Q.転生って? A.ああ、そこってARC-V!? (ムラクモYP)
しおりを挟む

Q.転生って? A.どういう……ことだ

ハーメルンでの投稿は初になります。生暖かい目で見てください。


『振り切った限界をまーた、のりk」バン!!

 

「うん……何だもう、朝か」

 

 目覚ましを叩いて止めてうっすらと目を開ける。そこに太陽から召喚された日差しがダイレクトアタックしてきて思わず目を閉じる。

 

 昨日いつも通りデッキの構築を考えてたせいで夜遅くになって寝落ちしたのか。

 

 どおりでいつにもまして日差しが眩しいような、気がしたぜ。

 

 ん~~、でも今日は学校あるからな。早く準備しないと、いつものニュースが聞こえてくるはずで、

 

『続きまして本日の舞網ニュースです。いよいよ来週に迫ってきた舞網チャンピオンシップですが、今年は様々な出場者が期待できーー』

 

 …………ちょっとまて、いま舞網チャンピオンシップって言ったよな。

 

 Q.舞網チャンピオンシップの舞台って?

 

 A.ああっ!!それってARC-V!!

 

 

 ……………………アィエエエエエエエ!!??、マイアミチャンピオンシップナンデ!!??

 

 いやまて、落ち着くんだ。朝のニュースでそんなことが言うわけないじゃないか。現実でチャンピオンシップなんて、CSと称してるし俺の住んでいる街は舞網なんて名前じゃないんだし……。そもそもカードゲームの大会とかニュースに取り上げられないし。

 

「そうだ、きのせいだ。だってほら窓の向こうにはいつもの景色が……………………ない、だと……………………」

 

 窓の向こうにはいつも見慣れた景色とは違って、『ワイト塾』や『凡骨塾』、果てには『やられたらやり返すチェーンバーンだ塾』だのなぁにこれぇ?といった建物がアチラコチラに見える。うん。どう見てもARC-Vの世界観だ。

 

 …………ふう。気を取り直して顔でも洗いに行こう。睡眠不足がたたってこんな夢でも見ているのだろう。妙にうん。絶対そうだ。それにしても凄い夢だな。おれ、こんな夢今まで見たことがないよ!!

 

 部屋から出て下に降りて行き洗面所についた。鏡には見慣れた自分の顔。少し幼く見えているのは気のせいだろう。

 

 さて、蛇口をひねると水が出る。うん。まあ、夢なんだから水の感覚がわかるわけ無いか。おもいっきり洗ってやろう。よぉし、かっこいいとこ見せるぞー。

 

 …………冷たいです。すごく、水が冷たいです。

 

 ああ。もうこれ夢じゃなくね。ほっぺを強くつねったら痛かったし。お陰で少し腫れてしまった。

 

 もうこれは異世界転生ってことだね。もう考えるのもバカバカしくなってきた。それにさっきから朝ごはんのいい匂いがしてきてお腹が減ってきた。さて、朝飯朝飯っと……。

 

「あら、遊一。起きたの」

 

「おお、おはよう。遊一」

 

「ああ。おはよう、母さん、父さん」

 

 ああ、俺の両親は至って健在だ。ほら見ろやっぱり夢だったんじゃないか。

 

 俺は冷蔵庫から牛乳を取り出してコップに入れ、朝の一杯を楽しんでいたら、

 

「おはよー、おかーさん、おとーさん、お兄ちゃん」

 

 見知らぬパジャマ姿の美少女が降りてきました。

 

 長い黒髪と白い肌。まだ起きたばかりなのか半分ほど閉じていてもわかるほどぱちくりとした眼。まさに大和撫子といった少女だ。

 

 二次元から出てきたのかと驚きのあまり思わず、口に含んでいた牛乳をその美少女に吹いてしまったじゃねぇか!?

