ハイスクールD×D 邪神に拉致された元普通の高校生 (真庭猟犬)
しおりを挟む

第0章 異世界渡りの邪神系ドラゴン
主人公のステータス


とりあえず主人公の設定です。


名前:呉羽翔悟(くれはしょうご)

 

性別:男

 

年齢:(拉致される前)18➔(拉致されてトリップした後)6(二年生勢と同じ)➔(原作開始時)17

 

種族:元人間。現在は邪神の力を持つドラゴン(勝手に改造された)

 

容姿:黒髪黒目(髪型はゼロ魔のサイトを参照)。原作『ハイスクールD×D』の世界基準で上の中くらい。

 

身長:178cm

 

性格:娯楽主義な所があるが、基本は面倒見が良い。境ホラ梅組メンバー並の外道

 

神器:『数え切れぬ負の遺産(ネガティブクリエイト)』(怒りや絶望等を糧として過負荷(マイナス)に匹敵する武器や能力を創る神器。邪神の波動によって覚醒した)

常識破りな邪神龍の遊び(カオスティック・ワンダーワールド)』(翔悟のドラゴンとしての力を抑えた状態(それでもグレートレッド・オーフィスと同等の強さ)の時のみ使える神器(もどき)。相手の神器、能力をコピーし、好きなように改良して自分の神器として具現できる能力を持つ)

 

学年:私立駒王学園二年

 

所属:オカルト研究部

 

ポジション:(キング)

 

備考:邪神(ニャルラトホテプ)に拉致+改造されてハイスクールD×Dの世界にトリップした元普通の高校生。

トリップして早々に姫島母娘が襲撃される瞬間に立ち会い、八つ当たり気味に襲撃者全員を一掃して拉致したニャルラトホテプを『数え切れぬ負の遺産』で創った能力と武器のオンパレードでボコボコにした(ニャルラトホテプ曰く邪神でも恐怖を感じる程の狂気と怒りを持っていた)。

姫島家に居候の身として住んでおり、家事や料理のスキルは高い。

アザゼル曰く、チートの塊。

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を元に『常識破りな邪神龍の遊び(カオスティック・ワンダーワールド)』で創った覚醒の駒(エクシーズ・ピース)で仲間を作っており、レーティングゲームに参加できる様になっている(魔王の許可が必要。ある兵士とのコンビは禁止されている(四大魔王曰く、リアル無理ゲーになるため))。

原作では下衆だったディオドラの性格を改変させ、親友にさせた事を皮切りに、原作キャラを原作とは違う状態にさせている(例としてディオドラは性格が改変され、翔悟にやや近い性格になっている)。自分専用の神器でディオドラと共に並行世界や異世界を巡っており、仲間の大半がその世界の住民である。

性格なのか友好的なドラゴンであるか解らないがやたらと子供に懐かれやすく、魔界に来る度に子供に囲まれる光景を目撃される。

禍の団(カオス・ブリゲート)から第一級警戒人物と認識されている。

自分自身の力の危うさと規模を自覚した上でどう使うかを決めており、須弥山の帝釈天、アースガルズのオーディンを中心とした神々からどう成長するか期待されている。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邪神龍参上

プロローグです。


あー、どうも初めまして。

元人間、現ドラゴンの呉羽翔悟(くれはしょうご)と言います。

まぁ、ドラゴンになった原因は・・・

 

 

「イダダダダダダ!!! ちょ、ちょっと待ってストップってギャアアアアアアアア!!」

 

 

現在進行形でぼっこぼこにしてますが。

つうか、勝手に拉致して改造したのが邪神ならよほどの事がない限り死なないし、もし死んだとしても邪神だから法に捕まらないから平気だろ。

 

 

「こわっ、めっちゃ腹黒「ふん!」ブゲゥ!?」

 

 

色々とうっさいから踏んで黙らした。

数十分前までごくごく普通で充実した学生生活を送ってたのに、こいつのせいでリセットされたからこれぐらいの仕打ちをしても問題ないだろ。

 

 

「少しいいかい?」

 

「あー、ちょっと待ってください。『無限の重火器(ジェノサイド・ジャック)』!!」

 

 

少し前に俺が助けた母娘の夫にと思われるい羽を生やした男性に声をかけられた。

俺は少しだけ待ってほしいと言い、『数え切れぬ負の遺産』で創った怒りを糧とする過負荷(マイナス)の神器を邪神に向けた。

 

 

「く、くくく呉羽さん? そ、その大量の重火器って・・・」

 

「死ね」

 

 

顔を真っ青にした邪神に対し、死刑宣告と共に銃弾・ミサイル・爆弾の嵐を放つ。

邪神の叫び声を聞いてスッキリしてから男性の方を向いた。

ちなみに発射する前に周囲のダメージを全て押し付ける能力『呪いの藁人形(ダメージ・ドレイン・リバース)』を使ったので周囲の環境は壊れていない。

 

 

「ふう。さて、用件は何ですか?」

 

「そうだったね。それじゃあ・・・」

 

 

話を聞くと、男性の名はバラキエル。俺が助けた母娘は姫島朱璃と姫島朱乃。

俺がよく読んでたライトノベル、『ハイスクールD×D』の登場人物だったので、俺は『ハイスクールD×D』の世界に拉致されたって事と原作では亡くなっていた朱璃さんを助けていた事がわかった。

俺は自分自身の事と異世界から拉致された事、この世界が俺の世界ではライトノベルである事を全て話した。

 

 

「・・・翔悟君。俺達の家に居候として住んでみないかい?」

 

「はい?」

 

 

バラキエルさんの申し出に一瞬思考が追いつかなかった。

居候? え、マジで?

 

 

「えーと、いいんですか?」

 

「ああ、君は信頼できるし、何より朱璃と朱乃を救ってくれたからね」

 

「・・・」

 

 

まあ、考えれば家がないし、人間じゃなくなってるしなぁ。

ここは素直に好意に甘えますか。

 

 

「わかりました。これからよろしくお願いします」

 

「こちらこそ」

 

 

ちなみに体が縮んでいるのを指摘され、確認してら本当だったので邪神に螺子をぶっ刺した。




襲撃者達を倒した時


「貴様、何者だ」

「何者ねぇ、拉致されてドラゴンに改造された元人間だゴラァッ!!」

「「「「「「ギャアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」」」」」」


八つ当たりで襲撃者を全滅(龍の力と『数え切れぬ負の遺産で圧倒)した元人間だった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

何時もの日常と新たな出会い

どうも、元人間の呉羽翔悟です。

ドラゴンとしての名を考えてみて決めてみました。

名は『混沌の邪神龍(ナイアール・ドラゴン)』。改造した邪神がニャルラトホテプなので、別表記のナイアーラトテップを参考にしてみたが、意外としっくりしていた。

 

 

「翔悟君。お砂糖取ってくれる?」

 

「はい」

 

「ありがとう」

 

 

今じゃ姫島家に居候して早二年、あれから襲撃者はすっかり来なくなり、落ち着いた状態になった。

朱乃(生活しているうちに自然と呼び捨てになった)も毎日笑顔でいてくれてる。襲撃者をぶっ飛ばしてよかったなと思える日々だ。

俺は魔力の向上とドラゴンの力のコントロール、神器を使いこなすためのトレーニングをこなしたり、朱璃さんから料理を学んだりして過ごしている。

今日は朱璃さんの得意料理、肉じゃがの作り方を朱乃と共に学んでいる。

 

 

「ただいま。いい匂いがしてるね」

 

「お帰りなさい、あなた」

 

「お父様、お帰りなさい」

 

「お疲れです、バラキエルさん」

 

 

これがこの世界でのごく普通の日常で、温かい家庭での幸せ。

だからこそこの日常を守りたいといつも思う。

 

 

「頑張らないとなぁ」

 

「期待しているよ将来の息子君」

 

「うぇっ?!///」

 

「/////」

 

「あらあら、二人とも顔が赤いわよ」

 

 

この夫婦の突拍子な言葉には耐性ができてないけど。

 

 

 

 

 

 

「さって、今日もやるか」

 

 

神社から遠く離れた場所にある木や草が一切生えてない広場でトレーニングを行う。

龍としてのスペックが高すぎるので、ほぼ毎日ここで使いこなせるようにしているが、『常識破りな邪神龍の遊び(カオスティック・ワンダーワールド)』で創った神器のパワーの調整が課題になっている。

バラキエルさんの雷と光を基にした神器『瞬迅雷光(ライジング・ソニック)』は送り込む魔力の調整をちゃんとしないと勝手に放電したり、移動時のスピードが出すぎたりする。

今ではまともになってきたが、初めての時は感電したり、結界に突撃して肉片に化したりした。

あらかじめ『数え切れぬ負の遺産』で『大嘘憑き(オールフィクション)』を創っておいてよかったと思う。

 

 

「『瞬迅雷光(ライジング・ソニック)』発動!!」

 

 

神器を足に展開する。

瞬迅雷光(ライジングソニック)』は全体が黒く、白のラインが走っているローラースケート型の神器。元ネタはサ〇デーの天〇人の主人公のやつだ。

 

 

「GO! ってうおわっ!?」

 

 

やっべ、魔力込め過ぎたって・・・

 

 

「見たことねえ場所に来ちまった」

 

 

うーわー、人間じゃ天国の扉開けてるスピード出しちまった。

ドラゴンであって良かったな。

 

 

「ん? あっちでなんかもめてんのか?」

 

『・・して』

 

「あんまよくない状況だな。ちぃとお節介しますか」

 

 

声を頼りに移動する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「白音を放しなさい!!」

 

「ふん、だったらおとなしく俺の下僕になりな」

 

「くっ・・・」

 

「お姉ちゃん・・・」

 

 

なんだろ、一部の映画やドラマの展開な状況。

まあ、助けますか。

 

 

「ライトニングキーック!」

 

「ゲバァアアッ!?」

 

「「!?」」

 

「っし、決まったぜ」

 

 

不意打ちとはいえ、見事に決まると清々しいな。

 

 

「この、人間風情が俺に「グルアアアァァァ!!!(ドラゴンの姿(大きさは調整している)になった)」ど、ドラゴン!?」

 

「ふん、外道のくせにドラゴンに喧嘩売るとは・・・、死は覚悟しているか?」

 

「な、なぜだ!? なぜドラゴンがここに!?」

 

「この二人は俺の仲間だ。貴様ごときがどうこうする者ではない(おい、俺にあわせろ)」

 

「(わかったにゃ)もう、遅すぎるにゃ」

 

「悪い。さて、俺の仲間を脅迫したんだ。もがき苦しむか、痛みを感じずにあの世に逝くか。どちらを選ぶ?」

 

「・・・・・・・」

 

「ん?」

 

 

なんか面倒な予感が・・

 

 

「・・・ヒヒ」

 

「「?」」

 

「やべ、狂気に染まりきってる」

 

 

攻撃した時に邪神としての気を中てちまったか。

しかも(ドラゴン)に対する恐怖で加速したみたいだし、こいつはもうダメだな。

 

 

「ヒヒヒ、ヒヒャハハハハハハハハハ!!!!」

 

「「!?」」

 

「はあ、終焉の雷!!」

 

 

見るに耐えないので雷を落として殺した。

もし生きていたとしてもまともに生きることは無理だしな。

 

 

「悪かったな。醜いもの見せちまって」

 

「にゃはは、大丈夫にゃ」

 

「わたしも」

 

 

一応人の姿に戻る。

さすがにドラゴンのままじゃ色々と不便だし、騒ぎになりかねないからだ。

 

 

「俺は呉羽翔悟。元人間のドラゴンさ」

 

「私は黒歌。猫又にゃ」

 

「白音です。お姉ちゃんと同じ猫又です」

 

 

姫島家の次は猫又姉妹か。

また原作ブレイクってわけかなこりゃ。




黒歌&白音を出しました。
次回は翔悟のドラゴンとしての能力をだす予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邪神龍と猫又姉妹の旅 その①

主人公と猫又姉妹を連れて姫島家に戻るまでのストーリーです。
三部作となっています。


「分体解放っと」

 

「キュイー!」

 

 

邪神龍(俺)を見て精神がぶっ壊れた悪魔を殺し、黒歌と白音の自己紹介を済まして3分後。

俺は黒い雷の体の幼龍の分体を出していた。

ドラゴンとしての力を抑えた時に出現する神器もどきは能力をコピーして改良したものを神器として出現させるものだが、ドラゴンとしての元々の力の一つは『ネロ・カオス』の『獣王の巣』に似たもので、体内から分体を使い魔として召喚できるものだ。

