Road to ポケモンマスター ~カントー地方編~ (鍋奉行Lv5)
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第1章 旅立ち
マサラタウン~プロローグ①~


レッド

「俺はマサラタウンのレッド!!

今日は待ちに待った13歳の誕生日っ!

この日が待ち遠しく、昨夜は緊張して眠れなかった事は母ちゃんには秘密だ。(なんてったって、まだ13歳だからな)

さぁて、長々しく喋ってると"アイツ"に先を越されちまう!

誕生日に買ってもらった、おnewのスニーカーを履いて…っと!

行ってきまーーーーすっ!!!」

 

レッド

「今から向かうのはポケモンの事なら何でも知ってる(自称)オーキド博士ん家!

そこで、俺の相棒となるポケモンをいただくのだ!!」

 

ニヤニヤしながらレッドは博士の研究所に向かう

当に約束の時間を過ぎてることも知らずに……

 

コンコン…ガチャ

 

レッド

「失礼しまぁっっす!!

オーキド博士!ポケモンをいただきに来ましたー!」

 

???

「……はぁ。お前なぁ、いつまで人を待たせるんだ!?

1時間の遅刻だぞ。」

 

レッド

「・・・・え??

あああああっっっ!!!こ、こ、これはだなぁ。

そ、そうだっ!俺は読者様に自己紹介やらなんやら

説明してたんだ!正当防衛の遅刻?ってやつだ。」

 

???

「読者!?自己紹介!?訳が分からんがまぁいいや。

なんせ、俺の初めてのポケモンが貰えるんだからなぁ。」

 

レッド

「ってか博士は?」

 

???

「じいちゃんなら俺たちに見せたいものがあるからって

出てったきり帰ってこないんだ。」

 

ジジジ……パチッ!

突然部屋の灯りが消える

 

レッド

「な、何だぁ!?」

 

???

「停電か!?」

 

すると部屋の空気が急に肌寒くなるのを2人は感じた。

2人の背後に青白い影が浮かび上がる。

 

レッド

「な、なぁ、この感じってまさか。」

 

???

「そのまさかか!?いいか?いくぞ!

3・・・2・・・1・・・っっ!!」

 

2人が振り向いたと同時にその影は襲いかかってきた

 

レッド&???

「いやああぁぁっっっ!!!!」

 

ドシンッ!と豪快な尻もちをついてしまった2人

パチンという音とともに部屋の灯りはつき、

目にしたのはゴースというポケモンのマスクを被った

オーキド博士だった。

 

オーキド

「いやぁ、2人ともすまん、すまん。

本当はここまで派手にやるつもりはなかったんじゃが、

つい、、のぉ。

じゃがっ!!!今のは極めて危険な【驚かす】という

技で相手を怯ませてしまうのじゃ!

つまりは………」

 

???

「始まったよ、じいちゃんのポケモン講座。」

 

レッド

「オーキド博士っ!そんなことよりポケモンくださいっ!」

 

オーキド

「ん?おお、そうじゃった!

では、2人の誕生日を祝してわしからのプレゼントじゃ!

誕生日おめでとう!!

ほれ、この3匹の中から1匹選びなさい。」

 

オーキド博士は3つのモンスターボールを差し出した

1つめは、草タイプのフシギダネ

2つめは、炎タイプのヒトカゲ

3つめは、水タイプのゼニガメ

 

レッド&???

「わぁぁぁ。」

 

2人は目をキラキラさせてボールを見つめる

 

???

「じゃあ、俺はコレっ!

俺みたいに純粋で清らかな水タイプのゼニガメ!!」

 

レッド

「何だ、その変な理由!

俺は俺の名前と同じ、赤い炎タイプのヒトカゲだっ!!」

 

???

「お前も似たようなもんだろ!」

 

オーキド

「うむ。2人ともその子たちを大切に育ててやっておくれ。

ポケモンはトレーナーとの絆で2倍にも3倍にも強くなる!

ところで、せっかくじゃし一戦交えてみてはどうじゃ?」

 

レッド

「賛成ー!!いいだろ?グリーンっ!!」

 

そう、紹介するのを忘れたが(俺にとっちゃ、どうでもいいけど)

こいつの名前はグリーン。

このマサラタウンの唯一の幼なじみでオーキド博士の孫っ!

博士の孫のせいか、ポケモンのことについては、俺より

ちょっぴり物知り。

たまに言い合ったりするけど、根はイイ奴なんだ!!

 

グリーン

「ったく、

遅刻するくせにこういう事は早いんだから!お前は!

ま、でも断る理由はないわな!」

 

オーキド

「審判はわしに任せいっ!」

 

グリーン

「頼むよ、じいちゃん!

いけっ、ゼニガメっ!!」

 

レッド

「ヨロシクなっ!ヒトカゲ!!」

 

こうして2人のポケモントレーナーとしての第1歩が始まった!!




誤字や脱字など、表現も曖昧かもしれませんが、おおめにみてください。


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マサラタウン~プロローグ②~

レッドとグリーンは博士からもらった初めてのポケモンで戦うことになった。
2人のワクワクとドキドキが冷めやまぬ中、熱い戦いの幕が切って落とされる!


グリーン

「頼むぜ!ゼニガメ!!」

 

レッド

「ヨロシクなっ!ヒトカゲ!!」

 

グリーン

「確か戦闘において、最も大切なのはポケモンのタイプ!

レッドのヒトカゲの炎タイプに対して俺のゼニガメの水タイプは効果抜群!!」

 

グリーン

「先手必勝っ!!

ゼニガメ!【ハイドロポンプ】っ!!

(ハイドロポンプは水タイプで最強クラスの技!

レッドには申し訳ないが一撃で終わらせてやる。) 」

 

ゼニガメ

「………???」

 

グリーン

「…えっ! ?

ゼ、ゼニガメ!【ハイドロポンプ】だっ!!」

 

ゼニガメ

「??」

 

オーキド

「………フッ。」

 

レッド

「何かよくわかんないけど、相手が怯んでるチャンスだ!

ヒトカゲの爪は鋭いぜ!?

ヒトカゲっ!【ひっかく】だっ!」

 

ヒトカゲの鋭い爪がゼニガメをひっかく

 

レッド

「それそれ~!連続で【ひっかく】だっ!!」

 

ゼニガメは為す術なくやられ、KOしてしまった

 

グリーン

「そ、そんなぁ。この俺が…。くそっ!!」

 

落ち込むグリーンの側にオーキド博士が寄ってくる

 

オーキド

「グリーンよ、そう落ち込むでない。

勝てばもちろん嬉しいが、負けたって得られるものもあるはずじゃ。

何が悪かったのか、足りなかったのか、よく考えて次の戦いに活かすのじゃ。

まぁ、今回の敗因はグリーンの知識不足じゃな。」

 

グリーン

「俺の、知識不足?」

 

オーキド

「うむ、例えばハイドロポンプは確かに最大の威力をもつ技じゃが、そう簡単に会得できる技ではない。

ポケモンに多くの経験を積ませて初めて使えるのじゃ。

ましてや、まだ貰ったばかりのゼニガメが

覚えておるわけなかろう!」

 

グリーン

「そういうことだったのか。

まだまだだな、俺は!」

 

グリーン

「レッドっ!!」

 

レッド

「何ぃ~??」

 

グリーン

「次は絶対負けないからな!」

 

レッド

「俺だって、勝ちは譲らないぜ!

なっ!ヒトカゲ!?」

 

ヒトカゲは聞いてなかった

 

レッド

「おおおいぃ、ヒトカゲェェェ。」

 

レッド&グリーン

「・・・ハハハハハ!!!」

 

オーキド

「うんうん、ライバル同士、切磋琢磨して強くなっていってくれ。」

 

オーキド

「そうじゃ!2人がこれから旅をするにあたって渡しておきたいものがある!

コレじゃっ!!」

 

オーキド博士はポケモン図鑑とモンスターボールを 2人に手渡した

 

レッド

「これは?」

 

オーキド

「ポケモン図鑑。まだまだこの世界には多くのポケモンが生息している!

2人にはそれらのポケモンを発見し、図鑑をうめて欲しい。」

 

グリーン

「そんなの、俺にとっちゃあ朝飯前よ!!

全部任せといて!」

 

レッド

「お、俺だってっ!やってやるぜ!!」

 

オーキド「うむ、頼もしい限りじゃ。」

 

グリーン

「そうと決まれば、ぐずぐずしてらんないなぁ!!

じゃあな、じいちゃんっ!レッドっ!」

 

レッド

「あ!?先を越されたー!!

待て~~、グリーン!」

 

グリーンの背を追うようにレッドも走り、駆けていく

 

オーキド

「頼んだぞ。2人とも」

 

そこへ謎の影が家の角から2人を覗く……

 

???

「レッドさんとグリーンさん、ポケモン貰えていいなぁ。

あぁ、僕も早くポケモン欲しいなぁ。

後、1年の辛抱だなっ!」

 

こうしてレッドとグリーン、

2人の少年は期待と希望を胸に秘め

広大な世界に足を踏みいれたのだった!!

 



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1番道路~初めての・・・~

マサラタウンを出発したレッドとグリーン
1番道路に入って2人は次の街を目指し、ひたすらに歩く…


レッド

「次の街まだぁぁ??」

 

グリーン

「お前、さっきからそれしか言ってなくない?」

 

レッド

「だってさぁ、出てくるポケモン、コラッタってやつばっかじゃん!?

さすがにコラッタ狩りも飽きてきたしぃー。」

 

グリーン

「はぁ。コラッタ狩りって……。

いいか、レッド?

どんなポケモンでも倒せば経験値は 貰えるんだし、強くなるには努力も怠ったらいかんぜ!」

 

レッド

「分かってるけどさぁ……。」

 

すると草むらからガサガサという音が。

 

レッド

「また、コラッタぁ?」

 

しかし草むらから顔を出したのはコラッタではなく、ポッポというポケモンだった

 

レッド

「こ、こいつはっ!?」

 

グリーン

「ポッポというらしいな。

飛行タイプのポケモンだ!!」

 

レッド

「よっしゃっ!

いけっ、ヒトカゲ!【ひっかく】っ!」

 

しかしながら、ポッポは華麗な飛行でいとも簡単に、ヒトカゲの攻撃をかわしてしまった

 

レッド

「なっ!?ずりぃぞ、降りてきて戦えぇっ!!」

 

グリーン

「いや、野生のポケモンもやられまいと必死だから。

だったら、遠距離攻撃でもしてみたら?

さっきのコラッタ狩りで身につけた…。」

 

レッド

「なるほどっ!ヒトカゲ【火のこ】だっ!!」

 

ヒトカゲの口から炎の玉が吐きだされ、見事、ポッポに命中し地面に倒れる

 

レッド

「よっしゃ!とどめの【ひっかく】!!」

 

しかし、ポッポの目がギラリとひかり、翼で砂を撒き散らし再び上空へ。

ヒトカゲが目を擦らせているとポッポは続けざまに

【風おこし】で反撃してきた

 

レッド

「くっ!ヒトカゲェェ!!」

 

レッドはヒトカゲの側に駆け寄り抱き抱える

 

レッド

「大丈夫かヒトカゲ?

あいつ、強いなぁ。

……決めた!あのポッポを仲間にする!!」

 

グリーン

「!?」

 

レッド

「グリーン、悔しいけど、俺1人じゃあいつを倒す糸口が 見つかんねぇ!

お前のアドバイス。もらってもいいか!?」

 

グリーン

「ったく。お前は正直すぎるんだよ!!

( ……そういうとこ嫌いじゃないけどな! )」

 

グリーン

「まずは、ポッポを地面に落とすんだ!

やり方は…さっきと同じだっ!!」

 

レッド

「よしっ!ヒトカゲ【火のこ】っ!」

 

ポッポに【火のこ】が命中し地面へ落ちる

 

グリーン

「(そう、そしてポッポは再び飛ぼうと翼をはばたかせる。

そこを、狙う!!)

レッド!ポッポの翼を攻撃して飛ばさせるな!!」

 

レッド

「そういうことかっ!!

ヒトカゲっ、ポッポの翼に向かって【ひっかく】だ!」

 

ヒトカゲの渾身の【ひっかく】がポッポの翼に当たりポッポは 上手く翼を動かせないでいる

 

グリーン

「今だ、レッドっ!!」

 

レッド

「 おおりゃゃゃぁぁあ!!」

 

レッドはモンスターボールを投げつけ

ポッポはボールの中に入るものの、激しい抵抗が続く。

場に緊迫した空気が流れる

 

レッド&グリーン

「・・・・・・・・」

 

するとボールの動きは止まりポッポを捕まえる事に成功した

 

レッド

「やったぁぁ!

初めてのゲット。くぅ~っ!嬉しいぃーーっ!!

サンキュー、ヒトカゲっ!

それと…グリーンも。」

 

グリーン

「ま、この借りはいつか倍にして返してもらうけどな!(笑)」

 

レッド

「ゲッ!!そ、それじゃあさ俺のおにぎりあげるよ!

腹減ってるだろ?」

 

グリーン

「いらん!さっき飯食ったばかりだからなっ!」

 

レッド

「そんなぁぁ。」

 

こうしてレッドは

初めて野生のポケモンをゲットすることができた

まだまだ不安な面影もあるが

レッドなら大丈夫だろう……多分

 



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トキワシティ~永遠の緑~

レッドがポッポをゲットして、2人はやっとのこと1番道路を抜け、トキワシティに到着した。


レッド

「ふぅ~。ようっやく着いたな!」

 

グリーン

「あぁ、ここがトキワシティかぁ。

周り一面緑に囲まれてるな!

 

レッド

「これからどうする?

俺は傷ついたポケモンを回復しにポケセン行くけど…。」

 

グリーン

「俺はちょっとブラブラしてるよ。

観てみたい所もあるし!」

 

レッド

「OKー!!じゃあ、また後で!」

 

グリーン

「おう!」

 

レッドはポケモンセンター目掛けて一直線に向かった

 

レッド

「この世界で知らない人はいないと思うが、

ポケモンセンターとは傷ついたポケモンをなんと無料で回復してくれる場所であり(売上あるのかと?思ったりするが…)

他のトレーナーと通信が取れたりと、とっても便利な場所なんだ!」

 

'ウィーン'と自動扉が開くとレッドは女医のジョーイさんにモンスターボールを手渡した

 

レッド

「ジョーイさんっ!俺のポケモンお願いしますっ!!」

 

ジョーイ

「はあいっ!お預かりしまーす!

また後で取りに来てくださいねっ!」

 

レッドはポケモンセンターを出るとグリーンを探した。

やっとのことで、ある建物の前に立っているグリーンを見つけた

 

レッド

「探したぞ!グリーン」

 

グリーン

「…ん?あぁ悪い。」

 

レッド

「で?ここは何なんだ?」

 

グリーン

「ポケモンジムって言ってカントー地方に8つあり、ここはその内の1つ。

そこに君臨するジムリーダーを倒すとジムバッジが貰えて、8つ集めるとポケモンリーグに挑戦できるのさ。

まぁ最強のトレーナーの称号を手にするためのピース集めみたいなもんだ。」

 

レッド

「なぁんだ、そんなら俺がぶっ倒してあっちゅう間に、最強の称号をゲットしてやるぜっ!!」

 

グリーン

「バーカ。

そんな簡単なら皆苦労しないって。

ジムリーダーってのは他のトレーナーに比べて格別に強いんだ!

今のお前なんか門前払いレベルだ。」

 

レッド

「何を~。

俺のヒトカゲとポッポに火をつけさせてしまったな!

今に見とけよっ!」

 

グリーン

「ったく。ポッポはともかく、ヒトカゲは元から火ついてるって……。」

 

グリーンの冗談にレッドがキーキー言う中、

一方のグリーンはジムをじっと見つめる

 

グリーン

「(おかしいな。ジムリーダーってのは常に居る筈なのに今日だけ休みなのかなぁ?)」

 

そこへ恰幅の良い男性が2人に近寄ってきた

 

恰幅の良い男性

「ここのジムに何か用かな?

生憎、挑戦しに来たってんなら残念だけど、少し前からこのジムは開いていないんだ。」

 

グリーン

「え!?どうしてっ!?」

 

恰幅の良い男性

「さぁね。ただ、ここのトキワジムって最後のジムなもんだから、挑戦しに来る人自体少ないのかも。

僕もこの街に引っ越してきて、まだジムリーダー、見たことないんだよね。」

 

レッド

「じゃ、そのジムリーダーサボってるのかもね!」

 

恰幅の良い男性

「コラコラ。でも、本当にそうかもね!」

 

グリーン

「おじさんまでっ!!

はぁ~。でも本当残念だなぁ。

俺はジムリーダーに憧れてるからさ!

一目でいいから見たかったんだよなぁ。

んで、いつかジムリーダーになるのが俺の夢なんだ!!」

 

レッド

「へぇ~。俺に負けたのにぃ~?」

 

グリーン

「お前なんかすぐ追い抜いてやるって!」

 

恰幅の良い男性

「2人とも熱いねぇ。

きっと強いトレーナーになるよ!

おじさん応援してるからねっ!!

じゃあね!」

 

レッド&グリーン「またねー!!」

 

そして2人はポケモンセンターに戻りレッドはポケモンを受けとった

 

レッド

「よっしゃ!準備も整ったし、出発しますか!!」

 

グリーン

「・・・」

 

レッド

「…グリーン?」

 

グリーン

「その……なんだ、やっぱり今のままじゃ俺達自身、成長しないと思う。

2人で旅するのは、そりゃ楽しいけどさ。

楽しいだけじゃデカイ夢叶えるには、その障壁になっちまう。

困難に1人で立ち向かってこそ一流のポケモントレーナーだと俺は思う。」

 

レッドは俯いたまま何も喋らない

 

グリーン

「…すまんな」

 

レッド

「プ・・プっ・・・ブわッハハハハ!!

グリーン!俺が落ち込んでるとでも思ったか!?」

 

グリーン

「そりゃ、お前!いっつもドジばっかしで……」

 

レッド

「一番俺の性格知ってるお前が心配してどうする?

俺なんか1人でいたって何も寂しくなんかないぜっ!?

明日までにジムリーダーの1人や2人、楽勝ってもんよ!!」

 

グリーン

「そうか。そうだったな、俺の考え過ぎだったようだ。」

 

レッド

「それなら、俺はもう行くぜ!」

 

グリーン

「俺はもうちょっとこの街を堪能してから行くわ!」

 

レッド

「じゃっ!」

 

レッドはポケモンセンターを飛び出し、トキワの森に向かって全力で走り出していく

 

グリーン

「レッドっっっ!!

どこに行っても一生俺のライバルだからなっっ!!!」

 

レッドは微かに聞こえたグリーンの叫び声に

振り返ることなく、片腕を上に挙げ暗闇の森の中に姿を消した

 



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トキワの森~虫捕り少年との出会い~

グリーンと別れたレッドは草木が生い茂るトキワの森に足を踏み入れた。
また、1人意気揚々と歩いていくレッドの周りで、たくさんの虫ポケモンが蠢いていた。


レッド

「うっげ~。こいつはビードルにぃ、あっちはキャタピーってのかぁ。

昔から俺は虫が大嫌いなんだよっ!!」

 

そこに一匹のビードルが現れた

 

レッド

「うおぉっっ!ヒトカゲっ!【火のこ】!!」

 

あっけなくビードルは倒れた

 

レッド

「ったく、これだから虫ポケモンは急に現れたりするから嫌い…」

 

と言いかけた瞬間、やられたビードルの仲間だろうか、群れのキャタピーやビードルがレッド目掛けて襲いかかってきた

 

レッド

「うじゃうじゃと現れやがって!!

まとめて蹴散らしてやるぜっ!

ヒトカゲ、【火のこ】の連続攻撃だーっ!」

 

ヒトカゲは次から次へとキャタピーやビードルを丸焦げにしていくが、きりがない。

するとヒトカゲは背後をつかれビードルの【毒針】を受けてしまった

 

ヒトカゲ

「!!」

 

そして運悪く、毒に侵されてしまい悶え苦しむヒトカゲ

 

レッド

「ヒトカゲっ!!

ちくしょうっっ!!」

 

衰弱しきったヒトカゲを抱き抱えるレッドに

ビードルの【毒針】が襲いかかる

 

レッド

「っ!!」

 

そこへ突風が吹き荒れ、1人の少年と一匹のポケモンが現れた。

彼のポケモン、バタフリーの【風おこし】で

キャタピーとビードル達は一掃された

 

レッド

「!?」

 

???

「大丈夫だったか!?お前!」

 

レッド

「ああ。助けてくれてありがとう!

俺はレッド、君は?」

 

???

「俺は、鍬形 甲(こう)ってんだ!

ここらで虫ポケモンを捕まえては、育ててるんだ!

ところでレッドはこんなとこで何してたんだ?」

 

レッド

「いや、そのぉ~。

(いかにも虫ポケモン大好きな奴の前で、虫ポケモンを丸焦げにしたなんて絶対言えねぇ…)

迷子になってしまい~。」

 

「って、お前!呑気な事言っとる場合かっ!?

お前のヒトカゲ、毒状態じゃねぇか!!

このままだと、非常に危険だ!

この毒消しやるから使ってやれ!」

 

レッド

「え!?あっ!サ、サンキュー。」

 

甲からもらった毒消しでヒトカゲはなんとか一命をとりとめた

 

「ふう。ま、大事に至らなかっただけましだ。

に、してもレッドは無防備な奴だなぁ。

この森に毒消し1つ持たないでやって来るとは…。」

 

レッド

「自分、なにしろ新米なもんでっ!!」

 

「威張るなっ!(笑)」

 

2人はすぐに打ち解けあい、風がちょっぴり吹き通る静かな森に2人の

笑いあう声が木霊した

 

レッド

「で?どうして甲はここに居座り続けるんだ?」

 

「……この森を守る為。正確には虫ポケモン達が住みやすくするため。

実は最近、ここら一帯を縄張りにしてるスピアーっていうポケモンがいて、その親玉が他の虫ポケモンの住みかを奪ってしまってるんだ。

それまで温厚だったキャタピーやビードルも、そのスピアーが現れてから住みかを失い、警戒心を強めてしまったんだ。

だから見馴れないレッドに襲ってしまったんだと思う…。」

 

レッド

「そうだったのか。

(そんな事も知らないで、俺は虫ポケモンを……っ!)」

 

レッド

「よしっ!!

じゃあ、俺がそのスピアーを退治してやるよ!」

 

「え、本当かいっ!?とても助かるよ!」

 

レッド

「困った時は、お互い様ってな!!」

 

「うんっ!でも、今日はもう遅いし、明日作戦決行だ!!」

 

こうしてレッドと甲は協力して悪の親玉であるスピアーを退治することを決意した

 

そしてその晩・・・

 

「今日の晩飯は景気付けに芋虫の丸焼でも食いますかぁ!」

 

レッド

「それだけは勘弁~~。」

 

「えーー!?そんな事言わずに、スタミナバッチリつくからさぁ!!」

 

・・・騒ぎあう2人であった



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トキワの森~決戦!スピアー討伐~

レッドはトキワの森で虫捕り少年、甲と出会いトキワの森で起こっている事情を知る。
その元凶であるスピアーを倒すべく、レッドと甲は立ち上がった。


「じゃ、行きますか!」

 

レッド

「準備は万端だぜっ!!」

 

2人はバッグの中に大量の毒消しを詰め込み

、膝の高さにまで伸びた草むらをかき分けながら森の奥へ奥へと突き進む

 

「…見えてきたな。」

 

そこには明らかに他とは比べ物にならない程の大樹がそびえ立ってたいた

 

レッド

「あそこに、いるのか?」

 

「一匹だけとは限らない、油断は禁物だぞっ!!」

 

すると2人の背後から3匹のスピアーが現れ、スピアーはそのお尻にある獰猛な毒針で攻撃してきた

 

レッド

「先手を打たれたっ!?」

 

「くっ!だがあの中に親玉はいない!

きっとあの大樹のとこだっ!レッドっ!!

ここは、俺が食い止めるからレッドは親玉を叩け!!」

 

「いけっ!バタフリー【風おこし】っ!!」

 

スピアーは風圧で飛ばされるも、まだまだ余裕の表情を浮かべる

 

「ここで俺達がやられてしまっては、作戦が台無しだ。

森もこいつらのもんになってしまう!

行けっ!レッドっ!!」

 

レッド

「わ、わかったっ!

親玉は俺に任せとけ!!」

 

レッドは大樹に向かって走り出した

 

レッド

「(強がっちまったけど…俺にやれるのか?)」

 

不安が募るレッドにグリーンの言葉が脳裏をよぎった

 

グリーン

「(困難を乗り越えてこそ一流のトレーナーに……)」

 

レッド

「……っ!!そうだ!これくらいやれないで、一流のトレーナーになんかなれるか!!」

 

大樹の下にたどり着いたレッド。

すると上の方から"ブーン"という羽音と伴に親玉であるスピアーが現れた。

 

レッド

「お前が悪の親玉かっ!!

他の虫ポケモンが安心してこの森で暮らせるようにお前を倒す!!」

 

スピアー

「!!」

 

スピアーは怒りの表情でレッドに突っ込んでくる

 

レッド

「いけっ!ヒトカ……っ!

そうか、ヒトカゲはまだ、前回の傷が癒えていない。

無茶させるのはダメだ!

だったら…お前だっ!ポッポ!!」

 

レッド

「ポッポ、【風おこし】だっ!」

 

ポッポの【風おこし】でスピアーは一度退くが、しかしスピアーは遠距離から【毒針】を放ってきた

 

レッド

「【風おこし】で毒針を吹き飛ばせっ!!」

 

毒針は地面にあっけなく落ちていったが、スピアーは間髪入れず、ポッポの懐に入り両腕の針で【乱れ突き】を繰り出してきた

 

レッド

「ポッポっ!」

 

スピアーはとどめと言わんばかりの【毒針】で

ポッポを攻撃した。

ポッポは毒に侵されてしまい、地面へと叩きつけられる

 

レッド

「ポッポっ、この毒消しを飲んでくれっ!

………悪かったなぁ、俺がまだまだ甘いばかりに、上手くお前をリードしてやれず…。

やっぱり、俺1人じゃ…。」

 

落ち込むレッドとは対照的にポッポは諦めの表情を見せなかった。

これからだという強気の表情だ

 

レッド

「そうだよなぁ!トレーナーがこんな弱気でどうすんだよなぁ!

すまん、ポッポ!こんな俺だけど無茶に付き合ってくれっ!!」

 

ポッポはその小さな体からとは思えない

気高く大きな鳴き声を発し、その声はやがて広大なトキワの森に響き渡った

 

ポッポ

「!」

 

レッド

「ポッポ!?」

 

突然ポッポの体が発光し、その姿は一回り大きなものとなった

 

レッド

「これは…進化っ!?

ポッポが、ピジョンに…進化した!?

はは、そうか、俺の期待に応えてくれたのか!」

 

レッド

「だったら、俺もお前の期待に応えなきゃな!

強くなったピジョンを魅せてやるよ!

ピジョン【風おこし】!

そして、その風の渦に向かって【砂かけ】だっ!」

 

砂の渦に包まれたスピアーは視界が遮られ

反撃できないでいる。

効果は抜群だっ

 

砂煙がやみ、スピアーの姿が露になる

 

レッド

「反撃する暇なんてあたえないぜっ!

ピジョン!【電光石火】!!」

 

高速で突っ込むピジョンの姿を

捉えきれず、スピアーは直撃してしまった

やられた箇所を押さえながら

敗北を認めたのかスピアーは一目散に逃げていった

 

レッド

「やったなぁっ!ピジョンっ!!」

 

そこへボロボロになった甲とバタフリーの姿が

 

レッド

「甲っ!?」

 

「レッド!やったみたいだなっ! 」

 

レッド

「甲、その体…。」

 

「へへ…ちょっとばかり俺もバタフリーも無茶しちゃったみたいだ。

なぁに、森の為だったら、こんなの軽傷よっ!

それより、ありがとな。色々巻き込んじまってすまんかった。」

 

レッド

「いいってことよ!ポケモンが大好きな奴の頼みを断る理由なんて無いからなっ!

じゃあ、俺はそろそろ行くよ!

早くジムリーダーって奴を倒したいからよ!」

 

「そっか!道中気をつけてな!

毒消し無くなったら、タダでやるから!

ジム戦頑張れよっ!」

 

レッド

「おうっ!!」

 

こうして森に平和は訪れた。

甲に別れを告げ、光差す森の出口に向かってレッドは再び歩き出した



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2番道路~秘伝マシン5~

トキワの森を無事抜けて、2番道路を歩くレッド
バイパスで休憩がてら座っていると、白い研究服を身に纏った男性が近寄ってきた


???

「そこの君っ!」

 

レッド

「……?あ、俺の事??」

 

???

「そうですともっ!

君はレッド君ですね!?」

 

レッド

「そう、ですけど、お兄さん誰?」

 

???

「申し遅れました!

私、オーキド博士の研究所で働いております、

真面目 勤(つとむ)と言う者です!」

 

レッド

「はあ…。で、勤さんは俺に何の用です?」

 

「はいっ!!この度はオーキド博士からレッド君にある品を渡すよう依頼されて、やって来ました。」

 

レッド

「博士からっ!?何、何?

まさかめちゃくちゃ強いポケモン…とかっ!?」

 

「バカな事をおっしゃい!

そもそも強いポケモンというのは、トレーナーがポケモンと長い年月をかけて絆を深め合い・・・」

 

レッド

「あ~~、はいはい。

(この人にもオーキド博士のポケモン論が伝染しちゃってるよ)」

 

「・・・と、言うことなのです。

と、まぁ私からはこんなところで、本題に移りますと、これです!」

 

勤はポケットから1枚のディスクを出した

 

「これは、秘伝マシンと呼ばれる代物でして、日常には欠かせないポケモンの技が入っているのです。

ある時には大海原を渡れる技であったり、

また、ある時は大空を架けてひとっ飛び…なんて技があるのですっ!」

 

レッド

「すっ、すっげえぇぇぇっ!!

そ、そんな技の入ったディスクをくれるんですか!?」

 

「そういうことです!

ただ……そのままあげるというのも何ですし、

ここは1つポケモン勝負をして、レッド君が勝てたらこのディスクを差し上げましょう!」

 

レッド

「望むところですよっ!!」

 

「では、お互いポケモンは1匹ずつで!!」

 

レッド

「OKですっ!

頼むぜ、ヒトカゲっ!!」

 

「では、こちらはコラッタで!!

先手必勝っ!コラッタ!【尻尾を振る】!」

 

コラッタは可愛い姿で尻尾をフリフリしている

 

レッド

「ププ…そんな技じゃ俺のヒトカゲは倒せませんよ!

ヒトカゲ、【ひっかく】!!」

 

「フッ…甘いですねぇ。

コラッタっ、【電光石火】ですっ!」

 

コラッタはヒトカゲのスピードを上回る速さで

ヒトカゲに一撃をいれた

 

ヒトカゲ

「…!」

 

ヒトカゲはその思いもよらぬ威力に膝まずいてしまった

 

レッド

「どうした!?ヒトカゲ!

いくらスピード負けしたとはいえ、たいしてデカいダメージを喰らった訳じゃ……。」

 

「レッド君、無理もない。君は知らなかっただけさ。

攻撃技の他にも自身の威力を強めたり相手の防御を崩したりと技は多種多様に存在しポケモンバトルは奥が深くてねぇ…、

ちなみに今のコラッタの【尻尾を振る】は、相手の防御を弱める技なんですよ。」

 

レッド

「そうか、そういう事だったのか。

バトルって面白いですねっ!!

ありがとうございますっ、勤さん!!

俺、また強くなれた気がします!」

 

「(これでよかったんですよね、オーキド博士!)

いきますよ!コラッタ、【電光石火】!!」

 

レッド

「だったら…ヒトカゲ!【鳴き声】っ!」

 

コラッタは耳を塞ぐ…も、そのスピードは緩めずヒトカゲ目掛けて突っ込んでいく

 

レッド

「【ひっかく】で迎え撃てっ!!」

 

ヒトカゲの鋭い爪とコラッタのスピードに乗った体が激しくぶつかりあう

その衝撃で2匹は弾かれる

 

「【体当たり】で決めなさいっ!」

 

レッド

「ヒトカゲ、もう一度【鳴き声】だっ!!」

 

コラッタの体当たりをもろに受けたヒトカゲであったが引き下がらない

 

レッド

「今だっ!至近距離からの【火のこ】!!」

 

ヒトカゲの【火のこ】はコラッタに直撃し、コラッタは倒れこんだ

 

レッド

「やったあ!ヒトカゲ、俺達の勝ちだあっ!!」

 

「見事な戦いっぷりでした。では、約束の品です。」

 

レッド

「勤さん!これにはどんな技が入ってるのぉ~?」

 

「これには【フラッシュ】という洞窟などの暗闇を一気に照らしてくれる技が入っております!!」

 

レッド

「……えっ?」

 

「はい?どうかしましたか?」

 

レッド

「なんっっか、ショボそうーっ!

洞窟なんて俺のヒトカゲの炎とかあるしー。

もっと役に立つのがいい~!

空を飛べるやつとか~!」

 

「贅沢言わないでください!

ほらほら、いつかこれも役に立つ時がきますから…きっと。」

 

かくしてレッドは新たなポケモンバトルの戦い方と便利(?)な秘伝マシンをもらいバイパスを後にする。

目指すは初のジム、ニビシティ!



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ニビシティ~VS堅い漢①~

レッドはニビシティにたどり着いた。
どこもかしこも家々は石造りで、どこかもの淋しさを感じる。
そんな街で熱い戦いが繰り広げられるとは、この時レッド自身も予想していなかった。


レッド

「ニビシティって意外と殺風景だなぁ。」

 

街をウロウロしながら歩いていると、噂に聞く"ジム"とやらが見えた

 

レッド

「ほぉ~。ここがグリーンの言ってた、ジムか!

でも実際、今から戦うって思うと緊張してきたなぁ…。

こ、今回はパスってことでぇ、次の街からジム戦やろう…かな。」

 

レッドはそそくさとニビシティを出ようとする。

すると、レッドより一回り小さい少年がレッドを引き留める

 

レッド

「な、何だよぉ~。」

 

少年

「見た感じ、お兄ちゃんポケモントレーナーみたいだけど、まさかジム戦もせずに素通り?

知ってるとは思うけど、ポケモンリーグに挑戦するには8つ全部のバッジが必要なんだよっ!?」

 

レッド

「それぐらい知ってるってーの!!

(まじで!?知らんかった~!)

今から挑戦しようと思ってたとこだよっ!!」

 

少年

「じゃあ、僕も一緒に行く!!

お兄ちゃんのポケモンバトル観たいからっ!」

 

レッド

「勿論いいともっ!!」

 

レッドは少年に連れられ、再びジムの前にやってきた

 

少年

「早く、早くっ!」

 

レッド

「おうっ!

ニビシティのジムリーダー!

お前のバッジを貰いに来たぜっ!!」

 

ニビジムの重い扉を開いてレッドは入っていく

そこにはドンと腕を組み、堂々と立っている男がいた

 

???

「俺は、ニビジムのジムリーダー、タケシだっ!!!」

 

レッドはその大きな声の迫力に圧倒され、一歩足を退いてしまった。

が、レッドも負けじと叫ぶ

 

レッド

「お、俺はマサラタウンからやってきた、レッドっ!!

あんたを……倒すっ!!」

 

タケシ

「元気がいいな!

是非、俺を楽しませてくれよっ!!

最近の新米トレーナーは軟弱な奴ばかりでな。

退屈だったところだっ!」

 

レッド

「負けても、メソメソすんなよっ!!」

 

タケシ

「ふっ…。」

 

こうしてレッドとタケシの戦いが始まった

 

タケシ

「使用するポケモンは2匹ずつ!

いってこいっ、イシツブテっ!!」

 

レッド

「(あいつはっ!?今まで見たことがねぇポケモンだ。)

まずは小手調べだっ、頼むぜ、ピジョン!【電光石火】っ!!」

 

タケシ

「速い…が、甘いな。【丸くなる】!」

 

ピジョンの高速の【電光石火】はイシツブテに当たった。

…が、イシツブテはびくともせず、かすり傷1つ付いていない

 

レッド

「ピジョンの攻撃が、効いてないっ!?」

 

タケシ

「俺のイシツブテの体は鉄壁を誇る!

イシツブテ、【体当たり】だ!!」

 

ピジョンはイシツブテのその堅い体による体当たりを受けてしまった

 

レッド

「っ!!近接攻撃がダメなら……、ピジョンっ!空中から【風おこし】だ!」

 

イシツブテは強風に巻き込まれ、脱出できないでいる

 

タケシ

「ほぅ…。なかなか考えるじゃないかっ!!

さすがにこれは、どうしようもない。」

 

イシツブテは効果いまひとつの【風おこし】だったが、何の抵抗もできず、あっけなくやられてしまった

 

タケシ

「俺のイシツブテが、こうもあっさりと…。

久々に面白いやつが来たなっ!!

俺の相棒は、こいつだっ!頼むぞイワーク!!」

 

モンスターボールから現れたイワークは、その巨体をとぐろ巻いた

 

レッド

「でっ…!でっけぇぇっっ!!」

 

タケシ

「こいつの恐ろしさを魅せてやるっ!

イワーク、【体当たり】っ!」

 

イワークの巨体がゴゴゴゴゴという、うねりと共に動き出す。

ピジョンより何倍も大きいイワークにレッドは

どう立ち向かうのか・・・

そしてレッドは初のジム戦に勝利することができるのか



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ニビシティ~VS堅い漢②~

ニビシティを訪れたレッドは早速、ニビジムに挑戦することに…
岩タイプのポケモンを使うタケシに対して、レッドは頭脳的な戦い方で応戦する。
そしてタケシは切り札であるイワークを出してきた。


タケシ

「イワークっ、【体当たり】だ!」

 

レッド

「ピジョン、お前のスピードなら避けれるはずだっ!」

 

イワークの【体当たり】をピジョンは華麗にかわし、背後をついた

 

レッド

「そのまま【風おこし】っ!!」

 

タケシ

「【締め付ける】!」

 

ピジョンの空中からの攻撃だったが、イワークの巨体はピジョンを捉え、その体で締め付けた

 

ピジョン

「…!!」

 

ピジョンは身動きがとれずに悶える

 

タケシ

「さぁて、どうした?

このままじゃお前のピジョンはノックアウトだぞっ?」

 

レッド

「(わかってる…わかってるけど、

こんなんじゃどうしようもできないっ!!)

ピジョンっ!耐えてくれーっ!」

 

タケシ

「イワーク、とどめだ!」

 

イワークの最後の締め上げにピジョンは倒れてしまった

 

レッド

「くそっ!……ピジョン、ありがとな。

(残すはヒトカゲ…だが岩タイプのイワークに

ヒトカゲの炎は相性最悪だ!

でも、絶対に勝ってやる!!

勝って、グリーンにも驚かせてやるんだっ、

俺にもできるんだぞってことをっ!

…ハハハ。不思議なもんだな、ジム入る前は正直ビビっちまってたが、今はこんなにも熱いなんてっ!やっぱジムリーダーはすげぇ!)

頼むぞ、ヒトカゲっ!!」

 

タケシ

「度胸あるな、炎タイプのポケモンで俺に挑むとは!

お前には可哀想だが一撃で決めてやる!

【岩石封じ】!」

 

イワークは地面の岩を飛ばし、その岩の雨がヒトカゲに襲いかかる

 

レッド

「ヒトカゲ、避わせっ!!」

 

が、しかしレッドの思いは届かず、ヒトカゲは岩の下敷きに。

レッド

「ヒトカゲっ!!無事かっ!?」

 

岩の瓦礫が"ガラッ"と崩れ、その隙間からヒトカゲが這いずりでてきた

 

レッド

「よかったぁ。ヒトカゲ、まだいけるか!?」

 

ヒトカゲ

「!!」

 

ヒトカゲはコクリと頷いた

 

タケシ

「あの攻撃をくらっても立ち上がってくるとは、なかなかやるじゃないか!

しかしこれはどうかな!?【締め付ける】っ!!」

 

ヒトカゲはイワークにいとも簡単に捕まってしまう

 

レッド

「それならこっちは【鳴き声】だっ!」

 

近距離でのヒトカゲの鳴き声に、イワークは力がはいらず力が緩んでしまった

 

レッド

「今だっ!ヒトカゲ脱出しろ!

そして【火のこ】っ!」

 

ヒトカゲの炎攻撃にイワークはようやくダメージを負った

 

タケシ

「俺のイワークにダメージを負わせるとは…。

本当に残念だ、あれが水や草タイプの技だったらやられていた。」

 

効果いまひとつに終わってしまったが、奇跡はおきたっ。

攻撃が終わったはずのイワークはいまだ苦しみ続ける

 

タケシ

「…!どういうことだっ!?」

 

火のこを受けた箇所が赤くなっている

 

タケシ

「しまった!!火傷を負ったか!」

 

レッド

「火傷っ?」

 

試合を観ていた少年がレッドに説明する

 

少年

「【火のこ】とか炎タイプの技は、稀に相手を火傷状態にすることができるんだっ!

火傷状態のポケモンはその熱さにダメージを負い続けるんだよ。」

 

レッド

「そうかっ!じゃあまだ、ポケモンの神様は俺を見捨ててなかったんだ!!」

 

タケシ

「くそっ!イワーク、【体当たり】で終わらせろぉっ!!」

 

レッド

「絶対勝つっ!!

ヒトカゲ、【睨みつける】!」

 

ヒトカゲは燃えるような瞳でイワークを睨みつけた

 

イワーク

「…!」

 

イワークはその火傷の痛みもあり、完全に畏縮してしまった

 

レッド

「いっけえっっ!【ひっかく】だぁっ!」

 

ヒトカゲはイワークの巨体を走り登っていき、その額に鋭い爪でのひっかくをおみまいした。

"ドシィィン"とデカイ音と共にイワークは崩れ落ちた

 

レッド

「よっしゃあ!!!俺の勝ちだっ!!」

 

タケシ

「…ふっ、俺の負けだ。

まさか、炎タイプのポケモンに俺のポケモンがやられるとは。

これが、グレーバッジだ!

俺にかったという、勝利の証!!

お前はまだまだ強くなる、頑張れっ!!」

 

レッド

「ありがたく頂戴するよ!

あんたと戦えて本当によかった。

ジムリーダーの強さは半端じゃないってことも知ることができたしっ!!」

 

レッドは石造りでできた冷たいジムからでて、自分の額から汗が滴り落ちたのに気づいた

レッド

「本っ当に、ジム戦ってやつは熱いぜ!」

 

そしてニビシティの出口・・・

 

少年

「お兄ちゃん、すごくカッコよかったよっ!

俺もいつかお兄ちゃんみたいなポケモントレーナーになりたいなぁ。」

 

レッド

「俺はこれからもっと強くなるぞぉ。

また、ニビシティに寄ったら、強くなった俺のポケモンでも見せてやるよ!」

 

少年

「うんっ!」

 

こうしてレッドは無事、タケシを倒して初のジム戦で白星をあげた。

だが、旅はまだ始まったばかり。

レッドの挑戦は続く…



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3番道路~救援男子!?~

ニビジムにて劇的な勝利をおさめたレッドは
ニビシティを後にして3番道路を行く。
勝負を挑んでくるトレーナーを、苦戦することなく倒せるようになったレッドであった。


レッド

「ピジョンっ、【風おこし】!!」

 

少年

「うわあぁっ!やられたぁ。

…負けたけど、君も気分転換で短パン履いて見なよ!

この履き心地がたまらんのだよ!」

 

レッド

「お、おう…。ま、気が向いたらな。

(今年は短パンが流行なのかっ!?)」

 

短パン小僧を倒してサクサク歩くレッド。

ふと、ニビジムでの戦いを思い出す

 

レッド「(それにしても、あの戦いはやっぱりすごかったなぁ。

はぁ、最近は正直、退屈な戦いばかりだし、もっと俺を熱くさせてくれるトレーナーは現れんもんかなぁ。)」

 

そんなことを考え、物思いに耽っていると

どこからか助けを求める声が聞こえる

 

レッド

「っ!?今のは?」

 

声のする方へ行ってみると、そこにはミニスカートの女の子と彼女のポケモン、プリンがオニスズメに襲われていた

 

レッド

「いけっ、ヒトカゲ!【火のこ】っ!」

 

ヒトカゲの攻撃にオニスズメは逃げていった

 

レッド

「大丈夫だった!?」

 

???

「う、うんっ。助けてくれて、ありがとう!

私は花坂 歌美(うたみ)。君は?」

 

レッド

「俺はレッド!それより、歌美は何でオニスズメに襲われてたんだ?」

 

歌美

「実は…私のお姉ちゃん、化石を発掘するのが趣味で、私もどうしても行きたいって無理いってついてきたんだけど、野生の可愛いポッポに見とれてたら、はぐれちゃって…。

そしたら知らず知らずの内に、オニスズメの縄張りに入っちゃって。」

 

レッド

「なるほど、ドジだなぁ~。」

 

歌美

「ドジって…!助けたからって偉そうなこと言わないでよねっ!」

 

レッド

「で?お姉さんは?」

 

歌美

「多分、この先のお月見山って洞窟の中。」

 

レッド

「しょうがないなぁ、一緒についてってやるよ!

歌美見てると、ちょっと前の俺に似てて心配だからよっ!

それに、俺はお月見山を越えて次のハナダシティに行きたいからさっ!」

 

歌美

「あ、ありがとう…。

っっ!だからってジロジロ見たりしないでよねっ!?」

 

レッド

「はぁ?別に見ないし、興味ねぇよっ!!」

 

歌美

「な、何ですってぇ!?」

 

レッド「いやっ、だって俺あんま女の子に興味ないしー。ポケモンの方が何倍も興味あるぜ!!」

 

歌美「レッドは、ポケモン好きなの?」

 

レッド「あったりまえじゃん!!

さっ、こんな所でつっ立ってないで

早くお月見山行こうぜ!

どんなポケモンがいるのかなぁ…。」

 

レッドは駆け足で入り口に向かう

 

歌美「ちょっ、ちょっと待ってよ~!」

こうしてレッドは迷子の少女、歌美と共に、はぐれた彼女の姉を探しに、カントー地方にそびえ立つお月見山へと足を踏み入れる。

果たして、2人は無事に姉を見つけることができるのだろうか



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お月見山~怪しい奴ら~

3番道路で出会った女の子、歌美と共にはぐれてしまった彼女の姉を追い、お月見山にはいったレッド。
ジメジメとした洞窟の内部と、異様な雰囲気に困惑気味のレッドであった。


レッド

「しっかし、お月見山って広いなぁ。

これじゃ探すのに一苦労だぜ。」

 

歌美

「まぁ、お月見山はカントー地方屈指の山岳スポットだからねぇ。

なんでも、一目観ようと山好きのトレーナーがたくさん来るらしいの。」

 

そんな話をしていると、前から2人の山男が歩いてきた。

レッドと歌美はすれ違い様に会釈すると、むこうも軽く会釈し通りすぎる

その時、レッドは2人の会話を耳にした

 

山男A

「さっきの奴ら、何してたのかなぁ?」

 

山男B

「…さぁな。それにしても、服のセンスなかったなぁ!

そろいも揃って同じ服装で、胸の『R』の文字とか蛍光色で目立ちすぎ!(笑)」

 

山男A

「でも、あんな大量のモンスターボール何に使うんだろう…?」

 

山男B

「たくさんポケモン捕まえたいからに決まってるだろ。」

 

レッド

「(へぇ、変わった奴もいるんだな。)」

 

その時、レッドの鋭い感がはたらいた

 

レッド

「なぁ、ここって、どんなポケモンが生息してるんだ?」

 

歌美

「んー、やっぱり洞窟ってなだけにイシツブテとか、ズバットっていう蝙蝠のポケモンがいるんだよ!

あっ!でも一番珍しいのはお月見山の代名詞、ピッピかなっ!」

 

レッド

「ピッピぃ?」

 

歌美「超可愛くてゲットしたいんだけど、本当に珍しいから見つけるのも難しいんだからっ!!

噂では、このお月見山のどこかにピッピが集団で生息してる、住みかがあるんだって!

一度でいいから見てみたいなぁ。」

レッド

「ふぅーん。」

 

レッドと歌美は長いこと歩き、地下へと進む。

すると、一匹のピンクの色をしたポケモンが2人の前を横切った

 

歌美

「ちょっとっ!!見た?今の、ピッピよっ!?

一生のお願い!ついてきてぇ?」

 

レッド

「あのなぁ、なんか目的変わってないっ?」

 

レッドは半ば強引に歌美に引かれピッピの後をつけた

広い部屋のような場所に出ると、そこにはなんと、何匹ものピッピが暮らしていた

 

歌美

「きゃぁぁっ!可愛いぃぃっ!

よぉし、早速ゲットするわよ~。」

 

意気込む歌美と、呆れた顔をするレッドの背後から2人の男女が現れた

 

???(女)

「坊や達、こんな所で何をしているのかしら。」

 

???(男)

「まさかあそこにいる、ピッピを捕まえようっていう訳じゃないよね?」

 

歌美

「だったら何よ!?」

 

???(男)

「この場所は我々が先に見つけたのだっ!

一匹たりともやらんぞ!」

 

レッド

「ちょっと待てって!お前達何者だよ!」

 

???(男)

「我々はロケット団、世の珍しいポケモンや道具を全て集めることが我々の目的っ!!」

 

胸の『R』がキラリと光る

 

レッド

「(さっきの山男の人達が言ってた…。)

つまりは悪党ってことかっ!」

 

ロケット団(女)

「さぁ?判断はお委せするわっ!!

だってあなた達はここで我々にやられるのだから!

いきなさいっ、ズバット!

 

ロケット団(男)

「子供だからって容赦はしないぜ!やれ!アーボっ!」

 

レッド

「こっちだって、そう易々とやられてたまるか!

いけっ!ヒトカゲ!」

 

歌美

「私達もやるわよ、プリン!!」

 

ロケット団(男)

「アーボ、【毒針】!」

 

毒針がヒトカゲとプリンにとんでくる

 

レッド

「プリンは後ろに下がって!ヒトカゲ、【火のこ】で

毒針を焼き尽くせ!!」

 

ヒトカゲの炎で毒針を防いだレッドであったが、不自然にあいた穴とアーボの姿が無いことに気づく

レッド

「しまったっ!」

 

ロケット団(男)

「遅い!!【巻きつく】!!」

 

突如ヒトカゲの足下からアーボが飛び出し、ヒトカゲの体に巻きついた

 

ロケット団(女)

「ふふ。味方を庇って、カッコいいわね。

でも、やられちゃったら台無しなんじゃないの?

ズバット、【吸血】!」

 

身動きのとれないヒトカゲにズバットが攻撃する

 

ヒトカゲ

「……!」

 

ジワジワと体力が削られていくヒトカゲ

 

レッド

「…くっ!」

 

歌美「私も守られてるだけじゃない!やらなくちゃっ!!

プリン!【歌う】っ!」

 

するとプリンの何とも美しい歌声が洞窟内で反響し、相手のズバットとアーボは気持ちよくなってしまい、その場で眠ってしまった

 

歌美

「今よっ、レッド!!」

 

レッド

「おうっ!ヒトカゲっ、【火のこ】!!」

 

歌美

「プリン、【はたく】っ!!」

 

やられても尚、眠り続ける2匹

 

レッド

「さぁ、どうする?」

 

ロケット団(男)

「…っ!一旦退くぞ!

隊長に報告だっ!!」

 

ロケット団(女)

「そうね…。」

 

ロケット団の2人は、逃げ去っていった

レッド

「あいつら、次あったら只じゃおかねぇ。

ピッピ達の住みかを荒らしといて、おまけに全部捕まえるだぁ!?」

 

歌美

「私もあいつらは許せない…。

……って、あぁっ!早くお姉ちゃん探さなきゃ!

絶対心配してるよぉ~。」

 

レッド

「だからっ!歌美が道外れてったんだろーっ!!」

 

謎の軍団、ロケット団を追い払い再び歌美の姉探しは始まった。

が、彼らの言う隊長とは一体…!?



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お月見山~強敵!ロケット団~

レッドと歌美は謎の集団、ロケット団を蹴散らし、お月見山のさらに奥へと進む。
辺りも一層暗くなる中、"カァン カァン"と岩を掘るような音が聞こえてきた。


レッド

「!?誰かいるみたいだぞっ!行ってみよう!」

 

レッドと歌美は音のする方へ向かう

そこには、しゃがみこみ、慣れた手つきでハンマーとタガネを使って岩を砕く、一人の女性の姿が…

 

歌美

「お姉ちゃんっ!?」

 

歌美の姉

「ん~っ?おっ、歌美ぃ!

何処に行ってたの?

見つかんないし、暇だから先に掘ってたよ!」

 

歌美

「ひっっどぉい!!私がどれだけ探したか…」

 

歌美の姉

「だってぇ、はぐれたのそっちだし~。」

 

レッド

「(お姉さんって意外とマイペースな人だなぁ。)」

 

歌美の姉はレッドを覗きこみジッと見つめる

 

レッド

「……ども。」

 

歌美の姉

「歌美ぃ、あんたが男連れてやってくるなんて~!」

 

歌美

「ちょっ、訳ありだってっ!!

彼はレッド。私と一緒にお姉ちゃんを探してくれたのっ!!」

 

歌美の姉

「あら、ありがとねレッド君っ!

妹がお世話になったみたいで~。」

 

レッド

「あ、いえ。お姉さんは、ここで化石の発掘ですか!?」

 

歌美の姉

「そうよ。これがまた難しくて…今日の収穫はこの2つかな。

そうだ!妹の件、お礼しなくちゃね!

どっちか1個貰ってってよ!!」

 

レッド

「えっ!?いいんですか!じゃあ、お言葉に甘えて…」

 

???

「待ちなっ!」

 

歌美

「あっ!あんた達はっ、ロケット団!」

 

ロケット団(男)

「さっきはよくもまぁ、こけにしてくれたもんだ。

…隊長、こいつらですっ!!」

 

すると、隊長と呼ばれる男が暗闇からスウッと姿を現した

 

ロケット団(隊長)

「君たちか…、私の部下の邪魔をしてくれたのはっ!」

 

歌美の姉

「ロケット団?」

 

レッド

「はい、珍しいポケモンや道具を手にしたり奪ったりして

集めてる連中ですっ!」

 

歌美の姉

「ほぉ~、それにしても服ダサいわね!」

 

ロケット団(女)

「…っ!!貴様っ、我々を侮辱するとは…!」

 

ロケット団(隊長)

「まぁまぁ、君たちは下がっていたまえ。

この人達はロケット団を敵に回してしまったんだ!

キツーいお灸を吸わせてやらんとなっ!!

やれっ、ラッタ!!」

 

レッド

「歌美とお姉さんは下がっててっ!

ここは俺がやります!頼む、ヒトカゲ!!

(ラッタ…図鑑によるとコラッタの進化形で、頑丈な前歯に要注意…か。)」

 

ロケット団(隊長)

「【尻尾を振る】っ!!」

 

ニヤニヤと笑いながら挑発して尻尾を振るラッタにレッドはつい、その挑発にのってしまった

 

レッド

「なめんなっ!ヒトカゲ、【ひっかく】!」

 

ロケット団(隊長)

「遅い、遅い…。遠距離からの攻撃でもしてればいいものを…。【電光石火】!」

 

レッド

「そんなっ、速すぎる!」

 

今までに見たことの無いスピードにヒトカゲも反応できず、もろに受けてしまう

 

ロケット団(隊長)

「これで終わりだと思うなよ~!?

フフっ、ラッタ!【必殺前歯】!!」

 

ラッタの前歯が膝まずくヒトカゲの腕を噛みちぎる

 

ヒトカゲ

「っっ!!」

 

強烈な威力にヒトカゲが立ち直ることなど、できるはずもなかった

 

レッド

「なっ…!なんて技だっ!あれはヤバすぎる!!

(あんな技に対抗できる技がピジョンにあるかっ!?)」

 

歌美

「レッドっ!!何、弱気になってんのよっ!!

ポケモンのこと好きなら、自分のポケモン信じて戦えばいいだけよっ!!」

 

歌美の声援でレッドに正気が戻った

 

レッド

「(そうだ、これまで何回も試練は乗り越えてきた!

俺のポケモンを信じてっ!!)

歌美っ、後押しサンキューっ!!

こんな奴、タケシに比べたら屁でもねぇぜ!

お前ならやれるっ!、ピジョン!」

 

ロケット団(隊長)

「茶番は終わったか?

ラッタ、【電光石火】だ。」

 

レッド

「ピジョン、お前のスピード、あいつらに魅せてやれ!

【電光石火】っ!!」

 

2匹の電光石火は速すぎて目で追えなかった

気づくと2匹は互いに間合いをはかり、睨みあっていた

 

ロケット団(隊長)

「あのスピードに互角とは、やるじゃないかっ。

では、これならどうかな!?【必殺前歯】!」

 

レッド

「同じ手に何度もくうと思うかっ!?

ピジョン!【砂かけ】だぁっ!!」

 

襲いくるラッタにピジョンの砂かけは決まり

ラッタは目を擦る

 

レッド

「いけえっっ!【吹き飛ばし】っ!!」

 

ピジョンは翼を羽ばたかせ、強風を生み出し、

やがてラッタはその風で飛ばされ岩壁に叩きつけられた

 

ロケット団(隊長)

「なっ…!?私のラッタがやられるとは。

少年、君のことは覚えておく。

今回は我々が敗北したが、君が邪魔し続ける限り、潰すために手段を選ばない。

その事は頭においといてくれたまえ…!」

 

ロケット団はそう言い残し洞窟の闇に消えていった

 

 



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お月見山~恋の歌~

ロケット団の隊長との一戦を終え、レッドはさらにポケモンとの絆を深めることができた。
レッド達一向は歌美の姉の案内のもと、ようやくお月見山の出口に到着した。


歌美の姉

「ここを出て4番道路を真っ直ぐ行けば、ハナダシティに着くよ!

それと…ほらっ、さっき渡し損ねちゃった化石!

爪の化石と、貝の化石どっちがいい~?」

 

レッド

「じゃあ、爪の化石をいただきますっ!

で…、これはどこで復元してもらえるんです?」

 

歌美の姉

「海を渡った、グレン島ってとこ!

そこの研究所で、復元してもらえるよ!」

 

レッド

「ハハッ。じゃあ、当分俺には縁の遠いモノになりそうです。

それじゃ、俺はそろそろ行きます!

何から何までありがとうございました!!」

 

振り向いて行こうとする、レッドを歌美が呼び止める

 

歌美

「レ、レッドっ!

その…、最後のロケット団との戦い。

凄くかっこよかったよ!

それに、後ろから見てて、レッドの背中が大きくみえたっ!」

 

レッド

「そうか?

ま、なんてったって俺はやるときゃあ、やる男だからな!!

あれくらい朝飯前だっての!

あっ…それと、もう迷子になったりして、お姉さん困らせんなよっ!」

 

歌美

「もうっ!だから、あんまりからかうなってー!!」

 

月の明かりが照らす中、2人は話に熱がはいり、知らず知らず、長いこと話しあっていた

 

レッド

「…さてと、傷ついたこいつらもポケセンでゆっくり休ませたいし、そろそろ行くわ。」

 

歌美

「あのさ…、これからもレッドと色々ポケモンの事とか語りたいし、連絡先だけでも教えてくれたらなぁ、なんて……」

 

歌美は少し頬を赤らめる

 

レッド

「わりぃ!俺、携帯とか持ってないんだよねっ!」

 

歌美

「…へ?あんた、どこ出身なの!?」

 

レッド

「マサラタウンだけど?」

 

歌美

「超ド田舎じゃんっ!!」

 

レッド

「田舎で悪かったなぁ!

ま、こんだけ話し合ったんだし、忘れることはないでしょ!!

あ、でも俺忘れ性だからなぁ。

1週間で忘れちゃったりしてぇ!」

 

歌美

「バーカっ!こっちなんて3日で忘れるかもぉー!」

 

レッド

「さすがにそれは、ないだろぉ!

……じゃっ、またな!!」

 

歌美

「(ったく、こっちは忘れたくても忘れられないっての!)

旅っ、頑張ってねーーーっ!!」

 

レッド

「おうっ!!」

 

レッドは全力で4番道路を疾走していった。

歌美は小さくなっていく、レッドの方をずっと視ていた

 

歌美の姉

「これだから若いってのはいいねぇ~。

まさに青春!!」

 

歌美

「お姉ちゃんまで、からかわないでよぉ。」

 

歌美の姉

「逢うことは片割れ月の雲隠れおぼろけにやは人の恋しき…

ってとこですなっ!!」

 

歌美

「なぁに?それ~。」

 

歌美の姉

「ふふふっ。お子ちゃまは知らなくて結構!」

 

こうしてレッドは歌美達と別れ、ハナダシティを目指す

気づくと今日は、満月・・・

大きな月が夜道を明るく照らしていた




今回はポケモンにあまり無い恋愛描写が多く、
書くのが難しくなってしまい文章として上手く表現できなかったかもしれません。
また、次回から要所要所で短編としてグリーンの物語も混ぜようと思うので、ヨロシクお願いします!


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Another Story 1 ~秘密の・・・~

レッドがお月見山にいた頃…
一方のグリーンは、ニビシティでジムに挑戦しようとしていた


グリーン

「(ここが俺の夢の第一歩となる所…。)

失礼しまぁす!!」

 

タケシ

「挑戦者か。俺はニビジムのタケシだ!」

 

グリーン

「俺はグリーンって言いますっ!

是非、手合わせ願います!!」

 

タケシ

「よしっ、使用するポケモンは互いに2匹だ。」

 

グリーン

「っ!……あの~、俺ポケモン1匹しか持ってないんですけど…。 」

 

タケシ

「何っ!?(トキワの森をポケモン1匹で攻略するとは、こいつ、実力者だな!)

…わかった!!では、俺も1匹でいいだろう。

いくぞっ、イワークっ!!」

 

案の定、その大きさは異常なものである

しかし、グリーンの表情に焦りの色はなかった

むしろ余裕の表情であった

 

グリーン

「ふっ、タケシさん!

悪いですけど俺にとって相性最高ですっ!!

頼んだぞっ、ゼニガメ!」

 

タケシ

「俺に相性など、関係ないっ!!

イワーク!【体当たり】!!」

 

イワークの巨体がゼニガメに迫り来る

 

グリーン

「ゼニガメ!【泡】っ!」

 

ゼニガメの口から吐き出された水の泡は、イワークに全てクリーンヒットした

 

イワーク

「!!!」

 

イワークには効果抜群だったが、イワークは意地で倒れなかった

 

タケシ

「勝ったと思ったか!?

まだまだぁぁっ!【岩石封じ】だ!!」

 

グリーン

「さすが、ジムリーダーだけのことはありますねっ!

育て方も半端ないですよ!!

けど、俺達だってここに来るまでたくさん戦ってきた!

その成果をここで示すんですっ!

ゼニガメ、落ちてくる岩を【水鉄砲】で弾け!!」

 

水鉄砲は勢いよく発射され、次々に岩を弾く

 

タケシ

「っ!!」

 

グリーン

「そのまま本体を貫けぇぇっっ!!」

 

ゼニガメの水鉄砲はイワークの体を貫き、戦闘不能に。

 

グリーン

「俺が…勝った。よしっ!!」

 

グリーンは拳をグッと握りしめた

 

タケシ

「これは、完敗だ…。

よく育てられてるな!これが、グレーバッジだ!」

 

タケシからバッジをもらったグリーン

 

グリーン

「どうもっ!!

(後、7個もあるのか…長いなっ!)」

 

グリーンはニビジムを後にし、街を観光していた

 

ここニビシティにはジムの他に、博物館が観光場所の1つとして存在するのだ

しかも入場料は何とたったの50円

子供に優しい博物館なのだ

 

グリーン

「ま、暇だし入ってみるか。」

 

グリーンは知らない内に展示物に興味津々になっていた

 

グリーン

「スペースシャトルコロンビア号…。

へぇ~、かっこいいなぁ!

こっちは…化石ポケモン、プテラっ!?

強そうだなぁ、古代のポケモンだから、今の時代見ることできないのかぁ。」

 

溜め息をつくグリーンに80代ぐらいの老人が近寄ってきた

 

老人

「お主、そのポケモンに興味があるのか…?

 

グリーン

「えっ?あ…はい、まぁ。」

 

老人

「ちょいとついて来なされ!」

 

老人は人目のつかない博物館の裏口へとグリーンをつれていった

 

老人

「お主を凄腕のトレーナーと見込んで1つ、か弱いジジィからの頼みじゃっ!

この琥珀をグレン島の研究所で復元してほしいんじゃ!

自分で行ければ問題ないんじゃが、何せこの体では…のぅ。」

 

グリーン「全然いいですよっ!

グレン島っていうと、時間がかかっちゃうかもしれないですけど…。」

 

老人

「構わんっ、じゃが、わしが死ぬ前には頼むぞよ!(笑)」

 

老人から預かった琥珀はとても綺麗で澄んでいて、中にはうっすら恐竜のようなシルエットが見えた

 

グリーン

「(…ん?汚れ…かなぁ?)」

 

老人

「では、わしは期待して待っとるでのっ!」

 

グリーン

「任せといてください!!」

 

グリーンは老人から、秘密の(?)琥珀を預かり、お月見山に向かうのであった

 



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Another Story 2 ~2匹目~

お月見内部を探索するグリーン
洞窟なだけあって、ズバットがやけに多い


グリーン

「さすがに、この多さは鬱陶しいなぁ…。」

 

すると1匹のズバットが群れのズバットからイジメを受けているのを発見したグリーン

 

グリーン

「やめてやれよっ!ゼニガメ【水鉄砲】!!」

 

群れのズバット達を一掃し、倒れてるズバットに駆け寄る。

かなり衰弱しきっている様子だった。

グリーンはバックから傷薬を取り出し、そのズバットに飲ませてやった

 

グリーン

「大丈夫か?もう心配ないぞっ。」

 

やがてズバットは飛べる程の元気を取り戻した

 

グリーン

「じゃあ、俺は行くな!」

 

グリーンは先へと進むが、そのズバットは後ろからついてくる

よっぽどグリーンの事が気に入ったのだろう

 

グリーン

「お前…、俺と一緒に旅したいのか?」

 

ズバット

「!」

 

ズバットは元気よく羽根を羽ばたかせた

 

そこに、さっきの群れのズバット達がやって来た

その中でも一番強そうなリーダーであろう、ズバットが勝負を挑んできた

 

グリーン

「ズバット、俺の指示した通りに動いてくれ!

あいつらを見返してやろうぜっ!!」

 

相手のズバットはグリーンのズバットに【噛みつく】、そして【吸血】というコンボを繰り出してきた

 

グリーン

「ズバット!!」

 

ズバット

「っ!」

 

グリーン

「お前なら負けないっ!あいつらにその力、魅せてやれよっ!!」

 

ズバット

「~!!!」

 

ズバットは苦しみながらも、ありったけの力を振り絞り、相手のズバットを吹き飛ばして払いのけた

 

グリーン

「…ズバット!お前、【吹き飛ばし】なんて技もってたのかっ!

本当に、やるじゃないか!!

お前のそのチャンス、無駄にしない!

【超音波】だっ!!】」

 

ズバットの超音波を受け、相手のズバットは混乱してしまい、我を忘れて自分で自分を攻撃し始めた。

それを見た他のズバット達も恐れをなして逃げていった

 

グリーン

「やったな…!

お前みたいな心強いやつが仲間になれば、ゼニガメの負担も減るっ!!これからもヨロシクな!!」

 

こうしてグリーンは、ズバットをゲットし、2匹目の仲間を手にいれた

 

そして出口付近でグリーンは、岩を掘る2人の女性を目にした

1人はグリーンと同い年ぐらいの子で、もう1人はその子の姉だろうか、少し年が上の女性であった

 

グリーン

「何されてるんですかっ?」

 

女の子

「見ての通り、化石を掘ってるのっ!

私は歌美って言うの!!

で、こっちは私のお姉ちゃんでーす!」

 

グリーン

「へぇ、化石!?

ニビシティの博物館で見たやつだ!」

 

生の化石にグリーンは興奮していた

 

歌美

「あなた、なんか田舎臭いわねぇ。出身は?」

 

グリーン

「マサラタウンってとこ!」

 

歌美の姉

「あらっ、レッド君と同じねっ!!」

 

グリーン

「レッドの事知ってるんですかっ!?」

 

歌美

「知ってるも何も、あいつと結構時間を共にしてたからね!」

 

グリーン

「(あいつも、意外といけすかない奴だなぁ。)

…で、あいつ、どんな様子でした!?」

 

歌美

「まっ、とにかくドジで鈍感な奴だったわ!」

 

グリーン

「ハハハ……。」

 

歌美

「でも、時には頼りがいがあったり、熱いとこがあったり…そんな一面もあったけどっ。」

 

グリーン

「そうなんだ…。

(あいつも、頑張ってんだな!!)

色々聞けてよかった!

2人共、仕事頑張ってくださいねっ!!」

 

歌美

「(仕事じゃあ、ないんだけどね!(笑))」

 

歌美の姉

「グリーン君っ!レッド君に会ったら、

ヨロシク伝えといてねぇ~!」

 

グリーン

「了解です!!

しっかり伝えときますよ!!」

 

レッドの現状を知ったグリーンは、早くレッドに会いたくてたまらなかった

レッドを追い、彼もまたハナダシティを目指すのであった。



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第2章 辛苦
4番道路~サンドの根性~


レッドは閑散とした4番道路を歩いていた
この道路にはこれといった施設がないのだ
た退屈そうな様子のレッドの目の前に一軒の家が見えてきた


レッド

「すみませーん!どなたかみえませんか~?」

 

すると、奥から一人の老人が出てきた

 

老人

「何のようかな?」

 

レッド

「失礼ですが、飲み物いただけませんか?

後…ほんの少し、お食事もぉ…」

 

老人

「ったく、ワガママなやつじゃ!

まぁ、ワシも暇なとこじゃったから、話相手が欲しかったところじゃ!!

小僧っ、上がっていけ!」

 

レッド

「あ、ありがとうございます!!」

 

こうして、レッドは老人の家にお邪魔することになった

2人は息が合い、会話は盛り上がった

 

老人

「ほぉ~、それでお主はマサラタウンから来たのかっ!」

 

レッド

「はいっ!!自分で言うのも何ですけど、

かなり腕は立つ方ですよ!」

 

老人は突然、真剣な顔になる

 

老人

「だったら、ワシとポケモンバトルしてみるか?」

 

レッド

「えっ!?でも、おじいさんのポケモンは??」

 

老人

「…サンドっ!!」

 

老人がそう呼ぶと、家の地下室からボロボロになったサンドが出て来た

 

老人

「お~っ、お疲れサンド!

今からポケモンバトルじゃ!やれるかのっ!?」

 

サンド

「!!」

 

サンドは傷だらけの体ではあったがヤル気満々であった

2人は庭へ出て、戦いは始まった

 

レッド

「おれのポケモンは、ヒトカゲだ!

いけっ、【鳴き声】!」

 

老人

「ったく、うるさいのう。

サンド、【砂かけ】じゃ!」

 

レッド

「ヒトカゲっ、跳んで避けろ!

【ひっかく】だ!!」

 

空中からヒトカゲの爪がサンドを狙う

 

老人

「じゃったら、こちらは【切り裂く】じゃ!!」

 

サンドも自らの爪で対抗する

2匹の爪がぶつかり合い"ガキィーン"という高い音が生じた

威力は同じように見えたが、少しだけサンドの切り裂くが上回った

 

老人

「やるのぉ、じゃがこれならどうじゃ!?

サンドっ、準備はよいかっ!?」

 

サンドは集中力を高めていた

 

レッド

「何かやるきか!?させないっ!!

ヒトカゲ、【火のこ】っ!」

 

ヒトカゲの炎はサンドを包み込んだが、その中から勢いよくサンドが突っ込んでくる

 

老人

「【メガトンパンチ】っっ!」

 

強烈な右ストレートがヒトカゲの腹にきまった

 

レッド

「ヒ、ヒトカゲ!!」

 

もちろん、ヒトカゲは戦闘不能であった

 

老人

「サンド、よくやった。

少年よ、まずは家でポケモンをゆっくり休ませてやろう。」

 

ヒトカゲはボールの中で、気持ちよく寝ている

 

レッド

「…それにしても、さっきの技すごいですねっ!」

 

老人

「うむ…。実は先程の【メガトンパンチ】だが、サンドは普通、覚えることができないんじゃ。」

 

レッド

「じゃあ、どうして…?」

 

老人

「サンドはワシが若い頃からのパートナーだったんじゃが、連戦連敗でのぉ。

ワシはどうにかして、こいつを勝たせてやりたかったんじゃ。

そこで毎日共に修行し、汗水垂らして月日を重ね、ついに覚えることができないはずの、技を会得することに成功したんじゃ!

それからというものも、サンドは常に鍛練を怠らず、毎日傷だらけの日々じゃ!

と…まぁこんな経緯で今に至るのじゃよ!!」

 

レッド

「そうなんですねっ!

おじいさんもサンドも格好いいです!」

 

老人

「若者から格好いいなどと言われるのは気分がいいものじゃ!

お主、気に入ったぞっ!

困ったことがあったらいつでも来なさい!」

 

レッド

「はいっ!ありがとうございます!!」

 

レッドはおじいさんとの戦いで、不可能などないということを教わった

さぁ、ハナダシティは目の前だ・・



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ハナダシティ~圧倒的な力~

ニビシティから色々な出逢いを経て、ついにレッドはハナダシティに着いた。
他の建物には目もくれず'あそこ'に向かった


レッド

「早くっ、早くっ、ハナダのジムに挑戦だぁー!」

 

勢いよく扉を開け、レッドは叫んだ

 

レッド

「さぁて、ジムリーダーさんよぉ!

俺の挑戦受けてくれっ!!」

 

???

「なぁに~?うるさいわねぇ。

今、彼氏と電話してるんだから静かにしてよねっ!!」

 

レッド

「…っ??」

 

レッドはイライラしながらも、その人の言う通りに静かに待った

彼女は電話を切ると、レッドに向かって話しかけた

 

???

「お待たせー。……で、何?」

 

レッド

「だ、か、らぁ~っ!ジムの挑戦だってばっ!!」

 

???

「はいはい。私はカスミ!

水も滴る、美しいポケモン達を魅せてあげるわっ!!

華麗な戦いに、せいぜい溺れないことねっ…!!」

 

レッド

「俺はレッド!水だかなんだか知らないけど、俺の燃えるような戦いで蒸発させてやるよ!」

 

カスミ

「大層なこと言っちゃって…。

使うポケモンは2匹ねっ!」

 

レッド

「先発はピジョン、お前だっ!!」

 

カスミ

「私はヒトデマンでいくわっ!」

 

レッド

「へっ!ただの海星かよっ!

先手必勝!【電光石火】だ!!」

 

カスミ

「ヒトデマン、【体当たり】よっ!!」

 

ヒトデマンの硬い体にピジョンの電光石火は弾かれてしまった

 

カスミ

「続いて、【水鉄砲】!」

 

レッド

「…ふっ、ちょっと硬いだけじゃあねぇ。

ピジョンっ!空中で回避!!」

 

ピジョンはヒトデマンの水鉄砲を余裕で避わし、隙をつくった

 

レッド

「【風おこし】っ!」

 

ピジョンの風おこしは幾多の戦いの経験と共に威力を増し、その風でヒトデマンは上空に打ち上げられた

 

カスミ

「…っ!!」

 

レッド「ヒトデマンじゃあ、空中で身動きが取れない!

ピジョン、とどめの【吹き飛ばし】だぁっ!!」

 

ヒトデマンは高所からの落下に受身がとれず、地面に叩きつけられ起き上がることができなかった

 

カスミ

「へぇ~、意外とやるじゃないの!

でもこの子は、そうはいかないっ!!

頼むわよ、スターミー!!」

 

彼女の出した2匹目はヒトデマンの進化形、スターミーであった。

 

カスミ

「このスターミーはねぇ、未だに謎が多いポケモンで、私でも解らないことだらけなの。」

 

レッド

「それがどうしたってんだ!」

 

カスミ「ふふふ…。この子の力は計り知れないってことよっ!

スターミー、【バブル光線】よっ!!」

 

レッド

「【吹き飛ばし】で跳ね返してやれ!」

 

バブル光線の大量の泡は、ピジョンの吹き飛ばしで全て跳ね返していく

…が、スターミーはものともせず、バブル光線を出し続ける

 

レッド

「くっ、や…やまないのかよ!」

 

ピジョンは翼を羽ばたかせるのに疲れ始めてしまう

 

カスミ

「あら?もう終わりぃ?」

 

そして、ついにピジョンは力果てて、バブル光線を直撃してしまった

 

レッド

「…ピジョン、最後までよく頑張ったな!

俺の最後はヒトカゲだっ!!」

 

カスミ

「(あらあら、炎タイプとは…。

可哀想だし、少し遊んであげるかっ。)」

 

レッド

「ヒトカゲっ、【睨み付ける】!!」

 

カスミ

「考えたわねっ!けど、あなたのヒトカゲの攻撃、当たるかしらねっ!」

 

レッド

「なめんなよっ!

(防御は弱まった!後は、相手の攻撃を避けつつ接近してしまいだっ!!)

【ひっかく】っ!」

 

カスミ

「【バブル光線】っ!」

 

スターミーのバブル光線の泡をひっかくで破り、近寄っていくヒトカゲ

 

レッド

「もらったぁ!」

 

カスミ「スターミー、【硬くなる】!!」

 

ひっかくは命中した…が、

スターミーの硬さにヒトカゲは爪が折れてしまった

 

レッド

「ヒトカゲっっ!」

 

カスミ

「わざわざ近づいてくれてありがとねっ!

【水鉄砲】っ!!」

 

至近距離且つ、ヒトデマンの数倍の威力を放つ水鉄砲にヒトカゲは吹き飛ばされ、

瀕死になってしまった

 

レッド

「(あいつの、スターミーに1回もダメージらしい

ダメージを負わせることができなかった…!)

くそぉっ!!」

 

拳を地面に叩き、悔しむレッドにカスミが寄ってきた

 

カスミ

「ニビジムで勝ったからって、調子に乗ってんじゃないっ!?

…よく、いるのよねえ。ちょっと強くなってきたからって、浮わついてる奴!」

 

レッドはそれまでの戦い、行動を思い返す

自分に思いあたる節がいくつかあり、言い返す言葉がなかった。

カスミの顔も見れず、レッドはハナダジムを出ていった

 

その一件を隅で見ていたのは…グリーンであった



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ハナダシティ~再会、そして・・・~

ハナダジムに挑戦したレッドだったが、
カスミのスターミーに手も足も出なかった
屈辱な敗北を喫したレッドは、1人川を眺めていた


レッド

「(俺はやっぱり、浮わついてたのかなぁ…。

そういや俺って、今まで負けたことなかったもんなぁ。)」

 

するとレッドの後ろから、近づいてくる人影が…

 

グリーン

「よぉっ!何落ち込んでんだっ?」

 

レッド

「グ、グリーンっ!?」

 

グリーン

「お前が落ち込むなんて、珍しいなっ。

確かにスターミーは強かったけど…。」

 

レッド

「知ってるってことは、観てたんだな。あの試合。」

 

グリーン

「まぁな。ったく、1度敗れたくらいでへこたれんなって!」

 

グリーンの励ましにも関わらず、レッドは言葉1つ返さなかった

 

グリーン

「何だよー、せっかく幼馴染みが励ましてやってんのによぉ!

久しぶりに会えたんだし、俺のポケモンも魅せてやるよ!

…ジム戦でなっ!!ついてこいよっ!」

 

レッドは渋々グリーンについて行き、再びジムへ…

 

カスミ

「あらぁ~?さっきの、…レッド君だっけ?

それとぉ、お友達?」

 

グリーン

「自分はグリーンって言います!

俺もジム戦受けに来ましたっ!!」

 

カスミ

「あら、そう。いいわよっ!

使用ポケモンは2匹っ!」

 

2人の戦いを観客席でボーッと眺めるレッド

 

グリーン

「いけっ、ズバット!!」

 

カスミ

「ヒトデマン、いきなさいっ!

【体当たり】よ!」

 

グリーン

「ズバット!避けろ!!

背後をとるんだっ!」

 

ヒトデマンの攻撃をいとも簡単に避わし、背後をついたズバット

 

グリーン

「【噛みつく】、そして【吸血】のコンボ攻撃!!

(ヒトデマンはエスパータイプを持つ…噛みつくも吸血も効果抜群だぜ!)」

 

カスミ

「ヒトデマンっ!!」

 

カスミの呼びかけも虚しく、ヒトデマンは倒れた

 

カスミ

「思ったよりやるじゃないっ!!

けど、この子はどうかしら!?スターミーっ!」

 

グリーン

「(スターミーは…ヒトデマンの進化形か…。

と、なると戦闘方法もほぼ同じとみていいだろうか。)

ズバット、【噛みつく】からの【吸血】だ!!」

 

カスミ

「同じ攻撃を2回もくらうほど、ジムリーダーは甘くないわよっ!

スターミーっ、【バブル光線】よ!!」

 

グリーン

「…っ、しまった!!」

 

ズバットは技を仕掛けにいったため、返り討ちにあってしまった

 

グリーン

「ズバットっ!!…まだ、やれそうか!?」

 

ズバット

「!!」

 

グリーン

「そうか!よしっ!あのスターミーを絶対に倒すぞ!!

だったらまずは相手の出方を伺おう。」

 

カスミ

「スターミー、【水鉄砲】で打ち落とすのよ!!」

 

スターミーの水鉄砲がズバットに一直線でとんでくる

 

グリーン

「きたっ!ズバットこれくらいは造作もないよなっ!」

 

ズバットは空中を旋回しながら水鉄砲を避け続ける

 

グリーン

「(近接攻撃は非常に危険だ…

ここは、遠距離から…。)

 

カスミ

「あ~っ、もう鬱陶しいわねぇ!

攻撃してきなさいよっ!!」

 

グリーン

「じゃあ、いかせてもらいますよ!

【超音波】っ!」

 

カスミ

「しまったっ、遠距離から!?」

 

スターミーの五感は狂わされ、自らを攻撃し始めた

 

カスミ

「スターミー、私の声が聞こえないのぉ!?」

 

グリーン

「今がチャンスだ!【噛みつく】!!」

 

ズバットの噛みつきはスターミーの核を喰い、勝負はあった

 

カスミ

「ふぅ、やるじゃないっ。

まさかあんな風にくるとは思ってなかったわ!

はい、ブルーバッジよ!」

 

グリーン

「ありがとうございました!!」

 

グリーンには満面の笑みがこぼれた

そして、この嬉しさを共感したく、観客席の方を振り向く

しかし、そこに居るはずのレッドの姿は見えなかった…



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ハナダシティ~らしくない!~

グリーンはカスミに勝利した
しかし、レッドの姿はそこには無かった
ジムを出たグリーンは、トボトボと歩いているレッドを見つけた


グリーン

「ちょっと待てよっ、レッド!!」

 

その言葉はレッドの耳に届いていなかったのか定かではなかったが、レッドは振り向かなかった

 

グリーン

「おいっ、レッド!」

 

レッドの腕を掴むグリーン

 

レッド

「・・・。」

 

グリーン

「一体、どうしたんだよ!

何か言えよ!!」

 

レッド

「…分かる…。

お前に俺の何が分かるんだよっ!!」

 

グリーン

「!?」

 

レッド

「そりゃあ、お前は勝ったからいいよな!

俺はあいつのスターミーにあっさり負けたんだぞ!?」

 

グリーン

「そんなこと…。」

 

レッド

「そんなこと…か。

俺は自分のプライドまで傷つけられたんだぞ!

この気持ち、お前には分からんだろうけどよー!」

 

その言葉にグリーンは激怒し、レッドを押し倒した

 

グリーン

「いつから、お前はそんなひねくれ者になったんだっ!?

前までのお前なら辛いことも、楽しいことも一緒に共感してきたじゃないかよ!!

それを何だよ!1回負けただけで、逃げ出しちゃうのか?

投げ出しちまうのかよぉぉ!?」

 

レッド

「・・・。」

 

グリーン

「負けたんなら、そいつに勝つため努力する…そうだろ?」

 

レッド

「グリーン…、俺っ、強くなりたいよっ!

カスミをぎゃふんと言わせれるくらい…!」

 

グリーン

「そう、それでこそお前だ!!」

 

レッド「…グリーン、迷惑かけちまったな。」

 

グリーン

「ったく、本当だよ!(笑)

修行するんだったら、ハナダシティの北にある"金玉橋"って呼ばれているトレーナーだらけの橋があるし、その先の25番道路だってある!」

 

レッド

「(修行…か。っ!そういえばっ!!)」

 

ふっ、と笑うレッド

 

グリーン

「??」

 

レッド

「グリーン、俺ちょっと行ってくるわ!」

 

グリーン

「おうっ!(何か宛があるんだな。)

頑張ってこい!

お前がジムに勝つまで、つきあってやるよ!

俺はここらを見学してるからっ!」

 

レッド

「サンキュー!!」

 

そう言うと、レッドは4番道路に向かった

サンドと住むあの老人の家だ。

 

レッド

「おじいさんっ!!」

 

老人

「おお、どうした若いのっ!そんなに急いで。」

 

レッド

「お、俺を弟子にしてくださいっ!」

 

老人

「唐突に弟子と言われてものぉ…。」

 

レッド

「強くなりたいんです!!

辛くたって耐えてみせます!

だから…」

 

老人

「分かった、分かった。

そんな必死な目で頼まれたら、断れんワイっ!

じゃが、一切手抜きはなしだぞ!!」

 

グリーンの叱咤激励もあり、

レッドは立ち直ることができた

そして、強くなるため老人の弟子にしてもらったのである

 

老人

「では、これから教えるのは言うまでもないと思うが…

【メガトンパンチ】!

お前のヒトカゲにはピッタリじゃっ!」

 

レッド

「(あんな凄いメガトンパンチを会得できるなんて。)」

 

老人

「じゃが、そう簡単にはいかんぞ?

ワシのサンドですら、かなりの時間を要した!」

 

レッド

「俺は、師匠を超えてみせますっ!!」

 

老人

「ったく、おおぼらを吹く暇があったら、

さっさと取りかかりぞっ!!」

 

レッド

「はいっ!!!」

 

レッドとヒトカゲはメガトンパンチを会得するため、師匠との厳しい修行にはいっていったのである



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24番道路~金玉橋での特訓~

グリーンの言葉を受け、
レッドは再びカスミに挑むべく、強くなるため師匠に特訓を頼んだ


師匠

「…だから、そうじゃないといっとるだろうがぁっ!!」

 

レッド

「んもうっ!分かってるんだけどなぁ。」

 

師匠

「もっと集中力を高めるんじゃ。

ヒトカゲもトレーナーのお前さんに似て、せっかちな性格じゃのう。

結局の所、お前さん達は実戦でコツを掴むしかないのかのう。」

 

レッド

「おっ!!待ってました!」

 

師匠

「うーむ、ここらで特訓の場といえば…金玉橋かの。」

 

レッド

「きっ、金玉…。卑猥だなぁ(笑)」

 

そして2人はハナダシティの北にある

南北にはしる一本の橋、そう、通称"金玉橋"にやってきた。

ここで待ち受けていたトレーナーと特訓を兼ねて勝負を挑み続け、ついにレッドは4連勝に達した

 

レッド

「へっへ~ん!楽勝っ!!」

 

師匠

「お前さん、勝つのはいいが肝心の【メガトンパンチ】の習得にはまだ程遠いのぉ。」

 

レッド

「そんなことないですよっ!

これまでの戦いで、俺流のコツっての見つけたんです!」

 

師匠

「ほぅ。と、いうと?」

 

レッド

「"待ち"なんですよ。

【メガトンパンチ】は超接近型の技なので

自分で突っ込んだ場合、相手の技に素早く対応できないというリスクがあるんです。

だからあえて相手からの攻撃を待って、カウンターを狙う…

しかも威力も高いんで、ピッタリなんですよっ!!」

 

師匠

「(短い期間でここまで成長するとは…面白い奴じゃ。)

では、残り1人勝負したら帰るかの!」

 

レッド

「はいっ!

じゃあ……あいつにしよう。

おーいっ!勝負しようよっ!!」

 

???

「いいぜっ!!おれは荒井 元気(げんき)!」

 

レッド

「ヨロシクなっ、元気!ポケモンは1匹でいいか?」

 

元気

「おうっ!じゃあ俺はマンキーだっ!」

 

図鑑を開くレッド

 

レッド

「(マンキー…怒らせると手がつけられないぃぃ~!?

大丈夫かよ、あのポケモン。)

お、俺はヒトカゲでいくぜっ!」

 

元気

「マンキー、【睨みつける】!!」

 

マンキーのイカツイ表情から繰り出された

睨みつけるはレッドもビビってしまった

 

レッド

「迫力あるなぁ…、って感心してる場合じゃねぇ!

【火のこ】だ!」

 

元気

「そんな火力じゃあ、マンキーの熱気には勝てんぜ!?

いけえっ!【けたぐり】っ!!」

 

ヒトカゲの火のこをものともせず、炎の中からマンキーが飛び出してきた

 

マンキー

「!!」

 

マンキーのしなる蹴りがヒトカゲの顔面にヒットした

 

レッド

「っ!ヒトカゲっ!!大丈夫かっ!?」

 

ヒトカゲは気力で立ち上がる

 

元気

「おっ、やるねぇ…

じゃあ、早いけど、次の技で終いにしよう。

こいつはこの技で瓦50枚はなんてことない…

いくぜ!【空手チョップ】っ!!」

 

レッド

「へぇ。これは絶好のチャンスじゃねぇか!

ヒトカゲ、集中しろっ!

【メガトンパンチ】いくぞ!!」

 

ヒトカゲは目を閉じ、右拳に集中し始める。

そしてマンキーがヒトカゲの射程範囲に入った

 

レッド

「今だ!打ち込め!!」

 

強烈な技のぶつかりに、地面にはヒビがはいり圧で砂ぼこりが舞う

 

師匠

「(お互いに、なんちゅう威力じゃ…)」

 

レッド&元気

「…!!」

 

2匹の姿が見えるとそこに立っていたのは、ボロボロのマンキーだった

ヒトカゲは倒れ、戦闘不能になっていた

 

元気

「ナイスだ、マンキー!」

 

レッド

「ヒトカゲ……、よくやったな。

負けちまったけど、パンチのタイミングよかったぞ。

それに威力も相当なもんだった!

これからも修行して完璧なものにしようなっ!」

 

元気

「やるじゃねぇかよ、お前のヒトカゲ!

マンキーの空手チョップとほぼ互角とは驚いたぜ!!

修行途中なんだな… 頑張れよっ!」

 

レッド「あぁ、サンキュー!!

また勝負しようなっ!」

 

勝負には負けたレッドだったが、

元気との戦いで得たものは大きかった

まだまだレッドとヒトカゲの修行は続く…



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25番道路~炎の怒り~

レッドは悩んでいた…メガトンパンチを習得するには
何かが足りない。
レッドがモヤモヤする、そんな今日の天気は満天の晴れ


師匠

「…どうだ、コツは掴めたかの?」

 

レッド

「師匠ぉ、そのコツってのいい加減に教えてくださいよ~。」

 

師匠

「たわけっ!!それじゃあ、修行にならんじゃろ!

(まぁ正直、コツというより後はヒトカゲのやる気…といったところじゃな。センスは元々あったからのぉ。)」

 

レッド

「ヒトカゲっ!もう1回【メガトンパンチ】!!」

 

ヒトカゲ

「・・・」

 

ヒトカゲは飽き始めて、ため息をついていた

 

師匠

「(やはりの。ヒトカゲも、レッドのスピーディーな修行についていけてない。)

…レッドっ、たまにはヒトカゲの事も考えてやれ!」

 

レッド

「分かってますよ!なっ、ヒトカゲ!?」

 

ヒトカゲ

「・・・」

 

レッドとヒトカゲの思いはすれ違い、失速しはじめてしまった

そんな時、レッドの目に見たことのある服装が映った

胸にRの文字…ロケット団だった

 

レッド

「お前は、ロケット団!?」

 

ロケット団

「んー?なんでガキが俺らの名前知ってんだ?」

 

レッド

「へっ、悪党で有名だからな!」

 

師匠

「レッド、こやつは?」

 

レッド

「人のポケモンや、珍しいポケモンを捕ったりしてる奴らなんです!!」

 

ロケット団

「よく、ご存知で…

それにしてもこのナゾノクサってやつは、弱いなぁ。

雑魚のくせに沢山いるわ、鬱陶しいぜ!」

 

そのロケット団は弱りきったナゾノクサの草を掴み投げた

 

レッド

「おいっ!何してんだ!!」

 

ロケット団

「何って、弱いから捨てたんだよ!

使えないやつを持ってても邪魔だろ?」

 

師匠

「トレーナーの風上にもおけんやつじゃ!」

 

レッド

「師匠、ここは俺に…。

本当のポケモントレーナーってのを教えてやるっ!!」

 

ロケット団

「てめぇ、ガキのくせに生意気だなぁ!

潰してやるからこいよ!!」

 

レッド

「ヒトカゲ!!」

 

ロケット団

「アーボ、いけっ【巻きつく】!」

 

スルスルーッと素早くヒトカゲに巻きついてきた

 

ロケット団

「遅ぇ、遅ぇぇっ!!」

 

レッド

「…許すなよ、…絶対に許すなよぉっ、ヒトカゲっ!!」

 

ヒトカゲ

「っ!!」

 

ヒトカゲもレッドの怒りには共感していた

はちゃめちゃだが、自分をいつも大切に育ててくれていたレッドとロケット団は真逆だと…

そのレッドの声に共鳴したかのようにヒトカゲの炎が燃え盛った

師匠

「おぉっ、これは【怒り】!」

 

レッド

「【怒り】…!?」

 

師匠

「相手の攻撃を受ける度に、力が強くなる技じゃ!」

 

アーボの巻きつくで締め付けられたヒトカゲは苦しむどころか、メラメラと力がみなぎっていた

 

レッド

「今だ、【怒り】っ!」

 

ヒトカゲ

「!!」

 

ヒトカゲは目をカッと見開き尻尾を振り、一撃でアーボを弾き倒した

 

…そしてヒトカゲは咆哮と共に全身が光りだしたのである

 

レッド

「…まさかっ!これは、進化!?」

 

ヒトカゲのどことなく可愛らしかった体型は、引き締まったスマートな体型へと変化した

 

レッド

「リザード!!」

 

リザード

「!」

 

リザードはグッと拳を上げヤル気満タンだった

 

ロケット団

「いいじゃねぇか!

お前のリザード気に入ったぜぇ。

倒して奪ってやるよっ!」

 

そう言うとロケット団はワンリキーを出してきた

 

レッド

「何匹でもかかってこいっ!!」

 

ヒトカゲはリザードへと進化した

だが、それを機にロケット団に狙われてしまう

勝負は2回戦へと突入する



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25番道路~メガトンパンチ!!~

ロケット団の暴行を目撃したレッドは、退治するため勝負を挑む
勝負の最中、レッドと共鳴したヒトカゲはリザードへと進化し、ワンリキーとの決闘に…


レッド

「リザードっ、【ひっかく】!」

 

ロケット団

「【けたぐり】ぃ!!」

 

リザードはワンリキーの軸足を引っ掻き、体勢を崩すと、

追い討ちをかけるかのように連続して【ひっかく】を繰り出した

 

レッド

「続けて【火のこ】!!」

 

特大の炎がワンリキーを襲った

ヒトカゲの頃に比べて、威力は桁違いなものだった

 

しかしながら、相手のワンリキーも鍛え上げられているのだろう

何度攻撃を喰らわせても立ち上がってくる

 

レッド

「ロケット団にも根性あるやついたんだなぁ!」

 

ロケット団

「ふんっ、お前の攻撃が弱いだけさっ!」

 

レッド

「大人だからって、強がんなくてもいいんですよ?」

 

ロケット団

「その減らず口…すぐに閉じてやるよぉっっ!!

ワンリキー、【空手チョップ】!!」

 

瞬間、レッドは元気との戦いを思い出した…

真正面からぶつかり合っても駄目だということを…

 

レッド

「【砂かけ】っ!!」

 

ワンリキーは目に砂が入るも、

空手チョップを闇雲に当てようとする…

 

レッド

「見えてるのと、見えてないのじゃあ威力も変わる。

リザード、空手チョップを片腕でガードしろ!

空いたどてっ腹に、ありったけの【メガトンパンチ】を打ち込めぇっっ!!」

 

ロケット団

「しまっ…!」

 

リザードの渾身のメガトンパンチが、ワンリキーの腹にクリーンヒットし、吹っ飛ぶ…

 

ロケット団

「ちっ、こいつも役に立たなかったな…。

まあいい、ますます気に入ったぜ。

この件はボスに報告だな…!」

 

そう言い残すと、ロケット団は去って行った

 

レッド

「ロケット団…ったく!許せない連中だぜっ!!」

 

師匠

「うむ!見事な戦い、そしてメガトンパンチであった!

正直、ここまで早く会得するとは思っておらんかった。

天晴れっ!!

これにて免許皆伝……と言いたい所じゃが、ワシも師匠としての立場というものがあるのでな。

最後にワシと1対1の試合をする!」

 

レッド

「分かりました!!」

 

師匠

「では、ゆくぞっ!サンド、【切り裂く】!!」

 

レッド

「【火のこ】を地面に!間合いをとるんだっ!」

 

師匠

「近づけさせてはくれんか…【砂かけ】で炎を消しなさいっ!」

 

リザードの姿が見えたサンド

 

師匠

「もう一度、【切り裂く】じゃあっ!!」

 

さっきよりもスピードのある切り裂くを繰り出してきた

 

レッド

「(間に合えっ!)リザードっ!【鳴き声】!!」

 

師匠

「なんちゅー声量じゃ!

鼓膜が破れてしまうわいっ!」

 

レッド

「ーーーーーー!!」

 

目と耳を塞いでしまっていた師匠とサンド…

鳴き声が止み、目を開けるとリザードの姿がなかった

 

レッド

「いけーっ!【メガトンパンチ】っ!!」

 

師匠

「しまった!上かっ!?

サンド、こちらも【メガトンパンチ】じゃぁっ!」

 

だが、サンドのメガトンパンチは間に合わず、落下速度の加わったリザードのメガトンパンチが決まった

 

師匠

「(負けじゃな…。)

 

レッド

「よしっ!!」

 

師匠

「文句なしのメガトンパンチ、成長したのぅ。

ワシの役目はここまでじゃ、行きなさい…!」

 

レッド

「俺、絶対ハナダジムで勝ってきます!!」

 

師匠

「頑張るのじゃよ!また困ったことがあったら、いつでも来なさい。

なんせ、ワシはお主の師匠じゃからのっ!」

 

レッド

「……はいっ!」

 

こうして、メガトンパンチを会得したレッドとリザード。

師匠と別れ、目指すは再びハナダジム

試練を乗り越えたレッドはカスミを倒すことができるだろうか!?



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25番道路~岬でマサキがまさかの実験!?~

レッドはハナダシティへと戻る帰り道、

有名なスポットであるハナダの岬へと立ち寄った。

美しい湖を眺めていると、一軒の小屋から

何かが爆発したような音が聴こえた…

 

レッド

「おーいっ、何かすごい音がしたけど大丈夫ですかぁー!?」

 

???

「・・・」

 

レッド

「…?おいおい、本当に大丈夫か!?」

 

レッドが小屋の中に入ると物凄い煙が立ち籠り、部屋は荒れ、その中に一匹のポケモンがいた

イーブイというポケモンらしい

 

レッド

「ゴホッゴホッ、よかったぁ無事だったみたいだな。」

 

???

「兄ちゃん、助けてくれぇ~!」

 

レッド

「人の声!!どこか下敷きに…」

 

???

