コネと運で生きて何が悪い! (ふじちゃん)
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1話

気ままに投稿


「何度言ったらわかるんだ、この大馬鹿者め!」

 

ドコォ!

少々大げさに聞こえるかもしれないが、この「どこの組ですか?」と言えるような大柄の男性を見てくれればその比喩は正しい事がよく分かると思う。

身長は180cm以上、体重は100kgはあろうかというやけにガタイのいいおっさん。

われら兄妹の最大の恐怖である父親、高坂大介に大学二年生の俺、高坂信介(しんすけ)は現役警察官から親の愛(DV)を受けていた。

 

「いてぇよ親父。暴行罪だよ?」

と、僅かな反抗を試みるも

「お前にそれを言う資格はない!それにこれは更生だ!」

このように一蹴されてしまった。(通じるとも思っていないが)

 

「でもよ親父。俺はそれなりに考えがあって休学したんだし学校側もそれを受理したんだからいいじゃねぇか」

「だからと言って休学が認められるギリギリまで申請して遊びほうけているやつを見過ごせるはずがなかろう!」

 

去年の秋、俺は友人とノリで買った宝くじに当たり5000万もの大金を手に入れたのだった。

(おとこ)なら全部同じ数字でやってやんよ!」と意気込んだら1000円が5000万である、そりゃあ好きにしたくなるさ。

それだけの大金を手にしたのならと、人生で一度は夢見る『日本一周』を本当にやってきたのだ。(移動手段は大型バイク)

それが終わったのは冬に入ったころ。

1ヶ月で大学に休学届けを出し、3ヶ月旅をして、帰ってきたのだ。

そして休学期間は4年間。これはウチの大学に影響力のある友達にお願いして受理させた。俺の過去の実績もあって課題がオール90点以上なら卒業さえさせてもらえるという破格の条件で。

 

そんなこんなで帰ってきてから数ヶ月、俺は高校からの友達や大学の友達と好き勝手に遊んでいたのである。

毎日家を出掛けては夜中に帰る生活をしていれば、いくら成人したとはいえ親も黙ってなかったのである。

呼び出されたかと思うと1時間以上口論の末、遂に親父が手を出してきたという訳。

どうしてこうウチの親父は頭が固いのかね。

そんなこと言ったらアレだよ?友達の中には裏口使ったやつもいるんだから。

俺はまだマトモだと思うね。

 

「お父さん、もうそれくらいにしといたら?今はこの子何言っても聞かないわよ」

と、親子の熱い時間に冷却材を入れてきたのは母親である高坂佳乃(よしの)

母さんはどんなに上手くR18を隠しても必ず見つける天才である。俺も昔は悩まされたものだ。

だがここ数年は凸の帽子が切れたらこっそり「これなら間違いないわよ」と品質のいいものをくれたりするいい母親である。

今頃はちょうど年頃の弟も母のR18探知機に悩まされている事だろう。

 

「だがな母さん」

「あなたもお酒が入ってるから今は加減できないじゃない。今日は寝なさい」

「・・・うぅむ、そうだな。

信介、今日はもういい。だが成人したからと言ってあまり夜中に遊ぶんじゃない。いいな?」

「わーったよ親父。自重する」

 

これにて家族会議(不毛な争い)は終了。

 

「俺ももう寝るわ。明日は6時ね」

「そんな朝早くからどこ行くのよ。朝ごはんは?」

「明日は友達のナンパに付き合ってくる。朝はいるからよろしく」

「はいはい、ちゃんと寝るのよ。おやすみ」

「あい~」

 

親父との喧嘩に疲れて気のない返事をして二階に上がると、俺は泥のように眠りについた。

こんな感じで現在大学2年生の俺は、この堕落した生活に充実感を憶えながら満喫中である。

 

 

 

 




思いつきで書いてるので矛盾や意図しない改変等を多く含みます。
超不定期更新なのでそこのところよろしくお願いします。


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2話

「もっと腕を上げろ!足を前に出せ!ぬるま湯に浸かってるようじゃいつまでたっても速くはなれんぞ!」

「う、うるさぃ・・・わかって、る!・・・ハァ・・・ハァ」

 

現在の時刻は午前5時半。

まだ学生たちの起床には早すぎる時間に、一組の男女がアスファルトを駆けていた。

女は乱れる呼吸を何とか戻そうと必死になるが、後ろにいる男の足音に気を取られ中々戻せない。

男は常に女の後ろへと引っ付き、プレッシャーを与えている。

 

男はこの物語の主人公、信介。

女はその妹、桐乃である。

 

彼は妹が幼いころに頼んできた「走るのが早くなりたい」という願いを真摯に受け止め、休日はこうしてランニングに付き合っているのである。

 

「何度言ったらわかる!後ろをぴったりとついてくる精神的ダメージを跳ね除けろ!

走っているのはお前だ!勝負はいつも今の自分とだ!他の音に気を配るくらい余裕があるなら自分の体に全てを注げ!」

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

 

もはや返事すらも無駄と感じたのか、桐乃は後ろにいる信介に一瞥もくれず、ただ前を見て走っている。

 

「そうだ!俺を見るな!俺の声を聞くな!自分の動き一つ一つにだけ気を配れ!」

 

桐乃がゼェゼェと息を切らし頭が朦朧となっている中、信介は全く呼吸を乱さず、彼女のワンテンポ上の速さで後を追う。

今日走った距離はそろそろ7kmになろうとしていた。

 

 

 

 

 

「・・・だ、今日はこれで終わり!」

「ありがとうございました!」

 

今日の成果と反省点を話し、ランニングは終了となった。

 

「シンにぃやっぱ速いよ。タバコとお酒で無茶苦茶の体でどうやってあたしより速く走れるの?」

「特に努力はしていないな。しいていうなら風を感じてる時間を楽しんでる」

「それこそ無茶苦茶だよ」

 

桐ちゃんはうんざりした顔でこっちをみてくる。

大方世の中の理不尽さに怒りを向けてるんだろう。

まぁ俺の理不尽さは市内で天才(天災)認定を受けたほどだからな。

運動会で先生に「お前が出ると絶対勝てちゃうから綱引き禁止」と言われたことには流石に抗議したが。

 

「究極を突き詰めるならお前はもっと肉を落として筋肉をつけろ。

でも出来ないだろ?モデルを捨ててまでやろうって気概がお前からは感じない」

「女の子に筋肉付けろとかサイテー。

私は全部を完璧にこなすの。何かの為に何かを捨てるなんてできない」

 

俺の提案をさも当然かのように一蹴する。

これが彼女が彼女たる所以なのだが。

 

「ならばやはりフォームと精神を鍛えるべきだ。

そこまで気にしなくてもお前は充分世間から見たら天才だがな」

 

