やはり彼女たちの青春ラブコメはまちがっている。 (眠り羊)
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そして彼女たちの青春ラブコメはまちがいはじめる。

その時軽く言った普段自分が使わない言動により窮地に陥る

そんな状況になるなんて何処の物語の主人公だよと思っていた

 

ボッチの俺は常に言葉の裏を読み、考え無しに言葉を吐くなどありえない

だからそんな状況なんて、空から女の子が降ってきたり、テレビから女の子が出てくるくらい俺にとってはありえない話だと思っていた

 

 

 

そんな風に思っている時期が俺にもありました・・・

 

 

 

だが今まさにそんな軽く言った言葉により追い詰められていた

 

 

 

・・・ヤベェ・・・どうしよう・・・何の事だかさっぱりわからん

というより黒歴史過ぎて思い出したくないまである・・・

 

そいつは普段からは想像出来ないくらい顔を真っ赤にして、小さい声で振り絞るように言った

「・・・あれからあんたの事を意識して観察してたんだけど、私は・・・あんたが嫌いじゃないみたい・・・」

「だからあの時言ったように私を愛してくれているなら、付き合ってやるよ」

 

 

 

 

 

ピピピピ・・・ピピピ・・・

携帯のアラームが鳴った、普段ならもう5時間と言って携帯を止める所だが今日は何故か目が冴えて着替えまで済ましてしまった

早起きは三文の徳というが何かお得な事でも起こるのだろうか?

 

たとえば学校が休みとか・・・学校が休みとか・・・

 

 

まぁそんなことも無く・・・というより早起きと言えるほど早起きじゃねーしな・・・

1階に降りると小町が丁度朝食を作り終えた所だった

 

「あれ?お兄ちゃんもう起きてたの?今日は早いね、おはよー」

 

「おはよーさん」

 

「いつもこんな風なら手間かからないのに、もしくは~朝起こしてくれる彼女を作るとか!」

 

「ねーよ何朝から夢物語り語っちゃってるの?小町はまだ夢の中なんですか?デイドリームなの?」

ぐしぐしと小町の頭を掴み揺らす

 

小町はその手を払いのけながら言った

「えーー、夢もキボーもありゃしない・・・最近のお兄ちゃんの周りの雰囲気からすると奇跡も魔法もあるんだよ!と思うんだけどなぁ」

「ん~でも~それはそれで小町はちょっと寂しいかな・・・あっ今の小町的にポイント高い☆」

 

「何そのふいんきカッコ何故か変換出来ないカッコ閉じるって、ないない、てかその言い方だと奇跡とか魔法が無いと起こらないってことじゃねーか・・・」

 

「テヘ、バレちゃった☆」

うぜー超うぜー・・・そして超可愛い!

 

 

 

そんな下らないやりとりを朝小町とした後いつも通り学校に向かい、いつもより早くついた教室でいつもの様に寝た振りをする

 

「あれ?ヒッキーがもういるし!珍しい!」

 

聞き覚えのある声がしたので顔を上げると由比ヶ浜が寝た振りをした俺の顔を覗きこもうとした所だった

ばっ、ちかっ!

 

「おぉ~たははは・・・危なくぶつかるとこだったね・・・やっはろーヒッキー」

由比ヶ浜が少し赤く染まった顔を引き離し挨拶をした

 

「おぅ・・・おはよ」

挨拶を終えると由比ヶ浜が自分の席へ向かう・・・

と由比ヶ浜の後ろに居た女子生徒に睨まれた・・・ついでに挨拶までされた

 

「おはよ・・・」

「え?あぁ・・・おぅ」

 

挨拶されるとは思わなかったので不穏な挨拶になってしまった

 

えっと名前は川なんとかさん・・・大志の姉だよな、えーっと川崎大志だから、川崎・・・けーちゃんだっけ?

あ、あれは妹の方か、さーちゃん!そうださーちゃんだから・・・川崎さーなんとかさん・・・もうこのさいカワサキサーキットさんで

あ、沙希だ川崎沙希・・・ふぅ名前を思い出すのに何文字使わせるんだこいつは・・・

 

「あのさ今日の昼休み体育館裏に顔貸して」

川崎の突然の言葉に反応出来ないでいると、川崎は俺の返事も聞かず自分の席へ歩いて行った

 

いや、返事してないんだけど・・・強制ってことですかね

てか俺何かしたっけ?体育館裏に呼び出し喰らうとか超怖いんですけど・・・

 

俺がガクブルしていると自分の席に戻ったと思った由比ヶ浜に声をかけられた

どうやら俺が挨拶されたのが珍しくて席に着かないで近くで様子を聞いていたようだった

 

「ヒッキー、今の会話聞こえちゃったんだけど」

 

「物珍しさで聞いてただけだろ絶対・・・」

 

カマを掛けると由比ヶ浜はモジモジしながら言った

「え?いやそうじゃなくて・・・気にな・・・いやいや、うん、そうなんだけど」

「ってそんなことはどーでもいいから!川崎さんに呼び出されるとかヒッキー何かやったの?」

 

最近の出来事を思い返してみた・・・

「いんや、身に覚えは無いんだが・・・」

「とゆーより最近あいつと関わったのってクリスマスイベントの時にけー・・・天使役をやった妹の事くらいか?」

 

由比ヶ浜がホッと息を吐く

「そっかー、じゃぁその時のお礼か何かかな?・・・てっきり告白とかかなぁって・・・あははは」

 

「いやいや、無いだろ告白とか・・・俺はてっきり絞められるもんだと思ってたぞ顔貸せとか・・・いや現在進行形で思ってるんだが」

 

俺と由比ヶ浜が川崎の方を見ると川崎がこちらを睨んでいた

「ああ~・・・まぁなんていうか・・・ヒッキーがんば!ゆきのんとお昼食べながら無事を祈っておくから、あははは」

と無責任な事を言うと今度こそ由比ヶ浜は自分の席へ向かって行った・・・

 

 

昼休み

さて・・・本来ならベストプレイスで天使の舞を観賞しつつ食事の所なんだが・・・ちらりと川崎の席を見ると既にいない

待たせてこれ以上機嫌悪くさせるのもなんだからな・・・手早く済ませよう・・・覚悟を決めると体育館裏に向かった

 

体育館裏に行くと既に川崎が顔を伏せスカート端を握り締め待っていた、

 

えーっともう既に怒り心頭なご様子で・・・ここは一つ冗談で場を和ませた方が得策か?

「お、おう、お待たせ、さーちゃん」

 

「さ・・・」

ヤバイ逆に地雷を踏んだか?

見ると同じ大勢のまま顔が赤くなっている・・・怒髪天を衝く感じだな・・・俺オワタ・・・

「別にあんたがそう呼びたければそう呼べば良いけど・・・」

 

あれ?前と言ってること違くね?

 

「あ、いや今のはジョークなんだが・・・」

 

「そう・・・」

川崎の返事を聞いてホッと俺が息を吐く・・・良かった終わってなかった

「あー、で何か用か?」

 

川崎がずっと同じ体勢で固まったまま話出す

「いや、えーっと・・・」

・・・ん?なんだ?川崎が緊張してるのか?

俺が川崎の緊張を訝しんでいると川崎が話し始めた

 

「文化祭の時の返事をしようと思って・・・」

 

文化祭???返事???・・・言われて文化祭の時の事を振り返る

 

・・・ヤベェ・・・どうしよう・・・何の事だかさっぱりわからん

というより黒歴史過ぎて思い出したくないまである・・・

 

そいつは普段からは想像出来ないくらい顔を真っ赤にして、小さい声で振り絞るように言った

「・・・あれからあんたの事を意識して観察してたんだけど、私は・・・あんたが嫌いじゃないみたい・・・」

「だからあの時言ったように私を愛してくれているなら、付き合ってやるよ」

 

思い・・・出した!何俺綴っちゃうの?・・・いや、綴らないけどさぁ

 

今度は川崎が訝しみ始めた

「もしかしてあんた覚えてないの!?」

怒気を孕んだ顔で俺を睨む

川崎、顔は整ってて美人なんだけど睨むとめちゃくちゃ怖いんですが・・・

 

「いや覚えてるって!あれだろ、文化祭の最終日に・・・あいs、言った言葉だろ?」

 

今思い出したんだけどな・・・

 

いやいやいや川崎さん?アレを本気に受け取るってちょっと純情過ぎやしませんかね?

そんなんじゃ川崎さんの前ではウィットに富んだギャグとか言えないよ?・・・言うつもりも無いけど・・・

 

「そう・・・それならいい・・・けど」

そう言うと川崎は今度は耳まで真っ赤にして俯く

何これ可愛い・・・

 

「じゃぁ今日はけーちゃん迎えに行かないとダメだけど、明日は一緒に帰れるから」

俺がボーっとしていると肯定と受け取ったのかそう言うと足早に教室に戻って行った・・・

 

え?あれ?これって川崎と付き合うって事になったってことか?えっと・・・マ・ジ・で!?

 

昼食を食べれずに午後の授業を受けたのだが授業中ずっと川崎の視線を感じていた・・・

俺が川崎の方を向くと川崎は不自然に顔を反らしていた・・・

そんな二人の挙動を見つめる目があったのだが・・・俺はその時何この恥ずかしいゲームとか思ってるだけだった・・・




本当は
挙動を見つめる目=由比ヶ浜結衣→2話へ
挙動を見つめる目=皆のお母さんあーしさん→3話へ

とかゲームブック風のを考えたんですが・・・途中どっかで話をクロスさせないとねずみ講式に増えて行くので諦めました!(無理っす


別に掃除の改訂版の次話がもうすぐ書き終わるとこまでいったのに、データが消えた(USBで管理してたのにUSBがフォーマットされてませんとか出た)から現実逃避でこれを書いたわけじゃないんだからね!orz


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そして彼の青春ラブコメもまちがいはじめる。

「痛つつつ」

頭に出来たコブを撫でると痛みが走った

 

「で?」

そんな様子を見ながら由比ヶ浜がぷくーっと頬を膨らませ俺を睨みつつ隣を歩く

 

「で?ってなんだよ?」

今はもう放課後、川崎もけーちゃんを迎えに行く為に帰り、俺は由比ヶ浜と共に部室へ向かう途中だった

 

 

川崎は帰る前に俺に挨拶をしにきて、俺は丁度良いのでその時思っていた事を聞いてみた

 

「えっとこれってドッキリ・・・」

川崎に睨まれた・・・この反応は違うな、かと言って罰ゲームとかするほど川崎も友達いないしなぁ

「じゃないよな・・・」

グーで頭を殴られた

「痛っ」

「当たり前だろ、ドッキリで・・・あんなこと言うわけないじゃない・・・」

ふんっ、と少しぶっきら棒に言った後川崎の頬が赤くなる

 

いやね川崎さん頬を染めるのは可愛いんですが人を叩く時はグーじゃなくてせめてパーにしてもらえませんかね・・・

しかも加減無しだろこれ・・・マジで痛い・・・

 

「それじゃぁ昼言ったように今日はけーちゃん迎えに行かないといけないから・・・また明日」

と言ってぎこちなく小さく手を振って赤くなりながら足早に帰って行った

 

 

 

「なんだよって・・・川崎さんと昼休みに何があったのかって聞いてるの!さっきだって川崎さんと何か話してたみたいだし!」

由比ヶ浜が怒り気味に言い放つ

いや、何でそんな親の敵みたいに睨まれながら言われないといけないんだよ・・・俺何かしたか?

「はぁ?お前 で? しか言わなかったじゃねーか」

 

「それくらい分かるじゃん!バカヒッキー」

いやそれは無理だろ、何俺はエスパーか何かなの?頭にネジつけてたりするの?

 

俯いた由比ヶ浜が怒りながら続ける

「川崎さんお昼から帰った後ずっとヒッキーの事見ちゃっててさぁ、でヒッキーが川崎さんの方向くと外を見るんだよ?何かあったかと思うじゃん!」

何お前何処まで川崎さんを凝視しちゃってるの?川崎さんの事好きなの?