 

「きゃぁ!? お兄ちゃん汚い!!」

 

「ごほっ、ああ……。すまん」

 

 軽くむせた。鼻がツーンとする。目の前に謎の白い液体(牛乳)をかけられた美少女がいるってのに普通なら興奮するかもしれんが今はただ鼻が痛い。

 

「まあ、洗濯しようとしてたからいいけどねー。おかーさん、まだ洗濯機まわしてないよねー」

 

 謎の美少女(おそらくこの世界での俺の妹なのだろう)はそのまま洗面所の方に行った。おそらく着替えるのだろう。

 

 おいおい、まじかよ。異世界転生ものの小説はよく読んでいたが実際に体験するとかなりきついものがあるぞ……。

 

 呆然としていてもあれだからとりあえず、むせてしまって鼻が痛くなっているからティッシュで鼻をかもう。そして朝飯を食べてから深いことを考えよう。そう決めて、俺はまずティッシュで鼻をかむのであった。

 

 

 

 

 

「「「「ご馳走様でした」」」」

 

 家族全員でご馳走様をいう。これは前世でも変わらない光景だ。

 

 さて、とりあえずどうするか。ひとまず部屋に戻って現状の把握をしようk……「お兄ちゃん、準備しないと学校に遅れるよ?」

 

「学校?何だそれは、いつ発動する? 今はそんなもの俺の管轄外だ」

 

「……また、お兄ちゃんが変なコト言ってるよぉ。それよりも早く準備しないと遊矢お兄ちゃんや柚子お姉ちゃん、権現坂お兄ちゃんたちが来ちゃうよ?」

 

 Why? まじかよ、主人公勢たちが俺のおさ馴染み設定かよ。 え、そうすると俺優勝塾所属ってオチ?

 

 ピンポ~~ン。 オーイ、ユウイチー。 ユウカチャーン

 

 インターホンがなり、外から俺たちの名前を呼ぶ聞き覚えのある声が聞こえた。ふむ、この子の名前はユウカというのか。いい名前DA☆

 

「あ、ほら。遊矢お兄ちゃんたちが来ちゃったから早く準備して!!」

 

 ええーー。まだ八時少し過ぎなんだから遅くてもいいじゃん。俺はこれからこの状況を飲み込みたいし……。

 

 うへぇ、という感じの顔をしてると、

 

「もう、お兄ちゃん早く早く!!」

 

 と催促してくる妹。べ、別に妹の頼みだからきくんだからね!勘違いしないでね!

 

「へいへいわかったよ。んで、なに持っていけばいいんだっけ?」

 

「今日は半日で授業も殆ど無いからスクールバックと一応デュエルディスクでいいと思うよ。でも、お兄ちゃん今日どうかしたの?なんか変だけど?」

 

 ふむ。ここは『実は俺が転生しちゃったテヘペロ(・ω<)』。と言うべきなのか?いや、でもこの子お兄ちゃん子らしいから。本物の兄じゃないということは今は黙っている方がいいだろうな。

 

「ああ。ちょっと寝不足で頭がまわらないんだ。待ってろ、40で支度してくる」

 

「ラピ●タじゃないんだけどね……」

 

 なんだ、この世界でもラピ●タはあるのか。ラピュタはやっぱり存在したんだ!!どうでもいいけどマシュマックとラピ●タってホント似てるよな。そんなことを思いつつダッシュで自分の部屋に戻りクローゼットの中にある制服に着替えかけてあるスクールバックを手に取り時間割を見る。

 

 ふむ。今日は半日授業か。しかも、教科書がいらなさそうだな。なら、あとはデュエルディスクとデッキだけでいいかな。

 

 さて、準備は万端とりあえずなんでこの世界に来たかはわからんがまずはこの妹がいて主人公勢と幼なじみという環境になれるとしますか。じゃあ、イテキマース。ノ

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Q.幼なじみって? A.それって仲間じゃないかな?

おひさしぶりです。
失踪したとおもった?ざーんねんおれムラクモ。 
違うんです!!大学が始まって思うように時間がとれなかったんです!!
俺は悪くない悪いのは皆ドン・サウザンドってやつなんだ!!
と言うわけで続きです。多分次回にはデュエル描写が入るはずです。
……入るよね?


