新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結) (藤和木 士)
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プロローグ 絶体絶命

あらすじの方でも紹介しましたが初めて投稿します。
拙い文章やわけのわからない用語、加えてなぜか加えてしまったBGM要素なども入ってきますが、よろしくお願いします。

追記、2016年1月9日、BGMは無しとなりました。


新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG

 

プロローグ 絶体絶命

 

静かな夜、その日、世界はとても平和だった。

戦争とは無関係な、人々の笑いあう声。

が、その時、空に人型のものが横切る。

それも一人ではない。何人もの人型のものが空を飛んでいる。

それは過去に起こった事件により、人々が手にした力。

アウロラ・ノイズ・ドライヴ、通称ANドライヴという半永久機関と特殊装甲素材Nカーボンによってビーム兵器や飛行能力、一般兵器を無効化する性能を実現した機動兵器。

その名はモビルプロテクター、通称MP。

機体に内蔵されたコアが破壊されない限り、どれだけ各部を破壊されても一時的な痛みのみでけがのすることのない「電子化」よって、国家間の戦争は大きく変わった。

これまでのような成人が軍に入り、訓練を積んだ後、戦争に投入されるやり方から、旧大日本帝国時代にあった学徒動員制度の方式を採用することで安全に国力を高めることとなった。

だが、そのような汎用性の高いMPが最強の機動兵器というわけではない。

そのMPの原型機こそ、この世界の最強の兵器、その名はノイズドプロテクター、NPである。

MP以上の性能、MPには無い特異機能、そして、その全ての開発が超古代のオーバーテクノロジーで出来ている。

様々なタイプの機体がいる中多いのがガンダムタイプ。

そして、ガンダムタイプの中で最も強力で全NP最強と呼ばれているのが、シューティングスターレボリューショナリーシリーズである。

世界最強のNP、しかし驚くべきことはその装着者ことマスターが全員高校生であるということだ。

そして、その最強のNPは、はるか上空で戦っていた。

誰も知らない、世界を守る戦いを…

 

 

 

 

「くっそ、ここまで圧倒されるなんてな…!」

 

少年は愚痴をこぼす。無理もない。目の前に自身の本気をぶつけても敵わない敵がそこにいるのだから。

 

「ふ、その程度か、SSRの少年、いや、和藤光樹。」

 

目の前の敵がそのようなことを言う。

対抗したいのは山々だが、敵の言っていることは事実だ。

世界最強のNP、SSRシリーズの一機、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスのマスターである少年、和藤光樹(わとうこうき)は黙りながらも、必死に対抗策を考える。

 

「来ないのならこちらから行くぞ…!」

 

「っつ!!!」

 

そう言った瞬間、敵の姿が目の前から消え去る。

と同時に目の前のコンソールが敵が横方向から来ることを知らせる。

すぐに顔を横に向け、敵をメインカメラに捕らえる。

そして向かってくるビームサイズを腕部に格納されたANビームサーベルⅦX「フォルド・シックルⅢ」のビームサーベルモードで受け止める。それが鍔迫り合いのようになる。

 

「この程度とは…がっかりだなぁ!」

 

「な!?」

 

が、相手の機体の出力に負け、ビームサイズの一振りで吹っ飛ばされる。

そして無防備なところに相手が腰背部から取り出したライフルを構える。

が、撃とうとしたところで突如ライフルが手からこぼれ落ちる。

否、正確には弾き飛ばされたのだ。別方向から来たビームによって。

誰が撃ったのか、それは既に光樹には分かっていた。

 

「大丈夫?光樹。」

 

「悪い、佐川。助かった!」

 

その少女、佐川(さがわ)京(みや)香(か)に感謝する。

京香も光樹と同じSSRシリーズのNP、ブラウォジーベンガンダム・クロスをその身にまとっていた。

機体性能としては射撃寄りで、先程のビームもその右手に装備されたANアンチマテリアルビームスナイパーライフル「アマルス」で撃ったものである。

 

「ほかのみんなはどうした?」

 

「みんなそれぞれの敵と戦ってる。あたしの方は、なぜか撤退していったけどね。それより…」

 

「ああ、こいつは倒さなきゃならない!!」

 

そう言って目の前の敵をにらみつける。

 

(京香もいるとなれば、やつに対抗するには…!)

 

そう思った光樹は京香にとある行動を提案する。

 

「京香、クロスカップリングシステムを使うぞ!」

 

「カップリングね?了解!」

 

「フン、何をやっても無駄だ!」

 

敵の言葉を受けつつも二人はクロスカップリングシステムを起動させる態勢をとる。

 

「クロス・オブ・光樹!」

 

「クロッシング。」

 

と同時にシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスの肘、太腿の装甲、肩部のヴァルヴレイヴウェポンフレームが武装ジョイントごとスライドし、リアスカートの半壊したANヴァリアブルエッジバインダーが展開され翼のようになる。そしてそこから赤いエネルギー結晶体、ノイズドエナジークリスタルが翼のように出現する。

それだけではない、機体の背部に存在していた二対のANフレキシブルマルチウイングバインダーに加えて、折りたたまれていたもう一対のウイングを展開し、六枚のウイングが空中で浮遊するような状態になる。さらにそのウイングから小羽根のようなスラスターが展開され、そこからもノイズドエナジークリスタルが発せられる。

そのような外見の変化は京香のブラウォジーベンガンダム・クロスにも表れていた。

肘と太腿の装甲が解放され、脚部のローラースケート状の装備、ANブースタードスピナーⅡの踵の部分からノイズドエナジークリスタルの翼、ノイズドエナジークロスウイングを展開する。さらに背部のウイングユニット、AND9ソードビットウイングユニットⅡが開いてANノイズドエナジーソードビットⅡを生成し、ノイズドエナジークロスウイングの膜を形成させる。

 

「よし、一気に片づけるぞ!」

 

「ええ!」

 

「「アタックパターン、レイ・フルバースト!!」」

 

二人が同時に敵に対して機動を開始する。敵を挟むようなフォーメーションをとったのち的に対し攻撃を開始する。光樹は頭部のANゼロガトリングバルカンⅡ、胸部のANディメンションスマッシャー「ヘルヘイム」、右サイドアーマーに残ったAN高純化射撃兵装「オーディン」、腕部のANクロスビームボウガンⅣで、京香は右手のANアンチマテリアルビームスナイパーライフル、サイドアーマーのANバズバスター、肩部のAN特能装備「火打羽(ひうちば)」の前面に内蔵されたAN窒素爆槍《ボンバーランス》Ⅱ、腹部のANハイパーカノンⅢで敵を追い込んでいく。

が、それを敵は難なく躱していく。実際、こちらは弄ばれていた。

 

「くっ…!当たらない!」

 

「ならば接近戦で!!」

 

光樹が右手にリアスカートのANヴァリアブルエッジバインダーに残ったANブラスターソードエッジを、京香がANアンチマテリアルビームスナイパーライフルの先端に四基搭載されているANSPIGOT《スピゴット》を一機起動させてビームサーベルを発振させたスパイカーモードで構えて突撃する。

 

「カートリッジ、ロード!」

 

そう言うと同時にANブラスターソードエッジの峰に存在するリボルビングユニット、機体の出力を一時的に増大させるカートリッジシステムMark-Ⅲを起動させる。

増大化された粒子を推進に回して急加速する。

京香のブラウォジーベン・クロスも同じくカートリッジを使用して突撃をかける。あと少しで届く、そう思われた――――

 

「ふんすっ!!」

 

「うわっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

が、その時敵から発せられた粒子の波動で吹き飛ばされる。急いでバランスを整える。

 

『光樹、大丈夫か?』

 

と、そこに脳内に声が響く。

 

「アルセウス、こっから逆転する方法あるか?」

 

光樹は自身の中に存在する創造神、アルセウスに問いかける。

全知全能ともいえる、この世界の始まりから存在する、光樹の頼れる相棒だ。

 

『難しいな、これでは。一度退却するという手も…』

 

「そりゃできないな、何せうちの組織は地球を覆う要塞のような拠点だぜ?どこに逃げ場がある?」

 

が、アルセウスの提案を却下する。

理由は先ほど言った通り、俺の組織の拠点は地球を覆うような形で滞空している。もしここで撤退して敵に拠点機能を乗っ取られれば世界は終わりだ。ここで引くことはできない。

と、そこで通信回線が開かれる。腕部のANノイズドエナジーヴァリアブルリアクタービームシールドユニットから映った画面には、黒髪ショートカットの少女の顔が映る。

 

「光樹、生きてる?」

 

「鈴か。生きてはいるが、ヤバイな。」

 

その少女、光(みつ)木(き)鈴(りん)が若干息を荒げた声を出す。

彼女もNPの一つ、R-EXEシリーズの一機、ガンダムR(アール)-(-)EXE(エグゼ)・グレイガのマイスターである。

 

「すぐにあたしも行くから待ってなさい!」

 

「分かった、ありが…」

 

しかし、言い切る前に―――

 

「消えろっ!!」

 

「しまっ…!!」

 

そう声を上げたときにはもう遅かった。敵の腰部、胸部のキャノン砲と両手のバズーカから束ねられて発射された粒子ビームが光樹を襲う。

すぐに両腕部のANノイズドエナジーヴァリアブルリアクタービームシールドユニットからビームシールドを展開し防ぐ。だが敵の粒子ビームがこちらのビームシールドを徐々に突き破ってくる。

そしてとうとうビームシールドが破られ、機体に直撃し、爆発が起きる。

 

「こ、光樹!!」

 

京香の悲鳴が響く。

爆煙が晴れるとシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスが姿を現す。が、その姿は酷いものであった。

防御したビームシールドユニットは粒子ビームの熱量でドロドロに溶け、見るだけで使用不可能なことが分かる。

さらに胸部以外の機体前面装甲も同じ様であった。

 

「くぅ、損傷が…!」

 

「光樹!!駄目!避けてぇ!!」

 

しかしその言葉にも応えることもできない。その間にも敵がバズーカを構える。

 

「死ね!!」

 

そう言ったその時―――

 

 

 

空が光る。

 

 

 

「ポイントNP527にて次元震発生!!」

 

オペレーターの声が響くと同時に光樹たちの戦闘空域の真上に光り輝く穴が出現し、すべてを吸い込むように突風が起きる。

 

「マズイ!吸い込まれる!?」

 

「こんな時に次元震だと!?」

 

そこにいた全員がすぐに離脱を開始する。

しかし、一人を除いて。

 

「光樹!?」

 

京香がそう叫んだ時にはもう遅かった。そのNPは既にその吸い込みに巻き込まれていた。

しかも機体各所から小爆発が起き始める。

そして―――

 

 

最後に大きな爆発を起こし、次元の穴が閉じられる。

 

「光…樹…?」

 

「どうしたの!?京香!!」

 

言葉の出ない京香の耳元に鈴からの通信が響く。

そしてまるで作戦が終わったかのように撤退していく敵を尻目に京香は嘆く。

 

 

「…光樹が…次元震に飲まれた…」

 

 

 

TO BE CONTINUED

 




いかがだったでしょうか。
まだこの部分はゲイムギョウ界へ行くまでのプロローグ、さらに零次元へ行くまでのプロローグのプロローグという、わけのわからないことになっていますが、気にしないでください。…いや、本当にすみません。
誤字、脱字、おかしな表現などがありましたら報告お願いいたします。


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第0章 超次元編 流星はゲイムギョウ界に落ちる
第1話 空から落ちてきた少年


どうも、藤和木弘です。

お待たせいたしました。第0章で第1話、投稿いたしました。
そして、前回の前書きで言っていたBGMこと、挿入歌が初採用します。
そこで、今回、挿入歌について、アンケートを取りたいと思います。
アンケートと言ってもメッセージの方で聞くというだけです。
詳細は後ほど。

では、お楽しみください!

追記、2016年1月9日、BGMを削除しました。


暗い視界。それが瞳を閉じているためであることを少年は自覚する。

 

(あれ、俺は一体…どうして、こんなところで?)

 

少年、和藤光樹はなぜこうなったのかを思い出そうとする。しかし、

 

(…!記憶が…無い?)

 

なぜこうなったかの経緯を覚えていなかった。

それだけではなかった。親や友達といった人物をうろ覚えでしか覚えていなかった。

覚えていることといえば、自分の名前、それ以外の常識的な知識と自身の好きなもののことと、最後に友達と思われる人物にプラモデルの制作を依頼して帰るときに誰かから電話がかかってきて、光に包まれたくらいだ。

しかし、こうなった理由の一番の可能性がその光なのかもしれない、ということはなんとなく分かった。

と、その時、視界が光に包まれる。

 

「何の光!?」

 

いきなり明るくなったものだから目を腕で覆う。が、妙な違和感を感じる。

目を開けている感覚がなかったのだ。

 

(どうゆうことだ…これ…?)

 

そう思ったその時―――

 

『やっと来たね…!』

 

「ッッ!!誰だ!?」

 

見るとそこには少女がいた。その少女はオレンジ色の髪に機械的なカチューシャのようなものを頭に乗せ、両側の髪を個性的なツインテール風にし、服装は白に所々オレンジが混じった肌が若干露出している少しきつそうなスタイルの服をまとっていた。

それだけでも自分とは違った次元の人物だと分かるが、特徴的なものが存在していた。

少女の瞳だ。その少女の水色の光彩には、はっきりと、とあるマークが浮かんでいた。それはよくパソコンやゲーム機に存在する電源マークのようなものであった。

そして、それが何を意味するのか、理解する。

 

(まさかネプテューヌシリーズの女神!?)

 

その考えにたどり着くと同時に一つの疑問が浮かぶ。

なぜ、俺の前に女神がいるのか。そう思ったその時、少女が口を開く。

 

『いきなりだけど、もう時間がないから手早く言うね。…これから訪れる3つの次元を巡って、私を救って。』

 

…はい?

いや、それはおかしい。

なんで目の前にいるはずの少女をこれから向かうとか言っている3つの次元?で救わないといけないんだ。

というかなんで俺はこんなわけのわからない場所にいるんだ。

だがその言葉を伝える前にさらに目の前の少女が言う。

 

『まさかあなたが記憶を失ってるなんて知った時には驚いたよ。』

 

「ちょ、ちょっと待て!なんで俺が記憶を失ってるなんて知っているんだ!しかもその口ぶり、俺のことを知っているのか!?どうして俺はこんなことに…!?」

 

そのような疑問にも答えず、少女は言葉を続けていく。

 

『でも、そのことが…今までで唯一のイレギュラーが、この繰り返される悪夢を終わらせるのかもしれない…。』

 

少女は若干うつむき加減になる。そして、少し間を置いて顔を上げる。

 

『だから…今度こそ、世界を救って…』

 

 

その目に涙を浮かべて―――

 

 

 

 

 

 

 

次に目を開けたとき、俺の目には夜空が広がっていた。

とてもきれいな夜空だ。もし俺が今の状況が違っていれば、ゆっくりと眺めていたかもしれない。しかしその光景は上から下へと流れていく。それが意味することはただ一つ―――

 

光樹は、遥か上空で、頭から真っ逆さまに落ちていた…。

 

「はいッ!?なんで俺落ちてんだ!?さっきまで地面のようなものに足着けてたはずなのに?なんで落ちているんだ!?」

 

しかしそのような疑問も、今は関係なかった。

今はこの状況をどうにかするしかなかった。

だが、どうやってこの状況を打破できるというのか。こんな状況を打破できるものなど、せいぜい空を飛ぶことくらいだ。

しかし人間は空を飛ぶことは出来ない。そんな事、誰もが知っていることだ。

これがもし、漫画の主人公なら森の上に落ちたとか、ごくわずかな可能性だが、店のアドバルーンに着地して、勢いを殺して無事着地、という奇跡の芸当もあるだろう。

しかし俺はそんなかっこいい主人公ではない。

そんなことを考えているうちにどんどん地表が近づいてくる。無論、そこに森やアドバルーンのような類はない、ただの草原だけである。

死にたくない一心で目を閉じる。

 

「し、死ぬっ…!!」

 

そう思ったその時、異常な浮遊感に襲われる。

まだ目を閉じていたので何が起こったのか分からなかった。しかしおかしなことに気づく。先程まで下から風が来ていたはずなのに、今は横から風が吹いていたのだ。

さらに違和感はそれだけではなかった。腹部の方に何か細長いものが自分を抱えているかのような感覚があった。しかし未だ足をついている感覚がなかった。

恐る恐る目を開けてみると、見えたのは未だ遠く見える草原が下に広がっていた。しかし、いつまでたっても地面は迫って来ない。それどころか景色が横へと流れていた。

そして、腹部を見てみると、その細長いものが人の腕であることを知った。

 

「あなた、大丈夫かしら?」

 

と、突然後ろの方から女性の声が聞こえる。それにより自分を助けたのが、その人物であることを知る。

 

「あ、ありがとうございま…」

 

そこで光樹の言葉は途切れた。なぜならその人物に心当たりがあったからだ。

紫色の髪をサイドで三つ編みにし、その光彩には先程見た少女と同じ電源マークが浮かんでいた。

そして、その正体を知る。

 

「まさか、女神パープルハート!?」

 

「あら、どうしたの。そんなに驚いて。」

 

「あ、いや…すいません。ちょっといろいろあって。」

 

少し今の現状にびっくりしてしまっていた。なぜならあのネプテューヌシリーズの(一応)主人公であるネプテューヌことパープルハートが目の前にいるのだ。

そしてなんとなくだが、ここがどこなのか分かった気がする。

ここはおそらく…

そう思ったその時、パープルハートが声をかける。

 

「とりあえず、今の状況じゃ落ち着かないでしょう?地上におりるわ。」

 

「あ、はい。お願いします。」

 

すぐに、高度を下げていき、地上が見えてくる。

とりあえず、降りてからくわしく話すしかない。そう思いながら光樹は静かに待っていた。

 

 

 

 

「ふぅー、さっきは助けていただき、ありがとうございました。」

 

「別にいいわよ、そんなに改まらなくても。それより、なんで空から落ちてきたの?もし私が星でも見ようと散歩しに出ていなかったら、死んでいたわよ。」

 

「本当に運が良かったんだな…俺…」

 

そう思うと俺には何か憑いているのではないかと思う。

例えば守護霊や前世の幽霊、それか悪い所で言えば疫病神か。

が、その考えはすぐにやめることとなった。

そんな事よりまずは事情を説明する方が先だ。そう思い、パープルハートにまずある確認をとる。

 

「…一つ質問なんだけど…ここは、ゲイムギョウ界、ですよね?」

 

「?そうだけど…そんな事知っているでしょう?この世界では常識で…」

 

「あ、実はですね…」

 

そこで光樹は今までの事を話し始める。

自分がこの世界の人間ではないこと、記憶をある程度残した上で失ったこと、突然謎の空間に飛ばされたこと、そして先程の空から落ちてきたことを説明する。

 

「記憶を失った、ねえ。それにゲイムギョウ界じゃない、別の世界だなんて…にわかに信じられないわね。」

 

「でも、俺の知ってる限りじゃ、そうとしか思えないんです。」

 

光樹は困ったような口ぶりで言った。

それに対し、パープルハートは少しの間思考を巡らせる。

その間、光樹は少し申し訳ない気持ちになっていた。

理由は至極簡単、先程話した内容に嘘が含まれていたことだ。その嘘はもちろん、謎の空間でオレンジ髪の女神のような人物に会ったことだ。

話さなかった理由としては、確実性がなかったからだ。今話しても、その事実が確認されない以上、話すことは出来なかった。

そのようなことを考えていると、パープルハートが声を掛けてくる。

 

「ねえ、あなたこれからどうするの?」

 

「そうですね…っ!!」

 

その時、光樹の脳裏にある考えが浮かんだ。

ちょっと待て、これはチャンスではないのか?

あの少女が女神だとして、あの時の言葉、

 

(これから訪れる3つの次元を巡って、私を救って。)

 

もしこの言葉が正しければ俺は何かの事件に巻き込まれ、あの少女に会えるかもしれない。

もしかしたら、記憶も取り戻せるかもしれない。

そう思った光樹は一つ賭けに出た。

 

「パープルハート様、お願いがあります!!」

 

「ん?何かしら。」

 

「俺を…あなたの国、プラネテューヌの教会においてもらえないでしょうか!」

 

「えっ!?」

 

流石に意外だったようで少しびっくりした様子を見せる。

しかし光樹は言葉を続ける。

 

「お願いします。記憶が戻るまで…その間、どんなことでもいいから手伝います!だから、お願いします!」

 

勢いとその場の判断で言ってしまったが今はこうしなければならない気がした。

そして、パープルハートは―――

 

「そう…。わかったわ。私も今、教会で預かろうかと思っていたのだけれど…でもさっきの言葉は本当なの?どんなことでもって言ったら戦闘にも参加する必要もあるかもしれないわよ?付いてこれる?」

 

「はい、大丈夫です!」

 

「それじゃあここではなんだし、教会まで行きましょうか。私がまた抱えていくわ」

 

なんとかこの世界での生活の場所を手に入れられそうだ。

それに、あの少女の約束を守るために必要なことであるなら、自分はこの世界に溶け込んでいかなければならない。

そう思いながら、光樹はパープルハートに抱えられながら、再び空中へと舞った。

 

この時、まだ誰も知らなかった。

この出会いが、世界を守る戦いの始まりだと知らずに…

 

 

TO BE CONTINUED

 




いかがでしょうか。
以前も言っていた通り、誤字、脱字、おかしな表現があれば、指摘お願いします。

さて、前書きでお話していたアンケートの方ですが、挿入歌あってもいい場合は○(マル)を、嫌だという方は×(バツ)を書いてメッセージをお願いします。
ここまで来るとツイッターとかでやったらと言うかもしれませんが、理由があります。

実は私、最初はツイッターでアンケートを取ろうとしたのですが、まだ始めたばかりな上に、ツイッターでのアンケートの取り方を知らないんです。(汗)
どなたかこんな自分に教えてください。

と、長話はここまでにして、次回の投稿は今のところ次の月曜日にしたいと思います。
お楽しみに。

追記通り、アンケートは無しです。


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第2話 大変な居候生活の始まり

お久しぶりです。藤和木弘です。

お待たせいたしました、第2話更新です。

今回は特に前書きで伝えることは無いので、本編へGOです。


 

星空が空に輝く夜の中、光り輝く街を視界の下に捕らえていた。

パープルハートに抱えられながら光樹は空を飛んでいた。

しばらくの間は広い草原の上を飛んでいたが、その景色はすぐに都市の明かりへと変わっている。

自身の記憶が正しければ、ここは紫の都市「プラネテューヌ」だったはずだ。

しかし、実際見てみるとかなり大きな都市だと思う。ここがあのシェア最下位の国だと思うと信じられない。

だが技術力は高いと思う。街の至る所で、それを垣間見ることができる。

例えば街に通っているガラス張りの動く歩道だ。こっちでは空港なんかでしかあまり見たことのないものを街で積極的に使っているから経済的にはかなり発展しているように見える。

そう思っていると、目の前に大きな塔が見えてくる。一目見ただけでそれが重要な建物であることがわかる。

 

「あれが私の住む『プラネタワー』よ。」

 

「あれが…そうなのか…。」

 

プラネタワーと呼ばれたそれは、他の建造物とは明らかに違った雰囲気を出していた。また、その存在感は圧倒的で見ただけで技術力が分かる。

もしかすると自分の世界にあったス○イタワーよりも高さはおろか、使われている技術もこっちの方が高いかもしれないと思う。

と、そこで考えを中断する。理由は単純、もうすぐタワーのテラスに降りるところだからだ。

パープルハートが飛行速度を緩め、テラスにきれいに着地する。

 

「さあ、着いたわよ。」

 

そう言うと同時にパープルハートが光の柱に包まれる。

次に光が晴れたときにはパープルハートの姿はなかった。代わりに、自分より少し背の小さい、少し薄い紫の髪をした少女が姿を現す。

外見は、髪はショートカットで、服装は白と紫のパーカーを着ている。だがズボンやスカートといったものを穿いていない、というか見えていない。

おそらくパーカーの長さを利用して下着を隠すタイプなのだろう。いや、よくよく思い出すと確かそんな感じだったはずだ。

今こうして同じ次元にいるからこそ思うのだが、かなり見ている方としては恥ずかしいと思う。

 

「いやー、やっぱり空から降ってくるってすごい登場の仕方だよねー!あー、そうだ!言い忘れてたよー。私、ネプテューヌ!プラネテューヌの女神だよ。」

 

「ああ、よろしくな、ネプテューヌ。…ってやっぱり様付けした方がいいかな?」

 

「あー、別に気にしない気にしない!私、様って同じくらいの子にそうゆう感じに呼ばれるの、あんまり好みじゃないからねー、むしろねぷねぷとかねぷえもん、それかねぷ公とかでもOKだから!」

 

いやいや、ねぷねぷは分かる。呼びやすいし、性格と相まっていい感じだ。

ねぷ公はなんかその…すごくドッグな感じだからダメだと思う。

だがねぷえもん、それはアウトだ。青いタヌ…じゃない、青い猫型のロボットの漫画を描いている先生に喧嘩を売っているようなものだ。

実際、ネプテューヌをやっているときにこれが出てくるたびに「いやいや、アウトだろこれ。」と毎回思っていたほどだ。

しばらくの間、どう呼ぼうかと考えた結果、たどり着いた答えは…

 

「じゃ、じゃあ…普通にネプテューヌでいいかな?俺、男だから「ねぷねぷ」って呼ぶのもなんだしな。」

 

「うん、だいじょーぶ!よろしくね、光樹!」

 

ネプテューヌがそう返答したその時、テラスの窓の内側の方から人影が出てくる。

 

「あれ、お姉ちゃん?帰ってきてたんだ。」

 

「ネプギアー、たっだいまー!」

 

ネプギアと呼ばれた少女が部屋の外から今こちらのテラスの方に出てくる。少女はネプテューヌと同じ紫色の髪を伸ばしていて、服装は丈が下腹部まである紫と白のワンピースタイプの服を着ていた。こちらも服の丈でズボン代わりの役目を果たしていた。

 

「あれ?お姉ちゃん、その人は?」

 

「あー紹介するねー。この人、名前は光樹って言うんだって。さっき空から落ちてきたんだよー!」

 

「そ、空から!?なんで空から落ちてきたんですか?」

 

「いや、俺も何が何だか…。」

 

ネプギアと呼ばれた少女がこっちを興味深そうに見つめてくる。あまりこちらはそんな目で見られたことが無いので恥ずかしくなってしまう。

だがそのまま黙っているのも失礼だと思い、話を振ることにした。

 

「っと、こっちの紹介がまだだった。さっきネプテューヌが言ったけど、俺は光樹、和藤光樹だ。こことは違う次元の世界に住んでる…はずだ。」

 

「和藤光樹さん、ですか。私、ネプテューヌの妹のネプギアって言います。よろしくお願いしますね、光樹さん。」

 

お互い自己紹介を終えたところでネプギアがあることに気づく。

 

「あれ、さっき違う次元の世界に住んでいるって…それに「はずだ」って?どういうことですか?」

 

当たり前の反応だ。なにせ別の次元から来たというだけでもありえない話なのにその上それすらも曖昧であるのなら疑問を持つのも当然だ。

ネプギアが少し考えているところにネプテューヌが話に割り込んでくる。

 

「まーまー、その話はとりあえず部屋の中に入ってからにしようよ!立ち話も疲れるし。」

 

「そうだな、ここの教祖のあの人にも一応話しておきたいし…とりあえずお邪魔していいかな?」

 

「そうですね。じゃあ私飲み物を用意してくるので部屋の椅子に座っててください。」

 

そう言ってネプギアが部屋の奥の方に姿を消す。

そして俺たちは部屋の中に入り、椅子に座る。

ネプギアが戻ってくるまで少し時間がかかるだろう。そう思った俺は少しだけ体を伸ばして緊張を解くことにした。

 

 

 

 

しばらくしてネプギアが手に持ったお盆の上にジュースを乗せて戻って来た。

 

「すみません、今お菓子切らしちゃってて。」

 

そう言いながら机の上に先にコースターを敷き、その上にジュースを乗せていく。

すぐにネプテューヌがそのジュースをサッと取り、飲み始める。

光樹もそのすぐ後にジュースを手に取る。ちょうど喉が渇いていたのでありがたかった。

少し飲んだ後、ネプギアが先程の疑問をぶつけてくる。

 

「そういえばどうして別の次元に飛ばされたってはっきりしていないんですか?」

 

「ああ、実は…少し記憶喪失になっているんだ。」

 

「えっ、記憶喪失、ですか。」

 

流石にネプギアも驚く。が、すぐに表情を平静に保つ。

 

「それで、行き場所もないしでそれだったらってことでネプテューヌに頼んで記憶が戻るまでここに置いてもらおうと思ってここに来たわけなんだ。」

 

「そうだったんですか…私はかまいませんよ。でもそういうことはいーすんさんに聞いてみないと分からないです。」

 

そうネプギアが言うとネプテューヌが席を立つ。

 

「それだったら問題なーし!私がいーすんに光樹をここに置いてくれるように頼んであげるよ!」

 

そう言ってネプテューヌは勢いよく部屋を飛び出す。

そうして部屋には光樹とネプギアだけになる。

 

「ちょっと聞きたいんですけど、光樹さんの世界ではメカニックとかってどんなのがあったんですか?」

 

しばらくしてネプギアが突然そんなことを聞き始める。

 

「えっ、…ああ、そういえばネプギアってメカ好きだったっけ。」

 

「あれ、私そんなこと言いましたっけ?」

 

しまった。一番重要なことを言い忘れていた。だがこれを言ってしまってもいいのだろうかと思う。もしこれを言って即侵略者扱い、なんてことになればもう最悪だ。

しかしネプギアは如何にも興味津々な目で見てくる。ヤメテクダサイシンデシマイマス。

そして俺は悩んだ末、それについて話すことにした。そのことを隠していてもプラスになることは無いと判断したからだ。

そのことを言おうとした、その時。

 

「すみません。ネプテューヌさんの話を聞いていて少し遅れてしまいました。」

 

そんな少し幼さの残る、しかし凛々しい声が部屋に響く。

その声の方を向くとそこには本の上に乗っかった、人の顔と同じくらいのサイズの女性がいた。そしてその隣には先程出ていったネプテューヌがいる。それが意味するのはただ一つ、その女性こそがいーすん、いや、正しい名前は――――

 

「初めまして。私がこの国の教祖を務めています、イストワールです。」

 

「は、初めまして!イストワール様。」

 

その声に反応して立ち上がる。

イストワール。その小柄な大きさながら、その威厳がひしひしと伝わってくる。これが一国を女神と共に束ねる者の姿かと思うとすごい存在である。思わず自身の声が高くなってしまう。

 

「そんなに緊張しないで大丈夫ですよ、光樹さん。話はネプテューヌさんから聞きました。ここにしばらく置いてほしい、ということでしたね。事情は分かりました。」

 

イストワールの言葉を聞いて少しほっとする。だがそこでイストワールの言葉は止まらなかった。

 

「ですが、少し気になることがあるのですが…よろしいでしょうか?」

 

「はい…何でしょうか。」

 

「光樹さん、…あなたはなぜここが自分の世界とは別次元であることが分かったのですか?」

 

なんともピンポイントな質問だ。先程ネプギアに話そうとしていたことをまさか別の人からそのことについて聞かれるとは。

だがそれは当然なのかもしれない。なにせネプテューヌにはここが自分の世界と別の次元だということを話してある。だからネプテューヌもそのことは伝えるだろうとは予想していた。そしてイストワールならそのことを聞くことも。

しかしこちらもそれを隠すことは無い。むしろ言うべき場面だ。

 

「…じゃあ、そのことについて話しますね。」

 

そう言いながら光樹は再び席に座る。イストワールとネプテューヌもそれぞれ机の上とイスに座る。

それを確認した後、光樹は話し始める。

 

「実はこの世界、ゲイムギョウ界は俺の世界では『超次元ゲイムネプテューヌ』と呼ばれるゲームのシリーズの舞台となっているんです。」

 

「「え!?」」

 

イストワールとネプギアが驚きの声を上げる。無理もない。自分たちの住んでいる世界がゲームの世界なんて言われたら、普通の人なら生きる意味を失うものだ。二人も少し狼狽えている。

だがそんな中、一人だけ全く違う反応をした人物がいた。

 

「えー!光樹の世界じゃ、私たちゲームになっているんだー!!しかもそのタイトル、やっぱり私が主人公?いやー、主人公だなんて照れるなあ。」

 

ネプテューヌである。やはり他の人とは何か感性が違うのだろう。だがそんなやつが一人でもいると少し気が楽になる。こんな時に落ち着けると緊張感がほぐれる。

だがそこまで喜ぶのは自身が主人公というからだろう。…でもネプテューヌだったらどんな役でも喜んでいた気がする。

しばらくネプテューヌがカメラ目線を気にしているところで、イストワールがコホン、と声を出してネプテューヌを制する。

 

「そういうことだったんですか…分かりました。あなたが別次元の方であることは理解したので…。」

 

「じゃあ…ここに?」

 

「はい、しばらくここで保護…というより、ネプテューヌさんの説明から教会の職員として採用、教会に住み込みという形になりますが、よろしいでしょうか?」

 

「はい!それで大丈夫です。」

 

その返事を聞いて安心する。敵扱いされないか少しひやひやしていたこちらにとってはこんなにうれしいことは無い。

 

「では、空いている部屋にご案内しますね。」

 

そういってイストワールが机の上から浮かび上がる。

 

「やったねー、光樹!」

 

「良かったですね、光樹さん。」

 

「ああ、危うく路地裏生活になるかと思ってた。」

 

そんな冗談交じりな言葉を返し、光樹はイストワールの後についていく。

 

 

 

 

イストワールに案内された部屋は先程までネプテューヌたちと話していた階と同じ階にある部屋だった。

 

「すみません、現在この部屋しか空いてなくて…。」

 

「問題ないですよ、少し埃かぶってるみたいですけど、明日あたりに掃除すれば大丈夫でしょう。」

 

イストワールの言葉にそう返す。ドアには「空き部屋」と書かれている。中にはベットが1つと鏡が1枚、本棚が3つ、それから古そうな機械が置かれていた。

と言っても本棚にあるのは漫画くらいだし、機械もどうやらゲーム機のようだ。…つまりこの部屋、ネプテューヌの私物置場なのだろう。まあ俺も漫画とかゲームとか好きだし、別にいいのだが。

と、イストワールが行った後で、渡されていたパジャマの方に目を向ける。パジャマはプラネテューヌらしく紫と白のチェック柄だった。少しおばあさんっぽいというのは言ってはいけないだろう。

 

「今日は疲れたな…もう寝るかな。」

 

そう思い、上着を脱ごうとしたその時、チャリン、と何かが落ちる音がする。

 

「ん?なんだ?」

 

見るとそこには銀色の板状のものが2枚、チェーンに繋がれていた。それは自分の好きなアニメの漫画で見た「ドッグタグ」であった。

 

「なんで、こんなのが…?」

 

そこでふと鏡の前に立ってみる。ドッグタグを見てもしやと思ったのである。そしてあることに気づく。

 

「この服…ソレスタルビーイングの制服に似てる…?」

 

そう、今光樹が着ていた服は細部こそ違うものの、「機動戦士ガンダム00」の機動兵器、「ガンダム」を使う組織「ソレスタルビーイング」の構成員の着る制服に似ていたのだ。

違う部分としてはズボンが薄い青と白ではなく白一色であること、そして大きな違いとして上着であるジャケットがジッパーで留めて着るタイプになっていることと丈がオリジナルより長いことである。ジャケットの色は黒と白、それに赤のラインが混じっている。

 

「まさか、俺軍隊に入ってたのか?」

 

そう言いながらゆっくりとドッグタグを見る。英語で書かれているようだ。上から名前、生年月日、性別、血液型、所属組織、階級と書かれていた。

名前は『KOUKI WATO』和藤光樹。次に生年月日『July 19』7月19日。性別『Male』男性。血液型『O』O型。うん、合っている。

そして問題の部分に差し掛かる。所属組織『GKSWAXP』。

…?なんだこの組織。普通は自衛隊とかの単語が書かれているのではないのか。確か自分が覚えている中では自衛隊はあったはずだ。ということはこの組織は一体…。

だがそれだけを考えていても何も解決しない。最後の項目に目を向ける。

階級『Total commander』。

…英語が読めない。少なくともTotalが総合、commanderが指揮官という意味だったはずだ。つまり総指揮官ということだろうか。なんかすごい気がする。いや指揮官ということは、部隊を持っているということだ。

というか自分は学生なのになぜ軍隊なんかに入っているのか。それが問題だ。常識的に考えて学生が軍隊に参加なんて第日本帝国時代の学徒動員ではないのか。

だがそこで妙な違和感を感じる。

 

(あれ、なんか俺忘れてるような……?)

 

若干頭に痛みを感じる。何かを思い出そうとしているのか。

しかしそんなことを思っていても解決したりはしない。

そう思ってすぐにパジャマに着替える。そして電気を消し、ベットに入る。

とりあえず風呂は朝一番に入ることを考えながら寝入った。

 

 

TO BE CONTINUED

 




いかがだったでしょうか。

今度の更新は土日のどちらかになります。多分日曜日になる可能性が高いです。

それから少し報告を。前回、アンケートを実施したのですが、全く来ませんでした!(笑)
感想の方だと「コメント稼ぎ」になるのでメッセージの方に誘導していたのですが…駄目だったか。

というわけなので、今回はTwitterの方で取ろうと思います。アカウント名は「藤和木弘」、つまり私のペンネームそのままです。
一応、作者の名前のところをクリックすると出てくるプロフィールの所で私のTwitterのアドレスがあり、クリックすればページが出てくると思います。
アンケート内容は以前と同じです。
ツイートしておくのでリツイートしていただければ、アンケートの集計が出来る…のか?
出来なければ手動集計するだけです!

それでは、長くなりましたが、次回もお楽しみに!


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第3話 聖魔を司る剣

お待たせいたしました。第3話更新です。

いきなりですが、謝らければならないことが一つ。
今回の全体文字数が8000字を越えました…俺のバカァァァァ!!
なので非常に長い文を見ていただくことになってしまいます。本当にすみません。

では、本編スタートです。


 

窓の外から明るい光が差し込む。窓のガラスがその光を反射させる。外では鳥が鳴き声を出し始める。それらすべてが街の人々に朝を知らせる。

それはここプラネテューヌの教会、プラネタワーでも同じだった。と、そんな中、とある部屋に近づく2つの影があった。その2つの影は人であった。それも少女である。それに同じ紫の髪をしている。1人はショートヘア、もう一人はロングヘアである。2人の少女は既に動きやすい服装に着替えているようでスイスイと目的の場所にたどり着く。が、ロングヘアの少女はなぜかオドオドしている。

 

「お、お姉ちゃん、本当にやるの?」

 

「そうだよーネプギアー。ここで引いたら、自分が自分でなくなっちゃうんだから。」

 

声の主はネプギアとネプテューヌあった。二人は昨日空から突然やって来た(実際には別の世界から来たのだが)光樹の居る部屋に向かっていたのだ。

そして、ネプギアの方がオドオドとしている理由、それはネプテューヌの言葉が原因だった。

話は少し前に遡る。

 

 

 

 

「ネプギアー、起きて―。」

 

そんな声でネプギアはゆっくりと意識を覚醒させる。声のした方を向くとそこには自身の姉であるネプテューヌが既に服を着替えてベットの上に四つん這いになっていた。

 

「あれ、お姉ちゃんどうしたの?こんな時間に起きるなんて珍しいね。」

 

「あー、ちょっと声小さく、ね?」

 

ネプテューヌが口元に指を持っていって、しー、という仕草をする。

何を考えているのだろう、とネプギアはベットから起き上がる。するとネプテューヌがベットから立ち上がる。

 

「ほらほらー、早く服着替えてー!」

 

姉が急かすのを見て、ネプギアもすぐに着替え始める。2分程で着替えは終わった。それから鏡の前に立ち、髪を整える。

それらが終わってネプテューヌの元に向かう。

 

「ごめんね、お姉ちゃん。今日はどうして…」

 

と、そんなネプギアの疑問が言い切られる前にネプテューヌが話し始める。

 

「今日早起きした理由はただ一つ、…光樹を起こしに行くんだよ!」

 

「あー、光樹さんを…そういえば昨日、私たちが見に行ったとき、もう寝てたもんね。」

 

そう、昨夜、ネプテューヌたちは光樹の居る空き部屋を訪れていたのだ。部屋の様子を聞くのと、お風呂の用意が出来たので入るよう知らせにいったのだ。

しかし二人が訪れたときには既に部屋の明かりは落とされ、光樹本人も着ていた服をハンガーに掛け、パジャマに着替えてベットでグッスリと眠っていた。ネプテューヌは「ほらー光樹ー、お風呂入らないとー!」と、起こそうと揺さぶったりしたのだがこれまでの事で疲労しきっていたのだろう、全く起きなかったのである。

 

「でも、どうして起こそうなんて思ったの?」

 

と、そこでネプテューヌは笑みを浮かべる。なぜだろう、すごく嫌な予感がしてしまう。

 

「ただ起こすだけじゃつまらないでしょ?だから…。」

 

「だから…?」

 

少し間を置いて、ネプテューヌが言葉を続ける。

 

「寝起きドッキリ、しよ?」

 

 

 

 

そして今に至るわけである。

そうこうしている内にネプテューヌたちは光樹の部屋の前までたどり着く。

 

「よし、ここまで来れたよ!あとは、このドアが最後の関門!」

 

自分の姉が小さくガッツポーズをしながらドアに手を掛けようとする姿を見て、とても申し訳ない気持ちになってしまう。こういう時、本来なら自分が止めるべきなのだろう。

しかしネプテューヌがドアを静かに開けたところでネプギアはもうあきらめてしまった。

 

(すみません、光樹さん。お姉ちゃんを止められなくて…)

 

そう思いながら、部屋の中に入っていく姉の後についていく。

そしてとうとうベットの横まで来る。光樹の寝顔がよく見えた。その寝顔は、とても怒りそうにない、穏やかな顔だった。しかしその顔もお姉ちゃんが寝起きドッキリで無理やり起こせば、とんでもなく怒ってしまうのかな、と、考える。

そんな事を考えている内に、ネプテューヌはその顔を光樹の耳元に近づける。

そして―――――

 

「大変だー!光樹ー!!敵だー!敵が来たぞー!!」

 

ネプテューヌが大声で光樹の耳元で響く。こちらの方にも、もしかしたらいーすんさんにも響いているんじゃないかというくらい大きな声だった。

そして、そんな声を耳元で響かされた光樹本人は…。

 

「て、敵!?ど、どこだ!!どこが攻めてきた!?ラステイションか?ルウィーか?それともリーンボックス!?いや、まさかエディン!?」

 

と、取り乱してしまっていた。慌てて光樹がまわりを見渡し、その後すぐに窓の外を見る。

だが当然そんな様子は無く、朝日を受ける平和な街の姿が広がっていた。

 

「…あれ?」

 

光樹は素っ頓狂な声をこぼす。まるで「さっきまで俺何言ってたんだ?」というような表情を見せている。そこにネプテューヌが言う。

 

「ドッキリ大成功!!どう?びっくりしたー?」

 

「ド、ドッキリ…?」

 

その言葉を聞き、光樹はへたり込んでしまった。余程呆れてしまったのだろう。

そんな状態の光樹にネプギアが駆け寄る。

 

「だ、大丈夫ですか?光樹さん。」

 

「ネプギア、止めることは出来なかったのか…?」

 

と、そこに、もう一人ドアの外から姿を現す。

 

「ネプテューヌさん…一体何をやっているのですか…?」

 

その声の主はイストワールであった。だが様子がおかしい。後ろからオーラを出しているような、そんな雰囲気を出していた。

 

「い、いーすんさん、こ、これはその…」

ネプギアが若干怯えながらイストワールと話そうとする。

 

「ネプギアさん、もしかしてあなたもですか?」

 

「ち、違います!私はただ、お姉ちゃんに誘われてそれで…。」

 

しかし、それでもなお、イストワールがオーラを消すことは無かった。

そしてゆっくりと、ネプテューヌの方に向く。

 

「い、いーすん?駄目だよ、そんな怒らないで…。」

 

ネプテューヌが必死にイストワールを説得しようとする。

だが、その行為は無意味だった。

 

「そんないたずらで、他人に迷惑を掛けないでくださーい!!」

 

それから数十分、イストワールの説教を聞かされることになったのだ。

 

 

 

 

イストワールの説教が終わって20分後、光樹たちは朝食を食べていた。昨夜から何も食べていなかった光樹にとって待望のものだった。

朝食のメニューはトーストに目玉焼き、それにサラダと牛乳であった。

 

「おお、待ちに待った食事だ。」

 

「そういえば昨日何も食べてなかったもんね。そりゃあお腹減ってるよー。」

 

光樹と一緒に机で待っていたネプテューヌが言う。今朝一番の問題を起こしたネプテューヌはご飯抜きにでもされるんじゃないかと思っていた。いや、実際されかけていた。

しかしイストワールの情けによりそれは回避されたのだ。まあそこには、光樹が今回のことについて責任を負うことで解決したという事実があるからなのだが。

代わりにネプテューヌ(とネプギア)は、朝食後、光樹の生活必需品等の買い出しを手伝うことになっていた。

と、そんなところにネプギアとイストワールが残りの分を持ってきて席に座る。

 

「それでは、いただきましょうか。」

 

そんなイストワールの声を聞いて全員手を合わせる。

 

「「「「いただきます。(!)」」」」

 

その言葉と同時に食事に手を付け始める。

早速光樹もトーストにかぶりつく。おいしい。パンの食感が口の中に広がる。

次に目玉焼きをフォークで一口サイズに切ってほおばる。

 

「!!おいしいな、この目玉焼き。」

 

「それはよかったです。」

 

と、そこで今までで出会ったことのない人物の声が聞こえる。その声の方を向くとそこにはオレンジ色のロングの髪をした少女がいた。年齢的にはネプテューヌより上と思われる。確か、名前は…。

 

「こんぱー、今日のご飯も、おいしいよー!」

 

「ありがとうです、ねぷねぷ!」

 

ネプテューヌがこんぱと呼んだ少女の名前はコンパ、確かプラネテューヌのナースだったはずだ。俺の記憶が正しければ、教会に住み込みで家事全般を担当していたと思う。

コンパがいるとするともしや…

と思ったところでその人物は姿を現した。

 

「ネプ子、あんたホントコンパの料理食べてるときその言葉多いわよね。まあ本当においしいから間違ってはいないんだけど。」

 

現れた人物は茶髪の少女だった。頭には双葉のリボンを付けており、少し大きなサイズのコートを羽織っていた。そしてその特徴的なコートのポケットにはいくつもの携帯が入っている。

 

「君は…アイエフ?」

 

「あら、知らない顔ね、もしかしてあなたがイストワール様が言っていた別次元の男の子?」

 

「あ、ああ、和藤光樹だ。よろしく。」

 

「アイエフよ、こっちの子はコンパ。…ってそれも分かっているんだったかしら。」

 

アイエフが紹介したところでコンパもこちらにお辞儀をする。それに対し少し頭を下げて返す。

と、そこで言っておくことがあったのを思い出す。

 

「あ、そういえばイストワール様、少し聞きたいことがあるんですがいいですか?」

 

「あら、どうされたんですか?聞きたいことって。」

 

イストワールに対し、例のものを出す。それは昨夜自分の服のポケットから落ちてきた、ドッグタグであった。

 

「これは…認識票、ドッグタグですか?」

 

「みたいなんですよ。」

 

そこに他のみんなも集まってくる。

 

「おおー、FPS系のゲームで出てくる、あの!?」

 

「わあ、本当だ。ドッグタグですね、これ。」

 

ネプテューヌとネプギアが興味津々に見る。一方、コンパは何を言っているのかという雰囲気を出していた。そんな中アイエフは冷静に状況を見ていた。

 

「ちょっと、それってあんた軍人ってことなんじゃないの?」

 

「その可能性があるんですよねー。」

 

と、そこでイストワールが聞く。

 

「それで、聞きたいことと言うのは?」

 

「ああ、この部分ですよ、ここ。」

 

光樹がドッグタグの階級の部分を指で指す。

 

「ここの英語の部分がよく分からないんですよ。自分は総指揮官って訳したんですが。」

 

「ええと…Total commander、ですか。少々お待ちください。」

 

そう言って静かに俯く。どうやら検索モードに入っているようだ。

まさか3分待たないといけないのかと思ったが、僅か20秒でそれは終わった。

 

「分かりました、どうやら総司令官という意味でしょう。」

 

…え?

ちょっと待て、少し整理しよう。

総司令官、うん、よく軍でトップの事を指す言葉だ。

それが俺のドッグタグに書いてあった。

その事実が示すのはただ一つ。

 

「は!?俺どれだけ階級高かったの!?」

 

「落ち着きなさい!」

 

アイエフから突っ込まれる。危うくテンションMAXになりかけた。

と、そこでイストワールがこちらの方に来る。

 

「と、ともかくこれはむしろ良かったかもしれませんね。」

 

「良かった?どういうことです?」

 

光樹が疑問に思う。なぜ良かったのだろう。

と、昨日言っていたことを思い出す。

 

(そういえば昨日戦闘にも参加するって言ったけど…まさかな?)

 

しかしその予想は見事に当たることになる。

 

「ちょうど朝食後、ネプテューヌさんとネプギアさん、それからアイエフさんにコンパさんには光樹さんのこちらでの生活のための必需品を買いにってもらうというのは話したのですが、先程アイエフさんに光樹さんが戦闘にも参加したいというのを話した所、最近街にその人に合う武器を占っていただける店が出来たそうなので、そこに行ってみてはいかがですか?」

 

「その人に合う武器を占う…店か。」

 

「なんか便利な店だねー。それってかなりお金もらうんじゃないの?」

 

ネプテューヌがもっともな意見を言う。確かにそんな店ならかなりお金をとるんじゃないかと思う。

しかしそこにアイエフが話に入ってくる。

 

「それがね、その店、武器屋の所の娘が趣味でやってるらしいのよ。だから実質タダなのよ。」

 

「あー、娘さんの所で自分に合ってる武器を見つけて、親の所で買ってもらうっていうサイクルができているんですね。」

 

ネプギアが結論を言う。確かにそれならタダで適性が分かるし、武器が欲しい場合、親の店に行って選べば間違いなく成果を出せて店の評判も上がる。

 

「じゃあ、とっととご飯食べてから行きますか。」

 

そう言ってスイスイと残っているご飯を食べていく。

ちなみにその途中、ネプテューヌが喉に詰まらせてしまって騒ぎを起こしたのは内緒だ。

 

 

 

 

 

 

暖かい日差しの中、光樹は腕時計を見る。真新しい時計はその針で時間を知らせる。時刻は11時13分であった。

現在光樹はネプテューヌたちと共にプラネテューヌの街に買い物に来ていた。だが既に当初の目的であった生活必需品は今つけている時計も含めてほとんど買ってしまっていた。

服もお店の方でやっていた服の複製作業により今まで来ていた服を複製してもらうことにして、今は店の方で貸し出している服に着替えていた。白のシャツの上から白と青のチェックのカッタータイプのシャツを着、ジーパンを穿いている。

その作業が終わるまでの間を利用して、今はアイエフの言っていた武器占い屋(正式名称はあるらしいがなんかセンスが無いらしいのでこう呼ばれているらしい)に向かっていた。

 

「さて、着いたわよ。」

 

アイエフがそう言って立ち止まる。見るとそこには確かに武器屋と書かれた店…の隣に何かとても長い看板を立てている大きなテントがあった。看板には「戦う全ての人々に勝利と言う名の幸せをもたらす邪眼を持つ魔女の占い屋」と書いてあった。…なんか聞いたことある気がする。

 

(まさかな。そんなわけないよな…。)

 

誰かが「フラグ立ったな」なんて言いそうだと思いながらテントの中に入っていく。

中は少し狭く、光樹たち5人で何とか動けるだけの広さがあるだけだった。

その時、

 

「ようこそ、迷える子羊よ。よく我が住処にやって来た!」

 

テントの幕の裏から人影が出てくる。どうやらこの人物があの占い師の少女らしい。少女はその身にファンタジーなんかで見る魔術師のコートを学校の制服のようなものの上から羽織っている。

 

「おお、バリバリ中二だー!」

 

「あなたが武器適正を見る占い師の子ね。見てもらいたいって子がいるのよ。」

 

「ほう、して、誰が見たいと申すのかな?」

 

アイエフの頼みにその占い師の少女が偉そうにしながら言う。

 

「俺です。」

 

「ふむ、貴様がか。なかなか良い目つきよ!して、名は?」

 

「光樹です。和藤光樹。」

 

「光樹か、良い名だ!私の名はロッカだ!よし、では光樹よ。この机の上に置かれた「竜の涙《ドラゴン・ティアーズ》」に触れよ!!」

 

そう言われて机の方を見ると何やら高そうな水晶が置かれていた。

って言うかロッカって…「病気でも恋したい」のあれが元ネタなんだろうか、と思ってしまう。

そんなことは置いておいて、ロッカの言っていた水晶…もとい竜の涙に触れる。

 

「よし、では始めるぞ。」

 

そう言ってロッカが反対側にあるイスに座り、竜の涙に手を触れ、何か難しい言葉を唱え始める。

 

「さあ、私にこの者の勝利への道を見せよ!!」

 

大きく叫ぶと同時に竜の涙が光り輝く。

そして―――――

 

「え?」

 

ロッカがびっくりしたような声を上げる。

 

「あれ?どうしちゃったの?なんかあった?」

 

ネプテューヌがそのことについて聞く。

 

「い、いや、もうあなた、武器を持ってるみたいだから…」

 

「武器を…持ってる?」

 

意味が分からなかった。武器を持ってる?周りをよく見ていたが武器らしきものは見当たらない。

そこでアイエフが何かを思いつく。

 

「ちょっと光樹、自分の手に武器を持つイメージを想像してみて。」

 

「って言われても、どんな武器なんだ?」

 

戸惑っている所で落ち着きを取り戻したロッカが詳しく話す。

 

「先程見た印象では、闇を抱きし剣と光の力に満ちた剣、そしてその二つを合わせた剣の姿が映った。やってみるといい。」

 

「闇の剣と光の剣…か…よし。」

 

息をゆっくり吐いて剣を持つイメージを頭に浮かべる。すると手に粒子が集まり始める。

 

「な、何か光が集まって来たです!」

 

「おお!まさかこれが伝説の武器が降臨する瞬間!?」

 

コンパとネプテューヌが驚きの声を上げる。

徐々に手に質量、そして何かを持つ感覚を感じる。

さらに光が強くなりそして―――――。

 

 

その手には、黒い剣と、黄金の剣が握られていた。

 

「ほ、本当に出た…!」

 

半分信じていなかった光樹だったが、確かにそこに剣があることを認める。

呆然としている中、ネプギアがあることに気づく。

 

「あれ、その剣って何か機械系の剣じゃありませんか?」

 

「そういえば…なんかやけにパーツ分割しそうな形してるな。」

 

よく見てみるとその外見は西洋の剣というより、機械剣に近いものであった。さらに各部が分離できそうな感じである。加えて刃に当たる部分がビームのようなものであった。自分の考えで例えるなら、黒い剣の方はインパルスのエクスカリバー、黄金の剣はデスティニーのアロンダイトに近い形状だった。

そこで先程ロッカの言っていたことを思い出す。

 

(そういえば二つを合わせた剣って言ってたな。…この構造もしかして。)

 

すぐに頭に二つの剣を合体させるということを想像する。

と、突然、黄金の剣がいくつかのパーツに分裂する。そして黒い剣の方に合体されていく。そこには黒に所々金色のパーツがある剣が存在していた。黒い剣をベースに切っ先に黄金の剣の刃先がかぶせられ、鍔のパーツが黄金の剣のパーツに変更されていた。さらに刀身の面の部分に分割された刀身が両側に取り付けられ、3つのビーム刃を形成している。

 

「おおー!合体したよ!すごい!」

 

ネプテューヌが興奮の声を出す。他のみんなもネプテューヌよりは落ち着いているが同じ反応だった。

 

「その剣、黒き剣の方が“エクスカリバー”、黄金に輝く剣が“アロンダイト”、そして、その2つを合わせたのが“デュランダル”と言う名だと竜の涙には出ているようだ。」

 

「エクスカリバーにアロンダイト、それにデュランダルか…。」

 

どれも神話とか伝説に出てくる名前だ。というかエクスカリバーとアロンダイトはインパルスとデスティニーの武器の名前と姿が同じことにある意味納得している。

 

「さらにこの剣、もう一振りあるようだ。」

 

「二刀流ってことか。すげえな。」

 

「それからもう一つ、光樹、お主、服に何かホルスターのようなものは無いか?」

 

「え?もしかして占いで分かったのか?」

 

実は昨日、服を着替えた際、内側の方にホルスターのようなものを発見していたのだ。しかし不思議なことに肝心の銃本体がなかったのだ。この世界に落ちてきた際にどこかに落としたのかと思っていたのだ。

さらにロッカが続ける。

 

「先程、竜の涙に映った…のもあるのだが、我が偉大なる父が早朝、ランニングに行った時、草原で見つけたものと同じものだったのでな。どうだ、もらっておくか?」

 

「ああ、もらうよ。」

 

「そうか、では私も一緒に行って事情を話すとしよう。皆は入り口から店に入ってくれ、私も裏から行く。」

 

そう言ってテントから出ていく。光樹たちも入口の方から出ていく。

そして隣の武器屋、「タカナキ武器ショップ」に入っていく。

 

「いらっしゃいませ!ようこそ、タカナキ武器ショップへ。」

 

武器屋の主人が大きな声であいさつする。と、そこにロッカが姿を現す。

 

「お父さん、この人だよ、あの銃の持ち主。」

 

「えっ、そうなのか、ロッカ?」

 

ロッカが主人…父親にこれまでの事を話す。

すると主人は大慌てで店の奥に消える。ものの数十秒で戻ってくると、その手には機械の銃が握られていた。

 

「いやーすみません、お客様。落ちていたのでつい拾ってしまい…。」

 

「いえ、こっちも後で気づいたんで、気にしないでください。」

 

そう言って主人からその銃を受け取る。その銃は弾丸ではなくビームを撃つタイプ、いわゆるレーザーガンというべきものであった。

とりあえずそれを手に持っていた買い物したものが入っている袋に入れる。

 

「じゃあ、今回はありがとうね。」

 

「うむ、もしまた来る時があればよろしくだ。」

 

アイエフの言葉にロッカがそう返す。

そうしてショップから出ていく。あとは服屋に寄って複製された服を受け取るだけだ。

 

「あとは光樹の服だけね、一人で行ける?」

 

「ああ、たぶん。じゃあまたあとで。」

 

そう言ってネプテューヌたちと別れて服屋に向かう。

 

 

 

 

数十分後、服屋に到着した。そのまま店に入っていくと店員がやってくる。

 

「お客様、大変お待たせしました。出来上がっていますよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

差し出された袋の中を確認する。ちゃんと服が注文した5セット分と元の服が入っていた。代わりに店員に代金を渡す。

渡すとすぐに店の中にあった服を着替えるところに入ってカーテンを閉める。そして今まで着ていた服を脱ぎ、新しく作られた服を着る。

 

「本当にちゃんと複製されているな…そうだ!」

 

突然、思い出したように服が入っているのとは別の買い物袋の中を探る。目的のものは見つかった。

先程のタカナキ武器ショップでもらったレーザーガンだ。それを服の裏側にあったホルスターに入れる。

 

「これでOK…かな。」

 

そんな独り言を言って鏡を見る。

 

(これから何が起こるか分からない。けど、乗り越えてみせる。あの少女の言ってた…「私を救って。」っていうなら、救ってやる。)

 

そんなことを思いながら服屋を後にした。

 

 

TO BE CONTINUED

 




長文を読んでいただき、ありがとうございました。
本当にすみません。なるべく4000~6000字の間に収められるようこれからは気を付けます。

それから、アンケートの件ですが、こちらの事情により基本つけないことにしました。
ただ、最終決戦みたいなときには、追加するかもです。
なお、BGMの設定基準はヨウツベことYoutubeにその時点であるものを基本採用することになっています。つまり、読者さん自身がYoutubeを開いて、その音楽を聴きながら話を読むということです。面倒なので、別に聞かなくても面白くなるよう、こちらも話を書いていきます。

なお、今度の更新は土曜日になると思います。
最近書き溜めのストックを書き上げるのが遅くなってきました。原因はおそらくフルブーストです。早く書き上げないとなー。

では、次の投稿でお会いしましょう。

追記、2016年1月9日を持って、BGMの件は無くなりました。


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第4話 圧倒的なゲームセンスの差

最新話投稿です。

今回は6000字後半まで伸びたのに残念ながら準備回のような話になりました。この作品の最終チェックの方であるヒカル(実名ではない、リアルの友人です)君にはいいとは言われたけど、それでもこんなに字数かかるのはダメかな、と思ってたりします。

それでは本編どうぞ!


 

 

若干日が暮れ、親子らが家に帰る時間の頃、光樹はプラネタワーに向かって歩いていた。

すれ違う人々からは、「ママー、夜ご飯は何ー?」という子供の声や、「じゃーなー、また明日!」と叫ぶ学生の声、それに「課長、今日飲みに行きませんか?」なんてことを言うサラリーマンらの声が響く。

そんな様子に、自分も帰る場所がちゃんとあって良かった、と思う。

そう思って急ぎ足で人の波間を行く。

その時―――――

前の方から向かってきたモノとぶつかる。

 

「おっと。」

 

「あ、すいませ…」

 

そこで言葉が途切れる。その理由は簡単、そのモノの姿にあった。

その体は硬い何か…というか状態をそのまま言うと、機械だ。うん、機械だ。大事なことだから2回言いました。

顔に当たる部分を見ると、額にカメラと思われる部分が緑色に輝いていた。さらに耳に当たる部分が後ろに伸びている。

これはあれだろう、うん。

「ロボット」だ。

 

「……。」

 

「ん?どうかしたか?」

 

目の前のロボットが首をかしげる動作をする。

それに対して慌てて返答する。

 

「あ、いや…さっきはすいませんでした。」

 

「ああ、大丈夫だ!俺は鋼鉄の体を持つ男だからな。」

 

ああ、男なんだ。そんなことを聞いて少し笑ってしまいそうになるのを堪える。

 

「しっかし、随分荷物持っているな。手伝ってやろうか?」

 

「え?あ、大丈夫ですよ。もう前方の方に見えているんで。」

 

「そうか、なら大丈夫か…」

 

そう言いながらロボットが後ろを振り返った途中で、言葉が止まる。光樹の言っている意味が分かったのだろう。

 

「ひょっとして、教会の職員か?」

 

「ああ、昨日から、ちょっとね。」

 

「そ、そうか。頑張れよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

そう言って謎のロボットと別れる。本当に、今のは何だったのだろう。

そんなことにいつまでも構っていても意味はない。そう思い、再び光樹はプラネタワーへと足を進める。

 

 

 

 

「ふう、結構量あったな。歓迎だからって多すぎだろう。」

 

そんなことを言いながら、部屋に置かれた買い物袋の中の物を次々と部屋に置かれたタンスの中、もしくは棚や机の上に置いていく。

光樹は現在、ご飯を食べ終わって、荷物の整理をしていた。少し動きづらい気がする。なぜならコンパが「新しく一緒に生活する人を歓迎するために今日は張り切って作るです!」と言って今日はかなり多く料理が出たのだ。この量はネプテューヌらも驚いていた。普通なら食べきれないと思う。そもそも自分は小食派なのでこれには困った。…まあ何とか全部食べ切ったのだが。

その満腹感を抱えたまま、荷物を片づけていく。ちなみに昨日は無かったタンスと机は光樹たちが買い物に行っている間に、イストワールが教会の他の職員の人に持ってきてもらったものだそうだ。

また、棚の方はネプテューヌが置いていた漫画の本を今片付けながら、空いたスペースに買ってきた本を入れている。ただ、本と言っても漫画ではなく、このゲイムギョウ界の歴史書、またはマップなどの載ったガイドブックのようなものだ。

それに買ったのは買ったが、量が少なかったので、ネプテューヌが入れていた漫画もほとんど残っている。自分もこの世界の漫画などのカルチャー、つまり文化について知りたいということもあるからだ。

ただ、床に置かれていた古いゲーム機などは現在、部屋の外にまとめて置いてある。本当は職員の方々が荷物を持ってきてくれた時に一緒に持ち出そうとしていたらしいが、ネプテューヌが朝出るときに、「片づけるんだったら私がやるよー!どれがどのゲームのコードか分かんなくなると困るしー。」と言ったためである。

だが、当の本人は現在リビングの方でネプギアを巻き込んでゲームをやっていた。…働けよ…本当に。自分が言い出したことなのに責任を持たないとか、言語道断である。本当に世界を救えているのかと考えてしまう。

そんなことを思っている間に最後の買い物袋を折り畳む。

 

「ふー、終わったな。」

 

そう言いながらベットに座り込む。夕食から1時間で終わったので割と早い方だろう。

とはいってもまだやることがある。ネプテューヌが動かない以上、自分であのゲーム機を片づけなければならない。

 

「とりあえず、ネプテューヌの所に持っていくか。」

 

光樹はゆっくりと、その腰を上げて部屋を出る。そして扉の隣に置かれていたゲーム機を抱える。少し重いが気にせず、リビングの方に向かう。

リビングに顔を出すと、そこにはテレビの前で楽しそうにコントローラーを操作するネプテューヌと、若干苦笑いをしながらもコントローラーを操作するネプギアが居た。

 

「うーん、また勝っちゃったよ。ネプギア、このゲーム苦手?」

 

「ち、違うよ。お姉ちゃんが強いんだよ。」

 

「ん?あれ格ゲーか?」

 

画面を見てみると、そこには二人のキャラクターが映っていた。一人は画面からこちらに向かってポーズをとり、もう一人は地面に倒れている。先程の会話から察するに、勝ったのはネプテューヌであることが分かる。

ゲームのジャンルは格闘ゲームのようだ。2Dタイプのである。2Dの格闘ゲームはブレ○ブ○ーくらいしかやったことがないのでよく分からない。加えてそのブレ○ブ○ーも全くの初心者……というか2D格闘ゲームのセンスすらないくらいのものであると自覚している。

ただ、3D格闘ゲーム、というかEXVSシリーズは得意である。階級は銀プレのレベルはある。

そんなことを考えていると、ネプギアがこちらに気づく。

 

「あ、光樹さん。どうしたんですか?」

 

「ああ、ネプテューヌに用があってな。」

 

小テーブルの上に持っていたゲーム機を置く。それを見て、ネプテューヌが首を傾げる。

 

「あれ、それって光樹の泊まってる部屋に置いてあったゲームだよね。どうして持ってきたの?」

 

「おいおい、自分の言ってたこと思い出してくださいよ、ネプテューヌさん…。」

 

その言葉聞いて、ネプテューヌが手を頭の横に持っていき、思い出そうと考え込む。少し時間が経ったところで「あ!」と声を上げる。

 

「あー…忘れてた。そういえば私、言ってたね。」

 

「そうだよ、自分が今日外に出ていく前に行ったことだよ。」

 

「ごめん、ごめーん!ちょっとしたら持っていくから、ねー?」

 

ネプテューヌが右目をウインクさせて手を合わせて謝罪を行う。まあ、自分はそんなにゲームばかりをしてサボることを責める気はない。それどころか自分も、休みの日には家のP○3でガンダムゲームを4時間強するほどだから、あまりゲームをやるなと言えない。

そこでその様子を見ていたネプギアが、

 

「あ、そうだ。光樹さん、お姉ちゃんとこのゲームで勝負しませんか?」

 

と、言い出した。いや、さっきも思った通り、俺は2Dの格闘ゲームなんて、京都の某天に任せる会社の出してるゲームのオールスターで戦うゲームことス○ブラと、先程のブレ○ブ○ーくらいしかやっていない。そんなやつが、初見の格闘ゲームでプレイできるわけがない。

だが、そこでネプテューヌがあることを言う。

 

「でもさでもさ、光樹ってゲームそんなにやらなそうなイメージだよね。やってもうまくないって感じ?それにメガネ掛けてる理由も勉強とかが原因みたいだしね。」

 

その言葉を聞き、光樹の眉がピクッ、となる。光樹の堪忍袋の緒が切れた瞬間であった。

 

「その言葉はいただけないなあ。俺割とゲームする方だからな。あとこの眼鏡はゲームのやり過ぎだ!」

 

若干自信を持っているような声で言い放つ。勝てるかどうかは分からないが、それでもひどいことにはならないだろう。

 

「おー!じゃあこのゲームで私と対戦する?」

 

「よし、やってやるよ!」

 

光樹が持っていたゲーム機を食卓として使っている方の机に置いて、床に置かれていたコントローラーを持つ。

 

「って、あ、ゲーム機どうしよう。」

 

「それなら私が持っていきましょうか?」

 

「え、いいのか?」

 

「はい、任せてください。」

 

そう言うとネプギアがゲーム機を持って、部屋に向かった。本当にネプギアはいい子だと思う。ネプテューヌとは大違いだ。こっちでお金が貯まったら、何か買ってあげた方がいいかもしれない。

だがそこでその考えはやめた。理由は簡単、ゲームのキャラ選択画面が映ったからだ。

光樹は大きな剣を持った男性キャラを、ネプテューヌはこちらのキャラクターに似た、鎌を持ったキャラを選んだ。あまりにも似ているのでおそらくコンパチキャラなんだろう。どっちが元でどっちがコンパチなのかは分からないが、そんなことはどうでもいい。重要なことじゃない。

そして今、始まる。

 

「じゃあ、行かせてもらうぜ!」

 

「いつでもいいよ。さあ、来い!」

 

光樹とネプテューヌのその言葉と同時にゲームは始まる。絶望が待っているとも知らずに……。

 

 

 

 

「ふう、やっと持ってこれた。やっぱり分けて持ってくれば良かったかな?」

 

重いゲーム機を何とか持ってきて思わず息をついてしまう。これを簡単そうに持ってきた光樹さんは力あるなぁとネプギアは思う。やっぱり男の人って頼りになるなあ。

 

「とと、そんなこと言ってる暇はないよね。光樹さんに迷惑だよね、今お姉ちゃんの相手任せちゃってるから。」

 

ネプギアはすぐに立ち上がり、ネプテューヌの部屋を出ていく。そして足早にリビングへと向かう。

リビングに入ろうとしたその時、

 

『K.O.!!』

 

テレビ音声が通路にも響き渡る。おそらくゲームが終わったのだ。

どちらが勝ったのか気になり、リビングに入るとすぐにテレビの方を見る。するとそこには一人のキャラクターがポーズを決めていた。鎌を持ったキャラクターだ。それはネプテューヌが勝ったことを示していた。

しかし、注目するべきところはそこではなかった。注目すべきところは「1P Win!」と書かれた文字の下の文字だ。そこには「PERFECT!」と書かれていた。

…うん?パーフェクト?パーフェクトだよね。それってつまり、ノーダメージってことだよね?

まさかと思い、恐る恐る、光樹の顔を見てみる。

 

「…バカな…これは悪夢か?悪夢なのか?」

 

「ちょっと、弱すぎだよー。光樹。ほんとにそのメガネはゲームで得られたものなの?」

 

そんな事をお姉ちゃんに言われている光樹にネプギアがゆっくりと近づいていく。

 

「あ、あの…光樹さん。大じょ…」

 

そう言いかけたところでピロリロリーン、という音がリビングに響き渡る。この音はお風呂が入った時の音だ。全員がその方向に顔を向ける。

 

「そうだ、光樹さん、先にお風呂どうですか?一番風呂ですよ。」

 

「そ、そうだな。…そうするか。」

 

光樹が重い足取りで部屋を後にする。静かな部屋でネプギアがネプテューヌに聞く。

 

「お、お姉ちゃん。どうしてこんなことに…?」

 

「いやいや、光樹ってば全くガードコマンド使わなかったからね。それにコマンド入力にかなり手こずってたからね。いわゆる脳筋って感じ?」

 

「あ、そうだったんだ…。このゲームって結構防御も大事だからね。」

 

「じゃあ、ネプギア、もう一勝負しよ!」

 

「うん、やろうお姉ちゃん。」

 

ネプ姉妹のゲームで遊ぶ声がリビングに響き渡っていった。

 

 

 

 

お風呂の湯船に浸かりながら、光樹は後悔していた。その後悔とはもちろん、先程のゲームでの操作だ。

最初は牽制のためにダッシュ系の攻撃で先手を取ろうとしたのだが、それはネプテューヌに読まれていて、見事にバックステップで避けられていた。

そこで焦り、無理やり攻撃を決めようとしたのだが、そこから繰り出された攻撃は全てガードで防がれる。そこにネプテューヌが隙をついて攻撃に切り替える。そこから一気にコンボ攻撃を決められていく。起き攻めも決められてしまう羽目となってしまう。

そして体力がギリギリのところで必殺技ゲージが貯まり、必殺コマンドを入力した…のだが一回目はコマンドミス、二回目では見事決めた物のその様子を眺めていたネプテューヌには簡単に避けられた。仕上げにネプテューヌが逆に必殺技を決めて、一試合目は終了した。

二試合目もほとんど活躍することなく、ネプテューヌのキャラの超必殺技的な攻撃を受けてやられたのであった。

 

「まあ、過ぎたことだし、仕方ないか。」

 

そんな独り言を言って光樹は湯船から上がる。バスタブに掛けてあったタオルを取り、風呂の扉を開ける。風呂から上がるとすぐにバスタオルを掴む。そしてそのまま体と頭を拭いていく。

拭き終わるとパジャマを着ていく。昨日着ていたものと同デザインのものではなく、こちらで買った、青と黒のパジャマだ。

着終わると台の上に置いてある、今日着ていた服を持つ。

その時だった。

 

「ん?」

 

光樹の目にあるものが見えた。

服の置いてあった場所に、ペンダントのようなものが置かれていた。

なんだろうと思い、そのペンダントを空いている左手でチェーンの所を掴み、顔の手前に持ってくる。

見覚えのないペンダント…というわけではなかった。三つの突起を持つペンダント。その形で思いつくのはただ一つ。

 

「これ、流星のロックマンのペンダントか?」

 

そう、確か流星のロックマンの主人公の持つ、流星のロックマンの予約特典でもらえたが、その鋭利な形の都合上、急遽回収されたと言われているあのペンダントにそっくりであった。自分は流星のロックマンは3のブラックエースを中古で買ったのが初めてなため詳しくは知らないが、そのほとんどが無事回収されたと聞いている。

ではなぜ、そんなものがあるのだろうか。ふと、裏面を見てみる。もしかしたらカプ○ンと書いてあるかもしれないと思ったからだ。

しかし、そこには予想しなかった文字が描かれていた。

『SSR-BA-SERIES GKSWAXP Affiliation』と。

 

「なんだこれ。」

 

またGKSWAXPだ。ドッグタグにも同じことが書かれていたのを思い出す。確か組織の名前だったと思う。もしかすると、これも俺の記憶に関係しているのだろうか。そう考え、とりあえず首に掛ける。なんだか主人公になった気がする。

 

「…なわけないか。」

 

そんな独り言を言いつつ、風呂場を後にする。そしてそのまま自室へと向かう。

自室に入るなり、すぐにベットに横になる。少し溜息をつくとこれまでの事を考える。

 

「まず、あの女の子が言ってた「私を救って」か。この次元ではまだ会ってないからよく分からないな。」

 

一番大きな問題である。だが記憶を失ったことに気づいた矢先にそんなことが起きたのだから、何か意味があるだろう。

 

「そしてこのゲイムギョウ界に落ちてきた…なんとか生活できるからその中でこの次元に飛ばされた意味を探せばいいか。」

 

自分がゲームでしか知らない、このゲイムギョウ界。イストワールから聞いた話によると、現在はタリの女神を倒した後の時間で女神の転換期という期間に入っているらしい。なんでも、その時期には女神の良からぬ噂が流れるため、他の国ではその対策チームが組織されているとのことだ。

そんな時期なら、なおさら自分のような戦闘初心者のために明日のクエストに構っている暇などないのではないだろうか(まあネプテューヌは毎日ぐうたらしていることが多そうだが)。だがそこら辺はイストワールの考えがあるらしい。簡単に説明すると、ネプテューヌが最近クエストや雑務などシェアを上げるような仕事を全くしないという。

そんな中、光樹がやってきて仕事がしたいということを知り、ネプテューヌは少し心配しているらしい。そういう時にはよく仕事をこなすことが多いとのことだ。いわゆる、先輩っぽく振舞いたいという気持ちがあるらしい。そんなときにでも仕事をさせないと、少しでも悪い噂を抑えることが出来ない、ということで明日のクエストにネプテューヌたちが戦闘の手助けとして入ってくれるというわけだ。

 

「明日のクエストのためにも早めに寝るか…。」

 

ベットから立ち上がり、風呂場にある洗面台に買ったばかりの歯ブラシを持って向かう。

風呂場のドアの前に着くと、後ろからネプテューヌがやってくる。

 

「あ、光樹。どうしたの?」

 

「ああ、ネプテューヌ。ちょっと歯を磨こうかと思ったんだけど…もしかしてこれからお風呂か?」

 

「うん、そうだよ。」

 

そう答えながら、腕に抱えたパジャマをこちらの方に見せてくる。

ネプテューヌが風呂に入るということは、当然その間は歯を磨くことは難しいだろう。いつ出てくるかわからない中で歯を磨いていて、風呂の扉が開かれて気まずい…だけで済めばまだいいが、八割方これからの生活で蔑まれることになるだろう。

そんなことにならないためにも、部屋から出ていくのは必要なことだろう。

 

「じゃあ、風呂から出たら呼んでくれ。歯を磨いて明日のためにもう寝るからさ。」

 

「んー、わかった。お風呂出たらだね、了解―!」

 

そう言ってネプテューヌは風呂場に入っていくのを見る。

と、その途中で光樹は思い出したかのようにネプテューヌの声を掛ける。

 

「そうだ、ネプテューヌ。」

 

「何、光樹?」

 

「ありがとうな、いろいろと。明日もよろしく頼む。」

 

「おおー光樹、そんなこと言ってくれるなんて、私うれしいよ!うん、明日は私の活躍に括目してね!」

 

嬉しそうにしながら風呂場のドアを閉めるネプテューヌを光樹は眺めていた。

そしてそのまま部屋に戻っていくのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




読んでいただき、ありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
ちょっと日常話多くないか?と言う方、ご安心ください。次の話は私も書くのが大好物(?)な戦闘回となっています。

次回の投稿は金曜日を予定しています。今のところ、6日更新のペースです。
予定では、第6話の後に解説の方を入れる予定なので、解説は書くのは早いのでストックをこのうちに作りたいと思います。

もし質問、本編の誤字、脱字、おかしな表現があればお願いします。
それではまた次回、お会いしましょう!


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第5話 初めての戦闘、力の目覚め

どうも、藤和木弘です。

お待たせいたしました!戦闘回の第5話、更新です!

…ただ、問題が…。

以前、8000字越えた際に、あまり長くならないように、と話したのですが…やらかしました。

文字数、9000字

…なんてこったい/(^o^)\

そのため、非常に長い文を見ていただくことにまたなります。
本当にすみません。

では、本編スタートです。


 

 

周りには溢れんばかりの自然、小鳥たちの囀る様子、そして、モンスター達の荒ぶる姿(?)が目に映る。

光樹たちは今、バーチャフォレストと言うところに来ていた。

こんなところに来ているのはもちろん、昨日言っていた通り、俺の初めての戦闘訓練を行うためである。だが訓練と言ってもそんな堅苦しいものではなく、ピクニックも兼ねてのクエストをしに来ただけである。光樹を除いては、だが。

けれどもネプテューヌ達も光樹のアシストをするためにここに来ているわけだから、それ程ハードなものにはならないだろう。

 

「よし、ここら辺の敵なら、ちょうどいいと思うわ。」

 

アイエフがそう言って歩みを止める。それに続いて光樹達も足を止める。

 

「ねー、あいちゃん。ここ来るのにこれだけしか距離なかったっけ?」

 

「そうですね、前と比べて短くなった気がするです。」

 

ネプテューヌとコンパが若干驚いている。確かにそうだ。地図上では1時間くらいかかりそうだったのに、時計を見ると、プラネテューヌを出発してから20分ほどしかかかっていない。予定より40分も早く着くとは、普通の人なら「手品を使ったのか?」と思うほどである。

そんな所にアイエフが、

 

「ちょっとネプ子、アンタ聞いてなかったの?今回はルートビルドの試運転行うって昨日言ったじゃない。」

 

と怒り気味に言う。

そういえば、と昨日の記憶を辿る。昨日は確か夕食をみんなで食べたあたりでアイエフがネプテューヌに何か言っていたはずだ。それが先ほど言っていた「ルートビルド」の事なのだろうか。

 

「なあ、アイエフ。ルートビルドって何?ここに来るまで随分予定より早く着いたのって、それが関係あるのか?」

 

「ええ、そうよ。流石にあんたとコンパには説明しないといけないけど…ネプギアは知ってる?」

 

「はい、一応いーすんさんに以前聞かされたので。」

 

ネプギアがそう返すと、アイエフがこちらに顔を戻し、そして説明を始める。

 

「ルートビルドっていうのはシェアの力を使って作る道のことを言うのよ。目的としてはみんなも感じた通り、移動時間の短縮ね。まあ最近になってその方法が考えられて、今回はその試運転として許可をもらって使ってるだけだから、帰ったらルートビルドを一度解除しなきゃいけないのよね。」

 

「ふーん、そうなのか。俺はこの世界の外の人間だから移動の時に長いって感じたことは無いな。」

 

自身が覚えている範囲内の事をそのまま言う。が、よくよく考えると確かにネプテューヌVをやってた時のワールドマップからダンジョンまでの時間消費はかなり長かった気がする。見聞者が帰ってくるまでダンジョンの出入りで時間を稼いでいたはずだ。ダンジョンの出入りで数日経過するということはそこに行くまでそれだけ時間がかかっていたということなのだ。そのことを考えると、かなりネプテューヌ達は大変だったんだなと思う。

そんな事を考えていると、ネプテューヌがアイエフに、とあることを聞く。

 

「ねえねえ、あいちゃん。シェアで道を作るってことはさ、それってもしかして空とか海とかにも作れるってこと?」

 

「ええ、出来るわよ。」

 

その返しに「おおー!」とネプテューヌが反応する。何か考えていそうな、期待していると言った方がいいだろうか、そんな顔を見せる。

 

(一体何を思いついたんだ?)

 

そのような事を心の中で思っていると、ネプテューヌからその理由とも言える考えが飛び出す。

 

「ってことは、空とか海の上を、そのシェアの道で歩けるってことだよね!女神じゃない人も空を歩けるんだよ。すごいじゃん!」

 

その言葉に反応したのはコンパだった。

 

「ええー!私たちも、ねぷねぷみたいに飛べるようになるですか!?」

 

コンパもネプテューヌの考えに反応とは。もしかして、とも思ったが、その考えは口を開いたアイエフの言葉により覆る。

 

「残念だけど、空とか海は歩けないわ。あくまでシェアの加護のある領域を作るだけだから。」

 

「えー、そうなの?なーんだ、がっかり。」

 

ネプテューヌがその顔に残念そうな表情を作る。コンパも少しがっかりとする。

そんな2人に構わず、続けてアイエフが言う。

 

「それに、まだ問題があるのよ。シェアの加護があるにも関わらずモンスターが出るとか、さっき言った通り、空路とか海路は乗り物に頼らないといけなかったり。他にも今現状では教会関係者の人くらいしか利用できないわ。」

 

「まだ実用化までは問題があるんだな。」

 

光樹がふむ、とうなずく。確かにまだ問題は山積みのようだが、これが実用化されれば旅人やゲームなんかに出てくる勇者一行のような存在には素晴らしいものだと思う。

と、そこで全員が一斉に身構える。理由は簡単、モンスターの登場だ。

 

「さて…モンスターもお出ましだし、始めましょうか。」

 

「そうだね、光樹、準備はオッケー?」

 

アイエフとネプテューヌが自身の装備を出現させる。さらにネプギアとコンパも装備を手元に出す。出していないのは光樹だけだ。

 

「ああ、いける。来い、デュランダル!」

 

そう叫ぶと同時に両手に光と闇が集まり、剣・デュランダルが顕現する。そしてそれを二刀流で構える。

出てきたモンスターは青いゼリーのような、というか某竜のクエストのゲームに出てくる序盤敵に似たモンスター、スライヌが4体だ。

楽勝だろうが、油断は禁物だ。最初から全力で―――

 

「一気に行く!」

 

そう叫ぶと同時に距離を詰める。自分でもびっくりするくらいの速さでだ。自分の覚えている範囲では絶対にそんな速度で走った記憶は無い。だが今はそんなことはどうでもいい。やることは一つ。

 

「切り刻む!」

 

左手の逆手持ちのデュランダルを一番前にいたスライヌに振り下ろす。その剣はスライヌに大きな傷をつける。スライヌはそのままうめき声を上げることなく消滅する。

その様子を見ていた他のスライヌたちの内、二体がこちらに向かって突っ込んでくる。

その動きに対し、こちらは右手のデュランダルを地面に突き刺し、代わりに服の裏に入れてあるレーザーガンを持つ。そして、そのまま照準を付け、トリガーを引く。

…が、ビームは出ない。

 

「…は?…ってしまった!セーフティはずしてなかった!!」

 

慌ててセーフティを外そうとする。しかし、スライヌたちは止まるはずもなく、迫ってくる。

スライヌが飛び上がった、その時、

 

「てりゃー!」

 

「ヌラー」

 

スライヌが一閃される。そしてそのまま後ろに下がる。その攻撃で光樹を守ったのは、ネプテューヌとネプギアであった。

 

「光樹、なにやってんのさー!」

 

「大丈夫ですか、光樹さん。」

 

ネプテューヌが叱咤し、ネプギアが心配の声をかける。

 

「わ、悪い、二人とも。」

 

「そんな事より、早く撃ちなさい!」

 

アイエフにそう言われ、すぐにセーフティの外したレーザーガンを二体のスライヌの内、ネプテューヌの飛ばした方に向ける。銃の扱いは友達から聞いたものくらいしか頭に残っていなかったが、とにかく、照準がブレないように左手を右手首の少し下の部分に当てて、トリガーを引く。

放たれたレーザーは真っ直ぐとスライヌに直撃する…が、あまりダメージが無いように見えた。見た感じでは、ダメージ1%と言ったところだろうか。…どこぞの乱闘をするゲームのキツネの武器か!

だがダメージを与えられるなら使うべきだ。光樹は連射をするため、トリガーを引き絞った。

すると、その銃口から、レーザーの刃が出現する。

 

「これは…銃剣、ってことか?」

 

そう呟く。そしてその状態のレーザーガンを構え、スライヌに突撃する。交差する刹那、レーザーガンを何度も振り抜く。その光剣はいくつもの軌跡を描いてスライヌにダメージを与える。そのままそのスライヌは粒子となって消滅する。

残りのスライヌの方に目を向けたが、既にネプテューヌ達が相手をしていた。

 

「えいです!」

 

「もらった!」

 

コンパとアイエフがすばやい連携でスライヌを仕留める。明らかにスライヌのような雑魚モンスターに対してのオーバーキルな連携は、まさに「蒸発」と言うべき速度でスライヌを消滅させた。

さらにネプテューヌとネプギアも突っ込まなかったスライヌをフルボッコにしていた。…。

 

「さて、一戦終わったけどさ、光樹ってなかなか面白いとこあるよね。一撃だけでモンスターを倒したと思ったら、銃のセーフティ外すの忘れてたり。」

 

「そ、それは本当に悪かったって…。」

 

そう答えつつ、光樹はレーザーガンのトリガーを戻す。

 

 

が。

 

 

 

バシュン!

 

 

 

と、銃口に溜められていたレーザーが飛び出した。

 

「きゃっ!」

 

「ちょ…何すんのよ!」

 

ネプギアとアイエフの間を通り過ぎたので何とか被害はなかったが、当たっていたらやばかっただろう。…俺の立場が。

ただ、ネプギアを少し驚かせてしまい、アイエフからも怒られてしまったので謝る。

 

「ご、ごめん。わざとじゃないんだ!」

 

「大丈夫ですよ、光樹さん。別に当たっていませんし。」

 

ネプギアは首を振って無事であることを伝える。

アイエフは、

 

「注意しなさいよ。自分の武器の特性くらい、把握しなさい。」

 

と一喝する。まったくもってその通りだ。

そこでネプギアがあることを提案する。

 

「そうだ。せっかくだからプラネテューヌに戻ったら、その銃、私に預けてもらえませんか?使い方を解析したいですし、もしかしたら、使いやすくできるかもしれません。」

 

「そうだな…。」

 

光樹は少し考え込む。確かに自分の使っている武器の使い方を知らないのは危険だ。いつ、先程のようなことになるともわからない。それに使いやすくなればそれだけスピーディーに戦うことが出来る。ただ、やはりそうネプギアが言うのは、自分の知らない世界のメカニックを知りたいという興味心からなのだろう。

だが、それならばと光樹はネプギアに頼む。

 

「じゃあ帰ってから頼むよ。ただ、改造するならなるべく元に戻してくれよ。」

 

「はい!分かりました!」

 

ネプギアが嬉しそうな目を見せて答える。

そしてまだモンスターの居る奥地の方へ向かっていく。

 

 

 

 

先程放ったレーザーガンの光線の方向からの敵意に気づかずに。

 

 

 

 

 

 

「ふう、まあこんなところかな?」

 

「そうね、これくらいで十分じゃない?あんたもなかなか見どころあるみたいだし。」

 

「そりゃどーも…っと。」

 

アイエフの返事にそう素っ気なく返す。同時にうさぎのようなモンスターに剣を振り、消滅させる。これでクエストの内容はほとんどこなしたと思う。かなりの戦闘で少し疲れた光樹は、みんなに休憩を提案することにした。

 

「なあ、ちょっと休憩しないか?」

 

それに答えたのはコンパだった。

 

「そうですね。では、ちょうど時間もいい頃ですし、お弁当にするです。」

 

「待ってました!」

 

ネプテューヌが喜びの声を上げる。アイエフも少し力を抜き、ネプギアは持ってきていたリュックからレジャーシートを取り出す。

ものの数分で、お弁当が広げられ、準備が整う。

そして全員がレジャーシートに座り、そして手を合わせたのち、お弁当の方に手を伸ばしていく。

ものの数十分でそれらは食べ終わり、みんなが立ち上がる。そのあとをコンパとネプギアが片づける。

 

「さて、腹もいっぱいになったし、残りの敵も倒そうか。」

 

光樹がみんなに聞こえるように言う。

全員がその声に頷く。

その時だった。

 

 

「がるるるるっ…!!」

 

 

近くの木々が並ぶところから、そのような唸り声が聞こえたのは。

 

「!!?」

 

一斉に全員が声の方に振り向く。そこにいたのは、隊長3~4メートル程の大きさの狼のようなモンスターであった。

その狼のモンスターはとても怒っているようだった。

 

「あれはフェンリル?なんでこんなところに…。」

 

アイエフがそんな事を口にする。確かにそうだ。昨日、このあたりのモンスターについて調べていたのだが、その時このモンスターについては全く載っていなかった。その本にはもちろん、このモンスターについても載っていた。確か名前は「フェンリル」と呼ばれる種類だ。

だが、このモンスターは過去のネプテューヌシリーズでも出ていたのでよく知っている。種類によっては炎や氷を吐くモンスターだったはずだ。そして重要なのは、危険種と呼ばれる種類だということだ。よくゲームでは中ボスのような位置にいるモンスターという存在だ。

かなりの強敵に、光樹は若干緊張していた。そんな中、

 

「よーし、とっとと片づけちゃおう!あいちゃん、こんぱ、ネプギア、光樹。」

 

ネプテューヌが叫ぶと同時に、目の前に電源マークのようなクリスタルが出現し、それを胸に当てると光に包まれる。その光から姿を現したのは、濃い紫の髪をサイドで三つ編みにしている女性、女神パープルハートであった。

 

「そうだね、お姉ちゃん!」

 

ネプギアが答えると同時に、同じように光に包まれる。光が晴れると明るい紫(というよりピンクに近い)のストレートの髪を持ち、パープルハートのものと同じ、肌が少し露出しているスーツを身にまとった少女が姿を現す。彼女こそが、プラネテューヌの女神候補生ネプギアの女神化した姿、パープルシスターだ。

パープルハートとパープルシスターが前に出る。

だが、その時だった。

 

「がるうううう!」

 

「!?」

 

周りから大きな唸り声が再び聞こえる。周りを見渡すと、なんとそこにいたのは、フェンリルの群れであった。それが意味するのは、囲まれていることだった。

 

「しまった、囲まれた!?」

 

いくら何でもここまで気づかないのはおかしいが、大方、後ろから急接近したのであろう。

と、ここで、なぜ自分たちに対して怒っているのだろうと考える。おそらく怒っている原因は自分たちが何かしたからなのだろう。それを確認するため、周りをよく見る。

と、

 

「……あ。」

 

その原因を見つけてしまう。それはとある一匹のフェンリルに刺さっていた。

 

(あれってまさか…。)

 

そう思いながら、ネプテューヌとアイエフに耳打ちをする。

 

「なあ、二人とも。あれなんだか分かるか?」

 

「ん?何…って、え!?」

 

「まさか、さっきのレーザーガンの!?」

 

二人もそれに気づく。そう、そのフェンリルの脇腹に当たる部分に、先程うっかり放ってしまったレーザーガンの弾が突き刺さっていたのだ。おそらく、チャージした状態のレーザーは硬質化するという特性があったのだろう。まったく、ありがたいのか、そうでないのか。

まあ、原因が分かったのなら、これは前者…でいいのか?

とにかくこの状況はヤバイ。敵もどれだけいるか分からない上、逃げ場はどこにもない。となると手段はただ一つ。敵の全滅のみだ。

 

「悲しいけど、これ、戦闘なんだよな。」

 

こちらが悪いとはいえ、ここで死ぬわけにもいかない。他のみんなも同じく、武器を既に構えていた。光樹もまたデュランダルを構える。

 

「私とネプギアが切り込むわ。光樹は近接支援、あいちゃんとこんぱはそれぞれ魔法と回復を!」

 

「その方がいいわね。光樹、あんたは前に出過ぎないこと。分かった?」

 

「オーライ!」

 

そう言った後、全員が配置につく。円状のフォーメーションで、中心にコンパとアイエフ、ネプテューヌとネプギアが一番外側、そしてその中間が光樹という形になっている。

そして、戦闘が開始される。

 

「はぁっ!」

 

「えいっ!」

 

まず、ネプテューヌとネプギアがそれぞれの敵に切り込んでいく。その一太刀をなるべく何体かを巻き込んで、敵から攻撃される危険性を減らしながら戦う。だが、傷に構わず突撃する個体もいる。それ以外にも、攻撃されていない個体からも攻撃が来る。

そこで俺とアイエフだ。

 

「光樹、あいちゃん!」

 

「ああ!」

 

「任せときなさい!」

 

ネプテューヌとネプギアに向かってくる敵に対して光樹が攻撃を受け止める。そしてはじき返す。アイエフはその次に来る敵に魔法を放つ。炎の渦が敵を焼き尽くす。

そのようなキャッチ&リリースと杭打ち戦法でなるべくアタッカーの二人を疲れさせないという戦術でなんとか切り抜けようというのがこちらの考えだ。もちろん、これでも大分無理のある考えである。だがコンパの回復も行うことも考慮してある。

そうして最初の内は優勢に戦闘を進めていた。一時はフェンリルの群れを押し返す程だった。

ところが、やはりそれにも限界があった。女神ではない面々はスタミナは普通くらいで、特に光樹は、ほとんど戦闘は素人であった。そのため、数分の戦闘でスタミナが切れていた。

それは女神の二人も当てはまった。流石に危険種の大群(にしては耐久値少ないか?)相手では無理があったのだろう。

そしてとうとう最悪の展開になる。

 

「きゃあ!」

 

ネプギアがフェンリルの一体に弾き飛ばされる。手に持っていた銃剣のような武器、M.P.B.L(マルチ・プル・ビーム・ランチャー)が宙を舞い、地面へと落ちる。

そして、ネプギアを弾き飛ばしたのとは、別のフェンリルがネプギアに迫る。

 

「まずい…っ!」

 

その様子を見た光樹は、迫るフェンリルと尻餅をついたネプギアの間に体をすべり込ませ、そのフェンリルの振り下ろした爪をデュランダルでギリギリのところで受け止める。

 

「こ、光樹さん!」

 

だが、

 

「グオォォォォ!」

 

「うわああああ!」

 

受け止めた光樹は、その勢いを殺せず、そのまま吹っ飛んでしまう。光樹はフェンリルたちのいる所よりも外に飛ばされてしまう。

 

「光樹さん…光樹さーん!!」

 

ネプギアのその声は、しかしながらだんだんと消えていく意識の中に消えていく。最後にこちらにゆっくりと近づいてくるフェンリルが目に映るのを最後に光樹の意識は途絶えた。

 

 

 

 

暗く沈んだ意識の底で、光樹は目覚めていた。

 

(ここは…あの時のと似てる…?)

 

光樹はそう思った。あの時、光樹がゲイムギョウ界に来る直前のあの空間によく似ていた。どちらかと言うと、オレンジ髪の女神に会うさらに前の空間に近いだろうか。

これが俗にいう、精神世界、というものなのだろう。

とにかく一刻も早く、この世界から出なければならない。そう思ったその時。

 

『目覚めたか…。』

 

「え!?」

 

いきなり聞こえた声に、思わず反応する。その声の主がどこにいるのか確認するため辺りを見渡す。しかしどこにも見えない。

すると、また声が聞こえてくる。

 

『こっちじゃ、こっち。』

 

その声の方を向くと、そこには光に包まれた何かがあった。いや、いたという方が正しいか。

そんな事に構わず、その光に包まれた存在は言う。

 

『今お主らは危機に陥っているな?』

 

「まあ、結構危険な状況だけどさ…なんか出来るのか?」

 

光樹の質問に、その光の存在は答える。

 

『出来るさ、お主ならな。』

 

力強く答えたその光の存在に対して、光樹は少し拍子抜けしてしまう。なぜここまで俺を信じるのかと。まるで、自分とは何年も付き合っているかのような話し方だ。

と、そこでとあることに気づく。服の中から、光が発せられていたのだ。

 

「な、なんだ急に…?」

 

慌てて服のジッパーを下してその光を確認する。それは首にぶら下げていたあの流星マークのペンダントから発せられていた。普通ペンダントが光るなんて展開、二次世界くらいのものだ。しかし、今まさに光っている。これはまさか…?

 

『その光こそ、お主の力…その力に身を浸せば、少しだが記憶を思い出すだろう。』

 

「記憶を、思い出す!?」

 

その言葉に光樹が反応する。少しでも記憶を取り戻せるなら、ありがたいことだ。

そして暗かった視界が徐々に開けてくるとその光の存在は最後に言う。

 

『光樹よ、この先、さらなる試練に直面するかもしれない。だが、その時は私もなるべく目覚めるようにする。だが、そこで必須となるのは光樹、お主の記憶だ。そしてその力は、記憶を取り戻すため、それに、この世界を救うための剣だ。だから…』

 

そこでその言葉は途切れ、視界が光で包まれる。

 

 

 

 

「くっ、まずいわね、これは。」

 

パープルハートことネプテューヌがそう吐き捨てる。何体倒したかも、今はどうでもよかった。とにかく全部倒さなければ、みんなやられてしまう。そんなことだけを考えていた。

だがそんなことを考えている内に悲劇が起こった。先程、ネプギアがはじき返された際に援護に入った光樹が群れの外側に吹っ飛ばされたのだ。今日初めて戦闘を行ったのと同じにしてはかなりの実力だった光樹でも、流石に無理があったのだろう。

 

「お姉ちゃん!光樹さんが…!」

 

「分かっているわ、ネプギア。あいちゃん、こんぱ、少しの間だけ、持ちこたえて!」

 

そう言うとすぐに飛び上がる。そして光樹の方へと飛行する。

しかしそれに気づいたフェンリルが大きくジャンプしてそれを阻む。なんとかフェンリルの攻撃を受け止めるが、そのうちに一体のフェンリルが光樹に迫るのが見える

 

(くっ…このままじゃ、光樹が。)

 

そう思ったその時。

辺りに光がほとばしる。

 

「え!?」

 

「な、何!?」

 

そこにいた存在全てがその光に驚く。一時的に目を閉じる。ゆっくりと目を開けるとその光の出所を知る。光樹だ。その光は光樹の胸の部分から発せられていた。いつ外したのであろう上着のジッパーの下の服には、光り輝くペンダントが首からかけられているのが分かった。。

光樹は、そのペンダントを手でつかみ、胸のところに持ってくる。

そして―――

 

 

 

「セット・オン!」

 

 

 

そう叫ぶと同時に、空から赤と黒のドットの塊…ノイズと言った方がいいだろうか、その奔流に吞まれる。その奔流の波動に近づいていたフェンリルがはじかれる。

そして奔流が消えるとそこにいた光樹は、全く違う姿をしていた。

 

「あれは…パワードスーツ!?」

 

ネプギアが言う。そう、光樹が身にまとっているのは、明らかにそういった類のものだった。カラーリングは全体的に黒に所々赤のラインの部分と緑色が入っている。頭部にはフェイス部に赤いバイザー、額に角のようなアンテナ、耳部に耳当てのパーツが存在する。

それだけではない。

体全体が機械のパーツで構成されていた。肩のスラスターパーツ、腕部の手甲パーツ、背部のウイングスラスターなど、明らかに「ロボット」の特徴が見て取れる。光樹だと分かるのは、バイザーの奥に光樹の顔がおぼろげながら見えるからだ。

更に武装も装備されていた。特徴的なのは、左腕に装備されていたシールドとその先にある剣のような武器、腰の銃のような武器が見える。

どちらかと言うと、装甲や攻撃力の高い「スーパーロボット」より、機動性の高い「リアルロボット」と言うタイプのロボットだろう。

と、そこで機械音声が響き渡る。おそらく、光樹の身にまとっているパワードスーツからだろう。

 

 

『SSR-EFX-BA001X-VerⅣ(エスエスアール・イーエフエックス・ビーエーゼロゼロワンエックス・バージョンフォー)』

 

そして、その機体の名が響く。

 

『ガンダム・ブラックエースⅣ、ファイナライズ・セット・オン完了。』

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。

一部の方からは、たぶん、いや、おそらく「流星のロックマン」のタグなくね?と、言われるかもしれませんが、これはタグ設定の際に起きた一つの悲劇が原因です。

簡単に言うと…文字数足りませんでした。

それなら他のタグ抜けばいいんじゃない?と思われますが、自分にはどのタグを抜けばいいか、分かりませんでした。すみません。

ただ、一応「様々なロボットアニメ要素有」の部分でロックマンの要素を入れているので大丈夫かなと思っています。

ですが、「加えた方がいい」と思われた方は、感想の方で言っていただけると、おそらく、「一部台本書き有り」のタグを流星のロックマンに変えると思います。



それから、今回の話で登場したガンダムは、第6話の後に台本書きで話しを進める紹介コーナーで詳しく解説したいと思います。

では、次回投稿は木曜日になると予想されますので、次回もお楽しみに。


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第6話 黒き機動戦士

どうも、雨の季節の中失礼します。藤和木弘です。

ついにオリジナルガンダムの戦闘シーンの話になりました!

ぜひ見ていってください。


 

 

「こいつは、一体?」

 

自身に起こったことをあまり理解できていなかった。目が覚めたのち、ボーっとした視界の中で、光っていた流星ペンダントを握りしめたところは覚えている。その後、赤と黒の光の奔流に吞みこまれたあたりで、完全に目が覚め、気づいたらこの姿になっていた。

その姿はまさに「ロボット」というものにふさわしい、機械的な姿だった。

しかし、そこで不思議なことが一つあった。それはこの機体の操作性であった。光樹が手を動かそうとすると機械の手が動く。明らかに人の手が入っているわけなさそうな腕が、ラグなしで動くさまを見て、まるで自身がこの機体と一体化しているかのようだと思う。本当にその機械のパーツを身にまとっているだけのように感じる。そうなると気になるのは、その大きさ的に、どうやってこの機体の中に入っているのかということである。関節部は明らかに機械だ。普通この中に入れるわけがない。機体各部のあらゆる所の関節部などが、そこに体が入るとは思えないような構造なのに、この機体を動かせるということに一種の感動を感じていた。

しかしその考えは一旦やめることになる。一匹のフェンリルがこちらに突撃してくるのが見えた。

 

「くっ!」

 

反射的に左腕に装備されていたシールドのような物を構える。フェンリルの爪とシールドがぶつかり、金属音が響く。そしてその状態のまま、硬直状態が続く。が、それは光樹がそのままシールドで押し返したことで終了する。その様子を見ていた他のフェンリルたちが徐々にこちらを囲んでくる。

少しこの状態はマズイか、そう思っていると、

 

『大丈夫ですか?』

 

というような機械音声が聞こえてくる。

 

「これって、支援AIっていうやつか?」

 

『いいえ、正確にいうと、私は自己進化型戦術支援インターフェース「ACEシステム・ノルン」です。』

 

そのACEシステム・ノルン…は長いのでエースと呼ぶ。エースがこちらの言葉を訂正する。

 

「じゃあエース、こいつは何なんだ?ガンダムって言ってたけど…。」

 

『?どういうことです?』

 

エースが疑問をぶつける。まあそうだろう。俺が記憶喪失という状況を知らないのだから。そこでそのことを伝えようとするが、突然機体の頭部から「キュルキュル」という音が聞こえたと思うと、

 

『なるほど、記憶喪失ということですか。分かりました、戦闘支援はお任せください。』

 

なんてことを言われたからびっくりしてしまう。さっきの音は頭の中をスキャンした音だったのだろうか。しかしそんなことに構わずエースが行動をとる。

 

『では、最初から本気で行きましょう。「ガンダムモード」へ移行します。』

 

「え!?ガンダムモード!?確かに今の状態だとジムとかジェノアスみたいな顔の感じだけどさ…。」

 

そんな事を言っていると、目の前に様々な情報を表示していたフェイスバイザーが消失する。次に顔の額辺りから装甲が出てくる。この時点で普通なら頭部損傷で死んでいるような演出だが、これでも死なないあたり、自分がホログラムになっているからなのではないかと思う。実際、顔も見えている範囲ではなんか電子っぽい感じがする。

そうこう考えている内に顔をカバーするように装甲が閉じられる。目の部分に今度はインターフェースと映像が表示されるようになる。おそらく、見えている映像からメインカメラアイからの映像だろう。

画面には機体の変化がデータで表示されていた。見ると顔の部分が確かにガンダムの特徴であるツインアイとフェイスマスクにヒゲと言う名のスリット…は無いものになっている。いわゆるゼータ顔と言うやつだ。

そして最後に機体の額より少し上の部分にあったアンテナがL字型のアンテナが少し不格好な、デスティニーのアンテナに近いものに展開する。その展開されたアンテナの中心には、何かの砲口が姿を現す。ダブルゼータのハイメガキャノンのような武器なのだろうか。

その変形が終わり、周りを見てみると、フェンリルが若干ひるんだようにじっとしている。

その様子に若干呆れながら、戦闘態勢をとる。

 

「さて、何か武器はあるか?エース。」

 

『腰背部兵装、ANヴェスバーレールガンⅣのラッチ、ANビームサーベルⅥを。』

 

エースの言った場所には確かにビームサーベルの柄のようなボックスユニットが存在していた。それを掴み、構える。

そこでエースが告げる。

 

『脳内でビームサーベルの出力の指示を。』

 

「分かった、こう…か?」

 

脳内でビームサーベルを出力するのを考える。すると、サーベルの柄からビームの刃が生成される。刃の部分が横に広いので、ソードと言った方がいいのではという出力である。

それを確認すると同時に、目の前のフェンリルに突っ込んでいく。背部のウイングスラスターから粒子を吹かせ、一気に距離が縮まる。そしてビームサーベルを振るう。その攻撃は振り上げていたフェンリルの右前足を両断する。切られた先から血が噴き出す。しかし今はそれに構わず、飛び上がって回転切りを浴びせる。大きな傷を受けたフェンリルは、叫びながら消滅していく。その様を見ていたフェンリルたちが怯えるように後ずさる。だが、まだ敵意は向けられたままだ。

 

「すげえな、まさか自分がビームサーベルを使う日がくるなんて…っていうか威力高いな。他の武器はどんなのが…。」

 

敵意に構わずに喜んでいる光樹は、他の武器の使い勝手を確認するために、画面に武器のデータを出すように考えてみる。するとやはり、武器のデータが出てきた。このシステム、かなり画期的だと思う。客観的に見ると、このシステムは、ユニコーンガンダムに搭載されている、「インテンション・オートマチック・システム」に近いだろうか。あちらは考えた通りに機体が動くものだが、こちらは機体の出力制御やデータなどのシステムを担当しているようだ。

そんな事を思いながら武装欄を手早く見ていくと、とある武器に目が留まる。「ANヴァリアブルアームズ」という武器だ。データ上ではシールドの先に装備されている武器と表示されている。シールドの先には確かに剣と銃の機能が合わさったような兵器が、シールド基部の、巨大な砲身を折りたたんだライフルの先に存在していた。

 

「こいつか!」

 

すぐにその武器の持ち手部分に手を触れる。

瞬間、脳裏にとある光景がよぎる。

 

(なんだ…?)

 

武器に触れようとしていた手で頭を押さえる。

そしてその光景がはっきりと見えてくる。それは一機の機体が戦闘をしている光景だった。右手に持った武器で、すぐにその機体が、自分の操るこの機体だということが分かった。

と、そこで機体が何機もの機体に囲まれる。しかし、囲まれた機体は慌てることなく、ANヴァリアブルアームズを持つ手を上げる。瞬間、武器から何か小さいものが周囲にまき散らされる。それらはすぐに敵に当たり、爆発する。

機雷だ。小型の浮遊式機雷を散布したのだ。

そして、敵がひるんだその隙に、ANヴァリアブルアームズを銃にして撃ったり、剣のように振るっていく。あっという間に敵を両断し、全ての敵が撃破されるとすぐに飛んでいく。

 

(これは…俺の記憶…なのか?)

 

それくらいしか考えられなかった。おそらく、今の似たような状況に呼応して、記憶が呼び起されたのだろう。一瞬の間に見た光景だったが、かなり上手い動きで、これが自分かと思うと少し怖いくらいだ。だがこれでやることは決まった。

抑えていた右手を、またANヴァリアブルアームズに伸ばし、手に持つ。そして先程の光景と同じく、空に向けて掲げ、機雷を出すことを考える。

 

『ANマイン、散布します。』

 

エースの言葉と同時にANヴァリアブルアームズの側面から機雷、ANマインと呼ばれたそれが全24発、周りを囲んでいたフェンリルたちの群れに飛ばされる。それらがフェンリルに触れたと同時に爆発が起こる。フェンリルたちがひるむ。その隙に、右手のANヴァリアブルアームズを折りたたんだライフルモードに変形させ、左手にはサイドアーマーに懸架された拳銃タイプの射撃兵装…いや、正しい名前は、ANヴァリスⅡ。そのことを思い出す。

 

「よし、やってやる!」

 

それらの武器を持ち、そして射撃戦を開始する。だがそれはいろんな意味で違っていた。そもそもフェンリル系のモンスターは、射撃戦の攻撃は持たない。そのため射撃戦は出来ない。だが違っていたというのはそこではない。ブラックエースⅣの、その射撃だ。機体を高速で回転させるような機動の中で、正確に、ひるみから立ち直った敵にダメージを与え、なおかつさらにひるみを作り、時間の余裕を作り出す様子は、まさに戦場を踊る奇術師のような戦いであった。実際にその様子を戦いながらもフェンリルの群れの隙間から見ていたネプテューヌたちは、ただただ驚いていた。

しかしその攻撃でもなかなか数はなかなか減らない。先程の銃撃で二体ほど倒したが、それでもまだこちらを囲めるだけの数がいる。しかし、それでも数えられるだけの数になっていた。現在は九体に減っていた。

 

(チャンスは今しかないか…なら!)

 

すぐにANヴァリアブルアームズをソードモードに、ANヴァリスⅡを出力を増大させたフルバーストモードに切り替え、機体の出力全開で殲滅に移行する。ヴァリアブルアームズの一閃が、たった一撃でフェンリルの体を裂き、粒子に帰す。ヴァリスのビームも同じくフェンリルに直撃し、消滅する。さらに切りつけた後、後ろから迫るフェンリルの攻撃をジャンプで避け、空中で回転しつつ、地上のフェンリルに対し、ヴァリスのビームで薙ぎ払う。

それらの行動により、九体いたフェンリルは三体に減った。するとその状況に焦ったのか、フェンリルたちが突っ込んでくる。と、そこでエースが効果的な攻撃方法を導き出す。

 

『ANACEグラビカルアンテナユニットⅣ、ACEハイメガキャノンモードⅣに切り替えます。』

 

すると、頭部のV字アンテナを形成していたユニットの正面中央のパーツが開き、砲口を形成する。そこに、光が集まる。エネルギーをチャージしているのだ。

 

『チャージ完了。撃てます。』

 

「よし!」

 

エースからのチャージ完了したことを聞いて、気分が乗る。なぜならこの武器、この状況なら、一度は言ってみたい言葉があったからだ。

そして、叫ぶ。

 

「いっけー!ハイメガキャノン!!」

 

その叫びと共に、太いビームが一直線に飛んでいく。その大きさは体の半分が飲み込まれるかのような大きさで、フェンリルに迫る。そして直撃する。だがそれでもその勢いは止まらず、先頭のフェンリルの体を貫くと、そのまま後ろに居たフェンリルたちにも襲い掛かる。

ビームはフェンリルたちを貫いた後、数十メートルを進み、消滅する。貫かれたフェンリルたちの死体は光となって次々と消滅する。これで全て倒したことになる。勝ったのだ。

その様子を見ていたネプテューヌたちがすぐに駆け寄ってくる。

 

「光樹!大丈夫!?」

 

「な、何なのよ!その姿…それにその戦闘力、聞いてないわよ!!」

 

ネプテューヌが光樹の様子を案じ、アイエフがいきなり起きたことに対して追及してくる。

だがそれらにすぐ答えようとしたその時、体に凄まじい疲労感が襲う。

いきなり起きたことに驚いてしまうが、ネプテューヌたちに心配を掛けないために平静を装って、それらに答える。

 

「あ、ああ。大丈夫だよ。この機体について、思い出したよ。こいつは俺の…」

 

そう言おうとしたその時、突然ネプギアが急接近してくる。

 

「ネ、ネプギア?どうし…」

 

光樹が言おうとする前に、ネプギアが口を動かす。

 

「すみません…私のせいで…光樹さんを迷惑をかけてしまって…。」

 

ネプギアが若干涙目になりながら言う。少しの間戸惑うが、すぐに悟る。

 

(そうか、あの時フェンリルに飛ばされてしまった時のことを…。)

 

そう察した光樹はネプギアの頭に手を置き、言う。

 

「気にするなよ。あの時は俺の力が足りなかったからああなったんだ。それに、この力もその出来事が無かったら、目覚めなかったかもしれないし。」

 

「光樹さん…。」

 

ネプギアが面目なさそうな顔をする。だが落ち着いたようで、すぐに表情を明るくする。

 

「じゃ、じゃあ…戻ったら、その機体も調査させてもらっても…いいですか?」

 

「ははっ、いいよ。ただ壊したりはしな…」

 

そう言いかけたその時、クラっとする。

 

「ちょ…光樹!あんた大丈…」

 

しかしそのアイエフの言葉に答える暇もなく、光樹は倒れた。

 

 

 

 

「光樹!?しっかりして。光樹!」

 

ネプテューヌが驚きのあまり、取り乱して光樹に駆け寄る。倒れる光樹を支えると同時に、光樹の体が光り、その光が治まると光樹の纏っていたパーツが消え、元の姿に戻っていた。

そこに、あいちゃんとこんぱが駆け寄る。

 

「ネプ子!光樹は?」

 

「分からないわ。こんぱ、様子を診て。」

 

「はいです!」

 

こんぱはそう答えると光樹のそばに寄り、すぐに状態を確認する。少しして、こんぱが安心したようにして言う。

 

「大丈夫です。少し疲れちゃったみたいです。体の傷の方も、幸い深く無い様なので、戻って手当をすれば問題ないです。」

 

「本当ですか!よかった…突然倒れたからびっくりしちゃった。」

 

ネプギアが安堵する。本当に良かった。あれほどの敵と戦って勝てたのは光樹のおかげだ。その光樹も、かなり消耗したけど、何より全員無事でよかった。

 

「じゃあ、とりあえずプラネテューヌに戻りましょう。」

 

「そうね、ネプ子の言う通り、ここまでの戦果ならもう戻っていいでと思うわ。それに、新しくやらなきゃいけないことも出来たし…」

 

あいちゃんの同意もあり、私たちは街に戻ることにした。まだ意識を失っている光樹はネプギアが運ぶことになった。なんでも「光樹さんには迷惑をかけたから、少しでも恩返しに。」

とのことだ。実にネプギアらしい、と思った。

ネプギアが光樹を背負ったところで、私たちはすぐにダンジョンを後にした。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回の話も読んでいただき、ありがとうございます!

次は設定資料の一部公開に加え、作者と登場人物達が質問に返答していく、黒の館と呼ばれる解説兼番外編をお送りいたします。

質問なども受け付けています。

次は解説なので月曜日に投稿したいと思います。なぜかと言われれば、解説回予想以上に早くできていたからです(笑)

では次の回、「黒の館」でお会いしましょう。


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黒の館 第1回 解説 和藤光樹 ガンダム・ブラックエースⅣ

解説兼質問回答コーナー、「黒の館」始まります!

挨拶は本文の方でもあるので割愛いたします。

今回もまた9000字弱という文字数に…すみません!でも紹介するのにはこれくらい必要だったんです!

では、どうぞ!


 

 

???「ソロモンよ!私はやって来たーーー!」

 

光樹「いやいやいやいやいや、なんだよいきなり!ていうかあんた誰!?」

 

藤和木「え?藤和木弘だよ?この小説の作者だよ?」

 

光樹「は?」

 

藤和木「はい、それでは皆さん、この作品の解説兼質問返答コーナー「黒の館」始まりました!このコーナーのメインパーソナリティはこの私、藤和木弘(とうわき ひろ)と、」

 

ヒカル「この小説の最終チェックで問題点などを指摘し、修正させる役割となっている、ヒカルでお送りいたします。」

 

光樹「え、なにこれ。どういうこと?」

 

藤和木「あれ光樹君知らない?ここは「黒の館」。この作品を読んでいる方から寄せられた質問に答えたり、本編内で出てきたオリジナル機体やキャラを紹介するコーナーだよ?そうだ、このコーナーでタグの一つである台本書きを、キャラクターたちが話すときに使います。」

 

光樹「あー、なるほど。なんとなく分かった。」

 

ヒカル「では、光樹君が分かったところで、今回はこの「SSRと言う名のG」の主人公、和藤光樹のプロフィールと、第5、6話で初登場したガンダム・ブラックエースⅣを紹介するぞ。」

 

藤和木「まずは、和藤光樹の現状のプロフィールを紹介します!どうぞ!(デデンッ)」

 

 

 

 

和藤光樹(わとうこうき)

 

年齢 17歳

誕生日 1997年7月19日

血液型 O型

身長 167㎝

外見 顔つきは「イケメン」と言うより若干真面目系。髪は黒で普通のショート。黒縁の眼鏡をかけている。右耳がエルフ耳。

好きなもの ガンダムなどロボット アニメ ゲーム 本(漫画・小説・新書など)

嫌いなもの 親 自己中心的な人(自分も含めて) いじめ

 

突然ゲイムギョウ界にやって来た少年。やってくる前は元の世界の上空で謎の敵と戦っていたが敗北し、次元震に飲み込まれた。

その後、謎の空間でオレンジの髪を持つ女神と会い、3つの世界を巡り、自分を救ってほしいと頼まれる。

そして空から落ちてきた所をパープルハートことネプテューヌに助けられ、プラネテューヌの教会であるプラネタワーにお世話になることになった。

謎の空間の時点で謎の敵に関連する、元の世界の機動兵器の記憶について失っている。が、フェンリルとの戦闘で力に目覚めた際に記憶の一部を取り戻したらしい。

NP装着前の武装は上着の裏のホルスターに収められたレーザーガン1丁、魔剣エクスカリバー2本、聖剣アロンダイト2本、および魔剣と聖剣を合わせた聖魔剣デュランダル2本。

第5話終盤以降、NPの力に目覚める。

 

 

 

 

藤和木「これが和藤光樹のプロフィールだ。どうだ?ちゃんと紹介できてるだろ?」

 

光樹「まあ、今の辺りではこれくらいが精一杯、かな?」

 

ヒカル「何か問題が?」

 

光樹「いや、問題は無いんですけど…もっとアピールできたんじゃ?」

 

藤和木「たとえば?」

 

光樹「ネプテューヌシリーズが好きで現状ブランのファンとかさ。」

 

藤和木「あーそれか、別にそれは後の話でネタにするから良かったのに。」

 

光樹「あ、そうなのか。ごめん。」

 

ヒカル「ちなみに作者は現在うずめの大ファンになったとのこと。以前はブランを様付けで呼んでたらしい。」

 

藤和木「恥ずかしい黒歴史を垂れ流すのはやめようか?(怒)」

 

光樹「…あのさ、NPの紹介は?」

 

藤和木&ヒカル「あ、忘れてた。」

 

光樹「おいおい…。」

 

藤和木「続いて、第5話で初登場したNP、ガンダム・ブラックエースⅣの紹介だ!」

 

 

 

 

ガンダム・ブラックエースⅣ

形式番号 SSR-EFX-BA001X-VerⅣ(エスエスアールイーエフエックスビーエーゼロゼロワン バージョンフォー)

解説・

目の前の危機に対し、心の奥底で謎の声によって目覚めた光樹が突如装着(セット・オン)して姿を現した機体。ANドライヴから生み出されるAN粒子により高機動、ビーム兵器の使用、属性攻撃が使用可能、装甲表面への粒子のコーティングによる既存火器に対しての圧倒的防御力を誇る。体が電子化と言う方法で機体と擬似的に一体化していることにより通常の戦闘では不可能な機動を実現し、さらにけがのリスクをほぼなくすことが出来る。

SSRとは「シューティングスターレボリューショナリー」の略称で「革命的な流星」を意味し、EFXは「エターナルフェニックス」に試作のXで「永遠の不死鳥の試作型」を意味する。後に機体コンセプトは「高機動型全領域対応・遊撃可能型ノイズドプロテクター」であることがわかる。そのため、装甲を犠牲にしており、内部にダメージが通りやすい。だが先述したとおり、既存の兵器であれば例え戦車の砲だろうが近距離からのRPGはおろか、爆弾を抱えて特攻してきた敵にも耐えられる。女神たちのシェアを含んだ攻撃などはダメージが通るらしい。

機体外見のモデルは流星のロックマン3に登場したファイナライズ形態の一つ、ブラックエースがベース。カラーリングは黒に赤のライン、それに所々に緑が入っている。

ブラックエースがモデルの事もあり、頭部はノーマルモード時には赤色のフェイスバイザーの奥に装着者の顔が存在する。さらに額の少し上に角のようなブレードアンテナが存在する。ガンダムモード時にはフェイスバイザーが消失し、顔面上部からマスクユニットが展開され、ガンダムフェイスが出現する。加えて頭部ブレードアンテナも横に展開してV字アンテナとなってガンダムのシルエットを作り出す。

機体各部の特徴は肩部が可動式のスラスターになっていること、背部に浮遊式のウイングパーツがあること、そしてのちにリーンボックスでの戦闘時に変形機構が存在することが分かった。

変形方法は、上半身の内、首から下がZガンダム方式、 頭と下半身がマクロスのVF-25方式を採用しているため、ファイター・ガウォーク・ガンダムに変形することが可能。

 

システム系

 

ACEシステム・ノルン

自己進化型戦術支援インターフェース。通称エース。ゼロシステムの2.5型とAGEシステムを合わせた物。それの最新アップデートバージョンらしい。

現状は記憶を失っている光樹の動きを全面的にアシストしている。実際、フェンリルとの戦闘では推力調整、射撃兵器のロックオンなどをエースが行っていた。

リーンボックスでの戦闘では変形時の細かな操作、後述するドラグーンの制御を行う等、性能の高さが伺える。

 

TFDS(ツインフルドライヴシステム)-∞(インフィニット)Ⅲ

機動戦士ガンダム00に登場したツインドライヴシステムのANドライヴ版でありドライヴの完全同調型をF、およびレーザーによりAN粒子を緊急チャージできるものを∞が示している。それの第3世代を乗せていることが分かっている。粒子生成量は圧倒的で、このシステムにより後述するトランザムを使うと粒子放出量は通常型の5倍の出力となる。

 

トランザムシステム(別名TRANS-AM)

機動戦士ガンダム00のGNドライヴのブラックボックスに内蔵されたシステム。ANドライヴの純生産型にのみ搭載されたシステムとのこと。いわゆる「オリジナルのGNドライヴ」に当たるANドライヴである。

通常時の3倍の出力を実現するが、終了後は機体性能が著しく低下する。しかしこの機体はTFDS-∞Ⅲにより、出力が低下している時間は少ない。

 

サテライトシステムⅣ

機動新世紀ガンダムXで登場したシステムの改良型。AN粒子とは違う別系統のエネルギーとAN粒子を同時チャージし、専用兵装からエネルギーを放出する。初使用時にはリーンボックスの軍事人工衛星「BATEN」にハッキング(その時間、わずか5秒。)し、マイクロウェーブを受け取り(なお、この時はBATENの持つ電力エネルギーしか得られなかった)、後述するANランチャーキャノンⅣをサテライトモードに切り替え、敵を殲滅する。

 

ANフィールド

AN粒子を圧縮し、周りに展開する障壁とする。弱点はAN粒子でコーティングされた実体剣、もしくは粒子圧縮率を越えたビーム兵器で貫くこと。

本機はウイングユニットのスラスターから放出する。

 

マルチロックオンシステム

機動戦士ガンダムSEEDで初登場したシステム。…なのだが目を敵に向けるだけでロックオン可能なことからどうやらマクロスシリーズのターゲットロックオンシステムも採用されていると光樹は考えている。

 

ノイズドエナジーフレーム

機体の一部に採用されている特殊フレーム。人の意志の高まりによってAN粒子を生み出すようになったり、特殊な力場を発生させ、機体へのダメージを減らしたりすることが出来る。さらにビットなど、サイコミュ系兵装の操作性がよくなる。

 

BCS

通称バトルカードシステム。流星のロックマンシリーズから継承。しかしメインウェポンは機体に装備された兵装なので使うことは滅多にない。

 

SLS

通称スナイパーロックオンシステム。長距離狙撃時の支援プログラム。

 

ノイズドエナジーウイング

AN粒子を硬質化させて形成するエネルギーウイング。モデルはコードギアスのエナジーウイング。モデル元と同じように機動性向上の他、硬質化したノイズドエナジー弾を放つこともできる。

 

パック装備

外付けの追加兵装を装着可能である。

 

カートリッジシステムMarkⅡ

AN粒子を圧縮したカートリッジから急速にチャージし、出力を一時的に引き上げるシステム。元ネタは魔法少女リリカルなのはシリーズのカートリッジシステム。性能をさらに上乗せすることが目的であるが、トランザム使用後の性能低下を抑えることもできる。カートリッジのエネルギー補給は非装着時に基本行われるが、緊急時にはバックパックにカートリッジカセットを入れることでチャージされる。

 

 

武器

 

 

ANACEグラビカルアンテナユニットⅣ

頭部のアンテナユニットそのもの。ガンダムモード変形前はANACEブレードモードⅣと呼ばれるビームソードを手に持って使用可能、ガンダムモード変形後はANACEハイメガキャノンモードⅣというビームキャノンとなる。またガンダムモード変形後でもアンテナを閉じればACEブレードモードは使用可能である。その際には元々あった部分からビームアンテナが放出される。

 

ANヴァリアブルアームズ

後述する左腕のANヴァリアブルシールドの先に装備された万能可変兵器。ベースはGNソードⅢ、ACE.Rのアルファートのヴァリアブルライフルおよびヴァリアブルアックスを組み合わせている。カートリッジは6発。刀身=砲身のような部分を普段は折りたたんでいる。モードは刀身を折りたたんだライフルモードと、その状態で機能するセンサーモード、刀身を展開、さらに刀身を縦に開いた高出力砲撃が可能なバスターモードを含めたANヴァリアブルライフルモードと、刀身を展開したソードモード、刀身を縦に開いてビームの刃を発振するビームソードモード、トランザム中の最大出力時にのみ起動可能なライザーソードモードのあるANヴァリアブルソードモードが存在する。

また、刀身の側面にはANマインを全12発内蔵している。

 

ANヴァリスⅡ

サイドアーマー部に2丁装備される射撃兵装。モデルはコードギアスR2のランスロット・アルビオンのスーパーヴァリス。カートリッジは1丁につき6発。固体にまで圧縮されたAN粒子、ノイズドエナジー弾を2門の砲身から発射するヴァリスモードと縦に開いて出現した砲身から高出力ビームを発射するフルバーストモードがある。さらにフルバーストモードの状態で前後に連結させたロングヴァリスモードと左右で合体したツインヴァリスモードが存在する。ロングヴァリスモードは狙撃、ツインヴァリスモードは砲撃に特化している。

 

ANランチャーキャノンⅣ

機体背部に装備された長距離戦用の兵装。モデルはデスティニーガンダムの長距離ビーム砲とセラヴィ―ガンダムのGNキャノン、ランスロット・コンクエスターのハドロンブラスター。上部にキャノンユニット、中央部がエネルギー転換ユニット(サテライトモード時に使用)、下部にランチャーユニットという構造となっている。そのため全て展開すると全長と同じか越えるほどの大きさとなる。だが普段は折りたたむことで約半分程の大きさに収まっている。

モードは上部キャノンを展開したキャノンモード、下部ランチャーを展開したランチャーモード、ランチャーを本体から外して高機動戦での取り回しを良くしたセパレートモード、ランチャーを展開し、砲身を肩上部に担ぐような形で移動させ、キャノン砲身をセンサーに切り替えて敵に向けサテライトシステムの起動で発射するサテライトモード、そして前述したANヴァリスⅡをサテライトモードのランチャーユニット下部に装備するハドロンブラスターモードがある。

 

ANハイカノンⅣ

腹部に搭載されたビームキャノン。モデルはストライクフリーダムガンダムのカリドゥス複相ビーム砲。ファイター・ガウォーク変形時にはカバーで閉じられるため使用不可。普通の高出力ビームを発射するカノンモードと拡散ビームを発射するクラスターモードを持つ。

 

ANビームサーベルⅥ

ビームの刃を形成する斬撃武器。形はボックスタイプ、ユニコーンガンダム系統のサーベルユニットに近い。ANヴェスバーレールガンⅣのラッチに2本、ANノイズドエナジービームシールドユニットの内部に2本装備されている。通常時は普通のビームサーベルだが、トランザム・最大出力時にはビームソードほどの幅を持つ。柄尻同士を合わせることでフリーダムガンダムなどのビームサーベルと同じ「アンビロテクス・ハルバードモード」となる。またビームシールドユニット側のサーベルは内蔵時にはビームトンファー、およびビームバルカンとして利用できる。

 

ANヴェスバーレールガンⅣ

ANヴァリスⅡ未使用時には腰背部、使用時にはサイドアーマーに移動する兵装。モデルはF91のVSBRことヴェスバーとストライクフリーダムガンダムのクスフィアス3レール砲。

ノイズドエナジー結晶をAN粒子による電磁誘導で実体弾として高速射出するレールガンモードⅣ、発射するビームの速度を変えられるヴェスバーモードⅣがある。

 

ANスラッシュハーケンユニット

肘と膝に装備されたアンカーユニット。アンカーの先はその名の通り、鎌(ハーケン)になっている。モデルはコードギアスのスラッシュハーケン、本機の物はそのうちランスロットの強化型が直系のモデルとなっている。そのため4基同時に取り付けられたブースターで操作するブースターモードが存在する。

 

ANヴァリアブルウェポンウイングユニット

背部に浮遊するウイングユニットをまとめて呼称する。このユニットこそがこの機体に圧倒的な高機動力を与えている。後述するANノイズドエナジーソードウイングⅢとANヴァリアブルドラグーンの計12基で形成されている。

高機動を発揮するハイマットモード、航続性に長けたブースターモードが存在する。またノイズドエナジーウイングはここから形成される。変形時はブースターモードの状態で機体上部のANランチャーキャノンⅣに併設される。

 

ANソードウイングⅢ

ウイングユニットの外側に存在するメインウイング。計4枚のウイング。上下のウイングで形が違い、面積的には下部ウイングの方が大きい。外側がソードのように鋭く、相手と交差した際に奇襲の一撃を加えることが目的の兵装。また本来の使用法ではないが、手首にウイング上下を装備してランスのように使うこともできる…が、手が使えないので汎用性は下がる。

 

ANヴァリアブルドラグーン

ANソードウイングⅢの間に浮遊しているサブウイング的な機能を持つ兵装。形状は流星のロックマン3のブラックエースのウイング内のパーツがモデル。機能はストライクフリーダムのスーパードラグーン。

片側ウイング内に4基の計8基を装備している。コントロールは光樹の脳波で出来るが現状光樹が記憶を完全に取り戻していないので先述したとおり、エースが光樹の動きに合わせて射撃を担当している。

ドラグーンは射撃の他、ビームサーベルを形成しての突撃、さらに砲口を基点としたビームバリアを形成できる。

 

ANノイズドエナジービームシールドユニット

両腕部に装備された防御兵装。モデルはビームシールド発振器はストライクフリーダムガンダムのビームシールド発振器、全体的な形はガンダム4号機・5号機のビームガンユニット。ノイズドエナジー結晶で形成されたシールドと通常のビームシールドを使い分けることが出来る。

 

ANヴァリアブルシールド

左腕部に装備された防御兵装。ただ、正確に言うなら、後述するANロストカノンⅣの上から装備している。オリジナルのデザインだが敢えて言うなら、形的にはゲルググのシールドとデスティニーガンダムのアンチビームシールドを合わせた物に近い。

シールドを上下に開くことでその部分にノイズドエナジーシールドを形成するノイズドエナジーシールドモード他、ファイター変形時は補助翼を展開するファイターウイングモードになる。ファイターウイングモードの補助翼は左右に格納されている。

 

ANロストカノンⅣ

左腕に装備されている大型ライフル。カノンと名前が付いているが形状的にライフルに当たる。二連装の銃身を持ち、折りたたみ式になっている。カートリッジ対応で弾数は6発。

モードは二連装の銃口からビームを連射するライフルモード、銃身を開いて奥の発射口と開いた銃身をバレルにして更に強力なビームを放てるカノンモード、そしてカノンモードの状態でAN粒子を限界まで縮退させ、ダークマターの力を引き出し、ビームと共に撃ち出すロストモードが設定されている。ロストモードは黒い粒子ビームで圧倒的なまでの破壊力を誇るが、縮退に時間がかかるため全く使用されていない。

 

ANビームエッジⅢ

機体の脛の部分に装備された格闘武器。モデルはインフィニットジャスティスガンダムのグリフォンビームブレイド。

 

 

 

藤和木「さて…こんなところかな?」

 

光樹「長い長い長い!長すぎるって!」

 

藤和木「そう?でもこれは初回だから色々説明が長くなるのは当然だと思うよ?」

 

ヒカル「まあちゃんと詳しく説明されているから、OKだな。」

 

光樹「でもプロローグで出てきてたシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスって更に説明長くならないか?」

 

藤和木「なるね!(確信)」

 

光樹「おいおい…。」

 

ヒカル「さて、解説も終わったし、最後に質問に答えよう。」

 

藤和木「そうだな、それでは寄せられた質問についてお答えしましょう!」

 

ヒカル「質問、『第4話で出てきたロボットは何?』」

 

藤和木「あーこれね。」

 

光樹「俺がぶつかったやつだな。で、あれなんだ?」

 

藤和木「ネタバレあまりしないように簡単に答えると、零次元編の次の超次元編、つまり超次元ゲイムネプテューヌGから登場するキャラクターです。さらにネタバレすると、ビーシャに関係します。」

 

光樹「ビーシャに関係するのか…どんな奴だ?」

 

藤和木「元ネタは存在するので名前出たら分かると思います。想定CVは三木 ○一郎さんです。多分わかる人いるんじゃないかな。ビーシャの元ネタ会社と合わせれば分かるんじゃない?特にスパロボやってる人は。」

 

光樹「ってまさかそれエス…」

 

藤和木「わーわーわー!ネタバレ禁止!」

 

ドカッ!

 

光樹「頭叩くなよ…。」

 

ヒカル「まあそのくらいにして…次の質問は?」

 

藤和木「そうだった!次の質問!「他の方が書いていらっしゃる小説で『シナンジュとローゼン・ズール』が出ると見ましたが、やはり誰かが『纏う』ではなく『そのままの機械』なのでしょうか。」という質問だ!」

 

光樹「シナンジュとローゼン・ズールが出るのか。」

 

藤和木「そうだよ、立場としては光樹サイドの超次元の中ボスとラスボスあたりになるよ。名前は今のところシナンジュ王と騎士ローゼン・ズールって配役。」

 

光樹「性格は?」

 

藤和木「シナンジュ王も騎士ローゼン・ズールもどちらもそれぞれの元ネタのパイロットベースだね。」

 

ヒカル「だがお前のノートをこっそりのぞかせてもらったが、ローゼン・ズールの性格の所に『青いツナギを着た男』っていうのが書いてあったが…。」

 

光樹「まさか…○らないか!?」

 

藤和木「ギャグ要素として入れるからだよ!別にそっくりそのまま阿○さんにはしねーよ!」

 

光樹「なら良かった。そんなやつと戦いたくないからな。」

 

ヒカル「では次の質問。「オリジナルガンダムのベースは何?」とのことですが藤和木、これは?」

 

藤和木「お前がそのベースの作品俺に布教したから分かるだろ!まあ今回で分かったかもしれませんが、流星のロックマン3で登場したブラックエースがベースですね。あと武装の構成はストフリ+ダブルエックス+インフィニットジャスティス+ダブルオーガンダムだな。」

 

光樹「結構ベースがあったという(笑)」

 

藤和木「笑うなよ、読者が見ている。」

 

ヒカル「さて、質問返答もここまでにして…藤和木。」

 

藤和木「ああ、次回以降の予告だぜ!」

 

光樹「ネプテューヌたちを襲った危機は、力に目覚めた光樹によって退けられる。そして戻った光樹は思い出したことを話し始める。」

 

ヒカル「しかし、その情報の少なさ、そしてプラネテューヌ教会でのブラックエースの解析結果から状況はあまり良いとは言えなかった。」

 

藤和木「そこで光樹達は、ガンダム・ブラックエースⅣの性能を調べるため、リーンボックスを訪れることになった。」

 

光樹「そこで出会う各国の女神と候補生たち。そして始まった性能調査。」

 

ヒカル「だがその矢先にモンスターの大群が襲う。」

 

藤和木「何とか切り抜ける光樹とガンダム・ブラックエースⅣ。だがそこにさらに追い打ちをかけるように、リーンボックスの女神からの挑戦ということで、とある機動兵器が襲い掛かる。」

 

光樹「その機動兵器を前に苦戦する光樹。だがその時、ガンダム・ブラックエースⅣに異変が起こる!」

 

ヒカル「ノイズの波から現れたのは、一体!?」

 

藤和木「次回、『新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG』。」

 

光樹「第7話、「そうだ、リーンボックスへ行こう」!」

 

ヒカル「手に入れた力で、少年は一体どうする?」

 

藤和木「その迷い…」

 

全員「打ち払え!ガンダム!!」

 




いかがだったでしょうか。

設定多すぎるって?結構多いです。自分でも忘れてたりします。(笑)

次の投稿は日曜日を予定しています。

ではまた次のお話の前書きで、お会いしましょう!


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第7話 そうだ、リーンボックスへ行こう

皆さま、お待たせいたしました。
第7話、投稿です。

少し時間がかかり過ぎたことには目を瞑ってください。

では本編どうぞ。


 

「う…ん……。ここは?」

 

光樹はゆっくりと目を覚ます。そして、現在の状況を整理しようとする。

その時、

 

「あっ、光樹さん。起きたんですね!」

 

という声が聞こえる。声の主はネプギアであった。その隣にはコンパもいた。ネプギアはすぐにイスから立ち上がると、ドアを開け、「お姉ちゃん!アイエフさん!光樹さんが起きたよ!」と叫ぶ。

その間に光樹は状況を把握する。

 

(そうだ、俺はあの時、気絶して…。)

 

周りを見ると、今自分が寝ていたのが自分の部屋であることが分かった。

状況を理解したところで、部屋に新たな人物たちが入ってくる。ネプテューヌとアイエフ、それにイストワール様だった。

 

「やっほー、光樹―!大丈夫?」

 

「ああ、心配させてごめん。」

 

「全く…いきなり気絶するんだから…。それより、分かっているわよね?」

 

「?何?」

 

光樹がそう聞くと、アイエフが溜息をつく。その溜息に疑問を持っていると、ネプギアが前に出てくる。

 

「光樹さん、お願いします。…さっきの戦闘で装着していたあのメカを、解析させてください!」

 

「そういうことか。」

 

ネプギアにそう言われて、納得する。そういえば意識を失う直前に、ネプギアにあの「ガンダム」を触らせることを言っていたような気がする。

だがそのことをアイエフも言ったことは、おそらく「そういうこと」なのだろう。

謎の兵器を使用した以上、危険人物として認識されている、ということに。そうなれば、こちらも、思い出したことを話さなければならない。

 

「分かった、協力するよ。ちょっと待ってて。」

 

そう言ってベットから起き出すと、あの流星ペンダント…いや、正しくはデバイス「シューティングスターB」を手に持ち、はっきりとした声で言う。

 

「セット・オン!」

 

その言葉と同時に、部屋の中にノイズの球体が出現する。そしてそのノイズが晴れると、あの機動兵器を身に着けた光樹が姿を現す。

 

「いやはや、今見てもかなりカッコイイよね!頭の姿以外は。」

 

「はいはい、ネプ子は少し黙ってて。…で、それ外せるの?」

 

「ネプテューヌの意見は確かにそうかも…っと、そうだな、アイエフ。エース、セパレート!」

 

『了解、セパレートモードを起動、装着者を排出します。』

 

エースの音声と同時に機体が光り輝く。そしてその光が分離する。その光が消えるとそこには光樹とガンダム・ブラックエースⅣが存在していた。

 

「わあ、すごい!どうやってそれを外しているんですか?」

 

「ごめん、詳しい原理は覚えていないんだ。とりあえず、ネプギアについて行ってくれ、エース。そのあとは…」

 

『分かっています、解析ですね。大丈夫です。私は抵抗しません。』

 

そう答えると、ネプギアとエースの操るガンダム・ブラックエースⅣは部屋の外へと出ていく。

その様子を見届けると、イストワールが口を開く。

 

「では、光樹さん。アイエフさんから聞いたのですが、思い出したこととは一体?」

 

「ああ、それですね。それはあの機体…いや、俺の世界で言うなら、「ガンダム」ですね。それについて思い出しました。」

 

「ガン…ダム?」

 

イストワールがそう復唱する。この時は気づかなかったが、アイエフも小さく「ガンダム…ねえ。」と言っていた。

 

「ええ、そうです。あれは、あの姿は俺の世界でテレビアニメとして放送されている機動兵器、モビルスーツの種類の一つなんです。」

 

「アニメですか…でも、なぜそのような架空上の物を、光樹さんが?」

 

イストワールがそのような質問をしてくる。まあ、予想通りの問いだ。そこで俺は早速、思い出したことを話す。

 

「俺が思い出した範囲で、ですが話しましょう。俺の時代の約5、6年に、とある事件が起きたんです。それはとある遺跡が爆発したんですが、そのあたりから、あのガンダムのようなノイズドプロテクター…通称NPという機動兵器が出現するようになったらしいです。」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!」

 

そう話した辺りで、アイエフが言葉を遮る。何に反応したのだろう。

 

「なんだ、アイエフ?」

 

「その遺跡とNPが何の関係が…」

 

「ああ、それは簡単だよ。NPって古代の人々が残した、いわゆる「オーバーテクノロジー」ってやつだよ。」

 

「なっ…!」

 

「おおー!スゴイじゃん!正に昔の人が残した超兵器って感じで!」

 

アイエフが絶句し、ネプテューヌが話に食いついてくる。アイエフが絶句するのには驚いたが、ネプテューヌの反応は予想できてた。ネプギアが知れば、いや、知るだろうから、おそらく大喜びだろう。

と、そこでイストワールが聞いてくる。

 

「でも、なぜそのようなことを?」

 

「それなんですけど、実は最近の学校の社会系の授業で教科書に載っているんですよ。それに確かその事件は普通にニュースで取り上げられるようになっていたんですよ。もちろん、NPの事もね。」

 

「なるほど、つまり光樹さんはそれを知っていたから…。」

 

「はい。で、あの機体は俺のNPなんですよ。」

 

「じゃあ、なんでそんなものをあんたが持っているのよ!あんな危険なものを、高校生が持つことなんて考えられないわ。」

 

そこにアイエフが疑問をぶつけてくる。だがその質問には今は答えることは出来なかった。なぜなら…。

 

「実は…あの機体の名前と武装について少し思い出しただけで、なんで持っているのかも分からないんだ…。」

 

『…え?』

 

三人が同じ反応を取る。まあ、無理もない。言った俺自身も、言ってて「何言ってんだ」と思っている。

そんな状況を変えるため、光樹は話を振ることにした。

 

「ま、まあとにかくだ。俺は少なくともみんなの敵ってわけじゃない。むしろ元の世界ではネプテューヌ関連のゲームが好きだったし…とりあえず、俺の今話せることは話したから、どうするんだ?」

 

「そ、そうですね。とりあえず、光樹さんの話は本当のようですし、あとは光樹さんのガンダムの解析が終わってから、その結果で判断しましょう。」

 

「確かにそうですね。光樹自身も悪意はないようだし…ネプギアとプラネテューヌのメカニックの解析が終わるまで、少し待ちましょうか。」

 

イストワールとアイエフの言葉を聞いて安堵する。この状況でも信じてくれるその精神に感謝しなければならない。

 

「よーし!じゃあそれまでの間、おやつでも食べない?」

 

「ではそうしましょうか。光樹さんも何か甘いものでも欲しいのでは?」

 

「そうですね。ちょっと小腹すいちゃいましたし、何か食べましょうか。」

 

そう言って光樹達は部屋を後にした。

 

 

 

 

「お待たせしました!機体の解析、一先ず終わりました!」

 

ネプギアがリビングに入ってくる。その服には少しオイルが付いているので、おそらく機体の簡易的なメンテナンスも行ってくれたのであろう。

光樹はそんなネプギアに対してお茶と茶菓子を手に持って、差し出す。

 

「お疲れ様、ネプギア。で、どうだった?調べてみた感想は。」

 

「はい!もう最高でした!こちらの世界にはない機械パーツがいっぱいで、少しパーツをもらっちゃおうかと…」

 

「え?マジでパーツ抜いちゃったり?」

 

「冗談ですよ。あの機体を見ていてわかったんですけど、あれは精密機械の塊のようなものだったので、下手をすると動かなくなっちゃって光樹さんが困ってしまいますから。」

 

一瞬、本当だろうか、と思ってしまったが、すぐにその考えは捨て去った。先程のイストワール様やアイエフが自分の話を信じてくれたのに、自分が他の人を信用しなければ、信頼は生まれない。

 

「お疲れ様、ネプギア。で、分かったことは何?」

 

「まず、ハードウェアから分かったことを言いますね。」

 

アイエフの言葉にそう返して、ネプギアは空いていたイスに座る。

お茶を少し口にしてから、ネプギアは報告を始める。

 

「あの機動兵器には特殊な動力機関がありました。光る粒子を放出していて、その粒子があの機体の持つ武器のエネルギー、機動のための源になっていることは確かだと思います。武装の方は、その粒子…エースさんから教えてもらった「AN粒子」の性質をふんだんに利用したものでした。」

 

「なるほど…つまりそのAN粒子によってあの機動兵器…ガンダムはフェンリルの群れと互角に戦えたのですね。」

 

「おそらくそうだったんでしょうけど、でもあの数のフェンリルを倒せたのは、機体を制御するシステム系のおかげだと思います。」

 

「?どういうこと?」

 

アイエフが首を傾げる。どうやらシステム系がフェンリルを倒した大きな要因であることが納得できないようだ。

そこでネプギアがそのことについて話を続ける。

 

「実はあの機体のインターフェースであるエースさん、ACEシステム・ノルンがあの時は機体制御を行っていたそうなんです。主に射撃時のロックオンとか、機体のスラスターの制御とか担当されていたらしいです。」

 

「…ってことは、光樹は何もしてなかったの?全部、エースのおかげなの?」

 

ネプテューヌが鋭いツッコミを入れられる。確かにそこだけを聞くとそう思ってしまうのも無理はない。でも、俺もちゃんと戦っていたんだぜ?