 

部室の前まで来ていたので由比ヶ浜から逃げるようにドアを開け部室に入る

「あ、ヒッキー!」

追いかけるように慌てて由比ヶ浜も部室に入る

 

部室に入ると既に来ていた雪ノ下が本を閉じてこちらに向かい挨拶をした

「こんにちは、比企谷君、由比ヶ浜さん」

俺はいつもの様に返事を返す

「うっす」

由比ヶ浜も挨拶された事で気持ちを切り替えたのか雪ノ下に明るく挨拶を返す

「やっはろ~ゆきのん」

 

「何か部屋の前で口論していたみたいだけれど、どうかしたのかしら?」

どうやら由比ヶ浜との口論が部室の中にも聞こえていたようだった

 

その言葉を聞くと由比ヶ浜が雪ノ下の隣の椅子に座りまた怒り気味の口調に戻っていた

「聞いてよゆきのん!今日ヒッキー川崎さんにお昼に体育館裏に呼び出されたんだよ!」

 

雪ノ下はピクッと一瞬身体が震えた後微笑んだ

「由比ヶ浜さん何をそんなことで興奮しているのかしら?」

「えー、だって・・・」

「比企谷君が気に入らないから呼び出されて文句を言われるなんていつものことじゃない」

由比ヶ浜が暫し考えて相槌を打つ

「・・・あーそっか」

 

「いや、まてお前ら俺は誰かに呼び出されて文句言われる愚など犯さない!むしろ存在を認識させないのが俺だ!」

俺が胸を張って言う

雪ノ下はこめかみに指を置き溜息を吐き、由比ヶ浜は呆れた顔で言った

「ヒッキーそれ威張って言うことじゃないし・・・それとヒッキークラスで一人で浮いてて逆に目立ってるからね」

 

「なん・・・だと・・・」

最近のステルスヒッキーの発動しなさ具合はどうなってんだ・・・

 

愕然としている俺を他所に由比ヶ浜が言葉を続ける

「あ、でもでもそれだけじゃなくて!お昼から帰って来た後川崎さんヒッキーばっかり見てるんだよ!」

雪ノ下がすぐさま答えを返す

「それは呪いか何かの一種ではなくて?もしくは邪念を送っているとか」

 

「・・・なんでお前は全て俺が嫌われてる事前提で考察してるんだよ・・・しかも邪念を送られるとか俺は旅団の団長かよ」

 

雪ノ下が冷酷な目で俺を見つめる

体感温度が5℃くらい下がった気がする・・・

「な・・・なんだよ」

「そう、大体分かったわ」

え?何か俺悟られる事言ったか?雪ノ下ってパクノダなの?身体の一部を触られてないけど・・・近いものはあるか・・・

 

「まぁ冗談はこれくらいにして」

「ぐっ・・・」

俺を傷つけるだけを目的とした冗談とかやめてくれるかな・・・しかも微笑みながら・・・その時の顔はちょっと可愛いけどさぁ

 

「由比ヶ浜さん他人のプライベートに無闇に足を踏み入れるのは関心しないわね」

「・・・それは・・・そうだけど・・・」

由比ヶ浜が俯き力の無い声で答える

 

由比ヶ浜の様子を見かねて雪ノ下が助け舟を出す

「同じ部の部員なのだから多少気になるでしょうけど・・・比企谷君は話す気は無いのかしら?」

あの雪ノ下さん自分で由比ヶ浜に釘を打っておいて自分から助け舟を出すとかそれってなんてマッチポンプ?甘すぎじゃないですかね?

 

「はぁ・・・いや、そんなこともねーんだが・・・悪い、俺も事態があまりのみこめてねーんだよ、明日話すから一日くれ」

「えーあったことを話すだけじゃん!」

由比ヶ浜が反発する

「そう・・・珍しいわねあなたが事の成り行きを把握していないなんて・・・」

・・・把握はしているんだが、心の整理?とかするのにちょっと話すのに時間が欲しいんだよ・・・

 

「まぁ話すと言っているのだから明日まで待ちましょう由比ヶ浜さん」

「うー・・・ヒッキーちゃんと明日話してよね!」

由比ヶ浜はまだ納得していないようだったが、雪ノ下に言われて引き下がった

 

「ああ、ちゃんと明日話すよ・・・」

とりあえず一件落着か・・・

 

すると雪ノ下がドアの方を向き鋭い声をかけた

「そこで盗み聞きしているあなたもそろそろ出て来たらどうかしら?」

 

俺と由比ヶ浜が驚いてドアを見るとそろそろとドアが開き最近良く出入りしてる一色が入ってくる

「い、いろはちゃん!?・・・やっはろ~?」

「はぁ・・・何やってんのお前、生徒会長が盗み聞きとかありえないだろ・・・」

 

「こ、こんにちは~・・・やだなぁ盗み聞きなんて、ちょっと入るタイミングが無かっただけですよ~あ、あははは」

口元にグーの手を持っていって相変わらずあざといポーズをしているが青い顔であざといアピールされても説得力ないな・・・

ふぅ~と雪ノ下がこめかみに手を持っていき溜息を吐く

 

「そ、それより先輩ちゃんと明日説明してくださいよね!」

話題を逸らしたかったのか一色がさっきまでの話を蒸し返す・・・どっから聞いてたんだこいつ・・・

 

「・・・いや、お前部員じゃないだろ、お前に説明する義理は無いから」

「えー!」と言って一色が頬をぷくーっと膨らました

はいはいあざといあざとい

 

そんな一色とのやりとりの後、明日話すことを頭の中で整理していたのだが頭が痛くなり、それだけで放課後が過ぎていったのだった



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そして彼女は動き出す

ピンポーン・・・家のチャイムが鳴った

 

ベッドから腕だけ出し携帯を手繰り寄せる

 

「はーい」

そうしている間にも小町が返事をして対応していた

 

携帯を手繰り寄せた俺は時間を確認する

・・・まだ普段俺が家を出る1時間以上前じゃねぇーか

なんだこんな朝っぱらから・・・しかし小町の対応が早かったな時間指定の宅配サービスでも頼んだのか?

こんな朝早く時間指定出来るとか主夫の味方だな、俺が主夫になった際は是非色々使わせて貰おう、むしろ家から出ないで全部宅配で済ませるまである

ふぁ~・・・まぁまだ眠いし外は寒いし寝ておこう・・・後13時間くらい・・・俺は頭から布団を被り再び夢の中へ旅立った

 

「・・・おきn・・・」

「ねぇ・・そr・・・おきなって」

 

掛け布団の上から身体を揺すられたので手だけ出してその手を払い退ける

「小町~後12時間だけだから~」

呆れた声が返ってくる

「いやそれ学校終わってんじゃん・・・」

 

小町の手を払い終わった手に力が無くなりそのまま投げ出す

するとポヨンとした弾力に少し弾き返された

「きゃっ」

 

ポヨン?きゃっ?

小町の身体の一部にそんな柔らかい所とかあったっけ?思考はやわらか頭さんなんだけどなぁ

後きゃっって小町っぽくないんだが・・・

 

恐る恐るもう一方の手で布団から顔を出すとシュシュで髪を一つに纏めた見覚えある人物が赤い顔で座っていた

「おはよ」

 

俺がぎこちない挨拶を返す

「お、おぅ・・・ってなんでお前がここにいるんだよ・・・」

何で家知ってるの?ストーカーなの?

 

そんな疑問がありありと顔に出ていたのか顔が赤いままの川崎が答える

「・・・大志に聞いた」

 

はぁ?小町のやつ毒虫に家の場所まで教えてるのか・・・

あの毒虫は永遠に友達かと思ったがチェックしなおさねばならんな

 

まだ顔が赤いまま訝しげに川崎が続ける

「昨日あんたの妹に電話しといたんだけど、聞いてないの?」

 

なるほど、どおりで昨日の夜小町がやけに上機嫌だと思ったんだよ、これか・・・

てか川崎なんでずっと顔が赤いの?ポストなの?

 

そんな疑問が次の言葉で一気に吹き飛んだ

 

 

 

 

「・・・それよりあんたいつまで人の胸に手置いておく気なの?」

 

・・・そうでした、びっくりして顔出した状態のまま固まってたので手もそのままでした・・・

そりゃ顔も赤いままですよね・・・はははは・・・やっべフォローしないと

 

一度手を布団の中に仕舞いベッドから身体を起こし謝罪の言葉を口にする

「いや、その・・・すまん・・・」

 

川崎が俯いて答える

「べ、べつにわざとじゃないなr」

川崎の言葉が終わる前に俺は言葉を重ねた

 

「つい弾力が気持ちよくt」

 

「なっ!ばっかじゃないの!」

 

フォローという名の地雷を踏み抜いた俺の言葉が終わる前に、耳まで真っ赤になった川崎にグーで頭を殴られた

顔はやめて、ボディにしてボディに・・・実際ボディにされたら一日立てなさそうな威力だけど・・・この拳は世界を狙える!

って打ち所が昨日と同じ場所なのかめっちゃ痛い!ピンポイントで狙ってるだろこれ

 

「朝食の支度終わってるから早く降りてきなよ!」

吐き捨てるように川崎は言い終わると部屋を出て下に降りて行った

 

小町の計らいで目覚めはバッチリだったぜ!・・・ほとんど自分の功績だったような気もするがな・・・

 

手早く制服に着替えリビングに行くと昨日に引き続き上機嫌の小町が居た

 

「おはようさん、おい小町川崎が家に来るなんてお兄ちゃん聞いてないんだけど?」

「おはよーお兄ちゃん、うん!だって言って無いもん、お兄ちゃんに言ったら絶対阻止しようとするじゃん?」

「小町的にはそれはいただけないのでサプライズとさせていただきました♪」

テヘ☆っと笑顔で舌を出す

 

うぜー、超うぜー・・・そしてやっぱり超かわいい!

 

やはりこの超可愛い妹を守る為には毒虫を抹殺せねばならんな・・・と考えているとキッチンの片付けを終わらせた毒虫姉もとい川崎が声を掛けてきた

「この間も思ったけどあんたんとこ仲が良いんだね」

 

「そうか?普通だろ、お前んとこもこんなんだったし」

 

「そ、そう」

そう言うと川崎は恥ずかしいのか顔を逸らしてしまった・・・

ちょっとそういう可愛い行動やめてくれるかな、朝から心臓に悪いんですけど・・・何コレ胸がドキドキする

 

「ひゅーひゅー、お二人さん熱いねぇ~、小町は凄く嬉しいよ!あのお兄ちゃんが・・・奇跡も魔法もあったんだね!でも何でかな涙がでそう」

ひとしきり煽った後小町がわざとらしく寂しげな顔で泣く真似をする

 

「ばっか、違うから別にそんなんじゃないから」

俺が慌てて否定するが小町はそんな俺の慌てぶりを他所にケロリと素に戻って忠告した

「あ~でもでもお兄ちゃんとか沙希さんの下の子に対する愛情は全然普通じゃないから・・・過剰すぎだから気を付けてよね!」

 

俺と川崎は大人しく返事をするしかなかった

「は、はい」

 

「じゃーごはん食べよ、今日は沙希さんと二人で作ったんだ~沙希さんお料理も上手でこんなお義姉さんが出来て小町幸せだよ☆」

「何かといたらない兄ですがこれからも末永く宜しくお願いしますね沙希さん♪」

そこには晴れ晴れとした小町の顔があった・・・何だこの外堀から埋められていく感は・・・

 

川崎を見ると赤い顔で小町の言葉に素直に頷いていた

「あ、・・・うん」

 

ぐ・・・やっぱり今日の川崎の態度が一々可愛いんだけど・・・

 

何なの?コレが恋なの?・・・いや断じて違う・・・

恋とは見つめるだけでドキドキしたり

笑顔を守りたくなったり

思わず毎朝、俺の味噌汁を作ってくれと言ってしまったり

横に寝顔があったら朝チュンと勘違いしたりしてしまうものだ

うむ、全て戸塚にしたことだった・・・即ち戸塚=恋、Q.E.D. 証明終了

 

 

朝食を食べ終え片付けを済ますと小町が感想を聞いてきた

「どうだったお兄ちゃん」

 

川崎も横目でこちらを意識する

 

「ああ、まぁ美味いんじゃねぇの?」

「それだけ?はぁ~お兄ちゃんもっと気の利いた言葉とか言えないの?折角彼女の手料理なのに」

 

実際川崎の料理は美味かった、忙しい両親の代わりに下の子の面倒を見ているのだから料理を普通にしているのだろう

小町の料理もそこそこ美味いが、そこは年季と食べさせる相手の差だろうな

 

川崎がふっと笑う

「いいよ別にそんな言葉とか期待してないし、私がやりたくてやっただけだから」

「それより・・・」

 

川崎が手を俺の顔に伸ばす・・・何俺殴られちゃうの?と思い身構えていると俺の口元に触れその指を自分の口に持って行き何かをぱくっと食べた

「ずっとおべんとつけてたのが気になってたんだよね、ははは」

 

ふと心臓が跳ねる、自然な良い笑顔だった・・・って

「え?はっ?」

多分川崎にとっては普段下の子達にしている自然な行為だったのだろうが俺が動揺すると

川崎は自分が何をやったのか自覚したのか急に赤面し俯いて言い訳する・・・

「いや、これは違くて、あの、その・・・」

 

「ごちそうさまでした~♪後は若い二人に任せて小町は先に行くね~」

小町はその様子を見るとニヤリと笑い部屋を出て先に学校へ向かってしまった

 

「えっと・・・さ、さぁ私たちも行こうか」

 

「お、おう」

 

俺たちも二人して赤い顔で学校へと向かった・・・

 




何このえろげ(まて
3話分書いてみて分かったことがあります・・・思いっきり甘いイチャイチャとかデレとか書けない俺ガイル・・・でも思いっきりじゃないのは多少は書けてるのかな?

まぁ文章の書き方なんでしょうね、会話の合間の描写とかいらないのかもなぁ・・・まぁ今更変えないですけど、変えられる程器用でもないですけどorz


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そして彼は埋められていく

家から出て自転車を取り出す

「・・・ってお前チャリは?」

確か川崎も自転車通学だったはずだ、バイトで問題になった時自転車置き場で葉山が振られた記憶がある・・・いやホントあの時はわらえ・・・わるいことをした

 

「え、あぁちょっと・・・」

 

「はぁ?ちょっとって何だよお前どうやってここまで来たんだよ」

 

「・・・歩いて」

 

「歩いてってどんだけ早く起きてんだよ・・・」

徳でも積みたいの?