「ちゃう、ちゃう、ワイやワイっ!!」

 

レッド

「へっ?ポケモンが…喋った!?

ぎゃあああぁぁっ!!」

 

???

「驚くのも無理ないけどな、落ち着いて聞いてくれ!

ワイはマサキ言いまんねん!!

イーブイが好きすぎて、自分もイーブイになりたかったんやわ。

実験はとりあえず大成功…したんやけど

元に戻るレバーに手が届かんくなってしまい、

んでもって、間違ったボタン押してしまったんや~っ!」

 

レッド

「(あ、アホだなぁ。)

…で?このレバー引けばいいんですか?」

 

マサキ

「そやそや!!頼んますー!」

 

"ガシャン"とレバーを引くと再び煙が吹き出し機械が暴れだした

 

レッド

「おわーっ!」

 

・・・暴れが治まると中から、パーマのかかった若い青年が出てきた

 

マサキ

「ふぅ。やっと戻れたか…。

兄ちゃん、ほんまありがとなっ!

お礼は、何がいいかな~?」

 

マサキは引出しをあさくり始めた

 

マサキ

「おーっ、これ何かどや?

サント・アンヌ号の乗船チケット!!」

 

レッド

「サンド・アンド…?」

 

マサキ

「兄ちゃん知らんのか!?

ハナダの先にあるクチバシティ。

そこの港から出航する豪華客船サント・アンヌ号やっ!!」

 

レッド

「そんな、凄いもの貰っていいんですか?」

 

マサキ

「いいんや、いいんや!

ワイは興味ないで!」

 

レッド

「じゃ、じゃあ、有り難くもらっときます!

…んっ!?何だ、コレ。」

 

引出しから落ちた紙をレッドは手に取る

そこには3匹のポケモンの情報がこと細かく記されていた

 

マサキ

「あぁ、それな。

ワイ、さっき言うたけどイーブイが大好きなんや!

イーブイっちゅうのは珍しい石を使って

3種類のタイプのいずれかに進化させる事ができるんや!!

だから長年ここで研究し続けとるっちゅうわけっ!」

 

レッド

「凄いですね!!

そんなポケモンがいたなんて…

ブースター、サンダース、シャワーズかぁ。

何か、全部ゲットしてみたいですね!」

 

マサキ

「分かる~!?

せやけど、イーブイですら中々見つからん上に、進化の石も珍しいんでな。

集めるのは骨が折れるぐらい大変なんや!!

一目でもいいから3匹集まったとこが生で見てみたいわ~。」

 

レッド

「そういうことなら、俺旅してるんで、

もしゲットできたら見せに来ますよっ!」

 

マサキ

「兄ちゃん、ええ人やなぁ。恩にきるわっ!」

 

レッド

「じゃあ、俺も先急ぐんでそろそろ行きますね!!」

 

マサキ

「おう!色々と世話になったな!!」

 

レッドはマサキと知り合い、

ポケモンが未だ様々な可能性を秘めている事を知った

さぁ、カスミとの決戦はもうすぐだっ!



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Another Story 3 ~最凶の闇~

レッドがメガトンパンチの修行に励んでる一方で、
グリーンはハナダシティの近辺を探索していた


グリーン

「ハナダシティに流れる川って長いなぁ。

どこまで続いてるんだ?」

 

川の流れに沿って歩いていると、グリーンは土手に洞窟らしき穴を見つけた

 

グリーン

「んっ?何だ…?」

 

近づいてみると中は真っ暗で、ほとんど見えない

 

グリーン

「怪しいし、試しに行ってみるか…。」

 

片手にライトを持ち、"ゴクリ"と唾を飲み入っていくグリーン

この先に待ち構えてる恐怖を知らずに・・・

 

ピチャ…ピチャと天井から滴り落ちる水滴がより恐怖心を増した

 

グリーン

「ひぇ~っ、寒いし暗いし…

でもやっぱり、何か怪しいにおいがするんだよなぁ。」

 

忍び足で歩くグリーンの背後でスルスルという

音がし、瞬時にグリーンは気配を悟った

 

グリーン

「今のはっ!?」

 

音のする方にライトを当てたが、そこには何もいなかった

 

グリーン

「気のせい…か。」

 

再び歩き始めようと前を向くとそこには、恐ろしい模様のしたポケモンが舌を出して待ち構えていた

 

グリーン

「こ、こいつはアーボック!?」

 

アーボックはグリーンに向かって近づいてくる

アーボックの【蛇にらみ】によって腰を抜かし、ただただ怯えるグリーン…

 

グリーン

「来るなあぁぁぁっ!!」

 

ゼニガメとズバットを出し、応戦するので手いっぱいだった

しかし巧く指示のできないグリーン。

ゼニガメ達にアーボックの飛ばす無数の【毒針】が襲いかかった

 

ゼニガメ&ズバット

「っ!!」

 

次々に針が刺さっていく……

 

グリーン

「(…駄目だ。俺達はここで終わ…)」

 

そう思いかけた瞬間、

 

???

「スターミーっ、【水鉄砲】!!」

 

アーボックのお腹に水鉄砲が直撃し、怯んだ

 

???

「今よっ、早く逃げて!!」

 

グリーン

「カスミさん!?どうしてここに…?」

 

カスミ

「それは後!グズグズしないでっ!」

 

カスミに引っ張られ、出口へと走る2人

 

グリーン

「はぁ、はぁ、はぁ。」

 

カスミ

「まったく。私に勝っときながら助けられるとは…

甘いわね!」

 

グリーン

「迷惑かけました、ありがとうございます。」

 

カスミ

「あそこはねぇ、このハナダシティの闇…

さっきのアーボックみたいなのが、うじゃうじゃ巣食ってるの。

正直、私でさえ1匹倒すことができるかどうかのレベル。

噂によると、最奥部にはとんでもないポケモンが眠ってると言われているわ!」

 

グリーン

「とんでもないポケモン…。」

 

カスミ

「まっ!安易にあの洞窟に近づいちゃいけないってことよ!

今日はたまたま、彼氏とのデートからジムに帰る所で、あなたが洞窟に入ってくのを見かけたからよかったものの…。」

 

グリーン

「すみませんでした。

今後は気をつけます!

(それにしてもハナダの闇か……いつか、解明してやる。)」

 

ハナダシティの闇…今までに体験したことのない恐怖を実感したグリーン

そしてカスミが口にした、とんでもないポケモンとは!?

 

ハナダの洞窟最奥部・・・

 

???

「ヨワイナ…ツヨキモノ、ココヘコイ」



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ハナダシティ~VSハナダ美人!~

修行を終え、ハナダシティに戻ってきたレッド
ハナダジムでグリーンを待っていると
カスミと一緒に歩いてくるグリーンが見えた


レッド

「…待ってたぜ。」

 

グリーン

「(レッドのやつ、以前とは別人のような雰囲気を帯びてる…。

相当修行を積んだな!)

成長したお前を見せてくれよっ!」

 

レッド

「ああ!勿論だぜ!!」

 

カスミ

「さっ!もう一回ねじ伏せてあげるわ!!」

 

異様な静けさ…グリーンが見守る中、

レッドとカスミの戦いが始まる

 

レッド

「俺の先鋒は、もちろんピジョンだ!」

 

カスミ

「こっちもスターミーを出すまでもないわ。

ヒトデマン、行きなさいっ!

【水鉄砲】!!」

 

レッド

「ヒトデマンなんかに時間かけてられねぇ!

ピジョン、【砂かけ】っ!」

 

カスミ

「そういうとこが甘いっていうのよ…!

いくら砂でも固めちゃえば意味ないの。

小さい頃に砂場遊びしなかったの?」

 

レッド

「あぁ遊んださ…だから何だ?

あんたの考えくらい、お見通しだっ!」

 

カスミ

「えっ!?」

 

レッド

「ピジョン、羽ばたかせろ!!【風おこし】っ!」

 

固まった泥がヒトデマンに降り注ぐ

そして視覚であろう、核の部分に泥が当たりヒトデマンは振り払おうと必死になる

 

レッド

「チャンスだ、【電光石火】!!」

 

まさに速攻…倒れるヒトデマン

 

カスミ

「やるじゃない、一杯喰わされたわ。

けど、勝負はこれからよっ!

前みたいに調子のってると痛い目みるわよ!」

 

レッド

「調子になんかのってないですよ…今回はね。

あんたのスターミーの恐ろしさは、身をもって知ってるからなっ!」

 

グリーン

「(やはり、レッドは明らかに成長した。

前には無かった冷静さ…集中力が備わった今回なら、

いけるっ!!)」

 

レッド

「俺は自分のポケモンの強さを知った…。

正直、今のピジョンではスターミーに傷をつけるのは厳しい。

だから、こいつをむやみに傷つけるのは酷だ…

俺はリザード一匹でやる!!」

 

カスミ

「ふーん。後で、後悔するんじゃないわよっ!

スターミー、【バブル光線】!!」

 

レッド

「いけっ、リザード!【火のこ】だっ!!」

 

両者の技がぶつかり合い爆煙が舞う

 

レッド

「(互角かっ!?)」

 

カスミ

「【体当たり】!!」

 

煙の中から、スターミーがとびだしてきた

 

リザード

「!」

 

レッド

「怯むなっ、【ひっかく】!!」

 

カスミ

「避けつつ、【水鉄砲】よ!」

 

レッド

「チッ!!ここで下がってたまるかよぉ!!

リザード、【怒り】だ!」

 

水鉄砲を受けたリザードの怒りはさらに増し

表情も強ばる…

 

レッド

「思い出せ…前回負けた時の悔しさを。

俺達はあれから強くなったってことを、

あいつらに見せつけろっ!」

 

リザードは全力でスターミーに突っ込む

 

カスミ

「トレーナーが熱くなりすぎてちゃ、話にならないわ!

とどめよスターミー、【水鉄砲】!!」

 

レッド

「俺達の攻撃は、これだけじゃない!!

その溜まった怒りを拳に集中させろ…

【メガトンパンチ】っ!!」

 

グリーン

「これはっ!?」

 

水タイプ、遠距離からのスターミーの攻撃に対し、近接攻撃で相性の悪い炎タイプのリザード

状況からしてカスミの圧倒的有利

……の、はずだった。

 

レッド

「いけえぇぇっ!!」

 

カスミ

「スターミーっ!!」

 

リザード

「!!」

 

スターミー

「!!」

 

リザードは水鉄砲を受けながらも、

その足を一歩も退くことはしなかった

 

そして次の瞬間には勝負はついていた…

壁に打ち付けられたスターミーの姿が。

 

レッド「俺の、勝ちだ。

…うおぉぉっっ!!」

 

部屋中にレッドの雄叫びが響きわたった

もう負けたくないという意地、

その一点がレッドを勝利に導いたのだろう

 

カスミ

「ふぅ、熱くなりすぎるなと言っときながら、最後の場面は私も熱くなっちゃったわ。

負けを認めるわ!

ほら、ジムバッジよ!」

 

レッド

「2個目、ブルーバッジ手にいれたぜっ!!」

 

グリーン

「レッド!!」

 

レッド

「グリーン…。お前の励ましがあったからここまでやれた。

やっぱお前は最高の友達だわ!!」

 

こうして苦節を味わいながらも、

大きな壁を乗り越えることができたレッド

安堵するレッドとグリーン、一件落着と思いきや

何やら事件の臭いが!?



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ハナダシティ~穴を掘られた家!?~

カスミとのジム戦を無事終えたレッド
グリーンと会話しながら、次の目的地であるクチバシティに向かおうとしたのだが…


レッド

「ん?やけにパトカー停まってるな。

事件でもあったか?」

 

気になった2人は、巡査に話を伺った

 

グリーン

「あのー、ここで何かあったんですかっ?」

 

巡査

「泥棒よ。 近頃多くてね、しかも派手にやってくれるわっ…!!」

 

レッド

「あっ!壁におっきい穴が!!」

 

巡査

「そう、人の手ではあけることのできない大きさ…、明らかにポケモンの技であけたと私は思うんだけどね。」

 

グリーン

「住人の方は?」

 

巡査

「無傷よ。何でも寝込みに侵入されたらしいんだけど。

大切な技マシンを盗られてショックうけちゃってるのよー!」

 

グリーン

「俺らで色々聞いてみます!!

少しでも力になってあげれたら…なっ!レッド!!」

 

レッド

「おうよっ、この名探偵レッド様にかかれば………」

 

巡査

「ありがとう、ただ子供だからあまり深くは首をつっこまないように!」

 

こうしてレッドとグリーンは事件の解決に力になるべく動き出した

 

レッド

「お爺さんっ、話聞いてもいいですか?」

 

お爺さん

「わしの家宝である技マシンが~。」

 

泣きじゃくるお爺さん…

 

レッド

「これじゃあ話にならないよ?」

 

グリーン

「確かにな…。ん?あれは!?」

 

レッド

「どうした、グリーン?」

 

グリーン

「あの穴の近く、足跡がくっきりとのこってるな。」

 

グリーンの言う通り、掘られた穴の近くには足跡が残っており、点々と続いていた

 

グリーン

「この方向からして、ハナダシティの出口に向かってるな。」

 

レッド

「俺達、お手柄だなっ!」

 

足跡を辿っていくと、警官の衣服を脱ぎ捨てている男性に遭遇した

 

グリーン

「あのぉ、ちょっと尋ねたいことが…」

 

レッド

「あーーーっ!!お前はっ!!」

 

???

「んっ!?…っ!!貴様はっ!

あの時の小僧!!」

 

グリーン

「レッド、知り合いか?」

 

レッド

「あぁ、知り合いっていう生易しいもんじゃねぇ。

こいつはロケット団っていって、悪事ばかり働いてる奴らだっ!」

 

ロケット団

「また我らの邪魔をするか…!」

レッド

「もちろん、お爺さんの技マシンは返してもらうぜっ!」

 

そこにもう一人のロケット団が現れた

 

ロケット団(2)

「遅くなった…。このガキは?」

 

ロケット団(1)

「ほら、この前話した小生意気な小僧だよ。」

 

ロケット団(2)

「じゃあ…お前のリザード、いただくかっ!」

 

2人のロケット団はワンリキー、スリープを出してきた

 

グリーン

「俺も応戦する!いけっ、ゼニガメ!!」

 

レッド

「リザード!!」

 

ロケット団(2)

「スリープ、【はたく】。」

 

グリーン

「【水鉄砲】だっ!」

 

ゼニガメはスリープを寄せ付けない

技を受けたスリープの頭上からワンリキーがとびだしてきた

 

ロケット団(1)

「【けたぐり】!!」

 

レッド

「【睨みつける】っ!」

 

ワンリキーは一瞬怯んでしまい、隙が生じた

 

グリーン

「ワンリキーにも【水鉄砲】!」

 

ロケット団(1)

「くっ…!……フフフ、ハハハハッ!!

お前たち、俺らを舐めすぎじゃない?」

 

レッド

「はぁ?この状況のどこが…」

 

ロケット団(2)

「今だっ、【催眠術】!!」

 

グリーン

「(しまったっ…!てっきりスリープは倒したもんだと…)」

 

リザードとゼニガメはスリープのかける催眠術を見てしまい、深い眠りについてしまった

 

リザード&ゼニガメ

「…zzz」

 

レッド

「2人共、起きろおぉっ!」

 

ロケット団(1)

「あの時やられた分、きっちり返させてもらうぜ!?

ワンリキーっ!リザードに【空手チョップ】!」

 

強烈な空手チョップを喰らうもいまだ起きないリザード

 

ロケット団(1)

「まだまだぁっ!」

 

卑劣極まりないロケット団は攻撃をやめない

 

グリーン

「(リザードを助けなければっ!こうなったら…。)」

 

グリーンはバッグから眠気覚ましを取りだしゼニガメに使った

 

ゼニガメ

「……!?」

 

グリーン「よしっ!!しっかりしろゼニガメ、ワンリキーに【水鉄砲】だっ!」

 

ロケット団(2)

「だからぁ、油断しすぎっ!【金縛り】!!」

 

ゼニガメは体が動かず、水鉄砲が放てない…

グリーン

「てめぇら、もう許さねぇ…!

ポケモンをどれだけ痛めつければ気がすむんだぁっ!!」

 

その声に反応しゼニガメの体に変化が。

 

グリーン

「これはっ!」

 

レッド

「ゼニガメの…進化!?」

 

ゼニガメはカメールへと進化した

 

グリーン

「遂にやったな、ゼニガメ…いやっ、カメール!!

まずは邪魔者を蹴散らしておく必要があるな。

スリープはエスパータイプ、【噛みつく】だっ!!」

 

新たに覚えた【噛みつく】で、スリープに効果抜群のダメージを与えた

 

グリーン

「続けて、リザードに【水鉄砲】!」

 

レッド

「バカ!何でリザードに!!」

 

グリーン

「水でもかぶって目ぇ覚ませ!笑」

 

リザード

「…っ!?」

 

レッド

「…ったく、無茶してくれるぜ!けど、助かった!!

さぁリザード、やられた分はきっちり返す…だったか?

その言葉そっくりそのまま返してやるよっ!【怒り】!!」

 

リザード

「!!」

 

ワンリキーに溜まった怒りをぶつけ、そのままノックダウンに。

 

ロケット団(2)

「我々がこんなガキ共に…!失態だ!」

 

グリーン

「さぁ、技マシンを渡してもらおうか。」

 

ロケット団(1)

「ちっ、こんなもん!」

 

ロケット団はお爺さんの技マシンを投げ渡し、走り去っていった

 

レッド

「これで、一件落着…か。」

 

2人はお爺さんの家に戻り、奪われた技マシンを渡した

お爺さんは泣きながら感謝し、同時に2人は巡査からも讃えられた

 

グリーン

「それにしても、あいつら…ロケット団だっけか?

今回の件で俺達は確実に奴らのターゲットになったな。」

 

レッド

「まっ!何度でも返り討ちにしてやるっ!」

 

グリーン

「だな!じゃあ俺はこっちの道行くから、気をつけてな!」

 

レッド

「また近い内に会えるといいな!」

 

グリーン

「お前といても世話が焼けるだけだからなぁ…。」

 

レッド

「ん?何か言ったか?」

 

グリーン

「何でも!笑」

 

こうしてカスミ、ロケット団との闘いを経て成長した2人…

だが、まだまだ先は長い。頑張れ2人共!!



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第3章 Battle&Ship
5番道路~育てのプロ!~


ハナダシティを出てレッドは南下し5番道路を歩く
その5番道路にはポケモントレーナーの間には、有名な場所がある…


レッド「うはーっ!!広ーーっ!!」

 

レッドの目の前には羊牧場のような自然溢れる草原が広がっていた。

そこにはたくさんのポケモンが、のびのびと生活している…

 

レッド「ここが"育て屋"かぁ。」

 

???「なんじゃ?君もこの天才育て師こと、多摩五朗にポケモンを預けるか?」

 

レッド「預けると、次来たときには強くなってるんですよねぇ?」

 

多摩五朗「勿論だともっ!!

毎日このワシが、それぞれのポケモンに合った食事、ケアを施しとるからのぉ!」

 

レッド「うーん。でも俺は手持ちが2匹だし、いざとなった時に危険だからなぁ。

まっ!今回はパスしときますわ。」

 

多摩五朗「そう、それでいい。

見たところ、まだ新人のようじゃし、ワシはしっかり金は貰う主義じゃ!」

 

レッド「ははは…。

でも、やっぱそれでも預ける人はいるんですよねぇ?」

 

多摩五朗「この景色を見ればわかるじゃろ!

色々とトレーナーにも事情があるからのぉ。」

 

レッド「ここで一番強いポケモンって見せてもらえますかっ!?」

 

多摩五朗「まぁ、見せるぐらいじゃったら構わんよ。」

 

レッドは多摩五朗の後についていき、小さな洞窟に入っていく

 

レッド「とても静かですね…。」

 

多摩五朗「ストレスを与えないためじゃ…。

ポケモンの名前はハクリュー。

こいつだけは特別でワシが唯一世話しておらんのじゃ。…と、いうのも姿を現すのも滅多にない。」

 

レッド「一体どういう事です?」

 

多摩五朗「このハクリューは持ち主以外、認めないんじゃよ。

簡単に言うと、言うことを聞かないんだ。」

 

レッド「そのトレーナーって…?」

 

多摩五朗「ワタル…。

彼がハクリューを預けてもう、1年以上経つ。」

 

レッド「何でっ!?そんなにも長い間待たされちゃ、ハクリューも愛想つかすんじゃ…?」

 

多摩五朗「そこんとこは、ワシにも分からん。

ただ、それほどに絆が固いんじゃあ…」

 

レッド「んな訳ないでしょ!!

だって、ポケモンってのはトレーナーと一緒に旅してるから

なついたり、より成長してくんじゃないですかっ!?」

 

多摩五朗「そう熱くなるな。

君の気持ちは分かるが、彼には彼なりの考えがあっての事だろうから口出しはできん。」

 

レッド「……。」

 

 

レッド「今回は、色々と見せてもらいありがとうございました!

ワタルさんの事は…まぁ、会えたら直接話してみたいです!」

 

多摩五朗「君も自分の考えを持っとるようじゃし、それを信じて貫き通しなさい!

ポケモンはそれに応えてくれるもんじゃ!」

 

レッドはポケモンへの思いの違いからワタルに対して嫌悪感を抱いた

真実はいかにっ!?

 

・・・・・・

 

多摩五朗「ワタル…今どこにおるんじゃ…。

お前さんのことだから、どうせフスベシティに帰省しとるんじゃろ。

それにしても、長いのぅ…。」

 

その頃、カントー地方セキエイ高原にその男は立っていた

 

ワタル「んっ!やっぱりセキエイ高原は空気が美味いや!

それにこっちでは位も四天王だからなぁ~、

肩の荷も降りるってもんだわ。

あっちじゃあ……チャンピオンだからねっ!!」



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5‐6番道路~小さな凸凹コンビ!?~

クチバシティを目指すレッドは5番道路を抜け、ヤマブキシティに入ろうとしていた


 

マップを見ながら文句をたれているレッド…

 

レッド「はぁ?クチバシティに行くにはヤマブキシティを経由しなきゃいかんのかー。

今はク・チ・バが一番の目的地なんだよ!」

 

ヤマブキシティの入り口にさしかかった所に警備員が立っていた。

彼はレッドが通ろうとするのを拒んだ

 

レッド「何するんですかっ!?」

 

警備員「今はヤマブキへは入れないっ。

従って、ここも通行禁止なんだよ。」

 

レッド「なっ…!何ですとっっ!?

じゃ、じゃあクチバシティへは…?」

 

警備員「心配せずとも行けるよ…」

 

レッド「ほっ。」

 

警備員「この地下通路を通ってね!

ちょっと長い道だけど…ねっ!」

 

レッド「ガーーン!!」

 

レッドは渋々、地下通路を歩いていく

すると、道の脇に何かが落ちているのに気づいた

 

レッド「…これは?スペシャル…アップ~?

よく分からんけど、スペシャルって名前だから凄そうじゃん!

持っていて損はないよなっ!」

 

その時、地下道に可愛い声の言い争いが響いた

 

???「だから、お兄ちゃんのニドランが遅いんだよー!」

 

???「お前のニドランが弱いんだろー?」

 

レッド「まぁまぁ、どうしたんだ喧嘩なんかして?

あ、俺はレッドって言うんだ。」

 

???「僕は仁 努(じん つとむ)。こっちは妹の蘭(らん)。

まだポケモントレーナーじゃないんだけど、

パパから貰ったこのニドラン達を育てて、いつかはポケモンリーグに挑戦するんだっ!!」

 

蘭「…で、今はその特訓中なんだけど、お兄ちゃんのニドランのスピードが遅くて相手にならないの。」

 

努「お前のニドランだって一撃で、俺のニドランに倒されちゃうじゃないか!」

 

レッド「は、はぁ…。なるほどね。

じゃあ俺とポケモン勝負する?

そっちは2匹同時にかかってきていいよ!

俺もこう見えて、凄腕のトレーナーだから!」

 

努と蘭はキラキラはした目でレッドを見つめる

 

レッド「よしっ、いつでもいいぞ!」

 

努&蘭「お、お願いします!!」

 

レッド「ピジョン!頼むぞ。」

 

レッドほピジョンに合図を送る

 

レッド「(手加減よろしくなっ。)」

 

努「蘭は弱いんだから僕の援護しろよー。」

 

蘭「分かってるよっ!」

 

レッド「(うーん。仲が悪いとうまくいかないぞ。)」

 

努&蘭「いけっ、ニドラン!!」

 

2人が出したニドランは姿形が異なっていた

努は♂、蘭は♀のニドランだった

 

努「ニドラン!【毒針】!」

 

蘭「【二度蹴り】よ!」

 

レッド「【風おこし】!!」

 

ピジョンの風おこしで前方にいた毒針、及びニドラン♂をふきとばし、後方から突っ込んできたニドラン♀を巻き込んだ

 

レッド「君達、やる事がバラバラだよ!

ポケモン勝負っていうのは1人でやるもんじゃないんだっ!

自分のポケモンと心を通わし、相手のポケモンのタイプや技に対し瞬時に対応しなきゃいけない…。

ましてや、2人で戦う時は尚更なんだよ!!」

 

努&蘭「……。」

 

レッド「(やばっ、つい偉そうなこと言っちゃった。)

ちょっと、大人げなかっ…」

 

努「さすがレッドさんです!

僕、自分の事しか考えていなかった。」

 

蘭「私も。お兄ちゃんゴメンね!

これからは私が隙をつくるよ!」

 

努「足は遅いけど、威力は僕のニドランの方が強いから、とどめは任せろっ!

レッドさん、もう一度いきます!!」

 

レッド「よし、来いっ!」

 

蘭「先行して【二度蹴り】!」

 

レッド「速いなっ、だったらこっちもスピード勝負だ。

【電光石火】だ!」

 

努「今だ、【鳴き声】!!」

 

レッド「くそ、威力が弱まったか…

ピジョン!高く飛び上がれ!」

 

 

蘭「お兄ちゃんっ!!」

 

努「ああっ!」

 

努&蘭「【毒針】」

 

レッド「まるで針の雨だな…。

けど、そのまま返してやる!【吹き飛ばし】っ!」

 

吹き飛ばした毒針は毒タイプのニドラン達には全く効かず攻撃はやまない。

 

蘭「ニドラン♂をピジョンに近づけさせるには…

っ!!私が撹乱させるっ!【影分身】よ!!」

 

レッド「何!?どれが本物のニドランだっ?」

 

たくさんのニドラン♀が毒針を放つ様な幻覚を見せられ、レッドとピジョンは混乱する

 

努「おりゃああっ!ニドラン、【角で突く】だぁっ!!」

 

レッド「…!!しまった、上を警戒していなかった!

(…が、俺も甘くないよって本当は言いたいとこだけど、ここはくらってあげるか。)」

 

本当は避けれたはずだったレッドはちょっぴり悔しかった

 

レッド「二人共、見違えるぐらい良い動きだったぞ!」

 

努「ま、まぁ」

 

デレデレする努に対し蘭が一喝

 

蘭「あれは私のニドランの陽動があったからでしょ!」

 

努「ふんっ!」

 

レッド「(こりゃ、まだまだ長くなりそうだな…)

まっ、何にしてもポケモントレーナーになって、もっと強くなった君達とまた闘いたいよ!」

 

努&蘭「はいっ!!今日はありがとうございました!!」

 

レッド「(俺も人のことは言えないな…。

もっともっと色んなこと知って強くならないとな!)」

 

レッドは一人前(?)になったつもりで未来のポケモントレーナーに指導をした

彼らがより、強くなってくれると期待して。



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6番道路~釣る者と釣られるもの~

地下通路を出て6番道路を進むレッドは、釣りをしているおじさん2人に呼び止められ、仕方なく向かった


おじさん(1)

「ちょい、ちょい、そこの少年っ!

こっちへ来なさい。」

 

レッド

「俺…ですか?」

 

おじさん(2)

「君しかいないじゃないか。」

 

おじさん(1)

「君はこの本『釣りの極意!』を知っているかな?」

 

レッド

「知らないっすけど…。」

 

おじさん(1)

「あちゃーっ!まだ子供には分からないか~。」

 

おじさん(2)

「僕達は有名な…いや、釣り業界では知らない者はいないぐらい有名な、釣り兄弟ことFishing brothersだっ!」

 

レッド

「そのまんまっすね。(笑)

…で、何で俺を呼び止めたんです?」

 

おじさん(兄)

「いやね、釣りっていうのは大人の娯楽と思われがち…、

まぁ、実際若い奴が釣りするのは珍しくなっている。」

 

おじさん(弟)

「でっ!ここを通る若者に釣りの良さを教えてやろうと思ってね!」

 

レッド

「ほぉ~。そんなおじさん達の今日の収穫は!?」

 

釣りおじさん(弟)

「見ての通りだよ。」

 

レッド

「?」

 

バケツの中を見ると、たくさんのコイキングがピチピチと元気よく跳ねている

 

レッド

「あらら~?おじさん達、プロなんですよね~?」

 

おじさん(弟)

「今日は運が無いだけだ!」

 

レッド

「でも、俺1回釣りやってみたかったんですよ!!」

 

おじさん(兄)

「本当かっ!?なら、おじさんの釣り道具を貸してあげるからやってみな!」

 

こうしてレッドは初めての釣りに挑戦した

 

・・・1時間経過

 

レッド

「……。」

 

・・・2時間経過

 

レッド

「もうっ!限界っす!!

一匹も釣れないじゃないですか!」

 

おじさん(兄)

「釣りとは我慢との勝負…なのだよ、レッド君。」

 

そして遂にレッドにその時が訪れた

竿が激しく揺れる

 

おじさん(弟)

「きたきたきたあぁぁっっ!!」

 

おじさん(兄)

「レッド君、竿をしっかり持ってリールを巻いてーっ!!」

 

レッド

「おりゃあっ!!」

 

海面から飛び出してきたのは、なんとニョロモだった

 

おじさん(兄)

「これはっ!ニョロモじゃないか!

レッド君、大物だよ!!」

 

レッド

「はぁ、はぁ。疲れますけど、釣れると嬉しいですね !!」

 

おじさん(弟)

「それが釣りの楽しいところであり、醍醐味なのだよ!」

 

レッド

「じゃあ、このニョロモは逃がしてやりますね。

キャッチ&リリースってやつっすね!」

 

おじさん(兄)

「待て待てえぃっ!!

レッド君、そのニョロモの目を見たまえ!」

 

ニョロモの瞳はうるうるしていて、まるで見捨てないでと言わんばかりの表情をしていた

 

レッド

「まさか、俺のことを…。」

 

おじさん(弟)

「気に入っちまったんだなっ。

僕を釣ってくれてありがとうってな!

この広い海、数えきれないポケモンの中から、選んでくれたことに運命を感じてるんだろう、こいつは。」

 

レッド

「そうなんですか…。

ニョロモ、俺についてくるか?」

 

ニョロモ

「!」

 

ニョロモは嬉しそうにレッドの懐に飛び込んできた

 

レッド

「ははっ!ヨロシクな、ニョロモ!!」

 

おじさん(兄)

「釣りの良さも分かってくれて、こんな場面に立ち会うことができ、感動した!

その釣竿は君にあげよう!」

 

レッド

「ありがとうございますっ!

じゃあ俺、そろそろ行きますね。日も暮れてきたし…。

友達にも本、紹介しときますねっ!」

 

おじさん(兄)

「うむ、さらばだ!」

 

レッドは思わぬ出会いから新たな仲間ニョロモをゲットし、クチバシティを目指す

 

レッド

「潮の匂いが強くなってきたな。

さぁて、もうすぐクチバシティだぜ!」



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クチバシティ~豪華客船サント・アンヌ号~

クチバシティに到着したレッドは、朝早くから町を観光しながら旅を楽しんでいた


レッド「たまには、ポケモンバトルばっかりじゃなくて息抜きもしなきゃね。

それにしても、賑やかだなぁ~。さすが観光都市!

外人さんまでいるよ。

あ、そっか!確かクチバシティには豪華客船が停泊するんだったよなぁ…。」

 

レッドはふと目にとまったサント・アンヌ号の広告を見て、見学の期間が今日までであることに気づいた

 

レッド「やばーいっ!今日までだったのかよ!

せっかくマサキさんにチケット貰ったのに観なきゃ勿体ない!」

 

クチバ港へ猛ダッシュするレッド

そこには何とグリーンがいて、何やら警備員と話をしていた

 

グリーン「頼みますっ!ちょっとでいいんで見学させてくださいっ!」

 

警備員「んー、そう言われてもねぇ。

チケットが無いと中には入れないんだよ。

僕も入れてあげたいんだけどねぇ。」

 

レッド「おーいっ、グリーン!お前ここで何してんの?」

 

グリーン「レッドっ!実は俺、昨日ここに着いて、どうしてもサント・アンヌ号が観たいから警備員さんに頼み込んでんだけど、チケットが無いと中には入れさせてくれないみたいなんだ…。」

 

レッド「フフフ…グリーン君、私はそのチケット持っているのだが。」

 

グリーン「何っ!?どうしてお前がそれを!」

 

レッド「まぁまぁ、という訳で警備員さん、俺からもお願いします!

このチケットで俺達2人入れてくれませんか?」

 

警備員「やれやれ、君達の友情に負けたよ!

その代わり存分に満喫してこいよっ!」

 

レッド&グリーン「ありがとうございます!!」

 

警備員「(はぁ、チケット1枚分の額が俺の給料から…。)」

 

中に入った2人はその豪華さに開いた口が塞がらなかった

キラキラと光るシャンデリア…

美味しそうな物ばかり並ぶバイキング…

クチバの海を一望できるテラス…

 

グリーン「すげーな!今は無理だけど、いつかこの船で色んな場所へ行ってみたいなぁ。」

 

レッド「確かになっ!それはそうと、グリーン知ってるか?

サント・アンヌ号停泊の最終日イベント!!」

 

グリーン「おおっ!何かあるのか?」

 

レッド「サント・アンヌ号トーナメント杯っ!

ポケモン勝負の祭典を催すらしいんだ!!

勿論、参加するよな?」

 

グリーン「当然っ!!」

 

予定されていた時刻になり、船内にアナウンスが流れる

 

・・・・・

 

アナウンス「予定されていました、サント・アンヌ号杯を開催致します!

参加希望の方は中央広場へお集まりください!

尚、参加資格はジムバッジを2個以上持っている方のみとさせていただきます!」

 

・・・・・

 

グリーン「だってよ?」

 

レッド「余裕だなっ!」

 

2人が中央広場に向かうと、そこには既に6人の参加者が集っていた

 

レッド「俺達も参加します!!」

 

受付の人「君達、アナウンス聞いてたかな?

参加するにはバッジが2個はいるんだよ?」

 

レッドとグリーンは顔を見合せジムバッジを提示した

 

受付の人「し、失礼しました!

では、参加を認めましょう。」

 

アナウンス「では、只今をもちまして参加を締め切らせていただきます。

今回参加していただくのは、この8名!」

 

会場には一気に歓声が湧き起こり、レッド達は緊張していた

 

グリーン「いざ、参加するとはいったものの、ここに居る人達は皆あの試練を乗り越えてきた強者だらけだからなぁ…。」

 

レッド「怯えてんのか、グリーン?」

 

そういうレッドの足はブルブルと震えていた

 

会場の人達「おいおい、あの海兵ってここら一帯では凄腕トレーナーとして名を馳せてる、黒海 航(わたる)じゃないかっ!?」

 

会場の人達「あっちは海外から渡り、たった数週間でバッジ3個を手にしたジェントルマンのレオナルド!!」

 

会場の人達「子供まで参加してるぞっ?意外とダークホースだったりしてな!(笑)」

 

アナウンス「今回の優勝賞品は滅多に手にいれることのできない、"秘伝マシン1"【居合切り】です!皆さん、優勝目指して頑張ってくださいね!!

それでは、試合に移る前にトーナメントのくじを引いてもらいます。」

 

それぞれが、くじを引いた結果…

レッドとグリーンは反対のブロックになった

 

グリーン「よかったよ、これで決勝で当たれるな!」

 

レッド「ちゃんと勝ち上がってこいよっ!!」

 

アナウンス「さぁ、お待たせいたしました!

それでは第1回戦レッド選手vsレオナルド選手!

使用ポケモンは2匹、バトルスタートっ!!」

 

豪華客船で始まったトーナメント戦

レッドの最初の相手は既にバッジを3個も所持しているレオナルド

果たしてレッドの勝敗の行方は!?



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サント・アンヌ号~紳士な闘い~

サント・アンヌ号のトーナメントに参加することになった、レッドとグリーン
強者ばかりが集ったこのトーナメント…
レッドの初戦は外国から来たレオナルドであった


レオナルド

「子供だからといって、容赦はしませんよ。

とはいうものの、私は紳士なのでcoolに決めさせてもらいますがね。」

 

レッド

「子供だからってなめてもらっちゃ困りますねぇ!

負けても言い訳しないでくださいよ!?」

 

レオナルド

「では、ポニータいきなさい。」

 

レッド

「ピジョン、頼むぞっ!

(ポニータ…炎タイプか。遠距離攻撃で様子見だな。)

【風おこし】!」

 

レオナルド

「遠距離で様子を見ようなんて、考えてるんじゃあないでしょうね?

だとしたら、甘いですよ!

【体当たり】で接近していきなさい!」

 

ポニータの体表から出る炎が風おこしの影響で更に燃え盛る

 

レッド

「っ!逆に利用されちまったか!

だったら…こっちも迎え撃て、【電光石火】だ!」

 

互いにスピードには自信があったが、ピジョンの素早さがポニータの1枚上をいった

 

レオナルド

「ほほ…なかなか育てられてますねぇ。

ですが、こちらもそれなりに育ててきてるんですよ!!

ポニータ、もう一度接近しながら、連続での【火のこ】です!!」

 

レッド

「避けろ!」

 

レオナルド

「さぁ、いつまで避けれますかねぇ。」

 

レッド

「(くっ…!キリがねぇな。だったら…)

【砂かけ】っ!」

 

砂かけをくらったのと、ほぼ同時にレオナルドが指示した

 

レオナルド

「今ですっ、【踏みつけ】!」

 

ピジョンはポニータに踏みつけられ思うように動けないでいる

 

レッド

「ピンチだが、これで直接当てれる…!

【風おこし】!!」

 

レオナルド

「…ポケモン勝負とはトレーナーの指示1つで、ピンチがチャンスに変わるもの。

まさに今の状況のことを言うんですっ!

経験値の差を見せてあげます、【炎の渦】!!」

 

ポニータは周りに炎の渦を生み出し、又、風おこしで渦は大きくなりピジョンを包み込んでいった

 

ピジョン

「!!」

 

レオナルド

「…もういいでしょう。」

 

渦が消えるとピジョンは倒れていた

 

レオナルド

「さて残るは1匹ですよ?」

 

レッド

「ありがとう、ピジョン…。

実戦は初めてだが、こいつでぶつけてみるしかない!

お前に決めたっ、ニョロモ!!」

 

グリーン

「(レッド…また新しいポケモンをゲットしたんだな!)」

 

レオナルド

「ニョロモは可愛いですよねぇ、私も大好きですよ。

ですが今は立ちはばかる敵…倒すのみです。

ポニータ、【火のこ】です!」

 

レッド

「防戦一方じゃ、分が悪い。

それに、ここで長引かせる訳にはいかないっ!

ニョロモ!【泡】で打ち消せ!」

 

レオナルド

「水タイプは遠距離攻撃が多いですからねぇ。

ここは力ずくでもっ!【体当たり】です!!」

 

レッド

「来たな!【催眠術】!!」

 

レオナルド

「何っ!?」

 

ニョロモは体をうねうねと動かせながら、お腹の模様で相手に催眠をかけた

 

ポニータ

「zzz」

 

レオナルド

「起きるのですよ!ポニータっ!」

 

レッド

「いけえっっ、【水鉄砲】!」

 

直接くらったポニータは戦闘不能になった

 

レオナルド

「私のポニータを倒すとは、やりますね!

ですが次のポケモンは私の相棒。

Go!ガーディ!!」

 

レッド

「また、炎タイプですか?

懲りないですねぇ、ポニータの二の舞になりますよ?」

 

レオナルド

「…どうですかね?

ガーディ!まずは宣戦布告の【吠える】!!」

 

ガーディ

「!!」

 

ガーディの凛々しさ、その勇ましさにレッドもすくみそうになった

 

レッド

「ニョロモ、み、水鉄…」

 

レオナルド

「続いて【睨み付ける】ですっ!」

 

完全にガーディに対しビビってしまったニョロモ

 

レオナルド

「さぁ、舞台は整いました。

華麗な一撃を魅せてあげましょう!【突進】!!」

 

ガーディの重い突進がニョロモを壁に打ち付けた

 

レッド

「ニョロモ!!

くそっ、まだ実戦経験が浅いのに、…無茶させちまった。」

 

レオナルド

「試合終了ですね。」

 

レッド

「っ!!」

 

会場の人達

「おおおおっ!!」

 

ニョロモはその小さな体を必死に起こす

 

レッド

「ニョロモ…お前、まだやれるってのか?」

 

ニョロモ

「!!」

 

レッド

「分かったっ、お前の気持ちしっかりと受け取ったぜ!」

 

レオナルド

「まだやるのですか?あまり善しとはしないのですが…。」

 

レッド

「だったら、降参しますか?」

 

レオナルド

「子供に降参なんてできませんよ!

酷ですが、もう一度【睨み付ける】っ!」

 

レッド

「(どうすればいい…ガーディに悟られない方法。)」

 

その時、ニョロモから白い霧が生じ始めた

 

レッド

「これはっ!?」

 

グリーン

「レッド!それは【白い霧】だっ!!」

 

レッド

「よく分からんが、これに賭けてみるしかない!

ニョロモっ、【白い霧】!」

 

会場一帯を白い霧で包み込み、ガーディの睨み付けるは、うまく機能しなかった

しかし、その霧からうっすらとニョロモの影があったのを、レオナルドは見逃さなかった

 

レオナルド

「ガーディ、私の指差す方向に【突進】です!」

 

レッド

「近づけさせるかよっ!!

ニョロモ、前方に【水鉄砲】で壁を作れ!」

 

レオナルド

「いかんっ、退きなさいガーディ!」

 

咄嗟に退くガーディ

 

レッド

「その壁を維持しながら攻め立てろ!!」

 

レオナルド

「もっと退くんです!!」

 

ニッと笑うレッド…

何とガーディの後ろはすでに船の壁であり逃げ場が失われた

 

レッド

「いけぇっっ!」

 

そのままガーディは水鉄砲をくらい、効果抜群

ノックダウンした

 

レッド

「俺の勝ちだ!!」

 

アナウンス

「勝者、レッド選手!」

 

会場の人達

「すげぇ!あのレオナルドが1回戦で敗れるなんて。

…しかも、あんな子供にっ!!」

 

レオナルド

「いい勝負でした。最後のニョロモの気迫と、技の使い方には一杯くわされましたよ。

次の戦いも頑張ってください、君なら優勝しかねませんね!」

 

レッド

「しかねる…じゃなくて、するんですよっ!

ありがとうございました!!」

 

レオナルド

「私は最後のティータイムでも満喫してくるとしますかね…では。」

 

レッドは見事な大逆転勝利をおさめた

一方のグリーンは、難なく1回戦を勝ち進んだのであった



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サント・アンヌ号~荒波を越えて!!~

サント・アンヌ号杯準決勝…
レッドは悪戦苦闘を繰り広げるも、何とか決勝へと駒を進めた
そして次の対戦、グリーンの相手は黒海 航であった


会場の人達

「あの、レッドっていう子供すげぇな!

こりゃあ本当に優勝しちまうかもなっ!」

 

レッド

「グリーン!絶対勝てよーー!」

 

グリーン

「ったく、あいつは…。そんな事言われなくても分かってるよ!」

 

「小僧っ、簡単に勝てるなんて思っちゃあいかんよ!!

数多の海を渡り、その中でポケモンと一緒に荒波という困難を越えてきた俺に、"負け"という言葉は存在しないっ。」

 

グリーン

「だったら今日、新たにページに刻んであげますよ!

負けの文字をねっ!」

 

「言ってくれるぜ。いけいっ、シェルダー!」

 

グリーン

「カメール、お前に決めた!!

まずは【体当たり】でいけっ。」

 

「【殻にこもる】!!」

 

防御を高めた硬いシェルダーに、カメールの体当たりはほぼ効いていなかった

 

「俺のシェルダーの甲羅はダイヤモンドよりも硬いのだよ!」

 

グリーン

「俺のカメールの牙だって、まぁまぁの自慢もんなんですけどね…、魅せてあげますよ!

【噛みつく】っ!」

 

「魅せるのはいいが、これは勝負。やられちゃったら意味ないぞ!?

【オーロラビーム】で迎え撃て!!」

 

カメール「っ!」

 

カメールは噛みつくを繰り出せないまま、オーロラビームを受けてしまった

 

「そらっ、【殻で挟む】!」

 

グリーン

「しまった!」

 

カメールの腕を挟み、振りほどこうとするがシェルダーはがっちりと挟み離れない

 

グリーン

「一旦戻すぜ!」

 

「おーっと!それはできないぜ?

シェルダーが体にくっついている限りなっ!」

 

グリーン

「……。だったら、こっちも!

【殻にこもる】だ!!」

 

手足を引っ込め、殻だけになったカメール

当然、シェルダーも離された

 

グリーン

「今だっ!跳ねあがって、【のしかかり】!!」

 

ドシン!という重い音と共に、カメールはシェルダーの上にのしかかった

どうすることもできないシェルダーは、そのまま倒れてしまった

 

グリーン

「 (レッドには隠してたけど、船内を見学してる際にたまたまゴミ箱に捨てられてた技マシンを拾ったんだ。

今回ばかりは、正直これがなかったら打つ手がなかった…。)」

 

「上手く、殻にこもるを利用したな…。

だったら次のポケモンはワンリキーだ!

こいつの力は、日々重い荷物を運んで鍛えに鍛え上げられているっ!!」

 

グリーン

「カメール、お前は戻れ。

相性のいいズバットでいく!

ズバットっ、【噛みつく】!!」

 

ズバットはワンリキーの腕に噛みついた…が、

航はニヤリと笑った

 

「【気合い溜め】!」

 

ワンリキー

「っ!!」

 

「一気に力を爆発させろっ!!【空手チョップ】!」

 

腕に噛みついていたズバットを渾身のチョップで叩き落とした

 

「いくら相性が悪くても今のは痛いだろっ!?」

 

グリーン

「…へっ。俺のズバットはこれくらいじゃ倒せないぜ?」

 

グリーンの言葉通りズバットは痛みをこらえ、立ち上がる

 

「だったら、もう一度お見舞してやる!

【空手チョップ】っ!!」

 

グリーン

「(いくら力が強いとは言え、もしそれをそっくりそのままワンリキー自身に与えることができたら…。)

【超音波】だ!」

 

ワンリキーは超音波で混乱してしまい、繰り出した空手チョップを自分に当ててしまった

 

「ワンリキー!!」

 

グリーン

「とどめだ!【吹き飛ばし】っ!!」

 

吹き飛ばされたワンリキーは壁に頭を打ち付け倒れてしまった

 

アナウンス

「勝負あり!…勝者、グリーン選手!!」

 

会場の人達

「おおおぉっっっ!!!

こっちのグリーンって子も強いじゃんかっ!

決勝はまさかの子供同士の対決か、楽しみだな!!」

 

グリーン

「勝ち上がったぜ、レッド!」

 

レッド

「そうこなくっちゃっ!!」

 

準決勝、グリーンが勝ち、次の決勝戦はレッド対グリーン

ライバル対決の幕が切って落とされる



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サント・アンヌ号~折れない翼で・・・~

サント・アンヌ号杯…決勝戦は互いに強者を破り勝ち上がってきたレッドとグリーン
大勢の観客が見守る中、勝つのは一体っ!?


レッド

「お前とフルで戦うのは旅立ちの日以来だな!」

 

グリーン

「あぁ、あの頃はまだまだ未熟で何も知らなかった。

けれど今は知識も積んで他のトレーナーとも対等に戦える!

レッドっ!本気でいくぞ!!」

 

レッド

「望むところだ!!

いけっ、ピジョン!」

 

グリーン

「だったら、こっちはズバットだ!」

 

アナウンス

「それでは…決勝戦、スタートですっっ!」

 

レッド

「先制するぞ、【電光石火】だ!」

 

グリーン

「【超音波】で混乱させるんだ!」

 

攻撃を後手に回してしまったグリーンはピジョンの電光石火にスピードを乗らしてしまい、そのため超音波はピジョンの耳には入らなかった

 

直撃するズバット…

 

グリーン

「くっ!…だったら今度はこっちから、【噛みつく】っ!」

 

レッド

「グリーン、攻撃が単調じゃないか?

ピジョン、間合いをとって【風おこし】!」

 

ズバットはやられるばかりであった

 

ズバット

「っ!!」

 

会場の人達

「あのグリーンって子、今までの闘いに比べると何か覇気が無いというか、本領発揮してないのかな…?」

 

グリーン「(分かってる…ピジョンに対してズバットをぶつけるのは体格差であったり技の威力も、不利であることは。

だけど、おそらくレッドの2匹目はリザード。ここでカメールを出して、もし負けてしまったら俺に勝ち目は無くなる…!

焦って技のタイミング、使い方をミスっちまってるのは自分でも明らかに分かる

でも、ここはズバットを信じるしかないんだっ!!)

ズバットっ、【吹き飛ばし】!」

 

レッド

「こっちも【吹き飛ばし】だっ!!」

 

互いの風がぶつかり合い、会場は吹き荒れる

 

レッド

「押し込めぇぇっ!!」

 

グリーン

「気持ちで負けるなぁっ!!」

 

だが案の定、ズバットが飛ばされてしまった

 

グリーン

「ズバット…!ここまでか。」

 

ズバット

「!」

 

レッド

「へへっ、グリーン!諦めるのは早いんじゃないか?

ズバットはまだ試合を棄ててないみたいだぞ?」

 

見るとズバットに進化の兆しが…

次の瞬間、ズバットはゴルバットへと進化した

 

会場の人達

「すげえっ、進化した!!」

 

会場の人達

「俺、生で見たの初めてだよっ!」

 

アナウンス

「な、何とこの絶望的な戦いの最中、ズバットは進化を遂げ再びピジョンに挑もうとしている!

私は、この素晴らしい場面に立ち会わすことができて…感無量ですっ!!」

 

会場の人達

「いけーっ、グリーン!」

 

レッド

「ったく、会場の人達も味方につけちゃって…。

やりづらいなぁ(笑)。」

 

グリーン

「さぁレッド、ここからが本番だぜ!

やるぞっ、ゴルバット、【毒々】!!」

 

レッド

「避けろ!」

 

ピジョンは見事避わしたかに見えたが、少しかすれてしまった

 

グリーン

「ふっ…。」

 

レッド

「(…!?ピジョンの様子がおかしい、明らかにスピードも落ちて表情もつらそうだ。

まさか、さっき喰らっちまったのかっ!?だとしたら長期戦はマズイな。)」

 

グリーン

「今だ、【翼で打つ】!!」

 

レッド

「…っしまった!」

 

この時、レッドは反射的に攻撃命令を出した

ピジョンがまだ会得していない技にも関わらず、レッドにはピジョンなら出来るであろうという確信があったからだ

 

レッド

「【翼で打つ】!!」

 

爆風が舞い2匹がどうなったのかまだわからない

視界が開けるとそこには…

 

レッド&グリーン

「…っ!!」

 

超至近距離での同時打ちの結末は…!?



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サント・アンヌ号~決着!!~

レッドとグリーンの決勝戦
た戦いの最中進化を遂げたグリーンのズバットはゴルバットへ
そしてレッドも負けじと咄嗟に新技を繰り出すが…


レッド&グリーン

「!!」

 

立っていたのはピジョンであった

 

グリーン

「やられたか…。」

 

レッド

「よっしゃあ!よくやったぞっ、ピジ…っ!?」

 

ピジョン

「…。」

 

奮起したピジョンであったが疲労困憊だったのだろう、その場に崩れてしまった

 

レッド

「そうか、お疲れさん!」

 

アナウンス

「両者共にノックダウン!!

この戦いの結末はいまだ誰も予想できませんっ!!」

 

会場の人達

「なんて戦いだよ…。

久し振りだぜ、こんなにも熱くなるのは!

2人共頑張れぇーー!!」

 

レッド

「さすがグリーンだぜ!

あっさりと勝たせてはくれないみたいだな。」

 

グリーン

「ここで簡単に敗けたらさ、今までのトレーナーに申し訳ないだろ?

せめて、らしい戦いしなくちゃな!」

 

レッド

「ラストは勿論、相棒…だろ?」

 

グリーン

「それしかいねえっての!!

頼むぞっ、カメール!」

 

レッド

「リザードっ!!

まずは【火のこ】!」

 

グリーン

「【殻にこもる】!!」

 

レッド

「そんな引きこもってないで、出てこいよ!

【メガトンパンチ】っ!!」

 

グリーン「(いきなり大技か…。へたに避わして隙つくっちまうのも厄介だな。とは言え、いくら【殻にこもる】で防いでても【メガトンパンチ】は相当効く。

だったら…)殻にこもったまま、【水鉄砲】!」

 

カメールに一点集中していたリザードはもろに水鉄砲を受けてしまった

 

レッド

「リザードっ!

気持ちでいけっ、【睨み付ける】!」

 

グリーン

「【泡】!!」

 

会場にカメールの放った泡が舞う

 

レッド

「(たかが泡だがカメールに進化して威力が増した分、リザードとの相性は超最悪だぜ。)

…リザード、動くなっ!」

 

グリーン

「今だっ、【噛みつく】!!」

 

レッド

「動けないなら動けないなりの戦い方がある!

【睨み付ける】からの【鳴き声】だっ!!」

 

グリーン

「(くっ、さっきからレッドはジワジワとカメールの能力を下げてきてるな。でも今はもう退けねぇっ!俺はレッドに勝つんだ!!)

いけえぇっ、カメール!」

 

レッド

「待ってました!!グリーンが俺のペースにのるのをな!」

 

グリーン

「何っ!?」

 

レッド

「いくら頭脳明晰なグリーンでも、ここは決勝の舞台。

能力を下げられてでも"勝ちたい"という想いは必ずあるっ!

その想いがMAXになった時、多少の賭けなら必ずのってくるっ!

それが…今さっ!

リザード、【怒り】で迎え撃て!!」

 

リザードの怒りの連続攻撃がカメールに襲いかかる

壁際に追い詰められたカメール

 

グリーン

「俺達は敗けないっ!

カメール、【水鉄砲】でとどめだっ!!」

 

レッド

「こっちも最後の力を振り絞れ、【メガトンパンチ】!!」

 

その時、グリーンの脳裏に浮かんだのはレッドとカスミが戦ったハナダシティのジム戦

ラスト、カスミの持つスターミーの強烈な【水鉄砲】に対して、レッドとリザードは一歩も退かず立ち向かっていった…

まさに今のような光景だったのだ…

 

グリーン

「(そうか、俺は一番近くで観ていたのに気づかなかったのか。

レッドのポケモンに対しての絶対的な信頼と、どんな恐怖にも立ち向かう勇気に…。)

…完敗だよ。」

 

ドオォォンという凄まじい音の方向にはカメールが倒れていた

 

アナウンス

「死闘の末、勝ったのはレッド選手っ!!」

 

会場には盛大な歓声が沸いた

 

アナウンス

「優勝者のレッド選手には副賞として、船長より秘伝マシン1【居合い切り】が贈呈されます!!」

 

船長

「まだ、見たところ新人トレーナーのようだが、これからも多くのポケモンと触れあってたくさんの発見をするとよい。

君の活躍に期待してるよ…。では副賞としてこの秘伝マシンを…うっ!?」

 

アナウンス

「船長っ!?」

 

船長

「いかん、船酔いしてしまった…。で、出ちゃう…。」

 

アナウンス

「出ちゃうって、まさか…!!」

 

レッド

「船長さんっ、よかったらこのポケモンショップで貰ったこのレジ袋使ってくださいっ!」

 

船長

「す、すまん…おえっ□△★●%▲§#!」

 

背中を擦るレッド

 

・・・そして15分後、

 

船長

「いやあ~、先程は失礼な場面をみせてしまった。失敬!

改めて、レッド君、おめでとうっ!!」

 

会場は拍手で包まれた

その中で照れるレッド

 

アナウンス

「では、これにてサント・アンヌ号杯を終了いたします!

集まっていただいた皆さま、ありがとうございました!!」

 

サント・アンヌ号を出ると、既に夕暮れだった…

港の出入り口にグリーンは立っていた

 

レッド

「お待たせ!」

 

グリーン

「おぅ!楽しかったな、トーナメント!

って言うより、久々にレッドと本気で戦えて嬉しかった。」

 

レッド

「俺もだぜ!!」

 

グリーン

「俺達、目に見えるスピードで成長してるんだなぁって今日感じた。

今回は、その成長がレッドの方が上回ってたんだと俺は思う!

でも俺だって、ポケモンへの愛情はレッドには負けてないつもりだっ!!」

 

レッド

「あぁ、十分伝わってたぜ!!」

 

グリーン

「次は今よりもっと凄い戦いしようなっ!」

 

レッドはグッと親指をたてた

 

グリーン

「…で、明日はどうするの?」

 

レッド

「ポケモン達を休ませたら、ジム戦だな!

グリーンは?」

 

グリーン

「俺は…もう1回修行し直しだ!(笑)

ジム戦、頑張れよ!!」

 

レッド

「おう、じゃっ、オヤスミ!!」

 

こうしてサント・アンヌ号杯で決勝を戦ったレッドとグリーンはちょっぴり有名になった

再戦を誓った2人は別々の道へ行く

レッドは更なる高みへ

グリーンは焦らず力をつけるために…



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クチバシティ~VSイナズマアメリカン!①~

グリーンと別れた翌日…
れレッドは疲れを見せることなく、意気揚々とジムを探す


レッド

「よし、今日で3個目のバッジを手に入れるぞぉ!

今日の占いは1位だったし、ラッキーアイテムは…バッグの中を確認しろだったな。

よく分からんけど、絶好調だぜっ!!」

 

そんなレッドの目の前に街の穏やかな雰囲気とは違う…

そう、言うなれば外国の軍基地のような施設が現れた

 

レッド

「まさか…ここがジムっ!?」

 

すると"バンッ"と勢いよく扉が開き、中からがたいの良い男性が出てきた

 

???

「Hey!小っさなボクちゃん、ここに何の用かナ?

危険だから、あんまり近づいちゃダメだヨ?」

 

レッド

「(小っさなボクちゃん…小っさな…。)」

 

確かにレッドの背は小さかったが嘗められたレッドの態度は大きかった

その男性の行く手に立ちはばかるように刃向かう

 

レッド

「やいっ!俺はここにジム戦しに来たんだよ!!」

 

???

「…そうか!それは悪かったネ。

ボク、名前ハ?」

 

レッド

「レッドって言いますっ!!」

 

???

「レッド…。じゃあ、君がもしかして昨日のサント・アンヌ号杯で優勝したレッド君かナ!?」

 

レッド

「そうですよ!(何だ、意外と有名になってるのか…。)」

 

レッドの顔はニヤニヤしていた

 

???

「いやぁ~、子供が優勝とは、あのトーナメントも落ちたものダ。」

 

レッド

「なっ!!じゃあ、早く試してみましょうよ。

…その落ちた優勝者とっ!!えーと…」

 

???

「ワタシの名前はマチス!さ、中へどうゾ。」

 

ジムの中は冷たいコンクリートの壁に多くの電灯が付いていた

 

レッド

「(そういやぁ、マチスさんのポケモン対策してなかったぁ~!

こんなことなら、レオナルドさんに聞いとけばよかったよ。

あれだけ大口叩いて敗けたら恥じゃんかよ…。)

絶対、バッジ貰いますからね!」

 

マチス

「使えるポケモンは3匹!

では…ピカチュウ、Go!!」

 

レッド

「リザードっ!!

【ひっかく】の連続攻撃をみせてやれ!」

 

マチス

「避けロ!」

 

ピカチュウはその身の軽さで容易く避わす

 

レッド

「ちっ…、【睨みつける】!」

 

リザードの厳つい目付きでピカチュウは怯えてしまっている

 

レッド

「【メガトンパンチ】だぁっ!!」

 

マチス

「チッチッ…、【影分身】ッ!!」

 

ピカチュウは10匹に分身しリザードを取り囲む

それにより、逃げ場を失ったリザード

 

マチス

「ビリビリに痺れロ!【電気ショック】ッッ!!」

 

レッド「どれが本物なんだ…。」

 

まやかしの電気ショックに撹乱させられ、本物の電気がリザードの身体を貫いた

 

リザード

「……。」

 

マチス

「フフフ…、いけッ、【電光石火】!!」

 

レッド

「マチスさん、あの一発でリザードがやられたと油断しましたね?

迎え撃てっ、【居合い切り】っ!」

 

目を閉じたリザードはピカチュウの攻撃が当たる瞬間、

見事なカウンター…居合い切りで倒した

 

マチス

「OH My God!!

これがこの地方で言う『ユダンタイテキ』というやつだネ!

Sit、次はこうはいかないヨ?ビリリダマッ !!」

 

レッド

「モンスターボールじゃないですか?」

 

マチス

「【嫌な音】!!」

 

レッド

「っっ!?」

 

マチス

「【体当たり】っ!!」

 

思わぬ不意討ちで体当たりを受けてしまった

 

マチス

「…まさに『油断大敵』だネ!?」

 

レッド

「調子にのらんといてくださいっ!」

 

マチス

「【ソニックブーム】!!」

 

ビリリダマから放たれた衝撃波が襲いかかる

 

レッド

「リザードっ、集中…集中!!

見極めろ、【居合い切り】!」

 

衝撃波の攻撃を見切ったリザードは一気にビリリダマの懐に潜り込んだ

 

レッド

「最初の不意討ち分を喰らっとけ!【怒り】!!」

 

リザードの強烈なアッパーによりビリリダマ一発KO

 

マチス

「そ、そんな!ビリリダマまデ…!!

フ、フフ、フフフフ…。」

 

レッド

「何が可笑しいんですかっ!?」

 

マチス

「いやいや…今からレッド君のポケモンが全滅して、ビリッビリの衝撃を痛感させれると思うとゾクゾクしてしまってネ。」

 

レッド

「なっ…!?」

 

マチス

「ワタシの本気はここからだYo!!」

 

不適の笑みを見せるマチス

彼が最後に繰り出すポケモンとは!?



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クチバシティ~VSイナズマアメリカン!②~

ここまで順調にマチスのポケモンを倒してきたレッド
しかし、一方のマチスは余裕の表情を見せる
彼のその自信の裏には…!?


マチス

「出番ダ、ライチュウ!!」

 

レッド

「ライチュウ…ピカチュウの進化形か。

リザード、一度休憩だ。戻っててくれ、ご苦労さんっ!

ピジョン、頼む!

(ピジョンには申し訳ないが、あいつの技を確認しとく!)」

 

マチス

「【電気ショック】でも魅せてあげよウ!!」

 

その音たるや、ピカチュウの時とは桁違いでバリバリッと鳴っていた

 

レッド

「(そんなっ…!大きさが…)

くっ、【電光石火】で避わしながら接近するんだ!」

 

電気ショックを間一髪で避けきったピジョン

しかし…

 

マチス

「Come On!!【電光石火】!!」

 

そのスピードはピジョンを凌いでいた

 

レッド

「何っ!?威力が増しただけでなく、スピードまで!!」

 

やられたピジョンだが立とうとする

 

マチス

「まだやるのかナ?

じゃあ、仕舞いに【10万…」

 

ゾワッと何か嫌な空気を感じたレッド

 

レッド

「頼むっ!こいつは負けでいい。だからこれ以上は勘弁してくださいっ!」

 

マチス

「…。Yes,sir、分かったヨ!」

 

レッド

「ありがとうございます。

(どうする?これじゃあ、ニョロモの負けは見えてる。

と、なると…。)

やっぱりお前だ、リザード!!【火のこ】!」

 

マチス

「【電光石火】!!」

 

ライチュウの高速の電光石火は火のこを寄せ付けない

 

レッド

「だったら…【居合い切り】だっ!」

 

マチス

「その手には2度もかからないヨ!?

【電磁波】ッ!!」

 

リザードは目を開けると自分が痺れて動けないことに気づいた

 

リザード

「!」

 

マチス

「いきますヨー?【メガトンパンチ】!!」

 

レッド

「あいつも打てるのかっ!

直撃はマズイ…【鳴き声】っ!!」

 

ライチュウ

「!」

 

マチス

「Oh~、そのまま退かずにGo!」

 

レッド

「もういいんじゃねぇか、リザード?

時間は充分あった…お前なら動けるだろ!?

【メガトンパンチ】見舞ってやれえっ!!」

 

相討ちかのように見えたが一瞬怯んだライチュウは劣性的だった

 

レッド

「(頼む…。決まっててくれ!)」

 

レッド&マチス

「!!!」

 

そこにはまだ立ち上がるライチュウの姿があった

 

マチス

「それでこそ、Meのライチュウですヨッ!!」

 

レッド

「ちくしょう駄目か…。」

 

マチス

「勝負中に下を向くとは、情けなイ!!

【電磁波】!!」

 

レッド

「あっ…」

 

マチス

「【10万ボルト】オオォッッッ!!」

 

バリバリと先程の恐怖が甦る

 

レッド

「リザード、避けろぉぉっ!」

 

マチス

「No Good(無駄だ)…!」

 

強い電撃がリザードの全身に走った

 

マチス

「戦闘不能だネ。」

 

レッド

「(強い…さすが3番目のジムリーダー。

挑戦するの、はやまっちまったかなぁ、グリーンみたいに修行するべきだっなぁ…。

でもよ、俺だってトーナメントで優勝したんだ!

マチスさん…ジムリーダーの耳にも微かだけど届いてたっ!

それなりには強くなってるんだ、逃げてたまるかよ!!)」

 

マチス

「どうしタ、レッド君?」

 

レッド

「(全力で、このバトルを楽しもう!!)

マチスさん、俺の本気はここからですよっ!?

ニョロモっ!!」

 

マチス

「ニョロモじゃ、ライチュウに触れただけでもOutだヨ?

何てったって、ライチュウの電気はインド象も倒してしまうからネ。」

 

レッド

「分かってるっ!【白い霧】!!」

 

マチス

「何ッ!?」

 

辺り一面に霧がかかる

 

マチス

「どこへ消えたんですかネ…。」

 

レッド

「(ものは試しだ…ニョロモならやれると俺は信じる!

それができたら、勝利への道に繋がる!!)

一か八かだっ、ニョロモ【ーーー】!!」

 

次第に霧が晴れていく

 

マチス

「影が見えましたヨ!?

【電磁波】!」

 

ニョロモ

「っ!」

 

完全に捕らえられてしまったニョロモ

 

マチス

「【十万ボルト】ぉっ!!」

 

ニョロモは直撃してしまった

 

・・・・・

 

しかし背後からもう1匹のニョロモが現れた

 

マチス

「こ、これは【影分身】!?」

 

レッド

「さっきのマチスさんのピカチュウからもらったアイデアです!

まぁ、やれるかどうかは賭けでしたが…。

1匹の分身体しか作れませんでしたが、充分っ!!

【水鉄砲】!!」

 

上手くいったレッドの作戦だったがライチュウの反応スピードの前では皆無だった

 

マチス

「よくやったヨ、ライチュウ!

これで決めましょう、【メガトンパンチ】っ!」

 

レッド

「くっ、他に手は…!

(今日のラッキーアイテム、"バッグの中を確認せよ"…っ!!)

俺はこれにもう一度賭けてみる!!

効果は知らんが、スペシャルアップを使ってニョロモ、【水鉄砲】!!!」

 

ニョロモの図体からは想像もつかない勢いの水鉄砲が放たれた

 

勝負あり

勝者…レッド

 

レッド

「な、何だ!?今の威力は。あれは技を強くする道具だったのか。

しっかし、よくやったな、ニョロモっ!」

 

レッドはニョロモの頭を撫でる

 

マチス

「Great!!

見事な戦いでしたヨ、これがオレンジバッジでス!」

 

レッド

「サ、サンキューベリーマッチ、で合ってたかな?」

 

マチス

「Yes!」

 

レッドはマチスを倒し早々とクチバジムを後にする

グッと拳を握るレッド

空はちょうどいいオレンジ色に染まり

港ではサント・アンヌ号が汽笛を鳴らし、出港した



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Another Story 4 ~好きすぎて堪らない~

レッドと別れたグリーンは、クチバシティの東に位置する11番道路で修行していた


グリーン

「よしっ、結構戦ったな…経験値も上がったんじゃないか?」

 

手応えを感じながら次の対戦相手を探していると何やら言い争いが聞こえてきた

 

グリーン

「?」

見ると、大きないびきをかきながら気持ち良さそうに寝ている大きなポケモンを狙う3人の輩からオジサンが必死に守っている

そんな光景だった

 

不良1

「早く、そのポケモンをこっちによこしな!」

 

不良2

「俺達が大切に可愛がってやるからさ。」

 

オジサン

「君達の言ってることは十中八九嘘だと分かる!

この子を傷つけようとするやつは私が許さん!!」

 

不良3

「許さなかったら、どうするんだ?

いけっ、オニスズメ【乱れ突き】ぃぃ!」

 

グリーン

「カメール、【水鉄砲】!!」

 

オニスズメは横から攻撃をくらい倒れてしまった

 

不良1

「誰だお前?つーか、何してくれちゃってんの?」

 

グリーン

「3対1で襲おうなんて卑劣なやつらだなぁ。

俺が相手になるけど?」

 

不良1

「へっ、いい度胸してるじゃねぇか。」

 

不良2

「こいつの顔どこかで…っ!

ああっ、お前、まさかグリーンって名前かっ!?」

 

グリーン

「何で知ってるの?どこかで会ったか?」

 

不良2

「戦うのやめとこうぜ?」

 

不良1

「はぁ?何ビビってんだよっ!!」

 

不良2

「知らねぇのかよ!こいつは先日のサント・アンヌ号杯のファイナリストで、今話題の新人トレーナーなんだよ!!」

 

不良1

「んな事知るか!いけっ、オニスズメ、【乱れ突き】っ!」

 

グリーン

「【殻にこもる】。」

 

オニスズメはカメールの硬い甲羅に突いてしまい、嘴が欠けてしまった

 

グリーン

「出直してきな、【水鉄砲】!」

 

オニスズメ2匹もろとも不良達を吹き飛ばした

 

不良1&2&3

「すみませんでした~!!」

 

不良達はそそくさと逃げていった

 

グリーン

「怪我はなかったですか?」

 

オジサン

「うむ。本当に助かったよ、ありがとう。」

 

グリーン

「ところで、このポケモンはオジサンの?」

 

オジサン

「いいや、野性なんだけどね、あの輩はこの子を傷つけようとしていた。

こんなにも気持ち良さそうに寝ているのにね。

私はポケモンが好きだから、ついムキになっちゃってね…。」

 

グリーン

「そうなんですね!

俺も、ポケモン好きなんで、ああいうのを見て見ぬふりはできないんです。」

 

オジサン

「よく言ったっ、気に入ったよ!

よかったら私の家に来て話でもしないか?もてなそう!」

 

グリーン

「ハハ、では、お言葉に甘えて!」

 

オジサンに連れられ、クチバシティに戻ってきたグリーン

着いたのは立派なとても大きい家だった

 

オジサン

「自己紹介が遅れたね。私は須木 好蔵(よしぞう)だ。」

 

グリーン

「グリーンって言います!」

 

好蔵

「やはりな。さっき確信したが、君はオーキド博士の孫…ではないかな?」

 

グリーン

「どうしてそれを!?あまり人には言ってないんですけど…。」

 

好蔵

「私はポケモン大好き倶楽部の会長をやっててね、オーキド博士と親交が深いのだよ。

博士は、君のことを自慢げに話してたよ。」

 

グリーン

「じいちゃんが…俺のことを。」

 

好蔵

「小さい頃からポケモンと一緒に遊んでたと聞いてるよ!

私は今、君に会えたことに感動してる!

君とはもっとポケモンについて話をしたいけど長いのは…苦手だろう?」

 

グリーン

「…そうですね(笑)」

 

好蔵

「素直でよろしい!君のポケモンに対する想いは、先程のを見れば十分伝わった…。

これは、倶楽部代表として、お礼だ。」

 

グリーンは好蔵さんから自転車引換券をもらった

 

好蔵

「それは最新モデルの自転車の引換券だ。

ロードバイクとか言うらしいが、それに乗って移動すると気持ちいいぞ!」

 

グリーン

「こんな凄いもの戴いていいんですかっ!?」

 

好蔵

「遠慮せずもっていきなさい。

ただ1つお願いがあるんだが、君とポケモンとの写真を撮ってもいいかな?」

 

グリーン

「はい、是非!」

 

こうして写真を撮った後、グリーンは好蔵に別れを告げ再び修行に戻っていった

好蔵の家の壁に新しく1枚の記念写真が貼られた

そこには満面な笑みのグリーンとカメール、ゴルバットが写っていた



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ディグダの穴~導くために・・・~

レッドはクチバシティを出発したが、次にどこへ向かえばいいか路頭に迷っていた
気づけば知らない洞窟の中に…


レッド

「も~、どこまで続いてるんだよ~!

4つ目のバッジはタマムシシティってのは知ってるんだけどな。

何せ整備員の人が通してくれないからなぁ。」

 

するとチカッと、ライトの光が見えた

 

レッド

「んっ!?誰かいるのかな?」

 

明かりの方へ向かうレッド

 

レッド

「こんにちはーっ!」

 

???

「おっ!久々に人に会ったな~!」

 

重そうなリュックからピッケルが飛び出た若いお兄さんだった

 

???

「俺は出口 綱太(こうた)。

ここで夢を堀り続けてるのさっ!」

 

レッド

「夢を…掘る?

えーと、俺はレッド!今はタマムシシティへ行こうとして、さ迷ってます。」

 

綱太

「あー、だったら…」

 

すると突然、辺りの地面がボコボコと盛り上がってきた

そこからクリッとした可愛らしいポケモンが姿を見せた

 

綱太

「お疲れさん、ディグダ!」

 

レッド

「ディグダ?」

 

綱太

「このポケモンのこと!この洞窟にはディグダしか生息していないんだよ。

んでもって、俺の夢はこの洞窟を、ディグダ達と一緒にカントー地方の地下一帯に広げることなのさっ!」

 

レッド

「なるほど…!それで夢を堀るか。

順調なんですか?」

 

綱太

「あぁ。それでも、まだニビシティまでしか繋がってないんだ。

それでも、ここのディグダ達は、皆野生のディグダでさ、俺にもすぐ心を開いてくれて、手伝ってくれてんだ。」

 

レッド

「いいやつらですね!」

 

綱太

「そうと、たしかタマムシシティへ行きたいんだったよね?

だったら俺達が掘ったこの道でニビシティに行って、そこからお月見山、ハナダを経由してから、さらに東に行くと岩山トンネルという今は使われてないトンネルがある。

そこを出るとシオンタウンという町があるから、まずはそこへ向かうといいよ!

ちょっと道のりは長いかもしれないけど…若いから平気なんじゃない?」

 

レッド

「確かに旅に期限はないし、ゆっくりと行きます!

色々教えてくれてありがとうございますっ!」

 

綱太

「また、機会があったら、ゆっくり喋ろう!」

 

レッド

「はいっ、ありがとうございました!

じゃあ!」

 

綱太

「……。」

 

こうしてレッドはニビシティへと向かって歩いていった

 

・・・

 

綱太

「ふぅ、ったく夢を堀るだの偽善者になりきるのはきついぜ。

何で俺があいつを遠ざける為にこんなことしなきゃあならないんだよっ!」

 

綱太は身に纏った変装衣装を脱ぎ捨てた

正体はハナダでレッドと2度も闘ったあのロケット団員だった

 

彼はある人物に電話をかけた

プルルルルルル

 

???

「どうした?」

 

綱太

「上手くレッドを遠回りさせることに成功しました。

…しかし、小僧1人にやりすぎじゃないですか!?」

 

???

「その小僧にお前は2回も負けている。

仮にもお前にはロケット団の幹部…コードネーム、"ウプシロン"として、失敗できない最重要任務を与えてきた。

それを打ち砕き、我々の計画を壊そうとしてるのがレッド、そしてグリーン。彼も、レッドと同じく我々を敵視し、侮れない存在だと聞いている。

そして…もう1人。」

 

ウプシロン

「ワタル…ですか?」

 

???「あぁ、あいつが最も危険だ。

そのワタルが、カントー地方に戻ってきたとの情報を掴んだ。

その件を含め、団員を集めれるだけ集め、本部で大がかりな作戦をたてているところだ。

だから、なるべく邪魔者を近づけたくなかった。

…レッドとグリーンの両方は無理でも1人だけでも遠ざけることができるならと考え、警備員を置き、遠ざける役をお前に任せたのだよ。」

 

ウプシロン「でも、そんな重要な集まりに俺が参加しないとは…」

 

???「そう慌てるな。お前にはとっておきの舞台を用意しておく…。

それに今回の導き役にお前を選んだのは、お前が俺の信頼している数少ない部下の1人だからだ。

失敗は許されなかった…屈辱的な役をやらせてしまい、すまなかった。

恩に着る。」

 

ウプシロン「そんな…。

ボスの計画は誰にも邪魔させませんからっ!!

次に戦う時は必ず阻止してみせます!」

 

???「よろしく頼む…!」

 

ウプシロンの電話相手はロケット団のボスだった

狙われるレッドとグリーン

彼らの知らない間に闇は進行する



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第4章 邂逅
9・10番道路~レース参戦っ!~


ディグダの穴を出て1週間が過ぎた…
レッドはやっとのことでハナダシティに着いたのだった


レッド

「ふぅー、ようやくハナダシティかぁ。

今思えば地下通路通れば早かったんじゃね?

まっ、急ぐ旅でもないし、いっか!」

 

ハナダシティから東に向かうレッド

すると同じ服を着た集団が何やら話をしている

 

レッド

「すみませんが、ここで何を?」

 

レッドは一番偉そうな人に喋りかけた

 

偉そうな人

「僕達は、ボーイスカウトと言ってキャンプ、ハイキングをポケモンと共に行い、人同士だけでなくポケモンとも関係性を築くことを目的としてるのさっ!

僕はその教官なんだ!!」

 

レッド

「へぇ~、楽しそうですねっ!」

 

教官

「ふふ。今日は1ヵ月に一度行う、チーム対抗サバイバルレースがあるんだが…特別に参加してみるかいっ?」

 

すると、団員の中から威勢のいい少年が声をあげた

 

???

「教官っ!!そんな飛び入り参加、俺が許しませんよ!」

 

教官

「このレースの決定権は僕だ!

それとも、ポッと出の彼に負けることが恐いのかな?」

 

???

「ちっ、違うやいっ!!

おいっ、そこのお前!絶対負けねぇぞ!!」

 

レッド

「お、おう…。」

 

教官

「いきなりゴメンね、彼はタケオ。

この中で、ポケモンの扱いは飛び抜けて上手いんだけど、対人関係が…ね。

まぁ、レッド君はこっちのチームに入ってくれ。」

 

チームは1チーム3人らしく、レッドが入ったチームには、眼鏡をかけた男の子と、見た目ごく普通の女の子がいた

 

レッド

「俺はレッド、ヨロシクっ!!」

 

男の子

「ぼ、僕はスグルっていいます。よろしくお願いします!」

 

女の子

「私はアキ、ま、ヨロシクねっ!」

 

ここで教官からルールの説明がされる

1.持っていけるポケモンは2匹まで

2.相手チームへの妨害は有り

3.レースは南に位置する"無人発電所"に置いてある旗をチームの誰かが手にした時点で終了とする

レッド

「持っていけるポケモンは2匹か…。

リザードとニョロモだな!君達は?」

 

アキ

「私はピカちゃん(ピカチュウ)!」

 

スグル

「僕は…マダツボミですっ。」

 

レッド

「1匹ずつ…か。」

 

アキ

「私達は基本的に多く持つことにこだわらず、1匹のポケモンとの関係を大切にしてるの。」

 

スグル

「でも、タケオ君だけは、その…たくさん持ってて、どれも強いんだ!

しかも、このレースを10連覇してる!!」

 

レッド

「じゃあ、俺達でその連覇を止めてやろうぜっ!

それに、強いだけが全てじゃないんだってことを教えてやらなきゃな!」

 

スグル&アキ

「うんっ!!」

 

出場チームは5チーム

レッドのチームはEチーム

タケオのチームはAチームとなった

 

教官

「では、ボーイスカウト恒例サバイバルレース、スタートっ!!」

 

一斉に全チームが走り出す

 

スグル

「1stステージは背丈ほどの草むらをかき分けながら進むんだけど…」

 

するといきなり、"うわぁぁぁっ!"という悲鳴が遠くで聞こえた

 

レッド

「何だっ!?」

 

スグル

「ここには、いくつもの罠が仕掛けられてるんだっ!

今の声はCチームの人達だ。ここは慎重に行くしか…。」

 

アキ

「でも、そんな悠長なこと言ってたら、タケオに先越されるよ!?」

 

レッド

「…だったら、ポケモンの技を上手く使って乗り越えるしかないんじゃないか?

例えば…リザード、【ひっかく】っ!」

 

リザードの爪で草を刈ると目の前には落とし穴が仕掛けられていた

 

アキ

「危なかったぁ~!」

 

レッド

「よしっ、これで行こう!!」

 

その頃、タケオ率いるAチームは1stステージの終盤に差し掛かっていた…

 

タケオ

「他のチームの妨害もありだからね。

なるべく弱いチームは、ここで落とす!」

 

タケオが相手にしてるのはBチームだった

 

Bチームの人

「無駄な争いはしたくないんだ!

それでもやるってんなら…っ!」

 

タケオ

「…やるって言うなら?」

 

Bチームの人達

「コラッタ、【体当たり】っ!

ズバットっ、【噛みつく】だ!

ワンリキー、【蹴たぐり】!!」

 

タケオ

「やれやれ…イワークっ、【岩落とし】。」

 

岩を次々と落とし行く手を阻んだ

 

タケオ

「これで、Bチームも脱落だぜっ!

あのレッドとかいう奴…絶対に俺が勝ってやる!

行くぞお前らっ!」

 

そしてレッド達も2ndステージに辿り着いた

 

レッド

「これはっ!?」

 

そこには川が流れてあり、ボートが準備されていた

 

アキ

「2ndステージは、このボートを漕いで発電所まで行くのっ!」

 

レッド

「そういう事かっ!よし、行こうっ!!」

 

前方にはタケオらしき人が乗ったボートが見える

そしてレッド達の後ろからは、Dチームが追いかけてくる

残るチームは3チーム

怒濤の2ndステージ突入!



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9・10番道路~奮闘~

レッドはボーイスカウトに混じってレースに参加することになった
荒れる1stステージをクリアし、続く2ndステージ…
レッド達は無事、乗り越えられるのかっ!?


追走してくるDチーム

 

アキ

「追いつかれるわっ!!ちょっと、男性陣っ、もっと漕ぎなさいよ!!」

 

レッド

「おりゃぁぁっ!!」

 

必死に漕ぐレッドとスグル

しかし、相手のチームはゼニガメを所持しており、泳いで引っ張ってもらってる分、速かった

 

レッド

「だったら、こっちも…!

ニョロモ、水面に向かって【水鉄砲】だっ!!」

 

水鉄砲がエンジンの代わりになり、一気に加速するEチーム

 

スグル

「あっ!!見えましたっ、やはりタケオ君達です!」

 

後ろのレッド達に気づいたタケオ

 

タケオ

「ちっ、来たか。だけど俺達はもう、陸に上がった…。

1位は譲らないぜ!?

いけっ、イワーク【岩落とし】!」

 

レッド

「うわあっ!!」

 

次々と岩が降り注ぐ

 

レッド

「ええいっ、危なっかしいなっ!!

スグルっ、ボートは俺に任せて、あのイワークをマダツボミでどうにかできないか!?」

 

スグル

「そ、そんな…僕には、出来ないよ。」

 

レッド

「……。」

 

アキ

「あぁもぅ、スグルっ!そんな弱気だから、いつもタケオに馬鹿にされるのよ!!

ここは一発、バシッとやってやるのよっ!」

 

レッド

「だってさ!」

 

スグル

「…僕にもやれるかな?」

 

レッド

「やんなきゃ、何も分かんないんじゃない?」

 

スグルの顔つきが変わった

 

スグル

「うん!やってみるよ!!

マダツボミっ【蔓のムチ】でイワークを拘束するんだ!」

 

蔓のムチはイワークの首もとに絡み付いた

 

スグル

「今だ、引っ張れぇっ!!」

 

レッド

「(下は川…。そうか、考えたなスグル!)」

 

マダツボミは頑張って引っ張るも、巨体のイワークを思うように引っ張れない

 

レッド

「加勢するぜっ!イワークに【水鉄砲】!!」

 

イワークは水タイプの攻撃を受け、効果抜群だ

 

スグル

「いっけぇぇっ!!!」

 

イワークは川に落ちてしまい、動けなくなってしまった

 

タケオ

「くそっ、戻れイワーク!

お前達、急ぐぞっ!!」

 

レッド

「逃がすかよ!」

 

レッドとスグルは最後の踏ん張りをみせ、Eチームはついに上陸した

 

レッド

「よし、追うぞ!」

 

アキ

「待って、まだDチームが追ってくる!」

 

レッド

「ここでやりあってたら…。」

 

アキ

「私だけ、まだ活躍してないじゃないの?

あんた達は早く追って、ここは私が引き受ける!!」

 

スグル

「そんな…無茶だっ!

1対3なんて…。」

 

アキ

「ピカちゃんと水辺って相性いいんだから!

そのかわり、ちゃんと勝ってきてよねっ!」

 

スグル

「やっぱり僕も残って…」

 

レッド

「行くぞ、スグル!アキは俺達に託したんだ、タケオのチームはまだ3人。

一人でも多い方が有利に決まってる!!」

 

スグル

「…分かった、行こう。」

 

1人残ったアキ

 

アキ

「(スグルは頭回るくせに、いつも決断できずにいたり、大事な場面で自信がなくなっちゃう…。

そんなスグルが今回のレースにレッド君が参加して、ちょっとずつ変わろうとしてる。

一歩を踏み出しなさいよっ、スグル!)

ピカチュウちゃん、【電気ショック】よ!!」

 

ビリビリっと感電するDチーム…脱落

 

その頃レッド達は…

 

レッド

「ようやく追いついたぜAチームの諸君。」

 

タケオ

「来たな、レッド!それに…弱虫スグルっ!

だけど、お前達の頑張りもここまでみたいだな?

おい、お前ら、あいつらを足止めしとけよ?」

 

タケオの仲間1

「わかってる。アーボ!」

 

タケオの仲間2

「シェルダー!」

 

タケオは1人、発電所に向かった

 

レッド

「(どうするっ!?まともに相手してたら、先にタケオに旗を取られて負けちまう!)」

 

スグル

「…っ!」

 

レース終盤、アキの奮闘もあり、タケオ達に追いついたレッドとスグル

しかし、タケオの策により出し抜かれてしまった

このままEチームは負けてしまうのか…



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9・10番道路~芽生えろ、友情!!~

ゴールは目前
レッドとスグルはAチームに追いついたものの、タケオ1人を先に行かせてしまった


レッド

「(何か策は…。)

よしっ、ここは俺が2人を相手にするから、スグルが追いかけるんだ!」

 

スグル

「でも…。」

 

レッド

「お前なら、やれるんだよ!

さっきも、何だかんだ言ってイワークを倒す策を練りだせたじゃないか!

あんなの、俺には思いつかなかったぜ!?」

 

スグル

「(今まで僕は自信がなくて、いつからか弱虫って言われるようになってしまい、完全に意気消沈してしまった。

でも今日、レッド君やアキさんに背中押されて、やればできるんじゃないかって思った…!

もう1回自分を信じてやってみよう!完璧じゃなくていいからっ…!!)」

 

レッド

「スグルっ!?」

 

スグル

「(考えるんだ…今この状況を打開できる最善の策を!)

……。

分かった!レッド君、君がタケオ君を追うんだっ!

2対1でも、足止め役やら僕でもやれる!!」

 

レッド

「…お前を信じるぞっ!?」

 

スグル

「うん、任せて!」

 

レッドは単身、タケオを追う

 

タケオの仲間1

「タケオに行かせるなと言われてるんだ、

アーボ、【巻きつく】!」

 

スグル

「邪魔させないよ、マダツボミ、【蔓のムチ】だっ!」

 

地面にムチを打ち、威嚇するスグルとマダツボミ

 

タケオの仲間2

「弱虫が、いい気になるなよ!?

シェルダー、【水鉄砲】!」

 

タケオの仲間1

「【毒針】だぁっ!!」

 

スグル

「(そうだ、別に倒せなくても…。)

マダツボミ、【眠り粉】だよっ!!」

 

アーボとシェルダーはぐっすりと眠ってしまった

 

タケオの仲間2

「ちっくしょうっ!!」

 

スグル

「(後は頼んだよ、レッド君!)」

 

レッドはタケオに続いて無人発電所に入る

 

レッド

「待てよ、タケオ!」

 

タケオ

「何で、お前がいるんだよ、あいつらはどうした!?」

 

レッド

「スグルが戦ってる。」

 

タケオ

「はぁ?あの弱虫スグルがか?」

 

レッド

「あいつは、お前が思ってるより弱虫じゃないし、頭がキレる。

何か策があってあの場を引き受けてくれたんだ!」

 

タケオ

「へっ、そうかよっ!でも勝つのは俺だぁっ!」

 

旗は既に2人が見える距離にある

先に飛び出したのはタケオだった

しかし、タケオの体は重く、あっさりとレッドに抜かれてしまう

 

レッド

「よしっ、貰った!」

 

勝利を確信したレッドだったが、物陰から何かがたくさん飛び出してきた

 

レッド

「ポケモンっ!?」

 

図鑑をチェックすると、コイルという電気タイプのポケモンだった

彼らは旗を守る番人のようだ

 

レッド

「こいつらを倒さないと旗は取れない…か。

やってやるぜ、リザード【火のこ】!!」

 

その横を気づかれないよう、こっそりとタケオが通る

旗まで数m…

 

タケオ

「よっしゃぁぁっ、俺の勝ちだぁっ!!」

 

すると、突然タケオの目の前にコイルが3匹連結したポケモンが現れた

ポケモンの名はレアコイル

 

レッド

「!?」

 

タケオ

「ここで、レアコイルかよ、ついてないぜ…。

でも、俺にはイワークがいるからなっ!」

 

レッド

「バカ野郎っ、イワークは2ndステージで溺れて戦える状態じゃねぇだろ!!」

 

タケオ

「し、しまった!

へへ、だったらもう1匹のオニスズメで…。」

 

レッド

「相性が悪すぎるっ、やめろぉっ!」

 

タケオ

「【つつく】だ!!」

 

あらかたコイルを片付けたレッドは助けに向かう

レアコイルは電気を放出しようとする

レッド

「間に合えっ、【メガトンパンチ】っ!」

 

レアコイルはメガトンパンチを受けたのと同時に【電気ショック】を放った

 

リザード

「っ!」

 

タケオ

「お、お前っ!」

 

レッド

「こんにゃろおっ、【怒り】っ!!」

 

とどめをさしたリザード

 

・・・・・

 

旗をとるレッド

 

レッド

「よっしゃ、これで俺達の勝ちだぜ!」

 

そこへ駆けつけるスグル

 

スグル

「レッド君、無事だったかい?

何か、凄い電気が流れたようだけど…。」

 

レッドはニッと笑い旗を見せる

そこへ、モニターで監視していた教官が来た

 

教官

「うん、それじゃあレースはここまで!

一旦、ポケモンセンターに集合するよー!」

 

タケオ、スグル、レッドは発電所を後にする

何かに気づいたレッドは立ち止まる

 

スグル

「レッド君…?」

 

レッド

「(…?今、何か奥で鳴いたような?

気のせいかっ!)

おうっ、今行く!」

 

岩山トンネル入り口近くのポケモンセンター

 

教官

「今回の勝利はEチームの3人っ!

アキ、スグル、それと、レッド君!前に…。

おめでとう!!」

 

教官からメダルと、不思議なアメを貰った

 

教官

「今日はこれにて解散、また明日から頑張ろうね!」

 

ボーイスカウトの皆

「はいっ!!」

 

閉会式も終わりレッドとスグルが話をしてると、タケオが近づいてきた

 

スグル

「タケオ君…?」

 

タケオ

「まずはレッド、その…あの時助けてくれてありがとな。

俺、10連覇してて浮かれてた。

周りのこと考えず、強ければそれでいいってな。

でも、今回のレースで改心したよ…!

スグル、お前のこと弱虫呼ばわりして悪かったっ!

他の2人から聞いたぜ?レッドを先に行かせる為に自分達を足止めしたってな!

お前、俺よりも頭いいからさ、次は一緒にチーム組んで、勝ちをとろうぜ!!」

 

レッド

「へへっ!!」

 

スグル

「う、うんっ!!ヨロシク!!」

 

タケオ

「ヨロシクなっ!!」

 

バンッとスグルの肩を叩き、笑うタケオ

 

スグル

「痛いよぉ~(笑)」

 

タケオ

「お、悪ぃ悪ぃ!」

 

3人は笑いあった

 

レッド

「じゃあ、俺はいくぜ?」

 

スグル

「待って!これ、発電所から出るとき拾ったんだけど、もしよかったら使ってよ!」

 

渡されたのは、技マシン25【雷】だった

 

レッド

「サンキューっ!じゃあ、元気でな!」

 

こうして岩山トンネルに入っていくレッド…

スグルとタケオの間には確かな友情が芽生えた

それにしても、無人発電所には何が居たのか謎のままだが、何はともあれ、レッドはシオンタウンを目指す



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岩山トンネル~意外な一手~

岩山トンネルに足を踏み入れたレッドだったが、早々に問題発生…!?


レッド

「つーかぁ、周り暗すぎて何も見えないんですけど!

あっ…!そういえば、俺って秘伝マシン持ってたよな。

確か…えーと。」

 

バッグの下の方をあさるレッド

 

レッド

「あった、これこれ【フラッシュ】っ!!」

 

こういう窮地に陥った時のレッドの勘は冴えるのだ

さっそく【フラッシュ】をピジョンに覚えさせ、使う

すると、辺りは明るくなり見渡せれるようになった

 

レッド

「明るくなったぁ!!」

 

そこへレッドの背後に忍び寄る人影が…

 

???

「わっっっ!!」

 

レッド

「うわっっっ!!

びっくりしたなぁっ!何ですか、いきなり!」

 

???

「いやぁー、すまなかった!!

人を驚かすのが好きでね…ついっ。」

 

レッド

「そんな悪趣味、やめてくださいよー。」

 

???

「僕は、尾久 閃磨(せんま)!」

 

レッド

「レッドです!」

 

閃磨

「レッド君はポケモントレーナーかな?」

 

レッド

「そうですよ!!」

 

閃磨

「だったら、ポケモンバトルやろうよっ!

今、育成中だからさ。」

 

レッド

「いいですよ、やりましょう!

ただし、手加減はしませんよ?」

 

閃磨

「うん、僕はゴローンでいくよ!」

 

レッド

「だったら、ニョロモっ頼む!!【水鉄砲】っ!」

 

閃磨

「【丸くなる】だぁっ!」

 

体を丸め防御力を高めたゴローンだったが、ニョロモの水鉄砲には歯が立たなかった

 

閃磨

「うひゃあぁっっ!

まだまだっ、【岩落とし】!!」

 

レッド

「【白い霧】!」

 

霧で岩落としの狙いが定まらない

 

レッド

「よっしゃ!【水鉄砲】だぁっ!!」

 

閃磨

「あちゃ~っ、やっぱり相性悪いのって難点だよなぁ。

この勝負、勝つことはできない…かな。

でも…!」

 

するとゴローンから蒸気のような煙が立ち込め始めた

 

レッド

「(なっ、何だ!?)」

 

閃磨は耳を塞いだ…

 

閃磨

「【自爆】っっ!!!」

 

大きな爆音と共にゴローンは爆発し、それはニョロモを巻き込んだ

 

レッド

「っ!!なんつー音だよっ!

ニョロモ、大丈夫か!?」

 

閃磨

「99%無事ではないんだな、これが!」

 

レッド

「こんな、技見たことねぇ。」

 

閃磨

「戻れ、ゴローン!

…この技はね、諸刃の剣で発動側は確実に戦闘不能になる。

けど、相手にもほぼ瀕死の大ダメージを与えるんだ。

今回は勝てないと判断した…だったら、こっちだけ倒れるよりも、共倒れの方がイイだろ?」

 

レッド

「そうか、そんな戦い方もあるのかぁ。

まさに捨て身の一撃…ってことか。」

 

閃磨

「ゴメン、弱かったよね?」

 

レッド

「いやいや、新しい事学べたんで大きな戦果ですよ!」

 

閃磨

「……、うおぉぉっ!!嬉しいぃぃっ!!」

 

レッド

「だから、びっくりするって!(笑)」

 

閃磨

「ハハハっ、僕もレッド君と戦えてよかったよ!

お互い頑張ろうねっ!!」

 

レッド

「次は【自爆】を攻略してやるぜ!?」

 

レッドはゴローンとの戦いで、危ない技の存在、それを使った意外な戦法を知った

まだまだトンネルは続く…



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岩山トンネル~フシギダネを賭けて!~

岩山トンネルをかなり歩いたレッド
休憩がてら岩に腰を下ろして、美味しい水をゴクゴクッと飲んでいると目の前に…


図鑑No.1のフシギダネが通りすぎていった

 

レッド

「!?こんなとこにフシギダネっ!?」

どう見ても野生の…だよな?」

 

フシギダネは、何かから逃げているようだった

 

???

「ちょっ、待ってってばぁー!!」

 

女の子は息を切らしながらも必死に追う

 

レッド

「……。」

 

???

「何、ジロジロ見てんのよっ!

生憎、年下には興味ないし今はそれどころじゃないの!

あのフシギダネをゲットするんだからぁっ!!」

 

レッド

「…ちょっと待てえぃっ!

俺もあのフシギダネを捕まえる!」

 

???

「横入りは許さないわよっ!」

 

2人が火花散らす様子を、フシギダネはビクビクと脅えながら見ていた

 

レッド

「俺はレッド!

そうだな…じゃあ、公平にポケモン勝負で勝った方がゲットできるってのはどうだ?」

 

???

「ふんっ、それならいいけど?

私は岩田 愛奈(あいな)。"可愛いポケモンをこよなく愛す"をモットーに旅してるわ!!」

 

レッド

「へー、そう。」

 

愛奈

「キーッッ!反応薄っ!!

痛い目見せてあげるんだから!ニャースっ!」

 

レッド

「ピジョン、頼んだ!!」

 

愛奈

「【鳴き声】よ!」

 

レッド

「【風おこし】だ!!」

 

愛奈

「いやぁぁぁっ!髪の毛が乱~れ~る~っ!!」

 

レッド

「へっ、そんなこと気にしてるようじゃ、俺には勝てないぜ?

【砂かけ】っ!」

 

ニャース

「!」

 

ニャースは目に砂が入り、バタバタしている

 

レッド

「【翼で打つ】…は、やめとくか。

勝負あったな。

 

愛奈

「悔しいー!!」

 

レッド

「約束だからな!?」

 

レッドはフシギダネに近づいていく

しかし、フシギダネは警戒してなついてくれない

 

レッド

「ん~、困ったなぁ。」

 

愛奈

「ほぉら、やっぱり私じゃなきゃ嫌なのよ!」

 

愛奈がモンスターボールを投げるも、フシギダネの【蔓のムチ】で弾かれてしまった

 

愛奈

「……。」

 

レッド

「…そうだっ!!フシギダネ、お前こんな暗いとこにずっといて楽しいか?