分体が倒されても俺の元に戻るが、体の一部を鉱石などをベースにしたものの場合、落ちた鉱石などはそのまま落ちている。

このことを俺以外で知っているのは姫島家と2、3名の堕天使、黒歌と白音だけだ。

姫島家にも一応数体守護獣として置いてある(バラキエルさんが不在の時にまた襲われないようにするため)。

 

 

「姫島家まで飛んでこい」

 

「キュイー!」

 

「ほんとに便利にゃね、その能力」

 

「歩くチートの塊と言われてる所以の一つだからな。あと、分体を使っての連絡も可能だ」

 

 

使えるようになったのは1年と2か月前だが、ほんとに便利すぎる。

過去や現代の偉人、開発者とかに喧嘩売ってるようなもんだし。

 

 

「んじゃま、移動するか。この場にいてもしかたねえし」

 

「そうね」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

「ガッハッハッハ!! ヌシが龍とはな! 妖怪として長く生きていたが、ヌシみたいな面白い存在は初めてみたわい!!」

 

「それはどうも」

 

「・・・『片角の道元』さんに認められるにゃんて。翔悟は凄すぎにゃ」

 

「・・・うん」

 

 

旅の途中、山で豪快な酒呑童子のおっさんと会い、力比べをして勝ったらえらく気に入られた。

おっさんはかなり有名な妖怪らしく、猫又姉妹は俺が勝ったのをみて唖然としていたらしい。今も同じだが。

で、今は酒を飲み、鹿肉や山菜を食べている。

 

 

「ワシが負けるのは久々じゃが、元々は人間とはのう」

 

「迷惑極まりないやつにいじくりまわされたのでね。今ではこの事実を受け止めてるし、守りたい者達のために龍の力を使うつもりだ」

 

「いいのう、実にいい心構えじゃ。ヌシのような者は久々に見たわい。名はなんじゃ?」

 

「呉羽翔悟。邪神の力を持つ龍さ」

 

「翔悟か。ワシは道元。仲のいいもんからはゲンと呼ばれておる。ぽけっとしとる猫又の姉妹もそう呼んでも構わん」

 

「にゃっ!? は、はい!!」

 

「・・・」

 

「まあ、少しずつ慣れていきな」

 

「そうじゃぞ」

 

 

それから三日間はゲンさんの手伝い(狩りや幼い妖怪達の遊び相手など)をし、俺達は山を降りた。

ちなみに黒歌と白音は手伝いをしていくうちにゲンさんと普通に話せるようになった。




次回は教会関連者のオリキャラと遭遇します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邪神龍と猫又姉妹の旅 その②

オリキャラが3人登場します。


猫又姉妹の旅編は3部作の予定でしたが、いくつか増加します。


旅を続けて早20日。

ゲンさんの領域である山を下りて、1週間。

俺達は陰湿な空気が漂う古びた屋敷に着いた。

 

 

「・・・(血? いや、この臭いは別の何かか?)」

 

 

屋敷に着いた途端に血に近い変わった臭いが嗅覚を刺激した。

明らかに何かがあると思わせるほどに。

 

 

「どうしたのにゃ?」

 

「二人は何か変わった臭いを感じないか?」

 

「? 全然にゃ」

 

「私もです」

 

「そうか。じゃあ、この中に変わったナニかがいるのか?」

 

 

思ったことを口にすると、殉職者の服装をきた青年とアルビノらしいオオカミが屋敷の玄関から出てきた。

 

 

「ナニかではないですけどね」

 

「オン!」

 

「エクソシストか・・・」

 

「はぐれ悪魔や度が過ぎた魔物等を討伐するのが仕事ですけどね。今の状態では違いますが・・・」

 

「と言うと?」

 

「僕達は特殊な結界に閉じ込められたみたいなんですよ」

 

「なるほどな。この変わった臭いも結界の魔力ってわけか」

 

「にゃ? どういう意味?」

 

「さっきの質問で変わった臭いを感じないかと言っただろ。屋敷に着いた時点で結界の中に閉じ込められたんだ」

 

「兄さんが感じた臭いってこの結界に維持するために使われている魔力だったんだね」

 

「ああ。そうなるな」

 

 

しかし、どうやってここから出るかだ。

ヘタに神器を使うのは得策じゃないし・・・。

 

 

「この結界を張っている者を倒すしかないね。おそらく、この屋敷のどこかにいるはずですよ」

 

「だけど、普通に探しても時間がかかるし、体力が持つかにゃ?」

 

 

黒歌の意見はもっともだ。

普通に探しても時間と体力を無駄に浪費してしまう。

 

 

『それなら私にお任せください!』

 

 

ん? なんかどっかで聞いた声が。

 

 

「こちらです、御三人」

 

 

声の方向に顔を向けると、蝋燭をもった執事みたいな小さい幽霊がいた。

 

 

「にゃ? 幽霊?」

 

「…かわいい」

 

「私、この屋敷の執事を務めておりましたセバスチャンと申します。ランスロット様とジャック様にこの屋敷に住みついている悪いゴーストの浄化をさせてもらってたのですが・・・。何分数が多すぎて」

 

「このコンビでも対処しずらくなって一時撤退ってわけか」

 

「おっしゃるとおりです」

 

「さすがに2対350000は無理だよ」

 

「その数って雑魚のチビゴーストの群れか?」

 

「いや、ボクシング選手みたいなタイプと炎の塊みたいなタイプの群れだったよ」

 

 

ストロン・ブーとファイ・ブーかよ。

特にファイ・ブーは物理が効かねえし、氷系は持ってねえぞ。

 

 

「チッ、めんどくせえのが混じってんのか」

 

「翔悟はなにか知ってるにゃ?」

 

「まあな。炎の塊みたいなのは【ファイ・ブー】ってゴーストで物理技が一切効かねえ。あと、ボクシング選手みたいのは【ストロン・ブー】。攻撃が他のゴーストより上のゴーストさ」

 

「なるほどね。他にもそういったゴーストはいるのかな?」

 

「氷を纏ったゴーストの【サ・ブー】と厚い脂肪を持つゴーストの【デ・ブー】以外なら普通の攻撃で十分倒せるな。【サ・ブー】には炎系、【ファイ・ブー】には氷系の術とかあれば倒せるが、あいにく持ってないんだよな」

 

「さすがにそれらの術はないですね」

 

「私達もないにゃ」

 

「氷と炎なら屋敷のなかに魔術の砲台があったはずです!」

 

「なら【ファイ・ブー】と【サ・ブー】は砲台を見つけるまで戦闘は控えて、ほかのゴーストは倒していくってやり方でいいか?」

 

「問題ないよ。今はこれが最善の策だと思うからね」

 

「オッケーにゃ」

 

「はい」

 

「オン」

 

一応方針は決まったな。

攻撃的なゴーストが集団で襲いかかるとかがない限り大丈夫なんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ブモオォォォォォ!!!!』

 

「重・・・!」

 

 

大砲を探してる途中、元は人形のミノタウロスとエンカウントした。

入口でフラグを立てたかもしれないなこりゃ。

 

 

「こいつは俺が倒しておくから、みんなは大砲を見つけといてくれ!」

 

「わかった。呉羽君も気をつけて!」

 

 

こいつを動かしてる魔力、どうも嫌な感じがする。

人の感情をそのまま魔力に反映さしてるみたいだな。

 

 

「術者が人間かは悪霊の類か知らねえが、ぶっ飛ばしてもらうぜ!」

 

 

半龍(龍人)化してミノタウロスの顎をアッパーで打ち上げる。

パワーが人間の時より遥かに強化されていたので、ミノタウロスはぶっ飛び、床に落ちた後、元の姿らしき人形に戻った。

 

 

「ほんっとチートだよな、俺」

 

 

軽く自分自身の能力の高さに呆れていると、背後の気配を察知し、振り返る。

 

 

「ミノタウロスを一瞬で倒すなんて、お兄ちゃんはスゴイね」

 

 

そこには見た目は純粋無垢だが、裏にとんでもない闇を隠しているような笑顔を浮かべた少女がいた。




教会側のオリキャラのステータスは後程出します。


半龍モード時の容姿は手から肘、足から膝までが混沌の色合いの鎧に似た状態(龍そのもの)になり、頭部は龍の頭をそのまま甲冑っぽくしたものだと思ってください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邪神龍と猫又姉妹の旅 その③

「お兄ちゃんはスゴイね」

 

「(ミノタウロスを操ってた術者か・・・。過負荷(マイナス)側っぽいが、操られているみたいだな。)一つ聞くが、お前は何者だ?」

 

 

「アハハ。私はリネットだよ。お兄ちゃんは何て言うの?」

 

「呉羽翔悟」

 

「翔悟お兄ちゃんか・・・。ねえ、お兄ちゃん。私と遊ぼう」

 

「(殺気。こいつ殺る気だな)いいぜ。遊んでやる」

 

「アハハハハハ!! いくよ! 殺戮と呪いの人形劇(マサカー・パペット・ショータイム)!!」

 

 

リネットが両手を左右に振るとさっき倒したミノタウロスと同じ雰囲気の元々は人形のモンスターが13体現れた。

 

 

「これが私の神器、殺戮と呪いの人形劇(マサカー・パペット・ショータイム)!! さすがのお兄ちゃんも1対13は無理でしょ!!」

 

 

そう言うと同時にモンスターが襲い掛かる。

 

 

「アハハハハハハ!! 死んじゃえー!!」

 

「オラァッ!!」《ドゴゴゴゴゴゴッ!!!》

 

『ギャアアアアアアアアアアッ!!!!!』

 

「………え?」

 

 

今の流れを簡潔に説明すると…

 

モンスターが俺に襲い掛かる。

半龍モードなので、人間時より動体視力と身体能力が遥かに強化されているのでモンスターの動きが止まって見える。

一気に加速して一体ずつ殴り飛ばしてもといた位置にもどる。

リネット茫然。

 

ってわけだ。

チートの塊と言われた俺ならこれぐらいは余裕だ。

 

 

「え? え? な、なんで…?」

 

「遅すぎ。俺に一撃入れたいなら神の武器を用意しな。もっとも、亜音速くらいのスピードはほしいがな」

 

「う、うううううううう」

 

 

ありゃ、涙目だ。

勝利を確信したと思ったら撃退されてダメだしだもんな。プライドを打ち砕いちまったか。

 

 

「で、どうすんだ? 言っておくが、この半龍時でも本気の半分ぐらいの力があるし、俺には無限とほぼ変わらない数の神器や武器を所持しているからな」

 

「…勝てない(ズーーーーン)」

 

「翔悟ー、大丈夫にゃ、って何この状況?」

 

 

あ、黒歌達が戻ってきたか。

こいつ(リネット)は尻尾で捕縛すっか。

 

 

「フムッ!? ムムムーーーーーーーー!!?」

 

 

俺の龍としての尻尾というより体全体は色んな物に変化できるので、ご都合主義な物質にも変化可能だ。

今回は尻尾を伸縮自在、斬れず痛覚はない上に大きさを変えることができるものにした。

チート万歳だ。

 

 

「んじゃま、特殊ゴースト達の討伐といきますか」

 

『オーーーーーー!!』

 

「ムーーーーーーー!!!!」

 

 

約一名がうるさいが無視だ。

 

 

 

 

 

 

 

「メガトンパンチ! ファイアー・ブレス! アイス・キャノン!」

 

「ハアッ!」

 

「ガウッ!」

 

「食らうにゃっ!」

 

「そこっ!」

 

 

ファイブーやサ・ブー等、特殊なゴーストは俺が担当し、残りのゴーストは黒歌達が担当して屋敷内を探索していく。

大砲は体内に取り込んで俺の能力の一つにしておいた。

車輪はあるけど結構重いのでこうした方が楽なのだ。

そんなこんなで進んで行くと―――

 

 

「…………」

 

 

異様な魔力を持つ三つ目のゴスロリ少女がいた。

禍々しい魔力の中に別の魔力がある。

おそらく、【マスター・ブー】に操られてるな。

 

 

「セバスチャン。あの子は……」

 

「ワタシがお使いしていたお嬢様です。しかし、なぜ悪いゴースト達の方に…」

 

「あのお嬢様の魔力に別の魔力があった。多分、黒幕の駒として操られてるな」

 

「そんな!?」

 

「気をつけて! 何か仕掛けてくるよ!!」

 

「「「「!!」」」」

 

「殺れ!」

 

『グオオオオオオオオォォォォ!!!!』

 

『HAHAHAHAHA!』

 

 

