ハイスクールD×D§転生魔法使いの非日常§(仮) (ヘタレ権三郎)
しおりを挟む

プロローグ 死と神と、そして転生

初めまして「ヘタレ権三郎」と言います。
今まで読み専だったのですがこの度、作る側と相成りました。
何分初めてですので至らぬ点が多々あるかと思いますが、どうぞお楽しみください。



 俺こと『神野 影幸(じんの かげゆき)』<17才 高2>は死んだ。

目覚めた俺は白い空間にいる。上下左右、奥行きも感じない不思議な空間だ。

 

「ったく・・・ここは何処なんだ?」

 

声の反響も感じ取ることのできない・・・それほどこの空間は広いのか?

とりあえず今の自分の姿を確認する。

 

「…と……う………ば……」

 

今の俺の姿は黒のロングコートに赤いロングシャツ、紺のGパンと黒いロングブーツ

記憶にある自分の姿と同じだ。

 

「………これ……な……えー……」

 

次につい最近、正確には死ぬ前の記憶を探ってみる。

(確か、冬休みも終わりの頃課題も全て終わらせて、町で本を買いに出て、曲がり角でトラックが突っ込んできてそれから…)

そこから先の記憶はない。気が付いたら此処にいたのだ。

 

「…あ、これ………じゃ……て」

 

とりあえず自分の状況整理の答え合わせとして、さっきからぶつぶつ言ってる彼女(・・)に答え合わせのために声をかけることにする。

 

「おい!」

 

「はっ!はい!何でしょう!?」

 

とさっきから小さな冊子をペラペラめくってぶつぶつ言っていた彼女は、驚いたようにこちらの呼びかけに返事をした。

 

「あのさ、ここは何処?あんた誰?」

 

「えっと、・・・ここは死んだ後の世界です。そして私は神です」

 

「なるほど、やっぱ死んだんだ」 

 

「はい、(え?神ってゆうのはスルー?)・・・実は・・・その・・・」

 

「なに?」

 

「あなたは実は死ぬ予定ではなかったんです」  「・・・・・・・・・・・・ゑ?」

 

「あの・・・私のミスで死なせてしまったんです」

 

「・・・ist es wahr?・・・ Haben sie ernst zu sagen?」

 

「はい本当です。とゆうかなぜドイツ語?」

 

「失礼、取り乱しましました。」

 

あとなぜドイツ語かというと生前ガキの頃ドイツに住んでいたからだ。

 

よしさらに整理しよう。 俺は死んだ→しかし本当は死ぬはずではなかった→目の前の神の所為で死んだ=恨みは目の前のコイツに!

 

「よっーし!歯ぁくいしばれ!」

 

「なぜに!?嫌ですよ!!」

 

「ふざけんな!人を殺しておいてタダで済むと思ってんのか?」

 

「いえ、あのしっかりお詫びはしますから!」 「なんだよ、生き返らせてくれんのかよ」

 

「はっ、はいそうです」

 

「ゑ? マジ?」

 

「はい・・・ただあなたのいた世界ではあなたの居場所はもうありませんので別世界に転生ということになりますけど」

 

「そ、そうか。で転生先は?」

 

「えっとこのマニュアルによると・・・こちらのダーツによって決まります」

 

そう言って出したのはダーツボードと一本の矢。

ダーツボードは何分割かにされた的に様々な漫画やアニメの名前が書かれていた。

「灼眼のシャナ」や「ホライゾン」「ドラゴンクライシス」等々。その中にある「DB《ドラゴン・ボール》」だけは勘弁願いたい。

 

「でわ、いきます」

 

そういうとダーツボードが回転したこれで好きな世界を狙うことができなくなった。

てゆうか、の神さまがやるのかよ!?

 

「えいっ」

 

矢がダーツボードに刺さり回転速度が低下していく。刺さったところを見てみると、

『ハイスクールD×D』と書かれていた。

確か死亡フラグ満載の世界だったな。

 

「でわ、世界が決まったので次は特典の選択に行きます。選択できる数はこの八面ダイスによって決まります。」

 

「んじゃぁそれ俺にやらせて」

 

「いいですよ」

 

そういい俺にダイスを渡すと目の前に腰の高さくらいの机の上に投げる。

 

カラン・・・コロコロコロコロ・・・・・・

 

サイコロの目が2を出しそうになり「ヘッグシュ(ドン)」

机の脚を軽く蹴った。

そして出た目は5を出した。

 

「・・・」 「・・・」 

 

俺と神さまの間に沈黙が流れる。

 

「よし5個だな」 「え!ちょっ!今のないですよ!!」

 

「え~いいじゃんか、それにくしゃみは事故だよ事故」

 

「で、でも・・・」 「・・・」「・・・わ、分かりました」

 

睨みを利かせ黙らせた。

 

「そうだな。一つ目は『魔法先生ネギま』に出てくる魔法とかを全て使えるように、そんでそれに必要な魔力は大量に願い」

 

「いいですよ、次は何ですか?」

 

「それじゃぁ、早乙女 ハルナの『落書帝国(インぺリウム・グラフィケース)』と近衛 木乃香の『東風ノ檜扇(コチノヒオウギ)』『 南風ノ末廣(ハエノスエヒロ)』をお願いできるかな」

 

「う~ん、たぶん大丈夫ですよ」

 

「それじゃ次は絵の技術を達人級にしてくれ。それから修行場所のダイオラマ魔法球も欲しいな」

 

「う~んギリギリですね。でも何とかします。最後は何ですかそろそろ容量がいっぱいなので簡単なのをお願いしますね」

 

「ああ、最後は、『D×D』の知識を消してくれ」

 

「えっいいんですか?」

 

「ああ先が分かったら面白くないだろ」

 

「分かりました。以上ですね。では復唱します。

一つ目 『魔法先生ネギま』の魔法技術習得付随して魔力容量最大

二つ目 早乙女 ハルナ、近衛 木乃香両名のアーティファクトの使用可能化

三つ目 絵の技術を達人級に

四つ目 修行用のダイオラマ魔法球

五つ目 原作知識の消去

以上で相違ありませんね」

 

「ああ。大丈夫だ」

 

「では、良い人生を」

 

そう言って彼女はいつの間にか持っていたボタンを押した

 

「は・・・」

 

瞬間足元の感触がなくなり、下に落ちた。

 

「呪うぞーーーーーーー!!!!」

 

上を見れば神サマが呑気に手を振っていた。

 




はい、このようにできました。何分前書きにも書いたとうり初心者なので至らぬ点が多々あるかと思いますが、感想等がありましたら感想欄で待っています。
では、次回をお楽しみに。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

旧校舎のディアボロス
Ⅰ: 新世界と新生活、そして修行


はい、お待たせしました。第二話無事完成しました。
実はこれ昔自分で手書きしたものを加筆修正したものです。
ので投稿速度が速いかと思っておられるかもしれませんがそんなことはありません。
これは断言します。かなり加筆したり修正したりしますので少し時間がかかります。

でわ、どうぞお楽しみください。



 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

俺は今絶賛落下中だ。成層圏から落とされたんじゃないかってくらい高い所かららっかしている。

あの駄神の所為でこんな状態になった。

正直勘弁してほしい。 けれど・・・

 

「あーーーー・・・・・・ハハハハ・・ハーーハッハッハハハハハハハハ!

やってくれんじゃねーかあのカミサマはヨーーー!」

 

笑っていた。

そして転生特典により使えるようになった『気』を足に溜め思いっきり空中を蹴った(・・・・・・)特典で使えるようになった虚空瞬動である。それを使い一瞬上に上がり先ほど自分が出たと思わしき所に向かって叫んだ。

 

「さよなら マイワールド‼‼

こんにちは ニューワールド‼‼

これからは・・・・・・ここで暴れてやるぜーーーーー‼‼‼

そして駄神いつかボコッてやるから覚悟しろよーーー!!!」

 

自分が新しい世界に来たことを落下しながら全身で感じていた。

そして声が嗄れるまで笑い続け、

 

「ハーハッハッハッハハハハハハハハハ キハハハハハははははははハハハハハハ

あははははははははは あはははは ハーハッハッハッハ

ハハハハゲブァハァ!!?」

 

湖に落ちて盛大に咽た。

笑いながらっだたので水が気道にダイレクトに入り咽てしっまた様だ。

 

(かなりの高さから落ちたのに体は何ともない。・・・緩衝材でもあったのか?)

 

岸に上がり周りを見ると自分はいま森の中にある湖にいるようだ。

ここは一体どこなのかと考えると空から何かがヒラヒラと落ちてきた。

それはどうやら手紙の様で宛名が俺の名前だったので読んでみると、

 

『やっほ~、これを読んでいるってことは無事に転生できたんだね。

今から君の現状を説明するよ。

今君がいるのはドイツのブロッケン山の中だよ。そこから北西の方角に行くと君の住む家があるよ。

安心してその場所は地元人でも来ない場所だから。安心して修行できるよ。

食糧に関しては魔法球の中にあるから大丈夫だよ。

それからアーティファクトに関してだけどこの世界に合わせて『落書帝国(インぺリウム・グラフィケース)』は『神器(セイクリッド・ギア)』というものとして君の中にあるよ。

使い方だけどそれを思い浮かべてみればその手に現れるから後はわかるよね。

東風ノ檜扇(コチノヒオウギ) 南風ノ末廣(ハエノスエヒロ)は魔法球の宝物庫にあるから。

魔法球に関する説明はまた後でね。

それじゃ後は同封されてるコンパスを見て家に向かってね。

P.S ちなみに今は1419年だからね☆

P.SのP.S 魔法球には面白いのがいるよ。私からのサービスサービス!』

 

と書かれていた。そうかここはドイツか。

ブロッケン山といえば年に一度、魔女の饗宴(ヴァルプルギスの夜)が行われる山とされ、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの戯曲にも登場するなだらかな山だったな。

しかも1419年といえばフス戦争の始まった年、この10年後にフランスでジャンヌ・ダルクがオルレアンを解放したはずだ。見に行こうかな・・・

 

とりあえずコンパスを頼りに家に行こう確か北西の方角だったよな・・・

 

 

 

           §数年後§

 

 

 

 あれから数年がたった。

魔法球には何故か『灼眼のシャナ』に出てくる『髄の楼閣 ガヴィダ』がいてその他に同じ作品の『天目一個』もいてかなり驚いた。

ガヴィダ曰くこの魔法球内でのみ活動を許された魔道駆動体だそうだ。

俺の修行の手助けをしてくれる存在だった。

あれからいろんなことがあった。

 

この俺の家、というよりこのログハウスでの生活を始めてからホントにいろんなことがあった。

たとえば上記のことだとか、本当に年に一度、魔女の饗宴が行われていて、そこに出くわしたとき同じ魔法使いということで意気投合したり、

ゲンドゥルという魔法使いとも仲良くなった。

そのつながりでこの人の孫のロスヴァイセとも仲良くなったりした。

 

 

 それから聖書の悪魔や天使、堕天使とも知り合った。天使とゆうよりその下の祓魔師(エクソシスト)には最初に命を狙われたのであまりいい気はしないのだが後ほど天使の一人が直々に謝りに来たのは素直に驚いた。確かミカエルといったかな。

とまあいろんなことがあった。

 

そして俺は今、現魔王であり知人のサーゼクスの勧めで日本に居を構えている。

なんでも彼の妹が駒王学園に通うそうでその様子を見て報告してほしいそうだ。

このシスコンが。

しかもついでにセラフォルーの妹も同期で入るからということでサーゼクスと同じことを言ってきた。

 

ま、悪魔らしく対価はしっかりと払ってくれるのでいいが。

 

この数百年の間に自分の魔法の適正属性も調べた。

魔法球の中にある大図書館に調べる方法の書いてある本があったのでそれに従って調べてみたら、

闇、炎、雷の属性の適正が高かった他の属性も適正値は決して低くなかった。

 

あとすこし無茶をした。を自分で開発してみた。闇の適正が高かったのでできると思ったが何度か死にかけた。

そのおかげか、その所為かかなりの長寿となり普通に数百年とか生きているのだ。

ま、見た目は18前後に見えるようにしているんだがな。

今俺は駒王学園の二年生としてこの学校に通っている。

この学園はついこの間まで女子高だったので男子の数が少ないが俺はあまり気にしない。

ここに入って友人になったヤツがいるんだがそいつの体の中から不思議な力強い波動を感じる。

俺の長年の勘で"これは面白いことになりそうだ"と告げていた。




さてここで主人公について少し説明します。
と言ってもステータスだけですけど。
まず闇の魔法に関しては影幸クン自分で完成させ自分の力で不老不死に近い状態になっています。
魔法適正値はMAXで100だとすると闇.98 炎.97 雷.97 風.80 氷.52 水.50
土.78 光.50といったところです。 それなりにチートですね♪

でわでわ次回をお楽しみに。

御意見、感想、ご指摘、感想欄でお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅱ:学校生活と日常、そして確かな変化

イッセーside

俺の名前は兵藤一誠だ。両親や親友等は俺のことを「イッセー イッセー」と呼ぶ。

見知らぬ生徒に「あいつイッセーじゃね?」とか言われたりする。人気者?

ある意味有名だ、なんせ女子剣道部の部室を覗いたという嫌疑をかけられるほどエロくて有名だからな。

いや、嫌疑というか本当のことなんだがな。

 

だが、最近はそんな俺でも精力が減退してきている。

それに最近朝にも弱くなった。とゆうより太陽が苦手になった。

 

逆に夜だと活発になり、体の内側から色々なものが湧き上がってハイテンションな状態になってきた。

 

・・・あの日、夕麻ちゃんとのデートの日から変わってしまった。・・・

 

教室の机で項垂れてると、

 

「よー、心の友よ DVDどうだった? エロかったろ」

 

日常の挨拶にまるでそれが普通であるかのようにセクハラ発言をしてくるのは俺の悪友の一人、丸刈り坊主の松田。

写真部に所属しているため『セクハラパパラッチ』、それに『エロ坊主』という二つ名をもっている。

 

「ふっ、・・・今朝は風が強かったな。おかげで朝から女子のパンチラがおがめたぜ」

 

キザ男のように格好つけているメガネが二人目の悪友の元浜。

メガネを通して女子の体型を数値化できる力を持つ。『エロメガネ』 『スリーサイズカウンター』の二つ名を持っている。

 

「いいもん持ってきたぞ」

 

と松田が鞄の中から卑猥な題名の本やDVDが机の上に積まれていく。

 

「ひぃっ!」 「朝からサイテー」 「エロガキ死ね」

 

と女子たちの声が聞こえてくる。悪友不照りが本やDVDに興奮しているが俺は・・・

 

「ハァ~」

 

「どうしたんだよイッセー、らしくないな?」

 

「最近ノリが悪いぞ、お前らしくもない」

 

「そりゃまぁ俺だって『すげぇ!何だよこれ‼俺を猿にする気か!?』と叫びたいところなんだがな~」

 

「精力減退か?それこそらしくないぞ」

 

「あ~あれか?俺には彼女がいましたーっていう例の幻想か?

夕麻ちゃん・・・だっけ?」

 

「マジで覚えてないのか?」

 

「だからさ、俺らはそんな子知らないって。病院行ったほうがいいぞ。」

 

松田は元浜の言葉にウンウンと頷いている。

 

「よぉ三バカ、朝っぱらからウザったいな」

 

そう言ってきたのは、

 

「おぅ、ジンおはよう」

 

「ん、おはようさんイッセー」

 

彼の名前は神野影幸男にしては少し長い髪とつり目が特徴だ。

顔はまぁ俺たちが羨むイケメンだったりするが何故か他のイケメンのように悪意があまり湧かない。

 

「またこんなもん広げやがって。相変わらず有害な連中だな」

 

「何を!キサマこの宝の価値が分からないのか!?」

 

「ふっ、人生のほとんどを無駄にしているぞジン」

 

「まぁ、こんな連中は放っておいて、・・・イッセー大丈夫か?最近元気ねーみたいだな」

 

「ああ、まあな。それよりさ、ジン、夕麻ちゃん覚えてねえのか?」

 

「・・・またか。・・・だ~か~ら~、知らねえっつてんだろ」

 

そうこつらは夕麻ちゃんのことを覚えてないのだ俺は確かにこいつらに紹介した記憶があるんだけど・・・

 

「まあ 思春期の俺らはそういうわけのわかんないことが起きるかもしれない。

よって今日の放課後に俺の家に寄れ秘蔵コレクションを共に見ようではないか!」

 

「それは素晴らしい松田君。ぜひともイッセー君とジン君を連れていくべきだよ」

 

「勿論だとも元浜君」

 

「あーもぉ、わーったよ、今日は無礼講だ、コーラとポテチで祝杯だ!」

 

「おおそれでこそイッセーだ!」

 

「つか、ナチュラルに俺を組み込むんじゃねえ!!俺は行かねえよ、つか行く気はねぇよ!」

 

「ったく相変わらず付き合い悪いな。ま、いいか」

 

「よしイッセー、元浜よ放課後楽しみに待っておけよ!」

 

 

       side change

 

 

イッセーが夕麻という女子についてまた聞いてきた。

俺は知らないと答えたが、それは「嘘」俺はしっかりと覚えている。

初めて紹介された時から、こいつは人間じゃないなと思っていたので少し警戒したが、まさか、デートの日の後イッセーが悪魔になっていようとはな。

ま、あんまり俺に関係ないけど。

だが、これを機にかなり面白いことが起きそうだなと思っていたりする。

 

とりあえずは、この町に入ってきた堕天使共を警戒するか・・・




お待たせしました。
何か主人公である影幸クンの出番が後半少しだけって・・・
ま、いいか。ってちょっとなにそれえっちょっ影幸クンまっギャーーーーー

         §作者反省中§

えー次回は主人公のバトルシーン有りの予定です。
(ま、予定は未定だけどね)

次回をお楽しみに。

御意見、感想、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅲ:悪魔と堕天使そして魔法使い

今回はある一節に物凄い時間を取られました


 放課後になりイッセーたち三バカ共と別れ帰路に就く。

たどり着いた家は日本家屋のような平屋。それなりに広く土蔵までありさらには地下室もある。

(XXXHOLiCの壱原邸を想像してもらえると有難い)

 

この家はこの駒王町に住むにあたりサーゼクスが用意してくれた家だ。日本に来た時はいろんなところを転々としていたから定住地はなかったが、大きめのトランクに入れていた魔法球で山の中を過ごしていたりした。

 

自室に入り荷物を置き部屋着に着替える。

縁側に座り傍らに持ってきた赤塗りの煙管盆を置き緋色の煙管を吸う。

吸いながら今日会ったことを考える。

 

イッセーのこと、イッセーの言う夕麻という女のことを、この町に潜り込んだ堕天使に事を。

考えたところで解決するわけでは無いが状況整理にはちょうどいい。

そうやってぼ~っと考え時間を潰す。

 

結局たいした事も思い浮かばず夕飯を終え月を見ながら御猪口で日本酒をチビチビ飲んでると何かを感じた。

この何かが暴れているような感じ、試しに水盆でその方向を視てみると、

 

「はぁ~、向こうから顔を出すとはな。ま、探す手間が省けてよかったと取るべきだな。

 

            これもまた必然か

 

は~~、面倒くさいな。一応あれ持ってくか・・・」

 

 

               side change

 

 

 俺は今夜の闇をかき分けてひたすら逃げていた。

松田の家でDVDを見終わりその帰り道でヤバそうなおっさんから逃げていた。

夜にwきあがる不思議なパワーを全開で走り・・・15分くらい走って開けた場所に出た。-公園だ―

息を整えながら噴水の辺りまで歩を進めた。

この公演を俺は知っていっる気がする。-死んでくれないかな―

そうだ、この公園は夕麻ちゃんとのデートで最後に訪れた場所だ。ここで俺は・・・

 

 ぞくっ

 

背筋に冷たいものが走る。ゆっくりと振り返るとさっきのおっさんがいた。

背中から黒い翼を生やして・・・

 

「逃がすと思うか?下級な存在はこれだから困る。

お前の属している主の名を言え。こんなところでお前たちに邪魔をされると迷惑なんでな。

こちらとしてもそれなりの・・・・・・・・まさかお前『はぐれ』か?

主なしならば、その困惑している様も説明がつく」

 

何やらこのおっさんはぶつぶつと言ってくる。

何一人でしゃべって一人で納得してんだよ!?

 

「消える素振りも見せず、魔方陣も展開しない。

状況分析からすると、お前は『はぐれ』だな。

ならば殺しても問題なかろう」

 

男の手に光らしきものが集まっていく。

その光によって槍のようなものが形成された

 

―殺される!-

 

と思ったときは既に腹を槍が貫いていた。

 

ごぽっ

 

俺の口から大量の血が吐き出され、それと同時に激痛が走る。

 

「痛かろう?光はお前らにとって猛毒だからな。その身に受ければ大きなダメージとなる。込めてある光は少し弱めでも死ぬと思ったが、意外と頑丈だな。

ではもう一撃放つとしよう。

今度は少しばかり光の力をこめるぞ。 これでさすがにおわるだろう。」

 

トドメを刺す気か、あんなのもう一撃食らったら流石に死ぬ!

 

おっさんが振りかぶった瞬間に・・・

 

「パス・アン・ビリカル 魔法の射手 雷の4矢」

 

ガガガガッッ

 

「グアッ くっ、な、何者だ!!」

 

公園の入り口の方から光る何かがおっさんの槍を持っていた手を打ち抜いた。

 

「何者だって? そいつのクラスメイトで・・・」

 

入り口から入ってきた者は、黒いロングコートを纏い紺のGパンに革のロングブーツを履いた俺のダチ、

 

「ただの魔法使いだぜ」

 

神野影幸だった。

 

               side change

 

公園に来てみればイッセーが死にかけてるわ堕天使のおっさんが槍を振りかぶってるわでトンデモないことになっていたのでとりあえずおっさんの手を魔法の射手で打ち抜きその手を止めた。

 

「イッセー、大丈夫か?」

 

「あ・・・う・・・」

 

イッセーが気絶した正直あまりのんびりしていられ無いな。

俺はおっさんに向き直り、

 

「おい、おっさんよくもまぁ俺のダチをやってくれたな礼をしてやんよ」

 

「ハッ、たかが人間ごときが大口をたたきよって、堕天使に勝てると思っているのか?」

 

おっさんは言い終わると同時にその手に光の槍を創り出しこちらにその穂先を向けた。

 

「出来るから言ってんだろうが。 覚悟しな」

 

「ほざけ!!」

 

そう言って槍を投げてきた、が、そこには既に影幸の姿はなく堕天使の男の後ろに立っていた。

 

「なにっ!」

 

「パス・アン・ビリカル 魔法の射手 連弾・雷の17矢」

 

「ぐおおぉぉっ!!」

 

「パス・アン・ビリカル 氷爆!」

 

「ぐあああぁぁぁ!」

 

コオォォォォォ・・・・ 

 

「ぐっ・くぅぅ・き、キサマ一体何者だ!」

 

俺の魔法をモロに食らい傷つき片膝をつく堕天使の姿がそこにあった。

 

「さっきも言ったよな。ただの魔法使いだって」

 

「ただの魔法使いがこの俺に片膝をつかせるはずがなかろう!

くっ、キサマはここでコロスッ!」

 

そう言い堕天使はその手にまた光の槍を創り出しこちらに向ける。

 

「はぁ、あんたも馬鹿だね」

 

そう言い俺は腕に魔力を集中する。

 

そして互いに放とうとしたところで、

 

「そこまでよ」

 

「「!」」

 

第三者の声によって中断された。

 

「紅い髪・・・・・・グレモリー家の者か・・・」

 

「リアス・グレモリーよ。御機嫌よう堕ちた天使さん。

この子達にちょっかいを出すなら容赦しないわ」

 

「ふふっこれはこれは、その悪魔はそちらの眷属か。ではその人間は何なんだ」

 

「協力者のようなものよ」

 

「そうか、今日のことは詫びよう。

しかし、下僕の放し飼いはやめた方がいいぞ。

私のようなものが、散歩ついでに狩ってしまうかもしれんぞ?」

 

「ご忠告痛み入るわ。この町は私の管轄なの。

私の邪魔をしたら、その時は容赦なくやらせてもらうわ」

 

「その台詞、そっくりそちらえ返そう。

グレモリーの次期当主よ。我が名はドーナシーク再びまみえないことを願おう。

そして人間、次あったときはかくごしておけ!」

 

「ハッ、そっちこそ辞世の句でも考えてやがれ」

 

そう返すとドーナシークはどこかに飛んで行ってしまった。

 

俺はリアス・グレモリーに向いき、

 

「何邪魔してくれ店の?ま、好都合だけど」

 

「そう・・・じゃあ「その前にイッセーだ。そこ退け」え?ええ」

 

「まだ間に合うな・・・」

 

そう言い俺は亜空間にしまっておいた東風ノ檜扇と南風ノ末廣を取り出した。

 

「・・・!・・・それはいったい?」

 

「氣吹戸大祓 高天原爾神留坐

神漏伎神漏彌命似 皇神等前爾白久

苦患吾友乎 護恵比幸給閉止

藤原朝臣神野影幸能 生魂乎宇豆乃幣帛爾

備奉事乎諸聞食」

 

完全治癒呪文を唱え終わるとイッセーの腹に空いていた穴は無くなり傷も全て治癒された。

 

「す、すごいわね。あなたホントに何者?」

 

「まぁ、そいつはまた後ほど」

 

そう言って踵を返す。

 

「んじゃぁ、俺もう帰るわ。

言っとくけどその傷は治っても体力は戻ってないのであしからず」

 

そう言って転移魔法を使いその場を去る。

 

「あ、ちょ、ちょっと・・・」

 

       side change

 

一体あの子は何者なのかしら?

