変体企業の異世界進出【IS】 (獅狼)
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プロローグ

はい、やってしまいました。

事前に活報でやったアンケートで現在、ISに二票入っています。
開拓記のほうが開拓に入ったところでこっちを進める予定なので期限はそこですね。
年内に始めれるか微妙なところなので気が向いたら答えてください。


事件は、

 

 

「う~っす、重大発表があるから役職持ちは第一講堂に集まれや~1(ヒト)2(フタ)0(マル)0(マル)に遅れたやつはAMSの被検体な~」

 

 

気の抜けた副社長からの社内放送で始まった。

 

私は一般社員だ。だから講堂に向かう必要はないが……

 

「先輩、役職持ちが全員集められるって何事ですかね?」

と、隣で簡単な設計を行っていた後輩が私に尋ねてきた。

「私も、分からない。こんなこと初めてだ、主任を集めたりすることはあっても役職持ち全員何て事は知る限り一度もなかった」

 

そしてそこで切り、真顔、というよりも何らかの感情で表情が抜け落ちた顔で言い放った。

 

 

 

 

「確実に、相当な……それこそ世界を変えかねない出来事が起こる」

 

 

 

 

 

 

 

 

20XX年 4月1日 12:00′00″

 

「さて、時間になったが……うむ、遅刻者は居ないな。じゃ、社長の挨拶だ、私語は釣り上げの対象に成るからしない様に。あと、あとで部下に伝えて貰う事になると思うから一言一句聞き逃さないようにな」

本多暮勝副社長はそう告げ、壇上から脇の席へ移動する。

 

 

そして壇上に上るは我らが社長。

影が薄いと思われがちだが、数多のグループの統括を行っているだけあってものすごく優秀だ。

確か能力(スキル)は……カリスマ系の物だったか……まあ、噂程度でしかないんだけど。

 

「諸君、本日は吉報を持ってきた。

その前に一つ聞きたい。

 

今を、満足しているか?

この平和な、日本で諸君の創作意欲は満足しているか?

満足していないのなら外国か?そこでなら満足行く物造りを行えるか?

 

いいや、そうではないだろう。

モノによるだろうが諸君の望む物は世界を変えるほどの物。

だがしかし、この世界ではその試射、試験でさえやり辛い。

アルドラがACS、アスピナがAMSについての研究を進めているが……前者はともかく後者を大々的に行うにはリスクが高すぎる。

我々は風評など気にしない。

なぜなら自他共に認める変態だからだ。

しかし、資金や資材を集めるにはこの風評は重要になる」

そういって、言葉を止め、私たち、社員を見渡す。

「良い目だ、他所から見ればわ我々は狂っていると捉えられるだろうが、自らの欲求に素直で全力な良い顔をしている。

そこでだ!!

副社長:本多暮勝の息子のことは知っているか?

そう、よくあのアクアビットの大発明の改造を行っている子供だ。

あの子の能力は改造、そして召喚だ」

そして、社長は繋ぐ。

「彼はその能力で異世界に門を繋ぐことに成功した。

そしてその技術をわれわれに貸してくれるとの事だ!!

喜べ!!我々は今後、異世界進出を行う。

そこで社内投票にて行く先を決めたいと思う。

基本的に全員参加だ、どんな世界が良い、もしくは前の記録を持っているのならばその中の物語から選ぶのも良しだ!!

 

 

期限は一週間。さあ各々自由に策を講じて行き先を勝ち取るのだ!!

 

ただし、殺傷沙汰だけは禁止とする。後遺症を残さなければ洗脳も許可する!!」

 

 

 

解散!!と社長が叫んだ瞬間、皆が一斉に駆け出した。

無論、私もだ。

こんな降って沸いたような話を逃しては成らない、早急に部署の者達に報告して行きたい先が同じ物同士の派閥を作らねば。

 

 

そう、俺は、絶対に、あの世界に行くんだ!!



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IS編スタート!!

と、まあ、始まりますIS編。
別にこれしかやらないってわけじゃないので、合間だったり章で切って数話やって戻ったりとかするかもしれません。
メインが決まったので原作名をISにします。


「さてさてぇ~!!やってまいりました投票日ィィィ!!」

なぜかマイクを持って絶叫する男。

「投票権は全社員に与えられています、そして我がACにおいてこんなすばらしいチャンスを投げ捨てるような者は居ない!!ならば総計5478票によりわれわれの記念すべき異世界進出の先が決められることと成ります!!そう言う私も既に行きたい場所を投票用紙に記入し肌身離さず持っております!!」

ドンッと胸を叩く音が聞こえた。

「だがしかし、口惜しいことに投票時間は正午より12時間……つまり、まだ投票まで八時間は在るということです!!皆さん、投票用紙を奪われたり、洗脳されないように残り八時間を、残り八時間を警戒しながら、それで居てちゃんと仕事をしながらすごしましょう!!―――以上。広報部からのお知らせでしたァァァ!!」

ブツンッ!!と音を立てて放送が終わった。

まるで、何かから逃げるような終わりだったが、それに疑問するものはこの会社には居なかった。

 

なぜなら空気がピリピリとしていて、互いが互いを警戒しあっているのだから。

 

 

理由は簡単だ、社長の言った一言に問題がある。

 

そう、後遺症が残らない程度なら洗脳も許可されているのだ。

 

 

それに、先ほど放送を行っていたのは広報部の部長。

放送室の全機能を使えるのは彼だけであり、それが理由で真っ先に狙われている。

故に急いで逃げなければならないのだ。

それに洗脳されたら何をさせられるか、何をされるのか……考えるだけで恐ろしい。

確実に票の確保だけの洗脳にはならないだろうからだ。

 

さらに言うならば彼を確保すれば全館のスピーカーを使用できるようになると言うことだ。

変態たちの力をもってすれば超音波による洗脳も可能だろう。

一瞬での超音波洗脳は無理だろうが超音波は人には聞こえない。

知らず知らずのうちに耳に入りいつの間にか洗脳されるのだろう。

だから他のグループからの妨害もあって、部長は逃げおおせることができた。

 

全員が全員、真面目にしながらも隙を伺っているため、昨日の友も信用できない状態が出来上がっていた。

そして部屋の隅には隙アリと飛びかかって迎撃された人が山になっている。

特定の部署を除き、洗脳するよりも投票終了まで転がしておいて代わりに要評したほうが楽だという考えが多い。

だからほぼ全員が武装していてかなり物騒だ。

そのせいかこの日は零時から部外者の立ち入り禁止になっている。

 

ちなみに、攻撃はその日のノルマを終えてからとの条件付き。

 

そしてなぜか、午前十時現在、投票者は15%が脱落している。

 

投票まであと二時間、職員の2割がノルマを終えている状態である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあさあ、やってきました投票時間!!ちなみに私はすでに投票したので今更捕まえないでください!!

ということで安心しながら放送させていただきまぁす!!

現在有力な候補はIS……ISが作りたいのか倒したいのかわかりませんが結構な人気です。

東方project……まあ、確かに妖怪とかには興味が惹かれますね。嫁が欲しいって人もいることでしょう

境界線上のホライゾン……流体とかいいですよね、是非とも流体を用いた技術は欲しいですね、矛盾許容型の空間構成要素とか素晴らしいの一言に尽きます。

マブラブ……滅びかけの世界なら周りの被害を気にする必要もないですしね!!

ほかにもストライクウィッチーズ、神採り、揺蕩う瀬になどがあります。どれもこれも心惹かれるところがありますね……」

 

 

正午、十二時になって少ししたところでに妙にハイテンションな放送が入った。

 

その声を聞き、投票に動き出したものもいれば、ギリギリまで粘るつもりで籠城をしている者もいる。

 

ちなみにノルマを終えているのは九割の職員だ。

変態たちの能力は伊達じゃない。

 

 

 

数々のドラマが有ったが主に血と欲望と策謀による友情の話だったりするのでそれは省略させて貰う。

 

そして全ての投票が終わり……

 

「さあさあ、まだ一時ですが投票が終わったので開票です!!

わが社の誇る高性能で公正な開票君ver.4.75 によって行われますので五分待ってください」

 

開票君ver.4.75

まるで多くのひとが開票しているかの用な速度で票の識別を行いカウントしてくれる機械、設定次第ではあるが最高で一機一分一万票の処理が可能。

専用のネットワークを用いており、外部から正規の手段以外でアクセスするとコンピュータウイルスにを流し込み過剰処理を引き起こさせて侵入者の端末を最低でもシステム的に破壊する。

違法行為は許さない。裏コードなんかも存在しない公平な物です。

これがなんと2875万円の特別価格!!

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安心の行き過ぎ性能、ACOTがお送りしました。

 

 

「さて、開票が終わり、いよいよ、初の異世界進出先の発表です!!」

《ピンポンパンポン♪………緊急入電……社長室からの割り込み放送を開始します》

 

「あー諸君、ちょうど良いところですまない……ん?なんだ。ちょうど良いじゃないか

放送部長の仕事を奪ってしまうがここでついさっき入ってきた情報と一緒に報告しよう。

我らが行き先はIS!!

そしてつい数分前に匠くんから連絡が有った。

『なんか、誘拐されてたっぽい織斑さん所の一夏君をうっかり召喚(ゆうかい)してしまったんですけど、どうしたら良いでしょうかね?』とのことだ!!

ちょうど良いから此れに便乗して進出しようかと思う!!

異論の有るものは近場の内線をとれ………あー……材質研究の第三第六室、ボッシュート、アラガミ素材とか流体とか欲しいの解るけどISに決まってからその発言は間違ってると思うんだよね~

………少し頭冷やしときなさい」

 

どこかの部屋からガタンという音と急激に小さくなって行く悲鳴が複数個聞こえた。

 

 

「さあ、取り合えず……本多副社長、奥方に向こうの政府のデータベースに働く者の戸籍を作ってくれるように頼んでくれ……

広報部長、改変能力持ちを連盟から借りられるように連絡を入れてくれ。

ああ、広域暗示系のモノでもいい、とりあえず我々がいなくなると国がいくつか傾くまでの時間を稼げば良いんだ。

良し、頼んだぞ

先ずは一夏君の救出から始まるからね、しっかり準備しておくように。

 

さあ、第一目標はギガフロートを作ることにでもしておくかな……

第一陣の出発は三十分後だ、ISを最低でも三機は落とせる程度の装備を用意して第一倉庫に待機。

第二陣は人工衛星を衛星軌道に送る用意でもしておけ。

最終組は新しいACをISに似せて作っておけ、以上!!」

 

 

 

 

これから始まる異世界進出……彼らは原作などということを気にしない。あくまで物語に似た世界であって、彼らにとってはただの実験場(あそびば)でしかない。

 

そういえば問題がひとつ、こちらには社会性のある本多束という、篠ノ之束とそっくりの人物がいるわけだが……まあ、気にする必用のないことだ。

 

さあ、どのように彼らは市場を拡大していくのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ起きてくれないものか……いや、驚いて脳天蹴り抜いちゃった俺がいうことじゃないけどさ……流石にもうすぐ三十分経つ……一時間超えるとコストが一気に跳ね上がるからできればそれまでに行動に移せるといいんだけど……」

「匠さん!!ACIS世界進出第一陣用意できました!!」

つけている腕章にAC72と書いてある……同い年ぐらいの少年がそう言いに来た。

「え?早くない……ああ、うん。変態だから仕方ないよね、技術者だし、《こんな事も有ろうかと!!》があるよね、もう準備してあったんだよね……」

「たっくん、皆が行っても門は最小限で開けておいてね、仕事があるし、解析して門を固定する方法がわかればたっくんの手間も減らせるだろうから」

「あれ?お母さん、家に居たはずだよね?」

「たっくんが何か企んでる様だったから束さん特性のカメラで追跡していたんだよ!!」

指差す方を見るとすうっと丸い目玉のような機械が現れた。

「それにしても面白いところにつないだねぇ……束さんは束さんにあってみたいよ、多分仲良くなれそうな気がする!!」

 

恐怖で涙や鼻水を垂らして倒れたところを匠が反射的にうっかり蹴り抜いてしまったおかげで意識を失って簡易ベッドに寝かせられている一夏

 

そしてその周りを囲む、技術者かどうかも怪しい筋骨隆々とした、軍隊上がりと言われた方が納得のできるIS支部の支部長を任せられることになった鉄 金剛……鉄鉄心、テツのお父さんだ。

有澤重工の社長の右手と言われる男だ。

それと、ぱっちりお目目な束さん……

ん?

なんかヤバくね?

オヤジさんはいいけどお母さんヤバくね?

 

「お母さん、ちょっとここであっちゃうのまずくない?できれば事情説明もあっさりで終わらせて送りたいんだけど、流石にちょっと時間跳躍のコスト痛いからさ……」

「う~ん、今のうちに種を蒔いておきたいって気持ちもあるけど流石に愛息子が苦しむ姿を見るには辛いところがあるよ。うん、わかったちょっと隠れてるね」

すぅ…っと姿が消えていくお母さん。

完全に消えたあと、ふにゅんと背中に結構見知った感覚が来た。

 

「……お母さん、なんで背中に張り付くのかな?」

「これくらいいいじゃない?流石にこんな面白いイベントで隠れていないといけないんだから最近ご無沙汰の息子とのハグを楽しませて欲しいんだよ、全くたっくんってばさ、なんでここ数カ月私のハグを避けるのかなぁ……」

 

お母さんはほっておいて、未だ気絶している一夏くんの方を見てみると……

 

「ハァァァ……」

金剛(オヤジ)さんが何やら構えて溜めていた。

「あれ、何?」

最初に話しかけてきたAC72に聞いてみる。

「あれは親父さんの能力の応用【爆殺拳(微弱)】ですね、音とちょっとした熱風で注目を集めたりああやって気絶したやつを起こすのに使ってるんですよ……どんな能力でどう応用してるのか知りませんが問題なく、眠りから覚めるように目が覚めるんですよ」

にしても、やけに溜めが長い……

「あ、あれって弱くするためにやってるんですよ、溜めなしだと一軒家を半壊させるくらいの威力は出ます」

わけわからん。

直後、

ドォォォォン!!

と、まるで大きな太鼓を全力で叩いたかのような芯に響く爆音が鳴り響いた。

 

「匠くん、あとはよろしく頼んだ」

金剛さんはそう言って後ろに下がった。

突然の覚醒で驚いている一夏くんにAC72……AC持ちナンバー72の千石(せんごく)千侍(せんじ)を連れて接近する。

同じような年であることから俺たち二人が話したほうが安心できるだろうからという理由だ。

俺のやることは簡単に説明して門を開くだけ

聞いた話だと誘拐したグループがちょうど一夏君に計画を聞かれないためか、見えない場所にいったところで召喚されたようだった。

良し、ならそのまま召喚してもいいな。

だがあえてコストを減らすため数秒だけズラさせてもらった。

 

 

 

 

 

みんな、いきなり誘拐グループとご対面ってなったらゴメンネ。

 




門の接続で同時間につなげるコストについて

簡単に言えば一度つないだ場所から過去につなぐとその分時間軸での距離が伸びるからその長さによる消耗ですね。
未来は結構低コストで行けます。
川の流れに従うのか逆らうのかの差です。
川を逆流するので疲れるのです。

召喚能力を過剰に使ったのと同義で……精神的体力的に削られて回復するまでお休みになります。
現在のこれのコストレートは×120です。
今回は約一時間戻すので五日寝込むことになります。
まあ、能力が少し強くなって次は少し短くなるでしょう……数分から十数分くらい。
平行世界限定とは言え時間旅行をする代償です。
足し引き本人は四日と二十三時間の損失です。



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戦争とは、

いかに効率よく相手の嫌がることをするものだとは思わないかな?

ここまでがサブタイトル。


ACのIS支部はどこにしようかな…


《CP、潜入に成功した。彼には元いた場所で待機してもらうこととする》

《こちらC(キュートで)P(プリティーな)束さんだよα01、織斑一夏の安全確保をお姉さんに知らせるようにね》

《了解、ついでに敵を殲滅し次第そちらに連れて行く、時間と場所の指定はそちらに任せる、メールを送ってくれと言って置けば良いだろう……流石にすぐに連れて来いと言われても困るがな》

《α01、一夏くんにも会話をさせるようにしてね。私たちが誘拐犯と間違われかねないから~》

《ならば彼にかけさせよう》

そう言って現場では一夏を中心に数分間、

《ほいほ~い。こちらCP、一夏くんの電話は終わったかな?終わったのならスニーク装備の起動状態をを確認、耐熱感、消音、光学迷彩はちゃんと起動しているかな?》

《こちらα小隊、問題なし》

《こちらβ小隊、同じく問題なし》

《こちらAC72、ACを炉を止めたスタンバイ状態で待機、2秒あれば攻撃に移れます》

 

《よろしい、AC72は護衛、α、β隊は誘拐犯の鎮圧だ、装備に追加した無針注射器を使え……変態特性のナノマシンが入っている、喰らえば丸一日ぐっすりだ》

急に通信の人が変わった。遠くから、戸籍とかお願いします、えーもうちょっとあそびたいよ。との声が聞こえた。

《ISが出てきたのなら音爆弾、と閃光弾をうまく使い分けるように……目を潰し耳を潰せ、所詮は機体に頼った戦場を知らない女だ。戦争の怖さを教えてやれ。以降、最小限まで門が閉じるので連絡は通じなくなる。事前の打ち合わせ通りに頼む》

 

その通信を聞き、全員がにやっと笑った。

戦争ではいかに相手の嫌がることをするかが肝だ。

正々堂々?そんなこと損害を増やすだけでしかない。

卑怯卑劣は常套手段、誇り云々言っていたらこの企業(せかい)では生きていけない。

予算戦争(しゃないうんどうかい)はいつも地獄だ。

 

《動体センサーを起動しろ、03はリコンの設置を頼む》

《α03了解》

ついでに、これ、念話です。

《さぁて、狩りの時間だ、獲物を一匹たりとも逃がすなよ?》

 

 

α小隊……正式小隊名《ハンター》、静かに獲物を狩ることを得意とする集団だ。

普段は豪快で騒がしい部類に入る野郎の集まりではあるが、一度戦場に出ると寡黙で容赦のない狩人になる。

使用武器は主にナイフ、音を立てない暗殺が得意技。あらゆる銃器に一定以上の習熟をしており、正面からでも問題ない。

 

β小隊……正式小隊名《イーグル》、得意分野は狙撃。全員がイーグルアイを持っていると噂されている。

普段はどこにでもいそうなお父さんみたいな人の集まり。普段は温厚なのに、スコープを覗くときの目はまさに鷹の目。そのせいか、ハンドガンにもスコープがついている。

特技はヘッドショット。

 

 

 

そして動き出して数分後。

 

《β小隊、全員持ち場についた。これで全体をカバーできる。好きに動いてくれ》

《α01了解、聞いたか野郎ども、大物狙いに行くぞ》

既に狩った獲物の数は両手が必要になる。

相手が全員で何人かは知らないが、日本人の少年一人の誘拐に総人数はいらない。

姉を警戒していたとしてもせいぜい十数人だと予想…ならばそろそろ奴らも気づいて動き出す頃だ。

動体センサーを確認するとこの先の通路に一人、上の階、屋上におそらく外の見張り役が二人。

 

《隊長!!最初に設置したリコン付近で反応……大きい、おそらくISです!!》

《……ッチ!!β小隊、屋上のやつを頼んだ、保護対象の近くにIS反応だ!!》

《了解……屋上の(てき)クリア、こちらも少々位置を移動します。打ち込んだリコンからの情報ですと残りはα01の近くの一人とIS一機と思われます、増援を警戒しつつ、排除してください》

 

α小隊はワイヤーを利用して窓から下の階へ飛び降りる。

 

《こちらAC72、敵ISと遭遇、なんだかとっても怒っています!!今からハッキングで情報の吸い出しを開始します!!》

 

ドガガガガと下の階から銃撃戦の音が聞こえる。

チュイン、チュインと、はじくような、金属を滑らせるような音が聞こえることから撃っているのは敵さんの方だと判断。

《ちょ、ナンすかコイツ、背中の八本の蜘蛛っぽい装甲脚、個別で自由にうごかせるんっすか?蜘蛛がモデルって言うなら搭乗者の手足を合わせて八本にして欲しいっすよ!!》

急いで向かっている中AC72から総連絡が入った。

《IS名はアラクネ、アメリカの第二世代。残念なことに情報は全然入ってないですね。盗品ですかね?》

……どうやら結構余裕のようだ。

《口径もそこそこでまあ、八本の脚からの一斉掃射は確かに弾幕ですけど、老神に比べれば対処は楽ッス。どこぞのスプラッシュバズーカに比べれば一発一発が軽いんでそれほどでもないッスね、四連チェインガンと同じか少し下くらいと判断します》

 

AC72のA(アーマード)C(クロス)は中二脚の実体刀大量格納タイプだ。投げたり切ったり、盾にしたりで戦う。

つまり、彼の武器は使い捨て前提なのだ。

しかし、使い捨て前提とは言え、変態たちが手を抜くかといえば、それは否だ。

しっかりと作り込み、業物に迫る精度の刀を大量生産、五十本以上が彼のACには積まれている。

もちろんサイズはでかい。鍔もない。

飾りは一切なく、そして無駄に切れ味のいい刀である。

刃こぼれをしてもサイズを考えると折れるまで十分に使い続けることができる。

その彼の刀はまだ一本も折れてはいない。

逸らし、弾き、流し、切り分け、切れ味は落ちてしまっているが、まだ折れる気配は無い。

 

《あ、でもやっぱりそろそろきついんで援護お願いします》

ドン!!…ドン!!ガァァン!!