お嬢様が原作と同じ人形を二つ取出し、叩きつけるとフランケンとドラキュラが姿を現す。

リネットの時とは魔力の量が違う。こっちの方に魔力を注ぎ込んだようだ。

現にあれほどムームー唸ってたリネットがクタッと力が抜けている。

 

 

「フランケンは俺がやる! みんなはドラキュラの方を頼む!!」

 

『了解!』

 

「(セバスチャン)」

 

 

フランケンに殴り掛かりながらセバスチャンに念話をする。

コレはゲンさんの山に住んでいた一風変わった妖怪から教えて貰った能力だ。

 

 

「(なんでしょうか?)」

 

「(俺の分体をいくつか出すから、あのフランケンに電気を送っている機械を見つけて壊してくれ)」

 

「(やはり、あの怪物には機械が混じっているのですね)」

 

「(元々は人形とはいえ、アイツは人造人間みたいなもんだからな。俺が応戦して弱らせておくから機械の方を頼む)」

 

「(わかりました。お気をつけて)」

 

「(ああ)さあて、邪神龍の狂気的な娯楽の始まりだ!!」

 

 

ある程度は耐えろよな、ポンコツ。




次回、ボスラッシュと屋敷の戦いの終焉です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邪神龍と猫又姉妹の旅 その④

ボスラッシュ回ですが、屋敷での戦いはまだ終わりません(一つに纏めたらかなり長くなりそうなので)。


ランスロット視点

 

 

『HAHAHAHAHAHAHA!!!』

 

「クッ、4対1でも厳しいとはね。あの子を操っている黒幕の魔力がスゴイのかあの子自体の魔力がスゴイのか分からないけど」

 

「そんなのはどうでもいいにゃ!!」

 

「喋る余裕はありません!」

 

「ガウガウッ!!」

 

 

だよね。

僕も切り札を使ってもなお不利だし。

どうしようかなと思ってると、魔法でできた球体が迫ってきてたので跳ね返す事にした。

 

 

「おっと、お返しだ!」

 

『(ドカン!)NO!』

 

「効いた?」

 

「分かったにゃ! あいつは自分の魔力に弱いんだにゃ!」

 

「それならカウンター重視でいこう! 僕が跳ね返すから分裂したところを狙って!」

 

「なんでにゃ?」

 

「吸血鬼は複数の蝙蝠に分裂する能力を持っているんだ。あの人形もその能力を持っているなら分裂した時に偽物と本物に分裂するはず…。その時に本物を攻撃すればいつか倒せるはずだ!!」

 

 

人形が分裂するタイミングは僕達には分からない。

多分、攻撃を跳ね返して続ければいいはずだ。

 

 

「僕達が勝つには今の方法しかない。あの子を救う為にも絶対勝とう!!」

 

「あったりまえにゃ!」

 

「はい!」

 

「オン!」

 

『HAAAAAAAAAAA!!』

 

 

ここからが正念場なんだ!

勝たせてもらうよ!

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「ほらほら。立ってみろよ、ポンコツ」

 

『ガ……ガガ……ガ』

 

 

半龍モードのままだったから一方的なジェノサイドゲームみたくなっているが、フランケンは未だに倒せていない。

やはり電気(エネルギー)の供給を止めない限り人形に戻らないようだ。

 

 

『ガアアアアアアアアアアアア!!!!!!!』

 

「(ガンッ!!)イダァッ!?」

 

 

考え過ぎて防御が疎かになっちまったな。

鉄骨が地味に痛い。

 

 

「はーあ、邪神の力を持っても強いとかそういうもんじゃねーもんな。鍛えていても真の最強には遠すぎるものだな」

 

 

さて、セバスチャンとみんなはどうなってんやら。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

セバスチャン視点

 

 

「翔悟様の予想通りでしたか……」

 

『排除スル。排除スル』

 

発電機の場所にたどり着きましたが、発電機そのものが機械の蜘蛛の姿をした魔物でした。

この事を危惧でいたでしょう、私と共に行動した翔悟様の分体が威嚇しています。

 

 

『排除!』

 

「うわあっ!」

 

 

電撃を放ってきましたのですぐに回避しましたが、私がいた場所には大きな穴が開いていました。

もし当たっていたなら消滅は免れませんね。

 

 

『(くいくい)』

 

「どうかしましたか?」

 

『クエー』

 

「指示、ですか? 私でよろしいのですか?」

 

『クエッ!』

 

 

その目は翔悟様と同じ強いものです。

お嬢様を救う者の中に私が必ず入っていると示唆しているみたいですね。

 

 

「分かりました。このセバスチャン、貴方方をサポートさせてもらいます」

 

 

絶対勝ちましょう。

お嬢様を、皆を助けるために。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

ランスロット視点

 

 

『NU,NUUuuuuu』

 

 

戦いを初めて大分経って弱らせてきたけど、こっちも疲労とダメージが積み重なってきてしまった。

エクソシストとしての仕事の方がまだマシと思えたのは初めてだよ。

 

 

無毀たる湖光(アロンダイト)!」

 

 

魔剣としての属性を持った宝具の真名を解放する。

これ以上は時間を掛けるわけにはいかないからね。

 

 

「これで、終わらせる!!」

 

『Dead End!!』

 

 

互いに攻撃を繰り出す。宝具からでた光とドラキュラの魔法がぶつかりあい…

 

 

『What!?』

 

 

光が魔法ごとドラキュラを飲み込んで消えた。

警戒しつつその場を見ると、人形の形をした灰らしい物が崩れていった。

 

 

「……はは、やっと終わった(バタン)」

 

 

宝具を使ったのと今までの疲労感があふれ、床に倒れる。

皆も同じみたいで呼吸が若干荒い。

 

 

「キツ…過ぎ………にゃ」

 

「…動くのが、辛い、です」

 

「ガウ……」

 

 

呉羽君達はどうなってるかな。

多分心配する必要はあまりないと思うけど。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

セバスチャン視点

 

 

『排除スル! 排除スル!!』

 

「電撃を回避したら右側の真ん中の足に攻撃してください!! イーグルさん! ミサイルが追尾しています!」

 

 

翔悟様の分体(鷹・狼・空を飛ぶ鯱の3種類)に指示しながら敵の魔物の様子を見ていますが、あの魔物は古いゴーレムと同じようにコアが埋め込まれているようです。

体が機械など何かしらの物質でできた魔物でも一定のダメージを負えば死に至るのですから。

 

 

『!? クエーッ!!』

 

「え? うわーっ!?」

 

 

イーグルさんの鳴き声で電撃に気付いて避けたのはいいですけど、床に穴が開き、その周りが灰と炭になっていました。

もし気づかなかったらこの世から消滅していたかもしれません。

 

 

「助かりました。オルカさん(鯱型のこと)、胴体に一回だけ攻撃してください!」

 

『シャアアアッ!(ガキッ)』

 

 

オルカさんが牙で抉った所に赤い球体がありました。おそらく、アレがあの魔物のコアみたいですね。

 

 

『排除排除排除ォォォォォォォッ!!!!』

 

「うわあああああ!? もうなりふり構ってられない状態になってますうううう!!」

 

『オオン!』

 

 

ガキィン!

 

 

『は………い…………じょ……』

 

 

ノイズが混ざったような機械じみた断末魔を出して魔物が崩れ落ちました。

 

 

「お、終わった……みたいですね」

 

『ガウ』『クエッ』『シャアア』

 

 

「早く合流しましょう。翔悟様は問題ないでしょうけど、他の皆様方が心配です」

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「なんか軽く失礼なこと考えられた気がする」

 

『ゴ……ガ、ガピ』

 

「まあ、現在進行形で超虐殺タイムだよな。死んでないけど」

 

 

目の前に転がっているフランケンだった物体を見下ろす。

半龍モードで何百回も殴る蹴るを繰り返してきたものだから8割方鉄屑になっている。

 

 

『………………(ブシュウウウウ)』

 

「お、死んだな。つうことはセバスチャン達が上手く倒したか」

 

「うひゃひゃひゃひゃ。随分と目障りだなぁ、邪神龍!!」

 

「随分と遅いご登場だな、【マスター・ブー】さんよ」

 

 

耳障りな笑い方と声音に反応して振り向くと、元人間の魔法使いで現悪のゴースト達の長、【マスター・ブー】がいた。




次回で『ポカスカ☆ゴースト』編が終わります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邪神龍と猫又姉妹の旅 その⑤

セバスチャン視点

 

 

「皆さん、無事ですか?!!」

 

「セバスチャン。僕達は大丈夫だよ。お嬢様もね」

 

「セバスチャン!! 無事でよかった…」

 

「それはこちらもです。あれ、翔悟様は?」

 

「わからない。あのフランケンを倒したのは確実だと思うけど……」

 

「そう言えば翔悟が縛っていた女の子もいないにゃ」

 

「まさか、【マスター・ブー】が……!」

 

「お嬢様。翔悟様は問題ありません。彼は強さと優しさを持った頼もしいお方ですから」

 

「……兄さんはそこらの悪党には負けません。むしろ返り討ちにします」

 

「多分今頃キレてるんじゃないかにゃ? 翔悟って命をただの道具扱いするのが一番嫌いだって言ってたことがあるし」

 

 

キレた翔悟様は【マスター・ブー】にはトラウマとして魂に刻まれますね。

分体の方達でも相当の実力を持っていましたので、本体である翔悟様の実力はとんでもないでしょう。

……【マスター・ブー】が憐れに思えてきました。

 

 

「私達は兄さんが帰ってくるのを待つだけです」

 

「オン」

 

「………ふふっ、そうですね」

 

 

お嬢様は私達の翔悟様を信じている態度を見て安心したようで、笑顔になりました。

翔悟様、後はお願いします。

 

 

 

 

『アアアアアァァァァァァ』

 

「チィッ! 『狂気へ誘う歪な魔声(フォールダウン・デットノイズ)』!!」

 

 

端も天井も見えない屋敷の部屋を模した空間内で俺は黒幕の【マスター・ブー】と対峙していた。

【マスター・ブー】が召喚する這いつくばってくる人ならざるものどもを特殊な咆哮で吹き飛ばす。

ただ、何度も行っている攻撃は【マスター・ブー】には一切届かない。

 

 

「げひゃ、いくら力を持ったとしても当たらなければどうってことはない。それに、貴様はドラゴンとしては一級ものだけどよぉ、人としての肉体は追いついているかなぁ。げひゃひゃひゃひゃ!」

 

 

【マスター・ブー】の言い分はもっともだ。

ただでさえリネットを傷つけないように戦うというハンデを背負っている上に人間としての肉体年齢はまだ8歳。体力は結構厳しい状態になっている。

 

 

「それでも……俺はテメエみたいなクズには負けるつもりはねえんだよ!! グォォォ、ガアアアア!!!(ゴオオオオッ!!!)」

 

「何っ!?(ジュウッ)イッ、ギャアアアアアアアアア!!!! 腕がっ!! 腕があぁぁぁ!!!」

 

 

ブレスで化物諸共アイツの左腕を蒸発してやった。

左腕があった部分は焼け爛れていて再生することはないと思う。

 

 

「どうだ……一発ぶちかましてやったぜ」

 

「この、ガキガアアアアアァァァァアアアッ!!!!!(ブオン!)」

 

「(ドゴッ)ガッ…ハッ!!(ドゴシャアアア!!)」

 

 

何だ今のは?