それよりも、俺達と一緒に外の世界で旅してみないかっ!?

後悔はさせないって!

ほら、友情の証として不思議な飴やるからよ!」

 

愛奈

「格好いい事言って、物でつるんかいっ!」

 

フシギダネ

「…。」

 

フシギダネはニコッと笑い、不思議な飴をパクっと食べた

 

レッド

「よっしゃ!」

 

愛奈

「えーーっ!?」

 

レッドはモンスターボールを当て、フシギダネをゲットした

 

レッド

「これから、ヨロシクなっ!

じゃあな愛奈、俺行くわ!」

愛奈

「これで黙って終わらせてたまるかってのっ!

ニャース、【猫に小判】よ!」

 

ニャースがレッドの財布を盗みとって、愛奈は逃げていった

 

レッド

「あんにゃろ~!人の物盗ったら泥棒だぞ~!!」

 

しかし、既に愛奈は見えなくなってしまっていた

 

・・・

 

愛奈

「私としたことが…まっ、先に見つけたの私だったし、これくらい情報料としていいじゃないのっ!」

 

財布を開けてみると…26円しか入っていなかったのだった

 

愛奈

「え~っ!?これじゃあ、ミックスオレ1本も買えないじゃない!!」

 

ニャースと一緒に膝をつく愛奈だった

 

一方のレッド…

 

レッド

「財布盗られちまったけど、入ってたのが少なくて助かったぜ。

それよりも、これで手持ちが4匹か…。

うんうん、旅らしくなってきたじゃんか!

おっ!?」

 

出口が見えてきた…

 

レッド

「さぁて、次はどんな出会いが待ってるのかな~。」

 

岩山トンネルを抜けるレッド

天気は……曇

町は、どす黒い雲で覆われていた

 

レッド

「何なんだ、この町は。」

 

人一人出歩いておらず、町中は閑散としていた

…この町で一体何がっ!?



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シオンタウン~惨劇!?~

シオンタウンに到着したレッド
しかし、目の当たりにしたのは意外な光景だった


レッド

「どういうことだ?人が出歩いていない…。」

 

レッドの地面を歩く足音だけが不気味なほど大きく聞こえた

 

レッド

「(…!よく見ると家の壁に傷跡がついてる。

ここで戦闘でもあったのか!?)」

 

???

「……。」

 

レッドは窓のカーテンの隙間から覗く視線に気づいた

 

レッド

「出てきてください!俺は怪しい者じゃありませんっ!」

 

すると"ガチャリ"と扉が開き、そこからボロボロになったおじいさんが出てきた

 

レッド

「っ!!どうしたんですかっっ!?」

 

???

「ちょいと…な。とにかく中へ。」

 

訳も分からないまま、謎の老人に連れられ家に入るレッド

そこには老若男女、たくさんの人が肩を寄せ合い座っていた

 

レッド

「これは…?」

 

???

「ワシの名前はフジ。このシオンタウンの町長じゃ。」

 

レッド

「俺はレッドって言います。

突然ですが、この町で一体何があったんですか?」

 

フジ老人

「あれは、先日の事…。

いつものようにポケモンと散歩していると、いきなり襲われてしまってのぅ。」

 

レッド

「襲われた…?」

 

フジ老人

「奴らはワシだけでなく、関係の無い者まであたり構わず攻撃し始めた。

狙いは、ワシの持っておった《シルフスコープ》だったのじゃ。」

 

レッド

「シルフスコープ?」

 

フジ老人

「大手シルフカンパニーの最新技術が生み出した代物でな…。まだ世間には出回っておらず、たまたまワシがシルフカンパニーの社長と仲が良かったので1つ貰ったのだよ。」

 

レッド

「なるほど…。で、その襲ってきた奴らって。」

 

フジ老人

「ロケット団じゃ…。」

 

レッド

「…ロケット団っ!!

だから、こんな無茶苦茶な事をっ!

フジさん、そいつらどこに向かったか知りませんか!?」

 

フジ老人

「皆やられてしまって、後の事は分からんのじゃ。

ただ、外に出るのが恐ろしくて、恐ろしくて。」

 

レッド

「…俺が仇討ってきます。」

 

フジ老人

「やめなさい!子供一人じゃ、敵いっこない!」

 

レッド「心配しないでください、俺ポケモントレーナーですし、バッジ所持者ですから。

必ず、シルフスコープ取り戻してきますよ!

それに、ロケット団とはちょっと因縁があるんで…。」

 

フジ老人

「…かたじけない。せめて、この良い傷薬をもっていきなさい。

荷物にはなるが、役にたつ時がくるやもしれん。」

 

レッド

「ありがとうございます!では。」

 

フジ老人

「(ロケット団…。)」

 

レッドは家を出ると、一人悩んでいた

 

レッド

「うーん、ロケット団の奴ら、どこに向かったんだ。

1度オーキド博士に連絡してみよう!」

 

ポケモンセンターに入り、電話をかけた

 

・・・

 

オーキド博士

「おーーっ!レッドか、久しぶりじゃの!

旅立ってから音沙汰なしだったから心配したぞ?

旅の方は順調か!?」

 

レッド

「もちろんですよっ!!」

 

レッドは電話の画面越しにバッジを見せる

 

オーキド博士

「3つも手にいれたか、うむ、快調のようじゃないか!

で、今回は何の用じゃ?」

 

レッド

「それが…、博士はロケット団って知ってますか?」

 

オーキド博士

「ニュースでも度々取り上げられとるからのぉ。」

 

レッド

「じゃあ、そいつらが今どこで活動してるかとかは、知ってますか?」

 

オーキド博士

「彼らの活動内容などは詳しく知らんが、その件はワシも気になっててのぉ、今ある人物に任せてある。」

 

レッド

「ある人物…?」

 

オーキド博士

「そやつの情報によると、今はタマムシシティで何やら不穏な動きを見せとるようじゃ。」

 

レッド

「(タマムシシティか…!ジムもあるし、丁度いいぜ!)」

 

オーキド博士

「レッド…、ワシはレッドの旅に口を挟むつもりはないが、一歩踏み外せば危険と隣り合わせな世の中じゃ、あまり無理はするなよ?」

 

レッド

「心配ありがとうございます…電話、切りますね!」

 

受話器を置いたレッド

向かうは引き続きタマムシシティ

待ち受けるのは、ロケット団!!



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Another Story 5 ~同じだろうと…!~

時は遡り、レッドがハナダシティに着いた頃…
グリーンはクチバジムに挑んでいた


グリーン

「くっ…!!」

 

マチス

「ん~っ?たった2匹で挑戦するとは舐められたもんだネ!!

ライチュウ、【10万ボルト】ッ!」

 

グリーン

「カメール、【殻にこもる】だぁっ!」

 

しかし、カメールに電気タイプの技は相性最悪

ましてや、ライチュウお得意の【10万ボルト】…カメールは立ち上がれなかった

 

マチス

「出直してくるんだネッ!」

 

ジムを出るグリーン

 

グリーン

「やっぱ、ここらで新しい仲間をゲットしなきゃなぁ…。」

 

図鑑で様々なポケモンの生息地を調べるグリーン

 

グリーン「んっ!!こいつが近くにいるのかっ。」

 

図鑑が指していたのは8番道路だった

8番道路に向かうには、ヤマブキシティを経由しなければならない

そして、ヤマブキシティの入り口付近…

 

グリーン

「(あの警備員、先週もいたな。)

あの~、そこ通してもらえませんか?

8番道路に行きたいんです。」

 

警備員

「今は無理だ、ここを通す訳には…っ!!

お前は、グリーンかっ!?」

 

グリーン

「どうして、俺の名前知ってるの?」

 

警備員

「ボスから、お前とレッドは絶対に通すなと言われてるんだ!」

 

グリーン

「ボス…レッド…そして俺…。

お前、もしかしてロケット団か!?」

 

ロケット団

「だったら、どうした!

子供一人くらいちょろいもんだぜ!」

 

グリーン

「1対1なら負けねぇっ!! ゴルバット!」

 

ロケット団

「ほう、偶然だな…。いけっ、ゴルバット!

同じポケモン同士、楽しくやろうぜっ!?」

 

グリーン

「楽しくだって?そんなつもりは微塵もないぜ。

絶対に倒す!【噛みつく】!」

 

ロケット団

「避わして、【翼で打つ】!!」

 

グリーン

「(速いな…っ!)体勢を立て直して【超音波】だっ!」

 

敵のゴルバットは混乱した

 

グリーン

「よしっ、いけぇっ【翼で打つ】!!」

 

ロケット団

「あー、もう面倒くせぇなっ【吹き飛ばし】!」

 

しかし、ゴルバットは自分を攻撃した

迫るグリーンのゴルバット

 

ロケット団

「【吹き飛ばし】!!」

 

またもや自分を攻撃してしまう

 

ロケット団のゴルバット

「…!」

 

ロケット団

「【吹き飛ばし】ぃぃっ!!!」

 

やっとのことで技が出て、グリーンのゴルバットは吹き飛ばされてしまう

 

グリーン

「無理矢理にでも放ってきたか。」

 

ロケット団

「お前にも同じ苦痛を味わらせてやるよ!【怪しい光】。」

 

カッと、目を刺激する光を放ってきた

 

グリーン

「!?」

 

グリーンはゴルバットの方を見ると混乱していた

 

グリーン

「ゴルバット!?」

 

ロケット団

「【翼で打つ】!!…さあっ、反撃してこいよっ!?」

 

グリーン

「…。」

 

グリーンはゴルバットに命令を出さず、黙っている

グリーンのゴルバットは攻撃をくらってしまった

 

ロケット団

「おい、何で何もしねぇんだよ。」

 

グリーン

「俺は、ポケモン達に危ない橋を渡らせたくない。

そして、何もしないんじゃない。今からするんだよっ!」

グリーンはバッグから"混乱直し"を出し、ゴルバットに使ってあげた

 

グリーン

「さあ、いくぜ?【翼で打つ】っ!!」

 

ロケット団

「調子にのるな!!【翼で打つ】っ!!」

 

互いの翼がぶつかり合い、場は静寂に包まれる

そして、勝負の行方は…!?

 

ロケット団

「!!」

 

ロケット団のゴルバットが倒れる

 

 

グリーン

「当然だよ。お前は、ゴルバットに無茶をさせ過ぎた…。

体力は既に限界だったんだ。」

 

ロケット団

「俺のゴルバットの方が強いに決まってる!!

なのに…」

 

グリーン

「あぁ、そうかもしれない。

でも、例えポケモンが格上だろうと、トレーナーの判断次第でそれが逆転することだってある!

さぁ、そこを通してくれ。」

 

ロケット団

「ちっ…。」

 

ロケット団は悔しそうに道を開けた

グリーンはそこを通り、8番道路に入っていく

 

グリーン

「(あそこにロケット団がいたって事は、これからも油断できないな。

レッドは事件に巻き込まれてない…よな?

いや、あいつなら自ら飛び込んでいくだろうなぁ、きっと。

俺もちんたらしてられない!)」

 

ロケット団の魔の手は近くにまで及んでいた

グリーンは8番道路で新たな仲間を捕まえる為、急いだ



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Another Story 6 ~警察の番犬~

警備員扮するロケット団を倒し、8番道路に入ったグリーン
長い一本道の先に見えるのは、バイクのエンジンを空吹かしする連中だった


グリーンは、彼らに絡まれないよう、彼らの横を黙って通りすぎる

 

???

「おいっ、何シカトしとんじゃ。」

 

グリーン

「はい?」

 

???

「俺らが誰だか分かってねぇようだなぁ。

…俺達はこの地方を拠点とする、"カントーポケモン連合"じゃ!」

 

グリーン

「カントーポケモン連合?」

 

下っ端

「カントー地方最大勢力の暴走族だっ!!。」

 

グリーン

「あぁ…、で、子供相手に何の用ですか?」

 

下っ端

「…ってめえぇ!!」

 

すると、彼らの奥から顔に十字傷のついた男がでてくる

 

???

「お前らうるせぇぞ、何事だ!」

 

下っ端

「と、虎男(とらお)さんっ!」

 

虎男と呼ばれる彼はグリーンの顔をじっと見る

グリーンも負けず嫌いな性格なので、大人相手に睨み返した

 

虎男

「いい眼をしてるなぁ、ガキ。

俺は、カントーポケモン連合 特攻隊長、白井 虎男だ。」

 

グリーン

「俺はグリーン。

その特攻隊長さんが、ここで何してるの?」

 

虎男

「この道路にはなぁ、警察の相棒ともいえるガーディっつうポケモンが生息しててな。

こいつらに吠えられちゃあ、毎度警察に追われてんだ。

…で!1匹でも始末しとこうと思ってな、今はその狩りの最中ってわけっ!」

 

下っ端がボロボロになったガーディを連れてくる

 

虎男

「こんな風にな。」

 

グリーン

「おじさん達、こんな事してて面白い?」

 

虎男

「最高の気分だな!!」

 

グリーン

「おじさん達、自分達の面子に傷がつかない内にこの場を離れた方がいいよ?」

 

下っ端

「はぁ?何言っちゃってるの、この子は?

相手が誰だか分かってるのかな?」

 

下っ端の前に手を出す虎男

 

虎男

「どういうことだ?」

 

グリーン

「簡単に言うと、俺が許さないって事っ!!

いけ、カメールっ!!」

 

虎男

「大人には敬語を使えって親から言われなかったかなぁ?

まぁ、いい…。特攻隊長の力魅せてやるよ!

ガキは家に帰ってママの乳でもしゃぶってな!!ドガース!」

 

そして側で倒れていたガーディもまた、フラフラになりながら彼らに立ち向かおうとしていた

 

グリーン

「ガーディ、一緒にやってくれるか!?」

 

ガーディ

「!!」

 

グリーン

「よし、いくぜ!?カメール、【水鉄砲】!」

 

虎男

「【煙幕】っ!!」

 

煙が充満し、ドガースは姿を眩ます

 

グリーン

「どこから来る…?」

 

虎男

「【ヘドロ攻撃】ぃっ!」

 

見えない所から飛んできたヘドロが顔面に付着してしまい、さらに視界を遮られてしまった

 

ガーディ

「!」

 

ガーディが臭いを嗅ぎわけ、ドガースを見つけ出した

 

グリーン

「そっちだな!?カメール、6時の方向に【水鉄砲】だ!」

 

煙が晴れ、レッドの視界にも、はっきりとドガースの位置が確認できた

 

グリーン

「ガーディ、【噛みつく】でドガースを取り押さえるんだ!!

カメールは、自分に【水鉄砲】を撃ってヘドロを洗いながしとけっ!」

 

虎男

「このガーディめ…!ドガース、【自爆】で吹き飛ばしちまえっ!!」

 

ドガースは爆発しようと蒸気を吹き始める

 

グリーン

「ガーディ、退くんだ!

カメール、最大威力の【水鉄砲】でドガースをぶっ飛ばせ!」

 

カメールとガーディ…2匹の息の合ったタイミングで、

間一髪ドガースの【自爆】から難を逃れることができた

 

虎男

「そんなっ、この俺が…。」

 

グリーン

「観念するんだな!」

 

グリーンの通報により駆けつけた警察によって、虎男達は逮捕された

 

虎男

「へっ、俺を倒したからってイイ気になるなよ?

頭が黙ってないぜ…っ!?」

 

そう言い残し、虎男はパトカーに乗り込んだ

 

巡査

「あぁーっ、君は!!ハナダシティで助けてくれた、えーと…。」

 

グリーン

「グリーンです。」

 

巡査

「グリーン君、本当君には感謝するわっ!

次々と警察の問題を解決してくれるんだもの!」

 

グリーン

「いえ…今回は、このガーディを助ける為に闘ったようなもんですから。」

 

巡査

「酷く怪我をしてるわね…早くポケモンセンターに連れてかないとっ!

どこの部署のガーディかしら…?」

 

グリーン

「野生のガーディですよ。

そこで、あのぉ…差し支えなければこのガーディ、俺が世話してもいいですかっ!?」

 

巡査

「…問題ないわよっ!むしろ、君みたいに勇敢な子にはお似合いだと思うわ?」

 

グリーン

「ありがとうございます!!ガーディ、一緒についてきてくれるか!?」

 

ガーディ

「!!」

 

ガーディは精一杯の声で吠えた

 

・・・回想・・・

 

図鑑で様々なポケモンの生息地を調べるグリーン

 

グリーン

「!!こいつが近くにいるのかっ。」

 

図鑑が指していたのは8番道路だった

そして、そこに載っていたのは紛れもなくガーディであった

 

欲しかったガーディをGetしたグリーンは、一旦手持ちをポケモンセンターで回復させ、クチバジムに再戦するのであった



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8番道路~初陣を飾れ!!~

タマムシシティに向け8番道路をゆくレッド
しかし、その一本道には何やら暴走族がたむろしているようで…


レッド

「(どうか、何も起こりませんように…。)」

 

下っ端

「ねぇねぇ、僕?」

 

レッド

「(最悪だぁ~~っ!!)

は、はいっ?何か?」

 

レッドの声は異常に高かった

 

下っ端

「先週、この道路で特攻隊長の虎男さんっていう人が君ぐらいの年の子供にやられちゃって、警察に渡されちゃったんだよねぇ。」

 

レッド

「凄い子供もいるもんですねぇ…。」

 

下っ端

「そいつ、グリーンって名前らしいんだけど…」

 

レッド

「グ、グリーンだってっ!?」

 

下っ端

「知り合いなのか?おい、隊長を呼んでこい!」

 

すると奥から一人の男が出てきた

金髪でオールバックをきめた厳つい人だった

 

???

「おい、グリーンって奴について何か知ってるのか?」

 

レッド

「いえ…。」

 

???

「嘘は良くねぇぜ?俺はカントーポケモン連合 遊撃隊長、玄田 武志(たけし)。

虎男の替わりに、この道路を任されてるんだが…、グリーンってのに一発かましてやらなきゃあ、俺達の名前に汚点がついたままだ。」

 

レッド

「その…、グリーンがどういう経緯であなた達に歯向かったのかは、知りませんが、グリーンは小さい頃からの親友だから俺には分かります。

グリーンは間違ったことは絶対にしない奴ですっ!!

だから、俺はあなた達に親友を売らないっ!!

やるって言うなら、相手になりますよっ!?」

 

武志

「いい度胸だ。ドガース行ってこい!」

 

レッド

「なら、こっちは…フシギダネ、お前に決めた!!」

 

武志

「ドガース、【スモッグ】を撒き散らせぇっ!」

 

レッド

「(辺りに毒ガスを…っ!)フシギダネぇぇ!!」

 

しかし、レッドの予想とは裏腹にフシギダネは依然として平気な様子だった

 

レッド

「そうかっ、フシギダネは草タイプだけでなく毒タイプももってる…、だから効果はいまひとつなのかっ!

だったら構わずいくぜ!?【蔓のムチ】!!」

 

ドガースは蔓のムチを受けたが、こちらもまだまだ余裕の表情を浮かべる

 

レッド&武志

「(このままじゃ、戦いは膠着したまま長引くだけだ。)」

 

レッド

「威力は低いが…【体当たり】でいけ!!」

 

武志

「さぁ、来いっ!【自爆】っ!!」

 

レッド

「【自爆】だとっ!?いかんっ、フシギダネ、突っ込まずに【蔓のムチ】で遠距離から投げ飛ばせ!」

 

武志

「吹き飛べぇっ!!!」

 

ドガースを遠くへ飛ばすのに間に合わず、フシギダネは直に被爆してしまった

 

レッド

「(また、どうすることもできなかった…。知っていたのに…っ!!

戻れ、フシギダネ。」

 

下っ端

「おいおい、武志さん倒して終わりだと思うなよ?

まだ俺達が残って…」

 

レッド

「いけっ、リザード【睨み付ける】。」

 

リザードの睨みで族の連中は怖じ気づいてしまった

 

レッド

「この戦い…引き分けになってしまったのでこれ以上のことはしません。

だけど、ご覧の通り俺には手持ちがまだいる。

それでもあなた達がやるってんなら容赦はしません…。」

 

武志

「……。」

 

レッド

「後…、こんな真似はもうやめましょうよ。

いい大人が、虎の威を借りて好き放題やるなんて…もっと自由奔放に生きてみましょうよ?」

 

武志

「お前みたいな子供に説教されちまうたぁな。

確かにお前の言うことには一理ある。俺達は頭の権力使って、暴れまわってるだけの卑怯な連中…だった。

俺は元々、皆でバイクに乗って駆け回るのが憧れだったんだ。

それがいつからか、こんな道を走っちまってたなんてな…。

どっちみち、俺らはもう役立たずだろう。

これを機にもう一度人生やり直してみるのも悪くねぇかもな!」

 

下っ端

「俺達は、どこまでも武志さんについていきますよ!」

 

武志

「お前ら…俺が再び道を外す事があれば、遠慮なく口を出してくれ!

さぁて、今日をもって族を脱退し、ツーリングでも楽しむかっ!!」

 

下っ端達

「はいっ!!」

 

武志

「レッド、ありがとな。これ…ちょっとだけだが好きなもの買え。」

 

レッドは武志から5千円貰った

 

レッド

「こっ、こんなにも…。」

 

武志

「いいんだ、受け取ってくれ!

後、カントーポケモン連合の頭、青島さんには気を付けろ。

あの方の残虐性は異常だからな…。」

 

レッド

「青島…ご忠告、ありがとうございます!!」

 

武志達は元気よく駆け抜けていった

カントーポケモン連合…さらなる脅威が迫る



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タマムシシティ~Shopping!~

8番道路からヤマブキシティを抜けようとするレッド
しかし、そこには警備員が立っていて…


レッド

「あの~、ここも通れないんですか?

クチバシティに行くときも警備員がいたような…。」

 

警備員

「そっ、そうなんだよぉ。今はなんか事故が起こってるらしくてね~。」

 

実は、つい先日グリーンによって倒された警備員(ロケット団)が本部に連絡をとって警備員を再び置くよう指令していたのだ

 

レッド

「タマムシシティに行きたいんだけどなー。」

 

警備員

「だったら、そっちの地下通路から行けるよ?

(頼むから、そっち通ってくれよぉ~!俺は、ロケット団入ったばかりの新米だから、争いごとはゴメンだぜ。)」

 

レッド

「分かりました!あっ後、よかったら、このおいしい水あげます。

今日は暑いですから、熱中症にならないよう警備頑張ってくださいね!」

 

警備員

「う…うん、ありがとう。

(…えっ!?レッドって聞いてたよりも全然、イイ奴じゃん。)」

 

警備員(ロケット団)の言われるがままに地下通路を歩くレッド

 

レッド

「この先がタマムシシティ…。待ってろよ、ロケット団っ!!」

 

10分後・・・

レッド

「ここが、タマムシシティかぁ…!」

 

そこは、大勢の人が行き交うとても賑やかな街だった

 

レッド

「ショッピングモールに、ホテルにレストラン!

すっっげぇ大都会じゃねぇかっ!!」

 

レッドはマサラタウンという小さな田舎町の出身だったので、見たことのない建物に興奮しっぱなしだった

 

レッド

「武志さんから頂いたお金で、レッツ、ショッピングっ!」

 

レッドは一番大きな建物であるタマムシデパートに入った

デパート内には四方八方商品が並び、レッドは色々と手にする

 

レッド

「 技マシンに、補助系アイテム…それにピッピ人形!!

何これメチャクチャ可愛いじゃんっ!

一人っきりの夜は寂しかったからなぁ~、1個買っちゃお!」

 

レッドはその他にも、プラスパワー、技マシン33の2つをカゴに入れた

 

店員

「こちら3点で2500円になります!」

 

レッド

「2500円か…半分になっちまったなぁ。」

 

店員

「ありがとうございました、また御越しくださいませーっ!」

 

一方、同時刻…グリーンはというと

彼もまた、クチバジムで勝利を収め、タマムシシティを訪れていた

 

グリーン

「ふぅーっ、やっとタマムシシティかぁ。

歩き疲れてお腹空いたし、腹ごしらえでもするかな!」

 

グリーンはタマムシシティにあるレストランで食事をとることにした

 

グリーン

「メニューも豊富だな!じゃあ…このタマムシシティ名物のモンジャラ風焼きそば1つくださいっ!!」

 

店員

「かしこまりましたぁーっ!!」

 

出された焼きそばは、ソースと鰹節の匂いが香ばしくとても美味しそうだった

また、モンジャラ風の為、青のりが大量にまぶされていた

 

店員

「只今キャンペーン中でして、こちらの商品を頼まれた方に隣のタマムシゲームコーナーで使える、コインケースをお渡ししておりますので…どうぞ!」

 

グリーン「(ゲームコーナーかぁ…ま、気が向いたら行ってみるか。)

では、いただきまーすっ!」

 

ズルズルッと焼きそばを啜るグリーン

 

グリーン

「うん、美味いっ!!」

 

あっという間に食べ終えたグリーンは店を後にする

 

グリーン

「さぁて、今日は久々に宿でもとるかな。

ここ最近野宿が多かったからなぁ。」

 

そう言うと、グリーンはホテルにチェックインし泊まることにした

 

2人はそれぞれ、一時の暇を満喫した

再会の時も近い…!?



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タマムシシティ~虹色の夜景~

日もすっかり落ちて泊まる場所を探すレッド
生憎、ホテルは満室で泊まることができなかった


レッド

「結局、野宿かよ~。」

 

人通りの少ない裏路地に入り、ベストな寝床をさがすレッド

 

レッド

「よしっ、このベンチが最適だな!」

 

ベンチに横になり正面のマンションを見てみると、なにやら屋上に繋がる非常階段らしきものを発見した

 

レッド

「?」

 

立ち上がり、確認してみると確かに屋上に続いていた

 

レッド

「屋上…だもんな。皆の屋上だもんな!」

 

そう言いながら階段を登っていった

屋上に着くと、そこから見えたのは、タマムシシティに建ち並ぶいくつもの建物から光る何色ものネオンの輝きだった

 

レッド

「…綺麗だなぁ。

こんなとこで寝れるなんて、幸せだぜ。」

 

すると1匹のポケモンが近づいてきた

どうやらここを住みかにしてるらしい

 

レッド

「こいつは…イーブイっ!?

どうしてこんなとこに…?」

 

イーブイは気持ち良さそうに横になった

 

レッド

「そうかぁ、お前もこの夜景気に入ってるんだな!

居心地いいもんなぁ、ここ。」

 

その時、レッドはふと思い出した

ハナダシティの、マサキが言っていた…

イーブイは3タイプのいずれかに進化させることのできる、大変珍しいポケモンだということを…

 

レッドはジッとイーブイを見つめる

 

レッド

「決めた!お前をゲットする!!」

 

イーブイはプイッとそっぽを向いた

 

レッド

「そうか…だったら勝負して俺が勝ったらついてきてくれないか!?」

 

するとイーブイは重い腰をあげるように、ゆっくりと立ち上がり戦闘体勢にはいった

 

レッド

「やる気になってくれたか。

リザード、行ってこい!!」

 

イーブイはレッドの命令より早く、【電光石化】で攻めてきた

 

レッド

「連続で【火のこ】!」

 

しかし、リザードの火のこはイーブイの素早さを捕らえきれず、全て避わされてしまった

 

レッド

「(こいつ…、できる!!)【メガトンパンチ】で迎え撃てぇっ!」

 

当たる直前、リザードの目の前からイーブイの姿が消えた

 

レッド

「っ!?」

 

イーブイはリザードの背後をとり、【体当たり】を繰り出す

 

リザード

「…。」

 

イーブイ

「…?」

 

レッド

「えっ…?」

 

イーブイの【体当たり】をくらったにも関わらず、リザードはその場から一歩も動いていなかった

 

レッド

「攻撃力はてんで低いのか?

【ひっかく】!」

 

リザードの技の中では威力の低い【ひっかく】にも関わらず、イーブイはかなりのダメージを負った

 

レッド

「まだ、やるか?」

 

イーブイは【尻尾を振る】を繰り出し、それはまるで、白旗を振るようであった

 

レッド

「降参ってことだな。

大丈夫っ、お前を悪いようにはしない。なによりお前のスピードの限界をこの目で見てみたい!

お前を…カントー最速のポケモンに育ててみせる!!

一緒に来て…くれるか?」

 

イーブイは"…やってやるか!"といった表情でレッドの肩に乗っかった

 

レッド

「おいおいっ、いきなり飛び掛かるなよなぁ!?」

 

レッドとイーブイはこのマンションの屋上で最速のポケモンになることを誓い合った

気づけば、街中のネオンは消えて、辺りをうっすらと月明かりが照らしていた



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タマムシシティ~VS花のお嬢様!①~

多くのポッポの鳴き声が聴こえ始め、目を覚ますレッド
まだ早朝にも関わらず、タマムシシティは活気に溢れていた


レッド

「ふぁ~ぁっ…、眠いなぁ。

って、寝ぼけてる場合じゃねぇ!

今日はジムに挑戦して早く、ロケット団調査に取りかからねぇとっ。

でも…本当にこんな街にロケット団が潜伏してるのか?」

 

そう考えながら、気づくとジムの前までやってきていた

 

レッド

「よし、気合い十分!!

…ジム戦お願いしまーす!!」

 

レッドが扉を開くと、そこには着物をきた女性達が一列に並んでお出迎えしてくれた

 

女性達

「ようこそ、タマムシジムへ!

さぁ、エリカ様が待ってます!」

 

レッド

「エリカ…。」

 

女性達の案内についていき、草木で覆われた広い部屋に着いた

そこには、他の女性達を寄せ付けない程、綺麗な女性が立っていた

 

レッド

「あなたが、エリカ?」

 

エリカ

「はい…。私(わたくし)こそ、このタマムシジムのジムリーダーを務めさせていただいております、エリカと申します!

どうぞ、お手柔らかに。」

 

レッド

「(ジムリーダーには見えないけど、見た目で判断しちゃいけないなっ!)」

 

エリカ

「使用できるポケモンは3匹まででお願いしますわ?」

 

レッド

「分かりましたっ、ではいきますよ!

俺の1番手はピジョン、お前だっ!!」

 

エリカ

「私は、モンジャラでいきますわ!」

 

レッド

「(モンジャラは…草タイプか。この勝負、もらった!)」

ピジョン、【風おこし】!!」

 

エリカ

「…っ!強風ですわね。」

 

レッド

「【翼で打つ】!」

 

エリカ

「相性は悪くても、やられっぱなしは嫌ですわっ!

モンジャラ、ピジョンの翼に【絡みつく】!!」

 

モンジャラの蔓がピジョンの翼に絡みつき、ピジョンは上手く飛行できずに地面に落ちてしまった

 

エリカ

「そこから、【締め付ける】に移行するのですわ!」

 

モンジャラの複雑に絡み合った蔓がピジョンの首もとまで伸び、締めつける

 

レッド

「このままじゃあ、まずいっ!!

戻れ、ピジョン!」

 

レッドの機転により、ピジョンは九死に一生を得た

 

エリカ

「ふふふ。ギリギリでしたわね…。」

 

レッド

「まぁ、ここでやられちゃあ、勢いづかないですから!

フシギダネ、ここは頼むぞ!」

 

しかし、ボールから出たフシギダネは何やらいつもと様子が違った

 

レッド

「フシギダネ…?」

 

エリカ

「いきますわよ!?【絡みつく】!」

 

レッド

「【蔓のムチ】だ!!」

 

フシギダネ

「!!」

 

フシギダネは急に体を震わせ始め、攻撃がだせない…

 

レッド

「どうした、フシギダネっ!?」

 

モンジャラはピジョンの時と同様にフシギダネに絡みつき、締め付けてきた

苦しそうなフシギダネ…

 

レッド

「フシギダネェェッ!!」

 

レッドの思いは無情にも届かず、フシギダネは戦闘不能になってしまった

 

エリカ

「あらあら、どうやら勢いづくのは私達みたいですわね?」

 

レッド

「一体どうしたっていうんだ。

くそっ!…今はジム戦、考えるのは後だ!ピジョン、もう1度ヨロシク頼む!!」

 

エリカ

「【絡みつく】っ!」

 

レッド

「ピジョン、空中で避け続けろ!」

 

ピジョンはモンジャラの蔓から必死に逃げる

それでもモンジャラの体表を覆う果てのないぐらい長い蔓が執拗に捕まえようと追ってくる

 

レッド

「(あの蔓…1本しか出ないのか。…だったら!)

そこでUターンして、蔓を辿ってモンジャラに【電光石化】!」

 

蔓を戻そうとするモンジャラだが、ピジョンの速さにはついていけなかった

 

レッド

「とどめの【翼で打つ】!!」

 

しっかりと決まり、効果は抜群

モンジャラを倒した

 

エリカ

「やりますわね。ですが、本当の華麗な花の舞をご覧にさしあげてみせましょう!」

 

序盤から波乱が巻き起こるタマムシジム戦

エリカもついに本気を出す…!



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タマムシシティ~VS花のお嬢様!②~

タマムシジム…レッド対エリカの戦いは両者2匹目に突入しようとしていた


エリカ

「私の2匹目はウツボットでいきますわ!

【葉っぱカッター】で切り刻んでおやりなさいっ!!」

 

レッド

「【吹き飛ばし】でなぎはらえっ!」

 

飛んでくる、無数の尖った葉はピジョンには届かない

 

エリカ

「…っ!やりますわね。」

 

レッド

「今度はこちらからいきますっ!【翼で打つ】!」

 

エリカ

「ウツボット、ギリギリまで引き付けるのですっ!!」

 

レッド

「当たれぇーっっ!」

 

エリカ

「今ですわ!【巻きつく】で拘束してしまいなさい!!」

 

ウツボットの蔓が伸びピジョンの片翼を捕らえた

 

レッド

「…っ!まだだっ、もう片方の翼が残ってる…!

【砂かけ】だぁっ!」

 

ウツボット

「!!」

 

蔓の力が弛み、ピジョンは脱出する

 

レッド

「とどめの、【風おこし】!」

 

ピジョンの起こした風に包まれ、ウツボットは身動きが取れず戦闘不能になる

 

レッド

「ウツボット、撃破っ!」

 

エリカ

「戻りなさい…。最後は、ラフレシアですわ!!」

 

レッド

「うっ…、ハッ…ハクションッ!!」

 

エリカ

「あら、ラフレシアいけませんわ?

花粉の出しすぎですわよ?」

 

レッド

「くっそ~っ、目が痒いし鼻水がでやがる…。

まぁ、我慢するしかねぇな。ピジョン休んでてくれ。

ラストはリザードだ!いくぜっ、【火のこ】!」

 

エリカ

「【花弁の舞】っ!!」

 

【火のこ】と【花弁の舞】がぶつかり合い、相殺した

 

エリカ

「その程度の火力じゃあ、私のラフレシアには勝てませんわよ。

このラフレシアは、対炎ポケモンに特化して育ててきたのです…。

生半可な炎では、燃やされませんことよ?」

 

レッド

「そんな…、【火のこ】が通用しないなんて…!

だったら【メガトンパンチ】でいくしかないっ!!」

 

エリカ

「接近戦できましたわね?…ですが、【痺れ粉】!!」

 

ラフレシアの花弁から麻痺性のある粉が撒き散らされた

 

リザード

「…っ!!」

 

リザードは体が痺れて動けない…

 

エリカ

「では、心置きなく栄養を吸わせてもらいますわ!

ラフレシア、【メガドレイン】。」

 

ラフレシアはリザードの体力を奪い、自身に吸収させていく…

次第にリザードは元気がなくなっていった

 

リザード

「!」

 

ピクッとリザードの手が動き、ようやく麻痺が解けた合図をレッドは見逃さなかった

 

レッド

「【ひっかく】っ!」

 

ラフレシアは攻撃を避け、距離をとる

 

エリカ

「もうリザードは限界ですわ?」

 

レッド

「試合はまだ終わってませんよ!

リザード、いけるな!?」

 

リザード

「!!」

 

その時、リザードは爪を研ぎだした

その爪は鋭く…より鋭利なものになっていく

 

レッド

「それは…っ!?」

 

リザードはコクリで自信ありげに頷いた

 

レッド

「分かったぜ!!リザード、【火のこ】!」

 

エリカ

「性懲りもなく…。いいですわ、【花弁の舞】!!」

 

互いに連続して技をだし続ける中でリザードは少しずつではあるが、距離を詰めていた

 

レッド

「最後の力を振り絞れっ!【切り裂く】っっ!!」

 

エリカ

「いつの間に、そんな近くまでっ…!」

 

リザードの切り裂くはラフレシアの急所に当り、一撃で仕留めた

 

レッド

「やったぜぇっ!!!」

 

エリカ

「フフ…ラフレシア、ご苦労様でした。

レッドさんとリザードのコンビネーションは完璧でした!

私ももっとラフレシアと修業を積まなければなりませんわっ!

これが、レインボーバッジになります。」

 

渡されたバッジは七色に輝いていた

 

レッド

「綺麗なバッジだなぁ~。」

 

レッドが目をキラキラさせていると、おもむろにエリカが話し出した

 

エリカ

「こんな事言うのは酷ですが、私は草タイプのポケモンについてはかなりの知識がある方なので分かるのです…。

貴方のフシギダネ…、恐らく、戦闘恐怖症に陥ってる可能性がありますわ。」

 

レッド

「戦闘…恐怖症っ!?」

 

エリカ

「はい。どこかで強い技を受けたりしてはいませんか?」

 

その時、レッドは武志との戦いで、トガースの放った【自爆】の事を思い出した

 

レッド

「!!」

 

エリカ

「心当たりがあるそうですわね…。これからは、あまりフシギダネに負担をかけるような事は避けるべきですわ。」

 

レッド

「そうですか…、ありがとうございました。」

 

レッドはタマムシジムを後にする

フシギダネが入ったモンスターボールを見つめる

 

レッド

「(フシギダネ、俺のせいで…ゴメンなっ!!

お前に外の世界を魅せてやるだなんて、格好けて連れ出してこの様だもんな…。

でも絶対治してやるから!また、楽しく旅できるようにしてやるから!

だから、これからも一緒についてきてくれっ!!)」

 

レッドの頬に涙がつたった

 

フシギダネがまさかの戦闘恐怖症であった事を知ったレッド

しかし、立ち止まってるわけにもいかない…この街に潜むロケット団を倒さねばならない

レッドは窮地に立たされてしまった



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タマムシシティ~ポスターの裏側は…~

タマムシデパートから出てくるレッド
その顔にはいつもの元気がなく、ショボくれていた


レッド

「はぁ。」

 

???

「久し振りに会ったと思ったら、なぁに暗い顔してんだ!?」

 

レッド

「…グリーンっ!」

 

グリーン

「どうよ、旅の方は?」

 

レッド

「お、おぅ。さっきタマムシジムで勝ってきた…。」

 

グリーン

「すげぇじゃねぇか!!

俺なんて、まだ3つだぜ!?」

 

レッド

「そうか…。」

 

グリーン

「…ったく、どうしたんだよ!!」

 

レッド

「…。」

 

グリーンはレッドの手を引いてある場所へ案内する

 

レッド

「ちょっ、グリーン…!どこに行くんだっ!?」

 

グリーン

「気分転換だよ!」

 

2人が着いたのは、ゲームコーナーだった

 

グリーン

「まぁ、ちょっと付き合え!」

 

グリーンは2000円払いコインを100枚貰った

 

グリーン

「ほらよ、半分やるから…!

…で、何があったんだ?」

 

レッドはフシギダネの事、そしてロケット団の事、全てをグリーンに話した

 

グリーン

「…そうだったのか。そりゃあ、つらいわな。

でもさ、それでフシギダネがお前の事嫌いになったとは思わないけどな!

逆に、お前がそんな顔してたら、余計に不安を煽っちまうって!!」

 

レッド

「そう…かなっ。」

 

レッドは呟くとグリーンから貰ったコインでスロットをやり始める

 

グリーン

「それにしても、この街にロケット団が…か。

確かに俺もここ最近ロケット団と戦ったりして怪しいとは思ってたが。」

 

レッド

「それで、今はそのアジトを探してるんだ。」

 

グリーン

「でもこの街にそれらしき建物なんて無いよなぁ?」

 

そうこう話してると、レッドのスロットに777が揃い、たくさんのコインが出る

 

グリーン

「レッドっ、すげぇーなっ!!

こういう賭け事に関しては昔から強かったもんな!?」

 

ボーナスステージも終わり、交換所に向かう2人

 

レッド

「でも、本当にいいのかよ、お前の金だぞ?」

 

グリーン

「小さいことは気にするなって!!」

 

レッド

「じゃあ…。」

 

そう言うと、レッドはコインと技マシン23を交換してもらい店を後にしようとした、その時…

ロケット団がすれ違いに店に入っていくのを目撃した

 

レッド&グリーン

「(ロケット団!!)」

 

そのロケット団は店を巡回している警備員と何やら話をし、辺りを警戒するようにして、店内に貼られていた大きなポスターをめくった

そこには、地下へと続く階段が隠されていたのだ

 

グリーン

「レッドっ!?」

 

レッド

「ああっ、見てたぜ!もしかしたら…いや、あそこがロケット団のアジトだったんだ!!」

 

レッドとグリーンはそのポスターに近づいていく

 

警備員

「子供がこんなところに遊びに来ちゃあいけないよ?

さぁ、帰った帰った!」

 

グリーン

「俺達、そこのポスターの裏に用があるんです。」

 

警備員

「見られてしまったか…だったら、子供だろうと始末するのみっ!!

やれっ、ワンリキー!【蹴たぐり】!」

 

レッド

「ニョロモ、【催眠術】で眠らせとけっ!!」

 

警備員とワンリキーは呆気なく、スヤスヤと寝入ってしまった

 

グリーン

「いよいよだな、準備はできてるか!?」

 

レッド

「とっくにできてるさっ!!

よし…乗り込むぜ!!待ってろ、ロケット団!」

 

レッドとグリーンは階段を降りてロケット団のアジトに入っていく

その様子をこっそりと見ていた人物が…!

彼は、誰かと連絡を取り合っていた

 

???

「はい…。やはり、おっしゃってた通り入っていきました。

監視の方はこのまま続行します、では…。

さぁ、彼らの実力を見せてもらおうかな。」



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ロケット団のアジト~潜入~

タマムシシティのゲームコーナーに隠されていたロケット団のアジト
レッドとグリーンは彼らの野望を打ち砕くため、乗り込むのであった


レッド

「まさか地下にあるなんて…思いもしてなかったぜ。」

 

グリーン

「確かにな。ここなら周りに気づかれず、行動ができる。

…にしても、どっからあたればいいんだ?」

 

レッド

「部屋が多すぎるよ~。」

 

アジト内にはいくつもの部屋があり、

レッドとグリーンは恐る恐る、かつ慎重に1部屋ずつ詮索した

 

レッド

「こっちはダメだ!」

 

グリーン

「こっちも…手掛かりなしだ。

後は…」

 

レッドとグリーンの先には2つに分かれた通路が待ち構えていた

 

レッド

「どうすんだ?」

 

グリーン

「片方ずつ行ってたら、時間がかかる。

それに、もしかすると俺達が侵入したこともバレてるかもしれないからなぁ…。

ここは、二手に別れて行動しよう!

何かあったら、携帯で連絡する!」

 

レッド

「俺、携帯持ってないんだけど…。」

 

グリーン

「なっ!?…分かった、10分後にまたここに集合しよう。」

 

レッド

「オッケー!!」

 

こうしてレッドとグリーンはそれぞれ異なる道で詮索することにしたのであった

 

《レッド側》

 

レッド

「それにしても、ロケット団が全然いないじゃんかよ!

アジトっていっても、こりゃ拍子抜けだぜっ!」

 

レッドは通路の最奥にある大きな部屋に辿り着いた

 

レッド

「ここは…?」

 

レッドが窓ガラスから中を覗くと、何やら話し声が聞こえる

 

ロケット団

「…はい。確認したところ、レッドとグリーンで間違いなさそうです。」

 

そこはモニタールームらしく、タマムシゲームコーナーの中も監視されていた

 

レッド

「グリーンの言った通りだったな。…よし!!!」

 

レッドは扉を開け、中に入った

 

ロケット団

「噂をすれば、これはこれはレッド君じゃあありませんか。

自分から向かって来るとは、たいした自信ですね?」

 

レッド

「お前達は、俺とグリーンで倒す!リザード、頼んだぞっ!」

 

ロケット団

「迎え撃つのです、レアコイル【超音波】!」

 

レッド

「【鳴き声】!!」

 

2つの音が交わり、その音響で室内の機材が壊れ始めた

 

ロケット団

「ぐっ、大事な機材がっ…!」

 

レッド

「余所見してんなよ!!【切り裂く】っ!」

 

強烈な【切り裂く】がレアコイルを襲ったが、鋼のように硬いレアコイルのボディにはほぼ無傷だった

 

ロケット団

「【電気ショック】です!」

 

レアコイルの攻撃範囲にいたリザードは受けてしまう

 

レッド

「リザードっ!」

 

ロケット団

「とどめの【ソニックブーム】!」

 

レッド

「終わりにしてたまるか!【電光石火】で近づきながら【居合い切り】のコンボ攻撃だ!!」

 

リザードはレアコイルの攻撃の一つ一つを避けつつ、高速でレアコイルの懐にはいる

 

レッド

「【メガトンパンチ】で決めろっ!!」

 

ロケット団

「…その程度じゃあ、ボスの足下にも及びませんよ。

【電気ショック】っ!!」

 

レッドはまんまと相手の罠にはまってしまい、電撃をくらってしまった

 

レッド

「そんな…リザード。」

 

ロケット団

「力が空回りしてますよ、フフフ。」

 

レッド

「(電気タイプのレアコイルにピジョンやニョロモは最悪。

フシギダネはまだ、闘えない…だったら!)

お前しかいないっ、イーブイ!」

 

ロケット団

「まだ可愛いげのあるイーブイ…

ますます痛めつけたくなる!【ソニックブーム】!!」

 

ニヤッと笑うレッド

 

ロケット団

「?」

 

レッド

「【電光石火】っ!!」

 

目にも止まらぬ速さでレアコイルの背後をついた

しかし、イーブイの攻撃力ではダメージを与えられない

 

ロケット団

「残念でしたね、【電気ショック】っ!」

 

レッド

「やっぱり、まだ駄目かぁ。

だったらアレを使うしかねぇな!

イーブイ、【砂かけ】!!」

 

レアコイルの視界を一瞬奪う

 

レッド

「買っといたプラスパワーでイーブイの攻撃力を高めるぜっ!!

【電光石火】だぁっ!」

 

飛躍的に伸びた攻撃力をもって、レアコイルを倒したレッドとイーブイ

 

ロケット団

「ゆ、許してください~っ!!」

 

ロケット団は慌てて逃げ出していった

 

レッド

「時間くった割に収穫なし…かぁ。…ん?これは!?」

 

《グリーン側》

 

グリーン

「何でもいいから、早く情報を手にいれないとな。…っ!!」

 

グリーンは咄嗟にロケット団の存在に気づき、角に隠れる

 

グリーン

「(あれは…エレベーター?警備についてる奴が一人か。だったら…!)」

 

グリーンは角から身を出した

 

ロケット団

「お前はっ、グリーンだな!?」

 

グリーン

「ご名答!」

 

ロケット団

「ここから先は、行かせねぇぞ?」

 

グリーン

「いいよ、力づくにでも通ってやるから。

いけ、ガーディ!」

 

ロケット団

「噂通りの生意気なガキだ!サンド!」

 

グリーン

「【火のこ】っ!!」

 

ロケット団

「【砂かけ】!」

 

グリーン

「火のこを消すだけでなく命中率まで…!」

 

ロケット団

「反応が鈍いぞ!?【切り裂く】っ!!」

 

ガーディの頭上からサンドの攻撃が襲う

 

グリーン

「半歩退いて、避けろ!そこから【吠える】!!」

 

サンド

「っ!」

 

サンドは怯んだ

 

グリーン

「【噛みつく】だっ!!」

 

サンドは避けることができず、ガーディの牙の前に倒れた

 

ロケット団

「てめぇーっ!」

 

グリーンを殴りかかろうとするロケット団

 

グリーン

「性懲りもなく…。ガーディっ、【睨みつける】!!」

 

ガーディの鋭い眼光にロケット団は一線を越えることができなかった

 

ロケット団

「ちっ、お前なんかボスにやられちまえ。

…あぁ、それとな、このエレベーターはカードキーがないと作動しないぜ?

広いこのアジトから探すことができるかな?くくっ。」

 

グリーン

「とりあえず、戻るか。(レッド…!)」

 

運よくエレベーターを見つけることができたグリーン

しかしカードキーがないと動かないという…

一体どうする…!?



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ロケット団のアジト~タッグバトル!!~

アジト内でグリーンはさらに地下へと繋がるエレベーターを見つけた
しかしながら、そのエレベーターを動かすにはカードキーが必要らしく…


グリーン

「レッドのやつ、余計な詮索してねぇだろうなぁ。」

 

待ち合わせの場所でレッドを待つグリーン

すると反対側の通路からレッドが走ってくる

 

レッド

「ーーーー!!!」

 

グリーン

「え?」

 

レッド

「走れえぇぇぇーっ!」

 

見るとレッドは大量のロケット団員から追われていた

 

グリーン

「ったく、お前はほんっとにトラブルに巻き込まれやすい体質だな!?

とりあえず、こっちに来い!!」

 

グリーンに導かれ、レッドは何とか振り切ることができた

 

レッド

「はぁ、はぁ、はぁ。助かった~。」

 

グリーン

「警戒が強くなってきたな。

これじゃあ、カードキー見つけるのも一苦労するぜ?」

 

レッド

「カードキー?もしかして…これか?」

 

レッドは先程のモニタールームで偶然にもカードキーを見つけていた

 

グリーン

「そっ、それは!!

よくやったぜ、レッド!これでエレベーターを動かせる!!」

 

レッドは話が進みすぎていて、状況を理解できないでいた

グリーンは事情を話し、二人はエレベーターまでやって来た

 

グリーン

「ここからは何が待ち受けているか分からない。

だが、奴等の話しからしておそらくボスがいるに違いない…気を引き締めていくぞ、レッドっ!!」

 

レッド

「おおともよ!」

 

エレベーターはぐんぐんと降下していく

そしてチンと音が鳴り、扉が開いた

そこは一本道で周りには部屋がなかった

ただ1つ…二人が見たものは、立派な扉の前に立つ2人の屈強な団員だった

 

レッド

「あいつらが最後の門番ってことか。」

 

グリーン

「そうみたいだな。」

 

ロケット団(1)

「よくここまで来れたな。」

 

ロケット団(2)

「それよりも…上のやつらは何やってたんだ!

こんな小僧2人にっ!!」

 

ロケット団(1)

「まっ、来ちゃったもんは仕方ないでしょ。

俺らもずっと立ってるだけで、退屈だったんだし…。」

 

ロケット団(2)

「残念だけど、ボスの顔は拝めないぜ?」

 

レッド&グリーン

「!?」

 

ロケット団(2)

「なぜなら、お前らはここで御陀仏しちまうからだよぉ!!

いくぞ、アーボック!」

 

ロケット団(1)

「暴れるとしますかねぇ、ゴーリキー!!」

 

グリーン

「レッドっ、いくぜ!?カメール、頼んだ!!」

 

レッド

「おっしゃあっ!ピジョン!!

ゴーリキーに【翼で打つ】!」

 

ロケット団(2)

「いきなり狙ってくるなんてねぇ。アーボック、【毒針】!」

 

レッド

「避わせ!」

 

ほんの一瞬、ゴーリキーから目を逸らしただけだった…

 

ロケット団(1)

「打ち落とせっ、【空手チョップ】っ!!」

 

グリーン

「レッド、上だっ!!」

 

ロケット団(2)

「お前も油断してちゃあいかんでしょうよ!?

【巻きつく】!」

 

グリーン

「しまっ…!」

 

カメールはアーボックに巻きつかれてしまった

 

叩き落とされてしまったピジョンに追い打ちをかけるロケット団

 

ロケット団(1)

「起き上がられると面倒だからなぁ…【蹴たぐり】!」

 

レッド

「させねぇよ!!【吹き飛ばし】!!」

 

ゴーリキーはあまりの風圧で吹き飛ばされる

 

グリーン

「俺ばっかりやられてたまるかよ。カメール、 手足首引っ込めろ!【殻にこもる】!

 

殻にこもったカメールに滑ってしまい、アーボックはうまく巻きつけれない

 

レッド

「ピジョン、【電光石火】だ!」

 

ピジョンは高速でアーボックをふっとばした

 

レッド

「どうだっ!!」

 

グリーン

「……。」

 

ロケット団(1)

「確かに、やるねぇ。今までロケット団が苦戦したのもやっと解ったよ。」

 

ロケット団(2)

「あぁ…ったく、久しぶりにゾクゾクするぜぇ?」

 

グリーン

「レッド、来るぞ!」

 

ロケット団(2)

「おいっ!!」

 

ロケット団(1)

「そんなにムキになるなって。もう"入ってる"からさぁ!」

 

吹き飛ばされたゴーリキーがムクッと立ち上がる

その様子は腕を組み、まるで弁慶の仁王立ちのように堂々としたものだった

 

グリーン

「(…!?なんかヤバそうだなぁ、おい!!)

カメール、【水鉄砲】!!」

 

レッド

「ピジョン、【電光石火】だっ!!」

 

しかし2匹の体が動かない…

 

レッド&グリーン

「っ!!」

 

ロケット団(2)

「ひゃーっはっはっはっっ!!【蛇睨み】。

準備できたかよ?」

 

ロケット団(1)

「そろそろだな。」

 

ゴーリキー

「!」

 

ロケット団(1)

「よし!【気合い溜め】完了っ!!カメールに【地獄車】!!」

 

迫るゴーリキーに対し、身動きがとれないカメール

 

グリーン

「カメール…っ!!」

 

そのまま見事ともいえる地獄車で両者地面に叩きつけられる

 

グリーン

「カメール…。」

 

ロケット団(2)

「恐ろしい技だぜ!おいっ、ゴーリキーは無事か?」

 

カメールに大ダメージを与えたものの、ゴーリキーも自身にダメージを受けてしまったのだ

 

ロケット団(1)

「これで、残すは……なっ!?」

 

そこにはまだ立ち上がるカメールの姿があった

 

ロケット団(1)

「どういう事だ!?手応えはあったはずだ!」

 

レッド

「持っててよかったぜ。まさかここで使う時がくるとはな。」

 

レッドの手には"良い傷薬"があった

 

グリーン

「いやぁ、今回はお前に助けられちまったぜ!」

 

レッド

「気にすんな、それより…今度はこっちの番だっ!!」

 

ロケット団(2)

「おいっ、もっかいいくぞ!アーボック、【蛇にら…」

 

レッド

「陰気な蛇は黙ってろ!【砂かけ】!」

 

アーボックは目に砂が入り開けることができない

 

グリーン

「ナイスだ、レッド!アーボックに【噛みつく】っ!!」

 

アーボックは戦闘不能になる

 

ロケット団(1)

「嘘だろ?ゴーリキー、そのままカメールに【空手チョップ】だ!」

 

グリーン

「【殻にこもる】!」

 

ゴーリキーは硬い甲羅に素手のチョップをしてしまい痛がっている

 

グリーン

「今だっ、レッド!!」

 

レッド

「いけえっ、ピジョン!」

 

すると、ピジョンの翼が突然光だす

そこから大きく翼を振りかざし"何か"が飛んだ

 

ゴーリキー

「!!」

 

誰も何が起きたか分からなかったがゴーリキーは倒れていた

 

レッド

「これはもしかして【鎌鼬】…?」

 

ロケット団(1)

「俺達が負けた…。」

 

ロケット団(2)

「あぁ、信じられねぇが俺達は無駄な足掻きはしねぇ。

この部屋にボスが居られる。」

 

グリーン

「遂にか。」

 

レッド

「…行こう。」

 

2人は最後の扉を開いた

それを観ていた謎の人物

 

???

「ここまでたった2人で来るとはなぁ、大したもんだ。」

 

部屋に入ると、一人の男がイスに座っていた

しかし背を向け、顔はハッキリと確認できない

 

???

「待っていた…。レッド、そしてグリーン。

そしてようこそ、ロケット団へ!」

 

遂にロケット団のボスに接触したレッドとグリーン

ロケット団との戦いに終止符を打つ!!



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ロケット団のアジト~その名は…!~

死闘を乗り越え、遂にロケット団のボスにたどり着くことができたレッドとグリーン
場には緊張が張り詰める


グリーン

「あんたが、ロケット団の…ボス!!」

 

???

「その通り。私が、ロケット団をまとめる…サカキだっ!!!」

 

サカキは振り返りレッド達と顔を合わせる

そのすさまじいオーラにレッドとグリーンの額に汗が流れ落ちた

 

サカキ

「そう固くなるな、君達の行動は終止観ていた。

そこで思ったのだが、どうだね、ロケット団に入らないかね?」

 

レッド&グリーン

「!?」

 

サカキ

「君達には我等ロケット団の団員に備わってないものを持っている。」

 

グリーン

「それって…?」

 

サカキ

「ポケモンに対する強い思いだよ!

部下共はただただ暴れ回ってるだけで、何も魅力を感じない。

それが、どうだ!君達の戦いを観ていると伝わってくるんだよ!!」

 

レッド

「だったら、どうして犯罪まがいなことを…!?」

 

サカキ

「強いポケモン、珍しいポケモン、いろんな道具…。

それらを手にいれて、試してみたいのさ!

ポケモン、人、それらが生み出す未知なる化学反応をっ!!

その為なら、私は何でもするさ。」

 

グリーン

「…つまりはあんた達の私情で関係のない人までも巻き込まれてたって訳だ。」

 

レッド

「なるほどそうですか…って見過ごす訳にはいかないなぁ!」

 

レッド&グリーン

「その野望も今日で終わりだ!!」

 

サカキ

「やはり、相容れない…か。残念だ!

相手になろう、最高のバトルをしようじゃないか?

1人ずつ相手になるのも退屈だからな…2人でかかってきてくれて構わんよ。」

 

レッド

「やってやるっ!最初っから全開でいくぜ!?」

 

グリーン

「勿論だっ!!」

 

サカキ

「まずは1番手…イワーク。」

 

グリーン

「俺はカメールだ!」

 

レッド

「だったら俺も水タイプのニョロモで…」

 

グリーン

「待て。サカキは今までのやつらとは違う。

何を出してくるか分からん。もしものことも想定して、お前のニョロモは温存しといてくれ!」

 

レッド

「…分かったぜ!だったらイーブイだ!」

 

サカキ

「どちらも良いポケモンじゃあないか。

本当に残念だ…【岩落とし】。」

 

グリーン

「なっ、何だこの岩の量はっ!?見たことが…」

 

カメールに大きな岩が落ちてくる

 

レッド

「グリーン、ボケッとすんな!!

イーブイ、【電光石火】でカメールを助けにいくんだ!」

 

間一髪…足に自信のあるイーブイにカメールは助けられた

 

レッド

「サカキはロケット団のボスだ!俺達の想像以上の実力をもってる。

だからこっちも全力でいかなきゃいけないんだ!

幸いにもこっちは2人がかりだからな…。」

 

グリーン

「そうだな…!お前に心配かけられるとはなっ…カメール、【水鉄砲】だ!」

 

サカキ

「ふんっ、そんな直線的な攻撃では当たらんぞ?【穴を掘る】!」

 

イワークは勢いよく地面に潜り姿を眩ます

 

グリーン

「どこから来る…!?」

 

レッド

「だったらこっちも…【砂かけ】で砂を撒き散らせ!」

 

辺りに砂埃が舞い、両トレーナーにはポケモンの姿が見えない

 

サカキ

「私のイワークは狙った獲物は逃さないっ!」

 

突如、地面が割れる音がし、上空には打ち上げられたボロボロのイーブイとカメールが見えた

 

レッド

「イーブイ!?」

 

グリーン

「くそっ!」

 

さらに何かが上空に昇っていくのが砂煙の中から見えた

その正体とはイワークであり、その巨体が宙を舞う

 

サカキ

「【叩きつける】!!」

 

グリーン

「間に合え!【殻にこもる】っ!」

 

叩きつけられたイーブイとカメール

イーブイは完全に戦闘不能

一方、カメールは何とか意識があった

 

グリーン

「これで終わりにされてたまるか!【水鉄砲】!!」

 

サカキ

「小癪なっ…!【地震】!!」

 

レッド&グリーン

「うわぁぁぁっ!!」

 

地面が大きく揺れ2人は立っていられなかった

当然、あまりの衝撃に耐えれずカメールは倒れている

 

グリーン

「…すまない、カメール。」

 

サカキ

「もっとだ、もっと楽しませてくれないか?」

 

レッド&グリーン

「くっ…!」

 

試合序盤、サカキのイワークに完全にペースをもってかれてしまったレッドとグリーン

さらに、相棒を失ったグリーン

この戦局を覆すことはできるのか…!?



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ロケット団のアジト~発動!技マシン33!~

ロケット団のボスであるサカキが繰り出したイワークにレッドとグリーンは手も足もだせずにいた


グリーン

「序盤でカメールを失うなんてな…。

こりゃあ、かなりまずいな。」

 

レッド

「大丈夫…大丈夫だっ!まだまだ手持ちはいる!!

(つらいかもしれねぇだろうが、頼むぞ。)フシギダネ!」

 

グリーン

「っ!レッド、そいつは…!」

 

レッド

「まぁ、心配すんなって。策はある!」

 

グリーン

「だったら俺はゴルバットだ!!」

 

フシギダネは依然として、脅えている様子だった

 

レッド

「フシギダネ!」

 

フシギダネ

「…?」

 

グッと親指を立てるレッド

 

サカキ

「【岩落とし】!」

 

レッド&グリーン

「避けろ!!」

 

2匹はそれぞれ落ちてくる岩を必死に避ける

 

サカキ

「そこだ!【締めつける】っ!!」

 

フシギダネはそれに捕まってしまい絞められる

 

レッド

「へへーん!【宿り木の種】!!」

 

フシギダネの蕾から多量の種が撒かれ、イワークに植えつけられた

 

サカキ

「何っ!?」

 

フシギダネは少しずつ養分を吸いとっている

 

サカキ

「フシギダネを放すんだ!

ゴルバットを狙え!」

 

イワークは標的をゴルバットに変え、襲いかかる

 

レッド

「グリーン、ゴルバットをフシギダネの後ろにっ!」

 

グリーン

「どういうことだ、レッド!?」

 

レッド

「いいから俺の言う通りにやってみてくれないか…。

フシギダネをこの戦いで変えてやりたいんだ!」

 

グリーン

「何するつもりか分からんが、お前を信じるぞ!!

ゴルバットっ、フシギダネの後ろにつけ!」

 

ゴルバットはグリーンの命令でフシギダネの後ろに身を潜める

 

サカキ

「それはまとめてやってくれって事かなっ!?

お望み通り…【叩きつける】!!」

 

フシギダネは震え始める

 

レッド

「さぁ、フシギダネ。お前はここからだ…ここから強くなるんだ!

【リフレクター】っっ!!」

 

フシギダネは目を瞑っていて自分でも何が起きたか分かっていなかった

しかし、フシギダネとゴルバットは無傷…

フシギダネの周りに"見えない壁"ができていたのだ

 

レッド

「これが護る技…【リフレクター】。」

 

しかし、その壁もイワークの【叩きつける】により、次第にヒビが入っていくのを感じた

 

レッド

「グリーン!!」

 

グリーン

「ああっ!ゴルバット、【嫌な音】!」

 

ゴルバットの放つ高い周波を受け、イワークは悶える

 

レッド

「フシギダネ、いくぜ!?【蔓のムチ】!!」

 

大きな音と共に崩れるイワーク

 

サカキ

「イワークっ…!」

 

レッド

「よくやったな、フシギダネ!!」

 

気づけば、フシギダネの体の震えは治まっていた

 

グリーン

「やるじゃないか、レッド!!」

 

レッド

「まぁなっ!」

 

グリーン

「だが…サカキもまだ1匹目。

次が来るぜ!?」

 

サカキ

「次はこいつだ!」

 

サカキはサイホーンを出してきた

 

グリーン

「サイホーン…攻守共に優れたポケモンか。」

 

レッド

「フシギダネ、今日はこれぐらいにしとこう。焦ることはないからな。

俺は、ニョロモに交代する!【水鉄砲】!」

 

サカキ

「フンッ、そんな技に臆することはない!!【突進】だ!」

 

水鉄砲を受けながらも突進してくるサイホーン

 

グリーン

「なっ…!効果は抜群のはずだ!!

…ならば【毒毒】っ!」

 

サカキ

「そんなもの効かんわっ!」

 

レッド

「ここは【影分身】で撹乱させてやる!」

 

サカキ

「そいつが1度突進を始めたら、相手を倒すまで止まることはない!」

 

サカキの言った通り、サイホーンの突進に勢いが消える様子はなく、ニョロモの分身体を次々と消していく

 

グリーン

「(あいつの体力は無限かよっ!

…まてよ?あいつが突進を止めないなら、それを逆に利用してやるぜ!)」

 

サカキ

「?」

 

グリーン

「レッド、ニョロモの分身体をもっと増やせるか?」

 

レッド

「ああ!いけるぜっ?」

 

グリーン

「水タイプの技が駄目…、毒も効果無し…、だったら視角を狂わせてやる!ゴルバット、【怪しい光】っ!!」

 

サイホーンは混乱し、ニョロモの分身体目掛けて突進するが、それは幻であり実際は壁であった

壁に体をぶつけるサイホーン

 

サカキ

「サイホーン、突進をやめるんだ!」

 

グリーン

「させないぜ!!次は聴覚だ、【超音波】!!」

 

サカキの声はサイホーンの耳に届かず、どんどん壁に体を打ちつけボロボロになっていくサイホーン

そして遂に…

 

サイホーン

「…。」

 

サイホーンは体を痛めすぎて体力が0になった

 

サカキ

「戻れ!…やはり君達は素晴らしいポケモントレーナーだ。

それぞれが持っている異なる個性…君達自身も薄々気づいていると思うが、それがポケモンの力を最大限にまで引き出す鍵となっているのだよ。

そしてその扉の先には今まで見たことのない発見が待っている。

…最後は私がその鍵で最大限にまで引き出した、とっておきを魅せてやろう!!」

 

レッド

「最後…。」

 

グリーン

「来いっ!」

 

サカキ

「…いけっ、ガルーラ!!!」

 

サカキ最後のポケモンはガルーラ

レッドとグリーンは初めて目にするポケモンであり、イワークやサイホーンにあった恐怖感というのは不思議と感じなかった

しかし、ガルーラの放つオーラは常軌を逸していた



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ロケット団のアジト~連続なる攻防戦~

サカキとの戦いもついに最終局面を迎える
果たしてレッドとグリーンは、サカキの出したガルーラを倒すことができるのか


レッド

「ガルーラ…!?」

 

グリーン

「かなり、珍しいと言われてるポケモンだ。」

 

サカキ

「その通り。こいつを捕まえるには一苦労したものだ。

さて、かかって来なさい。」

 

レッド

「言われなくても…【白い霧】!」

 

サカキ

「…。」

 

レッド

「今がチャンスだグリーン!【水鉄砲】っ!」

 

グリーン

「(確かにレッドの言う通り、この霧での攻撃はこの上なくチャンス!

だが、何か嫌な予感が…。)

ちっ、【翼で打つ】!」

 

どちらの攻撃も命中した手応えはあった

…が、霧が晴れるとガルーラは何事もなかったかのように立っている

 

グリーン

「なんて防御力なんだっ…!!」

 

サカキ

「さて…受けた分を返してやろう、【怒り】。」

 

ガルーラの反撃にニョロモも、ゴルバットもやられてしまった

 

レッド

「っ!!次はピジョンだ!」

 

グリーン

「俺の残すは、ガーディ!お前だ!!」

 

サカキ

「ガルーラ、【怪力】!」

 

ガルーラは筋肉を膨張させイワークの出した【岩落とし】の残骸を投げ飛ばしてくる

 

レッド

「避わして、【鎌鼬】っ!!」

 

サカキ

「ならば…【連続パンチ】!!」

 

ピジョンの斬撃を素手で弾いていく

 

グリーン

「援護するぞっガーディ、【火のこ】!」

 

ガルーラは次々と技をくらっているにも関わらず、徐々にピジョンに向かっていく

 

グリーン

「もっと、火力を増やすんだ!!」

 

ピジョン

「…!」

 

ピジョンの【鎌鼬】は限界をむかえた

 

サカキ

「ガルーラっ、決めろ!」

 

ガルーラの【連続パンチ】でめった打ちにあうピジョン

 

グリーン

「ガーディ、ガルーラの腕に【噛みつく】だ!」

 

しかしガーディの攻撃は通用せず、ただ振り回されるだけ…

ガルーラにとって今のガーディは飾りみたいなものだった

 

レッド

「戻れっピジョン!!ここまで強いなんて…。

仕方ねぇっ、リザードっ!

グリーン、ガーディを一旦退げろ!」

 

グリーン

「レッドっ…!?」

 

レッド

「【切り裂く】の連続攻撃!!」

 

サカキ

「連続では負けんぞ?【連続パンチ】!」

 

2匹は壮絶な打ち合いを繰り広げ、どちらか倒れるまで…そんな勢いであった

だが、そんなシーソーゲームが傾き始める

 

レッド

「このままじゃ、恐らくリザードが負ける。

なら…、リザードっ!タイミングを見計らって【居合い斬り】っ!」

 

リザードの集中力は高まっていた

長いガルーラのラッシュに、自然と目が慣れてきたからだ

そしてリザードはパンチを見切る

 

リザード

「!!!」

 

リザードの【居合い斬り】でガルーラの体がぐらついたのをグリーンは見逃さない

 

グリーン

「もうここでやるしかない!!

ガーディ、ゴメンな…。だけど、このチャンスを逃す訳にはいかないんだっ!

【捨て身タックル】!!」

 

ガーディの我が身を犠牲にするほどの強烈なタックルがガルーラを吹き飛ばす

同時にガーディも反動で戦闘不能になる

 

レッド

「…やった。」

 

グリーン

「あぁ、遂にサカキを…ロケット団を倒したぜ。」

 

サカキ

「天晴れだ。よもや、こいつの【身代わり】がやられるとはな。」

 

レッド&グリーン

「え…!?」

 

サカキ

「【メガトンパンチ】!!」

 

リザード

「っ!?」

 

地面の中からガルーラが飛び出し、リザードに重い一撃を浴びせる

 

レッド

「そんな…。」

 

そこには未だ無傷のガルーラがいた

 

グリーン

「今まで俺達は!あいつの偽物と闘ってたのか!?」

 

サカキ

「私に勝って野望を打ち砕く?甘いにもほどがある!!

君達が到底及ぶことのできない数の戦闘を重ねてきたこの私が負けるはずがないのだよっ!

では…。ここはもう用済なのでな、行くとしよう。

このアジトは計画を練るためだけに造った場…残念だったな。

あぁ後、最後の2人の気迫だけは褒めてやろう。」

 

そう言い残し、サカキは扉の奥へと消えていった



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ロケット団のアジト~思わぬ助っ人!?~

レッドとグリーンはサカキを倒した…と思った
しかし、倒したはずのガルーラは本物ではなく偽者であり、その圧倒的強さに完敗してしまった


レッド

「そんな…あそこまで戦って、本物は無傷だなんて…!」

 

グリーン

「レッド…。」

 

その時、出口にシャッターが下り、警報が鳴り出す

 

警報

「爆破スイッチガ作動シマシタ。残リ、爆破マデ5分デス。」

 

サカキは初めからアジトを爆破させるつもりでいたのだ

 

レッド

「何だよコレ!?」

 

グリーン

「レッド、あれを見ろ!あのスイッチを壊せば爆破を阻止できるっ!!」

 

スイッチは堅い防護壁に覆われている

 

レッド

「本当か、グリーン!?」

 

グリーン

「…勘だ。」

 

レッド「おいっ!!勘って…そんなどっかの漫画みたいな展開に期待してつきあってられるか!

入り口に戻るぞ!?」

 

グリーン

「レッド、俺の予想で5分じゃ入り口に戻れない。」

 

レッド

「そんなの分かんねぇだろ!?」

 

グリーン

「落ち着け!ポケモンはいないが、何でもいい…、周りに落ちてる物で壊すんだ!」

 

レッド

「あーもう…こうなりゃやけくそだ!!」

 

レッドとグリーンは手当たり次第に防護壁を割ろうとするが頑丈すきで中々割れない

そしてカウントは減っていく

 

警報

「残リ2分。」

 

グリーン

「ダメなのか。」

 

???

「ダメじゃないよ!2人共、よく頑張ってくれた!!

そこを離れて…後は僕に任せてくれっ!ハクリュー、【破壊光線】だ!!!」

 

尋常ではない威力の光線が防護壁もろともスイッチを塵にした

 

レッド&グリーン

「!?」

 

警報は止まり、静かになった部屋でレッド達に向かって歩いてくる足音が聞こえた

 

???

「グリーン君の言った事、間違いじゃなかったようだね!」

 

暗闇の中から、赤髪の好青年が姿を現した

 

レッド

「あなたは…?」

 

???

「僕の名前はワタル!君達をずっと入り口から尾けてたんだ。」

 

レッド

「ワタル…?」

 

レッドはふと、思い出した

育て屋に預けられていたハクリュー、そしてそのトレーナーの名…ワタル

 

レッドは初対面でありながらワタルにつっかかる

 

レッド

「あなたが、ワタルさん?

あの育て屋にハクリューを預けていた…?」

 

ワタル

「そうだよっ、多摩さんの所で」

 

レッド

「あなた、1年もポケモンを見捨ててどこに行ってたんですか!!」

 

グリーン

「おいっ、レッド!!命の恩人に何突っかかってんだよ!?

それに今はそんな事…」

 

レッド

「グリーンは黙っててくれ!」

 

ワタル

「…。見捨てる訳ないだろ?

レッド君、とりあえず事情は外に出てからだ。」

 

3人は激戦の地を後にし、地上にでる

そしてポケモンセンターでレッド達のポケモンを回復してる間に再びレッドは話を始める

 

レッド

「さぁ、どういう訳なんです?」

 

ワタル

「まずは、君達に僕の素性を明かさなければならないね。

僕はカントー地方四天王の1人であり、同時にジョウト地方のチャンピオンでもある身だ。」

 

レッド

「カントー地方の四天王…!!」

 

グリーン

「ジョウト地方の現役チャンピオンっ!?」

 

ワタル

「そう、そしてチャンピオンとしての立場上、一年前からジョウト地方に拠点を移していたんだ。

そこへ、ロケット団がカントー地方で暴れてるとオーキド博士から連絡があってね。」

 

グリーン

「爺ちゃんと!?」

 

レッド

「じゃあ、オーキド博士が言ってたロケット団を調査してる人って…。」

 

ワタル

「僕の事だね!」

 

グリーン

「じゃあ、どうして最初から一緒にアジトで戦ってくれなかったんですか?」

 

ワタル

「んー、悪い言い方になっちゃうんだけど、君達だけでどこまでやれるのか観ときたかったんだ。」

 

グリーン

「実力を伺ってた…って事ですか?」

 

ワタル

「そうなるね。でも今回の戦いを見て、これから一緒に戦うには充分すぎる戦力だということが分かったよ!」

 

レッド

「一緒に?」

 

ワタル

「まだまだロケット団は全戦力じゃない筈だ。

それを知った上で、敢えて君達だけにやらせた。

それに…正直、サカキの本気はあれ以上だよ。

この件について、民間人を巻き込みたくない…だから僕が認めた最小限の人数かつ、最大限の戦力を以て、ロケット団の壊滅を目指すんだ。」

 

グリーン

「そうだったんですか。」

 

ワタル

「それとね、レッド君。

さっき話したことだけど、僕は決して自分のポケモンを見捨てたりはしないよ?

さっきも言ったけど、僕はジョウト地方じゃあ、チャンピオン…。

全力を出すため、まだ経験の浅いハクリューを連れてジョウトに赴くなんて出来なかったんだ。

君と同じで、ポケモンが好きだからこその決断だったんだ。」

 

レッド

「そういうこと…だったんですね。

すみません!俺、そんな事情も知らず怒鳴り散らしてっ!」

 

グリーン

「そうだぞ、レッド~。よりによって、現役のチャンピオンに!(笑)」

 

ワタル

「いいんだよ!レッド君のポケモンに対する思いがストレートに伝わったからさ!!」

 

3人は思い思いのことを話し合い、時間をつぶした

そして…

 

ワタル

「じゃあ、僕はこの辺で失礼するよ!

君達の旅の邪魔になるからね。またロケット団の情報を掴み次第、グリーン君の携帯に連絡するね!

じゃあ、これからも危険が付きまとうが、ヨロシク頼むね!!」

 

レッド

「俺に任しといてくださーいっ!」

 

ワタル

「(本当、頼りにしてるよ!)」

 

ワタルはレッド達の前から消えていった

 

レッド

「あーーっ!!」

 

グリーン

「どうしたレッド?」

 

レッド

「そういえば、俺フジ老人の奪われたシルフスコープを取り返すのすっかり忘れてた…。」

 

グリーン

「その、シルフスコープってこれのこと?

さっきワタルさんから預かって…アジト内で拾ったからって。」

 

レッド

「たっ、助かったぁ~!

それにしてもあの人、どこまで俺達の私情を知ってるんだよぉ!」

 

グリーン

「さぁな…。それにしても最強の助っ人登場って感じで、かっこよかったなぁ!!」

 

レッド

「よぉし、俺達ももっと強くなって、次こそサカキを倒すぞーっ!

そうと決まれば、グリーン、ちょっと俺の旅につきあってくれ!」

 

グリーン

「仕方ねぇな!」

 

レッドとグリーンはワタルに出会い刺激をもらったことで、サカキとの戦いでの敗北を受けとめ、いつか再びぶつかるその日まで、更なる強さを求め旅を再開するのであった



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シオンタウン~この世のものではないもの…~

ワタルと別れ、タマムシシティを出たレッドとグリーンはシオンタウンに向かった


グリーン

「ここが、シオンタウン…。」

 

現場は未だレッドが来たときと変わらず、荒れ果てていた

 

レッド

「とりあえず、フジさんに会いに行こう。」

 

2人はフジ老人の家へと向かった

 

レッド

「すみませーん!レッドですっ!!

フジさんは、いらっしゃいますかーっ!?」

 

すると、扉が開き中から女性が出てきた

 

女性

「あぁっ!レッドさん!

そのっ、フジさんがロケット団に連れていかれてしまって…!」

 

レッド&グリーン

「何だって!?」

 

女性

「恐らく、ポケモンタワーだと思われます。」

 

グリーン

「ポケモンタワー?」

 

女性

「ここシオンタウンの名所でもあり、ポケモンを供養するためのお墓が並んでる場所です。

あそこにそびえ立っている塔が、それです。」

 

女性が指差す方を見ると、霧で天辺が見えないほど高い塔が立っていた

 

レッド

「分かりました、行ってみます!!」

 

女性

「どうか、お気をつけて…。」

 

2人はポケモンタワーに到着した

辺りは何だか寒気がし、嫌な空気が立ち込めていた

 

レッド

「うっ…!」

 

グリーン

「怖がってる暇はないぞ、レッド。」

 

レッド

「よ、よっしゃ、行ったるぜ!」

 

中は広く、各階には多くの墓が建てられていた

 

グリーン

「…亡くなったポケモンがここに眠ってるんだな。」

 

レッド

「この、フロアにはいないなぁ。

次、行こう。」

 

どんどんと階を昇っていくが、なかなかフジさんは見当たらない

 

レッド

「ここじゃないかもな。」

 

グリーン

「静かに!!上の階から話し声が聞こえる。」

 

レッドとグリーンは目を合わせ、頷いた

階段を昇ると、そこにはロケット団2人と対峙するフジ老人の姿があった

 

ロケット団(1)

「おいおいフジさんよぉ、いい加減こんなとこで隠居してないで、もう一度俺らと手を組もうぜ!?」

 

ロケット団(2)

「今の私達はあなたの天才的な脳を必要としているのです。」

 

フジ老人

「言ったはずじゃっ!ワシは2度と貴様らと関わらんと…っ!」

 

ロケット団(1)

「つれねぇなぁ…やれ、ドガースっ、【ヘドロ攻撃】!!」

 

フジ老人

「!!」

 

レッド

「ニョロモ、【水鉄砲】だ!」

 

ロケット団(1)

「誰だっ!?」

 

ロケット団(2)

「これは、これは…、レッドとグリーンですか。」

 

フジ老人

「レッド君!」

 

レッド

「助けに来ましたよ!後、シルフスコープも取り返してきました!!」

 

フジ老人

「何と…。まことにかたじけない。」

 

ロケット団(1)

「こいつらに手加減はいらねぇっ!!やるぞ!!」

 

ロケット団(2)

「ふん。」

 

戦闘が始まろうとした、ちょうどその時だった

場に冷たい空気が漂い始め、辺りで"パチッ"っとラップ音が鳴り始めた

 

全員

「!?」

 

ロケット団(1)

「おいっ、肩叩くんじゃねぇよ!」

 

ロケット団(2)

「俺は叩いてないぞ?」

 

2人のロケット団の顔は真っ青になり、悲鳴をあげてその場を立ち去っていった

 

???

「コノバヲサレ…。」

 

グリーン

「何の声だ!?」

 

???

「コノチヲコレイジョウアラスナ…。」

 

フジ老人

「亡くなったポケモン達が、墓を荒らされて怒っておる。

…レッド君っ、シルフスコープを着けてみてくれないか?」

 

レッド

「…はい。」

 

レッドはシルフスコープを装着すると何やらモヤモヤとしたモノが見えた

 

レッド

「ななな!何だ、これはぁぁーっ!!」

 

そのモヤはレッドの方に近づいてくる

咄嗟にレッドはバッグに入っていた物を投げつける

 

フジ老人

「待つんじゃレッド君っ、そやつは…」

 

そして、レッドが投げつけた物の中に、モンスターボールが混じっており

…偶然にもそれをGETしてしまった

 

レッド

「へ…?」

 

フジ老人

「レッド君、それは見えないゴーストタイプのポケモンを発見することのできる道具なのじゃよ。

そして、君が捕まえたポケモンは、多分ゴースじゃな。

ここらでよく、目撃されるポケモンじゃ。」

 

ボールから出してみると既にレッド達にはハッキリ見えていた

 

レッド「なぁんだ…。早く言ってくださいよぉ。

それにしても、せっかく捕まえたんだし、ゴースはとりあえず、手持ちに加えておくか。」

 

フジ老人

「うむ、せっかく来てもらったのじゃが、厄介事は済んだことじゃし、申し訳ないが家に帰ろう。」

 

3人はフジ老人の家に戻り、タマムシシティでの事を話した

一同は、2人に感謝し盛大にもてなした

だが、皆が盛り上がる中、2人には気掛かりな点が残っていた



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シオンタウン~元・ロケット団幹部フジ~

ポケモンタワーから帰還したレッド、グリーン、そしてフジ老人
レッドとグリーンはフジ老人とロケット団の会話が耳に残り、複雑な心境でいた


レッド

「あのぉ、フジさん。

俺達、ポケモンタワーでロケット団とフジさんの会話聞いちゃって…

それで…。」

 

フジ老人

「ふぉっふぉっふぉっ!

すまなかったな2人共…、だがあの会話は事実。

ワシは少し前まで、ロケット団の幹部を務めていたのじゃ。」

 

レッド&グリーン

「!!」

 

フジ老人

「ワシは、化学部に所属しててな。

日夜ポケモンの研究と実験に明け暮れていた…。

当時のワシもサカキと同じくして、ポケモンの未知なる進化について興味をもっていてのぉ。

じゃが、自分の研究が良くない方に利用されているのを知り、逃げ出してきてここへ住むことにした。

今までこの手で傷つけてしまったポケモンの為…、せめてもの償いとして、あのポケモンタワーを建設したのじゃ。」

 

グリーン

「…だが、その天才的な頭脳を欲しがった奴らが執拗にフジさんを追ってきたってことか。」

 

フジ老人

「ワシのせいで、シオンタウンの関係ない者まで捲き込んでしまった…!

それは人だけじゃなく、ポケモンにまで及んでしまったのじゃっ!!」

 

レッド

「?」

 

フジ老人

「そこにおるカラカラというポケモン。

その子の親であるガラガラは、攻めてきたロケット団を追い払おうとワシと闘ってくれたのじゃが、その時に…。

以来、その子はワシのせいで独りぼっちになってしまったのじゃ。」

 

グリーン

「……。フジさん、そんなに自分を責めないでください!

フジさんが、足を洗ってポケモンの為に尽くしてきたことは十分伝わりましたから!!

やっぱり許せない…ロケット団っ!

フジさん、そのカラカラ俺が貰い受けていいですか?

そいつと、ロケット団を倒したいんです!!」

 

レッド

「俺からも、お願いします!」

 

フジ老人

「君達なら、その子の心の傷を癒してあげれるとワシは信じておる。

その子をヨロシク頼むっ…!」

 

グリーン

「もう、独りぼっちなんかじゃないからな!

お前らも、カラカラと仲良くしてやってくれ!」

 

グリーンのポケモン達は新しい仲間に大歓迎の様子だった

 

レッド

「じゃあ、俺達はこれで失礼します!

もう、2度と負けられないんで…強くならなくちゃ!!」

 

グリーン

「レッド、俺もここからは単独行動するぜ?

ジム回ってバッジゲットしなきゃな!お前に遅れをとるわけにはいかねぇよっ!

ところで、お前次はどこに向かうんだ?」

 

レッド

「5個目のバッジ…ヤマブキシティだ!!」

 

グリーン

「じゃあ、またそこで合流しよう。

俺はタマムシシティでジム戦と…買い物もしたいからな。

お前はワタルさんの連絡先知らないから、何があっても今日から1週間はヤマブキシティを出るな!

捜しにくくなるからな…。」

 

フジ老人

「2人には迷惑をかける。

最後にレッド君…シルフスコープのお礼じゃ、このポケモンの笛を…っ!?」

 

レッド

「どうしたんです?」

 

フジ老人

「確かに大切に保管しておいたのじゃが、…っ!

もしや、あやつの仕業か!?

君にあげようとしたポケモンの笛は、カビゴンというポケモンを起こす道具なのじゃが…。」

 

グリーン

「(カビゴン…?)あ~、あのスヤスヤ気持ち良さそうに寝てるポケモンですか?」

 

フジ老人

「うむ。」

 

グリーン

「そいつなら、え~と。」

 

グリーンはマップを開き、位置を確認する

 

グリーン

「ちょうど、このシオンタウンを南に行ったところにいましたよ?」

 

フジ老人

「前からそのカビゴンを欲しいと嘆いておった君達ぐらいの年の子がいてな、ワシは危ないからと笛を渡さなかったのじゃが。

ワシがポケモンタワーにいる間に盗んでいきおった…。」

 

レッド

「許せん!そんな強そうなポケモンを独り占めするとは…!

俺、そこに行ってきます!」

 

グリーン

「じゃ、俺は先にタマムシシティに向かうぜ!?

またヤマブキシティでなっ!!」

 

フジ老人

「2人共、気をつけてなっ!」

 

こうして2人はシオンタウンを後にした

そしてレッドはゴースを

グリーンはカラカラという新たな仲間をつれ、それぞれの旅を再開した



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12番道路~新たなライバル!!~

シオンタウンを南下し、カビゴンを探すレッド
すると長い道を歩くレッドの目の前に1人の少年が立っていた


レッド

「なぁ、この辺にカビゴンっていうポケモンの目撃情報とか聞いたことないか?」

 

???

「げっ!まさかフジ爺ちゃんの遣いかっ!?」

 

レッド

「…?ってことは、まさかお前が笛盗んだっていう…」

 

???

「しょうがねぇじゃん!

だってカビゴン欲しかったんだし!!」

 

レッド

「欲し…かった。ってことは、カビゴンは?」

 

???

「へっへーん!もう捕まえちゃったもんねっ!!」

 

レッド

「こんにゃろぉ~っ、本当は俺が捕まえる予定だったんだぞ!?」

 

???

「んなの知るかよ。」

 

レッド

「その態度も腹立つなぁー、よしっ俺とポケモン勝負だ!」

 

???

「いいぜ?望むところよ!」

 

2人はとんだいざこざから戦う羽目に…

 

レッド

「そういやぁ、お前名前は?」

 

???

「紫田 蒼(あおい)。皆からはパープルって呼ばれてるよ。」

 

レッド

「俺の名前はレッド!ち・な・み・に!!

バッジは4つもってまーす!」

 

パープル

「そうかい、じゃあ尚更倒しがいがあるな。

使用ポケモンは2匹だ。」

 

レッド

「行くぜ、フシギダネ!」

 

パープル

「こっちは…フシギソウだ!」

 

レッド

「(進化形…同じ技でも威力は向こうの方が上だな。

だけど、こっちには…!)」

 

パープル

「【突進】!!」

 

レッド

「来るならこいよ?こいつなら、ここから動かないぜ?」

 

パープル

「はあ!?なめんじゃねぇぞっ!

やれっ、フシギソウ!!」

 

レッド

「【リフレクター】っ。」

 

リフレクターという壁に体をぶつけ、反動で吹き飛ぶフシギソウ

 

レッド

「続けて、【体当たり】!」

 

パープル

「【葉っぱカッター】!!」

 

しかし、フシギソウの葉っぱカッターは全て壁に弾かれる

そして、フシギダネの体当たりが決まった

 

レッド

「俺のフシギダネをなめてもらっちゃあ困るねぇ。

幾多の死線を乗り越えてきたんだ!」

 

パープル

「ちっくしょぉぉっ!!

…けどさぁ、知ってるよね?俺がゲットしてるの。

いけぇ、カビゴンっ!!」

 

巨体なカビゴンが小さなボールから出てきた

気持ち良さそうに、眠ったままで戦闘する気0の様子だった

 

レッド

「まずは様子見だ…【蔓のムチ】!」

 

パープル

「ふふっ。」

 

ムチはカビゴンの腹をボヨンボヨンと音をあげるだけで全く効いてない

 

レッド

「!?」

 

パープル

「へんっ、カビゴンはそんじょそこらのポケモンとは訳がちがうんだよ!」

 

レッド

「だったら、【毒の粉】だ!」

 

粉はカビゴンの鼻に入るが、それにムズムズしたのだろう…

大きなくしゃみをして、粉を吹き飛ばしてしまった

 

レッド

「何~っ!?」

 

パープル

「おーい、お遊びはこの辺でいいか?【頭突き】!!」

 

レッド

「大丈夫だ…【リフレクター】っ!」

 

しかしカビゴンの図体から繰り出される【頭突き】はとんでもない威力で、フシギダネのリフレクターを意図も簡単に突き破った

 

フシギダネ

「っ!」

 

フシギダネはその威力を前にして立ち上がることができない

 

レッド

「ご苦労さん、フシギダネ。

やるな!やっぱ、欲しかったぜ…!

でも済んじまったことを悔やんだって、どうなる訳でもねぇんだ。

だったら、この手で倒すまで!ニョロモ、君に決めた!」

 

大きさを比較すると天と地ほどの差があった

 

パープル

「一発で終わらせてやる、【頭突き】!」

 

レッド

「…それはどうかな?【影分身】!!」

 

ニョロモは無数に分身し、カビゴンは戸惑っている

 

レッド

「新技いくぜ、【往復ビンタ】!」

 

たくさんのニョロモがカビゴンをビンタし始めた

カビゴンはダメージを受けている…わけではないが、嫌がっている様子だった

 

パープル

「ちょ細かと鬱陶しいなぁ、何ならいっそのこと寝ちまえ!

【眠る】!」

 

カビゴンは何事もないかのように寝てしまった

 

レッド

「寝たからってどうかなるわけでもねぇだろ!?」

 

パープル

「はぁ。知らないのかよ?【眠る】は寝ている間に体力を回復する技なんだよ…!」

 

レッド

「そ、そんな。ろくにダメージを与えられてないのに…。

ここでそんな技使われたら、俺に勝機は…ない。」

 

しかし、そんなレッドの思いとは裏腹にニョロモは必死にビンタを続けている

 

レッド

「(そうだ…ニョロモの頑張りを無駄にはできねぇ。)」

 

だが、ニョロモも次第に疲れが見え始め、分身も消えてしまった

 

パープル

「チャンス!カビゴーーンっ!!起きろぉっっ!!!」

 

その声に目覚めるカビゴン

 

パープル

「俺の勝ちだ、レッド!【捨て身タックル】っ!」

 

大きな体を揺らしながら、ニョロモに迫ってくる

 

その時、ニョロモの体に変化が…

 

レッド

「進化っ…!?」

 

パープル

「気にするな、やれぇっ!!」

 

ニョロモはニョロゾへと進化を遂げた

 

レッド

「よくやった!勝ちは無理なら…引き分けだ!【催眠術】!!」

 

カビゴンは前のめりに倒れこみ、再び眠りについてしまった

 

パープル

「カビゴン!?」

 

レッド

「カビゴンの寝やすい体質が仇になったな?

…なぁ、この勝負の決着はまた今度にしないか?

俺はカビゴンが起きたら、もう一度【催眠術】をかけるつもりだ。

今のままじゃ、試合が膠着したままで長引くだけだ。」

 

パープル

「何偉そうに決めちゃってんだよ。

…まぁでも、悪かねぇ案だ。

俺もトレーナーとしての腕はまだまだだ…。

ここからの打開策なんて思いつきそうにもねぇよ。」

 

レッド

「次、戦うときはポケモンリーグでだ!

それ以前に、お前がリーグに出れるまでの実力をもってたら…の話だけどな?」

 

パープル

「なっ…!よし、決めた!俺も1からバッジ集めて、必ずお前にギャフンと言わせてやる!!

それまで、他のトレーナーに負けるなよ!」

 

レッド

「当ったり前だ!じゃあ、俺は他に用があるから…またな!」

 

パープル

「おうっ!」

 

そう言ってレッドはヤマブキシティに向かう

 

パープル

「おいっ!!」

 

レッド

「何だ?」

 

パープル

「…1つ目のジムはどこに行けばいいんだ?」

 

レッド

「はぁ…。」

 

こうして、レッドは新たなライバル、パープルと再戦を誓い合った

この先が思いやられるパープルだが、彼はこの出会い以後、トレーナーとして急成長をとけでいくのであった



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第5章 ロケット団
ヤマブキシティ~わがまま娘?~


ヤマブキシティに到着したレッド
カントー地方の最大都市であるヤマブキシティでレッドを待ち受けるのは…


レッド

「色んなとこ、見て回りたいけどなぁ。

まずはジムだな!!」

 

そんなレッドの目の前から女の子が走ってきた

彼女はレッドにおもいっきりぶつかってきたのだ

 

レッド

「わっっ!」

 

???

「痛~っ!!どこ見て歩いてんの!?」

 

レッド

「おいおいっ、ぶつかってきたのはそっちだろ?」

 

???

「あなた、田舎もん?

余所見しすぎなんじゃないの!?

これだから、のんびり屋さんは…。」

 

レッド

「こんな大都会の街中を走ってたら、そりゃぶつかるだろ?」

 

???

「あなたとダラダラ話してる暇ないの!!

早く行かなきゃ…っ!」

 

すると、彼女を追ってくる男性が

 

???

「ヤバッ!」

 

男性

「待ちなさいっ!!」

 

レッド

「?」

 

男性は彼女の手を掴む

 

???

「離してよ、パパ!」

 

レッド

「パパ?」

 

父親

「どうやら娘が迷惑かけたようだね、お詫びにお茶でもどうかな?」

 

レッドは父親の案内で家に招待された

 

レッド

「…。」

 

???

「…。」

 

父親

「…で、真以子(まいこ)、どうして家の金をくすねようとした?」

 

真以子

「どうせ、買ってくれないじゃない!!

皆持ってるのに私だけ…誕生日にも買ってくれなかった。」

 

どうやら話を聞くと、霊能力者である父親の稼ぎは少なく、家計は火の車らしい

そんな家庭の事情を子供なのでよく知らない真以子は、わがままばかり言うのだとか

 

真以子

「どうして、買ってくれないの?」

 

父親

「他所は他所、家は家!」

 

レッド

「真以子は一体そんなにしてまで、何が欲しいんだ?」

 

真以子

「…ピッピ人形。」

 

レッド

「ピッピ人形…?」

 

レッドはタマムシデパートでそれをノリで買っていたのを思い出した

 

レッド

「なぁ、それあげようか?

ずっと、バックに入ってたやつだけど。」

 

真以子

「え…?いいの!?」

 

レッド

「仕方ないなぁ、女の子の涙は見たくないからなぁ…。」

 

カッコつけるレッド

そんな台詞も聞いておらず、喜ぶ真以子

 

父親

「何かすみません、娘の為に大事なものを。」

 

レッド

「いいんですよ、俺も寂しさ紛らわせ…じゃなかった、もういらなかったんで!」

 

父親

「そうだなぁ、レッド君、君はポケモントレーナーって言ってたよね?」

 

レッド

「そうですけど…。」

 

父親

「ちょっと見せてもらっていいかな?」

 

真以子の父親はレッドのポケモンに目を通すと、ある一匹に手をかけた

 

レッド

「(…ゴース?)」

 

父親

「この子がちょうどいいっ!

私はさっきも言ったが、霊能力を得意としている。

このゴースに、特別な力を与えよう!!」

 

レッド

「特別な力…!?」

 

父親はボールに手をかざし念を送る

 

父親

「よしっ、これでオッケーだよっ!」

 

レッド

「何したんですか?」

 

真以子

「サイコキネシスという、エスパータイプの技のなかでもトップクラスの威力をもった技を覚えさせたのよ!!」

 

レッド

「こんなことまでしていただいて、本当にありがとうございます!!」

 

父親

「そんな…お礼を言うのはこちらの方だよ。ありがとう!」

 

レッド

「真以子っ、これからは親父さんの言うこと聞くんだぞ!?」

 

真以子

「はいはい!」

 

真以子の二つ返事に呆れるレッドと父親

こうして、思わぬ出会いから人助けをしたレッド

サイコキネシスを覚えたゴースの活躍にこうご期待



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ヤマブキシティ~VSエスパー少女!①~

真以子の家を後にし、ヤマブキジムに来たレッド
さて、今回のジムリーダーは…


レッド

「(聞くところによると、ヤマブキシティのジムリーダーはナツメとかいうらしいな。

なんでも、寡黙なトレーナーだとか…。)

ま、何でもいいや!倒すだけだっ!!」

 

レッドは中へ入ると、既にナツメが待ち受けていた

 

レッド

「あんたがナツメか!?」

 

ナツメ

「…そうだけど?」

 

レッド

「ジムバッジはいただくぜ!!」

 

ナツメ

「…そう。」

 

レッド

「…。何か、調子狂うなぁ。」

 

ナツメ

「使えるのは4匹だから。」

 

レッド

「分かった、じゃあ早速いくぜ!?

まずは…、ニョロゾ!」

 

ナツメ

「…ユンゲラー。」

 

レッドの見たことのないポケモンが出てきた

 

レッド

「ユンゲラー?データが無いけど、とりあえず、眠らせとくか!【催眠術】だっ! 」

 

ナツメ

「…。」

 

ユンゲラーは目を瞑ってしまった

 

レッド

「よしっ、まずは1匹目。もらったーーっ!!

【水鉄砲】!」

 

ナツメ

「…【サイケ光線】。」

 

レッド

「なっ、何っ!?」

 

ユンゲラーはカッと目を開き手から謎の光線を放ってくる

その光線は水鉄砲の勢いを殺しながらニョロゾへ向かってくる

 

ニョロゾ

「っ!」

 

ニョロゾはその光線を受けてしまった

かなりの痛手だったが、まだやれる様子だ

 

レッド

「(どういうことだ?確かに【催眠術】をくらったはずなのに…!)」

 

ナツメ

「…不思議そうな顔してるわね。

どうしてくらったのに…ってね。」

 

レッド

「お見通しでしたか。」

 

ナツメ

「先に言っとく…、私とポケモンは言葉を発せずとも、意志疎通できる…。」

 

レッド

「?」

 

ナツメ

「…つまり、心と心で会話できるの。

さっきのは、あなたを動揺させる為にわざと目を閉じるようテレパシーで伝えたの。」

 

レッド

「へぇ、そうですか!それは、凄い特技をお持ちで!?