と、そこでネプギアがフォローを入れる。

 

「でもエースさんからの話では、光樹さんがそれを自分の意志でやったから、自分はそれのアシストをしただけだ、とのことです。」

 

「へえ、ちゃんと光樹が動かして戦ってたんだね。やっぱ、光樹すごいね!」

 

「考えをくるっと変えたな。」

 

「ネプ子はこうだから、気にしないでおきなさい。で、他は何かわからなかったの?」

 

「あ…実はですね……。」

 

アイエフの質問に対し、ネプギアは少し狼狽える。だがすぐにそのことを話す。

 

「あの機体、ほとんどがブラックボックスのようになっていて、分かったのはエースさんの事とAN粒子を生み出すANドライヴの事と、バトルカードシステムと言う、特殊な武器召喚システムがあることしか…」

 

『バトルカードシステム?』

 

イストワールとアイエフ、それにネプテューヌが一斉に口にした様子に、光樹は少し笑ってしまいそうになる。まあそれはネプギアが説明してくれるだろうと考えたが、ネプギアの方を見るとネプギアもどう説明したらいいか困っている様子が見て取れた。

仕方ないので光樹は席を立って説明することにした。

 

「簡単に言えば、カード状のプログラムをロードして、武器を生成するものだよ。場合によっては腕を換装するような物もあるけどな。で、これのモデルは流星のロックマンっていうゲームのバトルカードっていう攻撃方法なんだけどな。」

 

「つまり、武器を何でも呼べるってわけ?」

 

「まあその認識でいいよ。でもオリジナルは一戦闘に30枚しか使えないけどな。ネプギア、あれは何枚まで使えるか分かった?」

 

「あ、それは一回変身したら、30枚までだそうです。」

 

「マジか…少なすぎだろ。だからこいつには武装が取り付けられているのか…はたまたバトルカードシステムは趣味で付けられたのか…現状の記憶では後者…いや、名前的に前者かな?」

 

そう言いながら茶菓子を口にする。

他のみんなも少し食べることに集中して、しばらく沈黙が続いたのち、ネプテューヌが口を開く。

 

「それで、これからどうするの?」

 

「それなんだけど、実は武装のテストもしようと思ったんだけど、エースさんに「この環境では通常出力のビームでも被害が出てしまう。」ってことで出来なかったんだ。」

 

「そうですか…これは困りましたね。」

 

まさかエースの発言によってまだ武装の分析がまだ終わっていないとは。だがネプテューヌ達もあの機体の性能を知っておかなければ、戦闘面や日常面で困るかもしれない。

 

「何とか武装のテストが出来る場所を見つけないとね…どうしたものかしら。」

 

アイエフの言うとおりだ。プラネテューヌは割と技術が高い方なはずだから、大丈夫だと思ったのだが…こうなると別のところでやらなければならない。

 

(だけどプラネテューヌの教会の施設以外に軍事的なもののテストが出来るような場所なんて……いや、待てよ。)

 

その時光樹の中で一つのアイデアが浮かんだ。それは、このゲイムギョウ界の設定から思いついたものであった。だがそれを行動に移すには、ネプテューヌやイストワールの許可をもらう必要があるだろう。けれどもそれ以外にはいい方法は無いだろう。

そこで、光樹は思い切って言うことにした。

 

「あ、あのさ。」

 

「?何でしょうか、光樹さん。」

 

「何かいいアイデアでも思い浮かんだのかしら?」

 

「絶対いい、とは言えないけどな。…このゲイムギョウ界にはあるじゃないか。軍事に特化した国が。」

 

『!!!』

 

そこにいた全員が一斉にその言葉に反応する。どうやら気づいたようだ。光樹の案に。

そして、ゆっくりと言う。

 

 

 

「四大国家の一つ、リーンボックスに協力を要請する、っていうことだ!」

 

 

部屋にそう響き渡った。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。

次回からはリーンボックスに舞台が移ります。

それから、次の投稿日なのですが、こちらの都合により、来週の火曜日にさせていただきます。
理由は実は今、テスト期間で全然話を書けていないのが一つの理由。
もう一つが、新しいオリジナルガンダムの設定を決めるためです。
前者は勉強のためなので本当に申し訳ないです。
後者は以前から考えていたオリジナルガンダムの細かな設定と、それとは別のオリジナルガンダムのベースを変えるため、それの期間が必要なためです。現状では3、4日かかると思います。

ということで、来週の火曜日にお会いしましょう。
皆様の中にも、テスト期間の人がおられたら、頑張ってください!自分も頑張ります。


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第8話 女神と候補生たちとの出会い

どうも、約1週間ぶりの、定期テストで地獄を見た藤和木弘です。

お待たせいたしました、第8話の投稿です。

今回はタイトル通り、他国の女神およびその候補生たち一斉登場です。

そして、今回から(遅すぎの)オープニングテーマとエンディングテーマを考えました。
オープニングは、ハートウェーブという曲です。ぜひYoutubeなどで聞いてみてください。

では本編どうぞ!


目に映る景色が、素早く移り変わっていく。と、言っても目に映っているのは雲と海、それに前方に見える大陸のみだ。

 

「光樹、機体の制御は大丈夫?」

 

「ああ、問題ないよ、ネプテューヌ。最初の内はエースに大分任せてたけど、今は俺がちゃんと制御してるし。」

 

「そう。もうすぐだから、そこまで頑張って。」

 

「了解。」

 

ネプテューヌにそう返しながら、空中を飛行し続ける。

現在、光樹達(アイエフとコンパは飛べないので今回はお留守番となった)は、海の向こうの大陸に存在する国家、リーンボックスへ向かっていた。ネプテューヌとネプギアは女神化して、光樹はブラックエースⅣを装着して飛行している。リーンボックスへ向かう理由は昨日、俺の機体であるガンダム・ブラックエースⅣの武装の解析、および性能の調査のためにリーンボックスで調べようということになったからだ。

昨日の話について少し整理する。

あの発言の後、特に反論はなかった。アイエフやイストワールも納得していた。国のトップであるネプテューヌは「いいねー、久しぶりにベールにも会いたいし!」と言って賛成してくれた。

そのため、すぐにイストワールとネプテューヌがリーンボックスの女神、ベールに連絡を取った。その答えはオッケーとのことだった。二人からの話によれば、むしろこちらから会ってみたい、という返事で、施設の方もちょうど現在、四大国家で合同制作していた「とある機動兵器」のテストが終わったあたりなので施設も人手が空いている、というのと、その機動兵器のテスト相手になってほしいらしい。

 

(一体、どんな兵器だ?)

 

そんな事を考えている内に、眼下には陸地が見えるようになっていた。すでにリーンボックスの領地に入っていたのだ。

と、周囲を見渡すと、横合いから戦闘機が近づいてきていた。そして音声が響く。

 

『こちら、リーンボックス航空部隊。そちらは、プラネテューヌの女神一行で間違いないか。』

 

「ええ、そうよ。」

 

『了解した、こちらの誘導に従ってくれ。』

 

「分かったわ、そちらの指示に従うわ。」

 

ネプテューヌが返答した後、先程の音声を発した戦闘機のあとについていく。ついていったその先はいわゆる軍事基地の飛行場というところだ。光樹達を誘導した戦闘機が先に着陸し、その後、光樹達も飛行場の滑走路に足を付ける。そして、女神化と装着を解く。

 

「さて、ようやく着いたな。」

 

「はい、でも少し時間がかかり過ぎちゃった気がします。」

 

「こういう時にあのルートビルド使えるといいんだろうけどな。まあ、まだ実用前だし、仕方ないか。」

 

そんな事を言っていると、一人の女性がこちらに近づいてくるのが見えた。金髪の髪に緑色のドレスを身にまとっている。ドレスと言うより、中華系のチャイナドレスというものの中世バージョンと言えばいいだろうか。

 

「お待ちしていましたわ、ネプテューヌ、ネプギアちゃん。」

 

「あ、ベール!ひさしぶりー!」

 

「ベールさん、お久しぶりです!」

 

声をかけてきた人物たちに返事を返すネプテューヌたち。そうだ彼女こそ、この国、リーンボックスの女神、ベールだ。

少し後ろの方に立っていた光樹だったが、すぐに前に出ることになる。ベールに声をかけられたからだ。

 

「あら、そちらの方が、もしや…。」

 

「そうだよ。光樹!こっち来てー!」

 

「ああ。…初めまして、和藤光樹です。ベール様でよろしいですか?」

 

「まあ、気になさらず。私のことは気軽に「ベール」と呼んでくださいな。」

 

ベールがそう返す。自分より年上な人(一応、ネプテューヌたちも年上だが、外見的に同い年くらいなのと、ネプテューヌが以前呼び捨てでと言ったので普通に呼び捨てで呼んでいるが)を敬語で呼ばなければならないと思うのだが、本人がそう言うのなら、そう呼ばせてもらった方が、いいのだろう。

 

「じゃあ、ベール、今回はこちらのテストに協力してくれて、ありがとうございます。」

 

「いえ、こちらも、別次元の兵器考証をしたいという現場の意見もありましたし、それに私自身が別の次元の方と会いたいという気持ちもあったので。」

 

ベールが少しお嬢様のような、いわゆる「ですわ調」で答える。そこで思ったのは、やはり別次元の話を聞きたいということなんだなと思う。実際、昨日の夜は、ネプギアにガンダムの事について聞かれたので、寝るまでの間ネプギアとついでにやって来たネプテューヌにガンダムの作品やモビルスーツについて語った。ホント、興味津々に聞いてきたので、久しぶりに熱く語れた。特にグフ・カスタムやウイングガンダムゼロについて話したが、あそこまで食いつくとは、流石と言うべきだろう。

そんな事を考えているとネプテューヌが言う。

 

「じゃあ、さっさとそのテストをやるところにいこう!終わったらゲームとかするためにさ。」

 

だがそのネプテューヌの考えはベールに覆されてしまうことになる。

 

「少し待ってくださいな、ネプテューヌ。まだお客様は来るのですわ。」

 

「え?誰が来るの?」

 

「それは…」

 

ベールが言おうとしたその時、上空から音が聞こえてくる。何かが落ちてくるような音だ。それが真上から聞こえてくる。

…ここまで分かっていれば起きていることはただ一つ。

こちらに向かって何かが落ちてきている、ということだ。

 

「…ってのんきに考えている場合じゃない!上から来るぞ!気を付けろ!回避!」

 

そう言ってその場から横にすぐに飛ぶ。

その3秒後、光樹の居た場所に二人の人物がシュタ!と着地する。少しでも避ける時間が遅ければ、その足が頭に直撃していただろう。俺はMではないので、そんな事されたら痛いだけだ。

と、先程急降下着地した人物たちが口を開く。

 

「あら、ちゃんと避けれたじゃない。伊達にフェンリルの群れを撃破してないってわけね。」

 

「いくらなんでも、これはやり過ぎちゃったんじゃない?いきなり落下するなんて。」

 

「そうかしら。でもちゃんと避けられたから、それなりに生身でも実力はあるみたいだしね。」

 

そんな事を言っている間に、光樹は考えていた。

 

(外見としゃべり方…あの二人でいいだろうけど…どう呼べば…。)

 

現在目の前にいる二人は四大国家の一つ「ラステイション」の女神と女神候補生だろう。女神化しているため、現在彼女らは銀髪の髪になっているが、女神化前は黒髪のはずだ。

そんな事は置いておいて、話を聞いていると、いきなり上空から強襲した理由は、どうやら実力を試したかった、とのことである。…どれだけ実力信用されてないの、俺。

理由もわかったところで、その二人に声をかける。

 

「初めまして、ブラックハート様、ブラックシスター様。まさか、あなた方まで来るとは。」

 

「別にかしこまらなくていいわよ。私たちの女神化前の名前も知っているんでしょ、そっちで呼べばいいわよ。」

 

「そうか、ならノワール、ユニ。さっきのはひどすぎないか?」

 

そう言うと、ユニが「やっぱりそうよね…。」と言い、ノワールが少し目をそらす。…何なんだろう、これは。

と、そうこうしている内にラステイションの女神らが女神化を解除する。光の中から現れたのは、先程の銀髪の少女たちではなく、黒髪の少女たちであった。この二人の姿が女神化前の姿であるラステイションの女神、ノワールと女神候補生のユニである。

だが、なぜここにラステイションの女神たちも来たのだろう。その理由をベールに聞いてみることにする。

 

「なあベール、なんでノワールたちラステイションの二人がここに来たんだ?」

 

「あら、聞いていませんの?今回は四国家で共同開発した「新兵器」のテストもするという話。」

 

「それは知ってるけどさ…ってまさか?」

 

その時、ようやくその理由が気づく。当然、新兵器の性能テストをするなら、関係者を呼ばなければならない。そして、今回はゲイムギョウ界の四大国家が合同で開発したものだ。そのために各国のトップが直接来る可能性もある。つまりはそのテスト戦を見るために来たのだ。だが、それに踏み切ったのは、図らずも光樹のガンダム・ブラックエースⅣが原因だろう。

そう思いながら、しばらくの間話し合っていた女神たちを横目に、とりあえずゆっくり待つことにしようとした、その時だった。

ビュン、と、風を切る音が聞こえる。

 

(なんだ?)

 

そう思った瞬間、声が響く。

 

「今よ!ロムちゃん!」

 

「うん…!」

 

「!?」

 

その声の意味を理解し、殺気、というか悪意を感じた光樹はすぐに緊急回避行動をとる。低くジャンプしつつ、横ロールするという方法だったが、無事に横から頭部と足を狙ってきた攻撃をかわす。

そしてその攻撃をしてきた襲撃者たちの方に向き直る。

 

「一体何…だ?」

 

と、そこで言葉が止まる。理由は簡単、その人物が自分の知っている人物だったからだ。とは言っても、会ったことがあるというわけではなく、知っているというだけなのだが。

その襲撃者は、小学生くらいの身長の子供であった。顔つきが似ており、違いは髪型と髪の色くらいだ。二人はその手に杖のようなものを持っていた。おそらくさっきの攻撃は、その杖によるものだったのだろう。当たっていたら、今頃光樹はベットの上だったかもしれない。

そこでこちらの様子に気づいたネプギアとユニがこちらの方に向かってくる。

 

「ロムちゃん!ラムちゃん!何やってるの!?」

 

「アンタ達、さっきのはかなり危なかったわよ!?」

 

ネプギアとユニがロムとラムと呼ばれた少女たちを怒る。しかし、当の本人たちは…。

 

「えー、別にいいじゃない!ちょっとからかおうと思っただけなのに!」

 

「でも、外れちゃった。(しょんぼり)」

 

ピンク髪のラムと水色の髪のロムが残念そうな声で反論する。そう、彼女たちは四大国家の一つである「ルウィー」の女神候補生たち、ロムとラムだ。二人は双子で、顔もよく似ているので女神化前は服装で、女神化後は髪の色でどちらがどちらなのか区別できる。ルウィーの女神候補生は二人なのだ。

だが、二人とも謝らないというのはちょっと困る。さっきの攻撃はほぼ偶然回避できたようなものなのに。…まあ、先程、上空から強襲してきたラステイションの二人とは違い、声を出してきたので、まあいいか。でも二人同時に別方向はきつい。

だがそう考えていると、上の方から声が響く。

 

「おい、ロム、ラム!何やってんだ!」

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

「お姉ちゃん…すごく怒ってる。」

 

「当たり前だろ。いきなりあんな危ないことして…避けたから良かったけどな。」

 

声の方を向くとそこにはアイスブルーの髪をもみあげの部分を長く伸ばした、少女がいた。その様子から、女神ということは分かる。そして、目の前の人物が誰なのかも。

その少女が妹たちを叱った後、こちらに向き直って、女神化を解除する。ロムとラムも女神化を解除し、前に出てくる。

 

「ほら、ごめんなさいは?」

 

「はーい。ごめんなさい!」

 

「ごめんなさい…(オドオド)」

 

姉である少女の言う通りに、ロムとラムがこちらに向かって謝る。

 

「まあ、別にいいよ。当たらなかったし。」

 

「そう、それは良かったわ。…で、ここにいままでいなかったはずの人がいるってことは、あなたが?」

 

「ああ、そうだよ。」

 

その少女の名前を間違えないように思いながら、自己紹介をする。

 

「初めまして、ブラン様。別次元からやってきました、和藤光樹です。よろしくお願いします。」

 

「別に普通に呼んでくれていいわ、光樹。ただ、後で別次元の事について聞きたいから、話してくれる?」

 

「喜んで。」

 

そう言っていると、こちらの方に先程まで話し込んでいたネプテューヌ、ノワール、ベールがやってくる。

 

「これで全員到着しましたわね。では、移動しましょうか。」

 

「そうね、さっさとその機動兵器…確か「ガンダム」だったかしら?そのガンダムの実力を見せてもらいましょ。」

 

ベールとノワールの会話が終わると、すぐに飛行場の出入り口へと歩き始める。しばらく歩いたのち、ネプテューヌが光樹に話しかける。

 

「ねえ、光樹。さっきブランと話した時にさ、やけに嬉しそうな顔してたよね。何かあるの?」

 

「え、そんなに嬉しそうにしてた?…まあ簡単に言えば、元の世界ではブランのファンだったんだよ。」

 

ネプテューヌの質問に、若干恥ずかしそうにしながら答える。そう、この俺、和藤光樹は、ネプテューヌシリーズでは現在ブランのファンだったのだ。第二回ゲイムギョウ界総選挙でもブランに投票して…。

その時だった。

 

フッ

 

(!?)

 

頭の中で、違和感を感じる。

 

(あれ、本当にそうだったっけ?)

 

そんな事を思ってしまう。なぜそんなことを思ってしまったのだろう。だがすぐにその考えを捨てようとする。

現実に思考を戻すと、ネプテューヌが「良かったね!ブラン!」とブランに言っていた。

その当の本人は目を逸らしながら言う。

 

「そう、…ありがとう。」

 

その後、他のみんなにそのことについていじられながら、一行はテスト場へと歩いていくのであった。

 

 

 

 

「さあ、ここですわ。」

 

ベールに案内されたのは、目の前のガラスの向こう側に白い部屋の広がる場所だった。おそらく壁などは特殊な金属を使うことで、被害を最小限にし、秘匿性を高めているのであろう。

そして部屋の危機の前には白衣を着た科学者たちが座っていた。

光樹達がその研究員たちにお辞儀をすると、ベールが言う。

 

「では光樹さん。こちらのドアから、あの部屋に入ってくださいな。装着は部屋に入ってからでよろしいかしら?」

 

「はい、大丈夫だと思います。それじゃあみんな、行ってくる。」

 

ネプテューヌたちにそう言いながら、ドアを開ける。ネプギアから「光樹さん、頑張ってください!」という声を受けながら、ドアを閉める。そして、次のドアを開け、白い部屋に入る。部屋の広さはかなりあり、ドーム並みの広さだと思う。

と、しばらく辺りを見渡していると、ベールの声が部屋に響き渡る。おそらく、マイクから発せられた声だろう。

 

『では、装着してもらいましょうか。』

 

「はい。…セット・オン!」

 

同時にノイズが天井をすり抜け、光樹を包み、装着が完了する。黒と赤、それに緑のカラーリングの機体が姿を現す。

 

『それがあなたの機体…でいいのかしら。』

 

『なかなか興味のそそられるデザインね。』

 

『ネプテューヌの言っていたガンダム、それがその機体なのですね!』

 

ノワール、ブラン、ベールがそれぞれそのような感想を述べる。それはネプギアを除く女神候補生たちも同じであった。特にユニがかなり興味を持ったような印象であった。

そんな様子をガラス越しで見ていたが、研究員の一人がベールに話しかけたのち、ベールが再びマイクを通してこちらの方に声をかける。

 

『では、テストを開始しますわ。ネプギアちゃんからいただいたデータから、まずはANヴァリアブルアームズのANヴァリアブルライフルモードの機能から測定していきましょうか。』

 

同時に後ろの方の床がせり上がり、的のような台が出現する。あれがターゲットなのだろう。

光樹はベールの言う通り、シールドに装備されたANヴァリアブルアームズをヴァリアブルライフルモードで手に持ち、構える。

 

「さて、始めるか…。」

 

その言葉と共に、試験は開始された。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回の話はどうだったでしょうか。もし「おい、女神たちのしゃべり方変だったぞ」とか、「これ○○○の話し方じゃない!」などあれば、指摘いただけると助かります。

次回の投稿は、1週間後の水曜日になります。

では、今回はエンディングテーマ「夢地図」を聞きながらでお願いします。

それでは皆様、また次か…

光樹「おい、作者、あれ忘れてる。」

おっと、マジで忘れてた。
今回はこのオープニング、エンディングテーマで何がいいか、一応意見取りたいと思います。この投稿後、すぐに活動報告で聞きたいと思いますので、ご協力いただけると助かります。

では今度こそ、また次回の投稿で!


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第9話 一つ目の機械の襲来

皆様、お元気でしょうか。
テストから解放されたと思ったら、課題をやることになり、小説を全く書けなかった藤和木弘です。

あのジオン軍某マッドサイエンティストの作り上げたモビルアーマーが登場な、第9話です。

それでは本編参りましょう。


 

 

目の前の金属が突然、途中から横にずれ、地面へと落ちる。いきなりそんな事が起きれば、超常現象か、と思ってしまう人もいるだろう。だが当然それには理由がある。それはただ、ガンダム・ブラックエースⅣの持つANビームサーベルⅥが金属製のテスト用障害物を両断しただけだ。

ふと、ガラスの向こう側で見ているネプテューヌたちの方に顔を向ける。その表情には様々なものがあった。ノワール、ブラン、ベールは驚愕しているような表情を見せている。おそらく、この機体の性能に唖然としているのだろう。研究員たちも同じような顔つきでこちらの様子と、計測機器の方を見比べている。

一方、女神候補生の方は色々な反応を見せていた。ネプギアは、まじまじと見て、持っていた携帯端末「Nギア」に計測機器のデータを打ち込み、こちらの方の写真を撮っている。ユニはただ茫然とこちらを見ていた。簡単に言えば、ノワールたちと同じような様子だろう。そして、一番違う反応を見せていたのがロムとラムだった。二人とも大はしゃぎで、何かを話し合っている。こちらの方にすごく関心を持っているようだった。

さらにこれはテストに入る直前の事なのだが、ガンダムモードに変形した際、その方法にかなり突っ込まれていた。ノワールらラステイション組はその機構に唖然とし、ルウィー組はブランは少し驚いた様子だ。ロム、ラムは「おもしろーい!」「大丈夫…なの?(びっくり)」という反応だ。ベールと研究員を含めたリーンボックス組も十人十色の反応を見せる。

テストに戻って、次はANヴァリスⅡのテストだ。ANビームサーベルⅥをラッチに収納し、サイドラッチに装備されているヴァリスⅡを両手に持つ。

 

『で、では次はANヴァリスⅡのテ…』

 

だがベールが慌てたような声で言い終わる前に、施設内にサイレンが響き渡る。

 

「なんだ…一体?」

 

そう言った光樹だったが、ある程度は予想できていた。このようなサイレンが鳴るというのは限られてくる。施設内で事故が起きたか、それとも、

敵が来たか。

そしてそれはすぐに判明することになる。ガラスの向こうにいる研究員たちが通信機に向かって話しかけている。その内の一人が、慌てた様子でベールの方を向き、話しかける様子が見える。その報告を聞き、ベールが急いでインカムを付け、こちらの方に落ち着いて状況を知らせる。

 

『大変ですわ。現在リーンボックス東側の海上から、無数のモンスターが接近中という情報が入ってきましたわ。』

 

「モンスターが?無数って、どれくらい…。」

 

だが、その後の言葉を聞いて、軽く絶望することとなる。

 

『ビットタイプが200機前後、それに加えて、その奥に10メートル級の未確認型が存在しているようですわ。』

 

「え、に、200?多すぎない?」

 

こちらの限界性能を引き出すいい機会だと思っていたのだが、流石に数が多すぎる。その上謎の未確認機体まであるそうではないか。それもこちらより大きいやつが。ビットタイプの指揮官、もしくは親玉的な存在から、同じ機械系モンスターなのだろう。だが見てみないことにはどうにもならない。おそらくリーンボックス軍も迎撃をするだろう。もしかしたら女神たちも迎撃に参加するかもしれない。そうなればまだ勝機はある。そこで、こちら側から、ベールたちの方に通信を飛ばす。

 

「俺が先に行って迎撃に出る。それでいいか?」

 

『えっ!そんな無謀な…。』

 

「もちろんリーンボックス軍の航空戦力も借りますよ。それでどうですか?」

 

『それでも…!』

 

ベールが反対しようとしたところで、ベールのマイクをひったくて、話に割り込んだ人物がいた。ノワールだ。

 

『あなた、どうしてそんな無茶なことを!』

 

「無理はしないさ。それに、機体のテストにうってつけだろ?」

 

そう返した光樹に対して、ノワールは―――

 

『止めても無駄みたいね。そんなにさっきの事、根に持っているのかしら。』

 

「まあ、それは半分半分かな。一番の理由はこいつの限界を知りたいから、だけどな。」

 

『なら、任せるわ。ベールもそれでいいかしら。』

 

『そうですわね。光樹さんの機体の性能を引き出すのには、ちょうどいいかもしれませんわ。こちらからも援護の戦闘機は出せますし、四国家合同で制作した「例の機動兵器」の出撃準備を稼げますし。』

 

ノワールとベールが納得し、ブランも頷いている。加えてネプテューヌも…。

 

『よーし、じゃあ光樹、自分の限界を見せてみろ!撃墜なんてされちゃだめだよ!』

 

『光樹さん、無理はしないでくださいね。』

 

笑顔でエールを送り、ネプギアもこちらを労う言葉を贈る。

そして研究員の一人がタッチパネルを操作すると、部屋の壁の一部が開き、通路が出現する。おそらく、その先に行けば外に出られる場所に行けるのだろう。すぐにその通路を通っていく。

通路の先にあったのは、いわゆる出撃デッキと呼ばれるところだった。床にはあらゆる兵器を飛ばすためのリニアカタパルトが存在していた。少し歩くと整備員と思われる人物がカタパルトの近くで手招きしていた。

 

「あそこか。」

 

すぐにそこまで移動する。到着すると整備員は言う。

 

「こちらのカタパルトに足を固定してください。」

 

「分かりました。こう…かな?」

 

カタパルトのロックする所に足を乗せる。するとすぐにロックがかかり、機体が固定される。

整備員が離れると。目の前の電光掲示板のような物にカウントダウンが表示され、発振準備が整う。

 

『発信準備完了。射出タイミングをパイロットに譲渡します。』

 

「了解。和藤光樹、ガンダム・ブラックエースⅣ、出ます!」

 

オペレーターからの言葉のあと、カウントダウン終了と同時に射出される。かなりのGが体にかかるのを感じる。何とかGに耐えると、光樹は大空に投げ出されていた。

 

「よし、飛行開始!」

 

『了解、推力調整をパイロットに譲渡します。』

 

ウイングユニットからAN粒子を放出させ、機体のバランスを安定させる。安定すると同時に、モニターに先程送られてきた敵の位置を地図に反映させ、方向を確認する。

 

「あっちか…よし、最大出力で…」

 

そう言おうとしたその時、エースが割り込む。

 

『光樹、到着までの時間の短縮のために変形を行いましょう。』

 

「へ、変形!?いやいや、流石に死ぬって…。」

 

変形という言葉に、恐怖を覚える。流石に変形などしたら死ぬと思うんだが…。だがそんなことなど構わず変形が開始されようとしている。

 

『変形開始します。』

 

同時に機体各部が自動で動いていく。胸部が上に開き、空いたスペースに腕部が収まり、シールドが腕部を隠すように展開する。そしてシールドのサイドパーツが開いてウイングのようになる。一方、下半身の方は腹部のパーツが少し伸び、手の収納スペースを生み出していた。さらに脚部の膝関節部分を若干収納してロックする。最後に背部ウイングユニットが推力を一方向に収束するように閉じられ、上部に装備される。

 

『ガンダム・ブラックエースⅣ、ファ―ターモードに変形完了。』

 

エースの言葉により変形が完了したことを聞くと、恐る恐る目を開く。すると、体はどこか別の空間にいるような感覚で、視界だけは機体正面のカメラから映像を送っているようなものとなっていた。

 

「これすごいな…で、どうやって動かすの?」

 

操作方法に戸惑っていると、どこからかエースの声が聞こえてくる。

 

『光樹、機体制御は脳内で戦闘機を飛ばすように意識してみてください。』

 

エースからそのように言う。っていうかそんな方法で飛ばせるのか、と思ってしまう。

だが迷っている場合ではない。現状戦闘機形態のブラックエースⅣは、重力に引かれて落下を始めている。

 

「やってみるか。」

 

そう言って光樹は機体を飛ばすようにイメージする。すると、すぐに機体が飛行を開始する。Gが体にかかるような感覚を感じる。どうやら飛ばすことは成功できたようだ。

しばらくの間、感覚に慣れるとすぐに機体を東に向け、飛ぶ。推力を一方向に向けているため、ガンダム形態時よりもかなり早い。

そんな事を考えていると、横から先程の基地から発信したと思われる戦闘機が近づいてくるのが見えた。おそらく、ベールからの援軍だろう。通信回線を開き、確認する。

 

「こちら、和藤光樹。ガンダム・ブラックエースⅣです。そちらはリーンボックスからの援軍ですか?」

 

『そうだ。…本当にそれがそちらの機体なのか?戦闘機になったが…。』

 

「こいつの支援インターフェース曰く、変形だそうだ。」

 

『了解した。では戦闘空域へ行こう。すでに偵察部隊が戦闘して何機かやられているとのことだ。』

 

そのことを聞いて少し不安になる。少しでも早く到着しなければ、全員やられてしまうかもしれない。

 

「じゃあ急ぎましょう。」

 

『分かっている。全機通達!最高速度で現場に急行!』

 

そこで通信は切られ、周りにいた戦闘機12機が先行する。それに送れないよう、こちらも最大出力を指示する。

そして戦闘機の後を追うのであった。

 

 

 

 

 

数分後、ブラックエースⅣを含めた迎撃部隊全13機は戦闘空域手前まで来ていた。すでに遠目からでも、戦闘が行われていることが分かるくらい、火線が何条も交差しているのが見えた。

 

「よし、見えてきた。エース、変形解除!」

 

『了解、変形を解除します。』

 

脚部を前に向けてスラスターを吹かして逆制動をかける。そしてスピードが弱まったところで変形を解除する。元のガンダム形態になる。

すぐにウイングスラスターの出力を全開にして、戦闘領域に突入する。その後を援軍部隊が続く。突入と同時に、こちらに気づいたビットの何十機かがこちらに対し、目の部分からビームのような熱線を発射してくる。

それを回避しつつ、背部に装備されたANランチャーキャノンⅣ二門を構える。上部のキャノンユニットと下部のランチャーユニットを展開した状態で、発射する。

 

「いけっ!」

 

一門ずつ、計四門から発射されたビームは正確にビットを貫き、爆散させる。その様子をただ見ていないで、連続で発射し、さらに敵機を撃破していく。何機か撃破した後、後ろの方から銃弾が通過していく。リーンボックス軍の援護部隊の攻撃だ。それらが何発か、ビットに当たる。撃破まではいかなかったが、ある程度の損傷は見受けられた。

だが、一度態勢を立て直すため、距離をとる。先程の戦闘機の攻撃のダメージが予想より低かったため、隊長さんに作戦を進言しようというのと、ベールからの報告にあった、「10m級の未確認型」の姿を確認するためだ。

 

「よし、離れた。まずは敵の確に…ん……を…。」

 

そこで言葉が止まる。理由は単純、その未確認型と思われる存在を補足したからだ。だがそれだけではない。その正体が、あまりにも突飛な、かつ自分の知っている存在だったからだ。

 

(あの横に長いフォルムに中央の大きな口のような部分、さらに下部の丸いパーツ、そして、顔と思われる部分にはモノアイの目に動力パイプが口の部分に接続されている…あれは……間違いないよな…。)

 

そう思ったその時、耳元から声が聞こえてくる。基地に残っている、ネプテューヌたちからだった。

 

『光樹さん、現状はどうなっているのでしょうか?』

 

「ベール、こっちはちょうど戦闘になったところだ。それで、さっき聞いてた未確認型を確認したんだが…」

 

『したんだが…どうかなされたのですか?』

 

「いや、それがですね…。」

 

その先を言おうとする前に、ネプテューヌが話に割り込んでくる。

 

『どうしたのさー、光樹!どうせでっかいビットなんでしょ?それともシュジンコウキ系?』

 

ネプテューヌのそんな言葉に、思わず頭を抱えてしまう。見ていないから、そんなことを言えるのだろう。まあシュジンコウキ系は総じて危険種だから、心配はしてくれているのだろう。

だがいつまでもその正体が分からなければ、どの位危険なのか分からないだろう。とにかくネプテューヌの先程の問いに答える。…少し笑いを誘うような答え方で。

 

「ネプテューヌ、これビットやない。アプサラスⅢや!」

 

そう、未確認型の正体は、あの「第08小隊」に登場した、アプサラスⅢだったのだ。なんで出てきたかは分からないが、やつが一番のクセ物だろう。だがその前に、周りのビットを倒さなければ、あいつの相手は出来ない。そこで、戦闘機部隊に通信をつなげる。

 

「リーンボックス部隊の隊長さん、聞こえる?」

 

『聞こえている。これほどの大群に加えて、大型の未確認型…アプサラスⅢと言ったか、どう立ち向かう?』

 

「とりあえず、ビットから倒しましょう。話はそれからです」

 

『了解した、援護に回る!全機散開!敵をパターンBで追い込め。』

 

そう言って、周りの戦闘機が二機一組の隊列になってビットに対し、連続で攻撃していく。光樹も両手にANヴァリスⅡを持ち、ビットに連射する。連続して放たれた弾丸は、ビットの体を穿っていく。と、その時、後ろの方からビット二機が強襲してくる。

 

「くっ!」

 

すぐにその方向に向くと同時に、腰部に展開されたANヴェスバーレールガンⅣをレールガンモードで起動させる。そして、放つ。固体圧縮されて放たれた砲弾はビットを貫き、爆散させる。そして正面に向き直り、腹部のANハイカノンⅣを撃つ。一筋の光が、空の敵を飲み込み、消滅させる。だが、それでもまだ敵は残っている。

敵からの攻撃を避けつつ、着実に敵を落としていく光樹とリーンボックス軍の部隊であったが、その快進撃は止められることになる。

突如、後方にいたアプサラスⅢが口の部分、大型メガ粒子砲の部分に光を収束させる。その様子を見て、光樹は悟る。

 

(まさか、メガ粒子砲を!?)

 

その先には何機かの戦闘機部隊が。

 

「マズイ、逃げ…」

 

通信回線をすぐに開き、離脱を指示しようとするが、既に遅かった。

光の奔流、いや、メガ粒子砲が発射される。そのビームは戦闘機を飲み込み、爆散させる。

 

「くそ!隊長さん、生きてますか!?」

 

すぐに通信をつなげようとする。しかし、通信回線からは何も反応は無かった。「ザーッ」という雑音のみだ。

 

(まさか…やられた!?)

 

光樹の心の中で戦慄が走る。だがそんな光樹を待つほど、敵も馬鹿ではなかった。いつの間にか、無数のビットに囲まれていた。

 

「!?」

 

その様子に焦る。何とか突破を試みようとしたが、その前にビットがビームの一斉射を始める。

 

「ちい!」

 

慌てて光樹はシールドを構える。だが背部までは流石にカバーできない。すると突然、エースが告げる。

 

『ANフィールド、展開します。』

 

それと同時に機体を球体の粒子の壁が覆う。それによりビームを弾く。

 

「エース、助かった!」

 

『気を抜いてはいけません。この状況は動きを固められているので、もしあのアプサラスⅢにあの粒子砲を撃たれれば持ちません。』

 

「そうだよな…何とか抜けられれば……。」

 

だがそうは言ってもなす術はない。攻撃を防ぎつつ、打開策を考えていた光樹だったが、終わりが近づいてきていた。粒子フィールドが消え始めてきていたのだ。

その様子に光樹が焦る。その時だった。

エースが発言する。

 

『緊急事態につき、システムを緊急解放します。リミッター解除、TRANS-AM(トランザム)システム、解放します。』

 

瞬間、光が発せられた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか、ブラックエースⅣの変形がうまく伝えれたら良かったんですが、どうだったでしょうか。

次の話では、あのシステムが登場です。

最後に、前回のお話で言いました、アンケートの件ですが、零次元編の第1章オープニング、エンディングテーマの投票締め切りは第12話投稿後にさせていただきたいと思います。

それでは、次回から夏休みですが、投稿は1週間後になりますので、また1週間後、会いましょう。


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第10話 赤き閃光と白き光

皆様、いかがお過ごしでしょうか。現在1日に3000字位小説書いている、藤和木弘です。
お待たせしました。第10話、投稿です。

今回は赤白二つのシステム登場です。
さらにゲイムギョウ界側の名有りの準レギュラーの新キャラが登場です!


それでは本編スタートです!


 

今、ネプテューヌ達は、戦闘機からの映像で状況を見ていた。もちろん、あの大型の敵、光樹の言った「アプサラスⅢ」が大出力のビームを撃ったところも、光樹がビットの大群に集中砲火されているところもだ。

 

「光樹さん!!」

 

「お姉ちゃん、これは流石にヤバいんじゃ…。」

 

ネプギアが悲鳴にも似た声を出す。ユニも心配そうに言う。

 

「そうね、これ以上の戦闘は無理ね。私たちも行かないと、これは負けるわ。」

 

「こちらの例の機動兵器…シェアプロテクターの方の操縦者たちのリンクも終わって、現在発進準備が整ったそうですわ。あとは光樹さんが持ちこたえてくれればよいのですが。」

 

ノワールがユニに言葉を返す。一方、ベールにより、全員に例の機動兵器、「シェアプロテクター」が出撃出来ることが知らされる。

その知らせに、真っ先に反応したのはネプギアであった。

 

「本当ですか!ベールさん、お願いします。でないと光樹さんや他の皆さんにも被害が…。」

 

「ですが、先程からシステム系にエラーが起こっている機体が何機か存在しているそうですわ。」

 

ベールの話を聞き、ネプギアが悲哀感に包まれる。

 

(光樹さん…!!)

 

ネプギアはそう思いながら目を瞑る。

その時、戦闘の様子を映していたディスプレイが赤く輝く。否、正確にはディスプレイに映っていたガンダム・ブラックエースⅣが輝いたのだ。

 

「何?」

 

ブランが疑問の声を上げる。いきなり機体が赤く輝き始めたので、全員がディスプレイの方に目を向ける。

と、いきなりガンダム・ブラックエースⅣを覆っていたバリアのようなものが解ける。

 

「光樹さ…!」

 

「…あれ、いなくなっちゃった!?」

 

ネプギアが悲鳴の声を…発しようとしたが言葉が止まる。そう、理由はネプテューヌが言った通り、光樹が消えたのだ。

 

「一体どこに…。」

 

ノワールがそう言うと、すぐにベールが研究員にカメラの操作を指示する。そして、映されたのは戦場全体を映す程の全体カメラであった。

そこにはとんでもないものが映っていた。

 

「なん…なの……これ。」

 

「光が尾を引いてる…これは…」

 

ノワールとブランがそれぞれそう呟く。

画面には赤く光る機影が、戦場を駆け抜ける姿が映っていた。その機影は無論、光樹のガンダム・ブラックエースⅣだ。

その姿を見て、ネプギアはあることを思い出す。それは昨日光樹から聞いていた、あるガンダムの「とある機能」に似ていたからだ。

そして、その名前をゆっくりと漏らす。

 

「トランザム…システム……!」

 

 

 

 

ネプギアの言った通り、光樹のガンダム・ブラックエースⅣはトランザムシステムを起動させたのであった。しかし、当の本人が一番そのことに驚いていた。

 

「武装の名前とか、AN粒子って単語から予想はしてたけど…まさか、本当にトランザムがあるなんてな…。けど、これなら逆転出来るな!!」

 

確かにこれなら、ビットはおろか、あのアプサラスⅢとも十分に戦えるだろう。

そのように考えていると、エースが発言する。

 

『光樹、トランザムには制限時間があること、忘れていませんか?』

 

「そういえばそうだったな。制限時間は?」

 

『現在表示されているゲージが無くなるまでです。』

 

目の前の画面上には、小さくトランザムシステムの起動画面がゲージと共に映っていた。ゲージは現状、約20分の1を消費した辺りだった。

 

「よし、そろそろ反撃と行くか!」

 

そう言って、光樹は機体を翻し、追ってきていたビット部隊に突撃する。右手にはANヴァリアブルアームズをソードモードで、左手にはANヴァリスⅡをヴァリスモードにして構えている。

そして乱舞が始まる。流れるようにビットを2機まとめて切り裂き、次の敵へ機体を向ける。その間には射撃でビットを撃ち落し、そのまま切りかかる。まるで流れ作業のように敵を撃破する姿は、まさに全てを破壊する赤い彗星であった。

だが、それでもまだ4分の3くらいの敵は残っていることが、レーダーから分かる。

すると、突然背部のウイングの中のパーツが分離していく。

 

『ANヴァリアブルドラグーン展開します。』

 

それは、エースの判断により分離したANヴァリアブルドラグーンだった。それらが全8基、敵に向かっていく。トランザム中のため、その動きは、流れ星のような動きで、ビームをドラグーン突撃陣形(ただの全基前方への一斉射撃の陣形である)で撃つ。貫通性の高いビームのため、後ろの敵にもビームが突き刺さる。いくつもの光を放ちながら、ビットたちを正面から完全に迎撃という名のゴリ押しの正面突破で敵を殲滅していく。

途中、ドラグーンを回収して粒子チャージもしつつ約5分で、殲滅は完了した。あれほどいたビットは、今では数えられるくらいに減っていた。その数、わずか15機であった。援護してくれていた戦闘機部隊も、あの一撃以外は全く受けておらず、この状況はかなり優勢だ。だが、そこで機体の発光が停止する。そう、トランザムの限界稼働時間が来たのだ。

 

『トランザムシステム、解除しました。粒子残量10%、再チャージまで約10分。再使用までは4分です。』

 

「了解。…さて、どう戦うか……!」

 

そんな会話をしている内に、アプサラスⅢが動く。下部の球体の着地脚の展開を開始する。先程、大出力メガ粒子砲を撃つときも同じように展開していたことを考えると、間違いなくまた撃ってくるだろう。

すぐに回避行動をとろうとしたが、そこで思いがけないことが起こる。

正面にいたビットたちがこちらに向けて突撃してきたのだ。

 

「なっ…!」

 

そんな事など考えていなかったため、ほぼ無抵抗で動きを抑えられてしまう。すぐに振り払おうとするが、トランザム終了後のせいか、出力が上がらない。加えて、相手の方はかなりの力でこちらを抑え込んでくる。

 

(まさか…自滅してまでこっちを落とす気か!?)

 

確かにそれでこちらを落とせれば、あとは戦闘機、おそらく女神たちも来るだろうが、それでも相手の目的がこちらのなんらかの重要な物にアタックするためなら、それでOKだ。

その時、とある考えがよぎる。

 

(もしかして…本当は四国家の極秘開発した兵器を誘い出して、その力を測るために?)

 

その可能性はあった。もし俺が居なければ、こいつと戦っていたのはベールたちの言っていた機動兵器が戦っていたはずだ。貴重な実戦でのデータも取れるから、四女神たちもその目的に気づかず、倒していたかもしれない。

だが、そんな考えは今はいい。これでは直撃は確実。そんなもの、いくらこの機体が硬かったとしても、被害は大きいだろう。しかも、昨日、ネプギアとガンダムについて話していた際、ネプギアが言っていたのだが、この機体、高機動型らしい。そう、「高機動型」らしい。大事なことなので2回言いました。それすなわち、耐久が並みの機体より低いということだ。エースによると、一応AN粒子のおかげで元の世界の兵器なんかは全く効かないらしいが、流石にあんな大出力のビームを受けたら墜ちる。すなわち死を意味する。

エースは、機体のコアが破壊されない限りは死なないと言っていたが、これは確実にコアを破壊されるくらいの破壊力はある。

 

「くそっ!何か方法は…。」

 

だがそんなことを言っている内にも、敵は着地脚を地面に固定させ、こちらにその砲口を向ける。

そんな中、ずっと黙っていたエースが突然発する。

 

『光樹、すぐにANランチャーキャノンⅣをサテライトモードで展開してください。』

 

「エース!?どういう…」

 

『早く!メガ粒子砲が発射される前に。』

 

「わ、分かった!」

 

エースが急かすのを聞いて、慌ててANランチャーキャノンⅣを、その「サテライトモード」で展開するのを思考する。

すると背部のANランチャーキャノンⅣが勢いよく下部のランチャーユニットを展開し、その部分に居たビットを吹き飛ばし、機体とランチャーキャノンを接続している基部アームを回転軸に、横から展開しようとする。だが、横の方に居たビットに当たり、阻害される。

 

『無駄です。』

 

しかしそのエースの言葉と共に、ウイング内のANヴァリアブルドラグーンをそのビットに向け、ビームを発射する。そのビームに貫かれ、ビットは爆発する。展開を阻害していたものが無くなり、スムーズにANランチャーキャノンⅣをランチャーユニットを前面に、キャノンユニットを後方にサイトレンズのように配置して肩に担ぐように固定する。

それと同時にエースがインターフェース上で何かを検索し始める。

 

『軍事ネットワークにハッキング開始、完了。検索開始…』

 

エースが高速で何かを検索し始める。その間にも、アプサラスⅢがチャージを始めていた。戦闘機部隊も、そのチャージまでの時間を引き延ばすため、攻撃を続けてくれている。

そして、すぐにエースが報告する。

 

『検索完了。エネルギー発電衛星確認。「BATEN」にハッキング開始……………完了、エネルギー照射開始します。』

 

それと同時に、空から一筋の光が、ブラックエースⅣの胸部に注がれる。インタフェースに、エネルギーの残量画面のようなものが表示される。ANとOtherというゲージの内、Otherの方のエネルギー残量が0から急速にチャージされていくのが分かる。

と、突然通信回線が開かれる。画面にはベールの顔が映っていた。他にもネプテューヌ、ノワール、ブランが狭い画面の中に映っていた。

 

『ちょ、ちょっと光樹さん!?なぜ突然、リーンボックスの発電衛星・BATENをハッキングしているんですの!!』

 

「え?ひょっとしてエース?」

 

その言葉を聞いて、すぐにエースに聞く。するとエースは、

 

『はい、そちらの衛星、少し借りました。』

 

と答えた。なるほど、それで怒っているのかと光樹は考える。

だがそれだけではないことが、ノワールの口から告げられる。

 

『何が「借りました」よ!何よあのハッキングの速さ!5秒でラステイションが作ったプロテクトを解除って普通じゃないわよ!』

 

…それが一番の原因だったのか、と思う。だがどれだけプロテクトが硬かったのか知らないが、そんなに怒るということは、かなり自信があったのだろう。

だが、その会話をしている内にチャージが終了する。それはアプサラスⅢの方も同じだった。互いにその砲口を向ける。

 

「エース、行けるな?」

 

『もちろんです。NFB(ノイズフォースビックバン)、ツインサテライトキャノン。』

 

そして、ほぼ同時に大出力メガ粒子砲とツインサテライトキャノンが発射される。その余波でこちらを抑えていたビットを吹き飛ばす。真っ向からビームがぶつかり合う。しばらくの間、せり合ったが、徐々にこちらのサテライトキャノンが押していく。

数秒後、その均衡は崩れた。ツインサテライトキャノンがメガ粒子砲を完全に押し返し、そのままアプサラスⅢに向かって伸びる。

そして、大型メガ粒子砲の砲口に突き刺さる。その攻撃により、アプサラスⅢは各部から爆発を引き起こす。そして―――――

 

 

 

ドガァァァァァァァァン

 

 

 

盛大な爆発音と共に、アプサラスⅢは爆散する。機体の部品だったものが次々と地面に落ちていく。

その様子を見ていると、通信が入る。あの隊長さんからだ。どうやら生きていたらしい。

 

『協力感謝する。敵の部品の回収は任せてくれ。』

 

「了解です…っと。さて、戻るか。」

 

そう返して、すぐにベールたちの方に通信をつなぐ。通信回線を開くと、狭い画面に女神候補生の内、ネプギアとユニ、それに四女神らが映る。

 

『光樹さん!良かった…無事だったんですね!』

 

「ああ、何とか…な。」

 

『倒しちゃった……アンタ強いわね。』

 

ネプギアにユニがそれぞれそう述べる。特にリーンボックス到着時にこちらの実力をノワールよりは信じていたとはいえ、あまり信用していない様子だったユニから強いと言われたのは、素直にうれしかった。

と、そこで話に入って来たのはブランだった。

 

『あの戦力差で勝利するなんて…かなりの性能ね。』

 

流石はブラン。随分冷静に判断している。まあその反応なら、少なからずこちらに脅威を感じていることは読み取れた。

しかしここで意外にもその性能に衝撃を受けた人物がいた。ノワールだ。

 

『な、何なのよ、あの性能!こんなのにシェアプロテクター勝つの難しいんじゃないの?』

 

ゲームでは割と勝気なイメージが強かったノワールだが、今は少し弱気になっているように見える。まあ、これだけ性能が高い機体の戦いを見て、そう思うのも無理もない。

そこで次に口を開いたのはベールであった。

 

『お疲れさまですわ、光樹さん。迎撃を完全に任せてしまってすみません。ですが、素晴らしい戦果ですわ!』

 

「いや、そっちの方の戦闘機部隊の支援のおかげだよ。…それより、攻撃に巻き込まれた人は…。」

 

「そう…ですわね。ですが、彼らもそのことは覚悟して軍に入っていますから。あなたのせいではありませんわ。」

 

光樹が自分を責めているところに、ベールが声をかける。少しだが、気が楽になる。そうだ、あの人たちはちゃんと自分の職務を全うしたのだから、本望だろう。今後はそんな犠牲が出ないように、精進していけばいいのだ。

そしてベールに言葉を返そうとしたその時、

 

『おい、ふざけんな!この雑魚!!』

 

という明らかに怒りのある罵倒の言葉がスピーカーから聞こえてくる。女の子のような声だが、それは女神たちのいずれの声でもなかった。誰だろうと思っていると、ネプテューヌの声がその名前を呼ぶ。

 

『ちょ!海優!その言い方はひどいんじゃないかな。』

 

『ネプテューヌ様…!でも…!』

 

ネプテューヌが怒りを鎮めようとした相手、海優(みゆう)と呼ばれた少女がなおも食い下がろうとする。が、続いて言葉を放った人物によって制止させられる。

 

『海優、もうやめようよ。あの機体の人はエラーで出られない僕たちの機体に代わってリーンボックスを守ってくれたんだよ。』

 

『ちょっと、閃!止めないでよ!こいつは私が倒して…!』

 

しばらく回線がうるさくなる。

収まるまでの間、ベールの方に聞く。

 

「なあ、ベール。今話してるやつらって誰?」

 

『ああ、実は彼らがシェアプロテクターのオペレーター、つまり操縦者なのですわ。』

 

「へえ、そうなのか。」

 

なぜこんな自分と同年代くらいの子らがこの回線に入ってきていたのか、その理由が分かった。そして、なぜ自分に対して非難の言葉をぶつけたのかも。そう、仲間を見殺しにされたための八つ当たりと言うやつだ。

と、そこにネプテューヌが補足する。

 

『ちなみに海優はプラネテューヌの、閃はラステイションの防衛軍の出身だよ。』

 

「あ、だからさっきネプテューヌの事を様付けで…。」

 

そんな事を話していると、また再び、海優と閃(せん)の回線から声が発せられる。

 

『ええい、とにかく!』

 

美優が大声でそう言う。まるで何かをためているかのように少し溜めた後、はっきりと言う。

 

 

 

 

『どうせこの後シェアプロテクターとそいつと戦うんでしょ?なら私が戦うわ!絶対、負かしてやるんだから!!』

 

 

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。

次のお話からは、ゲイムギョウ界の新兵器との対決です。

そして、ここで一つ、裏話を。
実は次の話を書いている途中、PixivでネプテューヌVⅡ(というよりうずめが登場する)小説を見ていたのですが、そこでこんな事が書かれていました。
許可などはいただいていないので名前は明かせませんが、あとがきにて、「ハーメルンやPixivでうずめの戦闘演出が少ない」と。



……




本当に、申し訳ございません!!
自分の小説、ちゃんとタグに「ヒロインはうずめ」と書いてあるのに!!うずめと思われる人物が少し出ているだけで!全く登場してないという。
もしかしたら、これを読んでくださっている皆様にも「うずめまだ?」と思っている方がいるかもしれません。
いつまでも零次元編に進まないこと、お詫び申し上げます!
12話で第0章が終わって黒の館を挟んでから、すぐに零次元編に入るので、しばしの間、お待ちください。

では次の投稿は6日後の月曜日にしたいと思います。理由は早く零次元に移行するためです。
では次の話へ、スタンドアップ!

「無理にネタ突っ込むなよ。作者。」

…ごめん。


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第11話 シェアの力を纏いし鎧

どうも皆様、お元気でしょうか。藤和木弘です。
第11話投稿です。

始めにまず、謝罪です。
前回の投稿では文章多書き至上主義のような発言をしてしまい、申し訳ございませんでした。
いろんな方が様々な形で小説を投稿している中でのあの発言は失礼でした。
このような発言をしたのには理由があります。
一つに、知っている方もいると思われますが、自分は今年、受験生です。当然受験勉強のために小説を書く時間が取れなくなってきます。ですが、皆様に心配をなるべくかけたくないので、この夏休みという膨大な時間の中で、勉強と同時に小説のストックをなるべく増やし、それを9月以降投稿するという形にしたいと考えたのです。
前回の発言はその作業が進んでいるということを伝えたかったのです。
本当に申し訳ありません。

そして、今回の話はまたも9000字越えです。大変長くなってしまい、申し訳ないです。
では、本編をどうぞ!


 

「さて、ここに来て数十分経ったが…遅いな。」

 

そんな事を呟くと、光樹は動きを止めていた足を貧乏揺すりし始める。光樹は現在、リーンボックス軍が保有する、例の新兵器「シェアプロテクター」のテスト場として使用しているという天井が開くタイプのドームの中央にブラックエースⅣを纏ったまま、とある人物たちを待っていた。その人物とは、女神たち、そして、先程こちらに罵声を浴びせてきた少女、海優(本名は海鳴海優(うみなり みゆう)というらしい。)の所属するシェアプロテクター部隊であった。なぜそうなったかと言うと、元より話のあったが、海優が言った、シェアプロテクターとブラックエースⅣとの性能勝負のためである。

あの発言の後、ベールがそれを承認したため、その勝負に応じることになった。そして光樹はすぐベールより指定されたこのドームにやってきて、相手側はシェアプロテクターとそれを操作するためのカプセルユニットを持ってくるために現在待たされているのだ。

しばらくしているとこちらの方に大きな声がかけられる。ネプテューヌだ。他にも女神たちとそうでない人物(おそらくその人物たちがシェアプロテクター部隊の方々)が何人か、カプセルを持ってドームの四方にある入口の一つから現れる。

 

「光樹ー!ごめーん、遅くなって。」

 

「ようやくか。…で、そのカプセルがシェアプロテクターの操作装置?」

 

そう聞くと、シェアプロテクター部隊の人間であるだろう少女が言う。

 

「そうよ、そしてアンタを倒すためのアタシだけの力…」

 

「いや、あの…海優だけの力じゃないんだけど…。」

 

「うるっさいわね、閃!」

 

その二人が喧嘩している内に、後ろに居たもう二人がこちらの方に声をかける。

 

「すみません。光樹さんでしたか?初めまして、シェアプロテクター部隊「S・P・N(シェア・プロテクター・ナイツ)」のリーダーでリーンボックス出身のカテリーナ・リーフィです。」

 

「そして、ワイがルウィー出身のミヤト・サカザキ言います。よろしく頼むわ。」

 

「ああ、よろしく。…で、あの二人、そろそろ止めて試合に入りたいんですが。」

 

「そうですね、こちらが待たせてしまってますし。…ちょっと海優、閃。二人とも早くシェアコントローラーの準備を。」

 

その言葉に反応し、すぐ二人が言い争いをやめる。そして慌ててカプセルの元に向かい、備え付けのコンソールを操作していく。

そして入力が終わると、カプセルのふたが開く。そこには人一人が入れるほどのスペースが姿を現す。そこへ海優が入っていく。その後すぐにふたが閉められる。

 

『じゃあいくわよ、閃。フルコンタクト!』

 

「了解!フルコンタクト承認、ナンバー001P『パープルプロテクター』に精神接続!」

 

そう言い放つと同時にカプセルのコンソールにあるボタンの内、ガラスのふたで覆われているボタンを、ふたを開き力強く押す。

すると、カプセルの中が光り輝く。次に光がカプセルから離れ、スタジアムの地面の中に入っていく。スタジアムの地面に入っていく。

大事なことだから二回言いました。

 

(…まさかスタジアムの地下に巨大ロボットとかないよな…。)

 

そう思ってしまうのも無理はない。何せここはゲイムギョウ界なのだ。今までもゲームで勇者王のように胸にライオン顔がついたスーパーロボットや悪魔のような姿のイカれた殺戮マシンのやつ、修○さんの「もっと、熱くなれよ!」という言葉が似合うロボット、さらにはやけにリアル顔な代官の操るメカやオカマの着るパワードスーツと、様々な機械系の敵がいたのだから。

だがその考えは外れることとなった。スタジアムの床が「ガコン!」という音と同時に開く。

そしてそれによって出現した穴から「何か」が飛び出してくる。その「何か」は、光樹の右側に離れて着地する。そしてそれが女神たちの言っていた、「シェアプロテクター」であろ事を悟る。だがその姿に一瞬驚愕する。

なぜならその機体には、ガンダムと同じような特徴が見受けられたからだ。額のV字のアンテナ、ゴーグルセンサーの奥に見えるツインアイ、バックパックには二つの棒のようなものが刺さっている。他には機体各部のパーツの内、頭部ヘッドギア、肩部ユニット、背部ウイング、サイドアーマー、足のパーツがネプテューヌのプロセッサユニットの形に近いものになっている。

そんな事を考えていると、シェアプロテクターことパープルプロテクターから海優の声が聞こえる。

 

「さて、まずはアタシの入っているカプセルを運んで…っと。」

 

そう言いながら、海優は両手でカプセルを持ち上げると、観客席の方にそれを持っていく。背部のウイングから、七色の粒子が噴き出して、飛翔する。すぐに観客席の一番上の通路のようなところにそれを置く。

その間に、女神たちは歩いて観客席の方に行くため、さっき来た道を戻っていく。おそらく、そっちの方に上に上がるための階段のようなものがあるのだろう。そう思っていると、先程こちらに話しかけた女子、カテリーナが再び話しかけてくる。

 

「光樹さん、色々とすみません。海優の八つ当たりに付き合っていただいて…。」

 

「いえいえ、構いませんよ。元々こっちの用事でここの施設借りたんだし、そちらの方からもテストをお願いされたし。…で、八つ当たりってことはやっぱりあの時撃墜された戦闘機のパイロットの中に…ひょっとして…」

 

光樹がそう聞くと、カテリーナは若干俯きながら答える。

 

「…ええ、そうなの。海優と仲の良かった…いえ、リーンボックスに来て、部隊になじめなかった海優を、私たちS・P・Nを結束させてくれた子が…ね。」

 

「……。」

 

その言葉を聞いて、光樹は言葉が出なかった。当然だろう。自らの大切な人が突然目の前からいなくなれば、海優のように、守れなかったやつに八つ当たりするのも仕方ない。

少し間を置いて、カテリーナに言葉を返そうとしたところで、海優が話に割って入ってくる。

 

「ちょっとカテリィ、早く観客席の方に上がってよ!でないと戦えないじゃない。」

 

「理解しています、海優。それじゃあ光樹さん。そんな事でも、海優とちゃんと戦ってください。多分あの子、本気で戦えば許してくれるはずだから。ああ見えても実力はちゃんと理解できるはずよ。」

 

「本当ですか?そうは見えませんけど。」

 

不安そうに聞く。だがカテリーナは答える。

 

「ええ、実力と理解力はあの子…海優が私たちの中で一番高いから。頑張ってね。」

 

そう言い残して、カテリーナは観客席の方に向かっていく。その様子を見送った後、海優の機体、「パープルプロテクター」の方を向く。

その様子を見て、後ろで組んでいた手を解いて、こちらに来る。

 

「さて、もう後悔する時間は終わった?」

 

「まったく…そんなこと言って、そんなに気に入らないのか?」

 

「ええ、そうよ。こんな奴のためにアイツが……アスカが死んだんだから…。だからアンタがアイツの死に値するかどうか、確かめさせてもらうわよ!」

 

そう言って少し距離を開けて右腰のスラスターユニットに装備していたライフルを右手に持つ。こちらもANヴァリアブルアームズをライフルモードで構える。

そして、スタジアムにベールの声が響く。おそらく、マイクからの音声だろう。

 

『それではシェアプロテクター運用試験最終段階、そしてガンダム・ブラックエースⅣの性能調査の実戦テストを開始しますわ!ただし、光樹さんの方は腹部、シェアプロテクターは精神通信用の頭部の全損を禁止します。いいですか?』

 

「分かりました。ベール様。」

 

「こっちも把握しました、ベール。」

 

そう返したのち、ベールがスタートの声を上げる。

 

『では、試合スタートですわ!』

 

その声と同時に、戦闘は始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずはこれで!あいさつ代わりィ!」

 

美優が先行を取った。右手に持っていたライフルからビームをこちらに発射する。マシンガンのような弾を、光樹は肩部スラスターを吹かせて右側に回避する。マシンガンの弾は空を穿っていく。だがその弾は観客席に向かって伸びる。そして――――――壁に当たったように消える。

 

『ああ、そういえばもう一つ伝え忘れていましたわ。この観客席とフィールドの間には、エネルギーフィールドが張られているので、こちらの被害は気になさらないでくださいな。』

 

「よし、なら全力で行くか。」

 

そう言うと同時に、左側のANランチャーキャノンⅣのキャノンユニットとランチャーユニットを展開し、発射する。ビームの光が2本、海優に向かって飛ぶ。

それを見た海優は落ち着いた様子で左腕の円形のシールドパーツを展開し、叫ぶ。

 

「シェアリングシールド展開!」

 

同時に、前面に光り輝く円形の盾のようなものが展開される。おそらくシェアエナジーで形成されたシールドだろう。それにビームが当たる、が、ビームはそのシールドに当たり、消失する。

 

「並みの攻撃じゃ壊せない…ってことか。でもまあ、さっきのは牽制への返しだからな。問題ない!」

 

そう考えて、冷静さを保つと、今度は頭部アンテナ中央部に光を集中させる。ANACEハイメガキャノンだ。

威力はなくて良かったが、とにかく少しでも気を逸らすために撃つ。おそらく防御はしてはこないだろう。防御しても、それはそれで足が止まるのなら、こちらが有利だろう。

そして相手の方は、あのビームを、横に回転しながら回避、こちらにそのまま向かってくる。

それに対して、こちらはANヴァリアブルアームズをソードモードに切り替え、振るう。

だが、相手も素人ではなかった。

 

「甘いわよ!そんな太刀筋!!」

 

そう叫ぶと、左腰にあった柄のようなものを引き抜く。構えると同時に、光の剣が出現する。それを見て、理解する。

 

(あれはビームソードか!)

 

お互いの剣が激突する。普通の実体剣だったなら、こちらが負けていただろうが、こちらはGNソードがベースと思われる武器だ。しっかりと受け止め、鍔迫り合いに持ち込む。

互いの剣から火花が散る。だが、そこから海優は思いがけない行動をとった。

 

「てぇい!」

 

「な…!」

 

サイドアーマー部に浮かんでいた、ウエストユニットをこちらに向け射出する。おそらくビットのようなものだろう。それに反応しきれず、直撃し、後ろに吹っ飛ばされる。態勢を立て直そうとするが、その前に海優がこちらに向けてライフルからビームを放つ。先程のようなマシンガンの弾ではなく、ビームライフルのような一直線のような弾丸である。

 

「ちっ!」

 

慌ててシールドで受け止める。だがそれに気にせず、海優はライフルを振り上げる。なぜそんなことをしたのかと思ってしまう。が、すぐにそれは分かることになる。ライフルの下部のスリットから、光の剣が出現する。おそらくビームブレイドだ。それを確認すると、すぐにシールドで受けに入る。なんとか受け止めるが、同時に海優は左手のビームソードを構える。

だがこちらも見ているだけではない。それに反応し、行動する。まず上からシールドで受け止めているライフルブレードを外側に受け流す。そして振ってきたビームソードをANヴァリアブルアームズで受け止めていく。

 

「受け止めた!?」

 

美優が驚きの声を上げる。おそらく受け止めるとは思わなかったのだろう。焦ったのか、後ろの方に下がる。だがそれをやすやすと見ているわけにもいかない。すぐにそこに追撃の射撃を開始する。ANヴァリアブルアームズのライフルモード、左手に持ったANヴァリスⅡ、ANランチャーキャノンⅣ、左サイドアーマーのANヴェスバーレールガンⅣを同時に発射した。

 

「ちょ!弾幕多い!!」

 

それを見て驚いた海優はすぐに回避行動を取る。不意打ちだったが、海優はそれらの攻撃を全て回避していく。態勢を立て直すと、海優は再びライフルを構え、突撃してくる。だがこちらも格闘戦をさせまいと、再び砲撃を再開する。無数の弾幕がフィールドを駆け巡る。光樹が一斉に撃てば海優は回避に専念し、隙が出来れば海優はライフル弾を撃ち、光樹は射撃をやめて回避する。そのようにして何度も何度も射撃の応酬が繰り広げられる。

すると突然、相手が動きを止めた。

 

「ふふっ。…やるじゃないアンタ。まさかここまでついて来れるなんてね。」

 

いきなりそう言われたので少し驚く。さっきまでこちらにあれほど八つ当たりしていたのに、ここでそう言うとは…カテリーナの言っていたことは事実のようだ。

 

「そ、そうか。ありがとう。」

 

「でも、それでもアタシは勝つ!この機体の力、見せてあげる!」

 

そう言い放つと、海優はとっておきを繰り出してきた。

 

「シェアリング・フルコンタクトモード!」

 

ビームソードを振りながら、そう叫ぶと同時に機体各部が七色に輝き始める。その光はシェアのようだった。暖かな光が機体から溢れる姿は、まさに「女神」と言うべきものである。

その変化が終わると同時に、機動を開始する。その速さは圧倒的であった。先程とは比べ物にならないくらいの機動性能でこちらに迫ってくる。

 

「く、トランザム!」

 

それを見て、こちらもトランザムを起動させる。機体が赤く染まり、迫る機体と激突する。

相手のビームソードとこちらのANヴァリアブルアームズ・ソードモードが接触し、大きく火花が散る。そして互いに飛び回りながら、連撃をぶつけていく。だが、互いにうまく受け止め、決定打にはならない。

 

「この状態でついて来れる!?何よその機体…!」

 

「生憎ながら、こっちも負けられないからな!」

 

互いに口を交わす。その二人は戦闘の中で互いを認めていた。その様子を見て、四女神たちや女神候補生たち、さらにS・P・Nのメンバーたちに笑みが浮かんでいた。

そんな中で二人の斬撃が再びぶつかり、お互いが大きく仰け反る。そして、また激突しようとしたその時――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

突然、海優の機体の動きが停止する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!なんだ?」

 

慌てて前に出そうになる体を急停止させる。突然停止したので何か仕掛けてくると思ったのだ。だがそうではないようで、機体のゴーグルセンサーから光が失われていた。どうやら機能停止なのだろう。数秒後、その光が戻る。ただし、色を赤くして。

 

(さて、障害も治ったみたいだし、また試合に戻…)

 

だが、先程の考えは間違いであった。

一瞬でこちらに迫り、出現させたライフルのビームブレードを突き出す。

 

「え!?!?」

 

一瞬の出来事で、思考が遅れる。盾では受け止められないと直感的に判断した光樹は、左側のウイングスラスターを全開にして、回避行動を取る。だが避けきれず、肩部の端の装甲が消滅する。

何とか機体バランスを調整し、相手の方に向き直るが、相手は間髪入れずに突撃してくる。流石に二本の格闘兵装を持った機体に銃はまずいと考えた光樹は左手のANヴァリスⅡを元の場所に戻し、代わりに手首からANビームサーベルⅥを射出して、装備する。

相手の振ってくるソードとブレードをANヴァリアブルアームズとANビームサーベルⅥでいなす。相手はまるで獣のように連撃を加えてくる。だが、相手が二本の光剣の強力な同時攻撃を受け止めたところで、態勢を立て直すべく一度離れる。幸い、相手は追撃をしてこなかった。

その間に、光樹は状況を整理する。

 

(確か機体がシステムダウンした辺りで、なんか様子がおかしくなったな。何があった?今のところはトランザムで何とか対応できているけど…制限時間もさっきのシステムダウン前の戦闘で半分消費してるし、ヤバイな。)

 

と、そこで通信回線からベールの声が響く。

 

『光樹さん!何とかパープルプロテクターを止めていただけませんか?』

 

「え…まさか何か問題が…」

 

そう言いかけたその時、悲鳴のような声が回線に響く。この声は海優の声だ。

 

『ダメ!コントロールが効かない!なんで動かないの!!』

 

そのことを聞き、ある結論に達する。

 

(まさか、暴走!?)

 

そう、コントロールが効かないのに動いているということは暴走に違いない。ゴーグルセンサーが赤く染まっているからブルーディスティニーシリーズのEXAM(エグザム)のようなものだろう。だがそうなるとどうやって倒せばいいか。とりあえず、対戦前にベールから聞いていた頭部の精神通信装置の頭部を狙えば止まるだろうが、どんな影響を相手に与えるか…

そこに謎の人物の声が聞こえてきた。

 

『フン、哀れだな。そのまま私のシェアプロテクターの真価でやられるがいい。』

 

如何にもバカにしたような言葉をぶつけてくる。

と、そこでネプギアがその正体について明かす。

 

『あなたは、シェアプロテクター開発主任のジニアス・サハリンさん!?』

 

開発主任だった。それなら先程の言葉にも納得がいく。余程自信があるのだろうが、それ以上に気になったのはその後の言葉だ。シェアプロテクターの真価とは一体…?

そこでナイスタイミングと取れるところでネプテューヌが聞く。

 

『ねえねえ、シェアプロテクターの真価って何?私たちそんなの聞いてないよ?』

 

すると、開発主任は答える。

 

『ふふっ、それはこの世界ではない技術で作られた兵器、もしくは通常ではありえない能力を持つ存在に過剰反応を起こし、その存在を消すまで、破壊行動を止めないシステム。そう、これこそ進化した文明を滅ぼすシステム!ジャッジメントシステムだ!』

 

その暴露を聞いて、ただ一言。

 

「ってそれただの暴走じゃねーか!!なんでそんな機能付けた!暴走をシステムに組み込むなんてアホだろ!」

 

『そうよ!なんでそんなもの勝手に組み込んだのよ!』

 

光樹の意見にノワールも続ける。だが開発主任はそれに当たり前とも言うべき態度で答える。

 

『何を言っている?科学者にとって、自分の作ったものより性能の高いものが現れることは、許せないんだよ!!』

 

「だめだ、話聞く気ない!こうなったら何とかしてあいつを止めないと…」

 

だが、そこに追い打ちをかけるように、開発主任が告げる。

 

『ああ、そうそう。接続している間に撃墜されると、オペレーターは死ぬからね。それに、精神通信装置を破壊しても脳に障害が起こるし。あと、ジャッジメントシステム時にはカプセルの強制脱出は操作できないからね。もう止めることは出来ない!ただやられるだけだ!!』

 

「なんだと!?人の命をおもちゃにしやがって!!」

 

だがそう言った瞬間、敵となったパープルプロテクターが高速で接近してくる。

 

「くそっ!!」

 

だが気づくのに一瞬遅れる。振り上げられたビームソードによって、ANヴァリアブルアームズを吹っ飛ばされる。

このまま距離を詰められると危険と判断した光樹は一度下がり、ANヴァリアブルドラグーンを展開する。機械制御のものだが、弾幕にはなるだろう。そう思っていた。

だが、甘かった。

敵は肩・腰・ウイングの浮遊パーツからシェアエナジーを噴射し、バリアを形成して突っ込んでくる。そのバリアにビームが弾かれていく。こちらのビームがダメージを与えられないのに対して、相手の方は両手の光剣でこちらのドラグーンを切っていく。

 

『無駄だ!!この機体にその程度の武器など!!』

 

その言葉はまさに的確だった。このままでは武装の威力の低さから負けるのは明らかだった。この状況を打破できるとしたら、シールドに搭載されているANロストカノンⅣくらいしかない。

ANロストカノンⅣのロストモードはチャージが遅い代わりに、どんな盾をも貫けるとエースの言っていた兵装だ。その攻撃なら、あのバリアも貫けると考えたのだ。

そうと決まれば、相手がドラグーンの対処をしている内にチャージを済ませようと、ANロストカノンⅣを構え、チャージに入る。

だが迂闊だった。

 

『光樹!敵が強襲してきます!』

 

「しま…」

 

そう言い切る前に、懐へともぐりこんだパープルプロテクターがライフルブレードを振って、ロストカノンを斬る。

それだけではない。そのままの勢いで、こちらの機体を切り刻みに来る。当然、避けきれるはずもなく、3撃程の斬撃を胸部に受ける。

 

「ぐっ!!」

 

その痛みに耐えきれず、地上に落ちる。何とか立ち上がろうと片膝をつく。と同時にトランザムが終了する。恐れていた事態が起こる。一方、パープルプロテクターは余裕そうに地に足を着ける。その姿は、まるで強者の余裕であった。だが、そのオペレーターは…

 

『いやっ!もうやめて!!死にたくない!殺したくない!!』

 

必死に拒絶し続けていた。それに対し、開発主任は嘲笑う。

 

『フッ。先程まで許せないと言っていたのに、君も哀れだな。君の大切な人物というアスカ君の敵じゃないのかい?まあ、私には関係ないことだがね。』

 

そして、パープルプロテクターは動く。こちらを殺すために。

その様子を、光樹はただ見つめるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

と、誰もが思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

(あきらめていいのか?)

 

光樹は自問自答する。今の現状に、問答する。

 

(いいわけが無い。こんなの、誰も求めちゃいない…!)

 

そうだ、このようなこと、あってはならない。そう考え抜く。

だが無慈悲にも敵の光剣二本がこちらを突き刺す構えをとる。

だが、不思議なことに光樹は落ち着いていた。その中であることを思いつく。この状況を打破すべく状況を。そして、海優を救い出し、あの機体を倒す術を思い出す。

 

そして――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「斬神…」

 

 

 

 

 

 

 

 

手を前に出し、発生させた高密度ANフィールドで、敵の光剣二本を受け止め、後方に投げ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

「ばかな!!私の機体を簡単に対処しただと!?」

 

ジニアスさんはそう叫んだ。おそらく、あの攻撃で決めると思っていたのだろう。実際、ネプギアたちも、あの攻撃で光樹が死んでしまうのではと思っていたぐらいだ。けれど光樹さんは見事に危機を乗り越えた。それでもまだ危機であることには変わりない。

その時、光樹さんが腕のフィールドを解除して受け止めたビームアサルトライフルのビームブレードモードとビームソードを落とすと同時に、機体のウイングスラスターを全開にして後方に下がる。

 

「あれ、光樹下がっちゃったよ?」

 

お姉ちゃんが疑問に思う。だけど、ノワールさんがすぐに仮説を立てる。

 

「もしかしたら、何かするつもり?」

 

「何かって何?お姉ちゃん。」

 

「おそらくなんだけど、あの機体の武装ってほとんどⅣとかⅥって付いてるのを見たでしょ?もしかしたら、更に変身したりとか…」

 

だがノワールさんの言葉は当たることとなった。

泊まると同時に光樹さんが右手を上に掲げ、言葉を発する。

 

「ファイナライズ・アップデーティング。」

 

と同時に空からノイズの柱が光樹さんを飲み込んだ。その光景は以前にも見たことがある。それは、光樹さんがブラックエースⅣを纏う時と同じものだ。

そして、ノイズが晴れると、ブラックエースⅣの姿は別の機体に変わっていた。

所々はブラックエースⅣと似ている。だがその姿はブラックエースⅣとは違う。頭部のアンテナがV字の物と角のようなものの二基を装備し、腰背部にはテールスタビライザーのようなパーツが装備されていた。加えてウイングの中のパーツも、片側4基の計8基から、片側6基の計12基に増えている。他にも右手には突撃槍のような武装が装備され、左手のシールドは、先端に砲門のようなものが出現したものに変わっていた。

 

「変化した?あの機体は聞いてないわ。」

 

ブランさんがそう呟く。無理もない。私たちもこの機体を見るのは初めてだからだ。

と、そこで光樹さんの機体と接続している回線から音声が聞こえてくる。機械音声だったため、エースさんと思ったが、エースさんよりも少し暗い感じの声であったため違うようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『SSR-EFX-BA000X Type-AREK(エスエスアールイーエフエックスビーエーゼロゼロゼロエックス タイプアーク)、ブラッドゼロガンダム装着完了。』

 

 

 

 

 

 

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
ゲイムギョウ界側に新兵器を投入した訳としては、光樹君とネプテューヌの世界が深く関係しているためです。

そして新しいガンダム登場です!「あれ?また新しいガンダム?」という方もいると思いますが、これには理由があります。
実は元々オリジナルガンダムは私の中二病時(今もですが)に考えた機体です。光樹君もその時に考え付いた人物です。そしてオリジナルガンダムは現状、9体あります。ですが流石に9体も出すと話の尺が足りないので途中の3体を減らし、この小説では6体を登場させることになりました。
今2体登場しているので、光樹君の機体は2機登場しているのであと4機を零次元にて出します。なぜ零次元だけで全機登場させるかというと、超次元編は光樹君の記憶の復活を主軸とすること、そして何より、超次元編では「光樹君の物ではない、別の人物たちが使うNP」が9体登場するからです。
「おい、オリジナル登場しすぎだろ。」とも思われますが、話の展開上、これら全機出さないと話がまとまらないためです。
そのため新キャラも9人出ます。なのでその紹介のための黒の館も多くなります。それなのに光樹君の機体も紹介すると、黒の館が多くなってしまうので、それを減らすため、零次元でまとめて出そうとなったわけです。

さて、文章が長くなりましたが、今回はここで終了です。前書きに謝罪が入りましたが、いかがだったでしょうか。
もし、他にも気に入らなかったものがあれば感想などに書いていってくださると幸いです。
では次の投稿は来週の日曜日です。

ではこの次も見ていってください!!


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第12話 黒血を纏いしZEROと言う名のG

どうもみなさん、お元気でしょうか。
夏休みも半分を切りそうな藤和木弘です。
第12話投稿です。

そう言えば、ネプテューヌVⅡの方はDLCでキャラがたくさん出ますね。
自分的にはニトロプラスちゃんが好みです。
まあ全部のキャラの中ではうずめちゃんが好みですが。
でもチーカマちゃんもいいですね。
ミリオンアーサーちゃんとゴッドイーターちゃんは原作ゲームやったことないのでゲームの特徴を取り入れているのか分からないですが、ネットの反応見る限りではいい感じらしいですね。まあ、自分が見た範囲内では、ですが。

では今のところ、本編で彼女らを出すつもりは今の所ありませんが、本編どうぞ!


 

その機体、ブラッドゼロガンダムを新たに纏った光樹は、とても落ち着いていた。否、落ち着いているより冷徹と言うべきものだった。

 

(…この機体は……俺の…力。)

 

この時、観客席のマイクからネプテューヌたちから声をかけられていた。しかし現在の光樹には、周りの人物たちの声は聞こえてはいなかった。

というより無駄な情報を一切カットしているのだ。この機体の戦術支援・情動欠落化インタフェースがそうしていた。

 

「…」

 

そんなことも気にせず、光樹はただ、先程投げ飛ばしたパープルプロテクターを見つめ返す。パープルプロテクターは先程の攻撃に屈することなく、バックパックに装備された二本の柄を引き抜く。そこからはビームの刃が形成される。ビームサーベルである。それを構えて再び急接近してくる。そして再び突きを繰り出す。だが。

 

ビシッ!

 

右手の突撃槍と両刃剣を合わせたような武器、ANアームドアーマーZR(ゼロ・ランス)を腰部に収めてから、再び高密度のANフィールドで受け止めると、今度は中国武術の発勁(はっけい)で突き飛ばす。今度もまたビームサーベルを取り上げ、横に投げ捨てる。再び観客席の全員が歓声(ただ一人は驚愕の声)を上げる。

だがそれすらも光樹は気にしなかった。まるで機械のように敵と戦況を冷たく見つめていた。

一方で、パープルプロテクターの方は、ただ茫然とした様子でこちらを見返していた。おそらく、攻撃が効かないことでシステムの中でどう対処すべきか演算しているのだろう。

少しの間の後、演算が終わったと思われるパープルプロテクターが動く。機体のウイングパーツから、シェアエナジーを全力で噴射し、突撃してくる。インターフェースの「未来予測」から、来る攻撃はおそらくバリアを先端に限界まで研ぎ澄ませ、こちらのフィールドを突破する高速突撃であるだろう。だがその程度ではこのANフィールドを抜くことは出来ないと確信していた。

そう考えた光樹は再びフィールドを構え、呟く。

 

「斬神…。」

 

白い仮面の侍の当身技で再び攻撃を受け止め、後方に投げ飛ばす。

だがそれは甘えだったようだ。すぐに敵は機体を立て直すと、床に落ちていたライフルとビームソードの柄を拾い、ビーム刃をまた発生させる。どうやら先程の攻撃はわざとこちらのカウンターを受け、武器の回収に回るためのものだったのだ。

 

(暴走のくせに、よく判断が出来ている…。やはりコンピューター制御だからか……。)

 

そう考えつつ、こちらも戦闘準備を整える。右手首からビームサーベルの柄を出し、光の剣を出現させる。出力最大のソードとも呼べる剣を構える。

だがこれで決める気などない。まだやることがある。あの機体に同化させられている、少女を救うことだ。幸いにもその決意だけは、今の感情が欠落しているような状態でもはっきりと残っている。

そうこう考えている内に、敵がライフルブレードとビームソードを前に構え、さらにその先にバリアを発生させ、突撃形態に形状変更する。

流石にあれを防いで投げ返すのはこの機体の性質上不可能だろう。だからこそ、「あのシステム」で決めるならここしかないと判断する。

 

「ガガガガガガ!」

 

パープルプロテクターそのものからと思われる、そのような声と同時に、相手が動く。もちろん高速突撃だ。だがその行動と同時に、こちらは左腕部のシールドを、装備されていたロストカノンに似たものごと排除する。機体の機動力を上げるということもあるが、それ以上に、このシステムを起動させると、周りのシールド系の防御機能が使用不可になるからだ。

そして身軽になった機体で、その突撃を回避する。今度は受け止められなかったためか、敵は数十メートル前進した辺りで、ブレーキを掛ける。身を翻らせようとするのが見える。だがもう既に遅い。

光樹は機体のインターフェースに指示を出す。

 

「“ゼロ”、ディバイダー・ゼロ・システムを使う。」

 

『了解、ディバイダー・ゼロ・システム始動開始。ディバイドエッジにアタックシフトします。』

 

ゼロと呼ばれたインターフェースがそう答えると同時に機体の全スラスターから黒い粒子を放出し始める。それはAN粒子をロストカノンのロストモードの粒子とは別の方法で縮退させた粒子、DAN(ディバイド・アウロラ・ノイズ)粒子である。

その光はやがて右手に握られ、ビームの出力を切ったANビームサーベルⅤの柄に集まっていき、黒い剣を作り出す。そして、その剣を振るう。

 

「はっ!」

 

その力強い一声と共に、黒い剣から黒色の衝撃波がパープルプロテクターに向かって伸びる。ちょうど反転して加速しようとしているところだったので当たるのは確実だ。だが相手はその攻撃を食らわぬよう、シェアリングバリアを展開する。だが無意味だ。特にエネルギーバリアなどは。

 

スッ

 

エネルギーバリアを通り抜けた。そして、パープルプロテクターに直撃する。が、その装甲に傷は付かない。威力が弱かったわけではない。DAN粒子単体では、物理的なダメージは無いのだ。その攻撃を受けたパープルプロテクターは再びゴーグルセンサーの光を失った。

そして確信する。少女は、海優は無事であると。

 

 

 

 

「見て!パープルプロテクターが動きを止めたわ!!」

 

「今の黒い斬撃…一体なんだったの?」

 

ユニちゃんとノワールがそれぞれ発言した。二人だけじゃなかった。ブランやベール、ネプギアやロムちゃんとラムちゃんも反応は違うが、パープルプロテクターを止めたのと、先程光樹が放った黒い衝撃波の話題でいっぱいだった。

 

(でも、海優はどうなって…!)

 

ネプテューヌはそのことに気づく。すると突然、上の方から「プシュー!!」と音が聞こえてきた。そのような音がするのは、この状況ではただ一つ。海優の入っていた、シェアプロテクターの精神転送装置だ。

カプセルが開き、中にいた海優が姿を見せた。そこに、S・P・Nのみんなはもちろん、観客席にいた全員が、一斉にそちらの方に向かう。

海優はその目に涙を浮かべてたけど、どうやら無事みたいだった。

 

「海優!よかった…無事で……」

 

「ホンマ心配したで!」

 

「閃、ミヤト…ありがとう。私…わたしぃ…!」

 

海優が泣きそうになるところで、私は海優をそっと優しく抱きしめた。

 

「ごめんね、海優。私たちがあの開発主任の企みを知ってれば…」

 

「ネプ…テューヌ様ぁ…うわあーーーーん!!」

 

海優は我慢していた涙を堪え切れず、泣き始めた。思いっ切りだ。余程つらかったのだろう。こんなことをした開発主任を許すわけにはいかない。

一方、その開発主任は、とんでもない行動を取っていた。

 

「ええい!パープルプロテクター、スタンドアロンモード起動!」

 

「スタンドアロン!?まさか自動操縦で…」

 

ベールがそう言った時には遅かった。既に開発主任のジニアスは手に持っていたコントロールボタンを操作していた。

終わると同時に、スタジアムで停止していたパープルプロテクターが再び起動し始める。

 

「おいテメェ!もう終わっただろ!!なんでまだ続けんだよ!」

 

ブランがブチ切れ状態になる。だがその怒りの言葉すらも、ジニアスには届かないようだった。ジニアスが言葉を返す。

 

「うるさい!!元々は貴様らがアプサラスⅢと呼んだあの兵器、アフサラスⅢがあの害悪を消す手はずだったのに!」

 

「ちょっと待ってください!じゃあ、あの兵器はあなたが作ったものだったんですか?」

 

「そうさ!!あの兵器は、シェアプロテクターの次に素晴らしい、私の傑作だ!あんな得体の知れないものに私の住む国を任せられるか!」

 

あまりにもゴーマンで身勝手な理由だ。流石の私でも、かなり怒りがこみ上げてくる。

 

(もう、なんでそんなに気に入らないかなー!)

 

そう思ってそのことを言おうとしたその時だった。

 

『雑魚の言うことだな…この雑魚主任…。』

 

光樹の声が通信回線を通して響いた。

 

「ざ、雑魚だと…。ふざけるな!!なぜそんな事を部外者の貴様に…」

 

その言葉に、ジニアスが猛烈に返す。

だがそれすらも光樹は冷静に遮る。

 

『それより、こいつぶっ壊しても、問題ないよな…?』

 

「はっ!壊せるものなら、壊してみろ!!」

 

その言葉が確実にスイッチになったのは間違いなかった。通信越しでも、私たちには、光樹の明らかな殺気とでも言うべきものを感じ取れていた。

そして、光樹の口から、言葉が紡がれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうか…ならガラクタにしてやる……』

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と同時に、光樹の新たな機体から、先程の黒色の衝撃波がスタジアム全体に広がる。

その衝撃波は観客席に貼られていたバリアフィールドにあたり、そして――――――

 

砕いた。

 

『!?』

 

全員が衝撃を受けたが、問題はそこからだった。その衝撃波がこちらにも向かってくる。それに飲み込まれた瞬間、異変が起きる。

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、胸のあたりが痛み始め、息が苦しくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『うっ…!!』

 

その症状が全員に起こる。みんな膝をついてしまう。

 

「何…これ…」

 

息が苦しく思うように声が出ない。息も落ち着かない。どうも人の生きることを阻害しているようだ。なんとか私やノワール、ブラン、ベールが立ち上がろうとする。けれどネプギアたち女神候補生たちはその力も残っていないかのようなひどい状況だった。対して、S・P・Nのメンバーは元から身体能力が高いからか、私たち女神と同じ状態だった。だが何も鍛えていないジニアスは、生きてはいるみたいだが、起き上がれていなかった。

と、そこに光樹の声が聞こえてきた。通信回線ではなく、スタジアムからの声だ。

 

「みんな、少しの間、負担を掛ける…でも、これで倒すから。」

 

その言葉を言い終わり、また戦闘が始まることになる。

 

 

 

 

ネプテューヌたちに迷惑を掛けることを言った後、光樹は再び動き出したシェアプロテクターを睨み付ける。そのシェアプロテクターだが、再起動してからはおかしな挙動を取りながら、こちらをうかがっていた。

ならこちらから攻めるべきだ。そう考えた光樹は、左手を横に振り、とある武器の名を叫ぶ。

 

「来い…ブラッドゼロアームズⅡ…。」

 

すると、その先に空間の歪のようなものが出現し、そこから武器が出てくる。ダブルオーライザーのGNソードⅢに似た武装を左手でつかみ、ソード部を展開する。加えて右手に先程、腰背部にセットしたANアームドアーマーZRを持ち直す。

少しの睨み合いの後、先に動いたのは光樹の方だった。背部のウイングスラスターから粒子を大量に放出して全力で接近する。相手の方もライフルからマシンガンの弾をばら撒いてくる。ランダムに撃ってきて、回避を困難にしていたが、それは既に見切っていた。

 

「甘い……。」

 

そう一言呟きながら、両手の武器で、マシンガンの弾を「撃ち落して」いく。射撃武装でではなく、その刀身で弾を打ち消していたのだ。敵はその行動に何も感じていない様子で、そのままライフルにブレードを出現させ、二刀流で攻めてくる。振り下ろしてきたビームソードをANブラッドゼロアームズⅡのソードモードで受け止める。互いの剣が交わる。しかし相手はそれを嫌がるように右手のライフルブレードを突きの構えにする。

だが、その前に光樹の方は動いていた。

 

ザクッ!

 

右手に持ったANアームドアーマーZRで敵の右肩を刺し貫く。だがそれだけではなかった。

ジャキン、と音が聞こえる。その音は、ANアームドアーマーZRからの音だ。突然刀身が縦に開き、肩と体をつなぐ部分を引き裂いたのだ。普通の人だったなら悲鳴が聞こえるものだ。だが相手は機械でありながら、その痛みに耐えかねたのか、悲鳴にも似た咆哮を周りに響かせる。

 

「ガガガガガァァァァ!!?」

 

パープルプロテクターが切断された肩部分を反対の手で庇う。そこが、大きな隙になる。

 

(今しか、ない…。)

 

そして、発する。

 

「ノイズフォースビックバン……。」

 

『了解、ノイズフォースビックバン、「ディバイドゼロ・エクリプス」発動。』

 

ANブラッドゼロアームズⅡを持つ左手を左下方向に振ると同時に、先程ネプテューヌたちを襲った衝撃波が小さく発生し、機体の周りに黒いオーラが発生する。DAN粒子が作り出しているのだ。

そして敵に突っ込む。パープルプロテクターもそれに気づき、対応しようとするが、遅い。

 

「ふっ!はあ!!」

 

ANアームドアーマーZRを左下に振り下ろし、すぐに横薙ぎに切り裂く。胸部と腹部に傷が刻まれる。さらにそこに追撃と言わんばかりにANブラッドゼロアームズⅡのソードモードで打ち上げる。パープルプロテクターが宙に舞う。

だがそこで終わりではない。ANアームドアーマーZRを受け身を取れないパープルプロテクターに向ける。狙うはシステムが内蔵されていると思われる頭部だ。刀身が再び開き、砲門を形成する。そして、撃つ。

その一撃がパープルプロテクターの頭部を撃ち抜き、消滅させる。それと同時に、機体の各部からスパークが散る。機体の背を相手に向けながら、はっきりと発した。

 

「ジ・エンド……。」

 

そして機体は爆散した。スタジアムに、機体の破片が散る。パープルプロテクターはある程度形状を保っていたが、明らかにもう使えないのが見えた。

しばらくの間、痙攣のようにその機体は震えていたが、小爆発を起こしたのち、完全に機能を停止する。こちらのインターフェースにも、既に敵のアイコンが消えている。

全てが終わったのを確認すると、光樹は機体を浮かせ、観客席に向かって飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐに観客席に着くと、ネプギアが少し苦しそうにしながらだが、こちらの方にやって来た。

 

「こ、光樹さん。ありがとうございます。海優さんを助けてくれて。」

 

すぐに言葉を返そうとしたところで、気づく。

 

(ZEROシステムはもういい…オフ…。)

 

そう機体に指示を出すと、光樹の感情の感覚が戻ってくる。ZEROシステムの情動欠落化を切ったのだ。

そしてネプギアに返事を返す。

 

「あ、ああ。大丈夫か海優…と、みんなも…。」

 

そう言ったところで、ノワールが怒りの声を浴びせてくる。

 

「大丈夫って…あなたねえ!こっちは死ぬかと思ったわよ!」

 

「私たちが女神じゃなかったら、もしくは身体能力が高くなかったら死人が出てもおかしくなかったわ。」

 

ブランも同じく咎める。やはり全体へ起動する必要はなかったようだ。だがあいつの、開発主任のジニアスとかいうやつが許せなかったので、つい堪忍袋の緒が切れたのだ。ZEROシステムで感情は出ないようにしていたのにそうなるということは、やはりゼロがジニアスを敵として認識したからなのだろう。ゼロはこちらが制御しないと、味方の被害を考えないのが欠点だ。

だがそんな事考えている暇はない。先程話しかけてきた二人以外にも、ネプテューヌやユニ、さらにロムとラムも不満そうに見つめてくる。

 

(流石に謝らないとな…。)

 

そう思うとすぐに謝罪の言葉を述べた。

 

「ごめん、みんな。命の危機に晒してしまって。」

 

だが、そこに予想外の言葉がかけられる。それはネプテューヌと海優、さらにカテリーナからだ。

 

「確かにあんなの何回もされたら、オンラインで負けそうになったら電源切る人並みにいらついちゃうけどさー。でも、光樹は海優を救うために戦ってくれたんだよ?それに比べたらまだ安いもんだよ!」

 

「アタシの代わりにジニアスを懲らしめるためにわざわざやったんでしょ?すっきりしたわよ。ありがとうね。でもあれは二度としないでね!」

 

「私も二人と同意見です。ですが、あなたには感謝しきれません。海優を助けてくれて、ありがとう!」

 

その言葉を聞いて、少し恥ずかしくなる。さらにそこにミヤトや閃、ベールも続く。

 

「すごいやんか!海優を救っただけやなくて、あの腹立つシステム付けられとったシェアプロテクターも止めるなんて、最高やで!!」

 

「ありがとうございます!海優を助けてくれて…本当に良かった!」

 

「何はともあれ、この騒動を収めたのは確かですわ。流石ですわ、光樹さん。…ですが、海優さんを助けたとはいえ、もうあの黒い波導は無しですわよ?」

 

それに、先程言った二人も、肩を落としながらも、その顔に笑みを浮かべていた。

そのみんなからの気遣いに、心に余裕が生まれる。

 

(ああ、みんな優しいな。)

 

心の中でそんなみんなに感謝する。

と、そこで光樹はジニアスの方に眼を向けた。

ジニアスは未だに体を起こせてなかったが、憎々しげにこちらを睨み付けている。そこでベールに話しかける。

 

「さて、問題はこいつだけど…さっきこいつアプサラスⅢもどき作ったって言ってたな。どうします?ベール。」

 

「決まっていますわ。ここまで問題を起こした以上、開発プロジェクトからは抜けてもらいますわ。加えて、国家反逆罪で逮捕は確実ですわ。」

 

ベールが端末を操作すると、入り口の方から何人かの人々がこちらに向かってくる。その容姿から、警察部隊であることが分かった。警察部隊は速やかにジニアスの体を起こすと、その手に手錠を掛ける。ガチャリ、という音が観客席に無慈悲に響く。そして、警察部隊に連行されていく。

 

「いやー、しかし災難だったね。こんなことになっちゃって。」

 

「そういえばパープルプロテクターどうしよう…。大破しているんだけど。」

 

そんな心配をしていると、カテリーナが問題ないことを言った。

 

「大丈夫です。シェアプロテクターの予備パーツはまだまだありますし、それに今回の運用のおかげで反省点を見いだせました。特にシステム面は大幅に変えることは確実なので、心配ありません。」

 

「そうか、なら良かった。てっきり弁償することになるかと…。」

 

「そんな心配をしていたんですか!?確かにそんな感じはしますけど、今回は光樹さんは別に悪くないはずですから大丈夫ですよ。」

 

ネプギアに突っ込まれる。流石に心配し過ぎだったようだ。笑みでその言葉に返すとベールにとあることを言う。

 

「さて、しばらくの間は、シェアプロテクターはメンテナンスでいっぱいですが…でも俺の新しい機体の調査も必要ですよね。どうします?」

 

だが、その心配をベールは寛大な言葉で返した。

 

「それでしたら、一緒に調整やテストを行うというのはいかがでしょうか?」

 

「え?いいんですか?」

 

「ええ、こちらの調整が終わるまで待ってもらうのも悪いですし。それにネプテューヌやネプギアちゃんから聞いた「ガンダム」について研究員の方々も興味があると言っていましたわ。」

 

そんな事を返されたのでびっくりする。ありがたい話だが、一日でそれが終わるわけがない。そのことを伝えると、ベールは…。

 

「大丈夫ですわ。こちらの方には部屋の空きはありますし、何だったら居心地の良さを考えて、S・P・Nの皆さんが使っている宿舎を借りましょうか?」

 

意外な回答を返してきた。いや、確かに時間がかかるなら泊まるのが最適だろう。さらに知っている面々なら、少しは異郷の地でも安心(まあ今の俺はこの世界のどこに行っても異郷の地なのだが)だろう。

だがそこで問題となってくる人物たちがいた。ネプテューヌとネプギアである。

 

「えー、光樹が残るなら、私も残ろっかな?」

 

「お、お姉ちゃんが残るなら、私も残りたいです!光樹さんの新しい機体を調べてみたいし!」

 

二人とも、真っ当な理由だが、実際は違った。二人とも昨日のガンダムの話の続きについて話すことを約束してたのだ。

だが、女神二人が自国を放って他国に長期間滞在するなど、許されるものではない。そこで光樹が二人を説得…しようとしたのだが、そこにノワールが話に入って来た。

 

「二人とも、わがままはやめときなさい。誰がプラネテューヌを守るの?」

 

「うっ…痛いとこつくねー、ノワール。」

 

「そ、そうですよね。私たち二人がプラネテューヌに居ないといざという時に国を守れないですし、それに何より、いーすんさんが怒りそう…。」

 

二人はしょんぼりとしながら、あきらめる。二人とも、ちゃんと理解してくれたようだ。

 

「では、そろそろアフタヌーンティーの時間にしましょうか。」

 

ベールのその言葉に、全員が反応し、移動を開始する。もちろん、光樹も同じように笑みをこぼす。

そうと決まれば、と、すぐに新たな機体、ブラッドゼロガンダムをセット・オフし、その後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します!王、将軍。たった今、ジニアス・サハリンがリーンボックス軍に捕らえられたと報告が!」

 

部屋に入って来た者は敬礼をすると、部屋の中にいた人物らにレポートを出すと、報告を開始する。その者の容姿は極めて異質であった。直角的な体をしていて、爪のようなものが三本、手の部分に取り付けられている。さらにその中央には砲門のようなものが三個あった。左腕には盾のようなものを装備している。さらに背部にはバラの蕾のようなものが二基、背負われていた。さらに特徴的なのはその顔だ。一つ目にスリットのついた顔、横にはパイプのついた、いわゆるモノアイ顔になっていたのだ。

彼の存在は普通の人が見ればおかしいと思うが、この部屋の中では気にするほどではなかった。

なぜなら全員が彼と同じような、いわゆる機械生命体のような姿をしていたからだ。

と、そこで私の隣でイスに座り、パソコンを打っていた「将軍」が声を上げる。

 

「ふむ、あの開発主任がやられたか。だがそれはあまり「計画」には影響はないな。」

 

「将軍」はガチャっ!と、音を立てつつ、またパソコンに向かい直した。一方、私は次の指令について言い渡す。

 

「ご苦労だった、騎士ローゼン。ではローゼンには忍者ステマックス、AM(オートマティック・マシン)ギラ・ズールと共に、ジニアス邸の地下に存在する「例の物」の回収を頼む。リーンボックス軍よりも先に回収だ。分かったかな?」

 

「了解です、王!行くぞ、ステマックス。貴様の能力、当てにしているぞ。」

 

ローゼンがそう言うと、「将軍」の横に控えていた者、ステマックスが言葉を返す。

 

「了解でござる、ローゼン殿。」

 

すぐにその二人が部屋を出ていく。そして部屋には私こと「王」と「将軍」がいるだけとなった。

そこに突然、将軍から声をかけられる。

 

「相変わらず部下に対して厳しいな、シナンジュ王。少しくらい労ってやったらどうだ?」

 

「今回はそういうわけにもいきません。「あれ」を女神側に知られれば、こちらの位置もばれる可能性があります。今は迅速に証拠を隠し、動かず、時を待つべきです。」

 

「ふむ、そうだのう。そう考えるとは流石、元ラステイション軍の大佐…」

 

そう将軍が言いかけたところで口に手を当てた。このことはなるべく話さないように、と決めているのだ。

だが私は答える。

 

「そのことはあまり言わないように、アフィモウジャス将軍。…ですが、気になることがあります。」

 

「気になることとな?」

 

アフィモウジャス将軍が聞いてくる。それに対し、こう答える。

 

「シェアプロテクターを撃破した、「ガンダム」です。精神の中でうずくのだよ…。そう、この感覚は…強敵と会った時の感覚と似ている。」

 

シナンジュ王は少し息を溜めてから言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「80年前…私の顔に傷を付け、片足を持っていったあの白い一角獣の兵士と戦った時以来だ。私にこのような気持ちを抱かせたのは…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

CHAPTER 0 END

 

TO BE CONNTINUED 

 

NEXT CHAPTER 1 「崩壊寸前の世界、零次元へ」

 




いかがだったでしょうか。今回のお話ではブラッドゼロがチート級の能力を使いましたが、あれにはそれ相応のデメリットも付けているので大丈夫だと思います。

それから、今回アフィモウジャス将軍らと出したシナンジュ王と騎士ローゼンはもちろん、機動戦士ガンダムUCのモビルスーツ、シナンジュとローゼン・ズールがモデルになっています。
本格的な登場は超次元編からですが、彼らはアフィモウジャス将軍と共に待ち受けるボスキャラクターなのでその際はかなり強く登場させるので、楽しみにしていてください。

それから、前半のDLCに海男とネプギャーが出るらしいですね。ネプギャーはともかく、海男が出るとは…どちらかと言うと草の根運動時代の海男さんに出てもらいたいです!
まあ今までの例(イストワール)から、魚の海男が出てくると思いますが、使ってみたいです。

では次は黒の館第2回、ブラッドゼロガンダムの紹介なので、金曜日に投稿したいと思います。
ではこの次もお楽しみに!


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黒の館 第2回 解説~ブラッドゼロガンダム~

どうもみなさん、お元気でしょうか。
クーラーの入った部屋で一日を過ごしていることの多い、藤和木弘であります。
今回は黒の館の第2回です。
さらにゲストにはかの第1回ゲイムギョウ界総選挙で見事1位を獲得したあの方を登場させています。
採用した理由は、ここまでの話であまりその方のセリフを書けていなかった気がしたためです。

では今回も本編というか、解説と質問返答、始まります!


 

 

藤和木「はい、今回も始まりました解説兼質問返答コーナー「黒の館」!今回も私、藤和木弘と、」

 

ヒカル「自分、ヒカルとゲストの方と共に展開していきます。今回のゲストはノワール様にお越しいただきました!」

 

ノワール「ノワールよ。よろしくね。ちなみに私はSSRと言う名のG版のノワールだから、他の人の私とは違うところがあるから、理解してほしいわ。これでいいかしら?」

 

ヒカル「流石です、ノワール様!」

 

藤和木「おい何ノワールにデレてんだ!」

 

ヒカル「出来れば女神化してください!お願いします!責任は自分が取ります!」

 

ノワール「え、ええ。(何なのかしら、この期待感は…)」

 

ノワール、女神化中…。

 

ブラックH(ハート)「変身完了!女神ブラックハート、ここに参上よ!!」

 

ヒカル「ヒャッハー、ブラックハート様、万ざーい!!」

 

ブラックH「ねえ、藤和木。ヒカルのこのテンションの高さは…。」

 

藤和木「ああ、ノワールやこれ見てる人はまだ知らなかったね。ヒカルは銀髪系の女子を見ると、極限進化というか、テンションMAX状態になるんだ。いわゆる銀髪フェチというやつかな?一応、変身前のノワールとかも好きとは言ってたけど。」

 

ブラックH「へ、へえ…。」

 

ヒカル「おい、藤和木。お前銀髪ディスってるのか?俺は銀髪とゆかりさんをディスるやつが許せないんだ。分かってるよな?」

 

藤和木「お前ホントにそこだけは譲らないよな。」

 

ヒカル「そういうお前も昔は阿澄佳奈さんのキャラ好き、今は本多真理子さんのキャラ好きのくせに。」

 

藤和木「ああん?ええやろ?うずめのキャラに釘付けになったんだよ、この気持ち、まさしく愛なんだよ!!」

 

ブラックH「ちょ、二人とも、止めなさ…」

 

ヒカル「久しぶりにキレちまったぜ…決闘でもするか?」

 

藤和木「いいね、何で勝負するか?連ザⅡか?無印エクストリームバーサスか?それともデュエマかバトスピ?」

 

ヒカル「それ全部お前に勝ち目のあるやつばっかりじゃねえか!BF4が個人的にはいいが、ここは俺の得意なTPSの要素があり、さらにお前がやってるゲーム、「ガンダムバトルオペレーション」で勝負はどうだ?」

 

藤和木「よし!なら早速…」

 

ブラックH「って話脱線しない!!今回は新たに登場したNPの紹介でしょ!?」

 

ドガッ!!

 

藤和木&ヒカル『あべしっ!!』

 

ブラックH「まったく…アシスタントの子に迷惑を掛けないようにしなさいよ!」

 

藤和木「アシスタントのことは言わないでください(汗)。では紹介に移りましょうか。読者の方も待っているでしょうし。」

 

ヒカル「では今回は、ブラッドゼロガンダムの紹介だ。ちなみにシステム系の内、以前に紹介した物のアップデート版のやつは紹介を簡略するので、ご理解をお願いします。加えて、本編で登場したノイズフォースビックバンことNFBと光樹の使った斬神についても解説するぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラッドゼロガンダム タイプアーク

形式番号 SSR-EFX-BA000X Type-AREK(エスエスアールイーエフエックスビーエーゼロゼロゼロエックス タイプアーク)

機体解説

リーンボックスでの対シェアプロテクター戦で暴走したパープルプロテクターを止めるために、ブラックエースⅣからファイナライズ・アップデーティングで強化変身した姿。愛称は「ブラッドゼロ」。

ブラックエースの後継機に当たる機体である。だがあくまで「ブラックエース」全体の後継機であり、「ブラックエースⅣ」自体の直接の後継機というわけではない。理由として、本機の武装系のバージョンや、機体製造時期にある。

まずブラックエースⅣの武装の一つに、ビームサーベルがある。ブラックエースⅣのビームサーベルのバージョンはⅥ。対してブラッドゼロのビームサーベルのバージョンはⅤと1世代前の物を使用している。他にもランチャーキャノンとロストカノンは2世代前の物を使用しているため、武装の効率が悪いことが判明している。加えて、スラッシュハーケンはユニット化前のアンカーの機能のみになっている。

次に機体製造時期だが、ブラックエースⅣは2013年の4月初旬、一方ブラッドゼロタイプアークは2012年4月となっていることが調査で判明している。

以上の事から、この機体はブラックエースⅣよりも古い機体であるが、その性能は装甲強度以外は上位互換の関係であり、特にディバイダー・ゼロシステムが、この機体がブラックエースⅣの後継機としての立場を成立させている。

ちなみに本機はブラックエースⅣとは違い、最初からガンダム顔である。そのためガンダムモードは存在しない。ただし、頭部ブレードアンテナの内一本が閉じられていて、それをもう一つのV字アンテナとして展開し、ZEROキャノンを発射するZEROキャノンモードに変形できる。

機体カラーリングはブラックエースⅣと同じである。

形状は肩部アーマーの若干の大型化、ウイングの大型化とテールスタビライザーが特徴的である。

 

 

 

システム系

 

 

 

 

TRANS-AMシステム

ブラックエースⅣと同じ。

 

ANフィールド

ブラックエースⅣと同じ。

 

TFDS(ツインフルドライブシステム)-∞(インフィニット)

ブラックエースⅣのTFDS-∞Ⅲの2世代前の物。だがANドライヴの出力はこちらが上である。しかしエネルギー効率はブラックエースⅣの方がよい。

 

ノイズド量子テレポーテーション

ダブルオーライザーおよびダブルオークアンタの量子化を戦術に組み込みやすくなるように改良されたシステム。量子化とはTRANS-AMシステム使用時に機体を粒子に変換し、機体を別の場所に出現させ現象である。このシステムはTRANS-AM中に攻撃を受けなくても量子化で移動が可能となり、戦術の幅が広がることに繋がる。だが多用するとすぐに粒子を消費しきってしまうのであまり推奨されない。

 

ノイズドエナジーウイング

ブラックエースⅣと同じ。

 

ZEROシステム

戦術支援・情動欠落化インターフェース。ACEシステムの発展型である。ACEシステム・ノルンは本システムを元に新たに組まれたシステムだが、こちらの方が情報処理能力が高い…というより逆にACEシステム・ノルンが意図的に性能を落としている。その理由こそが本システムの能力の一つの情動欠落化である。

この情動欠落化はACEシステム自体のモデルとなったゼロシステム、それも2.5ではなく、ウイングガンダムゼロの本家ゼロシステムを参考にしている、により感情を失くし、殺戮マシーンへと人を変える。

初起動時にも光樹はZEROシステムに支配されたような描写があったが、海優を救うという目的もあり、ZEROを制御している。情動欠落化および情報の奔流を制御さえすれば、本システムの能力の一つである「未来予測」を効率よく運用できる。さらにACEシステム・ノルンよりも高性能であるなど、ハイリスクハイリターンなシステムである。

 

ディバイダー・ゼロシステム

ANドライヴから生み出されるAN粒子を限界まで高速縮退を起こし、DAN(ディバイド・アウロラ・ノイズ)粒子を生み出しそれを運用するシステム。

システム起動時には全スラスターからDAN粒子を放出し、黒いオーラのようなものを纏う。このシステム起動時には、周囲の防御機能が停止する。停止するのである。エネルギーフィールドを攻撃がすり抜けるようになり敵の防御能力が低下するのだ。ただし、この効果は自分にも適用されるため、諸刃の剣である。さらに通常時は半径約10mの範囲にしか効果が及ばないため、離れて攻撃されるとこちらが不利になるだけとなってしまう

だが、最大出力時は話が別になる。最大出力時には本機の粒子放出量から、半径500メートル近くまでその領域を広げることが出来る。さらにブラッドゼロの高機動性と相まって、同能力程度の機体との戦闘なら、本機が優勢に立つことが出来る。

だが最大出力には致命的な欠点がある。それが範囲内の者に発生する「生命機能分断」である。これはDAN粒子の持つ分断能力が最大出力時にオーバードライブを起こすために引き起こされる最大の欠点である。リーンボックスの対パープルプロテクター戦でもスタジアム場と観客席を覆っていたバリアフィールドを消失させ、観客席にいた者たちの生命機能を阻害していた。

一対多の場合なら相手にのみ効果があるだけだが、そんな状況は軍の戦闘ではありえないので、かなりの足かせとなる。

だが分断能力は通常時でも使える上に分断能力も応用が利く。本編で見せたシェアプロテクターの精神通信をシャットアウトしたり、ビームアサルトライフルの弾をDAN粒子を纏わせた武器で撃ち落したりしている。

攻撃法として、剣にDAN粒子を纏わせて衝撃波を飛ばしたのち、剣で敵を切り裂くアタックシフトのディバイドエッジ、DAN粒子をビームとして撃ちこむブラストシフトのシルバーハンマー、そしてDAN粒子を解放し、発動する高威力の攻撃法であるNFB(ノイズフォースビックバン)「ディバイドゼロ・エクリプス」がある。

かなり上級者向けのシステムといえるだろう。

このシステムにはモデルがあり、モデルは「魔法戦記リリカルなのはFORCE」のディバイダーの機能である「分断(ディバイド)」である。特に主人公の物がベース。

 

フルノイズドフレーム

機体のフレーム、全てを構築している物質。ブラックエースⅣに搭載されているノイズドエナジーフレームの前世代型。だがあちらは一部に採用しているのに対して、こちらは機体フレームを全てこれで形成している上、あちらは機能を制限しているがこちらはリミッターなしであるため、性能ではこちらが少しだが上となっている。

 

カートリッジシステム

ブラックエースⅣに搭載された物の1世代前の物。Ⅱよりも負荷が少ないが、得られる粒子量も少ない。

 

ブラスターシステム

機体の武装の出力のリミッターを解除するシステム。加えてドライヴも回転率を上げて粒子放出量を無理矢理放出させる。機体のドライヴに大きな負荷を掛けるので通常使用時は武装の出力のみを上げるレベル1で止めている。ドライヴのリミッターを解除するレベル2の他、ノイズドフレームの出力も解除するレベル3も存在する。

モデルは「魔法少女リリカルなのはStrikers」のブラスターシステム。

 

トランザムバースト

トランザムシステム時のみ使用できるシステム。AN粒子を完全開放し、周囲に対話領域を構築する。だがこの機能はイノベイタータイプと呼ばれる進化した人類しか使用できず、記憶を失っている光樹は現状使えない。

この領域内にいる人物は、僅かだが再生能力を一時的に得ることが出来、さらに人類の進化を促す。

 

BCS(バトルカードシステム)

ブラックエースⅣと同じ。

 

SLSⅡ

ブラックエースⅣに搭載された物の1世代後。違いは精度。

 

サテライトシステムⅢ

ブラックエースⅣに搭載された物の1世代前。違いはマイクロウェーブ受信時の照準精度とエネルギー変換効率の違い。本機体では後述するANサテライトカノンで使用する。

 

武装追加システム

背部バックパックに追加で武装を装備できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

武装

 

ANZEROユニット

頭部に一基装備されたアンテナ複合ウエポンユニット。ANACEグラビカルアンテナユニットの発展型。

形状は同じようにくの字になっている。ACEユニットと同じく、剣形態のZEROブレードモードと機体装備時に縦に展開して砲門を形成するZEROキャノンモードが存在する。

 

ANランチャーキャノンⅡ

背部に二基装備されたビーム砲。ブラックエースⅣの物の2世代前の物。同じくキャノンユニットを展開したキャノンモードとランチャーユニットを展開したランチャーモード、ユニットから分離させて運用するセパレートモードを持つ。だが2世代前なのでサテライトモードとハドロンブラスターモードを持っていない。

 

ANヴェスバーレールガンⅣ

ビームライフル収納時にはリアスカート部、使用時にはサイドアーマーに二基装備されている。ブラックエースⅣに搭載された物と同じである。

 

ANビームサーベルⅤ

ヴェスバーレールガンⅣのラッチと手首のアーマーに装備された格闘戦兵装。ブラックエースⅣのビームサーベルより1世代前でバルカンモードが無い。だが代わりに柄尻同士を合体させて双頭のビームサーベルとして運用するアンビロテクスハルバードモードがある。

 

ANビームエッジⅡ

脚部の脛に当たる部分に装備された格闘戦兵装。ブラックエースⅣの物の1世代前だがビームの出力はこちらが上である。

 

ANビームシールドⅡ

両腕部に装備された防御兵装。ただのビームシールドなのでノイズドエナジー結晶のシールドは使えない。

さらにブラッドゼロのディバイダー・ゼロシステムの存在により、滅多に使われないという悲しみを背負った武装である。

形状はブラックエースⅣのANノイズドエナジービームシールドユニットをベースに先端部に獣の意匠を持つANゼロ・バスターとなっている。

 

ANゼロ・バスター

ANビームシールドⅡのユニットの先に装備されたバルカンタイプの兵装。本機のビームサーベルがバルカンモードを持たないことから採用された。

バルカンモードとそれより高火力のビームガンモードを持つ。だが高火力といっても普通のビームガンと威力はほとんど変わらない。主に弾幕やミサイル迎撃に使用される。

ただし、チャージショットモード時にはかなりの破壊力を有する攻撃を行うことが出来る。

 

ANドラグーンⅤ

ウイングスラスター内に片側6基ずつの計12基を装備しているオールレンジ兵装。ドラグーンモードとビームバリアモードを持つ。ANヴァリアブルドラグーンのモデルである。

 

ANスーパーウイングスラスター

背部のウイングユニット。ブラックエースⅣのANヴァリアブルウェポンウイングユニットのモデルの一つとなった。ブラックエースⅣの物より高燃費で航続性に向かない(そもそもブラッドゼロに変形が無いため、航続性を考えなかった。)が、瞬発的な加速力はこちらが優っている

 

ANノイズドエナジーサテライトシールド

左腕部に装備された実体シールド。シールド先にはANサテライトカノンの砲身が内蔵されている。防御よりも攻撃に重点を置いた武装である。だがディバイダー・ゼロシステム時にはAN粒子による防御機能は発揮されないが、一応ビームを数発受け止められる性能を持つ。サイドの部分がブレードとなっているのでこれで敵の剣を受け止めることもできる。

だが重量はかなりのもので、これによってブラッドゼロの機動力が落ちていると言える。ディバイダー・ゼロシステムもある都合上、素早い敵に対して、もしくはシステム起動時は後述するANロストカノンⅡと共に排除されることが多い。

 

ANテールスタビライザーブースター

リアスカートに装備されたテールスタビライザーとブースターを合わせたユニット。先述したANヴェスバーレールガンⅣとかみ合うように、ユニットはT字型になっている。

内部にはANエグゼキューター・ゼロⅡを格納している。またエグゼキューター・ゼロⅡのエネルギー供給コンデンサーの役割も持っている。

ちなみにパージが可能である。

 

ANエグゼキューター・ゼロⅡ

ビームライフルとビームソードの機能を併せ持つマルチプルウエポン。1基装備されている。

ANスタビライザーブースターとケーブルでエネルギー供給を行っているため、機体のエネルギーがなくなっても、これは使える。ビームソードはトランザム時に使えるライザーソードを使用可能。その特性から、最後の武器としての扱いとなっている。

モデルは鉄のラインバレルのマキナと呼ばれる兵器の一つ、ラインバレルのエグゼキューターである。

カートリッジシステムに対応しており、弾数は5本

 

ANビームライフルⅤ

サイドアーマーに装備された、一般的なビーム兵装。二丁装備している。モデルはストライクフリーダムの高エネルギービームライフル。カートリッジは8本ずつ。

本機のライフルはストライクフリーダムの物と同じように連結してロングライフルとして使用できる。

 

ANハイカノンⅣ

腹部に一基装備されたビーム砲。ブラックエースⅣの物と同じである。そのためカノンモードとクラスターモードを使用できる。

 

ANアームドアーマーZR(ゼロ・ランス)

ANスタビライザーブースターに装備されている特殊兵装。モデルはユニコーンガンダム系統の専用武器であるアームドアーマーを設定と名前に使用し、構造は蒼穹のファフナーのルガーランスがモデルとなっている。特殊兵装とされている理由は、武器内部にノイズドフレームを内蔵しているためである。そのため、アームドアーマーという名前が付けられた。

ランスや剣としての使用の他、刀身を開くとレールガンを発射するレールガンモードになるマルチウエポンとなる。カートリッジシステムを採用し、柄の部分にカートリッジを内蔵している。弾数は5本。

形状はルガーランスに柄の部分を金属パーツで覆っている(いわゆるカットラスのようなもの)。

 

ANスラッシュハーケンアンカーⅡ

ブラックエースⅣに装備されたANスラッシュハーケンユニットの旧式。アンカーの機能しか持たない上、脚部に二本のみ装備している。

 

ANロストカノンⅡ

シールドの下にあり、手で保持するビーム砲。カートリッジシステムを持ち、弾数は6本。ブラックエースⅣにも装備されている物の2世代前の兵装。形状も似ている。AN粒子を縮退させ、DAN粒子を生み出してそれを撃つ。だが重さとチャージに時間がかかるため、ディバイダー・ゼロシステム発動時にシールドと共に排除されることが多い。

 

ANブラッドゼロアームズⅡ

空気中に散布されたAN粒子を媒介に転送される兵装。形状はGNソードⅢのソードモードがベース(同じ形といってもいい)。

実体剣のゼロソードモード、刀身を縦に開いたゼロカノンモード、ゼロカノンモードから刀身を90度動かして弓の形を形成し、そこから貫通性の高く、高速のビームを撃つゼロボウモードを持つ。

 

 

 

NFBとは

ノイズフォースビックバン、それはANドライヴを持つ機体の内、一部の機体のみが使用できる高出力戦略的アタックフォーメーションの事である。簡単に言えば、必殺技である。

膨大なAN粒子と引き換えに(一部機体のNFBは他のエネルギーも使用する)放たれるこの攻撃は当たれば並みの相手はおろか、同性能の機体にも致命的なダメージを与えることが出来る。

だが欠点として、消費エネルギーが多いことと、隙が出来やすいこと、更に身体に負荷がかかることである。3つ目の身体の負荷は電子化に干渉するためであり、使用後には軽ければ筋肉痛、重ければ衰弱する。特に一回装着して5回以上の使用はほぼ確実に衰弱に近い状態になることが示唆されている。

 

現在確認されているNFB

・ツインサテライトキャノン

ガンダムDXのツインサテライトキャノンをモチーフとしたNFB。使用時にはサテライトシステムで一度エネルギーをチャージする必要がある。

 

・ディバイドゼロ・エクリプス

DAN粒子を軸に攻撃するNFB。DAN粒子を纏った剣で2回切り裂いた後、打ち上げて追撃でDAN粒子の砲弾を撃ち、トドメをさす。モデルは「魔法少女リリカルなのは ギアーズ・オブ・デスティニー」のトーマ・アヴェニールの必殺技のディバイドゼロ・エクリプス。

 

 

 

 

斬神とは

光樹の記憶の中にあったとあるゲームの攻撃法の一つを、ガンダムで再現させた技。高密度のANフィールドを前方に展開し、敵の攻撃を受け止めつつ敵を投げ飛ばすカウンター攻撃である。格闘攻撃を受け止めて投げ飛ばすのが主な方法だが、近接射撃なら接近して投げ飛ばすことが出来る。

モデルはブレイブルーシリーズの白い仮面の侍こと「ハクメン」の斬神。

 

 

 

 

 

 

 

 

藤和木「さて、以上がブラッドゼロガンダムの紹介だ。」

 

ノワール「またとんでもない機体ね…。これバランスとれるの?」

 

藤和木「もちろん、光樹側のオリジナル敵を登場させて苦戦させますよ。」

 

ヒカル「では次にコメント返しのコーナーだな。ではノワール様、コメントを読んでいただけますか?」

 

ノワール「ええ、いいわ。じゃあ最初のコメント、「ネプギアさんどんだけ賢いんですか」だそうよ。」

 

藤和木「はい、第7話のやつですね。このことですが、これはVⅡの本編内でネプギアが転送装置を修理していたのを見て、解析も出来るだろうと思い演出しました。さらに前作のVで、ネプギアがアノネデスの基地探索時にアノネデスから「ネプギアちゃんはソフトウェアに弱い」と言われてから、ネプギアはソフトウェア関連も猛勉強してブラックエースⅣを解析できるようになるまで成長したことを強く出しました。」

 

ヒカル「なるほどな。」

 

ノワール「じゃあ次の質問ね。「光樹君はルウィー信者ですよね」。」

 

ヒカル「これ俺も作品チェックしてて思った。どうなんだ、藤和木。」

 

藤和木「ああ、今までの話では確かにルウィー信者なんだけどさ、タグでネタバレしている通り、うずめを好きに…惚れていきます。」

 

ヒカル「それ話してもいいの?」

 

藤和木「タグで分かってるし、いいだろ?」

 

ヒカル「まあな。」

 

ノワール「そんなことになるのね。ブランが可哀想な気がするけど。次の質問にいくわ。「リーンボックスだよ!全員集合!のように女神が揃いましたね。まあいきなり攻撃してくるとは、恐ろしい。」ですって。」

 

ヒカル「第8話で女神勢ぞろいのシーンだな。光樹君可哀想だったな、いきなり攻撃されるとか。」

 

藤和木「いやー、この時はなぜか光樹君をいじめたいという気持ちが…(笑)。」

 

ノワール「何よ、その理由は…まあ実際それをやった一人が私なんだけど。気を取り直して、次のコメントよ。「うずめちゃんが出てこない件については気にしていません」だそうよ。」

 

藤和木「ありがとうございます!!他の皆様全員がそう考えているわけではないでしょうが、その言葉をいただき、大変うれしい限りです!ちゃんとうずめも活躍させるので、待っていてください!」

 

ヒカル「本当にうれしそうだな…お前。重荷が外れたのか?」

 

ノワール「さて、これでコメント返しも終了よ。最後に次回以降の予告だったかしら?」

 

藤和木「そうだな、じゃあいくぞ!!」

 

ノワール「リーンボックスでの事件から数日後、光樹はプラネテューヌに戻って来た。」

 

ヒカル「戻って来た光樹が見たのは、謎の渦巻きゲーム機を拾ったネプテューヌとそれを調べるネプギアであった。」

 

藤和木「それを共に調べようとした光樹だったが、電源ボタンに触れた途端、光樹達は謎の空間に吸い込まれる。」

 

ノワール「次に目を覚ました時、目の前に広がった光景は、崩壊した世界だった…。」

 

ヒカル「そしてその世界で一人の少女と出会う。」

 

藤和木「少女の名は天王星うずめ。零次元最後の女神であった。」

 

ノワール「そしてうずめと共に、この世界を崩壊へと誘う敵、デカブツことダークメガミと魔女マジェコンヌと戦う。」

 

ヒカル「だが敵はそれだけではなかった。光樹の知る、進化の果ての象徴のガンダムに似た敵が現れる。」

 

藤和木「その敵に、光樹はどう立ち向かう?」

 

ノワール「次回、『新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG』!」

 

ヒカル「第1章『崩壊寸前の世界、零次元へ』第13話、『謎の次元へ』!」

 

藤和木「絶望に染まった世界、」

 

全員『変えてみせろ、ガンダム!!』

 

 

 

 

 

 

 

ヒカル「さて、編集が遅いが、どうしたのかな?」

 

藤和木「バトオペやってるんだ!!別にいいだろ!!」

 

ヒカル「ちゃんと書けよ?」

 

藤和木「…はい。」

 




いかがだったでしょうか?
今回は前回チート能力を見せつけたブラッドゼロガンダムの解説でしたが、色々デメリットもあるのです。

最後の方で言っていた機動戦士ガンダム バトルオペレーションについてですが、最近はあまりそちらに時間を回していなかったりします。代わりに別のゲームをペアレンタルコントロールの時間内でやっています。

では次回から、皆様待望の零次元編が始まります。実は内心、心配なことが…。
実は原作キャラのセリフがそのままな部分が多い気がするんですよね…。基本原作沿いなので。もし運営の方に指摘されたら、また書き直しが入る可能性がありますので、その際は上げた話を削除する可能性もあります。出来れば、それについてアドバイスいただけると助かります。

では、最後に、以前行なったオープニング・エンディングの曲が決まったことを発表させていただきます。…でもまあ、案が一つも来なかったんですよね。しょうがないと思います。なぜなら、そのお話がどんな雰囲気なのか、知らない方も多いはずです。
ということで、次の話を投稿するまでの間に、今自分が決めている各章のオープニング・エンディングテーマを活動報告に載せたいと思います。その曲をYoutubeで検索して聞いていただき、それよりもっといい曲があれば、書いていってもらいたいです。

では、今回はこの辺で、次の投稿は水曜日にしたいと思います。
また次回!


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第1章 崩壊寸前の世界、零次元へ
第13話 謎の次元へ


皆様、お元気でしょうか?藤和木弘です。第1章突入!第13話であります。

今回から原作ストーリーに介入です。原作のセリフがやけに多い気がしますが、大丈夫、大丈夫。(ガクブル)

今回から想定オープニングも変更!曲は当初はstone coldでしたが、変更で情熱セツナになりました。理由はヒカルからのアイデアです。


それでは想定オープニングを聴いたのち、本編どうぞ!聴かなくても問題ないですが。


 

 

「ふわぁー…」

 

少女は眠たそうな目を擦りながら、欠伸をする。少女は紫の髪をなびかせながら、ゆっくりと起き上がる。

その少女、ネプテューヌはいーすんから逃れるために外に出て、昼寝をしていたのだ。

 

「んー、やっぱり暖かい太陽の日差しの下でする昼寝は最高だね。…なんか物騒な夢を見た気がしないでもないけど。」

 

確かに暖かな日差しのおかげで快適な睡眠はとれたが、嫌な夢を見たような気がしたのだ。まるで世界が崩壊しようとしていて、誰かが助けを求めているような夢を。

だが、そんな事は気にせず、桜並木のある公園を出ようとした、その時。

 

ゴトッ!!

 

何かが落ちる音が聞こえた。

 

「ねぷっ!?いったい、何の音!?まるでゲーム機のような硬いものが、コンクリートの地面に落ちたような音だったけど…。」

 

何処からの音だろうか、と周りを見渡す。辺りにはネプテューヌがさっきまでいた公園と、街しか見えない。だが音のした方向は街の方だった。それも路地裏の方だ。

 

「ちょっと見てこようかな?」

 

そう呟きながら、ネプテューヌは路地裏の方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなわけで、やってきました人気のない路地裏。でもここって、昼間でも日陰でちょっと不気味で苦手なんだよね。」

 

ネプテューヌはノリノリでそう言ったが、若干ビビっていた。雰囲気によるものだ。

比較的近代的なプラネテューヌにも、こういった場所はある。

実際、ネプテューヌは何度か別の路地裏に入ったことがある。どれも少し薄暗く、周りより2、3度低い気がするのだ。それに路地裏というと、何かアブナイ人が居そうなイメージがある。なので基本ネプテューヌは路地裏に来ることは無かった。

そんな事を考えていた、その時だった。

 

 

 

 

『――――誰か、助けてくれ…。』

 

 

 

 

不意にそんな言葉が聞こえてきた。

 

「ねぷっ!?」

 

いきなりそのような声が聞こえてきたので、慌てて辺りを見渡す。だが、周りには誰もいない。

 

「この声は何?誰かいるの?」

 

いきなりの助けを呼ぶ声に対して返答する。だが、誰も答えない。

そしてまた、その雑音が少し入った声が聞こえてくる。

 

『―――誰でもいい……俺を…零次元を…助けてくれ…』

 

また響いてきた声の方を向く。だが見えない。

なのでネプテューヌはその見えない声の主に話しかける。

 

「もしもーし。誰かいるのー?ねぇ、返事してってばー!」

 

だがその声の主は現れない。もしかしたら、ごみ箱の中にいるのかもしれないと思い、近くにあったごみ袋を入れるコンテナを開いてみるが、どこにもいなかった。ひょっとするとマンホールの中か、と思ったが、わざわざ助けを呼ぶのにそこまでするわけがないということでその考えはやめた。それに下水道なんかに入りたくなかった。

と、先程の声の近くまでやって来たが、やはりいない。

 

「…おかしいな。確かにこの辺りから聞こえたと思ったんだけど。」

 

その声の主は見つからない。あきらめかけたその時である。

道の脇に、何かを見つける。

 

「あれ?なんか落ちてる。これは………ゲーム機、だよね?」

 

それは真っ白のボディに渦巻きマークのゲーム機だった。コードなどの周辺機器は無かったが、確かにそれはゲーム機だった。それを拾う。

 

「でも何処のメーカーだろ?真っ白なボディに渦巻きマークのゲーム機…ゲーム機ソムリエのわたしでも見たことないよ。」

 

ネプテューヌはゲーム機の事なら古いものでも大体知っていた。自称ゲーム機ソムリエではあったが、そのゲーム機については全く知らなかった。

 

「この辺りには誰もいないみたいだし、もらっちゃ………じゃなくって、教会で預かるべきだよね!」

 

そう言うと、ネプテューヌはそのゲーム機を持って路地裏を出た。

先程の助けを求める声の事を忘れて。

 

 

 

 

 

 

 

 

同じころ、リーンボックスとプラネテューヌの間の上空を一機の機動兵器が飛んでいた。

その機動兵器、ブラッドゼロガンダムを纏いし少年、和藤光樹は現在、プラネテューヌへ戻る道中であった。リーンボックスでの性能調査が終わったのである。

 

「もうすぐプラネテューヌか。久しぶりだな。一週間ぶりか?」

 

ふとそんな事を口にする。久々に会うネプテューヌ達に少し緊張しているからだろうか。

だからといって、リーンボックスでの日々が悪かったわけではない。特に海優は街を案内してくれたり、プラネテューヌに自分がパープルプロテクターと共に戻った時にはプラネテューヌでショッピングをすることを約束した(なぜか、閃とミヤトがニヤニヤしていたが)。

他にも閃とミヤトと一緒にプラモデルを作ったり(ミヤトがルウィーのプラモデルコンテストの常連で優勝候補の一角であったことにはとてもびっくりした)、カテリーナとベールと共にお茶をしたりと、楽しい日々だった。

帰るときには、海優が最後の最後まで、自分の事を助けてくれたことへの感謝と先の約束について言っていた。

少し名残惜しかったが、いつまでもそんな事を気にしていても仕方がないし、プラネテューヌに戻ってくれば、また会えることから、すぐに気持ちを切り替え、プラネテューヌに向かって飛んだのだ。

 

「しかし、なんで閃とミヤトは最後まで苦笑いしていたかな?わけがわからない。」

 

そのことについて少しの間考え込んでいたが、プラネタワーが見えてくると、考えを「とあること」について考え始めた。

それは、ブラッドゼロガンダムの持つ、ZEROシステムの事だ。

少しだけ思い出した記憶の中では、あのシステムは自身のバックアップを行う、ACEシステム・ノルンの発展型と思っていた。

だがそれだけではないことが、リーンボックスの研究員の解析で分かった(まあ自分もその名前からある程度予測はしていたのだが)。それは情動欠落化であった。

情動とは感情のこと意味する。それを欠落化、つまり、なくすのだ。

戦闘に集中させるという点では確かに有効であったが、それは同時に危険であることを意味していた。感情を失ったところに、ZEROシステムの能力である倫理を無視した命令をを強制的に受け取れば、判断をする余裕もなく、その命令を実行することになる。そのようなことになれば、そのシステムを搭載する機体はただ破壊を繰り返す戦闘マシーンになる。

暴走したパープルプロテクターとの戦闘でもそれは発動していたらしいが、その時は強い意志、「海優を救いたい」という意志でその欠落化時の意識を保っていた(そのことを聞いた時、海優以外のS・P・Nのメンバーが笑っていたが)とZEROシステムが言った。

それを聞き、光樹はすぐにZEROシステムとそのことについて話しあった。すると、ZEROシステム…ゼロは、

 

『ACEシステム・ノルンからの情報で記憶喪失であることは知っています。なので情動欠落化は私の方であなたが制御できる程度にしています。ですが、あなたならZEROを使いこなすことが出来るはずなので、練習はしてください。』

 

と真面目に返されてしまった。なぜこの機体に搭載されている支援インターフェースはこうも自分に任せるのだろうかと思ってしまう。

 

(まあ、ちゃんと制御できるようにならなくちゃ、みんなに迷惑かけちゃうしな。頑張るか。)

 

そう思っている内に、プラネタワーのベランダに着地する。久しぶりに見る景色だ。もう少しだけその懐かしさに浸っていたかったが、ネプテューヌ達を待たせるわけにはいかないと思い、すぐに中に入っていく。

まずイストワールがいると思われる、イストワールの部屋に向かう。部屋の前に着くと、ドアをノックする。が、返事が無い。

 

「イストワール様、失礼します。」

 

そう言って入る。しかし、部屋には誰もいなかった。いつもこの時間帯ならここにいるとは聞いていたのだが。

だが心当たりがないわけではない。もしかすると、ネプテューヌに説教をしに行っているのかもしれない。

そう考えた光樹は、部屋を出て、ネプテューヌの部屋に行く。

 

 

 

 

ネプテューヌの部屋の前にたどり着くと、話し声が聞こえてきた。どうやら予想は当たったようだ。ドアをノックした後、部屋に入る。

 

「ただいま戻りました、イストワール様。ネプテューヌにネプギアも、ただいま。」

 

部屋に入ると、ネプギアがこちらに声をかけてきた。

 

「あっ、光樹さん。お帰りなさい。」

 

「ああ、今帰ったよ。で、これはまた、ネプテューヌが仕事をさぼって?」

 

そう聞くとネプテューヌが不満そうに答える。

 

「違うよ。ほら見てこれ。」

 

ネプテューヌが手に持っていた物を見せてくる。白い機械であった。よく見るとそれにはボタンのようなものが付いている。

 

「これは……ゲーム機…か?」

 

そのように見えた。コードを差すような部分もあったため、そうなのだろう。

 

「そうそう!なんか道端に落ちてたんだよ。わたしも知らないゲーム機だから、レアだよ、レア!」

 

「おいおい…大丈夫かよ…。」

 

「光樹さん、ネプテューヌさんに何とか言ってあげてください。先程まで仕事をさぼっていたんですよ。」

 

「あ、イストワール様。やっぱりそうだったんですね。」

 

急に話に入って来たイストワールにそう言葉を返す。やはりネプテューヌは仕事を放っぽりだしていたようだ。

イストワールを困らせるわけにもいかないので、ネプテューヌに仕事をするように進める。

 

「なあネプテューヌ、イストワール様を困らせたらダメだろ?そのゲーム機はとりあえず置いといて、仕事するぞ。」

 

だがネプテューヌ本人は…

 

「えー、今このゲーム機がすごく気になっているんだよ。今はいーすんが言ってた転換期だけどさ、その対策チーム作っているの、ノワールくらいだと思うよ。ブランは新人賞、ベールはネトゲのイベントが近いって言ってたし。」

 

そう言ったので、光樹はフォローに入る。

 

「いや、少なくともベールはそれに近いものをリーンボックス特命課ってところの主導で作っているらしいぞ。加えてベールはここの所、俺の機体とシェアプロテクターの解析とか調整の現場にいたからな。…まあそれ以外はネトゲやってたし、たまにネトゲに夢中になってて時間に遅れてたりしたけどな。」

 

「そうなんだ。それで、光樹のガンダムについて、何かわかったの?」

 

ネプテューヌは納得した後、こちらの件について聞いてきた。そのことを聞いて、ネプギアとイストワールも注目する。

当然だろうな、と思いながらもそのことについて話し始める。

 

「一応データは取れたよ。あの機体はブラックエースの後継機らしい。ただ、ブラックエースシリーズの後継機で、あれはブラックエースの後継機ってわけではないらしい。」

 

「それって、どういうことですか?」

 

「ネプギアの言いたいことは分かる。簡単に言うと俺の今使っているブラックエースⅣはブラッドゼロガンダムのデータを使って改修された機体なんだ。でも一応、ブラッドゼロはブラックエースⅣの後継機に当たるらしい。」

 

「そ、そうなんですか。」

 

ネプギアは頷く。だがそれだけでは満足しないだろうということで、光樹はポケットからメモリーチップを取り出し、ネプギアとイストワールに手渡す。

 

「光樹さん、これは一体?」

 

「もしや、その新しいガンダムの解析データですか?」

 

「そうです。一応ネプギアにも渡しておこうと思って2枚作ってもらいました。イストワール様の方は目を通してもらうためのものです。」

 

「分かりました。ではお預かりしますね。」

 

イストワールはメモリーチップを乗っていた本の間に挟む。

そして話はまた元に戻る。

 

「さて、光樹さんもきちんと仕事をこなしてきたのですから、ネプテューヌさんも、仕事をしてください。」

 

「うう、でも気になるんだよ。私の第六感が、このゲーム機を調べたいって。ネプギア、このゲーム機直せるかな?壊れてるっぽいんだよね。」

 

「直せるかどうかは見てみないと分からないかな。ちょっと調べさせてもらってもいいかな?」

 

だがそう返されて、イストワールはますます機嫌が悪くなる。

まずいと考えた光樹はネプテューヌのフォローに入る。

 

「自分も興味あるんで、こうしませんか、イストワール様。このゲーム機を調べ終わったら、ネプテューヌは強制的に働く。もちろん、自分も監視に付きます。これでどうでしょうか?」

 

そのことを聞き、イストワールは少しの間唸ったが、すぐに答えを出す。

 

「…分かりました。仕方ありません。今回も私が何とかするしかありませんね。ですが、光樹さんにも手伝ってもらいますよ?」

 

「わ、分かりました。」

 

そしてイストワールは部屋を出ていった。何とかなったが、自分にも飛び火してしまった。まあ自分もこの一週間の間、プラネテューヌの仕事を放りだしてリーンボックスに居たので当然かなと考える。

と、そんな事を考えているとネプテューヌがこちらに近づいてきた。

 

「いやー、ありがとね、光樹!いーすんを説得してくれて。」

 

「いや、まあ俺もそのゲーム機気になったしな。さっさと調べようぜ。」

 

「そうですね。光樹さんの機体のデータも調べたいですし、早く直しちゃいましょう!」

 

そして、ネプテューヌがゲーム機を机の上に置いた、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――誰でもいい…オレたちを助けてくれ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、機械音声の声が響いた。

 

「…あれ?お姉ちゃん、何か聞こえるよ?」

 

「ほんとだ!」

 

「ネプギアとネプテューヌもか。俺にも助けを呼ぶ声が聞こえたんだが…。」

 

ここにいる全員が先程の声を聞いたのだ。

だが、どこから?そんな考えがよぎる。

と、そこでネプギアがとある考えを出す。

 

「たぶん、このゲーム機からじゃないかな?」

 

「コイツから?でもゲーム機の電源なんか、入っていないけど…。」

 

そう言ったのち、ネプギアは調べようと手を触れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――ポチ

 

 

 

 

 

 

 

 

ボタンを押すような音が聞こえた。

 

『あ』

 

 

…何か嫌な予感がする。そう考えたときには遅かった。そのゲーム機から渦が発生し、自分たちを飲み込もうとする。

 

「ちょっ!?なにこれ、いったい何事!?なんでわたしたち部屋の中で飲み込まれてるの!?」

 

「分からない。けどこれはヤバイ気がする!とにかく、抜け出さないと…。」

 

そうは言ったものの、それは難しそうだった。必死に近くにあったソファーにしがみつくが、徐々に引っ張られていく。

 

「ど、どうしよう、お姉ちゃん、光樹さん!?この渦から抜け出せないよ!?」

 

ネプテューヌとネプギアも、必死に渦に飲まれまいと踏ん張っていたが、渦の方に引き寄せられていく。

そして、二人の足が完全に床から離れ…

 

『吸い込まれるうううう!!あーーーれーーー!』

 

二人は完全に渦に飲みこまれてしまった。

光樹は飲み込まれないように、ブラッドゼロにセット・オンしようとした。

だがその時、あることが頭の中に浮かぶ。それはこの世界に来る前にあったオレンジ髪の女神の言葉であった。

 

(これから訪れる3つの次元を巡って、私を救って。)

 

なぜそんな事を今思い出したのだろうかと思ってしまう。だが、あることを考え付く。

 

(もしかして、この渦の先が3つの次元の内の一つ?そしてその先に、あのオレンジの髪の女神が…?)

