竜たちの日常のような非日常 (無一文)
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プロローグ
ここは全ての生命が共存し、雄大な自然に守られる世界。
ある者は自然の力を可能な限り自らのものにし、生活を豊かにする。
ある者はハンターと呼ばれ、竜たちと戦い、名誉や富を得る。
ある者は己の力で生態系の頂点に立つ。
様々な生命が暮らすこの世界の中の生態系の頂点である【竜】。その中でも異質な力を持つ者がいた。
私もその中の一人である。獰竜と呼ばれ、その名の通り獰猛であり生態系の中でもかなり上のほうに位置する竜だが、その中でさらに異質な力を持って生まれてしまったせいで親に捨てられ、独りで生きることを運命付けられて生まれてきたのである。
もう慣れ始めてしまった一人きりの宛も目的もない旅を続けるのが唯一の生きてる証になるという理由だけで私は旅を続けていた。
そんな私の前に現れたのは・・・・正確には転がっていたのは
『自分に似ているような気がしないでもない竜』
(面倒なので無視して進もう)
私は今人型だし目立たないと考え無視することに決めた。
ドズゥン・・・・
尻尾で道を塞がれた。チクショウ。
そして、その竜が一言呟いた。
「く、食い物・・・・」
これはとってこいということだろうか。て言うか空腹で倒れたのかこいつは。
少し考えて結局何もすることないし邪魔で仕方がないから何か持ってきてあげることにした。わーやさしい私。
そして私は探しに出てから気がついた。
あの竜なに食べるんだろう?
はじめまして。財布が真冬の北海道の無一文です。
今回もうひとつの小説ほったらかしにしてこちらの小説を始めたのにはどうしようもなくしょうもない理由があります。
1、ネタがきれました。2、シリアスが辛いです。
どうしようもないですね。ごめんなさい。
他の小説ももちろん更新致します。見てくださる方がいらっしゃると嬉しい限りです。
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一話 旅は道連れ 情けはない
時間は日が傾き、空が茜色に染まり始めた頃である。そんななか私は近くの茂みに腰を降ろしキノコやら雑草やらを漁っていた。
さて、私が何故こんなとこでキノコやら草やらを漁っているのか自分なりに整理してみようと思う。
まず、私は自由気ままにと言えば聞こえはいいがまぁ目的もなくフラフラと旅をしていた。すると目の前に不様に転がるデッカイ竜がいて食べ物をねだってきたので優しい私は親切に食べ物を探してあげている。というわけだ。いやー私ほんっと優しい。集めてるの食えるかわかんないけど。
しかしまぁ極限の空腹になればゴキブリとかでも食えるだろう。ならこれがもし毒キノコや毒草だったとしてもきっと大丈夫だと(勝手に)納得して私は茂みを漁った。
「んー、こんなもんかな?うん、充分。」
とりあえず手から溢れそうなほど集めたので一回持っていってあげることにしよう。なんか明らかに紫色の毒々しいキノコ混ざってるけど見えないふりをした。私はなにも見てない。
私が両手いっぱいのキノコと草を持って先程の竜のもとへ行くと出会ったときと一切変わらない体勢でそこに転がっていた。どんだけ腹減ってるんだあいつは。もういっそそのまま自然と同化してしまえとか思った。
「もういっそそのまま自然と同化してしまえ・・・・」
口に出てた。悪気はない。ただ本当にそう言いたくなるようにほんの1mmも動いてなかったというのをわかってほしい。
とりあえずあの様子じゃ100%動かないと思うので顔の前まで移動してあげよう。
「あのー、一応食べ物(?)持ってきたんですけど大丈夫で」
ガブッ(噛まれた音)
ブシュ(血が吹き出た音)
「イギャオウイアエアアアア☆○▽©☆!!!!」
私が声をかけ終わる前に採取してきた植物はおろか私の腕ごと噛みやがったこの欠食竜。あぁ、私の腕がエライことになってる・・・・というか噛みつくときの体力どこにあったんだチクショウ。
そんな私の誠心誠意の心の罵倒は全く気にせずに目の前の竜はモグモグと私が採ってきたキノコやら草やらを食べている。くそ、もうお前なんて毒に当たってしまえ。いっそ毒だけ食え。他返せ。私もまだ夕食食べてないんだぞ。
そんな願い(?)も虚しく目の前の竜はゆっくりと起き上がり、今の私と同じように人型になった。
見た目は割りとスタイルの良い女性で、ボロボロな深緑の服をきていて顔に傷が一本入っている。正直女性がそんなとこで行きだおれるなよと言いたい。(竜だけど。)
「いやー、助かったぜ!かなり足りないけどありがとな!」
「もっと採って来いってか?採って来いってか!?」
お礼言ってるのかわからないなこの野郎。アンタのおかげでこっちは腕に大怪我を負ったのに。
「てか、その手の怪我どうした?大丈夫か?」
ゴッ(女性を殴った音)
「ぎゃふ!?」(女性の悲鳴)
とりあえず殴った。誰のせいだと思ってんだこの怪我。
状況が理解しきれてない女性が頬を撫でながら混乱しつつ色々と聞いてくる。
「な、なんで殴った!?オレなんかしたか!?つかなんか体少し痺れてるんだけど!?」
「あー、えっととりあえず経緯を全て話しますから落ち着いてください。」
私は腕の怪我はアンタにやられたんだということを懇切丁寧に説明し、適当に体の痺れについて説明した。
「あぁ、なるほどそりゃオレが悪いな。マヒダケ食わされたことを除いて。」
「他にも明らかに毒々しいのあったんですけどね。」
「オイコラ。」
私は女性のツッコミを華麗にスルーして腕に薬草をすりつぶした物を塗る。応急処置程度にしかならないが出血多量と傷が膿むことくらいは防げる。竜は寝れば大概の傷は治るのでこの程度の処置でこと足りるのだ。
私が傷の処置に精を出しているといきなり女性が立ち上がり話しかけてきた。
「お前、今腹減ってるか?」
「あなたほどではないですけど減ってます。」
「よし、助けてもらったお礼と怪我させたお詫びになんかとってくるわ。」
「え、あ、じゃあお願いします。」
なんかかなり流された感が少し否めないけどまぁ是非お願いしてしまおう。なにが今日の夕食になるんだろうか?少し楽しみな気がする。
そういえばまともに他人と話したのなんて何年ぶりだろうか。実は自分も自分で今の状況を楽しんでいるのかもしれない。今は女性の帰りを楽しみにしながら傷の手当てをしてしまおう。
日がくれた。あれからどのくらい待ったのだろうか?何をしてるんだろうかあの人は。いい加減腹と背がくっつきそうだ。
少し考えてまた行き倒れになってそうという仮説が浮かんだので探してみることにした。行き倒れてたらもう一回殴ってやろうと心に決めて私が探索を開始しようと思った瞬間に遠くに人影が見えた。上になんか担いでるけど。
「悪い悪い。なかなかいいやつが見当たんなくてさ。」
「・・・・・・なんですかそれ。」
「アプノトス。三頭あるぞ。」
「そんな山菜みたいな感覚で・・・・・・」
この人いろいろとぶっ飛んだ人だっていうことを今いやと言うほど思い知った。あんな軽いノリでアプノトス三頭担いで持ってくるとか正気の沙汰じゃないと思う。
「さて、食うか!」
「生で!?」
「え?普通だろ?」
「私は焼きます。お腹壊すんで。」
私は胃が生まれつき弱い。生肉とか食べたら結構大変なことになる。幸い火は吹けるのでなんとかなるのが救いである。
二人とも食事の準備ができたのでとりあえず食べ始めようということになり肉を頬張った。うん、やっぱり美味しい。食べ過ぎると吐きそうになるけど。
「そういえば、お前名前なんていうんだ?」
「あれ?いってませんでしたっけ?アビオルグといいます。」
「あー、獰竜ってやつか。」
「あなたは?」
「イビルジョー。恐暴竜って言われてる。」
聞いたことがない名前だった。こちらの方に来たのが最近なので知識が浅いのでどういう特性をもつ竜なのかわからない。欠食以外は。
「お前こっちのほうに居なかったはずだけど旅でもしてんのか?」
「はい。まぁ、目的はないですけど。」
「なぁ、一緒に旅しないか?」
「え?」
「いや、オレも決まった居場所みたいのがなくていろんなとこまわってるんだ。旅は道連れって言うしお前面白いし。」
なんか最後失礼だった気がする。でも嬉しいと思う私が確実にいるのが解る。心臓がかなり早く脈を打っている。
「えっと・・・・あなたが良いなら良いですよ?」
「よし、なら決まりだ!よろしくなアオ!」
「よ、よろしく・・・・」
「固いなお前・・・・」
「慣れてないだけです。」
今日、初めて【仲間】と呼べる人に会えた。そんな気がする。
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二話 伝説との遭遇
私の一人きりの旅に仲間ができました。その人(竜)は大食いでがさつと言うかなんと言うかぶっ飛んでて男の人みたいなしゃべり方でこちらの地方では恐暴竜と呼ばれ恐れられているそうです。
・・・・なにかとんでもない人と出会ってしまった気がする。でも悪い人ではないし楽しいし正直嬉しい。
そんな私達の新しい旅のスタートは気分は快晴、天気は
「・・・・・・ひどいですね。」
「・・・・・・ひどいな。」
豪雨。時々雷。
旅の初めから一歩も動けないというのは本当にどういうことなんだろうか。もし神様というのがいるなら私が嫌いなんだろうか?それともイビルさんを神様が嫌っているんだろうか?もしかしたら二人とも嫌われてるのかもしれない。よし、これで妥協しよう。くたばれ神様ちくしょうめ。
「アオ?お前一人で何悩んだり解決したような顔したり黒い笑顔浮かべたりしてんだ?」
「うぇ!?か、顔に出てた!?」
あまりに雨が憎たらしすぎて神様に八つ当たりしてたら顔に出てしまったらしい。くそう失敗した。
「よくわからんけどガッツリ出てた。てか敬語とれたな・・・・」
