの耳抓りから解放された。

 

「いててて...んで、なんつーアラガミを狩ればいいんですか?教官殿」

「うむ、今回はお前達に討伐してもらいたいのは以前リンドウとタツヤが遭遇したディアウス·ピターだ。場所は贖罪の街だ」

 

ツバキはそこまで言うと表情を曇らせた。

 

「このエリアでは2週間前にカゲトラがコクリュウと遭遇しているため安全が確認されるまで立ち入り禁止エリアに指定したいのだが、今回コクリュウの次に脅威となっているディアウス·ピターが単体で現れた為万が一コクリュウと遭遇しても大丈夫なように戦闘能力が高いタツヤとコクリュウから逃げ切ったカゲトラと第一部隊の主力のリンドウとサクヤを招集したというわけだ」

 

ツバキは招集した理由をタツヤ達に告げた。

 

「そういう事っすか、まぁこのメンバーならコクリュウと遭遇してもなんとかなりそうっすね」

「そうだな、もしもの時は俺がアラガミ化して皆が逃げるための時間を稼ぐ」

「あぁ、その事だがな...」

 

ツバキはあぁそういえばという風な感じでタツヤ達に言った。

 

「タツヤのアラガミ化とカゲトラの狂戦士は本当の最終手段だ、もう何をやっても逃げきれないという場合になったときのみ使用を許可する」

 

ツバキはタツヤのアラガミ化とカゲトラの狂戦士の使用制限を告げた。

 

「え、なんでですか?」

「別に最初から使っていっても平気っすよ?」

 

勿論タツヤとカゲトラは意味が分からず反論?した。

 

「タツヤのアラガミ化に関してはまだ未知数の現象だからだ、いつどうなるかわからない以上無闇に使うものではない。カゲトラの狂戦士は一定のダメージを受けなければならないからな、そこまでやるとその後に1撃を受けただけでも命に関わる諸刃の剣だ、それを最初から使うのは危険極まりない」

 

ツバキは使用制限の理由を詳しくタツヤ達に告げた。

 

「そういうことですか、わかりました」

「ま、その理由ならしょうがないわな」

 

タツヤとカゲトラは納得し頷いた。

 

「では準備が出来次第出発してもらう、以上解散だ」

 

ツバキは解散を告げ、ヒバリの元へと向かった。おそらくディアウス討伐任務を回してもらう為だろうとタツヤは思った。

 

そして解散から1時間後、準備が終わりディアウス討伐任務に4人は向かった。

 

 

 

 

 




えー、皆さん大変お待たせしてしまって大変申し訳ない。遅れた理由としては学校が始まったことと統合したため引越しの荷物整理に部活の活動として駆り出された為遅れました。これから高総体が終わるまで日曜更新というのが多くなります。祝日等があればその日に投稿もあるかもしれませんが...


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act.19 リベンジ(後編)

 

---贖罪の街---

 

このエリアの一角で1体のアラガミがオウガテイルの死骸を捕食していた。

 

そのアラガミは漆黒のヴァジュラ亜種、ディアウス·ピターだ。その雰囲気は正しく帝王の名に相応しいものだ。

 

そして、その帝王に近づく人影が4つ。

 

「まだ気付かれてないようだな」

「じゃあいつものように私が銃撃で先制するからリンドウとタツヤ君は前衛、トラ君は遊撃ね」

「了解」

「了解っす姐さん」

 

人影の正体は極東支部の主力、第一部隊のリンドウ、サクヤ、タツヤ、カゲトラだ。

 

この4人は帝王ディアウス·ピター討伐の為このエリアにやってきた。

 

「先制いくわよ!」

 

サクヤの銃撃を合図に闘いは始まった。

 

---ギャァァァァァ!

 

銃撃が当たった事でディアウスはタツヤ達の存在に気付き戦闘モードに移行した。

 

「フッ!」

「おらぁ!」

「うらぁ!」

 

ディアウスがサクヤの銃撃に気を取られた隙にタツヤ、リンドウ、カゲトラはディアウスに斬りかかった。

 

---キィィィィン...

 

しかし3人の斬撃はディアウスの身体に命中したものの弾かれてしまった。

 

「っ!こいつ...あの時よりも肉質が硬くなってる」

「度重なる捕食の末の進化ってことか...」

「どっかに斬撃が有効な場所はないのかよ!」

 

そう言ってカゲトラは走りながらディアウスの頭を斬った。

 

すると少々ながら斬撃が効いた。しかし致命傷にはならない。

 

「斬撃なら胴体より頭が効くっぽいぜ!」

「頭か...トラはサクヤと銃撃で援護してくれ。俺とタツヤは足を集中攻撃してダウンさせる、そしたら一斉に頭に斬撃を喰らわせるぞ!」

『了解!』

 

カゲトラは距離をとり銃形態に神機を可変させ銃撃を開始した。

 

「俺達は足を集中攻撃だ、行くぞ!」

「了解!俺は右側をやります!」

 

タツヤとリンドウはディアウスの足にポイントを絞り斬撃を繰り出した。

 

タツヤはディアウスの右側に回り込み、リンドウは左側に回り込んで斬撃を喰らわせた。

 

---ギャァァァァァ!

 

ディアウスはリンドウ達に目もくれず初めに遠距離攻撃の2人を始末しようと2人に標準を定めた。

 

「今の内に捕食するか」

 

タツヤはディアウスがカゲトラ達を狙っている隙にディアウスを捕食した。

 

そして捕食によりバースト状態に移行し、オーラを身体に纏った。

 

しかしそのオーラは他の神機使いのオーラとは違った...

 

「おいおい、バースト状態でも龍かよ...」

 

リンドウはそれを見て攻撃しながら飽きれたように言葉を口にした。

 

タツヤが纏っているオーラは龍が具現化したようなものだった...

 

「俺の中にあるオラクル細胞が活性化したか...まぁいい。乱舞·VIII」

 

そう言ってタツヤは高速の8連撃をディアウスの足に叩き込んだ。

 

---ギャァァァァァ...

 

バースト状態で威力が上昇した上での8連撃を食らいディアウスは耐えきれずダウンした。

 

「うっし、今だ!」

 

リンドウの声でタツヤ達はディアウスの頭に斬撃を連続で叩き込む。

 

「おらぁ!」

「しっ!」

 

カゲトラとリンドウは間髪入れず斬撃を喰らわせる。

 

そして2人同時にその場から離れた...

 

「ナイス...龍神乱舞!」

 

タツヤはディアウスに向かって飛び出し高速の11連撃を叩き込んだ。

 

---ギャァァァァァ...

 

そしてディアウスの頭が結合破壊してダウンから元に戻った。

 

---ギャァァァァァ!

 

そしてディアウスが活性化したところで突如として現れたモノによって戦闘は終わりを告げた...

 

---ギャァァァァァ!

 

「っ!?こいつは...!」

「ちっ!総員撤退だ、今すぐ車の所まで戻れ!」

 

リンドウの撤退命令を聞きタツヤ達は即座にその場所から撤退した。

 

「...俺達がディアウスを弱らせるのを見計らって飛び出してきやがった...見かけによらず頭がいいな、コクリュウ...」

 

突如として現れたモノの正体は特殊接触禁忌種のコクリュウだった...

 

コクリュウはタツヤ達がディアウスを弱らせるのを待ってある程度弱ったところを見計らって飛び出してきたのだ。

 

----------------------

 

「はぁはぁ...全員居るか?」

 

車のある場所まで戻った所でリンドウは全員居るかどうか聞いた。

 

「なんとか...」

 

タツヤはその問いに答えるが他の2人は疲れきって喋る余裕はなさそうだ。

 

サクヤに至ってはコクリュウとの遭遇は初なので幾ら第一部隊の主力でもこうなるのも当たり前と言える。

 

それほどコクリュウの発するオーラは凄まじいのだ。まるでその場に居るもの全部に恐怖を植え付けるかのような禍々しいオーラを放っているのだ。

 

「とりあえず帰るぞ、このことを報告する必要もあるしな」

 

リンドウがそう言うとタツヤ達は車に乗り込み、贖罪の街をあとにした。

 

リンドウがこの事を報告してから数日後、贖罪の街は一時的に侵入禁止エリアとなった...

 

 

 




最近本当に書く時間がない(T_T)
なるべく早めに更新できるよう善処します...


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act.20 特務(前編)

 

---極東支部エントランス---

 

「あ、タツヤさん先程支部長が呼んでましたよ?」

「支部長が?」

 

タツヤは任務を受けようとヒバリの元へ行くと、ヒバリから支部長が呼んでいるという事を伝えられた。

 

「了解です、どこに行けばいいのですか?」

「支部長に来るようにとの事です」

「分かりました、ありがとうございます」

 

タツヤはヒバリに頭を下げるとエレベーターに乗り役員区画へと向かった。

 

役員区画の一番奥にある部屋が支部長室だ。

 

---プシュー

 

タツヤが扉の前に立ち、いざ入ろうとしたときに突然扉が開き中からソーマが現れた。

 

「あ、ソーマ」

「...てめぇか」

 

あまりに突然の事でタツヤは軽く呆けてしまった。

 

「ソーマも支部長に呼ばれたの?」

「あぁ、まぁな....あまり支部長には関わるなよ...」

 

ソーマはそう言うとエレベーターに乗った。

 

「......俺だって関わりたくないね、リンドウさんからあんな事聞いたからな...」

 

タツヤはそう呟くと再び扉の前に立った。

 

(さて、久々のポーカーフェイスか...)

 

---プシュー

 

「失礼します」

 

タツヤはポーカーフェイスを演じながら支部長室に入った。

 

そして、目の前の机の奥にある椅子に極東支部支部長、ヨハネス·フォン·シックザール支部長が座っていた。

 

「あぁ、君か...いきなり呼び出してすまない」

 

ヨハネスはまず一言目にいきなり呼び出した事への謝罪をした。

 

「いえ、それでご用というのは...?」

 

タツヤはそれに答え呼び出した理由を聞いた。

 

「今回君を呼び出したのは『特務』についての説明をしようと思っての事だ」

「特務?」

「特務というのは私が直々に依頼する任務のことだ、特務は普通の任務よりも危険が伴う。それ故私が認めた神機使いにのみ頼んでいるのだ...」

 

ヨハネスは淡々と特務について説明をしていく。

 

「それでは、今回俺を呼んで特務について説明すると言うことは、俺が支部長の中での特務を受けれる基準に達したということですか?」

「そう言う事だ、君が来る前にカゲトラ君にも特務について説明させてもらった」

「......トラもですか」

「そうだ、そして早速だがこの後、ソーマとカゲトラ君と君の3人で特務を受けてもらう。討伐対象はウロヴォロス1体だ」

「......拒否権は?」

「聞かなくても分かっているだろう?」

「...了解です」

「よろしい、くれぐれも私の期待を裏切ることはしないでくれ」

「分かりました、では失礼します」

 

タツヤはそう言うと支部長室から出た。

 

そして廊下に壁に背を預けた状態でソーマが立っていた。

 

「お前もあいつに目を付けられたか...」

「そうっぽいな、けど深入りはしないさ...」

「やはりお前はあいつの裏に気付いてたか...」

「まぁそんな深くまでは知らないけどな、ただ怪しいってことくらいしか」

「フッ、この先は任務が終わってからでも話すか」

「だな、特務を受ける以上トラにもこの事は話さないとな」

 

タツヤとソーマはエレベーターに乗りエントランスへ降りていった...

 

 

 




えー遅れてしまい申し訳ないです...
midnight racerの方を書こうと思い開いたら、これが投稿されてなくて予約のとこを見てみたら来年の4月26日になってました...


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act.21 特務(後編)

 

---嘆きの平原---

 

「いたぞ...ウロヴォロスだ」

「あれまぁ〜」

「ある程度話は聞いていたが...この大きさは規格外だな、下手すりゃコクリュウより大きいかも...」

 

支部長直々の任務である特務を受けたソーマ、タツヤ、カゲトラの3人は、今回の特務の標的であるウロヴォロスを討伐しにきていた。

 

ソーマは何度か戦った事があるようで問題なさそうだが、タツヤとカゲトラは初見のためその大きさに驚いていた。

 

「今回は能力使わなくて済むなんてことはなさそうだな...」

「だね、長期戦は厳しいだろうし最初から全開でいくしかないかも...」

「能力使用の許可は出ている、短期決戦でいくぞ!」

『了解!』

 

そこまで言ってソーマとカゲトラはウロヴォロスに向かって走り出した。異変に気付いたウロヴォロスは、カゲトラ達を見つけると牽制と言わんばかりにその複眼からレーザーを打ってきた。

 

「フッ!」

「よっと!」

 

カゲトラとソーマはそのレーザーを左右に分かれ回避した。

 

その瞬間...

 

---ギャァァァァァ!

 

白銀の龍がウロヴォロスに襲いかかった。

 

「ナイスタイミングだぜ兄貴!」

「いくぞ、トラ!」

 

ソーマとカゲトラは再びウロヴォロスに向かっていく。

 

そして白銀の龍の正体は勿論タツヤだ、短期決戦と決めた以上は出し惜しみはせず最初からアラガミモードになったようだ。

 

「タツヤがウロヴォロスの動きを止めてる間に足を集中的に攻撃しろ!」

「了解!」

 

ソーマからの指示を聞いてカゲトラは自身から見て右側の足に攻撃を仕掛ける。

 

そしてソーマは左側の足を攻撃するべく左側面に回り込んだ。

 

「っしゃあ!」

 

カゲトラはウロヴォロスの足に連続で斬撃を与えていく。

 

---グォォォォォ!

 

ウロヴォロスは攻撃してきたカゲトラを払おうと触手を振るった。

 

---ギャァァァァァ!

 

タツヤはそうはさせまいとウロヴォロスの動きを止めようとしたが、カゲトラと目が合い動きを止めた。

 

(さすが兄貴、わかってんじゃん)

 

そして触手はカゲトラに向かってさらに勢いを増した。

 

(あとはこいつを程々にくらって...)

 

---ドゴッ!

 

「ゴフッ...」

 

触手が当たる瞬間に当たる箇所を調節したが、威力が高かったせいかカゲトラの口から血が吹き出た。

 

(やべ、想像より威力でかかった...)

 

---ズザァァァァァ!

 

「でも、この...ダメージ...な...ら...」

 

その瞬間カゲトラの目付きが変わった...

 

「......喰い殺す!」

 

そう言った瞬間カゲトラは凄まじいスピードでウロヴォロスに突っ込み、一撃を食らわせた...

 

---グォォォォォ...

 

その一撃は触手に深い裂傷を与える程に強力な物だった。

 

(トラめ、意図的にバーサーカーモードになりやがったな...、しかしアレは敵に回したくないタイプだな、俺がアラガミ化してもアレには勝てそうにないな...)

 

タツヤはカゲトラのバーサーカーモードを見て改めて敵に回したくないと実感した。

 

「オラァァァ!」

「フッ!」

 

---グォォォ......

---ズドォォォン!

 

カゲトラの強力な斬撃の連続とソーマのチャージクラッシュでウロヴォロスはダウンした。

 

「よし...タツヤ、背中借りるぞ!」

 

そう言ってソーマはタツヤの背を登り、頭の上まで行きそこから飛び降りた。

 

そしてそのまま重力に従い落下を始める。

 

ソーマの落下地点にあるのはウロヴォロスの複眼...

 

「これでも食らっとけ!」

 

ソーマは神機を構えそのままウロヴォロスに突き刺した...

 

---ギギャァァァァァ!

 

重力による加速とソーマの全体重を乗せた一撃はウロヴォロスの複眼の半分まで刺さり止まった...

