ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~ (薮椿)
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新生μ's結成まで(4月) 相変わらず過ぎる日常

 初めまして!!今回から"初めて"小説を投稿する薮椿と申します。
 新人なので至らぬ点はあるかと思いますが、何卒よろしくお願いします。




 冗談はこれくらいにして、前作から引き続き読んでくださっている方も、今作から読み始めるよという方も、楽しんでいってくださいね!!


 

 音ノ木坂学院に新たな春がやって来た。

 俺たちμ'sのラブライブ優勝の影響で、今年度の入学者数は前年度を大幅に上回り、噂によると新一年生のクラスは5つあるそうだ。これでまたしばらくは廃校という言葉を聞くこともないだろう。

 

 ちなみに音ノ木坂学院は、なぜだか知らないが毎年女子の入学者数が圧倒的に多い。しかしそれによって『よっしゃ!!ハーレムだ!!』と思う男子は極僅かで、この3年間肩身の狭い日々を送るのが鉄板である。

 まぁ女子高校生ってのはおっかないからな。俺も様々な地獄を味わってきた。鉄拳制裁、吊るし上げ、ヒドイ時には天国に昇らされたこともあったな。そういや一時期ヤンデられたこともあったっけ。

 

 とにかく、男子諸君は気を付けた方がいい。知らない間に女子の絶対君主制によって迫害されてしまうぞ。君たちに自由はない。女子が多いからといって、恋人となる人を選べると思うな。

 

 

 

 

――――――という演説を入学式前の会場でやろうと思ったら、案の定生徒会の幼馴染3人衆から弾圧を受けたのであえなく諦めた。

 

 

 

 

 午前中に始業式が終わり、それでこれから入学式が行われるのだが、俺はただいま木の上によじ登って――――

 

 

「おっ!あの新入生の子、可愛いじゃん。めちゃくちゃ大人しそうだけど、その清楚さがいいんだよ!!」

 

 

 新入生の女の子漁りをしている。俺はこの時が来るのが楽しみ過ぎて、昨日全然眠れなかったんだ!!

 またこの1年新たな女の子を観察できると考えたら、もう寝ている場合ではなかった。始業式も適当流し、穂乃果たちの生徒会業務も手伝わずに俺は真っ先にここを陣取って双眼鏡を構えている。そして午後からの入学式へ出るために、ぞろぞろと群れをなして歩いてくる新入生を視姦……じゃなくて観察しているのだ。

 

 

「ん?あの子は新入生にも関わらず胸が大きいな。要チェックだ!!えぇ~っと、メモメモ……」

 

 

 前年度も可愛い子は多かったけど、今年度は単純計算で前年度の5倍の生徒数がいるため女の子の数も5倍いるというわけだ。だから今年度は特に俺のマル秘メモが潤っていく。

 

 しかしその時、俺の後頭部に衝撃が走った。

 

 

「いってぇええええ!!なんだなんだ敵襲か!?俺の陣地を奪いに来た輩はどこのどいつだ!?」

 

 

 その時は新入生の女の子に夢中で、俺は下から自分に放たれた物体に気がつかなかった。その物体が木の下へ転がり落ちる時にチラッと見えたが、俺にぶつけられたのはクルミのようだ。

 どうしてこんなものが俺にぶつかる?

 

 

「誰だ!?俺の至福の時間を邪魔する奴は!?」

 

 

 危うく木から落ちかけそうになるが、何とか体勢を立て直して下を覗き込む。

 そこにいたのは俺のよく知る3人。1人は黄土色の髪をした俺の天使様。もう1人は赤毛のツンデレさん。そして元凶は、俺にパチンコを構えている猫語の達人。

 

 

「花陽、真姫、凛……お前らこんなところで何してんだ?」

「それはこっちのセリフよ!!また馬鹿なことして……」

「馬鹿って言うな!!これは毎年春に行われる神聖なる儀式なんだ、邪魔すんなよ」

「意味分かんない……」

 

 

 この儀式の真の意味を理解していないとは、まだまだ真姫も甘いな。それに前年度はお前も対象になっていたとも知らずに……俺のメモには真姫に関する情報(主に容姿、バストサイズ)などが事細かに記されている。

 よく考えれば懐かしいな、まさか真姫、いや真姫たちと"こんな関係"になるとは思ってもみなかった。

 

 

「そんなに木の上に登っちゃ危ないよ~」

「大丈夫だ花陽、愛してる!!」

「ふぇええええええええええええ!?どうして今そんなこと言うのぉおおお!?」

「凛、撃ち落としていいわよ」

「はいにゃ!!」

「オイッ!!乱れ打ちすんな!!本当に落ちるだろ!!」

 

 

 絶え間なき無慈悲なる連射、どこで覚えたのか凛の的確な発砲により、俺はその場で大きく体勢を崩す。

 そもそも何で俺がこんな目に!?何か悪いことしてた!?しかもさっきから凛の奴、俺の急所ばかり狙ってきやがる……お父さんはお前をそんな子に育てた覚えはありません!!

 

 

「だったら早く降りてくるにゃ!!まだまだクルミはたくさんあるんだからね!!」

「分かった分かった!!」

 

 

 しょうがないから降りてやるか。今年は全くメモが埋まらなかった……でも、まぁ俺はコイツらがいてくれるならそれでいいかな。

 

 俺とこの3人――というより俺と元μ'sのみんなとの関係は、実は恋人同士だったりする。

 初めて聞く人がいれば『はぁ!?』と思うかもしれないが、決して軽い気持ちではなく俺たちで決断したことだ。

 

 

「そもそも、どうしてお前たちがここにいるんだよ?」

「穂乃果ちゃんたちが零君を探してたんだけど、みんな入学式の準備で忙しいから」

「それでお前らが駆り出されたってわけか。全く人使いの荒い奴らだな!!」

「普段散々凛たちをこき使ってる零くんに言われたらおしまいだにゃ……」

「そうね、人生やり直した方がましよ」

「あははは……」

 

 

 なぁ?俺、彼氏だよね?何でこんなに蔑まされてんの?ねぇねぇどうして?

 俺たちがこの関係になってから、段々とみんなからの監視の目がキツくなってきたような気がする。ちょっと別の女の子を見るだけで制裁地獄に陥ってしまう。最近僕の彼女たちが怖いです……

 

 

「こうして見てみると、お前ら2年生になったのに全く変わってないよな」

「別に1年で何が変わるってわけじゃないでしょ。男子みたいに背が伸びることもほとんどないし」

「そうかぁ?花陽も真姫も背、伸びたと思うぞ。凛は……胸をもっと成長させような?」

「…………」

「いてぇえええええええええ!!」

 

 再びクルミが俺に向かって放たれる。本当に痛いからソレ!?

 ちなみに言っておくと、俺は巨乳でも貧乳でもどちらでも満足できるし、相手を満足させてあげられるぞ☆(ワシワシMAX的な意味で)

 

 最近はみんなが俺の変態気質を厳格に取り締まるようになって、希に託された『ワシワシMAX』が十分に発揮できていない。もうパワーを蓄えすぎて、ワシワシMAXを発動させたらみんなを昇天させるどころか戻って来られなくなってしまうだろうな。

 

 

「零君も全然変わってないね。もしかしたら私たちの中で一番変わってないんじゃないかな?」

「変わるなって言ったのはお前らだろ?それに俺はこの変態気質を変える気なんて一切ないね!!人生楽しまなきゃ損でしょ!!てなわけで花陽、今から俺の家に来ない?YA・SA・SHI・KUするよ?」

「えぇ!?でもこの前行ったばっかりだし……」

 

 

「「こ、この前ぇえええええええええ!?」」

 

 

「うぉ!?何だお前ら!?」

 

 

 突然真姫と凛が声を揃えて俺の耳元で驚いた。

 そんなに驚くことか!?でもそういえば、家で真姫と2人きりになったことはないし、凛とも勉強会でしか2人きりになったことはない。意外と1年生組――じゃなかった、2年生組と2人きりであ~んなことやこ~んなことをしていないな。凛の時は、俺が一方的に暴走していたし。

 

 

「花陽大丈夫!?零に汚されてない!?」

「凛のかよちんになにをしたんだにゃあああああああああああああ!!」

「ちょっと待て!!どうして俺が花陽に手を出している前提なんだ!?いてて!!それにどんだけ弾あるんだよ!?」

 

 

 さっきからずっと俺に向かって打ち込んでいるのにも関わらず、一切弾切れにならないそのパチンコはどうなってんだ!?もはや俺に制裁を加えるためだけの兵器と化しているぞ!?

 

 

「違うの凛ちゃん真姫ちゃん!!私はただ零君の家の合鍵を返しに行っただけで、別に変なことは……あんまりなかったよ!!」

「『あんまり』ですって!?凛、零を拘束して生徒会に突き出すわよ!!」

「かよちんの純潔を奪うなんて、零くんサイテー!!かよちんのおとなしい性格を利用して手を出すとは卑怯だにゃ!!」

「オイ!!ここでそんなことを叫ぶな!!新入生や保護者の方に聞こえちまうだろうが!!」

 

 

 マズイ……今ここで俺が変態だってことが世間にバレでもしたら…………新入生から避けられるのは必死だ。もしそうなれば、俺は最後の一年間可愛い女の子と喋ることができなくなってしまう!!

 

 それはイヤだぁああああああああああああああ!!

 

 

「零君も困ってるみたいだし、今のところは許してあげよ、ね!」

「う~ん、かよちんがそう言うなら仕方ないにゃ……」

「ふんっ!花陽に感謝することね」

 

「お前らなぁ……」

 

 

 神崎零、高校生活3年目初日、午前中にしてボロボロになる。

 こうなったのも、この2人(花陽は除いた)を仕向けた生徒会のあの3人のせいだ。こうなったら今日は全力で生徒会業務をサボってやる!!俺の輝かしい最後の高校生活1発目を汚した罪は重いぞ。

 

 

「ありがとな花陽、助かったよ」

「別に私はそんな……」

「そんな謙遜するなって。しょうがない……」

「れ、零君?」

 

 

 俺は花陽の前に跪き、そのまま頭を下げる。大天使花陽様にお礼の言葉を述べるのに、下々の人間が頭を浮かすなんてもってのほかだからな。

 

 

「大天使様、ありがとうございます。このような下衆な人間にご加護を与えてくださるとは思ってもみませんでした。私の頭でよければ存分にお踏みつけください。私はそれだけで幸せなのですから……」

 

「えっ!?えぇええええええええええええ!!」

「馬鹿ね……」

「馬鹿だにゃ……」

 

「お前らには分からないだろうな。大天使花陽様の素晴らしさが、ねぇ大天使様?」

 

 

 俺はそこで下ろしていた顔を上げる。目の前には花陽が立っているので、必然的に俺が花陽を下から見上げる形となる。そこで、俺は見てしまった。花陽のあの中を……女の子の秘密の領域を……

 

 

「白……」

 

 

「え゛!?」

「零、あなたまさか……」

「かよちんのスカートの中……」

 

「ハッ!!また思ったことが口に出て……」

 

 

 そこから真姫と凛の行動は早かった。

 まず俺の顔を後頭部から踏みつけ地面に溶接する。次に凛が花陽を俺から引き離し、真姫が俺をどこから持ってきた分からない縄でぐるぐる巻きにした。

 

 

「キツく締め過ぎだ!!離せ!!」

「どうしようもない変態はその姿がお似合いよ!!」

 

 

 でも花陽なら!!花陽なら俺の味方のハズだ!!大天使花陽様なら、俺を絶対救い出してくれる!!

 

 

「花陽!!助けてくれ!!……って花陽?」

 

 

「ふわぁ、ふわぁ……」

「かよちんが顔真っ赤して気絶してるにゃ!?」

 

 

 スカート覗かれただけで気絶する、ウブな花陽も可愛いなぁあ!!!!

 今すぐにでも飛びつきたいけど、生憎ハムみたいにぐるぐる巻きにされているためイモムシ歩きしかできない。今この時間、世界中で一番情けない姿してんだろうな。

 

 この状況を打破するには……凛のあの性格を利用するしかない。心は痛むが、このまま新入生の前でこの姿を晒したくはないからな。許してくれ……

 

 

「凛!!今度2人でデートしよう!!」

「え……?いいの!?」

「ああ!!でもそうしたら今からデートプランを練りたいんだけどなぁ~~でもこの状態じゃあそれができないんだけどなぁ~~」

「凛!!惑わされちゃダメよ!!これが零の作戦なんだから!!」

「う、う~ん……」

 

 

 揺れてるぞ!!凛のマインドが揺れてるぞ!!

 凛はいつも活発で元気な女の子だが、意外と心は乙女なのだ。ファッションもスカートを好んで履くようになり、同じファッション好き仲間のことりやにこと盛り上がったりもしている。

 

 こうやって凛の乙女心を刺激していけば、いつかは絶対に折れるハズだ!!

 

 

「真姫……俺たち恋人同士だろ?」

「だからなに?彼氏だったらスカートの中を見てもいいって言いたいの?」

「ぐっ、それは…………それはいいとして、もう反省したから許してくれ」

「最初ちょっと迷ったでしょ?」

「ソ、ソンナコトナイヨ!!」

「はぁ~……もういいわ、許してあげるわよ。花陽も休ませてあげないといけないし」

 

 

 もうこの体勢も辛くなってきたし、真姫たちももう疲れてきたのか事態は勝手に終息した。

 もうこれ以上、新入生たちへの晒し者にはなりたくないしな……もう遅いかな。クソッ!!俺の輝かしい最後の高校生活がぁあああ!!

 

 そして凛は気絶した花陽を介抱するため教室へと戻っていった。

 

 

 

~※~

 

 

 

「ねぇ、零?」

「ん?」

 

 

 改めて真姫が俺に質問を投げかけた。

 赤毛の美人な女の子と、ぐるぐる巻きに縛られている変態というシュールな図になっていることは伏せておいた方がいいのだろうか?

 

 

「正直私、絵里たちが卒業してまた毎日が少し寂しくなるなって思ってたの。でも、そんな心配はいらなかったみたい。あなたのおかげで、また楽しい日常が遅れそうだわ」

 

「真姫……」

 

 

 コイツ、そんな心配してたのか。心配性なのは今も1年前も全然変わってないんだな。

 

 

「確かに絵里や希、にこが卒業して寂しくなっちまったけど、そんなことで立ち止まってたらアイツらが許さないだろ。卒業生のバトンを引き継いで、今度はアイツらに代わって俺たちが盛り上げる番だ。この学院も、μ'sもな……」

 

 

「零……そうね、あなたが好きな笑顔を忘れちゃダメだったわ」

「そうそう、笑ってるお前が一番可愛いんだからさ!!」

「も、もう!!あなたはすぐそうやって……」

 

 

 全く無駄な心配しやがって……この俺がいる限りこの学院に笑いが起きないことはない。俺が、μ'sのみんなと共に全力で盛り上げてやるよ。

 

 

 

 

 その時、俺の後ろに2つの影が現れた。未だぐるぐる巻きにされている俺の後ろに……

 

 

「あの~……何やってるんです?」

「ハラショー!!もしかして演劇の練習ですか!?」

 

 

「あ、あなたたち……」

 

 

 俺の後ろに現れたのは、この春から音ノ木坂学院に通う新入生の2人――

 

 

 

 

「雪穂!?亜里沙!?」

 

 

 

 

 そして、ここから新しい物語が始まる。

 




 前書きはエイプリルフールのネタのつもりでした。新作一発目から飛ばしてしまって申し訳ないです(笑)


 この小説は短編集ですが、新生μ's結成までは1つの物語とさせて頂きます。



 この作品の設定は、前作の『日常』で公開した情報のまま変えずに執筆していこうかなと思います。まだ出てきていないキャラがたくさんいますが、3話までにはレギュラーキャラをすべて出演させるつもりです。推しキャラが出てきていなくてもご安心を!!


 今作からセリフとセリフの行間をなくしてみました。読みにくかったり、前の方がいいよって方は教えてください。検討します。


 この作品の略し方はどうしようか……?『新日常』にしようか!




 それでは今作もよろしくお願いします!!


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ヤンデレる恋人たち

 前回からの続きとなります、読んでいない方はそちらを是非!
 新生μ's結成までは1つの物語が続きます。短編集に入るのはそれからですね。

 今後の予定について、後書きにちょろっと書いてあるのでそちらもご覧下さい。


前回のラブライブ!

 

 遂に最後の高校生活の初日が訪れた!!春と言えば新入生!!まだ新品の綺麗な制服に包まれた女の子を拝むことのできる大切な季節だ!!

 だが真姫たち2年生組にそれを阻止され、俺は出鼻をくじかれた。しかし俺は諦めない。高校生活の最後に相応しい輝かしき日々を送るため、可愛い女の子をチェックしておかなければならないんだ!!やってやる……やってやるぞぉおお!!よし、こんな時はこのセリフだ。やるったらやる!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「雪穂!?亜里沙!?」

 

 

 真姫によって縄でぐるぐる巻きにされ、地面に横たわっていた俺の側の現れたのは、高坂雪穂と絢瀬亜里沙だった。

 彼女たちはどちらも今年から音ノ木坂学院に通う1年生だ。言うまでもないと思うが、雪穂が穂乃果の妹で、亜里沙が絵里の妹である。まるで世襲みたいに入れ替わりで入学してきたようだ。

 

 

「気を付けた方がいいわよ。この馬鹿、女の子のスカート覗きを趣味としてるから」

「えっ!?」

「違う!!断じて違う!!だから雪穂!!俺から遠ざからないでくれ!!」

 

 

 雪穂はササッと俺から遠ざかる。それと同時に憐れむような目を向けられ、俺の株もどんどん急下降していく。

 元から株は低いと思うけど、これ以上の低下は俺に残されている極僅かなプライドが許さない。何とか逆転する方法を考えなくては…………今までヤンデレたμ'sを更生させてきたんだ、こんな事態なんて楽々乗り越えてみせる!!

 

 

「大丈夫ですか零さん!?手首のところとか固く結ばれていますけど、痛くないですか?」

「…………天使だ」

「へ!?」

「天使様がご降臨なされた……」

 

 

 よく見ればクリクリっとした可愛い目、守ってあげたくなる幼い容姿、そして俺の脳を溶かすあまあまボイス。これはことりや花陽に続く天使様と言わざるを得ない。

 確かに絵里の妹というだけあって、目が綺麗で今にも吸い込まれそうだ。しかも前に会った時よりも胸が大きくなってないか?これもあの絵里の妹なだけのことはある。

 

 

「亜里沙!!その人に近づいちゃ危ないよ!!」

「俺を変質者扱いするな!!これでも女の子には優しい紳士なんだぞ!?度を超えたセクハラもしないし、みんなが嫌がることも絶対にしないから!!」

「そもそもセクハラする前提なのがおかしいのよ!!」

「なにを!?俺から変態気質を奪ったら、ただのイケメンで周りからモテモテ、頭脳明晰文武両道という完璧な部分しか残らねぇぞ?」

「よくそこまで自分を持ち上げられるわね……まぁ知っていることだけど」

 

 

 俺が完璧になってしまったら、この学院の可愛い女子生徒や若く綺麗な女性教師がこぞって俺の虜になっちまうぞ。だからこの学院の秩序が乱れないように、変態行為によってバランスを保っているのだ。どうだ?俺も陰ながら努力しているんだぞ。

 

 

「とりあえず生徒会室に行きたいから、この縄外してくれないか?」

「はい。では動かないでくださいね」

「ありがとな亜里沙。最近みんな冷たくて参ってたんだよ……」

「誰のせいだと思っているのよ……これはもう少し零がまっとうな人間になるために特訓しないといけないわね」

「やめろ、それだけはやめてくれ!!」

 

 

 最近は段々と彼女たちに行動を縛られている。ちょっとでも他の女の子に手を出したら即制裁だからな……

 なんか昔のヤンデレてた頃のみんなを思い出す。しかも今はあの時とは違ってみんなで結託して俺を襲ってくるから余計にタチが悪い。俺が何をしたっていうんだ……

 

 

「解けましたよ零さん」

「おおサンキュー!!ずっと変な体勢で寝てたから首が痛い……」

「自業自得じゃないんですか……?」

「そうよ。木の上から女の子を観察、自分から土下座してスカート覗き……もう変態の域を超えているわね。今度同じことしたら後頭部踏みつけだけじゃ収まらないから」

「今一度確認するけど、俺たち恋人同士なんだよな。まだ付き合い始めてから半年も経ってないのに、もうみんなの尻に敷かれているんですけど!?」

 

 

 特にSっ気の強い真姫からは、度重なる上から目線や頭踏みつけにより段々と調教されているような感じがしてならない。このまま真姫のM奴隷になっちまったらどうしよう!?

 

 

「まぁいいや、それより雪穂と亜里沙はこれから入学式だろ?親は一緒じゃないのか?」

「それが、私のお母さんと亜里沙のお母さんが意気投合しちゃって、この学院を一緒に見て周りに行っちゃったんです」

「そういやお前のお母さんはこの学院の卒業生なんだっけか」

 

 

 穂乃果がこの学院を廃校から守りたい理由の1つとして、自分のお母さんの母校を潰したくないという理由も含まれていた。高坂一族はこの学院が好きなんだな。

 

 

「あっ!?雪穂、もうこんな時間だよ!!」

「ホントだ!!それじゃあまたあとで、零さん西木野さん」

「おう、またな」

 

 

 そして雪穂と亜里沙は早足で講堂へと向かった。

 それにしても2人共初々しかったな。やっぱり可愛い女の子にはこの学院の制服が似合う。制服萌えの男にストーカーされないか心配だ。俺?俺は別にいんだよ。後で写真を撮らせてもらおうかな?

 

 

「雪穂ちゃん、零のこと名前で呼んでたけど、もしかしてもう手を出したの?また変なことしてないでしょうね?」

「だ・か・ら!!なんで手を出している前提なんだよ!?ただ一緒にデートしただけだって!!」

「デート……?」

「待て待て落ち着け、黒いオーラが出ようとしてるから!!違うんだ!!お前らと付き合う前の話だって!!穂乃果に聞けばわかるから」

「ふ~ん……まぁいいわ」

「こえぇよお前……」

 

 

 あの時は何とかヤンデレた真姫を更生させられたが、次ヤンデレ化したらもう止めることはできないだろう。監禁され一日中M奴隷として真姫を悦ばせるためだけの人形となってしまう。

 

 

「とりあえず生徒会室に戻るよ。なんか色々と萎えちゃったし」

「その色々っていうのが気になるけど、私も花陽が心配だし教室に戻るわ」

「そうか、じゃあまた後でな」

「えぇ、精々穂乃果たちにしごかれなさい」

 

 

 どうでもいいけど、萎えるって言った後にしごかれるって言われるとちょっとアレな表現に聞こえる。ここでそれを言うとまた生徒会室に行くのが遅れるのでやめておくが。

 

 

 そんな気持ちをグッと堪え、俺は生徒会室、真姫は教室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「お~す、やってるか?」

 

 

 生徒会室に行くといっても俺は生徒会役員じゃない。ただいつも穂乃果たちの手伝いをそれなりにしているため、この入学式の日にまで駆り出されたというわけだ。

 

 

「あっ!!零君やっと来た!!」

「も~う、遅いよ~」

「一体今まで何をやってたんですか?」

 

 

 生徒会室にいるのは、いつも仲良し幼馴染3人組。そうは言っても俺とコイツらとは知り合ってまだ1年だったりする。同じ学年なだけあって一緒にいることは多かったが、俺も3人の幼馴染かのように付き合いが長く思える。

 わざわざ紹介する必要もないと思うが一応。サイドポニーと見た目で分かる元気が取り柄、そして音ノ木坂学院史上もっとも生徒会長に不釣合いな人間こそ高坂穂乃果だ。

 

 

「入学式で話す内容、一緒に考えてくれるって約束だったでしょ?」

「えっ!?むしろまだ考えてなかったのかよ!?もうすぐ始まるぞ」

「だって、海未ちゃんに見せたら訂正ばっかされて返ってきたんだもん」

「あんな文章で新入生や親御さんに聞かせるわけにはいかないでしょう……」

 

 

 この常に敬語で大和撫子、だが規律には人一倍厳しく俺への制裁率はナンバー1の彼女こそ園田海未だ。生徒会長は穂乃果だが、実質海未が生徒会としての権力を握っているのは間違いない。

 

 

「なんで直前になって訂正してんだよ。今まで見てやってたんだろ?」

「卒業式の送辞みたいに、新入生や親御さんの前で歌いだそうとする文章を許すとでも?」

「…………マジか」

「はい」

「だって普通の文章じゃ面白くないかなぁ~って」

「入学式だから、流石に面白さを追求したらダメなんじゃないかな……?アハハハ……」

 

 

 今穂乃果にツッコミを入れた彼女こそ、我らが大天使の一員の南ことりだ。おっとりとしてぼけ~としている時もあるが、そのことりが可愛いんだよ。癖の強い穂乃果や海未に流されないように、"俺が"支えてやらなければ!!

 

 

「よし、この俺に任せとけ!!新入生が泣いて喜ぶ文章に仕立て上げてやる!!」

「やった!!零君最高!!」

「最高じゃありません!!泣かせてどうするんですか!?」

「入学式で感動の涙を流すなんて、すごくいい思い出になるとは思わないか?」

 

 

 しかも高校生活の初日に思い出を作れるとは、今年の新入生は羨ましいな。そしてあわよくば可愛い女子生徒に俺のことを覚えてもらって…………あっ、喋るのは穂乃果だった。

 

 

「それより零はこっちの書類仕事を手伝ってください。2人じゃ中々進まなくて」

「えぇ~……メンドくせぇ」

 

 

 μ'sのためなら全力で働くが、生徒会のためには働きたくない。だって俺がマジメな仕事ってなんだか似合わないじゃん?俺のキャラが拒否するんだよね。決してやりたくないからとか、そういう理由ではないぞ。仕事をやらないという道を強制的に選ばされているんだ。

 自分の中で変な自論を並べていると、ことりが俺の目の前までやって来て、上目遣い+顔を赤面+両手を胸の前に会わせた。

 ――――マズイ……これはいつもの……

 

 

「零くん♪おねがぁい♪」

 

 

「がぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 今年度初の『おねがぁい♪』によりノックアウト。

 コイツ、お願いの威力が日々増しているような気がする。春休み中もメイド喫茶でバイトしていたって聞くし、そこでまた腕を上げたんだな。

 実はこの前までは耐えられていたんだが、もう悟った。『おねがぁい♪』には勝てないと。

 

 

「おうお前ら!!とっとと仕事しろ!!穂乃果もサッサと文章考えろよ!!海未もボサッと突っ立てないでテキパキ動く!!ことりは休んでいていいよ☆」

「ズルイよ零君!!ことりちゃんばっか贔屓して!!」

「天使だからな」

「もう~♪零くんたら~♪」

 

 

 付き合い始めてからというもの、ことりの魅力がそれまで以上に伝わってきた。もちろんそれは彼女だけではなく、穂乃果たち全員もだ。やっぱり素直に告白して良かったなと今でもずっと思ってるよ。

 

 

「はぁ~……私は穂乃果と一緒に文章を考えますから、零とことりは書類仕事をお願いします」

「は~い♪」

「へ~い」

 

 

 入学式までの時間も迫ってきているので、穂乃果と海未はスピーチ文章に専念。俺たちは雑用をすることになった。

 この俺が雑用だなんて……もっとビッグになりたいものだ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ねぇ零くん」

「ん?」

 

 

 突然、隣に座っていることりが俺に話しかけてきた。話しかけてくるのは別に普通なのだが、書類を頭も使わず機械的に捌いているので脳みそがあまり働いていない状態であった。

 

 

「さっき、ここへ来る前になにしてたの?」

「あぁ、新入生の子を…………ハッ!!」

「へぇ~……新入生の子を……なに?」

 

 

 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ……脳が働いていないせいでつい口走ってしまった!?

 ことりから圧倒的負のオーラを感じる。ことりだけじゃない、隣で文章を考えていた穂乃果と海未までドス黒いオーラを放ち、あっという間に生徒会室がRPGの魔王城のような雰囲気に変わる。

 

 

「零君、穂乃果たち言ったよね?変態行為は慎むようにって」

「待ってくれ、なぜお前らはそうまでして俺が変態行為をした前提で話を進めたがるんだ!?」

「黙りなさい。あなたに弁解の余地は残されてないんですから」

「なんでぇ!?」

 

 

 またしても彼女たちの理不尽な攻撃に俺は戦慄する。

 じゃあなにか?黙ってやられろって言うのか?そんなのイヤだ!!

 

 

「まぁまぁ、一応聞いてあげようよ♪処遇はそれからでもいいでしょ?」

「なにかされるのは確定なのね……」

「仏の顔は三度までって言うけど、穂乃果の顔は一度しかないからね。一応聞いてあげるよ」

「し、新入生の子を……」

「新入生の子を?」

「観察してました……」

 

 

「「「……」」」

 

 

 あれ?みんなの言葉が途切れてしまった。もしかして逆鱗に触れてしまったのか!?さっき制裁をもらったばかりなのに、またやられちまうのか……

 逃げられ……ないなこれは。隣にはことりがいるし、逆側には穂乃果と海未もいる。両方から道を封鎖されて動くに動けない状況だ。

 

 

「えぇ~と、新入生の子を見てただけ?」

「そうだよ!!お前らが勝手に被害妄想をしているだけで、俺は手を出してなんかないからな!!」

「ふぅ~ん……」

 

 

 これって……もしかして助かるパターンのやつ?流石に見てただけならコイツらも文句はないだろう。あくまで見てただけだから、清い心と清純な目で見てただけですから。先輩として後輩の顔を知っておきたいと思っただけですからね。

 

 

「ねぇ零くん♪」

「なにことり?」

「ことりたちは付き合ってるんだよね?」

「あぁ、恋人同士だな」

 

 

 ん?どうしていきなりそんな初歩的なことを確認するんだ?

 俺はふとことりの顔を見ると、明らかに笑っていない笑顔がそこにはあった。

 

 ――――まだだ……まだ終わってないらしい……

 

 

「穂乃果たちが彼女で、零君は彼氏なんだよね?」

「そうだ、俺が彼氏でお前らが彼女だ」

「そうですか……じゃあこの手帳はなんなんでしょうね?」

「はいぃ?…………あっ!?それはっ!?」

 

 

 海未が持っていたのは、俺が毎年春に新入生の可愛い女の子をリストアップしている手帳だ。

 もちろんそこには具体的な容姿から、俺の得意技である『見るだけでスリーサイズ測定』により、その女の子たちのスリーサイズまでが事細かに記されている。

 もちろんその手帳の内容をこの3人に見られたら……

 

 

「い、いつの間にそれを!?」

「零くんのポケットから飛び出していたのが気になっちゃて。でもお陰で……ね?」

「ね?ってなんだよ!?ことりさん、ここは穏便に……」

 

 

 数分前は新入生を暖かく迎えるかのような春の暖かさだったのに、今は別次元に飛ばされたかのような冷たい空気。

 3人からはとてつもなくドス黒いオーラが放たれていて、俺を包み殺すかのような雰囲気だ。

 

 

 ――――殺される……確実に……コイツらは他のみんなと比べて無慈悲で容赦がない。この3人が暴走すると、真姫たちも震え上がるような地獄が待ち受けている。もちろん地獄に落とされるのは毎回俺なのだが……

 

 

「何度も言っているのに、凝りない人ですね……全く」

「本当に、困った彼氏さん♪」

「分からせてあげるよ……零君は穂乃果たちのモノだって……」

 

「待て!!そのセリフは色々とヤバイ!!それにもうすぐ入学式が始まるぞ!!俺なんかで油を売っていていいのかよ!?」

「心配はありません。もう終わりましたから」

「あっ、そうですか……」

 

 

 腹をくくろう。もう何度も同じことをやられているんだ、今更ビビって恐れおののくことはない。また天国へ昇らされるだけなんだ。いつものことじゃないか。

 

 

「それじゃあオシオキた~いむ!!」

「久しぶりに零くんをイジメられるんだぁ~楽しみぃ~♪」

「私たちの"愛"、たっぷり受け取ってくださいね」

 

「いいだろう。それがお前たちの愛情だというのなら、俺が全身全霊を込めて相手をしてやる!!」

 

「穂乃果、零君のそういうところ大好きだよ!!」

「流石ことりたちの零くん、カッコいい♪惚れ惚れしちゃうよ♪」

「私もあなたの潔いところは大好きですよ♪」

 

「俺もみんな大好きだ!!だから…………さぁ来い!!」

 

 

 

 

 そして、音ノ木坂学院に男の断末魔が響き渡った。

 新入生やその親御さんの間では、しばらく謎の叫び声が聞こえるホラーな学院だと噂されることになる。

 

 

 




 これを読んだ人はこう思うだろう、『零君とμ'sのみんなって、本当に付き合っているんですか?』と。自分でもそう思います(笑)


 前書きでも言った通り、しばらくは1つの物語として進んでいきます。『日常』のような短編集をお望みの方はもうしばらくお待ちください。


 投稿時間に関してですが、『日常』や『非日常』みたいに18時固定の方がいいですかね?ご意見があればお申し付けください。


 次回は"あの妹"が登場!!音ノ木坂学院が恐怖のどん底に!?


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妹様凱旋!!

 新生μ's結成まで短編ではなく連載モノ。意外と話が進まないのでもう少し掛かりそうです。

 今回は前半と後半の温度差が凄まじい……
 どうしてこうなった……


 

 

前回のラブライブ!

 

 入学式直前、俺は今年から音ノ木坂学院に通う雪穂と亜里沙に遭遇!!大天使亜里沙様のお陰で、真姫たちの呪縛から解放された俺は、再び自由の身に。流石は天使様!!

 そして穂乃果たちを手伝いに生徒会室にいったはいいが、案の定雑用を押し付けられテンションダダ落ち。

 そこでことりに新入生の女の子のスリーサイズを記した手帳が見つかり、生徒会室は一気に修羅場に!?俺は再び幼馴染組にボコボコにされてしまいましたとさ。

 

 めでたしめでた……くねぇ!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「もうっ!!零君反省した?」

「したした、しましたよ……」

 

 

 現在、俺と穂乃果は2人で入学式が行われる講堂へと向かっている。海未とことりは書類仕事を片付け次第、俺たちと合流する予定だ。

 生徒会室で一波乱あり、また天国への階段を上がってしまったが何とか帰還。穂乃果たちに無理矢理反省させられ今に至る。今日だけで何回ボロボロになればいいんだよ……

 

 

「零君と穂乃果たちは恋人同士なんだから、あんまり他の女の子に鼻の下伸ばしちゃダメだよ!!」

「だから悪かったって。もう十分反省したからさ……」

「ホントにぃ~?零君いっつも反省してるじゃん!!」

「いっつもって……」

 

 

 そう言われれば『怒られる』⇒『反省する』の無限ループを、みんなと付き合い始めてから延々と繰り返しているような気がする。もはや反省詐欺になってしまい、最近みんなが要求する反省の基準が高くなってきた。もう何度も無理矢理色々な場所に付き合わされたりしている。

 この前は凛と一緒にラーメン巡り(費用は全て俺)、その前はことりとケーキバイキング(費用は全て俺)、その前はにこと洋服屋巡り(費用は全て俺)などなど、数えていたらキリがない。

 

 あれ?これってデートじゃね?掛かった費用を除けばの話だが……

 

 

「あんなに穂乃果たちのこと好きって言ってくれたのに……」

「穂乃果……」

 

 

 そう言って穂乃果は悲しそうな表情を見せた。いつも元気いっぱいの彼女だからこそ、その表情を見ると余計に俺の心がズキズキと痛む。今までは何だかんだ言って水に流してくれていたんだが、いつしか俺はそれに甘えていたのかもしれないな。

 

 そこで俺は思わず、彼女を抱きしめてしまった。

 

 

「れ、零君!?」

「勝手に悪い。でもお前の顔を見ていたら、こうしたくなった。嫌だったか?」

「うぅん……零君に抱きつくの、久しぶりだぁ♪」

 

 

 俺たちはお互いに真正面から抱きしめ合い、穂乃果は俺の胸に顔を埋める。

 女の子特有の甘い匂いと穂乃果の優しい温もりで、俺はあっという間に彼女の世界へと引き込まれた。たぶん穂乃果も同じ気持ちに浸っているのだろう、恍惚とした表情のまま俺の胸に顔を擦り付けている。

 

 

「やっぱ暖かいな穂乃果は。ずっとこうしていたいよ」

「うん、穂乃果も。零君に抱きしめられるとすっごく安心するんだぁ♪」

 

 

 そして俺たちはさらに力強くお互いを抱きしめる。周りの目など一切お構いなしに、俺たちは2人の世界にのめり込んでいた。

 もう始業式が終わり、部活の勧誘をする生徒以外はみんな帰ってしまった。その勧誘する生徒は入学式が行われる講堂前に終結しているため、校舎内には人は皆無と言っていいほどいない。

 

 

「ゴメンな、いつもお前たちに迷惑ばかりかけて。みんなを笑顔にするのが俺の努めなのにな……」

「もう謝らなくてもいいんだよ。穂乃果たち分かってるから」

「分かってる?」

「うん、零君はちゃんと穂乃果たちを見ていてくれる。今みたいにね♪」

「穂乃果……ありがとな」

「ちょっと変態さんなところはあるけど、それでドキドキしたことが何度もあるから……」

 

 

 可愛すぎるだろ!!何だこの生き物は!?今すぐお持ち帰りしたい!!!!

 ……取り乱した。でもこの俺が取り乱すぐらい今の穂乃果には魅力がある。もちろん普段も魅力の塊なのだが、いつもの活発で元気いっぱいな彼女とは違い、今は乙女心が前面に押し出されている。

 

 そして俺たちはさらなる深みへと足を踏み入れた。

 

 

「ねぇ零君……チューしていい?」

「えっ!?ここでか!?」

「もうちょっとしたら入学式でスピーチがあるから、そこで緊張しないように、ね♪」

 

 

 キスとスピーチにどんな因果関係があるのかは知らないが、たぶん恋人間の営みに理由なんていらないと思う。

 生徒はほとんど校舎に残っていないし穂乃果から来てくれたんだ、これを断るなんて許されるハズもない。

 

 

「そうか、じゃあ俺からいくぞ?」

「うん、来て♪」

 

 

 俺は自分の唇を、恍惚な表情をしている穂乃果の唇へ向かって優しく口づけする。遂に俺たちは校舎内で愛を確かめ合ってしまった。しかも相手は生徒会長。海未なんかにバレたら反省文どころでは済まされないだろう。

 

 

「んっ、ん……」

 

 

 穂乃果は軽く声を上げながら、この時間を堪能しているようだ。俺は声こそ上げてはいないが、十分に穂乃果との愛を確かめていた。

 彼女の熱い唇の感触に、俺は何も考えられなくなるぐらい穂乃果に引き込まれていた。

 

 そしてお互いがお互いの感触を十分に堪能した後、俺は穂乃果の唇から自分の唇を離す。

 その時の穂乃果の少し名残惜しそうな顔が、また俺の心を刺激する。

 

 

「えぇ~もっとしたい!!」

「もう時間ギリギリだぞ。講堂裏で先生が待ってくれているんだろ?」

「む~……じゃあまた今度やってくれる?」

「あぁ、お前が望むのならいつでも」

「えへへ、ありがと♪じゃあ行ってくるね!!」

「おう、頑張れよ!!」

 

 

 そして俺は講堂へ向かう穂乃果をその場で見送った。俺は生徒会役員ではないから講堂には入れないしな。

 改めて、穂乃果たちと付き合えてよかったと思う。付き合いだしてからそれまで以上に彼女たちの色々な姿を見ることができ、新たな発見もあった。もっともっと、彼女たちの新しい魅力を探し出したい。

 

 

「しょうがねぇから海未たちを手伝ってやるか」

 

 

 

 

 

 

「ああああああああああ!!いたぁああああああああ!!」

 

 

 突然俺の後方から、耳を突き刺すような声が響き渡った。

 この声には聞き覚えがある。さらに姿なんて見なくても分かる。俺の身体が勝手に拒否反応を起こしてガタガタ震えるぐらいだからな……

 

 来るっ!!奴がドンドン俺に迫ってくる!!

 

 

 嵐が!!台風が!!地獄が!!悪魔が!!恐怖が!!迫ってくる!!

 

 

「お兄ちゃぁああああああああああん!!」

「ぐぇっ!!首に絡みつくな窒息死するだろ!!」

「会いたかったよ~~♪」

「だから話聞けよ!!」

 

 

 コイツは俺が出会いたくない奴ランキング第二位、俺の妹の神崎楓だ。

 見た目は絵里並みのスタイルに海未と同じぐらい綺麗で長い髪(コイツは茶髪だが)、胸はことりと同じ、その容姿は高校一年生に成り立てとは思えない。本人曰くパーフェクトボディなのだが、性格に難がありすぎてそのパーフェクトを帳消しにしてしまっている残念な妹だ。

 

 

「それよりなんでお前がここにいる!?入学式はどうした!?」

「あんなもの出る必要あるの?どうせお兄ちゃんも始業式サボったんでしょ?」

「それは……まぁ」

「ほらぁ!!やっぱり兄妹だと以心伝心なんだね♪」

「言葉の意味履き違えてるからな!!ていうかもう離せよ!!」

「やだねぇ~~だ!!」

 

 

 

 家の中、公衆の面前、学院内……所構わずブラコンを発揮するのがコイツの最大の欠点だ。『私はお兄ちゃんと付き合うので私への告白は禁止です』というお触書が、コイツの行く先々で広まっているらしい。もう恥ずかしすぎてコイツの行くところには行けねぇよ。

 

 

「零!!なんですか廊下で騒いで!?」

「零くん何かあったの!?」

 

「おお、海未にことり!!いいところに来てくれた!!」

 

 

 騒ぎすぎて生徒会室まで聞こえていたのか、海未とことりが助太刀に来てくれた。戦力になるかは分からないが、この場をなだめるぐらいはできるだろう…………できるかな?

 

 

「わぁ♪楓ちゃんだ、こんにちは♪」

「こんにちはですぅ~、南先輩♪」

 

 

 何だろう……お互いにあまあまボイスで挨拶したのにも関わらず、楓の挨拶はやけに黒さが混じっているような気がする。こうして見るとことりの純粋さがよく分かるな。

 

 

「入学おめでとうございます、楓さん」

「ありがとうございますぅ~、園田先輩♪」

 

 

 ウゼェなコイツ……先輩に媚を売っているというか、明らかに舐めてるだろ。どれだけ猫被ってんだよ……

 しかもずっとニコニコしっぱなしだし、高校生になって一段とウザくなったな。

 

 

「入学式はどうしたのですか?もう始まっていますよ?」

「あんなの出る必要ないですよ。お偉いさんが定型文をペラペラ喋るだけですよねぇ?あっ、そういえば南先輩のお母様でしたっけ?すいませぇ~ん♪」

 

 

 ウゼェえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!

 コイツ、さっきからことりと海未を煽りすぎじゃないか!?今までもそうだったけど、今回は特にコイツの煽りスキルが光ってる。毎日これに付き合わされると思うと、もうこれからの学院生活が心配になってきた。

 

 

「あははは……やっぱり零くんと似てるね」

「そうですよね!!なのにお兄ちゃんは認めないんですよぉ~。妹と一つになれるだなんて普通嬉しくありません?」

「嬉しくない!!それに『妹と一つ』って、変な意味にも聞こえるからやめろ!!」

「えっ!?まさかお兄ちゃん、そこまで欲求不満だなんて……でも私は妹だし血が繋がってるし……でもでもお兄ちゃんに命令されたら……」

「もうツッコミ疲れて早速頭が痛くなってきたぞ……」

 

 

 ついさっきまで穂乃果といい感じだったのに、めちゃくちゃ幸せな気分だったのに、コイツが来ただけですべてがぶち壊されてしまった。返してくれよ、俺の至福のひと時を!!

 

 

「さっき荷物を家に運んだから、今日から待望の2人暮らしだね♪」

「あぁ、今日から最悪の2人暮らしだ……」

「「2人暮らし……?」」

「うっ……そういや話してなかったっけ」

 

 

 またしてもことりと海未から邪悪な気配が漂ってきた。これは早急に説明しないと、また生徒会室の時と同じ目に遭ってしまう。

 でも実の妹にも嫉妬するなんて思ってもみなかったぞ。それだけ俺のことを好きでいてくれているのか、それとも愛情がまた変な方向へと歪んでしまっているのか。

 

 

「実家からは遠すぎて学院に通えないから、仕方なく俺の家へ居候させるんだ」

「仕方なくってなによ~~!!」

「事実だ」

「ホントにお兄ちゃんは照れ屋なんだからぁ~♪素直に嬉しいって言えばいいのに♪」

 

 

 もうこの短時間だけでこれだけ疲れているんだ、毎日家でも学校でもこんなやり取りを続けていたら今度は本気で死んじゃうよ?

 さらに恐ろしいのは、俺が死にかけてもコイツは一切躊躇しないということだ。もし仮に俺がくたばっても、楓なら無理やりにでも俺を起こして絡みついてきそうだ。

 

 

「でも、ことりは賑やかになっていいと思うなぁ」

「ですよね?流石、南先輩は分かってらっしゃる!!頭がお堅い2人とは違いますねぇ~」

「お前、百歩譲って俺はいいけど先輩の海未にまでそんなことを……」

「目上の人だろうと、自分の本心を偽ってペコペコするのは勘弁だからね!!ありのままの私で生きる!!これが私のモットーです!!」

「本当に兄妹そっくりですね……性別を除けば鏡を見ているみたいです」

 

 

 えっ!?俺ってこんなにウザイのか!?確かに人を煽ることはあるが、楓よりはウザくないと信じたい。大丈夫だよね?

 それにしてもコイツが来るのが少し早かったら、俺と穂乃果の営みを見られてしまっていた。もしそうなってしまったら……どう弁解する?コイツが側にいるっていうことは、これからもその危険性があるということだ。

 

 

「私がお兄ちゃんと一緒にいる限り、ラブコメもイチャイチャもそう簡単にはさせませんよ!!覚悟してください!!」

 

 

 楓が人差し指をビシッとことりと海未へ向けて指す。

 そこで俺たちは顔を見合わせた。ラブコメもイチャイチャもなにも、俺たちはもう付き合っているのだ。しかももう既にキスまで済ませてしまっている。恐らく楓は俺たちがそんな関係になっていないと思い調子に乗っているのだろうが、現実はそう甘くはなかった。

 俺たち3人と楓の空気が全く違うことは俺たちしか気付いていない。楓はずっと余裕そうな表情だ。その、なんだ……なんか済まない。

 

 この流れから分かると思うが、楓には俺たちの関係は話していない。もし話したら全人類の想像を絶する災害が巻き起こるだろう。ちなみに雪穂と亜里沙には話してある。

 

 

「楓。とりあえず入学式に行って来い。そこで提出書類とかも配られるみたいだからな」

「えぇ~……生徒会室でもらえません?」

「ん~……確かなかったと思うけど」

「メンドくさ~い!!」

「いいから行って来い。今なら穂乃果のスピーチが聞けるぞ」

「あっ、それは面白そうかも。あとでネタにしちゃお♪」

「最悪だなお前……」

 

 

 ちょっとでも先輩のミスを見つければ、たちまちそれをほじくり返してネタにする。まさにゲス野郎だな。ドス黒さが極まってるわ。

 楓も観念したのか、クルッと俺たちに背を向けて多分講堂へと走り出した。本当は俺も生徒会の2人も、廊下を走るなって注意しなきゃいけないんだけど、今はアイツを追い払うことに専念してそれどころではなかった。

 

 

「はぁ~……本当に嵐のような妹さんですね。これからの学院生活が心配になってきましたよ」

「奇遇だな、俺もだ。アイツ一人だけでこの学院潰せるんじゃないか?」

「でもことりは楓ちゃんみたいな元気いっぱいの子、好きだよ♪」

「お前の斜め上のポジティブ思考を見習いたいよ……」

 

 

 ことりって、よく思考が他の人よりも斜め上に行くことが多いんだよな。常識人に見えて、実は違いましたぁ~という絵里みたいな典型的なパターンだ。

 そう考えれば、俺たち3年生組の中でマトモな奴って一人もいないよな?

 

 

※見解リストvol.2※

 

3年生組

零←変態

穂乃果←3バカの一角

ことり←天使第一号、おっとり、天然

海未←一応常識人(一応が重要)

 

2年生組

花陽←天使第二号、常識人

凛←3バカの一角

真姫←常識人、ツンデレ(重要)

 

卒業生組

絵里←常識人、実はちょっと抜けている

希←もう変態の仲間でいいだろ

にこ←3バカの一角

 

新一年生組

雪穂←ガチ常識人

亜里沙←天使第三号

楓←論外

 

 

 

 

「そういや、部活の勧誘はどうするんだ?一応ビラは作ってあるけど」

「う~ん……あと一人なんだよねぇ」

 

 

 一応勧誘をする予定でここまで来たのだが、未だに確定はしていなかった。

 『μ's』の名前には『9人の女神』という意味が込められているらしい。絵里たちが卒業したことで現時点でのメンバーは6人。そこに雪穂と亜里沙が入ると8人だ。つまりあと一人足りない。

 ここで勧誘してたくさんに希望者が出てしまうと、アイドル事務所みたいに選定をしなければならなくなり、それは折角希望してくれた人の多数を蹴ってしまうことになる。そんな失礼なことをするわけにはいかない。

 

 だが勧誘をしない場合、誰一人として希望者がいなければ8人で活動しなければならない。それはそれでいいのかもしれないが、しっかりと『μ's』を引き継いだんだ、みんな9人で活動したいという思いが強い。

 

 

「さぁて、どうすっかなぁ……」

 

 

 ふと窓の外を見下ろすと、そこには講堂へ向かっている楓の後ろ姿が見えた。

 

 一瞬ある考えが頭に浮かんだのだが、有り得ないと思ってすぐに振り払った。身勝手な想いで穂乃果たちを期待させるわけにはいかないしな。

 

 

「……ねぇな…………ねぇ、よな?」

 

 

 俺は楓の姿が見えなくなるまで、ずっとアイツの背中を見つめていた。

 

 




 第一話で『第三話までには全キャラ出します』って言っていたのにも関わらず出ていません。相変わらずの予告詐欺ですね(笑)


 この小説から読んで下さっている方で、妹様の活躍が見たい方は前作の『妹様襲来!!』や『μ's外大戦争(零看病攻防戦)』で登場しているので是非ご覧下さい。


 『日常』の活動報告にて、「過去にラブライブのR‐18指定の小説を投稿したことがある。しかし今は削除済み」みたいな記述をしたところ、それを見てみたいという方が多数いらっしゃったので公開しました。普通の検索では表示されないので、「R‐18」フィルターを外して検索するか、私の名前から飛んでもらうと表示されると思います。


 高評価をくださった方、ありがとうございます!感想も評価も、頂くとモチベーションも高まるのでとても嬉しいです!!その人向けの特典小説をお送りしたいぐらいですね!


 次回の予定は、やっとみんなの顔合わせとなります。予定通りに行けばですが(笑)


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アイドル研究部へようこそ!

 やっとレギュラーキャラを全員出すことができました!


 途中からキャラが多すぎて、誰が話しているのかすごく分かりづらい!!読者様のイメージにスッと入ってこられるようにしたつもりですが、なんせ十数人もいるものですから……

※今更ですが、アニメとは展開が違います。μ'sが残っていたりなど、相違点を挙げればキリがないですが。


前回のラブライブ!

 

 入学式直前、生徒会長である穂乃果は新入生に挨拶をするために俺と一緒に講堂へ向かった。そこで穂乃果の我が儘により、久しぶりに恋人と甘いキスを交わした。

 しかしいい雰囲気も束の間、俺の妹である神崎楓が襲来し学院は一気に地獄へ叩き落とされる。ことりと海未と共になんとか楓を撃退した俺たちは、学院の平和を守ることができたんだ。今度こそめでたしめでたし!!

 

 これからずっと一緒なんですけどね……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 始業式も滞りなく終わり、現在新入生たちはそれぞれの教室で今後の高校生活について、担当の先生からのありがたいお言葉を聞いている頃だろう。さっき講堂を出ていく生徒をぼぉ~と眺めていたが、もう友達を作って仲良く話している者やまだ新しい環境に慣れずそわそわしている者もいた。まぁ、俺はそんな中で可愛い子探しを続けていたんだけどな。

 

 冗談はそれくらいにしよう。講堂前に貼られていた教室分けの用紙を見てみたところ、なんと雪穂と亜里沙は無事に同じクラスになっていた。これでお互いに心細い思いをしなくて済んだな。

 そして一番驚いたのは、同じクラスに楓もいたことだ。まるで仕組まれたかのような、何か作為的なものを感じるが、まさかあの理事長……流石にないよな?これで楓の暴走はあの2人に押し付けられそうでなによりだ。

 

 ちなみに俺、穂乃果、ことり、海未も同じクラスで2年生組も全員同じクラスだ。そうは言っても、2年生は1クラスしかないから当然なんだけど。

 

 

 そして俺は今、一年生教室前の廊下に来ていた。

 

 

「おぉ~!!やっぱ5クラスもあると教室前も賑やかになるな」

 

 

 俺が到着した時には既にホームルームは終わっていたようで、途中で下校する生徒と何度もすれ違った。ちょっと来るのが遅かったか?

 俺がここへ来た理由は、もちろんアイツらに会うためだ。これから一緒にアイドル研究部の部室へ行く約束となっている。

 

 

「あっ、零さん!迎えに来てくれたんですか?」

「わざわざありがとうございます。本当はお姉ちゃんが来るはずだったのに、全く……」

「おぉ、亜里沙に雪穂、さっきぶりだな。穂乃果は生徒会やら何やらで忙しいから、あまりガミガミ言ってやらないでくれよ」

「あれ?珍しいですね、零さんがお姉ちゃんの肩を持つなんて」

「それ、遠まわしに穂乃果を馬鹿にしてないか……?」

 

 

 穂乃果の口グセ、『やるったらやる!!』を行動に発揮できさえすればスラスラと仕事をこなすのに、9割がたはダラダラとしている。生まれた時から一緒にいた雪穂だからこそ、穂乃果のダラけ具合はよく見ているのだろう。

 

 

「零さん!!早く行きましょう!!アイドル研究部の部室、楽しみです!!」

「おっ!!今日は一段と元気いっぱいだな」

「入学式の時からずっとソワソワしてたんですよ。『早く部室に行きたい』って、何度聞いたことか……」

「だってずっと楽しみにしてたんだもん!!あのμ'sの皆さんとお会いする時を!!」

「亜里沙、お前今もの凄く輝いてるぞ」

 

 

 亜里沙の笑顔はまさにキラキラという効果音が似合う笑顔だ。

 あぁ、やっぱり天使の名に相応しい人材だったか。これでことりと花陽とでグループを組めば、男なら鼻血間違いなしだろう。いかん!!想像するだけで自分自身が壊れてしまいそうだ!!

 

 

「あっ!!お兄ちゃんだ!!」

 

「……まだ残っていたのか」

 

 

 そうだ、そうだよ、そうでした!!楓も雪穂たちを同じクラスだったんだ!!姿を見せないからてっきり帰ったのかと思ったがそんなわけないもんな、楓だもん!!

 

 

「もしかして迎えに来てくれたの!?嬉しいなぁ~~♪やっぱ兄妹は一心同体だよね♪」

「だ・か・ら!!言葉の意味履き違えてるから!!それに、俺は雪穂と亜里沙を迎えに来たんだよ」

「雪穂と亜里沙?誰よその女!?」

「いや、ここにいるから…………って2人共呆然と立ち尽くしてる!?」

 

 

 確かに普段猫かぶってるコイツの本性を見たら、そうなっちまうのも仕方ないわな。雪穂たちの様子を見る限り、教室ではおとなしかったのだろう、そのせいで楓のこのはっちゃけ具合に驚くのも無理はない。

 

 

「え~と……さっき『お兄ちゃん』って言ってませんでしたか?」

「紹介するよ、俺の妹の……」

「妻の神崎楓です♪よろしくね♪」

「つ、妻って……えぇ!?」

「信じるな亜里沙!!コイツの許されない冗談だから!!それにお前も、亜里沙は純粋なんだから軽い嘘も禁止だ!!」

「純粋……?フフフ……いいこと聞いちゃった♪」

 

 

 ヤバイ!!やはりコイツを亜里沙に巡り合わせたのは失敗だったか……

 これから楓によって亜里沙が黒に侵食されると思うと……ブルブル!!天使は何としてでも俺が守らなければ!!悪魔なんかに手を出されてたまるか!!

 

 

「絢瀬亜里沙です!!やった、早速お友達が増えた!!」

「高坂雪穂です。よろしくお願いします」

 

 

 いつになくハイテンションな亜里沙と、いつもと同じクールなテンションの雪穂。

 俺はこの時悟った。これは……このメンバーだと雪穂が苦労人になることを。強く生きろよ、雪穂……俺も天使が侵食されないよう全力でサポートするから。

 

 

「絢瀬に……高坂……?」

「そうか、お前は知らなかったか。亜里沙が絵里の妹で、雪穂が穂乃果の妹なんだよ」

「へぇ~……じゃあ私たちはシスターズってことだね!!」

「し、シスターズ!?」

「すごくいいと思います楓さん!!」

「楓でいいよ、私も亜里沙って呼ぶから。よ~し!!シスターズ結成だぁ~!!」

「わ~い!!」

 

「えっ、えぇーー!?」

 

 

 ハイテンションで謎の組織を立ち上げた楓、それに便乗して笑顔で拍手する亜里沙、そして一人だけテンションについて行けず蚊帳の外の雪穂。入学初日でこれとは、雪穂の奴前途多難だな。

 

 

「じゃあ私も部室に行こうかな」

「ダメだ」

「なんでさ!?まさか、私と一緒にいるところを誰にも見られたくないとか?きゃぁ~~お兄ちゃんったら私を独り占めしたいだなんてぇ♪」

「だから言ってねぇって……この会話何回するんだよ……」

「なんか、すごいですね……」

「これからは楓を任せたぞ、雪穂」

「えぇ!?私がですか!?」

 

 

 そう言えばツッコミ役って、一学年に2人いるよな。

 俺たち3年生組は海未とことり、新2年生組は真姫と花陽、大学生組は絵里と……希とにこはボケにもツッコミも両方こなせるか。だが新1年生組は雪穂しかいない。亜里沙も純粋すぎて楓に簡単に流されそうだし、このままでは雪穂が過労死してしまいそうだ。

 

 

「楓、お前は家に帰れ。今日荷物が全部届く予定なんだろ?それなのに家に誰もいないわけにはいかないからな」

「うぅ~~……まぁ荷物が届かないと、お兄ちゃん写真集も見られないしね」

「おい今なんつった!!聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ!?」

「じゃあ早速お宝を拝みに行きますか!!じゃあねぇ~お兄ちゃん、雪穂、亜里沙」

「ばいば~い!!」

 

 

 亜里沙だけが楓に手を振り返し、俺と雪穂はホッとした気持ちでその場で突っ立っていた。ふと雪穂を見てみると、楓とあまり絡んでいないはずなのにかなりの疲労が溜まっているようだ。表情を見て察するに、『あぁ、これから私どうなるんだろ』って思ってんだろうな。ドンマイ☆

 

 

「よし、厄介者も追い払ったことだし俺たちも行くか」

「「はいっ!!」」

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「零さん、1つ聞いてもいいですか?」

「ん?どうした亜里沙?」

 

 

 アイドル研究部部室へ行く途中、亜里沙が俺に質問を投げかけてきた。

 2、3年生はもちろんのこと、新入生もほとんど校舎に残っていないため廊下は閑散としている。入学式の賑やかなムードもようやく落ち着いてきたって感じだな。

 

 

「零さんはμ'sでどんなお仕事をされているんですか?」

「仕事かぁ~……みんなの写真を撮って思い出作りかな」

「それ個人的な趣味ですよね?」

「うぐっ!!雪穂……この世には分かっていても言っていいことと悪いことがあるんだぞ。先輩からのお言葉だ」

「相変わらず"変態"さんなんですね」

「さっきの文脈からどう読み取れば変態になるんだよ!!俺はただみんなのあんな姿やこんな姿を見たいだけだ!!」

「最後、思いっきり欲望出ていましたよ……」

 

 

 これが、新入生に高校生活初っ端から『変態』呼ばわりされる最上級生の図である。

 こうなったら、これから雪穂や亜里沙の憐れもない姿を写真に収めて夜使ってやるからな!!覚悟しとけ!!

 

 

「本当にそれだけなんですか?お姉ちゃん、零さんがいてくれてすごく助かったって言ってましたけど」

「絵里がそんなことを……嬉しいけど、俺はただ見てるだけだ。歌もダンスも知識がないし、素人目でちょっかいを出してるだけなんだよ。でもまぁ唯一挙げるとすれば……」

「挙げるとすれば……?」

 

 

「……別に対したことはなかった。それより早く行こうぜ!!みんなが待ってるから」

 

「は、はい……」

「零さん……?」

 

 

 2人は顔を見合わせて首を傾げていた。

 唯一挙げるとすれば、俺と元μ'sメンバー9人が争った"あの惨劇"。正直μ'sに対してしてやれたことって、その一件ぐらいしか胸を張るところはないんだけどな。しかもそれは済んだ出来事だ、今はこの2人に話す必要がない。文字通り地獄だったからな、あの9日間は。

 

 

 そして俺たちはアイドル研究部部室前にたどり着いた。

 

 

「この扉はお前ら2人で開けるんだ」

「えっ?私たちがですか?」

「あぁ、入ったらバシッと一発芸頼むぜ!!」

「どうしよう雪穂!?私、何も考えてないよ!?」

「零さん!!亜里沙に余計なこと吹き込まないでください!!」

「す、すまん!!ここまで純粋だったとは……」

 

 

 天使の素質がありますね、亜里沙さん。これはことりや花陽以上の純粋無垢さだ。今すぐお持ち帰りして抱き枕にしていい匂いに包まれて眠りたいが、大天使様にそんな無礼は許されない。

 一瞬、亜里沙とも付き合えたらなぁって思ったが、すぐに振り払った。でもこれ以上付き合うのは本格的に危ないかもしれない。妄想だけは色々と浮かび上がるのになぁ……

 

 

「いくよ、雪穂!」

「う、うん!」

 

 

 そして2人は部室のドアノブに手を掛け、ドアを開け放った。

 

 

「「「「「「「「「アイドル研究部へようこそ!!」」」」」」」」」

 

「「!!」」

 

 

 

 

 部室から9人の歓迎の声が聞こえてきた。

 俺たちは他の部活と違って勧誘をしないことにしたため、雪穂と亜里沙は唯一の新入部員となる。もう顔も名前も知っているし肉親の奴もいるが、新たなμ'sのメンバーを歓迎したいというみんなの提案だった。

 

 ん?あれ?9人……?

 

 

「絵里、希、にこ!?なんだお前ら来てたのか!?」

 

 

 やけに部室がいつも通りだと思ったら、旧μ'sメンバーが集結していた。絵里たちが卒業して狭く感じていた部室も、久しぶりに窮屈でかつ華やかに見える。

 

 

「なんだとはご挨拶ね。にこたちが来ちゃいけないっていうの?」

「別にそんなこと思ってないけど、今日来るって言ってたっけ?」

「亜里沙と雪穂ちゃんと、そしてあなた以外にはね」

「なんで俺に内緒なんだよ……」

「いや~零君の驚く顔が見られると思ってね。そうしたら案の定零君のビックリした顔……ウチ笑ってしまいそうや。写真撮っておけばよかったなぁ♪」

 

 

 この俺を騙すとは……これはオシオキとして「ワシワシMAX」でみんなを昇天させるしかない。

 ワシワシMAXとは、希の得意技である「ワシワシ」を究極的に極めた者だけが会得できる技だ。女の子の背後に素早く忍び寄り、胸を刺激してその気持ちよさで昇天させる。男も別の意味で気持ちよくなれる技なのだ。

 

 

「で?お前ら大学は?」

「今日は講義が午前中だけだったのよ。今は特に部活もサークルも入ってないしね」

 

 

 この事実を知れば驚くかもしれないが、絵里も希もにこも同じ大学に通っている。学部はそれぞれ違うのだが、一年生だから取る授業もほとんど同じで3人ワイワイやっているらしい。

 まさかあのにこがねぇ……秋あたりから絵里と希にみっちり仕込まれたお陰だな。にこも穂乃果みたいにやれば伸びる極端な性格だ。もちろん"やれば"だが……

 

 

「じゃあ改めて。雪穂、亜里沙ちゃん!!入学おめでとう!!」

「ありがとうございます!!」

「あ、ありがとう……」

 

 

 μ'sのリーダーである穂乃果が代表して、新入生2人にはなむけの言葉を送る。亜里沙はそれに元気よく応え、雪穂は自分の姉からエールを、少し顔を赤らめながら受け恥ずかしそうに頷いた。冷静そうに装っても、嬉しそうな表情は隠せないみたいだな。

 

 

「おい雪穂、顔赤いぞぉ~」

「な゛っ!?そ、そんなことないですよ!!」

「ホントだ!!我が妹がここまで立派になって、お姉ちゃんは嬉しいよ!!」

「お、お姉ちゃんだけには言われたくないよ」

「ガーーーン!!!!」

 

 

 雪穂も結構なツンデレさんなのかな?それなら真姫と共にツンデレデュエットが組めるかもしれない。扱いが大変そうなグループだなオイ!!それにこの2人、Sっ気も大いにあるから奴隷になりたい人も多そうだな。

 それにしても穂乃果……どれだけ妹から慕われていないんだ。確かにいつもの様子を見る限り、コイツがμ'sのリーダーだとは誰も思わないだろう。小さい頃も海未にガミガミ言われていたのだろうか。

 

 

「亜里沙ちゃんもおめでとうだにゃ!!」

「ありがとうございます凛さん。憧れのμ'sに入ることができてとても嬉しいです!!」

「うぉお~、すごくキラキラしてるにゃ!!まぶしぃ~~」

「まるでアイドルを語っている時の花陽みたいね」

「えっ!?私もあんなにキラキラしてるかな?」

「えぇ、ついでに2時間拘束されるぐらいにはね……」

 

 

 亜里沙は部室に入ってからずっとキラキラした笑顔で部室内や俺たちを順繰りに見つめてる。そんな輝いた顔で見られると、さっきまで雪穂と亜里沙によからぬことをしようと考えていたのが重罪に思えてくる。これでは俺流新入生歓迎会ができないじゃないか!!

 

 

「私、嬉しすぎて今からでも練習したいぐらいです!!」

 

 

 まぶしぃいいいいいいいいい!!亜里沙が眩しすぎて俺の邪な心がどんどん浄化されるぅうううううううううううう!!ゴメンなさい!!天使様!!俺もう変態行為やセクハラをしませんからぁあああああああ!!

 

 

「折角ですし、本日の練習に2人も参加してはどうですか?」

「いいんですか!?雪穂、私たちも一緒にやろうよ!!」

「で、でも着替えなんて持ってきてないよ?」

「じゃあ一旦家に帰って、もう一度部室に集合でどうだ?」

「珍しいですね、零がそこまでやる気をだすなんて」

 

 

 失礼な奴だ。俺はみんなの薄着の練習着によって見出される、くっきりとしたボディラインを拝みたいだけだ!!そして今回から雪穂や亜里沙も加わるというのに、やる気を出さずにいられようか?もちろんテンションMAXだ!!

 

 

「よ~し!!練習前に、みんなで新入生歓迎会といこうじゃねぇか!!さぁ、みんなでこれを着るんだ!!」

 

 

 俺は部室に隠してあった"とある衣装"をここにいる人数分、つまり12人分の衣装を取り出した。部室のどこに隠してあったの?という疑問は封印しておいてくれ。

 

 

 

 

「「「「「「「「「「「「め、メイド服!?」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 さぁ!!突然ですが、μ'sメイド喫茶の開店です!!

 

 




 12人も同じ部室にいるんじゃねぇぞ!!作者である自分が大変だろ!!(笑)

 新生μ's結成まであと少しです。今までと同じ短編集になるまでもうしばらくお待ちください。あと1人のメンバーは?


 次回はまさかのメイド喫茶編!?零君と共に鼻血対策を(笑)


 評価をしてくださった方、ありがとうございます!!


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メイド喫茶『μ's』開店!(前編)

 新入生歓迎会のはずが、個人的な趣味によりメイド回へ様変わり!しかも1話でまとめられなかったという恐怖。書きたいことを何も考えずに書いていったらこうなりました(笑)


 

前回のラブライブ!

 

 遂に雪穂と亜里沙、楓が顔を合わせた。いつも通り平常運転な楓と、新たな友達ができてハイテンションな亜里沙を横に、この2人の面倒を見なけらばならない苦労人の雪穂。大天使亜里沙様が楓に浸食されないように、頼んだぞ雪穂!!

 そして雪穂と亜里沙はμ'sメンバーとも顔合わせ。そこには卒業した絵里と希、にこが俺たちに内緒で集結していた。新旧メンバー集合で、これから俺式新入生歓迎会だ!!さぁ、まずはみんなこの衣装に着替えよう!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「うわぁ~♪すごく可愛いメイド服、零君これどうしたの?」

「いい質問だ穂乃果。俺がこの春休み、みんなのスタイルや背丈に合わせてチビチビと衣装を直していたんだ」

「えっ!?私たちの背丈まで分かるんですか?」

「それもいい質問だ亜里沙。俺にとって女の子のスリーサイズなんて一目瞭然なんだ。もちろんお前ら2人のもな」

「すごいです零さん!!何でもできるんですね!!」

「だろ?もっと褒めたまえ!!」

 

 

 俺が思った以上に亜里沙は真っ白で、すぐにでも別の色に染まってしまいそうだ。これなら楓がゲスい顔をして亜里沙を染めたいという気持ちが分かる気がする。

 じゃあ早速俺色に染め上げて、俺に従順な天使様に……ゲフンゲフン!!なんでもない。

 

 

「ことりたちのために作ってくれたの?嬉しいなぁ♪」

「これは穂乃果ので……これは海未ちゃんのだね」

「わ、私は着ませんからね!!」

「えぇ~折角作ったのに~」

「そもそもどうして歓迎会にメイド服なんですか!?」

「そんなのもの俺の趣味に決まってるだろ」

「余計に着たくなくなりました!!」

 

 

 もう何度もメイド服を着ているというのにまだ慣れないのか。ちなみに今回は前回のような堕天使黒メイド服ではなくて、普通の白を基調としたオーソドックスなメイド服だ。まぁ多少改良を加えて露出度は高くなっているが、これも俺の趣味だ。

 

 

「花陽たちはどうだ?」

「わ、私は……」

「私は着ないから!!」

「いいじゃんいいじゃん!!かよちんも真姫ちゃんも着てみようよ!!折角零くんが作ってくれたんだし。凛は着てみたいにゃ!!」

「そうだよ!!俺がみんなのために真心込めて、愛情を込めて作ったメイド服なんだ。是非俺の愛を受け取ってくれ。お前らなら絶対に似合うと思うからさ」

「零君の頼みなら……いいかな?」

「全く……いつもそんな恥ずかしいこと平気で言うんだから」

 

 

 恥ずかしいことを平気で言えないと、こうして9人とは付き合えていなかっただろう。それにあの時から自分の羞恥心は全て捨て去った。これからはみんなの恥ずかしい姿を赤裸々にしてやるんだ!!

 てなわけで、みんなのメイド服写真(1枚:10000円)のお申し込みは俺の口座まで!!

 

 

「にこたちも、『私たちは関係ない』みたいな顔して突っ立っている場合じゃないぞ」

「どうしてにこたちまで……まぁ可愛いから別にいいけど」

「そうやね。久しぶりにみんなと遊べて嬉しいわぁ♪」

「あなたの場合、『みんなと』じゃなくて『みんなで』じゃない?」

「流石絵里ち!!よく分かってるね♪」

「希も全く変わってないわね……」

 

 

 やはり希も俺と同類だったか。変態は変態を引き寄せ合う、類は友を呼ぶとはまさにこのことだな。

 でも特にメイド服を着ることに抵抗がないこの3人。これが年の功ってやつなのか!?1つしか歳が変わらないのにそう言ってしまうと、すごくどやされそうだ。

 

 

「私も着るんですか……?」

「雪穂、これもμ'sに入るための儀式なんだ。まぁ俺に目を付けられた時点で諦めるんだな」

「諦めるって……零さんはどのポジションから言ってるんですか……?」

「神のポジション」

「聞いた私が馬鹿でした……」

 

 

 そう言って俺に憐れみの目を向ける雪穂。

 そうだよ、この目だよ!!人を凍てつかせるような、北極や南極の寒さよりも凍える目線が如何にも俺を見下している時の真姫にそっくりだ。やはりコイツと真姫を組ませて、ファンを甚振る光景を見てみたい。握手会も握手ではなくて、ムチを持って一人一人シバいていくとか面白そうだ。

 

 

「いいじゃん雪穂!!このメイド服可愛いよ。私一度着てみたかったんだぁ♪」

「こんなことするためにμ'sに入ったんじゃないんだけど……」

「いいか、アイドルたるものどんな衣装を来ても誠実に振舞わなければならん。恥ずかしがってたら、人前で歌もダンスもできないだろ?」

「……零さんのくせにいいこと言ってる」

「お前の中での俺の位置づけがよーく分かったよ……」

 

 

 あれれぇ~?一応一緒にデートしたことはあるんだけど、俺の評価ってこんなに低かったっけ?あの時は高坂姉妹2人と一緒で、その時は雪穂もハイテンションだった気がするが、それは俺がいたからじゃなかったのか!?密かに俺のことを想ってくれているって期待していたのに!?

 

 

「でもほらみんなやる気みたいだし、ちょっとだけ、ちょこ~っとだけだから」

「はぁ~……分かりました。やればいいんでしょやれば」

「やりぃ☆」

 

 

 これで全員の説得は完遂された。あとはこの時のために買ってきたカメラで、みんなのメイド服姿をいやらしく収めるだけだ!!

 

 

 いきなり全員が着替えると、ただでさえ狭い部室がさらにギューギュー詰めになる(俺はそれでも最高なんだけど)ので、学年別に順番で出てきてもらうことにした。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「じゃーーん!!見て見てご主人様!!可愛いでしょ?」

「お待たせしました、ご主人様♪」

 

 

 まず部室に入ってきたのは穂乃果とことりの幼馴染コンビだ。

 穂乃果のメイド服は、本人が活発で動き回ることを想定して生地が薄く、肌の露出も多い。こう見ると穂乃果からもしっかりと色気が醸し出されている。

 ことりはいつもと同じだと興奮しないので、スカートの丈を短くしてり肩を露出させるなどお客様(俺)にサービスできるようになっている。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 鼻血が……鼻血が飛び出るぞ!!メイド萌えの俺にとって、『露出が多いメイド服』+『自分の彼女』というコンボに興奮せざるを得ない。

 でも今回は準備万端だ。輸血パックを大量に用意してあるからな。

 

 

「わっ!?ご主人様鼻血大丈夫!?」

「わ、悪い!!そこのダンボールから輸血パックを早急にセッティングしてくれ。さっきセットしておいた3パック分が、お前らを見ただけで一気に消し飛んだんだ」

「うん分かった!!」

 

 

 まさか……まさか穂乃果とことりのメイド服姿を見ただけでこうなるなんて……明らかに以前より悪化していないか!?恋人関係になって、ますます興奮しているのかもしれない。

 

 

「大丈夫ですかぁ、ご主人様?」

 

「なっ!?」

 

 

 ことりが俺を心配して近くまで駆け寄った。それはいいのだが、色々とことりの見えてはならない部分が見えそうになっているのが問題だ。

 メイド服を切り取りすぎたせいで胸元が大きく開かれ、上から除けば豊満な2つの膨らみがすべて見えてしまいそうになっていた。ここから見ても、そのマシュマロみたいな柔らかいモノのほとんどが見えてしまっている。

 

 

「よし!これでセッティング完了!!これでご主人様と遊べるね♪」

 

 

 そう言って穂乃果は俺の元へ走って来た。その度に生地の薄いスカートが大きくめくれ上がり、目が離せなくなる。

 

 

「ご主人さまぁ~♪」

「ほ、穂乃果!!急に抱きつくな!!」

 

 

 穂乃果はピョーンと俺の背中に飛びつき顔をすり合わせてくる。

 もちろんそれだけでも鼻血ぶちまけものだが、さっきも言った通り穂乃果のメイド服は生地が薄い。だから彼女の胸の感触が俺の背中にダイレクトに伝わってくるということだ。

 

 見てみると、穂乃果がセットしてくれた輸血パックの内、もう1つが消えてなくなっていた。俺が鼻血を出す量と、輸血パックからの需要と供給が明らかに見合っていない。

 

 

「そ、そう言えば海未はどうした!?」

「あぁ……海未ちゃんなら、ほらあそこだよ」

「えっ?」

 

 

 ことりが指を指している先を見ると、部屋の隅で海未が顔を真っ赤にしながらこちらを眺めていた。

 海未のメイド服は、あえて和風っぽくなるようにアレンジを加えている。どちらかといえば和服に近くなるように作成した。やっぱり海未には和服だよな。

 

 

「ど、どうして今回はどれもこれも露出が多いんですか!!」

「そんなもの俺の趣味に決まってるだろ。今更すぎるぞ」

「零っ!!」

「ご主人サマと呼べ!!ここでは俺が正義だ!!俺がすべてなんだ!!」

「どうして私、この人を好きになったんでしょう……?」

 

 

 真っ当な意見だ。ごく普通で正論すぎて俺の反論する余地もない。

 だがな、俺はこの行為を全くやめるつもりはない。これが俺の生き様、そしてみんなは俺の全てだからだ!!だからメイド服でご奉仕してね☆

 

 

「じゃあどうすればお前に俺の愛を示せる?キスでもするか?」

「はぁ!?ちょ、ちょちょちょっと待って下さい!!」

「なんだ?もしかしてそれ以上のことをお望みで!?」

「違います!!キスはいいんですよ……ですが近くでこんな恥ずかしい顔を見られたくなくって……」

「海未……」

 

 

 可愛い生き物がここにいた。いつもは大和撫子と言われるほど、どちらかといえば美人よりなのだが、今はゆでダコのように顔を沸騰させてモジモジしている。海未がここまでお人形さんのように、抱きしめたくなる愛らしさを出しているのは初めてかもしれない。

 

 

「ご主人様ずるいです!!ことりにもキスしてくださぁ~い♪」

「ことりも!?」

「じゃあ穂乃果も、さっき以上にスゴイやつお願いします!!」

 

 

「「さっき……?」」

 

 

「「あっ……」」

 

 

 マズイ……穂乃果が口を滑らせてしまった。ことりと海未はすぐさま反応し、俺と穂乃果は口を開けたままその場で立ち尽くす。

 

 

「零くん、穂乃果ちゃん、それって一体どういうことかな?」

「えぇ~とそれは……」

「私たちの取り決めとして言いましたよね?学院内でキスするのは禁止だと……」

「しょーがないじゃん!!雰囲気に流されちゃったんだもん!!」

「しかも私たちは生徒会役員なのですよ!?まして穂乃果は生徒会長、破廉恥な行為などもってのほかです!!」

 

 

 俺たちで決めた規則、それは学院内では健全な関係でいることだ。特にスクールアイドルとして活躍したコイツらは学院内でも顔が知られているだろうし、これから新入生の目もある。上級生の俺たちが模倣になるため、お堅い海未からの取り決めだ。

 

 

「そーだよ!!穂乃果ちゃんだけズルいよ!!だからことりにもやって?」

「こ、ことり!?さっきの話聞いてなかったんですか!?」

「聞いてたよ。でもことり、もう我慢できないの!!」

「うっ……でも俺たちの取り決めが……」

 

 

 このままドツボにハマっていけば、ズルズルと快楽の道を突き進むことになる。そうなったら最後、学院だろうとどこだろうとイチャイチャしまくってしまうだろう。それでは世間に9股をかけている最低ヤローだということがバレてしまう!!

 

 

「ダメ……かなぁ?」

 

「ぐぅうううううううううううううううう!!」

 

 

 ことりは涙目かつ上目遣いで俺を見つめてくる。

 いつの間にそんな技も身につけたんだ。くっそぉおおおおおおおおお!!可愛いじゃねぇかぁああああああああ!!俺はこんな天使のお誘いを断ろうとしているのかぁああああああ!!

 俺の心に眠る罪悪感が大群を成して襲いかかってきた。

 

 

「で、でもここではな……」

「もうっ!!いつもなら『ことり、大好きだよ』て言ってしれくれるのに、どうして今はダメなの?チューしようよ!!チューチューチュー!!」

「ネズミかお前は!?ことり、ちょっと落ち着いて!!」

「もういいもん!!こっちからしちゃうんだから!!」

「むぐぅ!!」

 

 

 ことりは真正面から俺に飛びつくなり、そのまま俺の唇を食べてしまうかのように自分の唇を押し当てた。すがりつくように執拗な彼女の厚い唇の感触に、俺は一気にことりの虜にされる。

 

 

「んっ……ん」

 

 

 ことりは色っぽい声を上げながら、俺とのキスに夢中だ。周りには羨ましそうに眺める穂乃果や、目を見開いたまま動かない海未もいるのだが全く意識にないのだろう。

 『ぺちゃぺちゃ』と唾液の音が大きく響き、いつもと比べてかなり濃厚なキス。もうこのまま俺が食べられてしまいそうだ。続けてことりは俺の唇を自分の唇で押し開けて、探し出した舌を舌で絡めてくる。そしてさらに如何にも破廉恥な唾液の音が部室いっぱいに広がった。

 

 俺、さっきから脳がトロトロとかされているけどもういいや……

 

 

 そして、十分にキスを堪能したことりはゆっくりと唇を離した。俺とことりで唾液の糸が引いているのが、心底いやらしい。

 

 

「どうでしたかぁ?ご主人様?」

「気持ちよかったよ。もう一度しれくれるか?」

「はい♪喜んで、ご主人様の仰せのままに」

 

 

 俺たちは第二回戦をはじめようとした瞬間、ダンッと隣で誰かが仁王立ちした。

 ――――これってまさか……?

 

 

「もうこれ以上はダメです!!」

「えぇ~!!海未ちゃんヒドイよ!!ことり、まだ零くんと愛し足りないよ!!」

「ダメです!!このままエスカレートすれば、必ず日常生活でもハメを外してしまいますから。なのでこれ以上は禁止です。いいですね!!」

「はい……」

 

 

 珍しくことりが海未に怒られている。そのシュンと落ち込んでいることりの表情にそそられて、また彼女に飛びつきそうになるがグッと堪える。これ以上やると確実に海未の制裁をもらうからな。

 

 

「零も!!いいですね?」

「はい……」

 

 

 結局3年生になっても、『俺たちが馬鹿をする』⇒『海未によって止められる』という鉄板の流れは変わらないんだな。逆に安心したよ、いつもの構図で。いや、いつもなら殴られてたから一歩前進か?

 

 

「じゃあ、帰ったら海未を思いっきり愛でてやるかな?」

「な゛っ!?い、いきなり何を言い出すんですか?」

「何をって、学院の中じゃなかったらいいんだろ?それにお前、ずっと顔が真っ赤だぞ」

「うっ……」

「大丈夫だよ、俺はしっかり海未のことも見てるから。また2人で一緒に……な?」

「もう……っ、あなたって人は……」

 

 

 穂乃果やことりは自分の感情を出すのが得意だが、海未は自分の心の中に抑えてしまって中々人に想いを伝えられない。付き合ってからは少し改善されたが、2人に比べればまだまだだ。そこは俺が海未に心配やストレスを抱えないように引っ張っていかなければ。

 

 

「よーーし!!じゃあ次は穂乃果の番だね!!」

「「「それはない」」」

「うそぉ!?」

 

 

 この流れでまだやる気だったのかコイツは。しかもさっきやったし……

 

 そして俺は、こんな調子でこの先身体が持つのだろうか……?

 

 




 ということで、次回に続きます。まさかキスの描写を入れるとは自分でも思っていませんでした。勢いって怖いですね(笑)。ですが折角恋人関係になったので、他の小説では見られないシーンというのも一興ではないでしょうか?


 高評価をしてくださった方、ありがとうございます!!増えれば増えるほどイチャイチャの回数も増える(?)かもしれません。








 これメイドである必要あったか!?


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メイド喫茶『μ's』開店!(後編)

 今回で全員終わらせると言っていたのにも関わらず終わらなかった……
 しかも今回はかなりハジケてます。ここまで変態要素を書いたのは初めてかもしれません。妄想を膨らませ過ぎた気がしてならない……


 

前回のラブライブ!

 

 雪穂と亜里沙がアイドル研究部に入部した記念に、俺の発案で全員メイド服を着ることになった!最後までごねていた海未や雪穂を言葉巧みに誘導し、なんとか説得に成功!

 初めに登場したのは穂乃果、ことり、海未の幼馴染トリオ。しかしそこで俺と穂乃果がキスしたことがバレてしまい、ことりが暴走してしまう!!その場の勢いでことりとキスをした俺は、そのまま快楽の底へと叩き込まれる。しかし、海未のお言葉もありなんとか沈静化した。

 この先ほかのμ'sメンバーも登場!!このままだと俺の身体もたなくない!?

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「次は凛たちだにゃ!!」

「よ、よろしくお願いします!!」

 

 

「……」

 

 

「ご、ご主人様?どうしたのかにゃ?」

「ずっと固まったままだけど……」

 

 

「いや、お前らのメイド姿って新鮮だなぁと思ってさ」

 

 

 メイド服と言えばことり、さらに彼女つながりで穂乃果や海未は想像がしやすいが、凛や花陽たちのメイド姿はあまり見たことがない。高校2年生になってもまだ少し幼さが残る彼女たちがメイド服を着ると、それだけで謎の背徳感に包まれてゾクゾクしてくる。

 ちなみに凛も花陽に着させたのは至って普通のメイド服だ。シンプル・イズ・ベスト!!幼さが残っているからこそ、ノーマルメイド服なのだ。

 

 ヤバイヤバイ……鼻血を拭かないと。

 あっ、輸血パックが早速1つお亡くなりになった。

 

 

「凛、こういう服あまり似合わないと思うんだけど。でもご主人様のためなら……」

 

 

 凛は顔を赤らめながら俯き、スカートをギュッと手で押さえ、モジモジしながチラチラと俺を見る。その凛は如何にも乙女という感じで、普段の活発な彼女からは考えられないほど可憐だ。

 

 

「凛、お前…………めちゃくちゃ可愛いなぁ!!」

「うにゃっ!?ご、ご主人様!?」

 

 

 あまりの乙女チックな凛に理性を抑えきれなくなり、俺から凛を抱きしめた。彼女の身体は思ったよりも細く、全身で抱きついても余るぐらいだ。だがその分凛を思いっきり堪能することができる。

 

 

「れ、零くん苦しいにゃ~!!」

「それだけお前を好きだってことだよ。それに言葉遣い間違ってるぞ。『零くん』じゃなくて『ご主人様』な」

「ご、ゴメンなさいご主人様……」

 

 

 さらに凛は恥ずかしくなったのか、俺の胸に顔をうずめて表情を隠してしまった。恋愛には奥手な凛のことだ、今は爆発してしまいそうなぐらいドキドキしているんだろう。現に彼女の胸から鼓動が俺に伝わってきている。慎ましやかな胸だが、その感触はしっかりと女の子だ。

 

 

「はわわわわ……」

「花陽……お前手まで真っ赤だぞ、大丈夫か?」

 

 

 花陽は自分の手で顔を抑えているが、指と指の間からしっかりと俺と凛を凝視していた。手まで真っ赤なところから察するに、顔は相当沸騰しているのだろう。

 

 

「かよちんもこっちくるにゃ~」

「凛は小さいから、まだまだ抱きしめられるぞ」

「小さくて悪かったにゃ!!」

「いやいや、小さくて可愛いなぁって意味だぞ。それは花陽も一緒だけどな。ほら、こっちにおいで~」

「は、はい……」

 

 

 花陽はメイド服に慣れず恥ずかしいのか、ちょこちょこと歩きながら俺の元へやってきた。もうそれを見ただけで、今すぐ家にお持ち帰りして抱き枕にして一緒に寝て共に一生を過ごしたい!!花陽が作ってくれるご飯なら毎日毎食でも食べられるぞ!!俺の家に来ないかい?