実際、彼女は天才と言われるほどの何かを生まれつき持っている者ではない。

その殆どが誰にも見せない努力によるものだ。

少し離れた年上というのもあって、こっそりと夜俺の部屋に尋ねてきては色んなことを聞いてきた。

俺は自他ともに認める天才だったから感覚で物を教えることが多かったが、そこは兄妹。

他人よりも若干ではあるが、俺の考えを読み取って自分のものとしてきた。

相手の気持ちをここまで読んでくれるなら、アイツとも仲良く出来そうなんだがな。

 

「千葉市の天才(天災)と呼ばれたシンにぃのお蔭であたしはそんなに目立たないけどね」

 

ちなみにこの渾名には色々と伝説が残っている。

曰く、千葉市の悪名高き不良に20人掛かりで襲われて撃退した。

曰く、成績は全国トップ。

曰く、夜な夜な遊び歩いては様々な女の家に消えてゆく。

曰く、彼には天が味方している。

誇張が混じっているのもあるが、大凡間違いではない。

流石に20人の不良には武器を使いトップ3を潰せばあとは散り散りに逃げて行った。

 

「とりあえずあたしはお風呂に入ってくる。

ベッタベタできもちわるいから」

「あいよ、たまにはお兄ちゃんと入るか?」

「は、ハアッ!?バッカじゃないの!しんにぃは外で水でも被ってろ!」

 

冗談にも本気で反応してくる桐ちゃんを俺は結構気に入っている。

今もランニングで真っ赤になった顔が更に赤くなっている。

 

こんな感じで、俺たち兄妹の関係は良好である。

―――――――――――――弟を除いては、だが・・・・・



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3話

 

 

「ただいまーっと」

 

親父に言われた通り最近は中学生かというような早さで帰宅している俺。

 

「お帰り。今日はカレーね」

「母さんまたカレーかよ。少しはレパートリーを増やしてくれ」

「うるさいわね、大体アンタ最近は家に帰ってこなかったじゃない。カレーそんなに食べてないでしょ」

「夕飯を食わなくても週1でカレー出されて次の日の朝と昼もカレーなら飽きるんだよ」

「文句言わないの。お父さんなんて若い頃はもっと不味いカレー食べてたんだから」

 

正直それもどうかと思うが手慣れてないうちは仕方がないのか。

そんなどうでもいいことを思いながらテレビをつける。

 

「あ、そうそう。

さっき京介が玄関でナニカを隠すようにうずくまってたんだけど」

「思春期特有のアレだろ。少々ジャンルが悪いからって見せないようにしたんだよ」

「あーかもねぇ。どうせ掃除するときに見つけちゃうのに」

 

京介―――――――高坂家次男、現在高校2年生。

信条は平々凡々というとても現実を見た普通の弟である。

3兄妹の真ん中は恵まれない、なんてことをよく聞くが、彼は別に恵まれなかったわけではない。

ただ、俺ら(兄と妹)が出来過ぎるだけである。

本人から見たら十分恵まれてないのであろうが。

 

「母さんやっぱり確信犯だったのか。

高校生の純情な気持ちを踏みにじってやるな」

「え~でも特殊性癖とかあったら嫌だし早めに知っておかないと」

「建前が普通すぎるんだよ。面白がってるだけだろ」

「やっぱわかる?」

 

この母親、中々に侮れない存在である。

時として男兄弟の中ではこの母こそが親父よりも怖い時がある。

 

「さ~て、京介がちゃんと勉強してるか見てこよ~っと」

「どっちの勉強かはわからんけどな」

 

軽い足取りで、かつ足音を立てないように階段をのぼる彼女はまさに職人芸であった。

スリッパであそこまで音を立てないようにのぼることは俺にはできん。

 

 

 

 

 

「早かったな母さん。どうだった?」

「うん、勉強してたわ。・・・・・一応」

 

あいつ玄関でばれたのに即座に行動に移すとは、よほどの期待作だったんだな。

あとで貸してもらおう。

 

「信介はSMだもんねー。女の子としてはちょっと困っちゃうわ」

「ソフトだからセーフだよ、セーフ」

 

もはやこの母に隠し事は出来ないのでおおっぴらに話が出来る。

流石に親父と桐ちゃんがいれば自重するが。

 

「じゃ、夕飯まで自分の部屋にいるわ。出来たら呼んでね」

「はーい」

 

さて、夕飯までに色んな娘のスケジュール確認でもするかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕食。

うちは7時頃に家にいなければ飯は食えんという謎の決まりがある。

まぁ門限に帰ってこないような奴に食わせるものは無いってことなんだろうが。

 

「「「「「・・・・・」」」」」

 

そして、基本誰も食事中には話さない。

恐怖の対象である親父が喋らないため威圧感があるのだ。

意図しているわけではないが、この威圧の中ぺらぺらと喋れるような人は母さんくらいなもんで、その母さんも今は静かにカレーを頬張っている。

 

「俺飯食ったらコンビニ行くけど、なんかいる物ある?」

 

と、唐突に京介が何でもない話しをしだした。

 

「ならハーゲンダッツの期間限定のをお願い」

 

これは母さん。

親父と桐ちゃんは特に入用のものはないのか、黙っている。

 

「俺はコーラ頼む」

「あいよ」

 

と、俺も京介に頼んだところで、急に方向転換。

 

「そういやさ、俺の友達が最近女の子向けのアニメにハマってるらしくてな。

たしか、ほしくずなんとかってやつ」

「なーに急に」

「いや、随分のめり込んでるから一回くらい見てみようかなって」

「やだぁ。確かそう言うのって“オタク”って言うんでしょ?あんたはそんなのにはまっちゃダメよ。ねぇお父さん」

 

どうやら母さんはそういうのに否定的らしい。特に興味がないだけかもしれんが。

話しを振られた親父は当然のように

 

「そうだな。自分から悪影響を受けに行くこともあるまい」

と、一蹴。

まぁ当然だな。こんな極道面がそんなものに賛成していたら吐き気と笑いが同時に襲ってくる。

 

「俺としては趣味にどうこう言う気はないけどな。そりゃあ世間からいい印象はないだろうけど」

「やっぱそうだよな」

 

京介も特に興味があるわけではないのか、それから話を広げようとはしなかった。

ん?