 

「チッ!貫通しなかったか...」

「ソーマァァァ、神機そのままにしてそこからどけぇぇぇ!」

「あぁ?」

 

ソーマは声が聞こえた方、上空を見るとカゲトラがタツヤの頭から飛び降りていた。

 

「はぁ!?てめ、クソったれ!」

 

ソーマは神機を刺したままにしてその場から離れた。

 

「オラァァァ!」

 

カゲトラは全体重をかけてソーマの神機を蹴った。

 

---ズブゥ...

 

---グギャャャャ!

 

カゲトラがソーマの神機を蹴った事でもう一段階深く突き刺さったが、まだ貫通はしなかった。

 

「兄貴、後は頼んだぜ...」

 

---ギャァァァァァ!

 

(...トラじゃなくて俺が深く刺し込めばよかったような気がするが...まぁいいか)

 

タツヤはソーマの神機をアラガミ化した手で更に押し込んだ...

 

---グギャャャャ!

 

ゆっくりと刺しこまれているため激痛からかウロヴォロスの口から奇声が放たれる。

 

(苦しそうだから最後は一気に...)

 

---ギャァァァァァ!

 

(ぶっ刺す!)

 

---スブゥ!

 

---グォォォォォ...

 

遂にウロヴォロスの複眼をソーマの神機が貫通した...

 

そして貫通してから2〜3回痙攣した後ウロヴォロスはピクリとも動かなくなった...

 

これでタツヤとカゲトラの初の特務は終わった...

 

 

 

これは余談だが、帰還後ソーマの神機はカゲトラの蹴りとアラガミ化したタツヤの強力な押し込みにより多大なるダメージを受け1週間のメンテが必要になったそうな...




高総体も終わったので後はある程度安定して投稿できると思います。
後タグを不定期更新から基本日曜更新に変更しました。
それと次の話から投稿時刻を午前1時から午後6時に変更します


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act.22 アラガミの少女

PSPが壊れてしまい原作のセリフが分からなくなってしまったので、この話から私のうろ覚えの記憶頼りに書かせて貰います。そのため原作とセリフが違う所が出てくるのでご了承くださいm(_ _)m


 

---初特務から数日後...

 

第一部隊のソーマ以外のメンバーはサカキ博士に呼び出され、研究室に来ていた。

 

「博士、第一部隊のメンバー全員そろったぜ」

「うむ、では今日君たちを呼び出したのは、頼みたい事があったからなんだ」

「頼みたい事?」

 

カゲトラはサカキ博士からの滅多にない頼み事に首をかしげた。

 

「そうだ、君たちには廃寺に出現したシユウを討伐してきてほしんだ」

「え、シユウですか?」

 

サカキ博士直々の頼み事だからハガンコンゴウでも討伐するのかと身構えたタツヤだったが、あまりも意外なアラガミだったので気が抜けた返事をしてしまった。

 

「そうだよ、意外だったかな?」

「ええ、てっきりハガンコンゴウ辺りでも討伐して来いと言われるかと...」

「ははは、別に討伐してきてくれてもいいんだよ?」

「......いえ、またの機会に...」

「そうか、それは残念だ、では君達には直ぐに任務に出てもらうよ」

 

----------------------

 

---鎮魂の廃寺---

 

「相変わらず寒っ!」

「そんな格好でうろつくコウタが悪い!」

「トラひでぇ!」

 

アラガミを探している間にカゲトラとコウタはコント?のようなものをしていた、戦場のど真ん中でこんな事許される訳もなく...

 

「タツヤ、頼むわ」

「はい」

 

タツヤは2人の側に近寄り...

 

「お前ら集中しろ!」

 

---ゴンッ!

 

2人に拳骨をお見舞いした...

 

「いてぇ...」

「おぉう、相変わらず兄貴の拳骨は強烈だぜ...」

 

食らった2人は頭を押さえその場にうずくまった。

 

「戦場のど真ん中で集中しない2人が悪い!」

「ふふっ、そうね幾ら相手がいつも戦ってるシユウとはいえ、油断は禁物よ」

「すいません...」

「すいません、姐さん...」

 

2人はサクヤに謝った。

 

「分かればよろしい、全くアリサを見なさい、シユウ相手でも集中してるの....よ?」

 

そう言ってサクヤがアリサの方を向くと...

 

「( ゚д゚)ポカーン」

 

さっきまで集中していたアリサがポカンとしていた...

 

「またこれね、全く最近になってから時々こうなるんだから....タツヤ君、お願い」

「了解です」

 

タツヤはポカンとしてるアリサの後ろからこっそり近付き...

 

「うりゃ」

 

ガシッと、アリサの首の後ろを掴んだ。そして掴まれたアリサは...

 

「うひゃぁぁぁぁ、ななな何ですかー!?」

 

予想外の攻撃?に前方に飛び、タツヤを見ながら手で首の後ろを押さえ、顔を真っ赤にしていた。

 

「な、なにするんですか!タツヤさん!」

「いや、アリサが戦場の真ん中でポカンとしてたから呼び戻そうとした」

「あ、そうだったんですか...でも他にも気付かせる方法はありますよね!?」

 

アリサは更に顔を赤くしタツヤに詰め寄った。

 

「いやー、最初は顔の前で手を振れば気付いてたけど、最近はこれくらいやらないと気付かないからさ」

「うぅー....」

 

アリサは顔を真っ赤にしたままタツヤを睨み付けていた...

 

(うーん、ここ戦場だよな?)

 

その中でリンドウのみこの雰囲気に突っ込みを入れていた...

 

----------------------

 

---シユウ討伐後---

 

「さぁて、コアを抜くか」

 

リンドウがシユウのコアを抜き取ろうとしたその時...

 

「ちょっと待った!」

 

後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。

 

「えっ、サカキ博士?」

「と、ソーマ?」

「何でここに?」

 

コウタ、カゲトラ、タツヤの見事な言葉の連携?でサカキ博士に疑問を言った。

 

「話は後だ、そのアラガミはそのままにしてこっちに来てくれ」

 

第一部隊のメンバーはサカキ博士に言われ物陰へと隠れた。

 

「そろそろ来るぞ...」

「なにがですか?」

「それは見てからの...来た!」

 

サカキ博士の言葉で全員がシユウに注目した。そしてシユウの近くには...

 

「え、子供!?」

 

フェンリルのマークが入った旗を羽織った少女が立っていた...

 

そしてその少女はシユウの近くに座ると...

 

---にちゃ、ぐちゃ

 

シユウを食べ始めた...

 

「!?」

 

ソーマはそれを見ると物陰から飛び出し少女の所へ向かった...

 

「あ、ソーマ!」

「俺達も行くぞ」

 

ソーマに続いて他のメンバーも少女の所へ向かった。

 

そして少女は捕食を止めてソーマ達を見ると...

 

「ひっ!」

 

少女の口の周りに付いたシユウの血を見てコウタは小さく悲鳴をあげた。

 

「貴方、名前は?」

 

サクヤは少女に聞くと...

 

「ナ、マエ?」

 

少女は首をかしげた。

 

「あー、君達、お疲れ様。まずは戻ろうか、キミも来てくれるね?」

「博士、この子は?」

「それは戻ってから説明するよ」

 

そこまで言われメンバー達は少女を連れて極東支部に帰った。

 

----------------------

 

『えぇっ!この子がアラガミ!?』

 

サカキ博士の研究室に戻ってからサカキ博士に聞かされたのは衝撃の事実だった。

 

「そうだ、この子は限りなく人間に近い進化を果たしたアラガミなんだよ、間違いない」

 

サカキ博士は淡々と皆に説明する。

 

「でも、信じられませんね...この子がアラガミなんて...」

「イタダキマス!」

 

アラガミの少女は一言だけ大きな声で話した。

 

「アラガミは早いスピードで学習する生き物だ、この子にも教えていけば人間の言葉も話せるようになるかもしれない、実際に少しだけだが単語も話しているからね」

「......まぁ、その事は一応終いにして、これからどうするんですか?」

 

タツヤはサカキ博士にこれからのことを聞いた。

 

「とりあえずしばらくは研究室で匿おうと思ってる、勿論だがこのことは他の人には内密に頼むよ。後、この子はアラガミだから捕食用にアラガミの討伐を頼むかもしれないからよろしく頼むよ」

「了解です、博士」

「うむ、では今日は解散してくれ。後タツヤ君、カゲトラ君、リンドウ君、ソーマ君は少し残ってくれ」

 

サカキ博士はメンバー解散させた。そして今言われたメンバーは残り、他のメンバーは退室した。

 

「君達は支部長と関わりがあるから君達だけに言っておくよ、このことは絶対支部長には気付かれてはいけない、わかったね?」

「そう言うと思ったよ、まぁ了解だ」

 

リンドウの返事に賛同するよう、タツヤ、カゲトラ、ソーマは頷いた。

 

「ありがとう、では君達も解散してくれ」

 

そしてタツヤ達も解散し、研究室から退出した...

 

 

 




シユウとの戦闘前では軽くギャグシーンを入れようと思ってましたが、軽くではなくなりました笑
書いてる途中で暴走して歯止めが効かなくなってしまいこんな有様に、正にまるでピクニック状態です


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番外 とある2人の兄弟喧嘩

今回はストーリーから少し外れて番外編です


 

---極東支部 第二訓練所---

 

「どうしてこうなった?」

『さぁ...』

 

現在この第二訓練所の観察室?にはタツヤとカゲトラを除く第一部隊のメンバー+カノン、リッカ、サカキ博士がいた。

 

そして訓練所には....

 

「.........」

「.........」

 

タツヤとカゲトラがぶっ倒れてた...

 

----------------------

 

---3時間前

 

タツヤとカゲトラはアリサ、カノンと4人パーティーで任務に出ていた。

 

標的はクアドリガとヴァジュラの2体で、ヴァジュラを倒してからクアドリガが現れたため特に問題もなく任務は終わったのだが...

 

「トラ、お前はもう少し装甲をつかったらどうだ?」

 

極東支部の神機保管庫にてタツヤがカゲトラに言ったこの一言が引き金となった...

 

「いや、男は攻撃あるのみだろ」

「おいおい、スラムでの喧嘩じゃないんだから...相手はアラガミだぞ?ガードを怠ったんじゃどうなることか分かってるだろ?」

「んなことは分かってんよ、俺は本当に必要なときしかガードしねぇよ。それ以外はかわして攻撃に徹した方が効率はいいだろ」

「効率以前にもしかわすのを失敗して攻撃をくらったら意味ないだろ」

(ムカッ...)

「そんなん知らねーよ、俺はこのやり方が一番しっくりくるんだ。少し横にずれればかわせる攻撃をわざわざガードする臆病者の兄貴よりはマシだと思うがね」

(カチーン...)

「ほう、言うようになったじゃねぇか...」

「あぁ、やんのか?」

「上等だ...久々に相手してやんよ」

 

そう言って2人は訓練所に向かっていった。途中で会ったリッカに許可を取ってから...

 

----------------------

 

第二訓練所にてタツヤとカゲトラは互いに向かい合っていた。

 

そしてタツヤは上着を脱ぎ捨て上半身を露にした。

 

「脱げや、トラ...昔から俺らがやるときはこうやってただろ」

 

タツヤにそう言われカゲトラも上着を脱ぎ捨てた。

 

「ほう、昔に比べると筋肉ついたなぁ」

「あたりまえだ、ゴッドイーターになったんだ、嫌でもつくわ」

 

そして2人は拳を構え...

 

「フッ!」

「シッ!」

 

ほぼ同時に動いた。

 

「やるな...」

「兄貴こそ、今のをかわすかよ...」

 

2人の初撃は不発だった、2人共右ストレートで顔面を狙ったが両方ともそれをかわした...

 

「まだまだぁぁぁ!」

「こいやぁぁぁ!」

 

その初撃でさらにヒートアップし2人の喧嘩は更に激しいものになっていった...

 

-----------------------

 

---そして現在

 

30分ほど前にいつまで経っても出てこないタツヤ達が心配になり観察室にやってきたリッカが2人の喧嘩を見て、サカキ博士を呼んできたのだが...

 

どこから聞きつけたのか第一部隊のメンバー+カノンもやってきてしまった。

 

そして現在の第二訓練所の有様は...

 

「どうやったらこうなるのよ...」

 

床や壁の至る所に殴ったり蹴ったりした後ができていた...

 

そしてその箇所は大体凹み傷になっていた。

 

「つーか、アラガミ化してるタツヤによく対抗できたよな」

「一応トラの体調べた方がいいんじゃないか?博士」

「うむ、後でメディカルチェックをするとしよう。アラガミ化してるタツヤ君と互角となるともしかしたら...」

「とりあえずこれ、どうします?」

「とりあえずツバキ教官に報告した方がいいと思うんですが...」

「そうだな、カノンの言う通りとりあえず姉上に報告か...」

 

そしてこの騒動はツバキ教官の耳に入ることになり、訓練所破壊?という罪から、タツヤとカゲトラは再びツバキの鬼のような訓練と反省文を書かされたそうな...

 

 




まぁ今回は息抜きとして書いた兄弟喧嘩回です。
次回からまたストーリーに入ります


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act.23 アラガミ少女は何がお好み?

 

アラガミ少女が極東支部に来た日の翌日、第一部隊のメンバーはまたサカキ博士に呼ばれ研究室に来ていた。

 

そして第一部隊全員が揃って少し経ったあとにサカキ博士が研究室の奥の扉から出てきた。

 

「よう博士、今日はなんのご依頼だ?」

 

リンドウは椅子に座ったままサカキ博士に用件を聞いた。

 

「うむ、今日君たちを呼んだのはこの子の食べ物を持ってきて欲しいんだ」

「やっぱりか、大体察してたよ」

 

予想通りの依頼だったのでリンドウは頭を掻きながらサカキ博士に返答した。

 

「まぁまぁ、それで君達には2つのグループに別れてそれぞれ任務に出て欲しい。そこでアラガミから採取したコアをここに持ってきて欲しいんだ」

「?なんで2つに分けるんですか?」

 

グループを分ける事に疑問を持ったタツヤがサカキ博士に言った。

 

「それは後々分かることになるだろう」

「?まあ、分かりました」

 

タツヤは首を傾げた。

 

「さぁそれでは2班に分かれて早速行ってくれ、この子もお腹を空かせているみたいだしね」

 

そう言ってサカキ博士はアラガミの少女を見た。

 

「オナカ...スイタ...」

「はぁ、しょうがねーな、行くぞお前ら」

 

リンドウの一声で第一部隊のメンバーは食べ物を取りに任務に出かけた。

 

ちなみにメンバーは1班タツヤ、アリサ、コウタ、リンドウ。2班カゲトラ、サクヤ、ソーマになった。

 

----------------------

 

---1班---

 

1班は鎮魂の廃寺にヴァジュラの討伐に来ていた。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

そして現在、そのヴァジュラと戦闘中である。

 

「はぁ!はぁぁぁ!」

 

アリサはヴァジュラに連続で斬撃を繰り出していた。そしてタツヤはアリサに攻撃が行かないようヴァジュラの足を重点的に狙いダウンさせていた。

 

その間にリンドウは各部の結合破壊を狙い、コウタは後方からの射撃で援護していた。

 

---ガァァァァァ...