 

「別にどうだっていいじゃん」

ぶっきら棒に言った後

「緊張しちゃって寝れなかったから丁度良かったし・・・」

俺に聞こえるか聞こえないかくらいの小声で言った

 

川崎あれで緊張してたのか・・・わかりづれぇ・・・まぁ普通緊張するわな

 

「それより途中まで一緒に行かない?」

「学校に間に合わなくなりそうになったら先行っちゃって良いからさ」

 

まだ時間にかなり余裕はあるが全行程歩きだと間に合いそうにはない

「そんなわけに」

「いいから」

こうなったら川崎は頑なにゆずら無そうだな・・・

「はぁ・・・まぁとりあえず行こうぜ」

「うん」

 

俺と川崎は歩き出した

 

・・・

女子と並んで歩くとかどうも落ち着かない・・・

こいつ俺と歩いてて周りの目とか気にしないの?

自転車を押しつつ歩道に寄らないと行けないから服が触れそうな程近いし・・・

 

意識すると気恥ずかしくなり気を紛らわす為にふと思ったことを口にした

 

「と、ところで今後も朝家に来るのか?」

 

「迷惑だった?」

 

「いや迷惑ってわけじゃねーけど・・・飯は美味かったし」

 

「ありがと・・・」

川崎が頬染めて礼を言う

 

「い、いや、でもせめて俺に連絡してくれ、あれでも小町は一応受験生なんでな」

それに毎回サプライズとか溜まったもんじゃない、心臓幾つあっても足りないぞアレ

 

「あ、そっかごめん・・・ちょっと自分の事で一杯一杯だった・・・」

「毎日来ようってわけじゃないから・・・私も家の事やらないとダメだし、今後行く時はあんたに連絡入れるよ」

 

「お、おぅ分かってくれれば良い」

ふぅ、これでひとまず小町によるサプライズは防げるな・・・って次は何の話題を振ればいいんだこれ?

 

 

「じゃー、言って」

と言って川崎が携帯を手にする

ん?何を言うんだ?えーとやっぱり恋人だから朝から愛の言葉とか囁かないとダメなの?

携帯持って録音とかされちゃうの?

 

「えーと」

ってそんな恥ずかしい言葉朝っぱらから・・・朝っぱらじゃなくても俺が言えるはず無い

「いややっぱりそーゆーのはもっと長く付き合っていって自然に言える時がだなぁ」

川崎が訝しげな顔でこっちを見る

「何言ってんの?言わないとわかんないじゃん」

 

「いや、でも朝っぱら愛を囁くとか俺には・・・」

 

川崎が顔を真っ赤にしながら言った

「な、な何言ってんの!?あんたの電話番号なりメールアドレスなり教えてよ、連絡先分からないんだから!」

「なんだそーゆーことか・・・ははは・・・」

「当たり前でしょ、何バカな事言ってんの」

 

ですよね俺もおかしいと思ったんだよ・・・いやほんとに

 

「まぁ囁いてくれるならそれはそれで嬉しいけど・・・」

川崎はやっぱり頬を染めながらそっぽを向いて小声で呟いていた

 

何この会話・・・爆発したい・・・

 

連絡先を交換した後時間を見ると結構良い時間だった

 

「っとやべーなもうこんな時間か、後ろ乗れよ川崎」

 

川崎が驚いた顔をする・・・どうやら川崎は本当に俺を先に行かせて自分は遅刻することを考えてたようだった

「いや、先行って良いって言ったじゃん、私は歩いて行くから」

 

「そーゆーわけにもいかんだろ、いいから乗れってどうせ負担の少ない国公立の大学狙ってるんだろ?推薦貰うなら遅刻が多いとまずいだろ」

 

「それ言ったら二人乗りを見つかるのもまずいと思うんだけど?」

冷静な顔で川崎が突っ込む

 

「ぐ・・・いや、そうそうみつからねーし遅刻と違って内申に書かれるもんでも無いだろ、まぁ俺と一緒の所を他の生徒に見られるのは嫌だろうが歩きでも間に合いそうな所まで行ったら降ろすし」

「それに見つかったら見つかったで俺が何とかする・・・」

 

「別に一緒の所を見られるのは良いんだけど・・・分かった」

川崎は拒否するのを諦め自転車の後ろに乗る

 

俺は川崎がきちんと乗ったのを確認すると自転車を漕ぎ出した

後ろから俺の身体に手が回り川崎の身体がもたれかかる

・・・やわらかい感触が背中に当たり俺の顔が熱くなる・・・朝も思ったんだがこいつ結構胸あるよな・・・

 

「あのさ」

「ひゃい」

不謹慎な事を考えていた為かなんかへんな声が出てしまった・・・

 

「・・・ありがと」

「あー、どうってことねーよ、朝飯も作ってもらっちまったしなそれに無理強いさせちまったみたいだし」

 

「そんなことないよ、これ結構やってみたかったんだよね」

「これ?」

「・・・好きな人の自転車の後ろに乗るの・・・」

「言わせんなバカ・・・」

ちょっと拗ねたそれでいて少し恥ずかしがっている声が聞こえた

 

何この甘酸っぱい青春みたいなの・・・

 

 

学校が近くなり人目につかない所で川崎を降ろす

「んじゃまた教室でな」

「あ、ちょっとまってコレ」

弁当を差し出された・・・

 

・・・受け取らないわけには行かないよな・・・

「お、おぉ、サンキュー」

 

「うん・・・じゃー教室で」

そう言うと川崎は恥ずかしいのか足早に学校へ向かって行った




ちょっとずつしか進まない2日目、次回もHRから放課後くらいの予定・・・放課後に入ればやっとあの二人が本格的に絡まる~予定・・・予定多いな


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そして周りも気付きだす

 

教室に入り悟られないよう教室全体を伺う

今日は由比ヶ浜の方が俺より早かったようだ・・・川崎はまだ教室には来てないか

 

まぁあそこからなら自転車の方が早いだろう

そんな事を考えつつ席に着き寝た振りをしようとした時、川崎が教室に入ってそのまま自分の席へ向かって行った

気にせず俺も寝た振りを

「おはよヒッキー」

しようとしたら由比ヶ浜に声を掛けられた・・・いや睨むなよ

 

「うっす」

これはあれだな私はまだ激オコスティックファイナリアリティぷんぷんドリームですよって事の意思表示だなきっと・・・

言ってて意味わかんねーんだがドリームってことは結局怒ってる事が夢なの?

 

「今日は川崎さんヒッキーに挨拶しなかったね」

「ああそーだな」

もう既にしたからなんだが・・・ウチで・・・

 

じーっと由比ヶ浜が俺を見つめる

「な、なんだよ・・・」

何なの?俺の顔に何かついてるの?

やめてくれるかな、女子に見つめられるとか普段無いからドキドキしてきちゃうんですけど・・・これが不整脈・・・

 

「・・・ヒッキーまた何か隠して無い?」

 

こういう時の由比ヶ浜の勘って鋭いよな、勘ってゆーより空気を察してるのか?

どんだけ空気読めんだよこいつ・・・

 

「別にそんなことはねーよ」

 

由比ヶ浜がじーっと俺の顔を見ながら表情を読み取ろうと段々と近づく

近い近い!

その近さに耐え切れず俺がふぃっと顔を背ける

 

「あー!顔逸らした、やっぱり何か隠してるんでしょ!」

「いやそーじゃなくてだな」

「そーじゃなくて何なの!?」

「いや、顔、近いんだけど・・・」

 

「あ・・・ゴメン・・・」

由比ヶ浜が頬を染めながら身体ごと後ろに引きモジモジする

 

チッっと川崎の席の方から舌打ちが聞こえた・・・

 

八幡イヤーは地獄耳どんな言葉も逃さない

よく何あいつキモイとか目が怖いとかなんでアイツがいるの?とか聞こえてくる

・・・何故か全部悪口なんだがな・・・

 

ちょっと川崎さん女の子が舌打ちとかあんまり良くないと思うんですがねぇ、八幡的にポイント低いですよ?

 

川崎の方を見るとこちらを睨んでいた・・・だから整った顔で睨むなよ恐いんだから

川崎の視線に耐えられず更に違う方へ顔を向けると・・・三浦にも睨まれていた・・・いや、なんでだよ

ブラックさんとピンクさんに睨まれるとか俺は何処かの怪人なの?そしてお前らは何レンジャーだよ、最終的には巨大ロボで倒されちゃうの俺?

 

「ヒッキー」

 

呼ばれて視線を由比ヶ浜の方へ戻すと不安げな顔をしていた

 

「今日、教えてくれるんだよね?」

「ああ、部活の時に雪ノ下にも一緒にちゃんと説明する」

 

「うん、わかった信じてるから」

 

そこで始業のベルが鳴った

 

 

 

HRと一時限目がほどなく終り休み時間に入る

 

寝たふりをしている俺の机がいきなりガコンという音と共に少し動いた・・・誰かのいぢめか?と思い無視していると二度三度とやられた

 

顔を上げると三浦がいた・・・普通に声かけるとか出来ねーのかよ・・・

教室を見渡すと由比ヶ浜と海老名は居なかった、手洗いにでも行ったのだろう

 

「なんだ?」

 

「ちょっとヒキオ顔貸しな」

顎でついて来いと指示される

 

何このデジャヴ・・・ブラックさんといいピンクさんといい顔を借りるのが趣味なの?

 

 

三浦は人気が無い所まで来ると俺を壁際に立たせ鋭い目つきで俺の顔の横に手を突いた

これが噂の壁ドン・・・やだ惚れちゃう・・・

「あんさーヒキオ分かってると思うけどあんた結衣を泣かせたらぶん殴るかんね」

ふぇぇ~怖いよぉ・・・開口一番ピンクさんに殴打予告されてしまった・・・全然デジャヴってなかった

 

「いったいなんの」

疑問を口にしようと思った時海老名に声をかけられた・・・三浦が・・・

 

「いたいた優美子こんなとこで何やってんの」

教室にいない三浦を探しに来たのか海老名がこちらに早足で歩み寄って来る

 

「別に?何にもやってないし、ちょっとヒキオに釘打ってただけだし」

俺は釘を打たれてただけらしい、藁人形的な意味では合ってる気がする

「で、わかってんのヒキオ?」

「・・・お、おぅ」

「はぁあんた全然分かってなさそうなんだよね、まぁそん時はあーしがあんたをぶん殴るから良いけど」

全然良くねーよ・・・てか説明も何も無いのに分かるわけが無い

 

「もう優美子変な事言ってないよね?」

「あーしもそこまで野暮じゃないし、言いたいことは言ったから」

言いたいことは俺をぶん殴るって事だけだったのか・・・

 

「じゃぁあーしは戻る」

 

「うん、私もちょっとヒキタニ君と話したら行くよ」

「わーった」

三浦はチラリと海老名を見ると教室に帰って行った

 

入れ替わりに海老名が俺の前へ来る

「ごめんねヒキタニ君ちょっと今朝サキサキと二人乗りしてるのを優美子と見かけちゃってさ」

「優美子は結衣の事が心配なだけだから・・・まぁ私的にもあんまり結衣を泣かせて欲しくはないかな」

 

「ああ~そいうことか」

それで朝こっちを睨んでいたのか・・・

 

それより海老名は俺と三浦との会話聞いてたのか?会話というより一方的な宣告だったが

やっと探し当てた風だったがこいつの事だから聞いていそうだな・・・

まぁ何にしろ今の海老名の言葉で言いたい事は何となく理解出来た

 

「言いたいことは分かった・・・でもまぁ大丈夫だろ」

「え?大丈夫なの???」

「ああ、別に二人乗りを見つかったくらいで奉仕部は無くならないだろ、最悪あっても俺が何日か謹慎とか反省文くらいじゃないか?」

「いやそういうことじゃ・・・」

「だから奉仕部が無くなって由比ヶ浜が悲しむなんてことは無い安心しろ」

 

「ヒキタニ君それ本気で言ってるの?」

「ああ、奉仕部は俺の二人乗りが見つかったくらいでは無くならない」

 

「ふふふ、やっぱりヒキタニ君は面白いね~」

「いや何も面白くねーし」

何だ?何で笑われたの俺、ピエロ的な事でもやっちゃったの?