 

 あっ、でも……家には悪魔がいるんだよな……

 

 

「よ~し、花陽も抱きしめちゃうぞぉ~☆」

「あ、ありがとうございます、ご、ご主人様!!」

 

 

 花陽もメイド精神が板についてきたみたいだな。メイドならご主人様の命令ならなんでも従う。それがメイド精神だ!!

 大天使花陽様に『ご主人様』と呼ばれただけで、さっきから輸血パックが忙しなく俺に血を輸送している。これ、途中で輸血パックなくなって俺死んじゃうんじゃ……?

 

 そして俺は花陽の手を取って、そのまま凛の隣に導きそのまま2人をギュッと抱きしめた。

 

 

「うひゃあ~!!花陽の身体やわらけぇ!!」

「も、もう恥ずかしいですご主人様!!」

「ご主人様が一気に変質者になったにゃ……」

 

 

 もう変質者でもなんでもいい!!花陽の柔らかい身体、そして胸を堪能できるのならな!!俺が彼女をグッと自分の身体に引き寄せるたびに、花陽の豊満な胸の形がフニッと変わるのが俺の興奮を際立たせる。

 

 

「花陽顔真っ赤だぞぉ~」

「み、見ないでください!!私、今絶対に誰にも見せられない顔していますぅ~!!」

 

 

 これは海未だけじゃなく花陽の特訓も必要だな。

 この2人はただのPV撮影でも緊張してしまう。これは俺とのイチャイチャで羞恥心を解消してやらなければ!!

 

 

「あれ?そういや真姫は?」

「真姫ちゃん?それなら私たちと一緒に来たはずだけど……」

「あっ!!あんな端っこで座ってるにゃ!!」

 

 

 真姫はまるで背景かのように部室のオブジェクトに溶け込んでいた。

 海未みたいに震えてはいないものの、自慢の赤髪と同じぐらい顔を真っ赤にしている。もうどこまでが髪の毛で、どこからが顔か分からんな。

 

 

「真姫……お前そんなとこで何してんだよ」

「『何してんだよ』じゃないわよ!!どうして私だけスカートがこんなに短いのよ!!」

「綺麗な脚をしているお前にはピッタリだろ?」

「今そんなこと言われても全然嬉しくないから!!この変態!!」

「残念、それは罵倒ではなく褒め言葉だ」

 

 

 俺を変態呼ばわりするとは……今更何を言っているんですかねぇ真姫ちゃんは。それはやかんを指差して『これはやかんです』って言うようなものだぞ。『俺≒変態』ではなくて、『俺=変態』だからな。しかと刻みつけておくように。

 真姫に着せたメイド服は、彼女が言った通りスカートが極端に短い。それは真姫の綺麗な脚を浮き彫りにするためだ。そこが真姫のチャームポイントの1つでもあるからな。

 

 

「真姫、ちょっと立ってくれないか?」

「イヤよ!!少しでも動くと見えちゃうから」

「いいじゃん、ミニスカート似合ってるぞ!!俺はお前の全身を拝みたいんだ。だから、な?」

「そんなこと言って!!スカートの中見たいだけでしょ!?」

「ソンナコトナイヨ」

「バレバレよ……」

 

 

 その時、真姫が一瞬スカートから手を離したため、その僅かな風圧でスカートがひらりと捲れ上がった。

 

 見え……見え……見えそう!!

 

 

「真姫……」

「何よ!?」

「お前、いい太ももしてんなぁ~」

「な゛ぁっ!!」

 

 

 とうとう真姫の羞恥心がMAXに達したようで、瞬速で自分のスカートを押さえる。女の子がスカートを押さえる姿って、どうしてこんな萌えるのだろうか。そして真姫の綺麗な太もも見て、またしても輸血パックがお亡くなりになる。

 

 

「ちょっとだけ、舐めてもいい?」

「はぁ!?!?ダメに決まってるでしょ!?」

「俺はお前の恋人だ。だから彼氏として彼女のすべてを知りたい。お前たちの隅々まで、何1つ隠し事なく知りたいんだ。そうすればもっとお前らと愛し合えるようになると思うから」

「あ、あなたって人は……またそんなことを……」

 

 

 でも事実だからな。みんなのことをもっと知って、もっともっとみんなに喜んで笑顔になって欲しいと思っているのは間違いない。もう俺は嘘偽りなく自分に素直になるって決めてんだ!!

 

 

「ダメ?」

「………………いいわよ」

「マジで!?やった!!」

「そこまで喜んでくれると悪い気はしないけど……で、でもちょっとだけだからね!!」

 

 

 デレたデレた!!ツンデレ真姫ちゃんの本領発揮だ!!もう誰にも俺を止められない!!今から俺は真姫のアレをいただくことになる!!

 

 

 そして俺は座ったまま動かない真姫に近付き、彼女の太もも付近で膝をついた。もうこの時点で真姫からいい匂いが漂ってきているのは気のせいか?それは凛と花陽からのあまい匂いもあるだろう。

 

 

「わわわっ!!真姫ちゃん、どうなっちゃうのかな?」

「ご主人様と真姫ちゃんが……まさかにゃ……にゃ~」

 

 

 凛が遂に本当の猫になってしまったぞ。あの2人も盛り上がってるな。

 しかもまた輸血パックが空っぽになってしまった。早く次をセットしないと鼻血を部室にぶちまけてしまう。

 

 

「じゃあいくぞ?」

「は、早くしなさいよ……」

 

 

 ここまで来てもまだ強気なのか……

 俺は真姫の太ももに顔を近づける。

 

そして、彼女の太ももに舌を伸ばし――――

 

 

「ひゃうっ!!」

 

 

「!!真姫、お前……」

「すごく可愛い声だにゃ……」

「真姫ちゃん、そんな声出せたんだね……」

 

 

 聞いた!?聞きました!?『ひゃうっ!!』ですって!!真姫のあんな色っぽく、可愛すぎる声をかつて聞いたことがあるだろうか?いや、ない。

 凛も花陽も親友の聞いたことがない叫び声に驚嘆している。さらに顔も真っ赤っか。部室の熱気が真夏のようにムンムンしている。

 

 真姫は俯いたままプルプルと震えだし、その場でスッと立ち上がった。

 

――――これは、マズイ奴なのでは……?

 

 

 

 

「あ゛ぁああああああああああああああああああ!!」

 

「真姫ちゃんが壊れたにゃ!!」

「お、落ち着いて真姫ちゃん!!」

「みんな!!とりあえず退避だ!!」

 

 

 真姫の暴走により、2年生組のご奉仕(してもらってない気がするが)は終了した。

 凛と花陽にはしばらく真姫をなだめさせておこう。そうでないと、明日俺が殺される。

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「もうっ!!にこたちを待たせすぎよ!!」

「ウチらのこと忘れて随分楽しんでたみたいやなぁ~」

「まぁ、それが零らしいって言えば零らしいけどね」

 

 

 今度は大学生組ご登場!!

 にこのメイド服はゴスロリに近いフリフリとしたメイド服だ。自慢のツインテールと相まって、如何にもにこらしい服に仕立て上げてみた。

 希と絵里のメイド服は、豊満な胸を強調するように設計された今作でもイチオシのメイド服。男なら、もうそこにしか目がいかないだろう。

 

 ポタポタと垂れそうな鼻血をなんとか防ぎ、もう残り少ない輸血パックをセットする。

 よし、これでまた鼻血をぶちまけても大丈夫だな!!

 

 

「絵里、『零』じゃなくて『ご主人様』な」

「そ、そうだったわね。でも慣れないし、恥ずかしいわね……」

「ステージに上がる時は全然緊張してないのに、今はしてるのか?」

「だって彼氏の前でこんなこと……ステージよりも緊張するわよ……」

 

 

 顔をプイッと俺から逸らし、ゴニョゴニョ言いながら指をクルクル回している。

 いつもはクールで美人、どちらかといえば綺麗に当てはまる絵里だが、やっぱりそこは女の子、好きな人の前でメイド服は緊張してしまうらしい。その仕草も俺的にはグッドだ!!

 

 

「じゃあ俺が指導してやらないとな……」

「指導って……なにするの?」

「とりあえず、『おかえりなさいませ、ご主人様』って言ってみ?羞恥心を消すにはまずそこからだ」

 

 

 海未の特訓の時も同じ内容で練習を行った。結局あまり改善はされなかったが、多少の自信ぐらいはつけられるだろう。絵里はマジメなことに関しては冷静なんだけど、こういう局面ではいつもオドオドしている気がする。でも彼女の意外な一面を見られて嬉しくもあるがな。

 

 

「お、おかえりなさいませ、ご主人様!!」

 

「がぁっ!!」

 

 

 はい、俺の身体の血が鼻血としてすべて吹き飛びました!!

 あの絵里がモジモジしたままそのセリフを言うのは反則だろ……萌え死ぬところだった。

 

 

「もう~ご主人様、ウチも構って欲しいなぁ~?」

「の、希!?そんな後ろから抱きつかれると……」

 

 

 絵里に萌え死にそうになったのも束の間、今度は希が俺の後ろから抱きついてきた。μ'sナンバー1の豊満な胸が、花陽以上に俺にのしかかり、フニフニと形を変えているのが分かる。くそっ!!完全に弄ばれている!!俺の扱いを熟知しているな!?

 

 

「ねぇご主人様……ちょっとだけ触りたい?」

「なっ!?……いいのか?」

「ウチもご主人様のことが大好きやから。それに、今零くんはウチのご主人様や。命令してもええんよ?」

「命令……!!」

 

 

 『命令してもいい』、そんな素敵な言葉が希から発せられるとは!?

 もうこうなったらあとには引けない!!俺が希を支配しているという感覚が堪らなくそそられる。

 

 

「希、触らせてくれ」

「はい、どうぞ♪」

 

 

 希はグッと胸を突き出した。メイド服がそのように作られているため、豊満な胸がいつもより余計に強調される。それを見て凝視しない男はいないだろう。鼻血も止まらない。

 

 

「いくぞ?」

「きて……」

 

 

 俺は希に言われた通り、ちょっとだけ胸を触った。

 それはもうこの地球上に存在するものなのかと、本気で疑いそうになるぐらいだ。柔らかい……女の子の象徴って、こんなに柔らかいモノだったのか!?希のモノだから尚更そう思えるのか?それにしても俺の指が胸に埋まって、そのまま押し返されたぞ!?これが……女の子の象徴か……

 

 

「はい、オシマイ♪」

「うっ……早いな」

「ちょっとだけって言ったやろ?あまりハメを外しすぎると、ご主人様すぐに暴走するからね♪」

「その通りすぎて言い返せない……」

 

 

 やっぱり希は強敵だ。俺の思考もバッチリと読んでくる。この時だけは希のスピリチュアルパワーに納得せざるを得ないな。コイツ、結構冷静だったし。自分の胸触らせるって中々勇気のいることだと思うんだけどなぁ。

 

 そしてこの時俺は気付かなかったが、希は頬を赤らめて目が泳いでいた。冷静そうに見えて、本当は緊張していたのだ。俺は気付かなかったけど……

 

 

「ん?にこ、どうしたそんな熱い目線で俺を見つめて?」

「にこね、ずっとこの時を待ってたの……」

「この時?」

「えぇ。最近大学の入学やガイダンスで忙しくて、中々アンタと一緒にいることができなかったでしょ?」

「そうだな……」

 

 

 実は4月になって、この大学生組と会ったのはこれが初めてだったりする。やっぱりもう少し経てば新しい環境や授業にも慣れ、時間や心にも余裕ができると思うが、今はもの凄く大変で忙しいらしい。

 

 

「にこはもっと零と一緒にいたい。そう思って今日までずっと我慢してきたの!!だから今だけでいいからにこに付き合って!!」

「にこ……あぁ、どれだけでも付き合ってやる。俺は何をすればいい?」

「何もしなくていいわ、そこに立ってて」

「あ、あぁ……」

 

 

 俺たちが付き合い始めてから、穂乃果やことりがより積極的になったのは目に見えて明らかだが。実はにこも同じぐらい積極的になっていた。普段ではいつものように憎まれ口を叩く仲なのだが、雰囲気がよくなれば一変、にこのデレが半端ではなくなる。

 

 離れ離れになって寂しいのは俺も一緒だ。じゃあ今回はにこにすべてを任せてみますか!!

 

 

「いくわよ」

「いつでもどうぞ」

 

 

 そしてにこと俺は熱いキスを交わした。俺とにこでは身長差があるため、必然的ににこが背伸びをしなければならない。その背伸びするにこが可愛くて、愛おしい。

 

 にこは俺に会えなかった時に溜まった愛を、すべて俺にキスという形で注ぎ込む。彼女の舌によって唾液がぴちゃぴちゃと音を立てながら、俺たちはさらにお互いを求め合い唇や舌を絡め合う。彼女のトロンとした目を見ると俺は余計に彼女が愛おしくなり、ねっとりと自分の唇を彼女の唇に押し付ける。

 

 

「ハラショー!!の、濃厚すぎて見ているのも恥ずかしいわね……」

「流石にこれはウチも……」

 

 

 絵里も希も俺たちの営みに夢中となっている。またこの2人ともいずれ……

 

 

「ぷはっ!!あぁ~気持ちよかった!!ありがとね、ご主人様♪満足したわ」

「こちらこそ。今は少し離れてるかもしれないけど、寂しくなったらいつでも来い!!いや、俺から行ってやる!!」

「ふふっ♪ありがと♪」

 

 

 俺たちの間に引かれていた唾液の糸が、床に滴り落ちる。

 にこの無邪気で子供っぽい笑顔、久しぶりに見たな。いつか、そう遠くない未来にまた見られるといいな。

 

 

 

 

 そうだ、海未には内緒にしとかないと……しないって誓ったばっかなのに……

 

 見られてないよね……?

 

 




 ということで、前書きの意味が分かってもらえたでしょうか?(笑)
 特に構成を考えていたわけではなく、気が付いたらこの内容になっていました。したがって、悪いのは自分の妄想です。私は悪くない!!

 しかもまたこれ、メイドである必要なくないですか!?もう普通にじゃれあわせとけばいいような気がします。

 今回で終わらなかったので、雪穂と亜里沙編は次回の冒頭でやります。タイトルは変わりますが、メイド回がほんの少しだけ続く予定です。

 高評価を入れてくださった方、ありがとうございます!!5話にしてランキングにまで載せてもらい、感無量です!!



 以降のネタバレになってしまうかもしれませんが、いずれは先輩禁止が適用されるわけです。それによって雪穂や亜里沙、楓がみんなのことを何と呼ぶのか考え中です。構想中なのは……

~雪穂~
零⇒零君
穂乃果⇒お姉ちゃん
ことり⇒ことりちゃん
海未⇒海未ちゃん
花陽⇒花陽ちゃん
凛⇒凛ちゃん
真姫⇒真姫ちゃん
絵里⇒絵里ちゃん
希⇒希ちゃん
にこ⇒にこちゃん
亜里沙⇒亜里沙
楓⇒楓

~亜里沙~
零⇒零くん
穂乃果⇒穂乃果ちゃん
ことり⇒ことりちゃん
海未⇒海未ちゃん
花陽⇒花陽ちゃん
凛⇒凛ちゃん
真姫⇒真姫ちゃん
絵里⇒お姉ちゃん
希⇒希ちゃん
にこ⇒にこちゃん
雪穂⇒雪穂
楓⇒楓

~楓~
零⇒お兄ちゃん
それ以外⇒呼び捨て

 雪穂と亜里沙は同学年に対しては呼び捨てで、それ以外には"君""ちゃん"付けの印象です。皆さんはどのような印象ですかね?


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最後のメンバー

 今回の前半は前回の続きでメイド回、後半は意外とマジメな回です。今までブッ飛んだ話ばかりだったので、たまにはこういう展開もいいよね?


 

前回のラブライブ!

 

 毎回長いので3行でまとめてやる!!

 

・真姫の太ももを味わった

・希の豊満な胸を触った

・にことディープキス

 

 以上、俺が暴走したシーンTOP3でした!!そして最後は……遂に新入部員であるあの2人の出番だ!!

 あれ?新入部員歓迎会なのに、新入部員がメイド服着るっておかしくない?まぁいいか、萌えられればなんでも☆

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

『ほら、雪穂!!恥ずかしがってないで行こ?』

『で、でもやっぱり恥ずかしいよ!!』

 

 

 部室の隣の更衣室から亜里沙と雪穂の声が漏れている。どうやら亜里沙はやる気のようだが、雪穂は羞恥心で更衣室の外には出れないようだ。クールさが売りの雪穂だが、メンタル面も鍛えないと俺や楓のテンションにはついて行けないぞ☆

 

 

「お~い、まだか?早くしないと日が暮れちゃうぞ?」

 

『すみません!!今行きます!!』

『ちょっ!?引っ張らないでよ亜里沙!!』

 

 

 これは恥ずかしすぎて爆発しそうな雪穂を見られるチャンスだ!!ちなみにカメラでみんなの写真もバッチリ撮っているぞ。海未や雪穂辺りには脅しのネタにもなるしな、フフフ…………

 

 

 そして、更衣室のドアが開け放たれた。

 

 

「お待たせしました零さん!!このメイド服すごく可愛いですね!!」

「うぅ……恥ずかしい……」

 

 

 や、やべぇ!!は、鼻の奥からドロドロとした液体が逆流して今にも――――あぁっ!!

 

 

「「れ、零さん!?!?」」

「き、気にするな……ただのメイド萌え症候群だ」

 

 

 メイド姿の2人の登場と同時に、俺の鼻も悲鳴を上げた。この前まで中学生だった彼女たちに、露出度そこそこのメイド服を着せるとは……背徳感で昇天ものだぞこれは。遂にこの2人を俺の手に染めてしまったか……

 

 

「わわっ!?鼻血出てますよ!?」

「亜里沙……拭いてくれないか?それに、『零さん』じゃなくて『ご主人様』な」

「あっそうでした。では改めて…………ご主人様、ご奉仕いたしますね♪」

 

 

 ま、またしても鼻がァアああああああああああ!!!!

 

 

「大丈夫ですか!?ご主人様!?ご主人さまーーーっ!!」

「と、とにかく輸血パックの用意を……」

 

 コイツ……俺を殺しに来ている!!メイド萌えの俺が、幼き天使に萌えないわけないだろ!!

 亜里沙のメイド服は、この前から散々言っている通り大天使を模したメイド服となっている。以前ことりに着せた大天使メイドの衣装を亜里沙サイズに編集し直したものだ。肌や髪の毛が白っぽい彼女にはよく似合う。

 

 

「ど、どうして私は黒なんですか!?」

「どうしてって、お前には堕天使黒メイドがよく似合うからな」

「似合ってませんよ!!それに、露出が多くないですか!?このメイド服!!」

 

 

 雪穂の着ているメイド服は、以前海未に着せた堕天使黒メイド服を改造したものだ。しっかりと堕天使の翼も付いてるぞ。特にこのメイド服は、海未や真姫などSっ気がある人に着せる予定だったので、今回雪穂に着せるのはいい機会だ。

 

 

「露出が多いのは俺の趣味だけど、別に贔屓目で見なくとも似合ってるぞ。可愛いからもっと自信持て!!」

「可愛いって……こんな真っ黒なメイド服着せられても……」

「違う違う、可愛いのはメイド服じゃなくてメイド服着たお前だ。メイド服が着こなせるなら、他の衣装を着ても大丈夫そうだな」

「あ、ありがとうございます……」

 

 

 さっきまで騒いでいたのに、今は耳まで真っ赤にして俯いてしまった。やっぱりアレだな、ツンデレの素質がある奴は素直に褒めてしまうと途端に口数が減ってしまう。海未や真姫にも見られる現象だ。これはμ's観察日記にメモしておかなければ。

 

 

「あっ!!雪穂の耳あかぁ~い♪雪穂って、嬉しくて恥ずかしがっている時いっつも耳を赤くしちゃうんですよ♪」

「えっ!?そうなの!?」

「そうです♪」

「案外分かりやすんだな、お前。また雪穂の可愛いところ見つけちゃったよ」

「も、もう知りません!!」

 

 

 雪穂はさらに顔も耳も赤くしながら、プイッとそっぽを向いてしまった。こういうところが小動物みたいで可愛いんだよな。クールで現実的な彼女も、やっぱり乙女だということだ。

 

 

「じゃあ最後に、メイドさんと言えばあのセリフだ。ちょっと俺に向かって言ってみてくれ」

「それ、私もやるんですか……?」

「当たり前だ。まぁこれは新入生歓迎会、お前らは歓迎される方だからこれぐらいで終わらせてやるよ。だから最後に勇気を振り絞って、目の前の男を萌え上がらせるんだ!!」

 

 

 さぁ、これでメイド喫茶閉店だ。俺も最後の最後は派手に散ってやる!!

 輸血パック?そんなもの既になくなっている。だがメイドさんを目の前にして、このセリフを言わせなきゃご主人様じゃねぇ!!

 

 

「もう……これっきりですからね」

 

 

 それは保証しかねる。

 2人は並んで、息を軽く吸い込んだ。

 

 

「「お帰りなさいませ、ご主人様♪」」

 

 

「がはぁっ!!」

 

 

 大天使と堕天使、2人の幼いメイドに笑顔を向けられ、俺は出血多量で死んだ。

 悔いのない人生だった……強いて挙げるとすれば、2人にセクハラまがいなことができなかったことかな?折角俺の手に染めかけたのに残念だ。

 

 

 天国へ旅立った俺を尻目に、新入部員歓迎会は終了した。結局今日練習ができなかったのは言うまでもない。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 4月と言っても上旬は寒暖の差が激しく、日中は太陽の陽気さに絶好の入学式日和だったのだが、日が落ちてくる頃には太陽が賢者タイムに入っているがごとく肌寒かった。まるで今日一日の俺と同じだな。もしかしたら俺が太陽なのかもしれない。

 

 冗談はさておき、みんなと別れた俺は高坂姉妹と共に帰路ついている。案外『穂むら』と俺の家は近いので、みんなと帰っていても最終的に穂乃果と2人になることが多かった。これからは雪穂も加えて3人、さらに楽しくなりそうだ。

 

 

「雪穂のメイド服、可愛かったよぉ~♪」

「もう忘れたい……お姉ちゃんたちは恥ずかしくないの?」

「もう零君に何回もやられてるからねぇ……」

「可愛い子には旅をさせろって言うだろ?それと一緒だよ。可愛い子にはメイド服を着せろってな」

「一緒じゃないです!!」

 

 

 おぉ~、入学一日目にしてツッコミスキルが格段に上がっている。これで卒業した絵里の代わりにツッコミ役に徹せられるな。

 現在のμ'sは明らかなツッコミ役不足だ。海未と真姫は確定で、穂乃果や凛は論外。ことりと花陽はツッコミ役には向いてない。じゃああとは亜里沙しかいないが、彼女はどちらかといえばことり路線だろう。従って、雪穂の存在はμ'sが健全に活動するためにも必要な人材だったというわけだ。特に穂乃果には毒を吐きまくって抑えてくれるだろう。

 

 

「それよりもあと1人、メンバーどうするの?」

「そうなんだよねぇ~……勧誘しなかったから集まるかどうか……」

 

 

 現時点でのμ'sのメンバーは8人。9の女神を意味するμ'sが8人というのは名前負けしているので、是非ともあと1人を勧誘したい。

 

 ここで微妙な言葉の違いを説明しておくと、『スクールアイドル』の『μ's』としての活動は穂乃果たち3年生組と真姫たち2年生組と合わせて、雪穂と亜里沙(勧誘できればあともう1人)で組んだメンバーで活動する予定だ。ただし普通の『μ's』としての活動は、絵里、希、にこも加えた十数人のメンバーで行う。『スクールアイドル』としての活動は高校生しかできないからな。つまり『μ's』の練習は今まで通りのメンバー全員が参加をする。

 

 

「そう簡単に1人だけっていうのも難しいだろ。ラブライブの優勝経験があるμ'sメンバーに、単独でぶち込まれると疎外感が生まれちまうだろうしな」

「えぇ~穂乃果たちはそんなことしないよぉ」

「お前らがそう思っていても、相手に余計なプレッシャーをかけるかもしれないだろ?」

 

 

 ラブライブを優勝したということは、それだけメンバー間での結束や絆が強かったということ。つまり新入生がそこに入ろうと思っても、穂乃果たちの繋がりの強さを目の当たりにすれば、それが新入部員のプレッシャーとなる。『自分がここにいていいのだろうか?』とか、『自分が邪魔になってないか?』などの葛藤が生まれるわけだ。もちろんそうなった場合俺も全力でサポートするが、そうなるのなら初めから新入部員など勧誘するなという話にもなってくる。

 

 

「そんなプレッシャーを感じない子がいればいいんだけどなぁ~……」

「それは流石に無理があると思うよ。よほど神経が図太くない限りはね」

 

 

 穂乃果の言葉をバッサリと切り捨てる雪穂。やっぱりコイツは現実的だ。健全で苦労しないけど安定した結果を生み出せる方法と、確率は低いがドーンと高い結果を生み出せる方法の2つが提示されれば、雪穂は間違いなく前者を取るだろう。たぶん彼女は、このままスクールアイドルを8人で活動しようとしているに違いない。それが一番楽な道で、かつ失敗が起きることはないが……

 

 

「でもやっぱり穂乃果はスクールアイドルとして活動するなら9人がいい!!我が儘かもしれないけど、今まで9人でやってきたんだもん!!それにこれは穂乃果の感だけど、これからも9人じゃないとダメな気がする」

「ダメって、何がダメなの?」

「うっ!!そ、それは……色々だよ!!」

「はぁ~……相変わらず適当だね、お姉ちゃんは」

 

 

 もうどっちが上級生でどっちが下級生か分からんなこれは。もっと突っ込んで言えば、どっちが姉でどっちが妹という議論になる。一度でいいから、スーパーイケメンお姉ちゃんモードの穂乃果を見てみたいな。

 でも今はそんなことより、悩める穂乃果たちにちょっとした提案でもしてみますか。

 

 

「だったら、会いにいくか?」

「「会いにいく?」」

「あぁ、さっきお前らが言ってたプレッシャーを感じず、神経も図太く、しかもお前たちが知っている奴にな」

「そ、それってもしかして……」

「楓ちゃん?」

「そうだ。でもメンバーになってくれるかどうかはアイツの心とお前らの頑張り次第だけど……どうする?」

 

 

 う~ん、と唸りながら穂乃果は腕を組んで考える。非常にいつもの穂乃果らしくはないが、実にμ'sのリーダーらしい大マジメモードだ。この時のコイツのひらめきや発想は、中々馬鹿にできないほど鋭い時もある。楓とコンタクトを取らせて正解なのかもしれない。

 

 

「よし決めた!!楓ちゃんに会ってみるよ!!」

「そうか……じゃあお前に任せてみるかな」

「任されました!!これでスクールアイドルとして9人で活動できるね♪」

「お姉ちゃん、楓に何て説得するのか決めているの?」

「決めてない!!」

「胸張って言うなよ……」

 

 

 『えへん』という言葉がお似合いの穂乃果。前言撤回、やっぱりコイツと楓はイマイチ合わないような気がしてきた。これも俺の適当な考えで、穂乃果と全く同じ理由ないんだけどな。

 

 

 そして穂乃果と雪穂は寄り道として、俺と一緒に『お兄ちゃんと私の愛の巣(楓命名)』へ行くことになった。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ただいま~」

 

 

「おっかえりぃーーーー!!!!」

「うぼぉ!!」

 

 

 家の扉を開けた瞬間、中から楓が俺へ向かってミサイルのように飛んで来た。家に入ったのに、抱きつかれた衝撃でまた外まで後ずさりしてしまう。これから毎日これが続くのか…………

 

 

「やっぱり写真のお兄ちゃんより、生のお兄ちゃんだよねぇ~♪」

「俺はアイドルでもなんでもないんだぞ!!それにほら、穂乃果たちも来てるから」

「はぁ?」

 

 

 その『はぁ?』は、明らかにいつもよりトーンが低かった。まるで『私とお兄ちゃんの愛の巣に何しに来たのよ!!このメス豚!!』とでも言いたそうな表情をしている。もしそんなヤンデレセリフを言ったのなら、俺がコイツに監禁される日も近いな。

 

 

「私とお兄ちゃんの愛の巣に何しに来たのよ!!このメス豚!!」

 

 

 言っちゃったぁあああああああああああああああ!!しかも一字一句同じ全く同じだし!!またこれ、『私とお兄ちゃんは以心伝心だね♪』とか訳の分からないこと言い出しそうだ。

 

 

「ねぇねぇお兄ちゃんもそう思うよね?私とお兄ちゃんは以心伝心だし♪」

 

 

 ほらぁあまた被った!!今度は一字違っているが俺の思った通りだ。これでは本当に楓と以心伝心なのかもしれない。

 イヤだよ俺!!楓に自分の心読まれるのは!!

 

 

「落ち着け、穂乃果も雪穂も硬直してるぞ……」

「それだけ私たちの愛に圧倒されたんだね」

「もう話進まないから黙ってろ……ほら、穂乃果も雪穂もとりあえず家に上がれ」

 

「「お、お邪魔します!!」」

 

 

 オイオイ……こんなので勧誘なんでできんのかよ。初っ端から楓に押されているじゃねぇか。あの勢いだけの穂乃果でも、楓が巻き起こす嵐には耐えられないのか?完全に観客目線だけど、μ'sの太陽vs台風の目、見ものだな。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 リビングに入ると、楓の荷物が入っていたダンボール箱が綺麗に畳まれて部屋の隅に置かれていた。全く、こういうところだけは几帳面な奴だからツッコミどころに困る。

 立ち話もあれなので、穂乃果と雪穂をソファへ誘導した。飲み物は……まぁいいか。言いたいことだけ言いに来たんだし。

 

 

「それで?高坂先輩と雪穂は何をしに来たんですか?」

「単刀直入に言うよ!!」

「はい」

「μ'sのメンバーになってくれませんか?」

「イヤです」

 

 

「「「…………」」」

 

 

 そ、即答だと!?流石にこの展開は俺も予想してなかった。もうちょっと適当な理由を付けて、遠回しに断ると予想していたのだが……これでは楓に付け入る余地もない。俺たち3人はしばらくの間、ポカーンと口を開けたまま動かなかった。

 

 

「そ、そんな……楓ちゃんは可愛いし美人だし、スタイルもいいからスクールアイドルに向いていると思うよ?」

「そんなこと当たり前ですよ!!私が可愛くて美人でスタイルも良くて胸も大きくて完璧すぎるなんて、当然ですから!!今更そんなこと言われても靡きませんよ!!」

「えっ、そ、そうだね……アハハハ……」

 

 

 楓の奴、サラッと穂乃果の褒め言葉に2つほど付け加えやがったな。スタイルいいまでしか言ってなかっただろ。しかも穂乃果も穂乃果で、あっという間にコイツに押されている。

 コイツに褒め言葉を言っても、全部吸収されて自画自賛し出すだけだからな。あれ?これ誰かの性格と一緒のような……?誰だっけ?

 

 

「零さん、お姉ちゃんに任せて大丈夫なんですか?零さんが説得した方が明らかにメンバーに入れやすいと思うんですけど……」

「いや、これでいいんだ。面白いから」

「零さん!!」

「冗談だ冗談。どこかで行き詰まったら手を貸してやるさ」

 

 

 正直な話、俺が楓に『μ'sのメンバーになれ』と命令すれば一発だろう。でもそれだと面白くないし、それ以上に楓とμ'sの仲は決して良くはならないだろう。だから穂乃果に説得させた。今回の結果がどうであれ、穂乃果たちの熱意が少しでも楓に伝わればいいと思ったのだがやはり俺の妹、一筋縄ではいかないようだ。

 

 

「でも楓ちゃんならダンスも歌もそつなくこなせそうだし、何より元気がある!!穂乃果は元気いっぱいな子を是非是非歓迎するよ!!」

 

 

 演説下手かっ!!

 流石に穂乃果だけだと勢いだけの勧誘になってしまっている。ここはことりと海未も一緒に連れてくるべきだったか。

 

 

「それも言われなくとも当たり前ですよ。私は何でもできますからね!!」

「えっ?もしかしてダンスの経験があったりするの?」

「ないですよそんなもの。でも私ですから、簡単にできますって!!」

「た、頼もしいね……」

 

 

 出た出た……誰かさんと全く同じ根拠のない自画自賛と自信満々。全く誰に似たのやら……ねぇ?自信家なところも誰かさんと瓜二つだ。

 そんなことは置いておいて、俺は楓のこのセリフを待っていた。やっぱりコイツとは以心伝心なのかもしれない。

 

 

「楓!!」

「なぁに?」

「そこまで言うのなら明日の放課後、雪穂と亜里沙と一緒にアイドル研究部の部室まで来い」

「はぁ?どうして?」

「まぁ、明日になれば全部分かるだろ」

 

「「「???」」」

 

 

 楓だけでなく、穂乃果と雪穂も首を傾げた。

 そう、すべて分かるはずだ……すべてな。

 

 




 公式でももう少し雪穂と亜里沙をピックアップして欲しいと、今回のメイド回を書いていて思いました。キャラも立ってますし、ファンも一定数いると思うんですけどね。


 作中で出てきた『μ's』の活動についてですが……
"スクールアイドル"としての"μ's" ⇒ 8人or9人で活動(高校生組のみ)
"アイドルグループ"としての"μ's" ⇒ 11人or12人で活動(絵里、希、にこを含む)
 この作品ではこのように扱っていきます。別に深く考える必要は全くないんですけどね(笑)
 適当にぼぉ~と読んでもらえれば大丈夫です。


 上手く話が進めば次回で一旦話が区切りとなります。新生μ's結成までもう少しです。


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新生μ's結成!!

 今回は変態要素、ギャグ、恋愛、ほのぼの、その他すべて置き去りにした大真面目回。もう零君とμ'sメンバーが恋人同士になり、恋心で迷ったりなんなりができなくなったので真面目な回がここぐらいでしかできないんですよね。

 前作の『非日常』の出来事に触れている部分が出てきます。読んでくださった方は特に内容が理解しやすいと思います。


 

 

前回のラブライブ!

 

 新入部員歓迎会で、何故か新入部員なのにメイド服を着ることになった雪穂と亜里沙。ノリノリでメイドを楽しむ亜里沙に対し、雪穂は終始借りてきた猫みたいに縮こまっていた。そんな中、俺は大天使メイド亜里沙と堕天使メイド雪穂によって無事萌え死ぬことができました!!

 その帰り道、μ'sの9人目のメンバーを探していた穂乃果に俺がある提案をした。それは俺の妹である楓を誘うこと。善は急げと、穂乃果は楓に説得を試みるがあえなく撃沈。楓は余裕そうに穂乃果をあしらうばかり。そこで俺は楓にある挑戦を叩きつけた。何の挑戦かって?それは今からのお楽しみ!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 新学期2日目、今日は全学年が健康診断やらホームルームやらで午前中に下校となった。

 女子高生の健康診断と聞くととてもそそられるものがあるが、今の俺は彼女持ち、そこはグッと堪え…………られなかった。男子は人数が少ないため女子よりも健康診断が早く終わる。前々から計画していた覗き計画を実行しようとしたのだが、それは海未や真姫にバレておりあっという間に玉砕してしまった。

 

 

「いててっ!!ことり、もっと優しくしてくれよ!!」

「動いちゃダメ!!男の子でしょ!?」

「何で俺がこんな目に……」

「自業自得です!!全く油断も隙もない……」

 

 

 俺は海未に制裁をもらった時、窓からずり落ちて顔を擦りむいてしまったため、保健委員のことりに治療をしてもらっているところだ。ことりの顔が近すぎて、痛みなんて今にも吹っ飛びそうだけど。

 

 

「それよりお前ら、サッサと部室に行けよ。今日は楓も来るんだから」

「ねぇ、昨日から気になってたんだけど、どうして楓ちゃんを呼んだの?」

 

 

 結局その理由は、昨日一緒にいた穂乃果や雪穂にも話していなかった。別に話さない理由もないけど話す理由もない。ただ俺はちょっと楓を試したいだけだ。

 

 

「まぁそれは部室に行ってからということで」

「むぅ~……気になるぅ~……」

「もうこんな時間だし、あとは俺が片付けておくから先に行ってろよ。それにことり、手当てしてくれてありがとな」

「うん♪じゃあお言葉に甘えようかな?」

「そうですね、新入部員を待たせられませんし」

 

 

 そして穂乃果たちは先に部室へ向かうこととなった。

 さぁ、ここから上手くいけばいいんだけどな。でも大丈夫だろ、なんたって俺が考えた作戦なんだからな!!

 

 …………あれ?これじゃあ楓と俺、全く同じじゃね?

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「雪穂!!早く部室に行こうよ!!」

「もう、そんなに急がなくても誰も逃げないって」

「それでも早くμ'sの皆さんと練習したいの!!」

「亜里沙、やる気満々だね……」

 

 

 1年生教室では亜里沙が意気揚々と雪穂の手を掴み、ブンブンと上下に揺らしていた。雪穂は朝からずっとテンションの高い亜里沙をなだめていたため、既にグロッキー状態である。周りからも『部活?』と、少し首を傾げられている。

 

 雪穂たち新入生は、まだ入学して2日目なのでどの部活も体験入部という形で活動をしている。もちろん新入生が正式な部員となるのは4月中旬に行われる新入生歓迎会以降となるため、当然新入生で部活をしている者は誰もいない。ただし雪穂と亜里沙は例外で、もうアイドル研究部の正規メンバーとしての扱いを受けているため、周りの会話とは齟齬が生じてしまうのだ。

 

 

「今日はずっと暑かったわね……亜里沙のテンションのせいじゃない?」

「楓!?もう帰ったんじゃなかったの!?」

「どうしてアンタらはそう私を帰らせたいわけ……?」

 

 

 大抵の人間は、楓が来ると騒がしくなるので帰らせたくなる本能が働くらしい。ただうるさいだけならまだマシだが、ブラコンが発動した途端もう地球上の生物では手がつけられないほど暴走してしまう。これを止められるのは兄である零と、彼女でさえも恐れる最悪の姉ぐらいである。

 

 

「今日は私も部室に行くから」

「どうして?ま、まさか楓もμ'sに入るの!?」

「入らないわよ!!ただお兄ちゃんに呼ばれただけ。お兄ちゃんに呼ばれなかったら、そんなところ行くわけないし」

「そんなところって……どんな目で見てるの?」

「メス豚の巣窟」

「「…………」」

 

 

 雪穂も亜里沙も、楓と出会って2日目にして彼女の性格が何となく分かったような気がした。ここまで自分の欲望と相手を卑下する内容をズバズバ言えるとは、昨日零が言っていた『プレッシャーを感じず、神経も図太い』とはまさにこのことなのだろう。

 

 

「とにかく、とっとと行くよ!!」

「ちょっと楓!!腕掴まないでよ!!」

「だったらテキパキ歩く!!」

「もうっ!!」

 

 

 雪穂は確信した。自分の学院生活は亜里沙と楓に振り回される毎日になることを。そう考えるだけで今にも頭痛がしそうであった。特に楓の暴走を見る限りでは、自分の姉が女神のように優しく見える。この時だけは、いつもぐうたらでサボりぐせのある子供みたいな姉に感謝せざるを得なかった。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「「こんにちはーー!!」」

「こ、こんにちは……」

 

 

「あっ!!来た来た待ってたよ、亜里沙ちゃん、楓ちゃん、雪穂!!」

 

 

 ハイテンションで部室に入る亜里沙と楓、既に疲弊している雪穂に、μ'sのリーダーらしく穂乃果が3人を出迎える。

 部室には零を除く穂乃果たち3年生組と、真姫たち2年生組、そして絵里たち大学生組が既に集まっていた。これまでも部室はかなり狭かったが、これだけの人数が集まるとむしろ窮屈に思える。

 

 

「こんにちは、亜里沙、雪穂さん。あら?楓さんもいるのね?」

「もしかして、部に入ってくれるのかにゃ?」

「違いますよぉ~、私はただお兄ちゃんに呼ばれただけです」

「穂乃果はまだ勧誘を諦めてないからね!!μ'sに楓ちゃんは必要なんだよ!!穂乃果にはあなたの輝かしい未来が見えている……」

「私の時も同じこと言われたような……」

 

 

 去年の春、花陽は飼育小屋の前で穂乃果に怪しい勧誘をされたことを思い出した。勧誘の下手くそさは去年から全く変わっていないようだ。

 一年経っても変わり映えしない穂乃果に呆れ、ある意味で和んでいたメンバーをよそに、楓はクルッとμ'sメンバーの方へ向き直った。

 

 

 

 

 

 

「μ's……μ'sですかぁ~~…………それって、お兄ちゃんがいなければ何もできなかったグループですよね?」

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「「え……?」」」」」」」」」」」

 

 

 楓の一言にさっきまで穂乃果で和んでいた部室が一転、空気が氷河期のように凍りつく。楓はいつも人を見下しているような言動や表情をしているが、まさに今はその絶頂であった。目は濁り、口元は上がり、非常に憎たらしい表情をしている。μ'sのメンバーは楓の言葉を聞いて、ただ茫然と立ち尽くしていた。

 

 

「そ、それってどういう意味かな……?」

 

 

 代表して穂乃果が口を開いた。正直この状況でさらに楓の言葉に突っ込むのはかなり勇気のいる行動だったのだろう、穂乃果本人も声が少し震えている。

 

 

「そのまんまですよ。μ'sのメンバーってお兄ちゃんが集めたんですよね?それに話では、μ'sが解散しそうになった時もお兄ちゃんに助けてもらったとか……ホントにお兄ちゃんに頼りっぱなしですね」

 

 

 誰も否定ができなかった。恐らくというより確実に、零がいなければμ'sがここまで来ることはなかっただろう。そもそもμ's自体が成立していたのかどうかも怪しい。それほどまでにμ'sにとって、彼は特別で欠かせない存在なのだ。

 

 だから言い返すことができない。もちろん零だけでなく、みんなで頑張ったからここまで来れたということは分かっているのだが、それでもできなかった。彼の存在が彼女たちの中で大きくなりすぎて、楓の言葉で現実を突きつけられる。

 

 

 本当に私たちは、彼がいないと何もできなかったと…………

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 予想通り、やっぱりそう来たな……全くもって分かりやすい奴だ。それにμ'sの奴らもな。

 

 

「そうか……なら試してみるか?」

 

 

「「「「「零くん!?」」」」」

「「「「零!?」」」」

「「零さん!?」」

 

 

「お兄ちゃん……」

 

 

 部室の外で会話を聞いていた俺は、タイミングとしては最悪の間合いで部室へ入った。実際にこの部室は、外で想像していたよりも遥かに空気が悪い。

 

 だが楓とμ'sの仲を取り持つには、この方法しかない。不器用だと思われるかもしれないが、コイツに一泡吹かせてやるいい機会だ。いつも人を見下した目で見ているコイツにはな。

 

 

「試すって何をよ?」

「にこ……そうだお前、ダンスと歌どっちが苦手だ?」

「な、なによ急に……?」

「いいから答えろ」

「……どちらかといえば歌かしら」

 

 

 にこの声は独特で、特にカラオケでは中々いい点数を叩き出せないこともある。でも俺はにこの歌声好きなんだけどな。穂乃果や凛と同じく元気が湧いてくる。

 

 

「花陽」

「は、はいっ!!」

「お前はどっちが苦手だ?」

「やっぱりダンスかな……?」

 

 

 運動音痴な花陽のことだ、今でもダンスには苦手意識を持っているらしい。それでも一年前と比べれば、動きが格段に違っている。日々の練習の賜物だろう。

 

 

「凛はどっちが苦手だ?」

「う~ん……やっぱりダンスかにゃ……?いっつも先走っちゃうし……」

「そうか、じゃあ雪穂は?」

「わ、私ですか!?」

 

 

 話を振られると思っていなかったのか、雪穂は驚いた拍子に身体がビクッと動いた。まぁこの流れで新入部員の自分に銃口を向けられるとは考えもしないだろうな。

 

 

「私は……やっぱりまだどっちも苦手ですよ。全然練習してませんし」

「なら歌だな。よし、それじゃあ全員今すぐ着替えて屋上に集合だ」

「零、あなたは一体何をしようとしているんですか?」

「すぐに分かる」

 

 

 そう……これで分かるはずだ。そして楓にも分かってもらえるだろう。

 

 『μ's』というグループを…………

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「で?お兄ちゃんは私たちに何をさせたいの?」

「単純にダンスと歌で競ってもらうだけだ。さっき指名した人とお前でな」

 

 

 俺たちは屋上へ移動し、いつもの練習の体勢へ入った。もちろんここですることはダンスと歌、スクールアイドルにとって基礎どころかそれ以前に確実にしなければならないことだ。それを楓にも体験してもらう。

 

 

「まずはダンスからだな。凛、花陽、楓、お前らにはこの動画のダンスを覚えてもらい、次に曲だけでそれと全く同じダンスを踊ってもらう」

 

「えぇっ!?そんなことできないよ!!」

「凛、物覚え悪いから無理だにゃ!!」

 

 

 絶対に、命を賭けてもいいというぐらい2人が文句を言うことは分かっていた。全くしらないダンスを1から覚え、すぐ踊れというのが無謀だということぐらいこっちも理解している。

 

 

「ふんっ……覚えて踊るだけなら簡単でしょ」

 

 

 そしていつもの如く楓は余裕そうだ。そうでなければ俺の妹ではない。

 だけど今回だけは……

 

 

「他のみんなは3人の動きをよく見ておけ」

「もう!!零君が何をしたいのか、穂乃果全然分からないよ」

「これで何かが分かるっていうんやね?」

「あぁ……」

 

 

 そして動画が再生された。

 3人は食い入るように動画を見てダンスの動きを記憶している。この一年間スクールアイドルとして活動をしてきた凛と花陽だが、このようなことをするのは初めてだろう。それは凛たちに限った話ではないが。

 

 

 ここで、3人を見ていたみんなはあることに気が付いた。

 

 

「あれ?凛ちゃんと花陽ちゃん……身体が動いてる?」

「そうね、多分意識はしていないんでしょうけど……」

 

 

 凛と花陽が楓と違う決定的なところ、それはことりと真姫が言った通り2人はダンスを覚える時無意識の間に身体を動かしている。対して楓は、石像のように微動だにせず動画を見つめている。誰が見ても分かる決定的な差であった。

 

 

「よし、動画はこれで終わりだ。次は曲だけ流すから、動画に流れていたダンスをそのまま踊ってみろ」

 

 

 今度は曲だけを流し、3人の動きを見ることにする。凛と花陽の表情はとても不安そうなのに対し、楓はバッチリ覚えたと言わんばかりの余裕そうな表情だ。流石に踊りだす前だと何も変わらないか。

 

 

 ――――――しかし状況は一変した。

 

 

 途中まで完璧に踊れていた楓の表情が険しくなり、徐々に焦りが見え始めた。だが凛と花陽は楓とは全く逆、踊れば踊るほど身体がリズムに乗ってきて、動きから次の動きまでの繋ぎも完璧だ。穂乃果たちは目を丸くして驚いているが、多分一番驚いているのは本人たちだろう。まぁ、それ以上に驚いているのはアイツだろうがな。

 

 そして1分弱のダンスも終わり、凛と花陽は満足気、楓は険しい表情のまま動かなかった。

 もちろん勝敗など初めから決している。

 

 

「どうする……まだやるか?」

「…………やる!!このまま負けたままでは終われない!!」

 

 

 膝を折りそうになりながらも、楓は何とか立ち上がる。真姫よりも高いプライドが、自分に歯止めを掛けられないのだろう。

 それにしても俺がここまでコイツを煽るのは初めてかもしれない。今まではコイツからの煽りを回避してきた立場だったからな。

 

 

「じゃあ次は歌だな。にこ、雪穂、悪いがこっちに来てくれ」

「なるほど、さっきどっちが下手か聞いたのはこのためだったのね」

「下手とは言ってねぇだろ……」

 

 

 次はにこと雪穂、楓の3人で歌唱力勝負。そうは言ってもただ歌ってもらうだけなのだが。

 

 

「次も動画で歌の確認をした後に、今度は歌詞を渡すから、曲に合わせて歌ってみろ。大丈夫、楽譜さえ読めれば歌い方ぐらいは分かるから」

 

「い、いきなり!?歌苦手だって言ったのに!?」

「そうですよ!!そんな突然言われても……」

「今度こそは……お兄ちゃんに認められるために……」

 

 

 無謀な内容に俺に突っかかるにこと雪穂、そしてさっきから小さな声でブツブツ言っている楓。よく言われているのは、学校のテスト終了後に『自信がない』と言っている奴に限って点数がいい。逆に俺を除く自信満々な奴ほど意外と点数が低かったりする。前者がことりで後者が穂乃果だと思えば間違いない。そして恐らく今回も……

 

 

 にこたちの意見を無視して動画を再生する。

初めは自信がなかったにこと雪穂だが動画が流れた瞬間、明らかに楓とは違う動きを見せた。前の凛と花陽と同様に、今度は身体と口が両方動いている。もちろん楓にはそれがない。

 

 

「よし終了だ。次は曲だけを流すから、適当に歌ってみろ」

 

 

 勝負の行方は明らかだった。歌いだしは全員ほぼ完璧で足並みが揃っていたが、楓だけが確実に遅れ始めていた。音のバランスから何まで、ズブ素人の俺でも分かるようなミスが目立つ。俺でも分かるということは、普段から欠かさず練習しているμ'sのみんなならば瞬きするよりも簡単に分かるだろう。

 

 

 ここで曲は終了。にこと雪穂は完璧とは言えないが、お互いに満足のいく結果だったようだ。歌が苦手といっても、それを無視しないで練習をしてきた賜物だろう。2人の顔を見れば、いかに楽しんで歌っていたのかが分かる。

 

 

「で、できない……どうして……?」

「これで分かっただろ、自分が無力だって」

「無力……?私がそんなはずあるわけない!!私はお兄ちゃんやお姉ちゃんみたいに何でもできるんだから!!今まで失敗したことなんてないし、後悔したこともない!!挫折ばかりのμ'sとは違う!!完璧になって、お兄ちゃんに認めて……」

 

 

 

 

「成功ばかりの人生はない。人間ならば必ず挫折し、道の途中で踏みとどまる」

 

 

「!!!」

 

 

 俺の言葉に、楓だけではなくその場にいた全員が反応した。これが俺の一番伝えたかったことμ'sのみんなにも、そして新たなμ'sのメンバーにも。

 

 

「大切なのは、その踏みとどまった今と戦えるかどうかだ。その場で立ち尽くしす奴は成長もしないし、未来もない」

 

 

 どれだけ自分が優れていても、必ず壁にはぶち当たる。その時にそこを限界と感じるのか、それとも乗り越えようとするのか。それによってその人の未来は確実に分岐する。正解がどちらの道なのかはその人次第。ただ踏みとどまる人はそれが自分の限界となってしまう。

 

 

「だけどお兄ちゃんは失敗しない……完璧なお兄ちゃんならそんな心配いらないでしょ……私もそれと同じなんだよ」

 

 

 

 

「違うな」

 

 

 

 

「え……?」

 

 

「俺は人生で一度だけ失敗したことがある。その失敗によってμ'sのみんなを傷つけてしまい、最悪、ここにいる誰かが欠けてしまっていたかもしれない。だが俺はそれを反省はしているが後悔はしていない。そのおかげで俺自身がより強くなれたからな」

 

 

 日数に換算すれば僅か9日間。非常に短い期間だが、俺と元μ'sメンバーで間で引き起こされた"最悪の惨事"。その間に何度も俺たちは傷つき、心を折られた。豹変した彼女たちの顔を今でもよく覚えている。そしてそれは今後も絶対に忘れることはないだろう。

 

 周りのみんなの様子を見てみると、全員が険しい表情を浮かべていた。やはりあの惨事のことは当事者の彼女たちが一番記憶に残っているらしい。

 

 

「だが俺も、そしてみんなも決して挫けなかった。全員が最後まで戦い抜いたんだ。そこからだったよ、俺たちの絆が強くなったのは」

 

 

 俺とみんなはお互いに絆の強さを証明し合い、そしてさらに絆を深めていった。これほどまでに自分が成長したと感じられる瞬間は今までなかったな。

 

 

「それ以降は練習にもより一層身が入った。お互いがお互いを支え合い、助け合い、ラブライブの優勝まで漕ぎ着けることができたんだ」

 

「それが一体この勝負と何の関係が……」

 

「凛と花陽のダンスと比べてお前はどうだった?にこと雪穂の歌と比べてお前はどう思った?お前は3年間練習してきたにこはもちろん、1年間しか練習していない凛と花陽、さらにそれより練習時間が短い雪穂にすら遠く及ばなかったんだ!!」

 

 

 にこがμ'sに入る前の練習で何をしていたのかは知らないが、彼女は高校生活3年間通して一生懸命努力してきた。凛と花陽は自分の苦手なところが分かっているからこそ、休憩時間や土日祝日の休日を利用して練習してきたことも知っている。さらに雪穂は亜里沙と共にμ'sに入るために、2人で一緒に特訓してきた。

 

 もちろん努力だけなら誰でもできるがμ'sはラブライブ優勝という実績を出したし、雪穂もこの場で実力を示した。

 

 

 

 

「誰にも及ばず、しかもコイツらのことを何も知らないお前に、μ'sを見下す資格はない!!!!」

 

 

「!!!」

 

 

 確かに全体的な能力なら楓が誰よりも上回っているかもしれない。だがそれだけでは示せないこともある。穂乃果たちは挫折しても立ち向かう"勇気"と"強さ"、そしてみんなで支え合う"絆"、なによりダンスや歌を楽しむ"笑顔"がある。

 楓は挫折しないから"勇気"も"強さ"、何でも1人でできてしまうから"絆"、ただ勝つことだけを目標にしていたから"笑顔"がなかったんだ。自分のことを棚に上げて人を見下す奴に、それがあるとは思っていないけど。

 

 俺がここまで声を荒げるのは久しぶりだ。久しぶりすぎて周りのみんなの肩がビクッとなった。俺のこんな姿を見るのはコイツらにとっても珍しすぎて、驚愕するのも無理はない。俺自身、あまり本気で怒ることってないからな。

 

 

「…………」

 

「どうする?ここでプライドを折られたまま立ち尽くすか?」

 

「……いる」

 

「ん?」

 

「μ'sに入る……このまま負けっぱなしじゃ私自身が許せないから!!それにみんな楽しそうだったしね、私もやってみてもいいかなぁって」

 

「そうか、ならみんなに追いついてみせろ」

 

 

 楓の目が人を見下していた冷徹な目から、やる気に満ち溢れている時のμ'sメンバーと同じ輝きを放っていた。まだ多少のわだかまりはあるようだが、遂に目が覚めたようだな。

 

 

「頑張るよ、今度は星空先輩にも小泉先輩にも、矢澤先輩にも、雪穂にも、μ'sの誰にも負けないぐらい練習する。そしてお兄ちゃんに認めてもらう!!みんなと一緒に踊って歌えるぐらいになってやる!!」

 

 

 今の楓はとてもいい顔をしていた。心ののしかかっていた重圧がなくなり、表情も軽くなっている。その"笑顔"があれば、これからも大丈夫だろう。

 

 

「楓ちゃん!!」

「高坂先輩……?」

 

 

 ここで穂乃果が一歩前へ出て、楓に手を差し伸べた。あとは頼んだぞ、リーダー。

 

 

「μ'sへようこそ!!これからもよろしくね♪」

「……」

 

 

 少し間を空けたあと、楓はスッと穂乃果の手を取る。

 そして2人は熱い握手を交わした。

 

 

「よろしくお願いします!!でも私、誰よりも練習して誰よりも上手くなってみせますから!!そしてリーダーの座は私がもらいます!!」

「楓ちゃんらしいね!!だったら穂乃果も楓ちゃんに負けないぐらいにいーーーーーーぱい練習しちゃうから!!」

「それでしたら私はそれよりいーーーーーーーぱいやりますから」

「えぇ~!!何それ!?」

 

 

 屋上で全員の笑い声が響き渡る。これでスクールアイドルのμ'sとしては9人目のメンバーが入り、μ'sとしては12人目のメンバーとなった。

 

 そして今、新生μ'sがここに結成されたんだ!!

 

 

「零」

「絵里……どうした?」

「こうなること、初めから分かってたの?」

「楓とは十数年も付き合ってるんだ、アイツがこうなることぐらい予想してたよ」

 

 

 しかし、ダンスや歌の経験がない楓にその楽しさや面白さを伝えて勧誘することはかなり難しい。だからこのような方法を取った。改めて振り返ると、かなり不器用なやり方だったような気がする。ちょっとでも途中で失敗してたら取り返しが付かなかったな。

 

 だけどこれでよかったと思っている。今まで独りよがりだった楓が、初めてみんなを対等な目で意識し始めたんだからな。

 

 

 

「これで一応解決なのかしらね」

「あぁ、でもここからが本当のスタートだ」

 

 

 そう、まだ俺たちは新しいスタート地点に立っただけに過ぎない。これからの未来を決めるのは自分たちだ。

 新しいメンバーと共に新生μ's、活動開始だ!!

 

 




 タイトルがネタバレというのはまさにこのこと!!切るところが見つからなかったので長いですが一本になってしまいました。

 そして今回でようやく一区切り。次回からは前作の『日常』のように短編集として適当にダラダラと投稿していきます。リアルが新環境になったツケが回ってきたのか、そこそこ忙しくなりそうなので更新ペースは落ちると思います。

 『非日常』を読んでくださった方は、今回の零君の想いがよく伝わったのではないでしょうか?もちろん読んでいない方にも伝わるように文章を構成したのですが、どうなのでしょうね。

 内容的には零君と楓がメインだったので、ラブライブ小説としてオリキャラだけで話を構成するのはどうかと思いましたが、今回だけなので許してくだせぇ(笑)

 それではまた次回!!










 あの姉はいつ登場させようかなぁ……?


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新生μ'sとの怠惰な春(4月~5月) やわらか頬っぺ

 今回から前作の『日常』のように短編集に戻ります。記念すべき(?)一発目は穂乃果、ことり、海未の幼馴染組とじゃれあうだけ。
 こうして頭をカラッポにして書けるのはやっぱり楽ですね(笑)


 

 始業式、及び入学式から一週間が経過し、新入生もようやく初めての高校生活に慣れてきた頃だろう。授業も本格的に始まり、俺たち在校生も慌ただしい日々からいつもの日常へと戻ってきた。唯一変わったところと言えば、μ'sに新しいメンバーが入ったぐらいか。穂乃果の妹の雪穂、絵里の妹の亜里沙、そして俺の妹の楓。まさしくシスターズ(楓命名)だな。

 

 

 スクールアイドルとしての活動は高校生しか認められていないため9人で活動するしかないが、普段のμ'sの活動は大学生の絵里たちを含めた12人で行われる。幸いにも学院と大学はかなり距離が近いため、時間などの関係で練習に支障が出ることはなかった。

 

 

 まあそれはそれとして、今俺は春の陽気さと必死に戦っていた。

 

 

「ふわぁ~……春は暖かくてすぐ眠くなる。俺は悪くない」

「そうだねぇ~……穂乃果も悪くない」

「お前さっきの授業、散々寝てただろ。その涎の跡があるノートが何よりの証拠だ」

 

 

 そしてそのノートを俺にください。絶対に言い値で売れるぞ。だけど自分で使ってもいいけどな。何に使うって?そりゃあ……ねぇ……?

 

 

「新学期早々たるみ過ぎですよ。今年はたくさんの新入生が入ってきたのですから、もっとシャキッとしてください」

「海未……お前は俺や穂乃果がそんなことで言うことを聞くと思ってんのか?思わねぇだろ?注意なんていう無駄な体力を使うぐらいなら、その胸を大きくすることでも考えておくんだな」

 

「あ、あなたって人は……」

「う、海未ちゃん抑えて!!ここは教室だし……ね?」

 

 

 海未は今にも俺に拳をぶつけようとしたが、それはことりによって遮られた。

 流石大天使様は違うな!!我々下々の輩であっても平等に接して平和的解決をしてくださる。ことりがいる限り俺の身は安全というわけだ。

 

 

「零君眠いよぉ~~」

「そんな眠そうな声で俺に話しかけるな。俺まで眠くなるだろ」

「あなたもさっきの授業寝ていたではありませんか……」

「これは春の暖かさのせいだ。俺は悪くない」

 

 

 どうして学校の授業って寝ちまうんだろうな?もしかして教師っていうのは睡魔を司っているのか?

 幼稚園の時みたいにお昼寝の時間さえあれば、午後の授業も捗ると思っている。フルパワーで1時間目から6時間目まで起きていられるのは海未ぐらいだろうな。ことりですらスヤスヤする時もあるというのに。

 

 

「あっ、零くんも涎垂れてるよ。拭いてあげるね♪」

「ことりに拭いてもらうなんて……むぐうっ!!」

 

 

 『拭いてあげるね』からハンカチで俺の口を拭くまでの動作が早すぎるだろ!?まるで初めからそうしようと心に決めていたみたいだな。

 それにしてもこのハンカチ、ことりのハンカチにしてはやけに地味なデザインだ。いつもは可愛らしいハンカチを持ってきているのに、まさかこの時のために?……流石にそれはないか。

 

 

「ことり、さっき手を拭いていたハンカチとは別のハンカチですよね?今日は2つ持ってきたんですか?」

「ふふふ♪……零くんの味が付いたハンカチゲットだぁ♪ふふふ……永久保存だね♪」

「こ、ことり!?」

「やめとけ海未。そのことりに手を出すと、妄想の世界へ連行されて一生戻ってこれなくなるぞ」

 

 

 ことりの妄想力は俺を遥かに超えている。下手に触れれば彼女のスイートハニーで甘すぎる世界に飲み込まれて、一生を過ごすことになるだろう。ことりの妄想の中でなら死んでいいと思う変態もいるだろうが、誰だろうね?

 

 

「ぐぅ~……」

「穂乃果の奴、いつの間にか寝てやがる……」

「本当に生徒会長なのか疑いたくなりますね……」

 

 

 全く、いつもながら気持ちよさそうに寝やがって。穂乃果の寝顔を見ていると起こすに起こせなくなるんだよな。むしろこっちが眠気に誘われて、隣で一緒に寝たいぐらいだ。

 それにしても、穂乃果がすぅすぅと寝息を立てるたびにマシュマロのように柔らかそうな頬っぺが自在に形を変える。突然俺は、寝ている女の子の頬っぺをツンツンしたい病にかかってしまったようだ。

 

 

 俺は決めたら即実行する男。穂乃果にそぉ~と近付いて……。

 

 

「柔らかい……これが女の子の頬っぺなのか?真姫の太ももも良かったけど、また新しい性癖に目覚めそうだ」

「穂乃果ちゃんの頬っぺ、柔らかくて羨ましいよね~~」

「ことりも負けてないと思うぞ。そうだ、少し触らせてくれよ」

「うんいいよ♪はいどうぞ♪」

 

 

 こ、これは……美少女が自分から頬っぺを差し出してくれるなんてどんなご褒美ですか!?

 特にことりは俺と付き合い始めてからやけに俺に対して従順になっているような気がする。メイド精神が身体を駆け巡っているのかは知らないが、俺の言うことならほぼ何でも『は~い♪』と承諾してくる。もしかしてこれを利用すればことりと…………いや、考えるのはやめよう。天使を汚すのはまだ早い。まだな!!

 

 

「相変わらず肌白いな。毎日手入れでもしているのか?」

「うん、零くんに褒めてもらいたいから毎朝頑張ってるんだよ♪」

 

 

 何だこの可愛い天使は。教室だけど、この場で抱きしめて色々と営んでいいですか?もう俺の中に存在するあらゆる衝動が抑えられないんですが。それはことりの頬っぺをツンツンすることで満足しよう。

 

 

「よし行くぞ」

「来て♪」

 

 

 何だよその『来て♪』って!?今から本番やるみたいじゃねぇか!?

 落ち着け……ここで暴走したら確実にクラスの晒し者にされる。流石に新しいクラスになったばかりだからそれだけは避けたい。意外とこの『変態』の性格はμ'sぐらいにしか暴露してないからな。それ以外で唯一知ってるのはヒフミ3人衆ぐらいか。

 

 

 俺はこちらに頬っぺを向けていることりに近づき……

 

 

「柔らかっ!?まさか頬っぺでビックリするとは思わなかったぞ!?」

「や~ん♪零くんくすぐったいよぉ~」

「いい声だなことり、もっと楽しませてくれ」

「れ、零!!そこまでです!!」

 

 

 俺とことりがいやらしく楽しんでいる横から、海未が制止に入った。むしろよく今まで黙って見ていたな……もっと早く割り込んでくるかと思ったがもしかして……?

 

 

「海未……お前も頬っぺを触って欲しいのか?」

「なぁっ!?どうしてそうなるのですか!?」

「ことりも海未ちゃんの頬っぺ触りたい!!」

「穂乃果も!!」

 

 

「「穂乃果!?」」

「穂乃果ちゃん!?」

 

 

 さっきまでグースカグースカ、涎垂らして夢の中だったのにもう起きたのか。ナイトシエスタの異名を持つ穂乃果がこの程度で起きるとは珍しい。μ'sの朝練の遅刻回数はメンバー内でダントツのトップだ。ちなみに2位は俺だけどな。

 

 

「さっきから隣でうるさいんだもん!!そりゃ起きるよ!!」

「海未が叫んでいたせいだな」

「元はと言えばあなたのせいでしょう!?」

「それはどうかな?ことりがやんやん言っていたせいかもしれないぞ?」

「えぇっ!?ことりのせい!?」

 

 

「そんなの今はどうでもいいの!!今は海未ちゃんの頬っぺの話でしょ!!」

 

 

 その瞬間海未がギョッとした表情を浮かべた。まさか、このまま責任を誰かに押し付け合って話を水に長そうとしたな。休み時間が残り少ないからそんな手に出たんだろうが、何としてでもお前の頬っぺを突っついてやる!!

 

 

「海未の頬っぺ、とてもスベスベして触り心地がありそうだな」

「海未ちゃんの頬っぺは昔からずっとスベスベで気持ちいいよね?」

「うん♪ことりも海未ちゃんみたいな綺麗なお肌が欲しいなぁ~」

 

 

 これほど幼馴染2人が絶賛する頬っぺなんだ、さぞかし俺を快楽へと誘ってくれるのだろう。

 さっき穂乃果やことりの頬っぺを触って分かったことがある。俺はμ'sのみんなの唇、胸(ワシワシによる)、さらに太ももを触ってきたが、頬っぺはまた別の柔らかさがある。ふわっとした、フカフカの枕やクッションのような、暖かい感覚だ。

 

 

「「「…………」」」

「3人共……そんなに見つめても触らせませんからね」

「そうか……それならしょうがない。この手だけは使いたくなかったんだがな……」

「な、何ですか?」

「行け!!穂乃果、ことり!!海未を捕えろ!!」

「「はいっ!!」」

 

 

 俺が海未に向かって指をさし、それと同時に穂乃果とことりが海未に向かって飛びかかった。あまり命令なんてしたくなかったんだけどな、こればかりはしょうがない。海未の頬っぺを味わうのなら禁じ手も解禁してやる。

 

 

「な゛っ!?穂乃果、ことり!?離してください!!どうして零の言いなりになっているのですか!?」

「ゴメンね海未ちゃん……穂乃果たち、零君には逆らえないの……」

「ど、どうして……」

「ことりたち、零くんに逆らえないカラダにされちゃったんだ……でもそれでもいいの!!零くんから愛してもらえるならそれだけで!!」

「零!!あなた最低ですっ!!」

 

 

 

 

「心配すんな。それ演技だから」

 

 

 

「はい……?」

 

 

 

 

 海未は激怒した表情からきょとんとした表情に変わる。本当に起こること1つ1つに対して表情が変化する面白い奴だ。これはそのうち海未百面相や海未福笑いが発売して、正月なんかに盛り上がるだろうな。

 ちなみにさっきの穂乃果とことりの言ったことはもちろん嘘だぞ。俺がそんなプレイボーイなわけないじゃないか!!俺はこう見てもかなり紳士的だからな、女性に対しては失礼のないように振舞っているつもりだ。つもりだけどな。

 

 

「前々から零君とことりちゃんの3人で打ち合わせをしてたんだよ。こう言えば海未ちゃんの驚く顔が見れて面白いかなぁって」

「そしたら見事に大成功!!いい顔してたぜ!!」

「いつもいつも、そんなくだらないことばかりに頭を使って……それにことりまで……」

「ごめんね、でも海未ちゃん可愛かったよ♪」

「そ、そんなことないですよ……」

 

 

 照れてる照れてる!!異性からカッコいいや可愛いと言われたら恥ずかしくなるのも分かるが、同性から言われると逆に誇らしくなると思う。だけど海未は相変わらずウブだ。自分への褒め言葉に耐性がない。

 

 

「さて、そろそろ海未の頬っぺでも味わうかな」

「えぇ~穂乃果も触りたい!!」

「まてまて!!順番だ順番」

「私の意見は無視ですか……」

「無視だ」

 

 

 穂乃果の頬っぺもことりの頬っぺも、国家遺産級のプニプニとフニフニ具合だった。そして海未の頬っぺは触らないくとも世界遺産級だと分かる。透き通るかのように綺麗な肌をしている海未の頬っぺが、気持ちよくないはずがない。

 

 

 俺が海未に近づけば近づくほど彼女の顔が真っ赤になっていく。そして俺が目の前まで来た時にはもう覚悟を決めたのか、目をギュッと瞑って頬っぺを触られる体勢に入った。こういう微妙な表情の変化でも、可愛くて面白いのが海未のいいところだ。

 

 

 俺はそのまま人差し指を海未の頬っぺに近づけ……

 

 

「な゛!?こ、これは……永遠と触っていたい!!人間の肌とは思えない、例えるならプリン?触っても弾き返されないタイプの柔らかさだ!!しかもそれでいてスベスベとは卑怯だろ!!これは寝ぼけてたら間違えて食べてしまってもおかしくないぞ!!」

「真剣に解説しなくてもいいですから!!早く指を離してください!!」

 

 

 海未の頬っぺをつつくたびに頬っぺの柔らかい肉が自在に変化して、本当に触ることだけに没頭してしまいそうだ。しかも食欲までそそられる。さっきから穂乃果やことりの頬っぺも触っていた影響か、プリンなどプルプルした甘いものを食べたくなってきた。

 

 

「ことりもつっつきたぁ~い♪ツンツン♪」

「ひゃあっ!!」

「穂乃果もつっつこう♪ツンツン♪」

「ほ、穂乃果!!」

 

 

 そうそうこの声!!海未が恥じらった時に叫ぶこの声が聞きたくもあったんだよ!!いつも俺に制裁をぶちかましてくる海未とは違ってすごく弱々しいから、こちらのSっ気がそそられイジメたくなってくる。

 

 

「よ~し!!俺も海未のスベスベをもっと堪能するぞ!!」

「海未ちゃんの頬っぺスベスベだぁ~♪」

「ことり、ちょっと嫉妬しちゃうかも……」

 

「もう離してください!!零もさっきからニヤニヤし過ぎですよ!!あっ、そんなところを触られては……あぁ!!あぁあああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「いや~~楽しんだ楽しんだ!!また新しい性癖に目覚めそうだよ」

「汚されてしまいました……もうお嫁に行けません……」

「な~に、お前はもう俺にもらわれることが確定してるんだ。逆言えばどれだけ俺に汚されてもいいってことだよ」

「励ますフリして都合のいいこと言ってません……?」

 

 

 こうして大々的にカミングアウトしているとこの学院全体に付き合っていることが伝わって、いつか楓にバレそうで怖いんだよな。もしバレたら部屋に監禁されて一生奴隷生活だろう。そしてこの学院ごと吹き飛ばしてあとは…………やめよう、想像しただけで寒気がしてきた。

 

 

「じゃあ次は零君の番だね!!散々穂乃果たちの頬っぺを触ったんだから、零君も触らせなきゃ不公平だよ!!」

「零くんの頬っぺも柔らかそうだもんね♪さっき零くんが海未ちゃんの頬っぺを食べちゃいたいって言っていた理由が分かったかも……」

 

 

「ちょっと待ちなさい君たち。男の頬っぺを触っても何もオイシイことはないぞ。女の子だから萌えるのであってだな……」

 

 

 これがことりのおやつになるってやつか……しかも今回は物理的に食べられそうで怖いんだけど……

 穂乃果も穂乃果でこちらにギラギラとした熱い目線を向けている。これは大好物のパンを思いっきり頬張る時の顔だ。まさか女の子に食われるとでも言うのか!?この俺が!?

 

 

「そうですね、不公平ですよね……零、あなたが快楽に堕ちるまでずっと私があなたの頬っぺを弄り倒してあげますよ……フフフ……」

「海未!?お前ダークサイドに堕ちてるぞ!?戻ってこい!!」

「こんな私にしたのはあなたでしょう……?大丈夫です、あなたに教わった快楽で、今度はあなた自身を快楽の底に叩き落としてあげますから……」

 

 

 全然大丈夫ではない件!!

 まるで獲物を見つけたオオカミのように俺を狙う穂乃果とことり。そしてダークサイドに堕ちて、俺を引きずり込もうとしている海未。俺は徐々に教室の端へ追い込まれ、あっという間に3人に囲まれてしまった。

 

 

「さぁ零君観念して!!」

「おやつの時間だぁ♪」

「フフフ……もう逃げられませんよ……」

 

 

「やめろ!!こっちに来るなぁあああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 そのあとめちゃくちゃ頬っぺを触られた。

 

 




 個人的には花陽の頬っぺをツンツンしたいです!(願望)

 こうして零君と穂乃果たち幼馴染組を絡ませるといつも思うのですが、この4人仲が良すぎますよね。ボケとツッコミの比率も抜群だし恋人同士だし……って完璧じゃん!?




 遅れましたが高評価をしてくださった方、ありがとうございました!!零君にもっともっと変態をこじらせるように伝えておきます(笑)


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先輩禁止!リターンズ!!

 久々の連続投稿!!ストーリー性がない話というのは早く書けるのが利点ですね。今後もそんな話ばかりです(笑)


 

 

 春といってもやはりまだ朝は寒い。『夜暑いから薄着で寝よう』なんて思っていると、朝になってたっぷりとそのツケが回ってくる。それゆえ布団が気持ちいい。起きなければいけないという焦燥感を、布団のぬくもりとそれによって掻き立てられる睡魔が完全にかき消してくれる。また遅刻だ。

 

 今日は新生μ'sが結成してから初めての朝練だったりする。最近は忙しかったため朝練もめっきり少なくなったが、一年生が高校生活を慣れたのを期にまた再開された。そのせいで早く起きることを強要され、俺は若干鬱陶しく思っている。だって朝だよ!?朝は寝るのが常識でしょ!!

 

 しかし、階段を駆け上がってくるこの足音を聞くとそうも言ってられないようだ。もう俺はこの春から一人暮らしではないからな。どうしようもないブラコン妹のせいで、俺の日常は崩壊の道を歩んでいる。家にいても学校にいても休息の時はほとんどないに等しい。このまま俺が過労死したら手厚く葬ってくれ。

 

 

「お兄ちゃん!!いつまで寝てるの?今日から朝練だよ!!」

「来やがった……」

 

 

 もうちょっと静かにドアを開けれくれないものか。毎日毎日ドアさんも乱暴に開けられて痛がってると思うぞ。楓によって痛みつけられているのを見ると、同情しちゃうね俺は。

 

 

「お前……随分とやる気あるのな」

「それはお兄ちゃんが焚きつけたんでしょ?それに完璧な自分を目指すって目標は諦めてないから」

 

 

 高校生になって、やっとコイツも成長したらしい。今までは自画自賛ばかりで成長しようという気迫が一切感じられなかったからな。また一歩大人になったんだろう。

 

 

「そしてμ'sのみんなを圧倒して、優越感に浸ってやる!!」

「……」

 

 

 前言撤回。やっぱり楓は楓だった。

 これは初めにハイハイ言うことを聞いておいて後から裏切る、アニメや映画などの展開によく似ている。『色々教えてくれてありがとよ!!だからお前にはもう用はない!!ブスリ』的な感じだ。何が怖いって、楓がそれを実行する姿が容易に想像出来るところだ。

 

 

「朝練なら一人で行けばいいだろ、俺はμ'sのメンバーじゃないし……」

「そう言って、ただ寝たいだけでしょ?」

「ここで寝とかないと授業中寝ちまうだろ?そうなったら海未に怒られる」

「朝練に来なくても怒られると思うけどね」

 

 

 どっちにしろダメじゃん!!そもそもどうして俺が朝練に出なくちゃいかんのだ!!ずっと端っこから見てるだけだぞ!?そのまま寝落ちしてしまったことだってあるというのに……

 

 

「どうしても起きないっていうのなら……」

「な、何をする!?」

 

 

「お兄ちゃんにぃ~~濃厚で熱いベーゼをお届け♪」

 

 

「はいっ起きた!!」

 

 

「えぇ!?何それぶ~ぶ~!!」

 

 

 楓の場合、この手のジョークはジョークではないからな。この春一緒に2人暮らしを始めてもう一週間以上経過しているが、朝襲われない日がない。下手したら兄妹で一線を超えてしまうかもしれないぞ。

 

 

「気持ちのいい朝だな!!よ~し、朝練に行くか!!アハハハハハ!!」

「いつか絶対にお兄ちゃんを……」

 

「め、飯食ってくる……」

 

 

 不穏なオーラを醸し出し、ブツブツと危険なことを言っている楓の横をスッと通り抜けて部屋を出た。

 これはもしかして、近親相姦な展開になるのも近いかも……?いや近くなったらダメだろ!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「おっ、おはよう花陽」

「おはようございますぅ~」

 

「あっ、おはよう零くん、楓ちゃん」

 

 

 朝練会場(神社前)へ向かう途中、同じく神社に向かっていた花陽と出会った。やっぱり花陽って見てるだけで目の保養になるよな。特に朝から悪魔のような妹にじゃれつかれているので、花陽という存在だけでも安心する。彼女から『おはよう』と笑顔を向けられるだけで眠気なんて吹っ飛んでしまいそうだ。

 

 

「れ、零君!?私の顔に何か付いてる!?」

 

 

 最近穂乃果たちのせいで俺は頬っぺ中毒になってしまった。そのせいか知らないが、やけに女の子の頬っぺに目が行ってしまう。しかも今回の相手は、見た目で柔らかい頬っぺと分かる花陽だ。朝の日差しが彼女の顔に照りつけて、頬っぺが神々しくも見える。

 

 そして俺は、この時無心となっていた。無意識の間に指を花陽、いや彼女の頬へ伸ばし――――

 

 

「ぴゃあっ!!」

 

「!!!」

 

 

 花陽の叫び声でここでやっと我に返った。

 今でも分かる、花陽の頬っぺの感触が。まさかここまで余韻が残るものだとは……恐るべし花陽頬っぺ……

 

 

「流石お兄ちゃん!!女の子に平気で手を出すとは!!痺れるし憧れるねぇ~~」

「ち、違うんだ花陽!!決して手を出そうなんて思っていなくてだな……」

「はわわわ……」

 

 

 花陽と付き合い始めてからというもの、彼女が昇天する回数が増えたような気がする。キスはよくて頬っぺを触るのがダメってどういうことだよ……

 

 

「無心だったんだ!!だから別に他意はないぞ!!変なこととか考えてないから!!」

「だ、大丈夫だよ……零君が私のこと大切にしてくれてるって知ってるから」

「は、花陽!!」

 

 

 またしても無心で花陽を抱きしめてしまった。どうして花陽やことりは言うこと1つ1つが俺の心をくすぐるんだ!?こんなの抱きしめざるを得ないじゃないか!!

 

 

「俺もお前をずっと大切にするからな!!だから一生俺の側にいてくれ!!」

「零君……もちろんだよ♪よろしくお願いします!!」

 

 

 お互いに顔を見合わせて、恥ずかしいセリフを連発する。今度は花陽のプリプリと柔らかそうな唇に目がいってしまう。顔が高揚している彼女と相まって、俺の心をさらに刺激する。春の朝は肌寒いと言ったが、花陽の体温が感じられる今はそんなことが全くの嘘のようだ。

 

 

「ちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっと!!何2人の世界にのめり込んでるの!?完全に私のこと忘れてるでしょ!!」

 

「お前……いたのかよ。興ざめだわ」

「段々と私の扱いが雑になってきているのは気のせい……?」

 

 

 コイツも意外とそんなことを気にするんだな。ブッ飛んだ性格だから、てっきり自らハブられに行っているのかと思ったぞ。変人すぎて誰にも扱えないだけかもしれないが。

 

 

「小泉先輩もいつまで抱きしめられているんですか!?あなたどう見ても男に耐性がない純粋女子でしょ!?」

「で、でも零君なら私……」

「またラブコメしてる……私の目が黒いうちは不純異性交遊禁止ですよ!!」

「一番不純なことしているお前が言うか……」

 

 

 兄妹で交わろうとしている奴が今更何を言うか。しかも毎朝その危険に晒されているからな。

 それにしても花陽は暖かい。もう毎年冬はホッカイロとして俺に張り付いていてもらいたいぐらいだ。結局楓に言われても花陽は俺に抱きついたままだった。

 

 

「あっ!!零くんとかよちんが愛し合ってるにゃ!!」

「オイッ!!公園でイケナイことをしているカップルみたいに言うな!!」

 

 

 突如として星空凛が乱入!!この辺で花陽と待ち合わせでもしていたのだろうが、如何せんタイミングが悪い。凛も中々の被害妄想を作り出すからな。それがμ'sのみんなに広がって、ボコにされるのまでがお決まりの流れだ。

 

 

「星空先輩おはようございますぅ~♪」

「おはようにゃ楓ちゃん!!」

 

 

 テンションが高すぎるなこの2人。朝練がある日だと、早朝からこのテンションに付き合わされるので朝起きるのが尚更グロッキーになる。

 そして楓の挨拶……まだμ'sを舐め腐っているのか、結局全然変わらないなコイツも。まぁこのウザさが楓だから仕方ないのか。

 

 

「星空先輩!!お兄ちゃんが小泉先輩を襲っているんです!!私だけではお兄ちゃんに敵わないので一緒に戦ってくれませんかぁ?」

「なにィ!!それなら凛も助太刀するにゃ!!」

「お前ら朝っぱらから暑苦しいな!!それにファイティングポーズ取るな!!」

 

 

 正直、凛の運動神経と素早さから繰り出されるパンチは一発もらうだけでノックアウトだ。下手したら海未や真姫の制裁よりも重い。特に花陽と戯れいている時は高確率で凛が憤る。その時の俺の顔は誰がどうみても変質者の顔らしいが。

 

 

「それを言うなら、さっきからずっと抱きついているのも暑苦しいでしょ!!」

「さっきから!?いつまでかよちんと抱きついているつもりなのかにゃ!?」

「一生だ……」

「一生!?だけど私はそれでもいいかも……」

「かよちん!?」

 

 

 花陽は磁石のように俺に張り付いて離れない。それに対し、今にも俺に襲いかかって来ようとする凛と楓。このままでは目が覚めるどころか、それを乗り越えて永遠の眠りについてしまう。

 何かあるはずだ!!花陽に抱きつかれたまま、かつコイツらを何とかする素晴らしくも幸せになれる方法が!!

 

 

 

 

「あなたたち、何をやってるのよ……?」

 

 

 

 

「真姫!?」

「「真姫ちゃん!?」」

「西木野先輩!?」

 

 

 来た!!これぞ救世主!!……なのか?真姫だと凛や楓の暴走を止められないような気もするが。

 

 

「騒ぎ声が聞こえたから来てみれば、まさかまた馬鹿なことをやっていたとはね。しかもこんな道端で……そうよね、零?」

「待て!!なぜいつも俺が目の敵にされているんだ!!騒いでたのはコイツらであって俺は花陽で暖をとっていただけだ!!」

「そう?大体こういう時は零が悪いと相場が決まっているでしょ」

「ひでぇ……」

 

 

 とりあえず騒ぎがあったら何でもかんでも俺のせいにしておくという困った風潮が、今のμ'sで流れている。百歩譲って俺のせいでもいいとして、俺を"いつもの展開"に持っていくことだけは勘弁して欲しい。

 

 

「ほら、遅刻すると海未や絵里に怒られるわよ」

「そうだな。暖かかったけど仕方がない」

「あっ……」

 

 

 俺がパッと手を離すと、花陽は名残惜しそうに俺を見つめてきた。

 くそォおおおおおおおおおおおおおおお!!そんな子犬のような目で俺を見るなぁああああああああ!!何もやってないけどとてつもなく大きな犯罪を犯した気分だ!!今までにない罪悪感に包まれてく!!