 

ヴァジュラは4人の猛攻に耐えられずダウンしたまま絶命した。

 

「うし、とりあえず完了だな」

「今回は早く終わったねー」

 

リンドウとコウタは神機を降ろして緊張感を解いて安堵した。

 

「はぁ...はぁ...」

 

そしてアリサは息切れを起こして喋ることが出来ないでいた。

 

「アリサ、ちょっと無理しすぎじゃない?」

 

タツヤはアリサの肩に手を置いて話しかけた。

 

「はぁ...いえ、私は大丈夫です...」

「いや、明らかに無理してるよ、さっきの戦いもなにかを振り払うような戦い方だったし」

 

タツヤはアリサの背をさすりながら言った。

 

「...トラウマを克服したいのは分かるけどあんまり無茶しすぎると体壊すよ?最近アリサ、ヴァジュラ種の任務ばかり行ってるでしょ」

「なんでそれを...」

「たまたま、最近1ヶ月分の任務の出撃メンバーを見ることが出来てさ、それでアリサがヴァジュラ種の任務にだけ積極的に出てるからさ」

 

タツヤはアリサを一点に見ながら話した。

 

「まぁ、あれだ、気持ちは分かるが無茶し過ぎて体を壊したんじゃ元も子もないだろ?だからあんまり無理はしないように」

「...分かりました」

 

アリサはタツヤの言葉に渋々承諾した。

 

「おーい、お前ら、そろそろ行くぞ!」

 

リンドウの呼び声でタツヤとアリサはリンドウ、コウタと合流して極東支部に戻った。

 

----------------------

 

---3時間後---

 

「どうしてこうなった?」

「さぁ?」

 

タツヤの言葉にコウタは首を傾げた。

 

「今日、これで3回目だよ...どんだけ好き嫌い激しいんだよあの子は」

 

タツヤ達1班は食べ物調達の任務(3回目)を遂行していた。

 

「博士が2班に分けたのはこれが理由か...」

「確かにこれは2班に分けないとキツいわな、2班に分けなかったら合計6回任務に出ることになってたのか...」

 

タツヤとリンドウは呆れたように言った。

 

「さぁて、これで終われるよう願いながらやりますか!」

 

リンドウは気合いを入れ直して狩場に降りた。

 

「よし!それじゃあ行くぞ!」

 

リンドウに続いてタツヤも気合いを入れ直した。

 

---愚者の空母---

 

「たしか標的はボルグ·カムランだったか」

「正直言うと、あれ不味そうにしか見えないんですが...」

 

コウタが不意に不味そうと呟いた。

 

「...ま、まぁなんとかなるさ、アラガミの捕食は見た目では決めないと思うし...多分」

 

タツヤがすかさずフォローに入る、しかし時すでに遅し...

 

「ああ、4回目ありかぁ...2班の奴らに賭けるしかねぇか」

 

リンドウは空を仰ぎながらそう言った。

 

そこから10分ほどリンドウを正気に戻すためにタツヤとコウタは色々とフォローを入れたりした。

 

その途中で2人は...

 

(サクヤさんがこっちにいて欲しかった...)

 

と思ったらしい。

 

----------------------

 

---極東支部---

 

「さぁ、これで終わるか3回目の食事タイム!」

「博士...なんか楽しんでません?」

 

カゲトラはサカキ博士に呆れた表情で言った。

 

「そんな事はないよ、さてそれじゃあ最初は1班のコアから...」

 

そう言ってサカキ博士はアラガミの少女の前に1班が持ってきたボルグ·カムランのコアを置いた。

 

「...コレキラーイ」

 

「うぐ!」

 

その言葉を聞いてリンドウは椅子に倒れるように座った。

 

「リンドウさん!気を確かに!」

「後は任せた...コウタ...」

---ガクッ

「リンドウさーん!」

 

なにやらコントを繰り広げているリンドウとコウタを余所に、サカキ博士は続ける。

 

「それでは次は2班のコンゴウのコアだ、これで終われるか!では実食!」

 

サカキ博士はアラガミの少女の前にコアを置く。

 

メンバー全員はアラガミの少女をじっと見ながらこれで終われるよう願っていた。

 

「オオ!コレスキダゾ!」

 

そう言ってアラガミの少女はコアを食べた。

 

『終わったー!』

 

その瞬間第一部隊のメンバー全員が歓喜の声をあげた。

 

「やっと終わったー!」

「はぁ、ボルグがダメだった時はホントに死んだと思ったぜ...」

「よかったですね、リンドウさん!」

「全く、これほど疲れた任務は初めてですよ」

 

1班のメンバーはそれぞれ言葉を零す。

 

それから少しして第一部隊のメンバーは解散して各々の生活に戻ったとさ...

 

 

 

 

 




今回は1班の事しか書いていませんが、話がまとまり次第外伝の方で2班の話を書こうと思います


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act.24 名前

「名前ですか?」

 

タツヤはサカキ博士にそう言った。

 

因みに第一部隊のソーマを除くメンバーはまたサカキ博士の研究室にお呼ばれしていた。

 

「そうだ、いつまでもこの子扱いじゃなにかと不便だろうと思ってね」

「まぁ確かにそうですね」

 

サカキ博士の言葉にコウタが頷きながら言った。

 

「それで、俺たちに決めろってか?」

「そうなるね、リンドウ君もぜひ考えてくれ」

「勘弁してくれ、そういうのは得意じゃない」

 

リンドウは首を傾げ、呆れたような声で名前付けを放棄した。

 

「うーん、私もそういうのはちょっと...」

「私も、名前付けには慣れてないからなぁ」

 

リンドウに続いてアリサとサクヤも放棄した。

 

「となると、残ってるのはタツヤ君とカゲトラ君とコウタ君だね」

 

サカキ博士は残った3人に目線を向けた。

 

「まぁこうなりますよねー」

 

カゲトラが苦笑いしながら呟いた。

 

「まぁそう言わずに頼むよ」

「わかりました。そうですね、こりすぎて変になるとあれなんで...この子の白い肌色にかけてユキってのはどうですか?」

 

タツヤが第一候補をあげた。

 

「おぉ、中々いいんじゃないか?」

「じゃあ聞いてみましょ♪」

「ユキちゃん、どうですか?」

 

アラガミの少女は少し考えて...

 

「うーん、ちがーう」

 

第一候補をキッパリと拒否した。

 

「あらら」

「うーん、気に入らなかったか...これ以外は直ぐには思い付かないな。トラはどうだ?」

 

タツヤはトラにいい名前はないか?と聞いた。

 

「そうだなー...シロネはどうだ?というかこれしか思い付かねぇ」

「シロネですか、トラさんも肌色からとったんですか?」

「まぁな、それしか特徴的なのはないしな」

「そうですか、では聞いてみましょう。どうですか?シロネちゃん」

 

またまたアラガミ少女は考えて...

 

「うーん、これもちがうぞー」

 

またまた否定。

 

「やっぱりかー」

 

カゲトラは頭を書きながら苦笑いした。

 

「ふっふっふっ、2人ともダメだなぁ」

 

突然コウタが笑いながら自信満々に話しかけた。

 

「お、コウタはなにかいい名前があるのか?」

「当たり前ですよリンドウさん、では発表します!」

 

皆が緊迫した顔で見守る中コウタが口にした名前は...

 

「ノラミ!!」

 

『(゜д゜)ポカーン』

 

コウタが名前を発表した途端、皆の表情がポカーンとなり場が凍りついた。

 

「ノラミきらーい!いやだー!」

 

そしてアラガミ少女の強めの拒否で皆我に戻った。

 

「え!?」

 

コウタは否定されたことに驚いていた。そしてそれにトドメとばかりに...

 

「いや、それはねぇな」

「ないわね」

「ドン引きです」

「俺もちょっとこれは...」

「うわセンスねぇ...」

 

第一部隊メンバーからの非難の集中砲火でコウタの精神的ライフはゼロになり...

 

「ひ、ひでぇよ皆!うわーん!」

 

コウタは泣きながら研究室から飛び出ていった。

 

「まぁ、コウタはほっといていいだろ」

「トラ、お前なかなかに容赦ねぇな。多分お前の批判が一番ひでぇぞ」

「だってセンスねぇんすもん」

 

リンドウの言葉にハッキリ、キッパリと言い切った。

 

「てか、ノラミは無いとしてこんだけ名前上げても拒否するんだったらもう名前あるんじゃね?」

「あぁ、確かにそれあるかも」

「じゃあ聞いてみますね」

 

そう言ってアリサはアラガミ少女に近寄り...

 

「ねぇ、名前はなんて言うの?」

 

アリサがこう言うとアラガミ少女は大きな声で...

 

「シオ!」

 

自分の名前を答えた。

 

「やっぱりあるじゃん」

「おや、もうあったらしいね」

「いや、あったらしいねじゃなくて、これ俺らが集まった意味...」

「まぁいいじゃないか、お詫びとして今度僕が開発しているジュースをご馳走するから」

 

サカキ博士はお詫びとしてジュースを奢ると言った。

 

「はぁ、わかりました。それでは失礼します」

 

そう言ってタツヤ達は研究室を後にした。

 

因みにサカキ博士が開発したジュースで痛い目を見るのはまだ先の話...

 

 

 

 




いやー、この間今までの話を読み返したらやっとここまできた感じがしますね。
読み返してたらユウカさんの事を忘れていたのを思い出しましたよえぇ。完全に頭から落ちてましたね。

次回から話が少しぶっ飛んでシオ失踪から始まります。
無印篇もそろそろ終わりが近いかな。


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act.25 終末への予兆

少し飛んでシオ失踪回です


 

---サカキ博士の研究室---

 

『き、消えた!?』

 

研究室に第一部隊のメンバーの叫び声が響く。

 

「あぁ...」

 

それに相槌を返したのはソーマだった。

 

「詳しく説明すると...」

 

----------------------

 

---遡ること3時間前

 

タツヤ、ソーマ、シオは空母エリアで任務を行っていた。

 

ただ任務というのは表向きで本当はシオの散歩、可能であれば食事が目的だった。

 

「しっ!」

「おらぁ!」

 

タツヤとソーマ、二人がかりの斬撃を、標的のハガンコンゴウは後ろに飛んで回避する。

 

「させっかよ!絶風刃!」

 

後ろに飛んだハガンコンゴウめがけて、タツヤはお久しぶりの登場、絶風刃を使い斬撃を叩き込んだ。

 

---グギャァァァァァ...

 

予想外の攻撃だった為、ハガンコンゴウは回避しきれず、絶風刃が見事命中した。

 

「終わりだ...」

 

絶風刃の命中でダウンして動けないハガンコンゴウにソーマはトドメの一撃とチャージクラッシュをお見舞いした。

 

---ギャァァァ...

 

ソーマの一撃でハガンコンゴウは地に倒れ絶命した。

 

「おいシオ、もう出てきていいぞ」

 

ソーマがそう言うと、瓦礫の影からシオがひょこっと顔を出した。

 

「おわったのかー?」

「あぁ今日のお前のメシだ、ちゃんと食えよ...」

「おぉー!」

 

シオは倒れているハガンコンゴウを見つけると、一目散にハガンコンゴウの前にやってきた。

 

「いただきます!」

 

シオは両手を合わせてから食事に取り掛かった。

 

シオの食事中、タツヤとソーマは少し離れた所でアラガミが来ないか辺りを警戒していた。

 

「ソーマ」

「なんだ?」

 

周りへの警戒を解かずにタツヤがソーマに話しかけた。

 

「ずっと聞こうと思ってたけど、中々聞く機会が無くてさ...。どうしてソーマは自分を化物だと言うんだ?」

 

タツヤはソーマに自分がずっと思っていた事を聞いた。

 

「......そうだな...お前は支部長が俺の親父なのは知ってるか?」

 

ソーマはおもむろに話始めた。

 

「まぁ、名字でなんとなく...」

「まぁ、普通はそこで気付くだろうな...。支部長はサカキのおっさんとアイーシャ·ゴーシュ...俺の母親と並んで神機開発の第一人者だったんだ」

「......」

 

タツヤはソーマの話を目を閉じながら真剣に聞いていた。

 

「当初、神機開発は難航していた。そこで支部長はある一つの提案をしたらしい、それは妊娠している母体に偏食因子を投与して偏食因子に適合した胎児を作ろうとな...」

「......その実験で生まれたのがソーマってことか...」

 

タツヤがそう呟いた。

 

「そうだ...その実験に志願した母体は俺の母親で、俺を産んでから死んだらしい」

「.....」

「生まれつき体ん中に偏食因子があるから腕輪なんざ必要ねぇんだが、怪しまれるから付けろってサカキのおっさんがうるさくてな...」

「支部長の事は恨んでるのにサカキ博士にはなにも思わないの?」

 

タツヤはソーマに言った。

 

「サカキのおっさんは最後までその実験に反対してたからな...。それになにかと俺の世話もしてくれたしな...」

「なるほどね...じゃあサカキ博士はソーマにとって育ての親みたいな感じなのか」

「まぁ、そういうこっ...」

 

ソーマが言おうとした時、後ろから呻き声が聞こえた。

 

「ウウウウウウ...」

 

それを聞いてタツヤとソーマはすぐに振り返ると...

 

「シオ!」

 

全身に青い模様がくっきりと浮かび上がったシオがいた...

 

「ヨン...でル...」

 

シオはそう口にしておぼつかない足で歩き始めた...

 

方向はエイジス島の方だ。

 

「シオ、なにやってる!」

 

「イカ...ナ...キャ...」

 

そう呟いた所で、シオは消えたのだ。

 

「シオー!」

 

シオがいた場所にはソーマの叫び声がのみが響いた。

 

-----------------------

 

---そして現在

 

「......ということがあって」

「まさか、ヨハンの仕業なのか?」

「チッ」

 

サカキ博士の言葉を聞いて、ソーマは研究室から出ようとした。

 

「まてソーマ、どこに行く気だ」

「エイジスに乗り込む...シオはそこに行ったに違いねぇ」

「だが、どうやって行く?おそらく今エイジスは厳重にロックされてる筈だ、外からの侵入は不可能だぞ」

 

リンドウの言葉を聞いて、ソーマはまた舌打ちをした。

 

「侵入方法なら、一つあるぞ」

 

突如として響いた第三者の声の主は...

 

「あ、あねう...いで!」

 

第三者、ツバキはリンドウに拳骨を落とすと、皆に話し始めた。

 

「ついてこい」

 

ツバキにそう言われ、第一部隊全員、ツバキについて行った。

 

 

----------------------

 

---極東支部地下---

 

「支部の地下にこんな所が...」

「すげぇ...」

 

アリサとコウタはあまりの広さに呆気にとられた。

 

「ここからエイジスの地下に行けるぞ」

 

ツバキはそう言った。

 

「なんで、ツバキさんがそんなこと...」

「エイジス島について少し調べていたら偶然分かったってとこだ」

「なるほど...さて、そうなりゃさっさとエイジスに乗り込んで、シオちゃん助けるか!」

 

『おお!』

 

カゲトラの一声で皆エイジスに向かった。

 

「生きて帰ってこいよ、お前ら」

 

ひとり残ったツバキはそうつぶやいてエレベーターに乗った。

 

 

 

 




えー、ちょっとどころか相当カットしました。
理由としてはどうしても今月には無印を終わらせなければならない事情があるからでして...
おそらく後3〜4話、下手したら2話くらいで無印篇終わるかもです


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act.26 最終決戦(上)

初めに注意点です
無印篇ラストは私の脳内妄想が炸裂しまくってるので原作のセリフは出てこないと思ってください。







 

---エイジス島内部---

 

「ここは...?」

 

極東支部の地下通路からエイジス島に侵入した第一部隊のメンバーは内部の広い空間にたどり着いた。

 

「おいおい、こいつはデカすぎるぜ」

 

周りを見て、リンドウは呟いた。

 

リンドウがそう言うのも無理はない、なぜなら...