 

「桐ちゃんどうした?具合悪いか?」

 

見れば、桐ちゃんの指先は酷く震えていた。

目の焦点も合っていないように見える。

 

「どうしたの桐乃。大丈夫?」

 

母さんも心配している。

もしかしたらカレーに恐ろしいもんでも混ぜたのではなかろうか。

そうならすぐに病院だな、なんて考えながら返事を待つと

 

「・・・ごちそうさま!」

と、気分というより機嫌が悪そうに二階へと上がってしまった。

 

「・・・母さん、あとで桐乃を連れてきなさい」

 

あーあ、桐ちゃん親父に目をつけられちゃったか。

こうなると俺にはどうしようもないので放っていくしかない。

 

 

その後夕飯を食べ終えてまた自室へと戻ると、ふと思い出した。

 

「エロ本かりるの忘れてた」

 

あぶねーあぶねー。

 

 

『ガチャ』

 

扉を開けると自室の前でドアノブに手をかけたまま佇んでいる京介を発見した。

ちょうどいい、さっさと借りて戻ろう。

 

「きょうすけー。今日お前が買ってきたエロ本かし―――――」

 

部屋の中を見ると、四つん這いになって尻をコッチに向けている桐ちゃんが信じられないとでも言うような顔をしていた。

 

 

 

 

ここから、家族も友達も巻き込んだ一大ストーリーが幕を開けるとは、この時はまだ誰も予想できなかったのである。

「(やば、桐ちゃんの前でエロ本とか言っちゃったよ)」

 

 



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4話

『 京介視点 』

 

 

今日もいつもと変わらない平々凡々な一日だと思っていた俺に、これからの全てを変える出来事があった。

何でもない休日に、接触事故が多発する玄関・リビング・階段を繋ぐ扉で、妹とぶつかった。

幸い双方に怪我はなかったが、玄関には妹の持っていた荷物が散乱し、それを善意で拾おうとすればペットが悪い事をしたかのように手の甲を叩かれ拒まれた。

別に問題はない。冷戦ともいえる俺達兄妹でこんな事は些細なものだった。

 

 

問題―――――そう。

問題はこの後だった。

 

善意を拒まれたことでみっともなく拗ねた俺はリビングで時間を潰し二階へあがろうとした時、玄関にナニカが落ちている事に気が付き、手に取るとそれは我が家には縁もゆかりもないであろう小学生が変態チックな衣装を着て砲撃をブッ放しているDVD。

これもまだいい。いや、この時点で不可解ではあるがまだいいのだ。

中身が、とてつもなく問題だった。

それは男子高校生にとっては魅惑の代物であるR18。

しかも題名は『妹と恋しよっ!』である。

最初は兄貴が持ってるものだと思ったが、ここ数ヶ月毎日外に出ては夕飯ギリギリに帰ってくる人がこんなものを玄関に落とせば誰かがもっと早くに見つけているはずである。

なら次は俺が疑われる。これは当然俺のものではないので違う。

なら親父?まさか。

DVDを再生できない親父がこんなもの持っているはずがない。

母さんは欠片も興味はないだろう。

なら妹という事になるが、これも信じがたい事ではある。

完璧超人の名を欲しいままにするような妹がエロゲーなんぞ持っているはずがない。

 

というわけで夕飯時に探りを入れたら、酷く狼狽えたものが一人。

妹である。兄貴ならある意味安心できたのだが、まさかの妹。

だが確証がないため、コンビニに行くと見せかけて裏口から足音を立てないようにして二階に上がり勢いよく扉を開けるとそこには四つん這いの妹。

犯人はこれで確定したも同然である。あとは事情聴取だ、と意気込んだところで前回の話へと戻るわけだ。

 

 

「兄貴、俺はエロ本なんぞ買ってないぞ」

「嘘をつくな。母さんが玄関で見たって言ったぞ。

お前にどんな特殊性癖があろうとも気にしないがエロ本を買っていることは親父に報告させてもらうからな」

 

お袋め、余計なことを。

完全に勘違いされてるじゃないか!

 

「うぉぉぉぉい!!!

だからちげぇって!俺があの時持っていたのはこの」

「シンにぃ、ちょっとコイツと話があるから後にしてくれない?」

 

そんな俺に助け舟?を出したのは桐乃だった。

 

「ん?そうか、じゃあまた今度でいいわ」

 

兄貴はやけに大人しく部屋に引っ込んだ。

天災が吹き荒れてから数分、ようやく尋問開始である。

 

 

 

 

 

 

『 信介視点 』

 

 

あーあ。

完全に桐ちゃんに嫌われちゃったよ。

言っちゃったから気にしないなんてふっきって話を進めたがエロ本は借りられないしめっちゃ後悔したわ。

明日『庭園』で遊んで忘れよう。

 

「あ、もしもし。かなちゃん?明日泊まりで庭園行かない?え、コミケ準備?手伝うから来てよ、ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで二日後、俺は桐ちゃんに寝込みを襲われた。

 

「桐ちゃん、流石に兄妹でエッチは不味いよ。親父に怒られちまう」

「いや違うんだけど」

 

桐ちゃんは馬乗りになったまま軽蔑の眼でこちらを睨みつける。

やっぱりこの前のエロ本発言が不味かったのか・・・

 

「じゃあ何?俺すげー眠いんだけど」

「ちょっとあたしの部屋に来て。見せなきゃいけないものがあるから」

 

ふむ、見せたいものではなく見せなきゃいけない物・・・か。

桐ちゃんの頼みとあらば応えるしかない。

 

 

 

 

 

そこには京介も一緒で桐ちゃんの秘密を聞かされた。

簡潔に言うと桐ちゃんは所謂“オタク”というやつで、特に妹モノが好きなんだとか。

正直ふーんって感じだったが、それよりも

 

「俺が秘蔵のエロ本だったと思ってたブツはエロゲーだったのか」

「「そこ(かよ)(じゃないでしょ)!!!」」

 

激萎えである、この日の為に色々と貯め込んで・・・昨日発散したか。

 

「とにかく!アタシの趣味を知ってもらおうと思ったわけ、わかった?」

「はいはい、桐ちゃんは妹が大好きな変態さんね」

「ちょ!違うし!何言ってんの!?」

「いいからいいから。俺の友達にもオタクはいるから気にしないで。

中学生の頃リアルに学校で「・・・ハッ・・・・・フフフ」とかやってた奴知ってるから」

 

あの人はまだ元気だろうか。

 

「何その人、こっわ」

「面白い人だよ。過去の苦しみに悶えてる姿は爆笑ものだからね」

「シンにぃ悪趣味だよ」

 

どこが悪趣味か。

自業自得でもがいてるやつを見るのはとても面白いぞ。

 

 

 

ということで、この話は三人での秘密となった。

親父にばれたらと思うと隠してたこっちにまで被害が及びそうだからな。

あと、お兄ちゃんは妹を守るものだ。

 

 



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5話

 

桐ちゃんからの爆弾発言から一週間。

あれから俺は友達の家に一週間泊まり込んで同人誌制作のお手伝いをしていた。

結果、予定より三日ほど早く終わって「流石は千葉の天才だね☆」と嬉しくもない感謝をされたのだった。

 

「兄貴、ちょっといいか?」

 

ようやく家に帰りついたら今度は弟からの呼び出しである。

そろそろ俺はゆっくり寝たいんだが、そうもいかないだろう。

気怠そうな雰囲気とは裏腹に、目が本気だからだ。

 