エコーがかかった大音量が響いた。

《β01、一体なにを使った!!》

《いやですね~ちょっとお茶目に大口径でヘッドショット狙っただけじゃないですか、ちゃんと防音結界は展開しておきましたので外には漏れていませんよ》

会話をしている最中にα招待の正面奥に壁をブチ抜いて巨大な女郎蜘蛛が……いや、ISがのけぞりながら飛んできた。

《何口径を使った!!》

《あれです、こっち来るときにGAの人からもらった狙撃用(スナイプ)噴進弾発射器(バズーカ)なるキチガイ製品です。目標にヒットしなくても消し飛ばせるがコンセプトらしいですよ?》

《おい、ロケット弾でスナイプって矛盾してんだろ……》

《弾はQB技術を使った不発弾なので爆発はしませんね。一定間隔で少し上方に向けてQBして飛距離を伸ばしながら再加速って形みたいです。弾単価は高くなりますけどなかなかに面白い癖のある設計ですね今回は二回目が発動して直後に目標にhit、それと同時に残りのQBを高速連続並行発動……一気にぶち込みました、戦車を複数スクラップにして御釣りが来る威力ですね。あと奴さん、装甲脚を犠牲にして身を守りました、いい判断です》

β01の解説を聞きながら、α小隊は動いていた。

ISの四方に飛び跳ね閃光弾を転がす。発動直前に約1.5m飛び跳ね炸裂した。

ISのハイパーセンサーによって五感強化に視界を360°に広げている。そんなところに閃光弾包囲、当たり前のように体を丸めて身を守ろうと反射的に動く。

 

さらにそこに音爆弾、同じ用に四方に飛ばす。

こういうふうに使うことでうまくいけば波の重なる点に相手が重なり、それは音では済まない威力となる。

《ッチ、α04少し投げすぎだ!!》

それでも間近で大音量をぶつけられたのだ。

もうこれは倒れ込むだろう、α小隊の面々はそう思って居た。

「ックッソがァ!!!」

あろうことかISは暴れだした。

搭乗者は意識を保つのもやっとであるはずなのにかろうじて残っている日本の装甲脚と両手に取り出した銃器を乱射し始めた

《おいおい、まだ動きやがるぜ……おっと》

《これじゃあ、近づけない……β、そっちから狙えるか》

《申し訳ありません、遮蔽物があって無理です》

《AC72、お前はどうだ、出来るか?》

《まあ、できないこともないんですけど……あれ、捕まえるんですか?》

《……》

《ああゆうのは心折ってからじゃないとあとが面倒ですよ?》

《……あーどうすっかなぁ》

《コアは欲しいですね》

《……本部とは…当たり前だが連絡がつかんな》

 

《今回は織斑千冬に恩を売って多少の知名度を得ることを目標とする、あれは撃退に止めよう》

 

《《《了解(ヤー)》》》

《とりあえす、私たちは向かってくる場合に限り狙撃しますね》

《こっちは相手のシールドエネルギー見ながらしばき倒します》

《こっちは隠れながら援護射撃だ、帰還可能限界まで削るぞ》

 

それ以前に特化部分に、視覚、聴覚が潰れた状態のやつの相手はとにかく簡単だった。

予算戦争(しゃないうんどうかい)でのゾンビさを見ると、もっと頑張れよ!!と言いたくなるぐらいだった。

 

 

通信で帰って来いと言われたのか、引き際はやけにあっさりしてもので、最後の捨て台詞、

「今度会ったらぜってー殺す」は、見事な小物臭に皆して腹筋が崩壊した。

 

《しかしうまくいきましたね、優位に立ってると思い込んでる相手に対して一気に畳み掛ける……面白いようにコンボが決まりますからね》

《それにしても、あのバズーカよく当たったな……》

《AC72に剣をばら撒いてもらってから打ちましたから、本当だったらあの一撃で絶対防御、それの生命維持クラスの機能を発動させてもおかしくなかったんですけど、うまく上に逸したみたいですね、もう少し下を狙っておけばよかったです》

いや、殺す気だっただろお前、と思ったが口には出さないでおく。

《刀はほとんど無事っすけど……回収手伝ってくれませんか?》

《やめてくれよ、20kgぐらいある鉄塊を運べとかよぉ》

《ですよねー》

 

 

 

 

 

「さて、織斑一夏くん、連絡はしておいたわけだが早めにお姉さんのところに行ったほうがいいだろう……時間的に今はどうだと思う?」

「えっと……多分まだ大会…」

 

ドォォォン!!

 

「一夏ぁ!!」

……あれ?お姉さん来ちゃった?

「貴様らぁぁ!!」

しかも敵認定?

ギィン!!

AC72が格納寸前だったその刀で正面から受け止めた

「ちょっと織斑くんのお姉さん?彼からの電話受け取らなかったの?」

「電話……脅迫メッセージか、何が目的かはしらんが貴様らはここで叩き潰す!!」

 

……え?

「ちょ、織斑一夏、電話したんじゃなかったのか!?ちゃんと話したのか!!」

「え、いや……留守電になってたから……」

ダメじゃないか!!

「おいお前ら、少年、留守電にメッセージ入れただけらしいぞ!!」

 

「「「な、なんだってー(棒)」」」

「どうせ、そんなことだろうと思ったよ!!」

「確かに大会の試合開始前は集中したいですからね!!」

「少年、拡声器を貸すから止まるように呼びかけるんだ!!それがおそらく一番可能性がある………さすがに、堅気に怪我をさせるわけには……」

自分たちが負ける可能性を完全に考えていない奴らである。

 

 

 

 

その後、いろいろあったわけだが、織斑千冬は弟の一夏の呼びかけと、閃光弾等の武力によって数分後にようやく動きを止め、なんとか和解に至った。

 

自分の携帯電話の留守番メッセージを聞いて、紛らわしいお前たちが悪いなど責任転嫁をして自分は悪くないと顔を赤くしながら逸らしてブツブツ言っていた。

 

 

 

本日の成果は織斑姉弟の連絡先。

 

一応我々のことは内密にしてもらえるとのことであるが……いつまでもつか…

 

 

人の口に戸は立てられぬって言うからなぁ

 

 

 

 

 

あ……今日の二個小隊+1の寝床どうすっかなぁ……

 

 

 

野宿でいいか。

 

 




・スナイプバズーカ
GAとかアクアビットが共同開発したキチガイ兵器。
弾内部に10個の圧縮コジマ粒子棒が内蔵されており、射出からクイックブーストのような加速を用いる。
数百メートル置きに再加速でクイックブーストを行い、何かに衝突する寸前に残ったコジマ棒を全て用いて爆発的加速を行う。その運動エネルギーによって対象を破壊する。
弾頭は鉄鋼、鉛、ドリル状と多種類を用意している。

・閃光弾
09-FLICKER(フラッシュロケット)の弾を手榴弾のサイズに落としたもの。
カメラ機能を一時的に麻痺させるほどの光量を出すため、対人の場合にはちゃんとした装備、対処をしないと障害が残る可能性もある。

・音爆弾
何を考えたか有澤製の特殊音響爆弾、もはや音ではなく空気の壁をぶつけるようなモノから通常のものまで幅広い威力が揃っている。


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活動準備1

どっちかと言うとフラグ設置しただけのお話。
他はグダグダ


演説内容を少々変更


日本へ入国しました。

え?どうやってか?

そんなのこっそりにきまってんだろ、言わせんな恥ずかしい。

即席水上ハウス作ってACで引っ張れば余裕ですよ。

試作の反重力推進器のおかげで静かにこれましたよ。

 

で、束さんが作ってくれた戸籍とかに従ってとある町の廃工場にたどり着き、まずはご近所からの評判を得るための作業に入る。

 

 

女尊男卑のせいで就職関係にも少し違いがあるようだ。

多分だが、白騎士事件前から働いているものは問題なくとも、それ以降に問題が発生したのだ。

このあたりは田舎だから問題ないが、都心へ出ると高圧的な強者になった気でいる女性に男性が脅されるという場面を多数見た。

 

 

 

 

仕方がないので商品にもそこらへんを考慮することにしておくが、どうも我々にはこの風習がわからない。

女性にしか扱えないマルチフォーム・スーツ?ただの欠陥だろそれは、そしてISコアなるものがないと対処できない?

確かに動力機関等が小型化したのはすごい、だがしかし、量産性がない時点でどうにでもなる。

絶対防御があるから死なない?

あーすごいすごい、その安全神話のご褒美に都市を滅ぼせる衛星砲のシャワーをプレゼントだ。

てめえらが作ったわけでもなければどうして未だに謎だらけの兵器を信用できる。

我々からすればその程度のものでしかない。

基本特性がわかっていて、坊ちゃんが毒性を下げてくれたコジマの方がまだ信頼できるというものだ。

それにあくまでコジマは素材だ。

外力を加えなければ一定以上の反応は返さない(情報不足)。

搭乗者に有害ではあるが、使い過ぎなければ自然治癒力でどうにかなる有害さだ。

それにだ、絶対防御で死なないのは搭乗者のみ、他はどうなる?

 

そしてだ、

ISには足りないものがある。

 

 

ロ マ ン だ!!

俺は認められない!!

認めてなるものか!!

あれが兵器だと認めることなどできん!!

 

なぜ萌えや色気を優先とした、製作者よ!!

 

兵器には萌えは要らん!!可愛らしさもいらん!!色気も要らん!!!

鉄と硝煙の漂う戦場にそんなものを持ち込むな!!

場所が違う!!

 

 

それに、そういったものは後から付いてくるものだ!!

 

そうだろう?諸君!!

 

 

 

 

 

 

「はあ、何を演説しているのだ、あのバカは」

「たしか、本日第二陣を送ると最初に決めていましたよね?」

「工場も錆びれたままで、まだやることもあるというのに……あとで説教だな」

 

工場の開けた場所で、コンテナに昇って声高らかに叫んでいるバカを見ながら第二陣、会社拡大の中心となる技術者(エンジニア)たちはため息をついた。

 

 

ちなみに、演説を行っている者を見る他の第一陣、誘拐犯撃退及び初期基盤の用意組は、そんなことはいいからちゃんと働けよ、という目で見ていた。

 

 

廃工場改修率、67%

 

 

 

 

バカを張り倒してコンテナから下ろした後、第二陣も揃っての会議が行われた。

「さて、二週間での成果を聞こうか」

第二陣のリーダーだろう人物が問いかける。

「とりあえず簡単なモノを作って会社の紹介を近所にしておきました。HP作って置いて、アクセス数は……十日で約400ですね」

「たったの400……ふざけてるの?」

ある女性科学者が苛立たしげにそう、吐き捨てる様に行った……その目線はある男に向かっている。

「どうせサイトについての宣伝はしていなかったのでしょう?馬鹿ですか?馬鹿ですね。知らないものをどう検索しろと?それくらい気を回しなさいよ」

ものすごい勢いで捲し立てる。

だが、責め立てられているはずの男はイイ笑顔でそれを受け止めている。

理由は簡単だ、この二人、実は夫婦であり、これがいつも挨拶だ。

そのせいで周りの見る目も暖かい。

嫁の方は背も低く童顔、だが目力がある。

夫の方は並程度の慎重に細マッチョと言った所だろうか。

夫に同僚が尋ねたことがあった。

「本当に、彼女と上手くやれているのか?」と。

それに返したのは「彼女はツンデレじゃなくれ毒舌デレだから。二人っきりの時はすごく甘えてくれるんだ」

 

まったくもって砂糖が吐ける。

変態どうしで気が合うのか社内結婚がなにげに多いACである。

 

「じゃあ、第一目標は一週間で10000アクセスってことで。各自思うように動くといい」

その一言と同時に全員が席を立つ。

しかし、そこでリーダー(仮)がそれを止める。

「あ、ちょっと待て。わかっていると思うが……」

 

「「「「「粗悪品(中途半端)は認めない!!」」」」」

 

「わかってるのなら良い。現在ある素材はジャンクだが、くれぐれも粗悪品は作らないように」

 

工作機械は向こうから持ってきているから例え錆びた材料であろうと精製は問題なく可能だ。

サボらなければ粗悪品なんぞ作るはずがない、造れるはずがない。

もし作ろうもんなら強制送還に教育、もしくは追放になるだろう。

さて、ここで話は変わるが、今回来たものを合わせて全員で異世界進出組は合計25人

第一陣が二小隊+1…11人

第二陣は14人。

そしてACにはテスターがいるものの学生以外は大抵開発も行っている。

もちろん、半端は許されないので新人は基本的に設計、報告、没の繰り返しになる。

今回のメンバーで設計から制作に持っていける……いわゆる一人前というのは20人、五人はまだまだ商品の開発は許されていない。

材料に余裕があるときならば作るのも許されるが現在は材料もなければ資金も足りない。

よって五人はテスターとしての働き以外今回はさせてもらえない。

唯一例外は会社HPの作成だ。

こちらは主に新人の仕事になる。

しかし望まれるものが遠すぎるのだ。

重くなく、それでいて見るものを楽しませるギミックを入れて、アピールが強く押し付けがましくない程度に、と言う矛盾が多く含まれた形になっている。

しかしそれを両方共こなさなければならないのが新人の辛いところだ。

一人前になればこの程度笑ってできるようになる。

 

言っておくがAC社員はほとんどが自他共に認める変態だ。

一部は仲間の制止がなければ人体実験すら厭わない……むしろ、嬉々として行うだろう。

今回第二陣として送られてきた14人の内、一人、そう言った人物が混ざっている。

だがまあ、まだ、安心ができる部類だ。

オンオフが効くのだ。

通常(ノーマル)狂化(ネクスト)、本人はそう呼んでいる。

数世代以上の結果を結構な頻度で出せるようになるが理性がトンで高笑いをしながら次々とイカレタことをしだすらしい。

当人は下品で嫌だと言っているが、割と定期的に狂化(オン)にしている。

前は一人がナニカサレタだけで終わったが、その前はAFイクリプスが作り上げられた。

当たり前だが、機体上面の死角には、AFジェットの移動型(レーザー)ブレードが仕込まれているので強さは比じゃない。

降り立った瞬間に足元から高出力のブレードが飛び出す。

対処できる人間はそうそういないだろう。

 

そもそも上に乗れるモノがなかったので上面通過の戦闘機を切り落とす程度の使い道しかなかったのだが……

 

 

「いやはや、なんというか……異世界へ来たせいかな?俺ぁ……ワクワクしてきたぞ!!」

それを遠巻きに眺めながらあるものが言った。

「今までのパターンから割り出すと……次の暴走は一月半後………その日の前から出張するかな……」

周辺を見渡すとほとんどの者が作業をしながら横目で前述の人物、班長を見ていた。

そして、そのターゲットに選ばれたであろうAC72千石千侍に哀れみの視線を向けている。

 

ただ一人、千石千侍、当人だけはそれを知らないでいた………

 

 

彼が純粋な人をやめる日は近いのかもしれない。

 

 



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一年後

ちょっとばかりささっと進んでかつ、突然でどうしてこうなったと言いたい人も出るでしょうが気にしないでください。




「さて諸君、そろそろ拠点を移そうと思う」

主任が唐突にそう言い出した。

「諸君のおかげで我々の知名度も上がりいつの間にやら蓄えが豊富にあった。そこでだ」

PCとプロジェクターを取り出し、主任がある映像を見せてきた。

「月に 行 か な い か ?」

 

 

08/01 月面より50m地下

 

「Welcomeだ諸君!!」

そういって主任は手を広げ皆を出迎えた。

と言っても一緒に来たわけだが……細かいことはおいておこう。

「いやぁ、魔法ってのは便利だね、地球から(ここ)まで一瞬で来れるのだから!!」

ハイテンションでヒャッハー!!している主任は続けて語りだす。

地球(した)の拠点は今日の昼から建築が始まるから最低でも一月は使えなくなる、まあ、そんなこと気にせずここを使って好きな物を作るといい、下と違って近所の眼を気にする必要も無いからな!!」

高笑いを一向に辞めない主任を放置して他のメンバーは施設を見回る。

「おいおい、何だよこれ、本部と比べるとまだまだだけど基本的に全部揃ってンじゃんか」

「こっちには高さ20mほどの格納庫がありますよ」

「資材も豊富にストックしてあるぞ!!」

見て回った後、みなして声をそろえて言う。

「主任、これどうやって用意を?」

「本部に頼んでやって貰った」

「えーっと……どこに?」

「さあ、ハーモナイザーを利用した環境適応スーツが出来上がったとかでそれの運用テストにちょうどいいとか言ってすぐにやってくれたから」

みんなして少し不安な顔をした。

どの部署が対応したかによってどんなギミックが隠されているか分かったもんじゃないからだ。

有澤ならいい、ただ重厚で丈夫な安心設計だから。

だが判らないなら仕方がない、流石に月に作る基地に変な致死性のあるものは用意しないだろうと信じて解散しようとしたところで……

「あ、そうだ。本多副社長の奥さんの束さんが遊びに来てるから、誰か護衛に行ってね~。主に戦闘能力もち」

爆弾が投下された。

 

「オイィィィィイ!!やめろよ、そして言うの遅い!!最初に言えよ!!」

「こっちの篠ノ之束と大体外見が一緒なんだから指名手配されてる状態だぞ!?正気か!!」

「AC72出撃しまっす!!転送装置は!?」

「ゲートオープン、出現地点は工場の正面だ!!ハイドモードで入れ!!」

「了解!!」

 

そしてあわただしく出撃してゆく千石を見ながら主任がボソッと呟いた。

「当人発明の装置で変装してるから見つかる心配は……あ、行っちゃったか……このままだと見つけられないかも。束さんの端末の現在位置を知らせるか……束さんにも護衛が向かったって連絡して……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころの束さん

 

「もう、そんなに警戒しないでもいいって~、さっきも説明したけど私と貴方は平行存在で別物だからね」

「フンッだ。そんな実証されてないことよりもクローンだとか整形って言われた方が納得できるよ」

傍目からはそう見えないが、瓜二つ(印象はぜんぜん違う)の女性が片方は威嚇し、片方がそれをなだめるというそんな状況が展開されていた。

ちなみに此処は何処かのビルの屋上。

「確かにそういった説はいろいろなところからあがっているよ?でも平行世界を移動する技術なんて数世代先どころじゃない、もっと先になる。それ以前にエネルギーの問題で不可能だよ」

「ところがどっこい、平行世界には物理法則を無視して独自の法則を持ったエネルギーが存在するのだよ」

ニヤニヤと私はお前の知らないことを知っているという感じの表情で言う。

「実際に今此処はその不思議エネルギーを使って作った力場(フィールド)に覆われていてね、対処法を知らないやつは此処に来たとしても私たちと同じ場所には来れなくてカメラや衛星ですも私たちを見つけることは不可能!!いわば半分異界に居るのだよ!!」

「それは空を見ればなんとなく分かったけどさ……だって明らかに普通じゃない色してるじゃん。で?もしそれが本当だったとして私に何のようなのさ」

彼女たちの妙なテンションでの会話は続く。

千石が此処にたどり着くまで続く。

 

 

 

□◆□十分後□◆□

 

 

 

とあるビルの屋上、そこに展開された結果内

結界に何かが触れると同時に結界内部に人型が現れた。

「束さん!!大丈夫ですか!?」

その人型は両手にこれでもかと言うほど大量の剣を構え、捜し人である本多束の正面にビルの天井を削りながら着地した。

それと同時に束を囲むように剣が降り注ぎ即席の防壁となる。

「ちょっと千侍くん!?静かにしてよ、この子寝たところなんだから!!」

千石は護衛対象の束にそう叱られ、千石はそちらを向く。

するとどう言う事だろう。

「訳がわかんねえがありのままに現実を話すぜ!!

 

束さんが束さんを膝枕して寝かしつけてる。

 

一体これはどう言う状況だ!?」

「だから静かにしてよ!!あとACで動かないで、それ重量物で駆動音と足音がうるさい」

そう言う束さんの、束さんの頭を撫でている手には遮音の魔方陣が浮かんでいる。

「ま、でもちょうどいいところにお迎えが来たよ。AC72《千刀》割り込み命令、通信システム起動」

「え?」

千石ののるACのシステムが勝手に展開され、映像通信の画面が勝手に展開された。

しかもAC内部ではなく外部にだ。

『さすが、というべきかな?まさかそっちから通信を繋げられるとは……』

「そんなことはどうでもいいんだよ。ほら、さっさとポータル繋げてよ」

『はは、了解。確かに下よりはこちらの方が安全だ。スイートルームを用意しておくよ』

「え?え?」

状況の把握ができていないAC乗り(パイロット)を無視して話が進む。

『AC72、スキャンモードに移行して位置情報をこっちに送って』

「りょ、了解」

言われたとおりにACをスキャンモードに変更し、位置情報の転送を始める。

『それにしても、その様子だとずいぶん仲良く成れたみたいだね』

「まあね、流石に干支の一周は違う、成人してるとは言えまだ大学に通っているような年齢の子だからね、可愛いもんだよ。子持ちを嘗めんなよ♪って事だね」

『ハッ、外見年齢十代で通る童顔が何を言うか……む?確かにそれと比べて全体的に少し大きいかな?』

「確かにね、AC(うち)には優秀な栄養士が居るからね。それにしてもこの子、どれだけ無茶な生活をしていたのかなぁ~睡眠時間足りてないし、お肌事情もかろうじて及第点ってところかな?」

千石はその会話を聞きながら位置データの転送を終える。

その頭の片隅でこんなことを考えながら。

(まあ、なんだか悪い状況では無いし、俺が知る必要もなさそうかな?)

ただまあ、このときは誰も知らないが……彼が改造されるのは間近であるとだけ、今は言っておこうか……

 

 

 

 

織斑一夏、中学三年生の夏の時の彼には関係ない場所での話であった。

 

 




さてさて、千石君はどうナニカされるのでしょうか?
次回はナニカサレタ直後のお話で行きたいと思います。


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彼が○○をやめた日

最近どうもこの話が進みます。
でも原作を読んでいないので設定とかめちゃくちゃですね。
何処かで原作読むまで更新が停止するかもしれません。


そして一言。
予想外の方向へ全力疾走してしまった。
なぜこうなった千侍ェ……


さて、唐突だが俺は何かされてしまったらしい。

正しくナニカサレタヨウダと言いたい。

これは如何言う事だろう。

朝起きてみればいつもと体のバランスが違うし、着替えの最中も違和感があって、鏡を見たらこれだ。

 

信じられるか?

俺、一晩たったら、女に成っていた。

 

「何で御座るか!!これは!?」

ん…御座る?