 

「修学旅行の時言ったけど私ヒキタニ君となら上手くやれそうな気がするな~」

「ヒキタニ君私なんてどうよ?」

 

「だからそーゆーのやめろって」

それに名前間違ってるから、どうぞヒキタニ君って人を探して上手くやってください、もしくは戸部を見てあげろよ・・・

 

「だよねまぁ良いや、じゃぁ結衣のことは任せたよ」

ニッコリ微笑まれた

 

「お、おぅ」

 

「あ、それと今度二人乗りする時は隼人君とでお願いね愚腐腐腐腐」

その背筋が寒くなる笑いもやめろ・・・今止めるやつもいないし・・・

 

「それは丁重にお断りする」

 

「もう、ヒキタニ君てば素直じゃないんだから!・・・でも素直じゃないヒキタニ君を隼人君が無理矢理素直に・・・アリ、アリだね!愚腐腐腐腐」

だからそれやめろって・・・




はい前回予定書いておいてのっけから予定と違うとか・・・すんませんでしたorz

予定であー書いたし無理やり放課後まででも~とは思ったんですが区切りが良さそうなのでとりあえずここまでで

次回こそ放課後が入る!予定(まて


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そして彼女たちは対峙する

四時限目の終業のベルが鳴り挨拶と共に授業が終わりを告げる

 

いつものベストプレイスで昼飯を食べようと席を立つ・・・そーいや弁当貰ってたんだった

川崎の席を見ると川崎は教科書を立てて寝ていた・・・一応食べる前にもう一度礼を言っておいた方が良いと思ったんだが・・・

まぁ今日は朝早かっただろうからな起こすのは悪いな・・・俺はそのままベストプレイスへと向かった

 

 

 

昼飯を食べ終え教室へ戻る路を進む・・・うーんやっぱり弁当だと満足感が違うな、しかも美味かったし

予鈴が鳴り少し早足で階段を登る、教室までもう後少しの廊下を曲った所で川崎に遭った

 

「あ!あんた何処行ってたの!?」

 

「いや、昼食ってただけだが・・・あ、弁当美味かったサンキュー、弁当箱は洗って返すわ」

 

「うん、口に合った様で良かった、別に弁当箱は洗わなくても・・・って違う!」

「・・・い、一緒に食べようと思ったのに、気付いた時にはもう居ないってどーゆー事よ!」

 

「え・・・」

そんな計画立ててたのか・・・

「そうだったのか一応声を掛けようとはしたんだが寝てるのを起こすのは気が引けてな」

俺の場合お誘いの声掛けじゃなくお礼だがな・・・

「それにそれなら起きた時電話でもメールでもくれれば良かっただろ」

 

川崎が赤くなって俯く

「だって起きたら昼休みが終り近かったし・・・」

 

「そ、そうか、わ、悪い」

「もう良いよ、ちゃんと伝えて無かった私も悪いんだし・・・あ、明日は一緒に食べよ?」

少し照れながらながら川崎が言った

 

「お、おぅ・・・」

俺は心臓が跳ねるのをなんとか押さえ込んで返事をした

 

 

 

 

今日の全ての授業が終り放課後になる

 

さて・・・っと

由比ヶ浜は終わるのが早いか俺に先に行ってると言って慌しく教室を出て行った

問い詰める気満々だったから事前に雪ノ下と打ち合わせでもしたいんだろ・・・

 

じゃぁ俺も行くか・・・川崎は今日は一緒に帰れるとか言ってたがどうするんだ?

部活が終わるまで教室で勉強して待ってるとかなのか?

俺が疑問に思っていると川崎が俺の席にやってきた

 

「これから部活なんでしょ?」

「おぅ」

「じゃー私も一緒に行く」

「おぅそうか・・・って・・・は?」

 

「何?私が一緒に行ったらなんか問題あるの?・・・あんた戸塚には何も無くても来て良いって言ってなかった?」

何処で聞いたそれ・・・って俺が教室で堂々と言ってたな、でもその時川崎さん近くにいませんでしたよねぇ・・・

まぁボッチは総じて耳が良いからな、ボッチでやっていく為の必須スキルでもあるソースは俺

 

「いや問題があるってことは無いと思うが・・・」

・・・二人に説明がし辛いな・・・

「じゃー良いじゃん行こ」

 

 

部室のドアを開け中に入る

いつものように雪ノ下が読んでいた本から視線を外しこちらを一度見て挨拶をする

 

「こんにちは比企谷君」

「うっす」

 

「あ、ヒッキーやっと来た!」

「こんにちは先輩、遅いですよー」

ぷくーっと一色が膨れ顔になる

 

「はぁまたいるのか一色・・・しかも俺の席に座ってるんじゃねぇ」

俺の席とは言ったが位置が変わっていて三人とも相談者席の真正面にいる

 

「またとはなんですかまたとは、これd」

一色は何かを言いかけたが俺の後から来た川崎がその言葉を遮った

「失礼します・・・」

 

ピクッっと雪ノ下が反応し顔を上げる

「どうぞ・・・と言っても相談者という訳でもなさそうね」

由比ヶ浜と一色から声が漏れる

「川崎さん・・・」

「この人が例の・・・」

 

いや一色何初めて見たような顔してるんだよ、お前見た事あると思うんだけど・・・クリスマスイベントしかり進路相談会しかり・・・

 

「まぁなんだ見学したいみたいなんでな良いか?」

 

雪ノ下が顎に指を置き少し考える素振りをする

「そうね・・・これからする事に関係もあるし良いでしょう」

「但し部長である私が不都合だと思ったら悪いけど退室して頂くわ・・・それで良いかしら川崎さん」

 

「分かった、でも理由が理不尽すぎる事なら受け入れられないかもしれない」

「それとこれからする事って何?私が関係あるって言ってたけど」

 

由比ヶ浜が雪ノ下を見ると雪ノ下がコクンと頷いた

「昨日ヒッキーが川崎さんに呼び出されてから様子が変だったから事情を話して貰うの」

 

川崎が三人を睨む、雪ノ下と由比ヶ浜は受け流したが一色は少し気圧されていた

「はぁ?何それ、別に私とこいつの事なんだから関係無いじゃん」

 

冷静に雪ノ下が答える

「いえ関係無くは無いわ比企谷君の態度によって奉仕部活動に支障が出ては迷惑なのよ、きちんと納得出来る理由を話して対策を練って貰わないと困るわ」

俺が足を引っ張る人扱いされてるんですが・・・いやまぁ確かに理由を言って無いから支障が出ないとは考え切れないか・・・

 

「あんたも何か言ったら?」

明らかに不機嫌な顔で川崎が俺に言った・・・ふぇぇ~こういう時の川崎は怖いよぉ・・・って言ってる場合じゃないな

「いや昨日ちゃんと話すと言ってるしな、それに部活に迷惑をかけるのは本意じゃない」

 

「ふ~ん・・・分かった私が話す」

 

「そう、お願いするわ」

「ちょっとゆきのん私はヒッキーからちゃんと聞きたいんだけど」

「私も先輩の口から聞きたいです」

「そう?どちらから聞いても同じでしょ?むしろ言い訳しそうな比企谷君より川崎さんから聞いた話の方が信憑性があるわ」

「それは・・・そうだけど」

「それは・・・そうですけど」

どんだけ信用ないんだよ俺・・・

 

「別に単純な話なんだけど?・・・ただこいつが私に告白して私がそれを受けただけだから」

 

一色が大きな声を上げた

「えぇー!先輩が告白!?ありえないです!」

ありえないってことはお前がいつも断ってたアレはやっぱり告白と思ってなかったんじゃねーか・・・いや告白じゃねーけど

 

由比ヶ浜を見ると川崎の言った言葉を理解出来ず「・・・ヒッキーが告白・・・」と小さく呟いて呆然としていた・・・

 

まぁこの俺が告白して受け入れられるなんてありえない話を言われたらそんな反応になるよな・・・

ただ解せないのは雪ノ下だ動揺もなく俺を一瞥し視線を川崎に戻しただけで俺に確認もとろうとしない

 

「それはつまりあなた達はお付き合いをしているという認識で良いのかしら?」

 

「うんそれで間違いないよ」

 

「そう、それでは聞きたいのだけれどあなたはこんな友達のいない腐った目の男の何処を気にいったというのかしら」

「おい、俺を思いっきりdisるのはやめろ」

「先輩は黙っててください!そーですよこんな犯罪者のような目をした最低な先輩のどこが良いんですか!?」

もうやめて俺のライフは0よ!

 

「別に何処だって良いでしょ?友達がいなかったのは私も同じだし、あんた達と違って私が腐った目とか見かけでこいつを判断しなかったってだけ、あんた達が付き合うわけじゃないんだから私が何処を気にいったって関係ない」

 

「それは!・・・」

一色が何か言いかけて止めた

 

雪ノ下は頷き納得したようだった

「そうね、後もう一つ確認したいのだけれど付き合っているのに比企谷君の事をあんたとかこいつとか呼んでるのが気になるわ、本当に好きならそんな呼び方にはならないんじゃないのかしら?」

一色がそれに追従する

「そーですよ!本当に好きなら名前とかその人達だけの愛称とかで呼ぶはずです!」

 

川崎が俺を見て聞いた

「やっぱり変かな・・・」

 

「恋人同士が呼び合う時に決まりなんてないが、こいつとかあんたとかはまぁ・・・呼ばないんじゃないか?」

今まで恋人が居たことないから良くは知らないけどな・・・それどころか女友達もまともに居たこと無いまである

 

「そ、そっか・・・分かった・・・」

「じゃーこれからは八幡って呼ぶからあんt・・・八幡も私の事名前で呼んで・・・」

川崎は頬を染めながら言った

 

「え?いや、抵抗ないかいきなりとか・・・」

「ちょ、ちょっとはあるけど、お互いを名前で呼び合ったり、ゆ、遊園地でデートしたり、そんな想像も前もってしてたから大丈夫」

川崎さんあなた普段どんな想像してるんですか?てゆーかきっとそれは想像じゃなくて妄想って呼ぶものだと思いますよ川崎さん

「だから八幡も私を名前で呼んで・・・ほら早く」

・・・え?今呼ぶの?やばっ名前なんだっけ・・・海老名がサキサキって言って・・・あ、沙希か

「・・・さ、沙希」

川崎は顔を真っ赤にしていた・・・何これ顔が暑いんだけど・・・

 

向こうを見ると一色は憮然とした表情でこちらを睨み雪ノ下は冷淡な表情でこちらを見据え由比ヶ浜は・・・まだ呆然としたままだった

いや由比ヶ浜ショック受けすぎだろ・・・

 

雪ノ下がこめかみに手を置き溜息を吐いた

「わかりました、部でこれからの方針を決めたいので部外者は少し外して貰えるかしら」

「そーです!出て行って下さい!」

川崎が一色を睨む

「な、なんですか睨んでも無駄ですよ」

一色・・・怯えながら言っても説得力無いぞ・・・

 

「一色さんあなたもよ、部員以外は部室から出て行って頂戴」

「えー!あっ生徒会長権限で」

「生徒会長にそんな権限は無いわ」

冷めた視線で一色を睨む

「わ、わかりました・・・」

一色がしゅんとしながら退室する・・・それに納得したのか川崎も部屋を出た

「じゃー八幡教室で待ってるから」

「ああ・・・悪いな」

 

ふぅと雪ノ下が溜息を吐いた

「さて比企谷君・・・本当の所を聞こうかしら」

俺は雪ノ下に言われた言葉に冷静に切り返す

「雪ノ下これ全部お前の思惑通りだろ・・・」

 

その言葉を聞き今まで呆然としていた由比ヶ浜が我に変える

「え!?そうなのゆきのん!?」

 

雪ノ下が涼しい顔で微笑んだ

 




さてやっとのことであの二人+不遇?ないろはすの本絡みです
と言ってもガハマさんは呆然としてただけな気もします

もう一つ進めてる掃除の改訂の方は不定期としてあるのでこっちが終わるまでお休みで、あれは続きが気になる場合改訂版じゃない方で完結してますしね(だからそれ推すな


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そして彼は話し出す

「あら流石捻くれた考えしか出来ない比企谷君ね、私としては両者の話をきちんと聞きたいと思っていたのよ、川崎さんからどう聞きだそうかと思っていた所に比企谷君が川崎さんを連れてきてくれたので手間が省けたわ」

流石と言っておきながら捻くれたというマイナス要素を付け加える事で自然に俺を貶めるのを止めてくれるかな・・・しかも笑顔で・・・

 

「一つ聞きたいことがあるどうしてお前は動揺しなかったんだ?」

 

「別に動揺しなかった訳ではないわ、比企谷君は昨日なんでお前は全て俺が嫌われてる事前提で考察してるんだよ・・・と言ったわよね」

「ああ・・・」

その後雪ノ下は冷たい目で大体分かったと言ってたな・・・

 

「対人・・・特に女性に関しては自分に対する全てを否定して裏を読んで考える捻くれた比企谷君らしくない言動だもの、なら川崎さんに裏も読めない程直接的な好意を向けられたと考えるしかないわ」

「最悪交際していることを考えに入れていたから表向きは動揺しないですんだのよ」

 

由比ヶ浜が感嘆の息を漏らす

「へぇ~流石ゆきのん!」

 

交際してるのが最悪ってどういことだよ・・・

それに自分に対して全て否定的って、いや俺もそこまでじゃ無いから・・・無いよね?否定出来ない自分が悲しい・・・

 

しかし冷たい目で大体分かったと言った時に本当に分かってたのかこいつ何ソレ怖い・・・

 

「あれ?でも表向きはってことはゆきのんも裏では動揺してたの?」

「えぇ、考えには一応入れてはいたのだけれど比企谷君と交際する人が実際にいるなんて言われた時には流石に私も驚いたわ」

雪ノ下を驚かせるなんて凄いな俺・・・なんでだろう涙が出てきた・・・

 

「まぁ正直に言って比企谷君からの告白とは思っていなかったのだけれど」

「そうそれ!ヒッキーが告白したって本当なの!?」

由比ヶ浜が興奮した顔で俺を見つめる

 

「由比ヶ浜ちょっと落ち着け昨日言った通り今から説明するから」

 

俺は由比ヶ浜を宥めて文化祭での出来事を含め何故こんな事態になっているのかを二人に説明した

 

 

 

「・・・と言うわけなんだが」

由比ヶ浜が?な顔になる・・・いや分かれよ・・・

 

雪ノ下がこめかみに指を当て溜息を吐いた後由比ヶ浜にも分かるように簡潔にまとめた

「文化祭での告白はただのお礼の言葉であり本当の意味での告白ではなかった、けれど川崎さんはそれを愛の告白だと受け取ってこの前それに応じたってことね」

「なるほどそーゆーこと!ゆきのんありがと!」

由比ヶ浜が雪ノ下に抱きついた・・・段々由比ヶ浜に説明するのが上手くなっていくなユキペディアさんは・・・

 

「ちょっと由比ヶ浜さん暑いのだけれど・・・」

雪ノ下は非難の声を上げるがもう諦めているのか引き剥がそうとしない・・・こっちもこっちで段々調教されてる気がする

「つまり比企谷君の自業自得と言う事ね・・・」

「そーだよヒッキーが悪い!」

 

「それを言われると弱いんだが・・・別に部に実害が出るとは思えないし放っておいてくれても大丈夫だとは思う」

害といえば俺が一人でいれる時間が減って多分休日も家で休めなくなるくらいだな・・・あれ?結構重大だなそれ・・・

 

「そう、このまま川崎さんと交際を続けるという事ね、あなた自身の事だから私は別にどうでも良いのだけれど」

「ゆきのん!?」

何か言いたそうな由比ヶ浜を雪ノ下が手で制する

 

「と言いたい所ではあるのだけど、あなたに受けた依頼に反する事なので放っては置けないわね」

由比ヶ浜の顔がパアッと明るくなり更に雪ノ下に密着する

百合百合しいなおい・・・ちょっとドキドキしすぎて目を向けられないから止めてもらえますかね

 

雪ノ下はもう暑いと言うのも諦めたようだ・・・調教完了だな

 

それにしても

「前も言ってたよな俺の依頼が終わってないとかなんとか、あの時の依頼ってクリスマスイベントの手伝いで終わったと思うんだが」

 

「別に比企谷君はわからなくても良いわ」

「そうそうヒッキーは知らなくてもいいの!」

俺の依頼なのに俺がわからないでいいとかどうなの?