ニョロゾっ、【白い霧】!!」

 

ナツメ

「(…これはっ!?)」

 

レッド

「俺の行動が分からなければ、心の会話も意味をなさないっ!

【往復ビンタ】!!」

 

見えない所から、ユンゲラーにビンタが襲う

 

ナツメ

「…くっ!」

 

霧も晴れてきた

ナツメはニョロゾの姿を捉えた

 

ナツメ

「…【金縛り】!」

 

ニョロゾは金縛りにあい、動けないでいる

 

ナツメ

「【サイケ光線】。」

 

ニョロゾはサイケ光線をもろに受けてしまった

 

レッド

「…勝った!」

 

倒れたニョロゾは煙とともに消えた

 

ナツメ

「【影分身】!?」

 

本物のニョロゾはユンゲラーの頭上にいた

 

レッド

「【水鉄砲】っ!」

 

ユンゲラーは避けることができず、倒れてしまった

 

ナツメ

「…戻りなさい。中々やるわね…。

次は、バリヤード。」

 

レッド

「こちらも、交代するぜ?リザード!!」

 

ナツメ

「…来なさい。」

 

レッド

「言われなくてもっ…!【火のこ】!!」

 

ナツメ

「【念力】。」

 

バリヤードの念によりリザードの火のこは操られ、逆にリザードに跳ね返っていく

 

レッド

「物理攻撃じゃないとダメってか!?

だったら、【切り裂く】っ!」

 

ナツメ

「【バリアー】。」

 

リザードは全身を壁に打ち付ける

 

ナツメ

「…どうかしました?」

 

レッド

「へっ!そんなに防御に自信があるなら、ますます崩してみたくなるぜ!

【メガトンパンチ】!!」

 

バリヤード

「…!」

 

バリヤードもかなり、苦悶の表情を浮かべる

そして、バリアーが…

 

レッド

「よしっ!」

 

バリアーを貫いて、そのまま殴りかかろうとするリザード

しかしっ!

次の瞬間、痛がっていたのはリザードの方だった

 

レッド

「どうしたっ、リザード!?」

 

ナツメ

「…【光の壁】。」

 

レッド

「二重の防御壁だと!?」

 

ナツメ

「【念力】。」

 

リザードは地面に押しつけられてしまう

 

レッド

「リザードが一発も当てられずに、終われるかぁっ!!

【睨みつける】っ!!」

 

リザードの眼光にバリヤードは怯み、壁を張るのに気を緩めてしまった

 

レッド

「お前の根性魅せてやれ!!【怒り】!!」

 

リザードの怒りの鉄槌はバリヤードの急所に当たり、戦闘不能になった

 

レッドは完全に試合の流れを掴み、快調にナツメのポケモンを倒す

だが、ナツメに一切の焦りは見られない

果たして、レッドは5個目のバッジを手に入れることができるのか



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ヤマブキシティ~VSエスパー少女!②~

ナツメとの闘いはレッドの優勢で始まる
残すナツメのポケモンは2匹、それに対してレッドは4匹を有するが…


レッド

「このままの流れでバッジはいただきだぜ!」

 

ナツメ

「3匹目はモルフォン…。」

 

レッド

「俺の3匹目は、イーブイでいく!」

 

レッドは再びポケモンを替え、イーブイを出した

 

レッド

「イーブイ、【砂かけ】だ!」

 

モルフォンは、砂をかぶってしまう

 

レッド

「いけえっ、【電光石火】!!」

 

ナツメ

「(…中々速い。)」

 

モルフォンは立て続けにイーブイの攻撃をくらってしまう

 

レッド

「どうしたんだ?反撃してこなきゃ、戦いがつまらないぞ!?」

 

ナツメ

「…つまらなくてもいい。

なぜなら、これも計算の内だから。…【痺れ粉】。」

 

空気中に粉が撒かれる

 

レッド

「痺れ粉!?くそっ、イーブイ、粉の届かない場所に避難しろ!」

 

ナツメ

「…そんな場所なんてない。」

 

ナツメの言う通り、粉はジム中に広がり逃げる場所は無かった

イーブイは粉を吸ってしまい、麻痺してしまう

 

ナツメ

「…今よ、【吸血】。」

 

モルフォンは受けたダメージをイーブイから吸いとり、回復している

身動きとれないイーブイは、徐々にダウンしていく

 

レッド

「イーブイ!!」

 

ナツメ

「ふっ…、【サイケ光線】。」

 

イーブイは光線で貫かれ、戦闘不能

 

レッド

「すまなかったな、イーブイ。

(たしかモルフォンは毒タイプであると同時に、虫タイプももっている。なら…)

頼んだぞ、リザードっ!」

 

ナツメ

「…【毒の粉】。」

 

レッド

「(…来たか!あの撒き散らす羽さえ何とかすれば!)

リザード、走れ!!とにかく、モルフォンに向かって全力で走るんだ!!」

 

ナツメ

「(何のつもり?)…粉を飛ばしなさい。」

 

モルフォンは羽を羽ばたかせ始める

 

レッド

「一気に間を詰めて羽をもぎ取れ、【居合い斬り】!!」

 

羽を攻撃されたことにより、モルフォンは上手く飛べない

…が、タイミング悪く毒の粉を至近距離で吸ってしまい、リザードの体力が削られていく

 

レッド

「気力振り絞れっっ!【火のこ】!!」

 

モルフォンに効果抜群のダメージを与えたことで、モルフォンは起き上がれなかった

 

レッド

「…後、1匹!」

 

ナツメ「あなたの威勢…口先だけじゃないみたいね。

それじゃあ、私のラスト…フーディン!」

 

ボールから出てきたのは、スプーンを2本持つ、いかにも強そうなポケモンだった

 

レッド

「(リザードは毒状態…、戦いを長引かせる訳にはいかないっ!!)

【メガトンパンチ】っ!!」

 

ナツメ

「…この子に真っ向から挑んでくるとは、度胸あるわね。」

 

ナツメは目を閉じ、フーディンも目を閉じる

 

レッド

「頼む、当たれぇぇーっ!」

 

フーディンの体にメガトンパンチが当たる、後数センチ…

すぐそこだった…

フーディンの周りには【リフレクター】が発動され、リザードの攻撃を寸前でガードしていた

よろめくリザード

 

ナツメ

「…あなたのリザード、敵ながら天晴れだったわ?

【サイコウェーブ】。」

 

見えない波動によりジムの壁にめり込むリザード

 

レッド

「…リザード!!よく、頑張ってくれたな。

さすが俺の相棒だぜ。」

 

ナツメ

「…さぁ、次出してきなさい?」

 

レッド

「(誰でいく…?手持ちは、ダメージを負ったニョロゾ、フシギダネ、ピジョン、そしてゴース。

使えるのは、ニョロゾ含め後2匹か。

この中だと、レベルの最も高いピジョンが一番可能性があるが…リザードでも敵わないとなると、ここは…。)

ゴース、お前の力見せてくれっ!」

 

レッドはポケモン図鑑でゴースの技を確認する

 

レッド

「へっ、ゴーストタイプのポケモンってのは、訳わからねぇ技ばっかりだ!【ナイトヘッド】!」

 

ナツメ

「…?」

 

レッド

「ん?」

 

これといって、場に変化はなく、ゴースが技を出したのかすら分からなかった

 

ナツメ

「…驚いたわ、まだ言うことも聞かないなんて。

フーディン、【サイケ光線】。」

 

フーディン

「…。」

 

フーディンは直立不動で、突っ立っているだけだった

 

ナツメ

「どうしたの、フーディン?」

 

レッド

「これは…!チャンスだ、【舌で舐める】っ!!」

 

ナツメ

「…避けるのよっ、フーディン!」

 

しかし、ナツメの命令は届かず、依然として動こうとしないフーディン

ゴースの【舌で舐める】はフーディンに効果抜群だ

そう、フーディンは【ナイトヘッド】で幻覚を見せられ、悪夢の中でさ迷っていた

 

ナツメ

「…起きなさい、フーディン、フーディンっ!!」

 

ナツメの必死の掛け声により、ようやく目を覚ますフーディン

 

ナツメ

「…よくやったわ、【サイコウェーブ】。」

 

レッド

「酷だけど、フーディンには混乱してもらうぜっ!

ゴース、【怪しい光】!」

 

【怪しい光】を受けたフーディン

フーディンの目にはゴースではなく、自分自身が映りこむという混乱に陥り訳もわからず、自分を攻撃してしまう

 

ナツメ

「(…やられた!)

けど、ジムリーダーとして最後の足掻きをさせてもらうわ。」

 

そう言うとナツメは"何でも治し"を使い、フーディンの混乱を治す

 

レッド

「!!」

 

ナツメ

「終わりよ、【サイコウェーブ】!」

 

レッド

「俺だって、こいつらと強くなるんだ!

サカキを倒すと決めたのに、ここで負ける訳にはいかないっっ!!

ゴース、魅せてやれ!【サイコキネシス】っ!!!」

 

サイコウェーブはサイコキネシスに呑み込まれ、フーディンの放った全ての波動がサイコキネシスに上乗せされ、フーディンに跳ね返る

 

ナツメ

「【サイコキネシス】を覚えたポケモンにやられるなんて…エスパー使いとして情けないわね…。」

 

フーディンには効果いまひとつのエスパータイプの技だったが、【サイコキネシス】…その威力は計り知れないものであった

こうして見事勝利したレッド

 

ナツメ

「…やるわね。最後、エスパー技をエスパー技で返すなんて、あなた戦いのセンスあるわ。」

 

レッド

「本当ですかっ!?」

 

ナツメ

「…ええ。ジム制覇、応援してるわ。

これが、ゴールドバッジ。」

 

レッド

「よっしゃあ!これで残すは後3つ!!

ゴース…、今回はお前のお手柄だ!

これからも、ヨロシクなっ!?」

 

ゴース

「!」

 

ゴースは不気味に笑っていた

 

ゴースの意外な力により、ナツメを下したレッド

上機嫌のレッドだったが、何やら外が騒がしい

ジムを出ると、そこには今まで見たことのない程の数の巡査が街中に集まり、ただ事ではない様子だった

かつてない事件発生か…!?



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Another Story 7 ~同じ夢をもつ者…!~

レッドとナツメが戦っていた、ちょうどその頃
時を同じくして、グリーンはタマムシジムを破りヤマブキシティを訪れていた


グリーン

「やっぱ、大都会だなぁ。

あれが、大企業シルフカンパニーか!!」

 

グリーンは街中を観光しながら歩いていた

すると、ジムと同じ看板をつけた建物を見つける

 

グリーン

「格闘道場…挑戦者募集中?」

 

グリーンは気になり、中へ入る

そこは男の汗臭さと熱気に包まれていた

 

門下生

「押忍っ!!この道場に、どのようなご用件で!?」

 

グリーン

「あ、あの~、建物の前にあった看板に挑戦者募集中とあったので…。」

 

門下生

「左様でしたか!少々お待ちください!!」

 

門下生は一番奥に正座していた人を連れてきた

 

門下生

「師範代、この方が挑戦すると申しております!」

 

グリーン

「挑戦しにあがりました、グリーンと言います。

よろしくお願いします!!」

 

???

「儂はこの道場の師範代、空手王の猛範(たけのり)と申す!

久しぶりの客人だ…ゆっくり話でもしたい所だが、折角挑戦しに来てくれたんだ、会話は拳を交えてするとしよう!!」

 

グリーン

「是非とも!」

 

門下生

「では、ただ今より師範代猛範とグリーンさんによるポケモンバトルを始めたいと思います!

使用可能ポケモンは2匹まで。では、始めっ!!」

 

グリーン

「いけ、ゴルバット!」

 

猛範

「儂はサワムラーでいくとしよう。」

 

門下生達

「師範代がサワムラーを出したってことは…本気だっ!!」

 

猛範

「ゆくぞっ!!【蹴たぐり】っ!」

 

グリーン

「避わして、【翼で打つ】!」

 

サワムラーの蹴りは外されゴルバットの技は決まった

 

猛範

「うむ…【ヨガのポーズ】じゃ!!」

 

サワムラーを摩訶不思議なポーズをとり、精神統一をしている

 

グリーン

「?」

 

猛範

「どこからでもかかってきなさい。」

 

グリーン

「っ!ゴルバット、もう一回【翼で打つ】だ!!」

 

ゴルバットはサワムラー目掛けて突っ込む

しかし、サワムラーの体はグニャッと曲がりゴルバットの攻撃を難なく避わした

 

グリーン

「何だ今のはっ!?」

 

猛範

「今のサワムラーは、あらゆる関節を外したことで身体を自由自在に曲げることができるのだ。」

 

グリーン

「だったら…【嫌な音】だ!」

 

猛範

「させまいっ!!【回し蹴り】!」

 

サワムラーは高く跳ね上がり、伸び縮みする足で空中のゴルバットを地面に叩き落とした

 

グリーン

「しまったっ!!」

 

猛範

「【メガトンキック】で終わりにしよう!」

 

グリーン「おおぉっっ!!【翼で打つ】で迎え撃てっ!!」

 

両者、渾身の一撃がぶつかる

 

猛範

「最後に蹴りを翼でいなされたか…。

ゴルバットの急所を狙ったのだが。

よくやったぞ、サワムラー!」

 

ぶつかり合いの行方は…引き分けに終わった

 

グリーン

「(ふぅ。さすが道場を構えてるだけあって一筋縄ではいかないなぁ。

相性のいいゴルバットで引き分けか…!)

流石ですね!まるでジムリーダーと闘ってるみたいです!!」

 

門下生達

「…っ!!」

 

猛範

「ジムリーダー…か。

実を言うと、儂はこのヤマブキシティのジムリーダーの座をかけて、現ジムリーダーのナツメと戦って、敗北した身だ。

彼女のエスパータイプのポケモンに手が出なかったのだ…。」

 

グリーン

「すす、すみません!過去の事思い出させてしまって!」

 

猛範

「なぁに、君が謝ることじゃない。

ただ、悔しくてのぉ。儂の夢はジムリーダーになることだったから…。

悔し紛れにこの道場を建てて、ジムまがいな事をやっとるのだよ!」

 

グリーン

「(ジムリーダーになる夢…。)」

 

猛範

「まだ、ジムリーダーになる夢を捨てきれないでいる儂にとって、挑戦してくれる者に対して不様な戦いはできないのだ!

"堅忍不抜"、この言葉を座右の銘として今までやってきた!!」

 

グリーン

「俺の夢も猛範さんと同じでジムリーダーになる事です!

だから…俺もその言葉を座右の銘にしてもいいでしょうか?」

 

猛範

「この言葉を背負うには、まだまだ若い…!

ジムリーダーを目指すには長く、つらい道のりがあるのだ!」

 

グリーン

「!」

 

グリーンの真剣な眼差しに猛範も黙る

 

猛範

「(本気なんだな…。)

ふんっ!それならば、まずは目の前のこの儂を倒してみせよ!!

いけいっ、エビワラー!」

 

グリーン

「いくぞっ、カラカラ!

まずは攻撃力を下げさせてもらいます!【鳴き声】っ!」

 

猛範

「これしき!【炎のパンチ】!!」

 

エビワラーの拳が発火する

 

グリーン

「おいおい…拳が燃えるなんて、ありか!?

カラカラっ、避けろ!」

 

カラカラはエビワラーのパンチを避ける

 

猛範

「甘いっ!」

 

エビワラーのもう片方の拳がカラカラに迫り、カラカラはパンチを受けてしまった

 

グリーン

「大丈夫か、カラカラ!?」

 

カラカラ

「!!」

 

猛範

「そうでなくてはなっ…、【メガトンパンチ】!」

 

グリーン

「どこを狙ってくるのか、よく見ろ!!」

 

猛範

「そんな暇は与えんぞ!?【高速移動】だっ!」

 

エビワラーのスピードが急に速くなり、動きが読みづらい

 

グリーン

「くっ…!」

 

猛範

「やれいっっ!!」

 

グリーンはカラカラ以上に目を凝らし、エビワラーがパンチを打つ瞬間、その軌道を捉えることができた

 

グリーン

「上段来るぞ!カラカラっ、体勢を低くしてエビワラーの腹目掛けて【頭突き】をかませっ!!」

 

グリーンの読み通り、エビワラーのパンチはカラカラの頭を狙ったものであり、それを避わしたカラカラの【頭突き】がクリーンヒットする

 

エビワラー

「~っ!」

 

エビワラーはカラカラの堅い頭での攻撃に腹を抱え痛がっている

 

猛範

「勿論まだやれるな、エビワラー?」

 

猛範の言葉に反応し、起き上がるエビワラー

 

グリーン

「やるな…。」

 

グリーンと猛範

同じ夢を抱く2人の決闘は、壮絶なものとなる

プライドをかけ、猛攻をしかける猛範に必死にくらいついていくグリーン

そんな戦いも決着がつこうとしている



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Another Story 8 ~緊急事態発生!!~

ヤマブキシティの格闘道場に挑戦中のグリーン
エビワラーの攻撃に苦戦するカラカラ
そんな中、グリーンが…


猛範

「(さっきのエビワラーの【メガトンパンチ】…。

【高速移動】で確実に動きは読めなかったはずだが。

あやつの指示はまるで、どこを狙ってくるか知ってたような。)

次で決めるとしよう!」

 

グリーン

「(一発一発の攻撃なら、何とかエビワラーのパンチが見えるっ!

だったら、カウンターを狙うだけだ!!)

来いっ!」

 

猛範

「【連続パンチ】!!」

 

グリーン

「何だと!?」

 

エビワラーのラッシュがカラカラに次々と当たる

 

猛範

「さぁ、どう対処する?」

 

グリーン

「(どうすればいい…。

威力は低そうだが、こうも袋叩きにされるとっ…!)

カラカラ、よくパンチを見るんだ!

必ず隙があるはずだ!!」

 

しかし、既に攻撃の流れをつかんだエビワラーを止めることができなかった

 

グリーン

「くそぉっ!」

 

猛範

「(ここまでかな…?)」

 

グリーンはエビワラーの【連続パンチ】を見ていることしかできなかった

…が!

それがグリーンの才能を発揮させた!

 

グリーン

「(待てよ!?エビワラーのあの【連続パンチ】…、攻撃に癖というか、リズム性がある!!

…右、右、右、左。…右、右、右、左。

やっぱりな!)

カラカラ、次は右から来るぞ!?左に避けろ!」

 

カラカラ

「!」

 

カラカラは、見事エビワラーのパンチを避わす

 

猛範

「むっ!?」

 

そしてグリーンの指示の下、カラカラは全てのパンチを避け続ける

 

グリーン

「よし、そこだっ!!

右に避わして、【骨棍棒】だ!!」

 

カラカラは持ってた骨を下から上に振り上げ、エビワラーの顎を打ちぬいた

 

エビワラー

「…!!」

 

エビワラーは脳が揺れ、再起不能に

 

門下生

「そこまで!エビワラーの戦闘不能により、勝者グリーン!!」

 

グリーン

「どうだ!」

 

猛範

「最後のエビワラーの攻撃、君には見えたのか?」

 

グリーン

「あ…はい。パンチにリズムがあるのに気づいて。」

 

猛範

「やはりな…。【メガトンパンチ】を避けられた時から薄々思っていたが、君は優秀な洞察力を兼ね備えているようだ。」

 

グリーン

「洞察力?」

 

猛範

「つまりは、相手の動きを読むのが得意と言った方が分かりやすいかな…。」

 

グリーン

「そうだったのか。俺は無意識の内に…。」

 

猛範

「その力をポケモンバトルに活かして、困難な戦いも有利な展開に運びなさい。

そして、いつの日か…。

よし、…おい!」

 

猛範は門下生に何かを告げると、その門下生は2つのモンスターボールを持ってきた

 

猛範

「君は儂に勝利した!

挑戦者が勝って褒美なしとはつまらないからの。

このボールには、儂も育てておるサワムラーとエビワラーが入っておる!

どちらか、好きな方を選び連れていくといい。」

 

グリーン

「本当ですか!?

だったら…俺はサワムラーをいただきます!!」

 

猛範

「ジムリーダーの夢、決して諦めるでないぞ!」

 

グリーン

「はいっ!!」

 

そこへ、門下生の1人が慌てて道場に入ってくる

 

門下生

「師範代っ、大変です!ヤマブキシティが…!!」

 

猛範

「何事だ!?」

 

グリーン

「…?」

 

すると、グリーンの携帯に1本の電話が入る

ワタルからだ

 

グリーン

「ワタルさん!?」

 

ワタル

「グリーン君、落ち着いて聞いてくれ。

たった今、ヤマブキシティのシルフカンパニーが、ロケット団によって占拠された!」

 

グリーン

「シルフカンパニーがっ!?」

 

ワタル

「人質をとっているらしい…。

最悪の事態だ、僕も今から向かう!!

君は、レッド君と共に、シルフカンパニーの前に来てくれ!

15分後にそこで落ち合おう!」

 

グリーン

「了解です!」

 

猛範

「何か分かったか?」

 

グリーン

「シルフカンパニーがロケット団に占拠されました。」

 

猛範「シルフカンパニーがっ!?

して…ロケット団とは?」

 

グリーン

「強いポケモンや、珍しいポケモンを奪ったりして悪事を働く連中です!

俺はこいつらを追ってたんです!!

まさか、ヤマブキシティを襲撃するとは…、じゃあ、俺は急ぎなんで行きます!」

 

猛範

「…待ちなさいっ!!

儂も連れてってくれないか?」

 

グリーン

「えっ…!?」

 

猛範

「故郷の街が危機にある中、ビクビクしておれん!

力になりたいんじゃ!!」

 

グリーン

「はは。勿論ですよ!

では、行きましょう!

その前に…もう1人連れてく奴がいるんで、そいつを探しに…」

 

とそこへ、また携帯が鳴り響く

 

グリーン

「俺だ。…レッド!?」

 

どうやら、レッドはこの状況を理解できず、ポケモンセンターの電話からグリーンに連絡したとのこと

 

レッド

「マジかよ!?」

 

グリーン

「じゃあ、俺もポケモンセンターに向かうから、お前はそこを動かず準備しとけ!!」

 

レッド

「おうっ!!」

 

グリーンと猛範はポケモンセンターに急ぐ

ついにロケット団との最終決戦が幕をあけようとしている



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ヤマブキシティ~5人の猛者~

ヤマブキシティに警戒網が敷かれた
シルフカンパニーがロケット団に乗っ取られたとの情報をワタルから聞いたグリーンは、猛範と共にレッドのもとに向かった


ポケモンセンターに到着する2人

 

グリーン

「レッド、いるかっ!?」

 

レッド

「こっち、こっちぃ~!」

 

グリーン

「お前、こんな事態なのによくそんな軽いノリでいられるなぁ。」

 

レッド

「…ん?そっちのおじさんは?」

 

グリーン

「この人は猛範さん、貴重な戦力の1人だ!」

 

猛範

「空手王の猛範と申す。このヤマブキシティの危機を救うため、共に戦わせていただきたい!!」

 

レッド

「俺はレッド!ヨロシクっす!!」

 

グリーン

「早速だが、時間がない…。

俺と猛範さんはポケモンを回復次第、向かうから先にシルフカンパニーに行っててくれっ!

多分、ワタルさんが待ってるっ…。」

 

レッド

「よし、分かった!!」

 

こうして2人は傷ついたポケモンを回復してもらう

その間、レッドはシルフカンパニーに向かう

そこには、既にワタルが到着していた

 

ワタル

「レッド君っ!!」

 

レッド

「ワタルさん!」

 

レッドはグリーンと猛範の事を話す

 

ワタル

「そうか、ヤマブキの猛範と言えば、噂には聴いたことがある…。

確か、ジムリーダー就任を賭けた闘いでナツメ君に負けたとか。」

 

レッド

「じゃあ、ナツメさんと同じくらいの強さがあるんですね!

頼もしいぜ~!!」

 

そんな話をしていると、グリーン達も到着した

 

グリーン

「お待たせしました!」

 

猛範

「おぉ、これはこれはカントー地方四天王の1人にして、カントーで最も強いとされるワタル殿!

この度は微力ながら、どうか戦力に加えていただきたいっ!!」

 

ワタル

「ありがとうございます!!

共にロケット団を倒しましょうっ!!

…じゃあ、皆準備はいいね!?乗り込むよっ!!」

 

レッド&グリーン&猛範

「おうっ!!」

 

ワタルを筆頭にシルフカンパニーに乗り込もうとする3人

それを巡査達がひき止める

 

巡査

「これより先は危険です、中には人質もいるのですよ!?

たった4人で何ができるというのですっ!?」

 

ワタル

「安心してください…僕も含め、ここにいる3人は屈強なポケモントレーナー。

ロケット団を壊滅するために来たんですから…!」

 

巡査

「…!」

 

シルフカンパニー周辺に集まった野次や住民からも、惜しみない声援がかけられる

 

住民

「ヤマブキシティの未来を頼んだぞーっ!」

 

住民

「やっちまえ~っ!」

 

住民

「お前達、気をつけていけよー!!」

 

ワタル

「ねっ?」

 

巡査

「…では、任せました。どうか、ご無事で!!」

 

ワタル達は中へ入る為、扉を強行突破する

そんな姿を見ていた1人が、後から入っていく

 

巡査

「…あなたは!!」

 

ワタル達は次から次へと、ロケット団を圧倒しながら階段を駆け上がる

しかし、ロケット団もほぼ全勢力といえるからか、 数に限りがない

 

レッド

「なんて数だよ!」

 

グリーン

「下からもまだ、湧いて出てくるぞ!」

 

ワタル

「(かなり多いな…。ここでポケモン達の体力を消耗させたくないが…!)」

 

猛範

「お前達、先に行けっ!ここは儂が残るっ!!

この数を相手にしてたら、最上階までもたないんじゃないか!?

なぁに、こいつら雑魚は儂1人で十分だ!」

 

ワタル

「無茶だ!いくら猛範さんと言えど、この数相手に1人じゃ…っ!」

 

???

「…だったら、私も共に戦う。」

 

レッド

「この声はっ!」

 

下の階から昇ってきたのは、なんとナツメであった

 

猛範

「ナツメ、お主どうしてここに!?」

 

ナツメ

「…私達のヤマブキシティでしょ?

こんな連中に好き勝手させる訳にはいかない。」

 

ワタル

「ジムリーダー直々に出向いてくれるとは…!

2人だったら…任せてもいいかな?」

 

猛範

「ふんっ、1人でもよかったが…2人なら、こんな奴ら朝飯前よ!!」

 

ナツメ

「…もう、昼過ぎだけど。」

 

猛範

「エビワラー!【炎のパンチ】っ!!」

 

ナツメ

「フーディン、【サイコウェーブ】。」

 

ロケット団

「何だ、こいつら強すぎる~!!」

 

ワタル

「2人が足止めしてくれてる内に、サカキのとこまで急ぐよ!!」

 

レッド&グリーン

「はいっ!」

 

3人はなんとか9階まで到達した

そこには人質の姿が…

待ち構えていたのは、ロケット団の幹部3人だった



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シルフカンパニー~レッドとウプシロン~

ロケット団との全面対決が始まった
ナツメと猛範という最強の助っ人により、先を急ぐレッド、グリーン、ワタル
9階まで辿り着いたが、そこには大勢の人質が残っていた


ロケット団幹部(1)

「ほぉ、よくここまで来れたな。」

 

ロケット団幹部(2)

「だが残念!!これより先には進めない!」

 

レッド

「うるせぇーっ!そこをどけっ!!」

 

ズカズカと階段目指すレッド

 

ロケット団幹部(3)

「おい、ガキっ!下手に動くなよ!?

こいつら人質がどうなっても知らんぞ?」

 

ワタル

「待つんだ、レッド君!!

…彼らの言い分を聞こう、それからだ。」

 

ロケット団幹部(3)

「よく分かってるじゃねぇか、さすがは四天王だぜ。」

 

ロケット団幹部(1)

「ここからはレッドとグリーン、2人だけで行ってもらう。」

 

レッド&グリーン

「!?」

 

ロケット団幹部(2)

「ボスの命令でな。ま、従わなかったら…分かってるよな?スピアー!!」

 

人質にスピアーの針が向く

 

ワタル

「やめるんだ!…その条件のもう!」

 

グリーン

「ワタルさんっ、俺達だけじゃあ到底サカキには…」

 

ワタル

「あの日から何もしてこなかった訳じゃないだろう?

君達はサカキに勝つため、特訓してきた!そうじゃないのか?」

 

レッド

「そうだぜ、グリーン!!

それとも、お前はただ街でブラブラと散歩でもしてただけか?」

 

グリーン

「…。」

 

レッド

「行くぞ、グリーンっ!!」

 

グリーン

「分かった!やるからには、絶対に勝ってきます!!

ワタルさん、ここはお願いします!!」

 

ワタル

「任せて!僕もここを片づけたら後を追うよ!!」

 

2人はロケット団幹部3人の間を抜けて階段を上っていった

 

ロケット団幹部(3)

「さぁさぁ、ワタルっ!ここを片づけたら…って言ったよなぁ?

俺達だって幹部だからよぉ、簡単には行かせねぇぞ!?」

 

ワタル「サカキは臆病なのかな?

僕を敢えて遠ざけるよう仕向けるなんて…ね。」

 

ロケット団幹部(2)

「あの方は臆病などではない、賢い方なのだよ。

面倒な奴と正面からぶつかるのは利口じゃないからな…ロケット団のやり方で足止めする、それだけのことよ。

例えそれが、人質を使ってもなっ!!

スピアー、【毒針】!」

 

毒針が人質に飛んでいく

 

ワタル

「人質を攻撃するなんて、やり方が汚すぎるね!

カイリュー出番だよ…【バリアー】っ!!」

 

カイリューの特殊な盾で毒針を防いだ

 

ロケット団幹部(1)

「出たな、カイリューっ!!

お前を倒してついでにそのカイリューも頂戴させてもらうぜ!

マタドガス!!」

 

ロケット団幹部(3)

「レアコイル!!」

 

ワタル

「(はぁ、虚勢を張ってはみたものの、この状況…。

取り残された人達をバックに、うまく戦えるかどうか…。

それに3対1だ、こりゃあ久しぶりに全力出すしかないね

!!)

カイリュー、【破壊光線】!!!」

 

…一方で次のフロアに着いたレッドとグリーン

そこには1人のロケット団員が待ち構えていた

 

レッド

「ん?あいつはどこかで…。」

 

ウプシロン

「よぉ、いつぶりだ、レッド?」

 

レッド

「お前はっ、ハナダシティで俺達と戦った…!」

 

ウプシロン

「覚えててくれて嬉しいよ。

ははっ、ついでに教えといてやるがディグダの穴でお前を導いてた男…あれは俺だ。」

 

レッド

「何っ!」

 

ウプシロン

「あれは、お前をタマムシシティから遠ざける作戦だったからなぁ。

とまぁそんな昔話、今はどうだっていい…俺はお前を潰したくて仕方ないんだよ!!

散々、ハナダでこけにされた分、今ここでまとめて返してやる!」

 

レッド

「そうかい、売られた喧嘩は買うまでだ!

グリーン、お前はどうする?」

 

グリーン

「いや、俺はここで待つけど…?」

 

ウプシロン

「いいのか?俺はこんな最高な舞台用意してくれて満足だが、サカキ様は俺以上にお前達を期待して待ってるぜ!?

一刻も早く成長したであろうお前達と戦いたくてウズウズしてる所さ。」

 

レッド

「グリーン、こいつの挑発なんか真に受けるな!」

 

グリーン

「いや…レッド、行かしてくれないか?

さっきワタルさんも言ってたが、俺はサカキに負けたあの日から今日まで必死に修行してきた!

何でポケモンを道具のように使うやつに負けなきゃいけないんだっ…てな。

それに、猛範さんにも誓った…ジムリーダーになるって夢を!!

だからっ!!俺は1人だろうとサカキと戦って、倒す!

そしてカントー地方に俺の名前を轟かせる!!」

 

レッド

「グリーン…。

分かった、ここは俺に任せろ!だからお前は…必ず倒してこい!!」

 

グリーン

「ああっ!!」

 

グリーンは1人、サカキのいるフロアに向かった

 

ウプシロン

「止めなくてよかったのか?あのグリーンとかいうやつはサカキ様の前では紙屑同然よ。」

 

レッド

「そんなの、やってみなきゃわからねぇだろ!

それに…、なんなら俺がお前をササッと倒して加勢しにいくから問題はねえよ。」

 

ウプシロン

「そうかい、だったら実現してみろ!

そういやぁ、名乗ってなかったな…俺の名はウプシロン!ロケット団幹部の1人だっ!!」

 

積年の恨みを晴らすべく、レッドとの1対1の勝負に挑むウプシロン

シルフカンパニーは激戦の地と化した



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シルフカンパニー~賭けるぜ!~

ロケット団幹部、ウプシロンと対峙することになったレッド
しかし、相手はレッドに深い因縁があるようで…


ウプシロンはグリーンが部屋から出たのを確認すると、扉を閉め鍵をする

 

ウプシロン

「戦う前に、1つ面白い賭けをしないか?」

 

レッド

「賭け?」

 

ウプシロン

「お前は、グリーンを追いかけたい…が扉には鍵がかかっている。

俺はお前を還付なきまでに倒し、ポケモンをいただくことで、絶望を味わらせてやりたい…。

互いに戦う動機があるって訳だ。

そこでだっ!お互いのそれを賭けようじゃないか!!

俺が負けたら扉の鍵を。お前が負けたら持ってるポケモンを…相手に渡すというのは!」

 

レッド

「お前には、なんだかなぁ…負ける気がしねぇ!上等だよ!」

 

ウプシロンはニッと笑う

 

ウプシロン

「勝負は3匹のポケモン以外使用禁止だ。

決めたポケモン以外のモンスターボールをそこの装置の中に入れろ。」

 

レッド

「へぇー、お前らロケット団が数指定の正当な勝負をするとはなぁ。」

 

そういってレッドは6個のボールの内の3個を装置に入れる

すると、装置が作動しロックがかかる

ウプシロンも同様に鍵を入れる

 

装置

「認証完了シマシタ」

 

ウプシロン

「さぁ、これで勝ったやつだけが両方手に入れれるって訳だ!!

…準備は整った、いくぞ!!ダグトリオ!」

 

レッド

「ディグダが3匹!?」

 

ウプシロン

「こいつは、ディグダの穴で捕まえた、ディグダの進化形だ!

見つけるのも困難な珍しいポケモンなんだよっ!」

 

レッド

「ほぉ~、じゃっ俺んとこはフシギダネ、お前だ!!」

 

ウプシロン

「【岩雪崩】っ!!」

 

ダグトリオが岩の雨を降らしてくる

 

レッド

「【リフレクター】でガードしろ。」

 

ドドドドドッッ!と部屋一面に岩が落ち、シルフカンパニーが揺れる

部屋が滅茶苦茶になるそんな中、フシギダネの周りだけは無傷だった

 

ウプシロン

「ふん。だったら、これはどうだ?【影分身】。」

 

ダグトリオは多数の分身を生み出し、フシギダネを惑わせる

 

レッド

「…!!」

 

ウプシロン

「【切り裂く】でたたんじまえっ!!」

 

分身含め、ダグトリオが一斉に飛びかかってくる

 

レッド

「フシギダネ!避けつつ【蔓のムチ】で数を減らしてくんだ!」

 

フシギダネの軽い身のこなしで1体…1体と攻撃を上手に避わしながら確実に分身体を消していく

 

フシギダネ

「…っ!」

 

かなり苦戦するフシギダネだったが、全ての分身体を倒した

しかし、肝心の本体が見つからない

 

レッド

「何…!?本体が…いない!?」

 

ウプシロン

「下だよおおぉっ!【穴を掘る】っ!!」

 

レッド

「…なぁんてな?だと思ったぜ!」

 

ウプシロン

「なっ!」

 

レッド

「【宿り木の種】!!」

 

フシギダネはダグトリオの奇襲を回避し、種を植えつけた

 

ウプシロン

「くそおっ!もう一度、【影分身】だ!」

 

レッド

「その手はもう効かないぜ!?なぜなら…本体には種を植えつけてある!

フシギダネ、そいつに向かって【葉っぱカッター】!!」

 

ダグトリオ

「!!」

 

見抜かれたダグトリオは効果抜群で倒れる

 

ウプシロン

「やるじゃねぇかよ。2匹目は、ゴーリキーお前だ!」

 

かつてレッドが戦ったワンリキーが進化した姿だ

 

ウプシロン

「お前を倒すために、ワンリキーと共に幾人ものトレーナーを倒してきたさっ!

どいつもこいつも手応えのねぇ奴ばかりだったがなぁっ!!」

 

レッド

「…。」

 

ウプシロン

「その鍛え上げて強くなったこいつで、蹴散らしてやるよ!【怪力】!!」

 

レッド

「【葉っぱカッター】で迎え撃て!」

 

ゴーリキーは【葉っぱカッター】を受けるも、その強靭な肉体にはダメージが少ないようで、怯まず攻撃してくる

 

レッド

「なんてがたいしてるんだよっ…!

なら、【蔓のムチ】で拘束するんだ!!」

 

ウプシロン

「そんなひ弱な力じゃあ、俺のゴーリキーは倒せんぞ!!」

 

ウプシロンの言葉通り、ゴーリキーは【怪力】でムチを弾いた

 

ウプシロン

「やれぇっ!【メガトンパンチ】!!」

 

レッド

「間に合え、【リフレクター】っ!」

 

強烈な矛と鉄壁の盾

敗れるのはどちらか一方…

レッドとウプシロンの戦いはヒートアップしていく



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シルフカンパニー~雷鳴!!~

ゴーリキーの【メガトンパンチ】を【リフレクター】で防御するフシギダネ
果たして軍配が挙がるのはどちらか…!?


ゴーリキー

「!!」

 

フシギダネ

「っ!!」

 

フシギダネは【リフレクター】にヒビが入るも、守りきった

 

レッド

「よしっ!!」

 

ウプシロン

「まだ、終わってねぇぞ!?

ゴーリキー、もう一発【メガトンパンチ】だ!」

 

レッド

「そんな!?フシギダネ、もう一度【リフレクター】を張り直せ!」

 

ウプシロン

「言ったろ?こっちがどんな思いで、これまで過ごしてきたか。

半端な覚悟でやってねぇんだ…よぉっ!」

 

【リフレクター】は完全に破られ、ゴーリキーのパンチがフシギダネを吹き飛ばす

 

レッド

「やりやがるぜ。ありがとう、フシギダネ…。

次は、こいつだ!」

 

レッドはイーブイを繰り出した

 

ウプシロン

「イーブイか…、また珍しいポケモンをお前は。

戻れ、ゴーリキー!

お前の相手はこいつでどうだ!?」

 

ウプシロンの3匹目はアーボックだった

 

レッド

「いくぞ、【電光石火】!」

 

ウプシロン

「【毒針】だ!」

 

【毒針】を飛ばしてくるが、イーブイの速さの前にあっさりと避けられてしまう

 

ウプシロン

「(あの速さ…。)【嫌な音】!!」

 

部屋中にアーボックの粘っこい声が響き、レッドとイーブイは耳を塞いだ

 

ウプシロン

「速いといっても、動きが止まれば怖くねぇさ。

【巻きつく】!!」

 

イーブイはアーボックに巻きつかれ、締められてしまった

 

レッド

「放しやがれ!【噛みつく】!」

 

チクリと痛みが走り、アーボックは咄嗟に力を緩めてしまった

その隙に逃れるイーブイ

 

レッド

「(確かに、ウプシロンが言った通りだ…。

速いだけじゃあ、アーボックの【嫌な音】をくらったら、それまでだ。

かといって、今のイーブイの攻撃力じゃ、ダメージを与えられない。

特殊系の技さえあれば…っ!)」

 

ウプシロン

「ハハハっ!お手上げか!?」

 

レッド

「(こうなったら…!

もう、ここでやるしかないっ!!)」

 

レッドはバッグの中から何かを取り出す

 

~回想~

 

タマムシジムでエリカを倒した後…

 

レッド

「フシギダネが、そんの事態に陥ってたなんて…。

くそっ、そんな重大な事、トレーナーの俺が気づいてやれなかった…!」

 

途方に暮れるレッドはベンチに腰かける

 

レッド

「ふぅ~。…となると、これからの戦い、実質フシギダネを除いて手持ちには、リザード、ピジョン、ニョロモにイーブイ…かぁ。

戦力として、どこか欠けるなぁ。」

 

空を見上げ、ボ~ッとするレッド

 

レッド

「…そういや、イーブイって確か、石で進化するとかどうとかマサキさんが言ってたな。」

 

気になったレッドはポケモンセンターからマサキに連絡をする

 

マサキ

「おっ!レッド君かいな!?

いきなりどないしたんや?」

 

レッド

「マサキさん、イーブイについて研究してましたよね?

俺、そのイーブイをゲットしたんです!」

 

マサキ

「ホンマかいなっ!!うわ~、めっちゃ羨ましいわ~!」

 

レッド

「で…そのイーブイについてもう少し詳しく教えてくれませんかっ!?」

 

マサキ

「もちろんや!

まず、イーブイは進化の石によって3種類のいずれかに進化させることができる!!

炎の石やったら、ブースター…。

水の石やったら、シャワーズ…。

雷の石やったら、サンダース…ってな。」

 

レッド

「おおーっ!」

 

マサキ

「さ・ら・に・やっ、この3種類にはそれぞれ得意分野があってな、

ブースターは攻撃、シャワーズは防御、サンダースは素早さに特化して育つそうなんや!!」

 

レッド

「!!」

 

マサキ

「レッド君がどれに進化させるつもりか分からへんけど、またハナダシティ寄ったら見せてくれな?」

 

レッド

「是非!ありがとうございましたっ!!」

 

受話器を置き、立ち尽くすレッド

 

レッド

「(素早さ…。)」

 

レッドはタマムシデパートに入っていった ーーー

 

レッド

「悪いなっ、ウプシロン!

こいつの速さは、光速のものとなる!」

 

レッドはバッグから雷の石を取りだし、イーブイにあてる

 

ウプシロン

「それは…!」

 

たちまちイーブイは進化を始め、体毛の尖ったポケモンへと姿を変える

 

レッド

「さぁ、いくぞ!サンダース!!」

 

さらにレッドはバッグから貰った技マシン25を覚えさせる

 

レッド

「これで、全てが整った!【電光石火】!!」

 

一瞬にして、サンダースの姿は消える

 

ウプシロン

「どこにいったっ!?」

 

レッド

「ふっ、…後ろだぁっ!」

 

アーボックの背後から攻撃するサンダース

 

だが、やはり物理的な威力は劣る

 

ウプシロン

「その程度の攻撃なら、許容範囲だ!

連続で【毒針】を撃て!!」

 

サンダース

「もう一度【電光石火】!!」

 

ウプシロン

「させるかよ!【嫌な音】っ!」

 

レッド

「終わりにするぞ、サンダース!

轟けっ、【雷】っっ!!!」

 

アーボックは強い稲妻を受け、再起不能になってしまった

 

レッド

「光速は音速を上回るってな…!!」

 

イーブイをサンダースに進化させたレッド

そして、"最速"の称号へとまた1歩近づく

レッドとサンダースは、ついにウプシロンを追い込んだ



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シルフカンパニー~甦る、あの日~

イーブイを雷の石でサンダースに進化させ、驚異のスピードを以てアーボックを撃破した
ウプシロンの残すポケモンはゴーリキーのみだが…


レッド

「後はゴーリキーだけか…。」

 

ウプシロン

「後、1匹?十分だよっ!!

行くぞ、ゴーリキー!!」

 

 

レッド

「サンダース、もう一回【雷】だ!」

 

サンダースは雷を出そうとするが、電気を生み出すことができない

 

レッド

「どうしたっ、サンダース!?」

 

ウプシロン

「馬鹿め!【雷】はそうホイホイと出せる技じゃあねぇんだよ!!

そんなに撃ちたいなら、待ってやるよ。

その分、こちらも溜めさせてもらうぜ?ゴーリキー、【気合いだめ】!!」

 

ゴーリキーは雄叫びを上げ、気を体内に溜め込む

 

レッド

「サンダースいけそうか?」

 

サンダース

「!!」

 

レッド

「よし魅せたれっ、【雷】だぁっ!!」

 

ウプシロン

「さぁ、来いっ!【我慢】っっ!」

 

強烈な【雷】がゴーリキーに当たり、部屋中にゴーリキーの痛烈な喚き声が響く

しかし、どうだろうか。

大ダメージを受けたにも関わらず、ゴーリキーはいまだ立つ

 

レッド

「(何てタフなやつだっ!でも今なら…)

サンダース、【噛みつく】!!」

 

ウプシロン

「接近戦を選んだかっ…!受けてたつ!!

ゴーリキー、【空手チョップ】!」

 

ゴーリキーの手刀がサンダースに当たろうとした、その瞬間

 

レッド

「【電光石火】で避わせっ!」

 

ゴーリキー

「っ!」

 

背後をとられ、ゴーリキーは手刀を空振りしたせいか、体が前のめりになってしまい、バランスを崩しかけてしまう

 

レッド

「勝った!【噛みつく】!!」

 

ウプシロン

「ゴーリキー、諦めんじゃねぇぞっ!!

俺との時間を無駄にするなぁっっっ、【メガトンキック】!!!」

 

【気合いだめ】で集中力を研ぎ澄ませていたゴーリキーは、崩れそうな体を上手くこなして、後ろ廻し蹴りでの【メガトンキック】をサンダースにぶつける

 

サンダース

「…!!」

 

さらに【我慢】で威力が数倍に上がっていたので、サンダースは一撃で倒されてしまった

 

レッド

「あの体勢から…!」

 

ウプシロン

「九死に一生を得たぜ。

さぁ、あいつを…出してこいよ。」

 

レッド

「言われなくても…相棒は最後に出てきて、ラスボスを倒すってのが定石だろ!?

なぁ?リザード!!」

 

尾の炎が燃え盛り、リザードが出陣する

 

ウプシロン

「こいつらを見てると、初めてお前と戦った時のことを思い出すぜ…。」

 

レッド

「感傷に浸ってる場合か?」

 

ウプシロン

「あの日、負けてからいつかお前とヒトカゲ…いや、リザードを、こいつで倒すと決めて特訓してきた。

だからだっ、これからそれが叶うと思うと、ゾクゾクしてくる…!!」

 

レッド

「なるほどねぇ~。

特訓って言葉はお前らに似合わねぇけどな!

でも、ロケット団が全力で来てくれるのは、こちらとしても嬉しいぜ?

…だから、俺達も今までの全てを出して戦うっ!!」

 

ウプシロン

「ゴーリキーっ、【空手チョップ】!!」

 

レッド

「やっぱり、男は殴り合いってか…!?

リザード、【怒り】!!」

 

ゴーリキーのチョップがリザードの脳天を叩くと、負けじとリザードも怒りのカウンターをくらわせる

 

ウプシロン

「やれっ、【メガトンキック】っ!」

 

レッド

「避わして、【切り裂く】の連続攻撃だ!!」

 

レッドとリザード、ウプシロンとゴーリキーは拳を交えている中で、あの日の情景が浮かぶ

 

レッド

「(一度、間合いをとるか…。)【火のこ】!」

 

ウプシロン

「ここまで来て引き下がれるかよ!

【突進】だ!!」

 

ゴーリキーは【火のこ】をもろともせず、リザードを突き飛ばす

 

リザード

「…。」

 

共に限界を超えていた

次が最後になるだろう…2人は既に分かっていた

 

レッド

「敵同士なのに熱くなっちまうなんて、変な感じがするぜ。」

 

ウプシロン

「へっ…俺もだよ。こんなに必死に戦って、汗流して、今にもぶっ倒れちまいそうなくらいに頭がクラクラしやがる。

なのに、何なんだよ…この胸から込み上げてくるものはっ!」

 

レッド

「1つ…聞いていいか?

どうしてお前は、そうまでしてロケット団にこだわる?」

 

ウプシロン

「…。」

 

レッド

「さっきの話聞いてて、俺を倒すっていう目標を持って特訓したって言ったな。

それって俺がロケット団に歯向かうからか…?それとも…。

どうも、俺には矛盾してるように思えるんだが。」

 

ウプシロン

「…俺は小さい頃、イジメられっ子だった。

皆して俺のポケモンに容赦ない仕打ちだ…。

どうしてだ!!って考えた時、俺のポケモンが弱いからじゃねぇか?と、思ったんだ。

強いポケモンが欲しい!誰にも負けない、逆らえないぐらいに強いポケモンをっ!!

…ちょうどその時、俺の前にサカキさんが現れた…その男の絶対的強さに俺の心は奪われた!」

 

レッド

「だから、ロケット団に固執してるのか…。」

 

ウプシロン

「もう、負けるわけにはいかねぇっ!!サカキさんに失態を見せる訳にはいかねぇんだよぉっ!!

レッド、3度目の正直だ!!

俺は…お前を倒す!ゴーリキー、【メガトンパンチ】だっ!!!」

 

レッド

「お前も色々背負ってるんだな…。

けど、俺達だってお前らの非行を黙って見過ごす訳にはいかねぇっ!

この世界の、ポケモンが大好きな人達の為にも!!

リザード、【メガトンパンチ】っ!!」

 

想いぶつかる

ウプシロンの執念か…はたまた、レッドの正義か…

勝者は1人、雄叫びをあげるのは…



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シルフカンパニー~鬼の目にも涙~

レッドとウプシロンのプライドを賭けた戦いは終局を迎える
リザードか、ゴーリキーか、立ち上がったのは…


レッド

「っっっしゃあっっ!!!」

 

リザードは身体中殴られた痕が残り、激戦を物語っていた

うつ伏せになり倒れているゴーリキー

 

ウプシロン

「ゴーリキーっ!!」

 

体は無意識にゴーリキーへと駆け寄っていた

 

ウプシロン

「…。」

 

ウプシロンの下へ歩み寄るレッド

 

ウプシロン

「お前の勝ちだ…。さっさと、ポケモンと鍵取っていけよ。」

 

レッド

「いい戦いだったぜ!」

 

ウプシロン

「!!」

 

レッド

「最後の【メガトンパンチ】で分かったんだ。

お前のポケモンに対する本当の気持ちをよ。」

 

ウプシロン

「何言ってやがる!俺の想いは、サカキ様への…」

 

レッド

「もういいんじゃねぇか?

サカキ、サカキって…そりゃあ、お前がサカキから貰った恩の大きさなんて俺にはこれっぽっちも分からねぇよ!

でも、お前は強かった!!誰の手も借りずに…!

それは自分のポケモンと苦楽を共にしてきた結果なんじゃないか!?」

 

ウプシロンはゴーリキーを見つめ、2人で特訓してきたことを思い出す

 

ウプシロン

「そうか…俺は自分で思ってたより完璧な悪党になりきれてなかった…ってことか。」

 

レッド

「無理して悪者になる必要なんてないさ。

今のお前には心強い仲間がいるじゃねぇかよ!

だから次会える時があったらよぉ、今度はロケット団のウプシロンじゃなくて、俺のライバルのウプシロンとして手合わせ願いたいぜ!!」

 

ウプシロン

「っ!!」

 

ウプシロンは俯き、その瞳からは大粒の涙が滴り落ちていた

 

レッド

「ウプシロン…?」

 

ウプシロン

「なっ、何でもねぇよ!早くいけ!!」

 

レッド

「ああ…またなっ!!」

 

そう告げて、レッドは手持ちのポケモンと鍵を手に入れ、最上階へと進んでいった

 

ウプシロン

「(…ライバルか。久しく聴いてない言葉だ。

サカキさん、すんませんでした。

サカキさんの信頼は失っちまったかも知れないですけど、代わりに、何かでかいもの得たような気がします…。)」

 

レッドとウプシロンが闘っている間、他の階では…

 

《ナツメ・猛範サイド》

 

ナツメ

「…なんて数。さすがにきつくなってきたわね。」

 

猛範

「口動かす暇あったら、とにかく1人でも多く倒すんだ!」

 

その時、猛範の死角から、ラッタが襲いかかる

 

猛範

「っ!?」

 

ナツメ

「フーディン、【念力】。」

 

ラッタは宙に浮き、そのまま飛ばされた

 

ナツメ

「…あなたこそ、もっと周囲をよく見て闘うことね。」

 

猛範「…。」

 

《ワタルサイド》

 

さすがのワタルとは言え、幹部3人を相手に状況は劣勢的だった

 

ワタル

「【叩きつける】!!」

 

ロケット団幹部(1)

「マタドガス、避わして【煙幕】!」

 

周囲は煙に包まれる

 

ワタル

「(くそっ、視界を遮られては…っ!)」

 

ロケット団幹部(3)

「【電磁波】っ!!」

 

カイリューは【電磁波】により、痺れて身動きがとれなくなってしまった

 

ワタル

「しまったっ!」

 

ロケット団幹部(2)

「蜂の巣にしてやるぜっ!!スピアー、【ミサイル針】っ!!」

 

ロケット団幹部(3)

「【10万ボルト】!!」

 

ロケット団幹部(1)

「【ヘドロ攻撃】っ!」

 

集中放火を浴び、爆風も舞い、人質も悲鳴をあげる

そして倒れているカイリューの姿が確認できた

 

ロケット団幹部(3)

「俺達の…勝ちだぜぇっ!

さっ、そのカイリューをよこしな!?」

 

ワタル

「…何を勝った気でいるんだい?」

 

ロケット団幹部(3)

「!?」

 

ムクッと立ち上がるカイリュー

 

ロケット団幹部(1)

「どうしてだっ!?俺達の攻撃は全て命中したはずだ!!」

 

ワタル

「場数の差…かな。」

 

ワタルの手には"元気の欠片"が。

 

ワタル

「さて、第2ラウンドといこうかっ!?

カイリュー、【竜の怒り】っ!!!」

 

そして場面はグリーンへ

 

グリーン

「ようやく会えたぜ。さぁ、俺と戦え…サカキっ!!」

 

サカキ

「相変わらず威勢がいいな。

よくあの敗北から這い上がってきたものだ…。

しかもレッド君を置いて、1人でここへ来たことも褒め称えよう。

さて…あれからどれ程強くなったか、君とポケモンの絆の強さを私に勝って証明してくれ!」

 

ロケット団最強の男と再び激突

もう、負けられないっ



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シルフカンパニー~VSサカキ:序~

シルフカンパニーの最上階、サカキはそこに君臨していた


サカキ

「何匹使おうと構わん。

私を楽しませてくれれば、それでいいのさっ!!」

 

グリーン

「あんた達の都合で、これ以上関係ない人達まで巻き込む訳にはいかないんだ!

ガーディ、やるぞ!!」

 

サカキ

「…ニドリーノ、やるぞ。」

 

グリーン

「【火のこ】!」

 

サカキ

「【乱れ突き】だ!」

 

飛んでくる【火のこ】を【乱れ突き】で弾き、それを返してくる

 

ガーディ

「!」

 

ガーディは自分の技を受けてしまう

 

グリーン

「…っ!!さすがだな、弾いて終わりじゃあなく、相手に返すとはなぁ。」

 

サカキ

「ロケット団のトップである限り、これくらいは造作のないことよ。」

 

グリーン

「【睨みつける】っ!」

 

サカキ

「それぐらいで、私を動揺させようと…?

【気合い溜め】!!」

 

グリーン

「やるぞっ、【噛みつく】!!」

 

サカキ

「避わして、【角で突く】!!」

 

首元を突かれるガーディ

 

ガーディ

「…っ!!」

 

サカキ

「続けて【乱れ突き】っ!」

 

グリーン

「くそっ、【吠える】!」

 

ガーディ

「!?」

 

先程の角で突かれた位置が首だった為、喉がやられ声が出せない

 

グリーン

「こんな時に…運が悪いぜ。」

 

サカキ

「呆気なかったな。」

 

グリーン

「運が悪けりゃあ、引き寄せるだけだ!【捨て身タックル】!」

 

サカキ

「ならば、こちらも一突きで決めよう…【角で突く】!」

 

ガーディとニドリーノがぶつかる

 

グリーン

「ガーディ、無事かっ!?」

 

サカキ

「…。」

 

ガーディは倒れていた

 

サカキ

「やはりな。あれぐらいでは、私のニドリーノには…」

 

しかし、ニドリーノも倒れているのが見えた

 

グリーン

「…相討ちだったみたいだな?」

 

初戦は相討ちで始まった

しかし、サカキにとってはまだまだ準備運動のようだった

 

サカキ

「サイホーーーンっ!!!」

 

グリーン

「!」

 

サカキは大声を張り上げる

ボールからは重戦車のようなサイホーンが出てくる

 

サカキ

「おいおいこれくらいで驚かないでくれたまえよ。」

 

グリーン

「サワムラーーっ!!!」

 

サカキ

「…。」

 

グリーン

「誰だって、いきなり大声出されたらビビるだろ?

別にサイホーンにビビってる訳じゃないぜ?」

 

サカキ

「【突進】だ!」

 

グリーン

「飛び上がれ、サワムラー!!」

 

サワムラーはピョンとジャンプし、突進を避ける

そしてサイホーンの真上にはサワムラーが…

 

グリーン

「落下速度を加えた【二度蹴り】をお見舞いしてやれぇっ!」

 

サワムラーの攻撃はサイホーンに効果抜群だ

 

サカキ

「ちょこまかと…。【角で突く】!!」

 

グリーン

「【ヨガのポーズ】っ!」

 

サワムラーは体を曲げ、無駄のない避わし方をする

 

グリーン

「これが、猛範さんから教わった戦闘方法だ、【廻し蹴り】!!」

 

至近距離で放つ強烈な蹴りで体重のあるサイホーンを吹き飛ばす

 

グリーン

「畳み掛けろ、【二度蹴り】っ!」

 

サカキ

「嘗めるなよ、【のしかかり】っ!!」

 

100㎏を優に超えるサイホーンの体がサワムラーを潰す

 

グリーン

「今、波はこっちにあるんだ…。渡してたまるかよ!

サワムラー、【カウンター】!」

 

ググッとサイホーンの体が動く

 

サイホーン

「…!?」

 

サワムラーはそのバネのような足でサイホーンを上空へ上げる

 

サカキ

「サイホーンっ!?」

 

手足の短いサイホーンは受身がとれず、落下してしまい戦闘不能に

 

グリーン

「(いける…いけるぞっ!)」

 

サカキ

「確かに強くなっているな、ならば私もウォーミングアップはこれぐらいにして、そろそろ本気でいこう!!」

 

グリーン

「っ!…へへ。」

 

サカキは本気でなかった

だが、そんな事はグリーンも知っていることであった

やれる!グリーンは自信満々だ



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シルフカンパニー~VSサカキ:破~

サカキとの戦いは、グリーンの的確な指示が功を奏して優位な展開になる
しかし、まだサカキも本気は出していない


サカキ

「次は、ニドクインだ!…【毒針】っ!!」

 

グリーン

「【ヨガのポーズ】!」

 

タップリの毒が仕込まれた針がサワムラーにとんでくるも、サワムラーはそれを簡単に避ける

 

サカキ

「【バブル光線】っ!!」

 

グリーン

「【ヨガのポーズ】!」

 

ニドクインの攻撃をことごとく回避するサワムラー

 

グリーン

「何度やったって、無駄だって!

体力浪費してくれてありがたいぜ!

次はこちらから…【二度蹴り】だ!」

 

サカキ

「ニドクイン、【二度蹴り】。」

 

サワムラーの2発の蹴りを蹴りで受け止める

 

サワムラー

「!」

 

サカキ

「お前が技を避けている間に、こっそりと力を溜めさせてもらったよ。

【ロケット頭突き】!!」

 

サワムラーはがら空きになった腹部に破壊力抜群の頭突きをくらってしまった

 

グリーン

「サワムラーっ!」

 

立ち上がる事のできないサワムラー

 

グリーン

「戻れ…。ゴルバット、頼んだ!」

 

サカキ

「【尻尾を振る】。」

 

挑発するニドクイン

 

グリーン

「(冷静に考えろ。ニドクインは毒タイプ…、毒タイプの技はなるべく使わず、飛行タイプの技と特殊系で攻める!)

【嫌な音】!!」

 

ニドクインは耳を塞ぐ

 

サカキ

「やかましいっ、【のしかかり】っ!」

 

ニドクインの跳躍力は素晴らしいものだったがグリーンも頭の回転をフルに回す

 

グリーン

「ゴルバット、さらに高く飛べ!!」

 

サカキ

「ほう。」

 

グリーン

「叩き落とせっ、【翼で打つ】!」

 

ニドクインは地面に勢いよく、落とされる

 

グリーン

「よっしゃあ!!」

 

サカキ

「ハハハハハッー!」

 

グリーン

「何笑ってんだよ、自分のポケモンがやられたんだぞ!?」

 

サカキ

「早まるな、私のポケモンを勝手に倒したと判断しないでくれるか?」

 

グリーン

「?…だって、お前のニドクインは」

 

サカキ

「【穴を掘る】!」

 

やられたと思われていたニドクインは地中から飛びだし、ゴルバットを地面に打ち落とす

 

グリーン

「なんで…!?」

 

サカキ

「【翼で打つ】で落とされたのは事実だが、受身はちゃんとしてたさ…。【角ドリル】でなぁ!」

 

ゴルバット

「…!」

 

ふらふらになりながらも、立とうとするゴルバット

 

サカキ

「おや?まだやる気があったか。

申し訳ないが、そのまま眠っていてもらおう…【冷凍ビーム】!!」

 

グリーン

「やめろぉっ!!!」

 

グリーンの悲痛の叫びは届かず、凍らされてしまい再起不能になってしまった

 

サカキ

「さぁ、このニドクインを倒さなければ…グリーン君がリベンジをしたがってるガルーラは出てこないぞ?」

 

グリーン

「そうだろうよ!カメール、やるぞっ!!」

 

サカキ

「【冷凍ビーム】!」

 

グリーン

「【水鉄砲】!!」

 

威力はほぼ互角だった

しかし、冷凍ビームの威力が発射時に比べ、弱くなっていくことに疑問を抱くグリーン

 

グリーン

「…!?」

 

サカキ

「【二度蹴り】だ!」

 

グリーン

「避わせっ!」

 

ニドクインの1発目の蹴りを避けるカメール

 

グリーン

「(2発目はいつくる…!?タイミングが読めない!

ええいっ、細かい事は気にするな!)

【殻にこもる】で守れ!」

 

グリーンの思惑通り、技を受けてしまったものの、ダメージを極端に減らすことができた

 

グリーン「(そうか、解ったぞ!!)」

 

サカキ

「そのまま氷漬けにしてやる!!【冷凍ビーム】っ!」

 

グリーン

「これを待ってたぜ!カメール、ニドクインに向かって、いや…冷凍ビームに向かって、【水鉄砲】を放出しろ!!」

 

サカキ

「これはっ…!?」

 

どうした事だろうか、冷凍ビームは溶け始め、水へと変わっていく

そして、ついにニドクインの口元にまで迫り、水鉄砲が当たりニドクインは倒れる

 

グリーン

「やっぱりな…。水と氷の温度差だよ!

氷よりも温度の高い水に触れた時、氷は溶け始めるんだ!!

融解の原理ってやつかな…?ましてや、ここは室内。北極の温度でもないからなぁ?」

 

サカキ

「私が気にもとめてなかった所を…ふん、虚をつかれたな。」

 

グリーン

「ようやくここまできた。」

 

サカキ

「そうだ、君はロケット団のトップをここまで追い詰めたのさ!

それだけでも、十分名前が知れ渡ることだろう。

だが、残念だ…。君は残念な事に、どんなに頑張っても私を"倒す"事だけはできない!!

こいつがいる限りなぁっ!!ガルーラ!!!」

 

グリーン

「来たかっ!後はワタルさん、猛範さん、ナツメさん、そして…レッド!!

全員の想いをぶつけるだけだっ!!」

 

ガルーラ現る

全員の強い想いをのせて、今リベンジ戦が始まる



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シルフカンパニー~VSサカキ:急~

ガルーラ現るっ!
ロケット団壊滅まで残す壁は1枚となった


サカキ

「さて、こいつと戦り合うのを楽しみにしていたのだろう?

遠慮は一切いらないよ。」

 

グリーン

「そんなのは今に限った事じゃないっ!

カメール最大威力の【水鉄砲】だぁっ!!」

 

サカキ

「【大文字】で灼きつくしてしまえ!!」

 

カメールの水鉄砲はガルーラの大文字で蒸発してしまう

 

グリーン

「【体当り】!」

 

蒸気の中からカメールが飛び出す

 

サカキ

「おっと…【怪力】っ!」

 

両腕を振り下ろし叩きつけるガルーラ

 

ガルーラ

「…!?」

 

グリーン

「へっ、【殻にこもる】…。

いけっカメール、【水鉄砲】だ!!」

 

至近距離からの【水鉄砲】はガルーラにダメージを与える

 

サカキ

「やられてもそこから次の行動へ移す機転の早さ…君の才能には嫉妬してしまうよ。

だが、ガルーラ…【連続パンチ】!!」

 

グリーン

「(きたっ!!これを攻略しない限り俺には勝ち目がない…。

見切ってやる。あいつの"リズム"をっ!!)」

 

カメール

「っ!」

 

カメールは必死にガルーラの攻撃を避ける

 

グリーン

「くそ!!

やつのタイミングが猛範さんのエビワラーより変則的で掴みづらい…。

(こんな所で苦戦してる場合じゃねぇのに…)」

 

その時、グリーンに馴染みのある声が響く

 

???

「グリーンっ!!」

 

グリーン

「…レッド?」

 

片腕を挙げたボロボロのレッドを見て、グリーンは思った

俺もサカキを倒して…

グリーンは目を凝らし、ガルーラの動作の1つ1つをしっかりと読む

 

サカキ

「おやおや、客が1人増えたかね。

悪いね、レッド君。今は取り込み中でね…。

君の親友が倒されるところをみていたまえ。

では、そろそろ決めようか…ガルーラ、次のパンチでノックアウトだ!!」

 

レッド

「グリーンはそんな弱いやつじゃねぇぜ?

ほらよ、俺なんかと喋ってると痛い目見るぜ!」

 

グリーン

「見えたぜ…。

カメール、右のアッパーがくるぞっ!

避わして【体当り】!!」

 

サカキ

「!?」

 

よろめくガルーラ

 

グリーン

「カメール、とどめの【ロケット頭突き】だ!!」

 

ガルーラは、カメール渾身の一撃を受ける

 

サカキ

「やられたよ…。」

 

グリーン

「冗談はよしな、本体はどこだ?」

 

サカキ

「フフフ…やはり君は頭が冴える。」

 

そう、ガルーラ最恐の技【身代わり】は既に発動されていた

 

グリーン

「サカキ…俺は準備もなしであんたに挑んでる訳じゃないっ。

タマムシでの戦いの後、俺は爺ちゃんに【身代わり】の事について、教えてもらった…。

いくら無敵を称するその技にも、デメリットはあるっ!!

それは…カメール、【水鉄砲】!」

 

サカキ

「避けろ、ガルーラ!」

 

しかし、ガルーラの動きは鈍く、くらってしまう

 

グリーン

「それは…外傷はなくとも、一定の体力を消費しなければ使えないことだ!」

 

サカキ

「やるじゃないか。

だが、それを私が知らないとでも思うか?…対策済みさ。

私はガルーラに徹底した体力づくりをさせてきた!!

そう簡単には倒れんぞ!?ガルーラ、【連続パンチ】!」

 

グリーン

「その技は、もう効かないぜ!?」

 

サカキ

「…リズムか?だったら、新しいリズムを生むだけさ。

なぁ、ガルーラ?」

 

ガルーラの攻撃リズムが変化し、カメールもパンチを受けてしまう

もうカメールの限界は超えていた

 

サカキ

「地に伏せろ、【メガトンパンチ】。」

 

ガルーラの重たいパンチがカメールを吹き飛ばす

 

レッド

「…!!」

 

グリーン

「よくやった…カメール。お前の頑張りは次へと繋げるさ!

…慌てるなよ、レッド。まだ俺には強い意思をもった戦士がいる!

俺はこいつとロケット団を倒すと誓ったからな…約束は守る!!

やるぞ!?出番だ、カラカラ!」

 

堅い壁の前にカメール精魂尽き果てる

しかし、その意思はロケット団に強い思いを抱くカラカラへと受け継がれた

グリーン、最後のポケモンが出る!



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シルフカンパニー~頬は濡れ、悪魔は笑う~

グリーンは最後のポケモンであるカラカラを出す
一方でガルーラの体力も残り僅か!
サカキを追い詰めたこの状況、グリーンはどう出る!?


グリーン

「お前の親の仇を討つ!カラカラ、【頭突き】!」

 

サカキ

「(【身代わり】はもう使えんな…。)避けろ!」

 

カラカラは攻撃を避けられる

しかし、グリーンは追い討ちをかけるように仕掛ける

 

グリーン

「まだだっ、【骨棍棒】っ!!」

 

カラカラは親の形見である強固な骨で一撃を与えるも、ガルーラは堪える

 

グリーン

「っ!!」

 

サカキ

「フハハ、【メガトンパンチ】!」

 

カラカラは至近距離からもろに受けてしまい倒れこんでしまう

 

サカキ

「さっきから仇だの何だの言ってるが、何の事かな?」

 

グリーン

「あんたにはどうせ分からないことだよ…!だから教えといてやる。

このカラカラの親はなぁ、お前らロケット団の襲撃で命を落としたんだよ…。」

 

サカキ

「…そうか、そういう事だったのか。

私の部下が酷い仕打ちをしたようだな…それはすまないことをした。」

 

グリーン

「(なんだ…急に手のひら返して?

どうしてあいつが謝るっ!?)」

 

レッド

「騙されるな、グリーン!!」

 

サカキ

「…なんて言葉は、やはり私には似合わないかな?

研究の為だ、犠牲は付き物だろう?

ガルーラ、【連続パンチ】!」

 

カラカラ

「…!!!」

 

グリーン

「どこまで侮辱すれば気がすむんだ、腐ってやがる!!

カラカラ、【骨棍…」

 

グリーンの指示よりも前にカラカラは立ち上がり、ガルーラの【連続パンチ】を避けながら、隙を狙っては反撃を打ち込む

 

グリーン

「(カラカラ、お前…。)」

 

サカキ

「そろそろ倒れてくれないか?【大文字】!!」

 

グリーン

「カラカラ、耐え抜くぞ!

そして勝って、親に報告するんだ!!もう、心配しなくていいよってな!…【骨棍棒】で受け止めろ!」

 

灼熱の【大文字】を【骨棍棒】の一振りで凪ぎ払う

そして、カラカラに進化の兆しが…

 

グリーン&レッド

「あれはっ…!!」

 

サカキ

「進化…か。」

 

カラカラはガラガラへと進化を遂げる

 

グリーン

「強い想いが進化を促したんだ!

これなら、一気に勝負を決めれるっ!!」

 

サカキ

「やはり、進化はいつ見ても神秘的だな…。

だが、いくら進化して強くなったとはいえ、蓄積した疲れだけは嘘をつかない!

ガルーラ、もう一度【連続パンチ】っ!!」

 

だが、グリーンの洞察力は既に【連続パンチ】を捉えている

 

グリーン

「見えたぜっ、ガラガラ、ガルーラの左足目掛けて【骨棍棒】!」

 

ガルーラ

「っ!!」

 

グリーン

「これで、ロケット団も終わりだぁっ!!!

ガラガラ、ありったけの力を出しきれ、【地震】!!」

 

サカキ

「ーーーーー!」

 

フロアに地響きが起こり、辺りは崩れ落ち、めちゃくちゃに。

勝利を確信するグリーン

そこには、2匹のポケモンが立っている

 

レッド

「…どっちだ?」

 

グリーン

「安心しな、レッド。俺達の勝ち…」

 

サカキ

「ふう。」

 

グリーン

「え…、そんな…馬鹿な。」

 

1匹のポケモンが倒れる

それは、なんとガラガラの方だった

ふらふらになりながらも立っていたのはガルーラだった

 

レッド

「いや、だってガラガラが攻撃しかけたんだぞっ!?

それなのに…。」

 

サカキ

「その通り。だけどね、私は最後の最後にこいつを使わせてもらった。

悪いが、ずるいだの卑怯だの、罵詈雑言には聞き慣れてるのでね…。

使える物は使う…それだけだよ。」

 

サカキの手にはスピーダーが握られていた

 

サカキ

「こいつのおかげで、ガラガラの攻撃よりも先にガルーラの【ピヨピヨパンチ】をおみまいさせてもらったのだよ!

混乱したガラガラは、自我を忘れ、自ら【地震】の餌食になってしまったのだ。

しかし、ここまで追い詰められたのは何年ぶりだろうか!

グリーン君、ありがとう。楽しませてもらったよ。

残念な事にレッド君がうちのウプシロンを倒したらしいからね。

恐らく他の階でも…、今のロケット団は貴重な戦力を失い、現状、壊滅に近い。

今回の勝負は…君達の勝ちだよ!」

 

グリーン&レッド

「!!」

 

サカキ

「だが、私がいる限りロケット団を必ずや復興させてみせる!

そして、いつの日か再び君たちと合間見える事を楽しみにしてるよ!

では…。ハハハハッッ!!」

 

レッド

「ま、待ちやがれ!まだ俺が残ってる!!」

 

グリーン

「レッドっ!!それだけはやめてくれ!

サカキに1対1を挑んだのは俺だ…そして、負けたんだ!!

皆の思いを託されて戦った、だけど、負けた。

これ以上は、奴を追わないでくれ。」

 

レッド

「お前なぁ、今がやつを倒す絶好のチャンスって知ってて言ってるのか!?

私情挟んでんじゃねぇよ!!」

 

そこへ、ワタルをはじめ、猛範とナツメも合流する

 

ワタル

「いいんだ、レッド君。

グリーン君はロケット団壊滅の為に戦ったと共に、1人のポケモントレーナーとしてのサカキとも戦ったんだ。

それを僕達が追って行って、倒した所でグリーン君のプライドが傷つくだけだよ?

幸い、さっきサカキが言ってたように、ロケット団はほぼ壊滅したといってもいい!

今回は…僕達側の勝ちってことでいいんじゃないかな?」

 

レッド

「…それも、そうっすね。悪かったな、グリーン…。グリーン?」

 

グリーン

「うっ…うっ!」

 

グリーンは悔しさが募り涙を流していた

 

グリーン

「次…次こそは、…その前に次あいつと会うのがいつかは分からないですけど…グスッ、もっともっとポケモンバトルに磨きをかけて…誰にも負けないトレーナーになりたいっ!!

そして…サカキをっ…!!」

 

猛範

「君ならやれるさっ!!」

 

レッド

「おいおい、誰にも負けないってそれは俺にもってことかぁ~、グリーン?」

 

ワタル

「(こりゃあ、カントー地方にとんでもない新人トレーナーを生んでしまったな。

僕もうかうかしてられない…かな。)」

 

レッド

「じゃ、ここを出ようぜ!」

 

ワタル

「人質の方達は、もう巡査さんに任せてあるから安心してくれ!

僕達の仕事はこれにて完了だね!!」

 

こうして、ロケット団との抗争はワタル達の勝ちに終わる

1つの不安要素を残して…

そんな中、グリーンだけは喜びに浸ることはできなかった

グリーンは強くなることを決意!もちろんレッドも同じ思いで…!

2人の旅は更なる高みを目指し、ここからさらに加速していく!!



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ヤマブキシティ~有名人…?~

サカキを倒すには至らなかったものの、事実上ロケット団の壊滅を果すことができたレッド達
シルフカンパニーを出ると、そこには大勢の民衆が集まっていた


住民

「来たぞっ!」

 

住民

「英雄達に盛大な拍手を!!」

 

ヤマブキシティ一帯は歓声と拍手に包まれる

 

レッド

「…す、ずけぇ。」

 

ナツメ

「…こんなにもたくさんの人に見られるのは、恥ずかしい。」

 

ワタル

「ほら、グリーン君も涙はしまって今は笑顔でいこう!」

 

グリーン

「は、はいっ!」

 

住民

「あれって、本物のワタルか!?

生で見れちゃったよ~!」

 

住民

「それにジムリーダーもいるじゃないか!」

 

住民

「俺、猛範さんの隠れファン!」

 

住民

「あんな子供達までっ!?」

 

そして、巡査さんが拡声器を用いて喋る

 

巡査

「彼等は今回襲撃してきたロケット団なる悪党を倒す為に立ち上がってくれた勇気あるトレーナーです!

カントー四天王が1人、ワタルさんを筆頭に、この街のジムリーダーのナツメさん、そして裏の顔である猛範さん。」

 

猛範

「裏の顔って…。」

 

巡査

「加えて、マサラタウン出身のトレーナーであるレッド君とグリーン君です!!」

 

住民

「マサラって…あの田舎町かよ!」

 

住民

「こりゃあ大物が現れたなぁ!」

 

住民

「私、サイン貰っとこっかなぁ~!」

 

巡査

「彼等5人に警察を代表して感謝を申し上げます…本当にありがとう!!」

 

ワーーッと再び歓喜が起こる

その後、各々囲まれサインを求められたり、インタビューを受けたりと忙しかった

 

そして、場が収まり別れの時が訪れる

 

ワタル

「今回は助けてくれてありがとう。

幼い分心配だったけど、僕の予想以上の働きをしてくれた!

これから僕は一応、サカキの消息を辿ってみる…。

でも当面は姿を眩ますだろうから、君達はまたそれぞれの道を進んでくれ!」

 

猛範

「グリーン、ジムリーダーの夢諦めんなよ!?

もし、挫けそうになったら儂のとこに来い。喝を入れてやるっ!笑」

 

グリーン

「はい、是非お願いします!」

 

ナツメ

「…レッド、あなたの戦いをこれからもたくさんのポケモントレーナーに魅せてやりなさい。

そして、ポケモンバトルの楽しさを教えてあげて。」

 

レッド

「うっす!!俺はリーグ制覇するまで、転んでも転んでも立ち上がってやるぜ!」

 

ナツメ

「…そう、その意気よ。」

 

ワタル

「じゃあ、お別れだね。

レッド君にも念のため連絡先だけ渡しておくね!

ポケモンセンターのいつでも電話からかけれるように!

じゃ、僕はサカキの他に探してる人いるし、そっちの件も忙しいから…これにて!!」

 

レッド&グリーン

「さようなら!」

 

猛範

「そんじゃあ、儂らも戻りますか!」

 

ナツメ

「…そうね、いつまでも留守にはしてられない。」

 

猛範とナツメもそれぞれの居場所へ帰っていく

残されたレッドとグリーン

 

グリーン

「俺、情けないよな?」

 

レッド

「バーカ、いつまで引きずってんだよ!

今回の事は自分の胸にしまって、余計な事はもう考えんなって!

んで、前向けよ!!次の旅が待ってる!!

ここで止まってたら、ジムリーダーなんて先のまた先だぞ!?」

 

グリーン

「わかったよ!それに俺ら世間に知られちまったし、情けねぇ戦いは魅せられないからな。」

 

レッド

「そうそう…あっ!でもよぉ、次は俺にもサカキと戦わせろよな!?」

 

グリーン

「譲るかよっ!!」

 

2人は笑いあった

 

レッド

「そうと決まればグズグズしてられねぇぜ!

いざ、6つめのバッジを取りにセキチクシティへ!!」

 

グリーン

「俺も、ナツメさんと闘いにいってくるか!

まだ別れて数分しか経ってないけど…。」

 

2人は正反対の道を行く。目指すものに向かって…

大都会で起こったこの事件はたちまちカントー中に知れ渡る

それは、多くの同年代トレーナーを奮い立たせた

それだけでなく、身近な存在にもそれは伝播していった

 

《カントー地方某所》

 

???

「レッドとグリーンが…?

ハッハッハッ!!こいつら…面白い事しでかしやがって!!

ワタルも一緒か…。となると、今頃俺を探してるかぁ?」

 

 

《マサラタウン》

 

レッドの母

「レレレレ、レッドォ~!?

なんでテレビに映ってるのよぉ~。

…って事は、私のとこにも取材来ちゃうかしらっ!?

いけないわっ、メイクしなくちゃっ!!」

 

同じくマサラタウン

 

???

「(まさか、レッドさんとグリーンさんが救ってくれるなんて…あの興奮が冷めないよ!やっぱり、かっこいいや!!

あんな間近で闘う姿見れて、人質ってことも忘れちゃってたよ…。)

僕も後数ヶ月したらトレーナーになれる!

早くこいつと旅して、2人と闘ってみたいよぉー!」



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第6章 成長期
16番道路~マタドガス攻略法!~


ヤマブキシティを出発し、セキチクシティを目指すべく16番道路に来たレッド
そこは、サイクリングの地として有名らしいが…


レッド

「え~っ!?

自転車かバイクじゃないと通行できないってどういう事ですか!?」

 

案内係

「そう言われましても…。

ですが、レンタルの物で宜しければお貸しすることはできますよ?」

 

レッド

「なぁーんだ!それを先に言ってくださいよぉ。

じゃ、自転車を1台レンタルで!」

 

案内係

「かしこまりました。では、レンタル料金1000円になります!」

 

レッド

「やっぱ、金とるのかぁ~。」

 

渋々金を払い、自転車をレンタルするレッド

そこへ、どこか見覚えのある団旗を掲げた連中が猛スピードで駆け抜けて行った

 

レッド

「危なっかしいやつらだなぁー!」

 

案内係

「あれは、カントーポケモン連合の人達です。

最近ここらで暴れ回ってて、私共も迷惑してるんです。」

 

レッド

「カントーポケモン連合って、なんか聞き覚えのある…。

あー、はいはい!!

武志のとこの族かぁ。

いっちょ懲らしめてやらないとなっ!」

 

レッドは自転車を盛漕ぎして、先程のグループに追いつく

 

レッド

「おおぃっ、待ちなっ!」

 

下っ端

「なんだぁ、小僧!?」

 

レッド

「もっと片側に寄って走れよ!

そんな道いっぱいに広がって走ってたら、他の人に迷惑だろ!」

 

???

「やかましいガキだなぁ、おいっ!」

 

下っ端

「雲雀さん!」

 

レッド

「雲雀…?」

 

???

「俺はカントーポケモン連合副総長の朱峰 雲雀(ひばり)だっ!」

 

レッド

「俺は、レッド!カントーポケモン連合っていやぁ、武志が所属してたんだよなぁ?」

 

雲雀

「そうか…こいつがレッド。武志が族抜けると聞いたときはビックリしたが、お前が原因か。」

 

レッド

「そうさっ、俺が更正させてやったのよ!」

 

雲雀

「あいつもこんなガキに正されるような腑抜けた野郎だったんじゃあ、族抜けて正解だわ!!」

 

下っ端達

「ギャハハハッ!!それ、言えてるっす!!」

 

レッド

「お前ら、仲間じゃないのか?」

 

雲雀

「仲間?俺をあいつらと同類にすんな!

俺はあいつらと格が違うんだよ、格がっ!!」

 

レッド

「お前らってそんな連中ばっかしなのな?」

 

雲雀

「あ?さっきから俺達に喧嘩腰だが…やるってのか?」

 

レッド

「いいですよ?

あなたも正してあげましょうか?フシギダネ、出番だ!!」

 

雲雀

「マタドガス!!」

 

レッド

「【蔓のムチ】っ!」

 

雲雀

「ひひっ、【煙幕】をはれ!!」

 

周囲に煙が充満する

 

レッド

「こんにゃろ~、【葉っぱカッター】!!」

 

雲雀

「見えない敵に攻撃が当たるわけないだろ!【ヘドロ攻撃】!」

 

フシギダネは、見えない敵からの攻撃をうける

 

レッド

「ならば、【痺れ粉】!

これなら、見えなくても、吸っただけでアウトだぜ!?」

 

マタドガス

「…!」

 

雲雀

「マタドガス!?」

 

レッド

「煙も晴れた…いくぜ、【体当たり】!」

 

マタドガスは体重が軽いせいか、威力の低い【体当たり】でも吹っ飛んでしまう

 

下っ端

「雲雀さん…?」

 

雲雀

「うるせぇぞ、俺が負けると思ってんのかっ!?

マタドガス、【スモッグ】っ!!」

 

レッド

「(さっきよりも濃いな…。)」

 

雲雀

「…魅せてやるよ、こいつの得意技をっ!」

 

下っ端

「まさか!?」

 

雲雀

「【大爆発】!!」

 

マタドガスは爆発の態勢にはいる

しかし、レッドにとって爆発の手がかりとなる煙の匂いさえも【スモッグ】で消されてしまっていた

そんな中レッドは至って冷静だった

 

レッド

「ふんっ、この状況下でのドガースや、マタドガスとの戦いには慣れてるんだ!!

お前らがやりそうなこともお見通しなんだよっ!!」

 

下っ端

「どこでもいいから物陰に隠れろ、急げぇーっ!!」

 

マタドガスの爆発により、甚大な被害を被る

 

雲雀

「はぁ、はぁ…。どうだ、お前のポケモンを木っ端微塵に…」

 

レッド

「たまに同じ過ちをするんじゃねぇって人がいるけど…誰だって人間である以上、繰り返しちまう事はあるよ…。だから俺は仕方ねぇって思ってる。

でもさ、その失敗を忘れちまうような真似だけはしちゃいけねぇ!

だから俺はあの時の失敗を忘れないし、フシギダネにつらい思いをさせたくない…。

その一心で、この技を会得させたんだ。だよな、フシギダネ!」

 

煙の中から【リフレクター】でしっかりと身を守るフシギダネが姿を現す

しかも、360度全方向に対応できるようシールドを進化させていた

 

雲雀

「そ、そんなぁ。」

 

レッド

「さ、負けを認めたら道をどくんだな。」

 

そう言うとレッドは雲雀達の間を抜け、軽快に自転車で下っていく

 

雲雀

「あいつ…!」

 

下っ端

「しゃあないっす。さっき届いた情報で、あいつ先日のヤマブキシティでの騒動を鎮圧した英雄の内の1人らしいっすから!」

 

雲雀

「あんな小僧が…。

どうりで、戦闘慣れしてると思ったぜ。」

 

下っ端

「でも、さすがのあいつでも青島さんには勝てないですって!

この先にいるってのも知らないで…くくっ!!」

 

雲雀

「あぁ、なんたって頭はいまだ売られた喧嘩に負け無しだからなっ!!

俺を倒して浮かれてると痛い目に遭うぜ…あの小僧。」

 

雲雀の言うように、レッドはロケット団、カントーポケモン連合といった大物との戦いに連戦連勝の末、少々浮かれ始めていた

そんなレッドの前に、一際目だったバイクに乗る人物が…



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17番道路~カントーポケモン連合総隊長~

レッドの前には大連隊を率いる総隊長がバイクに股がっていた


???

「ここに余所者が居るということは、雲雀はやられたのか。

あの役立たずがっ!

ネズミ1匹の侵入を許しちまうとは、情けねぇなぁ…あぁ?」

 

レッド

「偉そうな事言うだけで全然強くねぇもんなぁ、お前ら。」

 

???

「ほら見ろ、てめぇらが不甲斐ねぇことばっかしてやがるから、こんなガキにも舐められるんだろうがよぉ!!」

 

レッド

「あんただって、一概には言えねぇんじゃないの?」

 

???

「ふっ…そんなら数百の部下をまとめる俺の実力、見せてやるよ!!

この青島 龍二(りゅうじ)の支配力をなぁっ!

ほらよ、久しぶりのシャバだぞ!

暴れてこいっ、オコリザル!!」

 

レッド

「やるぞ、ゴース!」

 

だが、ゴースは不機嫌そうだった

 

レッド

「どうした、ゴース?」

 

ゴース

「…。」

 

レッド

「もしかして、ロケット団との戦いに参加してなかったからすねてんのか?」

 

コクりと頷くゴース

 

レッド

「お前、お化なのに可愛げあるじゃないか!

大丈夫、ほらっ今回はこんなにもギャラリーがいるんだぜ!?」

 

周りは暴走族の連中が取り囲み、睨むように戦いを観戦している

 

レッド

「ここで勝ちゃあ、おいしいところ総取りだ!」

 

龍二

「おい、何ごちゃごちゃ喋ってるのかしらねぇが、油断してんじゃねぇぞっ!?

バトルはもう始まってるんだ!やっちまえ、【蹴たぐり】!!」

 

レッド

「っ、しまった!」

 

しかし、どうしたことかオコリザルの攻撃はゴースをすり抜ける

 

龍二

「ん?」

 

レッド

「…へ?」

 

龍二

「(確かに攻撃は当たったはずだが。)

運のいい奴だぜ!…いや、逆だったかな?

こいつの攻撃を避けたことでさらに、怒らせてしまったぞ?

【空手チョップ】でそいつの脳天をかち割ってやれっ!!」

 

レッド

「させるかっ、【怪しい光】!」

 

オコリザルは【怪しい光】を受け、混乱してしまう

 

龍二

「馬鹿やろうが…あんな技にかかっちまうなんて。

おい、目を覚ませ…覚ませって言ってんだろぉぉぉっ!!」

 

オコリザル

「…!」

 

龍二の激を受け、混乱を解くオコリザル

 

龍二

「【気合い溜め】で全開だ!!

てめぇみたいな生意気な野郎は葬ってやる!【地球投げ】だっ!!」

 

レッド

「ゴース捕まるな…逃げろ!」

 

龍二

「それはどうかな…?こいつの怒りはどこまでも追いかける!!

ずっとボールの中に入ったままでストレスたっぷりだからなぁ。

当たり所があって、さぞ嬉しいだろうよっ!」

 

レッド

「ちっ、逃げてばっかはカッコ悪いか…。

こうなったら、真っ向勝負だ、【サイコキネシス】!!」

 

オコリザル

「!!!」

 

強い念力で体がうまく動かせないオコリザル

だが、なんということだろう

オコリザルは我を忘れるほど狂乱し、【サイコキネシス】を無理矢理破る

 

レッド

「【サイコキネシス】が破られるなんて…!!」

 

龍二

「そらぁぁっっ!!」

 

"ドサァァッ"っとずっこけるオコリザル

 

龍二

「どうしたっ!?オコリザル!」

 

レッド

「何が起きて…もしかして!

こいつ、ゴーストタイプだから直接的な打撃攻撃が効かないのか?」

 

ゴースは悲痛な表情から一変、余裕の表情になる

そして、レッドとゴースは不敵な笑みを浮かべながら龍二に歩み寄る

 

龍二

「く、来るなぁっ!オコリザル、【乱れ引っ掻き】!!」

 

だが、オコリザルの攻撃は虚しくもゴースの体をすり抜ける

 

レッド

「お前ら不届き者は、夢の中で暴れ回ってろ!

【ナイトヘッド】!!」

 

龍二

「うわぁぁっ!」

 

龍二とオコリザルは悪夢の中へと誘われ、戦闘不能になる

 

レッド

「この際、お前らに言っておく…。

お前らは寄って集って戯れやがって!

強ぶってるが実際はこんな子供1人も倒せない臆病者だらけだ。

つまり…烏合の衆ってわけ!

俺は知ってるんだ…。

例え自分より強い相手と分かっていても、臆することなく1人で立ち向かっていった男をっ!!

これに懲りたら、もういっそのこと解散して自分の道走りゃあいいんじゃねぇか?」

 

それを聞いて胸に響いたのか、感激する族の連中

 

族(1)

「俺、抜けるわ…。」

 

族(2)

「俺も、実家の後継いでサイクリングショップ経営しようかな。」

 

族(3)

「そんじゃ野郎共っ!最後くらい気持ちよく、このサイクリングロードを駆け抜けようぜ!?」

 

族達

「おおっっ!!」

 

レッド

「へ?」

 

レッドの後ろを、(元)カントーポケモン連合の連中がついて走り、

本日の17番道路は賑やかで色とりどりの鮮やかなバイクが列なって見えた



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18番道路~この広い空を架けろ…!~

18番道路…いつもは長閑で穏やかなこの道
ラブラブカップルもベンチでイチャイチャしてると…

サイクリングロードから大勢の族が降りてくるではないか
しかも先頭を走るのは、子供である


レッド

「…。」

 

族達

「ふぅ~っ、気持ちがいいぜ!!」

 

その光景を見て、逃げ出すカップル

 

レッド

「…あのなぁ、もう帰っていいんだぜ?

別に俺が龍二を倒したからって、次の頭が俺になるわけじゃないし。」

 

族達

「そうだったのかよ!?知らなかったぁ~。

んじゃ、レッドの旅の邪魔になるから、俺達は行くぜ!」

 

レッド

「おう、公共のマナーは守れよーっ!」

 

こうしてレッドはカントーポケモン連合の連中と別れた

セキチクシティまでは後少し

そんなレッドは1人のポケモントレーナーと目が合う

 

レッド

「目が合ったら、ポケモン勝負って言うしな!」

 

???

「ああっ、いっちょやりますか!」

 

レッド

「俺はレッドだ、ヨロシクな!!」

 

???

「俺は羽賀 舜(しゅん)!

鳥ポケモンをこよなく愛す…勝負は1対1でいいか?」

 

レッド

「いいぜ!!鳥ポケモンを愛すか…だったら俺も場に合わせよう、いけ、ピジョン!」

 

「ピジョンっ!いいよなぁ~、俺も育ててるんだけども今回は…こいつだ、ドードリオ!」

 

レッド

「ドードリオ?…3つ首にそれぞれ異なる感情をもつのか。」

 

「【乱れ突き】っ!!」

 

レッド

「鳥ポケモンだったら、この空と風をうまく利用しなきゃな!?

【鎌鼬】!!」

 

風の刃がドードリオを襲う

 

「【鎌鼬】を覚えてるのか…、格好いいな!

【つつく】で攻め立てろ!」

 

レッド

「【風おこし】!」

 

「やっほう!ドードリオ、この風を利用して上空へ!【空を飛ぶ】!!」

 

レッド

「何っ!?」

 

「さて…この空からの攻撃に耐えれるかな?」

 

ドードリオはピジョンめがけて、上空からぶつかってくる

 

レッド

「(あんな高さから衝突されたら、さすがのピジョンでもマズイな…。)」

 

スピードが増すドードリオ

 

レッド

「ピジョン、【電光石火】で避けろ!」

 

間一髪で、ドードリオの攻撃を回避したピジョン

 

レッド

「よしっ!!今度はこっちだ、【翼で打つ】!!」

 

「…さて、ドードリオの3つ首の恐ろしさを味わわせてあげよう。

まずは、哀しみの【鳴き声】!」

 

ピジョン

「…!」

 

なんとも悲しげなドードリオの【鳴き声】がピジョンの力を無くす

 

「次は、怒りの…【怒り】!!」

 

ドードリオは【空を飛ぶ】を避わされた怒りをピジョンにぶつける

 

レッド

「ピジョンっ!!」

 

「最後は…闘うことの楽しさ、喜びを感じようぜ!

【ドリル嘴】だっ!!」

 

ドードリオの鋭く尖った嘴がピジョンの急所にヒットする

 

レッド

「ピジョン!立て、立つんだ!!

まだお前は、空を舞ってねぇぞ!?

この無限に広がる空を自由に架けろっ、そして…その羽を羽ばたかせろ!!」

 

ピジョンはレッドの声に反応し、立ち上がる

そして、声高く雄叫びをあげると…進化が始まった

 

レッド&舜

「!!」

 

レッド

「ピジョンがピジョットに進化した…!!」

 

「やるなぁ~、ってことは本当の勝負はこれからかよ!」

 

レッド

「ピジョット、大空へ…【空を飛ぶ】っ!」

 

「ドードリオだって負けないさ、【空を飛ぶ】!!」

 

互いに空高く舞い、空中で衝突しあう

 

「そろそろ終わりといこうか、【ドリル嘴】!!」

 

レッド

「こっちも全力でいくぜ!

【高速移動】しながらの…【翼で打つ】っ!!」

 

2匹は遥か上空でぶつかる

落ちてきたのは…2匹だった

 

レッド

「危ねぇっ、ピジョット!」

 

「この高さからはヤバイな!今助けに行くぞドードリオ!!」

 

2人は自分のポケモンを身を挺してキャッチしに行く

 

レッド

「よくやったな。」

 

「ご苦労さん、間に合ってよかった…。痛っ、腰いったかも。」

 

当然である

人並みの体重があるドードリオをキャッチすればただではすまない

 

「こ、こんなの平気さっ。

それよりも…レッド、引き分けは悔しいけど、凄く楽しかったぜ!」

 

レッド

「あぁ、俺もだ!

(純粋なトレーナーと、純粋なポケモンバトルするのが、こんなにも楽しいなんてな…。

本当に、終わったんだな。)」

 

「さ、こいつらポケモンセンターで診てもらわなきゃな!

ついでに俺も…(笑)

セキチクシティはすぐそこだ!!」

 

レッド

「よっしゃあっ!セキチクシティにはどんな出会いが待ってんだろうな…!」

 

上空の決戦は引き分けに終わった

そして、レッドはこの闘いでカントー地方に平和が訪れたのを少しずつ感じていた

セキチクシティ、いざ参る!



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セキチクシティ~バオバと入れ歯とニラレバと!?~

セキチクシティに着き、舜と別れたレッドはポケモンセンターで女医さんと話をしていた


レッド

「この町には何があるんですか?」

 

女医

「そうねぇ…、ジムとサファリゾーンぐらいかしら。

田舎って思われがちだけど、意外と観光客は多いのよ?

サファリゾーンが人気を誇ってるの!」

 

レッド

「サファリゾーン?」

 

女医

「広大な敷地でたくさんの種類のポケモンをゲットできるレジャースポットよっ!」

 

レッド

「なんと!?これは絶対行くしかないぜ!!」

 

早速ポケモンセンターを出て、サファリゾーンに向かう

そこは、水林に囲まれ、ポケモンが生息するには最適な場所だった

 

レッド

「すいませ~ん、サファリゾーン体験したいんですけど~?」

 

すると奥から杖をついた1人の老人が出てくる

 

???

「はひ、ふがふが…▽★~※。」

 

レッド

「な、何だぁ?」

 

レッドの声を聞きつけ、スタッフがやって来る

 

スタッフ

「あーっ、バオバさん!張り切らなくていいから今日は静かにしててください!!」

 

レッド

「どうかされたんですか?」

 

スタッフ

「いきなりゴメンね。このお方は、ここサファリゾーンの園長のバオバさん。

いつも、来場される方と世間話をしてゆっくりするのが日課なんですが…実は昨日、夕飯で出たニラレバを食べた後ニラが歯に挟まってしまったから取ってくるといって…帰ってきたらこの有り様。

入れ歯をどこかに忘れてきてしまったらしいんだ!

当の本人もこの歳だからねぇ、物忘れが激しくてどこに置いたのかすら忘れてしまったらしいんだ。」

 

レッド

「そういう事でしたら、探してきますよ!

物探しは得意なんです!

サファリゾーンのどこかにあるんですよね?」

 

スタッフ

「あ、あぁ。

でも、かなり広いよ?大丈夫かい?」

 

レッド

「任せてください!!」

 

スタッフ

「協力ありがとう!

ただ探すのも退屈だろうから、サファリゾーン1回分のボールをサービスするよっ!!

…誰にもいっちゃダメだからね?」

 

レッド

「やった!

ちなみに、オススメのポケモンとかは?」

 

スタッフ

「うちの看板ポケモンは、ラッキーとガルーラかな。

この2匹に遭えたら、運がいいんじゃないかな!」

 

レッド

「(ラッキーとガルーラか。)

じゃ、行ってきます!!」

 

スタッフ

「宜しくね。僕はお客さんの相手しなくちゃいけないから、ここに居るよ!」

 

こうして、バオバの入れ歯を探しついでに、サファリゾーンを体験することになったレッド

 

中に入ると、そこには見渡す限りの自然とポケモンが生息していた

 

レッド

「あれは…!