「桐ちゃんのことか」

「ああ、実はな・・・」

 

何でも、京介なりに考えた結果桐ちゃんには「オタクの友達」が必要だと考えたんだそうだ。

それでそういう友達にも縁がある俺を頼りたいんだと。

 

とりあえず桐ちゃんの部屋に行って三人で条件をつけていく。

 

一つ、学校の友達に絶対ばれない事。

一つ、男ばっかりのコミュニティは断固反対。

一つ、同じ年頃が望ましい。

 

ん?これはもしかしたらいけるかもしれんな。

 

「ホント!?」

 

桐ちゃんはスゴイ期待の眼差しでこちらを見る。

 

「ちょっと待っててくれるか?連絡してみるよ」

 

部屋を出て“とある人物”に電話を試みる。

 

『はい、槇島ですが』

「もしもし、高坂と申しますが、沙織さんは御在宅でしょうか?」

『はい、少々おまちくだ「信介さんですか?」お、お嬢様!』

 

どうやらこっそりと後ろに近づいて驚かせたらしい。

あのころの聖闘士(アテナ)はどこへ行ったのやら。

 

『信介さん、お久しぶり・・・というほどではありませんわね』

「そうだな、ちょっと沙織に聞きたいことがあってさ」

『まぁ!信介さんが人を頼るなんて、明日は嵐でしょうか?』

「バカなことを言うな。

実は妹がそっちの世界に入ってな。そっち限定の友達を作りたいんだと。

お前ならアテがあると思ってな」

『あらあらそうでしたか。

女の子ならわたくし、ちょうどいい“サークル”を運営しておりまして。

もう少ししたら“オフ会”の予定もありますから御一緒にどうでしょう?』

「ほう、詳しく聞かせてくれ」

 

と、奇跡のようなタイミングで最高の話しを聞いたのである。

電話を終えて部屋に戻ると、両者とも期待と不安が入り混じった目でこちらを見てきた。

 

「心配するな、桐ちゃんに最適なサークルを見つけてきたぞ」

「ど、どんなところ?」

「女性限定のオタクサークルだ。年齢は10代が中心で桐ちゃんの一つ年上の人が運営している。

20人くらいの小規模サークルだから大歓迎だそうだ」

「シンにぃ、もしかしてそのサークルの運営者さんと友達なの?」

「あぁ、あるサークル運営者の妹なんだ。

そこはもう終わっちゃったけど、妹が独自のサークルを作ってる。

えーっとURLは――――――――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

沙織のコミュニティ『おたくっ娘あつまれー』のお茶会(オフ会)に招待された桐ちゃんは、一人では不安だと俺たち兄弟を連れて秋葉原へと繰り出した。

電車や街中でナンパでもされたら折角の楽しみがなくなると、俺達は了承し(京介はしぶしぶだったが)大都会東京へと足を運んだ。

桐ちゃんは家族で来たなんてばれたくないと俺達を先に行かせ、メンバーが集まった時に来るようだ。

 

一見普通の喫茶店に見える「プリティガーデン」という店が待ち合わせの場所らしいが、ここに来るのは実は初めてではない。

 

『カランカラン』

「おかえりなさいませ~ご主人様!」

 

『バタン!』

 

「おい京介、何で扉を閉める」

「・・・いや、そういえば秋葉原だったなと実感しただけだ」

 

なるほど、京介はこういう店(メイド喫茶)に来るのは初めてだもんな。

今まで自分とは全く縁がなかった世界に戸惑うのも無理はなかろう。

 

「いいから入るぞ」

「あ、あぁ」

 

『カランカラン』

「おかえりなさいませ~ご主人様!」

 

先程と全く変わらずに出迎えてくれるメイド(店員)達。

教育はちゃんとしているようだな、アイツ。

 

「二名だ、端のテーブルに頼む」

「かしこまりました~こちらへどうぞ!」

 

席へと案内してもらい、メニュー表を差し出される。

 

「メイド長はいるか?高坂と言えばわかる」

「はい!ただ今呼んでまいりますね!」

 

先程の金髪メイドが奥に引っ込むと、入れ替わりで黒髪ツインテールの痛いメイドが小走りでやってきた。

 

「いらっしゃいシン君!今日はお友達と一緒かな?」

「いや弟だ、紹介するよ」

 

目線で「挨拶しろ」「まじかよ」という話をして、

 

「ども、高坂京介です」

「いらっしゃいませ!じゃあ呼び方はきょうちゃんで決定!

ご主人様は今まで通りでいいよね!」

「あぁ、今日は沙織も別枠でくるから忙しくなるぞ」

「連絡は入ってるよ!ではご注文をお伺いします!」

「俺は『メイド長特製カルボナーラ』でこいつには『幼馴染のラブラブカレー』どっちも大盛り。あと『超神水(ソーダ)』を頼む」

「はい!(小声)ご主人様、実は新メニューで『メイドからのラブコールパフェ』なんてものが」

「おう、じゃあそれもくれ」

 

実は『メイドからのラブコールパフェ』なんてものはなく、隠語である。

意味は「今夜ご主人様にメイド長の女体盛りパフェプレイのプレゼントがあるけど、どうかな?」である。

 

注文を取り厨房に戻った直後、女性団体のお客が入ってきた。

その中には俺の知り合いと、妹である桐ちゃんもいる。

さて、うまくいくかねぇ―――――――――――――――――――

 

 



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6話

もう少し早く投稿する予定だったのですが、
扁桃炎により39度の高熱にうなされておりました。
正直今回はあまり出来がよくないです。


『 沙織・バジーナ視点 』

 

 

皆々様初めまして、というのが適切がどうかはわかりませぬが、拙者「沙織・バジーナ」と申す者で御座る。

今日は拙者がとても楽しみにしておりました『オフ会』の開催日でござるよ。

先日信介氏からのご紹介で妹君が参入してくださるということで一段と気合が入っておりまする(@ω@)

ですが・・・

 

 

『 こ れ は 不 味 い 』

 

 

というのも、まずきりりん氏はオタクからはもっとも遠い存在であるイケイケのjc(女子中学生)なのです。

最新のファッションを身にまといピアス・髪染めとくれば、どうやっても打ち解ける筈はなく。

席も随分と離れておりますからフォローにもいけず。

 

他の方々から見ればさしずめ、前門のデフォルメくまさん後門の虎なのです。

そんな中なら当然クマさん同士できゃっきゃしてしまい、トラさんは一人ぼっちの寂しい子なのでござる。

 

結局会話は何一つ出来ずにオフ会は終わってしまわれました。

ですが『我に秘策あり』で御座る。

十数名もの人数が居れば、必然話せなくなる子羊たちもおりましょうぞ。

その子羊を導くのが聖女(主催者)の役目。

一人はもう招待しております。あとはきりりん氏だけなのです。

逃がしませぬぞ、フフフフッ・・・・・

 