 

すると雪ノ下が声のトーンを上げて部室のドアを見て言った

「それであなたはまたいつまで盗み聞きをするのかしら?」

 

俺と由比ヶ浜がドアを見るとドアが開き悪びれもせず一色が入って来た

「いいじゃないですか、ちゃんと部屋の外に居たんだし・・・少しならもう終りですよね?」

と言ってドアを閉め空いている椅子に座った

 

雪ノ下が溜息を吐き、由比ヶ浜が苦笑いをする

 

「お前なぁ・・・」

「・・・それに先輩の事が心配だったんですよ」

一色は上目遣いで俺に訴えるように小声で言った

 

「おぉぅ・・・すまん」

そのあざといのやめろドキッしちまったじゃねーか

 

 

「それでは」

雪ノ下が気を取り直し何か言おうとした所でいきなりまた部室のドアが開き平塚先生が入って来た

 

「おいお前ら、ちょっと面白いネタを仕入れたんだが」

 

「先生何度も言っていますがまずノックを」

「まぁそう堅いこと言うな雪ノ下、私とこの部の仲じゃないか」

 

「はぁ・・・それでどういったご用件ですか?」

 

「いやちょっとありえない噂を耳にしてな、なんとこれが笑える事に比企谷に彼女が出来たという噂なんだが」

「あはははは、なぁ傑作だろ?」

 

場がシーンと静まり返る

 

「ん?どうしたお前たち、本人がいるからって遠慮する事は無い笑って良いんだぞ?」

 

耳はえーな付き合ってまだ二日目だぞ、その噂の出所どこだよ・・・てか先生俺に彼女が出来るのは笑い話なんですか、一教師が本人がいる前で堂々と言うことじゃないと思うんですがねぇ

 

少し気になったので聞いてみた

「先生その噂って誰から聞いたんですか?」

 

「ああ、お前と同じクラスの海老名だが?」

由比ヶ浜が一瞬え?っとショックを受けたような顔になる

海老名さんあなた何者ですか?怖すぎですよ・・・まぁ二人乗りも見られたし川崎と(一方的に)仲が良かったから聞いてたとかなのか?

 

雪ノ下がこめかみに手を置き溜息を吐く

「先生、笑えないことにその笑い話は本当なんです。今丁度そのことについて話していた所です」

笑い話なのは否定しないのかよ・・・

 

「なん・・・だと・・・」

「比企谷・・・お前は、お前だけは裏切らないと思ったのに!」

平塚先生はドアを思いっきり閉め泣きながらまるで嵐の様に走り去って行ってしまった

 

いや、裏切った覚えは無いんですけど、なんなら仲間になった覚えまでもないんですが・・・ホントにもう誰か貰ってやれよ・・・

 

 

平塚先生が走り去った後間を置かずドアをノックする音と共に海老名が顔を出す

「こんにちは~、もしかして平塚先生こっちに来なかった?」

「ああ、さっきまで居たぞ」

と俺が言うと海老名はあちゃーという顔をしてドアを閉めようとした

 

「まって姫菜!」

閉めようとしたドアを由比ヶ浜が止め少し潤んだ目で口早に海老名を問い詰める

「ヒッキーと川崎さん付き合ったの知ってたの?なんで私には教えてくれなかったの?」

 

海老名は罰の悪そうな顔で微苦笑しながら言った

「いや~、私も本人から聞いたわけじゃないし、クラスでの様子を見てそうなんじゃないかな~?って先生に話しただけなんだけど」

「それなら私にも話してくれれば良かったじゃん!」

由比ヶ浜にしては珍しく海老名に突っかかりドアに手をかけていた海老名の腕を掴む

 

「うーん、この話題は結衣にはちょっと話づらいかなぁ~・・・って、ね」

海老名が微笑みながら言うと由比ヶ浜の手の上に軽く手を乗せた

 

その言葉と行動で由比ヶ浜が冷静になり掴んでいた腕を離した

「あ・・・うん・・・ごめん・・・」

 

海老名が優しく微笑む

「ううん、いいよ、こっちこそごめんね・・・」

「じゃーヒキタニ君後のフォローは任せたよ☆」

と言って海老名はドアを閉め小走りに去って行ってしまった

 

なんという無茶振り・・・小町を慰める時ってどーやったっけ・・・

「えーとなんだ・・・そんな落ち込むな、海老名だって別にお前に隠してたわけじゃないんだし、確証が無いから言わなかっただけだろ」

そう言って俺は俯いている由比ヶ浜の頭を撫でた

「隠してたヒッキーに言われたくない・・・」

「ぐっ・・・」

「それにそれは違うと思うんだけど・・・・・・ま、いっか・・・」

と自分の中で納得したのか由比ヶ浜は俺に撫でられるままにされていた

 

えっと・・・やったは良いけどこれいつまでしてればいいのかな・・・ちょっと良い匂いするし、ドキドキして来たんですが・・・やっぱり小町にやるのとは勝手が違うな・・・

 

「んんっ・・・」

雪ノ下が咳払いをして氷の表情で睨みつける

一色も机を指でトントントントンとしながらこちらを睨んでいた

それを合図に俺が由比ヶ浜の頭から手を離し、由比ヶ浜が俺から少し距離を置く

 

「たははは・・・」

由比ヶ浜が赤くなりながら乾いた笑いを浮かべる

「とりみだしちゃってごめん・・・」

 

「いいえ、もう大丈夫かしら由比ヶ浜さん」

「うん、大丈夫」

 

雪ノ下は由比ヶ浜に確認するとさっき言いかけた言葉を続けた

 

「それでは・・・本題に入りましょうか」

 



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そして彼女たちも動き出す

「本題?って何だよ」

俺が聞くと雪ノ下は俺を見つめ冷たく微笑みながら言った

「私は今の状況を放って置けないと言ったはずよ?それとも何かしら、あなたにとってこの状況は願ったものなのかしら?」

 

「いやそーゆーわけじゃないが・・・」

 

「そこで本題になるわけだけれど比企谷君、あなたは奉仕部に依頼があるはずよね?」

 

「はぁ?俺が依頼?」

出した記憶の無い依頼が終わってなかったり、出す予定の無い依頼があったり忙しいな俺・・・

 

由比ヶ浜は何か気付いたらしく相槌を打つ

「うんうん、ヒッキーは私たちに依頼があるはず!」

普段頭回らないのになんでこんな時だけ勘が良いんだよ・・・俺はさっぱり分からないんだが

 

「そーですよ!あるはずです!」

一色が前のめりになって言う・・・勢いだけで言って分かってないだろ・・・

「いや、お前は奉仕部じゃないんだから関係無い・・・」

 

「そ、そんなのどーでもいーじゃないですか!」

 

「良くねーだろ奉仕部への依頼なんだから」

ぶーっと一色の頬が膨れる

 

「それに依頼とか別に何も無いと思うんだが・・・」

 

雪ノ下が呆れた顔で額に指を置く

「はぁ・・・比企谷君は自分の事すら何も判っていないようね、仕方が無いので依頼の内容を私が教えてあげるわ」

うんうんと由比ヶ浜が頷き一色が雪ノ下を促す

「言っちゃって下さい、雪ノ下先輩!」

 

いやいやちょっと雪ノ下さん?何も無いと言ってる俺の依頼を勝手に作るとかどうなの?横暴過ぎるだろ

 

「いや、だから俺は何もな・・・」

「いいからヒッキーは黙ってて!」

「先輩は静かにしてて下さい!」

凄い勢いで由比ヶ浜と一色にたしなめられる

「は、はい・・・」

こえー女子こえー、後女子超怖い・・・

 

「川崎さんを傷つけずに別れたい、これがあなたの依頼よ」

 

「あなたの事だからどうせ自分の言ってしまった失言に対して相手を落ち込ませたり傷つけたりするのが嫌だったのでしょ?」

 

 

確かに俺の告白に対して返事をした川崎に事実(実はアレは告白じゃありませんでした)

を言って川崎を傷つけるのは本意では無かったのだが・・・でも本当にそれだけなのか?

何だ?何か自分に引っかかりを覚えるんだが・・・答えが出て来ない

「・・・・・・」

いくらか考えたが出ない答えを考えてもしょうがないのでそのままにして俺は聞いた

 

「そんな方法あるのか?」

 

冷ややかに雪ノ下が答えた

「簡単よ?あなたが嫌われれば良いだけじゃない」

それに同調してうんうんと由比ヶ浜と一色が頷く

 

「いや、お前らさんざん俺の自己犠牲を否定した割にその方法俺が超傷つくんですが・・・」

 

「何を言ってるのかしら比企谷君、私はあなたが他人の為に自分を犠牲にして自分以外に傷を負わせないという上辺だけのやり方が嫌いなだけであって、この場合は自業自得なのだから仕方無いと思うのだけれど」

 

「私も今回はヒッキーが悪いからしょうがないと思う」

 

「そーですよ先輩、ちゃんと罪には罰を受けましょうね、ふふふ」

何この一体感仲が良いなお前ら・・・後一色、お前絶対楽しんでるだけだろ・・・心配だったんじゃなかったの?

 

「はぁ・・・分かった、で俺は何をすれば良い?」

 

雪ノ下は少し顔を俯かせ指を顎に置き考える

「身嗜みに気をつけずズボラになるとか・・・いえそれはダメね、比企谷君の腐った目を見てるのに気後れしない人だもの外見を気にするとは思えない・・・」

「そうね相手が不快に思うような行動を取るとか・・・これはいつもの比企谷君だもの簡単ね」

ちょっと雪ノ下さん、後ろの感想いるのかな?考えるのにかこつけて俺を傷つけるの止めてもらえますか?

 

「あと相手に無理難題を言って呆れられるようにするとか・・・かしら」

 

「無理難題って何だよ」

 

「相手があまりやらない事を振ってみるとか」

「そうね・・・た、例えば、じ、実はロングのストレートの髪が好きなんだ・・・と言ってロングのストレートにさせてみるとか」

何で言い終わった後に頬を染めて顔を伏せるんだよ・・・その行動も俺が実演するの?

「ほら川崎さんって髪を一旦纏めてるじゃない?女性は結構髪型に拘りを持つところがあるから強要すれば嫌がるかもしれないわ」

言い訳がましく言ったような気がするが・・・まぁ髪は女の命だからそうなのかもしれない

 

「あーゆきのんずるい!」

 

「ヒッキー!実は団子髪が好きなんだ!とかでも良いんだよ?」

由比ヶ浜は勢い良く言った後ハッとして顔を真っ赤に染める・・・だからそれも俺が実演するのかと・・・

 

「セミロングが好きなんだ!とk」

「それはダメだ本当に髪を切られたらそれこそ責任を取れない」

最後まで言う前に俺に却下された一色がションボリする

 

雪ノ下と由比ヶ浜がずいっと近づき俺に圧力をかける

「で?どちらにするの?比企谷君」

「で?どっちにするの?ヒッキー」

二人で見事にハモると更に俺に近づいた・・・近い近い!良い匂いとかして心臓に悪いからもうちょっと離れてくれないかな

 

「おぉう・・・何なのお前ら・・・お前ら自分の髪型大好きなの?」

 

はぁ・・・と二人から溜息が洩れ一色が苦笑している・・・いやホントになんなんだよ

 

その後冷淡に雪ノ下が続ける

「後は川崎さんとは真逆の、言葉遣いを女の子らしくして欲しいとか、仕草も女の子らしくとか、服装も清楚な方がとかが良いんじゃないかしら?」

雪ノ下さん?さっきと言い方が随分違いませんかね?・・・まぁいいけど・・・

 

由比ヶ浜も何か考えているようだが何も浮かばなかったようだ・・・と思ったらとんでも無い事を言い出した

 

「えっちなお願いしてみるとか・・・」

何も浮かばないからって何口走っちゃってるのこの子・・・雪ノ下も一色でさえもちょっと引いてるぞ

 

「結衣先輩!?」

「何を言ってるのかしら由比ヶ浜さん・・・」

一色が驚きの目で雪ノ下が呆れた目で由比ヶ浜を見る

 

「あ、いや、そーすれば絶対呆れるかなぁと思って・・・」

「そ、そーですね、以外とアリかもしれませんよ先輩!」

「お、おぅ・・・」

由比ヶ浜・・・一色にフォローされるとかどうなの?

