サモンナイト3〜守りし者〜(仮) (サモナイ好き)
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プロローグ〜守りし者〜
あれはまだ、俺たちが軍学校にいた時の話だ
「なぁケン、お前はココを卒業したら軍へと入るのか?」
幼馴染のアティと、軍学校で知り合ったアズリアと共にいつかの休日に話をしていた時の事だったと思う
俺たちはそれぞれの将来のことについて語り合っていた
「結局、アズリアはどうするんだ?」
「私はもちろん軍へと入って、帝国の治安を守る仕事に着こうと思ってる」
「ふーん、そっかアズリアらしいな」
「ふふ、そう思うか?」
アズリアがやや照れ臭そうな顔で語る
「じゃあ、アティはどうだ?」
「私も軍に入って、たくさんの人を助けたいって思ってます。ケンは違うんですか?」
アティはそう答えると俺に対して不思議そうに答えを聞いてきた
「俺はだな…軍に入らないで、何かを教える仕事に就きたいと思ってるんだ」
俺がそう答えると二人が驚いた顔で此方に詰め寄ってきた
「ええ!軍に入るんじゃないんですか!?私そんなの聞いてないですよ‼︎」
「私も聞いてないぞ!どういう事だケン!」
「落ち着けよ二人共。俺前から思ってたんだよ、誰かに物事を教える人になりたいってさ」
興奮する二人をなだめながら俺は話を続ける
「俺さ時々思うんだよね、このままで良いのかなって。軍人になって人を救うのもアリかもしれないけど、俺はちょっと違うと思んだよね」
「なにが…違うと言うのだ?」
アズリアが困惑した顔で尋ねる
「軍ってさ、確かに帝国の治安維持とかもしてるけど基本的に戦う為のものだよな。俺はそんなんじゃなくて、誰かに物事を教えて、そいつが立派になって誰かを救うことが出来たらいいなって思うんだ」
確かに軍と言うのは人を救い、守るってのに特化してると思うけど俺がしたいのはそうじゃない。誰かを導くって事がしたいんだ
「だから俺は軍に入るんじゃなくて、まずは家庭教師にでもなってみようかなって思うんだ」
俺が話終わると、アティ達は納得した様な表情で話しかけてきた
「そうか…ケンにはそういう思いがあったのだな。それならそうと早く言ってくれればいいものを。ふふっ私は止めはしないさ、お前の夢が叶うように精一杯応援しよう」
「そうです、水臭いですよケン。私達小さい頃からずっと一緒だったじゃないですか。ケンと一緒じゃないのは寂しいですけど…あなたの夢、応援しますよ!」
「ありがと、二人共。正直黙ってたから怒られるかなって思ってたけど、怒ってなくてホッとしたよ」
俺たちの道は此処を卒業したら別れるけれど、培った絆や思い出は消えない。だから俺は誓いを立てることにしたんだ
「そうだアズリア、アティ!誓いを立てよう!」
「誓い?どんな誓いですか?」
「俺達がどんな道を歩もうとも、俺達は忘れない。思い出も絆も、そして俺たちが目指す人を守り、救い、導く存在になって見せるということも!ってな感じの誓いさ」
俺がそう言うと二人は共感したように頷いていた
「いいな!やろうじゃないか!」
「ええ!やりましょう!」
俺たちは剣を抜き、重ね合わせながら空へと掲げた
「「「
「誓いを胸に!」
「「誓いを胸に!」」
そうして帝国の街並みがよく見える丘の上で、俺たちは誓った。たとえ道を違えたとしても、お互いの夢に向かって歩んでいくことを
ここから始まる物語を、俺たちはまだ知らない
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第1話〜夢の始まり〜
こんなので良いのか不安になるなぁ…
あの誓いから三年、俺は大貿易商マルティーニ家のお嬢様であるアリーゼの専属家庭教師になっていた。何故こんなに良いところにいきなり勤めれたのか、それにはちょっとした理由がある
〜帝国領南地区喫茶店〜
士官学校を首席で卒業した俺達はそれぞれの道を歩み始めていた。たけどアズリアとアティは帝国軍へと入隊し順調に夢に向かって歩いているのに対して、俺は様々な家の家庭教師の採用試験を受けていたのだか、どこの家も若いから不安だとかで合格がもらえず中々仕事が見つからないでいた
その時、途方に暮れている俺に対してアズリアが救いの手を差し伸べてくれたのだ
「その話、本当か⁉︎アズリア!」
「あぁ本当だとも。全く私達がしっかりと帝国軍へと入隊したのにお前ときたら…」
アズリアが呆れながら紅茶を啜る
「あはは…ごめん。でも本当に助かったよ、ありがとアズリア」
「べ、別に礼はいらないさ。お前と私の中なのだからな」
照れた様子で頬をかき、そっぽを向くアズリアに対して可愛いと思ったのは内緒だ。アズリアは可愛いと言われるのに慣れてない所為か、可愛いと言うと顔を真っ赤にしてテンパってしまい話が進まなくなるのだ
「それでさ、紹介してくれる家ってどんなところなんだ?」