「おはーよ、遊香ちゃん」

 

「おはよー、柚子お姉ちゃん」

 

「おっす、遊一」

 

「うむ。おはよう遊一」

 

「ああ、おはようふたりとも」

 

 家を出るとすでに出ていた妹と挨拶していた幼なじみ(最も俺自身にとっては幼なじみという感覚ではないが)たちがいた。

 

 遊香としゃべっているストロングそうな少女は柊柚子。遊勝塾の塾長の娘でもあり。榊遊矢の幼なじみだ。そのかわいらしい外見とは裏腹になかなかのストロングさを持ちあわせている少女だ。ちなみになぜか彼女がつっこむ際にはどこからともなくハリセンが現れる。どういう……事なんだろうな。

 

 そんな彼女のデッキは幻奏デッキ。幻奏デッキは音楽をモチーフにしたデッキテーマで特殊召喚する事で耐性持ちになったりするデッキだ。特にエレジーアリアの布陣になると突破するためにはトリシューラか満足空母やトライヴェールなどの対象を取らないバウンスや除外、さらにはビヨンドなどの対象取らない効果無効等ではないと突破できない一度固まると相手にするのが大変なデッキだ。実際アリアエレジーの布陣で20ターンほど硬直したことがある。……本当にあれはきついデュエルだったなぁ……。

 

 続いて俺に挨拶してきた二人の少年。ひとりは赤と緑のボサボサ髪の年相応に幼い顔つきの少年と制服の学ランをしっかりと襟元まで閉じるほどの硬派でとても中学生とは思えられない体つきの少年(?)。

 

 ボサボサ頭のトマトヘアーの少年の名前は榊遊矢。遊勝塾の名前の元ともなっている。エンタメデュエリスト榊遊勝の息子だ。

 

 しかし榊遊勝が謎の失踪をしてからは何かとからかわれることが多いのだがそんなことに挫けずに自身も父親の後を追ってエンタメデュエリストを目指しているところはかなり好感度たかいぞ。

 

 彼のデッキはEM(エンタメイト)。ペンデュラムと呼ばれる新しい召喚法を駆使するデッキだ。まあ、名前とは裏腹にかなりの脳筋を叩き出すんだけどな。ペンデュラム展開後のパートナーガやシルクロで打点が2100もあがるんだよな。しかも団結の力とか使うとさらに4000アップとかもいけるからな(棒)。あの脳筋軍団は主人公が使うデッキじゃないだろ……。後に彼はペンデュラム召喚という新しい召喚法を見せるのだがそれはもう少し先のことかな…。

 

 最後に学ランにリーゼント、極めつけに下駄という変わった格好の大男。彼の名前は権現坂昇。彼は彼自身の父が師範を勤める不動のデュエルを極める権現坂道場の跡取りだ。権現坂自身は遊勝塾所属ではないが遊矢、柚子の幼なじみとしてこの三人でいつもつるんでいるのうだ。

 

 ちなみに彼のデッキは超重武者モンスターたちのみで構成されているいわゆるフルモンスターデッキだ。それにしては超重武者モンスターはフルモンスターとして発動する効果が強いものばかりなので油断はできないんだよなぁ。うっかりしてるとスサノーOにイワトオシ装備でダメステバスターガントレットなんてされたら7600の貫通持ちで攻撃してくるんだもの……軽くトラウマものだよ(白目)。

 

「ん? どうしたんだ遊一、いきなり目から光がなくなってるぞ!?」

 

 っと、いけない。前世の主人公勢デッキのトラウマがよぎったせいでレイプ目になっていたみたいだ。

 

 しかしまあ、俺もこいつらのデッキを組んで使っていたわけだがARC-Vの登場キャラたちはどうしてこんなにも面白いんだろうな。あ、クイズ野郎は奈落の落とし穴に入っていてください。

 

「いや、ふと昔のことを思い出してな。ちょっとトラウマがよぎっただけだから気にしなくていいぞ」

 

「今日のお兄ちゃんなんか変なんだよ。 朝から私に驚いて牛乳を吹いてくるんだもん! そのせいで朝から大変だったんだから!!」

 

「ごめんよ、マイシスター。今度甘いものをおごるから非力なお兄ちゃんを許してくれ」

 

「え! 本当に!! じゃあ、氷結界堂の『ブリューナクのアイス最中』がいいなぁ」

 

「オーケー。じゃあ、学校終わったら買いに行こうな」

 

「うん! 約束だからね!!」

 

 ああ~~^、妹可愛いんじゃ~~^、レスキューラビットがピョンピョンするんじゃ~~^

 