ケンタロスにタマタマ、パラセクトまでいる~!

ポケモンの宝石箱やーっ!!

むっ、あれは…ストライクじゃん!

男として見過ごせないぜ!!」

 

レッドは貰ったボールをストライクに投げつける

 

ストライク

「!!」

 

ストライクは鋭い鎌でボールを真っ二つにしてしまう

 

レッド

「まだまだぁ!こっちにはボールが有り余ってるぜ!」

 

次々とボールを投げるレッド

しかし、ストライクは素早い鎌捌きで全てのボールを斬ってしまう

 

レッド

「やるじゃねぇか…!

だからって諦めてたまる…」

 

レッドがバッグからボールを取り出そうとするも…

 

レッド

「あれ?」

 

バッグを逆さまにして揺するも、ボールは既に無くなっていた

 

レッド

「え!?もう終わり?」

 

そうこうしてる間に、ストライクは逃げてしまたった

 

レッド

「待ってくれぇー!

…はぁ、もっと考えて投げればよかったよ。

仕方ないっ、元はと言えばバオバさんの入れ歯を探すのが目的だ。」

 

レッドは広い園内を探し歩く

 

レッド

「(入れ歯だからなぁ…もしかして御手洗い場にあるかも!)」

 

レッドは休憩所に向かう

しかし、どこを探しても見つからない

 

レッド

「あーーっ、どこにあるんだよぉっ!!」

 

疲れ果てたレッドはベンチに座り込みボーッとする

旅の疲れもあったのか、自然と目を閉じてしまっていた

 

15分後…

 

レッド

「…ん?ふぁ~、寝ちまってたのか。よぉし、気合い入れ直して別の場所探すか!

…っ、これは!!」

 

レッドの横には、入れ歯が置いてあった

そしてレッドの目の前にはなんとラッキーが茂みに入っていく姿が映った

 

レッド

「あれは、ラッキー!?

もしかして、入れ歯を届けてくれたってのか?」

 

ラッキーは去り際、レッドの方を見てニコッと笑う

 

レッド

「ラッキー、何て親切なポケモンなんだ…。

さすが、女医さんの助手を務めるだけあるわ。

って、ラッキー見れたし…ラッキー!!」

 

それを持って、バオバの所に戻るレッド

 

レッド

「バオバさん、入れ歯ありましたよ!」

 

バオバさん、入れ歯装着

 

バオバ

「ほほ、若いの、感謝するぞ。

これで、皆様とお喋りできるし美味しいものも食べれるのぉ。」

 

スタッフ

「本当助かりました!

ところで、ポケモンはゲットできましたか?」

 

レッド

「それが…収穫0でした、トホホ。」

 

スタッフ

「ここでは色々とコツがあるからね。

ただ投げるだけでは、捕まえることは難しいんだ!

そのコツは、自分で見つけるしかないんだ、自己流ってやつをね!」

 

レッド

「そうだったのか…。

ま、野生のラッキーにも逢えたんで俺は満足です!!

では、俺は行く所あるんで…さようなら!」

 

レッドは、サファリゾーンを後にし、セキチクジムを目指す

 

バオバ

「はて、何か言い忘れたことがあったような…、なんじゃったかのぉ。」

 

バオバの入れ歯も無事見つかり、セキチクジムへ

だが、バオバはレッドに大切な何かを伝えたかったようだが…



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セキチクシティ~VS毒使いの忍者!①~

レッドはセキチクジムを訪れていた
小さな町に構えられた、城郭のようなジムである


レッド

「ここが、ジムか…。お城じゃねぇかよ!

相手がだれだろうと、やってやるぜ!」

 

門をくぐり、中の広間に足を踏み入れる

 

レッド

「ジムリーダーはどこだ?」

 

???

「拙者は既にここにおるぞよ!?」

 

レッドの背後にある壁から同色の布を纏った人物が現れる

 

レッド

「(俺の背後に…!?全く気づかなかった!)」

 

???

「ようこそ、セキチクジムへ!!

拙者の名前はキョウ。見ての通り、一端の忍である!」

 

レッド

「忍者か…、初めてみたぜ。

俺はレッド、ヨロシクお願いします!」

 

キョウ

「レッド…ほお、お主がそうか。

噂は聞いておるぞ?何でもその歳で大事件を解決したとか。

面白いではないか。

拙者にその実力見せてもらおうぞ!

使用ポケモンは3匹までとしよう!」

 

レッド

「分かりました!

俺はこいつだ…、フシギダネ!!」

 

キョウ

「いざ参る!ドガース!!」

 

レッド

「【体当たり】!」

 

キョウ

「無謀に突っ込んでくるとは…命知らずよのぉ。

事件に首をつっこんだのも、その度胸あってか。

まずは相手の出方を伺うのが定石、【ヘドロ攻撃】っ!!」

 

レッド

「それぐらい効かないぜ?【リフレクター】!」

 

フシギダネはヘドロをガードする

 

キョウ

「むっ!!避けるのだ、ドガース!」

 

レッド

「逃がさないっ、【蔓のムチ】!」

 

蔓でドガースを縛り、拘束する

 

レッド

「そのまま叩き落とせ!」

 

ドガースはかなりのダメージを負う

 

キョウ

「ドガース、そろそろかな?」

 

ドガースは窮地に陥った状況下で進化が始まった

 

レッド

「進化だと!?」

 

キョウ

「こやつは、拙者との厳しい修行を通して、レベルを上げていたのだ。

後は実戦あるのみ…他のトレーナーと、闘うことで遂に至ったのだ!」

 

ドガースはマタドガスに進化を遂げる

 

キョウ

「そして…こやつには特別な特訓を施したっ!!

ゆくぞ、【大文字】!!」

 

レッド

「マタドガスが、【大文字】だと!?

やべえっ、フシギダネ、【リフレクター】だ!」

 

フシギダネ

「っ!!」

 

いくら【リフレクター】という壁があるとて、草タイプのフシギダネにとって、炎技は体に応えていた

 

レッド

「持ちこたえろぉっ!」

 

何とか【大文字】を防ぎきるフシギダネ

 

レッド

「よくやったぞ、反撃だ!【葉っぱカッター】!!」

 

キョウ

「ふふ、忍法…【影分身】っ!」

 

マタドガスは分身し、フシギダネを惑わせる

 

レッド

「あいつ、【影分身】まで使えるのかよ!?」

 

油断したレッドにキョウとマタドガスが襲いかかる

 

キョウ

「【煙幕】!」

 

こっそりとフシギダネの背後に回るマタドガス

 

キョウ

「今だっ、【大文字】!!」

 

レッド

「俺達の技だって日々成長し、進化してるんだ、【リフレクター】!」

 

背後からの攻撃に対しても、360度に対応できるようになったフシギダネのシールドは【大文字】を防いだ

だが、多用しすぎた盾は破壊されてしまう

そんな中、こちらにも1つの新しい変化が…

 

レッド

「フシギダネが…。」

 

フシギダネはフシギソウへと進化したのだ

 

キョウ

「やるではないか…だが、この技の前では無意味ぞ!

【大文字】!」

 

マタドガス

「!?」

 

大技である【大文字】を連続で放った為か、燃料を充分に蓄えることができず、マタドガスは動揺してしまう

 

キョウ

「落ち着くのだ…ならば【ヘドロ攻撃】だ!」

 

レッド

「避わしながら、【突進】だ!!」

 

フシギソウは巧みに回避し、助走をつけた【突進】を喰らわせる

 

マタドガスは壁に打ち付けられ戦闘不能になる

 

キョウ

「マタドガス戻れ。互いに進化したのはトレーナーとして喜ばしいことだな…。

だが、これがジム戦である以上、気持ちを切り替えなくてはな!」

 

キョウは2匹目のポケモン、モルフォンを出す

 

キョウ

「さて、こやつの妖艶な舞いを魅せてやろうぞ!

【念力】!」

 

モルフォンの眼が妖しく光りフシギソウを宙に浮かせる

 

レッド

「(フシギソウの体力もそろそろヤバイな…。

今の内にやれることをやっておく!!)

フシギソウ、【宿り木の種】っ!!」

 

精一杯力を振り絞り、モルフォンに種を植え付ける

直後、フシギソウは効果抜群のダメージをくらい、倒れてしまった

 

レッド

「ありがとな、フシギソウ。

俺の2番手は…ニョロゾ、お前だ!!」

 

フシギソウの進化を喜ぶ暇もなく、

次なるカードは、ニョロゾ対モルフォン!



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セキチクシティ~VS毒使いの忍者!②~

妖しげに舞うモルフォンに、ニョロゾをぶつけるレッド


キョウ

「先手必勝っ、撒き散らせ…【毒の粉】!!」

 

レッド

「くそ、ニョロゾは粉系の技に関しては策を持ってねぇ…!」

 

ニョロゾは毒の粉を吸ってしまう

 

キョウ

「モルフォンの羽にはたっぷりの粉が付着している。

さぁ、毒の脅威を味わうがいいっ!」

 

レッド

「【泡】っ!!」

 

キョウ

「その速さを避けることなど、容易いわっ!」

 

モルフォンは素早く回避する

 

キョウ

「!?」

 

攻撃を放ったニョロゾは分身体であり、本体は避けたモルフォンの背後に存在した

 

レッド

「【水鉄砲】!!」

 

モルフォンを地面に撃ち落としたニョロゾ

 

ニョロゾ

「…!!」

 

しかし、ニョロゾは突如体に痛みが走り、モルフォンと共に落下してしまう

 

レッド

「ニョロゾ!?」

 

キョウ

「先程の【毒の粉】の効果が効きはじめたな。

これでニョロゾの体力は徐々に減っていくぞ?」

 

レッド

「それは、どうですかね…。」

 

倒れたモルフォンから植えつけられた種が養力を吸いとり、ニョロゾへと還元されていく

ニョロゾは微力ながら回復し、立ち上がる

 

レッド

「これは、フシギソウが残してくれた…財産だ!

そして、ニョロゾの【水鉄砲】により、モルフォンの羽についた粉を洗い流した!

これで粉は撒けない、終わりだ…【往復ビンタ】!!」

 

モルフォンは滅多打ちにあい、戦闘不能

 

レッド

「よし!」

 

キョウ

「やるではないか。

さて、ラストは…ベトベトン!!」

 

ボールから現れたのはヘドロの塊のようなポケモンだった

 

レッド

「うっ…!臭っせぇ!!」

 

キョウ

「強いのは臭いだけではないぞ!?

【金縛り】!」

 

ニョロゾ

「!?」

 

身動きが取れないニョロゾ

 

キョウ

「【はたく】!!」

 

ベトベトンのそれはただの【はたく】ではなく、身に付いたヘドロもろともニョロゾに覆い被さってきた

ニョロゾは全身にヘドロが付いてしまい、その強烈な臭いに気絶してしまい、再起不能になってしまった

 

レッド

「一撃でニョロゾを…!

こうなったら、リザードお前しかいない!!」

 

キョウ

「ヘドロの餌食にしてやろうぞ!

【ヘドロ攻撃】!」

 

レッド

「【居合い斬り】っ!」

 

ベトベトンの攻撃は遅かったので、リザードは動きを見切り、攻撃した

…が!ベトベトンのほとんどヘドロでできた身体に【居合い斬り】は通じなかった

 

リザード

「…!」

 

キョウ

「ああ、言い忘れたが、迂闊にベトベトンに触れると毒状態になるぞ?」

 

レッド

「何だと!?これじゃあ近づけねぇな。

ならば、【火のこ】!」

 

ベトベトン

「?」

 

ベトベトンに【火のこ】程度の火力では思ったほどのダメージを与えられない

 

キョウ

「ならば一気に終いにしようっ!【小さくなる】!!」

 

ベトベトンの体は見えなくなるほど小さくなり、辺りと同化してしまう

 

レッド

「これじゃあ、どうすることもできねぇっ…!」

 

その時、リザードの足元に"ドロッ"としたものが湧き出る

 

レッド

「あれはっ!!リザード、ジャンプしろ!」

 

キョウ

「遅い!【はたく】!!」

 

足を掴まれ、はたき落とされるリザード

毒のせいで体力も削られ、絶体絶命になってしまう

 

リザード

「…っ!!」

 

すると、リザードの尻尾の炎が今までに無いほど大きく燃え盛る

 

レッド

「リザード…お前。」

 

キョウ

「(この感じ…、まずいっ!!)

ベトベトン、リザードから離れろ!!」

 

リザードは口内に大量の炎を溜め込む

 

キョウ

「【小さくなる】…」

 

レッド

「【火炎放射】っ!!」

 

リザードは勢いよく炎を吹き出し、ベトベトンを燃やし尽くす

ベトベトンは跡形もなく溶けてしまい、戦闘不能

よって…セキチクジム戦はレッドの勝利

 

レッド

「火炎放射…リザード、お前成長したなぁ。

なんか、ヒトカゲの頃の面影も無くなっちゃって、寂しいけど、たくましくなりやがって!!」

 

キョウ

「拙者の負けだ。

修行不足であった…、これが、勝者の証ピンクバッジだ!」

 

レッド

「あのぉ、ベトベトン大丈夫ですか?

溶けちゃって…。」

 

キョウ

「心配御無用!こやつは、ゆっくりと時間をかけて辺りのヘドロを集めて、元の大きさになるのでな…ハッハッハッ!」

 

レッド

「それはそれで、ありがた迷惑というか…ハハ。」

 

キョウ

「次は海を渡ったグレンジムであるな!

あそこに座するカツラは拙者より、さらに強い。

用心して挑むのだぞ?」

 

レッド

「はい!」

 

レッドはセキチクジムを出て、足取り早くグレンタウンに向かう

しかし、1つの問題が浮上した

 

レッド

「ん?そういやぁ、海ってどうやって渡るの!?

まさか…泳いでぇ?」

 

無事キョウを倒し、次は大海に浮かぶ島にあるグレンタウン

だが、海を渡る手段が無いことに気づいて…

どうする、レッド?



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15番道路~予期せぬ贈り物~

順調な旅を見せていたレッドだが、海を渡れず立ち止まってしまう
仕方なく15番道路を進むことに…


地図を確認するレッド

 

レッド

「このまま行けばシオンタウンかぁ。

ま、たまには遠回りしてもいいかな?」

 

そんなレッドの前に1人の男性が現れる

 

???

「レッド君、待ってました!」

 

レッド

「あれ…、あなたは確か?」

 

???

「はいっ、以前2番道路でお会いしました、オーキド博士の下で働いております、勤です!!」

 

レッド

「勤さんっ、お久しぶりです!

で、今回は何の用ですか?」

 

「今日はレッド君に渡したい物がありまして…。

これです!」

 

勤は何やら小型の機械をレッドに渡す

 

「これは学習装置と言って、戦いに参加しなかったポケモンにも経験値が蓄積されるという代物です!」

 

レッド

「またまたこんなスゴい物戴いていいんですか?

オーキド博士には、いつも頭が下がります。」

 

「…それが、これはオーキド博士からの贈り物じゃないんだ。」

 

レッド

「え…?」

 

「これは、君の…お父さんからの贈り物なんだ。」

 

レッド

「…俺の親父から?」

 

俺の親父は、俺が物心つく前に家を飛び出し、それ以来会ったことがない。

詳しい理由は分からないが、母さん曰く、やりたい事があるかららしい。

旅を始めて、親父の事を考えた事もなかっけど、どうして今になって…

 

「一緒に手紙も挟まっていたよ…。」

 

静かに手紙に書かれた文字を目で追うレッド

 

~レッドへ~

14歳の誕生日おめでとう!

長い間、家に帰らず母さんにも迷惑をかけてしまっている。

本当にすまないと思っている。

ただ、誤解してほしくないのは、俺は母さんやレッドが嫌いで家を出たんじゃないってことだ。

俺もレッドと同じく、ポケモンが大好きだ!

そして、いつの間にか大事な仲間と旅をすることが俺の生き甲斐になってたんだ。

いつかはお前とも闘ってみたい!

そうだな、ポケモンリーグを制覇できるくらいになったら一度お前の前に顔を出そう。

それまでは、ただ直向きに今を頑張れ!

この学習装置は、その為に上手く使ってくれ!

父より

 

レッド

「誕生日…そういや、今日は俺の…。

親父は今どこで何をしてるのか分からないんですか?」

 

「残念ながら、僕にも分からないんだ。」

 

レッド

「そうですか…、プレゼントの気持ちは嬉しいけど、受け取れないです。」

 

「レッド君っ!?」

 

レッド

「それは、家に送っておいてください。

これは、親父からの挑戦状なんです。

俺を倒してみろっ…ていう。

だから、親父の力を借りてまでして強くなりたくない!

俺は純粋に己の力で、どこにいるのかも分からない親父を探しだし、倒してみせる!!」

 

「分かった!レッド君、そういうことなら僕も影ながら応援してるよ!」

 

その時、海の向こうの空に一筋の光りが…

それは雲を裂いた

 

レッド

「今のはっ!?」

 

「あの方向…そういや、僕も噂でしか聞いたことがないが、カントー地方には、海に浮かぶ双子島と呼ばれる島に、フリーザーという伝説の冷鳥ポケモンがいるという言い伝えがあるが…もしかして今のは。」

 

レッド

「伝説のポケモン…。」

 

「ま、あくまで噂程度だからね。

じゃあ、僕はこれにて!

仕事が溜まってるから、帰って作業しないと!!」

 

レッド

「勤さんっ、わざわざありがとうございました!!」

 

レッド

「(親父もそうだが、伝説のポケモン…。

カントー地方には俺の知らないことがたくさんありすぎる…!

全てを解明するには、俺の今の実力じゃあ何もできねぇ。

かと言って焦って空回りしても無意味だな、とりあえずはこのまま自分のペースで進んでみるか。)」

 

レッドは取り敢えずシオンタウンに向かって進むことに。

父親からの手紙…伝説のポケモン…

レッドの誕生日に起きた2つの出来事が、それぞれ波乱を呼ぶことになるとは、まだレッド自身知る余地も無かった



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14番道路~再戦、パープル!~

レッドは顔も知らない父親の事を全ては受け止めきれなかった
それでも、進まなければならない


レッド

「一体どうやったらグレン島に…。

ん、あれは確か…!?」

 

パープル

「おーっ!レッドじゃねぇか!!

何だ、俺の見てない所で大活躍したみたいだな!?

お前のその実力っぷり、今の俺がどれくらい通用するか試させてくれ!」

 

レッド

「ったく、しょうがねぇな。

今はあんまり勝負する気分じゃないんだけどなぁ。」

 

パープル

「乗り気じゃねぇのか?

ライバルである俺様が闘ってやるっていってんだぞ?」

 

レッド

「いつからライバルになったんだ…?」

 

パープル

「そりゃあ、以前のあの闘いだよ。

あの闘いでお前に触発されて、俺は旅をすることを決心した!」

 

レッド

「そういや、そうだっけ。」

 

パープル

「まさか、忘れたとは言わせんぞ~っ!

まぁいいや。俺もジムバッジ3つ手にして、今からタマムシジムに挑みに行く途中だったんだ。

ジム戦前のウォーミングアップ相手として、不足はねぇ!!」

 

レッド

「ウォーミングアップどころか、バテバテにしてやるよ。

使用できるポケモンの数は?」

 

パープル

「3匹でやろう!」

 

レッド

「よし…いけっ、リザード!」

 

パープル

「ゴローン、やるぞっ!」

 

レッド

「(やりづらいなぁ…、相性最悪だ。)」

 

パープル

「タイプではこっちが有利!

【岩落とし】だ!」

 

レッド

「(これぐらい避けるのは何てことないんだが…。)

リザード、避わして【メガトンパンチ】!」

 

パープル

「そんなパンチじゃあ、ゴローンの体は砕けないぜ?【硬くなる】!!」

 

リザード

「っ!」

 

レッド

「(やっぱり駄目か!)」

 

パープル

「連続して【岩落とし】!!

逃げ場のないこの攻撃…どうする!?」

 

レッド

「いや、1ヶ所だけあるぜ。

リザード、ゴローンにできるだけ近づくんだ!」

 

パープル

「!?」

 

レッド

「自分に岩を落とすようなアホな真似はしねぇだろ?」

 

パープル

「やるな、それでこそ我がライバル!

だけど、これならどうだ…【地震】っ!!」

 

リザードは大ダメージを受けてしまう

 

レッド「大丈夫かっ、リザード!?」

 

一撃で倒れるほど、リザードはやわなポケモンではなかった

 

レッド

「よし!…ん?(地盤が緩んだ?さっきの【地震】のせいか。

…ゴローンを倒す方法、思いついたぜ!!)

リザード、ゴローンと距離をとれ!」

 

パープル

「遠距離なら【岩落とし】で十分だぜ。」

 

ゴローンは、岩、岩、岩…次々と岩石を投げてくる

 

レッド

「リザード、反撃はしなくていい!!

ゴローンを中心に円を描くように避けるんだ!」

 

パープル

「避けてるだけじゃ、ゴローンに勝つどころか近づくこともできないぜ!?」

 

レッド

「よし…戻れリザード!」

 

パープル

「(このタイミングで、リザードを戻しただと?)」

 

レッド

「サンダース!!」

 

パープル

「(しかも交替したのが、よりによって電気タイプのサンダース!?)」

 

レッド

「サンダース、お前のスピードで翻弄させてやれっ!!」

 

パープル

「あの速さじゃ、【岩落とし】で当てるのは鳥に石を当てるのより難しいな…。

一気に決める!【地震】!!」

 

レッド

「…かかったぜ。」

 

パープル

「これはっ!?」

 

ゴローンの周りの地面が崩れて地盤沈下が起き、それに巻き込まれたゴローンは抜け出せなくなってしまった

 

レッド

「お前が初発で使った【地震】で、地盤が緩くなったのに気づいた俺は、【岩落とし】でさらに限定させて脆くさせた。ゴローンの周りだけな?

後、1撃で崩れちまうってぐらいまでに…。」

 

パープル

「それで円を描きながら…!ただ避けてた訳じゃないのか!?」

 

レッド

「そして、サンダースの動きでわざと【地震】を出させるよう誘発させたのさっ!」

 

パープル

「計算された戦いだったのかよ。

く~っ、やられたぜ!

しかぁーし、俺には2匹残ってる…。

次は、フシギソウ、君に決めた!!」

 

レッド

「【電光石火】だ!」

 

パープル

「あの足を止めるには…【蔓のムチ】っ!」

 

偶然にもサンダースの足に絡み付き、倒されるサンダース

 

パープル

「よっしゃ!」

 

レッド

「やられたぁ~、なぁんてね!

【電気ショック】をムチに流しこめ!!」

 

フシギソウ

「!!」

 

電流が体に渡り、麻痺状態になってしまうフシギソウ

 

パープル

「なっ…!」

 

レッド

「あれぐらい、本来のコイツなら掴まらないけど、わざと掴まってやったぜ?…【雷】!!」

 

強烈な雷がフシギソウに当たり、倒されてしまった

 

パープル

「すまん、フシギソウ!

こうなりゃ、こいつでお前のポケモン一掃してやるぜ、カビゴン!!」

 

レッド

「…きたか!」

 

前回、ほとんど歯が立たなかったカビゴンにレッドはどれほどの力を見せつけれるのか

巨大なポケモンが動き出す!



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14番道路~安眠妨害?~

巨漢なポケモン、カビゴン
こいつを倒すには…どうする、レッド!?


パープル

「進めぇっ、【ロケット頭突き】!!」

 

レッド

「動きは相変わらずとろいぜ!

【電気ショック】!」

 

まるで怯まないカビゴンは突っ込んでくる

 

レッド

「避けろ、サンダース!

カビゴンの背後に回れば怖くないぜっ、【雷】でビリビリにしてやれっ!!」

 

カビゴン

「!」

 

何をされても反応の鈍かったカビゴンが初めてダメージを負った

しかし、それはほんの一部だけであり、依然ピンピンしている

 

パープル

「カビゴンは、その有り余る体力が自慢なんだ!

それぐらい屁でもないぜ!?」

 

レッド

「【電光石火】!」

 

脚には絶対の自信があるサンダースだが…

カビゴンの腹に跳ね返されてしまい、よろける

 

パープル

「今だ、【のしかかり】っ!!」

 

"ドシィィン"という重たい音と共にサンダースは潰されてしまい、戦闘不能

 

レッド

「ちっ…サンダース、ありがとう。

リザード頼んだ!」

 

レッド

「チーム1パワーのあるリザードで行くしかない!!」

 

パープル

「へぇ、パワーでコイツと勝負するのか…やってみなっ?」

 

レッド

「リザード、【メガトンパンチ】!!

さらに、【鳴き声】だっ!」

 

パープル

「(こっちの攻撃力を下げての【メガトンパンチ】か…。

面白いな、だったら…!)

カビゴンっ、【カウンター】ぶちかましてやれぃっ!!」

 

カビゴンはリザードに殴られるも、その威力を倍にしてリザードに返す

吹き飛ぶリザード

 

レッド

「何っ!リザード…!!」

 

まだまだ…と立ち上がるリザード

 

パープル

「あれを喰らって立ってくるか。」

 

レッド

「(これで直接的攻撃は無くなったか…。)

ならば、【火炎放射】で燃やし尽くせ!

この炎…いつまで耐えれるかな?」

 

カビゴン

「…っ!」

 

高熱の炎に焼かれ、遂にあのカビゴンが膝をついた

 

レッド

「やったか…!?」

 

パープル

「まだだ…カビゴン、【眠る】!!」

 

レッド

「…しまった!そういえば、やつにはこれがあった!

これじゃあ回復されて、完全に俺の不利になる。」

 

回復していくカビゴン

 

パープル

「残念だったなレッド。あの戦いの続き…結果は、俺の勝ちだ!

カビゴンも夢の中で勝利の美酒に浸ってる頃だぜ。」

 

レッド

「(待てよ…?夢の中?夢…。そうかっ、まだ俺にも勝利の望みはある!)

パープル、そんなに急ぐなよ?

俺にはもう1匹、ポケモンが残ってるんだぜ!?」

 

パープル

「何が出てこようと、関係ない。」

 

レッド

「じゃあそこで大人しく見てな、悪夢をよぉ。

ゴース、【ナイトヘッド】!!」

 

ゴースはカビゴンの脳内を操作し、悪夢を見せる

 

カビゴン

「…!」

 

悪夢にうなされ、苦しむカビゴン

その為、体力がどんどん削られていく

 

パープル

「カビゴン!!」

 

レッド

「もう、ゴースの悪夢からは抜け出せないぜ?

【眠る】の弱点は意外なところにあったな。」

 

パープル

「ちくしょぉぉっ!!」

 

カビゴン、再起不能

 

レッド

「よくやったぞ、ゴース!

お前じゃなきゃ勝てなかったんだ!」

 

喜ぶゴース

そしてゴースの体が光り、ゴーストへと進化した

 

レッド

「ゴースト!!

最初は偶然に捕まえちまったお前が、今では俺の大事な戦力だ。

お化けだけど…これからも憑いてきてくれなっ!」

 

ゴースト

「!!」

 

ゴーストは笑いあげる

 

パープル

「レッド、やっぱ俺が認めたライバルだ。

だけどなぁ、次だ!

次こそはお前を倒すっ!!覚悟しとけよな!」

 

レッド

「何回でも追い返してやるよ笑」

 

パープル

「生意気言いやがってぇ~!

あっ…ちなみに聞いといてやるが、タマムシジムって何タイプのポケモン使ってくるんだ!?」

 

レッド

「んなもん、自分の目で確かめて、攻略してこいっ!

じゃあな、俺は海を渡る方法探してるんだ!!」

 

レッドとパープル、2人は切磋琢磨し強くなっていく

そして、レッドのポケモン達もそれに応えるかのように、ぐんぐんと成長していくのであった



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13番道路~リゾチウム育成論!!~

海を渡る手段を探し求め13番道路に差し掛かったレッド
そこでレッドはポケモンブリーダーを称する女性と出会う


レッド

「ポケモンブリーダー…?」

 

???

「えぇ、主にポケモンを調教したり、介護したり…育成する事を専門としてるの。

あ、自己紹介遅れたわ。私は成瀬 郁子(いくこ)。」

 

レッド

「レッドって言います!」

 

郁子

「レッド君っ、よかったらあなたのポケモン見せてくれない!?」

 

レッド

「いいですよ!!」

 

レッドはボールから全員を出す

 

郁子「わぁ~、たくさんいるわねぇ!

逞しいリザードに、勇猛な翼をもったピジョット…。

お腹の渦が可愛いニョロゾと、美しい蕾のフシギソウ!

そして、恐怖感の無いゴースト!!

どれも個性的な子ばっかりで育てがいあるけど…私が一番気に入ったのは、そのサンダース!!」

 

レッド

「サンダースが…?」

 

郁子

「その瞳に映るもの…。

その子、何か特別な思いを抱いてるようね。」

 

レッド

「どうしてそれをっ!?」

 

郁子

「それが分かるのがブリーダーなのよー!

長年この仕事やってりゃ、嫌でも分かるの。

どう?その子見てあげるけど?」

 

レッド

「何をするんですか…?」

 

郁子

「手っ取り早いのはポケモン勝負ね。

その子の個性だったり癖や弱点…色々と分析できるからね!」

 

レッド

「是非お願いしますっ!!」

 

こうして、レッドはサンダースを郁子に見てもらう為、バトルをすることに。

 

郁子

「じゃあ、いくわよ!?ペルシアン!!」

 

レッド

「サンダース、【電気ショック】っ!」

 

郁子

「避わして、【噛みつく】!」

 

レッド

「【砂かけ】で目眩ましっ!」

 

ペルシアン

「…っ!!」

 

郁子

「なるほどね…、1度距離をとるのよ!?」

 

レッド

「逃がしはしませんよ?【電光石火】!!」

 

サンダースの光速の足が、引き下がろうとするペルシアンに追い討ちをかける

 

郁子

「その速さ、大したものね!!

よく育てられてるわっ!?」

 

レッド

「ありがとうございます!!」

 

郁子

「だけどね、これならどうかしらっ?【スピードスター】!」

 

レッド

「どんな技だろうと、サンダースの脚力なら避けれるさ!」

 

しかし、逃げるサンダースを【スピードスター】は果てしなく追う

 

レッド

「なっ…!」

 

次第にサンダースとの距離を縮めていき…

 

サンダース

「っ!」

 

郁子

「この技はね、どんな相手でも100%命中するのよ。

ペルシアン、いくわよ?【嫌な音】!!」

 

レッド

「(ヤバイ!!)」

 

レッドとサンダースが【嫌な音】に翻弄された、その一瞬でペルシアンは間合いを詰める

 

レッド

「(近いっ!)【雷】しかねぇっ!!」

 

郁子

「…【雷】を出せるのは何も雷タイプだけじゃないのよ?

ペルシアン、【雷】っ!!」

 

互いの雷は大きな轟きと共に相殺される

そして、ペルシアンはサンダースの目の前に…

 

郁子

「【噛みつく】!…なぁんてね。

試合はここまでよ!」

 

レッド

「(完全に今のでやられてた…。)」

 

郁子

「結論から言うと、サンダースは相当鍛えられているのが分かったわ。

中でも、その素早さは天下一品級よ!」

 

レッド

「でもっ、このままじゃ…」

 

郁子

「そう焦らないでも大丈夫。

私が見つけた弱点は2つ。

1つは、電気タイプ以外の遠距離技を覚えていないこと。

電気タイプと相性が悪い相手と戦う時に、覚えているかいないかで、戦況は大きく変わる!

もう1つは、【雷】の威力!

知ってると思うけど、【雷】は電気タイプでもトップクラスの技だけあって、連続で出すのは難しいわ…。

だから、当たった際に1撃で倒せるぐらいの威力をもってた方が有利だわ。」

 

レッド

「改善点が多すぎて…笑」

 

郁子

「…しょうがないっ!!

そんな熱心な君に協力するわ!

ほら…、技マシン39【スピードスター】と、リゾチウム!!」

 

レッド

「リゾチウム?」

 

郁子

「特殊攻撃の基礎値を上げる道具よ?

手に入れるのも大変で、買おうと思ったら1万円ほどするわ。」

 

レッド

「そんな高い物いただけないですって!!」

 

郁子

「いいの、何だかあなた達見てたら応援したくなっちゃったから!

これは私からの細やかなプレゼントよ?

それでも、貰ってくれない?」

 

レッド

「じゃ、じゃあ…。」

 

そう言うと、レッドは2つの道具を受け取った

 

郁子

「私、君のファンになっちゃったから!

これからも頑張ってね!!」

 

レッド

「俺がポケモンリーグを制覇する姿見ててください!

次会った時は、もっと強い姿で…!!」

 

郁子

「期待してるわ!!」

 

レッド

「後…ブリーダーの郁子さんなら知ってるかと思うんですけど、海渡るにはどうすればいいんですか?」

 

郁子

「海を?簡単よ、【波乗り】を覚えてればいいわ!

手持ちの水タイプのポケモン…ニョロゾは覚えてる?」

 

レッド

「それが、覚えてないんですよぉ。」

 

郁子

「さすがに私も、【波乗り】の技マシン持ってなくてね…。

何よりあれは、秘伝マシンの1つだからね。

あっでも、セキチクシティのどこかで貰えるって聞いたことあるわ。」

 

レッド

「セキチクシティで!?

ありがとうございます!俺、グレンタウンに行きたいんで…。」

 

郁子

「じゃあ…お別れね?私はシオンタウンに用があるから!」

 

レッド

「色々とありがとうございましたっ!!」

 

手を振りながら郁子と別れたレッド

海を渡るための情報と、サンダースの成長…

郁子と出会い、レッドの旅にエンジンがかかり始めた



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Another Story 9 ~サファリゾーンでGET!~

ヤマブキシティでの騒動も収拾がつき、レッドと別れたグリーンは、その後、無事にナツメを倒し、レッドの後を追ってサイクリングロードを下っていた


グリーン

「やっほう~っ!サイクリングショップで貰った、この最新モデルのロードバイクは速いぜっ!

風を切って…最高だ!!」

 

こうして、早くもセキチクシティに到着したグリーン

 

グリーン

「ここにはサファリゾーンがあったっけ。

ここらで1匹仲間を加えていこう!」

 

グリーンはサファリゾーンに入園する

 

バオバ

「ようこそ!!我がサファリゾーンへ!!」

 

グリーン

「(元気なお爺さんだな…。)」

 

バオバ

「まぁまぁ、まずはお茶でも飲んで、旅の疲れを癒しなされ。」

 

グリーン

「は、はぁ。」

 

グリーンはバオバの言われるがままお茶を飲んで一服…

 

バオバ

「なんと!?では、あのマサラタウンから来たのか!

しかも、あのオーキド博士の孫とは…。

ワシも彼と闘った事があるが、1度とて勝てなかった。

年下のくせして生意気だが、強かったのう。」

 

グリーン

「へぇ、爺ちゃんが腕の立つトレーナーだっただなんて聞いたことなかったです!

…で、そろそろサファリゾーンを体験したいんですが…。」

 

バオバ

「おお、つい話に熱が入ってしまったのぉ。

ホレ、サファリボールじゃ!

…それと、今キャンペーン中でのぉ、一番奥の小屋まで行けば、秘伝マシン【波乗り】を贈呈しとるでの、頑張ってくれたまえ!

実は先日、儂の入れ歯を探してくれた少年に伝えるのを忘れていてのぉ。」

 

グリーン

「(そんなお願い引き受ける少年なんて、あいつぐらいだな…。)

じゃ、行ってきます!」

 

グリーンはサファリゾーンに足を踏み入れていく

 

グリーン

「へぇ~、カイロスなんて珍しいポケモンもいるのかぁ。

ま、でも俺の好みじゃあないかな。」

 

気づくとグリーンはサファリゾーンのかなり奥まで来ていた

木々が茂り、陽の光りも隠れてしまっていた

 

グリーン

「ここはどこら辺だ?」

 

すると、"ガサッ"という音が聞こえた

音のする方をそぉーっと覗いてみると、餌を食べているガルーラだった

 

グリーン

「(ガルーラ!!

…そういや、サカキもガルーラ持ってたな。

俺だって、あんな育てがいのあるポケモン欲しい!!)」

 

ガルーラの前に立つグリーン

 

グリーン

「ガルーラ、覚悟っ!」

 

ボールを投げつけるも、あっさり弾かれてしまう

 

グリーン

「くそぉっ!こうなりゃ…!」

 

そこらに落ちてる石をぶつけるグリーン

 

グリーン

「どうだ!!ちったぁくらったか!?

お前を捕まえるためだ…我慢してくれよな!」

 

しかし、このグリーンの行動に腹を立てたガルーラは、園内の岩をグリーンに向け投げてきた

 

グリーン

「うわぁぁぁっ!!あっぶねぇっ。」

 

すぐさま、木の影に隠れるグリーン

 

グリーン「(あいつ、凶暴すぎじゃねぇか?あっちがその気なら…!)

こうなりゃ、やけくそだぜ!」

 

ガルーラ

「!!」

 

グリーンの投げる石を悉く粉砕するガルーラ

グリーンが背後に回り、サファリボールを投げるも、【連続パンチ】で壊されてしまう

そして…

 

グリーン

「はぁ、はぁ…。」

 

ガルーラ

「…っ!」

 

かれこれ1時間にも及ぶ攻防に、お互い疲労困憊だった

 

グリーン

「これで…おしまいだぜ。」

 

グリーンが最後のボールを投げようとしたその時、ガルーラは倒れてしまう

 

グリーン

「よし、これでゲッ…!!」

 

グリーンがボールに手をかけようとしたその時、倒れたガルーラのお腹の袋から、まだ幼いガルーラが出てきて、親を心配し始めた

 

グリーン

「まさかあいつ、子供を庇って…。

おいっ、ちょっと待ってろ!!」

 

グリーンは周辺から餌を持ってきて、食べさせてあげた

 

グリーン

「しっかりするんだ!今、スタッフ呼んでくるから!!」

 

グリーンは走った

迷わないように、木に目印をつけながら、少しでも陽のある方へと。

そして、ようやく森を抜け出し、近くにいるスタッフに事情を話した

スタッフの看病のもと、ガルーラは回復することができたのだ

 

スタッフ

「君のおかげで、ガルーラは無事だ、ありがとう。」

 

グリーン「いえ。こんな事態を招いてしまったのは、自分ですから。

ガルーラに申し訳ない事をしてしまった…。」

 

スタッフ「…何はともあれだ!よくここまで来れたね!

記念の秘伝マシン【波乗り】だ。」

 

気づけばグリーンは、サファリゾーンの最奥まで来ていたのだ

 

グリーン

「…ありがとうございます。」

 

そこへ完治したガルーラが寄ってくる

 

グリーン

「ガルーラ…?」

 

スタッフ

「どうやら、君にお礼がしたいみたい!」

 

ガルーラはグリーンの投げそびれたボールを拾ってきて、それを渡す

 

グリーン

「俺についてきてくれるのか?ガルーラっ!」

 

ガルーラ

「!!」

 

スタッフ

「君の思いやりが、ガルーラの心を動かしたみたい!」

 

グリーン

「ガルーラ…ゲットだ!!」

 

グリーンは、ガルーラを見事仲間に引き込み、【波乗り】をも手にして、サファリゾーンを後にした

さぁ挑むはキョウ!



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Another Story 10 ~脅威!毒のフィールド!!~

ガルーラという大物を捕まえ、セキチクジムに挑戦するグリーン


グリーン

「さぁて、ここのジムリーダーは毒タイプのポケモンを主に使うと聞く…。

対策は、バッチリだ!!」

 

ジムの中に入ると、相変わらず誰もいない…様子だが

 

グリーン

「隠れてないで出てきたらどうですか?

それともジムリーダーともあろう方が、背後から襲う気ですか?」

 

キョウ

「ほう。拙者の気配に気づくとは、なかなか鋭い目をもっておるようだ。」

 

グリーン

「さて、早速バトルしましょう!」

 

キョウ

「ポケモンは3匹まで。ゆけっ、モルフォン!」

 

グリーン

「ゴルバット、いくぞ!!」

 

キョウ

「毒タイプに毒タイプをあてるとは…惜しかったなっ!

モルフォン、【サイケ光線】!!」

 

グリーン

「違いますよ?ゴルバットは毒タイプですが、飛行タイプの技を持っている!

モルフォンのもう1つのタイプは虫だからな!?

ゴルバット、避わして【翼で打つ】!」

 

サイケ光線は直線にしか伸びなかったため、あっさりと避けられ、ゴルバットの一撃でモルフォンは効果抜群…戦闘不能になってしまった

 

キョウ

「むぅ…一撃で倒されるとは、情けなし。

ならば次は、マタドガスだ!」

 

グリーン

「【噛みつく】!」

 

キョウ

「姿を眩ませよう…忍法【煙幕】!!」

 

煙に溶け込むマタドガスだったが…

 

グリーン

「これくらいで視界を奪ったつもりですか?

煙を【吹き飛ばし】で凪ぎ払え!」

 

キョウ

「何とっ!?」

 

グリーン

「【翼で打つ】で決めろ!」

 

キョウはニヤリと笑った

マタドガスは思いきり打ちのめされたが、ゴルバットは手応えを感じていなかった

 

グリーン

「!!」

 

キョウ

「…それは【影分身】で生み出した分身よ!」

 

本物が"スッ" とゴルバットに接近した

 

キョウ

「この技は使いたくなかったが…致し方無し。

【自爆】っ!!!」

 

己を犠牲にし、ゴルバットを爆破させたマタドガス

 

グリーン

「よくやったぞ、ゴルバット!」

 

キョウ

「さて、拙者の最後のポケモンは…ベトベトンだ!」

 

グリーン

「初めての戦いだ、ガルーラ!」

 

キョウ

「【はたく】!」

 

悪臭漂う体でガルーラに襲いかかる

 

グリーン

「避わして【メガトンパンチ】だっ!」

 

パンチは見事ヒットしたかに見えたが、ブヨブヨの体に飲み込まれてしまう

 

ガルーラ

「…っ!?」

 

キョウ

「ベトベトンに触れると、毒状態になってしまうぞ?

お主に毒の恐ろしさ…魅せてやろう!

ベトベトン、【毒ガス】!!」

 

辺りに毒が充満し、ガルーラの体は既に毒一色に染まってしまった

 

グリーン

「(ちくしょう…触れるのもままならないのに。

この状況は、最悪だ!)

ガルーラ、頑張れ!【連続パンチ】だ!」

 

キョウ

「拙者の言った事が聞こえなかったかな?

ベトベトンに触れると…」

 

グリーン

「それでも、やるしかないんだ!

この状況を打開するには停まってしまうことが一番最悪なんだ!!

少しでも、次に繋げるためにも…!」

 

ガルーラ

「!!」

 

グリーンの決断に身を委ねるガルーラは

ベトベトンには思ったほどのダメージは与えられないにも関わらず、それでも殴り続ける

 

キョウ

「ならば、これならどうだ!【金縛り】!!」

 

動きを封じられ、ただただ毒ガスの餌食となってしまい、その場に倒れてしまった

 

グリーン

「すまない…ガルーラ。

お前の最後まで魅せた頑張りは決して無駄にはしないっ!!

出番だ、出てこいっ、カメール!!」

 

毒に満ちたフィールドでグリーンは形勢逆転されてしまう

最大のピンチが訪れる中、グリーンは策などあるのか!?



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Another Story 10 ~大海原へと出る巨亀~

キョウのベトベトンが繰り出す毒にグリーンのポケモンは次々と倒されてしまい、残すはカメールのみ!


ボールから出すやいなや、【毒ガス】によりカメールは毒に侵されてしまう

 

グリーン

「(長期戦はできない…!

だけどカメールには…)

遠距離攻撃がある!【水鉄砲】!!」

 

キョウ

「そうきたかっ。フフフ、ならば【小さくなる】!」

 

小さくなったベトベトンに【水鉄砲】は外れてしまった

 

グリーン

「くそっ!」

 

キョウ

「【ヘドロ攻撃】!」

 

カメールの下から元の大きさに戻ったベトベトンが現れる

 

カメール

「!?」

 

ベトベトンのヘドロに足をとられてしまい、カメールは滑ってしまった

それをキョウが見逃すはずがない

 

キョウ

「毒に呑まれろ、【のしかかり】!!」

 

グリーン

「(どうするっ…!?吉と出るか凶と出るか…、こうなりゃ運まかせだ!!)

【殻にこもる】で直撃を避けるんだっ!!」

 

ベトベトンは体全体でカメールを包み込む

カメールは毒に覆われてしまったのだ

 

グリーン

「(いくら、【殻にこもる】で身を守ってるとはいえ、危険な状態であることには変わりはないっ!

中から弾きとばすには…!)」

 

キョウ

「さぁ、カメールはそろそろギブアップする頃じゃないか?」

 

グリーン

「っ!!そうか…。

思いついたぜ、ベトベトンを弾く方法が!!

カメール、体を高速で回しながら【水鉄砲】っ!!」

 

ベトベトンの体が異様に膨れ上がっていく

そして…

 

ベトベトン

「!!」

 

ベトベトンの体は四方八方に飛び散る

 

キョウ

「なっ…!」

 

カメールは脱出できたものの、体力もかなり少ない

 

グリーン

「カメール、今だ…受けとれ!!」

 

グリーンがカメールに投げ渡したのは、毒消しだった

 

キョウ

「最後の足掻きか…ベトベトン、しっかりせい!

…【ヘドロ攻撃】!!」

 

その時、ピンチに陥ったカメールに進化の兆しが…

一回り大きな姿になりカメックスへと進化を遂げたのだ

 

グリーン

「カメックス…。」

 

キョウ

「今更遅いわっ!!」

 

グリーン

「全てを流すぞ…今、一人前へと成長した亀は陸から大海へと泳ぎ出す!!

カメックス、お前のステージにするんだ!【波乗り】っ!!!」

 

カメックスの【波乗り】はフィールド一帯を呑み込み、ベトベトンを洗い流す

 

キョウ

「ぐわぁぁっ!!なんという、大きな波だ…!」

 

グリーン

「相棒…最高のライドだったぜ!!

ゆっくり休んでくれ。」

 

キョウ

「まさか、あれほどの波を操るとは。

大したポケモンと、最後まで信じたお主に…このピンクバッジを与えよう!」

 

グリーン

「(俺達…強くなってる!)」

 

こうして、セキチクジムを撃破したグリーン

そこへ…息を切らしたレッドが現れる

 

グリーン

「レッド?」

 

レッド

「ハァハァ…。グリーン、キョウさんを倒したか?」

 

グリーン

「当たり前だろ?

確か次はグレンジムだ…となると、ここから先は海か。」

 

レッド

「そう!そうなんだよ!

俺、どうやって渡ればいいか分からなくて…そしたら【波乗り】がどうのって…」

 

グリーン

「そんなの知ってるよ。俺はカメックスに覚えさせたから、こいつに乗って行くぜ?」

 

レッド

「カ、カメックス!?進化したんだな…カッコいいじゃんかよ!

…って【波乗り】もってんのかっ!?」

 

グリーン

「あぁ、サファリゾーンの奥で貰えるって園長の爺さんから聞かなかったか?

俺はてっきり、お前の事だからサファリゾーンに入ったのかと。」

 

レッド

「え~っ!?バオバさん俺には話してくれなかったぞ!?

どういう事だよぉ。

…はっ、そういえば!」

 

~回想~

 

スタッフ「当の本人もこの歳だからねぇ…物忘れが激しくて…」

 

ーーー

 

レッド

「ぜっったい、俺に言うの忘れてたなぁ!!」

 

グリーン

「んじゃ、俺はお先に失礼しまーす!」

 

グリーンは颯爽と海へと出た

 

レッド

「あぁもうっ、初めて先越されたぜ。

待ってろグリーン、そして海よっ!!」

 

レッドは2度目のサファリゾーンを体験することに…

そして、バオバの長ーい、話しに付き合わされたのだった

その間に、グリーンは先へと進むのであった



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第7章 島での謎
19番水道~Maritime~


グリーンに遅れをとったレッドだが、【波乗り】の秘伝マシンも手に入れ、ニョロゾに覚えさせたところで、海を渡り始めた


レッド

「ニョ、ニョロゾ!もうちょいゆっくり泳いでくれないか!?

お、落ちたらどうすんだよっ!

俺は泳げないんだ~っ!!」

 

ニョロゾはレッドのわがままを素直に受け入れ、安定した泳ぎで19番水道を進む

 

海には水ポケモンがたくさん生息しており、

水面に揺れながら、優雅に泳いでいる

 

レッド

「タッツー、トサキント…本当に水タイプのポケモンばかりだな。」

 

そんなレッドの横をクロールで泳ぐ男性が

 

レッド

「おいおい!ポケモンより速く泳ぐスイマーかよっ!」

 

その声に反応し、レッドの下に寄ってきた

 

???

「そんなに俺の泳ぎが美しかったか!?

そりゃそうともさっ、なんたって俺は今年のカントー水泳大会の金メダルを手にした男…平田 彗梦(すいむ)だ!!」

 

レッド

「(カントー水泳大会なんて、聞いたことない…。

だけど、あのフォームは本物だったな。それにこの人の体型、見事な逆三角形!)

…で、彗梦さんはこんな所でどうして泳いでいるんです?」

 

彗梦

「そんなの、この大自然で泳いだ方が気持ちいいし、何よりポケモンと一緒に泳げるからなっ!」

 

レッド

「(水泳金メダルの名はダテじゃないな…。)

彗梦さんは、ポケモンバトルとかには興味ないんですか?」

 

彗梦

「バトルにはあまり自信がないが、何だ?闘いたいのか?

…まぁ、いいか。ここは俺のホームグラウンド!

ここで勝って、次の大会の糧にしよう!!」

 

レッド

「海上バトル、お願いします!!」

 

レッドは小島に上陸し、一方の彗梦は何故かゴーグルを装着し、ヤル気満々だった

 

彗梦

「使用ポケモンは1匹のみだ。俺は、アズマオウでいく!)

 

レッド

「やったことのない海上バトル…そっちが海なら、こっちは上から獲物を狙う大鳥だ!ピジョット、君に決めたっ!!」

 

彗梦

「アズマオウ、海に潜れ!」

 

レッド

「(さすが地の利を活かした戦闘方法だな。

こちらからは攻撃を当てるどころか、姿を捉えるのさえ困難だ。)」

 

静かな海に水面が"ゆらっ"と波打ち、レッドは素早く反応した

 

レッド

「そこかっ、【鎌鼬】!」

 

真空刃が水を切るが、そこには何もいない

 

レッド

「なっ!?」

 

彗梦

「それは自然に発生した波だよ。アズマオウ、ピジョット目掛けて【バブル光線】!」

 

アズマオウはピジョットの背後から浮かび上がり、

ピジョットは大量の泡を喰らって水中に撃ち落とされてしまう

ここからアズマオウの乱撃が襲ったのだ

 

彗梦

「【角で突く】でどこまで耐えれるかな?

このままだと溺死してしまうぞ?」

 

レッド

「鳥が溺れてたまるか!【空を飛ぶ】で空へ飛び出せ!

これで、アズマオウの攻撃は届かない。」

 

彗梦

「まだだ、逃がしはしない…【滝登り】!」

 

アズマオウは激しく水柱を立て、ピジョットの高さにまで泳ぎ登る

 

レッド

「魚が空を…!想定外だぞっ!?」

 

ピジョットはさらに追撃を受けてしまい

再び海の中に落とされてしまう

 

彗梦

「そのまま海底まで連れてってやる!

どこまで息がもつかな?【突進】!!」

 

アズマオウの泳ぐスピードに【突進】の勢いが加わり、ピジョットは一気に引きずり込まれる

 

レッド

「自然の恐怖か…身に染みて分かったよ。

だからアズマオウにも体験してもらうぜ?陸に上がった魚が辿る末路を!

ピジョット、俺の声が届いたなら…【風おこし】だ!」

 

彗梦

「!?」

 

突如、水面から渦が巻き上がり、それは竜巻のようであった

 

レッド

「へっ、さらに【鎌鼬】っ!!」

 

渦の中にはアズマオウが。さらに放たれた刃が切りつけていく

 

レッド

「【吹き飛ばし】でアズマオウ…一丁上がり!!」

 

アズマオウは陸に打ち上げられ、エラ呼吸しかできない魚にとっては致命的なダメージを受け戦闘不能に

 

彗梦

「アズマオウ戻れ。いやぁ~、参ったぜ!

まさか、あの窮地から逆転されるとは。)

 

レッド

「俺も、【滝登り】された時は、度肝を抜かれましたけどね?

今回はタッチの差で俺の勝ちってことで!

カントー水泳大会でしたっけ?頑張ってください!」

 

彗梦

「おう、今日のトレーニングはクロール20キロだああぁっ!!」

 

彗梦はナイスな飛び込みを魅せ、華麗な泳ぎで去っていった

 

レッド

「元気な人だったなぁ。…ん、あれは?」

 

遠くで氷上に浮かぶ島が見えた

その一帯だけ天候が悪く、激しく吹雪いていた

その島の名は…双子島!!



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20番水道~氷の美魔女カンナ現る!~

レッドの遠くに見えるのは伝説のポケモンフリーザーが住まうと噂される双子島であった


レッド

「あれが双子島…あんな猛雪に覆われた島にどうやって近づけばいいんだよ!

ここからでも肌寒いってゆうのによぉ。

(だが、伝説のポケモンを1度は拝んでみたい気もするな。)

ニョロゾ、限界まで寄れるか?」

 

何とか氷の上に上陸することができたレッド

激しい吹雪に見舞われ、それはまるで島の内部に入れまいと拒んでいるかのようだ

 

レッド

「くそっ!ここまで来れたのに…。」

 

???

「あなたっ、どうしてこんな危険な所に!!しかも、まだ子供!?

せっかく探検しに来たのに、いきなり人命救助だなんて冗談じゃないわよ!?」

 

レッド

「(透き通った目に、スベスベな肌…何て綺麗な女性なんだ。)

あなたは?」

 

???

「私はカンナ、取り敢えず私のテントの中に。」

 

島の洞窟内に張られたテントにお邪魔するレッド

防寒具とランタンが備えられているにも関わらず、冷たいすきま風が中まで入ってくる

 

カンナ

「…で、君はどうしてこの島に?

どうせ、フリーザー目当てでしょ?そうでもなきゃ、ただの馬鹿としか言い様がないわ。」

 

レッド

「じゃあ、カンナさんもフリーザーを?」

 

カンナ

「ええ。だけど、折角ここまで来たのに残念ね!

フリーザーを発見できる確率は…1%にも満たないの。

私はね、フリーザーを探してかれこれ10年も経つけど、1度も目にしたことがないのよ。

夢はフリーザーの背に乗ること…、あの全てを凍らせてしまう体に触れて、一体になってみたいの!」

 

レッド

「変な夢ですね…。」

 

カンナ

「何とでもいいなさい、ただ誰よりも氷のポケモンを愛す私にとっては、命を賭けてでも叶えたい夢なのよ!

このカントー四天王が1人、氷のカンナのね!!」

 

レッド

「っ!?四天王っっっ…!?

じゃあ、ワタルさんと変わらない実力の持ち主!?

そんな凄いトレーナーだったんですか!」

 

カンナ

「へぇ、ワタル君を知ってるんだ。

彼は四天王の中でも1人、頭抜き出てるからねぇ。

…と、話はこれぐらいにして、そろそろ行くわ。

ちんたらしてると私の体が凍ってしまう。

入口でお陀仏だなんて、御免だわ…。フリーザーに遭うまでは死ねないの!!

あなたも死にたくなかったら、早くここから立ち去りなさい。」

 

カンナは1人、洞窟の先に進む

レッドはその背を見つめる

 

レッド

「(俺だってトレーナーの端くれだ…伝説のポケモンだって見てみたい!

それに、カンナさんの腕も…。)

待ってくださいっ!俺も…、俺も連れてってくれませんか!?

カンナさんの足元にも及びませんが、迷惑はかけない程度の…自分の身は自分で守りますから!!」

 

カンナ

「倒れたら、私はあなたを見捨ててでも行くわよ?

それでも来る覚悟…あるの!?」

 

レッドは所持してるバッジケースを見せる

 

レッド

「俺の夢はカントーポケモンリーグ制覇。こんな所で朽ちる訳にはいかない!

それに、あなたみたいなトレーナーの鏡である方の夢に付き合ってみたい。

どこまでついていけるのか、どれほど偉大なものかをね…!」

 

カンナ

「ふぅん、見た目で判断してはいけなかったわ?

そういえば、名前聞いてなかったわね。」

 

レッド

「マサラタウンのレッド!!」

 

カンナ

「(レッド!この子が…。道理で、この危険な場所への冒険心と無謀ともいえる挑戦。

ワタル君から聞いてた通りの子だわ。)

わかった、今回だけよ!?」

 

レッドとカンナは幻ともいえるフリーザーを探す為、洞窟内を突き進む

激しく吹き荒れる風が、不気味な音をあげて嘲笑うかのように彼等を待ち受ける!



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双子島~意識薄れるその中で…~

レッドは偶然にも双子島で四天王の1人、カンナと出逢い、共にフリーザーを一目見ようと島の洞窟へと足を踏み入れた


レッド

「寒い~っ!」

 

カンナ

「当たり前でしょ?中はマイナスの世界、防寒を疎かにしてると凍え死ぬわよ。

それでもまだこの辺りは楽な方…、奥へ行けば行くほど温度も下がり、冷気も増してく。

これも伝説のポケモンに遭うため乗り越えなければならない試練なの。」

 

レッド

「カンナさんは、どうしてフリーザーにこだわるんです?

10年も探して見つからないんじゃ、心折れますって!

俺なんて1週間でもお手上げっす。」

 

カンナ

「男なのに根性ないのね。

正直私は、四天王の肩書きとかそんなのどうでもいいの。

ただ…、氷タイプのポケモンに関しての肩書きだけは誰にも譲れないっ!

子供の頃から氷タイプ一筋だったから…。

だから、フリーザーもあわよくば捕まえたいとも思ってる。

いるかどうかさえ分からないけどね!」

 

レッド

「(誰にも譲れない肩書き…か。)」

 

カンナ

「ほらっ、気を抜かない!

ここからは氷柱も平気で落ちてくるわ?頭上にも警戒しなさい。」

 

レッドとカンナは全面氷の洞窟を突き進む

綺麗な氷が反射しあい、レッドとカンナの姿が至るところに映って見える

 

その時、"ピシッ"という氷が割れる音が聞こえた

その割れ目から勢いよくポケモンが飛び出してきた

 

カンナ

「ジュゴン!?」

 

さらに辺りの氷は崩れ、次々とジュゴンが現れる

機嫌が悪そうにも見える

 

レッド

「こんなにもたくさん…、捕まえちゃおっかなぁ?」

 

カンナ

「よしなさいっ!!1匹ならともかく、こんな多くのジュゴンに囲まれたら…蟻が象に挑むようなものよ!?

早く逃げるのっ!!」

 

しかし、ジュゴンの【冷凍ビーム】でレッド達は退路を絶たされてしまった

 

カンナ

「やるわね…。いいわ、そっちがその気なら相手してあげる!

レッド君は巻き添え喰らわないように下がってなさい。」

 

レッド

「カンナさん、1人で無茶しないでくださいっ。

氷ポケモンの事をよく知ってるあなたが、言うんだ…。最悪の状況なんでしょう?

だったら尚更引き下がれないですよ、あなたの夢、まだ潰させるわけにはいかないんで!!」

 

カンナ

「ごめんね…、じゃあお言葉に甘えちゃおうかな。」

 

レッド

「任せてください、リザード!」

 

カンナ

「炎ポケモン…、いい判断よ!?

私は勿論、ジュゴン!!

レッド君達は氷を溶かして、退路の確保をお願い。

私達で、あのジュゴンを足止めするわ!」

 

ジュゴンはカンナに【冷凍ビーム】の集中砲火を浴びせる

 

カンナ

「それぐらい、どうってことないわ!

【冷凍ビーム】!!」

 

【冷凍ビーム】をより大きな【冷凍ビーム】で凍らせる

 

カンナ

「私のジュゴン、嘗めないでくれる?

何匹でかかってこようと返り討ちにしてあげる。」

 

レッド

「(これが四天王の強さ…。

同じポケモンでもこんなにも圧倒的なのか!)

俺達だって、ボーッとしてられないな。

リザード、【火炎放射】!!」

 

野生のジュゴンが閉ざした氷を炎で溶かしていく

しかし、背後から迫り来るジュゴンにレッド達は気づいていなかった

ジュゴンは口にエネルギーを溜め始める

 

カンナ

「…っ!レッド君、後ろっ!!!」

 

ジュゴンはレッドに向かって【オーロラビーム】を発射する

 

レッド

「しまっ…!」

 

カンナ

「くっ、ジュゴン、【冷凍ビーム】よ!」

 

【オーロラビーム】の軌道をずらすも、あと少しの所で間に合わず、レッドとリザードは攻撃をかすめてしまい倒れてしまう

さらにカンナも同様に、その一瞬の隙をつかれジュゴンの【突進】を受けてしまう

 

カンナ

「(私としたことが…、意識が遠のく…。

そりゃあそうよね…【突進】をまともに受けたんですもの…ね。

…?あの光は何…かしら。)」

 

レッドとカンナは凍える洞窟で意識を失ってしまった

だが、カンナが最後に目にした光とは!?

 

カンナ

「…君!レッド君っ!!」

 

レッド

「…カンナさん?」

 

カンナ

「よかったぁ。」

 

レッド

「俺達、ジュゴンにやられて。」

 

カンナ

「確かに気絶してしまったわ。

でも、私は微かな意識の中、光輝くものを見たわ。

あれは、もしかすると…。」

 

レッド

「フリーザーっ!?」

 

カンナ

「断言はできないけど、昔からの言い伝えによると、フリーザーは吹雪吹き荒れる中、凍死しそうになった者の前に現れるというわ。

もしかしたら、フリーザーが私達を助けてくれたのかも。」

 

レッド

「じゃあ、フリーザーに貸し1つできちまったかも…ですね!」

 

カンナ

「(私は諦めない…、この眼でしっかりと確認するまでは。)

そろそろレッド君も行きなさい、無事とはいえ体の各部で軽い凍傷を起こしている。

グレンタウンのポケモンセンターでゆっくり休みなさい?

私も家に帰って一休みしたら、また探索するとしますか。」

 

レッド

「あまり、無理はしないでくださいね?」

 

カンナ

「ふふ、いつかあなたがチャンピオンリーグに昇ってくることも楽しみにしてるから…。

その時は、四天王としてあなたの前に立ちはだかるわ!」

 

レッドは伝説のポケモンの真実を目にすることはできなかった

しかし、可能性は0ではない!?

いつか遭うその日まで…レッドは、次のジムのあるグレンタウンへと目指すのであった



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グレンタウン~復元!古代のポケモン!!~

双子島で命からがらの生還を果たすことができたレッド
ニョロゾに乗って海を渡り、着陸するはグレンタウン


グレンタウン…そこには島の象徴とも言える火山がそびえ立ち、狭い面積でありながらも、様々な研究所が建ち並んでいる

 

レッド

「何とか到着できたか。

まずはポケモンセンターに行って、治療してもらわないとっ。」

 

レッドがポケモンセンターで診察を受けていると、そこでグリーンと鉢合わせる

 

グリーン

「レッド…お前、何やってんだ?」

 

レッド

「見ての通りだよ。少しばかり派手にやっちゃってな…。

女医さんも、さすがにポケモンじゃなくて人となると…って言ってたけど、応急処置はしてくれたんだ。」

 

グリーン

「そうか。あっ、そうだ、そう言えばお前に会いたがってるやつがいたぞ?

何でも、お月見山で会ってるって…。」

 

 

レッド

「お月見山?半年以上も前じゃねぇか、誰だ?」

 

グリーンはレッドを連れて、とある研究所に向かった

 

レッド

「何の研究所だ?」

 

グリーン

「入ればわかるさ!」

 

レッドがドアノブに手をかけたその時、

反対側からドアが急に開き、レッドは額をおもいっきりぶつけてしまう

 

???

「グリーン君っ!!どう、あいつ見つかった!?

ところでさぁ、今何かぶつけたような気がしたんだけど…。」

 

レッド

「お前だったか…歌美!!」

 

歌美

「ん、レッド!?

しょうがないでしょ、チャイムついてないんだし!

…ってあんた、怪我してるじゃない。

もしかして、今ので…?」

 

レッド

「んな訳あるかぁーっ!まぁ、病院通う程ひどくはないから、気にすんな!」

 

歌美

「ニュース見たよ、あんた凄いじゃん!!

よくあんな事件に首突っ込めるわ。

でも、あんたの性格なら不思議じゃないか。」

 

2人の会話を聞いていたグリーンはその場を察してか、気を利かす

 

グリーン

「俺やることあるから、またしばらくしたらアイツをとりにくるわっ!

復元ヨロシク頼むぜ!」

 

歌美

「任しといてよ!!」

 

グリーンは研究所を後にする

 

レッド

「復元?」

 

歌美

「そう、ここはポケモン研究所っていって化石を復元させて古代のポケモンを甦らせる所なの。

お姉ちゃんが働いてるとこで、今日は私もお手伝いで来てるのよ。

そう言えば、レッドに化石あげなかったっけ?」

 

レッド

「あ~貰ったやつか。確かバッグの下の方に…。

あった、あった!」

 

レッドは取り出すと、化石に噛んだガムがくっついていた

 

レッド&歌美

「…。」

 

ソッとガムを取り、歌美に化石を預ける

 

歌美

「ま、まぁ…この化石は爪の化石といって、復元させるとカブトっていうポケモンが甦えるの!

復元までに時間がかかるから、その間にこの町を廻るといいわ?

お姉ちゃんー、ちょっと出掛けてきてもいい?」

 

研究で忙しそうにしている歌美の姉が顔を覗かせる

 

歌美の姉

「あら、レッド君お久し振りね!!

ごめ~ん、今大事な研究の途中で手が離せれないの。

また、ゆっくり話しましょう。」

 

レッド

「すみません、忙しいのに!」

 

歌美の姉

「歌美ー、夜にはニビシティ帰るからそれまでには戻って来なさいよ!?」

 

こうしてレッドは化石を復元してもらう間にグレンジムを挑戦することに決めた

歌美の案内のもと、グレンジムに来たレッド

そこにはグリーンが突っ立っていた

 

レッド

「どうしたグリーン?

まさかお前、先に勝利して俺をおちょくろうとして…」

 

グリーン

「それが…ここのジムリーダー、居ねえんだ。」

 

レッド

「!!?」

 

グレンジムの入口は封鎖されており、貼り紙には

《御用のある方はポケモン屋敷へ》と書かれてあった

レッド、グリーン、歌美の3人は貼り紙に記されるポケモン屋敷へ!



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グレンタウン~ポケモン屋敷~

ジムに挑戦しに来るも、入口は閉ざされたまま…
3人はジムリーダーがいるというポケモン屋敷に行かざるを得なかった


歌美

「ポケモン屋敷っていえば、何年か前に実験の失敗か何かで未曾有の爆発により、見るも無惨な姿になってしまった研究所よ。

そこにジムリーダーが何の用かしら。」

 

グリーン

「何にしても、情報がそれしかないんじゃそこに行くしかねぇな。」

 

3人はポケモン屋敷と呼ばれる研究所に着く

そこはボロボロで焼け焦げた様な跡が至るところにある、そんな研究所であった

しかし原型は残っており、中には入れるようになっている

建物内は炭の匂いと、科学薬品の匂いが混じり鼻を刺激させる

 

レッド

「電気はもちろんつかないし、窓から入る日の光だけが頼りだな。」

 

グリーン「足元悪いから気をつけろよ。」

 

そんなグリーンの足元で"カチッ"という音が聞こえた

それと同時に前方から無数の針がグリーンに飛んでくる

 

レッド

「フシギソウ、【リフレクター】!」

 

歌美

「プクリン、【守る】よ!!」

 

2匹の鉄壁の防御により針は弾かれる

 

グリーン

「すまん、油断しちまったぜ。」

 

レッド

「こりゃ、簡単に先へと行かせてはくれないみたいだな。

警戒しながら進もう。」

 

その後、次から次へと襲いかかる罠を3人の力で乗り越え、ようやく3階まで辿り着く

 

グリーン

「(これだけの罠を仕掛ける理由…、ここには隠しておきたいものでもあるのか?)

…っ!あれは!!」

 

歌美の足の下には今にも崩れてしまいそうな床が待ち受けていた

それに歌美は気づいていない

 

グリーン

「歌美、そっちは危険だ!!床が脆くなってる!!」

 

時すでに遅く、歌美は床と一緒に崩れ落ちてしまう

 

レッド

「まだだ、俺の手に捕まれ!」

 

とっさに手を掴むも落ちる勢いの方が強く、男の力でさ耐えられずレッドも落ちてしまう

 

レッド

「くっ、このままじゃ1階まで転落…!」

 

グリーン

「レッド!!」

 

グリーンの伸ばす手にしっかり掴むレッド

だが、2人分の体重を支えることなどできず、グリーンも引きずり込まれてしまう

 

グリーン

「(これまでなのかよ…!)」

 

???

「ブーバー、手伝っておくれ!【怪力】で一気に引き上げるのだ!!」

 

ブーバーと呼ばれるそのポケモンの剛腕でレッド達を軽々と引き上げる

 

歌美

「はぁ~っ、人生の終わりかと思ったわ。」

 

レッド

「助かりました、ありがとうございます!!」

 

???

「いやぁ、こんな人も寄り付かない場所で先程から下の階が騒がしいと思って来てみたら、罠にかかってしまった君達がいたからね。」

 

レッド

「おじさんは、どうしてここに?」

 

グリーン

「そうですよ。こんなにも多くの罠…。

全てを1人で掻い潜るには絶対に無理だ。」

 

???

「賢い子だね、名前は?」

 

グリーン

「俺はグリーン、こっちはレッドと化石の研究をしてる歌美だ。

ちなみにあなたは?」

 

???

「君達があのロケット団を壊滅させたという2人の子供か…。

君達になら話してもいいかもしれないな。

ここで何があったのかを、カントー地方に生み出してしまった闇を。

私の名前はカツラ、グレンタウンのジムリーダーだ!

一緒についてきたまえ。」

 

レッド

「グレンタウンのジムリーダー!?あなたが?」

 

カツラ

「そうか、ジムを閉めていたからなぁ。すまん!!

どうしても取りに来たかったのだ。

そして処分しなければ…。」

 

グリーン

「…処分?」

 

カツラ

「ここは元、ロケット団の研究所でポケモンに改造や実験を施していた場所なのだ。

そして、私が処分したいのは、あるポケモンに関するレポート。

友人からの要請でグレンタウンにいる私がその件に携わったという事だ!

そして、今から話すことは事実であり、ここで起きた全てだ…!」

 

 

ポケモン屋敷の実体はロケット団の研究所!?

建物で起きた全てがカツラの口から明かされる



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グレンタウン~犯してしまった罪~

グレンタウンのポケモン屋敷はロケット団の研究所だった
一体何が起きたのか…カツラが語るその全貌とは


カツラにつれられ、とある研究室に入る3人

そこには、見たことの無い器具や、科学薬品、使い捨てされた注射器が転がっていた

 

レッド

「ここの部屋だけ他の部屋に比べて酷く荒れてるなぁ。

この部屋でどんな実験を?」

 

カツラは黙って机の引き出しから1つのレポートと、1枚の写真を取り出す

 

カツラ

「ここは、私にこのレポートを処理するよう頼んだ友人が使っていた特別研究室だ。

彼の名前は…フジ。今はシオンタウンで隠居してると聞くが。」

 

レッド&グリーン

「フジ老人!?」

 

カツラ

「何だ、彼を知っているのか?」

 

グリーン

「知ってるも何も、俺達シオンタウンでフジさんと一緒にロケット団と戦ったんですよ!

…そう言えば、元ロケット団の幹部って言ってたな!」

 

カツラ

「知ってるのなら早いな…。私達は同じ故郷で育った友であり、ロケット団であった頃も関係は変わらなかった。

そして、君達が聞いてる通り、彼はロケット団の化学部に所属する幹部であり、十数年前ここであるポケモンの実験に失敗して、自責の念にかられ脱退した。」

 

グリーン

「ポケモンの実験?」

 

カツラ

「その実験の経過が、このレポートに記されている。

…2度とあのようなポケモンを産み出してはいけない。

その思いから、フジはレポートの処理を頼んできた。」

 

レッド

「そのレポート、見せてもらっても…?」

 

カツラ

「フジが認めた君達になら構わないよ。」

 

レッド達はそのレポートを読み始める

 

《ミュウツーの記録》

7月5日 ここは南アメリカのギアナ。

ジャングルの奥地で新種のポケモンを発見。

 

7月10日 新発見のポケモンを私はミュウと名付けた。

 

2月6日 ミュウが子供を産む。

産まれたばかりのジュニアをミュウツーと呼ぶことに。

 

9月1日 ポケモン、ミュウツーは強すぎる。

ダメだ…私の手には負えない!

 

グリーン

「ミュウと、ミュウツー…。」

 

カツラ

「そうだ。このミュウというポケモンこそ、全てのポケモンの祖とも言える存在であり、当時のサカキ、フジ…ロケット団はミュウが産んだ子供に遺伝子改造をすることで、最強のポケモンを生み出す計画を考え、実行した。」

 

歌美

「だけど、実験は…。」

 

カツラ

「このレポートが最後に書かれた日、遺伝子改造されたことで凶暴な力と優れた知能をもったミュウツーが暴走し、研究所を破壊し逃げ出した。

サカキはこの事を隠蔽し、フジもロケット団を退団して一切の関係を断った。

後はこのレポートを抹消するのみ。」

 

レッド

「じゃあ、今そのミュウツーっていうポケモンは?

このカントー地方のどこかにいるっていうことですか!?」

 

カツラ

「あぁ、間違いなく生息しているっ!!

…さてさて、話はここまでにして、早くこのレポートを消して、ここを出よう。

最近は、もの珍しさに盗賊がうろついているという噂もあるからな!」

 

???

「いやぁ、全部聴かせてもらいましたよ、ジムリーダーさん?」

 

???

「さすがにあれだけの罠張られちゃあ、俺達だけでここまで辿り着くのは無理だからな。

跡をつけさせてもらったら、とんだビックな情報を手に入れちゃったぜ!!」

 

カツラ

「貴様らはっ…!VCブラザーズ!!」

 

グリーン

「カツラさん、こいつら誰です!?」

 

カツラ

「このグレンタウン周辺で活動している、兄弟盗賊!」

 

VC(兄)

「そのレポートをよこしてもらいましょうか…。

それを裏のメディアに売り渡せば、どれだけ高額で買い取ってもらえますかね~?」

 

レッド

「渡す訳ないだろ!?」

 

VC(弟)

「やかましいわっ!!

…力ずくでも奪っていくぜ。キュウコン、【火炎放射】!!」

 

棚に並べられた薬品に火がつき、建物内に火があがる

脆くなった建物がレッド達に襲いかかる

 

カツラ

「くっ!!」

 

カツラの足に棚が倒れかかり、軽傷を負ってしまう

 

歌美

「カツラさん!!」

 

レッド

「歌美っ、カツラさんを頼む!こいつらは俺達がやる。」

 

カツラ

「ならばせめてこれを持っていけ!

役にたつやもしれん。この研究所で手に入れた技マシンだ。」

 

カツラは2枚の技マシンのディスクを投げ渡す

それを1枚ずつ受け取り、下の階に向かう

グリーンは2階に、レッドは1階に…、それぞれ兄弟と闘うことに。

 

~1階~

 

VC(兄)

「一瞬で楽にしてあげますよ。」

 

レッド

「確かにグズグスしてはいられないなっ!」

 

~2階~

 

VC(弟)

「あの事実が世に流れればどうなるかなぁ?

最強のポケモン欲しさに探し捕まえようとする奴…、多くのポケモンハンター…、よりポケモンへの興味を持つやつが増える!

いい話じゃねぇか!?」

 

グリーン「馬鹿野郎…、犠牲者が出るだけだろうが。

絶対にこのレポートは渡さない!!」

 

明かされた真実、それはまさしくカントーに放たれた闇

それを悪用しようとVCブラザーズが強襲

レッドとグリーンのレポートを賭けた戦いが始まる



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グレンタウン~火災発生!!~

レポートを狙う盗賊を阻止するレッドとグリーン
建物は今にも全壊寸前…急げ!


グリーン

「ガルーラ、出番だ!!【連続パンチ】!」

 

VC(弟)

「キュウコン、避わして【火の粉】っ!」

 

連続のパンチで火の粉を弾き、キュウコンの目の前に飛び出すガルーラ

 

グリーン

「超接近…最大威力の【メガトンパンチ】!!」

 

VC(弟)

「そんなグイグイ来られても…鬱陶しいだけやわ!

【リフレクター】で弾き返したれや!」

 

抗力が働き、【メガトンパンチ】のダメージがガルーラに返ってきてしまった

 

ガルーラ

「…!」

 

VC(弟)

「【大文字】!!」

 

グリーン

「避けろ!」

 

キュウコンの攻撃を避けるも、薬品に火がつき火の手がさらに上がる

こうして、炎タイプのキュウコンには相性のいいフィールドが出来上がってしまう

炎の中に姿を眩まし、グリーンは下手に技が出せない

 

VC(弟)

「そこだっ、【穴を掘る】!」

 

グリーン

「何だと!?」

 

VC(弟)

「誰が炎の中から攻撃するなんて言ったよ?

くくっ…、まんまと引っ掛かりやがって。

つまらねぇ戦いだったぜ、【破壊光線】!!」

 

グリーン

「あぁ、まんまと騙されちまったよ。

だけどな…つまんない戦いってのは撤回させてもらうぜ?

ガルーラ、【ものまね】!!」

 

ガルーラの前に盾が生じる

これは…キュウコンが使用した【リフレクター】である

そして、【リフレクター】で【破壊光線】を弾き返し、キュウコンに命中する

 

VC(弟)

「そんなっ…!?上手く利用されちまって…。」

 

グリーン

「つまんない戦いってのは負けたやつが言う台詞なのか?」

 

一方1階ではレッドが交戦する

1階は薄暗く、光が射し込む箇所も限られていた

そんな中での戦いに苦戦していた

 

レッド

「フシギソウ、【葉っぱカッター】だ!」

 

VC(兄)

「フフフ…そちらの攻撃は当たらないですよ?

ですが、こちらの攻撃は当たってしまうんですよ。

マルマイン、【スピードスター】です!」

 

レッド

「(そうか…、【スピードスター】は、百発百中の技。

どうしてもこちらの場所がわかっちまう!

今は防ぐしかないな…。)【リフレクター】!!」

 

VC(兄)

「防御した所で…、いつかは崩れ果てるもの。

【スピードスター】が向かった方角へ【ソニックブーム】を放つのですよ!」

 

レッド

「くそっ、耐えられねぇ!」

 

【リフレクター】が割られ、フシギソウは攻撃を受けてしまう

 

VC(兄)

「…?この臭い、上の階から焼ける臭い。

弟が圧倒してるようですね。ならばこちらも終わらせましょうか。

マルマイン、【10万ボルト】!!」

 

フシギソウ、ピンチ!

その時、蕾が大きく光る

 

レッド

「(フシギソウの蕾が…!!

今のフシギソウに必要なのは、日光っ!)

フシギソウ、壁際に走れ!窓から入る僅かな光だけでも取り込むんだ!!

間に合え…【成長】っ!」

 

電気をくらったフシギソウだが、不思議とダメージは殆ど無かった

 

レッド

「いくぜ、【蔓のムチ】!!」

 

今まで1本だけだったフシギソウの蔓は【成長】により、幾本にも増えた

それによって、見えづらい状況下でもマルマインの本体を捕らえる事ができたのだ

 

レッド「手応え…ありだな!」

 

VC(兄)

「いや…どうやらここまでのようですね。

見てみなさい、建物が崩れ始めている。

直にここは潰されてしまいますよ?

なので私は、これにて…おさらばしましょう。

マルマイン、【自爆】!」

 

レッド

「なっ、勝負を捨てて…。

それにレポートはいいのかよ!?」

 

VC(兄)

「私はね、あんな命知らずの弟と違って、自分の命は大切にするのでね。

寧ろ、私だけ知っているのなら手柄も横取りじゃないですか…。」

 

レッド

「見解の不一致ってやつか。よく分からない奴だぜ…。

って、ヤバイなフシギソウっ!!」

 

VC(兄)

「果てなさい!!」

 

成長を遂げたフシギソウであったが、マルマインは全てを無にしようと爆発寸前!!

ポケモン屋敷も全壊しそうで…



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グレンタウン~形勢逆転!?2枚のディスク!~

襲いかかるVCブラザーズを退けようと奮闘するレッドとグリーン
しかしVCブラザーズが繰り出すマルマインが爆発間近…!


レッド

「直撃は避けるべきだ…!

フシギソウ、そのまま【蔓のムチ】で投げ飛ばせ!!」

 

VC(兄)

「そんな事をしたところで被爆は免れませんよ?

…ん?何ですかこの冷気は。

体が…、冷えて…凍っていく…っ!!」

 

グリーン

「どうやら、ギリギリだったみたいだな?

ガルーラに技マシン、【吹雪】を覚えさせた。

氷タイプ随一の威力みてぇだ。おかげで…ほら、マルマインは氷漬け!

爆発しねぇから安心だぜ。」

 

しかし、そんなグリーンの背後から倒したはずのVCブラザーズの弟が、最後の足掻きをみせ、攻撃してくる

 

VC(弟)

「頼りがいのねえ兄貴だ。こんな奴ら俺1人で充分だったんだよぉぉっ!!

キュウコン、【大文字】っ!!」

 

グリーン

「っ!!」

 

レッド「(フシギソウの蕾がまだ成長し続けている…!

窓から入る僅かな光だけだが、やってみるか!?)

フシギソウ、この技を覚えるんだ!!」

 

技マシンで即座に覚えさせると、蕾にどんどん日光が吸い込まれていく

 

VC(弟)

「燃え尽きろや!」

 

レッド

「【ソーラービーム】発射っ!!」

 

相性が悪かったにも関わらず、【ソーラービーム】は【大文字】をかき消し、キュウコンを蹴散らした

 

グリーン

「すまん、助かったぜ!」

 

レッド

「お互い様だろ!?それより一刻も早くここから脱出しよう、屋敷も限界だ!!」

 

間一髪レッド達は屋敷を脱出した

先に出ていた歌美とカツラに合流し、大きな音と共に崩れていく様子を見ていた

VCブラザーズの消息は不明。逃げたのか、それとも…

 

グリーン

「これでよかったのでしょうか。」

 

カツラ

「あぁ、これで証拠隠滅…、レポートも燃やそう。」

 

燃えるポケモン屋敷と共にレポートは灰になって消えていった

 

カツラ

「ポケモンを愛していたフジがどうしてロケット団に入ってしまったのか…。

私も親しい間柄だったとはいえ、詳しい事は知らん。

だが、ポケモンが秘めている能力…そして進化の先、それを調べる為には膨大な研究費用もかかる。

ロケット団に入れば自ずとその資金も得られる。

…だが、現実はあまりにも残酷で、その研究のために犠牲になったポケモンも多いことだろう。

フジの心境はどんなものだったのか…。」

 

レッド

「俺達もポケモン大好きだし、傷つくのは見たくないです!

…でも、未知なる部分を切り拓くには誰かがその先駆けにならなきゃいけないのも確かだ。」

 

グリーン

「それがたまたまフジさんであり、ミュウツーだっただけです。

フジさんのおかげで、ポケモンの世界は大きく開いた!」

 

カツラ

「…君達に会えてよかった!

そうだ、待たせて悪かったね。帰ったらジム戦を受けるとしよう!」

 

レッド&グリーン

「はいっ、よろしくお願いします!!」

 

歌美

「そうだ!その前に、うちに化石取りに行こうよ!

多分もう復元済んでると思うからさっ!!」

 

こうしてカツラと一旦別れ、ポケモン研究所に向かい復元されたポケモンの入ったモンスターボールを渡された

 

歌美

「これが、レッドのカブトね!」

 

レッド

「うげえっ、何か気味悪いポケモンだな。

背中にも目あるし…、動きも気色悪いし…。

自慢できるのは固い甲羅だけだな。」

 

歌美

「そう言わないのっ!!

それと、こっちがグリーンの…プテラ!!

まったく…持ってこられた時はたまげたわ!?

発見された化石の中でも、グリーンが持ってきたのは滅多に発掘することのできない化石。

その珍しさから"秘密の琥珀"と呼ばれているの!」

 

ボールからプテラを出す

その姿は正しく太古の恐竜、プテラノドン!

獰猛な牙と翼をもったポケモンである

 

レッド

「かっけぇ…。」

 

グリーン

「ヨロシクな、プテラ…。」

 

いかにも強そうなプテラを手持ちに加えたグリーンだったが、その表情に笑顔はなかった

 

歌美

「じゃ、ジム戦行こう!!」

 

レッド

「お前も来るのかよ!?ってか、何で1番張り切ってるんだよ!」

 

歌美

「いいじゃん、別に観るくらい。

グリーンもいいでしょ?」

 

グリーン

「あぁ、俺は構わないが…。」

 

歌美

「よぉし、じゃあ気合い入れていくわよ~!?」

 

レッド

「だから、何でお前がぁ~っ!」

 

ポケモン屋敷での一件も収拾が着き、次は7個目のバッジグレンジム

炎のオヤジが2人を待ち受ける!!



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グレンタウン~VS熱血オヤジ!①~

グレンジム、カツラとのジム戦が始まろうとしていた
…が、入口でどうやらレッドとグリーンが口喧嘩してるようで


レッド

「だぁかぁらぁ~、俺が先に挑戦するんだ~っ!!」

 

グリーン

「たまには俺が先にやったっていいだろぉが!!」

 

歌美

「(どうして男子ってこんな小さい事で争うかね…。)

あーもう埒があかないわっ、はいっジャンケンして!!

勝った方が先に勝負できる!」

 

レッド

「しょうがねぇな…ジャンケン、ぽいっ!」

 

そして、ジムの中に入っていく3人

既にカツラが待ち構えており、室内は異様に暑い

 

グリーン

「何だこの暑さは…。体が熱もっちまってダルい。」

 

カツラ

「来たかね。どうだ、このジムは?

炎タイプのポケモンを強化するために造ったといっても過言ではない。

更なる高熱にも耐えれるよう慣らすことで、ポケモンが初めから持つ体内の熱の値を底上げさせたのだ。

さて、まずはどちらからだ?」

 

グリーン

「俺からいくぜ!熱が上がったら、熱冷まシートでも貼っとけば問題ないっ!!」

 

レッドと歌美は観客席へ

 

カツラ

「使用ポケモンは2匹、では…やるぞ!

ギャロップ、行こうぞ!!」

 

グリーン

「俺の1番手は、勿論カメックスだ!!

【のしかかり】で踏みつけろ!」

 

カツラ

「ふむ…、踏みつける?

ジャンプ力でこいつに勝てるポケモンなどいるかな?

否!!カメックスの上から【踏みつけ】っ!

さらにっ、身動きとれないカメックスには熱地獄を味わってもらおう。

【炎の渦】だ!」

 

カメックス

「…っ!」

 

グリーン

「カメックス!?炎タイプの技なんてお前には効かないはずじゃ…!」

 

カツラ

「可哀想に…火傷を負っちゃあ苦痛でしょうがないだろう。」

 

グリーン

「ギャロップの足に【噛みつく】!」

 

カメックスはギャロップから距離をとる…が火傷は残る

徐々に減らされていく体力

 

カツラ

「何故に水系の技を使ってこない。

ポケモン勝負に効果抜群の技を使うのは基本!

君は今までこんな闘いでジムをクリアしてきたってのか?」

 

グリーン

「違うんですよ。

俺が先鋒にカメックスを送ったのは、単に相性がいいからってだけじゃない。

相性のいいポケモンに対して、どこまで通常技だけで戦えるのか。

それが今のカメックスを鍛えるのに必要な事なんだ!

簡単にクリアできちまうゲームなんて、つまらないっすからね。」

 

カツラ

「やはり君は先を見据えているようだな…。

だが、ジムリーダー相手にそんな余裕かましていては痛い目みるということは知っておろう?

ギャロップ、【突進】!!」

 

グリーン

「ふっ…。」

 

カツラ

「その笑みはどこからくるのかね?

ならば…【突進】の勢いに【ロケット頭突き】を乗せ、ぶつかっていけっ!

これぞ、ロケットスターター…、時速240kmを体感せえぃっ。」

 

"ズドォォォン"という音と共にギャロップはカメックスに突撃

しかし!!カメックスはギャロップの肩を押さえ、【突進】を止める

ジリジリと押されるカメックスであったが…

 

グリーン

「よく堪えたな、カメックス!!

これで逃げられねぇぞ?【ロケット頭突き】っっ!」

 

カメックスは大きく頭を振りかぶり、ギャロップに頭突きを喰らわせる

急所に当たったギャロップ…戦闘不能

 

レッド

「グリーンのカメックス…あそこまで強くなってたのかよ。

(俺のリザードに比べてはるかに…。)」

 

カツラ

「やるではないか、少し見くびっていた。

有言実行…そんじょそこらの子供とレベルが違うことは確かのようだ。

だが、次は簡単にいくかな?ブーバー!!」

 

グリーン

「(やっばり、ブーバーか…。

あのブーバーがただ者でないことは知ってる。

見た目以上の怪力を持ち合わせてるからな…。)

カメックス、戻れ!!」

 

カツラ

「??」

 

グリーン

「いやぁ、カメックスだけに美味しいとこあげちゃうのは、仲間が嫉妬しちゃうんで…。

待たせたな、ガラガラ!【頭突き】!!」

 

カツラ

「【火の粉】っ!」

 

グリーン

「(連続して発射してくるタイプか…。

なかなかの連射速度だが、避けきれない速さではない!!)

ガラガラ、避けろ!!」

 

カツラ

「すごいな…全て避けられるか。

だが…?」

 

グリーン

「脳天直撃っ!!…して、ない!?」

 

ガラガラの目の前でブーバーが消えた

瞬間移動…!?それは当然、グリーンの目でも追うことができなかった

ブーバーは一体どこに!?



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グレンタウン~VS熱血オヤジ!②~

グリーンとカツラの闘いはグリーン優勢の展開
しかし、カツラもやられっぱなしではなかった!


グリーン

「ブーバーが…消えた!?確か今そこに居たはずなのに。」

 

カツラ

「ブーバー、もうええぞ!」

 

ブーバーは、ガラガラの背後に現れた

グリーンの目に映ったのは、まるで別空間から姿を現したかのようだった

 

グリーン

「瞬間移動…?」

 

カツラ

「まぁ、そうとも言えるが単なるスピードによるものとは違う。

この技は【テレポート】といって、ある地点から別の地点へと空間を跨いで移動する技…。

その間、ブーバーは"居ない"と捉えた方がいい。

…おっと!!私とした事がつい相手にヒントをあげてしまったな!

ブーバー、【煙幕】っ!」

 

グリーン

「(そうきたか!どこから来るか全く見当もつかないってことかよ!!)

ガラガラ、【骨棍棒】で煙幕を吹き飛ばせ!」

 

ガラガラは棍棒を風車のように回し、辺りの煙幕を振り払う

 

カツラ

「そこだっ!【炎のパンチ】!!」

 

煙の中からブーバーが拳に炎を纏い、殴りかかってくる

 

グリーン

「くっ…!棍棒で受け止めるんだっ!!」

 

攻守両者互角のパワー

しかし、カツラは畳み掛けにくる

 

カツラ

「片方の拳を止めたぐらいで満足しているわけではなかろうな!?

ブーバー、もう一方の拳に炎を溜めるんだ!!

棍棒もろともガラガラを吹き飛ばせい!」

 

グリーン

「そっちがその気なら…、ガラガラにだって手が封じられても足は使えるんだ!

ガラガラ、【地震】!!」

 

ガラガラが大きく足を振り上げ、地面を踏み鳴らそうとした直前、カツラは瞬時に危険を察知した

 

カツラ

「【テレポート】!!」

 

グリーン

「消えたか…!絶好のチャンス到来だぜ。

【気合い溜め】で集中力を高めるんだ。

ブーバーの気配を微かでも捉えることができたら、お前の…勝ちだ!!」

 

ガラガラ

「…。」

 

レッド、歌美も観客席で息を飲む

緊迫した情況…それが、破られたのは一瞬だった

ガラガラの頭上、それも微妙な角度からの…まさに死角からの【炎のパンチ】だった

 

グリーン

「いけえぇっっ、【骨棍棒】っ!!」

 

振り向く際の勢いをも味方につけ、ガラガラ渾身の【骨棍棒】がブーバーの顔面にヒットした

ブーバー、ノックダウン!!

 

レッド

「グリーンの勝ちだっ…!」

 

グリーン

「しゃあぁっっっ!!!」

 

ジム内にグリーンの雄叫びがこだました

 

カツラ

「いやぁ、ガラガラの高い集中力と瞬発力にはやられたよ。

最高の試合だった!…これが勝者の証、クリムゾンバッジだ!!」

 

レッド達もグリーンの下へ駆け付ける

 

歌美

「すごい迫力だったよぉ!

それに完璧な闘いだし、満点の評価なんじゃないっ!?」

 

グリーン

「サンキュー!!

でも、俺なんかまだまだだぜ?何つってもこの後に控えてる奴が、もっと凄い闘い魅せてくれると思うから…へへっ!!」

 

レッド

「グ、グリーン!そんなに期待度上げるなよなぁ。

でも、やるからには勝つ!!それだけだぜ!

まっ、歌美も観とけよ、時代の申し子…レッド様の華麗なる闘いをっ。」

 

グリーン&歌美

「…。」

 

レッド

「ってことでカツラさん、俺もお願いします!!」

 

カツラ

「そうか、連戦だったな…。

(やられたポケモンの体力が無い今…致し方ないな、レッド君には少ぉし厳しめのジム戦を味わってもらおうかな。

私のお気に入りの、あのポケモンで…!!)

よし、では始めるとしよう。

ルールはグリーン君の時と同じだ!」

 

レッド

「カツラさん…ポケモンは?」

 

カツラ

「なぁに心配いらんよ。ちゃんと用意はしてある…フフフ。

キュウコン、いくのだっ!」

 

レッド

「キュウコンか…、だったら俺はサンダースだ!!

光速が織り成す雷の恐ろしさを…」

 

カツラ

「【電光石火】!」

 

レッド

「カツラさんっ、俺の決め台詞を~!【砂かけ】っ!!」

 

キュウコン

「!?」

 

レッド

「これが本物の【電光石火】ですよ!?

最初のダメージは俺がもらった~っ!!」

 

駿足でキュウコンの背を取ったレッドだったが…

 

カツラ

「させまいっ、キュウコン後ろに向かって【火炎放射】だ!

…さらに、【炎の渦】で閉じ込めてしまえぃっ!!」

 

完璧なコンビネーション、そして計算された技の出し方

サンダースは燃え盛る炎の中で身動きがとれないでいた

その熱さは、サンダースの体力を減らしていく

 

レッド

「これじゃ、どんな技も炎でかき消されちまう…!!

…どんな技も?必ず当たる技…っ!?

そうか、サンダース、【スピードスター】だっ!」

 

突如、炎の渦から【スピードスター】がキュウコン目掛けて、飛び出してくる

 

カツラ

「何っ!?」

 

油断していたカツラとキュウコン

キュウコンは【炎の渦】を解いてしまった

既に、そこにサンダースはいない

そう、キュウコンの足下にいたのだ

 

レッド

「郁子さんから教わった…。

一撃で相手を仕留める為の膨大な電気エネルギー、一気に放出させろ!

サンダース、【雷】!!」

 

グリーン&歌美

「うわぁぁっ!!」

 

その威力は観覧用の窓ガラスを粉々にし、電光が視界を奪う

キュウコンに100万ボルトの雷が落ち、戦闘不能に

 

カツラ

「(この【雷】は…っ!これ程の雷を作り出せるサンダースがいるとはな。

それに、そこまで鍛え上げたトレーナーも然り。

これがカントーの期待のルーキー、その実力というわけか。)

すまん、キュウコン。対応できなかったことを許してくれ。

…次はこうはいかんぞ!?ウィンディ!!」

 

見た目は温厚そうな狛犬のようなポケモン

だが、それとは裏腹に凶暴な牙がレッドを襲う



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グレンタウン~VS熱血オヤジ!③~

グリーンがクリムゾンバッジをゲットし、次はレッドの番
格段に成長したサンダースの雷を見事命中させ、カツラのキュウコンを破る
そして、カツラの2匹目は…



グリーン

「(ウィンディ…、ガーディの進化形か。

炎タイプの中でもかなり上位クラスのポケモン。

気をつけろよ…レッド!)」

 

カツラ

「戦場を【火炎放射】で、火の海にしてしまえ!」

 

レッド

「そんなもん、飛び越えれば問題な…」

 

ジャンプで避わしたサンダースだったが…

 

カツラ「そう、上しか逃げ道が無いっ!!【噛みつく】だっ!」

 

ガブリとサンダースの腕に噛みつくウィンディ

獰猛な牙が腕にめり込み、かなりのダメージを受ける

 

レッド

「密着してるなら…【電磁波】!!」

 

全体に電流を流し、ウィンディを麻痺状態にさせる

 

レッド

「(強い…、炎の威力に加えてあの牙!

ここは、やっぱりあの技で決めるしかないのか?

連発は避けたい所だけど、俺には控えが残ってる…。

運まかせになっちまうが…。)

サンダース、【雷】っ!!!」

 

カツラ

「(やはりその技で勝負しに来たか。…読み通りだ!!)

【高速移動】!」

 

両者は同時に指示を出した…が、

運良く発動した【雷】でさえも、ウィンディの超スピードで回避される

 

カツラ

「とったっ!【大文字】!!」

 

サンダースは直撃し、火だるまになってしまう

火が収まった頃には、サンダースは案の定やられてしまっていた

 

歌美

「え、今のって…!?

【雷】ほどの光速の技が速さで負けることってあるのっ!?」

 

グリーン

「いや…、光速が高速に劣るはずはない。

けど今のは、同時に発動されたかのように見えたんだが半信半疑、微かに…微かに、ウィンディの方が先に動いていたように俺には見えた。

恐らくカツラさんは【雷】が撃たれることを知ってたんだ!」

 

レッド

「(おいおい、あんなスピードもあったのかよ。

これで、窮地に立たされたな!

だけど、グリーンだけ勝って先越されるのは御免だぜ!!)

リザード、出てこいっ!」

 

カツラ

「炎対炎…私にとって最高のシチュエーションじゃないか!

炎タイプのジムリーダーとして、敗北するにはいかんなぁ。」

 

レッド

「あなたを倒して称号はいただきます!」

 

レッド&カツラ

「【火炎放射】!!!」

 

グリーン

「(熱い!この熱量…炎の差は五分かっ!?)」

 

カツラ

「【高速移動】からの【噛みつく】!!」

 

レッド

「ウィンディの動きの軌道を感じろ!

後の先をとるんだ、【居合い斬り】!」

 

ウィンディの頬にかすり傷が付く

 

カツラ

「なかなかの身のこなし…、ウィンディとっておきを出すぞ!?

【高速移動】で助走をつけて…、【捨て身タックル】だ!!」

 

レッド

「リザードっっ!!俺達のとっておきも魅せてやるぞ!

【鳴き声】で鼓舞するんだ!【メガトンパンチ】で迎え撃て!!」

 

激突!!

 

レッド&カツラ

「…!」

 

…立ち上がっていたのは、ウィンディ

横たわるリザード

 

レッド

「そんな…リザード?おい、リザード聞こえるかっ!!?

こんなとこでくたばるんじゃねぇよ。

俺達のゴールはまだまだ、先にあるんだ…!

もう1度その尾に炎を灯してくれよっ!!