「素がさっきの方ですから。」
「そうなのか・・・・で、なに考えてたんだ?」
「いえちょっと神様くたばれと。」
「あー、確かにこの雨じゃなぁ。しかし神様なんざいるのか?」
「【ミラ】の名を持つ者たちとかじゃないですか?」
「さぁなー。しかし止まないな雨・・・・」
「ですね・・・・」
やむどころかさらにひどくなっている気がする。目の前の地面はもはや小さな川に変わって、遠目に見える小川は濁流へと変貌している。
神様、地に落ちて私達と同じ雨を味わってください。私はそれを本気で望みます。
そんなことを思いつつかなり長い間私達は雨宿りを続け、雨が上がったのはもう日が真上にある頃だった。
私達は青空の下を意気揚々と歩いていた。
「とりあえずあがってよかったな。」
「ですね。」
まだ足元は浅い川のようになっているが空の方は先程まであれほどの豪雨が降っていたとは思えないほどの快晴になった。確かこんな雲ひとつない青空のことを人間は『日本晴れ』と言っていたような気がする。
「いやー、本当に気持ちいいくらい晴れたな!さっきまでの雨はなんだったんだ?」
「滝のような大雨でしたもんねー。本当、晴れて良かったです。神様ありがとう。」
「くたばれとか言ってた奴に感謝されても嬉しくないだろうな。」
「気持ちの問題ですよ。」
「そーかい。」
「そうです。」
なんて何気ない会話を繰り返しつつ水没した地面を踏みしめながら歩いて行くと、少し狭い道にさしかかった。
・・・・訂正しよう。道『だった』ものにさしかかった。
恐らく先程の豪雨で土砂崩れが起きたのだろう。道が土砂や岩に塞がれて進もうにも進めない状態になっている。やっぱり神様なんて嫌いだ。感謝した私がバカだったよ。
「神のバカヤロー!!!」
「えぇ!?どうしたアオ!?」
「八つ当たり!感謝なんかするんじゃなかったチクショウ!!」 ・・・・イ
「まぁ落ち着けよ・・・・他の道あるだろうしさ。」 タ・・・テ・・・
「はぁ・・・・・・ですね・・・・他探しましょう。」 タス・・テ ソコノ・・・・ト
「ん?なんか聞こえねーか?」 タス・・・・テ
「え?あ、本当だ。『助けて』って言って・・・・る!?」 タスケテ・・・・
謎の声が何処から聞こえてくるのかと周りを見渡していた私の視界に飛び込んで来たのは大きな岩に埋まった黒い鱗を纏った竜の手。
ここで生まれる選択肢は3つ。
1、気がつかなかったフリをしてスルーする。
2、助ける。
3、トドメをさす。
「イビルさん。3つの選択肢があります。どれにしますか?」
「3はないとしようか。とりあえず・・・助けるでいこうぜ。」
「わかりました。でもどうやって?」
「ブレスでドガンと。」
「わかりました。」
私達は原型に戻ると同時にブレスの準備を始めた。そして一気に膨大なエネルギーを放った。
ズガアアアアァァァァァン!!!!!(岩を埋まってる竜ごと破壊した音)
「ぎぃやああああああああああ!!!!」(埋まってた竜の悲鳴)
岩を吹き飛ばしたあと私達はまた人型に戻った。
よかったあの竜もなんとか無事(?)なようだ。本当私って優しい。困ってる人は見過ごせない親切な子なんだな。
「大丈夫ですかー?」
私の問いにその竜も私達と同じく人型になり答えた。
「岩に埋まってたときまではね!!もう少し丁寧にやって!?本当に死ぬわ!!一瞬走馬灯が見えたよ!!」
「大丈夫そうだな。」
「え、ちょ、アタシの話聞いてる?ねぇ?走馬灯見えたよ?死ぬかと思ったよ!?」
黒いセミロング位の長さの髪を何かの爆発でぼさぼさにしながら私達に必死に岩の下にいた恐怖を訴えてきているということにしよう。私達悪くない。だって助けたもの。
肝心のその人(竜)は隅の方で膝を抱えて地面になにかを書いていた。どうしたんだろうか?とりあえずどんな竜なのか聞いてみよう。
「あのー、あなたのお名前は?」
「うぅ・・・・・・はい?」グスン
あ、泣いてた。なんかごめんなさい。私達も少し悪かったです。
「えっと、お名前を教えてください。」
「ふふふ、よくぞ聞いてくれました!!」
((立ち直り早っ!!))
「アタシの名はミラボレアス!【黒龍】ミラボレアスです!!」
「え?こ、黒龍!?」
「マジか?」
「マジのマジ。大マジ。」
ありえない。まさかこんなところで黒龍と・・・・ミラの名をもつ者と出会うなんて思えなかった。しかしもしこの人が黒龍なら何故岩野下敷きになんかなったのだろう。
「でもなんで黒龍が岩に潰されてたんだよ。」
あ、イビルさんが聞いてくれた。ありがとうイビルさん。
「それはその・・・・いきなり雨にやられて休憩しようと降りた瞬間土砂崩れに巻き込まれてなす統べなく・・・・」
「ぐしゃっと潰れたと。」
「はい・・・・」
あぁ、なんか【伝説の黒龍】とか呼ばれて一部では神のように崇められてるのになんかこの人残念だ。面白そうな人だけど。
なんて考えているとミラボレアスさんが突然口を開いた。
「そうだ!手段はともかく助けてくれたお礼に家に招待します!時間あります?」
「え、まぁ一応・・・・」
「じゃあ行きましょう!アタシの兄弟にも紹介したいし!」
「つっても家って何処だ?」
「遠いけどアタシの鱗を持っていれば1秒でいけるから平気!ここにもルーツが帰してくれるから心配はないよ!」
「なんで鱗?」
「許可書みたいなものだよ。さぁ、シュレイド城へご招待!」
次回、突入!シュレイド編
ミラの名を持つ者が全員でてきます。
伝説のイメージはクラッシュします。
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三話 伝説とか物語とかは大抵美化されて残されるよね
「じゃじゃーん!はいこちらシュレイド城でございまぁーす!!」
「「テンションが高すぎ。」」
「あなた方は低すぎない!?」
私達は今、残念な黒龍さんに連れられて『シュレイド城』と呼ばれるお城の前にいます。かなり大きく、古いお城のようで所々壁の石が欠けたり剥がれたりしている。
周りには草木の1つも生えておらず、空は重苦しい闇のような色をしていて正直かなり息苦しい感じが強い。
「なんで草の1つも生えてないんですかここ。」
「大昔に滅ぼしちゃったから♪」
「はい?」
まてまて、今この人テンションと全く合わないことを言わなかったか?『滅ぼした』ということはここに"元々存在していたなんらかの文明"を全て駄目にしたということだろう。
・・・・残念でもやっぱり伝説の黒龍の名は伊達じゃないということだろう。
「さて、中にはどうやって入るんでしょう?門を開ける方法忘れちゃたんだけど・・・・」
「やっぱり残念だこいつ。」
「あぁ残念だな。」
「ヒデェ!!泣くぞ!!」
「「どうぞ。」」
「うわぁぁぁぁぁぁん!!!」
前言撤回。ただの残念だこの人。
開かない門の前で私達がとことん不毛な会話を繰り広げていると門の奥から声が聞こえてきた。
「そこに居るのボレアスか?」
「あ、ルーツ!?ちょうど良かったちょっと門開けてくんない?」
「飛べよ。」
「あ、その手があったか。」
ドゴバキ!(私達が残念を殴り飛ばした音)
「マヒダケッ!?」(残念の悲鳴)
どんだけこいつはアホなんだ。いや、私達もその方法は思いつかなかったけど。まぁ私達には翼がないししょうがないだろう。うん、仕方ない。
「うぐぅ・・・・と、とりあえずアタシが原型に戻って運びます。」
「わかりました。」
「はいよ。」
そう言うとミラボレアスさんはもとの姿に戻り私達を手につかんで飛び上がった。
みるみる高度が上がって見上げるほどあった門がもう下に見える。私はこんな高い位置に来るのは初めてなので正直結構怖い。落ちたらどうなるんだろうと考えて思考を止めた。もう降り始めるしおとなしく待とう。
しかし、私は上がった時より下がる時の方が怖いことを知らなかった。
「ちょ、ま、怖っ!ちょっともう少しゆっくり!ゆっくりぃぃ!!」
『え?そんな速い?』
「速いです!もっとゆっく・・・・!?」
私がもっとゆっくり行ってくれと頼もうとした瞬間にミラボレアスが急降下した。
「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「おー、速いなー。」
大絶叫をあげる私。暢気なイビルさん。恐ろしい速度で近づいてくる地面。
着地の瞬間に私は一瞬意識を手放した。
『ほい、到着でーす!』
「おー、城もでけーな。なぁアオ・・・・ってアオ?」
イビルジョーとアビオルグにどうしたのかとミラボレアスが人型に戻りアビオルグに近づいた瞬間にアビオルグがミラボレアスにカウンターの要領で蹴りを食らわせた。
「ごぶぅ!?」
「ゆっくりって言ったろーがこの残念龍!!本気で怖かったよ!!」
「いや、ビックリさせようと思って・・・・」
「十二分に驚いてたわ!意識飛んだわ!!」
「まぁ落ち着けアオ。」
「あー、ちょっといいかな馬鹿とお二方。」
私が残念にマジギレしていると白髪の青年が話しかけてきた。恐らくは彼がミラルーツだろう。
「おいボレアス。こいつら誰だ?」
「アタシの客人です。てかさっきさらっと馬鹿って言わなかった!?」
「客?あんたらどこでこいつと会った?」
うわ、この人スルースキル凄い。ミラボレアスさんいじけちゃったよ。また地面になにか描いてる・・・まぁいいか。
「えっとですね。かくかくしかじかでして・・・」
私はミラボレアスさんが土砂崩れに巻き込まれて埋まっていて、それを私達が助けたということを説明した。
「あぁ・・・・ったく。そりゃ家の馬鹿が悪かった。申し訳ない・・・・」
「いえいえ、気にしないでください。」
「それにオレらもブレス思いっきり当てたし。」
「あの馬鹿は丈夫だから問題ねぇよ。まぁとりあえずお詫びとして飯でも食っていってくれ。」
「おぉ!マジで!?」
「わぁ!ありがとうございます!」