「もしかして拙者が……ぬ?拙者!?」

わけが分からない、言うつもりがなくても一人称が拙者で語尾に御座るが付いてしまう。

「責任者はどこで御座るか!?」

此処は自室、居るはずがないと分かっていてもついつい叫んでしまう。

早朝だとしても此処は月であり、防音設備もしっかりしていて声が漏れるとしてもここにいるやつはたいてい叫び声程度では目を覚まさない。

この行動はいわゆる八つ当たり的な者である。

だがしかし、此処には予想の斜め45度で飛び立つような変態ばかりが居るのだ。

慣れたと思った俺だって想像出来なかったよ。

 

突然天井が開いて、

「呼んだかい?そう、私が君をそうした責任者だよ。元千石千侍クン」

なんて良いながら主任が飛び降りてきたんだ。

鏡を見ている俺の真後ろにね。

まさかだよ、どっちかと言うと、主任が飛び降りてきたことよりも、俺が……

「うわぁぁぁぁ!!」とか良いながら素晴らしい裏拳を主任の顔面に打ち込んだ事がね。

何でか解らないけど恥ずかしいって思ったんだ。

「グハァ!!」

主任は壁に激突し、そのまま床に

ずり落ちた。

その間に俺は服を確保して着替える。

甚平を着て眠っていたから今の体だとちょっと問題があった。

「いい、拳を持っているな……元、千侍くん」

主任は壁にもたれかかってぐったりとした姿でそういった。

だが、次の瞬間にガバッ!!と立ち上がって俺を指差しながら、

「まあ、そう言う風に作ったんだけどね!!」

変態(しゅにん)は声高々に叫んだ。

 

直後、顔面に華奢な拳が突き刺さった。

 

 

 

その後、体の線が出にくいダボッとした服で身を固めた千石が椅子に座り、その前に十露盤(そろばん)板を引き、正座した主任が居た。

「それで、これは如何言うことで御座るか?」

なぜかクローゼットの中にあった、妙に手に馴染む機械的な槍を片手にそう尋ねる。

「それはだね……」

「クローゼットの中身も大分入れ替えられていたで御座るし、事と場合によっては……」

言い辛そうにする主任の首を槍の穂先の腹で叩く。

するととたん、主任は饒舌になった。

「いやね、束ちゃんと束さんと話し合った結果、一夏クンをIS学園に入れる際に我々の会社からも一人送り出そうって事になってね、年齢的にも適正的にも君が一番の適任者だったわけだよ」

チャキッ!!と音が聞こえそうな勢いで槍を90度回転させて少しでも引けば首が裂けるようにくっ付ける。

「ほうほう、それで?何故拙者は女に成っているので御座るか?納得できる理由を説明して欲しいで御座るなぁ」

俺の得意な武器は剣、と言うか刀なはずだったのだがこの体だとこの槍が妙にしっくり来て使いやすい。

「いや~流石に女子高に男で放り込むのはさすがにどうかな~って……」

主任の発言を聞いて、少し皮膚に刃を押し当てる。

「建前はいいから本音を言うで御座るよ」

押し当てた刃に赤い物が少し流れる。

(あ、これかなり切れ味良いな、業物?大業物かなぁ……)

質問に対して主任は良い笑顔で言う。

「試験的に別の班が行った世界で入手した技術が試したくてやりました!!それに前世(まえ)から好きだったんだ、本多二代!!まあ、でも安心してくれていいよ、性欲とかそう言うのは研究欲に負けて1%も存在してないからね!!」

反射的に槍を伸ばしてなぎ払う。

ちゃんと死なない様にはした。

「さっさと拙者を元に戻すで御座るよ!!」

「無理だな!!」

ゴッ!!

石突がその身を穿った。

うっかり力を入れてしまったがどうせ何らかの手段で防いでいるであろうから気にしない。

「無理と言うことはしないではなくできない、どういうことで御座ろうか?」

再び尋ねる。

「うん、だって冷凍保存(コールドスリープ)して本社で保存してるから」

俺の華奢な拳がその営業スマイルをえぐった。

 

 

で、

 

 

「つまりこの体は言葉の通り主任殿が作り上げた物で、拙者の元の体はAC本社にて冷凍保存されているということで御座るか……」

「そう、ちなみにISの知識も入れておいたから入試でも筆記試験満点間違いなし!!」

殴りたくなったが何とか我慢する。

「それで、拙者にどうしろと?」

「うん、二ヵ月後くらいにIS学園の入試あるからそれ受けて入学して」

ボディーを殴りぬいた。

「了解したで御座るよ。で、一般の受験生として行けば良いので御座るか?」

蹲っていた主任が手首についていた機械を動かすと起き上がってきた。

「ハーモナイザー改が無ければしばらくベッドの上だった。

違うよ?君には企業代表として出向いて貰う。まあ、もっと言えば月代表かな?」

おどけた態度で問題発言をするからと言って何回も殴っていては話が進まないからそのまま続きを促す。

「一夏くんがISを動かした時にでもマスメディアを一つクラックして束ちゃんを庇護下に置いた事とかを報道しようかと思っているんだ。

その後はちょっと面倒くさいのに絡まれるかもしれないけど……ガンバッテ!!」

槍のフルスイングで部屋から放り出した。

なんとも優秀な自動ドアが閉じるのを確認してロックする。

 

するとまるで見ていたかのようなタイミングでACに通信がきた。

『おはよう千侍くん……いや、今後のために二代さんって呼ぶわね』

通信相手はここでのナンバー2である多恵さん。常識的な思考ができて、故に主任のブレーキとして派遣されたはずなんだけど……

『ごめんなさいね、私が気付いときには既に行動は終わってしまっていたのよ』

まさか研究記録をサーバーではなく手書きの手帳にしているとは思わなくて……と呟いたのが聞こえた。

『ACのほうも今の体をセカンドオーナーとして登録しておいたから、ちゃんと動くとは思うけど何かあったらいってね?今の体を慣らすために第三訓練室は貴女用に常時開放しておくから……それと、貴方専用のISの開発も進んでいるから、落ち着いたらこっちにも来てね』

「了解で御座る」

『あ、主任はこっちでちゃんと回収しておいたから』

やっぱり見ていたのか……

『その部屋には監視カメラとかないから安心していいよ』

え?この部屋には(・・)!?

まあ、深く考えないようにしよう、確かにACは訓練された変態の集まりなだけあって奇妙な物が作られることが多い、ここは月であるからしてドカンとやられて穴でも開いたら一大事だな。うん、監視は重要だ。

 

 

と、まあ…こんな感じで進路が決まってしまった。

 

「はぁ、まったく変態共は何をしでかすか分かったモノではないで御座るよ……」

愚痴をこぼしつつ、主任が悪乗りで造ったと思われる服に着替えて、訓練室へと向かう。

 

唯一の救いは所帯持ちか、研究一筋の男しかこの場にはいないということだろう。

男に口説かれるとか御免被る。

 

「この世界に転生者のような輩が居ないといいので御座るが……」

 

おそらくこの声は天には届かないだろう。

なぜならここは月であるのだから………なんちゃって。

でもマジでハーレム思想の愚か者が居たら困る。

自分で見てもこの体はスタイルの良い美人であるのだから。

もし言い寄ってきたときに反射で殺ってしまわないかすごく心配だ……

 

 

 



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IS専用機

ACやISの説明回な感じです。



俺はすでにACの専用機を持っているわけだが、この度、ISの方も支給されることになった。

 

ACの機体名は千刀、作戦時の呼び名はツルギ、千刀と言う名の通り実体刀を大量に格納している。

しかも殆どがほぼ同じ型の物だ。

一部別の型があると言った方が早いであろう。

戦闘スタイルは基本近付いて切るだけ、そのためにブースターを強化した軽二脚。

だがしかし、構成パーツはオリジナルか作り変えた物、格納部が手足に増設されており、格納空間から取り出すことなく次の武器を手に取れる、ただし専用の小型の物に限る。

遠距離では短剣を投げるつけるなどの火器を使用しないスタイルである。

他のパーツは背にACB-0710、肩にASB-0710、追加ブースターのみである。

基本平均巡航速度700km/h

単独瞬間最高速度2400km/h

平均瞬間加速度300m/s^2

追加で魔導システムの導入によりカートリッジシステムが乗せられており、回数に限りがあるがさらに強力な加速も可能

肩の追加ブースターは基本的に横方向へのクイックブースト用ではあるが可変式になっているためこの速さをたたき出すことができる。

だが普通に考えてただの人間がこの加速に耐えられるはずがない。

では千石千侍が改造人間かどうかと言うことについてだが、答えはNOである。

ならばどうしてこのような機体に乗って無事で居られるか。

ここで魔法の言葉だ、

「魔法って、便利で御座るなぁ……」

いっつぁりりかる……もとい、It's a magic!!

ただ問題は搭乗者の生存第一にプログラムされているため、基本的に起動中は常に魔力を吸い上げられる。

魔力を使ったシステムが多い故に一定以上の魔力量と専用に設定された魔力波長でないと長期戦は不可能である。

搭乗者の体力、魔力、精神(メンタル)から帰還、撤退を促したり、これ以上は後に残ると判断した場合は強制パージも有り得る。

損傷率を告げてもくれるのだが……PAと魔道障壁のおかげでせいぜい10%までしか使われていない。

せっかく声優(プロ)に頼んで数パターンやって貰ったのに、とプログラムを作ったチームが愚痴っていた。

さて、ここまでふざけたスペックを説明してきた訳だが、これでも所詮俺のは量産型の枠に入っている。

ランク1~20、正しく言うとカラード1~20、ORCA1~10が原型(プロトタイプ)であり、初期組(ファーストナンバー)と呼ばれているモノで、それ以降の量産型とは一線どころか壁の向こうに居るような状況だ。

彼らの機体は何かとぶっ飛んでいる。

各々、個人のスペックも高いために搭乗者を殺さないと言う一点のみを考えて日々バージョンアップが重ねられているから驚きだ。

参考に、穴と言う形に似た最速のAC、ナンバーはカラードの17であり、速さのためにさまざまな物……主に装甲と単発火力を投げ捨てた機体【フラジール】目指すは速さは力に勝るだそうだ。

最高速度は音の三倍を軽く超え、視界に移った次の瞬間には視界から消える。

瞬きと被ってしまえば姿を捉える事もできない。

そしてこの機体に一番似ているORCA5の【スプリットムーン】瞬間の加速ではフラジールを超え、装備は大型レーザーブレード07-MOONRIGHT、通称月光を両手に装備している。

二刀流ってやつだ。

そしてそのほかは俺の機体と同じで追加ブースター……ここに来る前の噂では次のアップグレードで足にも月光を格納するらしい。

四刀流とか取り回せないだろうに…

続いてカラード16の【雷電】、単発火力最強のガチタンと名高い。

装備はグレネードとグレネードでとっておきはグレネードだ!!

うん、これで説明がつく。

担当者はやっぱり十メートル級のA(アーマード)C(コア)にしたいと言っていた。

雷電との地上戦はまず勝てない、雷管を刺激する物が多すぎて避けても爆風でダメージ食らう。

着火用とか、衝撃用とか、グレオンの癖に引き出しが多いのも特徴だ。

問題は装甲に魔力を流して強化の形をとっているため物理的にはもっとも硬いが……うん、皆までは言うまい。

表に出ているのは主にこの三機で残りは基本的に研究⇒作製⇒試験⇒……の繰り返しだと言う話だ。

ああ、後一機、特殊な魔力を持っているからと馬鹿げた企画のACが居た。

ORCA2【月輪】何でも使用者の魔力が無職透明だからと言うことで通常できない装備を装備しているらしい。

魔力にK(コジマ)P(粒子)を混ぜて撃ち出す砲とか、着弾地点付近に強力な情報ノイズを発生させて魔法の発動を阻害するとか……その代わりに持ち主に武術の心得は無いとか……どうも彼についての情報が少ない。

 

 

 

まあ、ACの話はここまでにしておこう。

ようやくに成るだろうか、つい昨日貰った俺のISについて説明と行こう。

 

ISの機体名は【鹿角】、鹿角と言うと本多忠勝の兜だったか?

装備は一本の槍と重力操作

前者は楽に使えたモノの後者の重力制御は難しい。

できれば振りを付けずに使いたい物だがうまくいかない。

 

前者は蜻蛉切りというらしいが……性別が変わったときに部屋のクローゼットに入っていた槍をサイズアップした物だ。

だから取り回し離れた物だが、どうも切り札的なものが仕組まれているらしい。

まだ使えない。

それにしてもひどい話だ、入試の実技前日になってようやく渡してくるのだから……

一通りの性能を試したら既に22時ってどういうことよ。

あ、ついでに試験運用したのは月面ね。

え、宇宙空間に出て大丈夫かって?

大丈夫に決まっているじゃないか、ISってのは宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツだぜ?

そこに魔導技術が追加されてるんだ、それはもう安心できるってもんだ、身内に裏切り者が居なければ、ね。

それにしても重力制御は難しい、主任に教えられたように剣作ろうとしたんだけど刃渡り20cmの刃が限界だ。

柄?そんなの要らないよ。

同時制御も二個分が限界だ。

両手一個ずつ、そんなイメージかな?

 

 

 

 

 

 

翌日、朝一番のニュースで一夏クンが紹介されていた。

 

《世界初の男性IS操縦者》として……

 

むう、IS操縦者と言うよりも適応者ってのが正しくないかなぁ……

 




千侍……二代ちゃんの入試の日に一夏クンの放送がされた理由はただ一つ!!


ISの数が少ないから地域で日をずらしてに入試を行っていたから!!


適正検査⇒筆記試験⇒日を跨いで実技試験って感じだと私は解釈しました。

いや、五反田蘭ちゃんのはなしだと適正診断は先に受けておけるみたいですけどね、まるで健康診断みたいに。


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入学しました!!

今回は自己紹回です。
とはいっても犯行予告声明みたいなところのほうが大きいです。



無事に入学できました。

実技?

相手の人は普通に先生でしたよ?

蜻蛉切りが六倍まで伸びるのを利用して壁に叩きつけてからの連激で強引に削りきってやりましたよ。

…まあ、重力操作で壁に押し付けながらだったんで楽にコンボ決まったんだけどね。

でまあ、入学したんだけど……束さん…ああ、こっちのほうね。うん、その束さんがなんか手を回したみたいで織斑の一夏クンと同じクラスになりました。

でまあ、今自己紹介やってるんだけど自分の番が近付くにつれ、憂鬱な気持ちがどんどん……

いやね、拙者、御座る口調が一般的じゃないことぐらい理解してるんだよ?

でもまるで小さいころから使ってたみたいに染み付いちゃってて取れないんだよ。

おおう、後三人しか前に居ないではないか……

えーっと……名前に、年齢性別…はいらないな、間違って男と言ってもいけないし、言うまでもない。

趣味……鍛錬?

特技……剣術に槍術に……掃討戦……最後のいらないな。

所属は……あ、そういえば…

「本多二代さん?」

少し心配そうな目でこっちを見る先生。

体調が悪いとかの心配じゃなくて気に障ることをしたんじゃないかと言った感じの様子を探るかのような感じだ。

「失礼、少し、自己紹介について考えていたで御座るよ」

隣がこっちを向いた気がした。

「では改めて、拙者の名前は本多二代、趣味は鍛錬で特技は剣術に槍術と言った無骨な者では有るが宜しく頼むで御座る」

ここでいったん言葉を切り、スカートのポケットより懐中時計を取り出し時間を確認。

「ちょうどいい時間で御座るな、先生殿、少し長引くかも知れぬがいいでござるか?おそらくここで見ておかないと皆も後悔……は、しないで御座ろうがまあ、見たほうがいいと思うので」

ヴンっと音が聞こえそうだがそういった音も無く、三本の刀の首飾りから仮想モニターが表示される。

「え、ええっと……本多さん、それは……」

「ただのテレビに御座る……あと五秒それでは拙者の所属についてで御座る」

投影されたモニタには朝方のニュース番組が流れていたが、二代の言った五秒、ちょうどその半秒前に画面にノイズが走り、切り替わる。

 

『ハッハァ!!創めましてぇぇ!!地上(せかいじゅう)の皆っさぁぁぁん!!』

ハイテンションな主任の挨拶が唐突に始まった。

「え、え?なんですかぁこれぇ!!」

『突然ですが、テレビから始まりラジオにインターネットぉ!!すべてのメディアを抑えさせて貰いましたぁ!!』

さらっとハイテンションでとんでもない事をぬかす。

『おっとぉ、各国の皆さん、どこからクラックしてるか突き止めたそうだけど無理ですぜ!!』

すうっとカメラが後ろへ下がり、主任の背後が見えた。

『何故なら此処は見ての通り!!宇宙!!そして月なのだから!!』

バァァァン!!と背景に擬音が文字として浮かんだ。

『フハハハハ、地上の諸君!!月は我々(アルカディア)(カンパニー)が貰ったぁ!!元々ッ誰の物でもない此処にわれわれが居住区を作ったのだ!!文句は此処に向けてメールを送ると良い!!』

下のほうにメールアドレスが表示される。

『おおっと、まだ一分もしてないのに次々と……まあ、代表で適当にこれぇ!!

何々?なるほど、月は自分の物だと言う主張か……残念だったな!!此処は既にわが領地よ!!』

その後、数十秒に渡り主任の高笑いが続き、

『だがまあ、そうだな、此処は歴史に沿って月が我々の物だと主張することにしよう。

つまりは力ずくだ!!先住民が居ようと攻め落としその者達を奴隷にまで落とす、大国もそこから始まった訳だしな!!奴隷は要らぬが権利を主張するためにメールを送りつけてくれた国に宣戦布告としようか!!』

画面が切り替わり、数十の国の国旗が表示される。

『さあ、今表示されている国の諸君!!戦力を国の中心、政治のではなく土地としての中心に集めておくと良い、一週間後に戦争を始めよう!!降伏はいつでも受け入れる。メールを送ってくれればその時点で攻撃をやめよう!!ああ、降伏したところで別に植民地にしたりはしないよ、ただ、月が我々の物だと理解してくれれば良い。君達が私たちと同じ土俵に立ったら、そのときは敬意を持って対応しよう』

そこで一息おいて、

『そうそう、我が社から一人、IS学園に送ったが問題は無いよな、国事に関係ない学園な訳だし、それに……』

カメラがくるっと90度角度を変えた。

『はろはろ、束さんだよ!!私は現在この企業に身を寄せているんだ!!いやー同類がいっぱいってのは楽しいもんだね!!』

ISの開発者である篠ノ之束だ。元気よくカメラに向かって話している。

『まったく、宇宙空間での活動を想定して作ったって言うのに未だに誰も宇宙に出ていないじゃないか、駄目だめだねぇ、それに比べて彼らはあろうことか月面ならぬ月内基地を作り上げてしまったのだ!!

うんうん、それに私から情報を得ようなんて考えが一切無いからね、地球上に居るよりもここにいたほうが安全なのだ!!どーせ君達一般人が月に来れたとしても此処の入り口を見つける前に活動限界を向かえるだろうね、だから無理して来ない方が良いよ』

ガタッ!!と教室の方で誰かが勢いよく立ち上がった。

篠ノ之箒、彼女は唖然とした表情でなにやら呟いている。

姉さん、あんな所に?がかろうじて聞き取れた言葉だ。

『私から一言、慈悲で言うけどね、降伏は早くしたほうがいいよ。それに、学園に送った子を抑えようとしても無駄、IS以外にも彼らの開発したとびっきりのものを持っているからね……たかがISを使えるくらいの凡人にどうにかできるレベルじゃないから。

 

それじゃあね♪』

そして束さんは跳ねる様に部屋を出て行った。

『とまあ、そんな感じでな、専用機を用意してあるわけだ。別に機密にするほどのものを積んではいないので自由に情報を集めるといい』

フ、フハ、フハハハハハ!!