 ウサギ、ヘリオロープ、オピオン……うっ、頭が。

 

 しかし、妹とはこんなにも可愛い存在だったんだな。リアルの友人は妹なんてうるさいだけとか言っていたがあれは嘘だったんだな。

 

「ところで遊矢、石島プロとのことどうするの?」

 

「……うーん。 どうすればいいんだろう……」

 

「無理に戦う必要がないのだから、お前自身が戦いと思うなら挑んでみるのも一つの手だぞ遊矢」

 

 うん? この流れだとどうやら時系列はアニメの一話あたりなのかな? 少し確認してみるか。

 

「石島プロってあのバーバリアン使いのチャンピオンのことだよな? それがどうして遊矢と戦う話がでてるんだ?」

 

「聞いてよ遊一! 昨日、家に石島プロのマネージャーのニコって人が来てエキシビションで遊矢とのデュエルを石島プロが希望しているっていったのよ!」

 

 ふむ。この流れはアニメどおりか。なら、少し遊矢を後押ししてやるか。

 

「なるほどな。多分石島プロのことだから遊矢のお父さん、遊勝さんとのデュエルで決着がつけられなくなったから遊矢と戦うことで隠れている遊勝さんを引きずり出そうとしているのかもな」

 

「え? でも父さんは母さんや塾長、俺たちでもどこにいるのかわからないのになんでそんなことを……」

 

「多分だけど、石島プロは納得してないんだろうよ。自分が不戦勝でチャンピオンになったことが。だからこそ、遊勝さんの息子の遊矢をエキシビションで戦って遊矢を完膚なきまでに叩きのめせば、遊勝さんが出てくると考えたんじゃあないかな」

 

「でも……もしかしたらただ単に遊矢を見せしめにしようとしてるのかもしれないし……。昔みたいに……」

 

「柚子……」

 

 柚子は昔のことを思い出して目に涙を溜めていた。それに遊矢と権現坂が苦い顔になった。

 

「お兄ちゃん……」

 

 妹の声のする方に顔を向けると妹までもが泣きそうな顔になっていた。……これは、なんとかしないとだよなぁ……。

 

「ま、大丈夫だろ。なんかあったら俺がLDSに乗り込んでやるから」

 

「というか、遊一は元からLDSじゃないか」

 

「そうよ! その時は遊一にLDSで抗議してもらいましょう!!」

 

「この男、権現坂も協力しよう!」

 

「いや、お前は自分の道場をなんとかしろ」

 

 これでさっきの重い空気ははらえたかな。あとは遊矢自身がどうするかだな。

 

「決めたよ。柚子、権現坂、遊一。おれは石島プロとデュエルする。そして、父さんのデュエルをみんなに魅せてやる!!」

 

 そうそう。この笑顔だよ、遊矢。エンタメデュエリストなら笑顔じゃないとな。

 人を笑顔にするにはまず自分から笑わないと相手も笑えない。誰かが言っていたような気がするがいったい誰だったかな。まあ、いいか。

 

「さあ、学校に行こう。早くしないと遅刻になるぞ!!」

 

 そういっておれは学校の方へと走り出した。それに続いてみんながついてくる。

 

「あ、待てよ! 一番最後だったおまえが何で一番先につくようになるんだ!!」

 

「む、ひとりだけ抜け駆けとはけしからんぞ! 遊一!!」

 

「待ってよー! お兄ちゃん!!」

 

「おう、待っているぞマイシスター!」

 

「このシスコン!!」スパァン!!

 

「いてぇ!! 柚子! ハリセンはやめろ!! 俺の頭がおかしくなったらどうする気だ!!」

 

「そんなこと知らないわ、私の管轄外よ!」

 

「ひでぇ!!」

 

 こんなやりとりでも皆が笑顔になって笑っている。これがおれにとってのポジションじゃないかな? そう思って学校に向かう。

 

 余談だが、授業は普通にあったみたいです……。ふぇぇ、教科書持ってきてないよぉ……。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Q.福袋って? A.ああ!!それって運試し?

デュエルシーンにはいるといったな?