雨やらなんやらで結局ご飯を食べれていなかったのでとても有難い。悪いことばかりじゃないんだなぁ世の中。神様ありがとう。目の前に神様っぽい人いるけど。
「じゃ、中に案内するからきてくれ。」
「ルーツぅ!アオさん!イビルさん!アタシ放置!?ねぇ!?」
「うるせえ馬鹿。」
「あ、いましたねそういえば。」
「スマン。完全に忘れてた。」
「うわああああああああああああん!!!もう誰も信じねぇぇぇ!!!」
あぁ、ミラボレアスさんが泣きながら走り去っていく。でもあの人ならすぐ帰ってくるだろう。今はとりあえずもう歩いていっているミラルーツさんについていくことにしよう。
「うわぁ・・・・広い・・・・」
私達がミラルーツさんに連れられて入ったシュレイド城の中についての感想は一言で言うならば『広い』入り口から入ってすぐの広間ですらぐるりと見渡さないと全容が見渡せないほど大きい。
「でもあんたらこんなとこに二人で住んでるのか?」
「あ、そう言えばそうですね。」
確かに言われてみればこんなに広いところに二人だけというのは寂しすぎる。使わない空間のほうが多そうだ。
「いや、俺と馬鹿以外にあと二人いる。今一人外出中だがもう一人は・・・・」
「ルーツ、飯。」
「この駄目野郎だ。名前も駄目野郎で覚えてくれ。」
駄目野郎と呼ばれている人は紅い髪がかなりボサボサになっており、眠そうな顔をしていることから先程まで寝ていたのかもしれない。
ミラ三神の一人と考えるならば【紅龍】駄目や・・・・ミラバルカンだろう。
「えっと、この人ミラバルカンですか?」
「ん?なんで俺の名前知ってんだ?てか誰?・・・・・・それよりルーツ、飯。」
「こいつらはボレアスのきゃ」
「アタシの客人ですよ!!」
あ、ミラボレアスさん戻ってきた。やっぱり復活早いなこの人。ミラルーツさんが凄い嫌そうな目線を送ってるけどそれには気がついてないようである。
「・・・・バルカン、バルサ○取ってこい。」
「んー、はいはい。」
「アタシはゴキブリかコラァ!?」
「似たようなもんだ。黒いし。すぐ湧いてくるし。」
「泣くぞ!凹むぞ!!傷つくぞ!!!」
ミラルーツさんとミラボレアスさんが兄妹(?)喧嘩を繰り広げているのを遠目に見ながらイビルさんがポツリと呟いた。
「飯、いつ食えるんだろうな・・・・」
ミラの名を持つ者たちはバルカンとボレアスは残念です。ルーツは威厳とかはあまりありません。
さぁアオたちは次回でご飯にたどり着けるのでしょうか。
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四話 主と従者だと威厳があるのはどちらかと言うと従者のほうが多い気がする
私達は今、シュレイド城というところで伝説とさえ呼ばれる【ミラ】の名をもつ者たちの喧嘩(?)を見守っています。
伝説とかには尾ひれが付くって言うけど今の状況を見る限りほとんど尾ひれな気がする。(本体)2:8(尾ひれ)くらいの割合で。
そんな思いは届かず未だに喧嘩は続いている。
「アタシ【伝説の黒龍】だよ!?さらに♀だよ!?それをゴキブリみたいな物って酷すぎない!?」
「ワラジ虫とかの方がいいのか?」
「虫から離れろよぉぉ!!」
「ル~ツゥ、殺虫剤でもいい?」
「全然いいぞ。」
「バルカンンンン!!?ちょ、いい加減アタシのガラスのハートが本当に砕けるよ!?」
「その水晶の眼ごと砕けろ。好都合だから。」
「うわあああああああああん!!!みんな死ねばいいんだあああ!!!」
あ、またミラボレアスさんの心が折れた。なにか友達と遊んでて集中放火されて泣いた人みたいな捨て台詞だなぁ・・・・でもあの人はすぐに帰ってくるだろうけど。
喧嘩が一段落ついたと思うと突如城の入り口が開いた。
そこには黒髪を後ろで1つに束ねていて、落ち着いた雰囲気の服を纏う女性が立っていた。
「只今帰りました。あのー、ボレアス様が泣きながら走って行ったのとすれ違いましたが何かあったのですか?」
「お、お帰りアンノウン。」
「アンノウン、飯は?」
「ただいまですルーツ様。バルカン様、働いてください。」
「あ、アンノウン!?あああああの有名な残虐な竜!?」
アンノウンという名は私の生まれ故郷のほうでも有名で、遭遇することは稀だが、出会ったら最後、確実に殺されるとまでの噂がたっている竜である。
残虐性もさることながら能力が異常であることから、人間からも竜からもとてつもなく恐れられている。と私は昔風の噂で聞いた。
その(私の中では)恐ろしい竜が私達に気がつき、こちらを鋭い目付きで睨んできた。
「こちらは・・・・?まさかボレアス様を泣かせたのはあなた方ですか?」
「えっ!?いやいやいや違います違います!!」
「泣かせたのはルーツって奴だオレらは知らねぇぞ!?」
「な・・・・!ルーツ様に罪を着せるとは許せません!覚悟っ!!」
「「ええええええええ!?」」
言うが早いかアンノウンさん・・・・アンノウン様は人型のまま手に特大の蒼い炎を溜め始めた。このままだとヤバイ。濡れ衣着せられて殺されるとか絶対に嫌だ。
「ちょ、やめてください話聞いて!!お願いだから話聞いて!!!」
「お、おい落ち着け!オレらはホントに何もしてねぇぞ!?」
「おい!アンノウン止め・・・・」
「消えて失せろ無礼者!!」
「またアタシ放置か!ってあれ?アンノウン帰ってき・・・・え?」
ズゴオオオオオオオオオオオンンン!!!!!
「わああああああああああああ!?」
「うおおおおおおおおおおおお!?」
「えっ!?ちょ、待っぎゃああああああああああああ!!!!?」
か、間一髪避けきれた・・・・!しかし噂に聞いた通り異常な破壊力である。
人型のときはブレス等の攻撃は原型時の八割も出ないのにシュレイド城の門に風穴が開き、遥か向こうの城壁さえ黒く焦げている。喰らったら確実に死んでた・・・・
しかし、アンノウン様の殺意はまだ全開である。
「避けましたか・・・・次は消し飛ばしてさしあげます!!」
「ヒイイイイイイ!!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃ!!!!」
「た、頼むから落ち着け!!落ち着いてくれえぇぇ!!!」
ヤバイ、かなりヤバイ。アンノウン様の目から殺意が溢れ出ていて直視できない・・・・!!なんだこの人ミラの名をもつ者より断然ヤバイじゃないか!!
「アンノウン、落ち着け。」ゴス
「痛っ!?な、なにするんですかルーツ様!!」
((か、神が!救いの神が舞い降りた!!))
ルーツさんが荒ぶるアンノウン様に手刀を叩き落としたおかげで私達の寿命がとりあえず延びた。
ありがとうルーツさん。本当に死ぬかと思った・・・・。
「何故止めるんですか!?この人達はボレアス様とルーツ様に無礼を働いたんですよ!?」
「いや、あの馬鹿泣かせたの俺だから。事実だから。落ち着いて他人の話を聞くことをいい加減覚えろ。」
「え?」
「あとついでに言うとお前さっきの熱線でボレアス焼いたぞ。」
「え!?」
アンノウン様が反射的に先程吹き飛ばされた門の方を見るのにつられて私達も門の方を見ると、ほとんど炭化したミラボレアスさんが転がっていた。
「うわあああああ!!ボ、ボレアス様大丈夫ですかごめんなさいぃぃ!!」
「・・・・あの人あの熱線喰らったんですよね?」
「あぁ・・・・」
「さすがに死んだんじゃ・・・・」
「かもな・・・・」
ミラボレアスさんはアンノウン様に抱えられて揺さぶられているがピクリとも動かない。
「ルーツ、あれ、お葬式の準備したほうがいいんじゃない?」
「だな。いやぁ、おかしい人を亡くしたな。」
「そうだねぇ。」
「軽くない!?ルーツさんバルカンさん軽すぎない!?」
「「ボレアスだし。」」
「可哀想すぎる!!」
しかし本当にあの人ピクリとも動かない。もしかして冗談言っている場合ではないのではないだろうか。
ミラボレアスさんは黒焦げになっていて、はたからみればどう考えても焼死体にしか見えない状態になってしまっている。
「・・・・こんどお花くらい持ってきますね・・・・」
「オレも何かお供えものくらい持ってくるわ・・・・」
「ん、よろしく頼む。」
少しの間だけどあなたといた時間は楽しかったです。私達はあなたを決して忘れはしません。
綺麗な闇色の空の下、ミラボレアスさんは静かに息を引き取った。
「ってちょっと待てえええええええええ!!!!」
「チッ、生きてたか。」
「おはようボレアス。」
「わっ!?凄い生命力・・・・」
「ホントにゴキブリかあいつは・・・・」
「生きてた・・・・良かったぁ・・・・ボレアス様本当にすみませんでした!!」
「おいいいい!!まともに心配してくれてんのアンノウンだけじゃん!!ルーツに至っては舌打ちじゃん!!!何これ!?死んでいい?」
「勝手に死ね。」
「ルーツの馬鹿ぁぁぁ!!」
あぁ、ミラボレアスさんがまた走り去っていく・・・・泣いたり死にかけたりまた泣いたり忙しい人だなあの人。
ミラボレアスさんが走り去っていった方をぼんやりと眺めているとアンノウン様が話しかけてきた。
「あの、客人の皆様も申し訳ありませんでした・・・・今から夕食をお作り致しますので食事のほうはもう少しお待ちください。」
「あ、いえ、私達も無事ですし平気ですよ!大丈夫です!」
「そうそう!大丈夫だから気にすんなよ!」
私もイビルさんもどことなく声が震えている。でもしょうがないじゃないか本当に怖かったんだもの。うん、しょうがない。
とにかく、やっと夕食にありつけそうだ。ミラボレアスさんが帰ってくるのを待ちながら夕食の完成を待つことにしよう。
結局まだご飯にはたどりつけませんでしたw次回やっとご飯です。
冬は焼きいもが美味しいですねぇ・・・・高くて買えないのが口惜しいです。
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五話 料理を囲むとなにかフレンドリィになれるよね
では、駄文ですがどうぞ!