 

 

「これ以上イチャイチャしてたら、暴走するところだったよ。命拾いしたね、お兄ちゃん♪」

「お前、あれで暴走してなかったのか……」

 

 

 今まで自分が暴走していたことを自覚していたのかコイツは。知ってて暴走している奴ほど恐ろしい者はいない。計画性があると言うか、裏で何かを画策しているヤバさを感じる。まるで我が最凶の"姉"のようだ。

 

 

「そういえば楓ちゃんに聞きたいことがあったんだにゃ!!」

「何ですか星空先輩?」

「それだよそれ!!μ'sに入ったんだから、先輩は禁止ね!!」

「確かにμ'sの皆さんは普通に名前呼びで呼び合っていますよね」

 

 

 先輩禁止は去年の夏合宿の際、μ's内で気を使わないように、そして絆を深めるために絵里が提案したルールだ。ルールという語っ苦しいものではないな、要するに分け隔てなく仲良くしましょうということだ。

 

 

「だから楓ちゃんも凛たちのことを先輩呼び禁止で!!」

「じゃあなんて呼びましょうかねぇ……『おいそこの星空ァ!!』とかですか?」

「それは怖いにゃ!!」

「お前ヤクザか何かかよ……」

 

 

 そういえばコイツ、雪穂と亜里沙以外のメンバーには「苗字」+「先輩」付けだったな。名前呼びって意外と勇気がいるものだ。俺も今はこうして普通にみんなを名前呼びできるが、実はみんなと出会ったばかりの頃は楓のように苗字呼びだった。この年になって異性を名前呼びするのは結構恥ずかしい。

 

 

「私は普通に名前呼びして欲しいなぁ。楓ちゃんともっともっと仲良くなりたいもん!!」

「小泉先輩…………じゃあ花陽、これからもよろしくね♪」

「楓ちゃん……うん!!こちらこそよろしくお願いします♪」

 

 

 おぉ、青春してますねぇ~~!!楓のことだから花陽を手玉に取ってなんやかやすると思っていたのだが、一番初めに名前呼びして親しくなるとはな。

 

 

「真姫もよろしく!!」

「何で私への挨拶はそんなに軽いのよ……」

「いや~~何となく相手の性格に合わせたくなっちゃってぇ~~ダメ?」

「意味分かんない!!でも、まぁ……よろしく」

 

 

 真姫も真姫で先輩禁止には苦労させられていた。合宿の時なんかは1人だけ馴染めてなかったしな。今回あっさりと受け入れたのは大きな成長だ。まぁ去年楓と何回も合ってたから、そのせいでもあると思うが。

 

 

「ワクワク!!」

「…………」

「あれ?凛のことは名前で呼んでくれないの?」

「非常に申し上げにくいのですが……」

「な、なに?」

「星空先輩って、先輩って感じがしないですよね。後輩というか、マスコットというべきか」

「ガビーーーん!!」

 

 

 後輩そしてマスコット、これは去年の夏合宿の時に凛がにこに言ったセリフだ。まさか今年になってそれが返ってくるとは思ってもいなかっただろう。それもしょうがない話だ。なんたってにこと同じ体型なんだからな。

 

 

「1割冗談ですから気にしないでください♪」

「じゃあ9割本気なんだにゃ~~!!」

「おおっ!!凛、計算できるんだね♪」

「馬鹿にするにゃぁあああああ!!……ん?あれ?さっき名前……」

「1割冗談は本当だけど、これからもよろしくね、凛!!」

「か、楓ちゃん……こちらこそよろしくだにゃ!!」

 

 

 いい光景だ、いい光景なんだけどサラッと毒吐かれてるぞ凛。でもこれでまた楓とμ'sのみんなとの距離が近づいたと思うと兄として安心だ。去年も夏合宿以降からみんながどんどん仲良くなっていったから、絵里の計画も成功だったと言える。雪穂と亜里沙も早く馴染めるといいんだけどな。

 

 

「よし!!それじゃあ朝練頑張るか!!」

「「「お~!!」」」

「零は座ってるだけでしょ」

「真姫、お前空気読めよな!!」

 

 

 その後、朝練前に先輩禁止が雪穂と亜里沙にも適用された。亜里沙は迷うことなく俺を『零くん』と呼び、雪穂はまだ恥らいながらも『零君』と呼んでくれた。正直それだけで心が踊ったのはまた別の話。

 




 『新日常』も早いものでもう10話目です。初めは雪穂や亜里沙、そしてオリキャラである楓を織り交ぜて話を展開できるのかとても不安でしたが、たくさんの方々に読んでもらって嬉しい限りです!!
 ですが未だにレギュラーキャラが多すぎて、話の展開が雑になってしまうこともあるのですが読者様からの視点ではどうなのでしょう?多分これからも前回や今回のように、1話辺りの登場キャラは絞っていくと思われます。13人ものキャラを一斉に登場させると収拾がつかなくなりますからね(笑)


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先輩方は発情期!?

 皆さんが真姫の誕生日を祝ったり、他の作者様が誕生日小説を書いている最中、私は最低な話を書いていました(笑)
 いつも通り、誰かの誕生日だからといって贔屓することはないのです。しかも真姫すら出てこないのです。

 その代わり今回は、『新日常』となってあのお姉さんが初登場です。お待たせ(!?)しました!!


 

「んーーー!!んーーー!!」

 

 

 今の状況を説明しよう。朝、目を覚ましたら自分の身体が縄で縛られていた。しかもご丁寧に口にテープが貼られている。遂に楓が耐え切れずに俺を拘束したのかと思ったが、アイツならもっとガチガチに拘束してくるだろうから犯人はアイツではない。

 そうなると、こんなことをする奴はこの世でたった一人……

 

 

「ハロハロ~~♪」

「やっぱお前か、秋葉ァああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 俺の部屋に入ってきたのは神崎秋葉。俺と楓の姉であり、俺たちが最も恐れている人物。去年コイツは自ら開発しているしょうもない発明品を試すため、俺やμ'sのメンバーを幾度となく実験台として扱ってきた。ちなみにマトモな結果になったことは一度もなく、自分さえ楽しめればそれでいいという史上最悪の思考を持っている。まさに俺たちにとって天敵だ。

 

 

「んーーー!!んーーー!!」

「はいはい今外してあげるって」

「ぷはっ!!テメェ、何しに来やがった!?俺に何をする気だ!?」

「テメェとはご挨拶ね。折角久しぶりに会えたのにそんな暴言を吐かれて、お姉ちゃん悲しいな……」

「今すぐ帰れ」

「Oh!!辛辣ぅ~!!」

 

 

 もう今すぐにでも暴れたくなってきた。この際多少家が壊れてもいい、早急にコイツを追い出さなければ俺の日常がバラバラに崩壊されてしまう。もう既に楓でバラバラになっているというのに、コイツが来たら塵一つ残らなくなる。

 

 

「まあ落ち着きなさいな。もうやることは全部終わったから」

「なにィ?終わっただと?」

「そうそう。だからもう帰るから」

「えっ!?もうっ!?」

「その反応……もしかしてお姉ちゃんと一緒にいたかった?やっぱり可愛いねぇ~零君は!!」

「そういう意味じゃねぇ!!」

 

 

 何事も肯定的に捉え自分の都合のいいように吸収してしまうところ、これが神崎3兄妹の特徴なのだが、コイツは特別に鬱陶しい。秋葉に比べれば楓なんてまだ可愛く見える。やはりコイツは俺の天敵だ。

 

 

 するとここで、俺の部屋のドアが開け放たれた。

 

 

「お兄ちゃん!!朝だよ!!目覚めのキスの時間だ…………よ?」

「あっ!!おっはーー楓ちゃん!!」

「さようなら」

「オイ!!助けてくれよ!!いつもなら迷わず俺に飛び込んでくるだろ!!」

 

 

 楓の奴、俺の部屋に入ってくるときはすごくいい顔をしてたのに、秋葉の顔を見るなり絶望に打ちひしがれた顔をして帰りやがった!!あの楓がここまで萎縮するとは……恐るべし人類の敵。

 

 

「じゃあそういうことで、これから仕事だから」

「大学へ行って、仕事へも行って大変だな……」

「労ってくれる?」

「1000年後ぐらいにな」

「アハハハ!!零君と話すのは飽きないねぇ~~じゃあ縄外してあげるから頑張りなさいな」

 

 

 コイツの仕事は研究。そうは言っても俺もどんな研究をしているのかは知らないが、その成果は世界に認めてもらえるほどらしい。そんな頭脳を持っているのに、どうして俺たちを弄ぶような発明品しか作らないのか……

 

 

「お前もこんなことばっかやってないで、いい男の一人や二人見つけたらどうだ?」

「へ?だって零君がいるじゃん」

「はい……?」

「それじゃね♪」

「お、オイ!!さっきのどういう意味だ!!オイ!!」

 

 

 意味深な言葉を残して出て行ってしまった。まさかアイツも"兄妹で"なんて考えている腹じゃねぇだろうな。本気か本気じゃないか、アイツの言葉は俺でも判別できないからな。

 

 そして結局、アイツがここに何をしに来たのかは全く話してくれなかった。確実によろしくないことが起きているのは間違いないが、今のところ身体に別状はない。まさかホントに立ち寄っただけ?そんな馬鹿な……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 楓は秋葉から逃げるためかもう学校に行ってしまったため、今日は久しぶりに一人で登校だ。もう既に戦争を切り抜けてきたせいか、こうして一人で静かに学校に行くのは清々しくて気持ちいい。あれから特に俺やその周りでは何も起こっていないため、この先も何も起きないことを信じたい。

 

 

「あら、零じゃない。おはよう」

「絵里……おはよう。今から大学か?」

「えぇ、希とにこと合流して一緒にね」

「そうか、じゃあ途中まで一緒に行かないか?今日は久しぶりに一人だからさ」

「そういえば楓がいないわね。珍しいこと…………も?」

「ん?どうした?」

 

 

 急に絵里が言葉を区切った。そして本人は何故か驚いたような表情を浮かべている。眠いのか……?いや、そんな風には見えないけど。

 

 

(か、カラダが熱いわ!!どうして!?零に話しかけられるたびにカラダが疼くんだけど……)

 

「絵里?」

「な、何でもないわ!!行きましょうか」

 

(それに、さっきからすごくドキドキしてる……カラダもどんどん熱くなってくるし、どうなってるの!?)

 

 

 さっきまで普通そうだったのに、急にフラフラと歩き出した。本当に大丈夫なのか?熱があるとか……?いや、そんな突然体調が悪くなるとは考えにくい。これは希やにこに言って、絵里の様子を伺ってもらった方がよさそうだな。

 

 

「おっ、あそこにいるのって希とにこじゃん。おーーーい!!」

 

 

 俺の声を聞いて、既に待ち合わせ場所に来ていた希とにこがこちらを振り向いた。絵里の体調も優れないようだが本人は話す気がないらしいので、今はこの2人に任せるしかないだろう。

 

 

「おはよう、希、にこ」

「おはよう、今日は一人なの……ね?」

「おはようさん♪朝から零君に会えるなんてツイてるか……も?」

「2人共……?」

 

 

 えっ!?まさかこの2人も……?『おはよう』の言葉には元気があったのに、その後は急に黙り込んでしまった。心なしか、顔も少し赤いような気もするが。

 

 

(こ、これどうなってるのよ……こんなにカラダが熱くなるなんて、零と2人きりでいる時みたいじゃない……)

(なんやろ、零君を見るたびにウチのカラダが疼く……胸もムズムズしてきたし……)

 

 

「希……?にこ……?お前らも体調悪いのか?」

「だ、大丈夫……まだ眠たいだけやから……」

「に、にこに限ってそんなことないわよ……」

 

 

 希もにこも若干息が切れかけている。今日は朝練も何もなかったはずなのに、自主練でもしていたとか?でもそれだったら絵里が参加していない理由が気になるし、そもそもさっき会った時は元気に挨拶してくれたような……?

 

 

「はぁ……」

「え、絵里も大丈夫か?」

 

 

 重い息を吐く絵里の肩に、俺は咄嗟に手を置いた。

 

 

「ひゃうっ!!!!」

「え、絵里!?」

 

(嘘でしょ!?零にカラダを触られただけで全身が電流が走ったみたいにビリッって……ますます熱くなってきちゃった……)

 

 

 ただ肩に手を置いただけなのに……絵里が怖がりで驚きやすいっていうのは知ってるけど、まさかここまでとは。それに希やにこも絵里と同じような状態で俯いている。

 

 

「これは病院に行ったほうがいいんじゃないか?顔も赤いし、息も途切れ途切れだぞ」

「だから大丈夫だって言ってるでしょ……」

「大丈夫なわけあるか!!」

 

 

 いつまでも強がりを言うにこに、今度は両手で彼女の両肩をガシッと掴んだ。その瞬間にこのカラダをビクッと震わせ、目がトロンとして顔も高揚していた。

 

 

「ひゃぁ、あぁ!!!!」

「どうしたにこ!?どこか調子が悪いのか!?言ってみろ!!」

 

(だ、ダメ……そんなに近づかれたら、カラダがもっともっと熱くなって…………)

 

 

 

 

 

 

(気持ちよくなっちゃう……)

 

 

 

 

 

 

「どうした!?もしかして喋れないぐらい辛いのか!?」

 

 

 にこも絵里も希も、みんな黙り込んでしまった。体感的に周りの温度が上がっているような気がする。家を出た時より確実に暑いからな。

 3人の様子をよく見てみると、微量だが汗がにじみ出ている。いくら春だからとは言え、まだ朝は肌寒いくらいだ。だが3人はもの凄く暑そうにしている。運動もしていないのに……一体何が起こっているんだ!?

 

 

 

 

 何かが起こっている?いや、起こっているのはもしかしてコイツらじゃなくて俺なんじゃ……?だからコイツらは何も言えないんだ。原因が分からないから。

 

 

 そういえば今朝秋葉が……

 

 

『まあ落ち着きなさいな。もうやることは全部終わったから』

 

 

 もう終わったって言っていたな……やっぱりアイツは俺に何かをしてたんだ!!

 

 そこで俺はもう一度3人の様子を伺う。やはり今は熱さも収まっているようで、絵里たちは落ち着きを取り戻している。ちょっと申し訳ないけど、原因を探るためもう一度あの状態になってもらうか。

 

 悪い!!

 

 

「の、希……大丈夫か?」

「ひゃぅ!!あぁ……ま、また!!」

 

 

 この男心をくすぐる喘ぎ声こそ、コイツらのカラダに何かが起こっている証拠だ。しかもその原因は恐らく俺。俺が彼女たちに話しかけると発情(?)してしまうのだろう。女性にとっては迷惑極まりないが、男にとってはありとあらゆるものが高ぶってくる。何がとは言わないが……

 

 

「絵里、もしかして俺が話しかけると……」

「ひぅっ!!そ、そうよ……あなたに話しかけられるたびにカラダが火照るのよ……しかも全身に電流が走るみたいにビクビクって震えるの……」

 

 

 絵里は両腕を自分の身体に回しながら、弱々しい口調で自分の身に何が起こっているのかを説明した。

 いつもの大人っぽい絵里と違って、今日の絵里は守って抱きしめたくなる可愛さ、まるで花陽や亜里沙と同じ雰囲気になっている。普段は美人で端正なルックスの自分の彼女が、まるで俺を誘っているかのように卑猥なオーラを醸し出していた。

 

 もちろん絵里たちを助け出したい気持ちは山々だ。だけど俺は男なんだ、ここで動かなければどこで動く?いつまで経っても自分の欲望を押さえ込んでいていいのか?今まさに俺の中で天使と悪魔が戦っている。

 

 

「れ、零!!」

「に、にこ!?どうした!?辛いのか!?」

「ひゃっ!!ち、違うの……さっきからどんどんカラダが熱くなってきて……それで気持ちよくなってきて……すごくドキドキしてきて……そしてまたアンタを見ると心が高鳴って……」

 

 

 にこはこちらへフラフラと近づいてくる。いつもならこんな恥ずかしいセリフ、2人きりの時以外では絶対に言わないはずだ。こんなことを言うってことはにこが欲求不満の状態で、自分が満たされない時と相場が決まっている。

 

 だから今も……

 

 

「だからにこを……零の手でにこのカラダを!!」

「にこっち!!それ以上ゆうたらアカン!!」

「きゃぁっ!!」

 

 

 突然希がにこの口を手で完全に塞いだ。にこはうーうー唸りながら希の拘束から逃れようと抵抗する。一体希はどうしてそんなことを……?

 

 

「それ以上はダメや……こんな道端でそんなことしたらアカンよ。それに零君のことやから、もしかしたら本当に手を出されるかもしれへんし……」

 

 

 うぐっ!!ひ、否定できねぇ……俺の中で天使と悪魔が戦っているなんて言えねぇよな。でもさっきのにこの表情、希に止められず最後まで言い切っていたら迷わず手を出していただろう。それぐらい彼女の表情にはそそられるものがあった。ちょっと涙目になって、しかも上目遣いとか卑怯だろ……

 

 

「と、とにかくだな!!俺がここから離れれば解決するんだろ?だからもう俺、家に帰るから。じゃあな!!」

 

 

 結局俺の中で行われていた天使と悪魔の対決は、惜しくも天使が勝利したため健全な策を取ることになった。俺がここにいれば彼女たちに迷惑がかかるのは明白、そしてこのまま学院に行けば、穂乃果たちも発情(?)してしまうため自宅待機するしかない。

 

 

「へ?」

 

 

 家へ帰ろうとしたその時、誰かに自分の腕を掴まれる。振り向くと、絵里がモジモジしながらギュッと俺の腕を掴んで離さなかった。

 

 

「私たちをここへ置いていくの……?」

「でも俺がここにいるとだな……」

「ひゃっ!!うぅ……またカラダが疼く……」

「ほらそうなるから!!」

「ひゃうっ!!だけどあなたが行ってしまうと心細いっていうか……カラダの火照りが収まるまで一緒にいて欲しいというか……とにかくそういうことなのよ!!」

 

 

 いつものμ'sを仕切っているしっかり者の絵里はどこへ行った!?こんな小動物みたいに縮こまりながら、はぁはぁと発情(?)している絵里を見るのは初めてだぞ!?お前は俺に手を出せと言っているのか!?このまま俺がここに居続けたら、もう確実に警察のお世話になっちまう!!

 

 

(くぅ……もう抑えられないわ……早く希を振り払って、にこのすべてを零に!!)

(こうしてにこっちを抑えているけど、正直ウチも限界かもしれへん……零君を見るたびに心もカラダも爆発しそうや)

(ダメよ……自分を抑えないと……でも、零になら……零と一緒なら別に……いいかな?)

 

 

 マズイ……みんな本格的に苦しそうだ。苦しいというよりかはむしろ自分の欲求を必死になって押さえ込んでいると言った方が正しいか。でも俺から声をかけるわけにはいかない。これ以上彼女たちを快楽の底へ叩き落としたくはないからな。

 だったら一刻も早く秋葉に連絡しないと…………でも絵里はここから離れるなって言ってくるし。どうすんだこれ!!

 

 

 

 

「やーやーいいものを見させてもらったよ♪」

 

 

 突然、近くの裏路地から現れたコイツは……

 

 

「秋葉!?」

「「「秋葉先輩!?」」」

 

 

 ん?先輩?そうか絵里たちと秋葉は同じ大学なんだった。だから先輩呼びなのか。

 それにしても絵里たちが誰かを先輩呼ばわりするのはとても新鮮だ。μ'sでは最上級生だしな。

 

 

「おい、俺に何をした!?」

「この春から作っていたおクスリがようやく完成してね。グースカ寝ていた零君にちょちょっと飲ませてみましたぁ~♪」

「なんだその薬って?」

「それを飲んだ零君から不思議なオーラが発せられるんだ。そのオーラによって、零君を好きな女の子たちのカラダを火照らせ、快楽へと誘うのだ!!」

 

 

 俺たちは開いた口が塞がらなかった。どうしてコイツはこんなどうでもいいものを平気で作りたがるのだろうか?折角世界の各地からお呼ばれしているというのに、日本に留まって無駄な研究を続けているので勿体無すぎる。俺としては早く日本どころか地球から出て行って欲しいのだが。

 

 

「とにかくだ!!俺を元に戻せ!!」

「そうカッカしなさんな。いいデータも取れたし、この解毒剤を飲めば万事解決だよ♪」

「それ、本当に元に戻るんだろうな?」

「もちろん♪」

 

 

 『♪』なんて使っている時点で胡散臭さMAXだ。でも今俺にある選択肢はこの解毒剤らしきものを飲むしかない。絵里たちをずっとこのままにはしておけないからな。

 

 

 俺は覚悟を決め、解毒剤をグビッと一気に身体に流し込んだ。

 

 

 

 

 そして……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 絵里たちは何とかカラダの火照りから解放され、いつもの状態へと戻ってきたのだが……

 

 

「あぁ~ヒドイ目に遭ったわ……にこたち、あんな先輩と一緒に大学生活を過ごすの?」

「今からでも欝になりそう……」

「それ以上に勉強できることがあればいいんやけど……なさそうやね」

 

 

 秋葉に目を付けられた3人は暗くどんよりとした気分に陥っていた。これからの大学生活、あんなマッドサイエンティストに付きまとわれたら、そりゃあそんな気持ちにもなるわな……

 ちなみ秋葉は笑いながら仕事へ向かいやがった。ぜってーいつか仕返ししてやる!!

 

 

「あの、その……どうしようもない姉ですみません!!」

 

 

 そして俺が毎回尻拭い。もう誰か!!あの悪魔をどうにかしてくれ!!

 




 他の作者様の書いた真姫誕生日小説を読んでいて、自分もデート回を書きたいなぁと思っていたら、まさかこんな話が出来上がるとは……これぞ変態の鏡!!(笑)
 むしろブレないでギャグ小説を執筆していたことを褒めて欲しいぐらいです!!(何様だよ!!)


 これで神崎3兄妹が『新日常』でも出揃いました。なにげにこの3人が共演したのは今回が初めてですね。楓はチラッとしか出ていませんが。

 秋葉さんの活躍(?)を見たい方は、是非前作の『日常』をご覧下さい。実は『非日常』の第六章の2話にも登場しています。一応そこではイケメンです(笑)


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新生μ's大作戦!!(前編)

 今回はギャグ回でも恋愛回でもシリアス回でもなく、ごく普通の日常回です。アニメ準拠の小説ではこんな話はできないので、そこは短編集ならではの利点ですね!

 ちなみに今回の元ネタは某チビッコ探偵から取ってきています。


 

 新生μ's結成から2週間近くが経過した。雪穂や亜里沙、楓も本格的に練習へ参加することとなったが、人数の増加に伴って今までの曲を再び見直す必要が出てきた。歌のパート分けやダンスの振り付け、ポジションや動き方など事細かく決めなければならない。

 

 只今13人も押し込まれている窮屈な部室にて、第一回新生μ's大会議が開かれている。いつもの如く海未や絵里が仕切り役となり、各々のパートやポジションなどを再確認すると共に、新入部員である3人のパートやポジションも同時に決めていった。

 

 普段のμ'sの会議は話が脱線して中々話が進まないのが定例行事なのだが、新年度一発目なのか、はたまた新入部員がいる手前なのか、意外にも会議は順調に進んでいる。俺も部室の端っこからぼぉ~とみんなの話し合いを聞いていた。真面目に会議をすればするほど俺の出番がなくなり暇になってくる。ちょこっとぐらい話を脱線してもいいのに……

 

 

「少し早口でしたけど、各々のポジション確認はできましたか?特に楓たちは初めてなので、質問などがあればいつでもどうぞ」

 

「大丈夫でぇ~す♪」

「私もOKです!!海未せんぱ……あっ、間違えちゃった、海未ちゃん」

「初めは私もそうでしたから、少しずつ慣れていくといいですよ」

 

 

 相変わらず適当に返事をする楓と元気よく返事をする亜里沙。でも亜里沙はまだ『先輩禁止』に慣れていないようだ。彼女にとってμ'sは尊敬で憧れの人たちがいるグループだから、そう簡単に馴染めないだろう。

 

 

「雪穂も、確認できましたか?」

「は、はい!!じゃなかった……う、うん」

 

 

 雪穂は亜里沙以上に『先輩禁止』に苦戦しているみたいだな。ここ最近も敬語はほとんど抜けずに今までと同じように会話をしている。もちろん無理強いはしないが、それ以前に大きな隔たりを感じる。

 

 

「なるほどな……しょうがない、この俺が一肌脱いでやるか」

 

 

 事情は分かった。仕方ないからμ's見守り係……という名の撮影係の俺がμ'sに最大の試練を与えてやる!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「よ~し!!早速練習だぁーー!!」

「放課後なのに、穂乃果ちゃん元気だね」

「授業中ずっと寝ていたので力が有り余っているのでしょう……」

 

 

 次の日の放課後、練習着に着替えるため穂乃果たちは更衣室へとやって来た。ちなみに零は用事があると行って練習をサボり、絵里、希、にこの大学生組は講義で少し遅れるという連絡をもらっている。

 

 

「う~ん……これ一体なんなのにゃ?」

「数字が書いてあるけど……」

「それよりもどうしてこんなのが入ってるわけ?」

 

 

 更衣室には既に凛たち2年生組と、楓たち1年生組が集まっていた。しかしまだ着替えておらず、机に何枚かの紙を広げて首を傾げている。穂乃果たちはカバンを置いて、凛たちが集まる中央の机へと向かった。

 

 

「なになに?何があったの?」

「あっ穂乃果ちゃん!!凛たちのロッカーにこんな紙が入ってたんだにゃ~」

 

 

 凛が手に取った紙はA4サイズで、真ん中には大きく『2』とだけ書かれていた。しかも紙はそれだけではなく、机の上に何枚か置かれていた。

 

 

「私のロッカーにはこの紙が入ってたわ」

「私はこれが入ってたよ」

 

 

 真姫の紙には凛と同じ大きさの文字で『6』と書かれ、花陽の紙には『7』と書かれている。白い紙に数字と、見ただけではゼッケンにも見えなくもないが、そんなものがそもそもなぜこんなところにあるのかが謎だ。

 

 

「実は私も……」

「えっ!?雪穂も?」

「うん、でも亜里沙と楓のロッカーにはなかったんだよね」

 

 

 雪穂の紙には『5』と数字が書かれていた。しかし亜里沙と楓のロッカーにはそんな紙は入っていなかったらしい。どうやら全員のロッカーに入っているわけではなさそうだ。

 

 

「あっ!!ことりのロッカーにも入ってたよ!!」

「私もです!!」

「そうなの!?じゃあ穂乃果も…………あっ、あった!!」

 

 

 穂乃果、ことり、海未は各々のロッカーから紙を取り出して机の上に並べる。3人共紙に書いてある数字は違っていて、穂乃果が『2』、ことりが『5』、海未が『4』である。

 

 

「もしかして、絵里ちゃんたちのロッカーにもあるかな?」

「こうなったら開けるしかないでしょ」

「楓、勝手に開けるのはやめておいた方が……お姉ちゃんたちの私物も入ってるだろうし」

「私はね、人のプライバシーを侵害するのが趣味なの」

 

「「「「「「「「……」」」」」」」」

 

「とりあえず開けるね♪」

 

 

 最悪の趣味をカミングアウトし、一瞬にして場を凍りつかせ全員を黙らせる。楓はそんなことをお構いなしに亜里沙の制止を振り切って、絵里、にこ、希のロッカーを立て続けに開け放った。

 

 

「あっ、希のロッカーに紙があったよ。他の2人はなかったのに……」

 

 

 楓は希のロッカーから『2』と書かれた紙を取り出し机の上に置く。紙が入っていたのは希のロッカーだけで、絵里とにこのロッカーに紙は見当たらなかったようだ。

 

 

「じゃあこれで全部だね。それにしてもなんだろこれ」

 

「「「「「「「「!!!」」」」」」」」

 

「あれ?どうしたのみんな?」

「ほ、穂乃果ちゃん!!今持っている紙の後ろを見て!!」

「へ?」

 

 

 穂乃果は自分が持っている紙をクルッとひっくり返す。そこには何やら文章が書かれていた。

 

 

『新生μ'sの諸君、よくぞ見つけ出した。この数字の謎を解き、学院にいる私の居場所を見つけ出してみたまえ!!  No.0より』

 

 

「な、なにこれ!?もしかして穂乃果たちへの挑戦状!?」

「だったら負けるわけにはいかないにゃ!!それよりナンバー0って?」

「零でしょ、どう考えても……数字の『0』は漢字にすると『零』だしね」

「スゴイ……真姫ちゃんスゴイです!!」

「べ、別にこんなもの、私にとっては簡単だし……」

 

 

 あっさりと挑戦者の正体を見抜いた真姫に、亜里沙が驚嘆の声をあげる。だが真姫は相変わらず素直になれず、髪の毛をクルクルしている。

 ちなみにこの文章が書かれていた紙は真姫のロッカーに入っていた紙で、他の紙には書かれていなかった。

 

 

「面白そうだね!!やってみようよ!!ねぇ海未ちゃんいいでしょ?」

「まぁ絵里たちが来るまでなら……」

「やった!!」

 

 

 今ここに新生スクールアイドルμ's、初の共同作業が始まった!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「それでは一旦、それぞれの紙にどんな数字が書かれているのかをまとめてみましょう」

 

 

穂乃果⇒2

ことり⇒5

海未⇒4

花陽⇒7

凛⇒2

真姫⇒6

希⇒2

雪穂⇒5

 

 

「う~ん、数字がバラバラじゃなくて被っているのがいくつかあるね。ことりと雪穂ちゃん、穂乃果ちゃんと凛ちゃん、そして希ちゃんは同じ数字……」

「何かの順番かなぁ……?でも1から順番じゃないよね」

 

 

 花陽の言葉で、まずみんなは何かの順位付けがされているのかと予想した。だが1から始まっていないところを見るに、そこまで単純なものではないのだろう。

 

 

「もしかして、テストの点数とかかにゃ?凛と穂乃果ちゃんが同じ数字だから。凛もよく真姫ちゃんにビービーうるさく勉強しろって言われてるし、穂乃果ちゃんも海未ちゃんに言われてるでしょ?」

「ホントにね!!ビービービービー言われて、耳が壊れちゃいそうだよ」

「悪かったわね、ビービーうるさくて……」

「穂乃果、凛、練習量倍にしますよ……?」

「「ご、ゴメンなさぁ~い!!」」

 

 

 穂乃果と凛のダラけ具合は進級しても何も変わらずで、学期初めに行われた実力テストでもいつも通りの結果を叩き出し、逆に安心するぐらいであった。これがμ'sの日常と言われれば日常なのだが……

 

 

「そもそも学年が違うから、テストの点数や順位で測れないと思うけど……」

「私もそう思います。それにまだ1年生はテストをしたことがありませんし」

 

 

 ことりの反論に亜里沙が便乗する。入学したての1年生だけは4月初頭に行われた実力テストをやっていない。したがってテストの点数や順位で数字を付けるのは不可能なのだ。

 

 

「同じ理由で成績などもあり得ませんね。恐らく学年で基準が分かれるのものではないと思います」

「無難なところで身長とかだけど、それだと花陽が一番大きいことになるからそれもなさそうね」

 

 

 真姫はこの数字が身長説を唱えるが、μ's内で背が高いのは絵里や希だ。小柄な花陽の数字が一番大きい時点でそれもあり得ない。ここで身長とくれば体重なのだが、流石の零でも女の子の体重までは分からないだろう。

 

 

「胸の大きさとかじゃないですかぁ~?」

「なっ!?いきなり何を言い出すんですか!?そんなわけないでしょう!?」

「えぇ!?確かにかよちんが大きいのは分かるけど……」

「ちょっと凛ちゃん恥ずかしいよ!」

 

 

 楓は"なぜか"海未や凛に、ニヤニヤとした小悪魔のような顔を向けた。さらに凛の言葉でみんなが一斉に自分を見てきたため、花陽は恥ずかしさのあまり手で顔を隠す。

 

 

「む、胸の大きさだったら希ちゃんが一番じゃないかな?」

「ことりの言う通りです!!だからこの話はもうやめましょう!!」

「そ、そうだよ!!絶対に別の数字だよ!!もう恥ずかしいから他の意味を考えようよ!!」

「えぇ~!!絶対にバストサイズだと思ったのにぃ~~♪」

「さっきから顔、ずっと笑ってるわよ……」

 

 

 海未と花陽は顔を真っ赤にして次の話題に移ろうとしている。もし胸の大きさだとしたら、バストサイズに天と地の差がある希と凛が同じ数字のはずがないのだが……そこは凛が暴れないように暗黙の了解ということで。

 

 

「ん?雪穂は話し合いに参加しないの?」

「楓……いや、だって分からないし。もしかして、楓は分かってる?」

「さぁね♪」

「絶対に分かってる顔だ……」

 

 

 雪穂はこの2週間で楓の大体の性格と裏の顔を理解したつもりだ。キャラが濃すぎる彼女のことだ、一緒にいて理解できない方が難しい。こうしてニヤニヤしている時は大抵嘘を付いている時の顔だ。しかも謎を見抜けない自分たちを見下すような感じで……

 

 そして雪穂の予想通り、楓はすべての謎が解けていた。性格は難があり過ぎて困ったちゃんだが、頭の良さは流石兄妹と言うべきか、零や秋葉と同じくかなりのキレ者だ。

 

 

(また回りくどいことしてるなぁ~お兄ちゃんは。しょうがない、私も手伝ってやるか!!)

 

 

 楓は一人だけ分かったという優越感に浸りながらも、ずっと頭を悩ませているμ'sを手助けしようとみんなの輪に加わった。しかしそれは自分一人だけでなく、雪穂の手を引いて一緒に輪の中に引きずり込む。

 

 

「ちょっと楓、引っ張らないでよ!!」

「まぁまぁ、折角だし一緒に考えようよ。それに、この問題は雪穂がいないと解けないと思うなぁ~~」

「え……?」

 

 

 完全に棒読みの楓だが、それよりも雪穂は『自分がいないと問題が解けない』というところに引っかかった。何より雪穂自身がまだ何も解けていないというのに、なぜ楓がそんなこと言ったのか気になったのだ。

 楓が急に自分へ矛先を向けてきたことに戸惑いながらも、雪穂はみんなの輪に入って一緒に零が出題した問題を考えることにした。

 

 

「ダメだ!!穂乃果の頭じゃサッパリ分かんない!!」

「まぁ穂乃果パイセンなら仕方ないですね」

「楓ちゃんヒドイよ!!」

「自分で言ったんじゃないですかぁ?それより、例の数字をもう一度整理してみない?頭がリフレッシュされるかもしれないし」

「そうだね。もしかしたらお姉ちゃんたちが来たら何か分かるかもしれないし」

 

 

 亜里沙は絵里たちを頼りにしているようだが、3人が来るまでまだまだ時間はある。あまり謎解きで時間を使いすぎると練習時間も少なくなってしまう。ここはスクールアイドルμ'sの9人で解くしかなさそうだ。

 

 

穂乃果⇒2

ことり⇒5

海未⇒4

花陽⇒7

凛⇒2

真姫⇒6

希⇒2

雪穂⇒5

 

 

「うぅ……眺めてても全然分からないにゃ……」

「みんな数字にとらわれすぎじゃない?たまには一歩引いた視点から見てみるのもいいかもね」

「一歩引いた視点……?」

 

 

 楓の言葉を聞いた穂乃果は一歩どころか二歩三歩と後ろに下がり、挙げ句の果てに更衣室の端っこから机に置いてある紙をまとめて眺めた。

 

 

「ん……?あっ!!!!」

「ど、どうしたの穂乃果ちゃん!?」

「数字!!数字の大きさが違うものがあるよ!!」

「「「「「「えぇ!?」」」」」」

 

 

 穂乃果の言葉に楓以外の全員が驚く。確認したところ8枚ある紙の中の2枚に書かれている数字の大きさが、他の6枚に比べると少し小さかった。その2枚とは花陽の紙に書かれている『7』と雪穂の紙に書かれている『5』だ。その2つの数字だけが、他の紙に書かれている数字より少しだけ大きさが小さい。

 

 

「それだけじゃないわ」

「なにか分かったの真姫ちゃん?」

「えぇ。今まで気づかなかったけど、ことりの紙に書かれている『5』と凛の紙に書かれている『2』の右上を見てみて」

 

 

 真姫に言われ、全員が一斉に2枚の紙を覗き込んだ。真姫は自分が見つけたポイントを指で差して説明をする。

 

 

「本当に小さいけど、この2枚の紙に書かれている数字の右上に、小さな点が2つあるでしょ?」

「ホントだぁ~!!それは穂乃果も気づかなかったよ」

「それでそれで?これはどういう意味なのかにゃ?」

「そ、そこまではまだ……」

 

 

 何気なく見つめていると、その点はただゴミが引っ付いているだけとしか思えないが、これは明らかに数字と共にプリントアウトされたものだ。そうなればもちろんこの謎を解く手がかりとなるに違いない。

 ただし真姫はその手がかりを見つけただけで、まだ謎を解くには至っていないようだ。楓からのさり気ないヒントもあり、新生μ'sは零へと一歩近づいた。

 

 

「まだまだこの問題は分からないけど、絶対にみんなで解いて零君をギャフンと言わせよう!!今からでも零君の泣き顔が浮かんでくるよ」

「零くんが悔しがって地に這いつくばる姿、想像が捗るにゃ~~!!」

「あなたたちは零を屈服させたいのですか……」

 

 

 特に穂乃果や凛は日頃零から馬鹿にされている恨みをここで晴らすことができると考えているため、妄想の中で零をイジメるというドス黒い思考と悪意に満ち溢れた顔をしている。もはや2人は零に勝ち誇った気でいた。まだ何も解けていないというのに……

 

 

「あぁ~~お兄ちゃんが私のことを好きになって襲ってくる姿も容易に想像できるね♪」

 

「「「「「「「「それはない(です)」」」」」」」」

 

「えぇっ!?こんなところだけ一致団結!?」

 

 

 

 

 To Be Continued……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

現時点まとめ

 

穂乃果⇒2

ことり⇒5(右上に小さな点が2つある)

海未⇒4

花陽⇒7(他の数字より大きさが小さい)

凛⇒2(右上に小さな点が2つある)

真姫⇒6

希⇒2

雪穂⇒5(他の数字より大きさが小さい)

 




 一話にまとめようと思ったのですが、謎解き部分が思ったより肥大化したので次回に持ち越しです。
 ヒントはこの話だけですべて出揃っているので、皆さんも少しだけ考えてみてはどうでしょうか?もし答えが分かった人がいましたら、次はなぜ零君がこんな問題を出したのかも考えてみると、次回がさらに面白くなるかもしれません。


 前作『日常』でもありましたが、ゲームのような話は自分自身かなり大好きで、本当にたまにですが、思いつき次第これからもやりたいと思っています。しかし読者様に受けるのだろうか……?一応今回の話はただメンバーが謎を解くだけではないんですけどね。
 多分ラブライブの小説で、こんな話を執筆したのは自分だけだろうなぁ~


 ここからは完全に余談ですが、『新日常』から見てくれている方に宣伝を。実は私の活動報告にも『超短編小説』としてたまぁ~にですが小説を投稿しています。現在4つあり、どれも一分足らずで読めるのでこの機会に是非!!


 次回は解決編です!


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新生μ's大作戦!!(後編)

 前回の感想にて、既に問題が分かった方とまだ分からない方が半々ぐらいでした。分からなかった方は、今回是非μ'sのみんなと一緒に考えてみてください!!


 

 

 

前回のラブライブ!

 

 練習をしようと思っていた矢先、お兄ちゃんによって仕掛けられていた問題がμ'sを悩ませた。的外れなことばかり言って全く先に進まない先輩たちの哀れな姿に呆れて、本当にしょ~がないから私がヒントを出してあげることにしたんだ。そして、イマイチみんなの輪に入れていない雪穂。だけどこの問題を解くには雪穂が必要不可欠なんだけどぁ。まぁ、いっちょここはお兄ちゃんの作戦に乗ってやりますか!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

現時点まとめ

 

穂乃果⇒2

ことり⇒5(右上に小さな点が2つある)

海未⇒4

花陽⇒7(他の数字より大きさが小さい)

凛⇒2(右上に小さな点が2つある)

真姫⇒6

希⇒2

雪穂⇒5(他の数字より大きさが小さい)

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「う~ん……進展はあったけど、また行き詰まっちゃった。穂乃果の頭じゃ無理だよーーー!!」

「相変わらず、頭を使う時だけは根を上げるのが早いですね。零の泣き顔を見るのではなかったのですか?」

「みんなで力を合わせればきっと解けるから、頑張ろ♪」

 

 

 穂乃果たちは場所を更衣室から部室へ移し、再び問題の解決に取り掛かる。脳みそを回転させすぎて疲れたのか、穂乃果は机の上に身体を預けてグデーンと伸びをしていた。

 

 

「かよちんは何か分かった?」

「うぅん、まだ何も……」

 

 

 花陽も凛も頭は捻っているが、捻っているだけで特に妙案が思い浮かぶことはなかった。先ほど数字の意味が何かの順位付けではないと結論を出したっきり、そこから全く動けていない。

 

 

「零さ……じゃなかった、零くんの出す問題だから難しいね。雪穂は気付いたことない?」

「ゴメン、まださっぱり。それでも分かっていそうな人はいるけど……」

「ワタシ、ナニモキコエナイ」

「聞こえてるじゃん!!」

 

 

 この中で唯一問題を解けている楓だが、さっきからとぼけるばかりでそれほど役に立っていない。しかし遠まわしだがμ'sにヒントを与えはしたし、零の狙いを考慮すれば自分一人だけがこの問題を解くわけにはいかないのだ。

 

 

「……」

「あれ?真姫ちゃんどうしたの?もしかして解けたのかにゃ!?」

「ゴメン凛、話けかないで……もう少し、もう少しでできそうだから」

「それじゃあ解けたら教えてね!!」

「いやいや、自分でも考えようよ」

「そんなこと言っても……じゃあ楓ちゃんは解けたの?」

「マダダヨ……」

 

 

 わざとらしくカタコトにして話題を逸らそうとするが、このままでは凛が真姫に答えをねだってしまう。もしそうなったら零がこの問題を出した意味がなくなってしまうので、仕方がないがここでもう一つヒントを出すしかない。

 

 

「でもぉ~これ以上ヒントがないってことはないと思うんだ。お兄ちゃんのことだから、どこかにヒントが隠されているはずだよ。ほら、紙の後ろに書いてあった挑戦文なんて怪しくない?」

「これ?別に普通の文章だと思うけどなぁ」

 

 

 穂乃果は机に肘を付きながら、メンドくさそうに真姫のロッカーに入っていた紙をめくった。その紙の裏には零が書いたであろう挑戦分が書かれている。もちろん全員が確認済みだ。

 

 ちなみにその文章をおさらいしておくと……

 

 

『新生μ'sの諸君、よくぞ見つけ出した。この数字の謎を解き、学院にいる私の居場所を見つけ出してみたまえ!!  No.0より』

 

 

「違う違う、怪しいのは文章じゃなくて最後の名前のところ!!ねっ、雪穂?」

「えぇっ!!どうして私に振るの!?」

「怪しいよね!?」

「そ、そうかな……?自分の名前をそのまま書けばいいのにって思うけど……」

「それだよ!!」

「て、テンション高いね楓……」

 

 

 つまり楓が言いたいのは、わざわざ自分の名前を『零』と書かずに『No.0』と無駄にカッコをつけた厨二チックな名前にしているという点だ。彼ならそんなことをしそうではあるが、この文章で一番おかしなところは確定的にここだけだろう。

 

 

「確かに数字で書いてあるのは妙ですね。名前を数字……?」

「あっ……」

「ことり、何か分かったのですか?」

 

 

 ことりは8枚の紙を並べながら、海未の言った『名前』と『数字』という言葉でピンと来た。楓はその瞬間、ニヤリとした表情が溢れる。どうやらことりは遠回しのヒントを上手く受け取ってくれたようだ。

 

 

「うん。この数字は名前を意味していると思うんだ」

「その理由を聞かせてもらえるかしら」

 

 

 さっきまでメモ帳に何かを書いていて会話に入っていなかった真姫が、唐突に割り込んできた。その顔は少しドヤ顔を決めていて、いつもツンケンしている彼女とは到底思えない。

 

 

(真姫……もしかして)

(楓、一人で任せちゃって申し訳なかったわ。ここから私も協力するから)

(なるほど、やっぱりね……)

 

 

 楓と真姫は目だけで会話しながら、お互いが協力体制に入る。どうやら真姫もこの問題が解けたみたいだ。それに零がこの問題を出題した意図もしっかりと理解している。

 

 

「零くんの名前が数字で書かれていたってことは、この紙に書いてある数字もことりたちの名前と関係があるんじゃないかな?」

「数字が名前と関係ある……でも私たちの名前の中で零くん以外に数字が入っている人っていなくないですか?」

 

 

 亜里沙の言う通り、零以外には特段数字を含む文字を持つ名前のメンバーはいない。一応『南ことり』などの『み』を『3』と取ることもできなくはないが、それだと零の残したヒントにそぐわない。

 

 

「零君はこの学院のどこかにいるって言ってたから、もしかしたらこの数字の示す文字を合わせればその場所の名前になるのかも……」

「なるほど、かよちん天才!!」

 

 

((ナイス花陽!!いいレシーブ!!))

 

 

 花陽のナイスレシーブにより、問題の解決へかなり近づいた。ここまでくれば、紙に書かれている数字がどんな文字を表すかどうかだが……

 

 

「あとは穂乃果でも分かるぐらい簡単に解けるわよ」

「なんか馬鹿にされているような気がする……最近真姫ちゃんも楓ちゃんも穂乃果に厳しくない!?」

「それはしょうがないよ、お姉ちゃんだもん」

「雪穂まで!?そんな雪穂は何か分かったの!?」

「ま、まぁ少しだけなら……」

「ホント!!?」

「うわぁっ!!」

 

 

 穂乃果は机から身体を起こし、顔をズイッと向かいにいる雪穂に近づけた。逆に雪穂はその勢いでイスごと後ろに転げ落ちそうになるが必死にこらえる。実の姉が顔をキラキラさせて期待しているのを見て、はぁ~とため息を付きながらズレたイスを元に戻す。

 

 

もう一度まとめ

 

 

穂乃果⇒2

ことり⇒5(右上に小さな点が2つある)

海未⇒4

花陽⇒7(他の数字より大きさが小さい)

凛⇒2(右上に小さな点が2つある)

真姫⇒6

希⇒2

雪穂⇒5(他の数字より大きさが小さい)

 

 

「さっきのお姉ちゃんでも分かるって真姫せんぱ……真姫ちゃんが言った時に大体分かったよ」

「しくしく……妹にまで馬鹿にされた……」

「穂乃果は放っておいて、その続きは?」

「うん。それで単純に考えて、それぞれの名前の前から、書かれていた数字の場所の文字を取り出していけばいいと思うんだ」

 

 

 ことりと花陽によって、紙に書かれている数字とその所有者の名前が関係していそうだということは分かった。雪穂の考えはそれをもっと詳細化し、それぞれ名前から数字の場所の一文字を取ってくればいいという単純なものだ。

 

 

「でもそれだったら雪穂ちゃんの数字は『5』だけど、『雪穂』って名前は3文字しかないにゃ」

「多分苗字を含めてだと思います。明らかに『6』とか『7』とか大きい数字もありますし」

「よ~し!!なんとか解けそうだね!!すごいよ雪穂!!」

「べ、別にそんなことは……」

「ことりもそこまでは考えつかなかったよ、雪穂ちゃんありがとう♪」

「ことりちゃんまで……ど、どうしたしまして」

 

 

 雪穂は穂乃果とことりに素直に褒められて、恥ずかしそうに返事をした。彼女自身があまり素直に褒められることに慣れていないのか、一回り声が小さく聞こえる。それでも雪穂は自分がμ'sに貢献できたことを嬉しく思っていた。

 そして、さっきまで諦め気味だった穂乃果は妹・雪穂の活躍によりやる気を取り戻した。穂乃果は立ち上がり、散らばっていた紙をそれぞれの所有者の前へ置き直す。

 

 

(どうやらお兄ちゃんの思惑通りになっているみたいだね)

(そうね。このままみんなで力を合わせればすぐに解けちゃいそう)

 

 

 既に問題が解けている楓と真姫は、穂乃果たちの邪魔をしない程度に茶々を入れながら話し合いに参加していた。ここまで来ればもうラストスパートだ。

 

 

「穂乃果は『高坂穂乃果』で数字が『2』だから、前から数えると『う』だね!!」

「ことりは『南ことり』で数字が『5』だから、『と』だよ♪」

「私は『園田海未』で数字が『4』ですから、『う』ですね」

「『小泉花陽』で数字が『7』だから……あっ、私は最後の『よ』だ」

「凛は『星空凛』で数字が『2』だから、『し』だにゃ!!」

「『西木野真姫』で数字が『6』だから、私も花陽と同じ最後の『き』ね」

「希ちゃんは『東條希』で数字が『2』だから、『う』ですね!!」

「『高坂雪穂』で『5』、ということは『ゆ』か」

 

 

 希の分は亜里沙が担当し、それぞれ自分の名前と紙に書いてあった数字と照らし合わせて自分の一文字を確定させていく。これで8枚の紙に対し8つの文字が出揃った。

 

 

現時点まとめ

 

穂乃果⇒『う』

ことり⇒『と』

海未⇒『う』

花陽⇒『よ』

凛⇒『し』

真姫⇒『き』

希⇒『う』

雪穂⇒『ゆ』

 

 

「もしかして、これを並べかえたら零くんのいる場所の名前になるのかにゃ?」

「う~んなんだろう?『うとうよしきうゆ』?どう並び替えればいいのかなぁ~?」

「こらこら、まだその文字って決まったわけじゃないでしょ?」

「楓ちゃん……他に何かあったっけ?」

「穂乃果がさっき自分で気づいてたでしょ?」

「……あっ、文字の大きさだ!!花陽ちゃんと雪穂の数字だけ大きさが、ほんの少しだけ小さかったんだ」

 

 

 実はこれで完全ではなく、まだ使っていないヒントがあったのだ。それは穂乃果が更衣室で気づいたことそのもので、他の6枚に書かれていた数字よりも、その2人の紙に書いてあった数字の大きさが少し小さい。

 

 

「待って下さい。花陽と雪穂の文字は『よ』と『ゆ』ですよね?平仮名で文字が小さくできるのは『や行』の文字列だけです。と、言うことは……」

「花陽ちゃんの『よ』は小さい『よ』で、雪穂の『ゆ』は小さい『ゆ』だね!!なんか穂乃果、賢くなった気がするよ!!」

 

 

現時点まとめ

 

穂乃果⇒『う』

ことり⇒『と』

海未⇒『う』

花陽⇒『ょ』

凛⇒『し』

真姫⇒『き』

希⇒『う』

雪穂⇒『ゅ』

 

 

「まだよ、まだ使ってないヒントがあるわ」

「それって、真姫ちゃんが気付いた小さな点々のこと?」

「おっ、いいね亜里沙その調子!!お兄ちゃんの姿を拝むまでもう少しだよ!!」

 

 

 まだ使っていないヒントとは、一部の紙には明らかに意図してプリントしたと思われる黒い点々が数字の右上に付けられていることだ。これは更衣室で真姫が見つけ、その時は訳がわからなかったので保留にしてきたが、平仮名に点々といえばもうアレしかない。これは残る全員が一斉に分かった。

 

 

「平仮名で点々と言えば、濁点しかないですね」

「点々が印刷されていたのはことりちゃんと凛ちゃんの紙だから、文字は『ど』と『じ』に変わるね」

 

 

 これで与えられたヒントはほぼすべて使い切った。ここでみんなはもう一度得られた文字を整理するため、ルーズリーフを取り出し丁寧にまとめていく。

 

 

現時点まとめ

 

穂乃果⇒『う』

ことり⇒『ど』

海未⇒『う』

花陽⇒『ょ』

凛⇒『じ』

真姫⇒『き』

希⇒『う』

雪穂⇒『ゅ』

 

 

「さぁ、あとは並べ替えるだけだね!!ことりちゃんは何か分かった?」

「う~ん、初めの文字が分かればいいんだけど……」

 

 

(もうここまで来たらいいよね?)

(これ以上時間がかかると練習にも影響するしね。いいわ、勝手にしなさい……)

 

 

 再び楓と真姫はアイコンタクトを取る。もうゴール直前までたどり着いたμ'sの背中をひと押しするため、楓が最後のヒントを与えた。

 

 

「最後のヒントは挑戦文が書いてあった紙。真姫の紙の裏に書かれていたのは適当じゃなくて、そこに書くことで意味があるからだよ」

「そこに書くことの意味……?」

「じゃあ亜里沙、よく考えてみて。お兄ちゃんがアホらしく書いたこの『No.0』を。そもそも『0』って数字の最初でしょ?それもどんな数字よりも先にある……」

「分かった!!最初ってことは、真姫ちゃんの紙の文字から始めればいいってことだね?真姫ちゃんの紙に零くんの名前が書かれていたから!!」

「なるほど、じゃあ『き』から始めればいいんだね?これなら凛でも解けそうだにゃ!!」

 

 

 すべてのヒントを使い尽くし、遂にゴール寸前となった。みんなは一斉にアナグラムを開始し、零が隠れている場所を探り当てる。一番初めの文字は『き』で、なおかつ学院にある教室か建物の名前だ。

 

 そして、全員の思考が同時に一致した。その場所とは……

 

 

「「「「「「「「弓道場だ!!!!」」」」」」」」

 

 

「やっと私のレベルに追いついたみたいですねぇ~~いや~遅い遅い」

「なんだかんだいって協力してたくせに……」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「おっせぇなアイツら」

 

 

 今日は弓道場が休みだっていうからこの場所を選んだのに、これ以上ここにいると不審者扱いされそうだ。決して備品を盗みに来た泥棒さんじゃないぞ。でも先生に話しかけられた時の言い訳は考えいていない。特に用もなくここにいるから怪しまれても不思議じゃないな。

 

 

「あっ!!零君発見!!」

「やっぱり弓道場で合ってたんだにゃ!!」

 

 

 ようやくμ'sの皆さんのご登場か。意外と時間がかかったな。これでも結構ヒントを散りばめたつもりだったんだが……

 

 

「その通り大正解だ。ご苦労さん!!それにお疲れ様、楓、その様子だと真姫もかな?」

「そうだよぉ~~遠回しにヒント出すの大変だったんだから!!」

「最後はかなり直接的だったけどね」

 

 

 結局みんなが一斉に解く前に問題が分かったのは楓と真姫だけか。それにこの2人、しっかりと俺がこの問題を出した意図にも気づいているみたいだ。

 

 

「これも穂乃果の天才的頭脳のお陰だね♪頭使いすぎて疲れちゃったよ」

「あなたはあまり役に立ってないですけどね」

「ヒドイよ海未ちゃん!!3年生になって一番頭使ったのに!?」

「まぁお姉ちゃんですし、仕方ないですね」

「うっ、最近雪穂が反抗期すぎるよ……」

「でも雪穂ちゃんはナイス推理だったよ♪」

「あ、ありがとう花陽ちゃん」

 

 

 ほぉ~う、雪穂がこの問題を解く手がかりを見出したのか。それは予想外だったが、俺が想定していた結果になったんだし別にいいか。

 

 

「全く、手の込んだことしてくれたじゃない」

「真姫……どういう意味だ?」

「とぼけてもダメよ。全部分かってるんだから」

「ふ~ん、じゃあ言ってみ」

 

 

「そもそもあなたはこの問題を私たちに解かせるのが目的じゃなかった。入部してからイマイチμ'sに馴染めていなかった雪穂を私たちの輪に入れようとしたんでしょ?だから問題に雪穂の名前を使ったのよね。そうすれば強制的に雪穂はその謎解きに参加しないといけないから」

「それがお兄ちゃんの狙い。みんなと一緒にこの問題を解くことで、雪穂にみんなと協力する楽しさを教えようとしたんでしょ?」

 

 

 まいったまいった!!流石μ'sのブレインの2人なことだけはある。

 昨日のミーティングの時も、雪穂はまだμ'sに馴染めず先輩にかなり気を使っていた。そもそも敬語を外す外さない以前に、雪穂は姉の穂乃果や親友の亜里沙以外の人に対して少し隔たりを作っているような感じがしたんだ。だからこの問題を立ち上げた。その狙いは今まさに真姫と楓が言ってくれた通りだ。

 

 

「零君……そこまで私のことを?」

「当たり前だ。μ'sの一員ということは、俺が守るべき大切な人だってことだからな。その人の悩んでいる顔なんて見たくなかったんだよ」

 

 

 とてもおせっかいだったかもしれない、とても俺の我が儘だったかもしれない。だけどやっぱりμ'sのみんなが悩んだり、葛藤したりしていたら積極的に手を差し伸べたくなっちまう。みんなにはいつも笑顔でいてもらいたいからな。

 それは雪穂だけではなく、新しくμ'sに入った亜里沙もそうだし、そしてコイツも……もう流石に自分の妹のあんな顔は見たくない。おっと、これじゃあシスコンと思われてしまう!!

 

 

「それでどうだった?みんなと力を合わせて謎を解いた感想は?」

「楽しかったです!!こんな感覚久しぶりかも……あっ、また敬語使っちゃった」

「別に慣れないならそのままでもいいぞ?亜里沙だって敬語抜けてないし、そもそも海未は敬語だしな」

 

 

 雪穂も亜里沙も礼儀正しい子だから、先輩に対して敬語が抜けないのも無理はない。むしろそれが彼女たちの持ち味で、彼女たちの特色だとしたらそれを無理に消す必要はないんだ。それに海未は常に敬語だし、花陽もよく敬語になるからこんなことを言うのは今更かもしれないがな。

 

 

「え~~私はぁ?」

「お前の辞書に礼儀なんて言葉はないだろ、この小悪魔め」

「あれれ、バレてた!?」

「バレバレだよ!!」

 

 

 このやりとりで一斉に笑いが起きる。スクールアイドルμ'sのメンバーでここまで一緒に笑ったのはこれが初めてだ。これなら雪穂は絵里たちとも一緒にやっていけそうだな。この俺が言うんだから問題ナッシング!!

 

 

「零君」

「ん?どうした雪穂?」

「あ、ありがとう!!私、みんなと一緒に力を合わせて頑張ってみるよ!!」

「そうか……俺も応援する。でも、何かあったらすぐに相談しろよ。お前は一人じゃないんだ。いつでもどこでも助けてやる」

「うん!!本当にありがとうございますっ!!」

 

 

 そして雪穂の満面の笑顔を見るのもこれが初めてだ。μ'sのメンバーはもう揃っていたけど、μ'sメンバーの『笑顔』はようやく全部揃ったな。俺の意図を読み取って、雪穂を謎解きの会話に引き入れてくれた楓と真姫にもあとでお礼を言っておこう。

 

 

 

 

 この前スタート地点に立ったばかりだが、もしかしたら今からが出発なのかもしれないな。

 

 

 

 

 よ~し!!ここからが、本当に本当の新生μ'sスタートだ!!

 




 一応ただの謎解き回じゃなくて、雪穂にとってはかなり重要な回となりました。小説中にもあった通り、ここからが本当の出発なのかもしれませんね。


 今回の問題はどうだったでしょうか?弓道場を選んだ理由はμ'sメンバーの名前を使い、かつ学校にありそうな場所ってそこしかなかったんですよね。特に『つ』を含む名前のメンバーが誰もいなかったので、『○○室』とできなかったのがとても苦労しました。


 次回からはまたドタバタ劇に戻ります。事前に『日常』の第29話、『神崎零の災難な1日』を読んで予習しておくと何かあるかもしれませんしないかもしれません(笑)


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神崎零の災難過ぎる朝

 最近ラブライブの小説が増えてきて、私も色々と読みあさっているのですが、その度にこの小説って他の方のラブライブ小説よりかなり異質な気がしてなりません(笑)


 

 

『今日の運勢、第一位はいて座のあなたです!』

 

 

 たとえ占いに全くの興味がなくても、朝の情報番組で2、3分流れる星座占いを見てしまう人は多いのではないだろうか。朝食を取りながら見る人もいれば、出かける身支度をしながら見る人、それも終わって家を出る時間まで多少ウトウトしながら見る人もいるだろう。特に暇ではないが、忙しくもない。ついつい他事をしていてもチラッと見てしまうのが、朝の占いというものだ。

 

 

「一位だ……」

 

 

 俺も希の占いをバカにするぐらい興味ないが、パンをかじりながらついついそこだけは見てしまう。自分の星座が上位に君臨すれば、少しだがホッと安心する。説明はできないが、微妙な嬉しさがこみ上げてくるのは俺だけか。

 

 ちなみに俺はいて座で今日の占いは1位であった。

 

 

『いて座のあなたは、想っている異性に向かって行動するチャンス!あなた自身を存分に見せつけて、異性のハートをぎゅっと鷲掴み!ただし突然のハプニングにはご注意を!』

 

 

「うさんくさ……」

 

 

 元々占いコーナーの時間自体が短いのは分かるが、曖昧なことを言ってお茶を濁すのは止めてもらいたい。だが朝の占いコーナーなんて家を出る頃にはだいたい忘れているのがオチである。

 

 

「着替えよ……」

 

 

 少しウトウトしながらも、朝食を食べ終える頃には自分の占い結果など記憶の彼方で……

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

 あれ?これってなんかデジャヴ?前にもこんなことがあったような気がするし、ほぼ同じセリフを喋ったような気もする。しかも今日の『異性のハートをぎゅっと鷲掴み!』ってやつ、もう既に俺は穂乃果たちのハートを掴んでいるから関係ないな。ハプニングが起きることもないだろう。所詮占いは占いだ、当たる方がどうかしている。

 

 眠くてそんなことを考えるのもメンドくさくなったので、とっとと2階に上がり自分の部屋へと直行する。眠気でウトウトしながらも、部屋のドアを開け放つ。すると――――

 

 

「な゛っ!?」

「お、お兄ちゃん!?た、食べ終わるの早いね……」

 

 

 そこには俺のベッドで寝ている楓の姿があった。しかも俺の枕に顔を埋めて……

 こういう時ってどうしたらいい?自分の妹が兄の枕をクンカクンカしている姿を見てどう対処すればいいのか、最良の選択を教えて欲しい。

 

 

「着替えるから出て行け……」

「えぇ~!?い・や♪」

「相変わらずウゼェな……いいから出て行け!!」

「きゃあっ!!」

「な、なにぃ!?!?」

 

 

 ミノムシのように布団にくるまっていた楓から衣を抜き取ったら、そこには衝撃的な姿が映し出された。

 下着姿ってお前……俺の布団と枕でナニをやっていたんですかねぇ……!!

 

 

「きゃぁ~!!お兄ちゃんのエッチぃ~!!」

「うるせぇ!!妹のそんな姿を見ても興奮しねぇよ!!とっとと着替えて出て行け!!今日お前日直だから早く家を出るって言ってただろ!!」

「くそっ!!日直なんて亜里沙に押し付けてくればよかったよ!!」

「やめろやめろ」

 

 

 使えるものは友達でも使う、それが楓クオリティだ。

 それにしても容姿端麗、スタイル抜群なだけあって下着姿は中々様になっている。これが妹でなければ今ここで襲っただろうがな。

 

 

 ん?これってもしかして朝の占い効果?でも今回俺は何もしていないけど……もう俺クラスになると勝手に向こうからハプニングが舞い込んでくるのかもしれない。もしかしたらちょっぴりアレな展開も訪れるのではないかと予想しちゃったり、しなかったり。何なら『R』指定の展開でも構わんぞ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 朝から一騒動ありバッチリ目が覚めた俺は、一人でトボトボと登校をしている。春というのは『暖かい』というイメージが強いが、意外と天気が崩れやすく気温の変化も大きい季節だ。特に今日は最近の中ではかなり寒く、雲が俺たちと青空を遮断している。遂に春も反抗期に入ったか。

 

 

「あっ、零君じゃん!!おはよう!!」

「おはよう零君」

「穂乃果に雪穂か、おはよう。お前ら朝から元気だな」

 

 

 俺の家と穂むらが近いこともあってか、登校時はコイツらとよく出会う。いつもなら大抵楓もいるため、穂乃果と合わさり朝からうるさいことこの上ない。朝ぐらい俺もゆっくりしてぇよ……

 

 

「おい穂乃果、そんなに走ると危ないぞ」

「大丈夫大丈夫……って、うわぁ!!」

「ちょっ!?お前!!」

「あうぅっ!!」

「いてっ!!ほら言わんこっちゃない!!」

 

 

 案の定穂乃果はつまずいて転んでしまったが、何とか俺が下敷きとなったため地面との接触は逃れられた。ていうかいきなりハプニングが舞い込んできたんですがそれは……

 

 

「イタタ……ありがとね零君。下敷きになってくれて……え?」

「ん……?あっ……」

 

 

 あっ、この柔らかい感触はあれだ、穂乃果の"ほむまん"だ。なんて下ネタみたいなこと言っている場合じゃねぇ!!俺は穂乃果を受け止めようと両腕を前に出してそのまま倒れてしまったため、穂乃果の胸を両手で鷲掴みにしていたのだ!!

 

 これは……触り続けよう。

 

 

「あっ、零君ダメだよ……」

 

 

 て、抵抗されない……むしろもっとやって欲しいかのように恍惚な表情で俺を見つめてきやがる。くそっ!!そんな目で見られたら俺も引けねぇじゃん!!そうだよ!!俺たちは恋人同士なんだ!!弄り合って何が悪い!!

 

 

「……ん?殺気!!」

 

 

 隣から尋常ではないほどの殺気を感じたため、俺は首を顔1つ分横へ動かす。その瞬間だった、耳元で地を揺さぶる衝撃音が聞こえたのは。

 

 

「チッ、外しちゃった……」

「ゆ、雪穂……さん?」

 

 

 俺の顔のすぐ横には雪穂の靴があり、地面との接触面からは煙が上がっていた。雪穂の踏みつけ攻撃は道路にはヒビが入るほどの威力なのか……?さっきもの凄い音がなったけど、もしかして雪穂って人間辞めてる?

 

 

「惜しかったなぁ~、もう少しで鼻の高さがマイナスになる人の顔を拝めたのになぁ~」

「こえぇよお前!!」

 

 

 雪穂のツッコミスキルは前回の一件以降より鋭くなっている。特に俺に対するツッコミは容赦がなく、海未同様の制裁を加えてくることもしばしば。こうなるんだったらクイズなんて出さなきゃよかった……

 

 

「れ、零に穂乃果!?何をしているんですか!?」

「ま、まさか2人ともこんなところで……きゃぁ~~大胆♪」

 

 

 とてもバッドタイミング!!海未とことりまでやって来てしまった!!

 海未は相変わらずこのようなことに耐性がないのか顔を赤面させているし、ことりに至ってはまた妄想の世界に入り込んでしまっている。制止役の海未が来てくれたことに喜ぶべきか、ことりの妄想に巻き込まれることに恐怖するべきか、どちらのせよカオスな状況になることは間違いない。

 

 

「あっ、海未ちゃんにことりちゃん、おはよ~」

「『おはよ~』じゃありません!!どうして零の上に跨っているのですか!?」

「ちょっとドジっちゃって……アハハハ……」

 

 

 それでもなお俺から離れようとはしないんだな。恋人として嬉しいのやら、このままだとまた制裁をもらいそうで悲しいのやら……

 雪穂もさっきから冷たい目で俺を見下してくるし。もっと後輩から慕われるような先輩になりたいものだ。もう遅い?

 

 

「零君もいつまでもそんなところで寝てないで早く起き上がりなよ」

「そう思うなら、まずお前のお姉ちゃんを引き剥がしてくれ……」

「ほら、お姉ちゃん!!零君が困ってるよ」

「えぇ~離れちゃうの~?」

「じゃあこの続きはまた今度な」

「わ~い♪」

 

 

 穂乃果は可愛い!!(確信)

 今突発的に続きとか言っちまったけど、この先って何をすればいいんだ?もしかして男女の営みってやつか。まさか高校生でそんなことを……

 

 

 そこで俺はなんとなしに穂乃果を眺めた。

 

 

「ん?」

 

 

 ぐふぅっ!!キョトンとした顔で首をかしげている穂乃果が可愛すぎて萌え死にそうだった。首を傾けた時に自慢のサイドポニーが揺れるのも可愛い

。もう営んでいいんじゃねぇかこれ!!海未や雪穂がいなければ、俺は間違いなく穂乃果に飛び込んでいただろう。

 

 

「いいから早くそこから離れる!!」

「ちょっと!!首根っこ掴むな!!分かった分かった!!」

 

 

 雪穂は俺の首根っこをガシッと掴み、そのまま横たわっていた俺をグイッと持ち上げた。

 コイツのどこにそんな力があるんだよ!?やっぱり人間辞めてるじゃん!!

 

 

「さっきの続きとは……一体どういうことです?」

「え゛っ!?さ、さぁな」

「とぼけても無駄ですよ。この耳ではっきりと聞きましたから」

 

 

 YA・BA・I!!以前海未からプライベート以外では健全なお付き合いをするように言われたばかりだ。つまりこれだけ女の子と密着し合うのは完全にアウト!!しかも胸まで触ったとコイツに知られたら……

 

 

「零君がさっきまでお姉ちゃんの胸を触っていました」

「オイ雪穂ォ!!なんで言っちゃうんですかねぇ!!」

「零君は一度反省した方がいいよ」

「ドS過ぎる!!そんなに俺が痛み付けられるところを見たいのか!?」

「見たいですよ、変態にはいい薬ですからね♪」

「あっそう……」

 

 

 やっぱり雪穂はドSだった!!しかもニヤニヤしやがって……明らかに俺で遊んでいるだろコイツ。いずれ、いずれ絶対雪穂を快楽の底に沈めて弄んでやる!!俺の復讐は怖いぞ!!

 

 

「零、覚悟はいいですね?約束を破った罰はしっかりと受けてもらいますから」

「そうはいくかよ、俺には奥の手があるんだ」

「奥の手……?」

「ことり!!助けてくれぇ~!!」

「――ってことり頼りですか!?」

 

 

 このような戦争が起きた時は大体大天使ことり様が助けてくれるんだ!!むしろ助けてもらわなければ困る!!久々に"いつものオチ"で終わりそうだからな!!

 どうでもいいけど、『久々に』と『いつもの』って矛盾してるよね?

 

 

 それはさておき、雪穂に首根っこを掴まれたままの俺は身体を捻って雪穂の拘束を解き、そのままことりの方向へ向き直る。だがそんなその一連の行動に俺の身体が着いて来ず、俺は自分の脚をもう片方の脚に引っ掛けてしまった。

 

 

「うわっ!!」

「れ、零くん!?」

 

 

 今度は俺がことりに向かって倒れ込んでしまう。しかしことりの柔らかいクッションのお陰で俺たちは地面に倒れることはなかった。あれ?柔らかいクッション?ことりって枕なんて持ってきてたっけ?合宿にはマイ枕を持参していたのは知っているが、学校に持ってくるものではない。じゃあ俺の顔に当たっているこの柔らかいモノはもしかして……

 

 

「零くんとても大胆だね♪」

「こ、これってことりの……」

 

 

 穂乃果よりも大きいことりのクッションのお陰で何とか命拾いした。

 それにしてもことりのクッションは柔らかい。このままこのクッションで眠りたいぐらいだよ。もうこの話はこれで終わっていいですか?ダメですか、はい……

 

 

「きゃっ!!零くんくすぐったいよぉ♪」

「じゃあもっと顔をうずめてやろう!!こんなけしからん胸をしやがって!!」

「きゃぁ~♪」

 

 

 これ傍から見たら明らかに犯罪者なのではなかろうか?今まさに海未や雪穂に通報されるだけで人生が終わってしまうような気がしてならない。ことりもことりでかなり乗り気だし、このまま突っ切ってやろうか?

 

 

「いいなぁ~ことりちゃん。穂乃果も零君の枕になりたいよ」

「その発言は色々と危ない気がするぞ……」

「カモン零君!!穂乃果も枕になってあげるよ!!」

「ダメぇーー!!零くんの枕になるのはことりだもん!!」

「ことりちゃんばっかズルいよ!!零君は穂乃果たちの共有財産だよ!!」

「ちょっと待て、せめて人扱いしれくれ」

 

 

 たまにあるんだよな、穂乃果とことりが俺を奪い合うことが。そこでプチ修羅場になるのだが、大概海未に止められて有耶無耶にされてしまう。そして犠牲になるのは何故か毎回俺。俺なら殴ってもいいという風潮をまずどうにかしたい!!

 

 

「ねぇ海未ちゃん」

「何ですか雪穂?」

「毎回こうなるの?」

「えぇ、穂乃果とことりが争うこともたまにありますね」

「これは誰が悪いの?」

「とりあえず、零のせいにしておけば問題はありません」

 

 

「待て待て待て!!聞こえてるからな!?淡々と会話してるけどぜぇーーんぶ聞こえちゃってるから!!」

 

 

 さっきのに加えて、全部俺のせいにしておけばいいという風潮もどうにかしたい!!

 海未と雪穂は、影で俺の命を狙っているかのように淡々と会話を繰り広げていた。これではいつW制裁が来てもおかしくはない。この状況を切り抜けるには……

 

 

「穂乃果!!ことり!!なんとか……」

 

「いつまで零君の枕になってるの!!穂乃果も零君を抱き枕にしたいよ!!これから常時携帯するぐらいにはね!!」

「ダメダメ!!いくら穂乃果ちゃんでも渡せない!!このまま零くんを持ち帰って、一生ことり専用抱き枕にするんだもん!!」

 

 

 さっきからこの2人の会話がスゴイことになっているんですけど……むしろスゴイというか怖い。『常時携帯』とか『一生』とかヤンデレじゃないんだからそんな恐怖を煽るような発言はやめてくれ!!冗談、だよね……?

 

 

「じゃあ零君に決めてもらおうよ!!ねぇ零君!!」

「な、なんだよ!?」

「穂乃果の胸とことりちゃんの胸、どっちが気持ちよかった?」

 

 

「「「はぁ!?」」」

 

 

 これには俺だけでなく海未と雪穂も同時に驚いた。

 何を言っているのでしょうかこの穂むらの娘さんは?どっちが気持ちよかったって?そりゃあどっちも気持ちよかったに決まってる。ことりの柔らかなクッションみたいな胸もよかったが、穂乃果の胸の揉み心地もよかった。決められねぇよそんなの!!ここでバシッと決められたら、そもそも9股なんてしないだろ!!

 

 

「零くんどっち!?ことりたちに気を使わなくてもいいんだよ!!」

「そんな簡単に決められるわけ……」

「「決めるの!!」」

「はい……」

 

 

 これってどっちか選んだらもう一人の方は確実に不幸になってしまう。俺としては彼女たちのそんな顔は見たくない。だけどどっちか選ばないと海未と雪穂から制裁をもらう前に、穂乃果とことりから何かされてしまいそうだ。考えろ……どっちも幸せにしてあげられる方法を。

 

 

「もうその辺りにしておきましょう。下手をしたら零が暴走してしまいそうですしね」

「零君ってこんなに変態さんだったんですね……」

 

 

「ちょっと黙っててくれないか貧乳組!!俺は今穂乃果とことりを同時に幸せにする方法をだな……」

「…………」

 

 

 あれ?俺さっきなんて言った?しかも何かが切れた音がしたような。正確に言い換えるなら『キレた』と文字を変えるのが適切か。

 自分の思考と神経をこの状況打破のためにすべて注いでいたため、海未と雪穂に対する言葉が突発的なものになってしまった。だが時すでに遅し……このキレた音は間違いなく、その2人のものだ。

 

 

「…………」

「…………」

 

「お、お二人さん?何か喋ってもらわないとこちらも対応が……」

 

 

 海未と雪穂の表情は、前髪で隠れて全く見えない。それがますます俺の恐怖を引き立てる。

 そしてもうここは戦場なんかじゃない。一歩的な殺戮が行われる処刑所と化した。自分でも俺自身が絞首台への階段の一歩一歩を辿っているのが分かる。

 

 

「穂乃果、ことり……助けて……ってなんでそんな遠くにいるの!?裏切ったな!!!!」

 

「あーもう学校に遅れちゃうよーー」

「今日も楽しい一日になるといーねー」

 

「棒読みすぎるだろ!!何しれっと2人だけで登校しようとしてるんだ!?俺を無視すんな!!」

 

 

 アイツら……海未と雪穂のブラックオーラに怖気づいて逃げやがった!!さっきまで喧嘩してたんじゃねぇのかよ!!もう仲良く話してるし!!俺のことは完全無視かそうなんですね!!

 

 

「じゃあ俺も学院に行こうかな……」

「待ちなさい……話はこれからですよ」

 

 

 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!

 海未に掴まれている肩の骨が今にも破壊されそうでもの凄く痛い。今2人がどんな表情をしているのかは分からないが、それを確かめるために後ろを向いたら最後、命はないかもしれない。

 

 

「海未ちゃん……よくこんな先輩と付き合ってるね」

「全くどうしようもない人で困ってますよ。これは彼女として、徹底的に彼氏を更生させる必要がありますね」

「私も参加していい?」

「いいですよ。雪穂もこれを機会に零を痛みつける快感を覚えるといいです」

 

 

 明らかに『更生』=『殺戮』となってやがる!!逃げようとしても海未が肩を掴む力は凄まじく、一歩たりとも動くことができない。だがヤンデレとなったみんなを救い出したのはこの俺だ。こんな状況、あの頃に比べたら屁でもない!!今から誰も傷つかずに終わる方法を実践してやる!!

 

 

「ひ、貧乳だって需要はあるさ……」

「一応遺言として聞いてあげましょう」

 

 

「俺が揉んで大きくしてやることで、胸の成長過程が楽しめるだろ?大きくなるならお前らもハッピーじゃないか!!そして俺も役得役得で両方幸せに……」

「最低ですね……最低」

「終わりなら、もういいですよね?」

 

「へ?」

 

 

 

 

 そして、俺の命がまた1つ散っていった……。

 

 

 貧乳でも別に気にしないのに……。

 

 

 

 

「まだ言いますか!!」

「聞こえてんのかよ!?!?」

 

 




 恋人同士になったんだからできるネタもある!!そう思っていたのですが、結局いつものオチに収束してしまいました。どこかの「いちゃこら」している平凡君みたいに自然な流れでイチャイチャできればいいんですけどね(笑)

 折角9股告白でハーレムを築いたのだから、そのようなネタもいずれは?そういえばこの小説以外にも9股告白した小説があるとかないとか……是非これを機に探してみてください。9股告白なんて最低ですね!!(自虐)



 以下は全くもって蛇足です。今まで温めていた零君設定集となります。シリーズ累計130話にもなりますから、設定だけでなく文字数がかなり多くなったので暇な方だけどうぞ!!ちなみにシリアスを避けたい方のため、これを読めば『非日常』を読んだ気になれます(笑)


~登場人物紹介:その1~


神崎零(カンザキ レイ)

 『日常』『非日常』『新日常』の主人公。『日常』『非日常』では高校2年生、『新日常』では高校3年生。学院廃校の知らせを受け、たった一人でその解決策を考えていたところに、同じく廃校阻止のために動いていた穂乃果たちと意気投合する。それからスクールアイドルとして活動する穂乃果たちのサポートにあたることになった。

 学業は優秀で、海未や真姫に勉強を教えることができるほど。運動神経抜群、容姿端麗で周りからも評価されるほど完璧な人間で、零自身もそれをよく自慢する。だが性格にはそれをも覆すほど難がある。

 性格は自分でも認めるぐらいの『変態』であり、特にμ'sメンバーに対して容赦はない。だがあくまで紳士的に振る舞うことを信念にしており、彼女たちが本気で嫌がることは絶対にしない。しかし感情が高ぶったときはかなりドSになり、相手が拒否してでも無理矢理手を出す外道っぷりも垣間見える。

 特技は女性のスリーサイズを瞬時に見極めること。これによりμ'sのメンバーはダイエットをせざるを得ない。また記憶力がよく、知識の海と言われるほど様々なことに精通している。例えば弓道部員の海未とほぼ同じぐらい弓道の知識があるなど。さらに咄嗟の判断力や、みんなをまとめるカリスマ性も目を見張るものがある。

 趣味はμ'sのメンバーを弄ぶことと写真を撮ること。本人は記念撮影や思い出と偽って穂乃果たちの写真を撮っているが、明らかに違う用途で使用されている。また極度の妄想グセがあり、妄想が限界に達すると口から言葉として漏れてしまう。それが原因で幾度となく制裁をもらっている。

 家族に姉(神崎秋葉)と妹(神崎楓)がいるが、それぞれ癖の強すぎる性格なため彼曰く、この世で一番会いたくない人たち。零が恐れる唯一の存在である。

 行動派な性格のため、『彼に任せておけばすべてが上手くいく』と言われるほど。その言葉を証明するように、μ'sメンバーが落ち込んだり葛藤したりしたときは必ず手を差し伸べ、彼女たちを導いてきた。μ'sのメンバーを集めたのは実質彼である。穂乃果たちにとってはそれが心の支えとなり、μ'sとして活動する気力の1つでもある。

 そのことからμ'sのメンバー全員から好意を向けられるが、当初は彼女たちから自分に好意を向けられることには慣れておらず、アプローチを仕掛けられても一部曖昧な対応で切り抜けていた。

 そんな完璧と称される彼だが、その性格がゆえ何事にも首を突っ込んでしまう。μ'sメンバーの心に勝手に入り込み、引っ掻き回したせいで彼女たちの恋心を歪んだものにしてしまった。それがμ'sメンバーをヤンデレ化させてしまう要因となる。

 ヤンデレ化した穂乃果たちは零を巡って互いに争い合い、それはまさに殺し合いであった。しかし零は自分の犯した過ちを反省しながらも彼女たちを一人、また一人と救い出し、死者・重症者が0という快挙を成し遂げる。

 その途中、この事態に陥った原因は自分だということに葛藤し、自分の身体が傷ついてでも仲間を助けるという捨て身の精神を持ってしまう。みんなを助けたいという想いだけが先行し、自分自身を殺してμ'sだけを守るロボットのような存在になってしまった。そのせいで彼から笑顔が消えてしまったが、今度は彼に助けられた穂乃果たちに助けられ、彼も再び笑顔を取り戻す。その一件以降は『μ'sは自分が引っ張っていく』のではなく、『自分を含めたみんなで引っ張っていく』ことを決意する。それと同時に穂乃果たちへの想いを改め直し、なんと9人同時全員に告白する。だが穂乃果たちはすんなりとそれを受け入れ、μ'sのメンバー9人全員と恋人関係になる。

 進級後、欠員となった新生μ'sのメンバーを集めることにも貢献。μ'sを見下していた楓や周りに馴染めない雪穂を、μ'sというグループがなんたるかを教える形で導いた。ちなみに雪穂と亜里沙が正式なμ'sのメンバーになったことで、セクハラの対象が彼女たちまで拡大した。




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私はあなたを想って、夜な夜な一人でヤっちゃうの

 タイトルに釣られてこの話を読もうとしている方、この話ではその想像力を存分にお使いください!!

 そして本当にラブライブのキャラが好きな人は読まない方がいいと思いますよ……タイトル通り割とブッ飛んだ内容になっていますので。


 

 

「クソ野郎……アイツまた俺にイタズラしやがったな……」

 

 

 もう何度目か分からない、史上最悪の姉にまたしてもイタズラをされてしまった。朝起きたら俺にメガネが装着されている。以前にも同じようなことがあり、その時はまさかの爆発オチで近所の人から不審がられる事態にまで陥ってしまった。

 

 

「例のごとく外せないわけね……」

 

 

 どれだけメガネを動かしても絶対に外れない謎の構造にため息を付きながらも、毎度毎度のことなのである意味で慣れてしまっている。こんな日常に慣れてしまうとは相当毒されているな、俺。こうして冷静に物事を対処できるようになったのも、すべては神崎秋葉とかいう害悪人間から散々オモチャにされたお陰だろう。今まさにアイツの不敵な笑みが頭に思い浮かぶ。ああ憎たらしいっ!!

 

 

「このメガネ、無駄にカッコいいのがムカつくな。ダサイよりかは全然マシだけどさ……」

 

 

 俺に掛けさせるメガネということでアイツもある程度勉強しているのか、鏡で自分の顔を見てみると意外と似合っている。周りから見ればごく普通の一般的なメガネにしか見えないが、俺にとっては核兵器のような恐怖の代物だ。またいつ爆発するか分からんぞ……

 

 

 するとここで突然、ピピピッと謎の音が聞こえてきた。

 

 

「ん?メガネから音が……またレンズに文字を映し出す機能を付けてんのか」

 

 

 アイツのことだ、この音も俺にしか聞こえないように調整されているのだろう。どうしてそこまでの技術があるのにも関わらず、毎回俺で遊ぶんだよ……天才っていうのはよく分からん。

 

 なんて考えている間にレンズに文字が表示された。

 

 

『やっほー☆やっと起きたね♪お姉ちゃんだよ~♪』

 

 

 ウゼェ……文字だけで秋葉のウザさがヒシヒシと俺に伝わってくる。

 それよりこのメガネ、起きている人間と寝ている人間を識別できるのか……そこは素直にスゴイな。

 

 

『このメガネは零君が好きな女の子が、先週何回自分磨きをしたのか分かるようになるんだよ♪』

 

 

 じ、自分磨き!?!?恐らくコイツが言いたいのは『自分磨き(意味深)』ということだろう。つまり何が言いたのかと言えば……夜ベッドの上で一人でアレをすることだ。

 

 

『これで穂乃果ちゃんたちが零君のことを想って、夜ベッドの上で一人エッ○をしていたのか丸分かりだね♪やったねこのモテ野郎!!』

 

 

 アウトォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

 伏字になってなかったらこの話はこれで終わってしまっていたからある意味ではセーフかもしれないが、やっぱりアウトだコレ!!あの穂乃果たちが一人で!?そんな馬鹿な!!しかも俺なんかでそんなことを……ちょっと見てみたいかもしれないと思ったのは内緒にしてくれ。

 

 

『ちなみに全員分確認するまで外れないようになってるからヨロシク☆それに学院に行かないとか、邪道な選択肢を取るとすぐに爆発するからね♪』

 

 

 また面倒なことに巻き込まれてしまったが、さっきも言った通り気になってはいる。あの穂乃果たちが、あのキラキラした笑顔の穂乃果たちが、どれだけ俺を妄想で使ってくれているのか割と興味が出てきた。

 これが変態ゆえの考えなのか?いや!!男だったら当然の考えだ!!まぁ男は全員変態だから、俺のこの考えも普通だろう。

 

 

「とりあえず学校に行くか……不本意だけど」

 

 

 この秋葉の手のひらの上で踊らされている感じが非常に腹が立つ!!でも今回だけは許してやろう!!俺も興味があるからな。怖いのは爆発オチになることぐらいだろう。

 

 

 本日日直の俺は楓を置いて家を出た。どちらかといえば、このメガネで楓の自分磨きの回数を見たくないというのが本音なのだが……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 自分磨き、秋葉の言葉で言えば一人エッ○、俗に言うオ○ニーなのだが、そんな汚らわしくも至高な行為をμ'sのメンバーの中でやっている奴なんているのか!?気になるところであるが、とてつもなく犯罪臭がしてならない。特に花陽や亜里沙など純粋無垢な子に至っては、その回数を見るのも恐れ多い。

 

 そのため誰の回数も確認できずに昼飯の時間になってしまった。また周りからは俺がメガネをしているのが珍しいのか、よく話し掛けられる。その時は『イメチェンだよ』と言ってテンプレ化しておいた。

 

 

「零君お昼ご飯食べようよ!!今日は穂乃果がお弁当作ってきたから!!」

「そ、そうだな……」

 

 

 そろそろ確認したほうがいいのか?いつかはこのメガネのボタンを押して、穂乃果たちの自分磨きの回数を確認しなければならない。俺はまた犯罪者への道を一歩踏み出してしまうのか……

 

 

「どうしたの?もしかしてお腹空いてないの?」

「空いてるよ!!いつもお腹ペコペコ魔人のお前と一緒にすんな!!」

「そんなことないもん!!それを言うなら花陽ちゃんの方が食べてるよ!!」

 

 

 それはそれでどうかと思うぞ……ていうか本人がいないところで何言ってやがる!?

 そんなことは置いておいて、もう確認しよう!!決心した!!いざ確認するとなると罪悪感が半端ではないが、俺もいつまでもこんな爆発しそうなメガネを着けていたくはない。自分の身体にダイナマイトを装着しているようなものだからな。

 

 

 よし、押そう……。

 

 

 これで遂に穂乃果が先週行った自分磨き、言い換えれば一人エッ○、俗に言うオ○ニーの回数が暴露されるぞ!!

 

 

『高坂穂乃果:2回』

 

 

 に、2回もやっているのか……妙に現実的な回数で思っていたよりも衝撃は少なかったが、彼女たちのプライベートを覗いているようで興奮はしてくる。それよりもこれ反応に困るんですけど!!