との高笑いを残してメディアジャックは終了した。

 

そこで俺はACの機能を停止して、自己紹介を続ける。

「と、まあ、こんな変人の巣窟が拙者の所属企業に御座る。拙者は彼らほど常識を棄ててはいないと思うのでどうか仲良くやって欲しい」

そうして着席したが、周囲からの反応がない。

と言うか、反応の無い人物とさっきの放送に関して話合う人、そしてそのカオスな状況でおろおろする人に分かれた。

あまりに唐突な出来事に頭が付いて行ってない様だ。

 

ACからマインスイーパーを起動させて、皆が再起動をするのを待つことにした。

 

 

 

 

それから十分ほどして教室に新たな先生が入ってくるまで、その状態が続いたが……まあ、大丈夫だろう。

 

 

追伸、担任があの童顔巨乳の先生じゃなくて千冬さんだった事に驚いた。

挨拶しようかと思ったけどよく考えたらあの時と今で俺自身が何からナニまで変わっている事を思い出して何とか思いとどまる事ができた。

 

 

 

あ~あ、今後喧嘩とか吹っかけてくる奴が出るんだろうなぁ~メンドクセエ……




さてさて、一週間後に何が起こることやら
当てた人、もしくは近かった人にタグを決める権利を上げよう。
と言うかタグまで手が回らないからこんなタグいいんじゃない?って候補挙げて下さい


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一週間後‐世界が少し変わった時‐

なんだかグダグダでヒャッハー!!な状況に成りました。

自給自足な生産者(企業)ってよく考えるとすごいですよね。


『ハッハッハ、約束の一週間がたったが、準備は良いかね?私の言うことを聞かなかった子は大変な目に遇うだろうが、安心すると良い。ちゃんと把握しているから手加減をしてあげよう!!』

一週間後、まったく同じ時間にまたもやメディアジャックが行われた。

『さて、突然ですが空を見上げて見ましょう』

上を指差しながら主任は言う。

『ほーら、何か輝いた物が見えないかな?ああ、もちろん太陽以外でだよ?』

空を見てみると、そこには確かに、輝く何かが見えた。

『あれはね、隕石なんだ。先週に言ったとおり本日から我々は戦争を始め、月の領有権を認めてもらおうと思います。先ずは隕石を一発ずつプレゼントしようと思ったわけですよ!!、ああ、ちゃんと迎撃できるギリギリの物を用意したからね、全力でがんばってくれたまえ!!』

画面にIS学園を中心とした地図が現れ、着弾予想地点と赤い点が多数表示された。

『これは地球の自転速度が急に判かしない限り大体ここら辺に落ちるように調節して落としたからね。

これから一時間おきにこの地図に次に落とす場所をマークしてあげるから。』

 

 

『それでは、頑張りたまえ。……いつでも降参して良いんだよ!!』

そういい終わると、地図は小さくなり隅へ移動、同時にURLが表示された。

 

「まったく、相変わらずお遊びが過ぎるで御座るな」

「そうじゃないでしょ二代さん、あそこ所属ならこの暴挙を止めてよ!!」

「いや、そうは言われても困るで御座るよ、月まで384,400km有るのだから、ISで全速力で向かったところで一日以上かかるで御座る」

「でも、「それに、月は地球の周りを回っているで御座る、ただまっすぐ進めば良いと言う訳でもないので流石に単独では不可能で御座ろう」

さらに、繋げて続ける。

「拙者、流石に月面で入り口を見つけるのは容易ではないと思うのだ」

と言うよりも無理です。

「まあ、各国には月面を攻撃で来る武器はまだ無いであろう、仮にミサイルの類を打ち出せたとしても迎撃されて届かないのが落ちで御座る。手っ取り早く降参するのが被害が少なくて済むだろうと拙者は思う」

まあ、国の面子とかで国がでかいほど降参しないだろうけどね。

「ふむ、早速降参した国が居るようで御座るな、マーカーが幾つか消えているで御座るよ」

 

その後、学校でも何か有ったみたいで織斑先生が課題を出してそれをやる自習と言う形になった。

窓から外を見るとまた一筋の光が落ちていくのが見える。

「4発目で御座るか……」

ボソッと呟いたわけだがその根性は尊敬に値する。

もし破壊をし損ねれば町が一つ以上吹き飛ぶサイズの隕石だ。

隕石自体もすごい速度で降って来ている訳だから破壊にかけられる時間も少ない。

一時間に一発とはいえ、その精神的疲労は尋常じゃないはずだ。

破壊の際にも失敗すれば一部を削るに終わったり、逆に広範囲にばら撒いてしまう場合も有るのだ。

「若者だけでは辛い局面で御座るが、歴代の英雄を解雇してしまった国はどうすることやら…」

手っ取り早く課題をこなした俺は、ネットにつないで野次馬のアップした情報を見たり、千刀を用いて企業(AC)の監視衛星や攻撃制御系を確認して現状を見る。

「まだ二桁後半も残っているで御座るか……大国と女性至上主義に染まった国家が多いで御座るな……その場合対処に当たっているのが男ばかりと………なんと卑劣な、ISは最強では無いのか?引きこもらせずにISを出せばよかろうに」

それぞれ対処の現場を確認していくが、ISを前線に出している国と出していない国がある。

「出し渋っているのか、それとも実践に耐えれるだけの物がないのか……分からんで御座るなぁ…」

 

ポーン

頭の中にショートメールの着信音が成った。

『新しい武装ができたから機会があったら使ってデータ送ってね』

《重力制御式加速砲塔》

武装のスペックデータが送られてきた。

……

『送ってくる余裕があるので御座るか!?』

……あれ?通信の文章まで汚染が?

数回書き直すが文章が変わらないので仕方なくそのまま送る。

五秒で返事が来た。

『主任がハイテンションで頑張ってるから、彼だけで大丈夫。今日はそろそろやめるらしいわよ。明後日には全部降参させてやるってゲーム感覚で言っていて……まあ、実際にブースター取り付けて押し込むだけだからね』

「本当に問題ばかりで御座るな……この一件で拙者らはマークされる事に成るで御座ろう……胃薬が必要になるかもしれぬ、物理的な手段に出てくれれば正当防衛で鎮圧して終われるのだが……」

ちまちまと鬱陶しいちょっかいをかけられるだろう未来を考えると憂鬱な気分になって来る。

 

「まったく、謀は門外漢だと言うのに……誰かサポートを送り込んで欲しいで御座るよ」

いろいろと考えながら授業の終了を待つ。

 

ACによる隕石攻撃はこの次ので本日の分は終了だと言う放送が入れられた。

 

なお、設けられたホームページでは攻撃以外のときはCMが流れていたり、通販のページに成っていたりする。

 

 

 

 

・一日目

否定意見、月は自分の物だとする発言をした国家を相手に戦争を仕掛けた。

今日はその開戦一日目だ。

すべての国に降参するまでは平等に隕石を落としてやった。

今日落としたのは最後まで降参しなかった国に10発。

成果として、半数の国が降参、我が企業の月の領有を認めた。

 

 

・二日目

今日は小さめの物を昨日より短い周期で落とす方式を取ってみた。

今日は割と早いうちにリタイヤする国が出た。

まだ生き残っている国でも前線に立たされている者達からは不満の声が挙がっているようだ。

まあ、ちゃんとアフターケアして、もし隕石を落とした後でも降参のメールが送られた時点でそれも処理しているわけだから、前線でまさに死線に立たされている者達からするとそう言う意見も出るだろう。

プライドで頑張っている者が大半を占めているが、国によっては配られた数のISがこの状況で出てきていないことに不信感を持っている人も多いみたいだ。

あげく「もっと華麗にすばやく処理しなさい」見たいな事を言われてやる気が出るほうがおかしいと思う。

明日は本格的に兵器を導入する、みたいな放送をしたら幾つかの国がリタイアした。

 

 

・三日目

今日は隕石じゃなくて金属の杭を投下してみた。

レーダーで捉えて撃墜が不可能と見た軍のお偉いさんが国を通さずに降伏するからあの槍を落とさないでくれみたいなメールを送ってきた。

実に素晴らしい。

確認から判断、行動に出るまでの時間が実に素晴らしい。

遅れてメールを送ってきたお偉いさんや元お偉いさんが居たことに不覚にも感動してしまった。

女尊男卑とかでひどい扱いにされているようなのにそれにもかかわらず母国のために政府を無視しての行動。

尊敬に値するね!!

 

その後にそれが誤りだ、個人の先走った行動であり、国は関与していない的な事を書いたメールが届いたので、そいつらの避難したシェルターに杭を打ち込んでやった。

もちろん加減をしたから建物に被害は出たが、人身は振動で転んだとかそういったものだけだ。

まだ、二つ三つ降参していない国がある。

国民が犠牲になる位置に落ちるが、国の要所では無いからと杭を迎撃する意思すら見せなかった国もあった。

あらかじめ、こっちが避難勧告を出しておいたが、実にひどい話だ。

そんなやつらにはもう一歩先の攻撃をお見舞いする事にしよう。

首相官邸とかだけ狙ってやる。

 

 

・四日目

今日も一国を除いて(パイル)の雨だ。

残りの一国にはドーンハンマー。

四人の工作員がハイドモードでドーンハンマーのターゲッティングレーザーを照射する運びになっている。

無論、これもゲームなのであちらさんにも阻止方法を教えておいた。

四箇所から徐々に中心に向かって粒子ビームが徐々に近付く……ビルを倒壊させる事が出来るくらいの威力はあるから建物の中に居ても無駄だと言う事ですよ~

 

昨日前線の意見を愚かだと笑った国にも数本杭を落としたら素直に降参だとメールが来た。

今日は順々に降参していくもんだから残った国に攻撃が集中する事となって、戦争は終了した。

一部を除いて狙ったのは開発予定地だったりの更地にしても問題ない場所にしておいたから私に残っている良心も大して痛まなかった。

さて、月の領有権を認められたところで早速月の要塞化を進めることにしよう。

先ずは衛星軌道掃射砲エーレンベルグを各地に建てようか。

 

 

 

 

 

こんな主任日記が発見されたので、相部屋の()に話したら引かれた。

こんな事して今後どうする気なのかと聞かれたりもしたが、今回のこれは月を開発してあーだこーだ言われるのが面倒だったから先にことを起こしたらしいと言う事を告げた。

怖がられた。

基本的に研究と商品開発をさせておけば(無闇に近寄らない限り)安全な連中だから攻撃しなければ普通にそこらへんの会社と同じだと言う事とも言っておいたが……やっぱり疑われた。

ACの通販のページを紹介しておいたら静かになった。

 

後日、お菓子の詰まった箱が届いた。

箱に描いてあるロゴからAC製の商品だと理解できたが……俺は頼んでいない。つまりは同室の子が頼んだのだろう。

品質はもちろん、世界のどこでも即日配達可能が売りのACオンラインショッピング……

開業セールをやっている事が原因か、数日間、寮の中でACのロゴの付いたダンボールがよく見られるようになった。

紹介翌日にAC(オンライン)の会員カード(一桁)を見せられたときは実に驚いた。

何でも技術力は先日の事件で分かってるし、初回サービスの速達で頼んだお菓子がおいしかったから登録したらしい。

社員(わたし)の紹介だと言う事を会員情報に書き込んでサービスのロックを解消して上げたら喜ばれた。

流石にそう何人も紹介するのはよくないから内緒にしておくように頼んだが、あんまり口が堅くないように見えるので拡散を注意しておく事にする。

 

 

 

 

最後に一つ、小動物的なルームメイトを時々抱き枕にしている拙者は悪くない。

 

彼女の寝巻きもきぐるみみたいなものだから問題ない!!




るーむめいと……なにものなんだ


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はいはい、テンプレテンプレ

短いです。


何をどうやったのか分からないが、ISが登場したときよりも遥かに小さい混乱の後、世界は平常に戻った。

 

拙者の通うIS学園も自習が八割の期間を終えて通常授業が戻ってきた。

世界初で唯一のIS操縦可能な男性こと織斑一夏は幼馴染みであろう女性の力を借り知識ZEROを基礎知識までは引き上げた様だ。

 

そして、後回しにされていた諸々を決めることになって先ずはクラス代表らしいが……

喧しい、と言うよりも一応HRで御座ろうに、何ゆえ担任の織斑先生は止めぬのか……

副担任山田先生はあたふたしているで御座るし……

 

しかし、拙者のISはもともと規格が違うで御座るからな……

宇宙開発用の物を競技用にするために無理矢理出力制限を設けたわけで……

そう言えば先日重力加速式砲弾投射機が送られてきていたで御座るな。

今の内にどういったものか確認しておくとするか。

 

一応、分かりにくいように手のひらサイズで情報を出して……

 

「本多、何を他人事のようにしている?お前も推薦されているのだぞ」

「は?マジで御座るか?拙者に弱いもの虐めをしろとは何事で御座る。武士としてそれは如何なものかと……」

つい反射で答えてしまった。

「よ、弱い者虐め?今、弱いもの虐めとおっしゃりました!?」

「そうで御座ろう?あの程度の隕石(いし)を単騎で半減させる事もできぬ者が代表である時点で程度が知れているで御座るな」

おっと、また口が滑った。

「な、ななななら、貴方にだったらどうにか出来たと!?」

うむ、もっともな言い返しだ。だがしかし

「どうにか出来てしまうので御座るよ」

重力制御で表面を剥がして加工、その(やすり)で削って、剣が折れたら再加工を繰り返せば最低でも五割と三分は、場合によっては七割近くを削れるかもしれない。

ただ砕くだけだと処理が難しくなるから削らなくてはいけないからなかなか難しい。

「仮にも拙者は月の企業のテストパイロットで御座るよ、月に向かってくる隕石を処理する事も有る故、あの程度の大きさであるのなら現在の(競技用)設定でも半分のサイズにして減速くらいはさせることができるで御座る」

重力制御、超便利。

問題は重力『制御』であるから重力……星の引力がないと使えない能力なんですけどね。

そのため、宇宙空間では別のユニットを積んでいる。

「貴女のISには蜻蛉切りという槍とAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)もどきしか入っていないのにそんな事ができるわけがないでしょう!!」

「おや、拙者の資料にしっかり目を通しているようで御座るな。

しかし、勘違いはなはだしいで御座るよ、高々慣性を打ち消すだけのシステムと重力制御を一緒にしないで欲しいで御座るな」

うん、使いなれればこっちの方が使いやすいはず。

「ふざけないでくださいます!?ポッと出の企業にIS登場からずっと研究している私の国が劣るはずが無いでしょう!!」

え?いや、技術力の差はつい先日に嫌と言うほど知れ渡った気がするんだが……

ま、いいや。

「ふう、もう良いで御座るよ、結局何が言いたいので御座るか?」

「決闘ですわ!!貴方の実力、私が見定めてあげます」

バーン!!

と、効果音が出そうなくらい胸を張ってセシリア・オルコットは答えた。

な、何故(なにゆえ)この御仁は偉そうで御座るか!?

っと、いけないいけない、心の中でくらい元のままでありたい。

「まあ、良いで御座るが……兵装のスペアは有るで御座るか?無いようならば……」

「ご心配なく!!ちゃんとありますので全力で来て下さい!!」

おおう、いきなり叫ばずとも……

「よし、話はまとまったな?来週の放課後にアリーナの予約をしておこう、日時が決まったら連絡する。

 

授業を始めるぞ、用意をしろ!!」

 

ふぁ!?決定?決定しちゃったの!?

まあ、良いけどさ……機会があったら送られて来た武装でも使ってみるかな弾は現地調達と言う超経済的な一品なんだけどね!!

蜻蛉切りは……出す必要ないかな。あれ、通常駆動で手加減効かないから困りもんだね。

基本的に重力制御があれば何とか成るかな?

問題は材料、アリーナの地面は何製か……土ならまだしも砂だと辛いか……本当はちゃんと舗装されていてある程度の硬さを持っていると良いんだけど……流石に銃弾やら撃墜やらで被害を受ける場所だから……いちいち舗装していたらいくら金が有っても足りないよね。

うーん、少し辛いかもしれない、ただの槍として蜻蛉切りを使うとするかな。

《ひゃっほー、二代ちゃぁん。いきなり代表候補生との決闘(けんか)かい、やってくれるじゃないか!!》

ビクンッ!!と全身で驚いてしまった。

「どうした本多、何かあったのか?」

やはりと言うかバレバレで質問されてしまった。

「いや、ちょっとばかり、変態(じょうし)に驚かされてしまったので御座る。気にしないで授業を進めてくだされ」

俺はISを軽く掲げて振動するところを見せた。有ってよかった携帯機能

そして、たちの悪い悪戯で御座るよ、と呟き先生に言い訳をしておく。

念話に移る。

《いきなりなんで御座るか!!》

《いやぁ、二代ちゃんがイギリスの代表候補に喧嘩を吹っかけられたって情報が入ってね》

《それ、五分も経ってない情報で御座るから!!いくらなんでも鮮度がよすぎで御座る!!》

野郎、絶対に盗聴か何かしてやいがるッッ!!

 

 

そんなこんなで通常授業一日目は終了した。

 

 

本日の出来事

・通常授業が帰ってきた。

・いつの間にかオルコット、織斑と戦うことになった。

・主任が盗聴機を仕掛けている疑惑が浮上

【返答】ツルギ(AC)から情報を聞いたそうです。盗聴機の類いは仕掛けていないことを確認しました。安心してください。

 

 




この戦闘終わったら、原作を投げ捨てようと思うんだ。


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てーれってー①

なんでこうなったか解らない。
わかった人は挙手!!


来てしまった決闘の日

なんでかしら無いけど織斑の一夏とも戦う事になっていた。

「そして何ゆえこの状況か……」

個室待機を命じられました。

フェアにするためだか知らないけど情報自体は公開されているのだから未だ専用機の届いていなかった織斑は例外として意味は……あるか、文字だけの情報や映像と違い、実際に見ると三次元で見ることが出来るから映像でわからなかったことでも何か気がつけるかも知れないな。

「それにしてもここぞといわんばかりにいろいろな物を送りつけてきたで御座るな……」

俺はISから兵装情報を開いて確認している。

箇条書きに上げると

・蜻蛉切り

・重力制御式加速砲塔

・片梅

・片椿

・KATANA-01

・Lancer Assault Rifle

・Hammer of Dawn

・対警備組織規格外六連超振動突撃剣

 

え?なに、最後のが分からない?

対警備組織規格外六連超振動突撃剣(グラインドブレード)

だよ。

一応全部が試作ではあるけど……後半の致死性高すぎじゃね?

あと、弓なんて使った事ありませんから。

外見(みため)上まじめに何かを整理しているように見えながら内心でいろいろと見ていると部屋の扉が開いた。

 

「本多、織斑とオルコットの試合が終わった準備しろ」

「先生、拙者の対戦相手は?」

「オルコットは装備の破損があり、それの用意があるからな……織斑だ」

「Jud.了解で御座るよ、何処へ向かえば?」

「付いて来い、すぐそこだ」

すっと踵を返し歩き出す織斑先生。

 

相手は織斑か……まあ、素人ですし、兵装を試しながら遊んであげるかな。

 

あ、流石にドーンハンマーは使えねえや。

なぜに衛星兵器作ったし……

 

 

↓↓↓↓↓

 

 

「で、織斑殿?貴公は拙者をなめているので御座るか?」

あろう事か織斑は真っ白なISを身に纏い、近接ブレードを構えた。

「拙者自己紹介で言ったはずで御座るが……剣術は得意だと」

KATANA-01……正直ただの刀だ青メインカラーとした機械的な柄を持ったISサイズ(通常の2~3倍)の刀である。

「拙者が見るに過去、剣を扱っていた事はあっても……錆付いているで御座るな。少しは落としてきたものの錆落としは追いついていないと見た」

正眼に刀を構え術式を待機させる。

「故に、言わせて貰うで御座る。

戦闘力……せいぜい14……相手に成らん御座る」

軽く圧力を掛けてみると、スッ……と片足を下げてかすかに後退した。

「そ、そんなもん。やってみねえとわからねえだろ!!」

真っ直ぐ突っ込んできた、動きが分かり易すぎる。

俺は術式【飛翔】を発動させ流す。

シャッ……という軽い金属のこすれる音が鳴り、織斑は飛びかかった勢いで俺の後ろに流れていく。

「むう、少々ズレが……早急に修正する必要があるで御座るな」

呟きながらも滑らかに、しかし止まらぬように体を動かし、姿勢を崩した織斑に切りかかる。

「ッ……!!」

しかし俺の振った刀は先端を少しかすらせるだけに止まった。

「驚いた、バランスを大きく崩しながらもまさか、逃げるとは思わなかったで御座るよ。負けん気は相当な物と見た」

ゆらりと、風に揺れる葉を意識した動きで間合いを詰める。

後二歩半で間合いといったところで、距離を開けたと安心して大きな動きで振り向いた織斑と視線が合った。

「なッ……」

「戦闘中に動きを止めるのは自殺行為で御座るよ?」

袈裟切り。

「がっ…~くそっ!!」

至極分かりやすく、間合いを軽い円を描くように詰め切りそのままの動きで刀に移動軌道からの円運動で遠心力を掛けて振り抜いた。

だが俺は此処で一つの見落としをしていた。

「くらえ!!」

刀が織斑の肩の装甲で止まってしまったのだ。

大きな衝撃は入ったものの刀本来の切り裂くという力は発揮できなかった。

予想外のところであたってしまい、インパクトポイントがずれて、大刀筋も乱れた。

さらにIS故というべきか、機体の腕力と遠心力で振ったにもかかわらずP(パッシブ)I(イナーシャル)C(キャンセラー)によるせいかよくわからないが、体重がかかっておらず、刃が背に浮いていたユニットに食い込み、肩の装甲に触れたところで勢いを失ってしまったのだ。

そして織斑はカウンターのようにその手に持った《光の剣で》なぎ払いを行って来た。

「グゥ……しまった、踏み込みすぎてしまったで御座るか……」

吹き飛ばされた事により、刀は抜け、手元にあるが、衝撃のせいで酷い刃こぼれをしてしまっている。

「おおう、これではもう使えんで御座るよ……」

「おい!!、なんでお前、零落白夜を受けて平然としているんだ!!」

ほう、あの光、零落白夜と……

「防いだからに決まっていよう、しかし逆に聞くが、なぜそれで切られたら如何にか成ると?」

俺は手に持った超ゴツイ・アサルトライフルを見せながら返事を返す。

「なっ……これを知らないのか!?」

「知らないし、知る必要も無いで御座るよ。エネルギー刀、そんなところで御座ろう……どんなに強力で有ろうと当たらなければ意味が無いで御座るし、」

話しながら手に持ったライフルを確認すると軽く変形して銃口がつぶれてしまっている。

「それに、嘗めてかかるとビギナーズラックというか、よく分からない幸運で最悪負けかねないと分かったで御座るよ」

刀とあさるとライフルをしまい、両手に超ゴツイ・アサルトライフルを取り出す。

 

正式名称はLancer Assault Rifle試作ではあるが、気前よく4丁渡されていたのでジャンジャン使う事にする。

しかし、よく見ると先ほどと違い、片方にはチェーンソーの刃が付いていて、もう片方には付いていない。

まだ使うつもりは無いので気にせずに両の銃口を織斑に向け引き金を引く。

ダダダダダ………と、勢い良く弾が発射され、弾幕が形成されるが問題が発生した。

だがしかし……

「うお!?こ、これ結構反動が大きいで御座るな……」

ISの力をもってしても、軽くではあるが照準がぶれてしまっている。

流石にこれの二丁装備は問題があった。

「弾幕が薄くなった……これなら!!」

大きくぶれて弾幕が薄くなったところで織斑が勢い良く突っ込んでくる。

「しまった……こうなったらッ!!」

俺はランサーの引き金から指をはずし、もう一つの引き金(・・・・・・・・)に指を掛け、引く。

片方からはブロロロロと何かの動力が動きだし、銃口の下に付いていた刃が動き出した。

もう片方はシャキンッ!!といった効果音が出そうな勢いでエネルギー刃が発生し、動き始めた。

こっちはなんでかギュイィィィンと分かりやすい機械音を立てている。

それを内側に向けた状態で手をクロスして上段から振り下ろしてきた零落白夜を受け止める。

ギィィィィィィン!!