羽ばたけ…リザード!!」

 

リザードは重い体を起こし、レッドの方をチラッと見てニッと笑う

そして…進化の刻が

リザードの背から翼が2枚生え、その図体はレッドの背丈をも優に越す

 

カツラ

「(このタイミングでの進化か…、面白い。)」

 

レッド

「リザードン、おめでとう。へへっ…改めて、ヨロシクなっ!!

…さぁて、いくぜ?」

 

カツラ

「進化したのは誉めよう…。

が、しか~しっ!!リザードンに戦う体力はほとんど残っておらん!!

【大文字】!!」

 

グリーン

「翼が生えたことで地上戦だけじゃなく、空でも戦えるっ!」

 

レッド

「【空を飛ぶ】っ!」

 

リザードンは羽ばたき、【大文字】をヒラリと避わす

 

レッド

「次で決めます…。

【怒り】の【メガトンパンチ】!!」

 

カツラ

「受けてたとう…ウィンディ、体内の気力を全て出しきるぞ!?

【怒り】の【捨て身タックル】!!」

 

空中からウィンディ目掛けて、急降下しながら【メガトンパンチ】を繰り出すリザードン

ウィンディもそれに合わせて助走をつけ始める

 

歌美

「…ぶつかる!!」

 

ウィンディ

「…っ!」

 

グリーン

「なっ…、ウィンディが怯んだ!?

あれは…、サンダースとの戦いでついた麻痺。

ここに来て、天がレッドの背中を押したっ…!!」

 

カツラ

「いや、私のウィンディはこれしきのことで諦めはしない!

そうだろ…ウィンディ!?」

 

そして…長き勝負に決着がつく

立っていたのは……リザードン!!!

ウィンディ、戦闘不能

 

レッド

「はぁ…勝った、勝ったぞ!!

【怒り】は、相手からダメージを受ければ受けるほど強くなる技。

…麻痺の事までは頭になかったっすけど!」

 

カツラ

「(試合の中で、進化、策、運…あらゆるものにおいてポケモンの神様がレッド君に微笑んだかのようだ…。

彼はポケモンを愛し、愛されているっ!!)

最高のバトルだったぞ、レッド君!

クリムゾンバッジだ…おめでとう!!」

 

そして3人はジムを後にしようとする

 

カツラ

「ポケモンリーグ出場まで、残すバッジは1つ!!

君達なら必ずや、制覇できるだろう!

そして、フジの事も…ありがとう。」

 

グリーン

「こちらこそ、お世話になりました!」

 

レッド

「ここまで来たら、最後のバッジも流れにのってゲットしたるぜ!!」

 

カツラと別れた3人

グレンは、情熱の赤色…押し流された過去の町

しかし、これだけは変わらない

昔も現在(いま)も、ポケモンを愛する者がこの町に流れ着く…



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グレンタウン~告白~

クリムゾンバッジを手に入れ、カツラと別れた3人
そして、ここでも別れが訪れようとしていた


レッド

「グリーン、最後のバッジ…トキワシティに行くだろ?

俺はこのまま21番水道からマサラタウンに向かおうと思ってんだけど、一緒にどうだ?」

 

グリーン

「俺は…ニビシティにちょっと用があるから、ゴルバットで空を飛んで行くわ!

まっ、用済ませたら俺もトキワに行くから!!」

 

レッド

「そうかっ、じゃあまたな!!」

 

グリーンはゴルバットと共に空を飛んでいく…

 

レッド

「じゃあ、歌美!俺も行くわ。化石サンキューなっ!!

ニョロゾ出てこい、泳ぎ頼むわ!!」

 

レッドが海に足を踏み入れた時、歌美の声がレッドの足を止めた

 

歌美

「待って、レッド!!

やっぱり言っておきたいっ!私…、あんたの事好きみたい。

今日のバトル観てて、思ったの。

この人の隣にいたい…って!!

だから私と…」

 

レッド

「悪い…歌美。

お前の気持ちは凄く嬉しいよ!正直お前がそんな風に想っててくれたなんて、知らなかった。

…だけど、俺の夢知ってるだろ?」

 

歌美

「ポケモンリーグ制覇…。」

 

レッド

「ああっ!その夢は小さい頃からの俺のゴールなんだ。

だから、今は余計な感情は必要ない…。」

 

歌美

「…。」

 

下を向く歌美

 

レッド

「…けどよっ!!その…なんだ、俺がその夢叶えてその時もまだ、俺の事変わらずに想っててくれたなら、そん時は…ヨロシクなっ!!

都合のいい奴かもしれないけど、これが今の俺の答えなんだ!

今年のセキエイ大会には出場する予定だから、絶対観にこいよなっ!!」

 

そう言うと、レッドは21番水道をニョロゾに乗って渡っていった

歌美は最後まで…レッドの姿が見えなくなるまで顔を上げることはしなかった

 

歌美

「…本当、都合のいい奴なんだからっ!!

絶対、制覇しろよな…ばかっ。」

 

その頃…

マサラタウン、オーキド博士の研究所

オーキドはある人物と電話をしていた

その相手は…ワタル

 

オーキド

「何じゃとっ…!?ではまさか、今の話が本当ならば、ジム本部は今まで何をしていたというのじゃ!!」

 

ワタル

「恐らくは、彼の偽装工作…。

確かに、8個目ということもあり挑戦者が少ないのもありましたが、最近ジムを閉めてることが多い点からして納得できます。」

 

オーキド

「大変マズイ事になった…!

急いでグリーンとレッドに連絡せねば!!」

 

ワタル

「その件…、グリーン君には私から連絡をしておきます!

ただ、レッド君は連絡手段を持ってないので、一緒に居てくれれば助かるのですが…。

では、1度電話切ります!僕もなるべく早くそちらに向かいます!!」

 

オーキド

「すまない…。宜しく頼む!」

 

電話を切ると机をドンッと叩くオーキド博士

 

オーキド

「何故に奴が…!一体、どういう了見で…!!

最初から最後まで読めない奴じゃのう。」

 

 

~トキワシティ~

 

???

「くくっ…久し振りの故郷だな。

平和ボケという言葉がお似合いだ。」

 

???

「ですが、本当に来るのですか?」

 

???

「あぁ、彼らは来るとも…、俺の直感がそう言っている。

早く戦いたいものだな。」

 

謎の2人がトキワシティに現れた

オーキド博士とワタルが混乱する中、レッドとグリーンは知らず知らずの内に招かれようとしていた



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21番水道~頼れる水の戦士!!~

グレンタウンを出発し、マサラタウンに帰るために21番水道を渡るレッド
そして、上陸間際にトレーナーに勝負を挑まれる


レッド

「最後の最後で勝負か…。

早く帰って疲れをとりたい所だったけど、試合を拒否するのは俺のポリシーに反するからな。

いいぜ、やろう!!」

 

対戦相手は海パン野郎の潮田 黒流(くろる)

 

黒流

「あったりまえよ!!そうでこなくちゃっ!!

1対1のタイマンじゃい!

俺は…キングラーだっ!」

 

レッド

「蟹?俺はニョロゾ、君に決めた!!」

 

お互い水タイプのポケモン

広い海を舞台に勝負…開始!

 

黒流

「【バブル光線】っ!」

 

水面からひょこっと顔を出して撃ってくるキングラー

 

レッド

「ニョロゾ、【往復ビンタ】で割るんだ!

さらに…【のしかかり】で潰しちまえ。」

 

黒流

「【硬くなる】で身を護れ!」

 

水中に飛び込むニョロゾ

そこそこの威力のある【のしかかり】だったが、キングラーは自慢の甲羅を硬化し、ガードする

 

黒流

「どっちが水の中で優れてるかな?

【クラブハンマー】で叩いてやれっ!!」

 

キングラーはハサミに力を溜め、ニョロゾを滅多打ちに殴りまくる

 

レッド

「水中の状況がいまいち分からねぇ…。」

 

黒流

「そりゃあまだまだ鍛練が足らないからやわ!

俺達ゃ、年がら年中泳いでるからなーっ!

俺が潜ってやれば何の問題もないんよ!?

悔しかったらお前も、泳いでいいんだぜ?」

 

レッド

「ちっ…!!」

 

どうでもいい余談だが、レッドは昔プールで溺れて以来、泳ぐのが怖くなっていたのだ

 

レッド

「ならば…、【催眠術】だ!」

 

黒流

「残念!蟹は眠らない習性なのさ。

【怪力】で海の藻屑にしてやる!」

 

直撃してしまったニョロゾは海底に沈められてしまう

何も把握できていないレッド

ただ、ニョロゾの安否だけが不安だった

 

レッド

「(ニョロゾが戦って俺だけ逃げてどうすんだよ…!

今、あいつを救えるのは俺しかいないのに。

こうなったら…やけくそだぁっ!!)」

 

震えていた拳をグッと握りしめ、不様な飛び込みで入水する

…がしかし、何事も上手くいくはずもなく、レッドは溺れてしまう

そして、海の中に…

 

レッド

「(あぁ…格好悪いな俺。

ニョロゾ、無事かな…。あいつだけでも…)」

 

その時、ぼんやりと海底で光るものが見えた

そして…次の瞬間、何かに引き付けられるようにグーーンと水面に向かっていく

 

"ザッパーーッン"と水しぶきをあげ、飛び出したのはレッドと…ニョロボン!?

 

レッド

「がはっ、はっ…、ニョロ…ボン?」

 

地上に凛々しく立っていたのは紛れもなくニョロボンだった

 

黒流

「まさかっ…!水の石!?」

 

レッド

「水の…石?」

 

黒流

「この水道には稀に、水の石という進化の石が発見される

だけどそれはかなりの水深にあるため、人間では拾いにいけないんだ。

つまり、お前のニョロゾはキングラーの【怪力】で、偶然海底に沈み、偶然に石に触れた…。

運よすぎだろ!!」

 

レッド

「運だけは…一丁前に持ってるんでね、ハハ。」

 

黒流

「キングラー、【クラブハンマー】で倒したれ!」

 

重い一撃がニョロボンに直撃

 

レッド

「そいつは…【影分身】だ!

地上に上がった蟹なら大したことないぜ!?

ニョロボン、新技やるぞ…【地球投げ】!!」

 

パワーアップし、腕力も増したニョロボンは、重たいキングラーを抱えて高くジャンプする

 

黒流

「何っ!?」

 

レッド

「叩きつけろ!!」

 

キングラーを地面に投げ捨て、再起不能にする

 

黒流

「かぁ~っ、負けたぜ!なんちゅう格闘技だよ。」

 

レッド

「図鑑によると…【地球投げ】は、自身のレベルの高さに比例して威力も上昇するのか。

育てがいがあるじゃねぇか!

試合ありがとな!!」

 

黒流

「ん…?雨が降ってきたな…だけど、俺は泳ぐぜ!!」

 

レッド

「これは、酷くなる前に家に帰らねぇと!

じゃあ…風邪引くなよ!?」

 

レッドの予報は的中し、雨脚が強くなる

何とかマサラタウンに着き、急いで家に入る

レッド…約1年ぶりの帰省!



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第8章 1つのピリオド
マサラタウン~帰郷も束の間…!?~


レッドがマサラタウンに帰ってきた
長い長い旅も一時休息を迎えることに



レッドの母

「おかえりぃ~、レッド~!!

心配したのよ?あなたが事件に巻き込まれるや家には記者の方が押しかけてくるし…。

本当に、心配したんだから…。」

 

レッド

「そっか、ごめんな。

俺、目の前の事しか見えてなくて…。

でもさ、周りが見えなくなっちまう程ポケモンとの旅は楽しいんだ!」

 

「やっぱ…あの人の子供ね。

血をしっかりひいちゃって!!笑」

 

レッド

「親父か…?手紙来たぜ、誕生日の日に。

まだ帰ってきてないのか?」

 

「…そうね。どこにいるのか連絡もつかないし、勝手な人よね!」

 

聞くと、親父は俺が物心つかない頃に家を飛び出し、それっきりらしい

 

レッド

「確かにそりゃ勝手だな!!

でも、格好いいじゃん…、奥さんと子供を置いてでも自分のやりたい事を貫いてるってさ!

そりゃ寂しいけどな!」

 

「成長したわね…レッド。

ほら、夕飯できてるからたぁんと食べなさい!

旅してると、健康に悪いものばかりでしょ!?」

 

その後も母は旅の話を耳にタコができそうなくらい聞いた

外は雨が降り続いている

暖かいベッドに身をくるみ、その日はぐっすりと就寝した

 

そして次の日…

本日も雨、何やら玄関が慌ただしい

そして母が急いでレッドを起こしにきた

 

「レッド、オーキド博士が呼んでるわ?

何か、大事な事らしいからなるべく早く支度して伺いなさい。」

 

レッド

「(こんな朝早くからオーキド博士が…?)」

 

レッドはすぐに着替え、雨のなか博士の研究所に向かった

 

レッド

「オーキド博士っ、お久しぶりです!!

よく俺が帰ってきたってわかりましたね。」

 

オーキド

「本当にタイミングがいい時に帰ってきてくれた!!

君のお母さんにレッド君が帰ってきたら連絡してもらえるように頼んでいたのじゃよ。

…っと、そんな事よりレッド君、心して聞いてくれ。

実は最後のジム…トキワジムなんじゃが、そのジムリーダーが…ーーー。」

 

レッド

「…今、何て!?」

 

オーキド

「わしも、正直驚いた。情報源はワタル君だから、まず間違いないことだ。

彼にはグリーンへの伝達をお願いしてある…、集まり次第作戦をたてて…」

 

そう言いかけたオーキドを無視してレッドは研究所を出ていった

 

オーキド

「レッド君っ!!やはり押さえきれんかったかのぅ。

君、少しここを離れる、留守番頼んだぞ?」

 

オーキドもレッドを追ってトキワシティに急ぐ

 

レッド

「(どうしてあいつが…!?どうなってるんだよ!!)」

 

ずぶ濡れになったレッドがトキワシティに到着した

そしてトキワジムの扉を開ける…

電気がついておらず、暗くてよく見えない

 

???

「…来たか。」

 

???

「言った通りでしたね。

レッドと…オマケもついてきたようですね?」

 

???

「オーキド…。元、凄腕トレーナーが、老けましたなぁ。

おい、電気をつけろ。」

 

パッ"とライトがつき、会話していた2人の正体が明らかになる

 

レッド

「どうしてお前らが…サカキ、ウプシロン!!!」

 

衝撃走る!

トキワシティのジムリーダーはロケット団のサカキだった

さらにはウプシロンまで居合わせて…

一体、何がどうなっているというのか



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Another Story 11 ~会うは別れの始め~

ニビシティ目指し、空を行くグリーン
彼がニビシティに赴く理由とは…


グリーン

「それにしても、長かった旅も後バッジ1つか…。

ここまで頑張ってくれた仲間達に感謝の意を込めて、美味しいポケモンフードでも奢ってやらなきゃな!

…にしても、俺がジム制覇したら次はどうすればいい。

ジムリーダーになるには、ポケモン協会のジム本部に認定されなきゃいけないんだよなぁ。

ったく、俺もポケモン達もまだまだ実力不足だな…。

せめてサカキを倒せるぐらいの力がないと。」

 

そうこう考えてる間に、ニビシティへと到着した

次第に雨も降り始め、グリーンは"ある施設"へと急いだ

 

その場所とは…ポケモン科学博物館

グリーンは50円を払い、見学する

 

グリーン

「そうそう、初めてここを訪れた時は古代のポケモンに夢幻想を抱いていたなぁ。

でも、実際にこうして化石を復元してもらって俺の手持ちにもいる。」

 

グリーンはプテラの標本が飾られているショーケースを眺める1人の老人を見つける

 

グリーン

「いたいた!お爺さーーんっ!!」

 

老人

「はて、顔見知りかの?」

 

グリーン

「忘れちゃったんですか?俺ですよ、1年前ぐらいにあなたから秘密の琥珀を預かった…。」

 

老人

「おお、ほぉほぉ、覚えておるぞ!」

 

グリーン

「(忘れられてたな笑)」

 

老人

「どうじゃ、復元はできたかの?早ぉ見せてくれぃ。

ワシの寿命が間に合ってくれてよかったわい!」

 

グリーン

「出てこい、プテラ!!」

 

勇ましくプテラが登場する

 

老人

「…!!こりゃ何と素晴らしい。一生の内に本物の姿を見ることができて感激じゃ。」

 

老人はポーチの中から持ってたポケモンフードをプテラに食べさせる

プテラもそれを美味しそうに頬張る

 

老人

「儂の女房はのぉ、5年前に亡くなって倅も早くの内に病気で倒れ逝ってしまった…。

残ったのは、何もできない男1人。

酒に溺れ、静かな夜を過ごす毎日…。

そして唯一の財産とも言えるのがその秘密の琥珀だったのだ…。

いやぁ、最後にええもん見れて気楽に逝けるってもんじゃ!」

 

プテラはいまだに老人の手の上のポケモンフードを食べている

 

グリーン

「そんな…、人生を簡単に諦めないでください!

生きてればもっと楽しいことに出逢えますって!!

俺、ジムリーダーになるのが夢で、端から聞けば無理無謀な夢かもしれませんが、俺は諦めてません!

だから、人1人って辛いかもしれませんけど、そいつがいれば幾らか盛り上がるはずです!

ポケモンも同じ…生き物だから!!

もっと余生を楽しみましょうってっ!!」

 

老人

「じゃが、こやつは君の…」

 

グリーン

「何言ってるんですか!!

元はと言えば、俺があなたから預かって復元してきただけであって、あなたのポケモンであることには変わりはないです。

そいつ…、見かけによらず甘えん坊なんで可愛いがってあげてください。

それじゃあ、俺はもう行きますね…!!」

 

老人

「少年…。」

 

グリーンの声は震えていた

博物館から出たグリーンは雨の中、走る

びしょびしょになりながらも…顔に大粒の雨があたる

 

グリーン

「(これでよかったんだ…、これでっ!

全てがうまくいく事なんてないんだ…。じゃあな…!プテラっ!!)」

 

立ち止まるグリーン

携帯に1本の着信がかかる

 

グリーン

「ワタルさん…?」

 

ワタル

「グリーン君かい!?

急を要するが、今すぐトキワシティに来れるかい!?」

 

グリーン

「今は…ニビシティにいるんで行けなくはないですけど。」

 

ワタル

「でかした、ニビシティなら近いなっ!!

トキワの森が鬱陶しいな…、分かった、僕もハナダシティにいるから迎えに行くよ!!

一緒に空から飛んでった方が早いな。

…簡潔に言うと、トキワシティのジムリーダーはサカキだっ!!」

 

グリーン

「サカキ…っ!?ど、どうして…」

 

ワタル

「詳しいことは、合流してから話すね、じゃ!!」

 

グリーン

「サカキがトキワのジムリーダーだと?

そんなバカな話があるわけ…ねぇだろ。」

 

顔に流れる雨を拭い、険しい表情に一変するグリーン

別れを嘆んでいる時間はないようだ…

雨雲もさらに怪しさを増す

 



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トキワシティ~トキワのジムリーダー!~

ジムリーダーはサカキ!?
衝撃的な再開を後に、レッドの口からは言葉が出なかった


レッド

「あ…、あ…。」

 

サカキ

「そんなにあんぐりしなくていいんだぞ、レッド君。

君の目の前にいるのは、ロケット団のサカキではないんだ…。

そう、トキワシティジムリーダーのサカキなのだからなっ!!」

 

オーキド

「よくもぬけぬけと…!

前ジムリーダーはどうした!?」

 

ウプシロン

「あんたに教える義理はねぇ!」

 

サカキ

「口を慎めよ…ウプシロン。

オーキドはあぁ見えて、かなりの実力を持っている。

それに、既に君は敗者だって事を忘れてもらっては困る。」

 

ウプシロン

「…は、はい。」

 

サカキの殺気の籠ったようなオーラに怯えるウプシロン

 

サカキ

「さて、ここに来たと言うことはもちろん私と勝負しにきたって事でいいんだろう?

だったらもっと肩の力を抜いて…」

 

レッド

「うるせぇよ…。これは脅えてんじゃねぇ。

今からあんたと戦える、…武者震いってやつだよぉ!!」

 

サカキ

「いいねぇ、その闘争心!

どうやらヤマブキの時よりさらに真のトレーナーに近づいてるみたいだ!

ではさっそくやろうか…。出せるポケモンは4匹だ!

さぁ、かかって来なさいっ!!」

 

レッド

「最後のジム戦が、サカキなんて…。

らしいじゃねぇかよ!!ゲームのラスボス倒すような気分だぜっ!!

ピジョット!」

 

サカキ

「私はこのポケモンだ…ニドクイン!

では行こう、【毒針】!!」

 

レッド

「鳥ポケモンに針を射つとは…!何を企んでるのやら…【風おこし】っ!」

 

針は地面に刺さっていく

 

サカキ

「ほんの小手調べさ…【冷凍ビーム】だ。」

 

レッド

「旋回して避けろ!これに当たると、痛いじゃ済まねぇぞ!」

 

しかし、レッドの予想を遥かに上回る【冷凍ビーム】の攻撃範囲に、ピジョットは片翼を凍らされてしまう

飛行できず、落下してしまうピジョット

 

サカキ

「さらに…、落ちてくるピジョットに対し、【二度蹴り】を喰らわせてやれ!!

ピジョットはノーマルタイプも持っている…、知らんわけでもなかろう?」

 

レッド

「あぁ、十分ご存知さっ!ピジョット、片方だけでも【砂かけ】はできるはずだ!

ニドクインが怯んだ隙に、【鎌鼬】をお見舞いしてやれ!!」

 

ピジョットは空中で何とか体勢を立て直し、レッドの作戦は見事に成功。ニドクインにダメージを与えることができた

だが、ニドクインのタフな体力に一撃で倒すには及ばなかった

 

サカキ

「そんなもんか?【のしかかり】!!」

 

レッド

「【高速移動】で避けるんだ!」

 

ニドクインのでかい体がピジョットに重くのしかかる

 

サカキ

「先鋒戦は私の勝利といったところかな。…!?」

 

レッド

「あんたが潰したと思ったのはただの残像さっ!」

 

ニドクイン

「?」

 

レッド

「【翼で打つ】!!」

 

ニドクインの真上から片翼を光らせ突っ込むピジョット

 

レッド

「いただきぃっっ!」

 

頭に強い打撃を受けたニドクインは倒れた

 

ウプシロン

「(レッドの奴、ヤマブキの時より遥かに強くなっている…!

状態異常を受けていながら、サカキ様に顧みず攻撃する度胸。

…見習いたいものだな。)」

 

オーキド

「レッドっ、ピジョットを戻すんだ!!

凍らされて思うように動けない身体で連戦は…」

 

レッド

「博士!!まだいけます、むしろこの勢いを殺してはいけない。

氷なら問題ありませんよ、少しずつだけど溶けてきている…!!」

 

サカキ

「ふん、戻さなかった事を後悔させてやる。サイドン…行け。」

 

遂に始まったサカキとの対決

その強い意思をもって立ち向かえ…!



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トキワシティ~VS超越したトレーナー!!①~

驚愕!!トキワのジムリーダーは、あのサカキだった
事態を飲み込めないまま、レッドは最後のジム戦に…そして、ロケット団とのけりをつける為にサカキに挑む


レッド

「(凍らされた翼も、次第に溶けてきている…。

もう少しの辛坊だ、ピジョット…お前の気迫を見せつけてやれ!)

ピジョット、【鎌鼬】だ!!」

 

威力が半減してしまった【鎌鼬】は鋼のような固さを持った、サイドンのボディには効かなかった

 

サカキ

「【乱れ突き】で遊んでやれ。」

 

必死に避けるピジョット

さすがに体力を消耗しすぎたピジョットは既に地に足をつけてしまっていた

 

レッド

「限界か…。」

 

サカキ

「つまらんなぁ…、ならばゲームをしよう。

私のサイドンは君から逃げ回る、一発でも【鎌鼬】が当たれば、サイドンを戦闘不能としよう。

ただし、反撃はさせてもらうぞ?」

 

オーキド

「(何を企んでおるのじゃ…。)」

 

サカキ

「さぁ、かかってこい!」

 

レッド

「調子にのりやがって!【鎌鼬】っ!!」

 

サカキ

「【穴を掘る】!」

 

サイドンは地面の中に潜り、姿を消した

ピジョットの攻撃ははずれ、辺りは静寂に包まれる

 

サカキ

「やれっ!!」

 

ピジョット

「!?」

 

真下から出てきたサイドンに飛べないピジョットは喰らってしまう

 

レッド

「逃がすかぁっ、【鎌鼬】!」

 

サカキ

「【穴を掘る】!!」

 

予測できないサイドンの【穴を掘る】に苦戦するレッドとピジョット

拮抗する戦闘…ジムの中は穴だらけになっていた

 

レッド

「(まだ溶けねぇのかよ!!しつこい氷だな…!!)」

 

サカキ

「お遊びはここまでだ…準備は整った。

ピジョットを絶望の淵へつき落としてやろう!

あの時、戻さなかった事を後悔しろ…サイドン、穴に向かって【大文字】だ!!」

 

サイドンはがむしゃらに【穴を掘る】をやっていた訳ではなかった

全ての穴が繋がっており、パイプのような造りになっていたのだ

【大文字】は中で拡散し、地上へ噴き出す

 

オーキド

「これは…まるで火柱!!」

 

レッド

「しめたっ、この熱で氷が溶け…」

 

サカキ

「溶けたところで遅い…。

避ける場所がこのジム内にあると思うか?

無理に動けば【大文字】の餌食だぞ。

さて、【ロケット頭突き】に【角で突く】…これでフィナーレだ!!」

 

レッド

「くっ、逃げきれない…!!」

 

ウプシロン

「素晴らしい…、これぞまさしく槍の弾丸。

あらゆるものの破壊だ…!」

 

直撃したピジョット

さらに噴き続ける火柱に飲み込まれてしまい…

火が止むと再起不能のピジョットの姿が

 

サカキ

「フフフ、鳥の丸焼きの出来上がり…といったところかな。」

 

オーキド

「何と、恐ろしく非道な奴じゃ。

ここまでを読んで、ゲームと称しレッドを挑発させるとはな。」

 

レッド

「すまなかった…ピジョット。

俺の誤った選択でこんな目にあわせてしまった。

戻ってゆっくり休んでてくれな!」

 

サカキ

「さてさて、私はサイドンを戻そう。

たいした怪我はしてないが…、少しのティーブレイクぐらいの時間をあげよう。

どこかの誰かさんみたいに、無茶な特攻を試みるも呆気なく散るのは御免なんでね…。

3番手は、ダグトリオ…お前だ。」

 

レッド

「俺は…フシギソウだっ!!」

 

サカキ

「相性で合わせてきたか…?

だが、ダグトリオには関係ないかな。

ダグトリオ、サイドンの造った穴を使って【穴を掘る】で翻弄させてやれ。」

 

レッド

「またその手かよ…フシギソウ、連続で【葉っぱカッター】だ!!」

 

サカキ

「学習ないのかね…がっかりだよ。

さらに【影分身】でフシギソウの感覚を狂わせてやれ!」

 

オーキド

「何という速さ…それにこの数!」

 

サカキ

「このダグトリオは何回もインドメタシンで素早さを上げて育てた。」

 

レッド「…ったく、薬漬けにして楽しいかね…。

薬は多く摂取すりゃあいいってもんじゃねぇよ。

風邪薬だって用量守らねぇと、いけねぇって母ちゃんが言ってた!!

それに…学習はしてるぜっ!?

フシギソウ、【成長】だ!」

 

サカキ&ウプシロン

「…?」

 

レッド

「穴は繋がってるんだよな?

だったら俺達の攻撃でもそれは同じだ!!

【ソーラービーム】っ!!!」

 

破壊力抜群の【ソーラービーム】が中で膨張を起こし、地面もろとも吹き飛ばす

さらには相性も最悪だったダグトリオは一撃でダウン

 

サカキ

「おぉ、この威力…!よいではないか。」

 

オーキド

「いける…、これならサカキを倒せるぞ、レッド!」

 

レッド

「残すはサイドンと…ガルーラだろ?」

 

サカキ

「くくく、そんなにあいつをお望みか?

だったろ見せてやろう。私の4番手をっ!!」

 

2勝1敗…レッドが勝ち越す

だが、サカキが出す4番目は…幾度もレッドとグリーンを苦しめたガルーラか!?



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トキワシティ~VS超越したトレーナー!!②~

流れはレッドにある!
サカキの繰り出す4匹目は…


サカキ

「そんなにあいつをお望みか…?

ならば見せてやろう、私の4匹目は…こいつだっ!!」

 

レッド

「そっ、そいつは!?」

 

現れたのはガルーラ…ではなく、なんとニドキング

仕上がった筋肉を見せびらかす

 

レッド

「ガルーラじゃなかったのは残念だ。あいつに一矢報いたかったんだけどな…。

けど、そいつも相当やるんだろ?」

 

サカキ

「君の目で確かめてみるがいい!

ニドキング、【暴れる】!!」

 

我を忘れたかのように暴れだすニドキング

辺り構わず攻撃し始める

そして、その拳がレッドに襲いかかる

 

オーキド

「レッド君っ!!危ないっ!!

サカキ…、トレーナーに攻撃するとは…っ!」

 

サカキ

「…なぁに、ただの準備運動だが?」

 

レッド

「リザードンっ!!!」

 

レッドの雄叫びと共にリザードンが飛び出し、ニドキングの拳を受けとめる

 

レッド

「そんなに騒ぎ立てるなよ。【メガトンパンチ】っ!!」

 

リザードンの一撃がニドキングの顔面にヒットし、殴り飛ばす

 

レッド

「いくぞっ、【切り裂く】!」

 

サカキ

「ふふ、お仕置きされてしまったなぁニドキング?

これはきっちり返してやらなければ、後味が悪いぞ。

【カウンター】で迎え撃て。」

 

【切り裂く】をギリギリで避わし、リザードンの腹に体重の乗ったニドキングのフックがはいる

 

リザードン

「!!」

 

サカキ

「【地震】だ!」

 

レッド

「リザードン、【空を飛ぶ】で避けろ!!

【火炎放射】で反撃っ!」

 

サカキ

「しゃらくさいわっ…【大文字】!!」

 

炎が激突し、爆風が舞う

 

サカキ

「相殺されたか…」

 

レッド

「油断してんじゃねぇぇっ、【メガトンパンチ】っ!!」

 

煙の中から、スピードに乗ったリザードンが拳をふりかざす

それは再びニドキングの顔に…

 

サカキ

「1度ならず、2度までも…!!

ニドキングお前…、ここで倒れたら容赦はしないぞ。

あのリザードンは、ヒトカゲの頃から何度も私達の前に立ち塞がり、計画を邪魔してきたやつだ。

そして何より厄介すぎる…、惚れてしまう程の戦闘力をもっている。

まぁ、トレーナーの育てかたがよかったのだろうな。

ならばっ!!私達の手で葬ってやろうではないか!

…レッド君、無様な戦いを魅せてすまなかったな。」

 

レッド

「…?」

 

サカキ

「ここからがニドキングの真骨頂だ。ウプシロン、あれを!!」

 

ウプシロン

「はい!」

 

ウプシロンは何やらアタッシュケースの中から道具を取り出し、サカキに渡す

 

サカキ

「ニドキング、まずはこの回復の薬で体力を回復しろ!

続けて、プラスパワーとスピーダーを投与するんだ。」

 

ニドキングは薬を次々と口に含む

モリモリっと筋肉も膨れ上がり、パワーアップを見せる

今までのダメージを消し飛ばすかのような元気さだった

 

オーキド

「反則じゃぞっ、サカキ!!」

 

サカキ

「反則?戦闘に道具を使うことの、どこが反則だというのだ?

道具は使う為にある、そうじゃないのか?」

 

オーキド

「むぅ…。レッド、今のニドキングはさっきの力のおよそ2倍はステータスが上がっておる!!

心して戦うのじゃぞ!?」

 

レッド

「…分かってます!」

 

サカキ

「さて…、【二度蹴り】。」

 

ニドキングのズッシリした体型からは予想もできない速さで、リザードンに接近し1発目を当てる

 

レッド

「リザードン!!」

 

吹き飛ぶリザードンは壁に打ち付けられる

そこにニドキングは2発目の蹴りを追撃する

ジムの壁に穴が空き、リザードンは外へと飛ばされてしまう

さらに悲劇は重なり、外の雨がリザードンの尻尾の炎が弱くさせる

 

レッド

「(くそっ、雨のせいでリザードンが…!)」

 

サカキ

「【角で突く】!」

 

レッド

「【鳴き声】で攻撃力を抑え、【居合い斬り】で隙をつけ!!」

 

【角で突く】を屈んで回避し、そこから突き上げるようにして、ニドキングに【居合い斬り】を見舞う

 

サカキ

「それぐらいは【我慢】だっ!

やられたダメージを開放しろ!!」

 

ニドキングはやられた上半身を、そのまま振りかぶり、リザードンにヘッドバックを喰らわせる

 

サカキ「はぁ…、しつこいなぁ。ポケモンもトレーナーも。

いい加減倒れてくれよ。

君のジム制覇はここで潰えるがな…。」

 

そのサカキの言葉に反応するレッド

 

レッド「…俺は、ここで負けることはできねぇ。

相手がどんなに強くても、勝ち目が無さそうな奴だったとしても、自分の夢を簡単に諦めることなんてできねぇ!

俺は、しぶとく噛みついてやる!!」

 

ウプシロン「(この気迫っ…!!そうだ…レッドのこの粘り強さに俺達は苦しめられた。

何かが起こる!!)」

 

レッド「うおおぉぉっっ、リザードン見せるぞ、俺達の絆をっ!!!」

 

リザードン「!!!」

 

リザードンは雨が当たっているにも関わらず、その尾の炎が激しく燃える

オレンジがかった炎の色も、真っ赤なものへと変化する

 

オーキド「(な、何じゃ!?あのリザードンの炎は!!

ワシも見たことがないっ!)」

 

レッド「【火炎放射】っ!!」

 

特大の業火がニドキング向かって放たれる

 

サカキ「(何だ、この大きさは!!

これもまた、ポケモンに秘められた能力の1つとでも言うのか!?

面白い…実に面白いぞぉぉっ!!)

ニドキング、【破壊光線】!!」

 

トキワシティに小規模の爆発が起こり、ジムは完全崩壊

硝煙が辺りに立ち込める

リザードン、ニドキング…両者戦闘不能

 

オーキド「レッド…。」

 

レッド「(何だったんだ、今のリザードンの力は。

俺の気持ちが高ぶって…、リザードンも最大のピンチで…。

なのに、あの【火炎放射】の威力…。)」

 

サカキ「君は私を本気にさせてくれる…!

どうだ、今からでもロケット団の復興に…」

 

レッド「冗談は寝て言えってんだよ。

さぁ、本当の決着をつけようぜ?

この熱い気持ちを雨なんかで冷ましたくねぇっ!!」

 

サカキ「その通りだな…。サイドン!!」

 

リザードンの不思議な力により最大の強敵ニドキングを退けた

しかし、ジム戦は終わったわけではない!

サイドンが待ち構える!!



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トキワシティ~VS超越したトレーナー!!③~

リザードンとニドキングは死闘の末、互いにぶつかり華々しく散った
しかし、いまだ試合は終わらない
激闘を制するのはっ…


その頃…トキワの森上空

ワタルのカイリューに乗り、トキワシティを目指すグリーン

 

グリーン

「だけどワタルさん、サカキがジムリーダーって一体…?」

 

ワタル

「そうだね…。サカキがジムリーダーになったはっきりとした時期は僕も分からない。

実際ジムリーダーであったことが発覚したのも最近だったんだ。

グリーン君はジムリーダーになるのが夢だから教えておくけど、ジムリーダーになるにはポケモン協会のジム本部に公認及び登録されなければならない。

もちろん、その街…ジムの順番に見あった実力が無いと認められないけどね。

そして、ジムリーダーは1年に1回、更新手続きがあるんだ。

だけど…トキワのジムリーダーはここ3年間更新が無かった…。

さすがに怪しいと踏んだ僕は1人ジム本部に潜り込み、そこで知ったのは情報の書き換え。

ロケット団はジム本部にまでスパイを送り込んでいたんだ。

そして前ジムリーダーはちょうど3年前に亡くなっていた…。

サカキは、仮にロケット団に未曾有の事態が起きてもいいように第二の隠れ家を用意していたんだ。それも人目につかない場所ではなく、敢えてジムを選んだという逆転の発想に誰も気づくことができなかった!」

 

グリーン

「…っ!!そう言えば、俺とレッドが旅を始めた最初の頃、トキワシティを訪れた時には既にジムは閉まってました!」

 

ワタル

「ここまで欺かれると、サカキの思うつぼって感じだよね!

だけど…もう逃げ場はないっ!!

さっきトキワシティの方で起きた爆発も気がかりだ…急ごう!!」

 

降りしきる雨の中、屋外でのジム戦

レッドとサカキの熱はさらにヒートアップしていた

 

レッド

「ゴースト、【催眠術】!」

 

サカキ

「眠らせてから攻撃しようなどと、つまらんわっ…!

そんなものは気合いで、いくらでも破ってやるわ!!

……はあっっっ!!」

 

サイドン

「!!!」

 

サイドンはサカキの声で自らの脳を起こし、眠気を弾く

 

レッド

「そんなっ!ならば【サイコキネシス】でどうだ!!」

 

サカキ

「やつの目を直視するな、術にかかってしまうぞ!!

ゴーストタイプならばサイドンの角攻撃はほとんど効かない…か。

ならば天候を逆手にとってやる…、雨で電気タイプの技は上昇する!

サイドン、【10万ボルト】だ!」

 

【10万ボルト】を雨雲に撃ち、周りの電力を呼び込む

そして、落雷が向かう先は…ゴースト!!

 

ゴースト

「!」

 

ゴーストの体に雷が落ち、倒れてしまう

 

レッド

「ゴースト!…ちっ、やるじゃあねぇか。」

 

サカキ

「ここまで楽しいバトルは本当に久しぶりだぞ!?

残すはサイドン対フシギソウか…、これで全てに決着がつく。

ポケモンバトルの答えはシンプルな事よ、最後に立ってた方が勝ちだ!!」

 

レッド

「ああっ、疲れて今にも倒れそうなのに、不思議と立っていられる…、何でだろうなぁ。」

 

オーキド

「(2人の戦い…敵同士なのに笑っておる!)」

 

そこへグリーンとワタルも到着する

 

グリーン

「レッドっ!!」

 

しかし、レッドは振り向かない

再び呼ぼうとするグリーンをワタルが止め、首を横に振る

 

ワタル

「恐らく、レッド君とサカキには声が届かない。

2人だけの世界で戦っているんだよ。

その研ぎ澄まされた集中力に横入りすることは決してできない!

それほどに真剣なんだ…、そうでしょうオーキド博士?」

 

オーキド

「うむ、彼らは残す1匹に全てを懸けている!!

それをワシらが邪魔してはならん。

それが例え元、大悪党だったとしても…じゃ。」

 

グリーン

「(レッド…。)」

 

レッド

「行くぞ、フシギソウ…【蔓のムチ】っ!!」

 

サカキ

「【捨て身タックル】!」

 

ムチを凪ぎ払いながら、相性を顧みず突進してくるサイドン

しかし、レッドにとってはチャンスだった

 

レッド

「ムチで足を捕らえろ、迫ってきた所で当たらなきゃ恐くないぜっ!」

 

サカキ

「こちらからいけないのなら、そっちに来てもらうまで!

サイドン、ムチを手繰り寄せろ。【角で突く】だ!!」

 

フシギソウ

「!?」

 

勢いよく引っ張られ、待っているのはサイドンの角

このままでは串刺しになってしまう

 

レッド

「させるかぁっ、【リフレクター】でガードしろ!」

 

【角で突く】を守り抜き、気の抜けない両者

一進一退の攻防…この均衡を先に崩すのは!?

 

レッド

「【葉っぱカッター】の乱れ撃ちだぁっ!」

 

サカキ

「【大文字】で燃やせ!」

 

【葉っぱカッター】を燃やすも、雨のせいでサカキが期待していた以上の火力が出ない

 

レッド

「へっ、残念だったな!!

ましてや地面タイプのサイドンだ…、炎タイプの技を120%に引き出せる事も難しいだろ!?…【毒の粉】っ!」

 

しかし、フシギソウの撒き散らす【毒の粉】もまた雨で流され、サイドンに付着しない

 

サカキ

「ハハッ、条件は同じみたいだなっ!?

よし、これで決めようか…【角ドリル】!!」

 

レッド

「!!」

 

その、おぞましい回転音にそこにいた全員が脅威を感じた

 

ウプシロン

「ついに…サカキ様が人前であまり見せることのない、あの技をっ!!」

 

ワタル

「いけないっ、逃げろレッド君!

その技は、かつてポケモンがポケモンを殺してしまったと云われ、禁止にもなった技だ!!」

 

サカキ「そのルーツはロケット団の開発にあるのだよ!

研究に研究を重ね、単なる技も高性能なものへと形を変えた。」

 

ウプシロン

「(あの技を使うということは…サカキ様もかなり追い込まれているというのですね。)」

 

レッド

「【蔓のムチ】で地面を弾けっ!!」

 

フシギソウは宙に舞い、何とか逃れる

サイドンが突いた【角ドリル】の跡には無駄がなく、綺麗な穿孔が1つ空いていた

 

グリーン

「あ…、あんなの喰らったら…!!」

 

レッド

「(どうしたらいい。あんなの近づけねぇよ…!)」

 

そんな中、雨が次第に止み、雨雲も晴れていく

 

サカキ

「さて、もう1度だ。次は外さんっ。」

 

レッド

「ここで無茶をすれば…!もし当たったりなんかしたら…!!」

 

レッドはフシギダネが戦闘恐怖症になってしまった時の事が頭に過った

 

レッド

「駄目だ…やれねぇ。」

 

グリーン

「おらぁっっ、レッドぉっっ!!

何顔下げてんだよ!何を迷ってるんだっ、最後のジム戦じゃねぇのか!

後1歩…たった1歩だぞ!?

お前なら這ってでもその1歩を越えようとするだろうがっ!!!

迷ってる暇があるんなら撃てよ…撃っちまえよぉっ!!」

 

レッド

「グリーン…?いつから…。」

 

サカキ

「おや、グリーン君、悪いが今はこの勝負に水をささないでくれるかい?

君はレッド君の後で…」

 

その時、雲が消え太陽がトキワシティに日を照らし出す

 

レッド

「やっぱ、いつも後押ししてくれるのはグリーン、お前だな。

お前の声…届いたぜ!!

フシギソウ、今まで隠れてた太陽の光、全部お前が吸収しちまえ!

【成長】からの…【ソーラービーム】だっ!!!」

 

サカキ

「今さら遅いわっ、最高の戦いだったぞ!!

サイドン…【角ドリル】!!」

 

発射された【ソーラービーム】はサイドンに直射され、堪えるサイドン

 

サカキ

「ふはははははっ!悔いは…無かったぞぉっ!!!」

 

サイドンは弾き飛ばされてしまった

そして、今ここに勝者が1人

立っていたのはフシギソウ、そしてトレーナーの名は…レッド!!



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トキワシティ~仮面下の真実~

2人の戦いに終止符がついた
トキワジム…勝者はレッド


レッド

「やった…俺が、勝った。夢じゃねぇ…、俺の勝ちだぁぁっっ!!」

 

レッドは感極まって涙を流す

それを眺めるグリーン

 

グリーン

「(レッド…、お前って奴は!

本当は俺が決着つけたかったところだけど、ここは素直にあいつの勝ちに喜ばねぇとな!!)」

 

膝から崩れ落ち、泣きじゃくるレッドにサカキが寄ってくる

 

ウプシロン

「サカキ様…?」

 

サカキ

「これぞ完全燃焼というものか…。頭の中が真っ白な気分だ。

…仁義は通すつもりだ潔く退くとする。

これが最後のジムバッジのグリーンバッジだ。

これにて君達の前に現れるのも最後となるな…。

私は公認のジムリーダーではない…、肩の荷も全て降りたし、宛のない旅に出るとしよう。

私はロケット団のボスであった事、内にあるもの全てを出しきり戦い抜いた事に"生"を感じたよ。

それを100%に引き出してくれたレッド君、グリーン君に感謝しよう。

そして…ウプシロンっ!!」

 

ウプシロン

「っ!?」

 

サカキ

「終いまで私なんかについてきてくれて…ありがとう。

もう私の後ろを追ってくるんじゃねぇぞ?」

 

そう言い残し、サカキは去っていった

去り際のサカキの背はなぜだろうか、不思議と温かく感じた

 

ウプシロン

「サカキ様…。

おいっ、お前ら!!お前らにはサカキ様の全てを話すっ!

いや、話さなければならないんだっ…、ロケット団の創立から始まるサカキ様の過去と…本当の姿を!!」

 

グリーン

「本当の…姿?」

 

ウプシロン

「サカキ様は幼少の頃に両親の離婚から、親権を母親が手にし、母子家庭で育てられてきた。

サカキ様と母親は貧しかったにも関わらず、ポケモンへの愛だけは絶やさなかった…。

それは闘いにも影響し、サカキ様の類いまれないポケモンバトルの才能は幼少の頃に開花した。そこで、その力をどこかで活用できないかと考え、

そして母親が立ちあげたのが'ロケット団'だった!」

 

レッド&グリーン

「!?」

 

ウプシロン

「創設した当初は慈善活動の一環として警察の援助を行い、危険な事件を解決に至るまでに導く功績をあげたりもしていた。

だが…、ある事件をきっかけにサカキ様は大きく人格を変えてしまった。」

 

ワタル

「…ある事件だって?」

 

ウプシロン

「警察が、サカキ様の母親を誤射してしまったんだ。

あの事件は、凶悪な連続ポケモン殺害犯を警察とロケット団が追っていた時のこと…。

待ち伏せをしていた女性を、新人の警察官が犯人と勘違いし、誤射…。

弾は運悪く、心臓を貫通していった。

その女性こそ、サカキ様の母親だったんだ!

しかも、警察はその事態を何事も無かったかのように揉み消した。」

この警察側の対応に1人残され、怒りを抑えきれなくなってしまったサカキ様はわずか18の年にして、その新人警察官が勤務する警察署を破壊した。

そこから、サカキ様が2代目ボスとなりロケット団は路線を変更…、凶悪な組織へと変貌していった!!

やがて、サカキ様のその目は全国支配に向けられ、その為の団員や強いポケモン、道具をかき集めるために動いた。

…そして新たなロケット団が完成した。」

 

ワタル

「サカキにそんな過去があったなんてね…。」

 

ウプシロン

「だけどっ…!!これだけは勘違いしないでくれ!!

サカキ様はただ横暴な人じゃないんだっ!!

あの方こそ、ポケモンの理解者だと俺は思っている!」

 

グリーン

「どういうことだ…?」

 

ウプシロン

「実際に戦ったレッド、グリーンなら特に分かって欲しい…。

レッドっ、サカキ様が何故今回のジム戦で最強であるはずのガルーラを出さなかったか分かるかっ!?」

 

レッド

「…いや?」

 

ウプシロン

「ガルーラは、前回のグリーンとの戦いで【連続パンチ】を多用しすぎて、その腕はもう使い物にならなくなってしまった…。

だから、今回のお前らとの戦いにも出すつもりでいたはずなのに…、出せなかった。

いや…、出してあげれなかったんだ。

それは、サカキ様の心の奥底にあった幼少の時のポケモンへの愛が消えてなかった証拠だっ。

鬼のような人だけど、単に仮面を被ってただけなんだ…あの方は。」

 

オーキド

「まったく…、本当に掴めん奴じゃのう。」

 

ウプシロン

「もう語る事はねぇ。

全て終わったんだ…、お前らがサカキ様をどう思おうが勝手だけどな。」

 

ウプシロンも、トキワシティを後にしようとする

 

レッド

「…ウプシロン?」

 

ウプシロン

「サカキ様は探すなと言われた。

だけど、俺の永遠の憧れであることは変わらねぇよ。

だから俺は俺なりに、見えないけどもサカキ様を越えれるトレーナーになってやる!

ってことだから、へっ…、あばよ!!」

 

レッド

「寂しくなったらいつでも会ってやるからなぁっ!!」

 

片手を挙げて返事をするウプシロンはトキワの森に消えていった

 

サカキの知られざる過去

老いたる馬は道を忘れず…と言うが、仮面を被っていた1人の男もまた、道を忘れてはいなかったのである…



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トキワシティ~空席?~

遂にロケット団との戦いにも決着が着き、ひと安心のレッド一同


ワタル

「ふぅー、ようやくロケット団との戦いも終わったね!

レッド君もグリーン君も本当にお疲れ様。

心から感謝するよ!」

 

レッド

「何言ってるんですか、俺達はポケモンと共存する…俺達の世界を守りたかっただけですよ。」

 

グリーン

「俺だって、力になれたかどうか…。」

 

ワタル

「2人がその歳で強大な組織に立ち向かった、それだけで偉業な事なんだよ?

もっと胸はっていいんだ!!」

 

オーキド

「3人共、お疲れの所申し訳ないが…、ここで新たな問題が生まれた。

サカキが去って、トキワのジムリーダーは不在になってしまった。

この埋め合わせはどうするかのぉ…?」

 

ワタル

「…!!」

 

オーキド

「ワシは、グリーンを推薦したいのじゃが…。」

 

レッド&グリーン

「何ぃぃっ~!?」

 

グリーン

「爺ちゃん、唐突に何言ってるのか分かってんのかっ!

そ、そりゃ俺だってジムリーダーになりたいって散々啖呵きって言ってたけどさ、何もそんな当てつけみたいにしなくたって…」

 

ワタル

「グリーン君、僕は否定しないよ。

君にはこのトキワのジムに相応しいぐらいの実力がある…!」

 

グリーン

「そんな簡単にジムリーダーになれるんですかっ!?

さっきワタルさんも言ってたじゃないですか、ジム本部の人達に認められないと…って。」

 

ワタル

「あ~、それね。その事ならノープロブレムだ!

その辺の説明をするとだね…ジム本部と呼ばれる組織が8つのジムを総管轄し、さらには8個のジムバッジを手にした者だけが参加できる、1年に1度の祭典'セキエイ大会'を催してるんだ。」

 

レッド

「そしてそれが…ポケモンリーグ制覇への道でもある。」

 

ワタル

「そうだね、そのセキエイ大会を優勝したたった1人だけが、次なる段階…'チャンピオンリーグ'に挑戦することができるんだ!!」

 

レッド

「チャンピオン…リーグ!?」

 

ワタル

「ポケモンリーグが表の顔ならチャンピオンリーグは裏の顔といったところかな?

チャンピオンリーグには四天王が君臨し、その4人全てを倒した人がカントー地方唯一のチャンピオン…つまりカントー最強の称号を手にすることができる!」

 

レッド

「四天王って…じゃあワタルさんやカンナさんもですか!?」

 

オーキド

「他には、シバ君に、キクコがおるのぉ。

チャンピオンになることはコイキングが滝登りをするぐらいに難しいと云われておる…。

ましてや、ここ15年チャンピオンはおらん。

ワタル君ですら、ジョウト地方のチャンピオンリーグに挑戦し、数えきれないほどの敗北を味わい、挫けそうになりながらもそれでも諦めず努力した結果、ようやくその名を我が物にしたんじゃ。」

 

ワタル

「大袈裟ですよ、オーキド博士!

とまぁ、話が脱線しちゃったけど、つまりは僕の権限を以てすればジム本部への融通はいくらでも利くって訳さっ!!」

 

グリーン

「1つ聞かせてください…、どうして俺なんですか?

サカキを倒したのはレッドだ…、話がいくなら俺よりもまずレッドが先なんじゃないんですか?」

 

ワタル

「友達だけど…その前にライバルでもある。

どうも君はその部分にこだわりが強いけど、僕からすればグリーン君もレッド君もさほど力の差を感じないよ?

2人とも充分強い…一緒に闘ってきたからこそ僕には分かる。

だから、今回はジムリーダーになりたいっていう気持ちがある方を推してるだけのこと…。

オーキド博士は僕より早く気づいて持ちかけたみたいだけどね!笑」

 

グリーン

「…爺ちゃん!」

 

オーキド

「孫の事など、誰よりも分かっておる!

ワシに嘘はつけないぞ?なりたいという心の叫びが丸聞こえじゃ。

素直になれ…グリーン。」

 

グリーン

「俺…、なりたい!

ジムリーダーになれるんなら、なりたいよっ!!!

だって、俺の夢だからっっ!」

 

ワタル

「ハハ、そうこなくっちゃね!

これで最年少ジムリーダーが誕生だっ!!」

 

レッド

「叶ったな…グリーン!」

 

グリーン

「すまねぇ、レッド。俺…」

 

レッド

「何で謝るんだよっ、まさかお前、自分だけがジムリーダーになって先越したと思ってんじゃねぇだろうな?

バァカ、俺の夢はここじゃねぇ事、嫌というほど知ってるだろ?

まだまだ先なんだよ!」

 

グリーン

「…そうだ、ワタルさんっ、ジムリーダーになる前に俺なりの決着をつけたいっ!!」

 

ワタル

「ん?」

 

グリーン

「レッド、俺と闘ってくれ。

そうでもしなきゃ、なんか気持ちよくジムリーダーになれねぇんだっ!!

お前と真剣に闘うのは…爺ちゃんの研究所で初めてポケモンもらった日以来だ。」

 

レッド

「あの日はまだ俺達ポケモンの事全然しらなくてなっ!

それから互いに色んな試練を乗り越えて…今、ここにいるんだもんなぁ。

やろうぜ、バトル!」

 

グリーン

「どうだ、せっかくだし6対6ってのは?」

 

レッド

「あぁっ、最初で最後のフルバトルだっ!!」

 

ジムリーダーになる決心をしたグリーン

だが気持ちの整理はつけなければならなかった

ゴールテープを握るのは、最高のライバル!



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マサラタウン~粋のいい奴等!~

レッド対グリーン…
今まで実現することのなかった闘いがついに実現することに


翌日…

昨日の雨が嘘のように、かんかん照りの太陽が出ていた

オーキド博士の研究所内にある広い庭にレッドが歩いてきた

グリーンは既に待っていた

 

グリーン

「よっ、ぐっすり眠れたか?」

 

レッド

「ん~、21時に布団に入ったけど色々想うことがあってな…。

結局あんまり寝れんくて、頭がぼーっとしてるわ!!」

 

グリーン

「お前もかよ…。だけど、頭が働いてなかったからって負けた時の言い訳にするんじゃねぇぜ?」

 

レッド

「冗談きついぜ…さぁ、やろうか!?」

 

オーキド博士とワタルも見物する中、ついに2人の少年が闘う

 

グリーン

「サワムラー、序盤からとばしていくぜ!?」

 

レッド

「ニョロボン、見せてやろうぜ俺達のパワープレーをっ!!

【影分身】!」

 

グリーン

「かかってこいっ、本体が出てくるまで相手してやるよ。」

 

レッド

「一斉攻撃だ…【のしかかり】!」

 

グリーン

「 おいおい、なんて元気なおたまじゃくしだよ…!

いや、手も足も生えてるから蛙なのか?

まぁ、そんな事どうだっていいや…サワムラー、【廻し蹴り】!!」

 

サワムラーは逆立ちしながら体を廻し回転蹴りを喰らわせていく

それによって、分身のニョロボン達は次々に蹴散らされていく

だが、1匹だけは遠くで何かを溜めていた

 

グリーン

「っ!!」

 

レッド

「そこだっ、【水鉄砲】っ!!」

 

グリーン

「【ヨガのポーズ】で避けろ!」

 

緊急回避でサワムラーはニョロボンの攻撃を避ける

 

レッド

「今の手が通らなかったとは…さすがじゃねぇか。

だったらこれならどうだ、【波乗り】!」

 

オーキド

「ほう、水場が少ないこのフィールドであれほどの【波乗り】が使えるとは…。」

 

ワタル

「えぇ、たいしたニョロボンですね!

…だけど、グリーン君も何か企んでる様子ですよ?」

 

グリーン

「このまま波に飲まれちまうのは大変だ、サワムラー、お前のしなるその脚のバネで跳び上がれ!!

ニョロボンに【跳び蹴り】をお見舞いさせてやれっ!!」

 

レッド

「空中戦をお望みか…いいぜ?

ニョロボンっ、波からサワムラーに跳び移れ!宙なら身動きはとりづらいはずだ、【地球投げ】で投げ飛ばしてやるんだ!!」

 

ニョロボンに"ガシッ"と掴まれるサワムラー

だが、ニヤリと笑ったのはグリーン!

 

グリーン

「甘いぜ、レッド!?

さっきも言ったはずだが、サワムラーの脚はバネのように柔らかい…つまり足技でいくらでも形勢逆転はできるってことさっ、【カウンター】で絡めとれっ!」

 

レッド

「くそっ、もがけ…ニョロボン!」

 

グリーン

「遅いっ、【メガトンキック】!!」

 

技を仕掛けた筈のニョロボンが逆に地面に蹴り落とされてしまった

 

グリーン

「へっへーん!」

 

レッド

「ちっくしょうっ!!」

 

ワタル

「何だか、ロケット団と戦ってた時のレッド君とグリーン君とはまるで別人のようです。

純粋に…そう、まるで勝ち負けを忘れてしまうぐらいにポケモンバトルを楽しんでいる…!

これが、2人の力の源と言いますか、バイタリティなのですかね。」

 

レッド

「く~~っ、相手がサワムラーなら、単純にタイプで勝負してやる、ピジョット!!」

 

グリーン

「飛ばれる前に飛ばせねぇっ!…。【二度蹴り】で攻め込め!」

 

レッド

「そぉらっ、【風起こし】の渦で閉じ込めろっ!

これでサワムラーは籠の中の鳥って訳だ!」

 

グリーン

「近づかれるのが怖いのか?

ちなみに言っとくけどな…とっくに鳥は逃げ出してるぜ、へへ。

サワムラー、【メガトンキック】!!」

 

サワムラーは【風起こし】が繰り出された直後に身を呈して抜け出ていた

 

レッド

「やっっべ!!ピジョット、避わして【空を飛ぶ】!!」

 

グリーン

「逃がすかよぉっ、サワムラー…【跳び蹴り】!

…いや、【跳び膝蹴り】だっ!!」

 

オーキド

「グリーンの奴、勝負に出たのぉ。

【跳び膝蹴り】は一撃必殺の格闘技だが、外れれば自身に大ダメージを受けてしまう、謂わば諸刃の剣。」

 

ピジョットに向かって、サワムラーは今まで見せたことのない跳躍で襲いかかる

 

レッド

「ここまで来るとはなっ…、だけどっ!有利であるのは俺に変わりない!!

ピジョット、【高速移動】で捌いて【翼で打つ】だ!」

 

ピジョットはサワムラーの背後を突き、翼を急所に当て叩きつける

【跳び膝蹴り】の反動及び、【翼で打つ】のクリティカルヒットに、サワムラーはやられてしまった

 

グリーン

「お疲れ、サワムラー!

次はゴルバットだ!!

こいつの、コンボ攻撃を特と味わいやがれ…【黒い霧】。」

 

漆黒の霧が辺りを包んでいく

 

レッド

「霧系のコンボならだいたい察しがつくぜ?

見えない所からの遠距離技が大抵だ。

まずは、この霧を吹き飛ばしてっ…と。」

 

グリーン

「【怪しい光】っ。」

 

レッド

「うっ!?……。

わざわざ、居場所を教えてくれるなんてな…!!

(いや…、でも罠である可能性が高い。でも…)

ええいっ!ごちゃごちゃ考えるのはなしだ!!

ピジョット、【風起こし】!」

 

ピジョット

「!?」

 

ピジョットは得体の知れない風に飛ばされてしまう

 

レッド

「ピジョット、無事か!?今のは…?

さっきの光の方角にゴルバットがいるのには変わりないんだ、【鎌鼬】!!」

 

ピジョット

「!!」

 

ピジョットはどこからか飛んでくる斬撃にダメージを負う

 

グリーン

「ピジョットは、混乱状態に陥っちまってんだよ!

自分が出した技で自分が傷ついてたんだよ。

そろそろ霧も晴れてきた…、【毒々】と【噛みつく】の合わせ技だぁっ!!」

 

レッド

「…やーっぱな。そんな事だろうと思ったぜ!

演技だよ、え・ん・ぎっ!

避わして、【電光石火】!」

 

グリーン

「あんにゃろ~っ、ギリギリだけど避けれねぇ事はねぇ。後ろに引き返せ!」

 

レッド

「ふっ…。」

 

ゴルバットが下がったその先には、ピジョットが使用した【風おこし】に【鎌鼬】の加わった、ハリケーンが待っていた

その容赦ない切り刻みにゴルバットは抵抗できず…敗北

 

ワタル

「この発想力…驚かされますね。」

 

オーキド博士

「まるで、自分の幼い頃を見ているようじゃよ!

ホッホッホッ…!!」

 

2人のボルテージは上昇していく

留まるところを知らないのだろうかっ!?



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マサラタウン~まさに龍虎…~

グリーン

「技をかけた俺が逆にお前の罠にかかってたとはなぁ。」

 

レッド

「残念でした~!!」

 

グリーン

「次は気をつけねぇとな…。

行くぞ、ガーディ!!」

 

レッド

「一旦戻って休んでろ、ピジョット。

ゴーストでいく!【舌で舐める】!」

 

グリーン

「どっから来るか分からない…、ガーディ、お前の鼻でゴーストの居場所を察知して避わすんだっ!!」

 

鼻に集中し、微かなにおいを感じたのか、サッと避ける

 

グリーン

「よしっ、上出来だ…!【捨て身タックル】!!」

 

しかし、ガーディの【捨て身タックル】はノーマルタイプの直接攻撃

ただでさえゴーストに当たるはずもない上に、100%位置を特定できていない為、居ない場所に突撃してしまう

おまけに、勢いをつけすぎた為か、岩に激突し、ダメージも負ってしまった

 

レッド

「ラッキー!【催眠術】だ!!」

 

グリーン

「立ち上がれ、ガーディ!!

【吠える】で眠気を振り払うんだっ!

…【火炎放射】で反撃しろ!!」

 

レッド

「火の届かない場所へ移動しろ!」

 

グリーン

「見つけたぜ…?逃がすなガーディ、もう一回【捨て身タックル】だ!!

次は必ず当たるっ!!」

 

ワタル

「っ!?どうしてだ、ノーマルタイプの技ではゴーストの位置を特定することができないはずだよっ!?」

 

グリーン

「さっきの【火炎放射】で一瞬だけど、見えたんだ…。

炎の中に映るゴーストのシルエットがっ!!

その大切な僅かな情報を見逃すようなヘマはしねぇぇっ!」

 

ゴースト

「!!」

 

ゴーストの余裕をかましていた表情は苦悶のものへと変わった

当たる事のない【捨て身タックル】がまさか当たろうとは…

 

オーキド

「見事。ゴーストは戦闘不能じゃ!」

 

レッド

「かぁーっ、参ったな。

ま、今のは完全に油断してたぜ、ゴースト、よくやった。

どんどんいくぜ?サンダース!!」

 

グリーン

「(来たか…、"最速"。このままじゃあ、ガーディの負けは見えてる。

仕方ねぇ…ここでアレを使うか。)」

 

グリーンは自分のバッグから何かを探る

 

レッド

「…?」

 

グリーン

「レッド、悪ぃが使わせてもらうぜ!?」

 

オーキド

「あれは…炎の石っ!!

グリーンの奴、ガーディを進化させるつもりじゃな!?

…なるほど、サンダースのスピードに近づけさせる為か。」

 

レッド

「(速さには速さを…か。受けて立つぜ!!)

…来いっ!!」

 

グリーンはガーディに石を当て、強制進化させる

毛並みが荒立ち、犬…というよりは獣に近い姿へ変貌する

 

グリーン

「こいつがウィンディ…!

どれだけ速さがアップしたのか、早速俺に魅せてくれよっ!!

行け…、【突進】!!」

 

レッド

「(速いっ!サンダースの素早さで目が慣れてるとはいえ、このスピードでの【突進】は見たことがねぇぞ。)

【電光石火】で逃げ切れ、隙をみて【電気ショック】で攻撃っ!!」

 

ウィンディの脚ではサンダースの高速の脚についていけなかった

そう…、現段階では

 

グリーン

「もう一段階、ギア上げてくぜ…【高速移動】っ!!」

 

レッド

「何だとっ!?…マズイ、こっちも【高速移動】を使うんだ!

(…反撃ができねぇ。)」

 

グリーン

「ちょっと、反応が遅れたか!?

俺のウィンディは完全に捕らえた!!【噛みつく】だ!

絶対に離すんじゃねぇぞ?」

 

サンダース

「っ!!」

 

オーキド

「ウィンディの牙から逃れるのは厳しいぞ…。」

 

レッド

「(だが…、このままだとサンダースが…!)

いやでも放してもらうぜ!身体中に【電磁波】を流し込め!!」

 

ウィンディ

「!?」

 

グリーン

「なるほどな、そうやってウィンディを麻痺にして放させるって算段か…。

だけど、ここで逃がしちまったら次はないっ。レッドはどんくさい奴だが、2度もミスするような真似はしない奴だ!

つまり…、これが千載一遇のチャンスなんだ!!

だから絶対に逃がすわけにはいかねぇのよっ!!

踏ん張れよ、ウィンディ!」

 

レッド

「粘るじゃねぇかよ。だったら、これならどうだ…?【雷】っ!!」

 

グリーン

「そいつを喰らうのはごめんだ。サンダースを投げ捨てろ!!

【高速移動】で速効回避しろ!」

 

ウィンディ

「…っ。」

 

グリーン

「(そうか…、【電磁波】を無理に我慢させすぎちまったか?

長期戦は気の毒だな。)

レッド、次の一撃で決める…、【大文字】!!」

 

レッド

「そっちがその気なら、俺達だって…!

サンダース、連続で出してくれよ…っ!?

轟かせろ、【雷】っ!!」

 

特大の炎と雷が交わる

その衝撃の硝煙で誰も状況が把握できていない

 

ワタル

「なんというぶつかりなんだ…。」

 

オーキド

「うむ…、天変地異でも起きたのかと思ったわい。

そのせいか、ほら見てみなさい…、勝者はいない。」

 

レッド

「サンダース!」

 

グリーン

「ウィンディ!」

 

互いに戦闘不能

サンダースの体は全身火傷を負い、ウィンディは全身が痺れ動くことすらままならなかった

 

グリーン

「爺ちゃん!この2匹を今すぐポケモンセンターにつれてってやってくれ!

命が危ねぇんだ!!」

 

オーキド

「分かっておる…!

(ポケモンの体を第一に考えて、最優先の事項を選ぶ…しっかり成長しとるじゃないか。)」

 

そして2人の手持ちは、残り3匹ずつとなる

試合は折り返し地点!



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マサラタウン~唸れ、哮れ、叫べ!~

レッドとグリーンの闘いは後半戦に突入


グリーン

「ガラガラ、出番だ!

お前の骨捌きを見せつけてやれっ!」

 

レッド

「根性みせるぞ…、ピジョット!!

先手はもらった…【翼で打つ】!」

 

グリーン

「【気合い溜め】で集中…。ピジョットの攻撃を見切って、【骨棍棒】でカウンターしろ!」

 

レッド

「(体力的に、アレを喰らったら危険だな。)

高度を上げつつガラガラと距離をとれ!

さらに【砂かけ】のプレゼントをあげてやるんだ!」

 

ピジョットは【骨棍棒】が当たる一歩手前の所で、【砂かけ】を繰り出しつつ高く飛び、回避した

そこへ、ポケモンセンターから戻ったオーキドが呟く

 

オーキド

「何とも緻密な作業をあんな一瞬で…。」

 

レッド

「やっぱり頼みの綱はこれしかねぇっ、【鎌鼬】っ!!」

 

グリーン

「ぐっ…、骨でガードするしかねぇじゃねぇか。

(あの高さに届く技…。骨を投げつけ、当てて落とす…そんな技は。)」

 

図鑑をチラッと見る

 

グリーン

「…この技は!?

そうか、ガラガラもたくさん戦ってきたもんな。

俺が見落としていただけだったぜ…、新しい技でピジョットを倒す!!

ガラガラっ、ピジョットに向かって骨を投げつけろ!

渾身の遠投に期待してるぞっ!!」

 

ガラガラは大きく振りかぶり、ありったけの力を出しきり骨を投げる

 

レッド

「そんなコントロールのない投げで、ピジョットに当たると思ってんのかよ?

ピジョット、避わして【空を飛ぶ】でがら空きのガラガラに突っ込め!!」

 

グリーン

「へへっ。」

 

ワタル

「なるほどね…、その手できたんだね。」

 

外れたとばかり思った骨はブーメランのようにして、再びピジョットに向かっていく

背後をとられたピジョットは後頭部に強いダメージを喰らい、そのまま落下してしまった

 

レッド

「何っ!?」

 

グリーン

「やり~っ!コントロール良すぎだぜ、ガラガラ?

…そうだぜレッド、今のは単なる"投げ"じゃあない。

列記とした【骨ブーメラン】という技なんだよ!」

 

オーキド

「レッドが対応できなかったのも無理はないのぉ。

【骨ブーメラン】をカントー地方で使用できるポケモンはガラガラしかいないっ!!」

 

ワタル

「僕も目にするのはあまりないですからねぇ。

不意の攻撃にはピッタリの技です。」

 

レッド

「残り2匹か…。」

 

グリーン

「その2匹が厄介だから困るんだよ!」

 

レッド

「誉め言葉…だろ?ありがたく受け取っておくぜ!!

まずは、フシギソウだ!」

 

グリーン

「…そうだよな、リザードンはとりだよな。」

 

レッド

「あったりまえよっ!だけど、こいつを舐めてかかると痛い目みるぜ?

俺の手持ちの中の門番だからよっ!!

【蔓のムチ】で乱撃っ!」

 

グリーン

「ただひたすらに避けまくれ!

チャンスを伺うんだ。」

 

レッド

「【蔓のムチ】に【葉っぱカッター】も加えて攻撃!

これなら避けるのは難しいぜ!?」

 

グリーン

「(いや…、実際これだけを避けるのはさほど難しい事ではない。

一番出されたらマズイのは粉系の技だ。

レッドがそれに気づいていない今の内に多少の犠牲を払ってでも一撃与えた方がいいか…?)

ガラガラ…、【暴れる】で一気にフシギソウに畳み掛けろ!!」

 

ムチを凪ぎ払い、葉っぱの刃を体に受けながらも特攻しに行くガラガラ

気合いが入りすぎ、気持ちが高揚しすぎたせいか、我を忘れ始めてしまう

上がる攻撃力…

グリーンの声も次第に聴こえなくなっていく

そして、骨での攻撃がフシギソウに当たる…その寸前っ

 

レッド

「頭に血が昇っちまいやがって…。主人の声も聴こえなくなっちまってるじゃねぇか!

これで、目ぇ覚ましやがれ!フシギソウ、【リフレクター】!!」

 

全身を壁にぶつけ、ようやく目を覚ます

 

レッド

「…っと。目覚ました所申し訳ないんだけど、そのまま眠っててくれないか?【眠り粉】。」

 

グリーン

「…しまった!」

 

レッド

「さてと、これで必ず当たる!【突進】っ!!」

 

吹き飛ばされ、寝ているのか、気絶しているのか定かではなかったが…

 

オーキド

「これは戦闘不能じゃな…。」

 

グリーン

「よくやった、ガラガラ!

…門番でその強さは反則級だっての!」

 

レッド

「いやいやっ、今のはお前のガラガラががむしゃらに突撃してきたのを守っただけだから…。」

 

グリーン

「ははっ、確かにそうだわな。わりぃわりぃ!!

次こそは、その壁崩してやるからな!ガルーラっ!!

【連続パンチ】!」

 

レッド

「受けて立つ、【リフレクター】!!」

 

ガルーラの猛攻を軽々とガードしていくフシギソウ

 

レッド

「さらに…、【鳴き声】で威力を下げて【毒の粉】!」

 

グリーン

「息をするなっ、一旦退くんだ!」

 

フシギソウの周囲には【毒の粉】が舞っている

 

レッド

「【蔓のムチ】!!」

 

ムチが勢いよく伸び、ガルーラの腕に巻きつき毒の域に引き込もうとする

 

グリーン

「(なるほどな、嫌でも毒に侵そうとしやがる。

それなら…)

いいぜ、レッド!?そんなに欲しいならくれてやるっ!

…特大のパンチをなぁっ!!

飛び込めガルーラ、【メガトンパンチ】っ!!」

 

レッド

「おいおい…マジかよ!」

 

フシギソウにヒットし、殴り飛ばす

 

グリーン

「まだだっ、もう1つのパンチを魅せてやるよ!

こいつに当たれば、脳震盪確実だ…、【ピヨピヨパンチ】!!」

 

ワタル

「(ここで【ピヨピヨパンチ】を喰らえば、フシギソウが窮地に追い込まれる事は間違いない!

さらに、仮にここでフシギソウを失えば、レッド君はリザードン1匹でグリーン君の2匹を相手にしなければならない劣勢に立たされる。

…どうする、レッド君!?)」

 

レッド

「しゃあねぇな、こいつを使うか…!

フシギソウ、この"回復の薬"を飲むんだ!!」

 

レッドはカプセル型の薬をフシギソウの口に投げ込み、一気に体力を全回復させる

元気になったフシギソウはガルーラの【ピヨピヨパンチ】をギリギリで回避した

 

グリーン

「やったと思ったんだけどなっ、仕方ねぇ…あの技いくか!

ガルーラ、【吹雪】!!」

 

レッド

「(自然系の技は逃げ場が限られる…!)

やっぱり、お前の持ち味でここを乗り越える!【リフレクター】!!」

 

【吹雪】を凌いだが、【リフレクター】の壁は凍ってしまった

 

レッド

「(防げない事はないが、それでも限界スレスレってとこか…。

【吹雪】が何度もきたらヤバイかもな。)」

 

グリーン

「レッド、お前は多分こう思ってるんじゃねぇか?

単発ならまだしも、連続しては防げない…ってな。

だが、果たしてそんな事可能なのか…。」

 

オーキド

「確かに、【大文字】、【雷】、【吹雪】はポケモン界の三種の神技と呼ばれる程の強力な技。

あらゆる物を燃やし…、轟音鳴り響き…、零度の冷気を呼び覚ます…、とあるポケモンが使った事から生まれた技でもある。

膨大なエネルギーを消費するが故に、普通のポケモンでは連続発動回数が限られておる。」

 

ワタル

「伝説の3鳥…、その逸話ですね?」

 

オーキド

「そうじゃ。グリーンは何をしようとしておるのじゃ?」

 

グリーン

「俺なりに考え、そして辿り着いた答えがこれだ!!」

 

グリーンはバッグからヨクアタールを取り出した

 

オーキド

「なるほどのぉ。」

 

グリーン

「これで、命中率は上がる…、いくぞ、【吹雪】っ!!」

 

レッド

「何っ!【リフレクター】!!」

 

2人は【吹雪】と【リフレクター】を叫び続ける

 

レッド

「駄目だっ、このままじゃ俺達の方が…。んっ!?」

 

レッドはあちこちに凍った【リフレクター 】の残骸を確認する

 

レッド

「そうかっ!!見つけたぜ…突破口を!

フシギソウ、走り回れ!!ガルーラを攪乱させるんだ!」

 

グリーン

「こ、これはっ!?」

 

凍ったリフレクターがガラスの役割になり、そこら中でフシギソウが動き回る光景となっている

ガルーラは目が回り、どれが本物かさえ見分けがつかなくなってしまった

 

レッド

「ガルーラに向かって、【ソーラービーム】!!」

 

グリーン

「正面のフシギソウに、【メガトンパンチ】だっ!!」

 

ガルーラが当てたフシギソウは…

パリンと割れ、砕けていった

そしてガルーラは背後からの一撃を受け、倒れてしまった

 

グリーン

「自分の技で災いを招いてしまうなんて…しくじっちまった。

フシギソウ、強いなっ!」

 

レッド

「照れるな、ありがとよ!

でも…、お前の相棒はもっと強いと?」

 

グリーン

「分かってるじゃねぇか!

最後だ、派手にいこうぜ、カメックスっ!!」

 

グリーンの最後のポケモンが現れた

磨きかかった甲羅とロケット砲がフシギソウに向けられる!



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マサラタウン~ありがとう~

試合も大詰め、勝利を手にするのは!?


レッド

「きたな、カメックス…。

フシギソウ、遠慮はいらない!最初から全力でいくぞっ!!

【葉っぱカッター】!」

 

グリーン

「【殻にこもる】で身を隠せ、たかが葉っぱじゃカメックスの甲羅には傷1つすらつけることはできないっ!!」

 

レッド

「…そいつはどうかな?【成長】でパワーアップ!!

【葉っぱカッター】の威力を上げるんだ!」

 

さらに鋭くなった【葉っぱカッター】がカメックス目掛けて、大量に飛んでくる

 

カメックス

「っ!」

 

グリーン

「だったら、その葉っぱもろとも飲み込んでやる…【波乗り】だっ!!」

 

カメックスはロケット砲から止めどなく水を噴射し大波を起こす

その波は【葉っぱカッター】だけでなく、フシギソウをも飲み込んだ

 

レッド

「(このままだと、フシギソウが溺れちまう…!

それなら、やられる前にこっちから仕掛けるまで!)

フシギソウ、【ソーラービーム】っ!!!」

 

グリーン

「賭けに出たなっ!?

いいぜ、だが既に俺達には2つの先手が打ってある。

1つ!…【ソーラービーム】は日の光によってチャージされる技、フシギソウは水の中にいるためにその時間はかなり要する…。

そしてもう1つ!…カメックスは、ホームグラウンドである水中にて速度が倍になる!!

よって、この技で決める…【ロケット頭突き】!!」

 

カメックスは水中で加速し、そのままヒットさせ、吹き飛ばす

次第に水も引いていき、カメックスが拳を挙げたまま立っていた

 

レッド

「やられたか…、【リフレクター】すら出させねぇなんてな。

いや~、参ったぜ!」

 

ワタル

「これで残りは1対1。」

 

レッド

「最後にこいつらで闘り合うなんてな…、ほんと1年前を思い出すぜ…!」

 

グリーン

「もらったばかりのゼニガメとヒトカゲでな!

あの時は俺が負けちまったけど、この試合は…」

 

レッド

「当たり前だけど今回も…」

 

レッド&グリーン

「俺が勝つ!!!」

 

レッド

「ラストだ…リザードン!!」

 

互いに真剣な表情になり、その場が異様にピリついた

 

オーキド

「始めっ!」

 

グリーン

「体内から沸き上がる全てのエネルギーを放出しろ、【水鉄砲】!!」

 

レッド

「水タイプだからって臆することはねぇっ、【火炎放射】!!」

 

2匹の技が激しくぶつかる

 

グリーン

「!?」

 

ワタル

「何っ!?本来炎を消すのが水の役割なのに…これはっ!!」

 

【水鉄砲】がみるみるリザードンの炎で蒸発していく

 

グリーン

「(俺のカメックスの技が劣ってる…!?

いや違う、あいつのリザードンの炎が桁違いなんだ!!

【水鉄砲】が無理なら…)

カメックス、【波乗り】だっ!」

 

レッド

「オッケー、その技はリザードンには通用しないぜ!

【空を飛ぶ】!!」

 

リザードンの飛ぶ高さには当然、波が届くはずもない

 

レッド

「空中から【火炎放射】!」

 

グリーン

「【殻にこもる】!」

 

だが、カメックスは殻にこもっているため、動けない

集中放火を浴び、甲羅に帯びた熱がカメックスを徐々に苦しめる

 

グリーン

「(効果はいまひとつとはいえ、このまま何もしないのはマズイ!

炎を直接喰らわないように…)

カメックス、甲羅に潜ったまま【水鉄砲】で炎を凪ぎ払え!!」

 

カメックスは体を回転させながら【水鉄砲】を発射し、炎を振り払う

 

レッド

「その甲羅から引きずりだしてやる…っ!

カメックスに向かって【メガトンパンチ】!」

 

グリーン

「(よし、【メガトンパンチ】なら…!)

今だ、【尻尾を振る】から…、【ロケット頭突き】っ!!」

 

防御力を下げられたリザードンは重い頭突きを受け、怯む

 

グリーン

「(くそっ!!【水鉄砲】でも【波乗り】でも、リザードンには効かないのかよっ!!

もっと、一撃で大ダメージを与えられるような技をカメックスは持ってない。どうしたら…。)」

 

レッド

「(いけるぞ!相性の問題をクリアできた、今のリザードンならこの勝負、勝機は俺達にある!!

【火炎放射】で隙をつくり、空いた所を特大の【メガトンパンチ】で…!)」

 

オーキド

「…。」

 

レッド

「善は急げってな!

リザードン、低空飛行しながら【火炎放射】!!カメックスの気を散らす為に、色んな角度から攻めてやれっ!!」

 

グリーン

「くっ…、今は耐えてくれ、【水鉄砲】で応戦しろ!」

 

リザードンの放つ炎を精一杯守りながら戦うカメックス

そして、レッドにチャンスが訪れた

カメックスは完全に後ろをとられてしまったのだ

 

レッド

「これでフィニッシュだ…、【メガトンパンチ】っ!!!」

 

グリーン

「(俺達の闘いはこれまで…か。)」

 

オーキド

「グリーン、勝負を捨てるでないっ!!

お前は自分の意志でジムリーダーになると言ったのぅ…ならば、ジムリーダーらしく最後まで負けを認めるなっ!

負けを認めるのはポケモンが倒れ、決着がついた時のみ。

それまでは、考えろっ…、そして足掻くのじゃよ!!

思い出せ、あの日のポケモン勝負に輝きをもっていた時の事を…!!」

 

グリーン

「…そうだ、あの時確か…。」

 

~回想~

 

グリーン

「確か戦闘において、最も大切なのはポケモンのタイプ!

レッドのヒトカゲの炎タイプに対して

俺のゼニガメの水タイプは効果抜群!!」

 

グリーン

「先手必勝っ!!ゼニガメ!【ハイドロポンプ】っ!!

(ハイドロポンプは水タイプで最強クラスの技!

レッドには申し訳ないが一撃で終わらせてやる。) 」

 

ゼニガメ

「………???」

 

グリーン

「…えっ! ?ゼ、ゼニガメ!【ハイドロポンプ】だっ!!」

 

ゼニガメ

「??」

 

オーキド

「………フッ。」

 

・・・

 

グリーン

「俺の、知識不足?」

 

オーキド

「うむ、例えばハイドロポンプは確かに

最大の威力をもつ技じゃが、

そう簡単に会得できる技ではない。

ポケモンに多くの経験を積ませて初めて使えるのじゃ。

ましてや、まだ貰ったばかりのゼニガメが

覚えておるわけなかろう!」

 

グリーン

「そういうことだったのか。

まだまだだな、俺は!」

 

グリーン

「レッドっ!!」

 

レッド

「何ぃ~??」

 

グリーン

「次は絶対負けないからな!」

 

ーーーーーー

 

グリーン

「そうだ…まだ残されてる。

あの時は無理だったけど、今のカメックスなら…!!」

 

レッド

「今さら何やっても手遅れだぞ、グリーン!?

俺達の勝ちだぁーっ!!」

 

グリーン

「レッド…、申し訳ねぇけどまだ終わらせねぇっっ!

カメックス、今こそお前の真の力を呼び起こせ…【ハイドロポンプ】!!」

 

カメックスのロケット砲は中で溜まる水で膨張しだし、それを一気に放出する

…まさに水のロケットランチャー

リザードンは岩壁に打ち付けられ、さらにはその岩さえも砕いていく

 

レッド

「ハイドロ…ポンプ!?」

 

ワタル

「逆転の一撃をあのタイミングで出すとは…。」

 

グリーン

「カメックス、よくやったぞ!」

 

レッド

「ハハ、…すっげぇや!やっぱりグリーンはすげぇっ!!

やられたのに興奮して手が震えちまってやがる。」

 

グリーン

「…?」

 

レッド

「…でもよ、粘り強さが俺達の売りなのよ…!!」

 

グリーン

「!?」

 

リザードンは【ハイドロポンプ】でやられても尚、立ち上がる

 

レッド

「この勝負は絶対に譲らねぇぞっ、グリーン!!」

 

このレッドとリザードンの気迫に、その場にいたオーキド、ワタルでさえも鳥肌がたった

そして、リザードンの身に変化が…

 

オーキド

「あれは…、サカキとの戦いで見せたものと同じ…。」

 

ワタル

「何かしらの能力ですかね。」

 

オーキド「今のわしの研究でも解明できんものじゃ。」

 

リザードン

「!!」

 

グリーン

「その摩訶不思議な力が何なのかは知らんが、俺達はそれを凌駕してみせるっ!!

次でラストだ…!」

 

レッド

「俺とお前の決着を…。

長い旅に1つのピリオドをここで打つ!!

リザードン、【火炎放射】!!!」

 

グリーン

「カメックス、【ハイドロポンプ】!!!」

 

今までにない衝突が起きる

リザードンの覚醒した力が勝つのか…

カメックスの魂の一撃が勝つのか…

 

果たして…

 

オーキド

「ポケモン勝負…、それは台本なきストーリー。

繰り出す技1つで戦局はいくらでも左右してしまう。

だが、どんなストーリーを描いても覆せないものが1つある。

それは…技の相性!!

今回の闘いの勝者は…」

 

グリーン

「レッド、今日まで俺と旅してくれてありがとう。

俺はこんなにも最高のライバルを持てて、幸せもんだっ…!」

 

 

勝者…、グリーン



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マサラタウン~トレーナーの高みへ…~

レッドとグリーンの一騎討ちから一夜明けた翌日…
マサラタウンはまだ太陽が昇らない、静かな明朝を迎えていた
そして、別れは訪れる


グリーン

「…。」

 

レッド

「…。」

 

オーキド

「ほれ、何黙りこんでおる。

急に淋しさが込み上げできたのかの?」

 

グリーン

「う、うるせぇよ、爺ちゃんっ!!

俺は淋しくなんか…ねぇよ!」

 

レッド

「ふ…ふんっ、俺だって!」

 

グリーン

「これで、少しは静かになって落ち着くぜ。

ギャーギャー騒ぐ奴がいなくなっちまうのは、つまらねぇけども…!!」

その…なんだ…、負けてべそかいて戻ってくんじゃねぇぞっ…!!」

 

レッド

「!!」

 

グリーン

「やるからにはとことんやれっ!

お前の力をカントーのトレーナーに知らしめてやるんだ!

旅に困難は付き物だ、バトルで敗北を味わうかもしれない。

俺から言えるのは…何がなんでも、諦めるな!…ってことぐらいだ。

何てったって、この俺が認めたライバルなんだからな!!」

 

レッドは涙を拭う

 

レッド

「へへっ、お前こそ、やっぱジムリーダーできなかったーなんて言いやがったら、ビンタ喰らわしてやるから覚悟しとけよなっ!」

 

グリーン

「そりゃおっかねぇぜ!笑」

 

グリーンは手を伸ばす

 

グリーン

「行ってこい、レッド!!」

 

レッドも手を伸ばし、2人は固い握手を交わした

 

ワタル

「レッド君、次は君の番だね。

ポケモンリーグ制覇は確かに過酷な道だ…。

けれど、それを成し遂げた時、君は生涯忘れることのない栄光を手にすることができる。

その快感は制覇した者しか味わうことのできないもの…!

君の挑戦を楽しみにしているよ!!」

 

レッド

「はいっ!!」

 

オーキド

「セキエイ大会は今年も行われる。

その入口ともいえるのが、22番道路のゲート…。

開催は2ヶ月後に迫ってはおるが、下見に行くのも悪くないじゃろ。

それに近くには、我こそは大会に出場すると闘志を燃やした連中が修行に訪れる、チャンピオンロードもある!

そこでレベルアップするのもよい…。

大会にはもちろん観に行くからのぉ、今より強くなった姿を楽しみにしておるよ!」

 

3人が見送る中、レッドは重たいバッグを背負って、歩き出す

そして…、太陽が彼を照らした

 

~22番道路~

 

レッド

「ここまで来ると、あんまり人気がないなぁ。

(それにしても他の大会出場者が気になるな。どんな奴が出るんだろうなぁ…。

それに、皆どれぐらいの強さかも分からねぇし…。

一応、8つのジムバッジもってないと参加できねぇ訳だから、当然それなりの強さはあるんだろうけど。

全員、グリーンやサカキみたいな強敵ばかりだったりしてな…!

そりゃねぇか!!笑)」

 

そんな独り言を呟いているレッドにトレーナーが駆け寄る

 

???

「おーっす、レッドー!!」

 

レッド

「ん?この声…どこかで…。」

 

???

「いやぁ~、元気にしてたかっ!?」

 

レッド

「お前か…パープル!」

 

パープル

「そんな面倒臭そうな顔するなよなっ!

俺達仲良しだろ!?」

 

レッド

「また、お前は勝手な事を…。

で、どうしてここに居るんだ?お前もセキエイ大会の下見か?」

 

パープル

「違う違う!!

俺は今回の大会には出場するのやめたんだ…!

俺、まだバッジ6個しか持ってないしなっ。

たまたま、7個目のバッジ手にいれる為にグレンタウンに向かって空飛んどったら、こっちの方角でどえらい爆発あったんで急遽行き先変えて来たのよ。

そしたら、レッドと同い年ぐらいの奴が戦っとるじゃないかっ!?

しかも、なかなか見応えのあるバトルをしやがって~!!

あ~っ、羨ましいっ!!」

 

レッド

「あー、グリーンとのバトルの事か。」

 

パープル

「グリーン?誰だ、そいつは!?

もしや、俺というライバルがいながら…。」

 

レッド

「そ!あいつは昔からの俺のライバル!!

それに、この度新しくトキワジムに就任した男だっ!」

 

パープル

「ガーーン!!

その、クリーンとかいう奴を綺麗に掃除してやるわっ!!」

 

レッド

「いや、クリーンじゃなくてグリーンだから。」

 

パープル

「…と、そんな事はさておき、レッド!久々に俺と勝負しようじゃねぇか。

使用ポケモンは2匹ってルールでどうだ!」

 

レッド

「しょうがねぇ…、大会前の前菜にはピッタリだぜ!!」

 

パープル

「前菜か…、軽く見られたもんだぜ。

だがな、俺はアイツと会って更なる進化を遂げたっ!

お前が今まで見たことのないバトル…魅せてやるよ!!」

 

パープルとの闘い…

レッドは彼を軽視していたが、一方のパープルには秘策がある様子

そして、この闘いがレッドの旅を大きく変えることとなる!



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22番道路~This is Evolution Battle!!~

偶然にも出くわしたパープル
勝負を挑まれたレッドだが、いつものパープルとは雰囲気が違う…?


レッド

「そういやぁ、まだお前を出した事無かったな。

いい機会だ、行ってこいカブト!!」

 

パープル

「ゴローニャ!」

 

レッド

「よし、カブトっ!お前の技は…。

ん?」

 

レッドは図鑑を見て愕然とする

 

レッド

「おおいっ!!全然技覚えてねぇのかよ…。」

 

パープル

「自分のポケモンの事、理解しきれてねぇのか!?

そんなんで、大会出場なんて甘いぜ!

ゴローニャ、【岩落とし】っ!」

 

レッド

「取り敢えず、守らなきゃなっ!

カブト、【固くなる】!!」

 

しかし、カブトの小さな体は、ゴローニャの繰り出す【岩落とし】に飲まれてしまう

 

レッド

「そんな…。」

 

その時、岩の瓦礫から小さな体が顔を出した

カブトは運良く岩と岩の間に挟まった形になっていた為、無事だったのだ

 

レッド

「(九死に一生を得たな。

現状ではカブトの攻撃は【ひっかく】と【切り裂く】の爪を用いた技が主体となっているらしい。

それと【吸いとる】…か。

カブトを実戦で出すには経験が浅かったか…?)」

 

パープル

「反撃してこないのか!?

ほぉらっ、【地震】!!」

 

大きな揺れがカブトを襲う

揺れに耐えるので精一杯だったカブトとレッドは気づかなかった…

上から落ちてくる鉄球のような物体に

 

パープル

「【のしかかり】!!」

 

カブト

「…!」

 

"ズドォォン"という地鳴りが22番道路に響く

押し潰されたカブトは当然の事ながら、立ち上がることはできなかった

 

レッド

「何もできなかった…。

もう、この窮地を救えるのはお前しかいないっ!

出てこい、リザードン!!」

 

パープル

「…出たな?」

 

レッド

「【メガトンパンチ】!!」

 

パープル

「受け止めろ!!」

 

レッド

「何っ!?」

 

ゴローニャは軽々とリザードンのパンチを受け止める

 

パープル

「【メガトンパンチ】じゃあ、ゴローニャを倒す事はできねぇよ。

頑丈すぎるゴローニャの体にはな…。」

 

レッド

「ちっ…、【空を飛ぶ】っ!!」

 

パープル

「逃がすかよ、ゴローニャ、【岩落とし】だ!」

 

レッド

「これくらいの岩なら…【メガトンパンチ】で砕くんだ!

そして【火炎放射】で反撃!!」

 

パープル

「炎タイプもゴローニャには効果はいまひとつだ。

残念だが、リザードンは最初から相性負けしてるんだよ!!」

 

だが、【火炎放射】を耐えるゴローニャの様子がおかしい

体表が赤色に変化してきている

 

レッド

「…よしっ!!

リザードン、もっと上昇するんだ!

来るぞ…!!!」

 

パープル

「!?…どうした、ゴローニャ!」

 

次の瞬間、ゴローニャは【大爆発】を起こし、自滅してしまった

 

パープル

「どういうことだよ…。」

 

レッド

「【火炎放射】を直に受けすぎたゴローニャは、体内に熱を吸収してしまい"火傷"したんだ。

そして、我慢の限界に達したゴローニャは、興奮のあまり【大爆発】を起こしてしまった…。」

 

パープル

「へぇ、そんな戦い方もあるのかよ。さすがだぜ!

だけど、これから魅せる戦い方はお前が初めて見るものだろうよ。

行けっ、フシギバナ!!」

 

レッド

「あの時の、フシギソウが。

へへ、しっかりと育ててるじゃねぇか!」

 

パープル

「あったり前よ!

やるぞ、【葉っぱカッター】!!」

 

レッド

「凪ぎ払えっ!!」

 

リザードンは翼を一振りし、【葉っぱカッター】を一掃する

 

パープル

「今だ…、【ソーラービーム】っ!!」

 

レッド

「【火炎放射】!!」

 

強力な技同士がぶつかり合う

そんな硝煙から【蔓のムチ】がリザードンを急襲する

 

レッド

「…っ!!リザードン、【居合い斬り】!」

 

ムチを斬り、攻撃を避わす

 

レッド

「(煙が邪魔して、フシギバナの居場所がつかめねぇ。)

リザードン、【空を飛ぶ】で上空からフシギバナの位置を確認するんだっ!」

 

リザードンが空からキョロキョロしていると、煙の中から何かが迫ってくるのを察知した

それは、無数の【蔓のムチ】だった

 

レッド

「どうしても、捕まえたいらしいな…。

リザードン、避けて避けて避けまくれっっ!」

 

リザードンは次から次へと襲いくるムチを必死に避ける

…だが、一本のムチがリザードンの足に絡み付いてしまう

 

リザードン

「!!」

 

パープル

「捕縛完了…!

これで整った。フシギバナ、リザードンを地面に叩き落とせ!!」

 

足が引っ張られ、地面に落とされてしまう

 

パープル

「さぁ、魅せてやる。

これが新たな戦法…Evolution Battleだ!!」

 

レッド

「Evolution…Battle(進化する戦い)?」

 

パープル

「【宿り木の種】と【成長】をMix!!」

 

フシギバナは背中の花から種子をばら蒔く

その種子は【成長】により、ぐんぐんと育っていき、リザードンに絡み付いていく

 

パープル

「森羅万象の贄となれ…"密林の支配者"《ジュングラ・プラヴィーチリ》!!」

 

成長した種子は、リザードンから止めどなく養分を吸いとっていく…

 

レッド

「あんな一気に体力を削られたら…。

リザードン、【怒り】で脱出しろっ!!」

 

パープル

「無駄さ…、一度捕まれば脱け出すにはそれ相応の力がいる。

そんな体力がリザードンに残ってるとは思えないけどなっ。

あー、それと、この"密林の支配者"を攻略できた奴は…まだいないっ!!」

 

レッドはただ弱っていくリザードンを眺めていることしかできなかった

 

パープル

「勝負はついたな…。

もういいぜ、フシギバナ!」

 

レッド

「くそぉ…!」

 

パープル

「まぁ、無理もねぇよ。

このEvolution Battle(EB)は世に広まってすらいない。

いや、むしろこれを知ってるのは俺とアイツの2人だけだからな!」

 

レッド

「…アイツ?」

 

パープル

「この戦い方を俺に教えてくれた人物。

そいつの名前は…」

 

レッド

「…。」

 

パープル

「イエロー。」

 

レッド

「…イエロー?」

 

レッドは敗けた…

新たな戦法、Evolution Battleに

そして、聞かされるイエローという人物とは一体…!?



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22番道路~覚悟のチョイス!~

大会を前に、敗北を喫したレッド
初めて目の当たりにしたEBに手も足も出せなかった
そんな中、飛び出したイエローという人物とは…!?


レッド

「…イエロー?っ!…もしかして!!

そいつって、俺よりも年下だったか!?」

 

パープル

「いやぁ、さすがに歳までは知らねぇけどよぉ。

でも、まだ幼い感じはしたぜ?

それに出身はマサラタウンって言うし… 。」

 

レッド

「間違いねぇ、あのイエローかよ!!」

 

パープル

「知り合いか?」

 

レッド

「イエローは、俺とさっきのグリーンの昔からの友達で…、と言うよりも、歳は俺より1つ下だから後輩みたいなもんだな。

んで、いつも俺らの後ろにくっついて歩く、臆病なやつなんだ!」

 

パープル

「そうか…、でも俺が会った時は小さいながらも威圧感は半端なかったぜ!?」

 

レッド

「?」

 

パープル

「そして、その脅威は本物だった…!

俺は6個目のバッジを手に入れ、ヤマブキシティに滞在してたんだ、そこで出逢ったのがイエローだった。

アイツは、まだ3個しかバッジを持ってなくて、ポケモンバトルの厳しさを教えてやろうと勝負を申し込んだ!」

 

レッド

「…ハハ。」

 

パープル

「だが、見誤った。

完全に格下の相手と思った俺はアイツの魅せるE.Bに完膚なきまでにやられた。」

 

レッド

「(…イエローが!?

とてもじゃねぇが、信じらねぇ。)」

 

パープル

「そこで知ったんだ…!

所詮、持ってるジムバッジなんて数字でしかない。

本当の強さは、ポケモンとの絆だって!!

…さっきのE.Bは技と技の融合(Mix)から始まる。」

 

レッド

「つまり、技の第2段階ってことか…?」

 

パープル

「まーそんな感じだ!

そこから生まれる進化した技は、従来のものとかけ離れた威力、能力を発揮する。」

 

レッド

「でもよ、そんなの簡単な発想でいくらでも作り出せるんじゃねぇの?」

 

パープル

「馬鹿だなぁ~。

お前がいくら作り上げても、それをポケモン達が完全に再現できると思ってるのか?」

 

レッド

「!」

 

パープル

「いいか?大切なのは、さっきも言ったがポケモンとの絆!!

ポケモンの事をいかに知り尽くし、理解できてるかが重要なんだよ!

それをお前ときたら…、序盤でのカブトの扱い。

何にも理解できてなかっただろ!?」

 

レッド

「うっ…!」

 

パープル

「こんな事、大会直前にして言いたくないけどよ…レッド、今年の大会は辞退するべきだ。」

 

レッド

「!!確かに、お前には敗けたよ!

でも、他の奴等なら…」

 

パープル

「勝てるってのか!?

自分は強いから…、ヤマブキの事件を救った英雄だから…?

自惚れるなよな!?