数分前に一度、私アビオルグとイビルさんは死線をさ迷ったがなんとかこの世に魂を繋ぎ止めておくことができた。
原因は【刻竜】アンノウン様の逆鱗に濡れ衣とは言え触れてしまったからである。黒いリオレイアのような姿をしており、圧倒的な力を持つことから全ての生命に恐れられる最強最悪の竜とされるお方の逆鱗にあろうことか触れてしまい、その怒りの力全てを込めた灼熱の熱線に何も関係のなかったミラボレアスさんが直撃を受けてしまい、周りの願いも虚しくミラボレアスさんは静かに息を・・・・
「引きとっ」
「引き取ってないよ!?アオさんなんか初対面からアタシに厳しくない!?」
おぉ、復活が早い。この人は感情の起伏が激しすぎる気がする。
「そうですか?」
「アオ、初対面のときのお前の3つの選択肢思い出してみろ。」
「選択肢?なにそれイビルさん?」
「聞いてりゃわかる。」
「選択肢・・・?あ、あれのことか。」
最初なんのことかわからなかったが土砂崩れの下敷きになってたミラボレアスさんを見つけたときに思いついたあれのことだ。多分。
「ねぇアオさんどんな選択肢が出たの?」
「えっと・・・・1、気がつかなかったフリをしてスルーする。
2、助ける。
3、トドメをさす。
の3つですよ。」
「アオさんイビルさん・・・・心ってなんですか・・・・」
「どうしたいきなり。」
「だって1と3!!特に3!3!!トドメをさすって何!?『事故に見せて殺してしまおう。』とか言ってる悪役!?て言うか2と3大差なかったよね結論からするとさ!!」
物凄い剣幕でミラボレアスさんが半泣きになりながら抗議してきた。いや、今よくよく考えてみれば酷い選択肢だとは自分でも思う。
しかし私だってあのときイライラしてたんだ。いきなりの大雨にタイミングの悪い土砂崩れというコンボを受けたせいで私の精神状態が不安定だったのを考慮してほしい。
2番と3番の差についてはなにも言うまい。だってあれはしょうがない。原型でも大きく感じるほどの岩を吹き飛ばすにはそれなりの破壊力が必要だと思ったから本気でやったらああなってしまったのだから。
「選択肢については謝ります。けど2と3の差についてはノーコメントで。」
「なんで!?そこ謝ろうよ!」
「無事だったからいいじゃないですか。」
「えええええ!?開き直った!?というか無事じゃなかったよ!?」
「ソンナコトナイデスヨー。」
「アァ、ソンナコトナイナー。」
「二人揃って棒読みじゃねぇかオイイ!うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
あ、また走っていった。もういい加減飽きてきたなぁあれ・・・・
こんな感じで私達がミラボレアスさんをイジって遊んでいるとミラバルカンさんから夕食ができたという声がかかった。
「お客さ~ん。飯だよ~。」
「あ、はーい。」
「やっと食い物にありつける・・・・」
ミラボレアスさん走っていっちゃったけど今までのを考えるとまだもう少し帰ってこなさそうな気が・・・・
「ご飯できたの!?」
ドゴッ(右ストレートが決まった音)
「なんで!?」(黒龍の悲鳴)
「やけに復活が早い!!」
「ひどい理不尽っ!?」
私は私の予想をいとも簡単に裏切ってくれた黒龍を殴り飛ばしてからミラバルカンさんにつれられて食堂へ向かった。
in食堂
「うわあ!凄っ!ナニコレ凄っ!!」
「見たことねぇもんばっかりじゃねーか!」
私達は食堂に入った瞬間に即、驚きと感激の声をあげた。私も、恐らくイビルさんもこんなものは見たことがない。まぁ当然だろう。なにせ加工された食料など自然界ではまずみることがないのだから。
「お二人とも先程のお詫びとボレアス様を助けていただいたお礼として是非存分に食べてくださいね。」
「「ありがとうございますアンノウン様。」」
「アタシたちは『~さん』なのにアンノウンは様なの!?イビルさんに至ってはアタシたち呼び捨てじゃん!」
「さっきのがトラウマになってんだろ。」
「とりあえず食おうよ。」
「そうですよ。ではお召し上がりください。」
今、私達の目の前には大きな肉の確か『ステーキ』というやつと『スープ』というやつに、白い柔らかそうな豆のようなものがお椀に盛られ置かれており、さらに魚の切り身や白い泡のようなものでロアルドロスの鬣のようなものを包みその上に熱帯イチゴを乗せたものなど多種多様な食べ物・・・いや、料理が勢揃いしている。
しかもこの大量の豪華な料理のセットが一人一人に用意されているから驚きである。
見たことないものばかりだが、とりあえずこのステーキといったような気がするものを食べてみよう。
そう思い私は肉をナイフ(だったような・・・・)で切り、口に放り込んだ。
「・・・・・・・・・・・」
ヤバイ。美味しすぎる。声がでない。口の中がなにかえらいくらい喜んでいる感覚がある。私は最初の一口を飲み込んでから最初より大きく肉を切りとり口に入れた。
今とても幸せである。ふと隣にいるイビルさんを見ると私と同じようにとても幸せそうにしている。唯一違うのは食べるペースだけだ。・・・・ミラボレアスさんの分の魚が今イビルさんに食べられたのはスルーしよう。
そんな幸せな食事の最中、ミラバルカンさんが不満を込めた口調でアンノウン様を呼んだ。
「アンノウン~。1つ聞きたいんだけど。」
「なんでしょう?」
「みんなステーキとかスープとかいろいろな料理を出してもらっているのになんで俺だけ栄養剤?」
「ぶっ!?」
「本当だバルカン栄養剤しかないじゃんww」
「知ってたけどあえて無視で。」
いきなりの周りとの差に飲んでいたスープをお椀の中に吹き出した。かなり口が熱い。イビルさんは無心に料理と戦っていて聞いてなかったようで無反応。ミラボレアスさんはここぞとばかりに笑っていて、ミラルーツさんは真顔で料理を食べていた。
「おかしいよねこれ?あとボレアス後で火口に落とす。」
「なんでアタシだけ!?」
「バルカン様、『働かざる者食うべからず』と言うでしょう。」
「えー、お客さん呼んで来たじゃん。」
「だから栄養剤が出たんです。もしそれもやらなかったら空き瓶置いておこうと思ってましたから。」
「もはや無機物じゃん。せめて米ちょうだい。」
「農家の方が汗だくになって作ったお米は城から一歩もでないグータラなバルカン様には勿体ないので。」
「俺の価値って・・・・明日なんかやるから米ください。」
「じゃあ城の掃除全てお願いします。」
淡々と進む会話を聞きながら料理を食べていたが、今のアンノウン様の一言は実質死刑宣告のような気がする。
この広い城を一人で全て掃除とか軽く死ねそうだ。当然ミラバルカンさんも顔がひきつっている。
「うげぇ・・・・でもまぁこのままだと空腹で死にそうだし仕方ない・・・・掃除やるから米ください。お願いします。」
「わかりました。」
あぁ、ミラバルカンさんが食欲に負けた・・・・。明日倒れないことを願います。
いろいろとトラブルや個人の事情があったりしてシュレイド城の食堂は静まることを知らないが今は料理をもうとことん楽しんで食べようと私は心に誓った。
ステーキ食べたいなぁ・・・・財布空だなぁ(泣)
相変わらずの駄文です・・・・
間違いがありましたら教えてくれると嬉しいです。
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六話 友達は永遠の宝物って言うけど宝物に向かって本気で怒りたい時もたまにある
では、どうぞ!
どうも、アビオルグです。って誰に向かって言ってるんだろう私。
今、私はミラ三神の皆さんとアンノウン様と一緒に紅茶(というらしい)を飲みながら楽しく雑談をしています。
ミラバルカンさんは絶賛強制労働中だけど。
「おーい、雑談してるなら少しか手伝いしてくれてもいいじゃんかー。」
「契約ですからお一人で頑張ってくださいバルカン様。」
先程から何回もこのやり取りが行われている。ミラバルカンさんが『手伝って』と頼めばアンノウン様が『契約ですから』と言って即、試合終了である。
しかし契約というか約束だからとは言え昨日の夕食・・・・・・いや、戦争と言うのがもはや正しいだろう。とにかくそれほどまでにルール無用の大騒ぎだった。
それなりに騒がしく賑やかな食事ではあったのだが、それが戦争までに発展したのは1つのイタズラが原因だった。
ここで少し記憶を遡る。ボンヤリとしか残ってないが、何故シュレイド城の食卓がゴミ屋敷へと変化してしまったのかを整理したいと思う。皆で。
「と、いうわけで!考えましょう!!」
「うお!?どうしたアオ?毒キノコでも食ったか?」
「食ってません!」
「発作か?」
「違います!!」
「獰竜の性質ですか?」
「そんな性質はありません!」
「もしかして」
「違いますって!!」
「アタシまだ言い切ってないけど!?」
「これがメンタリズム?です。」
「どこの人の決め台詞!?疑問形になってるし!!」
なんかかなり前にたまたま乗ったキャラバンで会った人がドヤ顔で言っていた台詞を真似てみた。使い方は合っていたようだ。よかったよかった。
「ってそうじゃなくて!!なんで食事が戦争のようなものに発展して食卓がゴミ屋敷のようになってしまったかの原因について考えようってことです!」
「いや、あれは原因も何もお客さんが酒に酔って暴れて便乗して周りがテンション上がっちゃったからでしょ。」
「そうですね・・・・ってバルカン様。なに普通に混ざってるんですか。」
「いや、休憩をすこーしとろうと思って。」
「【強制労働】に休憩があるとでも?」
うわぁ・・・・アンノウン様が黒い。いや、もともと黒いけど。
「休み無し!?それは辛すぎるよ!」
「普段なにもしてない分のツケです。」
「あのさ、もしかしてアンノウン俺のこと嫌い?」
「何故仕事をしない人に住居を提供して生活を支えなければならないのかとは思います。」
「その言葉聞けただけで俺は心が壊れそうだよ。」
「撤回してほしかったら頑張ってください。」
アンノウン様はそう言いながらミラバルカンさんをズルズルと引っ張って未だ戦争の傷跡が残る食卓まで連行していった。
途中でミラバルカンさんの助けを求める声は何度か聞こえたがこの場の全員がスルーしたことは言うまでもないだろう。
「で、さっき獰竜が言ってた家の食卓がなぜあんな大惨事になったのかについてだが・・・・」
「実はアタシが八割方悪いです☆テへッ♪」
ズゴオオオオオオン!!(私のブレスの炸裂音)
「アヅアアアアアアア!!!熱っ熱いぃぃぃ!!」(黒龍の悲鳴)
なにか本気でイラッときたのでとりあえず燃やした。アンノウン様のあの熱線が直撃しても平気だったのだからこれくらいどうってことないだろう。多分。
「それでミラボレアスさんは何をしたんですか?」
「あんたに酒を飲ませた。」
「え?それだけですか?」
いやいや、私にお酒を飲ませてなんで食卓がああなるんだ。
でもそういえばミラバルカンさんも似たようなこと言ってたなぁ・・・・私お酒飲むと爆発でもするのかな?