 

「これは...アラガミか?」

 

エイジス島を覆うように巨大なアラガミが居たからだ。

しかし、アラガミは動かない、まるで眠っているかのように。

 

「っ...シオ!」

 

その中でソーマはシオの名を叫んだ。

 

他のメンバーがそれにつられ、ソーマの目線の先を見ると...

 

『っ!?』

 

全員絶句した...。なぜなら視線の先には、巨大なアラガミの顔と思われる部分の額の中にシオが取り込まれていたからだ。

 

「ほう、思ったより早かったではないか」

 

すると、突如として支部長の声が辺りに響いた。

 

そして巨大なアラガミの前にある高台に支部長が現れた。

 

「チッ、てめぇシオになにしやがった!」

 

ソーマは支部長に向かって叫んだ。

 

「なに、彼女には人類最後の希望になってもらうだけだ」

「なんだと...?」

「フッ、君達はアーク計画というのを知っているかい?」

「アーク計画...あれか」

 

リンドウはそう呟いた。

 

「リンドウ!知っているの!?」

「あぁ、俺はそれを知っちまったから、支部長に命を狙われたのさ...」

「なんですって!?じゃああの時の事態はもしかして...」

「そうさ、私が仕組んだことだ」

 

支部長はリンドウが死にかけた時の事は自分が仕組んだことだと宣言した。

 

「私の計画をあの時点で知ってしまわれたのでね、下手に動かれては計画の妨げになる、邪魔な存在は消すに限るだろう?」

「てめぇ...」

 

支部長の物言いにカゲトラが飛び掛ろうとするが、タツヤに手で止められた。

 

「兄貴、なんで止める!」

「少し待てや...。支部長、あんたの計画ってものを教えてくれねぇか?内容によっては俺はあんたに協力してやってもいい...。まぁ知られて困る内容の物なんざ、聞くまでもねぇがな」

 

タツヤは支部長を睨みながらいった。

 

「フッ、いいだろう」

 

支部長はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「アーク計画、それは人類の最後の希望だ。このシオ君のコアは特異点と呼ばれる特殊なものでね、この巨大なアラガミ、ノヴァを動かすために必要なのだよ」

「そいつを動かしたらどうなるんだ?」

「終末捕食...この星の全てを喰らい尽くすのだ、そして新たなものに書き換えられる...」

「そしたら俺ら人類はどうなる?見殺しか?」

「そんなことはしない、私の作った方舟で月へ一時的に避難するのだ、まぁ制限はあるがね」

「結局は見殺しってことかい」

「私だって神ではない、方舟をいくつも創り出せるわけではないさ、それに君達には方舟に乗る権利がある...」

 

「もういい、分かった...」

「ほう、もういいのかね?」

「あぁ、よーく分かったよ...」

 

「あんたがクソ野郎だってことがな!!」

 

タツヤは今までにないくらい眼光を尖らせ支部長を睨んだ。

 

「俺は誰かの犠牲の上の平和なんかいらねぇ!人類の為のゴッドイーターが人類の犠牲の上で生きるなんざァ、ゴッドイーターの名折れだ!そんなことするくらいなら、最後まで足掻いて死んだ方が本望だ!」

 

タツヤは支部長に向かって怒りを露にし、叫んだ。

 

「ケッ、一人でカッコつけやがって、ここにいる全員、お前と同じ考えだぜ?」

 

リンドウはタツヤの隣に立ってタツヤに言った。

 

そして第一部隊の全員がリンドウの言葉に頷いた。

 

「まさか、自分から方舟を降りるとは...。面白い、だが君達をここで逃す訳にはいかない、まだアーク計画は公にはされていないからね、ここで知れ渡ってしまっては計画が水の泡だ...。残念だが君達にはここで死んでもらう!」

 

支部長がそう言うと、支部長の後ろにアラガミが現れた。

 

支部長はそれに自分から取り込まれていった。

 

「サァ、ゴッドイータータチヨ...サイゴノアガキトヤラヲミセテモラオウカ!」

 

支部長取り込まれた瞬間、アラガミが動き出し支部長の声で叫んだ。

 

「墜ちるとこまで堕ちたか...まさか自分からアラガミになるとはな...いくぜ支部長!てめぇの野望はここでとめる!」

 

タツヤはこう叫んで、アラガミに向かって走り出した。

 

「っしゃあ!俺らも続くぞ!」

 

『おぉ!』

 

タツヤに続いて、リンドウ達もアラガミに向かって走り出した。

 

(まってろシオ、今助けてやる!)

 

 

 




ラストの構成ですが、予定では上は戦闘前で、中が戦闘、下が戦闘後で行きたいと思ってます。
場合によっては戦闘と戦闘後がいっしょになるかもしれません。


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act.27 最終決戦(中)

またまた先に注意点です。
やはりPSPが動かなかった為、アルダノーヴァの攻撃が十分に調べる事ができませんでした。
そのため小説内で攻撃方法がツクヨミとごちゃまぜになってるかもしれません。


「おらぁ!」

 

タツヤは謎のアラガミに向かって、飛び上がって斬撃を叩き込んだ。

 

---カキィィン!

 

「っ!?」

 

しかしその斬撃は本体の後ろにいる別個体により弾き返された。

 

「ドウダネ?アルダノーヴァノボウギョリョクハ?ソコラノアラガミヨリスウバイハカタイゾ?」

 

アラガミ、アルダノーヴァからは支部長の声が聞こえてくる。

 

「はぁ!」

 

今度はアリサが仕掛けた、別個体が動いたことで空いた背中に斬撃を食らわせようとしたが...

 

「くっ!」

 

即座にアリサはその場から回避した。

 

---ズドォォン!

 

アリサが回避すると同時に、アリサがいた場所に別個体の拳が落ちてきた。

 

「ちっ!隙がねぇな、まるで女神を守る男神だな...」

 

リンドウが舌打ちしながら斬撃を繰り出すが、またも別個体に阻まれた。

 

「フハハハハ、男神ニスキハナイゾ?ドレ、コンドハコチラノバンダ!」

 

そう言うとアルダノーヴァの本体が動き出した。

 

「マズハオマエラダ!」

 

アルダノーヴァは光弾を後方のコウタとサクヤに連続で打ち込んだ。

 

「はぁ!」

「よっと」

 

それをサクヤとコウタは難なく回避した。

 

「ここだぁ!」

 

カゲトラはアルダノーヴァがコウタ達を攻撃してる隙にアルダノーヴァの後方に回り込み男神に斬撃を繰り出した。

 

---ズバァァン!

 

「うっし!」

「グォォォ!」

 

カゲトラは男神の腕の薙ぎ払いを回避して後ろに下がった。

 

「賭けだったけどなんとか成功。みんな、こいつは攻撃中は防御力が低下するっぽい、そこを狙うしか勝ち目はないぞ!」

 

カゲトラは男神の拳を回避しながら皆に言った。

 

「でかしたトラ!行くぞお前ら!」

 

リンドウはアルダノーヴァに向かって走り出した。

 

「クッ、コシャクナァァァァ!」

 

アルダノーヴァ本体、女神はリンドウに向かって拳を上げた。

 

「残念、俺は囮だ。タツヤ!」

「死ねや、男神ィィィィィ!」

 

リンドウがそう言うと、空高く飛んだタツヤが上空からオーラを纏い、男神に斬撃を食らわせ、さらに地面にめり込ませた。

 

「アラガミ化した俺の跳躍力なめんな、ついでにドラゴンヒートで跳躍力倍だ!」

 

そう言って、タツヤはオーラを四散させた。

 

「ちっ!やっぱドラゴンヒートは体力の消費が激しいな」

 

タツヤは刀型の峰を肩に乗せた。

 

「ホゥ、男神ヲタオストハサスガダ、ダガココガラガホンバンダ!」

 

アルダノーヴァはタツヤとリンドウに向かって突進をした。

 

「くっ!」

「うぉ!」

 

「ヨクカワシタナ」

 

「初見で今のスピードをかわせたのは奇跡だな」

「男神という鎖がなくなったからか?スピードが上がってらぁ」

 

男神を倒し、形勢逆転かと思ったが、男神という枷が外れた為か、女神のスピードが倍になった。

 

「ダガ、コレハカワセルカ?」

 

そう言うとアルダノーヴァは上空に上がっていった。

 

そして...

 

『なっ!?』

「サクヤさん!コウタ!」

 

全員の視界が揺らぐと、全員地面からの光柱を食らい、吹き飛んだ。

 

「ぐっ!」

「ちっ、いてぇな」

「くそ、サクヤ大丈夫か?」

「ダメージはあるけどなんとか、でもアリサが...」

「うぅ...」

「ちっ!」

「いてて、...」

 

範囲技の光柱を一番食らったのは装甲のない遠距離型神機を使っていたコウタとサクヤとアリサ、その中で一番モロに食らったのは光柱にいち早く気付いてサクヤとコウタを庇ったアリサだった。

 

「アリサ!しっかり!」

「うぅ...サクヤさん...以前の過ちの借りは返しましたよ...」

「そんなこと言ってる場合じゃないわ!」

「ちっ!サクヤ!アリサの手当て頼むぞ!」

 

そう言うとリンドウ、カゲトラ、ソーマはアルダノーヴァの気をひこうと突っ込んだ。

 

「おらぁ!」

「てめぇの相手は俺らだ!」

「さっさとてめぇを倒して、シオを助け出す!」

 

3人は同時にアルダノーヴァに斬りかかった。

 

「アマイ!」

 

しかし、アルダノーヴァは今度は自身の周りに光柱を展開した。

 

すでに斬りかかっていた3人は光柱を回避しきれず、モロにくらってしまった。

 

そしてアルダノーヴァはサクヤとアリサに向かって光弾を打ち込んだ。

 

「くそっ!サクヤ、アリサー!」

 

「オワリダ!」

 

アルダノーヴァの光弾がサクヤとアリサを襲う。

 

「終わらせねぇよ...」

 

---スパァァァン!

 

サクヤとアリサの前に飛び込んだタツヤが神機で光弾を斬ってしまった。

 

「なっ!」

「流石は兄貴だ...後は任せたぜ」

「ふっ、最後までいいとこ持ってきやがって」

 

「クソッ、コレナラドウダ!」

 

アルダノーヴァは連続で光弾を打ち込んだ。

 

「しっ!ふっ!おらぁ!」

 

---スパァン、キィン!

 

タツヤはサクヤとアリサに当たる軌道の弾のみ斬っていく。

 

「サクヤさん!今の内にアリサの回復を!」

「分かったわ!」

「うぅ...タツヤ...さん」

「意識はあるな、まってな、直ぐ終わらせっから」

 

「コザカシイ!ナラコレデドウダ!」

 

そう言ってアルダノーヴァは上空に飛び上がった。

 

「まずい!タツヤ!」

「安心してくださいリンドウさん、兄貴はこれを狙ってたんですよ」

「なに?」

 

「まってたぜ、これをよぉ!」

 

そう言ってタツヤはアルダノーヴァに向かって跳躍して、そのまま全身アラガミ化した。

 

---ギャァァァァァ!

 

「ナニッ!?」

 

光柱の動作に入っていたアルダノーヴァは回避できず、龍化したタツヤに左腕を噛まれ、タツヤはアルダノーヴァの左腕を噛んだままアルダノーヴァごと地面に突進した。

 

---ズドォォン!

 

タツヤが地面から頭を離すとアルダノーヴァは地面にめり込んでいた。

 

---グォォ

 

タツヤはアルダノーヴァを引きずり出し放り投げた。

 

---ズシャ!

 

アルダノーヴァは放り投げられ地面に落ちたあと、2〜3度痙攣して今度こそ動かなくなった。

 

---シュゥゥゥゥ...ドサッ!

 

タツヤはアラガミ化を解いたあと、その場に倒れた。

 

 

 

 

 

 




あと2話で無印篇完結!
やっぱり戦闘シーンは苦手です、はい。
ゴッドイーター小説書いてる他の方々の戦闘シーンと見比べると、私のは圧倒的戦闘シーンの短さですね...



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act.28 最終決戦(下)

 

(あぁ...なんか力が抜けてく...)

 

「... ...ャ」

 

(前にもこんなのあったなぁ...確かコクリュウに遭遇したときか...)

 

「...ツヤ...タ... ...ツヤさん」

 

(ん?誰だ、俺を呼ぶのは...)

 

「...タツヤさん...タツヤさん......起きて下さいタツヤ!」

 

(っ!?)

 

---ガバッ!

 

「あれ?」

 

タツヤは咄嗟に起き上がった。隣には涙目で今にも泣き出しそうなアリサが居た。

 

「アリサ?」

「うぅ...タツヤさんのばか...うぅ!」

 

アリサはタツヤに抱きついて泣き始めた。

 

「うわっと」

 

タツヤはアリサを受け止め、頭を撫でた。

 

「トラ...俺、どんくらい気ぃ失ってた?」

「時間にして約1分ってとこかな」

「そうか...」

「あらあら、これじゃあ手当てのしようがないわね」

「サクヤさん?」

 

タツヤは隣にいたサクヤに話しかけられた。

 

「アリサったらタツヤ君が倒れるのを見たら、手当てもろくに出来てないのにタツヤ君の所に飛んでいくんだもの。けど、その様子じゃもう大丈夫そうね」

「あはは...」

 

タツヤは頭を掻きながら笑った。すると...

 

「お二人とも熱々だねー」

「うわぉ!」

 

後ろからサカキ博士に話しかけられた。

 

「博士、びっくりさせないで下さいよ」

「悪い悪い、ところで、ヨハンはどこかね?」

 

サカキ博士がそう言うとリンドウはサカキ博士を支部長の所に案内した。

 

「ヨハン...」

「サカキカ...」

「まさか自分からアラガミになるとは...堕ちたものだ」

「フッ、ワタシニハコレデ...ジュウブン...ダ...アークケイカクガハタサレタトシテモ...ワタシハ...ドノミチシヌノダカラ...」

「ヨハン...まさか」

「ソウダ、ワタシハ...ハコブネニノルシカクナドナイ...」

「っ!?てめぇ、ならなんでこんな計画立てやがった!」

 

支部長の言葉を聞いてソーマが叫んだ。

 

「ジンルイノイチブヲギセイニスルカラニハ...ワタシモギセイニ...クワワラナイトイケナイダロウ?」

「ちっ!あんた最初からその気だったのかよ...」

「マァナ...サテ...ソロソロワタシハイクトシヨウ...マダチョウセイダンカイダカライマナラカノジョヲスクエル...ハ...ズダ...」

「なに!?博士、行くぞ!」

「マテ...」

「なんだ!?」

「オマエノ...セイ...チョウヲ...ミマッテル...ゾ...」

 

その言葉を最後に支部長は言葉を発しなくなった。

 

「ちっ!いくぞ!」

(あたりめーだ、俺だけじゃねぇ、人類の事も見守りやがれってんだ!...親父)

 

「あった、これだ!」

 

サカキ博士はノヴァの下にあるコンピュータをいじり始めた。

 

「これでいいはずだ!」

 

博士がそう言うと、ノヴァの額からシオが落ちてきた。

それをソーマは無事に受け止めた。

 

「おいシオ!しっかりしろ!シオ!」

「うーん、ソー...マ?」

 

シオは無事に目覚めた。

 

「ったく、心配かけやがって。帰るぞ!」

「うん!」

 

シオは元気に頷いた。

 

「救出成功か、よかったなソーマ」

「うるせーぞリンドウ」

「あらら」

 

途中ソーマは支部長の所で止まり。

 

「考え方は最悪だが、自分も犠牲にして人類を救おうとした所だけは認めてやる。立派だったぜ、親父...」

 

ソーマがそう言い切ると、アルダノーヴァは四散した。

 

四散する直前、ソーマにはアルダノーヴァが笑ったように見えた...

