人生やり直しますか? (無白)
しおりを挟む
人生やり直しますか?
学校に着いた。
いつもと同じように下駄箱の中から自分の上履きを取り出す。
早くしなきゃ、みんなが学校に来てしまう。
上履きを履き、目的の場所に行くため階段を上る。
登りなれたはずの階段なのにいつもと違うような違和感を感じた。
名前も憶えて無いクラスメイトとすれ違う。
あぁ、人とすれ違っちゃったな。まぁ、いいか。
なんとなくで通ってても年月というものは過ぎて行くもので、今日で二年生になる。
一学年上、新しい教室も一つ上。
僕の行くべき教室は2階だ。
しかし、そこには向かわず階段を上り続ける。
用があるのはこれから自分たちが一年間過ごす教室ではない。
用があるのは屋上だ。
スプレー缶でカラフルに彩られたドアを開ける。
休み時間はいつもここに居た。
夏の炎天下の日も、冬の大雪の日も。
目的の場所に辿り着き辺りを見渡す。
大丈夫、誰もいない
それもそうだ。本来、始業のチャイムは8時半に鳴る。今の時刻は7時15分、来てる生徒は少ない。今日が始業式のため朝練も一部の部活しかしてない、屋上に用のあるやつなんて僕くらいだろう。
「きっと、誰も見向きもしない。」
呟いてみた。
返事なんか来るわけない。
周りには誰もいないし、いたとしても僕の声なんか届かない。
それくらいの存在。
「はぁ、とんだ人生だったよ。」
何があったのかなんて語りたくもない。否、語る事なんか何もない。
中身が詰まっていないすっからかんの木の実みたいな人生。
熟れるほどの事をしてないはずなのにとっくに熟れてしまった。
あとは、落ちるだけ。
落ちるのが怖い?
怖くない。
もう、この人生には心底飽き飽きしている。
例えるなら、十回はクリアしたであろうRPGみたいなものだ。
未練は、ない
でも、一つ最後に無茶な叶うはずのないわがままを言えるなら。
「無理なのは分かってる、でも、もし神様みたいなこの世の理を超えた者が本当にいるなら、記憶は今のまま、これまでを省みて、人生をやり直してみたい。」
返事などある筈ない。
金属でできた網のフェンスをゆっくりと登りきる。
先程、怖くないと言ったが訂正。
怖い。
でも、もう疲れたんだ。
命を繋ぎとめていた糸が切れる音がした。
その時
「出来ますよ。」
澄んだ、とても綺麗な声が聞こえた気がした。
「なら、よろしく頼むよ。」
重力に任せ落下しながら吐き捨てる。
もう、すぐそこまで地面が近づいて来てる。
未練なんかないはずなのに、もうとっくに諦めてるくせに。
眼から涙が零れた。
「まだ、終いにしたくないな。」
その言葉も虚しく、頭に激しい衝撃。
それとほぼ同時に意識はブラックアウトした。
「人生やり直しますか?」
階段ですれ違った男の子に向けて問いかける。
こんな感じでいいんですかね、、、?
感想、修整、改善点、ぜひぜひお願いします!
もしかしたら、続く、、、かも?
目次 感想へのリンク しおりを挟む