リネットは尻尾を変化させて作った特殊なドームで傷はつかなかったが、アバラを数本持ってかれたみたいだな。

 

 

「クキ、クケケケケケケ!!! これだ。この力があればオレはグヒャヒャヒャヒャ!!」

 

 

起き上がり正面を見ると、【マスター・ブー】はさっきまでの人に近いゴーストのような姿ではなく、常人ならSAN値が消し飛んで狂うような異形の怪物に成り果てていた。

大きさは50m強。体全体が泡が集まったかのように凸凹になっていて一部には人や動物等の顔や胴体等が浮き上がっていて時々変な液体や臓器らしきものを吐いている。

口も顔だけでなくあちこちにできており、声色もバラバラだ。

さっきのブレスをくらった時にどうにか取り込んだらしいが、体は対応しきれなかったと思う。

リネットが気を失っている状態でほんとよかった。

 

 

「欲と禁忌に溺れた結果が醜すぎる化物なんて笑えるな」

 

「だmArえ。ごのじからsaeあればKisaMaなd」

 

「人語すらまともに喋れなくなったのか。なんとうか憐れに見えるぜ」

 

 

映画とかで自分の欲・殺意とかで変貌した人間が色々とでたけど、こいつだけはゴーストになってもそれに対する執念か何かがありすぎた。

ほっとけば狂気に思考も魂も飲まれて自我のない怪物に成り果てる……。が、それだけは何の解決にはならない。

この3流以下の劇場の幕を降ろすしかゴースト達も異形の怪物の魂(マスター・ブー)を救うことはできないもんな。

 

 

「はぁ。ったく、お人よしってのはどうしようもねえな。こんなクズを救おうなんて考えちまう」

 

 

折れたアバラの部分を上手く変化させて元の状態に戻し、深呼吸する。

一発本気を出すか。

 

 

「オオオオオオオオッ!! (バサァッ)『始まりの混沌と終演の現世からの解放(バースデイ・エンディング)』!!!」

 

 

ドラゴンに姿を変え、羽で【マスター・ブー】を覆う。

全ての原初とも言える混沌(カオス)の体質と数え切れぬ負の遺産(ネガティブクリエイト)を合わせて使うご都合主義とチート全開の能力、『始まりの混沌と終演の現世からの解放(バースデイ・エンディング)』。これは対象の命・魂に干渉して新たな生命に生まれ変わらせたり想像を絶する死に方をさせたりできるものだ。

今回は狂気に染まった部分を取り除き、来世に魂を送るやり方を選ぶ。

理由はこいつの魂に干渉した時、過去を見たのだからだ。

【マスター・ブー】はゴーストになる以前はごく普通の人間で平和に暮らしていた男だった。だが、戦争が勃発した後、宗教などの違いで異端者とされ、拷問された挙句、家族を目の前で殺され、復讐として禁忌の術に手をだした。

結果として復讐は果たせたが虚無に近い忘失を覚え、自分自身が何者なのか忘れてしまい、処刑される日が来るまで多くの生命を亡き者にしていた。

これが【マスター・ブー】の過去。彼を支える存在が消された故に狂ってしまった生前だ。

俺も狂気と矛盾、混沌を司る龍だから何かしらの切っ掛けでああなるかもしれないと考えると恐ろしくなる。

 

 

「来世では良い人生を歩めるといいな。『   』さんよ」

 

 

《マスター・ブー》の生前の名を言い、翼を戻す。

化物がいた場所には光る球体が浮遊していて少し経つと球体が消えた。

 

 

「チート能力持ちも楽じゃないな」

 

 

空間が歪み、フランケンを蹂躙していた場所に戻る。

そこには黒歌・白音・ランスロット・ジャック・セバスチャン・セバスチャンが仕えているお嬢様がいた。

 

 

「「翔悟(兄さん)、お帰りにゃ(お帰りなさい)」

 

「《マスター・ブー》を倒したみたいだね」

 

「オン!」

 

 

生きている3人と1匹がこっちに駆けより、セバスチャンとお嬢様は頭を下げていた。

 

 

「ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありません。それと、仲間達を助けていただいた御恩は決して忘れません」

 

「これで、私達もあの世に逝けます」

 

「そういや二人は生きている者じゃなかったもんな」

 

「はい。皆様にはお礼とお詫びとしてこれを受け取ってください」

 

 

お嬢様は本来持っていたらしい魔力を集めて木箱を召喚して俺達に渡した。

中身は宝石なのだが、護りに特化した魔力が込められている。

 

 

「これは『守護の石』だね。普通は魔力の波長と合った者でしか効果を発揮できないけど、護りの力は神滅具(ロンギヌス)でも破ることはできないって伝承があるよ。それが実物で見ることになるとは思わなかったけど……」

 

「まじか!? というか良いのか、そんな貴重な物を俺達に渡すのは」

 

「翔悟さんが言った通り、私達は本来この世に留まってはいけないのです。ですからこれらは貴方達が持ってくだされば安心できます」

 

「………ふう、そうかい。だったらありがたく受け取るぜ」

 

「ありがとうございます。ではさようなら」

 

 

お嬢様とセバスチャンは笑顔で消えていき、屋敷は完全な廃屋となった。

 

 

 

 

「僕達はあっちだからここでお別れだね」

 

「だな」

 

 

屋敷から出て暫く歩き、三叉路に着いた後、俺達はランスロット、ジャックと別れることになった。

俺達は分体の出す魔力を頼りに姫島家に戻るが、エクソシストの1人と1匹は仕事があるらしい。

 

 

「リネットちゃんだっけ? 彼女はどうするの?」

 

「一応俺の義妹にしようと思う。両親に捨てられたかは分からんけどな」

 

 

リネットは《マスター・ブー》に魔力をごっそり持ってかれたのでまったく動けない+眠っている状態なので、俺がおんぶしてる。

彼女だけは神器を所持している人間だったので俺が引き取っているのだ。

 

 

「私と白音は姫島家に居候しようと思ってるにゃ」

 

「兄さんがお世話になっている人達なら安心できますし」

 

「そうなんだ。それじゃ、またいつか会おうね」

 

「「「おう(ええ)(はい)」」」

 

 

お互いに笑いあってそれぞれの道を進む。

あの屋敷での戦闘を体験した俺達の首には『守護の石』のペンダントが光っていた。




邪神龍と猫又姉妹の旅は次回で終わる予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オリキャラ紹介 その①

ポカスカ☆ゴースト編に登場したオリキャラ達です。

紹介の仕方は邪神龍と同じです。


名前:道元

 

性別:男

 

年齢:約1000

 

種族:酒呑童子

 

容姿:普段は左目に切り傷がある赤い短髪の偉丈夫。妖怪としての姿は体格がそう変わらないが、着流しはどっちの姿でも着ている。

 

身長:250cm

 

性格:豪快かつさっぱりとしたもの。

 

所属:とある山の隠れ里(人間と妖怪が共存している)

 

備考:翔悟が猫又姉妹と姫島家に戻る途中で来た里の長である妖怪。

里に住む全ての妖怪と人間の親父的な存在で本人に自覚はないが、カリスマがある。

酒呑童子故に酒が好き(この作品では鬼の妖怪全て)だが、どちらかと言うと里の住人との祝事(祭など)が好きである。

翔悟とは交流が続いており、夏休みに翔悟が羊羹やところてん等を持ってくるのが里で毎年の恒例となっている。

 

 

 

名前:ランスロット

 

性別:男

 

年齢:17(初登場時)→26(本編開始時)

 

種族:人間

 

容姿:紅色の髪と藍色の瞳。首に『守護の石』のペンダントを提げている。

 

身長:179cm

 

性格:思慮深く、落ちついている。パニックに陥った事は一度もない。

 

宝具:『無毀たる湖光(アロンダイト)』(『湖の騎士 ランスロット』が持っていたと云われる剣。この作品では魔剣の属性を持った宝具であり、聖剣としての力はやや低い。真名を解放する事で某型月の騎士王の宝具と同レベルの斬撃を放つ事ができる)

 

所属:元教会(『聖剣計画』の主導者である『ハルパー・ガリレイ』の抹殺及び、教会の異常とも言える信仰っぷりに嫌気がさしたため)→私立駒王学園

 

ポジション:騎士(ナイト)(翔悟の仲間)

 

備考:翔悟と黒歌、白音が姫島家に戻る途中に会った湖の騎士ランスロットの子孫であるエクソシスト。

相棒のジャック(アルビノな色合いの狼)と共に度が過ぎた行動をしている妖怪や堕天使、はぐれ悪魔を腕っ節で沈めたり、(かなり稀に)抹殺していた。

グリゼルダとは同期であり、ゼノヴィアとも交流があった。

エクソシストとしての実力は高く、最強に最も近い者と評されている(本人は否定している)。

悪魔は全て滅する存在と見ておらず、ちゃんとした意志を持ったリアス達に好印象を持っている。

学園内では木場と負けず劣らずの人気を誇る。

翔悟のチートっぷりに一切同様しない人物の一人。

 

 

 

名前:ジャック

 

性別:雄

 

年齢:不明(ランスロット曰く、かなり長生きしている)

 

種族:狼(普通ではない)

 

容姿:アルビノと同じ色の目と毛。

 

大きさ:体長約1.9m。高さは1m

 

性格:忠義を貫く、男らしい性格。

 

所属:元教会(ランスロットについて行った為)。私立駒王学園

 

ポジション:兵士(ポーン)(翔悟の仲間)

 

備考:ランスロットと共に行動している狼。

教会に所属していた頃は常時ランスロットと行動していた。

狼としては異様なまでに能力が高く、牙で剣を圧し折ったり、一度吼えると敵対する悪魔などが腰を抜かす(人形のヴァンパイアには効かなかった)など狼の姿をした何かではないかと噂されていた。

駒王学園では番犬ならぬ番狼となっている。

ランスロット以外ではリネットや黒歌、白音と翔悟に一番懐いており、松田と元浜には軽蔑の視線を向ける程嫌っている。

 

 

 

名前:呉羽リネット

 

性別:女

 

年齢:7(初登場時)→16(原作開始時)

 

種族:人間

 

容姿:若草色の腰まで届く髪と瞳。ポヤっとした雰囲気が似合う顔付き。

 

身長:157cm

 

性格:見た目とは裏腹にリアリストで死体を見ても物怖じしない。何気に娯楽好きでSッ気があるが、兄譲りの面倒見の良さを持っている。

 

神器:『殺戮と呪いの人形劇(マサカーパペット・ショータイム)』(人形やぬいぐるみを自在に操ったりモンスターに変える神器。モンスターのステータスは所有者であるリネットの魔力によって決まるので、長期戦にはそれほど向いていない。モンスター化した人形とぬいぐるみは何時でも元に戻す事が出来る)

 

学年:私立駒王学園一年

 

所属:オカルト研究部

 

ポジション:僧侶(ビショップ)(翔悟の仲間(家族))

 

備考:翔悟がマスター・ブーに乗っ取られた屋敷で会った少女。当初はマスター・ブーに操られて駒になっていたがマスター・ブーがこの世から消えた後、翔悟の義理の妹になった。

兄と姉達(黒歌と朱乃)に負けず劣らずの料理スキルを持っており、肉じゃがと味噌汁以外は朱璃と同等の腕前。

翔悟が引き起こすご都合主義全開な行動を大いに煽る癖があり、敵から見れば核爆弾よりもタチが悪い存在である。

魔力が高く、異世界の魔法を多く取得している為、兄と同じくとある仲間の兵士とはレーティングゲームでコンビ及びチームを組む事を禁じられている(翔悟よりマシだが、やはりリアル無理ゲーになってしまうため)。

白音がマスコット的存在ならリネットは一年のご意見番である(理由は性格)。




主人公の原作ブレイクっぷりは原作本編からちょこちょこ説明等で出てきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邪神龍と猫又姉妹の旅 その⑥

第0章完結! 次話から原作一巻が始まります。


「主が主なら眷属も眷属か」

 

「なんとなく何があったのか解ったけど、お兄ちゃん鬼畜かつ暴君っぽい殺し方するよね」

 

「翔悟。早くそれ消して。白音には見せたくないから」

 

 

黒歌が言うそれは黒歌と白音を助けた時に雷で消滅させた悪魔の眷属の死体だ。

姫島家まであと数kmってところでどうやったか俺のことを色々調べて『主人の仇だ』とか言って襲い掛かったので返り討ちにした。かなりえげつない殺し方で。

そのため完全にモザイクをかけないといけない死体が積みあがった。黒歌は白音の目を隠しているが、死体をみているのため、死体の消失を頼んでいる(リネットは俺の殺し方に引くだけで死体に関しては普通に見ている)。

 

 

「それはもっともだな。(ゴオオッ←(ブレスの音))で、そこで隠れてるのはいい加減出てきたらどうだ?」

 

「「「えっ?」」」

 

 

チート能力というか体質で気づいたが、死体ができるまでにこっちを観察するような視線が少し離れた木から向けられていた。指摘すると、フードを被った胡散臭い雰囲気が合う者が木陰から出てくる。

 

 

「兄ちゃん中々鋭いな。気配は結構隠してたつもりなんやけど」

 

「殺意に満ちた視線に交じって観察する視線は不自然すぎるっての。キモいし」

 

「おおいっ!? 初っ端からキモいって何やねん!!」

 

「私もお兄ちゃんと同じ~」

 

「兄妹で嫌な連携すんなや!! はあ、会ってたった一分で弄られるとは思わんかった」

 

「それよりあなた誰にゃ?」

 

「おお! 忘れとった! ワイは黒木良哉。一応あの下種の元眷属だった転生悪魔や。ちなみに神器(セイグリット・ギア)持ちやで」

 

「関西弁とはまたキャラが立ってるな。で、お前の目的は何だ?」

 