堕天使と同等に渡り合い、あまつさえこの子の傷を完全治癒してしまうなんて、ただ者じゃないわね。

 

とりあえずこの子をいえにはこびましょう。

 

 

 

 




おまっとさまでした。第四話です。
木乃香の完全治癒呪文唱え・・・もとい、書ききりました。
いや、マジ疲れた。

戦闘シーンいかがでしたか?何かあれば感想欄へどうぞ。

分かっていると思いますが、影幸クンの始動キーは「パス・アン・ビリカル」
です。これはオリジナルではなくある小説の一節から少しアレンジをしました。

でわ次回をお楽しみに。

御意見、感想、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅳ:魔法使いと悪魔、そして説明《前篇》

えっと・・・お待たせしました・・・
実は私絶賛大学生の一人暮らし初心者で時間の取れる時間が少なくて、月末になると課題やら提出物やらが増えるのでそれに時間がとられてしまいあまり書く時間が取れませんでした。
遅いかもしれませんがタグに『不定期更新』を入れておこうと思います


 今朝はなかなかうるさかった。

イッセーがこの学園の二大お姉さまの一人でありサーゼクスの妹のリアス・グレモリーと一緒に登校して来たり、

松田と元浜がそっれに嫉妬して、イッセーにダブルラリアットやローリング・ソバットなどとゆうプロレス技をかましたりしていた。

 

「・・・いててて、なぁジン、昨日の夜のあれって・・・」

 

「あー、そのことね。グレモリーセンパイ、なんかいってた?」

 

「放課後に使いを出すって言ってたけど」

 

「ん、分かった。 そん時にでも説明されるだろうよ」

 

キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

 

ちょうどそのときチャイムが鳴りイッセーが自分の席に戻っていく。

 

        放課後

 

「や、どうも」

 

放課後イッセーは教室を訪ねてきた男子を半眼で睨んだ。

彼は学校一のイケメン王子 木場祐斗 だ。

その爽やかなスマイルで学園女子のハートを射抜いているらしい。

情報元イッセー。 正直どうでもいい。

 

「何の御用ですかねぇ」

 

「リアス・グレモリーの使いで来たんだ」

 

イッセーはその一言で理解した。

 

「OKOK 俺はどうしたらいい?」

 

「僕についてきてほしい」

 

「わかった。 ・・・おーいジーーーン」

 

「五月蝿い、耳元で大声出すな」

 

「うおっ!いつの間にいたんだよお前!?」

 

イッセーはいつの間にか後ろにいた俺に驚き、木場も声には出してないが驚いているようだ。

 

「さっきから居たんだけど。・・・ま、いいや木場君早いとこ案内してくれや」

 

「うん、わかったよ」

 

そう言い木場は歩き出し俺達も後に続くと・・・

 

「「「「「「「「「イヤーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」」」」」」

 

女子共が五月蝿い、喧しい。

 

「そんなー、木場君と兵藤が一緒に歩くなんて」

 

「汚れてしまうわ、木場くん」

 

「木場くん×兵藤なんてイヤよ!」

 

「ううん、もしかしたら兵藤×木場くんかも!」

 

「いや 影幸君×木場くんよ!ヘタレ誘い受けのワル攻めよ!」

 

「「「「よしっ!夏は勝った!!」」」」

 

どうやら此処の女子共は腐っているようだ・・・

 

 

木場に案内されて来たのは木造のの校舎・・・所謂、旧校舎だ。

と言っても、床が抜けてたり、クモの巣があったりガラスが割れてたりなんてことは無い。

結構キレイだ。

 

「ここに部長がいるんだよ」

 

そういえばグレモリーはオカルト研究部の部長だったな・・・

 

「部長、連れてきました」

 

「ええ、入ってちょうだい」

 

と中からグレモリーの声が聞こえてきた。木場が戸を開けて中に入るので俺たちもそれに続いて中に入る。

室内にはいたるところに悪魔文字や魔法陣が書き込まれていた。

調度品としてはローテーブルと、それを囲むようにあるソファーがいくつか、そして上座にはアンティークな執務机と椅子がある。

 

ソファーには先客がいた。

白髪の小柄な女の子。一年の塔城子猫だ。

学園のマスコット的存在らしい。

情報元 同じくイッセー。

 

こちらに気付いたのか視線が合う。

 

「こちら兵藤一誠くんと神野影幸くん」

 

木場が俺達のことを塔城に紹介する。

 

「あ、どうも」と頭を下げる。

 

あとすんげー無口&無表情

 

しばらく無言の時間が流れる。すると、部屋の奥から水の流れる音がする。

もしかしなくてもシャワーか?シャワーがあんのか此処は!?

俺の隣ではイッセーがシャワー室のある方向を見て鼻の下をのばしている。

 

「・・・・・・いやらしい顔」

 

ぼそりと塔城が呟きながら羊羹を食べていた。

 

「ごめんなさい。昨夜(ゆうべ)、イッセーのお家にお泊りをしてシャワーを浴びてなかったから、今汗を流していたの」

 

 

別にそんなんことはどうでもよかった。そう思っていると、シャワー室からグレモリーが出てきてその後ろから黒髪ポニーテールの美女、

大和撫子な先輩 姫島朱乃が出てきた。

グレモリー先輩と並んで二大お姉さまと呼ばれている。

情報元(以下略)

 

「あらあら、初めまして。私、姫島朱乃と申します。どうぞ、以後お見知りおきを」

 

ニコニコ顔で丁寧なあいさつをされる。

 

「こっこれはどうも。兵藤一誠です。こちらこそ初めまして!」

 

「初めまして。神野影幸だ。よろしくな」

 

イッセーは緊張しながら挨拶を交わし、俺はいつもどうりに挨拶をする。

 

グレモリーが上座の執務机に着き、

 

「これで全員揃ったわね。兵藤一誠くん、神野影幸くん」

 

「はっはい!」 「ん、何だ?」

 

「私たちオカルト研究部はあなたたちを歓迎するわ」

 

「え、ああ、はい」

 

「としてね」

 

「―っ!」 「・・・・・・」

 

イッセーが驚き、俺はこれから何が起こるのかを考えていた。

 

      ~           ~

 

「粗茶です」

 

「あ、どうも」 「アンガト」

 

ずずっと一口飲む。

 

「うまいです」  

 

「あらあら、ありがとうございます」

 

「うん、たしかに」

 

小さく俺も呟く。

 

「朱乃、あなたも座ってちょうだい」 「はい、部長」

 

姫島先輩もグレモリー先輩の隣に控える。全員の視線が俺とイッセーに集中する。

 

「単刀直入に言うわ。私たちはあk「悪魔だろ」・・・!しってたの?」

 

「まぁね、そっち方面には知り合いが多いからね」

 

それからグレモリーはイッセーに昨夜の堕天使のことをはじめ、悪魔について説明していった。

 

「いやいやいや、先輩。いくらなんでも難易度高すぎですよ。

え、オカルト研究部ってそういう集まりなんですか?

後なんでジンもついていけんの?」

 

「-天野夕麻」

 

その名をグレモリーが言った瞬間イッセーは目を見開いて固まった。

 

「あの日、あなたは天野夕麻とデートをしていたわね?」

 

「・・・冗談ならここで終えてください。

正直、その話はこういう雰囲気で話したくないです」

 

そう言ってイッセーは出ていこうとする。

 

「待てよ」 という俺の静止の声も聞かずに。

 

「チッ」

 

イッセーが扉のノブに手をかけた瞬間、イッセーの足元から黒い何かがイッセーを捕縛する。イッセーが暴れてはずそうとするも外れることもない。

 

「なっ!何なんだよこれ!?」

 

「まぁ、落ち着けよイッセー」 「・・・!」

 

「ここで関係ない名が出てくるわけないだろ?もう少し話を聞いてみよーや」

 

「・・・わかりました。このワケのわかんないものを解いてください」

 

「・・・」 グレモリーたちは答えることはない。が、

 

「おぅ、いいぜ」 「「「「「・・・!!」」」」」

 

答えたのは影幸だった。彼の一言に驚く。

次の瞬間イッセーを縛っていたものは消滅をしていた。

 

「か・・・影幸・・・おまえ」

 

「俺より先ずオマエノの方だ。グレモリー先輩続きをお願いします。」

 

「えっええ・・・わかったわ。

この子よね?天野夕麻ちゃんって」

 

そう言って取り出した写真にはその件の少女『天野夕麻』の姿が写っていた。

 

それからグレモリー先輩はイッセーの殺された理由である神器について説明をした。

そしてイッセーの神器を発現させたりした。

その際、かなり面白いことになって大笑いしたが割愛する事にする。

 

「さて、次は貴方の事を説明してもらいましょうか。

神野影幸君」

 

どうやら次は俺の番らしい。




典型的な説明会でした。
作者の都合上前後編に分けさせていただきます。
出来るだけ早くに投稿する様にしますので、気楽にお待ちください。
でわ、次回をお楽しみに。

ご意見、感想、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅴ:魔法使いと悪魔、そして説明《後編》

はい《後編》書きあがりました。
と言ってもほぼ影幸君の説明ですけどネ。


「さて、まず何から説明していこうか・・・」

 

「そうね、それじゃぁ、あなたは一体何者かしら?」

 

「え?リアス先輩、ジンもあくまじゃないんですか?」

 

イッセーが俺のことを悪魔だと思っていたようだ。

 

「違うぜイッセー。そうだな、・・・言うなれば俺は魔法使いだ」

 

「やっぱりあなたは魔法使いなのね。所属は何処?」

 

「所属ねぇ・・・俺そういうの苦手なんだよね。とりあえずは《灰色の魔術師》に名前だけ入れさせてもらってるけどね」

 

「名前だけ・・・というのは?」

 

「俺、さっきも言ったとうりそう言う団体は苦手でね一時勧誘を無視ってたら知り合いにバカにならないほど怒られてな、とりあえず名前だけでってことでそこに入れさせてもらったんだ」

 

「そうなの、じゃぁさっきイッセーを縛ったあれも魔法なの?」

 

「ええそうですよ。」

 

「じゃぁ次の質問よ。昨日イッセーの傷を治したあれ(・・)は何なの?

もしかしてあなたも神器もちなの?」

 

その言葉にイッセーの顔が青くなり自分の腹に手を当てていた。

 

「ああ、あれね。確かに俺は神器持ちだけどあれは違うよ。

俺の神器はこれだよ」

 

そう言ってその手に出現したのは羽ペンとインクの入った小瓶のついている一冊のスケッチブックだった。

 

「それがあなたの神器?」

 

「そう、これが俺の神器 落書帝国(インぺリウム・グラフィケース)だ。

能力はゴーレムを召喚、使役することだ。」

 

「あら、能力を話してしまっていいの?」

 

とリアス先輩が意外そうな顔をする。

普通まだ自分の敵になるかもしれない者に自分の力を一端とはいえ話してしまうのは自らの首を絞めるのと同義であるからだ。

 

「別に、これくらいの情報は知られても痛くないネ。それに、友好の印として与えるってことで。

んで、イッセーを治したのは俺の魔法具でな制限時間以内ならどんな傷でも完治することができるんだ」

 

「そう、すごいわね。ねぇ、あなた私の眷属にならない?あなたの実力ならすぐにでも爵位をとれるわよ」

 

「とってもいいお誘いだと思いけどアンタじゃ俺を悪魔に転生させるのは無理だね」

 

「どういうこと?したくないならまだしも、できない(・・・・)というのはどういうことかしら?」

 

納得できないという表情で理由を聞くリアス先輩。イッセー以外の他の面子も興味深そうにこちらを見ている。

 

「単純に、今のあんたの実力じゃ俺を悪魔にすることはできないってことさ。

アンタ等が使う悪魔の駒(イーヴィル・ピース)は持ち主の力量によって転生させることのできる相手が限られるんだろ。

残念だけど今のあんたじゃ今の俺でさえ転生させることはできないよ」

 

「今のあなたってどういう事?確かにあなたから感じる魔力は結構多いけど」

 

「それは、これを見ればわかる」

 

そう言い俺は制服の上を脱いでいく。

制服によって隠されていた腕と背中にはいくつかの黒いラインのようなものが引かれていたそこにはローマ数字で2~20まで書かれていた。

 

「それは・・・刺青じゃないわよね・・・」

 

「これは所謂封印でね。俺の魔力をこの19本のラインで封印してるんだ。本当は全部で二十本あってそれで完全に魔力を封印してるんだ」

 

つまり今はたった5%しか解放していないと言う。

 

「成程確かに今の私じゃあなたを悪魔にすることは難しそうね。」

 

俺は制服を着なおしながら、

 

「分かってくれたようで何より。お詫びと言っては何だが一つ頼みがある。勿論それに見合った対価は払うよ」

 

「何かしら?」

 

「俺をこの部のメンバーに入れてくれ」

 

「それでいいの?」

 

「ああ、それでいい。その様子じゃ簡単なようだな」

 

「ええ、いいわよ。元からあなたにはここに入ってもらおうと思ってたのよ」

 

「よし、んじゃ契約成立っと。じゃこれ対価ね」

 

そう言って取り出したのは一つの光り輝く玉。

 

「何かしらその玉?」

 

「こいつはな、俺が作った魔法具でな。《人魚の詩声》って言ってな所有者の魔力に応じて魅了の効果を歌にできる品物だ」

 

「成程ね、分かったわこれは対価としてもらっておくわ。

さて、改めて。

兵藤一誠くん、神野影幸くんようこそオカルト研究部へ。

私たちは貴方たちを歓迎するわ」

 

こうして俺はオカルト研究部に所属することとなった。




ほっとんど会話だけで地の分少なかったですね・・・

じゃ次回をお楽しみに。 
御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にておまちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

主人公 ステータス No.1

サブタイでも分かるとおり現在状態での影幸君のステータスを発表します。




§Profile§

 

 NAME:神野 影幸《kageyuki jinnno》

 

 HEIGHT:186cm WEIGHT:67kg

 

 HOME:生前は日本生まれ。転生してからは一応ドイツ生まれの日本人としている。

 

 BIRTHDAY:本人は、「私的に365日全て誕生日でも良いよ」と言っているので正確な日付は不明である。

 

 AGE:本人が覚えてないため不明(およそ600年近く生きているはず・・・)

 

 ABILITY:・神器(セイクリッド・ギア) 落書帝国(インぺリウム・グラフィケース)      

      ・魔法具 東風ノ檜扇(コチノヒオウギ) 南風の末廣(ハエノスエヒロ) 

       人魚の詩声 ダイオラマ魔法球

      ・魔法 闇の魔法(マギア・エレベア)       

        不老不死 魔力95%封印中

 

 APPEARANCE:『しにがみのバラッド。』の「アリス」で、髪を肩までのばした感じ。

        お気に入りの服装は、黒のロングコートに赤のシャツ、紺のジーンズにロングブーツの組み合わせ。

 

 REINCARNATION BENEFITS: ・『魔法先生ネギま』の魔法技術習得 之に付随して魔力容量最大 ・早乙女ハルナ 近衛木乃香両名のアーティファクトの使用可能化 ・絵の技術を達人級 ・修行用のダイオラマ魔法球 ・原作知識の消去

 

 IN LIFE:退屈な日常において非現実的なことを心の隅で望んでいた、ただの高校生。高校二年の冬休みの終わりに本を買いに街に出たら曲がり角で無人トラックに潰されて死んだ。

人並みにアニメや漫画、ゲームにも興味があった。

 

 AFTER REINCARNATION:神(駄)によって1419年のドイツのブロッケン山に落とされた。山中にあるログハウスで修行をしながら過ごし、独自に闇の魔法(マギア・エレベア)を開発、取得した。副作用によって不老不死となった。不老不死と言っても魔力がある限りなので、無くなると再生できずに死ぬ。三大勢力のトップたちとは知人の仲である。

数百年後山の中で行われていたに参加しゲンドゥルとゆう魔法使いと仲良くなりその孫娘であるロスヴァイセとも仲良くなった。

その後、魔法球だけを持ち世界中を転々として日本で過ごしていると、悪魔の王、魔王であり友人のサーゼクスから妹の様子を見て報告してくれと頼まれ、駒王町に家を用意してもらい、サーゼクスの妹の一つ下の学年として駒王学園に入学した。(この時同じく魔王であり友人であるセラフォルーにもサーゼクスと同じことを頼まれた。)

 

 

 MAJIC ATTRIBUTE APPROPRIATE VALUE

 MAX:100    闇:98 炎:97 雷:97 風:80 土:78 氷:52 水:50 光:50  

 

 




とりあえず今はこんな感じです。既にかなりのチートですね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅵ:はぐれ悪魔と悪魔の駒、そして戦闘

 俺とイッセーがオカ研に入って数日がたった。

その間にかなり(イッセーが)面白いことがあった。

 例えば、イッセーが依頼者のもとへ転移魔法を使って行くのだが魔力が足りず、前代未聞のチャリでの訪問悪魔となったり、依頼者のもとへ行ったはいいが契約が取れず、だと言うのにアンケートには最大の賛辞をもらったとゆう。

これを笑わずにいられようか、否、笑わずにはいられない。(反語)というわけで大爆笑してやった。

しかもそれを二回連続でやったとなると、もう笑いすぎで呼吸困難になった。

 

 

         ~数日後~

 

 

 「二度と教会に近付いちゃダメよ」

 

グレモリーがイッセーに向かって怒っている。

何があったのか隣にいた木場に聞いてみると、どうやらイッセーは道の迷った(金髪)シスターを教会にまで案内したらしい。

悪魔になったくせに教会に近付くなんて度胸があるなーと思っているとイッセーに対する説教が一通り終わり姫島先輩が『はぐれ悪魔の討伐』が来たことを知らせた。

 

はぐれ悪魔。

主のもとを離れ、また殺し主なしとなった悪魔がそう呼ばれる。

これがなかなか厄介な存在である。なまじ人間からかけ離れた力を持つため抑えるものがなくなり自由な状態になると害悪を振りまく者でしかないらしい。

これは天使、堕天使側にも見つけ次第殺すようにしているらしい。

 

今回はそれが依頼の形でこちらに来たらしい。

 

ぶっちゃけ野犬狩りだ。

 

イッセーはグレモリーからそんなレクチャーを受けながら歩いていると件の悪魔のいる廃屋に着いた。

 

「・・・・・・血の匂い」

 

小猫がぼそりと呟き鼻を制服の袖で覆った。

 

「丁度いいわ今回の戦闘で二人には下僕の特性を説明してあげるわ」

 

下僕の特性、確か上級悪魔が人間などを悪魔に転生させるときに使うアイテム『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』はチェスを基に作られており、主である悪魔を『(キング)』として『女王(クイーン)』『騎士(ナイト)』『戦車(ルーク)』『僧侶(ビショップ)』『へ』と五つのクラスそれぞれの特性を付けたという。

 

これによって悪魔社会で自らの下僕同士を戦わせる『レーティングゲーム』が流行りだしたらしい。

 

       閑話休題

 

「部長、俺の駒は?役割や特性ってなんですか?」

 

「そうね、―イッセーは・・・」

 

そこまで言ってグレモリーは言葉を止める。

それもそのはずだ、今まで感じていた敵意や殺気が一層濃くなったのだから。

 

「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?

甘いのかな?苦いのかな?」

 

まるで地の底から響いてくるような声、不気味さはハンパでは無い。

イッセーは恐怖のあまり顔が引きつっている。

 

「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消滅しに来たわ」

 

グレモリーはその恐怖に臆さず言い放つ。

 

 ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ

 

これまた不気味な笑い声が響き

 

ぬぅ・・・

 

暗がりから姿を現したのは上半身裸の女だった。

しかし女の体は宙に浮いている。いや違う・・・

 

ズンッ

 

重い足音が響く。そして女の全貌があらわになる。

上半身は確かに裸の女だが下半身は巨大な四足の獣の体だった。

まさに異形の存在だ。足の一本一本は太く大木の様でそれに相応しく生えてる爪も太く鋭い。尻尾は蛇の様に蠢いている。

全長はオオヨソ5メートルほどだと思われる。

そしてその両の手に槍と思われる得物を一本ずつ持っている。

 

正直帰りたいと思った・・・

 

「主のもとを逃げ、己の欲望を満たすためだけに暴れまわるのは万死に値するわ。

グレモリー公爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげる!」

 

「こざかしいぃぃぃぃぃ!小娘ごときがぁぁぁぁぁぁぁ!

その紅の髪の様に、おまえの身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁぁぁ!」

 

吠える化け物にグレモリーは鼻で笑う。

 

ま、こんな台詞を吐いてる時点で死亡フラグがたっているんだがな・・・

 

「雑魚ほど洒落のきいたセリフを吐くものね。裕斗!」

 

「はいっ!」

 

グレモリーが声をかけると木場がその場から飛び出す。なかなかに早いな。

 

「イッセー、影幸、さっきの続きをレクチャーするわ」

 

?さっきのというと悪魔の駒云々のことか?

 

「裕斗の役割は『騎士』、特性はスピードよ。

『騎士』となったものは速度が増すの」

 

バイザーが槍を振るうが木場には当たらない。

 

「そして裕斗の最大の武器は剣」

 

木場はその手にいつの間にか握られていた西洋剣を鞘から抜き放ちバイザーの両腕を切り落とす。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

あまりの激痛にバイザーは叫び声を上げる。

 

「これが裕斗の力。目では捉えきれない速力と達人級の剣技。

二つが合わさればあの子は最速のナイトになれるの!」

 

(目で捉えきれないと言うが、俺は普通に見えてるし剣技もまだ無駄が多くあるのでお世辞にも達人級とは言えないな。)

 

バイザーの足元に近付く人影があり、見るとそれは小猫だった。

 

「次は小猫。あの子は『戦車』。戦車の特性は―」

 

「小虫めぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!」

 

ズズンッ!

 

バイザーの脚が小猫を踏み潰す!

しかしバイザーの足は完全に地についておらず少し浮いていた。

 

ぐぐぐ・・・・。

 

ワァオ・・・小柄な少女が化け物の足を少しずつ持ち上げていく。

 

「『戦車』の特性はバカげた力。そして、屈強なまでの防御力。

無駄よ。あんな悪魔の踏み潰しでは小猫は沈まない。潰せないわ」

 

グンッ

 

完全にバイザーの足を持ち上げどかし、

 

「・・・ふっ飛べ」

 

高くジャンプしバイザーのどてっ腹に拳を鋭く打ち込む。

 

ドドンッ!!

 

バイザーの体が後方へ大きくふっ飛んだ。

イッセーはそんな小猫を見て少し怯えている。おそらく小猫は怒らせないようにしようと思っているんだろう。

 

「最後に朱乃ね」

 

「はい部長。あらあら、どうしようかしら」

 

小猫も一撃で倒れているバイザーに近付いていく。

 

「朱乃は『女王』。私の次に強い最強の者。『兵士』『騎士』『僧侶』『戦車』全ての力を兼ね備えた無敵の副部長よ」

 

「ぐぅぅぅ・・・」

 

姫島先輩に睨みを利かせるがそれを見て姫島先輩は不敵な笑みを浮かべる。

 

「あらあら。まだ元気みたいですね?ならこれはどうですか?」

 

天に向かって手をかざすと、

 

カッ!

 

刹那、天が光輝きバイザーに雷が落ちた。 

 

「ガ ガ ガ ガガッガガガッッ!!」

 

激しく感電するバイザー。

 

「あらあら、まだ元気そうね?まだまだいけそうですわね」

 

そこからはただの蹂躪だった。バイザーに対し幾度も雷を落とす姫島先輩の顔はトッテモイイエガオだった。

この顔を見た瞬間俺は理解した。この人はドSだということを。

 

数分間この攻撃が繰り返された。

雷が止み地に伏すバイザーにグレモリーが近付く。

 

するとバイザーが、

 

「今だ!殺れ!」

 

と何かに命令した。

 

「GAAAAAAAA!」

 

と奥から鎧を着こんだ頭が豚の魔物が飛び出してきた。

 

「・・・!オーク!」

 

不意を突かれた所為でグレモリーたちはオークを逃してしまいこちらに近付く。

オークが俺を殺すためにその手に持つ斧を振り上げる。

 

「ジン!あぶねぇ!」

 

イッセーが叫ぶが俺は、静かに・・・・・・・・・笑った。

 

「GA!」

 

オークの足元から影の手が伸びその体に纏わりつき動きを封じる。

 

そして俺は魔法で造り上げた炎の剣を振りかぶり、

 

「残念だったな!!」

 

斬りかかった。

 

「しのぶれど 築きしかばね 修羅の道」

 

言霊を唱えながら斬りかかる。

 

「月みしたびに 涙ながる々」

 

「GAAAAAA!!]

 

とどめを刺されたオークはその場に倒れ伏し、

 

「な、なんだ・・・と・・・!?」

 

バイザーがこの結果に唖然とする。

グレモリーたちも同じだったがすぐに気を取り直し、グレモリーがバイザーに手をかざす。

 

「最後に何か残すことはあるかしら?」

 

「・・・殺せ・・・」

 

「そう、なら消し飛びなさい」

 

冷徹な一言のあとその手に赤黒い魔力が集まり打ち出される。

その魔力がバイザーを包み込み魔力が消えるとそこには何もなかった。

 

これではぐれ悪魔の討伐は終了。

 

「部長、あの聞きそびれたんですが」

 

「何かしら?」

 

「俺の駒・・・っていうか、下僕としての役割って何ですか?」

 

期待のこもった目でグレモリーを見るイッセー。だが次の瞬間その期待が崩れ去った。

 

「『兵士』よ。イッセー、あなたは『兵士』なの」

 

その回答にイッセーはショックを受け、勿論俺は大いに笑ってやった。




今回かなり長くなりました。
ちなみに影幸君の戦闘シーンには、もう一つ候補がありました。
某奇妙な吸血鬼さんの技を再現しようかなと思ったり思わなかったり・・・・・・・

でわでわ、次回をお楽しみに。

御意見、感想、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅶ:堕天使と教会、そして開幕

お待たせしました。
ごゆっくりお楽しみください。



 はぐれ悪魔の討伐から数日後、イッセーは依頼先の家で負傷をした。

原因ははぐれ悪魔祓い(エクソシスト)にやられたらしい。

『はぐれ悪魔祓い(エクソシスト)』とは教会を追われた悪魔や異形を狩る事に悦楽を見出した者のことだ。

そいつ等は総じてどこか狂っており、手が付けられなくなっている。

今回イッセーはそいつに出会ってしまい負傷させられたのだ。

 

 その傷がまだ完治していないので。あいつは今ガッコーを休んでいる。

奴らがいるとなるとその後ろに堕天使がいるということになる。

 

今、俺はあるやつに手紙を出し、その返事を待っている状態だ。その返信次第で俺のとる行動が変わるからな。

 

            ~       ~

 

 イッセーがグレモリーに怒られた。

いつもの契約云々ではなく、心優しいシスターを堕天使のもとから救い出したいが為に自分から眷属を抜けはぐれになろうとしたからだ。

 

 俺は部室の窓際に置いた椅子に座って事の成り行きを見守っている。

その時窓から小さく、コンコン、と音が聞こえ目を向けると鈍色の小鳥が手紙を銜えていた。

窓を開け手紙を受け取り、内容を確認する。

 

「ジンも来てくれるよな!?」

 

イッセーに声をかけられ振り向く。どうやら木場、小猫と共に堕天使の本拠に乗り込むようだ。

 

「・・・わりぃ、帰る」

 

そう言い俺は影の転移魔法で部室を後にする。

 

           ~       ~

 

 家に戻り制服を脱ぎコートとGパン、ブーツを履き準備を整える。

 

「さてと、いきますか。これならある程度はストレス発散できるな」

 

そう言いながら手紙をもう一度見る。

そこには

 

『あんたからの手紙にあった一件だが、こちらは認知していないことだ。

せめて証人として一人は欲しいと思う。』

 

と書いてあった。

 

          ~       ~

 

準備を整え向かったのはこの町にある廃教会の周りにある林の中である。

目的は・・・

 

「あん?なんで人間がこんなところにいるんだぁ?