あ れ は 嘘 だ 。

ちがっ、クリボーが勝手にデュエルシーンを先送りにしろって……。
 
次回には必ず入りますから……。(震え声

ところで、制限改訂が変更なしというのはコナミお前の仕業か?


 キーンコーン、カン☆コーン

 

 授業終了のチャイムが学校に鳴り響いて今日の授業が終わり放課後になった。

 

 いやぁ、教科書無しで授業とかスリリングなことをしたぜ。

 まあ、転生前は大学生だったから中学二年位の内容は教科書無しでもできたけどな。

 

 とりあえず、教科書持ってきていないてことがばれなくて良かった……。見つかってお説教されるなんてごめんだからな。

 

 そんなこともあり俺の精神的ライフはゴリゴリと減っていたのだが、妹と合流したとたんにライフアゲインした。

 

 こんなことでDark Nightの恩恵を受けるとは驚いたなぁ……。

 

 ちなみに今は、朝に妹と約束したとおり氷結界堂で甘味を買いに来ている。しかし、だ。

 

 

 

 

「何でお前らもついてきてんの?」

 

 はい。俺と妹の後ろには遊矢、柚子、権現坂の幼なじみ3人がついてきています。

 

 きっさまら、俺の妹とのハッピータイムをよくも……。

 

「え? 別にいいじゃない?」

 

「別によいだろう。俺もちょうど甘味が食べたかったのだ」

 

「俺もだ。 やっぱりエンタメには甘いものが必要だからな!!」

 

 嘘だ!!と言ってやりたいところだが……

 

「いいじゃん、柚子お姉ちゃん達にはいつもお世話になっているんだからたまには甘いもの位おごってあげればいいんじゃない?」

 

 くっ。 優香まで敵に回ってしまうとは俺に味方はいないのか。

 

「はぁ……。 わかったよ、電子マネーがいくらかあるはずだからな。 ただし!ひとり五百円までだからな!!」

 

 学校についてデュエルディスクを確認してみたら驚いたことに電子マネーには七桁の数字が表示されていた。

恐らく俺の前世での全財産の総額なんだろうが、中学生が持つ金額じゃねぇよ。おいそれと銀行行けないじゃねぇか。

 

 しかし、問題はもう一つある。それは、俺がLDS所属ということだ。いや、まだLDS所属だけなら良かったのだが俺の所属している学科が問題だった。

 

 俺の所属していることになっている学科は、『総合実戦学科』という原作勢からしたら、「あっ……(察し)」となる学科だった。てか、こんな学科原作には無かった気がするんだが……。大丈夫かな?

 

「…ちゃん、お兄ちゃん!!」クイクイ

 

「うん?どうした優香?」

 

 自然と優香と呼ぶのにも慣れてきたなぁ……。妹とは良いものだ……。

 

「どうしたの、ボーッとして?」

 

 っと、いかんいかん。 あまりボーッとしてると『いつもの兄』ではないということがわかってしまうだろう。そうしたら優香の知る兄とは違う存在である『俺』が転生したことがバレてしまう。

 それは、優香(お兄ちゃん大好きっ子)にとっては何よりも耐え難いことだろう。

 だからこそ、今の『俺』は『優香の知る兄』を演じなければ。もしかしたらいつかバレてしまうかも知れない。そうしたらどうすればいいんだろうな……。こればっかりは決闘者の思考でも答えがでないしなぁ。

 

「おう。しかしまた、何で『氷結界堂』なんだ? 甘いものなら『ラヴァル村』とか『ⅣⅠ(フォーティワン)』とかにもあるのに」

 

 ふう。事前に話の種を集めておいて正解だったな。甘いものが好きなんだろうと思ってあらかじめ調べてあったのさ!!ちなみに先の三つ以外にも洋菓子専門店『マドルチェシャトー』や北欧の伝統料理を扱っている『ラグナロックック』とかもあったりした。

 

「お兄ちゃん知らないの? 今日は氷結界堂でデュエル大会があるんだよ。 なんとね、優勝すれば氷結界堂特製の『氷結界の盛り合わせ』が景品としてでるんだよ!!」

 

 なにその禁止や制限たち規制組みの集まりは、どう考えても悪さしかしてない奴らじゃねぇか。最近では影霊衣とかいうコスプレ集団にも取り込まれたし。影霊衣は手札誘発をつけなくて良かったのになぜつけたし、コンマイぇ……。これも全部、ドン・サウザンドって奴のせいなのか!!絶対ゆるさねぇぞ!!ドン・サウザンド!!