 

態々物陰に隠れて観察してた奴だ。そう思い変な事を企んでいたら殺すつもりで構えると、黒木は青褪めて後退した。

 

 

「いやいやそんな物騒なもんを出す構えをしなくてもええやん!? 確かにあいつらけしかけたのはワイだけど、あいつらのやり方に嫌気がさしてたから下種をぶっ殺した兄ちゃんに他のも殺ってもらいたかってん!!」

 

「やっぱりああいう奴だったね……」

 

「塵にして正解だったか。一つ訊くが、お前の神器は千里眼みたいなものか?」

 

「近いようでちょいと違う。ワイの神器、『人生日記(ミスティック・ノート)』は周囲の人間かワイ自身の未来や過去をノートに写す能力を持ってるんや。それであの下種がどうやって死んだか、その時周囲に誰がいたかが解ってただけっちゅうわけ」

 

「○来○記じゃねえか」

 

「「「「未○日○?」」」」

 

「いや俺だけしか知らないもんだから気にするな」

 

 

元いた世界の事は後で黒歌達に話すか。バラキエルさん達にも話したし。

 

 

「構えた方がええな。あいつら最後の悪足掻きをしておるで」

 

 

黒木が俺達の後ろを見て顔を険しくする。振り返れば、真っ黒な何かが蠢いていた。

 

 

「確かに。俺に対する怨みと塵になった体で魔獣を造ってやがる」

 

「……気持ち悪い」

 

「何にゃのあれ?」

 

死霊術(ネクロマンシー)と黒魔術の組み合わせだね。この感じ、大きいのが来るよ!」

 

『ギュアアアアアアアッ!!!!!』

 

 

俺が殺した悪魔達は腐敗したドラゴンとなって吼えた。その目には怨恨・憤怒・復讐・狂気に満ちている。

 

 

「理性は欠片もないってか? 俺を殺したければ殺してみな。ただし、殺されるのも考慮する脳があればの話だがな」

 

『ギュアアアアアッ!』

 

「遅いって《ドゴォン!》ウゲッ!?」

 

「「「(ニャッ/エッ/うおっ)!?」」」

 

 

咆哮とともに振り下ろされた右前足を避ける。足が当たった地面は大きく穿てられ、一気に腐っていく。俺達が驚愕する中、リネットだけが冷静だった。

 

 

「この腐敗……。死霊術で禁忌に入るものだよ」

 

「どういうこと?」

 

「普通、死霊術は予め死体や臓器等を用意して使うんだけどあくまで使えるのは魔術師か魔力の高い人間のものと竜の骨ぐらいなの。それに死霊術を使うのに効率がいいのは戦場跡や墓地とか死が多い場所。ここは普通の山道に加えて神社があるから効率が悪い。だから普通なら死霊術は殆ど使えないの」

 

「だけどあの地面は腐っているにゃ」

 

「だから禁忌って言ったの。死霊術で禁忌の存在となっている死を加速させるものがあるの。あいつ等は自分達の死とお兄ちゃん狂気を利用してそれを引き出したとしか考えられない」

 

「根本的な原因は俺かよ……」

 

 

マスター・ブーの二の舞だなと思いつつもゾンビの竜を見据える。(あいつらの襲撃を受けた時から張られている)結界があるので一般人はこの場所に来れないから良いとして、問題は死を加速させる術と相手が『死』そのものである事だ。一応『大嘘憑(オールフィクション)』があるから死ぬのは免れるとして、良哉以外は全員10歳以下だから長期戦は不利。故に短期決戦が有効と思うが、『死』をどうやって滅するかが重要だ。『始まりの混沌と終焉の現世からの解放(バースデイ・エンディング)』は全力の状態でしか発動出来ない上に卷族が隠蔽の為に張っただけの結界が耐えきられる保障がない。

 

 

「次、来るで! 今度は触手っぽいのや。あれもあいつの足と同じ術を得ているで!!」

 

 

良哉の言うとおり、ゾンビの背中から触手らしきウネウネしたものが8本出て俺目掛けて襲いかかる。黒歌達は眼中に無いのか俺に攻撃が集中されているようだ。

 

 

「チッ、俺だけが狙いみたいだな」

 

「兄ちゃん、悪いが十分だけ時間稼いでくれへんか?」

 

「何だよっ!《ドゴン!》ウォワッ!?」

 

「ワイに秘策があるんや。だけどな、その秘策となる神器は発動するのに時間が掛かるねん」

 

「そうかよ! だったらとことん稼いでやるぜ!」

 

 

半龍モードになり、マスター・ブーの記憶から創った神器を発動させる。死そのものには生も死もないものだ。

 

 

「『感情なき混沌の眷属(ノーフェイス・マーセナリィ)』!」

 

 

影や地面から陶器で出来た大人とほぼ同じ姿の駒が多数現れる。こいつらは自立起動で敵に攻撃したり護りに徹したりと戦闘面では大いに役立つ。

 

 

「それじゃ、私も『殺戮と呪いの人形劇(マサカー・パペット・ショータイム)』!!」

 

「うにゃ…。私達は補助に回るにゃ」

 

「……ですね」

 

「すまへんな、皆。んじゃま、行きまっせ! 『封魔龍の鎧脚(チェインズ・アルマトゥーラ・レガース)』!!」

 

 

良哉が発動した宝玉が鎧の足の部分に似た神器。それにはドラゴンの力が宿っていると俺は確信した。そして、脛部分にはめ込められている宝玉から淡々とした女子の声が聞こえた。

 

 

『良哉。敵?』

 

「そんなとこや。死そのものなんやけど、封印出来そうか?」

 

『可能。十分必要』

 

「え、神滅具(ロンギヌス)?」

 

「何にゃの、そのロンギヌスって?」

 

「神を殺す事が可能な神器って事だ。《ブオン!》っと、てか封魔龍って聞いたことないが《ドドドドドド!!!》のわぁっ!?」

 

 

段々とゾンビの攻撃の隙が出来るのが減っていき、視線を向ける暇がなくなっていく。回避し、駒をぶつけていると白音が呆れが混じった声を出した。

 

 

「兄さん、器用すぎです。それで封魔龍とはどんなドラゴンなのですか?」

 

「嬢ちゃんも嬢ちゃんやな。(汗)封魔龍はミゲルの肩書きや。『賢者たる封魔龍(エンシェント・ズィーゲル・ドラゴン)』っちゅうて、ミゲルは魔法や能力、敵を封印する力を持っておるんやで」

 

『混沌龍。封印。不可能』

 

「………あの兄ちゃんと一部のドラゴンは例外やけどな」

 

「流石は翔悟にゃ。歩くチートは伊達じゃないにゃ」

 

「のんきに会話しないでよー!! こっちは大変なんだからぁっ!!!」

 

 

リネットが外野の会話にツッコミを入れる。リネットはいいが俺はこ俺で手一杯な状態だ。何せゾンビの猛攻が某奇妙な冒険の主人公が放つラッシュと変わりなくなったので、身体を液状にしたり、影に潜り込んだりして回避している。リネットはモンスターを特攻させるのを諦めて距離を取ってのブレスなどを命令させているがあまり効果がない。

 

 

「忘れとった!? ミゲル! 後どんくらいや!」

 

『残り三十秒。混沌龍。手伝い』

 

「ツッコまへんで、それは。けどま、好都合やな」

 

「………《二ィィ》」

 

 

回避しながらニヤッと笑う。良哉は「貸し一つ渡したる」と言いつつも右足を揚げた。

 

 

「いくで! 『逃れ得ぬ永遠の閉鎖空間(アンリミデット・ノクターン・チェイン)』!!!」

 

 

良哉の右足が地面を強く踏み込むと、ゾンビのいる場所に銀色の魔法陣が浮かび、そこから多くの鎖と封印の力を持っていると思われる布が出てきてゾンビを縛っていく。が、ゾンビは抵抗の意志として大きく体を動かして拘束から逃れようとしている。

 

 

『ギャアアアアアアアアアッ!!!《ブチブチブチィッ!!》』

 

「逃さねえよ。『鮮血の拷問杭(ブラッドフォルター)』!!」

 

『《グサグサグサ!》ギィ……、ギ…………ィ……ッ!!』

 

 

血でできた杭をゾンビにブッ刺して拘束を強くする。ゾンビは最期までどす黒い感情宿った目で俺を睨みながら全身を布と鎖で覆われ、球体となった。

 

 

「ふい~、封印完了や。お疲れさん」

 

「まったくだ。つうか、リネットは生きてるか?」

 

「………《プスー》」

 

「湯気が出てるにゃ」

 

「生きてますけど、暫くは動けないみたいです」

 

「そうか。じゃ、ここいらで休憩するか」

 

「「「おう/はい/わかったにゃ」」」

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「着いた着いた。ここが姫島家さ」

 

 

リネットが回復し、十分に休憩を取った後で歩き続け、ようやく姫島家にたどり着いた。思えば結構濃い体験だったと思う。黒歌と白音を下衆な悪魔から救ったのに始まって出会いと別れ、戦闘をしてきた。そして家族が増えて仲間も増えた。こういうのは元の世界じゃ実現できないだろうな。

 

 

「ねえねえ、翔悟。ほんとに私達も居候になってもいいのかにゃ?」

 

「何言ってんだ。またあんな下衆に手をだされちゃ困るだろ? それに、家族は多い方が良いしさ」

 

「軽いなぁ。ま、そういうとこは個人的に好きやけどな」

 

「それがお兄ちゃんの美点だよ」

 

「私もそう思う」

 

「サンキュー」

 

「にゃはは。にゃんか不安を抱いてた私が馬鹿らしいにゃ」

 

 

長い階段の前で笑い合う。黒歌にはさっき見せていた不安は一切なかった。俺は皆の事を話すために先に行くことを伝えて階段を上がる。上がりきった先に見えたのは神社の前で箒を持って掃除している巫女服を着た朱乃と朱璃さん。朱乃は俺に気づくと箒を放り出して走り、俺に飛びついた。俺は朱乃を抱き止めたが仰向けに倒れるが、そんな事は気にしない。

 

 

「お帰りなさい!」

 

「ただいま。朱乃」

 

 

目の前の朱乃の笑顔見てやっと帰れたんだと実感するのが大事だったからだ。

 

 

 

 

 

 

*あの後、バラキエルさんを連れて来た朱璃さんに黒歌達の事を説明すると、快く受け入れてくれた。黒歌と白音は姫島の性を名乗り、良哉は良哉で恩返しとして『神の子を見張る者』でバラキエルさんの書類整理とかに励んでいた。




オリキャラの良哉とオリドラゴンのミゲルの紹介は第1章から出します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1章 旧校舎のディアボロス
邪神龍のモノローグと原作の始まり


原作一巻スタートです。モノローグが大半ですが。


トリップして早11年。朱乃と朱璃さんの救出から始まった原作ブレイクは原作自体が始まる前から続いていき、何人かが原作と全く違う性格になったり味方になったりと完全にやりすぎた。が、後悔はしていない。

原作と違う状態になったので特にそれが目立つのは【ディオドラ・アスタロト】と【ライザー・フェニックス】・【ギャスパー・ヴラヴィ(バロール)】・【ヴァレリー・ツェペシュ】・【ジャンヌ】の5人と【『黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)』ファーブニル』】・【『大罪の暴龍(クライム・フォース・ドラゴン)』グレンデル】のドラゴン2匹だ。

 

ディオドラは大雑把な説明は俺の設定で済ませられる《メメタァ》、が事細かな詳細の一部を説明すると、デイオドラは良哉の仕事の手伝いで冥界に行った時に会ったが、その時はまだ下衆ではなかったので、俺がチート能力を作ったり、俺がいた世界でのアニメや特撮等を見せたらそれにはまり、チャンスとばかりに娯楽を提供したり、料理を提供したら俺と何かしらの理由をつけて行動するようになった。その後、振り回されてる内に慣れたのか染まってきたのか俺に近い性格になった(義理人情はしっかり残っている)。今じゃ女王(クイーン)の元シスター(アーシアじゃない)と両親公認の婚約をしており、何気にいちゃつく毎日を送っている。

 