「それだけってあんたなぁ・・・・あそこまで悪酔いするやつ珍しいぞ。」
「確かにあれは酷かったな・・・・アオに似てる誰かと錯覚するランクだった。」
「何が起きたか聞きたくなくなってきた・・・・」
「あんたは酒を飲んだ瞬間になんか異常にハイテンションになってテーブルの上に乗って文句を叫んだり意味もなく走りまわったり・・・・」
「うあああああ!!いい!もういい!!聞きたくない!!!」
これは公開処刑だろうか?あまりにも恥ずかしすぎる。正直死にたい。今すぐにここから消えてしまいたいほど恥ずかしい。
昨日飲まされた(らしい)のが初めてだが、もう二度とお酒は飲まない。
「まだもう少し面白かったのあるけど言わないほうがいいか?」
「絶対に言わないでください!本当にお願いします!!」
もうこれ以上自分の醜態を聞かされるのは勘弁してほしい。前半でライフはもはや0以下になっているのにこれ以上攻撃を受けたら再起不能になってしまう。
「そうか、じゃあその話は置いといてあんたらここから何処行くんだ?」
「特に決めてないですけど・・・・」
「人間嫌いな訳じゃないならドンドルマとかの大都市が俺的にはお奨めだな。」
「ドンドルマですか・・・・」
ドンドルマという街はかなり大きな街で、たくさんの人間たちの文化が生まれたところというように聞いたことがある。
「そう、あそこなら知り合いがいるから送ってやれるんだが・・・・」
私は人間嫌いではないし、イビルさんも人間は嫌いなわけじゃないと言っていたのを覚えている。
何処に行くかなんて初めから決めてはいないしイビルさんが良いと言ったら行ってみよう。
「イビルさん、どうします?」
「いいんじゃねーか?」
「ならお金がいるね!」
「「急に復活すんな。」」
「冷たい!!」
ミラボレアスさんが突然復活した。今回気絶長かったなぁ。
しかしお金かぁ・・・・人間の通貨なんて1つも持ってないけどどうしよう・・・・
「金のほうはこっちからいくらか出すから心配すんな。ボレアスが出してくれるから。」
「なんでアタシ!?ルーツが出せば良いじゃん!」
「さて、食卓をあんなにしやがった元凶はどちら様で」
「わかりましたー!!お二人に30万zずつお渡ししまーす!!気にしないで持ってってね!!」
ミラルーツさんって人の扱いかたが上手だ。確実に遊びながら他人を動かす力を持ってる。確かこういうのを弩Sとか言ったような気がする。
「よし、金のほうもどうにかなったし大丈夫だな。どうする?今すぐ行くか?」
「いつまでもここにいるわけにいかないのでできれば今すぐお願いします。」
「わかった。じゃあドンドルマまで飛ばすぞ。」
ミラルーツさんがそう言った直後、私達の足下が白く光だした。
これでここの人達ともお別れかと思うとやっぱり少し寂しい。なんだかんだ言っても皆いい人ばかりだし、少しの間しか一緒にはいなかったけれど楽しかったので別れるのが惜しいのが本音である。
「じゃあな、また運がよけりゃ会えるかもしれないけどなー。」
「アオさんイビルさん!また会おうねー!」
「そうですね。運が良いことを願います。アンノウン様とミラバルカンさんにもお礼を言っていたと伝えてください!ありがとうございました!」
「またなー!飯旨かったぞー!」
最後に挨拶を交わした後すぐに白い光に包まれ周りが見えなくなった。
ガシャアアン!!ガラガラ・・・・
「痛ぁ!!?」
「うおわぁ!?」
ミラルーツさんに飛ばされてたどり着いた転送地点は何かの物置のような場所だった。もう少し場所を考えてほしい。物が倒れたりしてかなり痛い。
「いたた・・・・何処だろここ・・・・」
私が周りを見回すと尖り帽子を被った女性と目が合った。
「あんたら・・・・・・誰だい?」
ミラルーツさん。いつか必ずあなたを殴りに行きます。首を洗って待っていてください。
最近無償に焼き芋が食べたいです。お金がありませんが。
感想、ご指摘などがありましたら言ってくださると嬉しいです。
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七話 この世の構築素材は理不尽と運命とお金だと思う
ではどうぞ~
えー、現実逃避を兼ねて私達の今の状況を整理してみたいと思います。
現在、私達は見知らぬ倉庫の中で恐らくこの倉庫と倉庫内の物の所有者であろう人に見つかったところです。しかもいくつか物壊れてるしね。
て言うか今の整理の仕方じゃ私達泥棒みたいじゃないか。私達は断じて泥棒なんかじゃない。メラルーとは違うのだメラルーとは。
こうなったのは【祖龍】ミラルーツさんのせいだ。『伝説の中の伝説』と称されているのは『伝説級に嫌がらせが上手い』ということからだと私の中の会議で可決した。
「あんたら泥棒?鍵も穴も開けずにどうやって入ったんだぃ?」
「泥棒じゃないです!どうやって入ったかはえっと・・・・」
「オレらはミラルーツってやつにここに飛ばされたんだが。」
イビルさんそれ確かに事実だけど絶対通じないよ!多分『なにいってんだコイツ?』みたいになるよ!だってここ人間の街だもの!
「ミラルーツ?あぁ祖龍か!あんたらあいつの知り合いなのかい?」
ウソ!?通じた!?と言うことはもしかしてこの人も竜だろうか?
「あのー、もしかしてあなたも竜なんですか?」
「そうだよ。【霞龍】オオナズチって言えばまぁまぁ有名じゃあないかなぁ?目撃例は少ないって言われるけどねぇ。」
そう言いながらケラケラとオオナズチさんは笑った。
【霞龍】オオナズチと言えば古龍種の中でも一際特殊な生態を持つ種だと聞いたことがある。
聞いた話では姿を透明にしたり、体を疲労状態にするブレスをはいたり、ハンターが重宝する道具をピンポイントで奪ったりする非常にトリッキーな竜らしい。
これも噂だが、オオナズチ討伐の依頼を受け、秘薬や回復薬グレート、調合書などを奪われた挙げ句オオナズチをギルドに指定された時間内に一度も見つけられなかった哀れなハンターもいるらしい。この噂のハンターは正直同情できるランクである。
「ん?あなたもってことはあんたらも竜かい?」
「あ、はい。私は【獰竜】アビオルグです。」
「で、オレは【恐暴竜】イビルジョー。」
「おー、怖いのが来たもんだねぇ。さて、話は変わるけどその壊れた商品は弁償してくれるのかな?結構高いよ?」
商品と言うことは売り物だったのかここの物は・・・・ミラルーツさん。いつか必ず殴り飛ばしにいきます。
しかし私達はミラボレアスさんから合計60万zも譲り受けたしよほどのものを壊してない限り足りるだろう。
「あーあ、金のたまごが30個もわれちゃたかぁ・・・・ロックラックから仕入れたインテリアも壊れちゃってるなぁ。調合書も回復薬がかかちゃってて使い物にならないねこりゃ・・・・」
私は物にあまり詳しくないので良く価値とかがわからなかったのだが、イビルさんが小声で私に話しかけてきた。
「アオ、オレの知ってるやつは金のたまごってやつだけだがあれ確か1つ2万zだぞ・・・・」
ん?良くわからない言葉聞こえましたが?1つ2万とか嘘だ。しかもそれ30個お亡くなりになったって言ってたよねナズチさん。これまずくない?
混乱中の私の頭にナズチさんから死刑宣告が告げられた。
「軽く見積もっても7~80万は飛ぶけど、お二人さんお金足りるかい?」
うわぁ20万くらい足りないじゃないかチクショウ。
「・・・・足りないです。」
「あーらら。んじゃ足りない分はうちの店で働いて返してくださいな。」
「うぅ・・・・わかりました・・・・」
ミラルーツさん。いつか本気でブレスを浴びせに行きます。楽しみに待っていてください。
えーっと、そんな訳で今日から強制労働がスタートしたアビオルグです。正直もう泣きたいです。元凶のミラルーツさんはもう遥か遠くの空の下だし言い訳しても商品は帰ってこないし私達は強制労働から逃げられませんでした。ウフフ、呪術ってどうやるんだろう?元凶を呪いたい。
ナズチさんのお店は街の中心から少し離れた知ってる人は知ってるいわゆる『なんでも屋』というやつらしい。確かにここに並んでいる商品はハンターの使っている回復薬や秘薬などもあれば、日常的に仕様するであろう棚やインテリア、食料品まで幅広く置いてある。
「あのー、ナズチさん。ここってどんな人が買い物に来るんですか?」
「ハンターも普通の人も来るし、たまーにだけど竜も来るよ。あ、あとアイルーとかも。」
「ほぼこの世界中の生命が来てるじゃないですか!?」
「スゲーなおい・・・・・・物はどっから仕入れてるんだ?」
「日用品とかは普通に作ってるところから仕入れてるなぁ。秘薬とかはハンターから盗ってる。」
「それでその秘薬とかを買うのは・・・・・・?」
「フフフ、もちろんハンターの皆さん。」
「なんという負のサイクル・・・・・・」
「気にしたら負けだよアオちゃん。」
うん。ここに物を買いにくるハンターさんがいたら黙祷を捧げると今決めた。もしかしたらもともと自分の物だったのにお金を払って買っていくハンターもいるかもしれない。かわいそうに・・・・・・同情します。
「さてと、それじゃあまず今日届く商品を受け取りに行くからついてきて。」
「はいよー。」
「わかりましたー・・・・ん?なんかポケットに入ってる?」
たまたまポケットに手が触れたときに何か入っている気がしたのでポケットを漁ってみると一枚の小さな紙切れが入っていた。
「なんだろうこれ?あ、何か書いてある。えーと・・・・」
『獰竜へ
俺があんたらを飛ばしたとこは多分倉庫のなかだろうと思う。その中にはわりと高価な物が多いからなんとか壊さないように頑張ってくれ。
壊すと物によってはえらい損害になるからそうならないことを祈ってるぞ。
祖龍より』
「飛ばす前に言ええええええええ!!!もう遅いわチクショウめコラァァ!!!」
最後まで読み切った瞬間に私は怒りと共に腐れ祖龍の手紙をビリビリにして破り捨てた。
ふとイビルさんたちの方を見ると奇妙なものを見るような目でイビルさんたちが私を見ていた。
「ど、どうしたアオ・・・・・・?」
「毒キノコでも食べたのかい・・・・・・?」
「な、なんでもないです!!さ、さあもう行きましょう行きましょう!」
私は半ば強引にあの空気を振り払い、商品を取りに行くために二人と一緒に街の方へ歩いていった。
ついでに、私はミラルーツさんをいつか必ず思いっきり殴り飛ばすと心に誓った。
今年受験生なのですが12月になったのに全然勉強できてませんw
今から雪かきの準備をしようと思います。外、結構寒いなぁ・・・・
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八話 どんな事でも1つだけ続けると違う世界が見えてくる。
相変わらず文章力があれですが・・・
では、どうぞ~
こんにちは。慣れない人間の街とストレスのお陰でなんだか胃が痛いアビオルグです。
それにしても流石は大都市ドンドルマ。色々なものがありすぎて落ち着かないです。良い香りがそこらじゅうから漂ってきているからじゃ断じてない。私は食い意地は張ってない方だと自負している。
ストレスの原因は言うまでもなくあの腐れ祖龍だ。確実にわざとナズチさんの商品の倉庫に落としたよあの人。何度も言っているけれどいつか必ず殴る。
そんな訳で私達は壊してしまった物の損害額を返すためにナズチさんのお店のお手伝いをすることになって、本日最初のお仕事である今日届く商品の受け取りに向かっている真っ最中です。
「いろんな物がありますねー。」
「だな、良い匂いがそこらじゅうからする・・・・」
「ここは大都市の1つだからねぇ。いろんな物があるし、いろんな奴がいるよ。ハンター、商人、旅人、要人、竜人・・・・」
流石に住んでるだけあってナズチさん詳しいなぁ。いろんな人の中にはアイルーとかナズチさんみたいな人間以外も含まれるんだろう。
結論、ドンドルマって凄い。
「あと夢敗れて路地裏に溜まってる奴とか家から出てこない奴とかー・・・・」
「うわぁ・・・、それは聞きたくなかった。」
「良いとこだけ言えよアンタ・・・・」
「フフフフ、世の中綺麗なことばかりじゃないってことだよ。」
うん、やっぱりドンドルマ凄いや。いろんな物や人が集まって1つの大きな街になっているんだなぁ。自然の世界じゃ仲間を守るどころか自分を守るが一番だからとても新鮮な気分になる。いや、私は仲間には捨てられましたけども。
裏?なにそれ美味しいですカ?