 

そう考えた光樹は、決めた。

渦に飲みこまれたネプテューヌとネプギアを追うために、そして―――その先にいるかもしれないその女神を救うために。

 

「行くしかないか!!」

 

そう叫ぶと、光樹はソファーから手を放し、その渦へと飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(うっ…無事に…渦を通れたのか?)

 

光樹はゆっくりと意識を覚醒させていく。どうやら少し気絶していたようだ。

その目をゆっくりと開けていく…が、その映った光景は、とんでもない光景であった。

 

「なん……だよ…この風景は…。」

 

崩壊した建物、草木一つ生えていない地面、そして割れた空。

その風景は、まさに崩壊した世界であった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
今回は零次元到着までですが、今度からは零次元の冒険を開始します。
先にネタバレ申し上げますと、次にうずめは登場しません!その次にうずめが登場いたしますので、お待ちください。

それから、もう一つ、お報せが。
以前、とある方から「コードギアスの要素が欲しい」という意見をいただきました。
当初は武器だけの登場予定だったのですが、物語のバランスを再考した結果、一体だけ出すことが決まりました!
登場する機体はランスロットを予定しています。ちなみにシナンジュ王のような機械そのものではなく、人が変身する予定です。
人物モデルは枢木スザクになると思われます。期待していてください!

では次の投稿は来週の火曜日です。
最後は想定エンディングのSouth Blowのウツセミを聴きながらお別れです。
また次回!


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第14話 崩壊した街

どうも皆様、お読みいただき、ありがとうございます。昨日は以前通っていた塾のOB会行っていた、藤和木弘です。ちゃんと小説も書いていたので、ご安心ください。

第14話、投稿です。
ですが、うずめというヒロインいないのに、8000字となっています。これはなるべくうずめを早い話数で出したいためです。申し訳ございません。

では本編、どうぞ。


 

 

その景色は、正に崖っぷちとも言える状態であった。この荒廃した世界は、あの世紀末世界のようなものではないかと思ってしまう。

が、そこで我に返る。一緒に来たネプテューヌとネプギアの事を思い出したからだ。

 

「ネプギア、ネプテューヌ…いた!!」

 

自分の目覚めたところから少しだけ離れた所に倒れていた。見る限り、けがはないようだ。

ネプギアの元に駆け寄り、体を揺さぶる。

 

「おい、ネプギア!しっかりしろ!」

 

その声に反応してか、「うー…ん…」と声を出す。

そしてゆっくりとネプギアは目を開けた。

 

「光樹…さん?」

 

「よかった、目が覚めたんだな。」

 

ゆっくりと体を起こして、周りを見渡す。

 

「こ、ここは…一体どこなんですか!?さっきまで部屋の中に居たのに。」

 

ネプギアが周りの光景を見て取り乱す。無理もない。この光景には光樹自身も驚いている。だが光樹はネプギアを落ち着かせるために言う。

 

「とにかく、まずネプテューヌを起こしてからにしよう。話はそれからだ。」

 

「そ、そうですね。…お姉ちゃん…お姉ちゃん…起きて!」

 

ネプギアがネプテューヌを起こそうとする。

それによって、ネプテューヌが「……ん。」と答える。それに拍車を掛けるべく、さらにネプギアが声をかける。

 

「お姉ちゃん!ねえ、お姉ちゃんってば!」

 

だがその言葉に対し、ネプテューヌは…。

 

「ネプギア~あと十分だけぇ……。」

 

「……。」

 

その返答に呆れてしまった。こんな非常事態にそんな事を言うとは…。

流石に十分待つ気はないため、光樹もネプギアと共に起こしにかかった。

 

「呑気に寝ている場合じゃないよ、お姉ちゃん!周り!周り見て!」

 

「おいネプテューヌ!プリンの山があるぞ!!」

 

「え…それでいいんですか……。」

 

「今は緊急事態だ、後で謝る!」

 

その言葉に反応し、ネプテューヌは一気に目が覚める。

 

「どこ!?どこにプリンの山が!?」

 

「よし、起きたな。ネプテューヌ、周りをよく見てみろ。」

 

「え…?」

 

そして、ネプテューヌがゆっくりと周りを見渡す。崩壊した建物をよく見ている。そして、二人の顔を見た後、ネプテューヌがとった行動は…。

 

「なんだ、夢か。それじゃネプギア、光樹、お休み。」

 

また寝ようとしたので、慌ててまた起こす。

 

「馬鹿!現実逃避するな!!」

 

「夢じゃないよ、お姉ちゃん!」

 

「いやいやいや、ありえないから。わたしたち、さっきまで部屋にいたよね?なのに、なんでいきなりこんな所にいるわけ?」

 

ネプテューヌもかなり動揺している。無理もない。いきなり渦に飲みこまれたと思ったら、こんな崩壊した世界なのだから。

そのネプテューヌの言葉にネプギアが返す。

 

「わからない…気づいたら、ここにいて…。………私たち、どうなっちゃったの…。」

 

そのネプギアの心配には納得できる。だがいつまでもそう考えている暇はない。

そこで光樹は予測を言った。

 

「多分、別の場所にワープしたんじゃないかな。」

 

「別の場所…ですか。確かにそう考えるのが妥当でしょうけど、どうする?お姉ちゃん。」

 

「まぁ、ここがどこか知らないけど、来ちゃったものはしょうがないよ。街が崩壊してたり、空はなんかひび割れしちゃってるけど、そんなのゲームじゃ日常茶飯事だよ!」

 

ネプテューヌは明るく振舞う。きっと自分やネプギアの事を思ってだろう。そのネプテューヌの気遣いを無駄にしないためにも、しっかりしなければ。

そう思った光樹は、言葉を返す。それにネプギアが続く。

 

「まあ、そうだな。ゲームでならこんなの慣れてるし、VRMMOをやってると思えばいいか。」

 

「でもこれは現実ですよ?現実では絶対にないんじゃないですか…。」

 

「だけどこれが現実だ。受け入れるしかないと思う。まあ俺も認めたくないけどな、こんな現実。」

 

「そう…ですよね。」

 

ネプギアが自身のなさそうに答える。そこで光樹はあることを二人に提案する。

 

「とにかく、どこかに人がいるかもしれないから、散策してみないか?」

 

「そうだね、きっとこんな世界にも人はいるかもしれないね!」

 

そう言ってネプテューヌが街の奥の方に向かっていく。それに続いてネプギアも「ま、待って!お姉ちゃん。」とネプテューヌを追う。

 

(さて、これからどうなるのか…。)

 

そう思いつつ、光樹もそのあとを追って走り出した。

 

 

 

 

「…誰もいないね。」

 

ネプギアがそう言葉を漏らす。確かにその通りだった。先程の場所から少し動いたところなのだが、道にはおろか、崩壊した建物にも人は存在していなかった。

 

「んー…おかしいな。猫の子一匹くらいいてもいいと思うんだけど。おーい!誰かいませんかー!」

 

ある程度は予想していたのだが、まさか人を見ないとは…。

ネプテューヌの呼び声にも誰も答えないことから、本当にこの街は壊滅してしまったのだろうか。

その様子を見て、ネプギアが言う。

 

「お姉ちゃん、光樹さん、やっぱりここ、おかしいよ。」

 

「おかしい、って言うとどこらへんだ。俺もいくつかおかしい所はあると思っているけど。」

 

「はい。道路やビルに走ってる亀裂、ただの亀裂じゃありません。」

 

確かにその亀裂は何か緑色に光っている。幻想的なその亀裂は、明らかに普通の物ではない。

 

「ほんとだ。緑色で綺麗だね。ずっと見てると吸い込まれそうになるね。」

 

「おいおい、くれぐれも触るなよ…。」

 

「でもわたしたち、亀裂の上歩いてたよ?」

 

「…よくよく考えるとそうだな、すまん。」

 

真面目にそう返されて、なぜか恥ずかしくなってしまう。

そこにネプギアが先程言ったことの補足をする。

 

「空にも同じ亀裂が入っているし…。まるで、空間そのものにヒビが入っているみたい。」

 

「空間にヒビ、か。確かにその表現があってるな。俺は雲の切れ目と思ったけど、よく見ると空の色じゃないな。」

 

だが、それ以上に気になることがあった。それはこの街の風景だった。

 

「この街の風景…なんとなくプラネテューヌに近くないか?」

 

「光樹さんも気づいたんですね。私もそれに気づいたんです。雰囲気も、亀裂が入っているのを除けば、プラネテューヌにそっくりなんです!」

 

だが光樹とネプギアが真剣に話しているところに、ネプテューヌは空気を読まない発言をする。

 

「ん~…プラネテューヌに世紀末が来たら、こんな感じになっちゃうのかな?」

 

「そ、そんな不吉なこと言わないでよ、お姉ちゃん!」

 

「不謹慎にも程があるぞ。仮にも国のトップだろ?プラネテューヌの。」

 

「ご、ごめんってば。二人とも、そんなに怒らないでよ。」

 

思わず二人でツッコミしたからか、ネプテューヌはたじろぐ。まあ反省はしているようなので、ネプギアは話を元に戻す。

 

「でも、ここには見覚えのあるものが全然ないし、プラネテューヌではないと思うんだけど…」

 

「そうだな。なにせプラネタワーの残骸すらないからな。」

 

「こ、光樹さん…。」

 

「…悪い、失言だった。」

 

ネプギアに謝った後、ネプテューヌが先程のネプギアの言葉に答える。

 

「そうだね~。街の中だったら私の庭だし、道がわからないはずないもん。光樹の言う通り、プラネタワーもないしね。」

 

そう言ったところで、光樹は考える。その内容は、この崩壊寸前の世界とあの女神の関係だ。

 

(あの女神はこれから訪れる3つの世界を巡って自分を救ってほしいと言った。…ということは、この世界をこんなことにした元凶を倒せってことか?それともこの世界を再生してほしいってことか?)

 

だが考えは一旦やめることになる。ネプテューヌがこう言ったからだ。

 

「まぁ、ここで考えててもしょうがないよ。今はとにかく、前進あるのみだよ!ゴーゴー!」

 

「こういう時のお姉ちゃんの自信はどこから来るんだろう…。」

 

ネプギアのそんな言葉に、ネプテューヌが答える。

 

「自信?そんなの、わたしが主人公だからに決まってるよ!」

 

「…主人公補正というやつか……本当にあるのかな…。でも俺もゲイムギョウ界に来るときに主人公補正並みの運の良さで助かってるけどさ。」

 

そう返した光樹だが、実際はとても心配していた。いくらこの世界がゲームの世界だとしても、そう簡単に事が運ぶわけではない。

しかしネプテューヌは、そんな心配など他所にさらに明るい雰囲気で言う。

 

「どんな展開になろうとも、主人公補正バリバリで切り抜けちゃうんだから!」

 

「だと、いいんだけど…。」

 

ネプギアがネプテューヌを心配する。だが、こんな状況になっても明るく振舞えるのはいいことだと思う。おそらく、ネプギアや俺を安心させるためにそう振舞っているのは分かる。だからこそ、光樹も今冷静に状況を分析出来ているのだ。そのネプテューヌの気遣いに答えるべく、次の行動を考える。

と、その時だった。

 

 

 

 

「ォォォォォオオオオオオ!!」

 

 

 

 

唸り声が響く。

 

「ねぷっ!?」

 

「この声は!?」

 

慌ててその声の方を向くと、そこには足が無く、体が宙に浮いたモンスターが居た。どうやらこいつがさっきの唸り声の主のようだった。

その様子を見たネプテューヌは最初は驚いていたが、なぜか今は落ち着いていた。そして、言う。

 

「なーんだ、びっくりしたー。モンスターかぁ。どう?ネプギア、光樹!わたしの主人公補正で、地元の人第一号発見だよー!」

 

その発言に唖然とする。

 

(これが地元住人第一号とか…ってそんな呑気なこと言ってる場合じゃない!!敵だろ!)

 

心の中でそう思っている内に、ネプギアがツッコミを入れる。

 

「違うよ、お姉ちゃん!!どう見てもお話とかできるような相手じゃないよ!?殺意満々だよ!?」

 

「確実に敵として認識しているな、これは。」

 

「あーやっぱり?」

 

その手に聖魔剣デュランダルを右手に、レーザーガンを左手に構える。それに答えるかのように、再びモンスターが咆哮を上げる。

 

「ォォォォォオオオオオオ!!」

 

その様子を見て、ネプテューヌは一言。

 

「やっと、わたしたち以外の誰かに会えたと思ったんだけどなぁー…。」

 

だがネプテューヌたちも戦う気満々だった。ネプテューヌがネプギアに告げる。

 

「けど、相手がやる気なら仕方ないよね!ネプギア、女神化して一気にやっつけちゃうよ!光樹もガンダムになって!」

 

「うん!」

 

だがそのネプテューヌの提案に、光樹は。

 

「あー…、悪い、今回は無しで。」

 

「え!?なんで!?」

 

「もしかして、デメリットがあるんですか?」

 

二人がこちらにそう聞いてくる。

ガンダムを装着しない理由は、ネプギアの言った通り、デメリットがあるからだ。といっても激しい機動戦闘時に軽い筋肉痛が起こるだけなのだが。しかし、何回も重ねるのはあまり推奨されないと、解析してくれたリーンボックスの研究員の方々から言われていたのだ。それに加えて、パープルプロテクターやアフサラスⅢに対して放った大技、NFB(ノイズフォースビックバン)はそれよりも大きい負荷がかかるらしい。実際、あの日の次の日は普通の筋肉痛くらいの痛みが体に出たのだ。

そのことを、二人に告げる。

 

「ガンダムを何回も装着すると、体に悪影響が起こるらしいんだ。といっても、一日に何回も装着すると、らしいんだけどな。ただ、ノイズフォースビックバンっていう必殺技を使うと、かなりの負荷がかかるらしいんだよな。だからあんまり変身したくないんだ。」

 

「へぇー、正に最後の切り札、って感じだね!!」

 

「そうですか、分かりました。ここは私たちに任せてください!」

 

「まあ、戦闘には参加するけどね。」

 

そう答えると、モンスターの方に向き直る。そしてネプテューヌたちは女神化の準備に入る。

 

「括目せよっ!!」

 

「プロセッサユニット、装着!!」

 

二人の声が響き、光に包まれる。

 

 

 

 

はずだった。

だがその光はいつまでも発生しなかった。

 

「しー…ん。」

 

「………あ…あれ…?」

 

二人がキョトンとする。さらにネプテューヌが現在の状況をありのままに話す。

 

「しかし、なにも起こらなかった…?」

 

(正にこの状況にピッタリの言葉だけどさぁ…。)

 

そう考えていたそこに、モンスターの声が三度響く。

 

「ォォォォォオオオオオオ!!」

 

そして、その爪を振るってくる。

 

「ぬわぁ!?危ないなぁ、もう!さては、変身中の攻撃はご法度だって知らないんだね!」

 

何とか攻撃を回避したネプテューヌはモンスターに言い返す。だがモンスターはそれに構わず、再び待ちの態勢を取る。

 

「モンスターにそんなこと言っても、わからないと思うけど…。」

 

ネプギアが突っ込んでいる内に、光樹はモンスターと二人の間に割って入る。そして言う。

 

「とにかく、二人が女神化できない上に知らないモンスターが相手となると、変身するしかないか。それでいいか、二人とも。」

 

「いいよー!なんで女神化できないかわからないけど、まずは目の前の敵をなんとかしなきゃだよね!行くよ、ネプギア!」

 

「うん!」

 

二人は各々の武器を構える。

光樹も武器をしまい、シューティングスターBを手に持ち、装着を開始する。

 

「ブラッドゼロ、セット・オン!」

 

もしかしたら、ネプテューヌ達と同じように変身出来ないとも思ったが、そのような心配もなく、ノイズの奔流は発生し、変身が完了する。

 

「よし、いくぞ!!」

 

謎の世界での初めての戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「てぇぇりゃぁぁ!!」

 

まずネプテューヌが敵に切り込んでいく。ダメージが入ったのか、攻撃を受けて仰け反る。だが消滅はしない。やはり大きいからこそ、体力も多いのだろう。その大きさはざっと3、4メートルはある。

だがその分動きは遅い。先程の不意打ちも目で追えたことから、パワータイプの敵なのだろう。それなら相手が一体な分、こちらが有利だ。動きをよく見れば、苦戦はしない。

ネプテューヌの斬撃に、ネプギアが追撃を加える。

 

「はぁっ!!」

 

ネプギアが連続して剣を振る。その攻撃に参ったのか、若干俯き加減になる。だがそれでも攻撃の手は緩めなかった。

 

「ォォォォォオオオオオオ!!」

 

その右手をネプギアに対して振るってくる。だが、その前に、光樹は両者の間に入り、シールドでその剛腕を受け止める。

 

「好機は逃さない!!」

 

その組み合いの状態で、右手のANアームドアーマーZRを敵の脇腹辺りに突き立てる。突き立てると相手はその痛みでうめく。

 

「オ…オオオ……!」

 

すぐに左手でANアームドアーマーZRを抜こうとするが既に遅い。刀身を縦に分割し、レールガンモードを起動させ、撃つ。

その弾丸はモンスターの体内で光ると共に爆発を起こす。

 

「ォォォォォォオオオオオ!!?」

 

それが致命傷になったのか、モンスターは地面へと倒れる。

そして粒子になって消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっけなかったな。」

 

「ふぃー…楽勝楽勝!女神化なんて必要なかったね。」

 

「俺も変身しなきゃ良かったな。…セット・オフ。」

 

そう言って光樹はブラッドゼロの装着を解除する。

そしてすぐにネプギアが先程の事について疑問を言った。

 

「けど、どうして女神化できなくなってるの…?…あっ!」

 

その時ネプギアがあることに気づく。

 

「どったの、ネプギア?」

 

「まさか、女神化できない理由が分かったのか?」

 

そう聞くと、ネプギアが答える。

 

「はい!お姉ちゃん、シェアだよ!なにかおかしいと思ったら、シェアが全然感じられないよ!」

 

「それは本当か!?ネプギア。」

 

シェアとはゲイムギョウ界に存在する女神の人々からの信仰によってもたらされる力だ。女神たちはこの力を使うことで、女神化することが出来るのだ。

だが、先程のネプギアの話が事実なら、女神化できないのは当然だ。エネルギーの源であるシェアが無いのだから。

しかしなぜシェアが無いのだろう。シェアは人々によって生み出される力だ。そんな状況、人がいないなどでなければ…。

その時、ある結論に達する。

 

(まさか…本当に人が存在しない…のか!?)

 

だが光樹はそんな事を信じたくはなかった。崩壊寸前と言っても、まだ建物は残っている。おそらく、近くに人がいないだけなのだろう。そう考えた。

一方、ネプギアの言葉を聞いたネプテューヌは。

 

「まさかー。某アワードのキャラクターランキングで某ノワールを軽々と超える順位のわたしに、その人気の証ともいえるシェアがないなんて…。」

 

半信半疑のネプテューヌはシェアを感じ取ろうと、目を閉じて静かに周りを探る。最初は自信満々だったその表情だったが、時間が経つにつれて焦りが出てくる。

そして終いには…。

 

「そんなまさか…。…んん!?ない!!!」

 

大声でそう叫ぶ。その事実が相当ショックだったのだろう。更に続けてネプテューヌが言う。

 

「ねぷぷぷぷぷ!?!?なんでー!?シェアっていったら、女神への信仰心だよ!それがゼロって、絶対ありえないよ!しかもこんな世紀末ヒャッハーな感じの場所で女神化できないなんて…。わたしたち、消毒されちゃうよー!!」

 

その言葉に光樹も納得する。そんな事、女神がいない、もしくは信仰する人がいないのどちらかだ。それに女神化出来ないとなると、戦力ダウンは間違いない。まあ、本当に消毒されるかどうかは分からないが、ここで生活を何とか出来るようにしなければ、死ぬことだってあり得る。

そんなこんなで慌てているネプテューヌに対し、ネプギアと光樹は冷静に対処する。

 

「お、落ち着いてお姉ちゃん!」

 

「そうだぞ、まだ人だっているかもしれないから、落ち着けって…。」

 

「ご、ごめん。二人とも…。」

 

ネプテューヌが落ち着いたところで、唐突にネプギアが話題を振ってきた。

 

「あと、今、戦ったモンスターだけど、お姉ちゃんと光樹さんは見たことある?」

 

「…あのグロテスクなの?ううん、初めてだよ?光樹は外の世界のゲームで見たことは?」

 

「他のゲームならともかく、ネプテューヌシリーズでは見たことないな…。ネプギアはどうだ?」

 

「ううん。私も初めて。」

 

「そうか…やっぱりここは別の世界なのか?」

 

ますますこの世界がゲイムギョウ界ではないことを感じさせた。だが、モンスターがいるのなら、ここはまだゲイムギョウ界であるというのも捨てきれない。とにかく、調べることが大切だ。

そんな中、ネプギアが不安の声を漏らす。

 

「見たことのない景色に見たことのないモンスター。私たち、本当にどこに来ちゃったんだろう…。無事に、帰れるのかな…。」

 

「ネプギア……。」

 

光樹がネプギアを気に掛けたところで、更にネプギアの口から、ある事実が告げられる。

 

「いーすんさんに連絡しようにもNギアはずっと圏外で電話もネットも繋がらないし…。」

 

「イストワールに繋がらないのは当然じゃ……って、え!?ネットにも繋がらないのか!?」

 

その事を聞き、驚く。ネプギアは答える。

 

「はい。何度か試しているんですけど…。」

 

「俺の方も試してみる。セット・オン!……ゼロ、ネット環境にアクセス。」

 

『了解、周囲のネット環境にアクセス開始。』

 

セット・オンをすると、すぐにゼロがネットに接続を行う。だが、それによる結果は…。

 

『接続不能、電波強度があまりにも小さすぎます。直接ネット環境に接続出来る端末に触れる必要があります。』

 

「マジですか…。」

 

「光樹さんの機体でも駄目みたいですね。」

 

「ネットに繋がらないなんてね……。っていうか、光樹はなんでわざわざ変身したの?体に負担かかるのに。」

 

ネプテューヌはそう聞いてくる。まあ今回変身したのは、理由がある。

理由は、この機体のモデルになったであろうブラックエースの登場する「流星のロックマン」の世界観を考慮しての事だ。その世界のロックマンと呼ばれる存在は、電波体という存在で、自由自在にネットの電脳などに入り込むことが出来るのだ。更にエースやゼロから、ネットワークにアクセス可能な高度なハッキング能力があることが教えられていたのだ。

 

「いや、こいつならアクセスできると思ったんだがな。だけどそうなら探索しかないな。」

 

「まかせといて!日々のデスクワークばかりのお仕事に比べたら、見知らぬ土地の探索くらいよゆーだよ!」

 

ネプテューヌは胸を張りながら答える。こういう時のネプテューヌは本当に頼もしい。ゲームをやってる時もすごいと思っていた。

だがそこに、ネプギアからキツイ言葉が…。

 

「それって単にお姉ちゃんがお仕事嫌いなだけじゃ…。」

 

「いいのいいの!どんな状況でも楽しんだもん勝ちだよ!」

 

「お姉ちゃん…。」

 

それでも、ネプテューヌは明るく答える。その様子にネプギアも元気づけられたようだ。

 

「楽しめるかは置いておいて、三人一緒なら大丈夫さ。」

 

「光樹さんも…。そうですよね…!」

 

そこでネプテューヌが二人に向かって言う。

 

「そうそう、ネプギアは笑顔の方がいいよー。光樹も頼もしいし。さっ、再出発だよ。」

 

「うん。」

 

「ああ。」

 

そう答えると、三人は再び崩壊した街を散策し始めた。

 

 

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
おそらく前回の話も読んでいる方から見れば、「あれ、光樹君変身しすぎじゃ?」と思うかもしれません。
この点は光樹君が使いこなせていないという点を強調するためです。

次のお話では、うずめもちゃんと登場させます。ただ、オリジナルのセリフは少ないと思われます。原作沿い中心ですいません。

では、次の投稿の来週火曜日まで、さようならです。


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第15話 赤髪の少女との出会い

皆様、お読みいただき、ありがとうございます。藤和木弘です。

第15話、投稿です。
今回でようやくこの小説のヒロイン、天王星うずめの登場です!
ですが、今回のお話ではうずめのセリフ少ないかな?と思ってたりします。
次回以降から、なるべくうずめのオリジナルセリフ多めに入れていきたいと思います。

では本編どうぞ。


 

 

あのあと、光樹達は街の中を必死に散策していた。どこかに人がいるかもしれないという考えを持ってだ。しかし、それでも人は見つからない。先程と違う点としては何体ものモンスターがいることだ。少しだが知っているモンスターも見受けられたが、街には知らないモンスターが多く存在した。先の戦闘で戦った「悪魔型」と仮称したモンスター、それに亀形のモンスターを現在は見つけていた。

そんな中、あるものを見つける。それは地面に倒れたビルだ。ネプテューヌがそれに近づいていく。

 

「なんか傾いてるビル発見!ネプギア、光樹、あのビルに登ってみようよ。」

 

「なるほど、上からなら状況がよく分かるかもしれないってことか。」

 

「そーゆーこと!」

 

ネプテューヌはすぐに走り出す。その後をネプギアと光樹が追う。

 

「あっ!待って、お姉ちゃん!」

 

「まったく…こういう時だけは動くの早いんだよな。」

 

そう言いながら、光樹はブラッドゼロのスラスターを吹かせ、先に行く。

 

「あっ!光樹ズルーい!」

 

「先に行ってるよ!」

 

ネプテューヌの言葉を受け流しつつ、すぐに光樹はそのビルの一番高い所に到着する。

が、そこには衝撃的な光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん…だと…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

先程よりもひどい惨状だった。ビルはいくつも倒壊し、街は完全に壊滅状態だった。相変わらずモンスターはうようよしており、人が住んでいた形跡はあるが、そこに今も人がいるとは考えづらかった。

そして、更に目を疑うものが存在していた。

建物の一つに、知っている物があったからだ。ひときわ高いその建物は、ネプテューヌたちといた、プラネタワーにそっくりだった。慌ててここまでの町全体をスキャニングすると、それはプラネタワーである可能性が低いということだったので安心する。どうやらネプテューヌが言っていたプラネテューヌの世紀末ではないようだ。

と、そこにネプテューヌたちが追い付いてくる。

 

「まったく…早すぎだよー!少しくらい待っても…。」

 

「はあ…やっと追いついた……って、光樹さん?」

 

二人の内、まずネプテューヌが、そのすぐ後にネプギアがその光景を見る。

 

「そんな……。」

 

ネプギアが言葉を失う。当然の反応だろう。そしてネプテューヌはそのことに対し、叫ぶ。

 

「な、な、な………なんじゃこりゃあああああああああ!」

 

相当ショックだったようだ。まるでギャグマンガでの驚きようだ。

と、ネプギアが更に言う。

 

「そんな……いったい、どこなの…ここ。」

 

ネプギアが唖然とする。その声の後を、乾いた風が通っていく。光樹もこれからどうしよう、と考え込んでいる。

そんな中、ネプテューヌは遠くの方までよく見ていた。

 

「んー…。」

 

その時だった。ネプテューヌが叫ぶ。

 

「あっ!ネプギア、光樹、あそこ見て!誰かいるよ!」

 

「な、なんだって!?」

 

光樹は慌ててネプテューヌが示した場所をメインカメラに映し、拡大する。

すると、確かにその人物が映っていた。

 

「本当だ…。女の子、か?」

 

その少女は赤髪に白い服、そしてスカートを身に着けていた。遠目からだが、かなりきれいな部類に入るのではないだろうか。だがそんな様子を黙って見ている場合ではなかった。

 

「光樹さん!あの人、すごい数のモンスターに囲まれています!」

 

「ああ、まずいな…とにかく、すぐに助けに行こう!」

 

「分かった!遂にわたしたちと話せそうな地元民だよ。話を聞くためにも、助けよう、ネプギア、光樹!」

 

「うん、助けなきゃ!」

 

「ああ!」

 

そう言って三人はビルから飛び降り、すぐにその少女の居た場所へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でやあっ!」

 

少女の叫びと共に放たれた拳が、機械のモンスターに打ちこまれる。

 

「ゴォ…ッ!?」

 

先程まで何度も攻撃を受けたため、モンスターは疲れ果て、倒れる。そして消滅する。

だがその様子を眺めている暇は無く、次のモンスターに目をやる。

 

「ちっ、まだ湧いてきやがる…。」

 

少女はそう吐き捨てる。先程から、もう何体もの同じモンスターを倒していたが、その数は一向に減らない。だが、ここを抜けられては、自分の守る者たちに被害が及ぶ。そうさせないために、彼女は今戦っているのだ。

その時だった。彼女の腕に付けている端末が鳴り響く。それは、自分と共にこの世界をこのようにした元凶と戦う者からの連絡だった。すぐにその連絡に出る。

 

『約半数の非難が完了した。お前もそろそろ戻ってくるんだ。』

 

その声を聞き、言葉を返す。

 

「何言ってんだ!全員避難したわけじゃねえんだろ!それに、こいつらを放っておいたら、そっちに行っちまうかもしれねえ!まだ帰れねえ…よ!」

 

同時に、目の前にいたモンスターを殴りつける。

 

「ゴォ…ッ!?」

 

モンスターは大きく仰け反る。そこで追撃と言わんばかりに、手に持っていたメガホンから衝撃波を飛ばす。衝撃波はモンスターに直撃し、消滅させる。

と、さらにモンスターが接近してくる。だがそれも彼女はメガホンの衝撃波で吹っ飛ばす。

その様子を聞いていた連絡主は。

 

『やれやれ…。くれぐれも無茶はするなよ。』

 

「わーってるよ。」

 

しょうがないという感じで気遣いの言葉を送る。そして少女は言葉を返すと、通信を切る。

そこで少女は独り言を呟く。

 

「…戦えるのは、俺しかいねーんだ。」

 

そう、この世界で戦えるのは自分だけだった。他の自分を慕ってくれている者たちを守れるのは、自分だけなのだ。

そう思いつつ、再びモンスターとの戦闘が始まる。

と、その時だった。

 

「とりゃー!!」

 

「ゴォ…ッ!?」

 

左側に居たモンスターの内1体が、攻撃を受けたのか大きく前のめりになる。

 

「………ん?」

 

一瞬なぜだ、と思う。その方向を見ると、そこにその攻撃をした者が見えた。

その者たちはこちらに声をかけてくる。

 

「第一街人発見!おーい!」

 

「人間…!?それにあれは人型の機械モンスター!?」

 

少女は唖然としていた。なぜならこの世界の人間は…。

そう思いつつ、少女は戦闘態勢を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし…無事だったみたいだな。しっかしよくここまで持ったな…。」

 

光樹はANアームドアーマーZRのレールガンモードをモンスターに牽制弾を撃って、少女に近づきながらそう言った。

あの少女は、もしかすると、この世界で戦うレジスタンスの一人なのではと思っていた。

光樹に続いて、ネプギアが言う。

 

「モンスターがずいぶん減っているような…。まさか、あの人が一人で倒しちゃったの!?」

 

「みたいだな…でもまだ数は残ってる。加勢しよう!」

 

光樹はそう発言する。

そしてネプテューヌは少女に声をかけようとする。

 

「やっと、わたしたち以外の人に会えたよ。ねぇ、ちょっとここが何処なのか教え…」

 

だが、それを言い切る前に。

 

「ちっ!ここに来て新手かよ!」

 

と叫ぶ。そしてこちらに急接近してくる。

……あれ、なんか今、とんでもないことを言っていたような気が…。

考える間もなく、少女はその手に持ったメガホンのようなものを振って来た。

 

「ふんっ!」

 

「ちぃ!!」

 

光樹は狙われたネプテューヌを守るように、相手に傷を負わせないように、ANノイズドエナジーサテライトシールドでその攻撃を防ぐ。そして問う。

 

「いきなり何をするんだ!?」

 

だが少女は話を聞いていないようで、まったく違う話しを始める。

 

「へぇ、ただの人型の機械モンスターかと思ったが、しゃべれるし、なかなかやるじゃねぇか!俺の名前は天王星うずめ!テメェの名は!」

 

ガキィン、と武器と武器が激突する音がする。そしてその問いに答える。

 

「光樹、和藤光樹だ!っていうか俺人間だから!機械纏っているけど、人間だから!!」

 

「光樹…か。一人前に名前持ってるとはなぁ!」

 

「いや、一人前にと言ってるけど、俺人間で…。」

 

言葉を交わしあう二人は互いに武器をぶつけあう。そこでその少女、うずめがこちらに向かって言う。

 

「へぇ…ただのかっこよさそうなモンスターかと思ったが、見かけによらず、やるじゃねえか。あいつとの前哨戦にはちょうどいいかもなぁ!」

 

「くそ…そっちの話ばっかりだな。こっちの話も聞いてくれ!こっちはいきなり知らない土地に来て困ってるってのに!」

 

だがそれを聞く気が無いようで、うずめは…。

 

「あいにく敵と馴れ合う舌は持ってないんでね!人間を模した姿に名前で騙そうってなら、そうはいかねぇぜ!」

 

そう返すと鍔迫り合いを嫌がるように距離を取る。

 

「光樹さん!」

 

「光樹!」

 

「くっ!どうやら俺たちをモンスターだと認識しているみたいだな…。どうなっているんだ、この場所は。」

 

再びうずめのメガホンとこちらのANノイズドエナジーサテライトシールドがぶつかり合い、火花を散らす。そこでネプテューヌがうずめに対して言葉を投げかける。

 

「も~う!話を聞いてよ!いい加減にしないと、ゲイムギョウ界一優しさに定評のあるわたしでも怒るよ!」

 

「ゲイム…?」

 

すると突然、その言葉を聞いたうずめが距離を取る。まるで、ゲイムギョウ界という単語に反応したかのように。

空いている左手で少し頭を押さえたが、すぐに戦闘に復帰し、叫ぶ。

 

「くっ…!わけのわからねぇことをごちゃごちゃと!」

 

そして再び急接近してくる。それに対抗して、こちらもシールドで殴りつけようとする。傷つけたくなかったが、ここは非常事態だ。とにかく気絶させてでも止める方を選ぶ。そして互いに武器を振るう距離まで近づく。

 

「くらえ!!!」

 

「コイツで!!!」

 

その時。

 

「ストーップ!」

 

『!?』

 

間にネプギアが割って入る。その制止に、なんとか攻撃を止める。そこで我に返る。

 

(何やってんだ、俺は!もう少しで助けようとした女の子を傷つけようだなんて…これもZEROシステムの影響か?)

 

そんな考えをしている内に、ネプギアが戦っていた二人に対し、言う。

 

「二人共、やめてください!…えと…、うずめ、さん…でしたよね?私たち、光樹さんの言う通り、あなたと戦うつもりなんてありません。」

 

そこに光樹が話に加わる。

 

「というかこっちは君に助けてもらいたいんだ。こっちは何がどうなっているのか分からない。だから、俺たちのことを信じて話を聞いてくれないか?」

 

「そうだそうだ!わたしたち、すーーーっごく困ってるんだから。」

 

「いやいや、ネプテューヌ。何勝負に入っているんだ。」

 

割り込んできたネプテューヌをなだめる。ネプテューヌも分かったようで…。

 

「いやー、つい…。」

 

と、反省する。本来ならそれは俺が言うべきことなのかもしれないが。特に途中からヒートアップしたというか、集中しすぎたというか。

とそこで突然鳴き声のような声が聞こえてくる。

 

「ウィー…ン」

 

先程までうずめと戦っていたモンスターの声だった。まるで「俺らのこと忘れてない?」と言っているようだった。

そこで全員が、はっ、と気づく。そして全員身構える。

 

「…ちっ、まだいやがったか。テメェとの勝負はこいつらを先に片づけてからだ!」

 

「そうだな。まずは当初の予定通り、こいつらをやっつけるか。ネプテューヌとネプギアはうずめと共にそっちの三体を、俺はこっちの三体を相手する!」

 

「了かーい!…って、え!?光樹一人!?」

 

ネプテューヌが光樹の発言に驚く。光樹も無茶なのは分かっている。更にネプギアも心配の声を上げる。

 

「光樹さん…大丈夫ですか?」

 

「無茶はしない。それにそっちが先に片づけてくれれば、こっちを手伝ってくれればいいだろ?」

 

「そうですよね、分かりました!すぐにやっつけちゃいます!」

 

その言葉を聞いた後、ネプギアは光樹にそう告げると、ネプテューヌとうずめの方で相手をする方に向かう。

その様子を見つつ、光樹はこちらで担当する敵の方を向く。ただ一言、呟く。

 

「さて、どう戦う?」

 

光樹は自然と自分の中の心がうずくのを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちは、すぐにモンスターとの戦闘に入った。モンスターは機械タイプのモンスターであった。

まず私が先制攻撃を放つ。

 

「はぁっ!!えい!」

 

コンボ攻撃が決まり、モンスターが仰け反った。だけど、反撃が来る。

 

「ウィーン!」

 

目の部分から放たれたレーザーが襲ってくる。しかし、私たち三人は、その攻撃を簡単に避ける。一直線の攻撃だったので、回避はしやすい。

次にお姉ちゃんが攻める。その一撃はモンスターの態勢を崩した。そしてそこに、うずめさんがメガホンから発した衝撃波を叩き込む。その大音量から放たれる攻撃はすさまじく、モンスターを消滅させた。

やっと一体。でも油断はできない。そうと言わんばかりに、お姉ちゃんに向かってレーザーが放たれる。しかしお姉ちゃんはその攻撃を難なく避けた。でもモンスターの狙いは他にあった。そのレーザーはそのまま、うずめさんに向かって伸びる。

 

「ちっ!!」

 

だけど、間一髪のところで回避をする。そして返しにメガホンに大声を出す。

 

「おらっ!!」

 

その声と共に、メガホンから衝撃波が放たれる。その衝撃波はモンスターに直撃する。そこにネプギアはビームソードで切り付ける。さらにそこに連撃を浴びせる。

そしてトドメと言わんばかりに、お姉ちゃんが突っ込んでいく。

 

「クロスコンビネーション!」

 

お姉ちゃんのスキル技が炸裂する。連続した斬撃で切り付け、打ち上げる。その3、4メートルもある巨体は宙に浮かぶ。そして、お姉ちゃんは飛び上がって最後の打ち下ろしを決める。

 

「ゴッ…!」

 

モンスターは、その攻撃によりダウンし、消滅する。流石お姉ちゃんだ。

それに負けないように、ネプギアも最後の敵にスキルを放つ。

 

「音速剣、ミラージュダンス!!」

 

回転切りがモンスターを襲う。それにより、モンスターは膝をつく。大きなダメージが入ったようだ。

そこにうずめさんが追い打ちの一撃を叩き込みにかかる。

 

「でやぁ!!」

 

高速で相手に近づく。その速さはかなりの物であった。周囲のほこりが舞う。そして相手を両足で蹴る。その反動でうずめさんは宙に浮く。

高度を確保した辺りでメガホンに左手を当てる。そのメガホンに光が集まる。エネルギーを溜めているのだ。エネルギーを溜め終わると、うずめさんは、メガホンをモンスターに向け、メガホンを通して大声を出す。

 

「うーわああああ!!!」

 

その大音量と共に衝撃波が放たれる。先程までの物よりも更に大きく、強い衝撃波がモンスターに当たる。それは周辺にクレーターを作った。

それをもろに喰らったモンスターは地に倒れ、消滅する。

そして、敵の全滅を確認する。

 

「…よし!終わったね!大丈夫?ネプギア。」

 

お姉ちゃんが聞いてくる。それに私は答える。

 

「うん、こっちも大丈夫だよ!」

 

ネプギアはネプテューヌと合流する。三人で上手く連携できたので、かなり楽だった。

そして、先程共に戦っていたうずめさんは…。

 

「…片付いたか…。後はあの機械野郎の方の敵か。」

 

そう発言する。…って、光樹さんの方の敵を完全に忘れてた!

すぐに光樹さんの方に向かう。見ると、まだ戦闘していた。…というより、モンスターの攻撃を回避しているだけで、全く反撃していなかった。

 

「あれー?光樹、攻撃してないの?ひょっとして、わたしたちが来るの待ってたとか?」

 

お姉ちゃんはそう発言する。光樹さんを心配しての発言だ。けど、光樹さんは答える。

 

「いや、これは小手調べの物さ。それに…」

 

その発言と同時に回避行動をやめ、代わりに右腕の槍の武器を構えて言う。

 

「こっからは俺のターンだ!」

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
未だに運営側のチェックにビクビクしてます…ならオリジナル展開にしろよって話ですが(笑)。

次回は原作ではダークメガミ登場の場面です。
が、自分の方である存在を登場させる予定です。
黒の館第2回で言っていた、あれです。

では次の投稿は来週の火曜日です。
次回もお楽しみに。


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第16話 巨大な敵、出現

どうも皆様、お読みいただき、ありがとうございます。藤和木弘です。

第16話投稿です。

今回はダークメガミ+進化の果ての象徴のガンダム登場です。
さあ、皆様、これが絶望です。(笑)

余計な話はここまでで、本編どうぞ。


 

光樹はネプテューヌ達にそう告げると、再びモンスターたちとの戦闘に入る。

ANアームドアーマーZRをレールガンモードにして撃つ。三発の弾丸が、正面の敵にヒットする。

 

「ウィーン?」

 

しかし、ヒットしたにも関わらず、全く攻撃が効いていないように見える。

 

(実体弾じゃあ効かないってことか…。)

 

そう判断した光樹はANアームドアーマーZRを仕舞い、腰部に装備されたANビームライフルⅤを両手に装備しようとする。

しかしそれをさせまいと、モンスター、メタルガーダーと仮称した敵がその剛腕を振るってくる。

しかし、その攻撃はまるで予測していたかのように、ブラッドゼロガンダムに回避される。

 

「生憎ながら、お前らのパターン読めてんだよ!」

 

そう叫ぶ。そう、光樹が先程まで回避に専念していたのは、これが狙いだったのだ。ZEROシステムが攻撃のパターンを分析し、回避パターンを編み出す…それによりこちらの被害を減らすのが目的だったのだ。

攻撃をかわすと、光樹は左腕のANロストカノンⅡおよびANノイズドエナジーサテライトシールドを腕部コネクターにロックする。さらに、ANビームライフルⅤを両手に持つ。そして、撃つ。

ビームがメタルガーダーにヒットし爆発する。それを確認し、更にライフルからビームを連射する。

その攻撃で、一体が弱った動きを見せる。そこにトドメを刺そうとライフルを前後で合体させ、ロングライフルにする。そして高出力のビームを放つ。

 

「ガァッ!!」

 

その光線が、メタルガーダーの腹に穴を開ける。そこから光の粒子が漏れる。それが致命傷になったのか、メタルガーダーは倒れ、消滅する。

その様子を見て、焦ったのか、残りのメタルガーダーたちがこちらに攻撃を仕掛けてくる。しかし、その攻撃は既に把握済みであり、余裕を持って回避行動を取る。

だがレーザーの軌道がこちらに迫ってくるのを見て、慌ててシールドで防御する。

 

「っ!!危ない…油断禁物か。」

 

そう呟くと、光樹は敵を見据える。そして、あることを思う。

 

(俺の方も、ネプテューヌ達みたいなスキル技を使いたいなー…ノイズフォースビックバンはデメリットありのエグゼドライブとして、何か無いのかな?)

 

そこで光樹は、ゼロに聞く。

 

「なあ、ネプテューヌ達の使っているスキル技みたいのはこっちには無いのか?ノイズフォースビックバン以外で。」

 

それは、光樹のわがままではあったが、それに対してゼロはこう答える。

 

『ノイズフォースビックバン以外の攻撃法なら、チャージショットを提案します。』

 

「チャージショット?どんなのだ?」

 

すると、目の前の画面に詳しい説明が表示される。どうやら、腕部のANゼロ・バスターから放つ攻撃のようだ。

そこで、光樹はチャージショットをブラッドゼロに指示する。右腕を構えると、機械音声が耳に響く。

 

『チャージショットだ!』

 

「ってこの声エ○クスさんじゃ…。」

 

しかしそう突っ込んでいる内に、ゲージが貯まっていく。最大まで貯まったのち、射撃を指示する。するとANゼロ・バスターから幾つものビームが放たれ、メタルガーダー二体に襲い掛かる。

 

「ゴッ…!」

 

その攻撃を受け、メタルガーダー達が怯む。その隙を、光樹は逃さなかった。ANテールスタビライザーブースターからANエグゼキューター・ゼロⅡを取り出す。更にそこからビームソードを発生させる。

そして、怯んでいるメタルガーダーに近づき、その光剣を振った。連続で切られ、メタルガーダーは仰け反る。

そのメタルガーターが倒れる前に、次のメタルガーダーの懐に入り、更に切り刻んでいく。そして、トドメにANエグゼキューター・ゼロⅡをライフルモードに切り替え、メタルガーダーにビームを放つ。

 

「ガァァァ!!?」

 

その断末魔と共に、メタルガーダーたちは地面へと崩れ落ち、消滅した。

そして、周りに敵がいないことを確認すると、ネプテューヌ達の方に行った。三人とも信じられない、といった様子だった。そこでこちらから声をかける。

 

「さて、モンスターもいなくなったことだし、これでそこの女の子…うずめも分かってくれたかな?」

 

そう聞くと、うずめは「あ、ああ。」と言って答える。

 

「…一応、礼は言っておく。お前ら、あいつらの手先じゃないんだな?」

 

「ああ、そうだ。…ってこの姿のままじゃ、信じてもらえないか。…ブラッドゼロ、セット・オフ。」

 

光樹はブラッドゼロを解除し、人間としての姿を見せる。それを見たうずめは驚く。

 

「な…人になった!?本当に人間…なのか?」

 

「だからそうだって言ってたじゃないか。これで分かっただろ?」

 

「ああ、分かったよ。」

 

そう会話をしていた光樹だったが、とある事を思う。

 

(しかし、よく見るとカッコいいというか、ボーイッシュって言った方がいいのか?そんなかわいさがあるな。一人称「俺」だけど、きれいな子だと思うし。)

 

そんな事を考えていると、ネプギアがうずめに先程の返事を返す。

 

「あいつら、というのが誰なのかわかりませんけど…。さっきも言ったように、私たちにあなたと戦う意志はありません。」

 

だが、それを聞いていたうずめは、どこか難しそうなことを考えているように見えた。まるで、光樹達を珍しがっているような…?

そして、その話を聞いていたうずめは一言。

 

「信じられねえな…。」

 

何が信じられないのか、それを光樹達はまだ分からなかった。

すると、その言葉を聞いたネプテューヌがうずめに対して言う。

 

「だから、何度もそう言ったでしょ!」

 

と、うずめは慌てた様子で先程の言葉を訂正する。

 

「いや…そうじゃない。お前らが悪いやつじゃないってことは、一緒に戦っていて分かった。いきなり攻撃してきて、すまなかった。悪かったな。」

 

「こっちも助けようとしたやつにいきなり攻撃されたから、驚いたよ。まあ、分かってくれたなら、よかったよ。」

 

「済んだことはいいって!わたしたちも人に会えてよかったよ。ここ、ほんとーに誰もいないんだもん!」

 

だがネプテューヌがそう言った途端、うずめの顔に驚きが生まれる。だけど、すぐに答えようとする。

 

「そりゃあ、ここには誰も…。それより、あいつの手先じゃないなら、あんたらはいったい、何者なんだ?なかなか腕が立つ上に、ロボットになって戦ってるし…。」

 

ところが、その肝心なところでうずめは話を変えてしまう。だがそれで光樹はある確信を得る。嫌な確信を、だ。

それは置いておいて、うずめの質問は当然だと思う。いきなり現れたのだから、素性は知っておきたいはずだ。でも光樹はなんと答えればいいか困っていた。

と、そこでネプテューヌが答えた。

 

「んー…、簡単に言うと、迷子ってやつ?」

 

…確かに簡単に言えばそうなのだが、もっと他の言い方があるだろう。聞いた本人も、よく理解できていないような反応である。

そこで、ネプギアが代わりに言った。

 

「私たち、いつの間にかこの街にいて…。誰かいないか探していて、ようやく見つけたのがあなただったんです。」

 

「迷子…?逃げ遅れてはぐれたやつらが他の街で生き残ってるってことか?」

 

だが先に話したネプテューヌの話に影響されてか、違うことを考えてしまっていた。そこで光樹はさらにフォローに入る。

 

「迷子ってところは気にしないでくれ。…で、俺たちは他の街から来たってわけじゃないんだ。」

 

「え?じゃあどこから…?」

 

話をしていると、どうやら彼女は俺たちがこの土地に住んでいたと認識しているようだ。だが、気になる点がいくつかあった。「逃げ遅れた」と「生き残っている」というものだ。

それにネプテューヌ達も気づく。

 

「逃げ遅れ?何から?」

 

「生き残ってるって…?」

 

そう呟いたその時だった。

 

ゴゴゴゴッ!!

 

空が揺れる。いや、空気が震えると言った方が正しいか。その振動に驚く。

 

「ねぷっ!?こ、今度は何ごと!?」

 

ネプテューヌが思わず声を上げる。光樹自身も、何が起こっているのか理解できなかった。

そんな中、うずめは待っていたかのように声の調子を上げて言う。

 

「…どうやら、あいつのお出ましのようだぜ。」

 

「あいつ…?」

 

うずめが空を見上げるのを見て、光樹達もそれに続いて見る。すると、それは見えた。

 

 

 

空から、光が落ちてくる。

 

 

 

それはまるで、流星のようにも見えたが、そんなものではないことを、光樹は直感的に判断した。

その光は更にスピードを増し、地表へと落ちてくる。

そして――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

地表にぶつかる寸前に、姿を変え、着地する。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは人だった。それも大きな。大きさは約30メートルだろうか。簡単に言えばウ○トラマンである。

だがそれは男というより女であった。胸とお尻にふくらみがある。

そして、特徴的なのは、その身につけられた機械的パーツだった。まるでネプテューヌ達が女神化時に纏うプロセッサユニットのようなパーツである。その姿は正に守護女神たちにそっくりだ。

だがその体から出てくる明らかな敵意。それにより光樹を怯えさせる。

そして、その巨人は羽を大きく広げ、衝撃波を起こし、街を破壊していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その姿を見て、ネプテューヌが叫ぶ。

 

「な、なななななななななにあのでっかいの!?いきなりラスボスのお出ましなの!?まさかわたしたち、ゲーム終盤にふっとばされちゃったとかないよね!?」

 

「そんなの絶望的じゃないですか、ヤダー!!…これ詰んだ?」

 

流石の光樹もこれはヤバイと思った。だが敵は一体だけ、対してこちらは四人。まだ勝てる目は残されている。そう思っていた。

だが、それだけでは終わらなかった。

突然、空中の瓦礫が渦を巻く。

 

「なんだ!?」

 

光樹がその様子を見て言う。そこでうずめが驚きながらも言う。

 

「まさかな…「あいつ」も来るとはなぁ!!」

 

「あいつ…?」

 

そう呟くと同時に、それは始まる。

瓦礫が一つの場所に集まっていく。やがてそれは人の形を作り出す。だが、それは決して人などではなかった。人の形をしてはいたが、それは実体化していくと、まるで機械のような姿を現していく。

そして、その姿を完全に現した時、光樹は唖然とする。

その強化パーツを身に纏った姿、背部の巨大な剣とマントのようなウイング、カラーの赤、黄、黒の配色、そして若干変形した頭部。

その正体について呟く。

 

「エクストリームガンダムType(タイプ)-イクス…タキオン・フェイズ…だと!?」

 

前言撤回、これはオワタ\(^o^)/。こんなの勝てる気がしない。

そこでネプギアが言った。

 

「光樹さん…あれも…ガンダムなんですか!?」

 

「ああ、それも最悪のな…。でも、なんでエクストリームガンダムがこんな所に!?ここは GAデータか!?」

 

あり得ない話だった。俺の覚えている限りでは、あれはデータ上のみに存在するガンダムのはずだ。

そんな事を考えていると、うずめが言った。

 

「あいつの事を知っているのか…。だけど、俺にはあいつらの正体が何なのかはわからねぇ。だがな、あいつらがこの街を、そしてこの世界をこんな風にした張本人だってことだけは確かだ。」

 

「あいつが、このやばい亀裂とかを作ったってこと?」

 

「そのとおりだ。あいつらはただ街を破壊するだけじゃない。土地や空までも破壊しやがるんだ。」

 

ネプテューヌとうずめの話を聞いて納得する。なるほど、やつの攻撃は物質の構造そのものを破壊するのか。元のエクストリームが有するのは物理的な破壊か、データ上の物を破壊するのみだが、どうやらこの世界では構造にもダメージを与えるようだ。

そこでネプギアがうずめに聞く。

 

「もしかして、あれと戦うつもりなんですか!?」

 

「あぁ、そうだ。俺はずっとあいつらと戦ってきたんだ。」

 

それを聞いて、光樹とネプギアは思わず反論する。

 

「無理だ、あんな大きいやつ!紫のやつはどうか知らないけど、エクストリームガンダムは強すぎる。ゲームでも苦戦するやつに現実世界でぶつかり合うなんて!」

 

「そうですよ!お姉ちゃんからも、うずめさんに言ってあげて。」

 

ネプギアはネプテューヌに頼み込む。流石のネプテューヌも、これには勝てないと判断してくれるだろう。そう思っていた。

しかし、それの斜め上を越える発言が、その口から出てきた。

 

「よーっし!わたしも燃えてきたよー!」

 

「…へっ?」

 

「相手がビルよりもでっかい?そんなの上等、むしろやってやんよ!」

 

「お姉ちゃん!?」

 

とんでもない答えだった。ネプテューヌは戦うことを選択したのだ。更にネプテューヌの決意の言葉は止まらない。

 

「この主人公ネプテューヌ、大きいだけの敵になんて負けないんだからー!」

 

主人公だから。そんな理由で戦うなど、もはや頭がおかしいというより狂っていると思う。そう考えた光樹はネプテューヌを止めようとした。だが制止の声を出そうとした辺りで光樹はふと、あることを思い出す。

それは、あのオレンジ髪の女神の言葉だった。

 

(あの少女の言っていた3つの次元の一つはこの世界だろう。…だとしたら、この世界での目的は、あいつらを倒す事…?)

 

確証はなかった。しかし、この世界をこのように変えたのがあのダークメガミとエクストリームガンダムなら、それを倒すべきだ。

そしてそれが、あの女神の少女を救うことに繋がるなら……。

 

「光樹さんも何か言って…。」

 

そして、光樹は決断し、ネプギアに言葉を返す。

 

「…俺のやるべきことは、あれを倒す事なのかもしれないな…!」

 

「え…?」

 

「いいぜ、ネプテューヌ!あいつらを倒すぞ!!」

 

「光樹さんまで!?」

 

こうなればとことんやるしかない。きっと、ゼロもあいつらを「障害」として認識し、排除しようとするはずだ。

そうして光樹とネプテューヌはやる気満々にあのダークメガミとエクストリームガンダムを見据える。

すると、その様子を見ていたうずめが言ってくる。

 

「言っとくが、助太刀はいらねぇぞ。」

 

だがネプテューヌたちは言葉を返す。

 

「止めても無駄だよわたしの人の話の聞かなさは筋金入りだからね。」

 

「元々こっちは君を助けようとしたんだ。こうなればあいつを倒すまで協力するさ。」

 

一方、冷静さを保っているネプギアはそんな三人を見て、説得する。

 

「皆さん、冷静になって下さい!あんな大きいのと戦うなんて、常識的に考えて無理だよ!」

 

けど、先程言ったのだから、引くわけにはいかない。光樹はネプギアに対し、ガンダム世界の実例を挙げて説得に入る。

 

「だけどな、ネプギア。ガンダム世界じゃあ、自分より巨大な機体と戦うなんて常識だぜ。上手く中枢部…つまりこの場合、コクピットを潰せば勝てる!俺にはガンダムシリーズの主人公程の技能は無い。それにこれだけの大きさの敵と戦った前例はない。けど、ブラッドゼロならやれるかもしれない!」

 

「光樹さん……。」

 

そんな話にうずめが更にネプギアに話す。

 

「心配してくれてるところわりぃが、この街を滅茶苦茶にしたアイツらだけは、女神として絶対に許せねぇんだ。」

 

その話を聞いて光樹は頷く。そうだ、自分の住んでいる世界を壊したやつは、誰でも許せないのは当たり前だ。

…あれ、なんか今、うずめが衝撃発言をしたような気がする。気のせいでなければ、うずめは先程、自分の事を「女神」と言っていたような…?

それにネプテューヌが気づく。

 

「ねぷっ!?ちょっと待って!?今、女神って言った!?」

 

そう言うと、うずめは簡単に答える。

 

「そういえばまだ言ってなかったな。まぁ、今はそんなことどうでもいいさ。今からここは戦場になる。巻き込まれる前に遠くに逃げるんだ。」

 

自身が女神である話は放っておいて、うずめがこちらに対して避難するよう促す。当然のことだろう。だがこんな子を置いて逃げるなど、言語道断だ。それはネプテューヌも同じだった。

だがそこで、ネプギアが冷静にうずめに撤退することを提案する。

 

「なら、うずめさんも一緒に逃げましょう。正面から戦う以外にも倒す方法があると思うんです。だから――」

 

しかし、その言葉を遮るように、うずめはある事実を話す。

 

「あのデカブツと一緒に、さっきみたいなモンスターの群れも進軍してきてるんだ。逃げ遅れたやつらを逃がすためにも、何が何でも、俺がここで食い止めないといけないんだ。」

 

そのうずめの声には確固たる意志が見受けられた。やはり、まだ人がいるのだ。

 

「あの大きいの二体だけでも大変そうなのに、モンスターの大群もだなんて…。」

 

ネプギアがそのようなことを言う。確かにモンスターまでいるとなるとキツイ。何か、あのダークメガミやエクストリームガンダムと他の雑魚モンスターを分断できれば、何とかなるかもしれないが。

だがそれすらもネプテューヌにとっては、盛り上がる展開の一つのようで、テンションを上げて言う。

 

「よーっし!そういう理由なら、なおさらわたし、本格的にうずめを手伝うことに決めたよ!」

 

「そうだな、こういう時は味方は少しでも多い方がいいからな!」

 

そして、それに続くように、光樹も言った。ネプテューヌも光樹も戦う気満々だ。

しかし、うずめは。

 

「お前らなんかが太刀打ちできる相手じゃねぇ。さっきから何度も言ってるが、さっさと逃げろ。」

 

と、助太刀を断る。だが、二人はそれでも食い下がる。

 

「やだ。」

 

「逃げろ。」

 

「逃げるわけにはいかない。そんな事をしたら、うずめを見捨てるようなものだ。女の子を見捨てるなんて、ガンダムのパイロットである以前に、男として失格だ!」

 

「!?」

 

光樹の言葉を聞いて、うずめは驚きの表情を見せる。そこで、ネプテューヌが更に言う。

 

「それに、わたしたちがいた方が時間もたくさん稼げると思うんだ!」

 

「…お姉ちゃん。」

 

ネプギアは自身の姉に対し、思わず声を出す。少し考えたのち、ネプギアは答えを出す。

 

「………うん。お姉ちゃんや光樹さんが戦うなら、私も戦います!」

 

ネプギアは純粋な気持ちでうずめにそう伝える。それが功を成したのか、ネプテューヌ達の言葉を聞いたうずめは、頭をかきむしった後、答える。

 

「あー!もう、わかったよ!どうせ言ってもきかないんだろ。いいか、戦うからには絶対に勝つからな!」

 

「もちろんだよ!」

 

「ああ。」

 

と、二人が気持ち的に燃え上がる中、ネプギアはある提案を出す。

 

「なら、せめて一度その傷を何処かで治療しませんか?見たところ、あのおっきなのはすぐにこっちには来そうにないですし…時間があるなら、万全の状態で臨んだ方がいいと思うんです。」

 

「体力を満タンにしてボス戦、ゲームでの常識だな。その方がいいと思う。うずめ、この世界で体力を回復できる場所はあるか?」

 

光樹はうずめに質問する。一人で戦っている以上、どこかに拠点があるはずだ。

そしてうずめはその意見に納得し、返答する。

 

「…一理あるな。なら、近くに俺の拠点があるから、そこに行こう。」

 

その後、光樹達はうずめの拠点に向かうこととなった。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。

まさかのエクストリームガンダムタイプイクス・タキオンフェイズが登場です。
一応光樹視点のダークメガミポジションの敵です。更に言うと、マジェコンヌポジションの敵も登場させます。
大きさは元のエクストリームガンダムが約16~18mと仮定して、タキオンフェイズは30mに設定してあります。

では次は女神オレンジハートの登場です(登場させるだけ、まだ戦わせはしません)。

次の投稿は来週の月曜日です。

また次回!


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第17話 あの姿は…!?

どうも皆様、お元気でしょうか?
文化祭をこの週に控え、最近雨が多いなぁと思う、藤和木弘です。第17話更新です。

一応この場面は、原作では一時撤退してから再びダークメガミ率いるモンスターの軍勢と戦います。
更にうずめも初女神化しています。こちらももちろん初女神化してもらいます。

では、本編どうぞ。


 

 

「着いたぞ。ここが、俺の拠点だ。と、言っても廃ビルの一室なんだがな。まぁ、野ざらしの外よりはマシだろ。」

 

うずめは言う。うずめに案内されてやって来たのは、街の一角にあったかろうじて形を残しているビルの部屋の一つであった。部屋の様子は女の子の部屋らしいものは無く、代わりにガンダムSEEDに出てきた、とあるレジスタンスたちの拠点のような雰囲気だった。まあ、戦う以上、余計な物は置かないのは当たり前だ。

そう光樹が考えていると、ネプテューヌたちがその部屋を見て、感激していた。

 

「おおーっ!廃ビルを使っているあたり、如何にも秘密基地って感じでカッコイイかも!」

 

「うん!何気ない廃ビルの一室に見えて、必要最低限の住居設備に、回復アイテムに食料。そして、申し訳程度の通信端末。まるで、アニメとかで見るレジスタンスのアジトみたいでカッコいいです。」

 

そこまで読み取るとか、すごいなネプギア…。というか地味に小馬鹿にしていないか?

そう思った光樹はツッコミを入れようとしたのだが…その前にうずめが言った。

 

「なに!?お前ら、この拠点のカッコよさがわかるのか?」

 

見事にうれしく…え?なんでその反応?ネプギアが前半に言っていたことはいいのか?

その言葉に更にネプテューヌらは答える。

 

「うん。」

 

「はい!光樹さんもそうですよね?」

 

「え…あ、うん。ガンダムでもこういう緊急の前線基地みたいなの見るけど、カッコいいよな、こういうの。」

 

いきなり話を振られたので、咄嗟にそう答える。突然に対しての返答だったので、言葉におかしい所があったが、うずめはそんなことには気にせず、喜ぶ。

 

「そうかそうか。ここのカッコよさがわかるのか。なら、悪いやつじゃなさそうだな。」

 

それだけで悪いやつという認識をやめてもらえるのかよ、と心の中でつっこむ。だがまあそうやって疑いなく信じてくれるなら、いいと思う。

そんな事を考えていると、うずめが話を始める。

 

「さて、時間がないからざっとだけ説明する。さっきも言ったとおりあのデカブツたちが街や世界をぶっ壊してる元凶だ。アイツらの厄介なところは、デカさだけじゃねぇ。建物や生き物を壊すだけじゃない、存在そのものを消滅させる力を持つんだ。それに加えて、機械の方のデカブツ…ガンダムって言ったか、あいつは一度だけ、あいつの有利なフィールドに形を無理矢理変えてくるんだ。」

 

「フィールド変更か…。一度だけって聞くと大丈夫そうだけど、一応何度も使えることかもしれないことを頭に入れといた方がいい。」

 

「それは本当か?」

 

「実際あいつの出るゲームでは、使用頻度こそ低いが、何回も変えてくることあったからな。」

 

それを聞いてうずめは唸る。おそらく、厄介な部分が増えたと思っているのだろう

だがエクストリームはネプテューヌたちが相手をするべきでは無い様な気がしていた。あのどう考えても、世界観が違う。むしろあの機体と戦うべきなのは、自分の機体のような気がするのだ。原作では、レオス・アロイのエクストリームが倒している。だが今のところそれに当たるのは、同じく外の世界から来たという共通の要素を持つ自分のみ。

 

(まあ、そんな考えを自己中心的って言うんだろうけどな。あんまりそんな考えしないで、みんなで倒せばいいだろう。)

 

そんな事を考えている内に、話は進む。

 

「そして、この国には生き残っている人間はいない。」

 

ふむ、生き残っている人間はいな…はい!?

 

「ええええええええっ!?!?!?!?誰も人がいないの!?」

 

ネプテューヌが驚きの声を上げる。ある程度は予想が出来ていたので、覚悟はしていたが、まさか本当にそうだとは…。正直言って、信じられなかった。

そこで、ネプギアが先程から思っていたある疑問について答えを見出す。

 

「…そっか。だから、シェアエネルギーが…。」

 

それを聞いて光樹もうずめと合流前にそのことを話していたことを思い出す。人がいないのであれば、シェアエネルギーを女神が得ることは出来ない。

だがそれに関連してあることに疑問を持つ。それは、うずめが守る、逃げ遅れた者たちだ。

人間がいないとすれば、守る対象は限られてくる。動物や植物だろう。だが、どうもそうではない気がするのだ。今のこの世界で、光樹の知っているような生き物たちが生き残れるとは思えなかった。

そこで光樹はあることを聞く。それは、人が消えた理由についてだ。

 

「なんで、人がいないんだ?まさか全員、あの紫の巨人…ダークメガミって今仮に呼んでるやつとエクストリームガンダムに?」

 

すると、うずめは難しい顔をしたのち、答えた。

 

「…さぁな。そこんとこは、俺もよく知らないんだ。」

 

…?なぜ知らない?光樹の頭の中では疑問が渦巻く。うずめはこの世界の住人ではないのだろうか。

更に聞き入ろうとしたが、そこでうずめは、先程光樹が疑問に思った逃げ遅れた者の正体について明かした。

 

「けど、人間の代わり…って言い方も変だが、言葉の通じる善良なモンスターたちがこの国には多く暮らしているんだ。」

 

なるほど、善良なモンスターか。それを守っているのだと理解する。モンスターと言われると、敵という認識が多いが、味方するモンスターもRPGゲームに居てもおかしくはない。

そう考えたのち、うずめが再び、作戦内容について話し始める。

 

「そして、今回の作戦だが、そいつらがこの街から避難するまでの時間稼ぎだ。」

 

「はいはーい。質問があるんだけどさ、他に仲間とかいないの?」

 

ネプテューヌの質問はもっともだ。いくらこちらが四人という人数でも、あの巨体の敵二体を相手にする以上、更に戦力の増援は欲しかった。

だが、現実は非情なものであった。うずめは答える。

 

「残念ながら、戦えるのは俺たちだけだ。」

 

「この絶望的な状況の中で…一人で戦ってきたっていうのか!?」

 

思わず驚愕の声を上げる。普通なら逃げるはずだ。だけどうずめがここまで戦って来れたのは、女神としての使命(まだ女神化していないので本当にそうかはまだ判断しない)、そして彼女に味方するモンスターを守るためだろう。今までの行動を振り返ってみていると、その全力さが分かる。一人で多数のモンスターと戦っていたこと、光樹達を敵として誤認したこと、それらにうずめの熱意が伝わってくる。

そこまで考えたところで、先程の光樹の言葉を返す。

 

「…正直、俺もよく今まで持ってると思うよ。住めそうな場所を見つけてもデカブツが現れる度に逃げる日々…。その上、あのエクストリームのフィールド変更で無事な建物も廃墟に変えられる。それを何度も繰り返しているうちに、気がつけば、街も大地も壊され、どんどん行き場がなくなってる…。」

 

その被害を話しているうずめの表情に曇りが出来る。余程悔しいのだろう。

するとそこで、ネプギアが核心をつく話を出す。

 

「どうにかして、あの大きいのをまとめて倒すことは出来ないんですか?」

 

「そうそう。早い話、あのデッカイのを全部倒しちゃえば、解決だよね?」

 

ネプテューヌが結論を出す。まあ確かにあのダークメガミとエクストリームガンダムを倒せば世界は救われるだろうが、そこに至るまではかなりの時間がかかるだろう。

そして、うずめもその言葉に答える。

 

「おいおい、簡単に言うなよ。悔しいが、こちとら何度も挑んで負けてるんだからよ。」

 

「やっぱり、何回か負けているのか…。大丈夫か?」

 

「ああ、まだ倒れるわけにはいかない。俺を頼ってくれるやつらがいるからな。」

 

うずめは強気で答える。その声は頼りになるの一言である。

と、そんな中、ネプギアが心配そうな顔をする。おそらく、先程うずめが何回も負けているというのを聞いたためだろう。光樹はネプギアに聞く。

 

「大丈夫か、ネプギア?」

 

「あっ…すいません。私たち、あのモンスターたちに勝てるのかなって…そう思っちゃって。」

 

「そんな顔すんなよ。今は無理でも、倒す策は考えてあるんだ。ただし、まだ準備中だけどな。」

 

うずめはそう語った。倒す策が何なのかは知らないが、それの準備が整えば、あれも倒せるのだろう。期待すべきだ。

そこで話はまた戻される。

 

「で、肝心の時間だが…」

 

そう言ったところで、「ピロリピロリ」と電子音が鳴る。それはうずめが左手に付けてあった端末からの物だった。どうやら通信端末のようで、うずめが通信に出る。

 

「俺だ、そっちの避難状況はどうだ?」

 

通信端末に話しかけると、やけに男前な声が返ってくる。

 

『うずめか、無事なようで安心したよ。こっちの避難状況は七割と言ったところだ。』

 

「まだ結構残ってるな。」

 

うずめと、話している人物の会話の聞いていると、まだ少し残っているようだ。だが、それ以上に気になったのが、話し相手の声だ。

 

(あれ、俺どっかであの声聞いたような気がする…。)

 

何かガンダム関連で聞いた気がする。ガンダムだけじゃなく、別のロボットアニメで何回か聞いたことがある気がするのだ。

そう考えている間にも、話が進んでいた。

 

『すまない、苦労をかける。』

 

「気にすんな。それじゃあ、引き続きそっちを頼む。」

 

『あぁ。うずめも、くれぐれも無理はしないように。』

 

そう言ったのち、通信を切る。すると、その様子を見ていたネプテューヌがその人物について聞く。

 

「ねぇ、今のイケメンボイスの人誰?うずめの仲間?」

 

「あぁ、そうだ。ちょっと、口はうるさいがな。」

 

「さっきの会話からすると、うずめが守ってるモンスターたちのまとめ役、ってところか?」

 

「そうだぜ。ホント頭が上がらないよ。」

 

言葉を交わしたのち、四人は出発準備を整える。

 

「さて、それじゃあ、そろそろ行くか。くれぐれも忘れ物だけはするなよ。」

 

そして四人は、再びあの巨大モンスターたちと戦うべく、ビルを出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしたち四人は、またあの街に来ていた。理由はもちろん、うずめが守ってるモンスターたちの逃げる時間を稼ぐためだ。

そんなわけで、道中にいるモンスターを倒しながらあのでっかいのを目指していた。そこでわたしはうずめにでっかいのの倒し方について聞いた。

 

「ねぇ、うずめ。あのでっかいのと戦うのに、なんか作戦はあるの?」

 

「いつも通りなら、デカブツよりもモンスターの群れが街に来るはずだ。先にそいつらを潰す。」

 

その返しに、わたしは答えた。

 

「おっけー。とにかくここに来るモンスターたちをやっつければいいんだね!」

 

「あぁ、そうだ。そういえば名前聞いてなかったな。名前はなんだ?」

 

「そういえば、忘れてたよ。わたしはネプテューヌ。よろしくね、うずめ。」

 

「ネプチュ…言いづらいな……。」

 

うずめは少しの間、考え込む。しばらくした後、うずめは何かを思いついたように顔を上げ、口を開く。

 

「よし、じゃあ頼んだぜ、ねぷっち。」

 

そこでネプテューヌは自身を予想外のあだ名で呼ばれ、驚く。

 

「ねぷっち!?」

 

「ネプなんとかだと、言いづらいだろ?だからお前はねぷっちだ。」

 

「でました。初対面の人がわたしの名前を言えないパターン…。」

 

まさかうずめがわたしの名前を言えないとは…。いや、確かに言いにくい名前だけどさ、もう一つのゲイムギョウ界にいるぷるるんも正しく言えなかったけど、うずめもなんだね、と思ってしまう。

だけど、それでも構わなかった。

 

「けど、わたし的には新鮮で可愛いアダ名だから大歓迎だよ!」

 

そう、そのアダ名が気に入ったのだ。そんなアダ名、わたしじゃ考え付かなかった。加えて可愛いのでそれが余計気に入った。

さらにうずめはネプギアと光樹にも同じようなアダ名を付け始める。

 

「ちなみにネプギア…だったっけ?お前はぎあっちで、光樹はこうっちな。」

 

「ぎあっち!?」

 

「…はいっ!?」

 

二人共、その名前で呼ばれることに困惑したのか、驚きの声を出す。

 

「ねぷっちとぎあっちは二人共、ネプから始まったら被っちまうだろ?だから、お前はぎあっち。それとこうっちは同じようなあだ名の方がいいだろ?」

 

それを聞いて、真っ先に返答したのはネプギアだった。少し嬉しそうになりながら呟く。

 

「…ぎあっち。ぎあっち、かぁ…。えへへっ、アダ名で呼ばれるの初めてかも。」

 

「よかったね、ネプギア。」

 

だけど、喜んでいるネプギアと対照的な反応だったのが光樹だった。

 

「いやいやいや!なんでそんな女っぽい名前なんだよ!!」

 

「えー、でもいいじゃん!こうっちって。」

 

ネプテューヌは光樹にそのアダ名を受け入れてもらおうと説得するも、光樹はその嫌がる理由を答える。

 

「いや…俺が覚えている昔の記憶の中で、友達に「メイド服着せたら似合いそう」って言われて以来、自分を女扱いされるの嫌なんだよ!」

 

それを聞いて、うずめは申し訳なく答える。

 

「そ、そうなのか…そうだよな。男が女に見られるのって、この上なく悔しいよな。」

 

「あ、じゃあ…。」

 

うずめは光樹に答える。

 

「よろしく頼むぜ、光樹。」

 

「…ああ!」

 

二人は腕を打ち合わせる。どうやら二人の仲は深まったようだ。安心安心。

 

 

 

 

と、思ったその時、こちらに向かって大群の足音が聞こえてきた。このタイミングで足音が聞こえてくるなら、意味するのはただ一つ。

うずめが、それに対して言う。

 

「さぁて、どうやら第一波のお出ましのようだぜ。三人共、気合い入れて行くぞ!」

 

それを聞いて光樹が変身を行う。すぐに戦闘態勢を取る。

そして、モンスターの大群に立ち向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつで!」

 

「ベーダ―…。」

 

こちらに迫っていたドット型の敵、ベーダー系のシカベーダー二体をANビームライフルⅤで撃破する。

現在光樹達は敵モンスターの第一陣を全員で迎撃していた。モンスターは先程倒したベーダー系が多く、更にメタルガーダー系が二体、さらに後ろに、指揮官と思われる魚のようなドラゴン型が控えていた。だが先程の攻撃で残っているのは指揮官のドラゴン型だけであった。

シカベーダーを撃破すると同時に、ANビームライフルⅤをロングライフルモードに切り替え、高出力ビームを撃った。ドラゴン型の腹部に直撃し、貫通こそしなかったが、大きなダメージを受けている様子だった。

 

「いくよ、ネプギア!」

 

「えーい!!」

 

ネプテューヌとネプギアの姉妹の息ピッタリの連携攻撃がドラゴン型を襲う。ネプテューヌがクロスコンビネーションから打ち上げをした後、ネプギアのミラージュダンスが叩き込まれ、地に落ちる。だが攻撃はそれだけでは終わらない。

 

「いくぜ、必殺!!」

 

うずめが叫ぶと同時に全力で敵に踏み込む。間合いに入ると、相手を蹴りつけ、宙に舞い、高空から大出力の衝撃波を飛ばす。衝撃波による押しつぶし攻撃をまともに受け、ドラゴン型は力尽きたかのように見えた。

だがうずめが着地した瞬間、モンスターがその時を待っていたかのように、全速力でうずめに突撃してくる。おそらく、うずめにだけでもダメージを与えようという考えなのだろう。

 

「ちっ、特攻か!?」

 

うずめは防御態勢を取ったが、その特攻は不発に終わった。

ドラゴン型の動きを、空から発せられた光の線が止める。それは、光樹のブラッドゼロガンダムの遠隔操作兵装、ANドラグーンⅤからの攻撃である。

 

「トドメ!!」

 

その声と共に腹部のANハイカノンⅣからビームが放たれる。その一撃がドラゴン型を貫き、消滅させる。それにより、敵が辺りにいなくなる。

 

「ふぅ…。これでこのあたりのモンスターは片付いたかな。」

 

ネプテューヌは脅威が一旦いなくなったことで一安心する。だがうずめがまだ終わりでないことを言う。

 

「いや、第一波を凌いだだけだ。第二波、来るぞ!」

 

その言葉と共に、あるモンスターが物陰から出現してくる。それは体長3メートル程の犬のようなモンスターだ。しかし、こいつも以前戦った悪魔型こと個体名称「アルゴディウス」やメタルガーダーと同じように、今までに見たことのない、いわゆる「新種」である。油断は出来ない。

 

「…今までのより、大きい。」

 

と、その敵を見たうずめの顔に笑みが浮かぶ。

 

「…はっ。やっぱ、テメェがいるわな。」

 

「うずめ…?あのモンスターを知っているのか?」

 

光樹はうずめに聞く。すると、うずめは得意げに答える。

 

「…知っている?へっ、それどころか腐れ縁の関係だぜ。こいつには、何度もデカブツたちとのタイマンを邪魔されてるからな。」

 

そういうことか、と光樹は理解する。うずめと腐れ縁となる程であれば、かなりの強敵だ。ますます油断は出来ないだろう。

敵の犬型モンスターがこちらに唸り声を飛ばす。

 

「グルルルル…。」

 

だが、それに対しうずめは余裕そうな表情を見せる。そして、ポケットからあるものを取り出す。それは、淡く輝くクリスタルであった。それを敵に見せながら、うずめは言う。

 

「おい、犬っころ!テメェとの因縁も今日限りで終わりにしてやる!」

 

おそらく、そのクリスタルがあのモンスターを倒すための切り札なのだろう。だが、それが何なのか、光樹は全く分からなかった。何せ、そのような形のアイテムをネプテューヌシリーズで見たことが無かったからだ。

ところが、ネプギアの言葉で、それの正体に気づく。

 

「そ、それはシェアクリスタル!?」

 

シェアクリスタル、それはシェアエネルギーを凝縮させて生み出す結晶である。光樹はネプテューヌRe;Birth2をやった時に、それを知った。

だが、今なぜ?と考える。あれは女神にエネルギーを供給したりするものだったはずだ。しかし、それはすぐに知らされることとなった。

 

「今日は今までと違って、仲間がいるんだ。デカブツ共々、テメェもぶっ倒してやる!―――――シェアクリスタル!変身ッ!」

 

 

 

 

その言葉と同時に、うずめが光に包まれる。

 

 

 

 

そして光が晴れると同時に、うずめの姿が大きく変わっていた。

身に纏っているのは、先程の改造ワイシャツやスカートと違い、肌に密着した専用のスーツに変わっている。加えて髪の色はオレンジ色に変化しており、髪型も少々編み込んでからのツインテールから、髪の毛を側頭部でくるくるさせて下に下した…くるくるお団子ヘアー(光樹即命名)にしていた。その上目の光彩には電源マークが出現する。

違いはそれだけではない。更に体の各部にパーツが出現していた。頭部にはカチューシャのようなパーツを乗せ、背部にウイングパーツを浮遊させている。加えて腰には後ろにブースターを備えたパーツ、足にはローラースケートのようなパーツを足に装備していた。そして腕にはシールドと思われるパーツを付けている。

それらが意味するのはただ一つ、うずめが女神化したのだ。うずめと出会った時に言っていたことは間違いではなかったのだ。

 

「変身かんりょー!」

 

うずめが気の抜けてしまうような声でそう叫ぶ。その声には思わずネプテューヌ達も…。

 

『だ、だれーーー!?』

 

と、驚愕の声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、しかし、ここで最も驚いていた人物がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何……だと……?」

 

光樹は思わず言葉を失う。他の人から見れば、大袈裟かもしれないが、当然理由があった。

オレンジ色の髪、特徴的な髪型、体に密着するタイプのスーツ…それらの特徴全てが、「あの人物」に似ていたからだ。

 

(あの姿は…あの声は……!?)

 

間違いなかった。間違えるはずがない。なぜならあの姿は…

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲイムギョウ界に飛ばされる直前に、「自分を救って」と言った少女に瓜二つだったのだから。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
次の話では、ちゃんとうずめを戦わせます。また、光樹君のうずめとの絡みも入れます(物理的な)。その際は人を選ぶ可能性があるので注意してください。

そういえば、PS3・PS4を持っている、もしくはガンダムファンの方なら知っている方もいると思われますが、ガンダムバトルオペレーションNEXTが配信されましたね。
自分はヒカル君からNEXTの話を聞き、前作の無印もやっているのでせっかくだからこっちもやってみようと事前登録をしておきました。
それで昨日、早速やってみました。
それで、感想ですが…あれ無印の要素ほとんどありませんね(笑)。無印の要素と言えば、中継地点や、タックルくらいだと思います。
加えてゲームの操作性から、あれは自分もやったことのあるバトルデスティニーやパーツ外れのないガンダムブレイカーの感じがします。

色々話しましたが、あくまでこれは私の意見です。他の方がやれば、面白いと思う方もいるはずです。
私はデスティニーガンダムがホームページに出ていることに自分は歓喜していたりします。きっと出していただいたら、使うと思います。出来れば壊れ性能なんかにならないくらいのバランスで来てほしいです。その時になれば、楽しくやっていけるかなと自分は思っています。

さて、関係ない話が長くなってしまいました。申し訳ありません。
では次回の投稿は日曜日を予定しています。

次もお楽しみに。


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第18話 中ボスとオレンジの女神とうっかり

どうも皆様、お元気でしょうか。
文化祭にてオレンジハートの絵を漫画アニメ部にリクエストして描いてもらい、可愛くてテンションMAXな、藤和木弘です。

第18話、投稿です。
ここで、注意事項です。
今回のお話では、主人公がイチャイチャするシーンがあります。それらが苦手な方は、注意してください。
…まぁ、そんな方は少ないと思われますが、一応書いておきます。

では本編どうぞ。


 

 

「もう、誰って失礼だなぁ。うずめだよ、う・ず・め。一緒に頑張ろうね、三人共。」

 

うずめはネプテューヌ達の言葉を気にせず、言葉を返すと、そのまま戦闘態勢に入る。その言葉を聞いたネプテューヌ達も、同じように戦闘態勢を整える。

が、そんな声も光樹には届いていなかった。自身に助けを求めた女神が、目の前に現れたことに衝撃を受け過ぎたのだ。

と、そこに変身したうずめが声を飛ばす。

 

「!!光樹、何やってるの!?敵来てるよ!!」

 

「えっ…!!しまっ…がっ!?」

 

ようやくその声に気づいた時には遅かった。光樹は敵の犬型モンスターの攻撃を受け、ビルに叩き付けられる。攻撃を受ける前に咄嗟にANビームライフルⅤ・ロングライフルモードを盾代わりにして攻撃を防ぐ。更にゼロが、ウイングスラスターからANフィールドを展開してクッション代わりに発生させたことで、叩き付けのダメージもゼロにする。だが攻撃を直接受けたANビームライフルⅤは敵の強力な爪によって引き裂かれ、爆発する。

そこで心配して声をかけてきたのはネプギアであった。

 

「光樹さん、大丈夫ですか!?ボーっとしていたみたいですが…。」

 

「わ、悪い、ネプギア。反応が遅れた。」

 

すぐに返答すると、光樹は戦闘態勢に入った。不意打ちとはいえ、こちらに攻撃を当ててくるとは…。あのモンスター、侮れない。ゲームで言う中ボスであるのは伊達ではない。

しかしやられるだけとはいかない。こちらも返しに、ANビームライフルⅤを失ったことで常時使用可能になったANヴェスバーレールガンⅣをヴェスバーモードで放つ。

一直線に放たれたビームではあったが、相手に刺さることはなく、避けられる。代わりにこちらに炎のブレスを放ってくる。

ネプテューヌらは回避する。しかし光樹は先程の攻撃で体の方にダメージが入ったせいか、回避が遅れる。すぐにゼロが機体のANフィールドを張り、加えて自動操作でシールドを構える二段防御で敵の攻撃を凌ぐ。

その攻防の間に、ネプテューヌが敵の背後に回り込む。

 

「光樹、ナイス!はぁぁーーー!」

 

ネプテューヌの武器の一撃が敵の後頭部にクリーンヒットする。敵は態勢を崩した。

 

 

 

 

かに見えた。しかし、敵はそのダメージを気にせず、代わりに尻尾による攻撃でネプテューヌに攻撃してくる。

ネプテューヌは防御態勢を取る。何とか攻撃を耐えきり、着地する。やはりこいつはかなりの実力を持っていることを知らされる。

だがそれでも負ける可能性は低い。こちらは4人、対して相手は1体。数では有利だ。そう切り替えると、光樹は背部のANランチャーキャノンⅡをランチャーモード、キャノンモードの同時発射で弾幕を張っていく。

敵はその巨体故、避けるのは厳しかった。防御態勢を取るがブラッドゼロの砲撃に徐々に体力を減らしていく。そこにネプテューヌたちが光樹の砲撃に当たらないようにしながら、追撃を加えていく。

このまま行ける、と思っていたが、ここで突然ANランチャーキャノンⅡからのビームが途切れる。

なぜ?と思った。するとゼロが告げる。

 

『ANランチャーキャノンⅡ、オーバーヒート。冷却後、再使用まで10分。』

 

「くそっ、オーバーヒート早すぎじゃ…」

 

そんな感じにツッコむと、ゼロが返す。

 

『あなたの武器の使い方がひどすぎる。本来その武器は1モードだけで使用するもの。反対側の砲口は熱を排出する役目を持っているので。』

 

「……悪かった。」

 

思い切り批判される。正直言ってそう言われるのはきつかった。

だがすぐに考えを変えていく。他の武装を使えばいいだけである。光樹はANZEROユニット・ZEROキャノンモード、ANアームドアーマーZR、ANヴェスバーレールガンⅣ、ANハイカノンⅣ、更にANロストカノンⅡ・ライフルモードを構える。

しかし、敵はそれを逃さなかった。その隙にネプギアの方に向かって飛び上がる。そして、その巨大な爪を振るおうとする。

当然、光樹はネプギアにけがをさせないよう、構えた武器の攻撃で落とそうと、射撃を開始する。だがその攻撃も物ともせず、敵はネプギアに迫る。だが近づけば近づくほど、こちらはネプギアに当てたくないということで、射撃がしづらい。

光樹の攻撃も空しく、敵はネプギアに攻撃を仕掛けた。ネプギアは後ろに回避行動を取るが、敵はそのまま突撃して追い込んでいく。とうとう、ネプギアはビルを背に追いつめられてしまう。

 

「うっ…もう後に引けない…!?」

 

焦るネプギアに、敵は容赦しない。飛び掛かろうとする。

だが間に割って入った人物がいた。うずめだ。うずめはすぐに敵の顔のど真ん中を殴って吹っ飛ばす。

 

「大丈夫?ぎあっち。」

 

「ありがとうございます、うずめさん!」

 

ネプギアの危機は一旦去る。しかし、今度はうずめごと襲おうと飛び上がる態勢を取る。

そうはさせまいと、ネプテューヌが邪魔に入る。

 

「いっくよー!クロスコンビネーション!!」

 

刀による連撃で足にダメージを蓄積させ、飛び上がれないのを狙っての行動だったが、それに構わず、敵はネプギアたちに襲い掛かる。

だが二人は既に先程の地点にはいなかった。ネプテューヌがスキル「クロスコンビネーション」で足止めしている間に、二手に分かれて回避したのだ。二人が居た場所に、思い切り激突する。

 

「あはは!うずめはこっちだよー!」

 

うずめが敵に対して挑発する。その挑発を受けて怒りが頂点に達したのか、敵は今までよりも大きく吠える。

 

「ガルルルルルッ!!」

 

そして、攻撃対象をうずめに定めて、爪と牙を交えた連続攻撃の嵐を浴びせる。だがうずめはそれらを腕のシールドも合わせてそれらの攻撃をいなしていく。中には拳を敵の前足裏に爪が振るわれる前に殴ったり、敵の口が開く前に顎下から一撃を浴びせて牙の攻撃を防ぐなど、かなり危ない防御法もある。

それでも回避を続けていく。だが、うずめはビルの壁際に追いつめられる。

 

「ガルルルル…!」

 

敵モンスターがしてやったりな声を出す。更にうずめに考える暇を与えないように切り裂き攻撃を連発する。

何回目かの攻防で、うずめが体勢を崩す。そこを好機と見た敵は突撃を行う。うずめに直撃する…。

 

「残念、よっと。」

 

直前に上に飛び上がり回避する。そのまま直進した敵はビルに突っ込む。その様子を見て、地面に足を着けたうずめはこちらにピースをする。

 

「いえーい、うまく誘えた!!」

 

だが、それが間違いであった。突如周りが揺れる。慌てて周りを見る。すると、先程敵の突っ込んだビルにヒビが入っていく。それはすぐに両端まで伝わり、そして――――。

 

 

 

 

ビルはこちらに向かって倒れてくる。

 

 

 

 

「上から来るよ!気を付けて!」

 

ネプテューヌの言葉が響く。すぐにネプテューヌとネプギア、光樹が倒壊の範囲外に出る。最後にうずめが出る。はずだった。

突然、うずめの体勢が変に崩れ、こけてしまう。

 

「ほにゃっ!?足に何か引っかかった?」

 

すぐに足元を見ると、そこには上方向にひしゃげた道路の一部であった。ちょうど見えないかつ、滑空して当たるくらいの高さまで剥がれていた。

それに気を取られ、うずめが気がついた時には、ビルが倒れ始めるところだった。

 

「あっ…。」

 

「っ!!うずめ!!手を上げろ!!」

 

「光樹!?何を…。」

 

ヤバイと思った光樹は、すぐにうずめに指示を飛ばした。うずめがその指示に従い、手を上げると同時に、光樹はブラッドゼロの膝の部分から、あるものを飛ばす。それがうずめの腰に巻き付けられる。

それは、ANスラッシュハーケンアンカーⅡだった。先に取り付けられたハーケンがうずめに当たらないかとヒヤヒヤしたが、そんな心配は杞憂に終わる。

巻き付きが終わると、また指示を出す。

 

「よし、すぐにこっちに全速力で飛んで!!」

 

「う、うん。」

 

すぐにうずめがウイングパーツ、腰と足のブースターを出力全開にしてこちらに飛ぶ。そして光樹はゼロに命令する。

 

「ゼロ、アンカー巻き取り!引きすぎるなよ?」

 

『了解、高速巻取り、開始。』

 

すぐにアンカーの巻取りが行われる。アンカーの巻取り速度がうずめの速度を追い越すと、更にうずめを引っ張っていく。

そして何とかうずめをキャッチする。その1、2秒後、ビルが地面に完全に横倒しになった。もしこちらがアンカーで引っ張るという考えがなければ、うずめは今頃ビルの下敷きだったかもしれない。

光樹はすぐに、うずめに無事であるかを聞く。

 

「うずめ、大丈夫か?」

 

「ありがとー!助かったよ。感謝感謝ー。」

 

うずめは笑顔で答える。表情的にも余裕が見られる。本当に大丈夫なようだ。

と、そこでうずめは下を向く。そして、若干顔を赤らめる。

 

「あ…。」

 

「ん?」

 

光樹も下を向くと、その赤らめる原因を知る。今、光樹はうずめと向かい合って抱きしめている。そうなった理由はもちろん、先程アンカーで急速でうずめをこちらに引き寄せ、回収したからだ。

…何が言いたいのかと言うと、うずめの体が自身の体と密着していたのだった。そして自分のことを考慮した瞬間、深い意味を理解する。

 

「あ、…ごめん…!!」

 

あまりの事態だったことと、よく頭が回らなかったとはいえ、これはやばいことをした。もしこんな光景を友人にでも見られれば、ニヤリとして、煽ってくるに違いない。すぐに離れようとする。

が、急に前に引っ張られるような感覚が発生し、前のめりになる。危うく、頭と頭が激突しそうになる。

 

「ふにゃ!?お腹が苦しいよ。」

 

うずめがそう答える。そこでようやく重要なことを思い出す。

 

(あっ、アンカー巻いたままだ!!)

 

なぜそんな重要なことを忘れていたのだろうか。おそらくうずめが無事だったことに安堵したため、それでいろいろ抜けてしまったに違いない。

そうとなれば、すぐに外さないといけない。光樹はアンカー先端部に近いアンカーの部分を持ち、外そうとする。しかし、

 

「あれ、外れない?…絡まってるのか。」

 

いつまでも時間があるわけではない。すぐにあの大型犬のモンスターが来るかもしれないのだ。だがそう考えるほど焦りが増し、アンカーを解くのが難しくなってくる。更にアンカーを引っ張ると、うずめが思わず声を上げる。その声のせいで集中力が途切れる。

そこで光樹はあることをゼロに提案する。

 

「ゼロ、アンカー切断機能はあるか?」

 

『切断は可能。むしろこの状況では一刻も早く、動けるようにするべき。』

 

ゼロは答えるとすぐにアンカーを根元部分から切断する。うずめと離れることに成功した。

離れるとすぐにうずめは体に巻き付いたアンカーを外そうとする。その間、光樹は警戒に徹する。

と、そこでビルの向こう側から、声が聞こえてくる。

 

「光樹さん、うずめさん、大丈夫ですか!?」

 

声の主はネプギアだ。その声にすぐ言葉を返す。

 

「こっちは大丈夫だ。そっちはどうだ?」

 

「大丈夫です!でも、こっちから直接そっちに合流するのは難しそうです…。」

 

その返しに、光樹は考え込む。ネプギアたちと合流した方がもちろんいい。しかし、今飛ぼうとした時にモンスターが襲ってでも来れば、大きな隙を見せることになる。

そこで考えたのが、ブラッドゼロの攻撃でこのビルに穴を開けるというものだ。武器の一つ一つの威力は低いだろうが、一斉攻撃…フルバーストなら壊せるかもしれないと思ったのだ。

そしてネプギアたちにその事を伝える。

 

「二人共、離れていてくれ。俺の機体の攻撃で穴を開ける。」

 

「了解―!ど真ん中ぶち抜け!!」

 

そんな言葉を受けながら、光樹はオーバーヒートしているANランチャーキャノンⅡ以外の全射撃兵装を展開する。

だが放とうとする前に、行動を遮られる。突然、倒れてきたビルの根元部分から何かが飛び出してくる。

 

「光樹!危ない!!」

 

アンカーを外したうずめの声で気づいた光樹はすぐに回避、襲ってきた敵に対して、展開していたANドラグーンⅤを放つ。敵は防御態勢で、ビームを耐える。見るとそれは、先程ビルに突っ込んだ犬型モンスターだった。どうやら、まだ戦えるようだ。しかし、その足取りはよろよろとしていた。

ここで決めるしかないと判断した光樹は、両手にビームサーベルを構える。加えて、ビルの向こう側にいるネプテューヌとネプギアに向かって叫ぶ。

 

「ネプテューヌ、ネプギア!手が離せなくなったから、そっちで何とかこっちに来てくれ!」

 

「さっきと言ってること違うけど、なんかあった?」

 

「もしかして…さっきの敵が来たんですか。」

 

ネプギアは頭の回転が早くていい。言葉を返す。

 

「ああ、うずめと二人で相手をするから…。」

 

「わたしたちはそっちに行ける道が無いか探せってことだね!任せてよ、すぐに助けに行くから。」

 

ネプテューヌが意味を理解し、答えた。流石はネプテューヌと言ったところか。その言葉を聞いたのち、光樹はうずめと、あの犬型モンスター「メガスレイモン(ゼロが自動的に個体名称を決定した)」と戦うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし!じゃあ早く光樹たちに合流しないと。行こう、ネプギア。」

 

ネプテューヌはネプギアに声をかける。しかし、その言葉を受けたネプギアは、何かを考えている様子だった。

そこでネプテューヌは何を考えているのか聞く。

 

「どうしたの、ネプギア。何か考えてるみたいだけど…?」

 

その言葉にびっくりしたネプギアは慌てて返事をする。

 

「え…!?う、ううん。何でもないよ?」

 

そうネプギアは言うけれど、明らかに挙動がおかしいのは明白だ。わたしは更に聞く。

 

「…本当に?」

 

「ほ、本当だよ!それより光樹さんとうずめさんに合流しないと。」

 

だけど、ネプギアにそう言われたので、それ以上は聞かないことにした。ネプギアの言う通り、早く合流しないと、二人ともやられちゃうかもしれない。

そして、ネプテューヌとネプギアは横道へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

私はお姉ちゃんに付いて行きながら、光樹さんの事について考えていた。光樹さんの事が気になるのではなく、先程攻撃を受けていた時の様子に違和感を感じていたのだ。

今までの戦闘の様子から、光樹さんが戦闘直後から攻撃をもらう等、考えられない。特に、うずめさんが女神化した直後から、光樹さんがやけにうずめさんを気にしているのを、何回か見ている。まるで、大切な存在であるかのように。

だけど、そんなことを気にしてばかりいるわけにもいかない。その二人がやられてしまっては、意味がない。

その考えを片隅に閉まって、ネプギアたちは二人の元に急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

やがてネプギアは、光樹の理由について、知るのだが、それはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この物語の最後で、衝撃の結末を迎えることを、まだ誰も知らない……。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
イチャイチャと言っても、そんなイチャイチャではなかったと自分では思っていますが、もし何かあれば、意見をどうぞよろしくお願いします。

で、冒頭に申し上げた、オレンジハートの絵なんですが…自分の心にクリティカルヒットしました(^^♪。
白黒な上、あまり時間が割けなかったらしく、体の方は詳しくは描けてはいないのですが、顔の部分がもう可愛いんですよ!
髪のふわふわさとか、目の部分のしっかりとした感じがいいと自分では思っていたりします。
もしかすると、Twitterのカバーに使うかもしれません。その時はこちらでもそのことを伝えようと思うので、見たい人はその時にどうぞ!

では、次の投稿はシルバーウィークの最初の土曜日に更新します。
次もお楽しみに!


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第19話 ZEROの脅威

どうも皆様、お元気でしょうか。
足をまたくじいてしまった、藤和木弘です。今年に入って3、4回目の足首くじきって何なんでしょうか。不幸体質ではないのですが…。

さてお待たせしました。第19話、投稿です。

タイトルから察すると思う方もいるかもしれません。
それから、R―18並みのグロ描写と思われるシーンが少しあります。ご注意ください。

では本編どうぞ。


 

 

「ガウウッ!!」

 

犬型モンスターのメガスレイモンが炎を吐く。当たればかなりのダメージであるのは明白だ。

しかし、射程は短い。光樹とうずめはすばやく後方に引いて避ける。

攻撃を避けると、うずめがメガホンから大声を出す。その声と共に発せられた衝撃波がメガスレイモンを襲う。

ここまでの戦闘で、かなりのダメージを与えてきたが、それでも敵はなお立ち向かってくる。最初は武器の相性が悪いのかと思ったが、違う。ゼロの予測では、こちらの攻撃の狙いが悪いと出ている。そう言えば、ゲームでも正面からの攻撃より、横や後ろからの攻撃の方が高い設定がされていたのを思い出す。

 

(このブラッドゼロなら…やれるか?)

 

機動力の高いこの機体に賭けることにした。背部ウイングスラスターの出力を上昇させ、一気に間合いに入る。

その行動に対応すべく、メガスレイモンも攻撃する。メガスレイモンの右前足の爪が、光樹に向かって伸びる。しかし、その攻撃は空を切る。うまく後ろに回り込んだ光樹がその背後にANアームドアーマーZRのレールガンモードを撃つ。その攻撃はメガスレイモンの後部に突き刺さる。

 

「ガウッ…!?」

 

メガスレイモンが体勢を崩す。そこをうずめは見逃さない。すぐに接近すると、空いている左拳で殴打していく。

だが、何発か受けたところで、メガスレイモンがうずめを吹き飛ばす。

 

「うっ…まだ倒れないの!?」

 

うずめが驚愕する。そして更に驚くことが発生する。

突然、メガスレイモンが口を大きく開く。そして炎の火球が飛ばされる。

 

「!?」

 

今まで行なってこなかった攻撃に反応しきれず、うずめに当たる。幸い、けがはしていなかったが、それでもダメージが入っているような様子だ。そこにメガスレイモンが突撃する。

 

「!?やらせるか!!」

 

すぐに左手にANビームサーベルⅤを持って、敵に急接近する。メガスレイモンを追い越すと同時に、機体を敵の正面になるように向きを変え、振るおうとする爪をANアームドアーマーZRとANビームサーベルⅤで受け止めた。

自身の前に突然現れたことに驚いたうずめが思わず声を出す。

 

「光樹!!助かったよー。」

 

その返しに光樹は言う。

 

「うずめ、離れていてくれ。全力で片づける!」

 

「ふぇ!?わ、わかった。」

 

すぐにうずめは地面を滑るように滑空しながら離れる。まるで、一昔前の若者がローラースケートで移動しているみたいにだ。

それを確認すると、光樹は機体の出力を上げる。その出力でメガスレイモンを押し返す。

そして、そのまま全力の指示を出す。

 

「コードゼロ、ZEROシステム、起動!!」

 

『ZEROシステム解放。情動欠落化および戦術データの装着者への強制インストール開始。』

 

それと同時に脳内にあらゆるデータが送り込まれる。次に感情の起伏が無くなっていく。

 

 

 

 

数秒後、光樹は完全な戦闘マシーンに切り替わる。

 

「……行く…。」

 

その不気味で静かな声を出して、メガスレイモンに突撃していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

光樹が着こんでいる(うずめが見た感じで)機械が何かの機能を使った後、光樹の戦い方が変わった。先程までは冷静に攻撃をしていく感じだった。けど、その後からは、まるで静かに敵を狩っていく、いわゆるハンターのような雰囲気を出しながら、わんわんを追いつめていた。

 

(光樹…怖い…!!)

 

正直言うと、この場から逃げ出したくなる位の殺気が、光樹から流れ出ているように感じる。その容赦のない攻めは更に過激になっていく。

右手の剣がわんわんの右前足に突き刺さると同時に真ん中から割れて速い弾丸が撃ちこまれ、血が噴き出す。その痛みに、わんわんが反応する。だけど、わんわんは貫かれた右前足を庇うようにしながら、戦いを続行する。

何度も何度も剣と爪がぶつかり合う。そこで光樹が攻撃の方針を変える。お腹のビーム砲からのビームが横に薙ぎ払われる。そのビームをわんわんはジャンプして避ける。でもビームはそのまま薙ぎ払われて、こちらに向かってくる。

 

「…って、え!?」

 

その攻撃を慌ててしゃがんで回避する。どこにも当たらずに、無事だった。うずめは驚きながらも、光樹に言う。

 

「ちょっと!危ないよー。」

 

でも光樹には、何も聞こえていないかのようだった。代わりに光樹は呟く。

 

「…目標を…殲滅する…。」

 

その言葉を言いながらわんわんに向かっていく光樹に、うずめは不安を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

ZEROシステム使用から2分、障害であるメガスレイモンは、かなりの疲労が貯まっていることが分かる。おそらく、何発かのビーム兵器が当たれば、普通のモンスターと同じように倒れるだろう。

そこで、光樹は、「仕上げ」にかかる。まずANアームドアーマーZRとANヴェスバーレールガンⅣのレールガンを撃って動きを止める。

 

「……ターゲットを固定する…。」

 

その言葉に偽りないように、次の攻撃に移った。ANビームサーベルⅤを取り出すと同時に、両前足に目がけて投擲する。ビームサーベルの光刃が、深く突き刺さる。これで準備は完了だ。

動けなくなったメガスレイモンに対し、こちらは左腕部のシールド裏に装備されたANロストカノンⅡを構える。砲身を開いたロストモードに切り替え、エネルギーをチャージする。

チャージは数秒で終わる。相手は何とかビームサーベルを抜くが、前足には相当のダメージが入ったことで動きが鈍っている。

そこに、ANロストカノンⅡ・ロストモードを撃つ。黒い光線がメガスレイモンを吹き飛ばす。吹き飛んだところで、追撃を加えようとした。

しかし、敵は立ち上がることなく、体勢が崩れ落ちる。しばらく警戒していたが、ZEROシステムの敵認識信号が消えたことで、警戒を解く。

だがそこで、ZEROが反応する。

 

「隙ありっ!!」

 

背部からその声と共に攻撃が襲う。

間一髪、ANアームドアーマーZRで受け止め、弾き飛ばす。

攻撃してきたのは紫の女神だった。少々驚いたが、それでも対応は変わらない。ZEROにも敵反応が出ている。敵反応は紫の女神の後ろに居る紫の女神の妹と、オレンジの女神がいる。

まずは確実に仕留めるべく、戦闘意志の若干低いオレンジの女神を狙う。

 

「っ!!?」

 

「………。」

 

紫の女神の妹の攻撃をいなしつつ、すぐに近接兵装の間合いに入る。オレンジの女神は何も太刀打ちする準備が整っていない。

すぐにANアームドアーマーZRを構え、振り下ろす――――――

 

 

 

 

(駄目だ!!)

 

直前、光樹自身の意識が戻る。それと同時にZEROシステムの情動欠落化が無効化される。

その無効化により、反動で光樹は膝をつく。直前にANアームドアーマーZRを杖代わりにして倒れそうになる体を支える。

危なかった。もしあそこで意識が戻らなければ、そのままうずめを斬っていた。

そう考えている所に、ネプギアが後ろから声をかけてくる。

 

「光樹さん、大丈夫ですか!?」

 

「うっ…。ネプギアか?…俺はなんてことを……。」

 

光樹は消耗した体で後悔の言葉を出す。リーンボックスで調べたときに、十分危険であることを聞いていたのに、制御できなかった。その事だけが、心の中を支配する。

そこにネプテューヌが来て、発言する。

 

「攻撃してごめんね。でもゼロシステムの兆候が見えたから…あっ!」

 

そこでネプテューヌが失言したかのように言葉を遮る。

だがその失言の意味は光樹にも分かっていた。そこで光樹はそこをついていく。

 

「…ZEROシステムの効果、知っているのか?」

 

そう言葉をかけると、ネプテューヌが目を逸らす。そこで、ネプギアが代わりに答える。

 

「……はい。実は光樹さんがリーンボックスから帰る前日の日に、お姉ちゃんと一緒にベールさんにそのことで呼ばれたんです。そこで、もし光樹さんがZEROシステムで暴走したら止めるよう言われたんです。」

 

それを聞いて理解する。おそらく、先程の攻撃は光樹の意識を戻すための物だったのだろう。

と、同時にネプテューヌ達に感謝する。もし二人の存在がなければ、ZEROシステムは解けなかった。

その事を言って、若干視線を下に落としているネプギアに言う。

 

「そんな顔しないでくれよ、ネプギア。二人が止めてくれなかったら、俺はあのままうずめを殺していたかもしれない…。本当に、助かったよ。」

 

「光樹さん…。」

 

「ちょっとー?ぎあっちと光樹。どういうことか、説明して。」

 

話の中に、うずめが入ってくる。かなり怒っているようだ。理由はおそらく、光樹がうずめに対して攻撃してきたことについてだろう。というわけで、光樹はうずめにその理由を聞くことにした。

 

「さっきはごめん、うずめ。怒っているのはやっぱり俺が攻撃してきたことか?」

 

すると、うずめは更に怒りを加えながら言う。

 

「攻撃してきたのもびっくりだったけど、でもこっちも巻き込んで攻撃してくるなんて、考えらんないよ!!」

 

「…え?巻き込んで攻撃?したの?俺が?」

 

「そうだよ。まさか、覚えてないなんて言うんじゃ…。」

 

まさかうずめを巻き込んで攻撃していたとは…。おそらくビーム兵器を薙ぎ払って攻撃したのだろう。当たっていなくても、罵倒されるのは確実だ。

 

「すみませんうずめさん。言い訳していいか?」

 

光樹はうずめに、言い訳を語り始める。こんなのでうずめが納得して許してくれるとは思わない。だが、一応謝りも兼ねて自分の現状を言うことは必要だと考えたから、こうしているのだ。

しばらく話した後、うずめは、

 

「…じゃあなんでそのゼロシステムっていうの使ったの?」

 

そう聞いてくる。そこで光樹は困る。どう言葉を返せばいいか、分からないからだ。あの時発動した理由としては、うずめ=オレンジ髪の少女ということを考え、うずめを救うために、うずめをやらせないためだった。だが、それらをまとめて言えば、確実に全員から質問攻めに遭うのは分かっていた。

そこで光樹は都合のいいように、言葉を変えて答えることにした。

 

「うずめに傷ついてほしくなかったから、なんだけど…。」

 

「ほにゃっ!?」

 

と言った瞬間、うずめが謎の言葉を発しながら顔を逸らす。…どこに顔を逸らす要素があったのか、いまいち理解できない。

だがその様子を見ていたネプテューヌが不敵な笑み(というより人をいじりそうな笑み)を浮かべながら、こちらに言ってくる。

 

「おー、主人公らしいセリフ、いただきました!」

 

「主人公らしいって…。」

 

ネプテューヌの言葉に対しそう答える。主人公と言えば、色々特権を持っているのが普通だが、あまり自分に特権なんかは無いと思う。自分の世界では個人所有の機動兵器は珍しくなくなっている。

だが、よく考えると、主人公要素が無いわけではない。いきなり別世界へ飛ばされ、落ちてきたのに命が助かることや、急に謎の声が頭に響いてきて、変身したり。

と、そこで目を逸らしていたうずめがこちらを向く。どうやら考えが決まったようだ。果たして、どのような返しが来るか…。

 

「とりあえず、ようやくわんわんに勝てたから、よかったよぉー…!」

 

うずめは笑顔で答える。意外な反応だった。おそらく、今までダークメガミとの戦闘で邪魔されていたのと合わせて、勝てたのがうれしかったのだろう。

だがモンスターを「わんわん」と称するのは…。

 

「わ、わんわん…。」

 

ネプギアもそれに対し、どう反応していいか困る。

しかし、戦闘中はあまり気にしていなかったが、女神化するとうずめはかなり女の子っぽい感じになると感じる。自分の事をうずめと名前で言ったり、ほにゃという独特の言葉だったりと、女神化前の性格が嘘みたいだ。

そう考えている内にも、うずめは感謝の言葉を述べる。

 

「でもねぷっちたちのおかげでやっと倒すことができたよ。感謝感謝―♪」

 

そう言ってくれると光樹もうれしかった。うずめの笑顔を見て、光樹も笑みが出る。

その言葉にネプテューヌが返す。

 

「お礼には及ばないよ!だってわたしたち友達だもん!助け合うのはトーゼンだよ。」

 

実にネプテューヌらしい返しだった。

そこでネプギアがそれに共感しつつ、重要なことをうずめに聞く。

 

「そうですよ。えっと…女神のうずめさん、お名前は?」

 

そう、名前だ。ネプテューヌやネプギアも女神化後の名前があるのだから、当然うずめにも女神化後の名前があるはずだ。まあ、髪の色から、予想はしているが。おそらく、名前は―――――。

そして、うずめがその質問に答える。

 

「オレンジハートだよ♪」

 

うずめ改め、オレンジハートがそう答える。こちらの予想通り、名前はオレンジハートで合っていた。おそらく、光樹の「夢(光樹仮称)」に出てきた少女も、このオレンジハートだろう。

すると、うずめに対し、ネプテューヌが言う。

 

「それにしてもさ、うずめの女神化にはビックリしちゃったよ。女神化してもっと強気になると思ったら、まさかの真逆なんだもん。これにはさ、さすがのわたしも驚きを隠せないね!」

 

ネプテューヌの言うことは共感できる。女神化前の性格的にそうなる可能性は高かった。

だがネプテューヌや神次元の女神、プルルートのように性格が全く異なるという女神もいるのを光樹は知っている。そのため、光樹はそれ程驚かなかった。

むしろ、驚いたのはうずめの女神化後の姿が「夢」の中で見た少女と同じだったことぐらいだ。

そこでネプテューヌの言葉を聞いたうずめが、疑問を投げかける。

 

「…あれ?ねぷっち、どうして女神のことを知ってるの?」

 

その疑問は当然だった。なぜ自分のような存在を知っているのか、それは知りたいはずだ。

そんな疑問に、ネプテューヌが答える。

 

「そうそう。さっきはいろいろあって言いそびれてたけど、わたしたちも、うずめと同じ女神なんだよ!」

 

その事実を明かされると、うずめは驚く。

 

「ホントなの!?ウソじゃないよね?」

 

「ホントホント!泣く子も黙るプラネテューヌの女神、パープルハートとはわたしのことだよ!と言っても、ここじゃシェアがないから女神化して見せることは出来ないんだけどね。」

 

うずめの問い掛けに、ネプテューヌが自信満々に答える。

聞いていて思ったが、ネプテューヌ、それは敵側が言うセリフのような気がする。

だがうずめはそんなことは気にせず、更に質問してくる。

 

「…てことは、ぎあっちも女神なの?光樹は…女神じゃないよね?」

 

明らかに光樹に対してはおかしな内容の質問だったが、それにネプギアと光樹が答える。

 

「はい、そうです。…ただ、私の場合はまだ女神候補生なんですが。」

 

「当然俺は女神なんかじゃない。ただの人間だ。」

 

「へぇー、奇遇だねー。まさか、こんな所でうずめ以外の女神に出会うなんて超ビックリだよー。」

 

それを聞いたうずめは、更に嬉しそうにする。自分以外の女神に会うのが、余程うれしいのだろう。一人で戦ってきた中で、仲間が増え、更にその内二人が自分と同じ女神であったなら、喜ぶのも当たり前だろう。

 

「それは、わたしたちもだよ。けど、これも何かの縁だし、仲良くしようね!」

 

「そうだね。」

 

ネプテューヌとうずめの二人が仲良く話し合う。その様子を、光樹は見守っていた。

 

(さて、そろそろ二人に元々の目的を思い出させるとするか。)

 

でも、いつまでもこんな所で時間を食っているわけにもいかない。まだ元凶であるダークメガミと、エクストリームガンダム・タキオンフェイズと戦ってもいないのだから。本来なら、それらも相手にして、時間を稼ぐつもりなのだから。

その事を伝えようと、二人の方に近づく。

 

 

 

 

瞬間―――――

 

 

 

 

「っーーー!?」

 

頭にヴィジョンが突然流れ込む。突然の事だったので膝をつく。

その内容は、女神化が解けているうずめが先程の犬型モンスター、メガスレイモンに襲われている光景だ。だがうずめの右腕は肩口から先が無くなっている。そしてその右腕はメガスレイモンの口に咥えられていた。血の吹き出す肩口を抑え、泣き叫ぶうずめ、その様子にショックを受け、固まっているネプテューヌとネプギア、そして茫然とその光景を見ているだけの光樹。

そんな光景が、一瞬の間に頭の中に流れ込んできたのだ。思わず吐きそうになるのを堪える。

そこで心配してきたネプギアがこちらに声をかける。

 

「光樹さん!?大丈夫ですか?まさかZEROシステムが…。」

 

そのネプギアの考えはおそらく当たっている。ZEROシステムが強制的に介入してきたのだ。強制的に介入とは、たちが悪い。だがZEROシステムがそこまでしてこんな光景を見せてきたのには、意味があるはずだ。

そこで光樹はすぐにそのヴィジョンに映っていたメガスレイモンの位置を目視で確認しようとする。

隠れているのかと思っていたが、メガスレイモンはすぐに見つかった。ただし、倒れておらず、うずめの数メートル後ろを気配を消しながら歩いて、だ。

もう飛び掛かれる距離まで来ていた。そして、光樹に自身の気配を悟られたメガスレイモンは、一気に距離を詰めようと突撃を開始する。

 

(不味い!!このままだと、あのヴィジョンの通りに…。)

 

しかし、光樹もモンスターが突撃のために地面を蹴る直前から動いていた。三倍になる機能の名を叫びながら。

 

「トランザムッ!!」

 

だがそれでも間に合うか不安だった。だからこそ、こちらも少し前からスラスターのエネルギー供給用コンデンサーにチャージしていた粒子をトランザムと同時に解放、瞬発的な速さでこちらのディスアドバンテージを打ち消す。

互いの速度は同じ、距離も大体同じ。だがメガスレイモンが攻撃態勢にかかる。

そして―――――

 

 

 

 

ザクッ!!

 

 

 

 

メガスレイモンの牙が……ブラッドゼロのシールドに突き刺さる。

 

「…ほにゃ?」

 

その一瞬の行動に、うずめ達がようやく気づく。と、同時にうずめが光に包まれ、女神化が解ける。

だがそちらに目を向けている暇はない。シールドで相手の動きを止めたまま背部ウイングスラスターと脚部バーニアを全開にして、勢いを付けて敵の下顎の部分を蹴り上げる。

 

バキッ!!

 

「ギャウン!?」

 

牙の折れる音と共にメガスレイモンが吹き飛ぶ。吹き飛んでいく間に、光樹はうずめを守るようにシールドを構えながら素早く着地した。また突撃することを警戒してのことだった。

しかし、メガスレイモンは着地すると同時に逃げていった。

光樹は周りに敵がいないのを確認した後、ゼロに話しかける。

 

「助かったよ、ゼロ。うずめの危機を知らせてくれたんだろ?」

 

先程のヴィジョンを見せたのはおそらくゼロが判断しての事だろう。そう思って言った。

だが、ゼロは答える。

 

『いえ、先程のヴィジョンはあなた自身の無意識がゼロに働きかけたから。私は関係ない。』

 

驚きだった。ゼロはてっきり自身の判断であると答えると思っていたのだが。

とはいえ、何とか出来たのだから、よかった。

そう思いつつ、光樹はネプテューヌらに合流するのであった。

 

 

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
ZEROの脅威と言う割には、ディスアドバンテージの描写が少なかったかな、と反省しています。

では、次の投稿は…

「おい、藤和木。」

何でしょうか、光樹さん。

「お前確か今日からシルバーウィークに入ったんだよな?」

は、はい。で、何?

「他の方の小説読んでいると、シルバーウィークにまとめて話を出す人が多いそうだ。」

あー、俺もそんなの聞いたことあるな。…で?

「俺たちも、今回はシルバーウィーク中にまとめて出すぞ!」

止めてください!!言うと思ったよ!だけどさ、俺がわざわざストック作って書いているのは、ヒカル君のチェックまでの時間の余裕を持たせるのと、今年受験だから、少しでも長く小説書くのを続けられるようにだね…。

「そんなことはどうでもいい、重要なことじゃない!今は多く話を出すことが大切だ!決定したからな!」

そんな…。

「というわけで、次回は火曜日に投稿です!お楽しみに!」

貴重な休みが…。(´・ω・`)仕方ねえ、書くスピード上げるか。エナジードリンク接続!トランザム!!


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第20話 一時撤退、弱腰ではない

どうも皆様、お元気でしょうか。前のお話でくじいた足のけがが、シルバーウィークの間、あまり動かなかったおかげで早く回復へと向かっている、藤和木弘です。

お待たせしました、予告通り、シルバーウィーク中の2話目、第20話の更新です。
逃げるシーンだけなので、あまり読みごたえは無いかもしれないですが、その分早く読めます。

では本編どうぞ。


 

 

「…ちっ。時間切れか。」

 

女神化の解けたうずめが言う。光樹は別にその言葉に違和感を持たなかったが、それを聞いていたネプギアが疑問を言う。

 

「時間切れ…?そういえば、シェアクリスタルで女神化していたような。」

 

「ん?シェアクリスタルで変身するのが、そんなに変なのか?ネプテューヌ達が変身する時も、シェアクリスタルが出現していたけど…。」

 

ネプギアに、光樹が質問する。以前見せてもらった女神化でも、二人共胸元にシェアクリスタルを出現させて変身していたのに、うずめがシェアクリスタルで変身していたことに驚いているのはおかしいと思ったからだ。

すると、ネプギアがそれに答える。

 

「あれも一応シェアクリスタルなんですが、あれはオリジナルシェアクリスタルって言うんです。うずめさんの物はア―ティファクトシェアクリスタルって私たちは言ってます。でも、大抵はどちらもシェアクリスタルって呼んでいるんですけどね。」

 

なるほど、原初と人工物という名で種類が違うのか。確かにア―ティファクトの方は基本教祖らが作っていたイメージがある。ガンダムでも、GNドライヴの名前が半永久か、そうでないかで名前が違っていたと考える。

ネプギアが解説した後、うずめがこちらに向かって言う。

 

「けど、さっきの犬っころが攻撃してくるなんて思わなかったぜ。サンキュー、光樹。」

 

「さっきのはZEROシステムのおかげだよ。お礼言うなら、ゼロに言ってくれ。」

 

「そうか…ありがとな、ゼロ。」

 

うずめがゼロにお礼を言う。だがゼロは何も答えなかった。多分聞こえてはいるのだろうが、答えたくないのだろうか。

だがそんな無視を気にせず、うずめは先程のモンスター、メガスレイモンについて言った。

 

「犬ッころを仕留め損なったのは悔しいが、これで存分にデカブツと戦えるぜ。」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ、うずめ!まさかその傷で、あのでっかいのたちと戦うつもり!?」

 

だが、うずめが自信を持って言う中、うずめを見たネプテューヌは制止の動きを見せる。

ネプテューヌの判断は正しい。全員が何らかの攻撃を受けた中で、突っ込むのは危険だ。特にうずめと光樹は、何回か攻撃を受けている。

しかし、うずめはそのようなことを気にせず、言葉を返す。

 

「おいおい、どうしたってんだ、ねぷっち。トコトン相手をするんじゃなかったのか?」

 

「そういうことじゃないでしょー!その傷じゃ無理だって言ってるの!」

 

ネプテューヌは必死にうずめを止めようとする。

光樹もうずめを止めに入ろうとした、その時。

 

 

 

 

ZEROシステムが反応する。

 

 

 

 

それと同時に、ネプテューヌとうずめの間あたりに爆発が起こる。

 

「ねぷっ!?」

 

「っく!?」

 

二人は吹っ飛ばされる。

 

「ネプテューヌ、うずめ!大丈夫か!?」

 

先程の爆発を、シールドで防御しながら光樹は二人の無事を確かめようと声を出した。しかし、声は返ってこない。

次に光樹は攻撃元を探る。おそらくあのダークメガミか、エクストリームだろう。

その考えは当たっていた。建物の向こう側にダークメガミがこちらに手を振りかざしていたのが見えた(手だけしか見えていなかったが)。

そんな中、うずめの怒りのこもった声が響く。

 

「…チッ!不意打ちたぁ、卑怯じゃねぇか。三人共、やられたからには倍返しだ!今度はこっちから打って出るぞ!」

 

そう言ってうずめはダークメガミに向かって行くため飛び出そうとした。しかし、

 

「痛っ…!」

 

急に横腹の部分を抑え、動きが止まる。顔を苦痛の表情にしている。

そこにネプギアが心配の声を漏らす。

 

「うずめさん、大丈夫ですか!?まさか、さっきの爆発で…。」

 

しかし、すぐに表情を平静にすると、答える。

 

「このくらいかすり傷だ、気にすんな。それよりも今はアイツらを…っと、そうだ、逃げ遅れたやつらは無事なのか!?」

 

そう聞くと、すぐにうずめは腕の通信端末を操作する。おそらく、モンスター達の避難を担当しているあのどこかのガンダムキャラボイスのやつに連絡するのだろう。

端末に入力し終わると、うずめは通信相手に話しかける。

 

「俺だ!避難状況はどうだ!?みんなは無事なのか!」

 

そう聞くと、すぐに声が返ってくる。

 

『うずめか。ちょうど今、となり町への避難が完了した。』

 

「よかった、間に合ったんだな。」

 

うずめが安堵の声を上げる。全員避難できたなら、目的は達したと言える。

通信相手がうずめに言う。

 

『あぁ、君が避難する時間を稼いでくれたおかげだ。』

 

これで何とかこの戦闘は終わりか。そう思っていた。

しかし、うずめは予想外の言葉を発する。

 

「なら、心置きなく戦えるってもんだ。」

 

「えっ…!?」

 

「みんな、無事避難できたみたいだ。三人のおかげだ、サンキューな。」

 

「そ、そんなことより私たちも逃げないと…!」

 

困惑する光樹の後に、ネプギアが正論を言う。目的を達したならば、ここは撤退すべきだ。不利な相手に突っ込んでも、ただの特攻でしかない。昔の言葉にも、「命あっての物種」というのがある。

しかし、うずめはそれを拒絶した。

 

「逃げるだと!?このチャンスをみすみす逃すってのか!」

 

だが、うずめが言った瞬間、再びZEROシステムが警告をする。

またダークメガミが攻撃の態勢に入る。

 

「…!」

 

「っ!」

 

「あぶなーい!」

 

「!?」

 

寸前、ネプテューヌがうずめを抱いて回避行動を取った。その直後、うずめが居た場所に爆発が起こる。

だが、ネプテューヌとうずめは無事のようだった。

 

「ふぅ、まさかの危機一髪。」

 

「二人共、大丈夫か?」

 

「だいじょうぶー!ギリギリだったけど、なんとか間に合ったみたい。」

 

「あぁ、ねぷっちのおかげでな。」

 

二人のその声を聞いて安心する。だが、呑気にしている場合ではない。これまでのモンスターの攻撃とダークメガミの攻撃でこちらが疲労しているのは明らかだ。加えて、ブラッドゼロの武装も、ANビームライフルⅤとANビームサーベルⅤを喪失、ANノイズドエナジーサテライトシールドが損傷している。ここは引くのが一番だ。だが、うずめの性格を考えると、まだ戦いそうな気がする。

そんなことはネプテューヌにも分かっているようで、うずめを止めようとする。

 

「もー!うずめは、こんなんでも戦おうっていうの!?」

 

「当たり前だ。」

 

それでもうずめは戦う意志を見せる。その姿はまるでネズミが猫に挑むかのようなものだ。

当然、そんなことをしようとするうずめを止めないわけがない。ネプギアと光樹は止めに入る。

 

「無理ですよ!早く逃げましょう!」

 

「俺も同意見だ。うずめはけがをしてるし、俺の方も武器を消費しすぎた。ストックしてる粒子残量もよくない。一旦撤退して…」

 

光樹はうずめの腕に向かって手を伸ばす。

だが、うずめはそれを聞いた途端、目の色を変えてその手を振り払う。

そして怒声をかけてきた。

 

「うるせぇ!!」

 

「な…!?」

 

いきなり大声で怒声をあげられたので驚く。

そしてうずめは怒りの感情を持ったまま、語る。

 

「せっかくデカブツとタイマン張れるチャンスなんだぞ!逃げるなら、光樹とねぷっちとぎあっちだけ逃げてくれ。俺は戦う。」

 

「な、何言ってるんですか!そんなボロボロの体で戦えるわけ…」

 

ネプギアがうずめを制止する。だが、ネプギアの制止はうずめには無意味のようだった。

うずめが反論する。

 

「いいや、戦えるね。例え、己の身が骨から削ぎ取れようと戦ってみせる。」

 

「うずめ…お前…!!」

 

怖いくらいの覚悟だった。まるで獅子のようなまでの気迫を発している。こちらが気持ちで押し負けそうになる。

しかし、ここで大人しくうずめの言う通りに戦わせて、もし死ぬようなことがあれば、あのオレンジの少女がうずめだと推測出来たことから、少女を救うことが出来ない。それ以前に、女の子を死なせたりなんて出来ない。

うずめは更にこちらに返す。

 

「それに、俺は死んでも喧嘩には負けねぇ!!刺し違えてでもデカブツを……!」

 

その言葉が出た瞬間、光樹は決めた。何が何でもうずめを止めなくてはいけないと。

大体そんな事を言って勝つ事例は少ない。運命の弓使いの僕だって負けている(自分はその作品見ていないので詳しくは知らないが)。

うずめの性格から、無理矢理止めないといけない。そこで光樹はディバイダー・ゼロシステムで意識を分断させる方法を考えた。リーンボックスでゼロに聞いた話によると、ディバイダー・ゼロシステムは様々な応用が効くらしい。使い方で様々なものを分断できると言っていた。ならば今、うずめを意識を分断してその間に撤退することもできるだろう。

そこで光樹はディバイダー・ゼロシステムを最低出力で起動させようとする。が、その行動は無駄に終わることになる。

 

「どっせーい。」

 

ドカッ!

 

「って―な!何しやがる!」

 

ネプテューヌがうずめにチョップを繰り出した。女の子とはいえ、女神の繰り出すチョップだ。かなりの痛さだったのか、うずめは叩かれた後頭部を抑える。

だがそんなことには気にせず、ネプテューヌが言う。

 

「ダメなものはダメ!そんなボロボロな状態で戦わせられないよ。ほら、よく言うじゃん。命あってのモノマネ、って!」

 

「…モ、モノマネ………?」

 

ネプテューヌのカッコイイそのセリフに、光樹は感動を覚える。普段はだらけてばかりいるのに、こういう時には相変わらず、いいことを言ってくれる。

だけどな、こんな所で間違えるのは、いくらネタでも駄目だと思う。うずめが頭の上にはてなを浮かべている所に、光樹は訂正を付ける。

 

「ネプテューヌ、それはモノマネじゃなくて物種だ。」

 

「そうそう!物種物種!」

 

「そうとしか言わないんだが…。」

 

呆れながら光樹は言う。

訂正を受けたネプテューヌは、更にうずめを説得していく。

 

「それに、逃げ遅れた人たちの時間を稼ぐっていう目的は達成できたんだし無理をする必要はないって。」

 

そのネプテューヌの考えは正しい。先程俺が思っていたことだが、ネプテューヌの口から言ってくれるなら、問題ない。

すると、ネプテューヌはうずめの肩を持つようにうずめの腕を自身の方に回す。まるで、うずめを連れて逃げるかのようにだ。その後の言葉でそれは事実となる。

 

「そんなわけだから、うずめを連れてとっとと逃げるよ!ネプギア、そっちもって!」

 

「うん!」

 

ネプテューヌと指示を出されたネプギアがうずめの両腕を肩に回して、担ぐ。

 

「って、おい!?お前ら離しやがれ!勝手に俺を担ぐな!おろせー!」

 

うずめは必死に抵抗する。が、足がバタバタと動くだけで、その両腕の拘束を解くことは出来ない。

その様子を見て、なぜか可愛いと思ってしまったが、それではサディストだ、と自身を説得させる。

二人の拘束が完了すると、ネプテューヌはまた声を出す。

 

「よし、ネプギア、持ったね。それじゃあ、てっしゅー!」

 

そのノリのいい声と共に、二人は駆け出していく。光樹はその間、攻撃から三人を守るため、シールドを構えつつ、後退していく。

 

「って、人の話を聞きやがれーーー!」

 

うずめの反抗の声も空しく、光樹達は戦線を離脱したのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
次の話は…内容なんだったかな?(真面目に)

光樹「これ、カンペ。」

すまん。えーっと、逃げ切った後、記憶喪失の似た者同士の話し合いですね。
オリジナルで、うずめの妄想が部分的に入ります。

では次回の投稿は日曜日です。

え、寝不足じゃないのかって?完全に寝不足です。エナジードリンクでも、眠気には勝てなかったよ。

では次もお楽しみに。


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第21話 記憶喪失の似た者同士

どうも皆様、お元気でしょうか。藤和木弘です。
第21話、投稿…なのですが、皆様は分かっていますよね?
そうです。予想していた日にちを1日オーバーしてます。

…本当に申し訳ございませんでした!!
月曜日が予告の日だと思っていたら、昨日の日曜日だよ、俺のバカ!ちゃんと日付見とけよ!

えー、こうなった理由はあとがきに書いておきます。
本当に申し訳ないです。

では本編どうぞ。


 

ダークメガミらから逃げて数分、光樹達は先程の「名も知らぬ廃墟(ゼロ命名)」から離れた道端まで逃げていた。幸い、こちらに向かっての攻撃は無く、敵は街を破壊することを目的だったようで、無傷で逃げ切れた。

無事、逃げ切れたのを察したのか、ネプテューヌらが、その足を止める。

 

「はぁ…はぁ…。」

 

ネプギアが息を切らせる。自分は飛んでいたのでそれ程疲れはしなかったが、やはり、二人共走って逃げていたため疲れているのだろう。うずめを抱えてだと、更に疲れは貯まっているはずだ。

 

「…ふぅ。ここまで逃げれば大丈夫だよね。追ってくる気配もないし。」

 

「流石女神だな、二人共。俺じゃあ、絶対あの距離人を抱えて走るなんて無理だ。」

 

「いやー、それ程でもないよ。光樹も警戒ありがとねー。」

 

ネプテューヌとそんな会話を交わす。ネプテューヌが笑顔で話すあたり、女神の体力は侮れないなと感じさせられる。

ネプテューヌとネプギアがうずめを降ろすと、担がれていたうずめが機嫌悪そうに文句を言う。

 

「ったく、余計なことしやがって…。これじゃあ、かっこわりぃじゃねえか。」

 

うずめからしてみれば、迷惑以外の何物でもないだろう。光樹としても、自分の迷惑なことをされれば、同じような反応をしただろう。

しかし、光樹はうずめを守れたことについて、本当に良かったと思っていた。危険なことを、そんな無茶をさせずに済んで。

そこで光樹は、うずめをなだめる為に語る。

 

「だけど助かっただろ?それに、もしあそこでうずめが死んでたら、誰が善良なモンスター達を守るんだよ。」

 

「…そう…だな。お前らのおかげで助かった。ありがとな。」

 

うずめは素直になって、感謝の言葉を述べる。

その言葉を聞いて、ネプテューヌは上機嫌になって言う。

 

「ふふーん。わかればよろしー。」

 

だがそんな事を言っている中で、冷静になってこれからの行動を考えている人物がいた。それはネプギアであった。

 

「どこか休めるところとかないかな…。四人共ボロボロだし、うずめさんの手当てもできるような場所があれば…。それに、光樹さんの機体を修復できる場所も、あればいいんですが。」

 

「確かにな。うずめの手当ては必要だ。俺の機体も、かなり修復する必要がありそうだな。」

 

ネプギアのその考えに、光樹も乗る。確かに休息のためにどこかで休む必要がある。更にブラッドゼロも、機体の兵装を何個か破壊、切断したりしているので、機体修復の場所も欲しい。

しかしそう考えていると、意外なモノから声がかけられる。

それはゼロであった。

 

『ブラッドゼロなら問題ない。リザーブに戻せば、次の装着時までには修復が完了している。』

 

「それは本当か?」

 

『イエス。』

 

ゼロは簡潔にそう言った。なら、もう戻しておいた方がいいだろう。光樹は変身を解除する。

解除し終わると、ネプギアたちに言う。

 

「とりあえず、俺のガンダムは戻せば修復は出来るみたいだから、後者の方はおまけで考えてくれ。」

 

「みたいですね。でも私の武器の調整とかのためにそう言った場所は欲しいんですよね。」

 

「あー、そういえばネプギアの武器はビームソードだったな。それのメンテも必要か。」

 

ネプギアの言うことに納得する。そういえばネプギアの武器は、精密機械を内蔵したビームソードだ。それの整備は、戦っていく内に必要になってくる。

それにもしかしたら、ブラッドゼロが使うことのできる武装が、見つかるかもしれない。そんな展開、漫画とかゲームだけの話だ。しかし、この世界はゲームの世界。可能性はある。

すると、それを聞いていたうずめはそれについて案を出した。

 

「それなら、拠点に戻ろうぜ。あそこなら離れているし、ある程度は物資もあるしな。それに最近見つけたんだが、拠点の地下に武器の製造場所みたいなところがある。そこなら、ぎあっちの武器の整備なんかも出来ると思うぜ。」

 

「よし、それなら拠点に戻るか。」

 

光樹の声が響いた後、四人は拠点に戻ることにしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、四人は拠点の部屋に戻ってきていた。

 

「ふぅ、やっと落ち着けるな。」

 

光樹はそう言うと、床に座り込む。先程まで後ろの方の注意を払っていたので、かなり神経を消耗したので、思わず座り込んでしまったのである。

その様子を見たネプテューヌは笑う。

 

「もー、だらしないな。あの距離だったら疲れることもないでしょ?」

 

「そうは言うけど、こっちは列の背後から攻撃来ないか、また見張っていたんだぞ。少しは労ってくれよ。」

 

その言葉に、光樹もまた笑って答える。それを聞いたネプテューヌも、「いやー、ごめんごめん。」と笑みをこぼした。

すると急に、ネプテューヌがあることについて言及する。

 

「ねぇ、あのでっかいのはどうなったの?まさか、こっちまで来てないよね?」

 

それは、あの巨大な敵のダークメガミとエクストリームガンダムの事だった。それが気になるのは仕方がない。光樹も後ろで見張っていた時も、あの二体の動きには特に注意していた。

だが自分がみた限りでは、こちらに来る様子は見られなかったので大丈夫であると思う。

それに、うずめが言う。

 

「安心してくれ。どうやら向こう側の地区で暴れたあとに消えたようだ。」

 

「そりゃあ良かった。」

 

「じゃあ私たち助かったんですね。」

 

光樹とネプギアが安堵の声を漏らす。

しかし、そのことを言ったうずめ本人は気分が下がったように落ち込んでいる。何があったのだろうかと静視する。

そして、うずめは言葉を発する。

 

「…と、言っても、アイツらが暴れて破壊した場所はもうだめだろうがな。」

 

その言葉を聞いて、申し訳なく感じる。あの巨体が暴れたのなら、その場所の被害は甚大なはずだ。もうそこに、生物は住めないだろう。

だが、うずめはすぐに気分を明るくし、空気を変える。

 

「けど、避難が間に合っただけでも良しとするか。犬っころにも深手を負わせることができたしな。さて、お前らも疲れただろ?ここには少しだが食料もあるし、毛布もある。好きにくつろいでくれ…って、もう一人はくつろいでいるか。」

 

「ん?ああ、くつろいでるな、ごめん。」

 

「いや、別にいいって。特にお前は頑張ってたからな。ありがとな。」

 

光樹とうずめが、そう言葉を交わした後、四人は各々休憩を取り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、お姉ちゃん、光樹さん。この街って、なんて名前なんだろう?」

 

ビルの屋上から、街を眺めていた私は、ふと、そんな事を呟いた。なんとなく、思ったのだ。

それを聞いていたお姉ちゃんが言葉を返す。

 

「さぁ?けど、いきなりどうしたの?」

 

「せっかくだから、気になることとか起こったことを記録しておこうと思って。」

 

まるで興味を持った子供、それか科学者みたいな理由だった。でも、自分の見た物を覚えておくことは大事だと思っての発言でした。

すると、壊れかけの手擦りに背をもたれさせていた光樹さんが話に加わる。

 

「確かにな。この街の建物、プラネテューヌの建物にやけに似ているのとか、気になるしな。」

 

「なら、うずめに聞いてみようよ。きっと知ってるはずだよ。」

 

お姉ちゃんの言葉もあり、私たちはうずめさんの元に、そのことを聞くために階段を下りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー。この街の名前、かぁ…。…わりぃ、実は俺も知らないんだ。」

 

俺はねぷっちたちにそう言った。ねぷっちたちから、この街の名前について聞かれたためそう答えたのだ。

だが、それを聞いたねぷっちがびっくりして聞き返してきた。

 

「えっ!?うずめも知らないの!?女神なのに!?」

 

そう聞くのは、当然だとうずめは理解していた。女神だというのに、自分のいる街の名前も知らないというのは、不自然すぎる。

更にねぷっちの後ろに居た光樹がその目を細める。疑いの眼が向けられているのは、間違いない。

そろそろこっちの事も話しておいた方がいいかもしれない。そう思ったうずめは、ねぷっちたちに「あること」を話し始めることにした。

 

 

 

 

「まぁ、女神なのは確かなんだが…。………実は俺、記憶がないんだ。」

 

 

 

 

「…え。」

 

それを聞いたねぷっちとぎあっち、それに光樹が不意を突かれたかのように驚く。

だが事実俺、うずめは記憶を失っているのだ。

覚えているのは今から数年くらい前からの記憶だ。まだあのころの自分は、カッコいいとは真逆で、それでもこの世界を守ろうと必死だったのを覚えている。

そんな懐かしい記憶に感慨ふけるつもりもなく、話を続ける。

 

「記憶の最初にあるのは、この名前も知らない街の景色。で、唯一覚えていることは俺がこの国の女神だってことと、あのデカブツらがこの国や街を滅茶苦茶にした張本人だってことぐらいなんだ。」

 

「そんな…ごめんなさい、そうとは知らず、私…。」

 

ぎあっちが謝る。

だがぎあっちが悪いわけじゃない。話していなかった俺自身が悪かったのだ。

うずめは気にしていない様子で答える。

 

「いいっていいって。ぎあっちが気にすることじゃねぇよ。別に記憶がないから困ることもないし…。まぁ、そんなわけだから力になれなくてわりぃな。」

 

と、そこで驚きの返しが返って来た。

それは光樹の発言だった。

 

「うずめ…お前も記憶喪失なのか!?」

 

「え?」

 

「お前も」という言葉にうずめは反応する。先程の話から察するに、もしや光樹も…。

そう考えたうずめは光樹に聞いてみる。

 

「まさか…光樹、お前も?」

 

その質問に、光樹は予想通りの言葉を返した。

 

「ああ。実は俺、ネプテューヌ達とは別の世界からやってきて、その時に記憶が一部を除いて、失っているんだ。」

 

記憶を失っている。確かに光樹はそう言った。そこで、うずめは光樹に奇妙な感覚を覚えた。

まるでその物言いが、以前から知っているかのように、懐かしさ、いや、ここで言うなら親近感を感じていた。

しかし、うずめはそんなことはあるわけがないと否定する。何せ、光樹とはここで初めて会ったのだから、そんな馬鹿な話が…。

と、そこでうずめは自身の中で考えを進めていることに気づく。光樹は不思議そうにこちらを見つめている。先程の発言に返さなければと思い、言葉を返しつつうずめは先程気になったことについて聞く。それは、ねぷっちたちとは別の世界から来たというものだ。

 

「そ、そうなのか。俺と同じ、記憶喪失なんてな。それで、気になったんだが、ねぷっちの世界とは別の世界から来たっていうのは?」

 

「その事なら、ちょっと話しておいた方がいいか。じゃあ俺の世界での、ネプテューヌ達の世界について話していくか。」

 

そう言うと、光樹はこれまでの経緯を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ってことは、少なくともねぷっちたちの住む世界は、ゲームの世界ってことでいいんだな?」

 

「それでいいと思う。でも、この世界もゲームの世界だと俺は考えてる。でもゲームの世界ではそれが現実の世界だから、死なないってわけじゃないはずだ。」

 

なるほど、難しい話だったが、自分が理解したところで言うとこんな感じらしい。

光樹の世界では、ねぷっちたちの活躍がゲームとして出ていること。つまりゲームのキャラクターとして登場していること。

光樹の世界は数年前から光樹のブラッドゼロのようなNP、およびMPっていうカッコいい機動兵器が主流になっていること。

そして、光樹は(多分)そのNPの事を含めた直前の記憶までを失っているということらしい。

それを聞いていて、うずめは…。

 

(…光樹の世界はすごいな。あの機体のようなやつがたくさんいるとか…それに俺たちの世界がゲームとか…でもそうであっても死なないわけじゃないって言ってるし、安心は出来ないな。それよりも……。)

 

うずめは少し溜めて、光樹の方に背を向けて「妄想」に入る。

 

(記憶を失ってるなんて、うずめと一緒って、なんかロマンチックかも!しかも、その記憶が新しいガンダムに乗るたびに取り戻すって超燃える展開だよ。主人公っぽい!それによく見ると光樹ってカッコよさそうな服に可愛い顔って、ミスマッチだけど、なんか新しい主人公っぽい!)

 

そんな心の盛り上がりを隠しきれずに、思わず表情に出しそうになったところで、慌ててその気持ちを抑える。

危ない、もしあの顔なんかを見られたら、確実に追及、もしくは困惑されていただろう。

いつまでもあちらに顔を見せていないと流石に怪しまれると思ったうずめはすぐに振り返って、光樹に先程の話について言及する。

 

「信じられないな。この世界がゲームとか、光樹の世界にあの機動兵器…ガンダムって言ったか?あんなのが色々あるって話。」

 

「まあそうだろうな。でも俺もうずめが記憶喪失だったなんてな。俺にはそれが驚きだったよ。

 

光樹のそんな言葉に反応して、ねぷっちが話に入ってくる。

 

「二人共似た者同士だね。記憶が無い所とか、変身すると性格が変わるところとか。」

 

「ZEROシステムで性格変わってるけど、あれは情動欠落化で感情が無くなってるからだからな。」

 

光樹はそんなねぷっちの言葉に返答する。

だが意外と似ているかもと思う。

そして俺は光樹に言った。

 

「でも、お互い記憶が戻るといいな。」

 

「ああ…そうだな。」

 

光樹は少し笑みを含ませて、そう言ったのであった。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
うずめの心の中での妄想劇場を入れました。きっと原作のうずめも心の中ではこういうの考えてるに違いない(笑)

光樹「さて、ではなぜ、昨日投稿できなかったんだ?」

すいません。実はとある「ブツ」を手に入れまして、それを作ってました。

光樹「ブツ?ライフルか?それとも爆弾?」

なんでそんな物騒なものになるんですか(;´・ω・)…では教えましょう。それは…。

光樹「それは?」

HGBF・カテドラルガンダムです!!