「あぁそれはだな…これだ、マルティーニ家だな」
そう言ってアズリアが取り出した書類には”マルティーニ家”と書いてあった
「マルティーニってあの大貿易商の⁉︎」
「あぁそのマルティーニで間違いない。なんでも至急家庭教師が必要なんだとかで色々な貴族に聞き回っているらしくてな、私の父様の所にも話が来てたんだ」
「おぉそうだったのか。でも少し気になるんだけどその急いでる理由ってのはなんなんだ?」
「すまない。そこまでは聞いていないんだ、力になれなくて悪い」
「そんなことないよアズリア。本当に助かってるんだ、そんなに気にすることなんかないよ」
「ありがとう。そう言ってもらえると気が楽になる」
そう言うとアズリアは懐から一通の手紙を取り出した
「これが紹介状だ。これを持っていけば試験は受けれるだろう。後はお前次第だ」
「あぁわかってる。絶対に受かってみせるさ、期待して待ってろよ!じゃあな!」
俺はそう言うとそくささと席を立ち扉から出て行った
「全くケンのやつは…もう少しゆっくりしていけばいいだろうに」
後に残ったのは、少し不満そうな顔をしていたアズリアだけだった
〜帝国領マルティーニ家〜
アズリアから紹介状を貰い、俺はマルティーニ家がある帝国領港地区へと来ていた。帝国で唯一港がある場所なだけあって物凄い賑わいを見せている
マルティーニ家へと着いた俺は早速中に入れてもらうために門へと近づいた
「此処がマルティーニの家か…やっぱりでかいんだな」
あまりの大きさにポカンとしていると門番の人が話しかけてきた
「貴様、ここで何をやっている?」
「え?あ、あぁ。えっとレヴィノス家に紹介状を貰ってきたケンと言うんですけど…」
そう言ってアズリアから貰った紹介状を見せる
「紹介状?……ふむ、少し待っていろ」
門番はそう言うと門の中へと引っ込んでいった
〜数分後〜
彼は門へと戻ってくると俺に向かって話しかけてきた
「ケンとか言ったな、あの紹介状は確かに本物だった」
当たり前だ、あれはアズリアから俺が直接貰ったのだから。内心俺がむくれていると彼は話を続ける
「本来ならお嬢様の教育係であるサローネ様が面接をなされるのだか諸事情により今は居なくてな、ご当主様が直々に面接なさるそうだ。くれぐれも失礼のないよう気を付けろ」
「えぇわかってますよ」
「では案内する、付いて来い」
彼はそう言って玄関のドアへと歩き始めた。そして俺は遅れないようにそくささと着いて行く
マルティーニの家が、俺には夢の始まりに見えた
アズリアの性格とかマルティーニ家の場所とか結構適当に決めてます
大貿易商なんだから港地区にあるのかなー的な感じで
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第2話〜アルノ・マルティーニという男〜
再び戻ってきました。
サモンナイト6も発売し、応援メッセージをも頂いたのをきっかけに再び書くことを決めました。
これからはエタらないように頑張ります!
何分学生故、中々投稿できない事もありますが頑張って完結までもっていこうと思いますので皆様、お付き合いお願いします。
門番に通されて進んで行った場所は、大きなシャンデリアが飾られている大きな広間であった。
「もう少ししたらご当主様が来られる。ここで座って待っていろとの事だ」
「えぇ、わかりました」
門番の言う通り、そこに設置された大きなソファへと腰掛ける。
門番の彼が去り、ソファに腰掛けそのまま待っていると奥にある大きな扉がゆっくりと開き、そこから1人の男性が入ってきた。
この男性がマルティーニ家の当主、アルノ・マルティーニなのだろう、なんというか…全くもって普通の人に思える。
とてもではないが、帝国屈指の商人という感じがしないのだ。
「貴方がケンさんですね。レヴィノス家の招待状、拝見させていただきました。」
マルティーニさんがソファに座りながら笑顔で声をかけてきた。
「はい!よろしくお願いします!」
ぬぐぐ、緊張し過ぎてつい大きな声を出してしまった
「そう緊張しなさらないで下さい。肩の力を抜いて、紅茶でも飲んでリラックスしてくださいな」
テーブルの上には何時の間にか紅茶の入ったカップが置かれていた。
幾ら何でも周りが見えなくなるなんて緊張のしすぎだ。言われた通りに紅茶を飲んで気持ちを落ち着けなければ…!
「あっ…美味しい…」
紅茶を飲んでそう呟くとマルティーニさんはさらに笑顔になっていた
「そうですか!いや気に入ってもらってよかった。貴方にはここで働いてもらわなければならないのですからね」
「あはは、そうです…ってえぇ!?働くってまだ面接していないんじゃぁ!?」
「いえいえ、貴方には是非ともここで働いて欲しいですね」
ニコニコしながら話すマルティーニさん。一体全体どうしてこうなった!?俺はまだ何にもしてないのに!