 

 

 

 

 

 

 




あと1話で終わりです。
ここまで来るのは非常に長かったです、はい。
ちょっと短めでしたがそこは許してください。


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act.29 エピローグ

今回は完全アリサ視点でいきます。
無印篇では目立ってませんでしたが一応メインヒロインなので(⌒-⌒; )



---日記---

 

やっとすべてが終わりました、シオちゃんも無事に救出できました。けれど、犠牲が無かったわけではありません。支部長が亡くなりました。

 

支部に戻ってから、無駄な混乱は避けようという博士の提案で支部長はエイジス島の崩落事故に巻き込まれ死亡、そしてエイジス防衛を行っていた第一部隊が死亡を確認したという事になりました。

 

そして本日は事件から約1週間が経ちました。

 

アナグラは今日も賑やかです。

 

そしてシオちゃんが戻ってからソーマが少し変わりました。

 

何と言うか、少し明るくなった?というか。とにかく前より人当たりが良くなったみたいです、この間後輩の女の子からピンチの所を助けられたと言われました。

 

シオちゃんに半ば強制的に神機の方も黒から白に変えられ、武器も明るくなった気がします。

 

そして、何気女性ゴッドイーターからの好感度も上昇中です。本人は気付いてないようですが。

 

コウタは特に変わった所もなく、相変わらず家族の自慢ばかりしてきます。

 

いい加減聞きあきました、ドン引きです。

 

でも、いつも明るく何事にも動じない所は私も見習いたいです。

 

そしてリンドウさんとサクヤさんですが、やっとリンドウさんがサクヤさんに告白して、お付き合いを始めました。

 

そのときのリンドウさんの言葉は今も忘れられません、「さ、さささサクヤ!お、お、俺と...ちゅきあってくれ!」ですよ?公衆の面前で告白したあげく緊張で噛むという大ぽかをやらかしましたからね笑

 

サクヤさんもそれを聞いて、「公衆の面前で何を言うの!」とリンドウさんに説教を垂れてましたが、最後には、「まぁ、私がいないと何もできそうにないものね」とリンドウさんを受け入れ、交際がスタートしました。

 

サクヤさんは今、リンドウさんの部屋で同棲しています。

 

因みに空いたサクヤさんの部屋はトラさんが使っています。

 

トラさんったら部屋を使っていいと言われたときは「兄貴からやっと開放されるー」といって喜んでいました。

 

それともう1つ、リンドウさん、サクヤさんの他に、もう一つカップルが出来ました。

 

それは、まさかのトラさんとカノンさんです。

 

カノンさん曰く、アラガミに食べられそうになった時に颯爽とトラさんが現れ、守ってくれたのがきっかけで恋に落ち、告白したらトラさんも気になってたという事で、こちらも交際スタートでした。

 

うぅ、皆して羨ましいです...

 

私だってカップルになってみたいです。女性の憧れですもの。

 

それはそうとタツヤさんですが、アルダノーヴァとの戦いで刀身が使用不可になったらしく、ユウカさんに新調してもらったみたいです。たしか名前は...《龍刀·紅桜》と《桜吹雪》だった気がします。私そんなに聞いていないので詳しいことは分かりませんが、両方ともタツヤさんがアラガミ化したときの龍から素材を少しとって作ったと噂で聞きました。

 

そして私とタツヤさんは今...

 

「おーいアリサ、任務の時間だぞー」

「あ、今行きますタツヤさ...タツヤ」

 

互いに呼び捨てで呼ぶようになりました。

 

そしてあの時から私は彼に...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶賛片思い中です♪

 

 

 

-END-

 

 




やっと...やっと終わりました無印篇!
正直ここまで続けられると思っていませんでした。ここまで続けられたのは見て下さっている皆さんが居たからです。
act.25の時点でUA数が5000にもなっていました。見て下さってありがとうございます。

さて、ここからですが。少々予定が入っており1〜2週間ほど休載します。この間にBurst篇のネタなどを考えたりします。リンドウさんが失踪していない為オリジナル展開になるので大変です。けど頑張ります!
どこかの話の後書きでBurst終わらせるまで失踪しないと言ったので(⌒-⌒; )

活動報告にてちょっとした発表があるのでお暇があればそちらにも目を通して頂ければ幸いです。

ではここまで見て下さってありがとうございます。
こんな感じのうp主ですがこれからもゴッドイーター〜龍と虎を背負いし兄弟〜共々宜しくお願いします!



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外伝3-1 新武器

いろいろとあって投稿が遅れました...
待たせてしまい申し訳ありません!


---支部長との死闘から2日後

 

「あー、いろいろと忙しいのに呼び出してしまってすまないね」

「いえ、俺は暇してたんで別に」

 

毎度お馴染みの如く、研究室に呼び出しを食らったカゲトラは呼び出しの場所に来ていた。

 

しかし、今回はいつもと違い自分だけ呼び出されたようだ。現にいつもなら居るはずの第一部隊の面々がいないのだから。

 

「それで、一体どういったご要件で?」

「うむ、実はカゲトラ君にちょっとしたテストをしてもらいたくてね」

「テスト?」

 

カゲトラがサカキ博士の言葉に首を傾げるとサカキ博士は付いて来てくれと言って、カゲトラを連れて神機保管庫に向かった。

 

「あ、博士」

「カゲトラも一緒なのね」

 

神機保管庫に入ると整備班長のリッカと副班長のユウカが声を掛けた。

 

「やぁリッカ君、ユウカ君お疲れ様」

「博士も支部長代理お疲れ様です」

「それで、今日は試験者でも連れてきたのかしら?」

 

ユウカが少しあくどい笑みを浮かべながらサカキ博士に言った。

 

この笑みを博士の後ろから見ていたカゲトラは少し身震いをしていた。

 

(やべ、これ来なかった方が良かったかな...)

 

「そのとうりさ、彼ならアレの運用データを取るには適任だと思うよ」

「確かに、新人に使わせるよりも安心して任せられるか」

 

そう言ってリッカとユウカは奥の小部屋の中に入って行った。

 

カゲトラもサカキ博士に付いてくるよう言われ、リッカ達に続き中に入った。

 

そして小部屋の中には...

 

「これは...」

 

今まで見たことのない刀身パーツが台に固定されていた。

 

鎌を連想される見た目はカゲトラの心を大きく震わせた。

 

「どう?この刀身パーツを見た感想は」

「痺れまくりだ...新開発なのか?」

「そうよ、名前はヴァリアントサイズ」

「ヴァリアント...サイズ」

 

カゲトラは刀身パーツの名前を呟き、刀身パーツが固定されている台に手を置いた。

 

「一目見ただけで分かる、こいつはスゲェ代物だ...兄貴の刀型と同等、あるいはそれ以上のな」

 

カゲトラはヴァリアントサイズを暫く見た後にリッカ達に言った。

 

「気に入った、これを俺に使わせてくれ」

「ふふ、君ならそう言うと思ってたよ」

「じゃあ...」

「運用データの回収はカゲトラに任せるわ」

 

その後、カゲトラはとりあえず扱い方の説明を受けるためにリッカ達と第二訓練場に向かった。

 

『じゃあ、これから説明を始めるよ』

「了解」

『ヴァリアントサイズには他の神機とは違ってリーチを伸ばすことができるんだ』

「リーチを伸ばす?」

『うん、それを咬刃展開と言って、とりあえず今の段階ではバレットを打つ時のトリガーに連動させてあるからトリガーを引いてる間は咬刃展開ができるようにしてあるよ』

「ふむ、了解」

『じゃあ、すこし自由にやってみて』

 

リッカにそう言われ、カゲトラはヴァリアントサイズを振るった。

 

素早くしたり、力を少し込めた攻撃をしてみたり、空中攻撃をしてみたりと。

 

「さて、咬刃展開...試してみっか」

 

そう言ってカゲトラはトリガーを引きながらヴァリアントサイズを振るった。

 

すると、サイズの刀身が伸び広範囲を薙ぎ払った。

 

「ぐっ...これは中々」

 

カゲトラはトリガーを離し、サイズを通常形態に戻した。

 

「これは...中々に腕力を使うな、スタミナがごっそり削られるぜ...」

『こればかりは改善できなかったよ、刀身が伸びるからどうしても重量配分がアンバランスになるんだ、かといって強引に合わせると今度は通常形態でアンバランスになるし...』

「やはり強力な分、それなりのデメリットはあるか...」

『それともう一つ、咬刃展開形態の時に刀身を振り下ろしてから少し神機を引きながらトリガーを離してみて』

「ん、了解」

 

カゲトラはリッカに言われたとおり、咬刃展開してから刀身を振り下ろし、引きながらなトリガーを離した。

 

すると伸びた刀身が一気に戻ってきて、通常形態に戻った。

 

「ぐっ...おぉぉ...」

 

刀身が戻ってきた衝撃で後ろに吹き飛びそうになるが、なんとかこらえその場にとどまった。

 

『今のが、伸ばした刀身を素早く元に戻しつつ攻撃できる技、グリーヴファングだよ、戻った時の衝撃は結構強いから構えとかないと吹き飛ばされるよ?』

「いやそれ先に言って...足腰鍛えてたから良かったけど俺結構危なかったよ?」

『あはは、ゴメンゴメン』

 

今日はここまでで説明は終わりという事と明日から実戦で運用データを取るとサカキ博士に言われカゲトラは第二訓練場を後にした。

 

 

 

 




遅れてしまい申し訳ありません!
とりあえずリハビリという事で外伝です。前回のエピローグで書いた、カゲトラ×カノンのお話を最初に完結させて後はゆるーくやりたいと思います。

これから先、タダでさえ遅い更新ペースがさらにガクッと落ちますが気長に待って頂けると幸いです。

あと、この作品のアナザーストーリー?的なのを別枠で投稿したので興味のある方は是非そちらも見て下さい!

私のユーザページ?だかからいけますので。



どうしてペースが落ちるんだ?どうしてペースが落ちるんだ?
ドォワッハッハー
しゅ う か つ のせいなのね、
そうなのね(泣





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外伝3-2 実地テスト

遅くなりましたが復帰です!


---訓練場テストの翌日

 

---愚者の空母---

 

「目標確認、これより運用テストを開始する」

「了解、無茶はしないでね」

「はいよー」

 

カゲトラは新武器のヴァリアントサイズを担いで単独でミッションに来ていた。

 

理由としてはヴァリアントサイズの運用データを収集しにだ、まだテスト段階のため比較的簡単なミッションなのだが...

 

「弱い個体とはいえ、普通テスト段階の武器で大型と戦わせるかね...」

 

討伐対象には他の班が逃したクアドリガの名前があったとさ...

 

「まぁまぁ、いいじゃないのー」

「ダメよーダメダm...いてっ」

「ん、どしたのー?」

「頭に小石落ちてきた...」

 

リッカと無線越しに会話しつつもカゲトラはクアドリガとの距離を詰めていく...

 

「標的まで残り70、おしゃべりはここまでな」

「了解」

 

そう言ってリッカは無線を切った。無線が切れたのを確認し、カゲトラは物陰から飛び出してクアドリガに肉薄し...

 

「っしゃあ!」

 

いきなり咬刃展開形態にし、攻撃を開始した。

 

「まずは1発挨拶がわりよ!バーティカルファングからのー、クリーヴファング!」

 

咬刃展開時の音で気付かれはしたものの、ラウンドファング→バーティカルファング→クリーヴファングの3連攻撃で強引ながら奇襲はなんとか成功?した。

 

---グォォォ!

 

クアドリガは怯んだものの、すぐさま戦闘体制を整えカゲトラにミサイルポッドから攻撃を繰り出した。

 

「フッ、はっ」

 

その攻撃をカゲトラは盾を使わずステップとジャンプ、そして緩急をつけたダッシュで躱していく。

 

その無駄のない動きは他の者が見たら間違いなく魅了されるような華麗なものだった。

 

「チッ、次から次へと撃ってきやがって...ならこうだ!」

 

カゲトラはサイズを構え、クアドリガの腹部から発射されたミサイルに狙いをつけ咬刃を展開しつつ下から切り上げ、ミサイル斬った。

 

直後、ミサイルは爆発しクアドリガの視界がミサイルの煙で遮られ攻撃が止んだ。

 

「チャンス!」

 

カゲトラは攻撃が止んだ僅かな隙を突き、煙の中突っ切りながらクアドリガに肉薄し、連続でサイズを切り付ける。

 

---グォォォ...

 

そしてクアドリガはそのままなすすべなく絶命した。

 

「ま、元々弱ってた個体だしこんなもんだろ」

 

カゲトラはサイズを肩で担いで呟いた。

 

この日は黒のコートを羽織っていたためその姿は死神のような雰囲気を出していた。そして至るところに付いている返り血がその雰囲気をさらに倍増させていた...

 

「うぉーいリッカさんやーい、おわったぞーい」

「おつかれさま、とりあえず帰投してくれる?」

「りょうか「カゲトラさん!」いぃぃぃ!?」

 

突如として響いた声にカゲトラは顔をしかめ、咄嗟的に無線機を耳から放した。

 

「え、えぇーと、どうしました?ヒバリさん」

「カゲトラさん!今動けますか!?」

 

カゲトラはヒバリの慌てようから緊急事態であると直ぐに察した。

 

「とりあえずは大丈夫っすけど、なにかトラブルですか?」

「カゲトラさんが今いるフィールド付近で交戦中のカノンさんから救援要請が来ました!現在大型3体に囲まれていると推測されます!」

「了解!場所は!?」

「カゲトラさんの現在地から南へ15kmです!」

「承知!直ぐに向かうから耐えろと伝えてくれ!」

「わかりました!」

 

カゲトラはダッシュで車に向かい、神機を後部座席に放り込み、運転席に座った。

 

「リッカさん!今のサイズの状態で大型3体はいけますか!?」

「とりあえずは大丈夫だけどなにが起こるか予測不能だから気を付けて!あくまでカノンの救助が最優先だから、無理はしないこと、いい?」

「了解!」

 

そう言ってカゲトラはアクセル全開で車を走らせ、カノンの元へ向かった...

 

「頼む...俺が着くまで無事でいてくれよ...」

 

 

 




無事内定も貰い予定どうり復帰することができました!

2ヶ月も空いてしまいましたがこれからは今までどうりの平常運行でいきたいと思います!


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外伝3-3 虎の覚醒と繋がる想い

前回平常運行と言った次の日から虫歯による激痛と歯の治療に追われこのザマよ...

痛みも落ち着いたのでやっとこさ投稿できました最新話です...

皆さんも虫歯には気を付けましょう...
夜とか地獄でしかないので...


 

 

「間に合ってくれよ...」

 

現在、カゲトラは近くで討伐任務中に大型3体に囲まれ動けないでいるカノンの元へ向けて車を走らせていた。カゲトラはアクセル全開で車を走らせつつ、カノンからの救援要請が発信された場所を確認しその場所へ向かう。

 

「車はここに置いとくか...」

 

しばらく車で瓦礫の中を走り抜けた後、カゲトラは移動手段である車を救援要請があったフィールドの近くの瓦礫の影に止めて、神機を担いだ。

 

「ふっ!」

 

カゲトラは神機を手に救援要請があった場所に向かって走り出した...