別に俺はお前に優勝して欲しくなくて言ってるんじゃない。

今の強さで優勝して、満足し喜んでるってんなら、来年の大会で王座を奪還してやるだけだよ!!

その時のお前の顔が楽しみだけどな…!」

 

レッド

「…。」

 

パープル

「俺は、1人のライバルとして、お前の更なる可能性を試したい。

そして、進化したお前ともう1度…。

どうして俺がEBを魅せたのかを、もう一度考えろよな?

…じゃあ!こんな所で油売ってる場合じゃねぇから…、俺は今よりもっとポケモンに磨きをかけて強くなる!!」

 

レッド

「パープル…。」

 

パープルは、その場を後にした

そして1人残されたレッドは…

 

レッド

「パープルの言った事が的を射すぎていて、何も言い返せなかったな…。

俺はどこかで、自惚れてた…かもなぁ。

最近順調すぎてリーグ制覇も手の届く範囲にあるとばかり勘違いしてたんだ。

E.B…。俺も、まずはアイツらと同じステージに立たなくちゃな!

それに、今の手持ちだって探せばいくらでも不安要素は出てくるはずだ。

その為には…」

 

レッドは目の前のチャンピオンロードを見上げる

 

レッド

「(グリーン、すまねぇな。

俺の晴れ舞台は、来年に持ち越しだ。

ここで、修行して俺は強くなる!!

そして、自惚れが嘘じゃねぇ…現実のものにしてみせる!!)」

 

直面した自身の弱み

大会で恥じない戦いをするために…

そして、少年は真の英雄となるために…

チャンピオンロードへ足を踏み入れた



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Another Story 12 ~敗け知らずの臆病者!?~

レッドが修行に着手し始めておよそ半年後のトキワシティ


グリーン

「そんなんじゃ、セキエイ大会では通用しないぞ?

出直して来い!!」

 

トレーナー

「は、はいっ!!」

 

扉から出ていくトレーナーと交代するかのようにして、オーキド博士が入ってきた

 

オーキド

「…ほほ、半年も経つと、ジムリーダーとしての風格もでてきたかのぅ。

どうじゃ?やりがいはあるか?」

 

グリーン

「爺ちゃんっ…!!

あぁ…。だけど、挑戦してくるトレーナーは、どいつもこいつも骨のない奴ばっかりだ。

何だかこう、胸が熱くなるような試合ができないんだよ。」

 

オーキド

「最近はトレーナーとしてのゆとりが感じられるようになってきとるからのぅ…。

お前らみたいな情に熱い若者が少なくなってきているのじゃな。」

 

グリーン

「ちょっと前までは、パープルとか言う奴がかなり期待できて、それ以来はなぁ…。

で、アイツの消息はつかめたのか、爺ちゃん?」

 

オーキド

「情報はなしだ…。」

 

グリーン

「そっか。

(前回のセキエイ大会、確かにレッドは出場すると言っていた…。

だが、観戦しに行ってみたものの、出場者名簿にアイツの名前は載ってなかった。

レッドの身に何かあったのか、不安だ。)」

 

そこへ1人の挑戦者が現れる

 

???

「うわ~っ!ここが、新生トキワジム!

グリーンさんっ、あなたと戦えるのをずーっと楽しみにしてました!!」

 

グリーン

「…誰だ?」

 

???

「もう、忘れちゃったんですか?

僕ですよ、僕っ!イエローですよ!!」

 

グリーン

「イエロー…って、あの臆病者のイエローか!?」

 

イエロー

「その言い方はやめてくださいよー!笑

あっ、久しぶりです、オーキド博士!」

 

オーキド

「うむ、君も元気そうで何よりじゃよ。

で?グリーンに挑戦か?」

 

イエロー

「はいっ!!

7個のバッジを手に入れたんで…、残すはグリーンさんの、トキワジムを攻略するのみ!」

 

グリーン

「昔話もなんだし、早速やるか!!

使用ポケモンは3匹でやる。」

 

イエロー

「(この日を待っていた。

トレーナーになって、グリーンさんと戦えるのをっ!!)

年下だからって手加減なしでお願いします!!」

 

グリーン

「そんなの分かってるよ!

本気で潰しにいくっ!!ガラガラ!!」

 

イエロー

「キングラー、やるよ!?

【バブル光線】っ!」

 

グリーン

「キングラーに向かって突っ走れ!!」

 

イエロー

「へぇ~、技を顧みず突っ込んでくるとは…、最初から予想に反した行動でくるなんて、流石ですよ!!」

 

グリーン

「【骨棍棒】で打ち砕け!」

 

イエロー

「【固くなる】…!」

 

キングラーは体を硬化させ、【骨棍棒】をガードする

 

イエロー

「それで終わりですか?

だったら、反撃させてもらいますよっ!?【クラブハンマー】!!」

 

グリーン

「回避はできねぇ…か。

だったら奥の手を使うまで!

ガラガラ、もう1本の骨を出すんだ!【クラブハンマー】を受け止めろ!!」

 

ガラガラはキングラーの重攻撃を2本の骨を交差させる形で受け止める

 

イエロー

「まさかの二刀流…!?

でも、想像してた通りですよ、この強さ!僕が待ち望んでいたものだっ!!

勝ちたい…、この人に。

見せてやろう、キングラー、僕達の力の結晶をっ!Evolution Battleをっ!!」

 

グリーン

「Evolution Battleだと!?」

 

オーキド

「(まさかとは思っていたが、既に完成させていたのか…。)

気をつけるのだ、グリーン!

奴の真骨頂が牙を向くぞ!?」

 

イエロー

「いきます!!キングラー、【クラブハンマー】と【怪力】をMixさせ、発動させろ!

片腕に集いし筋肉を…開放せよ!!

"一万馬力の鉄槌"っ!!!」

 

【クラブハンマー】の威力は数倍に跳ね上がり、さらなる重圧がガラガラにのしかかる

 

キングラー

「!!」

 

そして、力を込めたキングラーの技はガラガラの2本の骨を粉々にし、本体を直接叩いた

急所に当たり、戦闘不能のガラガラ

 

グリーン

「…あれが、ポケモンの技だってのか!?」

 

イエローはオーキドをチラッと見て、ガッツポーズをする

 

オーキド

「よくやったな、イエロー。」

 

グリーン

「何だよ、爺ちゃん!?

今の技はっ!!」

 

オーキド

「あれこそ次世代の戦い方、EB。

イエローは、お前達がマサラタウンを出発した後、トレーナーになる前からワシの下で、助手見習いとして働いておった。

研究所におるたくさんのポケモンと触れ合い、共に新たな発見を求めてきた…。

そんなある日、試しにワシとポケモンバトルをしたのじゃが、その時イエローは技と技を混合させるという変則的な戦法を仕掛けてきた。

ワシは当然、子供が考えた戯れだと思っていたのだが、そのポケモンはイエローが描いた通りの、見事な技の掛け合いを成功させた…。

だが同時に、どのポケモンでもできる訳ではない事にも気づいた。

だから、この研究をイエローに託し、旅の出発を見送ったのじゃ。」

 

イエロー

「どうですグリーンさん、驚きましたかっ!?」

 

グリーン

「まったくだ、開いた口が塞がらないわ、目ん玉飛び出そうになるわ…、全身のコントロールが混乱しちまったぜ!

まさか、あのお前が…、別人みてぇだよ!!」

 

イエロー

「ハハハ、グリーンさん…、僕にはどうしてもこの戦いに負ける訳にはいかない理由がある…。

その思いが突き動かすんです!」

 

グリーン&オーキド

「?」

 

イエロー

「僕は、今の今まで闘いに敗けた事がないんです。

自慢になっちゃうんですけどね、無敗記録を更新し続けてるんですよ!」

 

グリーン

「何…だと?」

 

イエロー

「だから、ここまで来たらリーグを制覇するまでは負けないよう心に決めたんです!!

その為なら、例えグリーンさん、レッドさんが僕の前に立ち塞がったとしても乗り越えるしかないんです!!」

 

グリーン

「…久し振りに、燃えてきたよ。

イエロー、お前みたいなトレーナーを待ってたんだっ!!

俺だって、ジムリーダーとしてお前を倒す!!」

 

オーキド

「(イエローはグリーンや、レッド以来の…。

いや、もしかすると、それ以上の逸材かもしれないのぉ。

それに…、あやつにはもう1つの…。)」

 

魅せた!これぞ、EBの産みの親!!

そして、グリーンはイエローの無敗記録に泥を塗ることはできるのか



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Another Story 13 ~黄昏~

イエローのジム戦
Evolution Battleで仕掛けるイエローに対し、グリーンはどう対抗するのか!?


グリーン

「俺の2番手は、カメックスだ!!」

 

オーキド

「(ふむ、中堅でカメックスを出してきたか…。ここで流れを断ち切る為だな。

だが、恐らくイエローもそれなりの隠し玉を持っているはずじゃ。)」

 

イエロー

「キングラー、戻っててくれ!

僕の2匹目は…ピカチュウ、君だっ!!」

 

グリーン

「舐められたもんだな!ライチュウならまだしも、進化前のピカチュウだとはな。」

 

イエロー

「進化させるもさせないもトレーナー次第ですよ…。

僕はピカチュウのままが好きなんです!

それに、ピカチュウとだからこそ成し得た技もある!!

…行きますっ、【影分身】!」

 

グリーン

「【波乗り】で分身諸とも丸飲みにしろ!!」

 

イエロー

「成る程!…でも、それもある程度は読んでました!

元々、水タイプは電気タイプに弱い!!

ピカチュウ、【10万ボルト】で感電させるんだっ!」

 

カメックス

「…っ!」

 

グリーン

「くそっ、技を利用されちまったか…。」

 

イエロー

「まだまだーっ、【電光石火】で接近し、【叩きつける】!!」

 

グリーン

「【殻にこもる】だ!」

 

ピカチュウの尻尾は甲羅に弾かれる

 

グリーン

「わざわざ近づいてくれるとは…、【ロケット頭突き】!!」

 

ピカチュウは飛ばされてしまう

 

イエロー

「まだやれるな、ピカチュウ!?」

 

ピカチュウ

「!!」

 

イエロー

「よしっ、じゃあやるか!?

【スピードスター】と【電気ショック】…西の空に現れし輝く夜這い星っ!!

"帯電する流星"《チャージ・ザ・メテオール》!!」

 

グリーン

「(追跡型の攻撃に電気系統の技を重ねたのかっ…!?)

カメックス、【ハイドロポンプ】!!」

 

カメックス

「…!?」

 

グリーン

「ま、麻痺だとっ、いつの間に…!?」

 

イエロー

「【ロケット頭突き】を受けた時ですよ。

同時に【電磁波】を発動させました。

これで、カメックスは動けない上に、全弾命中しちゃうって訳ですっ!!」

 

電気タイプと化した【スピードスター】は、カメックスに次々とヒットしていき、ドシィンとカメックスは崩れてしまった

 

グリーン

「また、EBかよ…っ!」

 

オーキド

「(EBの前では、普通の技はまるで通用しないのか。

グリーン…。)」

 

グリーン

「…やるじゃんかよ。

ここまで追い込まれたのは、レッド以来だ!!

だが、俺はあいつから教わった…、最後まで諦めないってことをっ!!

ウィンディ、奇跡ってやつを起こすぞ!」

 

イエロー

「(レッドさん…か。)

なら僕もポケモンを交替させます!

フシギバナ!いくよっ!!」

 

オーキド

「(今度はグリーンが優勢だが、イエローの狙いはもちろん…。)」

 

グリーン

「【火炎放射】っ!!」

 

イエロー

「(ま、仕方ないか。相性のいい攻撃を仕掛けてくるのは当然だ。

…だけど、僕らの闘いはその先にある!)

フシギバナ、【我慢】!!」

 

フシギバナは弱点である炎を必死に耐える

そして、その我慢は反撃の糧となる

 

イエロー

「【ソーラービーム】!」

 

グリーン

「【大文字】!

(なっ…、若干だが、押されてる!?)

いかんっ、ウィンディ、今すぐ炎を切って【高速移動】で避けろ!」

 

イエロー

「(見抜かれたっ…!?

あの極僅かな変化に…、洞察が鋭い。)」

 

グリーン

「【睨みつける】で防御を弱らせ、【捨て身タックル】で攻撃だ!」

 

イエロー

「【毒の粉】で包囲網を敷くんだ!」

 

しかし、ウィンディは躊躇いなく毒の包囲網を掻い潜り、フシギバナに大ダメージを喰らわせる

 

イエロー

「何っ…!!」

 

グリーン

「俺は先まで計算して技を繰り出した。

ウィンディ、"毒消し"で解毒しろ。」

 

オーキド

「(ほぅ、その場の犠牲を払って攻撃を仕掛けた後、回復させる…。

完璧な算段じゃな!)」

 

イエロー

「ハハ…、やばいって…。

このままじゃフシギバナが戦闘不能に…。

最悪の展開だ、僕のせいで…。

嘘だ、そんなの嘘だぁぁっ!!!

排除しなきゃ…、目の前の敵を!」

 

グリーン

「おいっ、どうしたイエロー!?」

 

オーキド

「…あれはもう一人のイエロー。」

 

グリーン

「もう一人…?」

 

オーキド

「イエローは自分のポケモンが瀕死の危機に陥ると、裏の人格が出てきてしまうのじゃ。

一種の防衛本能と捉えていいが、あの状態のイエローは普段抑えている闘争意欲が剥き出しになるっ!!

グリーン!お前のバトルでイエローを助けてやってくれ!!」

 

イエロー

「…【葉っぱカッター】で八つ裂きにしてやれ!!」

 

グリーン

「そうかい…、どんなお前でも受け止めてやるよ!

ウィンディ、【火炎放射】!!」

 

イエロー

「ちっ、鬱陶しい炎だ…。

【破壊光線】で消し飛べぇっ!!」

 

グリーン

「真っ向勝負だ、【大文字】!!」

 

ジム内は大きな爆風に包まれる

 

グリーン

「おおしっ!【破壊光線】はあまりの威力に反動で少しの間、体が疲れて動けないっ!!

元に戻れイエロー、【突進】!」

 

イエロー

「絶対に負けねぇ!

ディフェンダーを使うぞ、身を守れフシギバナ!!」

 

額と額をぶつけ合うウィンディとフシギバナ

 

イエロー

「ここまでよく耐えたなぁ…!最後は安らかに眠れ!!

【毒の粉】と【眠り粉】をMix!!

有罪か…それとも無罪か…?否、罪かけられし全てのものに罰を!

"永久侵犯・毒裁の法"!!」

 

フシギバナの特殊な2つの粉を吸ってしまったウィンディは、ウィルス型の毒に侵されつつも深い眠りに落ちてしまうという最悪の状態に…

 

グリーン

「くそ…、ここまでか。」

 

オーキドはイエローの元に駆け寄り、声をかける

 

オーキド

「目を覚ますのじゃ、イエロー!!

勝負はついた、もう戦う必要はない!

戻ってくるのじゃっ!!」

 

オーキドの懸命な声掛けに意識を取り戻すイエロー

 

イエロー

「んっ…?俺は、一体…。」

 

オーキド

「二重人格が出てしまったのだ…、心配するでない、試合はお前さんの勝ちだ。

ワシがこの目でずっと観ていた。」

 

イエロー

「そう…ですか。

オーキド博士、グリーンさん、自分の恥ずかしい部分をこんな格式ある所で晒してしまい、すみませんでした。」

 

グリーン

「細かい事は気にするなっ!

お前は立派に闘ったよ…!

負けたくないって気持ちが少しばかり高ぶっちまったってだけさ!!

ほらよ、勝者の証…グリーンバッジだ。」

 

イエロー

「でも、俺…」

 

グリーン

「納得いかないってか?

…ったく、そういったとこは相変わらず気が小さいんだな。

そんなにいらないってんなら、別にあげなくてもいいが…、1匹も倒せなかった俺の立場も考えてくれよな!?笑

お前はジムリーダーである、この俺が認めたトレーナーだ!!

胸はってセキエイ大会に挑んでこいっ!」

 

イエロー

「あ…、ありがとうございました!!

行ってきますっ!!」

 

イエローは涙ぐみながらジムを後にした

 

グリーン

「ふぅ~、二重人格の件は別として、アイツ…化け物級の強さだぜ。」

 

オーキド

「ワシもビックリじゃよ。

旅を始めてまだ1年も満たないのにあの強さ…。」

 

グリーン

「(レッド…、俺達の後輩はとんでもねぇポケモントレーナーだ!!

…負けんじゃねぇぞ。)」

 

途中、ハプニングが起きるも、イエローはグリーンに認められ8個目のジムバッジを手中に収めた

そして、舞台はここからさらに月日が流れ…開幕するセキエイ大会!!



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第9章 ポケモンリーグ
セキエイ大会~8人の挑戦者!!~


冷たい風が身を削る、そんな季節になった…
だが、とある場所だけは熱気に包まれていた。
今年も開催される…、セキエイ大会!!


会場となるセキエイ高原にあるスタジアムは、満員の観客で溢れ返っていた

もちろん、そこにグリーン、オーキド博士、歌美の姿があった

 

客(1)

「おいおいおいっ、あれってトキワジムのジムリーダー、グリーンじゃねぇか!?

しかも、その隣にはカントー地方の名博士、オーキド!!

すげぇ面子が観覧に来てるぞ!」

 

歌美

「…で?あいつは本当に来るの?」

 

オーキド

「さ、さぁのぅ。いやっ、レッドは必ずや来る!…と思うんじゃが。」

 

グリーン

「2人共、心配しすぎだって。

あいつが来ない訳がない、ましてや去年出場してないんだ。

今年は来るさっ!!」

 

歌美

「どこからそんな根拠が出てくるのよ~。」

 

その頃、スタジアムの入口に1人の少年が現れた

彼は出場者ゲートをくぐり、受付をする

 

役員

「出場の方ですか?

確認の為、ジムバッジを提示してください。」

 

少年はポケットからバッジケースを取りだし、役員に8個揃ったジムバッジを見せる

 

役員

「はい、確認しました!

では、こちらに名前をご記入し、選手控え室にてお待ちください。」

 

ささっと名前を書き、無言で控え室に向かう

 

役員

「え~っと?名前は…、レッド君だね!」

 

控え室のドアの前に立つレッド

 

レッド

「(遂にここまで来たな。

ふぅ~、この1年長かった…。

この扉の先には、リーグ制覇を夢見た同士達が待ち構えてる…!

だけど、栄光を手にするのはこの俺だ!!)」

 

レッドが扉を開けると、そこには7人のトレーナーが集まっており、一斉にレッドの方を見る

 

レッド

「(こいつら…!!どいつもこいつも、おっかねぇ気迫全面に出しやがって…!)」

 

イエロー

「あはっ、やっと逢えましたね、レッドさんっ!!」

 

レッド

「ん…?その面影、もしかしてイエローか!?

背も大きくなりやがって…お前、昔より明るくなったか…?」

 

イエロー

「もう、小馬鹿にはさせませんよ?笑」

 

そして、レッドはパープルと目が合い、頷く

 

パープル

「(あれから1年か…、俺の思った通り修行を選んだみたいだな。

以前よりオーラが違う…。)」

 

そして、スタジアム全館にアナウンスが流れる

 

実況

「さぁ~っ、会場の皆様!!

大変長らくお待たせいたしました。今年もやってきましたセキエイ大会っ!

…リーグ制覇を目指すポケモントレーナーとしての、まさに最終章とも言える舞台!

出場者は各々死闘を繰り広げ、各地のジムを撃破してきた強者ばかり…!!

参加条件である8つのジムバッジが何よりの強さの証だぁっ!!

それではまいりましょう…、選手入場!」

 

「今回は何人出るんだろうなぁ…!」

 

客「さぁな…。だが、きっとどいつも曲者ばかりだ。

俺達の期待を裏切らない試合をしてくれるだろうよ!」

 

実況

「まずは1人目、鋭い勘で相手の動きを読む男…、冴島 利行!

2人目は、マサラタウン出身の新人ルーキー、イエロー!

3人目は、セキチクシティの番長、熟年トレーナーの播 勇二郎!

4人目…、カントーの戦う配達屋、佐川 武志!

5人目は、自称・最強トレーナー、パープル!

6人目は、前回の大会王者、池尻 聖太!

7人目…、"瞬殺"の異名を持つ、三萩 恭哉!

そして最後の8人目…、約2年前に起きたヤマブキ事件解決の功労者、マサラタウンのレッド!!

…以上の8名の中から、今年の優勝者が決まります!

では、トーナメントの組み合わせが決まり次第試合を始めたいと思いますので、もう暫くお待ちください。」

 

会場内でレッドはグリーン達に会う

 

レッド

「いやー、色々と心配かけちまって…すまん!」

 

グリーン

「ったくよぉ、お前の身に何かあったんじゃないかって、ヒヤヒヤしたぜ!?」

 

歌美

「そうそう、寿命縮まるっての!」

 

レッド

「それは大袈裟すぎだろ…。」

 

オーキド

「無事で何よりじゃ。

それよりも、もう後には退けない所まで来たのじゃ…、このまま優勝カップを家に持ち帰ってやるのだぞ!!」

 

レッド

「へっ…、当たり前っすよ!!

その為に、過酷な1年を過ごしてきたんですから…。

誰と当たろうと、倒すだけ!

じゃっ、俺はこれからトーナメントの抽選あるから!!」

 

レッドは急ぎ足で控え室に向かった

 

役員

「皆様、集まりましたね…それでは、抽選を始めます!」

 

1人ずつ、箱の中から番号の書かれた紙を引き、トーナメント表が出来上がる

 

1回戦

・レッドVS池尻 聖太

・播 勇二郎VS佐川 武志

 

・冴島 利行VSパープル

・イエローVS三萩 恭哉

 

レッド

「(初戦から前回優勝者かよ…。

…ついてるじゃねぇか、俺の修行の成果、存分に魅せつけてやるよ!!)」

 

レッド、1回戦の相手である池尻 聖太は前回の優勝者

運が良いのか、悪いのか…

セキエイ大会…開幕!!



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セキエイ大会1st~王者の貫禄…!?~

ポケモンリーグ第1回戦
レッド対池尻 聖太の戦いが始まる!


会場の客の多さが選手の緊張感を高める

 

聖太

「いやぁ~、相変わらずこの緊張感は堪らないねぇ。

僕ちんは、もう慣れてるけど…君は初めての参加らしいね?

どうだい、小便ちびっちゃいそうかな…ん?」

 

レッド

「…。」

 

聖太

「ごめんよ…?言葉も出ない程みたいだね!

…僕ちんのポケモンちゃん達は皆珍しいポケモンばかりでね。

お小遣いで貰ったお金で、ぜぇ~んぶ買い取ったんだ!!

珍しいポケモンってのは、強いってのが相場なんだよ!?…知ってたかな?」

 

レッド

「へぇ、そうなんだ、全く知らなかったよ。

それよりも早くやろうぜ、寒くて風邪引いちゃうよ…なっ、王者さんっ!?」

 

聖太

「ぐぬぬ…僕ちんの優しさたっぷりのアドバイスを蔑ろにっ!

君には反省してもらう必要があるね。

僕ちんに偉そうな態度をとったことをっ!!」

 

実況

「さぁ、両者火花散る挨拶が終わった所で、ルールを申し上げます。

1回戦目での使用ポケモンは3匹、道具の使用は所持者にのみ権限が与えられます!

それでは早速始めましょう…セキエイ大会、開幕です!!」

 

レッド

「(もう出し惜しみは無しだ!!)

いけっ、リザードン!」

 

聖太

「やるよぉー、エレブー!!

【雷パン…」

 

レッド

「【メガトンパンチ】っ!!」

 

聖太

「えっ…、えぇ~っ!?」

 

リザードンは開始の合図と同時に突撃し、エレブーの腹部に強烈な一撃を喰らわせる

 

エレブー

「…っ。」

 

聖太

「ひゃぁぁーっ、エレブー、大丈夫かいっ!?

少しばかり油断しちゃっただけだよねぇ?

よぉし、お得意の電気コンボで…」

 

バタッとその場に倒れるエレブー

 

実況

「どうしたことだっ!?

我々が瞬きしてる間に勝負がついたとでも言うのか!?

エレブー、為す術なく敗れるー!!」

 

レッド

「笑わせんなよ…、その程度で王者の名を語るんじゃねぇだろうな?

ほら、本気で来いよ。大会は遊びじゃねぇぞ!!」

 

聖太

「たかが、まぐれで1匹倒したぐらいで 何をそんなに熱くなっちゃってんのかなぁ?

君みたいな熱血系は嫌いだ…シャワーズ!」

 

レッド

「(イーブイの進化形、その中の水タイプか。)」

 

聖太

「この子を買うのに大金はたいたんだ!

シャワーズ、【水鉄砲】でフィールドに水場を作るんだ!」

 

実況

「みるみる内にフィールドに水溜まりが形成されていくぞ…!?

これは聖太選手、何か策を用いてくる様子だっ!」

 

聖太

「さぁ、これで準備万端。

シャワーズのホームグラウンドの完成だ!

…【溶ける】!!」

 

レッド

「!!シャワーズの体が、透けていく…!?」

 

聖太

「そうだ、シャワーズの体の細胞は水の成分に非常によく似ている。

その為、同化することだってできちゃうって訳っ!

さらにぃ、【白い霧】!」

 

レッド

「(これで視界も奪われたか…。)」

 

聖太

「さぁっ、これでリザードンを蜂の巣にしてやろう!

シャワーズ、【オーロラビーム】!」

 

レッド

「…甘いぜ。

リザードン、【炎の渦】を盾として纏うんだ!!」

 

【炎の渦】がリザードンを纏い、氷タイプの【オーロラビーム】を防ぐ

 

聖太

「それなら、【ハイドロポンプ】!!」

 

【炎の渦】は消火されてしまう

だが、そこにリザードンはいない

 

聖太

「どこにいったんだ!?」

 

その時、聖太は上空で何かが動いたのに気づいた

 

レッド

「今の【ハイドロポンプ】でシャワーズの居場所は分かったぜ!

とどめだ…、【空を飛ぶ】っ!!」

 

実況

「霧で何がどうなっているのか、状況は定かではありませんが…。

ん?うわぁぁぁっ!!」

 

霧が物凄い風圧で消し飛ばされていく

リザードンが翼を羽ばたかせた為だ

シャワーズは倒れ、ぐったりしていた

 

聖太

「なっ…なな、何てことだ!!

僕ちんのポケモンちゃんは強いんだぞ!

こんなの納得いかないっ、君のポケモン、ドーピングしてるんじゃないだろうなっ!?」

 

レッド

「自分の結果さえも受けとめられない…そんなトレーナーがここにいるってだけで虫酸が走る…。

トレーナーならトレーナーらしく、下手な言い掛かりするんじゃなくて、現実を受けとめろよ!」

 

聖太

「僕ちんは王者だ…、この大会で優勝したんだ!

その結果には変わりないんだぁっ!

見せてあげるよ、僕ちんの最終兵器をっ。

やれっ、メタモン!!」

 

レッド

「(金で買った強さなんて、所詮紛い物なんだ…!!)

戻れ、リザードン。

さぁ、これがお前の公式初デビューだ!

カブトプスっ!!」

 

聖太はレッドの強さを認める事ができないでいた

そんな彼の最後のポケモンは、メタモン

片や、レッドが出したのは…カブトプス!?



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セキエイ大会1st~魅せろ、これが俺のEBだ!~

金=強さを主張する聖太
だが、本当の強さとは何なのかを証明するため…レッドは奮起する


パープル

「(ふぅん、あの時のカブトを進化させてきたんだな…。

どこまでレベルアップしてるのか見せてもらおうか!)」

 

レッド

「(1年前…、俺はこいつの何も分かっちゃあいなかった。

だけどっ…、修行を経て能力を極限に引き出すことに成功した!!)

やるぞ、【居合い斬り】っ!」

 

聖太

「…ぷぷっ!!メタモンは僕ちんの誕生日にパパが買ってくれた最高のポケモンだ!

メタモンはある意味無敵のポケモンなんだぞ~!?【変身】!!」

 

メタモンは体の形状を変化させ、カブトプスに変身する

 

聖太

「【固くなる】で受けとめちゃえー!」

 

カブトプス同士の鎌と鎌がぶつかり、高音が鳴り響く

 

レッド

「…なるほどな、見た目だけでなく技まで同じなのか。

確かに…、ある意味無敵だな。」

 

聖太

「【ハイドロポンプ】まで覚えてるのか…、なかなか鍛えてあるじゃないか。

それっ、メタモン喰らわせてやれ!」

 

レッド

「カブトプス、【冷凍ビーム】で凍らせろ!!」

 

カブトプスは何とか難を逃れる

 

聖太

「このままだと決着つかないよねぇ?

だって同じ技を持ってる訳だしぃ。

…でもなぁ、僕はメタモン1匹だけだし、余分な体力の消費は避けたいんだよ。

だから、ここからは速攻で決めるよ!?」

 

レッド

「…?」

 

聖太

「スピーダーで素早さを上げて、【鎌鼬】!」

 

メタモンは瞬時にカブトプスの背後に回り【鎌鼬】を放つ

 

カブトプス

「っ!!」

 

レッド

「速いな…、【切り裂く】でカウンターをかますんだ!」

 

聖太

「避わして、プラスパワー注入!

【切り裂く】!!

 

カブトプスは完全に攻撃を喰らってしまった

 

レッド

「まだだ、【ハイドロポンプ】を噴射っ!!」

 

聖太

「僕ちん達も【ハイドロポンプ】…スペシャルアップを加えた特大のをなっ!」

 

実況

「凄すぎる、2匹失っても果敢に攻める…これが王者の真の実力なのかぁっ!?

これは、大逆転の兆しも見えてきましたよっ!?」

 

聖太

「そりゃあそうさ。このメタモンちゃんで前回の優勝ももぎ取ったんだからね!

それに道具も爆買いしてあるから、心配はないんだよ。

大会に参加できて、いい思い出を作れたんじゃないかな…?君も最初の相手が僕ちんじゃなければもっと勝ち進めたかもねっ!!

じゃっ…【切り裂く】でまずはカブトプスを倒してしまえ!!」

 

グリーン

「レッド、何やってんだ!

カブトプスがやられちまうぞっ!?」

 

パープル

「…。」

 

レッド

「なぁ、遊びはこれぐらいで充分か?

悪いけどお前の1、2匹目を見て既に勝ちは決まってた。…簡単に勝っちゃうのも酷だから、付き合ってやってたんだよ。

お前が言いたいのは、要はメタモンが変身したカブトプス以上の力を以て攻撃しない限り、勝てないってことだろ?

だったら見せてやるよ…!!

俺達の進化した技をっ!」

 

聖太

「…むぅ?」

 

 

レッド

「【剣の舞い】と【切り裂く】をMixさせろ…太古より封印されし刀よ、現代に舞い戻れ!

"古代の剣"《エィンシェント・スパーダ》っ!!!」

 

変身したカブトプスは一刀両断され、メタモンは元の姿に戻っていく

会場にいた観客、実況までもが驚きのあまり静まり返った

 

実況

「い…、今のは?

何が起きたのでしょうか、私には理解不能です!

とと、取り合えず…勝者はレッド選手!

序盤から大判狂わせの結果となりました!!」

 

イエロー

「(レッドさんもEBを…っ!

それでこそ僕の憧れのトレーナーです!!)」

 

グリーン

「あれは、EBだな。」

 

オーキド

「レッドが大会には出場せず1年を過ごしたのは、あれを会得するためじゃったのか…。」

 

レッド

「聖太、お金は大事だ。

だけどな、ポケモンとお金を一緒にしちゃいけねぇ…!大事なのは、共に過ごした時間だからよ!」

 

パープル「(へっ、らしくなってるじゃんよ!)」

 

レッド「(パープル、お前の言った通りこのレベルで勝っても喜べなかったよ。

…勝ち上がってこい!!そして俺とっ…!)」

 

カブトプスのEBで聖太のメタモンは敗れた

レッド、初戦は大金星!!



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セキエイ大会~COOLです。~

セキエイ大会は1回戦から白熱していた
レッドの勝利を皮切りに、続々とライバル達が勝ち名乗りを上げていく


・冴島 利行VSパープル

 

利行

「つ…、強ぇ…。

俺の勘が、全く当たらないなんて。」

 

パープル

「俺と勘で戦おうとしたことが、そもそもの間違いだっ!!

そう易々と勝てる程、この大会は甘くないんだよ!」

 

勝者 パープル

 

・播 勇二郎VS佐川 武志

 

勇二郎

「おいのポケモン達がーっ!

…負けてしまったが、悔いはない、ないぞーっ!!」

 

武志

「…フン。」

 

勝者 佐川 武志

 

・イエローVS三萩 恭哉

 

実況

「何ということだぁーっ、イエロー選手、手持ちのポケモンを1匹も欠ける事なく…、いや'傷つけることなく'恭哉選手を倒してしまったぞぉっ!?」

 

恭哉

「この俺様が、瞬殺だと!?」

 

オーキド

「この半年でさらに腕を上げたようじゃな…。」

 

グリーン

「あぁ、相手がそれほどの強さじゃないにせよ、この大会を全くの無傷で突破するなんてな。

準決勝がますます楽しみだ…!」

 

勝者 イエロー

 

準決勝へと駒を進めた4人は控え室へ

トーナメントの順番からして、準決勝は…

レッドVS佐川 武

パープルVSイエローという試合となる

 

パープル

「準決勝はイエロー、お前かっ!!前回のリベンジを必ず果たしてやるから覚悟しとけよなぁ!

俺は決勝でレッドと積年の決着をつけなければならんからなっ!」

 

イエロー

「そんなガツガツしないで、もっと楽~にいきましょうよ。

ましてや、ここは控え室…、熱くなるにはまだ早いですよ?

あっ、だからって…僕だってレッドさんと闘うという昔からの夢があるんで敗けわしないですよ?笑」

 

パープル

「ぬぐぐぐ…。

あっ、そういやぁレッドも遂にEBを物にしたんだな!」

 

レッド

「おう、1年前にお前に敗けてから、ここに来るまでポケモン達と死に物狂いで毎日修行に励んだ…。

だから、次の準決勝だって絶対勝って決勝へ…いやっ、優勝するぜ!!」

 

イエロー

「なんて眩しいんでしょう…レッドさん。」

 

パープル

「俺の心を動かした時の…、初めて出逢った頃のお前を見てるみたいだ…!!」

 

3人が話している中、もう1人の選手…佐川 武志だけは、壁にもたれて仕事で使っている作業帽子を深々とかぶり耽っている

 

武志

「(EB…?)」

 

レッド

「あのぉ~、あなたもそんな所にいないでこっち来て話しませんか?」

 

すると、武志は"どっこいしょっ"といった風に体を起こし、レッドの方へ向かう

 

武志

「…対戦、楽しみにしてるぜ。」

 

レッド

「(ん…?帽子でよく顔が分からねぇけど、この人の声どこかで…。)」

 

武志

「お前とこんな場所で会うとはな…。

奇遇というべきか、神様のイタズラってあるんだな…。」

 

そう言うと、武志はひとまず先に入場口へと去っていった

レッドはう~んと頭を抱える

 

イエロー

「レッドさん、今の人がどうかしましたか?」

 

レッド

「どうも、引っ掛かるな…。

もし、俺の予想が当たってるんなら、どうしてあの人が…?」

 

その時、館内にアナウンスが流れる

 

実況

「さぁ、準備が整ったようなので準決勝を始めたいと思います!!

準決勝第1戦はレッド選手VS佐川 武志選手!

両選手は、入場口へと移動してください。」

 

レッド

「じゃあ、行ってくる!!」

 

パープルとイエローはガッツポーズでレッドを見送った

 

実況

「1回戦では、我々の見たことのない技を使い相手を撃破したレッド選手。

今回の闘いではどのようなポケモンバトルを魅せてくれるのでしょうかっ!?

片や、クールで素性を明かしたがらない武志選手、彼のエンジンはまだかかっていないぞ!

果たしてそのエンジンをかけるのはレッド選手なのでしょうか…!?

両者、入場っ!!」

 

武志

「相手がレッドなら…久し振りにクールな俺を置いてかねぇとな!

ヒート状態へ、ギアチェンジでもするか!!」

 

武志は帽子を脱ぎ捨て、試合会場へ姿を現した

…一体、彼は!?



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セキエイ大会2nd~元走り屋の快速バトル!~

セキエイ大会準決勝始まるっ…!
帽子の下の素顔とは…


入場口の影から武志が姿を現した

 

レッド

「…!!やっぱりな。今、ハッキリしたぜ!

元カントーポケモン連合の…、玄田 武志っ!!」

 

武志

「その名前で呼ばれるのは懐かしいな。」

 

レッド

「どうしてあんたがこんな所にいるのか、さっぱり理解できないんすけど…。」

 

武志

「お前に敗れ…、その後に俺は付き合ってた彼女の元に婿入りした。

親父さんの稼業である配達仕事を継いだが、どうもポケモンの事を捨てきれず、挙げ句の果て、気づいたらリーグ挑戦にまで手を出していた。」

 

レッド

「自分のやりたい事、逃したら後悔しますからね…。

別にいいんじゃないっすか!?」

 

武志

「だが、親父さんは稼業に専念して欲しいって…!

だから、この大会を最後に俺はポケモンとお別れするつもりだ!!」

 

その時、観客席から際立った応援が聞こえてきた

 

下っ端(1)

「武志さんーっ、俺達兄貴に憧れ、この世界に飛び込めて最高でした!」

 

下っ端(2)

「俺達、声枯れるまで応援するんで…、兄貴っ、頑張ってください!!」

 

武志

「お前ら…、来てたのかよ。」

 

レッド

「いい子分じゃないっすか!

それに、あの時の試合は中途半端に終わっちまったからなぁ…。

今回はフェアに闘える!!」

 

武志

「ああっ!!

気づいたらこんなでっけぇ、ステージに立ってる自分がいるなんてな…。

昔の俺からは想像もつかなかったぜ!」

 

下っ端(1)

「武志さん、相手はあのレッドだっ…!!

今だけは、"配達屋"じゃなくて"走り屋"の頃の武志さんになったって誰も恨まないっす!!

その作業着じゃ、締まらないんじゃないっすか!?」

 

そう言うと、観客席から1枚の羽織が投げ渡された

それは走り屋だった頃の特攻服…

 

武志

「そうだな、負けたらそれまでだ…、だったらアクセル全開でかっ飛ばすのみだっ!!

いくぞ…レッド!!」

 

武志はその大きな特攻服を身に纏い、気合いを入れた

 

レッド

「望むところだ!」

 

実況

「どうやら両者は顔見知りのようだ!

因縁の対決なのでしょうか…!?

準決勝のルールは使用ポケモンが4匹となり、それ以外は変更無しですっ!

それでは、スタート!!」

 

レッド

「出番だ…ピジョット!」

 

武志

「こっちは、オニドリルだっ!!」

 

レッド

「【翼で打つ】!!」

 

武志

「【空を飛ぶ】で上空へ回避!」

 

レッド

「ピジョット、オニドリルを追うんだ…【電光石火】!!」

 

武志

「やっぱり追けてきたな。

【鳴き声】から、【乱れ突き】だ!」

 

オニドリルの耳の奥をつつくような鳴き声でピジョットは力が緩んでしまう

そこを空かさず、オニドリルの嘴が襲う

 

レッド

「【吹き飛ばし】ではね除けろ!!」

 

オニドリルはピジョットの起こした風で地面に向かって吹き飛ばされてしまう

 

レッド

「【鎌鼬】で追撃!!」

 

武志

「【鸚鵡返し】で【鎌鼬】!」

 

互いの攻撃がぶつかり合う

 

グリーン

「…【鸚鵡返し】?爺ちゃん、何だあの技?」

 

オーキド

「全く…、ジムリーダーらしからぬ発言じゃな。もっと、勉強せい!

【鸚鵡返し】とは、相手が使った技をそっくりそのまま返してしまう特殊な技の1つじゃ。覚えるポケモンも数少ない…。」

 

実況

「これぞ準決勝の闘い!!

開始早々から互いに一歩も譲らぬ技の出し合いっ…!

先に万策尽きるのはどちらなのか!?」

 

レッド

「ピジョット、仕掛けるぞ…【高速移動】からの【翼で…」

 

武志

「その技いただくぜっ!?

【鸚鵡返し】…【高速移動】!」

 

レッド

「何だと!?武志さんより先に仕掛けた俺の方が…」

 

武志

「決まれ…、【ドリル嘴】っ!!」

 

ピジョットは鋭い嘴の餌食となり、急所に当たってしまった

 

下っ端達

「よっしゃあぁぁっ!」

 

審判が戦闘不能を告げようとした、その時!

 

レッド

「ピジョット!?」

 

懸命に立ち上がろうとするピジョット

そして、まだやれるという合図をレッドに送る

 

レッド

「お前…、まだいけるんだな?」

 

ピジョット

「!」

 

レッド

「分かったよ、お前がそういうならこの勝負、まだ終わらせねぇっ!

やるしかねぇな…、ピジョット!!

【風起こし】【砂かけ】【鎌鼬】の3つをMix!

天と地が手を組んだ時、吹き荒れよ…"砂塵の暴風嵐"《ダスト・テンペスタ》!!」

 

イエロー

「…えっ!?」

 

パープル

「そんな馬鹿な、3つの技をMixさせただとっ!?」

 

グリーン

「あいつ…、やるじゃねぇか。」

 

オニドリルは竜巻の中で無数の刃に切り刻まれてしまい、逃げることができない

…オニドリル、戦闘不能

 

武志

「それが噂のEBか。」

 

レッド

「はいっ!人とポケモンの絆によって生まれる新しい技です。」

 

実況

「たった今、レッド選手が口に出した…EB。

我々は見たこともない、聞いたこともないが、これこそポケモンバトルに吹く新しい風なのでしょうか!?」

 

武志

「(相変わらずすげぇ、ガキだよ。

EBか…、俺にもやれるんか?

試してみてぇ、俺とポケモンの絆があいつらに通用するのかを!)」

 

極限の状況から繰り出されたEBは試合の流れを大きく変えた

オニドリルを倒された武志だったが、彼もまた新たな進化に挑もうとしている…!?



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セキエイ大会2nd~鼓動~

レッド対武志のバトル
オニドリルを倒されてしまった武志だったが、彼の内に秘めた何かが脈を打ち始めた


武志

「(EBっ…!)

次はお前だ、シードラ!!」

 

レッド

「水タイプか…、恐れる事はないな!

もう一回EBで…」

 

武志

「そう何度も同じ手をくうかよ!

シードラ、【波乗り】!!」

 

レッド

「…おっと、【空を飛ぶ】だ!」

 

【波乗り】は意図も容易く避わされてしまった

 

実況

「こっ、これはっ!?」

 

そこはシードラが発生させた【波乗り】によって水のフィールドが形成されていた

 

グリーン

「…そうかっ!!

レッドの相手、考えたな。ピジョットの"砂塵の暴風嵐"は発動条件に【砂かけ】を要する!

このフィールドじゃあ技に必要な砂が無い…!」

 

レッド

「くっ…EBのデメリットをつかれたか。

ならば、【鎌鼬】で狙い撃ちするだけだっ!!」

 

武志

「【煙幕】で眩ませろ!」

 

実況

「これでピジョットは何も見えなくなってしまったぞ!?

次に我々が目撃するのは果たしてどんな結末なのでしょうかっ!?」

 

武志

「やれる、俺とシードラなら…やれるんだっ!!!

少しでも可能性があるのなら応えてくれ…【泡】!」

 

空中に大量の【泡】が浮遊する

 

レッド

「(くそっ、【煙幕】で何が起きてるのか分からねぇ!)

ピジョット、【風起こし】!」

 

ようやく煙を吹き飛ばし、煙は晴れた

だが、レッドの視界には空中で綺麗にフワフワと浮かぶ【泡】が広がっていた

 

レッド

「っ!?」

 

武志

「さらに【吹雪】を加えて…"天よりの水晶玉"《シエロ・フルゥスターリ》!!」

 

泡が急激に冷え、拳サイズの大きさの雹へと変わる

それは、猛烈な風と共にピジョットへとぶつかっていく

 

レッド

「ピジョットっ!!」

 

氷タイプの技にピジョットは効果抜群

バタリと倒れ、戦闘不能

 

レッド

「よくやったな、ゆっくり休んでてくれ…。

それにしても武志さん、よくこの短時間でEBを会得できましたね!」

 

武志

「まぁ、俺だってやるときゃやるからよ!!

ただ…、俺はシードラと心を1つにしたかったっていうか、気づいたら同調してたような…。」

 

レッド

「(まさしくそれなんです。EBは言葉では説明しづらく、ポケモンとトレーナーにしか感じることのできない技…。)

迫力あるEB見事でしたよ、だけど俺も負けるわけにはいかない、サンダース!」

 

実況

「さぁ互いに1匹ずつ倒れ、試合はevenになりましたっ!!」

 

武志

「(電気タイプか…、この水場においてシードラが圧倒的不利。

ならばっ、EBで畳み掛けるまでだ!)

シードラ、【泡】!!」

 

レッド

「やっぱり、そう来ましたか!!

サンダース、【ミサイル針】っ!」

 

全身の毛を針のように飛ばし、【泡】を悉く割っていく

 

レッド

「これで、シードラはEBを発動できない!!」

 

武志

「…何もEBに頼ってきた俺達じゃないぜ!【ハイドロポンプ】!」

 

レッド

「【高速移動】で避わして、【10万ボルト】!!」

 

電流がフィールド一帯に広がり、シードラは感電してしまい戦闘不能に…

 

武志

「俺の3匹目は、マルマインだ!

同じタイプ同士、仲良くやろうや。」

 

レッド

「そうしたいところですけどね…、恐らくできないでしょう。

だって俺達似た者同士、同じ極は反発しあうってね!!

サンダース、【電光石火】!」

 

武志

「なるほどなっ、【ソニックブーム】!」

 

だが、サンダースは俊敏な動きで次々と【ソニックブーム】を避けていく

 

武志

「速ぇなぁ、おいっ!!

…そんなら見せてやるよ、マルマインの真骨頂を。マルマイン、避わせ!!」

 

サンダースが攻撃を当てる瞬間、マルマインは目の前から消え、サンダースの背後へ移る

 

レッド

「なっ!?」

 

武志

「レッドのサンダース、かなりの速さだけどな、悪いが俺んとこのマルマインはそれを凌駕する!

毎日カントー中を配達しながら身につけたマルマインの脚力は、そりゃあカントーNo.1だと俺は思っている。」

 

レッド

「(サンダースだってチャンピオンロードでの修行で鍛えてるんだ、簡単にNo.1の称号名乗られちゃあ黙ってられねぇっすよ!?)

【高速移動】で近づき、【噛みつく】!!」

 

武志

「避けて、【スピードスター】!!」

 

【スピードスター】はサンダースに命中していく

素早い技で仕掛けるも、マルマインの素早さには追い付けない

 

レッド

「おぉぉっ、【電気ショック】!!」

 

武志

「接近戦を捨ててきたか…、だがそれも対処済みだ!

マルマイン、【光の壁】!」

 

【電気ショック】は壁に弾かれ、跳ね返されてしまう

 

サンダース

「…!」

 

オーキド

「これで接近戦、遠距離戦と共に封じられてしまったのぉ。

安心できるのはマルマインに決定的な技が無いこと…ぐらいか?」

 

グリーン

「いや、マルマインには【スピードスター】がある。

攻撃は無限と当てる事が可能だぜ?

威力が低くても、ああいった技は徐々に効いてくるもんだ。」

 

レッド

「(こうなったら、アレを使うしかないか…!)

サンダースっ、体内に電気エネルギーを溜めるんだ!!」

 

武志

「(何か来る…!?)

マルマイン、【光の壁】で守りを万全にしとけ!」

 

レッド

「行くぞ、【雷】を自分に向かって落とし帯電させ、【電光石火】で相手を貫け!

光速で放たれる一本の矢の如し…"雷脚一閃"!!!」

 

武志

「マルマイン、避わすんだっ!!

(…くそっ、間に合わない!)」

 

マルマインは、捉えきれない一撃を喰らった…が、幸いにも電気タイプのEBであった事と【光の壁】の効果でダメージを抑えることができたのだ

 

マルマイン

「っ…!!」

 

実況

「何とっ、マルマイン、サンダースの秘技を堪えたーっ!!」

 

武志

「よくやった、マルマイン!

【影分身】!!」

 

レッド

「(ここに来て、【影分身】って…!?)」

 

武志

「漢たるもの散り際はド派手に華々しく…【大爆発】!!」

 

実況

「何と、分身達も一斉に爆発するつもりか!?

この規模だと、被害は甚大だぞーっ!?」

 

グリーン

「確実にサンダースを仕留めるつもりだ。

効果はいまひとつにせよ、サンダースの"雷脚一閃"をもう一度喰らわされたら、マルマインは終わりだからな…。」

 

オーキド

「ならば相討ちを…という事か。」

 

レッド

「(ダメだ、回りが分身だらけで避けるスペースが…!!)」

 

武志

「弾け飛べ!"誘爆する地雷"《インデュース・クレイモア》!!」

 

会場は爆風に包まれる

 

実況

「と、とてつもない爆発です!!

この結果は皆さんに伝えるまでもないと思いますが…両者戦闘不能!」

 

レッド

「あなたの爆発…健在でしたか。

あの時の戦いを彷彿させますね。

しかもEBで範囲を広げるとは…。」

 

武志

「レッドに躊躇してたら敗けちまうからよ。

これで、1対2…、俺にも勝ち目は残ってる!しかも最後のポケモンは仕事仲間だ、俺との連携は一番とりやすい!

一緒に勝つぞ、カモネギ!!」

 

準決勝も大詰め…

レッドは残りの2匹でカモネギを破ることができるのか!?



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セキエイ大会2nd~恵まれた環境で…~

武志の速さを活かしたバトルに、少しずつ押され始めたレッド
最後に繰り出されたカモネギを倒し、レッドは決勝へと進めるのか


レッド

「カモネギ?そこまで強いイメージは無いんだが…。」

 

武志

「見た目で判断しちゃあいけないぜ!?」

 

下っ端

「武志さんとカモネギさんのタッグなんて、滅多に拝めるもんじゃねぇぞ!!

お前ら、気合い入れて応援するぞっ!!」

 

下っ端

「っしゃあぁぁっ!!」

 

レッド

「アウェイ感あるけど、臆する事はねぇ、フシギソウこの雰囲気を覆してやるぞ!【葉っぱカッター】だ!!」

 

武志

「【居合い斬り】で切り刻め!」

 

カモネギは茎でズバズバッと葉を斬っていく

 

レッド

「【眠り粉】!」

 

武志

「【吹き飛ばし】で粉を飛ばせ!

お前に眠られちゃあ、困るからな。

さぁ、行くぞ…【高速移動】でフシギソウに接近だ!!」

 

レッド

「【葉っぱカッター】で近寄らせるな!」

 

だが、既にカモネギはフシギソウの懐に飛び込んでいた

 

フシギソウ

「!!」

 

武志

「【砂かけ】!…からの、【切り裂く】!!

この攻撃でくたばってくれぇっ!」

 

目に砂をかけられ、隙を作ってしまったフシギソウは大ダメージを受ける

しかし、レベルの高いフシギソウは、この攻撃で倒れはしない!

 

レッド

「よし、【蔓のムチ】で捕まえろ!」

 

武志

「ちっ…しょうがねぇな、カモネギ、退くんだ!!」

 

実況

「フシギソウよく耐えましたね~!

武志選手、1匹でも早く倒したい気持ちがある中で冷静に指示を出した辺りは称賛しますね。

私だったら、あのまま強引に攻撃しちゃいそうです…!」

 

レッド

「息の合った動き、確かに強い!

でも…俺達のコンビネーションはこの1年でさらに大きくなった!【葉っぱカッター】!!」

 

武志

「また、それか?

カモネギ、【居合い斬り】っ!」

 

レッド

「…俺が、同じ真似すると思いますか?」

 

武志

「まさかっ!?」

 

レッド

「そのまさかですよ!

フシギソウ、葉っぱに【毒の粉】をまぶせろ!!

美しい花に潜む魅惑の棘…"ジキタリスの刃"!」

 

カモネギ

「ーっ!!!」

 

毒が付着した葉がカモネギを襲う

切口から毒が浸透し、ジワジワと体力を削っていく

 

下っ端

「カモネギさんっ!!」

 

武志

「(やっぱり強ぇわ…レッド。

ここまで来れただけで、悔いはないな。)」

 

その時、観客席から怒鳴るような荒立たしい声が武志だけでなく、周りの観客の目をも惹き付けた

 

???

「何、そこで突っ立ってやがるんだっ!

恥ずかしくねぇのか?準決勝で諦める姿見せてよぉ、そんなんで親父さんや、下の奴等に顔向けできるのか!?あぁっ?

その特攻服着てるんならよぉ、最後まで男魅せろや!! 吼えてみせろやっ!!」

 

武志

「龍二さん…?」

 

レッド

「(あの時の…、総長か?)」

 

下っ端

「いけぇぇっ、武志さん、カモネギさんっ!!!」

 

あまりの事態で警備員に取り押さえられる龍二

 

龍二

「お前なら、まだやれるからなっ!

ずっと見てきた俺なら分かる!!」

 

そう言うと、龍二は警備員に無理矢理追い出されてしまった

 

武志

「(この特攻服…、俺が入隊して間もなく龍二さんがプレゼントしてくれた服だったなぁ。

情けねぇ姿見せちまってすみません!!)

…やってやる、カモネギ!

【怒り】と【切り裂く】をMixさせろ!!

"葱花輦斬"っ!!!」

 

レッド「うっ…!!もう一度、"ジキタリスの刃だっ!!」

 

あまりの威圧感にレッドは一瞬怯えてしまった

そして、カモネギは"ジキタリスの刃"を受けながらも、フシギソウ目掛けて、突っ込んでいく

その手には自前の茎をしっかりと握っている

 

武志&下っ端

「やれぇぇっ!!」

 

フシギソウに"葱花輦斬"はヒットした

だが、その光景は'斬る'というより'置きにいった'というぐらいの、力の抜けたカモネギの攻撃だった

 

武志

「…カモネギ。」

 

フシギソウに倒れこむ形で動かないカモネギ

 

実況

「カモネギ戦闘不能。

よって勝者は…、レッド選手!」

 

武志

「最後まで気力振り絞ってくれてありがとな、カモネギ。」

 

武志はしっかりと上を向いてレッドに歩み寄る

サッと手を出し、互いに握手をするレッドと武志

 

武志

「はぁ…、俺カッコ良かったかなぁ。」

 

レッド

「最後の死力を尽くした姿には、ビビりました。

…俺、必ず優勝してきます!!」

 

武志

「あぁっ、頑張れよ!」

 

スタジアムの外、大勢の下っ端が武志を待っていた

 

武志

「応援、ありがとな。お前らの声援が俺達を勇気づけた!

俺もこれで思い残すことなく配達稼業に精を入れれるぜ。

じゃあ達者でな…!!」

 

そこに、特攻服の武志はもう居なかった

作業着を着た配達屋の武志だった

そこへ、隣を1台のバイクが並走してきた

 

武志

「龍二さん…!?」

 

龍二

「それが、作業服か?ハハッ、ダセェな!!笑

でも、これからお前はそれが似合う男になってくんだろうな…。

そしたらよ、いっちょお前に配達の仕事でも頼むとするかなっ!!」

 

武志

「どんな物でも配達してみせますよ!!」

 

龍二

「へっ…あばよ!!」

 

武志と龍二は交差点で別れた

こうして男は今日もカントー中を走り回る!!



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セキエイ大会2nd~傲慢と謙虚~

準決勝1回戦を終え、控え室に戻るレッド
イエローとパープルが体をぶつけ合いながらレッドに駆け寄る


パープル

「見応えのある、熱い闘いだったぞ!!

ちょっと待ってろよ、すぐに俺もそっちに行くからっ!」

 

イエロー

「勝手に決めつけないで下さいよぉ、僕だってレッドさんと闘いたいんですからぁ~!」

 

レッド

「2人共、ありがとな!決勝…どっちと当たっても俺は楽しみだ。」

 

そして館内にアナウンスが流れる

 

実況

「さぁさぁ、1回戦では会場の寒さを一気に吹き飛ばしてくれる激熱な闘いを繰り広げてくれました!

2回戦は果たしてどんな闘いとなるのか期待に胸が膨らみますっ!!」

 

パープル

「じゃ、一丁やってくるかな…!」

 

イエロー

「よしっ、準備はオッケー!

パープルさん、互いに悔いの無い闘いを!」

 

パープル

「…あぁ。」

 

2人は固い握手を交わし、会場へと向かう

 

実況

「選手の準備も宜しいようで…それでは入場していただきましょう!

まずはパープル選手、自称最強を名乗るのは伊達じゃないことを証明してくれた…、だが、準決勝では如何程か!?

そして、イエロー選手、1回戦では相手を全く寄せ付けずに勝利しました。

ほとんど手の内を明かしていないが…果たして!?」

 

レッド

「(パープル、イエロー…!!)」

 

イエロー

「さっきも言いましたが、勝つのは僕です!」

 

パープル

「寝言は寝て言えよな!

もうこの際だから言わせてもらうけどな!初めて闘った時から思ってたが、そのどこか気の抜けたお前の性格が気にくわなかった…。」

 

イエロー

「ん?」

 

パープル

「俺は常に高みを目指してポケモンと一緒に汗流して特訓してるのに、お前はいつもそうやって、一言目にレッドさん、二言目にレッドさん…、ニコニコしてよぉ。

俺よりも弱いならまだしも…どこから沸いてくるのか分からないお前の圧倒的な強さが妬ましいよ!!」

 

イエロー

「そんな言い掛かりされても…」

 

パープル

「あぁ、そうだよ。こんなの俺の屁理屈に過ぎねぇ…!

だからっ!!ポケモンバトルで決めるしかないんだ!

1年前のリベンジを今日ここで果たす!!」

 

イエロー

「…そうですか。

でも、すみません。それはあなたの事情であって僕は何とも思っていないんで。

僕は僕なりの闘いをするまで!次に控えるレッドさんに備えてある程度抜かなきゃならないんです…!」

 

パープル

「そこまで口に出せるとは…笑っちまうよ。」

 

イエロー

「7割の力であなたを倒します!!ピカチュウ!!」

 

パープル

「…嘗められたもんだなぁ、ストライク、ギャフンと言わせてやるぞっ!!」

 

イエロー

「【電光石火】っ!!」

 

パープル

「【影分身】!」

 

イエロー

「(面倒くさいなぁ、これだから命中率を下げる技を相手にするのは苦手なんだよなぁ。)」

 

パープル

「【切り裂く】の袋叩きだ!

まずは俺が1勝貰ったぜっ!!」

 

イエロー

「(…でも、これくらいの修羅場なんていくらでも乗り越えてきてるんだよな。)

ピカチュウ、【フラッシュ】で発光しろ!」

 

パープル

「くそっ、怯んじまった…!」

 

イエロー

「【10万ボルト】で周りを攻撃して、本体を見つけるんだ!」

 

周囲に拡がる電気に分身体は消えていく

そしてストライクは本体だけに…

 

実況

「ストライク、丸裸になってしまったぞぉっ!?」

 

イエロー

「今だ、【叩きつける】!」

 

パープル

「【翼で打つ】で迎え撃て!!」

 

2匹はぶつかり、間合いをとる

 

イエロー

「流石…と言ったところですね。

完全に討ち取れるモーションだったのに、あそこで咄嗟に技をだすとは!」

 

パープル

「まだ、やられてたまるかっての…!!」

 

イエロー

「だったらこれならどうです?

"帯電する流星"《チャージ・ザ・メテオール》!!」

 

パープル

「(EBっ…!!)

ストライク、【気合い溜め】で集中しろ…連続で【居合い斬り】!!」

 

飛んでくる、電気を帯びた星を【居合い斬り】で切り刻んでいく

 

パープル

「きりがねぇ…。

だったら、ここらで反撃の狼煙をあげるしかねぇじゃねぇかよ!

【睨み付ける】と【剣の舞】をMixしろ!

磨きのかかった両刃で獲物を捕食しろ…"蟷螂の斧"《アックス・オブ・マンティス》!!」

 

ストライクが放つ捕食者の脅威にピカチュウは震え、その場から逃げれなくなってしまった

 

パープル

「…ストライクのテンションも上がって、殺る気は満々だ。

喰え!【切り裂く】!!」

 

イエロー

「はぁ、気づかないんですか…?

ストライクの異常に。」

 

ストライク

「!」

 

パープル

「こんな時に麻痺…!?」

 

グリーン

「"帯電する流星"に対して【居合い斬り】で応戦しすぎた為だ。

電気技に手を出すと、痛い目みちまうからな…。」

 

イエロー

「捕食されるのはあなたの方でしたね…【雷】!!」

 

ストライクに落雷し、焼け焦げてしまった

 

実況

「ストライクの勝ちかと思われましたが、イエロー選手、上手く計りましたねぇ。」

 

パープル

「ありがとな、ストライク。

鼻につく闘いしてくれやがって…!!

キツいお灸を据えてやらなくちゃな、ゴローニャ!」

 

オーキド

「おぉっ!ゴローニャとはなかなか手強いポケモンを持っとるのぉ。

高い防御力を前に、イエローはどう出るか。」

 

イエロー

「(電気タイプは効果が無いか…。)

ピカチュウ、【電光石火】!」

 

パープル

「さあっ、来いっ!!!」

 

イエロー

「【叩きつける】っ!!」

 

パープル

「【硬くなる】で身を固めろ!!」

 

ピカチュウの尻尾では、ゴローニャの防御力には遠く及ばなかった

 

イエロー

「くっ…、"帯電する流星"《チャージ・ザ・メテオール》!!」

 

パープル

「吹き飛ばせ、【メガトンパンチ】!」

 

ゴローニャの力の篭った攻撃に、軽いピカチュウは壁に打ち付けられてしまった

 

実況

「何というパワーと、ディフェンス!!

これにはピカチュウも立ち上がれないっ!」

 

グリーン

「遂にEBを破ってきたか…。」

 

パープル

「どうした!?そんな生温い攻撃じゃあ、ゴローニャは砕けないぜっ?」

 

イエロー

「…フフッ。」

 

その不敵な笑いにパープル、グリーン、オーキドは違和感を感じた

 

イエロー

「…まぁまぁ、そんなに騒ぐなよ。粋がっていられるのも今だけだからなぁ。」

 

パープル

「何だっ!?イエローの様子が…。」

 

歌美

「ちょ…、ちょっとぉ、あの子どうしちゃったのよ~!!」

 

グリーン

「爺ちゃん!!」

 

オーキド

「ピカチュウが倒された事で、呼び覚ましてしまったか!!

この戦い…どうなってしまうんじゃ!」

 

レッド

「(…イエロー!?)」

 

イエローの内に秘めた闘争心が剥き出しになった!?



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セキエイ大会2nd~イエローの10割!!~

イエローの変異…
この試合どうなってしまうのか


イエロー

「さぁてと、準備運動はこれくらいにして…と。

キングラー、行ってこい!!」

 

パープル

「態度が随分と違うじゃねぇか。

だけど、そっちの方が俺は好きだぜ?

好戦的なタイプの方が勝負にのめり込める!」

 

イエロー

「っしゃあっ!【バブル光線】だ!!」

 

パープル

「避けろ!」

 

だが、避わした先にキングラーは待ち構えていた

 

パープル

「いつの間にっ!?」

 

イエローの手にはスピーダーが握られていた

 

イエロー

「まっ、一時的ではあるけど役にたったな。

【クラブハンマー】で叩き割れ!!」

 

パープル

「それなら…、【メガトンパンチ】で真っ向から挑め!!」

 

2匹の技がぶつかり、互いに弾かれる

 

イエロー

「やっぱり大技じゃないと、ゴローニャは倒せないか。

岩タイプには可哀想だが、【ハイドロポンプ】でポケモンセンター送りにしてやれ!!」

 

パープル

「【ハイドロポンプ】を出してきたかよ…。

使いたくなかったが、四の五の言ってられないからなぁ!

ゴローニャ、【破壊光線】!!」

 

最上級クラスの技が場内を硝煙で包む

 

実況

「迫力のある戦いです…!

これほどまでの卓越したバトルに私、胸焦がれちゃいます!!

さぁ、フィールドはどうなっているのか?

おや!?動く影が…。」

 

イエロー

「キングラー、相手は動けないでいる!!

これで確実にアレを当てれるぞ!?」

 

反動で動けないゴローニャの目の前に現れるキングラー

 

パープル

「…何をするつもりだっ!?」

 

イエロー

「"1万馬力の鉄槌"!!」

 

超重量級のハンマーがゴローニャに降り下ろされる

地面に"ミシッ"とヒビが入り、ゴローニャは埋もれてしまう

 

イエロー

「おまけにもう1回くれてやるよ!」

 

こうして、ゴローニャは完全に地面の中に埋められてしまう

それでも2回のEBを受けながらも、息のあるゴローニャは、流石といったところだ

 

イエロー

「終わりだ…、【ハイドロ…」

 

パープル

「散々なことしてくれたな…?

お前、ゴローニャが地面に埋まって、身動き取れないと思ってるだろ?

ゴローニャは、地中でこそ能力を発揮できる!!

【穴を掘る】と【地震】を組み合わせて、逆転へと繋げろ…、"地盤沈下"!!」

 

ゴローニャの発した"地盤沈下"で、フィールドは一気に崩れ、足場の悪い状態になる

そのせいで、キングラーは足元がおぼつき、転んでしまう

 

イエロー

「体勢を立て直せ!

派手にやりやがって…、それならこっちも新EBで決めてやる!」

 

イエローは、キングラーにヨクアタールを使った

 

グリーン

「ヨクアタールで命中率を上げた…!?」

 

イエロー

「はぁ…、はぁ…、狙いをすませて【ハサミギロチン】で攻撃だ。

これが、道具とMixさせたEB!!

"地獄の裁断"《ヘル・スライス》だぁっ!!」

 

オーキド

「まずいぞっ!あの【ハサミギロチン】という技は鋏をもったポケモンにしか使えないもの…。

己の全パワーを切断する為に特化したもので、危険度が高いんじゃ!

じゃが、1つだけデメリットがあり、相手を切断するにはかなりの緻密さが必要で、それ故当たる確率も極めて低い…。」

 

歌美

「えっ!?じゃあ、そのデメリットをヨクアタールで解消したって訳なの!?」

 

パープル

「自暴自棄になりやがって…。

ポケモンバトルで熱くなるのはいいが、周りが見えず自分を見失うようじゃ、だめだぜ!

ゴローニャ、【岩落とし】っ!!」

 

次々と降りかかる岩にも気づけないくらい暴走していたイエローは、回避の命令をキングラーに与えれなかった

岩の下敷きになるキングラー…戦闘不能

 

オーキド

「パープル君は、イエローの衝動を逆手にとったのぉ。

こりゃあ、今のままだとパープル君には勝てない…。」

 

グリーン

「あぁ、今のまま…だとな。」

 

イエロー

「どうしてだっ!?俺の指示に誤りは無かったはずなのに!!

…あーもう、後の事考えるのはヤメだ。

まずは、あんたを倒さなきゃ全部が水の泡だからな。

7割ってのは訂正させてもらうぜ…、俺の10割を拝ませてやるからさっ!!」

 

パープル

「本気でかかってきてくれるってことか…?嬉しいじゃねぇか!」

 

イエロー

「フシギバナ!」

 

パープル

「フシギバナ…、こんな事もあろうかと思って俺のゴローニャに草タイプの措置をしておいたぜ!!

ゴローニャ、【大文字】!!」

 

実況

「これはっ!?ゴローニャが炎タイプの技を覚えていたとはっ!!」

 

イエロー

「構うなっ、【突進】で突っ込め!!」

 

炎の中をフシギバナは巨体を揺らしながら駆け抜けていく

 

パープル

「玉砕覚悟でくるとはな。

それがお前の言う100%の力ってやつなのかよ?【硬くなる】!!」

 

イエロー

「おおぉぉっ、吹き飛ばせぇーっ!!」

 

パープル

「(所詮【突進】如きで飛ばされるゴローニャじゃあ…っ!?)」

 

フシギバナの【突進】は、ゴローニャの頑丈な体を動かし、転ばせた

 

イエロー

「炎の中に突っ込ませたのにも考えがあったからだ…。

【我慢】を発動させることで、【突進】の威力を上げたって訳だ!

言ったろ?10割の力って。一切の妥協も許さないんだよっ!!

そして…傷つけられたダメージは返してもらうぜ!?

フシギバナ、【メガドレイン】!」

 

それにより横たわっているゴローニャから養分を吸いとっていき、傷口を治癒していく

 

パープル

「起き上がれ、ゴローニャ!!

最強技でフシギバナを倒すしかない…、【大文字】と【岩雪崩】をMix!!

地層深くから矛先へと降りかかれ…"噴き上げる溶岩"《スパウト・ザ・ラヴァ》!」

 

"地盤沈下"によって頽廃したフィールド

その地面から次々と灼熱の溶岩が噴出し降り注ぐ

 

グリーン

「こんなEBまで…!!」

 

実況

「皆さん、上から降り注ぐ溶岩にご注意い下さいっ!!!

フィールドは荒れに荒れ、まさに戦場地帯!フシギバナはどうなってしまったのかーっ!?」

 

荒れまくる戦場…その地に一筋の光が射す

 

イエロー

「あんたもフシギバナを所持しているのに、気づかないなんて…ガッカリだ、【ソーラービーム】!!」

 

フシギバナ

「!!」

 

その光は、ゴローニャを飲み込んでいく

 

パープル

「ど、どうして…!?」

 

イエロー

「フシギバナは防御に徹して育つ傾向がある。

そこへ、さらに俺はディフェンダーを使いフシギバナの防御を極限にまで高めたのさ!!

ポケモンが成長する際の特徴も熟知してないようじゃあ、まだまだってことだ!」

 

本気のイエロー、そして彼のフシギバナが呼応し、ゴローニャは撃破された

この咲き乱れる花が枯れることなどあるのか!?



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セキエイ大会2nd~理性崩壊…!!~

手に負えないイエローの猛攻
パープルは彼に太刀打ちできるのか!?


パープル

「(なんつーバトルスキルだよ…!

単純なポケモンの能力だけでなく、道具を駆使することでそれを何倍にも活かすなんてな。)」

 

イエロー

「さぁ、3匹目をどうぞ?」

 

パープル

「(悔しいけどあそこまでの戦闘スキルは持ってねぇ…。

…けどっ!俺だって伊達にここまで登り詰めた訳じゃねぇんだよ!!)

頼んだ、カビゴン!!」

 

レッド

「遂にカビゴンを出してきたか。」

 

イエロー

「(俺のポケモンはフシギバナ含め、後2匹か。

ここは、体力を温存させる為にも一度退かせるかな。)

フシギバナ、戻れ!

そして俺の4匹目はケンタロス、お前だっ!」

 

待ちくたびれたかのようにボールから飛び出したケンタロスは興奮し、地面を蹴る

 

実況

「カビゴンという巨体を前に、ケンタロスはどこまで踊れるのでしょうか!?」

 

イエロー

「【踏みつけ】!!」

 

カビゴン目掛け猪突猛進するケンタロス

 

パープル

「腹に力を溜めろ…、弾き返せ!!」

 

ケンタロスの強靭な前足がカビゴンを踏みつけるも、あまりにも柔らかい腹の肉には通じなかった

 

パープル

「そのまま【のしかかり】で倒れこんでケンタロスを潰すんだ!!」

 

イエロー

「カビゴンの動きは鈍い…避けるんだ!」

 

カビゴンが倒れた跡には小さなクレーターができていた

 

レッド

「(一見無敵と思えるカビゴンの唯一の弱点、それは…)」

 

イエロー

「(…素早い動きと数で翻弄することか。だったら…)

ケンタロス、【影分身】でこのフィールドを駆け回れ!!」

 

パープル

「何っ…!?」

 

実況

「目まぐるしくたくさんのケンタロスが駆け回っております!

一体、どれが本物なのかぁ~っ!?」

 

パープル

「カビゴン、釣られるなよっ?

こんな時こそ平常心だ。」

 

イエロー

「やれっ、【捨て身タックル】だ!!」

 

一斉に飛びかかるケンタロス

 

パープル

「両腕を目一杯伸ばせ!

そしてがむしゃらに振り回して【カウンター】をかますんだ!!」

 

カビゴン

「ーっ!!」

 

次々に襲いかかるケンタロスだが、カビゴンの大振りに技が届かない

そして、本体も巻き込まれ、殴り飛ばされる

 

イエロー

「近づくことも難しいなら…、ケンタロス、空中で体勢を立て直せ…!

【破壊光線】だ!!」

 

宙に飛ばされたケンタロスは【破壊光線】をお見舞いさせる

 

パープル

「あの状態から【破壊光線】だとっ!?」

 

カビゴンは直撃してしまい、大ダメージを受ける

だが、一方のケンタロスも反動で体が言うことを聞かず、受け身がとれずに地面に落ちてしまった

 

グリーン

「相討ちか…!?」

 

オーキド

「…いや。」

 

パープル

「カビゴンがここまでやられるとは、想定外だったが…イエロー、惜しかったなぁ?」

 

イエロー

「何が言いたい?」

 

パープル

「カビゴンが無敵と呼ばれるその由縁、魅せてやるよっ!!

【ド忘れ】と【眠る】をMixさせる事で究極の回復術が完成する!

それがこいつのEB、"貪欲な巨人"だ!!」

 

カビゴンはその場からピクリとも動かない

 

イエロー

「倒れたまんまじゃねぇか。」

 

パープル

「そう見えて正解だよ!

今、カビゴンは【ド忘れ】により受けた痛みの事を頭の中から消し、さらに【眠る】ことで、回復している!」

 

イエロー

「それなら、普通の【眠る】とさほど、変わらねぇだろうが!」

 

パープル

「こいつは睡眠欲が著しく増しててな。

ただの【眠る】だと、物足りねぇんだよ。

そこで【ド忘れ】が二重の効果を発揮させ、眠った事さえ忘れちまい再び眠りにつく。そうすることで、こいつが満足するまで…つまりは体力が満タンになるまで回復し続けるってことさ!!」

 

オーキド

「無限のループ…やられても回復し続けるとは、全国のショップ店員が泣くわい!笑」

 

グリーン

「冗談言ってる場合じゃねぇよ…。あれでイエローは追い詰められた。

攻撃しても意味がない、ケンタロスが疲れ果てて先に倒れるのがおちだ!」

 

イエロー

「ハハハッ、確かにその発想は素晴らしいよ!

でも…、要は全回復しない内にカビゴンを倒せばいいんでしょ?」

 

パープル

「だから、そんなのできないって…」

 

イエロー

「じゃあ、ここで1発ビックリショーでも御覧にいれましょう!!

ケンタロス、立ち上がれ!…【怒り】と【尻尾を振る】、さらに【突進】をMixだっ!!!」

 

レッド

「3つ…!!」

 

グリーン

「レッドと同じ、3つの技をMixさせたEBっ!?」

 

イエロー

「怒れる赤のムレータ(布)に角が突き刺さる時…暴れ牛は止まることを知らない!!

"トランス状態・モード闘牛"!!」

 

我を失ったケンタロスはただ、カビゴンだけを目標とし、ぶつかっていく

その威力はそれまでのとは桁違いで、カビゴンもうなされ始める

 

パープル

「耐えろ、耐えるんだカビゴンっ!」

 

イエロー

「…ハァ、…ハァ、敵が戦闘不能になるまで暴れまくれぇぇっ!!」

 

ケンタロス

「!!!」

 

パープル

「回復が…追いつかないっ…!」

 

歌美

「こんな試合、酷すぎる!」

 

グリーン

「己の全てを捨ててまで勝ちにいく。

例えそれが、大切な仲間であっても…。

もう一人のイエローなら絶対にしないだろうな。」

 

イエロー

「うおぉぉっっ、貫けぇぇっ!」

 

渾身の突進が決まり、カビゴンは起き上がれなかった

無論、【眠る】をしている訳ではない…

 

実況

「そこまで!!

カビゴン、せ、戦闘不能ーっ!!」

 

レッド

「…。」

 

その場に居合わせた上級トレーナー達の想いとは裏腹に、盛り上がる観客

 

パープル

「すまなかったな…カビゴン。」

 

イエロー

「ケンタロス、戻れ!!

ぐっ…、俺も少々気持ちが高ぶっちまったようだな!?

さぁて、最後のポケモンを出しな?」

 

イエローの理性は崩壊してしまった

残虐性のある今、ポケモンの事を微塵も想っていない彼を止めれるのは…対戦相手であるパープルだけ!

拳には拳を…ぶつけるしかないっ!!




今回の【眠る】はゲームの仕様とは異なっていること前提なので、悪しからず(><)


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セキエイ大会2nd~譲ることのできない席~

パープルVSイエロー
その長丁場の闘いにも終わりが近づく
そして、未だ元に戻れないイエローだが…


イエロー

「戻れ、ケンタロス。」

 

ボールに戻そうとしたその時、ケンタロスは暴れすぎた為か残された体力を絞りきってしまったようで、倒れてしまう

 

実況

「何とっ!!ここでケンタロスも倒れるーっ!

無茶をしすぎたからでしょうか…、イエロー選手、判断を誤ったかっ!?」

 

イエロー

「なんとなく予想はしていた…、別に試合に負けた訳じゃねぇ、驚く程でもねぇさ。

…もう一度お前の出番だ、何としても勝つぞ、フシギバナ!!」

 

パープル

「俺のラストはゴルダックだ!!」

 

レッド

「(相性では断然フシギバナが有利とは言え、前の戦いで負傷している…。

万全な状態じゃない辺りを踏まえれば、パープルにも勝機は十分にある。)」

 

観客

「これが準決勝なのか…。」

 

観客

「あぁ、レッドもそうだが今年の大会はルーキー達が活躍してるな!」

 

実況

「泣いても笑ってもこれが正真正銘最後の闘い!!

どちらかが勝ち、どちらかが負ける!!」

 

イエロー

「【葉っぱカッター】!!」

 

パープル

「【乱れひっかき】で応戦しろ!!」

 

乱れ飛ぶ葉っぱをゴルダックの鋭い爪が切り刻んでいく

…が、ゴルダックは岩の瓦礫につまづき、不意をつかれてしまう

 

パープル

「ちっ…!

ゴルダック、すぐに岩影に隠れるんだ!!」

 

オーキド

「しかしまぁ、この地形では足場が悪いのう。

ゴローニャが造り出したこのフィールドが試合の流れを変えるかもしれん…!」

 

イエロー

「(荒れた岩の残骸が視界を邪魔しやがるなぁ。

その上、スピードではゴルダックに劣る…。体力も少ないし、どうしたもんか。)」

 

イエローは悩み、顔を下に俯ける

 

イエロー

「(ん…?そうかっ!!

その手があったか!!相手にバレなきゃいいんだが、上手くいくか…!?)

フシギバナ、ありったけの【ソーラービーム】!!」

 

岩を次から次へと撃ち砕いていく

 

パープル

「やられるのも時間の問題か!?

なら…、飛び出せ!【冷凍ビーム】っ!!」

 

イエロー

「…ぐっ!!」

 

パープル

「うぉっ!!」

 

爆風が辺りを包む

 

イエロー

「…ふぅ、冷やっとしたぜ?」

 

パープル

「氷技だけにってか!?

ゴルダック、【乱れひっかき】で接近しながら、フシギバナを翻弄してやれっ!!」

 

イエロー

「ちょこまかとぉ…、【蔓のムチ】で捕まえろ!!」

 

だが、すばしっこいゴルダックは軽々とそれを避わしていく

 

フシギバナ

「ーっ!」

 

イエロー

「(不味いな、フシギバナの体力が…!)

これで1発逆転してやれっ、"永久侵犯・毒裁の法"!!」

 

グリーン

「あの技は!!フシギバナ最恐のEB!!

あれを吸っちまったらゴルダックは終わりだぞっ!?」

 

パープル

「それがフシギバナのEBかよ!

だがな…ゴルダック、【金縛り】で奴の動きを止めるんだ!!」

 

フシギバナは粉を出す前に動きを封じられ、蔓1本さえ動かせれない状態に…

 

パープル

「これで決勝の1席に座るのは…俺だぁっ!!!

ゴルダック、【ハイドロポンプ】に【念力】を施し…形状変化させろ!!

"槍化水"《ヴィーズ・スピア》!!」

 

槍状に変化した【ハイドロポンプ】がフシギバナに突き刺さっていく

そして…

 

実況

「長くにわたり、行われた準決勝第2試合。

遂に勝者が決定したぁーっ!!」

 

グリーン

「イエロー…。」

 

そう、誰もがパープルの勝利だと確信した

だがイエローの目は一点を曇らずに見つめていた

 

パープル

「どうした?俺がレッドと戦うのがそんなに恨めしいか?

だが、これが現実なんだよ…、諦め…」

 

イエロー

「…本当、最後までバレずに済んで助かったよ。

だから冷やっとしたって言ったんだぜ!?

フシギバナ、穴から飛び出せ!!」

 

実況

「!?」

 

レッド

「これはっ!?」

 

イエロー

「今までゴルダックが戦ってたのは、【身代わり】のフシギバナだ!

最後の最後に油断するまで機を伺ってたんだよぉっ!!

これでお仕舞いだぜ…【身代わり】と【ソーラービーム】が生み出した技。"偽りの陽射"《ファクティス・サンシャイン》!!」

 

ゴルダック

「!!」

 

パープル

「…そんな。俺が負けるのかよぉっ!!!」

 

ゴルダックは直撃し、戦闘不能に。

 

グリーン

「あ…あ…。

あんなギリギリの状況下で【身代わり】だと!?」

 

オーキド

「しかも本体はゴローニャの【穴を掘る】で空いた穴に潜んでいたなんて!!」

 

グリーン

「(確かに、試合終盤での【身代わり】は盤をひっくり返す…。)」

 

グリーンはサカキと戦った時のガルーラを思い出した

 

実況

「訂正いたします…。

勝者はイエロー選手!よって、決勝はレッド選手対イエロー選手となりますっ!!」

 

パープル

「くそぉぉっ!!

俺が…、俺が勝ってたのに…、くそっ!!」

 

悔しさのあまり、その場に崩れ、立ち上がれないパープル

 

イエロー

「くっ…!!…うわあぁぁっ!!」

 

イエローは頭を抱えながら一目散にその場を去る

 

実況

「どうしたんでしょう、イエロー選手!?

と、取り敢えず、準決勝はこれにて終了です!

決勝は一度フィールドを掃除してから行いますので、ナイターゲームとさせていただきます!!」

 

トイレに駆け込んだイエローは顔に水をぶっかけ、正気に戻っていた

 

イエロー

「僕は…なんて事をしてしまったんだ!

パープルさんのポケモンを…、僕の大切な仲間をっ!!」

 

準決勝はイエローの思いもよらない勝利で幕を閉じた

決勝に向け、不安な風が吹く



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セキエイ大会~揺らぎ~

決勝の組み合わせはレッド対イエローに決定した
だが、イエローの様子に会場はどよめいていた


その頃…、トイレでは蛇口から勢いよく流れる水の音が鳴りっぱなしだった

そこへゆっくりと扉が開き、レッドが顔を覗かせる

 

イエロー

「レッド…さん?」

 

レッド

「これでも飲んで気持ちを落ち着かせな?」

 

ミックスオレを投げ渡す

 

イエロー

「えっ?」

 

レッド

「いいからっ!まずは整理するんだ。喋るのはそれからでいいさっ!」

 

イエローは、それをゴクリと一口喉に通す

 

イエロー

「あのぉ…決勝戦、お互い頑張りましょうね!?」

 

レッド

「…そんな事を聞きに来たんじゃない。

俺は、お前の身に何が起きてるのか全く知らない…、心配なんだよっ!

よかったら話してくれないか?」

 

イエロー

「はい…。」

 

イエローは包み隠さず、事情を話した

抑えられない感情、制御できない自制心…、何もかもを。

 

レッド

「そういう事だったのか…。」

 

イエロー

「分かっているんです、このままじゃいけないことも!!

でも、どうしようもないじゃないですかっ!!

…気がつけば、目の前にいるのはボロボロになった僕のポケモン。

無茶な戦いをさせてしまったのも、全部自分の責任だって分かってるのに…。

僕の心と体が1つにならないんです!」

 

レッド

「なぁんだ、そこまで理解してるんなら迷う必要はねぇよ!!」

 

イエロー

「…え?」

 

レッド

「今のお前は、ポケモンを思いやりすぎるんだ…!

ポケモンを傷つけちゃいけない、安心安全で丁寧なバトルを求めすぎてるんじゃないか?

だから、もう一人の人格…つまりは勝利だけを思うお前の人格がそれを許さねぇんだよ、きっと!」

 

イエロー

「僕自身が、僕の邪魔をしていた…?」

 

レッド

「あぁ!んで、心優しいお前はもう一人のお前に気持ちを全て委ねちまい、顕にさせることで結果、戻った時に今のお前が納得のいかない試合になっちまうんだ!」

 

イエロー

「じゃあ…、どうすれば!?」

 

レッド

「悪いが、これ以上は俺の口から言えねぇよ。

今、お前は自分自身に課せられた試練の中にいる。それを自分で乗り越えなければならないし、他人を頼りすぎちゃいけねぇ。

俺は、ヒントを与えるだけだ!笑」

 

イエロー

「僕が答えを出す…。」

 

レッド

「へこたれるなって!!

俺だって、ここに至るまで何回も大きな壁にぶつかってきたさ!

…でも、それを乗り越えた時、成長できた。

それなら、お前だって乗り越えれば必ず強くなる!!って事だ、じゃ俺は入場ゲートに行くわ!」

 

イエロー

「(いつもレッドさんやグリーンさんの後ろをついてばかりいた僕が、あと一歩で追い越せる所まできてるような気がするんだ…!

ここを乗り越えなければ、僕は一生憧れの方を越えることなんてできない…!!)」

 

レッド

「あっ!後な、俺は勝ちにこだわるお前でも、優しすぎるお前でも、どちらで挑んでこようが本気で相手になるから…なっ!!

ただ、欲を言えば…"素直"なお前と闘いたいってのが俺の気持ちだ!」

 

そう言い、レッドはトイレから出ていった

 

イエロー

「素直な…僕?

(僕は、共に過ごした仲間と一緒に試合を楽しみたい!そして、レッドさんを…!!)」

 

イエローは洗面器の鏡で自分を見つめ直し、平手で"バチンッ"と気合いを入れ、飲みかけのミックスオレを一気に飲み干した

 

一方、入場ゲート付近…

頬にくっきり涙の跡を残した一人の男が立っていた

 

レッド

「よぉ、最後まで観てたぜ…パープル。」

 

パープル

「はぁあ~!めっっっちゃ悔しいぜ~っ!!!

決勝で強くなったレッドと闘いたかったのになぁ。」

 

しばらく無言の状況が続き、パープルは会場出口に向け、歩き出す

 

レッド

「観ていかねぇのか?」

 

パープル

「観た所で俺には何の得にもならねぇしよぉ、まぁた涙が浮かんできちまうっての!!

それなら、いっそ1分1秒無駄にしないで、今からすぐにでも修行して強くなってみせるぜ!」

 

レッド

「そうか…、それなら止めねぇよ。

なら最後に一言だけ、いいか?」

 

パープル

「何だ?」

 

レッド

「俺が今ここに立ててるのは、紛れもなくお前のおかげだよ。

あの時、お前に負けていなかったらここに俺はいねぇ…、感謝してる!」

 

パープル

「真顔でお礼なんてすんなよ、恥ずかしいだろ!」

 

レッド

「またバトルやろうぜ?俺はいつでもマサラタウンで待ってるからよ!…なっ、ライバル!?」

 

パープル

「…っ!!…あったりめぇだよ!!

決勝、絶対勝ってこいよなっ!!」

 

レッドは入り口へ…

パープルは出口へ…また、1人のトレーナーの大きな挑戦に幕が閉じた



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セキエイ大会fin~先輩VS後輩!!~

様々なトレーナーの思いが交錯したセキエイ大会
遂に、決勝戦が始まる


選手入場のアナウンスを待つレッド

そこへ大慌てで駆けつける大会専属女医さん

 

レッド

「…間に合いましたか?」

 

女医

「それが、思った以上に損傷が大きくて、まともに戦えないかと…。」

 

レッド

「そうですか。」

 

実は、準決勝での対マルマイン戦での"誘爆する地雷"によって被爆したサンダースの傷が癒えておらず、ずっと回復してもらっていたのだ

 

レッド

「お世話になりました!後はこっちで何とかするんで!

(…とは言うものの、決勝は6対6。

サンダースが欠けるとなると、心配だがアイツを投入するしかないな。)」

 

キッと前を向き、決意を固める

 

レッド

「(グリーン、博士、ワタルさん、パープル、歌美…そして俺を信じてついてきてくれた仲間達!

1人じゃ何もできない俺をいつも支えてくれた皆に感謝してる…。

この大会で、俺は頂点に立ってみせるっ!!)」

 

そして、その刻は訪れた

 

実況

「今年のセキエイ大会も残すは1試合のみとなりました!

だが、その1試合は今までのどの試合よりも重みが違う!!

今年最っ高の闘いを私達に見せてくれっ!!

決勝戦…レッド選手、イエロー選手、入場!」

 

観客が一斉に沸く

 

イエロー

「レッドさん…、僕の念願の戦いだ。あなたとポケモンを通じて交わることで、自分の中の何かが変われそうな気がするんです!

だから、情けなしでお願いします!!

僕は全力のあなたを超えなければ意味がないっ!!」

 

レッド

「昔のお前と比べると、本当見違えるくらい逞しくなったよ。

後は、お前が抱える問題を解決できりゃあ言うことなし…だな!?」

 

イエロー

「…はいっ!!」

 

レッド

「俺も背負うもん背負ってるんだ。相手が可愛い後輩だからってみすみす勝ちを譲る程優しくないぜ、俺は?

だから…、言われなくても情けはかけねぇっ!!いくぞ、イエロー!!」

 

イエロー

「(緊張は…してない!)

トップバッターはフシギバナ、君に決めた!」

 

レッド

「俺はピジョットだ!!」

 

イエロー

「(レッドさんは初手で接近戦を仕掛けてくる確率が高いっ!)」

 

レッド

「【電光石火】で先手を打つんだ!」

 

イエロー

「やっぱり!!フシギバナ、【突進】で迎え撃て!」

 

レッド

「(俺の攻撃パターンを読んでの【突進】か!?)

だったら…、ピジョット、回避しながらフシギバナの後ろをとれ!」

 

突っ込むかの様に見せたピジョットはスーっとフシギバナの横を通りすぎる

 

イエロー

「何っ!?」

 

レッド

「ここで"砂塵の暴風嵐"だ!!」

 

砂の嵐に巻き込まれてしまうフシギバナ

 

グリーン

「これで、フシギバナお得意の粉技…つまりは"永久侵犯・毒裁の法"を封じたっ!!」

 

オーキド

「うむ…、じゃが…」

 

ピジョット

「!?」

 

何やら手応えが無いかの様な表情を浮かべるピジョット

その時、地面下から巨大な花が現れた

 

イエロー

「もらいましたよ…、"偽りの陽射"!!」

 

レッド

「(この段階で発動するのか!?

くそっ、【身代わり】は体力を大幅に削って使う技。試合の序盤でまさか使ってくるなんてな…。)

避けろ、ピジョットっ!!」

 

必死に回避しようとするピジョットだったが、既に射程距離内に入っていた為、喰らってしまう

吹き飛ばされるピジョット

 

実況

「イエロー選手の大胆な作戦にはまってしまったレッド選手!

ピジョットは果たして立ち上がることができるのかぁーっ!?」

 

レッド

「まだだ…、ピジョット、信じてるぜ?これまで幾度となく俺のピンチを助けてくれたお前がこれくらいじゃ倒れないってことを!!」

 

ピジョット

「…!」

 

ピジョットはレッドの目を見て、合図をする

 

レッド

「お前、あの技を使うのか!?

だが、あれは…」

 

ピジョット

「!!」

 

甲高い【鳴き声】で闘魂注入するピジョット

 

レッド

「分かったよ。無茶はしないでくれよな。じゃあ、やるぜっ!?

【高速移動】と【翼で打つ】から織り成す飛行タイプ最速のEB!!

"瞬目の嵌入"《アッティモ・プテリュクス》マッハ1!!」

 

イエロー

「ピジョットが…消えた!?」

 

レッド

「消えたんじゃない、超高速で移動してるんだ。

そして…」

 

フシギバナ

「…っ!」

 

何か痛みを感じたフシギバナ

そしてそれはあらゆる方向から襲いかかった

 

実況

「ピジョットの素早い連続攻撃がフシギバナを苦しめている!?」

 

イエロー

「くっ…、【蔓のムチ】で捕まえるんだ!」

 

しかし、マッハ1で移動するピジョットを捕らえる事などできるはずもなかった

 

イエロー

「ここは、【我慢】で凌ぐしかないっ!!

とにかく耐えてくれ、フシギバナ!!」

 

レッド

「(今ここで倒さなければ、【我慢】のツケが回ってきちまう…!!)」

 

その意図を悟ったかのように、ピジョットはさらに速さを上げる

それは同時に技自体の威力を上昇させた

 

レッド

「(ピジョット…、お前自分で、マッハ2に!?だが、これ以上は体に負担がかかりすぎる!

頼むからこれで仕留めてくれっ!!)」

 

イエロー

「後少し…、後少しでピジョットも疲れ果てるでしょう。

フシギバナ、ここは我慢比べだ!

君の防御力を魅せつけるんだ!!」

 

実況

「ここまで受けて、尚倒れない!!

ピジョットも限界かっ!?」

 

レッド

「(限界…。)」

 

ピジョット

「!!!」

 

息も絶え絶えのピジョットがありったけの雄叫びをあげ、レッドに喝をいれる

それはピジョット最後の覚悟でもあった

 

レッド

「(マッハ3!?修行でもやったことないのに…!!)」

 

だが、ピジョットはやるつもりだ

決勝はそれくらいの覚悟をしなければ勝ち残れないということを伝えたかったのだ

 

レッド

「本当、助けられてばっかりだな俺は!!

やれるかどうかじゃねぇ…やってやれ、マッハ3!!」

 

イエロー

「さらにスピードが!?

もうフシギバナも…。」

 

レッド

「渾身の一撃を喰らわせてやれぇーっ!!」

 

イエロー

「解放するんだ…【ソーラービーム】!!」

 

最速の軌道に乗ったピジョットが放つ"瞬目の嵌入"がフシギバナの急所を突き、エネルギーの溜まった【ソーラービーム】がピジョットを飲み込んだ

 

実況

「彼等は魅せてくれます…。

これが決勝、これが頂点を狙うトレーナー同士の合いだっ!!

両者、戦闘不能ぉぉっ!!」

 

レッド

「よく頑張ってくれたな。

後は俺の勝利を待っててくれ。

やっぱりお前のフシギバナは強いぜ!

だけど、これで早々に相棒を失ったな、イエロー!…イエロー?」

 

イエロー

「これだよ、俺が待ち望んでいた戦いはっ!!

やるか、やられるか瀬戸際の…今の俺と張り合えるのは、やはりレッドさん、あなただけだっ!!」

 

レッド

「お出ましになったか…。」

 

イエロー

「さぁ、もっと楽しんでいきましょうよっ!?」

 

い、嫌な予感…!?



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セキエイ大会fin~1が無理なら?~

レッド

「それが、お前の言ってた二重人格か?

いかにも勝ちに飢えた面してるなぁ。」

 

イエロー

「人の事はどうだっていいんじゃないっすか?

キングラー!!」

 

レッド

「そうだな…、さっきも言ったが俺はお前の身に何があろうと全力でぶつかってやる!ニョロボン!!」

 

イエロー

「【ハイドロポンプ】っ!!」

 

レッド

「こっちも【ハイドロポンプ】だ!!」

 

激しくぶつかり、周りに水飛沫が飛ぶ

 

レッド

「【のしかかり】で潰すんだ!」

 

イエロー

「【硬くなる】で防いで、押し返せ!!」

 

レッド

「(あのキングラーの防御は一筋縄ではいかないか…。

だからといって、用心深くいかないと、鋏で一撃を喰らっちまうな。)」

 

イエロー

「ほらほら、来ないんならこっちから行きますよぉっ!?

キングラー、【クラブハンマー】!」

 

グリーン

「マズイっ!【クラブハンマー】はキングラーの攻撃の要!!

しかも、イエローのキングラーはEBにも繋げれる万能タイプ…。

レッド、どうするっ!?」

 

レッド

「ニョロボンがただ、水ぶっ放すだけのポケモンだと思うか!?

チャンピオンロードで多くのポケモンと闘い、拳を受けることで身に付いた根性技…【カウンター】!!」

 

強力な鋏を両手でガシッと掴み、頭上で堪える

 

実況

「あの一撃を止めたーっ!!

これは、まさしく真剣白羽取りそのもの!!」

 

レッド

「さらに【カウンター】は倍にしてダメージを返す!

ニョロボン、キングラーを投げ飛ばせ!!」

 

ニョロボン

「…っ!」

 

レッド

「どうした、ニョロボン!?」

 

ニョロボンの額からは汗が出ている

 

実況

「これはニョロボン、一体どうしたのでしょう?

キングラーに倍返しできないでいるみたいが…?」

 

オーキド

「…【クラブハンマー】の威力が、【カウンター】そのものを破壊しようとしておるのか!?」

 

イエロー

「ふっ…、【カウンター】如きじゃあ、キングラーの【クラブハンマー】は返せれないさ!

そろそろ決めよう…"1万馬力の鉄槌"!!」

 

そこから、再び大きく振りかぶるキングラー

しかし、そこに少しの間が生じたのをレッドは見逃さない

 

レッド

「ニョロボン、ここは素直に間合いをとれ!

今のままじゃ、やられ損だっ!」

 

ニョロボンは悔しそうな顔をしていたが、レッドの命令に従い、ギリギリで避けた

 

イエロー

「…見事な判断!」

 

レッド

「まぁな。(…だが、どうするっ!?

俺の唯一のキングラー対策が破られた今、策は無い。

考えろ、時間はないっ…!!)」

 

その時、レッドの脳裏に幼い頃の記憶が甦った

 

ーーー

 

オーキド博士の研究所

 

オーキド

「ほれほれ、さっさと仕事を済まさないと、ポケモン達と触れ合う時間が減ってくぞ?」

 

グリーン

「…ったく、人使いが荒いんだからぁ。

歳とってるのをいいことに、俺達にモンスターボール運びの労働させるなんてっ!」

 

レッド

「退屈~。」

 

グリーン

「レッドもサボってないで手伝えよぉ!」

 

イエロー

「2人共、文句言っちゃ駄目…じゃないかな?

ポケモン持てない僕達に、ポケモン貸して勝負させてくれるんだから、これくらいの恩返しはしないと…。」

 

グリーン

「イエロー、お前は本当に優しいのな?いや、優しすぎだぜ?」

 

レッド

「そうだぜ、たまには不満の1つこぼした所で、神様も怒らねぇよ?

あ~、退屈~ってな。」

 

グリーン

「だからって、お前は休みすぎだ!!」

 

イエロー

「…。」

 

レッド

「それにしても多いなぁ。

こういうのは1つにまとめて、一気に持ってくのが、利口ってもんだ!

よっこら…って、うわわっ!!」

 

グリーン&イエロー

「危ないっ!!」

 

たくさんボールを詰め込んだ箱を2人が支える

 

グリーン

「こんなに入れたら、危ねぇだろうがっ!」

 

イエロー

「でも…、こうやって重たい物でも3人で運べば一度にたくさん持っていけるね!」

 

グリーン

「おぉっ、頭いいなぁ、イエロー!」

 

レッド

「俺もそうやって言おうとしたんだ…ぜ?」

 

ーーー

 

レッド

「(そうかっ、重たい物でも複数なら…!!)」

 

イエロー

「次で最後だ…"1万馬力の鉄槌"!!」

 

レッド

「させるかよ、ニョロボン、【影分身】!そこに【カウンター】を加えた新EB…"三幻身の返し"!!」

 

3匹のニョロボンが鋏を受け止め、今度こそキングラーに倍返し…いや、3倍返しをする

 

イエロー

「…キングラーのEBが!!