と言う、ものすごい悲鳴を上げながら両者はぶつかり合った。

物凄い火花を散している。

 

これは酷いと当事者ながら他人事のように思ってしまった。

なんと言うべきか……拮抗しているようでしていない。

俺には解ってしまった。

 

 

これは演出だ。

 

音も、火花も演出。

エネルギー刃のチェーンソーは確かに零落白夜のエネルギー等を引き裂いており、実態等のほうは順調に織斑のブレードの実態部分を削り、切断している。

織斑は必至に押し込んできているが、それはあまりにも悪手だ、最悪の選択でしかない。

押し合わせれば押し合わせただけその剣は死へと突き進んでいる。

 

せめてはと、俺は引導を渡してやる事にした。

クロスした手を開くように勢い良く動かし、織斑の剣を断ち切る。

一瞬の出来事だったが、その一瞬で織斑の顔に怒り、驚愕等の感情が浮かんだ。

 

が、次の瞬間には恐怖と絶望で染まった。

 

俺が、両のチェーンソーを、織斑に、振り下ろしたのだ。

 

 

接触後、半秒と経たず、織斑のISのシールドエネルギーは零を指し、その機能を停止した。

 

 

 

 



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インターバル

千冬さんの視点で書いてみたつもりですが、原作未読な私にはどうも、上手く性格がつかめません。
クールで鬼軍曹でブラコンでだらしないとかどう混ぜればいいのかわかりません。

此処はこうしたほうが良いと言う意見があればぜひ言ってください。


◇織斑千冬視点◇

 

 

 

クラス代表決定戦の第二回戦、織斑一夏対本多二代。

姉として一夏にかて欲しいという気持ちはあるが、どう考えても実力の差がありすぎる。

勝てる要因があるとすればISの性能差……と言いたいがあんなことをやってのける、束と同等、もしくはそれ以上の面々が作った物ならほぼ確実に性能差はないと考えたほうがいいだろう。

そうなると……一夏に勝ち目は見られない。

武人の本多と、一般人の域を超えられていない一夏。

大人と子供の喧嘩だな。

二代が油断していてあれが当たれば、勝てるかもしれんが……どうだろうな……

 

本多の武器は……日本刀!?柄はそれっぽくなっているが刀身はほぼサイズアップしただけの日本刀じゃないか!!

馬鹿なことを、ISは簡単に言ってしまえばパワードスーツだ。

だから日本の国産量産機でも近接ブレードであって、日本刀のような細さだと降るだけでも歪みかねない!!

繊細な技が必要な日本刀がまともに使える訳が無い!!

 

 

っておい、なんだ今の音は!!軽すぎるぞ、正面から斬りかかった一夏の雪片二型をこうもあっさり流すか…

 

しかし、さすがは私の一夏だ。教えてもいないのに本能でイグニッションブーストもどきを発動させるか

だがしかし、馬鹿者!!相手から目を離すな!!

あ、危ない!!っと、まさかの装甲に救われたか。だがまずいな、シールドエネルギーが一気に削られた。

肩装甲がスクラップ同然だ、仕方なかろうが……おいバカ一夏、さっき教えたことをもう忘れたのか!!

零落白夜(それ)は自分のシールドエネルギーも多く消費するんだからそんなに発動させ続けるんじゃない!!

だがいいぞ、予想外の出来事で奴は固まっている!!そのまま叩ききれ!!

 

………何故だ、何故試合終了のブザーが鳴らない!!

「どういうことだ、山田先生」

「え、ええっと……何がですか?」

「零落白夜が直撃したのに何故まだ試合は続いている?」

「え、ええええーっと、そそうは言われましてもわかりませんよぅ………先輩は何が起きたのか見えなかったんですか」

言えない、冷静さをかいて確り見てなかった何て言えない。

そうだ!!当たったはずなのに無事だと言うことは何かで防いだに違いない。

 

そうして視線を移すと本多の手には銃身の歪んだおそらくアサルトライフルだろうと思われるものがあった。

「馬鹿な!!零落白夜発動中の雪片二型の実体部に当てて防いだだと!!タイミングがかすかにずれるだけで直撃は避けられないはずだ!!」

「せせせ先輩ィィィ!!私に言われても困りますぅぅ揺らさないでー」

 

少し取り乱してしまった。

しかし、以前貰ったあの機体……鹿角の装備に銃は無かったはずだが……まあ、追加したんだろうな。流石にやり一本だけと言う事もあるまい……白式の近接ブレード一本と言うのが普通ではない使用なんだよな……まったく、アイツはなんでこんな風にしたんだか…

お、本多が動いたな。

つぶれたアサルトライフルをしまい……同じ物を二丁!?アレはいくつもあるのか?如何考えても容量の無駄使いだとしか……

しかし、一夏も良く頑張ったが此処で終わりか……流石に同じ土俵で戦い続けてくれるわけが……

って、おいあのIS、火器管制システム積んでないのか!?反動で銃口がぶれているし、照準も定まっていない……なのになんで火器を搭載したんだ……まったく持って理解できない。

 

ほら見ろ、一夏ですら隙だと見て斬りかか……はぁ!?

「山田先生、あのアサルトライフルの銃口の下、どうなっているように見えますか?」

「え、ええ~っと……アレじゃないですか?木を切ったりするチェーンソー……ではありませんね、あんなに凶悪な刃を持っている時点で兵器と開発されたのがわかります」

「冷静な判断をありがとう……出来れば普段からもそれくらい冷静で居てくれればいいのだがな」

ははは、本多は何を考えているんだ本当に。

確かに理にかなった武器ではあるが人間相手に使っていいものじゃない!!

「先輩!!もう一方からも刃が出現しました。非実体……エネルギー製です駆動開始……あ、資料が送られてきました。実体のほうのエンジンの回転速度……30000rpm!?……先輩、これはとめたほうがいいのでしょうか?」

「……まあ……ISには絶対防御があるから大丈夫だろう………いや、停止準備はしておいてくれ。シールドエネルギーが零になる前に試合終了の合図を出すように」

無理だろアレは。まさにシールドエネルギーなんぞ樹を切るように削り落とされる。

「あ、織斑君と打ち合いが始まりました。大丈夫ですかね……すごい火花が散っていますけど」

ん?

いやまて、様子がおかしい。一夏が必死に押して…本多が少し引いている?

しかも押されていると言うわけではなく引いている……どういうことだ。

「……山田先生、両者のエネルギー残量はどうなっていますか」

「あ、はい……え?」

「どうした」

「織斑君のほうのエネルギーが減っています」

「いや、それは問題ない。零落白夜が発動中だからな……本多の方は?」

「少しずつですが減っていますね……織斑君のエネルギーの減りが加速しました!!」

顔をモニターから上げて様子を見ると、本多が少し押し返し始めていた。

「先輩!!白式からエラーが出ました!!兵装《雪片二型》小破……中破……大破!!使用不可能……!?」

山田先生の声を聞きながら私はその過程を見ていた。

押し返し始めで小破、鍔迫り合いが二人のちょうど間になった時点で中破。

そして本多が腕を広げ、零落白夜、エネルギー刀がかき消されて開いていた実体刀部分が半ばから斬り飛ばされ大破……

 

そして二つのチェーンソーは流れるように一夏に吸い込まれ……試合終了のブザーが鳴った。

普通に考えて試合が終わろうと、シールドエネルギーがなくなろうと振り抜いた武器(チェーンソー)を止めるのはたとえISの慣性制御(IC)があったとしても慣れていない限り早々出来ることではない。

しかし一体どうしたことか、振り下げていたその腕だけではなく、実体側のチェーンソーの回転まで止まっていた。

能動的な慣性制御はA(アクティブ)I(イナーシャル)C(キャンセラー)、慣性停止能力としてドイツで開発されていると言う話は聞いたが……まるでそれを使っているようだ。

 

 

 

 

(注)本当は重力制御による強制停止。

逆向きの力だけでは止められなかったので試行錯誤した結果、チェーンソーは焼きついて使えなくなってしまったのであった。無論、アサルトライフルのほうにも影響が出て、マガジンは強制排出、熱で銃身は歪みきって使い物にならなくなった。

 

 

 

 

さて、次は本多とオルコットか……オルコット相手にあのチェーンソーは駄目だな。

確実にトラウマになる。

……一夏は大丈夫だろうか……

とりあえず、本多がピットに戻ってきたら使用禁止を通達するか。

 

だが……これはいちおう競技だぞ、武装が本気で殺しにかかっているのはどういうことだ。

最初に使った刀も確実に業物だ。

白式の非固定浮遊部位(アンロックユニット)をほぼ両断に等しいレベルで切り裂いたのだから確実に何らかの技術を用いた大業物だろう。

剣を扱う物として近くで見てみたい気持ちも有るが……今はぐっとこらえておこう。

 

「まったく、胃が痛くなる話だ」

 

人類初にして現在唯一の男性IS適応者になった弟。

天災篠ノ之 束の妹である篠ノ之 箒。

そして唐突に全世界に宣戦布告をしてわずか一週間程度で月の領有権を全世界に認めさせた企業を名乗る束を保護したと言う者達……その企業からやってきた本多二代。

 

まったく、色物が集まったと言うべきか……

 

だが気になることもある。

「なあ、束。お前はそこで何を見たんだ?」

月を見て、多少丸くなっていた親友にそう問いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《それはね、ちーちゃん!!》

「なんで、此処で出てくるんだお前は!!と言うか何処から見ている!!」

《いやだなー観客席からに決まってるじゃないか!!》

目の前に出てきたオーバーテクノロジーな空間投影ディスプレイに頭が痛くなった。

 

 

 



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てーれってー②

と言うわけでセシリア・オルコット戦
テスターの働きを果しながらも二代ちゃんは上手く立ち回れるのか!!


織斑一夏をチェーンソーでギュイィィィィン!!ってやった後にピットに戻った俺ですが、今現在、織斑先生と相対中です。

 

「……というわけだ、あのチェーンソーの使用は今後一切禁止とする。いいな」

「いいで御座るよ、ちょうど無理をさせたせいで焼きついて使い物に成らなくなってしまったで御座るゆえ」

俺のあっさりとした答えに織斑先生は一種運動きを止めた後、いつもどおりの堂々とした姿でありながらも何処か慎重に質問をぶつけてきた。

「ちなみに、あのような一歩ミスれば人命にかかわるような物はないだろうな」

「……ああ、なるほど、絶対防御が発動したところでそれが用を成さないレベルの武器についてで御座るな」

IS《鹿角》から一つのデータを読み出してそれを表示してみせる。

「Hammer of Dawn、ドーンハンマーと呼ばれる衛星兵器で御座る。これ自体は出力の小さい弱いもので御座るが、もし生身の人間に当てようものなら一瞬でバラバラに成る程度の出力は持っているようで御座るな」

続いてもう一つ。

「対警備組織規格外六連超振動突撃剣、グラインドブレードと言う名の規格外武装(オーバードウエポン)こっちも完全にアウトだと思うで御座るな、六枚の超高速回転するチェーンソーで相手を完膚無きまでに破壊する、すべてを焼き尽くす暴力がコンセプトのIS規格から外れた装備で御座る」

両方とも、見せるたびに織斑先生の表情は、変化する。

青ざめているような………不機嫌になっているようなわかりにくい変化ではあるが……

 

「……本多、これらの使用は認められない。今すぐ没収する……といいたいところだがどうせ無理なのだろうな……」

はい、無理です。

「上が盗難防止でいろいろ仕掛けているだろうから、先生方の安全のためにも没収には従えないで御座るよ」

一定距離離れたり、登録者以外が無理に使おうとすると何らかの機密保持が働いて何かが起こるはず。

 

たぶんドーンハンマーだと、物騒なほうが降り注ぐかも知れんなぁ

 

「ならば、厳重に注意して置くんだ、わかったな?」

「無論で御座るよ、それで……セシリア・オルコットとの試合はいつ始めるで御座るか?」

「さっき使って破損した刀の交換はいいのか?」

「かまわぬ、それにセシリア殿はISの国家代表、素人相手の慢心や油断は棄ててかかる」

(いや、油断はしてやってくれ)

「それでは、拙者も準備が出来たということでいつでも良いで御座る」

「……わかった、くれぐれも後遺症を残さないようにやってくれよ……」

「御意……って、拙者もそこまではやらんで御座るよ!!」

 

 

 

 

 

そんなこんなで試合開始、同じくらいの高度で相対して、舌戦の開始。

「アレだけ大口を叩いたておきながら負けるのではないかと心配していましたわよ」

「うむ、うっかり遊びすぎて一度ヒヤッとしてしまったで御座るよ」

「……………」

「む?急に黙ってしまったで御座るな。まあ、始める前に一言、言って置くで御座るよ」

蜻蛉切りを取り出して構える。

「代表候補らしいのでちょっと本気でいかせて貰うで御座るよ」

気負わず、気楽に笑顔で言い放つ。

しかし、オルコットはその様子が気に障ったのか

「ッ!!嘗めてますの……!!もういいですわ、お話は此処まで!!さあ、踊りなさい。私とブルーティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!!」

オルコットのISからビットが飛び出す。

「おお、ファンネルで御座るか?」

「違いますわ!!私のブルーティアーズをあんな物と一緒にしないでくださいますか!?」

「………」

セシリア・オルコット、お前は今の一言でAC(ウチ)の社員の一部を敵に回した。

ビットがそれぞれ違った軌道で飛びまわりながらこっちにレーザーを撃って来る。

だが基本は銃と同じだ、撃った瞬簡に銃口の直線状に居なければ良い。

たとえ四方八方から撃ってこようと、此処は障害物の無いアリーナで、ISのハイパーセンサーは360°が見渡せるために死角からの攻撃が無くて弾幕もはっきり言ってしまって四つのレーザービットに本体の持つレーザー砲のみで薄いとしかいえない。実にイージーモードである。

 

「ック、ちょろちょろと……逃げ回るのだけは一人前のようですわね!!」

ハッハーそんな事言われ様とどうもおもわんなぁ!!

「ならばそろそろ反撃に出るで御座るよ?」

取り出すのは重力制御式加速砲塔、使用方法はいたって簡単、重力制御を用いて何かを砲弾に加工して投入、内部に複数設置してある制御機構がサポートしてくれるので、弾を打ち出すイメージで砲全体に重力制御を掛ければOK、でもやっぱり無駄が出るから慣れてきたらいろいろ試してみよう!!

 

要するに弾は現地調達!!

 

「そのビット、一つ頂くで御座るよ!!」

重力制御、イメージは手を伸ばして飛びまわるビットを捕まえる。

その後、圧縮成型。手元に持ってきて重力レールガンにインストール!!

「視線にて穿つで御座るよ!!」

テンションに任せてあの台詞。

《音声認証完了、射出》

パシュッ……!!

火薬の弾ける音はしない。

砲塔から押し出され、吸い込まれる空気の音。

撃ち出された高質量の弾は吸い込まれるように、音の壁を越えて青いIS(セシリア・オルコット)に向かって吸い込まれていった。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「ッ…!!」

打ち落とそうと手に持つ砲を構えようとするが、発射直後を狙われて合わせられない。

ビットはついさっきチャージを終えて飛び立ったばかりで近くにはなく、迎撃は横からしか出来ない。

見慣れたビットだからこそ、大きさが変えられているせいで遠近感がずれる。

 

「ブルーティアーズ!!」

そこでオルコットが使った手段は、ビットを壁にすることだった。

盗られたビットはエネルギーのチャージが終わったばかりのもの、着弾時にそのエネルギーも解放されると考えると、受けるわけにはいかない。ミサイルでは初速が遅くて、近くでの破壊になって危ない。

ゆえに、一つを盾にする事を選んだ。

 

ゴッ!!

 

被弾。しかし止まらない、ビットに半分ほどめり込んだまま弾は推し進めてくる。

「クッ……この!!」

だが一瞬は余裕が出来た、手に持つスターライトmkⅢを向けて引き金を引く。

 

パシュッ、とレーザーが一体となっていたビットを貫き、中心に穴を開ける。

ただそれだけで弾は動きを止めて、爆発した。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

なぜだかわからないが爆発した。

あのビット、内部に一体何を仕込んでいるのだろうか……

エネルギーを電気エネルギーとして蓄えているのならばバッテリー……だが、バッテリーが爆発するとは一体どんなに危険な物を使っているんだと言う話になる。

 

まあ、此処はISゆえの謎エネルギーだと思っておこう。

 

俺は爆発したときに発生した煙にまぎれて、蜻蛉切りを手に持ち、ビットの一つに急接近する。

 

「一つ」

蜻蛉切りを刺し、遠心力で投げ飛ばす。

「結べ、蜻蛉切り」

呟く。ただそれで次の手は終わる。

刃に移った、今投げ飛ばしたビットが二つに割れた。

 

 

再び爆発

 

発生した煙に隠れ、兵装を換装する。片梅、まったく使った事がない物ではあるが、遠距離が欲しいので、牽制のつもりでとりあえず撃ってみよう。

ジジ  ジ…ジ…

《ユニット接続、ドライバインストール、専用視界(センサ)『木葉』発動します》

 

視界が変わった。

 

《シールドエネルギーを消費して射撃物の停滞、外逸、障害の三種祓い(自動追尾)を発動》

 

そしてさらに視界の隅に神音(かのん)借りと表示が現れた。

 

《照準添付、準備完了》

弓にエネルギー製の矢が番えられた、腕を動かして照準を合わせる。

煙幕に隠れているにもかかわらずそこに居る事がわかる。

サーモグラフィーだとしてもおかしい、何を使っているのか後で聞こう。

 

《 会 》

そろった瞬間にその一文字が視界中央に現れた。

同時に弦が指から滑った。

 

飛び立った矢は真っ直ぐに残った最後のビットに向かう。

「…いけない、ブルーティアーズ!!」

何か命令を出したのだろう。

てんぱっても口に出すと相手に気が付かれるよ。

 

ビットは高速で、矢の軌道から外れるが、矢はそれを分かっていたかのように追尾した。

BT偏向制御射撃(フレキシブル)!?そんな、まさか!!」

いいえ、違います。謎技術です。

レーザーでもないしね。

ビットが迎撃しようとレーザーを打つが、矢はそれを器用に避けて、レーザーを撃つために停止したビットを射抜いた。

 

「さて、これでレーザービットは全部始末したで御座るな」

片梅はビットに矢が当たった瞬間に蜻蛉切りに持ち替えた。

「行くぞ!!」

ここまで蓄積させた『飛翔』による速度を全力で出して接敵する。

オルコットはスターライトmkⅢをこっちに向けて撃ってくる、レーザー故に発射と着弾は同時、如何にして銃口の先に身を置かないかが鍵となる。

だがまあ、魅せることを意識しているオルコットの動きは解り易くて良い。

実に分かりやすい。

射線が合わないようにゆらりと近付く。

銃口を向けるたびに、まるで見えない棒で押しのけるように射線から外れられるのはあちらからすると、とてもイライラするだろう。

 

距離がある程度縮まったら、蜻蛉切りの伸縮機構の一本をはずし、スターライトmkⅢの銃口に差し込む。

レーザーは火薬の爆発が無いため、暴発は無い。

だがしかし、レーザーと言う物は、光の波長をそろえて発する物であり、光源と、その機構が銃口から一直線に成っているはずである。

わざわざワンクッション置くような訳の分からない真似はしないだろう。

だから、それを打ち抜くつもりで投げ入れて……

 

さらに回路やらが収まっていそうな場所を槍で一突き。

 

「かかりましたわね!!ブルーティアーズは六機在りましてよ!!」

ミサイルが撃ち出された。

「結べ!!蜻蛉切り!!」

反射で割断。

ミサイルと、腰周りについていた二つのビット、脚部が割断された。

「な……なにが……」

 

―――油断しないとか言っておいて、思いっ切り油断してんじゃねえよ!!俺ぇ!!

奥の手を堂々と披露しちまった、そう後悔しながらも次の行動に移る。

 

とどめだ。

石突でオルコットの腹に一撃、この近距離で武装は全破壊、近接装備を取り出せばもしかしたらだが、避けられはしないだろう。

「落ちろ!!」

伸縮機構を動かし、蜻蛉切りを伸ばしながら、地面に叩きつけるように機体を動かす。

飛翔を発動し、加速に邪魔な空気抵抗を祓う。

「壱秒当たり、シールドエネルギー50消費で『飛翔』発動」

声には出さない。

発動した瞬間、俺とさらにはオルコットのほうも上へと飛行するための機能まで祓われたのだろう。

鹿角の加速+重力加速度で、俺は落下しながら、伸びる蜻蛉切りを捻じ込む。

 

 

墜落までは五秒と掛からなかった。

 

 

 

ビーーーーーー!!

 

「勝者、本多二代」

 

織斑千冬の実に、事務的な勝者宣言(コール)がアリーナに響いた。

 

 

まさにハイスピード、試合開始直後の舌戦から決着まで約十分。最初の回避のみの時を除けば、五分近く短縮できるだろう。

 

しかしこの試合中には不可解な点があった。

 

どうやったのか、突然割られたミサイルと、ブルーティアーズ二機、および脚部装甲だ。槍は当たってもおらず、そもそも振ったところで間に合わないはずだった。

 

 

この事について、クラスメートやら、先生やらに群がられて……普段見せないような爽やかな笑顔で二代が脅しに掛かるのは、そう遠く無い未来の話である。



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試合が終わって……天国への扉ァ!!

ヘブンズ・ドア

時は加速する



一年前に書いておいて、1500しかなかったから放置していたものに書き加えて投稿。

自分の過去のを読むと、あまりの読みにくさにびっくりだね。
説明が多すぎたんだ。

IS編は福音で終了でしょう。
そこまでは続けたいです。


試合が終わって翌日から自分に向けられる視線の質が代わったことに気が付いた。

元々在ったバックへの恐怖に俺に対する恐怖が追加されたようだ。

憧れのような視線もあるが、おそらく。いやかなりの高確率で……

 

ランサーで織斑を斬ったのが原因だと思われる。

 

 

 

 

反省はしているが後悔はしていない。

 

ちなみに、多少俺と接していたおかげか、クラスメイトはあまりおびえていないようで、最後のミサイルのところ、どうやって切り抜けたのかと集団でたずねてくるのだ。

企業秘密だと言っているのに一部しつこいので、寄って斬っただけだと丁寧に教えてあげた。

 

それはもう、向こうが泣いて喜ぶくらいには。

それにしても暇である。今までならこの時間帯は隕石の解体を行っているのか、新兵器の実用実験を楽しんでいるのであったが……

だが今はなんだ、机に向かってISの初歩についての講義を受けている。

既に別兵器に転用可能な技術について知っているくらいなので、基本技術云々言われても暇でしかない。

スケジューラを広げてみても、新着はなく、相変わらずのIS学園で第二の青春を謳歌となっている。

いや、実際はまだ一回目なんだが。

唐突に改造されて性別が変わってるけれど実年齢=現状だから。

 

それにしてもこのクラスのテンションは異常。

世界的に火薬庫抱いて戦々恐々としてるはずなのにそんなの関係ねえと言った状況。

 

正確に言うなら、大企業とか国家は頑張ってるけどそれ以下は他人事な雰囲気。

規模がでかすぎて対応できないってのが理由だろうけどな。

ISにかかわる企業でもない限り、隕石にどうやって対処しろって話だ。

中には政治の中心である建物が崩落したところもあるんだ。

たとえ、手を出すつもりがないといわれても信用が出来ないのも当たり前。

 

 

まあ、そんなこんなでクラス戦?何でもクラス代表が戦って競うらしい。

まだ一学期が始まったばかりで、ISに実際に触れて一ヶ月足らずの素人と国家代表候補生を戦わせるとか、この学園の教育方針がスパルタ過ぎる。

確か、この一組と四組に国家代表が居るんだったか?