「ええっと、マルティーニさん。何故いきなり採用を……?」
そう問いかけるとマルティーニさんはにっこりと笑った
「アルノと呼んでくださいな、ケンさん。理由は簡単です。実は私、人のココロの色を見ることができのです」
「ココロの色を見る…ですか?」
「えぇ、職業柄私はいろんな人と出会います。商人ですから悪い人といい人の区別も自分でつけなくてはいけなかった。そうすると不思議なことに次第に人のココロの色ともいうべきものが見えるようになってきたのです。例えば綺麗な色をしていたり、ドス黒い色をしていたりとかね」
ココロの色を見る、それがアルノさんの商人として培ってきた技能なのだろう
はっきり言って凄すぎる。この人の前ではどんなに取り繕っても悪人がわかるということなのだ。
「つまり、私のココロの色は綺麗だったと言うことですか?」
「そうですね。貴方のココロは今まで見た誰よりも美しく、太陽のような暖かさも感じました。うちの娘を預けるにはふさわしい、そう思ったのです」
アルノさんは相変わらず笑顔のまま話している
なんだか急な展開になってしまったが、何はともあれ念願の家庭教師になれたということなのだろう。
「ありがとうございます!精一杯頑張らせていただきます!」
「ケンさん、そう硬くならないで。楽にしてくださいな、これから長く付き合っていくんだからさ」
うむむ、また緊張して硬くなってしまいしまった…気を付けなければならないな
「これからよろしくお願いします、アルノさん!」
「うん、これからよろしくお願いしますねケンさん」
二人で握手をかわした後、契約書類にサインをして遂に念願の家庭教師になることができたのだった
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第3話〜はじめの一歩〜
アルノさんが予想以上に話していたので生徒さんが出てくるのがちょこっとになっちゃいました。
キャラが勝手に暴走するとはこういうことなのですね…
あと出す生徒はすごく悩みました
「早速だけど、うちの娘を紹介するから付いてきてくれ」
書類にサインし終わった頃にアルノさんはそう話しかけてきた。遂にできた初生徒、浮かれる心をおさめながら笑顔で返事をし返す
「わかりました、所で私が教える生徒はどのようなこなのですか?」
「実はですね…」
何でもアルノさんの話によると、娘さんはとても恥ずかしがり屋で気が弱く、これまで家庭教師を勤めた人達はまともに会話出来ずに辞めていったという
「私達もほとほと困ってしまっていて、貴方のような暖かい人を探していたんですよ」
「それは…苦労なさっているんですね」
「娘の事ですからね、苦労なんて思っちゃいませんよ。貴方もいずれ子供が出来た時にわかる事ですから」
優しい顔でアルノさんが話す。この人にとってその子は目に入れても痛くないくらい可愛がっているのだろう。だからこそこんなにもなんとかしてやりたいと思っているに違いない
「所で娘さん、何て名前なんですか?」
「あぁ、まだ言ってなかったかな?名前はアリーゼ・マルティーニ。可愛い娘だよ」
「アリーゼ…いい名前ですね」
「そうだろう?」
嬉しそうに笑うアルノさんを見ていると何だか俺も嬉しくなってくるなぁ。この性質はアルノさんが商人として成功している一つの理由なのかもしれない
「そろそろ娘の部屋だ。最初が肝心だからね、頼んだよ」
人間初対面初コミュニケーションが重要なのだ。張り切り過ぎて失敗しないように気をつけよう
俺が再び気合を入れ直しているとアルノさんがアリーゼさんの部屋をノックした
「おーい、アリーゼ。新しい先生を連れてきたよ。」
『………新しい…先生?』
扉越しに小さな返事が聞こえた。確かに声からして気の弱そうな感じがする。自信満々のアズリアのハキハキした声とは正反対の感じだなぁ
俺が勝手に分析している間もアルノさん達の会話は続く
「アリーゼ、先生が来たんだから部屋から出てきてくれないか?体調は悪くはないんだろう?」
『はぃぃぃ……』
返事が聞こえてすこししてからがちゃりとドアが開く。そこからて出できたのはオレンジ色がかった茶髪をして、青いワンピースを着た幼い少女だった
「ァ…アリーゼです。」
ぺこりと少女〜アリーゼ〜が頭を下げる。緊張しているのかすこし顔色が悪そうだ。アルノさんが言ってた通り、極度の人見知りなんだろう
思ってたのより重症のようだ。
目線を合わせる為にしゃがみこんで自己紹介をする。
「こんにちは、アリーゼさん。これから君の先生になるケンって言うんだ。よろしくね」
そう言って手を差し出すと、おずおずとだがアリーゼはすこしはにかみながらこちらの手を握り返してくれた。まずは仲良くなる事が大事だから、コミュニケーションをしっかりとっていかないとな
「おぉ?珍しいな、アリーゼが初対面の人と握手するとは…」
「お、お父様!」
「ははは、すまんすまん。人と触れ合うのが苦手なお前が握手をしたのだ。嬉しくなるというものさ」
私の見込みに間違いは無かったと笑うアルノさん。アリーゼさんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。取り敢えずは、良い感じなのかと思う俺なのであった
活動報告の方でアンケートしてます
見てくれるとありがたいです
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第4話〜もう一人〜
ベルフラウ出すために色々してたらこんなに遅れちゃいました…
今度はもっと余裕を持って登校できるよう頑張らないと
「せっかくだ、少し二人きりで話してみないか?」
「えっと…大丈夫ですか?ちょっと急すぎる気が…」
いくらファーストコンタクトに成功したと言ってもいきなり二人きりになるのは不味いだろう。そう思って声をかけるとアリーゼから待ったがかかった
「あの…ダメ…ですか?」
「えっと、ダメじゃないけど…大丈夫?」
「はぃ…あの、私も先生とお話しがしてみたい…です」
そう言ったアリーゼは、顔を俯けながら俺が返事をするのを待っていた
この子は今、自分からコミュニケーションを取ろうとしている。ならそれ応えれなくて何が先生か!?