「現実から目を反らしちゃダメだよアオちゃん。」
「なんで考えてることが!?エスパー!?」
「ほい、到着だよー。」
「え、否定しないんですか?まさか本当に考えてること解るんですか!?」
私の声が聞こえているはずだけどナズチさんはスタスタと歩いて行ってしまった。しかもなぜかイビルさんもナズチさんに続いて歩いて行っている。
「ちょ、待ってください!てかなんでイビルさんも私のことスルーしてるんですか!?」
とりあえず、はぐれたら確実に迷うので、私は急いで二人の後を追いかけた。
その追いかける勢いのまま二人に飛び蹴りを喰らわせたのは私なりの愛情表現と言い張るとしよう。私を置いていくなんて酷いじゃないかという意味合いでやったのだ。憎しみなんて微塵もナイデスヨ。
「いや、少なからずすこしは悪意があったね今のは。」
「だからなんで解るの!?怖いんだけどこの人!!」
「「アオ(ちゃん)考えてること顔に出すぎ。」」
「な、なんですと・・・・」
そんなに顔に出てるのか私・・・そういえばミラボレアスさんと『とらんぷ』という紙を使うゲームをやったときも一回も勝てなかったのは顔に出てたのだろうか?あのとき悔しくて蹴りを入れたのはいい思いでだなぁ。でももし勝てない原因がそれなら認めたくない。
「アオちゃん。ちゃんと認めて解決策を練らなきゃ。」
「またばれた!?ううぅ、ポーカーフェイスの練習しよう・・・・」
私が自覚のなかった弱点にショックを受けていると、体格の良い男の人が私達に話しかけてきた。いや、正確にはナズチさんに話しかけてきた。
「おう!霞ちゃんじゃないか!今日はどうしたんだ?」
「どーもお久しぶり親方。こっちに今日頼んでた商品がいくつか届いてないかい?」
「あぁ届いてるぜ!そちらはお友達かい?」
「んにゃ、強制労働。ちょっといろいろあってね。」
「あっはっは!!そうかそうか!そりゃその子たちも災難だな!」
災難?ナズチさん優しいのに。
「どういう意味だい親方。わたしは優しい方だろう?」
「いやいや、大分前にバイトの子が全員逃げ出したりしたじゃないか。」
え、親方さん。その話ちょっと詳しくお願いします。全員逃げ出したってどういうことですか?なんか凄い怖いんですけど。
「まぁそんな話は置いとこうよ親方。荷物の積み込みさせてもらっていいかい?」
「おう!いつも通り積み込んだ分だけ運べば良いんだな?」
「うん。たまに破損したやつとかあるからねぇ。あと自分でやると届ける料金少し安いし。それに今日はお手伝いさんもいるしね。」
そう言いながらナズチさんは私達の方に、にっこりと笑いながら振り返った。フフフ、こうなったらボーナス?とかいうのを貰えるくらい頑張ってやろう。こういうのは開き直りが肝心なんだ。多分。
「じゃあ、働いてもらうよ。二人ともこっちへ。」
「はーい。」
「おう。」
荷物を積み込むだけらしいしたいしたことはないと思う。よーし頑張るぞ私。
なんて思ってた頃が私にはありました。
ナズチさんに案内された場所には『だんぼーる』という一部の人間に絶大な人気を誇る(らしい)ものが山の様に積み重なっているという何か妙に圧迫感溢れる空間だった。
最初私はこれをとりあえずどこかに運んで積み込むのかと思っていたがナズチさんから衝撃の指示を出された。
「よし、それじゃあこの箱を1つ1つ丁寧に開けて中身に不良があったりしないかチェックして不良がないものを向こうの荷車に乗せてって。」
「え、これ軽く70、80個はありますけど?」
「今日中か?」
「あと四時間で。」
「と、言うと?」
「空が茜色になる頃には終わってて。」
「いや、無理です。」
「がんばれアオちゃん!やればできるよ!普段わたし一人だから!」
「一人!?」
「そそ、じゃあ頑張ってね二人とも~」
「え、ちょっと!?私達だけでやるんですか!?」
ナズチさんは私達にむかって手を振りながら遠くなっていって見えなくなった。
そして死にかけている今にいたる。
今尚『だんぼーる』の山は大分減ったものの健在である。もう泣きたい。
「減りませんねぇぇぇ・・・・・・」
「ふふふ、幻覚が見える・・・・・・」
時間はもうすぐナズチさんに言われた時間になる。
すでに私もイビルさんも目の前がグニャグニャしているというかグルグルしている。もうかなり辛い。ウフフ、『だんぼーる』が踊ってるぅ~・・・・もう死にたい。
これは今日確実に夢にこの憎たらしい箱がでるなぁ・・・・
「イビルさん。もうそろそろ違う世界の扉が開きそうです。」
「心配すんなアオ。オレもなんか疲れすぎて飢餓状態になりそうだ。」
そんなことを言いつつ手を動かして・・・・いたのかな?
~約束のお時間~
「お疲れさまってうわぁお・・・・仕事は終わってるけどアオちゃんたちも終わってるねぇ・・・・」
ナズチさんが入ってきた気がする。あぁ、もう疲れたよナズチさん・・・・今は寝かせて下さい・・・・切実に頼みます。
「このあともう少しやることあるよ?」
「「無理です!!」」
「却下。」
私、今日ミラバルカンさんの気持ちがわかったような気がします。
降雪量が多いです。雪かき辛いです。
最近財布の中のお金が少ないのに消費量は多いです。文房具がよく破損するのですが何故でしょうか・・・?
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九話 驚くことって一日に何回もあることが多いよね
お気に入りに登録してくださった方がまた三人ほど増えました!ありがとうございます!
あとこれ書いている時に誤って途中で投稿してしまったので一度削除しました。アクセス解析を見ると見に来てくださった方がいたのですが「あれ?」と思ったと思います。申し訳ございませんでした・・・
では、久々の更新なのに相変わらず駄文ですがどうぞ!
どうもこんにちは。現在進行形で死にそうなアビオルグです。
働くというのがここまで大変なこととは思ってもいなかったので辛かった。
働くのも今日が初めてだったので、慣れてないということもあって通常の倍は疲れたような気がしてならない。今なお茶色の箱が目に焼きついている。
あ、働いたことがないと言っても私は『ニート』とかいうやつではない。そもそも私は人間ではなく竜なので、エサさえ取れれば生きていけるしね。
そうしてなんとか生まれて初めての仕事を終えた私達はナズチさんのお店へ帰るための帰路をフラフラと歩いていた。
「アオちゃんたち大丈夫かい?目から生気が感じられないけど。」
「はい。目の前でダンボールがいくつか舞ってますけど大丈夫です。」
「1、2、3・・・確かにいくつか舞ってるなー。」
「幻覚が見えてる!?ホントに大丈夫!?」
幻覚?何を言ってるんですかナズチさん。ほらあんなにたくさんダンボールが・・・
「はっ!?私は何を!?」
なぜか一瞬記憶が飛んでいて何をして、何を考えていたのか全く思い出せない。
なにかダンボールがたくさん舞っている夢を見ていたような・・・気のせいかな?
「アオちゃん、これは?」
私が記憶の抜けた数秒間を思い出そうとしていると、ナズチさんが空き瓶を片手に持ちながら『これは何?』と聞いてきた。
馬鹿にされているのか、それとも私がボーッとしてたからかわからないけどそれくらいはわかりますよナズチさん。
「だんぼーる?」
「お医者さーん。この人の頭を治してくださーい。」
「間違えました!間違いです!!空き瓶!空き瓶ですよね!?」
「あ、よかった大丈夫だったね。イビルちゃんは平気?」
「ん、大丈夫だぞ?ちょっとの間の記憶がないけどな。というか『~ちゃん』とか言われる歳かオレ?」
うん、確かにイビルさんはもう人間で言えば24、5歳だし『ちゃん』というより『さん』がしっくりくる気がする。
「いやいや、私からすればミラ家とか以外みんな子供みたいなものだよ。」
「失礼かもしれないですけどいま何歳ですか?」
「一万は生きたなぁ。古龍はみんなほとんどそのくらい。」
「い、一万!?それ人間年齢で何歳ですか!?」
「古龍ならまだ30いかないよ。この世界の中でも特に特別だからね。」
「生きるのに飽きそうな年月だなおい・・・」
確かに長すぎて全然ピンと来ない。というか信じられない。というかミラ三神のあの人たちはいったい何年生きているんだろう・・・
そんな世間話のようなくだらない(?)会話をしながら歩いていると突然前から走ってきた男の人に私のカバンがぶんどられた。
「あ!?ちょ、待てー!?」
「ひったくりか!まだいたんだねあんなの・・・」
「霞龍暢気すぎるだろ!?追いかけるぞ!!」
「そうです!あれ気に入ってるんですよ!!」
「追いかけるぞって言っても今走ってるじゃないか。」
ナズチさん暢気すぎる!!私のカバンをひったくった男はものすごい速さで人ごみの中を駆け抜けていく。
くそう、必ず取り返してやる。ギィギのなめらかな皮を使って作った自作のカバンなんだぞ。なんとも言えない手触りで一回撫でたらクセになるし自作ということもあって愛着がある。
中身どうでもいいものしかないけど。
「は、速い・・・カバン返せー!!カバンだけでいいから!!」
「中身はいいの?」
「薬草しかないから平気です!!」
「ん?お、果物じゃん。」
イビルさんが立ち止まって突然空気が読めてない発言をした。
「なにしてんですかイビルさ・・・」
フォン!!