イヤ・人間じゃないな~。なんか魔力を感じるし・・・」

 

声が聞こえたところに顔を向けると、木の幹にゴスロリ少女がいた。

 

「あんた・・・」

 

「はい♪私、一呼んで堕天使のミッテルトともうしますぅ~」

 

「そいつぁご丁寧にどうも。

俺は・・・」

 

「ちょいまち。アンタ、もしかしてドーナシークと戦った魔法使い?」

 

「そうだが。それがどうした?」

 

「ハッ・どんな奴かと思ったら大した魔力もない低級な奴じゃんよ。

ドーナシークの奴、実力見誤りすぎじゃね(でも、何だろ、この胸騒ぎ)」

 

「でも。俺のような存在に気を張って、あんたみたいな見張りを立てたんだろ。そいつは少しはおそれてるってことだよな?」

 

「全然。大事な儀式をあんたみたいなのに邪魔されるってのがちょっと困るってだけ」

 

「ま、でも、あいつ等もう中に入ってるぜ。真正面から」

 

「はぁ!?マジすか?裏から来ると思ったのに~!!

ま、無問題ジャネ。アンタをここで殺ればいいんだし。

他の悪魔どもなんて後で殺せばいいんだし。

とゆうわけで、出でよ、カラワーナ、ドーナシーク♪」

 

黒い翼を広げポーズを決めるミッテルト。そして後ろに召喚反応を感知し振り向くと、スーツ姿の堕天使の女とガタイのいい堕天使が現れた。

 

「生意気言うなミッテルト」

 

「生憎と、また会ってしまったな魔法使い」

 

女の方はカラワーナ、と言ったか。そしてドナシークとまた会うとはな・・・

 

「これで全員か?」

 

「だからどうしたと言うんだ?」

 

「キサマがわれらの計画を妨害する意図があるのは明白だ。

死をもって贖え!」

 

堕天使3人が翼を広げ飛び上がる。

 

「まぁ、アンタ等だけでも始末させてもらうわ」

 

そう言って俺は手を地面に向け結界を張る。

 

「!?結界!?我らを閉じ込めたか」

 

「ああ。これでアンタらはもう逃げられないぜ。

はじめっから俺の目的はアンタ等だったんだよ。

教会に行った連中ならサクッと終わらせるだろうよ」

 

「なめた口をききよって」

 

「後悔させてやる」

 

「覚悟するッスよ」

 

「ハッ、来なよ!共が!」

 

「なっ!」 「カラスだと!」 「馬鹿にして!」

 

そう言って堕天使共は光の槍を俺に向けて放つ。

 




今回は初の二連続投稿をしてみたいと思います。
連続投稿は気が乗った時くらいしかやらないので、頻度は高くありません。(たぶん。期待しないでね。)

次回は、堕天使×3 VS 影幸君です。お楽しみに。

御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にておまちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅷ:閉幕と3対1、そして事情聴取

続けての投稿。
正直疲れた。



「戦いの歌」

 

 影幸は堕天使から放たれた光の槍を紙一重で躱す。

槍を放つのを止め、ミッテルトが両の手に光の槍を1本ずつ持って迫り来る。

右から薙ぎ払われる槍を状態を後に反らすことで避け左の突きをステップで右に避ける。

そこにカラワーナが槍を片手に追撃をかける。放たれる突きを後退しながら体を右、左と反らして避ける。

そして右からは貴方れた突きを左足で蹴り上げ、バックステップで距離を置いた。

ドーナシークが槍をもって突進してくる。

影幸は迫り来る槍を気を纏わせた拳で砕き、唖然とするドーナシークの右腕を掴みカラワーナとミッテルトのいる方向に向かって投げる。

 

「「「ガァッ!!」」」

 

「ハッ その程度か?堕天使ってのは弱いな」

 

「なめるな!」

 

(ヤバい・こいつやっぱりヤバい)

 

「クッ、カラワーナ!ミッテルト!」

 

ドーナシークの掛け声で三人はまた空へと飛びあがり光の槍を先ほどとは比較にならない量を創り出した。

 

「これだけの量、いくらキサマとて捌き切れるものか!」

 

ドーナシークがそう言い、大量の光の槍を放ってくる。

しかし

 

「パス・アン・ビリカル

火の精霊1001柱 集い来たりて敵を射て

魔法の射手 連弾 炎の矢 1001矢!!」

 

敵の槍を上回る量の魔法の射手で迎撃する。

当然残った矢が堕天使に襲い掛かる。

 

「グアッ!」「ガッ!」「キャッ!」

 

それぞれ体を撃たれ地に落ちる。

 

落ちてきた堕天使に近付く影幸。

 

「クッ、に、逃げるぞ!」 「え、ええっ!」 「ちょ、ちょっと・・・グッ」

 

ドーナシークとカラワーナが翼を広げ逃げるが、ミッテルトは先ほどの矢が足と翼に当たったようで飛べずにいる。

 

(ああ、やっぱあの胸騒ぎはこれだったんだ。こいつは自分の力をまだ隠してる。こんな奴に勝てるなんて最初からありえなかったんだ・・・)

 

ミッテルトが怯えと諦めの表情を浮かべながら影幸を見る。

しかし影幸はそんなミッテルトを一瞥して飛び去る堕天使を見る。

 

「なっ、しまった。結界が張られていたんだ!」

 

「どうすんのさいったい!」

 

結界に当たり動けずにいる二人を見つめ影幸は片手を向ける。

 

「パス・アン・ビリカル

目醒め現れよ 燃え出づる火蜥蜴

火を以ってして 敵を覆わん 紫炎の捕え手!」

 

炎系の捕縛呪文を唱え二人を拘束する。

 

「な、なんだこれは!?」

 

「クッ外れん!」

 

更に影幸は魔力を練り止めをさす。

 

「パス・アン・ビリカル

来たれ雷精 風の精

雷を纏いて 吹きすさべ 南洋の風

雷の暴風!!」

 

上空にいる二人に強力な雷を纏った旋風で攻撃する。

 

「「ガッ、ガアアァァァァァァァァァ!!!」」

 

二人は稲妻の旋風の中消される。

後に残ったのは舞い落ちる二人の黒い羽根だった。

 

「や、やだ、殺さないで・・・死にたくない・・・」

 

ミッテルトは先ほどとは打って変わっての態度の豹変を見せた。

そして影幸は結界を解きミッテルトに近付き、

 

「大丈夫だ。アンタを殺したりはしない。聞きたいことがあるからな」

 

「・・・ホ、ホント?」

 

「ああ、ほんとだ。それにあんたは俺の力量にきづいてたよな。なかなかの観察眼だ。

・・・それから、そこの二人はそろそろ出てきたらどうだ?」

 

そう言って影幸は茂みの方を見る。

すると茂みからグレモリーと姫島先輩が出てくる。

 

「いったい何時から気づいていたのかしら?」

 

「勿論、最初からだ。それに、見たいものも見れたろ?」

 

「そうね。危なくなったら手を出すつもりだったんだけれど、その必要はなかったみたいね」

 

「当然だ。さて、ミッテルト・・・だっけ?

アンタ等が何でこんなことをしてるか聞かせてもらえるかな?」

 

 

 




疲れた。疲れとしか言えない。
連続はさすがにキツイと思い知った。
もうあんまりやりたくないと思う。

では、次回をお楽しみに。

御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にておまちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅸ:状況把握と敵本拠、そして逆鱗

なんか、異様に長くなりました。



ミッテルトが言うには、珍しい神器である『聖女の微笑(トワイライト・ヒーリング)』を上に献上すれば出世できると言われ協力したらしい。

 

「おいおい、何てことだ・・・」

 

「こんな事とはね・・・」

 

「部長・・・これは少し急いだ方がいいかもしれませんね」

 

「ええ、そうね朱乃、、すぐにジャンプする準備をしてちょうだい」

 

「はい、部長」

 

「え?なんなんすかいったい、そんなに慌てて?」

 

ミッテルトがなぜ影幸たちが焦るのかはわからないようで聞いてくる。

 

「ミッテルト、あんたは知らないようだがな、神器を抜かれた者は・・・死ぬんだぞ」

 

「神器ってのは所有者の魂と深く結びついてるから抜き取られれば、魂を抜き取られたも同然だ。

だから死ぬんだ」 

 

「!!」

 

それを聞いた瞬間ミッテルトの表情が固まった。

 

「そ、そんな、そんなこと・・・聞いてない・・・」

 

どうやらミッテルトはそんなことを知らなかったようだ。

 

そうこうしているうちに、姫島先輩の転移魔法陣が完成したようだ。

 

「センパイ、ミッテルト(コイツ)どうします?」

 

影幸がいまだショックを受け項垂れているミッテルトを指しそう聞くとグレモリーは、

 

「そうね、このままにしてもいいけど、少し心配だわ」

 

「そんじゃ、こいつの力、俺が封じておきますね」

 

「出来るの?」

 

「俺にかけてるこれの応用でいけますよ」

 

影幸は自らの背中を指さしながらそう言ってミッテルトに近付く。

近付いたことに気が付いたのかミッテルトが顔を上げる。

 

「これからあんたのアジトに移動する。ミッテルト、アンタにもついて来てもらうが力は封じさせてもらう。

・・・いいな?」

 

その言葉にミッテルトは力なく小さくうなずく。

 

「よし、じっとしてろよ。・・・

パス・アン・ビリカル

誓約の鎖よ 彼の者に異能の制約を」

 

ミッテルトの腕に黒いラインが1本走り異能を封じられる。

 

「これで封印完了。じゃ俺たちは別ルートで教会に向かうから、二人は転移魔法陣で直接ジャンプするんだよな」

 

「ええ、そうよ。教会に直接ジャンプするのは初めてだから少し緊張するけどね・・・」

 

「じゃ、気をつけてな」

 

「ええ、あなたもね」

 

そう言いグレモリーと姫島先輩は魔方陣の光に包まれ消える。

 

「さて、俺達も行くぞ。道すがらあんたのことも色々と聞かせてもらうからな」

 

そう言い影幸とミッテルトは教会に向かって歩いていく。

 

              ~       ~

 

 影幸とミッテルトが教会に近付くと、バリンッ、と教会の窓が突然割れ、そこからボンテージ衣装を纏った堕天使の女が飛び出してきた。

 

「レ、レイナーレ様!!」

 

ミッテルトが驚きの声を上げる。

どうやらこの堕天使がこの計画の発案者の堕天使の様だ。

地面に激突しても起き上がることなく、それどころか気絶している堕天使レイナーレを二人が見ていると。

 

「・・・神野先輩?」

 

声の聞こえた方に顔を向けるとそこには少し傷のある小猫が立っていた。

 

「小猫か。何だ?こいつを回収に来たんか?」

 

「はい。・・・その娘は?」

 

小猫が影幸の隣に立っているミッテルトについて聞いてくる。

 

「こいつはこんなんでも一応堕天使だ。今は俺がその力を封印してるがな」

 

「そうですか。じゃあ私は行きますので」

 

そう言って小猫はレイナーレの襟首を掴み引き摺って教会に歩いていく。

 

「あいつを助けなくていいのか?ミッテルト」

 

「・・・」

 

影幸の質問にミッテルトは顔を俯かせることしかできず、「え、あ・・・う・・・」と呟いていた。

おそらく、自分はいったいどうしたらいいか、まだ踏ん切りがついてないようだ。

それを見て影幸は答えを催促するようなことをせず、黙って小猫の後をついて行きミッテルトもそれを見て小走りについて来た。

 

そして教会に着くと小猫が、

 

「部長、持ってきました」

 

「というより、引き摺ってきたじゃね?」

 

と言いながら中に入っていった。影幸たちも入ると中はかなり荒らされていて、祭壇にある磔刑像にいたっては顔が削り落とされており、痛ましい姿をさらしていた。

そしてイッセーが力なく木場に支えられていた。

イッセーの左腕には、神器が発現していたが最初に見た時とは様相が変わっていた。

それに、影幸はその神器から強力な龍の力が感じていた。

 

「ありがとう、小猫。さて、そろそろ起きてもらいましょうか。朱乃」

 

「はい」

 

姫島先輩が手をかざすと宙に水が現れ、気絶しているレイナーレにかけた。

 

「ゴホッゴホッ!」

 

「ごきげんよう。堕天使レイナーレ」

 

「・・・グレモリーの一族の娘か・・・」

 

「はじめまして、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期頭主よ。

短い間でしょうけど、お見知りおきを」

 

グレモリーが優雅に挨拶をするがレイナーレは口元を歪ませ嗤う。

 

「・・・しやったりと思っているでしょうけど、残念。

今回の計画は上に内緒ではあるけれど私に同調し、協力してくれている堕天使もいるわ。

私が危うくなったときに彼らは私を―――」

 

「彼らは助けに来ないわ」

 

「!?」

 

「堕天使カラワーナ、堕天使ドーナシークはそこにいる魔法使い影幸の手によって倒されたわ。

それに堕天使ミッテルトは影幸の手によってその力を封じられているわ」

 

イッセーが影幸を信じられないようなものを見る目で見ている。

 

「嘘だ!!」

 

レイナーレは上半身を起こしグレモリーの言葉を強く否定する。

しかしグレモリーは懐から2枚の黒い羽を取り出した。

 

「これは彼らの羽。同族であるあなたならわかるはずよね?

そして・・・影幸」

 

「はいよ~」

 

そう言いずっと入り口付近にいた影幸に声をかけた。

 

「!・・・ミッテルト」

 

レイナーレは影幸の後ろにいるミッテルトの存在に気付いて様だ。

 

影幸はミッテルトの右手を掴みその手首にある黒いラインを見せる。

 

「これが見えるか?こいつがある限りミッテルトはその異能を封じられ戦うこともできない。

今はそんな状態だ」

 

「・・・くっ・・・」

 

レイナーレはとても悔しそうに睨み、そして、

 

「使えないわね」

 

そう小さく呟いた。それを聞いた途端、今まで暗く俯いていたミッテルトは一瞬驚愕の表情を現したがその次の瞬間悲しそうな顔をして目を伏せた。

 

グレモリーはイッセーの変化した神器に興味を示しており観察をしている。

 

「成程、イッセーが堕天使に狩った理由が分かったわ」

 

曰く、イッセーの神器は『神滅具』と呼ばれる神器の中でもレア中のレアであること。

曰く、その能力は所有者の力を一定時間ごとにパワーアップしていく能力であり、一時的にでも神や魔王を超える力を得られる代物であるということ。

 

これが、イッセーが堕天使レイナーレに勝てた原因であるらしい。

 

「さて、最後のお勤めをしましょうかしらね」

 

グレモリーがレイナーレを睨み付ける。

その眼光は鋭く、冷徹さを帯びている。

 

「消えてもらうわ、堕天使レイナーレ。勿論その神器も回収させてもらうわ」

 

「じょ、冗談じゃないわ!!この癒しの力はアザゼル様とシェムハザ様に――」

 

「愛のために生きるのもいいわね。

でも、あなたはあまりにも薄汚れている。とてもエレガントではないわ。そういうのは、私許せない」

 

グレモリーの手がレイナーレに向く。

 

「・・・!!・ミ、ミッテルト!私を助けなさい!」

 

「え・・・ウ、ウチは・・・」

 

「私を助ければあなたの出世を約束するわ!」

 

「オイコラ、アンタさっき自分が言ったこと覚えてるか?『使えない』って言ったんだよ。

自分で捨てておきながら、必要になったら回収とか クズのすることだ」

 

影幸が怒りで顔をひきつらせながら言い放つ。

 

「ミッテルト、こいつについて行くこたぁ無い。こいつについて行くとあんたの人生ダメになるぞ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ミッテルト‼‼」

 

ミッテルトが黙り、レイナーレが叫ぶ。

 

「ごめんなさい」

 

「・・・!」

 

ミッテルトはそう言ってレイナーレから目を背けた。

 

「下僕にも見捨てられたわねレイナーレ。哀れね」

 

ガクガクと震えるレイナーレ。

だが、イッセーもその視界に入れた瞬間、媚いるような目になった。

 

「イッセーくん!私を助けて!」

 

この言葉が、影幸の逆鱗に触れるとも知らずに・・・

 

 




こんな感じに、レイナーレにはとことんゲスキャラになってもらい、影幸君の逆鱗に触れてもらうことになりました。
激怒状態の影幸君は何をやらかすのか?

次回をお楽しみに。

御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にておまちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅹ:魔法使いの怒りと全てを焼く炎、そして新入部員

影幸君ブチギレ

レイナーレ、ざまぁm9(^Д^)

彼は怒らせてはいけません。


「イッセーくん!私を助けて!」

 

 イ マ 、 コ イ ツ ハ ナ ン テ イ ッ タ

 

レイナーレが天野夕麻の姿をとりイッセーに語り掛ける。

 

「この悪魔が私を殺そうとしているの!私、あなたのことが大好きよ!愛してる!」

 

 コ イ ツ ハ イ マ 、 ナ ニ ヲ イ ッ テ イ ル

 

「ほら、これを見て。イッセーくんがくれたプレゼント、大切にしてるの」

 

「なんで、持ってるんだよ・・・」

 

「どうしても捨てられなかったの。

だって、私、あなたのことが・・・」

 

「おまえ・・・どこまで・・・」

 

「あなたのことが、好きな・・・っ!!!」

 

ドゴンッ!!!

 

轟音が響きレイナーレのいた場所に砂埃がたっている。

砂埃が薄れるとそこにレイナーレの姿はなく、教会の外に向かって床が何かによって抉られていた。

その先には先ほどよりひどい状態のレイナーレが激痛に苦しむような表情で横たわっていた。

 

「・・・!!」

 

それを起こしたであろう存在を見たイッセーは驚愕の表情を浮かべ、それを見て同じくその存在を見たオカ研究メンバーとミッテルトも同じ表情を浮かべていた。

 

そこにいたのは、彼らの知っている、気さくで、不思議な魔法使いではなく、形容しがたい異形の存在だった。

 

「おい、女」

 

異形の口から出た言葉は、聞いた者の本能に強制的に恐怖を植え付けているかのように恐ろしく、

 

「それ以上言うなら、容赦はしない。

俺の嫌うことをピンポイントで刺激しやがって」

 

まるで、そこにいるのが恐怖の権化のような存在だった。

 

「楽に死ねると思うなよ」

 

その存在はゆっくりと外で腹を抱え苦悶の表情を浮かべるレイナーレに近付ていった。

 

「俺をここまで怒らせた奴は久しぶりだな・・・特別にこれを使って殺してやる」

 

そう言ってコートの内ポケットから取り出したのは一枚の布。

レイナーレは痛みを堪えながら見上げる。

 

「こいつは思っているとうりただの布じゃない。

特別な魔法具だ。これを使ってお前を殺す」

 

「い、いや、いやぁぁぁ・・・」

 

取り出した布を持ち上げ、つまんでいたてを開く。

 

「焼き尽くせ、カグツチ!!!」

 

瞬間その位置から離れているグレモリーたちにも熱波が襲い掛かる。

あまりの炎と熱波で目を閉じ、次に開いた時にそこには”ヒト型の炎”があった。

 

「そいつを焼け」

 

一言その炎に放つと炎はその手をレイナーレに向け巨大な炎を放った。

 

「ああああああああああああぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

レイナーレは炎にまかれ絶叫を上げながらのたうち回った。

 

「その炎は、神をも焼く炎だ。

せいぜい後悔しながら死んでいくことだな」

 

そしてしばらくレイナーレは神をも焼くという炎に包まれながら時間をかけ死んだ。

 

             ~    ~

 

レイナーレが死に、その場所には何もなく、焼け跡が残っているだけだった。

否、そこには小さな緑色の光があった。おそらく、レイナーレが奪った、シスターアルジェントの神器、『聖母の微笑』だろう。

怒りを鎮めた影幸がその光を優しく持ち上げ教会にいるグレモリーたちのもとに行く。

 

グレモリーたちは、先ほどの現象を起こした者と、今目の前にいる影幸が同一人物に見えないでいた。

 

「これ、彼女の神器じゃないのか?」

 

「え、ええ。そうね」

 

グレモリーが意識を取り戻し影幸の問いに答える。

 

「ねぇ、さっきのアレはなに?」

 

「あ~、久々にキレたから少しやりすぎたわ。一応アレも俺の魔法の一部なんだけどね。

まぁ、説明はまた後ほどってことで」

 

「わかったわ。そのことについては後できかせてもらうわ」

 

そう言いグレモリーは影幸から神器を受け取り、聖堂のベンチで眠りについている少女・アーシアに返した。

アーシアを救うことができなかったことでイッセーはその場に膝をつき涙を流す。

 

「部長、みんな俺とアーシアのために本当にありがとうございました。

でも、でも、せっかく協力してくれたけどアーシアは・・・」

 

嘆き、後悔を口にするイッセーにグレモリーがポケットから取り出したものを見せる。

 

「イッセー、これ、何だと思う?」

 

紅いチェスの駒。

 

「それは?」

 

「これはね、イッセー。『僧侶』の駒よ」

 

それを見てイッセーはグレモリーが何をするのか予想して目を見開く。

 

「部長!」

 

「前代未聞だけどやってみるわ。そ、それに悪魔をも回復するその力も欲しいし」

 

後半はそっぽを向きながら言うグレモリー。

 

曰く、『僧侶』の力は眷属のフォローが主だそうだ。

それならアーシアの能力にピッタリである。

 

そして、無事に転生の義が終了し、アーシアが目を覚ました。

 

「・・・イッセーさん?」

 

イッセーがアーシアに抱き付き、

 

「帰ろう、アーシア」

 

 

    後日談

 

その後解散となり、ミッテルトは堕天使側から使者が来るまで影幸が預かることになった。

しかし、ミッテルトはあの日からずっと沈んでいる。少しはましになったが、まだ表情は暗い。

 

今、影幸は早朝に木場、小猫、朱乃サン(本人がそう呼んでほしいと言った)と共に部室に向かっていった。

道中木場たちからグレモリーのことを説明された。

『紅髪の滅殺姫』と呼ばれるほどの存在であり、強力な滅びの魔力を操る公爵家の御令嬢と。

 

(まったく、末恐ろしいお姫様だな~)

 

そう考えながら部室に近付くと中からグレモリーとイッセー、そしてアーシアの声が聞こえてきた。

 

(成程、早朝に集まった理由はこれか)

 

そう考え付き部室に順番に入っていく。

 

「おはようございます、部長、イッセーくん、アーシアさん」

 

「・・・おはようございます、部長、イッセー先輩、アーシア先輩」

 

「ごきげんよう、部長、イッセーくん、アーシアちゃん」

 

「Guten Morgen グレモリーセンパイ、イッセー、アーシアさん」

 

それぞれが挨拶をして「アーシア・アルジェント」を一員と認め、オカ研究への入部を祝った。

 

「さて、全員揃ったところで、ささやかなパーティーを始めましょうか」

 

そう言ってグレモリーはケーキを取り出し、皆で食べた。

 

 

その様を、部室の外にいる赤い鳥がじっと見つめていた。




はい、これで第一巻分は終了です。
いかがでしたか?
次は番外編を挟んで第二巻に行きたいと思います。

御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Extra STORY:狐と堕天使、そして月夜のおでん

今回は、前回の後書きに書いた番外編です。

それと、遅いかもしれませんが、ここ最近、ずっと三人称で書いてきました。
今までほぼ影幸君視点だったんですが、それじゃぁつまらないと思い三人称で書いてきました。読みづらかったら感想欄で意見を受け付けています。


 ミッテルトを預かって数日。最初のころに比べて表情も明るくなってきた。

最初のころはレイナーレに捨てられ、悪魔になったアーシアに対して罪悪感があったのか、始終顔を下げたままでいた。

それも、今では少しぎこちないながらも笑顔を見せるようになった。

 

これは、そんなある日の出来事だ。

 

     ~     ~

 

「ただいま」

 

「あ、お帰りっす」

 

影幸が家に帰ると、ミッテルトが出迎えた。今の彼女の服装は白のシャツに紺のカーディガンを着ている。

流石に家の中でも四六時中ゴスロリはどうかということで影幸が買い与えたものだ。

 

          閑話休題

 

「ただいま、ミッテルト。今日なんかあったか?」

 

「なんも無かったっすよ。にしても、広い家っすね」

 

「まぁ、魔法使い、或はそれに類するものの住処ってのは、こんなもんだよ。

それに、そういう者たちの家ってのは防衛用の術式が仕組まれてたりするんだ」

 

「え?ってことはこの家にも?」

 

「ああ、というより、撃退用かな?研究成果とか、研究資料とか盗られたらたまんないからな。

術式の内容としては〈自主規制〉とか〈閲覧禁止〉とかがあるから、下手に入ろうものなら、即○○だな」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

あまりの内容にミッテルトは硬直してしまった。

 

「まぁ、ミッテルトは登録しといたから大丈夫だよ。心配すんな」

 

(いや、むしろ侵入者を心配するっすよ!!)