「そうだね、それじゃどこで話そうか?」
「じゃあ…中庭で…」
「私はこれから用事があるからね。後で使用人に紅茶でも持って行かせるよ。先に中庭に行っているといい」
「あ、ありがとうございます」
「なに気にしないでくれ。そうだねぇ、この調子ならもう一人の娘も任せられるかもしれないなぁ」
もう一人の…娘!?マルティーニさんの娘って二人いたのか!知らなかったな
「もう一人娘さんが…?」
「あれ?言ってませんでしたっけ?ベルフラウ・マルティーニって言う名前の可愛い娘が居るんですよ。」
アルノさんは娘の話をするときはいつも笑顔だなぁ
「ただね…ベルにもちょっとした欠点があってね。ベルは私達以外には少し高圧的に接してしまうんだよ」
苦笑しながら言うアルノさんはそれでもやっぱり優しい顔をしている。ベルフラウさんの事もたくさん愛しているんだろう
「だけど他人の事を気遣える優しい子なんだよ、ただそれが表に出にくいだけでね。まぁ1時間もすればサローネと一緒に帰ってくるだろうからその時にまた話そうか。ほらアリーゼ中庭に行って先生と話してきなさい?」
「は、はい…」
「じゃあねケンさん。また後でね」
「えっと、はい。また後で」
そう言ってアルノさんはこの場から歩いて去っていった
「それじゃあ中庭に行こうか」
「は、はい!」
アリーゼはそう返事をするが歩き出さずにチラチラと俺の手を見ていた
「手…繋ぐ?」
「…いいんですか?じゃあ…」
まだ子供なんだなぁと感じながら手を差し出した
そして俺は、アリーゼと手をつなぎながら案内してもらいつつ中庭に向かうのだった
「いやしかし、アリーゼがあんなに懐くなんてなぁ」
アルノは一人、廊下を歩きながら呟く
「案外、アリーゼの一目惚れだったりしてなぁ。あははは」
一人で笑いながら歩くアルノは使用人達から少し引かれていたそうな
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第5話〜先生の過去・前編〜
そんなこんなで第5話投稿です。
何だかいきなりプロットから外れていって焦っている作者です
〜マルティーニ家・中庭〜
アリーゼと共に中庭に向かった俺はいベンチに座って、運ばれてきた紅茶を飲みながら学校時代のことについて話なしていた
「それじゃあ先生は首席で卒業されたんですか?凄いです!」
「いやまぁ、アティ達とは殆どさはなかったんだけどね」
目を輝かせながら顔を近づけてくるアリーゼ。なんだか人見知りって感じがしないけど…どうしたんだろうか?
まぁ気に入ってもらえたってことかもしれないし、指摘するのはやめておこう
「ところで先生の話しによく出てくるアティさんとアズリアさんはどんな人なんですか?」
「アティとアズリア?そうだねぇ…アティは昔からの幼なじみでちょっと天然だけど優しい子で、アズリアは最初会った時はとっても刺々しかったなぁ…」
そう、初めてに会った時アズリアなんと言うかとってもピリピリしていたんだっけか
アレは確か、最初の野外授業の時だ
〜過去・軍学校廊下〜
「アティ次の授業はどこだっけ?」
「しっかりしてくださいよケン。次は校庭に集まって野外授業ですよ」
「あぁそうだったな。忘れてた」
アティと二人で次の授業が行われる校庭へと向かう。
「それにしても初日にいきなり野外授業とは軍学校はハードだなぁ」
「そうですねぇ…っとのんびりしてる暇ないですよ!急がないと遅れちゃいます!」
「あれ?そうなの!?じゃあ走って行こう!」
俺たちは急いで校庭へと向かって走っていった。
〜過去・軍学校校庭〜
「それじゃ今から野外授業をはじめるぞ!今日は皆の実力を見るために二人一組で実戦形式の訓練をするぞ!」
台の上に立った教官が声を張り上げ話す
「それでは名前を呼ばれた二人は私の前に来い!アズリア・レヴィノス!ケン!」
「うぇ?!俺が呼ばれたの?」
「そうみたいですよ、早く前に行ったほうがいいんじゃないんですか?」
「お前なぁ他人事だと思って…」
「ほらほら早く行かないと先生に怒られちゃいますよ?」
「わかってるよまったく…」
気が進まないけど行かなければ怒られるのは確定だ。渋々教官の前へと出た
アズリアと呼ばれは人は先に出てたようだ。既に教官の前に女性が立っていた
「うむ、二人揃ったようだな。それではお前達には木剣を使って戦ってもらう。実力に関しては心配しなくていい、二人とも実技試験をトップでクリアしたのだから大丈夫だろう」
教官が持っていた木剣を手渡され、あれよあれよと言う間にレヴィノスさんと木剣を構えあって立っていた
ていうかレヴィノスさんすっごいこっち睨んでるし!何か悪いことしたかなぁ?なんだか敵意みたいなものも放ってるし…
「お互い気合十分だな!試合形式は相手に有効打を入れた方が勝ち、有効打かどうかは俺が判断する」
こうなったらやるしかない、レヴィノスさんは実技試験トップだったって言うし本気で当たらないと勝てないだろう。というか俺も実技試験トップだったの今日初めて知ったよ!