私が言葉を言い切る前に私のすぐ横をリンゴがありえない速度で飛んでいった。
ドゴッ!!(リンゴが男に当たった音)
「ぎゃあああ!!」(男の悲鳴)
ドサ・・・(男が倒れた音)
おお、すごい・・・あれあの人死んじゃったじゃないかなぁ・・・いくらリンゴでもあの速度なら鉄球みたいなものなんじゃないだろうか。
とりあえず私のカバンを取り返そう。どうやら無事なようだ。よかったよかった。
「あーよかった・・・このカバン気に入ってたから無くなったらショックでした・・・」
「うまく当たってよかった。他の人に当てたらやばいなと思いつつ投げたんだよなあれ。」
「よかったねアオちゃん。さてこいつは縛って警察かな?」
「ですね。」
そう後私たちは男を警察に引き渡してからナズチさんのお店へ歩いて行った。
どうやら最近頻繁に起こっていたひったくり事件の犯人だったようで警察の人たちに感謝された。なんかいいことした気分になるから嬉しい。明日いいことあるかも。
余談だが、イビルさんが投げたリンゴの青果店のリンゴは『巷を騒がす泥棒を捕まえたリンゴ』として売上が右肩上がりらしい。
いろいろと事件があったので帰ってくるのがとても遅くなった。今日はなかなかに波乱万丈で大変な一日だったと思う。
やっとナズチさんのお店が見えてくるとお店の前に誰かが立っているのが見えた。
「あれ?今日は休みなのに。」
「どうかしたんですかね?」
「もしくは知らなかったとか。」
私達が少し早足でその人のところに向かうと、ナズチさんが途中で思い出したように声をあげた。
「あ、あれアルバじゃないか!神域から出てくるなんて珍しい・・・」
「アルバ?」
「【煌黒龍】アルバトリオンってきいたことないかい?」
「私はないです。」
「オレはあるぞ。なんでも天気を急変させるほど強い力があるとか。」
なんかすごい龍にまた出会ってしまっている気がする。
そうこうしてるとあちらも私達に気がついてこちらに向かってきた。
「やあアルバ。あんたが表に出た状態で来るなんて珍しいね。」
「たまたまだ。リオンが人と話せと煩い。」
ん?リオンさんという人も居るのだろうか?というか『あんたが表に出た状態』ってどういうことなのだろうか。ここに来てからわからないことが多いなぁ。
「いやだってさぁ、アルバ相変わらず感情顔に出ないし話さないしこっちが心配になるんだよ!ナズもわかるでしょ?」
「まあ落ち着きなよリオン。」
あれ?アルバさんがいない?確かに赤い髪の男性がいた場所には今は青い髪の女性が立っている。
「ナズチさん。アルバさんはどこに行ったんですか?」
「ん?ウチがアルバだよ?」
「え?リオンさんじゃないんですか?」
「えーっとねアオちゃん。こいつらは二重人格のパワーアップ版みたいなやつらなんだよ。」
「二重人格!?性別まで変わるの!!?」
えー、やっぱり今日は信じられない事ばかりでとてつもなく大変な日になりそうです。
アルバトリオンを出しました。メチャクチャ特殊な奴です。髪はスネオヘアーじゃないです。
そういえばこれ書いているのは昨日なので、今の私からすると明日で地球最後と言われてますね。無論、超平和ですがw
今日のやりすぎ都市で○せつでも滅びませんと言ってたような気がします。前のやつでは滅ぶと言ってた気もしますけど・・・
私は死ぬ前にモンハン4はやりたいなと思っております。ゴア・マガラを狩りたい・・・
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十話 どんな成立の仕方だろうと友情は友情
新年に入る前にもう一度と思っていたのでなんとか書けて良かったです。
では、どうぞ!
どうも、レアな龍との遭遇率が異常なアビオルグです。少し出会った人達のことを聞いたりした話からまとめてみます。
イビルさんは強力な力を持ち、性格も非常に狂暴で周囲の生命を絶滅寸前に追い込むことさえあってハンターズギルドでは危険視されている。ということを最近知った。正直ビックリした。
ナズチさんから聞いたのだが、ミラ三神の皆さんに至っては一国を文明ごと滅亡させたという伝説というか事実があるという。
その中であの残念なハイテンションのあの人は『完全なる人間の敵』とまで言われているらしい。ハイテンションなのが人間は嫌だったんじゃないかと勝手に決定した。
そして仕事しないあの人は『怒れる邪龍』『伝説さえ遥かに上回る災厄』と言われてるらしい。それは流石にあり得ないだろう。なんか異常にでっかいリオレウスとか見間違えたんだと思う。だってあれだもの。
あの腐れ祖龍は『全ての龍の祖』と言われ、人からも龍からも他の二人よりかなり崇められている。正直どんな手段を使えばあんなのが人や龍の上に立てるのかわからない。
シュレイドでお会いしたアンノウン様は、神出鬼没な上、何から何まで未解明の竜で、遭遇したら『諦めろ』が決まり文句のレベルらしい。
そしてこの街で出会ったナズチさん。目撃例が極端に少なく、ただでさえ未解明の古龍の中でも不明な点が多い龍だそうです。
うん、ここまでくるとアルバさんとリオンさんの能力とかも知りたくなってきた。まだ二重人格っていうことしかわからないし。
「アオちゃん、イビルちゃんもお客さんきたからお仕事今日の残りはとりあえず免除でいいよー。すぐご飯にしよう。」
「やった!助かった!!」
「飯か!」
「喜びかたが露骨過ぎないかい二人とも・・・」
いや、だってもう限界が近かったし本気で喜べるくらい今は疲れているんだから仕方がない。と思う。
とりあえず今は美味しいご飯と安らかな休息を求めてナズチさんの家にお邪魔することにしよう。
~ナズチさん宅~
ナズチさんの家の中は外見より広くて、私達全員がくつろげるスペースが余裕であった。
仕事の後の自由時間ってこんなに素晴らしい気分になるものなのかと私が感動に浸っているとリオンさんが話しかけてきた。
「ねぇ、ところで二人はなんでナズと一緒にいたの?」
「借金返済のためです。」
「あ、へぇ~・・・・なんかごめん。」
「いや、全て腐れ祖龍のせいですから大丈夫です。」
そう、あの野郎があんなとこに落とさなければこんなことには決してならなかった。本当にいつか殴ってやる。いや、もういっそ膝崩し→打ち上げ→ブレスの私の得意コンボ叩き込んでやる。
「腐れ祖龍?白いくせに腹黒いあの祖龍のこと!?アオちゃん知ってるの!?」
「え!?リオンさんも何か被害に!?」
「そーだよ!!わたし達は原型だと能力のせいで周囲の天気とか気温とか意識しなくても激変させちゃうんだけどさー!」
「なるほど・・・・って、え?」
今もの凄いことをアッサリと言い切らなかったかなこの人。天気とか気温を激変させる?そんなことしたら生態系とか崩壊するんじゃないだろうか。
私の疑問符に気がつかずにリオンさんはそのまま話し続けた。
「それだけで神域に封印とか酷いでしょ!?暑いし熱いし溶岩は吹き出るし天気も年柄年中悪いし最悪だよあそこは!!せめてもう少し良いとこに封印してよ馬鹿祖龍ーー!!!」
「あー、それは酷いですね!!私達もあろうことかナズチさんの商品倉庫の中に落とされたんですよ!そりゃ商品だって壊れるわ!!壊れない方がビックリだわチクショウ!!」
「うっわぁ本当最低だねあいつ!」
「ですね!!」
私とリオンさんの間に友情が芽生えた瞬間であった。
「イビルちゃん。あの二人大声でなに楽しそうに話してるんだい?」
「ミラルーツに対する文句と罵倒。そして友情みたいのが芽生えた。」
「どういう流れ?」
「こっちが聞きたいところなんだが。」
「まあ、仲が良いことは悪いことではないよね。」
「悪役が手を組む手口みたいな友情だったぞ。」
そんなイビルジョーの心配(?)はミラルーツに復讐の炎を燃やす二人には届くことはなかった。
「本当に神域って暑くってさー!アルバは火に強いから平気らしいけどわたしは苦手なんだよねー。ホント、渓流とかに住みたいよ。」
「アルバさんは神域に対してとか色々とミラルーツさんに文句ないんですか?」
「封印されるときに半殺しにされたこと以外は特にないって言ってるよ。」
「は、半殺し!?」
「うん、翼は焼き切られて翼膜に風穴空けられて爪はへし折られた上に鱗も甲殻もボロボロにされたし。角と尻尾が無事だったのは運がよかったと思えるくらいズダボロにされたよ。」
「き、聞いてるだけで痛い・・・・」
というか並の竜なら死んでるランクの攻撃を受けている気がする。なにせ曲がりなりにもあの『祖龍』のほぼ全力の攻撃をそこまでボロボロになるまで喰らわされたということなのだから、アルバさんとリオンさんがよほど強力な龍であることがよくわかる。
「そういえばアルバとリオンを封印したあとルーツから聞いたけど『別に死んだら死んだで異常気象は止まるしいいや。』ってスタンスで殺ったらしいね。あ、ご飯できたよ。」
「ホントに殺されるところだったのわたし達!?」
「というか祖龍の本気の攻撃喰らい続けて生き延びたリオンさん達も凄い!!」
アルバさんとリオンさんかなり強いんだなぁ・・・・あとやっぱりあの腐れ祖龍はろくでなしな気がしてならない。流石に命を軽く見すぎだろう。
「まあ飯できたし食おうぜ。」
「そうそう、イビルちゃんが手伝いしてくれたから早く終わってよかったよ。」
「わかりましたー。」
「はーい。」
この日の夕食はミラルーツさんに対する私とリオンさんの文句や、ナズチさんから聞かされたミラ三神の伝説を聞いたりしてとても楽しい夕食になった。
「ごちそうさまでした。今日はよく寝れそうな気がします。」
「同感だな。流石に疲れた。」
「あ、明日五時起きね。」
「五時?」
「だいたい朝日が地平線に半分とちょっと見える頃。」
「「ええええ!!?」」
あ、ありえない!!今なら昼までは寝れる気がするのに朝日が登りきらない頃に起きるとか・・・・明日死ねるかもしれない。
「うわぁ・・・・頑張ってアオちゃん!」
「リオンも手伝いよろしくね?」
「え!?なんで私も!?」
「ルーツに神域から脱走したの教えるよ?」
「え、そ、それは・・・・勘弁してください。次こそは本当に殺されるかもしれない。」
「じゃあ手伝いよろしく。」
「はい・・・・」
明日は朝から一人残らず地獄になりそうです。
受験がいよいよ目の前に迫ってきております。
更新速度がより低下してしまうのですがこれからもよろしくお願いします。
それでは皆様、来年も良いお年を!!