だが、まだキングラーに体力は残っている!!」

 

レッド

「そのまま投げ飛ばせ!!」

 

グリーン

「レッドの奴、まだ何かする気かっ!?」

 

空高く投げ飛ばされたキングラー

地上からかなり距離がある

 

実況

「これは、受け身がとれるのか!?」

 

レッド

「受け身なんてさせねぇよ!

ニョロボン、分身2匹を使ってジャンプしろ!!」

 

分身体が腕を組み、ジャンプ台を作る

 

レッド

「この高さからなら痛いじゃ済まないぜ!?【地球投げ】だっ!!」

 

上空から一直線に地面に叩きつけられたキングラー、戦闘不能

 

イエロー

「やるな…。

あの場面で、あの発想を思いつくとは。

…血が騒いじゃうじゃないですか。

けど!1匹倒したくらいで安心してちゃあいけないですよ?」

 

レッド

「安心?そんなもんしてねぇよ。

お前とやりあう前から…。この決勝の舞台に立った時から、気を引き締めてるつもりだ。」

 

イエロー

「そうですか、そりゃ失礼。

ケンタロス!!」

 

実況

「イエロー選手の3匹目はケンタロスだ!今回もこのフィールドを暴れ回ってくれるのかぁ!?」

 

イエロー

「【突進】!!」

 

レッド

「闇雲に突っ込んできた所で、今のニョロボンには勝てねぇぞ!?

"三幻身の返し"っ!!」

 

ケンタロスは自慢の角を止められ、地面を蹴るも、3対1…前には進まなかった

 

レッド

「そのまま、吹き飛ばせ!!」

 

イエロー

「(3対1のこの状況、さらにはあのニョロボン1匹ずつの戦闘力が高いとなると…)

レッドさん、あなたの策…そのままいただくとしますよ。

ケンタロス、【影分身】!!」

 

レッド

「なっ、何だよ…、この数はっ!?」

 

ざっとその数、30匹

ケンタロスでフィールドは埋め尽くされた

 

実況

「これはお返しと言わんばかりの【影分身】かっ!?

レッド選手、大ピンチだぁーっ!!」

 

3対30という天と地程の差がある戦闘力に、レッド、どうする!?




遅くなりましたが、ポケモン20周年おめでとうございます!
いつも読んでくださってる方々へ…。
また、この1話だけでも見てくださった方々へ…。
自分も1人のポケモンファンとして、不定期ではありますが、頑張って書いていきますのでよかったらこれからも読んでいってください!


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セキエイ大会fin~開花!~

ケンタロスの【影分身】がレッドとニョロボンに襲いかかる


レッド

「多すぎだろ…、サファリパークかよ!!」

 

イエロー

「掛かれ!【突進】」

 

レッド

「やるしかねぇよな、ニョロボン、【白い霧】で視界を悪くしろ!!

一体一体を確実に倒していくんだっ!」

 

ハッキリと見えない中、痛烈な…体と体がぶつかるような音だけが、レッドとイエローの耳に届く

 

やがて霧が晴れると…

 

実況

「おっと!ケンタロスの数がかなり減っているぞ?」

 

イエロー

「ここまで減らされるとは…。」

 

ケンタロスは残り3匹

対するニョロボンの数は…1匹!

 

レッド

「よくやったな、ニョロボン!

あの中に本体がいる訳だが…。

本体を倒せば分身も解ける!!

確実にその1匹を見抜いて、無駄な戦闘は避けるべきだ!!」

 

イエロー

「【捨て身タックル】でニョロボンを戦闘不能にさせるんだ!!」

 

レッド

「(最初から本体を突撃させるとは思えない…。)

そいつは、無視だ!!避わして、2匹に向かえっ!」

 

イエロー

「来たかっ!【踏みつけ】!!」

 

レッド

「受け止めろ!ここが正念場だ!!」

 

最後の力を振り絞り、ニョロボンは【踏みつけ】を止める

だが、もう1匹のケンタロスの【踏みつけ】がニョロボンに狙いを定める

 

レッド

「(もう1匹も来たな!?)

そいつに向かって、ケンタロスを投げつけろ!!

さらに【ハイドロポンプ】で追撃だ!」

 

2匹はダメージを受け、倒れる…

 

グリーン

「やったか!?」

 

イエロー

「残念でしたねっ!?あなたの読みはハズレだ!!

ケンタロス、【怒り】!」

 

ニョロボンは背後から一撃を喰らう

 

レッド

「なっ…、最初のあいつが、本体だったのか!?」

 

イエロー

「騙すのって、壮快な気分だぜ。」

 

レッド

「ありがとう、ニョロボン。

次のポケモンは、フシギソウだ!」

 

イエロー

「ケンタロス、戻って少し休んでな!今のお前じゃ足手まといだ。」

 

レッド

「(イエロー…!)」

 

イエロー

「ピカチュウ、行けっ!!

【10万ボルト】!!」

 

レッド

「フシギソウ、ここは凌いで【ソーラービーム】の発射用意だ!」

 

イエロー

「ピカチュウ、お前も電気を溜めろ…、ここから一気に畳み掛けるぞ。」

 

レッド

「発射っ!!!」

 

イエロー

「【雷】で迎え撃て!」

 

技の威力は互角

さらに、その爆風からピカチュウが飛び出してくる

 

イエロー

「"帯電する流星"!!」

 

グリーン

「あれは…、俺やパープルも手を焼いたEBっ!!」

 

レッド

「それなら、こっちは【リフレクター】で防御するまでだ!!」

 

オーキド

「おぉっ、あれなら直接触れることもなく、技を防げる!」

 

イエロー

「へぇ~、あなたのフシギソウは【リフレクター】なんて特殊な技を持ってんのか。

なら、力ずくでもその盾を木っ端微塵にしてあげますよぉっ!?

ピカチュウ、【電気ショック】と【叩きつける】をMixしろ!"帯電する尻尾"《チャージ・ザ・テイル》!!」

 

レッド

「そんなのもあんのかよ!!

フシギソウ、【リフレクター】!」

 

実況

「ただでさえ威力のある【叩きつける】に電気という火力が増した分、想像を絶するEBへと変貌を遂げたぞ!?」

 

グリーン

「さすがの【リフレクター】でも、このままじゃ…。」

 

そして、グリーンの予感は当たり、【リフレクター】は壊されてしまう

攻撃は貫通し、フシギソウに直接ダメージが与えられた

 

フシギソウ

「…っ!」

 

レッド

「まだ、お前に倒れてもらっちゃあ困るぜ。

もう一仕事、いけるか?」

 

フシギソウ

「!」

 

レッド

「よく言った!

これを使ってくれ…、傷薬に麻痺治しだ。

万全な状態じゃなきゃ、いざというとき足元をすくわれちまうからな!」

 

イエロー

「かなりの手傷を負ったみたいですけど…、無茶させちゃっていいんですか?」

 

レッド

「そうだな…。確かに無茶はさせちまってるかもしれねぇ。

…でも!俺の一方的な押しつけはしねぇ。

なるべくポケモンへの最良の方法は取るし、何よりお互い意思疏通してから…前線に立たせることにしてるんだ!

まぁ、今のお前に言っても納得できないことだと思うけどな…。」

 

イエロー

「…。」

 

レッド

「だから、お前にも気づいて欲しかった。

でも、やっぱり…」

 

イエロー

「あぁーっ、説教なんてよしてくださいよ!!

ピカチュウ、"帯電する尻尾"!!」

 

レッド

「もう1度【リフレクター】だ!」

 

イエロー

「同じことの繰り返しですか?

だとしたら、あなたの頭はマンキー以下だ!」

 

レッド

「だから言ってんだよ。自分のポケモンの事を…。

敵だけ視るんじゃなくて、まずは仲間を視ろって!!」

 

オーキド

「まさかっ!?

電気が弱まっている…。電力を消費しすぎたのか?」

 

レッド

「さっきから何発も何発も、電気タイプの技やEBを発動してたからな。

最初に蓄積してた分はすっからかんに無くなってたんだよっ!!

フシギソウ、"ジキタリスの刃"で反撃だ!!」

 

ピカチュウはもろに受ける

さらに毒に侵され、体力も急激に減っていく

 

イエロー

「何してんだ!さっさと毒消し飲んで…」

 

レッド

「遅いぜ、【突進】!!」

 

ピカチュウは壁に激突し、倒れてしまった

 

レッド

「そろそろ戻らないと、仲間がどんどん倒れてくぞ?」

 

イエロー

「くそっ…嫌だ、嫌だよ。

僕のポケモンがやられるのは…。

ハァ、でも…俺がやられるのはもっと嫌だっ!!

バタフリー、お前の出番だ!!」

 

実況

「相性は互いに苦手なタイプじゃないでしょうか?」

 

イエロー

「ところがどっこい、俺のバタフリーにはフシギソウの弱点を突く技がある!…【サイケ光線】っ!!」

 

レッド

「エスパータイプの技か。

避わして、【蔓のムチ】!!」

 

イエロー

「【痺れ粉】を撒け!!

さらに、【吹き飛ばし】でムチを寄せ付けるな!」

 

オーキド

「攻撃を回避するのと同時に【痺れ粉】をも巻き込み、辺りに拡散させる…、巧みなやり口じゃ。」

 

グリーン

「だけど、フシギソウは草・毒タイプ。【痺れ粉】も効かないんじゃねえか?」

 

オーキド

「一概にはそうとも言い切れない。粉が身体中に付着すれば、耐性なんて関係ないんじゃ。

それでも、粉というのは風ですぐに流されるもの…。」

 

歌美

「じゃあ、エスパー技さえ気にしていれば問題ないじゃない!

やっぱりレッドの方が優勢ねっ!?」

 

イエロー

「ここで1つ、観客達の度肝を抜くようなものを披露してあげるとするか…。

どうやら、この蝶の美しさを解ってないようだからなっ!!

さっきの【痺れ粉】に【念力】を組み合わせろ!

嘘か真か、時よ止まれ…"胡蝶ノ夢"《クム・フーディエ》っ!!」

 

レッド

「何だ?何か変化でも…」

 

グリーン

「…っ!!気づけ、レッド!

粉が…地面に落ちていないっ!!

【念力】の能力で浮遊させてるんだ!

このままじゃあ、フシギソウは粉まみれだぞっ!?」

 

レッド

「しまった…!!

(さっき使った麻痺治しで持ち合わせた分がラストだ!)」

 

イエロー

「これでフシギソウは麻痺状態!

避けれないぜぇ?【サイケ光線】!」

 

レッド

「発動してくれっ、【リフレクター】!!」

 

実況

「レッド選手、頼みの綱である【リフレクター】が、ギリギリ発動しましたが…っ!?」

 

フシギソウ

「っ!?」

 

イエロー

「麻痺してるからなぁ。

長くは持続できない!やれぇぇっ!!」

 

フシギソウに効果抜群!

 

レッド

「フシギソウ!!

立ってくれっ!この戦いで完成させるんだ…、お前の絶対防御を!!

だから、ここで諦めないでくれぇーっ!!」

 

その時、フシギソウの体が眩い光を放つ

 

オーキド

「あれはっ!!」

 

レッド

「この日を待っていたぜ…、期待に応えてくれてありがとな…フシギバナ!!」

 

瀕死の刹那に訪れたフシギバナへの進化

ここから巻き返しだ!



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セキエイ大会fin~最強の矛、最強の盾~

長い月日を経て、進化を遂げたフシギバナ
そして、レッドが発した'絶対防御'とは!?


レッド

「いけっ、【葉っぱカッター】!!」

 

イエロー

「数が多けりゃいいってもんじゃないんですよっ!?

バタフリー、【吹き飛ばし】!!」

 

だが、イエローは見えていなかった

無数の葉で視界が邪魔されていたが、その中に隠れたフシギバナがいることを…

 

レッド

「【突進】!!」

 

バタフリー

「!!」

 

イエロー

「進化したからって調子づかせる訳にはいかないぜ!

麻痺は治っていないんでしょ?次の【サイケ光線】で終わりだっ!」

 

レッド

「感じないのか…?聴こえないのか…?

森がざわめいているのを。」

 

イエロー

「?」

 

レッド

「いかなる矛をも阻む不壊の盾となれ…【成長】と【リフレクター】から構築される絶対防御、"アイギスの盾"!!」

 

不思議な事に、【サイケ光線】はその盾に吸い込まれていく

 

オーキド

「どういう事じゃ!?

【サイケ光線】が弾かれるのではなく…、吸い込まれた?」

 

レッド

「この盾はフシギバナ自身が採り入れる自然のエネルギーから作り出され、敵の技を吸収し、それを再び自然へと返す仕組みからできている。

簡単に言えば、吸収と返還の関係性だ。」

 

イエロー

「これが…、絶対防御。」

 

レッド

「そう、そしてフシギバナの状態には影響されないからな!

これで詰み…だな。」

 

イエロー

「詰み?詰みっていうのは他に手がないことを意味するって知って言ってるんですか?

俺は諦めねぇぞ、押して押して押し通す!!

バタフリー、最大出力の【サイケ光線】だ!!!」

 

レッド

「(その心意気、イエロー…お前っ!?)

へへっ、お前の本気にぶつかってやる!

フシギバナ、渾身の【ソーラービーム】っ!!」

 

実況

「相性ではやはり、バタフリーが有利かのように見えたが…、果たして!?」

 

爆風の中に見えたのは…

 

イエロー

「中々やるじゃないですか、引き分けとはね。」

 

レッド

「互いの全開が衝突したんだ。

…無事じゃねぇことは承知だよ。」

 

実況

「この結果により、残るポケモンはレッド選手3匹、イエロー選手がケンタロスを含む2匹となりました!」

 

イエロー

「ケンタロス!!」

 

レッド

「おれの4匹目は…カブトプスだっ!」

 

イエロー

「体力が少ないのは分かってる!だったら、それを逆に利用するまでよっ!!"トランス状態・モード闘牛"!!」

 

レッド

「手がつけられない暴れ牛…!

だけどな、切り崩すのは案外簡単だったりするんだぜ?

カブトプス、【冷凍ビーム】を地面に放て!!」

 

実況

「地面が凍っていくぞ?

…これはっ、アイスリンクが出来上がっていくーっ!!」

 

ケンタロス

「!?」

 

勢いよく突進してきたことが仇となり、ケンタロスは足を滑らせ壁におもいきり頭をぶつける

 

イエロー

「起き上がれ、ケンタロス!

このまま役に立たないのは赦さないぞっ!?」

 

レッド

「イエロー!そいつは限界だ!!

これ以上続ければ、ケンタロスは2度と…」

 

イエロー

「あなたに勝つ為なんだよっ!

ここまで来たのに、負けたら全てが無意味じゃないっすか!!

それなら多少の無茶をしてもっ…!

ケンタロス、【怒り】のボルテージを上げろ!!"モード闘牛V2"だっ!!」

 

ケンタロスは大きく咆哮し、眼を剥かせカブトプスを睨む

それに畏縮してしまい、動けないカブトプス

 

レッド

「しっかりしろ、カブトプス!

俺がついてる…、【居合い斬り】で迎え撃て!!」

 

カブトプス

「!!」

 

上手に流し、斬りつけるもケンタロスは倒れずに向かってくる

 

イエロー

「どっちが先に倒れるかな?」

 

レッド

「(くっ…、中途半端な攻撃じゃ止まってくれないか。)

カブトプス、"古代の剣"!!」

 

威力の高いEBで応戦するカブトプスだったが、暴走特急のようなケンタロスはそれをも跳ね飛ばす

 

レッド

「カブトプスっ!!」

 

当たりどころが悪く、カブトプス…戦闘不能

 

レッド

「戻って、ゆっくりしててくれ。

(もう、こうなったら俺の秘密兵器を出すしかないな。

頼むから、言うこと聞いてくれよ!)

お前がこの流れを断ち切ってくれ、ゲンガー!!」

 

レッドの5匹目は何とゲンガー!

だが、このゲンガー…、何やら訳ありなようだが?



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セキエイ大会fin~ケンタロスを止めろ!~

オーキド

「ゲンガーか…、確かに奴なら何とかなるかもしれん。」

 

グリーン

「それにしてもレッドの奴、修行…頑張ってたのがひしひしと伝わってくるぜ。

1年前まで、どこか抜けたような感じがあったポケモン達が一回りも二回りも見違えるぐらいに成長してる!」

 

オーキド

「お前も口だけ達者なままだと、レッドに差をつけられてしまうぞ?」

 

グリーン

「分かってるっての!!」

 

ゲンガーは落ち着きがない様子で、観客席の方をキョロキョロと見る

 

レッド

「…ったく、皆お前の事を観てるから!!

(こいつは人前に出ると自意識過剰な性格がでちまうからなぁ。これが吉と出るか凶と出るか…。)」

 

イエロー

「いけっ、【捨て身タックル】!!」

 

レッド

「(もうケンタロスは虫の息…のはずなんだが…。

イエローの命令に忠実に従っているってことは、暴走してる事もあるが、基よりあいつらの絆が深いってことを示唆している!

ここは、ケンタロスの健闘を讃えて安らかに倒すのが筋かもな。)

ゲンガー、【催眠術】!!」

 

しかし、ゲンガーはレッドの指示を無視して突っ込むケンタロスの背にヒョィっと乗って、乗馬…いや、乗牛?を始めてしまった

 

観客

「何だ?あのゲンガー、面白いこと始めやがったぞ!?」

 

観客

「いいぞ~っ!もっとやれ~っ!!」

 

観客席から野次が飛ぶ

それに調子づいたのか、ゲンガーはマタドールの様にケンタロスの前に立ち、構える

 

レッド

「はぁ~、やっぱ手懐けられねぇか。

ゴーストの時は、ちゃんと聞いてくれてたのに!」

 

ゲンガー

「!!」

 

向かってくるケンタロスに対し、ここで【催眠術】を使ったのだ

 

イエロー

「おふざけは終わり…ですか?

残念ですが、今のケンタロスには催眠だの念等の類いにかかる訳がない。」

 

【催眠術】の効かないケンタロスは【捨て身タックル】でゲンガーを吹き飛ばす

 

レッド

「ゲンガー!!だから言ったろ!?

たまには俺を信じてくれよ!パフォーマンス仕立てにしてやるからよ!!」

 

ゲンガー

「~。」

 

やれやれ、しっかりやってくれよ?と言ってる様だった

 

レッド

「お前なぁ…。」

 

実況

「トレーナーのレッド選手が手を焼いてしまっているが、ゲンガーはなついていないんでしょうか?」

 

グリーン

「…そんな訳ねぇよ。」

 

オーキド

「うむ、あれはゲンガーの一種の愛情表現みたいなもんじゃろ。

レッドは手持ちのポケモンと心を交わしておる…、いざとなれば、ゲンガーだってレッドの言うことを聞くじゃろ!」

 

イエロー

「(そろそろケンタロスも倒れるか…。

それなら、もう1撃…せめてゲンガーを仕留めるだけはしとかないとな。)

ケンタロス、さらにボルテージを上げろ!"モード闘牛V3"!!!」

 

レッド

「(念力が効かないなら、通常技に一工夫を加えてアレを止めなきゃな!

後、ちょっと格好よく…か。)

ゲンガー、【破壊光線】に【サイコキネシス】を混ぜろ!

"超念動力型可視光線"!!」

 

眩い光線がケンタロスの動きを止める

 

実況

「今っ、観客全員の視線はゲンガーに集まっている!!

そう!それはゲンガーの凄みに魅せられているからだっ!!」

 

イエロー

「(ただでさえ威力のある【破壊光線】に、エスパー系随一を誇る【サイコキネシス】を織り混ぜたEB…。これはさすがに…)」

 

ケンタロス、制止

ようやく、脅威だったケンタロスを倒すことに成功したレッド達

 

レッド

「残りは…1匹だな?」

 

イエロー

「俺の最後は…」

 

レッド

「イエロー?」

 

手に握られたボールを見つめ、ポケモンを出そうとしない

 

レッド

「おいおい、どうしたんだよ!」

 

イエロー

「出したく…ない。」

 

小さく震える声で発した言葉にレッドは戸惑う

 

イエロー

「今の僕が君を出したら…君との関係、思い出、全てを壊してしまうような気がするんだ…!

だから…出せない。」

 

実況

「イエロー選手?最後のポケモンを出してください!!」

 

イエロー

「レッドさんには申し訳ないんですが…この勝負、僕は…」

 

レッド

「ダメだ!!ここまで来て逃げちまうのか!?

また自分から逃げるつもりなのかよ?

そんな事してたら、一生変われねぇぞ!?」

 

イエロー

「本当…、情けねぇ事言いやがって。

後少しであなたを越えて、優賞できるってのに!みすみす降参する理由がねぇ!!

俺の最後は、初めから決まってたんですよ…ラプラス!!」

 

オーキド

「ラプラス!?」

 

グリーン

「初めて見たぜ。」

 

歌美

「あのポケモンが何だっていうのぉ?」

 

オーキド

「ラプラスは今や絶滅の危機に瀕しているポケモン。発見することさえ難しいと言われておる!」

 

イエロー最後のポケモンはラプラス!

珍しくも、かなり強そうなそのポケモンの実力は如何に!?



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セキエイ大会fin~篤き心をもつ相棒~

セキエイ大会も大詰め!
イエロー最後のポケモンは、ラプラス!!


イエロー

「【ハイドロポンプ】!!」

 

実況

「イエロー選手、いきなりの大技で果敢に攻めるぅぅっ!!」

 

レッド

「避わして、【舌で舐める】!」

 

イエロー

「【冷凍ビーム】で迎え撃つんだ!」

 

ゲンガーの方が近接攻撃を仕掛けた為に、ダメージを受けてしまう

 

レッド

「【ナイトヘッド】!!」

 

ラプラス

「!?」

 

レッド

「今、ラプラスは暗闇の中…。

ゲンガーの位置を把握できるか?」

 

イエロー

「これぐらいどうってことないっ!!ラプラス、【吹雪】っ!!」

 

オーキド

「【吹雪】は周囲を巻き込む技!

相手の場所が見えておろうが見えていまいが、お構い無しに攻撃するんじゃ。」

 

レッド

「くそっ…!暗闇の鉄砲ってのはこういう事か。

ゲンガー、まだやれるか!?【サイコキネシス】だ!!」

 

イエロー

「杳として知れない白銀の世界…【吹雪】と【白い霧】をMix!!

"嫡凍する白蓮華"!!」

 

フィールド一帯が雪化粧に覆われる

そして、ごく自然にゲンガーの体が凍っていく

惜しくも、ゲンガーは【サイコキネシス】を発動寸前だった

 

イエロー

「間に合ってよかったぜ…。」

 

実況

「おっと!あまりの美しさに目を奪われてしまいました。

私の瞳の奥までもが凍らされてしまっていたようです!

さぁっ、レッド選手もこれで残すは後1匹!!」

 

グリーン

「(レッド…、やるしかねぇぞ!!)」

 

レッド

「頼むぞ、リザードン!!」

 

イエロー

「それが、あなたの相棒。

今までのポケモンとは一線越えてるってのが伝わってくる…!

ラプラス、【ハイドロポンプ】!」

 

レッド

「【大文字】!!」

 

グリーン

「馬鹿野郎!!いくらリザードンでも、あのラプラスの【ハイドロポンプ】に炎技は…」

 

レッド

「…勝てる!」

 

激しい音が会場中に響き渡り、硝煙が立ち込める

 

レッド

「【炎の渦】を【メガトンパンチ】に纏えっ!!

お前の十八番となるEB…"紅蓮螺旋拳"!!」

 

突如として煙の中から現れたリザードンの一撃がラプラスの顔面にヒットする

 

イエロー

「何っ!?【ハイドロポンプ】を打ち破ってきただと!?」

 

レッド

「もういっちょ、片方の拳で"紅蓮螺旋拳"だっ!!」

 

イエロー

「(2発目は食い止める…!)

【リフレクター】!!」

 

ラプラスの前に盾が出現し、防ぐ

 

レッド

「なら…、リザードン、これを使ってパワーアップだ!!」

 

実況

「レッド選手が投げたのは…クリティカッターだ!!

と言うことは、リザードンはラプラスの急所を狙っている!」

 

レッド

「俺の狙いはラプラスじゃない。

その【リフレクター】だ!

クリティカッターを加えた【切り裂く】を受けきれるか!?"爪遺炎"!!」

 

ラプラス

「!!」

 

盾が破壊され、躰ががら空きになってしまったラプラス

連続して繰り出されるレッドとリザードンのEBに防戦一方のイエローとラプラス

 

イエロー

「距離をとるぞ!【波乗り】!!」

 

レッド

「おっと、リザードン空へ逃げろ!」

 

観客

「こんな戦い、観たことねぇよ。」

 

観客

「レッドとイエロー、これは歴史に残る一戦になるんじゃないか?」

 

グリーン

「(そう…、これがレッドとリザードン。多くのトレーナーと闘い、蓄積された経験があいつらを強くしたんだ!!)」

 

イエロー

「これで地面は失いましたね?

ラプラスの独壇場ってわけですよ。

今度はこちらが反撃する番だ、"嫡凍する白蓮華"っ!」

 

ラプラス

「…。」

 

イエロー

「おい!ラプラス、EBだ!!」

 

オーキド

「技が出ないのか…?」

 

グリーン

「技が出ないって?」

 

オーキド

「先程からイエローはEBにせよ、常時【ハイドロポンプ】や【吹雪】を多用しすぎた。

もしかすると、それが災いしてラプラスは今、バテてしまっとるのやもしれんのぉ。」

 

イエロー

「こんな時に限って…!!

ラプラス、俺は勝ちてぇんだよっ!」

 

その時、ラプラスは全身全霊を捧げ、独りでにある技を発動させた

その技は…、観客やレッド、リザードン、そして主であるイエローさえも癒し、夢を見せた

 

ーーー

 

イエロー

「これは…【歌う】?

どうして、こんな技を。

そういえば、お前の声を凝らして聴くのは久しぶりな感じがする…。

こんなにも温かい気持ちになるのはいつ以来だろうなぁ。

そうだ、あれはお前と出逢って旅を始めたての頃、1人の夜ってのが寂しくて、怖くて…。

そんな時に傍で子守唄の様に歌ってくれたのが、お前だったよな?お前がいると安心できた…、心が落ち着いた。

そんなにも優しくしてくれたのに、今の俺ってポケモン不孝だよな?

勝ちだけに拘りすぎて、一番大切なものを見失ってしまってたよ!

'俺の勝ち'じゃなくて、'俺達の勝ち'を手にするために、もう一度だけ俺にチャンスをくれ、ラプラス!!」

 

ーーー

 

イエローとラプラスは同調したかのように同時に目を開ける

 

イエロー

「レッドさん、僕、思い出しました!

僕がポケモン勝負に求めるもの…、ポケモンと一心同体となって、純粋に楽しく戦うという意思!!

それでも勝負であるが故に譲れない、諦めないという意志!!

ラプラスが思い出させてくれたんですっ!だから…遅くなっちゃったんですけど、ここからが僕達の本当の戦いです!」

 

レッド

「それでこそ、お前だよ!

これで、対等になった感じがするぜ。

それでも、勝つのは俺達だけどなっ!?」

 

イエロー

「大口叩いて負けても、後で八つ当たりとかしないでくださいよっ!?笑」

 

ポケモン図鑑にはこう記されている

ラプラスは人の言葉を理解する優しい心の持ち主である…と

 

こうしてラプラスの声で目を醒ましたイエロー

レッド・リザードンVSイエロー・ラプラスの真の最終決戦が始まる



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セキエイ大会fin~Two sides of the same coin~

遂にイエローは悩みの種を解決することができた
しかし、それは同時に彼本来の"強さ"が蘇ったことにもなる!
試合は互いに残り1匹!!


イエロー

「本当ならここで眠ったリザードンを【ハイドロポンプ】で撃ち落として勝ちってのが常識的なんですが…。

今回ばかりは、レッドさんと五分の形でやりたい!!

ましてや、散々迷惑かけたんだ。せこいやり方で勝ち逃げなんてのは、僕のポリシーに反する。

…って事で、コレ使ってください!」

 

レッド

「これは…、何でも治し。

分かったよ、ありがたく使わせてもらうぜ!!」

 

リザードン

「!」

 

レッド

「リザードン、今からが本番だと思え。気合い入れていくぞっ!!」

 

イエロー

「ラプラス、僕達もですよ!?

レッドさんを超えて、そして一番になりましょう!!【バブル光線】!!」

 

レッド

「【火炎放射】で燃やし尽くせ!」

 

イエロー

「(大技はここぞと思った時まで温存しておこう。

何よりリザードンのEBを受けすぎている…。まずは、手数打って隙をつくる!!)

ラプラス、【白い霧】!!」

 

レッド

「(この状況、フィールドが水で埋まっちまってるからなぁ、空からの攻撃に限定されちまったのが痛いぜ!)

リザードン、感覚を研ぎ澄ませるんだ!

どこから撃ってくるか分からねぇぞ!?」

 

イエロー

「【バブル光線】!!」

 

リザードン

「!!」

 

感覚だけで【バブル光線】をよけるリザードン

しかし、その計り知れない泡の数に撃墜されてしまう

 

イエロー

「手応えありですね!!【ハイドロポンプ】!!」

 

レッド

「ちっ…、少しでいいから軌道をずらすんだ、【炎の渦】を身に纏え!!」

 

オーキド

「リザードンは【炎の渦】を完璧に操っておる。

見た目によらず、かなり器用じゃな!」

 

レッド

「ダメージが入ったが、申し分ないぜ!!

霧も晴れてきた…、【メガトンパンチ】だっ!!」

 

イエロー

「(不利な状況下でも、一縷の可能性を捨てない不屈の精神!

この人に憧れて良かった…!!)

ラプラス、"嫡凍する白蓮華"!!」

 

実況

「出た~っ!!!

ラプラスの麗しきEB!いくら炎タイプのリザードンとはいえ、これには凍らされてしまうのかぁーっ!?」

 

レッド

「だと思うぜ?

ゲンガーとの戦いで一目見た瞬間に背筋も凍ったよ。

それでも攻略するのが、俺達なんだけどなっ!?

リザードン、【メガトンパンチ】はやめだ…、【火炎放射】に【怒り】を籠めろ!!"激昂する翼竜《フレイム・レディエイション》っ!!」

 

実況

「ななな、何とっ!ラプラスの造り出した氷の世界が見るも無惨に溶けていくぞ!?」

 

イエロー

「EBが返された!?」

 

レッド

「動揺してる今がチャンスだ!

そのまま突っ込め、"紅蓮螺旋拳"!!

 

グリーン

「レッドお得意、EBの連続コンボ!」

 

イエロー

「【リフレクター】を構築するんです!!」

 

レッド

「(さっき破壊したのに、もう再構築するなんて回復スピードが早いぜ!)

…押し込めぇーっ!!」

 

ラプラス

「…っ!」

 

イエロー

「ラプラス…、届かせはしない!!

ディフェンダーを使って!さらに【鳴き声】でダメージを抑えましょう!!」

 

リザードン

「!?」

 

堅い守りに逆に押し返されるリザードン

そこに、隙が生じた

 

イエロー

「今だ、ありったけの力を出して、この湧きあがる想いを技に変えるんだ!!

【竜の怒り】と【冷凍ビーム】をMixさせ…、"冰龍の沸滾"!!」

 

レッド

「…避けきれねぇっ!!」

 

リザードンは直撃し、形勢は大きく逆転する

 

イエロー

「勝ちました…か?」

 

レッド

「イエロー、今のは凄いぜ。

今まで観てきたEBの中で群を抜いて最高のものだ。けどよ…」

 

イエロー

「?」

 

レッド

「やっぱ、自分のポケモンと考え編み出したEBが一番だってのを曲げることはできねぇよ!」

 

リザードンは傷ついた体でゆっくりと起き上がる

その尾にはイエローが観たことのない程に迸る炎が燃え盛る

 

イエロー

「あれはっ…!?」

 

オーキド

「リザードンがピンチになった時に灯す緋色の炎。

何度か目にしたが、今回のは規模が違うぞ。」

 

グリーン

「爺ちゃん、それはどんな時も負けない、諦めない…っていう、あいつの根性論がこの1年でリザードンにも染み付いちまったんだよ、きっと!」

 

レッド

「イエロー、こんなにも楽しくて熱い試合をありがとなっ!

俺達は次に全てを懸けることにしたよ…!!

お前はどうする?」

 

イエロー

「そんなのYes以外の返事ってありますか!?

僕達だって優賞しか頭に描いていませんから!!

…ラプラス、全開でいきますよ!?」

 

ラプラス

「!!!」

 

レッド

「"激昂する翼竜"!!」

 

イエロー

「"冰龍の沸滾"!!」

 

そして訪れる決着の刻…

次回、セキエイ大会終結!



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セキエイ大会fin~リーグ覇者!!~

お互いの信念が衝突する!
そして、セキエイ大会はいよいよ終局を迎える…


実況

「ここまで様々なドラマがありました、今年のポケモンリーグセキエイ大会。

そのラストを飾るのはやはりEB!!

どちらが、勝利の雄叫びをあげるのかっ!?」

 

若干ながら、ラプラスの"冰龍の沸滾"が押している

その龍のような気迫ある冷風はリザードンにジリジリと近づいていく

 

レッド

「腹から出すんだ!お前の炎に燃やせないものはねぇっ!!」

 

実況

「まさに烈火の如くーっ!!

レッド選手とリザードン、喰らいつくぞ!?」

 

イエロー

「なんて、タフなんだ…。」

 

レッド

「ぅおおおぉっ!!

俺達は勝ちにはしつこいんでねぇっ!」

 

互いに技が限界まで達し、爆発する

生暖かい風が会場に吹き乱れる

 

イエロー

「ラプラスは…生きてる!!

リザードンは…」

 

レッド

「言ったろ?俺達は諦めが悪いってなっ!!

俺達が…ポケモンリーグの覇者だ!!

リザードン、"紅蓮螺旋拳・改"!!!」

 

立ち込める熱風の中から翼を大きく広げ、轟音を立てながら突撃してくる竜が…

拳に纏った炎がメラメラと立ち騰り、それがラプラスを討ち倒す決定打となった

 

イエロー

「これが、レッドさんとリザードンの絆!

はぁ…、僕が超えようなんて早すぎたみたいですねっ。」

 

実況

「敗れたのはラプラス!!

よって、今年のリーグ覇者はレッド選手だぁっ!!!」

 

レッド

「俺が…リーグを制覇。

夢じゃあないよな?

リザードン、俺に【火の粉】を吹いてくれ!」

 

リザードン

「!?」

 

リザードンは驚いた表情だったが、言われた通りに、レッドに吹く

 

レッド

「あちっっ!!熱、熱い~!!

水を…水をかけてくれ~っ!!!」

 

その時、ちょうどいい水圧の【水鉄砲】が飛んでくる

その方向には、ほぼ動けなくなったラプラスと彼に駆け寄るイエローの姿が…

 

イエロー

「夢じゃないですよ!!

頬っぺたつねるだけでいいのに、自分のポケモンの技を喰らうなんて…大袈裟すぎますよ!

まっ、レッドさんらしいですけどね!!

優賞、おめでとうございます!」

 

観客席からはおしみない拍手が送られる

 

観客

「お前ら、最高の試合だったぞー!」

 

観客

「レッド、お前のおかげでポケモン魂に火がついたよ。ありがとなっ!!」

 

観客

「来年もこの地に帰ってきてくれよな、イエロー!!」

 

歌美

「さっすが、レッド!!

負けたら気合いの往復ビンタでもお見舞いしてやろうかと思ってたのに…笑

おめでとうーっ!!」

 

グリーン

「爺ちゃん、あいつ…本当に叶えやがったな。

幼馴染みで、最高のライバルがリーグ制覇って何か嘘のような不思議な感じがするけど…それでもやっぱり、レッドは凄い奴だよ全く!!」

 

オーキド

「ポケモンを信じ、己を信じ、自分の道を外れない…それがレッドの生きざまだったからのぉ。

いやぁ~、マサラタウン出身の2人が決勝でやりあうだけでワシは興奮していたがのっ!!

こうして、成長した姿が見れて感激じゃ!」

 

実況

「レッド選手には優賞トロフィーと、記念メダルが贈呈されます!!」

 

レッド

「やったぜぇ~っ!!」

 

レッドはモンスターボールが型どられた記念メダルを噛みながら、トロフィーを天高く掲げた

 

まるで長い月日のように感じたセキエイ大会はこうして幕を閉じた

だが、それは新たな挑戦の始まりを告げた

実況席から覗く4人の影…

 

ワタル

「レッド君、おめでとう。

君はどこまで登り詰めるつもりだい?

この空いた1席…チャンピオンの座を狙ってくるだろうか。」

 

シバ

「相手がどんな童だろうと、蹴散らしてやるのみ!!」

 

カンナ

「子供相手に剥きになっちゃって…。

まっ、それでもあの子は来るんじゃない?根性と無謀さは私も知ってるし。」

 

キクコ

「あたしは認めないよ?

たかが、ポケモンリーグを制覇したぐらいじゃあね。チャンピオンリーグを制して初めて本当の強さが証明される!!

じゃから、あたしが認めるのは、あやつしかおらんっ!!」

 

カンナ

「あの人は別格だったから…。」

 

シバ

「だけどよぉ、確かあのレッドとかいう童は…」

 

ワタル

「はいはい、話しはそれぐらいにして、レッド君に渡しに行くよ?

…チャンピオンリーグへの招待券!!」

 

念願のポケモンリーグを制覇したレッド

だが、裏では既に次なるステージが始動していた

物語は驚愕の最終章へ…



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終章 そして次世代へ…
セキエイ高原~チャンピオンへの切符~


セキエイ大会を優賞したレッド
会場内の観客は撤収し、静けさだけが残る広い場内に一同は集まっていた


レッド

「全然気にしてなかったけど、俺達こんな広い所でバトルしてたんだぁ。

思い返すと、ゾクゾクするよ!!」

 

オーキド

「レッドもイエローも最後までよく戦い抜いた!

イエロー…自分の気持ち、理解できたんじゃな。」

 

イエロー

「僕1人じゃ何も気づけなかったです。

レッドさんや、グリーンさん、オーキド博士、色んな人のおかげで変われる事ができたんです!!ありがとうございました!」

 

グリーン

「イエロー、お礼を言う相手が違うぜ?」

 

イエロー

「えっ?」

 

レッド

「その手に握ってるボールの中…そいつが、教えてくれたんじゃねぇのか?

俺達よりも、そいつといる時間の方が長い。一番イエローの事を分かっていたのはそいつだからなっ!」

 

イエロー

「そう…ですね。ありがとう、ラプラス!!」

 

レッド

「あっ!そういやぁ、イエローお前、ラプラスが相棒ってどういうことだよ!?

俺はてっきりフシギバナが相棒なもんだと思ってたんだが…。」

 

イエロー

「実は、最初に僕が手にいれたポケモン、それがラプラスなんです!

あれは約1年半前…お二方は当然知ってると思いますが、ヤマブキシティでのロケット団襲撃事件。」

 

グリーン

「それは知ってるぜ…ってか、俺達現場にいたんだからなぁ。それとどう関係してるんだ?」

 

イエロー

「ちょうどあの日は、シルフカンパニー主催のポケモンパーティーが開かれていたんです!

僕のお父さんはシルフカンパニーの社員だったので、特別に連れていってもらいました。そして、そこで行われたビンゴ大会…その1等がラプラスだったんです!!」

 

レッド

「それで、運よく当たったと…!」

 

イエロー

「はい…。ですが、突如ロケット団がハイジャックしてきて。

僕は絶対にラプラスを護りたかった…、初めて手にした自分のポケモンだったから!

そんな時、レッドさんや、グリーンさんが助けに来てくれたんです!!」

 

レッド

「ヒーロー参上って訳だなっ!!」

 

歌美

「なぁ~に格好つけちゃってんの!?

そんな危険な場所に行くなんてねぇ。

本当、男子って理解できないわ~!」

 

グリーン

「それにしても、あの場にイエローがいたなんてなぁ。

全く気づかなかったぜ!一言声かけてくれればよかったのに。」

 

イエロー

「そんな、恐くて恐くて…!僕はボール抱えたまま机の下から見てただけなんで…。」

 

レッド

「成る程な!それでラプラスが相棒ってことか、納得したぜ!!」

 

そこへ、四天王が姿を現す

 

ワタル

「いやぁ~、レッド君、優賞おめでとう!!

イエロー君だっけ?君も大したもんだよ、ポケモントレーナーとして恥じない素晴らしい闘いを魅せてくれたよ!」

 

レッド&グリーン

「ワタルさんっ!?」

 

歌美

「えっ!?ワタル…って事は、この人達、カントー四天王!?

ヤバっ、握手してくださいーっ!!

キャーッ、カンナさん綺麗すぎなんですけど~っ!!

肌の手入れとか教えてください~!!」

 

レッド

「え…、歌美が初対面ですごい緊張感無く接してるんだけど。

しかも、ポケモンの事じゃなくて肌の手入れって!」

 

キクコ

「何年ぶりかな、オーキド!

ポケモンだけじゃなくて、体も老いてきてるんじゃないかい?」

 

オーキド

「ほぉ、そういうお前さんはピンピンしてると?

じゃあ、その杖はどういう意味かな…ん?

ワシは足腰共に現役並じゃ!!」

 

イエロー

「オーキド博士と、キクコさんてどういう仲なんですか?」

 

グリーン

「何でも、若い頃から犬猿の仲らしくてな…、ああやって顔を合わせる度に張り合ってるらしいんだ。」

 

オーキド&キクコ

「だれが、年寄じゃって!!」

 

グリーン

「誰も、年寄なんて言ってねぇよ!!笑」

 

ワタル

「凄い賑やかだね…!

そろそろ本題に移りたいんだけど、いいかな?

レッド君、ポケモンリーグを制覇して僕達四天王がこうして君の前に立ってるってことはだいたい見当がつくと思うんだけど…。」

 

レッド

「チャンピオン…リーグ!!」

 

ワタル

「正解!だけどね、これは強制じゃないんだ。

優賞した人だけに与えられるのは…挑戦権っ!!

やるもやらないもレッド君次第なんだ。」

 

レッド

「そんなのやるに決まって…」

 

ワタル

「慌てないで。

そう、毎年誰もがそう口にするんだが…1つ忠告しておくね!

この挑戦…、生半可な気持ちで挑んで欲しくはないっ!!」

 

いきなりのワタルの威圧感にその場の空気がピりつく

 

レッド

「…どういうことですか?

俺にはその気持ちが足りないとでも?」

 

ワタル

「そうじゃないんだ!」

 

オーキド

「前にも言ったことがあるかもしれんが、このチャンピオンリーグは15年間で突破した者がおらんのじゃ!」

 

レッド

「それって…、じゃあ今までの挑戦者は全員チャンピオンリーグで破れ去ったってこと?」

 

オーキド

「そういうことじゃ。

それだけならまだしも、その挑戦者達は絶望的敗北感を味わい、ポケモントレーナーとしての道を断念する者までおる。」

 

シバ

「俺達だって、半端な覚悟でやってる訳じゃねぇんだよ。

この中には四天王としてなんか自覚してねぇ奴もいるかもしれねぇっ!

それでもなぁ、このチャンピオンリーグってのは実力だけがものをいうんだよ!!強い奴だけが生き残る世界…、弱い奴はお呼びじゃねぇってことだ!」

 

オーキド

「セキエイ大会の参加者…、もちろんイエローやグリーンも強い枠にはおるが、四天王に比べたらそれはちっぽけなものなんじゃよ。」

 

ワタル

「そうだね…シバさんも辛口な事言うけど、決して間違いではない。」

 

シバ

「誰が辛口だって?

…って、現カントー最強のお前に言われたら反論できねぇか。」

 

レッド

「(そうだ…、カンナさんが前に言ってた。ワタルさんは四天王の中でも頭一つでてるって!)」

 

ワタル

「現カントー最強かぁ、その部分は訂正しとこうかな。

自分でいうのもあれだけど、No2止まりだよ!

だって、15年前負けてるじゃない、あの人に!!笑」

 

キクコ

「あやつだけは別格だったからの。」

 

グリーン

「ワタルさん以上に強い人が、このカントーにっ!?」

 

ワタル

「いずれ分かると思うよ?

君達の…特にレッド君の身近にいるしねっ!!」

 

オーキド

「ふっ…。」

 

レッド

「俺の身近に…?」

 

ワタル

「何にしても、取り敢えずはレッド君も今すぐには返事しなくていいよ!

今日はポケモン達も疲れてるだろうし、家に帰ってゆっくりするといい。

明日の夜、またこの場所で答えを聞かせてね!!」

 

歌美

「レッド…あんたどうするの?」

 

レッド

「(くそっ、俺はどうしたら…。)」

 

目の前にして抱いた恐怖心

果たして、レッドはチャンピオンリーグに挑むのか…!?



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マサラタウン~見知らぬ来訪者!?~

セキエイ大会が終わったのも束の間、チャンピオンリーグ挑戦の選択を迫られるレッド
突きつけられた現実…無情な四天王を前にして、ただ呆然とするしかなかった


レッドは一言も発しないまま、静寂な夜の町を抜けマサラタウンに着いた

玄関の扉を開けるとクラッカーが鳴り、母ちゃんが出迎えてくれた

 

レッドの母

「お帰り~、レッドっ!!

テレビで観てたわよ、あんたの闘い。

1年ぐらい連絡してくれなかったから、ずぅーっと心配してたのよ!?」

 

レッド

「心配性だなぁ、この年になって電話とか…恥ずかしいだろ?

それに、男子なんだから多少の諸事情ができた所でいちいち親に連絡はしないってば!!」

 

「そう?あんたの口から直接聞けて安心したわ。

ほらほら、服も洗ってないんでしょ、洗濯機に入れて着替えてきなさい!?

食事にしましょ。今日は腕によりをかけて作ったのっ!!

あんたの大好物のラッキーの卵から作ったスクランブルエッグ!ご飯は大盛りでいいわね!?」

 

レッド

「おう!!」

 

レッドはすぐに服を脱いで洗濯機に入れる

その時、パサッと何かが落ちたのに気づいた

それは、レッド14歳の日に貰った父からの手紙

 

レッド

「これは…親父からの手紙。

そういやぁ、親父まだ帰ってきてないんだな。

息子が、大会優賞して自慢でもしてやろうかと思ったのに…。」

 

もう一度、手紙に目を通すレッド

 

レッド

「(ポケモンリーグを制覇できるくらいになったら、顔を出す…かぁ。

結局嘘っぱちかよ!そうだよな、親父の顔すら見たことねぇのに、何期待しちゃってんだろなぁ俺。)」

 

「早くしないと料理冷めちゃうわよぉ~?」

 

レッドはポケットに手紙を"グシャッ"としまいこんで、食卓に向かった

 

それから、大会の話…俺のここ1年の激闘録を嫌っていう程、母ちゃんに喋ってあげた

食卓で、2人は声をあげて笑い合った

 

「そう、グリーン君はジムリーダーになったんだ~。

賢いし、礼儀正しいし、それに…男前だしねっ!!」

 

レッド

「男前って…お、俺だって女子から告白されてるしぃー!」

 

「え~!?誰誰~、どんな子よぉ?」

 

レッド

「そんなのはどうだっていいだろー?

…それよりさ、親父っていつ帰ってくるんだ?俺、生まれてから一度も会ったことないしさ、どんな人かも知らないし詳しく教えてくれよ!?」

 

「う~ん、どんな人って言われてもねぇ。

第一印象は、だらしなくて弱々しい感じだったんだけど、あの人ってば私が他の男にナンパされた時さ、ポケモン勝負を挑んであっさり勝っちゃうわけ!!

あの人の胸に寄り添った時、凄く温かくて…そこに惚れちゃったのよ~っ!!」

 

レッド

「なるほど…ね。

で?今どこにいるんだ?」

 

「さぁ?」

 

レッド

「さぁ?って!!

旦那だろ、それこそ心配じゃないのかよ!?」

 

「うんっ、私はあの人の事信じてるし…!!」

 

レッド

「親父も親父なら、母ちゃんも母ちゃんだよな。

ま、いいよ。俺、明日も大事な用があるし、今日は早めに寝るよ!おやすみ!!」

 

「あっ、思い出した!あんたに手紙届いてたわよ?」

 

レッド

「俺に…?差出人は書かれてないな。」

 

レッドはその夜、ベッドの上で手紙を読んだ

 

ーーー

 

「レッド様へ…

セキエイ大会優賞、おめでとうございます。

あなたは誰もが認めたポケモントレーナーです!残すは四天王のみ…、彼等を倒せばカントーであなたの右にでる者はいなくなる。

明日の夜、人生最大の選択をしなければならない事を私は知っている。

その前にあなたと話しがしたい。

明日の明朝、1人でセキエイ大会の会場であるスタジアムに来てください!」

 

レッド

「(明日の明朝…、一体誰なんだ?)」

 

戸惑いながらも、その日は流石のレッドも連戦で疲労困憊だったのだろう

夜の窓から溢れる微かな月の光を浴びながら、ぐっすりと眠りについた

 

そして、手紙に記された明朝…まだ朝5時も過ぎていないくらいにレッドはスタジアムに1人来ていた

カントーの朝はやけに静かで、足音だけが異常に大きく聞こえる

そして対面の選手入場口から聴こえてくるもう1つの足音…いや、2人いる!!

 

レッド

「えっ、どうしてあなた達が!?」

 

そこにはオーキド博士とワタルの姿があった

 

ワタル

「おはよう、レッド君!こんな朝早くからごめんね。

君を呼び出したのは…僕だ!!」

 

どうして、博士とワタルが!?

あまりの驚きと困惑に、眠気が覚めるレッド

一体、どういう訳なのか…!?



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セキエイ高原~15年前の物語…~

レッドの下に届いたセキエイ高原への呼び出し
そこで待っていたのは、四天王ワタルとオーキド博士だった


レッド

「どうして2人がここに…!?」

 

オーキド

「驚くのも無理はない。

じゃが、どうしても伝えておかなければならないことがあったんじゃよ!

レッド…、君がポケモンリーグで優賞した、このタイミングでのぉ。」

 

ワタル

「レッド君、君は今焦心苦慮してるはずだ…。

チャンピオンリーグへの挑戦だけでなく、他のことにもね?」

 

レッド

「え?」

 

ワタル

「ここまで言えば、ピンとくるんじゃないかい?」

 

レッド

「…親父の件ですか?

もしかしてワタルさん、あなたが俺の…」

 

ワタル&オーキド

「はっはっはっ!!」

 

ワタル

「いや~、君の想像力には毎回驚かされるねっ!!

例えそうだとしたら、誇らしいよ。

でも、残念ながら違うんだなぁ。

…ほら!もうそろそろ恥ずかしがってないで自分から説明してくださいよ?」

 

すると、奥からもう一人歩いてくるのが分かる

白のTシャツ、短パン小僧が履くような短いパンツに無精髭を生やした中年の男性が下駄を履き鳴らしながらやってくる

 

レッド

「(ホームレス…!?)」

 

オーキド

「ほれ、父親らしくせんかい!

久し振りの倅を前にして、うじうじしとる場合じゃないぞ?」

 

???

「オーキドさん、俺ぁ緊張しちまって何言えばいいか…。」

 

オーキド

「そんなもん、自分で考えておけ!!笑

思ったこと…、率直に話せばええんじゃないか?」

 

???

「はい…。

レッド、大きくなったな。テレビで見るよりもでかく感じるぜ。

誰だって顔してるな…そりゃあ、こんな格好じゃ、疑われちまっても仕方ねぇよな。

長いこと待たせちまったな、お前の父親…炎児(えんじ)だ!」

 

レッド

「俺の親父…、本物なんだな?

…逢いたかったっ!ずっと!ずっと待ってたんだからっ!!」

 

レッドは炎児の汚れたシャツもお構い無しに抱きつく

シャツが涙を吸い、濡れていく

 

炎児

「そんなに泣くんじゃねぇよ!

男だろ?…男だったら…うぉぉ!!」

 

オーキド

「親子そろって…、よく似ておるじゃないか!」

 

ワタル

「長年の思いが一気に込み上げてきちゃったんだよね。

さぁ、炎児さん、レッド君に言わなくちゃ!

直接呼ぶのが恥ずかしいからってわざわざ手紙を僕に書かせたんだから…!

自身の今と、そして過去の話を。」

 

炎児

「そうだな。

レッド、色々とぶつけたい気持ちがあるだろうが、今は我慢してくれ?

家に帰ったら母ちゃんと3人で団欒しようや?」

 

レッド

「…ったく、我が儘な親父だぜ。

へへっ、わかったよ。」

 

炎児

「どこから話そうかなぁ…、あれは俺がオーキドさんからポケモンを戴いた日に…」

 

オーキド

「そんなにも遡らんでもいいじゃろ!!遠回しにしたところで、無駄話がほとんどなんじゃから。

ほれ、あそこからでええんじゃないか?チャンピオンリーグで…」

 

炎児

「いや、まずはワタルとの出会いからだな。

あれは俺がまだ駆け出しのトレーナーだった頃、旅の途中で出会った新人トレーナー…それがワタルなんだ!

聞けば俺より年下で、挨拶から何もかもが丁寧な奴でな。

完全に見下してたんだが、こいつが強いのなんのって!!」

 

ワタル

「僕もあんな強いトレーナーに出会ったのは初めてでしたよ!

勢いだけかと思ってたんですけど…、何よりポケモンを信頼していた!!」

 

炎児

「そして俺達は会う度にバトルを重ね、やがて、ライバルとして意識しあうようになっていた!」

 

レッド

「親父とワタルさんがライバル!?」

 

炎児

「そっ!お前とグリーンみたいな関係だ。

こいつ、人前では良い子ちゃん振るんだけどよぉ、俺と競り合う時だけはむきになっちまってなっ!!」

 

ワタル

「それは…炎児さんが大人げないからでしょ~!?」

 

レッド

「へ~、あのワタルさんでも熱くなるのかぁ。ちょっと見てみたいかも!」

 

ワタル

「レッド君まで~!!

親子で僕をいじらないでよねっ!?」

 

炎児

「だが、こいつの才能ってのは、やっぱりその辺のトレーナーとは比じゃなくてな!

やがてカントージム本部の目に止まってスカウトされ…、そのまま一気にかけ上がり、歴代最強四天王の称号を手にした!!

それから欲張りやがって…その後にジョウト地方のチャンピオンの座にもつきやがったらしいじゃねぇか!」

 

レッド

「(そんな人に初対面で噛みついてしまったなんて、くぅ~っ!トレーナーとして恥ずかしいぜ。)」

 

オーキド

「ワタル君は今でも全国のトップを走り、ポケモントレーナーの憧れなんじゃよ。

ただ、そんなワタル君でも勝てないトレーナーが横にいたっ…!」

 

ワタル

「15年前のチャンピオンリーグ…僕を含めた四天王は、1人の男に一掃されてしまった。」

 

レッド

「まさか…それって!!」

 

レッドは炎児の方を振り向く

炎児はピースをして、ニタァ~と笑う

 

オーキド

「このだらしない男からは想像できんが、その実力は本物じゃ!」

 

レッド

「待てよ…、親父はどうしてチャンピオンになったのに、こんな人生転落みたいな姿になってんだよ!!

それに親父がチャンピオンだなんて話、これっぽっちも耳にしなかったぞ!?」

 

炎児

「やっぱ変だよな?

でもなレッド、お前…、どうしても目の前にやりたいことがあったらどうする?

それが、栄光の名を持っていたとしてもだ。」

 

レッド

「何が言いたいんだ?」

 

炎児

「俺はな、チャンピオンに就いてから、毎日忙しい会議だったり、本部から送られてくる業務を日々こなしていた。」

 

ワタル

「はは…チャンピオンってのは意外と多忙なんだよね。

休みをもらえるのも珍しいし。」

 

炎児

「ある日思ったんだ、俺がやりたいのはこんな事じゃねぇってな!

いくらチャンピオンっていう輝かしい肩書きがあっても、束縛された生活には耐えれなかった。

俺がしたいのはポケモンと旅をすることだ!!

強いトレーナーと闘って、自分が育てたポケモンがどれだけ通用するのか!

見たこともないポケモン探すために、前人未踏の地に足を踏み入れたりと…、一生の内ではやりきれないことだらけなこの世界で、やれるだけやりたい!

俺にとっては毎日が"挑戦"でありたいんだっ!!」

 

レッド

「だから、チャンピオンを辞めたのか…。

自分の道を曲げない為に、栄光を捨ててまで。」

 

ワタル

「尊敬しちゃうよね!

僕はそんな炎児さんだから、競い合いたくなるんだ!!

ライバルに敬意を抱くのも可笑しな話かもしれないけどさ…、多分彼以外に僕のライバルは務まらない。」

 

オーキド

「カントーの頂点がここまで立てるのは、滅多にないのぉ。

世間が知ったら大騒ぎじゃ!」

 

レッド

「そうだよ!どうして皆はこの事知らないんですか?」

 

オーキド

「炎児は1週間も経たずにチャンピオンを辞めてしまったから、もともと知ってる人は極少ないんじゃよ。

この事はカントー地方都市伝説級の事項となってしまったからのぉ!笑」

 

炎児

「そして、その年お前が生まれて、俺は旅立った…!母さんに全てを託してな。お前に聞かれても極力知らないフリをしていてもらうよう頼んでもいた。

お前がチャンピオンの子供と知ったら、変な責任感じちまうんじゃないかと思ってな。

それからと言うもの、ワタルと度々接触することで、色々近況は聞いていたさ。

ロケット団壊滅を始め、リーグ制覇、父親らしいことはしてあげれなかったが、これだけは言わせてくれ…、これからも己とポケモンを信じ、ブレる事なく芯の太い男に育ってくれ!!」

 

オーキド

「心配せずとも、レッドならお前の遺伝子を受け継いでおるよ!」

 

レッド

「それでも、俺はチャンピオンリーグに挑戦するべきか迷ってる…。

ワタルさんと戦ってみたい気持ちもあるけど!…もし、現状に戻れない事態が起きたら!!」

 

ワタル

「…。」

 

炎児

「何だ、そんな事で迷ってるのか。

だったらよ、俺とポケモンバトルでもするか?」

 

レッド

「え…?」

 

炎児

「ポケモントレーナーなら語り合いはポケモンバトルでするもんだろ!?

そしたらよ、見えなかった新しい部分も拓けるかもしれねぇ!

俺はお前の父親だ…、胸ならいくらでも貸してやるよ!?俺の熱い胸でよければだがなっ?」

 

レッド

「そんなら1つ…親に甘えて、その胸借りるとするかなっ!!」

 

レッドの父親、炎児は元・カントーのチャンピオンだった!

そして、モヤモヤした悩みはバトルで振り払うしかないと、いざ…勝負!!



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セキエイ高原~親子勝負!!~

かつてワタルを倒し1度はカントーの頂を手にしたレッドの父・炎児
子の為ならばと、ポケモンバトルを提案したのだった


レッド

「親父とポケモンバトルかぁ~!

どんなポケモン使うのか、ワクワクするなっ!」

 

炎児

「(その表情…、さっきよりもいい感じに解れてるじゃねぇか。やっぱこいつも、俺と同じで根っからのポケモン好きって事か!!)

使用ポケモンは4匹でどうだ!?じゃ、やるぜ…カイリキー!」

 

レッド

「カイリキー…さすが、チャンピオンらしい手強いポケモンだな!!

あっ、元…だったな!笑

いけっ、ピジョット!!」

 

炎児

「父親をおちょくるとは、大した度胸だ!

そんな奴には…カイリキー、【メガトンパンチ】で鉄拳制裁だぁっ!!」

 

カイリキーはグルグルと腕を回し、ピジョットに接近していく

 

レッド

「そんな見え見えの攻撃は、飛行タイプのピジョットは喰らわないぜ…避わして、【鎌鼬】!!」

 

炎児

「レッド、ポケモン図鑑は豆にチェックしてるか?

捕まえたポケモンだけで満足するんじゃなく、1度でも出会ったことのあるポケモンの特徴や、性格は確認し、対策を練らないと、不意打ち喰らうぜ?

例えば、カイリキーなんてのは4本の腕で2秒間のうちに1000発のパンチを繰り出す!!

…ま、これはさすがにオーキドさんが大袈裟に盛った話だが、高速で打ち抜くのは間違っていない!」

 

カイリキーは外れた腕とは別の腕ですぐさま、ピジョットに追撃の【メガトンパンチ】を与える

 

レッド

「ピジョット!?」

 

オーキド

「あれは、さすがに言い過ぎじゃったか…。

(だが、その特性を充分に認識した上で、【メガトンパンチ】をだすとは!)

現役を退いても、腕は鈍っていないのぉ!」

 

炎児

「オーキドさん、俺は現役を退いたなんて思っていませんよ?

何歳年を重ねても…俺はポケモンを好きでいる限り一生現役です!!」

 

ワタル

「あれが炎児さんなんですよ。

火がついてしまったら、消火するのは難しいよ…、レッド君?」

 

レッド

「なら、俺達は俺達なりの戦いで…、親父の見たことのない戦術を以て倒す!

ピジョット、"砂塵の暴風嵐"!!」

 

炎児

「ほぅ…、それが噂のエボリューション何とかってやつか!

ワタルから多少聞いてはいるが、様子見だな。

カイリキー、次に備えて【気合い溜め】しとけな?」

 

レッド

「次なんてのはないぜ!?

カイリキーはもう術中にはまった!」

 

その場にいたオーキドや、ワタルが見守る中、炎児は嵐の中にいるカイリキーを気にも留めず、肩をグーッと伸ばしていた

 

レッド

「(あの余裕はどこからくるんだ?

親父はカイリキーが心配じゃないのかっ!?

それとも…既に何か仕掛けているのか!?)

ピジョット、技を止めてカイリキーに向かって【翼で打つ】!!」

 

嵐がやみ、カイリキーの影が見えた

まだ立っている…いや、何か構えている!?

漏れだすほどの危険な気を察知したレッドは咄嗟に指示をだした

 

レッド

「【空を飛ぶ】で緊急回避するんだ!何か…ヤバイのがくるっ!!」

 

炎児

「カイリキー、溜めすぎだぞ?

折角、俺が心理戦でレッドを騙してやったのにぃ~!

闘志むき出しにして、バレちゃってるじゃんかよぉ、【地獄車】が台無しじゃんっ!」

 

カイリキーは頭に手を置き、すまねぇという仕草をしていた

 

炎児

「しゃあないなっ、次いくぞ次!!」

 

レッド

「(俺は初めから…、親父の餌に釣られてしまってたのか!

いや、それよりも"砂塵の暴風嵐"が効いてなかった!?)」

 

ワタル

「(ピジョットのEBをほとんど無傷か。炎児さんのカイリキーも、かなり育て上げられている!!)」

 

レッド

「カイリキーは格闘タイプ…、所詮相性ではピジョットが有利なんだ。

"砂塵の暴風嵐"が無理なら、もう1つのEBで体力を削るだけだ!

ピジョット、"瞬目の嵌入"マッハ2!!」

 

炎児

「これは!すげぇ速いなぁ!

ピジョットってこんなにも高速で飛べたのかぁ。」

 

ピジョットは次から次へと多方向からカイリキーを攻める

しかし、カイリキーはしっかりと身を屈め、急所に当たらないようガードする

 

炎児

「やられっぱなしで黙ってられねぇよな!?

カイリキー、【地震】だ!!」

 

レッド

「どうして、この状況で【地震】なんだ!?」

 

ワタル

「狙いは別にあるんだね…。」

 

炎児

「地面が割れて適度な大きさに岩が崩れたな。

よしっ、その岩を空に向かって投げつけろ、【岩落とし】だ!!」

 

レッド

「(投擲するに相応しい力を兼ね備えたカイリキーにしかできないコンボ攻撃っ!!)

ピジョット、上空は危ないから下降するんだ!」

 

ピジョットはスピードを緩め、地面スレスレを飛ぶ

だが、全ては炎児の計算通りだった

 

ピジョット

「!?」

 

カイリキーの4本の腕がピジョットを捕らえ、強い握力で苦しめていく

 

炎児

「よくやったカイリキー!

巧いこと、ピジョットをお前の領域(テリトリー)に誘い出してくれたな!」

 

ワタル

「一手一手に意味のある戦い、そして相手が気づかない内に、包囲網は完成され勝利へと繋ぐ!

まさにこれが炎児さんの得意とする戦法、詰め勝負《チェックメイト・バトル》。」

 

炎児

「その名前…聴くの懐かしいな!

息子と戦うってなると燃えてきちゃってなっ!

父親だが、大人げなくいかせてもらうぜ!?【メガトンキック】!!」

 

掴んだピジョットに強烈な前蹴りを喰らわせ、吹き飛ばす

寸分の狂いもない強打を急所に受け、ピジョットは戦闘不能

 

レッド

「俺達の全てをお見通しだったのか…!?

親父っ、凄すぎだぜ!!」

 

炎児

「面と向かって言われると…て、照れるじゃねぇかよ!

だぁけぇどっ!勝ちは渡さんよ?

お前だってそう思ってるはずだよな…レッド!?」

 

レッド

「あったり前じゃん!!」

 

これが炎児の強さ

嬉しい気持ちがレッドの魂をさらに震わせる



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セキエイ高原~地震雷火事親父~

炎児

「さてと、カイリキー戻って休んでていいぞ?よく持ち堪えてくれたな。」

 

レッド

「勢いのあるカイリキーをこのまま続投しないのか?」

 

炎児

「こんな強靭な肉体のカイリキーだが、効果抜群の技をあんなにも受けたんだ…。これ以上は酷だろ?」

 

レッド

「へっ、そうだな…、親父もポケモンの事、しっかり考えてるんだな。

俺の次鋒はサンダース、君に決めた!!」

 

炎児

「そんじゃ、俺はこいつだ…ギャラドス!!」

 

オーキド

「サンダースにギャラドスを充てるとは、臆する事なく攻め立てるのぉ!」

 

炎児

「元・チャンピオンだからな、これぐらいのハンデはやろうかと思ってな?

レッド…これで負けたら、リーグ覇者として不甲斐ないんじゃねぇか?

いくぞ、【噛みつく】!」

 

大きな体をうねうねと揺らしながら、ギャラドスの兇悪な牙がサンダースに向かってくる

 

レッド

「サンダース、【10万ボルト】でギャラドスの進撃を食い止めるんだ!」

 

しかし、電撃を受けても尚、平然とギャラドスはどんどん迫ってくる

 

レッド

「なんで効いてないんだっ!?

ここは【高速移動】で…

(いや、今退いたところでギャラドスの侵攻が止まる可能性はない!

だったら…)

サンダース、"雷脚一閃"で迎え撃てっ!!」

 

サンダースは光速でギャラドスの体にぶつかっていく

 

レッド

「接触したところで、さらに【電磁波】だ!」

 

炎児

「こいつぁ少しマズイかな。

ギャラドス、【大文字】だ!!」

 

避けれる距離ではなかったため、炎がサンダースを包む

 

レッド

「サンダース!

…確かギャラドスは水・飛行タイプだったはず。

なのにさっきから【10万ボルト】を喰らわなかったり、炎タイプの技を出したり、一体全体どうなってんだ!?」

 

炎児

「レッド…、これがポケモンの面白いところだよ。

ポケモンの世界にはまだまだ有り得ないようなことが秘められている!

ギャラドスが炎技をだせたりできるのだって、俺にもさっぱり分からん!!笑

でもな…なぜか技マシンでこいつは【大文字】を覚えた。

そしたらよ、ギャラドスの戦闘スキルも何倍にも広がったんだ。

これも俺が求めた一種の"挑戦"だったのかもな…!

ギャラドス、【睨みつける】っ!!」

 

ギロリと睨むその眼にサンダースの士気が下がる

 

レッド

「"挑戦"か…。

だったら俺達だって毎日してきた!

サンダース、俺達だけが為し得たその成果を親父に見せつけるんだ!!

イエローとの戦いから学んだEB…。

電気技は相乗効果を生みやすい!

【電気ショック】と【ミサイル針】をMixだっ!

天より鼓りて地に突き刺せ…逆立てろ" 劈く飛雷針"《シュトース・ブリッツ》!」

 

サンダースの針のような体毛がギャラドスに飛んでいき、次々と突き刺さっていく

その1本1本が帯電しており、痛みと痺れからギャラドスは動けない

 

炎児

「そんな使い方があったなんてな!」

 

レッド

「これでその狂暴なギャラドスは自由に動けないっ!!

サンダース、【雷】で終わりにするんだ!」

 

炎児

「ポケモンの神よ、どうかギャラドスに僅かな時間でもいいから解放の手をっ!!…こっちも【雷】を撃てぇっ!」

 

レッド

「何っ、【雷】まで覚えてるのか!?」

 

轟音が鳴り響き、2つの雷がぶつかり合う

閃光が周囲の視界を奪う

 

ワタル

「この威力はっ…!!」

 

レッド

「…眩しくて目が開けれねぇっ!」

 

炎児

「好機!!

ギャラドス、激情を解放し暴れまくれ…【龍の怒り】だ!!」

 

麻痺してるにも関わらず、尻尾を激しく打ちつけ暴れまわる

サンダースは巻き込まれ、滅多うちにされてしまう

 

レッド

「何だこの地響きはっ!?

…ん、サンダース、反撃の【10万…」

 

オーキド

「…レッド、サンダースはもう戦闘不能じゃ。

(炎児は運をも味方につけたか!)」

 

レッド

「ギャラドス…何て底知れぬ破壊力を持ったポケモンなんだ!」

 

炎児

「直前の【睨みつける】が意外とサンダースに精神的ダメージを与えれて、助かった。

それに、ポケモンの神にも感謝しないとな!あの時ギャラドスが動けなかったら逆転はありえなかった。

にしても、運も実力の内って言うしな!!ハッハッハッ!!」

 

オーキド「自分でいうか…。」

 

 

炎児「けどよ、お前のサンダース、動きは良かったぜ?

申し分ないスピード…俺が出会った中で一番だ!」

 

レッド

「へへっ、サンダースもそう言われて嬉しいはずだぜ!

(…とは言え、一匹も倒せない。

これが親父が旅して得た力だとしたら、やっぱり価値のある答だったんだ!!)」

 

炎児

「それじゃ、ここで俺の秘密兵器でも見せてやるかな。」

 

レッドの範疇を遥かに超えた強さ

炎児のバトルはレッドに何かを伝える!

更に、隠し玉があるようで…



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セキエイ高原~新種のポケモン!?~

レッド

「秘密…兵器?」

 

オーキド

「どれどれ、炎児よ見せてみぃ。このポケモン博士と呼ばれたオーキドを唸らせるような発見でもしたか?」

 

炎児

「そんじゃ、行ってこいハピナス!!」

 

ボールから飛び出したのは何とも愛くるしい姿をしたまん丸のポケモンだった

 

オーキド

「こっ、こやつは…!?」

 

炎児

「何だオーキドさん?もしかして知らないのかぁ?

レッド、図鑑を開いてみな!」

 

レッドは言われるがままに図鑑を開く

普段なら情報が提示されるはずなのだが…

 

レッド

「解析不明!?」

 

炎児

「そう。こいつはまだカントー地方で発見されていない新種のポケモンだ。

名前はハピナス!

俺がカントーを離れ、ここより西に位置するジョウト地方を旅してる時に発見したんだ。

こいつに関しては俺もあまり詳細を知らない…。

はっきりとしたことと言えば、当時俺の手持ちにいたラッキーが何らかのきっかけで進化したということだけだ。」

 

オーキド

「何と!ラッキーに進化形が存在していたとは。

ワシでさえも知らないポケモン…!」

 

炎児

「どうだレッド?カントー地方に拘らず、もっと視野を広げるんだ!

俺達が知ってることなんて、まだちっぽけで、ほんの始まりに過ぎないってことを学んだ!!」

 

ワタル

「井の中の蛙大海を知らず…、僕もまだまだ勉強不足かな。」

 

レッド

「(カントー地方だけじゃない…大きな世界!俺の知らない世界!!)

面白ぇ…、ポケモンって面白ぇな、親父っ!!」

 

炎児

「おぉよ!!さぁ来い、レッド!」

 

レッド

「カブトプス、行くぞ…【切り裂く】!」

 

炎児

「【怪力】だっ!!」

 

2匹の一撃がぶつかる

だが、ハピナスはその見た目からは想像もできない馬鹿力でカブトプスを叩き落とす

 

カブトプス

「っ!!」

 

炎児

「ほれほれ、そんなとこで寝そべってると【捨て身タックル】で吹き飛ばしちまうぞ!?」

 

レッド

「起き上がれ、カブトプス!

【固くなる】で防御に撤しろ!!」

 

2本の鎌を上手く重ね合わせ、ダメージを最小限に抑える

それでもハピナスの【捨て身タックル】は異常なほどの威力を見せつけ、カブトプスを弾き飛ばした

 

レッド

「こっから挽回してやるさ、【居合い斬り】っ!!」

 

炎児

「ガッツがあるな!

だが…その攻撃はハピナスに届かねぇよ!?【丸くなる】!!」

 

体をボールのように丸く屈めるハピナス

【居合い斬り】はツルンと滑り、思ったように技が当たらなかった

 

炎児

「カブトプスの体勢が崩れた所に【怪力】を…」

 

レッド

「まだだぜ?そこから"古代の剣"で斬り伏せろぉっ!!」

 

ワタル

「(ハピナスが防御から攻撃へと移り変わるその瞬間を狙ったのか!?

これなら確実にカブトプスのEBが当たる!!)」

 

炎児

「レッド、ナイスな判断だ!!

けどな…、ハピナスの凄さの秘訣ってのはその基礎防御力が元から高い部分にある!」

 

炎児の言った通り、ハピナスは"古代の剣"に全く怯まず、両腕を振り下ろす

 

カブトプス

「…!」

 

レッド

「まだいけるのか、カブトプス!?

よし、お前の戦意、伝わったぜ!

俺がそれに応え…お前を勝利に導くっ!!

【ハイドロポンプ】だ!!」

 

ハピナスの弱点であるその大きなお腹に一点集中で放水する

さすがのハピナスもこれにはよろめく

 

炎児

「完全に油断してたぜ。

俺ぁてっきり戦意喪失したと思ってたんだが、誤算だったな!

だけど…、見た限りカブトプスはもう限界だな。

もう戻した方が…」

 

レッド

「親父、俺はこいつが諦めるまで戦いを放棄しねぇよ。

こいつがやるっていうなら、俺は信じて最後まで指示をだし続ける!!

カブトプス、もう一度"古代の剣"だっ!」

 

炎児は幼い頃の自分を重ね合わせる

 

炎児

「(俺の若い頃そっくりだ…ったく。

ちゃんと今戦ってるポケモンの全てを把握した上で決断してるな!)

いいぜ、そんならこいつの必殺技で白黒つけようか!!【卵爆弾】だぁっ!!!」

 

ワタル

「【卵爆弾】…初めて聞く技の名だ!

炎児さん、あなたはいつも僕の一歩先を行く。ハハッ、一向に並ぶことすらできないや!」

 

腹に携えた卵を全力投球し、突っ込んでくるカブトプスに見事命中

立ち上がる体力も無くカブトプス、戦闘不能

 

レッド

「ありがとな、カブトプス!

いやぁ~参ったな。知らないポケモンだけに、攻略の手口が見つからなかったぜ!?」

 

炎児

「そりゃあお前、言い訳に聴こえるぞ?笑

それでもここまでやりあえたのは感心したぜ。知らない敵を詮索しつつ戦う…ポケモンバトルの醍醐味だもんな!」

 

レッド

「新しい出会いってのが、こんなにも胸弾んで、新鮮だってこと…忘れかけてたぜ!!」

 

炎児

「だろ?どうだ、こうしてバトルすると見えなかった路…見えてきたんじゃねぇか?」

 

レッド

「あぁ、何となくなっ!」

 

炎児

「よっしゃ!!

やっぱり最後はド派手に熱くやろうやっ!!

俺の相棒…リザードン、出てこい!!!」

 

レッド

「へぇ…、親父もやっぱりリザードンかよ!!

勿論、俺の相棒もリザードンだ!!!」

 

新しいポケモン

新しい技…その出逢い全てに対して、レッドは炎児との闘いからトレーナーの初心を思い出した

後は、ポケモントレーナーに欠かせない"勝利"を…熱い思いをぶつけるのみ!!



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セキエイ高原~炎の如く赤く染まれっ!~

レッド

「どっちのリザードンが強いか、勝負だ!!」

 

炎児

「そんなの俺のリザードンの方が…」

 

言いかけた炎児のリザードンに向かって、早速レッドのリザードンが仕掛ける

 

レッド

「おらぁぁっ!【メガトンパンチ】っ!!」

 

ワタル

「!!」

 

レッド

「!?」

 

【メガトンパンチ】は軽々と片手で止められた

そこからまるで赤子の手を捻るかの如く、レッドのリザードンは容易く投げられてしまう

 

炎児

「いてもたってもいられないのは分かるが、人の話しは最後まで聞くもんだ。

ましてや、歳上の人の話しは…なっ?

リザードン、【火炎放射】だ!」

 

レッド

「回避して【空を飛ぶ】で空から攻めるぞ!?」

 

炎児

「リザードンって羽広げた姿がたまんなく格好いいんだよな~!」

 

レッド

「そうそうっ、リザードの時点ではどこか華奢なとこがあってリーダー的資質に欠けてたんだけど、進化したことでその欠けてたピースがはまるんだよなっ!!」

 

炎児

「そんな夢見て男はやっぱヒトカゲ選んじゃうんだよなっ!?」

 

レッド

「あぁ、本能的にな!」

 

炎児

「…っと、語りに熱くなりすぎて、バトルを中断しちまったぜ。

リザードン、【煙幕】!!」

 

口から黒い煙を吐き出し、周囲をドス黒く染める

 

レッド

「風を送って振り払え!」

 

煙幕の中から、厳つい形相のリザードンが飛び出してくる

 

炎児

「互いに同じポケモンだからな…、条件も同じだ!

リザードンが覚えてる技1つ1つは頭の中にインプットされてるぜ!?【翼で打つ】!」

 

レッド

「尻尾で弾いて、【メガトンパンチ】!!」

 

空中で動きが制限される中、レッドのリザードンは体を回転させながら、遠心力を使い、【翼で打つ】をいなす

さらに背をつき、【メガトンパンチ】をヒットさせる

 

炎児

「ほぅ…、さっきからそいつを多用してくるって事は、お前のリザードンの決め手の技なんだろうな。」

 

オーキド

「(さすが炎児じゃな…、たった数回の攻防の中でそこまで推測できるとはっ!じゃが…)」

 

レッド

「確かにそうだった。」

 

炎児

「…だった?」

 

レッド

「今のリザードンはもう一段階上をいく!!"紅蓮螺旋拳"っっ!!」

 

墜ちていく炎児のリザードンをさらに追撃する

急所を捉え、勢いよく地面に叩きつけられる

 

炎児

「成る程、【炎の渦】を拳に纏わせた強烈な一撃か…。

新しい研究材料になるなぁ。

息子から教えてもらうのは、少し気が引けるけどなっ。」

 

レッド

「親父にならいくらでも魅せてやるよ!"激昂する翼竜"!!」

 

炎児

「今度は何だ!?【火炎放射】を【怒り】でパワーアップさせたのか…!

どこまで抑えれるか分からんが…、リザードン立ち上がれ!!お前の底力はそんなもんじゃねぇよな、【大文字】だ!」

 

ワタル

「…何て高温なんだ!

朝の寒さが消し飛ぶなんてっ!!」

 

オーキド

「二人にしか表現できない世界、彼等の空間に儂達は見えておらんだろうな。」

 

炎児のリザードンが放った【大文字】はEBを押し返していく

一方のレッドのリザードンは、口から吐く炎が次第に弱まっていく

 

レッド

「(どうすればいい!?

あの炎を蓄積できれば…そっ、そうか!!)

リザードン、その【大文字】を吸い込め!!」

 

炎児

「何っ!?」

 

レッド

「直接ダメージ受けるぐらいなら、軽い火傷を負った方がマシだ…!

それに、次の攻撃の糧にできる!!

リザードン、体内に溜まってる全ての炎を右の拳に一点集中しろ!」

 

炎児

「(この感じ…、リザードンが鎮まる時は決まって良くない事がおこる!!

あいつ…次で決着『ケリ』つけるつもりだな。)

だったら俺達も応えてやらなきゃな!?

リザードン、【日本晴れ】展開っ!」

 

朝焼けの日がスタジアム内に射し込み、炎児のリザードンを照らす

それに伴い尾の炎が大きく燃える

 

炎児

「レッド、お前とリザードンは俺を成長させてくれた。」

 

ワタル

「?」

 

炎児

「それは俺の長い旅でも見つけれなかったものだ。

今、俺は試してみたい!どうなるのか考えもつかないその方程式を解き明かしたいんだ!!

だから…やるぜ、【炎の渦】を【爆裂パンチ】に込めろ!」

 

炎児のリザードンの拳が赤く染まる

 

レッド

「どんな苦境な闘いもこいつを信じてやってきた。

…だから、言える。俺達は負けねぇさ!

相手がどんなに強くても、最後まで諦めねぇ!!」

 

炎児

「勝ちにとことん執着する性格は親譲りだなっ!

俺が嫌いな言葉は"負け"の2文字だから、正々堂々と正面から…」

 

レッド&炎児

「ぶちこめぇぇっ!!!」

 

レッドと炎児の心に灯された炎が互いのリザードンに同調する

そして、薄暗かったカントー地方に朝がやってくる…



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セキエイ高原~そりゃ似るわ~

レッドと炎児、熱い親子のポケモンバトルに決着が…


炎児

「朝日が気持ちいなぁ…。

このセキエイ高原から眺めるカントーの景色はいつ見ても絶景だ。」

 

オーキド

「早起きは三文の徳と言うが、まさにこのことじゃな!」

 

ワタル

「それにしても、いい闘いを見せてもらったよ!

最後、レッド君達のEBが繰り出された時は流石にとは思ったけど…」

 

レッド

「親父達のリザードンがその上を超えてくるとはな…!

【爆裂パンチ】か…、【メガトンパンチ】よりも威力のあるパンチだったな。

あれもジョウト地方のものなのか?」

 

炎児

「俺も初体験は、ジョウト地方だった。

受けた瞬間、体に衝撃が走ったってもんだ。」

 

レッド

「ジョウト地方…。俺のまだ見ぬポケモンの世界…。」

 

高原で大の字で寝そべるレッド

目を閉じ、今までの旅を回想する

リーグ制覇を始め、様々なトレーナーとの出逢いや対戦…ポケモンの成長とそれに伴う未知の進化

全てを思い返した時、レッドは再び体を起き上がらせる

 

ワタル

「どうだいレッド君、炎児さんとの闘いで答えはまとまったかな?」

 

レッド

「俺は…チャンピオンリーグの挑戦はしない。」

 

オーキド

「いいのか、レッド!?

挑戦を蹴るということは、再度受けるにはまたセキエイ大会を1から…。

それに早くても1年後になるのじゃぞ?」

 

レッド

「それでもいいんだ。

色々と悩んだけどさ、俺がこれから先歩んでいこうとする道の先にはチャンピオンっていうゴールは無かった。

俺は親父と戦って気づいたんだ!

果てのない旅をすることで、ポケモンと絆を深め合ったり、自分より強いトレーナーを捜してみたり…!

チャンピオンの称号は手にしてみたい…、でもそれで終わっちまう気がしてさっ!!

人はそれぞれゴールを夢見て突っ走るんだ。グリーンがジムリーダーを目指してた事や…、ワタルさんもチャンピオンになったり四天王になることが夢だったと思うんです。」

 

ワタル

「ふふっ、ご名答!」

 

レッド

「だから俺は決めた!!

俺のゴールは、『親父を超える』事だ!」

 

炎児

「俺を…超える?」

 

レッド

「ポケモンに関しても、バトルに関しても、俺が憧れるようなことを全部兼ね備えてた!

だったら、どこか少しでも親父に勝てる部分を探したいっ!!」

 

炎児

「そんな事で、諦めていいのか?

俺は毎日成長し続けるぞ?

お前がいつ追いつけるか…」

 

レッド

「追いついてみせるさっ!!

どんな事にもめげずに挑戦し続ける…俺は親父の息子だからな!!」

 

オーキド

「親子揃って、バカみたいにポケモン好きを口にしよって。

お前らがポケモンを語るのは100年早いんじゃよ!笑」

 

炎児

「ハピナス知らなかったくせに…?」

 

ボソッと呟く

 

オーキド

「たまたまじゃよ!タマタマ!!」

 

炎児

「さっきの発言はやっぱ無っしー(ナッシー)なんて言っても許さないですよ?」

 

ワタル

「返しは炎児さんに一本とられちゃいましたね、博士?」

 

オーキド

「ワタル君まで、儂を責めないでくれたまえ。」

 

一同は笑い合った

 

オーキド

「(それにしても、レッドがチャンピオンリーグを辞退するとは思ってもいなかったのぉ。

やはり赤く熱い血は受け継がれておったという訳じゃな!)」

 

レッド

「さぁてと、目標は定まった訳だし、家帰って朝飯食べたら出発するかな!!

親父はどうするんだ?」

 

炎児

「そうだなぁ…、母さんにもたくさん迷惑かけたし、ちょっとの間は家でくつろぐとするか。

トレーナーたる者、休憩も大事だしな?」

 

ワタル

「僕も、ジョウト地方でチャンピオンリーグの仕事を終えたらこっちに戻ろうかな。」

 

オーキド

「フスベシティには帰らんでいいのか?

イブキ君だっけか?彼は…」

 

ワタル

「大丈夫、僕がいなくてもしっかりやっていけてますよ!

まぁ、頑固というか負けず嫌いな性格は直ってませんが…。」

 

オーキド

「そうか、ワタル君も忙しいとは思うが、頑張ってくれたまえ!

君はカントー地方の希望の星なのだからなっ!!」

 

ワタル

「恐縮です。

…じゃあレッド君、君の活躍楽しみにしてるよ!?

炎児さん、今度カントーに戻ってきたら一戦、お願いします!!」

 

炎児

「お前との勝負ならいくらでも受けてやるぜ!

行ってこい、達者でな!!」

 

ワタルはカイリューに乗って、遥か西の空へと消えていった

 

炎児

「よっしゃ!帰るか、マサラタウンに!!」

 

こうしてレッドは父親の背中を追い、冒険という道を選んだ

何が待ち受けているのか分からない…だからこそ生まれる好奇心

ポケモンバトルが、とある親子の想いを結びつけたのであった



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Another Story 14~黄…博覧強記な者~

僕の名前はイエロー

レッドさんとポケモンリーグの頂点を懸けた全力勝負で敗北し、一路マサラタウンに帰省し、のんびり過ごしていた

 

イエロー

「はぁ~、退屈だなぁ。

レッドさんやグリーンさんみたいに毎日取り組むような事があればいいんだけどなぁ。」

 

オーキド

「何をぶつぶつ言っておるのじゃ。それならお前さんもレッドのように旅すればよかろう?」

 

イエロー

「それじゃあダメなんですよ!

もうレッドさんの足跡辿って追いかけてるようじゃ、僕はそれまでのトレーナーになってしまう。

何かレッドさんやグリーンさんに負けないような自分だけの特技活かしていかなくちゃ!…でもそれが何なのか見つからなくて。」

 

オーキド

「イエロー、お前は既に能力を開化しつつあるのじゃよ?

ほれ、お前さんが誰よりも最初に見つけたものが…!!」

 

イエロー

「EB…、それがこれからとどう関係してるんですか?」

 

オーキド

「お前さんはポケモンの隠された強さや、生態に関して、詳しい!

どうじゃ、儂の研究所で働いてみないかっ!?

たくさんのポケモンがおるし、調査するにはもってこいの場所だとは思うが…。」

 

イエロー

「まぁ、暇してるよりかはいいですね。」

 

イエローはオーキドの提案に妥協し、助手を体験することに

2つ返事で始めた研究だったが、日を重ねる毎に、イエローの目付きも真剣さを増し、のめり込んでいった

 

そんなある日…

 

オーキド

「イエロー、毎日熱心にイーブイを眺めるのもいいが、体を休めるのを忘れてはならんぞ?

夜遅くまで観察せずとも、研究に期限などないからのぉ。」

 

イエロー

「いや、その微かな見逃しが結果を大きく変えてしまうんです!

ここの所、イーブイの様子がどうも気になる…。

僕はもう少し観察してくんで、博士は帰ってても大丈夫ですよ。」

 

オーキド

「無理はしちゃならんぞ?」

 

イエローの研究はその後も、日夜続いた…

そして…研究所内にオーキドを呼ぶ声が響いた

 

イエロー

「はぁ…はぁ…、博士、遂に分かりましたよっ!

まだ途中段階ですけど!」

 

オーキド

「そんなに慌ててどうした!?」

 

イエロー

「イーブイは発見されてる中でも、進化形態はブースター、シャワーズ、サンダースの3種。

いずれも特殊な石を用いて進化することが提唱されてますが、もしかすると、更なる進化が期待できるんですっ!!」

 

オーキド

「そんなバカな…、ただでさえその3形態を発見するのに儂がどれほどの年月を犠牲にしてきたことか!」

 

イエロー

「でも、明らかに石のそれとは別の反応が見られたんです!

それは、イーブイの瞳で識別できた…。

まずは朝型…それも人が寝静まった早朝の時間帯では瞳が紫色に。

一方の深夜帯では、赤色に光るんです!!

これは、今までの進化形態に当てはまらない!!

…と、ここまでしか分からなかったんですが。」

 

オーキド

「(イエローの言ってることが嘘でないとすれば、これは世紀の大発見じゃ!やはり、イエローはポケモンに関して秀でていること間違いない!)」

 

イエロー

「博士、僕ここで働いてもいいですか?

ここにいると次から次へ頭に入り込んでくる…、あぁしてみれば、こうしてみればって試行錯誤することでポケモンの行方を追いかけていたいんです!

そして、いつの日かレッドさんやグリーンさんがアッと驚くような発見を自慢してみたいって思いました!!」

 

オーキド

「うむ…、君らしいじゃないか!

ここにある研究材料は存分に使いたまえ。

そして、納得のいくまでポケモンの謎を解き明かしてくれ!!その為なら儂もサポートしよう!」

 

このイエローの決断が、ポケモン界をさらに開拓していくのである

そして、彼が『オーキドの右腕』の二つ名で有名になるのはそう遅くはなかった



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Another Story 14~緑…調和をもたらす者~

俺の名前はグリーン

トキワシティのジムリーダーに就任してからかなりの月日が経った

今日も一人のトレーナーが挑戦しにやって来た

 

グリーン

「カメックス、【ハイドロポンプ】だ!!」

 

???

「あーっ、うちのバリヤードがぁ~!」

 

???

「だから言ったろ?そのバリヤードじゃ、グリーンさんのカメックスには敵わないって!」

 

チャレンジャーの女の子は眞守(まもり)

付き添いの男の子は拓也(たくや)

2人共、見たところ新人のトレーナーらしく、お互い切磋琢磨しながら旅をしているらしい

 

グリーン

「けど、バリヤードの守備を崩すのは中々困難だったぞ?

それにどんなポケモンにも長所や短所がある…。そこをどう補うかが、今後の課題になるな!」

 

眞守

「あっ、ありがとうございますっ!!

指導してくださるジムリーダーなんて、そうそういませんでしたから。」

 

拓也

「グリーンさん、甘やかしちゃあ駄目ですよ!?

こいつ調子にのるんで…。バリヤードとはかなり一緒に旅してきたのを隣で見てきましたが、単刀直入に言いますが…、バリヤードには才能がありません!」

 

グリーン

「まぁまぁ…。」

 

眞守

「いいんです、グリーンさん。

拓也君が言うことも一理あるので…。

ポケモンバトルに出しても、負けっぱなし。他のポケモンの活躍が余計目立ってしまうんです。

それでもうちは認めたくなくて…。」

 

グリーン

「それでいいんじゃないか?

トレーナーに大事なのは、最後まで自分のポケモンを信じて戦うことだ!

勝ち負けはその後っ!見捨てちまったら、ポケモンの頑張りを自らが否定することになる…、だろ?」

 

眞守

「はい…。」

 

グリーン

「もっと修行を積みたいと思うなら、うってつけの場所がある!

俺の友達もそこでレベルアップを試みた。

結果として、そいつはポケモンリーグを制覇したんだ!!」

 

拓也

「おぉ~っ、是非教えて下さい!!」

 

グリーン

「ただ…、そこでは強力なトレーナーやポケモンが毎日しのぎを削っている!

くれぐれも気をつけるようにね!!」

 

2人はグリーンに教えてもらい、22番道路を過ぎ、チャンピオンロードへとやってきた

 

眞守

「うわぁ~っ、でっかい山だねぇ!!」

 

拓也

「ここがリーグ制覇への関門と呼ばれる、チャンピオンロードかぁ!」

 

複雑な構造になっている内部では、ポケモンバトルが至る所で行われていた

 

眞守

「皆、すごい迫力…!!

私達、この人達と戦うことになるのかな?」

 

拓也

「いずれそうなるだろうな。

さ、俺達も口開けて見てないで、修行しようぜ?」

 

その時、突如として地面から巨大なポケモンが飛び出してきた

イワークだ

どうやらご機嫌斜めのようで、眞守と拓也を見つけるやいなや、襲いかかってきた

 

拓也

「眞守、ポケモンバトルいくぞ!?

躊躇してたら、…全滅だ!!

やるぞ、オムスター!」

 

だが、眞守はあまりの恐怖に腰を抜かしてしまった

 

拓也

「こんな時にっ…!!

仕方ねぇ、俺達だけでもやってやる!

オムスター、【棘キャノン】っ!!」

 

しかし、イワークは体を硬化させ、一切技を寄せつけない

 

拓也

「ちっ、やっぱり水タイプの技で…」

 

その僅かな隙を縫って、イワークは【叩きつける】でオムスターを集中攻撃する

抵抗できない拓也とオムスター…

そして恐れていた事態が訪れた

イワークは地面を揺らし、不安定な洞窟上部の岩を落とし始めた

 

拓也

「(ここまでかっ…!!)」

 

眞守

「お願いバリヤード、皆を守ってぇーっ!!【バリアー】っ!!!」

 

ボールから飛び出したバリヤードは後ろの2人とオムスターを守るべく、岩の数倍はある大きさの盾を生み出す

落ちてくる岩は全て弾かれ、傷1つつけることもさせなかった

 

眞守

「やったよ!バリヤード、あなたなら出来ると信じてた!!」

 

そこへ、特大の【ハイドロポンプ】が放たれ、イワークを撃退した

 

眞守&拓也

「!?」

 

そこにはグリーンとカメックスがいた

 

グリーン

「間に合ってよかった…。

ここの野生のポケモンはレベルがかなり高いから、2人の事が心配でジムを飛び出してきたんだけど…、どうやらその必要もなかったようだ。

バリヤードの活躍、しっかり見させてもらったぜ?」

 

眞守

「うち…、バリヤードを信じてよかった!

バリヤードにしかできない事。1番じゃなくたって、そのシチュエーションに合ったポケモンを出して健闘できれば、それだけでいいんだって!!」

 

拓也

「…ゴメンな眞守。

俺、バリヤードに酷いこと言っちまって。

あの時、バリヤードが居なかったら今頃岩の下敷きになってたよ!

…バリヤードに感謝しないとなっ、サンキュー、バリヤード!!」

 

グリーン

「一先ず、ここから出ようか。」

 

22番道路

ここにまた決意を固めたトレーナーがいた

 

眞守

「うち、グリーンさんの言葉が無かったら、ここまでポケモンを信頼できませんでした。

…うちもグリーンさんみたいなジムリーダーになりたいっ!!

悩みを持ったトレーナーに助言してあげることで、さらに強くしてあげれるような…、皆から慕われるジムリーダーにっ!!」

 

グリーン

「誉め言葉ありがとう。

君ならできるよ…、バリヤードだけでなく自分のポケモンを信頼していれば!」

 

拓也

「そんじゃ、俺はお前がジムリーダーになるまで見守ってやるかな!」

 

グリーン

「心強い、旅の仲間だ!!

さ、いつでも再挑戦待ってるからなっ!!」

 

こうして2人に別れを告げた

これが、グリーンという男であり、ポケモンと人…人と人…それら全てに調和を与えたのである

そして彼が磨いた未来の原石が後にジムリーダーになるのはまだまだ先の話である…



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エピローグ~マサラは真っ白、始まりの色~

冬も過ぎ、温かい春が訪れた…

ここマサラタウンにも春一番が吹いたばかりである

 

レッドの母

「レッド~、荷物持ったぁ~?忘れ物はない~?」

 

レッド

「全部確認したから大丈夫ーっ!!

…おっと、一番大事な物忘れてたぜ。」

 

机の上に置かれたポケモン図鑑を手に取りポケットにしまいこむ

鏡を見てもう一度チェックし、帽子をかぶり直す

 

レッド

「それじゃあ行ってくる!!」

 

「歌美ちゃんにもヨロシク伝えといてねぇ~!!」

 

レッド

「はいはい…、ったく何べんも言わなくてもいいっての。」

 

玄関の扉を開け、外に出ると炎児が煙草をふかしながら待っていた

 

炎児

「もう行くのか?

もっとゆっくりしてってもいいんだぞ?

慌てる乞食は貰いが少ないって言葉があってな…、急ぎすぎると結果失敗するってもんだ。」

 

レッド

「俺の性格知ってるだろ?

決めたからには行動に移さなきゃ。

1日でも親父を抜くには…なっ!

急いで転んだって、怪我の1つや2つ、へっちゃらさ!!」

 

炎児

「何か意味はき違えてないか?

まぁいいさ…、壁にぶち当たったらいつでも戻ってこい!相談ならいくらでも聞いてやる。今までしてやれなかったこと…たんまり甘えてもいいからな。」

 

レッド

「もうそんな歳じゃねぇよ!

ありがとな…親父っ!!」

 

炎児

「それと…、このマサラタウンの匂いや風景忘れんな。

遠くに旅行くと必ず故郷が恋しくなるんだ。そんな時、寝る前に思い浮かべてみろ…、すると不思議と体が軽くなるっていうか、明日も頑張ろうって気持ちが自然と湧いてくるんだよ。」

 

レッド

「(そうだ、俺はここから旅立ちそして再び帰ってくる。

いつでも迎え入れてくれる仲間…、場所があるんだ!!

だから俺は安心して前を向き、ここを出ることができるっ!!)」

 

レッドは大きく深呼吸をし、マサラタウンに漂うたっぷりの空気を体内に行き渡らせる

そして、親父の方を振り返ることなくマサラタウンを出発した

1番道路では歌美が既に待ちぼうけていた

 

歌美

「遅っーい!!

…っていつもなら言うところだけど、今回は許しといてあげる!

ちゃんと、挨拶してきた?」

 

レッド

「母ちゃんがお前にヨロシクだとよ。」

 

歌美

「お、お母様ったら早いってばぁ~、きゃーっ!!」

 

レッド

「ほら、ボーッとしてると置いてくぞ?

まずは西へ…そんでもって、ポケモンバトルだ!!!

(俺の冒険はまだまだ終わらねぇっ!

新しい仲間、新しい町…ここから俺の新たな人生が始まるんだ!!)」

 

マサラは真っ白、始まりの色…

どんな色の冒険を描いていくもトレーナー次第、そのキャンバスを自分色に染めていくんだ!

俺の色?…野暮な質問だな、俺の色はもう言わなくたって分かってるだろ!?

 

こうしてレッドの冒険にひとまず節目がついた

だが、決して終わりではない!

終わりという名のスタートなのである!

そう…、レッドの冒険は続く…、続くったら続くっ!!



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