「二人準備できたな?それでは…開始!!」
多くの同期生に見られながら、俺とレヴィノスさんの戦いが始まった
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第6話〜先生の過去・中編〜
今回第三者視点にも挑戦してみました。
というわけで第6話、投稿です。
最初に仕掛けたのはアズリアであった。開始の合図と共に木剣を構え、突っ込んできた
(っ!速い!)
鋭く突き出されたその刺突をケンは木剣を盾にする事でいなし、難を逃れる。しかしアズリアの猛攻はここからだった。いなされた剣の勢いを止める事なく、身体を回転させる事で再び斬りかかる。その横薙ぎの一線をケンはバックステップで躱す
「なかなかっやるじゃないか!」
「まぁね!」
アズリアの振り下ろされた木剣を押し返しつつケンはこたえる。
「だが、勝つのは私だ!」
「負けないよ!」
二人の木剣が再びぶつかり合い、弾かれお互いが距離をとる。そして二人は構えをとったまま、動かなくなった
(唯の優男だと侮っていた…!実技試験がトップなだけはある。ケンとか言ったか、こいつは強い、少なくとも私と同じくらいには!)
再び彼らは動き出し、アズリアが果敢に攻めてはケンがその木剣をいなす。幾度となく繰り返されるその光景に何時の間にか周りで見ていた生徒たちは息を呑み、目を離せなくなっていた。
だが、そんな光景も終わりが訪れた
攻め続けていたアズリアがバックステップで急に距離をとりだしたのだ
「ケン…すまない。ただの優男だと私はお前を侮っていたようだ。だが、次の攻撃に私の全てを賭ける、それで許してはくれないか?」
「許すも何も怒ってすらいないんだけどなぁ…わかった、俺も次の一撃に全てを賭けるよ。ただし、勝つのは俺だけどね!」
「ふっ、ぬかせ!」
お互いが最高の一撃を繰り出す為に、構えを取り、力を込める。その二人が出す圧倒的闘気に、教官すらもが知らず識らずの内に息を呑んでいた
吹いていた風がぴたりと止む、二人は同じタイミングで踏み出していた。
「秘剣・紫電絶華!」
「貫け、月光牙!」
二人の技が激しくぶつかり合い、衝撃波が発生する。
「「おおおおおぉぉぉぉぉ!!」」
お互いがお互いの木剣を突き、攻撃を相殺させる。
拮抗していたかに見えていた二人だか、僅かにケンが押されはじめていた
(まずい、このままじゃ押し切られる…!)
「っ!もらったぁ!」
「させるかっ!」
木剣がぶつかり合った次の瞬間、遂に耐えきれなくなったのか、お互いの木剣は砕け散ってしまっていた
「「あっ……」」
二人共自分の木剣を見つめて呆然としていると、教官が声をかけた
「あー…うん、この試合は取り敢えず引き分けで終わりだな。お互いの武器が壊れたわけだし、どっちも有効打は入らなかったわけだしな」
「しかし…!」
「お前の気持ちはよく分かる、だが今回はここまでだ。気付いてないのか?お前ら凄い汗だぞ」
「あっ…本当だ…」
気が付けばお互い服がびっしょりと濡れる程汗をかいていたようで、二人共自分の状態にびっくりしていた
「取り敢えずお前達の授業はこれで終わりとする。さっさとシャワーでも浴びて、綺麗な服に着替えてこい」
「「はい!」」
そうして二人は寮の方へと歩き出したのだった
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第7話〜先生の過去・後編〜
また後日書きなおすかも…
とにかく第7話、投稿です
〜軍学校・シャワー室前〜
シャワーを浴び終わった俺は、レヴィノスさんと話をする為にシャワー室の前でレヴィノスさんを待っていた。
「すまない、待たせたようだな」
少しすると、シャワー室からレヴィノスさんがでてきた。髪がまだしっとりと濡れていて、少し色っぽいなぁ…
「ん?どうした、私の顔をじっと見て。何か付いているのか?」
「えっ!?あ、いや何もついてないよ。アハハ…」
「…へんな奴だな」
にこりとアズリアが笑う。やっぱりこの人は笑っている時の方が可愛いと思うな
そう思っていると、アズリアは気まずそうな感じで此方に顔を向けてきた
「さっきはすまなかったな…」
「いや、別にいいんだけどさ、ちょっと聞きたいことがあるんだ。」
「別に構わないが…なんだ?」
「最初にレヴィノスさん、俺の事凄い睨んできたでしょ?だからどうしてかなぁーって気になってね」
「あぁそれか…実はな…私はお前の事が気に食わなかったのだ。田舎出のただの男が必死で訓練した私と同じ実力だというではないか。しかもお前ときたらヘラヘラと女と会話して笑ってるような男ときたものだ。私は怒りを覚えた、何故あんな奴か私と同じ実力を持っているのかと。何かしらズルをして合格したのではないかとすら思ったよ。」
レヴィノスさんは顔に影を落としつつ話し続ける
「だからあの時、私はお前を完膚なきまでに叩きのめしてやろうという邪心に取り憑かれていたのだ。本当にすまなかった…」
レヴィノスさんが頭を下げてきた
「ううん、勘違いも解けたみたいだし俺は怒ってないよ。だからレヴィノスさん、頭を上げてよ。」
「ありかとう、ケン。後私の事はアズリアでいい。あとさんもいらないからな」
「うん、よろしくねアズリア」
「あぁよろしく頼む、ケン」
俺とアズリアは互いに握手し、友情を深めたのだった…
〜現在・マルティーニ家・中庭〜
「という事があって、アズリアとは親友になっていったんだ」
「へぇ…そんな事があったんですね!」
アリーゼは目をキラキラさせているようだ。
「あっお紅茶がなくなってしまいました…。すぐ使用人に持って来させますね!」
「あ、うん。ありがとうアリーゼ」
パタパタとアリーゼが屋敷の仲にかけていく。ふと時計を見てみるとアズリアたちの事を話してから一時間たっていたようだ
「貴方がお父様の言っていた家庭教師ですの?」
「えっ?」
声をかけられ振り返ると金色の髪をした子供が屋敷の方から歩いてきていた。
「私はマルティーニ家当主アルノ・マルティーニが娘、ベルフラウ・マルティーニですわ!」
ババン!と現れたのはなんとアルノさんが言っていたもう一人の娘だった!