 

それから、影幸は自室に荷物を置き、縁側でくつろぎ始めた。

そこに、ミッテルトが近付き、

 

「今日の夕飯どうするっすか?」

 

「そうだな、まだ少し寒いから、温かいもんにしようかね」

 

「温かいものっすか?う~ん・・・鍋とか?」

 

「さすがに、鍋は熱いかな。

・・・ん~・・・確か今日は満月だったよな・・・」

 

「え?確かそうだった筈っすけど・・・それがどうしたんすか?」

 

ミッテルトが月カレンダーを見ながら答える。

 

「とっときの店を知ってるんだ。夜はそこに食いに行こう。

よし、そうと決まれば少し準備をしないとな」

 

そう言って影幸は立ち上がり台所に向かう。

 

            ~      ~

 

そして、その日の夜の10時頃、影幸とミッテルトは夜道を歩いていた。例のとっときの店を探して。

 

「あの~、その店ってどこにあるんすか?」

 

「う~ん、たぶんこの先?」

 

「いや、疑問形で聞かれても・・・ってか知らないんすか!?」

 

「知ってるけどどこにあるかわからないんだよな・・・ま、そのうち見つかるだろ」

 

「そんな、呑気な・・・ッ・・・スンスン・・・何かいい匂いが・・・」

 

「お、噂をすればなんとやらだ、あそこだぞ、ミッテルト」

 

そう言って影幸が指差した方向には屋台が一つあった。

影幸がその屋台に近付きミッテルトもそれに続く。

 

近付くと屋台の周りでちょこちょこ動く後姿が見えた。ミッテルトはもっとよく見ようとそれに近付くとミッテルトに気づいたのか、それはこちらを振り向く。

すると、ミッテルトと目が合う。黄金色の毛に三角耳、背中で同じ色の尻尾が揺れている。しかも二足歩行で、和服を着て三日月にススキの模様の前掛けをしている。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「キ、狐ーーーーーーーーーー!!!!!」

 

「わぁっ!!」

 

互いに驚きあい奇声を上げる。

 

「おや、お客様ですか。いらっしゃい」

 

「ま、また出た!しかも今度はおっきいの!!!」

 

屋台の暖簾を退けて顔を出したのはミッテルトの言った通り大きい狐だった。

こちらも二足歩行で子狐と同じ前掛けを付けている。

 

「よ、ダンナ久しぶり」

 

「おや、ジンさん。お久しぶりですね。ささ、こちらへどうぞ」

 

「おう、取りあえずおすすめ二人前よろしく」

 

「はい、かしこまりました」

 

そう言って親狐は屋台に戻る。

 

「ミッテルトも座れよ。ここのおでんは美味いぞ~♪」

 

ミッテルトは少し困惑しながらも席に着く。

すると目の前に大根、餅巾着、こんにゃくなどのおでんのネタの入った皿が出される。

 

「よし、いただきま~す」

 

「い、いただきます・・・ッ・・・うまい!!」

 

「それは、よござんした」

 

「だろ、ミッテルト。ここのおでんは美味いだろ?」

 

「スンゲェ美味いっす!!特にこの油揚げ煮たやつ」

 

「ははは、そりゃ狐ですから。油揚げにはより一層こだわってますよ。

・・・ところでジンさん。こちらの方は?人間ではないのは確かですけど・・・」

 

「ああ、ミッテルトは堕天使だよ。わけあって今預かってるんだ。害は与えないから心配すんな」

 

「そうですかそうですか。・・・おや」

 

ダンナが顔を向けたところには子狐が影幸たちを、正確にはミッテルトを見ていた。

ミッテルトもその視線に気づいたようで顔を向ける。

 

「ああ、さっきは驚かせてごめんス」

 

「ううん、いいの。・・・お父さんのおでん、おいしい?」

 

「おいしいっすよ♪」

 

「えへへ、ありがとう///」

 

そんな二人の様子を見て影幸たちは顔を合わせ笑いあう。

 

「よし、ダンナ。熱燗よろしくー!その後は焼酎で、後、泡盛!!」

 

「ハハハ、御体壊しますよ。飲みすぎには気を付けてくださいね」

 

「そんなん、平気平気♪」

 

そうして、楽しい夜の食事の時間が過ぎていった。




番外編、いかがでしたか?
次は原作二巻のお話となります。
お楽しみに。

お気に入りが60人以上になっていてとてもうれしいです。激励の感想をいただくとめっさうれしいです!!!

これからもお付き合いのほどよろしくお願いします。



御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にておまちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦闘校舎のフェニックス
Ⅰ:魔法使いとメイド、そしてフェニックス


お待たせしました。
戦闘校舎のフェニックス始まりです。


おでんを食ってから数日後に堕天使側からミッテルトの迎えが来た。

ただ、迎えに来たのが、シェムハザだったことには影幸もミッテルトも驚いていた。

てっきり下っ端の堕天使が来ると思っていたがまさか、『』副総督のシェムハザが来るものだから。

そしてシェムハザはミッテルトを引き取り、影幸に心ばかりの詫びの品を渡し、グリゴリの本部に帰って行った。

その時、ミッテルトは少し寂しそうな表情をしていた。

 

いま、影幸は教室の自分の席で、本を読んでいた。(周りからは外国語の本を読んでいるように見えるが、実は魔法の術式について書かれた本である)

 

そこにイッセーが真面目な表情で近付いて来た。

 

「何か用か?」

 

「ジン・・・昨日の夜、部長が夜這いに来たんだが・・・」

 

「・・・・・・・・・スマン、流石にヌメック語は解らんよ」

 

「いや日本語だよ!真面目に聞けよ!」

 

「スマンスマン。てっきりアンタがラリッたのかと思ったよ。

で、いったいどうしたんだ?」

 

「さぁ、俺にもよく解んねぇんだ」

 

「俺が何でも知ってると思うなよ。知ってることしか知らないからな。

木場にでも聞いてみたらどうだ?アイツなら俺より何か知ってるかもしれないぞ」

 

「そうだな・・・」

 

       ~    ~

        影幸side

 

「部長のお悩みか。たぶんグレモリー家に関わることじゃないかな」

 

放課後、俺とイッセーとアーシアは木場と共に旧校舎にある部室に向かっている。

移動中にイッセーは木場にグレモリーのことを聞いていたが、木場のこの反応を見る限り詳しくは知らないようだが。

 

(どうやら、今日は客人がいるようだな・・・)

 

俺は部室に向かう途中で部員以外の気配を感じた。

覚えのある気配なのであまり警戒はしない。

 

そして部室の扉の前に来た時、

 

「・・・僕がここまで来て初めて気配に気づくなんて・・・」

 

と木場が言った。ようやく気付いたみたいだな。イッセーとアーシアはまだ気づいてないみたいだな。

 

扉を開けて入ると中にはグレモリーと朱乃さん、小猫、そして銀髪メイドがいた。

 

そこにはまるで、吸血鬼の館にて吸血鬼に仕えている時を止めナイフを投げてくるかのようなメイドがいた。

と言っても彼女はグレモリー家に仕えているメイドであって、時を止めるメイドではない。ナイフは投げてくるが。

 

「アーシアと影幸は初めてだったわね。紹介するわ、私の実家の・・・」

 

「グレモリー家のメイド、グレイフィアと申します。

いごお見知りおきを」

 

そう言って挨拶をするグレイフィアさん。

その挨拶にアーシアは挨拶を返した。そしてグレイフィアが顔を上げるとすぐに俺に視線を向けた。

 

「グレイフィア、彼は・・・」

 

「存じておりますお嬢様。

・・・お久しぶりですねジンさん」

 

「「「「「「え?」」」」」

 

「応、久しぶりだな。元気してたか?」

 

「ええ、そして今日こそ一本取らせていただきます」

 

そう言うや否やナイフを構え投擲してきた。

 

俺はそのナイフを掴み瞬動でグレイフィアの後ろに回り込む、しかし彼女もそれをわかっていたのか振り向きざまにナイフを振るう。

俺はその斬撃を先ほどつかみ取ったナイフで防ぎ。空いている手を手刀の形にして間髪入れずにグレイフィアの喉元に突き付けた。

 

「・・・参りました」

 

グレイフィアが負けを認め両手を上げ降参の姿勢をとった。

 

「ちょっと、グレイフィア!いきなり何をしてるのよ!あなた影幸と知り合いだったの!

影幸も何応じてるのよ!」

 

「まぁ、ちょいと落ち着けや。これはいつものことだから気にするな」

 

それから、俺とグレイフィアとでグレモリーを説得した。

 

「さて、ある程度疑問も解消したことだし、全員揃っているから部活をする前に、少し話があるの」

 

「お嬢様、私がおはなししましょうか?」

 

そういうグレイフィアにグレモリーは片手を振っていなす。

 

「実はね・・・」

 

口を開いた瞬間部室の床に描かれた魔方陣の紋様が変化し光出す。

 

(転移現象だな。この紋様はたしか・・・)

 

「・・・フェニックス」

 

木場がそう言った。その瞬間魔方陣から炎が巻き起こり室内を熱気がほとばしる

 

 

(・・・アチーな~)

 

炎の中に一人の男が佇む。

そいつが腕を横に薙ぐと周囲の炎が払われた。

 

「ふぅ・・・人間界は久しぶりだ」

 

そこにいたのは赤いスーツを着ており、ネクタイをせず、胸までガッツリとシャツを開いていたホストっぽい見た目のチャラ男だ。

 

「愛しのリアス。会いに来たぜ」

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅱ:火の鳥(フライドチキン)と魔法使い、そしてゲーム

お待たせしました。最新話をどうぞお楽しみください。


部室に魔方陣を介して転移してきたのは、悪魔フェニックス家の三男でありリアスグレモリーの婚約者のライザー・フェニックスとゆうボンボン悪魔だった。

そのことを知った時のイッセーの反応はうるさいに尽きる。

 

そしてライザーは今、ソファーに座るグレモリーの隣に座りしきりに髪をなでたり肩を抱いたりしている。

何度も肩を抱く手がグレモリーによって振り払われるが奴はそれに構わずニヤニヤしながら触れる。

 

そのたびにイッセーが怒りを蓄積していくから、正直いつ爆発してもおかしくない。

俺はそんなやり取りを見ながら窓際に置いた椅子に座る。

 

数分ほどそんなやり取りが行われついに

 

「いい加減にしてちょうだい!ライザー!」

 

激昂したグレモリーの声が部室に響く。

ソファーから立ち上がったグレモリーがライザーを鋭い眼光で睨み付ける。

しかし、ライザーは変わらずにやけ顔。

 

曰く、親同士が勝手に決めたためグレモリーは乗り気ではない、

当初はグレモリーが大学を出るまで待つ約束だったらしいがそれぞれの親は純潔悪魔の断絶を恐れて予定を早める決断をしたようだ。

 

俺は、このことに対し少し苛立が湧いた。

 

(・・・悪魔が約束破るとか・・・)

 

ライザーは純潔の悪魔は希少やらなんやら延々と語り続け、それでも拒む意思を見せるグレモリーに「この場にいる君の眷属全員を燃やし尽くしてでも連れて帰る」

と炎をだした。

その行動にイッセーは怯えるアーシアを背に隠し、それ以外の眷属は臨戦態勢をとる。

 

俺は熱くなったので窓を開け空気を換気する。

 

「さっきから気になっていたんだがリアス。あの人間は何者だ?」

 

「彼は魔法使い、私の契約者よ」

 

「ふーん、あっそ・・・」

 

ボォゥ!!

 

「「「「!?」」」」

 

「影幸!危ない!!」

 

「・・・・・・風よ・・・・・・」

 

         リアスside

 

ライザーが影幸に向かって炎を放った。警告も何もなく。

 

「ライザー!何をしているの!?」

 

いくらなんでもこれは許せない。

私、リアス・グレモリーはライザーに詰め寄った。

 

「何って、オレはただ君についている虫を消しただけだぞ。

それに魔法使いと契約するならもっとマシな奴と契約したらどうだ?言っちゃ悪いがあいつの力は高くない。

あんなのが君の契約者となると君の名に傷がつくぞ」

 

と、のたまうライザー。彼はまるで当然のことをしたとゆう顔をしている。

 

「うは~ アチ~」

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「いや~、驚いた~、意気なし炎ぶっ放してくるんだから」

 

「キ、キサマ!なぜ生きている!?」

 

         影幸side

 

「ん?なぜって・・・そりゃ俺だから?

ん~、何でだろうな??イッセー」

 

「いや、俺に聞くなよ!

手か、ホントに大丈夫なのか?」

 

「フフーフ、五体満足だよ」

 

実は炎が迫った瞬間、風を纏って炎の軌道を逸らしただけなんだけどね。

 

そして、俺はニタニタとした笑みを止めてライザーを見る。

 

(マズイ・・・ジンさんは怒ってますね。これは止めるが吉か否か・・・)

 

「アンタさ、俺をマジで殺そうとしたよな・・・」

 

「ふんっ!だから何なんだ?」

 

「いや、ちょいとイラ~ッと来てね・・・」

 

「なんだ?やるのか?なら受けて立つぞ。まぐれが二度続くと思うなよ!!」

 

俺とライザーの間で軽く火花が散る。

そして

 

「・・・ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉおまるはうと んがあ・・」

                

「(これは止めた方がいいですね、ライザー様のためにも皆さんの命のためにも)

お二方落ち着いてください。

これ以上やるのでしたら私も黙ってみているわけにはいかなくなります。

私はサーゼクス様の名誉のためにも遠慮などしないつもりです。

それとジン様、その呪文は洒落にならないので直ぐに詠唱破棄してください今すぐに!」

 

グレイフィアさんが珍しく慌てたため詠唱を破棄する。

正直、生きる火花ではなく這寄る混沌の詠唱にするべきだったか・・・

 

「どちらにしろ危険なのでやめてください!」

 

心が読まれた。

 

その後グレモリーとライザーの意見は平行線だったため最終手段の『レーティングゲーム』で決着をつけることになった。

 

「リアス、まさかここにいる面子が君の下僕全員か?

其処の人間を入れても6人しかいないぞ?」

 

何気に俺を人数にカウントするライザー。

 

「だとしたらどうなの?」

 

「これじゃ、話にならないんじゃないか?キミの『女王』である『雷の巫女』ぐらいしか俺のかわいい下僕に対抗できそうにないな」

 

そう言ってライザーは指を鳴らし魔方陣から人影が出現した。

その人数にグレモリー眷属たちは言葉を失った。

 

「と、まぁこれが俺のかわいい下僕たちだ」

 

堂々と言うライザーの後ろには総勢15名の眷属悪魔達。

しかも全員女。

(いろんな意味で)チッコイのと(いろんな意味で)デカいのと多種多様の美女美少女軍団だ。

 

それを見てイッセーが大号泣、マジ泣きをしている。

それにほぼ全員がドン引きしている。

コイツの夢はハーレムだからな~

丁度グレモリーがライザーにそのことを教えていた。

 

「キモ~い」「ライザー様~、このヒト気持ち悪-い」

 

「そう言うな、上流階級の者を羨望の眼差しで見てくるのは下賤な輩の常さ。

アイツらに俺とおまえたちの熱々なところを見せ付けてやろう。ユーベルーナ」

 

そう言うとライザーは魔導士のような格好の眷属を呼び寄せると、

 

ズキュゥゥゥゥゥン!!

 

やった・・・やりおったこの男!!そこにしびれない!憧れないいいぃぃ!!

 

「んっ・・・あふっ・・・」

 

官能的な濃厚なキスを行うライザー。

 

「な、何も見えませ~ん」 「センパイ、何も見えないし聞こえないんですけど」

 

俺はアーシアと小猫の目を魔法で操った影で塞ぎ、耳には空気の断層を作り音が伝わるのを阻止した。

 

(うん、君たちにはまだ早い。見なくていいよ・・・)

 

そんなこんなしていると奴は別の下僕と二回戦をやりだした。

そしてこちらを見て、

 

「お前らじゃこんなことは一生できまい」

 

その言葉にイッセーがついにキレた。

そして、神器を展開して殴りかかるが、棍を構えた少女がイッセーの前に現れイッセーを弾き飛ばす。

 

「良くやったミラ。ついでだ、其処の人間にも礼儀というものを教えてやれ」

 

「はい、ライザー様」

 

棍を持った少女、ミラが俺に向かって棍を突き出す。

俺はその突きを半身になって躱し左手で棍の先端を掴み引き寄せミラのバランスを崩す。

 

「やってくるってことは、やられる覚悟があってのことだよな」

 

そう言って体勢を崩しこちらに倒れこむミラに右肘鉄寸止めで打ち込む。

 

何とか踏ん張りを利かし踏みとどまったミラは目の前にある肘に戦慄した。

 

「クッ・・・」

 

「このまま、この一撃を喰らうか、それとも後退するか、選ばせてやるよ」

 

そう言ってミラとその後ろにいるライザーを睨む。

 

ライザーは悔しそうに下がるように命じた。

 

「おい人間、キサマもゲームに参加していいぞ。

俺をコケにしたことを後悔させてやる」

 

「いいんすかグレイフィアさん」

 

「はい、非公式のゲームですので大丈夫だと思われます」

 

どうやら俺の参戦は半ば決定になるようだ。

 

10日後にゲームを開始。それまでグレモリー眷属は修行をすることになった。

 

魔法陣から冥界に帰るときライザーはイッセーを見て、

 

「リアスに恥をかかせるなよ、リアスの『兵士』。

オマエの一撃がリアスの一撃なんだからな。

リアス、次はゲームで会おう」

 

そう言い残しライザーは自らの下僕と共に魔方陣の光の中に消えた。

 




なんか、影幸君とんでもないのを召喚しようとしてましたね・・・(;´艸`)

でわ、次回は修行回になります。

御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にておまちしております。

評価もしてくださるとうれしいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅲ:説教と計画、そして修行へ

今回なんか短いです。


ライザーが去った後部室には何とも言えない空気が流れていた。

原因としては椅子に座りふんぞり返っている影幸の存在にあるだろう。

部員たちは皆ソファーに座っている。各員その表情は険しく真剣なものだ。

 

どうしてこうなったかというと。

 

         ~    ~

 

ライザーが去った直後にグレモリーが、

 

「さて、ライザーとの戦いのために明日から修行を始めるわ。

皆、今日はもう解散して良いわ。明日から泊りがけで修行をするから、用意しててね」

 

「あ~~、そのことなんだが、全員まず座ってくれ」

 

「どうしたの影幸?」

 

「いいから座れや」

 

「ジン、どうしたんだよ。なんからしくねーぞ?」

 

「・・・(ブチッ)とっとと座らんか!若僧どもが!!」

 

「「「「「「!!!」」」」」」

 

影幸が怒鳴り、強制的に全員を座らせた。

 

「お前らに言いたいことが山ほどある。

まずイッセー。お前は考えなしに相手に突っ込んでいくな。死に急ぐようなもんだ」

 

「だ、だけどよあの野郎の態度ムカついたし、あんな奴部長には相応しくないし・・・」

 

「イッセー・・・」

 

「その気持ちはわからんでもない「じゃ、じゃぁ・・・」だけど、それとさっきの突撃は別問題だ。

それにあいつの眷属が前に出たとき一瞬思考を停止させたろ。実戦だったら致命傷だ。たとえ女子供であろうと、戦線に立ちはだかるなら敵だ。容赦するな!」

 

「うっ・・・」

 

「グレモリー、アンタにも言いたいことがある」

 

「わ、私に?」

 

「そうだ、アンタ勝算があって勝負を受けたのか?」

 

「そ、それは・・・」

 

「無いだろ。無いに決まってる。何故なら、あの時のアンタは感情に任せてやっただろ。

率いる者がそんなんでどうする!」

 

「・・・」

 

その後もくどくどと影幸による説教が続いた。

 

     ~数十分後~

 

「さて、説教はこのくらいにしておこう」

 

そう言ったときにはグレモリー眷属たちはグロッキーな状態になっていた。

 

「次は修行についてだが、どうする予定なんだ」

 

「とりあえず、10日間は修行のために山にある別荘で泊りがけで行う予定よ」

 

「却下」

 

「え!?」

 

「却下も却下、ド却下だ。

学生の本分は勉強だ。それを疎かにするようなことは容認できないな」

 

「だったらどうすればいいのよ!10日しかないのよ!1日も無駄にできないわ!」

 

「今日から10日だろ?十分な時間があるだろうが。

明日から放課後に修行を始める。修行場所はこっちで提供する。

グレモリー、お前にはフェニックス共のデータを集めておけ。それを基に修行内容を考える」

 

「あなたが指導してくれるの?」

 

「図らずも、俺も参加することになったからな」

 

「・・・間に合うの?・・・」

 

「間に合わせる。否が応でも」

 

と、言うことで修行に関しては、影幸が監督することになった。

 

「それじゃ、明日の放課後に家に来い。そこで始める」

 

「分かったわ。みんなもそれでいいわね?」

 

グレモリーの問いに全員が肯く。

 

「よし、それじゃぁ楽しみにしてろよ」

 

そう言った時の影幸の顔は、とてもイイエガオだった。




ご感想、御意見、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅳ:魔法使いと修行内容、そしてSchloss von schwarzen Sonntags 

長い。なんか長くなった。

皆さん今回はちょっち長いですよ。

ちょいと必要があったので書き足しました。


 イッセーside

 

昨日のジンから、放課後に家に来るように言われて今は部員全員でジンの家に向かっているところだ。

 

「ねぇ、イッセー。あなたジンの家について何か知ってる?」

 

「いいえ、ジンの奴あんまり自分の家に呼んでくれなくて詳しいことが分からないんすよ」

 

「そう、それにあの言葉が気になるわね・・・」

 

部長の言っていることは昨日ジンが帰るときに言った言葉だ。

 

『言っておくが、間違っても転移魔法で来るなよ。ま、来ることはできないけどな。

直接足で来いよ。教えてもらうんだから最低限の礼儀は必要だからな』

 

この言葉。後半はなんとなくわかるけど、前半の意味がよくわからない。

何で転移魔法陣で来ちゃなんねえんだろう?

 

保健室で手に入れた住所を見ながらジンの家に続く道を歩く。

 

しばらく歩いていると、なんだかかなり大きな屋敷が見えてきた。

もしかしてと思いながら部長を見ると部長も同じように思っているのか額に手を当てていた。

 

その屋敷の玄関前に立って屋敷の全貌を眺める俺達。全体的には洋風なのだが、なんだか和風な雰囲気がする二階建ての屋敷。

 

「あの~、部長。ここで合ってるんすよね?」

 

「ええ、そのはずなんだけど、・・・何、この屋敷・・・かなり強力な結界が張ってあるわ。

この結界の維持のための魔力は何処から出てるの?」

 

「リアス、これはただの結界ではないわ。認識阻害に隠蔽の結界よ。しかもかなり複雑なものよ」

 

「こんなものがあるのに僕たちが気づかないなんて・・・」

 

「神野先輩は一体何者なんでしょう・・・」

 

俺とアーシア以外はかなり専門的なことで悩んでいた。

 

そんなこんなディスカッションしてると、

 

キィ・・・

 

玄関の扉が開き中から出てきたのは、

 

「お、やっと来たな。いつまでそんなところにいるんだ」

 

甚平を羽織り、ラフな格好のジンだった。

 

   sideout

 

「イヤー・・・やっと来たな。ってかヒトんちの前で名に突っ立ってんだよ。

とっとと入れよ」

 

そう言われグレモリー達は一度互いに目を見た後、グレモリーを先頭に入ってきた。

 

「何か聞きたいことがあるみたいだな」

 

影幸が修行場所に案内しているとき突然そう言った。

グレモリーは一瞬顔を強張らせたがすぐに元に戻し結界について聞いた。

 

「ああ、あれね。そりゃ魔法使いの家なんだからそれくらいの防備は当然でしょ。

え?結界維持のための魔力はどうしてるかって?そりゃ企業秘密だな。流石にそう簡単に話せないな」

 

そんなような受け答えをして一行は地下室に入っていった。

 

「さて、グレモリー。言っておいた資料はもってきたか?」

 

「ええ、これよ」

 

グレモリーは鞄から紙の束を取り出し影幸に渡す。

影幸は受け取った資料を流し見る。

 

「成程な・・・」

 

「ねぇ影幸、いったいどんな修行をするの。それに修行場所ってここなの?」

 

「そう一気に質問するな。修行場所はこれから連れてってやるよ」

 

そう言って影幸は地下室の中央にある物に向く。

 

「さ、ついて来い」

 

そう言って中央にある物体に近付くと影幸が消えた。

 

「「「「「「!!」」」」」」

 

グレモリー達は驚きその物体に近付く。

それはゴシック調の台座に大きな球体が乗っておりその中にはミニチュアの建物を中心として自然が作られており、とてもリアルなので、球体の中が只のミニチュアとは思えなかった。

 

グレモリー達が観察していると突然光に包まれた。

 

     ~     ~

 

光が止むとグレモリーたちの目の前に先ほどまでの仄暗い地下室ではなく、太陽輝く青空、四方には湖や山、荒野にジャングル。

そして目の前には巨大な黒い城がそびえ立っていた。グレモリーたちは今その城に行くための橋が架かっている円柱の上に立っていた。

よく見ると足元には魔方陣が書かれていた。

 

しばらくの間、何が起こったのか理解できないグレモリー達は周りを観察していると、

 

「ようやく来たか」

 

橋の上に先ほどと変わらない甚平姿の影幸が立っていた。

 

「ようこそ、Schloss von schwarzen Sonntags へ、歓迎するよ」

 

「Schloss von schwarzen Sonntags・・・確かドイツ語で『黒曜の城』だったわね」

 

「ああ、そうさ。ここは俺の城だ。そして修行場所でもある。

今日からここで修行するからな」

 

「えっ!?城!?ジン・・・お前って何者だ?」

 

「ついて来い。ここを案内するよ。質問があるなら歩きながら答えるよ」

 

影幸はイッセーの質問をスル―してグレモリー達を先導した。

道中グレモリー達はいくつかの質問をした。

 

・ここは何処なの?

 

「ここはダイオラマ魔法球と言う魔法具でな、アンタ等も見たろ。あの置物の中だよ」

 

・その魔法具は貴方が作ったの?

 

「まぁな(嘘)もう作り方忘れたからつくれないけどな」

 

・この城にはあなた以外誰かいるの?