たとえ量産機縛りで来た性能を一緒にしたところで搭乗時間が違いすぎて錬度の差が三輪車と自転車に乗れるぐらい違う。

この学校馬鹿なの?

普通、そういった専門的な競技は二年になってからとか、そこそこ使えるように成ってからでしょ。

しかもクラス代表。何でも半年スウィーツ食べ放題のパスが付いてくるとかで、女子の方々からすると全力で取りに来るだろう品。

国家代表候補が居れば普通たいてい確実に選ばれる。

どうあがいても一般から来た奴がかなうはずが無い。

何だよこの出来レース。

さらにさらに年間行事予定表見つけたから見てみると、

 

六月:学年別個人トーナメント

 

そう、来月には個人トーナメントが待っている。

しかも国や企業のお偉いさんが見に来るとか……うん、一年の見てても暇だと思うんだが……

 

ハッ!!もしかしてこの水着のようなスーツにはそういった意味が?

まだ、お偉いさんが男性な所のほうが多い……うわ、とたんに怖気が……

 

しかし、そう考えてみるとなかなかに夢の無い話だな。

一国一企業が雇えるのは本当に少ない。専用機にしてしまえば本当にその人にしか使えないのだから競争率は高いなんてレベルじゃない。

そのくせ、外の人が見に来るのは入学二ヶ月目……素人同士ならばまだ先が楽しみだって言う意見が出てもおかしくないが、もし候補生と当たってしまったのなら残念。戦略だとか相性だとかが相当に凄くて極限まで相手が手加減していない限り瞬殺じゃないですか!!

まあ、俺は別に目をつけられても既に就職済みであるわけだし。対戦相手には実力を出させきってから始末するとしようかな。

 

 

 

 

 

 

 

その前にクラス代表戦があるとのことだ。

まあ、俺は関係ないが……また織斑だ。

 

幼馴染二号とやらが出てきて修羅場で結構な大惨事。

こわいなー木刀で兜割りを生身の人間にとか危ないわー

ま、対岸の火事でしかないんですけどね。

 

そんな俺は休日に月に帰って隕石の処理です。

月は小さいものが落ちてくるからな~

セントリーガンとかで落とせないものが来たら処理する程度なので、仕事は主に武器の試験とこの体の調査。

結構色々使われているらしくて、それをやった人は勢いでやったから覚えていないというのだ。

 

実に面倒だ。

 

 

 

情報収集が十分に終わったらこの世界ともお別れだろうから楽しんでおきたいが、あんまりはっちゃけれない。体が違うし、早々に敵を作ってくれたおかげで、この世界特有のサブカルとかの確認がネットでしかできないのだ。

護衛という名の監視が外に出るとつくから基本的にIS学園と月の往復しかできていない。

 

 

正直、地上のISのお行儀が良すぎてつまらんと思うのは私だけですかね……

AC製のISコアは既にいろいろいじっちゃって、数個並列接続してAFを人型にサイズダウンするって企画始めちゃってるしさ……

 

作り易かったって持ってこられたグレートウォールの試験運用で思ったのは、焦土作戦でも始める気か?だったからな!!

ハードモードとか言っちゃってガトリンググレネードでOIGAMIの弾使っちゃってさ、秒間1.5発の老神!!

冗談みたいだろ、これ、マジでやりやがったからな?

同時にミサイルバラ撒いてさ……どう考えても迎撃の手が足りないのさ。

手が足りても特殊装甲が過ぎて体が出てるところに攻撃当てなきゃダメージになんねえや。

 

 

 

重要なのは量子変換の技術で、別にコアはいらないんだが、ロマンだっておっちゃん達いってた。

 

まあ、デバイスがあれば似たようなことできるからな~

うん?格納だったらデバイスでもできたような……

ま、いいか。

 

 

 

 

 

そんなこんなで、クラス代表戦がやってまいりました。

なんでも商品があるとのことなので、是非とも我らが織斑一夏くんには買ってもらいたい……

 

 

と思った矢先に襲撃だよ。生体反応ないから無人機なのかな?

この世界にもやればできる奴がいるんだな。

 

「織斑先生」

「なんだ、今は忙しい」

「あれ、無人機っぽいで御座るよ。データを送るから確認するで御座る」

 

そう言っていろいろ(セキュリティとか)無視して解析データを送りつける。

 

「……お前は…まったく。まあ、いいいっても無駄だろうからなで?こんなデータを送りつけてどうしたいんだ?」

「面倒なので潰してしまおうかと、一応許可を願うで御座るよ。あと、あのふたりに離れるように行って欲しいで御座る」

 

そう言って俺はドーンハンマーをとりだし、窓越しに構える。

 

「仕方がない、一般生徒の安全が第一だ。周りへの被害は?」

「対して出ないでござる。あやつから五メートル、いや、十メートル離れてくれれば良かろう」

「わかった。あいつらに連絡する。ところでそれは?」

「前に話した危険物、ドーンハンマー、衛星兵器でござるよ、故に、空が空いていれば問題無い」

 

トリガーを引いてターゲットガンで目標をマークする。

数秒して、四本の緑色の(・・・)柱が空から落ちてきて、アリーナを分断するシールドバリアーにあたり、徐々に一点へ収束し……

 

ドンっと重い音を響かせてシールドを打ち破り、無人機へ直径一メートル弱の光の柱が直撃する。

それは耳障りな音を響かせながら、無人機の頭部をあっという間に蒸発させ、そのまま溶かしていく。

 

「さすが、コジマでござるな、いとも容易く削りきったで御座る」

 

地面に柱が当たるのを確認して、俺はドーンハンマーの照射をやめて量子変換でしまう。

 

「おい、今のはなんだ。色は違うが、どこかで見覚えが有るぞ」

 

ドスのきいた声で織斑先生が質問をしてくる。

 

「まあ、気が付くで御座ろう。知ってのとおり、某国を攻撃した衛星兵器で御座るよ

その時の方が物騒で巨大なものを利用したでござるが、これは個人携帯用で、ピンポイントな攻撃が可能になっている、しかし、屋内では使用出来んでござる」

「充分物騒だ。どうしてくれる、各国からさっきの攻撃について問い合わせが来ているぞ」

「まあ、素直に話してしまうか、ACが危険物の処理を行ったとでも言えばいいでござるよ」

 

かなり投げやりにそう言ったが、それで何とかなったらしい。

 

 

 

 

 

一言感想:正直、無人機は人型でなくてもいい気がするんだ。

 

 

 



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学年別トーナメント

感想が多かったからテンション上がった。


無人機だったらただの人型じゃなくて異形でも構わないよね、片腕が最低限の機能しかなくて、逆が異様にゴツかったり。
穴だったり、タンクだったりフロートだったり四脚だったり逆関節だったり。
あんなものだったりへんなものだったり、鳥だったり……

あ、あと乱入してきたゴーレム、束が廃棄し忘れていたものです。

あと、だいぶ前のことですが。
兵器ってのは、いつの間にか可愛くなっているものですよね?
虫だったり、玉だったり首輪付きだったり



シールドバリアーの強度ってどんなもんだろう……破られたら絶対防御不可避だよね?


その点、特殊IS、AF‐GWなら安心。非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)には四枚の壁、両腕にも手の甲まで覆う壁が付いて護りは万全。
搭乗者にも動きを阻害しない程度に厚さ100mmの装甲が装着されるので御安心!!
全てGA製の特殊装甲で盾殺しを逆に潰すほどの強度を誇ります。
腕の壁はスライドしてブレードとしても利用可能。
武装は腕の壁の裏にガトリンググレネード、アンロックユニットの壁からミサイルが大量に降り注ぎます。
なお、拡張領域は全て弾薬専用なので、他の武装は装備できません。



「えーっと、今日は皆さんに転校生を紹介します!しかも二人です。どうぞ、入ってきてください」

 

とある日、突然の転入生があると山田先生が告げた。

 

(む?確か二組に転入生が既にいたはず。転入試験は難易度が上がっていると聞いたが、なんだ、また代表候補か?)

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。代表候補生です。まだ日本には慣れてませんが、よろしくお願いします」

 

一人目、金髪、男子用制服、重心、骨格、姿勢……なんだ、女か。

「む」

『消音機能起動を受諾、A(アクティブ)I(イナーシャル)C(キャンセラー)発動』

 

《《《キャァァァァ!!!》》》

「男子!!二人目の男子」

「しかも美形よ!!」

「守ってあげたくなるタイプ!!」

「織斑君とどっちを選べばいいの!?」

 

何やら騒いでいるようだが、さすがは慣性制御ちょっとコツが要るが、音さえ遮断する。

 

二人目、銀髪、眼帯、改造制服、少々幼い感じがする……む?挨拶がない

眼帯は目に何かあるのか、背は二組の転入生より少し低い程度か。

 

「ラウラ、挨拶しろ」

「はい、教官。」

「ここでは織斑先生だ」

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「・・・それだけですか?」

「それだけだ」

 

ふむ、随分短い挨拶だ。

それに織斑先生に何かを言われてようやく挨拶をしたな、っとAICを切るの忘れてた。

 

「貴様が…ッ!!」

おや?また君かい、織斑君。

スパンッ!!と随分軽い音をたててラウラ・ボーデヴィッヒが織斑一夏に平手打ちをお見舞いした。

 

本当に騒動が多いな、このクラス。

 

ドイツの白っ子がなんか言ってた気がするが、面倒だったから聞き流した。

 

 

 

 

 

 

そんでもっていつの間にやら学年別トーナメント。

なんでか知らんが、シード枠にぶち込まれた。

タッグトーナメントなのにシングルで。

 

しかも、解説席に呼ばれてしまった。

 

「さーて始まりました一年生タッグトーナメント!!

司会は放送部所属、月見里(やまなし)見月(みつき)がお送りします

本日は解説として世間を騒がせた超企業AC所属、本多二代さんに来て頂いております」

 

挨拶よろしく!!っとマイクをその瞬間だけ切って手を合わせて拝んでくる。

 

「はぁ、そんな訳で押し切られてこの場にいる本多二代に御座る」

 

ざわざわと会場が騒ぐのを聞きながらため息を再びつく。

 

「ちなみに二代さんは一年生の人数が奇数だという理由でシード枠となっています。まあ、正直あんな戦い方を見たらシードも納得ですが」

「その言い方では具体的な状況が視聴者に伝わらんで御座るよ」

「あ、そうですね。端的に言ってしまえば、織斑君を惨殺して、某代表候補生の武装をことごとく粉砕して勝利を得たってとこですかね~」

「誤解を招くひどい言い回しで御座るな」

「ま、そんなことはどうでもいいんですよ。それよりもうすぐ始まる第一試合!!

なんといきなり織斑・デュノアコンビ対ボーデヴィッヒ・篠ノ之コンビの対決です。

話題の男性IS操縦者コンビの出番ですよ~」

「むう、デュノアの方は…………まあ、此処は解説らしい一言を言っておくとする出御座るか。

この試合、専用機の数で言うと2対1、実際これは大きな差ではあるが、ボーデヴィッヒは軍役に……む?これは少年兵、否。少女兵になるのか?法律どこ行った。

まあ、そんな感じで兵士だったこともある。だからうまく立ち回れば相方が量産期でも十分に渡り合えるで御座ろう。

軍というのは連携が重要で御座るからな、これだけの情報で考えれば割と良い勝負をすると考えれるで御座るよ」

 

「あ、ありがとう御座いました~此処まで確り解説やってくれるとは思っていませんでしたよぅ

ま、要するにどっちのコンビネーションが優れているかと言うタッグバトルとしての出来が問われる試合と言うことですね!!」

 

志望進路とそれに必要なスキルを題材に軽く雑談のようなことをしながら準備が出来るのを待つ。プログラム通りなら十分程度。

 

「なるほどなるほど、一年生のみなさーん、聞いてましたね?もう今から何がやりたいか決めて勉強した方が良さそうですよ~私もなんですけどね!!」

 

一通りさらっと必須科目的な話をしたところで、見月がそう締める。

 

「ふむ、ちょうど準備も整ったようで御座るな」

「はい、それではタッグマッチトーナメント一年生の部を開始します!!」

 

わああああ!!と会場が盛り上がるのを背に白と黄色、黒と灰色がアリーナに飛び込んでくる。

 

「おや?開始前に舌戦が行われているんですかね?」

「その様で御座るな、しかし、ボーデヴィッヒが相方を置いてきぼりで御座るよ、これは………」

 

そこまでいったところで開始のホイッスル、速攻をかける織斑にAICで迎撃するボーデヴィッヒ。

そこに銃器で攻撃を仕掛けるデュノア。

 

「ふむ、ボーデヴィッヒのAICの穴をついての攻撃で御座るな」

「どういう事でしょう、二代さん」

「AICは……ふむ、例として目の前に大きな球体、もしくは壁があると明確に目で見ているように想像してもらうで御座る。その範囲がAICの効果範囲、そしてどのような慣性制御を行うかも必要でござるかな」

こう、空気の慣性力をおかしなぐらいに上げれば息を吸うのにも相当な労力が……

そんなことをつぶやいたあとに、AICでは慣性停止しかできん様で御座るが。

とぼそっと呟く。

 

「そして隣の御仁、ちょっかいをかけてみるで御座る、像が明確に意識できず消えてしまえばそれまで、継続的に想像し一瞬でもその像が綻びたのならAIC解除で御座るな」

 

「つまり、イメージに集中する必要があると?」

「うむ、あまり広域をやるとその分維持が辛い。故に織斑を限定的にとらえていたところ、デュノアが撃ってソレは止められず回避のために解除、流石に動きながらの維持はできないようで御座るな」

「どうも有難うございます。なんだかものすごくしっかり解説やってくれてありがたいです。」

「まあ、つまりAICは操縦者のイメージ・インターフェイスを用いた特殊兵器、つまりシュヴァルツェア・レーゲンが第三世代機たる所以で御座るよ」

 

「有難うございます。それでは織斑選手の白式は何世代機なのでしょうか?」

ブレードしか無いようですし、そう言って見月は次の話題を切り出す。

 

「ふむ、いい質問でござるな。確かにあやつ、ブレオンで用途の多様化という二世代機の定義に当てはまらぬ、そして、どう見てもあのブレードでは三世代機のようなイメージ・インターフェースによる必要が見つからぬ」

「つまり?」

「第一、もしくは第四世代機ということでござるな。まあ、一世代はあくまで兵器として運用できるところまでの完成でござるゆえ、あのワンオフ・アビリティーが自由に使えるという時点で次世代機に違いあるまい」

「な、なんだって!!つまり、白式は第四世代機!?各国が第三世代機に苦労しているというのに!?」

「まあ、彼自身が篠ノ之束と幼馴染で気に入られているので、テコ入れがあったと考えられるで御座るよ。拙者ら関与しておらんので知らんで御座るが」

 

 

 

そんなこんなで雑談が続き

 

「おや、上手いこと篠ノ之選手をさばきましたね」

「まあ、ボーデヴィッヒが助けようとする手を払い除けて織斑一夏と戦おうとしていますからね、一緒に闘おう、知ったことか!!って感じで御座るな。これは酷い」

「あ~ついに1対2になってしまいましたね~」

「コンビネーションの問題もあってここからは特に何もさせてもらえずに終了でござるかな?」

「おや、シャルル選手何かを取り出し……」

「なんと!!とっつきで御座るか!!」

「とっつき……ですか?」

「いわゆる杭打ち機でござる。完全ロマン兵器でござるが、なるほど盾殺しとは」

「え?どういう事ですか?」

「杭打ち機は射程が無いと言っても過言ではなく、接触状態で使う必要があるで御座るよ、ブレードよりも射程が短いので、使える場面が本当に限られており、故に装備していても使う機会がないことのほうが多い武器と言えよう。まあ、AC(うち)にはガンガン使って当てる変態も居るが……まあ、そんな感じで使いどころが限られているが、一発逆転が可能であったり、かっこいいというものが、ロマン兵器と呼ばれるで御座るよ」

「は、はあ…どうもありがとうございました」

 

異常なまでにハイテンションで語りだした二代にびっくりする見月。

 

「まあ、これで試合終了でござろう。盾殺しを受けた衝撃から復帰できぬ間に立て続けに盾殺しを使われている故」

「あ、はい、シールドエネルギーがおかしな勢いでなくなってますね」

「それにしてもデュノア、綺麗な顔してやることがエゲツナイで御座るよ」

「あなたが言わないでください」

 

 

 

 

その後、VTシステムが起動したりしたが、別に被害が大きくなりそうでもなかったので、冷静に解説して、織斑一夏が男を見せて終了した。

 

「それにしてもVTシステム、不細工な代物で御座るな……なんで御座るか?あのドロドロ」

「たしかに、気持ち悪い外見でしたね」

「動きだけでなく形まで似せようとするのならもっときちんとするべきで御座ろうよ」

「あれを設定した造形師には全国の千冬様ファンに謝って欲しいですね」

「その挙句、初めてまだ半年も経っていない素人に一刀の元に切り捨てられる出来であると……なんであんなものの開発が行われたので御座るか?」

「さあ、私もそっちのほうはわかりません」

 

雑談で時間をつなぎ……

 

「おっと、審議の結果が出たようです」

「残念ながらこのアクシデントのせいで、トーナメントは中止。残りの生徒はデータ測定

だけのようで御座る」

「何ででしょうね、こういったイベントが今のところすべて中止です」

「しかも、織斑一夏が居る所で決まってアクシデントが発生するで御座るよ。狙われているに違いあるまい」

「織斑君がですか?」

「うむ、そしてその専用機もであろう、知っているものから見ればその異質さがわかるで御座るよ、まあ、ISコアというだけでも稀少で御座るし、鴨が葱背負って守られているように見えるので御座るかな」

「でも織斑くんの後ろにはブリュンヒルデの千冬様がついていますよ?」

「所詮は個人で御座る。組織を相手するには少々荷が勝つで御座ろうよ」

「でも……」

「最強神話を求めるのはいいが、現実は非情で御座るよ。流石に個人で衛生砲に狙われれば対処もできぬで御座ろう。そんなもんで御座る。拙者も流石にあまりに巨大な力、膨大な力には敵わぬ」

 

そこまで言って、二代は空を仰ぐ。

 

「良かったでござるな~早期解決ができて、あと少し遅れたら月にいる兎が何かやらかしたかもしれぬ」

 

うさぎ?と首をかしげる見月をよそに、心底ホッとする二代である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某所

 

「ぐぬぬぬぬぅ!!VTシステムなんて不細工なもの使った挙句にちーちゃんを模倣して更にブサイクだなんて!!」

「落ち着け束!!とりあえず弟くんがなんとかしようとしている。それでダメなら手を打てばいい!!」

「でもぉ……」

「仕方ない、もしダメだったときは戦術決戦兵器群ボールの投入を許可するから」

「仕方ないにゃ~でも研究所は完膚なきまでに処分するよ!!」

「用意はできている」

 

宇宙空間ゆえの無音か、月面クレーターから巨大な角錐が八本、その中心に円柱が生えてくる。

角錐は先端が中心の円柱に収束するように、そして少し螺旋を描いてだ。

 

「タイトルは《私たちが天罰とやらを体現するとこうなります》かな?」

「おお~かっくいー」

「HAHAHAそうだろう、そうだろう、しかも打ち出すのはとってもクリーンな光粒子」

「レーザーってことかな?」

「残念ハズレ、なんと、コストはかなり高くつくが、我々は光粒子の蓄積に成功したのだ!!」

「な、なんだってー!!」

「君のおかげだよ、AICのちょっとした応用さ。今回のは試運転だから必要経費さ」

「そーなのかぁ………あはははは!!」

「HAHAHAHAHA!!」

 

 

 

笑いの絶えない楽しい職場、そこから一筋の光がドイツへ突き刺さり、研究施設は蒸発した。

なお、ハッキングも同時に行われ、VTシステム関連のデータは1Bitも残さずに、AMIDAの画像に差し替えられた(サービスで空き容量いっぱいまで詰め込んだ、セキュリティーも万全で消去には九桁の英数字記号含むパスワードが全てにランダムで設定された)。

 

 

 

 




戦術決戦兵器群ボール、一体何ものなんだ!!