 

----------------------

 

「うぅ、どうしてこんな事に...」

 

カノンは瓦礫の裏に隠れ、その場から動けないでいる。カノンが隠れている瓦礫の周りにはプリティヴィ·マータ3体が、カノンの行方を探しているのか辺りを行ったりきたりしている。

 

『カノンさん聞こえますか?』

「ヒバリさん?どうかしましたか」

 

ピピッという音と共に、カノンの無線機にヒバリから無線が入る。

 

『現在近くで任務を行っていたカゲトラさんがそちらに向かっています』

「本当ですか!?」

『はい。それとカゲトラさんから伝言です「直ぐに向かうから耐えろ」だそうです』

「了解しました、このままカゲトラさんが来るまで待機します」

 

そう言ってカノンは無線を切り、ホッと胸をなでおろした。もうすぐこの状態から開放される安心感と自身が想いを寄せていて、いまや極東で屈指の神機使いと言われているカゲトラが来るのだから。

 

しかし、この安心感から生まれた油断が時には命取りになりかねないという事をカノンは直ぐに知ることになる...

 

---ギャァァァ!

 

「え...?」

 

カノンが気付いた時には既に遅し、カノンはマータの前足による横薙の一撃を受け瓦礫の壁に叩きつけられた。

 

「ガハッ...」

 

壁に当たった瞬間に骨が折れる嫌な音を聞きながらカノンは地面にうつ伏せに倒れた。

 

(油断した...カゲトラさんが来るという事を聞いて安心しすぎましたね...)

 

多大なダメージを受け、起きれないでいるカノンに向かってマータは勝ちを確信したかのようにゆっくりとした足取りでカノンに近づいていく。

 

(あぁ...私はこれから死ぬんですね...想いを伝えられなかった事だけが心残りですが、これは私の油断のせい...受け入れるしかないですね)

 

カノンは近づいてくるマータを見て、近づく死を覚悟する。

その間もマータはゆっくりと歩を進める。

 

「さよなら極東のみなさん、さよならカゲトラさん...」

 

カノンは目を閉じ、一筋の涙を流し呟いた...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ちょっとした油断が時には命取りになりかねないとありますが、これはなにもカノンや他の神機使いにだけ言えることではなく戦場に居る全ての者に言えることです。

 

それは人類よりも遥かに強いアラガミも例外ではなく、ちょっとした油断が命取りになりかねないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---ギャァァァ...!

 

「え?」

 

死を覚悟したカノンの耳に届いたのは、自身が食べられる音では無く、マータが発した断末魔のような叫び声だった...

一体何が起きたのかと思い、閉じていた目を開けマータがいた方向を見ると...

 

「さよならにはさせねぇよ...俺の目の前ではな...」

 

マータは地に倒れ、カゲトラがカノンに背中を向けて立っていた。

 

カゲトラはカノンを動けなくし、周囲への警戒を解き油断していたマータの背後から跳躍し、マータの眼前に着地すると同時にバーティカルファング→クリーヴファングのコンボでマータの胴体から頭をコアごと切り裂いたのだ。

 

「カゲトラさん...」

「わり、遅くなっちまった」

 

カゲトラはカノンに近寄り、彼女の左腕を見て顔を顰めた。

 

「これはまずいな...肘から肩の間の骨が折れてやがる。カノン、立てるか?」

「えぇ、今はなんとか...」

 

そう言ってカノンはカゲトラに支えてもらいゆっくりと立ち上がり、カゲトラの方を向いた。

 

「その...ありがとうございます、カゲトラさん」

「礼なら帰ってからな、右手で神機は持てるか?」

「多分、持てるかと思います」

「了解、それじゃここから離脱するぞ」

 

そう言って、カゲトラとカノンは離脱すべくゆっくりと歩き始めた。

 

カノンの動きに合わせ、カゲトラは少し前を警戒しながら歩いていく。

 

---ギャァァァ!

 

「っ!?」

 

車の場所まであと少しという所で、隣のビルの壁からマータが飛び出してきた。

カゲトラは咄嗟にシールドを展開しようとしたが間に合わず、そのまま吹き飛ばされ背中から壁に叩きつけられ地面に倒れた。

 

「カゲトラさん!!」

 

カゲトラはカノンの叫び声を聞きながら意識を手放した...

 

 

----------------------

 

「ううん?」

 

カゲトラは見知らぬ地で目を覚ました、そこは一面白で覆われ他に何も無い世界だ。

 

「これは...夢か...ん?」

 

カゲトラは目を凝らすと目の前の霧と思われる物の中から1人の女性が歩いてくる、それをみてカゲトラは目を見開き、固まった。

 

それはカゲトラがよく知る人物で、昔に亡くなったかけがえのない人物だったからだ。

 

「か、母さん...なのか?」

「トラ...」

 

カゲトラの問いに答えるように、女性はカゲトラの名前を言う。

 

「トラ...あなたはこんな所にいていいの?」

「え?」

「あなたには守りたいと思っている人がいるでしょ?」

「守りたい人...そんなの沢山いるぜ?兄貴に極東の人達に...」

「それは知ってるわ」

 

カゲトラの言葉を遮るようにカゲトラの母はカゲトラに告げる。

 

「でも、その中でも特に守りたいと思ってる人がいる筈よ...」

「特に...守りたい人...」

 

カゲトラがそう呟くと、頭に真っ先に思い浮かんだ人物は先程まで一緒にいたカノンであった。

 

「っ!?そうか、確かにいたよ...守りたいと思ってる人が」

「そう...ならこんな所にいないで行ってあげなさい」

「あぁ、ありがとう母さん...大事な事に気付かせてくれて」

 

カゲトラの体が徐々に光はじめ、体が透明になっていく...

 

「いいえ...子を導くのが親の務めだもの...それとあなたにその子を守れる力を与えるわ、今の私にできるのはこれだけよ...」

 

そう言ってカゲトラの母は、両手の上にできた白い光をカゲトラに渡した。

それを受け取ったカゲトラは母に微笑むとその場から消えた...

 

「頑張ってねトラ、タツヤ...私達のかけがえのない子供達...」

 

そうつぶやき、カゲトラの母は霧の中へ戻っていった...

 

 

---------------------

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

カノンは倒れて意識のないカゲトラを庇うように前に立ち、右手だけでブラストを撃っていた。

重い神機を片手で持つということ自体難しいのだが、カノンは持つだけでなくそれを撃っている。

 

しかしブラストの反動は大きく、1発撃っただけでカノンは後ろに吹き飛んでしまう。

 

「くっ!」

 

そして、銃声を聞いてもう一体のマータも建物の影からやって来た。

 

「今度こそ...終わりなの!?」

 

カノンがそう呟くとカゲトラの体がピクリと動いた。

 

「カ、カゲトラさん?」

 

カノンがカゲトラの名を呼ぶ間にカゲトラは立ち上がり、マータの方を睨みつけた。

 

「すまねぇなカノン...庇ってくれて。けどもう大丈夫だ、こっから先は任せな...」

 

カゲトラはそう言うと、体の中からこみ上げてくる力を解放した。

 

するとカゲトラの髪はみるみると白髪になっていき、目の色は黒から赤へと変わっていた...

 

「ふっ!」

 

カゲトラは一瞬で一体のマータに肉薄しマータの首を切り落とした。

 

その速度はまさに瞬間移動したかのように速く、カノンとマータでさえも肉眼で確認できないでいた。

 

「チェックメイト...」

 

カゲトラは着地と同時にもう一体のマータに肉薄し、上段からの振り下ろしで顔面を抉り、首を切り落とした...

 

「ふぅ、さぁて帰るか...」

 

カゲトラは車の元へ行き、神機を置いた後カノンの元へ向かった。

 

「カノン、そのまま動くなよー」

「え...ひゃ!?」

 

カゲトラはカノンをお姫様抱っこで抱え歩き出した。

 

「カ、カゲトラさん!な、なにを!?」

「この方が楽だろ?カノンは怪我人なんだからアラガミを倒した今じゃ無理に歩く必要も無いからさ」

「それは...そうですけど、うぅ〜」

 

カノンは頬を赤らめ車まで抱えられたまま移動した...

 

 

---------------------

 

---極東支部

 

支部につくと、カノンは腕の骨折で医務室に連れていかれ入院という事になった。

 

そして先程の戦闘で新たな力に目覚めたカゲトラはサカキ博士の元を訪ね、メディカルチェックを受けていた。

 

「博士、どうですか?」

 

プシューというガスが抜ける音と共に、カゲトラは研究室の奥の部屋から出てきた。

 

「うむ、これは間違いなくアラガミ化だね。しかも極めて特殊なね」

「特殊とは?」

「普通のアラガミ化というのはタツヤ君のようにアラガミになってしまう事を指すんだが、カゲトラ君のアラガミ化は身体能力を飛躍的に上げるという物らしい」

 

博士は淡々とカゲトラにアラガミ化の内容を告げていく

 

「アラガミカ?カゲトラ、シオのなかまになったかー?」

「あはは、まぁそんなとこだよ」

「おぉ、なかまなのかー!」

 

シオの無邪気な笑顔にカゲトラも自然と明るい笑顔になっていく。

 

「さて、んじゃ博士俺はこれで」

「あぁ、またなにかあったらおいで」

 

カゲトラはサカキ博士に一礼し研究室を出た。

そしてそのままの足で同じエリアにある医務室に向かった。

 

「あ、カゲトラさん」

「おう、具合はどうだ?」

 

カゲトラは医務室に入ると、すぐ前のベッドにカノンが体を起こした状態でいた。

 

他に入院患者は居ないらしく、室内は静かだ。

 

「治療を受けたのでさっきよりは楽になりました」

「そっか、それは良かった」

「カゲトラさんはメディカルチェックどうでした?」

「うーん、思った通りアラガミ化してたよ」

「そうですか...でも暴走したりはしないんですよね?」

「多分大丈夫だと思うよ?」

「そうですか、それは良かったです」

 

カノンは笑いながらカゲトラに言った。

それを最後にしばし沈黙が続く...

そしてそれを先に破ったのはカノンであった。

 

「カゲトラさん」

「ん?」

「私、ここに帰ってくる間に思ったんです」

 

カノンは俯いたまま言葉を続ける。

 

「また、あの戦闘のように死にかける場面があるかもしれない...だから、悔いのないようにしよう、やり残すくらいならやってみようって」

「.........」

「そして、カゲトラさんに助けられる前に、死を覚悟した時に...一つだけやり残したと思った事がありました」

 

カノンはひと呼吸置くと、意を決したようにカゲトラと向き合い、告げた。

 

「それはカゲトラさんに想いを告げることです...カゲトラさん、私はあなたの事が好きなんです」

「......!」

 

カノンの告白を聞いたカゲトラは肩をピクッと震わせ俯いた。

 

医務室にしばしの沈黙が続いた...

 

「あ、あはは...やっぱり迷惑ですよねこん...!?」

 

カノンが言葉を言い切る前にカゲトラはカノンを抱きしめた。

 

「え、あっ、えっ?カ、カゲトラさ「実はさ...」へ?」

 

カゲトラはカノンを抱きしめたまま告げた。

 

「俺が倒れた時、夢ん中で母さんに会ったんだ」

「.........」

「そんとき守りたい人がいるんだろって言われてさ、真っ先に思い浮かんだのがカノンだった...」

「え?」

「多分、最初に会ったあの時から惹かれてたんだと思うんだ...そして、今日やっと気付いたよ...」

 

カゲトラはカノンから離れ、カノンに告げた。

 

「俺もカノンのことが好きだ」

 

カノンはその言葉を聞くと、涙を流し始めた。

 

「こんな体になっちまったが、付き合ってくれるか?」

 

カノンは涙を指で拭いながら何回も頷いた...

 

そしてどちらからともなく顔を近づけ、唇を重ねあった。

 

子供のような浅い口付けだが、いまはそれでいいとカゲトラは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いやもうね、カゲトラ主人公でいいんじゃね?と思いましたよ。
普通に主人公より活躍してるような...

カゲトラのアラガミ化による覚醒モードの容姿はDmCのダンテのデビルトリガーを参考にさせてもらいました。というよりそのまんまですね^^;


---------------------

---医務室の前

リンドウ「まっさかあの2人がねぇ」
サクヤ 「ま、意外といえば意外よねぇ」
ソーマ 「フン、興味ねぇな」
コウタ 「その割にはしっかり聞いてるじゃん」
ソーマ 「うっせ」
アリサ 「カノンさん、凄いです...」
タツヤ 「おめでとう...トラ」
シオ 「おめでとうなのかー」

---プシュー

全員『!?』
カゲトラ「皆さん?O☆HA☆NA☆SHIしようか?」
全員『に、逃げるんだよー』

アナグラは今日も平和だったとさ、ちゃんちゃん。


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#キャラ紹介2


※今回、前書きと後書きがとてつもなくカオスっております
ネタ?ぶち込みまくったらこうなってしまいました...













うp「次回から本格的にburst篇に入るのでその前に前回のキャラ紹介から劇的ビフォーアフターした桐生兄弟の紹介です」

??「桐生?桐生ちゃんがおるんかぁ~?」

うp「どこぞの眼帯兄さんはお帰りください」|'ω')ノ⌒゜ポイッ

うp「さて、はじめましょか」

桐生兄弟「またんかドアホー!!」←渾身の右ストレート

うp「ゴハァ!」←急所に当たった

桐生兄「前回の投稿から1ヶ月たってる事はどう説明してくれんのかなぁ?うp主ぃ?」←笑ってるけど目が笑ってない

桐生弟「とりあえず納得いく説明してもらいましょか?うp主さんよォ...」

うp「FF12してました!「スチャ」あちょ、冗談っすよ普通自動車免許の勉強してたんすよ!だから神機構えないで、そしてトラちゃんはちゃっかりデビルトリガーしないで!俺死んじゃう!」

桐生兄「ふむ、免許の勉強はみとめよう」

桐生弟「それ以外の時間でFF12はしてたのかしてないのかどっちだ?」

うp「...してました『野郎ぶっ殺してやる!』アァーー」ピチューン

桐生兄弟「悪は去った!」

桐生兄「ところでトラよ、データベースの人物欄に俺らの 概要が載ってるだろ?」

桐生弟「あぁ、あるな」

桐生兄「それが更新されたみたいだから見に行かないか?」

桐生弟「いいよー、んじゃいくべ!」








 

桐生タツヤ

2071年7月15日フェンリル極東支部入隊

第一部隊所属

父親が元ゴッドイーターの「ゴッドイーターチルドレン」尚、両親は4年前のアラガミ襲撃事件の時に他界。

襲撃事件の際、コクリュウに襲われ背中に大きな傷が残ったが現在は刺青でその傷を隠している。

元々動体視力と反射神経がよく入隊後はその長所を遺憾無く発揮し、ミッション蒼穹の月では入隊1ヶ月にも関わらず第一部隊の雨宮隊長救出に大いに貢献、その際雨宮隊長と二人がかりでとはいえディアウス・ピターを退ける程にまで成長した。この成長速度は目を見張るものがあり、フェンリル本部からは雨宮隊長以来の逸材とまで言われるほど。

神機の刀身は秋山ユウカ氏作成のワンオフ品で日本刀を思わせる形状をしており、長さは日本刀と変わらない長さである。このパーツのメンテナンスを完璧に行えるのはユウカ氏のみであり、本人もメンテナンスはユウカ氏に任せている。

 

神機:刀型·ブラスト(第二世代)

 

----------------------

 

桐生タツヤ:2

ミッション蒼穹の月にて雨宮隊長救出の際コクリュウと遭遇、交戦中に深手を負った時に自身の思いに共鳴した偏食因子が過剰反応しオラクル細胞が急激に活性化したためアラガミ化を果たすが、他の者とは違いアラガミ化を制御することが可能である。この現象についてサカキ博士はゴッドイーターチルドレンであることと過去にコクリュウに襲われた際にコクリュウのオラクル細胞が背中の傷から体内に侵入しそれが覚醒した可能性などを視野に入れ調査をしているが未だ原因は分かっていない。