 

「いるよ。後でそいつ等も紹介するから」

 

・あなたは一体何者なの

 

「何物も何も、俺はただの魔法使いだよ。他より少し強いらしいけど」

 

そして一行は城門を潜り抜け城の中に入る。

 

「さて、この城とこの中についてだけど、ここの主な構造は正面にある階段の向かって左側に食堂があってその奥に厨房があるんだ。向かって右側には大図書館がある。

其処は上と下の階とでつながってるからかなり広いぞ。それから階段の後ろの扉の先には大浴場があるから、風呂はそこな。

んで、上の階にはゲストルームがほとんどだな。後は大広間があるな。

その上の階には、俺の部屋と書斎がある。そこから上の階は大体が空き部屋だ。最上階には展望台がある。

それから中庭があってそれなりに広いからそこでも修行ができるようになってるよ。

 

ここから下の階は基本倉庫だ。食糧庫とか、宝物庫とか。それに作業部屋と工房とかがある。

自分の魔法探究とかは基本其処でやってる。

 

んじゃぁ、次は外ね。

最初に見てのとうり四方にはそれぞれ環境の違う土地がある。この城を中心にして東に湖、北に山脈、西に荒野、南にジャングルって感じにな。

ちなみにこの魔法球の中に入ると24時間は出れないようになっているんだ。

まあ、アンタ等の驚きもわかるけどもう少し話を聞け。

実はな、ここでの一日は外での一時間でしかないんだ。

原因というか仕掛けというか、この城の最深部には『時球儀』という魔法具があってな、それで時間操作してるんだ。そのためにはかなりの魔力が必要で常に供給しなきゃならんから特殊な魔方陣の上において起動させてるんだ。

アンタ等はここで数日間修行して、外に出て学校に通い、放課後にまたここにきて数日間修行っていう内容でやっていくからな」

 

一通り説明し終えた影幸は食堂に一同を集め全員に飲み物を配った。

 

「さて、修行についてだけど、まずイッセーは基礎からみっちりやること。メニューは鬼から地獄、地獄の方がまし。の三種類を用意しといた。

「ちょっと待てやコラ!」それからグレモリー、姫島、アーシアの三名は大図書館にて魔力の使い方を基礎から見直すこと。

あそこには俺が集めた魔法所がたくさんあるから参考になるものもあるはずだから」

 

「ちょっと待ってアーシアはともかくなんで私と朱乃までなの?」

 

「それについてだが、前のはぐれ悪魔バイザーとの戦闘の時にアンタらの戦闘は見せてもらったけどかなり粗があったんでな。

グレモリー、一つ聞くが、一発限りのミサイルと弾がFULLに装填されたマシンガン、とどちらが強いと思う?」

 

「それは・・・マシンガンね」

 

「そのとうり。アンタら二人の魔力の使い方は一気に大きな力で相手を圧倒するようなものだ。けどそんなのは格下に通用する方法だ。

今度の相手であるフェニックスはどう見てもアンタ等にとっては上の存在だ。

今のままじゃスタミナ切れで叩かれる。だから持続力を付けるために魔力の運用効率を身に付けてもらう。そのために基礎を確認して、自分なりの使い方を模索しろ。

それと同時にアーシアに魔力の使い方を教えるんだ。教えるとゆうのはかなり自分のためにもなるからな。

 

次に木場は剣技向上のために模擬戦をしてもらう。対戦相手は後で紹介する。

そいつ曰く、剣技は戦いの中で伸び行くものってゆうらしいから。

それと同時にアンタの神器、『魔剣創造(ソード・バース)』の運用効率を上げろ。

それは所有者の考えた魔剣を創り出す神器だ。それはかなりの戦力になる。

戦闘中に相手に合わせて魔剣を瞬時に変えられるようにしておけ。

 

最後に小猫はイッセーと同じように基礎修行をしながら格闘技の練習を中心にやっていく。

 

さて、俺からはこんな感じだが、グレモリーはなんかあるか?」

 

「そうね、その中にイッセーの裕斗、小猫、朱乃との合同修行も入れてもらえないかしら。

イッセーは前線に立つ予定だから、いろんな戦い方を知って損はないと思うのよ。どうかしら?」

 

「それはいいな。・・・よし、イッセーの修行にその内容を追加しよう。今から大まかな時間割を作るから準備をしてエントランスで待っててもらえるか?」

 

「分かったわ。それじゃぁ各自荷物を部屋に運んでジャージに着替えてエントランスに集合。いいわね」

 

「「「「「はい、部長」」」」」

 

「それから、木場の修行相手はそん時に連れてくるからよろしくな」

 

そうして影幸による、『グレモリー眷属化トレーニング』が始まるのであった。




今回は影幸君の魔法球の中の説明と修行内容の説明会でした。本格的な修行は次回からとなります。

そして、いつの間にかお気に入りが三桁突破してました!!
お気に入り登録してくださった方々。ありがとうございます。
こんな駄文を書く駄作者ですが、これからもよろしくお願いいたします。

御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅴ:魔法使いと修行、一日目前半

今回は修行一日目の前半です。


 影幸からの各種修行メニューが言い渡されオカ研メンバーはそれぞれジャージに着替えてエントランスにて影幸を待っていた。

 

「あとは影幸だけね」

 

「はい、それに僕の修行相手という人もです」

 

「しっかし、誰なんだろうな、木場の相手って」

 

「うーっす、お待たせ~」

 

そう言って来たのは話題に上がっていた影幸だった。

 

「遅かったなジン」

 

「まぁ、コイツ連れてくるのに少し手間取ったけどな」

 

そう言って自身の後ろを指さす。

 

「それで、影幸君。僕の修行相手の人って誰なんだい?」

 

「ああ、紹介するよ。こいつがアンタの修行相手の・・・」

 

影幸の後ろから出てきたのは、腰に一本の日本刀を携えた隻眼鬼面の鎧武者。

 

「天目一個って言うんだ。口数少ないけどよろしくしてやってくれ」

 

天目一個の登場にオカ研メンバーは息をのんだ。

無理もない。いきなり鎧武者が出てくるとは思ってもいないのだから、この反応は当然の物である。

 

「そ、それが僕の修行相手かい?」

 

流石の木場もこれには困惑を隠せない模様。

 

「まあな。んで、一様もう一人紹介したくてな、無理やり引っ張て来た。・・・こいつだ」

 

そう言って影幸はずっと持っていた鎖を引っ張ると後ろから巨大な盆とその上に胡坐をかいて座っている六本腕を備える板金鎧。その手には大きな槌を携えていた。

 

「ガヴィダってんだ。・・・ほれガヴィダ少しは挨拶しろ」

 

「言っとくがよぅマスター。俺はあそこから出たくなかったんだが?なんで高が小娘共ごときに挨拶せにゃならんのだ?」

 

「いやいやいや。世話になってんだし、最低限の礼儀は必要だろうが。・・・まったく。すまんね、口の悪いおっさんで」

 

「い、いえ、いいわ。それよりその方たちは何なの」

 

「あ~、ん~、まぁみりゃ分かるよ。二人とも面を外して」

 

そう言われ面を外すとそこには、あるはずの顔がなかった。

 

「こいつらは魔道駆動鎧体と言って魔力で動いているいわば人形みたいなもんだ。欠点としちゃぁこの中でしか活動できないってところだがな。

まぁ、詳しいことはあとあと。

これから修行を始める。グレモリー、姫島、アーシアの三名はさっきも言ったとうり、大図書館で魔力の基礎を学びあえ。

イッセーと小猫は東の浜辺に下りて近接戦闘の訓練と基礎トレーニングを。

木場は天目と西の荒野で試合でもして戦闘能力を上げろ」

 

それぞれ、影幸から修行内容を言い渡され各自修行を開始する。

 

         ~    ~

 

  小猫とイッセー

 

小猫とイッセーは東の湖の浜辺で影幸より渡された修行内容を影幸の監督のもと行っていた。

 

小猫は影幸と組み手を。

 

「・・・ふっ・・・やぁ!」

 

「まだまだ、そんなんじゃ当たらないぞ。もっとよく狙って」

 

「・・・当たってください。・・・」

 

「ヤダネ。当てたかったらしっかりやれ」

 

イッセーは・・・

 

「ふんぬぅぅぅぅ!」

 

岩を背負って腕立てをしていた。

 

「98・・・99・・・100!はぁはぁはぁ・・・やっと終わった・・・」

 

そこに、小猫との組み手を中断した影幸が来て。

 

「よし、じゃあ次だ」

 

そう言ってイッセーの足をロープでくくり逆さ吊りにしてその真下で一斗缶を使い炎を上げていた。

 

「ほ~れ、しっかりと腹筋背筋やらんと火傷するぞー」

 

「うおあっ!アチ!アツっ!」

 

炎の熱さにたまらず体を折り曲げるイッセー。だが長くは続かず元に戻ってしまう。そしてまた体を曲げる。

その繰り返し。

 

「名付けて、スルメ踊り」

 

「名付けりゃいいってもんじゃ無いだろーー!この人殺し――!」

 

「人じゃなくて、アンタ悪魔だろ」

 

「センパイは鬼ですか?」

 

「いいえ、ただの魔法使いです(キリッ)。

生き物は命の危機に瀕したときに本来の性能以上の力を発揮する・・・らしいから」

 

「最後あいまいだなーおいっ!」

 

 

    グレモリー、姫島、アーシア

 

「ここの蔵書量はすごいわね」

 

「ええ、そうですね部長」

 

「こんなにたくさんのご本を見るのはじめてです」

 

三人はそれぞれ手近にあった本を開き読んでいる。

 

「この本、ドイツ語で書かれているわ」

 

「こちらは、・・・ロシア語・・・でしょうか」

 

「これ、イタリア語です」

 

「いろんな国の魔法書があるのねここは」

 

「リアス、見つけましたわ。この本がおそらく魔法教本ですわ」

 

「ありがとう、朱乃。さて、私たちも始めましょう」

 

 

     木場と天目一個

 

「せいっ!・・はぁっ!」

 

「・・・温い・・・」

 

ガキンッ

 

西の荒野では木場と天目一個が互いに剣を打ち合っていた。

その周りには、木場が創製したと思わしき剣が無残にも折れて転がっており、その数は優に20個は超えていた。

 

「甘い!」

 

「!!」

 

天目の一振りによりまた1本木場の魔剣が斬り折られた。

 

(なんて、剣筋なんだ。とても素早い。それに無駄がない。このままじゃ・・・)

 

木場は剣を交えながら自らの創造する魔剣を再び天目一個に振り下ろした。

 

        §    §

 

その後ある程度時間がたつと。今度はグレモリーの考えた修行が始まった。

 

イッセーがオカ研メンバーと組み手をしたり魔力の使い方を学んだりしていた。

 

その間影幸は、夕食の用意をしていた。

 




御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。

次回をお楽しみに。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅵ:魔法使いと修行、一日目後半

今回は魔法使いについての説明があります。
独自解釈だったり独自設定だったりしますので、それに留意して読んでください。


 修行一日目の昼の部が終わり夜の部に入る前の夕食の時間。

メニューは影幸特製のドイツ料理。ライ麦パンをはじめ、サワークラフト、ドイツ風ピザのフラムクーヘン、茹でられたり焼かれたりしたソーセージなどが大皿に大量に乗せられており、好きになだけ取って食べるバイキング方式で出された。

しかもソーセージは一種類だけだはなく何種類もあった。ニュルンベルガー、テューリンガー、フランクフルター、ボックヴルストなどがあった。

 

「おいしいわね。これ全部影幸が作ったの?」

 

「まぁ、そうだけど。それがどうした」

 

「ドイツ料理が多いわね。ドイツに住んでたのかしら?」

 

「まぁ、ドイツに拠点を置いた時もあったからな。そん時に色々とな」

 

「へぇ、ドイツ料理ってソーセージとビールって印象しかなかったから、こんなにたくさんあるなんてな。

それに、めちゃくちゃ美味いじゃねえか!」

 

「そうだね、このソーセージもとてもおいしいね」

 

そういって木場がフォークの先に刺したソーセージは他のソーセージと比べ赤色が少し強いものだ。

 

「それはブルートヴルストと言って血のソーセージだ。ドイツでは結構昔からあるんだ」

 

「このサワークラフト・・・でしたっけ?とても美味しいです」

 

「確かに、少し女として負けた気になってしまいますわ」

 

「・・・・・・(パクモグパクモグパクモグパクモグパクモグ)・・・・・・」

 

各員絶賛の様子だった。

 

夕食も終わり、夜の部。知識に関するいわば勉強が始まった。

イッセー、アーシアは悪魔社会についてあまり知識を持っていないのでこの勉強会である程度の知識を付けていくとのこと。

 

このメニューにアーシアによる教会所属の悪魔祓い(エクソシスト)についての勉強会。そして影幸による魔法使いについての勉強会が開かれることになった。

 

まずは、アーシアによる勉強会。

 

「コホン。では、僭越ながら私、アーシア・アルジェントが悪魔祓いの基本をお教えします。え、えっとですね。以前、私が属していたところでは、二種類の悪魔祓いがありました」

 

「二種類?」

 

イッセーの問いに対しアーシアはうなずく。

 

「ひとつはテレビや映画でも出ている悪魔祓いです。神父様が聖書の一節を読み、聖水を使い、人々の体に入り込んだ悪魔を払う『表』のエクソシストです。

そして、『裏』が悪魔の皆さんにとって脅威となっています」

 

アーシアの言葉にグレモリーが続く。

 

「イッセーも出会っているけれど、私たちにとって最悪の敵は神、或は堕天使に祝福された悪魔祓い師よ。

彼らとは歴史の裏舞台で長年にわたって争ってきたわ。

天使の持つ光の力を借り、常人離れした身体能力を駆使して全力で私たちを滅ぼしにくる」

 

「俺も昔、教会の連中に魔法使いだってことで目を付けられて殺られそうになったこともあったからな。油断できないさ」

 

と言っても、これは影幸がまだこの世界に転生したての時の話であり、今の彼にとって大概のエクソシストは片手間で払えるほどである。

 

「それに、連中は神器を持ってる奴がいたりするが、正直言って数は少ない。

理由として真っ先に上がるのは『教会の教え』だ。

例えば、龍の力の宿った神器はキリスト教徒にとって畏怖の対象だ。当然だ。キリシタンにとって龍は悪魔の化身とも語られるからな。

下手に強力なら異端の烙印を押されてポイされるが落ちだな」

 

影幸の言葉に一瞬空気が凍った。

 

「で、では、次に聖水や聖書の特徴をお教えします」

 

そう言ってアーシアはバッグから水の入った小瓶や一冊の本を取り出した。

そして、最初に小瓶を持ち、

 

「まずは聖水。悪魔が触れると大変なことになります」

 

「触れるとどうなるんだ?」

 

「大変なことになります」

 

「大変なことって・・・あいまいな表現が逆に怖い・・・」

 

「そうね、アーシアも触れちゃダメよ。お肌が大変なことになるわ」

 

「うぅ、そうでした・・・。私、もう聖水を直に触れられません・・・作り方も後でお教えします。役に立つかどうかわかりませんけど、いくつか製法があるんです」

 

次いでアーシアが手に取ったのは一冊の本。

 

「次は聖書です。小さい頃から毎日読んでいました。いまは一節でも読むと頭痛が凄まじいので困ってます」

 

「悪魔だもの」

 

「悪魔ですもんね」

 

「・・・・・・悪魔」

 

「うふふ、悪魔は大ダメージ」

 

「悪魔だもんな」

 

「うぅぅ、私もう聖書を読めません!」

 

この後聖書を読めなくなった自分を主にお祈りしダメージを喰らったのはご愛嬌。

 

 

そして影幸による魔法使いについての講義。

 

「さて、魔法使いっていうのは何かというと、悪魔の使う魔力を人間でも使えるように、太古の魔術師が創り上げたもの。それが人類の幻想種『魔法使い』だ」

 

「魔力と魔法の違いって何だ?」

 

「イッセーにしてはいい質問だな。

双方の違いについてだが、悪魔の使う魔力は使用者のイメージを基に具現化していきそして現象として発現するもの。

対して魔法は、事象の始まりと終わりを魔方陣という式にして創り上げ、それを発動することによって、事象の結果を発現させるものだ」

 

「???」

 

「イッセーは解ってないようだからもう少し砕いて説明すると、

悪魔は魔力によって結果を瞬時に出すことができ、魔法使いは結果を出すためのを使って瞬時に始まりから結果に至り発現するものだ」

 

「そのとうりですわ。悪魔の魔力の源流はイメージ、魔法使いの魔法は計算式であると覚えればいいですわ」

 

「ふぅむ、成程・・・」

 

「続けるぞ。

現在、魔法にはそれぞれ多くの形がある。ルーン式、降霊魔術セイズ式、精霊魔術ガンドル式などがある。

そして、魔法使いは基本、自分に課した課題を一生をかけて探究し続ける存在だ。故に、自ら作り上げた研究資料はもっとも尊いものでありそれを基に創り上げた魔術師式はもっとも尊重するものだ」

 

「それじゃあ、あなたも何か課題があるの?」

 

「いや、無い。研究していることはあるが、大したもんじゃないな」

 

即答だった。

 

「それじゃあ、影幸君は何式の魔法を使っているんだい?」

 

「俺の場合、精霊魔術ガンドル式を基盤に独自に組み上げたもので、言うならば、『精霊呼応魔術』と言ったところかね。

詠唱時のスペルはラテン語か古代ギリシャ語で組み上げてるんだ。他にも俺独自の魔法の組み方とかあるけど、ここから先は俺の研究に触れかねない部分だから話せないな」

 

「魔法使いに対する対策とか何かないかしら?」

 

「そうだな、対策か・・・。

魔法使いは魔方陣を展開して魔法を放ってくるからその魔法陣から何が来るのか予測することは無理じゃないな。

魔法の計算式=魔方陣だから、知識があれば予測できないこともないな。

と、まぁ。こんなところかな」

 

そう言って話を切り、夜の部の終了となった。

 




今回の魔法使いの説明いかがだったでしょうか?独自設定や解釈があるので違和感があるかと思いますが気にしないでください。

最初のドイツ節は作者のドイツ好きが出た1シーンとなりました。

それでわ、御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。

評価もよかったらしてください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅶ:お嬢様達と魔法書、そして禁書

先ず、皆様には遅くなってしまったお詫びを申し上げます。
大学の定期テストの時期だったため、更新できずにいました。
けれど、皆さんも思っているとうり、無事テストも終わったので更新いたしました。
久しぶりの執筆のため内容が少し薄くなって、文字数も少ないかもしれませんが、どうぞお楽しみください。


   リアスside

私、リアスグレモリーはこの城の大図書館という名の大書庫にて影幸から言い渡された修行という名の勉強を朱乃とアーシアと共に行っていた。

 

「それにしても、本当に呆れるほどの蔵書量ね。彼はこれを全部読んだのかしら?」

 

「さぁ、流石にそれは解りかねますが、ただ一つ分かることは彼が並の魔法使いを優に超える力と知識を持っているということですわ。

力は彼の自己紹介の時の説明から、知識量はこの国籍に富んだ魔道書から、それぞれ読み解けますわ部長」

 

「確かにそうよね。彼の課題のおかげで、私たちの攻撃の消費魔力もかなり減ったし」

 

「魔力運用の効率化という課題はこなすことができそうですわね」

 

「ええ、それともう一つ。アーシアに魔力の使い方をレクチャーする事」

 

そう言って私たちは机の上で魔力の制御をおこなっているアーシアを見る。

アーシアの手のひらには緑色の淡い光を放つ魔力が現れていた。

どうやらそれなりに好調のようだ。

 

数時間後、私たち三人は休憩と称し大図書館内を散策していた。

 

「よく見ると、いろんな国の本があるわね。

日本の呪術の本や、ヨーロッパの魔法書」

 

「各神話体系の魔法書にそれに連なる地域の魔法書」

 

「ホントにいろんな本がありますね~」

 

「それに、よく見ると魔法書以外の本もあるみたいだけれど・・・」

 

そう言って私たちが目を向けた先には娯楽のためか多くのライトノベルや漫画が置いてある本棚があった。

しかもご丁寧にその本棚には娯楽とゴシック体の文字が彫られていた。

 

それから少し奥に進んだところに周りの本棚とは雰囲気が全然違う本棚があった。

その本棚には鎖が垂らしてあり収まっている本が取り出し辛い印象を受けた。

そしてその本棚にはBrennen Buchと彫られていた。

 

「Brennen Buch・・・確かドイツ語で『禁書』だったかしら・・・」

 

「禁書、と言いますと呪われた魔道書だとかそう言うのですか?」

 

「たぶん、そうだわ」

 

「なんか、少し恐ろしいですね」

 

「そうだな、開いたらアンタ等はソッコーでSAN値直送BADENDルートまっしぐらだな」

 

「そうね、けれど何でこんなものまでここにあるのかしら?」

 

「それは昔の俺の収集癖に文句を言ってくれ」

 

「ええ、そうさせてもら・・・う・・・わ!?」

 

「「!!」」

 

「か、影幸。あなた何時からここにいたのよ!?」

 

「いつからって、さっきからだよ。正確にはアンタらがこのBrennen Buchの本棚の近くに来た時からな」

 

「・・・」

 

「ま、ここの本には触れるなよ。あんまりお勧めできない本とかたくさんあるからなこの棚は。

例えばこの本は・・・」

 

そう言って影幸は禁書棚の一冊の本を手に取って・・・って!

 

「ちょっと大丈夫なのそれ!?」

 

「ん?ああ、大丈夫。これはそんなにひどくないから」

 

そう言って本をおもむろに開くと

 

『aa・aaaa・aaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAAAAA!!!!』

 

本の開かれたページから人の顔が浮かび上がって叫びだした。

 

「ったく。相変わらずうるせーな・・・」

 

それに対し影幸は片手をチョキの形にして浮かび上がった顔に向かって指を突き刺した。

そしてその顔がひるんだ一瞬に本を勢いよく閉じて元の場所に戻した。

 

「と、まぁこんな本があったりするんだ。いまの本は作者の怨念が本に宿ったものだな。目つぶしをすれば黙るから対処はしやすいな」

 

「けれど、危険なものも多いんでしょ?」

 

「まね。例えばこれ、『』これは英仏百年戦争でジャンヌ・ダルクと共に戦った軍師ジル・ド・レェの持っていた魔法書だ。

それにネクロノミコン、エイボンの書、セラエノ断書とかまぁ、かなりヤバいものがあるね。大半が写本だけどね」

 

「「「・・・おぞましすぎるわ(ぎですわ)(すぎです)」」」

 

思わず頭を抱えたくなるような魔法書ばかり。何でこんな本を集めたのか過去の影幸に直接聞きたくなってきたわ。

そう言えばと思い、気になっていたことを聞いてみることにしましょう。

 

「そう言えばここって大量に本があるけど全部あなたが管理してるの?」

 

「ん?いや。本の整理とかはここの司書に一任してるよ」

 

「司書なんているの?」

 

「いるよ。俺意外にここに住んでるのは。でも今はそいつはいないよ。

外に出て確かスペインに行ってる筈だ」

 

「スペインに?」

 

「ああ、俺の知り合いに会いに行ってる。暫らくすれば戻ってくるはずだから来たら紹介するな」

 

その後、図書館の散策を終え、自身の能力のさらなる向上を目指して、私たちは修行を再開した。




危ない魔法書ってほとんどがクトゥルフ系の物でしたね。
顔が飛び出した本は、ハ〇ーポ〇ターが元ネタです。わかりましたか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅷ:前衛たちと課題、そして可能性

お待たせしました。
最近とても暑くてほとんど家の中に引きこもっているヘタレです。
暑くてモチベーションも上がらずだらだら書いてます。

どうやったら、やる気が上がるのか、誰か教えてください・・・


   木場side

 

「フゥッ・・・ハァッ!!」

 

キンッ、ガキンッ!!

 

「・・・甘い・・・」

 

バキン!!

 

僕、木場祐斗はさっきからこの隻眼鬼面の鎧の人(?)天目一個さんとずっと剣を打ち合っている。

影幸君からは実戦の中で技量を伸ばして僕の神器『』の運用効率の向上、詳しく言うと神器による魔剣の展開速度の向上を目指して行っている。

けれども、何度このヒトと打ち合っても毎回僕の魔剣が砕かれる。持って5合くらいだ。そのおかげかその所為か展開速度は速くなったがいまだにまともに打ち合えないでいる。

 

「・・・一旦休憩だ。体を休めておけ」

 

「はぁはぁ・・・はいっ」

 

数時間に及ぶ打ち合いに疲れて座り込む僕と違って天目さんは悠然と正座で座り目の前に自身の刀(贄殿遮那)を置いている。

 

僕はなぜこの人に打ち負けているのか。何度も思考した。

天目さんと僕の剣の技量は明らかに天目さんが上を行っている。しかし、事手数の多さは僕が上、のはずだが、天目さんはあの日本刀一本で今までやってきた。

今までを何度か一本入りかけたがそのことごとくを紙一重で躱すか弾くかしている。

それにあの日本刀の能力だろうか、僕の魔剣の特殊能力(例えば、炎が噴き出したり、氷を飛ばしたりetc…)が無効化されている。

影幸君が言うにはあの日本刀には異能を打ち消す能力が備わっているらしい。そのため、魔剣の能力に頼らず純粋な剣技で勝負をしている。

 

「お前の剣には芯がない」

 

「!?」

 

「お前の剣が容易く砕けるのは、その剣に芯がないからだ」

 

「芯?」

 

「そうだ芯だ。お前は剣を創り上げるときその特性を重視していた。そして打ち合いの中、展開速度を上げていったが我が剣の前にそのことごとくが砕け散っていった。

おまえは剣の特性、展開速度に重きを置いている。それが悪いとは言わぬがそれでは剣が砕けるのは当たり前だ。

おまえの中に芯を持ちその芯を剣の中にも創り出す。

神器は思いの力に答えるという。強くあれ、鋭くあれ、固くあれ。強く念じその剣に芯を入れよ」

 

「・・・そうすれば、あなたとまともに打ち合えますか?」

 

「その心で強く願えば、あるいは・・・」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

影幸君はこの人は口数が少ないと言っていたけれど、そうでもなさそうだ。

 

「では、再開するぞ。自身の剣を持て。木場祐斗」

 

「はいっ、お願いします!」

 

僕は自分の手の中に新たに魔剣を創り天目さんに斬りかかる。

 

        sidechange イッセーside

 

よっす、俺イッセー。俺は今、ジンから言い渡された修行用の基礎トレーニングの筋トレをやってるぜ。

正直死にそうだ。腹筋、背筋、腕立て、すべて300回の三セット普通だったら死んでると思うぜ。

しかもその後は小猫ちゃんとの組み手、ジンがいたらジンと組み手だ。

しかも俺の場合一日おきに他の皆との合同トレーニングが用意されているためその苦労も馬鹿にならない。

 

「さて、そろそろ小猫ちゃんとの組み手の時間だったと思うけど・・・」

 

そう言いながら、俺が修行してた場所から少し離れた場所に来ると、

 

「遅いです、イッセー先輩」

 

「ごめんごめん小猫ちゃん」

 

そこには既に小猫ちゃんがいた。

 

「それじゃ、今回もよろしくお願いします」

 

そう言って俺は小猫ちゃんとの組み手を開始した。

 

結果

 

 ちーーーん

 

ぼろぼろにされました・・・

相変わらず小猫ちゃんは強い・・・

 

「お、やってるやってる。てか、終わった?」

 

そう言って近づいて来たのは半そで半ズボンの動きやすそうな格好のジンだった。

 

「ジン、その格好、まさか・・・」

 

「思ってるとうりだイッセー。さあ立てイッセー。始めるぞ」

 

ジンとの組み手もやることになるとは・・・死んだなこりゃ。

 

        sidechange

 

プスプスプス・・・ 

 

影幸の目の前には燃え尽きた(精神的に)イッセーが横たわっていた。

 

「センパイは鬼ですか?」

 

「魔法使いですが何か?