 

 

 

 

『 信介視点 』

 

 

桐ちゃんの初オフ会は正直言って惨敗であった。

そりゃあモデルをやってるイケイケ女子中学生があんなヘンテコ集団に入れば当たり前なんだけどな。

敗残兵は静かに、そして荒々しく弟の足をヒールで蹴っていた。

 

「いくらなんでもヒールは反則だろ!骨が折れたらどうすんだ!」

「ハァッ?あたしのストレス解消に付き合せてんだからむしろ感謝でしょ?」

「その行為のどこにも感謝すべきところはねーよ!」

「うっさい!『幼馴染のラブラブカレー』なんて食べてた人に言われたくない!」

「関係ねぇだろそれは!?」

 

やれやれ、兄妹仲がよろしいことで。

 

「「誰がこんなやつと!!」」

 

・・・息ピッタリじゃねーか。

 

 

「おーーーい!き~りり~ん氏ぃー!よかったぁ。まだいてくださったか」

「あ、あんた・・・沙織さん?」

 

バカ兄妹が馬鹿な事をしている間に現れたのは180cmの長身にぐるぐる眼鏡、バンダナを巻きチェックのシャツをズボンにINしているバカ面。

コミュニティ管理者、『沙織・バジーナ』大尉である。

 

「大尉!任務ご苦労であります!」

「うむ、そちらもよくやってくれた高坂一等兵」

「・・・降格が過ぎないか?」

「妹さんに服装についてのお話をしなかったのが降格の原因ですな」

「ウチの妹はあんな洒落たのしか持ってないよ」

「それはそれでスゴイのですが・・・まぁとにかく任務ご苦労なのであります」

 

俺達が行っていた任務とは、オフ会が終わった後桐ちゃんをメイド喫茶付近から離さない事だった。

『信介氏の妹君ならば拙者も親密になるは必然』らしい。

 

「あの、沙織さん。ウチの兄に何か御用ですか?」

「いやいや、用があるのはきりりん氏なのです。それと、『沙織さん』などと硬い言葉でなくてもよいのですぞ。

気軽に『沙織』と呼びつけにしてくだされ」

 

ハイテンションのまま捲くし立てる沙織に少し戸惑っている桐ちゃん。

わかるぞ、俺もまさか昔の沙織がこんな成長をするとは思わなかった。

 

「御用というのはですな。

これから『二次会』にお誘いしたく思いまして」

「え・・・?」

 

困惑している中で更にマシンガントークは続いていく。

沙織は京介に目をやり、

 

「ところでそちらの男性は・・・ハハァ~ン。

きりりん氏も隅に置けないでござるなぁ。まさかオフ会にこっそり兄と“彼氏”を連れて来るとは」

「ち、違うっての!何考えてんの!うわっ、想像しただけでキモすぎ・・・鳥肌立ってきたじゃん!」

「確かに全然違うけどお前どれだけ俺の事嫌いなんだよ!」

 

はははっ、沙織は数年で随分とコミュ力を上げたんだな。

一瞬で俺達の仲に入って違和感なく溶け込みやがった。

 

「高坂京介。お前の知ってる信介の弟だよ」

「ほほう、こりゃ失敬。

・・・随分と似てない三兄妹ですな」

「よく言われるよ、正直男は養子だって言われても納得できる」

「ほら、話はもういいだろ?沙織、人数は何人だ?」

 

いい加減お店の前で騒ぐわけにもいかないので、話の急かす。

 

「我らとあと一人です。京介氏も信介氏もよろしければ同席くださいな。

きりりん氏、いかがか!?」

「ま、まぁどうしてもって言うなら行ってあげてもイイケド」

 

本当は飛んでいきたいくせに、不安とプライドを隠して桐ちゃんは大きな一歩を踏み出した。

 

「それはよかった!ではもう一人の方を待たせるわけにも参りませんので行きましょう!」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ沙織!」

 

何はともあれ、このサークルを選んだのは正解だったようだ。

沙織も桐ちゃんも、すごく楽しそうだから。

 

 




え?物語が全然進んでない?
気にすんなよ、7つの玉を集める世界的ヒーローアニメはもっと進まないじゃないか。


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7話

遅くなりました。
内容はペラペラですが、気にせずさらっと読んでってください。


『 信介視点 』

 

「コードネーム『S(信介)』、現在『M(マック)』へ潜入した。

これより、任務を開始する」

 

「こちら『S.B(沙織・バジーナ)』了解。確実にターゲットを捕獲せよ」

 

「バカやってないでさっさと行くよ!」

 

ここはプリティガーデンから一番近い『マック』の1階。

俺たちは二次会の場所である2階で待つもう一人と合流するために来たのである。

 

さっそく2階へと上がりきょろきょろと辺りを見渡す沙織。

すぐさま見つけたようでそちらに急いで駆け寄っていった。

 

「お待たせいたしましたぞ【黒猫氏】!

いやー意外と時間がかかってしまいました」

 

「別に気にしていないわ。さっさと座りなさい」

 

そこで待っていたもう一人に随分とデジャブが感じられるのは気のせいだろうか。

全身を黒いオーラが出そうな衣装で纏う女。

てかこれ、『マスケラ』の魔 夜 の 女 王(クイーン・オブ・ナイトメア)じゃねーか!

特注か自作か、どちらにしても気合の入れ具合が違う。

 

「こちらの方々はこの二次会の参加者で御座る。

きりりん氏と、特別ゲストで兄上の信介氏と京介氏で御座るよ」

 

「ハンドルネーム“黒猫”よ」

 

「えぇっと、きりりんです。よろしく」

 

「信介だ。沙織とはコミュニティができる前からの知り合いでな。

妹をこのコミュに誘ったのも俺なんだ」

 

「高坂京介だ。飛び入りですまない」

 

と、一通り自己紹介を済ませた所で一拍の間。

 

「メンツも揃ったようだから聞くけど、管理者さんは一体何のつもりで私たちを誘ったのかしら?

そちらの方はお兄さんが知り合いだそうだからわかるとしても、何故私まで呼んだの?」

 

彼女は自分が何故ここに呼ばれることになったのか疑問のようだ。

そりゃ5人いて3人は兄妹、1人はその知人であり管理人となれば不自然だろう。

 

「先ほども申したではありませんか。

拙者が話せなかった人達とも仲良くなりたいのでお誘いしたと。

それと、沙織で結構!せっかく集まったのですから今宵は無礼講で行きましょう」

 

「真昼間だろうが」

 

 

 

 

 

 

 

「さて、一通り自己紹介も済んだ所でこういう場では定番の“アレ”をやりましょうぞ」

 

「アレ?」

 

「むっふっふ。京介氏にはわからんでござるか?