またシックザール前支部長のアーク計画阻止に大いに貢献し現在は主に遊撃手として第一部隊で活動している。

※なお、本情報は極東支部外秘とする。

 

----------------------

 

桐生カゲトラ

2071年7月15日フェンリル極東支部入隊

第一部隊所属

同第一部隊所属の桐生タツヤの実の弟で兄のタツヤど同じ日に入隊。兄同様「ゴッドイーターチルドレン」であり4年前の襲撃事件でコクリュウに襲われ背中に傷がある。

これも兄同様背中に刺青を入れる事で隠している。

入隊時はこれと言って目立つ所はなかったが兄を超える程の成長速度で、現在は極東支部主力メンバーとして活躍している。雨宮隊長救出の際、教会外のプリティヴィ·マータの足止めを引き受けこれらをすべて撃破。ここ一番という所では最も頼りになる人物である。

潜在能力は兄以上でまだまだ伸びしろがあるためフェンリル本部からは期待の人物として兄同様注目されている。

神機:試作型ヴァリアントサイズ·アサルト

 

----------------------

 

桐生カゲトラ:2

試作型刀身パーツの実地運用試験終了後に近くでミッション中、救難信号を発した台場カノン隊員の救助に向かい戦闘中に深手を負い一時意識を失ったが、意識が回復した際アラガミ化を果たした。

アラガミ化したと言っても普段のアラガミ化とは違い、体は人間のままだが髪の色が白髪になり目の色も黒から赤に変わるといった身体的な変化しかしない。しかし、身体能力は大幅に向上しアラガミですら視認できない速さで移動することが可能である。

こちらのアラガミ化についてもサカキ博士がタツヤ隊員同様調査しているが未だに原因不明である。

シックザール前支部長のアーク計画阻止に大いに貢献し、他の部隊の隊長にという推薦もあったが本人は第一部隊のままやっていくと言い、現在は第一部隊で兄タツヤ隊長と遊撃手として活動している

※なお、本情報は極東支部外秘とする。

 

 

 

 





桐生兄「ま、良い感じにできるじゃないか」

桐生弟「話を盛ってるとこもないっぽいしね」

うp「盛ってたとしても意味無いだろ」

桐生兄弟「!?」

うp「さっきは随分『バルス!!』ちょ、それ他作品の...アァーー」ピチューン

桐生兄弟「今度こそ逝ったな」

うp「なんどでも蘇るさ」(`・ω・´)キリッ

桐生兄弟「なん...だと...」

うp「まぁ、小説な『ダウト!!』うぇい」

桐生弟「メタ発言はゆるしまへんでー!」

桐生兄「お兄さん時にはそういうの厳しいよ!」

うp「おーい、キャラぶれてんぞー」

桐生兄弟「お前がやったんだろ!!」

うp「その発言がメタくせぇよ!!」

桐生兄弟「おっと、いかんいかん」

うp「もうどうにでもなれよ...」

桐生兄「じゃあ俺ら帰るわー」

桐生弟「じゃあのー」

うp「おーう、じゃあ俺も退場すっかー」


----------------------












なんだこれ...

とりあえず今回はターミナルに載ってる風にキャラ紹介したのでここで桐生兄弟及び秋山ユウカ3名の参考キャラを紹介したいと思います。

桐生タツヤ
参考キャラ:性格·司波達也(魔法科高校の劣等生より)
刺青·桐生一馬(龍が如くより)
外見·スコール·レオンハート(ディシディアFFより)

桐生カゲトラ
参考キャラ:性格·ダンテ(DmCデビルメイクライより)
ヴァン(ファイナルファンタジー12より)
刺青·冴島大河(龍が如くより)
外見·クラウド(ディシディアFFより)

秋山ユウカ
参考キャラ:性格·風見幽香(東方projectより)
外見·アイズ·ヴァレンシュタイン(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかより)
芳川桔梗(とある魔術の禁書目録より)


最後に一言...前書きにて真島の兄さんすいませんでした!!←土下座┏○┓


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BURST篇~極東龍伝説~
act.30 日常?いいえ戦場


遅くなりましたが、あけましておめでとうございます!

タイトルは気にしないでください...ふと思いついたのをそのまま書いただけです、はい。




「あー、暇だねぇ...」

「最近、アラガミが前よりおとなしく?なってんのかわかんないけど出撃要請がこないからねぇ」

 

カゲトラとコウタはエントランスのベンチに座りだらけていた。

 

事実、ここ1週間で出撃した回数はたったの3回で怠けてしまうのも無理は無いと言えば無いのである。

 

「ま、俺らが暇ってことはそれなりに平和って事だからいいんじゃあねぇの?」

「このご時世に平和なんて言葉あるのか?」

「違いない」

 

2人で他愛ない雑談を繰り返し10分、2人の元にさらに2つの人影が近づいていく。

 

そしてその内の1人はカゲトラに近づくや否や...

 

---ゴツン!

 

頭に軽く拳を落とした。

 

「ゲブゥ!!」

 

拳骨を食らったカゲトラはコウタと話に夢中になっていたので変な声を上げながら舌を噛み、口を抑えながらその場で悶絶した。

 

「暇なら暇なりに出来ることがあるだろう2人とも」

「そうですよ!訓練とか、データベースでアラガミの行動等を調べたりもできるじゃないですか!」

 

拳骨を食らわせたタツヤと彼のうしろに居たアリサは2人に話しかけ、ベンチに腰掛けた。

 

「ひ、ひっへーなはにひー。ひはかひちひるほほはっはほ(い、いってーな兄貴ー。舌噛みちぎるとこだったぞ)」

「おいおい、ただ軽く拳骨したくらいだろーが」

「いや、軽くじゃないよね!?軽くでゴツンってはならないよ!?」

「そうか?いやーアラガミ化してから軽い重いが曖昧でな」

「...ちなみにガチなゲンコツは?」

 

汗をかき顔を引き攣りながらコウタは本気の拳骨はどうかとタツヤに聞いた...

 

「ドカン!だな」

「ドカン!だね」←復活した。

「なにこの兄弟...」

 

しれっととんでもない事を言う兄弟でした...

 

----------------------

 

「で、話を戻すが暇なら訓練でもしたらどうだ?いつアラガミの動きが活発になるかわからないんだから」

 

タツヤは自販機で買ったコーヒーを飲みながら2人に言った。

因みにこの時タツヤが買ったコーヒーの隣に『初恋ジュース(試作品)』なるものが売っていたので気になり買おうとしたが、嫌な予感がしたのでいつものコーヒーを買ったそうな。

 

後にこの初恋ジュースなるものが極東支部で重大な事件を引き起こすのはまだ少し先の話...

 

「いやー、最近出撃することがめっきり減ったじゃん?今まで色々と忙しかったからついつい怠けちゃってさー」

「コウタの言い分も分かりますがアラガミの動きは分かりませんからね。良いことが続いたと思ったらいきなり悪いことが続くようにアラガミの動きがいつ変わるかホントに分かりませんから」

 

コウタの言い分に今度はアリサがジュースを飲みながら言った。

因みにアリサも初恋ジュ(ry

 

「そんな漫画みたいなこと突然訪れるわけないでしょー、徐々に活発化していくんじゃないのー?」

「いやいや、ホントにどうなるかわからんぞ?いきなりとんでもないイベントが『ビーッ!ビーッ!』ん?」

 

『緊急事態、緊急事態。支部内にいる第一部隊隊員は至急会議室まで来るように!』

 

けたたましい警報音と共に、ツバキの声がスピーカーから極東支部全体に響き渡る。

 

「...ほらな?」

 

タツヤが親指をスピーカーに向けながら2人の方を向く。

 

「「...oh......」」

 

 

 

----------------------

 

所変わり会議室には先程の4人とツバキ教官、サカキ博士、整備班班長のリッカの7名が集まっていた。

 

「突然で済まないが諸君らに緊急任務をこなしてもらう」

 

4人が集まったのを確認しツバキはモニターの前に立ち告げた。次いでモニターの電源が入り画面に1体のアラガミが映し出された。

 

「諸君らにはこの新種のアラガミ『ハンニバル』を討伐してもらいたい」

 

『新種』

 

その言葉を聞いてこの場に集まった4人は同時に肩を震わせた、コウタは冷や汗も垂らしている。

 

極東の主力が集まる第一部隊の面々でもデータベースに載っていない新種のアラガミには恐怖を感じるのだ。

 

だがその中でも新種という未知の敵と戦えることに喜びを持つものも居る...

 

「新種...」

「ヤベェ...滾ってきた...」

 

そう頭のネジが1本2本、いや全部ぶっ飛んでる戦闘狂のバカ2人(桐生兄弟)である。

 

「それでは博士、お願いします」

「うむ」

 

ツバキに頼まれ、今度はサカキ博士がモニターの前に立ち説明を始めた。

 

「この新種のアラガミ、ハンニバルは炎を操り攻撃してくる。まずはこの映像を見てくれ」

 

そう言ってサカキ博士は1本の動画をモニターに映した。

その内容はハンニバルの行動の一部が記録された動画だった。

 

そして映像が終わるとサカキ博士はおもむろに口を開き話し始めた。

 

「このようにハンニバルは炎を中心とした攻撃と素早い動きでかく乱しながら攻撃してくる。この映像を記録した偵察班の反応が映像が送られて来たと同時に消失した..今回は最悪の場合になる時に限り、タツヤ君とカゲトラ君の力の使用を許可しよう」

「「了解!!」」

 

サカキ博士の言葉にタツヤとカゲトラが返事をしそれを聞いたサカキ博士はモニターの前から元の位置に戻った。

 

「次に4人の神機の状態についてだけど、コウタとトラのは通常なんだけどタツヤの神機は装甲のメンテが終わってなくて装甲はいつもの時より40%の出力低下、アリサのはトータルでいつもより20%の出力低下になってるからタツヤとアリサは遊撃にまわることを推奨するよ」

 

今度はリッカが4人の神機の状態について詳しく説明してきた。タツヤとアリサは先の任務での神機のメンテナンスが完全ではなく大幅な出力低下をしているということであった。

 

「装甲40%か...」

「タツヤは装甲での防御を中心に確実性のある戦いをしていますからね、これは仕方ないと思います」

「そうだな...今回はリッカの推奨どうり遊撃で行くか」

「では私もそうします」

「では今回の陣形は前衛をカゲトラ、遊撃をタツヤとアリサ、後衛をコウタとする!時間が無いため30分後にヘリで出撃だ!!以上だ、生きて戻れよ」

「「「「了解!!」」」」

 

今までの話を聞いていたツバキが今回の任務の陣形などを決め4人に告げた。

そして4人はツバキに敬礼し会議室を後にした。

 

----------------------

 

「相変わらずここの竜巻は変わんねーな」

 

4人でハンニバルを索敵中、タツヤは今回の作戦エリアの平原中央で猛威を振るう竜巻をみてそう呟いた。

 

「俺と兄貴とコウタが極東支部に入った時から随分立つけどその時からあったもんなぁ」

「サクヤさん曰くその更に前からずっとあるらしいよ」

「そこの3人!喋ってないで集中してください!」

「アリサは手厳しいな...」

 

アリサに叱られ、再び4人は索敵を開始した。

 

普段ならば2人ずつに分かれて索敵をするのだが今回は新種という未知のアラガミが相手なので4人でかたまり索敵をしている。

 

「いたぞ...」

 

タツヤのその言葉に他の3人は同時にタツヤと同じ方向に視線を向けた。

そこには捕食をしているわけでもなく、ただその場でじっとして動かないハンニバルがいた。

 

「あれじゃあ奇襲は無理だな、ひとまず俺とトラで突っ込むからアリサとコウタは支援。ひとまずこれでいこう」

「「「了解!」」」

 

作戦をたていざ飛び出そうとした時、正面から火球が迫ってきていた。

これを4人は横にステップすることでギリギリ回避し事なきを得た。

 

もちろんこの火球を撃ってきたのはハンニバルで4人は奇襲される形で戦闘が開始した。

 

「いっちょまえに奇襲かよ、上等!」

「トラ、あまり突っ走るなよ」

 

タツヤとカゲトラはハンニバルに向かって走り出し、そのままの勢いでカゲトラはハンニバルの左側から斬りかかるが...

 

---ガキンッ!

 

「ちっ!」

 

ハンニバルはこの攻撃を左腕の籠手で防ぎ、その後あろうことかその左腕を支点にし後ろ足で跳躍し空中で体を捻りあっという間にカゲトラの背後を取り長い尻尾で薙ぎ払いを繰り出した。

 

「やばっ、避けれねぇ...」

 

あと少しで直撃というところで1人の人影が間に入ってきて尻尾を神機で斬りつけた。

 

「重っ!!」

 

そうタツヤである。嫌な予感がした彼は1度引き後ろでハンニバルの動きをみていたので咄嗟の反応でハンニバルの薙ぎ払いを防ぐ事ができたのだ。

 

「トラ、大丈夫か?」

「あぁ、ちっと油断したな。まさかあそこまで俊敏だとは...想像以上だぜ」

 

タツヤはカゲトラと共に神機を構え直し、再び斬りかかろうとしたとき、銃声と共にハンニバルの背中の突起部分が爆発し、ハンニバルは大きく怯んだ。

 

「タツヤ!偵察班からの情報で弱点は背中の突起部分だそうだ!」

「なに!?偵察班の人達は無事なのか!?」

「どうやらこの近くの地下水道を渡って安全なところまで避難していたようです。そのために反応が一時的にロストしたのかと思われます。今は支部で治療中だそうです」

「そうか...そいつはよかった」

 

銃撃を行ったのは勿論アリサとコウタだ。それだけでなくハンニバルの弱点と偵察班の無事を伝えられタツヤとカゲトラは安堵したがすぐさま頭を切り替えハンニバルと向き合う。

 

「このまま俺達が囮になる!アリサとコウタはその間突起部分の攻撃を頼む!」

「「了解!」」

 

タツヤは2人に指示をだし再び戦闘が開始された。

 

指示どうりタツヤとカゲトラは囮となりハンニバルを翻弄しつつ隙をみて厄介な籠手を破壊するため左腕を中心に攻撃し、その間コウタとアリサは背中の突起物を攻撃する。

 

ハンニバルが怯んでコウタ達に意識が向くと今度はタツヤとカゲトラがコンビネーションで素早い斬撃を足に浴びせ再び意識を自分たちに向ける。

 

これを繰り返すこと数分後。

 

---バキィン!

 

ついにハンニバルの突起部分が結合破壊した。

するとハンニバルに異変が起こり、破壊された突起部分から炎の翼の様なものが現れハンニバルが咆哮しタツヤとカゲトラの足元から火柱が上がった。

 

「うわっち!」

「くっ!」

 

咄嗟の出来事にタツヤとカゲトラは装甲を展開しこれを防御する。

 

---バチッ!