 

 2回ってことは3、4日に1回か、まぁ妥当なところだな。女子高校生が週に平均何回自分磨きをするのか、なんてものは知らないから何とも言えないが……

 

 

「早く食べてしまいましょうか。生徒会の仕事も溜まっていますし」

「そう言えばそうだったな。でも俺は生徒会役員じゃねぇぞ」

「えぇ~!!ことりたちと一心同体で頑張るって言ってくれたのに~!!」

「あれぇ~記憶の改ざんが行われているような気がするぞ……」

 

 

 海未とことりも俺の席にやって来た。

 もうやっちまったのなら仕方がない!!コイツらの回数も白日のもとに晒してやる!!もうここまで来たら帰ることはできないからな!!

 

 

『園田海未:1回』

 

 

 い、1回!?正直言って海未のことだから、自分磨きなんて無縁なものだと思っていた。でも俺のことを想って自分磨きに浸っている海未を想像すると……ヤバイヤバイ鼻血ものだぞこれは!!

 

 さぁ次は……

 

 

『南ことり:7回』

 

 

「ブッーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「な、なに!?汚いよ零君!!」

「どうしたのですか!?急に吹き出して!?」

「とりあえずお口拭こう?」

 

 

 ことりは"自分"のハンカチで俺の口を拭ってくれた。そのハンカチは頬っぺを突っつき合った時と同じものだ。そしてそっとポケットに入れやがった。まさか、それを夜な夜な使うんじゃねぇだろうな!!

 7回ってお前……1日1回やってるのか。嬉しいけど複雑な気分だわ!!あのことりが……大天使のイメージが……いや、このメガネが不良品である可能性に賭けよう。大天使がそんな俗に塗れたことをするわけ…………あるかも。今のことりならば……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「いやぁ~、これは意外にもショッキングだな……」

 

 

 昼飯を食べ終え、生徒会仕事から逃げてきた俺は中庭まで来ていた。とりあえず緑に囲まれて、俺の俗に塗れた心を浄化してもらおう。これだけショッキングな出来事が続くと、全員分確認をするまで心が持たないような気がしてきた。

 

 

「あっ、零くんだにゃ!!今からお昼ご飯?」

「凛!?花陽も真姫も……お前らこそ今から?」

「さっきまで体育の授業だったから、片付けや着替える時間で遅くなっちゃたんだ」

「4時間目に体育はやめて欲しいわよね」

「そうか、そりゃあご苦労さん。流石に俺はもう食べちまったよ」

 

 

 もちろん俺の彼女であるこの3人も確認の対象に入っているだろうな。凛と真姫の回数ならまだ抵抗なく見ることはできそうだが、花陽の回数は正直言って見たくない。俺の天使たちが次々と秋葉によって汚されていくのは勘弁だからな。

 

 

「れ、零君どうしたの!?私の顔に何か付いてる!?」

「い、いや別に!!ただ可愛いなぁって思ってさ」

「ふぇええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」

 

「今日はいつにも増して『え』の数が多いにゃ」

「あなたいつも数えてるの……?」

 

 

 今にも沸騰しそうな花陽は置いておいて、先にこの2人から見てみよう。もうさっきの穂乃果たちである程度の耐性は付いたから、多分取り乱すことはないと信じたい。

 

 

『星空凛:1回』

 

 

 なんか……すごく安心した!!あの中身が乙女チックな凛が自分磨きをやっていることにも驚きだが、それ以前にことりの衝撃が大きかったため凛の数字が健全な数字に見える。

 でもあの凛がねぇ……やっぱり彼女も女の子だったってわけだ!!凛の想像に俺を使ってもらえて少し誇りに思える。

 

 そして次は……

 

 

『西木野真姫:3回』

 

 

 おぉう……結構ヤってるのねお嬢様。意外とこういうことに無縁そうに見える奴ほど案外性欲が強いもんだ。割とキスも積極的だしな。やっぱり普段μ'sの練習だけでなく作曲も忙しいから、こういうこと手を出しちゃうものなのかもねぇ……

 もちろん驚きの数字ではあるが、やっぱりことりがな……真姫も相当だけど。

 

 

 そして次は花陽だ。これも俺が背負っている爆弾を取り除くためなんだ、許してくれ!!

 

 

『小泉花陽:0回』

 

 

 俺は思わず二度見した。え!?なんて書いてある!?ぜ、0回……?

 

 き、来たぞ!!天は俺を見放さなかった!!やっぱり花陽はどこまで行っても純潔の天使様だったんだ!!心でガッツポーズをするとはまさにこのことを言うのだろう。これほど嬉しさが込み上げたのはμ'sのラブライブ優勝の時以来かもしれない。ラブライブと天秤に掛けるのはどうかと思ったが、それほど花陽が純潔でいてくれて舞い上がってしまうのだ。

 

 

「じゃあ諸君!!俺はもう行くから!!アデュー!!」

 

 

 いや~!!清々しく気持ちいい!!やっぱり心配することなんてなかったじゃん!!このまま雪穂たちや絵里たちも確認し終えて、こんな忌々しいメガネとはオサラバしようじゃないか!!

 

 でもこうしてみると、ことりが段々と堕天使化してなくもないような……

 

 

「あっ、零君行っちゃったね」

「なんかテンションが変に高くて気持ち悪いにゃ……」

「まぁ、零がおかしいのはいつものことでしょ」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 こんなに気分が高揚したのは初めてかもしれない。気づけば俺は再び校舎の中に戻り、特別教室棟付近をウロウロとしていた。ここに来た理由は特にないが、身体が軽く今にもフワフワ飛んで行きそうなぐらいだ。人生の楽しさという悟りを開いてもいいかもしれない。

 

 

「お兄ちゃ~~ん♪」

「来やがったな害悪……」

 

 

 この一言で俺の高揚した気分が一気に地の底に落ちる。今一番会いたくない最悪の人物に会ってしまった。

 楓が入学してからというもの、家でも学院でもコイツの恐怖に晒されるので毎日気が重い。せめて学院内だけでもブラコンの発動を無効にできればいいのだが。俺にはこの嵐を止めるほど、体力は有り余っちゃいない。

 

 

「零くん?どうしてこんなところに?」

「亜里沙と雪穂もいたのか。俺は暇だから適当にふら~っとね。お前らは?」

「折角だから、この学院でまだ行ってないところを探検しようって楓と亜里沙が……」

「相変わらず2人に振り回されてるんだな……」

 

 

 家では穂乃果にこき使われ、学院では楓と亜里沙に振り回され、練習では俺にセクハラされ……ちょっとは雪穂を労わってやれよ!!穂乃果!!楓!!亜里沙!!

 

 

「なぁ~んだ、私の匂いを嗅いでここまで来たんじゃないのかぁ」

「そこまで俺の嗅覚は犬化していない」

 

 

 さっきからこのメガネのレンズ……という名の画面に小さく『6』という文字が映し出されている。真姫たちに会うまでは『9』だったから、この数字は確認しなければいけない人の残り人数なのだろう。そもそも亜里沙や雪穂は俺のこと好きなのか?特に亜里沙は花陽と同じ理由であまり回数を見たくない。あの亜里沙が自分磨きをしているなんて……ゴクリ。

 

 しょうがない、じゃあ雪穂から……

 

 

『高坂雪穂:0回』

 

 

 だよねぇ~~~!!雪穂って俺のこと目の敵にしてるもんね!!なんか自分で言うとすごく惨めな気持ちになるけど、流石に雪穂が俺のことを想って夜な夜な自分磨きをすることはなかったか。当然といえば当然かもしれないが、少し寂しかったりもする。

 

 次は……亜里沙にするか。

 

 

『絢瀬亜里沙:0回』

 

 

 ふぅ~~~~~~~~~~~~~~!!よかったぁああああああああああああああ!!

 純粋無垢、清純、天使、どれを取っても当てはまる亜里沙がマトモで本当によかった!!これ以上に安心できることがこの世にあるだろうか?いや、ない。このいつもキラキラしている彼女の目は、絶対に嘘をつかないんだ!!これからも地球上のすべての生物の、汚れた心を浄化する天使であり続けてくれ!!

 

 さぁ……楓もやっておくか……怖いな。

 

 

『神崎楓:8回』

 

 

「解散!!!!」

「えぇ!?お兄ちゃん急にどうしたの!?」

「もう解散だ解散!!俺はもう教室に帰る!!」

「折角だから零くんに案内してもらおうと思ってたのですが……」

「悪い亜里沙、いくら亜里沙でも今日だけは勘弁してくれ。俺の心の整理がつくまではな……」

「は、はぁ……」

「ま~た変なこと考えているんじゃないですか?」

「お前も失礼な奴になったな、雪穂」

 

 

 週8って……どこか1日に2回ヤってるってことじゃねぇか!!しかも兄貴を想い浮かべてだろ……?この複雑な気持ちはどうすりゃいいんだよ!!これからコイツをどんな目で見ればいいのか分からないくなってきたぞ……これはガチで近親相姦ルート!?いやいや、絶対に避けてやる!!

 

 

 そして俺は逃げるように雪穂たちから離れ、教室に戻った。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「おっ?絵里たちもう来てたのか」

 

 

 なんだかんだあって放課後、いつもの如く部室に入るとそこには既に絵里たち大学生組が待機していた。そういや今日は講義が終わるのが早いんだっけ?大学は高校までとは違って講義が終わる時間が毎日バラバラだから、ある意味で時間を作りやすいと言える。

 

 

「穂乃果ちゃんたちはどうしたん?」

「生徒会に顔出してから来るってよ。他の奴らは掃除当番だと思うぞ」

「ふ~ん、それよりアンタそのメガネ、珍しいわね」

「まぁ、たまにはイメチェンしようと思ってな」

 

 

 嘘です。最悪の姉に無理矢理装着させられました。しかも時限爆弾付きの高級メガネです。いつ爆発するか分からない恐怖に怯えています。

 

 

「アンタがメガネ掛けてると、普通にインテリっぽく見えるわね」

「いつもの俺はインテリっぽくないのかよ……」

「そりゃそうでしょ、変質者だし」

「そうね」

「そうやね」

「ひでぇなお前ら!!」

 

 

 超絶イケメン、歩くだけで女の子からモテモテの俺を変質者扱いするとは、彼女としてまだまだだ。普通の俺だと女の子がキャーキャー寄ってきて、学院が大パニックになるからな。仕方なくメガネを掛けて自主規制しているんだよ。

 

 もうここまで来たらこの3人の回数も見るしかない。もう何が来ても驚かねぇぞ。

 

 

『絢瀬絵里:4回』

 

 

 ハラショォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

 い、意外とヤってんのね……ロシアのクォーター美人は純日本人とは感覚が違うのかもしれない。でも海未や真姫、絵里のようなド真面目な人が、夜な夜な俺のことを想って自分磨きをしていると思うとこれ以上そそられるものはない。

 

 次は希かな?

 

 

『東條希:2回』

 

 

 聖母である希様もヤってらっしゃいますか……まぁ一人暮らしだからタイミングなんて腐る程あるとは思うが、希が自慢の豊満な胸を使いながら俺を想像していると考えると……ダメだダメだ!!さっきからμ'sのアダルトボディ2人に翻弄されまくっている!!このメガネで一番被害受けているのって、実はコイツらじゃなくて俺じゃない!?

 

 最後だ……頼むぞにこ、俺を安心させてくれ……

 

 

『矢澤にこ:6回』

 

 

 この矢澤ぁあああああああああああああああああああああ!!

 お前の家はアパートで、しかも妹2人に弟1人いるだろうがぁあああ!!何週6でやってんだぁあああああ!!しかも1日休んでいるのが無駄にリアルすぎて反応に困るわ!!

 

 

 あっ、レンズに文字が表示された。

 

 

『どうだった?自分の彼女たちの痴態は?まぁ一番頭を抱えているのは零君だと思うけど♪』

 

 

 ば、バレてる……アイツにすべてを見透かされてる……でも今日起きたことがショッキングすぎて怒る気になれない。

 

 

『くそぉ~羨ましいぞこのこのぉ~~☆9股+3股野郎♪というわけで、リア充は爆発ね♪』

 

 

「ちょっ!!ここで爆発はマズイって!!」

「はぁ?爆発?」

「い、いや何でもない……」

 

 

 ここでメガネが爆発すればにこたちを巻き込む危険性がある。それだけはなんとしても避けないと。どちらかといえば巻き込んでしまうという恐怖より、このメガネの仕組みがバレてしまうことが一番怖い!!

 

 それとさっきの『+3股』ってやつを後から秋葉に追求してやろう。俺はまだ一年生組とは付き合ってないぞ。しかも一人は妹だし。

 

 

「にこ、希、絵里……5分後に俺が戻って来なかったら、俺の骨を拾ってくれ」

「へ?ど、どういうことよ!?」

「お前らの純潔を汚した罰を受けに行くのさ……」

「でもえらく冷静やね?」

「男ってのはな、賢者モードっていうのがあるんだよ。あっ、もう時間がない!!じゃあさっきの約束忘れんなよ!!」

 

 

 

 

 その後、音ノ木坂学院の体育倉庫で謎の悲鳴が聞こえたと、しばらく噂が絶えなかったという……

 




 いやぁ~……なんかすみませんでした(笑)
 特にラブライブのキャラクターが好きな方には非常に申し訳ないことをしたなぁ~っと思ったり思わなかったり。今までで一番妄想が膨らんだのは確かですけどね!


 以下は完全に余談です。


 実は『日常』の頃からボツになった話がいくつかありまして、いくつかは超短編小説として活動報告にも投稿しているのですが、短編には収まらないボツ話もいくつはプロットだけはあるんですよね。今回はその話をいくつかご紹介。


タイトル:ラブライブ!RPG
あらすじ:零とμ'sメンバーが秋葉に騙されゲームの世界へ!!
ボツ理由:話が長いのと、変態要素が皆無、またドラクエ3を知らない人が楽しめない

タイトル:半額弁当争奪戦!リターンズ!
あらすじ:『日常』の半額弁当争奪戦の続き、主役は真姫
ボツ理由:戦闘描写がメンドくさい

タイトル:グレた花陽
あらすじ:零に煽られてヤンキーに道を歩む花陽
ボツ理由:同じ感じのssがある

興味がある、惹かれるタイトルはあるでしょうか?



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ことりの"愛"の日記

 今回はことり回!!ほとんどがことり視点でお送りします!!

 『新日常』になって零君にデレッデレなことりですが、それゆえ今回の話は中々に狂気です。意味が分からない?読めば分かると思いますよ……

 ちなみに今回の話よりも以前の話についても触れているので、『この話だけを見るぜ!』という方はご注意を。


 

 

4月6日(月)

 

 

 やったぁ♪また零くんと同じクラスになれたぁ!!穂乃果ちゃんと海未ちゃんも同じクラスで、またみんな一緒にいられるよ!

 事前にお母さんに相談して、裏で手を回してもらったから当然の結果といえば当然の結果なんだけどね♪

 

 そうそう、今日零くんとこんなことがありました。

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

「ことり、シャンプー変えた?すごくいい匂いがするんだけど」

「えへへ~~そうだよ♪こっちの香りの方が、零くん好きそうだったから」

 

 

 流石ことりの零くん!!ことりの変化にすぐ気づくなんて!!これは衣装代を少し削って、高級シャンプーを買ったおかげだね♪それは部費じゃないのかって?零くんに喜んでもらえるなら何でもいいんだよ!!

 

 

「確かに甘い香りは俺好みだよ。ナイスことり!!」

「ありがとう!!じゃあもっとことりの匂いを堪能して?」

「お、おい!!流石に引っ付き過ぎだろ!!また海未に怒られるぞ!?」

 

 

 普段のカッコいい零くんもいいけど、こうやって顔を赤くして照れている零くんも可愛いなぁ♪いつもは零くんから攻めてきてくれるから、こういう時だけはちょっと優越感。それにしても、零くんもいいにお~い!!

 

 

「大丈夫大丈夫!見つかったらその時だよ」

「海未を恐れないとは……お前も神経図太くなったよな」

「零くんが言ったんだよ、『海未を恐れてては、愛は深められない!!』って」

「それはそうだが……そこまで忠実にならなくても」

「ことりは零くんの言うことならなんでも聞くよ?」

「な、に!?!?」

 

 

 ことりは去年零くんにお世話になってたくさんのものをもらったから、今年は零くんにいーーーーーーーっぱい恩返ししてあげるんだ!だからどんどんことりを零くん色に染めちゃってもいいんだよ?

 

 

「いいのか……?どんなことでも……?」

「いいよ♪ことりに命令して?ご主人様♪」

 

「がはあっ!!!!!!」

 

「れ、零くんすごい鼻血!!輸血輸血!!」

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 なぁ~んてことがありました。もう全く……困った零くん♪これはことりがずぅ~っと隣で見守ってないとダメだね♪そう、隣でずぅ~~~~っとね……

 

 そうだそうだ、今日は新しい新入部員として雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんも入ってくれました!!また賑やかになりそうで楽しみ~!!そういえば零くんの妹の楓ちゃんも同じ学校なんだよね。もしかしたら楓ちゃんも入ってくれるかも!?ちょっと期待しすぎかな?

 

 

 

 よ~し!!今日は自分磨きをして寝ようっと!!妄想はもちろん零くん♪

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

4月7日(火)

 

 

 今日、なんと新生μ'sが結成されました!!パチパチパチぃ~~☆

 いつもとは違った雰囲気を見せた楓ちゃんにも驚いたけど、今日の一番の収穫はあの零くんのカッコいい表情!!あそこまでことりたちのことを想ってくれているなんて、また零くんに惚れちゃった♡もうことりの中の零くん好感度メーターが満タンになりすぎて壊れちゃいそうだよ。

 

 嬉しかったけどそれは一旦置いておいて、今日のことりが選ぶ、零くんとのイチャイチャMVPはこちらです!!

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

「あぁ~……久々にマジメモードになったら喉渇いてきた。ことり、お茶入れてくれ」

「はぁ~い♪」

 

 

 もうメイド喫茶のアルバイトを始めてから何ヶ月も経ってるけど、やっぱり零くんに命令されるのが一番いいよぉ~~♪

 ゾクゾクするっていうのかな?零くんはバイト先に来るお客とは違って、ことりの心に突き刺すような命令をしてくるんだよね。そこに痺れるのかな?うぅ~ん、上手く表現できないぐらい零くんが好きってことなんだよきっと!!

 

 

「冷たいお茶でいい?」

「そうだな、喉渇いてるから冷たい方がいいかも」

 

 

 このままお茶を持って行ってもいいけど、ここはことりも同じコップで飲んじゃおう!!もう零くんとことりは恋人同士なんだから、いちいち間接キスをする必要はないんだけど、間接キスだからこそ味わえる興奮ってあるよね?

 

 

「はい、お茶入ったよ」

「ありがとな。それじゃあ頂きますか」

 

 

 あっ、ああ!!飲んでる!!零くんがことりの分泌液、もとい唾液が入ったお茶をグビグビ一気飲みしてる!!今まさに零くんの身体の中にことりの液が入っていっていると思うと……きゃあ~~♪これは夜の妄想も捗るね!!

 

 

「こ、ことり?俺の顔に何か付いてるのか?そんなに凝視して……」

「う、うぅん!!何もないよ!!ただお茶を飲んでる零くんがカッコイイなぁ~って思って」

「俺がカッコイイとか今更だろ、世界の定義だ」

 

 

 そうやって自信満々で自信家な零くんも大好きだよ♪そんな零くんがことりやμ'sのみんなを引っ張ってくれたんだから、今のμ'sがあるんだもんね。零くんがいなかったら、ことりたちってどうなってたんだろう……?

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 ダメェえええええええええええええええええええ!!

 

 

 あっゴメンなさい!!この日記を書いている途中に、零くんと交わる妄想をして手が止まっていました……今日はもうこのまま寝ちゃおう!!じゃあ今日の分はここまで。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

4月13日(月)

 

 

 今日はですね……今まで暖めておいた、『いつか零くんの涎を拭く』用のハンカチが遂に猛威を振るいました!!頬っぺに涎を垂らしてウトウトしていた零くんに、ことりがハンカチを使ってサッと拭ってあげたんです。

 海未ちゃんにことりのハンカチがいつもと違うと指摘され、『バレちゃった?』と思ったけど、最悪海未ちゃんにこのハンカチを渡して口止め料を払えば大丈夫だから問題なし!海未ちゃんは素直になれないだけで、零くんのエキスが詰まったハンカチなら食いつくと思うんです。

 

 さて、今日の零くんとことりのイチャイチャMVPの発表の時間となりました☆

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

「うぅ……今日はいつもより寒いね。穂乃果、もう凍え死にそうだよ。零君暖めて!!」

「いや、俺そこまで寒くないし。むしろ眠いからほっといてくれ……」

「じゃあこっちから抱きつくもん!!」

「うおっ!!コアラかお前は!!」

 

 

 穂乃果ちゃんは零くんの背中にベッタリ抱きつきました。あれ絶対に穂乃果ちゃんの胸が零くんに当たってるよね?それにしても穂乃果ちゃんの気持ちよさそうな顔、可愛いなぁ♪

 よ~し!!ことりも2人に抱きついちゃお~~!!零くんも穂乃果ちゃんも湯たんぽみたいに暖かいから、最高に気持ちいいよね♪

 

 

「ことりも混ぜてもらっていい?」

「じゃあことりちゃんは零君の前からね。穂乃果とことりちゃんのサンドイッチ攻撃だぁ!!」

「覚悟はいい零くん?」

「いいだろう!!俺も男だ、彼女の欲望をどんとこの身で受け止めてやる!!さぁ来い!!」

 

 

 その言葉を聞いて、ことりはピョーンと零くんに向かって抱きつきました。それからしばらく零くんと穂乃果ちゃん、ことりの3人で愛を深め合っていたのですが……

 

 

「あなたたち……今すぐ離れなさい破廉恥ですよ!!しかも穂乃果とことりは生徒会、零もこの学院ではそこそこ有名なのですから秩序を守って行動してください!!」

 

 

 海未ちゃんによってことりたちはバラバラに引き離されてしまいました。相変わらずお堅いなぁ海未ちゃんは。でもことりは分かっているんです。こうして『学校の秩序』だとか『健全な学院生活』とか銘を打っているだけで、本当は海未ちゃんも零くんとイチャイチャしたいと思っていることを。乙女チックな海未ちゃんは、女の自分から見てもすごく可愛いです!

 

 

「またまたぁ~、そんなこと言って海未ちゃんも混ざりたいんでしょ?」

「な、なにを言い出すのですか穂乃果!!」

「お前も真姫並みに素直じゃねぇ奴だな……」

「また制裁をもらいたいですか?」

「なんで俺だけ!?」

 

 

 穂乃果ちゃんも海未ちゃんの心を読んでいたみたいですね。アタフタしている海未ちゃんの表情もGOOD!!これは零くんが海未ちゃんをからかって楽しむ理由が分かったよ。だって海未ちゃんの表情七変化が面白いんだもん♪

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 μ'sのみんなと一緒にお喋りするのはもちろん楽しいけど、こうして零くんに穂乃果ちゃん、海未ちゃんと4人で一緒にいると、すごく特別な感じがするんだよね。心の距離が近いっていうのかな?もうどんなことでも自分を包み隠さずにすべてをさらけ出せるよ!

 あっ、でもでも零くんには心だけじゃなくてことりの身体もさらけ出せるよ♪きゃぁ~~ことりってば何を言ってるのぉ~~♪ことりがこうなっちゃったのも、ぜ~~んぶ零くんのせいなんだよ?責任、とってくれるよね?

 

 

 今日は零くんの分泌液が付いたハンカチを使わせてもらおうかな?何に使うって?それは女の子のお・た・の・し・み♪

 

 

 

~※~

 

 

 

 

4月15日(水)

 

 今日は寛容な心を持つことりでも、流石に怒ってしまう事態がありました。なんと……なんと零くんが浮気をしていたんです!!μ's以外の女の子とイチャイチャしようとしていました!!これは零くんの彼女の1人として見逃せません!!これは流石のことりもプンプンです!!

 

 零くんはカッコいいし優しいし、カリスマ性もあるし何人もの女の子を弄ぶプレイボーイだけど、ところ構わず女の子に好かれるのがたまに傷なんだよねぇ~……

 これは彼女として零くんをしっかり更生させてあげなきゃね♪

 

 今日はイチャイチャMVPはお休みとして、浮気現場の一部始終をお送りします。本当はこんなことを書きたくはないのですが、今後の戒めとして日記に残しておこうと思います。

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

「はい先輩あ~ん♪」

「お、おい流石に廊下でこんなことは……」

「えぇ~~!!いつもμ'sの人たちとヤってるんじゃないですか!?」

「おい!!今のイントネーションおかしくなかったか!?あくまで『あ~ん』のことだからな!?」

 

 

 あっ、零くんだ!!でもあの子は誰だろう?リボンの色を見る限りでは2年生かな?

 でもあの子が誰だとかは関係ない。重要なのは、零くんにくっつき過ぎていることだよ!!零くんも零くんで満更でもない顔してるし!!

 

 

「折角先輩のためにクッキー作ってきたのに……」

「分かった分かった!!食べるからそんな顔すんなって!!」

「ホントですか!!ありがとうございます!!」

 

 

 あのメス……じゃなかった女の子、零くんに頭撫でられてる!!それはことりたちμ'sメンバーだけの特権じゃなかったの!?これは誰がどう見ても浮気現場だよ!!この映像を撮って、みんなで零くん尋問会だね♪

 

 零くんはことりたちのもの、ことりたちは零くんのモノ。『モノ』って言葉の響き、結構興奮するよね?ことりが零くんのモノになって、零くんに色々なことをされるのを想像すると……ダメダメ!!鼻血が出ちゃう!!

 

 

 だ、脱線しちゃいました……でもそれぐらい零くんは魅力的ってことです!!あれ?話が変わってる?

 

 あっ、零くんと女の子が別れた。今がチャンス!!

 

 

「零く~ん♪」

「ことりか、どうした?」

「零くんのた・め・にチーズケーキを作ってきたんだ!!はいあ~ん♪」

「なんで『ために』だけ強調したんだよ……まぁいいか、あ~ん」

 

 

 やっぱり零くんに『あ~ん』するのはことりの特権だよ☆ことりのチーズケーキで、あの女の子に食べさせられたクッキーを全部上書きしてあげるね♪

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 浮気、よくない、ゼッタイ!!あの後、零くんのお腹はことりのチーズケーキでいっぱいになりました。零くんの身体がことり色に染まったみたいでさらに興奮しちゃった♪

 はぁ~♡早く明日にならないかなぁ~?零くんと早く会いたいよぉーー!!

 

 

 そういうことで、今日はここまで。夜は今日学院でこっそり撮った、零くんのカッコいい横顔写真を眺めながら寝たいと思います。好きだよ♪零くん♪

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「きょ、狂気だ……」

 

 

 慌てて日記帳を閉じた。

 

 俺は今ことりに誘われて彼女の家にいる。ことりは飲み物を取ってくると言って俺は彼女の部屋で待機しているわけだが、なんとなしに開いた日記帳をみて絶句してしまった。

 

 ま、まさかことりがここまでとは……俺のことを好きでいてくれるのは彼氏としても嬉しいが、これは明らかにベクトルが別の次元に捻じ曲がっている。今までの人生の中で一番、『見なければよかった』と思った瞬間だ。

 

 

「ことりは天使だと思ってたけど、これはもう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはもう……なに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、ことり!?」

 

 

 いつの間に俺の後ろに!?全然気がつかなかった!!

 ことりはニコニコと俺に天使のような笑顔を向けているが、その裏の意図を読み取れば堕天使の笑顔に見えなくもない。でもこれは確実に後者だ!!マズイマズイ……一瞬の気の迷いで読んだ日記帳が、ここまで俺を苦しめるとは。

 

 

「見ちゃったんだね零くん♪」

「わ、悪い……初めはどんなメルヘンチックなことが書いてあるのかと思ったんだ。ことりの日記帳だからそんなもんかなぁって……」

「言い訳は見苦しいよ?」

「はい……」

 

 

 どうすんだこの状況……逃げ道はなく、ことりがジリジリと俺との距離を詰めてくる。

 

 

「今日はたっぷりと搾り取ってあげるからね、零くん♪」

「なにを!?!?」

 

 

 このあとメチャクチャな展開…………になると思われたが、理事長もといことりのお母さんが帰ってきてくれたお陰で事なきを得た。ちなみに黒ことりを一晩かけてなだめたのは別の話……

 

 




 まさか『新日常』一発目の個人回がこんな形になるなんて……ことり推しの方はこれで満足できるのだろうか……

 ちなみに今回の話でことりが『零くん』と言った回数は、実に74回でした(笑)


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ドSな変態の『ワシワシMAXハイパー』

 最近かなりブッ飛んだ話が多かったので、タグに『R-17.9』と付けておきました。それに伴い『新日常』のあらすじも変更したので、よければご確認ください。あくまでも『日常』です(笑)

 そして今回もそのタグに相応しい話となっています。まさにタイトル通り!!


「零君を呼んだのは他でもない。ワシワシMAXのさらに上の技を伝授するためや!!」

「は、はぁ……」

 

 

 腰に手を当て自慢の胸を揺らして強調させながら、希は俺の前で仁王立ちをした。

 ただいま俺は何故か希に誘われて、彼女の住むマンションへと来ている。用件は来てから話すって言ってたけど、まさか"あの"続きだったとは……前回は滝に打たれたり、ムチで打たれたり散々な目に遭ったからな。

 

 

「まだあの技の上があるってのか?」

「そう。ウチがこの春にこっちを練習台にして編み出した、更なるワシワシを零君に伝授してあげるよ♪」

 

 

 今さらっと流してはいけないことを言ってなかったか?にこがたまにゲッソリしていたのはコイツのせいか……

 それにしてもそれでいいのか新大学生。忙しい忙しいと言っていたのは何だったのか……思いっきり変な技の開発に勤しんでるじゃねぇか。

 

 

「全くどうしようもねぇ変態だな」

「それ、零君が一番言ってはならない言葉やと思うよ」

「俺のワシワシは愛があるからいいんだよ。お前のワシワシは単なる遊びだろ?」

「失礼やなぁ~ウチも楽しめるし、何よりみんなも気持ちよくなれるしwinwinじゃない?」

 

 

 女の子の胸をいきなり鷲掴みにしてモミモミして気持ちよくするなんて、最低な奴だな!!犯罪者だよ犯罪者!!変態だよ変態!!通報だよ通報!!あ~~この世にそんな変態がいるとかないわーーー汚らわしいわーーーー(棒)

 

 

「どう?自分の手でみんなが気持ちよくなる姿を見たくない?」

「う~ん……今のままでもみんなを気持ちよくさせられるしなぁ~」

「それ以上の快楽が零君にもみんなにも与えられるんや!!これを機に、新たなワシワシを学ぶしかないよ!!」

 

 

 どうしてコイツは俺にワシワシを教えたがる?そうだよ、わざわざ俺に教えなくとも自分だけで楽しんでおけばいいじゃないか。自分の趣味を誰かと共有したいってやつか?こんな変態な趣味、俺とぐらいしか共有できないからな。

 

 ん?待てよ……もしかして希の奴……

 

 

「なるほどな」

「な、なにがなるほどなん?」

「お前、俺にワシワシして欲しいんだろ?」

「ギクッ!!」

 

 

 ギクッて声に出すものじゃないだろ……ということは、完全に図星だったってわけだ。俺も希と恋人同士になって、コイツの扱いが段々と分かってきた。元々は掴みどころのない奴だったけど、今は随分と羞恥心が顔にも表れて分かりやすくなってきたもんだ。

 

 

「そ、それはちゃう!!」

「嘘つけ。俺にワシワシを習得させたのもそれが狙いだったんだろ?前回お前、俺の手ですっごく気持ちよさそうにしてたしな」

「あ、あ……うぅ……」

「そんな可愛らしくしょぼくれた顔すんなって。イジメたくなっちゃうだろ」

 

 

 いつもは俺みたいに余裕綽々そうに見える希だが、彼女はもちろん女の子、大好きな人の前では簡単に乙女になってしまうのだ。流石μ'sの女神と言われるだけのことはある、恥じらう姿も美しい。

 

 

「お前の望み、俺が叶えてやる!!みんなが幸福になれるなら、俺は変態でもなんでもいい!!」

「ちょっ!?」

 

 

 俺は立ち上がり、希のもとへと歩いていく。俺と希の距離が縮まるたびに、彼女の顔が茹でられているかのように真っ赤になっていくのが分かる。彼女の怯えた表情が、さらに俺のドS精神を刺激する。花陽みたいにいつもオドオドしている子を攻めるのももちろん興奮するが、いつも大人びたイメージで取り乱さない希を攻めるのはそれ以上だ。

 

 

「逃げないってことは、お前も期待しているんだろ?」

「期待……ウチが……?」

「そうだ。いつもお前はワシワシする側の人間だったからな。本当は自分もその快楽に身を任せたかったんだろ?昇天するぐらい気持ちよくなりたかったんだろ?」

「っ……」

 

 

 俺の攻めによって希の心がどんどん追い込まれていくのが分かる。別にイジメているわけじゃないぞ!!そんな女の子を泣かすようなマネするかよ!!俺はただ、希が羞恥心に溺れるところを見たいだけだ!!

 

 

「お前も俺と同じ変態だったってことだよ。でも快楽に浸りたいというのは、人間なら誰にでも持ち得る欲求だ。だから我慢しなくてもいいんだよ。今すぐにでも天国へ連れて行ってやる」

「ホントに……?」

「あぁ……それにそんなおもちゃが欲しい子供みたいな目をされたら、こっちもやるしかないな」

 

 

 俺は希の後ろへと回り込んだ。希はもう決心をしたのか、その場からピクリとも動かない。もう俺を受け入れる体制は整っているということか。

 

 

「いくぞ!!これが俺が更なるアレンジを加えたワシワシMAXだぁああああああああ!!」

「きゃあっ!!」

 

 

 そして俺は後ろから希の豊満な胸を鷲掴みにした。毎回思うけど、何をしたらこんなに大きくなるんだ!?もしかして毎日自分で揉んでいるのかも?いや、それだったら凛やにこは苦労しないだろうな……

 

 希は身体をビクビクと震えさせながら、俺からの快楽を全身で受け止めている。ここまでの流れを知らない人がここだけを見たら、明らかに俺が性犯罪者にしか見えねぇな。似たようなものだから別にいいんだけどね!!よくない?

 

 

「あっ……ああ!!」

「いい声だ!!天国は目の前だぞ!!」

 

 

 希は快楽に我慢ができなくなったのか身体がさっきより大きくビクついたが、俺もその動きに合わせてワシワシの仕方を変えているため、彼女はその快楽に幽閉されて逃げられない。喘ぎ声に近いものを発することによって何とか自我を保っているようだが、それももうここまでだ。

 

 

「ここまでは今までの『ワシワシMAX』と同じ、ここからが俺のアレンジ技『ワシワシMAXハイパー』だ!!くらぇええええええ!!」

 

 

「あぁああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 そして希は快楽の底に沈んだ。よかったな、願いが叶って。

 『ワシワシMAX』から何が変わったって?それはみんなに与える気持ちよさと、俺が味わう幸福感と満足感に決まってるじゃん!!

 

 

「れ、零君……」

「おっ、気づいたか。それでどうだった?俺の新たなワシワシは?」

「こんな幸せ、ウチ初めてや……やっぱり好きな人にヤられるのはえぇなぁ~~。もっとやって欲しいかも♪」

 

 

 こ、ここまでデレるとは予想外だった。しかも希に甘い声で『やって欲しい』とか言われると鼻血ものだぞこれは……

 でもこれは今まで素直じゃなかった奴を更生させるいい機会だ。この力、是非他のみんなにも試したくなったぞ!!あれ?俺ってば闇堕ちしてる?

 

 

「また今度な。そんな一気に快楽を味わわせたら勿体無いだろ?徐々に攻めていった方が楽しめるってもんだ。俺も、お前もな」

「もう、零君のイジワルさん♪でも……」

「でも?」

 

 

「待ってるからね♪」

 

 

「お、おう……」

 

 

 なんか素直になられると、ワシワシとかいうふざけた技を披露していた俺が馬鹿みたいじゃねぇか……これだったら今日一日ずっと希と一緒に愛を深め合ってもいいかもしれない。普段デレない奴が急にデレるのは反則だ。

 

 

 まぁいい。今の俺はこの力を試したくてウズウズしているところなんだ。これだけの快楽を与えるとは思っていなかったけど、これも毎日徹夜で研究をしていた賜物だな。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「おーーーい真姫!!こっちだ!!」

「もうっ!!そんな大声出さないでよ恥ずかしい!!」

 

 

 未だ身体をビクビクさせていた希を残し、続いて真姫を公園へと呼び出した。休日はぐうたらしてるであろう穂乃果や凛を呼び出そうとしたのだが、ここは素直になれない最強のツンデレ属性を持つ真姫こそが技の生贄に相応しい。

 

 

「悪いな急に呼び出したりして。もしかしたら忙しかった?」

「別に、私も暇だったし」

「そうかそうか、俺の呼び出しに心をウキウキさせていたんだな」

「な゛っ!?そ、そんなわけないでしょ!!仕方なくよ仕方なく!!しょうがないからあなたに付き合ってあげてるだけ!!」

 

 

 おーおーこのツンデレさ加減が如何にも真姫らしい。ますます素直になれないコイツを、俺に対して従順にしてやりたくなってきたぞ!!

 

 

「そんなに起こるなよ、綺麗な顔が台無しだぜ?」

「そ、そんな言葉なんかで騙されないんだから……」

「俺たちはもうただの友達関係じゃない、恋人関係なんだ。自分の彼女のことを褒めるのは何が悪い?」

「こういう時だけ彼女彼女って……全く都合いいんだから」

「そうか?俺はいつも真姫のことを見ているよ。『今日も綺麗だなぁ』とか『可愛いなぁ』とか」

「も、もう!!!!」

 

 

 してるしてる動揺してる!!もちろん俺が言ったことは嘘じゃない、紛れもない事実だ。真姫は自分へ向けられた好意を受け取ることに慣れていないため、こうしてド直球で想いをぶつければ簡単に取り乱してしまう。いつもの冷静さなど皆無だ。

 

 

「そんなことより、用事ってなんなのよ?」

「ん?そんなものはない。俺はお前と一緒にいたいと思っただけだ」

「な、なによそれ……」

「ダメか?」

「別にいいけど。私も久しぶりに零と一緒にいたいと思ってたしね」

 

 

 さっき『仕方なく』とか『しょうがなく』とか言ってなかったっけ?これが真姫の"デレ"の部分か。やっぱり本当は俺と一緒にお出かけしたかったんじゃないか!!でも今日はお出かけなんて睦まじいものじゃない。『ワシワシMAXハイパー』という男女の営みが待っているのだ!!

 

 

「ということだ真姫、そのまま動くなよ」

「なにが『ということ』なのよ!?そ、そんなに近づかれると……」

「お前は素直になれない人だからな、こうして2人きりの時ぐらいしか抱きつけないだ……ろ!!」

「きゃぅ!!」

 

 

 俺は素早く真姫の後ろに回り込み、自分の身体と腕で包み込むように抱きついた。真姫は俺に回り込まれると思っていなかったのか、俺が抱きついた拍子に聞いたこともない可愛い声を上げる。

 

 

「柔らかくていい匂い、もしかして俺に会うために少し香水とか付けた?」

「そ、そそそそそそんなわけないじゃない!!なんで私が零なんかと会うためにそんなものを!!」

「言わなくても分かってるよ、ありがとな。ずっとこのままでいたいぐらい、真姫からいい匂いがするなぁ~」

「ど、どういたしまして……」

 

 

 さっきまでジタバタと暴れていた真姫だが、俺からお礼の言葉をもらうと借りてきた子猫のようにおとなしくなった。後ろからだと辛うじて横顔しか見れないが、彼女の表情はどこかホッとした感じに見える。香水を付けることに抵抗でもあったのだろうか?俺としては匂いがキツイのは勘弁だが、元の真姫の匂いを残しながら、その匂いを引き立てるかのような香水の香りなので何の問題もない。

 

 これだと俺、匂いフェチだと思われてしまいそうだ。まぁ少しそっちよりなんだけどさ……

 

 

「なぁ真姫」

「なに?」

「もっと、身体をくっつけてもいいか?」

「……いいわよ。私ももっとあなたと一つになりたい。久しぶりだから、こんな感覚」

「そうか……じゃあ新しい快楽も同時に味わわせてやるよ」

「え……?」

 

 

「これが、ワシワシMAXハイパーだ!!」

 

 

 俺は真姫の未だ発達過程の胸をガシッと掴む。真姫は驚いた表情を浮かべるが、周りに悟られないようにするためか声は一切上げなかった。でももうそんな我慢もできなくなるだろう。俺の『ワシワシMAXハイパー』は、どんな女の子でも昇天してしまうからな。

 

 

「れ、零……?」

「イヤなら今すぐ俺を振りほどいてくれ。それに対して俺は抵抗しない。お前が本気でイヤなら、俺は何もしないから……でも、少しでも俺を受け入れてくれるなら、このままでいてくれないか?」

「…………もう、そんなことを言われたら離れられないじゃない。いいわ、あなたの欲望はすべて私が受け止めてあげる。だって私はあなたの彼女だもの」

「真姫……」

「好きにしなさい、私を……」

 

 

 そこで、俺が今まで保っていた理性がかなり揺らいだ。あの真姫が自分から自分自身を好きにしていいと、承諾が出たことに驚いた。驚くのと同時に、俺の理性にヒビが入り崩壊寸前にまで追い込まれる。

 真姫は俺を全力で受け止めようとしているのだ。そこまで言われたら、もう男として引くわけにはいかない!!

 

 

「それじゃあもう一度。これが、ワシワシMAXハイパーだ!!!!」

 

 

 やることは単純、女の子をワシワシするだけ。あとはお互いに快楽の渦に身を任せるだけだ。どう?簡単でしょう?皆様もご実践あれ!!

 

 

「あぁああああああああああああああああああああああ!!」

「本当にいい声で鳴くな真姫!!もっとだ!!もっと楽しませてくれ!!」

 

 

 真姫も希同様に身体を大きくビクつかせながら、まさに女の子の声というべき喘ぎ声をあげる。その声はさらに俺の興奮を引き立たせ、彼女に更なる快楽を送り込むための力となる。

 もう公園という屋外でヤっていることなんて忘れていた。俺と真姫はただただ一緒にこの気持ちよさに浸っている。あとから学院に通報されようが、そんなことはどうでもいい。今がよければそれでいいんだ!!

 

 

「はぁはぁ……身体が熱い……こんな感覚も久しぶりね」

「まだ身体がピクピクしてるぞ。思っていたよりも敏感なんだな、お前」

「あなたのせいでこんなに敏感になったんだから!!」

「ヤバイ、そのセリフ興奮する……もう一回言ってくれ」

「イ・ヤ!!」

 

 

 おいおいデレてたんじゃないのかよ……さっきのセリフ、録音しておきたかったなぁ~……

 こうやって話していると真姫は意外に冷静そうに見えるが、よ~く彼女の身体を観察すると顔も身体も汗でベタついているのが分かる。まだ少し息も荒く、身体もたまにピクついている。まだまださっきの余韻が残っているようだ。

 

 

「もう一回するか?」

「……流石に疲れたから無理よ」

「何ださっきの間は?もしかして期待してる?」

「!!!!そ、そんなことは……」

「顔に出てるって……まぁ、今日は満足したからもういいか」

 

 

 俺が夜な夜な開発してきた『ワシワシMAXハイパー』は見事大成功であった。もちろんこれで終わりではない。まだまだ進化の余地はある。今後この技に磨きをかけて、μ'sのみんなを快楽に沈めるのが俺の夢だ。最低?人生っていうのは欲が強い奴ほど成功するんだよ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 真姫は零と別れ、自宅へと向かっていた。

 さっきから、自分の太ももに冷たいなにかを感じる。真姫は周りを警戒しながら、自分のスカートにそっと手を入れた。

 

 

「ぬ、濡れてる……」

 

 

 今日の真姫の夜はこれまた捗りそうだ……

 

 




 そろそろ路線を変更しないとヤバイかも!?4話連続ぐらいで『R-17.9』の小説になってしまっているかもしれないので……

 今までが普通のギャグ小説だったものが、ちょっぴりHな要素を加えたギャグ小説になっているような気がします。どちらかといえば、自分はこっちの路線の方が好きですね(笑)
 だって可愛いし萌えるじゃないですか、恥じらうμ'sというのは(ドS精神)

 真姫の誕生日小説が書けなかった(書く気がなかった)ので、これで満足してくださると助かります。

 GWは久々に毎日18時更新しようと思っていたけど無理っぽいかな?一応頑張ります!


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ほのりんはウザカワイイ!?

 前回までがかなりR-17.9路線になっていたので今回で軌道修正。今回は元気いっぱいの穂乃果と凛と一緒にわちゃわちゃするだけのお話。ですが見所はほのりんではなくて、零君のツッコミスキルの方かもしれません。


 

「いい天気だなぁ~~……」

 

 

 今日は太陽さんが陽気なお陰か、最近の冷えが嘘かのように暖かい。もう4月も終わりに近づき、これから段々と夏に向けて太陽さんも頑張ろうとしている頃だろう。俺としては頑張らずにこの程よい暖かさを保っていて欲しいのだが、人間が太陽様に指図するなんてもってのほかだ。仕方がないから黙っておいてやろう。

 

 そんな冗談はさて置き、俺は今木陰でポカポカ陽気を堪能している最中だ。可愛く言えば日向ぼっこってやつだな。学院にはお昼寝してくださいと言わんばかりの緑がいっぱいの場所、通称グリーンエリアがあるのだが、この暖かい時期はそこが気持ちいいのなんのって、俺はそこでぼぉ~っと寝そべっているわけだ。

 

 

「静かだ……たまにはこういうのもいいな」

 

 

 今思い返せば、この4月はかなり暴走していたような気がする。新入生歓迎会や生徒会業務、その他色々――最上級生は面倒事が多い。でもそんなことも大体が片付き、今はこうしてお昼寝できるぐらいの時間が取れるようになった。このまま静かなこの場所で気持ちよく寝てしまおうかなぁ~。

 

 

 

 

「いたいた!!お~い零く~ん!!」

「またそんなところで寝っ転がってるにゃ~!!」

 

 

 

 

「穂乃果、凛……」

 

 

 μ's内でも特にうるさいコンビがこちらに向かってやって来る。

 俺の至福の時間が音を立てて崩れていく……どちらか1人いるだけでもうるさいのに、それが2人になるともはや騒音レベルだ。元気いっぱいなのは結構なことだが、今まさに寝ようとしていた俺を妨害しないで欲しい。

 

 

「お前ら……どうしてここに?」

「海未ちゃんが生徒会仕事をやれやれってうるさいんだよ!!穂乃果のお昼寝タイムまで邪魔してさ!!」

「凛もお昼寝しようとしたら、真姫ちゃんに叩き起されたんだにゃ!!『あなた、英語の宿題してないでしょ?』ってね!!」

 

 

 オイ……これってツッコミ待ちか?これは俺のツッコミスキルを試されているに違いない!!

 それにしても、どうしてコイツらは白昼堂々と自分がサボっていることを暴露できるんだ?俺もその類に当てはまりはするが、流石の俺でも堂々とはしていないぞ。多少の罪悪感はある、多少な。

 

 

「確かに昼寝は至高だが、後々メンドーだから素直に従っとけ」

「えぇ~だって穂乃果、零君と一緒にお昼寝したいもん!!」

「凛も凛も!!さっき穂乃果ちゃんと話し合って、喧嘩しないように零くんを半分ずつねって決めたんだ!!」

「半分ってなんだ!?半分って!?人体切断とかやるつもりですか!?」

「おぉ~!!今日は零くんツッコミ冴えてるにゃ~」

「誰のせいだ!!誰の!!」

「おぉ~!!被せてきたね!!」

 

 

 ヤバイヤバイ……穂乃果と凛のテンションに付き合っていたら、俺が先に干からびて死んでしまう。μ'sの太陽と言われたこの2人にカッピカピに枯らされてしまう!!早急にコイツらを海未と真姫の元へ返さなければ!!

 

 

「どうせ怒られるぐらいならサッサと片付ければいいじゃねぇか」

「零君は穂乃果たちがサッサと片付けられる人だと思ってるの?それが無理だからここにいるんだよ」

「零くんも凛たちを見る目がないにゃ~。ねー穂乃果ちゃん♪」

「ねー凛ちゃん♪」

 

 

 ウゼェえええええええええええええええええええええええええええええええ!!

 マッハ!!ストレスがマッハ!!ウザカワイイとはまさにこのことだが、今まさにお昼寝をしたい俺にとっては可愛いなんてどうだっていい!!もう完全にウザイところだけが前面に押し出されてやがる!!

 

 

「あっ!!折角だし穂乃果が買ってきたパン、3人で食べようよ!!この店のメロンパン美味しいんだよ~」

「さんせーーい!!ちょうどお腹がペコペコだったし!!」

「なーーーんでそうなるの!?早く戻れよ!!どうせアイツら怒ってんだろ!?」

 

 

 どうしてこの流れで飯を食う流れになった?相変わらずこの2人の頭はブッ飛んでんな。もしかして俺がおかしいのか?今周りには俺たち3人しかいないため、2:1で俺が異端に思えてくる不思議。

 

 

「じゃあ零君はいらないということでOK?」

「待て、食べないとは言ってないだろ」

「これはアレだね、ツンデレさんってやつだね!!」

「零くんも真姫ちゃんのこと言えないにゃ~」

「お前らなぁ……」

 

 

 ボケ2:ツッコミ1の比率は明らかにおかしい。ツッコミ側の精神が破綻するだろこれは……今までツッコミ役を任せてきた海未や真姫、絵里が本当にすごいとたった今分かったよ。アイツらはすごい、今までボケ倒してきて悪かった!!ここまで大変だとは思ってなかったんだ。

 

 

「じゃあ穂乃果が食べさせてあげるよ!はい、あ~ん♪」

「穂乃果ちゃんズル~い、凛もやる!!はい、あ~ん♪」

「ちょっと2つ同時には無理だって――むごっ!!」

 

 

 ここで『あ~ん』について解説しよう。『あ~ん』とは食べさせる側があま~い言葉で男を誘い、その男の口が完全に開かれてから食べ物を投与するのが普通だ。だけどコイツらはあろうことか、俺の口が開いてもないのに無理矢理ねじ込んで来やがった!!

 

 ねじ込むってなんかアレな響きだよな…………分かってる、分かってるんだ!!こういうところで変態ネタを入れないとこの先絶対にチャンスがないことぐらいな!!

 

 

「どう?美味しかった穂乃果のパンは?」

「お前が作ったんじゃねぇだろ……」

「どう?美味しかった凛のパンは?」

「同じツッコミさせるんじゃねぇよ!!しかもお前は買ってすらないだろうが!!それ穂乃果が買ったやつだろ!!」

 

 

 コイツら、わざと俺を殺しに来てるだろ……日頃俺から馬鹿にされている恨みを、自分たちのボケというボールに込めて俺へ向かって全力投球してきやがる。左右から来る剛速球を受け止めるなんて芸当できるわけないだろ!!

 

 

「おぉ~~ここまでツッコまれると逆に気持ちがいいにゃ~」

「ダイヤの原石とはまさにこのことだね♪」

「だ・か・ら!!お前らがやらせてるんだろうがぁあああああああああああ!!」

 

 

 ちょっと誰か助けてくれ……ただいまここでグループ内イジメが発生しています。だから早く誰か止めてくださいお願いします。このままだと太陽2人に焼き殺されてしまう!!

 

 

「でもいつも零君のツッコミには助けてもらってるしね。穂乃果たち、とっても感謝してるんだよ?」

「雪穂ちゃんがマトモなツッコミ役に成長するまで、零くんで我慢してあげるよ!!」

「助けられているのはツッコミだけかよ!!しかも俺で我慢するってどういうことだ!?ゲホッゲホッ!!」

「わっ!!零くんがツッコミすぎてむせたにゃ!!」

「いや~ゴメンゴメン!!」

「軽すぎだろお前ら!!もっと労われよ!!ゲホッゲホッ!!」

「ゴメンゴメン!!」

 

 

 そのうちツッコミすぎて血を吐きそうだな。イヤだよ俺!!ツッコミ死なんて意味不明な死に方するの!!女の子と一緒に快楽に溺れて死ぬならまだしも、ただツッコんだ挙句死ぬとかこの2人しか得しないじゃん!!

 

 ちなみに俺は、一度でいいからハーレムを作り上げたいと思っている。なぜここで自分の夢を言うのかって?そりゃあここでツッコミ死するかもしれないに決まってるだろ。まさに遺書を書いているみたいだ。

 

 

「くっそぉ~完全に目覚めちまった……」

「ドンマイドンマイ、まぁ凛たちに目を付けられた時点で諦めた方がいいよ」

「零君も運がなかったねぇ~~」

 

 

 あのぉ~~質問があるのですが、今すぐコイツらをパンチしていいですか?

 え?女の子?スクールアイドル?自分の彼女?もうそんなことは関係ありませんよ。今はこの憤りを収めるのが先決だ。

 

 

「それじゃあ零君が気持ちよくお昼寝できるように応援してあげるね♪」

「そ、そうか……じゃあ頼む」

 

「ファイトだよ!!」

「ファイトだにゃ!!」

「ファイトだよ!!」

「ファイトだにゃ!!」

「ファイトだよ!!」

 

「うるせぇえええええええええええええええええええええ!!もう寝かせる気ないだろ!!」

 

 

 いつも聞けば元気づけられる穂乃果の『ファイトだよ!!』に、まさかこれまでの憎しみを抱くとは思っていなかったぞ。俺はてっきり子守唄とか膝枕とかを期待していたのだが、これは全面的に俺が馬鹿だった。

 

 

「もういい……帰る」

「待って待って!!今零君に帰られると代わりに怒られてくれる人が……」

「凛たちの遊び相手がいなくなっちゃうよぉ~」

「お前ら本音ダダ漏れだぞ!!それが目的か!!」

 

 

 もう叫びすぎて喉が潰れそうなんだがどうしたらいい……?最悪、いつも俺を罵ってくる真姫や雪穂に潰されるならまだいい。だけど穂乃果と凛だけには絶対に屈したくはない。こんないつもボけぇ~として頭カラッポで馬鹿騒ぎしている奴らに屈したら、俺のプライドに傷がつくからな。

 

 

「折角気持ちよく眠れると思ったのによぉ~~」

「じゃあ穂乃果が膝枕してあげるよ♪一度やってみたかったんだぁ~」

「マジで!?」

「穂乃果ちゃんズルいにゃ~凛もしたい!!」

「順番だよ凛ちゃん!!」

 

 

 この2人、テンションやノリが尽く似ているためかどことなく姉妹に見えなくもない。もしこの2人が姉妹で俺が兄だったら、毎日が騒がしくて楽しい反面疲れが取れないだろうな。

 でも俺にはコイツら2人が束になっても勝てないぐらいの最凶の妹がいるから、何とか2人のテンションについて行くことだけはできる。そしてもしアイツがこの集団に入ってしまったら、もう俺は死を覚悟するだろう。

 

 

「さぁ零君!!穂乃果の膝に飛び込んできて!!」

「そのセリフは膝じゃなくて胸だ……」

「早く早くぅ~」

「それじゃあご好意に甘えるとしますか」

 

 

 女の子座りをしている穂乃果の膝に、俺はそっと頭を乗せる。膝枕って膝を枕にするというよりかは太もも近くに頭を乗せるため、『太もも枕』に改名した方がいいのではと毎回思う。一気に卑猥な名前になったけど……

 

 正直な感想を言えば、穂乃果の膝枕はふわっとしていてまるで本物の枕みたいだ。彼女の肌に直接顔を近づけているためか、穂乃果の匂いが一気に俺を支配する。しかももう少しでスカートの中が除けそうであり、少し上を向けば穂乃果の程よく成長した胸が制服を押し上げているのが眼前にして分かる。もう少し上を見上げれば、彼女の明るい笑顔が映って心が和む。

 

 ここがヘブンか……

 

 

「零君、穂乃果に何かして欲しいことある?子守唄?それにチューとかチューとかチューとか?」

「なぜ3回言った……それに学院でキスするとまた海未に怒られるぞ」

「むしろ海未ちゃんに行動を縛られているからこそ、背徳感があっていいと思うんだにゃ!!零くんもこーふんするの好きでしょ?」

「おい待て!!俺を万年発情期みたいな言い方をするな!!俺だって時と場所ぐらいわきまえるって!!」

 

 

 そうは言ったものの、この前真姫と公園で危ない行為をしたばっかりなんだけどな。もしかして凛の言う通り、意外と俺って万年発情期なのかもしれない。こうやって自分自身に気づいていくことで自己が確立していくのだろう。これで面接での自己アピールは完璧だな!!

 

 

「ねぇねぇ膝枕以外にやって欲しいことは~?」

「う~ん……あっ、そうだ。膝枕をされながら耳かきっていうのが定番だな。でもこんなところに耳かきなんて――」

「あるよ!!なぜかポケットに入ってたにゃ」

「あるのかよ!!今日一番ビックリしたわ!!」

 

 

 そしてご都合展開お疲れ様です!!なんで女の子のポケットに耳かきなんてモノが入っているんですかねぇ~?ある意味で女子力を試されるモノだけどさ。

 

 

「じゃあ次は凛が膝枕をする番だよ!!」

「名残惜しいけど仕方ないか。また膝枕させてくれる?その時は耳かきもしてあげる♪」

「いつでもどうぞ。むしろ俺から頼みたいぐらいだよ」

 

 

 さっきまではとことんウザかったのに、ここだけ可愛らしくなるのは反則だよな。やっぱり女の子ってズルい!!名残惜しそうな顔をされるだけで断れなくなるんだもん!!

 

 そして次に俺は凛の膝に頭を乗せた。凛はμ's内ではかなり小柄な方であるが、小柄だろうが何だろうが膝枕が柔らかくて心地よいことには変わりはない。むしろ彼女はどちらかといえば妹キャラだから、お姉さんキャラのように膝枕をしてもらうこと自体がかなり珍しいことだ。凛が姉か……ダメだ、全然想像つかねぇや。やっぱりコイツには妹キャラが似合う。

 

 

「じゃあ耳かき始めるよ!!いや~初めてだから緊張するにゃ~」

 

 

 

 

「り、凛ちゃん?今なんて……?」

「今さっき聞き捨てならない言葉が聞こえたような気がしたが……俺の気のせいか?」

「いや、穂乃果も聞こえたよ……」

 

 

 俺の膝枕+耳かきのイメージといえば、途中で気持ちよくなって彼女の膝の上で寝ちゃうみたいな微笑ましい光景を想像していた。だけど今の凛のセリフで、俺のイメージが音を立てて崩れだしている。

 

 

「おい凛、もう1回同じセリフを言ってみろ」

「耳かき始めるよ!!」

「そのあと!!」

「初めてだから緊張するにゃ~」

 

 

「初めてなのかよ!!やめろやめろ!!耳かきは中止だ!!」

「えぇーーー!!どうして!?」

「どうしてもこうしてもあるか!!お前に任せると、確実に鼓膜を貫通させるだろ!!怖すぎるって!!」

「大丈夫大丈夫!!」

「その意味不明な自信はどこから来る!?」

 

 

 たまに穂乃果も凛も、俺みたいに意味不明な訳のわからない自信を発揮することがある。そういう時って大抵上手くいかないんだよな。いつも空回りして失敗する。そして今回は俺の耳の命がかかっているから尚更怖い。

 

 

「でも誰かが実験台にならないと上手くならないにゃ~」

「実験台言うな!!実験って失敗すること前提だからな!!俺の鼓膜は1つしかねぇから!!」

「両耳があるから2回実験できるよ?」

「こえぇよお前!!人の耳を潰すことがそんなに楽しいか!?」

 

 

 まるで我が最凶にして最狂の姉のような発想だ。もしかしてアイツのせいで、μ'sのみんなが別の意味で汚されているのかもしれない。そんな危ない思考を、こんな純粋で隠れ乙女チックな凛に持たせるなんて……

 

 

「さぁ、覚悟するにゃ!!」

「や、やめろぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 

 

 

「見つけたわよ凛!!」

「ここにいたんですね穂乃果!!」

 

 

 

 

「真姫ちゃん!?」

「海未ちゃん!?」

 

 

 まるで彗星のごとく現れたのは俺の救世主、真姫と海未だった。2人とも穏やかではない顔をして穂乃果と凛を睨んでいる。これは……ご愁傷様だ。

 

 

「まだ生徒会長としての自覚が足りないようですね……今日一日ずっと生徒会業務です!!あなたの腐った根性を叩き直してあげますよ!!」

「まだ英語漬けし足りないのかしら……今日と明日を使ってずっと英語のレッスンよ!!そうだ、公用語を英語にしようかしら……」

 

「ちょっと待って!!話せば分かるよ海未ちゃん!!」

「そうだよ真姫ちゃん!!そんな地獄耐えられないにゃ!!」

 

 

「「問答無用!!」」

 

 

 そして穂乃果と凛は、海未と真姫に襟を掴まれそれぞれの持ち場に連行された。サボるとそのツケが何倍にもなって返ってくるから、特にそういうことに厳しいアイツらの場合はな。まさに自業自得という言葉を具現化した話だ。

 

 

「「零くーーん!!助けてーーー!!」」

 

 

 おーおーいい悲鳴が聞こるなぁ~。じゃあそれを子守唄にしてお昼寝でもしますかね。

 

 

 




 危うく零君がツッコミ死してしまうところでした。いつもボケ役や変態役に回っている彼が終始ツッコミに走る回は、意外と珍しかったりもします。

 でもほのりんの2人はやっぱりテンションが高くて、小説を書いているこっちも元気をたくさんもらえたような気がします。作中にもありましたが、妹にするととても大変そうですね(笑)
 この小説ではもっと大変な妹がいるというのは放っておきましょう。あの子に触れてもいいことはないです。むしろ巻き込まれないように逃げましょう。


 ではまた次回!!明日に投稿できるといいなぁ(願望)



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風呂覗きは男のロマン

 今回は今までありそうでなかったお話。前回でやっと軌道修正をしたのにも関わらず、今回でまた路線が戻ってきた模様。でもこれがこの小説の特色で醍醐味ということで1つ!!


 

 

 

 遂に日本人待望の長期休暇、ゴールデンウィークに突入した。その期間を利用し、俺たちμ'sメンバーはまた真姫の別荘を借りて合宿を行っている。場所は空気がもの凄く美味しい山。目的は作詞、作曲、衣装づくりに加え、新しくメンバーに加わった雪穂と亜里沙、俺の妹の楓のダンスレッスンだ。俺はただ横から茶々を入れているだけだがな。

 

 どの工程も滞りなく着実に進んでいき、午後からは全員でダンスや歌の練習に入ることができた。これには意外と新メンバー3人が大きく加担していて、雪穂は作詞、亜里沙は衣装、楓は作曲でそれぞれ独創的かつ斬新なアイデアを披露したため、どの作業も早く終了したのだ。中々にスペックの高い新入りたちですこと。

 

 そしてダンスレッスンは想像以上に捗り、気づけばとっくに日が暮れていた。もう晩飯にもいい時間なのだが、その前にみんなが汗を流したいということなので、全員(俺意外)でお風呂に入ることになっている。

 

 もちろん!!男としては覗かざるを得ない。幸いにもここの温泉は露天風呂らしいから、覗く場所やタイミングはかなり測りやすいだろう。まだ誰もお風呂にすら入っていないのに、もう少し興奮している俺がいる。ここでお風呂を覗かなければ変態の名を返上することになるからな。

 

 

「ねぇお兄ちゃん」

「ん?どうした楓?」

 

 

 いち早く風呂の支度を終えた楓が、俺にしか聞こえないくらいの小さな声で話しかけてきた。

 コイツは合宿の前日、俺と合法的に一緒に寝られると聞き、テンションが爆発してしまって手が付けられなかったんだよな。その前に合法的ってなんだよ……俺と普通に寝るのは違法なのか?俺ってそこまで変質者!?

 

 

「どうせお風呂を覗く気なんでしょ?」

「……どうして分かった?」

「お兄ちゃんのことならなんでも分かるよ♪だって妹だもん♪」

 

 

 その発言はヤンデレ地味ているからやめなさい。妹属性+ヤンデレ+ブラコン+ドSって、キャラが濃すぎるな……一部界隈の男性には需要があるかもしれないけど。

 

 

「それで?そんなこと知ってどうする気だ?俺を脅しに来たのか?」

「違うって。協力しに来たんだよ」

「協力?」

「うん。みんなの憐れもない姿を見るお手伝い、私がしてあげようかって言ってるの」

 

 

 俺はコイツがマトモに協力してくれるとは思えないんだが……途中で裏切りそうで怖い。なんたってあの最悪の姉の妹なんだからな。それは俺もそうか……

 

 

「一応聞こう、裏は?」

「ないよそんなもの。妹がお兄ちゃんの欲望の捌け口になるのは当然でしょ?だから協力してやろうって言ってるの」

「その言い方は放送禁止になるからやめろ。それで?具体的な策は?」

「まあ慌てなさんなって、お兄ちゃんが感動するぐらいの最高の舞台を用意してあげるよ♪」

 

 

 如何にも胡散臭い言い方だが、去年の合宿では2回とも風呂覗きを失敗してしまった。でも同じ風呂に入るコイツの手ほどきがあるのなら、もしかしたら俺にも勝機があるかもしれない。カメラの調整もバッチリだ。盗撮?いやいや!!これは思い出作りのための写真だから!!下心なんて一切ありませんから!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「楓の奴……結局ここへ来るように言っただけで具体的には話してくれなかったな」

 

 

 俺は今、別荘の裏手の林に来ている。大きな岩陰に隠れつつ、露天風呂を除くことができる絶好のスポットだ。なぜアイツがこの場所を知っていたのかは分からないが、俺にとっては楓様々と言わざるを得ない。

 

 

「おっ!みんなが来たぞ!!まずは様子を伺おう」

 

 

 俺の行動は既にバレていたのか海未や絵里から厳重注意を受けたのだが、俺がそんなことで引くとでも思っているのか?あと何十分後かぐらいには、このカメラも大いに潤うことだろう。

 

 次第にみんなの声が俺のところにも聞こえてきた。少し耳を澄ませてみよう。

 

 

『うわぁ~~思っていたよりも大きいね!!穂乃果、こんなに大きなお風呂久しぶりだよ~!!』

『ことりも温泉は久しぶりだなぁ~』

『山の景色もいいですし、疲れがしっかりと取れそうですね』

 

 

 まずトップバッターとして穂乃果、ことり、海未の幼馴染組が入ってきた。もちろん身体にタオルは巻かれてしまっているが、胸の凹凸や身体のラインはくっきりと現れている。普段一緒にいることが多いからこそ、彼女たちのこんな姿に興奮を隠しきれない。ちなみに鼻血は大丈夫、輸血パックを大量に持ってきてあるから。

 

 そういや、サイドポニーでない穂乃果や奇抜な髪型ではないことりを久しぶりに見る。女の子の髪を下ろした姿って、また違った可愛さがあるな。

 

 

『私もここの別荘の露天風呂は初めてなのよね』

『凛、景色がよく見えるところに入りたいにゃ!!』

『わわっ!!凛ちゃん走ったら危ないよ!!』

 

 

 お次は2年生組のお出ましか。タオルだけだと花陽の胸が強調されてかなりエロティックだな。真姫もスタイルが寸分狂わず浮き彫りになっている。この2人はこの1年で随分と成長したもんだ。凛は……まぁうん、綺麗でスレンダーな身体だぞ。ほ、褒め言葉だからな……

 

 

『ハラショー!!広いね雪穂、楓!!』

『そんなにはしゃがないでよ……でも本当に広いなぁ~』

『フフフ……』

 

 

 今度は1年生組の登場だ。相変わらずなんでもハラショーハラショーうるさい亜里沙は、やはりあの絵里の妹だからか最近やけに発育が良くなってきた。胸もそこそこ出てきているしな。雪穂はもう少し頑張ろうとしか言い様がない。でも姉の穂乃果がそこそこなので、雪穂もそれなりのレベルにはなるとは思う。

 

 そして我が妹は、なぜあんな男が反応するような身体をしているのだろうか。自分で完璧というだけあって、スタイル自体は絵里並みだからな。それに俺に今見られていることを知っているためか、不適切な笑みを浮かべ少し自分のバスタオルをはだけさせてやがる。流石の俺でも実の妹にはなぁ……いい身体だけどさ。

 

 

『ハラショー!!この別荘のお風呂も大きわね!!』

『にこっちの家のお風呂の何倍あるんかなぁ~?』

『どうしてにこんちのお風呂と比べる必要があるのよ!!』

 

 

 最後は大学生組のご入場だ。やはりタオル1枚では絵里や希の抜群のスタイルと反則級の胸は隠しきれない。若干横乳が見えて、鼻血だけでなく俺の体内の血が駆け巡っている。まだ大学生になって一ヶ月しか経っていないにも関わらず、高校生の時よりもさらに大人びて見えるため、俺の欲求が高まっていくのも無理はない。

 

 にこ……?いたなぁそういや…………申し訳ない。彼女も彼女でそれなりの身体つきにはなってきている。これも大学生効果か?でもいつも一緒に絵里や希といるためか、比べられてしまうのは仕方がない。俺だけでもにこの身体に萌えてやるか。

 

 

「それにしても、アイツが言っていた策ってなんなんだ?」

 

 

 みんなが風呂に入ってくるところの写真を撮り終え、改めて楓が実行するであろう策というものを考えてみる。アイツ曰く、俺が興奮し過ぎて輸血パックが足りなくなるぐらい鼻血を吹き出すだすらしい。それは言いすぎだろ……と思っていたのだが、今みんなが風呂に入ってくる光景を見ただけでかなりヤバイ。もう既に輸血パックはセッティング済みだ。

 

 そんなことを考えている間に、楓は動き始めていた。

 

 

『ねぇ絵里せんぱぁ~い、お先にお身体の方どうぞ♪希先輩もにこパイセンも是非♪』

『えっ、いいの?むしろ私たちが最後に入ってきたんだから、楓たちが先でいいわよ?』

『いえいえ~~年功序列ということで♪』

『それならお言葉に甘えさせてもらおうかしら』

 

 

 楓の奴……またあざとくなってやがる。アイツが『先輩』呼びや敬語を使い出すということは、相手を煽ったり見下したり、とにかくロクなことはない。

 先輩禁止のルールを無理に押し付ける必要はないということで、雪穂や亜里沙は敬語で話すことが多いが楓は普段は呼び捨てタメ口、何かを企んでいる時は敬語と実に分かりやすい。

 

 

「ちょ、ちょっと待て!!絵里たちがこっちに!?」

 

 

 一瞬アイツらに気づかれたかと思ったのだがそうではない。身体を洗う場所の関係上、彼女たちからこっちに近づいてきてくれるのだ!!なるほどな……楓がこの場所を指定したのはこのためか。浴槽に入っているみんなと比べて絵里、希、にこの姿はしっかりくっきり見える。俺が覗いていることもバレそうなぐらいだ。それに洗い場所の数が少ないため、一人一人じっくりと堪能できる。

 

 そしてもちろん身体を洗うにはタオルを取らなければならない。つまり生まれたままの彼女たちの姿をこの目で拝むことができるのだ!!しかも俺の眼前で!!自らアイツらがタオルを取ってくれる!!天国かよここは!!

 

 

「がはぁっ!!」

 

 

 夜の林に大量の鼻血が飛び散った。マズイマズイ……あまり大きな声は出せないぞ。なんたって意外と近くにいるんだからな。まだまだ始まったばかりなのに、こんなところで見つかってしまっては勿体無い。

 

 

「カメラ……カメラをセットしよう」

 

 

 あまりの絶景に思わず手が震える。俺としてはどんな綺麗な夜景よりも、どんな広大な自然よりも、俺が今まさに見ている光景が一番だろう。断言できる!!これぞ男のロマン!!しかもロマンの最高潮が目の前に!!

 

 

『にこっち、最近随分胸大きくなってきたんと違う?』

『あのね!!アンタが言うと嫌味にしか聞こえないのよ分かる!?』

『まぁまぁにこ落ち着いて。贔屓目で見なくても、私もそう見えるわよ』

『神様は不平等よね……』

『またそうやって拗ねるんやから』

『希も絵里も!!少しぐらい分けなさい!!』

『きゃっ!!に、にこくすぐったいわよ!!』

 

 

 なんだこの俺得な光景は!?さっきから鼻血がダラダラ出っぱなしで止まらねぇ!!特に絵里とにこが騒いでいるせいで、その2人のタオルがかなりはだけている。いつもは服で包み隠されている部分が、文字通り『丸裸』になっているんだ!!

 

 

「ちょっと落ち着こう……これじゃあ俺ただの変態じゃねぇか。あくまで変態"紳士"のつもりなんだけどな……」

 

 

 一旦浴場から目を離し、深呼吸をして一息付く。俺の周りには自分の鼻血が飛び散っていて、これだけみたら殺人現場かと思われそうだ。

 それにしても心臓の鼓動が高鳴り過ぎて、このまま死んじゃうかもしれない。彼女たちの裸を見て死ねるなら本望だけどな。

 

 

 目を離していたせいか、いつの間にか絵里たちは身体を洗い終わり、今度は真姫たちが俺の射程圏内まで来ていた。

 

 

『かよちんまた胸大きくなった?羨ましいなぁ~~』

『えぇ!?そんなことないよ!!それだったら真姫ちゃんの方が……』

『わ、私に振らないでよ!?特になにも変わってないから!!』

 

 

 女の子の胸の弄り合いっていいよね!!今度は凛が花陽と真姫にちょっかいをかけているおかげで、花陽と真姫のタオルがズルズルとズレているのが分かる。そしてチラッと見える綺麗な肌、また鼻血が止まらねぇ……

 

 

「は、鼻が……そろそろマズイか?」

 

 

 鼻血を噴出し過ぎて鼻が痛くなってきた。でもこんな光景何年に一度拝めるかどうかだ。ここでやめるわけにはいかない。みんなの裸が見られるという興奮、好奇心、背徳感に罪悪感、すべてが俺を動かす原動力になっている!!

 

 

 そしてまた目を離した隙に真姫たちが身体を洗い終わり、雪穂たちに交代していた。

 

 

『おぉ!!亜里沙ってば綺麗なお肌してるねぇ~♪』

『そう?楓の方がスタイルもいいし、胸も大きいし、すごく女の子として理想だと思うけど?』

『まぁ私がパーフェクトボディなのは当たり前でしょ!!それより雪穂は……』

『ど、どうして私を見るの……?』

『べっつにーー。でもお兄ちゃんはそんな雪穂のことも好きだと思うけどなぁ~~』

『な、なんでここで零君が出てくるの!?』

 

 

 雪穂の身体は亜里沙や楓と比べると若干貧相にも見えたが、意外に亜里沙とそこまで変わらないことに今気づいた。楓の言う通り、俺は女の子を身体で選ぶほど飢えてはないが雪穂のあの反応……もしかして脈アリ!?

 それにしても女の子って、身体の話題が好きなのか?さっきからどのグループも胸の話題しかしていないような……

 

 

 カメラは順調に稼働している。その間に俺は自身の輸血を済ませ、最後にやって来た穂乃果たちに目を向けた。

 

 

『いつ見ても海未ちゃんの身体は綺麗だなぁ~。お肌を保つ秘訣、ことりにも教えて?』

『特別なことをしていませんが……敢えて言うのなら規則正しい生活でしょうか?』

『じゃあ穂乃果には無理だよ』

『諦め早くないですか……あなたはむしろ身体のことを気にしなくとも規則正しい生活を送るべきです!!』

『えぇ~穂乃果はどちらかといえばことりちゃんみたいに胸が大きくなりたいなぁ~』

『そ、そこまで大きいかな?』

『大きいよ!!だって零君がすぐ虜になるじゃん!!』

『そ、そうかなぁ~えへへ~~』

 

 

 まるで俺が女の子の胸ばっかり見ているような言い草だな。まぁ間違っちゃいないか……

 それにしても本当に胸の話題しかしないなコイツら。もしかして俺以上に飢えているのかもしれない。変態と化したμ'sか……ダメだダメだ!!とてもじゃないが俺1人で12人も相手をしていられない!!こういうのは想像の範疇に収めておこう。

 

 

「また鼻血が出てきた。輸血輸血っと――ってあれ?ない!?これだけしか持ってきてなかったっけ!?」

 

 

 カバンの中に大量に詰め込んできた輸血パックの在庫が、いつの間にか0になっていた。昨日の夜確認した時は十分な量があったはずなのに、カラッポになった輸血パックを数えてみると明らかに足りていない。やけにカバンが軽いと思ったらそういうことだったのか。でもどうしてこれだけしか入ってなかったんだ……?

 

 

「早くしないとみんながお風呂を出てしまう……」

 

 

 そこで俺は再び穂乃果たちまだ風呂にいるのかを確認したのだが、それが間違いだった。今まさに穂乃果、ことり、海未が身体を洗うためタオルを取る瞬間だったのだ!!彼女たちを包んでいた唯一のベールが剥ぎ取られ、正真正銘の生まれたままの姿が俺の目に飛び込んで来た。見えた!!何もかもが!!上も……そして下も……!!

 

 

「がはぁっ!!!!」

 

 

 未だかつてないほどの鼻血を吹き出し、俺はそのまま気絶してしまった……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃんってば!!」

「……ん?……楓?」

「もうっ!!やっと起きたね!!」

 

 

 目を開けると、楓の顔がドアップで飛び込んで来た。身体を起こし周りの状況を確認する。気絶した場所から移動してもいないし動かされてもいないようだ。一瞬バレたかと思ったが、近くにいるのは楓だけで他のみんなの姿は見当たらない。風呂からもとっくに出ているようだ。

 

 

「俺……気絶してたのか……」

「やっぱり、思った通りだったよ♪」

「思った通り?――ってお前、そのカメラ俺のだろ!!返せ!!」

 

 

 楓の左手には俺が仕掛けていたカメラが握られていた。そのカメラは、みんなの生まれたままの姿が鮮明に記録されている超お宝だ。誰かに渡すわけにはいかない。

 

 

「そもそもさぁ~私がこの作戦に乗った理由ってものが分かってないんだよ、お兄ちゃんは」

「そうか……この作戦、俺には利点があるがお前には利点がない」

「そういうこと。だから利点を作らせてもらったよ。むしろこのために作戦を提案したんだけどね」

「なに?」

 

 

 この作戦、俺はみんなの生まれたままの姿を見られるというメリットがあるが楓にはそれがない。コイツが自分の裸を見られてもいいという痴女だったら話は別だが、そんな性グセはないだろう。

 

 

 

 

「このカメラを返して欲しければ、来週一週間、私と一緒にお風呂に入って、夜一緒に寝ること!!」

 

 

 

 

「なんだと!?!?」

 

 

 冗談じゃねぇ!!コイツと一緒に風呂とベッドを共にするだと!?絶対に誤りが起きる!!100%枯らされる!!

 楓はニヤニヤしながら俺を見下すような目線を向けている。まさかコイツに遊ばれるなんて……これこそ我が最悪の姉の妹か。でもここで引いてしまうとカメラのデータはすべて消去されてしまうだろう。

 

 くっそぉ!!コイツ、初めからこれが狙いだったのか!!

 

 

「輸血パックを俺のカバンから抜き取ったのはお前だったんだな……」

「そうだよ♪お兄ちゃんが気絶してくれないと、この作戦は成り立たないからね♪」

 

 

 最初からまんまとコイツの罠に嵌っていたということか。普段の俺ならすぐに疑うのだが、みんなの憐れもない姿を見たいという願望にかまけていたため罠に全然気づかなかった。神崎零一生の不覚!!

 

 

「さぁ、どうするのお兄ちゃん♪」

 

 

 

 

 

 

 俺の取る選択は…………

 

 

 

 

 

 

「……分かった。お前の提案に乗ってやる!!だけど、そのカメラは絶対に返してもらうぞ!!」

「そうこなくっちゃ♪流石お兄ちゃん、変態だねぇ~」

 

 

 プライドなんて投げ捨てて、この地獄の一週間を耐え抜いてみせる!!まってろよ!!俺のお宝!!

 

 

 

 

 

 

 そして一週間を耐え抜いたのだが、返してもらったカメラの見てみると、なんとすべてのデータが削除されていた。アイツ曰く、『カメラ自体を返すとは言ったけど、データの保証なんて一切していなかったでしょ♪』だそうだ。

 

 もう絶対に信じない!!姉も妹も!!

 




 前作の『日常』では時系列がバラバラで、夏の話をしたと思ったら次の話は冬になっていたりと、話ごとにごちゃまぜとなっていました。しかし『新日常』では私たちのリアルと時期をリンクさせています。つまりこの話から5月、前回までが4月ということですね。特にリンクさせる必要はないのですが……


 ここから余談です!


 早いもので、デビュー作である『日常』第一話を投稿してから明日で半年になります。これまでに書いた話の総数は135話と、3日に1回は投稿している計算ですね。

 これからの更新頻度の見通しが全然立っていないので、そろそろTwitterか何かで状況を報告していければなぁと考えています。自分自身Twitterをやっていないのですが、この小説を読んでくださっている方でTwitterをやっている人ってどのぐらいいるのでしょう?もしやっている人が少なそうだったらこのまま行こうと思います。

 Twitterやっている人は、もし自分がアカウントを作った際には是非アドバイスください(笑)


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子犬キャラのμ's

 レギュラーキャラが増えたせいで、話の展開をオムニバス形式にすると文字数が肥大化するという面倒な現象が起きてしまいました。読み手からすれば文字数が多い方がいいのかもしれませんが。

 今回は零君が、μ'sのみんなを子犬キャラに仕立て上げます!命令などちょっぴり、ほんのちょっぴりハードな内容もあるのでご注意を!!


子犬キャラのμ's

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーーーし!!遂に届いたぞ」

 

 

 ただいまアイドル研究部部室、俺はそこそこ重量のあるダンボールを抱えて机の上に置く。いやぁ~~届くまで意外と時間が掛かったな。でもそんなことはもうどうでもいい!!今はいち早くこれを開封しなければ!!

 

 

「随分と大きいダンボールだね?何が入ってるの?」

「焦るな穂乃果、今開けてやる」

 

 

 現在部室にいるのは俺、穂乃果、ことり、海未の3年生組だけだ。他のみんなも順次来るだろう。それまではこのダンボールの中身を穂乃果たちに使って遊ぶとするか。

 

 

「きたきた!!これだよこれ!!待ちに待ってた待望のプレイがようやくできるぞ!!」

 

 

 俺はダンボールに入っていたモフモフしているカチューシャのようなモノと、同じくモフモフしているホコリ取りのような細長いモノを穂乃果たちに見せつける。ようやく俺の念願が叶う時がきたんだ!!

 

 

「「「い、犬耳!?」」」

 

 

「そうだ!!そしてこっちが犬のしっぽだ。ちゃんとμ's全員分買ってあるからな、安心しろ」

 

 

 穂乃果たちは目を丸くして驚く。そりゃそうだ、こんな大きなダンボールに入っているんだからライブで使うものだと思うよな。だがその考えはあまーーーい!!

 そう、俺が部費を横領して買ったのは犬耳と犬のしっぽ――つまり犬のコスプレセットだ。これを使ってμ'sのみんなを俺のペットにする、それが俺の夢だった。長年(1年間)追い続けてきた夢が今日ようやく叶うんだ。

 

 

「あ、安心しろって……またあなたはこんな無駄遣いを!!」

「騒ぐな騒ぐな、犬になりたい気持ちは分かるけど落ち着け」

「どうせ部費を勝手に使ったのでしょう?通報しますよ?」

「やれるものならやってみな。そう思ってんのはお前一人だけだから」

「どういう意味です?」

「穂乃果もことりも、犬のコスプレしてみたいよな?」

 

 

「「うん♪」」

 

 

「な゛っ!!」

「ほ~ら見ろ」

 

 

 穂乃果もことりも可愛いものには目がないからな、当然といえば当然の結果だ。これで3:1、あとは勢いで海未を丸め込んでしまえばμ'sのワンワンパラダイスにまた一歩近づくことになるぞ!!以前の温泉での光景は興奮に次ぐ興奮だったが、今回はテーマは癒しだ!!犬となったμ'sのみんなに存分に癒してもらおうじゃないか!!

 

 

「わぁ~~ことりちゃんすっごく可愛いよ!!」

「えへへ~~ありがとう♪穂乃果ちゃんもとっても可愛いよ♪」

 

 

 既に穂乃果とことりは犬耳としっぽを装着していた。いつも小動物みたいに甘えてくるこの2人だからこそ、犬のコスプレがより際立ってとても似合っている。穂乃果もことりもご機嫌なのか、犬耳やしっぽがピコピコと動いていた。

 説明を忘れたが、この犬耳としっぽは装着者の意思や感情に反応して自在に動く仕組みとなっている。これでより犬に近づけるわけだ。

 

 

「ほ~ら穂乃果、ことり、こっちにおいで~!!」

「わ~い♪零君♪」

「こら穂乃果」

「な、なに!?」

「今の穂乃果は子犬なんだから、『ワン』って言わないとダメだろ?」

「あっ、そっか!!」

 

 

 これぞ子犬プレイの醍醐味!!命令しているみたいで申し訳ないのだが、俺は彼女たちに子犬となってじゃれついてもらいたいんだ!!俺は欲望を忠実に再現する男だから、細かい設定までしっかりと決めておくのが我が流儀。

 

 

「ワンワン!!」

「いやぁ~穂乃果は可愛いなぁ~!!もっと撫でてやろう!!」

「くぅ~ん」

 

 

 まだ1人目にして萌え死そうなんだがどうしたらいい……

 穂乃果は俺に抱きついたまま頬を俺の胸にスリスリする。彼女の頭を撫でてやるたびに、しっぽが左右に大きく振れているからよほど気持ちがいいのだろう。

 

 

「ワンワン!!」

「そうだよな、ことりもやって欲しいよな。よし、こっちに来い!!」

 

 

 まるで昔あったチワワのCMみたいに、ことりは愛おしそうな目を俺に向けていた。本当にことりって反則だよな……だって目だけで男を落とすことができるんだから。アキバのメイド喫茶界隈で、伝説のミナリンスキーと言われるだけのことはありますわ。

 

 そこで俺はある命令を思いついた。思い立ったら吉日とも言うし、ダメ元で命令してみるか。もしこれで穂乃果とことりが命令を受け入れたら……その時はその時の俺に任せよう。今は何よりも好奇心が勝る。

 

 

「犬が服着てるのはおかしいよなぁ~~」

「わ、わん……?」

 

 

 穂乃果がキョトンとした顔で俺の顔を見つめる。流石にこんな命令を聞き入れるわけないよな……むしろ俺としても彼女たちに露出グセがあるとは思いたくもない。じゃあなんで命令したのかって?一度でいいから言ってみたいじゃん!!

 

 

「なに!?」

「わ、ワンッ!!」

「こ、ことり!?」

 

 

 なにやら布が肌に擦れるような音がしたと思ったら、ことりが自分の制服に手をかけていた。既にリボンは解かれ、制服もかなり乱れていてことりの白い肌があちらこちらから覗いて見える。そうだった!!今のことりはこういう奴だったんだ!!

