ぼっちとヒトデ (いけちゃん&)
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1話

誤字脱字やおかしな部分があると思いますが暖かい目で見てくれると嬉しいです。


 今この学校ではある噂が広まっていた。

 それは2年前、事故で意識を失っている生徒の噂。

 その生徒はこないだ結婚した伊吹先生の妹でとても可愛い、っと。

 誰も見たこともない彼女をそう思い浮かべる。

 

 

  純粋で

 

  一生懸命で

 

  いつも学校を走り回ってそうな女の子

 

 そんなイメージだった。

 

 

 そしていつからか誰しもが待っていた。

 そんな女の子が目覚める日を。

 

 俺も間違いなくその一人だった。

 その日はいつか。彼女からではなく、俺から言おうと思う。

 星型ではなくヒトデ型の木彫りを眺めながらそう思った・・・・

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 私立光坂高等学校は長い坂道を登った先にある。

 偏差値はまあまあ高いと思う。

 ・・・おい筑波大学附属駒場高校じゃねーのかだって?そんなこたーどうでもいいんだよ。

 

 もう2年以上この坂道を登っているんだななんて考えていると、高校生活なんてあっという間だったように思える。

 

 俺は高校の入学式の帰り道事故にあった。

 クラスでの自己紹介に失敗した俺は真っ先に教室から出て靴を履き、家路についた。しょぼくれて下を向いて歩いていたが、ふと前を向くと同じ制服を着て交差点で信号待ちをしている小さな女生徒を見つけた。

 女生徒は青になった横断歩道を渡り始めたがすぐ横から信号無視した自動車が女生徒に気づかず突っ込んでいった。

 女生徒は唐突な出来事に目を大きく開いて固まっていた。

 俺は無我夢中でその女生徒のもとへ駆け寄って行き彼女を抱くようにして抱えて逃れようとするも間に合わず、結果、2人して自動車にはねられた。

 

 あとに聞いてその自動車が居眠り運転だったことがわかった。

 

 入院中伊吹と名乗る人がお見舞いにやってきた。

 そこでようやく自分が助けられなかった女生徒の事を知った。彼女は伊吹さんの妹で俺と同学年であった。名前は風子というそうだ。

 何度も何度も伊吹さんはお見舞いに来てくれるが、俺はその度に妹さんを助けられなかった申し訳なさから伊吹さんと目を合わせられなかった。

 傲慢であるが自分にも妹がいるので伊吹さんの辛さは痛いほどわかる。もし小町が同じように自動車にはねられ意識を取り戻さないようなことがあれば、俺はきっと・・いや、絶対に正気ではいられないだろう。

 だが伊吹さんは今でもこうやって明るく笑顔でお見舞いに来てくれる。

 俺は彼女がとても強い人だと思った。

 

 俺は腕や足の骨折やぶつかった衝撃で軽い脳震盪を起こしたが全治1ヶ月程で退院できた。

 だがあの時助けようとした伊吹さんの妹は体が小さかったためか、骨折などの怪我は治ったものの2年経った今でもまだ目を覚まさないでいる。

 

 退院後、俺は伊吹さんの妹の風子さんのお見舞いへ行った。高校生には思えないくらい小さくて、全体的に幼い印象を受ける。髪は腰の近くまで伸びていて青いリボンで結ばれていた。

 俺はこんな小さくて可愛らしい女の子1人も助けられなかった自分にどうしようもなくイラついた。

 

 「・・・ありがとう」

 

 伊吹さんはお見舞いの時に何度も言っていたお礼をポツリと俺に向けて言った。

 

 「・・お礼を言われるようなことはなにもしてないです。・・・そもそも俺は妹さを助けられなかられませんでしたし。」

 

 本当にそうだ。俺は何もできなっかた。

 だがそんな俺の言葉に伊吹さんは優しくこう返してくれる

 

 「ううん。比企谷君は妹を助けてくれた。確かに妹はまだ目を覚ましませんが、もしもあの時比企谷君が妹をかばってくれなかったらそのまま死んでしまっていたかもしれません。だから比企谷君、妹を助けてくれて、ありがとう。」

 

 「・・・うっす。」

 

 俺はただこう答えるしかできなかった。

 

 

 あれから今でもちょくちょく伊吹さんの家に妹さんのお見舞いへ行っている。

 だがいつ行っても妹さんは綺麗な顔で眠っていた。

  

 

 

 

 こんなふうに考え事をしながら坂の途中まで登ってきたところでなにやら目の前で2人の男子生徒と女子生徒がラブコメを始めていた。チッ、リア充が。死ねばいいのに。いや死ねよ。ほんと。

 

 ここで近くにいたことがバレて気まずい雰囲気になってあとから「あいつマジキモイ・・」とか噂されるのも嫌だからここはステルスヒッキーを使いそして誰にも気づかれぬまま俺は教室に入った。・・・いや気づかれなさすぎでしょ。なんでぶつかりそうになったのに気づかれないんだよ。まさか俺自身気づかないうちに存在が消えてたりして・・そーんな中二展開あるかよ。ないよね?

 

 

 

 

 授業はずっと寝て過ごしていたらいつの間にか放課後になっていた。

 今日は春休み中に借りていた本を返さないといけないので図書室へ向かっている。あそこいくのはやなんだよな~。とんでもない電波な奴いるし。前なんて読んでた本のページ切ろうとしてたし。あれはもう電波どころかただのキチ○イじゃねーか。すぐさまそいつを止めたら「ことみいじめる?」とか言う始末。

 あの時は本当疲れた。

 

 だから今日はちゃっといってさっと帰ろうと思っていたら通り過ぎようとした教室から「いたっ」と言う女性の声がした。

 このまま通り過ぎてもいいのだがもしも翌日なにかよからぬ事故があったとか聞くと目覚めが悪いからな。仕方なく俺はその声がした教室のドアに手をかけた。別に下心があったわけじゃからな。八幡嘘ツカナイ。

 そしてドアを開けると俺は驚きのあまり立ち尽くしてしまった。

 中には1人の女の子がこの学校の制服を着てひたすら星型に削っていたのである。それだけなら別段不思議でもなんでもない。美術の課題かなにかをやっているのだろう。それで終わる。

 だが、それを削っている人物こそが俺が驚いた理由であった。

 そして俺はつい口に出してしまう。

 

 「なんでお前がここにいるんだ・・・伊吹、、風子・・!?」

 

 そこには2年前の事故によって今もなお意識が戻っていない女生徒。

 そして俺が助けられなかった伊吹風子がそこにいた。




続くかどうかは未定です。 
また、続いたとしても内容が変わるかもしれません。


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