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第8話〜私もいっしょに〜
第8話投稿です!
あまりの突然の出来事にポカンとしているとベルフラウさんはため息をつきながら近寄ってきた
「あなた…私が名乗ったのですから、お名前を教えてくれませんこと?」
「あぁごめん。ちょっとびっくりしちゃって。俺の名前はケン、確かにアリーゼの家庭教師を務めさせてもらう者だよ」
そう答えるとじっと顔をこちらを見つめてくるベルフラウさん。何だかこう…じっと見つめられると恥ずかしくなってくるな
「…合格、ですわね」
「えっ?」
「合格と言ったのです。容姿も普通より上、瞳も曇りないですもの。お父様があんなに褒めたのがわかるぐらいですわ。お姉様のことを心配して損しましたわ」
肩をすくめながらベルフラウさんは話す。というか妹だったのか…てっきりお姉さんかと思った
「とこでお姉様はどちらに?」
「アリーゼなら使用人に紅茶を…あっ戻ってきた」
行く時とはうってかわって使用人をそばに控えさせながらしずしず歩いてくるアリーゼ
「あら?ベルじゃない、戻ってきていたの?」
「えぇお姉様が男の人と二人きりでお茶をしているとお父様から聞いて慌ててきたのですのよ」
「そうなの…ごめんなさい先生、何かベルがご迷惑をかけませんでしたか?」
「お姉様!私迷惑なんてかけていませんわ!」
「ベルには聞いていないの!ちょっと黙ってて!」
「お姉様が怒ったぁ…」
何だかすごく仲がいいんだなぁ…やいのやいの言いあってる二人を見ると何だかほっこりしてくる
「そもそもベルが……あっ!先生ごめんなさい!お見苦しいところを見せてしまって…」
「いや、別に二人って仲がいいんだなーって思ってさ」
そう言うと二人共顔を赤くしてそっぽを向いてしまった
「へぇそんな事があったんですの…」
「えぇ先生はとっても凄い人なの!」
「あ、あはは…」
アリーゼがさっき話した事をベルフラウに語って聞かせる。自分の過去の話を他人の口から聞くと恥ずかしくなってくるな
「とにかく、先生が素晴らしいということはわかりましたわ。でしたら私もお願いがあるのですけど…いいですか?」
小首を傾げながら聞いてくるベルフラウさん、可愛らしい仕草だなぁ
「うん、いいよ。ベルフラウさんのお願いって?」
「ベルフラウでいいですわ。お願いというのはですね…私にも家庭教師として勉学をお教えしてくださいませんこと?」
「えっ!家庭教師?!でも俺はアリーゼの…」
「いいんじゃないかな?何事にも挑戦が大事じゃないかい?」
「アルノさん?!」
何時の間にか隣にアルノさんがたっていた!気配すら感じなかったぞ…
「でもそれじゃ中途半端になってしまうのでは…」
「その時はその時だね、そもそもベルフラウにもそろそろ家庭教師をつけようとしていた所だったのてね。もし無理なら途中でやめてもらってもいい。ベルもその時はいいよね?」
「えぇ、お姉様の先生にあまり無理はさせられませんもの」
「だったら俺、頑張ってやってみます!」
ぐっと力こぶをつくると他三人から拍手が送られた
「よし、そうと決まったら今日は歓迎会をしよう!私も後少しで今日の仕事は終わらせられるしちょうどいい!」
「はい!お父様!」
「だったらシェフにとびきり美味しい料理を作ってもらわなければいけませんわね」
かくして俺は、まさかのアリーゼとベルフラウ、二人の家庭教師をする事になったのであった
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第9話〜初めての召喚術講座〜
今回は早めに投稿できてよかったです…
というわけで第9話、投稿です
〜マルティーニ家・アルノの部屋〜
アルノさん達に歓迎会をしてもらった俺は、マルティーニ家に泊めてもらい、次の日の朝に朝食もご馳走になっていた
「ケンくん、それでは二人の事はたのんだよ。今日私は仕事で一日中いないから困った時はサローネに聞くといい」
「ありがとうございます!何から何までお世話いただいて…」
そう言うとアルノさんはにっこりと笑いながら首を振った
「いえいえ、これから娘達の面倒を見ていただくのですから当然の事ですよ。頑張ってくださいね」
「ええ、頑張ります!」
そう言ってアルノさんは部屋を出て行った。そんなこんなして俺は二人に授業をする為に、お付きの人に案内されていた。