 

「あは、あははは・・・・・・なしなし!やっぱり今のなし!」

由比ヶ浜は必死に無かった事にしようとしていたが、なしってもう聞いちゃってるんですけど

「うぅ・・・」

由比ヶ浜は赤面して俯いていた

 

 

「分かった取りあえず雪ノ下が言った事は今日の帰りにでも言ってみる」

 

俺が了承するとその日の部活は終了となった




いろはす不遇!


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そして彼女は助言する

部活が終わり教室で待っている川崎を呼び一緒に下校する

 

「それで結局どうなったの?」

「ああ、取りあえず様子見だと」

 

興味無さそうに川崎が相槌を打つ

「ふ~ん」

 

「・・・・・・」

 

これどうやってさっき決まった話題切り出すんだよ・・・・

 

「じ、実は俺ロングのストレートが好きでさ・・・」

 

「は?何いきなり・・・」

俺の突然のカミングアウトに川崎は少し引いてるようだった

 

くっ・・・ここで負けたらダメだ・・・

「いや、沙希はロングのストレート似合いそうだなって・・・」

我ながら上手いこと言った!日頃やっているギャルゲは無駄では無かったようだ

 

川崎が少し頬を染める

「ふ、ふ~ん・・・ほ、他に八幡の好みとかあるの?」

 

「えーとそうだなぁ・・・言葉遣いとか仕草とかもう少し女の子らしい方が好きかな」

「へぇー」

 

「服装とかも大人しめで素朴な方が」

「そうなんだ?」

 

これは好感触?って好感触じゃダメだろ

 

「何俺の好み聞くってことはやってくれるの?」

 

「は?何で?やるわけないじゃん」

 

「・・・・・・」

ですよねぇ・・・これ拒否られたらそこで終りじゃん・・・

でもまぁマイナス印象には繋がったのか???

 

・・・・・・

 

「じゃー私こっちからのが近いから、また明日ね八幡」

「おぉう、またな」

 

川崎は俺と違う道に進むと振り返って小さく手を振った後帰路へと進んでいった

 

 

 

 

 

「ただいま~・・・」

はぁどっと疲れた・・・早く風呂入って飯食って寝たい・・・

 

「おかえり~お兄ちゃん」

二階から小町が笑顔で降りてきた

 

「おぅ小町何か楽しそうだな」

「そーゆーお兄ちゃんはお疲れのようだねぇ・・・帰りは沙希さんと一緒だったんじゃないの?」

 

「おぅまぁそうなんだが・・・」

「???初めての彼女と帰って来たら楽しもんじゃないの?まぁいいや、お兄ちゃんに良いものをあげよう」

 

「ん?何だ?」

「じゃじゃーんはいコレ☆」

と言って渡してきたのは鍵だった

 

「は?何だ?俺別に鍵無くしてねーぞ?」

「違うよ沙希さんのだよ・・・」

小町がジト目で俺を見る

「?何でお前が川崎の家の鍵持ってるんだよ」

「違くて!沙希さんの分のウチの合鍵に決まってるじゃん!もうバカなんだからお兄ちゃんは」

 

「バカなんだからって・・・いや、なんでウチの鍵を川崎に渡さないとならないんだよ・・・」

「だって合鍵って男のロマンじゃないの?良くドラマで渡してるじゃん」

 

「・・・変なドラマの見過ぎだバカ、しかもそれは一人暮らしの場合だろ・・・」

うちの小町ちゃんは普段どんなドラマみてんの?てゆーか勉強しなさい受験生

「えー別に実家のでも良いじゃん」

 

「はぁ良いわけねーだろ・・・それに川崎には・・・」

「ん?沙希さんには?・・・」

「あ、いやなんでもない・・・」

やばっ危なく口が滑る所だった・・・嫌われようとしてるなんて言ったら小町に口撃されるのは必至だ・・・

 

「・・・お兄ちゃん?小町に何か隠し事して無い?」

小町が睨みながら俺ににじり寄って来る

「い、いやだなぁ小町ちゃんお兄ちゃんが小町ちゃんにそ、そんな事するわけないだろ・・・ははは」

疑いの眼差しで小町が見つめる

「・・・・・・」

ゴクリ・・・

小町が背を向けたと思うと少し俯き必殺の一撃を放った

「なーんか小町お兄ちゃんの事嫌いになっちゃいそうだなぁ~・・・」

 

くっ、そのセリフは反則だぞ小町、だがお兄ちゃんはそんなことでは!

「分かった全てを話そう」

凄くちょろかった・・・いやまぁ仕方ないだろこれは・・・仕方ないよね?

 

 

 

小町に事の経緯を話すと小町は呆れ顔で言った

「はぁ~ほんとにごみいちゃんはごみいちゃんだなぁ」

くっ・・・全面的に俺が悪いので何も言い返せない・・・

 

「沙希さんってのが意外だったけどそんなことがあったなんて」

意外って何だよ意外って・・・それ以外に何かあんの?

 

「で?ごみいちゃんはそれで良いの?」

「ん?それでって?」

「だから雪乃さんとか結衣さんの言ってるようにするの?」

 

「沙希さんはお兄ちゃんの事好きなんだよ?」

「朝お兄ちゃんのこと起こして朝食作ってくれたし、お昼もお弁当貰ったんでしょ?」

 

「ああ、だから俺が嫌われて済むだけならそれにこしたことは無いだろ」

 

・・・

 

「小町的にはこのまま沙希さんがお義姉ちゃんになってくれた方が良いんだけどなぁ・・・他にお兄ちゃんの貰い手がいないし」

「くっ・・・まぁ俺も他に誰か付き合ってくれる人が出来るとは思わないが・・・」

はぁ・・・と小町が俯きながら頭を振った・・・

何その分かってないなぁってポーズは・・・俺の事は俺が一番良く知ってるんだが・・・

 

「お兄ちゃんだって別に沙希さんが嫌いってわけじゃないんでしょ?」

「む・・・それはそうだが・・・」

 

「だったら良いじゃん、付き合ってから愛が育つなんていくらでもあるよ?」

 

「・・・・・・」

 

小町は俺を見つめ答えるのを待っていた

 

ふとその時部室で雪ノ下に言われた事の何に引っかっていたのかが判った

確かに川崎を傷つけたくないという思いもあったが、始まりからして間違っているこんなものは俺自身が認められなかったのだ

だから俺は川崎の為では無く俺の為に小町に言った

 

「でもダメだ、こんな始まり方から間違っているものは俺が認められない」

 

小町は俯き心底面倒くさいという顔になる

「はぁ・・・ほんとめんどくさいなぁこの人・・・」

小町ちゃん!?他人のように話すのはやめてくれるかな?お兄ちゃん泣いちゃうよ!?

 

「沙希さん良い人なのに・・・もったいないもったいないなぁ・・・でもねそんなお兄ちゃん小町嫌いじゃないよっ、あっ今の小町的にポイント高い☆」

と小町がいきなり顔を上げニッコリ微笑んだ

 

最後のが無ければ俺的にもポイント高いんだがな・・・最後のがあっても十分高いが八万ポイントには届かないな

「ああ、俺もそんな自分が超好きだぜ」

 

 

「でもこんな面倒くさいお兄ちゃんを一度好きになった人が、そのお兄ちゃんの行動や言動で嫌いになるのかな?」

「小町ーそれどういう意味だ?」

そんなに面倒くさいを連呼されると本当にお兄ちゃん泣いちゃうよ?

 

「んーなんでもない、小町は勉強に戻るね、鍵はお兄ちゃんの好きにしていいよ」

「おぅがんばれ」

「うん、お兄ちゃんもね」

 

小町の背中を見送りながら俺は鍵の処遇を決めかねていた




小町可愛いよ小町

TV二期での小町の八幡のモノマネは思いの他上手かったです(笑


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そして彼は困惑する

♪~♪♪~

 

小町と一緒に朝食を食べ終えまったりとしてると小町の携帯の着信音が鳴り響いた

 

「はい、あ、おはよー、え?うん分かった」

 

こんな朝っぱらから電話とか友達いるやつらは普通なの?等と考えていると小町が携帯を俺に差し出した

 

「はいお兄ちゃんに電話」

 

「は?なんで小町の携帯に俺への電話がかかってくるんだよ」

小町はそれに答えずに「いーから、ん」と言って俺に携帯を押し付ける

・・・俺は不承不承と携帯を受け取り電話に出た

 

「もしもし」

 

俺が電話に出ると男の声が聞こえてきた

「おにーさん!」

「俺はお前のお兄さんじゃねぇ!」

 

俺は電話の主にそう言うと電話を切った

 

♪~♪♪~

 

程なくしてまた携帯の着信音が鳴り響く

俺は暫く放置していたのだが俺に電話を渡して朝食の片付けをしていた小町が睨むのでしょうがなくまた電話に出た

 

「何で電話を切るんすかおにーさん!」

 

「何度も言ってるだろ俺はお前のおにい」

「そんなことはどーでもいーんすよ!」

 

「はぁ?良くは」

「ねーちゃんが!」

 

俺にも一瞬の緊張が走り相手の声に耳を傾ける

「お前の姉がどーした?」

 

 

「ねーちゃんが、ねーちゃんがまじめになったんす!」

 

「・・・・・・」

 

「・・・良いことじゃねーか、じゃーな」

俺は話は終わったとばかりに電話を切ろうとした

「ちょっちょっと待って下さい違うんです!」

「何だよ何が違うんだよ・・・」

 

「この間比企谷さんの家を教えてから様子が変なんですよ」

「教えた次の日なんて朝起きたら学校へ行くって置手紙だけあって既に居なかったし・・・」

「今日だって何か真面目になっちゃったし・・・」

真面目になっちゃったしって意味が分からん・・・まぁ十中八九俺に関係があるんだろうが・・・

「おにーさん何か知らないすか?」

 

「・・・あーなんだ・・・まぁ学校で様子見ておいてやるから気にするな」

「それと俺はお前のお兄さんじゃねぇ」

 

「えーでも」

「気にするな」

俺は少しドスを効かせた声で言った

 

「わ、わかったっす、ねーちゃんを頼みます」

そう言うと電話の主である川崎大志は会話を終了させて電話を切った

 

 

気付くと朝食の片付けをしていた小町が近づいて来て手を出していたので携帯を渡した

「大志君なんだって?」

 

「川崎が・・・大志の姉が真面目になったんだと」

小町が?な顔をする

「・・・どういう意味?」

 

「さぁ?俺にも良くわからん・・・」

「まぁ学校に行けば分かるだろ」

 

俺は急いで身支度を整えると家を出て学校へ向かい自転車を漕ぎ出した

 




原作にもたまにある超短い章みたいな感じで・・・まぁ自分が書くのは元々短いんであんまり変わらないんですけど(笑


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そして彼女はツンデレる

学校に着き教室に入るとクラス全体が何かざわついていた・・・

何故か皆一方向を気にしているようだ・・・まぁ一方向って川崎の席なんだが・・・俺も川崎の席に目を向ける

 

そこには少し青みがかったロングストレートの髪をした清楚で純朴そうな美少女が海老名と話をしていた

・・・いや確かに飾ってはいないのだが存在自体が際立ち素朴には見えないので純朴とは言えないか・・・

 

由比ヶ浜が俺に気付き側に来て挨拶をする・・・何か睨まれてるんだが、最近ずっと睨まれてるまである・・・

「おはよヒッキー」

「おぅ」

さらに由比ヶ浜が不機嫌な顔をしながら息が当たるよな位置まで近づいてきて俺に小声で話した

「・・・ヒッキーこれどういうこと?」

「どーゆーことって俺の方が聞きたいんだが・・・」

 

そこでその美少女が俺を見つけたのか笑顔で寄って来た

「おはよー八幡」

クラス中が声を失くす程驚いたのか先ほどまでのざわつきが消えシーンとなる

・・・何これ超目立っちゃってるんですけど・・・何の罰ゲームだよ・・・

しかし返事をしないわけにもいかないので挨拶を返した

 

「お、おぅ・・・ってお前川崎だよな?」

笑顔だった美少女がムッとした顔になった

 

「名前で呼ぶって約束だよね?」

 

「あぁすまん・・・沙希だよな?」

 

「当たり前じゃんじゃなかった、当たり前でしょ?八幡には他の誰かに見えたの?」

・・・他の誰かには見えないがギャップがあり過ぎて他人ですと言われても信じそうなんだが・・・

 

川崎は何も言わない俺を不安に思ったのか感想を聞いてきた

見せるようにスカートを少し持ち上げ上半身を左右に回す

「ど、どうかな?」

 

「あ、いや良いんじゃないか?」

川崎が桜色に頬を染めた

・・・正直言ってドストライクなんだが・・・

 

「良かった~、普段こういう格好しないから似合わないかなぁと思ってたんだ、弟にも何か変な物を見る目で見られるし」

そーいえば大志から電話掛かって来てたな・・・そーゆーことか、確かに真面目になってるな・・・

普段こういう格好しないって・・・それ変に改造しないで普通に学校の制服着てるだけですよね?それが正装なんですが・・・普段からそれでオナシャス

 

てゆーか昨日やるわけないとか言ってなかった?ツンデレすぎんだろ

 

「あ、そうだ・・・」

川崎は何かを思い出したのか自分の席に戻るとバッグの中を探り出した

 

目的の物を見つけると俺の所へ戻って来て差し出した・・・弁当箱を・・・

「はいこれ・・・今日は一緒に食べようね」

「お、おぅ」

俺が返事と共に受け取ると恥ずかしいのか顔を真っ赤にして自分の席へ戻って行った

・・・いや、そんな恥ずかしいなら今渡さなくても良いんじゃないんですかねぇ・・・

 

そんな俺と川崎のやり取りが終わると教室中がまたざわつき出した

 

「ちーっすヒキタニ君」

いきなり戸部に挨拶をされた・・・いきなり声をかけるのやめてくれないかな?友達だと思っちゃうだろ

葉山が後ろで俺と戸部を見つめていた

「戸部×八キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!さらにそれを見つめる隼人君・・・愚腐腐腐腐」

変な声が聞こえた気がしたが俺は聞こえない聞こえないんだ・・・

「うっす」

 

「ヒキタニ君これってどーゆーことなん?川崎さんと付き合っちゃったりしてるわけ?」

クラス中がまたシンとして全員聞き耳を立てる

「あ、ああまぁ・・・」

またざわつき出す・・・いやだから何の罰ゲームなんだよこれ

 

更に戸部が近づいて来て腕を首に回し俺にしか聞こえないように話す

・・・だからそーゆーの止めてくれますかね一部の腐ってる人が喜ぶから・・・

「ヒキタニ君移り気過ぎるでしょー、でもまぁ俺としてはライバルが減ってラッキーみたいな?」

戸部がチラリと川崎の席の近くにいる海老名を見る

 

はいはい、まぁ俺は別に海老名の事何とも思ってないんだがな・・・

俺もチラリと見ると川崎が照れくさそうに微笑んで小さく手を振った・・・くっ、可愛い過ぎるだろ・・・

 

そこで始業のベルが鳴った

と同時に携帯がメールの着信音を鳴らす・・・やばっマナーモードにしておかないと

メールを見ると由比ヶ浜からだった

 

------------------

 

FROM ★☆ゆい★☆

TITLE (-_-メ)

 

1時限目の休み時間部室に集合!