 

「……なんか、腹こわしそうなほど冷たそうだな」

 

 主に、効果テキスト的な意味で。

 

「それでね、参加には300円以上のお買い物が必要なの。私はあの『ドゥローレンのシューアイス ~バウンスパックを添えて~』がいいな」

 

 優香が手にした物は一見ごくふつうのシューアイスかと思ったのだがドゥローレンの焼き印が押されたシューアイスの下に袋に入ったカードが見えていた。

 

 ああ、ここは商品にカードがついているんだな。さすがデュエルで世界が滅ぼせたり時空を超えたりできるだけあるな。

 

「じゃあ、私はこの『舞姫のシャーベット ~バウンスパックを添えて~』にしようかな」

 

「俺は、『伝道師の大福 ~蘇生パックを添えて~』にしよう」

 

「ふむ。なら俺は、『武士の最中 ~ドローパックを添えて~』にするか」

 

 それぞれが思い思いの品を選んでいる中俺は、ふと片隅にポツンと置いてあった一つの紙袋を見つけ出した。値札に500円としか書いてなく、なにが入っているのかはわからない。と言うか、『福袋』と書いてあった。中身は何なのだろうかと軽く振ってみるとカサカサと軽い音がしていた。恐らくカードが何枚かと飴か何かが入っているのだろう。

 

「そうか、お前もひとりぼっちなのか。ならおれが買ってやろう。ひとりぼっちは寂しいもんな」

 

 どこぞの魔法少女のセリフを呟きながら紙袋を取り、優香たちの方へ向かう。そこで、みんなが買ったものを精算する。その場で俺たち5人分の大会の参加登録をしてデュエルスペースにもなるテーブルスペースに移動する。そこで、俺たちは各々と買ったものをパクついた。ちなみに福袋の中身は予想どおりブルーハワイの飴ちゃんだった。しかし以外にこの飴、普通の飴とは違い途中から味が変わったのだった。最初はブルーハワイ、その次にはイチゴと変わっていった。そういやあ、飴の中に赤い色がしていたと思ったらあれはイチゴの部分だったんだな。

 

 そんなこんなでみんなが甘味を食べ終わったら、付属していたパックの開封に移っていった。

 

「あ、私は強制脱出装置だ。ちょうど欲しかったからちょうど良かった~」

 

「私も優香ちゃんと同じだったわ。汎用性の高いカードだから良いわね」

 

「お、俺は死者蘇生だ。そう言えば、蘇生系のカードを入れてなかったからこの際入れてみるか」

 

「俺は、カードカー・Dだ。俺のフルモンスターデッキと相性は最高だ」

 

 みんなはそこそこいいカードがでているようだった。さて俺のはどうなのだろうか。

 

「俺のはなにが入っているのかなぁ……、みた感じ三枚入っているみたいだな」

 

 スリーブの中には三枚のカードが入っているのがわかった。せめて、使えるカードにしてくれよ。

 

「えーと、一枚目はと……ブリューナクのシークレットか。禁止カードじゃねぇか」

 

 はい。一枚目は禁止カードのブリューナク=サンでした。

 

「気を取り直して二枚目にいこう……」ガクガク

 

「お、お兄ちゃん。震えてるけど……」

 

「ばっか、これは武者震いだ……(震え声)」ブルブル

 

「あーうん。わかったから早く次見てみなさいよ」

 

「ああ。えーと、二枚目は……グングニールの、シークレット……。うん、まあ、使えるんだけどねぇ……」ションボリチュア

 

 ドーモ、グングニール=サン。

 

 ……さ、次行こう。

 

「ああ!お兄ちゃんが、うつろな目になっちゃった……」

 

「HAHAHA、ダイジョウブダヨユウカ。ナンノモンダイモナイヨ」カタカタ

 

「こりゃあ、重症だなぁ。柚子、あれを」

 

「うん。ほら、戻りなさい遊一!!」スパーン!!

 

 鮫の一閃ならぬ、柚子の一閃が俺を襲う!!