 

 

「ま、待てことり冗談だ!!ちょっと言ってみたかっただけなんだよ!!」

「わ、わん……」

「そ、そんなにしょぼくれるなよ……そこまで脱ぎたかったのか?」

「ワンッ!!」

「元気よく答えなくてもいい!!」

 

 

 とにかくことりに服を着させないと!!完全に脱いではいないのだが、もしこの状況を誰かに見られたりでもしたら即通報ものだ。幸い海未は部室の端っこで怯えているし、穂乃果は俺の命令を待っているのかずぅ~と俺を見つめたまま動かない。本当の犬みたいだな。それより早急にことりを元に戻して場を整えなければ、もうすぐ誰かがここに――――

 

 

「よ~し、今日も頑張るにゃ~……?」

「こんにちは~……?」

「外まで声が聞こえてたけど……?」

 

 

 や、やっちまったぁあああああああ!!凛たち2年生組が何の前触れもなく部室に入ってきやがった!!『入るよ~』って声掛けてくださいよ!!

 俺の右手にはことりの制服、そして目の前にはシャツ1枚かつ犬となっていることり、隣には俺に擦り寄っている穂乃果犬、部屋の隅には丸まっている海未。この状況をなにも知らない人見たらもちろん……

 

 

「かよちん!!あの変態を通報だにゃ!!」

「えぇっ!?」

「何してるの花陽!!このままだと、私たちまであの変態に手を出されるわよ!!」

 

「ちょっと待たんかぁあああああああああああああい!!俺の話を聞いてくれ!!」

「黙りなさい!!女の子の服を脱がせてる輩に弁解の余地はないわ!!」

 

 

 俺だけで弁解しても埒があかない。こうなったら穂乃果たちからも事情を説明してもらうしかなさそうだな。それでコイツらが納得するかは別として。海未は部屋の隅で震えていて使い物にならないから、ここは――――

 

 

「俺の代わりに説明してくれ穂乃果!!」

 

 

「ワンッ!!」

 

 

「「「!!!」」」

「オイッ!!そこは設定に忠実じゃなくてもいいんだ!!真姫たち勘違いしてるだろうが!!」

 

「零君……穂乃果ちゃんたちを……?」

「待て花陽!!俺はお前に見放されたら人生が終了する!!だから引かないでくれ!!」

 

 

 その後、犬語から元に戻った穂乃果とことりにより何とか俺に無実は立証された。実際に命令したのは俺なんだが、そこはもう黙っていよう……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「でもこの犬耳よくできてるね!!かよちんだったら似合いそうだにゃ!!」

「そ、そうかな?コスプレなんてしたことないけど」

「折角買ったんだし、ちょっと付けてみろよ。ほら、凛も真姫も」

「わ、私はいいわよ!!」

「残念ながらお前らに拒否権はないんだ。俺がいる限り俺が正義なんだよ」

「いつからμ'sはあなたの絶対君主制になったのよ……」

 

 

 無駄に全員分の犬耳としっぽを買ってしまったため、どうせなら着用しないと勿体無い。それに子犬キャラとなったμ'sなんて貴重な映像、今しか見ることはできないぞ。忘れないうちに脳内HDに焼き付けておくんだ!!

 

 そして凛はノリノリで、花陽は渋々犬耳としっぽを装着した。

 

 

「どうどう零くん、凛の子犬姿似合ってる?」

「ああ!!小柄なお前にピッタリだよ!!」

「零く~ん♪」

「よしよし凛も可愛いなぁ~」

「ワンワン!!」

 

 

 凛がじゃれついてきたので俺もそれに応えるように頭を撫でてやる。そのたびにフリフリと触れるしっぽを見ると元々小柄な身体なことも相まって、凛が本当の子犬に見えてくる。

 いつもは『にゃーにゃー』と、猫語を話している凛が子犬キャラになっているため中々面白い。犬の姿で『にゃーにゃー』言われると存外に滑稽である。

 

 

「花陽もすごく似合ってるぞ!!」

「あ、ありがとう……でも恥ずかしい!!」

「ほら、花陽もこっちおいで~。来ないならこっちから抱き寄せちゃうぞ?」

「れ、零君!?」

 

 

 いつまでもオドオドしている花陽を思いっきり引き寄せ、そのままギュッと抱き寄せた。初めは驚いて落ち着きがなかった花陽だが、頭を撫でてやると次第にしっぽを大きく揺らしながら気持ちよさそうに俺に擦り寄ってくる。やっぱり普段から純粋な花陽が子犬になると、それだけで守ってやりたくなる可愛さがあるな。危うく悩殺されそうだった……

 

 

「真姫も付けてみろって。絶対に可愛いから、な?」

「そ、そこまで言うのなら……仕方ないわね」

「ま、真姫!?あなたも零の言いなりに!?」

「別に!!ただ凛や花陽が零にじゃれついているのを見て、私もやってみたいと思ったとかじゃないから!!」

 

 

 いやいや口に出てますから!?絶対に思っているだろ!!相変わらず分かりやすいツンデレを発揮しやがって、コイツがマトモにデレる日はくるのだろうか?

 

 真姫は緊張しているのか、犬耳を持ってしばらく硬直していたが、決意を固めて遂に犬耳としっぽを装着した。

 

 

「すまん、テンション上がってきた!!」

「ちょっと!!急に抱きつかないでよ!!」

「いいじゃんいいじゃん!!ナデナデしてやるからさ」

「そ、そんなので……んっ、気持ちよくなんてならないんだから」

 

 

 だったらさっきの『んっ』ってなんだよ?やっぱり真姫は色々と感じやすいのかもしれない。この前『ワシワシMAXハイパー』を試した時だってそうだ。これも自分磨きの賜物か。

 

 

「こんにちはーー」

「すみません、遅くなりました」

「またラブコメの匂いがする……」

 

 

 次に入ってきたのは亜里沙、雪穂、俺の妹である楓の一年生組だ。今回は服を誰かの服を脱がしているなどという犯罪行為はしていないため、騒ぎになることはないだろう。受け入れてもらえるのかと言えば話は別だが……

 

 

「ちょうどよかった!!お前らにこれをプレゼントしよう!!」

「い、犬耳!?まさかこれを私たちに付けさせようと……?」

「当たり前だ!!雪穂も可愛い子犬になると思うぞ?」

「ぜっっっったいに付けませんからね!!ね?亜里沙、楓?」

 

「えぇーー私は可愛いと思うけどなぁ~」

「お兄ちゃんが命令なら付けないわけにはいかないね♪」

 

「ふ、2人ともぉ~」

 

 

 これは穂乃果たちと同じパターンだな。亜里沙と楓という外壁を固めていけば、如何に雪穂が強靭な牙城を立てていたとしても切り崩すのは簡単だ。あとは勝手に堕ちてくれるからな。

 

 

「なら雪穂はそこでカカシになって見ていればいいよ。私は亜里沙とお兄ちゃんに可愛がってもらうから」

「れ、零君に……?」

「雪穂も一緒に子犬さんやろうよ!!零くんにナデナデしてもらえるよ!!」

「う、うぅーーーー」

 

 

 いい調子だ。この調子で雪穂のガードを全部破ってしまえ!!これで雪穂が俺の犬になるのも時間の問題だな、ワッハッハ!!この言い方もかなり犯罪臭がする言い方だけどな。

 

 そして雪穂の牙城は崩れ去り、3人まとめて俺の犬にしてやった。もうこの言い方やめようか、流石に敵しか生まなくなる。

 

 まず俺は子犬の亜里沙を引き寄せて抱きしめた。

 

 

「そういえば、こうやって亜里沙を抱きしめるのって初めてだな」

「そうですね!でもお姉ちゃんから聞いてた通り、零君とっても暖かいです♪」

「俺もだよ。悪いけど亜里沙、ちょっと犬の言葉で喋ってみてくれないか?」

「ワンワンッ!!」

 

 

 凄まじい!!子犬亜里沙+犬語の破壊力!!俺はこんな天使に犬をやらせて、しかも犬語で喋らせているのか!?ここまできて罪悪感が半端ではない!!そんな笑顔でワンワンって言われたら……また新たな性癖に目覚めてしまいそうだ。

 

 

「ワンワンワンワンワンワンワンワン!!」

「うおっ、楓か!?うるさいうるさい!!お前は色々と成長し過ぎていて子犬に見えないんだよ!!」

「ワンワンワンワンワンワンワンワン!!」

「だぁあああああ!!こっちに擦り寄ってきて脱ごうとするな!!ことりと同じ展開になるだろうが!!」

 

 

 相変わらずコイツはいつでもどこでも容赦がないな!!人前で脱ぐなんて、変なところでことりに似ている。むしろおかしくなったのはことりの方かもしれないけど……でもことりは彼女、コイツは妹。俺をどれだけ犯罪者に仕立てあげれば気が済むんだ!?

 

 

「雪穂、そんなところに突っ立ってないでこっちに来いよ」

「変なことしません?」

「しないしない」

「……じゃあお言葉に甘えて」

「いい子だなぁ~雪穂は!!」

「きゅ、急に撫でないでください!!」

 

 

 雪穂も真姫と同じく素直になれない系女子だけど、押してやれば借りてきた猫のように素直で大人しくなる。現に今も俺の背中に手を回し、俺にそっともたれ掛かっている。頭を撫でるたびにしっぽを揺らしていることから、俺のことを許してはいるようだ。まさか雪穂と抱きつき合うことのできる関係になるとは、今まで思ってもなかったけどな。

 

 

「どうしたの?廊下まで声が聞こえてきたけど?」

「また零君が面白いことやってるん?」

「にこたちにまで飛び火しなきゃいいけどね」

 

 

 最後に大学生組が順番に部室へ入ってきた。とうとう最後の獲物が網にかかったか。これよりμ's犬化計画は最終段階を迎える!!みんな俺に従順な子犬ちゃんにしてやるぞぉ~~!!

 

 

「こ、これは……逃げましょう」

「そ、そうやね……」

 

「逃がすかぁああああああああああああああああああ!!」

 

「「きゃぁっ!!」」

 

 

 俺は後ずさりして逃げ出そうとした絵里と希に飛びかかり、ものの一瞬で2人に犬耳としっぽを装着した。μ's内で1、2を争うアダルトボディを持つ2人が犬になる姿を、この目で是非拝んでおかなければな!!

 

 絵里と希の子犬姿は、いつもの大人びた2人とは違ってとてもギャップがある。そのギャップに萌えるというか、ここまで愛くるしい彼女たちを見るのは初めてかもしれない。

 

 

「これは中々……なぁ絵里、希!!ワンッって言ってみてくれ。一回だけでいいからさ、頼むよ」

「イヤよ!!」

「そうか……だったら子犬となった亜里沙で遊ぶとするか……フフフ」

「そ、それだけは……」

「じゃあワンと鳴くんだな!!」

「絵里ち……ウチも一緒にやるから」

「希……ありがとね」

 

 

 おぉ~~いい友情だな。でも俺の前では友情の力なんて無意味なのだよ、この亜里沙という人質ならぬ犬質がいる限りは!!なんだか俺、悪役になってね?みんなを犬化させている時点で悪魔なのかもしれないが。

 

 絵里と希はモジモジしながらも、俺の目を上目遣いで見つめる。流石にこの2人が長身だといっても男の俺には敵わない。まるで本当の子犬みたいだ。

 

 そして2人は大きく息を吸い込んで――

 

 

「「わ、ワンワン!!」」

 

 

「ぐうっ!!」

 

 

「ちょ、ちょっと零大丈夫!?」

「あぁ……なんとか」

 

 

 ギャップ萌えとはまさにこのことを言うのだろう。危うくμ'sのお姉さま方2人に悩殺させられるところだった。結果が出た、お姉さんキャラの2人が子犬キャラになると男は死にかける。何とか鼻血だけは回避できたからよかったが、体制がなければイチコロだっただろうな。

 

 

「れ、零!!」

「にこ……お前」

 

 

 後ろからチョンチョンとつつかれたので振り返ってみれば、なんとにこが自ら犬耳としっぽをつけて犬と化していた。その姿は真上にピョコっと立っている犬耳と、左右に垂れているツインテールが合わさり最強に見える。凛や亜里沙の時も言ったけど、小柄な身体だとやっぱり子犬姿がよく似合うな。

 

 

「似合ってる、可愛いよ」

「あ、ありがとう……れ、零、それでね!!」

「分かってる。思いっきり来い!!」

「ワンワン!!」

 

 

 にこは今までの誰よりもかつてないほどしっぽをフリフリして、俺の胸に飛び込んで来た。

 いつもは強気の彼女だが、意外と繊細で寂しがり屋なのだ。前回の新入部員歓迎会の時も、長い期間俺に会えなかった鬱憤がここぞとばかりに発揮された。そして今回も、にこの表情を見ていれば大体分かる。これでも付き合い始めてからそこそこ時間が経ってるしな。

 

 

「くぅ~ん♪」

「そうだよな寂しかったよな、ゴメンな」

 

 

 やはり大学生組とは高校時代とは違って会える時間が減っている。特ににこはそれを気にしているみたいで、こうしてみんなの前であろうと甘えん坊になることも多い。

 今のにこは子犬となっている。今日は思いっきり愛でてやろう。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「さぁ最後は……」

「わ、私はそろそろ帰りますね!!」

「何言ってんだ。まだこれから練習があるだろ」

 

 

 コソコソと帰ろうとしてもそうはいかない!!俺が海未の存在を忘れるとでも思ったか?多分この中で一番子犬のコスプレに相応しくないであろう海未を、敢えて子犬に仕立てあげイジメるのが俺の最後の楽しみなんだ!!

 

 

「そこまでイヤか?」

「見てるだけでも恥ずかしいのに自分が子犬になるなんて……」

「そうか……なら海未を取り押さえるんだ!!穂乃果、ことり!!」

 

「「ワンワンッ!!」」

 

「穂乃果!?ことり!?離してください!!私は……私は!!」

「怯えたいい目をしているぞ、海未。そんな子犬みたいな目をしていると――――イジメたくなっちゃうじゃん」

 

 

「こ、こっちへ来ないでください!!あ、あぁああああああああああああああああああ!!」

 

 

 そこで海未は堕ちて(?)しまった。

 大和撫子が似合う海未に子犬は不釣り合いだとは思ったのだが、その怯えた目だけは子犬そのものだ。スレンダーな身体、長く綺麗な髪、透き通った白い肌、こんな子犬がいてもいいじゃないか!!この俺が一生飼ってやろう。

 

 

 ちなみ海未を愛ですぎて、キレた彼女をみんなで止めている間に完全下校時刻になってしまったのは内緒な。

 

 全く誰のせいだよ!!

 

 




 この小説でのことりとにこのキャラ崩壊が半端ではないですね(笑)個人的には可愛く描けていればそれでいいと思っています。

 子犬となったμ'sの姿、是非見てみたいですね!だったら自分で書こうとも思いましたが、自分は1つの絵を完成させるのに半日は費やすので12人分書くとしたら6日ですか……流石に諦めました(笑)
 ちなみに『非日常』の第4章では毎回下手くそな絵を書いてましたので、興味がある方はそちらまでどうぞ!


 Twitter始めてみた⇒https://twitter.com/CamelliaDahlia


 まだなにもわからない状況なので、色々と教えてもらえると助かります。


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小泉花陽、不良化計画!?

 今回は執筆途中から罪悪感がひしひしと込み上げてきて、花陽には非常に申し訳ないことをしてしまった……でも見たかったんや、かよちんがグレる姿を、不良少女になる姿を!!


 

 

「あれ?花陽だけか?」

「うん、2人共掃除当番だから。穂乃果ちゃんたちは?」

「アイツらもそうだ。ということは花陽と2人きりか……」

 

 

 部室には、花陽が1人で宿題をしながらみんなを待っていた。待ち時間を勉強に活用するとは中々勤勉な奴だ。凛はこの花陽と一緒にいるのにも関わらず、どうしてここまで頭の差が出てしまったのだろうか?まぁ花陽はうるさく言わないから仕方がないのかもしれない。でも、うるさく言われてもやらないリーダーさんもいるがな。

 

 

「あれ?宿題やめちゃうのか?」

「うん。零君が来たから、一緒にお話ししたいなって」

 

 

 ええ子や……なんていい子なんだ!!わざわざ変態の名札をぶら下げて歩いてる奴に対して、自分の手を止めてまでお話してくれるなんて……だから花陽が大好き!!結婚しよう!!

 

 

「じゃあまたダイエット方法でも考えるか」

「えぇ!?も、もしかして私また太ってる……?」

「じょーだんじょーだん!!」

「ひ、ヒドイよ~~!!本当に太ってると思っちゃった!!最近ご飯のおかわり3回で我慢してるのに!!」

 

 

 いやいや!!それでも食い過ぎだって……流石に男の俺でも茶碗3杯は味的な意味で飽きてしまって食べられない。しかも花陽はふりかけなどもかけずに、白米のまま食べるから驚きだ。この前、『俺はご飯に明太子を乗せるのが好きなんだよ』って言ったらメチャクチャどやされた。その後2時間の説教コース……

 

 

「花陽で遊ぶのもこれくらいにして、喉渇いたからお茶でも……って、そうだ、ちょうどなくなったんだった」

「じゃあ部室のお茶にする?」

「ああ、頼む」

「暖いのと冷たいのがあるけど」

「じゃあ冷たいので」

 

 

 俺が飲むお茶なのに、花陽は自分の仕事かのようにテキパキとお茶を注いでくれた。優しすぎるというか、何というか。この包み込むような優しさだからこそ、彼女に甘えたくなるのかもしれない。ずっと一緒にいた凛はどれだけ花陽に甘えてきたのだろうか。

 

 

「はい、どうぞ!」

「ありがとな。花陽の入れてくれるお茶は美味いからな~」

「そ、そんな!誰がいれても変わらないと思うけど」

「変わる変わる!!花陽の優しさと真心が篭っているからとても美味しいよ」

「えへへ……ありがとう!!」

 

 

 くぅ~~全く今回も天使のような笑顔をしてやがるぜ!!花陽の笑顔を見ていると、自分が今まで行った悪行を悔い改めたくなる。コイツが天にいれば全世界から犯罪がなくなるんじゃないか?

 

 

「これならいつ俺のお嫁さんになっても問題ないな」

「お、お嫁さん!?れ、零君の!?」

「そりゃあ付き合っているんだから当たり前だろ」

「お嫁さん……零君の……私が……」

「お~い、戻ってこ~い!!」

 

 

 花陽はす~ぐ顔を真っ赤にして沸騰しちゃうんだから。口をパクパクさせ目もキョロキョロしているため、自分自身を制御できていない。これはかなり妄想の世界に浸っているな。そして大方、新婚生活という設定を自分で立てて自爆しているのだろう。これだけで花陽の純粋さが伺える。全く、可愛い奴め!!

 

 でも俺は見たいと思っている。この純粋な花陽がグレる姿を。不良となった花陽って、一体どんな風になるのだろうか?今はちょうど部室で2人きり、試すのなら今だろう。このために常備しておいた、『花陽を不良にするための道具セット』が火を吹く時が来たな!!

 

 

「2人でやることもないし、ちょっとコスプレでもしてみるか?」

「また!?この前子犬になったばっかりだよ!?」

「今度はそんな可愛いものじゃない。俺がお前をイメチェンさせてやろう!!」

「なんか、イヤな予感しかしないんだけど……」

 

 

 そんな弱音を吐く花陽も今のうちだけだ。この俺が花陽を、彼女と付き合いの長い凛ですらビックリのチャラ女に変えてやる!!これは面白くなりそうだな!!今からでもワクワクする、強気になった花陽の姿に!!

 

 

「まずはこれだ」

「さ、サングラス!?」

「あぁ。まず花陽って、見た目から優しそうでお人形さんみたいに可愛いじゃん?」

「そ、そうかな……えへへ」

「そうやってすぐに照れるのも可愛すぎる!!だからまずそのクリクリっとした目をこれで覆い隠すんだ!!それだけでも全然雰囲気が変わるから」

「零君がそう言うなら……」

 

 

 花陽は納得がいかないまま渋々サングラスを掛けた。一応これでも花陽に合う丸っこいフレームを選んだんだぞ?前回部費を横領したせいで、俺が部費を使うことが禁止になっちまったから今回は自腹だ。女の子のためにプレゼントを買うって、俺っていい奴?

 

 

「どう?似合ってるかな?」

「う~ん……花陽」

「な、なに?」

「お前、サングラスしてても可愛いな」

「えぇ!?あまりサングラスで可愛いって聞かないけど」

 

 

 これは誤算だった。まさか花陽の雰囲気をサングラスでも隠しきれないとは……流石に丸っこいフレームはおとなし過ぎたか?むしろサングラスをしたことによって、無駄にカッコよさと可愛さを両立してやがる!!

 

 

「次は髪だ!!そのショートボブじゃあいつまで経っても穏やかな雰囲気しか感じられないからな」

「でも私髪の毛短いから、整えたり結んだりできないよ?」

「そうだなぁ~、折角だし逆立たせてみるか。それだけでお前に迫力というものが出るだろうし」

 

 

 まず花陽には迫力、つまりインパクトというものが欠けている。俺のような変態や、穂乃果や凛のように見るからに馬鹿騒ぎしそうな奴なら話は別だが、彼女にはこれといったインパクトがない。もう見ただけで『かよちんすげぇえええええええ!!』と言われるぐらい、髪型を変化させてみようと思う。

 

 

 そして俺は整髪料を使い、花陽のフワフワかつサラサラした綺麗な髪の毛を上へ上へと逆立たせていく。髪は女の命とも言うが、花陽は自分の髪の毛を男の俺に任せてもよかったのだろうか?それも彼女の優しさと心の広さのお陰かもしれない。いやぁ~天使様には頭が上がりませんわぁ~!!

 

 

「できたぞ!!鏡を見てみろ」

「こ、これが私!?もう自分じゃない誰かを見ているみたい……」

「そりゃそうだ、温厚な小泉花陽を殺すような髪型にしたからな」

 

 

 今の花陽はサングラスを掛け、フワフワなショートボブはすべて逆立たせてある。なんだかどこかのロック歌手みたいになってるな……でも花陽にはそれぐらいのハジケ具合が必要なんだ!!

 

 

「次は声だな」

「声?」

「あぁ、お前のそのぽわぁ~とした癒される声から、人の心を抉るような鋭い声に変えてみろ」

「変えてみろって言われても、そんな声色を変えられるほど芸達者じゃないよ!?」

「ならまず俺のことを呼び捨てで、しかもメンドくさそうに呼んでみてくれ。そうだ、舌打ちとかしてみるといいかもしれないぞ?」

「そ、そう?じゃあ……」

 

 

 花陽は立ち上がって俺の方向へ向き直る。まだサングラスと髪型しか変えていないのだが、穏やかな雰囲気の花陽は遥か彼方へ飛ばされ、黙っているだけでも迫力がある。外でこんな奴が歩いていたら絶対に近づきたくないタイプだ。

 

 花陽はすぅ~っと息を吸い込む。来る……グレた花陽の第一声が!!

 

 

 

 

「チッ、零かよメンドくせぇ……」

 

 

 

 

「ぎゃぁああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

「れ、零君どうしたの!?」

「花陽がぁ……俺のかよちんがぁ……こんなグレた姿に……」

「零君がやれって言ったんだよね!?」

 

 

 まさか本当に心が抉られるとは思ってもみなかった。たった一言のセリフで俺を絶望のドン底に陥れるとは……グレた花陽、恐るべし!!見た目の雰囲気も完全にヤクザの一員みたいになっちゃって……俺はなんてことをしてしまったんだ!?

 

 

「じゃあもうやめようよぉ~零君のそんな姿、私見たくないから」

「相変わらず優しいな花陽は。でも俺は途中でやめるなんて中途半端なマネはできない!!こうなったらとことんお前をグレさせてやる!!」

「段々あさっての方向に向かっているような……?」

 

 

 『花陽』と『インパクト』、この2つの言葉は相反していると言ってもいいが、今の花陽は十分にインパクト満点だ。サングラスに逆立てた髪、汚い言葉遣いもマスターしている。でもまだだ、最後にこれがあってこそ不良っぽさが現れるというものを用意しておいた。

 

 

「最後にこれを渡そう。不良の必須アイテムだ」

「これって、ココアシガレット?もしかしてこれをタバコに見立てるの!?」

「そうそう、流石に本物を持たせるわけにはいかないからそれで我慢してくれ」

 

 

 ココアシガレットとは意図的にタバコに似せて作られたお菓子だ。味はしっかりラムネ味だから大丈夫だぞ。ちなみに箱もタバコ箱と似たような作りになっているから、持っているだけで勘違いされる一品だ。

 

 

「でもそれを咥えているだけだとインパクトがないな……そうだ!!花陽、ちょっとここに座ってみろ」

「え?う、うん……」

「この加湿器の側に座っておけば、蒸気がタバコの煙っぽく見えるだろ?」

「ホントだ!!すごくそれっぽい!!」

 

 

 これでタバコを吸っている危険な花陽が完成したぞ!!どこからどう見ても以前の優しい雰囲気の花陽はいない。目を合わせただけで因縁を付けられるであろう、不良少女に変身だ!!あぁ~彼女を天使と崇める人にこの姿を見せてやりたい!!

 

 

「あとは座り方をもう少し崩してみようか」

「座り方?普通に座ってるだけじゃダメなの?」

「今の座り方だと姿勢が良すぎる。そうだな……あぐらはできるか?」

「あぁ~私、あぐらで座ることができないんだ。この前凛ちゃんに無理矢理やらされた時は、しばらく脚の痛みが引かなかったしね……あはは……」

 

 

 よし、凛は後でシメる。俺の花陽を痛みつけたバツを与えなければ。

 それは今後のお楽しみとして、結局座り方は片足をイスの上に乗せるという行儀が悪すぎる方法に決定した。もう片方は普通に床に着けているので、チラチラとスカートの中身が見えそうになっているのは内緒。だって花陽に言うと、恥ずかしがって隠してしまうから拝めなくなるじゃん!!

 

 

「そして最後に制服を着崩して……」

「れ、零君!?そんなにボタンを外したら……み、見えちゃうよ!?」

「ん~?なにが見えちゃうのかなぁ~?」

「そ、その……し、した……」

 

 

 俺が言っちまえば、花陽は下着が見えそうになるって言いたいんだろう。彼女のブレザーのボタンを全開にし、俺が今手をかけているのはシャツの第二ボタンだ。そこを開けてしまえば、花陽の可愛らしい下着がこんにちはをするだろう。俺としてはそれでももちろんいいのだが、今の花陽に『恥じらい』という言葉があってはならない。

 

 

「そのモジモジしながら恥ずかしがるのをやめろ。可愛すぎるから」

「じゃあボタンから手を離してよぉ~……」

「このまま脱がせたいのは山々だがもうすぐ凛と真姫が来る時間だから、今日のところは許してやるよ」

「えっ……またいつか脱がされるのぉ!?」

 

 

 いやぁ~ことりや花陽みたいに、おっとりした女の子は特にイジメたくなっちゃうんだよ!!でも今のことりはイジメると逆に悦びそうだからイジメ甲斐がない。そうなると必然的にその対象は花陽に向けられるというわけだ!!セクハラした時の反応はμ's随一だからな!!

 

 

 こうして花陽のイメチェンが完了した。俺が花陽に施したことは――

 

・サングラス着用

・髪を逆立たせる

・言葉遣いを悪く

・タバコ(ココアシガレット)を咥える

・座り方を雑に

・制服の着崩し

 

 

 こんなものかな?このような花陽を想像するだけでも末恐ろしいのだが、現実に今俺の目の前にいる。もうどこかのヘビメタ歌手みたいだな。

 不良女子といえばピアスも着けたいと思っていたのだが、流石に花陽の綺麗な耳を傷つけることだけはこの俺でもできなかった。ただでさえ罪悪感がヒドイというのに……

 

 

「よし、それでもう一度俺を罵ってみろ」

「でもまたショックを受けるんじゃあ……」

「このままだと俺はお前のファンに殺されるような気がしてな。せめてもの償いをここでしておこうというわけだ。なぁに心配するな。俺をショック死させることができれば、お前は真の不良になっているという証明になる」

「私、別に不良になりたいって思ってもないし言ってもないと思うんだけど……」

「あれそうだっけ?」

 

 

 そう言われれば俺の興味本位でこんな企画が始まったような気がする。花陽はわざわざ俺に付き合ってくれていたのか、全くどこまで行っても優しい奴だ。だからこんなグレた一面を見てみたいと思ったんだけどな。

 

 花陽はすぅ~っと息を吸い込む。来る……グレた花陽の第二声が!!

 

 

 

 

「チッ、零か。ジロジロ見てんじゃねぇよ!!」

 

 

 

 

「ゴメンなさぁああああああああああああああああああああああい!!」

 

 

「ど、土下座!?そこまでしなくてもいいよぉ!!」

「いや、これは俺なりのケジメだ。天使を不良にまで没落させた罪の償いだから」

 

 

 

 

「おまたせかよち~ん!!」

「凛が遊ばなければ、もっと早く掃除が終わったのに……」

「細かいことは気にしちゃダメだ…………にゃ?」

「細かくないわ…………よ?」

 

 

 おおう!!唐突に凛と真姫が部室に入ってきたぞ!!遂にこれまでの成果を試す時が来たな!!

 凛と真姫は目の前に土下座している俺と、その前に行儀悪く座っている謎の不良少女を見て言葉に詰まっている。この2人なら不良少女が花陽だとすぐに分かるだろうが、さてはて反応は?

 

 

「かよ……ちん……だよね?」

「あぁ!?気安く呼ぶんじゃねぇよ!!」

「なっ……えっ……ちょっと……か、かよちんがグレてる!?どうして!?」

 

 

 いい反応だな!!付き合いが一番長い凛だからこそ、花陽の変貌具合には相当困惑するだろう。現に凛の身体はプルプルと震えている。それが驚きなのか恐怖なのかは分からないが。

 

 

「花陽……あなた何吸ってるのよ!?それタバコでしょ!?」

「チッ、うっせーな!!」

「うっ……そんなもの吸っても百害あって一利なしよ!!生徒会役員じゃないけど、医者の娘としてそれは没収よ」

「相変わらずうるせぇな真姫は……」

「えっ……名前……」

 

 

 真姫もいい反応だ!!突然呼び捨てで呼ばれてかなりショックを受けている。

 加湿器の蒸気をタバコの煙に見立てる作戦も大成功!!真姫なら絶対にタバコにツッコんでくれると思っていたからな。でも親友が急にグレたら俺ならどう対処するだろう?もし穂乃果やことりがグレたら……ブルブル。

 

 

 もうそろそろいいかな?よしっ!!ここで最後に用意しておいた最終兵器を出す時だ!!

 

 

「ドッキリ大成功!!」

 

 

「「「え……?」」」

 

 

 俺は『ドッキリ大成功』とそのままの文字で書かれた看板を持ち上げて3人に見せる。凛と真姫はもちろん、何も聞かされていなかった花陽も同時に驚いた。一度でいいからやってみたかったんだよな、ドッキリ企画。

 

 

「花陽……」

「は、はい!!」

「正直に答えて。花陽もこの計画に加担してたの?」

「いや、私は何も聞かされてなかったよ」

「じゃあ零くんが一方的に?」

「そもそも不良の姿になるってことも途中で知ったから……」

「「ふ~ん」」

 

 

 凛と真姫は花陽からジト目で俺に向き直る。アカン……この2人から殺気を感じる。このままだと……殺られる!!

 

 

「おい……無言でこっちに迫ってくるな!!」

「かよちんを……かよちんをこんな姿にして……許せないにゃ」

「毎回毎回お遊びが過ぎるんじゃない……?たまには制裁を加えないとね……フフフ」

 

 

 ヤバイ……2人ともSの目になっている。に、逃げないと……いくらダンスレッスンをしているといっても運動神経なら俺の方が格段に上だ。逃げるだけなら簡単だろう。今回の件について罵倒されるのはいいが、ボコボコにはされたくもない。久々の『いつものオチ』になっちまう!!

 

 しかしそう思ったのも束の間、誰かに手首を力強く握り締められる。そしてそのまま身体に引き寄せられた。

 

 

「なに!?は、花陽!?離せ!!」

「今回は私もちょっと遊びすぎていると思うよ。大丈夫、私は零君を抱きしめているだけだから……」

「怖いよ!!その姿で抱きしめられても恐怖でしかないわ!!」

 

 

「じゃあそろそろ覚悟を決めなさい……」

「零くんも愉快な顔に変えてあげるにゃ……」

 

 

 

 

「いいぜ!!かかってこい!!女の子3人ぐらい相手にできなきゃどうするって――――ぐふぅ!!!!」

 

 

 

 

 その後はまるで、不良少女3人にリンチされているかようだった……

 

 

 いや、もうこれは集団リンチと言っても差し支えないだろう……また俺の屍が1つ増えてしまったようだ……

 

 




 花陽推しの方、今回の花陽を想像してどうだったでしょうか?自分は意外とインパクトのある花陽も可愛いなぁと思いました(笑)

 逆に絵里や真姫辺りは不良となっても特に違和感がないというか、似合ってますよね。一度でいいから不良少女となったみんなを見てみたいです!じゃあ自分で書くか!!(フラグではない)


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 ちなみにGW中に暇な時につらつらと鉛筆で書いた、ラブライブの絵がありますのでそちらも上記からどうぞ!アカウントがなくても見ることができます。運営の許可が出れば、次回同じ絵を掲載する予定です。
 絵の出来具合は……映画のポスター画像を横目で見ながら書いていただけなので期待しないでくださいね(笑)


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にことのイチャイチャLife

 悪いことは言わない、この話を読む前に殴る用の壁を用意しておくんだ……

 そういうことで、今回はにこ回となります!!『新日常』になってデレデレのにこと変態の零君が2人きりになる時、何が起きる!?さらに今回は紛うことなき『R-17.9』要素があります。

 また全編通してにこ視点です。


 

 

「おっす、来たぞぉ~」

「いらっしゃい、早かったわね」

 

 

 今日はにこの部屋で零と2人きり!!この約束をしてから、ずっと楽しみにしてたんだから!!

 

 ……取り乱して悪かったわ。今日一日お母さんと妹たちは出かけているから、久しぶりに零をにこの部屋に招待したの。にこが大学へ進学してからというもの、零と会う時間が高校時代と比べると極端に少なくなった。絵里と希も同じ大学で同じ講義を受けているから一人で心細いってことはないんだけど、やっぱり零に会いたいって気持ちは満たされないのよね。

 

 

「久しぶりににこと2人きりだからな、俺もテンション上がっちゃって」

「ふふっ、それはにこも同じよ♪」

 

 

 零も同じことを考えてくれてたんだ!!全くも~う!!にこがいないとホントにダメダメなんだから♪しょうがないから今日はずっと一緒にいてあげるわよ♪

 

 

「エプロン?もしかして飯作ってたのか?」

「ちょうど今から作り始めようとしていたところよ。だから意外とアンタが早く来て、少しビックリしちゃったというわけ」

「そうか。でもキッチンに立つ彼女の後ろ姿って、男の憧れなんだよ。こりゃ早く来て正解だったかな?」

「そうなんだ。だけどにこの後ろ姿が可愛いからって、勝手に手を出しちゃダメなんだからね?」

 

 

 この会話、誰がどう見ても恋人同士っぽくない!?まさか零とこんな関係になるなんて、出会った頃は思ってもみなかったなぁ。普段は憎まれ口を叩き合うような仲だったし。でも今のにこの心は完全にコイツに奪われている。ちょっと日にちが空くだけでも愛おしくなるくらいにはね。本当に何が起こるか分からないわ、人生って。

 

 

「勝手に手を出しちゃダメか……じゃあ言ってから手を出すのはいいんだな?」

「揚げ足とらないの!!それは……ぜ~んぶ後でね♪」

「それは期待していてもいいってことだな」

「あら?意外とあっさり引くのね」

「郷に入っては郷に従えと言うだろ?つまりそういうことだ」

「ふふっ、なにそれ」

 

 

 これが零のいいところ。コイツは別に誰にでも、そしていつでもどこでも手を出すような人間じゃない。ただの変態にも見えるけど、にこたちが本当に嫌がることは絶対にしない。ちょっとSっ気があって無理矢理なところもあるけれど、にこたちμ'sはそんな零のことが好きだったり。やっぱり女の子を引っ張ってくれる男の子って素敵よね♪

 

 

「それじゃあ今からお昼ご飯作るから、テレビでも見て待ってて」

「いや、お前を視姦することにするよ。久しぶり過ぎて楽しみだなぁ~にこの手料理」

「前半と後半で言っていることのギャップがすごいんだけど……」

 

 

 2人きりになっても変わらないセクハラ発言、でもそんな零と一緒にお喋りするのが何よりも楽しい!!もちろん絵里や希、μ'sのみんなとのお喋りも楽しいけど、零と喋っていると自然と元気が貰えるっていうのかな?いつも明るい零だからこそ、こっちも『やるぞぉ!!』って気持ちになれるしね!!もうにこの原動力のほとんどが零から貰っているといっても過言ではないわ。多分μ'sのみんなも同じじゃないかな?

 

 

 零をリビングへ案内し、にこはキッチンへと向かった。

 よ~し!!愛しの彼氏のために、にこの腕を振るう時が来たわね!!見てなさい、アンタの胃袋をガッチリ掴んでみせるんだから!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ふんふんふ~ん♪」

 

 

 自分の好きな人に料理を振舞えるとなると、嬉しくなって自然と鼻歌が出てしまう。流石にこの姿を妹たちに見せることはできないわね。恥ずかしいし……

 それにしても零の奴、本当ににこの背中ばっかり見てるのね。にことしては嬉しいんだけど、もしかしてμ's以外の女の子にもそういう目で見ているのかと思うとちょっと心配。零のことだしね、ありうる……入学式で新入生の可愛い女の子をチェックしてたって凛が言ってたし。

 

 全く、去年にこたち9人に一斉告白して、しかも9人立て続けにキスをしていた奴が、大胆にも他の女の子を視姦ですかそうですか!!べ、別に嫉妬とかじゃないんだからね!!もっとにこを見て欲しいなぁとか思ってないから!!でもさ、彼女である私たちを差し置いて、他の女の子に鼻の下を伸ばすのは間違ってるんじゃないかぁって……。

 

 

「へ……?えぇえええええ!!」

 

 

 後ろから暖かい感触がしたと思ったら、零がにこの身体を思いっきり抱きしめていた。

 突然すぎてビックリしちゃったわよ!!ずっと考え事をしてて、零が近づいてきたことに全く気がついていなかったわ。でもさっきまでモヤモヤしていた気持ちが、一気に晴れたような気がする。

 

 

「もうっ!!料理中は手を出さないでって言ったでしょ?」

「悪い、でもお前の寂しそうな姿を見てたら居ても立ってもいられなくなったんだ」

「えっ?顔に出てた!?」

「顔を見なくても、にこのことなら背中を見るだけでも分かるよ。もう1年の付き合いなんだから」

「零……ありがと」

 

 

 きゃぁあああああああああああ!!絶対今にこの顔、真っ赤になってわよね!?こうして零に抱きしめられると毎回心臓がバクバクして止まらない。零と恋人同士になって抱きしめられたことは何回もあるけど、いつまで経っても慣れないわ。その高鳴りがまたいいんだけどね。

 

 そして相変わらず恥ずかしいセリフをズケズケと……ホントに恥ずかしいわ。

 あの時の一斉告白をネタにすると悶え苦しむくせに、こういう時にはいっつもにこたちの心をガッチリ掴むセリフばっかり。まいっちゃうなぁ~もうっ♪

 

 

「邪魔してゴメンな」

「いいわよ別に。おかげでスッキリしたから!!」

「そうか、よかった……」

 

 

 こうやって、いつもにこたちの心を覗き込んでいるかのように察しがいいのよね。そのおかげでにこもみんなも救われてきたんだけど。いつもの変態野郎の零も明るくて元気いっぱいで好きだけど、こうして優しく包み込んでくれる零はもっと好き。もっと、もっと抱きしめて欲しいな♪

 

 

「ねぇ、も、もっと来て……」

「もちろんそのつもりだ。俺がこれだけで終わるわけないだ……ろっと!!」

「きゃあっ!!」

 

 

 零は自分の手をにこの腕と胸の間に滑り込ませてきた。零の手がにこの胸にダイレクトに当たっている。μ'sの中で胸が一番小さいと言われているにこだけど、それでも全くないわけじゃないわ。

 

 ――――って自分で言っていて悲しくなってくるけど、事実だからしょうがない。でも雪穂よりはあるかも……やめよう、惨めになるだけだわ。それに希のワシワシの実験台にもなってるから、割と大きくなってきているような気がする。そう、気がするだけ……

 

 

「それはご飯のあとでって言ったでしょ?」

「しょうがねぇだろ、我慢できなくなったんだから。それにここには俺とお前、2人きりなんだ。欲望を抑えろっていうには無理があるだろ」

「全く、いつもいつも都合のいいことばっかり。ホントに変態野郎ね」

「褒め言葉だ」

 

 

 そうだった、この状態の零に何を言っても無駄だってこと忘れてたわ。言うこと言うこと全部自分の都合のいいように吸収され、そしてにこたちはあっさりと丸め込まれてしまう。

 でもそれを嫌がる子は、零の彼女となった9人の中で誰もいないと思うのよね。穂乃果やことり、花陽や凛、希なんかはホイホイ言うことを聞きそうだし、堅物の海未や真姫、絵里も抵抗はするものの、心のどこかでは絶対に零と触れてもらえることに期待してそう。もちろんにこもそうなんだけどね。

 

 

「いいか?」

「いいわよ。だってにこは零のものなんだから♪」

「じゃあ俺はお前たちの虜になってるから、俺はお前らのものだな」

「そういうこと♪忘れちゃダメよ?」

「もちろん!!」

 

 

 そう言ったのと同時に、零は自分で編み出したと噂される『ワシワシMAXハイパー』とかいうふざけた名前の技を発動させた。零の手がにこの胸に触れた瞬間、ビリビリっと電流が走ったかのようにカラダに刺激が伝わってくる。これがあの希をも快楽の底に陥れたっていう技なの!?これじゃあにこもすぐに昇天しちゃうじゃない!!

 

 

「あっ……あんっ……」

 

 

 ダメ……零の手つきがいやらしすぎて勝手に声が出ちゃう!!お昼ご飯を作らないといけないのに、全く手が動かない。それにしてもどうして零はさっきから無言なのよ!!これじゃあ私の喘ぎ声だけが部屋に響くじゃない!!もうっ、自分で聞いていて恥ずかしいわ!!

 

 

「そ、そこは!?」

「ん?そこは何?」

「そこは……ダメよ」

「嘘つけ、カラダは喜んでるぞ」

「うぅ……」

 

 

 零がどこを触っているのかといえば、せ、先端って言葉だけで分かるかしら……?えぇい!!女の子の口からこんなこと言わすんじゃないわよ!!

 でも零の言う通り、にこのカラダは確実に零を求めている。カラダの疼きが段々と激しくなり、息も荒くなってきた。き、気持ちいい……

 

 

「も、もっと……」

「なんだって?もっと大きな声じゃないと聞こえないぞ?」

「もう、イジワル…………も、もっとって言ってるの!!」

「了解、お嬢様」

 

 

 そして零の『ワシワシMAXハイパー』が最高潮に達した。にこのカラダには、今まで感じたことのない快楽が電流のように全身を駆け巡る。希にされるお遊びのワシワシとは全然違う、零のワシワシにはたっぷりと愛が詰まっている。にこはもう既に零の虜になってるけど、またより一層メロメロになりそう……

 

 

「零!!」

「おっと!?どうした急に!?」

 

 

 もう全身を伝う快楽に我慢ができなくなって、自分の身体をグルリと回転させて零と向き合う体勢となった。こうして抱きついたまま向き合うと、コイツの背の高さがよく分かる。そしてにこの背の低さも……

 でもおかげでにこの頭のてっぺんから足の先まで、すべて零に包み込まれているみたいで嬉しいけどね♪

 

 

「キス……していい?」

「もちろん、俺もしたいと思っていたんだ」

「ホントにぃ~?にこの胸を触ることに夢中になってたんじゃないのぉ~?」

「そ、そんなこと……ねぇよ」

 

 

 嘘ね。零がにこたちと長いこと付き合っているのだとしたら、それはにこたちにも言えること。つまり零が嘘をつく時のクセも分かっちゃうってわけ!!でも零はこういう時に嘘を付くのは苦手だから、初めて会う人でも嘘って分かっちゃうかもね。

 

 そうだ、やられてばっかりだとちょっと癪だし、にこからも攻めてみようかな?

 

 

「にこって可愛いでしょ~?だから大学でも色々部活やサークルに誘われたりとかぁ~、講義でも知らない男に話しかけられることがあるのよねぇ~」

「なっ、そ、そうなのか……絵里と希も?」

「そりゃあ絵里も希も美人だし、いつも3人で行動しているからそんなことも日常茶飯事ね」

「なんだよ、それ……」

 

 

 珍しい!!零が嫉妬してるぅううううう!!何とか自分の動揺を隠そうとしているけど、目が泳ぎまくっているからバレバレよ。いつもはカッコいいけど、こういう時だけは可愛いんだから♪本当に独占欲が強いのね、零って。でもにこたちにとっては嬉しいことだけど♪

 

 

「心配しなくてもいいわよ。彼氏持ちだって言えばみんな離れていくし、大学の男共とは親しくも何ともないから。それは絵里も希も一緒。流石に、3人が一緒の彼氏と付き合っているってことは言えないけどね」

「そ、そうなのか……」

「安心した?」

「そりゃするだろ。自分の彼女が変な奴に手を出されると思うと……」

「大丈夫よ」

「えっ?」

 

 

「だって、にこたちはあなたの彼女なんだから♪今も、これからもずぅ~っと一緒よ♪それだけでは不満?」

 

 

「にこ…………にこっ!!」

 

「んっ!!」

 

 

 突然、にこの唇が零の唇に奪われた。いつもはにこから求めてキスをしてくれるんだけど、今回は零が自らやってきたからちょっと驚き。

 こうして零と唇を重ねるだけで頭がぽぉ~っとしてくる。さっきのワシワシも相まって、にこのカラダに駆け巡る快楽も最高潮に達した。もう零とこうして交わることしか考えられない!!

 

 

「んっ……ちゅっ……んん」

 

 

 優しいソフトなキスから、唾液の音がいやらしく聞こえる濃厚なキスへと変化する。お互いに舌と舌を絡め合い、ぴちゃぴちゃと卑猥な音だけが部屋に響く。零に聞いたところ、μ'sの中でこんなディープなキスをするのはにこだけらしいのよね。でもしょうがないじゃない、零をもっともっと感じたいって思ってるんだから。

 

 

「あっ……んん!!」

 

 

 激しく、さらに激しく!!にこはグッと背伸びをしながら、自分の唇をより零の唇へと絡ませた。零は背伸びしているにこがバランスを崩さないように、ギュッと背中と肩に腕を回して支えてくれている。そういった、細かい気遣いができるところも大好き♪どれだけにこを虜にすれば気が済むのよ!!

 

 

 そして至福の時間は一旦終わり。お昼ご飯を作っている途中だったしね。

 

 

「やっぱりアンタとのキスはクセになるわね。気持ちよかったわよ♪ありがとね♡」

「こちらこそ。それじゃあ次はにこの料理を十分に堪能するとするか」

 

 

 この時だけは料理ができてよかったと思う。恋愛では男の子の胃袋を掴むのが先決だって言うしね♪

 でも料理があまりできない凛や真姫は苦労しそう。いや、凛は甘える能力が、真姫には最強のツンデレがあるから大丈夫か。

 

 そして料理に取り掛かろうと思っていた矢先、零がにこの服をガシッと掴んてきた。その手はにこの服の裾を持ち、上に引っ張り上げようとする。

 

 

「ちょ、ちょっと!?なに勝手に服脱がせようとしてるのよ!?」

「悪い!!いやぁ~~テンションが上がっちまってな。興奮も収まらないし……」

 

 

 もう!!全く油断も隙もないんだから!!突然女の子の服を脱がそうとするって、そこらの犯罪者でもしないわよ!!

 はぁ~……どうしてこんな変態を好きになっちゃったのかな?

 

 

「にこは性欲の捌け口じゃないわよ」

「だから悪かったって」

「顔、笑ってるわよ……」

 

 

 でも零にそんなことをされるのはそこまでイヤじゃなかったり。むしろそういう関係に発展していけたらいいなぁって思ってる。実は、にこもさっきの興奮がまだ収まりきっていないのよね。

 

 

「にこ……もしかして怒ってる?」

「怒ってるわよ、でも――」

 

 

 ま、別にいっか……。

 

 

「それはご飯を食べ終わってから、ゆっくり……ね♪」

 

 

 そう、そこから先はあとのお楽しみ♪

 

 




 全くイチャイチャしやがって……(自分で書きながら)

 前回のことり回でもそうだったのですが、個人回でかつ恋愛方面になる時はなるべく零君視点ではなく、その個人回の主役視点にしてみようかなと思います。
 自分の小説では零君視点がほとんどなので、たまには彼女たちがどんな想いなのかを描いてみたかった次第です。

 でも自分でこの話を書いていて、零君視点も書きたくなりましたね。やっぱり恋愛回はどちらの視点も気になります!



 ここからは全く関係ないのですが、GW中に暇つぶしで書いた絵がありますので公開します。暇つぶしですが、鉛筆を持ってダラダラ書いていたらGWが消し飛んだのは内緒。期待するとガッカリするので、『ふ~ん』みたいな感じで見てくださると嬉しいです。


【挿絵表示】


 鉛筆を使うと手が真っ黒になるのが難点ですね(笑)



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 主に小説の進捗状況、予告、投稿報告、ラブライブに関する絵やネタを放出しています。最近はPCのデスクトップ上で動くSDキャラを作り、それを紹介もしているので興味がある方は是非!!絵は極希にしか書きませんけどね(笑)


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水着でPV撮影!!

 正直な話、小説で水着回と言われても内容は文字だけなので、イマイチピンときませんね。ですから今回の話、読者の方々に多大なる妄想力を発揮してもらいます!!

 μ'sメンバーの水着姿を想像する準備はできましたか?じゃあいってらっしゃい!!


 

 新生μ'sが結成されてから一ヶ月と少しが経ち、12人となったμ'sは今も元気に練習中だ。もちろんいつも元気なのは変わらないのだが、今日はみんなのテンションが一段と向上している。アイドルグループの『μ's』としての活動が控えているということもあるが、一番の理由は今から30分ほど前に遡る。

 

 端的に言ってしまえば、今年もスクールアイドルの祭典『ラブライブ!』が開催されるということだ。そのため先日からその出場権を巡り、スクールアイドルグループへの投票が行われているのだが、μ'sは前回の優勝者ということもあり短期間で大量の投票数を得ていた。ランキングもあのA-RISEと1位を奪ったり奪い返したりとせめぎ合いが何度も行われている。

 

 つまりコイツらのテンションが高いのはこのためだ。予選に出場できることはほぼ確定なのだが、それは慢心に繋がる。去年無名だったμ'sが上位に食い込んだみたいに、また新たなグループが頭角を現す可能性もあるから油断はできない。それも相まって、メンバー全員の士気も高揚しているのだ。

 

 

「次、ラストいきますよ!!」

 

 

 去年と変わらず海未と絵里が交代交代で指導し、メンバー人数が2桁になったのにも関わらず綺麗にまとめ上げている。もちろん俺が介入する余地など一切ない。いつも側でただぼぉ~っと見ているだけなのだが、今日は一段と空気だ。流石に何もしないというのは申し訳ないので、暫定的に撮ったPV動画を眺めて改善点を探しているところである。

 

 

「なんつ~か、普通だなぁ~……」

 

 

 『これがダメ!!』ってところは見つからないが、特段に『これはイイ!!』ってところも見つからない。いや、みんなが可愛いのはいつものことだが、いつものこと過ぎてグッとくることがない。動画やライブでしかμ'sを見られない人ならこれでいいのかもしれないが、毎日彼女たちと一緒にいる俺にとってはこれといったインパクトが感じられなかった。

 

 

「これは……俺がPV撮影をプロデュースするしかねぇな」

 

 

 全世界の人類がこぞってμ'sに投票したくなるような、元気で明るく、そして可愛く、さらに興奮を煽るようなPV動画を撮ってやるぜ!!今からでも興奮が止まらねえ……

 

 

 

 

「お兄ちゃん……またエロいこと考えてる」

「わ、分かるの!?」

「雪穂も覚えておいた方がいいよ。お兄ちゃんのあの顔は、私たちのよからぬ姿を想像して興奮している顔だから」

「え゛っ!?!?」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 単刀直入に言おう、テーマは水着だ!!

 

 もちろん俺が見たいからという邪な理由じゃないぞ!!あくまでアイドルらしく、さらに言えば女の子らしさを追求した結果なのだ。

 普通のアイドルなら分かるがスクールアイドルに水着はどうなの?って質問もあるだろう。現にみんなにもそう訴えられたからな。でも問題はない。他のスクールアイドルグループもやっていることなのだ。その流行りに便乗すれば、今ノリに乗っているμ'sならば負けるハズがない!!だから水着を選んだんだ!!決して個人的な趣味ではないから勘違いするなよ?

 

 

 とりあえずみんなに話を付け、個々人自慢の水着を持ち寄って俺の家で披露回!!

 まとめて全員を撮影するのは無理なので、3人ずつ順番にリビングへ出てきてもらうことにした。

 

 

 まずは――――

 

 

「じゃーーーん!!どうどう零君?穂乃果の水着似合ってる?」

「零くんのために今回はちょっと奮発しちゃった♪ほらほら花陽ちゃんも!!」

「引っ張らないでことりちゃん!!は、恥ずかしいよぉ~」

 

 

 初めに登場したのは穂乃果、ことり、花陽のふわふわスイーツトリオだ。適当にこのトリオの印象を言葉にしてみたが、コイツらは共通してふわふわしているイメージがある。のどかなお花畑がもの凄く似合いそうだ。3人がそこでお昼寝している姿が容易に想像できる。

 

 

「えへへ~♪今年零君に見せようと思って買っておいた水着だよ!」

「もう買ってたのか。やけに早いんだな」

「女の子の水着は今の時期から選ぶものなんだよ。それに零君に早く見てもらいたかったからね♪」

「それはどうもありがとな。穂乃果の元気がそのまま水着に出ていて似合ってるし、とても可愛いよ」

「ありがと♪」

 

 

 穂乃果の水着は鮮やかなオレンジ色のビキニだ。いつもでもどこでも元気ハツラツな穂乃果に絶妙にマッチしているな。でもオレンジ色って、地味に肌の色と似ていて見ようによっては全裸にも見えなくもない……

 ゴホンゴホンッ!!こうして身体のラインを見てみると、初めて会った時よりも明らかにスタイルがよくなっている。まさかここまで穂乃果に興奮を覚えるとは……これもスクールアイドルの経験がゆえか。

 

 

「ことりの水着はオーダーメイドの特注品だよ♪少し生地が薄いけど、零くんこういうのが好きでしょ?」

「好きだけど、流石にそれを外で着るのは……他の男からイヤらしい目線で見られるぞ」

「心配しないで。この水着はμ'sのみんなと遊ぶ時だけだから。だからこの水着姿のことりは、ぜぇ~~んぶ零くんのものだよ♪」

「ぐっ!!また俺のSっ気をくすぐるようなマネを……」

「メイド精神ですから!!」

 

 

 ことりの水着は白に近い明るいグレー色のビキニなのだが、さっきことりが言っていた通り如何せん生地が薄い。これといった装飾はないものの、肌がこんなに露出するだけでただならぬエロスを感じる。もちろん俺としては大歓迎で、今すぐにでも彼女の綺麗な肌を舐めてみたい!!ことりの肌だ、絶対に甘いだろうな。そしていい声で鳴くんだろうな……

 

 

「私、水着姿に自信がないんだよね。だからいつも恥ずかしい……」

「花陽もスタイル良くなってきているんだから、そこまで隠さなくてもいいよ」

「ほ、ホントですか!?」

「ほ、ホントだって……最近ご飯も食べ過ぎないようにしてるって言ってたから、そのおかげかな?」

「えへへ♪少しでも零君に見てもらえるように頑張ってるんだ!」

 

 

 これぞ我が天使だ!!

 花陽の水着は黄緑を基調とした至って普通の水着だ。普通だが、明るい黄緑色のカラーは花陽の穏やかな雰囲気に見事に適応し、彼女の魅力を十二分に引き出している。いつもは引っ込み思案でおとなしい彼女だが、今は"小泉花陽"という女の子が前面に大きく現れていた。そして花陽の豊満な胸も、ここぞと言わんばかりに激しく主張されている。あぁ……触りたい。

 

 

「よ~し!!それじゃあPV撮影始めるぞ!!」

 

 

 もはやPV撮影というよりかはただの水着披露回のような気もするが、この際なんでもいっか!!みんなの水着が見れるだけでも役得だしな。もういっそのこと撮った動画を俺だけのものにしてしまおうか。これで年がら年中みんなの水着姿を拝めるわけだし!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「次は凛たちの番だにゃ!!」

「どうしてわざわざ水着を着る必要があるのでしょう……」

「まぁまぁ、零君が可愛く撮ってくれるって言ってるからええやん」

 

 

 2番手は凛、海未、希の凸凹トリオだ。どこが凸凹だって?そりゃあ……あそこだよ。

 どう足掻こうが、海未にすべての負担が掛って過労死しそうなトリオだな。凛も希が悪ふざけしまくってまともに統率が取れるとは思えない。雰囲気も誠実さと淀みが混じり合い、上手く言葉にできねぇな。それぐらい不思議な組み合わせということだ。ちなみに3人共喋り方に特徴がある奴らばかりで、他のグループに比べて尖っていると思う。

 

 

「どうどう零くん?凛、可愛い?」

「ああ、もちろん!!それにしてもお前にしては結構派手な水着を選んだな」

「うんっ!!もう前みたいな控えめな凛じゃないからね。零くんをメロメロにしてあげるにゃ!!」

「もう俺は凛にメロメロだけどな」

「えっ!?えへへぇ~、そ~お?照れるにゃ~~」

 

 

 可愛い。この一言で今の凛のすべてが表せる。顔を赤面+身体をモジモジ+乙女チック、これが『可愛い』と言わず何と言う!!

 凛の水着は黄色で下がスカートになっているタイプだ。こうして躊躇なくスカートの水着を着れるとは、凛も成長したもんだ。まあ胸は成長してないようだけど……でも女の子の魅力は胸だけじゃねぇ!!この肌を露出させた小柄なボディを見ていると、全身で彼女を抱きしめたくなる!!これは凛が小さいからできることだ!!

 

 

「あれ?零君、ウチの水着姿に釘付け?」

「当たり前だろ……相変わらず反則級のカラダしてるよな、希って」

「また胸触ってみる?零君だけ、特別サービスや♪」

「うぐっ!!お前こそ、またワシワシされたいんじゃないのか?」

「それも含めてまた2人で……ね♪」

 

 

 希の胸をワシワシか……またあの時の感触を思い出してしまった。あの胸の柔らかさも反則級だ。

 希の水着は紫色を基調とした、かなり大人びたビキニだ。彼女のスタイルも相まって、アダルト雑誌に載っていてもおかしくはない。彼女が動くたびに、ボンッと強調された豊満な胸がプルプルと揺れているのがなんともアダルティックだ。男ならそれに興奮しないわけがない!!『あれで挟まれたらどうなるのだろう』とか、想像がさらに引き立ってきた。

 

 

「ん?海未……お前もしかして胸大きくなった?」

「や、やっぱり分かるんですね……はい、最近し、下着を買い換えることが多くなってしまって……」

「それは俺と付き合っているおかげかもしれないな。でも、俺はどんな海未でも大好きだよ。そこまでカラダを気にしなくてもいいって」

「な、なな……あなたはいつもいつも!!でも……嬉しいです、私もあなたが大好きですよ♪」

 

 

 おぉう……海未のデレとは珍しい。いつも凛々しい彼女だが、その笑顔は完璧に乙女だ。毎回海未の笑顔にはドキッとさせられるんだよな。

 海未の水着は青、まさに冷静沈着でクールな彼女にぴったりの色だ。さらにそれに加え、海未のさっぱりとした清潔感も同時に感じられる。青色という色が海未のために作られた色みたいだ。

 対して彼女の肌の色は透き通るような白い肌。この前頬っぺを触らせてもらったが、普段は服で隠されている部分もスベスベなんだろうな。指でなぞって感触を味わってみたい!!そしてその時聞こえるであろう海未の呻き声も聞いてみたい!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「にっこにっこに~~、今日は水着であなたをお・で・む・か・え♪」

「にこ、随分と気合入ってるわね。私も負けずに零にアピールしなくっちゃ」

「にこちゃんも絵里もどうしてそこまで肯定的になれるのよ……はぁ……」

 

 

 続いてはにこ、絵里、真姫の常識人トリオだ。だけど実態は3人中ツンデレが2人、ポンコ……カッコよくて可愛いくて賢い子が1人。うん、実に歪んだバランスだ。

 歪んではいるが、この3グループでどのグループがまともに練習をするかと言われれば間違いなくこのグループだろう。"基本"は常識人の集まりだしな。だが一番扱いにくいと言えば、3グループの中ではクセの強い奴らばかりで非常に面倒だ。真姫とにこは言わずもがな、絵里もあの凛々しい生徒会長の頃を少しでも思い出して欲しい。

 

 

「どう?もうにこの魅力にドハマり?謙遜しなくってもいいのよ。素直に『にこちゃんキュート!!』って言ってくれればいいからね♪」

「自分で言うなよ!!俺から言いづらくなるだろ!!」

「まあ言われなくても、アンタのイヤらしい顔を見れば一目瞭然だけどね」

「そんな顔をしてしまうぐらい、お前が魅力的だってことだよ」

「ふふっ、ありがと♪」

 

 

 にこの水着は『これぞ女の子!!』と言うべき明るいピンク色の水着だ。残念ながら身体の方は貧相なためアダルトな魅力を感じることはないが、その分海未にも負けないもちもちふわっとしたお肌がある。彼女の二の腕や太ももに今すぐにでもしゃぶりつきたい!!一度でいいからパクッと食べてみたい衝動に駆られる。にこだったら許しれくれるかな……?

 

 

「ど、どうしたの……?鼻を抑えて……」

「気にするな、鼻血が出そうになっただけだ。でも流石μ'sのグラビア担当は違うな。非の打ち所が無い」

「そ、そそんなに褒めないで!!これでも水着を着るのは結構恥ずかしいのよ!!」

「それでも俺に見せるために着てくれたんだよな?心配すんな、綺麗だよ」

「零……ありがとう、嬉しいわ♪」

 

 

 絵里は恋愛のこととなると、途端に花陽や海未のように奥手になってしまうことがあるんだよな。そっちの絵里は綺麗で美人というよりかは、幼くて可愛い印象だ。

 絵里の水着は水色で、是非とも快晴の青空の下、鮮やかで綺麗な海で撮影回をしたいものだ。そしてなによりこの抜群のスタイル!!ビーチパラソルの下でサンオイルを俺の手で塗りまくってやりたい!!そうしたら合法的に絵里の身体のラインを感じることができるからな!!海やプールではしゃいで大きく揺れる胸にも注目だ!!

 

 

「あまり変な目でジロジロ見ないでくれる?」

「そんなエロい身体つきをしていて、見ないでっていう方が間違いだろ」

「え、え、え……ろって……あ、あなたねぇ!!女の子に向かってそのセリフはないでしょ!!」

「落ち着け!!変な目で見なくても十分に似合ってるよ。夏になったら一緒にプール行こうな」

「……や、約束よ!!」

 

 

 チョロ……いやいや!!素直な真姫ちゃん可愛いなぁ~~!!

 真姫の水着は赤をベースとした、これまたアダルティな水着だ。俺より1つ下なのにも関わらず、このスタイルは大人の女性にも匹敵するだろう。出ているところはしっかりと出ていて、引き締まっているところはちゃんと引き締まっている。女子高校生にとってはまさに理想なのではないだろうか。そしてまた太ももを舐めさせてはくれないだろうか、また胸をワシワシさせてはくれないだろうか……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「おい、楓はどうした?」

「楓の持ってきた水着が、紐みたいな水着でほとんどが丸見えでして……」

「暴走しないよう今お姉ちゃんたちが全力で押さえつけています……」

「よし、よくやった」

 

 

『お兄ちゃぁあああああああああああああああああああん!!』

 

 

「「……」」

「雪穂、亜里沙、撮り始めるぞ。あれはただの幻聴だ」

 

 

 最後はシスターズの番なのだが、今は雪穂と亜里沙だけを撮ればいっか。アイツはいないものと考えよう、うんそれがいい。楓ならいつでも撮れるしな。

 このシスターズというグループは楓が勝手に付けた名称なのだが、いつの間にか俺たちの中で浸透していた。構成員としては台風そのものの楓とそれを助長する亜里沙、そしてその暴走を一手に引き受ける苦労人の雪穂だ。俺としては雪穂がここまで過労で倒れなかったことに驚きだ。楓相手によく一ヶ月持ちこたえた!!がんばった大賞を受賞させてやろう!!

 

 

「うぅ……身体にも水着にも、あまり自信ないんだよね……」

「心配しなくても、今の雪穂は輝いてるよ。別に身体がどうこうとか、そんなこと関係ない。つまり俺が萌えられればイイってことだ。俺の興奮を引き立たせたら合格なんだよ。だからお前は合格!!」

「なんか上手く言いくるめられた気もするけど……それでも嬉しいです、ありがとうございます♪」

 

 

 全くいい笑顔しやがって……姉妹揃って太陽でもやってろ!!

 雪穂の水着はえんじ色のおとなしい感じの水着だ。まだ身体は全体的に子供っぽさが垣間見えるのだが、それはそれで趣があって大変よろしい。だって幼さが残る女の子って萌えるじゃん?雰囲気は大人びてる雪穂だが、身体はまだまだ子供というこのギャップが俺を焚きつける。だから、ちょっと無理矢理でもいいから襲ってみるといい声が聞けるかもしれない。

 

 

「零くんどうですか?一応新しく買ってきたんですけど……」

「気にすることはない、だって天使だもん!!可愛くないわけないだろ!!」

「ありがとうございます!!零くんに褒められるとすっごくドキドキするんです!!身体も熱くなってきちゃった♪」

「なぬ!?」

 

 

 『お前の身体の疼き、俺が治めてあげようか?』と言いたいところなのだが、純粋大天使亜里沙様のことだ、これを邪な心なくそのまま受け取ってしまうだろう。そんな真っ白な天使を汚すことなんて、俺にはできない……

 亜里沙の水着は白、とにかく白だ。しかも彼女の肌も白いため、見ようによっては全裸に見えなくもない。ヤバイ!!そんなこを考えてたら鼻血が蠢きだした!!でも妄想なら亜里沙を怪我してしまってもいいよな?だって一年前と比べて、明らかに大人な身体つきになってるんだもん!!これも絵里の妹がゆえか……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「えーー!?昨日撮ったPV使わないの!?」

「あぁ、ちょっとわけありでな……」

 

 

 俺の言葉にμ'sメンバー全員が驚く。

 PV撮影の翌日、俺は部室に集結したμ'sメンバーに、水着で撮ったPV動画を使わないというまさかの告白をした。わざわざ休日を返上して、中には恥を捨てて撮影に挑んだ人もいるから驚くのも無理はないが。

 

 

「どうして使わないのよ?みんな可愛く撮れたって自慢してたじゃない!!にこもあれだけ営業スマイル出したのに……」

「何か不都合でもあったのですか?映像が乱れていたとか……?」

 

 

「違うんだ、ただの個人的なわがままだよ。あのPVを編集してたらさ、いつもとは違うみんなを見られて、新しい魅力がどんどん伝わってきたんだ。それを見てたら……この映像、他の人に見せたくないなって思って。まぁ、ただ俺のものだけにしていってだけだよ。すまない……」

 

 

 折角みんなが気合を入れて撮影に参加してくれたのに、流石にこんな私的な理由での採用見送りはマズかったか……?でもイヤなものはイヤなんだよ。みんなの水着動画が一般に公開されるのが。別にイジワルな独占欲と言ってくれても構わない。

 

 

「零君……」

「穂乃果……ゴメン、こんなこと言っても意味分かんねぇよな」

「零くーーーーーんっ!!」

「うおっ!?どうして急に抱きついてきて!?」

 

 

 突然穂乃果は俺の首に腕を回し、そのまま勢いで俺に抱きついてきた。どうしてこうなった!?

 俺はみんな呆れ返っているのかと思っていたのだが、ふとみんなの顔を見てみると、誰もがちょっぴり嬉しそうな表情を浮かべていた。てっきり怒られたり蔑まされたりするのかと覚悟していたから拍子抜けだ。

 

 

「それって、穂乃果たちの水着姿を零君だけのものにしたかったっていうことだよね?だったら穂乃果たちは怒らないよ。だって穂乃果たちの可愛いところ、零君に一番見てもらいたいから!!」

 

 

 穂乃果の言葉に対し、みんなもウンウンと頷く。これじゃあ昨日の夜、たった1人で悩んでいた俺がバカみてぇじゃん。そうだったな、コイツらはこういう奴らだった。全く……また好きになっちまうじゃん。

 

 

「零くん、凛たちを独り占めなんて隅に置けないにゃ~」

「おいっ!?凛まで抱きついてくんな!!暑苦しいわ!!」

「じゃあ私も♪さっきの零くん可愛かったし♪」

「こ、ことりまで!?」

 

 

 μ's全員にからかわれるとは……でもこれはこれで楽しかったりもする。いつもμ'sメンバーとのスキンシップを妨害する楓も、今日だけは笑って見過ごしてくれているみたいだ。さらに普段なら止めに入る海未たちも、『やれやれ』といった表情でお互いに微笑み合っている。

 

 そうだ思い出した、なんで忘れていたんだ。μ'sの魅力は水着じゃない、この仲の良さなんだ。

 

 そうだとしたらμ'sの絆の強さ、PVで全国に知らしめてやろうぜ!!

 

 




 PV撮影でピンときた方は、相当私の小説を読み込んでいる方ですね?あの時の自分の文章と、この話の文章を比べてみると全然違うことに驚きました。今でも自分の文章がいいものとは思っていませんが……

 そして今回どれだけ妄想できたでしょうか?これで穂乃果たちの魅力がさらに伝わってきたのなら、この水着回を書いた自分としても嬉しいです!!個人的に女の子に着せるなら水着より制服派なんですけどね(笑)




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 ご意見、ご感想、要望、アイデアなどなどなんでも募集中です!
 最近読者の方と話をすることもあるので、暇で暇で仕方のない時は気軽に絡んでみてください!

 今回雪穂と亜里沙のイメージカラーを一緒に考えてくださった方に多大なる感謝!!


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μ's内大戦争、再発

 今回は、前作『日常』より「μ's内大戦争」を元に話を構成してみました。つまり零君を巡ってμ'sメンバーが大激突!!果たして零君と一緒になれるのは誰なのか……?


「あぁ~……雨、とても強くなってきたね」

「えぇ、生徒会室で仕事をしていた時はそこまででしたけどね」

「でもみんな傘は持ってきてるから大丈夫だよね?」

 

「……」

 

 俺、穂乃果、海未、ことりは生徒会業務を終え今から帰宅するところであったが、突然強くなった雨を見てしばし校舎の中で立ち往生していた。別に傘を差せば帰れないことはないのだが、いざ地を叩きつけるような雨の中に突撃するとなると少し抵抗があるものである。

 

 まあ今の俺はそんなことよりも遥かに重要な問題があるのだが……

 

 

「あれ?どうしたの零君?」

「そういや、傘持ってきてないんだった……」

「「「えぇっ!?」」」

 

 

 この俺としたことが、今朝楓の猛攻(目覚めのキス)から逃れることに必死で天気予報を見ていなかった。多少の雨なら生徒会業務の間に止むと思っていたのだが見当違いだったみたいだ。こうなったら借りパクでもするか。いや、海未の目がある以上それは叶わないだろう。じゃあ一体どうすれば……

 

 

「じゃあ穂乃果と一緒の傘に入ればいいよ!!」

「ことりの傘で一緒に帰ろ♪」

「私の傘大きいですし、男性が一人くらい入っても大丈夫ですよ」

 

「へ?」

 

「「「ん?」」」

 

 

 悩める俺に、穂乃果たち3人がまさかの同時提案を仕掛けてきた。それに対し俺は素っ頓狂な声を出し、穂乃果たち3人は『は?お前何言ってんの?』と言わんばかりにお互いに顔を見合わせている。その瞬間、外が大雨だってことを忘れるぐらい俺の周りの空気が変わった。

 

 

「ことりちゃんも海未ちゃんも何を言ってるのかなぁ~?一番初めに言ったのは穂乃果だよ?」

「えぇ~そんなことないよ!!同時だったと思うよ絶対に!!でも強いて挙げるならことりが初めだったような……」

「2人共見苦しいですよ。そんなことで争って……まぁ私の方が0.01秒ぐらい早かったとは思いますけどね」

「「嘘だよねそれ!?」」

 

 

「……なにコレ?」

 

 

 いつも仲良し幼馴染3人組で有名な穂乃果たちが争っているだと!?これは雨が氷に変わる前触れか!?こんな珍しい光景中々見られないぞ!!

 それよりも、俺は3人がピッタリと同時に提案していたように聞こえたのだが……誰か1人が早いってことはなかったと思う。だがコイツらの雰囲気が怖すぎて、俺はそれを言い出せずにいた。

 

 

「全く……穂乃果はいつもいつも先走る性格なんですから。それを利用して『穂乃果が先だよ』なんて、嘘に決まってるではありませんか」

「利用してないよ!!そもそも海未ちゃんもことりちゃんも零君の家まで行くと遠回りでしょ?」

「零くんのためならことり、地平の彼方まで一緒に行けるもん♪穂乃果ちゃんこそ店のお手伝いもあるって言ってたでしょ?早く帰るといいんじゃないかな?」

「零君のお守りしてましたって言えば許してもらえるもんね!!」

 

 

 俺はガキかなにかか!?それにコイツらさっきから一体なぜ争ってるんだ!?相合傘ぐらい途中で交代しながら帰ればいいだろうが!!でも声を掛けるタイミングを完全に失ってしまった。これからどうすんだよ……

 あぁ……この間にも雨が強くなっているぅううううう!!

 

 

「そうですね、雪穂に怒られないよう早く帰ることです。ことりも衣装製作があるのでしょう?早く帰って仕上げてはどうですか?」

「海未ちゃんこそ作詞が滞ってるって言ってたよね?こんなところで油売ってないで"1人"で帰った方がいいよ♪」

「それだったらことりちゃんも海未ちゃんもどっちも同じだよ!!穂乃果は零君のお守りっていう大義名分があるんだから!!」

「それは根拠にはなりません。大義名分という言葉はですね――」

「はいはい海未ちゃんの長ったらしい説明はもう飽きたよ。つまんないもん」

「すぐ眠くなっちゃうよね~~」

「な゛っ!?あなたたち!!」

 

 

 ちょっと待て!!会話の途中から、相合傘とは関係ない全く別の話題になってねぇか!?もうお互いに罵り合いたいだけだろコレ!!俺の存在段々忘れられてね?

 穂乃果や海未は分かるけど、意外とことりも鬱憤溜まってたんだな……まぁこの3人の中では穂乃果と海未を止める係だから仕方ないけど。でも今回は俺が止めてやるか……

 

 

「おいお前ら、そろそろその辺りにして――」

 

 

「黙ってて!!零君には関係ないから!!」

「これはことりたちの戦いだよ!!」

「第三者は口を挟まないでください!!」

 

 

 関係大アリだわ!!!!元々俺が傘を持ってきてなかったことで起きた弊害だろ!!なのに当事者を省いて議論進めてんじゃねぇよ!!もう意味分かんない!!(真姫風に)

 

 

「はぁはぁ……心の中でツッコミ疲れて死ぬかと思った。もう走って帰るか、電話で楓を召喚するかどっちにするかな……」

 

 

「あれ?零くんたちどうしたんですか?」

 

 

「あ、亜里沙!?」

 

 

 まさに救世主亜里沙登場!!普段の俺たちと様子が違うせいか、亜里沙はキョトンとした顔で俺たちを見つめている。そりゃそうだ、穂乃果たちが言い争っているところなんて想像できないし、現にそれを生で見ているわけだしな。

 

 

「そうだ、お前置き傘とか持ってないか?今日傘忘れちゃってさ……」

「ありますよ♪いつもカバンに入れてるんです。はい、どうぞ♪」

「ありがとな!!じゃあ一緒に帰ろうか?」

「零くんと一緒に!?やった♪」

 

 

 こんなにも純粋に喜んでくれるとは、お兄さんも嬉しいぞ!!もうアイツらは自分の欲望丸出しのブラック・オブ・ブラック、つまり黒過ぎるから手が付けられない。女の欲望とは末恐ろしや……

 

 

「でも、穂乃果ちゃんたちを置いていっていいんですか?」

「あぁ、あれか……」

 

 

 

 

「正直ことりちゃんの匂いが甘すぎて、それで授業に集中できないと思うんだよねぇ~」

「それは穂乃果ちゃんが夜更かししてゲームしてるせいでしょ!?」

「夜更しなんてするから太るんですよ。ことりも最近甘いもの食べ過ぎではないですか?」

「残念でしたぁ~♪ここ最近は減量に成功してるもん!!」

「と、いうことはこの前までは体重増えてたんだね?ことりちゃんは甘いものだとバクバク食べちゃうから」

「そんなことないよ!!しかもそれは穂乃果ちゃんもでしょ!!」

「あなたたちどちらもです!!」

 

 

 もう完全に俺の存在を忘れているだろコイツら。相合傘とはなんだったのか……

 でももういい、亜里沙と2人きりで帰れるのならばな!!

 

 

「帰るぞ」

「は、はい……」

 

 

 アイツらは俺のことを関係ないと言った。だったら俺たちもアイツらとは関係ない!!周りから見て、くだらないことで争っている奴らの一員だとは思われたくないしな。こんな時はとっとと帰るに限る!!だがまぁ喧嘩するほど仲がいいって言うから、これはこれでやらせておけばいいんじゃねぇか?これでストレス発散もできるだろ、特にことりと海未は。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「つーかアイツらホイホイいろんなもの注文し過ぎだろ。持って帰る人のことも考えろっての……」

「どうして凛までぇ~~メンドくさいにゃ~~」

「文句言わない。順番なんだから仕方ないでしょ」

「じゃあ早く終わらせて、練習に合流しなきゃね」

 

 

 雨の日の翌日、俺、凛、真姫、花陽は一旦練習から外れ、ライブの備品を買い出しに行くこととなった。買い出しのメンツは毎回メンバーごとに交代交代でやってくるのだが、中には相当重量のあるものや、場合によってはかなり遠くまで足を延ばさないといけないので凛の言う通り非常に面倒な役回りだ。そして俺は男手ということで毎回強制参加させられている。なんたるブラック企業……

 

 

「今日は買うものたくさんあるし、俺はバイクで行くから」

「これが零くんのバイク!?カッコいいにゃ~!!」

「でも、あまり乗っているところって見たことないね」

「普段は食材の買い出しぐらいにしか使わねぇからな」

 

 

 今日は穂乃果たちからあれやこれやとライブに関係ないものまで注文されたため、車庫からバイクを引っ張ってきた次第だ。アイツらに頼まれた品を持って歩けば、それだけで筋トレになっちまうからな。

 

 

「あと1人後ろに乗れるけど、誰か乗ってくか?」

 

 

「じゃあ凛が乗る!!」

「ここは私しかいないでしょ」

「私も乗りたい……かな?」

 

「へ?」

 

「「「ん?」」」

 

 

 おい……これどっかで見た光景だぞ。どっかじゃねぇ、昨日だ。そして突然雨上がりの晴天を更なる雨雲で覆い隠すかのように、俺たちを包み込む空気が一変して黒いモヤが掛かった。まさか……コイツらも!?

 

 

「かよちんと真姫ちゃんは歩いていくといいよ♪ほら、体力も付くし!!凛は体力があるからそんなことしなくてもいいもんね」

「むしろ体力があるからこそ歩きなさいよ。そう言えば今日私、少し足が痛かったのよね」

「えぇっ!?真姫ちゃんそれは流石に嘘だよね!?」

「今日普通に体育の授業してたじゃん!!」

 

 

 おいおい、花陽まで戦いに参戦してんのかよ……真姫や凛が争うのは分かるけど、あの花陽が罵り合いに積極的になるっていうのが驚きだわ。また『かよちん』から『グレちん』になっちまうんじゃないだろうな?そうなったらもう俺でも手が付けられないよ?

 

 

「私この前零君に、『いつか花陽を後ろに乗せて走ってみたいなぁ』って言われたんだよ!!ここは私で決定だと思います!!」

「それいつ?何年何月何日何時何分何秒?地球が何回回って何枚パンを食べたの?それが分からないと証拠にならないにゃ!!」

「そ、それは分からないけどパンは食べてないよ!!私はご飯派だから!!」

「それじゃあパン派の私とは相容れないわね」

「凛はどっちかといえばご飯派だから、これで2対1だよ!!ということで真姫ちゃんは退場だにゃ!!」

「なんでよ!?意味分かんない!!」

 

 

 意味分かんねぇのはこっちだよ!!!!議論始まって早々に論点ずらしてんじゃねぇえええええええ!!もう『神崎零』という存在がコイツらから消し飛んでるぞ!!いつの間にご飯派かパン派の対決になったんだ!!

 そんなことを言ってもコイツら聞く耳持たないだろうなぁ……はぁ~……

 

 

「かよちんがバイクに乗ったら、胸が零くんに当たっちゃうからダメだにゃ。それで零くんが興奮して、運転に集中できないかもしれないし」

「確かにそれはあるわね。だって零だもの」

「そ、そんなことないよ!!多分……」

 

 

 ここで俺登場するのかよ!?もうとっくにお前らの思考から俺がフェードアウトしているのかと思ったわ!!しかもあらぬ被害妄想まで追加されてるし!!

 でも花陽の胸が俺の背中にねぇ……そして興奮して運転に集中できなくなると……ふむ、あり得るな。

 

 

「もうメンドーだし一人で行くか」

 

 

「え~と、何してるんですか?」

 

 

「雪穂!?練習は?」

「お姉ちゃんが『4人だと荷物が持ちきれないかもしれないから手伝ってあげて』って」

 

 

 ナイスだ穂乃果!!ようやくこのピリピリした雰囲気から脱出できる。もう本当にツッコミ死しそうで危なかったんだよ。凛は分かるがまさか真姫や花陽にここまでツッコミを入れる日が来るとは、まるで世界線が入れ替わったみたいだ。

 

 

「ほら、ヘルメット。しっかり俺の背中に掴まってろよ」

「あの……いいんですか?真姫ちゃんたちは?」

「いいんだよ。あれを待ってたら明日になっちまう」

 

 

 でもここまで相手の弱点を言い合えるということは、相手のことをよく見ているということだ。つまりこの1年でアイツらがどれだけ仲良くなったのかが一目瞭然だな。まあ今は近所迷惑どころではない騒ぎっぷりだが……先生に怒られない内に買い出しに出掛けるとするか。関係者だとは思われたくないしな。

 

 

「もっと俺にくっつけ雪穂。振り落とされるぞ?」

「こ、こう?」

「おおっ!!雪穂の温もりが伝わってきた!!じゃあ行くぞ!!」

 

 

 アイツらまだやってるよ……もうそっとしておこう。俺とアイツらは無関係、うんそれだ、それでいい。むしろそうであって欲しい。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「これが大学のお化け屋敷?でも随分と雰囲気出てるな」

「でしょ?これがにこたちの大学で評判なんだから」

「そ、外から見てもこの迫力……」

「絵里ち、身体震えてるよ?」

 

 

 俺はにこたちの誘いで、大学で評判だというお化け屋敷に来ていた。とある部活かサークルが作ったものらしいのだが、遊園地並みに本格的な作りで大学やその周辺ではかなり好評らしい。さらに入場無料ということで、結構遠くから来るお客さんもいるとかいないとか。

 

 

「お化け屋敷と言えばカップルで入るのが定石でしょ♪だから零、にこと一緒に入るわよ」

「ちょっと待って!!カップルやったらウチも零君の彼女やから、その権利はあるよ?」

「そ、それなら私もよ!!むしろ零と一緒じゃなかったら、こんな怖いところ入れないわ!!」

 

「おい……」

 

「「「ん?」」」

 

 

 あれれぇ~おっかしいぞぉ~~!!この光景どっかで見たような気がするぞぉ~~。しかもこれで3日連続な気もするぞぉ~~。

 はぁ~……またこの流れで俺がハブられるんだろ?そしていつの間にかフェードアウトしたと思ったら急に引き合いにだされるんだろ?分かってるよそんなことぐらい。でも今日はにこたちが争わないように先に手を打っておくか。

 

 

「おいお前ら、そんなことで争うなんて――」

 

「じゃあにこと零がどれだけラブラブなのか思い知らせてあげるわよ!!」

「それならウチも負けへんよ!!零君とのラブラブエピソードぐらいごまんとあるんやから!!」

「もちろん私だって負けてないわ!!あなたたちがアッと驚く話ばかりよ!!」

 

 

「あの……聞いてくださいお願いします」

 

 

 ほらね!!もう俺の存在なんて忘れられているでしょ?泣いていいかな……?ここまで除け者にされると、俺は本当に彼女たちと付き合っているのか疑問に思えてくる。

 

 

「にこはこの前、零に思いっきりワシワシされたんだから!!そのあと濃厚なキスで快楽の底に叩き落とされたわ!!」

「それやったらウチもワシワシされたことあるよ?ウチの胸ならにこっちのちっぱいと違って、零君も気持ちよくさせることができるから」

「2人ともそこまで……?でもそんなのは健全なお付き合いじゃないわ!!デートの回数ならこの中でも一番多いはず!!」

「なによ絵里、抜けがけしてたの!?」

「そんなんずるいやん!!」

「これは私の完全勝利のようね!!そんな俗物に塗れたエピソードでは私の足元にも及ばないわ!!」

 

 

 腰に手を当て、『フフン』と鼻を鳴らして得意げな表情を見せている絵里。全然賢くないわコイツ!!見ようによってはもの凄くバカっぽい。

 それしても、周りに人がいるのに『ワシワシする』とか、『気持ちよくする』とか勘違いするようなことを言わないで欲しい!!周りからも『なに?あの彼氏変態なの?』みたいな目で見られるだろうが!!

 

 

「ふんっ!!にこは零とベッドで×××したこともあるのよ!!この前一緒ににこの部屋に泊まった時にね」

「ウチだって零君の×××を胸で×××したことあるよ!!」

 

 

 もうやめてくれぇええええええええええええええええ!!公衆の面前で彼氏の変態行為をバラさないでくれぇえええええええええええ!!周りの人の俺を見る目が徐々に冷たくなってきてるから!!『なに?コイツ3股してんの?』とか、『外でお前らのプレイの内容叫んでんじゃねぇよ』とか絶対に思われてるから!!