ところで小猫、修行はどうだ?」

 

「まずまずです」

 

「そっか・・・」

 

小猫のそっけない答えに影幸もそっけなく答える。

 

「なあ、小猫。お前にいい話があるんだが聞く気はないか?」

 

「なんですかそれは」

 

「小猫なら、小猫と朱乃サンなら習得できる技だ。

興味ないか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「興味あるなら今日の夜中庭に来い。教えてやる。

だけど、それを習得するかは小猫、アンタの気持ち次第だ」

 

そう言って影幸はその場を去る。

 

「しっかりと俺からのメニューをこなせよな。あと、イッセーそろそろ起こしとけ。手段は何でもいいから」

 

そう言って城に戻る影幸の背中を見て小猫は少し思い悩み顔を下に向ける。

 

(私と朱乃センパイならできる技・・・私と朱乃センパイ)

 

少しの時間考えていたが不意に顔を上げてイッセーのもとに歩み寄りその襟を両手でつかんで思いっきりスイングし湖に放り投げた。

 




天目一個ってアニメでも小説でもほとんどしゃべらない為、話し方はこっちで勝手にしました。
どうぞ、ご了承ください。

それでは次回をお楽しみに。
御意見、ご感想、ご指摘は感想欄にてお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅸ:戦車と女王、そして究極への道

お待たせしました。
実家から帰って来ました。

最近友人から勧められたFATE/GO にはまっています。
モンストと一緒にぬくぬくプレイしていきます
AUO強い、初めての石ガチャ10連はなかなかいいものだった。


 夜の中庭そこには二人の人影があった。

 

「朱乃先輩も来たんですね」

 

「ええ、小猫ちゃんも」

 

昼間に影幸より強くなれる技法があると誘われた塔城子猫と姫島朱乃の二人だった。

 

「けれど、私たち二人なら扱える技法とは何なんでしょうか?」

 

「分かりませんわ。でも、私たちだけを誘ったということは何か意味のあること。。

おそらくですけど、互いの共通項であるあのことが理由にあると思いますわ」

 

「・・・あの事、ですか・・・」

 

二人は影幸から強くなれる可能性があると言われ、ここに誘われたが二人の纏う空気がその内容とは反対の暗い空気だった。

 

「もういたのか。そんなに早く強くなりたいのか?・・・って、そんな雰囲気じゃないな」

 

そう言って出てきたのは件の人物、神野影幸だった。

中庭に入る多数の入り口の一つから出てきた彼は昼間のような動きやすさを重視したような姿ではなく夜の少し肌寒い空気に合った薄手の長袖のコートを着ていた。

 

「影幸君、女の子をあまり待たせるものでわ有りませんわよ」

 

「そいつはすまなかったな」

 

朱乃からの寒空の下待たされた軽い文句をさらっと流し、影幸は二人から少し離れた位置で立ち止まった。

 

「さて、二人に来てもらったのはある技法を教えようと思ったからだ。

ただ、今すぐに教える気はない。まず、それがどんなものか説明するから習得するかどうかを決めろ。いいな」

 

影幸の前置きに二人は緊張の面持ちで聞き入る。

 

「・・・それじゃあ、説明するからよく聞けよ。

これから見せるものは、究極技法と呼ばれるものだ。この世にこの技法を使えるものは数少ない。

理由としては、適性を持つものが少ないのと、危険だからだ」

 

「危険なものなんですか?」

 

「今から実際に見せる。よく見ておけよ」

 

そう言って影幸は体から力を抜きく。

 

「左腕に魔力、右腕に気」

 

影幸が両腕に力を込めると彼を中心に周りの空気が渦巻く。

その光景に、小猫と朱乃の二人は息をのむ。

 

「二つ合わせて、咸卦法」

 

次の瞬間影幸の纏う力の波動が格段に上昇したのが二人にも感じ取ることができた。

 

「これが究極技法『咸卦法』だ。

これによって自身の身体強化とか、色々と効果が盛りだくさんだ。

そして、それ相応に習得も困難だ」

 

そう言って咸卦の気を解く。

 

「この技法は簡単に言うと、相反する力の融合によって発生する力を我が物にすることだ」

 

「・・・相反する・・・ちから?」

 

「そうだ、例えば磁石のN極とN極、S極とS極をそれぞれ近づけると反発して互いに離れようとするだろ、その力を自在に操ることができれば、どうなる?」

 

「強力な力を手にすることができる。・・・でも影幸君それって失敗したら・・・」

 

「そうだ、失敗すればその力が暴発して自身がダメージを負う。

何事もハイリスクハイリターンだ。ノーリスクなんてくだらないにもほどがある。

リスクを負ってこその勝利、力にこそ最も価値がある。」

 

「けれど、私たちにそんなこと・・・」

 

「嘗めるなよ小娘共、俺くらいになれば二人がどんな存在か看破することくらい簡単だ。

だからこそ、出来るはずだ。故に二人を招いた」

 

顔を俯かせ否定的なことを言う朱乃に対して影幸は語気を強くして言い返す。

 

「朱乃は堕天使と悪魔両方の力を持っている、よって光の力と魔力が使える。

小猫は隠しているようだが気配を感じるにもと妖怪、それもかなり高位の種だ。

妖怪なら気の扱いにも不得手でないはずだ。

二人には適性がある」

 

「確かに、私には堕天使としての力もありますわ。

けど、あんな忌々しい力なんて・・・」

 

「・・・・・・・・・あんな危険な力、使いたく・・・ありません」

 

朱乃は自身が堕天使の力を持っていることを忌避しており、小猫に至っては自身の種の力を心底嫌っている。

 

「そうか、ならいい。

今回はこれで終わりだ。部屋に戻って寝て今回のことは忘れろ。

俺達は何も話していない、ただ偶然ここに居合わせた、ただそれだけだ」

 

そう言って影幸はここに来るときに入ってきた扉から城の中に入る。

中庭には朱乃と小猫が残された。

 

「私は先に部屋に戻りますわ。小猫ちゃんも風邪をひかないうちに部屋に戻って休みましょう」

 

「・・・はい」

 

二人も城の中に戻っていき、自身に割り当てられた部屋に向かう。その途中小猫は顔を俯かせながらも何かをずっと考えており、部屋に戻ってもなお考えていた。

そして、顔を上げた時、その顔は先ほどまでの暗い顔ではなく、何かを決意した顔になっていた。

 

~       ~

 

「あの様子だと、二人はこの力はいらないのかね。

ま、ちょいとあいつらには早かったかね・・・」

 

影幸はそう言いながら自室のベットに入り朱乃と小猫に与えようとした道を否定した。

 

「・・・・・・・・・」

 

影幸はぼんやりとグレモリーに聞いた二人の話を思い出していた。

 

 

 

 

 

「え?朱乃と小猫の過去?」

 

「ああ、あの二人は人間以外の他種族から悪魔に転生したんだろ?」

 

大図書館で影幸はグレモリーと話していた。

朱乃は今アーシアに魔力の使い方などを教えていてグレモリーは役に立つ本を探して一人で図書館内を歩いていたところを影幸が見つけちょうどいいと思い朱乃と小猫について聞いていた。

 

「あいつらが戦っているところを見ると少し違和感を感じるんだ。

自身の力、悪魔としての力に固執しているような気がする。

人間から悪魔に転生した木場は悪魔としての力と人間として手に入れた神器の力を十二分に使おうと励んでいるが二人は違う。

朱乃は天使、いや。堕天使から転生したと見る。なら光の力を使えば今までのはぐれ悪魔討伐も今より簡単に終わらせられただろうな。

小猫は妖怪、それも上位種から悪魔に転生したんだろう。妖怪の上位種ともなれば気を操り仙術も使えるはずだ。

戦術はまだ使えないとして気は使えるはずなのに使わない。

二人には何らかの理由からそれらの力が使えない、もしくは使おうとしない。その理由は二人の過去にあると思うんだ。

二人のこと教えてくれないか?」

 

影幸の考察を聞いてグレモリーはしばらく考えると、

 

「ええ、いいわ。でもあまり広めないで。これは二人の問題でもあるのよ。

それに話すとしても私はすべてを知っているわけでは無いわ。それでもいいかしら?」

 

「ありがとう」

 

それから影幸は朱乃と小猫の過去について聞いた。

 

「成程。そんなことがあれば、まぁ、そうなるよな」

 

「ええ、それに私は無理にそのことに向き合うことは無いと思ってるの。悪魔に転生して、新しい道を歩んでほしいと思っているわ。

だから—「それは逃げだ」—!?」

 

「いくら、過去から逃げたってそれが無くなるわけじゃない。いつかその身に逃げていったツケが回ってくる。

その期間が長ければ長いほど、自身に訪れる負荷は大きくなる。

これから先のことを考えるとできるだけ早めに自身の力と向き合わせるべきだ」

 

「でも、無理にでもそうするのは危険だわ!これは当人の問題。他人が無理に向き合わせるものではないわ!

もし、そうなったらあの子たちは心が持たないわ」

 

そう言って顔を俯けるグレモリー。

影幸はそんなグレモリーに対しすまなそうな顔をすることなく、

 

「信じてやれよ」

 

「!」

 

「あんたの眷属はそんなに脆いか?そんなに弱いか?」

 

「・・・」

 

「確かにこれは当人の問題だ。他人が無理に向き合わせるべきものでもない。自分の意思で向き合うべきものだ。

そのとき俺たちは何もできないわけじゃない。支えることができる。一人でどうにでもなるならもう解決している。

でも二人はそうじゃないだろ。だから向き合うようになったら支えてやればいい」

 

「でも、どうやって向き合うようにするの?」

 

「要は自分の意思で向き合えばいいんだ。方法はある。

任せてくれ。・・・これ以上二人が過去に苦しまないように」

 

「分かったわ。お願いね影幸」

 

 

 

 

「こっから先はあいつらの意思だ。俺はそれを受け入れるだけ」




えっと、たいへん申し上げにくいのですが・・・また更新が、かーなーり遅くなります。
詳しくは活動報告にて。
気長に待ってください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅹ:修行と模擬戦、そして今の実力

ごめんなさいお待たせしました。
ちょこちょこ書いていっていたので時間がかかってしまいました。
待っていた方々には頭を下げ只々謝罪するしかありません。
しばらくは調子が戻るまでこんな感じでノロマの亀更新となります。
個人的には一月に一回できればいいと思い頑張っていきます。
これからもよろしくお願いします。


 何事もない夜が明け魔法球内での新たな一日が始まる。

 

食堂で全員が集い、いつもどうりの朝食が始められる。

 

「今日はとりあえずグレモリー達との多対一をやろうと思う」

 

自らの皿に盛られたソーセージをかじりながら影幸が言う。

 

「理由を聞いてもいいかしら?」

 

「とりあえず、今のところの修行状況の確認みたいなものだな。今日で一回外に出るからなまたここに入った時に組む修行の参考にする予定だ。

後はチーム戦での連携構築だな」

 

「成程ね。わかったわ。みんなもいいわね?」

 

グレモリーの言葉に全員が肯定の返事をする。

 

「それじゃぁ、朝飯食い終わってしばらくしたら始めるから準備できた者から中庭に集合な」

 

~     ~

 

場所は変わって中庭。朝食を終え、準備を終えた部員たちがすでに集まっており、各々リラックスして影幸が来るのを待っている。

 

そして影幸が何やら機械をいじりながら中庭に入ってきた。

 

「なあジン、何いじってんだ?」

 

「ん?ああ、タイマーだよ。制限時間を設けようと思ってな」

 

そう言って影幸はタイマーをいじり近くの岩の上に置く。

 

「制限時間は10分だ。それまでにできる限りの戦略で攻撃して来い。いいな。

はじめる前に作戦時間をやる。時間は5分。5分経ったら模擬戦を始める。

終わったら10分の休憩。そしてまた5分作戦会議。10分間の模擬戦を始め、これを繰り返す。

それじゃぁ、まずは5分の作戦時間」

 

カンッ

 

タイマーの鐘の音が鳴り、グレモリー達が円陣を組む。

 

「まずはイッセーと小猫が仕掛けて影幸の足を止める。その隙を伺って私と朱乃が影幸に攻撃。

裕斗も私たちと一緒に攻撃、そしてイッセーと小猫が負傷したらその俊足を使って私とアーシアのところまで後退。その穴は朱乃お願いね」

 

「ええ、部長」

 

「とりあえずはこんなところかしら。影幸の魔法は侮れないわ。

それに模擬戦といえど油断はできないわ。

皆、いくわよ!」

 

「「「「はいっ!」」」」

 

そして、模擬戦開始の鐘が鳴り、戦闘態勢となる。

 

「さぁ、来なよ」

 

影幸は悠然と立っておりグレモリー達の動きを待っている。

 

すると、イッセーと小猫がまず駆け出し影幸に一撃与えようとする。

 

まず、イッセーが影幸に接近し現出させていた赤龍帝の籠手を纏った左腕で一撃、それと同時に反対側から小猫の拳が迫る。

その襲撃に対し左からのイッセーの拳を右手で、右からの小猫の拳を左手でつかみ取り、タイミングをずらし正面から剣を構え迫る木場に向かって振るう。

 

「!!」

 

木場はとっさに後ろに後退し影幸の攻撃を避けた。振るわれた腕に掴まれていたイッセーと小猫は影幸が腕を振り切ると同時に手を放し遠心力でもって放り投げた。

 

木場がジグザグに動きながら影幸のもとに迫る。

右、左、右、左と動きながら前へと進み影幸に一太刀入れようと剣を振るった。

 

ガキンッ!

 

「・・・!?」

 

だが影幸は振るわれたその剣を隠し持っていた鉄扇で受け止め流れるような動きで逆腕絡みを決め地面に叩きつける。

 

「・・・クッ」

 

そして起き上がったところに間髪入れずに掌底で額を打ち抜く。

そして、また倒れ、脳震盪によって今度は起き上がることができなかった

 

「まず、一人・・・」

 

「うおおおぉぉぉぉぉ!!」

 

『Boost!!』

 

一人落としたところでイッセーが拳を構え走ってくる。

 

「甘いな、イッセー!」

 

影幸もイッセーに向かって走り出す。

そして、互いの得物の間合いに入ったところでイッセーが拳を振りぬく、がそれは空を裂くに終わり、影幸の姿はなかった。

影幸はイッセーを飛び越えその後ろに潜んでいた小猫に落下の勢いを加えたかかと落としを繰り出した。一瞬身構える小猫だが影幸からの攻撃は当たることなく目の前に地面に当たっていた。小猫は一瞬影幸が目測を誤ったのかと疑いその所為で一瞬隙ができ迫り来る掌底に反応できずにモロに受けてしまい後方に飛ばされ気絶した。

そして影幸は掌底を出した形のまま上体を捻り、後ろにいるイッセーに裏拳を当てにいく。

しかし、イッセーはそれを紙一重でかわし影幸から距離をとった。

そこにずっとタイミングをうかがっていた朱乃とグレモリーが雷と滅びの魔力を放った。

 

迫り来る大質量の魔力、最初の時よりもしっかりと魔力が練られている、修行の成果が出ているようだ。

影幸はその攻撃に対し冷静に障壁を張りその場を離れる。

瞬動でグレモリー達の後ろに回り込み右側にいた朱乃に向かってもう一度瞬動で近付き影幸を見失い隙のできたところに当て身を食らわし気絶させたそのときグレモリーとアーシアが影幸に気づき振り向きざまにグレモリーが小型の魔力弾を放った。

それを横に飛び避けると緑色の魔力弾が迫っていた。

影幸は一瞬驚いた顔をしたがすぐに手に気を纏わせ迫ってきた魔力弾を弾き放ってきた相手を見る。

アーシアだった。おそらく修行中にグレモリー達から簡単な魔力弾の使い方を習ったのだろう。

 

影幸は直ぐに体勢を立て直しジグザグにすばやく移動しまずアーシアに紫炎の捕え手で拘束した。

そしたら背後からイッセーが殴りかかってきた。

 

「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

何回か倍加したのかその膂力は高まっていた。

しかし、影幸は合気道を使ってあしらい、イッセーがバランスを崩したところを気を纏わせた拳で殴り沈めた。

 

「さて、残るはアンタだけだグレモリー。チェックメイトだ」

 

「・・・ッ」

 

これで、最初の模擬戦はグレモリー眷属の敗北で幕を閉じた。

 




なんだか、戦闘描写が地味に難しく、自身の描写能力が下がっているように感じました。
こんな駄作者ですがこれからもよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅺ:魔法使いと猫、そして高みへ

み、短い。
全然筆が乗らない。
どうしよう。


 あれから何度も模擬戦を行ったが、グレモリー達は影幸に決定打を与えられずその日の訓練は終わった。

 

「連携も最初に比べれば格段に良くなってきた。

これなら、次からの修行内容のレベルを上げても良さそうだな」

 

影幸はそう言って後ろでぐったりと肩で息しているグレモリー達に向かって言う。

 

「これで今回の修行は終わる。いったん外に出るから支度しろ」

 

そして全員が荷物をまとめ魔法球から外に出る。

出た時にイッセーが時計を見て、

 

「うわっ、マジで数時間しかたってねえ!!」

 

といって改めて驚いていた。

 

   ~      ~

 

二度目の魔法球内修行が始まった。

 

中庭に全員が集まり影幸の話を聞いている。

 

「さて、今回の修行は多vs一の戦いに重点を置いてやっていく。

そのための練習相手をこれから紹介する」

 

そう言って影幸は小さな白い塊が大量に入っている瓶を手に持つ。

 

「それは何なの?」

 

「これは龍の牙だ。俺の知り合いの龍達から欠けた物や抜けたものをもらっていったらこんな量になった。

と言っても倉庫にはまだ大量にある物だからたいして貴重なものでもない」

 

と言って影幸は瓶のふたを開け一つ取り出し地面に放り投げる。

牙が地面に着く瞬間魔方陣が現れ、牙を中心に骨が出てきてヒトガタの成していく。

そして現れたのは盾と剣を持つ骸骨の戦士だった。

 

「これがこれからの修行相手だ。

これから行う修行での戦闘訓練はコイツを二体同時に相手してもらう。

おまえたちはあの焼き鳥共に数で負けている、よって必然的に複数の相手を同時に対処しなければならない状況が現れる。

その時のための訓練だ。真剣にかかれよ」

 

そう言って影幸は瓶の中に手を入れ牙をいくつか掴み取り、

 

「それじゃぁ、準備はいいな?」

 

影幸の問いに全員が首肯する。

 

「なら、開始だ!」

 

影幸はそう言うと同時にその手に掴んでいた龍の牙をばら撒き多量の竜牙兵を出現させた。

 

    ~      ~

 

その日の夜。

 

「こんな時間に何の用だ?」

 

影幸は自室のベランダから扉に向かって声をかけた。

 

「やっぱり、気づいていたんですね」

 

扉を開けて入ってきたのは小猫だった。

 

「そんで、こんな時間に何の用だ小猫」

 

「神野先輩、私に『咸卦法』を教えてください」

 

「そんなに、覚えたいのか?

言った筈だぞ、危険を伴うと」

 

「それでも、いえ、だからこそ教えてほしいんです。リアス部長を、皆を守るために、一緒に戦うために。

私、背とか小さいですし、ルークの恩恵で力と防御が上がっていますけど、朱乃先輩のように魔力に秀でているわけでもなく、祐斗先輩の様に剣の技術もありません。

イッセー先輩やアーシア先輩達のように神器を持っていません。

もしかしたらこれから先は眷属の中で足手まといになるかもしれません。そうなると私の居場所がなくなってしまう。そんなのは嫌です。私もリアス部長の、グレモリー眷属の一員だって胸を張って誇れるようになりたいんです。

だから、だから教えてください。お願いします!!」

 

小猫は影幸に自身の思いを打ち明けた。自身はこのままでは眷属の足手まといになりかねない。味わいたくない孤独を味わうかもしれない。情愛の深いグレモリーに限ってそんなことは無いが、それでも自分の所為で望まぬ結末になって仲間が悲しむ。そんな姿を見たくない、そんなことにしたくない、そんな気持ちで小猫は影幸に咸卦法の教えを請いに来た。

 

「成程な・・・小猫の気持ちも分かった。意気込みも伝わった。でも、そのためにはお前の嫌っているその力を使えるようにならなきゃならないぞ。それでもか?」

 

「・・・はい。本当は暴走するのが怖いですけど、私は 前に進みます!」

 

小猫はそう言い放ち影幸を見つめた。影幸も小猫から目を離さず互いにしばらく見合っていた。

 

「・・・よし。んじゃぁ教えてやる」

 

「!ありがとうございます!!」

 

「だが、無茶はすんなよ。明日から始めるから今日はもう寝ろ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

小猫はお辞儀をし部屋を出た。影幸はベランダに足を向け空に浮かぶ月を見上げ、明日からの咸卦法の修行内容を考えた。

 




ヤバい。最近全然アイデアが出ないしテンションも上がらない。
((( ;゜ Д ゜)))
こんなんで続けられるのだろうか・・・
取りあえず次回をお楽しみに。
不定期になってきましたが見捨てないでください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Ⅻ:兵士の苦悩と成長、そして戦闘《ゲーム》へ

モンハンXが発売されました。もち、予約していたので当日ゲット。
Fate/GOも楽しいイベントやってるし、モンストも初運極できたし。
やることありすぎて時間が取れない。
一つだけ言うなら。
ノブの中の人サイコー


 小猫に咸卦法を教えることになった日の次の夜、昼間の修行も終わり各自が体を休める中小猫は影幸のいる部屋に向かっていた。

影幸の部屋の前に着き扉をノックする。

 

コンコン

 

「入れ」

 

短く一言。小猫はそれに「はい」と答え中に入る。

部屋に入ってすぐに小猫は違和感を感じた。部屋には香が焚かれていた。

 

「センパイ、この匂いははいったい・・・」

 

「ああ、この香な。こいつにはリラックス効果があってな。

どうせ緊張した状態で来るだろうと思っててな」

 

確かに、小猫はここに来るとき緊張していた。

自身が今まで逃げてきた力と向き合うための訓練。それがこれから行われる。

恐怖がないと言えば嘘になる。

この力をしっかりと使えるのか、暴走はしないか、仲間を傷つけてしまわないか、など心配事が多くあった。

そのため小猫の体は知らずのうちに緊張のため強張っていた。

影幸はそれを見越してリラックス効果のあるお香を焚いていた。

緊張で強張り、自信の無い不安定な心の状態では失敗しか生まれない。

ましてやこれから小猫が身につけていく力は少なからず危険が伴う故に心を落ち着けるために焚いている。

 

「ありがとうございます。おかげで少し落ち着きました」

 

「なら良し。それじゃぁまずは座禅で精神統一からだ。

気を扱うということは魔力を扱うのとわけが違う。

座禅で瞑想をして自然界の気を感じることから始めるぞ」

 

「はい」

 

そう言って小猫は部屋の中央に用意された曼荼羅模様の絨毯の上で座禅を組み瞑想をし、小猫の個人修行が始まった。

 

     ~      ~

 

魔法球内での修行が始まって外の時間で早8日。

刻一刻と約束の日が近づいてくる。

グレモリー達の修行もおおむね順調に進み全員確実に実力をつけている。

 

だが、そんな中、不安を抱える者が一人。

 

夜ベランダに一人頬杖ついて項垂れるイッセー。

 

「・・・はぁ・・・」

 

「ため息なんかついて何が不安なんだ」

 

「うおあっ!!ジンかびっくりさせんなよ」

 

イッセーに話しかけたのは杖に腰かけて宙を浮いてる影幸だった

 

「まぁ、いいじゃん」

 

「良くねぇし・・・てか、お前杖とか使うんだな。空飛んでるし、魔法使いっぽいな」

 

「いや、魔法使いだし。杖はまぁ、気まぐれで使ってるだけ。

んで、何が不安なんだ?修行じゃよく食いついて自分を鍛えてるけど」

 

「いやな、俺ってさ魔力はとんでもなく低いし、木場みたいに剣の扱いだってうまいわけじゃない。

小猫ちゃんみたいに体術もうまくない。アーシアは魔力も多くて今は魔法も少しは覚えたっていうし。

俺ってこの中で一番弱いんじゃないかなって、役立たずで足引っ張るんじゃないかなって思ってよ」

 

「あんたにはその神器があるだろ。『赤龍帝の籠手』きかくがいの神器。『神滅具』の一つ。

それだけでも十分な力だと思うぜ。何が不満なんだよ」

 

影幸の問いにイッセーは頭を横に振って答える。

 

「ライザーの奴笑ってたろ『豚に真珠』だって言って。いくらスゴイ神器を持っていても使い手がダメなら意味がないんだ」

 

「強くなりたいのか?」

 

「なりてえよ」

 

「・・・お前悪魔だろ。だったら悪魔らしいやり方で強くなったらどうだ」

 

「悪魔らしいやり方って・・・」

 

「最近話せるようになったんだろ、」

 

そう言って影幸が指差したのがイッセーの左腕。

 