光樹「…はい?」

いやー欲しかったんですよ、これ。自分、プレミアムバンダイで予約受け付けていた時には金が無くて、諦めていたんですが…近くのブックオフにて中古で売られていたのを見つけまして、お金もあったので買って、すぐに組み立てていたんですよね!カテドラルガンダム、なかなかカッコイイですね!改造も少しだけやりましたよ。まあ、ビームバスターライフルにRGウイングガンダムゼロ用のパーツのドライツバーグを付けて、ビームダガーの装備個所を作ったりしただけなんですが…。

うずめ「作者…?」

あれ、うずめさん?いきなりどうしたんで…。

うずめ「あんまり他の事に集中すると、人来なくなるよ?」

あっ…それはもちろん分かって…

光樹「テメェは読者を怒らせた!」

え、ちょ、ま…

光樹「いくぞ、うずめ!!」

うずめ「おう!!」

やめて、やめて!木曜日にお詫びとしてもう1話出すから!頼むからその攻撃は…

二人「夢の力(極限の希望を)くれてやる!!」

確実に絶望の一撃ぃぃぃ!!!

作者がログアウトしました。

光樹「さて、次回は作者の遺言通り、今週の木曜日に投稿します。それで許してあげてください。」

うずめ「次の話は新武器が出るらしいな。楽しみだぜ!」

光樹「ではこの次もお楽しみに!」


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第22話 女神を壊す者・メガミブレイカー

どうも皆様、お元気でしょうか。昨日またあった体育の授業で、治りかけていた足首がまた逝ってしまった上、筋肉痛の藤和木弘です。
第22話投稿です。忘れずに投稿出来てよかった。

今回は零次元編でカギを握る武器の登場です。
ちなみに原作ではこのころにはネプテューヌらのサービスシーンのところですが、そちらの方は少し省かせていただきました。サービスシーン見たかった方、ごめんなさい。

では、本編をどうぞ。


「ここが…開発室、か。」

 

光樹の声が静まり返った部屋に響き渡る。部屋の様子から、使われなくなってかなりの月日が経っているように見える。

今、光樹はうずめの拠点であるビルの地下にある、開発室に来ていた。理由は簡単、どのような物か見に来たのだ。

しかし、この部屋を必要とするもう一人、ネプギアは来ていない。ネプテューヌやうずめも来てはいない。光樹だけが、ここに来たのだ。

ここに来る前のことを回想する。

 

 

 

 

光樹がこの開発室に来ようとしたのは、あることがきっかけであった。そのきっかけとは、うずめとの話の中であった。

うずめは光樹達に記憶喪失であることを明かした後、しばらくの間部屋の外を眺めていたが、急にこちらに向き直ると、ネプテューヌ達にとあることを聞き始めた。その内容は、ネプテューヌ達がどこから来たかであった。

確かに俺は先程うずめに自身も記憶を失ったと言う時に、別の世界からネプテューヌ達の住んでいる所にやって来たとは言ったが、肝心な所であるこの世界にやってくる前の場所であり、ネプテューヌ達が住んでいる場所については何も言っていなかった。

その質問に対し、ネプテューヌはプラネテューヌであると答えた。

それを聞いたうずめは「プラネテューヌ?」と復唱した。すると間を少しおいて、うずめが少し、苦悶そうに顔をしかめる。

ネプギアがすぐに大丈夫かどうか聞いたが、すぐにうずめは大したことではないと平静を保った。

その後うずめは、ネプテューヌ達に帰り道は知らないこと、それから、プラネテューヌが海の向こうにある国ではないかと答えた。

なるほど、海の向こうであったなら、モンスターの違いや電波が無いのも納得である。

しかし、そうであると考えると、少しおかしいと思ったことがあった。それは、なぜ海の向こうと思われるプラネテューヌに、あのダークメガミとエクストリームガンダムは現れないのかということだった。俺が侵略者なら、間違いなく一体はこちらに、もう一体は別の大陸に派遣させるだろう。

その事を全員に伝えたところ、他のみんなもそれについて疑問を持つこととなった。

そこから、ネプテューヌはこの世界に来た原因を話し始めた。あの渦の事だ。それについて、うずめもそれがこの大陸に来た原因ではないかと答える。

と、その話から一転、ネプテューヌはうずめにシェアが感じられない理由を聞く。すると、うずめはこう言った。

 

「そりゃあ、ここには人がいないからな。」

 

うずめとこの拠点に一度戻って来た時にも同じようなことを言っていた。しかし、全員がまた改めて驚く。

更にうずめは、シェアの源ともいえる人を見たことが無いと言った。うずめの覚えている範囲では、人を見たことが無いのだそうだ。今のような時代に、人を見たことが無いなど、ある意味驚愕だ。

だが、そういうことも、ゲームの世界ではありえるのかもしれない。光樹はそう考えた。

そんな中、ネプギアがなぜうずめがシェアクリスタルを持っているのか聞いた。それに対し、うずめはたまに落ちていると答えた。

光樹からして見れば、それがこの世界の常識だと考えていたのだが、ネプギアはそれに予想外の驚きを見せた。

ネプギア曰く、シェアクリスタルは生成がとても難しいらしい。特殊な製法でなければ、生成できないとのことだ。

それを聞いていたうずめは、なぜシェアクリスタルが落ちているのか、自分にも分からないと答えた。自分にもなぜそうなっているのか分からないものを使うとは…うずめは勇気があると思う。

そしてうずめは持ち歩いているシェアクリスタルを見せる。かなりの量だ。ざっと30個くらいあるのではないだろうか。それを見ていたネプギアがまじまじと注視している。うずめの話では、そのシェアクリスタルが無いと、うずめは女神化出来ないらしい。そのため、仲間たちが探してくれているらしい。それを聞いたネプテューヌは、うずめを「崖っ淵」と称した。その言葉にうずめは苦笑いしながらも、これに頼らねばならないと言った。

その後ネプテューヌは、自分がうずめが女神化出来ない時に戦うと言った。それにうずめが笑顔で返事を返したのであった。

 

 

 

 

その後、光樹達は、うずめとの出会いを祝して、パーティをした。ジュースくらいしかなかったが、それでも十分だった。他にもうずめがデカブツと呼んでいたダークメガミとエクストリームガンダムについて聞いたり、ネプテューヌがプリンをネプギアに求めている様を見たり、うずめがネプテューヌが姉であることを確認したりしていた。

それと、うずめにこの世界で共に戦う手伝いをするとネプテューヌが言ったりもあった。

さて、話を戻すが、ここに今やって来た理由は、うずめが頭痛と思われるもので顔をしかめた直後に、光樹に起こった頭痛が原因であった。

最初のうちは特に辛くなく、大丈夫だったが。外を散策しようと、階段を降りる度に、頭痛が強くなっていくのを感じていた。そこで光樹は予定を変更して、うずめから部屋のカギを借り、この地下の開発室へとやって来たのだ。

部屋の電気は残念ながら付かないようで、非常灯のみが光るだけだった。そのため変身し、機体のカメラアイを暗視モードにゼロが切り替え、散策している。

そして部屋全体を見て思ったが、どうにもこの施設はこの街に元々あったものではないように思えた。

理由は、明らかに部屋の内装がこの世界の建物はおろか、プラネテューヌやリーンボックスの物とは異なっていたからだ。こういう地下にある開発室は大抵その直前の場所と雰囲気が違うのは割とある。

しかし、俺が思ったのは、画質が違う…簡単に言えば、二次元と三次元の物の違いが分かる感じだったのだ。この世界が二次元なのに、この部屋はまるで自分のいた世界のような画質の内装だったのだ。

 

「どうなっているんだ…?」

 

そう呟きつつも、光樹は頭痛の強弱から目的の場所へと向かう。

しばらく散策していく内に、最も頭痛が強くなった場所にたどり着く。それは、とある機械端末の前だった。その機械の所には、何かを製造するビルダーのような機械が接続されていた。

 

「ゼロ、これを調べてくれないか?」

 

『了解。手をかざしていただけますか。』

 

ゼロの言う通りに、その端末に手をかざす。

 

 

 

 

瞬間。

 

 

 

 

「ぐっ!?」

 

いきなり頭痛が強くなる。その痛みに耐えきれず、手を機械端末の台に付ける。

 

『光樹?どうかしましたか?』

 

ゼロの声が薄くなっていく中、光樹は意識が遠退いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(ここは、どこだ?)

 

光樹は目が覚める。だが、体が動いている感覚は無い。おそらく、オレンジの女神と会った時やブラックエースを初めて纏った時に現れたあの光の時と同じような感じだろう。

そう思っていたところに、突然光が走る。

何かと思い、振り返る。すると、衝撃の光景が広がっていた。

 

(何…!?)

 

そこには、何機もの機動兵器達が、たった一機の機体と戦っていた。様々な武装を持った機体が、一体のみの方に攻撃を仕掛けていくのが見える。

と、そこで二つのことに気づく。それは双方がどちらもガンダムタイプの機動兵器、おそらくNPであること。

そしてもう一つは、一機の方のガンダムが、ブラックエース、どちらかといえば、ブラッドゼロガンダムに似ていたのだ。

 

(これは、俺、なのか?)

 

光樹はそう捉えた。

しばらく同じような攻防を繰り返していたが、ブラッドゼロに似たガンダムが機体から緑色の光を発すると、その機体が、数で勝る方を押し始める。まるで何か特殊な力で多い方を邪魔しているように、もしくは別次元の機動力で、回避している感じだった。

そこで、一機のNPがブラッドゼロ似のガンダムに弾き飛ばされ、地表に激突する。動けなくなったところに、ブラッドゼロ似のガンダムがトドメを刺そうとする。

その大きなビーム鎌が振り下ろされる。

 

直前、その間に割って入る機体が居た。

 

それは…。

 

 

 

 

またしても黒い、ブラッドゼロに似た、ガンダムであった。

その機体は割って入ると、すぐにもう一方の方へと突っ込む。敵のビームを躱していく。そして、近接戦を仕掛けていく。その戦闘は、とてもじゃないが、自分には到底できないものだった。

幾度も激突した後、多数の味方であるブラッドゼロが、一機の方のビームサーベルを弾き飛ばす。隙が出来る。その大きな隙を見逃すことなく、多数の方のゼロがトドメを刺しにかかる。その拳で殴りかかろうとする。

 

 

 

 

が、交差した刹那。

 

 

 

 

敵の掌部からビームサーベルが出現し、もう一体のゼロを貫いた。

貫かれたゼロが、力なく地上に落ちてくる。それに気づいた他のガンダム達が、急いでそいつの元に向かう。光樹もそこに向かっていく。

そしてそのやられたゼロの落ちた衝撃で割れたフェイス部の合間から、顔の部分が見えた。

 

 

 

 

そこから見えたのは、自分、和藤光樹の顔であった。

 

 

 

 

(負け…た!?これは、一体!?どういう状況なんだ!?)

 

「終わりだな、和藤光樹。」

 

そう思った所で、突然上の方から声が聞こえてくる。それは、戦っていたもう一体のゼロの声だった。

その声が聞こえていたのか、光樹が苦しそうに言う。

 

「まだ…だ!まだ…やれ……」

 

「終わりだと言っただろう?」

 

が、もう一体のゼロがその言葉と共に、ライフルを腰から取り出し、撃つ。その光線が、光樹を貫く。

 

「がぁ!?」

 

「光樹!!?」

 

仲間の悲鳴が響く。その光景に、光樹は思わず吐き気を催す。

耐えたところで、視界が霞み始める。おそらくは、この光景を見る時間が迫っているのだろう。

 

(待て、これが過去だったら、俺は死んでいることに…!)

 

そうだ、大抵こういう時は過去の記憶が呼び起されるものだ。もしこれが、本当に過去の出来事であれば、俺は死の間際に場所を移動した、もしくは転生したことになる。

しかし気になったのは、その周りの光景だった。明らかにあの風景は二次元系の物だ。

だが、その考えも虚しく、その光景は消えていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『しっかりしてください、光樹。』

 

「うっ…。」

 

ゼロのそんな声を聞き、光樹は目を覚ます。そしてゆっくりと膝立ちから立ち上がる。

さっきの光景が未だに脳裏に残っている。あんな不吉な物を見せられては、これからの戦いが不安になる。

だがそんなことをいつまでも気にしていては駄目だ。そう思って、光樹はゼロに返す。

 

「悪い、少し気を失っていたみたいだ。それで、調べ終わったのか?」

 

『大方終了、武器のデータが入っているのを確認。内、一つだけ現在の状況でも開発できるものを確認。』

 

その発言を聞き、光樹は安心する。どうやらあの状況でもちゃんと調べてくれていたようだ。

更に武器を作れるなら、作っておいた方がいいだろう。新しい武器は扱いは難しいだろうが、攻撃の幅が増えるのは良いことだと思う。光樹はすぐに指示を出した。

 

「じゃあ、作ろうぜ。」

 

『少しくらいは規格が合うかどうか確かめてもらってから言ってほしい。…一応それも踏まえて、完成できるので、生成のためのエネルギー確保の後、開発を開始します。』

 

その言葉の後、ゼロが開発を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、準備は完了した。エネルギーは予備コンデンサーにエネルギーが残っていたため、そこから使って、現在は開発中だ。

その間、光樹は周りの器具を調べたり、他の電子機器のメモリーに何か情報が無いか、確認していた。だがその甲斐は無駄となった。あの機械以外はほとんどが使用不可やメモリーが破損していたりしていて、使い物にならなくなっていたのだ。

他に得られる物は無いと判断した光樹はそこにあったイスに座ろうとする。

と、そこで開発を行っていたビルダーから白い煙が噴き出す。

壊れたのか、と思ったがそうではなく、機器の表示から完成した合図だと理解する。機械端末を操作すると、ビルダーの開閉口が開く。そして武器が出てくる。

その武器は、折りたたみ式の巨大な砲を持つバックパックだった。折りたたんでいても、大きさは自分の身長の約半分。データによると、名前は「メガミブレイカー」、女神を壊す者とのことだ。なぜか名前が怖いが、気にしないことにする。また、展開すれば大きさは身長を超すらしい。

 

「よし、早速背中に装備っと。」

 

元からあるバックパックに更にメガミブレイカーを装備する。かなり重量があり、後ろに倒れそうになるのを何とか持ちこたえる。

まずは、これがどんな性能を持っているのか、確かめる必要がある。その重さ、大きさから、多分支援用、または拠点、大型兵器用の兵装であるのは確かだが、実際撃たなければ、その性能は分からない。

そう思った光樹は、一旦外に出ることにした。メガミブレイカーの試射はとりあえずその辺にあるビルでやればいいと判断したためだ。

 

 

 

 

外に出た後、光樹はすぐに試射にピッタリのビルを探していた。どこも半壊状態の中、威力がどれだけかが判別しやすい、無傷のビルを探す。

しばらくして、状態が一番よさそうな場所を見つける。先程いたビルから割と近い場所だ。そのビルが、一番上まで見える。

 

「さて、撃ってみるか。」

 

『センサーを測定モードに切り替え、バックパックウェポン「メガミブレイカー」展開。』

 

その音声と共に、背部のメガミブレイカーが変形、展開される。アームが下方に動き、砲が展開され、脇腹辺りに持ってこられた。最後に上部のトリガーユニットを持ち、発射準備が完了する。

 

『正面の周囲に生体反応なし。』

 

「……撃つ!」

 

トリガーを引き絞る。数秒の間、溜めが生じた後…。

 

 

 

 

 

 

 

 

砲から凄まじいスピードで実弾が発射された。

 

 

 

 

 

 

 

 

その少し前、うずめは屋上にいた。理由はねぷっちたちのとある発言である。それは、お風呂に入りたいというものだった。

それを聞いて俺は汗臭いかもと言ったぎあっちの匂いを嗅いだが、汗臭いどころか、シャンプーのいい匂いしかしなかったので、それを言うと、ぎあっちは恥ずかしそうにしながら、本当かどうかを聞いてきたので本当だと答えた。

その様子を見ていたねぷっちとぎあっちが変な言い合いをしているのを見て、思わず笑ってしまう。

そんな話の中、うずめは先程ねぷっちたちのお風呂の代わりになるものを教えた。それは、屋上の給水タンクの水をシャワー代わりにするというものであった。

すぐに三人は屋上に行く。うずめが準備した後、早速ねぷっちが浴び始める。それを浴びたねぷっちは満足そうにしていた。

うずめはその様子を見ているだけで済まそうとしていたのだが、ねぷっちに一緒に入るように言われたところで焦る。

実はうずめは今まで人前で裸になることが無く、恥ずかしくなっていたのだ。

だがそれを指摘され、慌ててごまかそうとする。

だが、ねぷっちのある発言で、俺のその考えは強制的に潰される。

 

「あ、そうだ!わたし、うずめのかっこいい裸が見たいなぁ。」

 

かっこいいという言葉に反応する。

それに更にねぷっちが言う。

 

「かっこ良く、服をバサーっと脱いで、かっこ良くシャワーをバシャーって浴びる男前なうずめを見てみたいなぁ。」

 

その言葉で、うずめは吹っ切れた。

すぐにうずめは、恥ずかしさを残しながらも、ねぷっちの言う通り、「かっこ良く」服を脱ぎ、「かっこ良く」シャワーを浴び始める。

その後なんだかんだあって、外で服を脱ぐのを恥ずかしがっていたぎあっちを脱がせ、三人でシャワーを浴びていた。こうして全員でシャワーを浴びるのも、悪くないと思っていた。思えば、二人と今ここにいない一人(いたら殴ってた)には、本当に世話になっている。一緒に戦ったり、命を救われたり、感謝でいっぱいだ。

 

「さて、きれいさっぱりしたし、そろそろ戻ろっか。」

 

「そうだな、大分すっきりしたし、光樹も浴びたいかもな。変わってやるか。」

 

そんな話をしながら、俺たちは服を着始めた。

 

 

 

 

その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカァァァァァァァァァァン!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

とてつもないほどの轟音が響く。衝撃波が屋上にまで届く。

その衝撃波に、うずめにとある考えがよぎる。それはあのデカブツ、光樹が名付けた、ダークメガミとエクストリームガンダムが来たのかということだ。

すぐに周りを見渡したが、どこにもその影は見当たらない。その事実から、その考えは早々に否定された。

体勢を立て直したぎあっちが聞いてくる。

 

「な、何なんですか!?今さっきのは!爆発音みたいでしたけど…。」

 

先程の衝撃波は多分ぎあっちの言う通り、爆発だろう。とにかく、何があったのか、確認する必要がある。俺はねぷっちたちに言う。

 

「とにかく、二人共確認しに行くぞ。」

 

「分かった!」

 

ねぷっちの覇気のある声が返ってくる。そして三人はすぐに階段を駆け下りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつは…一体……?」

 

三人はその爆心地と思われる場所に来ていた。しかしそこは凄まじいまでの光景が広がっていた。ビルであったものは瓦礫となっていて、完全に崩壊していた。更に地面は爆弾で抉られたように、穴が開いていた。

 

「この破壊力、確実に戦略レベルのものだと思います。でも、一体誰がこんなものを?」

 

ぎあっちがその威力に驚きながら、冷静に手に持った端末で調べていく。

と、しばらく散策していると、見覚えのあるものが目に映った。

黒いボディにウイングパーツ。それは光樹の変身した姿だった。

 

「ねぷっち、ぎあっち!来てくれ!!光樹が!」

 

「ねぷっ!?どうして光樹が!?」

 

二人はすぐにこちらに合流し、光樹の元に向かう。

光樹は座り込んでいるのと、背中に大きな砲を背負っている以外には、特に変わったことは無かった。しかし、その大きな砲からは、熱気が放出されている。

もしや、と思い、うずめは光樹に声をかける。

 

「おい、光樹。何があった?」

 

「う、うずめか。…悪い、こんなことになってしまって…。」

 

光樹はすぐに立ち上がる。そして、先程までの事を話し始めた。

 

「10分くらい前に、うずめの言ってた開発室でこいつのデータを見つけて、作れそうだったから開発したんだ。それで、試し打ちがしたくて外で撃ったんだが……まさか、あそこまで威力があったなんて、思わなかった。」

 

「そういうことだったのか。でも、何なんだ?その武器。かなり威力があるみたいだが…。」

 

俺はそう述べる。あの威力は明らかに街を破壊することを考えた武器だ。そんなものが、地下の開発室にあるなんて、ありえない話だ。

すると、そこに割って話に入ったものが居た。

 

『データの修復が完全完了。解説します。』

 

「ゼロ、頼む。」

 

それは光樹のガンダムの制御プログラム、ゼロであった。

ゼロが話を始める。

 

『武器名称、「メガミブレイカー」。戦略級実弾兵装。弾数6発。攻撃対象は戦艦、大型兵器など、もしくは拠点攻撃用と推測。注意、着弾半径400メートルの範囲を攻撃範囲とす。味方の位置に注意。以上。』

 

それを聞いてなるほど、と全員が納得する。確かにあの威力なら大きな敵にぶつけるのがいいだろう。味方の位置に気を付ければ、案外使えるかもしれない。

それを聞いて光樹はあることを言った。

 

「これ、使えるかもしれないな。」

 

「使える?何にだ?」

 

うずめは聞く。すると、光樹はそれについて考えていたことを話す。

 

「いや、ダークメガミとか、エクストリームに当てれば、かなりのダメージが与えられるんじゃないか?」

 

「!!そうか。」

 

「確かに、その武器ならあの巨大な敵に大ダメージを与えられるはずです!」

 

ぎあっちがテンションを上げて言う。俺も心の中で、ガッツポーズをする。倒せるかもしれない、そう思うだけで俺の心の中で何かが反応するのを感じる。

 

「おー!!これでボスも楽々だね!!」

 

「ああ、使うのにはかなり制限があるけど、これで勝てるはずだ!」

 

ねぷっちと光樹の声がこだまする。

そんな明るい雰囲気に変わった所で、俺たちは拠点に戻るのであった。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
威力が強すぎる上に取り回しの難しい武器、いわゆるロマン武器を新たに装備させました。ただ、通常時にはNPを出すときのように、別の場所…前の話で言っていたリザーブに収納されているため、装備していない状態が基本となります。戦闘での初使用時は最後の方で話していたように、ダークメガミもとい、エクストリームガンダムとの対決時になります。

ちなみに、メガミブレイカーの元ネタは、ノワールの国のモデルとなったゲーム会社のロボゲーです。名前はもちろんガンダムブレイカーから、形状はエクストリームガンダムエクリプスフェースのカルネージストライカー、威力などの設定は…最近ヒカル君が次回作を期待しているロボゲー、アーマー…

光樹?「愛してるんだぁー君をーーー!!ははははは!!!」

え、ちょ、誰…って光樹!?ぎゃー!?

作者がグラ○ン○ブレ○ドでログアウトしました。

光樹「あれ、何かしたっけ俺?…ってそうだ、次回は作者の定期テストの都合で日曜日に投稿です。次回もお楽しみに!」


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第23話 街の見回り、発見されし謎のデータ

どうも皆様、お元気でしょうか。藤和木弘です。
第23話投稿です。
今回はネプギアがとあるデータを発見する所までの話です。
オリジナル要素が少ないですが、所々で光樹の元の世界の覚えている範囲での解説が入ります。

では本編どうぞ。


 

 

「ふわぁー…。大体朝、かな?」

 

大きな欠伸をしながら、体を伸ばす。床に寝そべって寝ていたため、少し背中が痛かった。しかし、寝れるだけいいものだ。気にしないことにする。

光樹は寝ていた部屋を出る。寝るときに脱いだジャケットに手を通しつつ、歩く。

とりあえず、ネプテューヌ達が寝ていると思われる部屋の方に向かっていく。

昨日、光樹は給水タンクを利用したシャワーを浴びた後、明日に備えて寝ることにした。その際、光樹はネプテューヌ達とは別の部屋で寝ることになったのだ。理由はネプギアとうずめが、男の人と一緒に寝るのはちょっと…ということだった。

…まぁ、三人共結構きれいな部類に入るし、俺も思春期の男子だ。そこら辺は理解していた。

とまあ、そんな話をしている内にネプテューヌ達が寝るのに使用した部屋の前まで来ていた。一応、ボロいが鉄製のドアで部屋は閉じられている。光樹は部屋のドアノブに手を掛けたあたりで、少し考え込む。

 

(ちょっと待てよ…。こういう場面で、大抵男がドアを開けたとき、なんか気まずい雰囲気になること無くないか?)

 

そんな心配がよぎる。いや、考え過ぎなのだろうが、どうもネプテューヌという世界はそんなことが起きてしまう気がする。ゲイムギョウ界では、常識に捕らわれてはいけないというのを思ったことがあるくらいだ。

そこで光樹はドア越しに耳を当て、中の様子を探る。すると、ネプテューヌ達の声が聞こえてくる。どうやら、すでに起きていたようだ。安心と同時に、更なる不安が心の中に過ぎった。仮にももし、全員が着替えていたとしたら?そんな所に入っていけば、確実に殺される。棺桶モビルポッドのボールでキュベレイと戦うようなものだ。

そんな事を考えていると、胸の辺りから機械音声が響く。

 

『何をしている。とっとと入ればいい。』

 

それは、ゼロの声だった。その率直な意見は確かだ。何も恐れずに、立ち向かわなければならないと、昔の誰かが言っていた気がする。

覚悟を決めた光樹は、ドアノブに手を掛け、声を出す。

 

「光樹だ。入るぞ。」

 

声が返ってくる前に、ドアを開ける。いわゆる声かけだ。これならある程度は事故っても大丈夫…なはず、そう思う。

 

「あっ、光樹さん。おはようございます。」

 

部屋に入ると、ネプギアがそれに気づいて声をかけてくる。他にもネプテューヌとうずめもいる。どうやら、俺が一番遅く起きたらしい。

そこで、光樹は言葉を返す。

 

「ああ、おはよう。で、三人集まってどうしたんだ?」

 

すると、ネプギアがそれに答える。

 

「はい。実は、これから街の見回りに行こうと思ってたんです。」

 

「見回り?」

 

光樹は疑問を浮かべる。わざわざ見回りする必要があるのだろうかと思う。

すると、そこでうずめがその疑問に返してきた。

 

「デカブツは倒したけど、まだ凶悪なモンスターが居るかもしれないだろ。また避難した連中が戻って来た時に襲われないように、目立つ奴だけ倒しておこうってことだ。」

 

「なるほどな。それにネプテューヌ達も同行するってことか。そういえば、うずめは街の構造とか知ってるだろうけど、ネプテューヌ達は知らなくないか?俺もそうだけど、分散して行動したらどうするんだ?」

 

それにはネプギアがそのことについて説明し始めてきた。

 

「それなら大丈夫です。さっきNギアをネットに繋いで、公的なネットワークにハッキ…じゃなくて、接続して地図データを見つけたんです。今はアプリで修復しています。」

 

その事に少し驚いた。もちろん、ハッキングの事にではなく、ネット環境に接続したという事についてだ。

昨日この世界に来た時とここで寝る直前に一度ネット通信をしたのだが、どちらも失敗していた。ゼロ曰く、やはり通信回線が弱すぎるのが原因とのことだ。後者の時は、更にこちら側の受信強度を強めたが、それでもサーバーに接続することは無かった。

そんなことをしたせいか、起きたときには体に疲れが残っていた。よくよく考えると、昨日はかなり変身していたような気がする。リーンボックスの技術員から多用はしないようにと言われていたのに、これは駄目だな、と思う。

そこで光樹は、ネプギアのNギアのところから、コードが伸びているのに気づいた。それにより、なぜネプギアのNギアがなぜサーバーに接続出来たのか、理解した。有線接続で直接ネットに接続したのだ。ゲームでも有線の時と無線の時では有線の時の方が、通信回線は良い。

 

「そうか、なら後で俺にもその地図のデータ分けてくれないか?」

 

「はい、いいですよ。」

 

光樹の頼みにネプギアは喜んで返事を返した。

そうとなると、光樹だけがここに残るというのは退屈だろう。ならば自分も、うずめ達に付いて行って見回りをした方が時間も潰せるだろう。

 

「よし、なら俺も見回りに行くか。」

 

「おっ、光樹も行くんだね。じゃあみんなですぐに行こう!」

 

ネプテューヌの声が響いたのち、光樹達は出発を整えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

道中、ネプギアが突然こんなことを言い始めた。

 

「あの、うずめさんが腕につけてるの、ヴィジュアルラジオですよね?」

 

「ヴィジュアルラジオ?」

 

「よく知ってるな。どうだ、スケルトンボディでカッコイイだろ?」

 

それを聞いたうずめが、笑顔を見せながら腕の端末を見せてくる。透明で中の部品が見えていて、その構造がよく分かる。

が、よく見ると、それはかなり古くなっているのが見て取れた。長く使っているのだろうか。

 

「はい、カッコイイです!」

 

ネプギアは答える。

と、そこでうずめがある疑問を出してきた。

 

「…ん?まてよ。なんでぎあっちがこれを知ってるんだ?」

 

そういえばそうだ。なぜネプギアがこの次元の物と思われるそのヴィジュアルラジオを知っているのだろうか?

すると、ネプギアはとある事実を述べた。

 

「私たちの国でも一昔前に流行ってたんです。」

 

まさか、ネプギア達の住むゲイムギョウ界でヴィジュアルラジオがあったとは…。光樹はネプギアにその一昔前について聞く。

 

「本当か?どれくらい前だ?」

 

「それが、今は製造していないので、私も実物を見るのは初めてなので、どれくらい前かは分からないです。」

 

「そうか…。」

 

それを聞いて少し気落ちしてしまう。だが、分かったことがある。それはネプギアが生まれる前にそれが作られたという事だ。

女神は不老であるというのは光樹も知っている。だがネプギアはもちろん、ネプテューヌもイストワールからの話によると、2、30年以内に生まれたらしい。(この辺りはなぜか記憶が曖昧とのことだ。)

その前に生産、中止された物をうずめが持っていることと、昨日うずめが俺たちのゲイムギョウ界が海の向こうにあるのでは、という話から推測されるのは、それ程昔からうずめが生きていて、更にそのヴィジュアルラジオが何らかの形でうずめの手に渡ったという事だ。

それを確かめるべく、光樹はうずめに聞く。

 

「なあ、うずめ。そのヴィジュアルラジオはどうやって手に入れたんだ?」

 

「ん?手に入れたっていうか、元から持ってたぜ?」

 

「え?元からなのか?」

 

「あぁ。最初の記憶があるときから身に着けてたんだ。使っていく内に色々と覚えたんだ。」

 

その答えを聞いて唸る。そうなると、うずめはそんな昔に一度ゲイムギョウ界を訪れたのだろうか。

そんな事を考えていると、うずめがネプギアに言う。

 

「けど、女の子なのによくこんなの知ってるな。もしかして、ぎあっちは機械とか好きなのか?」

 

すると、ネプギアは目を輝かせながら答えた。

 

「はい、大好物です!」

 

「はははっ。大好きじゃなくて、大好物か。よっぽど好きなんだな。」

 

そう言うと、うずめは腕に着けていたヴィジュアルラジオを外しながら、再び言う。

 

「なら、貸してやるから好きなだけ見ろよ。」

 

「いいんですか!」

 

ネプギアは喜ぶ。それに答えるようにうずめは答える。

 

「特別だぞ?こいつは俺の宝物だから本当なら誰にも触らせないんだが、ぎあっちはこいつの良さをわかってるみたいだからな。ほらよ。」

 

「わあ!ありがとうございます!」

 

うずめから手渡されたヴィジュアルラジオを、ネプギアはすぐに色々調べ始める。本当にうれしそうなので、こちらも少し笑ってしまう。

そんな風に思っている光樹には気にせず、ネプギアはうずめに色々と聞いていく。

 

「これって、ゲームのセーブデータを保存できたり、ミニゲームも遊べるんですよね!」

 

「それだけじゃないぜ。その名のとおり、ラジオも聴けるし、短距離だが無線通話も可能だ。あと、有線でネットができる端末に繋げば、外でもこいつでネットが楽しめるすぐれものなんだ。」

 

「すごいな…。あれ、なんか俺の世界でも、なんかそれに近いものを見た気がするな。」

 

光樹の記憶の隅には、確かにそれに似たものが、あった。しかし、何だったかはよく覚えていない。こういう時に記憶喪失は本当に厄介だ。

そう思っている間に、ネプギアはその機能を聞き、嬉しそうに驚く。

 

「凄い!凄いですよ、うずめさん!いいなぁー。これ、どこかにまだ残ってたりしないんですか?」

 

ネプギアがそう言う。おそらく、自分の分として一つ欲しいのだろう。

だがうずめは少し首を傾げながら、言った。

 

「んー…。特に見かけたことはないな。けど、もし見つけたらぎあっちに教えるよ。」

 

それを聞いてネプギアは「見つかるといいなぁ!」と祈るように手を合わせる。

その喜びようを見てうずめは笑顔で言葉を返す。

 

「やっぱ、こういうのは価値のわかるやつが持たないとな!」

 

そんな感じに喜んでいる所に光樹はあることを言う。

 

「それはいいけど、目的忘れてないか?」

 

『あっ…。』

 

二人はそれに気づき、話に加わっていなかったネプテューヌ共々、真面目に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。気になるのは、こんなもんか。思ってた以上にねぷっちと光樹も戦えるんだな。特に光樹。」

 

「ふっふーん。まさに、能ある鷹は爪を隠すってやつだよー。」

 

「特にってなんだよ…まぁ、実際ここまで戦えている自分が驚いているんだけどな。」

 

俺の言葉に、ねぷっちは自慢げに、光樹は少し気を落としながら、答える。

四人で分散して倒し回ったので、きつかったがそれでもかなりの数を減らせたはずだ。これなら、避難した連中が戻ってきても大丈夫だろう。

と、そこでぎあっちだけが帰ってきていないことに気づく。

そこで二人にぎあっちがどこに行ったか聞く。

 

「ネプギアなら、向こうの広場近くにいたのを見たぜ?行ってみるか?」

 

光樹がそう答える。居場所は分かったが、何をしに行ったのだろう。あっちは固定電話くらいしかない。

そんな風に思いつつ、うずめは声を返す。

 

「そうだな。もうこれだけ倒せば大丈夫だろうし、迎えに行こうぜ。」

 

「うん!」

 

ねぷっちの声が響き、俺たちはぎあっちを探しに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ。」

 

私は溜息をつきながら、Nギアを操作していた。

Nギアからは、コードが伸びている。今は近くの固定電話の回線を利用してネットに有線接続している。

電波が悪いせいで、こうしなければ接続できないというのはきつかった。

 

「外でネットするには公衆電話に有線で繋がなきゃいけないなんて不便だなぁ。いっその事、無線の装置作って街中に設置しちゃおうかな…。」

 

一応、部品があればそれを作ることは可能だ。うずめさんの拠点の地下のあると言っていた開発室で作れるはずだ。

と、そこでネプギアは本題の方に頭を切り替える。今はあるデータを手に入れていた。

 

「って、今はそんなことしてる場合じゃないんだった。ハッキングして見つけたこのデータを調べないと。」

 

すぐにネプギアは、そのファイルに入っていたデータを開く。

 

「えー…と、なになに。」

 

すぐに内容に目を通し始める。日記のようで、内容は以下の通りだった。

 

 

 

 

1ページ目

『にっき 11がつ 27にち □□□□□□のきょうかいで □だいめの あたらしい □□がたんじょう。』

 

2ページ目

『□□がつ □□にち うまれたばかりの □□を わたしたちは □□□ と名づけた。』

 

3ページ目

『□がつ □にち □□□が あらたな ちからを おぼえる おぼえた ちからを □□ とよぶことに』

 

4ページ目

『1がつ31にち □□□の □□が つよすぎる ダメだ… □□□にも わたしにも てにおえない!』

 

 

 

 

それを見終わり、ネプギアはうなずく。

 

「…記憶はこれで最後みたい。もしかして、この国がこんな廃墟になった原因なのかも。」

 

そう思う理由は二つあった。一つは前半の内容、誰かが生まれたという事。そしてもう一つの理由は、後半の内容だ。何かの力を手に入れたというのに関連して、おそらくその力が、強すぎるという記述から暴走したのだろうか。

とにかく、この続きを見た方がいい。何か分かるかもしれない。

 

「…うん、調べてみよう。」

 

そう判断したネプギアはすぐにNギアを操作して、更にデータを集めようとする。

が、そこに聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「おーい、ネプギアー!そろそろ帰るよー!」

 

「あ、お姉ちゃんが呼んでる。」

 

それはお姉ちゃんの声だった。見るとお姉ちゃんだけじゃない。光樹さんやうずめさんもいる。どうやら、あっちは目的のモンスターの掃討は終わったみたい。

よくよく考えると、私は付いてきたものの、全然戦闘していなかった。でも、一応皆さんには私の方の目的…廃墟に残ったデータをハッキングおよびサルベージで集めることは伝えてあるので、大丈夫なはずだ。

…あれ、よくよく考えると、私、道中で見せてもらったヴィジュアルラジオに夢中で、言ってなかったような気が……。

 

「とにかく…このこと、お姉ちゃんたちに伝えるのは、もう少し確信を得てからの方がいいよね、うん。」

 

そう考えると、ネプギアはすぐにNギアをしまい、三人と合流した。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。しばらくの間は戦闘は入らないですが、あと3話くらいでまた戦闘回が入ると思います。

では次の投稿は来週の日曜日です。テストの関係でそうなりました。1週間以上待たせることになってしまい、申し訳ないです。

次回もお楽しみに。


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第24話 少女の妄想、仲間を助けるために発揮?

どうも皆様、いかがお過ごしでしょうか。昨日は近所のカードゲームの大会で気分をリフレッシュしてきました、藤和木弘です。

第24話、投稿です。
今回はうずめの妄想の表向きでの登場です。
前書きで話すことは特にないので、本編スタートです。


 

 

光樹達は拠点への道を歩いていた。光樹を除いた三人は、今は昼御飯の事を話し合っていた。一応、乾パンなどの非常食は持ってきていたため、拠点までの道の途中で食べることも出来たが、どうせなら敵に狙われない場所である拠点で食べたかったので、帰ることになったのだ。

と、そんな中でうずめの腕に着けていた端末、ヴィジュアルメモリが鳴る。すぐにうずめは端末を操作する。どうやら通信らしく、うずめがその人物の名を声に出す。

 

「お、海男からだ。」

 

「海男?それって、モンスター達の避難の誘導をやってるってやつか?」

 

「あぁ、そうだぜ。ちょっと電話に出るから。」

 

光樹の質問に、うずめはそう返す。電話に出るという事で、光樹は黙る。

 

「どうだ、シェアクリスタルは本物だったか?」

 

通信の内容は、どうやら昨日言っていたシェアクリスタルの有無に関するものらしい。うずめのヴィジュアルラジオから漏れる声を光樹は静かに聞く。

 

『あぁ、本物だったよ。』

 

いつ聞いても、なかなかイケメンそうな声だ。だが、キザなイケメンというよりは、草食系の落ち着いた感じの様子だった。

それと、昨日眠るまでの間にどこで聞いた声かと記憶を辿った所、ある声にたどり着いた。

それはジオンのEXAMの騎士、「二ムバス・シュターゼン」だ。ちょうど二ムバスの声をもう少し勢いを落とした感じだと判断したのだ。

そう考えている間に、話が進んでいる。

 

『まさか、こんなところにもシェアクリスタルがあるなんてね。』

 

その善二ムバス声(光樹命名)の海男が、更に話してきた所で、事件は起きた。

 

『君に手土産もできたことだし、今日中にそっちに戻…な、何だお前は!?うわあああああああ!?』

 

「!?海男!おい、海男!」

 

「今悲鳴が聞こえなかったか!?」

 

すぐに光樹やネプテューヌらがうずめの元に駆け寄り、ヴィジュアルラジオに注目する。だがすでに通信は切れているようで、ヴィジュアルラジオからは雑音が響くだけだった。

うずめが心配の表情を見せる。そこに、ネプテューヌが言う。

 

「今の、絶対何かあったよね!」

 

すると、うずめはすぐにその質問に言葉を返す。

 

「ねぷっち、ぎあっち、光樹。俺は海男を助けに、直ぐにとなり町に行く。ついてくれるか?」

 

その確認の言葉に、迷う必要はない。仲間の一人が危機に陥っているかもしれないのだ。すぐに俺たちはうずめのその言葉に答える。

 

「もちろんだ。すぐに行こう!詳しい場所は?」

 

「場所はこの道の脇道の先だ。」

 

「了解!」

 

そう応答した後、すぐに俺たちはその駅跡に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、光樹達はその町に着いた。古びてはいるが、まだ電気は生きているようだ。

うずめはすぐにこちらに海男を心配そうにしながら言う

 

「ここのどこかに海男がいるはずだ。」

 

「どこかって…詳しい場所はわからないんですか?」

 

ネプギアの言葉は同感できる。確かにどこかと言われてしまえば、探すのにも時間がかかる。最悪、助けが来るまでに、あの綺麗なニムバス声のやつがやられる可能性もある。

そんな中、ネプテューヌは「おーい、海男―!いたら返事してー!」と大声を響かせる。が、当然声は返ってこない。

うずめも困った様子でその時の状況を語る。

 

「話の途中で通信がきれたからな…。誰か海男の居場所がわかるやつがいればいいんだが。」

 

通信が途中で切れたのをもどかしく思う。せめてその時の場所を言ってさえくれれば、よかったのだが。

海男の居場所を知る者、か。だがそんな都合のいいこと、起こるのは現実では結構稀だ。避難している者たちが付き添っているなら、そいつらがこちらに知らせに来るかもしれないが…。

ネプギアもそれに対し、こう返す。

 

「さすがに、そんな人、都合よくいるわけ…。」

 

だが、それを聞いたうずめは、顔に笑顔を浮かべていた。なぜこんな切羽詰まった状況なのに良く冷静でいられると思った。

しかし、うずめは冷静と言うわけではないことを、俺は知った。

 

「いいや、わからないぜ。案外、海男と一緒にいたやつが辛うじて逃げ延びているんだよー。」

 

うずめは声の調子を上げてしゃべり始める。

 

「それで、俺らを呼びに行こうとしていたところ、ここで偶然、俺らと鉢合わせるわけだ。」

 

「う、うずめ?」

 

何かうずめの様子がおかしいと思うのは、俺だけだろうか?

しかし、うずめは言葉を続ける。

 

「それでお互い超偶然っていうか、向こうもうずめも信じらんないって感じでさ。それで、あっという間に海男のいる場所に案内してくれて、海男をいじめる悪いモンスターをぶっ倒しちゃう、ってわけ。」

 

……うずめってこんなキャラだっけ?いや、俺たちはうずめと会って、まだ一日しかたっていないのだから、知らないことも多いはずだ。

だが、先程までとは、明らかに様子が違う。一人称が「うずめ」に変わっていたり、超偶然とかいじめる、ってわけという、かなり砕けた言い方になっている。

 

「それで、海男も助けて、シェアクリスタルも見つけてめっちゃラッキーってみたいな♪」

 

うずめは目を輝かせてそう言い切った。

あまりの豹変ぶりに、流石のネプテューヌ達も…。

 

「ぽかーん。」

 

と、思わずそう呟く。

光樹も驚いていたが、その驚きの反応よりも、更に上回るものがあった。

 

(このうずめ……可愛いな…。)

 

何故かうずめにそんな、小動物に対する感情のようなものを感じていた。萌え、というやつなのだろうか。

と、そこでうずめが自身の発言に気づく。

 

「………っ!?」

 

慌ててうずめは平静になると、ごほん、と咳ばらいをする。

そして落ち着いた様子で先程の内容を言い直し始めた。

 

「とまぁ、もしかしたら、偶然、案内してくれるやつが現れるかもしれないぜ?」

 

うずめは若干声の調子を下げている。カタコトなしゃべりで、焦っているのが分かる。

もちろんネプテューヌがそれに気づかないはずがなく、言及していく。

 

「いや、今うずめがうずめっぽくなくて。」

 

だがその言葉をうずめははぐらかす。

 

「き、気のせいじゃないか?」

 

「いやいやいや。気のせいじゃないって!だって今急に女の子っぽいというか、ギャルっぽくなったよね?それも一昔前の…。」

 

そんなうずめの言い分も関係なく、更にネプギアが言った。

 

「自分のことも、『俺』じゃなくて『うずめ』、って言ってましたよ!」

 

「そ、空耳だって。それとも、ここには幻術でも操るモンスターがいるのかなー…。あはははは…。」

 

うずめは焦りながら、否定する。

ここで俺は助け舟を出すべきなのだろう。だがどんなことで話を逸らすか考え付かなかった。それどころか…。

光樹はうずめの方に近づき、肩に手を置く。

 

「な、何だよ、光樹。」

 

うずめが困惑する。何が起こるか分からないからだ。だが、ネプテューヌは何やら分かったように期待している。まぁ、ネプテューヌのその狙いは少し外れることになるのだが。

光樹は言う。

 

「うずめ、今のひょっとして素の性格か?なんか可愛かったんだが…。」

 

「光樹ッ!!お前が一番俺を助けてくれそうだったのに!!可愛いって何だよ!?」

 

うずめは怒りと涙を露わにして、怒ってきた。流石にいじり過ぎたか。…しかし、本当に、あのうずめはかなり可愛いと思ってしまったのだ。

だが泣かせてしまったのは流石にまずい。光樹はすぐに止めに入る。

 

「ご、ごめん。うずめ。つい、ネプテューヌ達の言葉に合わせてしまって…。」

 

「ううっ…。ひどいだろ……。」

 

うずめは何とか泣き止む。だがネプテューヌ達は更に質問しようとしていた。

とそこで、コーラル駅の方から何かがやって来た。

 

「うずめさん、うずめさん!」

 

「ほんとに来たー!?」

 

ネプテューヌがいきなりの登場に驚く。うずめの事を呼んだ者は小さなモンスターであった。だが知らないというわけではなかった。うっすらとだが、個体名は確か…。

 

「よっし、ナイスタイミングだ、ひよこ虫!」

 

そうだ、ひよこ虫だ。まさか、この場所でも見つけることになるとは…。

だがそのひよこ虫は見事に話の話題を変えてくれた。うずめも気分を取り戻す。

 

「ん?ナイスタイミング?」

 

ひよこ虫が何の事かさっぱりな様子を見せる。

それに対して慌ててうずめは言い直す。

 

「あ、いや。それはこっちの話だ。それよりも、どうしたんだ、そんなに慌てて。…もしかして、海男のことか。」

 

そう聞くと、ひよこ虫はすぐに言葉を発した。

 

「そうなのです。海男さんがモンスターに襲われて大変なのです。案内するので、早く向かうのです。」

 

まさに運が良かった、と言うべきだ。ひよこ虫は海男の場所を知っていた。ひよこ虫の話すスピードからも、相当状況はやばいことが分かった。

すぐにひよこ虫はコーラル駅の方に戻っていく。その後を光樹達も追いかける。

その途中、うずめは自慢げそうに言う。

 

「どうだ、三人共。俺の言ったとおりだったろ?」

 

「ま、まさかうずめさんの妄想どおりの展開になるなんて…。」

 

「この世界、何が起こるか全然分かんないな…。」

 

ネプギアと光樹はそれぞれ驚きの言葉を述べる。光樹もここで都合よく、誰か話題転換してくれないかとは思ったのだが…。

そんな事を考えている中、ネプテューヌも別の事に対しての感想を述べた。

 

「それもそうだけど、わたしはそれ以上にうずめのあの性格の変わりようの方がびっくりしたかな。光樹も食らいつくくらいだし。本人は隠したがってるみたいだけど…。」

 

「そういえば…っていうか、何で俺、あそこまでうずめの事気に入っているんだろうな。」

 

そのネプテューヌの言葉に、光樹は唸る。いや、おそらくは「夢」の中で自分に助けを求めてきた存在だから、気にかけている、という感情からなのだろうが。それ以上に、何か引っかかるのだ。

 

(気にしている暇はないか。とにかくまずは海男の救出からだ。)

 

光樹は頭を切り替える。

と、動きの止まっていた三人に、うずめが大声を掛けてくる。

 

「おーい。何話してんだ、おいてくぞー。」

 

「案内するので早く向かうのです!」

 

ひよこ虫もこちらを急かしてくる。それに気づいたネプテューヌは、声を出しながら走っていく。そのあとに、ネプギアと光樹も付いて行く。

 

「わーっ!待って待って!」

 

四人と一匹はダンジョンと化した駅跡、「コーラル駅」の中へ入っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここに海男がいるんだな。」

 

俺はそうひよこ虫に聞く。するとひよこ虫はすぐに答えた。

 

「はいなのです。ここは元々僕たちの仲間が棲家にしていたのです。それで、偶然奥でシェアクリスタルみたいなものをみつけたので、海男さんに確認してもらっていたんです。」

 

そこで光樹が話に入ってくる。

 

「なるほど、つまりその途中でモンスターに?」

 

「そうなのです。その最中にいきなり見たこともない大きなモンスターがやってきて…。海男さん、無事でいてほしいです。」

 

その言葉を聞いていてうずめは考える。

海男は時間から言ってまだ大丈夫なはずだ。海男はこれでも俺と一緒にあのデカブツたちと戦ってきている。作戦を考える役割だが、運動神経は割と高い。

だが問題はどこにいるかだった。この駅の中にいるだけ、まだ楽な方だが、この大陸の地下の道はかなり入り組んでいる。実際うずめも、過去にこの手のダンジョンに入った時に迷ってしまったことがある。その時は海男に連絡して、なんとか助けてもらったのだが、今はその海男が困っている状況だ。まぁ、その時にヴィジュアルラジオに構造把握アプリがあったことが分かり、最近は迷うことは無い。

だがそれでも、自分自身で、未開の地に向かうのだ。一応、この場所へはこのひよこ虫の仲間たちをここに連れてきたときにすでに訪れていた。が、その時はまだ構造把握アプリには気づいていなかった。

すぐに助けに行きたいのに、もし道を間違えてしまえばタイムロスになる。

 

(海男…無事でいて……!)

 

うずめは地の性格を見せながらそう思いつつ、言う。

 

「事情はわかった。それで、そのシェアクリスタルは本物だったのか?」

 

「もちろんなのです。モンスターに壊されないように今は海男さんが持ってるのです。」

 

「なら、早いとこ助けてやんねぇとな。……ところで、海男がいる場所までは、覚えているよな?」

 

うずめはふと、そんな不安を口にする。

だけど、その心配を、ひよこ虫は打ち消してくれた。

 

「大丈夫なのです。覚えているのです。」

 

「よし、じゃあねぷっち、ぎあっち、光樹。すぐに行くぞ!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

「ああ。」

 

俺はそう聞くと三人がすぐに返す。

全員で、ダンジョンの奥に進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、うずめはさ、このひよこ虫とは知り合いなの?」

 

わたしはうずめにそう聞いた。

モンスターとの戦いが終わって、ふとそれを聞いたのだ。

すると、うずめは答える。

 

「知り合いっていうか、こいつらも俺の仲間なんだ。ひよこ虫ってのは、この世界で一番多いモンスターで、いろんな所で群れを作って暮らしてるんだ。群れ同士のネットワークもあって、よくシェアクリスタル探しを手伝ってくれてるんだ。」

 

「その代わりに、ボクたちを凶暴なモンスターから守ってもらっているのです。」

 

それを聞いて理解する。そうなんだ。うずめはこの子たちを守っているんだね。そういえば避難した仲間がいるって言ってたけど、多分この子たちもだよね。他にもいるのだろう。

そして代わりにシェアクリスタルを探してもらっている…いわゆる共存しているんだ。私たちの大陸だと、モンスターってほとんど敵対してるから、こういうのも新鮮だなぁ、と思う。

 

「持ちつ持たれつ、素敵な関係だね。けど、わたし、ひよこ虫をみてたら、お腹が減ってきたかな。」

 

わたしはふと、そんなことを言った。実はひよこ虫は、エビフライのような味がするといううわさがあるのだ。実際、それを実行した人はいないらしいけど。

と、そこでうずめが聞いてくる。

 

「なんでだ?まさかとは思うが、ねぷっちの国では、ひよこ虫が主食なのか?」

 

「ビクッ!?」

 

「…マジか……モンスターを食べるのは俺嫌だぞ。戻ってもそれは料理に出さないでくれよ?」

 

ひよこ虫がそれに驚き、光樹が嫌そうな顔を見せる。その誤解を解くべく、ネプテューヌは言葉を続ける。

 

「違うって。さすがに、それはないない。わたしは食べたことないんだけど、ひよこ虫って、油でカラッと揚げて食べるとエビフライに似てるって言われてるんだよねー。」

 

「ぼ、僕は食べても美味しくないのです。うずめさん、助けて欲しいのです。」

 

ひよこ虫はうずめに助けを求める。確かにそんな話されれば、身の危険を感じるのも当たり前だ。

その声を聞いていたうずめだったけど、予想外の言葉が出てきた。

 

「エビフライかぁ…。そういえば、食ったことないなぁ」

 

すがすがしい顔を見せる。そして更に言う。

 

「なぁ、お前、ほんとにエビフライみたいな味がするのか?」

 

「だ、誰か助けて欲しいのです!」

 

ひよこ虫は震えながら後ずさりする。だがしかし、更にそこでわたしはあることを言いだす。

 

「じゅるり。お昼ごはんを食べてないせいか空腹のあまりエビフライに見えてきたかも。ねぇ、エビフライって、呼んでもいい?」

 

「エビフライなのです!?」

 

更にうずめがその話に乗る。

 

「おおっ、いいなエビフライ。個性的でいい名前だと思うぞ。」

 

そんな様子に、流石にダメだと思ったのだろう。ネプギアが止めに入ろうとする。

だけどその前に、光樹が先に割って入った。

 

「いやいや、名前を付けるのはいいけど、食べるのはやめとけ。」

 

「あ、ありがとうなのです。」

 

そのひよこ虫ことエビフライはお礼を言う。

だけどなんでだろう。光樹が不機嫌そうな顔をしている。何があったんだろ?ネプテューヌは聞いてみる。

 

「ねぇ、光樹。なんでそんなに機嫌悪いの?」

 

それを聞くと、光樹は答えた。

 

「俺、魚介類苦手なんだ…特に体に硬い部分があるカニとかエビ、それから骨の残ってる魚とか。」

 

「えっ、そうなのか?」

 

うずめが驚きを見せる。なるほど、光樹は魚介類が苦手なんだ。そう思っていると、エビフライが聞いてくる。

 

「ボクのこと食べない?」

 

やはりまだ心配なんだろう。あんなことを言われちゃね。まぁ自分も悪乗りしすぎたなぁと思っている。

それを聞いたうずめが笑いながら答える。

 

「食べない食べないって。だから、海男のところへの案内、頼むな。」

 

そう言ってわたしたちは更に奥へと進んでいった。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。原作とほぼ同じ展開なので、面白くないと思われる方もいるかもしれません。そこのところは申し訳ないです。
ですが、自分の方でも、なんとか面白くなるように考えているので、これからもよろしくお願いいたします。

次回の投稿は土曜日になります。
では、次回もお楽しみに。


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第25話 過去のデータ、強敵出現

どうも皆様、お元気でしょうか。
最近の趣味はバトルスピリッツのデッキ構築を考えるのと激次元タッグブラン+ネプテューヌVSゾンビ軍団をプレイする、藤和木弘です。
第25話、投稿です。

今回のお話はあの通常攻撃の効かないモンスターと海男の登場です。
でも攻撃効かないのって通常攻撃だけだったっけ、とあやふやです。間違っていたらごめんなさい。

では本編をどうぞ。


 

 

光樹達はあの後、モンスターを倒しながら、先を急いでいた。割と奥まで来たが、それでも目的の海男は見つからない。

だが、うずめは表情を崩すことなく、笑みを浮かべつつ、敵を倒している。大丈夫そうだ。

階段を上ったり下りたりしている途中、ネプギアが思い出したかのように言った。

 

「あっ、公衆電話だ。ごめんなさい、ちょっとここで待ってもらえますか?」

 

「えっ…おい、ネプギア。どうした、急に…。」

 

だが聞いた光樹の声が届いていないかのように、ネプギアは走っていく。何やら公衆電話を見つけたようだが…。

 

「どうしたんだろ?公衆電話なんて珍しくもないのに。」

 

ネプテューヌも不思議に思う。

そこでうずめがその理由を推測した。

 

「たぶん、ネットじゃないか?外でネットに繋ぐのって、公衆電話とかの外部端末に繋がなきゃいけないし。」

 

その推測に納得する。今朝もどこかにコードを接続してネットにアクセスしていたと言っていたのを思い出す。

となると、しばらくは休憩タイムだろう。確か先程、ネプテューヌはお腹が空いていると言っていたな、と思う。そこで光樹は背負っていたバッグ(うずめの拠点にあったものを拝借してきた)から乾パンの缶詰めを取り出す。

 

「とりあえず、休息するか。ネプテューヌ、さっきお腹が空いたって言ってたよな?乾パンならあるぜ。」

 

「おーっ!気が利くね。食べる食べる!」

 

「そうだな、少しでも腹を満たしておかないとな。」

 

ネプテューヌとうずめがこちらに来る。三人は少しの間、休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

私は公衆電話までたどり着くと、すぐにポケットから有線ケーブルを取り出す。そして接続口を探し、見つける。

 

「Nギアをケーブルで繋いで…っと。うん、これでよし。」

 

繋いだのを確認すると、ネプギアはすばやくNギアを操作し、回線をつなぎ始める。

ものの数十秒で回線は繋がった。

 

「………よかった、ここからなら、この街の管理サーバーにアクセスできるみたい。プロテクトも一昔前のものっぽいし…。よし、侵入できた。」

 

プロテクトを突破した後、ネプギアは早速サーバー内のデータを黙々と見ていく。

 

「………。」

 

じっくりと内容を見ていく。何か使えそうなデータが無いか、それを調べていく。

…しかし、1分後。

 

「ほとんどのデータが壊れてる。」

 

ここから入った街のデータベースには、壊れたデータがほとんどだった。使えそうなものはほとんどない。

諦めようかとも思った所で、ネプギアはあるデータに眼を止める。

 

「あ、けどこれなんだろう。えーっと…。」

 

内容は、今朝見つけた、あのデータに近いものだった。

内容は以下のとおりである。

 

 

 

 

1ページ目

『□がつ□にち □□□□□□□から □□□が はつばいされた こちらがさきなのに かざむきがわるい』

 

2ページ目

『□□□□□□□に たいこうして □□□□□□□□□をとうにゅうする しかし とうにゅうじきがおそすぎる このながれは かえられない だれか □□□を すくってくれ』

 

 

 

 

その内容を見て、ネプギアはゆっくりと息を吐く。

 

「…見つかったデータはこれだけ、か。」

 

それしか見つからなかったことに、がっかりはしたが、収穫はあった。それは文の口調から分かったことだ。

 

「けど、この記録を書いたの、この間みつけたのと同じ人かな。」

 

そう、文の口調が、書き方が同じ人物であるという可能性だった。言葉の区切りに句点、読点を使わない所、そして、ひらがなとカタカナがメインで、漢字が使われていない所が同じだ。

そこでネプギアはそこから読み取ったものを、以前手に入れたファイルの内容と合わせて考察しようとする。

と、その時、ネプギアを呼ぶ声が聞こえた。

 

「おーい、ぎあっちー。なにしてんだー!先にいくぞー。」

 

それはうずめさんの声でだった。どうやら、かなり時間が経ってしまっていたようだ。いけないいけない、今は海男さんを助けに行かないといけないのに。

 

「ご、ごめんなさい。今、いきまーす。」

 

そう声を返すと、ネプギアはコードを外して再びポケットに入れた後、すぐに走っていった。

ちなみに、合流した後、光樹さんから乾パンをいただいた。お腹も少しは満足したかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、こっちこっちー。」

 

「うずめさん、やっときた!」

 

急に響いた声に、思わずわたしは反応した。だれだろう、と思ったわたしはその声の方を向く。

すると、そこには大量のモンスターたちが居た。

 

「これで安心だね。あれ、なんか三人知らない人がいるよ。」

 

「本当だ。誰だろう?」

 

「うぉっ!?なんか、ひよこ虫がいっぱいいる!?」

 

わたしは驚きの声を出した。こんな光景、あまり見たことが無いので、びっくりしてしまったのだ。隣から見ていたネプギアと光樹も、同じように驚いていた。

 

「凄い、三十匹はいるね。私、こんなにたくさんのひよこ虫みたの初めてかも。」

 

「可愛いモンスターもこれだけいると怖いもんだな…。まぁ、敵意は無いみたいだな。」

 

わたしたち三人が驚いている間に、エビフライが前に出てきて聞き始めた。

 

「おまたせなのです。海男さんとモンスターはどこにいるんですか?」

 

そう聞くと、すぐにひよこ虫の一体が答えた。

 

「海男さんなら、モンスターを引き付けて向こうに行ったよ。はやく行って助けてあげて。じゃないと、食べられちゃうよ。」

 

ひよこ虫の言った方に目を向ける。ここからではまだモンスターの姿は見えないけどいるんだね。

それを聞いたうずめは、ひよこ虫たちに感謝の言葉をかける。

 

「お前らも危ないのにわざわざここに残ってくれてたのか。サンキューな。」

 

「気をつけてください。とっても強そうなのがいるんです。」

 

一体のひよこ虫がそう言った。強そうなのが一匹いるんだ、と思う。でもどんな奴でも倒しちゃうぞ!そう意気込む。

ひよこ虫の発言に、うずめは笑顔で答える。

 

「それなら、心配はいらねぇ。こっちには助っ人が三人もいるんだ。」

 

「そうだよ!わたしとネプギア、それに光樹がいるんだもん。モンスターの一匹や二匹任せてよ。」

 

「はい、任せて下さい!」

 

「大丈夫だ。海男も助けてくるよ。」

 

三人はうずめに続いて自信満々に言葉を発した。

実際、この四人なら、どんな敵でも大丈夫だと思う。私やネプギア、うずめは女神だからもちろん勝てる。そして光樹も「ガンダム」になるんだから。大丈夫!きっと勝てる!

 

「そういうことだ。カタが付いたら呼びに来るから、安全なところに隠れてな。」

 

うずめが避難を促したのち、ネプテューヌ達はすぐにモンスターのいる方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数十秒後、わたしたちはひよこ虫たちの言っていた場所に着いた。しかし、そこには驚くべき光景が広がっていた。

 

「うわっ!?なにここ、いかにもなモンスターがいっぱいいるよ。」

 

思わずそう叫ぶ。大量のモンスターがたくさんいた。これだけのモンスターから逃げていたなんて、海男ってすごいなぁ、と考えていた。

だがうずめは落ち着いて言う。

 

「こいつらが海男を襲ったモンスターか。へっ、どんなやつらかと思えば、雑魚ばっかじゃねぇか。」

 

「うずめさん、倒せる?」

 

唯一避難しなかったエビフライが聞くと、うずめは返事をする。

 

「答えるまでもねぇ。行くぞ、ねぷっち、ぎあっち。」

 

そして、わたしたちはモンスターとの戦闘に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

『戦闘不能…。』

 

「よし、次!」

 

目の前にいた腕がガトリング砲になっている機械系モンスターをライフルで倒し、すぐに次のモンスターの懐に潜りこみ、倒す。次のドカーン系のモンスターは耐久が高い。光樹は右手にANビームライフルⅤ・ロングライフルモード、左手にANビームサーベルⅤを構え、飛ぶ。

ライフルからビームを放ちつつ、接近していく。ロングライフルの反動が大きく、ほとんど牽制のようになり、ビームは当たっていなかったが、接近することに成功する。敵は防御態勢の盾のように正面面積を広げた体制を取る。それに構わず、ビームサーベルを横に振るう。

しかし、切り裂ききれず、耐えられた。反撃の爆風が光樹を襲う。

 

「くっ…!」

 

シールドを構えて爆風を防いで交代する。しかし、若干構えるのが遅かったため、右半分に爆風のダメージが発生している。

そのカウンター攻撃に便乗して、他のモンスター達がこちらに向かってくる。光樹も迎撃しようとする。

が、そこに光樹のフォローに、うずめが割って入る。

 

「下がってろ。」

 

「うずめ!」

 

すぐにうずめはメガホンを介しての声の衝撃波をモンスター達に放った。倒しきれなかったモンスターも居たが、ある程度は倒したようだ。

うずめもやるな。そう思いつつ、光樹は装備を変更しつつ、うずめの前に出る。

 

「フルバーストで一気に決める!!」

 

「おう!頼んだぜ!」

 

うずめの声を背中に受けつつ、両手にANビームライフルⅤ、背中のANランチャーキャノンⅡ・キャノンモードとランチャーモード、ANヴェスバーレールガンⅣ・レールガンモード、更にANドラグーンⅤを展開しての一斉砲撃、ドラグーンフルバーストを放つ。ストライクフリーダム以上の火線が、敵を襲う。

撃ち終わると、ドカーン系やガトリング砲持ちの機械系モンスター諸共、消滅していた。どうやら完全にこちらは完全に倒しきったようだ。

 

「よし、撃破だな。」

 

「そうだな、後はネプテューヌ達の方だな。」

 

うずめとそう言葉を交わす。

その言葉通り、現在俺たちは、俺とうずめ、ネプテューヌとネプギアで別れてモンスター達と戦っていた。なぜそんなことになったかと言うと、簡単に言えば、横道から挟撃されてしまったのだ。

後ろに下がっていればよかったかもしれないが、後ろに下がれば、ひよこ虫達の方に被害が及ぶということで、仕方なくそのまま迎撃することになったのだ。

光樹達は後ろに行かせないため、その場に残り、ネプテューヌ達は横道のモンスター達を遊撃的に応戦することとなった。そのおかげで、モンスターを完全に食い止め、こちらは完全に倒した。後はネプテューヌ達が戻ってくるだけだ。

そう思っていた、その時、ネプテューヌ達のいる方から何かが飛び出してきた。

 

「きゃっ!!」

 

それはネプギアであった。思い切り尻餅をつく。

最初は何か攻撃を受けて仰け反ったのだと判断した。しかしそれなら倒れることは少ない。それに、ネプギアと武器のビームソードは、傷はほとんど見受けられない。つまり攻撃は受けていないのだ。

だが、なぜ?光樹は考えたが、何も思い浮かばない。記憶があれば、何か考え付いたのだろうが…。

そんな中、更に横道の方から人影が出てきた。出てくるものと言えばただ一つ。

 

「んもー!なんなの、あいつ!」

 

ネプテューヌだ。後ろに大きく引きながらの登場だったが、大丈夫そうだ。反対の方を向くと、そこには馬に翼の生えた、いわゆるペガサス型のモンスターが四本の脚で余裕そうに立っていた。

俺はすぐネプテューヌとネプギアに何があったのかを聞く。

 

「どうした、ネプギア、ネプテューヌ。何かあったのか?」

 

「光樹さん!」

 

「光樹!ちょうどよかった。あいつ強すぎだよ!攻撃が効かないよ。」

 

「攻撃が効かない…?」

 

ネプテューヌから語られたのはそんなとんでもないことだった。攻撃が効かない。それから予想されるのは、何かバリア的なものが存在しているのか、それとも単純に力量が足りないのかである。

前者ならまだ勝てる可能性はある。だが後者であったなら、最悪海男を見捨てる選択もあり得る。

だが、そこにネプギアが希望のあることを言う。

 

「何か、普通の攻撃だと通りにくいんだと思います。それ以外の…例えば、お姉ちゃんのスキル攻撃の「クロスコンビネーション」とかは攻撃が通りやすいって思いました。」

 

「スキル攻撃が効きやすい…かなり厄介そうだな。」

 

ネプギアの言うスキル技といえば、スキルポイント、通称SPという精神力のようなものを消費して使う攻撃の事だ。何回も使える様なものじゃないが、その分威力は高い。

それなら、スキル技を主軸にしていった方がいいのだろう。更に話を聞いていたうずめも言う。

 

「…なるほどな攻撃が効きづらいって聞いた時はまさかとは思ったが、あの野郎、物理バリアを張ってやがる。」

 

「物理バリアって…倒せるのか?あいつ。」

 

そう聞くと、うずめは冷静に答える。

 

「大丈夫だ。怪しいのは、あの〔翼〕だな。たぶん、位置的に、正面からぶん殴れば、壊せそうだな。」

 

「当然壊せば、普通に攻撃は通るよな?」

 

「あぁ。間違いない。」

 

それを聞いて安心した。あれを壊すことが出来れば、あとは殴っていけば大丈夫。なら、こちらもNFBは使わずとも、チャージショットやディバイドエッジが効くはずだ。

そう判断した光樹も他の全員同様に武器を構える。すると、ペガサス型のモンスターはこちらに突っ込んでくる。それを回避する。

 

「よし、全員でフルボッコだ!!」

 

そしてうずめの声と共に、全員がペガサス型のモンスター「ユンゲルトス」に向かって攻撃を集中させる。

ネプテューヌのクロスコンビネーションが連続で敵を切り裂く。そして次にネプギアのミラージュダンスがヒットする。

しかし、敵も負けずに反撃の暴れ攻撃をする。それらをネプテューヌとネプギアは回避する。

 

「いくぜ!!」

 

暴れて疲れたところに、うずめのスキル技、「咆哮夢叫」がユンゲルトスを襲う。蹴りから飛び上がっての衝撃波が広がる。

それでもなおユンゲルトスは余裕を見せている。翼の部分も破壊されていない。

だが、まだ攻撃は残っている。

 

「こいつで…決める!!」

 

『ディバイダー・ゼロシステム起動。アタックシフト、ディバイドエッジ。』

 

飛翔した後、ディバイダー・ゼロシステムを起動させ、攻撃態勢に入る。それを見たユンゲルトスは、防御態勢を取る。しかし、その防御態勢は翼までカバーしきれていない。そこに、攻撃を定める。

 

「ディバイド!エーッジ!!」

 

DAN粒子の衝撃波を放って、一気に降下し、強烈な突きを繰り出す。それらすべてが左側の翼にヒットする。

すぐに後退し、ダメージを確認する。かなりのダメージだったが、それでも翼は壊れなかった。

流石に硬すぎだろ、と思ってしまう。だが、その心配は無駄に終わることになった。

 

「よし、ねぷっち、ぎあっち!いくぞ。」

 

「オッケー!」

 

「問題ありません!」

 

三人がユンゲルトスを囲むようにすでに展開していた。光樹は何をするのか全く分からなかった。だが何かの攻撃であることは俺にも分かった。

そして、攻撃が繰り出された。

 

『トライバースト!!!』

 

その叫び声が重なると、三人の構えていた手のひらから雷のような攻撃が、ユンゲルトスに向かって伸びる。

その光はユンゲルトスに直撃し、爆発する。爆風はこちらまで広がる。思わず顔を腕で覆う。

爆風が収まった後、腕をどけると、そこには未だに健在のユンゲルトスが見えた。ところが本体の方にはかなりダメージが入っているようで、翼の方はヒビが大量に入っていた。

 

「今だ!光樹!!」

 

うずめの叫び声にすぐに反応する。俺に決めろと言っているのだ。

そう判断した光樹は、すぐにANビームライフルⅤをロングレンジモードに切り替え、構える。そしてディバイダー・ゼロシステムをブラストシフトに切り替える。

 

『ブラストシフト・シルバーハンマー、ファイア。』

 

ゼロの音声と共に、ライフルから漆黒のビームが放たれる。そのビームが、ユンゲルトスを貫き…。

 

パリィィン!!

 

そんな音と共に、ユンゲルトスの翼は、砕け散った。

そこを、四人は見逃さない。

 

「みんな!突撃ライクハート!!」

 

ネプテューヌの言葉と共に、一斉に距離を詰め、武器での攻撃を再開する。ユンゲルトスは避けようとせず、その攻撃を受けた。

体力がなかったのか、翼が破壊されたことに衝撃を受けたのか、どちらにせよ、関係ない。今はこいつを倒すだけだ。

攻撃が集中すれば、いくら今までバリアで耐えていたモンスターも、かなうわけがない。幾度もの攻撃の後、ユンゲルトスは床に倒れこみ、消滅した。勝ったのだ。

それを確認した後、全員はふぅ、と息を吐いた。

 

「これで最後かな。」

 

「みたいだな。モンスターの反応もないし、これで安心して海男を探せるな。」

 

ネプテューヌと光樹が安心し、そう言った。これなら、もう安心だと、思ったからだ。

実際、今はゼロに周囲の敵反応を調べさせている。大丈夫なはずだ。

と、そこで、ネプテューヌがふと、海男のことについて話す。

 

「けどさ、海男ってどんな人なんだろう?声から予想するに、渋くてイケメンなおじさまじゃないかな?」

 

なるほど、ネプテューヌはそんな予想をしているのか。確かにあの声ならそんな予想が普通かもしれない。だが、俺はやはり、ニムバスさんのような騎士道かなにかに固執しながらも、仲間たちをまとめるリーダー気質な二十代の青年を考えていた。

 

「そうかな?俺は少し残念なイケメンで、騎士道に精通した、独身の二十代だと思うぜ。」

 

「何それー。さすがにそれはないんじゃない?」

 

「そうか?ありえそうだけど…。」

 

そんな話をしていると、辺りを探していたうずめが、声を出した。

 

「海男、無事か!」

 

どうやら海男を発見したようだ。すぐにあの綺麗な二ムバス声が響く。

 

「すまない、心配と苦労をかけた。」

 

「このくらいのこと気にするなって。それに、お前に紹介したい人もいるしな。」

 

「紹介したい人かい?」

 

「ねぷっち、ぎあっち、光樹改めて紹介する。こっちに来てくれ。」

 

それを聞いて、光樹達は、顔を見合わせる。どうやら、遂に海男と会うことが出来るようだ。すぐにうずめの元に集まる

そして、うずめがこちらに顔を向け、海男の方には右手を向けて紹介する。

 

 

 

 

「こいつが海男だ。」

 

 

 

 

そこにいたのは、真顔を見せ、空中に浮く、一匹の魚であった。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
次回のお話はあの宿敵と再会です。

ちなみに冒頭でお話ししました、激次元タッグの方ですが、私は現在カット8まで来ました。なんかこの辺りから敵が強くなっているんですが…。自分無双ゲー若干苦手ですからね、前作とかガンダム無双とかエンディング見たらもう終わりって感じでした。

では次回の投稿は金曜日になると思われます。
次回もお楽しみに!


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第26話 意外な姿と強敵再会

どうも、皆様お元気でしょうか。バトルスピリッツで狙ったカードがパックから全く出ない、藤和木弘です。何で望むカードが出ないんでしょうかね(泣)。

第26話、更新です。
以前の話で登場したメガスレイモンがパワーアップして、光樹達と激突します。

では、本編をどうぞ。


 

 

人生の中では、たまに驚愕すべき事実を知る場面に遭遇することがあるだろう。例えば友人に想い人が出来ていたり、コンサートの限定品がもう中古ショップに売られていたり、更には自分が実は今の親の子供じゃなかったり…。

この世界には様々な「可能性」が眠っている。人生はまさに波乱万丈なのだ。

だが、今俺の目の前で起きている状況は、それらの予想を斜め上くらいを上回っていた。前述したもののそれらなんかとは比べられないものだ。流石にこの世界がやり直された世界だとかいう某スーパーロボット作品の物よりは驚かないだろうが、それでも驚くはずだ。

だって、助けたのが…。

 

 

 

 

宙を浮く、人面魚だったのだから。

 

 

 

 

魚は元来、海に生息するものだ。当然、陸には上がらない。ガンダムの作品では羽クジラってストーリーに全く絡まない、陸にいたとかいう何それ生き物がいたが(クジラという時点で哺乳類のため、関係ないのだが)、それを除いても、現実で魚が魚の状態で陸で生活することは無い。進化の発展途上なら考えられるが、目の前の人面魚は陸に上がるということをすっ飛ばして、人間すら到達していない領域である、生身で空を浮くことを実現している。

加えて、顔は魚面ではなく、人の顔、しかも真顔だ。こちらに真顔を向けている。

…何を言っているのか、分からないだろうが、俺も何を言っているのか分からない。突然変異だとか、メ○シ○カだとかそんなチャチなもんじゃない。もっととんでもない片鱗を味わった。

などと考えている光樹をよそ眼に、ネプテューヌとネプギアが海男の姿を前に、声が重なる。

 

『え、ええええええーーーーーっ!?』

 

二人が驚くのも無理はない。俺だって、どんな言葉を出せばいいか、困っているのだから。

魚に対してなんていえばよいだろう?とりあえず、挨拶は必要だろう。

だがネプテューヌはそんな気を遣うわけもなく、思ったことを言った。

 

「人面魚!?しかも真顔!?」

 

まぁ、そう言うのが普通なんだろう。そう思う。続いてネプギアがもっともな事実を言う。

 

「こ、声と見た目のギャップが凄いかも…。」

 

「奇遇だな、ネプギア。俺も思ってた。」

 

「あ、光樹さんも思っていたんですね。」

 

「そりゃあ、あの見た目なら、な。」

 

ネプギアの言葉に、光樹も乗る。実際、ニムバスのような人間を少しだが想像していた自分からしてみれば、かなりの肩透かしだ。だが自分としては、ニムバスのような奴が来なくて、どこかほっとしている。いや、あの人味方だったら頼もしいですし、その方がよかった?戦力的に。

そんな事を考えている間に、その真顔人面魚、海男が話し始める。

 

「うずめの紹介したい人というのは君たちか。」

 

海男はこちらに少しお辞儀をして、礼を述べる。

 

「まずは、助けてくれたことに礼を言わせてくれ。ありがとう、感謝するよ。」

 

「いや、こちらも助けるのが遅くなって、すみません。」

 

光樹はすぐにその礼に対して、そう返す。一応遅くなってしまったことに対しての反省も込めて言ったのだが、それに対して海男は少し笑みを含んだ真顔のまま、言葉を返す。

 

「いや、十分間に合ったさ。助けてくれて、ありがとう。それにしても、機械を纏った少年…ということでいいのかな?」

 

「まぁ、今はそんな感じの認識でいいと思います。」

 

そんな感じに話していたのだが、そこにネプテューヌがその話している様子を見て言った。

 

「この見た目なのに、セリフが渋くてかっこ良すぎだよ!?」

 

ネプテューヌはどうやら海男の声にとても興味を惹かれたようだ。確かにニムバスの声の方が担当している他のキャラクターもなかなか渋くていい声の人が多かったなと思い出す。

そう考えている所にうずめが話に入ってくる。

 

「どうだ、可愛いだろ?」

 

「…か、かわいい?」

 

うずめのその台詞に、思わずネプギアが動揺する。あれ、これついこの間、あったような…?

 

「そうそう、なんかゆるーいマスコットキャラみたいでチョーかわいいと思わない?ケータイのストラップとかにすれば、うずめ、ぜったい流行ると思うんだ。」

 

「あ…これまさか?」

 

当たりだ。うずめが妄想の世界に入ってしまった。これはまた早めにうずめを妄想から覚まさないと、怒ったりしそうだ。だがこの様子をまだ見ていたいという気持ちになってしまう。いたずら好きな部類ではないのだが…。

と、そこでネプテューヌとネプギアがうずめの意見に対して率直な感想を話し合いだした。

 

「…ネプギア、可愛いと思う?」

 

「ううん。ぜんぜん。」

 

二人共、テンションを下げて言葉を出す。普通の女子なら、その発想が正しいのだろう。うん、俺もあれは欲しくない。というか、あんまり可愛いものは持ちたくない。あれ可愛くないけど。

それでもなおテンションが妄想状態のうずめに、海男が制止に入った。

 

「うずめ、口調口調。」

 

「っ!?」

 

そこでうずめは気づき、咳ばらいをすると、また何事もなかったかのように言い直し始める。

 

「ごほんっ。まぁ、なんだ。つまり、そういうことだ。」

 

(いや、どういうことだってばよ。)

 

心の中で思わず某忍者漫画の主人公のセリフを引用しながら思った。それじゃあ、海男のストラップが可愛いってこと否定してないぞ。いや、否定はしていないのか?

光樹が考えている間に、海男はとあることを語り始める。

 

「…しかし、うずめ以外の人は初めてだな。てっきり全滅したと思っていたよ。」

 

「初めて…?全滅って…どういうことです?」

 

海男のその言葉に、光樹は疑問を投げかける。違和感を感じた理由はただ一つ、「初めて」と「全滅」という、相反している言葉が出てきたからだ。

すると、それを察したのか、海男がその疑問に返す。

 

「…ふむ。どうやら、君とそちらのお嬢様方はまだここの状況を飲み込めていないようだ。やつが戻ってくる前に、どこか安全な場所に避難しよう。話はそこでだ。」

 

「…やつ?やつって誰だ?」

 

海男のその話の後半の内容に、うずめが聞き返す。

と、その時、

 

『センサーに感有り。正面方向を基準に、8時の方向。』

 

「………どうやら、感づかれて戻ってきたようだ。」

 

ゼロと海男が同時に敵の存在に気づく。どうやら敵のようだ。

光樹達はすぐにその方向を見る。

 

「ぐるるるる…。」

 

そこにいたのは、見覚えのある、四足歩行の犬型のモンスターだった。

その姿を見て、うずめも気づく。

 

「こいつは…!?あの時仕留めそこなったやつじゃないか!どうしてここに…。」

 

「多分だが、俺達から逃げて、この街に来たんじゃないか?傷も治っているから、何かの回復能力も持ってるみたいだな。」

 

俺はそう推測する。この街の位置と、あの犬型モンスターのメガスレイモンの逃げていった方向を、ゼロに照らし合わせてみた所、やはりこの街に繋がった。どうやら間違いないようだ。

だがそれよりも問題なのが、傷が治っていることと、以前の戦闘データの物よりも、隊長が50センチほど、高くなっていることだった。

以前ビームサーベルを突き刺した前足はもちろんのこと、叩き折った牙すらも、既に一日経っただけで生え変わっていたのだ。驚くべき回復能力と言うべきだ。しかしまだ若干よろよろしていることから、完全に戦闘のダメージからは回復していないようだった。

そして、明らかにおかしいのが、体長が50センチも大きくなっていることだ。たかが50センチなのだが、それでもただでさえ大きいのに、さらに大きくなっていて体力も多くなっていそうだった。

しかし、大抵のモンスターは、体が大きくなるほど、動きも遅くなる。避けるのは楽かもと考える。

それにこちらは既に戦闘態勢だ。不意打ちさえなければ怖くはない。うずめもやる気満々になって先程の言葉に返しつつ言う。

 

「なるほどな。テメェの詰めの甘さで海男に迷惑をかけるなんざなさけねぇ話だ。」

 

そんなうずめに勢いを付けさせるように、海男が聞く。

 

「うずめ、相手は手負いだ。やれるな?」

 

「とうぜんだ!」

 

うずめはそう言い切ると、すぐにスカートのポケットからシェアクリスタルを取り出し、変身する。

光が晴れると、そこに女神化したうずめことオレンジハートが姿を現す。

 

「そして、ここで因縁を終わらせちゃうんだから!見ててよね、海男。今度こそうずめ、あいつを倒しちゃうんだから。」

 

そのほわわんとした口調で、そんなことを言いながら戦闘状態に入る。ネプテューヌ達も、各々の武器を出現させた。

それを見つつ、光樹もまた両手にANビームライフルⅤを構える。

 

 

 

 

が、

 

 

 

 

ダッ!!

 

 

 

 

その音と共に、敵が強襲する。

一瞬の事で判断が遅れる。ビームライフルのトリガーを引ききれない。

 

(こいつ…以前よりも速い!!)

 

瞬間的に迎撃できないと判断した光樹は回避行動を取る。他の三人は既にその強襲を予測していたらしく、その場から離れていた。最後に残っていた光樹も、なんとかその強靭な爪の攻撃を避ける。

だがそれを見て、敵、メガスレイモン改めギガスレイモンは狙いをこちらに定めたようだ。更にこちらに攻撃を仕掛けてくる。

それに対し、すぐにANビームライフルⅤを構えて、撃つ。一直線に放たれたビームはギガスレイモンの体に直撃する―――――――

 

 

 

 

はずだった。

 

 

 

 

ピシューンという音と共に、ビームは敵の体を滑り、後方へと飛んで行った。

一瞬何が起こったのか分からなかった。何かの間違いだと頭を切り替え、ビームライフルを連射する。

しかし、そのビーム弾全てが、ギガスレイモンに着弾する直前で表面を滑り、当たらない。そこで光樹は気づく。

 

(アンチビームコーティングだと!?)

 

敵が特別、回避行動もしないのにビームが表面を滑って回避する。そうとしか思えなかった。そこでゼロがあることを告げる。

 

『敵の体表色が以前と相違点あり。ビームコーティング剤を付けていると推定。』

 

まさか体表の色まで違うとは思わなかった。それが分かっていれば、まだ状況は有利だったであろう。

ところがこちらは、攻撃を受け付けない敵を前に動揺していた。それにより照準もずれる。それをみすみす見逃す敵ではなかった。顔の横にある角のようなものを振ってくる。

それが左手のビームライフルを弾き飛ばす。

 

「くそっ!!」

 

すぐに右手のビームライフルを構えようとした。しかし、敵の爪を持った剛腕から放たれた斬撃が、右手のビームライフルを切り裂いた。爆風が起こった。

そこで、それを見ていたうずめ達が援護に加わる。うずめの腕のシールドが展開し、フィールドを発生させて、敵の攻撃から光樹を守る。

 

「大丈夫?光樹。」

 

「ごめん、助かった。うずめ。」

 

すぐに礼を返す。見るとネプテューヌとネプギアが横から攻撃を加えていた。

だがネプテューヌの実体剣攻撃すらも効いていないようで、ギガスレイモンは横方向に攻撃を行う。

しかしながら、ネプテューヌも負けてはいない。攻撃を回避すると、すぐに急接近し、コンボ攻撃を加える。その攻撃にギガスレイモンが怯む。更にそこに「クロスコンビネーション」を放つ。

 

「どっせーい!!」

 

必殺技を放ち、すぐにネプテューヌはうずめのフィールドの後ろに回る。ネプギアも既に後ろの方にいた。全員を確認すると、うずめはフィールドを解いた。

そして敵の方に目を向けながら、話し合いを行う。

 

「どういうことでしょう。私のビームソードに、光樹さんの機体のビームライフルも効かないなんて…。何かコーティングを施しているんでしょうか?」

 

「ゼロの解析から、多分そうだ。」

 

「じゃあどうすんの?二人の攻撃が効かないなんて。」

 

ネプテューヌの言うことはもっともだ。攻撃が効かない俺とネプギアのメインウエポンはビーム兵器だ。アンチビームコーティングを相手にまともに戦う方法は少ない。

だが、無いわけではない。幸いにもネプギアには回復魔法があるため、回復役という役目がある。

更にブラッドゼロはANヴェスバーレールガンⅣ・レールガンモード、ANアームドアーマーZR、そして呼び出しで使用可能なANブラッドゼロアームズⅡ・ソードモードがある。一応、メガミブレイカーも実弾兵器であったが、あの破壊力をこんな狭い場所で使うわけにもいかない。

方針を決めたところで、光樹はその考えを伝える。

 

「とりあえず、今回ネプギアは回復役に専念だな。俺は実体兵器があるから問題ない。」

 

「分かりました。…でもやっぱり、光樹さんの機体って便利ですね。状況に応じて、いろんな武器が使えますし。」

 

「でもまあ、状況に応じて適切に武器を扱う判断力が必要だけどな。よし、三人共、準備はいいよな?」

 

そう聞くと、すぐに三人は答える。

 

「問題なし!いつでもオッケー!」

 

「任せて下さい。」

 

「よーしっ、すぐに終わらせて、海男と一緒に帰ろう!!」

 

それと同時に、その場にいた全員が一斉に動く。

突撃してくるギガスレイモンの前に光樹が立ちはだかる。それを見て、ギガスレイモンは強靭な爪を振るってくる。しかし、今度は冷静にANアームドアーマーZRで受け止める。

鍔迫り合いが起き、火花が散る。ギガスレイモンはそのまま押し切ろうとするが、そこに邪魔が入る。

 

「隙あり!!てーい!!」

 

「いっくよー!!」

 

ネプテューヌとうずめが横から挟んで、攻撃を仕掛ける。いきなりの攻撃に、ギガスレイモンは受けきれずに怯む。

そこに、光樹も攻撃を仕掛ける。腰のANヴェスバーレールガンⅣを展開し、レールガンモードの実体弾を敵の首元辺りにぶっ放す。攻撃の当たった衝撃で、ギガスレイモンが仰け反る。

 

「光樹、ナイス!一気に決めるよー。えいえいえい!!」

 

うずめがすぐに正面に回り、拳による乱打を浴びせていく。そこにネプテューヌも入って連続で斬撃を加えてゆく。いい感じだ。どんどん押していっている。これなら勝てる。そう確信した。

しかし、現実は甘くはなかった。

 

「ぐるるるる!!ぅわう!!」

 

その唸り声と同時に吠える。それと同時に、衝撃波が広がる。

 

「いきなり全体攻撃!?」

 

「ウソ!?きゃぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

二人が吹き飛ばされていく。ネプテューヌはそのまま正面から攻撃を受けたため、光樹の後方に向かって吹き飛ばされていく。多分ネプギアが介抱するだろうから、問題ない。

だが問題はうずめの方だ。うずめは普通の攻撃が来ると思い、モンスターの後ろに回り込んで回避していた。その結果、うずめはモンスターの後方にふっとばされた。

 

「きゃうっ!……。」

 

そのまま壁に激突し地面に倒れこむ。見ただけでも、あれはかなりのダメージが入ったように思える。実際、うずめは起き上がれていなかった。あの状況では、モンスターの攻撃なんか、受け止められないのは分かる。今できるのは、うずめが起き上がるまで、ギガスレイモンの気を引くだけだ。

だがギガスレイモンも、馬鹿ではない。こちらには目もくれず、振り返ってうずめの元に走っていく。

 

「うずめはやらせない!!」

 

そう叫ぶと、光樹はウイングスラスターの出力を全開にして、飛ぶ。うずめの間に入って攻撃を受け止めるためだ。

だが、その考えは甘かった。ギガスレイモンは振り返り、そのまま尻尾のフルスイングをこちらに振ってくる。

それがこちらに直撃する。

 

「ぐはっ!!」

 

衝撃は凄まじかった。受け止めきれずに、横方向に吹き飛ばされる。そのまま壁に激突する。機体の装甲のおかげでなんとか立ち上がれるまで体力は残っていた。

しかし、敵は未だにうずめの方に向かっている。

 

「やらせ…ない!!」

 

なんとかそう言ったのち、回り込むように最大出力で飛翔する。少しでも間に合えばいい。うずめに攻撃が入らなければ…。

無我夢中にそう思いながら、うずめとギガスレイモンの間に機体をすべり込ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……げほっげほっ!痛いよぉ…。」

 

うずめは何とか攻撃を耐えきって、体を起こそうとしていた。けど体が上手く動かない。思いっ切り背中からぶつかったから、その衝撃のダメージで動かないと思う。

だけど、まさか全体攻撃をしてくるなんて…。いつもだったら、すぐに振り返って攻撃を出っ張ってるほおで受け止めるか、尻尾で返り討ちにするだけだったのに。ねぷっちたちがいるから、油断しちゃったかな、と思う。

だが、目を開けたうずめの前に、状況が映る。

 

「…え?」

 

そこには、既にあと少しという距離にいるわんわんだった。

ヤバイ、超ヤバイ。すぐにそう判断したうずめは何とかして体を起こす。だがそれが精一杯で、避けようとするが、足が動かず、倒れる。

それを見て、好機だって判断したんだと思う。わんわんが一気に距離を詰めてくる。

 

「うずめ、逃げるんだ!」

 

海男の声が響く。うずめだって逃げたかった。でも体は動いてくれない。いつもなら、こんなにダメージも負わないし、攻撃もちゃんと避けていた。油断したんだ。数が多いからって。

それでも反撃しようと考えた。だけど、こんなけがで攻撃しても、代わりに噛みつかれるのが見えてる。

そしてわんわんの口が開く。

 

「あっ…。」

 

その大きな口を見て、終わったと思った。だけどうずめはあきらめずに、咄嗟にメガホンから衝撃波を放つ。

わんわんは止まらない。

 

(死ぬ…っ!!)

 

そう思い、思わず目を閉じる。

そして―――――

 

 

 

 

ガギャン!!

 

 

 

 

そんな大きな音が響く。

なんで、と疑問が渦巻く。ゆっくりと目を開けると、その疑問は晴れた。

 

「こ、光樹!?」

 

わんわんのその巨大な牙は、光樹の左肩に突き刺さっていた。庇ったのだ。うずめを。

だけど、わんわんが頭を振ると、簡単に光樹の体と左腕が簡単に外れて、光樹は床に投げ出される。

 

「光樹ッ!!…うっ。」

 

すぐに助けに行こうとした。けど、わんわんがそれを遮ってくる。

だけど邪魔をしてくるならただ一つ。正面からぶつかって倒しちゃえばいい。光樹の犠牲を無駄になんかしない!

 

「ええーい!!」

 

すぐにうずめはわんわんの胸部辺りにドロップキックをぶち込む。その攻撃が不意を突いたのか、わんわんが大きく仰け反る。その隙に、うずめは飛び上がってメガホンから大声を出す。

攻撃を受けて、わんわんが怯む。怯んでいる間に、うずめは光樹の方に駆け寄る。

 

「光樹!!大丈夫!?」

 

すぐに光樹の体を起こし、声をかける。しかし、声は返ってこない。

死んでしまった?とも考えたが、まだ息の音がする。まだ生きているみたいだ。うずめは安堵する。

だが、目を離すと、既にわんわんがこちらに向けて走り出すのが見えた。

このままではやられる。すぐにうずめは光樹を抱えて飛ぼうとした。

だけど、

 

 

 

 

ズキッ!

 

 

 

 

「ひゃう!!い、痛い…。」

 

右肩に痛みが走る。その痛みから、肩をけがしていたことに気づく。

その痛みに耐えて、光樹を抱えようとするが、痛みに負けて、光樹の体を抱きかかえられない。

そんな事をしている内に、わんわんが距離を詰める。その牙を持った口を大きく開けながら。

 

(うずめに出来ることは…!)

 

すぐに盾からフィールドを発生させる。だけど、十分なエネルギーを確保できず、破られる。

口が開き、そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

血が飛び散る。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。

光樹「なんかうずめの弱気な部分が多かった気がするんだが…。」

うおっ!ビックリした。いきなり話に入ってこないでください。…で、うずめが弱気になりすぎって言うけど、ネタバレ少しするけど、うずめって弱ってると素の性格になりやすいらしいよ。

光樹「それどこの情報?」

超次元大戦のキャラクター紹介文から。

光樹「(確認中…)…本当だな、ごめん。」

いや、俺もどう表現すればいいか、試行錯誤中だからね。なんか違うとか意見があったら気軽にコメントかメッセージ、Twitterの方にどうぞ。

光樹「そう言えば、冒頭にバトスピの狙ったカードが当たらないって言ってたけど、何が目当てなんだ?」

リューマン・ザ・フォーミュラー。

光樹「あれ、作者って星竜デッキだったよな。なんで系統・竜人のカードを?」

クロスアルティメットトリガーの効果が強いから。

光樹「あ…そうですか。(こいつ、また強いカードだけ入れたネタデッキにするつもりか。)…で、当たったカードは?」

機界蛇竜ヨルムンガンド。

光樹「Xレア(現在二番目、以前は一番高いレアリティのカード)は当てるんですね、分かります。(;^ω^)」

まあ、今度一緒にバトルスピリッツの大会に参加している御方から、龍輝神シャイニング・ドラゴン・オーバーレイを他の店から買ってもらうので、それが入ると思います。

光樹「それ本来なら系統・剣使のデッキ用であって星竜デッキじゃないからな。入れる理由絶対星竜だからだろ!」

うん、一応そうなんだけど、実際は現在抜いた光龍騎神サジット・アポロ・ドラゴンのダブルブレイヴ枠として入れる感じ。後々話すビックバンエナジーも使えるからね。

光樹「勝てるのかよ。\(^o^)/」

一応現状は勝ったり負けたりだね。
さて、そろそろ次回の投稿についてお知らせです。

光樹「次回は木曜日の投稿です。それから、その次はまた黒の館になります。つまりはそういうことです。」

では次回もお楽しみに!


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第27話 目覚める黒き革命者

皆様、お元気でしょうか。
風邪の時、いつもお世話になっている医者に、メタボではと言われ、ショックを受けた、藤和木弘です。原因は分かっている。それは、心療内科で出されているあの薬の副作用のせいだ!( ー`дー´)キリッ

さて、第27話、投稿です。
遂にプロローグに出ていたあの機体と名前を共有する機体が登場です。自分の中二病時に、1イヤーに2機機体を考えているため、その機体と次の機体は同じ作品の機動兵器がモデルになっています。今回は革命者、そう、あの問題作(すみません)の機体が設定のベースとなっています。何の作品かは、読めばわかります。

では本編をどうぞ!


 

 

『光樹…目覚めよ、和藤光樹……。』

 

「うん…ここは……また「夢」か?」

 

光樹は意識を目覚めさせていく。だが目覚めたにも関わらず、視界は暗いままだ。多分俺が言ったとおり、夢の世界だろう。

だが聞こえてくる声はブラックエースを初めて纏った時に現れた光の存在の物ではなく、ゼロに近い声だった。

声の主はそのまま言う。

 

『光樹よ、禁忌に触れる覚悟があるか?』

 

「禁…忌?」

 

その言葉に思ったままの言葉を返す。禁忌と一体何なのか。だがその言葉の意味からも、危険な雰囲気がする。

思わず身構える。しかし、それに気にもしないように、謎の声が聞こえてくる。

 

『禁忌を分かりやすく言った方がいいか。…では人間をやめる覚悟はあるか?』

 

「な…それって…。」

 

思わずそれに反応する。人間をやめると言えば、「革命機ヴァルヴレイヴ」の認証システムのセリフではないか。

光樹は動揺する。今はうずめを助けるために、力がいる。しかし、その提案を受け入れてしまえば、マギウスになることとなる。最悪、自分は主人公のように記憶を失って死ぬ可能性もある。

だが、ここで選ばなければ、うずめは……。

そして、光樹は決断し、告げた。

 

「…俺は、人間をやめる……そして、みんなを助ける!!」

 

決意の声が響き渡る。それを聞いていた者は…。

 

『聞くまでもなかった…か。ならば、禁忌の力を解放する。貴様は既に人間をやめている。そして、人として、今までを戦ってきた。…目覚め、そして、その禁忌の力を振るうがいい。』

 

その声が遠ざかっていく。それと同時に現実の感覚が戻ってくる。ぼやける視線の先にモンスター、ギガスレイモンが見える。

それに向かって、光樹は剣を振るった。それが、首元を切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「光樹!うずめ!」

 

わたしは叫ぶ。体中は痛むが、それでも叫んだ。最悪の展開にならないように願いながら。

だけど、最悪の結果は回避された。

うずめの腕の中にいた光樹が、残っていた右手に握られた剣を振ったのだ。その攻撃が凄まじかったのか、斬られた場所から血が噴き出し、思わず下がった。

 

「よかった…。光樹さん起きていたんだ!」

 

「さっすが、光樹!でも、これって勝てる…のかな?」

 

ネプギアの安堵に続いて、わたしも光樹を賞賛する。だけど、反撃をしたはいいけど、まだ状況は良くなかった。すぐにうずめたちに合流して、態勢をたてなおさないと。

でも、その考えは変わることになった。光樹の行動によって。

光樹はすぐに、剣を腰に装着すると、右手を胸の所で交差させる。

この雰囲気、前にも見たことがある。光樹が初めて変身したときと、暴走したシェアプロテクターと戦った時も、同じ構えをしている。ということは…。

そして、わたしの考えは当たっていた。

 

「ファイナライズ・アップデーティング。」

 

その言葉が唱えられると、光樹が光の渦に飲みこまれる。やっぱり、更に変身するんだ。

数秒後、光が晴れて、光樹のガンダムの新しい姿が現れた。

角はさっきまでのゼロと同じように、二本だ。だけど、違うところがあった。特徴的な違いとしてこめかみ辺りから、緑色のクリアーパーツが、楕円を描くように付けられていた。

体の方も、肩と膝の増加パーツみたいな装甲に取り外せそうな突起物が装備されている。更に左腕についているシールドには槍みたいな武器を持っていたり、背中の翼のパーツは左右に二枚ずつの計四枚に変わっていたり、その背中のランドセルみたいなパーツには、ブラックエースの時に持ってた武器に似た武器が二本、ぶら下がっていた。

全体的なシルエットはゼロに近かったけど、でもかなり印象は違ってる。機体の色は今まで通りのカラーリングだったけど、全く違う機体に見える。

遂に、ゼロの機械音声が、その機体の名を告げた。

 

『SSR-VVVX-BA001-N(エスエスアールトリプルヴイエックスビーエーゼロゼロワンノーマル)、シュバルトゼロガンダム、装着完了。』

 

…ってまたゼロ!?てっきりダブルゼロになるのかと思ってたよ!

と、ふと横を見ると、ネプギアが目を光らせながら呟いていた。

 

「すごい…あのメカ、調べてみたい…!」

 

「あのさー、ネプギア。それは後にして、うずめを助けにいこ?」

 

そう聞くと、ネプギアは「はうっ!」と奇声を上げたあと、我に返って言葉を返す。

 

「そ、そうだね。早くうずめさんと合流しないと。」

 

すぐにわたしたちはモンスターに気づかれないようにしながら、うずめの元に向かった。思えば、この時はモンスターはいきなり反撃してきて更に変身した光樹に夢中だったから、気にせずに向かえばよかったと後で後悔している。

うずめの元に着くと、わたしは声をかける。

 

「うずめー、大丈夫?」

 

「ねぷっち!無事だったんだ。」

 

「もちろんだよ。うずめは?」

 

「まだ背中が痛いけど、大丈夫…ってて。」

 

うずめは右腕を抑える。かなりダメージを受けちゃってるみたいだ。すぐにネプギアが応急手当てをする。

その応急手当てを受けながら、うずめは光樹の変身した件について聞いてきた。

 

「あれが、光樹の新しいガンダム?」

 

「たぶんね。でも大丈夫だよ。光樹なら勝てる!」

 

「…そうだね。うずめも光樹なら勝てるって思えてきたよ!」

 

そんなことを話しながらいつでも手助けが出来るよう、ネプテューヌは構えて、その睨み合いを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

機人と獣は、互いに出方をうかがっていた。互いに大きな一撃を相手に喰らわせようと、状況を冷静に見ている。だが獣の方はどちらかというと、その姿に驚きを隠そうと、動いていないように見えた。少なくとも、機人の少年、光樹はそう感じていた。

一方、光樹の方も、手を出しあぐねていた。理由は簡単、どの武器がどのような性能だったか、はっきりしていないのだ。だが、ゆっくりと、武器の使い方を思い出してきていた。全ての武装を把握するために、もう少しだけ、時間が欲しかった。

だが先に獣、ギガスレイモンが動く。大方、先に攻撃すれば勝てると判断したのだろう。その判断は正しい。

しかし、こちらも迎撃できないわけではなかった。光樹はすぐに右手を突き出す。すると、腕に装備されていたシールドユニットが横に展開する。それはまるでボウガンのようであった。そして、脳波で指示を飛ばす。すると、ゼロがその武器の名を読み上げる。

 

『ANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニット展開、ANクロスビームボウガン発射準備完了。――――ファイア。』

 

同時に左右の穴から、ビームがギガスレイモンに向け、飛ばされる。光の矢がギガスレイモンに突き刺さり、爆発する。

 

「ギャウン!?」

 

ビームが効いたことに驚いたのだろう。まあ当たり前だ。余裕をもって受け止めたら、ダメージを受けたのだから。

光樹もビームが効いたことには驚いたが、理由はある程度察していた。多分この機体は…。

だが敵も負けずに突撃してくる。それを見て、光樹はサイドアーマーに装備された刀の柄を持ち、構えで待機する。すぐに距離が詰まる。交差する刹那、ギガスレイモンが爪を、光樹が刀…ANカタナ「ゼロエッジ」を振り抜く。

約二秒後、地面に何かがボトリ、と落ちる。それは…ギガスレイモンの右の出っ張っていた顎であった。

切られたことに気づいたギガスレイモンがのたうち回る。

このままではネプテューヌ達にも被害が及ぶ。そう考えた光樹は体を翻して飛ぶ。

すると、足に妙な着地感を感じる。見ると足の底から、ANクロスビームボウガンから放たれたビームに似た、結晶が噴出されていた。それを見て、光樹は理解した。

 

(これはやっぱり…ヴァルヴレイヴの硬質残光……!)

 

硬質残光。それは「革命機ヴァルヴレイヴ」の主人公たちが乗る機動兵器、ヴァルヴレイヴの持つ能力の一つである。機体の動力源から生み出されるルーンと呼ばれる情報原子を機体の手甲、脚部を介して生成される結晶である。障壁や推進や撹乱を行うことが出来る。だがあまり使い過ぎればルーンの元となる記憶が失われるのだ。それが不安を煽る。

が、それをゼロが解決する。

 

『記憶なら問題ない。その機体のルーンはANドライヴから生み出されている。』

 

「本当か。…なら!」

 

それなら、と全力で硬質残光を発生させながら、ギガスレイモンへ突撃する。敵が苦し紛れに放って来た尻尾の一撃を避ける。そして敵の周りを回っていく。更に硬質残光で撹乱させながら、切り裂いてゆく。ギガスレイモンも、光樹の攻撃を止めようと、必死になって動きを目で追って、攻撃する。しかしそれらはほとんどが空を切るか、硬質残光にヒットするだけであった。

何回もの空振りの末に、とうとうギガスレイモンの足取りがふらついてくる。限界であったのは明白だ。

それを好機と見た俺は、トドメの一撃をぶつけに行く。近づけさせまいと放ってくる火球を硬質残光で防ぎつつ、接近する。そして懐に入ると、その胸座を左手でつかむ。同時にゼロが言葉を発する。

 

『ANフレキシブルアームクラッシュブレイカーⅢ、ブレイザーモード起動。カートリッジロード。』

 

手の甲に埋め込まれたリボルバーユニットが動く。煙がプシュー!と吹く。エネルギーが腕部に集中し、掌の発射口が輝き、放たれる。

衝撃波が放たれたが、何も起きない。見ていた誰もが失敗と思っていた。だが違った。

ギガスレイモンが触れた場所から瞬間的に赤く染まる。否、超高熱が瞬間的に与えられているのだ。

 

「ガウウウーン!?」

 

ギガスレイモンがもがき苦しむ。だが、離れようとしてもこちらの腕部が爪の部分を食い込ませているので、離れられない。

最後にゼロの音声と共に、最後の締めの一撃を放つ。

 

『ノイズフォースビックバン、「炎波瞬閃掌」。』

 

体力のほとんど残っていないギガスレイモンに、更に強力な超高熱のエネルギーを流し込む。ギガスレイモンが燃え上がる。手を放すと、そのまま倒れて、消滅していった。炎はすぐに消え、そこには少し燃えた後が残るだけで、モンスターのいた痕跡は無くなっていた。

それを見て光樹は息をつく。ようやく終わったことで安心する。

そうしていると、離れたところで様子を見ていたうずめ達がこちらに来る。ネプテューヌはもちろん、うずめもけがはしているようだが、大丈夫そうだ。

ネプテューヌが疲れつつも、嬉しそうな声音で言う。

 

「やったー!勝ったー!大勝利!」

 

「ねぷっちたちがいてくれたおかげで、超楽勝だったよー。ブイ!」

 

うずめも笑顔を見せながらそれに続いた。この笑顔を見ていると、不思議と戦闘で疲れた体が安らぐ。

と、そこでうずめが光樹の方を向き、礼を言ってきた。

 

「光樹、ありがとね。光樹が居なかったら、うずめ負けてたかも。」

 

「…!そ、そうか。そう言ってくれるとうれしいな。」

 

光樹は少し照れくさそう答える。あまりに純粋にそう言われることが珍しかったので、そんな反応をしたのだが、それを見てうずめが茶化してくる。

 

「あれあれー?光樹なんか照れてるよー。かわいいかもー!」

 

「おー!確かにちょっと言葉がおかしいね。このこのー!うずめにお礼言われたからって照れてるんだなー?」

 

その発言にネプテューヌも合わせて言ってくる。ちょっと自分だけではこの二人のいたずらを躱すのは無理だと思い、ネプギアに助けを求めようとする。だがネプギアは「あはは…。」と苦笑いしている。…助けてくれよ。

仕方がないので光樹は自分自身で収めることにする。

 

「照れてないって。とにかく、ボス敵は一体倒したから、これで楽になるだろうな。ボス戦。」

 

「そうだな。これで、今度からは心置きなくデカブツとタイマンをはれるぜ。」

 

うずめが女神化を解いたのち、それに反応し、答える。話題を逸らし、追及を避けることを選んだが、上手くいったようで、ネプテューヌ達は、その話に集中していた。

と、そんな話をしている所に、ひよこ虫…っと、今はエビフライか。エビフライが感謝を述べる。

 

「うずめさんたち、ありがとうなのです。」

 

その言葉に続いて、他のひよこ虫達も言う。

 

「あいつがやって来たり、うずめさんたちを追い込んだ時にはどうなるかと思ったよ。」

 

「うずめさんと機械の人にはなんてお礼を言ったらいいか…。」

 

ひよこ虫達が俺たちを囲んで喜び合っている。これだけのひよこ虫に囲まれると、ちょっと恐い。これはもちろん、感謝の気持ちからなのは理解している。だがこれだけのモンスターに囲まれるとなぜか警戒心を持ってしまう。

その言葉を聞いていたうずめは言葉を返す。

 

「だから、気にすんなって。お前らだってシェアクリスタルを見つけてくれたんだしさ。」

 

その言葉を聞いて、更にひよこ虫達が喜ぶ。

そんな雰囲気の中、海男がこちらに向かってきて言う。

 

「うずめ、これを。ここのひよこ虫たちが見つけてくれたものだ。」

 

海男のその手…というかヒレにはシェアクリスタルが握られていた。それをうずめに渡す。

シェアクリスタルを受け取ると、うずめはひよこ虫達に感謝の言葉を告げる。

 

「ありがとな、みんな。」

 

そう言った後、海男は提案をする。

 

「では、一度戻ろうか。みんな疲れているだろ?」

 

「そうだな。俺もなんか疲れ…」

 

そう言いかけたところで、光樹は光に包まれながら、意識を失ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

光樹が倒れてすぐにネプテューヌ達が光樹を抱えていく。

そんな様子をある人物は見ていた。

 

「……………。」

 

その人物は黙ってその様子を見送った。敢えて、だ。今襲えば、確かに倒せたかもしれなかったが、ここでこちらの正体を知られるのもまずいと思い、手を出さなかったのだ。

しかし、一方であのモンスターを倒されるとは思っていなかった面もある。もしモンスターを倒したガキと戦うことになれば、勝てる可能性は低い。あのガキは予定通り、「あのロボット」が倒すのがいいだろう。

と、そんな所で通信端末が鳴る。画面を見ると、連絡相手は話していたロボットからだった。すぐに通信に出る。

 

「私だ。そっちはどうだ。」

 

『こちらは爆発地点の調査が終了した。我々の予想通り、対大型兵器用の兵装の攻撃で間違いない。』

 

「ほう、では誰がそれを使ったのだ?」

 

私は通信相手にそう聞く。だがいい反応は返ってこなかった。

 

『それは分からない。だが「黒の少年」である可能性はある。』

 

「そうか。」

 

私は唸る。もしそんな兵器が存在したなら、我々の切り札も効かない可能性がある。通信相手の予想通り、私が見た、記憶を失った「黒の少年」なら、何が起こるか分からない。だからこそ私も先程攻撃しなかったのだから。

と、そこで通信主が聞いてくる。

 

『それで、そちらは?』

 

その質問に対し、事実を伝える。

 

「あぁ、ギガスレイモンが倒されたよ。「黒の少年」に。それも、また力が戻ったらしい。」

 

『…そうか。分かった。では予定通り、連中の次の行動時、ダークメガミとエクストリィムをぶつける。それでいいな。』

 

「了解だ。ようやくあの女神たちを潰せる…では切るぞ。」

 

そう言って通信を切る。

これで、あいつらを潰せば、この世界を滅ぼすことが出来る。

そんな事を考えつつ、その人物は暗闇へと姿を消した。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
またも光樹の無双劇。大丈夫です。次の戦闘では必ず絶体絶命にさせてみせます。
そして最後のあの人物の会話。ここであのエクストリームの名前が地味に違っている点、変えておいた方がいいかなぁということで変えました。さて、会話しているのは、あの方なのでしょうか?それは次の戦闘で明らかになります。

それで、冒頭に話していたメタボの件ですが、薬のせいもあるんですが、今自分受験中なので外に出て運動することが少ないんですよね。
夜に運動しようと思います。といっても、ウォーキングくらいですけどね。

では、次回の投稿は黒の館編なので、5日後の火曜日にしたいと思います。
次回もお楽しみに!


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黒の館 第3回 解説~シュバルトゼロガンダム~

どうも皆様、お元気でしょうか。藤和木弘です。
今回は黒の館の投稿になります。第3回はシュバルトゼロガンダムになります。
それと、今回の文字数が10000字越えました。

…またやってしまった。今後の機体も10000字越える解説になってしまう気がします。でも今回は雑談が多すぎてそうなったようなものなので、考えないと。

では、本編をどうぞ。


 

 

光樹「はい、今回も始まりました、解説兼コメント返しコーナー「黒の館」。今回も素敵なゲストの方々が来ているぞ!まずは、プラネテューヌの女神、ネプテューヌ!」

 

ネプテューヌ「みんなー、主人公の中の主人公!プラネテューヌの女神のネプテューヌだよー!!いえーい!!」

 

光樹「随分元気だな、ネプテューヌ。」

 

ネプテューヌ「いやぁ、だってこの前のこのコーナーで先にわたしじゃなくてノワールが呼ばれたからね。こっちではネプステーション無い分、黒の館でいっぱい出たいんだよねー。」

 

光樹「そういうことか。なら作者にお願いを…っとと、アシスタントさんから早めにとお願いが来ているので、次のゲストを紹介します。次は、謎の次元、零次元最後の女神、天王星うずめ!」

 

うずめ「天王星うずめだ!みんな、よろしくな。」

 

光樹「さて…そろそろ作者達を呼ばないと……。」

 

ネプテューヌ「そういえば、作者の藤和木とアシスタントリーダー?のヒカル君いないね。どうしたの?」

 

光樹「いや、なんか向こうの方で何かをやってて…って、え?とりあえずカメラも付いて行くので、呼んできて?分かりました。じゃあみんな、来てくれ。」

 

ネプテューヌ&うずめ「うん(おう)。」

 

 

 

 

一行移動中……

 

 

 

 

ヒカル「…ふっふっふ…どうする藤和木。こちらの守りは十分すぎる。対してそちらのライフは1でスピリットは消滅でお馴染みの「ブレイドラ」とネクサス「大地茂る大樹」のみ。勝てる可能性は無いぞ!」

 

藤和木「まだだ、まだ終わらんよ!!」

 

ネプテューヌ「…何やってるの?二人共。」

 

うずめ「カード…ゲームか?」

 

光樹「なんで収録中にバトスピなんかやってんだよ…。」

 

ネプテューヌ「ねえねえ、光樹。「バトスピ」って何?」

 

光樹「ああ、正式名称バトルスピリッツ。カードとカードのコストを払うのとフィールドにカードを存在させるのに必要なコアを使って遊ぶカードゲームだ。ちなみに作者とヒカルさんがバトスピ好きなだけで、ステマなどではありませんのであしからず。」

 

うずめ「でも藤和木の方ピンチだろ?どうやって…。」

 

光樹「確か話によると、作者の藤和木は最近割と強力コンボ考えたって言ってたな。それもこんな状況で逆転出来る様な。」

 

藤和木「星竜王のターン!!」

 

光樹&ネプテューヌ&うずめ『何その掛け声!?』

 

藤和木「ヒカル!こっからところがぎっちょんな展開見せてやるぜ!ネクサス「超新星の輝き」を配置!続いてマジック「ビックバンエナジー」を使用!」

 

ヒカル「系統“星竜”のコストを自分のライフと同じにしたか。しかし、切り札の超神星龍を出してもこっちの全スピリットを倒しきれるかな?しかも都合よく手札に入っている可能性は…。」

 

藤和木「見せてやるよ、究極の超神星龍コンボを!」

 

ヒカル「何っ!?」

 

藤和木「まずは「雷皇龍ジークヴルム」をノーコストのレベル1で召喚!続いて「輝龍シャイニング・ドラゴン」もノーコストのレベル3で召喚!更に召喚時効果で手札のブレイブカード1枚をノーコストで召喚!俺は「輝きの聖剣シャイニング・ソード」を召喚する!シャイニング・ソードの召喚時効果でBP3000以下の相手スピリットをすべて破壊!更に破壊したスピリットの数だけデッキからドロー!シャイニング・ドラゴンとシャイニング・ソードの「強化」で更に破壊上限をプラス2000、よってBP5000の相手スピリットを全て破壊!!」

 

ネプテューヌ「おおっ!!ヒカルのフィールドのスピリットがごっそり減ったよ!?」

 

光樹「だけど、まだ足りないな。」

 

ヒカル「そうだ、まだ俺の攻撃を凌ぐには足りないぞ!」

 

藤和木「まだ俺のメインステップは終了してないぜ!続いて「光輝龍皇シャイニング・ドラゴン・アーク」をノーコストでレベル1で召喚。加えて輝龍シャイニング・ドラゴンのレベルを1に下げる!!そしていくぜ!ネクサス「超新星の輝き」の効果で系統“三龍神”のアルティメットのコストを自分のライフと同じにする!」

 

ヒカル「おい、まさかお前…!?」

 

藤和木「おうよ!来い!灼熱祭りの総大将!「アルティメット・ジークヴルム・ノヴァ」をノーコスト、レベル4で召喚!!召喚時アルティメットトリガー発動!!さあ、デッキから一枚目のカードのコストはいくつだ?」

 

ヒカル「ふっ、コスト0だ!残念だったな、アルティメットトリガーはヒットしたが、お前のライフは回復しないな。これで…。」

 

藤和木「何を言っているんだ?まだ俺のメインステップは終了していないってさっきも言っただろう?」

 

藤和木以外『何…だと…!?』

 

藤和木「来いよ、俺の一番の相棒!!偉大なる超新星の輝きを見せつけて、現在の環境でも使えることを証明だ!!雷皇龍ジークヴルムを転召!「超神星龍ジークヴルム・ノヴァ」をレベル2でノーコスト召喚!不足分コストはブレイドラより確保。更に召喚時効果で自分のライフを5まで回復だぁ!!」

 

光樹「ブレイドラをいじるのはやめて差し上げ…ってそうじゃねえよ!!何バトスピしてんだ!!」

 

ドカッ!!

 

藤和木&ヒカル『オウフ!?』

 

光樹「まったくよぉ、二人共、今日はシュバルトゼロガンダムの解説だろ?」

 

ヒカル「そうだった、すまない光樹君。」

 

藤和木「でもまあ、今回この茶番入れないと、コメント返し今回出来ないからね。」

 

光樹「コメント来てないからだろ?」

 

藤和木「それを言わないで。\(^o^)/」

 

ネプテューヌ「藤和木大変だね。ネタを入れるためにわざわざこんな…」

 

藤和木「さささ、さて、では紹介にいこうか?」

 

うずめ「なんか焦ってないか?」

 

藤和木「そそそそ、そんな事無いですよ?さあヒカル、光樹君、解説始めよう!」

 

ヒカル「分かったから落ち着け。」

 

光樹「では今回はシュバルトゼロガンダムの解説だ。」

 

 

 

 

シュバルトゼロガンダム

形式番号 SSR-VVVX-BA001-N(エスエスアールトリプルヴイエックスビーエーゼロゼロワン ノーマル)

機体解説

ギガスレイモンとの戦闘途中で再び聞いた声により、ブラッドゼロから更に変身した姿。形式番号の中のEFXから、VVVXに変更されている。その点と、機体の形状から「革命機ヴァルヴレイヴ」の機動兵器、ヴァルヴレイヴをモデルにしている。愛称は「シュバルトゼロ」。

武装の方もヴァルヴレイヴの武器をモデルとしたものが多い。更にヴァルヴレイヴ特有の能力の一つ、硬質残光や硬質残光の構成物質のルーンを生み出す特殊動力機関を持っている。

だが弱点もそのまま引き継いでいたりする。記憶の喪失はゼロ曰く、光樹の「特異体質」で防いでいるため問題ないが、硬質残光を使い過ぎると熱量が貯まり、コンソール上に表示されている熱量ゲージが100になると、機能停止に追い込まれる。

しかし、その先の力すらも本機は発揮できる。熱量が100になった後、攻撃を受けると、専用機体OSが起動。同時に熱量ゲージが100を超え、666まで上がると再起動し機体各部からルーンが溢れ出て、機体腹部のカバーが解放し、特殊動力機関「VVVレイヴ・コア」を露出させ、そこからその力を武器に乗せて放つNFB「レボリューション・ヴイ」シリーズを使用することが出来るのだ。

機体形状はヴァルヴレイヴの腕部と脚部に似せられているが、腹部や頭部はブラッドゼロに似せられている。

ただし、頭部はヴァルヴレイヴⅠ号機「火人」の頭部のクリアグリーンのセンサーユニットと同じようなものを装備している。更に肩部もANビームブーメランを装備するために独自のユニットになり、換装機能が失われているらしい。

しかしながら、機体性能はブラッドゼロと同じように全領域対応型ではあるが、武装の傾向はブラッドゼロが射撃寄りなのに対して、こちらは格闘戦寄りである。これもヴァルヴレイヴⅠ号機の武器をモデルとしたが故の結果である。

 

 

 

 

システム系

 

 

 

 

TRANS-AMシステム

ブラッドゼロと同じ。しかし、ルーンを用いたトランザムも使用可能。

 

ANフィールド

ブラッドゼロと同じ。

 

T0DS(ツインゼロドライブ)-∞VVV(インフィニットトリプルヴイ)

ツインフルドライヴの発展型。完全同調を分離状態で発揮するタイプに0が付けられる。更にVVVはAN粒子をルーンに変化させることが出来るものとなっている。だが本機の物はゼロの発言から不完全な物となっている。

 

ノイズドエナジーテレポーテーション

ブラッドゼロにも搭載されていたノイズド量子テレポーテーションの改良型。AN粒子の硬質化したノイズドエナジー結晶で形成された光の膜を出現させたうえで瞬間移動する。

自分に有利なフィールドを作る能力。だがその分、やはり消費粒子量は多い。

 

ノイズドエナジーウイング

ブラッドゼロと同じ。

 

ZEROシステムver-S

ZEROシステムの発展型。シュバルトゼロ用の様々な機能の同時使用のために、処理速度を上げている。更に未来予測のバリエーションを増やし、パイロットにかかる負担も大きくなってしまっている。

 

ディバイダー・ゼロシステムⅣ

ブラッドゼロに搭載されていた物の4世代後のシステム。分断の出力を更に上昇させている。

 

フルノイズドエナジーフレーム

ブラックエースⅣに搭載されていた物を機体フレーム全てに搭載した物。全フレームをこのフレームで構築しているため、剛性はかなりの物となっている。

 

カートリッジシステムMarkⅡ

ブラックエースⅣに搭載されている物と同じ。

 

ブラスターシステムⅡ

ブラッドゼロの持っている物の次世代型。さらなる出力を引き出すため、後述するレイヴオーバーヒートモードも併用する限界モードのレベル4が実装されているが、使うと光樹の体の方にかなりの負担がかかる。現在の光樹だと大体2時間は動けない。ちなみに第27話ではレベル3まで自動的に解除していたため、倒れている。

 

トランザムレヴォリューションバースト

トランザムバーストの上位機能。別名「革命の光」。七色に輝くAN粒子とルーンを混ぜた混合粒子を解放し、対話覚醒領域を形成する。これにより、相互理解を行わせる。更に人の心に革新を起こす(精神を落ち着かせる)。

ギガスレイモンとの戦闘後、目が虹色に光るのを確認したことでイノベイタータイプの能力を取り戻したことで、使用可能となっている。

 

BCSⅡ(バトルカードシステム)

ブラッドゼロの搭載していた物の改良型。30枚のカードを何回も使いまわすことが可能。ただし一度リロード作業を行う必要がある。

 

MLS(マルチロックオンシステム)

多重ロックオンシステム。ブラックエースⅣにも搭載されていた物と同じ。

 

武装追加システム

背部バックパックに追加で武装を装備できる。

 

硬質残光

本機の最大の特徴。VVVXシリーズの最大の特徴。後述する特殊動力機関から生み出される情報原子「ルーン」を用いて発生させる結晶体。ノイズドエナジー結晶に近いが、あちらは熱量を持たないのに対し、こちらは熱量を持ち、追尾ミサイルの振り切りやレーダーの撹乱が出来る。またノイズドエナジーシールドなどは発生端末の展開が必要だが、硬質残光は手を振ったりすれば展開できるため、咄嗟の行動に役立つ。

硬質残光発生の度に熱が機体に貯まっていく。大体硬質残光を全力で使って戦うと約10分の戦闘を行うことが出来る。

 

VVVレイヴ・コア

機体腹部に搭載された特殊動力機関。機体のコアを兼ねている。ルーンを生み出すための重量な機関。

だがそれだけではなく、専用ノイズフォースビックバン、「レボリューション・ヴイ」シリーズを使用する際にはこの機関に武器を接する(ANカタナであれば「突き刺す」など)ことで、圧倒的なエネルギーを纏わせることが出来る。

このコアはほぼ完全破壊されない限り、復活が可能なほどの耐久性というか再生力を持つ。そのためANカタナを突き刺しても大丈夫である。(痛みは伝わる)

 

レイヴバーストオーバーヒートモード

機体熱量が666になった際に自動的に発動するモード。自動的にANカタナのNFBが発動する。

NFB「レボリューション・ヴイ」シリーズを使う際も自動的にこのモードになる。圧倒的な熱量とルーンのバリアにより、ある程度の攻撃を防ぐ。

 

森羅万象システム

システムクラッキング用のシステム。実体兵器の先からコンピューターウイルスを送り込み、コンピューターを操る。MPすらも操ることが出来る。制御は本人の他、ゼロが担当する。

モデルはヴァルヴレイヴⅥ号機の特能装備「森羅万象」。

 

デオキシリアシステム

自身の遺伝子の中の生存本能を高めて無意識に敵の攻撃に対応するシステム。

装着者のDNAをモデルにシステムを組まれているため、機体は本人そのものともいえる。

モデルは「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」の機動兵器「アッシュ」のシステムのジュリアシステム。

 

フルバーストモード(MJPタイプ)

機体のスラスター出力を解放するモード。デオキシリアシステムの同調レベルが高いと、ウイングから光の翼が出現し、自由に手足のように動かすことが出来るようになる。

モデルは銀河機攻隊マジェスティックプリンスのアッシュの一機、主人公機のレッド5のフルバーストモード。

 

VVV-OS

VVVレイヴ・コアなどのルーンに関係する機能を使う際の専用OS。だがプログラムは人の形をとっている。名前はゼロス。民族衣装に近い服を着ている。基本的に制御のみで戦闘の戦術を立てたりはしない。

モデルはヴァルヴレイヴⅠ号機とⅡ号機に搭載されたマギウスOS達の内の一人、プルー。

 

 

 

 

 

 

 

 

武装

 

ANヴァリアブルアームズⅡ

背中のアームに二本装備されたマルチウエポン。カートリッジシステム搭載で数は7本。ブラックエースⅣのANヴァリアブルアームズの発展型。モードもANヴァリアブルライフルモードⅡとANヴァリアブルソードモードから更に切り替える。

ライフルモードⅡはライフルのノーマルモード、カノンモード、フルバーストモード、センサーモードの他、二本を合体させたツインノーマルモード、ツインカノンモードに、アームに装備された状態で接続軸を回転させて肩部に担ぐランチャーモードを持つ。

一方ソードモードⅡの方は、ソードモードとビームサーベルモード、最大出力のライザーソードモードに加え、持ち手のみを直刀にして使うアックスモードとマジェスティックプリンスのレッド5の武器のHEPキャノンをモデルに加えてことで使用可能となった刀身を横に割ってチェーンソーを出現させるビームチェーンソーモードを持つ更に合体させることでこちらもダブルソードモードとバスタービームサーベルモード、ダブルアックスモードにツインビームチェーンソーを使う。

これだけでもかなりの武器を持つが、更に刀身内には小型化されたANマインを一本12基ずつの計24基内蔵している。

後述するANヴルトガの構成武器の一つ。

 

ANカタナ「ゼロエッジ」

機体サイドアーマーに二本装備された実体剣。大抵軍用兵器は西洋剣がモデルだが、この武器は名前の通り、日本刀こと、刀となっている。

ヴァルヴレイヴⅠ号機のメイン武器の一つの刀がモデル。刀身を柄から外しながら抜くと、ビームカタナを発生させることが出来る。

後述するANヴルトガの構成武器の一つ。

 

ANビームサーベルⅥ「フォルド・シックル」

手首の下のアーマー内に二本内蔵された格闘戦武器。

ビームサーベルの他、小型のビームサイズを生成できる。また柄尻同士を合体させるとツインランスモードとツインサイズモードになる。

名称はヴァルヴレイヴ共通の武器、小型鎌「フォルド・シックル」から。後述のANヴルトガの構成武器。

 

ANノイズドエナジーウエポンシールドⅡ

左腕部に装備されている防御兵装。高機動戦をメインとするブラックエース系統に不要と思われるシールドだが、今回のシールドには、外円部にANカタナ冷却用のスリットが装備されており、機体が動かなくなる可能性がある本機には不要とはいいがたい。本兵装の裏にはANノイズドエナジービームジャベリンを装備している。

後述するANヴルトガの構成武器である。

 

ANノイズドエナジービームジャベリン

ANノイズドエナジーウエポンシールドⅡの裏に二本装備された武器。カートリッジは4本。柄の先にノイズドエナジーフレームを内蔵したビーム発振器を備え、先からビームを出すことが出来る。モードはビームジャベリンモード、前述した森羅万象を使うためのロッドモード、柄からトリガーを引き出して形成するライフルモードを持つ。だが更に二基を柄尻で合体させた長槍、アンビロテクス・ハルバードモードと並列に合体させたダブルランスモード、その状態でトリガーを引き出して撃つツインライフルモードが存在する。モデルはフルアーマーユニコーンガンダムVerKaのハイパービームジャベリン。

ANヴルトガの構成武器。

 

ANヴルトガ

ANヴァリアブルアームズⅡ、ANカタナ、ANビームサーベルⅥ、ANノイズドエナジーウエポンシールドⅡ、ANノイズドエナジービームジャベリンを合体させて形成する大型万能兵装。本機体の特殊能力兵装「特能兵装」である。

構成内容はANヴァリアブルアームズⅡを基礎に、刀身を二段階展開して出現した上部スロットにANカタナを、下部スロットにANビームサーベルⅥをサイズモードで入れ、ANノイズドエナジービームジャベリンをヴァリアブルアームズⅡのスリットに前後上下逆に装填する(ようするに刃を上と後ろに向ける)。そして最後にANノイズドエナジーウエポンシールドⅡがジャベリンの柄の真ん中に装着されることで完成する。

近接攻撃用のフルセイバーモード、遠距離専用のフルバスターモードを基部のANヴァリアブルアームズⅡの変形無しで使用できるため、巨大な兵装の欠点である隙が出来にくい。加えて分割して両手に装備することもできる。だがそれでも、使う者の瞬時の判断が必要とされる。

モデルはヴァルヴレイヴⅠ号機の特能装備、ヴルトガ。ANヴァリアブルアームズⅡがボルク・アーム、ANカタナがジー・エッジ、ANビームサーベルⅥがフォルド・シックル、ANノイズドエナジーウエポンシールドⅡがストライク・ブレイズ、ANノイズドエナジービームジャベリンがメテオール・プレートにあたる武器になっている。本来、ヴルトガを形成する武器の一つにブレーデット・バイケンが存在するが、その代わりの武装は無い。

 

ANビームブーメランユニット

肩部と膝部に装備された、ビームブーメランを装備するユニット。ビームブーメランを固定する基部は、ブーメラン使用時に、ANビームスパイクⅢを発生させることが出来る。

 

ANビームブーメランⅣ

前述したブーメランユニットに装備するビームブーメラン。本機では中距離での撹乱用に使われる。全部で4基装備されている。

 

ANハイジェネレーションカノン

腹部に装備されたビーム砲。だが、ただのビーム砲ではなく、VVVレイヴ・コアに直結して装備されているため、大量のルーンを含んだビームを放つことが出来る。

 

ANZEROユニット

ブラッドゼロに装備されていた武器と同じ、ブレードアンテナを兼用する武装。同じくZEROソードモードとZEROキャノンモードに変形する。

 

ANフレキシブルウイングスラスターユニット

背部のウイングスラスターとそれに格納された武器を含めた総称。だがウイングはブラッドゼロの1対2枚から、2対4枚のウイングに変わっているため、総推量はブラッドゼロの約2.5倍。

外側のウイングにANウイングエッジアンカーⅢを内蔵されている。主に壁に打ち込んで緊急機動したり、敵を捕らえたりすることが出来る。

通常のAN粒子を用いた推進モードの他、硬質残光を発生させつつ、機動を行う硬質残光モードとフルバーストモードに出力と形状を変更できる。

 

ANVドラグーンⅡ

ブラックエースⅣのANヴァリアブルドラグーンの改良型。モードは射撃のドラグーンモード、バリアのフィールドモード、ビームサーベルを形成するランサーモードを持つ。

 

ANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニット

ビームシールドを張る防御兵装。ディバイダー・ゼロシステムシステムを搭載している本機にはまたも不要…と思われがちだが、このユニットは硬質残光を放つユニットのため、非常に重要なユニットとなっている。

また、ANクロスビームボウガンとスイッチ運用で使用する。

 

ANクロスビームボウガン

ANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニットのサイドパーツを展開することで使用可能となる兵装。片側上下8基、計16基の硬質残光を発射する兵装となっている。ボウガンモードの他に、閉じている場合には先端の発振器から高出力ビームを発射するスマッシャーモードと、大型ビームサーベルを出現させるサーベルモードを持つ。また、カートリッジシステム対応で、弾数は6発。ANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニットのシールド発振器に内蔵している。

 

ANゼロ・ガトリングバルカン

機体頭部側頭部(こめかみ辺り)に内蔵された近接防御とミサイル迎撃のための兵装。ガトリングの名の如く、口径3ミリ、6連装の小型ガトリング砲2門となっている。

 

ANフレキシブルアームクラッシュブレイカーⅢ

肘から先の部分を含めた兵装。掌の部分に内蔵された砲口から圧倒的な熱線を放出して使用する特殊兵装。熱線は収束と拡散で単体から団体戦まで対応可能。また出力を切りかえれば、粒子ビーム砲やビームサーベルを使うことが出来る。カートリッジシステムも搭載し、弾数は4本。

だが、本兵装の更なる特徴が、肘から先をワイヤーで遠隔操作出来ることである。これはドラグーンの操作系に近いもので、アンカーを切り離しても腕との接続面に存在するバーニアで自由自在に攻撃することが出来る。

だが、アンカー接続状態なら更に多くのダメージを離れた敵に与えることが出来るのである。

モデルは紅蓮聖天八極式の輻射推進型自在可動有線式右腕部。

 

 

 

NFB(ノイズフォースビックバン)

 

炎波瞬閃掌

腕部兵装のANフレキシブルアームクラッシュブレイカーⅢで敵を掴み、一気に超高熱を浴びせるNFB。紅蓮聖天八極式の軽射波導がモデル。

 

デオキシリアシステム解放

フルバーストモードを起動させ、最大稼働させたデオキシリアシステムによる直感的攻撃で連撃で攻撃するNFB。

 

シュバルツレヴォリューションギャラクシー

腕部から高圧縮したAN粒子で生成したブラックホールを投げつけ、飲み込んだ後、両手に持ったANビームサーベルⅥで切り抜けて爆発でトドメを刺す。モデルは流星のロックマン3、ブラックエースのNFB、ブラックエンドギャラクシー。

 

レボリューション・ヴイ・ソード

レイヴバーストオーバーヒートモード時に使用可能なNFB。オーボードライブ状態のVVVレイヴ・コアにANカタナを突き立て、ルーンを纏わせて攻撃を食らわせる。対大型・拠点用攻撃。

モデルはヴァルヴレイヴのハラキリ・ブレード。

 

レボリューション・ヴイ・レーザー

レイヴバーストオーバーヒートモード時に使用可能なNFB。ANヴァリアブルアームズⅡ・ライフルモードの後部をレイヴ・コアに当て、ルーンを送り込んで、超過出力のビームを放つ。遠距離への射撃を想定している。遠距離の対大型・拠点用攻撃。

 

レボリューション・ヴイ・ストライザー

レイヴバーストオーバーヒートモード時に使用可能なNFB。機体全体にルーンの力を浸透させて、ANVドラグーンⅡを射出し、機体全方向に向けて高速移動しながらビームを乱射。その後、ドラグーンをアサルトフォーメーションに変更して、周りを薙ぎ払いながら攻撃する。対多数用攻撃。

 

レボリューション・ヴイ・デスティニーコンビネーションⅠ/Ⅱ

レイヴバーストオーバーヒートモード時に使用可能なNFB。機体全体にルーンの力を浸透させて突撃。次々と武器を切り替えて敵を翻弄し、最後にトドメを刺す。ⅠとⅡでトドメが違い、ⅠはANカタナで一刀両断、ⅡはANフレキシブルアームクラッシュブレイカーⅢからビームを撃ちこんで打ち上げる。

モデルは機動戦士ガンダム エクストリーム・バーサスシリーズのデスティニーガンダムの必殺技。

 

 

 

 

藤和木「…以上が、シュバルトゼロガンダムの解説だ!どうだ?」

 

ネプテューヌ&うずめ『……………え?』

 

ヒカル「どうやら話に着いていけてないみたいだな。」

 

藤和木「え?カッコイイとかないんですか?」

 

うずめ「いや、確かにカッコイイんだが…マニアックすぎる説明というか…。」

 

光樹「言われちまったな、藤和木。」

 

藤和木「そ、そんなぁ。」

 

ヒカル「まあまあ。さて、話は次回予告に移るぞ。」

 

ネプテューヌ「あー、それわたしとうずめでやりたーい!」

 

光樹「ん?なんで?」

 

ネプテューヌ「だってさ、わたしたちゲストなのにしゃべってる数少ないからね。」

 

光樹「それもそうだな。藤和木、それでいいか?」

 

藤和木「そうだね。これからはその方式の方がいいかな。」

 

うずめ「よし!ならすぐにやるぞ、ねぷっち!」

 

ネプテューヌ「うん!…じゃあ読むね。見事に新たな力を手に入れて、うずめの因縁の敵を撃破した光樹たち。」

 

うずめ「そして、一行はダークメガミ撃破のための秘策のために、自然の残る場所、ジングウサクラ公園へ向かう。」

 

ネプテューヌ「だが、そこに謎のオバサン魔女、マジェコンヌと機械生命体、エクスが率いるダークメガミとエクストリームガンダムが襲い掛かる!」

 

うずめ「絶望の中、遂に発動させた秘策でうずめ達はダークメガミと戦う。だが…。」

 

ネプテューヌ「光樹がエクストリームと秘策なしで一騎打ち!?」

 

うずめ「進化の果ての象徴と黒き革命者、勝つのは一体…?」

 

ネプテューヌ「次回、『新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG』!第28話『レッツパーティ・妄想少女の一面』!」

 

うずめ「革命の一撃で…」

 

ネプテューヌ&うずめ『ブッ倒せ!ガンダム!!』

 

 

 

 

藤和木「とうとう10000字越えちった…/(^o^)\ナンテコッタイ。」

 

ヒカル「でも次の機体とかも紹介あるんだろ?10000字越えるのは仕方ないだろ。」

 

藤和木「読者の皆様、申し訳ない。こんな私を許してください。」

 




いかがだったでしょうか。
次回は拠点に戻ってからのスタートとなります。

それから、雑談でやっていたバトスピなのですが、ヒカル本人に確認したところ、今はカードゲームに興味が無くなってしまっていたそうです。
加えて私のデッキも変わっています。大会勝てなかったので、変えました。あのデッキはロマンが多すぎた。

では次回の投稿は月曜日になります。
次回もお楽しみに!


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第28話 レッツパーティ・妄想少女の一面

どうも皆様、お元気でしょうか。
最近学校でとてつもない眠気に襲われる、藤和木弘です。これってまさか、サイドエフェ…

光樹「んなわけあるか。ただの睡眠不足だろ。」

すみません。
気を取り直して、第28話、投稿です。

今回は帰ってきてからの一波乱(?)があります。加えて海男と光樹の、ボーイズトーク(真面目)もあります。

では本編をどうぞ!