 

 

「あなたたち!!そんな破廉恥なこと元生徒会長の私が認めないわ!!」

「ん~~?絵里ちだって零君にワシワシされたら、どうせ『ハラショ~~♡』とか言って快楽の底に落とされるに決まってるから♪」

「普段は健全さを語っている人ほど性欲が強いのよ。もしかして、絵里も零とそんなことをしたいんじゃないのぉ?」

「な、なななななななに言ってるのよ!!そそそんなこと、な、ないわよ!!私が零とえ、え……っちなんてそんな……」

「あるぇ~?にこたちそこまでは言ってないんだけどなぁ~」

「にこぉ~~!!」

 

 

 あぁ……もう俺このままだと社会的に抹殺されそう。それにもうお化け屋敷というワードすら出てきてないし……どうなってんだこの会話。

 もうここにいるだけで辛い!!周りの人からの冷たく鋭い眼光が俺の心を容赦なく貫いてくる。絶対最悪の彼氏だと思われてるよ……誰かこの状況を打破してくる人はいないものか。

 

 

「あれ?お兄ちゃん?」

 

 

「楓!?お前自主連はどうした?」

「もう終わったよ。まさかこんなところでお兄ちゃんと会えるとは……これも運命!?」

「あぁ今日はお前との運命を感じるよ!!」

「なっ!?お兄ちゃんがデレた!?」

 

 

 いつもは台風の目として俺を巻き込むことしかしない楓だが、今回だけはコイツが天使様に見える。おいおい、よく見たら俺の妹ってこんなに可愛かったんだな!!もうコイツを褒めて褒めて褒めちぎってやってもいい!!

 

 

「そういうことだ楓、今すぐこのお化け屋敷に入るぞ」

「ちょっとちょっと!?どうしたのお兄ちゃん!?いつもと違いすぎ!!いつもなら軽くあしらってくるのに……」

「もしかしてイヤか?」

「全然!!むしろ一緒にお化け屋敷へ入るだなんて、恋人みたいで嬉しいよ!!」

 

 

 そうだろうそうだろう俺も嬉しいぞ!!なんたってこの空気からようやく抜け出すことができるんだからな!!もう周りから冷徹な目線を浴びなくてもいいんだ!!

 

 

「それじゃあ行くぞ」

「うんっ!!あっ、お兄ちゃん手つなご♪」

「お、おう……まあ今日ぐらいはいっか」

 

 

 まさか楓に癒される時が来るとはな、人生何があるか分かったものじゃない。突然社会的に抹殺されそうになることもあれば、台風の目がデレてくれることもある。だから今は――

 

 

「絵里ちってばムッツリさんやったんやね♪」

「希まで!?あなたたちと一緒にしないで!!」

「その言い方だとにこたちが欲塗れみたいじゃない!!」

「その通りでしょ!?どこがおかしいのよ!!」

 

 

 全力でコイツらから離れよう!!

 

 




 いつもとは違ってポンコツのμ'sメンバー、そしてツッコミ死しかけた零君、如何だったでしょうか?彼氏1人に彼女9人は大変ですね(笑)
 そして癒しの1年生組!!小説内にもありましたが、まさか楓が癒し枠となって登場するとは、作者である自分自身もビックリですよ!!


 結構前作『日常』の話のリメイクやオマージュが多くなってきてますが、決してネタ切れとかじゃないですよ(笑)
単に思いついたネタが過去と似ているだけです!!
そろそろリクエスト募集の時期かなぁ~……


 今更ですが、ここ最近の投稿ペースが異常の一言で表せますね。『新日常』が始まってから計算をしてみると、2日に1本以上というハイペース。『投稿早すぎて、まだ前の話を読みきれてないよぉ』という方がいたら申し訳ないです!


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暑かったら脱げばいいじゃない

 最近5月にも関わらず暑くなってきましたねぇ~~

 今回は、高坂姉妹と絢瀬姉妹と共に暑さ対策について考える回!!
 タイトルを見て分かる通りロクなことになっていませんが、本人たちが楽しそうなのでなによりです。そしてまた『R-17.9』要素が自然に取り込まれていますのでご注意を!!


 

 

「あっちぃ~~!!どうして今日はこんなに暑いんだよ!!」

「文句言っている暇があったら、アイデアの1つでも出しなさい」

「絵里は暑くねぇのかよ?」

「もちろん暑いわよ。だからって文句を言っても何も変わらないでしょ」

 

 

 俺は今穂乃果の家にお邪魔し、高坂姉妹と絢瀬姉妹と共に新曲の歌詞作りに励んでいる。いつもμ'sの歌詞作りを一手に引き受けている海未の負担を少しでも軽減しようと、今回は俺たちμ'sメンバーが何人かグループになって手伝うこととなったのだ。

 

 そして俺、穂乃果、雪穂、絵里、亜里沙で集まってアイデア放出会を開催したのはいいものの、今日は5月とは思えない気温の高さに俺は溶けそうになっている。最近めっきり暑くなったのだが今日は特に異常だ。暑さに弱い俺にとっては、穂乃果の部屋がサウナのようである。

 

 

「穂乃果ぁ~~もう冷房付けようぜ」

「そうだねぇ~~……穂乃果も溶けて液体になっちゃいそうだよ。雪穂ぉ~~冷房付けてぇ~~」

「もう2人共だらしない……亜里沙、冷房のリモコンのボタンおして。すぐ隣にあるから」

「うん――ってあれ?反応しないよ?」

「マジかよ!?壊れてるとか言ったら承知しねぇぞ……」

「誰に承知しないのよ……とりあえず電池を入れ替えてみたら?」

 

 

 電池を取りに動くのも面倒だったため、近くにあったテレビのリモコンから生きた電池を抜き取ってそれを冷房のリモコンへはめ込む。これで付かなかったらこの冷房、スクラップにしてゴミ出しの日じゃないのにゴミに出してやるからな!!

 

 よし!!冷房よ、お前の運命を決める時だ。はいポチッとな。

 

 

「……」

「「「「……」」」」

 

 

 

 

「はいスクラップ確定!!」

「待って待って零君落ち着いて!!」

「そんなに騒いだら、余計に暑くなるわよ」

「うるさい!!あの冷房、俺をコケにしやがって!!」

「いや、してないでしょ……」

 

 

 機械のくせに人間様に喧嘩を売るとはいい度胸だ!!俺が暑さで野垂れ死んでしまうと同時に、お前も道連れにしてやる!!イヤならとっとと冷たく凍え死ぬような空気をこの地獄に流し込めやゴルァ!!

 

 

「でも穂乃果も暑いんだろ?」

「暑いよ!!穂乃果も冷房さんを叩いてでも動かしたいよ!!あっ、こうやって叫んでいれば暑さを忘れられるかな!!」

「お姉ちゃんうるさい!!私たちまで暑くなるじゃん!!」

「そういう雪穂だってすごく叫んでるよ……?」

「姉妹似た者同士ってことね」

 

 

 そこまで暑がっていないお前ら絢瀬姉妹も似た者同士だと思うぞ……?

 冷房が動かないとなると、あとは夏の風物詩であるうちわや扇風機ぐらししかないが、今はまだ5月なのでそんなものがあるはずがない。だったらこの暑さをどう凌げばいいのだろうか……?その方法がただ1つだけある。でもこの方法は女の子の前でしていい行為なのかは分からないが、このまま暑さで死んでしまうよりかはマシだ。ここで実行するしかない!!

 

 

 

 

「服……脱ぐか」

 

 

「「「「!!!」」」」

 

 

「だって暑いんだから仕方ねぇだろ……別に裸になるっていってるんじゃない。シャツぐらい着てるよ」

 

 

 そして俺は袖を捲ったままの上着を勢いよく脱ぎ捨てた。

 ふぅ~~!!これで少しは涼しくなったかな?だが所詮その場しのぎに過ぎない。脱いだ直後は涼しかったが、次第に部屋の蒸し暑さが俺を侵食する。それにしてもさっきよりまた暑くなっているような――――ん?みんなの様子がおかしい。

 

 

「れ、零君大胆過ぎるよ……」

「ハラショー……結構いい身体してるのね……」

「あわわわわわ……」

「もう、なんで急に脱ぎ出すかなぁ……」

 

 

 穂乃果、絵里、亜里沙は顔を真っ赤にしながら俺の身体を見つめ、雪穂はプイッとそっぽを向いていた。

 そういえば穂乃果たちの身体は水着でPV撮影をした時に散々見たのだが、俺自身の身体はあまり公に披露したことはない。基本出掛けることが面倒なタイプだから、海やプールに行くこともないしな。

 

 

「穂乃果ぁ~~どうした?顔真っ赤だぞ?」

「れ、零君が服を脱ぐからでしょ!!もうっ!!騒いだらまた暑くなってきちゃったじゃん!!」

「そうか……それならいい方法があるぞ」

「なになに!?」

 

 

 

 

「お前も脱げ」

 

 

 

 

「…………はい?」

 

 

 今の穂乃果の表情はいつもの3割増ぐらいバカっぽい。彼女にそうはいったものの、俺自身も暑さのせいで理性が崩壊しかけている。一瞬冷静になり、『あれ?今俺ただの犯罪者になってないか?』と考えはしたが、穂乃果の脱いだ姿を見たいという俺の欲望に嘘偽りはないため、このまま続行することにしよう!!

 

 

「冷房もない、扇風機もない、うちわもない、じゃあどうするか?もう自分自身を脱ぎ捨てて、開放感に浸るしかないだろ」

「えっ……で、でも……」

「穂乃果、俺はお前のすべてが知りたいんだ。μ'sの仲間として、そして彼氏として、自分の彼女のことを隅々までな。だってこんな可愛い彼女がいるんだ、知りたくないっていう方が間違いだろ。穂乃果はどうだ?」

「零君そこまで穂乃果のことを……?嬉しい♪もちろん穂乃果だって知りたいよ!!零君のことをもっともっと!!」

「だろ?だから脱いでくれないか?また新しいお前を見せてくれ。大好きだよ、穂乃果」

「うんっ!!穂乃果も大好きだよ♡じゃあ今すぐ脱ぐね♪」

 

 

「ちょっと待てぇえええええええええええええええ!!お姉ちゃん騙されてるから!!」

 

 

 騙すとは人聞きの悪い奴だ。俺の素晴らしい演説を聞いていなかったのか?まぁ、まだ雪穂はおこちゃまだから分からないかもしれないが、これぐらい恋人同士なら当然だぞ?別にやましいことなんて何もない。俺はただ"高坂穂乃果"という人物について詳しく知りたいだけだ。裸を見て興奮するとか、そんな犯罪者みたいなマネするかよ。

 

 

「雪穂、あまり俺の邪魔をしない方が身のためだぞ」

「もう完全に犯罪者ですから!!通報しますよ!!」

「勝手にしろ。だがその時は、捕まる前にお前の服だけはなんとしてでも脱がしてやる!!」

「絵里ちゃん……なんでこの人好きになったの……?」

「さぁ……自分でも分からないわ……」

 

 

 そりゃあ変態的要素よりも、カッコいいところがたくさんあるからに決まってるじゃないか!!俺だって、女の子なら誰にも手を出す変態とは違うんだ。俺が見ているのはμ'sのみんなだけ!!穂乃果たち一筋なんだ!!つまり一途なんだよ、分かる?

 

 

「ハラショー!!まさか零くんと穂乃果ちゃんがここまで進んだ関係だなんて!!」

「いやいや違うからね亜里沙。あれはただのセクハラだから」

 

 

「穂乃果ぁ~」

「零君♡」

 

 

「なんか2人だけの世界に入り始めたわ……」

 

 

 

 

※ここからしばらく零と穂乃果の世界をご堪能ください(壁殴り禁止!!)

 

 

~~~~~

 

 

「さぁ穂乃果、服を脱がすからばんざいして?ほら、ばんざ~い!!」

 

「ばんざ~い♪」

 

「やっぱ穂乃果はいい子だなぁ~。そうやって俺の言うことを何でも聞いてくれる穂乃果、好きだよ」

 

「だって大好きな零君のためだもん♪それに零君は変態さんだから、穂乃果がぜぇ~んぶその欲望を受け止めてあげるよ!!」

 

「じゃあ俺も、全身全霊で穂乃果を愛してやろう!!」

 

「もう待ちきれないよぉ~~!!さぁ、早く脱がして♪」

 

「分かった!!いくぞ……それっ!!」

 

「きゃあっ♪あぁ~~涼しいぃ~~!!」

 

「おっ、可愛い下着だな?ベージュ色は初めてか?しかも、少し大人っぽくてそそられるよ」

 

「でしょでしょ?零君に見られてもいいように、常にお気に入りを着けてるんだ♪」

 

「ありがとな、俺なんかのために。名残惜しいけど、これも外しちゃっていいかな?」

 

「いいよ♪」

 

 

~~~~~

 

 

「『いいよ♪』じゃないよお姉ちゃん!!零君もなに全部脱がそうとしてるの!?」

「これ以上は禁止よ!!元生徒会長として認められないわ!!」

「チッ、邪魔すんなよ雪穂、絵里!!」

 

 

 折角いい雰囲気だったのになぁ~……もう少しで、あとちょっとで一線を超えられそうだったのに!!俺の欲望を邪魔した罪は重いぞ。この重罪、コイツらにどう償わせようか……?最悪、ヌーディストハーレムも辞さない判決を下すことになることを覚えておけ!!

 

 

「穂乃果ちゃんも大胆だね……」

「亜里沙ちゃんもどう?涼しくなれるよ!!」

「こら穂乃果!!勝手に亜里沙を誘惑しないで!!」

「お姉ちゃんまでおかしくなった……」

 

 

 これでこちらに味方が1人増えたわけだな。この調子で全員を脱がしまくって、あわよくばその先の展開へと――ってマズイマズイ!!涎が垂れそうだった!!でもこの場にはことりや楓がいないからまだ平和だな。あの2人がいたら阿鼻叫喚の事態に陥っていただろう。

 

 

「亜里沙、暑いのなら俺が抱きしめてやろう!!」

「きゃっ!!れ、零くん!?」

「ほ~ら、段々暑くなってきただろう?脱ぎたくなってきただろう?ん~?」

 

 

(あ、暑い!!零くんの身体に包まれて、私喜んでるの!?零くんから伝わってくる温もりがどんどん私を支配していく……ぬ、脱いじゃおっかな?それで零くんが喜んでくれるのなら……)

 

 

「亜里沙も脱ぐ気になった?」

「はい……もっと私のこと、見てくださいね♪」

「もちろんだ!!」

 

「零君に洗脳されているよ亜里沙!!戻ってきてぇえええええ!!」

 

 

 これで2人目!!やっぱり暑い時は欲望に忠実になった方が、身のためだし精神的にも断然いいな。そして俺の欲求も満たされて一石二鳥だ。さらに穂乃果たちも涼しくなるからwin-winじゃないか!!損することなんて1つもない!!それなのに雪穂も絵里もなぜ脱がないのか?

 

 

『暑かったら脱げばいいじゃない』

 

 

 うん!!いい名言ができたぞ!!

 

 

「それ以上、亜里沙に変なことをしたら許さないわよ」

「そうか……なら絵里、お前が脱げばいい」

「え゛っ!?」

「お前が脱げば亜里沙を返してやろう。なぁ~に、下着まで脱げとは言ってない。上だけ脱げばそれでいい」

「あなたねぇ!!」

「あと10秒だ。その間にお前が脱がなければ亜里沙を脱がす」

 

 

 我ながらいい作戦だ!!亜里沙を盾にすれば、シスコンの絵里は俺の言うことを聞かざるを得まい。亜里沙は俺に懐いてくれているため、彼女とコンタクトを取ることは非常に容易だ。つまり間接的に絵里を自由にコントロールすることができるのだ!!流石俺!!天才!!

 

 

「10、9、8」

 

「え、絵里ちゃんどうするの……?」

「雪穂……私は……」

 

「7、6、5、4」

 

「絵里ちゃん脱ぐの?穂乃果も緊張してきちゃった!!」

「もうお姉ちゃんも変態だ……」

 

「3、2、1」

 

「……ぐわ」

「聞こえないぞ?」

「脱ぐわって言ったのよ!!」

 

 

 同時に絵里は自分の上着を勢いよく脱ぎ捨てた。そしてそこには生命の神秘と言っていいほどの光景、つまり絵里の下着姿が俺たちの世界に具象化されたのだ!!キラキラとした効果音が似合う綺麗な肌に黄色の下着、これを神秘と言わずになんという。俺はしばらく絵里のその姿に魅了されていた。

 

 

「あ、あまりこっち見ないで……」

「あ、あぁ……あまりにも綺麗過ぎて見とれてた」

「うっ……まぁでも、ありがと……ふふっ」

 

 

 下着姿というのは水着と違ってエロスしか感じられないな。普段は決して誰にも見せない絶対領域であるからこそ、水着以上の興奮に煽られる。こうして冷静でいられるのも今の間だけかもしれない。

 

 

「零くん、ずっと抱きつかれているから汗かいてきちゃいました」

「そうだなぁ~……でもお前を脱がしちゃいけないって約束だしなぁ~。あ~あ、絵里が脱がなかったら亜里沙が暑さで苦しむことはなかったのに……」

「さっきの私の感動を返してよ!!こういう時は本当にゲス野郎ね!!」

 

 

 なんとでも言いたまえ。さっきも言ったが、俺は女の子の裸を見たいわけではない。暑さを凌ぐのと同時に女の子の新たな魅力を見つけ出したいだけなんだ。決して邪な気持ちがあるわけじゃないぞ。

 

 

「亜里沙も脱ぎたいよな?」

「はい……もう暑くて堪りませんから……」

「どうする絵里?大事な妹が暑さで悶え苦しんでるぞ?」

「むぅ……」

「それなら雪穂も一緒に脱げばいいじゃん♪」

「はぁ!?お姉ちゃんそれどういうこと!?」

 

 

 まさか自分に振られるとは思っていなかったのか、普段よりも一オクターブ高い声でツッコミを入れた。雪穂の奴、今日はツッコミ頑張ってるなぁ~~。ご褒美に脱がしてやろう。これで頭も身体も冷めるだろ。

 

 

「ほらだって雪穂、すっごく汗かいてるよ?」

「それはお姉ちゃんたちのせいでしょ!!私は絶対に脱がないからね!!」

「そうかそうか、そりゃそうだよな。だってお前の身体は貧相で、モデル体型の楓はもちろん、一年前はほとんで同じぐらいだった亜里沙にも既に負けてるんだもんな。そんな身体を晒したくない気持ちも分かるぞ!!でもロリ体型っていうのは、一定の需要があるから心配すんな」

 

 

 1年生の身体について。

 俺の妹である楓は言わずもがな、本人も自画自賛するほどのパーフェクトボディだ。絵里並みのスタイルに胸はことりと同じかそれ以上、文句のつけようもない。

 亜里沙も一年前は貧相な身体だったが、最近になって姉である絵里のスタイルを引き継いだのか、背や胸の成長速度が素晴らしい。それでも俺としてはまだまだ小柄だけどな。

 雪穂はさっき言った通りだ。

 

 

「うぅ……」

「どうしたプルプル震えて?悔しいのは分かるけど、それが現実なんだ」

 

 

「えぇい!!脱げばいいんでしょ脱げば!!これだって一年前と比べれば背も胸も成長してるし!!ダイエットにも成功してスタイルもよくなってるんだから!!」

 

 

 まさに計画通り!!雪穂も真姫と同じく重度のツンデレさんだから、こうやって煽っていればいつかは脱いでくれると信じていたぞ!!もう計画通りに進行しすぎていて自分に酔いしれそうだ。

 

 でもちょこぉっと暴走し過ぎのような……

 

 

「雪穂が壊れた!?今まで一緒にいて、こんな雪穂初めて見たよ!?」

「ゆ、雪穂落ち着いて!!もう私脱がないから……ね?」

 

 

「いや脱ぐ!!あんなに煽られたら私のプライドが許さないからね!!」

 

 

「零!!あなたが蒔いた種よ!!雪穂を元に戻しなさい!!」

「いやぁ~~雪穂っていいキャラしてるよな」

 

「零君!!」

「零!!」

「零くん!!」

 

「分かった分かった!!この俺に不可能はない!!ちゃんと雪穂を連れて帰ってくるから」

「あなたのせいでしょ……はぁ~……」

 

 

 そしてここから雪穂を取り戻すのに相当な時間を要した。もちろん歌詞作りが1ミリも先に進まなかったのは言うまでもない。さらにそのせいで、他のみんなに怒られたことも言うまでもない……

 




 今回は最近の暑さをネタにした話でした。曇っているのに暑いってどういうことだ!!いい加減にしろ!!……はい、この調子だと夏はどうなるんでしょう?今からでも億劫です。

 この話に出てきたキャラで、一番暑い思いをしたのは確実に雪穂でしょうね。まさにツッコミキャラの真髄を極めていましたから(笑)
もしかして零君よりも先にツッコミ死してしまうかも!?


~次回予告~
現在構想中の話です。どの順番で投稿されるかは未定なうえ、全然違う話が投稿されるかもしれません。さらに言えば没になるかもしれません。

☆嫉妬するまきりんぱな
前作『日常』より「嫉妬することほのうみ」参照

☆新たな性グセ発掘!!
次に零君が着目したのは、女の子の"耳"!!

☆花陽個人回
花陽視点でお送りする、濃厚なる『R-17.9』展開!!

☆μ's童話劇場『桃太郎』リベンジ!!
覚えている人は覚えている、今まで大した話題にもなっていないあのお話。もしかしたら別の童話を使うかも……


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花陽とのほんわか日和

 今回は、花陽推しの方必見の花陽個人回!!花陽視点で零君とのイチャコラなデートをお楽しみください!!

 これからデート回のタイトルは分かりやすく『(主役キャラの名前)との○○』にしようと思います。


 いくぞ読者方!!壁の貯蔵は十分かぁああああああ!!


 

「おっ、あれが花陽の言っていたクレープ屋か。そこそこ人もいるな」

「うん、特に学生には大人気なんだよ。一度でいいから食べてみたかったんだぁ~♪」

 

 

 今日は部活がお休みなので、零君と2人でちょっと離れたところにあるクレープ屋まで足を延ばしてみました。もちろん雑誌などでも取り上げられているクレープも楽しみなのですが、私としては零君と2人でデートをする方が何倍も楽しみでした。前々からデートの約束はしていて今までに何度もデートはしているけど、やっぱり当日は緊張します!!

 

 

「今日はこのために昼飯も控えめにしたんだ。たっぷり味わうぞぉ~!!」

「私もクレープは久しぶりだから楽しみだよ♪」

「そうだな。それに花陽と放課後デートってのは初めてか」

「うん♪よろしくお願いします!」

「任せろ!!楽しすぎて昇天しちゃうぐらい、俺が紳士的にエスコートしてやる!!」

 

 

 その時零君が向けた笑顔に、私は見とれてしまいました。零君の笑顔を見ると、いつも引っ込み思案な私も何でもできるような気がするのです。だから……今日はもっと積極的になろう!!いつもいつも零君にエスコートされてばかりだから、今日は私からもアプローチを仕掛けないと。

 

 

「よし、行こうぜ。ほいっ」

「え……?」

「手だよ手。結構人がいるから、花陽が迷子になっちまわないようにな」

「えぇ!?そこまで子供じゃないよぉ~!!」

「いやぁ~~お前を見ていると心配になるんだよな、はぐれた途端変な男に声掛けられそうで。だからお前は俺のモノって証をみんなに見せつけるんだ」

 

 

 もうっ!!普段は変態さんなのに、どうしてこういう時だけはイケメンさんなの!?自分でも顔が真っ赤になってるって分かっちゃうよぉ~~!!

 

 でも、私はどんな零君も大好きです♪カッコいい零君はもちろん、変態さんな零君も全部。恐らくですが私、零君に手を出されることをちょっぴり期待しているのだと思います。恋人同士になり零君とのスキンシップも増え、みんなは『セクハラだ!!』と言うけれど、私はそうは思ってなかったり。むしろ、もっと零君と一緒に触れ合いたいなぁと日々考えている私は変態さんなのでしょうか?

 

 そして私はこちらへ向けられた零君の左手に、自分の右手をそっと差し出しました。

その直後でした、零君は私の右手の指と指の間に自分の指を素早く滑り込ませたのです!

 

 

「こ、この手の繋ぎ方は……?」

「俗に言う恋人繋ぎってやつだな。俺とお前は恋人同士なんだから、別におかしいことはないだろ?」

「そ、そうだよね!!私たち恋人同士だもんね!!えへへ♪」

「そうそう。じゃあ行こうか?」

「うん♪」

 

 

 やっぱりまだこのドキドキには慣れません。でも零君と2人きりでいる時は、今までに感じたことのない幸福感が私を包み込むのです。μ'sのみんなには申し訳ないけど、今は零君を独り占め。この独占欲にさっきの変態さん、もしかして私、零君の影響をもの凄く受けているみたいです。でも……零君好みの女の子になれればそれでもいいかなぁ……なんてね♪

 

 

 今日の放課後デート、思いっきり楽しもう!!そして、あわよくば私から零君に……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「意外とここのクレープって小さいんだな」

「あはは……男の子が食べる量としては少ないかもね」

 

 

 数十分並び、ようやく念願のクレープを買うことができました。零君の言う通り、普通のクレープに比べれば一回り小さいのですが、放課後に学生が買いに来るという想定で作られているのでそれ相応の大きさになっているらしいです。

 

 

「あっ、これ美味しいね♪」

「ああ、ちょっと甘すぎるところが俺好みだ」

「零君って甘いもの大好きだよね?いつもことりちゃんのお菓子を美味しそうに食べてるから」

「お菓子でも何でも、基本甘いものなら好きだぞ。花陽はお菓子とか作ったりしないのか?」

「料理はするけど、お菓子作りはあまりしないかな」

 

 

 ご飯やどんぶりものは好きでよく料理はするんだけど、お菓子作りは1人でやったことはないなぁ。穂乃果ちゃんのお店ならお手伝いしたことがあるんだけどね。

 それよりもこれは、零君を私の家に招待するチャンスかもしれません。今日は家に家族がいないので、零君にお手製の料理を振舞うことができるかも。よし、勇気を出して誘おう!!ファイトだよ!!私!!

 

 穂乃果ちゃん、セリフ取っちゃってゴメン……

 

 

「零君!!」

「ん?どうした?」

「きょ、今日私の家に来ない?」

「な、に……?いいのか?」

「うん。今日は家に私だけだし……それに折角零君と2人きりなんだから、放課後だけっていうのは勿体無いもん」

「花陽からそういう提案があるとは驚いたな……じゃあ喜んで行かせてもらうよ」

「やった♪ありがとう!!」

「なんでお前が喜んでんだよ、ハハハ!!」

 

 

 そういえばそうかも……?私も零君につられて一緒に笑ってしまいました。でも、それくらい零君と一緒にいられて嬉しいからだよ♪零君と一緒にいると、普段引っ込み思案であまり喋れない私がまるで別人になったかのように口が弾むんです。『もっとあなたとお話したい!!』『もっとあなたに私を知ってほしい!!』、そう思っているからかな?

 

 

 あっ、零君の頬っぺにクリームが付いてる……どうしよう、言った方がいいよね。違う……今日私は自分からアプローチするって決めたんだった。だったらここは――――

 

 

「な゛っ!?は、花陽!?」

「えへへ♪零君の頬っぺにクリームが付いてたから、つい」

「『つい』って……お前からそういうことをしてくるなんて珍しいな」

「今日の私はいつもと違うよ!!積極的な小泉花陽になりますから!!」

「そうか、なるほど……」

 

 

 零君は私が舐めた部分を指で触りながら、私の顔をジッと見つめています。うぅ……お互いに何も言わず見つめ合っているのが一番恥ずかしいよぉ~~!!零君のカッコよさに吸い込まれてしまいそう……でもそれでもいいかなぁっと思ったり。

 

 普段は変態さんだけど、それは私たちの前だけらしいのです。普通に学院内では頼れる男の子ということで同級生の女の子から好かれているばかりか、憧れの先輩として後輩の女の子にも注目されています。私たち2年生の教室でも、凛ちゃんや真姫ちゃん以外の女の子から零君の話題が出ることがあるんだよね。やっぱり零君てモテるんだなぁ~~

 

 でもそんな零君を今私が独り占めしていると思うと、ちょっぴり優越感に浸れます♪

 

 

「じゃあ積極的な小泉花陽ちゃん!!俺にお前のクレープを分けてくれないか?」

「えっ?もちろんいいよ」

「でも普通に貰っては面白くない。だから口移しだ!!」

「口移しぃいい!?そ、それは……」

「今まで普通にキスしてただろうが……それに今日は積極的な小泉花陽じゃなかったのか?」

「そ、そうだけどぉ~……」

「条件は2つ。1つ目はお前から俺に食べさせること。2つ目は俺が食べ終わるまで唇を離さないこと。ちなみにお前に拒否権はない。さぁ来い!!」

 

 

 それってもうキスと何も変わらないような……?でも自分から積極的になるって言っちゃったんだし、ここはやるしかないよね!!やるったらやるっ!!あっ、また穂乃果ちゃんのセリフ取っちゃった。ゴメンね♪

 

 それにしても、相変わらず零君の強引さには目を見張るものがあります。でもその強引さがあってこその積極性だと思うんだよね。穂乃果ちゃんや凛ちゃんみたいな、元気よくみんなを引っ張ってくれる人もそういった強引さがあるし、私も少しでいいから強引になって零君に甘えてみようかな?

 

 

 私は自分のクレープを一口サイズに噛じり、唇でクレープを挟みながら零君の口へ向かって近づいていきます。その間に零君が私の背中に腕を回してきたので、私も近づきながら零君の首に腕を回しました。身体が触れ合うたびにドキドキして、今からキスをすると思うと自然と気持ちも高揚してきます。大好きだよ、零君♪

 

 

 そして――――

 

 

「ちゅっ、くちゅ……」

「んっ……」

 

 

 零君は我慢できなくなったのか私が零君の口に到達する前に、零君が自ら近づいてきて私の唇が奪われました。やっぱり零君は強引さんのようです♪私も負けないくらいキスを堪能しちゃおう!!

 

 私は咥えていたクレープを零君の口に放り込み、自由になった唇で零君の唇に貪りつきました。本当に今までの私じゃないみたい……いつもソフトで優しいキスだったから、ここまで濃厚なキスをするのはこれが初めてなのです。

 

 

「ちゅっ、ちゅぅ……」

「んぁちゅっ……んぅぁ……」

 

 

 ふぇえええええええええええええ!!今私、すごく変な声出してなかった!?ディープキスってこんなにも気持ちいいものだったんだ。これはにこちゃんやことりちゃんがハマっちゃうのも仕方ないね。現に私も零君の虜になっちゃいそう……いやもう虜になってるんだけど、さらに魅了されちゃった♪このままキス中毒なったらどうしようかなぁ♪

 

 

 あっ、今『ゴクン』って音がした。多分零君がクレープを全部飲み込んだ音だね。クレープを食べきるまでキスをするっていう条件だったけど、零君は私から離れるどころかさらに強くキスをしてきました。私もそれに応えるように舌を零君の口内に侵入させ、零君の味を堪能します。こうなったら、この甘いひと時を十分に味わっちゃおう♪

 

 

「んぁっ、ちゅっ……」

 

 

 私、もう自分から卑猥な音を出しちゃってる……『くちゅくちゅ』と周りにも聞こえるような大きな音を。でももう周りとか人目だとかどうだっていいんです!!零君と一緒ならどうなったっていい、だから今だけは――

 

 

「ちゅっ、んん!!」

「んぁちゅっ……んぁ!!」

 

 

 お互いにお互いを求めすぎて息が続かなくなったため、仕方なく唇をそっと離しました。名残惜しいですが、また次の機会の楽しみができたということで。

 

 

「はぁはぁ……激しいな花陽。このまま窒息死するかと思ったぞ……」

「それは零君もだよ……はぁはぁ……」

 

 

 まだ口の中に零君の唾液が残ってる……すぐに飲み込むのも勿体ないし、しっかりと私の口に染み込ませてから飲み込もう!!それに零君も口元を動かしているから、多分私と同じことを考えているんじゃないかな?零君と以心伝心だなんて……でも零君には私のすべてを知ってもらいたいからそれでいいかも。

 

 

「花陽、ちょっと来てくれ」

「え?急にどうしたの?」

「積極的なお前を見て、そしてお前を堪能して、もう我慢できなくなった……いいか?」

 

 

 我慢できなくなった――ということは零君、やっぱりそういうことを望んでるんだ。やっぱり零君は変態さんだね♪もちろん私もそのような覚悟があって零君と付き合っているのです。むしろ今の私、いや私たちは自分から零君を求めるようになっている。あの天国へ昇天しそうなくらいの、気持ちいい快楽を零君に求めて。だから、その答えはもちろん――

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ここなら誰にも見られねぇだろ」

「でもちょっと薄暗いね……」

「あぁ、いいシチュエーションだろ?」

 

 

 私は零君に連れられて公園のトイレの裏まで来ました。周りは木で囲まれているため、トイレに入る人に見つかる心配はありません。まるで今から私たちが行う行為を察しているかのように、木々が夕日の光を遮ってくれています。

 

 

「さぁ、花陽。壁に手を突いて、少しおしりをこっちに向けてくれないか?」

「うん……」

 

 

 あぁ、身体が勝手に動いちゃう!!もうちょっとで零君に愛してもらえると思って、私の身体が喜んでいるのかな?でもこの体勢すっごく恥ずかしよぉ~~!!ゴメンなさいお父さんお母さん、そして健全なお付き合いをお触れにしている海未ちゃんに絵里ちゃん!!花陽、零君にこの身を差し出します!!

 

 

「まさかこの『ワシワシMAXハイパー』を花陽に使うとはな……でも自分の欲求には逆らえないんだ」

「いいよ♪きて……」

「やるからにはお前を絶対に気持ちよくさせてやる。いくぞ!!」

 

 

 そして零君は私の胸を後ろからガシッと鷲掴みにしました。その瞬間、導火線に火が付いたかのように身体が温まり始め、その火が導火線を辿るように身体中を駆け巡ったのです。真姫ちゃんやにこちゃんから聞いていましたが、まさか身体がビクビク震えるほど快楽が全身に伝わるとは思ってもみませんでした。

 

 

「あっ、あん!!」

 

 

 あまりの気持ちよさに声を上げずにはいられません!!私が快楽に身を投じて身体を震わせようとすると、零君はそれに合わせて揉み方を変えてきます。にこちゃんがこの前言っていました、『零はにこたち9人の胸をそれぞれ別の方法で揉んでいる。アイツはにこたち1人1人が悦ぶポイントを知っているのよ』と。これがもし私のためだけに開発された揉み方だとしたら……もう言葉にできないぐらい嬉しいです!!

 

 

「あぁ……ん!!」

 

 

 大きな声を出せば周りの人に見つかってしまう、でも声を出さなきゃ我慢できなくなっちゃうこのジレンマ。身体がビクビクして今にも体勢が崩れそうだけど、この体勢を崩してしまうと零君から愛してもらうことができなくなる。だから私は必死でおしりを突き出した体勢を保ちながら、零君から流し込まれる快楽を味わなければならないのです!!

 

 

「あんっ!!あっ!!」

 

 

 あぁっ!!大きな声が出ちゃった!!だけど、もう誰に見つかってもいいや……

 そうやって自分の理性が失われるほど零君に愛され続けました。私はずっとその快楽に身を任せて、ただただ喘ぎ続けることしかできなかったのです。それでも自分の欲求が爆発しないよう、残り僅かな理性を持って抵抗をしています。

 

 でも導火線の火は着実に私の抑えられていた欲求に近づいてきて、そして――――

 

 

 

 

「あぁあああああああああああああああああ♡」

 

 

 

 

 遂に果てちゃいました……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

「はぁはぁ……」

「大丈夫か?俺も夢中になっていて、あまりお前のことを気遣えてなかったかもしれない。ゴメンな」

「ううん、むしろこんな気持ちいいこと絶対に忘れないよ♪ありがとう♡」

「俺がしたかっただけなのに、感謝されるとなんだかな……でもまぁ、どういたしまして」

 

 

 あっ、珍しい!!零君が照れてる!!

 零君が私にそういう感情を向けるのって初めてだと思う。普段、私に対しては頼れる先輩でお兄ちゃんのようなキャラだからね。こんなこと言ったら楓ちゃんに怒られちゃうな。

 

 

「一息ついたしもう帰ろうか、花陽の家に」

「うん。それじゃあ、はい♪」

 

 

 今度は私から零君に右手を差し出しました。今日の私は積極的な小泉花陽ですから!!零君に満足してもらえるアプローチ、たっぷりできたかな?

 

 

「じゃあしっかりエスコートしてくれよ?積極的な花陽さん?」

「任せてください♪」

 

 

 再び私たちは恋人繋ぎをして家へと帰りました。でもまだまだ、2人きりの夜はこれからですよ!!

 

 

 覚悟してね、零君♪

 

 




 この話のタイトルを見て、『何がほんわか日和やねん!!』とツッコミを入れた方、間違いじゃないですよ(笑)

 投稿間隔が短いので後書きに書く内容がなくなった!!それでは今日の花陽回に満足をして頂けた方、是非とも高評価をください(笑)
増えれば増えるほど『R-18』へと近づいていきますから……



 書くことがないので、なぜ個人回をμ'sメンバー視点にしたかだけを。
 実は――――『いちゃこら』タグの付いている、ラブライブ小説作品の個人回の影響を受けただけという非常に短絡的な理由。その話を見て、『そういえばμ's視点で話を書いたことがほとんどないなぁ』と思い始めたのが始まりです。あちらの作品とは違って、個人回であっても馬鹿なことしまくってますから(笑)
 この作品で純愛は書けません!!純愛を見たい方は是非あちらへ!!



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 前回感想にて、毎日投稿するよう煽られたので明日も投稿します!!さらに前回の次回予告の内容を1つでも没にしたら飛ばされるらしいので、次回はあの話の中のどれかになります。


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μ's童話劇場『桃太郎』リベンジ!!

 今回は前作『日常』の「桃太郎」より、元μ'sメンバーの9人が再び演劇を披露する回です!前回はハチャメチャなシナリオでしたが、さてはて今回は……?


※演劇中の文章がちょっと特殊です。
通常かぎ括弧「」・・・穂乃果たち役者のセリフ
二重かぎ括弧『』・・・零君が読むナレーションのセリフ
通常の文・・・普通に零君が喋っている文章

つまり地の文に当たる文章がないのでご了承ください。


 

 

~開演前:舞台裏~

 

 

 

 

「どうしてまた穂乃果が主役なのぉ~~?もうやりたくないっていったじゃん!!」

「できれば俺が代わってやりたかったんだが、この演劇の主演はμ'sなんだ。だから……頑張れ☆」

「顔、ニヤけてるよ……」

 

 

 一年前、アイドルとしての魅力向上を図るため、『桃太郎』を題材にμ'sで演劇を行った。あの時アイツらが脚本無視でやりたい放題してくれたおかげで、主役の桃太郎役を演じていた穂乃果の心に、深い傷(笑)を残す結果となったのだ。

 そして一年後の今、より結束が強くなったμ'sが再び『桃太郎』を演じるとどうなるのか?その疑問を解決するために俺が企画を立ち上げた。ちなみに雪穂たち1年生組は、たった3人観客として講堂の席に座らせている。

 

 

「前回のシナリオは酷かったけど、またあの時の二の舞にはなってないんだよね!?」

「大丈夫だ。今回のシナリオはすべて俺と楓で考えたから」

「一番心配な組み合わせだよそれ!!」

「楓がいるからな」

「零君もだよ!!」

 

 

 穂乃果の奴、いつもと違って心配性だな。普段は細かいことを気にせず突っ走るタイプなのに……なるほど、主役を演じるから下手なシナリオだと自分が際立たなくてイヤなわけか。いやぁ~~そこまで穂乃果が主役を演じたいのなら仕方ない、ナレーション役の俺が頑張って盛り上げてやろう!!

 

 

「よし!!もう始まるぞ、行ってこい!!」

「不本意だよぉ~~」

「心配すんな。お前は台本通りにやってくれればそれでいい。あとは勝手に周りが盛り上げてくれるさ」

「そんなニヤケ顔で『心配すんな』って言われても説得力ないよ……」

「ほら、文句垂れてないで行ってこい。みんな待ってるぞ」

「は~い……」

 

 

 穂乃果はブツブツと文句を言いながらも舞台袖へと向かった。

 さぁ!!これからμ'sショータイムの開幕だ!!ただのお遊びだからお客さんは少ないけど、どんな役柄でも最後まで貫き通して演技をする。その信念の強さがスクールアイドルにも必要だ。そういうことだから見せてくれよ!!お前らの最高で爆笑の演技を!!

 

 

「今爆笑って言った!?」

「あれるぇ~~聞こえてた?」

「バッチリねっ!!」

 

 

 中々の地獄耳を持った奴だ。流石野生動物のように感覚で生きているだけのことはあるな。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

~開演~

 

 

『昔々あるところに、日本昔話なのに何故かロシアとのクォーターである絵里お爺さんと、エセ関西弁を話す希お婆さんがいました。とてもアダルティなお爺さんとお婆さんに、私ナレーションもテンションが上がるというものです』

 

 

「なんでナレーションの個人的感情が入ってるのよ……」

「前回より変態要素増してへん……?」

 

 言っただろ?今回の演劇は前回の演劇よりパワーアップしてるってな。それにナレーションっていうのは、演劇を盛り上げる要素の1つでもあるんだ。物語を上手く進行できるかどうかはナレーションの力量に掛かってくるから、まぁ任せとけ!!お前らは俺の指示した通りに行動すればいいんだよ。

 

「あなたの指示が一番心配なんだけど……」

「もう既に物語から脱線してるけどね……」

 

 おおっ、危ない危ない!!

 

 

『お爺さんは山に芝刈りに、お婆さんは川に洗濯へ行きました』

 

 

「あれ?」

「どうしたの希?」

「この洗濯物……どっかで見たことがあるんやけど?」

「こ、これって……水着!?しかもこの水色の水着って、この前私が着ていたモノじゃない!?」

 

 気づいたか……そう!!その洗濯物は、以前PV撮影の時にみんなが着ていた水着だ。俺が洗濯しておいてやるって言って、この時まで俺の部屋に保管しておいたのだ!!もちろん演劇で使うことが目的だから、家ではなにもしてないぞ☆

 

「ちょっと零!!あなた私たちの水着を何に使ったのよ!?」

 

 なにって……言えるわけねぇだろそんなこと。いいから先へ進めるぞ!!全く、絵里がいちいちツッコむせいで話が進まねぇじゃん。自重しろ!!

 

「誰のせいだと思ってるのよ……」

 

 

『お婆さんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました』

 

 

「大きな桃やなぁ。あとでお爺さんと一緒に食べようかな?」

 

 

『お婆さんは桃を家へ持ち帰りました。お爺さんは桃を食べるために、包丁で桃を半分に切りました。すると、中から裸の……裸の!!!!』――――ってあれ?

 

 

 おい……ちょっと待て!!俺のシナリオでは、裸の穂乃果が桃に入っていることになってただろ!?どうして服着てるんだよ!!またシナリオを崩壊させる気か!?

 

「そんなことしたら放送事故だよ!!しかもこの台本に、『全部脱げ、お前に拒否権はない』って書かれてるけど拒否するに決まってるじゃん!!」

「もう初めから頭が痛くなってきたわ……」

「これも盛り上げるための演出なん?」

 

 当たり前だろ。女の子のサービスシーンっていうのは視聴率が上がるんだ。しかもそれがμ'sのリーダーともなればなおさらな。だから脱ぐんだ!!

 

「脱がないから!!いいから話を進めてよ!!」

 

 文句が多い奴らだ。そんな我が儘ばっかり言ってたら、いい大人になれないぞ?あっ、でも穂乃果はずっと子供っぽいイメージがあるな。

 

「鬼なんかより零君を退治したくなってきたよ……」

 

 

『お爺さんとお婆さんは桃から生まれた子に穂乃果と名づけました。そして穂乃果はぐんぐんと立派に成長しました』

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

『お爺さんとお婆さんは、最近村を荒らして回っている鬼たちに手を焼いていました。私も演劇をまともに進めてくれない役者たちに手を焼いていますがね』

 

 

「もういちいちツッコまないわよ……」

「この演劇、ただ零君が楽しみたいだけなんじゃ……」

 

 

『お爺さんとお婆さんは、最近村を荒らして回っている鬼たちに手を焼いていました』

 

 

「同じこと言わなくてもいいわよ!!進めればいんでしょ!!はぁ……最近、鬼たちが悪さをして困るわね」

「向こうの村でも被害が出てるし、どうしようかなぁ?」

「みんなに悪さをするなんて許せない!!穂乃果が退治してくるよ!!」

「穂乃果がやってくれるの!?頼もしく育ったわね、お爺さん嬉しいわ」

「だったら、お婆さんお手製のきびだんごを持って行って♪」

「わぁ!!ありがとうお婆さん!!」

 

 

『こうして桃太郎、高坂穂乃果の鬼退治珍道中が始まるのでした』

 

 

「全然緊張感がなさそうな旅になりそうだよ!?馬鹿にしてるよね!?」

 

 安心しろ、お前の旅のサポートはナレーションの俺がきっちりしてやる。まぁハッピーエンドで終わらせてやるから大船に乗った気持ちでいるといい!!

 

「零君が言うハッピーエンドほど怖いものはないよ……しかも多分大船じゃなくて泥船だし……はぁ~……」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

『旅に出た桃太郎は、その途中で花陽犬に会いました』

 

 

「あっ!花陽ちゃんのその格好、この前の子犬さんコスプレだね♪」

「うぅ……また着るとは思わなかったよ。しかも零君の計らいでちょっと脱がされちゃったし……」

「花陽ちゃんも零君の毒牙に掛かっちゃったんだね……」

 

 えぇ~~!!でも犬が服着ているのはおかしくない?そういうことで、花陽には見えそうで見えない際どいところまで脱いでもらいました☆こんなセクシーでかつお人形さんみたいな子犬、仲間にしたいでしょ?とりあえず花陽、セリフセリフ!!

 

「桃太郎さん、どこへ行かれるのですか?」

「鬼ヶ島へ鬼退治に行くんだよ!!」

「それでは黄金米を使用した特大おむすびをくださいな。お供しますよ」

「え゛っ!?ちょっと零君これ去年と同じシナリオだよね!?どうしてきびだんごに修正しなかったの!?」

 

 まさかお前、おむすびを用意していないのか……?呆れた、俺の性格が分かっていれば『零君のことだから、今回もほとんど同じシナリオでくるはず!!だからあらかじめ、去年のシナリオ通り黄金米特大おむすびを用意しておこう!!』って発想に至るはずだろ?

 

「至らないよ!!そこまで穂乃果が頭回ると思う!?」

 

 残念ながら思わない。だって馬鹿だからなぁ~お前。

 

「もう本格的に、零君退治に切り替えた方がいいような気がしてきた」

「なんか大変そうだから、お供するね……」

「あ、ありがとう花陽ちゃん!!心の友よ!!」

 

 

『なんやかんやで花陽犬が仲間になった!』

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

『さらに旅を続けていた穂乃果は、その途中で凛猿に会いました』

 

 

「また凛が猿なのぉ~~?」

「配役は前回から変わってないんだね」

 

 でもμ'sの中で誰が猿役に相応しいのか考えてみれば、やっぱり体系的にも体力的にも素早く動ける凛が適任だったんだ。シナリオを使い回せて楽だしな。

 

「それ絶対最後のが本音でしょ!?納得いかないにゃ!!」

「今の零君に文句を言っても無駄だよ凛ちゃん。とりあえず劇を進めよ」

「う~~……桃太郎さん、どこへ行くのかにゃ?」

「鬼ヶ島へ鬼退治に行くんだよ!」

「それではラーメンをくださいな。お供しますよ」

「そうだ、そうだった……うぅ~~どうしよう」

 

 

『これは困った!!桃太郎穂乃果、ラーメンを持ち合わせていない!!まさか、仲間を最小限に抑えて鬼ヶ島に乗り込むという縛りプレイなのか!?』

 

 

「ナレーション遊びすぎでしょ!?もう……前回みたいにラーメン奢るってことで手を打たない?不本意だけど……」

「それならよろこんでお供するにゃ!!この身は桃太郎さんと共に戦う覚悟を決めました!!」

「なんだか上手く流されいるような気がする……」

 

 

『桃太郎は自らの財布ポイントを削って、凛猿を仲間にした!』

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

『さらにさらに旅を続けていた穂乃果は、その途中で真姫キジに会いました』

 

 

「あなた、そんなに急いでどこへ行くの?まぁ私には関係ないことだけど」

「相変わらず素っ気ないね……鬼ヶ島へ鬼退治に行くんだよ」

「それじゃあそのきびだんごをくれる?お供するわよ」

「えっ!?きびだんごでいいの!?あっ、ご、ゴメン真姫ちゃん。な、涙出てきちゃった……」

「ちょ、ちょっとなに泣いてるのよ!!」

「ちゃんと桃太郎のシナリオ通りに進んだのが始めてだから嬉しくって……」

 

 

『あぁっとどうしたことだ!!桃太郎が泣き始めてしまったぞ!!俺の穂乃果を泣かした奴は誰だ!?とっとと出てこい!!』

 

 

「いや、確実にあなたでしょ……」

「童話通りに進むのが、これほど安心できるものだとは思わなかったよ」

「零くんはすぐ笑いに走ろうとするから脚本家には向いてないにゃ~……」

 

 

 流石に笑いを取ることばかり優先して、シナリオを前回の使い回しにしたのはマズかったか……?でも普通だと面白くないし、俺はお前らのスター性を発掘するためにこの企画を再び立ち上げたんだ。是非世界に羽ばたくエンターテイナーになってくれ!!

 

 

「あれ!?スクールアイドルとして、緊張せずに舞台に立つ練習じゃなかったっけ!?」

「もう完全に趣旨が変わってるわね……」

 

 

『知らない間に真姫キジが仲間になった!!』

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

『穂乃果は花陽犬、凛猿、真姫キジを連れ、ついに鬼ヶ島へたどり着きました。目の前にそびえる鬼ヶ島。ここまで来ると、穂乃果たちが今まで乗り越えてきた苦難が思い出されます』

 

 

「ここが鬼ヶ島……」

「ここまで来るのに苦労したにゃ~。特にあのボスに何度やられたことか……」

「いや戦ってないでしょ……」

「もういきなり鬼ヶ島だもんね……」

 

 RPGで言えば、いきなり魔王城みたいなものだからな。そう考えれば童話の桃太郎たちってレベルいくつなんだよ……むしろその桃太郎を育て上げたお爺さんとお婆さんが最強なのではなかろうか?もうお前らが世界救えよ。

 

 

『鬼ヶ島では、鬼たちが近くの村から盗んできた宝物やごちそうを並べて酒盛りの真っ最中で――って、あれ?鬼がいないぞ?にこたちはどこいった?』

 

「「「「???」」」」

 

 

 

 

「ぎゃぁあああああああああああああああああああ!!」

 

「「「「!!!」」」」

 

 

『どうしたことだ!!突然舞台袖からにこ鬼の悲鳴が響き渡ったァあああああああ!!これはもしや、裏ボス的な存在がいるのだろうか!?』

 

 

「ようやく見つけましたよ……穂乃果ぁ」

「やっと会えたねぇ……穂乃果ちゃん♪」

 

「海未ちゃん!?ことりちゃん!?」

 

 

『ここで舞台袖から出てきたのは海未鬼とことり鬼だぁああああああ!!ことり鬼の右手には、気絶しているにこ鬼の死骸の首根っこが掴まれている!!しかもなぜかこの2人、目が据わっていてヤンデレな雰囲気を醸し出しているぞ!!一体2人になにがあったのか!?』

 

 

「零!!これもシナリオ通りなの!?」

 

 より演出を面白くするため秋葉に、『海未とことりが穂乃果を好きになる薬を作ってくれよ』って言ったら快く承諾してくれてさぁ~、そしてそれを2人に飲ませたらこんな風になっちゃった☆

 

「『なっちゃった☆』じゃないよ!!海未ちゃんもことりちゃんも、すごく怖いんだけど!?」

 

 そりゃそうだ、だって愛しのお前が来るのを今か今かと待ってたんだから。さぁ、どうする穂乃果?愛を取るのか村の平和を取るのか、今こそ決断の時だ!!

 

「そんなの村の平和に決まってるじゃん――――ヒィッ!!」

 

 

『おっと!!ここで海未鬼とことり鬼の睨みつけ攻撃に、桃太郎穂乃果が怯んでしまったぁあああああ!!これは万事休すか!?』

 

 

「じゃあ前回もやったあの作戦しかないわね」

「え゛!?またやるの!?」

「このままだとあなた、一生海未とことりに飼われることになるわよ?イヤだったら羞恥心なんて捨てなさい」

「もう……人ごとだと思って……」

「人ごとだもの」

「ヒドイよ真姫ちゃん!!」

 

 

『さぁ桃太郎穂乃果、ここから起死回生なるか!?村の平和と自分の貞操を守るため、頑張れ穂乃果!!』

 

 

「穂乃果ちゃん早く!!」

「誠意を見せるにゃ!!」

「花陽ちゃんに凛ちゃんまで……はぁ~……」

 

 

『遂に穂乃果が鬼の前に立った!!そして息を大きく吸い込んだぞ!!どうする!?どうなる!?』

 

 

 

 

「村のお宝を返してくれたら、結婚してあげる♡」

 

 

「ぐぅううううううう!!」

「ぴぃいいいいい!!」

 

 

『ここで海未鬼とことり鬼、萌え過ぎて倒れてしまったぁああああああ!!これが萌え死にというやつでしょうか!?とても満足した表情で気絶しています!!見事、桃太郎陣営が勝利を収めました!!』

 

 

「やったーーーー!!これでラーメンを食べに行けるにゃーーーー!!」

「とりあえずこの2人は病院送りね」

「やっと終わったよぉ~……」

 

「また色んなモノを失った気がする……」

 

 

『鬼を退治したというのに何故か穂乃果は落ち込んでいました。なんででしょうねぇ~~。そして穂乃果たちは村の宝物を持ち、元気よく家へ帰りました。そして、絵里お爺さんと希お婆さんと一緒に幸せに暮らしましたとさ』

 

 

 

 

キャスト

 

桃太郎 : 高坂 穂乃果

犬 : 小泉 花陽

猿 : 星空 凛

キジ : 西木野 真姫

お爺さん : 絢瀬 絵里

お婆さん : 東條 希

ボス鬼 : 矢澤 にこ

子分鬼 : 南 ことり

子分鬼 : 園田 海未

 

神の声(ナレーション) : 神崎 零

 

 

 

 

~※~

 

 

~閉幕後・観客席~

 

 

「すごく面白かったね!!楓、雪穂!!」

「そりゃあ私も一緒になって考えたシナリオだし、面白くて盛り上がるのは当然でしょ!!」

「…………ノーコメント」

 




 今回の話と前作の話を比較してみると、自分でもかなり文章が書けるようになったなぁと思います。あの頃に書いた話は文章がお粗末なので、個人的には黒歴史として封印したいんですけどね(笑)


 次回予告というほどではありませんが、そろそろ楓を主役にした回を書こうと思っています。中身は零君とμ'sの仲が良すぎるため、1人で探りを入れるという内容。結構マジメな回になると思われます。


 とりあえず毎日投稿は一旦終わり。次回からは平常運転です。そうはいっても他の作者様と比べるとペースが早いのは否めませんが(笑)


 どうでもいい話ですが最近のラブライブ小説で、変態主人公もしくはそれに準じた行動をしている主人公が増えてきたような気がします。もちろんそういう主人公は好きなので、どんどん増えて欲しいです!


 高評価を入れてくださった方、ありがとうございます!これでまたR-18への道が開拓されました!!


Twitter始めてみた
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浮気調査員:神崎楓

 今回の主役は零君の妹である楓!!
 零君とμ'sの仲が良すぎることを不審に思った楓は、μ'sメンバーにどう探りを入れる!?9股がバレるのかバレないのか、果たして……


 ちなみに今までと違って変態回ではないですよ(笑)


 

 怪しい……。

 

 

 最近、μ'sの女たちがお兄ちゃんに対してスキンシップが多いような気がするんだよね。去年まではまだよそよそしい雰囲気だったのに、今年になってやけに過剰になっている。穂乃果先輩や凛先輩は相変わらずだけど、特にことり先輩やにこ先輩があからさまに変わっているから丸分かり。花陽先輩も近頃積極的になってきてるし、明らかに怪しい……

 

 お兄ちゃん、まさかこの中の誰かと付き合ってる?そう言ってもおかしくないほど仲がいいんだよね。どう考えても、どう見てもμ'sのみんなとのイチャイチャが増えている。まだ確信はないからグレーゾーンだけど、もうこれはブラックに限りなく近いグレーだよ。

 

 愛する妹というものがいながら他の女に浮気だなんて、未来のお婿さん失格だね!!μ'sのみんななら他の女よりも多少は信頼できるけど、私の恋路を邪魔する存在には変わりはない。これは徹底的に調査するしかないよ!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 まず手始めに外壁から攻めていこう。穂乃果先輩と絵里先輩の妹の雪穂と亜里沙なら、この現状について何か知ってるかもしれない。とりあえずこの2人がお兄ちゃんと付き合っているってことはまずないと思う。まだ他のμ'sのメンバーみたいに、熱の籠った視線をお兄ちゃんに浴びせてないしね。

 

 

「ねぇ雪穂、亜里沙。ちょっといい?」

「どうしたの?」

「まさか、また『お兄ちゃんに向けた愛の歌』とか言って語り始める気じゃあ……」

「違う違う!!今回だけはマジメな話!!」

「今回……だけ?」

 

 

 もし雪穂と亜里沙が何らかの理由でお兄ちゃんとμ'sが付き合っていることを隠している場合、ストレートに聞いても答えてくれるはずがない。ここは外壁のさらに周りから突いてみるか……

 

 

「最近穂乃果先輩さぁ~~テンション高くない?」

「えっ?もう1年前からあんな感じだけど……」

「そう……ところで、先輩って休日はどこかに出かけたりしてる?」

「さぁ、いちいち行き先や誰と行くなんて誰にも言わないことがほとんどだから」

「ふ~ん……」

 

 

 あの口の軽い穂乃果先輩が親にも行き先を伝えずにねぇ~~怪しいねぇ~~

 先輩なら誰とどこへ出かけるかなんて全国民に言いふらしそうな性格してるくせに、妹はまだしも親にまで言っていないとは……

 

 

「絵里先輩はどうなの?」

「う~ん、お姉ちゃんも休日は出かけることが多いけど、どこへ誰と行くのかはちゃんと私たちに伝えてくれるよ」

「へぇ~……」

 

 

 あまり踏み込み過ぎると怪しまれるからこの辺にしておこう。でも収穫はいくつかあった。その2人が一緒に出かけている相手、まぁμ'sのメンバーもいるんだろうけど、多分その中にお兄ちゃんと2人きりのお出かけ、つまりデートは入っていると思う。まだ憶測だけど、女のカンってやつは恐ろしいから。

 

 

 そ・し・て♪明らかに雪穂と亜里沙は嘘を付いているね。まぁ別にこの2人に嘘を付かれるのは構わないんだけどぉ~~多分それを指示したのはお兄ちゃんだよねぇ~~♪ダメだなぁ~~愛する妹をほったらかしにして他の女とデートをするなんて。もし誰かと浮気をしていることが確定したら、お兄ちゃんをどうしてあげようかな♪フフフ……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 場所は変わりアイドル研究部部室。今ここにはお兄ちゃん、雪穂、亜里沙以外のμ'sメンバー、つまり元μ'sのメンツが揃っている。この組み合わせになるのは結構珍しいけど、私としてはまたとないチャンスだ。この中に私のお兄ちゃんをたぶらかしているメス豚がいるってことだよね♪絶対に見つけ出して、その首を頂くんだから♪

 

 まずは誰から探りを入れようかなぁ~~……みんなで世間話をしているところ悪いから、1人で本を読んでいる真姫先輩にしよっと♪

 

 

「ねぇ真姫せんぱぁ~い♪」

「なによ急に先輩呼びして。また何か企んでるの?」

「そんなことありませんよぉ~~。それにしてもお兄ちゃん、遅いですねぇ」

「別にただ掃除当番なだけでしょ」

 

 

 そんな素っ気ない態度を取っても私には分かるんですよ。本を読みながら、たまぁに部室のドアをチラチラ見ていることをね♪これは絶対にお兄ちゃんを待ってるよ。真姫先輩は言葉と行動が一致してないから分かりやすいなぁ~~♪

 

 でもあの真姫先輩をここまで期待させるって、お兄ちゃんどんな魔法を使ったのかな?お兄ちゃんの魅力ならどんな女でも落とすことができるだろうけど、基本素直じゃない先輩をこれほどまでにねぇ……怪しいねぇ~……

 

 

「海未せんぱぁ~い♪」

「楓、どうかしましたか?」

「いやね、お兄ちゃんはまだかなぁ~っと思って」

「掃除中に遊んでなければもうすぐ来ると思うんですけど……でも零ですし、ふざけて先生に怒られるまでのパターンに入ってしまってるでしょうね。まぁ楽しく掃除するのはいいことですけども。しかし最終的にはやることは余すところなくしっかりこなす、よくできたお兄さんですよね」

 

 

 長い長い長い長い長い!!どれだけ喋るんですか!?あ゛ぁああん!?まさか軽く投げた質問がこんなヘビーな回答で返ってくるとは思ってもなかったよ!!まさかこの人がメス豚……?でも先輩が恋人っていうのが一番あり得なさそうなんだよなぁ~~……良くも悪くもマジメだし。

 

 

「凛先輩とにこ先輩はマトモに掃除なんてやらなそうですよねぇ~♪」

「どんな偏見よそれ!!にこは綺麗好きだから、掃除は結構好きよ」

「これでも最近は将来に向けて、料理や洗濯とか色々と家事を手伝ってるんだよ」

「へぇー意外ですねーー」

「全然興味がないって顔してるにゃ……」

「楓が振ってきたくせに……」

 

 

 普段母親と交代で家事を切り盛りしているにこ先輩は分かるけど、まさか凛先輩が率先してお手伝いをしているとか天変地異の前触れかなにかかな?そんなことよりも、凛先輩が言ってた『将来に向けて』っていう言葉が気になる。メス豚は先輩?このちっこい先輩がお兄ちゃんの彼氏!?そんなバカな……

 

 

「ことり先輩」

「なぁ~に楓ちゃん?」

「教室でのお兄ちゃんってどんな感じですか?」

「ん~~……ことりの席が零君の席の斜め後ろだから授業中いっつも眺めてるんだけど、特に変わったところはないかなぁ~?いつも通りカッコよくて、ちょっぴり変態さんな零君だよ♪でもでもっ!!居眠りしている時の顔は可愛いんだよぉ~♡」

 

 

 ウザッ!!そんなこといちいち言われなくても、お兄ちゃんの魅力ぐらい私が世界で一番よく知ってるっつーの!!

 それにことり先輩がこの中で誰よりも黒に近いような気がする。お兄ちゃんへの好意が明らかに去年とは違う、『もう零くんになら何をされてもいい!!』というメイドすらも飛び越えた奴隷精神をビンビン感じる。こいつがメス豚有力候補か……首を刈り取る準備をしなくては。

 

 

「花陽先輩って、最近お兄ちゃんによく話しかけてますよね?」

「うんっ!!スクールアイドルなのに引っ込み思案じゃダメだから、自分を変えるため積極的になろうと思ってね♪」

「へぇ~……なにかきっかけってあったんですか?」

「ん、ん~……?楓ちゃんたちも入ったし仮にも私は先輩だから、みっともない姿は見せたくないんだよ」

「ふ~ん……」

 

 

 花陽先輩、少し答えに詰まった?私がきっかけを質問した時、初めの方に少し戸惑いがあったように見えた。元気よくして隠そうとしてるけど、私のメス豚探知機はそれぐらいで隠し通せるものではない!!お兄ちゃんに群がるメス豚たちを一網打尽にするため、例え穏やかで優しい先輩であっても容赦はしないから。

 

 

 ん?まてよ、群がる……?もしかして、1人じゃない……?ははは……そんな馬鹿な!!9股なんて社会的に抹殺されるようなこと、お兄ちゃんがするわけないじゃん何言ってるの私は!!そんなことがあるはずは……。

 

 

 あったらどうする?いや、ないない!!絶対にあり得ないんだ!!

 

 あと3人……あと3人から話を聞けば把握できるはず。そう――お兄ちゃんが9股どころか誰とも付き合っていないという事実がね。

 

 

「絵里先輩と希先輩は、大学に入ってから久しぶりにみんなと会ってどうでしたか?やっぱり会えなくて寂しかったとか?」

「そうねぇ~……にこみたいに飢えてはいなかったけど、私も零に会いたかったわ」

「寂しかったけど、やっぱり零君と一緒にいるとそんなことも忘れるぐらい元気をもらったかな?」

「なるほど分かりました」

「あれ?もういいの?」

「はいもうお腹いっぱいでーす」

「なんで棒読みなん……?」

 

 

 この2人……サラッと答えて大人な対応をしたように見えるけど、確実に黒だ。夜の闇よりも深いブラックだわこれ。

 私はねぇ、『大学に入ってから久しぶりに"みんな"と会ってどうでしたか?』って聞いたの!!それなのに誰がお兄ちゃんのことだけを話せって言ったんだぁああああああ!?無意識にお兄ちゃんの名前が出ちゃったんだとしたら、これを黒と言わずに何と言う!?しかも1人じゃなく2人共ってことは……まさか――――

 

 

 嘘でしょ……?

 

 

「ほ、穂乃果先輩……」

「ん?どうしたの楓ちゃん?」

「お兄ちゃんは……」

「零君ならもうすぐ来ると思うよ。あぁ~早く練習したいなぁ。そして今日も零君に、穂乃果の頑張っている姿をいっっっっぱい見てもらうんだ♪あわよくば頭とか撫でてもらったり、ぎゅっ~~ってしてもらったり……きゃぁ~~♡」

 

 

 …………

 

 

 …………

 

 

 …………

 

 

 …………

 

 

 なるほど、そういうことだったのか……。

 

 

 すべて分かった……。

 

 

 お兄ちゃんをたぶらかしているメス豚の正体……。

 

 

 なるほど……なるほどねぇ……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「どうした?こんなところに呼び出して。俺だって暇じゃあ――」

 

 

「そうだよねぇ~~暇じゃないよねぇ~~。だって彼女がいるんだから」

 

 

「お前……」

 

 

 翌日、私はお兄ちゃんを屋上へ呼び出した。

 初めは面倒くさそうな顔で扉を開けて入ってきたけど、私の言葉を聞いた瞬間目を丸くして驚き、その顔が真剣な表情に変わる。いつもの私ならそのカッコいいお兄ちゃんに飛びついているけれど、もちろん今はそんな気分じゃない。ここまで来たら、すべての事実を白日の下に晒してやる。

 

 

「どこで知った?」

「あれ?随分素直に認めるんだね」

「もうバレているのに隠しても無駄だろ。それにお前のことは俺が一番よく知っている。言い訳なんてさせてくれないだろ」

「分かってるじゃん♪」

 

 

 一応お兄ちゃんを攻めるために言葉を色々と考えてはいたんだけど、ここまで潔いと逆に拍子抜け。まぁ、言い訳されるよりかは楽でいいんだけどね。私がやりたいのはそんな醜い言い争いじゃないし。

 

 

「どこで知ったもなにも、自分で調査したんだよ。最近お兄ちゃんとμ'sのみんなの仲が良すぎることが怪しくってね」

「それで?」

 

「まず雪穂と亜里沙に聞いてみた。この2人は雰囲気から付き合ってはいないなぁと思っていて、まさにその通り。でもあの2人は私に嘘を付いた」

「へぇ~……どんな?」

 

「私が穂乃果と絵里が休日よく出かけるのかを聞いた時、あの子たちは『出かけるけど行き先や誰と行くかは教えてくれない』とか、その逆もあった」

「それがどうかしたか?」

 

「とぼけないで。お兄ちゃんがそう言わせてるんでしょ?だってそもそも周りに自分のお姉ちゃんがデートをしていることを隠したいのなら、『知らない』の一言で済むはず。あんな長ったらしい言い訳をする必要なんてない。お兄ちゃんは周りに感づかれないためにそうやって言い訳するようあの2人に伝えたんだろうけど、私にはそれが不自然極まりなかったからね」

 

「……流石だな」

「お兄ちゃんの妹ですから」

 

 

 これは仕掛けに手を込め過ぎて、逆に見つかりやすくなってしまうパターンだ。素人から見れば何の変哲もない普通の言い訳なんだけど、浮気調査のプロである私から見れば違和感ありまくりで今すぐにでも問いただしたかった。策士策に溺れるとはまさにこのことだね。

 

 

「それで他に分かったことは?」

「部室で元μ'sの先輩たちと話していて、全員がお兄ちゃんを今か今かと待っているオーラを出していた。これはさっきみたいに証拠も何もないけど、女のカンってやつかな?」

「お前のカンは鋭いからな、それでも十分な証拠になるよ」

「お褒めの言葉を頂き光栄です♪」

 

 

 こうしてお兄ちゃんの様子を伺ってみると、意外と戸惑ってないんだね。私がこの話を暴露したらもっと焦ると思ってたんだけど、そこだけは見当違いだったか。いや、そもそもいつ私に知られてもいいように覚悟を常に持っていたとか……?そうでなきゃ暴走する私を止めることなんてできないからね。

 

 

「でもまさか9股をする男がこの世に存在しているとは……ホントに最悪だね、お兄ちゃん♪」

「本当に最悪だよな。でもこれが俺たちの出した答えなんだ。去年、俺たち10人の間で起きたことをお前にも話したよな?あれも最悪な出来事だったけど、そのおかげで俺もアイツらもお互いの本当の気持ちを知ることができた。だから俺は現状に後悔してないしこれからもするつもりはない。でも、黙っていたことは悪かった。ゴメンな」

 

 

 去年、お兄ちゃんと元μ'sの先輩たちの間で起こった最悪の事態。お兄ちゃんを巡って殺し合いをしたっていう、まさにヤンデレドロドロの展開。ホントに馬鹿な人たち……お兄ちゃんもμ'sも……

 

 でもその時からだったかな?お兄ちゃんの笑顔がより明るくなったのは……

 

 

「俺も意外だよ。もっと怒られるのかと思ってた」

「そりゃあ初めはμ's全員を打ち首獄門の刑にしたかったよ。でもそんなことできないじゃん、あんな楽しそうで幸せそうな顔を見せられたら……」

「楓……ありがとな」

「いえいえ♪それでもお兄ちゃんは私のモノってことには変わりないけどね!!」

「はいはい」

 

 

 そう!!今はまだお兄ちゃんをμ'sに預けておくだけだから!!そう簡単にお兄ちゃんをお婿に出すわけにはいかないからね!!いつまでにしようか……うん、私の目が黒い間はそう安々と渡すものですか!!

 

 

「そうだ、あと1つ聞いてもいい?」

「なんだ?まだ何かあるのか?」

「うん……」

 

 

 話が終わって立ち去ろうとしたお兄ちゃんは再び私の方へ向き直った。今までの話ももちろんお兄ちゃんに伝えたかったことだけど、これも私からお兄ちゃんに絶対に伝えておきたい。

 

 

 

 

「私にも、まだチャンスはある?」

 

 

 

 

 答えなんてどうでもいい。でもこれを言っておかないと、これまで抑えていた気持ちが爆発しそうだったから。

 

 

 

 

「チャンスは自分で掴み取るものだぞ」

 

 

 

 

「え……?」

 

 

 まさかの返答。でも……それで心が落ち着いちゃったんだから仕方がない。全く、ホントにお兄ちゃんは人の心を読むのが上手いんだから。なんでそうやって女性の心に響く的確な言葉がホイホイ出てくるのやら。なるほど、それでμ'sを片っ端から落としていったのか。

 

 

「――ということで!!負けないから、そこに隠れているμ'sのみなさん!!」

 

 

 

 

「あはは……やっぱりバレてたか」

 

 

 穂乃果の言葉を皮切りに、μ'sメンバーがぞろぞろと屋上に姿を現した。盗み聞きなんてタチの悪いことを……でもまぁタチの悪さなら私も負けてないけどね!!

 

 

「これもお兄ちゃんの計らい?」

「知るか。でも盗み聞きしてるってことは分かってた」

「あれぇーー?そんなに穂乃果たちうるさかった!?」

「馬鹿野郎。11人もいれば気配で分かるっての」

 

 

 そんな大所帯で気づかないとでも思ってたの?だからまだまだμ'sはあまちゃんだなぁ~~。でもこれで私がμ'sに必要だってことがはっきりと分かるんだね!!しょうがないからこのままメンバーでいてやるか!!

 

 

「楓ちゃん、私たちからも今まで黙っていてゴメンなさい!!」

「いいよ別に……そのおかげで私にもチャンスがあることが分かったら、それで全部チャラ!!でも覚悟することだね!!私が参戦するからには、穂乃果たちを彼女という土台から引きずり下ろすかもしれないから」

「楓ちゃん……もちろん穂乃果たちだって負けないよ!!」

 

 

 私の言葉に更なる熱意を燃やす穂乃果。それはその後ろにいる元μ'sの先輩たちも同じだ。さてはて9人ごときで私に勝てるかな?逆に試されているのは私かもしれないけどね。

 

 

「「楓!!」」

「雪穂、亜里沙……」

「嘘ついちゃってゴメン!!」

「私もゴメンなさい!!」

 

 

 2人はわざわざ私の前まで来て、深々と頭を下げた。この1ヶ月半ぐらい一緒にいたけれど、この2人は本当に律儀だ。まるで私とは正反対。だけどそのおかげで助けられた部分もあったりなかったり。

 

 

「それももういいよ。悪いのはお兄ちゃんだし……」

「そうだな。むしろ俺から雪穂と亜里沙に謝らなければいけないんだ。ゴメンな」

「いえ。確かに零君にそう言えって言われましたけど、それを言うって決めたのは私たちですから」

「じゃあこの話はこれで終わり!!お互いに悪かったってことでいいでしょ?お兄ちゃん、雪穂、亜里沙」

「まぁ、妹様がこう言ってくれてるんだし。その言葉に甘えるか」

 

 

 多少の齟齬はあったけど、それも全部修復された。なるほど、μ'sの絆はこうやって広がり強くなっていったんだね。私もまたみんなと一歩心の距離が近づいたような気がする。今までは興味がなかったけど、もっとみんなのことを知ってみたいと思ってるしね♪それにお兄ちゃんのことを譲る気は一切ない。そのためにも敵のことはちゃんと知っておかなきゃ!!

 

 

 まぁ、でも今はみんなと一緒に――――

 

 

 

 

「よーーーし!!じゃあ今日も練習頑張りますか!!」

 




 ということで結局9股はバレてしまいました!!

 この話を書いていて、神崎楓というキャラがより一層好きになりました。あまり主人公以外のオリキャラは個人的に好みではないのですが、ここまでキャラが確立するともうμ'sメンバーの一員として不自然ではないような気がします。今までが暴走キャラだっただけに、可愛い一面も書けたかな?
 今回の話を読んで、楓が好きになったという読者様が1人でも増えてくれれば嬉しいです!!

 最後の楓と零の局面、あそこの場面は『非日常』のような謎解きを久々に書けてとても楽しかったです!!そしてマジメな回自体が久しぶりなので、前回感想にて『真面目な回なんて書けるんですか?』と煽られましたが、無事書くことができましたよ(笑)



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嫉妬することほのうみ

 決してタイトルを間違えたわけではありませんよ(笑)

 次回を『嫉妬するまきりんぱな』にするため、この回を参考にしようと読み返していたのですが思った以上にことほのうみが可愛く見え、この回を再編集して投稿してみました。

 内容自体は前作の話とあまり変わりませんが、一応地の文などがパワーアップしていますので、より嫉妬して可愛いことほのうみが見られると思います!!

※この話では進級後、つまり恋人同士となっているのでそれに合わせて若干内容を改変しています。


  高坂穂乃果です!

 

 今日はこの1週間で溜まった宿題を、零君と一緒にやろうかなぁ~なんて思ったりしています。初めは海未ちゃんに頼んだんだけど、『自業自得です!』って言われて手伝ってくれませんでした。全く、相変わらずのケチんぼなんだから!!それにことりちゃんまで連れて行くし……

 

 いいもん!!零くんからたくさん教えてもらって、次のテストで海未ちゃんの泣き顔見ちゃうんだから!!

 

 

「零く~ん!!数学の宿題手伝って……?」

 

 

 そう言って零君の方を見てみると、既に零君は誰かとお喋りしていました。何をしているのか2人に気づかれないようにそぉ~と見てみると、どうやら勉強をしているみたいです。だって零君賢いもんね……そりゃあ穂乃果と同じ考えの人だっているよ……

 

 

「そうそう、そこにこの公式を当てはめるんだ」

「ホントだ~!!神崎君、教え方上手いからスラスラ頭に入るよ!!」

「だろ?俺に任せとけば大丈夫なんだって!!」

「じゃあこれからも教えてもらっていい?」

「もちろん!!」

 

 

 零君は数学を教えているみたい。隣に座っている女の子は確か隣のクラスの子。穂乃果目線で見てもその子はとても可愛い。そういえば、ラブレターをたくさん貰ってるって噂の子だったような気がする。もしかしたら穂乃果じゃ敵わないかも……零君可愛い子大好きだもんね……

 

 はっ!!今はあの子のことより勉強を教えてもらわなきゃ!!でも気になるなぁ~……なんか零君との距離も近いし……

 

 

「ありがとう♪でも教えてもらってばかりじゃ悪いよね?何かしてあげられることってないかな?」

「そうだなぁ~弁当でも作ってきてくれるとかどうだ?」

「え!?それでいいの?」

「ああ、俺の昼食はいつも質素だからな」

「分かった!!私料理得意だから楽しみにしててね☆」

「なら期待させてもらおう。でも俺の審査は厳しいぞ」

「私に任せとけば大丈夫!!」

「おいっ!!それ俺のセリフ!!」

「へへっ、お返し♪」

 

 

 

 むむむむ……楽しそう。とても入っていける空気じゃないや……

 

 なんだかモヤモヤする。別に零君やあの子が悪いわけじゃないけどさ、心にチクッてくるんだよね。でも零君ってやっぱり人気があるんだなぁ。同級生だけじゃなくて、下級生にも知り合いがいっぱいいるみたいだし。零君頼りになるもん、仕方ないよね……

 

 しょうがない、今日は諦めよう。零君とならいつも一緒にいるから、また機会はあるはずだよね。

 

 

 

 

「穂乃果!!」

 

 

 

 

「な、なに!?」

 

 

 びっくりした~!!あれ?さっきまで話していた女の子がいなくなってる。机から教科書やノートがなくなっているから、もう勉強は終わったのかな?心のモヤモヤと戦っていて周りが全然見えてなかったよ。

 

 でも、零君に声を掛けられてちょっとホッとしている自分がいる。どうしてだろ……?

 

 

「お前、さっきから何でそんなところに突っ立ってんだ?」

「べ、別に何でもないよ、アハハハ……」

 

 

 何でもないことないんだけど……あれ?どうして穂乃果、教科書とノートを背中に隠したんだろ?素直に『勉強教えて』って言えばいいのに……いつもならためらいなく、思ったことはすぐに口に出しちゃうのにな。

 

 

「何でもないことないだろ、俺を呼んでなかったか?」

 

 

 えっ!?穂乃果の声が聞こえてだんだ!?てっきり勉強に集中して聞こえてないと思ってたよ。うぅ、なんて言い訳しよう……こういう時に限って全然頭が働かないや!!どうしよう!?

 

 

 

 

 あっ……

 

 

 零君は穂乃果の背中に手を回して、穂乃果が隠していた教科書とノートを掴んで持ち上げました。その時、自分の前に立っていた零君にちょっと安心したのは気のせいかな……?

 

 

「数学か……教えて欲しいならそう言えばいいのに」

「だって……そんな雰囲気じゃなかったし」

 

 

 あそこで穂乃果が出て行ったら、絶対に空気悪くなってたもん……

 

 それに穂乃果と一緒に勉強しても楽しくないよね……あの子は物覚えが凄く良さそうだったから、教えてる零君も楽しそうだったけど、穂乃果は物覚えも要領も悪いし……

 

 

 

「じゃあサッサと片付けようぜ」

「へ?」

「どうしたんだ?溜まった宿題を消化するんだろ?」

「そ、そうだけど……」

 

 

 そうだ。これは穂乃果の宿題なんだから1人でやらないと。零君に頼ってばかりじゃダメだよね。勉強のことになるといつも海未ちゃんやことりちゃん、零君に甘えちゃうから。たまには自分で考えてみよう!!もう今年から受験なんだ、我が儘ばっか言ってられないよ!!

 

 

「あのさ、穂乃果」

「は、はい!?」

「そんなに気兼ねしなくていいんだぞ。アイツも割り込まれたからって怒るような奴じゃないし、それにな」

 

 

 零君は一度言葉を切って、穂乃果の目を見つめ直します。穂乃果も同じように見つめ返すけど、もう目を逸らしたくなるくらい零君の目に吸い込まれそうでした。だってこんな優しくて、カッコよくて、輝いている目なんて見たことないよ。

 

 

「俺はお前と一緒に勉強するの、すごく好きだぞ。解けなかった問題が解けた時の笑顔とか、見てるとこっちも楽しくなるからな。勉強の途中でふざけたりダラけたりすることもあるけどさ、それもお前だからこそ気兼ねなくできることなんだ」

 

 

「零……君」

 

 

「だからさ、もっと俺を頼ってくれ。穂乃果と一緒にいる時間、大好きだから!!」

 

 

 

「零君……零くーーーーーーん!!」

「えっ!?ちょっと穂乃果!?」

 

 

 穂乃果は少し涙を流しながら零君に飛びつきました。穂乃果も零君と一緒にいられる時間が好き。ことりちゃんや海未ちゃん、μ'sのみんなと一緒にいる時間とはまた別に、零君と2人きりで一緒にいる時間が大好き。零君の彼女になって、さらにその時間が好きになった。もっと!!もっと零君と一緒にいたい!!ずっとあなたの側にいたい!!

 

 

 だから――――

 

 

「よろしくね!!零君♪」

 

 

「「俺に任せとけば大丈夫だって!!」」

 

 

 穂乃果は零君が絶対に言うと思ったセリフを、零君と一緒に言いました。いつも自信満々で自信家の零君なら絶対に言うと思ってたよ♪これも恋人同士で繋がっているおかげかな♪

 

 

「お前!?俺のセリフに被せるなよな!!」

「えへへ~~♪」

 

 

 まだまだたくさん迷惑を掛けちゃうかもしれないけど、これからもよろしくね!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 南ことりです。

 

 

 今日は零くんのために新しいチーズケーキを作ったので、零くんと2人でお試食会をしようと思ったのですが……

 

 

「神崎先輩!!ほら、あ~ん♪」

「ちょっ!?廊下でそんなことするのやめろって!!」

「え?じゃあ廊下じゃなかったらいいんですかぁ?」

「揚げ足取んな!いいから離れろ!!」

 

 

 零くん、廊下で誰かに言い寄られてる。リボンの色は……青。だったら2年生だ。2年生にしては、背が高いしモデルさんみたい。それにしても零くんとあの子の距離……近すぎるよぉ。あれ?あの子の手に持っているのって……チーズケーキ!?ことりと一緒で小さくスライスして小分けにしてある。

 

 

「いい加減試食してくださいよ~」

「お前、段々積極的になってきてるな」

「だって先輩の周り女の子が多いんですもん。そりゃ積極的にもなりますって。ホラホラ、食べないといつまでもこうしてますよ」

「分かった分かった!!食べるから!!」

「やっとその気になりましたね。それじゃあいきますよ。はい、あ~ん♪」

 

 

 !!!

 

 

 零くんはそのままチーズケーキを食べてしまいました。それはいいんだけど、自分の役目が奪われた感じがしてショックです。お菓子を作ってきた時、ことりはいつも零くんに『あ~ん』をしていました。零くんは恥ずかしがりますが、結局は最後にしっかりと食べてくれます。それはことりだけの専売特許だと思っていたのに……

 

 でも、零くんは他の女の子からもやってもらってるんだ……ことりだけじゃないんだね。そう考えるとすごく寂しい気持ちになっちゃった。自分の至福の時間が一気に壊れたような気がして……

 

 

「美味しいですか?」

「ああ、さすがパティシエの娘なだけのことはあるな」

「毎日の練習のお陰です♪」

 

 

 あの子、パティシエの娘さんだったの!?そりゃ美味しいに決まってるよね、だってお菓子作りのエキスパートなんだもん。ことりみたいに趣味で作ってるお菓子とは比べ物にならないよ……

 

 なんだろ?この胸の辺りがキュッと締め付けられるこの感じ。零くん……さっきまでは食べるのをあんなに拒否していたのに、今はとても美味しそうに食べてる。それに笑ってる……やっぱりことりだけが特別じゃなかったんだ。

 

 いいもん!ことりは零くんとキスしたことがあるから!!胸まで揉んでもらって、ちょっとだけだけどその先までしたこともあるもん!!あんな子には負けないんだから!!

 

 

 

 

「おい、ことり」

 

 

「ぴぃっ!!」

 

 

 声を掛けられて気が付けば、いつの間にか零くんが目の前にいました。びっくりして変な声出ちゃったよ。もし変な子だって思われたらどうしよう~~……

 

 

「柱に隠れてどうした?かくれんぼ?」

「ち、違うよ~!!零くんがいたから何してるのかな~って思って。そ、そうだ!!さっきの子はどうしたの?」

「もう教室に帰ったよ。次体育なんだとよ」

「そうなんだ……」

 

 

 話題を上手く逸らせました。じゃあことりはこの辺でお暇しようかな。ことりのチーズケーキなんかでは、さっきの子のチーズケーキには到底かなわないし……あの子のチーズケーキとっても美味しそうで見た目も綺麗だったからね。

 

 

「ん?この匂い……」

 

 

 零くんが鼻をくんくんさせています。そういえば前に自慢してました、俺の鼻は穂乃果ちゃん並だって……というコトは!!ダメッ!!気づかれちゃう!!

 

 

「お前が持ってるのってチーズケーキか?チーズケーキだろ、俺の鼻は誤魔化せない」

 

 

 ビシッと零くんはことりが持っている小さな箱を指さしました。うぅ……バレちゃったよ~~。どうしよう!?こういう時の機転って苦手なんだよね。

 

 

「そういや作ってくれるって言ってたっけ?もしかして、今から試食会か?」

「うぅん、これは違うの!」

「違う?何が?」

「えぇ~とそれは……」

 

 

 誤魔化そうと思っていましたが、零くんには通用しないようです。ここは腹をくくります。バレてるのに隠したって仕方がないもんね。

 

 

「さっき零くん、2年生の子にチーズケーキもらってたよね?」

「ああ、それが?」

「実は聞いてたんだ、さっきの会話。あの子、パティシエの娘さんなんだね」

「そうだけど……」

「だったらことりのチーズケーキなんて食べない方がいいよ。ことりのなんて趣味で適当に作ってるだけだし、本格的なケーキに比べたらまだまだだよ」

 

 

 

 

「お前それ本気で言ってるのか?」

 

 

「え!?」

 

 

 急に零くんの口調が真剣になりました。表情もさっきまで女の子に迫られている時の疲れた表情ではなくなっています。キリッとした零くん……カッコイイなぁ~~――って見惚れちゃダメ!!今はなんとかこの状況を打破しないと!!