「悪魔ってのは人の願いを叶えてその対価をもらうものだ。

何か欲しかったら対価払って手に入れろ」

 

「・・・・・・・」

 

イッセーが自分の腕を見て考える。

 

「龍ってのはな」

 

「?」

 

影幸が杖に乗りベランダから離れる。

 

「龍ってのは力の象徴だ。それにお前についてる龍はブリテンの赤い龍。

その力は絶大だ。

それじゃぁな早く寝ろよ」

 

そう言って影幸は上へと上がっていく。

 

「・・・なぁ、ドライグ、少しいいか」

 

『なんだ、小僧。俺に何の話がある』

 

      ~     ~

 

そして、ついに決戦の時。

 

部室にて全員がそれぞれの方法で戦闘準備を行っていた。

イッセーたちが駒王学園の制服で待機する中でアーシアはシスター服でいるが最も異彩を放っている者がいた

黒のロングコートに紺のGパンとブーツ、そして身の丈ほどの長さのある杖を携えた影幸がいた。

その杖の先端は龍の頭の意匠がこらしてあり龍の口には緑色の玉がはめられていた。

 

「ジン、何かお前すんげー主張してんな」

 

「まぁ、いいじゃん。そんな気分だし。しっかりと準備もしてきたし」

 

「って、杖しか持ってきてないじゃん」

 

けれど実際は、コートの裏に魔法薬やら硫酸やらが入った試験官があったりする。

 

しばらくすると部室の魔法陣が光りグレイフィアが現れる。

 

「皆さま、開始十分前となりました。これより皆様が行くのは空間に作られた戦闘用フィールドです。

使い捨ての空間ですので思う存分にどうぞ。

そして、今回のゲームは両家の皆様も中継で他の場所からご覧になられます。

さらに、魔王ルシファー様も今回の一戦をご覧になられます。それをお忘れなきよう」

 

「そう、お兄様が直接見られるのね」

 

グレモリーのこの発言にイッセーが疑問をもった。

 

現存する四大魔王のルシファー、ベルゼブブ、アスモデウス、レヴィアタンは魔王個人の名前ではなく役職名となっており、その地位にふさわしい実力を持ったものが襲名している。

この中のルシファーを襲名しているのがリアス・グレモリーの兄である魔王サーゼクス・ルシファーである。

 

「そろそろお時間です。皆さま魔方陣の中へ」

 

グレイフィアの指示のもと魔方陣に着くと陣が光りだし転移現象が起きる。

そして転移して訪れた場所は先ほどいた部室であり窓の外を見ると空が白く異空間に駒王学園のレプリカが作られていて影幸たちはそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    §おまけ§

  ちょっと前の魔王サマ

 

「リアスは今修行しているのかい?」

 

「はい、眷属の皆様と一緒に影幸様の別荘にて行っているとのことです」

 

「あそこか、だったら時間がたくさんできたようだね。それに影幸君が指導役として付いているんだったね」

 

「はい、そうです。それからその影幸様についてなのですが・・・」

 

「どうしたんだい?」

 

「怒ってました」

 

「お、怒ってたのかい」

 

「はい」

 

「ライザー君にかい?」

 

「それもありますが、今回の縁談を進めたもの関係者全員に対して怒っておりました。いつの間にか渡されていた手紙にも『後で文句言いに行くから』と書かれておりました」

 

「・・・リリアス達は強くなるだろうね」

 

「現実逃避しないでください」

 




前書きで少し暴走しました。
これからも少しずつ書いていくのでよろしくお願いいたします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ⅩⅢ:魔法使いと騎士、そして舞台へ

♪クーリスマスが今年もやぁって来た
イチャつ・く・な・バカップルが
弾けろよすぐに♪

お待たせしました
怨嗟を糧に書きました。

メリークルシミマス


 転移された後、校内放送でグレイフィアが今回のゲームのルールを説明した。

両チーム転移された先が本陣となり、兵士《ポーン》は敵本陣の周囲まで行く必要がある。

グレモリー眷属は旧校舎のオカルト研究部の部室。フェニックス眷属は新校舎の生徒会室。

勝敗はどちらかの(キング)が戦闘不能となった時点で決まる。

制限時間も設けられており、人間界の夜明けまでということである。もし、時間内に決着がつかなかった場合は、後日両チームから代表を一人選出し代表選で決着をつけるとのこと。

 

「全員これを付けてちょうだい」

 

そう言ってグレモリーが出したのは紅く光る小さな球体だった。

 

「戦場ではこれで味方同士のやり取りをするわ」

 

『時間となりましたのでこれより、ゲームスタートです』

 

キーン コーン カーン コーン

 

ゲームスタートの合図なのか、学校のチャイムが鳴り響く。

 

―    ―

 

「さて、まずはライザーの兵士を撃破(キャプチャー)しないといけないわね」

 

そう言ってグレモリーはソファーに座りそう言い、地図を取り出し作戦会議を始める。

イッセーとアーシアはその流れについていけなかったようだ。

 

(戦闘前に作戦を立て、できうる限りの行動を模索。まぁ及第点だな)

 

そして、あらかた方針が決まって行動に移すとき、

 

「ねぇ、あなたから何かないかしら?」

 

影幸は突然、話を振られ一瞬言葉に詰まる。

 

「・・・そうだな、戦う前にごちゃごちゃ言うのもなんだから簡単にまとめるな。

まず一つ、敵(キング)は不死であるためか慢心している勝つならその隙を突くことだ。

二つ目、戦闘になったら、自分の力だけで戦ってると思うな。自分には仲間がいることを思い出せ。

ま、こんなとこだな。俺からは以上だ」

 

「ありがとう、影幸。

さて、私のかわいい下僕たち。準備はいいかしら?敵は不死身のフェニックス家の中でも有望視されている才児ライザー・フェニックスよ。さあ!

消し飛ばしてあげましょう!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

―       ―

 

影幸は中央(センター)に向かうイッセーと小猫と別れ木場と共に旧校舎近くの林に向かう。

旧校舎に隣接するこの林は敵にとっては都合のいい旧校舎絵の侵入ポイントであるため、グレモリー曰く敵兵士(ポーン)3名、もしくは2名が来ることが予測されるため迎撃のために木場と影幸はしばらくはここで待機となる。

 

「よし、これで最後っと」

 

「出来たのかい?」

 

「ああ、バッチリとな。奴さんもキレイにはまってくれるだろうよ」

 

影幸はこの林に入った時にある罠を仕掛けた。そして今そのすべてが設置し終わったところだ。

 

「それにしてもこの短時間でこんなにたくさんの罠を仕掛けられるなんてすごいね」

 

「まぁ、前もって準備してたしね」

 

そう言って影幸が取り出したのは一冊の本だった。

 

「それは?」

 

「自作の魔導書だよ。ここに術式を書いておいて魔力を流すだけで起動できるんだこれに少し細工して罠として使えるようにしたんだ」

 

そうして話していると二人は話すのを止め同じ方向を向く。

 

「キサマら二人だけとは私たちも嘗められたものだな」

 

そう言って出てきたのはライザーの兵士(ポーン)、シュリヤー、マリオン、ビュレントの3名。

 

「さてと、簡単に罠にはまってくれてありがとよ」

 

「どういうこと?罠ですって?」

 

「それってここに来るまでにあった子供だましのことかしら?」

 

「それなら全部壊してあげたわ残念だったわね。後は貴方たちの後ろにある旧校舎に行くだけだわ」

 

「ハハハハ、それこそが本当の罠だってのにそれに気づかないなんて笑えるな」

 

そう言って影幸は指を鳴らす。すると彼女たちに見えていた旧校舎が霞のように消え、周りに霧が立ち込めた。

 

「なっ、これはいったい!?」

 

「簡単に教えてやろう、お前たちはここに誘い込まれたんだ。この結界の中にな」

 

影幸がそう言うと今まで黙っていた木場が剣を構え前に出た。

 

「さて、木場。二人だ。一人は俺がやる。修行の成果を存分にふっるてみろ」

 

「わかったよ」

 

「ハッ、そんじゃ、ちょいと行きますか!!」

 

影幸が叫ぶと同時に全員が構えをとる。

「パス・アン・ビリカル

逆巻け 夏の嵐 彼の者等に 竜巻く牢獄を

風花旋風 風牢壁!!」

 

風の魔法によって影幸と敵が一人嵐の牢獄にとらわれた。

 

影幸side

 

「なんだ!これは!?」

 

「これは嵐の牢獄ここからでたけりゃ俺を倒すことだな兵士」

 

「キサマなどすぐに屠ってくれるわ人間が」

 

「おっと、そう言えば名乗ってなかったな」

 

そう言って俺は帽子のつばをつまみ片手を腰に当てポーズを決める。

 

「俺は神野 影幸。ちょいとイカれた魔法使いさ。

ライザーの兵士、アンタは?」

 

「・・・ライザーさまの兵士マリオンだ」

 

「OK,マリオン。精々1分は持ってくれよな!!」

 

そう言って俺は杖を構えマリオンに突撃する。

 

「クッ!」

 

マリオンは俺の杖による突きを身をひねって躱す。

 

「ハァッ!!」

 

そしてマリオンはこちらに拳を突き出す。

俺はあらかじめ手に握っていた一枚の紙をその拳の軌道上に放る。

するとマリオンの拳はその紙に弾かれる。

「!?」

 

「驚いた?これは俺の魔導書の1ページだ。これには防御の術式が書かれていてな、さっきのはその術式が発動したのさ」

 

「クッ・・・」

 

「さて、そろそろ終わらすか」

 

そう言って俺は杖を構え攻撃の大勢をとる。

 

 

 

 

木場side

 

影幸君が魔法で敵を分断したこちらに残ったのは二人。二人とも構えをとっており互いにいつでも動き出せる姿勢だ。

僕は手に持つ魔剣、光喰剣(ホーリー・イレイザー)を構える。

 

(まずは初手でアドバンテージをとる)

 

そうして僕は足に力を込める。

 

「大地を掴め・・・」

 

ドンッ

 

「なっ!?消えただと!?」

 

「どこに行った!」

 

「後ろだよ」

 

「「!?」」

 

ザシュッ!!

 

「グゥッ!」

 

「ビュレントッ!!」

 

良し、先ずは一撃入れた。

修行の中で影幸君が教えてくれた高速移動術 瞬動 で二人の背後をとり片方に一太刀入れ先手を取った。

僕が一撃入れた方の兵士、ビュレントは斬られたわき腹に手を当てて片膝をついている。

それなりに深く入れたはずだ。

 

(クッ、土煙が多い。まだ無駄が多いな)

 

敵の後ろ、さっきまで僕がいたところには土煙が立ち込めている。

影幸君が見本に見せてくれた瞬動は土煙どころか塵一つ立っていなかった。あの域にはまだ遠いようだ。

 

「驚いたぞグレモリーの騎士。まさかこれほど早く動けるとは、流石は騎士の駒の恩恵と言ったところか」

 

「どうもありがとう。その称賛はの言葉は有難く受け取ろう。それじゃぁ、いくよ!」

 

「来いグレモリーの騎士!!」

 

―大地を掴め―

 

僕はもう一度瞬動で敵の後ろに移動し斬りつける。

その一撃に終わらず何度も剣を振るい敵に攻撃の手を与えないようにしていく。

 

「ガァ!」

 

その中の一撃が負傷していたビュレントに当たり光に包まれ消えていく。

リタイアしたビュレントに一瞬視線を移したシュリヤーのその隙を狙い剣を突き刺す。

 

「クッ、・・・私の、負けだ・・・」

 

そう言ってシュリヤーは光に包まれ消えていく。

 

《ライザーさまの「兵士」3名戦闘不能》

 

倒した。グレイフィアさんのアナウンスでリタイアの確認を聞き一瞬気を緩める。

瞬間強い殺気が背後から突き刺さり僕は振り返り剣を構える。

そこには、

 

「今はまだ、戦闘の最中だぞ木場。たった二人倒しただけで気を抜くな」

 

無傷の影幸君が立っていた。

 

 

Side out

 

影幸は無傷で木場の後ろに立っていた。

 

「にしても、ホント残念な瞬動だな。土煙立ちまくりじゃねーか。無駄が多すぎるぞ」

 

「あははは、手厳しいね」

 

「まったく。そんじゃ、イッセーたちのところに行くか」

 

「うん」

 

そう言って影幸と木場はイッセーと小猫のいると思われる体育館に向かって走っていった。

その途中で、

 

《ライザーさまの『兵士』3名『戦車』1名戦闘不能》

 

というアナウンスが鳴り、イッセーたちが体育館で交戦していたと思われる敵を撃破したことが知らされた。

 

「どうやら向こうは上手くやれたみたいだね」

 

「そうだなっと」

 

そう答えると影幸は杖の上にサーフボードに乗るように乗り空に上がる。

一定の高度で止まると体育館のある方向を見つめ、

 

―魔法の射手 炎の5矢―

 

無詠唱で魔法の矢を放った。

放った後は直ぐに下に戻る。

 

「どうしたんだい、いきなり」

 

「体育館上空に敵女王がいた。

多分出てきたイッセーたちを狙っていたんだろう」

 

「そんな!速く行こう!」

 

「一応撃ち落としといたから、イッセーたちもすぐにその場から離れているはずだ」

 

「分かった」

 

そして木場は騎士の駒の恩恵によるスピードで、影幸は杖に乗ったまま低空飛行でイッセーたちのもとに向かった。

 

            ~             ~

 

「大丈夫かお前ら」

 

「ジンか。もしかしてさっき相手の女王をやったのってお前か?」

 

「まあな。そういえばその女王は何処だ?」

 

影幸と木場は辺りを警戒している。

 

「敵女王なら朱乃先輩が引き受けてくれています」

 

「そうか。そんじゃ、これからは・・・」

 

影幸がこれからの動きを考えたところでアーシアから通信が入る。

 

聞くにどうやら、グレモリーがライザーの挑発に乗って単騎で新校舎のライザーのもとに向かったとのこと。

影幸が簡易式神を放ち偵察したところ新校舎の屋上でグレモリーとライザーが一騎打ちをしていた。グレモリーの後ろには流石に一人で行かせるわけにはいかないと思ったのかアーシアもいた。

 

「・・・(ブチッ)・・・何それバカなの!アホなの!単騎突貫とかゼッテ――考え無しだよあのお嬢サマ!

ヨシ決まった。次の行動決まった。お前たち今からあのお嬢サマのとこ行って援護しろ。

校庭にいる雑魚共は俺が片付けとく」

 

「え、ちょ、ジン・・・」

 

「いいからすぐ行け!ゼッテ―スタミナ切れであのお嬢サマ倒れる。速く行ってテメーは一人で戦ってるんじゃないと教えてきな!」

 

「わ、分かった。行こう、小猫ちゃん、木場」

 

「うん」 「分かりました」

 

影幸に強気言われイッセーたちは新校舎に向かって走っていく。

 

「さーってと。言ったからにはとっとと片付けますか」

 

三人を見送った影幸は校庭に向かって歩き出した。

 




実は一回この話は十一月中に書いたんですが私の操作ミスで書いた分がまるまる消えちゃいまして。保存もしてなかったので、あまりのショックにやる気が一気に消え失せました。
が、何とか書ききりました。
クリスマスの夜に一人で執筆とか・・・
いいもん!!俺にはゲームと漫画とラノベがいるから寂しくないもん!!(泣)

では、次回をお楽しみに。

感想、ご指摘、誤字脱字報告よろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ⅩⅣ:魔法使いとゲーム、そして主役へ

2ヶ月ちかく間を空けてしまい申し訳ありません。大変お待たせしました。
ちょこちょこ書いていたので別に失踪していたわけではありません。
これからも不定期更新が続くかもしれませんが気長にお待ちください。



イッセーたちと別れ影幸は校庭に向かった。

そこには軽装鎧を身に纏い剣を持った女騎士がいた。

 

 「まさか、貴様がここに来るとは。私としては騎士同士の戦いを望んでいたんだがな」

 

「そいつは悪かったな。だけどこっち《グレモリー側》も負けるわけにゃいかんからな。勝てるように動いたらこうなったんだわ」

 

そう言って影幸は自身の持つ杖を構える

 

「まぁ、そんじゃやるとしますか」

 

「あぁ。私はライザーさまの『騎士』カーラマイン!

覚悟しろ魔法使い」

 

「・・・俺は魔法使い神野 影幸。存分にやらせてもらうぜ!」

 

カーラマインからの口上に影幸も乗り名乗りを上げる。

互いに名乗り終えカーラマインが先手を取ろうと影幸に向かって駆け出した。

 

そして影幸の首を刈り取らんとその剣を振るう。

しかしその刃は影幸がその手に持つ杖に阻まれ弾かれる。

 

「クッ、まさかこの私の初撃を防ぐとは、驚いたぞ魔法使い」

 

「ハッ、生憎と、今どきの魔法使いにとって近接戦闘術は必須なんだよ!」

 

カーラマインから繰り出される剣線を影幸は杖を使いすべて防ぐ。

そしてひときわ大きく弾いたところで互いに距離をとる。

すると、カーラマインの持っていた剣は弾いた時の衝撃に耐えられなかったのか中ほどで折れてしまった。

 

「まさか、ここまで全ての攻撃を防ぐとは・・・だが、我ら誇り高きフェニックス眷属、貴様に負けるわけにはいかない!受けよ!炎の旋風を!」

 

そう言ってカーラマインは腰の短剣を抜き炎を纏わせ振るった。

カーラマインを中心として巨大な炎の渦が巻き起こり強烈な熱風が影幸に襲い掛かる。

しかし、影幸は逃げる素振りを見せず、杖を掲げた。

 

「流石に、こいつはな・・・障壁最大!!」

 

影幸の前に何枚もの魔力障壁が現れた。その障壁に当たった炎の渦は障壁を破らんとするが障壁はビクともせず次第に炎の勢いが衰えていき、遂には消えてしまった。

後に残ったのは数枚の無傷の障壁、その奥に影幸はいなかった。

 

「なっ!?ど、何処だ!どこに行った!」

 

カーラマインが短剣を構え辺りを探す。

 

「ここだよ」

 

「!?」

 

影幸はカーラマインの真上にいた。

先ほどの炎が障壁に当たった瞬間障壁を維持させるための魔力を瞬時に注ぎ込み瞬動でその場を離れ、虚空瞬動でカーラマインの真上に陣取った。

影幸は杖を構えておりその杖からは電流が迸っていた。

 

「雷の斧!!」

 

ドガアアァァァン!

 

『ライザーさまの「騎士」一名、戦闘不能』

 

「あら、まさかたった一人でカーラマインを倒すとは思いませんでしたわ」

 

影幸がカーラマインを倒した瞬間、声の下方向を見ると茂みから出てきたのか金髪縦ロールのドレス姿の少女と顔の半分にだけ仮面をつけた女性がいた。

 

「お宅も、仲間がやられたってのに、動揺も見せないんだな」

 

「あら、そうでもありませんことよ。まさかあなた一人でカーラマインを倒すとは思いもよらなかったものですから。ですが、その快進撃もここまでですわよ」

 

縦ロールがそう言った瞬間隣に立っていた仮面の女性が一歩前に出て構えをとる。

そして影幸を囲うように数人現れる。

猫耳がついている赤髪、青髪のセーラー服少女。十二単の着物を纏う女性。背中に大剣を背負ったヤシの木ヘアの女。

それぞれライザーの『戦車』イザベラ、『兵士』ニィ、リィ、『僧侶』美南風、『騎士』シーリス。

それぞれが影幸に攻撃の体勢をとっている。

 

「随分と熱烈な歓迎だな」

 

「さすがのあなたでも、この数相手にするのは苦しいのでは?」

 

「確かに。でも、それが何だってんだ?それが諦める理由だってのか?

んなわけねぇだろうが。あいつらは諦めちゃいないんだよ。だったら俺だってここで止まらねぇよ」

 

そう言って影幸は杖を構える。

 

「そうですの。では全員でやりなさい!」

 

「「「「「ハッ!」」」」」

 

そう言って、金髪縦ロールの『僧侶』レイヴェル・フェニックスが手を振り下ろすと同時に影幸を囲んでいた敵がそれぞれ攻撃する。

 

先陣を切ったのは猫耳姉妹のニィとリィ。素早い動きで影幸の周りを走り時折打撃を放つが、影幸は手に持った杖を使いいなしていく。

そして、一瞬の隙を撃ち二人の首に杖を振り下ろす。

その一撃で二人は意識を失い光に包まれる。

 

『ライザーさまの「兵士」2名リタイア』

 

「ハァッ!」

 

大剣を振りかぶりシーリスが影幸に向かって駆けてくる。影幸は瞬動で近づき蹴りを放つ。

しかし、シーリスはこれに反応し大剣を盾代わりに使用し影幸の一撃を防ぐ。

バックステップで距離をとり影幸は杖に炎を纏わせシーリスに向かって駆け振りぬく。

シーリスも応戦し大剣を振るう。

同じ騎士でもカーラマインとは違い一撃一撃が重く強い。

カーラマインが振るった大剣の一撃を影幸は杖をかざして受け止める。

受け止め互いの力が拮抗した一瞬、影幸は力を抜き半歩下がる。拮抗していた力が崩れたことでシーリスは姿勢が前のめりとなりバランスを崩した。

その瞬間影幸は人体の急所である水月を杖で突きあげた。

それによってシーリスは一瞬呼吸ができなくなり動きが止まる。

影幸はその隙を逃すまいと杖を使い肩口、脇の下、膝を連続で殴打し、最後に顎に向かって掌底を繰り出した。

 

『ライザーさまの「騎士」戦闘不能』

 

掌底により倒れたシーリスは一言も発することなく光に包まれ戦闘不能となる。

 

「ハァッ!!」

 

影幸がシーリスを倒した瞬間、死角から敵『戦車』イザベラが迫り、拳を振りぬいた。

影幸が敵を一人倒し一瞬呼吸を整えた瞬間を狙った拳は寸前に気が付き直撃はしなかったが、防御のためにとっさに使った杖は遠くに弾き飛ばされてしまった。

がら空きになったボディーにイザベラが拳を打ち込む。

影幸はそのまま後ろに飛ばされる。

 

「けほっ・・・まさか、ここまでやられるとは。ハハハ、少し鈍ったかな」

 

腹部に手を当て、何事もないように立ち上がった。

 

「まさか、今の一撃を防ぐとは。なかなかやるようだな魔法使い」

 

先ほどの一撃、影幸は瞬時に腹筋に力を入れ、拳が当たる直前に自ら後ろに飛んでダメージを最小限にしたのだ。

 

「戦いの戦慄」

 

身体強化の呪文を唱え影幸もファイティングポーズをとる。

そして、瞬動で影幸が迫る。

接近状態で互いに激しく拳を振るう。

 

「まさか、魔法使いがここまでやるとはな。魔法使いというのは嘘じゃないのか。

格闘家と名乗った方がいいぞ」

 

「おほめに預かりどーも。でも、俺はこれでも魔法使いなんだわな。

別にいてもいいだろ、接近戦の得意な魔法使いとか」

 

「気を悪くしたなら謝る。何分、お前のような手練れとの戦いはなかなか無いからな。

だが、いつまでも楽しんでいる分けにはいかん」

 

そう言うと、イザベラはその場から飛び退く。

どういう事かと影幸が辺りを見回すと、敵の『僧侶』美南風が札で五芒星を作り魔力をためていた。そして、そこから巨大な炎を繰り出した。

 

「(おそらく今までの戦闘はこの炎を繰り出すための時間稼ぎだったのだろうな。)

だが、俺をなめてもらっちゃぁ困るな!!」

 

そう言って影幸は腕を突き出し、

 

「杖よ」

 

離れた場所にあった杖を手元に呼び寄せた。

そして影幸はその杖を地面に突き刺した。

 

「解放 術式展開」

 

そう一言放つと杖に付いていた龍の咥えていた緑色の玉が砕け、その欠片が影幸の周りを漂い、魔方陣を描いていく。そして魔方陣が出来上がり、影幸が迫り来る炎に手をかざす。

すると、炎は見る見るうちに小さくなっていく。

 

「「!!??」」

 

その光景にイザベラと美南風は驚愕の表情を浮かべる。

そして、終には炎が無くなり、残ったのは拳を突き出した姿の影幸と燐光ろ放ち崩れていく魔方陣。

 

「パス・アン・ビリカル

契約に従い、我に従え 炎の覇王

来れ浄化の炎 燃え盛る大剣

ほとばしれよ ソドムを焼きし 火と硫黄

罪ありし者を 死の塵に

     燃える天空!!」

 

炎系の広範囲焚焼殲滅魔法が放たれる。先ほどの炎や、カーラマインの放った炎とは比べ物にならない熱量が二人を襲う。

 

見るからに動きづらい服装の美南風は逃れる事ができず声を上げる間もなく倒された。

だがイザベラはとっさに回避行動をとり逃れる事が出来たが、完全に避けることができず、大きな火傷を負った。

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」

 

肩で息をしており、片膝をついていた。

 

「終わりだ。俺を倒そうとするのは止めな」

 

「だからと言って、止めるわけにはいかない。私は誇り高きフェニックス眷属だ。

この身が果てようともキサマを道ずれにしてやる」

 

そう言ってイザベラは影幸を睨む。

 

暫らく互いににらみ合っていたが、

 

「別に、もうやらんよ」

 

そう言って影幸はその場に座り込んだ。

 

「何?」

 

「ここから先はあいつらの戦いだ。俺はそのためのステージで前座をやってただけさ。

流石に脇役が主役の出番を奪うわけにはいかないからな。それに、アンタはその状態じゃまともに動けないだろ」

 

「だが、レイヴェル様が貴様に攻撃するかもしれんぞ」

 

「ああ。あの『僧侶』ね。あの子結構賢そうな感じしてるから、実力差は理解してると思うからわざわざ自分から突っかかることは無いと思うけど、そこんとこどうなんだい?」

 

「ええ、さすがの私もあなたに手を出して無事に済むとは思えませんわ。

それに、たとえ私がお兄様の援護に向かっても役に立つとは思えませんわ」

 

「ほらな。賢明な判断だ」

 

「ええ、ですので私は〈監視〉をしますわ。あなたがここにいる、それがほんとかどうかをイザベラと共に監視しますわ」

 

「そうすれば俺も動くに動けないわな。成程、悪くない考えだ。

俺としてはこの場で無傷のアンタが向こうに言って主役の邪魔をしないように見張らなきゃならんし、こりゃ互いに動けんな」

 