ズバリ!“みんなの疑問を聞いちゃおう!質問コーナー”で御座る」

 

今の沙織から何が飛び出してくるかと思えば…

ま、確かに定番中の定番だな。俺も昔は恥をかかされたものだ。

 

「ちょっと、いきなり何を「はいでは黒猫氏へ質問です!」…何かしら」

 

「最近一番恥ずかしかったことは?」

 

うわー、これはまた。

本当に恥ずかしいものでなければもう一回。

素直に答えれば自分の顔が真っ赤になる事間違いなしの鬼畜問題だ。

確かに仲良くなるには自分の弱みを見せる事も重要ではあるのだが、初対面同士でうまくいくのか?

 

ナイトメアちゃんは少し考えるようなそぶりを見せた後。

 

「ウッーウッーウマウマを動画投稿用に撮影していたら妹に見られたことかしら。

さすがに私もあの時ばかりは恥ずかしかったわ」

 

などと戦艦ミサイル級のエピソードを語りだしやがった。

 

(((それは不味い!!)))

 

京介には何のことかまるでわからなかったようだが、俺たちにはわかる。

ただでさえあれを踊る事がすでに恥ずかしい、痛々しい少女なのにそれを家族に見られたというのだ。

俺だったら一生千葉に帰ってこないな。

 

「黒猫氏は妹君がいらっしゃるのですね」

 

「ええ。何が起こっているのかわからないけど見ちゃいけないって顔だったわ」

 

「黒猫氏は案外お茶目さんなのですね」

 

「くだらない慰めはいらないわ。元よりこの身は天涯孤独。

恥ずかしいというのもあなた達人間に合わせて言った言葉よ。

さ、次は私の番」

 

 

さらっと厨二病発言をしたところで、次は自分だと黒猫は意気込んだ。

 

「そこの…きりりんとか言ったかしら。

あなたのその恰好はどうしようもなくこの町では浮いているのだけれど、それはわざとなのかしら?

ここは子供の来るところではないのよ、もっとまともな格好でいらっしゃいな」

 

あぁ、この電波女地雷踏みやがったよ。

案の定桐ちゃんはプルプルと小鹿のように震えながら、されど内には虎のように敵意を持っていた。

 

「…あら、ごめんなさいね~。

私こーゆー超オシャレな服しか持ってないからやっぱ“目立っちゃう”のよね~。

はい質問終了。次あたしがするけど、あんたのその恰好もどうかと思うよ。

いくらアキバだからって家からここまでその恰好なんて、正直引くわー」

 

俺には彼女らが荒野でバトってるシーンが浮かぶのだが、皆さんはどうであろうか。

 

「い、言ってくれるじゃない。

あなたにはわからないようだから教えてあげるけど、これはマスケラに出てくる“魔夜の女王”の衣装よ」

 

「マスケラ?それってメルルの裏番組じゃない?」

 

「あ、あなたまさかメルルって『星くずうぃっちメルル』の事を指しているのかしら。

あんな砲撃をブッ放すだけが取り柄の子供向けアニメこそ裏番組でしょう!」

 

「何か勘違いしてるようだけど、あたしが見てるのが『表』で他は全部『裏』なの。

大体ネットで『オサレ系邪気眼厨二病アニメ』って叩かれてる作品が表とか恥ずかしいでしょ!」

 

その後も彼女らの「自分の見ているアニメこそが表だ」という主張は、大声を出しすぎて店員さんに咎められるまで続いたのであった。

 

 

「「いやーお二人とも仲のいいことで」」

 

「のんびりしてないで兄貴もあんたもこれ止めろよ!」

 

 

 

 

 



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8話

お久しぶりです!
話は全く進みませんが、どうぞ!


なんやかんやでオフ会と二次会が終了して数日が経った。

あの時は別れる最後の時まで桐ちゃんと魔夜の女王は鮮烈な死闘を繰り広げ、「自分が見てるものが表なんだから騒ぐ意味がわからない」と京介が口にしたことで急きょ収まった。その分全ての矛先が京介に向いたのは言うまでもない。

 

あれから沙織や桐ちゃんから話を聞く限り特に問題なく盛り上がっているようであったので、これでエロ本発言はチャラと自分に言い聞かせ俺はそのグループへの干渉を止めた。そもそも女性限定のサークルで男がいた事が異例中の異例である。

 

沙織とはあれから連絡をとってはいないが、便りがないのは仲良しの証と思って安心している。

 

今日も今日とて派手に仲間内で飲みあかし、我が家へと帰ったのだが…

 

 

「桐乃……なくなっちま…!!」

 

「それで………18き…………」

 

「これは俺………」

 

「妹の……部屋………いかがわ………」

 

「ちょー面白かったぜ!文句あっか!?」

 

「この…バカ息子が!俺はもう知らん!!」

 

 

なんでぇこの怒鳴り声は…親父と京介が喧嘩でもしてんのか。

 

ガチャッとリビングへ繋がる扉が開かれると、中から親父が出てきた。

どうやら俺と同様かなり飲んだらしく顔が赤い。怒鳴り声からして腹が立ってこうなっただけかもしれんが…

 

「信介、帰ったか」

「あ、あぁただいま親父。怒鳴り声が聞こえたけど何かあったグエェ」

 

い、いつも通り挨拶したのに胸ぐら掴まれた。

どうやら相当ご立腹らしい。

 

「桐乃にあのようないかがわしいモノを与えるとは何事だ!!兄弟揃ってバカをやっている暇があるなら今すぐ大学に復学しろ!」

 

意味不明な罵倒の後にくる丸太のような腕から放たれる拳がみぞおちにクリーンヒットォォォ!?!?

酒で加減がわかっていないのか打ち込んだ瞬間拳をねじりやがった………やばい吐く。

 

フンッと息巻いて親父は自分の部屋へと戻っていくが、俺はしばらく立てそうもない。

あのクソ親父、いつか絶対這いつくばらせてやる…

 

あ、もう意識…が………

 

 

「シンにぃ!起きて!シンにぃ!!」

 

「ん……女の声」

 

「ちょ、女の子だったら誰でもいいって訳!?」

 

意識が戻り目を開けると目の前にぷりぷり怒ってる桐ちゃんが。

あぁ、おれは倒れたんだっけ?

 

「いくらお酒飲んだからって玄関で倒れないでよ!びっくりするじゃん!」

 

(いや、親父からの理不尽な暴力のせいです)

 

「さ、リビングまで連れてってあげるから。立てる?」

 

桐ちゃんの肩を借りてリビングに戻れば、これまた派手に鼻が潰れた弟が1人。

とりあえず、取るべき行動は1つ。

 

「起きろ童貞!!」

ドスッ!といい音を立てて自重落下による肘打ちをお見舞いする。

 

「ガッ!?