A.ガンダムのボールを私たちが再現したらこうなりました。

CORE : SOLDIOS ORBIT
ARM UNIT R : 07-MOONLIGHT
L : 07-MOONLIGHT

これを基準に編隊によって各機体のTOP・BACK UNITを変更。
LETHALDOSEにP-MARROWだったり、ACB-0710にASB-0710だったりもする。
JADOREとEUPHORIAも捨てがたい


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繋ぎの小話

やっぱりスマートフォンだと見直しが大変難しい。

まあ、繋ぎと言いつつたいした内容ではないです。



1.トーナメント(中止)が終わって

 

 

 

シャルル・デュノアが、シャルロット・デュノアとしてちゃんと女になって転入してきて、

 

いつもどおり、織斑一夏が騒ぎを起こしたかと思えば、ボーデヴィッヒがそこに参戦した。

 

険悪だった雰囲気は鳴りを潜め、むしろ誰お前ってくらいに方向転換だ。

 

なぜなら、

 

「お、お前は私の嫁にする。決定事項だ。異論は認めん!」

 

織斑一夏を守ったかと思えば、流れるような動作でその唇を奪ってこの一言だ。

びっくりだよ。

 

しかも、織斑一夏は返事を返す暇もなく襲撃にあってうやむやになった。

 

 

 

その後、授業が終わって

 

「そういえばラウラ、ISどうしたんだ、前のと違うみたいだけど?」

「…ぅむ……実はな、月からきた兎さんに没収されてしまった」

「は?」

「空から巨大な人参が落ちてきたと思ったら、その中から出てきた者に没収されてしまった。代わりにこれあげるって言って渡してきたのがこれなのだ」

 

大変不服そうな顔でラウラはそういう。

 

「このISの名前、なんていうか知っているか!?シュヴァルツ カニ―ンヒェンだ!!どう考えても狙ったとしか思えん!!」

「うん?どういう意味だ?」

「カニーンヒェンも兎って意味じゃなかったっけ」

「違う!!ハーゼは野良のウサギだが、カニーンヒェンだとペットのウサギなんだ!!」

 

「で、結局日本語にするとどういう意味なんだ?」

「黒ウサギだ」

「ただしペットのね」

「デュノア、きさまぁ!!」

「はいはい、喧嘩しない、それに可愛いじゃないかカニーンヒェンってなんだか響きがさ」

「む、嫁がそういうのならば…」

 

 

 

 

 

 

 

2.VTシステム研究所の職員及び関係者は………

 

一瞬で光にされた研究所、実は死者はいない。

 

「あ………あ"ぁぁぁぁ…………」

 

しかし、そこには明らかに正気じゃないものがいた。

 

「ふむ、やはり記憶消去は難しいね」

「ま、二月もすればある程度記憶の整理も出来るでしょう」

 

研究員達が物騒な内容の会話をしている。

そこに主任が来て尋ねる。

 

「脳洗浄の実験結果はどうかね?」

「二月程経たないことには判断出来そうに無いですね………」

「やはり記憶・記録等が混濁してしまいます」

「むう、どこぞで精神の解体清掃と言うものを聞いたからできると思ったのだが………」

「それって自己暗示と言うか、魔術の一種じゃ」

「自分にするから大丈夫なんじゃないんですか?」

「まあいい、徐々になれていけばいいさ、まだ被検体は二桁いる」

「あと20も居ないですけどね」

 

 

 

 

数ヵ月間行方不明と言うことでなんとかなると思います。

 

 

 

 

 

 

3.二代、ある日の朝

 

「………ふわぁぁ………むう、6時半……あ、そう言えば今日は休日で御座ったな、ACでの仕事も御座らんし………久し振りに朝食でも作るとしよう」

実は以外と料理ができる元千侍君。

 

「何を作るでござるかな」

そう言って開けた冷蔵庫、

 

「な、何で御座るかこれは!!」

 

お菓子で埋め尽くされていた。

辛うじて食材がちらっと見えるが、チョコ菓子等の要冷蔵のお菓子に埋もれていた。

 

二代は自分の隣のベッドで眠る黄色いけものに視線を向ける。

 

 

うん、こいつが犯人だ。

 

 

昨日食材を買って冷蔵庫に入れたはずだが、驚く量の菓子で奥に追いやられている。

 

このお菓子率に呆れつつも、同居人の朝食も一緒に作り始める。

 

 

 

なんでだろう

なんでかな

確かに久しぶりだけど

絶対に違う気がする

配点(味覚の違い)

 

 

 

 

 

 

 

4.束ちゃんと束さん

 

「おっはよ~抜き打ち視察に来たよ!!」

「なん……だと!?」

「やばい、やばいぞ!!まだ八割がスリープモード(すいみんちゅう)だ」

「か、隠すんだ、あれを「甘いよ、もうすでにこの基地は掌握済みなのだ!!」ファ!?」

 

正面玄関兼休憩所から奥へ走り出した一人の研究員の目の前で隔壁が降りた。

 

「フッフッフー知らなかったのかな?

 

大魔王からは逃げられないのさ!!」

 

テンションがかなり高い。ちなみに時間は午前3時

 

「まあまあ、基本はちゃんと成果が出せてるかの確認だから安心してよ、遊ぶために異世界に滞在させている訳じゃないんだってことさ」

「アッハイ。ひとまず最新の成果はこれです」

ISの慣性制御を応用した光粒子収集の件だ。

それの利用方法も小規模な物ながら実験結果を添えて提出した。

束さんはそれをじっくり読んでから頷いて一言。

「うん、おけおけ。今回はこれで仕事の確認はいいよ。あとは………問題行為が無いかだね」

 

その一言で緩んだ空気が先程より張りつめた。

 

「えーっと具体的に何処からが問題に………」

「それは私に一任されているから私次第かな?」

 

つまり、束さんにとって許せない事がアウトだ。

これもいつも通りなので職員は身構える。

こっちの束ちゃんとは当たり前だが性格が違う。

それでもそっくりなせいでうっかりこっちので解析をしてしまいそうだ。

さあ、何処までが良くて何処からが駄目なのか、場合によっては隠さなくてはいけない。

無理?それを何とかしてこそだ!!

ここにいるメンバーでアイコンタクト、死角にいる一人が基地内の職員に一斉連絡を送る。

が、端末の返答は送信できませんでした、だ。

 

「おやおや?さっき言わなかったかなぁ

この基地は既に掌握済みだってさ」

 

その意味が今完全に理解できた。

ソフト面で複数のネットワークを作っているが、それを全てを掌握されているだけでなく。

いざというときのための独立中継局や物理的にも独立した脱出ポット、そして緊急時に戦うための変形機構。

それらの完全独立のものまで、この世界に来た瞬間、我々に気が付かせることなく一瞬で掌握したのだ!!

 

「ふむふむ、人体実験が三桁、衛星砲の発射記録が五件、廃人は一桁と………まあ、良いんじゃないかな?

状況記録もバッチリだし、一般の怪我人に対するアフターケアに今後の対策も取ってるみたいだし」

冷凍保存の廃人はたっくんに頼んで直してもらうからそのあとの処理はちゃんとするんだゾ☆と怒っている笑顔で言われ、ノートに何かが書き込まれるのを見届けて、

 

切り抜けた、そう思った

 

だが、

 

「でも、これは頂けないなぁ」

投影されたウィンドウにはAMS実験企画書の文字

 

「技術力足りなくてこれの実験は駄目だって成ってたよね?

此処で得られた技術にそっち系の、生体の機械化みたいな物は有ったのかな?かなぁ?」

 

急に辺りが薄暗くなった気がした。

 

「ちょっと、お話、しよっか?」

 

束さんの後ろに白い悪魔が見えたと後にこの者達は語った。

 

 

 

 

 

 

「あ、束さんだ!!」

「およ、束ちゃんじゃないか」

「どうしたの?」

「うん、ちょっと抜き打ち視察」

「そのいかした杖はなに?」

「魔法の杖だよ、これを使ってちょっとオシオキしたから昼ぐらいまで誰も起きてこないんじゃないかな?」

「じゃあ、じゃあさ新しい料理とか教えてよ」

「うん、いいよ~何処まで教えたっけ」

「日本から始まってアジア圏は終わったかな?」

「じゃあ、次はアフリカの方にしようか」

「え~異世界のは?」

「材料が無いからまた今度だよそれに、地球の食材を万全に扱えるようになってからね」

 

同じ顔、同じ背丈、同じ声の二人は仲良く手を繋いでキッチンへ向かった。

 

背後で死屍累々の部屋の扉が開き、束さんをして昼まで起きないと言った者達が這い出てくるのに気が付かずに。

 

 

 

キッチンから出てきた束's、そこにいたのは昼まで起きない筈だった職員たちであった。

 

「俺たちは美人美少女の手料理の為なら限界を超える!!」

 

なんで!?の声に対する答え、この時はどんな口下手であろうとはっきり、響き渡るように声を揃えた。

 

「言っておくけど、私……人妻だからね?」

「そこなの!?束さん!!」

「しかも会社のナンバー2のね!!」

「知らなかったよ、束さんのお婿さんってそんな偉い人だったんだね」

「昨日も激しかったデス」

「別に夜の共同作業については言わなくても良かったんだよ」

「えーもっとのろけたい」

「くそぅ、ここに来てコミュ力の違いを見せ付けられるとはッ!!」

「こら、束ちゃん、女の子がそんな汚いこと言わないの」

「わ、私だって順調に女子力つけてるもん!!まだまだ若いもん」

「でも~?この世界じゃ色々やり過ぎてお尋ね者だもんね~」

「うぐぅ……」

「アフターケアは重要だよ?投げてはい終わり、じゃ済まない事がほとんどなんだから。

最後まで自分で面倒を見れるかも大事だよ」

 

「恋人選びもね?」

 

「やっぱり最後はそう来るの!?」

「だってもっとのろけたいもん」

 

いや~んと体をくねらせてそう宣う束さん

 

「砂糖吐く、絶対に砂糖吐くから止めてぇ~」

 

慣れない恋愛関係の話に束ちゃんギブアップ。

 

 

5.水着

 

「臨海学校で御座るか………」

「ほむほむ~水着買いに行こうよ~」

「ぬ、ほむほむとは拙者のことで御座るか?」

「うん、だってホンダムはダメなんだよね?オリムー見たいにしようとしたら三文字だし~ほんーってのもあれだからほむーになって………」

「しかし、ほむほむは別人に御座る」

「む~だったらどう呼べば良いんだよ~」

「二代でよかろう」

「ふたふたは変だし………そうだ、ふよふよは?」

「それは認めたらいけない気がするで御座るよ」

「む~~~」

 

結局、ほむほむに成ってしまった。

 

水着はACが支給してくれた例のあれ、本多二代の水着だった。

ハードポイントに蜻蛉切りと鹿角がしまえるとか。

浅間やミトツダイラのじゃなくてよかったと言うべきだろうか?



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海、兎、福音……

舞台外のイレギュラー

以上までがサブタイトルです。
難産ですぜ~しばらく更新してなかった作品だから最初の設定忘れているんで、ちょっと矛盾があるかも……確認はしたんですが
次は戦闘です。
ついでにIS編終了予定です。



場所は宿、フリータイムと言うわけで皆が水着に着替えたり、全力でだらける気であったり、温泉に入りいこうと行動を開始していた。

 

 

「ちょっとちょっと、二代さん。さすがにそれは大胆すぎるよ!!」

「そうで御座るか?」

 

確かに二代の水着はどうみても面積が狭い。

上乳見えてる……どころかはみ出しそうだし、下もギリギリ重要な場所が隠れているだけと言える。

しかしこれでも鉄壁なのだ。ハードポイント操作しない限りは取れないし、不思議とずれない、そう言う設計だ。

加護も再現してくれたみたいで、暴漢対策も過剰に万全だ。

 

「うん、女の子同士でもちょっと危ないと思うよよ」

「危ない水着?」

「織斑くんもいるしやめた方が良いんじゃないかな」

「でも違和感無いスタイル凄い、羨ましい~」「その腰と肩のなに?」「それにしても青似合うね~」「せっしーより青似合ってるんじゃないの?」「なっ!?」

 

多数決の結果、比率9:1で『二代の水着』は変更を余儀なくされた。

動きやすいで御座るに………っといけない、心の自分はまだ俺でいたい。

分割思考の『俺』が二代になりかけて急いで修正を行う。

 

この『俺』は女性化に抗う観測思考、いずれ戻る自分の体を忘れないためのものだ。

 

しかし、最近女性に囲まれての生活のせいでどうも侵食が起きている様だ。

 

織斑?あれはダメだ、男として色々ダメだ。

 

 

 

 

 

 

 

まあ、そんなどうでも良い話は置いて、

 

実を言うと、束ちゃんが連絡をしてきたのだが、昔……と言ってもACが来る前のことだが、

どうもある計画を考えていたらしい。

でも、ACに入ってそんなのポイしたとかで……前襲撃してきた無人機、ゴーレムも廃棄し忘れていたものだったそうで、もしかしたら今回もそういったものが利用される可能性があるとのこと。

 

詳細情報が送られてきたので、それを確認したところ、今回は軍事用IS。

無論有人機だ。それを暴走、というより情報の誤認をさせるとかなんとか。

周囲は敵ばかり、そいつらは搭乗者を狙っていると言った形に。

すると、ISと搭乗者の仲が良いほど暴走するとかなんとか。

もっと細かいいろいろはあるけどそんな感じだそうだ。

そこらへんまで通話で束ちゃんがいったところで、背後に束さんが現れ、束ちゃんの首根っこ掴んでどこかへ連れて行ってしまった。

その時の顔は笑顔だけど怖かった。

 

 

 

 

そんなわけで、高確率でこの臨海学校も、騒動が起きることがわかっているので、ハードポイントは外さない。

中に蜻蛉切りと、ISをしまっていつでも取り出せるようにしておく。

 

 

「そういえば束ちゃんの方が来ると言っていたで御座るな」

流石に二人共来たらパニックになるな。

二人が揃ってくる状況を想像して苦笑いする。

服装と雰囲気からして別人だと……知ってる人ならわかるが、篠ノ之束が二人もいたら大変なことになる。

 

 

「ま、成るようになるで御座るか?」

 

 

少しして

 

 

「やっほー、二代ちゃん元気してた~?」

篠ノ之束が現れた。

 

「おお、元気で御座るよ?妹と幼馴染みには挨拶をしたで御座るか?」

「もちもち、いや~箒ちゃん、相変わらずツンツンしててね~そんなんじゃダメだゾ☆って言ったんだけど木刀で叩かれそうになって急いで逃げてきたんだよ」

「久し振りの会話がそれじゃいかんで御座ろう」

余計なことをしたのは確定的に明らか。

 

「ぶー、ただ抱きついておっぱい揉んだだけだよ~?」

「ダメで御座ろう」

「なんでさ!!」

「やられたら、嫌でござろう?」

「箒ちゃんにだったら問題ないよ?あ、もちろんちーちゃんも」

「そういえばお主も十分に変態でござったな、常識が通じん」

「二代ちゃんもね~」

 

 

くるくる回りながらご機嫌な束ちゃんはどこかへ消えていった。

 

「さてはて、どうやら騒動は近いようで御座るな」

一番始めに両手を握った際に渡されたメモをみて少し気を締め直す。

 

  ―― 二日目、襲来、天罰、足止め。

 

四つの単語変な内容ではあるが、意味は解った。

 

「誰も落とされずにミッションを成功するが追加報酬の条件……なかなかに難題で御座るよ」

 

後に箒が専用機を手にいれて有頂天に成っているのを見て追加報酬は諦めた。

 

 

 

 

 

そして、いよいよと言うべきか、ついに軍用IS『銀の福音』の暴走が伝えられた。

 

 

そして進む話、ラウラのスペック要求を経て、作戦思案となった。

 

 

「ふむ、銀の鐘が最も厄介な兵装で御座るな、常時瞬時加速同等の加速を得られるとなると、下手な攻撃は避けられるものであり、間合いも相手の思うがままと……」

「ああ、伊達に軍事目的で作られていない。リミッターもかけられていない状態なのでシールドエネルギーも桁違い。攻守ともにここにいる者のISを上回っていると考えられる……本多はのはどうか知らんがな」

「残念ながらリミッターがかかっているで御座るよ、火力なら勝ち目もあろうが拙者の『鹿角』の加速術式『飛翔』は速度を落とす要因を禊、加速してゆく形でござるよ、スロースターター故に間に合うかどうか……」

 

とは言っても、目的は足止め、動きを五秒もとめれば衛星軌道からの攻撃で仕留め切れる。

 

 

「ひゃっほーい」

 

屋根裏から束ちゃんの声が聞こえた。

 

「行き詰った会議に救いの手をpresent!!」

 

束ちゃんはなんと、織斑先生の足元から飛び出て屋根裏を警戒していた織斑先生にそのまま抱きつく。

 

「ちーちゃんちーちゃん、どうかな?驚いたかな?上から来ると思った?残念でした!!下からだよ」

 

織斑先生は上を向いたままその手を束ちゃんの頭に載せた。

 

「うん?」

「何をしに来た!!」

「あいだだだだだ!!久しぶりのアイアンクロー!!さすがちーちゃん、本当に頭が潰れそう、え、いや本当にまずいからやめて、これ以上はダメだよ、中身でちゃうよ!?」

 

ごめん、ごめんって~と束ちゃんが謝り始めてようやく手を放した。

すると、束ちゃんはするっと俺の背後に回り込み…

 

「アイタタ、本当に危なかったよ、ほんの少し、頭蓋骨が歪んじゃったよ」

 

そう言いながら頭をグイグイ押して治す束、

 

「よっし、これでオッケー、危うく束ちゃんのプリチーフェイスが縦長になるところだった……」

「それで、貴様は何をしに来たのだ、束。用がないのなら帰れ」

「ぶー、さっき言ったじゃないか、攻略の糸口のプレゼントだよ」

「なに」

「まずは、ほい、二代ちゃん。追加武装と高速パッケージ『VOB』だよ。やったね、これで超音速の世界が体験できるね!!」

「しかしこれって使い捨てで御座ろう」

「う~ん、本体は再利用できるようにしたから使い捨てでは無いかな?燃料の問題で使ったら補給が必要だけどね。邪魔だったら使い捨てで良いってさ。

次にだけど、箒ちゃんカモーン」

「なんですか?」

「はは、実を言うと赤椿は第四世代機、全身の装甲が『展開装甲』になっていて様々な状況に対応可能さ!!もちろん亜音速飛行もね」

 

箒ちゃんが剣道少女じゃなくて弓道少女だったら梅椿でも良かったんだけどね~と他に聞こえないように俺の背後で呟く束ちゃん。

 

「いい加減、拙者の背後から出たらどうで御座るか?」

「えーいいじゃないかよう、一応、私の護衛でもあるよね?」

「むう、そうで御座るが」

「ちょっと待ちなさい、それってどういうこと?」

「おやぁ?そこのチミっ子ちゃん興味があるのかね~」

 

束ちゃんが弄りモード突入。でもお仕事中だから強制終了。

軽く肩に置かれている手をトントンと叩いただけですが。

 

「チミっ子って言うなー!!じゃなくて、えーと、はい。教えて欲しいです」

「はっはー別に敬語にならなくてもIS取ったりしないってば」

「えーっと、それで、一体どういうことなんだ?さっきも二代になにか渡していたし……それに」

「おっと、そうだね、じゃあ手っ取り早く教えてあげよう、実は私は、現在月面でACに身を寄せているのだ!!」

「それは前に盛大に全世界へ放送したで御座ろう」

「あれ?そうだっけ……まあ、いいや。それで、今回は箒ちゃんにIS上げに来たのと、簡単なお使いだね。お届け物、そして。伝言」

 

んん、と喉元に手を当て、声をそっくりに似せて伝言を伝え始めた。

 

「我々ACは此度、篠ノ之束の要請に応じ銀の福音の撃墜に手を貸すこととなった。

五秒、足を止めてもらいたい、そうすれば決着がつく。

二代くん、場合によってはACの使用を許可する」

 

ん……と、言葉を切った後、喉を鳴らして、下の声で話し始める。

 

「というわけだよ。うん、五秒って言っていたけど、そんなにかからないと思うから頑張って足止めしてね。

あ、でもその時は上に注意だよ」

 

「じゃあね、バイビー」

 

そう言って束ちゃんはふすまから消えていった。

 

 

 

「なんだかわかりませんが、とりあえず、足止めをすればいいということですか」

「そういうことみたいね」

「正体不明の企業に頼らずとも我々で切り捨ててしまえばいいのではないか?」

「うーん、上に注意ってことはどこぞの国を攻撃したりした衛生砲使うのかな?」

「ま、そんなことよりまずは接敵だろ。束さんの言い分を聞くと、箒と二代さんが適任みたいだな」

「一夏がまともなこと言ってる」

「ちょっとまて鈴、それどういうことだよ」

 

わいのわいのと騒がしくなる。

 

 

「いい加減にせんか!!編成は篠ノ之が織斑を抱えて、本多は……何人まで連れて行ける?」

「他言しないと言うならば残り全員を、ただし、ISを展開してシステム制御を一部こちらに任せてもらえるならば」

「……なんだと、それは本当か?」

「Jud。誠に御座る。ただし、そうなると足並みをそろえるのは無理かと」

「どういうことだ。私が遅れるとでも言うのか!!」

「そうでござるよ。基本スペックが違いすぎるでござる。単体で音の二倍、VOBを使って音の四倍での飛行が可能故に」

「おい、それは大丈夫なのか?」

「うむ、実を言うとこんな速度で地面や水面付近を飛行するのは被害が出るので、上空10000m以上を飛行して接敵する予定で御座る」

「そっちもだが、それに便乗する他の奴らのことだ」

「そのために、システムを一部弄らせろと行っているので御座るよ」

「わかった。そこまで言うのならばそうなのだろう」

 

音の四倍?と話し合っている者たちをよそに、作戦が決定したようだ。

 

「篠ノ之と本多によって全員を福音の近くまで輸送し、福音へ攻撃。削り切るもよし、足止めをしてACに処理を任せるもよしだ。だが、おそらくそのような選択をする余裕が有るような状況ではないと思う。各人、全力で事に当たるように」

 

《《《了解!!》》》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、ここらなら良かろう」

今現在、ACを展開できそうな場所を見つけたところです。

 

「しかしまさか、初めてのフルサイズ展開をこのような状況でするとこになるとはびっくりで御座る」

できれば男であるときにやりたかったものだ。

 

「こんなところまで移動するとはな、よっぽど他には知られたくないのか?」

 

織斑先生がそう言ってきて初めて気がついた。ほどよく入江になっている。

 

「そうでは御座らんよ、足場が確りとしていて尚且つある程度の広さがある場所を探しただけで御座るよ」

 

「そうか、それで、どうやって全員を現地まで連れてゆくというのだ?」

「ふむ、それでは――千刀起動」

 

ハードポイントから刀が絡み合ったアクセサリを取り出し、機動をかける。

 

[おはようございます、メインシステム、通常モードで起動します]

 

アクセサリの刀が綺麗に整列し、枠を作り、その中にモニタが発生する。

 

[お久しぶりです、マスター]

「うむ、早速だが作戦を確認するで御座るよ」

[……依頼確認……作戦確認、サーチモードでフルサイズ展開]

 

ふわっと俺の体が宙に浮き、7・8メートルほどで停止、格納空間からパーツが次々に召喚され、コアから順に形を作り始める。

 

チラッと視界の隅に映った専用気持ち及び先生は皆ポカンとした顔であったと言っておこう。

 

[コア構築完了、各部構築完了、武装は格納状態で待機、VOB構築開始]

 

『まあ、こんな感じでござる。

では、皆の者、ISを展開して手の上に来るで御座るよ』

《《《えぇぇぇ~~~!!》》》

俺の一言で再起動したのか、一斉に叫びだす。

「なにこれ、ロボットじゃないの!!」「ACってこんなものまで作ってるの!?」

「巨大ロボットだと……もうコイツだけで良いんじゃないかな……」「すっげー」

「確かにこれなら五人くらい……いやいや、なんだこれは……」

 

どうやら織斑先生まで現実逃避を始めたみたいだ。

 

 

『いいから早く来るで御座るよ』

「お、おう。じゃあまず俺から」

一人だけ目を輝かせていた織斑一夏が真っ先に接触してきた。

手乗りになったところでアクセスをかけ、これに対するブロックを解除させ、設定をいじる。

 

簡単に言えば、ISの手足とアンロックユニットを解除してPICの設定を変えただけだ。

 

そこからは割と早く話が進み。出発準備が整った。

 

全員を両手にのせた状態で魔法《バインド》を使って滑落を防ぐ。リングを体に巻き付けてそこからチェーンを伸ばして手に固定と言う形だ。

 

 

「うお!?なんだこれ」だとかの叫びは完全に無視。

ちょっと一部の者は卑猥っぽくなってるけど元々水着みたいなものだから大して変わりはない。

 

『それでは出撃するで御座るよ。VOB(これ)は見ての通り故に、避難してもらいたい』

 

一言で理解できたようで、織斑、山田両教師は安全だろう場所まで移動する。

それでもまだ危険なので子機を飛ばしシールドを張らせる。

元より安全圏迄移動するのには時間がかかると思っていた。

『そいつがシールドを張ってくれるで御座るよ。帰ってくるまで預かっておいてくだされ』

 

「……わかった、全員無事に帰って来い!!」

 

《《《はい!!》》》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――舞台外―――

 

「チクショウ!!一体どういうことなんだ!!」

暗い部屋で明るい画面をのぞきながら一人の青年が喚いていた。

 

「もう少しで束を捕まえられると思えば月に変な奴らが湧いて、そいつらにかっ攫われるわ、束ねの残していったゴーレムを原作通りに送り込んでみれば衛生砲で蒸発!?こんなの知らねえぞ!!」

 

机に手を振り下ろして怒りをぶつけた後、キーボードを取り出して何かを操作し始める。

 

「こんなはずじゃなかったんだ。本当なら今頃俺は束を保護して男性IS適正者としてIS学園でハーレムを作っていたはずなのに!!