そして、校庭にイザベラ、レイヴェル、影幸の三人の膠着状態が発生した。

 

(さーて、イッセー。前座は出来上がった。あとは主役のアンタの仕事だぞ)

 




誤字、脱字などがありましたら気軽にご報告してください。
では、次回をお楽しみに。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ⅩⅤ:兵士と不死鳥、そして終幕へ ①

もうねぇ、ホントにすいません。
期間開けてすみません。
主な理由としては、Fate/GOのコラボで式(刀)でなくて泣き崩れたり、男ピックで天草がいきなり出たり、自動車学校でテスト受けまくったり、監獄塔で、復讐者でなくて項垂れたり、エクステラとEXTRAのアニメ化にテンション上げまくったりといろいろしてたらこんなに期間が開いてしまいました。
ほぼ私用なのがマジですんません。
こんな駄作者ではありますが、今後ともよろしくお願いします。

え、エクステラ?勿論買いますよ。VITAで。
あ、あとプリヤの漫画も買いに行かないと。
・・・お金が無い。バイト探さないと


 イッセーside

俺と小猫ちゃん、木場はジンに校庭にいる敵を任せ新校舎に向かって走っている。

新校舎に入った瞬間俺は女王に昇格する。

 

「影幸君の話じゃ、部長は長く続かないみたいだから急いで上に行こう」

 

木場がそう言って俺と小猫ちゃんは無言でうなずく。

部長だって勝とうと頑張ってんだ。俺達も諦めるわけにはいかないからな。

 

「絶対、勝とうぜ」

 

「うん」 「はい」

 

改めてうなずきあい俺達は

階段を駆け上がり部長のところへ走る。

 

side out

 

新校舎の屋根の上でリアスとライザーは対峙していた。

リアスが魔力の弾を生み出してはライザーに放っているがライザーは涼しい顔してそれを受けていた。魔力弾が直撃した場所は消滅しているがそこに炎が発生し再生していた。

これこそがライザーたちフェニックスの持つ不死の力

リアスがいくら打ち抜いても次の瞬間には再生している。

この力でもってライザーはレーティングゲームで上位に立っていた。

だが、不死にも弱点はある。

 

一つは自身の再生能力以上の攻撃を受けたとき。これは自身の再生能力が追い付かずそのまま消されることがある。

 

二つ目は精神的に打ちのめすこと。不死の力はその多くは当人の精神状態に連動していることが多い。そのため、不死人が再生することを諦めると、再生することなく死ぬことがある。

 

他にも不死の存在を脅かすような不死殺しの武具などを用いれば勝てる。しかし、リアスの手元にはそんな都合のいいものは無い。

 

閑話休題

 

現状、リアスは調子に乗っていた。

影幸の修行で確かにリアスは以前より強くなった。だが、たった一人でライザーに勝てるほどの物ではない。影幸が施した修行はグレモリー眷属がこの戦いでそれなりに戦えるレベルにしただけ。実質ライザーの眷属はそんなに強くなく眷属の中で女王だけが突出して強いだけだ。

ライザーはこれまでのゲームは自身の不死性によって勝っていた。だがライザー自身もそれなりに強い少し強くなっただけのリアスだけでは勝てない。

 

「リアス、そろそろあきらめたらどうだい。確かに君は強くなった。だがこの俺の強さにはまだまだ届かないよ。俺も自分の婚約相手を傷つけるようなことはしたくないんだ」

 

「馬鹿言わないで、私はまだ負けていない、諦めていないわ」

 

そう言って魔力弾を放つ。だがそれも当たってもすぐに再生してしまう。

ライザーは先ほどと変わらず涼しい顔でいる、逆にリアスは肩で息をしており魔力の消費が激しい状態だ。

 

「(このまま負けるというの、・・・いやよ、・・・嫌!)負けない。・・・私は絶対負けないわ!」

 

「はぁ、まったく。君も諦めが悪いなぁ」

 

リアスの叫びにライザーはやれやれと言った風に頭を振りリアスに近付いていく。

 

「君がすぐに投了してくれればこんな事しなくて済むんだがなぁ」

 

そう言ってライザーは炎を纏わせた腕を振り上げる。

 

「リアス、最後通告だ。投了しろ」

 

ライザーからの通告、これを受け入れなければを纏ったその腕が振り下ろされる。

だが、リアスの目に諦めの色は無かった。

 

「そうか、残念だな」

 

そう言ってライザーはその腕を振り下ろす。

リアスはこれから自分に襲い来る衝撃に目を閉じる。

そして、

 

「プラクテ・ビギ・ナル

風花 風障壁!!」

 

その攻撃はずっとリアスの後ろで控えていたアーシアの使用した魔法によって防がれた。

アーシアは修行期間中に覚えた防御魔法の中でもより強固な魔法を使用しリアスを守った。

元からあった多い魔力量と僧侶の駒の能力によって高い魔力運用が可能になったことで初心者ながらも強力な防御魔法が使えるのだ。

 

「リアス部長もあきらめていません。私もあきらめるわけにはいきません!私も戦います!」

 

「アーシア・・・」

 

「クッ、なかなかやるようだな。だが、先ほどの障壁に大量の魔力を使った、その状態ではその技ももう使えまい」

 

ライザーの言うとうり〈風花 風障壁〉は10tトラックほどの衝撃でも防ぐことができるが効果は一瞬のみ、連続使用はできない。

 

「これで、本当に最後だリアス」

 

そう言ってライザーは再度炎を纏わせた腕を振り上げる。

 

そのとき・・・

 

「させるかーーーーーーーーー!!!!」

 

「何!?」

 

「おりゃあああああぁぁぁぁ!!」

 

ドゴッ!

 

イッセーが拳を振りかぶってライザーに駆け寄りその勢いを乗せたパンチを見舞った。

完全に不意を突かれたライザーは防ぐすべなく殴り飛ばされる。

 

「イッセー・・・」

 

「部長大丈夫ですか!」

 

「なんで、ここに・・・」

 

「俺だけじゃないです」

 

「「部長」」

 

「裕斗、小猫も・・・」

 

「ジンに、部長のところに行けって言われたんです。部長が不利に立たされてるから助けに行けって」

 

「イッセー」

 

「俺、確かにまだ弱いっす。でも、それは、俺が一人だから。でも、今は仲間がいます。

心強い仲間が。だから俺は、俺達は部長のために戦って勝ちます」

 

そう言ってイッセーはリアスの前に立った木場と小猫も同じように立った。

 

「焼き鳥野郎、こっからは俺達が相手だ!!」

 

そう言ってイッセーと小猫は拳を、木場は剣を構え攻撃の体勢をとった。

 

 

 

 

場所は変わり体育館跡上空

其処ではもう一つの戦いが続いていた。

互いに魔力を放ちながら戦っているのは所々敗れた巫女服を纏うグレモリーの『女王』姫島 朱乃。対するは同じく傷だらけで杖を持ったライザーの『女王』ユーベルーナ。

 

「ふふふ、流石は雷の巫女と言ったところかしら」

 

「いえいえ、あなたの爆発もなかなかのものですわよ『爆弾王妃』さん」

 

「その二つ名はセンスが無くて好きでは無いわ」

 

互いに満身創痍の状態でいる。それだけでこの二人がどれほど激しく戦ったかが分かる。

 

「これほど激しくやってあなた、魔力は大丈夫かしら?」

 

「ご心配なく、少し休めば十分回復しますわ」

 

「そう、なら私の勝ちね」

 

そう言って自身の胸元に手を入れ何かを取り出した。

 

「!?それは」

 

取り出されたのは小さな小瓶。その中はある液体で満たされていた。

 

「これを使えばあなたは私に手も足も出ずやられるわ」

 

そう言って小瓶の中身を飲み干すユーベルーナ。すると先ほどまでの戦闘で負っていたはずの傷がすぐさま治っていき、魔力も回復していっている。

 

ユーベルーナが使ったのはフェニックスの涙と言われるアイテムである。

如何なる傷をも癒し、魔力も少し回復する代物である。そのあまりにも高い効果のためレーティングゲームでは、参加する悪魔二名までしか所持できないということになっている。

 

「これでおしまいよ、雷の巫女!!」

 

ドォッ!!

 

杖を向けた瞬間強力な爆発が朱乃を襲った。

 

「アハハハハハ、流石のあなたもその状態でこれを防ぐことなんてできないわ!!」

 

煙に包まれた朱乃を見て高らかに笑うユーベルーナ。

 

「ええ、それなりに強力な爆撃でしたので完全に防ぐことはできませんでしたわ」

 

「なんですって!?なぜまだ生きているの?完全に当たったはずよ!」

 

「ええ、ですが直前に障壁を張ったので平気でしたわ」

 

「!?」

 

そう、朱乃は直前にあるアイテムを使って魔力を回復し障壁を張り、ユーベルーナの攻撃からの攻撃を防いだのだ。

 

(影幸君の言うとうりに用意しておいて正解でしたわね)

 

朱乃は先ほど使ったアイテムの残滓を見てそう思う。

 

「でわ、形勢逆転ですわね」

 

そう言って朱乃は回復した自身の魔力を雷に変えいまだ呆然としているユーベルーナに向かって放つ。

 

ドォォオオオオン!!

 

『ライザーさまの女王、戦闘不能』

 

そして、女王同士の戦いは終わった。

 

 

 

場所は戻って新校舎屋上。そこでも激しい戦いが巻き起こっていた。

ライザーに向かい木場が自身の魔剣を振るい小猫が拳を繰り出し、一誠が拳だけでなく蹴りも放つ。

 

「ハッ、なかなかにやるようだな。リアスは相当鍛えこんだと見える。この連係は一朝一夕で簡単に身に着くものではないからな。だが、それだけでこの俺に勝てると思うのか?」

 

そう言いながらもライザーは焦りを感じていた。

イッセーが蹴りを、小猫が拳を、木場が剣を振るい、その隙間を狙うようにリアスが滅びの魔力を放ってくる。

それは、相手に攻撃の隙を与えないための波状攻撃。影幸との修行でリアスがとった行動だ。

現在のグレモリー眷属の長所は火力の高さ。

赤龍帝の籠手、魔剣創造、雷の巫女、滅びの魔力。そして最近影幸から直接手ほどきを受けた小猫の膂力。明らかに強力すぎる力の集まり。この力を活かすにはどうしたらいいか、どうすれば勝てるかを考え、そして思いついた方法。それは、短絡的でお世辞にも最善とは言えないが現状では良いと言える戦法。前衛の三人が敵に攻撃させる隙を与えないように絶えず攻撃を続け、その隙間を後衛のリアスが遠距離攻撃をするという方法。これによってライザーは攻めてくる三人だけではなくいつ飛んでくるかわからないリアスの攻撃にも気を配らねばならないだが三人の攻撃も油断できない、緊張状態が続く。そうなるとライザーは通常以上に集中し精神力を消耗する。その作戦を聞いた影幸は修行期間の後半はこの連係を確かなものにするための集団戦闘訓練を主に行った。

そして今、その作戦は成功していると言っていい。実際ライザーは攻撃することなく守りに徹している。うまくいけばライザーを倒せるかもしれない。リアスはそう考えていたが、その希望は単純な作戦と同じように単純なことで崩れることになる。

 

「しまっ!・・・・」

 

「「「「!!」」」」

 

「そこだぁ!」

 

ほんの一瞬。たった一瞬のズレが崩壊の引き金となる。

それはイッセーが疲労に足をとられてしまったため連携に穴が開き、崩れてしまった。勿論ライザーはその隙を逃すはずなくイッセーに向かい火炎弾を放つ。

実際のところイッセーはよく頑張った。だが、周りと比べると実戦経験が少ない、そのため精神的に疲労していた。精神的疲労は自覚することが難しく、戦場でそれも前衛として戦っていくうちに疲労がたまっていき、結果仲間との足並みを乱してしまうこととなった。

 

迫り来る火球、イッセーは自分を責めていた。

 

(チクショウ、体がうまく動かねぇ。俺の所為で・・・)

 

自分はここでやられるのかと思ったそのときイッセーの前に守るように影が現れた。

 

 

 

『リアス様の戦車、戦闘不能』

 

 

 




ええ、見てのとうり続きます。
あと、お気に入りのヘッドホンが一部壊れてテンション下がってきたヘタレです。
一応、アロンアルファでくっつけて直せるはずなんですが、新しいイヤホンを買うべきかどうか、検討しています。
これからもちょくちょく書いていって行きますので気長にお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

XⅥ:魔法使いと不死鳥(妹)、そして正体

すいませんお待たせしました。
ただいまスランプ、って言うかなんて言うか、全然かけない状態で・・・
楽しみにしていた方お待たせして申し訳ありません。
今回は前回の戦闘の続きではなく影幸君の様子となります。

誤字訂正しました



 校庭

そこでは影幸とレイヴェル、イザベラのにらみ合いが続いている。

 

「流石に、終わりまで無言でにらみ合いって流石にどうよ?

ぶっちゃけ俺はキツイんだけど・・・なんかさぁ、質問とかあったら答えるよ。

マジで。無言はきついよ」

 

影幸は無言の状態が続くのが苦しいようで、レイヴェルとイザベラに話しかけていた。

 

「でわ、私からよろしいでしょうか?」

 

「!レイヴェル様!!」

 

「応、いいよ いいよ。何でも聞いて。答えられるものなら何でも答えるよ」

 

「リアス様とその眷属の方々に対しあなたが修行を付けたそうで」

 

「まね。元はよかったから後は少し後押ししただけ。基本的にはあいつら自身で力をつけていったから、俺はそんなたいそうなことはしてないよ」

 

「いえ、私が聞きたいのはそう言うことではなく、『何故あなたがリアス様達に修行を付けたのか』ですわ」

 

「・・・」

 

「・・・別に、ただの暇つぶしだよ。オジサンはね長~~~く、生きてるとね、暇になっちゃうんだよ」

 

「・・・おじさん?」

 

「暇って言うのは恐ろしいものでね。それこそあらゆるものを殺してしまうようなものだ。そのために、生きる者はその命が閉じるまで暇つぶしを重ねてくんだよ。生きるためにね。

それが、俺があいつらに修行を付けた理由」

 

「・・・成程。そう言うことでしたか。おかげでまたいくつか聞きたいことができましたわ」

 

「ほう、いってごらんよ」

 

「ええ。あなた、もしかしてヴィルヘルム・バルシュミーデではありませんか?」

 

「!?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

その瞬間沈黙がその場を支配した。

 

「お前、その名前どこで聞いた」

 

「あなたの戦い方を見てもしやと思いまして。昔、父と母に語っていただいた昔話の魔法使いと同じような戦い方でしたので」

 

その沈黙の中でイザベラは冷や汗を浮かべ、その目を影幸に向け続けていた。

 

(ヴィルヘルム・バルシュミーデだと。その名はかつて魔法使い等の間で忌み嫌われたものの名。あまりにも異端で、魔法使いの中でも特異な存在として語られていた者。それがこの男だというのか?)

 

ヴィルヘルム・バルシュミーデ

その名はかつてドイツを中心に広がった忌み名である。

破滅の使徒 終滅の化身 不死の魔人などの多くの二つ名を以って語られていた存在。

その実、これは影幸がドイツで生活する際に使用した名前である。

悪魔の間では眠らない子供に「早く寝ないとヴィルヘルムが襲いに来るぞ~」

と、なまはげのような扱いをされていたりもする。

 

閑話休題

 

「まぁ、いいや別に。そうだよ。俺がヴィルヘルムだ。でどうするんだ?」

 

「・・・あなたはお兄様をこのゲームで下すのですか?」

 

「俺はやらないよ。やるのはグレモリー達だ。これはあいつ等が受けたゲーム。けじめはあいつ等でつけるべきだ。それを俺が横から手を出して終わらせたら意味がないからな」

 

「成程。確かにあなたならお兄様なんて鎧袖一触ですものね」

 

「今の俺はそこまで強かねぇよ」

 

レイヴェルと影幸が普通に会話している様を少し離れたところで見ているイザベラは自身の目の前にいるのが伝え聞く魔人ということを知って先程より青ざめている。

 

(あのヴィルヘルムを相手にしてあそこまで話して行けるなんて、レイヴェル様お強い人です)

 

「まぁ、今回のことに関して事情を聴いたら結構、イラッと来たってのも手を貸した理由の一つでもあるんだがな」

 

「イラッと来た事ですか?」

 

「ああ、そう。もともとグレモリーは人間界の大学卒業までは自由だって約束でここにいたわけなんだが、グレモリー家はお家断絶を恐れて、悪魔らしく欲に駆られて、約束を反故にして婚約を急いだ。

これで合ってるよな」

 

「ええ、そのように聞いています。このレーティングゲームもリアス様の意思を通すための最終手段として起用されたものであることとも」

 

「まま、そこは別にいいんだ。問題はグレモリー卿がお嬢様との約束を破った、ってところだ。悪魔として、それは流石にいただけないな。

悪魔は契約を遵守して悪魔とする、だ。その悪魔が約束を破ったってことにイラッときてね」

 

「成程。確かにそうですわね。でも、ゲームは両者合意の元始まってしまいましたわ。それを言うなら最初に言っておくべきことでわ?」

 

「いや、そんなこと俺が言ってどうなるよ?確かに攻めることはできるかもしれんが俺が言っても意味ないよ。本人が気づくべきことだ」

 

「なかなかに辛辣ですわね」

 

そのとき、新校舎の屋上で大きな炎が舞い上がった。

 

『リアス様の戦車、戦闘不能』

 

小猫が敗れたという報が入った。

 

「ああ、こりゃ面倒だな」

 

そう言いながら影幸は新校舎に向かって歩いていく。

 

「何をしに行く気ですの?」

 

そこにレイヴェルが立ちはだかり影幸に聞く。

 

「レ、レイヴェル様!」

 

「別に、ただ、あいつらのところに行くだけ。

なかなか面白い状態になったからね。

こんな最高のショーを最前線で見ないのは損だからね。

と、言うわけで行くね」

 

そう言って影幸はレイヴェルの横を通り過ぎ新校舎に向かって歩いていった。

 

レイヴェルとイザベラは影幸の姿が見えなくなるまでその背中を見つめていた。

 

 

~     ~

 

「さて、これどうやって使おうかな~」

 

影幸はその手に一つの小瓶を持って笑みを浮かべながら歩いていた。

 

「あ、使わずに研究材料にするのもいいな」

 

 

 




これからもおそらく不定期な更新になるかと思いますがよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ⅩⅦ:兵士と不死鳥、そして終幕へ ②

たいへん長らくお待たせしました。
待たせた割には大した文量でもなければクオリティでもありません。
それでも楽しみにしていた方々、ありがとうございます。



 

 

「小猫ちゃん!!」

 

イッセーの目の前で小猫が倒れる。イッセーをかばってライザーの炎をまともに受けたからだ。

イッセーを守るために。

制服はボロボロで所々焦げている。破れた制服から覗く肌は火傷の痕が目立つ。

 

「小猫ちゃん!」

 

イッセーが駆け寄り小猫を抱き上げる。

 

「イッセー・・・先輩・・・よかったです無事で・・・」

 

「何で、なんで俺なんかをかばって・・・」

 

「神野先輩が言ってました・・・このゲームに勝つための大切なピースはイッセー先輩だと」

 

「俺?」

 

「私より勝率が高いだろう先輩を守る・・・それが私がこのゲームで自分で決めた役割です・・・勝ってください・・・イッセー先輩」

 

そう言い残して小猫は光に包まれた。

 

『リアス様の戦車、戦闘不能』

 

「うおおおおおおおおおお!!!」

 

戦闘不能のアナウンスを聞きイッセーは無謀にもライザーに向かって拳を握り殴りかかる。

それを木場が肩を掴み止める。

 

「イッセーくん、小猫ちゃんの思いを無駄にする気かい?」

 

「・・・!!でも、だったらどうすればいいんだ!?

小猫ちゃんは俺ならあいつを倒せるって言ってたんだ!だったら俺がやらなきゃならねえだろうが!」

 

「それは君一人でやることじゃない!!」

 

「!」

 

「僕たちの力で勝つんだよ!」

 

「・・・ごめん木場。頭冷えたわ」

 

「分かってくれてありがとうイッセーくん」

 

「話は終わったか?リアスの兵士と騎士」

 

イッセーと木場の話の途中で攻撃せず余裕をもって待っていたライザーは話し合いが終わったのを見計らって声をかけた。

 

「ああ、おかげでゆっくり休めたぜ」

 

「これから僕たちがあなたを倒します」

 

そう言ってイッセーは籠手を、木場は剣をライザーに向けて宣言した。

そして同時に構えをとる。

 

「木場、俺が合図したら神器を思いっきり解放してくれ」

 

「何かあるんだね。わかったよ」

 

そう言って木場はライザーに向かって駆けだした。

瞬動で一気に近付き近距離で剣を振るう。それはライザーに反撃の隙を与えないためのもの。イッセーからの合図を待つため、そして疲弊した主の回復の時間を作るため。多くの覚悟を背負い自身が持てる全てを使い剣を振るう。

 

side木場

 

何分、何十分、あるいは何秒剣を振り続けただろうか。

僕はイッセーくんからの合図を待つ。

 

この剣は仲間のために。 この剣は主のために。 この剣は勝利のために。

 

そう思いを込めて剣を振り、眼前の敵を切り裂く。

 

仲間を信じて。 友を信じて。

 

『剣に芯を込めよ』

 

天目一個さんの言葉が浮かんでくる。

そうだ、『勝つ』この気持ちを芯として剣を創れ。

僕は、僕たちは、勝つんだ!!

 

「ハアアアアアアアアアア!!!!」

 

僕の思いを込めて手元に新たに剣を創り出し、眼前の敵に向かって振るう。

 

 

そして

 

「木場ァ!」

 

僕の待っていた

 

「今だああああ!」

 

友の声だった

 

「魔剣創造!!」

 

『Transfer!!』

 

 side out

 

イッセーが修行中に発現した『赤龍帝の籠手』のもう一つの能力。

 

『譲渡』

 

その力を使い木場の神器『魔剣創造』に力を与えた。それによってライザーの足元から大量の剣が、その刃が出現した。

その刃は主の願いどうり敵を貫いた。

足から腰、腕と、全身余すことなく貫いていた。

 

「や、やったのか・・・」

 

「解らない。けどやるだけのことはやったはずだ」

 

そう言い合うイッセーと木場は互いに構えを崩すことなく、魔剣によって串刺しにされたライザーを見据えている。

 

まだライザーの戦闘不能のコールは鳴ってない。ということは、敵はまだ戦えるということだ。

ライザーは刺された個所から炎を出しながら再生しようとしている。

 

「クッ・・・この、程度で・・・俺が、倒れる・・・ものか―――!」

 

そう言ってライザーは自身を貫いていた剣を無理やり引き抜いた。

引き抜いた瞬間ライザーの体から大量の血が流れたが、その傷口も炎に包まれ治っていく。

 

「成程な、刃に返しがついているから抜きにくかったのか。よく考えたなリアスの騎士。

だが、この程度では俺は倒せん!」

 

そう言ってライザーは抜き取った剣を捨てた。

 

「クッ、まだ駄目なのか・・・」

 

「諦めるな木場。あいつはまだぴんぴんしてるかもしれねーが、どーせやせ我慢だ!」

 

そう言ってイッセーは駆け出しライザーに肉薄する。

 

「そいつはどうかな!」

 

そう言ってライザーは炎を纏わせた拳を振るってイッセーを殴り飛ばす。

 

「ぐあぁ!!」

 

「イッセーくん!」

 

木場は振り返りイッセーを見るがイッセーは屋根の陰になるところに飛ばされていて木場の位置から見ることはできなかった。

木場はすぐさま剣を構えライザーに迫る。友を信じて。すぐに戻ってくる頼りがいのある仲間を信じて。

 

~           ~

 

殴り飛ばされたイッセーは屋根の陰で倒れていた。

 

(くそっ、ここまでなのか・・・やっぱり俺は弱いな・・・)

 

自身の体が動かなくなってきているのを自覚し始め諦めと悔しさに体中を支配され始める。

 

「で、お前はここで倒れることを選ぶのか?」

 

そう言って倒れたイッセーを除きこんだのは影幸だった。

 

「か・・・影、幸・・・」

 

「んで、お前はいつまでそこで寝てるつもりだ?早く戦線に戻れよ」

 

「出来る分けねぇだろ・・・俺はもうこんなにボロボロなんだ」

 

「そうか、それじゃぁグレモリーがあの焼き鳥のものになってもいいってことだな」

 

そう言った瞬間イッセーの顔つきが変わる。

 

「んなわけねぇだろ。部長をあんな奴に渡したくねぇよ。・・・でも、もう体が動かねぇんだ。どうしろってんだよ!」

 

「フフーフ。俺がその願いを叶えてやろうか?」

 

「え?」

 

「俺が今すぐお前を戦える状態にしてやるって言ってるんだよ」

 

「そんなこと、できんのか?」

 

あまりにも突拍子もないこと。そんな都合のいいことがあるのかとイッセーは影幸に問う。

 

「ああ、だが対価は払ってもらうぞ、イッセー」

 

「・・・俺に払えるもんならなんだって出してやる!」

 

そう言ってイッセーは影幸を見る。

 

「いい表情だ。それじゃ、頑張れよ」

 

そう言って影幸は行動する。

 

~       ~

 

「ぐあぁ!」

 

木場がライザーに吹き飛ばされる。

 

「裕斗!」

 

「リアス、もう終わりにしようじゃないか。君の下僕達もよくやったと思うよ。でもこの俺には敵わないさ。諦めて投了しなよ」

 

ライザーは優しくそう言う。実際、今のリアスの戦力は乏しい。連戦で傷つき疲弊している木場、ライザーの女王に勝ったもののダメージが回復しきっていない朱乃、戦闘魔法はほとんど使えず防御魔法しか持ち合わせのないアーシア。

確かに壊滅的に危険な状況だ。だがリアスは諦めていなかった。自分を信じてついて来た眷属たちがいるから。そして、

 

「部長は、お前に渡さねぇー‼‼」

 

「イッセー・・・」

 

自分を第一に思ってくれるかわいい下僕がいるから。

 




おそらくこれからも更新は不定期になると思います。
それでもいいという方たち気長にお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。