「お嬢様方はこの部屋におられます。どうかよろしくお願いします」
「はい、任せてください」
そう言って俺は案内された部屋のドアを開き中へ入っていった
〜マルティーニ家・勉強部屋〜
二人を確認した俺は早速授業へと取り掛かっていた
「じゃあまずは軍人にとっても大切な召喚術の勉強をしようか」
「「召喚術!」」
アリーゼとベルフラウがが嬉しそうに目をキラキラさせながら驚く。
「まず、君たちは召喚術についてどれくらい知ってる?」
そう質問するとアリーゼが挙手をしていたので当ててみる
「じゃあアリーゼ言ってごらん?」
「えっとですね、別の世界に住んでいる者たちを呼び寄せて、その力を借りる方法…だったかと…」
「うん、正解だね。よく知っていたね」
「えへへ…」
褒められて嬉しいのか照れ臭そうに笑うアリーゼ。やっぱり笑顔が可愛いらしい
「じゃあ今度はベルフラウに聞こうかな」
「どんとこいですわ!」
胸を張り、自信満々に答えるベルフラウ
「じゃあ問題だ、俺たちが暮らしてるリィンバウムは4つの異なった世界と隣り合ってるのは知ってるね?その異なる4つの世界の名前はなんでしょう?」
「ええと…霊界サプレスに機界ロレイラル、それと幻獣界メイトルパに鬼妖界シルターンですわよね?」
「そう、正解だよ。ベルフラウもよく知っていたね」
「このくらいの事、当然ですわ!」
両手を腰に当て胸を張るベルフラウ、この子が胸を張ってると微笑ましく思えるなぁ
「続きを話していくよ。別の世界に住んでいる者たちから力を借りるには召喚術を使うっていうのはアリーゼが話してくれたね。その召喚術にも必要な者があるんだ」
「必要なもの?」
「魔力と呪文、そしてサモナイト石が必要なんだ」
「サモナイト石ってなんでしょう?」
「実物を見せてあげるね。ほら、これのことだ」
懐にしまってあったサモナイト石を取り出し、アリーゼとベルフラウにそれぞれ渡す
「「きれい…」」
「このサモナイト石はね、五色あってそれぞれが異世界への扉を開く鍵の役目になるんだ。黒は機界ロレイラル、赤は鬼妖界シルターン、紫は霊界サプレスで緑は幻獣界メイトルパっていう感じさ」
「あれ…?でも先生、石は五色って…」
無色のサモナイト石を取り出し、二人に見えるように持ち、説明を続ける
「実は、この透明な石については未だはっきりわかっていないんだ。さっき説明した4つの世界の召喚獣は呼び出すことはできないけど、それらとは全く異なる世界の召喚術を使うときに必要になってくるんだ」
「へぇ…それでその世界のことはなんて呼ばれていますの?」
「とりあえず今の所は「名も無き世界」なんて呼ばれているよ」
「なるほど…」
二人ともしっかり理解してくれたようだ。とっても優秀なんだなぁと今更ながらしみじみと実感していた
「それじゃあ君たちの相性のいい召喚術を調べてみようか」
「そんなことできるんですか!?」
「うん、簡単に出来るさ。じゃあまずはアリーゼからやってみようか」
「はい!」
アリーゼに五色のサモナイト石を渡し、ひとつひとつ試していく。すると紫色のサモナイト石を握った時、そのサモナイト石が光りだしたのだ
「わ、わ、わ!」
「大丈夫、落ち着いて。どうやらアリーゼには霊属性の適切があるみたいだね」
「霊属性…ですか?」
「霊属性はね、霊界サプレスに住まう召喚獣を呼び出す事が出来る属性なんだ。特に他者を、回復するのが得意な召喚獣が多いんだ」
「他者を癒す…」
「じゃ、次はベルフラウがやってみようか」
「わかりましたわ」
ベルフラウがサモナイト石を握っていく。すると今度は赤色のサモナイト石が光りだした
「赤色…と言う事は私は鬼妖界シルターンの適性が?」
「そうだね、ベルフラウは鬼属性の適性があるみたいだ」
「シルターンにはどのような事が得意な召喚獣がいますの?」
「シルターンにはね、他者を惑わせる事が得意な召喚獣が多くいるね」
「惑わすですの…」
これで二人の適性がわかったのだが…うむむ、どうしたものか…とりあえず召喚術を試してみるべきかな?
「それじゃ二人共、初めての召喚術に挑戦してみようか」
そう二人に伝えると二人は手をとりあって喜んでいた。
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第10話〜召喚術・実践アリーゼ編〜
ですが今回いつもより少しだけ短くなってしまいました…
とにかく第10話、投稿です!