「う…ん……。ここは?」

 

光樹はゆっくりと目を覚ます。だがまた体が動いていないような不思議な感覚を感じる。そこから、また夢の世界であることを悟る。

 

(今度は一体…何の映像が…。)

 

そう思った所で、目の前の空間をとてつもないスピードで何かが横切る。

慌ててその動きを追うと、そこにはまたブラッドゼロに似たガンダム2機が戦闘している様子が見えた。

だが、違うところがあった。それは、光樹の方の機体の形状だ。以前見た物より、肩部、腕部、脚部が大型化していて、ウイングは元のパーツから二段階で展開されているように見える。

そして何より、中央のクリスタルパーツが、戦っているもう一体のゼロと同じように緑色に輝いていた。

機体が幾度も激突した後、光樹の方のゼロがスラスターを全開にして突撃する。それに対応して、もう一体のゼロがライフルで攻撃してくる。

しかし、光樹の方のゼロは避けるのではなく、機体のバリアで防ぎつつ、突撃する。そして懐に入る。止めようとするもう一体のゼロがあの左手からビームサーベルを出そうとする。ところが光樹の方はその手を右手で振り払う。そして、拳銃の形にした左手から衝撃波を飛ばす。それをもろに喰らって、敵のゼロが吹き飛ばされる。

そこに光樹のゼロが突っ込む。そして、今度こそ、その右手が敵の胸元を貫く――――――

 

 

 

 

と思っていた。

だがしかし、直前でまた光樹のゼロが何かに貫かれる。

それは敵のウイングパーツだった。6枚存在したウイングの内1枚が、光樹のゼロの腹部を貫いたのだ。

光樹はすぐに抜こうとしたが、抜く前に、ウイングが横に開き……。

光樹のゼロの体が切断される。

 

「がぁあああぁ!?」

 

「無駄だ、貴様は私に勝てない!!」

 

光樹の纏うゼロが地面へと激突する。すると、後ろから仲間と思われる機体がすぐに通っていく。

だが、そこで再び光景がゆらり、と歪む。夢の終わりが来たのだ。

そして考える暇もなく、夢は消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚め、光を認識する。光樹はすぐに起き上がろうとする。

と、そこで光樹は頭の後ろに違和感を感じる。

 

「ん…?何……」

 

横を見ると、そこにはうずめが壁にもたれながら眠っていた。足は正座をしており、光樹の頭がうずめの膝の上に乗っている。更に左手が光樹の胸の辺りに置いてあった。

…これは一体どういうことなのだろうか。意識を失ったところまでは覚えているが、なぜこんな状況になっているのか。

確か意識を失う直前にうずめ達が駆け寄ってきたところまでは覚えている。部屋の様子から、おそらくあの後、拠点に戻ってきたんだろう。それは予想できる。

しかし、なぜ俺はうずめに、いわゆる「膝枕」をされているのだろうか?どういった経緯でこうなった。こんなものをネプテューヌ達に見られたら、なんて言われるか…。

そう考えていた所で、ドアが開かれる。そこにはネプテューヌとネプギア、それに魚こと、海男がいた。

 

「おーい、うずめ。光樹起きた?」

 

「あっ、光樹さん。起きていたんですね。」

 

「目が覚めたかい。びっくりしたよ、いきなり倒れたからね。」

 

二人と一匹はそれぞれそう言う。どうやら光樹の心配をしていたようだ。

ところが、光樹は言葉の意味を理解する前に、慌てて起きると、土下座をする。

 

「す、すみません!今さっき目を覚ましたところです!でも、目を覚ました時にはこうなってて…俺は関係ないので、許してください!なんでもは出来ませんが…。」

 

その時の光樹の頭の中では、この状況はまずいと判断していた。こんなの、誰が見ても光樹がうずめに何か言ってこうした、と思われるに決まっている。これで信用がた落ちなどになってしまえば、立ち直る自身が無い。とにかく、今は謝るしかないと思っての行動だった。

しかし、それを見て、ネプテューヌ達は…。

 

「あれ、もしかして、今の状況に戸惑ってる?」

 

「みたいだね。心配しなくても大丈夫だよ、光樹。君がそうしたわけじゃない。」

 

「えっ…?」

 

ネプテューヌと海男が落ち着いた様子で声をかける。その反応に、光樹はキョトンとする。一体どういうことなのだろうか。

そんな所で、後ろの方から、欠伸が聞こえてくる。振り返ると、それはうずめが起きたことを意味するものだということが分かった。うずめは目を覚ますと、周りを見渡す。しばらくして、俺を認識すると、眠たそうな声で言う。

 

「おお、光樹。起きてたんだな。」

 

「うずめ。俺って確か、気絶して…。」

 

それについて聞くと、うずめは伸びをしてから答える。

 

「そうだぜ。結構運ぶの大変だったんだぜ?しかも、犬っころたちとの戦闘の疲れもあったし、俺も眠っちまってたみたいだな。」

 

「そうだったのか…。ありがとう、みんな。」

 

その言葉を聞くと、ネプテューヌが胸を張る。俺が眠っている間に、どうやら随分と世話を掛けたみたいだ。疲れがたまっているのに、俺をここまで運んでくるとは…。感謝以外の言葉が出なかった。

そこで光樹は一番聞きたかったことを聞く。

 

「でも、なんで俺、うずめに膝枕してもらってたんだ?」

 

そう言った瞬間、光樹以外の全員が反応する。ネプテューヌが「あー…。」とつぶやき、ネプギアと海男が苦笑いを見せる。それだけなら、光樹も普通に話を流していた。

だが、うずめの方を見ると、うずめが顔を赤くしていた。とても焦っているように見える。少しして、うずめは落ち着くと、光樹に向かって言う。

 

「そ、そんなのしてねえよ!?」

 

「いや、でも起きたときに確かに俺の頭がうずめの膝の上に…。」

 

「っつ!!?ち、ちが…!」

 

うずめが慌てて顔を隠すようにしながら否定する。だが、何が違うのだろうかと、俺は考える。確かに俺はうずめに膝枕をしてもらったはず…。

と、そんな中で、ネプテューヌが事実を言う。

 

「うずめってば照れちゃってー。戻って来た時に「光樹は頑張ったから俺が起きるまでそばにいる。」って言ってたじゃん!」

 

「ね、ねねねねね、ねぷっち!?何勝手な事言って…!?」

 

それを言われてうずめが更に顔を赤く染める。これは完全にいじられている、という認識でいいのだろう。流石に俺も追及しすぎてしまったかな、という罪悪感を感じてしまう。

完全に焦ってしまっているうずめに助け舟を出すように、海男が話をする。

 

「こらこらねぷっち。うずめをいじっては駄目だよ。光樹、うずめは君をとても心配していたんだよ。君に庇ってもらったり、あの大型モンスターを倒した後、いきなり気絶したり。それと同時に、君にとても感謝していたからこそ、そうしたんだよ。」

 

「そうか…ごめん、うずめ。変なこと聞いて。」

 

それを聞いて、光樹はうずめに申し訳なさそうにしながら礼を言う。自分を心配してくれていたなんて、ありがたいことだ。

その言葉を受けて、落ち着いたうずめも、光樹に言う。

 

「別にいいって。あの時はありがとうな。」

 

お互いに感謝の言葉を述べて、ひと段落したところで、ネプテューヌが話に入っていく。

 

「さて、光樹も起きたことだし、海男の救出を祝って、パーティしよう!」

 

そしてネプテューヌ達と共に会議室のようになっている部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、海男の救出を祝って、かんぱーい!」

 

『かんぱーい!』

 

ネプテューヌとネプギア、うずめが元気よく、乾杯の声を挙げ、焼き魚を食べていく。

その様子を、光樹と海男が落ち着いて眺めている。だが、二人は決して落ち着いているわけではなかった。

 

「かんぱい…と言いたいところだが、何故、焼き魚パーティなんだ?」

 

「同じく同意。」

 

そう言っている所に、うずめが答える。

 

「何でって、そりゃあ手頃な食材がこれしかなかったからだろ?いやぁ、釣り溜めといてよかったぜ。」

 

うん、魚が手頃な食材なら、ここで出すのも分かる。いくら食べても困らないのなら問題ないだろう。

だが、一人と一匹には、大人しく受け入れたくはなかった。その理由を、光樹と海男は言う。

 

「うずめの言いたいことはわかる。そして、ここで一番手頃な食材が魚だということもわかる。しかし、これでは共食いではないか…。それも、川魚など…。」

 

「俺は海男を助けに行く道中で言ったはずだ。…俺は魚介類が嫌いだと。」

 

「あー、そうか。わりぃわりぃ。」

 

海男達の言葉に、うずめが軽く謝る。

しかし、よくよく考えると、海男も自分と同じ種族を食べることには抵抗があるんだな、と思う。

と、そう思っていると、ネプテューヌがこちらにうずめに代わって言ってくる。

 

「うずめもこうして謝ってることだし、許してあげなよ。あとでわたしがオキアミと缶詰めあげるからさ。」

 

「オキアミか、それならいただこうか。」

 

「缶詰め…なら魚でも骨とかないからいいぞ。」

 

その代替案に、賛成の意を見せる。缶詰め位なら、俺も別にいい。海男の方もオキアミと聞くと、喜んで受け入れている。やっぱり魚なんだな。

そんな話をしていると、話を聞いていたネプギアが謝ってくる。

 

「ごめんなさい、海男さん、光樹さん。せっかくのお祝いなのに凝ったものが用意できなくて…。簡単なお菓子とかなら作れるんですけど、ご飯となると作ったことが無くて…。」

 

どうやらネプギアとしてはもっといいものを出したかったようだ。お祝いならもっといいものを出してもいいが、こんな事情なのだから、しょうがないはずだ。むしろ、よくこれだけの手頃な食料を出せたのだから、感謝しなければならない。

そこで海男と光樹は言葉を返す。

 

「ぎあっちが気にすることではないさ。その気持ちだけでオレは十分だよ。」

 

「こっちも気にしないさ。それに、焼き魚の方も、ちゃんと食べるよ。」

 

そう言葉を返し、俺たちは魚を食していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ってことだ。どうだ、海男?」

 

俺は海男にそう聞く。

いきなり何なのか分からないだろう。少し前、光樹達は海男にどうして俺たちがここに来たのかについて、話を聞かれていたのだ。そこで光樹達は、経緯を話していたのだ。

それらの話を聞いた海男は、横のヒレを組んで、納得する。

 

「なるほど。だいたい君たちの境遇は理解した。別の大陸から来た、実は地下に国があってそこから出てきた。もしくは、全て彼女たちの妄想、か…。」

 

海男の考えた仮説がいくつか出てきた後、海男が結論を立てる。

 

「いくつかの仮説が立てられるが、おそらく一番、可能性として高いのが、別の次元から来た、だとオレは思う。」

 

「やっぱり…か。」

 

海男の結論に、光樹はそう声を出す。そうなんじゃないかと思うところが、今までもいくつかあったが、海男からの意見で、その可能性が高まった。

そんな事を聞いて、ネプテューヌも思わず呟く。

 

「あー…。また別の次元に来ちゃったかもしれないのかー…。」

 

そういえばネプテューヌ達は神次元に行ったことがあるんだった。こういうのには、「V」の時にあったから、慣れてしまったのだろう。

その言葉に、海男が反応した。

 

「また、ということは、ねぷっちと光樹はこれまでにも、別の次元に行ったことがあるようだね。」

 

「うん。ちょっと前に行ってきたばかりなんだ。いやぁ、その時は元の次元に帰る為に苦労したよ。時間の流れがゆるやかなせいで、何年も向こうにいたからね。」

 

「俺はネプテューヌ達の住んでいる世界とは別の世界から来たんだ。」

 

「なら、ほぼ確定だろう。…だが、光樹はなぜねぷっちたちの世界とは別の世界から来たということが分かったんだい?」

 

海男からのその質問は予想通りだった。なので、光樹もこれまで言ってきた言葉を返す。

 

「実は、ネプテューヌ達の世界は、俺の世界ではゲームの世界なんだ。」

 

「…それは本当かい?」

 

「ああ。」

 

海男は少し動揺していた。無理もない。もしかすると、この世界もゲームの世界なのかもしれないのだから。

だが、海男は平静に戻し、言葉を続ける。

 

「なるほど。では、君の纏っていた機械は、君の世界の物なんだね。」

 

「記憶が無くなってる部分もあるけど、それで間違いないよ。」

 

「そうか。だが、これで戦力はかなりそろったことになるね。」

 

「そうだな。あのダークメガミとか、エクストリームも倒せるだろう。」

 

そう談義しているところで、一人困った様子を見せている人物がいた。ネプギアだ。

 

「…じゃあ、どうやって帰ろう。別の次元にいるんじゃ、いーすんさんとも連絡がとれないし…。」

 

だが落ち込んでいるネプギアに、ネプテューヌは励ましの言葉をかける。

 

「落ち込む必要なんかないよ、ネプギア。ここが何処か分かっただけでもいいじゃん。場所が分かったなら、あとはそれにあった方法を探せばいいだけだよ。」

 

ネプテューヌのいうことは確かだった。ここが別の次元だとしても、行くことが出来たなら、帰ることもできるはずだ。

方法は分からないが、それもこの世界を探索していれば見つかるかもしれない。

それに、イストワールだって俺たちがいなくなったことを知れば、連絡を取ってくるかもしれない。幸いにもNギアをネプギアは持っているし、更に光樹のNPの方にも連絡が取れるように、この世界にやってくる前に渡したメモリーチップに通信回線のデータが入っていたはずだ。

ところが、その言葉に、ネプギアは更に考え込む。

 

「けど、どうやって探そう?海男さん、本当にモンスター以外の人は誰もいないんですか?遠くに避難しているとか…。」

 

そんな事を海男に聞く。だが、ネプギアの疑問はそれだけで終わりはしなかった。とても重要なことを、聞いた。

 

「そういえば、他の国の女神様はいないんですか?」

 

それを聞いて、光樹も気づく。そうだ、よくよく考えれば、女神がうずめだけというのもおかしい気がする。復元されたこの大陸の地図を見たが、かなり大きいのに、それを治めているのがうずめだけというのもおかしい話だ。

そんな疑問に、海男ははっきりと答える。

 

「すまないが、俺の知る限り、女神はうずめだけだ。」

 

「けど、前は人がいたんですよね?ネットにもその痕跡はありましたよ。」

 

ネプギアは更に質問をする。それに海男も続けて言う。

 

「あぁ。確かに昔はいたんだ。でなければ、オレが君たちを人間だとは思わないさ。だが、オレが生まれた時には、既に世界はこんなありさまでね。だから、君たちを見た時にはとても驚いたんだよ。」

 

「生まれた時にはもうこんなことになっていたって…。」

 

光樹は動揺する。海男はかなり知っていそうな風貌から、長く生きてきたと思う。だとすると、うずめと海男たちは何年、いや、何十年この世界で戦い続けてきたんだろうか。

 

「じゃあ、どうして世界がこんな風になったのか、誰も知らないんですか?」

 

「うずめは、“デカブツ”が原因だと言っているが、それ以前にも原因があるとオレは思っている。」

 

「それ以外の原因?」

 

光樹は少し考える。今まではこれだけの事になったのは全てデカブツ…ダークメガミとエクストリームガンダムらのせいだと思っていたのだが、それ以外の要因があるのだろうか?

と、そこでネプギアはNギアを出しながら言う。

 

「それなら、これを見て下さい。壊れてますけど、ネットで見つけたんです。」

 

「………ふむ。…これは日誌のようだね。ところどころ文字がバグっているが、実に興味深い。」

 

「それ、俺にも見せてくれないか?」

 

「あぁ。見てみるといい。」

 

海男から渡されたNギアのファイルを見始める。

…なるほど、確かに気になる点が見受けられる。明らかに制御不能になった誰かの力によって、こうなったと読める。

だが、もっと気になることがあった。それは、□代目の□□、という項目だ。この世界の今までの事を察するに、おそらく二つのバグった項目に入る文字は「女神」だろう。文字の数もあっている。

しかし、なぜ俺はそう思ってしまったのだろう。女神と確かに入るが、この日誌にはほとんどひらがな、カタカナで書かれているのに、漢字がピンポイントで入るだろうか?

…考え過ぎだと判断した光樹は、そんな考えを捨てることにした。そして、Nギアをネプギアに返す。

返してもらった後、ネプギアは海男にあることを相談する。

 

「…海男さん。私、この世界のこと調べようと思うんです。」

 

「なら、微力ながらオレも力を貸そう。もしかしたら、この世界を救う新しい発見があるかもしれない。」

 

「ありがとうございます!」

 

ネプギアが笑顔で感謝を述べる。とりあえず、この件はネプギアに任せておいた方がいいだろう。

そう思うと、ネプギアの肩に手を乗せ、委任する。

 

「じゃあ、データの方は頼む。」

 

「任せて下さい!必ず原因を解明して見せます!」

 

そう答えた後、部屋の外に出ていたうずめが入ってくる。

 

「ねぷっち、ぎあっち。どうしたんだ?」

 

「あ、うずめ。実はさー…」

 

ネプテューヌとネプギアがうずめと話し始める。

そうしてネプテューヌ達がこっちの方を気にしないようになった所で、光樹は海男に「とあること」を聞き始める。

 

「海男、ちょっといいか?」

 

「うん?別に構わないが…。」

 

海男は怪訝そうにしながらも、話を聞くようにする。

光樹は言う。

 

「うずめって、調子が上がった時とかに性格と口調が変わるよな?どうしてだ?二重人格なのか?」

 

それは、うずめの急変する性格の事についてであった。流石にいきなり変わるのはおかしいと俺も思っていたため、そう聞いたのだ。

すると、海男はちゃんとそれについて答えてくれた。

 

「それはだね。…あの子は無理をしているんだ。」

 

「無理を…?」

 

無理をしている。それだけでは意味が分からなかった。すると、海男が話を続ける。

 

「元は、女神化後のような明るい性格の女の子だったんだよ。」

 

「え…?」

 

光樹はその事実に驚く。まさか、元々はあの性格の方が素だったとは…。

更に海男は続ける。

 

「性格は軽くても、根は真面目な子だったからね。それでは、この滅びに向かう世界で暮らす、オレたちの心の拠り所になれないと思ったのだろう。このサバイバル生活や戦闘の中で、性格も、口調も変わっていったんだ。」

 

「そう…だったのか……。」

 

まさかそんな事があったなんて…。光樹は少し外を見やる。こんな世界で、人を守るために、元々の自分らしさを変えなければならないなんてと思っていた。とても強い意志を、うずめは持っていたのだ。

それと同時に、無理をしてまで守ろうとしているうずめを、守りたいと決めた。「夢」の件もあったが、うずめの望みを叶えてやりたい。そう思った。

それから、その話を聞いて、分かったことがあった。その確認を海男に取る。

 

「ひょっとして、うずめがカッコイイことに拘っているのも…?」

 

「そうだよ。彼女の中では、カッコイイ=頼りがいがある、と思っているところがあるからね。でも、人の性格っていうのは、簡単に変えることはできないからね。」

 

海男はそう語る。だが、光樹はここで反論の意見を出す。

 

「人の性格って、何かあれば簡単に変わると思いますよ。例えば戦争とか…悲しみと憎しみが混じり合う場では特に。」

 

「…光樹…。」

 

「……すいません、俺の見てたアニメとかで、そういうことがあって…。」

 

「構わないよ。確かに、君の言うことは正しいよ。だけど、うずめはそんな負の感情に流されてはいない。守りたいという、正の感情で、変わったんだ。」

 

「そうですね。俺もそう思います。」

 

光樹と海男はそう言った後、少しの間黙る。何を話せばいいかで困っていたのだ。

数秒の沈黙の後、海男が口を開く。

 

「元々夢見がちで妄想癖のある子だったせいか、そういう時に、よく素に戻るんだ。」

 

「確かに…そういう時には、性格と口調が変わってましたもんね。」

 

そう互いに言う。

実は魚を食べていた時から、光樹達が海男に経緯を話す前までの間に、うずめ達が普段食べている物についての話があったのだが、そこでネプテューヌがカエルとかは食べないのかと聞いていた。

サバイバル生活ではカエルも食べると聞くが光樹も流石に気持ち悪いので食べない。もしうずめ達が食っているなんて言っていたら、俺はこのパーティを抜けていただろう。だがうずめは素の性格で食べないと拒否していた。海男曰く、普段はうずめがありあわせの物でご飯を作るらしい。ただ、今回の焼き魚のような、食材に火を通しただけの簡単な物らしいが。

そんなうずめに、うずめの性格を理解したネプテューヌが、カエルとかを食べるうずめはカッコイイ、と誘導したところ、うずめは見事に食いつき、今度食べてみようと言ったのだ。

幸い、ネプギアがうずめを止めてくれたのでセーフだった。女の子が虫とか両生類を食べるって、これほど酷いものがあっただろうか、いやない。後でネプテューヌにはお仕置きとして茄子を生で食べてもらおうか、とも思ったが、流石にそれは鬼畜だろうと考えを改めた。

ちなみに、その時分かったことなのだが、うずめはシイタケが嫌いらしい。うずめはあの食感が嫌いとのことだ。ほとんど関係ない話だが、俺もシイタケは苦手な方だ。だが、無理してなら食べれるので、食料に出されても、それ程困りはしない。魚よりはマシだ。

回想が長くなってしまった所で、海男が言ってくる。

 

「…さて、今日はもう遅い。これからのことは、明日起きてから話そう。君やねぷっちたちも疲れているだろうから、今日は休むといい。」

 

「そうですね。パーティの前に寝てたけど、まだ疲れが残っているから、早めに寝ておきます。ネプテューヌ達にも、寝ると伝えておいてください。お休み、海男。」

 

「あぁ、お休み、光樹。」

 

そう告げると、光樹は昨日寝たのにも使った部屋に向かう。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
まぁ、一波乱のところよりも、冒頭の「夢」のシーンが気になった方も多いと思われます。
ネタバレしますと、あれは一応フラグです。どういうフラグかは伏せておきます。

次回は日常回になります。
投稿は次の日曜日になります。

次回もお楽しみに!




追伸・見ている方は少ないと思われますが、Twitterの方で先日、土曜と日曜で小説一つ書き上げるという宣言をしましたが、書けませんでした。
理由はネットの回線がおかしくなったので、それの調査まで書けなかったためです。申し訳ないです。

更にそこでも言った通り、話のストックが尽きかけてきました。話が尽きた場合、受験もあるので、三月終わりまで、投稿を停止すると思われます。
いつも見て下さっている皆様には申し訳ありません。ですが、もし停止した場合には、必ず、帰ってきますので、待っていてください!

ここまで見ていただき、ありがとうございました!


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第29話 プリンタイム

光樹「どうも皆様、お元気でしょうか。この小説の主人公の和藤光樹です。藤和木?あぁ、それは…。」

うぉぉぉぉ!!うずめの抱きま…

光樹「うるせぇ!黙ってろ!!」

ドカッ!

へぶし!

光樹「まったく…どうしてこうなったんだか…。さて、話を戻しますが、今回は日常回、プリンを食べる回になっています。特に話の展開には関わらないですが、次の話へ続く場面となります。加えて、原作側のフラグ?も入っています。では本編どうぞ!」


 

 

「ネプギアぁー…。プリン食べたいぃー…。」

 

わたしはネプギアにそのようなことを言う。それを聞いたネプギアは困った顔をする。

 

「うーん。困ったなぁ、プリンなんて何処にもないよ。作ろうにも材料もあるはずないし…。」

 

だけど、わたしは食い下がらない、プリンを食べない日が2日も続くのには耐えられないからだ。

更にわたしはネプギアに嘆願するように言う。

 

「ぷーりーんー。」

 

「騒がしいみたいだが、どうかしたのか?」

 

「やあ。相変わらず、ねぷっちは賑やかだね。」

 

「元気あり過ぎだろ、ネプテューヌ。こっちは寝ても疲れが取れないのによぉ。」

 

うずめと海男、それに光樹がやってくる。光樹以外の二人は元気そうだけど、光樹はまだ眠そうにしてる。やっぱり、昨日の疲れが取れていないんだと知る。

すると、ネプギアがうずめたちに訳を話す。

 

「あ、うずめさんに海男さん、光樹さんも。それがちょっと困ったことに…。」

 

だけど、わたしもプリンが無いおかげで機嫌が少し悪かったので、愚痴をこぼしながら説明する。

 

「ぷーりーんー。プリンがないとわたし死んじゃうよー。ぷーりーんー。」

 

「と、言うわけなんです。」

 

ネプギアがわたしの様子を見せながらそう言った。これでうずめたちが何か考えてくれるはずだ。きっとそうだ。

そして、それを聞いていた三人はというと…。

 

「なるほど、そういうことか。しかし、プリンは作らないとないな。」

 

それを聞いて、わたしの我慢が限界に来た。

 

「やだやだやだー!ぷーりーんー。」

 

思わず駄々をこねる。もちろん、そんな事をしても、何も起きないことは分かっている。けど、とにかくこの不足感を発散したかった。この気持ち、まさしくプリン愛から来る中毒反応だよ!

と、ここで光樹が後頭部を掻きながらふと呟く。

 

「まったく、本当にネプテューヌはプリンの事となると執着が半端ないよな。ネプギアを見てると、どっちが姉か分からなくなってくるな。」

 

むぅー、そんな事言わないでよ、結構気にしてるんだからさ。どっちが姉とか。

そう思っているところで、うずめが興味を持ったかのように話す。

 

「けど、ねぷっちの影響か俺もプリンを食べたくなってきたな。」

 

「でしょ、でしょ?うずめもプリン食べたいよね!」

 

わたしは嬉しそうにしながら答える。やっぱりみんなもプリン食べたいんだよ、と思う。

後は、多数決で賛成のために、もう一人くらいこっちに来てほしい。ネプギアは材料が無いから迷っているけど材料が見つかればきっと賛成してくれる。海男も大体おんなじ…。

…すると残っているのは光樹だけだと分かる。だけど、今回ので一番乗り気じゃないのが光樹だと思う。疲れているから材料探ししたくないとか言いそうな気がする。

一人でも材料を集める人が欲しい中、光樹が口を開く。その口から、驚きの言葉が出た。

 

「うーん。まあ、俺も少し甘いものが欲しいかな。材料探しだったら俺も手伝うし。」

 

「え!?本当?」

 

「あぁ、疲れを取りたいしな。」

 

光樹の賛成の言葉に、思わず喜ぶ。光樹も探してくれるなら、もーまんたいだよ。

そこで気分が上々のネプテューヌは、プリンについて熱く語り始める。

 

「カラメルソースがかかった、つめたく冷えたカスタードプリンのほろ苦い甘さ。一日食べないだけで、海王星なわたしはセンチメンタリズムを感じちゃうよぉ。」

 

「そこまで言うか?っていうかセンチメンタリズムってどこぞの武士仮面かよ…。」

 

「そこまで言わないと、わたしのプリン愛は語れないよ!」

 

「そ、そうか。」

 

光樹とわたしはそんな感じに話し合う。ネプテューヌのプリン愛に、光樹は若干狼狽えながらも、笑顔を見せる。

そんな空気に感化されたのか、うずめも調子を上げて話に入ってくる。

 

「カスタードプリンかぁ…。けど、抹茶プリンやチョコレートプリンもめっちゃいいよねぇ!」

 

うずめは手を胸の辺りで左右の指を交差させて組みながら、妄想モードに入って更に言う。

 

「案外、そこの百貨店が入ってたビルの食品売り場とかに残ってないかなー。プリンの素があれば、更に超ラッキーみたいな?」

 

どうやら、もうどうやってプリンの材料を手に入れるかまで考えられているらしい。うずめらしいといえばらしい。そして、更にその妄想は続く。

 

「残ってたら、うずめ、久しぶりにすいーつ作ってみんなにご馳走しようと思うんだけどなー。メッチャいろんなプリンを作りまくって、みんなでプリパするのはどう?あ、プリパっていうのは、プリンパーティの略ね。チョー楽しそうでしょ?」

 

そう言い切った後、うずめは、ハッ、と気づいて慌てて内容を訂正し始める。

 

「…と、とまぁ、プリンパーティも悪くねぇよな!」

 

だけど先程の話を聞いていたネプギアと海男は苦笑いしながら、首を縦に振っていた。

そして、光樹はというと…。

 

「………可愛…っつ!」

 

言葉を言いかけた所で、慌てて口を手でふさぐ。小さい声で聞こえていないと思っているんだろうけど、聞こえてるよー?確か可愛いって言おうとしたよね?やっぱり光樹はうずめの事気になっているんだなー、と感じる。

そんな事には気にせず、うずめが一番の問題について述べる。

 

「…けど、問題は材料だよなぁ。確か、牛乳と卵が必要なんだよな。」

 

「世界がこんなありさまじゃあ、どっちもなさそうだね…。」

 

そう、問題は材料の方だった。牛乳は牛から、卵は鶏…最悪、ダチョウの卵でもいい、それらが必要だ。

だけど、この世界に牛と鶏を育てている人がいるとは考えづらかった。何せ、この世界には人がいないんだから。卵の代用品でもあれば…。

すると、うずめが何かひらめいたように話す。

 

「はっ!いや、卵ならあるかもしれねぇ!」

 

そう言って、うずめはある方向をじっと見つめる。それは海男の方だった。

 

「じー…。」

 

「…な、なぜオレを見ているんだ?」

 

海男がたじろぐ。まるで何かから逃れるように、顔に焦りの表情を浮かべてる。

わたしには、まだ何がうずめの中で考えられているのか分からなかった。だけど、次の発言で、わたしもそれに気づく。

 

「なぁ、ねぷっち。プリンって、魚卵でも作れるのかなぁ…?」

 

「魚卵!?」

 

なんと!その発想はなかった。確かに魚卵も卵だ。大きさは小さいだろうけど、出来るかもしれない。それに、魚プリンという新しいジャンルのプリン、食べないわけにはいかない!わたしは目を輝かせながら、それに賛成をする。

 

「魚プリン…これは新たなプリンの予感…!」

 

「ちょ…、ネプテューヌ?落ち着け!」

 

「そうだ、待ってくれ、二人共。ここはまず落ち着いて欲しい。」

 

だけど、光樹と海男が制止してくる。その理由を海男が説明する。

 

「オレはどう見てもオスだ。お腹を捌いても、君たちの望むものは何も出てこないぞ。」

 

「魚卵でプリン作るとか正気かよ!?そもそも海男はオスだから卵は出てこないって!」

 

海男に続いて光樹も意見を言ってくる。確かに、海男はオスだね。卵を産むのはメスだから無理かな。でも魚卵でもプリンできそうだと思うけどなー。多分光樹は魚のプリンが食べたくないってことからそう言ってるんだろうけど。

その話を聞いて、うずめが一言。

 

「ちっ、なんだ。」

 

うん、わたしも少し残念だったなぁ。魚プリン食べてみたかった。

海男の方は落ち着きを取り戻している。

 

「…ふぅ。今日ほど、オレをオスに産んでくれた両親に感謝したことはないよ。」

 

「男性って、こういう時に得するんだな。理解したよ。」

 

「海男さんも、苦労してるんですね…。」

 

安心している海男に光樹とネプギアが労いの言葉をかける。光樹の方は同情も入ってるように見える。

そんな話の裏で、うずめとわたしは話を進める。

 

「よし、ねぷっち!もしかしたら、材料が残ってるかもしれねぇ。探しに行こうぜ!」

 

「そうだよね!少しでも可能性があるなら探すべきだよね!」

 

そう言ってわたしたちは材料を探しに出かけた。見つかるといいなー!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネプギア!卵見つけてきたよ!」

 

ネプテューヌの声が部屋に響き渡る。どうやら、帰ってきたようだ。

 

「えっ!?」

 

ネプギアが驚きの声を出す。ネプギアも、まさか本当に見つかるなんて、思ってもいなかったのだろう。だが、それだけではなかった。

 

「こっちは牛乳と砂糖と、とりあえず必要そうなのを片っ端から持ってきたぞ!」

 

「はあ!?そっちも手に入れたのか!?」

 

うずめの言葉に、俺も半信半疑で聞き返す。一つくらいなら見つかるとは思っていたが、作るのに必要な物全部が集まるなんて…偶然としか言いようがない。

本当に揃ったのか、見てみると、確かに揃っていた。牛乳に卵、砂糖…食材の他にも、プリンカップやボウルといった道具まである。ここまで来ると、本当にすごい。

どうやって手に入れたのか、気になったので光樹はネプテューヌ達に聞いてみた。

 

「なあ、ネプテューヌ。どうやってここまで揃えられたんだ?」

 

そう聞くと、ネプテューヌは元気よく答える。

 

「そこで行商人のモンスターがお店を出してたんだ。」

 

「え、モンスターが店を出してたのか?」

 

「うん。」

 

これもまた驚いた。こんな近場で、モンスターがお店を出しているなんて。てっきり、そういう立場のモンスター達は全員うずめ達が避難させているのだと思っていた。だがよくよく考えると、昨日行ったコーラル駅には、ひよこ虫達が住み着いている。必ずしも善良なモンスター達が一か所に集まって避難しているわけではない。ならば、ここでモンスターがお店を出していても不思議ではない。

更にうずめは、付け足しで言う。

 

「しかも、取れたて&搾りたてで新鮮らしいぜ。」

 

なるほど、そのくらい新鮮なら、衛生上は安心だ。

しかし、それ以上に、そんな都合のよいことがあっていいのだろうか、という疑念が渦巻く。確かにお店で出すなら、ある程度新鮮さがあることが求められる。でもこんな状況で、手に入るのだろうか。いや、むしろ逆で、新鮮な物しか残らないということか?

深く考え込んでいたが、同じことを海男が発言したことで、中断する。

 

「これはいくらなんでも都合が良すぎるような…。」

 

「因果律をゆがめたとしか考えられないな。」

 

海男も同じことを考えていたとは…やはり海男からしても、これはありえないことなのだろうか。しかし、その表情には、どこか呆れた様子が見て取れる。まるで何かがあって当然のような…。

 

「けど、食べられる材料があるならこの際なんでもいいじゃありませんか。」

 

ネプギアがそう発言する。ネプギアの言う通りだ。プリンを作れるようになったのなら、作るべきだ。

同じくそう思ったのか、うずめがネプギアに対して誘う。

 

「じゃあ、さっそくプリン作ろうぜ、ぎあっち。」

 

「はい!」

 

ネプギアが返事をすると、二人はすぐに材料を持って出ていく。そうして、部屋の中が少しの間静かになる。

 

(さて、プリンが出来上がるまでの間、何をするかな。)

 

そう考える。やる事としたら、街のデータベースにアクセスするか、武器のチェックだろう。だが前者の方はネプギアに任せてあるし、後者はリザーブにある間はその内部で武器のチェックが行われている。

それらを踏まえると、シュバルトゼロの武装の情報のチェックだろう。まだ完全に思い出せていないので、それをやるべきだ。

一方、ネプテューヌの方は。

 

「じゃあ、わたしはそれまで海男と遊んでよっかな。」

 

「そう言えば、ねぷっちとは二人でゆっくり話したことがなかったね。この機に親睦を深めるのも悪くはないな。」

 

どうやらネプテューヌは海男とお話しするようだ。二人がどんな話をするのか、少し面白そうだった。

だがしかし、そこに電子音が響く。何かの発信音だろうか。ネプテューヌが質問する。

 

「あれ?この音なぁにー?」

 

「すまない、ねぷっち。どうやら仲間からの連絡のようだ。少し席を外させてもらうよ。」

 

その音はどうやら通信端末の音だということが分かった。海男はすぐにその通信端末の方に向かって部屋を出る。

それを見送ると、ネプテューヌが呟く。

 

「行っちゃった…。はぁ…プリンできるまで退屈だなぁ…。そうだ、光樹。記憶ってどこまで戻ったの?新しいガンダムにもなったから、思い出したこともあるんじゃない?」

 

ネプテューヌがそう聞いてくるとは…少し意外だった。でもネプテューヌなりにこっちの記憶喪失について気にかけてくれているのだろう。

徐々にだが、記憶が戻ってきているのは事実だ。いろんな敵と戦った記憶が、新しいガンダムになる度に脳裏に浮かんでくる。だが、それが何という名前だったかなどは思い出せていなかった。加えて、最近になって「夢」で出てくる俺の仲間と思われる存在が誰なのかも思い出せない。

一体誰なのか。あの「夢」は一体何なのか。気になることはたくさんある。

だが、一人で悩んでいるより、もしかすると他の人と話していれば、何か新しいことを思い出すかもしれない。考えを決めた光樹は、ネプテューヌに返事をする。

 

「そうだな。少しだけど、思い出したこともあるからネプテューヌにも聞かせようかな。俺の思い出したことを。」

 

「決まりだね!外でお散歩しながらはなそう。」

 

ネプテューヌに腕を引っ張られつつ、光樹は部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん、プリンできたよー。」

 

「わりぃ、ねぷっち。作りすぎたせいでかなり待たせて…。」

 

ぎあっちと俺は手にプリンを乗せたおぼん代わりの板を持って、ねぷっちたちが待つ部屋に入る。あまりに待たせ過ぎたので、ねぷっちが不機嫌になってないかなとうずめは思っていたが、部屋の光景を見て、その心配はなくなった。

部屋にはねぷっちや海男、光樹の他にある者たちが楽しそうにしゃべっていた。ある者とは、昨日会ったひよこ虫たちであった。

 

「うおっ!?なんでひよこ虫が!?」

 

いきなりの事だったので少し驚く。いきなり部屋に入ったら、いなかったはずの者たちがいれば、こうなるのも当然だ。

すると、こちらに気がついたねぷっちとひよこ虫たちが声を出す。

 

「あ、お疲れー。」

 

「おつかれ様なのです。」

 

「あ、うずめさんだ。」

 

「ねぷっち、これはどういうことだ?」

 

うずめは思わず聞く。どういう経緯があって、ひよこ虫たちがいるのか知りたかったからだ。

すると、ひよこ虫たちと話していた光樹がその疑問に答える。

 

「出来るまでの間が暇だったから、ネプテューヌといろいろ話しをするために、外に散歩をしに行ったんだけど、その時ひよこ虫達と出会ったんだよ。それでネプテューヌが、やっぱり美味しいものはみんなで食べた方がもっと美味しい、って言って招待して、今に至るってわけだよ。」

 

光樹の説明を聞いて納得する。確かにねぷっちの言う通り、こういう美味しいものはみんなで食った方が美味しいはずだ。

それに、実は張り切りすぎて作りすぎてしまっていたので、ちょうどよかった。これで余る可能性はなくなったわけだ。今度は全員分が足りるかどうか気になったが、数えてみると、ちょうど数が合った。偶然だが、よかったと思う。

 

「そりゃあ、ナイスだ、ねぷっち。持ってきた材料全部使ったせいで作りすぎてしまったからな。」

 

「おかげでこっちも、お腹ペコペコ。」

 

ぎあっちは腹をすかせたようにお腹をさすっている。うずめ自身も、かなりお腹が減っていたので、すぐに食べたい気持ちがあった。

それを聞いていたひよこ虫たちも期待を膨らませて言う。

 

「プリン楽しみ。」

 

更にそこに海男が気をきかせて告げる。

 

「なら、オレはお茶を淹れよう。こんな場所だが、お茶会と洒落込もうか。」

 

「それはいいアイデアだな。俺も手伝うよ。」

 

その海男の気遣いに、光樹も手伝うように海男に付き添う。

しばらくした後、海男たちがお茶の入ったポッドとカップを持ってきて注ぎ、プリンパーティが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、食べた食べた。やっぱり、一日に一つはプリンを食べなきゃ始まらないよね。」

 

ネプテューヌが機嫌よさそうに、そう言う。その様子を見て、うずめも笑いながらそれについて言及する。

 

「ははっ、ねぷっちは本当にプリンが好きなんだな。」

 

一方、光樹の方も、プリンを食べれて嬉しかったりする。少しだが疲れも取れて、美味しいものも食べれて気分が良かった。

それだけではなく、海男と一緒に入れたお茶も美味しかった。まさかここまで美味しいとは…海男はこういうのが趣味なのだろうか。ネプギアも海男にそれについて感想を述べる。

 

「海男さんの淹れたお茶、とっても美味しかったです。これって何ていうお茶なんですか?」

 

「オレのオリジナルのブレンドさ。あくまで趣味として作ったものだが、気に入ってくれたのなら茶葉を分けてあげよう。」

 

それを聞いて、光樹は少し驚く。趣味でここまで美味しいものが作れるとは。海男はかなりお茶を作るのが好きなのだろう。そんな好奇心が無ければ、この世界情勢で作ることは出来ないだろう。まぁ、こんな世界で落ち着くために、お茶を作っているなら当たり前だが。

海男のその提案に、ネプギアは喜んで答える。

 

「本当ですか!ありがとうございます。」

 

そんな様子を見ていると、ネプテューヌが海男の一面を見て言う。

 

「海男って、見た目以外は本当にイケメンなんだね。」

 

「おいおい、ネプテューヌ。そんな事は言うべきじゃないと思うぞ。」

 

ネプテューヌの失礼な言葉に、俺は制止をする。確かに海男は見た目は微妙であることは俺も認める。だがそんな姿でも、海男をカッコいいと言ってくれるやつはいるかもしれない。今見ると、海男は見た目的には優男という部類の人物だと感じている。

そして、それに同調するようにうずめも言葉を返す。

 

「あぁ、見た目も十分イケメンだと思うけど?」

 

「…そうだった。うずめはそういうセンスだったんだ…。」

 

「そうなんだよなぁ。」

 

うずめの言葉に、二人は少しがっかりする。こういう感性も珍しいから尊重すべきなのだろうが、どうしても言葉に示せなかった。

小さな声で言ったものの、うずめが何を話しているのか気になったのか、「ん?」と声を発し、焦る。

なんとか話をずらそうとした所に、海男が話に入った。

 

「さて、お茶会も落ち着いたところで、少し今後の作戦会議をしたいのだが、どうだろうか?」

 

「!そうだな。」

 

実にナイスタイミングな提案だった。その発言により、話の主題は変わった。うずめ達も、それについて発言する。

 

「俺は構わないぜ。」

 

「わたしもだいじょーぶだよ!プリンを食べてもお腹もモチベーションもマックスだよ!」

 

そうして作戦会議が始まることとなった。

 

TO BE CONNTINUED

 




光樹「いかがだったでしょうか。ていうか最近思ったけど、ネプギアの出番がない気が…。」

そこは言っては駄目なのです。駄目なのです。

光樹「おお、作者、戻ったみたいだな。」

ううっ、うずめの抱き枕か、それとも究極フルスロットルか…悩む。

光樹「あれ?前は抱き枕かMS少女じゃなかったか?」

あ…。

光樹「忘れてたのかよ。(;^ω^)」

すまん。というかここでこんな話しても迷惑か。

光樹「関係ない所で関係ない話題をいれる。まさにダメ作者の鏡だな。」

それ以上言わないで。(´・ω・`)
さて、次回の投稿は土曜日になります。
では次回もお楽しみに!


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第30話 ダークメガミ・エクストリーム討伐作戦の概要

どうも皆様、お元気でしょうか。藤和木弘です。
第30話、更新です。

まずは謝罪を。
前回、前書き、あとがきにて、読者の方を不愉快にさせる発言があり、申し訳ありませんでした。
不愉快というのは、抱き枕の件です。気になって調べてしまった方、注意書きを書かずにすみませんでした。

私もあのときは何かが吹っ切れていたというか、テンションMaxの状態で書いていたんですよね…。
これからはなるべく書かないように、かつ書くときは注意書きを入れたいと思います。

では、本編、どうぞ!


 

 

「では早速だが、先ほどシェアクリスタルがありそうな場所を見つけたとの連絡を受けたんだ。」

 

「今までの戦いでだいぶ消費したからな、ストックが増えるぶんには願ったりだ。」

 

海男のその報告に、うずめは冷静に答える。シェアクリスタルが見つかったということは、それだけ女神化も出来るということだ。うずめが冷静にしながらも、それに喜んでいるのも分かる。

だがそれだけではないことが、海男の口から語られる。

 

「しかもだ。その場所にはたくさんのシェアクリスタルが眠っていると推測できるらしい。」

 

「…それなら、あの作戦もできるかもしれないな。」

 

「…あの作戦?」

 

その言葉に、光樹が疑問を持つ。「あの作戦」というからには、ダークメガミ達を倒す作戦なのだろう。それに加えて、シェアクリスタルが大量に見つかったかもという報告からそれを言ったことから、シェアクリスタルが多く必要とする作戦なのだろうか。

そのまま海男達は話を進める。

 

「あぁ。鍵となる規格のシェアクリスタルさえ揃えばこちらの準備も整う。」

 

「となれば、ようやくこっちから打って出れるぜ。」

 

海男とうずめは、そう話す。どうやら本当にダークメガミ達を倒すための作戦だったらしい。それも必要な大きさのシェアクリスタルが見つかれば、それを使って倒すことのできる。

と、そこでうずめの話を聞いていたネプテューヌが、その作戦について聞く。

 

「ねぇ、二人が言ってる“あの作戦”ってなんのこと?わたしとネプギア、それに光樹にもわかるように教えてくれると嬉しいな。」

 

「あぁ、そうだったな、わりぃわりぃ。」

 

うずめはすぐに謝罪をする。どうやら先程俺が呟いたことも、二人には届いていなかったらしい。

そして海男はその作戦について、簡単な説明を開始する。

 

「一言で言えば、君たちも見たあのデカブツたちを倒すための作戦さ。」

 

「ねぷっ!?あのデッカイのを倒せるの!?」

 

シンプルな回答だったが、その影響は大きかった。ネプテューヌは驚きを露わにする。ネプギアもかなり驚いている。

もちろん、光樹も驚いていた。まさか、あの大きさのエクストリームを倒す策があるなんて、思ってもいなかったからだ。一体、どんな作戦なんだろうか、気になるところだった。

すると、とある事実をうずめは語った。

 

「なんどもアイツらと戦っていくうちにわかったんだ。あいつらはシェアの力に弱いってな。」

 

「シェアに力に弱い、か。だけど、それなら既にうずめだけでも倒せるんじゃないのか?」

 

なるほど、と思いながら、光樹はその疑問をぶつける。シェアの力に弱いというのは、戦っていけば分かることだ。その推測は正しいだろう。

しかし、それなら何回も戦っていくうちにダメージが積み重なっていき、いつか倒せるのではないだろうか。

すると、それに海男が答えた。

 

「それは無理だよ。どうやらあのデカブツたちはこの世界にいない間にはそのダメージが治っているらしい。それに、やつらはその巨大さ故に、一点にシェアの力をぶつけても効果はあまりない。だから、大量のシェアクリスタルを使った特殊な結界を作って閉じ込めようとしているんだ。」

 

「なるほどな。結界の中に閉じ込めれば、敵はシェアの力を嫌っているから、もしかしたら弱くなるかもってことか。」

 

「その通りだよ。」

 

その説明に、俺も納得した。敵を結界で閉じ込め、敵を弱体化してその中で倒す。実にいい作戦だ。

それを聞いていたネプテューヌも、賞賛の声を出す。

 

「おおっ!なんか凄い作戦!それなら、でっかくてもいちころだね!」

 

「そういうこった。だから、さっそくシェアクリスタルを回収しに…」

 

だが、うずめが言いきる前に、話を遮った者がいた。

 

「ちょっと待ってくれ、みんな。」

 

それは光樹だった。

俺自身も、勢いがある中でそれを邪魔するようなことは言いたくはなかった。しかし、どうしても伝えなければならないと思ったのだ。エクストリームについて。

その制止の言葉に、海男が反応する。

 

「どうしたんだい、光樹。何か問題があるのかい?」

 

「これは俺の世界での、エクストリームについてのことなんだ。話を聞いてほしい。」

 

「それは一体?」

 

海男は首を傾げる。その疑問に対し、光樹はすぐに答える。

 

「エクストリームは、データ上にしか存在しないはずの機体なんだ。もしかしたら、シェアの力を無効化してくるかもしれない。いや、そもそもエクストリームはシェアに本当に弱いのか、聞きたい。」

 

「それは…!なぜ、君はあのロボットを知っているんだい?」

 

「簡単だよ。あれは俺の世界で放送されているアニメのゲームで出ている機体だからだ。」

 

「な、なるほど。つまり、あれは本来この世界には存在しないということだね。」

 

「そうです。だから対応もできるかどうか…。」

 

その言葉で、周りの空気が重くなる。せっかく倒せるかもという明るい雰囲気になったのに、それを下げてしまったのだから。

しかし、勝てると思って油断して、誰かが死ぬなんてものを見せられたくなかった。だからこそ、光樹は注意喚起としてそう言ったのだ。

しかし、それをうずめは受け止めつつも、返す。

 

「でも、倒せるかもしれないんだ。試してみる価値はあるだろ?」

 

「うずめ……。そうだな。マイナスに考えていても、何も始まらないよな。」

 

うずめの言葉に、光樹も考えを改める。そうだ、下を向いてはいけないのだ。

そう考えると、光樹は声を響き渡らせる。

 

「じゃあ、改めて行くか!シェアクリスタルの集まる場所に!」

 

四人と一匹は、すぐに支度を整えて、拠点を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

オレとうずめたち四人は、シェアクリスタルが発見されたと報告の受けた、「ジングウサクラ公園」へやってきていた。

さっそく、うずめが辺りを見回して感想を言う。

 

「へぇ、ここにシェアクリスタルがあるのか。」

 

「この国にも、まだこんなに綺麗な所が残ってたんですね。」

 

ぎあっちも、それに続いて述べる。

確かに、ここはこの世界の中でもまだ無事な方であると海男も感じていた。それだけ、まだ作戦が成功する希望があるというものだ。

だが、そんなぎあっちに、事実を告げる。

 

「シェアクリスタルがある場所だけ、だけどね。」

 

「それは一体…?」

 

その事実に、光樹が聞き返す。無理もない。なぜこの世界で、これほどの自然が残っているのか、その原理を知らないのだから。

ねぷっちやぎあっちもよく分かっていないようなので、オレは説明を始める。

 

「この国…いや、この世界の土地はもうほとんど死んでいるのさ。」

 

「土地が……死んでいる?」

 

光樹は首を傾げる。その疑問を解決させるため、オレは更に話を続ける。

 

「土地が失われるということは女神が国を守護する力が殆ど無い証拠なのだと、オレは考えている。そもそも、ゲイムギョウ界の国というのは、守護女神ありきで存在しているのだが…。」

 

「それは、わたしたちの国も同じだね。わたしがいないと、プラネテューヌは始まらないもんね!」

 

ねぷっちがそれに同調して発言する。やはりねぷっちも、女神である以上、それは理解しているようだ。オレも理解してくれていることに安心しながら、次の話に移る。

 

「しかし、文献に残っていた情報によると、その女神のちからの源は人々の信仰心だったという。人間のいないこの世界では、もはや女神は本来の力は発揮できないだろう。」

 

「本来の力か。確かにネプテューヌ達も、女神化出来なくなっているしな。よく分かる。」

 

光樹の発言は、的を射ていた。ねぷっちたちが本当に女神かは、まだ海男自身も決めきれていなかったが、本当に女神なら、シェアのないこの世界で女神化は出来ないだろう。

 

「そして、各地に眠っているシェアクリスタルは、過去に存在していた人々の信仰心の結晶なのかもしれない。」

 

そうオレは結論を述べる。これまでの経験から、、それが一番可能性のある考えであった。

すると、それに同調するように、ぎあっちが補足をする。

 

「女神と国民は、互いに持ちつ持たれつの関係で国を作っているんですよね。前に冒険した、別の次元のゲイムギョウ界でもそうでした。」

 

「ネプギア、それって神次元…って分からないか。プルルートの世界の話でいいんだよな。」

 

「はい。光樹さんも、その時のお話知っているんですか?」

 

「あぁ、というより、俺はその話のシリーズからネプテューヌのゲームをプレイしているから、印象に残っているんだよ。プルルート怖い。」

 

光樹の発言に、ぎあっちが苦笑いをする。

光樹の言った「プルルート」が誰なのかは知らないが、今は気にしないことにする。

すると、先程の話を聞いていたねぷっちがこちらに聞いてくる。

 

「じゃあ、ゲイムギョウ界って場所は、どこも一緒なんだね。わたし的には、分かりやすくていいかも。」

 

「なら、説明がしやすくて助かるよ。」

 

ねぷっちの認識は正しい。ゲイムギョウ界というのは、世界の型の一つという認識で合っている。ぎあっちの言った別次元のゲイムギョウ界も、そのうちの一つだろう。

だが、そこで、不確定要素とも言える点が出来てしまっていた。それは光樹という存在だ。彼はオレたちの住むゲイムギョウ界の世界が舞台のゲームがある世界の出身であるそうだ。すると、この世界はゲームの世界…もし光樹がこの世界で何らかの、これから先の世界で起こる歴史を改変してしまう可能性もある。そうなれば、世界が維持できるかどうかが問題だ。

ところが、海男はもう一つの見解も考えていた。それは、光樹も、オレたちと同じ「ゲームの世界の住人」ということだ。それなら、元々このお話で光樹がゲイムギョウ界に来る筋書だったということで上手くまとまる。

しかし、そんな偶然は流石に無いだろう。海男はその考えを捨てることとなる。

 

「最近の調査でわかったんだが、この世界にはこの国しか存在しない。山や海の向こうには文字通り何もないんだ。」

 

「…やっぱり、そうなのか。」

 

「うずめ…。それに、この大陸以外のものが何もないって…。」

 

「うそー!?それじゃあ、冗談抜きにリアル世紀末状態!?」

 

それに衝撃を受けた光樹とねぷっちが驚愕する。信じられないのはわかる。しかし、オレが調べたところ、それは確かだったのだ。ねぷっちの言うリアル世紀末状態というのも、あながち間違ってはいない。それだけ、この世界は崩壊寸前の世界なのだ。

 

「世紀末という言葉が可愛く聞こえる程だけどね。…話を戻すよ。しかし、女神であるうずめがいるにもかかわらず、緩やかにだがこの国も大地諸共滅びようとしている。それは、何故かわかるかい?」

 

「…いえ。」

 

ぎあっちはそう返答した。そこまでは誰もわからないだろうから、その理由を説明しようとした。

しかし、それに一番近い答えが響いた。

 

「もしかして、うずめがこの世界の女神として認識されてない、ってことか?」

 

それは光樹の言葉だった。

それにはあっけにとられた。光樹は別世界からやってきた三人の中でも、直感が鋭い方だと感じていたが、ここまで言えるとは、思っていなかった。

オレは慌てて言葉を返した。

 

「あ、ああ。正確には、シェアクリスタルに依存しているうずめでは、世界に女神として認められていないのではないかと予測しているんだ。」

 

「そんな…!?」

 

「………っ。」

 

うずめがその言葉に反応する。自分が女神として認められていないなどと言われれば、気にもするだろう。オレもうずめの事を思えば、言いたくはなかったが、事実を述べるため、ここは仕方がなかった。

そして、オレは更に言う。

 

「女神のいないこの世界は、既にゲイムギョウ界ではないのかもしれない。そんな世界最後の国であるこの国が滅びると、この世界はどうなると思う。」

 

「そりゃあ…。」

 

「…なくなっちゃいます、よね。」

 

光樹とネプギアが少し考えたあと、呟いた。そう、そこに存在するもの全てがなくなれば、世界は消滅する。実に単純な答えだった。

 

「そんな元ゲイムギョウ界にあえて名前をつけるのであれば、零次元、だろうか。」

 

「零次元……崩壊寸前の世界、零次元、か。」

 

光樹が復唱する。崩壊寸前の世界というのは、間違いないだろう。

光樹やねぷっち、ぎあっちの三人が難しそうな(ねぷっちは少し明るそうだが)顔をしていると、うずめがその空気を変えるように宣言する。

 

「だけど、俺は絶対諦めねぇ。世界に認められてなかろうが、現にあいつらは俺を女神として慕ってくれてるんだ。最後まであがくさ。」

 

うずめの強い意志から放たれたその言葉に、海男は安心感を持つ。いつまでも引きずっていられないからこそ、そう発言したのだろう。

オレもそんな彼女に答えるべく話を元の話題に戻す。

 

「話を戻すが、この場所が自然豊かな理由、それは、この森全体がシェアクリスタルの影響を受けていて、まだ死んでいないからさ。」

 

「…つまり、この世界だと、シェアクリスタルが眠っている場所=自然の豊かな場所ってことか?」

 

「その通り。で、付け加えるならここはでかい森だろ?つまり、それだけ強い力を持ったシェアクリスタルがあるってことさ。」

 

光樹の質問にうずめが付け加えて答える。ねぷっちらもうなずいていることから、話は理解してもらえているようだ。

そこで、ねぷっちが心配そうにあることを聞いてくる。

 

「じゃあ、ここのシェアクリスタルを持って行ったら、この森枯れちゃうの?」

 

ねぷっちの心配はもっともだ。当然、シェアクリスタルが無くなってしまえば、森は枯れてしまう。そこでオレは、心配がないことを告げる。

 

「そうなるね。けど、こういう場所は貴重だからね、全部は持っていかないようにしている。」

 

「よかったぁ。それなら、今度お花見にこれるね。」

 

予想外の言葉だった。海男自身も、ねぷっちの感性は違うとは思っていたが、そこまで能天気なことを考えていたとは。これには海男もあっけにとられた。

普段から面倒を見ていると思われるぎあっちもこれには…。

 

「お、お姉ちゃん…。海男さんが重い話してたのに、そんなこと考えてたんだ。」

 

と言う。

だがねぷっちは気にせず、ネプギアに返答する。

 

「わかってないなー、ネプギアは。こういう状況だからこそ、お花見みたいな日常的な娯楽が大事なんだよ。」

 

それを聞いていたうずめが、真剣に考えていた表情を崩して、笑みをこぼす。

 

「…そうだな。デカブツたちを片づけたら、祝勝会も兼ねて花見に来るのも悪くないな。」

 

意外だった。まさかうずめがそんな風に娯楽の方を考えるとは、思っていなかった。

別に悪いことではない。だが、今まで避難している者たちについて真剣に考えるようになっていたうずめが、心に余裕を持てるようになっていたことに、不思議と嬉しさがこみ上げる。

 

「じゃあ、その時はまたひよこ虫とか他の仲間も連れてきてみんなでパーッとやろうよ!」

 

「あ、それいいかも。じゃあ私、今日みたいにたくさんプリン作りますね。」

 

「なら、俺も作るの手伝うぜ。もっといろんな味を食べてみたいしな。」

 

「その時は俺も手伝おうかな。この前は二人に任せっきりだったし、久々に何か作りたいな。」

 

四人は楽しそうに談笑する。その様子を見ていた海男は思う。

 

(…うずめのあんな楽しそうな表情を見るのは、何時ぶりだろうか。)

 

思えば、最後に海男が、うずめの楽しそうな顔を見たのはいつだっただろうか。性格もすっかり変わってから、うずめは自身を閉じ込めていた。強い自分でなければ、誰も守れないと思い、口調も変わり、女の子らしさが薄くなっていった。

しかし、今のうずめは、かつてのうずめのような、明るい表情を見せている。そうさせてくれたのは、ねぷっちたちが影響しているのは間違いない。そうさせてくれたねぷっちたちには、頭が上がらない。

 

(できることなら、彼女にはずっとあの笑顔でいてもらいたいものだ。)

 

そう考えながら、オレたちは、ジングウサクラ公園の奥へと向かっていった。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
遂にダークメガミとエクストリィム討伐のために行動開始!さて、ダークメガミ達を、ネプテューヌ達は倒すことが出来るのでしょうか?
…まぁ、原作知っている人なら、分かっていますよね(笑)。今のところ、ほぼ展開パクリです。申し訳ない。

さて、次回の投稿は金曜日にしたいと思います。
次回もお楽しみに!



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第31話 勝利フラグは自分から、光り輝く目

皆様、お元気でしょうか。
学校に行く途中、本当に寒くなったなぁ、と冬の訪れを感じた、藤和木弘です。

第31話、更新です。
今回のお話では、あの零次元スライヌ族の若旦那のぬらりんが登場です。…が、今回はうずめの妄想が出てくるので、そちらの方に期待でしょうか。
と、思うじゃないですか?今回は更に光樹君にとあることが起きます。以前の黒の館を見ていると、分かると思います。

では、本編どうぞ!


 

 

シェアクリスタルを求めてこのダンジョンに入って数分、敵を倒しながら進んでいると、目の前にスライヌのようなモンスターが出現しました。

私は敵かと思って構えたけど、そのモンスターの発言により、違うことが分かる。

 

「やあやあ、うずめ。ひさしぶりぬら~。」

 

「おおっ、ぬらりんじゃないか。ひさしぶりだな。」

 

「あれ、もしかして、このスライヌもうずめのお知り合い?」

 

お姉ちゃんがうずめさんに聞く。すると、うずめさんが、そのモンスターさんのことについて説明する。

 

「あぁ、こいつも俺の仲間だ。名前はぬらりんって言って、こう見えてスライヌ族の若旦那なんだぜ。」

 

その説明に納得する。でもあのスライヌを束ねるリーダーがこんなに小さいだなんて思ってなかった。でも普通のスライヌの耳とは少し違っていたり、違いはちゃんとあった。

 

「へぇ、スライヌも見た目によらないんだねぇ。ほら、ぬらりん、こっちおいで。」

 

お姉ちゃんがそう呼ぶと、ぬらりんさんはお姉ちゃんの元に近づく。近づいてきたぬらりんさんに、お姉ちゃんは手を触れる。

 

「おーっ、よしよし。かわいいやつめー。」

 

「ぬらららら~。この子、意外とテクニシャンぬらぁ~。」

 

ぬらりんさんが気持ちよさそうな顔を見せる。意外とお姉ちゃんってこういうの得意なんだよね。

そんな事を言っていると、うずめさんが何かに気づいたようにぬらりんさんに聞く。

 

「で、どうしてお前がこんなところにいるんだ?」

 

うずめさんの言うことはもっともでした。どうして私たちの前に現れたのか気になる。すると、すぐにぬらりんさんが表情を戻して話す。

 

「ここを見つけたの、僕らなんだぬら~。やっとうずめの役に立てたぬら~。」

 

そうだったんだ。ここはぬらりんさんたちが見つけたんだ。ネプギアは納得する。それならここにいてもおかしくなかった。

それを聞いたうずめさんは、礼を言う。

 

「そうか、ここを見つけてくれたのはお前らだったのか。サンキューな。」

 

うずめさんの表情が明るくなる。その言葉を聞いて、自然とぬらりんさんも笑顔になる。

でも、うずめさんはモンスターたちと仲がいいんだなぁ。お互いに助け合って今を生きている感じがして、自分もモンスターたちが頼もしく思えてくる。

 

「うずめさん、ほんとモンスターたちに好かれてるんですね。」

 

「俺は別に何もしてねぇよ。こいつらが勝手に懐いてくるだけさ。」

 

「カッコいいこと言うじゃないか、うずめ。」

 

「ほ、本当か?」

 

「ああ、男前なカッコよさだと思うぜ。」

 

うずめさんに光樹さんがそう言う。確かに、今のうずめさんの言葉はかなりカッコイイと思う。

その言葉にうずめさんが照れる。褒められて、戸惑っているのもあるんだろうけど、照れているうずめさんは可愛い。

そこで、ぬらりんさんが元の話に戻す。

 

「今、僕の仲間がクリスタルを探しているんだぬら~。」

 

「なら、俺らも探しに行こうぜ。こいつらばかりに苦労はさせられねぇ。」

 

「こういう時くらい、頼ってほしいぬら~。うずめはもう少し女神らしくどっしり構えているぬら~。」

 

手伝おうとしているうずめを、ぬらりんさんが制止する。どうしても、自分たちもうずめさんの力になりたいのだろう。確かに女神様なら、大抵は国民にも頼らなければいけない時もある。その逆も言うまでもない。うずめさんに守ってもらうだけじゃなく、こういう時に任せてもらいたいというのは間違ってはいない。

うずめさんはそれに困った様子を見せる。

 

「そう言われてもなぁ…。そういうのは俺の柄じゃないんだよなぁ。」

 

「わかるわかる。うずめって、わたしと一緒でジッっとしてられないタイプだよね。」

 

私も思う。お姉ちゃんとうずめさんってそんな所似ていると思う。何かを他人に任せるより自分で行動したいって気持ちが自然と湧くんだよね。そういう時のお姉ちゃんってとっても頼もしい。それを仕事の時にも生かしてくれたら、いーすんさんも困らないと思うんだけど…。

 

「まぁ、そういうことだから、俺も一緒に探すよ。俺たちは向こうを探してみるから、もしそっちで見つけたら呼びに来てくれ。」

 

「わかったぬら~。」

 

ぬらりんさんはすぐにその方へと向かってはねて行った。その様子を見送る。

見送ったあと、うずめさんがこちらに聞こえるように言う。

 

「さて、俺らも行くか。」

 

私たちはすぐにぬらりんさんとは別の方向へと足を進めた。

…その後を、人が付けているのを知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー。どこにもないなぁ。ぎあっち、そっちはどうだー?」

 

「こっちにはないみたいです。」

 

うずめとネプギアの声が響く。これだけ探しているのに、見つからないって…もう疲れた!ここ広すぎ!

 

「ねぷっちと光樹の方は?」

 

うずめのその言葉にわたしは先程思ったことも加えて言う。

 

「もうだめ…疲れた…。わたし、もう一歩も動けない…。」

 

「あー、昨日の疲れも取れてないのに、これはきついぜ。」

 

「…ないみたいだな。」

 

光樹も限界の声の音を上げる。確かにわたしも昨日の疲れが取れてないかも。

よくよく考えると、わたしたちもう3日くらい体を動かしている気がする。体を動かすっていうレベルを超えているけど、それなら疲れがたまっていても当然だ。特に光樹はガンダムに変身したり必殺技を使うたびに体に負荷がかかっていくって言ってたし、ここ数日、一日に激しい戦闘もしてる。

もちろん光樹に限らず、わたしやネプギアもうずめも疲れている。こんな中で疲れた様子もあまり見せていないネプギアとうずめはすごいなぁ。

 

「うずめ、ねぷっちと光樹もお疲れのようだし、この辺りで少し休んではどうだい?」

 

「そうだな。まだ先は長いだろうし、一先ずここで…」

 

その言葉、待ってたよ!誰か休む提案をしてくれないかなー、と思ってたけど、ようやくここで一休みかな。

そう思ってた。光樹も表情を緩めようとしてた。けど、それはお預けとなる。

 

「ぬら~!ぬら~!」

 

そんな声が聞こえてくる。大体わかるけど、誰かなと思って見ると、そこにはここに来た時に会ったぬらりんだった。

 

「どうしたんだ、ぬらりん。そんなに慌てて。」

 

うずめが少し驚いた様子を見せる。すると、ぬらりんは言う。

 

「シェアクリスタルを見つけたぬら!一緒に来て確かめてほしいぬら~。」

 

何とも言えないタイミングでの発言だった。今ここで休もうとしている中で、探していたシェアクリスタルが見つかったという知らせ…一休みしたかったわたしも、その知らせに複雑な気持ちになる。でもシェアクリスタルが見つかったならいいことだよね。

それを聞いたうずめも面を食らったみたいに言葉を返す。

 

「ほんとか!?ちなみに、デカさはわかるか?」

 

「今まで見たことのない大きさだったぬら。」

 

「よし!なら、ようやくデカブツを倒すことができるってもんだぜ。」

 

うずめの表情に喜びが見える。うずめの言っていた通りなら、これであのでっかいのとデカガンダムも倒せるね。

するとネプギアもそれに続く。

 

「良かったですね、うずめさん。けど、いいなぁ。」

 

ん?いいって何だろう?わたしは疑問を浮かべる。それを聞いていたうずめも、それについて聞く。

 

「いいって…シェアクリスタルか?」

 

「うずめさんはシェアクリスタルがあればシェアエネルギーを補給することができますけど、私たちにはできないので…。私たちにもシェアエネルギーがあれば、もっとうずめさんの力になってあげられるはずなんですが…。」

 

なるほどねー。確かにそれはわたしも思ってた。うずめはシェアクリスタルを持っていたら、女神化できるけど、わたしたちは国民からのシェアがないと女神化出来ないもんね。主人公なのに、未だに変身出来てないってありえないよ。

それに、これはわたしの私情だけど、わたしが女神化して活躍する分を光樹が奪ってる気がする。早く女神化できるようにならないと、光樹に人気取られちゃうよー!

それだけじゃなくて、戦闘を結構うずめと光樹の二人に任せちゃってるから、申し訳ないなーって思ってたりするんだよねー。このまま任せていたら、楽だろうけど、わたしはそんなひどいことしたくないから、自分も頑張らないと、ってこと。

ネプギアの心残りの言葉に、光樹が励ましの言葉を送る。

 

「いや、ネプテューヌとネプギアも女神化していなくても頑張っていると思うぞ。」

 

「そうだぜ。気にしなくていいって。今でも十分、助けてもらってるさ。」

 

二人とも、心が広いなぁ。わたしも多分そう言うだろうけど、誰か落ち込んでいる中で、こんな人がいてくれると助かるよね。ネプギアも申し訳なさそうな表情を元に戻す。

すると、海男が先程の話題に考えを出してきた。

 

「オレ個人としては、女神化した三人が揃う姿を見てみたいけどね。」

 

「確かにな。女神化した三人が揃って戦えば、怖いものなんてなさそうだな。」

 

海男がそう言うとは意外だった。確かに女神三人っていう、いかにも勝利フラグって感じの光景が見たいっていうのは分かる。光樹の先程の発言通り、本当にそうなればかなう敵なんてなしだもん。

だけど、海男ってそんな可能性にかけるタイプだったかな?意外といーすんと一緒で、現実を見てるかなぁって思ってたんだけど…意外とうずめと同じように、地の性格は妄想しがちだったり?

………うっそだー!何か考えているような気がする。

だけど、わたしが考えている間に、話は進んでいた。

 

「おおっ!確かに、それって超かっこいいな!まるで特撮ヒーロー物みたいでいいじゃねぇか!」

 

「はしゃぎすぎじゃないか?うずめ。女神化出来ないのは分かってるから、諦めた方が…。」

 

「まだ分かんねぇよ。ねぷっち、ぎあっち。物は試しだ。俺のシェアクリスタルを使ってみるか?」

 

光樹の制止も気にせず、うずめはそう聞いてくる。いや、確かにまだそれは試したことはないけどさー、わたしの経験上、無理だと思うな。だってそんな都合よく女神化できたら苦労しないもん。

それに、これはわたしの直感から、このシェアクリスタルのシェアはたぶんわたしやネプギアには合わないと思う。なんか、わたしたちに向けられた信仰心って感じがしないんだよね。

そこで、わたしはうずめに伝える。

 

「それで女神化できたら苦労はしないよ。残念ながら、このシェアクリスタルからじゃシェアは得られないかな。」

 

そう言ってこの話は終わるはずだった。

けど、うずめの口から、とんでもない提案が出された。

 

「なら、食ってみるか?」

 

…はい!?

 

「食う!?いやいやいや、シェアクリスタルなんて硬くて食べられるわけないって!」

 

まさか、シェアクリスタルを食べるという考えが出てくるなんて…さすがのわたしもびっくり仰天だよ!

 

「なら、細かく砕いて粉末にするのはどうだ?プリンに混ぜれば、美味しく食えるんじゃないか。」

 

それにぴくっ、と反応する。確かに、粉末にしてプリンに混ぜたら食べれるかも。その意見に、ネプテューヌは賛成の意を見せる。

 

「あ、それなら美味しく食べれるかも!」

 

「反応するの、そこっ!?」

 

ネプギアがツッコむ。ネプギアはどうやらプリンに混ぜて食べるのは遠慮したいみたい。ちなみに光樹はというと、こっちに背を向けて口元に手を当ててる。たぶん、あまりのぶっ飛んだ発言に笑いが収まらないのかな?

それまでの話を聞いていた海男も…。

 

「…さすがにそれは無理があると思うぞ。」

 

と言う始末だ。

だけど、それでうずめはスイッチが入ったかのように目を輝かせて提案をする。

 

「ならさ、海男たちが頑張ってシェア出せないかな?仲間たちの力を借りて三人同時に女神化とか、アニメや特撮ヒーローみたいでカッコイイと思わない?ううん、絶対そう思うでしょ!」

 

うずめが見事に妄想状態に入った。この時のうずめってカッコイイから可愛いに変わるけど、ギャップが凄いよね。

でも、うずめがこうなると必ずそれに反応する人物がいる。

光樹だ。光樹は今のところ、この状態の時のうずめに興味持ってるからね。もしそれをブランに見られたら、絶対怒られる気がするなぁ。

そして、光樹はそれに反応した。

 

「仲間の力を借りて、三人同時に女神化…か。ロマンだな!そこで俺も変身すれば、かなりカッコよくなるな!」

 

「おおっ、光樹も分かる?」

 

「もちろんだぜ!」

 

意外と光樹も乗り気だった。光樹って特撮もの好きなのかな?

そこでわたしは光樹に聞いてみる。

 

「ねぇ、光樹。光樹も特撮ヒーローとか好きなの?」

 

「割と好きだな。仮面ライダーとか、スーパー戦隊とか。って言っても分かんないか。後で言うけど、やっぱ特撮で心に残っているのと言えば、ケータイ捜査官かな?」

 

そうなんだー、とうなずく。仮面ライダーとかよく分かんないけど、たぶん仮面をかぶったバイク乗りってことでいいのかな?それとケータイ捜査官って、あいちゃんが持ってるケータイで合ってるよね?人がケータイを使って捜査するのかな。それともケータイが変形して捜査?なんかカッコイイかも。

 

「あぁ、ねぷっちたちと一緒にかっこよく変身して戦ってみたいなぁ…。」

 

「君が望むなら、できるかもね。」

 

突然、海男が話に入ってくるのでびっくりする。

話に入ってくるだけなら問題ないんだけど、問題は発言の内容だ。うずめが望むならできるって…?

 

「へ?それってどういう…。」

 

うずめのその返答に、海男は受け流しつつ指摘する。

 

「それと、口調が戻っているよ。」

 

「…ご、ごほん。」

 

指摘されて気付いたうずめが咳ばらいをする。そして、がっかりした様子を見せつつ、話を戻す。

 

「とまぁ、無理なら無理でそれはしょうがないさ。とにかく、今はシェアクリスタルをとりに行こうぜ。」

 

そう言ったのち、私たちはまたぬらりんが向かった公園の奥に向かって歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、光樹。目、光ってない?」

 

ネプテューヌのその発言が、それに気づくきっかけとなった。

 

「え?」

 

光樹はキョトンとしてしまう。いきなりそんな事を言われれば、こうなるのも当然だ。

それに続いて、他の二人と海男がこちらの顔を見る。なんか、そんなまじまじと見られるのは、恥ずかしい。そんな興味津々に見ないでください!

見終わった面々は、同じことを言ってくる。

 

「本当ですね、確かに光ってます。」

 

「ふむ、目が光るとは興味深いな。」

 

「何だ?いったいどうして…?」

 

どうやら本当に目が光っているようだ。俺も確認するために、何か目を映すことのできる物を探す。

 

「あ、よかったらこれ使ってください。」

 

「ネプギア、ありがとう。」

 

そう言って渡されたのは、Nギアであった。確かにこれなら鏡の代わりになるだろう。すぐに画面をこちらに向ける。すると、光樹の顔が液晶に映る。

…確かに液晶には、俺の目が光って見えた。正しくは光彩が金色に近い虹色に輝いていた。

 

「確かにそうだな。でも、これって一体…?」

 

「光樹。君の世界でこれと似た現象はあるかい?」

 

海男の発言で、あることに気づく。そういえばあるではないか。このような例が、あのガンダム作品で。

光樹はすぐにそれについて述べる。

 

「もしかして…イノベイター?」

 

「イノベイター…?」

 

「何それ、なんかカッコイイけど。」

 

「簡単に言えば、人の革新だな。特殊な量子波で遠隔操作端末を操作したり、戦闘能力の向上、人との交感能力を得るんだよ。」

 

そう、機動戦士ガンダム00のイノベイターである。目が光り輝いているのなら、光樹自身が知っている範囲ではそれくらいしか思いつかなかった。

だが今になって気づいたが、何故か前よりも感覚が鋭敏になった気がする。どこら辺にモンスターが来るのか少しだが分かるようになっていた。

それだけじゃない。体に疲れが貯まっているはずなのに、戦闘を上手くこなしているように思えた。

 

(それがイノベイターの能力?それも、純粋種か?)

 

そう考える。だが本当にそうなんだろうか。そこで光樹はゼロに聞くことにした。

 

「ゼロ、これってもしかして…。」

 

すると、言い切る前に、ゼロが答える。

 

『間違いない。真のイノベイタータイプの力を取り戻した。』

 

「イノベイタータイプ?何だそれ?」

 

『簡単に言えば、我らの世界での真のイノベイターである。』

 

それを聞いて理解する。なるほど、言い方は違うが、イノベイターということか。

他の全員も、それぞれそのことについて話題に触れる。

 

「おおーっ!なんか覚醒しちゃったの!?主人公っぽい!」

 

「すごーい!光樹さらにカッコよく、強くなっちゃうんだ!うずめもその光る目ほしいなー。」

 

「これは…ますますあのデカブツたちを倒せる見込みが出来たな。」

 

ネプギア以外の全員が、それぞれ口々に言うのを見て、どう対応すればいいか困ってしまう。そんなに期待されても、まだ勝てるかどうかも分からないのに。

と、困る光樹の元にネプギアが助け舟を出す。といっても、話題を変えただけなのだが。

 

「光樹さん、特に体の方に問題は無いんですか?」

 

「あぁ、たぶん大丈夫だと思う。脳内の処理速度も上がるはずだから、もっと機体を動かせるかもな。あと、Nギアありがとな。」

 

ネプギアにNギアを返す。ネプギアに余計な心配を掛けないためにも、これから起こるであろうダークメガミとエクストリームとの戦闘でその力を見せなければ。

そう思って光樹達は公園の更に奥へと向かって行った。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
光樹君のまさかのイノベイター覚醒(正確にはイノベイタータイプ)。これが戦闘にどう影響するのか、ご覧ください!

それで、次の投稿ですが…またテストなんですよね(笑)。どうしよう…。

光樹「お前そんなに勉強してないだろ。こっち書けばいいんじゃないか?」

いや、ちゃんと勉強してますよ最近は。もうすぐ受験なんですから。

光樹「分かった。で、何時にするんだ?」

まぁ、今回は一番厄介な教科が木曜日に終わるから、木曜日でいきます。
では次回も御楽しみに!


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第32話 魔女マジェコンヌと機械生命体襲来

どうも、皆様、お元気でしょうか。藤和木弘です。
早速ですが、はっちゃけます。
はいせーの、

藤和木&光樹『超次元大戦発売とうずめお誕生日おめでとー!!』

うずめ「へ?俺の誕生日?」

そうです、先週の11月27日は、うずめのモデルとなったドリームキャストの発売日なのです!

光樹「ちなみに作者はpixivでそれ関係の見て、更に超次元大戦の予約特典のうずめのシートを見て、気づきました。」

いやーなんでうずめのグッズが予約特典で出てるのかなぁと思ってたんですが、なるほど、そういうことだったんですね、コンパイルハートさん。流石です!
さて、お祝いは楽屋裏でするとして、今回のお話はゲーム出演皆勤賞?のオバサン、マジェコンヌと、もう一人…いや、もう一体の登場です。
では、本編へどうぞ!


 

しばらく歩いていたところで、突然、スライヌの若旦那こと、ぬらりんが立ち止まる。その視線の先を見ると、色とりどりのスライヌ達がいた。ノーマルのスライヌはもちろんのこと、俺の世界でベスと呼ばれるピンクの個体、更にはメタルや見たことのない黄色のスライヌもいた。

すると、そのスライヌ達にぬらりんが聞こえるように声を出す。

 

「みんな、うずめを連れて来たぬら~。」

 

「お前たちが見つけてくれたんだってな、ありがとな。」

 

うずめも礼の言葉を述べる。それを聞いて、スライヌ達が待ちわびたように口々に言う。

 

「あ、うずめさんぬら。」

 

「うずめさんがきたぬら~。」

 

「待ってたぬら、うずめさん。」

 

「うずめさんにお礼を言われたぬら。嬉しいぬら。」

 

「凄い数だな、スライヌの量。しかも仲がよさそうにしているし。まぁ、当然ってことでいいのか。」

 

光樹もその数の多さに驚きの声を出す。普段はゲーム上で敵として出てきたスライヌなので、警戒心はある。だが、こいつらがうずめ達の作戦に必要なシェアクリスタルを見つけてくれたのなら、それはありがたいことだ。

 

「こんな光景見ちゃうと今後、スライヌと戦いづらくなっちゃいますね。」

 

「俺もゲームの経験値稼ぎでスライヌ倒せなくなるかもしれない。」

 

ネプギアのその言葉も分かる。状況が変わると、敵であったものとでさえ協力して戦わなければならないのはよくある話だ。ガンダムでもそんなことはある。

もしかしたら、出し抜いて裏切ることもある。だが目の前のスライヌ達は嘘偽りないような目で、うずめやネプテューヌ達を見ている。

 

「それで、見つけたシェアクリスタルってのはどれだ?」

 

うずめが早速シェアクリスタルがどこかを聞く。それを聞くと、すぐにスライヌ達が道をどくように群れを分ける。その先をぬらりんが行く。その後を俺達もついて行く。

その先にあったのは、大きな桜の木であった。本当に綺麗で、落ち着いていたいくらいだ。

だが、今はそんな事をしている暇はない。光樹は頭を切り替える。

 

「ここぬら。ここを見て欲しいぬら。」

 

ぬらりんが示した場所は、その桜の木の根元の空洞だった。そこをよく見る。すると、そこには確かに虹色に光る、クリスタル状の物があった。

 

「おーっ!間違いねぇ、シェアクリスタルだ!」

 

「しかも、この大きさ…。うずめ、これはいけるぞ。」

 

海男の発言通り、確かに取り出されたシェアクリスタルは今までの物よりも、かなりの大きさを誇っていた。この大きさなら、内蔵されているシェアクリスタルも多いはずだ。ということは、作戦が実行できる。どうやら希望の光が見えてきたようだ。

 

「あぁ、感じるぜ。こいつには相当な量のシェアが凝縮されてる。ありがとうな、みんな。これでやっと、あのデカブツたちを倒すことができるぜ。」

 

どうやらここでの目的は果たしたようだ。後はあのダークメガミとエクストリームガンダムと戦う際にそれを持ってシェアによるフィールドを張って倒せば…。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ならば、この場で潰させてもらおうではないか。」

 

「その希望を、絶望でな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな言葉が聞こえたかと思うと、急に大地が揺れる。

 

「!?」

 

「な、ななななななにごと!?」

 

全員が慌てて周りを見回す。普通なら、かなりの大きさの地震だと判断するだろう。

だが、先程の言葉が引っかかる。光樹はすぐにその声の聞こえた方を向こうとした。

しかし、それは出来なかった。後方から何か巨大なものが落ちたような音が二度響く。何が落ちたのかが気になり、振り返る。

するとそこには、うずめが言っていたデカブツたち…ダークメガミとエクストリームガンダムTYPE‐イクス・タキオンフェイズが出現していた。

 

『!!!!!!!』

 

『ゴゴゴゴゴゴ!!』

 

「そ、そんな!?どうしてこのタイミングで!?」

 

ネプギアが驚く。それはそうだ。なぜ対抗策のカギとなる物を手に入れた途端、いきなり近くに出てくるのか、普通は運が悪いと思うだろう。

しかし、他のみんなには聞こえなかっただろうが、光樹は先程の言葉を聞いていた。その言葉が本当に空耳などではないとすれば、これは人為的なもの…誰かが仕掛けたものだ。

仕掛けたとすれば、先程聞こえてきた声の主だろう。辺りを見回すが、そのような怪しい人物は見つからなかった。まだ隠れているのだろう。

そして、今このタイミングで襲ってきたということは、おそらくシェアクリスタルが狙い。もしかすると、うずめ諸共襲うつもりなのかもしれない。

 

「狙いは、うずめか、それともこのシェアクリスタルか。」

 

「それか、両方、か。」

 

「まさか…シェアクリスタル諸共うずめを!?」

 

光樹の発言に、海男が驚く。

しかし、驚いている暇があるなら、今はこいつを倒すことが先決だろう。うずめも同じ考えだったようで、発言する。

 

「どっちでも構わねぇよ。両方でもな。むしろこの展開、願ったりだぜ。ここでデカブツたちをぶっ倒す!ねぷっち、ぎあっち、光樹!付き合ってもらうぜ。」

 

「任せて!」

 

「はい!」

 

「了解!」

 

うずめの言葉に、三人がすばやく応答する。二人が武器を構え、光樹はシュバルトゼロを装着する。

 

「おい、デカブツども!テメェらとの因縁も今日で終わりだ!テメェらを倒す為に編み出したこの技、さっそくだが、試させてもらうぜ!」

 

うずめは手に持った大きなシェアクリスタルを見せつける。なんとか片手で持っていて、掴むのが大変そうにしながら、そう言った。

そして、その力を行使する。

 

 

 

 

「おっと、そうはいかないな。」

 

 

 

 

だが、力が発揮する前に、声が響く。

と、同時に、木の陰から、電撃のようなものが飛び、シェアクリスタルに直撃する。

 

「な…!?」

 

うずめの手に掴まれていたシェアクリスタルにヒビが入り、粉砕された。うずめも思わず驚愕する。

 

「そ、そんな…。こんなことって…。」

 

ネプギアが言葉を失う。だが、そんな過ぎたことに構っていても仕方がない。とにかく、その攻撃をしたやつを視界に捉えようとする。

先程の電撃…いや、魔法弾で敵の方向は分かっていた。その方向に存在した桜の木に向かって、背部のANヴァリアブルアームズⅡを右手に構え、ビームを放つ。木にビームが当たり、焦げ目を作る。

 

「…っ!」

 

「そこにいるのは分かってる!出て来い!シェアクリスタルを壊したやつ!」

 

うずめがショックを受けたのち、光樹の声が響く。それに釣られて、三人と一匹もその方向を向く。

すると、高笑いが響く。

 

「ハーッハッハッハッハ!いい気味だな、小娘。」

 

「誰だ、テメェ…!」

 

「そう言えば、こうして貴様と会うのは初めてか。…ならば、教えてやろう。」

 

うずめが怒りのこもった声を震わせる。すると、そいつは木の陰から出てくる。

死人のような白い肌に独特の服、魔女の要素が見受けられるとんがり帽子をかぶった姿…。

そして、そいつの顔に、光樹はすぐに気づく。

 

(こいつは…間違いない、こいつは…!)

 

この世界なら、ネプテューヌという世界なら、当然いる存在。幾度もネプテューヌ達と戦っているシリーズ恒例の敵キャラ。ほぼ皆勤賞を取っている、ネプテューヌシリーズのボスの一人。

そいつが名乗る。

 

「私の名は、マジェコンヌ。ダークメガミと共に、貴様とこの世界に終焉をもたらす者だ。」

 

『マジェコンヌ!?』

 

マジェコンヌ。やはりその名前であった。

その名前にネプテューヌ姉妹が驚く。だが、光樹も驚いていた。何故、こいつがこの世界にまでいるのだろうか。

だがそれ以上に重要なことがある。それはダークメガミがこいつと共に行動しているということだ。

それが本当なら、こいつがこの異変の元凶ともいえる。言ってはいなかったが、おそらくエクストリームもこいつが…?

しかし、ダークメガミとエクストリーム出現前に聞こえた声は、一人はマジェコンヌだろうが、もう一人、声が聞こえたような気がしたのだ。

だが、そんなことを考えている暇はない。今は目の前の敵を倒すだけだ。

 

「マジェコンヌ…お前は…。」

 

脚部に力を溜め、硬質残光を蹴りつつ、飛ぶ。

 

「俺が倒す!!」

 

危険は伴うかもしれないが、とにかく今はこいつを倒すべきだ。

だが、それ以上に、マジェコンヌ自体に私恨があった。MK-2のマジェコンヌはネプテューヌシリーズ最悪のエンディング、支配エンドに導いた。それでブランが死んだことを、光樹は許していなかった。ネプギアにもその気持ちは少しあったが、マジェコンヌには、それ以上の恨みがあった。今回は八つ当たりだが。

その突撃に、マジェコンヌも反応する。生成された魔法弾が光樹に飛んでくる。それを硬質残光で巧みに避けていく。

だが、毎回やられるボスであっても、侮れなかった。徐々にシュバルトゼロの装甲に、魔法弾がかすってくる。これがボスとしての力なのだろう。こんな序盤に居ても、毎回ボスを務めているだけはある。

 

(こうなったら…一気に距離を詰める!)

 

このまま避けていても、いつかは当たる。そう考えた光樹は、賭けに出る。硬質残光を前方に向かって飛ばす。こちらの姿が隠れるほどの量をだ。

それに対し、マジェコンヌは魔法弾を硬質残光に向かって魔法弾を飛ばす。次々と硬質残光に直撃し、消失する。そして最後の硬質残光が消え、光樹が現れる…

 

 

 

 

はずだった。

 

 

 

 

ところが、そこには光樹のシュバルトゼロガンダムの姿はなかった。

 

「何っ!?」

 

慌ててマジェコンヌは光樹の姿を探す。だが、光樹の姿は見つからない。

と、何かに気づいたように上を見上げる。

すると、そこに探していた光樹の姿があった。加えて、既にウイングスラスターからAN粒子を吹かせてマジェコンヌの方に加速している。

上手く囮に引っかかってくれたようだ。敵の不意を突くことが出来たおかげで、マジェコンヌの周りにあった魔法弾は尽きていた。

慌ててマジェコンヌは魔法弾を生成しようとする。しかし、そんな時間は無い。妨害もなく、光樹はANヴァリアブルアームズⅡ・ソードモードの距離まで詰める。

そのままANヴァリアブルアームズⅡを切り上げる。マジェコンヌの構えた杖を切断する。その間にマジェコンヌは下がろうとする。しかし、光樹も勝負どころと定めて、一気に踏み込む。そして振り下ろす。

この距離なら、確実に切れる。そう確信した。

 

 

 

 

しかし、

 

 

 

 

「やらせはせんよ。」

 

その間に割って入った存在が居た。そいつはシールドでこちらのANヴァリアブルアームズⅡを防いだ。

そして、お返しと言わんばかりに、背部の柄を引き抜く。そこから、光の剣が出現する。

 

(ビームサーベル!?)

 

危機感を覚えた光樹は、すぐに下がる。

敵のビームサーベルは空を切る。危なかった。判断が遅ければ、確実に切られていた。光樹は着地すると、そいつの姿を視認する。

だが、その姿に驚く。

 

「な…お前は…!?」

 

想像していなかった。その姿は、後方で見ていたネプテューヌ達も驚いていた。

なぜなら、その姿は…。

 

 

 

 

巨大なエクストリームガンダムとは違う、俺と同じサイズのエクストリームガンダムだったのだから。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。そろそろ巨大な敵との戦闘が近づいてきました!ただ、次の話はもう少し、戦闘はお預けとなってしまいます。自分の悪い癖が出ましたよ。すみません。

では次回の投稿は、水曜日がまた用があるので、火曜日になります。
次回も御楽しみに!



光樹「おーい、作者。準備出来たぞー。」

おうすまん。では改めて…

ネプテューヌ&ネプギア&海男&光樹&藤和木『お誕生日、おめでとう!!』

うずめ「ありがとね、みんな…!」


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第33話 絶望を覆す奇跡

どうも皆様、お元気でしょうか。
今日は災難な出来事の連続だった、藤和木弘です。はぁ、不幸d…

光樹「とある学生さんの言葉を使うなよ…。」

いや、真面目に今日は疲れたんですよ。まだ課題とかも残ってますし。

光樹「なら投稿終わったら、やれよ。」

そのつもりです。
今回はダークメガミとエクストリィムとの戦闘の一つ前のお話となっています。
では本編へどうぞ!


 

「なんでだ…なんで、エクストリームガンダムが二機も!?」

 

すると、それを聞いていた人サイズのエクストリームガンダムが発言する。

 

「エクストリームガンダム?少し違うな。私の名はエクス。絶望を見せる機動戦士だ。」

 

「エクス…イクスじゃないのか。」

 

まさか、イクスにあたる人物がいるとは。しかし、これで分かったことがある。おそらく、エクストリームガンダムTYPE-イクス・タキオンフェイズは、こいつが操っているのだ。

と、そこで、落ち着いたマジェコンヌが、こちらに聞いてくる。

 

「いきなり突っ込んでくるとは、流石黒の少年か。だが、お前とそこの小娘たちは、わたしを知っているのか。」

 

なるほど、確かにそれを聞きたがるのは当然だ。なぜ知っているのか、聞きたいはずだ。

それにうずめもネプテューヌ達に聞く。

 

「…知り合いか?」

 

「いやー、知り合いっていうか、因縁の相手にされることが多いっていうか…。」

 

「簡単に言えば、マジェコンヌはネプテューヌシリーズを代表するボスなんだよ。」

 

「けど、またマザコングかぁ。まさかとは思うけど、またラスボスや裏ボスじゃないよね?もう飽きたっていうか。」

 

ネプテューヌは面倒くさそうに語る。

そのネプテューヌの発言には納得する所がある。今までゲームの中で光樹は何度もマジェコンヌと戦っている。何回も戦っていると、飽きてくるのも当然だ。まあ、最近は登場しない時もあるから、別に気にしてはいないが。

それを聞いていたネプギアは、困ったようにして言う。

 

「お姉ちゃん、光樹さん、そんなメタで雑な解説はちょっと…。それに光樹さんは、さっき言っていた限りでは、強く恨んでいるんじゃ…?」

 

「いろいろあったのさ。まさか、この零次元にもマジェコンヌがいたなんて…。でも一番驚いたのは…エクストリームガンダムだな。」

 

「そういえば、あのマントみたいなのを付けてるガンダムにちょっと似てるね。」

 

なぜ、エクストリームガンダムが二体も、それも一体は人のサイズになっているのだろう。そして、エクスと言う名前…イクスを意識しているのだろうか。

そう考えていると、更にエクスが、訂正をする。

 

「それと、あれは正しくはエクストリィムガンダム・タキオンフェイズだ。」

 

「エクストリィム…って言いづらいな。」

 

そんなにこだわるものなのだろうか。確実にあれはエクストリームを元にしているのだろうから、普通にエクストリームガンダムでいいはずだ。

だが追及はしなかった。光樹に代わって、ネプギアが気になっていたことを言う。

 

「で、でも、私たちの世界のマジェコンヌは滅びたはずだし、もう一つの世界では、たぶん改心しているはず…。」

 

「それに、エクストリームガンダムのデータが元の世界から持ち出された描写なんかないぞ。」

 

「…となると、この人たち、私たちや光樹さんの知ってる元の人物とは違うのかも…。」

 

それで気づく。もしかすると、こいつは何らかの方法でエクストリームガンダムがこの世界に来たのではないか。その影響で、人格や名前が変わったのかもしれない。そうでもなければ、同じ外見で、名前が違うなど、ありえなかった。

そんな考えを巡らせていたが、マジェコンヌの発言により元の話に戻る。

 

「そのクリスタルで何かを企んでいたようだが、残念だったな。さぁ、ダークメガミよ、小娘共を皆殺しにしてやりな!」

 

「エクストリィムガンダム、貴様もだ、黒の少年を叩き潰せ。」

 

その言葉と同時に、ダークメガミが光弾を、エクストリィムガンダム・タキオンフェイズが腕部辺りから雷撃球をこちらに向かって飛ばす。

 

「きゃああああ!」

 

「うわああああ!」

 

「ぐうっ…!」

 

「ぬら~!?」

 

その場にいた全員が、攻撃の余波を受けて飛ばされる。ネプテューヌや光樹達は何とか受け身を取る。しかし、非戦闘員のスライヌ達は受け身が取れず、かなり遠くに飛ばされてしまっていた。

その攻撃に、ネプテューヌが怒る。

 

「ちょ、ちょっとたんま!こんなマップ兵器、ルール違反だよ!スポーツマンシップはないのー!?」

 

俺もこんな全体攻撃はごめんだった。こんなの何回も食らっていたら、戦うどころか、逃げることもできない。

だがそんな不満にマジェコンヌは当然聞き入れる気はなかった。むしろ逆に火に油を注ぐように更に高らかに笑わせることになった。

 

「ハーッハッハッハ!まだ減らず口をたたく余裕があるのか。」

 

完全に調子に乗っている。こうもいいようにされると、かなり腹が立ってくる。

しかし、そこでエクスがマジェコンヌに指示を出す。

 

「マジェコンヌ、生ぬるいぞ。本気でやらせろ。相手はこれまで邪魔してきた女神と黒の少年なのだぞ。」

 

「分かっている!ダークパープルよ、遠慮はするな。徹底的にやるのだ!」

 

マジェコンヌが言うと同時に、更にダークメガミとエクストリィムが更に激しくこちらを攻撃してくる。

 

「が、助けてー。」

 

攻撃が着弾する地点にいたぬらりんが助けを求める。しかし、そんなことには気にせず、敵の攻撃はその近くに着弾する。

 

「…くそ!」

 

うずめが悔しそうにしながら、舌打ちをする。

 

「フィールドを展開するだけの力があれば!俺にもっと力があれば、あいつを倒せるのに…ッ!」

 

うずめの言うことは事実だ。フィールドを展開さえできれば、こんなやつらも簡単にとまではいかなくても、倒せるはずなのに、倒せない。なんとも歯痒かった。

と、そこでうずめの口からある考えを耳にする。

 

「せめて、あいつに勝てなくても、ねぷっちたちだけは…!」

 

「うずめ!?何を…。」

 

光樹の制止を無視してうずめは俺を含めた三人に向けて言う。

 

「おい、ねぷっち、ぎあっち、光樹!ぬらりんたちを連れて、逃げろ!」

 

「な、何言ってるのさ、うずめ!?」

 

「あいつの狙いは俺だ。その隙に、ぬらりんたちを連れて、ここから逃げるんだ!」

 

うずめを置いて逃げるなんて出来ない。それに対し、光樹ははっきりと言う。

 

「断る!うずめを見捨てて逃げないって、前も言っただろ?」

 

「元はといえば、これは俺とアイツらの喧嘩だ!光樹たちには関係ないんだ!関係ないことに巻き込んで死なせるわけにはいかねえんだよ!」

 

「死なせたくないのは、こっちも同じだ!それに、俺だってガンダムを使っているんだ。覚悟くらいあるさ!」

 

「わたしだって同じだよ!それに、もう友達なんだから、関係なくなんかないんだから!」

 

「私もお姉ちゃんと光樹さんと同じです!まだ会って数日ですけど、友達を見捨てることなんてできません!」

 

ネプテューヌとネプギアと共に、そう宣言する。守るべき存在があるなら、それを守り切って勝利することこそが、ガンダムを使う者の義務のはずだ。これまでの戦いでも、それを貫いてきた。短く、薄っぺらいものだが、覚悟はあった。

と、それを聞いていたエクスが言葉を発する。

 

「ならば、この絶望…受け止めてみよ!」

 

その言葉と共に、エクストリィム・タキオンフェイズが背中の剣の柄を抜き、大出力ビームソードを出現させ、構える。こちらもそれに応じるように、ANヴァリアブルアームズⅡとビームサーベルやシールド、ANカタナを合体させた特能兵装・ANヴルトガを形成し、飛ぶ。

 

「無茶だ!あんな大きさの敵と切り結ぶなんて…!」

 

海男が叫ぶ。しかし、ここで引けば、確実にネプテューヌ達に被害が出る。こうなったら、奇跡に掛けるしかなかった。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

叫びながら敵へと突撃していく。敵のビームソードも振り下ろされる。それを受け止めようと、こちらもANヴルトガ・フルセイバーモードを振るう。このままでは勝てないそう悟った。だが、諦めなかった。

そして、その奇跡を信じる心が、一つの奇跡を生み出すことになる。

突如、機体全身のフレームと思われる部分から、光が発せられる。そして、その状態で敵のビームソードと切り結ぶ。

誰もが光樹が負けると思っていた。しかし、結果は意外なことになった。

しばらくの間切り結んだ後、互いに振り切って弾かれたのだ。

 

「何だと!?無傷で凌いだだと!?」

 

エクスも驚く。実際、俺も負けると思っていて、斬られるのを覚悟していたが、まさか相打ちとは。

おそらく、この機体を覆う光が原因なのだろう。一体、これは何なのだろう。そう考えていた所に、ゼロがその光について解説してくる。

 

『フルノイズドエナジーフレーム共振開始。機体剛性と出力が三割増したことにより、機体性能は一部分で敵とほぼ同等。』

 

ほぼ同等。それを聞いて顔には出さなかったが驚く。まさか本当に奇跡が起こるなんて、思わなかった。だがこれで、攻撃を凌いだ。敵も出方をうかがっているようだ。その隙にうずめ達の元に降りる。

 

「奇跡が…起こった?」

 

「これで分かっただろ?まだ終わってもいないし、始まってもいない。シェアクリスタルが壊されてやけになった顔してんじゃないぞ。」

 

「…なっ!?」

 

うずめが驚いたような顔を見せる。図星だったのだろう。それに続くようにネプテューヌも言う。

 

「そうだよ。そんな顔してるんじゃあ、なおさらおいていけないよ!」

 

「けど、もう俺たちにはこの場をひっくり返す程のシェアクリスタルがないんだぞ!作戦は失敗なんだ!」

 

うずめの言葉は確かだった。こちらには、もうあの大きさのシェアクリスタルは、ない。

だが、それでも光樹は諦めていなかった。そして、その意志と共に光を増したノイズドエナジーフレームの輝きが、更なる奇跡を起こしていた。

ネプテューヌが自信を持って言う。

 

「大丈夫!三人とも、まだ作戦は終わってないよ。シェアクリスタルなんてなくても、大丈夫!」

 

 

 

 

 

 

 

 

お姉ちゃんの発言が、一体どこから来た自信を持っての事なのか、分からなかった。大抵、こう自慢げにしているときは、何か確証があって言うけど、こんな状況で、どこから…。

 

「お姉ちゃん、それってどういう…」

 

こと?といいかけた所で、何かの感覚をつかむ。まるで、体に暖かな力が流れ込むような感じ…これって、まさか…?

 

「…嘘。これ、シェアエネルギー?なんだか、力が溢れる…!」

 

そう、それは、シェアエネルギーでした。体に力が満ちていくように、エネルギーが自身の中に流れ込んでくるのを感じていた。

同じく、シェアエネルギーを感じていたうずめさんは困惑の表情を見せる。

 

「ど、どういうことだ…。」

 

私にも、それは分からなかった。なぜ今こうしてシェアエネルギーが注ぎ込まれているのか。

と、そこでうずめさんが気づいたように顔を上げる。

 

「…!まさか…!?」

 

うずめさんの視線の先には、まだ残っていたスライヌたちがいました。

 

「…もうダメぬら。おしまいぬら。」

 

一匹のスライヌが弱音を吐く。そこにぬらりんさんが励ましの言葉をかける。

 

「あきらめちゃダメぬら。うずめなら、うずめならきっと何とかしてくれるぬら…。」

 

「そうさ。これまでだってなんとかしてくれたじゃない。それに、今日は仲間だって三人いるぬら~。」

 

別のスライヌもそれに続く。

その様子を見て、うずめさんは問うように言う。

 

「お前ら、なのか…。」

 

そう、このシェアエネルギーは、スライヌたちが出しているんだ。人がいないのに、シェアエネルギーは出来ない。だけど、モンスターたちはいる。善意を持ったモンスターたちが私たちに力を与えてくれていた。

 

「…そうか。スライヌ達のうずめに対する思いが…シェアエネルギーになって流れ込んできているのか。ダブルゼータみたいだな。」

 

光樹さんがそう呟く。ダブルゼータが何なのかは知らなかったけど、たぶんガンダムなのかな。今はそういうことにしておく。

 

「たぶん、そーゆーこと!」

 

お姉ちゃんも笑みを浮かべる。

そんな事を言っていたから、気づかなかったけど、マジェコンヌとエクスはその様子に驚いていました。

 

「な、なんだと!?」

 

「黒の少年の「心の光」が…奇跡を起こしたとでもいうのか!?」

 

予想外だってことが見るだけで分かる。私やうずめさんも戸惑っていた。

 

「けど、スライヌたちはモンスターだぞ!?そんなこと今まで…。」

 

「そんなことは今はどうだっていい、重要なことじゃない。まだみんなも戦える…!早く女神化を!」

 

うずめさんの疑問を、光樹さんが切り捨てる。そうだ、今は早く女神化を!お姉ちゃんがこっちに向かって言う。

 

「行くよ、ネプギア!」

 

「うん!」

 

そして、叫ぶ。

 

「括目せよ!」

 

「括目してください!」

 

その言葉と同時に、オリジナルシェアクリスタルを出現させ、光に包まれる。次々とプロセッサユニットを装着していく。装着し終わると、それぞれの武器を出現させ、光を払って相手に向かって言う。

 

「女神の力、見せてあげるわ。」

 

「女神の力、見せてあげます。」

 

 

 

 

遂に女神化出来ました!なんだかすごく久しぶりの女神化のような気がする。その様子を見ていたマジェコンヌもこれは予想外だったようで…。

 

「な、なんだ、貴様達のその姿は!?」

 

と驚愕していました。

そこで、お姉ちゃんと私は名乗る。

 

「女神、パープルハート!ここに見参!」

 

「同じく、パープルシスター、ネプギア!女神候補生だからって、甘く見ないで下さい!」

 

「貴様ら、女神だったのか!?」

 

マジェコンヌが驚く。女神であることに気づいたみたいだった。更にエクスの方も、表情は分からないけど、考え込んでいるみたいだった。

フィールドを作るなら、今しかなかった。うずめさんにそれを伝えようとした。けれど、うずめさんは何かに驚いたように困惑していた。

 

「うずめさん!」

 

「あ、あぁ。シェアがあるなら、やることは一つだ。ぬらりん!お前らの想い、使わせてもらうぜ!!変身ッ!」

 

すぐにうずめさんも光に包まれ、女神化する。

そして、ついに秘策が解き放たれる。

 

「からの…!シェアリングフィールド展開ッ!」

 

腕の盾のパーツが展開される。一回り大きくなったそのパーツからシェアの波動が発生される。その波動の光が、私たちとダークメガミ、それにエクストリィムを飲み込む。

だけど、そうはさせまいと、エクストリィムが攻撃を仕掛けてくる。巨大なビームの剣が、振り下ろされる。

 

「邪魔はさせねえ!」

 

それを邪魔するために、光樹さんがその剣を大型の可変万能型武器で受け止める。

その間に、フィールドは展開されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは、いくつもの破片が島となって浮かぶ場所でした。それらは、ダークメガミを中心として、移動できるように見えます。

 

「な、なんだ!?いったい、何が起きたんだ!?」

 

マジェコンヌが驚く。いきなりの事だから、当たり前だ。

その反応とは逆に、私は異様に落ち着いています。なぜか、ここにいると、すごく落ち着くんです。

 

「この空間…すごい。力が次々と溢れてくる。」

 

そう、今私の中にシェアの力が入ってきているのが分かる。

と、うずめさんが笑顔で歓喜する。

 

「作戦、大成功!空間に取り込めたよ!」

 

「包み込むって聞いてたけど、まさか空間を丸々一つ作り出すなんて…。これがシェアエネルギーの力だっていうの。」

 

でもやっぱり私も驚いていた。こんなに大きなシェアエネルギーで生成した空間が出来るなんて…。変身したお姉ちゃんも驚いてる。これにはお姉ちゃんも予想してなかったみたい。

 

「シェアエネルギーを媒体にうずめの能力に形成した亜空間さ。」

 

海男さんがそう語る。

なるほど、シェアエネルギーを元にうずめさんの能力で…って、え?うずめさんの能力?確かに海男さんはそう言ったと思う。うずめさんの能力って一体…?

 

「うずめの能力…?」

 

私が考えていたことを、お姉ちゃんも復唱する。

だけど、それは今考えるべきことじゃない。今はあの巨大な敵、ダークメガミを倒さないと…!

ところが、それを操るマジェコンヌは動きが鈍っていた。

 

「しかし、なんだ、この空間は…。何故だ、何故力が入らんのだ…。」

 

その様子はまるでシェアエネルギーに当てられて弱っているようだった。やはりマジェコンヌはシェアの力に弱いみたいでした。

 

「おばちゃんはおとなしくそこで見学しててよねー。これから、うずめたちが、あんたご自慢のデカブツたちをやっつけちゃうんだから!」

 

うずめさんがそう語る。その通りです。この状況なら、大きな敵二体でも楽勝…。

でも、そこで私はそこで重要なことに気づく。

 

(光樹さんは?それに、あの巨大なガンダムとそれを操っている敵は?)

 

そう、光樹さんともう一体の大きなガンダム、それにエクスという機械生命体が居ませんでした。

それに気づいている様子もなく、うずめさんは話を続けた。

 

「さぁ、はじめるよ。最初で最後の、本気の喧嘩を…」

 

「ま、待ってください!うずめさん!」

 

私はそれを遮るように声を出す。いきなり遮られたのでうずめさんも驚いている。

 

「どうしたの、ぎあっち?」

 

戦闘に入る直前で申し訳ないと思ってた。けど、言わないといけないことだった。

そして、私は言う。

 

「光樹さんが…どこにもいないんです!」

 

「え…光樹が?」

 

それを聞いたうずめさんがすぐに辺りを見渡す。お姉ちゃんも同じように視野を広くするように首を振る。

だけど、当然ながら、光樹さんはいない。状況を知ったうずめさんが困惑する。

 

「どうして!?なんで光樹がいないの?」

 

「まさか…あの時に突っ込んでいたから、この空間に入り込めなかったんじゃ…?」

 

お姉ちゃんの言う通りだと思う。光樹さんはフィールドが展開する直前に攻撃してきたエクストリィムの攻撃を防ぐために鍔迫り合いに行ったから、たぶんそのままの状態に違いない。

全体的な考えで言ったら、敵を分断することはいいことだと思う。だけど、光樹さんはここまでの戦いでかなり消耗している。それなのに、一対一だなんて…大きさの問題で無茶すぎる。

 

「そんな…すぐに光樹さんを助けに…」

 

「待ちなさい、ネプギア。今は目の前の敵に集中よ。」

 

私の考えを、お姉ちゃんが制止する。すぐに光樹さんを助けたかった。でも、お姉ちゃんの言う通りだ。今は目の前の敵を倒さなければならない。

 

「そうだよね…。だったら、すぐにこの敵を倒しましょう!」

 

「えぇ、そうね。」

 

「早く倒して、光樹を助けに行かないとね!」

 

お姉ちゃんたちがそう返す。

そして、敵、ダークメガミが吠える。

 

『!!!!!!!!』

 

そうして、私たちのダークメガミとの戦闘が始まりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っつ…!光が晴れたか…。」

 

光樹はそう呟く。いきなり光が自分の後ろの方から発生し、その光がエクストリィムの装甲で反射したため、思わず目を閉じてしまっていた。その状態で鍔迫り合いを中断し、離れる。

驚きはしたものの、ある程度はその光の原因は予測していた。あの光は間違いなく、うずめが直前に叫んでいた「シェアリングフィールド」によるものだろう。おそらく、今はその空間の中だ。これで敵の攻撃が周りに及ぶ心配はなくなった。これで存分に戦える。そう思って、目を開ける。

だが、そこに映った景色は、予想を裏切ったものだった。

 

「景色が…変わってない?」

 

そう、そこは、先程まで見ていた、ジングウサクラ公園であった。最初は透明な空間だから、景色が変わらないのかと思った。

しかし、後方にいたはずのネプテューヌ達とダークメガミがいないこと、そして、ぬらりんたちスライヌ軍団が残っていたことから、その考えは違っていた。それらが示すことはただ一つ…。

 

 

 

 

光樹は、シェアリングフィールドに入れなかったのだ。

 

 

 

 

これからどうするか、そう考えている所に、エクスの声が響く。

 

「どうやら、シェアリングフィールドに入らなかったようだな。それも、お前がこちらの攻撃を受け止めてくれたおかげ…感謝せざるを得ないな。」

 

「エクス…!」

 

光樹は歯痒そうに声を出す。ここでネプテューヌ達と共に戦えないのは痛い。まだ戦えはするが、それでも勝てるかどうかと言われれば、正直言って一人で勝てるような相手ではないことは分かる。

だが、ここで諦めるわけにはいかない。うずめはこいつに加えて、ダークメガミまで相手にして生き残ったのだ。それを思えば、これくらいはやってのけなければならない。せめてネプテューヌ達があっちを倒すまで、持ちこたえたい。

そう思ったところで、エクスが自慢げに言う。

 

「さぁ、始めよう。絶望の宴を。」

 

その声と共にエクストリィムが機動を開始する。俺も、ANヴルトガを構えて、戦闘態勢に入った。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
次回いよいよ女神たちがダークメガミとの戦闘に突入します。そしてさらっとシェアリングフィールドに入らなかった(入れなかった)光樹君はどうなるのか?

次回は月曜日に投稿したいと思います。次回も御楽しみに!


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第34話 対決!女神三人対ダークメガミ!

皆様、お元気でしょうか。
風邪をひいてダウン中の、藤和木弘です。皆様も風邪には注意してください。

第34話、投稿です。今回の話では、ネプテューヌ達原作キャラクターに、この小説内でのオリジナル技を登場させます。

光樹「いや、なんで登場させたんだ?基本原作沿いだろ、この小説。」

まぁ、そうなんだけど、光樹君もたまにあるだろ?同じ技ばかりだと飽きることって。

光樹「飽き防止ということか。ならいいんじゃないか?」

なるべくキャラにあった技にしてあると思います。
では、本編どうぞ!


 

 

「二人共、行くわよ!」

 

「うん!」

 

「いっくよー!」

 

二人が応答すると、私もすぐに敵に切り込んでいく。この空間はちゃんとした地面はないものの、足場なら空中に浮かんでいるため、それを次々に渡っていく。そして、敵に切り込む。

だけど、攻撃が当たった手ごたえはあるものの、全くダメージが入っていないように見えた。

 

(やっぱり、大きいから普通の攻撃じゃダメージが通りずらいみたいね…。なら…!)

 

そう考えた私は、攻撃の方法を切り替える。

 

「クロスコンビネーション!」

 

今までもたくさんのモンスターを倒してきたスキル技を目の前の敵に向けて放つ。何度も切りつけた後、本来なら打ち上げるのだが、流石にこんなに大きなのを打ち上げる自信はない。切り上げに変更して最後の一撃を振り下ろす。

流石に倒すまでには至らない。これほどの敵だから、当然ではあった。それでも、先程の攻撃よりも効いているように見えた。

 

「あ、そうだ。こいつは普通の攻撃じゃ全然ダメージ与えられないよ。シェアエネルギーのたくさんこもった必殺技をメインにして戦ってね!」

 

うずめもそう語りつつ、必殺技のスキル攻撃を放つ。やっぱり、そのようね。

それを聞いてネプギアもM.P.B.Lから高出力ビームを放つ。与えているダメージは小さいみたいだけれど、やっぱりダメージは効いているようだった。敵が仰け反っている

ネプテューヌも相手が仰け反っている内に、更にスキル技の連撃を放っていく。更にダメージを蓄積していく。

だけれども、敵も黙っていなかった。腕を振って攻撃を払うと、こちらに狙いを定めてその巨大な腕を振り下してきた。

 

「終焉ヲ受ケ入レロ!!」

 

そのような言葉を吐き捨てながら、足場にぶつけられた腕を横薙ぎに払う。私と、私と同じ足場にいたネプギアは咄嗟に防御態勢を取って避けたが、こちらに向かって払われた腕に思い切り当たる。

 

「くぅぅ!!」

 

凄まじい勢いだった。何とか直撃を防ぎ、足場に足を着けて減速する。目立つダメージはなかったが、少しよろけてしまう。

なんとかそれを耐えきる。どうやら、ボスの立場は伊達ではないようね。攻撃を防いでもダメージが来るなんて。

私が少し離脱した隙を補うように、ネプギアとうずめが攻撃を続けているのが見えた。かなり激しく攻撃を行っている。普段ならあれだけの攻撃を繰り返していたら、かなり体力を消耗しているはずだ。だけどそれでもあのでっかいのは疲れた様子も見せていない。

このままでは、いずれこっちが持たない。そう思っていた。けれど、今戦っている二人は、全くと言ってもいいほど、根を上げていなかった。普通ここまでシェアエネルギーのこもったスキル技を使えば、精神力が持たない。なのに、二人は未だに戦闘を続けていた。

その理由は、私も直感的にだけど分かった。おそらく、この空間がその理由なのだろう。私も攻撃を食らう直前に必殺技のスキルであるクロスコンビネーションを何発も使っていたけれど、精神力が足りないどころか、むしろ溢れてくるように感じる。この空間に入った直後にも、この感覚を感じていたけど、シェアをかなり使った後でこんな状態になるなんて…この空間はかなりすごい。

いくらシェアエネルギーを使っても補充されるのなら、休んでいる暇はない。私はすぐに足場を渡っていって戦闘に戻り、攻撃を放っていく。

 

「せいっ!はぁっ!」

 

シェアエネルギーの込められた刃を何度も敵のあらゆる個所に当てていく。腕に肩、腹部に斬撃を食らわせていく。

敵の攻撃もこちらに向かって飛んでくる。一旦空中に飛び上がると、急降下してくる。空間の端に着地したことで、衝撃波が襲う。

なんとか耐える。でも、それを好機と見たでっかいのはすぐにネプギアに向け、両手を振るってくる。

攻撃をもろに受けたネプギアは、足場から吹っ飛ばされる。

 

「きゃぁぁぁ!!」

 

「ネプギア!」

 

ネプテューヌは悲鳴にも似た声をあげる。すぐに足場を次々と蹴っていく。そして空中に放り出されたネプギアをキャッチする。そしてその勢いのまま、別の足場に着地する。

着地すると、ネプギアに様子を聞く。

 

「大丈夫?ネプギア。」

 

「ご、ごめんなさい。お姉ちゃん。」

 

「心配いらないわ、ネプギア。すぐに戦闘に戻りましょう。」

 

「そうだね。うずめさんに迷惑をかけるわけにはいかないよね。」

 

そう言葉を交わすと、また戦線に戻る。

見るとうずめが注意を自分の方に向けていた。どうやら、囮をやっていてくれたようだ。おかげで敵の背中がこちらに向けられている。

 

「背中が丸見えよ!」

 

そう叫ぶと、一気に距離を詰め、剣を振り下ろす。うずめに夢中だったでっかいのは、その攻撃に対応できず、大きく前のめりになる。

 

「ナイス!ねぷっち!えーい!!」

 

うずめがその隙に顔面部に向かってドロップキックを放つ。そしてそのまま空中に飛び、メガホンを構え、叫ぶ。

 

「いっけぇー!咆哮夢叫!!」

 

メガホンから放たれた音波が、敵を押しつぶす。その攻撃により、敵は態勢を崩しかける。こけそうになるのを、なんとか耐えていた。そこにネプギアが高出力ビームを撃つ。その後を、私が続いて急接近する。攻撃を受けて怯んだ所に、更なる一撃を浴びせる。

 

「クリティカルエッジ!!」

 

クロスコンビネーションよりも一撃の強さを重視した技が敵の頭部を直撃する。

これだけの攻撃を受けていても、まだ敵は立っていた。だけど、その様子には明らかに疲れが見て取れた。あれだけ攻撃を食らっていたのに、まだ疲れを見せた程度ならとんでもないが、それでも勝機は見えた。

決めるなら今しかない。そう全員が思ったのか、ネプテューヌ自身を含めた三人は一つの足場に集まる。

 

「ねぷっち、ぎあっち。決めるなら今だよ!」

 

「やっぱりそうよね。ネプギア、合図で一気に分かれて、全力で攻撃、いいわね。」

 

「うん!M.P.B.L、リミッター解除!」

 

三人が一斉に飛ぼうとした、その時。

でっかいの…ダークメガミが動いた。

 

『!!!!!!!!』

 

咆哮が響くと同時に、ダークメガミが突然、飛翔する。空間の一番上に陣取ると、ダークメガミはエネルギーを溜めるような仕草を見せた。

すると、すぐにその両手の間にダークメガミと大きさの変わらない光球が出現する。それをダークメガミは掲げるようにした後、こちらに向かって投げつけてきた。

凄まじいスピードで、投げつけられたエネルギーの塊が、先程までダークメガミがいた場所に到達すると同時に、大爆発を起こす。

 

『きゃぁぁぁぁぁ!!?』

 

私たち三人は、もろに攻撃を受けて、地面に叩き付けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ううっ…。」

 

うずめは何とか立ち上がろうとする。だけど、思うように足が動かない。さっきの攻撃でダメージを受け過ぎたんだろう。

それはねぷっちたちも同じだった。二人とも、自分の武器を地面に刺して、なんとか立っている状態だった。

 

「うずめ…大丈夫?」

 

「う、うん。なんとか…ねぷっちとぎあっちは?」

 

その問いにねぷっちたちは苦しそうにしながらも答える。

 

「大丈夫。まだ…いけるわ。」

 

「私もやれます…!」

 

二人もまだ戦えるなら、うずめも戦わなければならない。そう自分に自己暗示をかける。

だけど、そこにダークメガミの追撃が飛んでくる。

 

『マダ抗ウカ!』

 

その叫びと共に、デカブツは急降下してくる。そして着地するように止まると、一気にその腕を振ってくる。

それにうずめたちは動こうとした。けど、動きが鈍り、攻撃が直撃する。

 

「ひゃう!」

 

「ぐううっ!」

 

「痛っ…!」

 

また地面に伏せるように吹っ飛ばされる。

すぐに立ち上がろうとした。けれど、痛みのせいで態勢を崩す。

 

「ううっ!!」

 

「うずめ!…っつ!」

 

「う…動けま……せん。」

 

全員、ダメージを受け過ぎていた。誰も立ち上がれなかった。

そうしている内にも、ダークメガミが、ゆっくりと、攻撃しようとしていた。

 

(勝てないの…?これでも……シェアリングフィールドを使っても?)

 

そんな弱音めいた事を考える。海男と考えた作戦が成功したのに、このままやられたら、この空間も消える。そうなってしまえば、外にいるぬらりんたちも、危ない。

そして、それ以上に、今外でぬらりんたちを守りながら戦っているかもしれない光樹を、すぐに助けに行きたい。

それが引き金になったのか、どうかは分からなかった。突然、体の中にエネルギーが流れ込むような感覚が強くなる。シェアエネルギーが流れ込んできたんだ。

 

「まだ…終われないよ。」

 

うずめはそう呟く。そして、立ち上がる。

 

「夢をかなえるためなら、何度だって立ち上がるんだから!」

 

「そうね…私も、まだ戦えるわ!」

 

「シェアエネルギーが…誰かの想いの力が、私たちの力です!」

 

ねぷっちたちも同じく立ち上がってくる。二人も、強く流れ込んできたシェアエネルギーを感じたみたいだ。

となれば、やる事はただ一つ。デカブツを倒すだけ!

 

「ねぷっち、ぎあっち!」

 

「えぇ、うずめ。」

 

「はい!」

 

 

 

 

「逆転勝利の開始だよ!」

 

 

 

 

三人は一斉に飛翔する。デカブツはそれを目で追う。狙いをうずめに絞ったようで、こちらに向かってその剛腕を振ってくる。

だけど、それを見て何もしないうずめじゃない。一旦足場に着地すると、ギリギリまでその腕を引き付ける。そして、最大まで引き付けたのち、頭上に向かって飛ぶ。敵の攻撃は足場を擦りながら、空ぶった。

すぐにデカブツはこちらに再び攻撃を仕掛けようとする。でも、そこに後ろに回ったねぷっちが邪魔をする。

 

「クロスコンビネーション!」

 

連続して繰り出された攻撃が、デカブツの体に刻み込まれていく。連続攻撃が終わると、デカブツは大きく前のめりになった。今までの攻撃が通じてきている証拠だ。

だからこそ、敵も必死になって攻撃を放ってこようとする。しかし、そこにぎあっちの攻撃が入る。

 

「マテリアルボンバー、シュート!」

 

ぎあっちほどの大きさのある光の弾が、デカブツに向かって飛ぶ。光の弾はデカブツに直撃する。と、同時に大きな、光の弾と同じ色の爆発が起こる。

デカブツは攻撃を喰らって、態勢を崩す。何とか空中の浮島に手を付けて踏みとどまる。そしてまた攻撃してくる。拳のストレートが飛んでくる。

 

『刹那ニ散レ!』

 

だけど、うずめたちはそれを避ける。そして、その隙に急接近する。

懐に飛び込んだねぷっちが、先に攻撃を仕掛ける。

 

「行くわよ!桜花一閃!!」

 

ねぷっちがデカブツを一閃する。切り裂いた後から、火花が花のように散る。

デカブツが膝をつく。遂にあのデカブツが片膝をついた。決めるなら今だ。うずめは、最大の一撃をデカブツに放つ。

 

「いっけー!夢創衝破拳!!」

 

両拳を同時にデカブツにぶつける。すると、衝撃波で一気に押し倒す。デカブツが大きな隙を見せる。

それを見て、三人は互いに頷き合うと、デカブツを囲むように分かれる。そして、全員が手をデカブツに対してかざす。最大級の攻撃を放つのだ。

そして、その技の名を声高々に張り上げる。

 

 

 

 

『トライバースト!!』

 

 

 

 

放たれた魔力の雷撃がデカブツを貫く。

 

『!!!!!!!!』

 

デカブツは断末魔のような声をあげる。そして、天に手を伸ばすようにしながら、地に伏せる。だが、その最後の抵抗も虚しく、消滅していった。

遂に、勝った。勝ったんだ!

 

「やったー!!勝った、勝ったんだよ、ねぷっち、ぎあっち!」

 

うずめは思わずそう叫び、二人に抱きつく。

 

「そうね、本当に勝てるだなんて…。」

 

「う、うずめさん…。喜ぶのは早いですよ、まだ光樹さんだって戦って…。」

 

「そうだった!早く光樹を助けに行かないと!」

 

遂に敵の一体を倒したから、気が抜けていた。まだ光樹が外で戦っているんだ。

幸い、あのおばちゃんはまだ力が抜けているみたいだ。この空間を解除しても、邪魔はされないはずだ。

そこに、海男が出てくる。無事だったみたいだ。

 

「うずめ。早くシェアリングフィールドの解除を。」

 

「うん!…シェアリングフィールド、解除!」

 

その声と共に、シェアリングフィールドは解除される。辺りがシェアリングフィールドに入る前の所にゆっくりと着地した。だけど、ちょっと地形が変わっている気がする。

 

「光樹は一体どこに?」

 

ねぷっちが光樹の居場所について呟く。すぐにうずめも、光樹を探す。と、すぐに光樹を見つけた。

けど、その様子を見て、唖然とする。

 

 

 

 

「………え?」

 

 

 

 

うずめの目に映ったのは、左腕を失い、いたる所に傷が出来て、地面に倒れた光樹のガンダムの姿だった。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
ネプテューヌのオリジナル技は、自分的に、ネプテューヌのネクストフォーム専用の技とある程度リンクするようなものにしたいと思い、こうなりました。自分的にネクストフォームのあの技に繋がるようにしたかったんですよね。あとは冒頭にも話していた通り、飽き防止の新技ということです。

そして、最後の光樹君のまさかの敗北。こうなった過程は次回のお話で明らかになります。

では、次回もお楽しみに!



あー、頭が痛いよー。

光樹「風邪をネットで介して読者にうつすなよ。」

何その感染力。


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第35話 敗北、シュバルトゼロ対エクストリィム

皆様、お元気でしょうか。前回の投稿時の次回の更新日程を完全に書くのを忘れて、今日まで気づかなかった、藤和木弘です。真面目にごめんなさい。

気を取り直して、第35話、投稿です。
今回は敗北、と入っていますが、前回の話を見ている方は分かっていますよね?

では本編へどうぞ!


 

「悪いが、先に攻撃を仕掛けさせてもらう!」

 

光樹はANヴルトガをフルセイバーモードに切り替え、近接戦を開始する。敵の装甲に一撃を打ち込む。

だが、エクストリィムの装甲は接触面から火花が散っただけで、傷を付けることは無かった。

 

(敵の装甲は硬いな。だったら…!)

 

光樹は攻撃の狙いを変えることにする。装甲は硬くとも関節部なら、可動する分、多少攻撃は通りやすいだろう。その考えから、そうなった。

一旦エクストリィムから離れると、すぐに左腕部の方に向かう。敵は巨大な大出力ビームソードを持っていたため、何も持っていない左腕の方に行ったのだ。エクストリィムはこちらを振り払おうと腕を振るってくる。

その攻撃を躱すと、一気に関節部近くまで飛び込む。切れる範囲まで踏み込むと、すぐにANヴルトガを振る。

攻撃は直撃した。しかし、それでも少し火花が大きくなっただけで、切断するなどは出来そうになかった。当然、切断できるなんて思ってはいなかった。関節が可動不可能になりさえすればいい方だと思っていた。しかし、敵の防御力は圧倒的であった。これは、ノイズフォースビックバンか、メガミブレイカーでもなければ、破壊するのは難しいだろう。

と、そこでエクストリィムが動く。右手の大出力ビームソードを薙ぐ。その一閃が、空を切る。光樹はギリギリの所まで引き付けて、回避する。横をすり抜けただけで凄まじいエネルギーの感じる。あれに直撃してしまえば、消し飛ぶのは明らかだろう。あれは確実に回避しなければならない。

だが、決定的な一撃を与えるためには、近接戦で関節部を破壊する必要がある。そうして動けなくなった所で、あの武器、メガミブレイカーをぶち込むという流れを考えていた。

ところが、光樹は一旦下がる。この時光樹は、一旦様子を見るためにその行動をしたのだ。それが裏目に出る。エクストリィムはそのビームソードをこちらに向かって振る。すると、剣の軌跡を模した三日月型のビーム刃が飛んでくる。

その攻撃を避ける。と、同時に、危機感を感じる。

 

(この感じ…もう一撃、来る!)

 

すぐに光樹はもう一度下方向に向かって回避行動を取る。すると、先程避けた物と同じビーム刃がその後に続いて飛んできていた。危ない所であった。イノベイターの能力がなかったら、間違いなく攻撃を受けていた。この危機察知能力が、イノベイターの力ということか。思わず納得する。

すぐに頭を切り替え、再び接近しようと試みる。だがしかし、エクストリィムも近づけさせまいとあのビーム刃を次々と飛ばしてくる。光樹はそれに対し、硬質残光を用いつつ、回避運動を行う。ビーム刃が届くころにはすでにそこにはシュバルトゼロの姿は無く、硬質残光に当たり、消失する。それの繰り返しで光樹はあのビームソードと切り結べる距離まで接近していた。

だが、それが意味するのは、シュバルトゼロも確実にやられる距離まで接近しているということだった。この時点で二回ほど機体にビームソードがかすっている。そう考えている間にも。またビームソードが振り下ろされる。

 

「ちぃ!」

 

その攻撃を、ANヴルトガで受け止める。凄まじい熱量が、こちらの武器を溶かしていく。数秒もたたない内に、ANヴルトガを形成していた武器の一つ、攻撃を直接受け止めていたANカタナが真ん中から溶断される。すぐに使えなくなったANカタナの刃を排除し、柄の穴から代わりにビームカタナを形成する。このANカタナを両断するなんて、やはり出力が違い過ぎる。なるべく長期戦はしたくないところだ。

だからこそ、今しかない。接近するなら。

今、相手のビームソードは振り下ろした反動で地面にめり込んでいる。ビームのため、すぐに持ち上がるだろうが、それでも大きな隙だ。

光樹はシュバルトゼロの出力を上げ、攻撃の準備に入る。その接近を阻もうと、エクストリィムはすぐに迎撃しようとする。だがその前にこちらが接近しきる。そして、今度は右腕の関節を狙ってANヴルトガを突き立てる。ビームの刃が、関節部を抉る。

それに痛みを感じたようだ。エクストリィムから悲鳴のような金属音が響く。

 

『グガガガガッ!』

 

かなり効いているように思える。やはり、関節部は誰でも痛いものなのだ。機械も。

それをやばいと感じたのか、敵はこちらを振り払う。それによって、距離が空く。

本当なら、ここで一気に右腕くらいは使えなくしたかったが、それでも敵の右腕からはスパークが散っていた。あと何回かあそこを攻撃すれば、使えなくなるはずだ。

と、エクストリィムが攻撃を仕掛けてくる。背部のマントのようなウイングパーツから推進剤を吹かせて急接近をしてきた。

エクストリィムは腰に構えた剣をすれ違いざまに振ってくる。こちらはANヴルトガで受け流す。それでも敵は後ろから再び切り抜け攻撃を仕掛けてくる。またこちらもANヴルトガを盾にして受け流そうとする。

しかし、敵の太刀筋が若干上向きだったからか、大きく弾かれる。その反動でANヴルトガを落としてしまう。

そこに更に敵の追撃が来る。上を取ったエクストリィムが大剣を思い切り振り下ろしてくる。

 

「もう一撃来る!?切り抜けからの振り下ろし攻撃…あの攻撃か!」

 

原作のゲームでも放ってきた攻撃だった。切り抜け二回からの頭上からの振り下ろし攻撃、全く同じ流れだった。

すぐに光樹は腕部のANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニットからビームシールドを形成し、受け止める。

だが、受け止めたはいいものの、敵はその重みを生かして、こちらをそのまま押していく。狙いは一つ、こちらを押しつぶす気なのだ。

そうなってしまえば逆転することなど不可能だ。光樹はすぐにビームソードをビームシールドの表面で受け流してその拘束から逃れる。敵はそのまま地面に剣をめり込ませて着地する。

それをまたチャンスと見た光樹はすぐに接近しようとした。しかし、そこに思いもよらない声が響く。

 

「ひぃぃぃ!!」

 

「みんなー、離れるぬら~!」

 

それは、スライヌ達の声だった。まだ逃げきれていなかったのだ。

このまま戦闘を続けていたら、スライヌ達に被害が出るのは間違いない。回避するのにも注意を払わなければ…。

それが隙になった。アラートが鳴る。すぐにアラートの示した方を向くと、エクストリィムが手に持った光剣を突き出していた。

 

「しまった!」

 

すぐに回避をする。しかし、右側のANVドラグーンⅡの内、右上の五基が剣に溶かされ、爆発する。

なんとか防御態勢を取って爆発から身を守る。そしてそのまま着地する。

このままでは埒があかない。本当はネプテューヌ達があっちの敵を倒すまで時間を稼ぐつもりだったのだが、スライヌ達がそこまで持つわけがない。自分一人で決めるしかない。

そのためには、メガミブレイカーを使う必要がある。スライヌ達に被害が出るかもしれないが、今は倒す方を優先する。

そこで、光樹はメガミブレイカーを装備する準備にかかる。まずは、ゼロのシステムにアクセスして、追加武装転送システムを呼び出す。すぐに転送の準備を開始する。

当然、操作の間は動けない。そこにエクストリィムが切りかかろうと巨大な足で歩み寄ってくる。こちらも、時間を稼ぐために残りのANVドラグーンⅡを射出し、攻撃を開始する。その攻撃は以前よりも鋭く敵に攻撃を仕掛けていた。

実は、イノベイタータイプの力が戻ったと知った後、ゼロからの申し出で、現在遠隔操作兵装の操作をコンピューターからマニュアルに…つまり、自分自身で操作する方法に変えていたのだ。機械制御でなくなったため、操作は難しくなったが、その分細かい調整が効きやすくなり、動きも滑らかになったように感じる。

だが、初めての操作であるからか、まだ上手くコントロールできていなかった。ゼロが命中率について知らせてくる。

 

『現在ドラグーンの命中率61%…また外れ。』

 

「逐一状況を伝えてくれているのは嬉しいけど、もう少し励ましの言葉とかくれよ…。」

 

『以前のあなたなら、このくらい簡単に当てられている。だから元の戦闘力に戻るように厳しく言っている。』

 

「あ、うん。分かった…。」

 

光樹の懇願も、ゼロに簡単に突っぱねられる。あー、あいつだったら、もう少し優しく…。

そこで、はっ、と考え込む。

 

(「あいつ」…って、誰だっけ?)

 

なぜ、自分はそんなことを考えたのだろうか。今確かに、何かを思い出しかけていた気がする。だが、それが誰だったのか、思い出せない。とても大切な奴だった気がするのに。

 

『光樹、攻撃が来る。』

 

そこで光樹は我に返る。すぐにその場から飛び退く。すると、その場所にエクストリィムの剣が突き立てられた。

危ない。あそこまで接近されていたなんて、思ってなかった。だが、その攻撃によって、ドラグーンがまた破壊される。

今考えるのはまずい。そのことを頭の隅に追いやると、すぐにゼロに転送状況を確認する。

 

「ゼロ、メガミブレイカーの転送の準備は?」

 

『既に完了。呼べばすぐに装着可能。』

 

「よし、なら!」

 

そう一声すると、ANVドラグーンⅡに指示を飛ばす。指示を受けたANVドラグーンⅡは、砲口で敵の前進を塞ぐような陣形を取る。そこから、ビームを発生させる。向かい合わせになったドラグーンのビーム同士が結び合い、鉄格子のようになる。そこにエクストリィムがそこに突っ込み、弾かれる。それにより大きく後ろに倒れこむ。

大きなチャンスだった。すぐに俺はメガミブレイカーを呼び出す。

 

『メガミブレイカー、転送。』

 

ノイズが形成した穴から、その巨砲、メガミブレイカーが姿を現す。現れたメガミブレイカーは、すぐに背部に誘導され、接続される。接続されるとすぐに展開する。狙いはエクストリィムの胸部だ。そこに砲口を向ける。一気に勝負をかける!

そして、撃つ。

 

 

 

 

ドガァァァァン!!!

 

 

 

 

絶対的なる破壊力を持った弾丸が射出される。空中で撃ったため、反動を抑えきれず、大きく吹っ飛ばされる。ウイングからAN粒子を噴出し、ブレーキをかける。

高速で放たれた弾丸をあんな大きな敵が避けられるわけがない。メガミブレイカーは敵の胸部に直撃した。

着弾と同時に、大きな爆発が起こる。その爆発により、視界が覆われる。

光樹はウイングで煙を払いつつ、メガミブレイカーの砲身を畳む。

倒したところはまだ見えていないが、傷がなかったビルを破壊する程の威力だ。倒せないわけがなかった。

そして、煙が晴れる。

 

 

 

 

「な…ん…だって!?」

 

 

 

 

その目に映ったのは、未だ健在しているエクストリィムだった。

唖然としてしまった。確かに直撃していたはずだ。いくら装甲が硬かったとしても、あの攻撃を受けきるなんて…。

それが大きな隙になる。突如後ろから殺意を感じる。

 

「なん…」

 

円を描いたそれは、こちらと交差した刹那、左腕に痛みを与える。

左腕の方を見ると、そこに左腕は無かった。代わりに宙を回転するシュバルトゼロの左腕だったものが見つかった。

斬られたのだ。だが何に?スパークが散り、痛みを感じている左腕の切り口を抑えつつ、エクストリィムを見ると、円を描いたものを手でキャッチしていた。それは、あの大出力のビームソードであった。

 

(ビームソードをブーメランにしたっていうのか?ますますエクストリームガンダム・タキオンフェイズと一緒じゃないか!)

 

その技も確かにゲームで見ていた物だった。ゲームでは難なく避けていた。だが現実ではそうもいかなかったようだ。おそらく、攻撃を喰らう前か後に投げていたのだろう。煙で見えなかったことも加わって避けるのは困難だったとはいえ、まずい。

左腕が使えないということは、防御が困難になるということだ。右腕にもビームシールドは装備されている。だが、右腕だけで防御と攻撃をこなす自信がなかった。当然だ。一本の腕で攻防をこなすなんて、ガンダムの主人公でもなければ無理だ。主人公の中に隻腕のパイロットはいないが。主人公以外なら、SEEDのバルトフェルドさんや、ジオンのカスペン大佐くらいのものだ。

どうするか考えているところに、起き上がったエクストリィムが攻撃を再開する。またあの衝撃波を、今度は大きな物を飛ばす。これ以上受けるのはまずい。

 

(防御なんかしてる暇はない。回避に専念する!)

 

そう判断した光樹は、右腕部のANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニットのANクロスビームボウガンのサーベルモードにしてウイングを最大出力で吹かせて、回避運動に入る。

避けられない刃をANクロスビームボウガンで叩き落としつつ、更に飛んでくる刃を避けていく。

ここまでは先程と同じだ。また何か仕掛けてこない限りは、また接近して、斬る、もしくは、まだ背中に装備したメガミブレイカーを至近距離で当てれば勝てる。

当然、それはエクストリィムも予想の範囲だった。エクストリィムは再び剣ごと投げてくる。あんなものを弾くなんて無理だ。光樹はその横を通り過ぎる。そのまま加速して、接近―――――

 

「出来ると思っているのか?」

 

そんなエクスの声が響く。エクスが攻撃してくるのかと思い、辺りを見回す。だがエクスは見当たらない。

それが大きな間違いであった。攻撃を仕掛けてくると思ってしまったのが、最大の隙になるなど。

突如、体を電撃が襲う。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

いきなりの事で何が何だか分からなかった。いきなり電気の中に飲み込まれたような…。

そこで、思い出す。タキオンフェイズの厄介な攻撃を。

 

(これは…あの電撃球?)

 

おそらくそうだ。電撃の中で、敵の腕が電撃を纏っているのがかすかに見える。そこから電撃球を放出したのだ。

何とか体を動かそうとしてみるが、電撃のせいで思うように動かない。その間に、エクストリィムは背部のマントパーツから推進剤を全力で噴き出して急接近する。そして、剣が振るわれる。

 

『ANフィールド、最大展開。』

 

剣が振られる直前、ゼロがウイングを動かし、ANフィールドを形成する。

だが、フィールドもお構いなしに、ビームソードの嵐が襲う。連続切りがフィールドを超えてこちらにダメージを与えてくる。

おかしい。ちゃんと攻撃は防いでいるはずだ。フィールドだってまだ残っている。なのに攻撃を受けているなんて…。

その7連撃が終わると同時に電撃が消失し、解放される。そしてそのまま、地面へと激突する。

 

「これが今の貴様の限界だ。理解したか?」

 

「っ!!くっそお…!」

 

光樹はそう忌々し気に言葉を吐き捨てる。

痛みのせいか、それとも先程の電撃球のせいでか、分からないが、上手く動けなかった。

それでも必死に立ち上がろうとする。

 

「光…樹!?…光樹!!」

 

と、突然先程までいなくなっていたはずの人物の声が響いた。もちろん、その声の主は女神化したうずめであった。

それだけではない。女神化したネプテューヌとネプギア、それに一緒にシェアの結界に入っていた海男もだ。すぐにうずめがこちらに駆け寄って、体を起こしてくる。

 

「光樹!大丈夫!?」

 

「うずめ…みんなも……。」

 

「光樹。もう一体のデカブツにやられたの?」

 

「ああ、ネプテューヌ。あいつ、流石はゲームのラスボス務めただけはある。」

 

「もうしゃべらないで。ネプギア、私とうずめであいつを相手するわ。光樹の応急手当てを…」

 

「待て!あいつは普通じゃ…」

 

ネプテューヌがそう言いかけた所で、光樹は制止する。

無茶だ。あんな相手、俺が変身している間、電子の存在でもなかったら、10回以上は死んでいる。いくら女神たちが強くても、あんな規格外なやつ、倒せるわけがない。

それでもうずめは反論する。

 

「大丈夫だよ!シェアリングフィールドがあれば…」

 

けれども、光樹は言う。

 

「無茶言うな!もうシェアリングフィールドを発生させるだけのシェアエネルギーがあるわけがないだろう。」

 

「そ、それは…。」

 

うずめは狼狽える。やはりそうなのだろう。策もないのに、やはりうずめはそう言うと思っていた。

 

「だけど……戦わなくちゃ…あいつを倒さなきゃ、みんなやられちゃう!」

 

しかし、そう言ってうずめはエクストリィムへと向かって行く。

すぐに光樹は止めようとするが、起き上がろうとしたところで、痛みが走る。

 

「ぐぅっ!!」

 

「光樹、無茶をしないで。あなたももう限界よ。」

 

ネプテューヌは止めようとする。しかし、その手を払いのける。

 

「駄目だ…うずめが勝てるわけがない…!」

 

「光樹さん!無茶しないで下さい!今手当てします。」

 

「そうよ。今は休んで。大丈夫よ。私もうずめに加勢する。二人ならあなたが動けるようにまで時間を稼ぐ。時期を見計らって、撤退するわ。」

 

そう言うと、ネプテューヌはすぐに飛び立つ。その後、ネプギアがすぐにこちらの機体の傷にM.P.B.Lのビームを最小にして、修理を開始する。

俺は二人が戦うのを、ただ見ているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「光樹にひどいことして、許さないんだから!」

 

うずめはすぐにでっかいガンダムに咆哮夢叫を放った。蹴りの一撃から、メガホンの一撃を放つ。だけど、全くと言ってもいいほど、効いている様子がなかった。逆にすぐに反撃の一撃が来る。電気の球がこちらに向かって飛んでくる。

うずめはそれを避けていく。そして再び攻撃を放とうと翻した。ところが、そこででっかいガンダムが攻撃を変える。剣をこちらに向かって投げてきた。いきなりの攻撃だったので、咄嗟に防御態勢を取る。シェアのシールドと剣がぶつかり合いながら、その剣を受け流す。

強力な攻撃だったけど、それはこちらのチャンスに変わる。今あのでっかいガンダムは手持ちの武器がなかった。それだけ攻撃の届く距離が短くなるってことだ。今が攻めるときだ。

ねぷっちも同じ考えだったようだ。うずめと同時に、でっかいガンダムに向けて飛ぶ。そしてお互いの武器で攻撃しようとする。

 

『いっけぇぇぇぇーーーーー!!!』

 

だけど、次の瞬間。

 

『グァァァァァァン!!』

 

そんな唸り声が響くと、でっかいガンダムは力を溜めるような動作を見せる。

すぐに危機を察した二人は、急停止して離れようとする。だけど、遅かった。

次の瞬間、周囲が電気で覆われた。

 

「!!?きゃああああああああああ!!!!!」

 

電気に包まれて、思わず苦痛の声をあげる。体中にとてつもない量の電気が流れてきて、意識が飛びそうだった。

電気の発生は瞬間的な物だったため、すぐに消える。だけど、しばらく空中で痙攣をおこしたのち、二人の体は地に伏せた。すぐに立ち上がろうとするが、体が震えて、思うように動かない。

 

「う…動……けぇ…!」

 

必死に動かそうとするが、それでも動かない。その間に、地面が何度も揺れる。顔を何とか持ち上げると、既にエクストリィムが近くまで来ていた。近くで足を止めたエクストリィムは、剣の矛先を下に向ける。その真下には当然うずめがいる。

 

「あ……ああ…。」

 

恐怖に慄く。いつ、殺されるか、その恐怖がうずめを襲う。

そして剣が持ち上げられた。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
光樹君敗北、そしてうずめ達のピンチ。エクストリィムに勝つことはできるのか?

では次回の投稿なんですが…。

初めに言っておきます。私、ボッチクリスマス送ります。\(^o^)/
そのため、クリスマス何も予定ないので、せっかくなのでクリスマス…25日に投稿します!
皆様に小説と言う名のプレゼントを!…と光樹君に言われたので、やりまーす。え、光樹君?小説に出演するメンバーと一緒に、その日はクリスマスパーティに行くそうです。別に招待されなかったとかじゃな…。

光樹「別に裏話とかいいから。とっとと締めとけ。」

あ、ハイ。(´・ω・`)
では次回は25日に投稿します。次回もお楽しみに!

追記、25日はクリスマスじゃなかったです(;゚Д゚)24日に投稿します。


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第36話 天~アマツ~

どうも皆様、クリスマスイブいかがお過ごしでしょうか。
もちろんボッチクリスマスを過ごしている、藤和木弘です。言ってて悲しくなってきます(泣)。

そんなことは置いておいて、第36話、更新です。
さて、光樹君達はどうやってエクストリィムに勝つのか、という話です。
タイトルに何か中二っぽいものが入っていますが、何か関係があるのでしょうか?

では本編へ、どうぞ!


 

 

「うずめさん!今行きます!」

 

光樹さんのガンダムの修復を中断し、すぐに標的となったうずめさんの元へと駆けつけようとする。

しかし、そこにあの巨大なガンダム、エクストリィムが迎撃を開始する。こちらに向けて、ビームの光刃を飛ばしてくる。誘導性は低かったけど、問題は数だ。あれだけの巨体なのに、飛ばしてくる光刃の量が多い。加えて大きさもかなりの物だったので、回避するためのスペースが少なかった。

避けている途中で光刃の一つにつかまる。咄嗟にM.P.B.Lをソードに切り替えて受け止める。受け止めたはいいけれど、こちらが押される。すぐに弾き飛ばそうと力を込めた、次の瞬間。

 

「きゃぁぁぁぁ!!!」

 

体中を電撃が駆け巡った。力が入らなくなる。そのため、光刃に一気に吹っ飛ばされる。数メートル地面に転がってから、なんとか止まる。だけど、エクストリィムは、またうずめさんに向かってその剣を突き刺そうと剣を持ち上げる。

すぐに立ち上がろうとする。けれど、やはり体が動かない。そこで今度は、プロセッサユニットのウイングで飛行しようと試みる。

ところが、ウイングの操作も全く効かない。もしかしたら、先程の電撃でショートしたのかもしれない。

 

(こんな大事な時に…!早く、早く動いて!)

 

そう願った。しかし、体もプロセッサユニットもいうことを聞かない。

後はうずめさんが動いてくれるしかない。でも、うずめさんも同じようにあの電撃を喰らったのを見ていた。うずめさんも必死にそこから逃げようとしていた。しかし、体を引きずるだけで、到底逃げ切れるものではなかった。

そして、剣が降ろされる。

 

「だめぇぇぇぇ!!!!」

 

私はそう必死に叫んだ。誰か、うずめさんを救ってくれることを祈って。

その刹那、後ろから風を感じた。一瞬ですり抜けた風は、うずめさんの方に向かって伸びていく。そして、火花の発する音が響いた。

 

 

 

 

恐る恐る、目を開ける。

すると、先程までいなかったはずの存在が、うずめさんの前にいた。黒いボディに、角の生えた頭部。そして、大きなウイングを背負ったシルエット。

それは、光樹さんだった。

 

「光樹…さん!?」

 

光樹さんは、腕のビームシールド発生器を敵の剣に向けたまま立っていた。けれど、敵の剣は、ビームシールドを貫通して、光樹さんの左脇腹辺りを抉っていた。

 

「おのれ…和藤光樹め…エクストリィム、殺れ!」

 

エクスの声と共に、敵の剣が、敵から見て右に向かって一閃された。

大きな火花が勢いよく飛び、光樹さんは膝をつく。そして、うつ伏せになって倒れる。

そんな…光樹さんまで倒されてしまうなんて…!