 

 

「上手いとか下手とか、美味しいとか美味しくないとか、そんなの俺にとっちゃどうでもいいんだよ。よく言うだろ?料理は愛情だってな。俺もそう思ってる。確かにアイツのチーズケーキは美味かったよ。でもそれでお前のチーズケーキが劣っているなんてコトは絶対にない」

 

「そう、なの?」

「当たり前だ。そもそも料理で優劣を付ける意味がよく分からない。アイツはアイツのケーキ、ことりはことりのケーキだ。どっちも美味い、それでいいじゃねぇか」

 

 

 そう言って零くんはことりが持っていた箱を開けて、中に入っていたチーズケーキを1つ掴み、パクッと一口食べました。美味しい……かな?でも、零くんの言う通り、愛情だけは誰にも負けていません!!それだけは自信があります!!

 

 

「甘い、すっごく甘い。でもやっぱりこの甘さこそがことりのケーキだな。俺好みすぎる」

「うん♪今回はちょっとお砂糖を多めにしてみたんだ!!零くんがとことん甘いお菓子大好きだって言ってたから!!」

「そうそうそれだよ」

「?」

「誰かに食べてもらいたいっていうその気持ち。それが重要だと思うんだ。お前は俺のためにこれだけ頑張って作ってくれたんだ、美味しいに決まってるよ。悪い、少し上から目線すぎたか?」

「うぅん、そんなことないよ!」

 

 

 ことりは目を大きく広げて零くんを見つめていました。さっきまで心に掛かっていたモヤモヤが一気に晴れていきます。

 忘れてたよ。ことりは零くんに食べてもらいたいから、笑顔を見たいからチーズケーキを作ったんだって。誰かと比べたりする必要とかないんだ。

 

 それにもう1つ分かりました。それは誰かが零くんに『あ~ん』をしていて悔しいなら、ことりも負けないぐらい零くんに『あ~ん』をすればいいんだって!!

 

 

「よ~し!はい、零くん!あ~ん!」

「急にどうした!?まぁいいか、あ~ん」

 

 

 その後、2人一緒にチーズケーキの試食会をしました。これからもっと零くんに喜んでもらえるような、愛情を込めたチーズケーキを作っていこうと思います!!

 

 だからこれからもよろしくお願いします、零くん♪

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 園田海未です。

 

 今日はμ'sの練習はお休みして、弓道部に顔を出しています。そこには何故か零の姿も……やるコトがないからって何も弓道場にまで来なくてもいいのでは?今、零は1年生の弓道部員に稽古をつけている最中です。

 

 

「お!いいね!さっきから連続で当たってるじゃん」

「神崎先輩の指導のおかげですよ!!まさかこんな短時間でここまで上手くなるとは思いませんでした!!」

「自惚れるなよ。たまたまかもしれないし。とにかく練習あるのみだ!!」

「はい!!」

 

 

 私の目から見ても、零の指導はとても的確でした。零は一目見ただけでその子の悪い部分を発見し、さらにその改善方法までも瞬時に教える……もはや弓道部顧問のようですね。

 

 正直に言って彼の知識量には頭が上がりません。弓道をやっている人には負けますが、彼は特に弓道をやっているわけでもないのにその知識は多い。それは弓道に限ったことではなく、あらゆる面で博識、知識が豊富なのが彼の特徴です。

 

 

「あれれ?おかしいなぁ、当たらなくなっちゃった」

「ほら言わんこっちゃない。お前の場合、姿勢にクセがあるからなぁ。動くなよ、今整えてやるから」

「は、はい!!お、お願いします!!」

 

 

 ちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっと!!近くないですか!?!?零が後ろから抱きしめてるようにしか見えません!彼女も彼女で満更でもなさそうですし……

 

 そんなことにうつつを抜かしていては練習に身が入りません。零は私がいるなんて忘れているんでしょうね。分かりました、私は1人で練習させてもらいます。

 

 ちょうどいいです、あの的を零に見立てましょう。それがいいですね。

 

 

 …………

 

 

 当たりません!!何故です!?さっきまで調子が良かったのですが、今は全然……

 

 先ほどから胸の辺りが重たいような気がしますが、恐らくそれは私の集中力が足りないせいでしょう。武道を極める者として、精神を研ぎ澄まさなければ。

 

 

 

「お前さっきから全然当たってないな」

「零!?いつからそこに!?」

 

 

 いつの間にか零が私の隣に来ていました。全く、どれだけ私の集中力を乱せば気が済むんですか……でも零が隣に来てくれたおかげでしょうか、ちょっとだけ胸が軽くなったような?

 

 

「外見は何も問題はない。体勢もバッチリだ。ということは……ココだな」

「ココ……?」

「心だよ、こ・こ・ろ。お前、さっきから的じゃなくて別の何かを狙ってなかったか?それはつまり心が乱れてるってことだ」

 

 

 そういえば、さっきまでずっと的を零に見立てていました。一目見ただけでそこまで見抜けるとは……流石零ですね。ぼぉ~~っとしているようでも周りに対する観察力は素晴らしいですから。

 

 

「見ていたんですね、私のことを」

「そりゃ見てるさ。ここへ来たのもお前の勇姿を見るためだし」

「なっ!?そんな……恥ずかしいです」

 

 

 零に下心がないのは分かってますが、それはそれで恥ずかしいですね。いつもの変態の彼とは違う、勇ましくカッコいい姿……本当にズルいです、零は。

 

 

「やっぱここに来ると、いつもと違う海未が見れて新鮮だな」

「いつもと違う?」

「教室やμ'sの練習の時とは違う、弓道をやってるお前は凛々しくてカッコよくて、それでいて綺麗だ。俺、そんなお前も好きだぜ」

「好きってそんな……」

「お前は穂乃果やことりと比べるとさ、結構引いてしまって自分を見せないだろ?でもここへ来ればいつもと違ったお前を包み隠さずに見られる」

 

 

 確かに零の言う通りかもしれません。今でも少しスクールアイドルとして人の前に立つのは緊張します。ですが弓道ではそんなことを考えている暇はありません。そう言われてみれば、スクールアイドルの私と弓道の私は多少なりとも違うかもしれませんね。

 

 

「これは俺の我が儘だけど、スクールアイドルと弓道のお前、どちらも見せて欲しいんだ。俺は海未のことをもっと知りたい。だからお前も自分自身を見せて欲しい」

「零……」

「俺はいつでもお前を見ているよ。目を離したりなんて、絶対にするものか」

 

 

 以前、みんなが言っていました。零に励まされたり応援してもらえると元気が出るって。もちろんそんなことは分かっているのですが、改めてそれが分かりました。最近あまり2人きりになったことがないのでその影響もあるのでしょうか?

 

 胸に引っかかっていたものが取れて軽くなっていきます。零はちゃんと私を見ていてくれたのですね。

 

 

「よし!!それじゃあ今から俺のご指導タイムだ!!」

 

 

 零は私の後ろに回り込んで、私の両脇の下から自分の両腕を突っ込んできました。普段なら制裁モノですが、今日は身も心もポカポカしてとても暖かいです。これはこれでいいものですね、フフッ♪

 

 

「あれ?てっきりぶっ飛ばされるものだとばかり思ってたんだけど……どうした?」

「しょうがないですね、今日は特別です!!」

 

 

 たまにはこうやって零に抱きつかれる感じもいいですね。これは弓道をやっている私だけの特権ということで我慢しましょうか♪折角恋人同士になったのですから、こういうことももっともっとしてみたいと思っている自分がいます。それを言うと、また零が調子に乗っちゃいそうですね♪

 

 

 まだまだ不束者ですが、これからもよろしくお願いします!!

 

 




 前作を読み返したところ、嫉妬することほのうみに萌えてしまい再び投稿するまでの勢いになってしまいました(笑)
一応次回をご要望の多かった『嫉妬するまきりんぱな』となるため、振り返りということでお楽しみ頂けたのなら嬉しいです!!


 前作『日常』でこれを書いた当初はまだ読者様も少なく、あまり反響はなかったため続きを自粛していたのですが、段々と感想をもらえるようになった時に『この話が好きだ』という声をいくつか頂いたため、今回リメイクして再投稿という異例の形を取りました。新作ではないのですが、個人的にもキャラが嫉妬している姿をとても可愛く書けたと思っているので、再投稿も悪くないかなぁと思ったり(笑)


 『日常』から読んでくださっている方も多いと思うので、読者様が読み返して思ったことを、あの時書けなかったことを是非感想にしてもらえると嬉しいです!!


 次回は『嫉妬するまきりんぱな』です。


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嫉妬するまきりんぱな

 今回は前回に引き続き嫉妬回、まきりんぱなverです!!
 相変わらずのイチャイチャっぷりに砂糖の噴出が止まらない(笑)


※最後の方に質問があるので、是非後書きも最後までご覧下さい!!


 西木野真姫よ。

 

 お昼休み。今日もピアノでも弾こうかと音楽室へ向かっている最中なんだけど、どうやら先客がいるみたい。音楽室のピアノの音が廊下にまで聞こえているから。しかもその音を聞いただけで分かる。今この曲を弾いている人、かなり上手だ。まぁ私の足元にすら及んでないけどね!!

 

 でも驚いた。去年までは昼休みに音楽室にまで足を延ばすような人はいなかったのに、わざわざ教室からこんなに離れた音楽室まで来るなんて中々の変わり者ね。去年はそんな人がいなかったとなると、もしかしたら新入生かもしれない。一応顔ぐらいは覚えておいてあげようかしら。そこそこピアノを弾けるみたいだしね。

 

 

 そして私は音を立てないように音楽室の前に立ち、扉の窓から教室の中をそっと覗き込んだ。

 

 

「あの子……やっぱり1年生の子だったのね。ん?その隣にいるのは……れ、零!?!?」

 

 

 リボンの色からピアノを弾いていた子が1年生だって分かったけど、そんなことよりなんで零がここにいるの!?それもμ'sの誰かとは違う全く別の女の子と2人で一緒に……どういうことよ!?

 

 ちょうど演奏が終わったみたいなので私はその場でしゃがみ、あの2人に気づかれないように扉を少しだけ開け、息を殺して耳を澄ませた。素直に教室へ入ってしまえばいいのに、私ってばなにをしてるんだろう……

 

 

 心にモヤモヤはあるけれど、2人の会話が耳に入ってきたのでとりあえずそっちに集中することにした。

 

 

「どうでしたか先輩?」

「あぁ、思わず聞き惚れちゃったよ!!1ヶ月足らずでよくここまで上手くなったもんだ。すげぇよお前!!」

「あ、ありがとうございます!!」

 

 

 なによあの子!!零に褒められただけで顔を赤らめるなんて、まるで穂乃果とことりじゃない!!そんなお世辞の言葉だけで照れるなんてチョロすぎ!!私の優雅さを見習って欲しいぐらいだわ!!

 

 取り乱した……あの2人に気づかれてしまうかもしれないから落ち着かなきゃ。

 

 

「先輩に是非聴いてもらいたくて、ここのところはずっと練習してました!!」

「それは嬉しいけど、勉強は大丈夫なのか?」

「はい♪まだ中学の延長なので問題なしです!!」

「あまり舐めてると痛い目みるぞ。高校の勉強は中学と違ってどんどん進んでいくからな」

「ふふっ♪了解です」

 

 

 なに……?今に知り合ったんじゃなくて、前々から会ってたの?そんなこと私たちには一言も言ってなかったじゃない!?ことりやにこちゃんだったら間違いなく浮気現場とか言って写真をパチパチ撮りそうだけど、私はほら、心が広いからちょっとのことなら許してあげなくもないわよ。別に女の子と話すなとは言ってないし。

 

 でも、心のモヤモヤはさらに濃くなっていく……なんなのよ全くもうっ!!

 

 

「あっ!!次の授業移動教室だからもう行かなきゃ!!それじゃあ先輩、また聴きに来てくださいね♪」

「あぁ、むしろ俺でよければいつでも。お前のピアノの音色、とても綺麗で好きだぞ」

「ありがとうございます♪嬉しいです!!それでは失礼します」

 

 

 なによ……去年から『お前のピアノ演奏は最高だな!!』ってずっと言ってくれたくせに。可愛い子がピアノを弾いているならなんだっていいのね。あぁーーもう!!モヤモヤが収まらないじゃない、どうしてくれるよこれ!!

 

 

 あの子と鉢合わせるのはイヤなので、掃除用具箱の陰に隠れてやり過ごす。もうこれ以上ここにいてもイライラするだけだし、零が帰ったら私も教室に戻ろう。ピアノは……今日はもういいか。とりあえずこのまま零もやり過ごそう……

 

 

 

 

「おい真姫、そんなところに隠れて何してんだ」

 

 

 

 

「ひゃあっ!!」

 

 

 突然零がそう言って、私の隠れているところへヒョイっと顔をのぞかせた。あまりにも突発的だったから、自分に似合わない変な声が出ちゃったじゃない!!でもどうして気づかれたの……?気配は殺していたはずなんだけど……

 

 

「ホントにお前らって盗み聞きが好きだよな。扉をちょっとだけ開けるとか、みみっちいことしやがって」

「そ、そんなに前から気づいてたの!?」

「お前らの気配ならすぐに分かるさ。だって自分の彼女だし」

 

 

 彼女か……でもあの子との会話は、彼氏彼女とまではいかないけど結構親密な仲同士の会話だった。別にあの子が悪いわけでもないし、零が悪いわけでもないけど……なんか気に入らない。ピアノを彼に聴かせてあげるのも私の専売特許だと思っていたのに……

 

 

「お前……嫉妬してるだろ?」

「なぁっ!?そんなわけないでしょ!!そもそも嫉妬なんてする要素――」

 

 

「心配すんな。俺は真姫のピアノの音色、そしてピアノを弾くお前の姿、どんなピアニストよりも大好きだよ」

 

 

「れ、零……」

 

 

 お世辞かもしれない。ただのその場しのぎの言い訳かもしれない。それでも私の心に掛かっていたモヤモヤは、零の言葉を聞いてサァーと消え去った。

 

 いや、これはお世辞でもなければ言い訳でもない。彼の目を見れば分かる。零は本気だ。だってこんな優しい目をしているんですもの。疑えって言う方が間違いだわ。

 

 

「また2人きりでお前の演奏を聴かせて欲しい。真姫のピアノほど俺の心に響く演奏はないからな。それにお前の演奏は、俺の中でずっと一番だよ」

 

 

 一番――――何事も常に一番を目指し、実際に獲得してきた私にとっては聞き慣れた言葉。テストでも模試でもピアノでも、またそれ以外でも……それは至極当然だった。

 

 でも、今ほど『一番』という言葉が嬉しかったことはない。誰の口からでもなく、彼の口から直接その言葉を聞けた時がなによりも嬉しく誇りに思う。多分それに明確な理由はない。ただ――彼が好きだから。たったそれだけの、誰にも理解されない私だけの理由。

 

 

「よし、そろそろ俺たちも行こうぜ」

 

 

 零はしゃがみ込んでいる私に手を差し伸べてきた。普段なら素直になれなくて無視しちゃうけど、その時は自分が意識する前に私の手が勝手に彼の手を取っていた。零は私が素直だったことに驚いたのか少し目を見開いていたけど、その表情はすぐに戻り優しく私を引き上げる。

 

 なんて大きくて暖かい手……何事も一番を目指す私だけど、やっぱり零だけには適わないかな。

 

 

「ねぇ、今度の休み……一緒にどこか行かない?」

「おっ、それってデートの約束か?お前から誘ってくるとは珍しい」

「そんな時もあるわよ。だって私はあなたの彼女なんだから♪」

 

 

 零の言う通り、今までのデートの約束は全部彼からだった。でも……たまには積極的になってもいいかな?だっていつも見守ってくれている彼がいるんだもの。だから――――

 

 

 これからもよろしくお願いね!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 星空凛です!!

 

 やっと待ちに待ってた体育の授業だよ!!体育の授業は数学や英語なんて堅苦しいお経のような授業から解放される至福の時間!!嬉しすぎて誰よりも早く運動場に来ちゃったにゃ!!かよちんや真姫ちゃんが来るまでまだまだ時間が掛かるだろうし、身体を温めるために走っておこうかな?

 

 ――と思っていたけど、まだ誰かが運動場にいるみたい。もしかして前の授業が長引いちゃったのかな?でも2人しかいないし、どういうことだろう?邪魔しちゃ悪いからもっと離れたところで走ろう!!

 

 そこでふと、授業後も残って自主連している2人の顔をよく見てみると――――

 

 

「れ、零くん!?それじゃあさっきは3年生の体育だったんだ……それに、隣にいるのは知らない女の子だ」

 

 

 あれ?どうして凛、隠れちゃったんだろ……?零くんがトラックにいるなら一緒に走ろって言えばいいのに……それなのに隠れちゃった。うにゃーーーーー!!なんだか胸の辺りがチクチクするにゃーーーーー!!零くんが凛の知らない女の子と笑い合っているせい!?と、とりあえず耳を澄ませてみよう。

 

 

「神崎君、陸上得意なの?運動部員じゃないのによくあそこまで早く走れるよね」

「得意ではないけど、基礎体力ぐらいは欠かさず付けているよ」

「へぇ~~意外とマメなんだね♪」

「うっせぇ、意外は余計だ」

「ははは!!でも、走ってる姿とかすごくカッコよかったよ!!」

「それはお前もな。あんな綺麗なフォームで走る奴なんて中々いないぞ」

「おっ、褒めてくれるなんて珍しいね!!ありがと♪」

 

 

 なぁ~~んかやな感じだにゃ……いや、別に零くんとかあの先輩とかじゃなくて、ただこの雰囲気が凛にとってイヤなだけ。ふんだっ!!走ることなら凛だって負けてないのに……むしろ校内女子で一番早いのは凛だから、あの先輩にだって勝てるにゃ。

 それなのに、走ることについてあまり零くんから褒めてもらったことがないな……まぁ授業は学年別だし、仕方がないと言えば仕方ないけどね。仕方ないけど……うぅーーー!!なんか腑に落ちないにゃーーー!!

 

 

「ねぇ、また一緒に走ろうよ!!ジョギングみたいに軽くでいいからさ!!」

「あぁ、別にいいぞ。それじゃあ朝にでも走ってみるかな」

「決まりだね♪朝から神崎君に会えるなんてワクワクするなぁ」

「走ることにワクワクするんじゃねぇのかよ!!」

「あはは……それはそれ、これはこれだよ」

 

 

 むむむ……なんだか恋人同士みたいだにゃ。恋人は凛たちなのにーーーーー!!それに凛だってまだ零くんと2人きりで一緒に走ったことないんだよ!?それなのに彼女を放っておいて別の女の人と約束をするなんて……いや、別に零くんの自由だからいいんだけど、それだと凛のモヤモヤが取れないんだよね。

 

 はぁ~……こんな気持ちになるなら、調子に乗って一早く運動場なんかに来なかったらよかったにゃ……

 

 

「じゃあそろそろ戻るね。また時間が決まったら連絡するから!!」

「おうっ、じゃあな!!」

 

 

 あっ、あの先輩が帰った。今だ、今がチャンス!!こうなったら凛があの先輩より先に零くんと一緒にジョギングするにゃ!!渡さない、絶対に!!

 

 

「零くーーーーーん!!」

「ちょっ!!凛!?急に抱きつくな危ないぞ!?」

「零くん零くん零くん♪」

「どうした!?今日はやけに甘えてくるな。それに体育が終わったばかりだからかなり汗臭いと思うぞ?」

「それでもいいの~~!!」

 

 

 くんくんくんくんくんくん。あぁ~~零くんの匂いだにゃ~~!!ちょっと汗臭いのも、カッコいい男の子なら見事フェロモンに変わるんだね。そしてこうやって抱きつけるのも彼女である凛たちの特権。もう体育の授業なんてほっぽり出してずぅ~っとこうしていたいにゃ~~!!

 

 

 はっ!!違う違う!!凛は零くんと一緒にジョギングをする約束をしようとしてたんだ。このまま零くんの魅力とフェロモンに取り付かれそうになってたよ♪

 

 

「ねぇ零くん、今度凛と一緒に朝の自主連しない?ジョギングとかストレッチとかも!!」

「お前が進んで朝練するのか……明日は雪かな」

「もうっ!!そんなことはどうでもいいの!!」

「悪い悪い!!もちろん喜んでご一緒させてもらうよ。お前と2人で練習したことなかったから楽しみだ」

 

 

 零くん、凛と2人きりで練習したことないって気づいてたんだ。それでいて楽しみだって……あっ、いつの間にか胸のチクチクが収まってる、もしかして零くんが凛と同じことを考えていてくれて嬉しくなったおかげかな?うん、絶対にそうだ!!勇気を出して零くんを誘ってみてよかったにゃ!!

 

 

「いくらμ'sのみんなが毎日練習してるっていっても流石に俺には及ばないからな。その点凛とは気兼ねなく全力で身体を動かせるから、久々にいい運動ができそうだ」

 

「ねぇねぇ、それって凛だけ?」

「そりゃそうだろ、俺の体力に付いてこられるのはお前ぐらいだ」

「えへへ~そうなんだぁ~~♪」

「どうしたお前、今日はご機嫌だな」

「凛は零くんと一緒にいる時はいっつもご機嫌だよ!!」

 

 

 零くんと一緒なら大好きな運動も楽しくなる!!零くんと一緒なら苦手な勉強もできるような気がする!!零くんと一緒ならどんなキツイ練習にだって耐えられる!!零くんと一緒なら可愛い服だっていっぱい着ちゃう!!零くんと一緒なら、ちょっと変態さんなことも許しちゃう……えへっ♪こう思っちゃう凛も変態さんなのかな?

 

 だから、凛の隣にずっと一緒にいてね♪

 

 

 これからもよろしくお願いします!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 小泉花陽です。

 

 今日はこの前のデートで零君に『お菓子作りはしないのか?』と言われたため、思い切って零君のためにお菓子を作ってきました。まだ勝手が分からないからことりちゃんにご指導をお願いしたんだけど、自分でもよくできたマカロンだと思います。初めてにしては自信作だから、零君喜んでくれるといいなぁ。

 

 

 とりあえず3年生教室の近くまで来たけど、流石に連絡してから来た方がよかったかな?移動教室だったらもう教室にいないかもしれないし。最悪今日の放課後に渡せば問題ないんだけど、一早く零君の笑顔が見たいなぁって思っていたり。あうぅ……最近零君のことばっかり頭に浮かんでくるよぉ~……

 

 

 あっ、いた!!じゃあ移動教室じゃなかったんだ、よかったぁ~。あれ?でも零君が誰かに迫られている。あれは……女の子!?しかも私と同じクラスの子だ!!あの子が零君と知り合いだなんて知らなかったよ!?あんなに零君に近づいてなにをしてるんだろう……?

 

 

「せんぱぁ~い♪今日もおやつの時間ですよぉ~~」

「お前去年からしつこいな!!いや、別に美味いお菓子が食えるから嬉しいんだけどさ」

「だったらいいじゃないですか!!ほらほらあ~ん♪」

「食うからそんなに迫ってくるなって!!」

 

 

 うわぁ~~零君とあの子、すごく仲がいいんだなぁ。積極的になった私でも、流石に学院内であそこまで零君に迫ることなんてできないや。

 それにあの子の持っているチーズケーキ、とっても美味しそう。遠くから見ても綺麗な形をしているし、匂いも伝わってくる。これは和食派から洋食派に寝返ってもおかしくないかも……

 

 それに比べて私のマカロン。自信作だけどちょっと形が崩れてるし、あまり美味しそうに見えない……渡すのやめようかな……?

 

 

「先輩の好きなチーズケーキですよぉ~♪」

「俺はお前のペットか!!それにいつも作り過ぎだ!!俺を太らせる気かよ!?」

「そう言って、いっつも完食してくれる先輩のことが大好きです!!」

「お前なぁ……」

 

 

 零君、呆れながらもチーズケーキを美味しそうに食べてる。それにとってもいい笑顔で……私も零君に手作りのお菓子を食べてもらって、あの笑顔を向けて欲しい。本当なら今頃あの笑顔は私に向けられいたはずだったのに……ううん!!別にあの子のせいじゃない!!自分がまだまだ引っ込み思案なのが悪いんだよね!!

 

 でも……胸を針で刺されたようなこの痛みはなんだろう?

 

 

「じゃあこれ全部もらってください!!妹さんとご一緒にどうぞ♪」

「妹の分まで……なんか急に申し訳ない気持ちになっちまったな」

「いいですよそれぐらい。その代わりまた試食してくれますか?」

「いいぞ。何だかんだ言って楽しみにしている俺がいる」

「ふふっ♪ありがとうございます!!それじゃあまた今度!!」

「あぁ、またな」

 

 

 あの子、零君に妹がいることまで知ってるんだ。確かに楓ちゃんは綺麗で可愛くて、スタイルもいいしよく目立つから知っている人は多いかもしれない。しれないけど……楓ちゃんの分まで作ってくるなんて、零君とそこまで親密な仲なんだね。

 

 どうしよう……もう帰ろうかな?授業も始まっちゃうし。それにこんなヘンテコな形のマカロンなんてきっと零君の口に合わないもん!!いつもことりちゃんやあの子のお菓子を食べて舌が肥えているだろうし、私のお菓子を無理に食べてもらう必要なんて――――

 

 

「花陽か、甘い匂いをプンプンさせてんのは」

「ぴゃぁあ!!!!」

「うぉ!!そこまで驚かれるとは……」

 

 

 いつの間にか零君が私の目の前にぃいいいいいい!!考え事をしていて全然気がつかなかったよ。

 それにしても甘い匂い?もしかして私が持っているこのマカロンのことかな?そうだとしたら零君の鼻って、もしかして犬並み!?でも、あまり食べて欲しくないんだよね……

 

 

 違います!!私は積極的になるって決めたんです!!ここで、こんなところで逃げてはいけません!!勇気を出して零君に渡さないと!!

 

 

「ん?その箱はなんだ?もしかして俺へのプレゼントとか……なぁ~~んてな!!」

「そうだよ」

「はい……?」

「零君のためにマカロンを作ってきたの!!初めてだったから美味しそうには見えないけど、受け取ってください!!」

 

 

 言っちゃった!!でもやっぱりあのまま逃げるなんて絶対にしたくなかった。あの子には負けるかもしれないけど……

 

 零君は私から箱を受け取り、中に入っていたマカロンを1つ摘んでパクッと一口噛じりました。ど、どうかな……?

 

 

「美味い……美味いよこれ!!花陽、お前お菓子作りの才能あるぞ!!」

「そ、そうかな……?でもさっきの女の子やことりちゃんには負けちゃうと思うけどね」

「…………全く、お前もかよ」

「へ?」

 

 

 零君はため息を付きながら、私の頭を撫で始めました。

 零君の大きな手から流れる暖かい温もりが私の頭から全身に駆け巡ります。頭を撫でてもらうってこんなに気持ちのいいことだったんだ。穂乃果ちゃんや凛ちゃんがせがむ気持ちも分かるね。

 

 

「お菓子も料理もそうだけど、誰かと比べる必要なんてないぞ。それで店を出して大勢に振る舞うのなら話は別だが、お前は俺のためだけに一生懸命作ってくれたんだろ?このマカロンを一口食べたらそれがすぐに伝わってきたよ。だから花陽は花陽のお菓子があって、あいつらにはあいつらのお菓子があるんだ。もちろん、お前のマカロンとっても美味しいぞ!!」

 

「あ、ありがとう!!」

 

 

 そっか、大切なことを忘れたたよ。このマカロンを作る時、零君が笑顔で美味しく食べてくれるようにと願っていたんだ。それが愛情なんだね。それなのに私、自分のお菓子を自分で卑下しちゃってた……そんなことじゃお菓子が美味しくなくなっちゃうよね!!

 

 

「だからこれからもさ、俺に作ってくれないか?お前だけのお菓子を、俺のために」

 

 

 そんなこと、答えは決まっています!!

 

 

「はい!!喜んで♪」

 

 

 まだまだ引っ込み思案で素直に気持ちをぶつけられない時もあるけど、今してもらったように零君が手を引っ張って助けてくれる。だから私もそれに答えよう!!零君の笑顔を見るために、あなたの側でずっと……

 

 

 これからもよろしくお願いします!!

 

 




 嫉妬するまきりんぱな、どうだったでしょうか?特に凛視点は前作を含めても初だったので可愛く書けているか心配ですが、個人的には凛推しになりそうなくらい可愛く描けたと思っています!!


 そういうわけで、『新日常』も遂に30話まで来ました。いやぁ~早かったですね!!ここまで来れたのも読者様の皆様のおかげです!!――――という決まり文句(!?)はさて置き、次回は30話突破記念小説となります。ちなみにいくらか前の次回予告にあった性グセ回は没となりました☆


~30話突破記念回あらすじ~

 零の彼女であるμ'sメンバー9人は、彼の思いつきによりメイド服で彼をご奉仕することに。しかしそのメイド服には仕掛けが施されており、零の命令に背いたり無理矢理脱ごうとすると身体全体に快楽が走るという最悪で最高のメイド服だった。彼の策略にハマった9人は、一日神崎零専属メイドとして喘ぎながら奮闘する。



 Twitterではやめようかなと言っていたのですが、ご要望があったのでリクエストを募集しようと思います。注意事項をよく読んでそれにご了承頂ける方は、活動報告またはTwitterにてリクエストをお願いします。

活動報告
 http://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=73051&uid=81126

Twitter
 https://twitter.com/CamelliaDahlia


 高評価をくださった方、ありがとうございました!!
 これでまたR-18への道が近づきました(笑)


 数時間前に超短編小説を投稿しました。活動報告からどうぞ!!


 最後になりましたが、読者の皆さんからちょこっと知りたいことを。アンケートではなく軽い質問なので適当に感想の端っこやTwitterなどでお答え頂ければ嬉しいです!!

~ちょっとした質問~
 これまで『新日常』30話(この回まで)の中で、特にお気に入りの話があれば教えて欲しいです!!もちろん複数あっても構いません。


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鬼畜なご主人様と9人の発情メイド

 今回は30話突破記念ということで製作した話なのですが、これっていつもと変わってなくね!?
 3話連続で大した変態要素がなかったので、たまには読者サービスとしてこういう話も入れないとね!!むしろ変態要素がない方が普通なのですが……


 

「じゃーーーん!!どうどう零君!?穂乃果のメイド服似合ってる!?」

 

「あぁ、もちろん!!むしろお前らの中にメイド服が似合わない奴はいないだろ」

 

 

 本日は俺の彼女であるμ'sメンバー9人を自宅に招き、次のライブに向けた衣装合わせを行っている。今回のライブはメイド喫茶の聖地秋葉原ということで、俺が自ら手掛けたメイド服をみんなに着てもらっている最中なのだ。

 ちなみに雪穂、亜里沙、楓の3人は一緒に仲良くお出かけをしているのでこの場にはいない。まぁ、流石にあの3人に今から穂乃果たちの身に降り注ぐことを体験させたくはないから都合はいいがな。

 

 

 まず穂乃果がリビングに姿を現した。今回のメイド服は以前新入部員歓迎会に着たものとは異なり、特に細工をしていない普通のメイド服だ。スカートが短かったり天使の羽が付いていたりはしない。強いて挙げるならたった1つだけ機能があるのだが、それは俺が説明しなくとも勝手に発覚するだろう。

 

 

「他のみんなはどうした?」

「それがね、海未ちゃんや真姫ちゃんがごねちゃって、ことりちゃんが何とかメイド服を着せようとしてるの」

「じゃあなんでお前だけここへ?」

「ご主人様をお待たせしたら悪いかなぁ~って思って♪せめてこの空いた時間だけでも、穂乃果で楽しんでくれれば嬉しいな♪」

 

 

 おぉう……なんというメイド精神。相変わらず穂乃果の従順っぷりには感服せざるを得ない。もういっそのことコイツをドジっ子メイドの枠として俺の家に雇ってやろうか?あぁ、でも穂乃果は朝が弱いからダメだ。俺の理想は朝になったら優しく起こしてくれるメイドさんだからな。

 

 

「お待たせしました~~♪ご主人様専属メイドμ's、ただいま到着しました!!」

「ことり!!いい加減離してください!!」

 

「真姫ちゃんももう観念するにゃ!!」

「分かった!!分かったわよ!!」

 

 

 海未がことりに、真姫が凛に引っ張られながらμ'sのみんながゾロゾロとリビングに姿を現す。海未も真姫ももう数え切れないくらいメイド服を着てるのに、まだ恥ずかしがってんのか。あの花陽ですら慣れてるっていうのに……まあ、恥ずかしがっているメイド姿も絵になるから全然問題はないけどな。

 

 

「でも今日は普通のメイド服でよかったわ。また前回みたいなメイド服だったら、多分私も海未たちと同じようになってたかもしれないし」

「そういえば、前回はウチと絵里ちのメイド服だけやたら胸が強調されている服やったなぁ~」

「にこのメイド服はもっと可愛くしてもらってもよかったけどね」

「私はやっぱり普通がいいかな……?」

 

 

 絵里、希、にこ、花陽もほぼ同時にリビングへ入ってきた。花陽は最近の積極性もあって割と素直にメイド服を着こなしている。大学生組は去年から特に躊躇もなく来てくれるため、俺としても煽る手間が省けて大変よろしい。素直な子は大好きだぞ!!強情な子は調教しがいがあっていいけどな!!

 

 

「これで全員揃ったな。じゃあ『メイドになりきって、今日一日ご主人様にご奉仕大体験♪』を始めるか!!」

「なんですかそれ?全く聞いていたこととは違うのですが……」

 

 

 海未だけではなく他のみんなも首を傾げている。あれ?一応みんな知っている前提かと思ってたよ。俺はことりに『次の休日、みんなにメイド体験をしてもらうから、バイト先からメイド服を借りてきてくれないか?ついでにみんなにも伝えてくれ』って言ったはずなんだが。どこで話が狂った?

 

 

「あれぇ~~そうだっけ?ことり、お前みんなになんて伝えたんだ?」

「え?『零くんの家で、次のライブの打ち合わせと衣装合わせをするから』って言ったよ」

「どうして肝心なところだけ抜けてるのよ!!メイド体験の『め』の字も入ってないじゃない!!」

「えぇ~~でもそうしないと真姫ちゃんも海未ちゃんも来ないでしょ?」

 

 

 ナイスだことり!!流石の俺でもそこまでの作戦は考えつかなかった。

 そしてそのメイド服を着てしまえばあとはこっちのものだ!!今日は十分に楽しませてもらおう!!

 

 あっ、言っておくけどこれは俺の欲求を満たすためじゃなくて、みんなのアイドルとしての魅力を上げるためだから。決して己の欲望ではないのであしからず。

 

 

「もう帰ります!!あとは皆さんで楽しんでください!!」

「そうか……なら楽しませてもらおう」

 

 

(な、なんですかこれ!?急に身体が熱く、ビクビクっとしてきました……それになんでしょう?急に零のことが愛おしく……って、そして彼の顔を見るたびに胸も……下もキュンって!!は、破廉恥なのに……求めてしまいます!!ダメです!!もう声が――――)

 

 

「ひゃうぅ♡うぅ……」

 

「海未ちゃんどうしたの!?」

「ほ、穂乃果……急に身体が……」

 

 

 早速この『メイドになりきって、今日一日ご主人様にご奉仕大体験♪』のルールが発動した。そしてやはり思った通り、一番初めに犠牲となったのは海未だったか。

 

 

「それじゃあことりが、今日の体験会のルールを発表しま~す♪」

「「「「「「「ルール?」」」」」」」

 

 

 未だ身体がビクビク震えて横たわっている海未とすべてを知っていることり以外の7人が、謎のルール発表宣言に同時に声をあげる。ここから先は行くのも快楽、戻るも快楽のまさに天国のような時間が待ってるぞ☆

 

 

「まず1つ目!!ご主人様の命令に逆らうと、身体全体に気持ちのいい快楽が走ります♪」

「はぁ!?なによそれ!?」

 

 

 真姫が一歩前に出て理不尽なルールに容赦なくツッコむ。そりゃそうだ、イヤでも絶対服従しろって言われてるようなものだからな。それは俺だってイヤだよ。でもみんなには試してみたいのだから仕方がない。

 

 

「言葉のままだ。お前も海未のようになりたくなければ、従順なメイドさんになった方がいいぞ」

「誰がそんなことをすると思ってんの!?もう脱いで帰るから!!」

「いいよ別に……できるものならな」

 

 

(な、なに!?脱ごうとしてメイド服に手をかけたら、身体がビクビクして心臓もバクバクして……それに、無意識の間にずっと零のことを見つめてる……染まっていく、私の心が零の色に!!もう彼しか見えなくなっちゃう!!あっ、このままだと――――)

 

 

「あっ、あぁああああ♡」

 

「ほら言わんこっちゃない」

「ま、真姫ちゃん!?急にどうしたのかにゃ!?これも零くんの命令に逆らったから!?」

 

「ここで2つ目のルール!!勝手に脱ごうとしても同じようなことになります♪」

 

 

 どうだ?素晴らしいメイド服だろう?これがあれば気になるあの子を強制的に屈服させることができるぞ!!そうしたら、その彼女が自分のものになるのはもう目の前だ!!

 

 俺と秋葉の共同開発、一着10万円でご提供。しかも今なら大特価セール中、9万8000円!!

 

 

「でもまぁ要するに、零に逆らわなければいいってことでしょ?にこは別に逆らうつもりなんてないし♪むしろ積極的に命令して欲しいっていうかぁ~♪」

「じゃあしない」

「えぇ!?女の子がなんでもしていいって言ってるんだから命令しなさいよ!!」

「そうかそうか、ならばお前も快楽の虜になるといい!!」

 

 

(うっ!!なにこの身体を駆け巡る熱いもの……これが零の言っていた快楽?冗談じゃないわ、にこがこんなメイド服なんかで気持ちよくなるなんて……なるなんて、零、零……気持ちいい。また、にこの身体を……あの時みたいにめちゃくちゃにぃいいいい――――)

 

 

「はぁああん♡」

 

「にこっち、零君の命令に逆らったから……」

「『命令しなさいよ!!』っていう逆い方もどうかと思うけど……」

 

 

 まさか俺もこんな自爆の仕方をするとは思ってなかったぞ……流石にこだな、俺の発想の斜め上を行く。でももう3人が快楽に堕ちてしまったか。でも海未と真姫はチュートリアルでやられたようなものだから、ほっとけば勝手に復帰するだろ。にこは……合掌……

 

 

「そういうことだ。それじゃあ絵里、自分の分も含めてみんなにお茶を入れてやってくれ」

「なんで私だけに頼む――――!!」

「おっ?」

 

(あ、危ない危ない……あのまま『なんで私だけに頼むのよ』って文句を言ってたら確実にアウトだったわ)

 

「ほぅ、耐えたか。でも――――――もう遅いっ!!」

「え?」

 

 

 たまにポンコツ気味になった時に出る絵里の得意気な表情が、今まさにコイツの顔に浮かんでた。文句を言っている途中で気づいてなんとか回避したようだな。でもそれは回避したように錯覚しているだけ!!実はもうアウトなんだよなあ!!

 

 

(うぅ……前にもこんなことがあったような気がする。でも今回はあれよりももっと強力だわ……だって身体に熱が伝わって心臓が鼓動するたびに、段々と零のことを好きになっていくんですもの!!胸もムズムズするし、これってなんかの魔法!?ダメよ……ここで声を上げちゃ――――)

 

 

「あぁあああん♡」

 

「あの絵里ちゃんまでもが……」

「でも絵里ちって、結構ムッツリさんなところもあるんよ?」

「それ全然擁護になってないにゃ……」

 

 

 いくらカッコよくても、いくら賢くても、いくらエリーチカでも越えられないものがある。それが快楽。人間ならば快楽に負けるのは仕方がない。俺だってそうだ。このメイド服を着る気にはなれない(むしろ男が着てどうする)が、欲求不満を解消できるのならば電流のような快楽も受け入れると思う。だから――――

 

 安らかにおイキ☆

 

 

「さっき、一瞬絵里ちの口から零君の名前が聞こえたような……?」

 

「はいここで第3のルール!!このメイド服に快感を覚えた時、無条件でご主人様のことが好きになっちゃいま~す♪」

「そ、それってもう媚薬かなにかなんじゃ……」

「大丈夫だよ花陽ちゃん♪今までより一層零くんが好きになるだけだから」

 

 

 10万円で高いと思った?でも強制的にご主人様を好きになる機能を付けてるんだ、それぐらいの値は張ると思ってもらわないと困る。

 それにしてもこのメイド服の仕組みってどうなってんだ?一応俺も開発に携わったが、詳細は秋葉にしか分からない。まぁたまにはいい仕事するじゃん。

 

 

「そういうことだ、よかったな花陽。お前が好きな快楽だぞ。この前のデートからハマっちゃったんじゃないの?」

「そ、そんなことないよぉ……誰か助けてぇ~……」

「あっ、その言葉は……」

 

 

(わわっ!!今私の身体がピクッて!!これが海未ちゃんたちが味わってた快感……?すごく……すごく気持ちいです!!あぁ……零君に見られてる!!さらに零君のことが好きになっていく!!胸もすごくジンジンして……さ、触って欲しいかも。あっ、こ、声が――――)

 

 

「ひゃあああん♡」

 

「花陽ちゃんすごく気持ちよさそう……穂乃果もああいう風になっちゃうのかな?」

「それよりも『誰か助けて』だけでもダメなんやね……」

「すべてはメイド服が決めることだ」

 

 

 残念ながら、この全身に快楽が走る機能は俺たちでは制御することができない。メイド服が着用者の意思を勝手に感知して反応するからな。そこまでの技術がありながらもこうやって遊びのためにしか応用しないあのマッドサイエンティスト、そろそろ人間の域から逸脱させた方がよくないか?

 

 

「むむむ……みんなズルい!!ことりだって気持ちよくなりたいよ!!」

「こ、ことりちゃん……?一体急にどうしちゃったのにゃ!?」

「どうしたもこうしたもないよ!!みんなだけ気持ちよくなってズルいもん!!」

 

 

 それは流石にドM発言過ぎるだろ!?我が麗しい天使は一体どこに行ってしまったんだぁあああああああああああ!!もうここのところ汚れた堕天使の姿しか見ていないような気がする……誰がことりをこんな姿にしてしまったんだ?

 

 

「ご主人様!!なにか命令してください!!」

「じゃあ……肩揉んで」

「えへへぇ~~、イヤです♪よし逆らったよ、来るかな来るかな!?」

 

 

…………

 

 

…………

 

 

…………

 

 

…………

 

 

「えっ!?えっ!?どうして来ないの!?」

 

 

 あぁなるほどな。このメイド服は着用者がご主人様に逆らう意思を感知して反応する。つまり言葉では逆らっていても意思が逆らっていなければ反応はしないんだ。今のことりは自分から快楽に溺れたいという邪な気持ちがあるから、このメイド服も反応しないってことだな。

 

 

「へぇ~そう来るんだ。じゃいいいもん!!自分でメイド服脱ぐから!!」

「お、おいおい……」

 

 

(あっ♡来た来た♪これだよこの快楽だよ!!この前零くんに無理矢理試着させられた時、この快楽の虜になっちゃったんだよね♪だって零くんにオシオキされてるみたいで気持ちいいんだもん!!あぁ、胸も下もジンジンと熱くなって来ちゃった♪で、出ちゃいそう……)

 

 

「ぴゃあああああああん♡」

 

「なんという濃厚な自爆……しかも変な声でイったな」

「こ、ことりちゃん……ちょっと穂乃果の中で印象が変わったよ」

 

 

 確かにメイド服に反応してもらえないのなら自分から服を脱げば強制的に絶頂することはできるが、まさかそれを本気で実行する奴がいるとは思ってもみなかった。もしかしてこのメイド服の調整を請け負ってもらった時に虜になっちまったとか?もう俺、ことりに取り返しの付かないことばかりやっているんじゃ……

 

 

「希、凛……どうした?さっきから顔真っ赤にして俯いて」

「い、いや!!別になんでもないよ!?」

「凛も!!中がちょっと冷たいなぁとか思ってないから!!」

「り、凛ちゃん!!」

「はっ!!」

 

 

 なぁ~るほど、なるほどね!!希も凛もみんなが発情している姿を見て興奮しちまったってわけか。『冷たい』っていうのは恐らくあそこのことだろう。しょうがねぇ、俺が楽にしてやるか。

 

 俺は2人のスカートから見える綺麗な太ももを凝視しながら、自分の手を2人のスカートの中に向けて進撃させる。

 

 

「じゃあ希、凛、ちょっくら失礼して……」

「れ、零くん!?スカートの中に手を入れないで!!」

「零君、アカン!!そこはっ!!」

「これで楽になれそうだな」

 

 

(あっ♪零くんに逆らっちゃったから身体が熱くなってきちゃった♪零くんにスカートの中を弄られて凛、興奮しちゃってるぅうううう!!なんか心も身体もふわふわしてとても気持ちがいいにゃぁ~~♪やっぱり凛も零くんやことりちゃんみたいに変態さんになっちゃった……こ、声が出そうだにゃ!!)

 

(れ、零君にスカートの中イジイジされるだけでここまで熱くなるなんて……今まで自分で自分をワシワシして満足してたけど、もう零くんの手じゃないと満足できない身体にされてまう!!もっと、もっと触って欲しい!!ウチ……もう完全に零くんの虜になっちゃったみたい♪あっ、アカン……声が――――)

 

 

「にゃぁあああああ♡」

「あぁあああああん♡」

 

「ようやく楽になれたか。溜まっていた欲求を解放できたんだ、この俺に感謝するといい!!」

 

 

 見てみると8人の美女美少女たちが身体をピクピクさせながら、しかも顔を発情させながら1つの部屋に横たわっている。こんな光景を想像してみろ、鼻血どころの騒ぎではない。しかも今目の前に現実として起こっている。あらかじめ輸血キッドを装着しておいて正解だったようだな。

 

 

「あはは……なんかすごいことになっちゃったね?」

「あぁ、そういやメイドらしいことを何一つしてもらってないな」

「じゃあ穂乃果がやるよ!!もう残ってるメイドさん、穂乃果しかいないしね」

「穂乃果が?」

「うんっ!!だってご主人様が退屈してたら、それを満たすのがメイドさんでしょ?」

 

 

 穂乃果のメイド精神には本当に感服する。後ろを振り向かず、何事も真っ直ぐポジティブに考えるその思考はまさにメイドさん向けだな。やっぱり将来はメイドさんになるべきだ。何だかんだ言ってご主人様に尽くしてくれそうだし、それになにより可愛さ満点だもんな!!

 

 

 でもまぁ今からそんな可愛いメイドさんを、みんなと同じ快楽の道へと歩ませてあげるんだけどね☆

 

 

「じゃあ命令。穂乃果!!」

「はい!!なんでしょうかご主人様!!」

 

 

「今、ここでメイド服を脱げ……」

 

 

「――――へ?で、でもそれって……!?」

 

 

 おっ、流石に頭の回転が遅い穂乃果でも気づいたみたいだな。そう、この命令はとてもイジワルだ。もしこの命令に背けば第一のルールが発動し、快楽の海に沈められるのはもちろん明白。だが命令を実行した場合、第二のルールが立ちはだかることとなる。言ってしまえば、どちらも天国逝きだってことだよ!!

 

 

「え、えっ!?ど、どうすれば!?」

「見せてくれ穂乃果、お前の可愛く慌てふためく姿を……そして発情する姿もな」

「もう、バカ零君……」

 

 

(あぁ、ついに来ちゃった♪でも……零君が見たいって言ってるんだし、拒否する理由なんてないよね?あ、熱い!!熱いよぉおおお!!みんなこんな気持ちいい快楽に沈んじゃったんだ……でも悪くないかも♪胸もムズムズして、下もキュンキュン湿っちゃって……そんな姿を零君に見られて……あ、もうダメ!!)

 

 

「ふぁああああん♡」

 

 

 よし、これでミッションコンプリートだな。みんなの絶頂した姿、しかとこの目に刻ませてもらった。この映像は俺の脳内HDに永久保存されることだろう。もちろんそれだと解像度がよろしくないから、ここにあるビデオカメラと携帯でこの惨状かつ聖域をしっかり撮っておかなければ……そう、アイツらが帰ってくるまでに。

 

 

 

 

『ただいまぁ~~お兄ちゃんたちいる~~?』

『零くんお邪魔します!!』

『お邪魔します』

 

 

 

 

 なにぃいいいいいいいいいいいい!!もう帰ってきたのか!?もっと3人で親睦を深め合ってきてもよかったんだぞ!?マズイマズイマズイ……玄関からこのリビングまでの時間――――僅か数秒。その間にこの光景をカメラに収めて、みんなをどこかに隠して――――ってそんな暇あるかぁあああああああああああああ!!

 

 

『くんくん……あれ?なんだかメスの匂いがする』

『まさか零君がまたなにかやってるんじゃ……』

『雪穂、それは流石に言いすぎだよ』

 

 

 来る!!来ちゃう!!もう隠すのは諦めよう!!こうなったら写真だけはなんとか収めて、あとは言い訳を考えよう!!うん、それがいい!!というよりそれしかねぇ!!

 

 

「リビングから匂ってくるなぁ~~」

 

 

 もうこの先からは、それこそご想像にお任せします……はい。

 

 




 何気に零君視点で物語が進むのは久しぶりですね。こちらも久々に変態要素が書けて楽しかったです!!もちろん本業は変態話を書くことではなくて、あくまで日常回を書くことですので(笑)

 なんか感想でも『薮椿さん=変態』という構図が勝手に出来上がっていますが、あくまで日常系を書くことが自分の分野ですからね!!変態なのは零君であって自分ではない。


 他に記念があるとしたら、シリーズ累計150話記念(あと3話!!)、感想数300突破記念、評価者数20人突破記念(あと5人)とか色々考えられるのですが、自分の執筆速度が追いつくかどうか……


~今後の展開~
 何回か前にやった軽い次回予告でも。もちろん順番はバラバラですし、没になる可能性や別の話が挟まる場合もあります。

☆零とシスターズ(タイトル未定)
 シスターズと部室でダラダラ喋るだけ。ほのぼの日常系なので、変態回のお口直しに。

☆絵里個人回(タイトル未定)
 絵里推しの方歓喜!?絵里との『R-17.9』!!

☆μ'sの顧問は人類の敵!?(タイトル未定)
 ラブライブ!出場のため、顧問を探さなければならなくなったμ's。だが手が空いている先生がおらず途方に暮れていた時、零やμ'sが恐れるあの人が現れる……

☆リクエスト回
 既にたくさんのリクエストを頂いていますので、少しずつ形にしていこうと思います!



Twitter始めてみた。ご意見、ご感想、リクエストなど
 https://twitter.com/CamelliaDahlia

またリクエストは活動報告でも募集しています。


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ほのぼのシスターズ

 今回はほのぼの日常回。自分の目標としては読者の方に何度も話を読み返してもらえるように意識しているのですが、ある意味でこのようなほのぼの回の方が読み返しやすいのかもしれませんね。


 

「ねぇ雪穂ぉ~面白い話してよぉ~~」

「無茶振りにもほどがあるでしょ……」

 

 

 今日は珍しく、アイドル研究部部室には俺と1年生メンバー、通称シスターズの4人しかいない。他のみんなは生徒会やら掃除やら大学やらで遅れるらしいので、俺たちは部室でグダグダとのんびりしているわけだ。

 

 あまりにも暇なのか、楓は雪穂にすべらない話をご所望の様子。中間テストも終わってピリピリと張り詰めた空気からも解放されたため、腑抜けた気持ちになるのもよく分かる。でもコイツらは賢いからテストなんて余裕だっただろうな。楓に至ってはテスト勉強すらしてなかったし。μ'sと言えば学年で1人はバカな奴がいるもんだが、コイツら1年生は奇跡の世代。全員が秀才という万能っぷりだ。

 

 

「亜里沙ぁ~お茶入れてぇ~~」

「いいよ♪熱いのと冷たいの、どっちにする?」

「キンキンに冷たいので」

 

 

 楓の奴、俺の天使様をこき使いやがったな……亜里沙を言いなりにしていいのは俺だけだ!!―――なぁ~んて言ったらまた雪穂が怒るからやめておこう。俺も今は怒られる気分じゃない。

 

 

「それにしても、お前らホントに仲良くなったよな。まさかこの1ヶ月、台風みてぇな楓と一緒にいられたとは……」

「そうですか?私は楓と一緒にいるといつも楽しいですよ♪」

「亜里沙は私の言うことに何でも乗ってくれるから、私も楽しいよ!!」

「そしてその2人を止めるのは毎回私……」

「ご、ご苦労さん……」

 

 

 奇抜なアイデアの発案者である楓、さらにそれに乗っかる亜里沙、そしてツッコミ役の雪穂。雪穂に全体重が掛かってしまうけど非常にいいトリオだな。雪穂も疲れた表情を見せる時があるけど、何だかんだ言って楽しそうだし。それにあの楓がしっかりと輪の中に入れているようで俺も安心した。

 

 

「お前らもう普通にユニットとか結成できそうだよな。もう名前そのまま『シスターズ』でいいんじゃねぇか?」

「ユニットかぁ~~楽しそうですね!!最近ダンスも歌も上達してきたし、いいと思います!!」

「前の秋葉原でのライブも大成功だったから、確かにいいかもね」

「あぁ……そうやって私たちを誘惑して、お兄ちゃんの性欲の捌け口にされるんだね。およよぉ~~」

「最後にいらぬオチを付けるんじゃねぇよ……」

 

 

 性欲の捌け口にするかはとりあえず置いておいて、コイツらの技術は凄まじい勢いで向上している。絵里の妹で元々センスの塊だった亜里沙はともかく、先月までダンスと歌、どちらも苦労していた雪穂と楓も最近動きのキレや声色が格段に上がっていた。俺が楓を勧誘するためコイツらを煽っていた時とはえらい違いだ。

 

 

「そういや雪穂、お前なに読んでるんだ?」

「えっ?あぁこれですか?ただのファッション誌ですけど……」

「お前、ファッションが趣味なのか?」

「そうですね、趣味と言えるのはこれぐらいしかないですけど」

 

 

 そういや何度か穂乃果の家に転がり込んだ時、常にリビングにはファッション誌が置いてあったな。あれって雪穂のモノだったのか。そういや楓はいいとしても、雪穂と亜里沙についてはまだよく知らないことが多いな。これを機に色々詮索してみるか。勘違いするなよ、単純に仲間として知っておきたいだけだ。

 

 

「雪穂はファッションセンス抜群なんですよ。私だって何度も可愛い服を選んでもらいましたから」

「へぇ~……じゃあ私の服も選んでプレゼントしてくれる?この楓様に似合う服をね」

「ナチュラルに買わせようとしないで……」

「じゃあ今度俺も選んでもらおうかな?」

「えっ!?それって一緒にお出かけってことですか……?」

「あ、あぁ。そうしないと選べないだろ」

「じゃあ……また連絡します」

 

 

 あれ?雪穂の奴、持っているファッション誌で自分の顔を隠しやがった。それにさっきちょっとだけ表情が見えたが、微妙に顔が赤くなっていたような。まさか照れてる……?俺って雪穂に好意を持たれるようなことしてたっけ?思い当たる節がない。最近コイツには殴られてばっかだし、ハハハ……

 

 

「ファッションが好きってことは、ことりともウマが合うんじゃないか?」

「はい。ことりちゃんによく着せ替え人形にされていた記憶が強いですけどね」

「お前……姉が穂乃果だってことも相まって、幼少期から苦労してるんだな」

「分かってくれる人がいるだけでなによりです」

「私もお兄ちゃんにすっごく苦労かけたけどね♪」

「お前勝手に話に入ってきて、自慢じゃないこと自慢すんなよ……」

 

 

 あの穂乃果が姉というだけでとてつもない苦労をしたっていうのはよく分かるぞ!!俺だってこの1年、アイツに引っ張り回されて大変だったからな。でもそんな姉がいたからこそ、雪穂はここまで冷静沈着、クールで現実的な妹として成長したのかもしれない。

 

 俺のところの姉と妹は……もうただの人間じゃないから放っておこう。そうやって言うと決まって、『お前もただの人間じゃないじゃん』と言われるのはなぜだろうか?俺はその2人に比べればまだ真っ当な人間だと思うのだが。

 

 

「亜里沙は趣味とか好きなことはあるのか?」

「そうですね~……お姉ちゃんから習ったアクセサリー作りとか好きですよ♪あと料理も最近やり始めたんです!!」

「料理か!!じゃあまた俺に何か振舞ってくれよ」

「はい♪むしろ、零くんに私の料理を食べてもらいたくて始めたんですから当然です!!」

「えっ!?そうなの!?」

「この前、零くんがお姉ちゃんの作った料理を『美味しい美味しい!!』と言って笑顔で食べているのを見て、私もやってみたいと思ったんです♪」

 

 

 えぇ子や……なんて律儀で可愛い子なんだ!!俺は一度、亜里沙の水着姿を見て劣情を抱いてしまったことを懺悔したい!!こんな天使に向かって俺は……俺は!!もうμ'sでただ1人の天使として、この天使が聖域からはみ出てしまわないように俺が守ってやらなければ!!

 

 ことりと花陽?あぁ、もう堕ちてるよ。特にことりは俺を一目見かけたらすぐにベタベタくっついてくるほどにはな。

 

 

「でもやっぱり踊って歌うことが一番楽しいです!!」

「楽しむことは当然だけど、それを口に出して言えるってことは本物みたいだな」

「私も亜里沙と楓に負けないように頑張らなくちゃ!!」

「私はお兄ちゃんと夜のダンスを楽しみたいけどね♪あっ、喘ぎ声が歌ってことで」

「おい!!さっきからちょいちょいネタを挟むのをやめろ!!折角ほのぼのぉ~ってしてんのに!!」

 

 

 しかも今回は下ネタだし……俺の亜里沙の前で汚れた思考を振り回すのはやめてもらいたい。

 それはもういいとして、亜里沙も雪穂も、そして楓も、スクールアイドルの活動を楽しんでいるようでよかったよ。みんなに追いつきたいがために無理をしそうではあったから心配だったけどな。でも、あの穂乃果たちに先導されればまず道を踏み間違えることはないだろう。

 

 

「じゃあ次は私の趣味だね♪」

「聞いてないんだが……」

「でも私は聞きたいかも!!楓のこともっともっと知りたいもん!!」

「亜里沙……あなた私の一生の友達だよ!!」

「楓!!」

 

「おい雪穂……2人が急に抱きしめ合ったぞ」

「ほっときましょう。今に始まったことじゃないです」

「そうなの!?」

 

 

 どうやら台風の目とド天然はどこか通じるものがあるらしく、その時だけ雪穂は他人のフリをするみたいだ。流石の俺でも百合展開は望んでないぞ。自分の支配下における百合ならまだしも、同性愛に萌えるほど俺は変態ではない。まぁコイツらの場合ただのアメリカ式友情確認なんだろうけど。

 

 

「話が逸れちゃったけど、私の趣味は――――」

「趣味は……?」

「お兄ちゃんと交わることです♪きゃあ~恥ずかしい♪」

「交わる?交わるってなに?」

「亜里沙は知らなくてもいいからな!!オイこら愚妹、一度もそんな経験ないだろうが!!」

「あぁ!!お兄ちゃんに言葉攻めされるのもイイッ♪」

「よし雪穂、ツッコミ役任せたぞ」

「イヤですよ!!こんな下品なネタに介入するのは!!」

 

 

 むしろ今までよく楓の下ネタを回避し続けてきたな……さらに亜里沙がよく汚されずに済んだな。これも雪穂が陰で苦労して楓を止めてくれているからなのだろうか?いつか雪穂を労わってやろう。何をすればいい?ワシワシでいっか。

 

 

「へぇ~、楓は零くんに何してもらうのが好きなの?」

「そりゃあ色々あるけど、一番落ち着くのは膝の上に座らせてもらってる時かな?」

「え?兄妹でそんなことやってるんですか……?」

「おい雪穂、お前今ちょっとだけ引いただろ……?コイツが勝手に座ってくるだけだからな」

 

 

 でもそれを振り払わない辺り、俺も楓に甘いんだと思う。コイツのことを散々ブラコンブラコンと罵っているが、意外と俺自身もシスコンの気質があるのかもな。この4月から一緒に暮らしているけど、やっぱり1人暮らしより2人で暮らしていた方が楽しい時"も"ある。作ってくれるメシも上手いし……あれ?俺って段々楓に洗脳されてる?

 

 

「じゃあ私も零くんの膝に座らせてもらっていい?」

「亜里沙だったらいいよ。あの彼女モドキの9人には絶対に許可出さないけどね!!」

「いい加減に認めてやれよ……」

「9股するような女たらしで変態でクズで最低な男は黙ってて!!」

「うぐっ!!言い返せねぇけど言い過ぎでは!?」

 

 

 言いたいことばかり言いやがって……あれでも9人全員に告白するのは恥ずかしかったんだぞ。今でもその時のセリフを思い出すだけで地を駆けずり回りたくなる。アイツらはアイツらで俺の告白を気に入っているようで、俺の知らないところで引き合いに出されているらしいし……この俺がここまで羞恥心に悶え苦しむとはな。

 

 

「あの~、膝をお借りしてもいいですか?」

「あ、あぁいいよ」

「ありがとうございます!!それでは失礼します♪」

 

 

 亜里沙はトコトコと俺の元へやって来て、そのままちょこんと俺の膝に股がる。彼女のフワッとした髪の毛が俺の鼻をくすぐり、まるでスイーツのような甘い匂いが身体全体に広がる。亜里沙は俺にそっともたれ掛かり、俺の胸と彼女の背中がピッタリとくっつく。亜里沙がもぞもぞ動くたびに、彼女のおしりの形と柔らかさがよく伝わってくる。

 

 

「亜里沙、お前大きくなったよな。去年まではにこよりも小さかったのに」

「零くんは背が高い女の子ってどう思いますか?」

「背なんて関係ない。俺はどんな亜里沙でも大好きだよ」

「嬉しいです♪あっ、腕を私の身体に回してもらってもいいですか?」

 

 

 俺は亜里沙に言われるがまま自分の両腕を彼女の脇の下に通し、亜里沙の胸と腹の間で腕を組んだ。そうすると俺が亜里沙を完全に抱きしめている形となる。背が高くなったからといってもまだまだ小柄だ。したがって、俺の身体にすっぽりと彼女の身体が収まっている。後ろからだと亜里沙の表情はよく見えないけど、小さな手で俺の腕を掴み温もりに浸っていることは分かる。

 

 

 ここで俺は崩れた体勢を立て直そうと、自分の腕を少し上に上げた。

 

 

 その瞬間、亜里沙の柔らかい胸が俺の腕によりフニッと形を変えたのが分かった。亜里沙の奴、背だけじゃなくて胸までしっかり成長してやがる……!!亜里沙を自分の方へグイッと近づけると、その軽い衝撃で彼女の胸がプルッと揺れる。流石絵里の妹、いい大きさいい感触いい柔らかさだ。

 

 俺は亜里沙に夢中となり、しばらくの間自分の腕を動かして彼女の胸を堪能していたのだが、そこで亜里沙の表情が少し変わっていることに気づいた。斜め後ろから見ているため細かくは分からないが、自慢の白い肌の頬が明らかに赤くなっている。

 

 まさか……気づかれた!?そして亜里沙、興奮してる……?

 

 

「はぁ……」

 

 

 亜里沙の口から可愛く小さな息が吐かれる。この吐息……これはもしかしてもしかしなくても!?このままさっきの行為を続ければ、亜里沙が……あの亜里沙のはつじょ――――

 

 

「そうだ!!雪穂もどう?零くんにやってもらいなよ!!」

「わ、私!?私はいいって!!」

 

 

 そこで俺は我に返った。俺、また妄想の世界に没頭していたのか!?全く……全然治らねぇなこの性格。

 それはそうと、さっきの亜里沙の言葉。

 

『零くんにやってもらいなよ!!』

 

 これって『座らせてもらいなよ!!』じゃないの?やってもらうって、まさかさっきの胸を押し上げる行為のことじゃ!?やっぱりバレてた!?

 

 

「あの~、零くん」

「な、なんだ?」

「あ、ありがとうございました。気持ちよかったですよ……」

「な゛っ!?」

「さぁ次は雪穂の番!!」

 

 

 なんだよ気持ちよかったって……俺の温もりが気持ちよかったってことだよな!?決して胸を弄られたから気持ちよかったわけじゃないんだよな!?そうだよね?

 

 でも、亜里沙にそんなことを聞くなんて俺にはできなかった……

 

 

「い、いいの楓?」

「まぁ雪穂と亜里沙なら私が許す!!」

「じゃ、じゃあちょっとだけなら……いいですか?」

「あ、あぁ……俺はいつでも」

 

 

 雪穂は持っていたファッション誌を机の上に置き、俺と顔を合わせないようにしながらこちらへとやって来た。顔は既に赤くなっているため、自分でも相当恥ずかしいことをしていると分かっているのだろう。

 

 

「へ、変なことしないでくださいね!!」

「しねぇよ……」

 

 

 ゴメンッ!!保証はない!!あの亜里沙にあんなことをしてしまったんだ、雪穂にまで魔の手が及んでしまうかもしれない。こればかりは俺の理性と欲求が耐えてくれるかどうかだな。

 

 

 雪穂は勢いよく俺の膝に股がり、そのまま自身の背中を俺の胸へ預けてくる。おしりも柔らかく、いい形をしているな。もうこれだけでも雪穂の匂いと温もりが全身に伝わってきた。どことなく穂乃果と同じ匂いがするのは姉妹だからだろうか。今度は雪穂の魅力に取り付かれ、また我を忘れかけていた。

 

 俺はそのまま亜里沙に腕を回した時と同じように、雪穂の脇の下から手を入れて彼女の身体をホールドする。

 

 

「きゃっ!!私はやってくださいなんて言ってませんよ!!」

「わ、悪い!!今すぐ離す!!」

「は、離せとも言ってません!!別にそのままでもいいです」

 

 

 えぇっ!?どっちなんだよ!?相変わらず真姫と同じ面倒くさい性格をしてやがる。まぁ本人がそう言うのなら仕方がない、このまま抱きしめ続けるか。俺としても雪穂とここまでお近づきになれたのは初めてで、ちょっと舞い上がっているしな。

 

 そしてこうして腕を回していると、亜里沙の時と同じようにまた胸の感触が味わえる。雪穂は亜里沙と比べればまだまだ控えめな胸だが、腕を摺り寄せることによって形を感じることはできた。腕を動かすたびに、雪穂の胸の形状がむにゅっと変化する。

 

 

「れ、零君……」

「ど、どうした……?」

「あ、いや、なんでもないです……そのままで」

「え……?」

 

 

 最後、声が小さすぎて聞き取りづらかったが『そのままで』って言ったか!?まさか雪穂に限ってそんなこと……でももしそうだとしたらコイツは俺のことを……!?

 

 

「生徒会長高坂穂乃果!!ブラック海未ちゃんからの激務を終えて帰還しました――――ってあれ?」

 

 

「「あっ……」」

 

 

「穂乃果ちゃん……」

「これはこれは面白いことに!!」

 

 

 突然扉が開け放たれたと思ったら、穂乃果が勢いよく社畜のような口を叩きながら部室へなだれ込んで来た。

 もちろん俺は今雪穂を膝の上に乗せて抱きしめているわけで……そして楓の奴はまたニヤニヤと人が不幸になる瞬間を楽しんでいるわけで……

 

 

「雪穂が……雪穂が……」

「待ってお姉ちゃん!!これは違うの!!」

 

 

「海未ちゃーーーん!!ことりちゃーーーん!!雪穂がデレたーーーーー!!」

 

「だからお姉ちゃん違うって!!待って!!どこへ行くのもうっ!!」

 

 

 穂乃果は来た道を叫びながら戻っていった。それを追う形で、雪穂も誤解を招くような発言をしている姉を追いかける。雪穂の奴、めちゃくちゃ顔真っ赤にしてたけど大丈夫か?茹でトマトになって真姫辺りに食べられそうだ。

 

 

「で?お兄ちゃん感想は?」

「き、気持ちよかったです……」

「じゃあまたやってもらっていいですか?」

「ああ!!亜里沙たちならいつでも歓迎!!」

 

 

 こうして俺とシスターズのほのぼの(?)とした日々は、無事に過ぎ去っていきましたとさ。

 

 また雪穂とは、2人きりになった時にでも……

 




 今回はほのぼの回でした!!誰がなんと言おうとほのぼの回!!誰になんと言われようとほのぼの回!!嘘偽りはありません!!


 まだ雪穂や亜里沙とは行き過ぎた行為はできませんので、このようなソフトな感じに収めてみました。2人はまだまだ零君からの変態行為に慣れていないので、ウブな様子が可愛く描けていればと思います。どうだったでしょうか?


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絵里とのお熱い密室

 今回は絵里個人回です!絵里視点でイチャイチャほのぼのデート、そして最後には……

 この話はいつもの『R-17.9』とは違います!どこが違うって?それは読んでみてのお楽しみということで。


 

「ちょっと早かったかしら……」

 

 

 今日は待ちに待った零とのデート!!――なんだけど、気合を入れ過ぎて家をかなり早く出ちゃった。このままだと集合場所に15分も早く着いちゃうわね。一応体裁的にはいつもの私だと思うんだけど、やっぱり彼と一緒にデートをすると思うと自分でも気づかない間に浮かれていたりするのかしら?もしかして今も顔がニヤケちゃってたり!?バカバカ!!これじゃあ零に変な子だって思われるじゃない!!

 

 

 なぁんて♪やっぱり舞い上がっているのね。私は真姫や海未みたいに素直になれないわけじゃないけど、穂乃果やことりたちと比べれば全然奥手な方。でも最近花陽がかなり積極的になっているのを見て、私も素直になって零に甘えてみようかなぁなんてね♪

 

 

 そんな浮かれ気分になっている内に、デートの集合場所である時計台が見えてきた。流石に待ち合わせの定番スポットなだけあって、休日はたくさん人がいるわね。これじゃあ零が来てもすぐには見つけられないかも――――って……

 

 

「え!?」

 

 

 時計台の真下、一本の柱にもたれ掛かっている人を見て私は驚いた。まさか……まさか零が先に来ていたなんて!!あの時間にルーズで、デートでもいつも集合時刻ギリギリに来る零が!?今日のデートの途中で雨なんて降り出さないでしょうね!?

 

 

「零!!」

「よお、来たか。随分と早いな」

「あなたこそ、どういう風の吹き回しかしら?」

「いいだろたまには。それに今日は前のライブの成功祝いでもあるし、特別な時ぐらいはカッコつけさせてくれよ」

「集合時間に早く来ただけでカッコつけられても……」

「でもいいサプライズだっただろ?」

「まぁ、驚きはしたけどね」

 

 

 こうやって何気なく行われる日常的な会話。私が大学に進学して零と話す機会が減っちゃったから、こうして彼とたわいも無く喋っているだけでもすごく楽しい。流石ににこほどは飢えてはないけど、私も寂しいと思ったことは何度もある。だからその分、今日1日たっぷりと楽しませてね♪

 

 

「絵里……その服」

「これ?今日のために新しく買ってきたの。えぇ~と……どうかしら?」

 

 

 私が着てきた服は水色のワンピース。いつもはズボンを履くことが多いんだけど、折角久しぶりのデートなんだし攻めてみないとね。でもいつもと違い過ぎて自分でもちょっと違和感。にこやことりみたいにファッションには詳しくないし、もしかしたら似合ってないかも……?

 

 

「お前、自分には似合ってないと思ってるだろ?」

「えっ!?どうして分かったの!?」

「やっぱり……お前はすぐ顔に出るんだよ。そんな無駄な心配なんてしなくてもいい、いつもの絵里とは違って新鮮で可愛いよ。ありきたりな言葉で悪いけど、それしか思い浮かばないくらい綺麗なんだ」

「あ、ありがとう……」

 

 

 零の励ましと何気ない笑顔に私は見とれてしまう。自分の手が自然と髪へ伸び、真姫みたいに髪の毛をくるくるいじる。

 もうっ!!どうして零は女の子の心をくすぐるのが上手いのかしら!?至って普通の褒め言葉なんだけど、やっぱり私が心の底から好きになった人だからかな?それだけでも心臓の音がトクントクンと聞こえるくらい気持ちが高鳴る。

 

 

 いけない!!まだデートも始まってないのに零に先導されっぱなしだわ!!今日は私から攻めようと思っていたのに、やはり零は手ごわいわね……でも覚悟しておきなさい!!もっと私のことを好きにさせてみせるんだから!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「着いたわ。ここがことりたちに評判のファッション街ね」

「ホントだ、服屋ばっかり……」

 

 

 私たちはまず、ことりたちから勧められたファッション街へとやって来た。女性向けの雑誌にも連日に渡って掲載されるほど有名で、一度でいいから来てみたかったのよね。

 さっきは零にペースを持って行かれたけど、ここでは私がペースを握らせてもらうわ!!最近はすぐに冷静さを失って零に対しても後輩たちに対しても威厳がなくなってきているから、こういうところで挽回しないと!!

 

 

「絵里って普段は自分で服を選ぶのか?」

「えぇ。でも亜里沙やμ'sのみんなと来る時は、誰かに選んでもらうこともあるわよ」

「じゃあ今回は俺が選んでみようかな」

「零が?でもあなたファッションセンスが……」

「悪かったな!!ファッションセンス皆無でよ!!」

 

 

 細かいことにたくさんこだわりを持つ零だけど、唯一ファッションだけには全然こだわりを持っていない。その分私たちが零をコーディネートできるから悪くはないんだけどね。それに零は何を着ても似合うから、ファッションセンスなんてなくても気にならない。やっぱりカッコいいと何でも着こなせちゃうのね。

 

 

「お前には青系統が似合うと思うんだよ。だからこれなんてどうだ?」

「夏服か……もう暑くなってきたし、これにしましょう!!」

「決めるの早いな!?じゃあこのショートパンツも似合いそうだから、試着してみたらどうだ?」

「試着……」

 

 

 零にそう言われ、私は試着室が並んでいるところを見つめた。

 もちろんだけどあそこって、完全に個室なのよね……それに今試着室を使っている人は誰もいない。これってもしかしてチャンス?彼がもしそういうことを望んでいるのなら、私もそれに応えたい。いや、むしろ私の方が期待しちゃっているんだと思う。どちらにせよ、ここで攻めのエリーチカになるわ!!

 

 

「それじゃあお望み通り試着してみようかしら」

「なんでちょっと上から目線……?」

「それはいいとして、すぐに感想を聞きたいから目の前でちゃんと待っててね?」

「言われなくても待ってるよ」

 

 

 私は零に微笑み返し、そのまま試着室へと入る。目の前には大きな鏡……こうして自分の姿を見てみると、今日どれだけ自分が大胆な服装をしてきたのかがよく分かる。これも零に可愛く見てもらうため、零に綺麗と思われたいため、零に褒めてもらいたいため……もう私って、彼の色に染まっちゃってるみたい♪

 

 

「待たせるのも悪いし、早く着替えないと……」

 

 

 もしかしてこんなことが起きるかもしれないという想定のもと、昨日私はなぜか服を脱ぐ練習をしていた。だって零が『女の子が服を脱ぐ姿って絵になるよな』と言ってたことを思い出しちゃったんだから仕方ないでしょ!!

 

 そうは言っても今は誰にも見られていないので、特訓の甲斐なくそのままワンピースを脱ぎハンガーに掛ける。

 

 

「このカーテンの向こう……零がいるのよね」

 

 

 カーテン1枚を隔てた向こうに零がいる。この薄いカーテン、たった1枚めくるだけで愛しの彼が待っている。多分だけど、零は試着室に入っている私のことを妄想しているでしょうね。今の私は下着姿……こんな私の姿も妄想してくれているのかしら?

 

 

 

 

 本当に妄想だけでいいの?もっと――もっと先のことをしてみたくない?

 

 

 

 

 以前、にこや希はちょっぴりアレなことをして零を楽しませていると言った。彼に感謝の気持ちを込めて、自分の身体を差し出す。もちろんにこたちは好きでやっているんだろうけど、やはりそれは零が手を出してきたとしても彼に身を委ねる覚悟があるということ。にこや希が持つ彼への愛は間違いなく本物でしょうね。

 

 もちろん私の愛もにこや希と同じくらい強いと思っている。だからこそ、もっと彼に応えてあげたい。零が女の子の身体を欲しているのなら、私もこの身体を差し出したっていい。この前まではみんなに健全なお付き合いだなんだの言っていたけど、零が私たちを欲しているように、私も零を欲している。

 

 だからここで謝っておくわ――――ゴメンなさい!!私の身体だって、零が欲しいのよ!!

 

 

「れ、零!!」

「どうした?」

「そこにいる?」

「え?いるけど……」

「もっと、もっと近くに来て」

「え?どうして?」

「いいから早く!!」

 

 

 私は試着室の中から零だけに聞こえるような声で彼をこちらに呼び寄せる。流石に店員さんに聞かれるわけにはいかないから、これは日々のボイスレッスンの賜物ね。こんな目的でレッスンをダシに使ったら、真姫に怒られそうだけど……

 

 

 カーテン越しでも零がすぐそこにいるのが分かる。決心した!!もうどうにでもなっちゃえ!!

 

 

 私は試着室の外に手だけを出して零の腕を掴む。そして抵抗される前に、そのまま零を試着室の中へ引きずり込んだ。

 

 

「うおっ!!な、なにすんだ……よ……」

 

 

 零は私の姿を見て驚いている。そりゃあ下着姿なんですもの、驚かない方がおかしいわよね……

 それに自分がどんな痴態を晒しているのかは、試着室に備え付けられている鏡を見ればよく分かる。恥ずかしいけど、彼から手を出してもらうにはこの方法しかない。

 

 

「綺麗だな、白い下着。上下で揃えているのか」

「えぇ……あなたに見てもらうために買ったのよ」

「じゃあ、覚悟はできているってことだな?」

「もちろん……むしろそのために着てきたんだから」

 

 

 そう、覚悟は既にできている。こうして零に下着を見られるのは2回目。だけど今回は恐らくそれ以上の痴態を晒してしまうことになる。それでも構わない。これが私たちが示す、"愛"の表現方法なのだから……

 

 

「上……取るぞ?」

「……お願い」

 

 

 そして零はプチッと私の上の下着を外す。その下着はそのままハラリと試着室の床に落ちたけど、私も零もそんなモノなんてもう気にしていなかった。零は目を見開いて私の胸を凝視している。私は恥ずかしくて零の顔をずっと見ていることしかできなかった。

 

 初めて彼に見せる、ありのままの私の姿。μ'sの中では希の次に大きいバストを持った胸。今まで零からそれを散々ネタにされてきたけど、まさかその生の胸を彼に見せるとは思ってもみなかったわ。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 零の息遣いが荒くなる。だけどそれは私も同じ。横にある鏡で自分の顔を見てみると、真姫の髪の毛かと思うぐらい赤に染まっていた。高ぶる気持ちが私の理性をどんどん溶かしていく。彼に……零に触られたい!!あなたの愛で私を満たして欲しい!!

 

 

「1つだけなら……あなたの好きにしていいわ」

「好きにしていい……?」

「えぇ、抵抗しない。どんなことをされたとしても……」

 

 

 とんでもないことを言っているなんて分かってるわ。それでもこの身を零に捧げる。愛する彼に、私の大好きな彼に、自分の身体を好きに使って欲しい。まだ本番をする覚悟はないけど、これくらいならむしろ私から頼みたいくらいだわ。フフッ、私も零みたいな変態さんに染まっちゃったのかも♪

 

 

「じゃあ、突いてもいいか?」

「つ、突く!?」

「しっ!!静かに!!」

「あっ」

 

 

 危ない……こんなところを誰かに見つかったらただ事では済まないわ。

 でもそんなことよりもさっき零、『突く』って言ってなかったかしら?突くってことは、零の指で私の胸を突っつくということよね?もうっ!!やっぱりただの変態野郎じゃない!!

 

 

「や、やるなら早くお願い!!見てるこっちも恥ずかしいわ!!」

「騒ぐな。今神経を集中させてるんだ」

 

 

 なんの神経よ!?本当にエッチなことになると人が変わるんだから!!

 でも、そんな零も結構カッコいいと思っていたり。自分の欲望に忠実になりながらも、女の子の身体を第一に考えてくれる。そんな紳士的な彼に惹かれたところもあるかもね。

 

 

「じゃあいくぞ」

「え、えぇ!!」

 

 

 零は両手の人差し指を、私の両胸の先端目掛けて動かし始めた――――ってちょっと待って!?!?両手!?片方だけじゃないの!?それに先端って、それは私のち、ち、ちち…………くびじゃない!!突くってそこを突くの!?でも私は壁にもたれ掛かっていて、さらに試着室自体が狭いため回避することは愚かほとんど動くことさえできない。

 

 気づけば零の人差し指は、もう私の胸の直前まで迫っていた。

 

 

「あぁん♡」

 

 

 遂に零の人差し指が私の胸の先端を押した。今までに感じたことのない感触が身体全体に伝わり、その衝撃で声が漏れる。零はそのまま指を胸に押し込んできた。

 なによこの気持ちのいい感触は……?ツンツンと零に先端を刺激されるたびに快楽が電流のように全身を駆け巡る。ダメ……このままじゃクセになっちゃう♪

 

 

 さらに零は私の先端を激しく刺激してきた。

 

 

「あぁあああん♡」

 

 

 零から送られてくる刺激に身体が熱くなる。胸を突つかれるたびに身体がビクビクと震え、自分の喘ぎ声が試着室中に響き渡る。初めは声が外に漏れないように頑張っていたけれど、今は快楽に身を委ねることに夢中でそんなことなど一切忘れていた。今は彼に胸を弄ってもらうことだけしか頭にない。

 

 

「れ、零!!もうダメよ!!直接、直接触って!!」

「いいのか?」

「身体が火照って限界なのよ……お願い!!あなたで私を満足させて!!」

「彼女の頼みなら、聞かないわけにはいかないな」

 

 

 自分の欲求に我慢できなくなった私は、自分から零に胸を揉むように志願してしまった。でもこうしないと家に帰ってから1人でこの欲求を鎮めることになる。それだけは絶対にイヤ!!だって目の前に彼がいるのよ!?愛する彼にしてもらいたいに決まっているじゃない!!

 

 

 そこで零は私の身体を180度回転させた。今私と零は同じ方向を向いていて、私の後ろに彼がいる状況。これはみんなから聞いたことけど、零は後ろから女の子の胸を揉むのが好きらしいのよね。全く、どうして私たちはこんな変態さんを好きになっちゃったのかな♪

 

 

 そして零は私の身体に覆いかぶさり、両手で胸をガシッと掴む。もちろん胸には何も着けていないため、彼の手から温もりが直に伝わってきた。手のひらで先端を刺激され、またハァハァと吐息が絶え間なく出続ける。やっぱり私の身体は零に期待をしているのね。

 

 

 零は優しく私の胸を揉み始めた。もうそれだけで身体の温度が大幅に上昇していくのが分かる。胸を揉まれる刺激は胸を突かれる刺激とは違って慣れ親しんだものだけど、今回は"いつも"感じている懐かしい刺激のように感じた。それほど突かれていた時の刺激が新鮮だったのね。

 

 

「はぁああん!!あん♡」

 

 

 もう声を抑えようとしても抑えることなんてできない。零の胸を揉む強さは次第に激しくなるばかりか、さらに同時に先端も刺激され、私は天国への階段を強制的に登らされる。もう階段なんて一歩一歩登るような生ぬるいものじゃない、これは天国への直通エレベーターだわ。それだけ零が送り込んでくる快楽は至高で、あっという間に彼の虜になってしまう。

 

 

「ひゃっ、ひゃあぁぁ♡」

 

 

 彼からの刺激は止まらない。これが零が私たちに贈る愛なのね……そんなの、そんなの気持ちいに決まってるわよ!!彼に抗えない!!どんどん彼の魅力に取り付かれてしまう!!もっと私を好きにさせて!!あなたのことがずっと頭に浮かぶくらいに!!――――もっともっと!!

 

 

「あぁああああああああん♡」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「あぶねぇ~~。店員さん、めちゃくちゃ怪しがってたな……」

「でもバレなくてよかったわ」

「それはどうだろうな。見て見ぬふりをしていたのかもしれないぞ」

 

 

 あの後、私たちは逃げるようにファッション街から抜け出した。店員さんからは不思議そうな目で見られたけど、多分大丈夫だと思う。それにバレてたとしても若い子の営みということで許してもらえいなかしら……?

 

 

「ねぇ、ご飯食べた後で私の家に来ない?」

「えっ?いいけど、誰かいないのか?」

「今日は亜里沙も親もお出かけしてるから、私だけなの……」

「そ、そうか。じゃあお邪魔するか」

 

 

 今日は零からたくさんの愛をもらっちゃった♪そして次は私から愛を伝える番。零って、どんなことをされるが好きなんだろう……?あぁ!!これだけはにこや希に聞いておくんだった!!でもやっぱり男の子だから……あのようなことよね?緊張するけど頑張らなきゃ!!これでまたあなたに喜んでもらって、褒めてもらえるといいな♪

 

 

「なに笑ってんだ?それだけさっきのことがお気に召したのか?」

「もちろん♪そして次は私があなたを天国へ連れて行くわ。覚悟してね♪」

「絵里……あぁ、楽しみにしておくよ!!」

「フフッ♪でもまだまだデートは終わってないわ。次はあそこに行きましょう!!あの店のカップル限定パフェが美味しいって評判なのよ」

「お、おい引っ張るなって!!そんなことしなくてもどこまでも付き合うよ、一生な」

「私だって、あなたをずっと離さないから♪」

 

 

 そう言って私は零の腕に絡みつき、頭を彼の肩に乗せた。普段の私と違って積極的になれているかしら?今日ぐらいは思いっきり甘えちゃってもいいわよね♪

 

 そこで私は零の唇へ自分の唇を重ねた。

 

 

「んっ……ちゅぅ」

「んっ……ちゅっ……んん」

 

 

 突然で驚いたのか初めは戸惑っていた零だけど、次第に慣れ親しんできたいつものキスに戻ってくる。零からの甘い唾液が私の中に注ぎ込まれていく。あぁ……このままキス中毒にまでなっちゃったらどうしよう?その時は責任、取ってくれるわよね♪

 

 

 これからもずっと、彼との幸せな時間が続きますように……

 




 これはもう『R-17.9』から『R-17.99』に昇格させた方がいいのではないでしょうか?むしろ「もっとやれ!」という人もいるかもしれませんね。どちらにせよ今回はいつも以上に激しい展開でした。絵里には申し訳ないことをしましたが、絵里推しの読者様はどう思われているのか知りたいところです。


 高評価を付けてくださった方、ありがとうございます!!お約束通りパワーアップして帰ってきたのですが、そのおかげでこんな話が生まれてしまいました(笑)


 先日の日間ランキング、最高5位に載せて頂いて感無量です!むしろこんなR-18の境界線を彷徨ってる小説が、由緒正しきランキング様に載せてもらっていいのかと疑問があります(笑)


 そしてそろそろリクエストも順次手を付けていきたいと思っています。思っているだけです。次回はまだ未定なのです。この話で力を使ってしまったので……


Twitter始めてみた。ご意見、ご感想、次回予告、更新時間など。
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零がスクールアイドル!?