改めて二人と向き合った俺は、それぞれの適正にあったサモナイト石を渡していた
「今から実践してみる訳だけど…なにか質問はある?」
「あの…召喚獣ってどんなのが召喚されるのですか?」
そう聞いてきたのはアリーゼだった。楽しみにしていた召喚術とはいえ、初めての事に緊張しているのだろう。その瞳には不安の色が見て取れた
「そうだね、召喚される召喚獣は召喚時に使われる誓約物が関わっていると言われていてね、特にどんな召喚獣が召喚されるかはよくわかっていないんだ」
そう言うとアリーゼが不安そうになっていた。そんなアリーゼの頭を撫でながら続きを言う
「でも心配しないで、思い出のある自分の物を使えば必ずと言っていいほど相性のいい召喚獣が呼び出されるからさ」
「…はい!」
不安が無くなったようだ。顔を少し赤くしながらアリーゼは元気よく挨拶してくれた
「んんっ!そろそろ続きを初めてくれませんこと?」
「あぁ、うんそうだね。じゃあアリーゼ、やってみようか」
「分かりました…頑張ります!」
そうしてアリーゼが誓約物として持ってきたのは自身のいつもつけているリボンだった
「じゃあ、アリーゼ。サモナイト石をリボンを持って念じてごらん?」
「………」
よほど集中しているのだろう、その手に込める魔力が見て取れる様な感じがする
数分が経っただろうか、まだアリーゼのサモナイト石は召喚の予兆をみせてはいない。ベルフラウが不安そうにこちらを見ているがこればかりは本人の意思次第だ。俺にはどうすることもできない
するとその時、突如サモナイト石が強く光りだしたのだ
「今だアリーゼ!呪文を!」
「…あらわれて!私の召喚獣!」
眩い光が部屋中を照らす。光がおさまるとアリーゼの近くには見たことがない召喚獣が浮いていた
「これが私の…」
「キュピ?」
「お名前を伺っても?」
「キュピ、キュピピピ!キュピィ!」
「キユピーってお名前なの?」
「キュピ!」
ええぇ?!今の言葉の意味がわかったのか?!なんだか凄いなぁ…。俺が驚いているとベルフラウが袖を引っ張ってくる
「ねぇ先生。あの召喚獣、本当にキユピーって名前なの?」
「いや実はこの召喚獣、俺は見たことがないんだ」
「見たことのない召喚獣?そんなのいるんですの?」
「うん、まだまだ召喚術には謎が多くてね、わかってない事や未発見の召喚獣なんかも多いんだ」
「へぇ…そうなんですの…。それを解明するお仕事につくのも楽しそうですわね」
そう言ったベルフラウは凄く楽しそうな顔をしていた
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第11話〜召喚術・実践ベルフラウ編〜
遅くなりましたが第11話、投稿です
「今度は私の番ね!楽しみだわ!」
ウキウキとしているベルフラウにサモナイト石を渡し、落ち着かせる
「召喚術を使用する時はくれぐれも気をつけてね、感情が高ぶったまま行うと何が起こるかわからないからさ」
「ええ、わかってるわ」
実際魔力の込めすぎたサモナイト石はどうなるかわからないのだ。過去の事例では魔力爆発が起きたなんて例もあるし
「私が選ぶ誓約物はこれにします。よろしいですか?」
そう言ってベルフラウが手にしたのはかぶっていた帽子だった
「うん、問題ないよ。じゃあ早速やってみようか」
「ええ!」
ベルフラウが魔力を込めてすぐのことだった。サモナイト石が赤く光り出したのだ
「今だベルフラウ!」
「現れなさい!私の召喚獣!」
ベルフラウが唱え、光りが収まったそこには火の玉のような形をした召喚獣が浮いていた。またも見た事がない召喚獣だ…
「ニービー!」
「…あら?アナタオニビっていうの?」
「ビー!ビビビ!」
「えぇよろしくね」
無事召喚に成功したようだ
「ところで先生、この子も召喚が確認されていない子ですか?」
「うん、そうだね。こんなに立て続けに新しい召喚獣が見られるなんて珍しい事もあるもんだなぁ…」
「ますます解き明かすのが楽しみになってきたわ!」
ともかくこれで2人共召喚に成功したわけだ。なら次のステップに進まないとな
「じゃあ2人共、次に移るよ」
「はい!」
「キュピィ?」
「ビー!」
召喚獣は気があってるみたいで交流を始めてるみたいだ
「2人にはこの召喚獣を護衛獣にするかを決めて貰おうと思ってるんだ」
「護衛獣?」
「簡単に言えばパートナーかな?他の召喚獣と違って殆ど一緒にいる事になるっていうのが違うところかな?ただよく考えて決めて欲しいんだ」
「殆ど…」
「一緒に…」
「キュピキュピィ!」
「ニービー!ビー!」
召喚獣達は満更でもない様子。あとは2人次第かな?
「私の護衛獣になってくれるの?」
「キュピ!」
「…これからよろしくね!キユピー!」
アリーゼの方は護衛獣にするみたいだ。ベルフラウほ方はどうだろう?
「アナタはどうかしら?」
「ビ!ビー!」
「そう!よろしくねオニビ!」
こっちも護衛獣…か。2人共うまく相性のいい召喚獣を引き当てれたようだ
「じゃあ2人共、召喚に使ったサモナイト石に魔力を込めながら名を掘ってごらん?そうすれば契約は完了だ」
2人にナイフを渡し、名を掘らせる。護衛獣を抱きしめ微笑む2人を見るとほっこりした気持ちになるのだった
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