 

「これで後は橙の女神のみ…終わらせろ、エクストリィム!」

 

エクスの声と共に、再びエクストリィムが剣を持ち上げる。うずめさんが狙いだ。だけど、誰も動けない。

そして、剣が連続でうずめさんに向かって振られる。その斬撃は、大地を薙ぐほどだった。斬撃が終わると、うずめさんの体には、いくつもの傷が出来ていた。それどころか、ボディのプロセッサユニットすらも、切り裂かれていた。本来、プロセッサユニットは、対モンスター用に軽く、薄いながらも強固な防御力を持っている。当然、人間の兵器なども容易に寄せ付けないほどであったはずだ。

しかし、うずめさんのプロセッサユニットはいたる所が斬られ、肌をさらけ出していた。それ程の破壊力を持つということだ。

そして、光樹さんを攻撃したときと同じ構えを取る。突き刺すつもりなのだ。うずめさんもそれに気づいて、避けようと体を動かすが、その場でこけてしまう。

 

「うずめさん!逃げてください!」

 

私はそう叫ぶ。避けてもらいたいという一心で。だが、無慈悲な刃は、振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

(うずめは…無事…なのか?……。)

 

光樹はうつろにそう思う。確か、直前でうずめに向けられたビームソードを受け止めたはずだ。そこまでは覚えている。だが、受け止めた際の痛みのショックのせいか、そこで記憶が途切れている。

しかし、今思うと、何故、あんな無茶をしたのか、そう思った。自分の身を犠牲にするのではなく、うずめを抱いてそこから退けばよかったのに。

そこで、光樹に異変が起こる。

 

「なん…だ?」

 

突然、脳裏にネプテューヌとの出会った時の記憶が浮かんだと思うと、ひび割れる光景が浮かぶ。

 

「記憶が…消え……!?」

 

そうとしか思えなかった。あの記憶が砕ける様子は、ヴァルヴレイヴで見たことがある。

だが何故?確かあれはルーンの使い過ぎでなるもののはずだ。しかし、以前シュバルトゼロに初めて変身した時の途中で、ゼロが機体のシステムのおかげで記憶が消えることは無いと言っていたはずなのに…。

困惑している中、声が響く。

 

『光樹よ、大丈夫か?』

 

「その声は…ブラックエースⅣに変身した時の?」

 

そう、あの時、ガンダムブラックエースⅣに変身したときに聞いた、あの光の声だったのだ。すぐにその光の球を見つける。すぐに記憶の事について聞く。

 

「なんでだ!なんで、俺の記憶が?」

 

『落ち着いてくれ、今話す。』

 

その光の球はそうなだめる。いけない。気が動転していたようだ。光樹はすぐに深呼吸をして気を落ち着かせる。

そして、光の球の説明が始まる。

 

『状況は機体を通して把握している。まず、最初に告げよう。シュバルトゼロに、ルーンの記憶耐性はない。』

 

「何!?でもゼロは確かに…。」

 

『あれは嘘さ。光樹、お主を戦いに集中させるためのな。』

 

そうか、それであの時、それを言ったのか。確かに、それを気にしていたら、間違いなく躊躇いが出来て、隙が生まれる。そして、やられていたかもしれない。

そんな気遣いに、感謝をする。だが今は、うずめたちが危ない。早く目覚めないと。そう焦る俺に、光の球は冷静に言う。

 

『光樹、お主は、真のマギウスに目覚めてもらう。』

 

「真の…マギウス!?」

 

まさか、まだ俺は力を残しているのか。しかし、真のマギウスとは一体?

 

『その為には、天を統べるノイズドプロテクターに変身できるようになる必要がある。』

 

「天を統べる…ノイズドプロテクター?」

 

だが光の球は真のマギウスの話題には触れず、ノイズドプロテクターについて話し始めた。新しいノイズドプロテクターであることは察することが出来る。どんな機体なのだろうか。

その名前が、明かされる。

 

『その名は………天(アマツ)だ。』

 

「天?」

 

『さぁ、もう準備は整っている。後は目覚めるだけだ。その力を、―――――――――――掴め!!』

 

光が逆流する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや……殺さないでぇ!!」

 

うずめはその刃を見てそう声が出る。体を動かそうとしても痛みのあまり、動けない。あんな攻撃喰らったことがなかった。いつもは剣を振り回すだけだったのに、ここで新しい技だなんて。

だけど、そんな事を考えている暇はない。今はあの攻撃を避けなくてはならない。そう思っても、体はガクガクと震えるだけで、立つのもキツイ。

 

「うずめさん!逃げてください!」

 

ぎあっちがこちらにそう叫ぶ。当然、そんなことはお構いなしに、エクストリィムは剣を突き立ててこようとする。

 

(ここで、死ぬの?)

 

一瞬、そう思ってしまう。だがしかし、そこで、光樹が言っていたことを思い出す。

 

『まだ終わってもいないし、始まってもいない。』

 

そうだ。まだうずめは死んだわけじゃない。最後まで足掻かなければ、道は開けない。

うずめは回避しようと体を起こす。そして震える足を動かす。

 

「どれだけ足掻こうと無駄だ。エクストリィム!」

 

エクスっていうガンダムもどきが指示を出す。それにでっかいガンダムが従う。こちらに剣を降ろす。

それを睨み付ける。奇跡が起こることを信じて。

そして、それは起こった。

 

 

 

 

後ろの方から、衝撃波が起こる。その場にいた全員が一斉にその方向を向く。そこには、赤黒い光の柱が空に向かって伸びていた。その光景を、うずめは見たことがあった。それは昨日、光樹が新しいガンダムに変身したときだ。

それが意味するのはただ一つ。…来る。光樹の新しいガンダムが。

再び起きた空気の振動と共に、赤黒い光の柱が吹っ飛ぶ。そこから姿を現したのは、新しいガンダムの姿だった。

新しいけれど、いろんなところが、前のシュバルトゼロガンダムに似ている。違うところと言ったら、肩と膝のパーツがとがった物から、別の物に変わっているくらいだ。

…と思ってたけど、よくよく見ると、前と違うところが多いことに気づく。腰の刀が二本に増えてたり、それを装備している腰の装甲に、新しいパーツが付いていたり、胸の所に砲門が出来てたり…かなり違ってる。

そして、あの機械音声が響く。

 

『SSR-VVVX-BA001(エスエスアールトリプルヴイエックスビーエーゼロゼロワン)天(アマツ)。シュバルトゼロガンダム天(アマツ)、装着完了。』

 

「アマ…ツ……。」

 

うずめはそう呟く。シュバルトゼロガンダム・アマツ…それが、新しいガンダムの名前…。

だけど、そう安心しきっている場合ではなかった。それを茫然と見ていたエクスとでっかいガンダムがこちらに再び狙いを戻す。

 

「おのれ…たかが一段階進化した所で!やれ!エクストリィム!!!」

 

『ガガガガガガ!!!』

 

でっかいガンダムが剣を光樹に向かって投げる。光樹はそれをただ見ているだけだった。

 

「光樹!避けて!!」

 

しびれから解放されたねぷっちが叫ぶ。このままじゃ、光樹がまたやられちゃう!

だけど、突然光樹のガンダムに異変が起こる。肩の横に長いパーツが長いアームのような形に変形する。そして、その先のパーツが開き、腰の刀を掴む。すぐに刀を抜くと、投げられた剣を刀二本で受け止めた。貧弱そうな外見に対し、新たに出現した腕は、その攻撃を防いだのだ。

 

「あのエクストリィムの攻撃を自身の腕を使わずに受け止めただと!?」

 

先程まで動けなかったおばちゃんが思わず口にする。確かにうずめもそれにはびっくりしていた。遥かに巨大な剣を、すぐに折れそうな機械の腕で止めるだなんて。

それに驚いたのか、でっかいガンダムは慌てた様子で、左腕からあの電気の球を放つ。今、光樹は攻撃を受け止めているから動けない。このままだと危ない。

だけど、それに対して光樹は落ち着いた様子を見せる。そして動く。

まず、受け止めていた剣を受け流す。受け流された光の剣は、地面に激突して突き刺さった。そして、もう二本の刀を両手に持った。そのまま手と肩のアームに持った四本の刀を、電気の球に向かって振る。こちらを行動不能に陥らせた電気攻撃だったが、その攻撃は、光樹のガンダムの攻撃により、四等分になって消滅する。

 

「馬鹿な!爆電球を切った!!?」

 

ちっちゃいガンダムもそれには驚く。更に、でっかいガンダムは両手から次々と電気の球を飛ばして焦りを隠す。だけど、光樹は四刀流でその電気の球を切っていく。そして、でっかいガンダムに取りついて、腕を曲げるところに刀を突き刺す。

デカブツはそれが効いたのか、光樹を振り落とそうとする。光樹も無理をしないように、すぐに離れる。

今のところ、光樹が有利だった。先程まで劣勢だった戦況が、今は互角まで戻している。これなら、勝てるかもしれない。うずめはそう確信を持ち始めていた。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
新たに変身したガンダム、天!その更なる実力は次回以降明らかになります。
今回は、クリスマスイブに投稿したためか、天の公開がクリスマスプレゼントになってしまったな、と思っていたり。いや、書いているときは全くそんな事は考えていなかったんですが。

では、次回の投稿は…

光樹「お、もう終わりか。早かったな。」

ああ、光樹君。投稿終わったよ。もう出かけるのかな?

光樹「まあそうだな。カラオケに行くから、作者も準備しろよ?」

…え?私も誘ってくれるの?

光樹「今回の投稿までの間に5つ目までのストックを書き上げたからな。早くしろよ?」

あ、ありがとう(´;ω;`)

光樹「それから、次回は大晦日に投稿ってことで。今回のプレゼントってことにしといてくれ。」

おおーっ!休みだ―!セガハードガールズやるぞぉー!
ということで次回は大晦日の夜辺りに投稿したいと思います。別に特別回というわけではありませんが、次回もお楽しみに!




全員「メリークリスマース!!!」

光樹「よし、俺から歌うぞ!曲は、Zipsで!」

何を言うか!ここはもちろん、Billy Billyだろう!

うずめ「二人共喧嘩するなよ。ここは俺がMore soul! コンティニューだろ?」

ネプテューヌ「よーしっ!じゃあ全員で点数高かった人が最下位の人からプレゼントもらえるってことで!」

ネプテューヌ以外『異議なし!!!』

結果は後日…?


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第37話 天、迎撃す

どうも皆様、大晦日どうお過ごしでしょうか。
見てないアニメを片っ端から見ながら受験勉強も並行してしながら過ごしている、藤和木弘です。

第37話、投稿です。
今回は前の話で登場したシュバルトゼロガンダム天が活躍する話です。

では、本編へどうぞ!


 

 

その力は凄まじかった。少し強化されただけで、ここまで強くなるのだろうか。だが今はそれだけでもありがたかった。

光樹は次の手を考える。今はメガミブレイカーは一旦リザーブに戻してある。だが、すぐに装着できるように、準備は整っている。それに今はネプテューヌ達もいる。インターフェース上のパラメータでは、三人共かなりダメージを負っているようだが、まだ動ける範囲だ。スライヌ達はネプテューヌ達に任せて、今はこいつを倒すことに集中すべきだ。

光樹は着地すると、すぐ後ろに居たうずめに声をかける。

 

「うずめ、大丈夫か?」

 

「う、うん!まだ動けるよ。」

 

「だったら、ネプテューヌとネプギアに合流して、スライヌ達を避難させてくれ。こいつは俺が倒す!」

 

「え!?一人で!?」

 

うずめは心配そうに返す。確かに、こんな敵を有利な状況ではない中で、戦うのは危険だ。

だが、そう言う理由はもう一つあった。それは、うずめ達を休ませるためだ。三人共、先程行った戦闘でダメージも受けているのに、これ以上の戦闘は無理だと判断したのだ。

更にうずめにこう告げる。

 

「俺にも切り札はある。…ゼロシステム、起動!!」

 

その声と共に、ゼロシステムを起動させる。未だにゼロシステムは使いこなせていなかったが、今は使うべき時だ。

すぐに脳内にあらゆる情報が流れ込んでくる。光樹の表情が歪む。うずめも不安げに見つめる。

ゼロシステムの処理が終わる。そして、光樹は一言。

 

「行くぜ!トランザムシステム、起動!フルバーストモード、発動!」

 

光樹は感情欠落化を耐えた。まだ頭がくらくらしているが、今はこれでいい。自我がはっきりしているなら、自分の意志で戦える。

シュバルトゼロガンダム天は、機体を赤く発光させ、更にウイングパーツをスラスターを追加展開して、高機動形態に移行する。そして、飛び立つ。

光る閃光が、超高速で敵を切りつけていく。だが、やはり敵の装甲に阻まれる。すると突然、敵が前方に向けて手を伸ばす。いきなりそんな行動をしたので、何だと思ったら、敵は地面に突き刺さっていたビームソードを再び手にした。なるほど、武器を回収したということか。あの剣なら、広い範囲を攻撃できるだろう。

一旦状況を見るために、後ろに下がる。うずめ達はどうやらちゃんとスライヌ達を避難させに離れたようだ。安心している間に、エクストリィムがこちらに、またビームソードからビーム刃を飛ばしてくる。光樹は避けようかと思ったが、突然、脳裏にビジョンが発生する。記憶だ。そこには、敵の攻撃を、シールドを開いて、そこから敵の攻撃を吸収するシュバルトゼロ天の姿が見えた。

いきなりの事だったので、少し戸惑ったが、以前にもこんなことはあった。最初にブラックエースに変身した時も、同じように記憶を失う前と思われる記憶が浮かんでいた。

光樹はシールドを軽く見つめる。もし、攻撃を防げるのなら、使うべきだ。むしろ、俺の記憶が使えと言っているような気がしている。

そこにアラートが鳴る。既にビーム刃が近くまで飛んできていた。光樹は迷うことなく、シールドを開くことを指示する。すると、シールドが縦に開く。そこにビーム刃が触れようとした所で、ビーム刃が粒子に分解され、シールドに吸収された。

 

(アブソーブシステムか?これ。)

 

光樹はそう思った。アブソーブシステムというのは、ガンダムビルドファイターズでスタービルドストライクガンダムが初めて使用したシステム類だ。ビーム兵器の類を吸収して自身のエネルギーに変えることが出来る。

と、そこでゼロが説明を唐突に始める。

 

『ルーン還元システム、「ルーンリアクター」である。敵のビーム兵器をルーンに還元し、装着者の記憶負荷を軽減することが可能。』

 

「あ、ゼロ。記憶が消えかけたんだけど。」

 

ゼロに追及する。光の球はああ言っていたけど、実際聞いてみない限りは分からない。

すると、ゼロは答える。

 

『申し訳ない。光樹の判断能力を落とさないように嘘の情報を与えた、だが今なら問題ないはず。』

 

「別に今はどうでもいい。よし、ゼロ。一気に倒すぞ!」

 

『了解。』

 

ゼロにそう告げると、再接近を開始する。エクストリィムはビーム刃と電撃球を交互に放ってくる。それを上手く攻撃を捌いていく。電撃球は切り、ビーム刃はルーンリアクターで吸収する。

何度も躱されていくのを見て、エクストリィムは攻撃を変える。背部のマント型ウイングから推進剤を発して刀を構える。近接戦を行うつもりなのだろう。こちらもすぐに、ANヴルトガⅡを形成する。膝に新たに装備された武器も加えた統合兵装を分割して両肩のアームで保持する。そして敵のビームソードを受け止める。受け止めた状態から、胸部を敵に向ける。胸部の砲口にエネルギーをチャージする。チャージが終わり、粒子ビームを放つ。

 

『ANロストジェネレーションキャノン発射。』

 

黒い粒子ビームが、敵のビームソードに向けて放たれる。その勢いに合わせて、肩のANフレキシブルアームユニットで押し返す。

敵のビームソードが弾かれ、宙に舞う。エクストリィムはその反動で大きく後退する。そこに、更なる追い打ちをかける。頭部のANゼロキャノンを放つ。そのビームが、エクストリィムの頭部カメラに当たる部分に直撃する。カメラは割れ、敵はこちらを見失ったように辺りを見回す。おそらく、あそこが元々状況を見ていたメインカメラだったのだろう。ガンダムシリーズでは、ガンダムタイプは、大体は額のカメラがメインカメラであることが多く、目の部分のデュアルアイカメラはサブになっていることが多いと聞いたことがある。まぁ、クロスボーンガンダムとかは、その額のカメラがないので、デュアルアイがメインカメラなのだが。

すると、すぐに光樹は、その隙をついてメガミブレイカーを呼ぶ。すぐに背部に接続されると、エクストリィムに向ける。今度は着実にダメージを与えるため、左腕部の関節を狙い撃つ。

またも発射された実体弾は、関節部にヒットし、爆発を起こす。

すぐに爆風をウイングスラスターで吹き飛ばし、敵の様子を確認する。その目に見えたのは、左腕部の上腕の下から先が、えぐり取られたエクストリィムの姿であった。

 

『ガガガガガッ!?』

 

エクストリィムは右手で、えぐり取られた左腕の断面を抑えようとした。

しかし、ザンッ!という音が響く。それと同時に右腕が肩口から切断された。切断したのは、先程宙に飛ばした、ビームソードだった。

なんという幸運だろうか。だが、今はありがたい。ここで決着を着ける!トランザムとフルバースト状態の機体が、敵の右側をとる。そして、両肩のアームに持ったANヴルトガⅡを右肩口に突き刺す。そして、そのままビームを連射する。

機体装甲が硬くとも、内部はそれ程硬くはない。その攻撃はエクストリィムの上半身を滅茶苦茶にする。随分と内部パーツが溶解した所で、再びメガミブレイカーをそこに向けて、至近距離で放つ。

爆風で機体が吹っ飛ばされる。光樹はすぐに機体を安定させる。そして、状況を見る。

エクストリィムは立っていた。上半身が吹っ飛ばされた状態で。当然、動けるはずもなく、その残骸は力なく、大地へと倒れていった。勝ったのだ。

 

「馬鹿な……エクストリィムが、負けた!?」

 

エクスの声が静寂に響く。茫然とした様子を見せている。

一方、後方からうずめ達が駆けてくる。

 

「やった、やったー!わたしたちデカブツたちに勝ったんだ―!」

 

うずめはこちらに抱き着いて来ようとする。だが、触れようとした瞬間、ジュッ、という音が鳴る。

 

「あちっ!」

 

うずめが慌てて離れる。どうやら、ルーンの大量使用に加え、トランザムとフルバーストモード、更に爆風を受けたため、機体表面が超高温になっていたようだ。モニターを見ると、熱量ゲージが96%になっていた。すぐに光樹は、うずめに無事か聞く。

 

「大丈夫か、うずめ!」

 

「う、うん。ちょっと熱かったのに驚いただけだよ。大丈夫。」

 

「そうか。」

 

それを聞いて安心する。女神でなかったら大やけどだったかもしれない。ししかし、うずめの機体に触れた部分を見る限り、大丈夫のようだ。

と、そこにネプテューヌが言う。

 

「何とか勝てたわね、光樹。だけど、まだ終わってないわ。」

 

「え?」

 

「まだ、操っていたやつらが残っているでしょ?」

 

その言葉を聞いて、気づく。そうだ。まだエクスとマジェコンヌがいるのだった。

すぐに光樹はエクスの方に向く。エクスとマジェコンヌは、こちらを茫然と見つめていた。

うずめもそれに気づいて返す。

 

「あーっ!そうだった、あのおばちゃんとちっちゃいガンダム、ポッと出過ぎて、すっかり忘れてたよ!」

 

その言葉が届いていないのか、エクスたちは独り言のように呟く。

 

「…っく、まさかダークメガミが負けるとは。」

 

「エクストリィムは最強のガンダムのはず……おのれ、和藤光樹…やはり記憶を失っても黒の少年ということか。」

 

そんな様子の敵に、こちらはゆっくりと近づく。ギリギリ反撃の一撃をもらわなさそうな位置で立ち止まると、うずめが勝ち誇ったように言う。

 

「さてさて、どうしよっかなー。」

 

「やはり、ここは捕まえて情報を聞き出すべきではないかしら?」

 

ここで倒してしまえば、万事解決だろうが、まだ黒幕が残っている可能性もある。ここは話を聞いたのち、どうするか決めるべきだろう。

だが、マジェコンヌ達は、まだ余裕の表情を見せて答える。

 

「私達を捕まえるだと?ふん、今の貴様らに何ができる。」

 

「随分余裕そうだな。まだお前ら戦ってないから当然か。」

 

「その通り。今この場でお前らを倒すことも出来る。」

 

確かに、あいつらはまだこちらと戦闘していない分、体力に余裕がある。一見してみれば、こちらが不利だろう。だが、マジェコンヌは見た限りではあまり体力が残っていないように見える。おそらく、シェアリングフィールドに入っていた影響なのだろう。

そして、うずめがもっともなことを口にする。

 

「けどぉ、数はこっちが上なんだよねー。」

 

それを聞いて、マジェコンヌが不意をつかれたように反応する。エクストリィムも、音声を発さず、黙っている。

その沈黙が続いた後、マジェコンヌが言う。

 

「っ!…ならば、癪だがここは引かせてもらおうか。」

 

「私も認めたくはないが…一時撤退する。」

 

どうやら手を引くようだ。逃がしたくないと思ったのか、ネプテューヌが問いただす。

 

「逃げる気!?」

 

そう言った所で、敵の考えは変わらなかった。マジェコンヌとエクスはすぐに身を引いていく。そして、去り際にこう叫ぶ。

 

「次に会う時まで、残された時間をせいぜい楽しむのことだな。アーッハッハッハッハッハ!」

 

「次に会った時には、貴様を倒す!覚悟しろ、黒の少年よ。」

 

マジェコンヌ達はそのまま森の奥へと消えていった。一応肩のアームに持ったANヴルトガⅡで動きを追っていたが、結局のところ、撃つことはなかった。ここで無理に攻撃して、怒らせてそのまま全滅なんてことになれば、倒した意味がないと判断したからだ。

見送った後、後方からネプギア達の声が聞こえてくる。

 

「…逃げられちゃったね。」

 

「そうみたいね。けど、向こうから引いてくれてこちらも助かったわ。」

 

ネプギアは少しがっかりしているようだ。やはり、せっかくこの災厄の元凶を操ったやつを逃したのは、悔しいのだろう。

対してネプテューヌは落ち着いていて、敵が引いてくれたことに感謝していた。女神化したネプテューヌがこう言うのも珍しいが、おそらく疲れているのだろう。すぐに二人を光が包む。

女神化が解除された後、ネプテューヌが疲れ切った声を出した。

 

「もう、ボロボロでクタクタだよぉ。わたし、一歩も歩けないー。」

 

「私も。当分は、戦いとかしたくないかも。」

 

二人共、かなり今日の戦いは体にきているようだ。女神であるにも関わらず、やはりでかい敵との戦いは初めてで大変だったのだろう。

 

「だねー。けど、惜しいなぁ。」

 

「惜しい、それはマジェコンヌを逃がしたことか?」

 

光樹はそう聞く。やはりネプテューヌも、マジェコンヌをみすみす逃したのは悔しかったのだろうかと思う。

だが、そうではないことが、その口から語られる。

 

「ううん。ボロボロでクタクタで、お腹ペコペコな今なら、冷たいジュースでもあれば最高だろうなー、って思って。」

 

あまりに予想外の答えだったので、少し表情が緩む。これぞネプテューヌかな、と思ってしまう。ネプギアもそれには賛成のようで、言葉を返す。

 

「じゃあ、拠点に帰ったら、みんなで乾杯しよう。…って言っても、当分は動けそうにないけど。」

 

そう言って、先に地面に倒れこんでいたネプテューヌの横に座る。動けないとなると、しばらくはここで休むことになりそうだ。

 

「よっしゃああああああああああああ!!」

 

突然、女神化の解いたうずめの叫び声が響く。そしてネプギアとその声に驚いて起き上がったネプテューヌの肩に手を回す。

 

「ねぷっ!?」

 

「急に大声をあげて、どうしたんですか!?」

 

「びっくりしたぞ…。」

 

三人がそう口々に言う。だが、うずめはそんなことを気にせず言う。

 

「やったぜ!やっと…やっと、あのデカブツを倒したんだ!そりゃあ叫ばずにはいられねえだろ。」

 

うずめはその顔に今まで以上の笑顔を見せる。本当に、嬉しいことが伝わってくる。力になれてよかったと思う。

と、そこで海男が顔の横辺りを抑えながら声を出す。

 

「気持ちはわかる。しかし、耳元で叫ばれる身にもなってほしいな。」

 

それによって理解する。どうやら海男がうずめの横にいた所で、うずめが大声を出したようだ。それならその発言も分かる。

だがそれにも答えず、うずめはこちらに対して礼を述べる。

 

「これも、ねぷっちとぎあっち、光樹がいてくれたおかげだ。改めて、礼を言わせてくれ。ありがとう。って、礼ばっかだな、俺。」

 

そう言い切った所で、うずめも同じように倒れこむ。うずめも限界に近かったようだ。

 

「あー…。だめだ、俺もう一歩も動けねぇ。てか、立ってらんねぇぜ。へへっ。」

 

「ならば、今くらいは休むといい。君はよく頑張ってくれたよ。」

 

海男はそう語る。確かに、今は休むべきだろう。ここまで頑張ったのだから、休息くらいあってもいいだろう。光樹もそう思ってシュバルトゼロ天を解除して、野原に寝転がりこんだ。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
天は強いと感じていただけたでしょうか。でもこれ以上に強い、というか、チートな機体が後々登場します。それまでお待ちください。

では次回は黒の館、天の紹介になります。なので次回は1月5日の火曜日に投稿したいと思います。

それから、こちらの話になるのですが…あ、これはまたちょっとR-18系の話になるので注意してください。
それで、話なのですが、以前話していた天王星うずめ/オレンジハートの抱き枕が届きました!

光樹「あぁ、作者。またそんな話をして。懲りてないのか。」

いや、一応報告しておこうかと。それで、もうテンションMAXです。可愛い!…んですが…。

光樹「どうした?」

いや、オレンジハートの方の絵柄の顔部分なのですが…目に涙を浮かべてまして……なんかその…罪悪感がグサッと…。

光樹「良かった。まだ作者には人の心があった。\(^o^)/アンシンシタヨ、アンタマダニンゲンダ!」

き、きっと嬉し泣きですよね?そうですよね?そうでなかったら私罪悪感でし…

光樹「そこまでだ、作者。それ以上は良くない。」

あ、はい。
では次回もお楽しみに!



よし、今度は忘年会か。

光樹「その次は新年会だけどな。」

うへ、忙しい。/(^o^)\でも作者だから出ておかないと。


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黒の館 第4回 解説~シュバルトゼロガンダム天~

どうも皆様、あけましておめでとうございます!藤和木弘です。今年もよろしくお願いします。

今回は黒の館第4回、シュバルトゼロガンダム天の紹介です。天の名前の由来はここで明かされます。

では本編へどうぞ!


 

 

藤和木「はい、今回もまた始まりました、黒の館!進行役の藤和木弘です!」

 

光樹「今回はヒカルさんお休みです。今回は俺、和藤光樹も進行役の一人として強制的に呼ばれました。」

 

藤和木「いやー、すまんすまん。実は今回は光樹君呼ばないでおこうかと思ったんだが、ヒカルのチェックが最近ないからね。それはいいことなんですが、少し寂しくなるなー。」

 

光樹「まぁ、切り替えていくか。さて、今回のゲストは、この小説内では出番が少ない(?)、ネプギアと、EXAMの騎士さんじゃない、海男です。」

 

ネプギア「ちょ…私の紹介ひどくありませんか!?」

 

光樹「いや、だって台本にそう書かれてあるから…。」

 

ネプギア「藤和木さん!!」

 

藤和木「アレーナンノコトダカサッパリダナー。」

 

海男「こらこら、藤和木。ぎあっちをいじるのはそこまでにしたらどうだい?」

 

藤和木「やだこのニム○スさんカッコイイ!」

 

光樹「いや、あっちの方もカッコイイだろ。お前もEXVSFBで使っているくらいだし。」

 

藤和木「まぁ、そうだけどな。でもって、今回の解説はシュバルトゼロガンダム天だ。てんじゃないよ、アマツですよ。」

 

光樹「アマツってさ…確かそんなガンダムいなかったっけ?」

 

藤和木「うん、いるね。いやー、実は考えた当時はてん、って読みだったんだよ。」

 

ネプギア「え、そうだったんですか?」

 

海男「これは裏話、ということかな?」

 

藤和木「うん、そうなんだよ。以前にもあとがきで話したと思うけど、ブラッドゼロとシュバルトゼロの間に、機体が三機くらいあるんだよ。」

 

光樹「そんな話あったな。だけどそれが何か関係あるのか?」

 

藤和木「実を言うとですね、ブラックエースとブラッドゼロの間にも三機くらい、完全に削除した機体があったんですよ。」

 

光樹&ネプギア『え!?』

 

藤和木「まぁ、無理もないだろうな。」

 

海男「そういうことだったのか。今までの機体の登場数から、予測だけどこれは光樹が記憶を失う前までの最新の機体を全て零次元編で出すため、ということでいいのかな?」

 

藤和木「イグザクトリー。」

 

光樹「でも、なんでそれで「てん」から「アマツ」に変えたんだ?」

 

藤和木「じゃあ天までの機体の数全部合わせてみな。」

 

ネプギア「ええっと…ブラックエースにその間に三機の機体…次にブラッドゼロにまた登場しなかった三機。そしてシュバルトゼロに天。全部で十機ですか?」

 

光樹「何の関係があるんだ?」

 

海男「ふうむ……!!そうか、そういうことだね、藤和木。」

 

ネプギア「え?どういうことですか?」

 

海男「十を英語で行ってごらん?」

 

ネプギア「ええと…十は英語で…ten…テン…あ!!」

 

光樹「まさか、お前…。」

 

藤和木「そうです。天と十(テン)を掛けた、名前だったんですよね。」

 

光樹「なんだ、ただのダジャレか。くだらねえ。」

 

藤和木「くだらないって言わないでください。これでも当時は必死に考えたんですよ。(´・ω・`)」

 

海男「別にいいと思うよ。俺は。隠された意味が込められていたんだから。」

 

ネプギア「確かに、なるほどって思いましたし。」

 

藤和木「二人共優しい。(´;ω;`)」

 

光樹「さて、話はこれくらいにして、天の解説行くぞ。」

 

藤和木「よし、それではシュバルトゼロガンダム天の紹介に入るぞ!」

 

 

 

 

シュバルトゼロガンダム天(アマツ)

形式番号 SSR-VVVX-BA001天‐N(エスエスアール トリプルヴイエックス ビーエーゼロゼロワンアマツ ノーマル)

機体解説

エクストリィムとの戦闘で、うずめを庇った後、意識の奥底で光の球の助言を聞いたのち、変身した機体。シュバルトゼロの後継機に位置付けられている。愛称は「シュバルトゼロ天」。

ヴァルヴレイヴの機構を更に参考にしたことで、肩部が換装できるようになっている。これが所謂ヴァルヴレイヴウェポンフレームである。だが現時点では今装備しているものしか規格に対応したものが無い。そして更に特徴的なのが、左腕の新型シールド、ANノイズドエナジーリアクトシールドである。このシールドについては後に解説する。このシールドのおかげで、この機体の活動時間は更に伸びている。

だが、それだけではない。本機の特徴的なのが、ウイングの換装システム、ウイングチェンジシステムである。これによって更に戦闘の幅を広げている。

また、胸部にも新兵装のANロストジェネレーションキャノンが装備されている。更に膝のパーツも、シュバルトゼロのものとは違った武装が装備されている。

本機の名称は「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY」にて登場したガンダムアストレイゴールドフレーム天から。

 

 

 

 

システム系

 

 

 

 

TRANS-AMシステム

シュバルトゼロと同じもの。

 

ANフィールド

シュバルトゼロと同じ。

 

T0DS-∞VVVⅡ

シュバルトゼロの物の発展型。ちなみに、後述するANサテライトボウでエネルギー供給システムは使われる。

 

BCSⅡ

シュバルトゼロの物と同じ。

 

硬質残光

シュバルトゼロの物と同じ。

 

VVVレイヴ・コア

シュバルトゼロの物と同じ。真のマギウス覚醒によって、出力が装着者によって自由自在に調整可能となった。

 

ノイズドエナジーウイング

シュバルトゼロの物と同じ。これはウイングチェンジシステムのウイングバインダーの時でのみ使用可能。

 

ノイズドエナジーテレポーテーション

シュバルトゼロの物と同じ。

 

VVV-OS

シュバルトゼロの物と同じ。だが、真のマギウス覚醒により、あまり出番がなくなっている。

 

ディバイダー・ゼロシステムⅣ

シュバルトゼロの物と同じ。

 

レイヴオーバーヒートモード

シュバルトゼロの物と同じ。だが機体の熱効率の改善で、通常の戦闘のみで、このモードになるまでの時間が伸びた。

 

フルノイズドエナジールーンフレーム

フルノイズドエナジーフレームがルーンの力を取り込んで生成された新フレーム。周囲のルーンを吸収して再利用することが出来る。

 

ブラスターシステムⅡ

シュバルトゼロの物と同じ。

 

カートリッジシステムMark-Ⅱ

シュバルトゼロの物と同じ。

 

トランザムレヴォリューションシステム

シュバルトゼロの物と同じ。

 

追加武装システム

シュバルトゼロの物と同じ。本機はウイングチェンジシステムを採用しているが、その上から装備することが出来る。

 

MLS

シュバルトゼロの物と同じ。

 

森羅万象システム

シュバルトゼロの物と同じ。

 

ZEROシステムver天

シュバルトゼロの物を強化したシステム。ウイングチェンジシステムの緊急換装用のシステム構築から、ルーン消費量を念頭とした戦闘構築を主軸にしている。実は、ルーンの消費によって死んだ場合、ゼロは動かなくなるためそのような仕様になっている。

 

フルバーストモード(MJPタイプ)

シュバルトゼロの物と同じ。第37話ではトランザムと同時に使用しているように、同時に使うことが出来る。ただし、使うエネルギーが同じものである場合、同時に使っても機体が出せる出力には限界があるため、上昇率は一つ使用時の1.5倍程度に留まる。ルーンを使っての同時使用時は更に能力が伸びる。

 

デオキシリアシステム

シュバルトゼロの物と同じ。

 

ANアーダーグリップ

機体のウイングチェンジシステムのパックを装備する基礎パーツそのもの。機能としては、機体を循環するルーンの流動を制御することを目的としている。このシステムのおかげで、機体の稼働限界時間が延び、機体に貯まった熱を推進力として使用することが出来る。

しかし、弱点として、一回の戦闘で消費するルーン=記憶が多くなるということである。ただし、真のマギウスとなった者は、記憶の消費はかなり少なくなり、加えて、この機体の装備であるANノイズドエナジーリアクトシールドの機能の一つである、ルーンリアクターのルーンを自身の力に変える能力で、消費したルーンを回復することが出来る。

モデルはヴァルヴレイヴの装備の一つ、アーダーグリップ。

 

ウイングチェンジシステム

この機体の最大の特徴。文字通り、機体の背部のウイングを切り替えて戦うことが出来る。機体の兵装を戦闘中に変更するというのは、機体の隙を作るというデメリットも存在するが、同時に敵に応じて柔軟に対応できるということも意味している。

本機のウイングは従来のバインダータイプのウイングと、新たなシールドタイプのウイングを装備する。ウイングバインダーは機動力を重視している。一方シールドタイプのウイングは火力と防御力を重視している。

モデルはマジンカイザーSKLのウイングクロスとストライクガンダムなどの持つストライカーパックシステムである。

 

 

 

 

 

 

 

 

ANヴァリアブルアームズⅡ改

シュバルトゼロの物を改良した武装。背中のアームに接続されている。カートリッジは7本。モードもヴァリアブルライフルモードⅡ改とヴァリアブルソードモードⅡ改を持つ。どちらのモードも消費粒子量を減少させたくらいの変化で、あまり変わっていない。また、ANマインも28発に増えている。

ANヴルトガⅡの構成武器。

 

ANカタナ改「ゼロエッジ改」

サイドアーマーのANイカロスウエポンコンテナの上から装備する兵装。四本装備する、ANカタナの改良型。刀身が強化されたことで威力が上がっている。反面、刀身の重さも更に増している。

ANヴルトガⅡの構成武器。だが二本だけヴルトガには使用し、二本は予備として使用するというのが使用法。

 

ANゼロ・ソードキル

機体の変更された膝の装甲に新たに装備された格闘兵装。二基を装備。機体のルーンを極限まで研いで強力なビーム刃を形成する。穴あきの持ち手となっていて、構造は脆弱。細い穴からビームソードを、細い方を互いに合体させて、大きな発振器からビームサイズを形成することが出来る。更に装備する方とは反対からもビーム刃を形成することで、非使用時にはビームエッジとしても使える。

モデルはヴァルヴレイヴⅦ号機、火界呪の武装、ヴイ・ソードキル。ANヴルトガⅡを形成する武器の一つ。

 

ANビームサーベルⅥ改「フォルド・シックル改」

手首アーマー内に装備された、シュバルトゼロの物の改良型。改良前の物と同じモードの他、ビームダガーモードと、ビームを円形に固定させたビームチャクラムモードが追加されている。

以前と同じようにANヴルトガⅡを形成する武器の一つ。

 

ANノイズドエナジーリアクトシールド

左腕に装備される、新型のシールド。特徴的なのは、本兵装の機能、敵のエネルギー兵器を情報原子ルーンに変えて、機体の稼働エネルギーに変えるルーン還元システム、「ルーンリアクター」である。シールドの中央部の展開機構を起動させ、そこからエネルギー兵器を吸収し、ルーンに変換する。これと光樹の真のマギウスの記憶の消耗率低下で、記憶の減少はほぼ帳消しとなる。

だが、それだけではなく、機体の熱問題も、シールドの外縁部に設置された新兵器・熱放射レーザー「フレイムテンペスト」で解決できる。この兵器のエネルギーは、機体に蓄積された熱エネルギーから得ている。この兵器を使えば、機体に蓄積している熱エネルギーが放出され、機体の熱量も下がるのである。だが、欠点として、機体に蓄積されている熱量が少なければ、この兵器も使用不可能ということも意味している。

これらの事から、この兵装は、この機体の生命線ともいえる重要な兵装となっている。

モデルはスタービルドストライクガンダムのアブソーブシールド。また、ANヴルトガⅡの構成兵器ともなっている。

 

ANソードバスターエッジ

シールド裏に二本装備された実体剣。エッジの名の如く、片刃となっている。また、二本を合わせることで大剣ともなる。形のモデルはケルディムガンダムGNHW/RのGNライフルビット。

 

ANヴルトガⅡ

ANヴルトガを新たな兵装で形成した物。形成方法は、ANヴァリアブルアームズⅡ改とANビームサーベルⅥ改とANカタナ改の合体法はそのまま、ANノイズドエナジービームジャベリンの代わりにANゼロ・ソードキルを装備、そしてそこにANノイズドエナジーリアクトシールドを装備することで完成する。

モードは射撃のフルバスターモード、大剣のフルセイバーモードと、分割してそれぞれのモードをコンパクトにしたバスターモードとセイバーモードになる。

 

ANロストジェネレーションキャノン

胸部に装備されたビーム砲。ブラックエースⅣのANロストカノンⅣをベースに、出力向上、エネルギー効率改善し、固定装備となった。まだこの時点では解明されていない、未知のエネルギーが出力として使われているとデータには記載されている。

 

ANZEROユニット

頭部に装備された兵装。シュバルトゼロの物と同じ。

 

ANフレキシブルウイングバインダーユニットⅡ

背部に装備されるウイングチェンジシステムの兵装の一つ。高機動性を重視したウイングで、これまでの機体を踏襲している。

四枚のウイングには、先端にANウイングエッジアンカーⅣが一つ二本、ウイングの外側に、展開式のANフェザースラスターを備える。モードは、硬質残光を発する硬質残光モード、フルバーストモード時のオーバードライブモード、そして、ウイングを砲に転用するバスターモード。

 

ANVドラグーンⅡ改

シュバルトゼロに装備された物の改良型。以前と同じく、一枚のウイング内に五基、計二十機を装備している。モードも以前の物をベースに、ランサーモードから、フルバーストモードに変更されている。

 

ANウエポンバインダーシールドウイングユニット

背部に装着されるウイングチェンジシステムの兵装の一つ。重武装と防御力を重視し、装備も、複数の兵装をまとめたシールドをアームを持ったバックパックで構成されている。

ウイングスラスターとシールドのモードの他、後述する武装を六基分全て合わせることで使用できるハイパープラズマフレイムモードを持つ。

ベースはダブルオーライザーのバインダーと、ガンダムビルドファイターズのガンプラの装備の一つでもある多目的アームユニット、更にガンダムジェミナス01L.OブースターのL.Oブースター。更にハイパープラズマフレイムは、機神大戦ギガンティック・フォーミュラのネフティスⅨのプラズマフレイムがベース。

 

ANウエポンバインダーシールド

ウイングを構成しているシールド。ここに様々な兵装が装備されている。

 

ANスラストビームキャノン

ウエポンバインダーシールドの裏面を前面に向けた後、シールドの裏のパーツからビームを撃つ兵器。バレルを砲身にする。クローとしても使うことが出来る。

モデルはガンダムジェミナス01L.Oブースターのスラストビームキャノン。

 

ANブラスターⅣ

ウエポンバインダーシールドの先端に装備された高出力ビーム砲。シールドが六枚のため、六基装備されている。後述するクローで捕えた後、これで撃つということも可能。六基同時に発射すると、更に高出力のビームを放てる。ハイパープラズマフレイムモードもこれの応用。

 

ANクローⅣ

ウエポンバインダーシールドのサイド部に装備された格闘戦兵装。鋭い刃を持つ他にも、先端にはANビームガンⅤの発振器が内蔵されており、そこからビームクローを発生させることも可能。

 

ANビームガンⅤ

クローの先に内蔵された兵装。一つのクローに二基、計十二基内蔵されている。

 

ANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニット

ビームシールドを張る、シュバルトゼロの物と同型のユニット。

 

ANクロスビームボウガンⅡ

ANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニットと共に装備されている、シュバルトゼロの物の強化型。カートリッジは六本。以前からあるボウガンモード、サーベルモード、スマッシャーモードに加え、新たにボウガンの発射口から幾つもの小型ビームサーベルを発生させて、ラリアットの要領で攻撃するスパイクモードも実装されている。

 

ANゼロ・ガトリングバルカン

シュバルトゼロより引き続き装備されているこめかみに二つずつ装備する近距離迎撃兵装。

 

ANフレキシブルアームクラッシュブレイカーⅢ

シュバルトゼロから使われている、腕部の多目的兵装。カートリッジは四本を内蔵。アンカーを射出してからの遠隔操作や、近接してエネルギーを直接浴びせることが出来る。

 

ANイカロスウエポンコンテナ

新たにサイドアーマーとして装備される武器コンテナ。様々な射撃兵装を格納する。

武装のモデルは全て、「そらのおとしもの」のエンジェロイド(所謂アンドロイド)の一体、イカロスの使う攻撃。

 

ANホーミングレーザーⅡ「アルテミス」

コンテナの前面・後面が横にスライドすることで使用可能となる、誘導式のレーザー兵器。前面と後面に八基ずつ、計三十二基を備える。

モデルはイカロスの永久追尾空対空弾「アルテミス」。だが、流石に永久追尾能力はない。

 

ANインパクトバスター「へファイストス」

コンテナ外側部分に内蔵されたビーム兵器。各二門ずつの、計四門を装備する。原作では携行武器とは言いがたい、転送兵装だったが、こちらはコンテナに格納可能なほどの大きさに収まっている。代わりに、威力は減衰している。

モデルはイカロスの「へパイストス」

 

ANサテライトボウ「アポロン」

コンテナ内側に内蔵された、ヘファイストスとは違った目的のビーム兵器。ヘファイストスが戦闘を「静かに」収めるのに対して、こちらは「騒がしく」してでも、戦闘を収める必要がある場合に使用する。

そのような目的である以上、その威力は凄まじく、T0DS-∞VVVⅡで一旦エネルギーをチャージする必要があるが、その名の通り、サテライト系の兵装の威力とほぼ変わらない破壊力を有する。攻撃法は、凄まじいまでのエネルギーを矢状に固め、着弾して爆発を起こす。

モデルはイカロスの最終兵器「アポロン」。

 

ヴァルヴレイヴチェンジウェポン「ラストバトルタイプ」

肩部のヴァルヴレイヴウェポンフレームに装備された新兵装。ラストバトルタイプとなっているが、現時点で分かっているのは、とある最終決戦で装備された兵装であることだけである。

追加アームと遠隔兵装の新型ドラグーンを装備するという、シナジーのない武装構成となっている。だが、ANカタナ改の予備を持つ、もしくは本編で使用されたように、ANヴルトガⅡを持つなどで真価を発揮することから、本来の光樹でならではの装備とも考えられる。

 

ANクロウ・ドラグーン

ヴァルヴレイヴチェンジウェポン「ラストタイプ」の前面・後面に二基ずつ、左右合わせて八基装備された遠隔操作端末。クロウの名の通り、変形して烏型に変形する。その状態では、普通のドラグーンモードよりも高機動だが、破壊力は少なくなる。だが、その状態で腕部に装備されると、ヴァルヴレイヴの攻撃の一つであるエグゾース・ヒートという、放熱を生かした熱攻撃を使用することが出来るようになる。更にチェンジウェポンに固定中は、ビームマントで機体の肩から下を覆うことも出来る。

モデルはヴァルヴレイヴの支援機、インパクトブースター。

 

ANフレキシブルアームユニット

ヴァルヴレイヴチェンジウェポン「ラストタイプ」の上部に一機ずつ装備されたアームユニット。かなりよく動くが、本編でも見られた通り、その剛性はあのエクストリィムと鍔迫り合いを行っても勝てる程の馬力を誇る。

 

 

 

 

藤和木「はい、これがシュバルトゼロ天の解説です。どう、二人共。」

 

ネプギア「はい!見ていて、あ、そうなんだって思うところもありました!」

 

海男「ただ、以前と同じところもちゃんと説明した方がいいんじゃないかい?」

 

藤和木「それだと見てる人が飽きるんじゃない?だったら省略するってことだよ。」

 

海男「なるほど。」

 

光樹「さて、今回は以前の黒の館投稿前に来て、内容を反映できなかった質問を一つ紹介します。『作者はウイングガンダムが好きなんですか?』について。どうなんだ、作者。」

 

藤和木「これは光樹君の機体にゼロとついているところからだな。うん、好きだね。あの世界のガンダムちょっとチート過ぎ。自爆か同じガンダムでもなきゃほとんど破壊されないもん。その影響で私の考えたガンダム全部チートになっているのかな?」

 

ネプギア「前に光樹さんから話してもらっていた、ウイングガンダムゼロも、その作品からでしたよね?光樹さんはウイングガンダムゼロが好きって言ってましたが、藤和木さんはどの機体が好きなんですか?」

 

藤和木「そうだねー。ウイングゼロも好きだけど、私的にはウイングガンダムのエンドレスワルツ版かな。」

 

ネプギア「エンドレスワルツ?」

 

藤和木「簡単に言えば、新訳だね。で、ガンダムの方も、テレビ版とはデザインも違うんだ。」

 

ネプギア「へぇ、そうなんですか。」

 

海男「では、次の質問を読むよ。…これは、知人から?」

 

藤和木「ああ、それは私が小説書いているのを知っている方から聞かれたことなんだよ。読んでみて。」

 

海男「では、読むよ。『作者が一番好きなガンダムは?』という質問だね。」

 

ネプギア「私も気になります。どの機体なんですか?」

 

藤和木「じゃあ、答えよう。ずばり、キャプテンガンダムだ。」

 

光樹「おいちょっと待て、それSDガンダムだろ。なんでモビルスーツじゃないんだ。」

 

藤和木「理由は至極単純、私が初めて見たガンダム作品の主役ガンダムだったからです。子供のころ、あの作品、『SDガンダムフォース』を見て、はまりましたよ。本格的にガンダムにはまったのは、小学六年生の時にヒカル君からガンダムSEED見せられてですが、思えばあの作品がきっかけだったんだなぁと思い出しました。今でもあの続編出ないかと期待しているんですよ?」

 

光樹「うん、ごめん。俺に否定する権利はなかった。だけど続編出るのは諦めとけ。」

 

藤和木「叶わない夢ですよね、分かってる。」

 

海男「君にもそんな過去があったんだね。」

 

ネプギア「初めて見た時の興奮は止まりませんよね。私も共感できます!」

 

藤和木「さて、話はここまでに、次回予告、行こうか?」

 

ネプギア「はい!…ついに仇敵・ダークメガミとエクストリィムを倒したうずめさんたち。」

 

海男「そして、ねぷっちたちは元の世界へと帰る手立てを見つける。」

 

ネプギア「しかし、このまま帰っていいのだろうか、そんな気持ちがお姉ちゃんと私、光樹さんに過ぎる。」

 

海男「そして、元の世界へ帰るその時、再びマジェコンヌとエクスが襲い掛かる。」

 

ネプギア「果たして、私たちは元の世界に帰れるのか?」

 

海男「そして、物語は次の段階へ?」

 

ネプギア「次回、『新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG』!第38話『うずめの能力』!」

 

海男「残るかどうかの決断…」

 

ネプギア&海男『その手で示せ、天!』

 

 

 

 

藤和木「と、黒の館はここまで!ここからは、ちょっと俺の友達を紹介したいと思います!」

 

ネプギア「それって一体誰なんですか?」

 

藤和木「実は、何人かの人は知っているかもしれませんが、私のこんな小説を、宣伝してくれている方がいるんですよ。しかも二人!」

 

光樹「それがお前の友人と。作者友達いたんだな、リアルの。」

 

藤和木「私にだっているわ!で、今回はそのうち一人から紹介する了解を得ました。では紹介しましょう。その名は…ブロガー・ザック2氏です!」

 

光樹「ああ、あの人か。あの時の宣伝の撮影の時に言ってた。でも氏を付けるくらい有名な人なのか?」

 

藤和木「いや、ちょっとお返し。」

 

海男「お返し?」

 

藤和木「いや、だってザック2氏、俺の名前を出すとき、先生ってつけるんだぜ?恥ずかしいよ。」

 

光樹「ちょwwwおまwwwお前が先生?ウケるwww。」

 

藤和木「さて、ザック2氏は政治関係についてはかなりの知識を持ち、よく中学時代に社会の発表でよく討論しあった仲です。それを主軸にさらに、料理や食べログなんかに近いものを投稿していて、食にも詳しいブロガーです。ここでアドレスなんかを上げることは出来ませんが、気になった方は是非、調べてみてください。では、今回の黒の館はここまで!次回の黒の館でお会いしましょう!」

 




今回の黒の館いかがだったでしょうか。
最後の方に宣伝がありましたが、一応このSSRと言う名のGの宣伝などをやってくれていて、紹介した方がいいなぁと考えに考えてここで紹介となりました。

では次回は11日の投稿にしたいと思います。
では次回もお楽しみに!!


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第38話 うずめの能力

どうも皆様、いかがお過ごしでしょうか。
受験勉強をさぼり気味な、藤和木弘です。いや、一応やってはいますよ?

では38話投稿です。うずめの能力についての話です。後半にはネプテューヌの…

うずめ「いくぜ!マジック、「ビックバンエナジー」!からの…雷皇龍ジークヴルムをノーコスト召喚!そして転召!超神星龍ジークヴルム・ノヴァをノーコスト召喚!!」

光樹「やべぇ、超神星龍召喚された!ライフ回復とかマジやめてくれ(泣)」

うずめ「ライフを全回復してアタックステップ!超神星龍でアタック!BP10000以下まで相手スピリットを破壊!そして「激突」!勝負だ、ラグナ・ロック!」

光樹「ええい、ラグナ・ロックでブロック!」

うずめ「フラッシュタイミング、マジック、「オールスタードロー」!「メテオストーム」!BPを上げて更にジークヴルム・ノヴァに効果「“ヴルム”と名の付くスピリットがBPを比べ、相手スピリットだけを破壊した時、そのスピリットのシンボルの数だけ相手のライフを減らす。」を付けてやる!」

光樹「マズイ、フェーズチェンジとかラグナ・ロックを消滅させるだけのコストのあるカードがない…。俺の負けだ。」

うずめ「よっしゃ!また勝ったぜ!」

おう、お疲れさま。どうだ、ジークヴルム・ノヴァは。

うずめ「ああ、強いし超かっこいいぜ!」

それは良かった。で、光樹君、負けてどう?

光樹「くそ、アルティメット禁止じゃなかったらUラグナ・ロックで勝ててた。けど、なんで今うずめに超神星龍ジークヴルム・ノヴァを使わせたんだ?」

理由は簡単、私がジークヴルム・ノヴァとうずめが好きだからだ。

光樹「ちゃんと理由を説明してくれ(^-^;」

ちゃんと言うと、昨日pixivである絵を見てね。イナゴっちさんと言う方の絵なんだけど、その絵がなんと、超神星龍ジークヴルム・ノヴァとうずめのツーショットみたいな絵だったんだよ。

光樹「ほう、だからせっかくだからうずめに使わせようってことか。」

うん、そうだね。

光樹「でも、勝手に紹介してよかったのか?許可とかもらわなくて。」

安心してください、ちゃんと許可もらいましたよ。

光樹「安○ぇ…。」

けど、あの絵はジークヴルム・ノヴァとうずめが描かれていて、正に私の夢が実現したみたいな絵でしたね!うずめがジークヴルム・ノヴァを召喚しているような絵なので、是非一度見てみて下さい!

さて、話が長くなりましたが、本編へどうぞ!!


「一時はどうなるかと思ったけど、勝ててよかったね。」

 

ネプテューヌは言う。あれからしばらくしてから、光樹達は拠点に戻ってきていた。帰ってきて飲み物を飲んだ後、こう談話をしていた。

しかし、本当に勝ててよかったと思う。これでもう敵対する中で厄介なのは、マジェコンヌとエクスとかいうやつらのみだ。後はモンスターの不意打ちがあったりしなければ勝てるはずだ。

そう考えている所で、ネプギアがネプテューヌの言葉に返す。

 

「そうだね。でも、どうして急にシェアが得られるようになったんだろう?シェアって人間からしか得られないはずだよね?」

 

光樹も実はそのことについて、気になっていた。本来、モンスターがシェアを生み出すという話は、ネプテューヌの世界の中ではなかったはずだ。それは間違いない。ネプギア達も驚いていることから、これまでそんな事例がなかったことは予想できる。あの時はそのまま流れに任せたが、どういうメカニズムでそうなったか、知っておく必要はあった。

そんな疑問に、一石を投じた者がいた。

 

「それは、俺から説明しよう。」

 

海男だ。どうやら、海男はこの理由について知っているらしい。だが、その前に、海男は辺りを見回してから、こちらに聞く。

 

「…と、その前に、うずめはどこだい?」

 

うずめか、確か、上の方に上がっていくのは見えたが、何をしに行ったのかは、知らなかった。それについて、ネプギアが答える。

 

「うずめさんなら、先にシャワーを浴びに屋上に行きましたけど。」

 

「シャワー?…って、ああ、給水タンクのか。」

 

「はい、そうです。」

 

光樹はそれを聞いて頷く。やはり、うずめも疲れているんだな、と思う。うずめには今回、色々と助けてもらっている。そのため、帰りにはおんぶでもしようかと聞いたのだが、そこは女子としての羞恥からか、遠慮された。

その話はそこまでとして、なぜ海男はうずめの場所について、聞いたのだろうか。何か聞かれるとまずいことでもあるのだろうか。そこで光樹は海男に聞くことにした。

 

「なあ、海男。うずめがいたらまずい話なのか?」

 

「あぁ、ちょっとね。これから話すことはうずめに聞かれたら困るからね。」

 

「困る?」

 

「それってどういうことなんですか?」

 

いまいち理解できなかった。ネプギアも同じように首を傾げる。ただ、そう言うということは、うずめがシェアエネルギーを得られるようになったことに関わるのだろうか。

海男は話を続ける。

 

「うずめには、ある特殊能力があるんだ。」

 

「特殊能力?」

 

ネプテューヌも興味を示しながら話を聞く。そして、それは語られる。

 

 

 

 

「彼女には、自分の妄想を現実に変える力があるんだ。」

 

 

 

 

それを聞いて、うん?と不思議に思う。妄想を現実に変えるってことは、自分の考えた通りになるってことだ。だけどそれって一体どういうことだ?それが今回の話にどう関係するんだ?

そこでネプギアが詳しい解釈を述べる。

 

「それってつまり、世界の事象に干渉できる、っていうことですよね?」

 

それを聞いて、ようやく理解する。本来なら、先程の海男の話で理解するべきだが、何故か自分は論理が絡まないと物事を理解できないという欠点があったため、謎に思ってしまったわけだ。だが、それが本当であるなら、とんでもないことだ。世界の事象に干渉するということは、何でも自分の思い通りになるということだ。光樹は改めて、海男に聞く。

 

「でも、そんな事を、うずめ一人で出来るっていうのか?」

 

その言葉に、少し笑いながら、海男は答える。

 

「さすがに、大規模な事象への干渉、改変はできないけれど、彼女には確かにその力があるんだ。」

 

それを聞いて、少し考え込む。本当にそんな能力があるのだろうか。世界の絶対の理とも言える事象を変えることなんて…。

だがしかし、海男はある例を彷彿させるようなことを言う。

 

「三人にも心当たりはないかい?彼女が妄想したことにより、都合の良い結果が起きたことを。」

 

それを言われて、あの出来事が思い浮かぶ。今朝の、プリンの材料が見つかった時のことだ。それにネプギアも気づく。

 

「あ、もしかして、プリンの材料ですか!?」

 

「そうだ。あの時、彼女は妄想し、望んだんだ。君たちとプリンをつくって食べることを。」

 

「だから、材料を手に入れることが出来たのか。」

 

「そうだよ。そして、今日も彼女はあの場所で妄想し願った。オレたちモンスターから信仰心を得られることにより、三人で女神化することを。」

 

「だから、あの時急にシェアエネルギーを得られるようになったんだ…。」

 

ネプギアが納得するように、光樹も同じように心の中で共感する。それならネプテューヌ達が女神化できるようになったのも筋が通る。しかし、それと同時にある意味怖さを感じる。理論上不可能なモンスターからシェアを得られるのは、本来あり得ないこととネプギアが言っていた。そんな事を可能にしてしまうとしたら、もしかすると、死者をよみがえらせたいなどと本当に妄想してしまえば、そんな事だってできるようになる。こうなるともはや世界の理すら無視してしまうことになる。妄想しなければ叶わない分、優しいが、少しゾッとしてしまう。

そんな事を考えている中、ネプテューヌは喜びを見せる。

 

「凄いじゃん!超チート能力じゃん!」

 

確かにチート能力であることは認める。だが、そんな力は俺の見てきたアニメや小説の中では、危険な力として忌み嫌われているのを覚えている。そこで光樹はネプテューヌを諫める。

 

「そんな優しいもんでもないぞ。うずめが本気で思えば、この世界はうずめの思う通りってことだぞ。」

 

「えー、でもそれって便利じゃん!」

 

ネプテューヌは反論する。どうやら光樹の考えている恐ろしさが分かっていないようだ。そこで光樹は例を挙げる。

 

「じゃあ、うずめと格闘ゲームで戦っていたとするぞ?」

 

「おおーっ、ゲームの話を交えてわたしの意見を論破するんだね。どんとこーい!」

 

その話にネプテューヌが乗る。それを確認して光樹は話を続ける。

 

「もう少しでうずめのキャラを倒せそうだった、その時、うずめが負けたくない、体力がもっとほしいと願ったとする。」

 

「うんうん。それで?」

 

「すると、体力が突然、ゲームシステムを無視して回復して、形勢逆転して負けたら?」

 

それを聞いて、うーん、と考える。そして、ふっ、と顔を上げ、言う。

 

「それって反則じゃん!チートだよチート!最悪だよー!!」

 

「そういうことを起こせるってことさ。これだけ敵に回れば厄介になるってことだ。危険も隣り合わせなんだ。分かっただろ?」

 

そう言い放つと、ネプテューヌは少しオドオドしたようになる。

少し言い過ぎただろうか。よくよく考えると、俺が一番うずめに危機感を感じている気がする。しかし、不思議とうずめに…何かを重ねているように感じるのだ。

が、そこで、何かに気づいたように、ネプテューヌの表情が晴れる。

 

「…あれ?けど、どうしてそんな便利な能力を今まで使わなかったの?上手く使えば、デカブツたちも倒せたんじゃないの?」

 

ネプテューヌの言うことは確かだ。よくよく考えれば、その能力で、ダークメガミとエクストリィムを消すことを妄想すれば、勝負以前の問題で不戦勝となるようなものだ。

その考えは海男によって不可能であることが知らされる。

 

「この能力には少々厄介なところがあってね。うずめが本気で妄想しなければならない以上、光樹が言ったような状況で狙って発動させることはできないんだ。そして、それは彼女の妄想に込められた無意識な願いによって、事象への干渉規模が決まると言っていい。」

 

その話を聞いて、少し安心する。無意識に、かつ本気で妄想しなければ叶わないなら、悪意を持って妄想を現実にすることは無いということだ。ということは、うずめはあの時、本当にそう願ったのだろう。どれだけ本気にしていたのか、驚嘆に値するだろう。

そして、海男はこちらに向かって、お礼を述べる。

 

「だから、オレは君たち三人には本当に感謝している。うずめにこの世界のシェアの有り様を変えさせてくれたのだから。」

 

「感謝って…とんでもない。感謝するのはこっちだ。あの時、うずめがその力を発揮して形勢を逆転してくれなかったら、こっちがやられてたよ。」

 

「それも含めてさ。能力があっても、君たちの存在が無ければ、この作戦もうまくいかなかったんだから。」

 

そのように言われると、少しうれしい。自分もその力になれたのだから、当然だ。

と、そこで海男がふとこう言った。

 

「手遅れでなければ、この世界の崩壊も、止まってくれればいいんだが。」

 

それを聞いて、ちょっと心配になる。あいつらを倒しても、まだ崩壊が止まらないようなら、今度こそ終わりだ。しかし、破壊の原因は取り除いたのだから、問題ないはずだ。そう自分に言い聞かせる。

すると、話を聞いていたネプテューヌが、手のひらに拳を乗せて言う。

 

「そっか。だから、海男はあのとき、ちょっと誘導的なことを言ったんだね。」

 

誘導的?いったい何の事だろうと、光樹はネプテューヌに聞く。

 

「なぁ、海男が誘導的なことを言ったって、いつ言ったんだよ、それ。」

 

「ほら、シェアクリスタルが見つかったってぬらりんから聞いたあと、わたしたちも女神化できたらうずめを助けられるのになぁってかんじの事言ったときだよ。その時、海男がうずめなら出来るかもって言ってたじゃん。」

 

それを聞き、ようやく思い出す。そういえばあの時、海男は確かにうずめが妄想するのを誘うような事を言っていた気がする。

話を聞いていた海男も、ネプテューヌに賞賛の声を上げる。

 

「よく気づいたね。」

 

「まぁ、偶然ってやつ?珍しく、海男がうずめの話に乗ってたからちょっと気になってたんだ。」

 

まさか、ネプテューヌがそんな事に気づくとは…流石は女神と言った所だろうか。人の話の隠された意味を理解するのには敏感ということなのだろう。光樹もそんな事には気づいていなかったので、これは一本取られたと思った。

 

「そういうことだから、この能力については、くれぐれも、うずめには内緒で頼むよ。」

 

「またその能力を使う時が来るかもしれないしな。うずめには悪いけど、了解した。俺の口からは、何も言っておかない。」

 

光樹は海男にそう返すと、疲れた体を癒すため、寝所として使う部屋へ行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと、終わったんだな。」

 

「ねぇ、うずめ。ちょっと良いかな?」

 

ネプテューヌはうずめに話しかける。少し、考えることがあって話しかけたのだ。

 

「お、なんだ?ねぷっち。改まって。」

 

うずめはすぐに聞き返してくる。そこでわたしは聞きたかったこと、これからどうするのかについて聞いた。

 

「これから、うずめはどうするのか気になっちゃってさ。」

 

「なんだ、そんなことか。そりゃあ、次はポッと出の紫ババアを倒すに決まってる。」

 

うずめは自信満々にそう語る。やっぱりそうだよね、とネプテューヌは思った。やっぱりマザコンヌを倒さないと、この戦いは終わらないだろう。

 

「ま、デカブツたちを倒した俺の敵じゃないと思うがな。」

 

うずめは得意げに語る。だけど、わたしはその先のことが知りたかった。だから、それについて聞く。

 

「じゃあ、マジェコンヌを倒したら?次はどうするの?」

 

その質問に、うずめは少し戸惑った様子を見せる。

 

「次は、って……あぁ、なんだそういうことか。」

 

だけど、うずめはすぐに悟ったような事を言う。どうやら、何を言いたいか、分かってくれたみたいだ。分かりやすく意図を出すように言ったから、理解してくれてよかった。

そして、ネプテューヌは分かり切っていることを聞く。

 

「じゃあ、わたしが何て言いたいかもわかるよね?」

 

そう聞くと、うずめは予想通りの言葉を返す。

 

「あぁ。一緒に、ねぷっちの世界に行こう、だろ?」

 

「だいせいかーい!さすが、うずめ。わたしたち、もうすっかり以心伝心だね!」

 

ネプテューヌはノリノリで言葉を返す。分かってくれたなら話が早い。すぐにわたしは答えを聞こうとする。だけど、うずめから返ってきたのは、思っていた物とは違う答えであった。

 

「ねぷっちの気持ちは、すげぇ嬉しいよ。それに、ねぷっちの国だからきっと凄くいい国だってのはわかる。…けど、ごめん。一緒にはいけない。」

 

「どうして?ここには誰もいないんだよ?そうだ、二人で一緒に女神をやるってのはどう?」

 

思わずそう口にする。なぜうずめはこの世界にいたいのだろうか。確かにぬらりんたちがいるのはわかる。仲間をほおっておけない性格なのも知ってる。だけど、それならぬらりんたちも一緒に来ればいい話だ。

ネプテューヌは食い下がる。

 

「うずめなら、国民のみんなだってすぐに受け入れてくれるはずだよ!」

 

ところが、その話を聞くと、うずめはゆっくりと、あることを話し始めた。

 

「…実はさ、昔みんなで話し合ったんだ。この世界を捨てて、異世界へ逃げるのはどうか、って。でも、みんな言ったよ。仮にそれが可能でも、こんな世界だけど、自分たちが生まれ育ったこの世界を捨ててまで逃げたくない、って。」

 

それを聞いて、戸惑う。うずめの言っていることに間違いはない。誰でも、みんな自分の生まれた場所で、精一杯生きるのが当然だって、きっと思ってる。たとえ、それが、世界が崩壊寸前な世界に住む十人だったとしてもだ。

更にうずめの言葉は続いた。

 

「最後まで、みんなでこの世界で足掻こう、ってさ。」

 

うずめのその言葉を聞いて、少し反省する。わたしはここまで頑張ってきたうずめたちの努力を無駄にするようなことを言っちゃったんだ、と。

 

「ま、その後、調べた結果、そもそもこの世界の文明レベルじゃ次元を超えることはできない、って判明したってオチなんだけどな。」

 

「うずめ…。」

 

そっか、一応、できるかどうかは試したんだ。でもできなかった。だから、みんなこの世界で生きていくことを…。そのことと、マザコンヌを倒して帰ることになったらと思うと、なぜか悲しくなってくる。

それを察したのか、うずめが声をかけてくる。

 

「なんだよ、そんなシケた顔すんなよ。別に今生の別れじゃないんだし、またいつか会えるだろ?もしかしたら、あの紫ババアが世界崩壊の原因で、倒したら元に戻るかもしれない。」

 

うずめの言うことは正しかった。いつか、うずめとまた会えるかもしれない可能性はゼロじゃない。加えてマザコンヌを倒せば、きっとこの世界も元にとまではいかないかもしれないけど、平和な世界に戻るだろう。

そしてうずめは決意を口にする。

 

「そうしたら、俺はこの街を…いや、この国を復興する。ゼロから…いや、マイナスからのスタートだが、ねぷっちの国に負けないような、すげぇ国にする。それが実現したらねぷっちの国に遊びに行くよ。」

 

その言葉を聞いてすごいなぁと思う。こんな状況からでも、復興することを目指している。その姿は本当に、いーすんが願っているだろう女神なんだろうな。

だけど、それでもわたしは心配に思う。うずめが一人であることをだ。

 

「けど、一人は寂しくない?心細くない?」

 

それを聞いてうずめは笑みを浮かべて答える。

 

「まぁ、ここには海男もいるし、ひよこ虫やスライヌたちだっている。逆に騒がしいくらいさ。」

 

「うずめ…。」

 

そう言われると、確かにそうだ。この世界には海男やひよこ虫、スライヌたちがいる。みんながうずめを支えている。わたしだって、いーすんやネプギア、他にもいろんな人たちに支えられて今ここにいる。仲間がいれば、どんな困難だって乗り越えられるのは、ネプテューヌ自身も知っていた。

 

(余計なお世話だったかな?)

 

思わず心の中でそう思う。それに、うずめが気分転換に言う。

 

「ま、そういうことだ。プリンばっか食って怠けてると、あっという間に追い越しちまうぞ。…そうだなぁ。人口はざっと十万…いや、やっぱり百万は欲しいな。でもって、街中にはエレベーターや動く歩道や、ガラスのチューブの中をタイヤのない車が飛んでるんだよ。そして国民は全身タイツみたいな服を…って、それはダサいからやっぱいいや。」

 

うずめの口から、全てが解決した後の夢が次々と語られていく。これだけでもすごいことだが、うずめの話はまだ止まらない。

 

「で、俺は思うんだが、時代はまさに情報化だ。インターネッツを普及させて、ゲームだってオンラインで遊べるようにするんだ。オンラインなら自宅にいても格闘ゲームやレースゲームで対戦できたり、RPGで一緒に冒険することもできるんだ。そんなすげぇ、楽しい世界を…いや、楽しい世界を俺が作っていくんだよ。それって、すげぇかっこいいことだと思わないか?」

 

その考えに、わたしはうなずく。わたしの世界では、もうネット対戦が普及しているから、楽しいのはよく分かる。

だから、わたしも答える。

 

「そうだね。凄く、かっこいいことだと思う。」

 

その言葉を聞いて、うずめも嬉しそうにする。そこでうずめはまた昔の頃の話をする。

 

「最初さ、目覚めてから、真っ先にやろうとしたんだけど、その時は誰も付いてこれなかったんだよ。海男には十年は早過ぎるって言われたよ。」

 

そんな事があったんだ。まさか最初の時にそんな事を思っていたなんて。うずめらしい、行動力のあることだ。

よく思い出すと、確かにわたしもいーすんにたまに言われるんだよねー。わたしは一人で突っ走ることが多いって。でも、いーすんだけじゃなくて、あの子も…ん?

そこでネプテューヌは考え込む。

 

(あの子…って、誰だっけ?)

 

自分がふと思った、「あの子」という言葉に戸惑う。誰だったか、思い出せない。確か、よくその子に助けられたような…。

と、意識を戻すと、うずめがこっちを不思議そうに見つめていた。

 

「どうした?ねぷっち。」

 

その言葉に、すぐに返答する。

 

「あ、ごめん。ちょっと考え事してた。うんうん、わかるわかる。わたしも、よく言われるよ。」

 

「そうか。けど、ありきたりなものより、まだ見たことのないモノを求めて、夢見ることは、悪いことだとは思わないぜ。それに、こうして夢を妄想するのは楽しいしな。」

 

妄想、かぁ。妄想もいいけど、やっぱり妄想しても、それを叶えられることが一番だ。ネプテューヌは応援の言葉を送る。

 

「実現するといいね。」

 

「あぁ、絶対、実現して見せるさ。」

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
後半の方でネプテューヌが気になった「あの子」とは一体誰なのでしょうか。

と、ここでお知らせです。
実は前回と今回の投稿の間で今までの部分で改稿した部分がありました。活動報告を見て下さった人なら分かると思いますが、実は想定BGMを削除しました。
理由としては、とある作者の方と話していて、BGMは無い方がいいという指摘をしていただきました。それだけでなく、以前ヒカル君にもBGMはいらないと思うという意見をいただいていました。
でも、いつ改稿しようか悩んでいて、作業かその時まで遅くなりました。でも、やはり小説は、文字で見て楽しむものではないかという考えにいたり、ようやく削除することになりました。遅くなってしまい、申し訳ないです。
なんだか真面目ぶってますね。別に私真面目じゃないですよ。むしろ普段は逆だと思います。

では次回の投稿は日曜日になります。それから、今回前書きで絵の紹介を許可してくださったイナゴっちさん、ありがとうございます!他にも面白い絵があるので、気になった方は是非見て下さい。
では次回もお楽しみに!


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第39話 ひと時の休息

どうも皆様、藤和木弘です。今日は運命のセンター試験の日、学生の方々は一喜一憂している中なのではないでしょうか。私はセンター受けませんでしたが、大学受験はちゃんとしますよ?受験をしている皆様、共に頑張りましょう!

そんな話は置いておいて、第39話、投稿です。
え、以前受験が始まったら更新停止するって言ってなかった?って?
…あ、あははー、ちゃんと勉強やってますよー。サボってないですよー。ただ、息抜きに書いているだけで…。

光樹「作者、息抜きが長かったら駄目だぞ?」

…ごめんなさい。

では本編へどうぞ!


 

 

「ぐだぁー…。」

 

「ぐだぁー…。」

 

ねぷっちと俺は思わずそう呟く。そこに海男が諭す。

 

「こら、二人共。いつまでだらけているんだ?少しは若者らしくシャキッとしないか。」

 

なんか親っぽいことを言うなぁ、と思う。だが、一度眠っただけでは、どうにもこの疲れは取れなかった。それをねぷっちが言う。

 

「だって、デッカイのと戦った時の疲れが取れないんだもん…。」

 

「俺も、なんだか気合いがはいんなくてよぉ…。」

 

うずめはけだるそうな声でそう語る。いつもなら、こんなことはなく、むしろ元気になるはずなのだが、これがライバルなんかを超えたときに感じる、虚しさなんだろうか。

 

「だるぅー…。」

 

「ぐだぁー…。」

 

「はぁ…。まったく、今までの威勢はいったいどこに行ったのやら。」

 

その力のない声に、海男も呆れてしまう。更にぎあっちが謝罪をする。

 

「ごめんなさい、なんだかお姉ちゃんまで迷惑をかけちゃって…。」

 

「気にすることはない。こんな風に燃え尽きるほど二人共、気を張っていたんだろう。…そう言えば、光樹の方はどうなんだい?」

 

その言葉に反応する。そう言えば、今日は光樹をまだ見ていない。昨日新しいガンダムを出した光樹だけど、どうしたんだろうか。

そんな事を考えている内に、その人物は部屋のドアから入ってきた。光樹はまったく正常と言っていいほどの表情で、入ってきた。

 

「よう、みんな。元気…じゃないのが二人いるな。どうした?」

 

「あぁ、光樹。大丈夫かい?疲れの方は。」

 

海男が光樹に聞く。すると、光樹は元気そうな声で答える。

 

「むしろ元気なくらいだ。不思議と疲れが取れたっていうか…痛みはまだあるけどな。」

 

それを聞いて、思わず疑う。あれだけの戦闘をこなしたのに、動けるようになっているとは…。

そこで、先程の質問に海男が答える。

 

「それはよかった。それで、ねぷっちたちは、どうやらダークメガミたちを倒したことで疲れがどっと来たみたいだ。」

 

「そっか。まぁ、二人とも頑張ったしな。別にいいと思うぞ。」

 

その言葉に、少しうれしくなる。あのデカブツたちを倒せたということは、何度考えても気持ちがいい。でもそれは、光樹たちのおかげだ。三人がいなかったら、倒せていなかっただろう。

と、その言葉を受けたねぷっちがとあることを述べる。

 

「いやーありがとう!やっぱり頑張ったでしょ。でもさー、わたし的には、元の世界に戻れば、また仕事漬けの日々が待ってるんだし、少しくらいここでのんびりしてたってバチは当たらないよー。」

 

その言葉は明らかに失言だった。俺にも分かる。他の三人ががっかりしたような表情を見せる。ぎあっちが、苦笑いしながら言う。

 

「お、お姉ちゃん…。」

 

「ネプテューヌ、お前…そんなことしてると悪いことが起きるぞ?」

 

光樹もそんな言葉を出す。だけど、今くらいだらけていても、別にいいんじゃないだろうか。昨日、ねぷっちと話していた時は、ねぷっちが怠けている間に、立派な国を作ると言ったが、今だけは気合いを入れたくない。

と、そこで何かを思いついた海男が、ぎあっちに提案を持ちかける。

 

「ならば、ぎあっち、今日はオレに付き合ってくれないか?」

 

「私ですか?別に構いませんけど…どこに行くんですか?」

 

それに呼応して、俺は好奇心を抱く。海男がぎあっちと二人でどこかに行くということは…これはまさかデートなんじゃないか?

海男はあまりそんなタイプだとは思わなかったが、案外海男も可愛いやつには目が無いってことだろうか。

その疑問を解決すべく、俺は聞く。

 

「なんだなんだ、もしかして、それってデートの誘いか!?」

 

そこにねぷっちが食い入るように話に入ってくる。

 

「ま、まさかここにきてネプギアにモテ期到来!?これは、姉として二人が健全なお付き合いするかどうかチェックしなきゃ!」

 

「よし、ねぷっち。そうと決まれば尾行だ!」

 

うずめもその考えに乗るように言う。海男がぎあっちをどう付き合うのか、楽しみになったのだ。

それを聞いて、ぎあっちは慌てた様子を見せる。

 

「…へ?そ、そうなんですか!?」

 

どうやらぎあっちは、自分が海男とデートするとは思ってなかったようだ。だけど、この状況は、誰がどう見てもデートだろう。それに気づかないとは、ぎあっちも案外鈍いんだなぁと考える。

だが、海男がそれを聞いて笑い、それを否定する。

 

「ははっ、照れるぎあっちは可愛いな。けど、残念ながらそんな洒落たものじゃないんだ。」

 

それを聞いて、少し残念に思う。少し気落ちしてしまう。だが、それには気にせず、海男は話を続ける。

 

「昨夜、散歩していた時に興味深い施設を見つけてね。そこにぎあっちが求めるデータがあるかもと思って、誘わせてもらったのさ。」

 

「な、なんだ、ちょっとビックリしちゃいましたよ…。」

 

ぎあっちがそれに安心する。だが、興味深い施設か。確か前にぎあっちがこの世界のことについて調べていることは知っていた。それによって、この世界の滅びた原因が分かるなら、それは嬉しいことだ。

だが海男はデートの話について、ぎあっちを少しいじる。

 

「もしかして、ぎあっちはそっちの方がよかったのかな。」

 

「もう、からかわないでください!」

 

「おいおい海男。そんなにネプギアをいじめてないでおけよ。意外とネプギア、他の人から見たら本気でそういうのに見えるんだぞ?」

 

「ははっ、すまない。」

 

頬を膨らませたぎあっちに、光樹が助け舟を出す。それに海男が謝る。こうして見ていると、確かにぎあっちは真面目な分、いじりがいがあるというか、信じ込みやすい所がある気がする。

と、そこで海男がこっちに向かって聞いてくる。

 

「さて、そういうわけだが、うずめとねぷっちと光樹はどうする?オレとしては三人が来ても構わないけど。」

 

それを聞いて、少し考え込む。やはり俺としてもこの世界の崩壊の原因は知りたい。知らなければならない、どうしてこうなってしまったのか。そう思うと、自然と体に力が入るようになってくる。いわゆるやる気のスイッチが入ったようなもんだ。

それに少し退屈していたところだ。やはり、体を動かしたいというのもあった。

考えは決まった。だから海男に賛成の旨を伝える。

 

「んー。ここにいても、特にすることないし、俺も付いて行くかな。ねぷっちと光樹はどうする?」

 

ねぷっちと光樹にもどうするか聞いてみる。すると、答えはすぐに返ってきた。

 

「うずめが行くならわたしも行こうかな?光樹は?」

 

「俺も付いて行くよ。一人で留守番するのも悪くはないと思うけど、退屈だろうし。」

 

「なら、みんなで行こうか。」

 

海男が言った後、俺たちはその場所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

海男に案内されてやって来たのは、内部に巨大な装置の置かれた施設の一室だった。部屋の大きさはかなりの広さで、それらを考慮してここは重要な場所であったのだろう。埃はかなりかぶっていて、咳き込みそうになるが、まだ機械は動きそうなくらい目立った破損なんかはない。

部屋に入ったうずめが、内部を見て言う。

 

「へぇ、この街にもこんな場所があったのか。にしても、なんだこの装置?動くのか?」

 

やはりうずめも、あの巨大な装置に目がいった。後ろに居るネプテューヌも、驚いて様子を見せていた。

先程の質問に、海男は答えた。

 

「オレも見つけた時は驚いたよ。まさか、ここまで綺麗な状態で残っている物があると思わなかったからね。」

 

どうやら海男も、ここまで無傷で残っているものがあるとは思わなかったようだ。これだけの大きさの装置なら、分かる物も多いはずだ。

だが、呼ばれた当の本人のネプギアは、俺達とは違った意味で興味津々していた。ネプギアは嬉しそうな声で海男に調べていいかの許可を聞く。

 

「あの、海男さん!ここ、調べちゃってもいいんですよね!」

 

その目は明らかにキラキラと輝いていた。これはもう、確実に好物を見た顔だ。俺でもこれは分かる。

ネプギアの言葉に、海男もOKを出す。

 

「何の施設かはわからないが、調べたところで困る人はもういないだろう。」

 

それを聞くと、ネプギアはすぐに装置へと駆けていく。

 

「やったー!じゃあ、さっそくここのメインコンピューターやサーバーを調べさせてもらいますね。まずは、Nギアを有線で繋いで…、っと♪」

 

そして、ネプギアによる、データのハッキン…じゃない、サルベージと装置の解体ショーが始まる。

それを見ているだけにしておこうかと思ったのだが、そこで脳裏にゼロの声が響く。

 

『光樹。私も調べる。紫の女神の妹の所に。』

 

「お前がか。調べたいことがあるのか?」

 

そんな言葉が出てくるとは思わなかった。意外とこいつも、この世界の事を案じているのだろうか。そう思った。

だが、それとは違うことが、語られる。

 

『この装置なら、この世界のネットワークに全てハッキング出来る可能性がある。もしかすると、何か使えそうな兵装もあるかもしれない。』

 

相変わらずこいつは戦いの事ばっかりだな、と思う。これが戦闘馬鹿というやつなんだろうか。

だが俺のガンダムを強化できるかもしれないなら、調べてもらった方がいいだろう。なので、光樹はネプギアの所に行く。

 

「なあ、ネプギア。こいつも一緒に調べたいって言ってるから、こいつも装置に繋げてくれるか?」

 

「光樹さん。これですね、分かりました。でも、どうやって?」

 

そう言えばそうだ。どうやって装置に接続するのか分からない。困っているところに、ゼロが再び発言する。

 

『装置に接していれば、問題ない。』

 

そうなのか、と納得する。それだけで調べられるなら、実に簡単だ。すぐに光樹はシューティングスターBを装置の上に置く。すると、シューティングスターBが光り輝く。どうやら調べ始めたようだ。

 

「とりあえず、これで大丈夫みたいだから、ネプギアはこれを調べてくれ。」

 

「はい。それじゃあ調べますね。」

 

そして、ネプギアは装置のメンテナンス用のハッチを開け、調査にはいった。

 

 

 

 

数十分後、ネプテューヌが進度について聞く。

 

「どう、ネプギア。なんか面白いのあった?」

 

「………。」

 

しかし、ネプギアは一言も話すことなく、黙々と作業をしていた。

 

「おーい、ネプギアー。」

 

ネプテューヌは声をかけるが、それでもなお、ネプギアは装置を調べている。かなり集中していることが、よく分かる。こういう時に、ネプギアはとても役に立つ。

 

「………。」

 

「ガーン!まさか、わたしがネプギアに無視された!?」

 

「まぁ、すごく集中しているから、気にするなよ。懸命に調べてくれているんだから。」

 

そのネプギアの反応にショックを受けたネプテューヌに、光樹はそう言ってやる。光樹も邪魔してやりたくはなかったからだ。海男も同じように言う。

 

「そうだね。今、ぎあっちはとても集中しているようだから、あまり邪魔はしない方がいいと思うな。」

 

 

 

 

「…あれ、まさかここって。」

 

それからしばらくして、ネプギアが何かに気づいたような声を出す。すぐに俺はネプギアに聞く。

 

「どうしたネプギア。何か分かったのか?」

 

すると、ネプギアは分かったことを述べる。

 

「はい。てっきり、ここは通信系の施設かと思ってたんですが、転送施設だったみたいなんです。」

 

「転送施設?」

 

転送施設、と聞くと、思い浮かぶのは世界間を行き来する、すごい装置とかだった。もし、それが本当だったら、元の世界に帰れるんじゃないだろうか。そう思った。

 

「あ、けど、ここにあるのは、あくまで近隣の街同士を行き来する程度の装置。…そして、あくまでも私の予想ですけどこの装置を見る限り、この世界の科学レベルじゃ次元を超える装置はなさそうです。」

 

「そうか…。仕方ないな。」

 

光樹は溜息をつく。流石にそんなうまい話はないか。そう気落ちする反面、不思議とうずめと居られる時間が増えたという気持ちがあった。今帰ったとしても、まだうずめは完全にこの世界を滅亡まで追いやっている元凶であろうマジェコンヌを倒したわけではない。もし、返り討ちにあってうずめがやられたなんてことを、知りたくはなかった。だから、マジェコンヌ…そして、エクスを倒すまでは、帰るわけにはいかないと思っていた。

だが、元の世界に帰らないといけない理由もあった。それは、うずめに似た、あのオレンジの女神の言っていた、三つの世界のことだった。一つ目はこの世界だろうが、二つ目の世界は元の世界、超次元なのではないだろうかと考えていた。そして、三つ目の世界も巡らなければ、女神を救うことは出来ないのだろう。

その二つの理由の中で、光樹は迷っていた。もしこれで帰れるなら帰るべきだが、どうも俺にはこれでこの世界でやる事が終わったとは思えない。なんとか、この世界の元凶を倒してからでなければ帰れなかった。

少し考え込んでいたのが、がっかりしていることに見えたのか、ネプギアに心配される。

 

「ごめんなさい、期待させちゃって。」

 

「っ!…いや、それならそれで仕方ない。それなら別の方法を見つければいいだけだ。」

 

そうして謝った所で、突然着信音のようなものが響く。

 

「ん?この音はなんだ?」

 

うずめが疑問を口にする。音のする方を向くと、そこには装置に接続していた、ネプギアのNギアがあった。画面が点滅している。

 

「これ、私のNギアの着信音です。けど、電波がないのにどうして…。」

 

電波がないのに着信とは、それは確かにおかしい。普通、通信端末なんかは電波がなければ繋がらないはずだ。現に俺の機体も、電波を掴むことは出来ずにいる。それなのに、どうしてネプギアのNギアだけ…。

 

「通信?誰から?」

 

ネプテューヌがそう聞くと、ネプギアはすぐにNギアを手に取り、確認する。すると、その連絡主はまさかの人物からだった。

 

「えと…。あっ!いーすんさんです!お姉ちゃん、光樹さん、いーすんさんから通信が来てる!」

 

「本当か!ネプギア!?」

 

「まさかいーすんに、次元を超えて通信できる機能があったなんて、ラッキーだよ!」

 

その通信主は、イストワールからであった。まさかイストワールから通信が来るとは、これはなんとラッキーなことだろうか。ネプテューヌの言ったとおり、次元を超えて通信できる機能があったのだろうか。確か、神次元ゲイムでは、シェアを消費して、人が通れるゲートを制作したことがあるから、おそらくイストワールの機能ではないだろうか。この際その話はどうでもいい、今は通信に出る方が先だ。ネプテューヌもそれを促進する。

 

「ああ見えていーすんは、気が短い所があるから、早く出なよ、ネプギア。」

 

それを聞いて、すぐにネプギアが通信に出る。

 

「はい、私です。」

 

そして、待望の声が聞こえた。

 

『あ、ネプギアさんですか!』

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。最後の方で久しぶりにプラネテューヌの教祖様ご登場です(通信を介してですが)。これがどう影響してくるのか、次回以降にご期待を。

そういえば、もう1章に入って黒の館含めると30話になるんですね。ここまで展開の遅い小説があっただろうか、いやないでしょう(反語)。
でも、そろそろ1章は終わらせたいです。

そういえば、今日またバトスピの大会に、ヒカル君も連れて行ってきたんですよ。

うずめ「なんでまた、ひかるっちと?」

ひかるっちは言わないであげて。で、簡単に言うと、本当はバトスピの大会行く前に家に寄って、誕生日プレゼントあげようと思ったんですよ。でもちょっと進路関係で用が出来て、それで遅れそうになったから、ヒカル君に大会の場所に来てもらって、そこで誕生日プレゼント渡したんですよ。

うずめ「へぇ。いいとこあるじゃないか。で、プレゼントの内容は?」

バトスピのトリックスター(歌姫バージョン)のスリーブ。

うずめ「ちょっと待て。確かひかるっちはもうバトスピをやってないんじゃ…。」

でもトリックスターまだ好きかもってことだから、渡したんですよ。ヒカル君には、気持ちを受け取っておくと言われたけど。

うずめ「まぁ、よかったじゃないか。で、大会は?」

負けたよ…。新作の毒刃デッキで行ったんだけど…アルティメット・リーフ・シードラ二体実質破棄できたのに、場に出たアルティメット・リーフ・シードラ処理できなかった…。

うずめ「それは残念…ってことでいいのか?」

というわけで現在対アルティメット・リーフ・シードラ対策にアルティメット・アーサーと対バースト破棄に暗極天イブリース購入を検討中です。でもアーサーはともかく、イブリースが難しいです。

光樹「とりあえず、話長いから閉めろ。」

そうですね。
では次回の投稿は土曜日にしたいと思います。では次回もお楽しみに!


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第40話 元の世界との通信、繋がる

皆様、いかがお過ごしでしょうか。寒くて昼過ぎまで布団の中に入っていた、藤和木弘です。
え、勉強?いや、それがですね。親からの反対の声もあって、専門学校に行くことになりました\(^o^)/。
マスコミ系の学科志望していて、現在高校の先生に推薦書とかの準備をしてもらっています。

では話を戻しまして、第40話投稿です。
イストワールとの通信が繋がった所からの開始です。ネプテューヌ達は元の世界に帰れるのか?

では本編へどうぞ!


 

 

『良かった、やっと連絡がつきました。ネプテューヌさんと光樹さんはご一緒ですか?』

 

「はい。お姉ちゃんも光樹さんも一緒です。」

 

私はそういーすんさんに答える。まさかいーすんさんが連絡をくれるなんて、思ってもみなかった。ようやく、元の世界と連絡が取れた。そのことで心がいっぱいだった。

それはお姉ちゃんたちも同じだった。二人共いーすんさんに再開の言葉をかける。

 

「やっほー、いーすん!久し振りだね、元気してたー?」

 

「イストワール、久しぶり。よく連絡が取れたな。」

 

『三人が無事なようでなによりです。突然いなくなるものですから、心配したんですよ。』

 

いーすんさんも同じく無事であることに安堵する声を出す。やっぱり、いーすんさんも私たちが突然いなくなったことで心配してくれていたんだと嬉しくなる。

 

「ごめんなさい。何度もいーすんさんに連絡をとろうとしたんです。」

 

私はいーすんさんにそう謝る。この世界に来てから、何度も連絡を試みたが繋がらず、どうしているだろうかと考え込んでいたが、こうして繋がって良かったと思う。そして、いーすんさんは遠慮しながら言葉を返す。

 

『いえ、ネプギアさんが謝ることではありません。なにせ、三人は今別の次元にいるのですから。』

 

そう聞いて、あぁ、やっぱりそうなんだ、と思う。ここは別の次元であることは確定した。すぐにいーすんさんに返事をする。

 

「はい…。」

 

『………。』

 

と、いーすんさんが不思議そうに黙っている。何かおかしいことでも言っただろうか?

その沈黙をいーすんさんがすぐに破る。

 

『………あの、ネプギアさん。どうして驚かないのですか?』

 

「…へ?どうしてって…どうしてですか?」

 

『だって、三人は別の次元にいることが判明したんですよ?普通は驚くはずです。』

 

いーすんさんはそう語る。けど私たちはもう既にここが別の世界だってことは知っていたから、それほどまで驚かなかった。指摘されて私も確かに普通は驚くなぁと気づきました。

その話を聞いていたお姉ちゃんが得意げにそのことを語った。

 

「ふっふーん。甘い、甘すぎるよ、いーすん。こっちは既に別次元にいることは予想済みなんだなー、これが!えっへん!」

 

『まさか、ネプテューヌさんがそこまでご自分の身に起こったことを予想していたとは…。…もしかして、どこか頭を打ちました?』

 

お姉ちゃんの話に、いーすんさんも驚き、お姉ちゃんに何か起こったのではないかと心配してくる。でも本当は海男さんがその可能性があるということを教えてくれたおかげなんだけどなぁ。ネプギアは困った様子を見せる。

 

「ちょっと、いーすん!何気にそれ、酷くない!?」

 

思わずお姉ちゃんがいーすんさんにそう怒る。変な風に心配されたのが気に障ってしまったようだ。お姉ちゃんはすぐに言い返そうとするが、そこに光樹さんが事実を述べてくる。

 

「いや、別の世界に飛ばされたって分かっても、ネプテューヌは驚かなかったけど、その事実を述べたのは別の人で…。」

 

「ちょ!?光樹!わたしちゃんとそうかなーって思ってたよ!?」

 

「そうなのか?あの時はそんな風には思っていなさそうだったけど。」

 

「そう思ってたの!」

 

お姉ちゃんはそう光樹さんの言葉に反論する。お姉ちゃんとしては自分で気づいてたっていうことを示したいみたい。でも、お姉ちゃんは一度体験したことに対してはすごく対応がちゃんとできるから、それは事実なのかもしれない。でも最初の頃、すっごく驚いていたような…?

 

「とにかく、わたし、頭なんてどこにもぶつけてないし、頭の回転が速いのはいつものことでしょ!」

 

お姉ちゃんはいーすんさんに訴えかける。だけど、いーすんさんは最近の例を挙げてくる。

 

『…ですが、ネプテューヌさんといえば、最近、ぐーたらしているイメージが強く、遊ぶことにしか頭を使っていなかったような…。』

 

「おお、ネプテューヌ。言われちまってるぞ。」

 

「なんだ、ねぷっちは元の世界でも相変わらずだったんだな。」

 

光樹さんと海男さんがそんな事を口にする。お姉ちゃんの顔色がだんだんと悪く、冷や汗が出てきているように見える。そろそろ私が支えてあげなきゃいけないかな?と思った。

そこで、いーすんさんが海男さんたちの存在に気づく。

 

『…おや。そういえば、そちらにいるのはどなたでしょうか?』

 

それを言われて気付く。そうだ、いーすんさんはもちろんうずめさんたちを知っているはずがない。すぐにネプギアは二人のことについて話を始める。

 

「えと、うずめさんと海男さんと言って、この世界で私たちがお世話になっている人たちです。」

 

「うずめはね、この世界の女神様なんだよ!」

 

『そうだったのですね。三人がお世話になっているようで、なんとお礼をしたらいいものか…。』

 

「気にすんなって。おかげで賑やかで楽しいしさ。」

 

うずめさんが言ったところで、いーすんさんが少し…どころか、かなり真剣そうな顔をしながら、まじまじとうずめさんの顔を見る。まるで、昔の友人とすれ違って、本人かどうか確かめているかのように私には見えた。

だけど、そんなはずはない。だっていーすんさんがうずめさんに会ったのは今回が初めてのはずだ。それなのにいーすんさんがうずめさんをそんな風に見るなんて…。うずめさんに似た人を見たことがあるならあり得るかもしれないけど。

見つめられているのにはうずめさんも分かっていたようで、いーすんさんに問う。

 

「…どうした?」

 

「なんかすごく集中して見ているけど、大丈夫ですか?」

 

光樹さんにもそう聞かれて、すぐいーすんさんは意識を戻したように平静に戻る。

 

『あ、いえ、すみません。なんだか昔の知り合いに似た印象でしたので…。気にしないでください。』

 

やっぱり昔に見た人と似ていたんだ。いーすんさんがうずめさんを知っているなんてこと、ないよね。ネプギアは納得して少し安心したような気持ちになる。気になっていたことが解決して安心したような気持ちだ。

そこでいーすんさんが気づいたように言う。

 

『あ、そういえば、私としたことが自己紹介がまだでした。私の名はイストワール。プラネテューヌで教祖を務めさせてもらっています。』

 

「イストワールにプラネテューヌ、か。」

 

うずめさんは復唱する。と、次の瞬間。

 

「っ!?」

 

うずめさんが少し顔をしかめる。すぐに光樹さんが驚きつつもどうしたのか聞く。

 

「大丈夫か!?うずめ。」

 

『あ、あの、どうしたんですか?もしかして、おからだの調子が悪いとか…。』

 

いーすんさんもその様子を見て心配する。そういえば、前にもこんなことあったような…。

心配されたうずめさんは、すぐに平静を見せ、心配を取り除く。

 

「あぁ、いや、すまねぇ、なんでもないよ。初対面なのに心配かけてわりぃな。」

 

それを聞いて、光樹さんといーすんさんも安心した顔を見せる。だけど、どうしたんだろう。前に同じことがあった時には、確かお姉ちゃんがプラネテューヌから来たことを言ったときのはずだ。

もしかして、プラネテューヌが何か関係があるんだろうか。ネプギアはそう考えた。が、そこで海男さんが話の続きに話題を戻す。

 

「うずめ、オレにも挨拶をさせてくれないか。」

 

「お、そうだったな。わりぃ、わりぃ。」

 

うずめさんがすぐに場所を変わる。そして、海男さんが自己紹介を始める。

 

「はじめまして、海男と申します。以後、お見知り置きを。」

 

『海男さん、ですね。三人がご迷惑をおかけしております。…特にネプテューヌさんが。』

 

「いえいえ。元々こちらは寂しいくらいだったからね、少しくらい賑やかな方が丁度いいさ。」

 

『そう言っていただけると、こちらとしては安心します。』

 

「なんだろう…この保護者同士のような釈然としない会話…。」

 

「俺たちはガキかなんかかよ…。」

 

そんな会話にお姉ちゃんとうずめさんが納得がいかなそうな表情をしながら呟く。私から見ても、なんだか保護者と先生との三者面談をしているように見えた。だけど、光樹さんはそれをからかうような言葉をかける。

 

「なんか自分の言われたくないことを親に勝手に言われて「なんでそんな事言うんだよ。」って思ってる子供みたいな顔してるぞ、ネプテューヌ、うずめ。」

 

「そう言われるとほんとにそう思うからそれ以上は言わないで?」

 

「なんかそう言われると腹が立つんだが…。」

 

「オッケー。これ以上は言わないよ。」

 

光樹さんは笑顔でそう返した。まだ二人は納得しなさそうな顔はしていたけど、とりあえず二人共それ以上は言及しなかった。でも光樹さんさっきは怒ってる二人を相手によく引かなかったなぁ。いつもなら引きそうな気がしたんだけど、戦っていくうちに度胸とかが付いたのかな?と思った。

けど、下の方を見ると、足が少し震えていた。…やっぱり怖かったんだ。

と、そこに海男さんがうずめさんに冗談交じりの事を告げる。

 

「俺にとってのうずめは、子供みたいなものだけどね。」

 

「…え!?俺って、海男の子供だったのか!?」

 

うずめさんはそれを真に受ける。流石にそれを信じるのはちょっと…と思う。海男さんもなかなか冗談を言う人だったんだなぁ。

そんなうずめさんに光樹さんがツッコミを入れる。

 

「いや、その理屈はおかし…」

 

だけど、そう言いかけたところで、これもまたその言葉を真に受けたお姉ちゃんが話に割って入る。

 

「衝撃の事実発覚だよ!うずめが魚人ならぬ、魚神だったなんて!?」

 

「ちょ…ネプテューヌ何言ってんだ。」

 

「なら、俺ってエラ呼吸もできるんじゃないか!?これなら、魚どころかエビやカニも取り放題だ、やったぜ!」

 

「ちょっとー?うずめさーん?話聞いてるか?あと俺はエビとカニは特にだめだぞー。」

 

光樹さんの制止も聞かず(最後の方は光樹さんの願いだったけど)、二人はその話を更に掘り進めて行く。

 

「じゃあ、今夜は豪華にカニ鍋だね!わーい、やったー!」

 

お姉ちゃんがそう喜ぶ。カニ鍋なら、とても豪華でおいしいから私も賛成だけど、うずめさんが別に海男さんの本当の子供ってわけじゃないから、必ず取れるってわけじゃないんだけどなぁ。ネプギアは少し対応に困る。

 

「オレは、比喩として言っただけなんだけどな…。」

 

『海男さんも苦労しているんですね。心中をご察しします。』

 

海男さんもまさかここまで話が大きくなるとは思ってもみなかったらしく、少し困りつつもそう話す。いーすんさんもそんな海男さんに同情する。

だけど、そんな中ネプギアはこのまま話していたら大事なことも聞けないだろうと思い、すぐにいーすんさんに話そうと思っていたことについて話す。

 

「ところで、いーすんさん。元の世界に帰る方法を知りませんか?私たちだけじゃ、ぜんぜん方法が思いつかなくて…。」

 

それを聞いたいーすんさんはすぐに大丈夫であることを話す。

 

『それでしたら、安心してください。ネプギアさんのNギアを仲介して、そちらの世界の転送装置とこちらの転送装置をリンクさせることで、三人を転送させることが可能です。』

 

ネプギアは解決策を聞いて安心する。よかった。これで元の世界に帰れる。お姉ちゃんや光樹さんも同じように喜ぶ。

 

「おおーっ!さすが、いーすん!いつの間にかハイスペックになってわたしも鼻が高いよ。」

 

「別にネプテューヌが鼻が高くなるところじゃないだろ?でも、本当に助かるよ、イストワール。」

 

喜びにふけっていた三人だったけど、いーすんさんがその条件を話す。

 

『…ただ、その代わりエネルギーとしてこちらの世界のシェアを大量に消費するのでその点は注意してください。』

 

「大量のシェアを…それと引き換えに帰るって、少しためらっちゃうな。」

 

光樹さんの反応は正しい。シェアは人々からの信仰心だ。シェアを集めることは予想以上に大変だ。光樹さんのその発言はそれを知ってのことだろう。これはお姉ちゃんもためらうかな、と思った。

だけど、お姉ちゃんは予想に反した発言をする。

 

「帰れるんだったら、そのくらい余裕余裕。ネプギアと光樹が頑張ってくれるもんね。」

 

うん、確かに私と光樹さんなら…って、ええ!?

 

「お姉ちゃんは!?」

 

「おい、ネプテューヌ!さらっと自分だけサボろうとするなよ!!」

 

思わず驚く。お姉ちゃん、流石にそれは駄目だよ!

それを聞いていたいーすんさんも、頭に手を当てて、気難しそうな顔をする。

 

『なに馬鹿なこと言ってるんですか。それこそ、ネプテューヌさんのお仕事ですよ。帰ってきたら、みっちり働いてもらいますからね。』

 

それには私も納得せざるを得ない。私や光樹さんが手伝うにしても、女神であるお姉ちゃんが働かなければ、意味がない。それにお姉ちゃんが働けば、すぐにシェアが戻ることは間違いないはずだ。その為にも、お姉ちゃんにも働いてもらう必要がある。

すると、お姉ちゃんは表情を残念そうにする。

 

「えー…。なら、わたし、ずっとこっちの世界にいようかな。」

 

「早速サボり発言が出たな。」

 

光樹さんも呆れてそう口にする。けど、お姉ちゃんだけこっちに残して帰るわけにもいかない。お姉ちゃんが帰りたくなるよう、ネプギアは説得する。

 

「そ、そんなこと言わないで、帰ろうよ。私も手伝ってあげるから、一緒に頑張ろ。ね、お姉ちゃん。」

 

「ほんとに手伝ってくれるの!わーいやったー!」

 

『まったく、ネプギアさんはいつもそうやってネプテューヌさんを甘やかすんですから…。』

 

お姉ちゃんはすぐに歓喜の声を上げる。どうにかお姉ちゃんをやる気に出来たみたいだ。これで大丈夫かな?と思っていたんだけど…。

 

「でもまあ、俺は関係ないよな…。…じゃあ手伝わなくても…。」

 

そんな抜け駆けをするような言葉を口にしていた。けれど、そこをいーすんさんは逃す気はなかった。すぐに光樹さんを引き留めるように言い放つ。

 

「光樹さん?光樹さんももちろん手伝ってもらいますよ。ここに置く代わりに何でもするって言ったのは光樹さんですよ。」

 

「………スミマセン…。」

 

その表情には、平静を保っていたが、明らかに負のオーラが見えた。これには光樹さんも流石にヤバいと思って、素直に従った。これが居候と家の主の関係なんだと学ばせてもらった。その怖さが伝わったのか、お姉ちゃんも少し苦笑いのような笑みを見せる。

そこで光樹さんが話を再び本題へと戻す。

 

「それで、イストワール。俺達は今同じ世界でのみ転移できる転送装置があるところにいるんだ。」

 

『本当ですか。』

 

「はい。それでも、転送は大丈夫なんですか?」

 

普通考えれば、性能不足で転送は不可能ということになると思っていた。けど、いーすんさんは言う。

 

『はい。転送装置であれば、何でも問題ありません。では、今繋がっている転送装置を使わせていただきますね。』

 

そう答えると、いーすんさんが何かを操作している様子が見えた。おそらく、電子キーボードを操作して、転送装置を調整しているんだ。

その様子を見ていたうずめさんがこちらに話しかけてくる。

 

「なんか、あっさり帰れそうな感じだな。」

 

「そうだね。早く帰りたいと思ってたけど、いざこうしてみると、名残惜しいよ。」

 

「そうだな。いつかはそうなるとは思ってたが、まさかこんなに早くまた一人になるとはな。」

 

お姉ちゃんの言葉に、うずめさんも少し寂しそうに返す。そこで、私もそのことに気づく。

 

(あ、そっか。私たちが帰ったら、また一人ぼっちになっちゃうんだ。)

 

うずめさんが一人に戻ってしまうのを思うと、心が苦しくなる。もちろん、帰りたいとは思っていた。でも、それを聞いて、決心が揺らぎ始める。それでも帰りたいという気持ちを優先させようとする。それに、まだ戦いは終わっていない。

 

「けどさ、出会ってたった数日だったけど、すっげぇ楽しかったぜ。」

 

「ぎあっちも、元気でな。」

 

それでもうずめさんは笑顔を見せる。少ししゃべり方におかしなところがあったけど、それもきっと、私たちに変な心配をさせないためだ。海男さんもそれに続いて送りの言葉を投げかける。それらの言葉に対し、私は謝罪を含めて答える。

 

「う、うん。けど、ごめんなさい。せっかく手伝ってもらったのに、この世界のこと何もわからないままで。」

 

「ぎあっちが気にすることじゃない。あとは、オレが気長に調べるさ。」

 

力になれず、申し訳ないという気持ちを含めた言葉だったけれど、海男さんは気にしないと答えてくれた。それは嬉しいけど、でもやっぱり、せめてこの原因は調べておきたかったという気持ちが先行く。そう思っても、やっぱり帰るのが最優先だろう。

そう思ったんだけど、そこで電子キーボードを操作していたいーすんさんが突然声を出す。

 

『…あれ?おかしいですね、そちらの装置にアクセスできません。』

 

「…もしかして。いーすんさん、装置を調べるのでちょっと待ってください。」

 

すぐにネプギアは装置を再び調べ始める。それを聞いて、まさか、と思ったのだ。最悪のことになっていなければいいけれど、もしかしたら…。

そんな不安と、後ろで待っているお姉ちゃんたちの心配そうに見つめる視線を背中に受けつつ、機械を分解していった。

 

 

 

 

調べた結果、最悪の事態であることがわかった。ネプギアは全員に伝わる声の大きさで呟く。

 

「…やっぱり。この装置、壊れてます。」

 

装置の故障、あまり考えたくはなかったけど、予想していた問題ではあった。建物がきれいだったから、大丈夫かなと思っていたけど、まさかさらに分解して気づくなんて…。

それを聞いて、いーすんさんも困った様子を見せる。

 

『…そうですか。それは困りましたね。装置が使えないとすると、他に方法が…。』

 

だけど、方法がなくなったわけではなかった。これくらいの損傷なら、もしかしたら直せるかもしれないからだ。すぐに私はいーすんさんにそのことについて言い出す。

 

「なら、私が直します。調べてみないとわかりませんが、見た感じあまり損傷はないみたいなので、たぶんできると思います。」

 

「へぇ。機械に強いとは思ってたけど、こんなモノまで直せるなんてすげぇな。」

 

「なんてったって、わたしの自慢の妹だからね!」

 

うずめさんの驚きに、お姉ちゃんがそう答える。お姉ちゃんがそこまで私に頼ってくれるのだから、ここで失敗することは許されない。

お姉ちゃんたちはそのままお姉ちゃんの特技の事について話を始めていた。と、そこに加わらなかった光樹さんが声をかけてくる。

 

「今回はネプギアに頼るしか手はないな。力を貸せないのは悔しいけど、頼むぞ、ネプギア。」

 

「はい、必ず修理してみせます!」

 

光樹さんのその言葉を聞いて、力が入る。今まで光樹さんにはいろいろと助けてもらってきた。今回は私が光樹さんを助ける番だ。

すると、突然機械音声が鳴る。今度はゼロさんだ。

 

『紫の女神の妹、私も力を貸す。』

 

「本当ですか。ありがとうございます。」

 

ゼロさんも手伝ってくれるのなら、作業は楽になりそうだ。けれどたぶんゼロさんは手なんてないから、修理に必要な物を調べてくれるのかな、と思う。

 

『では、ネプギアさん。修理が終わったら連絡をお願いします。おそらく、今と同じような環境であればNギアで通信ができるはずです。』

 

「わかりました。それでは、修理が終わったら連絡しますね。」

 

そう言った後、通信は切られる。そこで海男さんがこちらに聞いてくる。

 

「オレたちに手伝えることはあるかい?」

 

「一先ず、装置が故障している原因を調べてみようと思うので、みなさんは自由にしていてください。」

 

「またまたー。本当は手伝ってもらいたいのに遠慮しちゃってー。ベールほどじゃないけど、古今東西のゲーム機に熟知したわたしにかかれば転送装置の分解くらい楽勝だよ!」

 

お姉ちゃんは構ってほしそうにしながら発言する。確かに本当はこれだけの機械を調べるから、人手は欲しいけど、まともに機械をばらせるのは、たぶん私だけだ。他の人に手伝ってもらって、配線を間違えたとかの事故を起こさないために、今回は一人(正確にはゼロさんもだけど)でやった方がいいと思う。

けれどお姉ちゃんをがっかりさせたくはなかったので、どうにかして断る理由はないかと考える。すると、それを察したのか、光樹さんがお姉ちゃんに言い聞かせる。

 

「ネプテューヌ。今回は諦めろ。」

 

「えー、でもここでかっこいいところを見せれば、きっとわたしの有能さをみんながわかって…。」

 

「失敗して……イストワールに怒られたくないだろう?」

 

光樹さんの、その悲しみと恐怖が混じった言葉を受けてお姉ちゃんも納得したのか、「あっ…。」と声を発した後、お姉ちゃんは黙った。助かるけれど、何故か悲しくなってしまう。

 

「光樹がねぷっちを諭すとは…やはりさっきのイストワールが怖かったみたいだね。」

 

「でも、助かりました。…わりとお姉ちゃんにはおとなしくしてもらいたかったから…。」

 

「ガーン。」

 

海男さんに本音を言う。それを聞いていたお姉ちゃんはショックを受ける。でも、お姉ちゃんの気持ちは、ありがたく受け取るからね?元気出して!

それらを踏まえて、うずめさんが提案する。

 

「そういうことだから、こっちはぎあっちに任せて俺たちは他を調べてみようぜ。」

 

提案に全員納得し、全員がするべきことをするために部屋から順に出ていく。残ったネプギアは光樹から渡されたゼロの宿る星形ペンダントを首からかける。

 

(私も頑張らなきゃ!)

 

そう意気込むと、ゼロさんからの解体法を聞きつつ、分解を始める。

 

TO BE CONNTINUED

 




今回はここまでです。残念ながら壊れていて帰れなかったですが、ネプギアはちゃんと直せるのか?次回で分かります。

あ、そういえば関係ないことですが、前回のあとがきで言っていたバトスピの新作デッキの毒刃デッキ完成いたしました!

光樹「テストプレイやったけど、何あの制圧力。笑えないんだけど…。」

光樹君には想定敵としている青緑連鎖アルティメット・リーフ・シードラ入りでやってもらったけど、強いね、毒刃デッキ。一回全部のアルティメット・リーフ・シードラ毒刃で破棄するとかすごいよ。召喚されても多彩なバーストとバースト破棄を飛び越えて暗極天のUハンドでアルティメット・アーサー召喚出来たし、これは凄い。

光樹「もうテストプレイとかやりたくない…。」

でも光樹君が普段使っている白緑ラグナ・ロックなら勝てるかもな。

光樹「確かに。疲労には弱そうだな。で、そろそろ締めるか。」

そうだね。
では次回の投稿は金曜日です。
次回もお楽しみに!


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第41話 不足したパーツと昼ごはん

光樹「どうも皆様、お元気でしょうか、主人公の和藤光樹で…」

うおおおぉぉぉぉ!うずめの同じ…

光樹「虚空陣奥義 悪滅!!」

目がー!目がーー!!

光樹「いい加減エロネタは自粛しろとあれほど言ったのに!アンタって人はぁ!!」

やめて!ANカタナの柄で頭叩くのやめて!ちゃんとやるから!

光樹「なんで最初の紹介のところやらせたかと思えば…とにかくいつも通りやれよ。」

はい。藤和木弘です。こっちでは雨が降っています。
では第41話投稿です。今回の話は装置の修復とうずめの妄想タイムです。

それでは本編へどうぞ!


ネプギアに修理を任せて、一時間くらいたったころ、わたしはネプギアに作業の進捗状況を聞く。

 

「ネプギアー。どう、動きそう?」

 

そう聞いてみたけれど、ネプギアはこっちに気づいていないかのように、装置の中身について呟く。

 

「へぇ、こんな仕組みになってるんだぁ。この配線はなんだろう…。」

 

『紫の女神の妹、この配線は…』

 

ゼロと話してるのが少し気になるけど、邪魔する気はないから、そのままスルーすることにする。一時間したら、また戻ってこようと思う。それくらいしたら、何か分かるかもしれない。ネプテューヌは部屋を出る。

 

 

 

 

さらに一時間後、今度はうずめがネプギアに進み具合を聞く。

 

「おーい、ぎあっちー。まだかー?」

 

うずめはなんだか待ちきれないような様子で聞いたけど、ネプギアはまた同じように装置の分かったことについて発言した。

 

「あ、ここの配線が切れてたんだ。」

 

『ならばこの配線を代わりに繋ぎなおすべきだ。』

 

「やっぱりそうですよね…っと、出来ました。」

 

ネプギアの周りには結構部品が散乱してたけど、それにすら構わず手を動かして作業をしていた。ゼロもちゃんとネプギアにアドバイスをしているから、作業はちゃんと進んでいるみたい。

けど、結構時間かかってるなぁ、とわたしは感じた。機械に関して結構な知識を持つネプギアも、やっぱりこんなのを分解して修理するのは大変なんだと理解する。だとすると、応援したい気持ちが出てくる。けど、もし表に出してやったら、光樹に何か言われそうな気がする。ちなみに、光樹は海男と何かについて話していた。何の話までは分からなかったけど、表情は割と暗いかなと思った。たぶん、深刻な問題について話してたんだと思う。

と、ここでうずめがこっちに来る。

 

「ぎあっち、結構時間かかってるな。やっぱりこんなに大きな装置の修理なんてやったことないのか?」

 

「うん。今までロボットとかの修理はやったことあったけど、転送装置みたいな大きなのなんてやったことないからね。」

 

「ロボットを直したことがあるのか。そりゃすげぇな。」

 

うずめは笑いを含みつつ驚く。確かに今までいろんなものを直してきたネプギアだけど、まだ直らないなんて、正直驚いていた。

でも、初めてみる物だから手間取っているんだろう。誰だって初めて見る物は対応って遅れるものだ。そう切り替えると、うずめに言う。

 

「きっと、もうすぐだから、ここで待ってよ?」

 

「そうだな。ねぷっちが言うんだから、もうすぐだな。」

 

二人は壁にもたれこんで、ネプギアが転送装置を直すのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプギアに装置の修復を任せて三時間後、光樹はようやく装置のある大部屋に戻ってきていた。

ここまで戻るのが遅れた理由はただ一つ、海男と共に、光樹自身の見る不可解な夢のビジョンについてと、これからの行動について話し合っていたからだ。

不可解な夢のビジョンとは、メガミブレイカーを開発した、あの開発室の一件で見るようになった、ブラッドゼロ(今思えば、シュバルトゼロ天)に似たガンダム二機が戦っているものだ。どう考えても不安しか感じさせないものであったため、自分の中だけに収めておこうと思ったのだが、海男ならもしかするとなぜ見るのか分かるかもしれないと思ったのだ。

早速、海男にそのことを話したのだが、返ってきたのは、やはり海男にもその理由は分からないということだ。まぁ、当然だろう。人がなぜ夢を見るのかなんて、誰にも分からないことだ。

だがしかし、海男はそれにある一つの仮説を立ててくれた。それは、「予知夢」であるという可能性だ。予知夢とはいわゆる未来をあらかじめ無意識に予知して、それが現実になるということだ。正夢との違いはあるらしいが、それについてはよく分からなかったので省くが、俺が見たのも、その予知夢であるかもしれないということだった。

しかし、そう言った海男も、予知夢の証拠は何もないから、あまり深く考えない方がいいと言っていた。確かに、そのことにばかり気を取られてその戦いの前に死んでしまっては、意味がない。今は次の戦闘に集中することが重要だろう。

そして、これからの行動についてだが、海男からは帰ることを最優先にと言われた。確かに俺達は帰るべきなのだろう。だがいくらダークメガミとエクストリィムを倒したとはいえ、まだマジェコンヌやエクスも残っている。どうしても、光樹にはうずめの事が心配であった。ところが、海男はうずめも光樹達が帰ることを願っていると言った。そう言われると、うずめの気持ちを理解すべきなのだろう。光樹は閉口してしまった。

悩んだ末、光樹はうずめがどう思っているかを聞くために、うずめ達がいるであろう装置の場所に戻ってきたのである。それで、肝心のうずめだが、ネプテューヌと一緒に壁にもたれこんで寝ていた。おそらく、かなり疲れていたか、余程退屈だったのだろう。ここはうずめの為に起こさないことにした。話なら後で聞けばいいことだ。

そうすると、今度は光樹が暇になった。そこで、ネプギアの方に声をかける。

 

「ネプギア、ゼロ。装置の方の様子はどうだ?」

 

十分聞こえるような声で言ったが、それには気づかないように二人(?)は修復に没頭していた。

 

「あ、ここの基盤壊れてる。どうしよう。」

 

『それならこちらの基盤を使うことを勧める。転送などには特に影響はないはずだ。』

 

「分かりました。」

 

その黙々と進める姿は、いかにもメカニックと言うべき姿だった。これは無理に話を聞いてもらおうとすれば、怒られるのは必至だ。

となれば、ここはネプギアとゼロが修復を終えてからの方がいいだろう。まあ、その時にはもう修復は完了しているだろうから、聞くことは無くなっているだろうが。退屈だなと思った光樹は、ネプテューヌ達と同じように、壁にもたれて作業が終わるのを待った。

 

 

 

 

それから一時間後…。

 

 

 

 

「………眠…。」

 

光樹は寝かけていた。作業が終わるまで起きていようと思って待っていたら、二時間も経ってしまっていた。腕に着けた、ゲイムギョウ界に来てから買った時計はその時間を教えてくれた(ちなみにこの時計は珍しいアナログ式だったので、来てから時間を合わせた)。

このままだとネプテューヌ達と同じように眠りこけてしまう。ちなみにネプテューヌ達は、来た時と変わらず眠り続けている。

 

「Zzz…。」

 

「もう食べられないよぉ…。」

 

ネプテューヌが寝言を言う。どうやら、いっぱい食べ物を食べている夢を見ているらしい。大方プリンだろうが、そんな楽しい夢を見られてうらやましいと感じる。何せこちらはこっちに来てから、自分がやられる不吉な夢しか見ていないのだから。

そんな事をよそに、何かを発見したネプギアが急に声を上げる。

 

「凄い凄い。この基盤、G.C.1988って書いてある。88年製の基盤なんて超レアだよ!」

 

話している意味が眠気のせいか全く分からなかったが、簡単に言えば、お宝が見つかったようだ。どれだけ凄いのかは見当つかないけれども、ネプギアが驚くほどなのだから余程のことだ。けど、まだ修理は終わらないのだろうか。そのことだけが光樹の頭の中を巡る。しかし当然、早く終わってほしいという考えはネプギアには届くはずもなく…。

 

「そうだ!ここをこうして、ちょっといじれば、この基盤は使わなくても済むから、一枚くらいもらっちゃってもいいよね。」

 

といいだす始末である。流石にこれにはゼロも困ったようで、浮かれているネプギアに進言する。

 

『紫の女神の妹、早く作業を終わらせよう。光樹が寝るのを堪えて待っている。』

 

「え!!…あ、光樹さん。それにお姉ちゃんとうずめさんも。」

 

ようやく、光樹達がいることに気づいた。というか、当然うずめ達も作業中のネプギアに声をかけたはずなのにここまで気づかないとか、ある意味賞賛物である。

 

「ようやく気づいたか。」

 

「す、すみません。ちょっと集中してて…。」

 

ネプギアは申し訳なさそうにその時の状況を語る。話によると、自分が昔に見た物にそっくりだったから、心の中で興奮していたからとのことだ。

まぁ自分も興味のある物を見れば同じようになるだろう。そう考えた俺は気にしないようにと伝える。

 

「まぁ、それは仕方ないことさ。それで、修理の状況は?」

 

「はい。使用できなそうなものは他で代用したりしているので問題ないですけど、それでも部品が足りない部分があります。」

 

それを聞くと、光樹はうなずく。この調子なら問題なさそうだが、気になるのはやはり部品が足りないということだ。この世界で、その部品が入手出来るのだろうか。もし入手できなければ…と思うと、少し怖くなる。

だがそんな余計な心配をネプギアにもかけるわけにもいかない。光樹はそのまま修理に集中するよう頼む。

 

「じゃあ、引き続き頼むぞ。ネプギア、ゼロ。」

 

「はい!」

 

『了解。』

 

その事を伝えると、光樹はまた壁にもたれこんで待とうとする。が、そこで突然、強い眠気が襲う。何とか意識を保とうとするが、だんだんと意識が遠くなってくる。

それによって気づいたが、なんだかまた体に疲れが溜まってきている気がする。朝起きた時にはすっかり抜けていたのに、まさか今になって疲れが出てくるなど、思ってなかった。意識をはっきりさせようとするが、予想以上に眠気が強い。

 

(仕方ない。今回は寝るか。)

 

光樹は壁に体を預け、深い眠りに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「できた!」

 

作業が終わって、ネプギアは叫んだ。問題は残っているけど、直せるところまでは直すことが出来た。けど、かなり時間がかかったなぁ、と思う。Nギアを見ると、作業を始めたのが午前六時くらいだったけど、今はもう午前十一時になるから、五時間くらいかかってしまったことになる。お姉ちゃんたちも前に見た時、寝ていたから、起こさないと。

けど、すぐにお姉ちゃんたちが寝ていた方を見ると、すでに二人とも起きていた。どうやらさっきの声で起きたみたいだ。また、光樹さんも同じように眠そうにしながら起きるのが見えた。

 

「それで、転送装置は動きそうなの?」

 

お姉ちゃんの言葉に、少しビクッ、とする。やっぱりそれは聞いてくるよね。

一応直せたのは直せたけど、言わなくちゃいけないことがあったからだ。すぐに私は全員に言う。

 

「それが、直せるところは直したんだけど、二つ問題があって…。」

 

「問題って…何かやばいのか?」

 

光樹さんが聞いたところで、私に代わって手に持っていたデバイスからゼロさんが話し始める。

 

『一つはこの装置のコアとなっているパーツの劣化。かなり激しく、替えのパーツが必要。』

 

「そうなんです。他のは応急手当でなんとかなったんだけど…。私もまだまだだなぁ…。」

 

ネプギアは気落ちする。直せなかったのは自分の実力不足だと思っているからだ。もっと自分の実力を伸ばさないと。その考えで頭がいっぱいになる。

けれど、うずめさんはそんな事は気にせず、直したことを賞賛する。

 

「…いや、十分凄いと思うぞ。それで、もう一つの問題ってのはなんだ?」

 

うずめさんの聞いてきたもう一つの問題、そのことについて率直に述べる。

 

「エネルギーがないんです。装置を動かすのには大量のエネルギーが必要なんですけど、この建物にはほとんど電力が残ってないみたい。」

 

「なるほど、どちらも難しい問題だね。」

 

海男さんもそのように発言する。どちらもこの世界では達成しにくい問題であった。パーツが見つかる可能性は極めて低い。それにエネルギーの方も膨大な量が必要になるから、そんな量のエネルギーがどこかにあるとは思えなかった。幸い、エネルギーはコンデンサタンクの中に供給できるものであれば何でもいいみたいだから、乾電池をたくさん入れれば確保できる。けど、当然乾電池のエネルギー量だと少なくとも新品の単三電池約十万本が必要とゼロさんが計算していた。流石にそんな量、あるわけがない。

だけど、うずめさんはパーツの問題を打開する策を提案する。

 

「いや、パーツなら探してみようぜ。これだけ広い街なんだ、代用できそうなものがあるかもしれない。」

 

確かにこの街の中で見つかる可能性は少なくないだろう。機械店だったところに偶然あることもあるかもしれない。それ以外にも見つけたジャンクパーツから代用品を作るなんてことも夢ではない。

でももう一つの問題は難しかった。海男さんがそれについて言及する。

 

「けど、エネルギーはどうするんだ?パーツの替えが見つかっても、エネルギーがないんじゃ動かないぞ?」

 

その発言を聞いたうずめさんは、その内容を踏まえつつ、返す。

 

「それについては、あとからだ。今考えたって正直思いつかねぇよ。」

 

「そうそう!もしかしたら、パーツ探してる時に解決策が見つかるかもしれないしね!」

 

お姉ちゃんもその考えに乗る。うずめさんの言う通り、エネルギーに関しては後から考えるというのはあながち間違ってはいない。パーツが見つかった場所が、ここと同じような施設だった時にそこからエネルギーを持ってこれるかもしれない。

だけど、ネプギアは心配していた。そんな無計画で上手くいくのかなぁ、と。考える前に行動するのはいいことだ。でもエネルギーがなければ、装置を動かすことすら出来ない。

それと同じことを考えていたのか、光樹さんが真剣な表情をしていた。なぜなのか気になって声をかける。

 

「光樹さん。光樹さんもエネルギーについて考えているんですか?」

 

「ん?あぁ。ちょっと考えてることがあってな。打開策としてさ。」

 

少し驚く。まさか光樹さんはもうエネルギーについて策が一応とはいえ出来ているとは。さすが光樹さんだ。

 

「どんな策なんですか?」

 

そう聞くと、少し困った表情を見せてからこう言った。

 

「けれども、ゼロと相談する必要はありそうだからさ、ゼロと話し合ってからでいいか?」

 

「そうですか…すみません。ちょっと期待しちゃって。」

 

「いや、こっちも期待させることを言って悪い。」

 

光樹さんに謝ってから、すぐに私はゼロさんの宿ったペンダントデバイスを返す。ゼロさんと相談してからということから、まだ解決できるわけじゃなかったけど、まだ可能性はある。それなら、その時のためにもパーツを見つけなければ。

 

「エネルギーは光樹の方で何か考えてるなら、俺たちはまずは、パーツ探しに行こうぜ。」

 

うずめさんがそう言った後、私たちは街へパーツ探しに出かけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこにもないねー。」

 

わたしはそう呟く。ネプギアの装置の修理が終わって一時間ほどの間。ネプテューヌ達は街のあちこちを探し回っていた。探しているのはもちろん、転送装置のコアの代わりになるパーツだ。けれど、建物の中も調べてみたけど、それに代わるものはまったくと言っていいほど見つからなかった。

そこでうずめが見つからないことに困りつつ、これからの行動について話す。

 

「他にも似たのがあると思ったんだがなぁ。とりあえず、飯でも食って午後はもう少し遠くに行ってみようぜ。俺もう腹ペコでさ。」

 

ナイスタイミングな提案だった。確かにそろそろお昼ごはんにするのが丁度いい時間だ。ネプテューヌのお腹も空いてきている。すぐに賛成の言葉を上げる。

 

「さんせー!じゃあさ、お昼ごはんどうする?」

 

「そういえば、そろそろいい時間だな。ネプギア、疲れてるところで悪いけど何か作ってくれるか?」

 

「はい。うずめさんは、なにか食べたいものありますか?」

 

「やっぱ、肉だな、肉。肉食わないと力でないしな!」

 

ネプギアの質問に、うずめはそう答える。予想はしていたけど、でもやっぱり豪快に食べたいんだろうなぁ。

けれど今のわたしは、まさにごはんといえるものを食べるのもいいけど、ここは別の物を食べたかった。ネプギアがちょうどわたしと光樹にも質問してくる。

 

「お姉ちゃんは?光樹さんも何かありますか?」

 

その質問に、光樹はすぐに答える。

 

「肉か。俺も割と肉が食べたいとは思うけど、今回は何か別の物で頼む。」

 

どうやら光樹もわたしと同じように違うものが食べたい気分なんだ。けれどまだ何にするか決まっていないようだ。

だとすればわたしの言ったものが採用される可能性はあった。そこですぐにネプテューヌは自分の食べたいものを言う。

 

「お肉もいいけど、わたし的には、あまーいスイーツをお昼ごはん兼おやつにする案を提案したいな!」

 

それを聞いて、うずめがすぐに反応する。

 

「スイーツもいいかも!スイーツといえば、やっぱりクレープだよね♪うずめ的には、ホイップクリームたっぷりのいちごチョコバニラが好きかなー。」

 

妄想状態に入ってクレープの話を広げていく。どうやらうずめはその案に賛成みたいだ。さらにうずめは、ネプテューヌたちが見ているのにも構わず、妄想モードでテンションを上げて語る。

 

「いちごの甘酸っぱさとチョコレートの甘さのバランスが絶妙過ぎてもう最高なの!あーん…材料だけでもいいからどこかに残ってないかなー。」

 

その勢いに思わず全員(光樹はうずめが「あーん」と言ったところで顔を隠すように俯いていた)が唖然とする。ネプテューヌも目を丸くして表情が固まってしまう。

 

「……。」

 

「………あ。」

 

「……。」

 

うずめが正気に戻る。何も反応がないから戻ったんだろう。けれど、ネプテューヌとネプギア、光樹、それに海男は黙ったまま、うずめを見返す。

空気が重くなっていくのに耐えかねたのか、うずめが咳ばらいをする。

 

「…ごほん。…まぁ、なんだ。肉もいいけど、あんまり腹が減ってないしな!俺はねぷっちの案でも構わないぞ!」

 

何事もなかったかのように振舞った。空気がまだ重いけれど、どうやらお昼ごはんはスイーツになりそうだ。

でも海男が呆れた様子でさらっと話を戻すような発言をする。

 

「…まったく、今更隠すものでもないものを。」

 

それを聞いて、うずめが若干たじろぐような動きを見せる。言われたくなかった言葉みたいだ。戸惑っているところに、突然光樹が話の主軸を変える。

 

「べ、別にいいじゃないか、クレープでも。俺も甘いものなら今なら大歓迎だよ。」

 

それがうずめを助ける大きなチャンスだった。すぐにネプテューヌはそれに便乗するように話を進めた。

 

「じゃあ、お昼はクレープにけってーい!さっそく材料が残ってないか探しに行こう!」

 

「それなら、近くにスーパーだった建物があるから行ってみようぜ。」

 

そのうずめの発言を聞いて、すぐに二人はその方向へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、可愛いのに無理してカッコつけてるうずめさん、可愛いかも。いつかうずめさんをプラネタワー通りのクレープ屋さんに連れて行ってあげたいなぁ。」

 

ネプテューヌ達が走っていくのを見て、ネプギアが発言する。クレープ屋に連れて行ってあげたいというのは願望だからいいとして、流石に無理してカッコつけているというのはまずいのではないかと思った光樹は、ネプギアに口を出す。

 

「おいおい、ネプギア。あんまりうずめをいじるのも大概にしておけよ。」

 

軽く言ったつもりだったが、それが思わぬブーメランとして返ってくる。

 

「でも、光樹さんもさっきうずめさんが妄想しているときに笑うのを恥ずかしがって顔を隠してませんでしたか?」

 

「ぶっ!!?」

 

その返しに思わず吹いてしまう。まさかそんなところまで見られていたとは、思ってなかった。てっきりネプギアはうずめの方に集中していたと思っていたのに…。

確かに、光樹はうずめの妄想している時に可愛いと思って顔を赤らめていた。ちょうど、うずめが「あーん」という言葉を発した辺りでだ。しかし、それは仕方のないことなのではないのだろか。誰だって突然、女子からあんな言葉を聞いたら、たぶん余程の朴念仁でもない限り同じ反応をするはずだ。

しばらく考え込んでいたが、返さないといけないと思い、話を逸らす形で言葉を返す。

 

「ま、まぁそうだったとしても、それが男子としてはしょうがないことなんじゃないか?」

 

「は、はぁ…。」

 

「と、とにかく、早くあの二人に追いつこうぜ。」

 

「そ、そうですね。お姉ちゃんたちに任せてばかりいられないですね。」

 

光樹達も、ネプテューヌ達が走っていった方へと駆けていった。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
最近戦闘回が少ない気がしないでもないです。次回も非戦闘回ですが、原作知らない人だと、え、ってなるかもしれないことが起きます。

それと、今現在第1章の最終話を作成中です。ようやく第1章終わりです。第2章に入る前に黒の館で現在までの振り返りをしてから、第2章に入りたいと思います。
それから、第2章の想定OP・EDで何か案があれば気軽にどうぞ。

では次回の投稿は木曜日にしたいと思います。
次回もよろしくです!


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第42話 意味深なうずめ?

どうも皆様、いかがお過ごしでしょうか。
400字の志望理由文を書くのに四苦八苦している、藤和木弘です。ここまで手こずるとは思いませんでした(汗)。

第42話、更新です。タイトルで内容がわかる…のかな?とにかくうずめ?が意味深です。意味が分からないですね、タイトル。見ればわかると思います。

では本編へ、どうぞ!


 

ご飯を食べ終わって、街の郊外の方を探していたネプギアの目に、あるものが映る。

 

「あ、この端末はもしかして…。」

 

近づいて確認してみると、それは以前、海男さんを助けに行った所にあった物に似た端末だった。外にあったけど、そんなにひどい損傷はなさそうだった。

 

「やっぱり、オンライン端末だ。もしかして、なんか見つかるかも。」

 

すぐにネプギアはNギアを取り出して、コードでNギアとオンライン端末を有線で接続して、ネットワークにアクセスする。

少しして、ネットワークに接続することに成功した。壊れていないファイルを調べていくと、また「あのファイル」の続きと思われるものを見つけた。

 

「……あった。やっぱり、このファイルだ。」

 

そう言いながら、すぐにファイルを開いて内容を見ていく。

 

1ページ目

『□□月□□日 ぼうそうした □□□の□□□は とめられない このままでは □□□が ほろんでしまう かのじょを とめるほうほうを さがすことにした』

 

2ページ目

『□□月□□日 まるで □□□をみているようだ また □□がひとつ ほろんでしまった どうすれば とめることが できるのか』

 

3ページ目

『□□月□□日 □□□が しょうきに もどった じぶんがしたことを おぼえていた □□□は じぶんを□□□と つげた』

 

それを見て、ネプギアは思ったことを呟く。

 

「んー…。なんとなく意味がわかるような、わからないような。」

 

読んでいると、かすかに何か悪いことが起きたように思える。そして、それを起こした本人が、正気に戻ったことが分かる。

けれど、それが誰なのか。そして―――

そこで、少し体がふわっとなった感覚を感じる。まるで、無重力の中に入ったように。けれど、気のせいだと思ったその時、突然後ろから声が響く。

 

「何を調べているんだ?」

 

いきなりの事で驚きつつも、振り返るとそこにはうずめがいた。そこですぐに返事をする。

 

「あ、うずめさん。えと、この世界や国についての情報を…って、前に調べてるって言いませんでしたっけ?」

 

言っていて気づく。以前にもうずめさんにはこのことを調べていると言っていたはずなのだが、忘れちゃったのだろうかと考える。

その考えは当たっていたようで、すぐにうずめさんがいつもより少し低い、落ち着いた声で忘れていたことについて謝る。

 

「あー、そうだったな、わりぃわりぃ。で、調子はどうなんだ?」

 

「いくつか、記録は見つけたんですが、部分的にデータが壊れていて、何がなんだかサッパリです。」

 

「ぎあっちは、それを調べて何をするつもりなんだ?」

 

うずめさんが急にそんな事を聞いてきて、驚く。何をって、それは…。

けれどそれらしい理由は特になかった。けれど、気になって仕方がないのだ。それをうずめさんに伝える。

 

「ただ、気になるんです。この世界が何なのか、なんで滅びようとしているのか。私の予想ですけど、この記録にこの国が…そして、この世界が滅んだ原因が書いてあるんじゃないかって思うんです。」

 

けれど、それを知った所で、何もできないかもしれない。そもそも、私たちはこの世界とは別の世界の住人だ。知った所で何の得もしない。それでも、何かせずにはいられなかった。

 

「それがわかったからって、私ができることはなにもないかもしれないけど、それでも、知りたいんです。」

 

「…そうか。」

 

うずめさんはそう呟いた。少し黙った後、うずめさんはその口からある事を述べた。悲しそうな、諦めてそうな表情をしながら。

 

「ぎあっちなら、この監獄のような世界から解放してくれるかもしれないな。」

 

「…監獄、ですか?」

 

そう聞き返すと、うずめは話を続ける。

 

「何度もこの監獄から出ようとした。…けど、無理だったんだ。…あの青い空が懐かしいものだ。」

 

そこで、あれ?と思う。確かうずめさんはこの世界がこうなった以前の記憶はないと聞いていた。空が青いというのは常識なので、知っていることは知っているだろうけど、それでも懐かしいというのはおかしい。それに、言葉の言い回しが、少しいつものうずめさんより勢いがない…もっとわかりやすく言えば、お年寄りの人が過去を懐かしむようなしゃべり方をしている気がするのだ。

でもうずめさんはそれに構わず話を続けた。

 

「ぎあっちなら、特異点になってくれるのかもな。」

 

「…うずめさん?」

 

なんだろう。このうずめさんと話していると、とても心配になってくる気がする。

その気持ちに気づいたのか、目の前のうずめさんがこちらに気遣いの言葉をかける。

 

「おっと、変な話をしてしまったな。今のは忘れてくれ、じゃあな。」

 

その言葉を話すと、うずめさんは去っていった。そこに残ったネプギアは先程の内容を振り返る。

 

「監獄、か…。うずめさん、やっぱりこの世界にいるのが辛いのかなぁ…。」

 

さっきのうずめさんは、とても悲しそうにしていた。うずめさんもやっぱりここにいるのが辛いのだろうか。もしそうなら、なんとかしてあげたい。そう思った。

と、そこで目の前がブラックアウトする。

 

 

 

 

「おい、ぎあっち。起きろ、ぎあっち。」

 

そんな声が響いて、目を開ける。すると、顔を覗き込むようにこちらを見るうずめさんの顔が映った。

 

「…へ?あれ?うずめさん、どうしてここに?さっき、向こうにいったはずじゃ…。」

 

ネプギアの言う通り、うずめは向こうの方へといったはずなのに、なぜこちらにいるのだろう。それにこの体勢はどういうことなのだろうか。さっきまで立っていたはずなのに…。

けれど、うずめさんはそうではないことを言う。

 

「何寝ぼけてんだ?こっちにインターネッツに繋げそうな端末があるかも、って行ったっきり戻ってこないから迎えにきたんだぞ。」

 

「…そういえば、そうだったような。」

 

うずめさんの言葉で思い出す。私はそのことを告げてからすぐにこっちの方に来ていた。

ここに来るまでの事を思い出してから、うずめさんがこちらの調べたことについて聞いてくる。

 

「それで、何か見つかったのか?」

 

「あ、はい。この記録を見つけることができました。」

 

「なになに…。」

 

ネプギアが見せたNギアの画面を、うずめが目を通していく。ネプギアもその後を追うようにまた目を通していく。一応、確認のためだ。

 

1ページ目

『□□月□□日 ぼうそうした □□□のちからは とめられない このままでは せかいが ほろんでしまう かのじょを とめるほうほうを さがすことにした』

 

2ページ目

『□□月□□日 まるで あくむをみているようだ また まちがひとつ ほろんでしまった どうすれば とめることが できるのか』

 

3ページ目

『□□月□□日 □□□が しょうきに もどった じぶんがしたことを おぼえていた □□□は じぶんをころせと つげた』

 

「なんだこりゃ?わけわかんねぇな?ぎあっちは、こんなので何かわかるのか?」

 

うずめさんは思わずそう言う。けれども、そこでネプギアは違和感を感じた。

 

「…あれ?さっき見たのと、何か違うような。」

 

そう、うずめさんが来る前に見た内容と、今の内容で違っているような気がするのだ。どこがどう違うのかは詳しくはわからないが、こんな内容ではなかったような気がしてならなかった。

 

「けど、データはちゃんと見えるし、私、寝ぼけてたのかな…。」

 

けれども、ネプギアはすぐにそう切り替えることにした。きっと寝ぼけていて見間違えたのだろう。よくよく考えれば、今日は朝からずっとあの転送装置の修理にかかりっきりで、疲れていた。それがファイルに書かれていた文字を間違えてみていたんだろう。

だけど、そうだったとして、ここに書かれていることは、少し怖い気がした。「ころせ」と書いてあることなんか、とても言えるような言葉じゃない。その言葉に寒気を感じつつ、ネプギアとうずめはパーツ探しに戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、ねぷっち。瓦礫の中からこんなの見つけたぞー。ほれ。」

 

うずめはネプテューヌに瓦礫の中から出したものを差し出す。それは何かの機械の板みたいなものだった。それがどんなのか、役に立つかはうずめ自身も分からなかったが、何かに使えるなら出しておいて損はないはずだと俺は思い、渡した。

するとねぷっちはそれを見て驚く。

 

「おおっ!?これは誰もがしる超有名シューティングゲームのデッドコピー品、ゼビオスの基盤!?」

 

ねぷっちの発言から、ゲームの基盤であることは分かった。そこでそれがどういうものなのかをねぷっちに聞く。

 

「知ってんのか?」

 

知ってるも何も、オリジナル版のメーカーが仕掛けた隠し操作トラップに引っかかって、見事に偽物だってバレたのが超有名タイトルだよ!」

 

なるほどな。そんな事で有名になったのか。うずめは相槌を打つ。ねぷっちはぎあっちの作業を手伝おうとした時にゲーム機ソムリエと言っていたが、本当にゲームについてはかなり詳しいみたいだ。俺の目ではどうやってその基盤を見て分かったのかは分からなかったが、わずかな違いまで見分けられるのは凄いと思う。その気持ちをそのまま言葉で表す。

 

「へぇ、ねぷっちはゲームに詳しいんだな。」

 

けれども、ねぷっちはこっちに気を向ける間もなく、次のゲームに夢中となっていた。

 

「そして、こっちはBENTAだ!このお粗末な「BENTA」のロゴシールをはがすと…。ほら、やっぱり!正規の開発メーカー「ZECA」のロゴが出てきた!」

 

「ベ、ベンタ?なんだそのゲーム…。」

 

「お!知りたいんだね、BENTAについて。BENTAっていうのは…」

 

すぐにねぷっちは、光樹にそのゲームについて色々話し込む。その勢いに負けて、光樹はただただ話を聞くだけであった。こうしてみると、光樹は押しに弱い気がする。頼りがいがないように見える。でも、今までこうして勝ってこれたのは、光樹のおかげだ。戦うだけの覚悟があるのだから、頼りがいがある。

そう思っていた所で、ねぷっちはぎあっちの方にそのゲームの話を持っていこうとする。

 

「そうだ、ネプギアにも見せてあげよ。おーい、ネプギアー!珍しいの見つけたよー。」

 

けれど、ぎあっちは返事をしない。それでもねぷっちはまた声をかける。

 

「おーい、ネプギアってばー!」

 

その叫び声も、何かを考えているような仕草を見せて、ぎあっちは振り向かなかった。そんな様子に心配したように、ねぷっちが言葉を発する。

 

「…どうしたんだろう、聞こえてないのかな?」

 

それを聞いて、光樹がその原因を予想するために、うずめにとあることを聞いてくる。

 

「なぁ、うずめ。確かさっき、ネプギアがデータ調べていたんだよな?」

 

「あぁ、そうみたいだけど。」

 

「その時に何かおかしい様子は?」

 

言われて気付く。確かにぎあっちはデータを調べに行ってから、少しおかしい気がする。何か俺の方を気にしているような…?そのことを光樹に言う。

 

「確か、寝ぼけているみたいな様子をしてたぞ。」

 

「寝ぼけて…か。…ごめん、分からない。でも、もしかしたら、何か悩んでいるのかもな。」

 

「悩んで?」

 

ねぷっちが首を傾げる。悩んでいるかもとは言うが、一体何に迷っているのだろうか。ところが光樹は話の話題を変える。

 

「ともかく、今日は遅いから、拠点に戻ってご飯でも食べて、探すのはまた明日にしようぜ。」

 

その提案を受け、うずめたちはネプギアと合流して、拠点に帰ることとなった。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。ネプギアにあのようなことを言ったうずめは一体誰なのか?