 

「ちっ!装甲は使えてあと1回か」

「それより、突起部分を破壊してから凶暴になってない?」

 

カゲトラが言ったように突起部分を破壊してからハンニバルは素早さと攻撃力などがもう1段ギアが上がったように強くなったのだ。

 

「弱点だからといって急ぎすぎたな、もしかしたら触ってはならない逆鱗を破壊したのかもな」

 

タツヤがそう呟くとハンニバルはその場から少し上昇し咆哮すると炎の竜巻を3回繰り出し、広範囲を薙ぎ払った。

 

「コウタ!後に!」

「こい兄貴!」

 

アリサはコウタをカゲトラはタツヤをそれぞれの背後に移動させ装甲を展開しこれを防いだ。

 

「サンキューアリサ」

「助かったぜトラ」

 

そう言って再びハンニバルに向き直り、神機を構える。

 

「これは厳しいな、短期決戦いくか。アリサ!短期決戦だ近距離に変更!コウタはそのまま支援たのむ!」

「「了解!!」」

 

アリサはタツヤの言葉を聞き神機をブレードに切り替えハンニバルに肉薄し斬りつけた。

 

その斬撃はハンニバルの籠手に直撃し見事籠手を結合破壊させた。

 

「捕食!」

 

その隙にタツヤはハンニバルを捕食しアラガミバレットをコウタに受け渡した。

 

「これは...!」

「リンクバーストLv3、ぶちかませコウタ!」

 

そう叫びタツヤはアラガミ化しハンニバルを押さえつける。

 

「うっしゃあ!いっけぇぇぇ!」

「トラさん!私たちも!」

「よっしゃあ!くたばれトカゲ野郎!」

 

コウタが濃縮アラガミバレットを撃つと共にアリサも肉薄しハンニバルを斬りつけた。カゲトラもアラガミ化し最大の力を貯め地面を蹴りすれ違いざま横薙ぎの一閃を浴びせる。

 

---グギャァァァァ...

 

3人の最大攻撃を同時に浴びてハンニバルはついに力尽き、地面に落ちた...

 

----------------------

 

「コア摘出、本日の任務しゅーりょー」

 

コアを抜き取ったカゲトラの報告を聞き3人はホッと胸をなでおろした。

 

「あの逆鱗の事は事細かに説明しないといけませんね」

「あぁ、あの部位破壊はリスクを背負うからな」

「まぁ、そこは帰ってからにしようぜ!今は気楽にいこうよ」

「フッ、だな」

 

---グギャァァァァ!

 

『!?』

 

4人全員ハンニバルに背を向け回収ポイントに向かおうとしたとき、突如ハンニバルが起き上がりコウタに襲いかかった。

 

「コウタ!!」

 

タツヤはこれに素早く反応しコウタの前に立ち装甲を展開し防御するが...

 

---バキンッ!

 

「ぐぁっ!」

 

装甲が破壊されそのまま吹き飛ばされ気を失った。

 

「「タツヤ!」」

「兄貴!くそ!」

 

アリサとコウタがタツヤの元に駆け寄り、カゲトラは再びアラガミ化し瞬間移動したかのような速さでハンニバルを連続で斬りつけ再びハンニバルを倒した。

 

「コアは間違いなく回収したはずだ...なぜ動いた」

 

そう言ってカゲトラは自信の神機を見るが間違いなくコアは回収されていた。

 

「トラさん!今のうちに離脱しましょう!」

「あ、あぁ!」

 

アリサとコウタがタツヤを担ぎ、カゲトラはハンニバルの方を警戒しながらエリアを離脱し到着していたヘリに乗り込み支部にもどった。

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、最近落第騎士の英雄譚のss書きたいと思っても実行に移せないうp主です。

ちょっとここで皆様に報告です。
本家ゴッドイーターバーストで物語の鍵を握る重要人物のレンくんですが、この小説には出てきません。
出すことも可能なのですがそうなると中途半端な仕上がりになりそうなので中途半端は嫌なので出さないことにしました。
え?今までも中途半端だって?あの頃は若かったんですよ。←意味不明
それともう一つこの小説のバースト編ですがもしかすると話数が2ケタ行かずに終了しそうです...
もともとの本家バースト編が短いのでネタがなかなか思い浮かびません。今の所思いついているのが今回の本文でも書いた初恋ジュースだけです...
オリジナルを挟んでいくことになるので意味不明な話も出てくるかもしれませんがそこは皆様の寛大な心で許してください←土下座

誤字脱字がありましたら感想欄にお願いします!

では!


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act.31 不吉な予感

 

「なんか分かりましたか?博士」

「いや、あまりにもイレギュラーというか特殊というか...まだなにも分からないよ。というか10分かそこらでなにか分かるものではないからね?」

 

支部に戻ってからカゲトラはサカキ博士に先の任務の事の経緯を話し、コアの解読を行っていた。

負傷したタツヤはそのまま医務室に運ばれて行った。幸いにもヘリの中で意識を取り戻したため、ちょっとした精密検査と暫しの入院生活くらいだろうといったところか。

何事もなく復帰したとしても神機が使い物にならないのでどのみち暫くは任務も受けられないのだが...

 

「まぁ、この事はリンドウさん達にも報告して支部全体にも知らせた方がいいですよね」

「そうだね、支部の方には緊急会議で伝えるとしよう」

「了解です。では俺はこれで」

 

カゲトラは研究室を後にし自販機でコーヒーを買うとそのままの足で病室に向かった。

病室に入ると案の定タツヤが入院服に身を包みベットに腰掛けていた。そしてベッド脇のパイプ椅子にはアリサが座っていた、様子を見るになにか話していたのだろうとカゲトラは察する。

 

「しゃーねーから見舞いに来てやったぜ」

 

カゲトラはそう言うとコーヒーの缶をタツヤに向けて放り投げた。そしてタツヤはそれを片手でキャッチし銘柄を見ると自分がいま好んで飲んでいるコーヒーだった。

 

「ん、サンキュートラ。よく好みの銘柄が分かったな」

「何年弟やってっと思ってんだよ、それくらい分かるわ。それより、もしかしてお取り込み中だった?」

 

カゲトラはアリサとタツヤを交互に見ると、意地の悪い笑みを浮かべながらそう呟いた。

それを聞いたアリサら頬を少し赤く染め、タツヤは頭を押さえながら軽く溜息を吐いた。

 

「まぁ、さっきまではお取り込み中と思われても仕方ないような事にはなってたよ...どっかの誰かさんのせいでね」

「うグッ...」

「いやぁ...看病してくれるという言葉は素直に嬉しかったけどまさか着替えまでやると言い出すとわねぇ...しかも拒否したら挙句襲われたしねぇ」

「ウゴゴゴ...」

 

タツヤの辛烈な口撃を耳にする度、アリサが唸り声を上げる。

それを聞くカゲトラはやや引き攣った笑みを浮かべ聞いていた。

 

「なんつープレイしてんだあんたら」

「いやまさかアリサにあんな性癖があるとは...」

「それ以上はやめてください!!」

 

とうとう限界を突破しアリサが耳まで真っ赤になった顔を上げタツヤの胸をぽかぽかと叩き始めた。

 

「人が心配してるのにその言い草はなんですか!そもそもタツヤが怪我をするのが悪いんです!だから私は悪くありません!!」

「なんだそれ...つかその理由理不尽すぎね?」

 

 

タツヤの苦労は続くのであった。

 

----------------------

 

 

3日後

 

「ふぅ、やっと退院か」

 

伸びをしてからタツヤは病室をでると研究室から出てきたソーマとちょうど出会った。

 

「よう、やっと出てきたか」

「あぁ、シャバの空気は美味いぜ...」

「...とうとう頭がイカレやがったか」

「んなわけあるか、余りにも病室が薬品臭かったんで言ってみたくなっただけだ。だからその哀れむような視線やめてくれ」

 

タツヤの言い分に少し納得する部分があったのかソーマは視線を直し真面目な顔つきでタツヤに口を開いた。

 

「俺はサカキのおっさんから聞いただけだが、新種の蘇り能力をどう見る?」

「...俺も気を失ってたからなんとも言えないけどもしかしたら予備のバッテリーの様なものかもしれないんじゃないかな?」

「予備のバッテリー?」

「そ、万が一コアに異常が起きても暫く動けるようにコアとは別の場所にエネルギーが蓄えられてる所があるのかもしれない...まぁ、これは俺の推測でしかないから真実は謎だけどね」

 

そこまで話し、2人はエレベーターに乗り込む。

 

「にしても、ソーマって随分雰囲気変わったよな。なんて言うか前より明るくなったみたいな?」

 

タツヤがソーマの顔をじっと見ながらそう言うとソーマは壁に寄りかかったまま右目だけを開けてこちらを見た。

 

「そうか?自分では自覚がないからなんとも言えないがな」

「言うなれば今の言葉もだよ、昔なら『 うるせぇ...』としか言わなかったのにさ」

 

2人が喋っているとエレベーターが到着し扉が開く。すると少し離れた所に白い服を着た少女がこちらに、いや厳密に言えばソーマに元気よく手を振っている。

 

「それもこれもシオちゃんの影響かな」

「...うるせぇ」

「そ〜ま~、早く行こうよー!」

「チッ、じゃあ俺はお守りしなきゃならねぇから行く。最近前線に出ずっぱりだったんだ、神機が直るまでの間しっかり休んどくんだな」

 

ソーマはタツヤにそう言うとシオのもとへ歩き出し、出撃ゲートの中へと消えていった。

 

「ホント変わったな、前は忠告なんてしなかったのに」

 

タツヤはそう呟くと神機保管庫へ向かうため出撃ゲートの中へと入った。

 

 

 

 

----------------------

 

 

「あ、タツヤくんどうしたの?神機ならまだだよ?」

 

保管庫に入るとリッカがタツヤの神機の前で作業をしていたのが直ぐに目に入った。そしてリッカもタツヤに気付くと手を止めてタツヤの元に歩み寄ってきた。

 

「修復が済んでないのは分かってる。ただ暫定的でいいから修復が終わるのはいつ頃か知りたい」

「そうだね、正直言うと今回破損した装甲だけでなく他のパーツも結構ガタが来てるからねぇ、それにオリジナルの刀身パーツを使ってるからどうしても時間が掛かってしまうんだよね。今の所予定では1週間かな、作成したユウカさんがいればもっと早かっただろうけど生憎今は本部に出張ってるからね」

 

リッカはそう言うと若干苦笑いで頬を人差し指で掻くような仕草をした。

 

「1週間もあれば十分な休養になるな...迷惑かけるけど修復のほう頼んだよ」

「いいよ、これが仕事だし。微調整も含め最高の状態にしたげるから期待しててよ」

「おっ、なら期待して待ってるよ」

 

そう言ってタツヤは保管庫を後にして自室へと戻った。

タツヤがゲートの中に消えたのを確認するとリッカは再びタツヤの神機の修復作業に取り掛かった。

 

 

----------------------

 

 

さらに3日後

 

 

「あー、ヒマだー」

 

タツヤは現在エントランスのソファーに腰掛けダラダラとしていた。任務に行きたくても神機の修復は終わっておらず、話し相手を見つけようにもタツヤと親しい間柄の人物は全員任務に出張っているため八方塞がり?な状態である。

 

ビーッ!ビーッ!ビーッ!

 

「あん?」

 

余りにも暇なのでそのままソファーで一眠りしようとした所でけたたましい警報音でタツヤの眠気は一気に冷めた。

 

「...神機使いになって随分立つけど、この警報音鳴った時って嫌なことしか起きねーんだよなー」

 

そう言ってタツヤはソファーから起き上がり一度背伸びをした。

 

「タツミさん!緊急事態です、その場から離脱して至急支部まで帰還してください!」

「ヒバリさん、一体何が起きてるんです?」

 

タツヤが座っていたソファーはエントランスの二階部分、つまり受付の真上にあるため、顔を柵から出し真下にいるオペレーターのヒバリに状況を聞いた。

 

「あ、タツヤさん。えと外部居住区にアラガミが3体侵入しました、現在そのうちの1体がこちらに向かって来ている状態です」

「ふむ、現在支部には対処できる神機使いが居ないから1番近場にいるタツミさんを帰還させて対処するってことですか?」

「今ところそうなりますね」

 

ヒバリから現状起こっている事を聞いたタツヤは、顎に手を当て少し考え込んでから一つ提案した。

 

「それだとタツミさんが戻るまで被害が拡大するな...となると」

「タツヤさん?」

「ヒバリさん、俺が出ます」

「えっ!?無茶ですよ!神機の修復がまだ済んでないのにどうするつもりですか!?」

 

出撃ゲートに走っていくタツヤをヒバリは声を荒らげて引き止めようとする。これは当たり前の反応と言っていいだろう。神機を持たずに戦場に行くなど誰しも止めることだ。

 

「ヒバリさん、俺は普通の神機使いとは違うんすよ。ある程度の時間稼ぎはできます、それにタツミさんの帰りをただ待つだけでは被害が拡大するだけです」

 

そう言ってタツヤは出撃ゲートの中へと走っていった。

 

「タツヤさん!!」

 

 

----------------------

 

 

 

「これで最後と」

 

神機保管庫ではリッカが神機をケースに入れる作業を行っていた。そして最後の1区画をケースにしまおうとしていた時、ゲートから1人入ってきた。

 

「ん?タツヤくんどうしたの?神機ならまだ完成してないよ?」

「神機はいらないよ、時間稼ぎするだけだから」

 

タツヤはそうリッカに言いながら彼女の横を通り過ぎると、正面のゲートが突然爆発した。

 

---ギャァァァァ!

 

それと同時に、一体のヴァジュラテイルが侵入してきた。

そしてヴァジュラテイルはタツヤ達を視界に入れるとタツヤ達に向かって走り出した。

 

「チッ、時間稼ぎどころじゃねぇな」

 

タツヤはそう吐き捨てると右手のみをアラガミ化しヴァジュラテイルに肉薄、その勢いですれ違いざまに右腕を振るいヴァジュラテイルを切り裂き絶命させた。

 

「ふぅ、はえーとこエントランスに避難しな。俺はこのまま外で暴れてる奴らァ相手してくるからよォ」

 

タツヤはそう告げると居住区に向かって走り出した。

 

「はは...タツヤくんに神機って必要あるのかな?」

 

残されたリッカはタツヤのあまりの強さにその場に座り込み苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

 

-----------------------

 

 

その後は至って順調であった、タツヤが他の2体を引き付けつつ侵入された穴の前に立ち新たなアラガミの侵入を阻止し時間を稼ぎ、到着したタツミ達に後は任せ自身は帰還した。

 

 

帰還後にタツヤは鬼の形相のツバキに捕まり、有難い説教と罰を受けたが、それよりも支部に侵入したヴァジュラテイルの行動に不信感を抱いていた。

なんとヴァジュラテイルは支部に到達するまで逃げ惑う人間達には目もくれず、まるで操られているかのように支部に向かってきたのだという。

 

(...妙な胸騒ぎがする、このまま何事もなければいいんだが)

 

 

 

 

----------------------

 

 

 

ヴァジュラテイルたちが殲滅された同時刻、極東支部上空に黒い影が支部を見下ろしていた。

 

「ふむ、ヴァジュラテイルでの実験は成功といった所か。次はもう少し大型で試してみるか」

 

右腕が禍々しい悪魔のような腕となり顔に仮面を付けた男は黒い龍に跨りながら不気味な薬品のようなものを見つめ、もう一度極東支部を見下ろした。

 

「極東支部、桐生兄弟。貴様らは私がこの手で滅ぼす!!行くぞコクリュウ!」

 

男はコクリュウに指示を出しその場から遠くへ消えていった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





皆様お久しぶりです、ポテトです。
えー、皆様お気付きかと思いますが2話ほど前から1話あたりの文字数を増やしました。理由としては過去に投稿した話を見返してみたら余りにもひどい有様だったので、今まで約2000文字だったのを1話あたり約4000~5000文字にしました。まぁ、文字増やしたところで駄文には変わりないのですが...
ですが昔書いていたのがあそこまでスカスカな内容だったことに私自身少々戸惑っておりまして、リメイクor編集ですこし修正をかけて過去に投稿した話に少し肉付けしようかなと思っていたりします...

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