ライザーは4年前に異世界の同じ声の傲慢な性格で利己的な野心家の末路を見せ、「ああなってもいいのか?」と言い、原作知識の【ドラゴン恐怖症】の事を話すと特訓させてほしいと頼まれた。あの屑みたく情けない姿は嫌だと雰囲気と声色で語っていたからマジだった。特訓は俺の七割の状態(ドラゴンモードの最弱状態)や仲間の一人とコンビを組んでの猛攻を採用し、ライザーが死ぬ気の覚悟で挑んだ結果、原作のスケベ根性が薄れた変わりに精神が鍛えられ、フェニックス家特有の再生能力が強くなったため、レーティングゲームでは【難攻不落の不死鳥】の異名を持つようになった。最近では女王(クイーン)のユールべーナとの間に子供を授かったと写真が同封された手紙を貰っている(僧侶の片割れに男を加入させたと書いてあったのは度肝を抜かれたが)。

 

ギャスパーとヴァレリーは5年前に夏休みを利用して世界を放浪していた際に監禁されていた場所に辿り着き、二人を連れ出した(追手の吸血鬼達には邪神龍系CQCをお見舞した)後、俺の仲間(クラスはギャスパーが僧侶。ヴァレリーが戦車(ルーク))兼家族にした。

ギャスパーはもう一人の自分であるバロールと向き合い、一体化して原作より遥かに強くなっており、『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』と『禁夜と真闇たりし(フォービトゥン・インヴェイド)翳の朔獣(・バロール・ザ・ビースト)』を使いこなして突破口を開いたり、無力化させるなど敵に回すと俺並みに厄介な能力を得た。後、女装癖はないが髪を少し長め(某魔法少女に登場する闇の王と同じ長さ)にしている為、女子に間違えられるのがしばしばある。

ヴァレリーは神滅具(ロンギヌス)であり聖遺物でもある『幽世の聖杯(セフィロト・グラール)』を変化させ、『始祖たる生命の輝き(エンシェント・ミスティロ・ギフト)』にした。これはアザゼル曰く禁手(バランスブレイク)であらゆる生命の力を宿し、神器以外の能力を使えるとの事。俺の『常識破りな邪神龍の遊び(カオスティック・ワンダーワールド)』の生命特化版みたいなものだ。

二人は駒王学園の一年で白音と同じクラスに所属している。

 

ジャンヌは原作では正確な年齢表記がなかったがイッセー達より年上っぽい表現はされていたが、この世界では俺と同い年で一時期対人恐怖症と幼児退行を発症した上に喉に障害を持っていた。その当時(5年前の冬休み)の詳細を知っているのは極一部だけで他言無用となっている。現在()ではそれらの症状は治っているが、何故か某魔法少女の甘口カレーが好きなツインテと同じ性格と口調になった。本当に『どうしてこうなった?』が合いすぎてモヤモヤした気持ちが頭を埋め尽くしたほどだ。名前もジャンヌではなく、(ひじり)美月(みつき)と名乗っている(本人曰く、表向きの名前)。

 

ファーブニルは原作みたいな変態ではなく、しっかりとした性格(まだコレクター気質は残っている)になっている。俺が用意した神器『龍王の烈槍(エンペラー・アウルム・チャリオッツ)』に魂を封じており、時々ミニチュアな姿をした分身体で出てくるのもしばしばあり、その時は大抵が図書館や俺達関係者しかいない場所だ。『龍王の烈槍(エンペラー・アウルム・チャリオッツ)』の所有者はディオドラの兵士(ポーン)の眷属悪魔(元異世界の人間。使用したのはポーンの駒6個)だ。

 

グレンデルはギャスパーとヴァレリーの救出劇の時、邪神龍の能力を使った際に魂の欠片が俺の体内に混じり、三年の時を経て復活した。が、混沌の化身である俺の体内にあった様々な元素・遺伝子・神器のエネルギーが混じった上に一部相性が悪かったせいか、チビドラゴンの状態での復活だったのに加え、本来の攻撃力の殆どを失っていた(一般人よりある程度強い程度)。流石に哀れなので使い魔の契約をし、一日に数分間だけ本来の攻撃力と大きさを取り戻す事にした。その時にグレンデルが本当に邪龍なのかと疑いたくなるような表情は一生忘れないと思う。

 

まあ、回想という名の説明はここで打ち切りだ。俺の目の前(と言っても木陰から見ている)には光の槍に腹部を貫かれた原作主人公のイッセーこと兵藤一誠と、演技でも何でもなく唯悲痛な表情で涙を流しながらイッセーに謝って飛び去った天野夕麻―レイナーレがいた。ちなみに俺の頭にはグレンデルが乗っかっている。

 

 

「おいおい、原作と違う展開だな」

 

「確か翔悟の記憶ではあの堕天使は見下した目で赤龍帝を刺したのだったな。だが、あれではあの堕天使は赤龍帝を、いや誰かを殺したくなかったと言いたげだな」

 

「ああ。どうやら原作と違うのは俺に関わった者に限らなくなったって事だ」

 

 

でなけりゃ今起きているシチュの説明がつかねえ。とりあえず、『正体不明の外套(シャドウ・ハーミット)』でイッセーだけ俺だと認識できないようにして近づくとイッセーはこっちを向いた。その目には死に対する恐怖よりもレイナーレの表情が気になっていると言いたげな雰囲気があった。

 

 

「何で彼女は泣いてたか。それが頭に張り付いてるようだな」

 

 

イッセーは喋る力も残ってないのか、ゆっくり頷く。

 

 

「もしも、だ。君が生まれ変わる、人でなくなった状態で死の淵から生還するなら彼女にもう一度会いたいか?」

 

「あい、たい。何で夕麻…ちゃん、が、泣いてた……か、し、り、た…い」

 

 

死ぬ間際の最期の力を振り絞るかのように掠れた、しかし強い答えを出して息絶えるイッセー。俺はその答えを聞いて思わず笑う。

 

 

「いい覚悟だ。それでこそ主人公だな」

 

「あなたは何しているのかしら?」

 

 

背後から呆れたと言いたげな声が聞こえたので振り返る。そこには鮮やかな紅の長髪と雪のような白い肌が美しさを醸し出す少女―【リアス・グレモリー】が俺を見ていた。

 

 

「ちょっとした野暮用だ。リアスはどうしたんだ?」

 

「あなたが呼んだでしょ? 面白い人間がいるから眷属にしたらどうだって」

 

「そうだった。うっかり忘れてた。まあ、それはおいといて、今死んでいるは今代の赤龍帝だ」

 

 

サラリとイッセーが『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の所有者なのを告げるとリアスは驚いたが、直ぐに不機嫌な表情で俺を見た。

 

 

「翔悟、あなたねぇ…。その娯楽主義は止めなさい」

 

「無理無理。俺はご都合主義な最強(デウス・エクス・マキナ)が代名詞の邪神龍だからな」

 

「…ハァ。いいわ、もう諦めているわよ。この子を転生させるから隠蔽とこの子を運ぶのは任せるわ」

 

「あいさ了解」

 

「俺は何をすればいいんだ?」

 

「グレンは堕天使がまた来た時の戦闘をお願いね」

 

「おう」

 

 

結局、襲撃も目立ったハプニングやトラブルはなく、グレンデルは暫く無言になっていた。




補足ですが、ジャンヌは翔悟の仲間(クラスは騎士)で、駒王学園から近いマンションに住んでいます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ちょっとした補足

感想欄に「イベントフラグをそれなりにブレイクしている可能性が微レ存かな?」と書かれていましたので、前話で判明していなかった性格等が違うキャラと主人公のステータスにて登場した邪神と覚醒の駒についての説明、ブレイクしているイベントを書いてみました。


主人公のステータスで登場したものの詳細

 

覚醒の駒(エクシーズ・ピース)

翔悟が『常識破りな邪神龍の遊び(カオスティック・ワンダーワールド)』で悪魔の駒(イーヴィル・ピース)をコピーして創ったもの。悪魔の駒と違い、対象者を眷属してでは仲間として強化させる。

対象者は悪魔に転生せず、対象者が望む種族に変化できるようにさせる事ができる上に努力を重ねれば必ず結果が実るなどのメリットがある。

翔悟が仲間にしているメンバーの一部は元々人語を話さないものがいるが、本来の姿でも人語を話せるようになっている。

 

・ニャルラトホテプ

翔悟を拉致+改造した邪神。

クトゥルフ神話では旧支配者や人間を冷笑していると記されているが、この世界では娯楽や自らの探求欲に素直で、行動している。翔悟と関わって以来、彼にお仕置き(処刑)されるが、反省することはない。

千の顕現を持っている故に人間や動物、人外ものになることができるが、その度に他の邪神(この作品では封印されておらず、某邪神アニメのものに近い)から翔悟に密告されては上記のものにされる。

 

・ある兵士

異世界で仲間にした仲間。元々は皆のトラウマの一体でヒントは蟹+蜘蛛+ある場所で作られるもの。一部の人ならピンときます。

 

 

 

原作と立ち位置などが違うキャラの一覧(前話以外)

 

・ドーナシーク

バラキエル・アザゼルに次いで翔悟と関わってる事が多い。

既婚者であり(妻は悪魔と人間のハーフ)幹部の既婚者に負けず劣らずの愛妻家でもある。

幹部クラスに匹敵するほどの実力を持つが、指揮官として動くより現場で動く方が性に合っていると言って下級堕天使として振舞っている(アザゼルは特殊な立ち位置の幹部にしようと我策している)。

ディオドラの眷属の一人とは面識がある。

 

・ジークフリード

シグルドの子孫と教会に所属していた・禍の団(カオス・ブリケード)の一員なのは原作と同じ。但し、死に場所を求めているような言動が目立ち、魔人化(カオス・ブレイク)ができない・右目が真っ赤に染まっているなど原作とは違う状態になっている(理由は本編にて)。

 

禍の団(カオス・ブリケード)の元構成員×3

原作では名前も特徴もなくただモブキャラの存在だった者達。一人だけが悪魔で他二人は人間(片方は神器持ち)。

禍の団(カオス・ブリケード)には成り行きや巻き込まれただけで、テロ活動にはあまり同意していない。神器持ちではない人間は未来予知レベルの直感(知っているのはこの三人だけ)を持ち、厄介事に巻き込まれた経験は全くない(上司の命令には一応したがっていた)。

ある任務で直感持ちの人間が死ぬかもしれないと言ったのと組織を抜け出そうと前々から考えていた事が合致し、悪魔が作ったダミー人形で死んだと思わせて組織から脱退した。現在は翔悟の仲間(三人共兵士(ポーン))である。

 

・紫藤イリナ

信仰心がやや薄れている(ランスロットが教会を辞めた理由を偶然聞いたのとある事件を知った為)。

聖剣以外に道具を使った結界術を用いる戦闘術を得ている。

 

 

・匙元士郎

翔悟達と小学校からの腐れ縁。

それ故に翔悟のチートっぷりや悪魔・堕天使・天使等の存在を知っている。

黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』の応用やヴリドラ系神器を中学の時には全て宿している等原作の強化が早い時期に行われている(兵士(ポーン)なのは変わりないが、その内の一つが変異のになっている)。

 

・木場祐斗

原作では男子だが、この作品では女子になっている。

過去やリアスの眷属なのは同じ。

 

 

 

翔悟が行った原作ブレイク一覧

 

・朱璃の死と朱乃の堕天使に対する忌避の感情

 

・白音が黒歌に対するわかだまりと黒歌のはぐれ悪魔化

 

・原作6巻と5巻の巻末におけるディオドラの言動と行く末

 

・ライザーのドラゴン恐怖症と性格

 

・ギャスパーの性格と趣味、対人恐怖症

 

・ヴァレリーの神器の禁手と幽閉

 

・ミアル・バアルがバアル領の辺境に追いやられるのと眠りの病の発症

 

・原作三巻の匙のできちゃった結婚発言がない。




ジークフリードの設定と過去にはドーナシークと主人公、ディオドラの眷属が僅かに絡んでいます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ほんのり這いよる異常な日常

サブタイトルはあの邪神を参考に


イッセー視点

 

ここ最近奇妙な夢を見る。俺が夕麻ちゃんに殺され、ローブで体を隠した男に質問される夢。それに俺の体も変だ。朝が、もとい朝日がキツいのに夜になると異常と言えるほどのスタミナと身体能力を得るし、気分も高揚する。あの夢に出た男が言ったのが本物(現実)なら俺はもう人間じゃないのか……?