ななな、なんだぁ!!新手の敵襲か!?」

 

「よぉ兄弟。さっそくで悪いが、事の顛末を話してくれるか?」

自分のみぞおちを京介に見せて言うと、納得したような、それでいて「勝負はまだ終わっちゃいなかったんだな」などと独り言をいった。

 

「実は〜〜」

 

 

「ふんふん、確かにアニメのパッケージや中に入れてあったエロゲーを親父に見られ勇敢にも立ちはだかったことは褒めてやる。だがな…

そのエロゲーが俺のものってのは何どうしたらそうなった……」

 

詳しく説明すると長くなるのでヶ所書きで説明したいと思う。

 

・桐ちゃん、親父にオタクがバレる

 

・親父、問い詰めて全て捨てようとする

 

・そこに京介が割って入り何とか殴られて収めたものの、

年齢制限のあるものは俺の所有物であり、桐ちゃんのパソコンで俺が隠し持っていたエロゲーをプレイしたと豪語。(桐ちゃんもプレイ済みとの説明)

 

・京介を殴り部屋を出て行ったが、タイミング悪く俺が帰宅。

当然兄妹2人にいかがわしいものを与えた俺も有罪で制裁執行。

 

 

とまぁ、こんなわけであった。

 

「おれ、何も悪くなくね?」

 

「正直すまなかった、だがR18の壁は今の所兄貴しかクリアしてねぇからな」

 

「そのせいで俺のみぞおちが捻れる者ぼーんすらいむになってるんだが」

 

「その辺の借りはいつか返す、ここは無理にでも納得してくれ!

それが出来ないと親父は本当に桐乃の部屋に入ってあのコレクション全部捨てちまうんだ!!」

 

チラッと桐ちゃんを見れば、捨てるって言葉で泣きそうに俯いている。

………しょうがないか

 

「わかった、じゃあ今度俺の言うことを【何でも1つ】聞け。それで手を打とう」

 

「あ、あぁ!ありがとう兄貴!」

 

 

かくして今回の家族騒動は幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

〜〜〜後日談〜〜〜

 

何でも1ついうことを聞く、ということだったので京介には

 

 

『ふりふりのメイド服(メイド喫茶プリティガーデン仕様)』で

 

『沙織・黒猫・桐ちゃん・俺に見られて』尚且つ

 

『ビデオカメラを回しながら』なんと!!

 

『ウッーウッーウマウマ』を踊ってもらいました!!!

 

 

「キャハハハッ!やばい、お腹死んじゃう!これはだめ、アッハハハハ!!」

「これは…もう手遅れね。光の力も闇の力も届かないおぞましいものを見てしまったわ」

「京介氏ー!腰にキレがないでござるよ〜」

「俺に『何でも』何て言ったのが間違いだったな、ちゃんと【ヨウツベ】と【ニコニコ】にアップロードしておくから、くくっ!」

 

 

「いくら何でもあんまりダーー!!!」(フリフリ)

 

 

 




如何だったでしょうか。
夏休みに入ったにも関わらず勉強に追われる日々(サボってます)を送っておりますわたくしです。
物語は次回で第二巻、ようやく一巻が終わってホッとしております。

次回…あるといいなぁ
ご期待ください!


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9話

約1年ぶりですね、お久しぶりです。
続き待ってますの一言で暇を見つけて書きました。

次話が投稿されるのがいつかわかりませんが、とりあえずこちらをどうぞ!
原作成分5%でお送りします。


 

 

都内某所

俺こと高坂信介は、自分で言うのもアレだが大抵のことは何でもできる。

そう、それが例え体育会系でも、”文化系”でもだ。

 

「サイコーだよ二人ともー!

じゃあ次はキュートな感じから仲良し系で~!」

 

「「はい!!」」

 

そう、それが例え雑誌の撮影であってもだ。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ今日はこれくらいで、お疲れ様でした~」

 

「「「「お疲れさまでしたーー!!!」」」」

 

 

 

 

 

「ほんと、桐乃のお兄さんはすごいよね。

どんなカメラマンさんよりも私たちのこと綺麗に撮ってくれるし」

 

「あたしも色々自慢の兄貴だよ(変なところもあるけど・・・)」

 

「二人ともお疲れさん、差し入れだ」

 

桐ちゃんは実はモデルもやっている。

いつだったか具体的な時期は忘れたがスカウトを受けて親父を説得しに行った際

俺をそばに置くことを条件に許可した経緯がある。

 

最初はマネージャーの様な立場だったが、スタッフさん達と仲良くなって

カメラの扱い方を教えてもらい、今では一部雑誌に載るほど上達してしまった。

お小遣い程度に報酬もいただいているのでやめられない。

 

先ほど俺のことをほめてくれたのは新垣あやせ。

桐ちゃんとは同い年で、なんと学校も一緒だそうだ。

 

おっと皆、勘違いしないでくれ。

決して手は出していないゾ。中学生は犯罪だ。

『中学生』はな。

 

二人はお礼を欠かさずにして、俺の持ってきた缶ジュースを一口つける。

 

「しんに・・・兄貴はこれからどうするの?」

「特に予定はないかな。

家に帰るか、軽く原宿と銀座でも見ようか迷い中」

 

桐ちゃんの質問にふんわりと答えると

あやせちゃんの目がキラリと光ったのが見えた。

 

「桐乃、今何か言いかけたよね?

もしかして普段は兄貴って呼ばないの?」

 

「え゛っ、そうかなぁ~いつも通りだよね兄貴ぃ~」

 

なんか桐ちゃんが誤魔化そうとしてる。

ここは妹のプライドを立てておくか(やれやれ)

 

「桐ちゃんはいつも『信にぃ』って呼んでるんだよ」

 

「ばかぁぁ!!」

 

こういう時俺が意地悪になることを14年も一緒にいて察せないとは、愚かなる妹よ・・・

 

「わっ、びっくりしたぁ」

「ご、ごめんあやせ。そんなつもりじゃ」

「ううん、いいの。

でも意外だったな。信介さんのことをそんなに可愛く呼んでるなんて」

 

あやせちゃんと桐ちゃんは結構仲がいい。

傍から見ていてもその美少女二人組はナンパも寄せ付けない仲良しっぷりだ。

 

「桐乃のこと、また一つ知っちゃった」

 

・・・仲睦まじいのはいいことだが、こう時々

一歩間違えればメンヘラみたいなことを言うのが玉に瑕である。

 

「う、うん。実はそうなんだよね。

昔からこんな感じで呼んでて」

 

うん、うん。

隠すことはない。というか隠されたくない。

だって街でこの呼ばれ方すると仲睦まじい兄妹に見られてどや顔できるから!(キリッ)

 

「じゃあ私も今度から信介さんのことを『お兄さん』って呼んじゃおうかな、なんて」

「嬉しいことを言ってくるなぁあやせちゃんは。

じゃあ俺も今度から『あやちゃん』って呼ぼうかな」

「ちょ、ちょっと二人とも~」

 

あやせちゃんと俺は示し合わせたように桐ちゃんをからかっていく。

いや、俺は本気で呼ばれたいんだけど。

 

「冗談だよ桐乃。

桐乃のお兄さんを取ったりしないから」

 

う~む、惜しい。

 

「あ、あぁなんだ~ジョーダンかぁ」

 

妹よ、ホッとしてたら思うつぼだぞ。

 

「実は桐乃にはもう一人兄貴がいるんだよ。俺の弟だな」

「え、そうなんですか!