 今回はリクエスト回!!零君がまさかのスクールアイドルにスカウトされます。それを汲み取ったμ'sの心情の変化にも注目です!

 この小説にしては珍しい超真面目回なので、覚悟した方がいいですよ(笑)


「アイドルだと?俺が?」

『そうそう、やってみない?』

「いやお前、いくらなんでもそれは唐突過ぎるだろ……」

 

 

 珍しく秋葉から電話があったかと思えば、突然『アイドルになってみないか?』とスカウトを受けた。女子高校生たちが集うスクールアイドルなら流行っているが、男のスクールアイドルなんて聞いたこともない。特段に俺はアイドル界隈の事情は詳しくないため、ただ俺が世間知らずなだけかもしれないが。

 

 

「まずどうして俺に白羽の矢が立った?」

『容姿端麗で運動神経も抜群、そして歌も上手いでしょ?だからだよ♪』

「それは表面上の理由だろ。ちゃんと説明しろ」

『も~う!!持ち上げればすぐだと思ってたのにぃ~~!!』

「俺はそんな軽い人間じゃねぇよ!!」

 

 

 容姿端麗で運動神経抜群とか、今更過ぎて持ち上げにもなっていない。俺を持ち上げるならそれ以上の魅力を見つけてみせるんだな。それはさて置き、歌が上手いのはどうだろうか?そもそもカラオケぐらいでしか歌わないから歌唱力は特別高いわけでもないと思うけど、アイツが適当に言ったことだから気にしない。

 

 

『別に込み入った理由はないんだけど、高校生にしちゃあ結構なお金が入るんだよ。まぁそれも動画を投稿して、視聴者の反響に応じてだけどね』

「金か……楓が無駄遣いするから意外と困ってんだよな。俺もそこそこ使う方だし」

『レッスンの期間は短くて、早ければ1週間、長くても2週間半くらい。恐らくそれなりに素質のある人を引き抜きたいから、短い期間での採用なんだと思うよ』

「それくらいなら丁度いいか。テストも終わったし、特にやることもないしな」

『およ?前向きに検討中?』

「あまり乗り気じゃないけど、やってみたいと思うところはある。ただしアイツらの意見を聞いてからだな。一応アイドル研究部の部員だし」

 

 

 スクールアイドルの募集を受けてしまえば、当然μ'sの練習に付き合うことはあまりできなくなってしまう。俺としてもみんなと会えないのはイヤだし、そこまで乗り気ではない。だが俺はアイツらが見てきた世界を、自分でも見たいと思っている。いくらμ'sと一番近しい仲だとしても、その世界だけは絶対に共有できない。それはスクールアイドルとして舞台に立っている奴らだけの特権だからだ。だから俺もアイツらと同じ世界を見て共有したい。

 

 

「とりあえず明日みんなに聞いてみる。話はそれからだ」

『前向きにお願いね♪』

「善処する。ところで、このスカウトに成功したらお前にいくら入る……?」

『さぁねぇ~♪』

「はぁ~……じゃあまた連絡すっから」

『はいはい~~♪それと郵送した資料が今日中に届くと思うから、適当に目を通しておいてね♪』

 

 

 秋葉の奴……俺がちょっとでもやる意思を見せたら露骨にご機嫌になりやがった。アイツの思い通りに動くのは癪だけど、俺の願いが叶うかもしれないんだ。いつもなら面倒だからやらないのだが、これはまたとないチャンス。やってみる価値はある。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「えぇーーーー!?零君スクールアイドルやるの!?穂乃果、人生一番のビックリだよ!!」

「そこまで驚くことか……?」

 

 

 大学生組を含め全員集合した学院の屋上、俺は練習の休憩の合間に昨日の内容をみんなに話した。これには穂乃果だけではなく全員から驚きの声が上がる。俺がめんどくさがりだってことは周知の事実だから尚更だろう。

 

 

「男のスクールアイドルねぇ~、にこはそこまで注目してなかったわ」

「私もです。スクールアイドルといえば女性がメインですから」

 

 

 アイドル好きのにこと花陽ですら男のスクールアイドルについてはよく知らないらしい。どれだけ認知されてないんだよ……でもそれだからこそ即戦力を集めて世間にアピールをしたいのだろう。

 

 

「でも零くんならアイドル似合うと思うよ♪もし零くんがスクールアイドルになったら、ことり全力で応援する!!」

「凛も!!もしかして一緒に踊れるかもしれないし!!」

「ハラショー!!私も零くんと一緒に踊って歌いたいです♪」

「穂乃果も!!零君と一緒にアイドルできたら楽しいだろうな~」

 

 

 ことり、凛、亜里沙、穂乃果は俺の背中を押してくれている。物珍しそうな目をしているところを見ると、にこと花陽もそうなのだろう。初めからこの6人が否定するとは全く思ってなかったけど、こうして後押ししてくれると嬉しいものだな。

 

 

「私も零と一緒にアイドルができるというのは素晴らしいと思うのですが、時間は大丈夫ですか?」

「そうやねぇ、あまりμ'sの練習に出られなくなるんと違う?」

「そこは割り切るしかないだろうな」

「私たちも零のアイドル姿は見てみたいし、やりたいなら挑戦してもいいんじゃないかしら。時間なら上手く調整するわ」

「悪いな」

 

 

 海未、希は絵里の提案に乗り、それならと快く勧めてくれた。意外とトントン拍子で話が進むんだな。でも俺もみんなと一緒に歌って踊れるのなら、割とスクールアイドルもアリだと思えてきた。

 

 

「零がスクールアイドルをしようがしまいが私たちの練習時間が減るわけでもないし、どっちでもいいんじゃない」

「私も特別どっちかと決められはしないので、零君の判断でいいと思います」

 

 

 ツンデレ組である真姫と雪穂は若干俺を突き放した背中の押し方だ。どっちでもいいという選択肢ほど迷うものはない。『今晩のおかずは何がいい?』理論と同じだ。でもツンデレの『どっちでもいい』は『やってみるといい』だからな。少なくとも俺はそう解釈する。

 

 

「それで楓、お前は?」

「それってお姉ちゃんが持ってきた仕事?」

「仕事ってわけじゃないけど、お金は貰えるらしい」

「ふ~ん……」

 

 

 なんかジト目で俺を見つめてくるんだけど!?もしかして俺に下心があると思われているのか!?いつもの俺ならそうだが、今回ばかりは違う!!俺の中で叶えたい願いがあるんだ!!

 

 

「じゃあやってみればいいんじゃないのぉ~」

「なんだよその適当さは……」

「別にぃ~~」

「そうか……じゃあやる方向で話を進めるか」

 

 

 今の楓に何を言っても『やればいい』で返されるだけなので、とりあえずスクールアイドルをやるという方向で話を通すことにする。まさか今までスクールアイドルを傍観する側だった俺自身がスクールアイドルになるなんて……人生何があるか分かんねぇもんだな。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 そこからの話は早かった。秋葉にその旨を伝えると光の速さで事務所と連絡を取り、俺をスクールアイドルとして仮登録した。仮というのはただ単にそこまで長く続けるつもりもないからだ。俺は一度でいいから舞台に上がることができればそれでいい。

 

 驚いたのは、秋葉が直接『ラブライブ!』開催事務局とのパイプを持っていたことだ。どうやら事務局側は秋葉を通じて、あらかじめ俺に目を付けていたらしい。やはり謀ってやがったな……でも事務局と直接交渉できるのはこちらとしても都合がいい。だがなぜスクールアイドルと無縁のアイツが、事務局とのパイプを繋いでいるのかは謎だ。

 

 

 

 

 そして俺はその翌日からレッスンを受けることになった。穂乃果たちの練習を見ていて『俺でもできるな』と思っていたのは大きな間違いで、やり始めてみると意外に手こずる。ダンスや歌などの感性がなかった俺に、いきなりステップを踏んだり声色を変えたりすることは非常に難しかった。

 

 だけど次第に上達していくのはとてつもなく楽しい。いつも俺はみんなに『もちろん上を目指すことはもちろんだけど、まずは自分たちが楽しめ』と言ってきた。レッスン中は、その自分の言葉が分かる瞬間の連続だ。さらにこのまま行けばアイツらと同じ土俵に立てると思うと、それだけで胸が掻き立てられる。手の届かなかった次元に俺も立つことができるんだ。

 

 もちろんμ'sの練習に参加することも疎かにしていない。μ'sの練習の場合俺はただの傍観者だが、俺がスクールアイドルを始めたことによって的確なアドバイスができるようになるならそれ以上のことはない。μ'sはメンバーであるみんなと俺、一緒になって引っ張っていくとあの時に決めたからな。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「零君、今日もレッスンあるの?」

「まあな。でも穂乃果たちの練習にもちゃんと参加するから」

「絶対だよ……?」

 

 

 レッスンは順調に進んでいる。このままいけば期限の2週間半までには簡単なPVぐらい撮影できるだろう。もしかしたら多くの女性ファンを獲得できるかもとちょっとだけ期待してみたり。いや、この俺だったら間違いなく黄色い声援を浴びるだろうな。楽しみ楽しみ!!

 

 

「大丈夫なのですか?私たちの練習に付き合って自分の練習にも打ち込むとなると、お身体の方が心配です」

「心配すんな。俺がタフだってことぐらい海未も知ってるだろ?なにより楽しんでやってるから、疲れなんて吹き飛ぶよ」

「そうですか、それならいいのですが……」

 

 

 まさかここまでアイドル活動が楽しいだなんて思わなかったな。いつも勉強には打ち込まない穂乃果や凛が、アイドル活動だけは真面目に取り組む理由がよく分かった。これでまたコイツらと共有できるものが増えたな。

 

 

「でも零くんと会える時間が少なくなって、ことりは悲しいかな……」

「俺もみんなと一緒にいる時間が少なくなって寂しいけど、もしかしたらことりたちと一緒に歌って踊れるかもしれないだろ?もしそうなったらっていう楽しみを想像して、今はお互い頑張ろうぜ」

「うん、そうだね……」

 

 

 今までただμ'sの傍観者だった俺に巡ってきた、最初で最後かもしれないチャンス。そのチャンスを掴めば、俺もμ'sが見てきた世界を見ることができる。これでもっとみんなとの距離が近くなるんだ。

 

 

 しかし――――この時、俺はまだ何も気づいていなかった。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 それから間もなくして、俺のスクールアイドル人生初のPV撮影が始まった。そうは言っても仮登録でかつ元々期限付きのスクールアイドルなため、動画は派手な演出を入れない簡単なものとなる。この1週間で練習してきたダンスや歌をただ垂れ流すだけ。でもただの垂れ流しで反響があれば、その人材は正しく逸材というわけだ。

 

 

 俺は今までのレッスンで培ってきたことをPV撮影でフルに発揮し、無事に撮影を終えた。とりあえず仮のスクールアイドルとしての活動は一旦ここまで。あとはPVがどれだけの反響を呼ぶかによってこの先が決まる。お金はもちろん欲しいけど、それよりも一度だけでいいから舞台に立ちたいというのが俺の願いだ。

 

 

 そして反響のほどは――――――――俺の想像を遥かに超えていた。

 

 

 俺のPV動画はネットやSNSを通じて一気に拡散され、動画の再生数およびコメント数が初日から並大抵のスクールアイドルとは比較にならないぐらい伸びたのだ。これは秋葉や事務局側も想定外だったみたいで、話によれば俺に会いたいからと女性ファンからの問い合わせまで来ているとのこと。流石の俺も少し震えちまったよ。

 

 

 さらにそれは事務局だけにはとどまらず――――――

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「お兄ちゃん、はいこれ」

「な、なんだこの手紙の量は!?免許更新の催促状じゃねぇんだから……」

「何言ってるの……これ全部ファンレターだよ、お兄ちゃんへの」

「ホントに!?いやぁ~、俺も有名になったもんだ!!」

 

 

 それから数日間、自宅のポストがパンパンにならない日はなかった。ファンレターには応援メッセージやPV動画の感想、中には『使ってください!!』という手紙にタオルやハンカチまで付けてくれる人までいて感謝をしようにもしきれない。これはあのA-RISEの気持ちがよく分かるな。有名になるって大変だけど、それだけ嬉しいこともあるんだ。

 

 

「楽しそうだね、お兄ちゃん」

「そりゃあこれだけ応援や感想を貰えば嬉しくないわけないだろ」

「そう……」

「お前、まさか俺が女の子からファンレターを貰ってるから……」

「それもある……」

 

 

 珍しく楓が真面目な顔で俺と向き合う。声のトーンもいつもより低めで、これは明らかにお怒りのご様子。いや、怒るというよりかは何かに呆れているみたいだ。やっぱり俺がこんなことで舞い上がっているからか?

 

 

「お兄ちゃんさぁ、私とμ'sを競わせた時に言ったよね、『みんなに追いついてみせろ』って」

「それがどうした?」

 

 

 

 

「前を歩き過ぎだよ、お兄ちゃんは……」

 

 

 

 

「なに……?」

 

 

 それだけ言い残すと、楓はリビングから立ち去ってしまった。

 前を歩く?俺が?あの"惨事"以降、俺はμ'sを見守る立場ではなく共に歩んでいくことに決めた。彼女たちがまた立ち止まってしまうことがあれば、手を引いて引っ張ってやるんだ。そのために彼女たちの前にいなきゃいけないのは当然のことだ。今更なことをなぜアイツは……?

 

 

 この時も、俺はまだ気付かなかった。心の奥に置きっぱなしにしていた願いがようやく叶うという嬉しさがあり、そしてそんな自分に酔いしれいていたのかもしれない。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「よっ、みんな準備できてる……あれ?」

 

 

 翌日の放課後、俺は掃除当番だったので遅れて部室へ入った。もう着替え終わって屋上へ行く流れだと思っていたのだが、何やらそんな空気ではなさそうだ。そこで1人1人の顔を見てみると、誰もが寂しそうな表情を浮かべ、穂乃果や凛に至っては目がウルウルとしていて泣き出しそうであった。一体何があった……?

 

 

「零君……」

「穂乃果……?」

 

 

 μ's全員が何か言いたそうにしているのは分かったが、その中の代表として穂乃果が口を開く。いつもの明るい口調とは全く違い、声が震えている。恐らく何か後ろめたい気持ちがあって、自分の口からは言いたくないことなのだろう。どこか後悔を背負っているような気もする。それはここにいる全員から感じられた。

 

 

「零君……スクールアイドル続けるの?」

「この前撮ったPVの反響がいいからな、あと少しぐらいは続けるかもしれない」

「そうだよね……零君、すごくカッコよかったもん。続ければ絶対人気が出るよ」

「あ、あぁ……ありがとな」

 

 

 多分だけど、俺は穂乃果たちが望んでいる答えとは別の答えを選んでしまったのだろう。今までの重い空気にさらに重圧が掛かる。息をするのも一苦労しそうなくらい、部室の雰囲気は張り詰めていた。

 

 

 

 

「そんなのイヤだにゃーーーーー!!!!」

「うおっ!?凛!?」

 

 

 

 

 遂に凛は涙腺が崩壊し、俺の胸に飛び込んで来た。彼女は大きな声を上げながら、大粒の涙を流し俺の身体をギュッと抱きしめる。俺は状況の理解ができず一瞬頭が真っ白になるが、改めて穂乃果たちを見て我に返った。

 

 穂乃果もことりも泣いている……?他のみんなもさっきより辛そうな顔をして――――あれ?どうして俺は今こんな状況に陥っている……?俺はスクールアイドルとして仮でもいいからデビューして、一度でいいから舞台に立ってみんなと同じ世界を見たかっただけだ。あわよくばみんなと一緒に踊ったり、歌ったり――――なのに、みんなは泣いている……どうしてこうなったんだ!?

 

 

「零くん、最近いつも早く帰って……全然一緒にいてくれないにゃ!!」

「い、いや……それは」

「さっきみんなと話してたんだ。零くんがこのままスクールアイドルを続けることになったら、凛たちはどうなるのかなって……」

「凛……」

 

 

 確かに最近はレッスンの都合でみんなと一緒には帰れなくなった。学年と教室が同じである穂乃果たちはまだしも、学年が違う凛たち2年生、雪穂たち1年生、そもそも学校自体が違う絵里たち大学生、そのみんなと一緒にいられる時間が急激に減ったことは事実だ。

 

 

 次に絵里が険しい表情のまま口を開いた。

 

 

「零がスクールアイドルとして活躍する姿を見るのは、私たちだって嬉しいわ。でも、そうなったらあなたは私たちから離れていってしまうと思ったの。今でさえこれだけ私たちと一緒にいる時間が減っているんだもの、これから本格的になるともう会えないかもってね……」

 

 

 絵里がここまで言葉を震えさせているのは久しぶりかもしれない。最後にこうなったのはいつだったか……卒業式、いやもっと悲しそうにしていたのは"あの時"だ。俺と元μ'sメンバー9人が争っていたあの時。その時ほど彼女たちの言葉から悲愴を感じたことはない。

 

 そしてまさに今、あの時と全く同じ悲愴を感じている……

 

 

 次に亜里沙が口を開く。もう彼女の目には涙が溜まりに溜まっていた。

 

 

「私、零くんと一緒にスクールアイドルをしたいです!!でも離れちゃうのはイヤ!!我が儘かもしれませんけどイヤなんです!!ずっと私たちの隣にいて欲しいです!!」

 

 

 続けて口を開いたは海未。彼女のこんな悲痛な目も、あの時以来かもしれない。

 

 

「あなたにスクールアイドルを勧めたのは私たちです。一度勧めておいて辞めろだなんて、おこがましいにもほどがあることも分かっています……」

 

 

 なるほど、だから言いづらそうにしていたのか……自分たちから勧めておきながら、それを辞めせようとする。そのどうしようもない葛藤とみんなは今までずっと戦ってきたんだな。

 

 

「穂乃果たちはずっと零君の側にいたい!!そして零君も穂乃果たちの側にいて欲しい!!亜里沙ちゃんの言う通り我が儘だよ!!我が儘だけど、この気持ちだけは絶対に抑えられない!!だから零君、遠くに行かないで!!ずっとずっと、一緒にいてよ!!」

 

「穂乃果……」

 

 

 また見てしまった――――穂乃果の涙を、そしてみんなの涙を。こんな悲しい涙を決して流させないよう心に誓ったはずなのに、俺はまた……

 そしてここで楓の言葉の意味がようやく理解できた。

 

 

『前を歩き過ぎだよ、お兄ちゃんは……』

 

 

 俺は"未来"にあるみんなの笑顔しか見ていなかった。"未来"の彼女たちが見せる最高の笑顔を想像しながら、自分の願いを叶えようとしていたんだ。それが"今"の彼女たちの笑顔を壊していたとも知らずに……

 

 

「ゴメン穂乃果、ゴメンみんな。辛い思いをさせてしまって……俺、スクールアイドルを辞めるよ」

「え……?」

「初めは自分の願いを叶えるためだったんだ。このままだとずっと叶わないであっただろう願いを。でも今やっと気づいたよ。俺が一番見たかったもの、それは舞台の上から見える世界なんかじゃない。本当に見たいのは、みんなの笑顔なんだって」

 

 

 そう、これが俺の見たかった世界。舞台に立てばみんなと同じ世界を共有できるようにはなるだろう。だけど根底はそこじゃない。俺の本当の願いは、みんなの笑顔を見ることなんだ。そしてその笑顔を決して消さないこと。あの時の惨事もみんなの笑顔が見たい、ただそれ一心で突っ走っていた。未来の想像に取り付かれて、今の彼女たちを見失っていたよ。

 

 

「零君……零くーーーーん!!」

「ちょ、ちょっと穂乃果苦しいって!!」

「凛も嬉しいにゃーーーー!!」

「凛まで!?」

 

 

 穂乃果や凛の涙は明るい涙に変わっていた。それはみんなも同じ。張り詰めていた雰囲気も緩和され、また暖かい空気が戻ってきた。穂乃果と凛に続いてことりや亜里沙にまで抱きつかれたけど、むしろ久しぶりに彼女たちの温もりを感じることができて懐かしい。いつもは止めに入る海未や真姫たちも『やれやれ』といった様子で、そして安堵の気持ちで俺たちを眺めていた。

 

 

 以前みんなには俺の我が儘を聞いてもらった。じゃあ今度は俺がみんなの我が儘を聞く番だ。体裁や上っ面の事情なんてどうでもいいし、綺麗事でもない。ただ誰よりも俺はμ'sのみんなと一緒にいたい。その笑顔を見ていたいという、俺の我が儘でもある。でも我が儘で何が悪い。俺はみんなの笑顔さえ見られれば、それだけで十分なんだ。そしてそんな彼女たちと一緒にいれば、自分の願いを叶える機会はまた訪れるだろう。

 

 

 今はその時が来るまで、みんなと一緒に――――――

 

 




 本当はこの話、プロットの段階ではもっと長かったのですが1話に収めなければならないという関係上、地の文だけで済ませてしまうシーンがいくつもあり、結果荒削りなところがいくつかあったことをお詫びします。
やっぱりこのような話は2、3話続けてやるべきでしたかね?かなり駆け足だったので。


 大体を1話に収める関係上、リクエストの内容によっては超短編小説として投稿するので活動報告にも目を光らせておいてください(笑)


 こういった真面目な文章を書いていると、『非日常』を思い出すので懐かしいですね。現に今でも『非日常』に感想を頂くこともあるので、まだ読んでいない人は是非読んでみてください!


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 今回は崩葉さんからのリクエストを採用させて頂きました!!ありがとうございます!!


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ヤンデレる天使たち

 今回はリクエスト回第2弾です!

 ようやく揃って登場、μ'sの天使3人組!!あれ?少し向こうが騒がしいですね?皆さん、ちょっと天使たちの様子を見てきてくれませんか?


 

 

「亜里沙がここに来いって言ってたけど……誰もいねぇじゃん」

 

 

 急に亜里沙が『自主練をするので手伝ってください』と電話をしてきたため、俺は彼女に指定された公園へ来たのだが、そこには人っ子一人いなかった。穂乃果や凛じゃあるまいし、時間はしっかり守る子だと思っていたけど、まさか意外とその面に関してはルーズなのかもしれない。純粋過ぎてかなり度を超えた天然さんだからな。

 

 

「そもそも自主練って1人でやるのか?絵里が付き添ってくれるとか、雪穂と一緒にやるとか、全然そんなこと言ってなかったけど……」

 

 

 ダンスの練習なら絵里に教えてもらった方が効率はいいし、亜里沙はいつも雪穂と練習をしていたため、亜里沙が1人でかつ俺だけを呼び寄せたというのがどうも引っかかる。楓に聞いても何も知らないって言うし……もしかしたらダンスの自主練じゃないとか?じゃあデート!?俺を呼び寄せる口実が欲しかったとか?それなら可愛いものだけど。

 

 

 

 

「零くん!!」

 

 

「うおっ亜里沙!?お前いたのかよ!?」

 

 

 突然後ろから声を掛けられたので振り向いてみると、そこには俺が来る前からここにいたかのように亜里沙が立っていた。全く気配を感じなかったぞ!?どういうことだ……?ことり、花陽、亜里沙の天使組なら俺の天使センサーがすぐにでも反応するのに、今回はまるで背後に忍び寄られたみたいだ。

 

 

「私、零くんをずっと待ってたんだよ♪」

「えっ!?今来たんじゃないの……?」

「もう30分も前から待ってたよ。だって零くんに会えると思うと待ちきれなくって♪」

 

 

 普段の俺なら、亜里沙からこんなに可愛いことを言われれば確実に舞い上がっただあろう。変態野郎の俺をここまで慕ってくれるとは、やはり良くも悪くも純粋で天然ちゃんか。でも今はそんな有頂天にはなれない。彼女はさっきから『ウフフ……』と呟きながら、ニコニコと俺の顔を見つめるばかりだからだ。

 

 

「お、おい……」

「はい!!なんでしょうか零くん♪」

「え、笑顔が眩し……くない」

 

 

 亜里沙に話しかけるだけで、彼女は最高の笑顔を俺に見せる。だがその笑顔はいつもの天使の輝きではなく堕天使のようなヤバさというか、黒さを感じる。表面上ではもの凄くニコニコして、普通の男なら騙されてしまうところだが俺は違う。女の子の黒い一面は実際に体験したことがあるからすぐに分かる。

 

 

「今日はお前だけなのか?他に誰もいないようだけど……」

「えっ?いるじゃないですか……後ろに」

「え゛っ!?」

 

 

 

 

「もうっ!!零君ヒドイよぉ~~、さっきからずっといたのに!!」

 

 

「は、花陽!?いつの間に!?」

 

 

 ビビった!?まさか花陽が後ろにいるとは……亜里沙と同じく全く気配がなかったぞ。もしかしてコイツら、忍者の一族か何かか!?

 まあそんな冗談はさて置き、花陽もニコニコとした表情を崩さない。いつもならお花畑のようなオーラを醸し出している彼女も、今はまるで人食い植物かの如く俺の顔を食い入るように見ている。花陽がここまで欲望を外部へ向けるのはお米とアイドルの話題の時ぐらいなんだけどな……

 

 

「今日の自主連、零君が手伝ってくれるって聞いてずっと楽しみにしていたんだよ♪フフフッ♪」

「そ、それはありがとな……別に大したことはできねぇけど」

「そんなことないよ~零君が見てくれているだけで私、身も心も張り裂けそうなくらい頑張れるから♪」

「それはやめておけ……」

 

 

 こ、怖い!!花陽に恐怖を覚えることなんて今までにあっただろうか?これは以前ことりの家にお邪魔した時、彼女の日記を見てしまったことと同じくらいの狂気を感じる。あの後ことりに何をされたのか……ブルブル、思い出すだけでも恐ろしい!!

 

 

「な、なにっ!?」

 

 

 突然自分の両手首が掴まれたと思ったら、金属音がして俺の腕が後ろに固定させられる。こ、これは手錠!?両手首に付けられ、腕を動かすことができなくなってしまった。亜里沙と花陽は俺の前でニコニコしたままだし一体誰が……?

 

 

「零くん、つっかまえたぁ~~♪」

 

「その声は!?」

 

 

 またしても後ろからここにはいない第三者の声が聞こえてきた。この脳トロボイスは振り向かなくても分かる、ことりだ。俺は手を動かして手錠をガチャガチャとさせるものの、もちろん取れるはずがない。ことりは俺が暴れないようにするためか、俺の両手首を掴んで耳元で囁く。

 

 

「さぁ、一緒に練習しよ♪」

「れ、練習って、ダンスの練習だろ?どうして俺を拘束する必要がある!?」

「えっ?誰もダンスの練習なんて言ってないよ」

「なんだと!?」

 

 

 確かに練習(ダンスとは言っていない)としか聞かされてなかったな。それでもスクールアイドルなんだから、野外で練習って言われると普通ダンスを思い浮かべるだろ!!そして次第にことりが俺の手首を掴む力が強くなってきてやがる……おい、このまま脈を止められるんじゃ!?もしかしてまた俺なにかやっちゃった!?みんなの気に触るようなことあったかな……?

 

 

「じゃあ何をするために俺をここへ呼んだんだよ?」

「ことりちゃんと花陽ちゃんから聞きましたよ。この前、零くんがμ's以外の女の子とイチャコラしていたと」

 

 

 亜里沙がこの話をした途端、ことりと花陽のブラックゲージが上昇した。以前……あぁ、もしかして俺がアイツにチーズケーキを食わされていた時か。でもそれに関してことりも花陽も納得してくれたはずなんだが!?どうしてこうなった!?本当は相当根に持ってたのかもしれない。

 

 

「だ・か・ら♪零くんがこれからμ's以外の女の子とイチャコラしないよう、ことりたちが更生させてあげまぁ~す♪」

「楽しみだねことりちゃん♪」

「うん♪花陽ちゃんも零くんにしっかりと女の子を教えてあげるんだよ♪」

「はい♪」

 

 

 俺の……俺の天使3人組がここまで漆黒に染まった堕天使になっていたとは。それにさっきから連発されている『♪』が怖すぎる!!楽譜でこの記号を見たら今日のことが思い出されそうだ。

 

 

「じゃあまずはキスからいってみましょう~~♪自分の唾液を零くんの体内に送り込んで、零くんはことりたちのものだということを他の女に見せつけよう♪」

「「は~い♪」」

 

「待て待て!!俺の意見は無視かよ!?」

 

 

 キスするぐらいならいいと思ったけど、ことりの言い回しが生々し過ぎて急にキスしたくなくなったぞ!!彼女であることりと花陽は最悪いいとしても、亜里沙とは流石にキスすることなんてできない。もししてしまった場合通報されるまである。いくら堕天使となっているとはいえ、亜里沙を汚すことなんて俺には絶対にできない!!

 

 

「この前、零君とクレープを口移しした時は気持ちよかったなぁ♪今度は私の分泌液をたくさん送り込んであげるね♪」

「送り込まなくてもいいから!!仮にやるとしても普通のキスにしてくれ」

「ダメだよ……」

「へ?」

 

 

 さっきまでご機嫌だった花陽だが、一転して表情もオーラも邪気に満ちる。これはもしかして、ヤンデレ特有の踏んではならないスイッチを踏んでしまったのかもしれない。花陽は俺のすぐ目の前まで歩を進め、光など一寸もない闇に覆われた目で俺の目を貫く。

 

 

「これはね、零君に他の女の子が寄り付かないようにするためだよ。私の分泌液で零君の身体を支配するから、もうこれからそんな心配をする必要もないけどね。フフフッ♪零君は私たちのもの……零君零君零君零君零君零君零君零君零君零君零君零君零君」

 

「落ち着け花陽!!お前は1つ1つのキスを大切にする奴だったはずだ!!こんな欲に塗れたキスなんて――――ってむぐぅ!!!!」

 

 

 俺の説得も届かず、花陽は自分の唇を無理矢理俺の唇に押し当てた。いつもはソフトなキスを望む花陽だが、今回はそれと全くの真逆。初めから唇を開いて俺の口に舌をにゅるっと忍び込ませる。それと同時に口に溜めていたのであろう唾液をすべて俺の身体に流し込んだ。

 

 

「んっ……んん!!」

 

 

 花陽は少し唸り声を上げながら、俺を思いっきり抱きしめ自分の唾液をドクドクと流し続ける。抵抗できない俺はただ彼女の分泌液をゴクゴクと飲み続けるしかなかった。濃厚過ぎるキスに段々と息苦しくなってくる。花陽は自分の舌を俺の舌に擦り付けながら新たな唾液を生成し続け、それを今度は自分で飲み込み楽しそうに味わっていた。

 

 

 ――――ってこれはマズイ!!酸欠になる!!

 

 

 俺は力を振り絞り、いつもとは違って何倍もの力で俺を抱きしめている花陽をようやく剥がし取ることに成功した。

 

 

「はぁはぁ……危うく窒息死するところだった……」

「零君の唾液が私の身体に!?もうこれからは何も食べないし何も飲みません!!この身体を一生維持します!!」

「いや死ぬからねそれ!!」

 

 

 そこまで俺のことを想ってくれるのは嬉しいが、愛の方向だけは歪まないようにしてくれ。このままだと俺が先に死んでしまう。これで花陽がキス中毒になっちまったらどうしよう……?毎日キスをせがんでくる花陽か……それはそれでありかも。

 

 

「次は私の番ですね!!」

「待て!!亜里沙とキスはできない」

「えぇっ!?どうしてですか!?折角私の分泌液で零くんを染め上げられると思ってたのに……」

「やめろやめろ!!もう勘弁してくれ!!それにお前とは恋人同士じゃないんだ、流石にキスは無理だよ」

「むぅ~~、じゃあこの前みたいに膝に座らせてもらってもいいですか?」

「ま、まぁそれだけなら……」

「やった♪じゃああそこのベンチでお願いします♪」

 

 

 そして俺は亜里沙に誘導され、近くのベンチに座らされた。亜里沙の表情は依然としてニコニコしたままだ。まさかこの笑顔に恐怖を感じる時が来るとは思ってもみなかったが、彼女のことだ、悪気などは一切ないのだろう。それを思うと抵抗するのが申し訳ない気持ちになる。それが彼女の巧妙な作戦なのかもしれないが。

 

 

「それでは失礼します♪」

「あ、あぁ……」

 

 

 俺が承諾した瞬間、亜里沙は勢いよく俺に股がる。そんなに急がなくても――――ってえぇ!?対面座位なんて聞いてねぇぞ!?以前とは逆で、亜里沙は俺の方を向くように俺に股がったのだ。そのまま俺の首に腕を回し、ニコッと微笑む。だ、ダメだ騙されるな。これは天使を装った堕天使だ。気を許すと花陽みたいなことになっちまうぞ。

 

 

 それよりもどんなことよりも、さらに興奮することが起こっていた。今日の亜里沙はかなり短いスカートを履いている。さらに俺に股がる時にスカートを直していないため、俺の股には亜里沙の股が直に乗っかっていることになるのだ。つまり亜里沙のパンツの感触、そしてその薄いパンツから感じられる彼女のアソコの割れ目のラインまではっきりと伝わってきた。

 

 これは――――別の意味で俺が爆発してしまいそうだ!!恥ずかしがらずずっとニコニコしている亜里沙を見る限り、恐らく狙ってやっているのだろう。その笑顔からは黒さしか感じられない。

 

 

「分かりますか、私の感触。これが女の子ですよ♪他の女の子のことなんて忘れちゃってくださいね♪」

 

 

 誘ってんのかコイツはぁあああああああああああああ!!そこまで男を弄ぶのが楽しいかぁあああああああああああああああ!!亜里沙に『これが女の子ですよ♪』なんて誘惑されてみろ、理性が飛ばない男なんていないだろ!!くそっ、今すぐ触りたい!!このパンツから伝わってくる感触を生で味わいたい!!この手錠さえなければぁあああああああ!!

 

 

 ハッ!!落ち着け……深呼吸だ。これは本当の亜里沙ではない。ここで無理矢理手を出してしまったら彼女を傷つけることになる。今はまだその時じゃない……ゆっくり落ち着いて対処するんだ。

 

 

「亜里沙の気持ちは十分に伝わったから、そろそろいいかな?ほら、今のままだと手錠があるから何もできないし。また今度……な?」

「むぅ~~、でも私も満足しました♪零くん、気持ちよかったですよ♪」

 

 

 それはどっちの意味なんですかねぇ~~。それよりも素直に膝から降りてくれてよかったよ。もう理性崩壊のカウントダウンが俺の中でスタートしていたからな。もう少しであの亜里沙の純潔を奪ってしまうところだった……

 

 

「じゃあ最後はことりだね♪あっ、零くんは座ったままでいいよ♪」

「おい、何をする気だ?」

「他のメス豚たちが寄り付かないように、ことりの匂いを零君に擦り付けておこうと思ってね♪」

「『思ってね♪』じゃなくて!!なぜ服を脱ごうとしているのかを聞いているんだ!!」

「え?だって零くんって女の子の裸、好きでしょ?」

「す、好きだけど……それが匂いを擦り付けるのとどう関係が!?」

「ことりも零くんも裸になって、お互いに全身を擦り付ければいいんだよ♪これでメス豚も追い払えるね♪」

 

 

 アウトだ!!これは道徳上もアウトだし、放送上でもアウトだ!!いやもう今更かもしれないが、野外露出だけは抑えなければ!!まだそのラインを俺たちが超えるのは早すぎる!!とにかくこの露出狂を静めないと俺に未来はない!!

 

 

「花陽ちゃん、亜里沙ちゃん!!零くんの服を脱がしてあげて♪」

「「はい♪」」

 

 

 積んだかこれは!?!?俺は手錠で両手首を封じられているから抵抗するにも抵抗できない。どうする?このまま野外プレイに身を投じるしかないのか!?花陽と亜里沙の手が俺の服とズボンに掛かる。もはやこれまでなのか!?

 

 

「零君脱ぎ脱ぎしましょう~♪」

「私もドキドキしてきました♪」

「ことりの脱ぐところも見ててね、零くん♪見てないと……ちゅんちゅんしちゃうぞ♡見てなくてもしちゃうけどね♪」

 

 

 ことりは既に上着を脱いで、白いシャツ1枚になっている。興奮しているのか汗でびしょびしょにシャツが濡れているため、下着が透けて丸見えとなっていた。俺はそれに目を取られ、この状況の打開策を考える余裕すらなくなってくる。

 

 

「零くんはことりたちが守ってあげるからね♪ことりの大好きな零くん♪零くん零くん零くん零くん零くん零くん零くん!!ちょっと服を脱いでいる零くんもカッコいいよぉ~♡」

 

 

 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!これは踏み込んではならないラインに、もう髪の毛一本でも動かせば踏み込んでしまう!!

 

 

 もう、おしまい……か?

 

 

 

 

 

 

「はいはいそこまで~~!!はいど~ん♪」

 

 

 

 

「「「!!!」」」

 

「あ、秋葉!?」

 

 

 突然俺たちの目の前に現れたのは秋葉だった。やっぱりコイツらが急におかしくなったのは秋葉のせいだったのか。大抵こういうことをするのはコイツだと相場は決まっている。今回も1枚噛んでいると思ったがまさにその通りだった。

 

 そして秋葉はことりたちの口に無理矢理解毒剤(?)的なモノを飲ませる。『ど~ん』と言ったが、別にビームとか打ってないからな。

 

 

「おい、ことりたち大丈夫か?倒れちまったぞ?」

「心配しなさんな、興奮が冷めて寝ちゃっただけだから。ほら、いい顔してるよ~」

 

 

 ことりたちの表情を見てみると、確かに可愛い顔をして眠っていた。とにかく嵐は去ったんだな、よかった!!あのまま行ったら、拘束されたまま野外プレイを楽しむただの変態になってたからな。

 

 

「これもお前の仕業か?」

「うん♪」

「元気よく答えんな……でもどうして俺を助けた?」

「零君の純潔を残しておけば、また同じようなことで楽しめるじゃない♪」

「……」

 

 

 最悪だなコイツ……もうそれしか言葉が出てこない。確かにみんなの行為には少し、いやかなりドキッとしたけど、恐怖を伴う興奮なんてしたくねぇよ!!多分俺の寿命縮まったな……

 

 

「じゃあね零君、みんなが起きるまでちゃんと見守ってあげなきゃダメだよ?」

「おいちょっと待て!!手錠だけは外してけ!!」

「えぇ~~それが人にものを頼む態度ぉ~~?」

 

 

 ウゼェええええええええええええ!!楓といいコイツといい、俺を苛立たせるのだけは天下一品だな……

 

 

「……外してくれ、頼む」

 

 

 

 

「や~だね♪」

 

 

 

 

「はぁああああああああああああああああああああああ!?!?!?」

 

 

「じゃあねハーレム野郎♪爆発しろ♪ここに警察でも通りかからないかなぁ~~」

 

 

「おいやめろ――ってホントに行くのかよ!!待てって!!おーーーーーーーーい!!」

 

 

 

 

~※~

 

 

 ちなみに元に戻ったことりたちの記憶には、あの時の出来事が鮮明に残っていたみたいで――――

 

 以下が元に戻った彼女たちの反応。誰が誰かはご想像にお任せする。

 

 

「あわわわ……私ってばなんてことを!!あんな濃厚なキスなんて、あわわわわわ……」

 

「零くんとあそこまで触れ合えるなんて……でも恥ずかしいですっ!!」

 

「あ~あ、惜しかったなぁ~~もうちょっとだったのに!!でもまた楽しみができたからいっか♪大好きだよ零くん♡今度は逃げられないよ、フフフッ♪」

 

 




 どうでしたか、天使たち3人組の様子は?騒がしかった理由は分かりましたか?えっ!?言いたくない!?どうして!?


 ――――ということで、前書きと後書きでも遊んでみました(笑)

 まず1つ言い訳。ヤンデレモノを書いていたら、結局変態モノになっていた……

 今回の話はいつか書くだろうと思っていた話だったのですが、まさかここまでキャラ崩壊を起こしてしまうとは……いやぁ変態の妄想は恐ろしいですね!
 前回の真面目回から連続で読んでくれた方は、ギャップの違いに困惑したことでしょう(笑)


 今回は橘田 露草さんからのリクエストを採用させて頂きました!!ありがとうございます!


Twitter始めてみた。ご意見、ご感想、次回予告など。
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~付録~
 『日常』でも一度行った、どのキャラが何話出演しているのかを数えてみた。自分は本当にこのような統計が大好きです(笑)

・零(35/35)
主人公ですから、当然と言えば当然ですね!

・穂乃果(23/35)
本家の主人公ですから!

・ことり(21/35)
基本的にこの小説では危ないキャラ(笑)

・海未(20/35)
実はこの話以外では、ことりとセットで出演してました。

・花陽(21/35)
この小説では割と個人にスポットライトが当たってますね。

・凛(20/35)
花陽とは逆で、あまり個人にライトが当たってないですね。

・真姫(21/35)
ツンデレって扱いやすい!!

・絵里(16/35)
大学生組は軒並み少ないですね。

・希(15/35)
そろそろ彼女メインの話も作りたい。

・にこ(15/35)
もっとスポットライトを浴びせたい。

・楓(23/35)
コイツのキャラは書きやすくていい。

・雪穂(20/35)
ツンデレ属性2人目。

・亜里沙(20/35)
今回は特に可愛かったでしょう?


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ロリコン警報発令中!!

 今回はリクエストではなく通常回。零君が矢澤のロリ姉妹と戯れるだけ!!もうこの時点で零君にロリコン認定をしてやりたいですね(笑)


 

「こんなクソ暑い時期に冷房が壊れるとか正気かよ……」

 

 

 日中の残暑も厳しくなってきた5月末、俺はポンコツ(絵里ではない)になった自室の冷房の後釜を探すため、ショッピングモール内の家電量販店に向かっていた。

 ネットショッピングが普及しているご時世、家電を買うにも通販の方が安い場合があり、種類も豊富なためわざわざ家電量販店に赴く必要がないという現状がある。それでも俺が足を伸ばしている理由は、それなりの値が張る家電を自分の目で実際に見て品定めしたいというただの自己満足だ。

 

 

「人が多い……貧血で倒れて死にそう」

 

 

 俺は人混みが好きではない。そもそも人混みが好きだって人の方が珍しいか、いや可愛い女の子を合法的に見られるという観点なら好きな人もいるかもな。俺だってその条件だったら……まぁ悪くはない。

 

 それにしても、彼女が9人もいるのにも関わらず、こんなクソ暑い休日にたった1人でショッピングモールに行くなんて寂しい人生だね~……そりゃあ俺だってみんなとキャッキャウフフなデートを楽しみたいよ!!男だもん!!でもみんな用事だったり、楓は暑いからと言って引きこもりになったりで、どうあがいてもぼっちで出かけるしかなかったんだよ!!

 

 

 はぁ~……ぼやいていても仕方ないし、サッサと用を済ませて帰るか。

 

 

 

 

 

「あっ!!ロリコンのお兄さんだ!!」

 

 

「あ゛っ!?誰がロリコンだゴルァ!!!!」

 

 

 後ろから突然幼い声で因縁を付けられたため、俺は反射的にその相手を威嚇した。

 

 だが待って欲しい。周りには俺以外にもたくさんの人がいるのだ。つまり、その因縁が俺に付けられたとは限らないのである。それなのにも関わらず、俺は反射的に相手の挑発に乗ってしまった。相手の顔も分からないのに。したがって、言い返してしまったせいで俺は周りから見ればロリコンということになってしまうのではなかろうか?

 

 その逆で、もし仮に因縁が俺に付けられていた場合、俺はロリコンということになる。幼そうな声でそう言われているんだ、弁解のしようもない。

 

 つまりだ、言い返した時点で俺はどちらにせよロリコンということではないだろうか…………し、しまったぁあああああああああああああああああ!!

 

 

「だ、大丈夫!?身体震えてるよ?」

「だ、大丈夫大丈夫――――って、お前はにこの妹の……こころ?」

「ここあだよ!!」

「あっ、ホントだ……」

 

 

 俺に因縁を付けてきたのは矢澤ここあ。にこの妹の1人であり、こころと違ってやんちゃな性格。見た目はこころと変わらないが、髪の毛を向かって左側に結んでいるのがここあだ。ちなみにこころは向かって右に髪を結んでいる。正直この結び方を変えられたら、俺では見分けがつかないだろう。

 

 

「久しぶりだね♪ロリコンのお兄さん!!」

「口を閉じろクソガキ。大人をからかうと痛い目みるぜ」

「女の子に痛い目!?やっぱりロリコンなんだ!!」

「悪かったからロリコンロリコン言わないで!!周りに人いっぱいいるから!!」

 

 

 くそっ!!高3男子と幼い女の子じゃ俺に勝ち目がない(社会的な意味で)。確かこころが今年から中学生だから、コイツはまだ小学生なんだよな。ダメだ、これ以上の抵抗は社会的に抹殺される恐れがある。ここは穏便に事を回避しよう。

 

 

「それにしてもお前はここで何してんだ?1人か?」

「『1人か?』って聞いてくる男はロリコンだってお姉ちゃんが言ってたよ♪」

 

 

 こら矢澤ぁあああああああああああああああああ!!自分の妹にどんな教育を施してやがる!!確かに合ってるけど、そこは『俺以外の男』という言葉を付け加えておいて欲しかった!!それにそんなことを言う奴はロリコンじゃなくてただの変質者だろ……

 

 

「いいから真面目に答えてくれ、周りの目が痛い……」

「あはは♪こころと一緒に買い物に来たんだけど、人が多くてはぐれちゃって~」

「いや『はぐれちゃって~』じゃなくて、探さなくていいのかよ」

「大丈夫!!このでっかい時計の前に集合って、さっき電話したから」

 

 

 前から思ってたけど、矢澤姉妹って中々スペックが高いというかしっかりしている奴らばかりだな。にこはいいお姉さんで、こころは礼儀正しく、ここあは頭の回転が早いような気がする。これはこたろうも大物になるんじゃないか?

 

 

「ロリコンのお兄さんもお買い物?」

「まずその"ロリコンのお兄さん"っていうのをやめようか。俺には"神崎零"というカッコいい名前があるんだよ」

「自分でカッコいいとか……引くわぁ」

「お前急にドライになるなよ……せめて"ロリコン"だけは名前から外してくれ!!」

「じゃあお兄ちゃんでいい?私、お兄ちゃん欲しかったんだ!!」

「まぁそれでもいっか……」

 

 

 笑顔でそんなことを言われたら、心にグッと来るものがある。決してロリコンだからじゃないぞ!!普段は楓からしかお兄ちゃんって言われてないから、ちょっと舞い上がっただけだ!!

 

 

「いたいた!!やっと見つけました!!」

「あっ、こころが来た。お~い!!」

「もう勝手に先へ行ってはダメですよ――――って、零さん!?」

「よっ、久しぶりだな」

 

 

 そして矢澤こころのご到着。こころの奴、見ない間に大きくなったなぁ~~。やっぱり中学生になると誰しも大人っぽく見えるもんだ。もしかすると、身長だけならにこを追い越してしまうかもしれないぞ。胸の方は――――って、なんで俺は数ヶ月前まで小学生のだった子の胸見てるんだ!?アイツらと恋人同士になってからというもの、もう可愛い女の子を見るだけで反射的に目が胸に行ってしまうようになった。煩悩退散煩悩退散!!

 

 

「どうして零さんと一緒に……?」

「さっきたまたま会ったんだよ。『ロリコンのお兄さん』って言ったらすぐに振り向いてくれたんだ!!」

「ろ、ロリコン……?零さん、まさかここあに……」

「違う違う!!お前の被害妄想だ!!それにこの前、その誤解は解けたはずでは……?」

「そうですけど、妹やお姉ちゃんに手を出すのなら容赦はしません!!特にロリコンには……」

「だから何もやってないから!?それにお姉ちゃんって……まぁアイツもロリの類だけどさ」

「やっぱりお兄ちゃんはロリコン!?」

「ちょっとお前ら一旦黙ろうか!!」

 

 

 このままコイツらにベラベラ喋らせておくと、いつか俺が社会から追放される時が来るだろう。いくら俺が完璧だといってもロリっ子には敵わない。俺の弱点がロリっ子だと世間に知られたら、俺とμ'sのみんなが付き合っていることに嫉妬したファンが俺にロリっ子を送りつけてくるかもしれない。そうして俺を社会的に抹殺しようと……

 

 別に付き合っていることは一部の人を除き外部に言ってないから、それは有り得ないんだけどね……

 

 

「今からお兄ちゃんと一緒に遊ぶことにしたから!!こころもいいでしょ?」

「いいですけど……零さんにも用事があるのでは?」

「俺か?俺は別にいいよ。このまま帰ったって妹の相手をしなきゃならないからな」

「決まりだね♪じゃああのおっきい公園へ行こうよ!!」

 

 

 ここあが指を差したのは、ショッピングモールの敷地内にあるでかい公園だ。そうはいっても遊具などはなく、代わりに屋台がたくさん並んでいるので公園というよりかは憩いの広場という感じだ。

 

 

 成り行きで承諾しちまったけど、これって俺の人生大丈夫?通報されたりしないよな?彼女の妹たちと一緒に遊ぶだけなんだ、それ以外に特別な感情なんてない!!そう、これはガキのお守りだ!!俺はロリコンじゃない俺はロリコンじゃない俺はロリコンじゃない俺はロリコンじゃない俺はロリコンじゃない俺はロリコンじゃない……

 

 

「ほら行くよ、ロリコンのお兄さん!!」

「呼び方戻ってる!?!?」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ほら、ジュース買ってきたぞ」

「おっ、きたきた♪」

「もうっ、失礼ですよここあ!!すみませんわざわざ……いくらでしたか?」

「えっ?いいって!!気持ちだけ受け取っておくよ」

「ぷはぁーー!!冷たくて美味い!!」

「もうここあったら……ありがとうございます!!」

「どういたしまして」

 

 

 そもそも、小学生と中学生からお金なんて受け取れるかよ。これはプライドというよりも道徳的にやっちゃいけないような気がする。

 そしてこころとここあ。ほぼ同じ見た目をしているのにも関わらず、ここまで性格が違うものなのか。別に感謝されるために買ってきたわけじゃねぇけど。それに、俺はコイツらが笑顔でさえいてくれればそれでいい。コイツらが自分の彼女の妹だからとかそういうことじゃなくて、単純にこの子たちの笑っている姿を見たいだけだ。そのためならどれだけでも貢いでやるよ。

 

 なんだろうか……俺が言うこと一言一言がロリコン発言に聞こえなくもない。穂乃果たちに『笑顔でさえいてくれれば』って言うのは大丈夫だけど、こころとここあに言うと途端にロリコン判定を下されそうだ。世間の目ってメンドくせぇ……

 

 

「うぐっ、ケホッケホッ!!」

「だ、大丈夫ですかここあ!!」

「そんな一気に飲もうとするからむせるんだよ」

 

 

 そんなキンキンに冷えたオレンジジュースをゴクゴクと一気飲みするからだ。あ~あ、可愛い洋服なのに少し汚れちゃったよ……どうすっかなぁ、近くに洗えそうな場所はないものか。でもとりあえず口だけでも拭いてやるか。

 

 

「今口拭いてやるから動くなよ」

「んっ……むぐっ」

 

 

 俺はハンカチでここあの口周りに飛び散ったオレンジジュースを拭ってやった。全く、やんちゃで世話が掛かる奴だな。でもそれが可愛いから憎めない。生意気だけど可愛気があるところは凛やにことそっくりかもな。こっちは純粋なロリっ子だけど……

 

 ん?待て待て、また俺はロリコン発言をしていたのでは!?いや、ロリコンロリコンって思うからロリコンに見えるだけで、何も思わなければそれで済む話じゃないか!!だったらコイツらをロリっ子ではない別の設定に置き換えて想像してみよう!!

 

 そうだ、穂乃果たちと同じく彼女という設定にしてみよう――――って、ダメだ!!こころとここあを俺の彼女とか、そんな設定を考える時点で俺はロリコンだ!!それはもっと成長してから、高校生ぐらいになってからだろその設定は!!

 

 高校生のこころとここあか……可愛くなるだろうな、絶対――――って、また妄想しちまった!!もう俺を誰か止めてくれぇえええええええ!!

 

 

「零さん?もしかしてお疲れですか?」

「えっ、だ、大丈夫だ。ありがとな」

「そうですか?顔色が悪いような気がしますけど……あっ、じゃあこれ飲みますか?」

「な゛に!?!?」

 

 

 俺を心配してくれるのはありがたいけど、飲みかけを俺に向けるのはやめてくれ。こころが口を付けていたストローの先から、ジュースの雫が垂れてすごくいい味だしてやがる!!そりゃあ俺だって飲みたいよ!!だってこんな可愛いくて天使みたいな子が飲んでいたジュースなんだぞ!!一緒のストローで飲みたくないわけないだろ!!でもそんなことをしたら本格的にロリコン認定されてしまう!!

 

 

「じゃあ私のジュースも飲んでよお兄ちゃん!!これ美味しいから!!」

「はぁ!?い、いや俺はいいよ……」

「えぇ~……美味しいのに……」

 

 

 そんなしょぼんとした顔すんなよ!!可愛いじゃねぇか!!さっきまでやんちゃで生意気だったここあが、急にしおらしくなりやがった!!俺はそんな女の子のギャップに弱いんだよ!!特に小さな女の子にそんな顔をされると断れなくなる!!そこまで俺をロリコンに仕立て上げたいのかコイツらは!?

 

 

「分かった!!飲むよ飲めばいいんだろ!!」

「へへ♪やった!!」

「零さん、私のジュースもいかがですか?」

「う゛っ、じゃ、じゃあ頂こうかな……?」

「はい、どうぞです♪」

 

 

 何でそんなに嬉しそうなの2人共……特にこころの顔がトマトみたいに赤くなってるぞ!?か、可愛いじゃねぇか……

 こ、これは決して飲みたいとか、そういうのじゃないんだからね!!ただ2人がくれたから飲むだけなんだからね!!

 

 俺は覚悟を決め、2本のストロー同時に自分の口を付ける。遂にこころとここあの2人と関節キスをしてしまった……でもこの2人はまだまだ子供だ。そんなやましいことなんて微塵にも思っていないだろう。俺が黙ってさえいれば何も起こることはない。あらぬ被害妄想をするから傷が拡大するのだ。

 

 あ、甘いな、こころとここあのジュース……

 

 

「あっ……」

「ど、どうしたこころ……?」

「いえ!!なんでもないです……」

 

 

 こころの顔が赤い。もしかしてコイツ……ま、まさか!?いや、こころは中学生になったばかりなんだぞ、関節キスぐらいで……ねぇ?そしてここあはこころを見てニヤニヤしている。こ、これは……なんとなく分かったけど黙っておこう。だって中学生になったばかりの子と恋愛なんて、いくら何でも早すぎるだろ!!9股野郎の俺でもそれだけはできない!!

 

 

「ほれ、ジュース返すよ」

「あれぇ~?全部飲んでないよ?」

「流石に全部もらうわけにはいかないだろ。この俺が買ってやったんだ、しっかりと味わって飲め」

「じゃあ下に溜まっているから振っちゃお」

 

 

 ここあが飲んでいたのは果汁入りのオレンジジュースで、オレンジの粒が一緒にジュースの中に入っているモノだ。飲んでいる間に下に溜まった粒をジュース全体に分散させようとカップを振り始めたのだが、ここまで不幸続きの俺のカンがここあを止めるよう指示してきた。

 

 

「ここあ、あまりカップを振ると――――」

「きゃあっ!?」

「こ、こころ!?」

 

 

 お、遅かった!!

 

 ここあがカップを振り過ぎたせいでフタが取れ、中身のジュースがこころの胸にぶっかけられた。なんてオイシイ展開……いやいや、なんたる不幸な展開なんだ!!早く拭いてやらないと!!

 

 そこで俺はハンカチを取り出したのだが、なぜかそれに付いていたオレンジの染みについて考えてしまった。

 これって……さっき俺がここあの口を拭いてあげた時の染みだよな?つまりここあの唾液がこれに――――って、また変なことを妄想しようとしている!!違う!!これは最近ことりが、俺の涎付きハンカチを収集してるってカミングアウトしてきたせいなんだ!!俺はアイツに精神操作されているんだ!!

 

 

「いやぁ~~ベトベトです!!」

「あわわ、私はハンカチ持ってないし……お兄ちゃん!!早くこころを拭いてあげて!!」

「あ、あぁ……」

 

 

 そこでさらに追い討ちをかけるかのように、俺の目にとんでもないものが映り込んだ。

 こころが着ている服は白いシャツ1枚だけ。外が暑いから薄着になるのは仕方ないことだけど、飛び散ったジュースのせいで白いシャツの下が透けて見えていた。

 

 しかもコイツ、下着を着けてない……だと!?これくらいの女の子って下着を着けないの!?確かにまだ中学生になったばかりだけど……み、見えそう!!女の子の胸の先端が……こころのお豆さんが今にも透けて見えそうだ!!水も滴るいい女という言葉があるけど、中学生にして非常に絵になる光景だ。どうしてここまで興奮を掻き立てられる!?

 

 どうする!?これは目を逸らすべきなのか否か?男としてなら見るべきだ!!いくら相手がロリっ子だろうが女の子であることには変わりはない!!でも見てしまうと道徳的にも社会的にも抹殺される!!俺は彼女の妹、しかもまだこの前まで小学生だった子の裸を見るような真似をしているんだぞ!?

 

 

 見るか見ないか、ここで俺が選ぶ選択肢は――――

 

 

 もちろん見――――

 

 

 

 

 

 

「いたいた!!おーーい!!こころ、ここあ!!」

 

 

「あっ、お姉ちゃんだ!!」

「お姉さま!?」

「えっ!?に、にこ!?」

 

 

 俺が決断をしようとした瞬間、突然聞きなれた声が聞こえてきた。前を見てみると、遠くからにこが妹たちの名前を呼びながらこちらへとやって来る。それと同時にこころはにこの方を向いてしまったため、彼女の透けていた肌を拝むことはできなくなってしまった。いや、見ようと思ってないけどね!!信じてくれ!!

 

 

「その服どうしたの!?ジュースこぼしちゃった?まさか……零?」

「なんでやねん!!とりあえず俺のせいにしておけばいい理論やめてくれないかな!?それよりお前、今日大学の補講って言ってなかったか?」

「もう終わったのよ。そこで買い物してたらアンタらを見つけたってわけ」

「なんたる偶然……」

「とりあえず近くのトイレで着替えましょ。さっきこころたちのために買った服があるから」

「そうだな。俺がここあを見てるから、すぐに行ってこいよ」

「悪いわね」

 

 

 にこが来てなかったら今頃どうなっていたのだろうか……?興奮を抑えきれずにその場で取り押さえられ、そのまま刑務所行きの可能性だってあったかもしれない。どうであれにこに感謝をしなきゃいけないな。

 

 

 こころがにこに連れて行かれたため、俺はここあと2人きりになる。去り際に、頬を真っ赤に染めたこころが俺のことをチラッと振り返ったのが大人の女っぽくて少しドキっとした。

 

 

「こころって、家でお兄ちゃんの話題が出るとすごく嬉しそうにするんだよ!!」

「えっ!?」

「さっきから、ずっとこころの顔が赤かったことに気づいてた?」

「ま、まぁ恥ずかしいからだろうな……」

「それもあるけど、もしかしたら見てもらいたかったんじゃない?」

「見てもらいたい!?な、なにを!?」

「さぁね~~♪」

 

 

 そして俺は今日一日、こころの濡れ場シーンがずっと頭に浮かんで消えることはなかった……

 

 

 もういいかな?ロリコンでも……

 

 




 遂に零君が悟りを開いた!!これで零君と矢澤のロリ姉妹がイチャコラする展開を書くことができますね(笑)


『服が濡れて透けて肌が見える』というハプニングが好きになってしまったため、今後も同じような展開があると思われます。でもそれを矢澤のロリ姉妹に使うのはためらわれましたが……


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次回のタイトルは『神崎零のハーレムな1日』!!


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神崎零のハーレムな1日

 今回は日常回!
 零君が普段毎日をどのように過ごしているのかを描いてみました。特に話に起伏もないので、みんなのイチャイチャっぷりに少しでもニヤついてくれると嬉しいです!


 またちょっとした宣伝があるので、是非後書きもご覧下さい。


 

 

「もう2時か……そろそろ寝なきゃな」

 

 

 月曜日の夜っていうのは非常に心が重たい。まだ休日までに4日もあると思うと、このまま週末まで寝て過ごしたくなってしまう。特に最近はバタバタ(主にスクールアイドルになったりとか、ヤンデレた天使たちに襲われたりとか、ロリコン扱いされたりとか)していたため微妙に疲れが抜けきっていない。この負の連鎖を断ち切るために何かできることは……

 

 そうだ、誰かにモーニングコールをお願いしてみようか。いつもは楓に起こされているから、たまには自分の彼女の声で起こされてみたいものだ。それで誰にやってもらうかだが、やっぱりモーニングコールをしてもらうならことりか花陽かな?2人の甘い声だと逆に眠たくなっちまいそうだけど……

 

 とりあえずことりに頼んでみようと携帯を取り出して、連絡用アプリ(緑色のアレ)を起動する。基本はμ'sのグループ内で連絡を取り合うので個人間で連絡をすることは稀だ。だからことりの名前を探すため、今画面をスクロールしているのだが……

 

 

「こうして見ると、俺って女の子しか友達がいない……」

 

 

 穂乃果、ことり、海未、花陽、凛、真姫、にこ、希、絵里、雪穂、亜里沙、楓、秋葉、ツバサ、英玲奈、あんじゅ、こころ(この前教えてもらった)、ヒデコ、フミコ、ミカ、その他、明らかに普通の男子の携帯じゃないなコレ。こんな人生を歩んでいる男子高校生がいるだろうか……

 

 

 待てよ!?この携帯、高く売れるんじゃ……だってあのμ'sやA-RISEの誰とでも電話やメールができるんだぞ!?すごいことに気づいてしまったのかもしれない!?数十万は余裕で稼げるだろうな。

 

 

 …………

 

 

「くだらね……もう眠いし寝るか」

 

 

 もう既にモーニングコールのことなど忘れ、明日はどんな女の子とどんな出会いがあって、一緒にどんなことをするのかを楽しみに俺はベッドに飛び乗り横になった。我ながら贅沢な人生を歩んでいるような気がする。しかも可愛い彼女が9人もいるうえ、μ'sもA-RISEもトップスクールアイドルだ。もしかして俺、働かなくてもみんなのヒモになって食っていけるんじゃね?これが勝ち組ってやつか……

 

 

 …………

 

 

 ZZZ……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「お兄ちゃん♪目覚めのキスの時間だよ♪」

「残念今目が覚めた!!」

「えぇ~またお預けか……」

「なんで毎朝俺はキス攻防戦に強制参加せねばならんのだ!?」

「だって恋人同士でしょ?」

「さも当たり前見たいな口調と顔すんな!!寝起きだけど、そんな見え見えの嘘に騙されるか!!」

「う~ん、残念♪」

 

 

 俺の朝は、こうしていつも自分の貞操を守ることから始まる。ちなみにキス攻防戦に関しては俺の全戦全勝。流石に血の繋がっている実の妹とキスなんてできないからな。でもコイツはそんなことはお構いなしのため、少しでも気を許せば実妹ルートのフラグが立ってしまうだろう。

 

 

「あっ、お兄ちゃんの勃ってる……手でして欲しい?それともお口?」

「やらないという選択肢はないのか……とりあえず部屋から出てけ」

「やっぱり冷たいなぁ~~、でもまぁ簡単にデレたらつまんないもんね♪」

 

 

 この妹怖すぎる!!やっぱり一緒に住むのは間違いだったか!?4月から楓が引っ越してきたせいで俺の一人暮らしが崩壊し、貞操の危機になるまで追い詰められた。危険すぎる!!

 

 

「もうこんな時間!!お兄ちゃん、朝ごはんできてるから一緒に食べよ♪」

「あ、あぁ……」

 

 

 楓は先程までの黒さが一切ない、明るい笑顔を俺に向ける。

 たまにこうして可愛い笑顔になるのは反則だよな……妹とはいえドキっとしてしまう。ことり並みの胸、絵里並みのスタイル、海未と同じ綺麗で長い髪(コイツは茶髪だが)、可愛くもあり美人でもある、μ'sのみんなからイイトコ取りした完璧なプロポーションだ。そんな妹がエプロン姿でご飯を誘ってきたら俺だって動揺する。

 

 

 これが俺と妹である楓との朝。いつもだいたいこんな感じで貞操の危機に瀕している。ちなみに楓の作る飯は超美味い!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「お~す……」

「おはよう零君!!」

「穂乃果!?急に抱きつくな、危ないだろ」

「えへへ~♪でも零君を見たら抱きつきたくなっちゃうんだよ♪」

 

 

 これが穂乃果式挨拶法。突然後ろからガバっと覆い被さって抱きついてくる。

 もう普通に生活していてはあり得ないことが日常となっていた。黙っていても女の子が自ら抱きついてくるなんて、これどんな非日常!?もちろん迷惑なんてしていない。1人1人違う女の子特有の匂いと温もりに俺は毎回浸っている。

 

 

「零君、あったかいねぇ~」

「お前もな。思いっきり背中に胸当たってるし」

「やっぱりエッチだなぁ零君は。じゃあもっと当ててあげるよ、うりゃうりゃ♪」

 

 

 うぉおおおおっ!!この一年である程度大きくなった穂乃果の胸が、俺の背中でふにょんと形が変わっているのが分かる。こんなことしてる時点で穂乃果も変態じゃねぇか!!こんな純粋で太陽みたいな奴を汚したのは誰だ!?

 

 

「穂乃果ちゃんだけずる~い!!ことりもぉ~!!」

「ことり!?お前いつの前に!?」

「ことりは前から抱きついちゃう♪えいっ!!」

「うぐっ!!」

 

 

 や、柔らかい!!特にスリスリと俺に擦り付けてくる胸と太もも、突つけばどちらもプルンと揺れそうだ。コイツ絶対にわざと当ててるだろ!!俺は知ってるぞ!!お前はニコニコしながらもその裏ではとても腹黒いことを考えているのだと。

 

 

「ことり、また胸大きくなったんだよ♪これも零くんが毎日揉んでくれているおかげかな?」

「大きくなるのは嬉しいことだが、その記憶は捏造が含まれてる。毎日はやってないだろ!!」

「えぇ~そうだっけ?でもことりは毎日夜、零くんに○○○される妄想をしてるけどね♪」

「今は俺たち以外の人がいないからいいが、それを決して公衆の面前で言わないこと」

 

 

 もう妄想と現実の区別があやふやになってるぞ!?大丈夫かことりは……?

 そして穂乃果とことりにサンドイッチされるのはもはや毎日の恒例行事となっている。特に去年から格段に成長している2人の胸が、俺の胸と背中にグイグイと押し付けられて非常に気持ちがいい。こうやって俺は穂乃果とことりの成長過程を楽しんでいるのだ。あぁ~……柔らかくて気持ちよくて昇天するぅ~……

 

 

「全く、毎日毎日飽きないですねあなたたち」

「そんなこと言って、海未ちゃんも零くんに抱きつきたいんでしょ?」

「そ、そんなことは……!!」

「幼馴染だもん、穂乃果たちの目は誤魔化せないよ!!」

「じゃあ海未ちゃんもどうぞ♪」

「きゃっ!!引っ張らないでください!!」

「おっと!!」

 

 

 穂乃果とことりに引っ張られた海未の身体を、俺は全身を使って受け止める。そのまま流れで海未を抱きしめる形になったけど、これってまた殴られるパターンじゃあ――――っと思っていたが、意外にも海未は俺を抱きつき返してきた。頬が赤くなっており、どことなく安心したような表情をしている。そうか、やっぱりコイツもこうして欲しかったんだな。

 

 

「お前も成長したな……」

「どこのことを言っているんです?」

「うっ……い、色々だよ」

「ふふっ♪ありがとうございます。でも身長はこれ以上伸びなくてもいいかなと思っています」

「えっ、どうして……?」

「だって大きくなったら、私の身体が零の身体にすっぽり収まらないではありませんか♪」

 

 

 え、笑顔でそんなこと言いやがって……可愛すぎるだろコノヤロウ!!穂乃果たちと一緒にいるといつもドキドキの連続だ。楽しいこともあるけど、それ以上にドキッとさせられることも多い。なんて幸せな毎日なのだろうかと自分でも思ってしまうな。

 

 

「なんだか穂乃果、零君とちゅーしたくなってきちゃった♪」

「奇遇だね♪それならことりもだよ♪」

「お、おい!!」

「いくよ零君!!」

「ことりだって!!」

「そ、それなら私も!!」

「えっ!?海未も!?」

 

 

 そして、俺の右頬が穂乃果に、左頬がことりに、そして唇が海未にキスをされた。

 ま、まさか3人同時に来るとは!?恥ずかしさと興奮で爆発しそうだなんて間違っても言えない!!

 いくらこの3人であってもここまで迫ってくるのは非常に珍しいのだが、これも俺のありふれた日常の一部だ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「零くんだにゃ!!とうっ!!」

「ぐへっ!!凛!!後ろから首に腕を回す抱きつき方やめてくれ!!命の危機だ!!」

「凛は命を賭けるほど零くんが好きなんだよ♪」

「嬉しいけど物騒だな……」

 

 

 休み時間、中庭を歩いていた俺に突如襲ってきたのは凛。穂乃果やことりと同じく抱きついてくるのは変わらないのだが、遠くから俺を見つけるなり全速力で走って抱きついてくるので俺に多少のダメージが被る。それだけ好きでいてくれるのは嬉しいんだけどな。

 

 

「凛ったら、急に走り出すんだから……」

「凛ちゃん待ってよぉ~……」

「花陽、真姫、お前らも走ってきたのか?」

「ゴメンゴメン、零くんの姿が見えたからつい♪」

 

 

 俺はGホイホイのエサかよ!!凛の視界に入るたびに命を賭けなきゃならんのか!!

 それにしても、相変わらず真姫も花陽も凛に振り回されっぱなしだな。特に恋人同士となってからの凛のアグレッシブさは半端ではない。よく考えれば、高校に入るまでは花陽だけでコイツを抑えていたんだよな……

 

 

「今までよくやったな花陽。ご褒美に頭をナデナデしてやろう」

「ふぇえええええ!?どんな流れで!?」

「いいからいいから、ほら頭出して」

「は、はい……」

 

 

 花陽はクイッと可愛らしく頭をこちらに向ける。指を胸の前でクルクルさせ、上目遣いでこちらを見るその仕草にまたしても俺の心が響く。ある意味で男を落とすことに関しては天然なところがあるのかもしれない。

 

 

「ほら真姫もやってやるぞ」

「わ、私はいいわよ……」

「遠慮すんな。俺がただしたいだけだから」

「もうっ……ちょっとだけよ?」

 

 

 そのセリフがかなり色っぽく聞こえた俺は変態なのか!?大人っぽい真姫が言うからこそそのセリフが際立って見える。

 なんだかんだ言って、真姫も花陽と同じく頭をちょこっと前に突き出した。お得意の髪の毛クルクルもご披露している。女の子が自分に頭を向けてくれるだけで萌えるとは、もうどんな仕草でも萌え死にできそうだ。

 

 そして俺は花陽と真姫の頭をそっとナデナデする。

 

 

「ふわぁ~……気持ちいいです♪」

「まぁ……いいんじゃないかしら」

 

 

 真姫の奴、またそんなツンツンしたこと言っちゃって。言葉ではそう言ってるが、実際にはあまり気持ちよさに表情が緩みに緩みきっているぞ。ツンデレはやっぱりデレを見せる時が一番だな!!

 

 

「かよちんと真姫ちゃんばっかりズルいにゃ!!凛もナデナデしてよぉ~」

「分かったから!!抱きついたまま暴れるな!!」

 

 

 こうして花陽と真姫に嫉妬して、自分にもやれ!!っていうのが凛の定例だ。

 こうして女の子に抱きしめられ、頭をナデナデできるなんて本当に幸せな学院ライフを送っている。やっぱりみんなと付き合ってよかった!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「あれ?雪穂に亜里沙、今から昼飯か?」

「はい、さっきまで体育だったので少し遅れちゃって……」

「零くんも一緒に食べませんか?」

「いいけど、楓は?」

「授業をサボったので先生に説教されてます」

「俺と一緒のことすんなよ……」

 

 

 昼休み、雪穂と亜里沙に誘われ一緒にランチを取ることにした。そうは言っても俺は既に食べ終えているため、弁当のおかずを一方的にもらうだけになってしまうのだが。最近亜里沙は料理の腕を上げるため、俺に弁当のみならずお菓子など様々なモノを作ってくれる。そして意外にも、雪穂も同じことをしてくれているので驚きだ。

 

 

「はい零くん、あ~ん♪です」

「あ~ん」

 

 

 俺は亜里沙の作った卵焼きを頂いた。

 こ、これは!?俺好みの甘く味付けされた最高の卵焼きだ!!亜里沙は料理の腕を上げるといっても、基本的には俺の好みに合わせて重点的に味付けをしてくれている。俺は甘いものが好きだから、このままだと作れるものが偏っちゃいそうだな。

 

 

「どうですか?」

「美味すぎるよ!!これから一生俺のために卵焼きを作ってくれ!!」

「えぇええっ!?よ、よろこんで♪よろしくお願いします!!」

「なんだか告白っぽくなっちゃったな」

「こ、告白!?ハラショーーーーーー!!」

 

 

 亜里沙は顔を真っ赤にして今にも壊れてしまいそうだ。ちょっと遊びすぎたかな?でもこんなに純粋で天使みたいな子に毎日お弁当を作ってもらえるなら、告白の1つや2つくらいいくらでもしてやろう。是非とも俺のお嫁さんになって欲しい!!

 

 

「おっ、雪穂のそのハンバーグも美味そうだな」

「わ、私が食べさせるんですか……?」

「ダメか?」

「別にダメってわけでもないですけど……やる必要もないっていうか……もうっ!!しょうがないですね、今日だけですよ!!」

「照れなくてもいいって」

「照れてないです!!言いがかりはやめてください!!」

 

 

 ツンデレ第2号も平常運転で大変よろしい。それにコイツも真姫と一緒で言葉では否定していても、表情を見れば食べれくれることに喜んで頬が緩んでいるのがよく分かる。特に雪穂はまだ幼さが残っているから、そんな表情を見せられると可愛くてしょうがない。

 

 

「いきますよ、はいあ~ん」

「あ~ん」

 

 

 おおっ!!このハンバーグを噛んだ瞬間、中から香ばしい肉汁が俺の味覚を支配した。まさか弁当に入れるハンバーグでここまでのクオリティが出せるとは……これは俺にも作り方を伝授して欲しいところだ。

 

 

「これは雪穂が作ったのか?」

「えぇ、夕飯の残りですけどね」

「それでも美味しいよ!!今度一緒に作り方を教えてくれないか?」

「一緒に!?!?それって2人きりってことですか……?」

「当たり前だろ」

「それじゃあ次の休日にでも!!」

 

 

 予定立てるのはやっ!!そんなにワクワクすることか!?

 雪穂の表情を見てみると、さっきよりもウキウキ気分で浮ついている。こんなにテンションの高い雪穂は初めて見たかも……でもこうして女の子の意外な一面を見られるのもいいな。やっぱり俺って幸せものだ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「お~す」

「零!!」

「ぐはぁ!!にこ!?く、苦しい!!」

 

 

 放課後、部室の扉を開けた瞬間突然にこにダイビングホールドをされ部室の床に倒れこむ。この歓迎っぷりは今日一番の激しさだ。にこはスリスリと自分の頬っぺを俺の頬っぺに擦り付け、柔らかい太ももで俺のアレをグイグイシゴき上げる。やめろやめろ!!いつからこんな変態になった!?!?

 

 

「にこ、ずっと零とこうしたかったの!!最近また会えなかったから……」

「えぇ~と、4日会ってないだけだよな?」

「にこにとって4日は膨大な時間なの!!さあ零、キスしましょ♪んっ……」

「むぐっ……」

 

 

 さらに突然唇を奪われる。さっきから展開が早すぎて着いていけねぇよ。コイツはこういうことを頻繁にしてくるので慣れてはいるのだが、抱きつかからキスの流れまでが毎回早すぎて呼吸が整わない。

 にこは俺の唾液を十分に吸い取ってゴクリと飲み込んだ。呼吸が整わないのは濃厚すぎるキスに息が遮られるというのもある。μ's随一のキス魔は恐ろしい……

 

 

「にこっちも零君も妬けるなぁ~、ウチももっと構ってよ♪」

「構ってと言われてもこの状態じゃあ……」

「にこっちの太ももでスリスリされた零君のソレ……ウチの胸で静めてあげようか?なんてね♪」

「や、やってくれって言ったら……?」

「それやったら……これでどう?」

 

 

 うぉおおおおおおおおおおおおお!!希は服を少しだけはだけさせ、その隙間から紫の下着を僅かに見せてきた。もう6月に入り衣替えの季節になったため、当然みんな夏服だ。薄着のせいで強調されていた希の大きな胸が、服をはだけているせいでさらに俺の興奮を煽るボリュームとなっていた。

 

 

「ちょっと希、にこの零を取るんじゃないわよ!!にこの胸だって、零に揉むに揉まれて大きくなってるんだから!!」

「それやったらウチも一緒や。もう零君に開発されてるんやから♪」

「にこだって、零の手ならすぐにイケるぐらいには開発されてるわよ!!」

「希もにこもやめなさい!!会話が生々しいわよ!!」

「絵里もこの前のデートで、胸を突っつかれて喘いでたじゃん」

「「えっ!?」」

 

 

 さっきまで2人で争っていた希とにこの目が、俺の言葉と共に一瞬にして絵里へ向けられた。2人は『嘘でしょ!?あの絵里が!?』みたいな驚いた顔をしているがすべて事実だ。絵里は恋愛に関して禁則事項を出すぐらい恋人の付き合い方には厳しかったからな、無理もないだろう。

 

 

「やっぱり絵里ちも変態さんやったんやね♪」

「ち、違うのよ!!あれは零に無理矢理!!」

「零に無理矢理!?何ソレ羨ましい!!零、にこの胸も突いていいわよ?」

「なぜそうなる!?いややりたいけどさ……」

「これで絵里ちもウチらの仲間入りやね☆」

「は、ハラショ~……」

「遂に絵里が壊れてしまったぞ……」

 

 

 絵里は俺に胸を突っつかれていた時の光景を思い出したのか、顔を真っ赤にしてショートしてしまった。普段の絵里は綺麗だが、賢くない絵里は可愛いという2重ギャップが彼女の魅力だ。それでいてスタイル抜群で胸も大きいとか言うことなしだろ。また胸を突っつかせてくれないかな?

 

 

 

 

 まあこんな感じで俺は毎日を過ごしている。特に大学生組は性欲が強いのがポイントだな。

 俺の周りには魅力的な女の子たちばかりで、何気ない日常だって飽きることがない。こんなに可愛い彼女や後輩たち、そして妹に囲まれて、朝起こされたり、抱きしめられたり、頭を撫でたり、『あ~ん』されたり、キスしたり、時には誘惑されたり……いやぁモテる男って忙しい!!

 




 そんなわけで、今回は零君のとある日常に迫ってみました。どれだけニヤニヤできたでしょうか?自分からしたらこれこそが『非日常』ではないかと思ってしまいます(笑)


 以前感想にて『登場回数を調べたのならイチャイチャした回数も調べてはどうですか?』と言われたのですが、イチャイチャって基準が曖昧じゃないですか?ちなみに『R-17.9』と『R-18』の線引きすらよく分かっていません!!


 活動報告に超短編小説の最新話も投稿されています。内容は楓が零を好きになった理由です。ちなみにリクエスト小説だったりもします。


~企画について~

 同じラブライブ小説の作者様である"ちゃん丸"さんの作品『ラブライブ!平凡と9人の女神たち』とこの小説のコラボが決定しました!!

 お互いの小説に相手の小説の主人公を登場させるという設定です。あとは好きに書きましょうということなので、投稿されるまでどんな話かお互いに分からないドキドキ!!まだ投稿日時は決まっていないのですが、投稿する際は2作品同時に投稿する予定です。

 相手方の作品は非常に素晴らしい作品なので、『まだ読んでないよ』という方は是非そちらまで足を運んでみてください!!
特にこの小説で変態色に染まってしまった方は浄化しに行くといいですよ(笑)



Twitter始めてみた。ご意見、ご感想、次回予告など。
今回コラボを企画するまでの流れが非常に面白かったので、よろしければ『お気に入り』から覗いてみてください!
https://twitter.com/CamelliaDahlia


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希との濃厚アルバイト

 今回は希個人回!!そして一足早い誕生日おめでとう回!
 巫女さん姿の希が乱れる姿を想像しながらご覧下さい!!


 

「全く、この長い階段なんとかならねぇのかよ?取り壊すとかさぁ」

「開口一番そんなことを……罰が当たっても知らんよ?」

 

 

 今日は零君とのデート!!――ではなくて、ウチがバイトをしている神社で彼も一緒にアルバイト。最近スクールアイドルの経験でたんまりお金を貰ったはずやのに、家の電化製品が立て続けに壊れてお金がほとんど飛んでいったらしい。零君は人生がどんな茨の道でも無理矢理突き進むことのできる人やけど、その脇道で不幸になるからなぁ~

 

 

「そういえば巫女姿の希って久しぶりに見るな。うん、やっぱり似合ってる」

「ありがとね♪あまりそういう目で見られるのは好きじゃないけど、零君やったらいくらでも見せちゃうよ♪」

「ホントに!?巫女さんってイケナイ妄想が沸き立つから好きなんだよな」

「……やっぱやめようかな?」

「えっ!?」

「冗談冗談!!別に零君やったら好きなだけ妄想に使ってくれてもええんよ?」

「大丈夫、言われなくても使ってるから」

 

 

 こうやって人に言うと確実に引かれるであろうセリフを平気で言うのが零君の面白いところやね♪だからこうして何気ない会話をしているだけでとっても楽しい。零君の魅力はただ喋っているだけで周りの興味を引く、まさにそこにあると思う。

 

 

「例えばどんな妄想を……?」

「お前、俺が考案した変態プレイを晒せと言っているのか……」

「ええやんええやん♪だってここにはウチらしかおらへんし」

 

 

 ウチはいつも零君にどんなことをされるんやろとワクワクしていたりする。海未ちゃんや真姫ちゃん、絵里ちは零君の変態プレイには厳しいけど、ウチやったらいつでも大歓迎や♪だって零君に身体を弄ってもらうほど、気持ちよくて幸せな時間はないからなぁ♪

 

 

「まず巫女さんの袴のわきっちょ。そこから手を侵入させ、その強調された胸をガシッと鷲掴みにする!!」

「それでそれで?」

「その勢いで、巫女服がはだけるぐらい思いっきりワシワシっと揉みしだく!!」

「それっていつもとあまり変わらないような……?」

「何言ってんだ!!巫女服ってところが重要なんだろ!!巫女さんっていうのはいわゆる聖職者の1人だ。その汚れなき聖職者を自らの手で快楽のドン底に突き落とす、その背徳感が堪らないんだよ!!俺はそんな巫女さんが乱れる姿を見たいがために妄想力を鍛えてきたんだ!!」

「へ、へぇ~……」

 

 

 思ってた以上に変態的な妄想でちょっとビックリ。でもやっぱり零君は面白い。やっていることは女の子にとって容認し難いものやけど、そうやって何事もブレずに一直線になれるところはすごいことやと思う。ひたすらエッチなことを追求し、妄想でシミュレート、そしてμ'sのみんなを標的にして実行へ移す。そんな一途な零君が大好きや♪ウチもみんなにワシワシするのは大好きやからシンパシーを感じるのかもね♪

 

 

「ほんなら、早速零君には荷物運びをしてもらおうかな?」

「えぇっ!?この流れでバイトの話かよ!?てっきり妄想を現実にしてくれるものかと思ってた……」

「そんなに現実は甘くないよ♪お金が欲しいんやったら動いた動いた!!」

「鬼かお前は!?俺の興奮を最高潮にまで到達させておきながらお預けとは卑怯な!!」

 

 

 もちろんウチだって零君と交わりたいよ。でもそうなると今までと何も変わらない。今日は久々に零君と2人きりなんやから、ウチが今まで味わったのことのない快楽を零君から叩き込んで欲しいな♪そのために、零君の欲求をここで発散させるわけにはいかない。もっともっと零君の興奮と欲求を高めてウチにそれをすべてぶちまけてもらう。あぁ~、楽しみやなぁ♡

 

 

「もう他の巫女さんに手を出しちゃいそう……」

「残念♪今日はウチと零君の2人きりや☆」

「なにっ!?じゃあこの欲求をどこに放出させればいいのか……」

 

 

 普段はキラキラとカッコいいところばかりやのに、落ち込んだ顔は本当に可愛いなぁ♪表情がコロコロ変わるから黙って見ているだけでも全然飽きない。そういうところを含めて、ウチもμ'sのみんなも零君のことが好きになったんやね。

 

 でもこのままだと零君が爆発しかねないから、ウチはそっと零君の耳元に近付いて囁いた。

 

 

「エッチなことはまたあとで……ね♪」

「え……?」

 

 

 零君は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてウチの顔を見つめてきた。もちろんウチだって零君とそんなことをするのは楽しみで仕方がない。だからこそ後回しにした。お互いにバイトが終わってからしっぽりと楽しむためにね♪

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 あとのお楽しみを働いたご褒美として、ウチと零君は早速仕事に取り掛かった。零君にはお守りやお札が入ったダンボールを運ぶなど主に力仕事を任せている。零君の動きを見ていると、非常にテキパキとしていて要領がいい。初めての仕事も難なくこなすなんてやっぱり完璧と自称するだけのことはあるなぁ。将来彼と結婚できるウチらは幸せものやね♪

 

 

 なんて妄想をしていると、遠くから零君が声を掛けてきた。

 

 

「おーい希!!このダンボールはどこへ運ぶんだーー?」

「それは社務所に置いといてーー」

「分かったーー残りも全部それでいいのかーー?」

「うん、とりあえず全部中に運んでおいてーー」

 

 

 仕事終わりのご褒美のためなのか、はたまたただ単純に自分がバイトとしての責務を果たしているのか分からへんけど、汗水垂らして頑張っているその姿に見惚れてしまう。一生懸命な姿を見せるだけで女の子を惚れさせるなんて反則や!!

 

 零君と一緒にいる時はいつもそう。女の子やったら、零君の近くにいるだけで彼のことをどんどん好きになってしまう。まるで秋葉先輩に薬か何かで仕込まれているみたいに、自分の心が彼で埋め尽くされる。さらに自分の目線も自然と零君へと向かっていく。彼の真剣な顔、ちょっと気を抜けた顔、そして笑顔……零君の表情1つ1つを見逃さないために。

 

 

 そうやって彼のことを考えれば考えるほどまた好きになっていってしまう。そして好きになるたびに思い出されるのが、自分の身体を零君にめちゃくちゃにされたこと。初めは面白半分でワシワシを伝授したところから始まったんやったなぁ。でも零君はそれをあっさりマスターして、今はさらに進化までさせてウチらを簡単に昇天させることができるまでに至る。そしてその快感を覚えたウチらは、零君に自らおねだりするにまで堕とされてしまった。

 

 

 

 

 アカン……そんなことを考えてたら今度は自分が興奮してきてまう!!零君は一生懸命働いてくれているのに、ウチだけ発情してたらアカンよ!!なんとか抑えないと……でも抑えようとしても零君が頭に浮かんで離