 

 

「俺は、どうなったんだ……?」

 

「おはようイッセー! 「メ○アル○ンバー!」」

 

「ぐぼらっ!?」

 

「お前らなにしてんだボケ!」《ガシィッ!》

 

《ミシミシ!》「「ぎにゃああああっ!!!」」

 

いきなりの衝撃に意識を持ってかれる寸前、聞きとれたのは学園内では有名すぎる悪友の制裁と女子の方の悪友の悲鳴だった。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「お前らなぁ。秘奥義とかを使うなと何度言えば解るんだ?」

 

 

保健室にイッセーを運び、ジャンヌとクレスをアイアンクローしながら説教する。こいつらはあの馬鹿よりはマシだが行動の一部は問題児同然だ。

 

 

「無理だろ。この二人は頭は良いのに普段が普段だからよ」

 

「お、サジ。はよー」

 

「おう。つうか、この二人は何したんだ?」

 

「朝っぱらから悪魔になったばかりのイッセーにメニアル」

 

「そりゃ最悪だな。つうか、兵藤が赤龍帝なのか? あの変態トリオの一人が?」

 

 

サジはありえねーと言わんばかりの目でイッセーを見た。普段のイッセーはエロ坊主こと松田とエロメガネこと元浜と合わせて変態トリオと呼ばれているもんな。

 

 

「気持ちは解る。けどまぁ、こいつは死ぬ直前までになっても死の恐怖はなかった上に自分を殺した堕天使が何故泣いてか知りたいって言ったからな。リアスを呼んで彼女の眷属にしたんだよ」

 

「成程な。それより、ジャンヌとクレスが死にかけてんぞ」

 

「……あ」

 

「「……………(チーン)」」

 

 

保健室のベッドがさらに二つ使用された。あと、サジはお咎めなしだったが、学園の保険医を担当している仲間とソーナにやり過ぎだと怒られた。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「はい、あーん」

 

「朱乃。それは嬉しいけどさ、何で教室でやるんだ? 普通は屋上とかじゃないのか?」

 

 

昼休みになり(イッセーは三時限目が終わった頃にやっと目を覚まし、二時限目に起きてたジャンヌとクレスを土下座させると苦笑いで二人を許した)、俺は朱乃に呼ばれて朱乃がいる教室に来たんだが、初っ端から今の行動をしたのだ。片や駒王学園の三大お姉さまの一人である朱乃片や駒学園で新入生及び転校生以外は知らぬ者なしと呼ばれた俺なので、注目されるわけだ。現に一部の女子と殆どの男子は嫉妬の視線を送り、女子は女子で何やらキャーキャー騒いでいる。

 

 

「朱乃、次は私に代わるにゃ♪」

 

「ええ、もちろん」

 

追撃と言わんばかしに黒歌が朱乃に負けず劣らずの巨乳を俺の頭に乗せて朱乃に今やっている事について訊き、朱乃が了承した。嫉妬に加えて俺限定の殺意も込められたので、一つ警告させておくか。

 

 

「朱乃、ちょっと待ってくれ。ッ!(ギンッ!)」

 

『『『『(ビクゥッ!)すいませんでした!!』』』』

 

「ん。じゃ、朱乃」

 

「うふふ、分かってますよ。あーん」

 

「あーん」

 

 

口を開けると朱乃が一口サイズで取った料理(ポテトサラダ)を口に入れてくれた。食べると冷めているのにホッコリとしており、中に入っていた林檎のシャキシャキとした食感が控え目に和えていたマヨネーズの酸味とマッチしている。

 

 

「うん、美味(うま)い。このポテトサラダは朱乃が作ったのか?」

 

「はい。このお弁当のおかずは全部私と黒歌で作りました」

 

「そうそう。次は私にゃ」

 

 

今度は黒歌が俺に体を乗せている状態のままで生姜焼きを箸で取って口元へ持ってきた。つうか、乗ってる(主に胸が)状態でよく持てたな。

 

 

「愛に不可能はないにゃ。あーん」

 

 

サイですかと思いながらも生姜焼きを食べる。甘辛いタレと少し多めにいれた生姜の風味が合う。これはご飯が欲しくなるな。

 

 

「はい。白米です」

 

「流石朱乃。俺が欲しいのを直ぐに分かってくれる」

 

「うふふ。一番付き合いが長いのは誰ですか?」

 

「それもそうか」

 

 

昼食は朱乃と黒歌といちゃついていた(途中リアスが教室に戻ってきて羨ましいと言わんばかりの目で見てきたので今度好きな要望を受け付けると言ったら可愛らしい笑顔になったのはいい思い出だと記憶している)。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「久しいな翔悟。いや、その格好ではハーミットと呼ぶべきだな」

 

 

イッセーが死んだ公園で予め連絡を入れていた協力者と会う。スーツにソフト帽を被った男だ。背中から鴉のような4対の羽を出していて今しがた飛んできたことを理解させる。

 

 

「どちらでもよい、ドーナシーク。しかし、キャラを作るのは面倒だ。今宵は人が来る故にこの口調でしなければいけないのが厄介なとこよ」

 

 

ちなみに思考まではキャラを作ってない。が、口に出す言葉をいちいち変えなければならないのが面倒である。

ドーナシークを呼んだのは原作とは外れたのオリジナルの展開をさせるためだ。原作ではイッセーがドーナシークに殺されかけるが、リアスに助けられる。俺達がやるのはイッセーに一般人ならお伽噺の存在となっている悪魔・天使・堕天使にドラゴン等が実際に存在する事とイッセーが悪魔になり、強大な力を持つドラゴンの魂を持っていることを告げることだ。原作の展開は殆ど役に立たないし、どうせなら俺の龍としての名の基になったあの駄神の異名の如く引っ掻き回してやろうじゃないか。

 

 

「さて、始めようかの、ドーナシーク。龍と悪魔、天使と堕天使を主とした世にも奇妙な物語を」

 

「承知した。だが、その表現はどうかと思うぞ」

 

「そこは指摘するでない」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

赤龍帝、知られざる現実を知る

すっごい久々の投稿です。

原作とは違う展開はこの先何度もあります。


クルクルと歯車が噛み合い、回る。たった一人のイレギュラーが起こした物語は神でさえ予測できない展開を向かえ続ける。

 

 

イッセー視点

 

 

「…………すっげー虚しかったな」

 

 

松田と元浜に誘われてエロDVDを見ることになったが、結果は途中で鬱になって解散した。松田は涙を流し続けたし、元浜に至っては過去の思い出したくないことを思い出したから俺が止めることを提案したわけだ。エロDVDを見て鬱になるまでにモテない俺達はどうなんだろうな。

どうしようもなく、ただ暗くなった空を見上げると、普段街灯で見づらいものまでハッキリと見える。本当にどうなってんだ? 俺は一体どうなっちまってんだ?

 

 

「ふむ。あいつの予想通りの状態だな。急に非日常とも言える出来事や状態が立て続けに起きて動揺しているな、少年」

 

「!?」

 

 

今の俺の心を見通したかのような声にビビった。

正面を見ると、スーツを着た男がこっちを見ていた。つうか、俺を知っているのか?

 

 

「初めましてと言った所だな。私はドーナシーク。君の身に起きている謎の正体を知るものだ」

 

「俺の正体? どういうことだ?」

 

「詳しくは私の親友が教えてくれるさ。君が人として死んだ場所でね」

 

 

冗談だと思っていたかったが、そういう雰囲気じゃないな。

真実を知るために俺はドーナシークの後をついていくことにした。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「ふむ、来たか」

 

 

ドーナシークが公園を出て僅か二十分で戻ってきたのを見て立ち上がる。イッセーは今の俺の姿を見て驚愕しているのは笑えたが、それを表情に出さないようにしながら近づくと、イッセーは驚愕した顔をしたので思わず笑ってしまった。

 

 

「クッハッハッハ! そう感情を露にさせるものかの? 我はお主があった者の師にあたるものであるハーミットだ。ドーナシークとは旧知の仲とでも言っておこう」

 

「ハーミット…。確かタロット占いにあったカードだっけか?」

 

「うむ。我は隠者(ハーミット)の名を持つが故に知識は豊富だ。お主が一度死に、人ならざるものになっているのも、お主を生かした者の正体も知っておる」

 

「あれは夢じゃなく、現実だったのか…」

 

「うむ。旧支配者達が絡むものでなかっただけマシだと思うが、そこは本題から逸れるからなしだ。さて、回りくどいことなく事実を告げよう。お主はここで悪魔として転生したのだ」

 

「悪魔。ってことは今俺の体調が良いのは…」

 

「悪魔である証拠だ。ドーナシークは堕天使で我はドラゴン。証拠はこれを見れば十分だろう?」

 

 

神器の上から翼を出す。イッセーはそれを見てアングリと口を開けて呆けたので今度はドーナシークもつられて笑った。

 

 

「ハッハッハ! 全く笑える反応だな」

 

「クハハ、だろう? 我の周囲は胆が据わっている奴等ばかりで全く面白くなかったからこれはツボにはまりそうだ」

 

 

ホントこういうのは最高だ。仲間は何気に梅組のノリに近い状態ばっかだったし。流石にアーシアは純粋キャラにさせたいな。いやほぼ無理かあの愉快犯眼鏡がいるし。

 

 

「何をしているの? 翔悟」

 

「あ、リアス」

 

「リアス先輩!? というか翔悟!? どうなってんだコレェッ!!!??」

 

 

リアスに視線を向けて直ぐに俺の方を向きパニくるイッセー。それを見てこの前と同じため息を吐いたリアスはやはりあの時同じ目で俺を見た。

 

 

「あなたはまたこの前と同じことをして楽しいの? それにドーナシークさんも」

 

「いやー仲間は色々と外道なクラスみたいになってるし、大人にこういうの吹っかけるのもなんなんだし、で」

 

「仕事の合間にこういうのもオツだろうと思ってな」

 

「ホンッと貴方達は言動が不純だわ」

 

「あのー、リアス先輩。話が見えないんですが? というか何でリアス先輩がここに?」

 

 

話についてこれてなかったイッセーの質問にリアスが反応する。俺も神器の発動を解除した。

 

 

「そうね。詳しいことは翔悟が知ってるけど、ここは私が説明するわ」

 

 

詳しいことはの部分で俺達にジト目を向けつつもリアスはイッセーに悪魔と天使、堕天使の存在と歴史の説明をする。




次回はオカルト研究部と悪魔の仕事にする予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

報告と自己紹介

ほぼ一年ぶりの更新です。

一度投稿するものを間違えていました


イッセーに彼是説明した翌日。

 

 

「そらそら! 避けながら攻撃を入れてみろ!!」

 

 

駒王学園の体育館でイッセーと組み手を行っていた。ハンデとして俺は蹴り技しか出していないが、イッセーは必死に回避するだけだ。時折直感で避けているらしく、ある程度の戦闘技術の才はある。

 

 

「のわぁっ!? ちょ、まっ! 避けるので精一杯だっての!!」

 

「白音なら避けながら腰の入った右ストレートは出せるぞ。お前もそれぐらいできるようにならねばあの時の繰り返しになるぜ?」

 

「んなろぉっ!」

 

 

――30分後

 

 

「ぜえっ、ぜえっ」

 

「5発か。ま、初心者としては十二分なレベルだな」

 

「思いっきり、手加減でこれって、キツイな」

 

「そうか。俺の仲間の人間二人は10分で100発当てるぞ。もっとも、俺が防御してのがつくが」

 

「それが俺だ」

 

 

体育館の出入り口から声がしたので視線を向けると、黒いジャージを着たポニテの女性がビニール袋を片手に持って立っていた。

 

 

「お、黒燕。どうした?」

 

「藤川先生? つうか黒燕って何だ?」

 

「ん? ああ、私は翔悟の仲間の一人でな。黒燕は俺の忍の名だ」

 

「忍者もいるんだな……」

 

「京都とかには妖怪や土地神とかがいるけどな。もっとも、一般人には認識できないぞ」

 

 

イッセーは「マジか…」と言ったきり僅かに呆然としていたが、両頬を軽く叩くと吹っ切れたかのように立ち上がった。

 

 

「一々悩んだりするのは性に合わねえ。それに俺は後悔はもうしたくねえ」

 

「その意気だ。そんじゃ休憩した後教室にもどるぞ」

 

「ああ」

 

「頭領。後で報告があるんだが昼休みはいけるか?」

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

「返事でネタに走るなよ」

 

 

何にでもなれて何でもなれない邪神がベースだからな。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「で、報告とは何だ?」

 

「赤龍帝を殺した堕天使を脅迫して操ってるやつがいた」

 

「詳しい情報は」

 

「掴んでいる。向こうが慢心しているのとリックの第六感のお蔭でな」

 

「それじゃ頼む」

 

 

昼休みに旧校舎の一室で黒燕の報告を聞く。内容はやはり原作と違うもので【レイナーレ】・【ミッテルト】を脅迫、別でドーナシークとカラワーナ駒として操っている堕天使が存在し、そいつは自分の欲のために【アーシア】の神器を抜き取って利用するとの事。8年前の悪魔と同じ輩か。