そういえば、話が変わりますが、ネプギアがプリキュアになるそうです。

光樹「意味が分からん。ちゃんと説明しろ。」

正確には、ネプギアの声優さんの堀江由衣さんがプリキュアの声優になるそうな。

光樹「なんでそんなの知ってるんだよ。まさか、そういうのが好き…」

いや、違うんだよねー。実はマクロスΔ(デルタ)見るの忘れてるなーと思って、どの番組だったっけってことで探していたんだけどさ、その時に見つけた。

光樹「…お前馬鹿じゃねぇの?マクロスΔは春からの番組だぞ。先取りスペシャルは年末にやったけど。」

なん…だと…?

光樹「驚くほどでもないだろ。自分の確認ミスなんだからさ。」

はい。
あ、そういえば、今度私東京に行きます。3月ですが。

光樹「ほう、それまたなんで?」

うちの祖母が先祖の墓に行きたいそうです。で、その時期が丁度つなこさんのミュージアムの時期と被ったから、ミュージアム行きたいと思います。

光樹「なんと!こいつがネプテューヌ関連のイベントに行くとは、珍しい。」

もしかしたら、サイン会行ける…かも?
とにかく、行って来ます。連絡事項はこのくらいかな。
次回は水曜日がまた予定があるので、火曜日になります。
次回もお楽しみに!


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第43話 悩むネプギアと光樹の見るヴィジョンとゲームセンター

持ってくれ、俺の…俺の執筆意識!
どうも皆様、最近エクストリームバーサスフルブーストの家庭版で久しぶりにX1フルクロスを使って楽しく戦っている藤和木弘です。まだフルクロスはDLC機体が来ても戦えます!

第43話投稿です。光樹君がとある過去の記憶を見ます。それから、ゲームセンターへ一行は向かいます。

では本編へどうぞ!


 

「………。」

 

ネプギアがまた考え込むような表情を見せる。昨日から引き続いてパーツ探しをしている中、光樹はネプギアの考え込む様子を何度か見ていた。昨日の夜ごはんの時にもその様子は見ていたが、一日経ってもまだ悩んでいるとは、余程の事なのだろう。

何について悩んでいるのか寝るまでの間、考えてみたがあまり思いつかなかった。最初に考えたものとしては、パーツが壊れていて直せなかったことに対して、気にしているかと思った。だがそれだと、直せなかった時点で落ち込んでいるはずだ。しかし、探し始めた直後はまだ特に考え込むような仕草は見せてはいなかった。ということは関係がある物としては、たぶんネプギアが調べていたデータだろう。

だが昨日の内に考えた物ではなく、朝起きて朝食をとっている間に思いついたことで、その片づけをしていたネプギアに聞くのも悪いだろうということで、まだそのデータは目に通していなかった。が、近い内に目を通しておく必要はあるだろう。

そう考えている光樹だったが、光樹にも心配していることがあった。それはうずめのことであった。別に、好きだからという理由とかではないが、どうしても気になってしまう。その一つには、「夢」の中で会った、うずめの女神化した姿、オレンジハートにそっくりな姿をした少女だからというのもある。なぜか、うずめを助けたい、そう思っていた。それだけではない。まだこの世界でやる事が終わっていない、そう感じるのだ。マジェコンヌやエクスを倒してないことが、その原因なのだろう。ならばやるべきことはただ一つ、マジェコンヌ達を完全に倒すまでこの世界にいるということだ。

だがしかし、それを他のみんなが許すだろうか。ネプテューヌだったら、自分も残るというだろう。でもイストワールは、帰ってきてもらいたいだろう。そして、うずめ本人も、性格からして戻ることを勧めるのではないだろうか。

そう考えると、ますますどうすればいいのか迷ってしまう。奇しくも、この迷いはネプギアと同じだったのだが、そんな事は光樹は知らない。

そう思いつつも、光樹はパーツ探しを進める。流石にこんな道の瓦礫の中にあるとは思えなかったが、それでも今はどこも探さないといけない。瓦礫を崩していたところで、うずめがネプテューヌと光樹に聞く。

 

「なぁ、ねぷっち、光樹。最近、ぎあっち、変じゃないか?」

 

「やっぱ、うずめも気づいてた?ネプギアって、性格が真面目すぎて、何かあった時は思い詰めやすいんだよね。」

 

ネプギアがそういう性格なのは、光樹もゲームをやっていたから知っていた。こういう時は、誰かが支えてやらねばならない。そんな時には、ネプテューヌが支えているのも知っている。

その話を聞いて、うずめと光樹が言葉を投げかける。

 

「ねぷっちとは逆なんだな。」

 

「確かにネプテューヌよりも慎重派だよな。」

 

「…それ、もしかしてわたしが不真面目とか落ち着きがないって言ってる?」

 

ネプテューヌのその言葉に、ギクッと心の中で思ってしまう。少しは思っていた光樹としては、ばれたらまずいと思った。だが、そんな事を言ってしまえば、確実に何か手厳しい仕打ちがくるだろう。流石にそんな物は受けたくはない。

 

「いや、そんなことは…」

 

「うん。」

 

「…え?」

 

うずめの発言に唖然とする。まさかここまできっぱりと言うとは…。

 

「なにをー!って、反論したいところだけど、自他共に認めるそういう性格なんだよねー、わたし!」

 

ネプテューヌもその部分は認めているようで、特に怒っている様子は無かった。それならそれでいいが、なんだかこちらは疲れてしまった。

 

「とりあえず、何で悩んでるか、ネプギアに聞いてみよっか。」

 

「直球すぎるけど、いいかもな。」

 

ネプテューヌの言う通り、考えるよりまず行動だ。光樹もそれに賛成し、うずめも頷く。そしてネプギアの元へ行き、早速ネプテューヌがネプギア本人に話しかける。

 

「ネプギア、ちょっといい?」

 

「あ、お姉ちゃん。どうしたの?」

 

ネプギアは微妙にテンションの低い声で返事をする。やはりまだ何か悩んでいるようだ。すぐに光樹はその理由について聞こうとしたが、寸前で抑える。

悩んでいる時に、それを解決するのは自分に近しい人物であるはずだと考えたからだ。だが俺には記憶がまだ戻っていないが、覚えている限りでは…。

そこで考えるのをやめた。ネプテューヌが悩んでいることについて聞いたからだ。

 

「なんか、ネプギアの元気がないみたいだから、どうしたのかと思ってさ。」

 

「悩みがあるなら聞いてやるぞ。」

 

「解決出来なくても、聞かせてくれないか?」

 

「…悩み、か。心配させてごめんね。けど、私なら大丈夫。」

 

三人の言葉に、ネプギアはそう言った。特に理由がなければ、これで終わりだが、様子がおかしいのは誰から見ても分かる。ネプテューヌもそれに気づいているから、更に聞き入る。

 

「それが全然、大丈夫そうに見えないんだって。何年、わたしがお姉ちゃんやってると思うの?ネプギアのことなら誰よりも知ってるつもりだよ?」

 

それに続いて、うずめと光樹も声をかける。

 

「…なぁ、ぎあっち。今のお前、酷い顔してるぞ。」

 

「すごく思い詰めてるような顔に見えるよ。無理するな。」

 

「そ、そうかなぁ…。じゃあ、ちょっと向こうで顔を洗ってきて、表情とか見てみるね。」

 

焦りを見せたネプギアは逃げるようにして向こうへと行ってしまう。そんなに俺達には話したくないことを悩んでいるのだろうか。もしかすると、もっとひどい損傷が装置にはあって、それを隠しているとかでは…、と考える。

もし本当ならすぐに聞かなければいけないが、ネプギアなら本当に深刻なことなら話すはず、そう思った。

その様子をただただ見ているだけだったうずめが、残念そうにしながら困った声を上げる。

 

「んー。逃げられちまったな。原因は結局わからずじまいか。」

 

「たぶん、わたしたちには言いにくい悩みがあるんじゃないかと、わたしは予想するね。」

 

ネプテューヌもそのように予想する。と、そこで今までの会話に参加しなかった海男がネプテューヌに対して聞く。

 

「例えばどんなのだい?」

 

「んー。わかんなーい☆」

 

「わかんなーい、って…もう少し真面目に考えてくれよ…。」

 

その答えには、光樹も呆れつつツッコミを入れる。しっかりしてほしいという、光樹の願いとしての言葉だった。

それを聞いたうずめが、まともな意見をあげてくれた。

 

「なら、ぎあっちの元気が出そうな物でもプレゼントしようぜ。ねぷっちなら、知ってるだろ?」

 

元気を出してもらうため、ということなら、プレゼントをあげるというのはいいアイデアかもしれない。悩んでいる時でも、何か人から好きな物をもらえば、元気づけられるはずだ。

そしてネプギアが喜びそうな物としては、幸いにも光樹にも分かっていた。ネプテューヌシリーズをプレイしているのだから、それくらいは分からないといけない。それは…機械だろう。

ネプテューヌも何がいいか考えつつ、ネプギアが機械に興味を持っていることについて言う。

 

「ネプギアの好きなモノかぁ…。ああ見えてメカオタだからなぁ…。ネプギアの悩みを吹き飛ばす程の凄いのがあればいいんだけど…。」

 

ネプテューヌのそのような発言にもあったように、悩みを忘れて元気になる程の凄いものでなければ、また思い出して逆戻りだろう。

 

「例えば?」

 

海男がプレゼントに最適な物について、ネプテューヌに例を聞く。ネプテューヌの言うことだから、かなり大袈裟な例が出てくるだろうと思っていた。

だが、その答えは、光樹の予想を大きく反したものが返ってきた。

 

「んー、無限の力を備えた、文明すら滅ぼすほどの超巨大ロボット、でもあれば喜ぶこと間違いなしだよ!」

 

「ぶっ!!?」

 

予想の斜め上を凄まじい勢いで抜けていく答えに、光樹も驚きを露わにする。いやいや、それって完全に、ガンダムの生みの親、トミノさんの手がけたあのラストがあまりにも突飛すぎて理解が付いて来れないくらい無茶苦茶だったけど、未だファンが多いあの作品のあのロボット、イ○オンではないのだろうか。

いきなりそんなスケールのデカすぎる提案に光樹もどう対応していいか悩む。悩みを解決するはずが、逆にこちらが悩みを抱えてしまうとは…。ネプテューヌ、本当に型破りな発想を持っているなと感心してしまう。

流石にそんな話はあるわけがないと、海男が息をつき、呆れつつも反対する。

 

「例えだとしても、そんな物騒なもんお断りしたいね。」

 

「ホント、冗談が過ぎるぜ。」

 

光樹もそのように言葉を続ける。

だがしかし、ここで更にぶっ飛んだ考えを持つ者がいた。

 

「うずめとしては、巨大ロボットとかよりも、やっぱり可愛いのがいいと思うな!」

 

「ズコーッ!!」

 

妄想モードに入ったうずめであった。なんで先程までメカ関連の話をしていたのに、いきなり話がそんなファンシーな方向へ飛ぶのだろうか。いや、確かに一旦自分たちが日ごろから見ている面とは違った面で考えることは悪くないことだ。実際、ネプギアも女の子だし、可愛いものに執着する気持ちもある可能性もある。

でもいきなり話が飛ぶなんてこと、あっていいのだろうか。まぁ、話を変えることであれば、それは正しい判断なのだが。

しかしながら、うずめはわざわざ擬音まで出してリアクションした光樹に気にすることなく、話を膨らませる。

 

「見たことないけど、きっとぎあっちの部屋には、可愛いぬいぐるみがいっぱいなんだよ!」

 

それを聞いて思わず、「どれだけファンシー系を望む乙女だよ。」とツッコみたくなったが、なんとか抑える。そのままうずめは妄想の話を広げていく。

 

「しかも、一つ一つちゃんと名前をつけていて夜眠る時とかに、お気に入りのぬいぐるみを抱きしめて寝てるの。で、お気に入りのぬいぐるみがないと眠れないからって、涙目でねぷっちのベットに潜り込んでくるの。」

 

そんな状況、ネプギアには絶対ないな、と思いつつ、とある考えがよぎった。

 

(あれ、これうずめの妄想だよな。ってことは、これは実際うずめがそういうことを望んでいるってことだよな。)

 

その推測はあながち間違っていないだろう。妄想と言う物は、大抵自分がそうであってほしいと願うものだ。言い換えれば、「夢」、である。

もしうずめがそれを望んでいたとしたら…。しばらく頭の中でうずめのそんな光景を妄想した結果…。

 

「やべぇ、萌えるわ。」

 

という言葉が出る。同じタイミングで、うずめも同じ単語を言う。

 

「ちょー萌えない?うん、そうだよ、光樹も言ってるんだし、だから…。」

 

そこで二人は我に帰る。思わずうずめと一緒に妄想の世界に入ってしまっていた。ちょっと気まずい雰囲気の中、光樹はゆっくりと話を聞いていたネプテューヌと海男の方を向く。

 

「………。」

 

「………。」

 

…やばい、失言だった。一人と一匹の気が、こちらに突き刺さるのが分かる。流石にあの言葉はまずかった。うずめもその気に気づいたのか、妄想をやめて気まずい空気を払うかのように、咳ばらいをする。

 

「…ごほん。」

 

「…はぁ…。」

 

光樹も少し溜息をつく。そして二人は、以心伝心したかのように、話を戻す。

 

「…まぁ、なんだ。俺もぎあっちにはロボットが似合うと思うぞ!」

 

「機械好きのネプギアなんだ。な、なんだったら、シュバルトゼロを調べるのでも…」

 

『光樹、それはやめろ。』

 

なんとか話を逸らそうとしたうえでの発言だったが、その光樹の無責任な発言に、ゼロが不機嫌そうに怒る。やはりその案は許可してもらえなかった。光樹自身も、同じ立場だったら許可しなかっただろう。

そこで、光樹がゼロに謝ろうとする。

 

 

 

 

だが、突然。

 

 

 

 

『何言ってんのよ、この馬鹿光樹!』

 

 

 

 

という声が、脳裏に響いた。それと同時に、頭の中に自身が、同年代の少女に怒られるヴィジョンがふと浮かび上がった。

一瞬の事だったため、少女が誰だったのかは分からなかったが、何か、どこかで聞いたことのあるような声だった。すごく嫌な感じはするけど、懐かしい、そして、心強く感じる。そんな一瞬でこれだけの事を思うのも、変といえば変だ。だがもしかすると、これは失った記憶なのかもしれない。本当にそうなら、何故このタイミングで?まさかゼロとの会話が原因で?

 

(気になるが、今は二人に心配を掛けないように黙っておくか。)

 

光樹はそう判断した。実際、ネプテューヌ達が急に考え込んでいた光樹を心配するようにこちらを見ていた。二人の心配を解くように、光樹は話題を変える発言をする。

 

「とはいえ、何をネプギアにあげるか…。何かいいアイデアは…。」

 

と、そこでネプテューヌがとある意見を出した。

 

「なら、こういう時はやっぱりゲームに限るよ!どんなに思いつめていたって、みんなで一緒に遊べば悩みだって吹き飛ぶって。」

 

その考えは悪くなかった。確かにゲームは楽しい気持ちになる。光樹自身も、何か落ち込んでいる時にゲームをする時があったのを覚えている。きっとネプギアも、ゲームをやれば悩み事も解決するのではないだろうか。

その意見に、うずめと海男も納得をする。

 

「なるほど、物より思い出、というわけだね。ねぷっちらしくていいと思うよ。」

 

「それなら俺も賛成だ。パーツ探しは一旦やめて、今日はゲーセンで遊びたおそうぜ!」

 

そうと決まれば、早速ネプギアの所へ行って誘う方がいい。善は急げというやつだ。すぐにネプテューヌが、その後をうずめ、光樹、海男と続いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

お姉ちゃんたちに連れられて、やって来たのは街の外側の平原だった。いきなりのことだったので、ネプギアは姉にここに来た理由を聞く。

 

「ねぇ、お姉ちゃん。どこに行くの?ここ、さっきも来たよね?」

 

なんだろうと気になっている私自身の気持ちを察したのか、お姉ちゃんはその質問に答える。

 

「パーツ探しは一旦お休み。息抜きしにゲーセンに行くんだ。」

 

その言葉を受け取り、意味を理解すると、ネプギアの中で、何故?という考えが思い浮かぶ。たぶん、お姉ちゃんがゲームセンターに行きたいという意見を出したんじゃいなかと考える。お姉ちゃんはゲームが好きだから、きっと久々にゲームをやりたいと思ったんだと思う。

お姉ちゃんの言う通り、確かに息抜きも大事だ。でも、今はそれよりも早く帰るためにパーツ探しを優先すべきなのではないだろうか。だが、そうは考えても、未だネプギアの心の中では、あの時のうずめの言葉が引っかかっていた。どうしてもうずめさんを助けてあげたい。そう思っていた。だけど今考えるべきことはそれじゃない。どうして、この大事な時にお姉ちゃんはゲームセンターに?ネプギアはネプテューヌに言葉を返す。

 

「ゲームセンター?けど、パーツを探さなきゃ…。」

 

ネプギアの言葉はもっともであった。だけど、それを意に介しないようにお姉ちゃんは言う。と、そこでうずめさんが私に言ってくる。

 

「ぎあっちは少し真面目すぎんだよ。デカブツも倒したんだし、ちょっとぐらい遊んだって誰も文句は言わねぇよ。なぁ、光樹。」

 

「あぁ。たまには羽を伸ばそうぜ。」

 

光樹さんまで同じように言う。私はそこまで乗り気ではなかった。でも、うずめさんが、既にゲームセンターへ行った時のことを考えていた。

 

「…それにしても、ゲーセンかぁ。クレーンゲームには可愛いぬいぐるみがあるとうずめ的には、嬉しいかなぁ。」

 

うずめさんの妄想する姿はまさにゲームを楽しもうとする姿であった。そんな楽しい時間を邪魔はしたくはない。でも、今はパーツ探しを…。

 

「それに、ゲーセンと言ったらやっぱりプリントシール機だよね!ぎあっち、一緒に撮ろうねー!」

 

そんな考えも、うずめさんは気にしないで私にプリクラの写真を撮ろうと提案してくる。その提案にネプギアはたじろぎながらも答える。

 

「は、はい…。」

 

それが引き金となった。ネプギアは全員に連れられて、近くのゲームセンターへと足を踏み入れることとなった。

 

 

 

 

数十分後…

 

「…はぁ。せっかくゲーセンについたのに、ことごとく筐体が壊れてる件について…。」

 

お姉ちゃんががっかりとした声をあげる。お姉ちゃんが落ち込んでいる理由、それは言ったとおり、ゲームの筐体がどれも壊れていたからだ。埃を結構かぶっていたから、相当古いのは見ただけで分かった。けど、まさか全部壊れているなんて…。

ひょっとすると、まだ調べていないものは動くかもしれないけれど、それを探すのは大変そうだ。実際、光樹さんが壊れていないものを探しに行って、今帰ってきたところだ。早速、光樹さんにどうだったか聞いてみる。

 

「どうでしたか、光樹さん。壊れていないものは…。」

 

「なかった…。全部壊れてるとか、聞いてないぜ。」

 

「そう、ですか…。」

 

光樹さんが疲れた様子で質問に答える。それを聞いて、うずめさんも言う。

 

「ダメだな、うんともすんとも言いやしない。」

 

「壊れてるものはしょうがないよ。他にゲーセンはないの?」

 

お姉ちゃんがそう聞くと、うずめさんが少し考える。

 

「ゲーセンかぁ…。この街以外はろくに探索したことなかったからなぁ…。海男、お前は知らないか?」

 

「この辺りのゲーセンはどこでもこんな状態だね。むしろ、オレが知っている場所では、ここが一番マシなくらいだ。」

 

「なんだ、お前。詳しいんだな。」

 

「シェアクリスタルを探すために、この街の建物はほとんど調べつくしたからね。」

 

話を振られた海男さんの話でも、やはりここ以外のゲームセンターはあまり状況は良くないようだ。それを聞いて私と海男さん以外のみんなが残念そうにする。そんなにみんなゲームセンターで遊びたかったんだろうか。

どうしようかと考えている一行に、突然誰かの言葉が響く。

 

「なら、となり町に行けばいいと思うです。」

 

「うおっ!」

 

「おーっ!?ひよこ虫じゃん、久しぶりー。こんなところで会うなんて奇遇だねー。」

 

うずめさんとお姉ちゃんが驚きつつもその正体を知る。その声の主は、あのひよこ虫だった。ひよこ虫がすぐにお姉ちゃんの言葉に返事をする。

 

「うずめさんたちを見かけたから追いかけてきたのです。」

 

「すごい速さかつ静けさだったな。敵だったらやられてたぞ。」

 

光樹さんの言葉も納得できる。ネプギアもその気配には気づけなかった。

と、そこでうずめさんが話を戻す。

 

「で、となり町にって話だったな。そこに行けばゲーセンがあるのか?」

 

「僕たちの仲間がとなり町のゲームセンターに棲んでいるのです。前に遊びに行った時は、ゲームで遊ばせて貰ったのです。」

 

その事が確かなら、きっとゲームで遊ぶことが出来るだろう。どんなゲームかは分からないけど、いろんなゲームで遊べるなら、きっとお姉ちゃんやうずめさんはもちろん、光樹さんも楽しめるだろう。

すぐにうずめさんがそこへ行く旨を言う。

 

「それなら、早速となり町に行こうぜ。もしかしたら、転送装置のパーツも見つかるかもしれないぜ。」

 

すぐにネプギアたちはゲームセンターのあるとなり町へ出発した。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
まさかのネプテューヌのイ○オン発言。実際にやっていた時もリアルに吹きました(笑)。なぜあれが出てきたのか、疑問です。

次回の投稿は月曜日になります。それから、新しい活動報告を投稿しました。といっても、私のバトスピでのデッキ紹介ですが。もしもバトスピにガンダムがコラボしたらそのデッキ作りますからバン○イさん出してください<(_ _)>。

次回もお楽しみに!


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第44話 ゲームセンターでモンスターと戦うことを…強いられているんだ!

どうも皆様、お元気でしょうか。昨日は血のバレンタイン…じゃなくて、バレンタインデーでしたね。チョコをもらえなかった、藤和木弘です。昨日はバトスピの戦姫デッキでバトスピの大会で戦姫達と祭りを展開しました(笑)。大会勝てなかったですが。

第44話、投稿です。タイトルはガンダムAGEの名言を参考にさせていただきました。

では、本編へどうぞ!


 

 

今、うずめたちはひよこ虫に使えるゲームがあると言われて、となり町のゲームセンターに来ていた。

ゲームセンターに来たのなら、すぐにでもゲームをやるべきだ。俺ももちろんそのつもりだった。そのつもりだったのだが…。そこは思っていたゲームセンターの様子と随分違っていた。

違う理由、それは………あちこちにモンスターがいるということだった。俺はひよこ虫に困った様子を見せながら、問う。

 

「…おい、ひよこ虫。聞いていた話とだいぶ違うぞ。」

 

「おかしいのです。ここにはジゴクノトサカたちが棲んでたはずなのに…。」

 

これにはひよこ虫も予想していなかったためか、狼狽えていた。この様子には、光樹とねぷっちも、苦笑いしていた。こんなのいくらこんな世界でも、誰も想像できないだろう。

 

「おーい!」

 

すると突然、ゲームセンターの奥の方からこちらを呼ぶ声が響く。見るとそれは、ひよこ虫と同じ種族の一体である、ジゴクノトサカであった。

それにひよこ虫も気づき、状況を確認する。

 

「あ、トサカさん。これはどういうことなの?みんなは無事なの?」

 

「それが困ったことに、ちょっと前から凶暴なモンスターが棲み着いちゃって…。けど、安心して。みんなは無事よ。」

 

「よかったぁ…。」

 

それによって、状況は分かった。とにかく、今はこのモンスターたちの群れを何とかして追い出せばいいということだ。うずめは二匹に向かって言う。

 

「よし、ならあとは俺たちに任せろ。」

 

「うずめさん、お願いしていいの?」

 

「曲がりなりにも俺は女神だぜ。こういう時こそ、俺の出番だ。」

 

ジゴクノトサカの言葉に、俺はそう答える。こうなった以上、見過ごすわけにもいかない。それになにより、こういう時にこそ仲間のために戦うことこそが女神だ。

更にうずめは豪語する。

 

「どうせ、棲み着いたモンスターって言っても、外でうろついてるようなやつらだろ?そんな雑魚なんざ、俺の相手じゃねぇよ。かっこ良く解決してやるから、見てな。」

 

「ほんと、ありがとうございます。」

 

ジゴクノトサカは礼を述べる。だが、そう言われるのもなんだかもどかしいし、まだ倒したわけじゃないので、気にしないよう言う。

 

「礼なんていらねぇよ。それに、こんな状況じゃこっちものんびりゲーム出来たもんじゃないしな。」

 

その話を聞いて、ジゴクノトサカがこちらにゲームの件について聞いてくる。

 

「うずめさんたち、ここには遊びに来たの?」

 

「あぁ、そうさ。だから、モンスターを倒したら、一番面白いゲームを教えてくれないか?」

 

「そのくらいお安い御用です。」

 

こうして利害は一致した。それを聞いてねぷっちたちも気合が入ったようにモンスターの方へと目を向ける。ねぷっちとぎあっちが自分の武器を出し、光樹はもちろんガンダムを…と思いきや、今回はどうやら生身で戦うようだ。右手に聖魔剣とかいう剣を、左手に銃を持つ。

そして、俺たちはモンスター狩りを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ!!」

 

光樹の叫び声と共に放った斬撃が、目の前のモンスターをぶった切った。モンスターはその攻撃にやられて消滅する。

続いてネプギアの攻撃が、こっちの何倍も大きさのあるロボットみたいなモンスターにダメージを与える。

 

「お姉ちゃん!」

 

「おっけー、まかせといて!」

 

ネプギアからの頼みに答えて、その敵に更に追撃の一撃を浴びせる。その攻撃を受けて、モンスターは苦しそうにしながら消えていった。

そこでやっと周りにモンスターの気配がなくなった。かなり奥まで倒しながら進んできたから、これでモンスターたちは全部倒せたと思う。それを理解したのか、光樹が疲れ切った声で言う。

 

「これで終わり…でいいのかな。」

 

「たぶんな。」

 

「はぁ…はぁ…。うずめったら飛ばし過ぎだよ…。わたしはもうヘトヘト…。」

 

光樹に同調するように言う。わたしもここまで疲れるくらい、今回はかなり動いた。というより、うずめがやけに張り切って、モンスターの討伐をしていた。たぶん早くゲームをしたかったからだろう。ネプテューヌ自身が言ったとはいえ、今少し後悔をしていた。けど、これでゲームができると思うと、つかれも吹っ飛ぶというものだ。

そのことを聞いたうずめが機嫌よさそうにしながら、わたしのやる気を起こさせるようなことを言う。

 

「なんだ、ねぷっち。このぐらいでバテるなんてだらしないぞ。」

 

「うずめが張り切り過ぎなんだって。ねぇ、光樹、ネプギア。」

 

うずめとそんなことをしゃべりながら、光樹たちに話を振る。すると、二人とも、それぞれの答えを話す。

 

「結構疲れたけど、NP使うようになったからか大分楽にはなったかな。」

 

「…へ?私は別にこれくらい慣れてるよ。」

 

光樹は仕事しすぎを超えて、色々頑張ってるから、慣れてきたんだろうなぁ。それはそれで嬉しい。いーすんからの仕事も光樹に任せてもいいんじゃないんだろうか。一方、ネプギアはもうこれくらい戦うのは慣れているというのが見て取れる。ほんとよく戦うようになったなぁと感じる。わたしでも音を上げてるのに。

でも、それイコールわたしが働いていないっていう証明になるから、さすがにそれは困る。けれど、ネプギのその発言にはショックを受けた。

 

「ネプギアが裏切った!?光樹も若干そっち!?」

 

「最近ねぷっちはゴロゴロしながらプリンばかり食べていたからね…。」

 

海男のその言葉がわたしの心に刺さる。いや、でもちゃんと働いているから!パーツ探したり、ネプギアをどう元気にさせようとか考えてたり。

モンスターがいなくなったのを見て、ジゴクノトサカが感謝の言葉を言った。

 

「うずめさん、ありがとう!一族を代表して礼を言わせてもらうよ。」

 

「礼なんていいって。お前らだって、何度もシェアクリスタルを見つけて来てくれただろ?困っている時はお互い様だ。」

 

その言葉を聞いて、うずめは謙虚…というより、人思いだなぁと感じる。でも、わたしも国民のみんなとはうずめの言葉通り、困った時はお互い様だ。

そこで、体に力が入る感覚が起きる。

 

「…!?これって…。」

 

「ジゴクノトサカからのシェアです!」

 

ネプギアがその正体を告げる。うん、これは間違いなくシェアだ。きっと、ジゴクノトサカからの感謝の気持ちが、シェアに変わっているんだ。

こうして信頼度を得て力に変えて、その力でみんなを守っていくことで関係が成り立っているとかいーすんは言ってたけど、あえて言うなら、ギャルゲーの攻略に似たものだとネプテューヌ感じていた。例え守る対象がモンスターでも力に変わるのは、さすがうずめの能力としか言いようがない。

まだシェアをモンスターたちから得ているという実感がなさそうなうずめに、わたしが後押しする形で喜ぶ。

 

「やったね、うずめ!ここでもシェアゲットだよ。もしかして、ギャルゲーのヒロインの好感度みたいにモンスターたちの好感を得ると、シェアが得られるのかもね。」

 

「それは分かりやすいな。それが半永久的に循環するのが、女神だってよく分かるよ。」

 

光樹もそれには納得がいったように話す。この調子なら、マジェコンヌたちを倒すのも遠くはない。また巨大な敵が来ても、やっつけられるだけの力を得ればいい。

そんな考えに浸っていたが、突然うずめがうめき声を上げる。

 

「…うっ。…っく。」

 

「うずめ!?」

 

すぐにわたしは声をかける。だけど、うずめの体は倒れようとする。だけど、倒れこむ前に、光樹がうずめの体を支えた。ナイスタイミングだ。

心配になった光樹がうずめに聞く。

 

「うずめ、大丈夫か!?どこか具合でも…。」

 

「…あ、あぁ。大丈夫だ。張り切りすぎたせいで、腹が減ってちょっと立ちくらみしただけだ。」

 

うずめは大丈夫と言いながら、体を元の姿勢に戻した。すごい状況の説明だったけど、たぶん頑張り過ぎて疲れたというのはなんとなく分かった。無事で何よりだ。

 

「なーんだ。何事かと思って心配しちゃったよー。まったく、うずめったら人騒がせなんだから。」

 

「わりぃわりぃ。」

 

ネプテューヌはそう言って安心する。これならゲームは出来そうだ。元々ここに来たのは、元気のないネプギアを元気づけるためなのだ。もしうずめが調子が悪くなったとでも言えば、またネプギアに心配をさせてしまうんじゃないかと思っていた。

でも、さっきうずめは倒れた原因を腹が減ってと言っていた。なら、今はうずめが腹が減っているのを解決しなくちゃね。そこでネプテューヌはうずめにある物を手渡す。

 

「はい、これ。」

 

「…これ、ってプリン、だよな?」

 

うずめは半信半疑でそれを言う。そうプリンだ。だけど、これはただのプリンではなかった。わたしはうずめに説明をする。

 

「そんじょそこらのプリンと思ったら大間違い。プラネテューヌの女神であるわたしが、朝からずーっとポケットの中で温めた、優しさ半分、女神の加護半分のとっておきなプリンなんだよ。」

 

「…お、おう。だから、生暖かいのか。」

 

なんだか戸惑っているように思えるけど、この際気にしない今はうずめに元気になってもらって、それからネプギアを元気にしなくちゃいけない。

 

「さて、それではゲームの筐体がある場所に案内してもらえるかな?」

 

「それなら向こうにあるわ。ついてきて。」

 

海男が話すと、すぐジゴクノトサカはわたしたちをゲームのある場所へ案内する。

 

 

 

 

「…っち!逃げられたか、すばしっこいやつめ!」

 

「ネプギア、光樹、そっち行った!お願い!」

 

「うん、任せて!」

 

「オーライッ!」

 

ネプテューヌの言葉に応じた二人は、すぐ目標に対して銃を向け、トリガーを引く。光樹の撃った予備兵装のグレネードランチャーで敵の動きを止めてから、ネプギアが敵を狙い打っていく。ネプギアの弾は敵の頭を撃ち抜いた。

 

「やったよ、お姉ちゃん!ヘッドショットが決まったー!」

 

ネプギアは大喜びする。余程うれしかったのだろう。ネプギアのスコアも、ちゃんと成果を示していた。ネプテューヌはネプギアをほめる。

 

「やっぱりネプギアは上手いね。まさか2ステージ連続MVPだなんて、びっくりだよ。」

 

「やっぱり女神化している時の武器が銃剣だから、銃を扱うのは上手いんだろうな。」

 

「そ、そうかな。でも、光樹さんもなかなかうまいですよ。」

 

ネプギアは照れながらそう返す。でもさっき言ったとおりネプギアも上手いけど、意外と光樹の方も上手かった。光樹は両手に銃のコントローラーを持つ、いわゆる二丁拳銃の持ち方で器用に戦ってた。弾のリロードが銃の下のマガジン部を押すと出来る仕様の物だけど、光樹はその部分を片方の銃で隙を埋めつつ、膝でその部分を叩いてリロードしていた。マナーは悪いけど、すごいと思った。

でも実質二人分の銃を使っていて、ネプギアの点数にはわずかに届かないのが二回続いていた。それだけネプギアが上手いと思うと、わたしは嬉しかった。遠慮しているネプギアに、わたしは言う。

 

「またまた謙遜しちゃってー。わたしの妹なんだから、もっと自信を持ちなよ。」

 

一方、うずめはその結果を見て、今度こそはと意気込む。

 

「よーっし、次のステージこそは俺がMVPを取ってやるぜ。」

 

「なにをーっ!次こそはわたしがMVP取るんだからね!」

 

「言ってくれるじゃないか。今度こそ、俺の二丁拳銃でMVP取るぜ!」

 

その言葉にわたしと光樹も続く。さすがに負けていられない。二人よりも早くMVPを取ってみせるよ!ネプテューヌたちは次のステージが来るのを待ちながら、その時のためのイメージトレーニングをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

楽しそうにゲームをしているネプテューヌとうずめ、そして光樹の姿をネプギアは見ていた。お姉ちゃんも嬉しそうだけど、それ以上に、うずめさんがとても楽しそうにしているのを見て、微笑む。そして、後ろの方でその様子を見ていた海男さんに対して問いかけるように話す。

 

「…うずめさん、すごく楽しそうですね。こんなに楽しそうなうずめさん、初めて見るかも。」

 

「今までデカブツのことばかりだったからな。オレも、あんなにはしゃぐうずめは久しぶりだ。…やはり、うずめはあの顔の方が似合う。」

 

海男さんのその言葉にも納得だ。わたしもはしゃいでいるうずめさんはとっても似合っている。

そんな事を思っていたところに、お姉ちゃんがこちらに声をかけてくる。

 

「ねぇ、ネプギア。上手くあてるコツとかあるの?あるなら、わたしにだけこっそり教えてくれないかな?」

 

ゲームについてのアドバイスについてだった。どうやらお姉ちゃんはよほどMVPを取りたいらしい。そんな姉に、ネプギアは分かりやすく教えようとする。

 

「えっとね、撃つ時にはこうやって脇をしっかりしめて狙いを定めるの。そうすることで照準がブレずに…」

 

そこで、うずめさんがそれに気づいたのか、お姉ちゃんに怒る。

 

「おい、ねぷっちだけ、ずるいぞ!俺にも教えろよー。」

 

お姉ちゃんだけに教えるのが気に入らないようだ。でもお姉ちゃんだけに教えるのは私としてもいけないかなと思う。なのでうずめさんと、あと光樹さんにも声をかける。

 

「いいですよ。じゃあ、うずめさんもお姉ちゃんとこっちに、光樹さんも…あ。」

 

そこで私は、ある考えが思いつく。自分がずっと悩んでいたことを解決する、いい策が。

 

「ん?どうした、ぎあっち。」

 

うずめさんが聞いてくる。だけど私はそれに気づかず、自分の中の話にのめりこむ。

 

「そうだ、そうだったんだ。そんな簡単なことだったんだよ!」

 

なぜそんな事に気づかなかったのか、自問自答する。

 

(こんな簡単なこと、どうして簡単に気づかなかったんだろう。こっちの世界の問題を全部解決して私たちの世界に来てもらえばいいんだよ。それなら、みんなお別れしなくてもすむよね。)

 

独りになってしまううずめを救う方法だった。ネプギアとしては素晴らしい考えではあったが、実際は、既にネプテューヌがうずめに言っていた。更にこの時、光樹の中にも既にその案は出ていた。

だがネプギアはその考えが出たことに安堵し、それ以上は考えることは無く、ネプテューヌとうずめにコツを教える方に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ…く。結構遊んだな。」

 

ゲームをクリアし、大きく伸びをした光樹はそこにあったイスに座る。結局、三時間くらいゲームをしていた。それだけ遊んだのでしばらくはゲームはいいだろう。うずめも満足したように言う。

 

「いやぁ、遊んだ遊んだ。けど、ゲームってのは、みんなで遊ぶとこんなにおもしろいんだな。こんなに楽しいんじゃ、毎日でも来たくなるぜ。」

 

「そうですね。また一緒にゲームセンターに行きましょう。」

 

ネプギアもまた来たいと答える。あまり光樹はこうしたアーケードゲームは小学生のころやっていたじゃんけんで戦うカードゲームで来たくらいしか遊んだことは無かったが、今回みんなと遊んで楽しみを知った。光樹もまた来たいとは思っていた。

そんなネプギアの姿に、ネプテューヌとうずめは、光樹を手招きしてネプギアに聞こえない声で言う。

 

「どうやら、作戦成功みたいだね。」

 

「これで上手くいくとは、思わなかったぜ。」

 

「ゲームで立ち直るなんて、そういうところはねぷっちの妹って感じだな。」

 

三人は思惑が上手くいったことで喜んでいた。何が原因だったのかは分からなかったが、とにかく元気になってくれてよかった。この調子で残る問題も解決してくれればいいのだが。

その話はネプギアにも聞こえていたようで、聞き返してくる。

 

「…へ?何のことですか?」

 

そんな事をネプギアに気づかれるのも悪いと思い、光樹は何でもないと答えようとした、その時。

 

ドガガガガガン!!

 

銃撃のような音が響く。

 

「なんだ、この音は!?」

 

光樹の言葉と共に、光樹達はすぐにその方向を向く。海男がそれに気づく。

 

「光樹、あそこだ!向こうになんかいるぞ。」

 

そこには、右手にガトリング砲のような腕部武装を、そして肩部にジムキャノンのようなキャノン砲を持った機械型のモンスターがいた。そこでゼロが言う。

 

『以前に戦ったモンスターと一部が酷似。固体名「ガルディオス」の派生タイプと思われる。』

 

そう言われると確かに、以前海男を助けに行ったコーラル駅で遭遇したモンスターの一種類に似ている。こいつはもしかすると、その派生型なのかもしれない。

 

「ウィー…ン。」

 

そいつは機械音声を発しながら、こちらに狙いを定めていた。そのモンスターに気づいたうずめが見返す。

 

「へぇ…。こんなやつが隠れていたのか。」

 

そんな中、あのモンスターを見ていたネプギアが気づいたことについて知らせてくる。

 

「あのシルエットにあの装備…。たぶん、軍用の制圧兵器です。フレームの規格からの推測ですけど、おそらくAIも二世代前の物が使われていると思います。けど、あくまでそれは私たちの世界の場合。もしかしたら、何か特別なプログラムや武装が組み込まれているかもしれないので、気をつけてください。」

 

「いつものネプギアに戻ったようだね。まぁ、何を言ってるのかサッパリわからないけど。」

 

「軍用とは…これはまた骨が折れそうだな。」

 

光樹の目にも、厄介そうなのは分かった。だがこちらは四対一、数では勝っていた。だから勝てると思っていた。

だがその時、横の方から殺気を感じる。

 

「!」

 

すぐに光樹は後方へ退く。その直後、ガトリングのようなビーム弾が、空を切った。

そして光樹はシュバルトゼロ天を装着する。攻撃された時に生身だと危ないと思ったからでもあったが、なんだか自分が命令する前に装着されたような気が…?

それを見ていたネプテューヌ達がこちらに聞いてくる。

 

「大丈夫!?光樹。」

 

「あぁ、大丈夫だ。」

 

「もう一体いた?…あれは…?」

 

ネプギアの言葉が止まる。何があったのかと、光樹もネプギアの見る方向へと目を向ける。すると、光樹もまた、言葉を失う。

 

「なんだ…あいつは……?」

 

そこには、一機の機動兵器がいた。その機体は、右手にランスを持ち、左手には光剣―――――ビームサーベルを構えていた。だが、それは問題ではなかった。問題は敵の背部にあると思われる推進機関から溢れている光だった。その光の粒子は「赤黒く」光を放っていたのだ。

 

「光樹さんと…同じ粒子を…?」

 

ネプギアも薄々気づいた。そうだ。間違いない、あの光は、AN粒子だ。AN粒子はリーンボックスでの調査によれば、ANドライヴと呼ばれるエンジンから生成される粒子だ。それを敵が持っている。とすれば、あの機体は俺の世界からやってきた存在ということに…。

突然、ゼロが話し始める。

 

『敵確認。機体データを照合…完了。敵はMP、「サトゥーリア」と確認。』

 

「ゼロ、どうしたいきなり…。」

 

だがその言葉に答えず、ゼロは衝撃の発言をする。

 

『反乱軍のMPと適合。装着者に完全な敵対心なしと確認。これより殲滅のため、オートモードに切り替える。』

 

それと同時に、光樹の意志に関係なく、両手が動き、背部のANヴァリアブルアームズⅡ改が握られる。一体何が起こっているのか。反乱軍と言っていたが、どういうことか。光樹はゼロに問いかける。

 

「どうした、ゼロ!何勝手に…。」

 

しかしその問いに答えることなく、敵にANヴァリアブルアームズⅡ改・ライフルモードⅡ改のノーマルモードを向ける。

そこでようやく異変に気付いたうずめ達が聞いてくる。

 

「どうした、光樹。何があった。」

 

「それが…ゼロがいうことをきかないんだ。」

 

「まさか暴走ですか!?」

 

ネプギアの言葉に、光樹もまた頷く。確かにこれは明らかに暴走だ。先程聞いたゼロの声も、明らかに何かに操られているような声だった。とにかく、今は止めないといけない。だが、その思いも虚しく、シュバルトゼロ天は敵に突撃した。

 

『シュバルトゼロ、ターゲットを抹殺する。』

 

こうして天と謎のMP「サトゥーリア」との戦闘に突入した。

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。
最後の方で登場した機体は一体何なのか、どういった戦いが繰り広げられるのかは次回のお楽しみです。

で、昨日は私にとって悲しい日でしたが、皆様はいかがだったでしょうか。といっても、私もバトスピの大会の抽選で自分の好きなスピリットであるジークヴルム・ノヴァのリメイクされたPXカードを手に入れたので、満足しました。
そういえば、バトルスピリッツの次シーズンのカードは干支がモチーフのスピリットだそうです。バトスピは12に関係するカードが多い…十二聖剣とか、十二宮Xレアとか…。そして、異魔神(イマジン)ブレイヴというカードもでるみたいです。…イマジンってあのイマジンじゃないですよね?仮面の戦士の怪人の…(笑)。

では次の投稿は日曜日です。次回もお楽しみに!


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第45話 ANドライヴ搭載機の激突

神を断罪するため、少女は現れる。我が愛する詩姫(ディーバ)よ、今こそフィールドを蹂躙せよ!〔断罪の歌姫〕ジャンヌ・ドラニエス、きませい!!(召喚口上)

光樹「いきなりカードネタに走らないでください。みなさん意味わかってないから(汗)。」

いやー、断罪の歌姫ちゃん当たったから、ついやっちゃいました。
どうも皆様、お元気でしょうか。バトスピで目当てのカードが当たって、歓喜中な藤和木弘です。第45話、投稿です。

今回のお話では、機動兵器戦が中心です。NPとMP、勝つのはどちらか?
更に、サプライズも?

では本編へどうぞ!


 

 

「光樹!待てって!」

 

光樹のガンダムが敵に突っ込んでいく。俺たちの制止も聞かずにだ。さっきぎあっち言ったことが本当なら、おそらく暴走しているのだ。

いますぐ止めたいところだったが、そこでもう一体の機械のモンスターがこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 

ダララララ!

 

「くそっ!!」

 

攻撃を回避したところで、ねぷっちが言う。

 

「これはちょっと光樹の方に助けに行くのは無理かなー?今はこっちの敵を倒すのが先だね。」

 

「ねぷっち…。」

 

うずめはその言葉に不安そうにしながらもその言葉に従う。こっちの敵を倒さないと、ジゴクノトサカたちに被害が及ぶかもしれない。それに、光樹も十分強い。負けることは無いはずだ。

そう考えたうずめは、ネプテューヌたちとあの機械の敵、「ガガムド」と戦うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ビームと実体剣が交わりあい、鍔迫り合いを展開する。幾度も行われていたが、未だ勝敗は決しない。どちらも一歩も引かなかった。だがシュバルトゼロ天の方は少し違った。その装着者、和藤光樹は困惑するばかりであったからだ。なぜ、ゼロはシュバルトゼロ天を勝手に操作しているのか。先程言っていた「反乱軍」も、一体何なのか…。

でも、それ以上に、シュバルトゼロ天の機動が光樹に負担を掛けていた。今まで以上の負荷が、光樹の体に掛かっていた。

 

「おい、ゼロ!勝手に動くなって…。」

 

そう制止するも、ゼロは全く攻撃をやめようとしない。

何度も二機が激突する。だがそこでシュバルトゼロ天の攻撃がサトゥーリアを大きく吹っ飛ばす。大きな隙だ。ここで落とせば、ゼロのオート操作も収まるはずだ。シュバルトゼロ天のANヴァリアブルアームズⅡ改が、敵を切ろうとした、その時だった。

敵が突然、赤く光る。それと同時に、目の前から消える。

 

「何っ!?」

 

光樹は驚愕する。シュバルトゼロ天がその動きを追うように顔を動かす。それと同時に光樹の目にも見えた。だがそこには、驚きの光景が見えた。

 

「これは…!?」

 

その機体は残像が起きるほどのスピードで、こちらの周りを周回していた。その敵の能力は見たことが…体感したことがあった。

 

(トランザムシステムだと!?)

 

敵もANドライヴを装備しているのだから、ありえないことは無いかもしれない。だが、ジムみたいな顔を持つ奴が、トランザムを使うとは…量産機みたいに見える機体がトランザムとか、ジンクスⅣみたいな敵ということだろうか?それとも、この機体だけ特別に装備しているのか?

どちらかは分からなかったが、そんな事を考えている間に、ゼロもこちらのトランザムシステムを起動させる。赤く光ると同時に、敵に追従する。圧倒的な速さで、両機は銃撃と斬撃を放っていく。限界まで機動性を上げた機体の負荷は、光樹を苦しめる。

 

「くっ…ゼロ!」

 

光樹は勝手に操ることをやめるよう言う。だが、その苦痛に見向きもしないように敵を撃墜しようと攻撃を仕掛ける。だが、敵もその行動を読んでいたように攻撃を躱す。そして返す刀でランスをこちらの頭部に向けて手元から射出する。その攻撃を避けようとしたが、躱しきれず、デュアルアイセンサーの左目を貫く。その影響で左目に痛みが少し走る。

それには余裕で耐えるが、シュバルトゼロ天はそれに構わず、敵に反撃を加える。敵の射出したランスの、残った柄部分を切り裂く。ランスはエネルギー回路を切られたのか、爆散する。爆炎が晴れると、敵は右手に残ったランスの柄から、ビームサーベルを発振させる。どうやら先程のランスはビームで繋がって射出されたようだ。そして左手にライフルを持ち、こちらにビームを放ってくる。それをまたトランザムによる高機動で避ける。

互いに高機動性を与えるトランザムであったため、決定打が決まらない。決まっても、先程のように、まだ活動出来る状態で耐えていた。

このまま睨み合いが続けば、トランザムの時間が切れる。そう判断した二機は決定打となる攻撃を仕掛ける。シュバルトゼロ天はANヴルトガⅡ改を形成し、フルバスターモードを向ける。対してサトゥーリアは腰部からビームで形成したアンカーの先端のパーツをビームライフルに接続する。すると、ライフルの砲門が上下に別れ、砲撃に特化したカノン砲のようになる。

そしてお互いの武器が同時に火を噴く。放たれたビームが激突し、風圧が起きる。その風圧はこちらを吹き飛ばそうとするばかりか、別の場所で戦っていたネプテューヌ達の戦闘にも影響を与えた。風圧でうずめの音波の衝撃波が明後日の方向に飛ばされる。

 

「くそっ!光樹、早く暴走を止めろ!」

 

「悪い。でもどうしても操作がきかないんだ!」

 

そう言い放ったうずめに聞こえるだろう声の大きさで話したが、うずめの耳には入らなかった。そしてその砲撃の鍔迫り合いは更に増す。互いに出力で負けないように、それぞれの出力を上げる。シュバルトゼロ天はカートリッジをロードし、サトゥーリアはライフルのEパックを次々と変える。互いに大出力をぶつけ合う。

 

そして弾ける。

 

二機は大きく吹っ飛ばされ、壁に激突する。肺の中の空気が一気に吐き出される。壁は大きなヒビが入っていた。それと同時に、二機のトランザムが解除される。起動限界時間が来たのだ。粒子残量ゲージは10分の1とそれほど多くはない。それでも、ゼロは戦闘をやめようとせず、壁から離れて敵に剣を向けようとする。

だが光樹の目には分かった。ゼロだけではこの戦いには勝てないことを。人の瞬間的な、機械には予測外の行動がなければ、あの敵には勝てない。敵はおそらく俺と同じように装着者の人間だろう。機械の規則通りの行動では、いくらZEROシステムといえども勝てないかもしれない。ガンダムWでも、ガンダムのパイロットにはいくら性能差があっても殺した例はなかったはずだ。

だがそれ以上に、これ以上ゼロの戦闘には体が耐えられなかった。光樹はゼロに対し叫ぶ。

 

「ゼロ!操縦を代われ!お前だけじゃ勝てない。」

 

そう言うが、ゼロは未だ敵を排除することだけを口にする。

 

『反逆者を殲滅する…。』

 

そしてサトゥーリアもそれに呼応するようにこちらにビームサーベルを向ける。ゼロもANヴルトガⅡ改をフルセイバーモードに切り替え、向ける。

一向にこちらの言うことをきかないゼロに、とうとう光樹も苛立ちが募った。流石にもう我慢が出来ない。たとえシステムのモデルがZEROシステムであったとしても、こちらの言うことくらい聞いてもらいたい。少なくとも、ZEROシステムはそのパイロットの望む答えを曲解して果たすシステムだ。それすらも聞かないなんて。

そう思った光樹は叫ぶ。

 

 

 

 

「いい加減…言うことを聞けぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

その声と同時に、シュバルトゼロが動きを止めた。

そして機体の動きが、光樹の動きとシンクロした。それに光樹も気づく。これはもしかして…。そして、光樹の耳に機械音声が響く。

 

『…光樹?私は一体何を?』

 

「ゼロ、戻ったんだな。」

 

どうやら正気を戻したようだ。その言葉にゼロが疑問を投げかける。

 

『戻ったとは?それに粒子残量が少ないようだが…。』

 

「何にも覚えてないか。でも今はアイツを倒すぞ。…俺たちの力で!」

 

光樹はそう語る。どういうことか、まだゼロは分かっていないようだが、サトゥーリアの動く姿を見て把握したようだ。ゼロがそれに応える。

 

『了解。ウイングチェンジシステムを使うのを推奨する。』

 

「分かった。」

 

ゼロの言う通り、ウイングチェンジシステムを起動させる。それと同時に背部のウイングバインダーがノイズの穴に飲み込まれる。

ウイングがなくなったということは、機動力がなくなったに等しい。サトゥーリアはこちらに向かって急接近してくる。何の妨害もなく接近したサトゥーリアはその光剣――――ビームサーベルを振り下ろす。

誰もが決まったと思うだろう。だが、次の瞬間、ビームサーベルは弾き飛ばされ、敵の動きが止まる。サトゥーリアは現状を理解できなかった。だが、それは実に簡単なことだった。シュバルトゼロ天の背部に新たに現れたウイングのようなシールドの先から展開されたクローパーツで捕えたのだ。

そのウイングのようなシールドはバックパックのところから、六本のアームで支えられたものだった。名づけるなら、バインダーシールドウイングだろうか。だがゼロが正式名称を言う。

 

『ANウエポンバインダーシールドウイングユニット装着完了。敵を捕獲。』

 

大体名称はあっていた。そこですぐにANヴルトガⅡ改で追撃しようとした。

が、そこで気づく。右手に持っていたはずのANヴルトガⅡ改がなくなっていたことに。すると、ゼロがそれについて説明をする。

 

『ANヴルトガⅡ改を形成するANヴァリアブルアームズⅡ改はANフレキシブルウイングバインダーユニットⅡの兵装。こちらに換装すると同時にANヴルトガⅡ改は特別な理由がない限り分解され、使えない。』

 

確かによく考えれば、バックパックを交換しているのだから、背部に装備していたANヴァリアブルアームズⅡ改がなくなっていても当然だ。

 

「分かった。なら…!」

 

すると光樹は、背部のANウエポンバインダーシールドウイングユニット…は長いので、表示された武器名であるANウエポンバインダーシールドに攻撃命令を送る。すると、クローでつかんでいた敵を壁に向かって投げ、シールドの裏側が敵に向けられる。そしてクローのように上下の別れた部分が起き上がる。そしてそこに電流が貯まる。ビームを溜めているのだ。

圧縮されたビームは敵に向かって発射される。六本のビームは敵を飲み込み、爆炎を起こした。

 

「やったか!?」

 

光樹は思わずそう叫ぶ。だが、爆炎が晴れると、未だにあの機体、サトゥーリアが残っていた。だがほとんどの部分からスパークが散っていて、今にも爆発で破壊されそうだった。

そこでゼロがトドメを指示する。

 

『光樹、ノイズフォースビックバンでトドメを。』

 

「よし、必殺技で一気にトドメってことか。」

 

光樹もその考えに乗る。そしてノイズフォースビックバンに出力を切り替える。

 

『ノイズフォースビックバン・ハイパープラズマフレイム。』

 

ANウエポンバインダーシールドの先端をサトゥーリアに向ける。そして全砲門からビームを連射する。いくつものビームが敵を貫く。完全に動きが止まった所でカートリッジをロードし、急速に粒子をチャージする。敵はこちらの攻撃を受け止めようとビームシールドを展開する。

 

『チャージ完了。ハイパープラズマフレイム、発射。』

 

全砲門から粒子ビームが発射される。全てのビームが束ねられ、敵に向かって直進する。防ぐはずだったビームシールドを貫く。敵は直撃したビームに飲み込まれる。

ビームを撃ち終わるとそこにはある物を除いて、先程までいたサトゥーリアの欠片すら残さず消滅した。壁すらも撃ち抜いて、外の景色が見えていた。その時、はっ、と我に返ってあることを調べる。それは先程の場所にジゴクノトサカの仲間たちがいなかったかどうかであった。すぐに先程の時のレーダーを表示させる。

 

『巻き込みはゼロ。建物外の被害もとくになし。』

 

「良かった。うずめの仲間を倒してたらシャレにならないぜ。」

 

ゼロからの報告に安堵する。これで問題はないだろう。犠牲者がいなくて、ホッとする。安心した光樹は、サトゥーリアのいた場所まで接近する。そこには、見覚えのあるような、ないようなものがあった。

それはドッグタグであった。だが、光樹の持っていた物とは違う、別の軍のようなものだ。だが、それがただのドッグタグでないことが、ゼロから語られる。

 

『これはMP装着用デバイスのようだ。しかし、我らの軍の物ではない。』

 

「そうなのか?」

 

『だが機体の外見から、GKSWAXPタイプの機体である可能性がある。』

 

ゼロの分析を聞いていると、どうやら敵はNPの量産型のMPらしい。光樹の記憶でも、MPがNPの量産型であることは知っている。だが戦っていたのがMPで、更にそれが自分とゼロが所属している軍とは違う機体であるとは思わなかった。だが、敵の機体は全体的にはジムに似ていたが、なぜトランザムを使えたのか、それをゼロに聞いてみることにした。

 

「なぁ、ゼロ。なんで敵はトランザムを使えたんだ?」

 

『トランザムを…?あの敵が?本当か?』

 

「あ、そういえばゼロが元に戻ったのはトランザム終わった後だったな。」

 

そこで光樹は自分が見たことをゼロに話していく。敵が赤く光ったこと、そしてゼロが突然敵を反逆者と認識したことを。

それを話し終わると、ゼロはあることを話す。

 

『すまない。その時の記録が一切ない。』

 

まさかゼロもその時のことを覚えていないとは。もしかすると、さっきの自立起動はシステム外での操作だったということだろうか。

ともかく、そろそろネプテューヌ達に合流した方がいいだろう。光樹はネプテューヌ達のいるであろう方へと飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「てぇぇぇぇい!!」

 

うずめの拳が機械モンスターの腹の部分を強打する。それで限界が来たのか。モンスターはゆっくりと膝をつき、機能を停止した。

 

「ふぅ。見掛け倒しだったな。」

 

うずめはそう言った。うずめの言う通り、今のわたしたちにとってあの強さはそれ程苦じゃなかった。武器がガトリングとかキャノン砲とかの射撃武器で攻撃してくることが多かったけど、それ程痛くもないし、キャノン砲も回避できる余裕があったから、被弾も少なかった。

 

「さて、あとは光樹の方だけど…。」

 

わたしは光樹のことについて言う。何かさっき暴走しているみたいな事を言っていたけど、大丈夫だろうか。そう思っていたのだが、そこに光樹が戻ってくる。

 

「あ、光樹さんが戻ってきたよ。」

 

「まったく。光樹、大丈夫か?」

 

うずめはそう聞く。すると光樹がその問いに答える。

 

「悪い。こっちは何とか片づけた。こっちも何とかなったみたいだな。」

 

「よし、大丈夫ならいいこと…」

 

 

 

 

それを言いきる直前。

 

 

 

 

ウィィィィィィン!!

 

 

 

 

その機械音声と共に、うずめが消える。

否、それは違った。突然、倒したはずの機械モンスターがまた動き出し、うずめを、右手のガトリングを排除して出現した腕で抱えたのだ。突然のことにうずめも驚く。

 

「くそっ!まだ動けたのか。」

 

「うずめ!」

 

「うずめさん!」

 

ネプテューヌとネプギアはすぐに助けようとしたが、そこで思わず急停止する。それはなぜか。それは、敵が残ったガトリング砲をうずめに突き付けていたからだった。

 

「くそっ…俺は人質ってことかよ…。」

 

うずめの言う通りだった。敵はうずめを人質にしたのだった。これでは手が出せない。その様子にネプギアも動揺し、光樹も手を固く握り、悔しそうにする。

うずめを助けることは出来ないのだろうか。わたしたちはただ見届けるままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

迂闊だった。まさかうずめが人質になるなんて。光樹は歯ぎしりをした。今すぐにでも助けに行きたかったが、あの距離でつっこんではうずめに攻撃が直撃するのは明らかだった。

だがこのまま逃がすわけにもいかない。一瞬の隙をついてうずめの奪取をしたかったが、そのために必要なトランザムシステムは現在十分な粒子量がなかった。ワンセコンドトランザムでも、届かないことがゼロの表示するデータで分かった。何か、あと一手欲しかった。

その時だった。

 

 

 

 

ヒュウウウウウン!

 

 

 

 

機体の音声収集機能から、微かにそんな音が聞こえてくる。まるで、何かが落ちてくるような。機械モンスター「ガガムド」が、先程開けた穴から出ようとした所で、その音の正体を知ることとなる。

光樹の目に、ガガムドの奥から、何かが急降下、そして急接近する影が見える。何なのか知る前に、その何かがガガムドの腕部を横切る。と、同時にガガムドの手からうずめが離れる。

だが正確には違った。その何かがガガムドの腕を切ったのだった。

 

「うわぁぁぁ!?」

 

「うずめ!」

 

すぐに光樹はここが分かれ目と判断し、トランザムを起動し、うずめをキャッチする。だが腕を切られたガガムドもみすみす逃すつもりはなかった。残った左腕のガトリングをこちらに向け、掃射する。光樹はそれにうずめが当たらぬよう、こちらにその身を預けさせて抱えるようにしながら、ANウエポンバインダーシールドユニットで防御する。その時うずめが「熱い熱い!!」と言っていたが、そんな事に構っていてはやられる。光樹はそのまま防御する。

そう行動したものの、このままだとうずめにやけどを負わせてしまう。女神といえども、この高温に耐えるのはきついだろう。何とかしてあいつの弾丸を止めないといけなかった。しかし、敵はそうはさせまいと弾丸を撃ち続ける。そこで先程の何かが急速反転し、ガガムドへと向け飛翔する。そしてガガムドと交差する刹那、ガトリング砲を切断する。

砲撃がやむと同時に、光樹はすぐに後退する。うずめを安全圏に置くためだ。

 

「うずめはここにいてくれ。」

 

「お、おう。」

 

うずめを置いたのち、光樹は戦闘に戻る。ガガムドは光樹達を助けた何かと戦っていた。何かが優勢だったが、偶然敵の振り回した腕部が当たり、地面に叩き付けられる。動きが止まった所で、ようやく光樹はその正体を知る。

鳥だ。だがただの鳥ではない。鋼鉄の体に鋭い刃を備えた翼、そして尾に四門のガトリング砲を持った機動兵器だった。そこでゼロがその正体を言う。

 

『シュバルトフェニックスだ。シュバルトゼロガンダム系列の支援兵装。修復途中だったものを呼び出した。』

 

そうか、こいつは支援兵装なのか。ということはシュバルトゼロの新しい兵装ということに違いない。光樹はゼロに使い方を聞く。

 

「どうすれば使える?」

 

『ウエポンモードへ変形させろ。』

 

その言葉通り、ウエポンモードというものに変形するよう念じる。すると、シュバルトフェニックスが変形を開始する。その姿は巨大な大剣に変化した。そして光樹の手元に来る。それを掴むと、装着時の音声が響く。

 

『シュバルトゼロフェニックス天、クロスアップ。』

 

シュバルトゼロ天は、不死鳥へと変わった。大剣との合体で、シュバルトゼロ天のフルノイズドエナジールーンフレームは赤黒から金色がかった赤へと変わっていた。それと同時に、出力が増大する。

その形状はまるでアストレイブルーフレームセカンドLのタクティカルアームズのようだった。だがそれを今は気にしている余裕はない。敵はこちらにキャノン砲を構え、撃つ。だがその攻撃は大剣の面を前面に向け防御する。その状態のまま、敵へと急接近する。キャノン砲を受け止めた反動を物ともせず、突っ込む。

そして、間合いに入る。その大剣を横薙ぎに振るう。その攻撃はガガムドの上半身と下半身を両断する。その断面は綺麗な物だった。匠の技ともいえるものだった。

ところが、それでもなおガガムドの上半身は動く。そこで敵の動く源を叩く。動力源を叩くという方法が一番だったが、爆発する可能性もある。そこで光樹はある部分を分断した。

 

ザンッ!

 

敵の体と頭部が分断された。続いて敵の頭部を貫く。敵の頭部は爆散する。

それで最後だった。敵の残った体は完全に機能停止した。それを確認し、セットオフする。

装着を解除すると、うずめがこちらに来る、

 

「助かったぜ、光樹。」

 

「うずめ、無事だったんだな。」

 

「ちょっとまだヒリヒリするけどな。」

 

「ご、ごめん。」

 

「気にするなって。おかげで助かったんだしよ。」

 

光樹の謝罪に、うずめが笑顔で答える。うずめの方にもやけど以外の目立った傷もないみたいだ。そう安心したところで、唐突にネプギアがテンションMAXでこちらに聞いてきた。

 

「光樹さん!さっきのあの鳥型の機動兵器、何なんですか!?調べさせてもらってもいいですか!」

 

「え、あぁ、ゼロ、いいか?」

 

『修理中ではあるが、それでもいいというなら問題ない。』

 

「やった!じゃあ後で調べさせてもらいますね。その前に、こっちのモンスターを解体しないと!」

 

ゼロからの許可を得たネプギアは、そのまま先程倒した機械モンスターをばらし始めた。ところ構わず分解するもんだから、ネプテューヌが「散らかしちゃだめだよ。」と言う始末だ。

そんなネプギアを横目に、うずめが戸惑いを見せる。

 

「人が捕まったのに、戦闘後第一声が「解体」ってのも、凄いな…。」

 

「メカヲタなところがネプギア唯一の個性みたいなものだからね。」

 

「こんなことなら、頭部壊さなきゃよかったなぁ。」

 

うずめがそう思うのも分かる。たぶん、ちゃんと心配はしていたのだろうが、そこで急にシュバルトゼロの新兵器、というか支援機が登場したため、話題がそっちに持っていったのが原因だ。

だが第一声が「解体」というのは、完全にネプギアの欲だろう。でもそれくらいしかネプギアの個性がないというネプテューヌの意見も間違ってはいないかもしれない。ネプギアには悪いが。

 

「あーっ!」

 

そこで突然、ネプギアが大声を上げる。何かあったのだろうか。声の調子から、嬉しそうな声ではあったが、すぐにネプギアのところへ行く。途中、散らかったパーツでこけそうになったが。

 

「ん?どうしたのネプギア。」

 

ネプテューヌがそう聞くと、ネプギアは驚くべき事実を述べた。

 

「転送装置のコアパーツの代用品、発見しちゃった!」

 

「本当か!?」

 

「じゃあ、転送装置が直せるんだね!わーい、やったー!」

 

まさか修理に必要なパーツが見つかるとは。これは流れがこちらに来ている。このまま行けば、エネルギーの方も何とかなりそ…いや、パーツはネプギアが見つけてくれたんだ。あとはこちらの考えている方法で何とかしなければ。光樹はそう決意した。

一方ネプギアは…。

 

「そうだ、他にもなにか掘り出し物があるかも。他の場所も分解してみよーっと。」

 

そう言って機械モンスターの分解の方に戻った。やはり機械には目が離せないようだ。それも別の次元の機械だから、それも手伝ってネプギアを虜にしているのだろう。

その一連の流れを見て、海男が言葉を発する。

 

「遊びに来たはずが、とんだ拾いものだったな。」

 

「だな。ぎあっちも元気になったし、来てよかったぜ。」

 

うずめもそう返す。

もうすぐ装置が直る。それは光樹達とうずめの別れであった。

 

(本当にこれでいいのか…?)

 

そんな心配がまた光樹の中に過ぎる。しかしその考えも虚しく、時間は過ぎていくのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。トランザムシステム搭載のMP、実はこれは本来ありえない機体なのです。
その紹介は次の次の黒の館で明らかになります。

そしてシュバルトゼロの新兵装、シュバルトフェニックスは本編でも光樹君が思った通り、ガンダムアストレイブルーフレームセカンドLのタクティカルアームズをベースとしています。ですが、所々でガンダムアストレイレッドフレーム改のタクティカルアームズⅡLの要素も入っています。

それから、実は前回と今回のお話は、一度全部書き換えています。追加したのは、サトゥーリアとの戦闘、そしてシュバルトフェニックスのところです。ただ原作の敵と戦うだけじゃつまらないと思ったため、こうなりました。

それから、次の次の話に当たる、黒の館で、アシスタントのヒカル君が抜けることになります。理由はその時の黒の館のあとがきにて明らかにしたいと思います。

では次回の投稿は土曜日とさせていただきます。
次回もお楽しみに。


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第46話 元の世界へ、魔女と機動戦士の再来

どうも皆様、お元気でしょうか。
木曜日にヒカル君と共に近所のゲームセンターに、先行稼働したガンダムU.C.カードビルダーを遊びに行った藤和木弘です。私はやってませんが(笑)。いや、バナパスとかのカード持っていないですからね。

第1章最終話となる、第46話投稿です。
今回は光樹君達の超次元への帰還です。果たして、無事に帰れるのか?
ちなみに、このお話は約10000字となっています。今回で第1章終わらせようとしたらこうなりました\(^o^)/。長すぎる文を投稿してしまい、申し訳ないです。

では本編へどうぞ!


 

 

「やった!修理完了です。」

 

ネプギアはそう叫んだ。昨日の機械のモンスター、装甲などの文字から推測した名称である「ガガムド」から修理に必要な代用パーツを手に入れて、ようやく修理が終わった。これで準備さえ整えば元の世界に帰ることが出来る。

それを聞いてお姉ちゃんたちがこちらの方に集まってくる。

 

「よかったな。これでやっと元の世界に帰れるぞ。」

 

「長かったような、短かったような、そんな感じだな。」

 

うずめさんと光樹さんがそんな会話をする。光樹さんのその言葉には、私も納得だった。凄く短いけれど長い間この零次元でいたように思える。そう思えるのはおそらくマジェコンヌとエクスたちが操っていたダークメガミとエクストリィムと戦ったからだろう。今もあの戦いがどうして勝てたのかと思ってしまう。

けど、本当に帰ることが出来て良かった。でも、お姉ちゃんはそうでもなかった。溜息をついてから、お姉ちゃんは言う。

 

「けど、こっちの世界に来ている間に仕事がたまってると思うと、素直に喜べないんだよねぇ…。」

 

「そういえば俺も、イストワールに仕事を手伝えって言われてたんだったな。…はぁ。あんまり書類作業やったことないんだよな。」

 

「はぁ…お小言を言ういーすんの姿が目に浮かぶよ。」

 

お姉ちゃんと光樹さんは互いにそう落ち込む。二人共、仕事がしたくないんだ。でもいつかは帰って仕事をしないといけないから、今のうちに悲観しておきたいのだろう。もちろん、お姉ちゃんの手伝いもする予定だ。

 

『それは、こういった姿ですか?』

 

「そうそう。そんな感じで………って、いーすん!?」

 

「まさか、通信繋がっていたのか…。」

 

その声に二人共大きさは違うが驚く。実は直すときに装置を繋いでいて、更に直ったと同時にいーすんさんに連絡をしていたのだ。そのことを二人に言う。

 

「ごめんなさい、お姉ちゃん、光樹さん。ちょうど修理が終わったからいーすんさんに連絡をしたところだったんです。」

 

そこでいーすんさんがお姉ちゃんに嘆くように発言する。

 

『ようやく三人が戻ってこれると思って期待して通信を受けたらまさかネプテューヌさんのわたしに対する愚痴を聞くことになるなんて…。ご希望でしたら、こちらはネプギアさんと光樹さんと私に任せて、このままずーっと、そちらの世界にいてもいいんですよ。』

 

「あ、俺は別に帰ってきていいんですね。」

 

『書類作業なら一から教えますので。』

 

「良かった…。」

 

光樹さんは幸いこちら側だったみたいで、その言葉を受けた光樹さんはどこか嬉しそうにしていた。でも、いーすんさんに顔を隠すようにした後、表情がどこか曇っているようにも見えた。

でもそれは水に流れた。お姉ちゃんがいーすんさんに取り繕う発言をしたからだ。

 

「やだなぁ、いーすん。あれがわたしの本音なわけないじゃーん。ほら、今プラネテューヌで流行りのネプリカンジョークってやつだよ。」

 

「ネプリカンジョーク?」

 

その言葉には、光樹も戸惑いを見せた。なんだろう、ネプリカンジョークって。ネプギアも困惑する中、イストワールがネプテューヌに子供を叱る母親のように言う。

 

『なんですか、ネプリカンジョークって…。まぁ、いいでしょう。お説教するにも、まずは帰ってきてもらいませんと。』

 

「え゛。」

 

ネプテューヌはその言葉に詰まる。まさに帰りたくないという気持ちが見て分かった。どうにかして助けたかったが、ネプギアがまた言うと更に機嫌が悪くなりそうだったので、迂闊に声を出せなかった。

けど装置が直りはしたが、問題がまだ残っていた。エネルギーのことだ。どうにかしてエネルギーをどこかから供給しなければならなかった。海男もそれについて述べる。

 

「せて、装置が直ったとなると、次はどうエネルギー問題を解決するかだね。」

 

全員が言葉に詰まる中、一人とあるアイデアを出した。

 

「それなら、こいつらは使えないのか?」

 

それはうずめさんだった。うずめさんの手には、シェアクリスタルが載せられていた。うずめさんは、自分の持つシェアクリスタルのエネルギーで装置を動かそうと言うのだった。

でも、それはうずめさんが女神化するために必要な物を消費するということだった。私は遠慮しながら言う。

 

「それって…シェアクリスタルですよね?そんな貴重なもの使えませんよ。」

 

「そうだよ、それがなきゃ、うずめは女神化できないんだよ!」

 

お姉ちゃんもそれに反対する。けれど、うずめさんは言う。

 

「大丈夫だって。ねぷっちたちのおかげでデカブツたちは倒せたし、あとはポッと出の紫ババアと機械野郎だけだろ?それに、少しとはいえモンスターからシェアを得られるようになったんだ。今更こんなにひつようねぇよ。必要になったらなったでまた集めればいいだけだしな。いいだろ、海男?」

 

そのうずめさんの意見に、海男さんも許可する。

 

「あぁ、それがいい。オレも賛成だ。」

 

「ありがとう、うずめ!うずめのことはぜーったい忘れないからね。」

 

「あぁ、俺もだ。ねぷっちたちのことは絶対忘れない。」

 

その雰囲気に流されて、お姉ちゃんも感謝の言葉を述べる。話はこのまま纏まると思われた。

けどそこで光樹さんがある考えを出した。

 

「ネプギア、この装置のエネルギー…AN粒子でも代用できるか?」

 

「え?たぶん、エネルギー系統が合えば行けると思いますが…もしかして。」

 

「あぁ、エネルギーにAN粒子も使いたい。」

 

そこでようやく、以前光樹さんが考えていたという策が分かる。AN粒子をエネルギーとして使うのだ。でも、それを採用するにはまた調べなければ…と思っていたのだが、そこでゼロさんが話に加わる。

 

『エネルギー系統は以前調べた時に分かっている。AN粒子もエネルギー源として使用可能だ。』

 

それによって、話は纏まった。エネルギーには光樹さんのガンダムのAN粒子も使うこととなった。それを聞いていたいーすんさんも理解して話す。

 

『では、ネプギアさん。わたしの指定する座標をNギアに入力して下さい。あとの次元間転送の制御は私が行います。』

 

けれど、そのいーすんさんの言葉に、私は待ったをかけた。

 

「…あの、いーすんさん。帰るの、もうちょっとだけ待ってもらえませんか?」

 

『突然、何を言い出すんですか、ネプギアさん。』

 

その突然の発言に、イストワールも驚く。しかし、ネプギアにはどうしても、まだ残りたい理由があった。けれど、それを言う前にいーすんさんは独自に解釈する。

 

『まさか、ネプテューヌさんの怠け癖が、ネプギアさんにまで伝染ってしまっただなんて…。真面目なネプギアさんだけが救いだったのに、ネプギアさんがネプテューヌさん化してしまっては、歴代の女神様たちに合わせる顔がありません。』

 

その言葉がネプギアの心に刺さる。確かに、今の状況からしてみれば、お姉ちゃんに似ているかもしれない。実際、今ネプギアが考えていることは、ネプテューヌの行動に近かった。

一方、当の本人であるお姉ちゃんは…。

 

「あれ、もしかしてわたしディスられてる?」

 

と、仲間はずれにされているように一人ポカンとしていた。

だけど、いーすんさんの考えと、私の考えていることは違う。そのことを、はっきりと伝える。

 

「いえ、私はただうずめさんのお手伝いを、最後までしてから、帰りたいんです。」

 

その言葉を聞いたいーすんさんが茫然とする。だけど、いーすんさんだけじゃない。光樹さんも少し目を凝らしてこちらを見返していた。

そして、そのままネプギアはうずめに言う。

 

「うずめさん、私、あなたを最後までお手伝いします。だから、マジェコンヌとエクスを倒して全部解決したら、一緒に私たちの世界に来ませんか?そこなら、お姉ちゃんもいるし、美味しい食べ物だって、ゲームだってあります。だから、一緒に行きませんか?」

 

「………。」

 

ネプテューヌたちと行ったゲームセンターで思いついたことを、ネプギアは言った。これであとはどう返ってくるか…それだけだった。

するとうずめさんは納得したように呟く。

 

「…あぁ、なんだ。そういうことか。ねぷっちといい、ぎあっちといい、ほんとこの姉妹は優しいんだな。こんな俺のために、そこまで悩んでくれてさ。」

 

それを聞いて、ネプギアは疑問を持つ。

 

(ねぷっちといい…ってことは、お姉ちゃんも?このことを言ったの?)

 

先程のうずめの言葉から、そのことを読み取る。けれど、そこからうずめさんがこちらに感謝の言葉を送ってくる。

 

「ありがとよ、ぎあっち。」

 

「じゃあ!」

 

先程の言葉を忘れて、ネプギアは一人喜ぶ。きっと一緒に来るのだろう。そう思ったからだ。でも、うずめさんからの言葉はそうではなかった。

 

「お前の気持ちは嬉しい。…けど、ごめん。一緒には行けねぇ。」

 

「どうしてですか?こんな誰もいない世界に一人ぼっちだなんて寂しすぎます。」

 

「こんな世界だからだ。それに、何が起こるか分かったもんじゃねぇ。だから、帰れるうちに帰りな。」

 

うずめさんの言う通りだ。帰るのを渋って、もし装置が壊れるなんてことになれば、帰ることは出来なくなってしまう。だけど、どうしても満足できなかった。なぜうずめさんがこの世界を離れたくないのか。

 

「そんな…。」

 

更に理由を聞き入ろうとした、その時。

 

 

 

 

ドガガガガガン!!

 

 

 

 

建物の外からそんな破壊音が聞こえてくる。壊れかけたビルが崩壊した音とはまた違った音だ。その音を聞いて皆さんもその音についてびっくりする。

 

「な、何だこの音は!?!?」

 

「これは…恐らく外からのようだ。」

 

すぐに全員が外に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

建物の外では、ある者たちがモンスターを率いて、建物に攻撃していた。

 

「ハーッハッハッハッハッハ!モンスター共よ、こんな建物壊してしまえ!わたしたちの計画を邪魔した者たちを逃してたまるものか!」

 

「ギタード・ビームライフル、最大出力!」

 

それはマジェコンヌとエクスたちであった。マジェコンヌはモンスターたちに命令をし、エクスは指揮しつつ、建物を攻撃していた。ネプテューヌたちのいる転送施設を壊そうとしているのだった。

外に出たわたしたちはその様子に気づく。うずめが言葉を飛ばす。

 

「ちっ、やっぱりテメェ!」

 

「せっかくネプギアとうずめの良いシーンだったのに、どうしてぶち壊しにしちゃうかなー!あの真面目でシリアスなシーンをいつわたしの渾身のギャグでブレイクしてやろうかと思ってずーっとタイミングを見計らっていたのに!」

 

わたしはマジェコンヌに文句を言う。ほんと、別れ際の友人たちの会話のような泣ける場面だったのに!空気読んでよー、と思う。あのシリアスな雰囲気をぶち壊して笑いに変えて、みんなすっきり笑顔で帰れるようにしたかった。そんな思いがあった。

でも、それについて光樹が一言。

 

「いや、重要ならぶち壊すなよ…。」

 

と、冷静なツッコミが入る。いや、でも確かに普通ならあそこであのままの方がいいんだろうけど、でもわたしにも芸人魂っていうのが…。

けど、その光樹のツッコミにもくじけず、マジェコンヌに言葉をぶつける。

 

「言っておくけど、シリアスブレイカーの二つ名はマザコングにはあげないんだからね。」

 

「誰がマザコングか!それにシリアスブレイカーなどそんな不名誉な二つ名などいらん!」

 

そこでマジェコンヌからそんな言葉が返ってくる。シリアスな雰囲気を壊すシリアスブレイカーが狙いじゃないのなら、一体何が目的なのか…。

 

「じゃあ、目的はなんなのさ!」

 

そこで、ネプテューヌはある考えに至る。そんな事をしてまでこのシリアスシーンをぶち壊す理由。その行動に隠れた本当の目的を、言葉にして出す。

 

「…はっ、もしかしてわたしから主役の座を奪う気!?」

 

「はっ、そんなくだらない理由で…。」

 

エクスがそれを否定しようとした所で、突然マジェコンヌが独り言のように話した。

 

「“新次元デストロイヤー マジェコンヌ”、か。…ふむ、貴様を倒して主役の座を奪うのも悪くはないな。」

 

その言葉に、そこにいた全員が失笑する。

 

「ねぇ、聞いた?“新次元デストロイヤーマジェコンヌ”だってさ…ぷぷぷぷ。」

 

「だ、ダメだよお姉ちゃん。本人は真面目なんだから笑っちゃ…。」

 

「デストロイって言葉は、使うやつによってここまでダサくなるんだな。」

 

「けど、今どきデストロイはないだろ、デストロイは…くくくっ。」

 

「きっと本人は破壊者を名乗りたかったんだろう。しかし今どき、このセンスはちょっとな…。」

 

「マジェコンヌよ、貴様の感性はどこかおかしい…。」

 

味方であるはずのエクスにまで笑われる始末だった。ここまで来ると、同情してしまう。全員が笑う中、それに我慢できなかったマジェコンヌが駄々をこねる子供のように叫ぶ。

 

「う、う、う…うるさあああぁぁぁぁーーーーい!いちいち揚げ足をとりおって!許さんぞ、貴様ら!」

 

「ふっ、ようやくマジェコンヌが本気になったか。」

 

「エクス、貴様もだ!!」

 

「なんということだ…。」

 

その怒りはエクスにまで飛び火した。けど、その様子が漫才みたいで面白く思って、更にマジェコンヌを煽る。

 

「キャー☆赤面して恥ずかしがってるマジェっち、か・わ・い・いー☆」

 

「お姉ちゃん、そろそろやめてあげなよ。あの手の痛い人って、キレると何をするかわからないんだよ。」

 

「そのとおりだ。いい歳してあの見た目、まさに見える地雷と言えよう。最近の若者以上に、キレたらなにをするかわかったもんじゃない。デリケートに扱わねば。」

 

ネプギアと海男ががそろそろやめた方がいいと言う。けれど、なんだかいじるのがやめられないというか、もう少しいじっていたい気がする。何せ、こちらはせっかくのシリアスブレイクを邪魔されたのだから。

だがしかし、ここでマジェコンヌがとうとう本気になってしまう。

 

「うがああああああああっ!!」

 

『ひぃ!?』

 

その奇声に、思わず全員がたじろいだ。とうとう限界を超えてしまった。もう誰にもこの怒りは止められない。完全に怒ったマジェコンヌはこちらに向かって激おこになって憎しみを込めながら言葉を紡ぐ。。

 

「貴様ら、よくも人のことを好き勝手言ってくれたな!今日は邪魔をして貴様らを絶望のどん底に突き落とすつもりだけだったが、気分が変わった。今直ぐに始末してやる!」

 

「…ぷっ。絶望のどん底!絶望のどん底だってさー。わたし、ゲーム以外で使う人、初めてみたよ。おっかしー。」

 

それでも、ネプテューヌはまだ笑った。だって、絶望のどん底だよ?今時のゲームのラスボスだって使わないくらいの言葉だから。ネプギアや海男が止めても、これで笑わないのはおかしい。

さすがに止めるのは無駄と判断したのか、海男もやれやれといった感じで声を出す。

 

「どうやら、ねぷっちの煽りも大概だが、おばさんの煽り耐性のなさも問題のようだ。」

 

その言葉が合図のようだった。マジェコンヌはモンスターたちに命じる。

 

「貴様、これ以上の侮辱は許さんぞ!ゆけ、モンスターたちよ!小娘共々、建物を壊してしまえ!!エクス、お前も命令しろ!」

 

「分かっている。転送装置を破壊せよ!」

 

命令を受けたモンスターたちが、転送装置のある建物を攻撃を開始する。

 

「くそっ!ねぷっちたちを帰すために、壊されてたまるか!」

 

うずめの言葉と同時に、ネプテューヌたちは建物を攻撃するモンスターたちと交戦する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「てぇぇりゃぁぁ!!」

 

うずめのメガホン音波の攻撃が棒人間のようなモンスター「こいつ○」をまとめて吹き飛ばす。しかし、その穴を埋めるように他のモンスターたちが襲い掛かる。

 

「うずめ!…くそっ!」

 

光樹はすぐに助けに行こうとしたが、その行く手を大きな斧とシールドを持ったモンスター、「リザードマン」と他のモンスター達が行く手を塞ぐ。

 

「邪魔だ、どけ!」

 

光樹は思い切りデュランダルを振るう。しかし、その攻撃は敵にとっては軽いものだったらしく、全くダメージを受けているようには見えなかった。よく見ると、敵は攻撃の直前で防御していたようだった。

しかし、光樹はデュランダル二本を交差させ、切り抜ける。二本の剣による斬撃が敵を切り裂く。だがそれだけではとどまらない。何度も敵の周りを回るようにデュランダルを切りつける。そして、最後にクロスを作るようにして二本を同時に振り下ろす。その攻撃をもって、敵は消滅をする。

次の敵を相手にしようとしたところで、膝をついてしまう。生身で戦うことは増えてきてはいたが、これまでの無理がたたったのか、疲れがどっときたのだ。

 

『光樹、そろそろ変身を…。』

 

「分かってる。」

 

ゼロからの提案を受け取る。やはりこの辺りが生身での、自力での限界だろう。光樹はシュバルトゼロ天をセットオンする。装着と同時に、光樹は新たに存在を知った支援機を呼ぶ。

 

「ゼロ、シュバルトフェニックスを!」

 

『すでに呼んである。』

 

すると、空から高速でこちらに向かってくる影が見える。その影は低空飛行の後、敵を切り裂きつつ光樹の横に舞い降りた。

颯爽と現れたシュバルトフェニックスは、すぐにその体を大剣へと転じ、光樹の手に握られる。そして、機体は赤黒いフレームを金色にほのかに輝かせる。シュバルトゼロフェニックス天に姿を変えた。

 

『シュバルトゼロフェニックス天、クロスアップ。ガトリングフォームへ切り替え。』

 

ゼロの言葉によって、大剣となったシュバルトフェニックス天は更に姿を変える。大剣が真っ二つに割れる。そこにシュバルトフェニックスの尾であったガトリング砲が姿を現す。

姿を現した砲門は敵を確認すると回転をはじめ、弾丸を発射する。次々と放たれた弾丸は敵を撃ち抜く。前面にいた敵は、その掃射でほとんど消し飛ばす。だが、それも一時のものだった。

マジェコンヌの背後にいたモンスターたちがその穴を埋めるように前面へと出てくる。このままではこちらがジリ貧だ。

 

「ちっ、数だけはいやがる…!」

 

うずめの叫びはある意味当たっていた。敵の強さはほどほどだが、数が問題だ。このまま相手にしていたら、建物が破壊されるどころか、こちらが全滅するのも時間の問題だ。

一方、その様子を見ていたマジェコンヌは高らかに笑い声を響かせる。

 

「ハーッハッハッハッハッハ!どうした、貴様らの実力はこの程度か。」

 

その言葉に、イラつく。自分は何もしていないくせに、勝ち誇っているのが癪だ。だが、そう思っても、どうしてもこの大群を圧倒しきれなかった。ドラグーンを射出してモンスターを掃討しつつ、マジェコンヌを狙うが、そのビームは全てエクスのシールドによる防御もしくはビームライフルの弾丸によって撃ち落されていた。

 

「多数戦で要を撃とうとするのは実に効率的だ。だがその程度では浅はかだ。」

 

逆にエクスにそう返される。悔しいが、エクスの言うことは間違っていない。今の俺ではたとえ一撃当てても、倒すことはできないだろう。

だがそこで、流れが変わる。先程まで海男と何か話し合っていたうずめがこちらに言ってきたのだ。

 

「ねぷっち、ぎあっち、光樹。撤収だ、早く転送施設に入れ!」

 

事実上の撤退だった。その指示に、ネプテューヌ達が驚きを見せる。

 

「ねぷっ!?」

 

「え、けどまだモンスターが…。」

 

「作戦変更だ!詳しくはあとで話す!今は早く中に入るんだ!」

 

しかし、驚くネプテューヌ達に構わず、うずめは叫んだ。光樹はその策には賛成だった。どちらにしろ、この戦闘はかなり不利なのが素人の光樹から見ても分かった。ここは何かのタイミングでここを放棄して撤退するのが一番の策だと思った。

その指示に光樹達は黙って従い、転送施設の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転送装置のある部屋に入った後、すぐに光樹達はマジェコンヌ達が入ってこられないようにバリケードを急遽作った。光樹のガンダムから電気を流し、一時的に電子ロックをかけ、壁にあった本棚を思い切り倒し、そこにあった使用不可能な機材を適当に乗せた簡易的なものだったがこれならしばらくは持つだろう。

 

「…これなら当分は入ってこれないだろう。」

 

海男が息をつく。だが安心はできない。ここで何か手を打たなければ詰みだ。

バリケードを作り終え、少し疲れた様子を見せたネプテューヌが納得がいかなそうな表情を見せて呟く。

 

「もう、最後の最後であんな大群を引き連れて襲撃してくるなんて、あのおばさん性格悪すぎだよー。」

 

「けど、あんなにいるのにどうすれば…。」

 

ネプギアは姉をなだめつつも、心配をする。ここに逃げ込む前にも、退きながら迎撃はしていたが、倒したのは何十体ほどだったが、それでも数が減っていないように思えた。まさに無限ともいえる数である。

だが、そのネプギアの心配を装置を何やら操作していたうずめが気にしないように言う。

 

「なぁに、ぎあっちが気にするこたぁねぇよ。」

 

そのうずめが、驚愕の発言をする。

 

「今からお前らを転送する。早く装置にはいってくれ。」

 

「いやいやいや、ダメだって!あんな大群がいるのに置いていけないよ!」

 

ネプテューヌもうずめが考えていることに気づく。うずめは俺達だけでもこの場から逃がすつもりなのだ。敵の狙いは俺達を元の次元へと戻さないことだ。ならば、俺達が戻りさえすれば、敵のやることは無くなる。こちらの勝利だろう。

だが、それは同時にうずめをあの大群に孤立させることと同義だった。俺達がいなくなっても、敵はうずめに狙いを変えて襲撃を続けるだろう。女神とはいえ、うずめも少女だ。敵を全て倒すのは不可能だ。

それに、光樹もネプギアと同じように、まだ帰るべきではないと思っていた。「夢」のオレンジの女神の言ったこの次元での役目を果たしていない気がする。おそらく、全て解決しなければ…。

しかし、うずめはその顔に笑みを浮かべつつ、ネプテューヌの言葉に答える。

 

「大丈夫だ。デカブツたちに比べれば数が多いだけの雑魚なんざ大したことないさ。」

 

その時、部屋に大きな振動が響く。最初はここの部屋の扉が破られたのかと思った。だが違った。

 

「…どうやら、扉が破られたようだね。時間がない、三人共、転送装置に。そして、ぎあっちはイストワールに転送の合図を。」

 

海男の発言の通り、おそらく施設の扉が壊されたのだろう。こうなればここを襲撃されるのもすぐだ。海男のその指示に、突然、イストワールが答える。

 

『それなら、準備は整っています。みなさんの状況はこちらでもNギア経由で把握しています。』

 

そういえば、襲撃を受けた時、Nギアの通信はまだ繋がっていた気がする。ここまでの間に、イストワールはずっと作業をしていたのだ。そして三人はうずめに押されて転送装置に入った。

うずめはこちらに別れ際の言葉を述べる。

 

「よし、三人共入ったな。まさか、こんな慌ただしいお別れになるとは思ってもいなかったが…向こうの世界に戻っても元気でな。」

 

「うずめ、無茶はするなよ?」

 

「あぁ、お前らが行ったら、適当に逃げるさ。」

 

「………。」

 

その言葉を交わしあったその時、バリケードに大きな穴が開く。エクスのビームライフルによって開けられたのだ。そこからマジェコンヌとエクス、そして率いられたモンスター達がなだれ込んでくる。

 

「見つけたぞ、小娘共!」

 

「もう来やがったか。じゃあな、ねぷっち、ぎあっち、光樹。」

 

そう言い放つと、うずめはマジェコンヌ達の前に出た。攻撃の的になるつもりなのだ。

 

『それでは、転送、始めます!』

 

イストワールの言葉に続いて、転送装置に光が集まる。転送が開始されたのだ。

それを見てマジェコンヌは歯痒そうにする。

 

「ちっ!今からでは止められんか!」

 

「ならば橙の女神よ、貴様だけでも葬る!」

 

マジェコンヌ達は己が武器を構える。その先にいるのはうずめだ。転送する前に転送装置を破壊できないと判断し、うずめに目標を変えたのだ。

その危機に、ネプギアが動く。

 

「うずめさん、危ない!」

 

ネプギアは転送装置から飛び出した。うずめを助けようとしたのだ。だが、それに気づいたエクスがビームライフルの狙いをネプギアに変えるのがディスプレイのロックオンカーソルが捕えた。このままでは二人共やられる。

それが光樹の意志を固めた。そして光樹もまた、転送装置から飛び出した。二人をやらせないために。

先に出たネプギアが、うずめを抱え、マジェコンヌの攻撃の斜線上から離れる。

 

「なっ!?」

 

だがそこにエクスがネプギアの着地点に向け、ビームライフルを撃つ。そこを先回りをするように、トランザムを発動させた光樹がシュバルトフェニックスを大剣のままシールドのように構える。

 

「ちょ!?ネプギア!?光樹!?」

 

ネプテューヌの声と共に、更に転送装置が光り輝く。そして、ネプテューヌの声が響く。

 

「ネプギアーーーーーーー!光樹ーーーーーーー!」

 

 

 

 

その言葉と共に、ネプテューヌはこの次元から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

CHAPTER 1 END

 

TO BE CONNTINUED

 

NEXT CHAPTER 2 「黒き0、力の復活へ」

 




いかがだったでしょうか。
光樹君はまさかのネプギアの行動に影響され、零次元に残ることに。次章ではネプテューヌとオリジナルキャラクターの一人の視点が中心となって物語が始まります。

次回は黒の館です。第1章の振り返りとサトゥーリアとシュバルトフェニックスの解説もあります。

と、ここで冒頭で話していたU.C.カードビルダーの話を少し。
このゲームは以前稼働していたとあるゲームをベースとしたゲームになっています。U.C.と言う名の通り、宇宙世紀と呼ばれるガンダムのシリーズの機体しか登場はしませんが、それでもヒカル君のプレイを見ていた限りでは、十分楽しめるものだと思います。
難易度ですが、少し高めかなと見ていて思いました。リアルタイムで戦況が動くので少し早く、カードを動かししつつ、ゲージが貯まったらすぐに右側のボタンを押し、ストライクオペレーションとかいう必殺技を敵よりも早く使う必要があるなど、スピード感があり、エクストリームバーサスをよくやっている自分でも、見ていてこれは難しいと思いました。

それと、もう一つガンダム関連でお話を。
ヒカル君が付録につられて買ったガンダムエースで知ったのですが、新たなるエクストリームガンダム登場です!
イクス・トリムの登場する新たなるエクストリームガンダムの名は「エクストリームガンダムMKーⅡ(マークツー)AXE(アグゼ)!見た感想は「な、なんだこいつ…。」でした。
でも、武装が興味をそそられるのですよ。武装は背中に背負ったマルチウエポン。ブースターとして使用する他、大剣やシールドにもなるなど、万能感が半端ない…。機体の大きさは今までのボスエクストリームガンダムとは違い、普通の大きさ、プレイアブル機体達と同じです。でも私には分かります。…これ絶対スーパーアーマーですよね!?攻撃で仰け反らないですよね、バン○イさん!ちなみにこの機体がプレイアブル機体と同じ大きさなのは、エクストリームガンダムディストピアフェイズの制御機体として内蔵されているからです。
更にセシアのエクストリームガンダムも登場する情報が!でも使うかな?出たら一度使ってみようとは思いますが。

話が長くなりましたが、今回はここまで。次回の投稿は黒の館なので木曜日になります。
次回もお楽しみに!


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黒の館 第5回 解説&振り返り~MP・サトゥーリア、シュバルトフェニックス

どうも皆様、作者の藤和木弘です。

今回はSSRと言う名のG第1章の終了というわけで、黒の館投稿です。
え?第0章では完結の時に特に何もなかったのに、何で今回はって?まぁ、自己満足ですね。三日坊主とかであまり物事が続かない自分としては、ここまでこれたのは、読んで下さる皆様のおかげなので、その記念とかですね。といっても、特に特別なことはない…のかな?

では本編へどうぞ!


 

藤和木&ヒカル『SSRと言う名のG第1章完結!!』

 

ドンドンパフパフー!!

 

ヒカル「はい、今回も始まりました黒の館。今回は第1章完結記念として、これまでの振り返りと新たに登場したこの小説内初のMPサトゥーリアとシュバルトゼロの支援機、シュバルトフェニックスを紹介していきます。」

 

藤和木「さて、今回は振り返りとして、これまでの話について、次章の出演者にも来てもらいました!」

 

ヒカル「今回のゲストは、まずは我らが主人公、和藤光樹。」

 

光樹「どうも、和藤光樹です。現在零次元に残っています。」

 

藤和木「そして、次章ネプテューヌの方に登場するオリキャラ、黒コートの女…」

 

黒コートの女?「誰が黒コートの女よ!」

 

ドガッ!

 

藤和木「あいだ!いきなり殴ることないじゃないで…」

 

黒コートの女=光木 鈴「あたしには光木 鈴っていう名前がちゃんとあるのよ。まったく、光樹に似てからかうのが好きというか、なんというか…。」

 

光樹「え、俺そんなキャラなの?」

 

藤和木「まぁその話は後にして、今回はこれまでの振り返りだ!」

 

光樹「これまでの振り返りって…何をやればいいんだよ…。」

 

鈴「あたしに至ってはプロローグの登場だけでほとんどこれまでの話知らないんだけど。」

 

ヒカル「一応光樹の中では出てきているみたいだけど。」

 

鈴「あー…みたいね。でもあたしは知らないから。」

 

藤和木「まぁ、二人だけで考えるのは難しいと思うから、こっちで纏めておいたぜ。以下第1章の、SSRと言う名のGは!」

 

光樹「あれ、日朝の番組で聞いたことあるぞ?そのフレーズ。」

 

藤和木「大丈夫、リスペクトだよ。」

 

 

 

超次元側4月19日

ネプテューヌ、謎のゲーム機を拾う。

ネプテューヌ、ネプギア、光樹、ゲーム機の作り出した穴に吸い込まれ、零次元へ。

 

零次元側4月19日

光樹一行、うずめに出会う。ダークメガミ、エクストリィムと遭遇。

メガスレイモンと戦闘、うずめがオレンジハートに変身、光樹がZEROに飲み込まれかける。

 

零次元側4月20日

光樹達、うずめの記憶喪失を知る。

光樹、地下の開発室にて謎の「夢」を見る。以降、謎の記憶を見るようになる。ガンダム用の新兵器、「メガミブレイカー」を開発。

 

零次元側4月21日

ネプギア、名も知らぬ廃墟の端末から謎のデータを入手。後述するコーラル駅でも同様のデータを発見。

一行、海男からの連絡でコーラル駅へ、そこでうずめの妄想力初発揮した可能性あり。コーラル駅にてユンゲルトスと戦闘。海男と初対面、メガスレイモンの強化型、ギガスレイモンと戦闘、光樹がシュバルトゼロにセットオン可能に。マジェコンヌ、その様子を陰から偵察、エクスがメガミブレイカー発射跡地にて調査。

 

零次元側4月22日

ネプテューヌがプリンを要求、ネプギアとうずめが作り、プリンパーティに。その後、一行はジングウサクラ公園へ。

ジングウサクラ公園にてマジェコンヌとエクス、そして二人が操るダークメガミとエクストリィム出現。シュバルトゼロ、初のノイズドエナジーフィールドを、オレンジハート、初のシェアリングフィールドを形成する。

シュバルトゼロ天に初セットオン。メガミブレイカー残弾2発。ダークメガミ、エクストリィム共に撃破。

 

零次元側4月23日

一行、海男に連れられて転送施設へ。イストワールとの連絡が繋がる。修理のためのパーツ探しに。

 

零次元側4月24日

ネプギアのため、ゲームセンターへ。そこで機械型モンスター「ガガムド」そしてMP「サトゥーリア」と戦闘。ゼロが謎のシステムにより一時的に制御不能に。

新兵器、シュバルトフェニックス登場。シュバルトゼロフェニックスへと合体可能に。

 

零次元側4月25日

転送装置修復完了。マジェコンヌ、エクス襲撃、ネプテューヌが零次元から超次元へ。

 

 

 

藤和木「これらが第1章での物語です。いかがですかな、二人共。」

 

鈴「はい質問。」

 

藤和木「はいどうぞ。」

 

鈴「22日のネプテューヌちゃんがプリン要求の所で、この時系列的にはプリンは三日くらい食べてない計算だけど、文章だと二日くらいの時間になっているんですがどういうことかしらー?(棒)」

 

光樹「あ、本当だ。どうなんだ?」

 

藤和木「22日数えなければ二日ですが何か?」

 

鈴「やっちまったって感じの表情してるけど?」

 

藤和木「よくあるこった、気にするな。」

 

鈴「本当かしら?」

 

藤和木「はい、この話はおしまい!次、何か無いのか?」

 

光樹「じゃあ質問。メガミブレイカーの残弾数が二発って書いてあるけど、これ足りるのか?」

 

ヒカル「ここは自分が答えよう。大丈夫だ、問題ない。この兵装にはとある機能を盛り込んであるからな。」

 

光樹「一体どんな機能なんですか(汗)。」

 

ヒカル「それはその時にゼロが教えてくれるはずさ。」

 

光樹「そうですか。」

 

藤和木「で、さっきから質問ばっかりだけど、何か無いのか?ここが凄かったー、とか。」

 

光樹「ならば言おう作者よ。」

 

鈴「この人選は間違いだったと…ね。」

 

藤和木「あかん、この二人割とリアル思考だったの忘れてた\(^o^)/。」

 

ヒカル「それだけじゃないぞ。光樹はともかく、鈴の方はまったく第1章に関わっていないから、聞きたいことがないんだろう。」

 

藤和木「せやな。これはやらかした。こうなったら話題作りのために、新たに登場した敵であるMP、サトゥーリアとシュバルトゼロの支援機として登場したシュバルトフェニックス、そして合体(というか変化)した姿であるシュバルトゼロフェニックスについて説明するぞ!」

 

 

 

 

MP

 

サトゥーリア

形式番号 SKMS-GMT-012

 

機体解説

ゲームセンターにて光樹を襲った機動兵器。量産仕様のMPでありながら、トランザムシステムを使うことが出来る。

しかしそのようなとんでもない能力を持ちながら、ゼロのデータベースにはなかった。だがゼロは本機を見た際、「裏切者」と呼び、勝手に暴走していた。本機はシュバルトゼロおよびゼロに対して、何か重要な繋がりがあることが考えられる。

頭部はガンダムのジムと同じゴーグルタイプのカメラとなっていて、胴体も比較的ジムに近い。だが、ジンクス系統のような胸部ANドライヴ格納部が存在する。また肩口にはサブセンサーと思われる部分が出ている。

 

 

 

システム系

 

 

TRANS-AMシステム

光樹を驚かせた、本機最大の特徴。ゼロのデータによると、トランザムは本来ガンダムタイプ級のいわゆるエースの使うMP、もしくはNPくらいにしか設定されないシステムであるらしい。それを本機が使用できたのは、今でも分かっていない。

 

ANビームシールド

両腕部に装備されたユニットから展開する防御用ビーム兵装。だが本編のシュバルトゼロ天のNFBの前には無力であった。

が、実は本兵装もこの機体が特別ではという理由の一つになっている。ゼロの現存するデータでは、量産型が両腕にビームシールドを装備するのは量産型の規格用のANドライヴの出力では武装の同時ドライブ時の負荷を軽減するため、一機しかビームシールドユニットを付けられないことが示されている。

ゼロは現在上記を含めた二点を重点的に、本機をデータ上で解析しているが、未だこの機体の謎は解明されていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

武装

・武装名等はゼロが機体格納デバイスからハッキングして得たデータから

 

 

ANランス

機体右腕で保持する近接格闘用兵装。ビームサーベルよりも一回り広いリーチで攻撃出来るが、内部にビームバルカンを内蔵しているため、射撃戦を行うことも出来る。更にランスの持ち手の一番後端はビームサーベルの発振器であり、ビームアンカーを形成することでチェーンランスという鞭系の武器にもなる。

モデルはジンクスⅢのGNランス。

 

ANビームサーベル

近接格闘戦用のビーム兵装。円柱型の物を使用する。機体に三本装備されている。一本はANランスの後端部、残り二本はふくらはぎの装甲裏で、ジンクス系の格納方法を採用している。

 

ANビームライフル

腰背部に装備する射撃兵装。通常時はいたって普通のビームライフルで、連射性を重視している。だがTRANS-AMシステム中には後述するANビームガンアンカーと合体することで前部が大きく展開し、砲撃に特化したランチャーモードに切り替わる。

モデルはストライクガンダムのビームライフル。

 

ANスタングレネード

腰部に懸架された爆弾。現実のスタングレネードと違い、ゲームで見るような電撃で敵をしびれさせるタイプである。片側二個ずつの計四個を装備する。

 

ANビームガンアンカーⅡ

腰部に装備されたビームで形成するアンカー。ビームエネルギーを受け止める先端にはビームガンが内蔵されており、射出した後これで攻撃することで擬似的なオールレンジ攻撃が可能。だが本機の物はANビームライフルと合体してランチャーモードにするという目的が大きく、使う目的としては鞭として敵の接近を防ぐことに限られると思われる。

 

 

 

 

藤和木「まずこれがサトゥーリアだ。どう思う?二人共。」

 

光樹「うん、本編でも思ったけど、なんでこいつトランザム持ってるの?ジム顔なのに。雑魚キャラ代表の奴なのに。」

 

藤和木「お主、ジム・ストライカーとジム・スナイパーⅡに対しても同じことが言えるのか!?」

 

光樹「なんでそいつらを引き出してきた…。いや、ジムストとジムスナⅡはカッコいいから雑魚キャラとは思わないけど…。こいつ絶対量産型じゃないのか?やっぱりジンクスⅣみたいなやつなのか?」

 

鈴「いえ、それだったらおかしいわ。」

 

光樹「…どういうことだ?」

 

鈴「もし量産型ならあたしはこいつと戦っているはず。だけど、こいつを見たことすらないんだけど。」

 

光樹「え、でもこいつMPとかじゃないのか?」

 

鈴「MPだとは思う。けど、量産機がトランザムを使うのはGKSWAXPでも出来ていないから、こいつ何なの?」

 

藤和木「さぁ、こいつは一体何なんだろうねー。」

 

光樹「作者はこいつの正体知っているのか?」

 

藤和木「まぁね。だけどこいつはどこの機体なのか、何故こいつが出てきたのかは伏せさせてもらうぜ。」

 

ヒカル「こいつが何なのかは、俺も知らされてはいないんだよな。」

 

藤和木「けど、ヒントは少しずつだが出ているよ。例えば光樹の「夢」だったり。」

 

光樹「え、あれがヒントなの?」

 

鈴「今確認したけど、何かしら、その夢。未来予知…?光樹のことだから可能性はあるけど。」

 

光樹「何だその言い方…俺は超能力者か?」

 

鈴「一応…ね。」

 

光樹「何だよ…(汗)。」

 

鈴「でも、その夢がこの機体が関係あるとしたら、未来予知の線はないわよね?」

 

ヒカル「そうだよな。もし本当だったら、このサトゥーリアは未来からタイムスリップしてきた機体ってことになるし。」

 

藤和木「さぁさぁ悩め悩め!ドンドン言葉を交わしあって!」

 

鈴「こいつキモイ。」

 

ドスッ!

 

ヒカル「あ、藤和木の心が。」

 

藤和木「まだだ!まだ終わらんよ!」

 

ヒカル「クワトロ乙。」

 

藤和木「さて、次はシュバルトフェニックスとシュバルトゼロとの合体形態のシュバルトゼロフェニックスを紹介だ。」

 

 

 

 

シュバルトフェニックス

形式番号 ANSM-GKX-004BA(SSR-SMX-001BA)

 

解説

再起動したガガムドからうずめを助けた鳥型の機動兵器。シュバルトゼロガンダム系統のガンダムを支援する支援兵器である。形式番号のSMは「サポートマシン」の略である。

普段は鳥型のバードモードで後方支援、もしくは動く盾として運用される。本機にはANドライヴが内蔵されていないため、粒子切れの場合には合体することとなる。

ここで本機の合体シークエンスだが、現在はシュバルトフェニックスがシュバルトゼロに大剣形態のソードモードを手にすることで合体形態のシュバルトゼロフェニックスになっているが、登場した時がウイングチェンジシステムでウイングがANウイングバインダーシールドウイングだったり、すぐに攻撃しなければいけなかったりと合体できなかったり、ソードモードをすぐに使わなければいけなかったためこの方式で合体状態となっていたが本来は違う。

本来はダブルオーガンダムとオーライザーのようにちゃんとした合体形態が存在する。合体方法は、シュバルトゼロの方はフレキシブルウイングバインダータイプの高機動型ウイングで固定し、シュバルトフェニックスはウイングモードに変形し、背部バックパックにシュバルトフェニックスの腹部ジョイントと合体するのが本来の合体状態である。ちなみにシュバルトフェニックスの変形はアストレイブルーフレームセカンドLの武器のタクティカルアームズの変形がモデル。(そもそもシュバルトフェニックスはタクティカルアームズがモデル。)またシュバルトフェニックスとの合体時、シュバルトゼロの背面に武器がある場合、武器の下側が後方に展開した後合体される。

合体時はシュバルトゼロの機能の安定化、そして機動性能の強化などを行う。シュバルトフェニックスには粒子を供給するというお互いにカバーしあうようになっている。

だが、最初の方で粒子切れの場合は合体すると書いたが、実は本機には動力が存在する。

それは、なんと小型化されたVVVレイヴコア、VVVレイヴである。なぜ存在するかは後述する。

そして、本機には機体の形式番号が二種類存在する。これは本機の出自にも関係する。

 

 

 

 

システム系

 

タクティカルシステム

本機の変形システムの名称。様々な形態や武器に変形することが出来る。本システムによる変形パターンは鳥型のバードモード・背部合体するウイングモード・大剣形態のソードモード・固定砲台にしてガトリング砲を撃つガトリングモード・シュバルトフェニックスの首を引き抜く(!)ことで持ち手として使い、撃つビームガンモード・ビームソードを形成するビームソードモード・ソードモードの派生として機体の熱をこちらに移し、超高温の一撃で敵を切り裂くエグゾース・ヒートモードに変形、もしくはモードの切り替えが出来る。

 

VVVレイヴ

シュバルトフェニックスに搭載された唯一の動力炉である。普段は機能停止しており、AN粒子で稼働する本機だが、なぜシュバルトゼロに装備された物を小型化したVVVレイヴが存在するのか。理由としてはシュバルトゼロのさらなる出力強化であると思われる。

シュバルトゼロと合体することで、ルーンを抽出する触媒である人を認識することで本機のレイヴは稼働し、更にルーンエネルギーを使用することが出来るのである。また本機にはレイヴの同調を制御するシステムが搭載されており、シュバルトゼロ自体に搭載されたVVVレイヴコアと本機のVVVレイヴを同調させることで、ANドライヴのツインドライヴのように出力を二乗化させることを目的としていると思われる。

 

合体

シュバルトゼロと合体し、シュバルトゼロフェニックスになる。

 

シェイクハンドシステム

接触した機体の熱を同じく接触している機体と平均化する熱量制御システム。現状はシュバルトゼロとシュバルトフェニックスの間で熱量を平均するだけである。

 

 

 

 

武装(バードモード時の兵装)

 

ANバルカンⅣ

頭部の口内部に内蔵された近接迎撃火器。合体時の武器モードの時は頭部は武器の持ち手となるため、使用不可能となる。

 

ANビームクローⅢ

機体の脚部となる部分に内蔵されたビーム格闘兵装。ただし非使用時にも実体クローとなりえるので、シュバルトゼロがウイングを喪失した際には本機のこの部分を使って運搬することも出来る。

合体時はビームクローの発振器がスラスターとなり、ソードモード時にはアームガードにもなる。

 

ANソードウイングⅢ

翼を形成する、折りたたみ式の近接格闘武器。実体剣を折りたたみ翼として使用できるようにしている。

合体時にはこれを折りたたむことでスラスター口が姿を現し、そこからAN粒子を吹かせて飛翔する。ソードモードの刀身、そしてガトリングモードの支えとなる。

 

ANビームガトリングⅤ

機体の尾を形成するガトリング砲。追尾してくる敵やミサイルを迎撃することを目的としている。

合体時には下方向に砲身が向けられているが、飛翔時には自然と後ろを向き、そのまま発砲して迎撃することも出来る。

 

 

 

 

シュバルトゼロフェニックス

 

解説

シュバルトゼロとシュバルトフェニックスが合体した際の姿。天などの名前があるときはこの名称の後その名前が付く(例、シュバルトゼロガンダム天→シュバルトゼロフェニックス天)。

この形態時は二機のVVVレイヴの同調によりルーン出力は三倍近くになり、ダブルオーライザーと同じくガンダムを超えた存在ということでガンダムの名を外し、シュバルトゼロフェニックスの名を冠することになる。

出力が三倍にはなるが、弱点として消費する記憶量も多くなるということから、本機は短期間で敵を殲滅することを目的とし、そのためシュバルトフェニックスのウエポンモードは一撃で敵を粉砕できるものや、一網打尽にすることができる比較的強力なものを用意してある。

だが真のマギウスとなった者との共鳴で、周囲のルーンを吸収しつつ攻撃することが可能となったことにより、ループのような状態を起こす。この現象はゼロによると解析されて同型機に機能として盛り込まれたとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

藤和木「これがシュバルトフェニックスとシュバルトゼロフェニックスの解説だ。」

 

鈴「相変わらずフェニックスは仕事するわね。うずめちゃんを助けたんでしょ?」

 

光樹「正直あそこで来てくれなかったらあのままどこかに行方くらましていただろうな。正に支援機としての役目果たしていたよ。」

 

ヒカル「しかし不死鳥ってどうなんだ、不死鳥って。」

 

藤和木「いやいや、流星のロックマン3のブラックエースは鳥モチーフみたいだから、鳥で特に有名な名前といえばフェニックスじゃね?」

 

光樹「鳳凰という日本の伝説の鳥がいてな。」

 

ヒカル「すまんな、光樹君。鳳凰は中国発祥の鳥なんだ。」

 

光樹「え、そうだったんですか。」

 

藤和木「俺だったら鳳凰よりもヤタガラス選ぶわ!でもヤタガラスモチーフの支援機は他にいるんだなー、これが。」

 

光樹「あ、インパクトブースターかな?」

 

藤和木「…ネタバレにはなるけど、光木は知っているから話しとくか。一応、インパクトブースターをモデルにしたVVVXシリーズの支援機があるんだ。」

 

光樹「え、そうなの。」

 

鈴「えぇ、あれね。でも今はほとんど使わない兵装じゃなかったかしら。」

 

藤和木「それに今のところそいつのこの小説での出番はありません!」

 

光樹「言いきっちゃったよ、この人。」

 

ヒカル「でも、こいつはよく展開を見せないためにそう言うこと多いからな。どうか分からないぜ。」

 

藤和木「楽しみを消すなよ…。でもまぁ本当に出すかどうか分からないな。」

 

光樹「お前は何をしたいんだか…。」

 

ヒカル「これでとりあえず説明は終了だな。これで話すことは終わったから、次回予告ってことでいいか?藤和木。」

 

藤和木「そだな。じゃあ光樹と鈴、次回予告ヨロシク!」

 

光樹「あぁ。…超次元へと一人、戻ることになったネプテューヌ。」

 

鈴「仕方ないわね。…しかしネプテューヌ達を元の世界に戻すため、頑張り過ぎたイストワールは意識を失ってしまった。」

 

光樹「ネプテューヌはイストワールを起こすため、各国の女神様からイストワールを起こす方法を探る。」

 

鈴「それと同時に、ゲイムギョウ界に、一人の黒いコートの少女が舞い降りる。」

 

光樹「少女は目的のために独自に調査を始める。」

 

鈴「そしてその二人は、運命的に出会う。」

 

光樹「そして、まさかの共闘?少女の力が見せられる。」

 

鈴「その力は、またもGの力?」

 

光樹「二人は、道を閉ざす強大な竜を倒すことが出来るか?」

 

鈴「次回、「新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG」!」

 

光樹「第2章『黒き0、力の復活へ』第47話、『久しぶりのプラネテューヌ』!」

 

鈴「新たに現れたG…。」

 

光樹&鈴『その名は、グレイガ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤和木「さて、以前にも話していましたが、今回でヒカル君がアシスタントを卒業します。」

 

光樹「え、唯一のツッコミ要員かつ真面目枠の一人のヒカルさんが!?」

 

ヒカル「なんだその驚き方は…と、まぁ、こっちは4月から仕事があるからな。」

 

藤和木「そうなんですよ。ヒカル君のリアルで、就職するためこちらの方に構う時間がないだろうとこちらが聞いたところ、やはりきついみたいで…。それで卒業を提案したところ、こうなりました。」

 

ヒカル「まだ藤和木には未熟なところがありますが、読者の皆様に後はお任せしたいと思います。では、またどこかで!」

 

 

 

光樹「行っちゃった。…どうするんだ、作者。お前だけでこのコーナー持つのか…」

 

藤和木「さて、それでは新アシスタントの紹介へ!」

 

光樹「ズコーーッ!?いや、新アシスタント!?どうやったらそんなすぐに用意できるんだよ!?」

 

鈴「そういえば、前回の投稿の時にTwitterで変なコメントあったわね。」

 

光樹「え、俺知らない!」

 

鈴「見ときなさいよ…。で、話し方からしてお嬢様みたいだけど…。」

 

藤和木「それでは、ご紹介しましょう!新アシスタントは、断罪の歌姫こと、ジャンヌ・ドラニエス!」

 

光樹「え!?」

 

ジャンヌ・ドラニエス「皆様、初めまして。ジャンヌ・ドラニエスです。今回より新たなアシスタントとして参りました。よろしくお願いいたします…。」

 

鈴「何でバトルスピリッツのスピリットをアシスタントに…。」

 

光樹「そうだよ!どうしてこうなった!?」

 

藤和木「それは、戦乱魂歌発売日前の2月19日のこと…」

 

光樹「なんか回想来たぞ!?」

 

藤和木「近所のカード店では一日早く発売してくれるからボックスを買いに行ったんだ。そこで店を出たところで、寒さに凍える彼女を…。」

 

鈴「で、ホントのところは?」

 

藤和木「あの…これちゃんとした設定なんですが…。」

 

光樹「設定ェ…。」

 

ジャンヌ「そういった経緯から、今回からお手伝いさせていただきます。よろしくお願いしますわ、光樹さん。」

 

光樹「う、うん、よろしくお願いします。」

 

藤和木「さて、今回はここまで…」

 

 

 

ヒカル「お前ここで終わらせるのか。(#^ω^)」

 

ドガン!!

 

藤和木「痛ッ!!お前、なんてもので殴ったんだよヒカル。」

 

光樹「あ、お帰りなさい。で、終わらせるのかって?」

 

ヒカル「あぁ、実はこいつ、もう一人新アシスタントいるのにほったらかそうとな。」

 

光樹&鈴&ジャンヌ『え?』

 

ヒカル「全員知らなかったのかよ…。これはあとでビームマグナム同時直撃の刑だな。」

 

藤和木「死ぬ!それは流石に死ぬ!分かったよ!紹介するから、頼むから撃たないでくれ!」

 

ヒカル「じゃあ、「あの子」に謝ってから呼んで来い。」

 

藤和木「はい、只今!」

 

 

 

 

光樹「で、ヒカルさん。もう一人の新アシスタントって?」

 

ヒカル「あぁ、ジャンヌによく関係するというか、ジャンヌがジャンヌじゃなくなるやつだな。」

 

ジャンヌ「わたくしがわたくしではなくなる…?」

 

 

 

藤和木「呼んできたよー。」

 

鈴「まったく、人を待たせて…で、新しい子は?」

 

藤和木「はい、それではご紹介します!もう一人のアシスタントは………。」

 

藤和木以外『ごくり…。』

 

???「光り輝くアイドルに、私はなりたいっ!!」

 

ジャンヌ「この声…まさかっ!」

 

藤和木「輝き天女こと、レイ・オーバさんです!」

 

レイ「初めまして!レイ・オーバだよ。これからよろしくー!」

 

ジャンヌ「レイさーん!!」ガバッ!

 

レイ「うわぁ、ジャンヌちゃん、久しぶりー。」

 

光樹「すまん、作者。俺にはどういうことか分からん。」

 

藤和木「簡単に言えば、少しジャンヌのストレスたまってそうだから、バトスピの世界のある方と通信したら、レイさんが送られてきた。」

 

光樹「おい、その人ってまさか、ロロ…。」

 

藤和木「さて、次回からは私、藤和木弘とジャンヌ・ドラニエス、そしてレイ・オーバでお送りしていきます!では皆様、次章より、またよろしくお願いします!」

 

光樹「俺の質問に答えろよぉ!」

 

ジャンヌ「レイさんをよろしくお願いしますっ!」

 

レイ「私たちをよろしくね!」

 




とうとう私のアシスタントであったリア友のヒカル君が抜けました。ヒカル君がいないだけで、どう違うの?と思われるかもしれませんが、結構違うんですよ。
第0章はヒカル君によく見てもらって、第1章はチェックが殆どないんです。そのため、第1章では初投稿時に結構文章におかしいところがあると分かったと思います。

そして、新しいアシスタントのジャンヌ・ドラニエスさんとレイ・オーバさんは、バトルスピリッツの戦う存在であるスピリットです。

光樹「なんでガンダムが出てくる小説なのにアシスタントをガンダムキャラにしなかったんだよ。フェルトとか良くないか?作者もフルブではオペレーターにしてるし。」

いや、なんかフェルトとかにすると、話が持たなさそうだし、キャラ固定されている方だと色々と問題おきそうかなってことで、こうなりました。

光樹「ああ、そう。」

レイ「ともかく、私も頑張るよ!」

ジャンヌ「次回からはレイさんの活躍に注目してください!」

というわけで、今回はここまでです。

レイ「次回は作者の毎週水曜日の予定が無くなったらしいから、水曜日だって。」

ジャンヌ「次回からもよろしくお願いします…。(レイさんを早く抱きしめたい。)」


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第2章 黒き0、力の復活へ
第47話 久しぶりのプラネテューヌ


ジャンヌ「どうも皆様、お元気でしょうか。先日作者の東京行きに同行した、ジャンヌです。」

レイ「同じく、レイだよ!」

どうも皆様、東京でつなこミュージアムに行けなかった、藤和木弘です。皆様は行かれた方いるのでしょうか。

では、第2章開幕です!今回からオリキャラが新たに追加です。でも、前に少し出ています。

それでは、新たな想定オープニング「~Outgrow~」を気になる人は聞いて、本編へどうぞ。


しばらくの間、空間が歪んでいるような景色が目の前を包んだ。いつまで続くのかなーと思っていたが、その直後目の前が急に光で包まれる。

その後、すぐ足が地面に着くような感覚を感じる。気づくと、目の前が見慣れた景色になっていた。ここはプラネテューヌの教会内、つまりプラネタワーの中だ。しかもここはよく話し合いで使われている会議室だったと思う。とりあえず、元の世界に戻れたことを喜ぶ。

 

「わたし、超次元にとうちゃーっく!」

 

第一声はそんな嬉しい言葉だった。けど、そんな落ち着いていられる場合ではなかった。理由は簡単、ネプギアと光樹がいないからだ。

転送される直前、ネプギアと光樹はうずめを攻撃から守るため、転送装置から飛び出していた。飛び出していたら、当然二人は転送されていない。それを見て、もちろんネプテューヌも飛び出そうとはしていた。けど、そう思った時には遅かった。すぐに景色が先程の空間が歪んだ場所になって、今ここにいるのだ。

そんな悠長に構えている暇はない。すぐにネプテューヌは、イストワールにそのことを伝えようとする。

 

「って、浮かれてる場合じゃないよ!いーすん!大変だよ、ネプギアが!光樹が!」

 

だがしかし、そこに返ってくるべき言葉は返ってこなかった。

 

「…って、あれ?…いーすん?」

 

いつまで経っても、イストワールからの言葉がこない。なぜだろうとネプテューヌは思う。こういう時は、いつもすぐにこちらに声をかけてくると思うのに…。

 

「おかしいなぁ。いつもなら、開口一番に形式上のお帰りなさいとお説教のコンボが飛んでくるはずなんだけど…。おーい、いーすーん!」

 

気になったネプテューヌはイストワールの事を呼ぶ。もしかすると、転送する場所を間違えたのかも。いーすんはちょっとミスするからこそいーすんだから、きっとそうに違いない。そう思っていた。

探し始めたところで、わたしはいーすんを見つけた。ただし、円卓状の机の下で、横たわっている姿のいーすんをだ。

 

「ねぷっ!?いーすんが倒れてる!?ちょっと、いーすん、大丈夫!?」

 

すぐにネプテューヌは倒れているイストワールのそばに駆け寄り、イストワールを揺さぶる。そこでわたしはいーすんの異常に気づく。

 

「…って、熱っ!?いーすんの体メチャメチャ熱いよ!?」

 

手からはとんでもない熱がイストワールの体から伝わるのが分かった。よく見ると、いーすんの顔がとっても赤くなっている。まるで、風邪で熱を出した時みたいに。

それで気づいたのか、いーすんは目を開ける。そして、第一声がかすかに響く。

 

「…あ、ネ、プテューヌ、さん…おかえり、なさい…無事に帰ってこれてなにより、です…。」

 

「わたしのことなんかどうでもいいよ!それより、今はいーすんだよ!どうしちゃったのさ。」

 

いーすんは声を出すのも精一杯な様子で、こっちの心配なんかをしているけど、見ているこっちが心配になってくる。どうしてしまったのだろうか、すぐにわたしは聞いた。

すると、いーすんは言葉が途切れ途切れになりながら語る。

 

「お恥ずかし、ながら…少々スペック以上の、こと…を頑張ってしまい…。」

 

それを聞いて、ネプテューヌは驚く。まさか、わたしたちをこっちに戻すために、こんなにボロボロになってまで、頑張っただなんて。

ネプテューヌは心配そうにしながら言葉をかける。

 

「…いーすん。そこまでしてわたしたちのことを…。」

 

「ところで、ネプ、ギ、ア…さん…と、光、樹さ…んは…。」

 

それを聞いたところで、イストワールはまた力を失ったように首が垂れる。その様子を見て、ネプテューヌは若干パニックになる。

 

「ちょっ!?まさか、いーすんがショートして故障!?あわわわわっ、どうしよう!?」

 

いーすんがこんなことになったの、今まで見たことがなかった。どうすればいいか、ここでネプギアが居てくれたら、何かいいアイデアが出るんだろうけど、今いるのはわたしだけだ。とりあえず、どこかで安静にさせた方がいい?それとも、薬を片っ端から飲ませた方が…?

そこで、そんなわたしにツッコミを入れる声が聞こえてくる。

 

「ちょっとネプ子、何帰ってくるなり騒いでるのよ。心配してたんだから、挨拶くらいしに来なさいよね。」

 

「あいちゃん!ナイスタイミングだよー!」

 

わたしはその声の主、アイエフことあいちゃんに助けを求めるように抱き着こうとする。すんでの所で避けられて、壁にぶつかったけど、特に気にはしない。今はだれか助けが欲しかった。

 

「ちょっと、何よ、気持ち悪い。そんなに私に会いたかったの?」

 

そう邪険に扱うあいちゃんだけど、それに構わずわたしは泣きすがる。

 

「あ゛い゛ぢゃーん゛。」

 

「こらこら、だから泣かないの。そして鼻水くっつけるな。」

 

「だっで…だっで…いーすんが…!」

 

「イストワール様が…?って、イストワール様!?ちょっと、ネプ子!これはいったいどういうことなの?」

 

その言葉でようやく状況を理解したアイエフは、ネプテューヌに聞く。それに応じるようにネプテューヌは説明する。

 

「それが、かくかくしかじかの。」

 

「かくかくうまうまなわけね。」

 

素晴らしい以心伝心だった。さすが、わたしの心の友だけはあるよ!ネプテューヌに喜びが戻る。

 

「おーっ、さすがあいちゃん!これで通じるとは心の友よー。」

 

「心の友かどうかはこの際どうでもいいとして、今はイストワール様をどうにかしましょう。ネプ子、イストワール様を運ぶの手伝ってちょうだい。」

 

そんな言葉にも冷静に答えたあいちゃんの言う通りに、いーすんをとりあえず、部屋に連れていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプ子と再会してから数分後、私はネプ子と共にイストワール様の部屋に来ていた。抱えていたイストワールの体をベットに置く。

 

「さて、一先ず寝かせたけど、これは困ったことになったわね。」

 

アイエフは一言、そう呟いた。これでとりあえずは大丈夫だろうが、まだ安心は出来ない。ネプ子の話によれば、イストワール様はネプ子たち三人をこちらに戻すために無茶をして、ショートしている状態になっているらしい。どうすれば元に戻るのか、アイエフにも分からなかった。幸い、先程コンパを呼んであったが、問題はコンパでも治せるかどうかだった。

 

「コンパを呼んだけど…。はたしてイストワール様に私たちと同じ治療が効くかどうかね。」

 

イストワールは教祖と言う立場だったが、人というわけではない。昔のプラネテューヌの女神が作成したという人工生命体らしい。ということは、人に対して行う治療で上手くいく保証はなかった。万が一、効く可能性があったらということで、コンパに頼んだけどどうなるかは誰にも分からなかった。

そう心配していたところに、待っていた人物の声が発せられた。

 

「おまたせです、あいちゃん。そして、ねぷねぷ、お帰りなさいです。」

 

コンパの到着だった。その言葉に、ネプ子がすぐに返した。

 

「こんぱ久しぶり!って、あれ?もしかしてあんまりわたしのこと心配してない?」

 

「ねぷねぷが黙ってどこかに行くのは今に始まったことじゃないですから。どうせ、今回もひょっこり返ってくると思ってたです。」

 

「あー…うん。なんだろう、この心配されてるんだか雑に扱われてるんだか微妙な反応…。」

 

コンパの言葉は、確実にネプテューヌの心に傷を付けた。アイエフにもそれは見ていて分かる。しかし、コンパは優しさも交えつつ、かつ反省するように進める言い方で、ネプ子の信頼を落とさずに反省させるという、いわゆる母親のような反応で対応していた。ネプ子もそれ以上はその話題に固執はしなかった。

なんだかやるせない気持ちになっているネプ子をとりあえず気にしないことにして、コンパにすぐに来てくれたことに対して感謝の言葉をかける。

 

「急に呼び出して悪かったわね。」

 

「あいちゃんの頼みならこのくらいはお安い御用です。久しぶりにねぷねぷにも会いたかったですし。」

 

その事に対し、コンパは笑顔でそう答える。その笑顔に癒されたいと思ってアイエフだったが、今はそんな暇はないとその考えは隅に追いやって、すぐにイストワールの診察を依頼する。

 

「さっそくだけど、イストワール様を診てくれるかしら。状態はさっきメールで伝えた時と変わってないわ。」

 

「任せるです。…と言いたいところですが、たぶん、普通の治療方法じゃ無理だと思うです。」

 

意気込んだコンパだったが、すぐに申し訳なさそうに話す。それを聞いて、少し気持ちが落ち込んでしまう。やはり人と同じ治療法では治せないのだろう。コンパはすぐにそのネプ子にとあることを聞く。

 

「確か、いーすんさんって、すごーく昔にいたプラネテューヌの女神様が作った人工生命体ですよね?」

 

「そうそう。たしか、「SC」だったか「SG」だったか、そんな感じの女神様だね。」

 

その質問にネプ子はすぐに答える。意外にもネプ子もちゃんと先代の女神様のことはちゃんと覚えているとは…さすがに女神だから知っているか、と思った。ちなみにアイエフ自身は、以前イストワール様のことについて調べたことがあった際に偶然その名前を聞いたことがあった。

それを聞いたコンパは次にそれに関連する、イストワールを元に戻す重要な物があるかどうか聞く。

 

「なら、いーすんさんの取扱説明書とかないですか?あるなら、それに直し方が書いてあると思うです。」

 

説明書、確かにそれになら直し方が載っているかもしれない。けれども、そんな物、いくら人工生命体とはいえ、あるのだろうか、疑問を持つ。

 

「取扱説明書って…。さすがにそんなものはないんじゃないかしら…。」

 

「そうそう。家電じゃないんだから取扱説明書なんか…。」

 

アイエフの疑問に、ネプテューヌも同じように答える…かと思われた。

しかし、そこでネプテューヌは何かに気づいたように叫ぶ。

 

「って、あるよ!取扱説明書あるよ!」

 

「って、本当にあるのね…。」

 

「うん。確か、前にいーすんが取扱説明書がどうこうって言ってたの覚えてるよ。」

 

その事実に、流石に私もあっけにとられる。イストワールに取扱説明書があるなんて…。だけど、方法はそれにしかないだろう。

 

「でしたら、まずはそれを探すです。」

 

コンパの言葉を受けて、私たちはネプ子が言う取扱説明書があると思われる場所へ探しに行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、取扱説明書は見つかった。埃が思った以上に被っていたけど、とりあえずこれで間違いないだろう。

だが問題はまだあった。

 

「さて、取扱説明書が見つかったわけだけど…。」

 

「“故障かな?と思ったら”のコーナーが多すぎて探すのに時間が掛かりそうです。」

 

そう、トラブル解決の項目が多すぎて、どれがどのことについてなのか、さっぱり分からなかった。こういうのには普通目次で調べるのがセオリーだけど、目次の文字も専門用語が多すぎて分からなかった。一つ一つ確かめようにも、ページは多すぎるので時間が掛かり過ぎる。

そんな中、ネプ子がとある項目を指さして言う。

 

「ならさ、この簡単診断シートやってみようよ。該当する症状に対してYESかNOで進めていくやつ。」

 

見ると、それはよくある診断シートだった。これならどのページを見ればいいのか分かりそうだ。コンパもそれを見て賛成する。

 

「面白そうです。やってみるです。」

 

これで見つかるなら、苦労はしないだろう。とりあえず、その診断シートを始めてみる。ネプ子が項目を言っていく。

 

「じゃあ、始めるよ。えっと…“意識がない”。」

 

「“YES”です。」

 

「次は、体が冷たくなっている。」

 

「これは“NO”ね。」

 

そうしてアイエフたちは次々と項目を読み進める。

 

「じゃあ、次。自動で再起動を何度も繰り返している。これも“NO”だよね。次は“スペック以上のことを行った”。」

 

その項目で思い当たることがあるようなことを気まずそうに言う。

 

「な、なんだろう、このピンポイントな質問…。」

 

ピンポイントということは、おそらくそれが大きな原因なのかもしれない。もったいぶっているようなので、アイエフはネプテューヌにどうなのか聞く。

 

「で、実際はどうなのよ、ネプ子。」

 

「そう言えば、いーすんが気を失う前に、スペック以上のことを頑張ってしまったとか言ってたような。」

 

「さすが、いーすんさんです。ダイイングメッセージとして手がかりを残してくれているです。」

 

コンパがそんな事を口にする。確かに重要なことを残してくれているのはありがたかった。けれどコンパ、まだイストワール様は死んでいないから。「ダイイング」メッセージじゃないということを伝える。

 

「こらこら、コンパ。勝手に殺しちゃダメだって。」

 

そう言った所で、ネプテューヌが項目を読み進めていると、結果を見つけたことを伝える。

 

「てことは“YES”で進むと…あった!“ショートしてます。サンシローの入魂パッチを当てましょう。気合いで復活します”だって。」

 

それを聞いて、一瞬「え?」と思ってしまう。パッチを当てるというのは、ある意味正しいことなので、問題ない。よくゲームでも修正パッチとかを当てて動作不良が改善することが出来る。

だが問題はそこではない。最後の一文、そう、気合いで復活という文だ。

 

「気合いで復活しますって…ずいぶんいい加減な修理方法ね。」

 

思わずそう返してしまう。重要な所である部分がこういうのというのもなんだか締まらない。

しかし、今のところ分かっている解決法はそれくらいだ。これに頼るしか方法がなさそうだ。コンパも同じように言う。

 

「けど、これしか頼れるものがないなら、これを見つけるしか手が無いです。」

 

そうなれば、ここはネプ子の仕事だ。すぐに私はコンパの意見に賛成しつつ、ネプ子にそのパッチを見つけるよう指示する。

 

「そうね。そういうわけだから、ネプ子。帰ってきてそうそう悪いけど、探しに行ってきてちょうだい。」

 

「おっけー!…って、あれ?その言い方だと、もしかして、あいちゃんは来てくれない感じ?」

 

「ついていってあげたいのは山々なんだけど、さすがに教会を空けることはできないわ。ただでさえ、女神の転換期で物騒な空気してるし、何かあってからじゃ問題だわ。」

 

ネプ子が聞いてきたその質問に、私はそう答える。帰ってきてすぐにその仕事を押し付けるのは本当に申し訳ないとは思うが、昏倒状態のイストワールを今の物騒な時期に一人教会に残すのも危険だと思っての行動だった。他の職員も、今は別の仕事で手がいっぱいな上、コンパもすぐに仕事場に戻らなければならない。そうなれば、アイエフ自身がここで留守番をするべきだと思ったのだ。

だが、それにネプ子は早速いつものサボリ癖を表に出してくる発言をする。

 

「なら、わたしが教会に残るからあいちゃんが行ってくるってのはどう?物探しなら、あいちゃんの方が得意だよね。」

 

けれど、ネプテューヌの判断はある意味正しい。こういう時は、諜報系のアイエフでやった方が手っ取り早いかもしれない。

だがしかし、アイエフは他のことも考えていた。それはプラネテューヌ内での問題への対処だ。仮にネプテューヌがこちらに残ったとして、その時に大きな問題でも起きた時、対処できるかどうか不安な所があった。

それを言うのは気が引けたが、ネプ子を納得させるため、私はその事実を言う。

 

「そうなんだけど、教会や国内で大きなトラブルがあった時はどうするのよ。今まではイストワール様がなんとかしてくれてたものの、あんたにその代役ができるっていうの?」

 

「うっ、それは…。」

 

「他の国ならそこんところは女神様が処理してくれるけど、あんたができないんじゃ、私が残るしかないじゃない。」

 

目を逸らすネプテューヌに、アイエフは文句にも似た言葉をかける。それを受けたネプテューヌは申し訳なさそうにしながら答える。

 

「うっ、もっともなご意見で…。なら、こんぱは一緒についてきてくれるよね?」

 

私では無理だと判断したのか、コンパについてきてくれるように頼む。しかし、先程も例を挙げたように、コンパは仕事がある。それもイストワールの面倒を見るという仕事が。コンパもそれについて言う。

 

「わたしも付いて行きたいのですが、いーすんさんに何かあるといけないですから…。ねぷねぷ、ガンバルです!」

 

「あー…うん。なんとなくそれは察してたよ…。」

 

「こっちでも情報や手がかりは探してあげるから、何か情報を手に入れたら連絡するわ。だから、たまにはイストワール様の為に頑張りなさい。」

 

その言葉をかけ、アイエフはネプテューヌを送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

プラネテューヌの街はずれ、そこは不良達の集まる庭と化していた。住人からは苦情が届き、プラネテューヌ教会も対処に困っていた。ここに来た者は、大抵不良達にひどい目に合っていた。女も子供もお構いなしにだ。こうなったのは、女神の転換期になった辺りからだ。不良達は女神の悪い噂に乗って、自分達の行い全てを女神のせいにするという考えがあっての行動だった。

そんな場所の一角でとある人物が歩いていた。黒いコートを着た少女だ。少女は少し前に、この世界に来たのだ。だが、決して好きでこの場所に降り立ったのではない。偶然この場所に降り立ったのである。端末を見て、ここが町はずれだと気づいた少女はすぐに街の方へと向かう。だが、その行く手を何人もの少年に阻まれる。

 

「おい、姉ちゃん。どこ行くんだよ?」

 

「………。」

 

少女は気にもしない様子で、その少年達の横を通り過ぎようとする。しかし少年達のリーダー格に肩を掴まれる。

 

「おい、待ってっての。」

 

その行動をした少年に対し、少女は睨み付ける。少女としては、早く街の方に行き、目的を果たさなければならなかった。それに、こんなところで「力」を使いたくはなかった。ここで「力」を使えば、必ず後々問題になる。あいつがいるかどうかも分からないのに力を使うには危険だ。

そこで少女は更に無視する方向へと行動した。肩を掴んだ少年の手を払いのけ、素早く街へ通じる道へと走る。

 

「くそっ、逃げんじゃねぇ!」

 

少年達はすぐに少女を追いかける。しかし、少女の足は、少年達が考えていたよりも速かった。あともう少しで出口だった。その時。

 

ダンッ!

 

少女の頬から血が垂れる。すぐに振り返ると、少年の手には拳銃のようなものが握られていた。

…まったく、と少女は思う。こうなってしまえば、戦わなければ街の方にも被害が出る。あいつが気に入っている世界だから、その住人に手を出すのも引けるが、おそらくあの馬鹿のことだから、同じように戦うだろう。そう思った少女は、懐からあるものを取り出す。

それは通信機のようなものだった。手持ちサイズでモニターにボタンが付き、更に上の面には何かを読み込むようなリーダーが備わっていた。不良達はそれを見て笑いを見せる。おそらく馬鹿にしているのだろう、少女はそう思った。だが、そんな笑いもすぐに吹き飛ぶことになる。少女はフードを取る。そのショートカットの黒髪が風に少しなびく。そしてその機械、「エグゼスキャナー」のリーダーを首元に当て、アナライズボタンを押す。

 

『スキャン完了。R-EXE・グレイガ、アーマー・セットスタンバイ。』

 

「セット・オン。」

 

エグゼスキャナーの準備完了の声にその言葉を返す。すると少女を赤黒い光が包む。エグゼスキャナーによる光が少女を飲み込んだことに、不良達は驚く。何だと思って、不良達は次々と武器を取り出し、撃ち、殴る。しかし、攻撃はその光に阻まれ届かない。

光が晴れると、少女はその姿を変えていた。その身は機械の体に変わっていた。

 

「な、何だ。お前は!」

 

不良のリーダーはそう叫ぶ。しかし、少女はそれに答えず。敵の懐に潜り込み、拳銃を叩き落とす。そして、その拳でリーダーを吹っ飛ばし、壁に叩き付ける。

不良のリーダーはその衝撃で気を失う。それで危機感を覚えた不良の仲間達が攻撃を集中させようとかかってくる。だが、それは少女にとっては赤子の手をひねるようなものだった。少女は次々と不良達の攻撃を躱し、一瞬の隙をついて倒していく。

ものの一分で少女は全ての不良達を沈黙させた。完全に気を失ったことを確認した少女は装着していた機械の体…否、NPを解除する。変身してしまったのは不覚だが、一人であの数はまずいと思っての判断だった。

再びフードをかぶると少女は街の方へと出る。幸い、こちらの乱闘には気づかなかったようで、こちらに注目していた人々はいなかった。

少し長居してしまったが、本来の目的に戻ることにする。少女、光木鈴は街の方へと歩いていく。黒いコートをその身に纏って。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回も読んでいただきありがとうございます。

レイ「鈴ちゃん容赦ないね。不良達を一瞬で倒しちゃうなんて。」

ジャンヌ「けれど、あれも新しいガンダムなんでしょうね。どういった性能を持っているのか、想像が膨らみますね。」

と、ここで少しお話を。
先日、ハーメルン運営より、感想欄での会話の禁止が通達されました。これにより、今私達が前書き、あとがきでやっているようなキャラとの会話による感想は打てなくなります。

レイ「あれ、作者って結構それやってない?」

うん、だから私もこれからは気を付けたいと思います。

ジャンヌ「そして、皆様もそれには注意してくださいね。」

では今回はここまで。

ジャンヌ「次回は火曜日くらいの投稿になるそうです。」

レイ「それじゃあ、新しい想定エンディングの「Amazing」を聞きたい人は聞いてね!」

それではまた次回。


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第48話 サンシローの入魂パッチはどこ、あの馬鹿はどこ?

ジャンヌ「どうも皆様、昨日は藤和木が遅れを取り戻すために徹夜を強いられました、ジャンヌ・ドラニエスです…。」

レイ「Twitterでもそのことを呟いた、レイ・オーバだよ…。」

二人共元気なさすぎですよ…。どうも皆様、二人にも徹夜させちゃった、藤和木弘です。

第48話、投稿です。今回は鈴とゴールドサァドとの出会いがあります。ついでに、ゴールドサァド側のオリキャラも登場です。あの説明で元ネタが分かったら賞賛したいです(笑)。

では本編へどうぞ!


