ムシウタ~夢守る飛蝗~ (スーパー1)
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プロローグ

―貴方は、“虫”というのを知っているだろうか。

 

普通の虫と違うその“虫”は、人に取り憑き、力を与え、その代償として取り憑いた人の夢を喰っていくとされる存在である。政府は決してその存在を認めようとはしないが、確かにそれは存在している。そして、“虫”に取り憑かれた者達のことを人はそう呼び、怖れている。

 

“虫憑き”と―

 

 

「はぁ…眠いな…」

 

俺の名は『本郷隼人』 普通の中学二年だ。いや、今はだったがつくな。何故かって?それは―

 

カサッカサカサッ

「どうしたんだ?お前も眠いのか、『車飛蝗』」

 

つい先週、俺は“虫憑き”になったからだ。しかも同化型だ。“虫”には大まかに分けて、分離型、特殊型、同化型の三種類に分類されていて、俺の同化型はその中でも最も希少とされている。

 

「にしても、まさか『ムシウタ』の世界に転生するとはなぁ…」

 

そう。俺はいわば前世の記憶を持った転生者という奴なのだ。ムシウタは知っているが…その記憶を思い出したのは夢を喰われた後だったからな…無理やり付けられたんだが『疲れを消す能力』とかチート過ぎんだろ。その代わり原作知識は大まかなストーリーと設定、主要人物のこと以外消された様だが。

 

「どーすっかなぁ…こりゃ原作に関わるのは目に見えてるし…コイツがどんな能力かはだいたい調べきったしな…」

 

どうやら俺の“虫”、“車飛蝗”は衣服に同化する様で、シャツ類や上着、ズボンどころか、パンツといった下着まで、今着ている服は纏めて1つの衣服として同化している。ちなみに手袋や靴下、ヘルメットも同様だった。例えるなら強化スーツといった所だ。身体能力は鉄骨を拳一発でへし折れる位になっていた。能力と合わせたら“かっこう”相手でもタイマンで勝てる可能性あるぞこれ…

 

「いっそのこと乱入して大暴れしてやろうかな…」

 

と、物騒な考えが出てきた、その瞬間…

 

ドガアァァァァン…

 

「ん?何の音だ?」

 

そう俺は呟きながら、音の鳴ったと思われる方向に行った。いや、行ってしまったと言うべきか。あの時行かなければ、原作に関わることは無かったのに。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「はぁ、はぁ、ううっ…」

 

何で、こんなことになったんだろう…

 

「居たぞ!!あそこだ!!」

 

「っ、早く、行かなきゃ…」

 

「もう逃げられんぞ!」「よくも仲間を!!」

 

もう、ダメだ…私も、私の“虫”も、もう戦う力が残って無い…

 

「ごめんね。約束、守れそうにないよ…『真由』…」

 

ドゴオオオオォォォォン…

 

「!?な、何の音だ!」

 

ドカッ

 

「ぐあっ!」

 

それが、私と彼との出会いだった。

 

「…大丈夫か?」

 

彼はその時も、黒い仮面を被っていて、

 

「…は、はい…」

 

でも、私にとっては、白馬の王子様の様だった。

 

「き、貴様、何者だ…」

 

彼はずっと、敵に対してそう名乗っていた。

 

「…『Hopper』。『Hopper』だ。」

 

『Hopper』、と。

 

 

 

 




初めまして、スーパー1です。駄文ですが宜しくお願いします。


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第一話

隼人side

 

「ふあーぁ…おい、早く起きろお前らー!」

 

あいつとの出会いから一年。俺はいつもの様に朝飯を作っていた。

 

「おはようございます。隼人さん…」

 

「おはよー、隼人…」

 

あれから俺は、この二人と暮らしていた。敬語の奴は『天道 ひより』一年前に助けたあいつだ。そしてもう一人は『緑川 真由』二人とも“虫憑き”で、どちらも中々に強い能力だ、ひよりを助けた時、特環に捕まってしまい、珍しい能力であるが故にどうなるか分からないから助けて欲しいと頼まれた。それから数日後に連れて帰った時には二人とも何が起こったか判らないって顔してたな。