 

 

「ドーナシークはスパイとして潜入してるのは本人から聞いてるがカラワーナはどうなんだ?」

 

「彼女ならシェムハザが送ったスパイだ。ドーナシークと同じタイプで本来は中級以上上級の中間ギリギリ下の実力だが、普段はそれを隠している。知ってるのは【神の子を見張る者】内で頭領と深く関わってるメンバー位だな」

 

「マジか」

 

 

色々と原作ブレイクした俺が言うのもなんだが、一部の原作キャラ大幅強化されてんじゃね? 知らないキャラもでるかもしれんな。

 

 

「報告はこれで終わりか?」

 

「あと1つだけ、アーシア・アルジェントが近々廃教会に送られる」

 

「そうか。一応ディオの眷属の内二人が移動販売やってるし、ディオを通してアーシアの保護か監視を任せておくか」

 

 

あの夫婦は人間の時から人間離れしていたし、黒幕が来ても返り討ちにするだろうし。イッセーの事も伝えておくかな。

 

 

一埜(いちの)にも連絡しておくか?」

 

「あいつは黒幕潰しに出るようにしてくれ。そこそこのサンプルになるだろうし」

 

「確かに」

 

 

キャラが濃い仲間達の中でダントツだもんなあいつ。女だけど変態で医者だけどマッドだし。黒幕は最悪元の姿を保ったままゴーレム化しそうだな。

 

 

「方針は決まったし、一時解散。放課後オカ研部室な」

 

「了解」

 

 

さあて、イレギュラー(俺達)によって大きく変わった原作はどうなる事やら。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「お兄ちゃん」

 

 

放課後、首を軽く回しているとリネットが教室に来た。珍しく白音とギャスパー、ヴァレリーとゼノにルナがいない。

 

 

「おう、リネット。いつもいる5人は?」

 

「先に旧校舎へ行ったよ。あとは私とお兄ちゃん、イッセーさんだけ」

 

「そうか。そんじゃ向かうぞ、イッセー」

 

「お、おう」

 

 

机に掛けていた鞄を持ち教室を出る。その時聞こえた腐女子会話に鳥肌がたった。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

多少古びた木製の床を歩き、二階へと上がり、奥へと進む。現在俺達以外が使う事のない旧校舎は塵や埃、蜘蛛の巣一つない。

 

 

「相変わらずネルフの掃除は完璧だね」

 

「だな」

 

「ネルフって誰だ?」

 

「俺の仲間の一人で種族はアンデット。つまり死者だ」

 

「え? つまりゾンビなのか?」

 

「極端な言い方をすればな。ネルフやその他諸々については目的地に着いてから話すから一端待ちな」

 

 

話す事が結構あるから廊下で説明したら確実に時間がかなり経過するから一端話しをバッサリと切る。イッセーは何となく理解したのかすぐに黙っている。

話を断って少し経過した後、目的地であるオカルト部へと到着した。部屋の中からは何かバカな事をやらかしたのかジャンヌの『ギャワーッ!!』という悲鳴が響いている。

 

 

「ジャンヌが何かバカやったみたいだね」

 

「だな」

 

「ジャンヌ? 今の悲鳴は聖だろ?」

 

「そこも含めて話す。ッタク、頭はいいのにバカなんだよなあいつは。おーい、イッセー連れてきたぞ」

 

 

ノックすると、『少々お待ちください』とネルフの声がし、ゴンと鈍い音が聞こえた後『どうぞ』と入室許可が出た。心の中で合掌しつつ入るとリアスと朱乃。白音に木場祐斗のTSである祐璃(ゆうり)のアニメ第一期の初期オカルト部メンバーと黒歌、ギャスパー、ディオドラの原作メンバーに加え、学生または教師である俺とディオドラの眷属(仲間)達が揃っていた。ただし、ジャンヌとクレスは頭に漫画版タンコブを作って横たわっており、二人の傍で青白い肌のメイド―ネルフが右手をプラプラさせている。またバカやって体罰をくらったんだろうな。

 

 

「学園の有名人が殆ど揃っている!? どうなってんだ翔悟!?」

 

 

確かに学園内では知らぬ者なしばっかだもんな。二年では俺と仲間達に祐璃、ディオドラと眷属の女王(クィーン)であるナタルのバカップル。三年はリアスや朱乃、黒歌、ディオドラの戦車(ルーク)の片割れであるノックス。一年ではご意見番のリネットとマスコットの白音に加えて一部の女子からパルパルされているギャスパー&ヴァレリーと常識ある不良(もどき)で有名なルナ。教師では異性のファンが多いランスロットとレイにメデューサ。そして学園の番犬ならぬ番狼であるジャック。元々ただの学生だったイッセーから見れば驚愕ものだ。

 

 

「期待通りのリアクションをありがとうイッセー。とりあえず昨日のも含めて説明するからとりあえず座れ」

 

 

イッセーをソファーに座らせ、反対側へと移動する。位置はリアスが座っているソファーの後ろだ。

 

 

「まずは昨日のおさらいだ。悪魔と堕天使が人間が言う地獄の覇権を巡って争い、天使は神の命で悪魔と堕天使を全て倒そうとして三すくみ化しているのは覚えているな?」

 

「ああ。昔の大戦争で三勢力全てから多くの犠牲者が出たんだったな。で、上級悪魔は才能ある者達を悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を使って眷属とし、で、眷属は成長次第では爵位を授けられるってのはリアス先輩から聞いたぜ」

 

「グッド。で、天野夕麻とデートした翌日以降は極一部を除いて彼女の事を記憶していない。その理由はわかるか?」

 

「……夕麻ちゃんが俺を殺した後、周りから記憶を消した、だろ」

 

「そう。天野夕麻はあなたを殺した後、自身の記録と記憶を全て消した。けど、あなたを殺したのは彼女の意思ではない。彼女を自身の都合の良い駒にされているの」

 

「どういう事ですか!?」

 

 

リアスの言葉にイッセーが立ち上がる。自分を殺した理由がバックからの命令ならそうなるわな。

イッセーの行動に対し、動いたのは黒燕だ。

 

 

「そこは私が説明しよう。天野夕麻。堕天使としての本名はレイナーレだが、彼女はある上級堕天使に脅迫されている。そして、その堕天使は何かしらの目的で邪魔な存在である兵藤を殺すようにレイナーレに命じた。尤も、その堕天使にとって予想外な存在は多くいたのだがな」

 

 

そう言って黒燕は部屋にいるメンバー全員を見る。皆の反応はバラバラだが、一部はあくどい笑みをしていたから報復について色々考えてるだろう。

 

 

「そこについては情報が入り次第行動する事にする。兵藤。お前はその時に重い一撃を喰らわせてやれ」

 

 

黒燕の言葉にイッセーが頷き、頭が少し冷えたのかソファーへと座る。

 

 

「さて、三大勢力云々はまたいつか話すとして、ここに駒王学園の有名人がほぼ揃っている事を説明しないとな」

 

「そうだった! 何でここに集まってんだ!?」

 

「そりゃここにいる全員がリアスとディオドラの眷属か俺の仲間だからだ」

 

「はあ!?」

 

 

またも同じリアクション。

 

 

「最初はリアスな」

 

「ええ。まずは祐璃からお願い」

 

「はい。私は木場祐璃。兵藤くんと同じ二年生なのは知っているよね。私も悪魔です。よろしくね」

 

「一年生。姫島白音です。よろしくお願いします。私も悪魔です」

 

「三年生、姫島朱乃ですわ。いちおう、オカルト研究部の副部長も兼任しております。今後ともよろしくおねがいします。私も悪魔ですわ。うふふ」

 

「私が彼女達とあなたの主であり、悪魔でもあるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくね。イッセー」

 

 

リアス達の自己紹介が終わると、ディオドラとナタル、ノックスに身長が白音より頭一つ大きい小柄な一年が前にでた。

 

 

「次は僕達だ。僕はディオドラ・アスタロト。リアスと同じく純粋な悪魔さ。よろしく」

 

「ディオの女王にして恋人のナタル・フェルミノスです。元シスターですが、種族や人種対する忌避の感情は持ち合わせていないので安心してください」

 

「三年、ノックス・ランバー。ポジションはルーク」

 

「ランバー先輩「ノックスだ。敬語はいらん」ノックスは不死身の守護者(イモータル・ガーディアン)で合ってるよな?」

 

「ああ。特殊な体質でな。普通の人間では死ぬ状況でも少しの怪我で済む。それを活かして人助けしていたらそう呼ばれた」

 

「俺で最後ッスね。一年生、ゼノ・マグリアッス。ポジションはポーンッス。よろしくッス」

 

 

ディオドラ達の紹介が終わり、俺達の出番となった。その前にジャンヌとクレスを『出番ですので起きてください』『『(ゴス)イダアアアア!!??』』起きたからいいか。

 

 

「最後は俺達だ。一応警告するが、リアスやディオドラと比べてキャラや存在とかが濃い集団だから腹括れよ。そんじゃ、教師陣から頼むわ」

 

 

俺の言葉に反応して黒燕、ランスロット、レイ、メデューサがディオドラ達と入れ替わりで前へ出る。予め打ち合わせしておいたので滑らかに進行できている。

 

 

「まずは僕から。英語教師のランスロット。元教会の人間だけど現在の魔王達と堕天使の総長とは個人的なパスを持ってたから忌避感はないよ。翔悟のメンバーの一人でポジションは騎士。よろしく」

 

「体育担当、藤川椿。兵藤は体育館で話しているから余計な説明は蛇足だな。ポジションは歩兵だ。今後ともよろしく頼む」

 

「数学教師、レイ・ヴィンスレイドです。元々は異世界の女神でしたけど、今はリーダーの僧侶を勤めさせていただいてます」

 

「保険医のメドューサ・ゴーゴン。生まれながらの魔女でポジションはレイと同じく僧侶よ」

 

「なあ、色々とおなかいっぱいなのに食後にTボーンステーキを叩きつけられるのを幻視したんだが……」

 

「女神と魔女だけマシだろ? 駒王学園に通ってないやつらの中には宿主の魂を乗っ取って行動する疫病や魂を喰らう鬼とかもいるし」

 

「マジか…」

 

「まあ、クレスは元々人じゃないんだがな。それは本人の口から聞いてもらうぞ」

 

 

教師たちが下がり、今度は学生メンバーが前に出る。

 

 

「まずは私にゃ。三年、姫島黒歌にゃ。ポジションは僧侶。よろしくにゃ♪」

 

「二年聖美月。英雄ジャンヌ・ダルクの子孫で本名もジャンヌだからよろしく! ポジションは騎士だよ」

 

「同じく二年! 八咫柴(やたし)クレス! 種族はヘラクレスオオヨロヒグモ!!」

 

「ヘラクレスオオヨロヒ? 聞いたことないんだが……」

 

 

そりゃ異世界の生物だもんな。

 

 

「俺達の仲間やディオの眷属の一部は平行世界や異世界の住人なんだよ。で、ヘラクレスオオヨロヒグモは背中に背負った道具なんかを魔改造武器として使う事ができるんだ。クレスの場合、生物・無生物問わず背負ったものの能力等を武器として扱える。後、何かを背負っていると核でも耐えれる特殊なバリアを纏う」

 

「何だそのチート」

 

「その代わり何か背負ってないと非力+攻撃手段がないなのが弱点だな。クレスは例外だが」

 

「どっちにしろ敵に回したくねぇよ」

 

「ここにいる殆どがそうだけどな。んじゃ、続き頼む」

 

「一年生、呉羽リネット。お兄ちゃんの義妹でポジションは僧侶です」

 

「一年。ルナ・フィリス。ポジション、ルーク」

 

「一年生、ギャスパー・ティムノートです。ポジションはビショップを担当しています。こう見えても男です」

 

「一年生、ヴァレリー・アルトステイツよ。ポジションは塔。ギャスパーと幼馴染なの」

 

 

一年生組も終わり、ここにいるメンバーでは残りは俺とネルフだけだ。先にネルフが前に出て、メイド服のスカート部分の先を持ってお辞儀した。

 

 

「人の技術によって誕生した動く死体、【ドール】のメイド、ネルフと申します。よろしくお願いします、イッセー様」

 

 

「そんで、さっき紹介したメンバーの纏め役である呉羽翔悟。元人間のチートな邪神龍だ。改めてよろしくな、イッセー」




次は悪魔の仕事、バイサー、フリード戦(1回目)です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。