ゆきのんにはもう伝えてあるから!

 

------------------

 

由比ヶ浜の方を見るとアカンベーをした後フンッと顔を背けていた

 

 




うん、これなら前回の文章と繋げておけば良かったと後悔・・・orz

かと言って向こうに追記しても話数増えないから気付かない人がいるかもしれないのでそのまま投稿

どこでキリがよくなるのか分からないんですよねぇ・・・ちょっと先までの大体の流れは作ってあっても書いてるその場で文章が変わるので(いいのかそれで?


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そして彼の嫌われ方はまちがっている。

俺は1時限目の授業が終わると重い足取りで部室へ向かった

 

 

「聞いてよゆきのん!ヒッキーったら川崎さん見てデレーッとしちゃってるんだよ!?」

「はぁ・・・あなたは本当に川崎さんに嫌われる気があるのかしら・・・」

 

「いやちょっと待てデレーッとは・・・」

・・・してたかもしんない・・・

 

言葉に詰まった俺を由比ヶ浜が非難の目で見る

「ほらー!」

 

雪ノ下がこめかみに指を当て溜息をつく

「川崎さんがどう変わったかは由比ヶ浜さんがメールで教えてくれたのだけれど、どういう事なのか教えて貰えるかしら比企谷君」

 

「どういう事と言われてもなぁ・・・昨日雪ノ下に提案された事を言ったらこうなったとしか・・・」

 

「大体なんでロングのストレートなんだし!お団子髪じゃダメだったの!?」

・・・え?そこも焦点なの?

 

「いやお団子は慣れてないと時間かかるだろ、それで遅刻されても嫌だからロングのストレートが好きだって言ったんだが」

「そ、そっかー・・・それならまぁしょうがないかな・・・」

由比ヶ浜がくしくしとお団子髪を弄る

 

すると雪ノ下が冷たい表情で問い詰める

「へぇ比企谷君それは時間さえ掛からなければお団子髪の方が好きだと言うことかしら?」

怖い・・・怖いから・・・

「いやそーゆーわけでは・・・」

「え!?違うんだ!?じゃーヒッキーはどっちの髪型の方が好きなの!」

ムッとした顔で由比ヶ浜が睨む

 

「・・・お前ら本当に自分の髪型好き過ぎるだろ・・・時間が無いんだから次やる事の打ち合わせをしようぜ・・・」

 

「仕方が無いわね」と雪ノ下が納得し「むー」と由比ヶ浜が膨れる

 

昨日雪ノ下に言われた提案を思い返す

「確か後は不快に思うような行動をとるだったよな・・・」

「えぇ・・・でも今回の川崎さんの様子を鑑みるに少し弱い気がするわ、上手く行かなかった時の事を考えて他にも何か欲しいのだけれど・・・」

何かあるかしら?というように俺の方を見る

 

・・・川崎のウィークポイントか・・・ふと今朝の電話が思い出された

「ブラコン・・・」

「へ?」

由比ヶ浜が素っ頓狂な声を上げた

 

「いや、川崎は極度のブラコンなんだがそれを使えねーかな?」

「極度のシスコンである比企谷君に言われるなんて相当なものね・・・」

と言うと雪ノ下は指を顎に置き少し俯き考える

くっ・・・今俺のシスコンの話いらなかったよね・・・

 

「そうね・・・ありきたりではあるけれど弟さんと比企谷君を天秤に掛けさせるとかはどうかしら?」

 

なるほど、良くある仕事と私どっちが好きなのってやつだな・・・

まぁそれの答えも決まってる気がするんだがその問いかけをした時点で印象は悪くなるだろう

 

「分かった取りあえず不快な行動で良い反応・・・悪い反応が無かったらそれで行こう」

俺は話は決まったと席を立ちクラスに戻ろうとした

 

するとふいに由比ヶ浜が複雑な顔をして俺に問いかけた

「・・・あのさ今更だけどヒッキーは本当にそれで良いの?」

 

「今回は俺が悪いんだからしょうがない・・・それは由比ヶ浜も雪ノ下も言ってた事だろ」

「それはそーなんだけど・・・うん、なんでもないごめん」

由比ヶ浜の言いたい事も分かるし俺も好き好んで嫌われようとしているわけではない・・・が俺自身もこの状況に納得出来ていない

何を思おうとこの状況を一度壊さない限り前に進めないのだ

 

「悪いな二人ともこんな事に巻き込んで」

「ううん、私はやりたくてやってることだから」

「私は・・・奉仕部への依頼なのだから仕方がないわね」

いやそれお前が勝手に作った依頼だからね・・・

 

「おぅサンキュー」

 

そう言うと俺は颯爽と

「待ちなさい比企谷君、これを持っていって頂戴」

呼び止められた、そして鍵を渡される

 

「何だこの鍵?」

「部室の鍵よ、二人きりの方が邪魔されないで色々出来るでしょうからもし巧くいかなかった場合昼休みにでも使うといいわ」

「勿論私と由比ヶ浜さんはあなたを影ながらサポートする為に近くに待機するけれど」

 

サポートの為とか理由をつけてるけどそれ暗に盗み聞きするって言ってるだけだよな・・・

 

「はぁ・・・分かった使わせてもらう」

俺と由比ヶ浜は雪ノ下と別れ教室に戻った

 

 

 

2時限目が終り休み時間になる

 

由比ヶ浜と目が合うとコクンと頷いた・・・行けってことか

 

不快に思うような行動ね・・・まぁ俺が今まで女子に拒否された行動を取れば良いんだよな・・・

・・・・・・考えるまでも無く拒否されたことがスラスラと思い浮かぶんだが・・・

むしろ俺の全ての行動が拒絶されるまである・・・

 

くっ・・・よし気を取り直して・・・

「さ、沙希って可愛いよな」

 

「あ、ありがと」

沙希が少し恥ずかしそうにお礼を言った

 

あれ?いつもなら引かれて怯えられるんだが・・・

 

つ、次だ・・・今度は思い切って

「ちょっと手を出してくれるか?」

「え?うん」

沙希が手を机の上に出すとおもむろにそれを握った

 

・・・フォークダンスの時とかよく避けられてたなぁ・・・

 

沙希の手は細くて柔らかくてずっと握っていたいような感触だった

 

「えっと・・・八幡?」

見ると沙希は真っ赤になっていた

 

「さ、サンキュー」

ちょっとこの教室暖房効かせ過ぎだろ顔が熱い

「ううん、ちょっと恥ずかしかったけど別に良いよ・・・ところでなんだったの?」

 

「あ、いやちょっとな・・・ははは」

と飛び切りの笑顔を作ってみせた

 

「いや、その笑顔はやめた方が良いよ八幡、ふふふ」

ぐっ・・・図らずも最後の笑顔は嫌がられたみたいだが効果は抜群だ!とはいかなかったようだ

 

由比ヶ浜をチラリと見ると廊下の方を指さしていた

廊下に出ろってことか?

 

「ごめん沙希ちょっとトイレ」

 

「うん、いってらっしゃい」

そう言うと沙希は微笑んで俺を見送った

 

教室を出て廊下を曲がると由比ヶ浜が待ち伏せていた

 

「・・・ちょっとヒッキー何やってんの?」

由比ヶ浜がじーっと睨みつけてくる・・・ご立腹のご様子ですね・・・

 

「いや何って不快に思うような行動ってことで今まで嫌がられた事を試してみたんだが・・・」

 

由比ヶ浜が呆れた顔になる

 

「はぁ、ヒッキー今の全部逆効果だから・・・・・・私だってやられたら・・・嬉しいし・・・」

由比ヶ浜が不意に頬を染める

 

「はぁ?そんなことねーだろ、現に今まで拒否されてきたことなんだから」

 

「だからそれは・・・・・・まぁいいや次いこ」

 

「次っていうと弟と俺を比べさせるってやつか?」

「そうそう、川崎さんって弟さんとか妹さん大好きなんでしょ?だったら比べさせるなんてサイテーって思うかも!」

 

「そうだな俺も小町と仕事どっちが大事かと問われたら、比べるまでも無く仕事なんてするわけないだろと怒るからな」

「いやそれ意味わかんないし・・・それに比べるなら小町ちゃんと川崎さんでしょ?・・・・・・で、ヒッキーはどっちが好きなの?・・・」

「そんなのは決まっている」

悪ふざけで聞いたであろう質問のはずなのだが由比ヶ浜が思いの他真剣な目で答えを待っていた

 

「・・・俺を養ってくれる方だ、そして俺は専業主夫になる!」

 

真剣だった由比ヶ浜の眼差しがジト目に変わる

「サイテーだ・・・」

 

「・・・・・・」

 

次の授業の予鈴が鳴った

「次の休み時間はこの次が体育だから使えないな、となると昼休みか・・・じゃぁ昼休みに部室でだな」

 

俺が由比ヶ浜に話しかけると由比ヶ浜はまだジト目で俺を睨んでいた



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そして彼の決断はまちがっている。

4時限目の体育の授業が終り昼休みになった

 

既に男女とも着替え終り周りは仲の良いグループでの昼食を始めていた

 

 

そこへ今日一番の注目株川崎が俺の元へ歩いてきた

「何処でお弁当食べようか?」

 

ぐっ・・・男達の視線が痛い・・・いやお前ら今まで川崎の事興味ないどころか怖がってただろ・・・俺も他人の事は言えんが・・・

「あぁ、今日は由比ヶ浜と雪ノ下が用事があって部室を使わないそうだからそこで良いか?」

川崎は少し考えると赤くなり顔を左右に振った

「あ、う、うんそこで良いよ」

?何だ今の不審な動きは・・・・まぁ良いか・・・

 

 

 

部室の鍵を開け中に入ると川崎は律儀に挨拶をした

「失礼します・・・」

「いや別に畏まらなくても良いだろ、二人だけなんだし」

「そ、そうだよね二人きりだもんね・・・」

そう言うと川崎はソワソワしつつ椅子に座った

 

何か川崎の様子がおかしい・・・

 

「やっぱりさっきも思ったけど教室に二人きりって何か照れるね・・・」

「な・・・」

クラスから川崎の様子がおかしいのは教室に二人きりになるのを考えてか・・・ってクラスで何妄想してたんだよ顔真っ赤にして・・・

 

気まずい空気が流れる・・・顔が熱い・・・俺は換気の為に窓を一枚開けた

 

「べ、弁当食おうぜ」

「う、うん」

川崎が真っ赤な顔で頷いた

 

あの作戦は食べ終わってからで良いよな・・・

 

「頂きます」

と言って弁当に手をつけた俺に川崎がニコリと笑う

 

カチャカチャモグモグ・・・・・・

 

シャリモグモグ・・・・・・

 

「あーんとかやった方が良いかな?」

カタッと部室の外から音が鳴った

「ブフォッ・・・ゴホッゴホッ」

川崎のいきなりの提案に俺がむせる・・・最初に鳴った音は部室の外にいると思われる雪ノ下か由比ヶ浜だろう、まぁ由比ヶ浜だな・・・

俺は部室に来る途中で買ったマッ缶を一気に呷った

「はぁはぁ・・・い、いや、別にしなくて良いから・・・」

「そ、そう」

川崎は恐縮したような感じで赤くなって俯いた

 

ほどなくしてお弁当を食べ終えた俺をチラリと川崎が見る

あぁ・・・

「ごちそうさん、やっぱり沙希は料理上手いな」

 

「そ、そうかな?ありがと」

そう言うと川崎は嬉しそうな顔で頬を桜色に染めていた

 

嬉しそうな所に気は引けるがそろそろ切り出すか・・・

 

「ところで沙希って俺と大志どっちが好きなんだ?」

川崎一瞬何を聞かれたか分からずキョトンとした後困惑した表情を浮かべた

「え?・・・何でそんな事聞くの?」

 

「いや今後の為に、もし俺と大志が何かで対立した時にどっちを選ぶのかと思ってな」

 

「それは・・・好きのベクトルが違うから比べられないよ・・・」

表情が険しくなる・・・これは計画通り良い方向・・・もとい悪い方向へ行ったのか?