…え?どうやって連れて帰ったかって?真っ向からカチコミかけただけだ。特殊型と戦った時はヤバかったが、まさか特殊型に触れる能力が使える様になるとは…

ちなみに特環とむしばねからも『Hopper』と呼ばれる様になった。まぁそう名乗ったんだから当然か。

 

「顔洗ってちゃんと目ぇ覚ましてこい。もう出来るから。」

 

「「はーい…」」

 

にしても、二人とも大分馴染んだな…最初はひよりはビビってばかりだったし、真由からは警戒されてたからな…まぁ、“虫憑き”は迫害される奴がほとんどだからな。

 

「よし、これで完成っと…」

 

さっきも言ったが、朝飯、というか朝に限らず飯は俺が作っている。二人は“虫憑き”になる前は料理経験は無く、“虫憑き”になって家から追い出された後はずっとインスタントや出来合いのもので済ましていたらしい。俺も料理を教えているんだが、二人にとっては俺の飯の方が美味いらしく、いつの間にか俺が食事当番になっていた。俺の親?小学二年の時交通事故で死んだよ。

 

「…やっぱり隼人さんって女子力高いですよね…」

 

「んなことねえって。一人暮らし長いことやってりゃこん位出来るようになるさ。」

 

「いや、和・洋・中華どれも一通り作れる人なんてそうそういないよ?」

 

「まぁ凝り性だからな。そんなことより早く食おうぜ。」

 

「凝り性処じゃない気がするが…」

 

俺の場合それプラス前世の知識と技術があるからな…

 

~~数時間後~~

 

「ちょっと出掛けてくる。」

 

「あれ、また本でも買いに行くの?」

 

「あぁ。何か欲しい物とか有ったらついでに買いに行くけど…」

 

「うーん、私は特に無いですね。真由は?」

 

「あたしも無いよー。」

 

「わかった。んじゃ、行ってくる。」

 

「「行ってらっしゃい。」」

 

~~少年移動中~~

 

(あ、最新刊出てるな。買っとくか。)

 

俺は前世の頃から本を読むのが好きだ。それこそ某吸血鬼漫画の少佐みたいに語れるぐらいには…

今は…11時か。早く帰るか。

 

 

 

「待て、本郷隼人。」

 

 

 

「…誰だよ、お前。」

 

「『むしばね』の者、とだけ言っておこう。少し付き合って貰う。」

 

「嫌だ、と言ったら?」

 

そう言った瞬間、奴の“虫”らしきものがいきなり攻撃してきた。俺はそれをギリギリで避ける。

 

「力ずくだ。」

 

「ふーん。力ずく、か…」

 

面倒だが…殺るか。

 

「行くぜ…『変身』!!」

 

俺はそう言いながら、ヘルメットを付ける。それと同時に服に同化していく俺の“虫”。その姿は、俺が前世の頃好きだったあるヒーローに似ていた。

 

「ふん、やれ。」

 

言うが早いか、奴の“虫”(恐らくトンボ)から何かが発射された。

 

「うおっ!何だコレ!」

 

「俺の“虫”は体当たりだけじゃない。羽を高速で動かす事で真空の刃を飛ばすことが出来るんだよ!」

 

…ご丁寧に説明してきたぞこいつ…

 

 

 

「ま、だからなんだって話何だが。」

 

グシャッ

 

 

 

「…え?」

 

うん、やっぱり呆然としてる。まぁ、当然か。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自分の“虫”が一瞬にして潰されてるんだから。

 

「どう…やっ…て…」

 

「ご生憎様、あんたレベルならもう慣れてんだよ。」

 

こちとら一時期『むしばね』、『特環』両方の一号指定相手にしてた頃も有ったんでな…

 

「はぁ…早く帰って寝よ。」

 

そうして、今日がまた終わる。

そしてこの日常も終わり、原作に巻き込まれていくこととなる。

 

俺はこの時、あんな事になることも知らず…




何か短いなぁ…


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