 

「っと。あぶねぇ……。はっ、俺はどうしていたんだ」

 

 なにやら、闇磯野が向こうで手招きしてたきがしたんだがうん。気のせいだろ。

 

「良かった……。お兄ちゃんが帰ってきたよ」

 

「ああ、ただいま優香」ヒシッ

 

「お帰り、お兄ちゃん!!」ヒシッ

 

 俺と優香が抱きついていると、

 

「そこの二人離れないと変な目で見られるわよ。と言うか、見られているわよ……」

 

 柚子の言葉をきいて周りを見回すと、なぜか俺は睨まれていた。しかも、「なんであんな奴があんなに可愛い妹がいるんだ……」や「俺もお兄ちゃん!!って呼ばれてぇ……」、「リア充爆発しろ」などという声が聞こえてくる。おい、最後のはヨスガるからアウトじゃねぇか。

 

「ゴホン。じゃあ、気おとりなおして最後のカードは何かなーと……ト、トリシューラ!!??」

 

 ドーモ、トリシューラ=サン。

 

 ……アイェェェェ!!ト、トリシューラ!!トリシューラナンデ!!??

 

 しかも、シークレットじゃねぇか!!やったよ、ハルトォォォォォォォ!!!!

 

「え!? トリシューラって氷結界堂のオリジナルモンスターじゃない!?」

 

「確か、氷結界堂100周年記念に発売されたオリジナルパックの看板モンスターだよな」

 

「ああ。だが、あまりにも低い封入率のせいで手にした者は数少ないと言われていたな」

 

 なるほどね。この世界ではトリシューラは販売直後のような状況なのか。

 

 当時は本当にすごかったなぁ……トリシューラ三体はしゃれにならない……(白眼

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「えー、これから氷結界堂デュエル大会を開始します。参加の方は番号が書いてあるカードを持ってフリースペースまでお越しください。コールを始めま~す。

 まず、一番と二番の方はこちらのテーブルで、続いてーー」

 

 みんなで開封したカードを本にデッキ構築を練っていたら店員の兄ちゃんがコールを始める為にフリースペースに入ってコールを始めた。そういや意外と時間過ぎてたなこれだからデッキ構築を考えるのは楽しいんだ。

 

「お、そろそろ始まるようだぞ。みんなは何番なんだ?俺は16番だが」

 

「私は、10番ね」

 

「俺は、7番だな」

 

「うむ。俺は9番だ」

 

 ふむ。てっきり番号が続けざまかと思っていたが思いの外そうでなかったみたいだな。

 まあ、下手に身内と当たるよりかはいろいろな人と当たった方が楽しいもんな。

 

「あれ? 優香はどこいったんだ? もしや、誘拐か? セキュリティ、セキュリティはどこだ!?」

 

 ふと周りを見るとそこには愛しのマイシスターがいなくなっているではないか。

 あれだけかわいい妹なんだ、黒咲さんじゃなくてもシスコンになるはずだから、他人から見たら相当美人、妹じゃなければおっ持ち帰りぃ~~したくなるはずだ!!そんなことは絶対にさせねぇぞ!!どこ行ったんだ、優香ーー!!

 

「遊一!! 落ち着けって、優香ならもう番号呼ばれてテーブルに向かっただけだよ」  

 

 え? 本当に、どれどれ……。 あっ、本当だ。 こっちに愛くるしい笑顔で手を振っている。 さっきのコールのすぐからでたところを見るとおそらく優香は一番か二番だったのだろう。さすが俺の妹、世界一可愛いよ!!

 

「ああ。 良かった。 誘拐されたわけじゃなかったか……。」

 

「相変わらずのシスコンっぷりね……。 知り合いじゃなければドン引きしていたわよ」

 

「優香が可愛いから別に引かれても構わん。 ただ、優香に引かれたら軽く絶望するがな……」

 

「はいはい。 せいぜい引かれないように努力なさい。 じゃあ、私たちも呼ばれたから行くわよ」

 

 そう言って、柚子はテーブルに向かっていった。一応応援しておくか。

 

「おう。 頑張れよ」

 

 手をあげると向こうも軽く手を振って答えた。

 

 さて、俺のコールはまだかなぁ……。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。