桐乃全然そんな話してくれなかったんですよ~」

 

あ、やっぱ言ってないんだ・・・

京介よ、不遇だなぁお前。

 

「べ、別に特別そんな話することもないし」

「え~桐乃のことなら何でも気になるよぉ。

そのお兄さんもきっと素敵な人なんだろうな~」

 

う、すまん弟よ。

今は平凡な京介のハードルを上げてしまった瞬間だった。

 

「いや、そっちは全然ダメ」

「え、そうなの?」

 

桐ちゃんがフォローにならないフォローをしてくれたおかげで

一応ハードルを下げることには成功した。

会った事もないのに印象を決定されるのって悲しいよね(体験談)

 

「あ、それで信介さん。

よかったらなんですけど、この後私たち二人で色々散策しようって話してたんです。

信介さんも予定がなければ一緒に周っていただけませんか?」

 

両脇に美少女(片方は妹だが)を連れ添う3人デートキタコレ!

 

「もちろんいいよ!

あやせちゃんとデートなんて初めてで嬉しいな」

「・・・信にぃ、あたしがいること忘れてない?

てか中学生とデートとか犯罪だから」

 

釘を刺されてしまった。

 

「信介さんが桐乃のこと忘れるわけないじゃない。

ほんと、冗談もお世辞もお上手ですね」

「気を付けてねあやせ。

信にぃってば好青年に見えるけど隠れ狼だから」

 

うぅ、妹の視線が痛い。

これが日々遊んできた兄の代償か・・・

 

「桐乃も冗談ばっかり言って~」

 

 

 

なんて話をしながら、夕方までショッピングを楽しんだのだった。

俺はただの荷物持ちだった、トホホ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、俺にしては珍しく夕方に家に帰ると

縁側で突っ伏している弟を発見した。

 

「ただいま京介。

お前何やってんの?」

 

「あぁ、兄貴か」

 

「いや、兄貴かじゃなくて。

また桐ちゃんと喧嘩でもしたのか?

それともまさかまなちゃんか?」

 

まなちゃんというのは弟の幼馴染で、未だに二人仲良くやっている人だ。

まぁ弟からすれば普通なんだろうが、もう熟年夫婦みたいな関係になっている。

 

「聞いてくれよ兄貴、おれさぁ・・・」

 

 

 

 

「なるほどなぁ」

 

端的に言うと

あのバジーナ大尉から送られてきた同人誌いっぱいの段ボール(もちろん外面は普通のもの)を

京介宛に送ったのだが、なんの勘違いか桐ちゃんはプレゼントだと勘違いして

友達と一緒に開けようとしたんだと。

 

それで最悪の事態を回避しようと部屋に乗り込んで段ボールを奪い取ったが

揉み合って転倒したときに桐ちゃんの服がはだけてそこを友達に見られたと。

 

「なんともまぁ、最悪だな」

「あぁ、最悪だ」

 

ハァーーっと隣で深いため息をつく弟に、

後でしっかりと桐ちゃんに謝らせようと誓う俺であった。

 

「「「お邪魔しましたー」」」

 

と、そうこうしているうちに桐ちゃんの友達はお帰りらしい。

 

「おい京介、何とか家には入れそうだぞ」

「あぁ、うん」

 

ダメだこりゃ、完全に意気消沈してやがる。

 

 

「あれ、信介さん?

どうしたんですか、二人そろってこんなところで」

 

「あれ、あやせちゃん。

友達って君のことだったんだ」

 

偶然にも遊びに来ていた友達の一人にあやせちゃんがいたらしい。

これなら何とか弟の誤解も解けるかもしれん。

 

「ちょっと弟に話を聞かせてもらったよ。

邪魔して悪かったね、でも弟も「わかっています」」

 

え?

 

「この間お話に上がったもう一人のお兄さんって、貴方だったんですね。

初めまして、私は新垣あやせと申します。」

 

非を責めるどころか、何かを察しているようにして自己紹介をし始めた。

 

「あ、あぁ。俺は高坂京介

えっと、話に上がったってのは?」

 

「この間雑誌の撮影の時、もう一人お兄さんがいるって聞いていたんです。

でも、初対面があんな風だとは思いもしませんでした」

 

「そうか。さっきはいきなり乗り込んですまなかったな。迷惑だったろう」

 

「いいえ、大丈夫です。

それより京介さんが必死に守っていたもの」

 

あ、まずい。

 

「すまない、あれの中身はちょっと言えないんだ」

 

「それも大丈夫です。

きっと、大切な日にあげるプレゼントだったんじゃないかって後で思って。

そう考えたらお兄さんが必死になるのも仕方ないなって思ったんです」

 

正直このまま終わりそうだが、

この弟がとんちんかんな事を言う前にフォローに入るべきだな。

 

「実はあれ俺が頼んでいたものでな。

お世話になった先輩へのプレゼントだったから京介に頼んでおいたんだ。

もしおれが留守中に届いたらお前の名義になってるから受け取って開けずに持っててくれって」

 

弟よ、お前の傍から見たら奇行であること全て丸く収まりそうだ。

 

「そ、そうだったんですね。

信介さん、あんまり家に帰らないって桐乃言ってたから。納得しました」

 

「あぁ、だから弟は俺の言葉を守っただけなんだ。

桐ちゃんが早とちりしちまってな」

 

「わかりました、他の娘たちにも伝えておきますので、京介さんは安心してください」

 

「た、助かるよ・・・」

 

京介は心底ほっとした顔で胸をなでおろしていた。

 

「それではお二人とも、今日はお邪魔しました。

信介さんはまた撮影の時よろしくお願いします」

 

「あぁ、じゃあな。

プライベートの用事でも歓迎してるよ」

 

「またまた御冗談を。

では、失礼します」

 

そう言ってあやせちゃんは帰って行った。

 

 

 

 

そんなわけで今回のオチ。

 

 

「ゆるさな「桐ちゃん」・・・くっ!

友達にばれないようにしてくれてあ、アリガ・・・トウ」

 

「はい、よくできました。・・・次!」

 

「俺謝る必要な「京介」・・・突然押し入って悪かった。

あと、揉み合ったことも」

 

「はい、じゃあ今回はこれでおわり!!

解散!!」

 

と、喧嘩両成敗をさせて終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

「いってぇ!!」

 

桐ちゃんが京介のすねを蹴った気がしたが気のせい気のせい。

 

 

 

 



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