俺ののIS、バビロンの膨大な拡張領域と俺の技術力があれば今頃ッ!!」

 

自分の右中指についた金の指輪を撫でながら怒りを叫び、しかしPC画面を見てニヤつく。

 

「だがもういい、次ので俺はヒロインを手に入れる。

束の残したツールを利用して銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を暴走させる。

密輸船を誘導して織斑一夏を原作のように落とす、そして撤退をできないように福音を誘導して箒を撃墜させて、それを回収!!いやいや、そうじゃないな、二度目の出撃でちょっと手を加えて一夏が来る前にヒロインを全員海に落として回収、あとは調教して………ククククク」

 

 



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IS編最終回



最後のおまけっぽいのがかなり暴走しました。

いくら変態でもこれは外道だと思いましたが、書き直すと終わらなさそうなので勢いで書いてそのまま投稿です。


終わり方は考えていたんですが、それをした理由を考えてなかったんです!!


おまけは蛇足だった(確信?)。


VOBが激しく炎を吐く。背後にあった岩は吹き飛び、木は根まで掘り起こされて薙ぎ倒される。

 

千刀のブースターが機体を浮かせ、VOBによる殺人的加速により、機体は僅か数秒で空気を二つ三つと割いて行く。

 

岸はあっという間に見えなくなり水平線へと沈む。

 

海面は離れているにも関わらず鋭角のV字に薄く(1m前後)裂け小規模ながら津波を発生させる。

 

 

「…ょ………」

 

「む?」

風を切る感覚に酔いしれていると、手元で誰かが喋った気がした。

 

視線を向けてみると、鳳鈴音が叫んでいるように見える。

 

……

 

『ISのプライベートチャンネルで話せばよかろう?』

『!!』

『設定を少しいじっただけで御座るから武装展開以外の昨日は自由に使えるで御座る』

『そ、それなら早く言いなさいよ!!』

『聞かれなかったで御座るし、言うまでもないかと思っていた、それで何様で御座るか?』

『なんなのよ、あの加速!!意識が飛びそうになったじゃないの、それも先に言っときなさいよ』

『ちゃんと気付けをするように設定しておいた故に、意識が飛んでも即座に復帰できるでござるよ』

『そういう問題じゃなーい!!見てよ、一夏なんてなれなくて泡吹いてるのよ!!』

『比喩で御座るな。でも、バイタルで見ると一番乱れているのは篠ノ之箒で御座るよ』

 

そこで皆が平然としている箒を見る。

 

『何を言っている。私は絶好調だそ?』

『気分が高揚しすぎているで御座るよ、戦場で必要なのは氷のように冷え切った冷静な思考と熱い思い、冷静な判断を期待するで御座る』

 

そう、声をかけておいてレーダーを見る。

 

『目標地点まで半分を過ぎたでござる』

『え、もう?』

『音の五倍くらいでている故に、単純計算で一秒に1.7km移動するで御座るよ』

 

『目標の10km手前で皆を切り離すと同時に強制的に基本武装を起動するで御座る。勢いを落とさぬように目標に』

『わかった』

 

残り50kmとなった所に、光弾が仕掛けられていた……否、光弾を撃ってきていた。

相対速度があまりにアレなせいで仕掛けられていた者に飛び込んでいった感じではあるが、無論、クイックブーストで機体を左右に振り回して避ける。

 

飛んでくる弾は散弾で、脚や肩に当たるものもあるが、ISから流用したエネルギーシールドの応用のおかげで装甲に被害はないエネルギー自体はジェネレーターからの供給で過分にあるので今の程度の当たりならいくらでも問題無い。

サイズの差というものもある。全高にして四倍の差は大きい。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

敵が来た。センサでは遠くに居るのに、視覚センサではすでに見えている。

ISではないのか?だが、そんなことは関係ない。

射程距離に入ったら、と考えていたが、それはとんでもない速度でこちらに向かってきている。

自分の倍以上の速度だ。このままではいけない。

そう考え、[銀の鐘]を発動させる。

正面から弾を撃つ。全てが直撃コース、そのはずだった。

あろう事か敵はぶれる様にその身数個分横へ、ズレた。

避けてもよけられなければいい、と己のコンセプトに沿って広域攻撃へ変化させる。

しかし、敵の機体は体を左右に振りながら近づいてくる。

予想を裏切って被弾数が少ない。

被弾していてもダメージが与えられていない。

 

そして接敵と言える距離まで来て、IS(てき)が6体増えた。

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

『拙者が先に行く、遅れぬよう』

『わかっている!!』

 

拙者……もとい、俺は武装の中で最も大きな刀を取り出して速度を最も生かせる薙ぎ払いを仕掛ける。

 

福音は[銀の鐘]で俺を集中して攻撃してくるが、俺はシールドエネルギーが切れる前に攻撃すれば損傷はないと、最小限の回避で斬りかかる。

 

一撃。

 

右腕を圧壊させんばかりにがっしりと固定された、

巨大な剣(マスブレード)を振るう。

 

そこで福音はブレードに、[銀の鐘]を収束させて撃ち、軌道を少しずらし自分は反動で逆方向へ非難する。

 

だが、音速の五倍、先端速度はそれ以上の高質量体が至近距離を移動するということは、それを避けるのは容易ではない。

福音はそれにより発生する気流によって、柱に引き寄せられ、側面で打撃を受ける。

 

[銀の鐘]に始まり、装甲も大きく破損し、搭乗者の金色の髪がかすかに見えた。

しかしそれも一瞬で、福音は大きな水柱を立てて海へ落ちる。

 

『うっわ~~』

『これって僕たち必要だったのかな?』

『あれ、完全に避けてたと思いましたのに……』

『ちょっと待てよ、あれなんだよ、ブースタつけただけの柱じゃないか!!』

『だって、ねえ………あの企業ならなにしてもおかしくないというか、あれだけの威力があれば納得もしちゃうよ』

『それでもあれは……』

『安心なされよ、競技ではこれは使わぬ』

 

そう言ってマスブレードを格納し、福音が沈んだ海面に注意を払う。

 

『それよりも油断はせぬ様に』

『何言ってんのよ、あんなのくらって無事なわけが……』

『いえ、鈴さん海中からエネルギー反応』

『あれでまだ動けるの!?』

『仮にも軍用、リミットが外してある分競技用の常識は通じぬで御座る』

 

ゴッと海面をブチ抜いて飛び出てきたのは、先程と形が違う福音。

 

『こんなタイミングでセカンドシフト!?』

『ふむ、よっぽど大事にされていたので御座ろう。搭乗者を守るために無理に壁を抜いたようでござるな』

これは回収して直す必要がありそうでござる。

 

『羽みたいなのがさっきは二枚だったのに四枚になってるぞ!!』

『一夏、それだけじゃないぞ、赤椿みたいに全身からエネルギーの羽が……』

 

そこまで言ったところで福音が動いた。

一回転しながらの掃射。

先ほどの比ではない数の光弾と光の羽が舞う。

位置取りは福音を挟み、行き過ぎた場所に二代、他は後から追いかけてきたのでその反対側。

そしてその両方を同時に十分な密度の攻撃を可能としている。

そして福音は立ち止まらずに動き出し、移動しながら爆撃を行う。

 

『うおぉぉぉ!!』

『避けきれない、なら!!』

『ダメ、迎撃も間に合わない!!』

『ブルーティアーズでは火力が違いすぎますわ!!』

『エネルギー弾はAICと相性が悪い!!』

『クッ、この程度……うぉぉぉ!!』

 

やだ、勇ましい。箒ちゃんテンション上がりすぎ

因みに俺はACのサイズを5m程までスケールダウンさせている。

流石に出力の上がったものを雨霰に対して巨体で避けるのは辛い。

 

『く…うわぁぁぁ!!』

『ラウラ!!』

『皆では手数が足りぬ。拙者が切り込む故に援護を!!』

『え』

『え?』

『僕達、必要かな?』

 

ユクゾッ!!

 

『千刀流、乱数・劔の檻』

 

やることは単純、使い捨てのようにひたすら新しい刀を取り出して切り付けるだけ。

ちなみに高速空中戦で使う技じゃない。

切り付けては手を離し、新しいのを取り出しては切り付ける。

防がれてもいい、ただただ相手に刀を組付けて檻を形成する。

そういう技だ。

だが真価はそのあとに出る。

だが、それは惨殺用だ。

それに今回は数秒動きを止めればいい。

囲う刀が廿になる頃には腕が動かせなくなり、伍拾で片羽が絡め取られ、百で上半身が刀の檻に閉じ込められる。

無論、足も自由に動かせない状況だ。

これの恐ろしいのは、動くと別の場所に刀が喰い込む。

入れただけの力で自分を切りつけることになるのだ。

 

 

 

ん?他の奴らはどうしたかって?

援護を挟むことも出来ずに見学だった。

高速で動きながらの近接戦闘。

外から見ると……

 

 

 

 

 

『なんですの、あれ……』

『剣を使い捨てしているが……その剣が』

『ああ、まるで意思を持っているかのように食らいついている』

『てか、あれISのハイパーセンサなかったら何かが光弾ばら撒きながら高速飛行しているようにしか見えないわよね』

『む、福音の速度が落ちたぞ』

『片羽が剣に囚われたか…』

『ん?おかしいぞ、なんでそれで遅くなるんだ』

『スペック見てなかったの?』

『嫁よ、あの羽は[銀の鈴]と言って、広域砲台を兼用した大型スラスターだ。

その片側を制限されたのだ、速度は落ちよう』

 

 

 

 

だがしかし、所詮は近接ブレード、実体刀の集まりだ。

福音は己の損傷を度外視することで檻を容易に破壊できる。

 

それを証拠に福音の羽が輝き出す。

 

「拙者の取って置きを喰らうで御座るよ!!」

両手に呼び出したるは驚異の突撃ブレード。

早い話がパイルバンカー、杭打ち機だ。

そしてこれの何より恐ろしいのが、リニアレールだったりを用いた超高速連打。

 

そう、みんな大好きKIKUだ。

 

さあ、とっつくのが先か、福音の自爆が先か、

 

 

 

 

 

軍配は福音へ上がった。

 

あとはトリガーを引くだけであったが、その直前で羽から爆発し、俺の打ち出したパイルはあさっての方向へと突き出された。

一瞬間をおいて、福音の足をかすめるように上空から光の線が降りたが、ターゲットに逃げられ不発。

あと半秒あれば終わっていただろう。

 

福音は距離を取り、もう近づかせないと言わんばかりにこちらへ銀の鐘の全門を向けてきている。

 

『仕切り直しで御座るか』

『いやいやいや、どっからどう見ても弱りきってるでしょ!!』

『速度は先程に比べ………四割近く低下しているな』

『銀の鐘もさっきに比べてずいぶん弾幕が薄くなってる』

『これなら行ける!!』

 

いやいや、手を貸してくれませんかねぇ、いや。やっぱりおとなしくしててくださいな。

追加報酬は諦めてたけどこの調子ならもしかしたら!

 

 

『二代、ここから先は私たちに任せてくれないか?出てきておいて、見ているだけでしたってのもアレだからな』

え?ちょっと

『そうだな、二代にまかっせっきりってのもどうかと思う』

それは要らん援護だ!!

『あそこまでスペックが落ちていれば余裕ですわ』

この慢心チョロインが!!

『ちょっとみんな!!』

お、鈴ちゃん言ってやれ。

『観察して現在の予測スペックを出してみたわ、押さえているかもしれないからあくまでも予測よ』

要らんことしよった!!

『ふ、不要でござるよ!!お主らに何かあったら追加ほう……ではなく、申し訳が立たぬ』

うっかり本音が飛び出てしまった気がする。

『ふん、そんな事覚悟の上だ。それに私は軍人だぞ』

ッチ

『ならば、好きにするで御座るよ、拙者は拙者でやらせてもらう、ついてこれるものならば参戦するが良い』

 

俺はそれだけを言い残して、クイックブーストで未だ尚こちらに攻撃をし続ける福音に接近する。

手に持つは千刀が二本。

クイックブーストの加速を乗せて福音へと投げつける。

無論、動き続けている的に対して投げるに適さない獲物、尚且つ連射ができないものでは当たるようなものではない。

だが、それがどうしたと、俺は投げた刀を追い抜かし、掴んで福音を切りつける。

そして反対の手には千刀ではなく蜻蛉切。

 

「結べ!!蜻蛉切!!」

 

通常駆動を発動。

射程は原作準拠で30mしかない。

だが今は10mいない間で近づいた状況。

 

『danger』

 

刀を片手で受け止めていた福音は機械音でそう言って、逃げの手を打った。

押し付けられている刀の力に沿って退避を行った。

ただそれだけで福音は蜻蛉切の割打の範囲から逃げおおせた。

多少無茶をしただろうが元々音速を超えられる機体だ。

足を緩めた相手から逃げるのは楽勝。それが30mとなれば半秒もいらない。

 

「かかったでござるな!!」

 

しかし、そんなことはわかっている。

俺はカメラを破壊するフラッシュグレネードを打ち出す。

ハイパーセンサでもしばらく何も見えなくなるだろう。

そして、拙者は通常カメラを切って、サーモグラフィやその他の特殊カメラを持って福音を補足し、先回り、そしてバインドを大量に設置する。

やっぱり魔法は便利だ。

だけど、補正的に距離が離れるほど制度と速度が大きく低下するので、こうするしかない。

 

できれば使いたくない手段ではあったが仕方ない。

 

追加報酬のためだ。

 

 

光による情報過多で僅か一瞬機能が落ちた福音は避けようとするも避けられずに網に掛かる。

拙者との戦闘で、まっすぐ進むのはまずいと思ったのだろうが手遅れだ。

気を付けのように両手が体側で縛られ、そこからどんどんバインドが増えて簀巻きの状態になる。

そしてバインドの利点は、空中に固定できるということ!!

 

「詰でござる」

 

その後僅か数秒、

 

空から柱が降ってきて、福音を飲み込む。

しかし、福音の外装は削れない。

 

あ、これ魔力砲だ。えげつねえ……

 

SLB並みの出力だが、本家よりもよっぽど洗練されている。

考え込まれている。

いかに効率よく対象を挫くかをよぉぉぉく、考えられている。

見ているだけで涙が出てくる圧倒的オシオキ感。

見事にシールドエネルギーだけを吹き飛ばし、魔力ダメージは全力疾走をした時のような怠惰感のみ。

なんでわかるか?

月の奴らがご丁寧にこっちに通信入れて解説してくれてるからだよ。

 

これの名前が悪意にまみれている。

 

 

【全✩力】受けてみて、これが私のOSIOKIよ【全★壊】

 

 

うん、本家のあの人が聞いたら、月が太陽に成ってしまう。

 

桜色のな!!

 

そんなこんなで無事に福音の確保ができた。

確保された福音は一度、束ちゃんの手によってメンテナンス及び、正常化が行われ、持ち主の手に帰った。

 

 

その持ち主が今回の件によって桜を見るたびに震えるようになったと言うのは蛇足である。

 

 

 

 

 

 

そして拙者はIS学園卒業まで二代のままで、女としての生活をしていくことになる。

 

行事イベントはなぜか何事もなく終わることがない。

予測可能であり、回避不能なハチャメチャな学園生活が待っていると、この時の二代は………

 

 

 

 

薄々感じ取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以降おまけ、ちょっと変態が人の道から外れていますが、いつも以上です。

何も考えないでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のテンプレ踏み台転生者………

 

「なんだよ、何なんだよ、なんでアーマードコアが……速すぎるだろあれ!!

しかも衛星砲とかインチキだ!!

クソ、こうなったら俺が直々に潰してやる!!」

 

彼は己のIS、バビロンを展開し、空へと登ってゆく。

大気圏を突破し、数日かけて月へ向かった。

 

 

「ッチ、月ってこんなに遠かったか?バビロンに食いもん入れてなかったらやばかったな」

 

そんなことをつぶやきながら、彼は己がISの最強武装バビロンの門を発動する。

頭上の空間が波打つように量子化していたものを再構成する。

 

現れたのは鉄塊であった。

まごう事無き鉄塊。

余りにも巨大な、タンカーにも匹敵する鉄の塊がここに召喚された。

 

「これだけあればてめえらの秘密基地にもたどり着くだろうよ!!」

 

超巨大な鉄の弾丸を打ち出す。

 

バビロンの昨日は簡単に言えば大容量、そして量子化したものを高速で射出する唯一仕様の特殊能力(ワンオフアビリティ)を持っている。

 

「質量数億トンの弾丸だ!!」

 

巨大な鉄の塊が動き出す。

一瞬の溜めの直後、音速の数倍で弾丸が射出された。

 

「クタバレェェェ!!」

 

だが、月に住まう変態がISのI(イナーシャル)C(キャンセラー)のちょっとした応用として生み出した技術の方が異常であった。

光をも捉える慣性制御、質量があるほど慣性の力は働き、だからこそ威力が出る。

しかし、ここではその質量が裏目に出た。

 

弾丸は月に迫り、しかし衝突どころかなんの影響も与えられずに停止し、その鉄塊は回収された。

 

 

「なん……だと!?なんだよ、何をしたんだ!!」

『なぁに、慣性制御のちょっとした応用さ』

「誰だてめぇ!!」

『うん?命を狙った相手のことも知らないのかい?』

「てめえが黒幕か!!」

『むしろ君が黒幕なんだろう?まあ、そんなことはいいさ。

とりあえず、ふざけたことをしてくれた君には返礼をあげよう』

「あ?」

『なに、一瞬で終わるよ』

 

次の瞬間、彼は背後に現れた魔法陣に拘束される。

 

「なんだこれ、リリカルなのはの魔法陣!?だが、ミッドでもベルカでもない!!」

『ほう、知っているのかい?まあ、たったいま君にも、その機体にも興味をなくした所だからね、もう何も言わなくていいよ』

「ふざけッ

 

そのあとの言葉は繋がらなかった。

なぜなら語る口どころか、肉の一片も残らなかったのだ。

 

『予想以上だったね、《聖骸の賢明・旧代=レプリカ》と光子弾の組み合わせは………』

 

 

『でも君が悪いんだよ、束ちゃんを泣かせるからさ』

 

 

主任がやらかした理由はそれだった。

お気に入りの子が馬鹿げた殺意を見て怯えたことに対して怒った。

 

というよりも、この束ちゃん、精神年齢がかなり低い気がする。

 

ふえーん、とか泣きながらあやされている。

 

昨日に束さんが来ていたのも一因だろうが……

 

言ってしまえば、変に弄り回された福音(我が子)の件も束ちゃんを泣かせた要因になっているのだが、誰もそれについては気にすることがなかったのでどうでも良いことである。

 

 

しかし、なぜ転生者を捉えて実験体にしなかったかということもあるが、それは単純に月の基地には捕虜を捉えておくだけのスペースがない。

 

 

これによって、タイミングを誤り、舞台に登れず、目論見も全てうまくいかなかった男は、最後に大きな光となっていなくなった。

 

これだけ書くと酷く惨めな奴である。

 

 

しかし、今後も第二、第三の転生者(下衆系)によって騒動が起こされるのだが、異様な速度で進化を続ける変態達の技術の前では、多少のチート能力ごとき、隕石に水鉄砲(100円+税)であったのだ。

 

 

 

 

 

 

IS編    完



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