と思った瞬間川崎の表情が一転し、顔を真っ赤にして俯いた

「でもど、どちらか選べと言われたらそれは選べないけど・・・きっと大志より八幡の方がずっと好き・・・意地悪だね八幡は・・・」

川崎は顔を上げ更に顔を真っ赤にしてはにかんだ

 

俺の心臓が一気に跳ね上がる

 

ブラコンの川崎が弟以上に俺を好きって・・・ちょっと想像出来ないくらい凄いな、俺が言えばなんでもやっちゃうんじゃないのこいつ・・・

その時由比ヶ浜が言った言葉を思い出した

 

えっちなお願いしてみるとか・・・

 

ゴクリ・・・乾いた喉に唾が通る音がする

 

川崎が不安げな表情をした

「大丈夫?なんか凄い目が血走ってるんだけど・・・」

 

いかん冷静になれ俺、川崎に呆れられるのが目的なんだ仮に例えば「お前の胸が見たい」と言ったとしてそんなほいほいみせるはずがない・・・だから・・・

 

「なぁ沙希・・・」

まだ俺の顔が変なのだろう、川崎は少し緊張気味に返事をした

「な、なに?」

 

「沙希の胸が見てみたいんだが・・・」

 

「・・・は、はぁー?・・・」

いきなりの事に川崎が驚きの声を上げた

 

・・・・・・・・・・・・

 

静寂が部屋を包み込む

 

これはやっぱり効果は抜群!か?

 

 

すると川崎が制服に手をかけボタンを外し始める

 

「なっ、ちょっと待て沙希何してんの!?」

 

「え?だってボタン外さないと見せられないでしょ?」

「恥ずかしいけど、よく考えたら見せるくらいなら大丈夫かなって・・・それに私の事女性として・・・女として見てくれてるのは嬉しいし・・・」

川崎はボタンを外しながら真っ赤になって答えた

 

「いや、それはそうだけど、そうじゃなくてだな・・・」

まさかの事態に俺がうろたえる

 

コンコン

 

その時ドアからノックの音が聞こえた

 

川崎が慌てて服装を直す

 

た、助かった・・・

 

コンコン

 

もう一度ノックの音がした

 

川崎の服装が整ったのを見て俺が返事をする

 

「どうぞ・・・」

 

扉が開き雪ノ下と由比ヶ浜が入ってくる・・・雪ノ下はいつも通りなのだが由比ヶ浜は俺を睨んでいた

「こんにちは、ごめんなさいちょっと用を思い出して・・・この部屋を使うのだけれど大丈夫かしら?」

俺が何事も無かったかのように返事をする

「お、おぅ」

 

川崎は直前の事が恥ずかしかったのか「えっとじゃぁ先に教室戻ってるね八幡」と言って出て行ってしまった

 

そして奉仕部員だけが残される・・・超居心地悪いんですけど・・・

 

 

「ヒッキー最低・・・」

由比ヶ浜にしては低い声を出した

 

「いやあれはだなまさか川崎があそこまでするとは思わなくてだな・・・」

「それにあの案は由比ヶ浜が言ったことだろ」

慌てて言い訳をした

それに由比ヶ浜が憤慨する

「だから私はなしって言ったじゃん!」

雪ノ下が冷めた表情で俺を睨んだ

「人になすりつけるなんて言い訳も最低ね・・・川崎さんの言動からあそこまですることも十分考えられたでしょうに」

 

「うっ・・・」

 

雪ノ下の冷静な言葉で冷や水を掛けられたように俺は頭を切り替えた

「まぁそうだな・・・由比ヶ浜悪かった」

 

「あ、う、うん、私も・・・なんかごめん」

 

「はぁ、もうまどろっこしいのは止めだ、川崎の事を傷つけてしまうかもしれんが本当の事を言う」

 

雪ノ下がコクリと頷く

「そうね、最初からそうするべきだったわね・・・私としたことがありえない事態なので少し混乱してしまっていたようだわ」

ありえない事態っていや、そうだけどちょっとくらいはありえるだろ・・・いや、ないか・・・

「うん、そうだよねそっちの方が良いと思う・・・ヒッキーがんば!」

由比ヶ浜がさっきまでの事は水に流したかのように応援した

 

 

がんば・・・って振るのを頑張るの?まぁ振るのも体力がいるとか何かの本で読んだ気もするな・・・あと一発グーで殴られる覚悟もしておこう・・・

 

俺は覚悟を決めると教室へ向かい歩き出した




TVニ期・・・劇の演出とかルミルミが皆の輪に入る所とかはちゃんと描写して欲しかったなぁ・・・

前話のタイトル変更しました


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そして彼女の決断はまちがっていない。

覚悟を決めて教室に戻ったは良いがそこで時間切れとなり次の授業の予鈴が鳴る

・・・俺は悪くないタイミングが悪い・・・

 

次の休み時間川崎と放課後屋上でと約束を取り付け・・・・・・放課後に至る

 

 

 

 

俺は心の準備を終えると屋上のドアを開けた

そこには優しく微笑んでいる川崎の姿があった・・・

 

 

 

「すまん文化祭の時言った言葉あれは本気じゃなくて、いや嘘というわけでもないが言葉の綾的な意味で・・・」

 

 

 

「ぷっ・・・」

いきなり川崎が噴出す・・・・・・ん?

 

「ふははは、ばっかじゃないの?そんなの分かってたよ」

川崎はいつもの口調に戻って言った

 

「ふぇ?何それ、やっぱりドッキリだったってことか?」

こえー女子こえー、後やっぱり女子超怖い・・・

 

川崎が鋭い視線でジロリと俺を睨んだ

「それも違うから」

 

「流石に私もあれを本気と思える程バカじゃない、でもあれからあんたを見て、そして知って・・・本当に惹かれたんだ」

「だからあの時あんたに言われた言葉であんたから告白したことにした・・・ただそれだけ」

 

なるほど既成事実を作って告白された事にした方が断られづらいもんな、ソースは今現在の俺・・・

 

「そうか、それなら話が早い・・・だから」

無かった事にして貰おうと俺は口を開いた

 

「待って、さっきも言ったけどあんたを好きなのは私の本当の気持ちだから」

川崎は俺が言おうとすることを察してか釘を刺した

 

「ぐっ・・・」

そう面と向かって直球で言われると照れるんですけど・・・なんなの?言ってる方は恥ずかしく無いの?

川崎を見ると夕日の光が顔に差し頬をオレンジに染めていた

 

「あんたも不用意にあんな言葉を使って罪悪感があったっていうなら私にチャンスを頂戴」

 

「チャンス?」

 

「うんチャンス、明日から二週間私をちゃんと見て恋人として扱って、あんたを振り向かせるチャンスを頂戴」

川崎が真剣な顔で訴える

 

「二週間後私からちゃんと告白するから、そしたら返事を貰えるかな?・・・それで私に振り向いてくれないようならスッパリ諦めるよ」

女子に言うのも何だが普段の川崎に似つかわしい男前なセリフだった

 

 

「分かったあんな言葉を言った責任をとして、それでお前の気が済むならこの二週間は真剣にお前を見るし、きちんとこ、恋人として付き合う・・・まぁ俺なりになるが」

 

「うん、それで良いよありがと」

川崎はニッコリと微笑んだ

 

「あーでも私があんたに愛想を尽かしたらそこで終りだからね?後、このことは誰にも言わないで特に奉仕部の二人と生徒会長」

「あ、それと雪ノ下と由比ヶ浜に盗み聞きするなら音はたて無いように気をつけなって言っておいて」

 

「知ってたのか・・・」

 

「勿論、じゃないとあんな真似出来るわけないじゃない、私はそんな安くないよ?ふふふ」

 

その顔は悪戯っ子のような笑顔だった

 

「じゃあまた明日から宜しくね、八幡」

 

呼び方をさっきまでのあんたから八幡に戻すと、川崎はとびっきりの可愛い笑顔で手を振った後帰っていった

 

 

 

 

 

「すまん、川崎と別れるのは無しになった、もうちょっとだけ待ってくれ」

 

俺は川崎との話し合いを終えると部室に戻り雪ノ下と由比ヶ浜に報告した

 

雪ノ下は俺の言葉にピクリと反応し真意を探るように俺を見つめ

由比ヶ浜はそれとは正反対に盛大に反応し俺に詰め寄る

「え!?どーゆーこと!?ちゃんと言うって言ってたじゃん!」

 

「いや、そーなんだが・・・」

ヤベェ事情を話さずに伝えるのって自分の背丈ほどの高さから落ちたり小岩に当たると死ぬゲームをクリアするくらい難易度高くね?

 

すると様子を伺っていた雪ノ下が口を開いた

「腰が引けた・・・というわけでもなさそうね・・・一つ聞きたいのだけれど」

「何だ?」

「その選択にあなたは後悔していないのね?」

「あぁ」

俺は自信を持ってはっきりと答えた

「そう・・・元々比企谷君の個人的な事だものあなたが望んでそうなったのなら何も言わないわ」

 

「えー!?そうだけど・・・・・・ゆきのんはそれで良いの?」

「何で私に聞くのかしら?さっきも言った通りこれは比企谷君の個人的な事なだけで私は関係ないわ」

 

その時部室のドアがいきなり開き一色が入って来た

「遅くなりました!先輩どーなったんですか!?」

 

いや遅くなりましたってお前部員じゃないからね?何でここに来る事が前提になってるんだよ・・・

 

雪ノ下がこめかみに指を当て溜息を吐いた

「こんにちは一色さん」

由比ヶ浜はそんな雪ノ下を見て、たははと笑った後一色に挨拶をした

「やっはろーいろはちゃん」

 

「・・・あ、こんにちは~雪ノ下先輩、結衣先輩」

一色は雪ノ下の顔を見て挨拶を失念していたのを思い出したのか青い顔で挨拶を返した

 

「で、先輩どーなったんですか!?」

いや俺にも挨拶しろよ俺もしてねーけど・・・

俺は少し考え言った

「あぁもう終わったよ」

 

一色がほっとした顔になった

「良かった~じゃー先輩は川崎先輩と別れたんですね~・・・」

と言った後ハッとした顔になる

「勘違いしないでくださいね良かったって言うのは私より先輩の方が先に恋人が出来るのが有り得ない状況なのでそんなことにならなくって良かったって意味ですよ!?」

 

「いやそんなことは別にどうでも良いから・・・後残念ながら別れて無いからそんな有り得ない状況なわけだが?」

 

「別にどうでも良いってどういう・・・・・・え?はぁ!?別れて無いんですか?なんですかそれは、雪ノ下先輩達と立てた作戦とかはどーしたんですか!?」

鬼気迫る表情で俺に詰め寄る

「いや何お前怖いから・・・あの作戦はどーもなってねーから、はいはいこの話はこれで終り」

またもや一色がハッとした顔になる

「えーもーせんぱーいちゃんと教えてくださいよー」

袖を手に握り半分手を隠した状態で口元に持って行き上目遣いで俺に迫る

・・・いやいやいきなり思い出したかのようにあざといのを入れられてもなぁ・・・

 

その後も一色に問い詰められたが全て終わったで返した

 

 

 

 

 

ピピピピ・・・ピピピ・・・

携帯のアラームが鳴った・・・後5分・・・と思い携帯を手探りで探したのだが見つからない

 

ピピピピ・・・ピピピ・・・

えーい煩い・・・観念して布団から出ようとした時ふいに声を掛けられた

 

「おはよー八幡もう起きなよ」

いきなりの事にビックリして布団から出るとシュシュで髪を一つに纏めた見覚えある人物が俺の携帯を持ってニッコリ笑っていた

「・・・ああ、おはよっておい俺に連絡するって約束はどうした・・・」

 

ピピピピ・・・ピピピ・・・

俺は沙希から携帯を奪うとアラームを消した

 

「拒否られると思ったので今回もサプライズとさせて頂きました、テヘッ☆」

馴れない事をしたせいか沙希の顔が真っ赤になる

 

「うぜー、小町の真似すんな・・・そしてやった後照れんな、可愛いけど・・・いや小町の方が超可愛いけどな」

沙希がジト目で俺を見る

「シスコン」

「お前もだろ、さらにブラコンまである癖に」

 

「言ったじゃん私は・・・八幡の方が好きだよ」

沙希が頬を染めながら俺を見て微笑む

「くっ・・・」

その言葉でその笑顔は反則だろ・・・

 

「ふふ、これから二週間全力で八幡を振り向かせるから覚悟してよね」

それは清清しいそして沙希らしい笑顔だった・・・




この後沙希の二週間の猛攻に俺は陥落(おち)る事しか出来ないのであった・・・完



とかなんとかしてここで終りにした方が中途半端だけど綺麗な気がする・・・んだけど終りじゃないです
最後はgdgdになる可能性が大ですがまだ続きますので宜しくお願いします

あ、沙希はこの話の中心的ヒロインですが沙希に陥落(おち)るかどうかはまだ未定なので上の文章は気にしないで下さい(笑


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