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十一話 どんなに気持ちいい朝日でも凶器に見える日がたまにある
とは言え、やはりこれでも一応受験生。これからも更新は遅い日が続きますが、見守ってください・・・
夢の中からこんにちは、アビオルグです。1日の疲れをとるにはやっぱり寝ることが大切だと思います。さぁ、もう今日はこのままずーっと寝てしまおう・・・・
「・・・・・・もれなくみーんな起きないねぇ・・・・。」
やぁ、ナズチだよ。って誰に言ってんだか。しかしまぁ、予想はしてたんだけど誰一人として起きてくれない。どうしたものか・・・・
いや、実は起きて手伝いをしてくれなくても普段は一人だからなんとかなるんだけどね?なにせアオちゃんとイビルちゃんは借金があるから働いていただかないと困るんだよ。
「ここは、最終兵器を使うしかないかなぁ・・・・」
うん、使おう。その最終兵器の名前は『大銅羅』。撃龍船についてる本物じゃないけど、音爆弾4~5個分くらいの音が鳴るから流石に起きると思う。これ、実は高くて結構な出費になったんだったなぁ・・・・ついうっかり衝動買いしちゃったのは少し反省してる値段だったのを覚えてる。
アオちゃんとイビルちゃんをこの小型大銅羅、略して『小銅羅』(こどら)で起こすとなると実際何の罪もないリオンとアルバも叩き起こすことになるんだけど・・・まぁ、目的のためには犠牲も必要だよね。
銅羅をもってきて、耳栓もつけて準備は整ったから思いっきりいこうと思う。
「せぇーのぉ!!」
ゴアアアアアアァァァァァァアアアンンン!!!!!
「ぎゃああああああああ!!??」
「うおおおおおおおおお!!??」
「きゃああああああああ!!??」
ど、どうもアビオルグです。突如謎の爆音がなり響き、叩き起こされました。というか何も聴こえない・・・!!
「やぁ、三人とも。寝覚めはどう?」
あ、ナズチさんが何か言ってるけど・・・聴こえない!!口をパクパクしてるだけにしか見えない!!というか耳痛い!!
隣を見ると、イビルさんも聴こえてないようですごいキョトンとした顔をしている。イビルさんのあんな顔初めて見たなぁ・・・・・
リオンさんは耳を押さえてうずくまっている。多分、余程不意打ちを派手に食らってしまったのだろう。
「大丈夫かい?」
駄目です。聴こえません。何も聴こえません。ナズチさんの声が全く聴こえません。これ、今ならどんな雑音も気にせずバッチリ安眠できそうな気がする。でも今また布団に飛び込んだら確実にもう一度あの爆音で叩き起こされるで止めておくことにする。
「ナズチさん。耳が聴こえません。」
「あ、そりゃあそーか。わかった少し待つよ。」
ナズチさんが何かを喋りながら手でわかったと合図をくれたので多分、私達の現状が伝わったのだろう。イビルさんとリオンさんにもナズチさんが『耳が聴こえないんでしょう?』ということと、『少し待つよ』ということを身振り手振りで伝えていた。
うん、仕方ないから少し聴力が回復するまで待ってもらおう・・・・
数分後・・・・・
「あー、あ、やっと自分の声が聴こえるようになりました。」
「オレもだ・・・・・あー、耳が痛ぇ。」
「あ、頭がグワングワンする・・・・」
やっと回復しました。しかしあんなに大きな音ティガレックスとかその辺りの竜の咆吼くらいしか聞いたことない・・・・いったいなんなんだろうかあの爆音は・・・・?
「アオちゃん。あれは銅羅ってやつだよ。」
「ま、また顔に出てましたか!!?」
「うん、バッチリ。」
「アオ、それもう諦めて特徴と言い張るほうがいいんじゃ・・・」
「そんな不名誉な特徴嫌ですよ!!」
くうぅ・・・また考えが顔に出てしまった・・・・・しかしあれだけ派手に起こされてもやっぱり眠いものは眠く、まだまぶたがとてつもなく重たい。
イビルさんもリオンさんも同じような表情でとても眠たそうにしている。
「んー、みんな眠たそうだねぇ。」
「そりゃナズがむちゃくちゃなやり方で起こすから・・・・・」
「そんな君らに、喰らえ!朝の光!」
と、ナズチさんが言うと同時に部屋のかーてん?が開け放たれて、眩しい朝の光が私達をこれでもかと見つめてきた。
「うわっ!!眩しっ!?てか目が痛い!!」
「うっ・・・寝起きにこれはキツ・・・・・」
「わわ!?ナズ、閉めて閉めて!!」
「いやいや、吸血鬼かいあんたら?」
ナズチさんは笑いながら言っているが、実際この寝起きに日光直射はかなりきつい。閃光玉と同じくらい効果がある。いや、むしろ閃光玉以上かもしれない・・・・
「ほら、少し物の整理してから朝ごはんにするから行くよー。」
「え、すぐ食うんじゃないのか?」
「イビルちゃん。働かざる者食うべからずって言うんだよ。」
「ナズー、私もお腹空いたー。」
「実は私もです。」
「残念ながら、ここは譲れないんだよねぇ。ささ、いくよー。」
うぅ、お腹空いた・・・・・でも仕事すればご飯は食べれるし、借金返済にも少し近づくから頑張るぞ!!
しかし、朝の仕事はアクシデントがなかなかに多い。イビルさん寝てるし!
「ぐぅ・・・」
「イビルちゃーん。起きてー。」
「んあ、あー・・・・寝てたか?」
「うん。」
あ、起こされた。よし、私の持っていく荷物はまとまったから言われた場所に・・・・
「うわぁ!!?」
ガシャーン・・・・
歩き出した私の足元に、アイルー達磨が転がってました。物は壊れてないからよかった・・・・しかし朝からテンションおちるなぁ・・・・・
「ナズー!ヤカンのお湯がえらいことになってるよー!!」
「え、あ!忘れてた!リオン、火ぃ止めて!!」
「熱すぎて無理だよこれ!!」
~1時間後~
「ふぅ・・・・なんとか終わったね。」
「すごいドタバタしましたね・・・・」
「朝からてんやわんやってなんか、幸先不安だな。」
「お湯がえらいことになったままだけど・・・・」
「火はなんとかさっき消したから平気。じゃあとりあえずご飯食べようか。」
『いただきまーす!』
私、今日もなんとか頑張ります!
えー、短い上に雑です。ごめんなさい・・・・
更新ほぼできない日が続くのですが・・・・見てくださる方いましたら見守ってくださいませ・・・・
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十二話 夢より夢みたいなことは現実に転がってるよね(途中です・・・)
受験がようやっと終わりまして、ログインパスを忘れてなんとか漁ったりしてました・・・(笑)
途中までしか書けませんでしたがまだ見てくださっているかたいましたら見てやってください・・・近いうちにちゃんと書ききります。
どうもおはようございます。強制労働中のアビオルグです。
今は朝ごはんをちょうど食べ終えたところです。
「ふぅ・・・そろそろ開店しようか!」
食べ終えると一休みする間もなくナズチさんが開店を宣言した。うん、休みたい。正直凄く眠たくてあの腐れ祖龍に対する怒りが通常の倍の速度で沸いてくる。
それに、私達が接客なんてして本当に大丈夫だろうか。人間のものにはかなり疎いのに人間相手に商売ができるとは到底思えない。竜が来てくれればまだマシなほうだけどやっぱり難しいことには変わりない。
「あのー、本当に私達が接客なんてしても大丈夫でしょうか・・・」
「ん?ああ、大丈夫大丈夫。あまり人も来ないしね。来る人も変わり者とかたまたまとかが大半なんだ。」
「え?そうなんですか?こんなにいろいろあって便利なのにどうして・・・」
「わたしにあまり良い噂がないからさ。『あいつが狩り場に行くと持ち物がいつの間にか消える』ってね。事実だけど。」
「同情の余地ねぇな。」
「あははは、酷いなぁ~イビルちゃん。」
うん、確かにそれはしょうがないと思う。この人自分で秘薬とかはハンターから楠寝てるって言ってたもの。
「まぁ、誰も来ないってこともわりとよくあるから気楽にやってね。」
あぁ、それなら希望というかなんと言うかが見える気がする。人間に関わりが少ない私でも乗りきれ・・・・
ガラララー・・・
「こんにちは~。」
私の小さな希望は、僅か一秒で粉々に砕け散ったのでした。
「いらっしゃいませー。こんな早くから人が来るなんて珍しいこともあるものだねぇ。」
やって来たのは少し小柄な少女・・・いや、どちらかと言えば小柄な女性だろうか。水色の髪に赤い目、黒い生地に金色のラインの入ったローブを纏っている。
見た目的にはシスターというものが着ているものの色を反転させたようなものを着ている。
しかし、次に彼女が話出したときに誰もが驚きを隠せなかった。
「そんなに珍しいのですか?霞龍さん?」
「!?・・・なんでわかるんだいあんた・・・あんたも龍なのかい?」
「いえ、人間・・・でもないですねぇ。」
「竜人族ってやつか?」
「あら、恐暴竜までいらっしゃるのですか。私は竜人族でもありませんよ恐暴竜さん。」
「当てずっぽうじゃない・・・!?なんでわかるのこの人・・・?」
「聞いたことないよあんな人間・・・!?」
あの人(?)何者なんだろう・・・竜が擬人化している時は人間と全く変わらない。そもそも証拠を見せなければ竜側から見ても竜かわからないほどなのになんでわかるのか・・・
「・・・・煌黒龍に獰竜もいるんですか。軽く終末の時が来そうじゃないですかここ?」
「まずあんたは何者だい?客じゃないなら目的を吐いてもらうけど?ここまで強力な竜が揃ってるのに喧嘩を売るほどバカじゃないだろう?」
「もちろん。死にたくないですからねぇ。私は・・・過去のギルドの生物兵器みたいなものです。」
『せ、生物兵器ぃ!!?』
・・・私、なにか凄いなにかを引き寄せる才能があるのかもしれません・・・
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