 

 

「さて、手がかりを探すにもどこを探せばいいんだろう?」

 

ネプテューヌはそう呟く。あいちゃんに応援の言葉を送られて、街に出てきたけど手がかりなしではどこを探せばいいものか。だが、ここで何もせずにいるわけにもいかなかった。

 

「いーすんがいないとネプギアと光樹を助けに行くこともできないし、急がないと。」

 

まだネプギアたちが零次元に残っている。あの状況で無事に生き残れたのか、心配な所ではある。そう意気込む。

だが、そうは言っても問題はある。

 

「…でも、探し物って苦手なんだよなぁ。」

 

どうも自分には探し物が苦手な部類だったため、どうすればいいのかと気持ちが再び落ち込む。あいちゃんたちに来てもらえないのは痛いけど、この際誰でもいい、誰か助けが欲しかった。

すると、神がそれを察したのか(わたし女神だけどね。)、助け舟を出す。具体的に言うと、知り合いの声が聞こえてきたのだ。それもいるとは思っていない人物の。

 

「だったら、少しくらい私たちを頼ってくれてもいいんじゃないの?」

 

「…へ?」

 

その声を聞いて、びっくりしつつも振り返ると、そこには二人の女の子がいた。二人共顔立ちは似通っていて、姉妹であることが分かる。服に共通性はあまりないけど、髪型はツインテールとツーサイドアップと似ている。

ラステイションの女神のノワールと、ラステイションの女神候補生のユニちゃんだ。早速ノワールとユニちゃんが久しぶりの挨拶をしてくる。

 

「おかえり、ネプテューヌ。」

 

「おかえりなさい、ネプテューヌさん。」

 

「ノワールにユニちゃん!?どうしてここに!?」

 

わたしは驚く。なぜラステイションの二人がプラネテューヌにいるのだろうか?その理由を早速聞く。すると、ノワールはその理由を話す。

 

「あなたがまたトラブルに巻き込まれて、イストワールが倒れたから、力を貸してくれってアイエフから連絡があったのよ。」

 

「おーっ、さすがあいちゃん。気が利くー。」

 

その理由を聞いて納得する。さすがはあいちゃん!ああ言っても、やっぱりあいちゃんはわたしにこんな形で助けてくれるなんて、こんなあいちゃんを愛しちゃう!けどそこで少し疑問を持つ。

 

「…あれ?それにしては、来るの早くない?」

 

確かあいちゃんと別れてから30分くらいのはずだ。普通ラステイションからプラネテューヌに来るには、飛んで行っても1時間くらいかかるはずなのに、来るのにやけに時間が掛かっていない気がする。

その言葉に、ノワールが慌てた様子で答える。

 

「…べ、別に今はそんな細かいことはどうだっていいでしょ。今重要なのはイストワールのことで…。」

 

何かを隠すような仕草をするノワールを見て、ネプテューヌはその理由に気づく。

 

「わかった!きっとノワールのことだから、わたしに会いたくてマッハで飛んできたんでしょ。」

 

「だ、誰があなたに会いたくて飛んでくるものですか!わ、私はただ同じ女神として、あなたに協力してあげようと思って…。」

 

それをノワールは完全否定する。けど、明らかに言われたくないことを言われたような表情だ。やっぱり、わたしに会いたかったんだ。それを面白がってさらにノワールの考えているであろうことを好きに言う。

 

「またまたー。ノワールは素直じゃないんだからー。」

 

「す、素直じゃないってどういうことよ!別に私はあなたが帰って来なくたって別に寂しくなんてないんだからね。」

 

そう言ってこちらをとっちめようと追いかけてくる。それを察して、捕まるわけにはいかないとネプテューヌはノワールから逃げる。その様子は、他の人から見れば鬼ごっこのようだった。けど、ネプテューヌからしてみれば、これは捕まれば説教を賭けた鬼ごっこだった。こうなったのは自分のせいでもあるけど、こんなところで時間を失いたくはない。でもノワールには協力してもらいたい、その考えを受けた結果が、逃げるという結果だった。逃ーげるんだよぉー!

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな様子を見ていたユニは呟く。

 

「さすがネプテューヌさん、お姉ちゃんの図星をついてる…。」

 

ただそう呟く。ユニとしては、姉によい関係を気づく友人がいて、嬉しいと思っての発言だった。だが、本人の目の前で言えば、こちらにも確実に被害が飛び火するだろうと思って、聞こえないくらいの大きさで言ったのだ。

そのように構ってもらえる姉を喜んでいたが、すぐにその表情は不満そうな顔になる。

 

「それにしても、ネプギアはなに光樹さんと取り残されているのよ。」

 

その理由は、ネプギアがこちらに戻ってきていないことに対してだった。一応、光樹もまだ向こうに残っているようだったから、光樹が更に強くなっていれば、生き残れるだろう。だがそこは問題ではない。なぜネプギアたちはこっちに戻らなかったのかということだ。普通なら帰ってきているはずだったのに、話によると、二人共向こうの住人を助けるために転送装置から飛び出したという話だ。

相変わらず誰かのお節介焼きになるのが多いとユニはネプギアに対して思う。それと同時に、自分にそれを行った理由の相談すらしないことについても同様に思う。

 

「それなのに、相談の連絡もくれないなんて、心配しているこっちの身にもなりなさいよね。……っ。」

 

悔しそうにしつつも、ユニはノワールを追うように走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……この世界のこの街はやっぱり大きいわね。」

 

黒コートの少女…光木鈴はそう呟く。一度別次元のゲイムギョウ界を訪れている彼女からしてみれば、久しぶりともいえる感覚だった。

だが、あの時は色々と大変だったことを覚えている。アンチクリスタルによるあの馬鹿の暴走とか、魔剣、聖剣もといアンチシェアクリスタルソードとシェアクリスタルソードの誕生だったりと、色々と今の自分たちにとって重要な出来事が起きた。

だが、その世界とこの世界は次元が違う。そのことをこの世界で知っているのはあたしとこの世界にいるかもしれない馬鹿だけなんだろうなと考える。

そんなお気楽状態に少し浸っていた鈴だったが、そういうわけにもいかなかった。今はその馬鹿を探し出さなければならない。ということで今はお店の人たちに何度も聞き込みをしていた。

…が、どうも成果が出なかった。理由はなんとなく分かっている。この服装だ。春というこの時期であるのにこんなコートを着ているのはおかしい。それも、全身を覆うほどのコートでしかも色も黒と…一度警察に補導されかけているので(振り切ったが。)、早くこの服装から解放されたかった。一応、コートの下は馬鹿が決めた、ソレスタルビーイングの制服がモデルのGKSWAXPの制服を着ているのだが、「やつら」にあたしがここにいることは知られたくはないため、この姿で行動するしかないのだ。

溜め息をつきつつ、人探しを再開しようとしたところで、肩をぶつけてしまう。普通だったら、すぐに謝るところだった。むしろ今の格好で通報されないためにはすぐに謝罪の言葉をかけないといけない。だが、すぐにそうしなかった理由があった。ぶつかった感触が人にしてはやけに硬い感覚だったのだ。

そこで鈴はその者の顔を見る。そこには、目の部分が一見見当たらない、機械の顔があった。普通の人であれば、一瞬驚くだろうが、鈴からしてみればそれは意外と簡単なことだった。おそらく、機械生命体だろう。見ると、その横にはその機械生命体に守られるように少女がいた。おそらくこの子のボディガードのようなものだろう。鈴は先程肩が当たったのを謝る。

 

「失礼。当たっちゃったわ。」

 

「いえ、こちらこそ、申し訳ない。」

 

お互いに謝った後、少女が声を発する。

 

「あ、あの。」

 

「ん、何かしら。」

 

そう聞くと、少女は心配そうに聞いてくる。

 

「この子…ジェスティを見ても驚かないんですね。」

 

なんだ、そんなことか、と鈴は思う。まぁ普通機械喋れば、誰だって驚くかもしれないが、生憎ながら、こちらはそんなことは既にいろんなところで経験済みだったのだ。そのことをその少女とロボットのジェスティに語る。

 

「いろんな所に行っているから、あんまり驚かないのよ。」

 

「そうなんですか。そんな人は初めてです。」

 

「いつも私がいるせいで、この子…ケーシャは少し距離を置かれるのに…あなたは優しいのですね。」

 

ジェスティは謙遜しながらそう言う。けど、ジェスティの言っていることもなんとなく分かる。ロボットと一緒にいるって子は結構嫌われる傾向が多い。けど、それはお嬢様かつ、執事とかがロボットである時だ。

その話を聞いたあたしは、ケーシャに励ますように言う。

 

「ケーシャ、あんまりそんな事は気にしない方がいいわ。」

 

「え?」

 

「ジェスティはあなたを守るのが使命なんでしょう?なら堂々と胸を張りなさい。ジェスティも何がなんでもケーシャを守るためにやるべきことをやりなさい。その姿勢でいれば、周りも自然とそれを普通のことだと理解するから。」

 

「…はい!」

 

ケーシャはそう力強く答えた。

その話で少し忘れていたが、そろそろあの馬鹿探しに戻らなければならない。けれどここでまたお店に入っても、不審な目をされるか、もしくは速やかに出ていってもらうようにお願いされてしまうだろう。そこでどうしようかと考えてしまう。

すると、ケーシャがどうしたのか聞いてくる。

 

「あの、何か困ったことでも?」

 

「いや、…ちょっと人探しをしているんだけどね。でもこの格好のせいでなかなか情報が集まらないのよ。」

 

「そうなんですか。だったらそのコートを脱げばいいんじゃ…?」

 

「そう言うわけにもいかないのよ。…この服でないと仕事に支障が出るから。」

 

その話をすると、ケーシャがこの上なくいい考えを出した。

 

「でしたら、その人のことを教えてくれませんか?もしよかったら、私たちで探しましょうか?」

 

「え?協力してくれるの?」

 

「こちらにそのような言葉をかけてくれたのです。こちらも何かしてあげたいと思うので。」

 

まさかの発言だった。現地の住人に協力してもらうというのは、うちの組織ではよくあるけど、まさか民間人に協力してもらえるとは。

ありがたい気持ちが生まれるが、少し心配な部分もあった。それは「やつら」がケーシャを襲わないかという心配だった。いくらジェスティがいても、あいつらに勝てるかどうか…。しかし、提案を断りたくない自分がいる。そこであたしは、提案を飲むことにした。ただし、注意をして。

 

「…分かったわ。けど二人共、怪しそうなやつには声をかけないこと、いいわね?」

 

「はい!」

 

「心得ています。」

 

二人はすぐに返事をする。とりあえず協力者は得ることが出来た。これで見つかればいいが…。

これからどうしようかと考えていると、何やら後ろの方から声が聞こえてくる。

 

「やーい、ノワールの寂しがりやー。」

 

「だから、こんなところで変なこと大声で言うのはやめなさいってば…!」

 

この声からして、おそらく女の子だろう。何か言われたくない言葉を言われて、怒って追いかけているのが想像できた。相変わらずこの世界は…って、あれ?今ノワールって言ったような…?

ノワールといえば、この世界ではラスティションの女神の名前だ。それに先程の声、どこか聞いたことがあるような?

そう思っていると、足音がこっちに向かって響いてくる。何だろうと振り返ろうとしたところで、事故は起こった。

 

ドンッ!

 

「キャッ。」

 

「キャッ。」

 

「キャッ…って、何!?」

 

後ろからの衝撃に驚く。確か、いきなり二人の前を小さな人影がよぎったかと思ったら、誰かがぶつかってきた衝撃で倒れそうになる。鈴は倒れそうになるのを堪えつつ、ケーシャとぶつかってきた人物の手を引っ張り、倒れないように支える。

 

「大丈夫、ケーシャ?」

 

「はいっ。」

 

ケーシャの無事を聞いて安心する。まったく、人が話している時にぶつかってくるなんて、一体誰なのか。そう思っていると、ぶつかってきたと思われる少女たちが話す。

 

「いたたたた…。」

 

「あーっ、ノワールが一般人をこけさせかけたー。けど黒いコートの人ナーイス!」

 

「誰のせいだと思っているのよ!まったく…。」

 

その様子だと、おそらくこちらをほめた子がある意味原因のようだった。しかし、ぶつかったのはその少女に夢中だったもう一人の少女だ。すぐに鈴は文句を言おうとする。

 

「まったく…少しは前を向いて、走らない…よう……に?」

 

そこで鈴の言葉が止まる。理由は簡単、その少女たちに見覚えがあったからだ。一人は紫の髪に、ワンピースのようなパーカーを着た少女、もう一人は黒髪のツインテールにスカートの丈をミニにしたドレスタイプの服を身に纏っていた。間違いない。彼女たちはプラネテューヌとラステイションの女神、ネプテューヌとノワールだ。

まさかこの世界の重要人物に出会ってしまうなんて。もしかすると、この二人ならあの馬鹿を知っているかもしれない。馬鹿の話していた内容によると、この女神達とは既に面識はあるとか言っていたような気がする。

そこで、鈴は二人にあの馬鹿が来ていないか聞こうとした。が、寸前で言うのをやめる。とあることを思い出したのだ。

 

(確かあの馬鹿がこの世界に介入したのは2年ほど前だったっけ。)

 

なぜそれで話さないと決めたのか、それには理由があった。実はこの今の制服は馬鹿が(あたしもだが)高校に入ったと同時に、今の制服に変わっていたのだ。介入当時は中学の終わりのため、制服が今とは違っている。そのため、今の服装を見せても、あちらが誰か分からないかもしれなかった。顔を覚えていてくれていれば助かるが、問題はまだあった。

それは、この十分前のことだった。とある店であたし達の機動兵器、NPについての情報を聞いた時だった。その当時の機体、ガンダム・ブラックエースⅢについて聞いたが、誰もその機体のことを見たことがないというのだ。あれほど目立つ機体なのに、いくらあの馬鹿がたまにものすごいステルス並みの行動力があるとしても、知らないのはおかしい。もしかすると、誰かが記憶操作を…と考えていたからだ。

そう考えていると、ノワールがこちらに謝罪し、大丈夫か聞いてくる。

 

「ごめんなさい。あなたたち、怪我はない?」

 

「え…えぇ、こっちは大丈夫よ。」

 

「あなたの方こそ、怪我はありませんか?」

 

ケーシャがノワールの方も怪我がないか聞く。ノワールもそれにすぐ答える。

 

「私もこの通り平気よ。ほんと、ごめんなさいね。連れが変にはしゃぐものだから。」

 

「いえ、こちらも少し話し込んでいたので、おあいこです。」

 

「そう言ってもらえると助かるわ。それじゃ、私たちはこれで。」

 

そう言って、二人は走り出す。その様子からして、おそらくノワールがネプテューヌを追いかけているのだろう。何があったのか…。

その様子を見送った後、ケーシャが確認するように言う。

 

「…今の人って、もしかして、ネプテューヌ様とノワール様…?」

 

「そうね。何をやっているのか…。じゃあ、あたしもそろそろ仕事に戻るから。こっちは探してるやつの写真。で、これあたしの連絡先だから。じゃあね。」

 

「あ、はい。それでは…。」

 

そうして二人は別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、あなたのせいで迷惑かけちゃったじゃない。」

 

ノワールは眉をぴくつかせて怒りを見せる。まったく、ネプテューヌはいつも私を焦らせるんだから、困ったものだ。しかも今回は他の人に迷惑をかけてしまった。幸い、相手側は気にしていなかったからよかったものの、一つ間違えば怪我をさせていたかもしれない。

だがそこで、少し引っかかる点が二つほどあった。一つは、あの子の近くにいた、ロボットだ。うろ覚えだが、どこかで見たことがあったのだ。それも、戦闘中の場面で。

それは置いておいて、もう一つはもう一人の、黒コートの少女だ。これは明らかにおかしな服装だからということだったからだ。いくらなんでも、黒コートというのは怪しすぎた。後々、アイエフかイストワールに報告しておいた方がいいのでは…とも思っていたが、どうやら悪人ではなさそうだったので、今回はやめておくことにする。

色々とネプテューヌに説教すると、ネプテューヌがそれに反論する。

 

「あれはどうみてもノワールがよそ見してたのが悪いんだってばー。」

 

その言葉に、また怒りを覚える。と、そこでユニが仲裁に入るように、話題を元に戻す。

 

「あの、口げんかもいいですけど、今はイストワールさんを助けるのが先だと思うんですけど…。」

 

「そうだった、そうだった。サンシローの入魂パッチってのを見つけなきゃいけないんだけど、ノワールは何処にあるかしらない?」

 

聞いてきた質問の内容について、少し考える。その名前は聞いたことはなかった。だが、サンシローという名前は、以前に聞いたことがあった。サンシローとは確か昔にいた、プラネテューヌの偉人の一人だったと思う。どういった分野の人だったかは忘れてしまったが、うろ覚えでは広報系の分野で素晴らしい成果を出した人物ではなかっただろうか。それらを踏まえて、ネプテューヌに答える。

 

「…サンシローの入魂パッチ、ねぇ。アイテム自体は聞いたことないけど、サンシローってのはプラネテューヌの偉人よね?なら、プラネテューヌのどこかにあるんじゃないの?」

 

「それが、わかれば苦労しないよ…。」

 

ネプテューヌもどうすればいいか困っているようだ。ここは友達…じゃなくて、女神として手伝う方がいいだろう。ノワールはネプテューヌとユニに提案する。

 

「じゃあ、手分けして探しましょ。二時間後に、またここで。ユニ、行くわよ。」

 

「うん。」

 

そう言うと、私はユニと共にネプテューヌと別行動をとる。とりあえず、まずはコンピューター関連の店で聞きこもうと考える。パッチということなら、コンピューター関係で見つかるかもしれないからだ。

その考えを持って、大通りを進んでいく。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

ジャンヌ「途中ですごく重要な言葉が出たんですけど…。」

ん?何のこと?

ジャンヌ「光樹さんがこの世界に来たことがある的なこととアンチシェアクリスタルソードとシェアクリスタルソードっていう武器の名前です…。二つの剣ってひょっとして、光樹さんの持ってるあの黄金の剣と漆黒の剣のことでは…?」

まぁ、当たりですね。これらは今後明らかにしたいと思いますね。

レイ「でも鈴ちゃんも苦労してるね。着てる服のせいで聞き込みも上手くいかないって。」

黒コートですが、あれは夢の国と共演しているあの作品のあの組織の服から発想いただきました。あのゲーム私とヒカル君好きなんですよ。最新作早く遊びたいなー、チラッチラ。

ジャンヌ「…これ、大丈夫なんですか?夢の国に連れていかれたりは…。」

だ、だ、だ、大丈夫だ、も、も、問題ない!

レイ「すごく動揺してるんだけど…。」

その時は書き換えますよ!!
今回はここまで!

レイ「次回は月曜日辺りになるって!」

ジャンヌ「では次回もお楽しみに…。」


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第49話 変わり者達

うおぉぉぉぉぉーーー!!皆様にサービスだ!!

光樹「え?なんで今日ここにいるの!?ってそうじゃない。と、とりあえず…。どうも皆様、お元気でしょうか。この小説の主人公の和藤光樹です。ってかマジでなんで今日投稿してるんだよ。月曜日だろ、次に投稿するの。」

レイ「それには理由があるんだよっ!光樹君。」

光樹「あれ、レイさん。…って何、その冠みたいなのは…ジャンヌさんもいつもと違う服ですけど…。」

ジャンヌ「それは、この藤和木のハイテンションにも影響してるんです…。」

光樹「は?でもTwitterじゃ少し前までものすごく落ち込んでるというか、すさんだ感じだったのに…。」

レイ「それはあとがきで話すよ。じゃあ、本編へ、どうぞ!」

光樹「む、無理矢理ですね…。」


 

 

「あ、もしもしブラン。」

 

手に持ったNギアの通話が繋がると、わたしは話しかける。今ネプテューヌはサンシローの入魂パッチを探していろんなところで調べまわっていた。それはもう、様々な所でだ。ゲーム店だったり、ゲーム店だったり、公園だったり…あれ、そんなに情報がありそうな所に行ってない?

そういえば、公園に探しに行った時、妙な人に会ったなぁ。なんか、残念なイケメンの人で、「語らないか。」と言われて、話したのだ。それで、話をしたのだが、これがまた困った話だった。なんと、自分が教会の仕事をサボっているのではないかという話だった。それだけなら言われても仕方がないが、更に胸が成長していないということまで言われたのだ。話している当の本人はわたしがその女神ネプテューヌであることを知らないらしかったが、なかなかその話の内容がピンポイントだった。

それでも、ここは女神ということで、ちゃんとした対応で納得させた。その人も、納得してくれた。

そんな話の後、ネプテューヌ自身のNギアで、ある人物に連絡を取ったのだ。わたしの言葉に、その人物が言葉を返す。

 

『ネプテューヌじゃない。帰ってきてたのね。』

 

その人物は、ルウィーの女神であるブランだった。ブランなら、もしかするとサンシローの入魂パッチについて、その知識で知っているかもしれないと期待して電話をしたのだ。さっそく、ブランに状況を話す。

 

「ちょうどさっき、帰ってきたばかりなんだ。それで、ブランに協力してもらいたいことがあるんだけど…。」

 

 

 

 

数分後…。

 

 

 

 

『事情は察したわ。そういう時は、本で調べるに限るわ。古い文献か何かにそういった記述があるんじゃないかしら。』

 

話を聞いたブランがわたしに提案する。なるほどね。本になら、そういうことは載っているかもしれない。ネプテューヌも納得し、ブランに賞賛の言葉を送る。

 

「さすがブラン!このデジタル社会の中で本に目をつけるなんてナイス着眼点だよ。」

 

さらに、ブランはこちらに協力することを述べる。

 

『調べ物くらいなら手伝ってあげるわ。だから、あなたも頑張って。』

 

とてもありがたい言葉だ。ノワールだけじゃなく、ブランも手伝ってくれるとは、これならすぐにサンシローの入魂パッチもすぐに見つかるだろう。

 

「ブランが手伝ってくれるなら百人力だよ。それじゃ、またねー。」

 

ブランにそう返事をすると、わたしはNギアの通話を切った。これで目的は決まった。とりあえず、次は本を探すことにしよう。さっそく本が置いてある所に行こうとする。が、そこでどこに本が置いてそうかを考える。

本だなんて、今の時代置いてあるところは少ない。本といえばゲームの攻略本とかしかネプテューヌは見たことがほとんどなかった。何かそんな伝説のアイテムそうな物についての情報が載っている本がどこにありそうか、考える。

 

「にしても、本かぁ。どこか本がおいてそうな場所…。」

 

しばらく考えた後、ある場所を思い出す。確かあの場所にはそんなアイテムについての情報が載っていそうな本があったはずだ。

 

「あった!よーっし、さっそくいってみよー。」

 

すぐにネプテューヌはその場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…一通り調べたけど、全然情報が集まらないか。さて、これからどうするかしら。」

 

鈴はそう独り言を言う。あれから様々な場所で聞き込みをしたが、特に重要な情報は入らなかった。逆になんか、変な人に絡まれた。

とある公園を訪れた時、突然、青いベストを着たイケメンが「語らないか。」と声をかけてきたのだ。いきなりのことだったので驚いたが、とある言葉を思い起こさせる発言だったので、危機感を感じた。主に下半身の方にだ。ただ、元の人物は女に興味はなかったはずだったので、とりあえず話を聞くことにしたのだ。

そして話を聞いたのだが…話の内容が対応に困った。内容はこの国、プラネテューヌの女神のネプテューヌに対する愚痴だった。なんでも仕事をさぼっているとか、胸が小さいとか、しょうもないことだったからだ。別にあたしはこの国の住人ではないから、この次元のネプテューヌがどうなろうと関係はない。しかし、話す前に会ったネプテューヌの顔を立てるために、とりあえず仕事はサボっているのではないはずだというのことと、胸については触れないようにということを提案し、その場を離れた。

その他、警察の方にも探し人として聞いたが、何も情報は得られず、代わりに不審者扱いをされ、今は疲れ切って近くのベンチに座っていた。ホント、このコートを脱ぎたい、このコートがこの惨事の原因になっているのではないだろうかと考えてしまう。

だがそんな休憩をしている暇はない。あの馬鹿を一刻も早く見つけ出し、GKSWAXPを襲撃した「敵」を撃たなければならない。そう思って鈴は立ち上がろうとする。

しかし、立ち上がった所で、腹部より音が響く

 

 

 

 

きゅうううううん。

 

 

 

 

「………。」

 

慌てて鈴は辺りを見回す。幸い、この音に気付いたのは自分だけだったようだ。こんな恥ずかしい音、誰かに聞かれていたら恥だ。そういえば、と鈴は腕の全領域対応型電波時計(次元間対応型)を見る。見るとその時計の針は既に十二時を過ぎていた。昼食をとるにはいい時間だ。幸いこちらのお金はいくらかあった。

そこで鈴は昼食を取るために店を探そうとした。しかし、すぐにやめることになる。理由は簡単、この服で料理店に入るのをためらったからだ。この服で入れば、確実に警戒されてしまう。それに人から変な目で見られた状態で食べたくなかった。

どうにかしてあまり人の目を向けられず、昼食を取る方法はないかを考える。考えた結果、あることを思いつく。

 

(そうだ、コンビニで弁当でも買おう。)

 

それはコンビニで食べ物を買うことだった。それなら多少怪しむ目が向けられるだろうが、すぐに弁当を買って出て、外で食べることが出来る。そう考えた鈴は早速コンビニへと足を進めた。

 

 

 

 

「いらっしゃいませー。」

 

「………。」

 

店員からの声を聞きつつ(一人は何か黙っていただけだったけど)、そのコンビニへと足を入れる。すぐに自分の存在に気づいた客や店員がひそひそと話す。やはり怪しい目で見られる。その視線を耐えつつ、素早く目的の弁当およびパンの販売コーナーへと向かう。

そこには、たくさんの食料が並べられていた。選ぶのに困りそうなほどの豊富な種類だ。だがさっさとこの場を離れたい鈴は、ささっと商品を見ていく。ちょうどパンのコーナーを見ているところで、メロンパンを見つける。すぐにそれを三袋手に取る。

これで食べるものは見つかった。次は飲み物を…と思った所で、その目にある人物の姿を捉える。その人物はちょうど店内に入ってきた人物だ。その姿は、プラネテューヌの女神、ネプテューヌだった。

 

「いらっしゃいませー。」

 

「………。」

 

店員らの来店の挨拶と無言の威圧がネプテューヌを迎える。しかし、ネプテューヌはどちらにも気にすることなく、素早くあるゾーンへと向かって行った。

 

(あれはネプテューヌ…。何をしに来たのかしら?)

 

そう思った鈴は、ネプテューヌの後を追跡する。追跡と言っても、ただその後ろを偶然を装いつつ、付いて行くだけなのだが。

ネプテューヌの先にあったのは、コンビニによくある本のコーナーだった。それもコミックスとかの置いてあるコーナーだ。鈴の予想では、おそらく最新のコミックスを見ようとしているのかと思ったが、もしもということもあり、行動を変更する。とりあえず、買い物かごにメロンパンを入れ、腕で持ちつつさりげなく本をとり、ネプテューヌの後ろで様子を見ようとする。

と、そこで横にいた、忍者っぽいロボットとどこかで見たことのある騎士のようなロボットが何やらひそひそと話しているのが聞こえる。

 

「ふむ…これが将軍リクエストのビニ本で御座るな。しかし、レジは二人共女性…これは困ったで御座る。」

 

「なるほど…これをすれば、私も大佐と…ステマックス、何をしている、さっさとレジへ行かないか。お前が買わないと、こちらも買うことが出来ないではないか。」

 

「し、しかしローゼン殿、この状況で行くのにはかなりの度胸が…。」

 

何の話だろうかと思い、チラッとその本のタイトルを見る。

 

(なになに…「金髪乙女の揺れる山」と「薔薇のめぐり合い」…。)

 

その先を見た瞬間、鈴は心の中で叫ぶ。

 

(ってこれ、完全にアダルト本とホモ本じゃない!!?)

 

思わずそうツッコむ。こんな本に興味を持ってしまっただなんて、恥ずかしすぎる。まさかこの二体、変態だったなんて…しかも一体はホモと…。

そう思った瞬間、心の中に何か重いものがのしかかる。なんてものを見てしまったのだという後悔の念がどんどん流れ込んでくる。しばらくの間、顔を背けていた。

しかし、そこで正気に戻る。ネプテューヌがその人物達についてコメントしたからだ。

 

「なんか忍者と騎士みたいのが本コーナーの隅っこでぶつぶつ言ってる。それにさっき会った黒いコートの人も本を読んでる。さすが、ゲイムギョウ界。いろんな人がいるんだね。」

 

まるで変な人扱いをしているような発言だった。っていうか、それに私も加わっているわよね、それ。だが怒りそうになるのを堪える。ここで怒ってしまえば、ネプテューヌが何の目的でここに来たのかを知るということと、これまでの聞き込みが無駄になる。

こちらに気にしなかったネプテューヌは早速本のコーナーを見る。と、そこで大きな声を上げる。

 

「あった。おーっ!?ユニゴ13とユブラの新刊が出てるじゃん。ヒューッ!」

 

それを聞いて、少しがっかりする。どうやら本当にコンビニに置いてあるコミックスを読みに来ただけのようだった。無駄だったことを悟り、すぐにレジに向かおうとした。

しかし、そこでまた足が止まることになる。

 

「って、今欲しいのは漫画じゃなくて…こっちこっち。」

 

その言葉を聞き、慌てて去ろうとするのをやめる。まさかフェイントを仕掛けてくるだなんて…。鈴は再びネプテューヌの後ろに付き、その本を見る。その本のタイトルは、ねぷねぷミステリー調査班「NMR」という題名の本だった。名前はどこかで見たような気がする。おそらく、よくある都市伝説とかをまとめた本だろう。ミステリーと付いているから、それで間違いないだろう。

 

「やっぱり、こういう時は“ねぷねぷミステリー調査班”ことNMRだよねー。とりあえず、これと食玩のおもちゃをカゴに入れて…っと。」

 

目的の物を見つけたネプテューヌは途中おかしコーナーを寄って食玩をカゴに入れ、会計に向かう。

 

(ネプテューヌもやっぱりああいうの見るのね。馬鹿と似ているわね。)

 

目的を達した鈴は、すぐにその後を追うようにレジの列に並んだ。一応、更に追いかけて調べている内容を知ろうかとかも思ったが、流石にそんなところまで追いかけるのはまずい。そしてそれ以前に、もうお腹が限界に近かった。やはりこの世界に来る前に朝食を食べておくべきだった。つい昨日あの襲撃があった次の日だから…といっても、もちろんこの世界のではなく、あたし達の元の世界の時間での朝食を取っていないという意味だ。

そして鈴は、無言の女性の店員と交代した茶髪の男性のいるレジで会計を済まし、食べれそうな場所を探し街中を歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ時間だけど、ノワールはまだかな。」

 

コンビニで目的の本を買った後、ネプテューヌはノワールと別れた場所に戻ってきていた。別れるときにここに集合しようという約束があったからだ。

そこでノワールが戻ってくるのを待っていたが、流石にすぐに戻ってくるということはない。少し暇だった。その時間を潰すため、ネプテューヌはコンビニで買った本「ねぷねぷミステリー調査班」を取り出す。せっかくだから、読んでおこうと思ったからだ。

 

「とりあえず、来るまでは暇だし、買った本でも読んでみよっかな。どれどれ…。」

 

ネプテューヌは本を開いていく。ネプテューヌはこういうのは気になったものから最初に読んでいく派だった。けれど目次を見るタイプではなく、パラパラっとめくり、その中で目立つものをじっくり読んでいくのである。

読んでいって、気になった単語を発する。

 

「えー…っと、ミステリーサークルの秘密に、ネプトラダムスの大予言、グランドクロスに精神世界が云々…。どれも面白そうだけど、探してるアイテムとは関係なさそうかも。」

 

だが気になったものこそあったが、サンシローの入魂パッチに関係ありそうな記事はなかった。残念だったけど、でもまだ全部見たわけではない。探せばあるかもしれないと、更に読んでいく。

すると、気になる記事が目に留まった。それは「黄金の頂に関する予言」という記事だった。

 

「…あれ?黄金の頂に関する予言ってなんだろう?このテのオカルト大好きっ子なわたしでも初めて見るかも。えー…っと、」

 

自分でも知らないものに気になったネプテューヌは、その内容を読み始める。

 

「その者 金色の鎧を纏いて ゲイムギョウ界に降り立つべし 失われし信仰と民の絆を結び ついには民を 黄金の頂へと導かん。うわぁ…なんかのアニメで似たフレーズを見たことがあるようなないような…。」

 

その内容に、思わずたじろいでしまう。こういう文は結構アニメとかで似たようなものが見たことがある。気になりはする。

 

「けど、これも探しているアイテムとは関係なさそうかも。」

 

しかし、この内容は、特にサンシローの入魂パッチについて関係はなさそうだった。パッチのパの字もない内容だから。これはわたしにも分かった。

他に関係しそうな内容はないだろうかと本を読んでいたところで、ノワールの声が聞こえてくる。

 

「待たせたわね。そっちは何か見つかった?」

 

「それが本とか買って調べてみたけど、全然ダメでさー。」

 

ノワールに成果を報告する。その本を見せたが、ノワールたちからの反応は手厳しいものだった。

 

「本て、まさかそれですか…?」

 

「そうだけど?」

 

「…あなたね。」

 

なぜか、二人はがっかりしたような様子を見せる。あれー、もうちょい驚くと思ったんだけど。それどころか、ノワールは呆れたように、こちらに提案する。

 

「まぁ、いいわ。歩きっぱなしで喉も渇いたし、冷たいものでも飲みながら話さない?」

 

「さんせー。ちょうどわたしも喉が渇いてたところなんだー。」

 

「じゃあ、決まりね。さっき、気になるところがあったから、そこに行ってみましょ。」

 

その提案は嬉しかった。さっきお菓子食べたところだったため、喉が渇いていたのだった。すぐにネプテューヌは気分を上げて、走り出す。

 

「そうと決まれば、善は急げだよー!」

 

「ちょっと!何いきなり走り出してるのよ!場所分かってるのー?」

 

止めるノワールの声も聞かずに、ネプテューヌはひたすら走っていった。はしゃいだ時に手から離れた本のことにも気にせずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプテューヌ達が走り出した後、すぐにその場所へ来た者がいた。一人は黄色の髪を両側でくくり、ツインテールにしたレイヤードスタイルの少女。もう一人…というより、もう一体は、顔がメカメカしい、いわゆるロボットであった。全体的なカラーは赤・白・青とロボットによくある色のトリコロールであった。また後ろには大型のブースターユニットを背負っていた。

その二人が立ち止まる。そして、少女の方が高らかに声を上げる。

 

「とうちゃーっく!」

 

少女はそう言ったが、周りには誰も彼女を待っているような人物は見受けられなかった。そこにロボットが訂正するような形で言う。

 

「けど、待ち合わせ時間に早く着きすぎたみたいだぜ?誰も来ていないぜ。でも、それはビーシャが一番ってことだな。」

 

「そうだね、M-1。」

 

その少女…ビーシャはロボットM-1(エムワン)に返事をする。二人はとある人物達と待ち合わせしていたのだ。その全員は、ビーシャとM-1と同じような、二人連れで、更に四か国に分かれて住んでいたので、集まるのにも苦労している。

と、そこで地面に何かあるのに気づく。

 

「…ん?こんな所に本?誰かの忘れ物かな。ちょっと読んでみよっと。」

 

「なんだ、それは?」

 

ビーシャとM-1はその本の内容を見ていく。実は、この本は、ネプテューヌが読んでいた、NMRことねぷねぷミステリー調査団だったのだ。

そして、本をめくっていたビーシャの手が、あるページで止まった。それは、黄金の頂に関する予言の項目だった。それを読んだ二人は叫ぶ。

 

『な、なんだってー!?』

 

二人共その文に驚く。普通の人なら、こんなものは当てにならないと思うだろう。だが二人は例外だった。こういう物を信じやすい傾向にあった。

 

「このままじゃゲイムギョウ界が滅んでしまうなんて…!」

 

「な、何か滅亡を回避する手はないのか…。」

 

慌てている二人だったが、そこでそのページの予言の言葉を目にする。

 

「…あった。黄金の頂の予言。きっとこれだ。」

 

その言葉を見ていく。その時、目的の人物たちの一組の声が聞こえてくる。

 

 

「おーい、ビーシャ。」

 

「お久しぶりです、M-1さん。」

 

この人物たちも、また二人組だった。しかし、その組み合わせは違った。一人は長いロングの髪に軍隊のベレー帽のような帽子をかぶった、格闘技系のスーツを着た女性で、もう一人は少年だった。服装は、膝の部分までのまでの長さのズボンに、赤い生地にジッパーの付いた服を着ている。そして特徴的なのが頭の部分だった。髪が後ろの方が上向きに伸びていて、それだけでも驚きだ。しかし、特徴的なのは、それだけではない。頭の上にはメガネのような端末を乗せていた。サングラスのようだが、実際は違った。

その二人に気づいたビーシャとM-1はそっちの方へと向かいつつ、先程の本の内容について言う。

 

「あ、シーシャ!大発見!大発見だよ!!ゲイムギョウ界が滅びるんだって!」

 

「………は?」

 

「M-1さん、どういうことですか?」

 

「あぁ、わりぃ流(ながれ)。詳しく言うとだな…。」

 

ポカンとした様子を見せるシーシャと星空 流に、二人は話を始める。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




はい、皆様今回もお読みいただき、ありがとうございます。あまりのハイテンションで光樹君とレイさんとジャンヌさんから必殺技打ち込まれておとなしくなりました、藤和木弘です。

光樹「まったく…なんでNFBとダブルブレイヴと神剣の一撃受けて耐えられるんだよ…不死身か、お前は…。」

まぁ、その話は置いておいて。
今回はネットで行われたバトスピディーバ総選挙の結果発表を受けて、特別に投稿しました!

光樹「全く小説に関連性が一つもない件について。」

そこはね、仕方ないね。
それで、結果はツイッターの方でも言っていますが、レイさんが1位!!

レイ「やったよー!!本当に光輝く順位になっちゃった。」

光樹「あれ?でも作者ってジャンヌさんに投票してたんじゃ…。」

それだけでは終わらないですよ!終わらせてたまるか!そしてジャンヌさんも、グッズ化するラインぎりぎりであろう第4位にランクインですよ!!

光樹「おおっ!流石ジャンヌさん!」

ジャンヌ「先輩にあたるディアナさんには負けてしまいましたが、満足しています。そして何より、レイさんが1位になったことがとても幸せです!!」

この結果見た瞬間、脳内でUNICORN流れましたよ。

光樹「なんだその無駄情報…。でもよかったな。もしかしてそれで気分上がったから投稿?」

それもありますが、結構話が貯まってきたので、早く出した方がいいかなと思いまして。それに今のところの話、零次元ではないので早めに終わらせてまたうずめに焦点当てたいって感じですね。

ジャンヌ「でも一番の決め手は結果見て気分が上がったことでしょうね。」

レイ「そうだね。藤和木ものすごく荒ぶってたもん。」

光樹「というか今回の投稿はこの話の報告がメインじゃ…。」

それは言わない方がいいです。
今回は突然の投稿で申し訳ないです。ですが次回はちゃんと予告通り出せると思います。次回の投稿は月曜日ではなく、水曜日になると思います。

ジャンヌ「では、次回もお楽しみに。」

レイ「ばいばーい!!」



光樹「ってか本編さらっと新キャラ何人…と、何体か出てない!?」

あぁ、それは超次元編で明らかになりますよ。


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第50話 初代プラネテューヌの女神の聖地へ

ど、どうも皆様、藤和木弘です。
え?なんでこんな時間に投稿しているのかって?ははっ。
…全然眠れなかったんですよ…寝ようと思ってみても眠れず、気づいたらもうこんな時間…なので、今のうちに投稿しておこうと思った次第です。

レイ「どうも!みんな。藤和木と違ってぐっすり眠れた、レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「同じくちゃんと眠ることが出来ました、ジャンヌ・ドラニエスです。藤和木、大丈夫ですか?コーヒーでも後で入れて差し上げましょうか?」

うん、コーヒーかエナジードリンクを所望します。
そういえば、昨日は久しぶりに、以前通っていた英会話塾で元生徒と先生で集まりました。久々に話すといいですね。Twitterにその写真を挙げるとメンバーの一人が言っていたので、もしかすると私がいる…かも?

と、話はここまでにして、本編へ、どうぞ!!


 

 

「ここなら静かだし、落ち着いて話せそうね。」

 

ノワールはそう言うと、席に座る。その言葉を言った相手であるネプテューヌは既に座っていたが、別に気にすることではない。

今はプラネテューヌのとあるホテルの中に三人はいた。何か飲み物を飲むためにと、ここでなら調べた内容を話せると思って、ここに入ったのだ。そのホテルの中を見て、ネプテューヌは喜ぶ。

 

「おおーっ、まさかプラネテューヌにこんなお洒落な場所があったなんて驚きだよー。」

 

「ここ、あなたの国のホテルのロビーなんだけど…。」

 

私は喜びを見せるネプテューヌにその事実をぶつける。自分の国の施設も知らないのは、流石に同じ守護女神としてどうなのかと思ってしまう。

とまあ、それはこの際どうでもいい。今はパッチの行方について話し合うことが必要だ。

 

「…まぁ、いいわ。ベールとブランも独自に調査してくれてたみたいだし、通信端末のグループ会話機能を使って打ち合わせしましょ。ユニ、準備お願い。」

 

「任せて、お姉ちゃん。えっと、ブランさんとベールさんを呼び出して…っと。」

 

私からの指示で、ユニが持ってきていたパソコン型の端末をホテルのネットワーク端子に繋ぎ、二人を呼び出す。すぐに画面にはブランとベールの顔が映った。

 

『お待ちしていましたわ。』

 

『…そっちは何かめぼしい情報はあった?』

 

ベールとブランはそのように第一声を発する。すぐに端末に映る二人に対して報告する。

 

「それが全然だめ。そっちは?」

 

そう聞くと、ブランがまず話す。

 

『ゲイムギョウ界の古い文献を調べてみたけど、探しているアイテムに関することは何もなかったわ。』

 

「…そう。」

 

ブランのその報告に、落ち込む。ブランでも何もつかめなかったとは。だが、諦めてはいけない。ベールの方で何か掴んでいるかもしれない。そう思ったノワールは、次にベールに聞く。

 

「ベールはどう?」

 

すると、ベールからいい返事が返ってきた。

 

『確信のある情報ではありませんが、初代プラネテューヌの女神が聖地としていた場所ならわかりましたわ。そこなら、イストワールを作ったとされる女神が何か残している可能性もありますわ。』

 

聖地としている場所が分かっただけでもいいことだ。だが、問題は、本当にそこにあるかどうかだ。いくら初代プラネテューヌの女神の聖地といっても、確実性が欠ける。ノワールはどこからの情報かを聞く。

 

「正直眉唾ものね…。それはどこからの情報なの?」

 

『ネット掲示板のNちゃんねるですわ。』

 

「Nちゃんねるって…。一番、デマとか色んな書き込みが溢れてる場所じゃない。」

 

ノワールはそう言って嫌がる表情を見せる。Nチャンネルとは、ゲイムギョウ界のネット掲示板の一つである。いろんな情報が載っている情報系のサイトなのだ。しかし、問題として、デマが多く、被害に遭う人達が多い。

そう思っていたノワールだったが、ベールがそれを否定する。

 

『ですが、それぞれ専門の板には、思いもしない専門家がいるんですのよ。』

 

そう言われると、確かにNチャンネルに書き込む人々には、個性が強いそれ関係の人物が多い気がする。

先程の報告に、更にベールが付け加える。

 

『それに、四女神オンライン2…あ、わたくしが今遊んでいるオンラインゲームなのですが、そこのフレンドが偶然、ある大学で歴史だったり考古学の教授をしているらしく、やはり似た伝承を知っていましたの。』

 

ゲームの方は気にしないが、考古学の教授がその話を知っているのなら、それに頼るのも悪くはない。ブランも同じようなことを言う。

 

『…となると、今のところ当てはその聖地という場所くらいね。』

 

「信じちゃうの!?」

 

ノワールは驚く。やはり、そんな不確かなことを信じるのはしづらいのだ。しかし、ノワールの驚きにも気にせず、ベールがその聖地の場所への地図を画面上に出す。

 

『これが、教授からもらった地図ですわ。』

 

その地図は、ちゃんとした地図であった。少し古そうではあるが、これだけ古ければ、偽物という線も薄いかもしれない。

 

「まさか、ネット掲示板やネトゲから情報を見つけてくるなんて、まさに棚からプリンだね!」

 

「それを言うなら、棚からぼた餅でしょ。」

 

「そうとも言う。」

 

ネプテューヌのその間違いにツッコむ。ネプテューヌからの返しが少しテンプレというか、なんというか、少し苛立つ。そして、ネプテューヌは一緒に行こうと提案する。

 

「じゃあ、さっそくみんなでここに行ってみようよ。何気に、まだ行ったことない場所みたいだしさ。」

 

しかし、その言葉には賛成できなかった。二人はそれぞれ理由を言う。

 

『…そのことなのですが、申し訳ありませんが、これ以上の協力は難しいんですの。』

 

『同じく。一緒に行ってあげたいのはホント。けど、国内のゴタゴタで手が離せなくて。』

 

『わたくしも、ブランと同じ理由ですわ。わたくしに関して変なデマや噂を流している輩を捕まえなければなりませんの。それに、シェアプロテクターの件もありますし。』

 

「それなら、仕方ないって。じゃあ、三人で行こっか、ノワール、ユニちゃん。」

 

二人がダメだと判断したネプテューヌは、こちらに協力を要請する。

しかし、こちらも同じような理由があった。言いにくそうにしながら、言う。

 

「…あー…えーと、そのことなんだけどね、ネプテューヌ…。」

 

しかしその言葉を聞いて、ネプテューヌは、まさか、という雰囲気を出して言う。

 

「まさか、わたしの心の友たるノワールはそんなことないよね!」

 

「…うっ。もう、なんであなたはいつもそうやって私の先回りをするのよ。」

 

ノワールは悔しそうに文句を言う。ほんと、なんでネプテューヌは言われたくないことを先に言うのか。。

 

「もしかして、ノワールもなの?」

 

「守護女神の転換期ですもの。ラスティションも変な噂やデマにデモにベールたちとほとんど同じ状態なのよ。」

 

その言葉に間違いはない。ここに来るのにも結構大変だった。仕事を後回しにして、ここに来れたのは奇跡だった。

そこでネプテューヌが聞いてくる。

 

「じゃあ、なんで来てくれたの?大変なんでしょ?」

 

その言葉に、どう返せばいいか迷ってしまう。本当のことを言うわけにもいかないし、どうすれば…。

そこでノワールの頭にいい考えが浮かんだ。

 

「そ、それは……そうよ。ユニよ、ユニ!」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

いきなり話を振られたユニは驚きを見せる。流石に申し訳ないが、ここは利用させてもらう。ノワールは話を続ける。

 

「ユニがどうしても、ネプギアが戻れるように手伝いたいって言うから妹の友情に感銘を受けて、姉として手伝いに来たってわけ。だ、だから勘違いしないでよね。」

 

ここに来た理由を丸ごとユニに押し付けてしまう形になった。しかし、ユニは思いがけない発言を口にする。

 

「ちょっとお姉ちゃん、何言ってるのよ!そのことは内緒って言ったでしょ!てか、むしろお姉ちゃんの方がネプテューヌさんに会いたいとか私がいないとあの子はダメだからとか言ってたくせに!」

 

「のわーー!?な、なに変なこと勝手に言ってるのよ!」

 

それが原因で、私はユニに詰め寄る。これ以上言われれば、ネプテューヌは確実にこちらの揚げ足を取る。

しかし、時すでに遅しであった。

 

「ほう、ノワールが…そうですかそうですか。にやにや。」

 

ネプテューヌは機嫌よさそうにしながらにやけていた。そんなネプテューヌを、ノワールはそれを注意するような口調で言った。

 

「そこっ!ニヤニヤしない!」

 

それを聞いて、ますますニヤニヤするネプテューヌに対し、怒りが生まれる。だが、ノワールもこんな状況を何回も経験していた。怒りつつも、ノワールは帰ることを伝える。

 

「もう!帰るわよ、ユニ!ネプテューヌも、手伝ってあげたんだから、後は自分でちゃんとしなさいよね!」

 

それに続いて、ユニもネプギアのことをお願いする。

 

「それじゃあ、ネプテューヌさん。ネプギアのこと、お願いしますね。」

 

「あ!ノワール!ユニちゃん!」

 

そう言って、ネプテューヌの制止をよそに二人はホテルのロビーから外へ出た。ここまでしてあげたのだから、ちゃんとパッチを見つけてもらいたい。そう思いつつ、女神化をし、ラスティションの女神達はプラネテューヌから飛び去った。…途中、口げんかをしてではあったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ。どうしよう…。」

 

あたしはそう呟く。昼食を取った後、鈴はまた聞き込みに戻っていた。しかし、また同じように避けられたり、断られたりしていた。途中、変な残念イケメンが、「僕の店に遊びに来ない?」と誘ってきて、逆に返り討ちにして叩きのめしたくらいで、まったく進展はなかった。

この世界にはあの馬鹿はいないのだろうか、そう考えてしまう鈴だったが、そこで思い出す。

あの馬鹿が次元震へ飲み込まれて消えた直後、すぐに捜索した時、反応が消えたのは間違いなくこの世界の座標点だった。確かにこの世界にいるはずなのだ。

とは言っても、ここゲイムギョウ界は思った以上に広かった。あたし達が住む地球と同じ大きさであるのは知っていたが、他に大陸があったなんて、思わなかった。現在は一番いる可能性がある四か国大陸を中心に探しているが、ひょっとすると他の大陸でも探さないといけないかもしれない。

考えを切り替えると、鈴は再び歩き始める。その時だった。メガネのように顔に掛けたアナライザーが鳴る。すぐに画面を見る。すると連絡主は知らない電話番号だった。普通なら、知らない連絡主であるなら警戒してしまうだろう。だが、鈴には予測できた。連絡主が誰であるのか。早速アナライザーを画面表示モードに切り替えて電話に出る。すると、少し前に聞いた声が響く。

 

『あ、もしもし。ケーシャです。』

 

「えぇ、あたしよ、鈴。何か情報を掴んだの?」

 

電話主であるケーシャにそう言葉を返す。ケーシャには別れ際にこちらの連絡先を伝えていたので、それで電話してきたのだ。

その問いに、ケーシャは答える。

 

『確実、ではないですが、武器屋の女の子が写真の男の人を見たことがあるそうです。』

 

「本当に?名前とかは分かる?誰と一緒にいたとかは…。」

 

鈴の顔が安心した表情に変わる。思わず鈴は続けて質問をぶつける。その質問に、ケーシャは丁寧に答える。

 

『名前は忘れてしまったそうですが、写真を見せたら、その人で間違いないそうです。他にも、暗黒を司る機械剣と光を司る機械剣を持っていたそうです。』

 

「闇と光の剣…間違いないわ。」

 

それだけであの馬鹿であることが分かる。ここにいるといることが分かったなら、すぐに探しに行く必要がある。鈴はケーシャに感謝の気持ちを伝えて切ろうと考えていたが、そこでケーシャがとあることを伝えてきた。

 

『それから、その人はネプテューヌ様と一緒に店に来たそうです。』

 

「ネプテューヌと?」

 

そのことに驚く。まさか、あのネプテューヌと過ごしているとは…。おそらく、何らかの理由で元の世界に帰れなくなり、あたし達GKSWAXPのメンバーが迎えに来るのを待つために、ネプテューヌの元で過ごしているのではないだろうか。

そう考えたところで、ケーシャが言ってくる。

 

『すみません。私が協力できるのはここまでです。今日は予定があるので…。』

 

「えぇ、大丈夫よ。ここまで情報を集めてくれてありがとう。ジェスティにもよろしく伝えておいてね。それじゃ。」

 

そう言って電話を切った。これで次の行動は決まった。まずネプテューヌに接触、そしてあの馬鹿こと、和藤光樹を連れ戻す。これで完璧だ。

すぐに鈴はプラネテューヌ教会のある方向へと向かおうとした。その時だった。

 

「ありがとう、あいちゃん!さっそく行ってくるね。」

 

「えぇ。早くイストワール様を元に戻すために、早く行って来なさい。」

 

そんな言葉が聞こえてくる。その声に聞き覚えがあった。それは、ネプテューヌとアイエフの声だった。見ると、ネプテューヌは街の外へとつながるゲートの方角に走り去るのを目で確認する。まさか、探していた人物をこのタイミングで見つけるとは…。運がいいというか、これはこれでラッキーだ。

走っていくネプテューヌの後を追うように、走り出したその時だった。

 

 

 

♪♪♪~

 

 

 

アナライザーの着信音が鳴る。無視しようかとも思ったが、着信音がケーシャの時とは違った。この音楽は「彼女」からの物だと分かったからだ。画面を展開しつつネプテューヌの追うのは難しい上に目立ちすぎる。そのため一旦追うのを諦め、路地裏に入る。誰もいないことを確認した後、通信画面を開く。

 

『あ、ようやく繋がったー。遅いよー、鈴ちゃーん。』

 

そんな気の抜けそうな声が聞こえてくる。あの馬鹿のことを気にしている一人とは思えない声だったが、実際はかなり気にしているのだろう。いなくなった時にも、一番動揺している様子を見せていたくらいだ。

そんな事は置いておいて、用件をその少女に聞く。

 

「ごめん、絵里奈。ちょっとこっちも急いでるの。定期報告だったわよね?手短にしてもいいかしら?」

 

『その急ぎよう…もしかして、光樹君が?』

 

鈴の言葉を聞いて、その少女――――福内 絵里奈(ふくち えりな)はそう聞いた。まだ見つかったというわけではないが、組織のみんなの士気を上げるためにも、報告はしておいた方がいい。鈴はその情報について語った。

 

「まだあたし自身は見つけていないけど、地元市民の協力者からの情報で見かけたってことは分かったわ。今はあの馬鹿光樹がいるって思われる場所に住んでるこの世界の重要人物を追ってたんだけど…。」

 

『え?ひょっとして、わたし、邪魔しちゃったの…。』

 

「別にいいわよ。あなたの馬鹿光樹を気にかけるのは分かるわ。心配してこっちに電話してきてくれたんでしょ?こっちも情報を報告出来て良かったわ。」

 

『鈴ちゃん…。』

 

邪魔してしまったと落ち込む絵里奈に、鈴はフォローをする。こんなことで落ち込んでいたら、この原因を起こしたあのNPに勝つことなど出来ない。鈴は気合い論はそう信じてはいなかったが、そんなものにでも頼らなければ、今のあたし達では勝てないと感じていた。そう思うと、あたし達はあの馬鹿に頼り過ぎている。どうにかして、あの馬鹿光樹を見つけ出さなければ。

しかし、いつまでも絵里奈のフォローをしているわけにもいかない。鈴は絵里奈にネプテューヌの後を追うことを伝える。

 

「それじゃあ、絵里奈。またあとで。」

 

『あ、うん。その人の後追うんだよね。頑張ってー。』

 

そう言って電話は切れる。路地裏を出て、ネプテューヌの姿を探すが見当たらない。やはり、走っていく人間がこんな短距離で見つかるわけがない。

だが大体向かう場所は分かっている。鈴は街の出入り口の方へと向かって走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、鈴は街の出入り口のある門まで来ていた。

 

「ここがプラネテューヌの出入り口…。」

 

だが、ここまでの間、鈴はネプテューヌの姿を見ていなかった。ここまで見失った覚えはないから、既に街の外へと出ていってしまったのだろうかと考える。とにかく、どこに行ったかを特定しなければ…。

だが、そんな心配も、無用となった。あるものを見つけたからだ。

それは、街の出入り口に存在した、虹色に輝く道だった。その道は、警備員達によって入らないように閉ざされていた。まるで、何か重要な物であるかのように。それで察した。あれはこの国の何か重要な物であることを。そして、それはネプテューヌに関係するのではないかということを。

今のところ、それしか手掛かりはなかった。流石にあの警備員を倒して、その道から行くというのは厳しい。こんな格好ではどうやっても通してもらえそうにないので、仕方ないので一旦街の外へ出る。街から出ると、すぐにその虹色の道に向けて、エグゼスキャナーを向ける。そしてエグゼスキャナーを操作し、分析モードに切り替える。エグゼスキャナーは鈴自身をあのNPに変身させる以外にも、スキャナーの名のとおり、分析することが出来るのだ。エグゼスキャナーから光が出ると、虹色の光を解析し始める。とりあえず、今は成分の分析はいい。すぐにその道の行く先を調べさせる。

数十秒後、解析は終わった。早速、調べたデータをアナライザーに送り、表示させる。そのデータにマップを照らし合わせると、そこはとある場所であることが分かった。そこは、とある平原の先の、内部が特殊空間となっている場所であった。

そこに何があるのかは分からない。だけど、そこに馬鹿光樹の居場所を知っているネプテューヌがいるなら、ネプテューヌと共に光樹の所に行くことが出来るなら、そのためなら、今はそこに行くしかなかった。あたしはその場所へと走ろうとする。だが、そこに警備兵達が現れる。

 

「君、一体何をしている。」

 

周りを見ると、既にその手に槍を持った警備兵達がこちらを取り囲んでいた。

…いや、これはおかしい。いくらこの服だからって、怪しすぎるからってこんな早くに取り囲まれるなんて…。

そこで鈴はなぜこうも警備兵達がこちらに敵意を持つのかに気づく。

 

(ひょっとしなくても、さっきの分析のせい?よね。)

 

多分それが原因だろう。これは失態だ。このままでは捕まってしまう。だが、ここで面倒事を起こすわけにもいかない。どうすればいいか、素早く状況を見る。このまま捕まえられれば、おそらく馬鹿光樹を助けることは出来ない。けが人を出したくはなかったが、仕方がなかった。

鈴は前方方向へ向かって大きく飛び上がる。警備兵を飛び越えた後、目的地に向け走り出す。後方から制止をする警備兵の声が聞こえてくるが、関係ない。撒けばいい。

凄まじいスピードで、鈴はそのまま警備兵が追い付けないまま、その場から走り去った。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

レイ「ノワールちゃんとユニちゃん口喧嘩って…でも姉妹での喧嘩って仲直りちゃんとするのが多いから心配ないよねっ!」

まぁ、あの二人ならすぐに仲戻すでしょう。

ジャンヌ「しかし、鈴さんはすごく身体能力が高いんですね。生身の時でもあのスピードとは…。」

女子なのにあの身体能力は反則だよね。私もあんな身体能力が欲しいよ。

ジャンヌ「ちなみに作者は?」

ははっ、100メートル走最下位だぜ。体育祭のな。

レイ「ドンマイ、作者。」

昔はもっと走れたんですけどねー。
と、今回はここまで。

レイ「次回の投稿は火曜日くらいが目安だって。」

ジャンヌ「それでは次回もお楽しみに!」


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第51話 聖地での出会い

どうも皆様、お元気でしょうか。藤和木弘です。
鉄血のオルフェンズ第1期終了しましたね!バルバトスと三日月さん流石です!

ジャンヌ「あの戦いは見ていてハラハラしましたね。どうも皆様、ジャンヌ・ドラニエスです。テイワズの二人が生きていてよかったです。」

レイ「でも三日月君障害起きちゃったね。最終話でガエリオさんが可哀想に思った、レイ・オーバだよ!」

ホント、ガエリオさん可哀想ですよね。
と、第51話投稿です。

レイ「今回は鈴ちゃんのガンダムが出るんだっけ?」

ジャンヌ「確かそうでしたね。どれほどの実力なのか、見ていただけるといいと思います。」

では、本編へ、どうぞ!


鈴が警備兵を撒いてから数分後、ネプテューヌは既に初代プラネテューヌの女神の聖地にたどり着いていた。

 

「さて、ここがベールの言ってた初代プラネテューヌの女神の聖地って場所だね。」

 

ベールの送ってくれた地図の場所が間違いでないなら、ここにサンシローの入魂パッチがあるはずだ。一目見た感じでは、未来感のあるコンピューターの中の世界のような場所だ。こういうダンジョンはよくゲイムギョウ界にはあった。ダンジョンって、自然に出来たものが多いけど、こういう所はどうやって作っているんだろうと思ってしまうことがある。いくらネプテューヌが女神であったとしても、そういうのはあまりよく分からなかった。

けど、その内部も、今まで見てきたダンジョンとは変わらないように見えた。

 

「見た感じ、他のダンジョンとあまり変わりないみたいだけど…。」

 

だが、そこで難しいことを考える暇はなかった。

 

「まぁ、いいや。今はいーすんを直すことを考えないと。」

 

今のネプテューヌにはイストワールを直すという重要な目的がある。そして、ネプギアと光樹の二人を助けに行かないといけなかった。

考えを切り替えたネプテューヌは、早速初代女神の聖地へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが、ネプテューヌがいる場所…。」

 

そう呟いた鈴の前には、電子空間のような幻想的な風景が漂っていた。この光景を見ると、かつて自分がSSRシリーズのガンダムシリーズを装着していた時の電脳空間を思い出す。あの頃は、まだあたし達は未熟だった。勇人や絵里奈達と共に世界の敵と対峙していた時だ。

だが、そんな気持ちに浸る暇はない。今はネプテューヌと会い、光樹が何処にいるのかを確かめなければ…。鈴は初代女神の聖地を駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

襲い掛かってくるモンスターを蹴散らしつつ、ネプテューヌは奥へと進んでいた。これくらいの敵は問題なく、順調に倒していっていた。そうしてしばらく進んだ結果、ダンジョンの奥のような場所へとたどり着いた。

 

「ここが一番奥っぽいけど、それらしいものは…宝物も墓標もなにもないっぽいかも。」

 

一目見た限りでは、目立つようなものは何もなかった。とすると、これはもしかすると、ゲームではよくある、ボスドロップというやつだろうか。こういった場所には、必ずボスがいて、倒すとボスが落とすアイテムとして手に入れられるというものだ。まさか本当に出来るとは…。でも、まだモンスターはいなかった。ひょっとして、そういうものはないのだろうか。

 

「ていうことは、展開的にはボスモンスターが現れて、倒して入手ってパターンだったりして。」

 

そんなフリを感じさせる言葉を言う。

すると、奥から何かが来るような地響きが聞こえる。それと同時に、唸り声が咆哮する。

 

「グオォォォォッ!」

 

「ねぷっ!?まさか、わたしの予想が当たっちゃった!?」

 

嘘から出た真とは正にこのことだ。そんな感じが十分する竜型のモンスター、種属名「エンシェントドラゴン」がわたしの前に立ちふさがった。

普通なら、いきなりの登場で驚きが尽きないだろうが、今のネプテューヌには確信があった。こんなタイミングで登場するなら、間違いなく、このモンスターがサンシローの入魂パッチを持っているに違いないという確信が。

 

「てことは当然、アイテムもドロップ入手で決まりだね!」

 

やる気満々となったネプテューヌは女神化をする。光の柱に包まれたのち、ネプテューヌはパープルハートへと変身する。

 

「本気で行かせてもらうわ。覚悟しなさい!」

 

変身を終わらせたネプテューヌは、エンシェントドラゴンにそう言い放ち、機械刀を構えてエンシェントドラゴンへと突撃した。

 

 

 

 

まず、パープルハートは横薙ぎに一閃を振るう。その攻撃はエンシェントドラゴンの強固な翼による防御で防がれてしまう。

だがそれは、パープルハートも予測済みだった。攻撃を防いだエンシェントドラゴンは、カウンターの拳を翼を払ってから打ち込む。素早いカウンターだったが、その拳はパープルハートの動きを捉えることはなかった。エンシェントドラゴンの視界にはパープルハートの姿は何処にもない。パープルハートはエンシェントドラゴンの後ろ側にいたのだ。後ろに回り込んでいたパープルハートは翼の付け根を狙って刀を振り上げる。

 

「グオオゥ!?」

 

エンシェントドラゴンは驚いた様子を見せる。だがエンシェントドラゴンも馬鹿ではない。すぐに後ろを向く。しかしそこにはまたもパープルハートの姿はなかった。

その時、パープルハートは空中に飛んでいた。空中と言っても、ちょうどエンシェントドラゴンの真上にいたのでエンシェントドラゴンはそのことに気づいていなかった。そこで、一気に降下する。

 

「甘いわ。」

 

降下と共に斬撃を放った。頭部に直撃する。その攻撃に敵が怯む。攻撃をしたパープルハートは、その反動で後方へと下がる。エンシェントドラゴンが再び攻撃してくるのを待つ。

攻撃を受けたエンシェントドラゴンは後ろに下がったパープルハートの存在に気づく。目視すると同時に、こちらに向かって地面を滑るように翼を羽ばたかせ接近してくる。元来、エンシェントドラゴンのようなモンスターはどっしりと構えているのが多いが、この個体は違うようだ。

けれども、こちらにとってはありがたい。再び上空へと飛ぶ。それを逃さないようにエンシェントドラゴンも飛ぶ。

そして、空中でそれぞれの武器が交差する。剣と爪、互いに切れ味を誇る攻撃は互いにぶつかり合った後、受け流すように弾かれ、横をすり抜ける。

地面に着地したパープルハートは、また次の攻撃のため、後方へと移動する。壁などはないため、空中で浮遊するような形になる。一方、エンシェントドラゴンは空中にいるのをやめて、地面へと降りる。その重量故、地響きが響く。

ここまでの攻撃で、特にこちらは攻撃を受けてはいなかった。上手く敵の攻撃を回避していたためだ。だが、敵の方のダメージは、あまり深手を負っているとは思えなかった。

ここは大技を打ち込むしかない。パープルハートが動く。

 

「クロスコンビネーション!」

 

連撃を叩き込み、最後の振り下ろしを思い切り打ち込む。しかし、その攻撃はほとんどその頑強な腕で防御される。攻撃を受けきったエンシェントドラゴンは攻撃を仕掛けようとしてくる。

そこに、更に攻撃を仕掛ける。

 

「クリティカルエッジ!!」

 

放たれた二撃の斬撃がガードを払いのける。そこに鋭い一閃が刺さる。今のはかなりの手ごたえを感じた。このままの流れなら、勝てる。そう確信した。

とはいっても、流石に敵もボスクラスの敵だ。一瞬傷口を抑えたが、咆哮すると、何やら叫びながらこちらに向かって突撃してくる。

 

「イザ、尋常ニ勝負!!」

 

その突撃を回避するため、後ろに向かって飛翔する。段差の所で着地すると、敵をギリギリまで引き付ける。突進速度の速さはかなりのものだった。すぐに距離が縮まる。そして当たる直前で横に躱す。そのままの勢いでエンシェントドラゴンは段差の下に降りた。

戦いの舞台は先程の場所よりも、少し広めの場所に移行した。こうしたのには訳があり、先程の場所では足を着ける場所が少なく、余裕をもってエンシェントドラゴンと戦いたかったからだ。

仕切り直しのように、そこから第二ラウンドへと突入する。同時に互いの攻撃が激突する。攻撃が防がれるのにも構わず、お互いは刀と爪をぶつけ合う。

 

 

ガキィン!ガキィン!

 

 

何度もぶつかり合ったのち、パープルハートは勝負をかける。刀を構えて突撃する。それを迎撃するようにエンシェントドラゴンの拳が打たれる。しかしパープルハートはその攻撃に防御態勢は取らず、姿勢を低くして回避する。

それによって、パープルハートが敵の懐に飛び込むような形になった。これをパープルハートは狙っていたのだ。もう一度懐に飛び込んで、そこから強力な一撃をもう一度叩き込む。これで運良ければ撃破、悪くても深手を負わせれば…と思ってのことだった。

そして、強烈な一撃を放つ。

 

「桜花一閃!!」

 

低姿勢から切り上げるようにして横一線に敵を切る。

 

「グオゥッ!?」

 

その攻撃が効いたようだ。エンシェントドラゴンは大きく後ろへと退く。そこに追撃のクロスコンビネーションを叩き込む。

その連撃全てが、先程の桜花一閃で刻み込んだ傷口を大きくしていく。最後の打ち下ろしも傷口を抉りつつ放たれる。その攻撃によって、傷口からデータのような粒子が溢れる。これはかなりのダメージのようだ。まだ倒せてはいないが、次で決まる。そう思ったパープルハートはトドメを刺そうと踏み込む。腰溜めに刀を持ち、突き攻撃が放たれる――――――

 

 

その時だった。

突如、上空より光がエンシェントドラゴンを包み込む。いきなりのことだったので、パープルハートも一度退く。一体、何が起こったのか…。戸惑いっていたが、よくその光を見てみると、あることに気づいた。

 

(この光…光樹がガンダムを装着する時の光と同じ…?)

 

すぐには気づかなかったが、今よく見ていると、確かにその光は光樹がガンダムを装着する時に現れる光のノイズに似ていた。その光がなぜいきなり現れたのか。この世界には当然光樹は今はいない。なのにこの光はなぜ現れたのか。

しばらくしてから、ノイズが晴れる。そこには、予想もしなかったことが起きた。

 

「我ハ虚、我ハ空、我ハ刃!!」

 

先程までかなりのダメージを受けていたエンシェントドラゴンは完全に傷が治っていた。それどころか体の至る所に機械のアーマーが装着されていた。更に背中には二門のキャノン砲を持ち、その手には先程までなかった赤い剣を持っていた。

その変化を終えたエンシェントドラゴンが、反撃を開始する。翼に新たに装備されたブースターから、あの赤い粒子が発せられる。と、同時にこちらに向かって飛翔、剣をパープルハートに向かって切りつける。その攻撃を機械刀で受け流す。しかしそれで攻撃は終わらない。こちらに反転し、背中のキャノン砲で砲撃してくる。計四発の砲弾はパープルハートの近くに着弾、爆発する。

周りが煙で何も見えない。すぐにパープルハートは煙の中から抜け出す。

 

「けほっ…。あれは一体なんなの?光樹の時と似ているけど…モンスターの武装化とでも言うの?」

 

パープルハートはそう思う。今までゲイムギョウ界のモンスターは凶暴化したりすることが戦闘中にあった。おそらくこれもまた、そういった部類なのだろう。だが突然モンスターが機械を纏うなど、なかった現象だ。なぜこんなことに、と困惑しているパープルハートに休む暇はなかった。エンシェントドラゴンに新たに追加された肩アーマーに内蔵されていたバルカン砲が火を噴く。それを無理矢理体を曲げて回避する。

 

「くっ…こいつ。」

 

この状況にパープルハートは舌打ちをしつつ、苛烈になった攻撃を回避するだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃうん…。」

 

「………。」

 

うさぎ型モンスターの声にも気にせず、手に持ったレーザーガン「ブラスターCT」を無言で撃つ。十連射によってうさぎモンスター「ラビー」は消滅していく。

そのモンスターの消滅により戦闘は終了する。溜息をしつつ、鈴はレーザーガンの弾数をチェックする。

 

「はぁ。まだ着かないの?ネプテューヌは何処まで行ったのよ。」

 

ここまでかなりの道のりを歩いてきたはずなのだが、その何処にもネプテューヌはいない。おかげでいろいろとアイテムが落ちているのを拾って来たではないか。

そんな独り言に、機械音声が答える。

 

『ここまでの道のりの形跡から、俺達は見逃してはいないぞ。』

 

「そうなのよね。グレイガ。」

 

鈴は自身のガンダムの支援インターフェースの「グレイガ」に言葉を返す。

グレイガは男性タイプの支援OSだ。実際に人の脳を解析してOSが制作されているのだが、自分に合うので話すことで少しはストレス解消になる。もちろん、戦闘ではとても頼りになる。だが、最近は鈴自身の反応速度がグレイガを超え始めていて、少し問題となっているのだが。この事件が終わったら、アップデートした方がいいかもしれない。

またネプテューヌを探して歩いていくと、突然前方方向に人影が見える。もしかすると…と思っていたら、すぐにこっちの方に来た。

その正体は、鈴が望んでいた人物、ネプテューヌであった。それも今は女神化した状態、女神パープルハートの姿であった。これはちょうどいいと鈴は思っていた。あの馬鹿っぽい性格のネプテューヌの時より、パープルハートの方が話はしやすいと思ったからだ。しかし、今の服装では変身前の方がよかっただろうかと考えてしまう。

ところが、それは問題ではなかったことを知る。声をかけようとしたところで、パープルハートがこちらに叫ぶ。

 

「避けて!!」

 

「!?」

 

その言葉に従い、回避行動を取る。パープルハートと同じ方向へジャンプする。すると、先程までいたところに何かが当たり、爆発を起こす。

爆風に吹き飛ばされつつ、なんとか受け身を取る。すぐにその攻撃してきた敵を確認する。その姿を見て、閉口する。

 

「あれは……!?」

 

そこには巨躯の龍がいた。確か名称はエンシェントドラゴンであっただろうか。別世界のゲイムギョウ界で戦ったことがある。だが、その姿は、目の前の個体とは違った。確か西洋のドラゴンのような姿だったはずだ。しかし、今目の前にいるのは、体に機械を纏った、異質な姿をしたドラゴンだった。

それをアナライザーを通して見ていたグレイガが分析する。

 

『鈴、こいつの装甲、これはANカーボンだ。』

 

「なんですって?」

 

その事実に驚愕する。なぜゲイムギョウ界のモンスターにANカーボンが使われた装甲を纏っているのか。

そんな疑問が脳内を駆け巡る。しかし、迷っている暇はなさそうだった。パープルハートからとあることを言われた。

 

「あなた、早くここから逃げて。こいつは普通じゃないわ。」

 

その言葉に、抵抗感が沸いた。確かに一般人相手なら、その対応は間違いはない。だが、自分は仮にも戦闘員だ。それも隊員のようなランクではなく、一部隊をまとめる隊長クラスの。

そんなパープルハートの言葉に、鈴は返す。

 

「生憎ながら、あたしは普通じゃないわ。ここであなたを見失うわけにもいかない…ここはあたしも戦わせてもらうわ!」

 

「あなた…一体。」

 

そんなパープルハートに鈴は黒コートのフードを取って答える。

 

「通りすがりの戦場歌姫よ。さぁ、行くわよ、グレイガ!」

 

『やれやれ、仕方ないなぁ。変身ロック解除、…いけるぜ。』

 

変身の準備が完了した報告を受けて、懐よりエグゼスキャナーを取り出す。先程は不良の制圧というくだらない所で変身してしまったが、今は許容範囲内だ。ためらいなくエグゼスキャナーを首元に当て、認証させる。

 

 

 

『スキャン完了。R-EXE・グレイガ、アーマー・セットスタンバイ。』

 

 

 

エグゼスキャナーをから、AN粒子が放出される。その奔流が鈴を包み込む。奔流の中で、体は電子化され、その情報をベースに、覆うようにアーマーが装着される。プロテクターを纏い終わると、次に武装が装着される。

装着終了と同時に、AN粒子は吹き飛び、その姿が外界に認識される。頭部に備えられたV字アンテナがガンダムであることを物語る。が、側頭部近くの獣の耳のようなパーツ、そして口元の牙のようなラインが入ったマスクは、まるで機体が獣であるかのようなことを見た者に感じさせる。だがそれだけではない。両腕部には実体剣を三つ並べたシールドクローを装備し、足元にも爪のようなパーツを備え、リアスカート下部には尾のようなパーツを装備するなど、人型でありながら、獣をモチーフとした装備を持つ機体が姿を現す。

それを見ていたパープルハートも驚きを隠せないようだ。口元を手で覆い、口が開いているのを隠している。そこにグレイガの機械音声が響く。

 

『ガンダム・R-EXE・グレイガ、セット・オン完了。』

 

それと同時に口元のマスクが割れ、咆哮が響く。

 

グオォォォォォ!!

 

これで装着工程が終わる。その姿に驚いたままのパープルハートに話しかける。

 

「さて、行くわよ、女神パープルハート。あいつを倒しましょ。」

 

「え、えぇ。今はあいつを倒さなければいけないわ。」

 

パープルハートの方も戦闘の方に意識を戻す。そうしてエンシェントドラゴン・アーマードと戦闘を開始する。

 

 

 

 

「たぁ!」

 

R-EXEグレイガの腕部に装備された主兵装、ANファングクローシールドが初撃となる。敵の装甲に当たったので、火花が散りはしたが、敵にダメージを与えたような様子は見られなかった。特にダメージを受けた様子を見せなかったエンシェントドラゴン・アーマードが攻撃を行う。手に持った赤い剣で横薙ぎに攻撃してくる。その攻撃を、鈴は逆にANファングクローシールドで受け止める。刃と刃がぶつかり、火花を散らせる。動きが止まった。そこに、パープルハートが攻撃を見舞う。

 

「食らいなさい!」

 

その攻撃は的確にエンシェントドラゴンの装甲に覆われていない部分…生身のところを突き刺す。その状態から、横一線に斬る。攻撃を受けたことで、傷口からデータの破片のようなものが散る。どうやら攻撃は効いているようだ。

とすればこちらの攻撃の狙いは変わることはない。パープルハートには生身の部分を攻撃してもらって体力を削がせ、こちらは装甲をメインに削って弱体化させる方法を取るべきだろう。パープルハートの方も察しているようだ。

その暗黙の了解の元、二人はエンシェントドラゴンに引き続き、攻撃していく。まず鈴が先手を仕掛けて攻撃を受け止めたまま、少し後ろのパープルハートが動けない状態のエンシェントドラゴンを斬る。これがループのように繰り返された。

だが、エンシェントドラゴンの方もそれに気づく。それによって攻撃の方法を変える。再び剣とANファングクローシールドが交差した後、背部のキャノン砲が動く。かがむようにしなければ撃てない状態だったキャノン砲の砲口がこちらに向けられる。

 

「可動アームね!?」

 

『鈴、回避だ!』

 

危険を察したグレイガの言葉に鈴も従う。剣を受け流すと同時に、シールドを構えて退く。同時にキャノン砲も火を噴く。その砲弾はシールドに直撃し、鈴の体に大きな衝撃が襲う。

予想外の攻撃だったが、ダメージは受けていない。すぐに攻撃態勢に戻る。見ると、パープルハートは鈴の隙を埋めるように、前に出ていた。

 

「せぇい!!」

 

機械剣の一撃がキャノン砲の砲身を切断する。砲身を斬られた敵の左側のキャノン砲はパージされた後、爆発を起こす。後ろからの爆発による爆風で、エンシェントドラゴン・アーマードは怯む。大きな隙だ。

鈴はパープルハートに向かって叫ぶ。

 

「パープルハート、避けなさい!」

 

「!分かったわ。」

 

それに反応し、パープルハートは上空に飛ぶ。その間に鈴は姿勢を低くし、手を地面に着ける。その様子は、大地に足を着ける獣だ。

その状態から、バックパックが動く。下に長いパーツの上下が反転する。ブースターのような兵装は、カノン砲のような兵装へと変化する。足を固定したのを確認すると背部のカノン砲、ANソードカノンⅢの砲身は開く。開いた砲身からはスパークが絡み合う。そして、ビームが放たれる。

ANソードカノンⅢから放たれた赤黒い粒子ビームが、エンシェントドラゴンに向かって直進する。その攻撃を認識するのが遅れ、エンシェントドラゴン・アーマードは避けるのが間に合わず、右の翼がビームに飲み込まれる。

そのビームにより、エンシェントドラゴン・アーマードの右翼はアーマーごと半分ほど消滅する。その痛みにエンシェントドラゴンが悲鳴のようなものを上げる。

 

「ヌォゥ!?」

 

まさか先程の攻撃であそこまでダメージを与えられるとは思わなかった。だが、好都合だ。早めに倒したかった鈴は、追撃を加えに接近する。

パープルハートも敵に攻撃を加えるために接近する。迎撃しようとエンシェントドラゴン・アーマードが肩部のバルカン砲を撃ってくる。弾幕だろうが関係ない。十分接近したところで脚部の高出力ビームサーベル発振器「ANブレイクスライサーⅡ」から、ビームを発生させる。

脚部から発生されたスパイクのようなビームサーベルを、エンシェントドラゴン・アーマードの肩部の装甲に蹴りこむ。その攻撃によって肩部装甲は穴が開き、火花が散る。鈴が着地すると同時に、肩部装甲は爆発する。一方、パープルハートは左脇腹を斬り、ダメージを与えていた。

エンシェントドラゴン・アーマードは同時攻撃により、大きく体を上下させていた。しかし、攻撃をやめるつもりはない。鈴とパープルハートは次々と攻撃を加える。

何度もANブレイクスライサーで蹴り斬った所でリアスカートの尻尾のようなパーツを分離させる。尻尾の根元に現れたグリップを持つ。すると、尻尾の部分は赤く発光する。ただ赤く光っているのではない。熱を帯びているのだ。尻尾だった武器、ANテールヒートロッドを持ち、エンシェントドラゴン・アーマードの腹部アーマーを切り裂く。ANテールヒートロッドが装甲を溶断し、その下にあった皮膚すらも切り裂いた。

同じようにパープルハートも斬撃を浴びせたところで、エンシェントドラゴン・アーマードは膝をつく。もう限界のようだ。パープルハートから決着を提案される。

 

「行くわよ、大技!」

 

「そうね、これで終わらせる!」

 

同時に二人は飛ぶ。攻撃が飛んでこないことで急接近する。エンシェントドラゴンは迎撃しようとするが、遅い。二人は叫ぶ。

 

「クロス…」

 

「ハウンド…」

 

そして、同時に大技を放った。

 

「コンビネーション!」

 

「スラッシャー!」

 

二つの斬撃が、エンシェントドラゴンを切り裂く。その二つの攻撃の軌跡を受けたエンシェントドラゴン・アーマードは剣で姿勢を保とうとする…しかし、それは刹那のことだった。

すぐに地面に倒れ伏せる。アーマーが解けると同時に、エンシェントドラゴンは消滅する。それにより、鈴達はエンシェントドラゴン・アーマードに勝利したのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回のお話、読んでいただき、ありがとうございます。いかがだったでしょうか?

レイ「鈴ちゃん突然変わったエンシェントドラゴンにも勝てるなんて、凄いよねー。」

でも実際、パープルハートがいなくても、余裕で勝てるくらいの実力はあるんですけどね。

ジャンヌ「それって、完全に女神より強いってことじゃ…?」

でも、鈴のガンダムの性能はまた黒の館で紹介するから、そこで色々と明らかにしたいと思っています。

では今回はここまで。

レイ「じゃあ、次回の投稿は月曜日に…」

あ、ちょっと待ってくださいな、レイさん。

レイ「え?どうしたの?」

実を言うと、来週の月曜日から水曜日まで私が通うことになった専門学校のオリエンテーション合宿というものがあって、月曜日に投稿出来ないんですよ。

レイ「そうなの!?」

ジャンヌ「では、いつ投稿なさるんですか?」

うん。次回の投稿は出来たら水曜日の夜、最悪でも次の木曜日には投稿したいと思います。

ジャンヌ「次回の投稿が遅れますこと、ご理解をお願いします。」

レイ「じゃあ、また次回っ!!」


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第52話 いーすん再起動開始、光樹捜索再開へ

はい、どうも皆様、お久しぶりです。
昨日までの三日間、ちょっと学校のオリエンテーション合宿へと行っていたため、更新が遅れました、藤和木弘です。昨日は投稿できず、遅れましたこと、改めてお詫び申し上げます。

ジャンヌ「どうも皆さん、藤和木の合宿に付いて行きました、ジャンヌ・ドラニエスです。ちょっと危ない場面もありましたが。」

レイ「どうも。家でお留守番してた、レイ・オーバだよ!お土産もらったから、付いて行けなくても良かったって思ってるよ。でもゲームは見たかったかな。」

では、第52話、投稿です。今回でネプテューヌ視点は終了です。

ジャンヌ「同時に、鈴さんの出番もいったん終わりなんですよね?」

そうそう。鈴はまた零次元編終了後からまた出てくると思うので、それまではまたうずめ達を中心に話が進んでいきます。

レイ「それじゃあ、本編へいっくよー!」


 

モンスターを倒し、しばらく決めポーズのようなものを取っていたパープルハートと、共に戦った通りすがりの戦場歌姫の少女だったが、本当に倒せたかどうか確かめるため、後ろを向いて確かめる。

パープルハートの目には、確かに、あのエンシェントドラゴンの姿は跡形もなく消え去っているのが見えた。とりあえず、これで大丈夫だろう。パープルハートは少し苦戦したことについて口にする。

 

「…ふぅ。だいぶシェアが落ちてるみたいね。けど、あなたがいてくれたおかげで助かったわ。ありがとう。」

 

偶然エンシェントドラゴンの攻撃を回避している途中で出会ったとはいえ、まさか人と会うとは思わなかった。けど、幸い戦闘を行える実力があったのは好都合だった。その戦場歌姫の子に感謝の言葉を送る。すると、その少女はその言葉に答える。

 

「こっちもよ。あたし一人だったら、結構苦戦してたと思うわ。それより、少しあなたに聞きたいんだけど…。」

 

こちらに何か聞きたいことがあるということを聞いて、何かしらと思ったが、ここでシェアの不足を感じる。やはり戦闘を行って、シェアが少なくなったのだろう。

その少女には悪いが、こちらのシェアがこれ以上減る前に、変身を解除する。

 

 

 

光の柱が晴れ、ネプテューヌの姿に戻ると、すぐにその機械を纏った女の子にその質問のことについて聞く。

 

「ごめんねー。わたしの方もシェアがヤバくってさー。で、聞きたいことって?」

 

「え、えぇ。実は、この男を探しているんだけど…。」

 

そう言って戦場歌姫ちゃんは写真を見せてくる。

 

「うーんと。どれどれ…。」

 

見せてきた写真には、一人の男の子が映っていた。メガネをかけ、こちらに不愛想な顔を向けていた。その写真の撮り方から、みんなでわいわいと撮るものじゃなくって、きっちりとした場面で撮る写真だと気づく。でも、その男の子はどこか、不満そうにしているようにも見える。

けど、そこで気づく。この男の子が光樹であることに。ネプテューヌはそれについて呟く。

 

「ってこれって、光樹じゃん!」

 

「!!この馬鹿を知ってるの!?」

 

その言葉を聞いた戦場歌姫ちゃんは思わず聞き返してきた。わたしの見た限りでは、確かにこれは光樹だ。ネプテューヌは答える。

 

「うん。今教会で預かってる子なんだよね。」

 

「それはほんと?」

 

「そうだよ。けど、今すぐは会えないんだよね。」

 

「それって、どういう…。」

 

戦場歌姫ちゃんは疑問を投げかけてくる。どうして探しているのかは分からないけど、とりあえず、悪い人ではなさそうだし、事情を話した方がいいかなと考える。

と、そこで、本来の目的を思い出す。

 

「って、わたしも今急いでるんだ!ちょっと手伝ってくれる?光樹にも関係することなんだけど…。」

 

「馬鹿光樹に?」

 

戦場歌姫ちゃんもどういうことなのか首を傾げている。けど、まずはいーすんを復活させないと、光樹を助けることもできない。きっと、光樹の仲間だろうから、いーすんを復活させて光樹をこっちに戻せば、この子の問題も解決するだろう。ネプテューヌは戦場歌姫に協力を要請する。

 

「とりあえず、一緒に来て。途中で話すからさ。」

 

「わ、分かったわ。」

 

戦場歌姫は機械の装着を解くと、ネプテューヌと共に奥地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ってことなんだ。」

 

「…なるほどね。ちょっと厄介ね。」

 

ネプテューヌからの話を聞いて、納得する。どうやら、光樹はネプテューヌの話に出てきた「零次元」と呼ばれるゲイムギョウ界にいるらしい。まさか、更に別次元へと移動しているとは思わなかった。

だが、それ以上に問題があった。それは、馬鹿光樹が記憶喪失にあるということだ。ただでさえ色々と問題のある馬鹿なのに、それ以上に馬鹿をやらかしているようだ。しかし、幸いにも、NPの装着や戦闘法を思い出しているとのことで、まだましであることを知り、少し安心する。

と、ここでネプテューヌが先程の変身…R-EXE・グレイガのことについて聞いてくる。

 

「そういえばさ、鈴が纏ってたあれも、ガンダムなの?」

 

「一応あれもガンダムよ。」

 

「へー。なんか犬みたいだけど…。」

 

「狼モチーフらしいんだけどね…。」

 

そんな話を聞かせる。実際、あの機体を設計したのは、あの馬鹿光樹なのだが、本人も「あれ、犬モチーフだったっけ?」といじってくる時がある(もちろん、その時はシバくが)。

そんな話をしている内に、行き止まりの空間までたどり着く。どうやらここが、ネプテューヌの言っていた初代プラネテューヌの女神の聖地の中心部らしい。

 

「えーっと、サンシローの入魂パッチは何処かなー、っと。」

 

ネプテューヌがあちこちを見て回る。こちらも、先程の情報のお返しにそのサンシローの入魂パッチを探す。なんでも、それを見つければ、イストワールが復活し、馬鹿光樹とネプギアをこちらの世界に戻せるとのことだ。。

だが、そうしても、いつイストワールが復活するかは分からないらしい。それでは遅すぎるので、この後、一旦この世界にいる捜索隊メンバー全員であたし達自身の世界に戻り、その零次元へ行き、光樹を直接連れ戻すことを決める。ネプテューヌにもそのことを少し話したところ、「光樹が元の世界に戻れるなら、それでいいよー。」と言っていたので、これで話は成立した。

しばらく、辺りに何か目立つものがないかどうか見回していた。だが、そんな目印になるようなものは見当たらない。が、そこで反対側を探していたネプテューヌが何かを見つけたように声を出す。

 

「あれ?地面に穴があいてる。こんな所に穴なんてあったっけ?」

 

「何?何か見つけたの?」

 

「この穴なんだけど…。」

 

ネプテューヌの指さす先を見ると、そこには何か穴が開いていた。しかし、その穴は人為的でも、機械的でもない、少し不思議な穴だった。しかし、その穴には何もなかった。だが、ここだけ穴が開いているというのもおかしい。

とはいえ、これくらいしか手掛かりはなかった。ネプテューヌはその穴をどこからか取り出したスコップを持ち出す。

 

「まぁ、いいよね。ここ掘ってみよ?」

 

「そうね。グレイガ、スコップ転送。」

 

『俺は雑用係かよ…。』

 

「何?あなたが実体化して穴掘ってくれてもいいのよ?」

 

『スコップ転送、十秒で終わる!』

 

文句を言っていたグレイガが、すぐにスコップの転送を開始する。きっちり十秒後、手元にスコップが転送されてくる。

スコップを手に持つと、二人は早速、その穴を掘り返し始めた。どのくらいかかるのかと少し時間を心配していたが、その心配は杞憂に終わった。掘り始めて約二分、穴の中から鉄の箱のようなものが出てきた。

 

「あ、なんか出てきたかも。」

 

「これは…鉄の箱、ね。もしかしてこれ?」

 

「どうだろ。とにかく開けてみよ。」

 

ネプテューヌの言う通り、穴から出た後、その箱を開けてみることにする。特に鍵のようなものはなく、簡単に箱は開いた。

 

「開いた開いた。さーって、中身は何かなーっと。」

 

早速ネプテューヌは中身を見る。すると、中には見覚えのあるようなものが入っていた。

ゲームソフトだ。それも、今の時代のゲームであるニンテンドーDSのカードタイプではなく、昔にあった、ファミリーコンピューターのゲームソフトであるカセットタイプのものだ。それが箱の中に入っていた。これには流石のネプテューヌも驚いていた。

 

「…って、カセットタイプのゲームソフトだ。ってうわ!?懐かしいのばっかりだよ!」

 

「そんなに珍しいものなの?」

 

「うん!ユニゴ13のゲームにワンダフルボーイ、オウガスにロオドランナーまであるよ!」

 

「へ、へぇ…。」

 

ネプテューヌの興奮に、鈴は少し圧倒される。鈴はあまりゲームについては詳しくはなかった。ゲームはやるが、知っているのはWiiのカラオケに、馬鹿光樹が定期的に大会開いて強制的に参加させてくるEXVSFBくらいだ。

しかし、鈴の反応にも気にせず、ネプテューヌは一人感動していた。

 

「まさかこんな考古学的レトロなゲームソフトが埋まってるだなんて…。もしかして、これが初代女神の遺品なのかな?」

 

ネプテューヌの最後の方の言葉には少しは同意する。一見何の関係も無い様なものが入っている物は、意外に重要な物が入っていることが多いのを、鈴は経験したことがある。これも馬鹿光樹のおかげだ。

そう思いながら、鈴はその中に目的のものが無いかを聞く。

 

「遺品だったら、その中に入魂パッチが入ってるんじゃない?」

 

「そうかも!どれどれ…。」

 

ネプテューヌは箱の中をごそごそと探す。そして、発見する。

 

「あった!なんか手書きで【入魂】って書かれてるけど、きっとこのカセットだよね!」

 

ネプテューヌの手には、確かに【入魂】と筆で書かれたカセットのようなものが握られていた。きっとそうに違いない。これで手伝いも終わったことなので、帰れるだろう。鈴はネプテューヌに別れを告げる。

 

「それじゃあ、あたしもそろそろ行くわ。馬鹿光樹の場所を教えてくれてありがとう。それじゃ。」

 

「うん、わたしも目的の物も手に入れたから帰るね。鈴も光樹を連れて帰ってね!」

 

鈴は一足先に初代女神の聖地を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョンを出たところで、鈴はエグゼスキャナーを首元に当て、再びR-EXE・グレイガを纏う、そして背中よりノイズドエナジーウイングを発生させ、飛翔する。

飛行体制を取った所で、鈴はすぐに情報を整理する。馬鹿光樹は現在零次元にいる。そして記憶喪失だ。しかしガンダムはある程度呼べることから、記憶は少しずつだが戻っているとのことだ。これなら、SSRシリーズのプラットフォームであるノイズ衛星「メテオ・G」から光樹のガンダムが多々消えていたことも納得できる。

情報がまとまった所で、鈴は通信回線を開く。話し相手は、この世界で他の三ヶ国を調査している三人にだ。

すぐに回線は繋がる。画面には男女三人の顔が映った。一人はツインテールの少女、一人はスポーツ刈りの青年、最後の一人は髪を後ろの方で束ねて下している少女だ。三人は光樹と同じ、SSRシリーズの現ガンダムマイスター、つまり装着者達だ。

早速、スポーツ刈りの青年が口を開いた。

 

『よう、鈴。どうしたんだ。もしかして、光樹が見つかったのか?』

 

「察しがいいわね、敦也。半分正解ってところだけど。」

 

そう答えると、ツインテールの少女…佐川京香が反応する

 

『本当なの!?流石鈴ちゃん。』

 

「いろいろあってね。とりあえず、これで全員一旦帰還しましょ。どうやら今別次元に居るらしいから。」

 

『別次元…?』

 

京香は疑問を浮かべたような表情をする。と、そこでもう一人の髪を束ねて下した少女が話に入ってくる。

 

『ひょっとして、更に光樹は更に世界を超えたってことですか?』

 

「そういうことよ、呑み込みがいいわね、理恵。」

 

『恐縮です。』

 

遠慮しがちな少女の名は「岡島 理恵(おかじま りえ)」、SSRシリーズの一機、鈴がかつて装着していたガンダム・レッドジョーカー系列のNPの現装着者である。ちなみに、京香はガンダム・アズールセブン系列のNPの装着者、そして、スポーツ刈りの青年は「鈴宮 敦也(すずみや あつや)」で、ガンダムはガンダム・ホワイトジャック系列の装着者だ。

と、そこで敦也がこれからについて話す。

 

『光樹が見つかったけど、てことはまた本部に戻って次元の座標を検索するってことやな?』

 

「そうよ。」

 

『分かった。すぐに調査切り上げて帰るよ。』

 

『こちらもすぐに戻ります。それでは…。』

 

次の行動が決まったことで、全員は通信を順次切っていく。

少し時間が掛かってしまったが、今は一時帰投し、本部との連携を取るべきだ。また鈴は通信回線を開く。通信相手は絵里奈だ。すぐに絵里奈の顔が映る。

 

『あ、鈴ちゃん。重要人物の人から話は聞けたのー?』

 

そんな力が抜けそうな声に、鈴はしっかりとした声で、はっきりと答える。

 

「えぇ。ネプテューヌからの話だったんだけど、どうやら馬鹿光樹は更に別の世界に転移したみたいよ。」

 

『ふわぁ、光樹君、元の世界に戻ろうと頑張ってるのかな?』

 

絵里奈はそんな事を口にする。だが、実際は違う。言いにくいが、伝えておかなければ。鈴は言いにくそうにしながらも、そのことを言う。

 

「それがね、光樹が意図して移動してるわけじゃないのよ。」

 

『え?偶然ってこと?』

 

「加えて……記憶がないらしいの。」

 

『…え?………。』

 

流石に絵里奈も驚きを隠せないようだ。光樹のことをおそらく一番気にしている絵里奈には、少し酷かもしれない。しばらく黙っていた絵里奈だったが、こちらが心配しようとしたところで返事をする。

 

『そ、そうなんだ。うん、分かったー。それじゃあ、早く戻ってきてね、鈴ちゃん。』

 

少し言葉に詰まったような反応だったが、そう言って絵里奈は通信を切った。通信が切れた回線を、鈴はゆっくりと閉じる。

 

(やっぱり絵里奈、無理してるわね。流石に今のはきつかったか。)

 

鈴は反省する。慕っている人物がどこかに行ってしまった上、記憶喪失なんて事実、誰も動揺しないはずはない。あの馬鹿でも、こんなに気にしてくれている人物がいることと、それを本人が知らないことに苛立ちを覚える。

しかし、今はそんなことを怒るような状況ではない。とっととGKSWAXPの本部に戻り、次の行動に映らなければならない。鈴は機体の特殊回線からプログラムを起動させる。そうして前方に次元の歪を出現させると、そこを通って次元を移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま、あいちゃん、こんぱ。いーすんの様子はどう?」

 

プラネタワーのイストワールの部屋のドアが開いた後、部屋に入ったネプテューヌは第一声にそのことをイストワールの状態を聞いた。その声に気づいたコンパが、ネプテューヌに返事をする。

 

「おかえりです、ねぷねぷ。いーすんさんは相変わらず、気を失っているです。」

 

イストワールの状態が良くなっていることに少し期待していたネプテューヌだったが、そんなうまい話はなかった。けど、こっちはそれを解決するアイテムをちゃんと持って来ていた。

そこでアイエフがこちらの成果について尋ねてくる。

 

「ネプ子の方はどうなの?例のアイテムは見つかったの?」

 

その言葉を待っていました!と心の中で思いつつも、自慢げに報告する。

 

「じゃじゃーん!ちゃんと見つけてきたもんねー!」

 

「わぁ!すごいです、ねぷねぷ!やればできる子です。」

 

そんな答えを聞いて、こんぱはわたしを褒めてくる。いやー、ほんとそんなに喜んでくれると、こっちも苦労したかいがあったってもんだよ。それに追い風のようにあいちゃんもコメントを送ってくる。

 

「なら、あとでちゃんと他の女神たちにお礼は言うのよ?みんな、大変な時期なのに手伝ってくれたんだから。」

 

もー、あいちゃんは面倒をみる親みたいだなぁ、と思いつつ、ネプテューヌは素直にその意見に賛成する。

 

「そうだね。後でみんなに時間ができたらお礼に何かをご馳走でもするよ。」

 

後でそのお礼はするということを伝えたところで、アイエフがネプテューヌにそれを渡すように言う。

 

「それじゃあ、持ってきたアイテムを貸してちょうだい。早くイストワール様にインストールしましょ。」

 

そこでネプテューヌはあることに気づく。それは、どうやってイストワールにこの入魂パッチをインストールするかだった。こんな大きなものをどうやっていーすんに読み込ませるのか、わたしはあいちゃんに聞く。

 

「けど、こんなカセットタイプのアイテム、どうやって、いーすんに差し込むの?」

 

「背中に差口はないんですか?」

 

こんぱはそのように言った。しかし、背中にはどう見てもそんな差込口みたいなものはなかった。服の下にも、そんなものは見当たらない。

これにはアイエフも困った様子を見せる。

 

「体中見てみたけど、そんな場所はないわね。ネプ子、そのアイテムには取扱説明書はなかったの?」

 

「なかったよ。」

 

その質問に、ネプテューヌはすぐに答える。一応、あの鉄の箱は持って来ていて、その中を詳しく探してみたけど、中にはそんなものは見当たらなかった。

 

「それは困ったわね…。せっかく直せる方法があるのに、それが実行できないなんて…。」

 

アイエフもどうすればいいか、何か方法はないのかと考えていた。と、そこでネプテューヌはとある方法を思いついた。考えたネプテューヌ自身も、本当に上手くいくかどうか分からなかったが、とにかく言ってみようと思い、その案を出す。

 

「そうだ!だったら、このカセットをいーすんの口にセットするのはどうかな?」

 

「はぁ!?」

 

「ねぷねぷ、さすがにそれは無理があると思うです。別な方法を探すです。」

 

その発案に、アイエフは声を高くして驚きの声を上げる。あまりにぶっ飛んだ発案には、コンパもそれはないと別の方法を見つけることを勧める。

だが、ネプテューヌとしては、やってみる価値はあると思った。二人の制止を無視して早速イストワールの口にカセットをセットさせる準備をする。

 

「大丈夫大丈夫!いーすんならこのくらい平気平気。よいしょっと、これで準備はオッケーだよね。」

 

ものの数秒でイストワールにカセットをセットさせることは終了する。イストワールは大きく口を開け、カセットをその口で加えるような様子を見せていた。

その姿を見たアイエフは嘆くように呟く。

 

「この顔、絶対誰にも見せられないわね…。」

 

確かにアイエフの言う通り、この姿は誰かに決して見せられるものではなかった。ましてやあの真面目なイストワールがこの姿なのだ。知っている人が見れば、誰もがひっくり返ってしまうだろう。

そんな所で、イストワールが動きを見せた。

 

「自動プログラム起動。アップデートパッチを確認。インストールを開始します。」

 

本当にアップデート出来ちゃった!ネプテューヌも驚いてしまう。もちろん、驚いたのはネプテューヌだけではない。アイエフも茫然としている。

 

「まさか、こんな方法でインストールできるなんて…。」

 

同じように、コンパも苦笑いしながらとある冗談ともいえる考えを口にする。

 

「案外、昔の女神さんもねぷねぷみたいな性格だったのかもしれませんね。」

 

それはもしかすると、そうかもしれない。こんな考え方、わたし以外で考え付く人なんてそうはいない。こんぱの考えは、実は当たってたりして。

そう思いつつも、このパッチのインストールの時間についてコンパに聞いてみた。

 

「ところで、パッチのインストールってどのくらいかかるのかな?」

 

「わからないです。けど、今はいーすんさんを信じて待つです。」

 

やっぱり、そんなことは誰にも分からないことを、コンパは言う。今はイストワールが復活するのを信じて待つしか他はなかった。ネプテューヌは相槌を打って言葉を返す。

 

「そうだね。今はいーすんを信じて待つしかないんだよね。」

 

そう言って、イストワールが復活するのを待つのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

ジャンヌ「あの…作者。イストワール様が口を大きく開けてカセットを咥えるってシーンは実際にあるのですか?どうもわたくしには信じられないのですが…。」

うん?間違いないと思うけど?

レイ「プラネテューヌの初代女神って、私たちとは随分違う感性を持ってるんだね…。」

私的には「その発想はあった」って思ったけどね。だって下の方の…

ジャンヌ「その変態的発想は!」

レイ「やめなよ!!」

どっかーん!!

うおっ、危ね!ちょっと、いきなりバスターハンマー唱えるのやめてくださいよ!私ネクサスじゃありませんよ!

ジャンヌ「作者がふざけた考えしているからです。合宿の二日目の夜だって…。」

あれは寝ぼけてたからすまない。
さて、今回はここまでです。

レイ「次回は黒の館だから、投稿は火曜日だよっ!」

ジャンヌ「それでは次回もお楽しみに。」


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黒の館 第6回 解説~光木鈴 ガンダム・R-EXE・グレイガ~

どもども皆さん、春の入学、入社、進級、新勤め先と、色々な新しい出会いが待つ4月、自分は友達が出来るか心配だった、藤和木弘です。

レイ「心配しすぎだよー、藤和木。どうも、みんな、レイ・オーバだよ!」

ジャンヌ「どうも皆様、ジャンヌ・ドラニエスです。今回は黒の館をお送りします。」

今回は黒コートの女の光木鈴さんと装着する機体、ガンダム・R-EXE・グレイガの紹介です。

レイ「ここで特に言うこともないから、本編での紹介にレッツゴーッ!」

ジャンヌ「そうですね、それでは本編へ。」


 

 

レイ「はーいっ!今回も始まったよ、黒の館!」

 

ジャンヌ「今回からわたくし、ジャンヌ・ドラニエスとレイさんことレイ・オーバの二人が本格的に参加します。」

 

藤和木「どうも、皆様、今回も新たに登場したガンダムについて解説していきたいと思います。それでは今回のゲストをご紹介を。」

 

レイ「まずは、この小説の原作の主人公、ネプテューヌちゃん!」

 

ネプテューヌ「久々の主人公登場!どうも、主人公のネプテューヌだよ。みんな、久しぶりー!」

 

レイ「ネプテューヌちゃん元気だね。」

 

ネプテューヌ「おっ、この子たちが新しいアシスタント?よろしくね、二人共。」

 

レイ「うん、よろしくねっ!」

 

ジャンヌ「よろしくお願いします、ネプテューヌ様。そして、ゲストはもう一人。もう一人のゲストは新たなガンダムの装着者、光木鈴さんです。」

 

鈴「ようやくまともな場面で出れたわ。それから、なんであたしの一人称が書いてる途中で「私」に変わってたのよ。」

 

藤和木「そのこと言わないでください。今でも何やったんだって反省してますから。」

 

鈴「まぁ、別にいいわ。それにしても二人共、ディーバ総選挙おめでとう。」

 

レイ「ありがとー、鈴ちゃん!」

 

ジャンヌ「無事二人共ランクインできたので、とても嬉しいです。」

 

ネプテューヌ「そう言えば、藤和木もはしゃぎまくってたね。いい歳してさー。」

 

藤和木「あの時は無茶苦茶喜んでたんですよ!さて、そろそろ関係ない話はここまでにして、ジャンヌさん、レイさん、新しいガンダムの解説に行きましょう!」

 

ジャンヌ「そ、そうですね。」

 

レイ「それじゃあ、今回は光木鈴ちゃんと鈴ちゃんのガンダム、ガンダム・R-EXE・グレイガについての解説だよつ!ネプテューヌちゃんから言葉を借りて、括目せよっ!」

 

 

 

 

 

光木鈴(みつき りん)

 

年齢 17歳

誕生日 1997年12月16日

血液型 O型

身長 164㎝

外見 ショートカットの髪型。目つきは女子にしては少し鋭い。どこかうずめに似た顔つき。髪色は茶髪に近い黒。

好きなもの 歌 スポーツ全般(特にバスケ) 小動物

嫌いなもの 和藤光樹 古谷勇人 両生類

 

光樹を探して、超次元へと現れた少女。GKSWAXPの副司令を務めている。元々はSSRシリーズの装着者でもあり、一度GKSWAXPを抜けるも、再び乗り移った組織ごとGKSWAXPに所属している過去を持つ。

少女でありながら、運動神経はよく、大の大人が追いかけても追いつかれないほどの脚力を持つ。また、彼女は真のイノベイタータイプである。つまり、光樹よりもイノベイタータイプの実力はある。これはガンダム・レッドジョーカー系列のNPを装着した人物達に共通している。

超次元ゲイムギョウ界で光樹の行方を探して調査をするも、隠密行動のための黒コートが災いして上手くいかなかった。その際、ケーシャとジェスティと知り合う。ネプテューヌから光樹の居場所についての情報をもらうと、他のメンバーに連絡を取り、一度元の世界へと戻った。

生身でも前述したとおり戦闘能力は高く、モンスターを寄せ付けずに倒す。武器は光樹と同じレーザーガンとフォトンサーベルを持つ。

 

 

 

 

 

 

ガンダムR-EXE(エグゼ)・グレイガ

形式番号 REXE-X001

機体解説

光木鈴の装着する、ガンダムタイプの機動兵器。光樹の装着するシュバルトガンダムなどのガンダムとは違い、MPのガンダムである。これは本機がGKSWAXPではなく、鈴が新たに移籍していた組織が製造した機体であること、そして現在、NPほどの機体は新造することは技術的に出来ず、MPとしてのスペックでしか造れないためである。しかし、装着者の鈴はかつてNPを装着していたことがあり、プロテクター戦の経験は光樹と同じくらいのキャリアにより本機の性能を限界まで引き出すことで、記憶喪失前の光樹と純粋な戦闘では互角の性能を出せる。

本機は地上戦を重視したカスタマイズがされている。モチーフが獣、それもライオンタイプの獣をベースとした、ロックマンエグゼ6に登場した獣化形態のロックマンエグゼのグレイガがベースとなっているためである。そのため地上戦ではシュバルトゼロすらも上回る性能を見せる。しかし、性能面は本機が開発された当時の光樹のNP、シュバルトゼロガンダムに通常追従できる程度であり、火力や機動力はその程度である。加えて機能などもその当時のもののままである。

本機の特殊兵装としては機体のリミッターを解除する超獣化が搭載されている。加えて機体の武器には実体剣が多く装備されている。それらを組み合わせて、本機は近接戦闘戦に強くなっている。

本機は武装化したモンスターと初めて戦った機体である。

 

 

 

システム系

 

TRANS-AMシステム

機体の粒子放出量を三倍化するシステム。シュバルトゼロ天のものと変わらない。

 

TFDS-∞

粒子生成量を二乗化するシステム。このシステムはブラッドゼロの物をベースとしている。

 

BCS(バトルチップシステム)

SSRシリーズのバトルカードシステムを独自に開発したもの。カード容量はSSRシリーズよりも少ない。

 

ANフィールド

AN粒子による防壁。しかし、高機動戦と近接戦を重視しているため、足が止まるフィールドはほとんど使っていない。

 

ノイズドエナジーウイング

機体背部のANスラスターユニットを展開して形成する硬質化したAN粒子の翼。本機能により、本機は劇中のように飛べる。加えて宇宙ではAMBACとして機能する。しかし、それは本機がこの機能がなければ空中戦、および宇宙戦が出来ないことを意味している。さらには本兵装を用いても、空力学的な観点からみれば空中での飛行能力はかなり低いと言える。しかし、鈴自身の操者技能で空中戦も不自由なくこなすことが出来る。

 

フルノイズドエナジーフレーム

機体フレームの全てを構成する固体AN粒子のフレーム。フレームということで、装甲との分断が行われている。

この機能はシュバルトゼロのものがモデルとなっている。シュバルトゼロ天はフルノイズドエナジールーンフレーム、そして「最新機」のシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスのものとは世代が古い。

 

カートリッジシステムMarkⅡ

武装に内蔵された、エネルギーチャージ用のカートリッジを運用するシステム。

 

トランザムバースト

機体の粒子を完全に開放して、高密度AN粒子空間を形成する機能。鈴が真のイノベイタータイプであることにより、光樹の物より予想外の性能を見せる。例としては、機能として持たされてないノイズドエナジーテレポーテーションを使うことが出来る。

 

追加武装システム

背部コネクターを変形することであらゆる規格の兵装を追加で装備することが出来る機能。本機のこのシステムはANソードカノンⅢを装備するためのアームを装備するために使われている。

 

超獣化システム

機体の性能の本質を限界まで発揮させるシステム。その名の通り、本機のモデルとなったグレイガの電脳獣の力を引き出す。このシステムは分かりやすく言うなら、シュバルトゼロにも搭載されているZEROシステムと同じような状態に装着者を取り込む。しかし、ZEROが勝利を求めるために犠牲を問わないものであるのに対し、こちらは専ら獣の本能…何の意思もない破壊衝動による行動により、より暴走に近い機能性を持っている。また、この際機体は装甲が変形し、まるで毛が逆立つような姿に見える。

装着者の鈴は普段はこのシステムを使わず、いざという時のみ使うことにしている。しかし、いざ使った時も、元々鈴が装着していたレッドジョーカー系列に搭載された、ZEROシステム系列のシステムを使っていたこともあり、使いこなしている。

 

フォールドカーテン

機体に装備された次元間移動空間発生器をシールドとして転用することで使用可能な防御兵装。このカーテンに触れたエネルギーは全て次元間空間へと還元される。カーテンの名の如く、防御範囲は自機だけではなく、隣にいる僚機も守ることが出来る。しかし、一方向を守ることしか出来ない。さらに機体にチャージされた次元空間移動用エネルギーを使うことで元の世界へ戻れなくなる危険性もある。

 

 

 

武装

 

 

ANファングクローシールド

両腕部に装備する実体ネイル付きのシールド。カートリッジシステムはシールド裏に搭載し、弾数は五発。

通常状態のネイルモードとネイルを外し、手に持ったナイフモード、そしてその状態でビームネイルを形成するビームネイルモードを持つ。また、この武器は超獣化時にはさらに変形し、それらは総じてブーストモードと呼ばれる。

武装モデルはラムズゴッグのクローシールドである。

 

ANブレイク・スライサーⅡ

脚部に装備される近接専用のビーム兵器。側面にカートリッジシステムを内蔵し、弾数は五発内蔵する。上部の膝からトゲトゲ状のビームを形成するビームスパイクと下部の脛部からビーム刃を発生させるスライサーエッジの二つのモードを持つ。

脚部に装備する都合上、本機はよく蹴りを行う。あまり女性の専用プロテクターなどには脚部を攻撃に使うことは少ない(これは女性に対する配慮もある)が、鈴自身がこの武装を決めた。理由として、予想外の攻撃を行い、闇討ちすることを目的とするためである。

 

ANインパクトブレイカーユニットⅢ

機体サイドアーマーに取り付けられている円柱形の多目的ユニット。名前の如く、周りに衝撃波を飛ばして攻撃するインパクトブレイカーモードを中心に、フォールドカーテンを発生させるフォールドカーテンモードと分離してオールレンジ攻撃を行うビットモードを備える。

それら以外にも、固定された兵装である拡散ビーム砲のANクラスターキャノンⅣ、近接装甲粉砕兵装のANパイルバンカーⅡを下部と上部にそれぞれ装備する。

 

ANハウリング・シャウター

口のマスク部に内蔵された超音波兵装。しかし、その破壊力はNPに対しても十分通用する威力となっている。攻撃方法は口部を中心に周りに超音波を起こし、衝撃波で瞬間的に迎撃するシャウトペインモードと超音波を開いたマスク部で共振させてビームを放つハウリングビームモードを備え持つ。

本兵装使用時には劇中でも分かる通り、マスク部が開き、牙をむいた顔のように見える。モデルはクロスボーンガンダムのフェイスオープン。

 

ANソードカノンⅢ

背部に二本装備した射撃及び近接戦用兵装。カートリッジシステムがあり、弾数は一本六発。持ち手は砲門を正面にすると上部に存在する。

格闘戦用の砲身をそのままソードに転用するソードモード、砲身を開いてビームを放つカノンモード、もう一つの近接格闘戦兵装に、砲身を打ち出すことで攻撃するパイルバンカーモード、そして本機専用として、バックパックに装備した状態で砲身を開き、その発射口から粒子を噴射してスラスターに転用するブースターモードを持つ。

武器モデルは魔法戦記リリカルなのはForceのCW-AEC02X「ストライクカノン」。

 

ANブラストビームマグナム

リアスカートの上部にマウントするライフルタイプの射撃兵装。ビームマグナムの名前の通り、一撃の威力は凄まじい威力となっている。しかしエネルギーはカートリッジから供給する点も同じで、弾数も最大で十五発のみとなっている。カートリッジは脚部側面に装備されている。

ここまでいくと、従来のビームマグナムと同じかもしれないが、ビームマグナムの欠点である弾数の少なさを補うため、銃身下部にエネルギー充電式の連装ビーム砲、スマッシャーユニットを装備している。両武装を同時に使った際は凄まじい威力となる。「ブラスト」の名の如く、衝撃波をかすめただけで大ダメージを与え、一撃で撃墜することも出来る。

武器のモデルは本体がユニコーンガンダムのビームマグナム、スマッシャーユニットはクロスボーンガンダムX1改・改「スカルハート」のピーコックスマッシャーがモデル。

 

ANフットクロー

足に取り付けられた獣のような爪。地上での急停止のためのブレーキ代わりの他、踵落としの要領で攻撃することなどにも使える。

 

ANシザーアンカーⅤ

フロントアーマー部をアンカーで繋いで飛ばす兵装。女性用の機体にはあまり採用されない兵装ではあるが、これも鈴が要望して実装されている。ちなみに、実装したのはGKSWAXPに復帰した際に搭載された。

元の兵装と違う点として、クローに当たる部分にANビームニードルⅢを発生できるようになっている。更に裏にはANアーマーナイフを装備している。この兵装は敵を掴んでいる間にも射出して攻撃できるようになっている。

元になったのはクロスボーンガンダムシリーズに装備されたシザーアンカー。

 

ANアーマーナイフ

ANシザーアンカーⅤの裏に装備される実体ナイフ。ANフィールドやANPS装甲を突破するために特殊コーティングが施され、理論上ビームサーベルと切り結ぶこと、ビームを斬ること出来る。

モデルはコトブキヤMSGシリーズのナイフ。

 

ANビームメイカー

両腕部下部に装備される近接格闘用ビーム兵装。細長い筒状のビーム発振器となっている。少しだけ可動できるようになっているためビームの輪を形成できる。

可動したままビームを形成したビームの輪を投げるビームループモードと後部からビームを形成し切りかかるビームトンファーモード、そして前部からビームを形成、そのまま敵に突き刺して打ち込む杭打のビームステークモードを持つ。

兵装の元になったのは機神大戦ギガンティック・フォーミュラのイシュタル12のケイブル=ループ。

 

ANテールヒートロッド

リアスカートの下部に取り付けられている兵装。R-EXE・グレイガの尻尾を形成している。根元に持ち手があり、そこを持って運用する。

機体に装備されている間はノイズドエナジーウイングを形成し、飛行を手助けする。武装として運用する時はロッドを赤熱化してヒートロッドとして運用する。

武器のデザインはガンダムエピオンのヒートロッドをモデルとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンヌ「…以上が光木鈴さん、そしてガンダムR-EXE・グレイガの紹介になります。」

 

レイ「一回見た感じだと、鈴ちゃんって男の人に何か対抗心がある気がするねー。ANブレイク・スライサーとANシザーアンカーⅤの説明の所で女の人はそんな武器をあまり使わないのに鈴ちゃんはガンダムに装備させるように言ってる感じだし。」

 

ネプテューヌ「そうだね。どうしてなの?」

 

鈴「まぁ対抗心はあるわね。でもこれくらいしないと、突っ込んでくる変態共に泡吹かせられないからよ。」

 

レイ「へ、変態共って?」

 

鈴「あたしを邪魔してくる敵の構成員のことよ。大抵男だから。」

 

ネプテューヌ「なーんだ。本当の変態じゃないんだね。」

 

鈴「…と、光樹とか勇也とか。」

 

ネプテューヌ「光樹がその対象に入ってるの!?」

 

ジャンヌ「そういえば…鈴さんの嫌いなものに二人の名前がありましたね…なぜ、お二人のことが嫌いに?」

 

鈴「別に話してもいいけど、藤和木、いいの?」

 

藤和木「まぁ、いいんじゃないかなぁ?」

 

レイ「適当だなぁ。で、どうしてそんなに嫌うの?」

 

鈴「あの馬鹿共は、小学校の時にあたしに告白してきたのよ…。」

 

ネプテューヌ「おおーっ!?まさかのカミングアウト!!」

 

ジャンヌ「え、ちょっと待ってください!まさか、二人共ですか!?」

 

鈴「そうよ。振る経緯は本編で話すと思うからここで話さないけど、本当に最低な奴らよ。」

 

レイ「そ、そうなんだ…光樹君もそんなに嫌われる人なんだね。」

 

鈴「光樹は調子に乗らなければいいやつなのよ。勇也はもっと言葉を選んで欲しかったかしら。でも最近は随分ストイックかつ真面目になったわね。前は勢いだけで言葉を言う、チャらいだけのやつだったんだけど。」

 

ジャンヌ「そうだったんですね…。」

 

鈴「そういえば、光樹も今と昔じゃずいぶん性格変わったわね。もちろん、記憶を失う前のね。」

 

ネプテューヌ「どんな性格だったの!?知りたい知りたーい!」

 

鈴「前は明るさと優しさが取り柄だったんだけど、今じゃ冗談とかで笑いを誘いつつも、ドライな性格で、仕事中はかなりの真面目で、記憶喪失中の性格とはまた違った感じね。でも戦闘中は自信たっぷりに戦う感じね。昔は迷いが多々戦闘に影響してたぐらいだし。これは年齢が影響してた感じね。」

 

レイ「へーそうなんだ!記憶を失う前の光樹と早く話したいなっ!」

 

鈴「でも話しづらいわよ?真面目に話してるかと思ったら、人をからかってくるし。いわゆる扱いが面倒くさいって感じね。」

 

ジャンヌ「やっぱり、藤和木がモデルなだけあって、少し似ているんですね。」

 

藤和木「いやぁ、それほどでも…。」

 

鈴&ジャンヌ『褒めてない(ません)。』

 

藤和木「(´・ω・`)少しだけでも話に交じりたかっただけなんですよ…。」

 

ジャンヌ「じゃ、じゃあ、少し話を変えますが、ガンダムR-EXE・グレイガは陸戦をメインとしたMPなんですよね?AN粒子のモデルとなったGN粒子が出てくる機動戦士ガンダム00は宇宙も舞台ですが、なぜ陸戦をメインとした機体になったんですか?」

 

藤和木「あぁ、それなんだけどね。鈴達一代目SSRシリーズ装着者の現時点MPはほとんど陸戦を視野に入れたMPなんだよね。」

 

ネプテューヌ「なんでなんで?」

 

藤和木「まぁ、理由はガンダムだったら、宇宙だけじゃなく、地上でも強い仕様の機体があった方がいいじゃん?って感じ。」

 

鈴「光樹も同じこと言ってたわね。きっと鉄血のオルフェンズに影響されたのね、藤和木は。でもあたしの戦い方は元々砲撃メインだったのが格闘戦メインの機体になったから慣れるのは難しかったかしら。」

 

レイ「あれ?でもグレイガに鈴ちゃんが追加するように言った武器って全部格闘戦用の武器じゃない?」

 

鈴「どうせ射撃メインじゃないんなら、少しでも格闘戦に特化した方がいいと思ってそうしたのよ。」

 

ジャンヌ「確かに、元々自分が得意とする武器を新たに追加するのもいいですが、機体の特性にあった武器を装備して長所を伸ばすことはいいことだと思います。」

 

レイ「ジャンヌちゃんそういうの興味あるの?」

 

ジャンヌ「ええ!今藤和木がダウンロードしてあったバトルオペレーションというゲームをやっているんですけど、カスタムパーツを使って攻撃特化、装甲特化のモビルスーツを操作したりしているんです。藤和木があまりやってなかったので階級は低いですけど、おもしろいですよっ。レイさんも是非やりましょう!」

 

藤和木「ジャンヌさんすごく生き生きしてますね。いいことですな。」

 

レイ「でも藤和木ってほとんどPS3付けてもエクストリームバーサスしてるよね。」

 

ジャンヌ「それにつられてわたくしたちもやっていますね。わたくしの今の機体はサザビーです。」

 

レイ「ちなみに私の機体はνガンダムだよっ!」

 

藤和木「二人の機体使うの大へ…ゲフンゲフン!まだ初心者だけど、上手く戦えてると思うくらいの腕だね。」

 

鈴「そういえば、藤和木、あなたのエクストリームバーサスの機体はなんなのよ?よく話すけど。」

 

藤和木「おう!私が使うのは主にエクストリームガンダムのエクリプスとアイオス、イフリート改にクロスボーンガンダムX1フルクロス、そしてデュエルにDXとラファエル、更にダブルオー7S/Gとバンシィにetc.…使ったことある機体ならまだたくさんあるけど、うまく扱えるのはそのくらいだな。早くマキシブーストの家庭版出てください!エクストリームガンダムタイプレオスⅡヴァリアントサーフェイス使いたいんですよ!」

 

鈴「光樹と同じくらい使える機体あるのね…ちなみにストライクフリーダムは?」

 

藤和木「使いはするんだけど、波があるんだよなぁ。勝てるときは勝てて、負けるときは負けるって感じだね。」

 

ジャンヌ「何回やっても藤和木には勝てません…強すぎです、藤和木。」

 

レイ「それに、作者の通信コメントが笑っちゃうんだけど…。」

 

ネプテューヌ「へぇー、どんなの?」

 

藤和木「後退するコメントに砲撃用機体に乗ってるとき用に「危険です」って打ってたり、終了後コメントに「ほにゃぁー、勝てたー」だったり、「感謝感謝ーだよ!」って。」

 

鈴「うわぁ…後半のそれうずめのセリフじゃ…。」

 

ネプテューヌ「たまにいるよね。そういう人。でもわたしは嫌いじゃないよ!」

 

藤和木「もし見かけたら、たまに地雷噛ましますけど、その時は大目に見てやってください。とまぁ、このくらいにして、そろそろ次回予告をゲストの二人とレイさんとジャンヌさんの二人でお願いしますよ。」

 

レイ「あれ?藤和木は?」

 

藤和木「そんなにいたら回らないだろ?役割が。最後だけ言うからさ。」

 

レイ「了かーい!…ネプテューヌが帰った一方、光樹達はマジェコンヌ達から逃亡を図っていた。」

 

ジャンヌ「逃げた道の先、そこはうずめの本拠地へと続く洞窟だった…。」

 

ネプテューヌ「そこへ逃げ込む光樹たち。」

 

鈴「しかし、そこに先回りをしていたマジェコンヌ達が立ちはだかる!」

 

レイ「苦戦を強いられる中、突如として響く声!」

 

ジャンヌ「その声と共に現れたのは、超次元へと帰還したはずのネプテューヌ!?」

 

ネプテューヌ「もう一人のわたしはネプギアたちと共に戦う!」

 

鈴「そして、光樹のガンダムも、新たなる姿に移行する!」

 

レイ「二つの新たな力で、四人と一匹は敵を退けられるのか!?」

 

ジャンヌ「次回、「新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG」!」

 

ネプテューヌ「第53話『零次元に残った二人』!」

 

鈴「黒い新たな力を…」

 

全員『クロスせよ、ガンダム!!』

 




今回もお読みいただきありがとうございます。
今回紹介したグレイガですが、ロックマンやってた人なら察しが付くと思いますが、実はファルザーも一応案はあります。

レイ「あれ、じゃあなんで出さないの?」

ジャンヌ「案はある、ということは、ひょっとして、出番がないのですか?」

うん、今回の小説ではファルザーのマスターはちょっとだけしか出ない予定だから。また私がこの小説終わらせた後、続編みたいなの出すことになったら出すからその時まで待っててください。

ジャンヌ「…それ、最悪出ないかもしれないってことじゃ…。」

ファルザーも見たい人はコメントくれるといいかもしれないね。そうすればやる気出して次の作品も書くだろうから。

レイ「投げやりっていうか…読者頼みだね。」

まあ、人ってやる気を出す何かがなかったら、動かない生物だからね、仕方ないね。いわゆるやる気が活力な生き物だよ。
では、今回はここまで!

「次回の投稿は月曜日辺りになるそうです。」

「次回もお楽しみに!!」


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第53話 零次元に残った二人

レイ「みんな、お待たせ!レイ・オーバだよ!」

ジャンヌ「専門学校までの行き帰りは人が多くて大変ですね、とジャンヌ・ドラニエスです。」

どうも、皆様、最近よりかなり遅れてしまい申し訳ないです、と藤和木弘です。お待たせしました、第53話投稿です。
今回の話は再び舞台が零次元へと戻ります。

レイ「あの後、どうなったのか気になる人も多いよね!」

ジャンヌ「早速、本編へ参ります!」


 

ネプギアの言葉が聞こえたと思った時には、既にうずめの体は、その場から離れていた。その直後、魔力の塊が空を穿っていく。そして、爆発音が響き渡る。

しかし、それだけでは終わらない。目の前にまた再び光が走るのが見えた。が、その光は突如目の前に現れた翼を持った者が構えた盾のようなもので届くことはなかった。弾かれたビームの残留粒子がこちらに流れてくる。

一瞬の間に起きた出来事に、うずめの頭は理解が追い付かなかった。だがしかし、後ろから響いた轟音で、意識を引き戻す。そこには、転送台に穴が開き、火花が飛び散った転送装置があった。それが意味するのはただ一つ、転送装置が破壊されたのだ。

 

「…そんな。転送装置が…。」

 

うずめは絶句する。転送装置が壊れたことについてもそうだが、それ以上に驚いていた。まだネプギアと光樹が残っていることに。驚くのも無理はない。本来なら今ここに二人はいないはずなのだ。なのに二人は今この場にいる。

なぜ?それを考える。だが、それを考え付く前に、ネプギアが声をかけてくる。

 

「うずめさん、大丈夫ですか。」

 

その言葉に、思わず声を張り上げて怒鳴る。

 

「馬鹿野郎!!お前ら、自分が何をしたのかわかってんのか!!」

 

帰るように言ったのに。どうして自分を助けようとしたのか、それを問わずにはいられなかった。

すると、光樹が言った。

 

「悪い。こんなことしてさ。…でも、うずめをあいつらにはやらせはしない。こいつらに敗れでもして、この世界が消滅したら、どうするんだ。」

 

「それでもっ!この世界と一緒に、お前たちまで消えちまったら、意味ないだろ!!」

 

そう反論すると、光樹は口を閉ざす。ぎあっちも困った仕草を見せる。そんな二人に、俺は説教のように言い聞かせる。

 

「せっかく帰れるチャンスだったんだぞ!」

 

そう。このチャンスしかなかったのだ。今ねぷっちたちを元の世界に帰すことが出来るのは、後にも先にもこれしかないかもしれなかったのに…。その怒りがこみ上げてくる。

でも、今はそんな事を怒っている場合ではなかった。海男が指示してくる。

 

「うずめ、こうなった以上は仕方がない。今は逃げることを考えるんだ。」

 

その言葉で、状況を思い出す。今はこの部屋に紫ババアとガンダム野郎がいるのだ。今はこの状況を脱しなければならない。

 

「ちっ!なら、正面から無理やり突破する。」

 

「なら俺に任せてくれ!」

 

その提案に光樹が続く。それと同時に、光樹が持っていた大剣の切っ先をモンスターたちに向ける。そして叫ぶ。

 

「みんな、捕まって!一点突破する!」

 

その言葉に従い、全員が光樹のガンダムの腰や翼に掴まる。

掴まったのを確認すると、光樹はウイングから粒子を噴射させ、加速する。それを見て、紫ババアどもが立ちふさがろうとする。

 

「みすみす逃すものか!!」

 

「迎撃など容易…」

 

しかし、その言葉を言い切る前に、光樹のガンダムが敵軍に突撃した。その攻撃に当たったモンスターたちは吹っ飛ばされる。その様子は、正に蹴散らしていた。その攻撃の危険性を察したのか、マジェコンヌとエクスはその場から飛び退く。

しかし、それにも構わず、光樹は突撃をやめない。そうだ。今はあいつらを倒すことが目的じゃない。今はこの包囲網を突破することだけを考えればいい。いずれまたあいつらとは戦わなければならないはずだ。

曲がる道で壁に足を着けて急速方向転換をしつつ、無事四人は(海男も入れて)転送装置の建物から脱出することに成功した。だが外にもモンスターはまだたくさんいた。そこで光樹がこちらにどこに行けばいいか聞いてくる。

 

「うずめ、海男。どこに行けばいい!」

 

その言葉に、うずめが答える。

 

「とりあえず、このまま北に少し向かってくれ。モンスターのいないところまで一旦行くぞ。」

 

「了解した。しっかり掴まってろよ、二人共。あと海男も。」

 

「あぁ。」

 

「はい!」

 

「頼んだぞ、光樹。」

 

そのまま急加速した状態で、うずめたちは敵の包囲網を突破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、うずめたちは無事に包囲網を突破していた。敵がいないのを確認し、光樹が高度を下げ、地面に着地する。掴まっていた俺とぎあっち、海男の三人は着地すると同時に光樹から離れる。

 

「はぁ…はぁ…。」

 

ネプギアは息をつく。光樹のガンダムの強引な突破とスピードに疲れてしまたのだろう。うずめも大きく息を吐いて、無事に逃げ切れたことについて言う。

 

「なんとか逃げ切れたみたいだな。」

 

「ごめん、みんな。無理させて。怪我もなさそうだな。」

 

光樹が怪我がないかの確認をする。しかし、今はそれを気にしている余裕はうずめには無かった。それよりも、ネプギアと光樹の行動に対しての気持ちが先に来る。

そのことについてうずめはネプギアと光樹に詰め寄った。

 

「おい、ぎあっち、光樹。なんであんなことをした。」

 

うずめとしては、真っ先に聞きたいことであった。もちろん、先程も同じことを聞いてはいた。しかし、改めて、なぜ二人ともこの世界に留まるような行動をしたのか、聞かずにはいられなかった。

その気迫に、若干引き気味にネプギアが答える。

 

「だって、うずめさんが危なかったから…。気付いたら、体が勝手に動いてたんです…。」

 

「俺のことなんかどうでもいいんだよ!せっかく帰れるチャンスだったんだぞ!それを、俺なんかの為に無駄にしてどうするんだよ!!」

 

こんな自分のためだけに、帰れなくなってしまったことについて、申し訳ないという気持ちが心の中にあった。しかし、ネプギアはうずめに言葉を返す。

 

「無駄じゃありません。今、こうしてうずめさんが無事なんです。だから、決して無駄じゃないんです。誰かの犠牲がなくちゃ帰れないんでしたら、いっそのこと帰れないほうがマシです。きっとお姉ちゃんもそうだろうし、現に光樹さんも、同じように行動したんです。そうですよね、光樹さん。」

 

ぎあっちの言葉に、俺も口を閉ざす。そうだとしても…そのために、帰るチャンスを失くしてしまったのに、まだ諦めない気持ちと、この世界でまた共に戦ってもらわないといけないことを思うと、やるせない気持ちになる。

更に光樹も先程のネプギアの言葉に続く。

 

「俺もネプギアと同じ意見だ。それに、ここでうずめを見捨てちゃいけないと思ったからだ。」

 

「だからって…だからってこれじゃあ、申し訳なさすぎるだろうが…。」

 

二人の言葉に、うずめは泣きそうになるのを堪えつつ、言葉を吐き出した。二人共とても自分のことを思ってくれる。その二人のためにも、なんとしても応えなければいけなかった。

その雰囲気を察した海男が、話の内容を改めさせる。

 

「うずめ。もうこれは過ぎたことだ。今は次に何をするか考えるんだ。」

 

次に何をするか、それはもう決まっている。少しでも早くぎあっちと光樹を返すために、俺は次の行動を言う。

 

「そんなの、今直ぐ戻って一匹残らずぶっ飛ばすに決まってる!」

 

「仮に戻れても、あそこまで壊れたんじゃ転送装置は使えないと思うよ。」

 

海男の言葉が、現実を見せる。海男の目からしても、あれはもう使えないと思ったのだろう。しかし、あいつらをぶっ飛ばさなければ、うずめの気持ちは収まらなかった。うずめの憤りが言葉として出る。

 

「じゃあ、どうすればいいんだよ。」

 

そこで海男がある考えを出してくる。

 

「デカブツと違って明確に意思を持って襲ってくる以上、ここを離れることを、オレは提案しよう。」

 

「確かに、ここにいたら見つかるのも時間の問題だろうしな。」

 

その考えに、光樹が賛成を示す。だが、うずめはそれに反対する。

 

「アイツらから逃げろっていうのか?」

 

直球的な意見だ。これでは逃げているのと同じだ。そんな逃げの姿勢の行動はうずめとしてはしたくはなかった。ここは思い切ってこっちから仕掛けた方が敵の意表を突けるという作戦の方がいいとうずめは思っていた。

しかし、その考えに海男は答える。

 

「違う。態勢を立て直すんだ。デカブツとはタイプが違うからな、こちらから打って出るために作戦を立てるんだ。そして、ぎあっちと光樹を元の世界に戻す方法もね。」

 

それを聞いて、うずめも納得をする。こちらから打って出ることが出来るのは嬉しいことだ。

当然、それは海男の考えの内であった。そう言えば、うずめも無茶な行動はしないだろうということを思ってのことだった。

そんな事には気づかず、うずめは喜びを得る。

 

「ようやく、こっちから打って出れるのか。受け身ばかりで飽きてきたところだったぜ。」

 

そう意気込みを見せたところで、突然光樹の声が響いた。

 

「でも、正直言って、態勢を立て直してもあいつら…少なくともエクスに勝てるかどうかは、正直分からないと思う。」

 

「光樹さん?光樹さんでもそんなに自信がないだなんて…そんなに強かったんですか?」

 

ネプギアが心配そうな声で聞く。うずめもこの世界に来て光樹は自信のある男らしい覚悟の持ったやつだと思っていたが、そんな発言をするとは、と思った。

すると、光樹がその根拠について話してくる。

 

「あぁ。さっき戦ってた時、俺はモンスターとの乱戦を行いながら、マジェコンヌを狙ってたんだけど、全部エクスに攻撃を邪魔されてたんだ。」

 

「えっ!?光樹さんのガンダムって、確か遠隔操作の武器もありましたよね?それも全部あのガンダムは防いでたっていうんですか!?」

 

ネプギアが驚きを露わにする。うずめも少し敵のその戦果にたじろぐ。まさか光樹の攻撃を全部あしらうとは…それもガンダム野郎本人にではない攻撃を全て妨害した、遊撃したというのだからとんでもない敵なのが分かる。

が、それは光樹も承知の上で言ったようで、うずめたちに宣言する。

 

「だけど、あいつを倒せるのは多分俺だけだと思う。だから、あいつの相手は俺に任せてくれ。」

 

「あぁ、頼んだぜ。」

 

うずめはそう返す。あのガンダムは光樹に任せた方が良さそうだと素直に思ったからだ。

それで敵の対応についてまとまった、海男がこの先の行動について口にする。

 

「では、本拠点に戻ろう。あそこなら、仲間はたくさんいるし、なにか方法が見つかるかもしれない。」

 

その言葉に、光樹が反応した。

 

「本拠地って…。俺達が最初にいたあそこは仮の拠点とかだってことか?」

 

同じようにネプギアも疑問を持っていそうな顔を見せる。それを受けて、疑問を持つのも当然だろうとうずめは思った。最初にあそこを見たんじゃ、あそこが本拠地とか、あそこしか本拠地がないと思ってもおかしくない。そこでうずめは二人に説明をする。

 

「そういえば、言ってなかったな。ここはあくまでもデカブツたちと戦う為の一時的な拠点なんだよ。ぎあっちと光樹への説教はそこについてからたっぷりさせてもらうからな。」

 

説明をしつつ、うずめは声のトーンを落とし、叱るように言う。良かれとは思っての行動だろうが、それでもまたあんなことをされてはこちらも困る。それ以上勝手な行動をさせないための発言だった。

それを聞いて、ネプギアと装着を解いた光樹も察したようで、困りつつも、その言葉に返事をする。

 

「お、お手柔らかに…。」

 

「い、痛いのは勘弁してくれ…。」

 

それを聞いて、四人は本拠地に向けて足を進めた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。いかがだったでしょうか。

ジャンヌ「そういえば、見ていて気がついたのですが、今回はうずめさんの視点だけなんですね。」

そうなんですよ。話の区切りの関係上そうなりました。その為、今回の話はいつもより短い、最初の頃と同じくらいの文字数となっています。短すぎて、申し訳ない。

レイ「そういえば、藤和木はどうして予約投稿みたいなのしないの?すればいいじゃん。」

あぁ、理由があります。それは…

ジャンヌ「分かりました。設定するのが面倒くさいのでしょう。」

レイ「えー。そんなわけ…」

ジャンヌさん、何故分かった…。」

レイ「事実なの!?」

いや、半分当たってるだけ。

レイ「半分って…。正確に言うと?」

一つは、どうやってすれば予約投稿できるのか分からないんですよ。取説見ても大体わかった程度なので、ミスしたらダメだなってことで。

ジャンヌ「じゃあ、もう一つは?」

もう一つは、やっぱり、リアルタイムに投稿した方が話題の事柄にも触れられるからですね。

レイ「あー、確かに私とジャンヌちゃんがディーバ総選挙で入賞した時に投稿してその事言ってたね。」

というのが今回の投稿が遅れる原因となった理由の一つです。そして、これから先も、専門学校の授業の関係上、金・土・日以外に投稿する際は今回と同じくらいの時間になると思われます。本当にごめんなさい。

レイ「じゃあ、次回の投稿は、日曜日あたりだねっ。」

実はその日も遅れる可能性が…(;´・ω・)

レイ「なんでっ!?」

いや、その日うちの学校の入学予定の人対象の説明会のスタッフの集まりがある可能性が…

ジャンヌ「そんなのに立候補するだなんて、珍しいですね。」

ははは、スタッフとして出たら給料もらえるらしいからね。

レイ&ジャンヌ『あっ…(察し)』

一応、早くて日曜日には投稿する予定ではあるので、次回もお楽しみに!

レイ「お楽しみに―!」

ジャンヌ「お楽しみに。」


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第54話 いざ洞窟へ

どうも皆様、スタッフの集まりの予定がなくなったので、投稿できました藤和木弘です。

ジャンヌ「最近のマイブームは、レイさんと一緒にマクロスΔを見ることです。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「マクロスΔの戦闘機カッコイイ!レイ・オーバだよ。」

私、まだマクロスΔ見れてないんだけど…見たいなぁ。
さて、お待たせしました、第54話投稿です。

ジャンヌ「今回のお話はマジェコンヌたちの追撃から逃げる場面です。」

レイ「無事に逃げ切れるのかな、うずめちゃんたち。」

では本編へ、レッツゴー!


 

 

うずめたちの行くままに、ネプギアと光樹は洞窟の中へと入っていた。水晶などのある洞窟で、それらが光り輝いていたのでそこまで暗い道のりではなかった。

最初、ネプギアはここがうずめと海男の言っていた本拠地なのだろうかと思っていた。身を隠すにはいい所だと思ったからである。しかし少し進んだところで、その考えに疑問を感じる。理由は単純で、中からモンスターの声が響いてきたからである。それもぬらりんさんのような善良そうな感じのモンスターの声ではなく、凶暴なモンスターらしい唸り声が聞こえてくる。

気になったネプギアはうずめにそのことを尋ねる。

 

「この洞窟が本拠点なんですか?それにしては、中からモンスターらしき唸り声が聞こえてくるんですけど…。」

 

問いかけられたうずめは答える。

 

「いや、ここじゃないさ。で、海男。ここはなんなんだ?」

 

あっ、ここじゃないんだ。そう理解したネプギアだったが、そこで、ん?と思う。

あれ、さっきうずめさんもここがどこか知らないような発言をしたような…?あ、でも海男さんが先に行っているから、今は海男さんの案内でここに入っているのかな?

そこで話を振られた海男がうずめの代わりに答えた。

 

「この間見つけた近道さ。目立つ地上を歩くより、こっちの方が見つかるリスクは少ないからね。中にはモンスターがいるが…まぁ、君たち三人ならなんとかなるだろう。」

 

それを聞いて、納得する。どうやら海男さんの案内でよかったようだ。海男さんの言う通り、地上から行ったら、またマジェコンヌたちに見つかる可能性も上がる。けれど、こっちなら、外から見つからないし、それに近道になるならここから言った方がリスクも少ない。モンスターがいるのも今の私たちでもなんとかできるだろう。

けれど、光樹さんが「んー…。」と唸った。海男さんがその理由を聞きました。

 

「どうしたんだい、光樹。何か気にならないことでも?」

 

海男さんの言葉に、光樹さんが逆に質問をする。

 

「なぁ、海男。ここの近道はいつ見つけたんだ?」

 

それは気になりはするけれど、あまり今聞くべきことでは無い様な発言だった。どうしてそんな事が気になったのか、ネプギアは少し分からなかった。

けれども、海男はちゃんとその質問に答えた。

 

「あぁ、それは君たちがこの世界に来る一週間前のことだよ。」

 

「一週間前か…。何でもない。変なこと聞いてごめん。」

 

それを聞いて、光樹は納得したように謝る。それを聞いて、安心したようにうずめが言う。

 

「なんだ。変なこと言うなよ、光樹。大丈夫だったら、とっとと行こうぜ。」

 

「あぁ、そうだな。」

 

光樹さんはまだ不安そうにしていたけど、前に進むしかない私たちは洞窟の奥へと足を進めていく。

その後を、つけられているのにも気づかずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの間、モンスターを倒しつつ、光樹達は洞窟の出口へと進んでいた。モンスター達も気のせいか今までよりも強くなっているように感じ、ネプギア達の援護も受けつつ、無事に奥へと進んでいく。

しかし、進みながら、光樹は先程のことについて少し考えていた。それは、海男がこの道を見つけたことについてだ。別に海男を疑っているわけではない。近道であるなら、余計な戦闘を行わずに済むし、時間も短縮できる。

だがしかし、そこで絡んでくる問題がある。ここが近道だと分かるなら、当然、海男は一度この道を通ったことがあるということだ。もちろん、海男は見つからないように慎重に進んだのであろうことは予想できる。しかしそれでもこの狭い空間の中で一度も見つからないようにするのは至難の業だろう。もし見つかれば戦闘だって起きる。海男の話によれば、その時はほとんど敵はいなかったそうだ。ところが今はその時よりも数が多い気がするというのだ。

そこで光樹が考えたのは、これも策略の内ではないかということだ。あまり考え過ぎると、孔明の罠の話のようになるが、それでもそのことがどうしても脳裏で引っかかっていた。ここはもしかすると、敵の巣窟で、ここに誘い込まれたと思ってしまう。敵はうずめ達と同じ、この世界に精通している。もっと考えれば、ここは敵のテリトリーとも言える。敵が先回りしたり、出口を塞ぐ可能性もないわけでもない。海男が進んでいた時はわざとモンスターの数を少なくしていた、もしくはモンスターの数が少なく、今はここに自分たちがいるのを知ってモンスターをここに集めたということもあり得る。

そんなわけで、色々と敵の襲撃を警戒していた光樹だったが、それに気づかないうずめがここでネプギアに確認の言葉を口にする。

 

「なぁ、ぎあっち。今更だけど、Nギアは忘れずに持ってきてるよな?」

 

その発言で光樹も今更ながら気づく。あの時は色々と慌ただしかったため、気づかなかったが、色々な機能を持つNギアは今のところ、向こうの次元と通信する唯一の連絡手段だ。それを忘れたままとなれば、向こうとの連絡を取るのは厳しいものになるだろう。

だが、その心配は杞憂になった。ネプギアはポケットからNギアを出し、見せながら持ってきていることを示す。

 

「はい。命の次に大切なモノですからこの通り、ちゃんと持ってきていますよ。」

 

ちゃんと持ってきているなら、それは良かったことだ。取り忘れていたら取りに戻るという考えも少しあったが、流石に追いかけているであろうマジェコンヌ達とぶつかることもあり、諦めていただろう。

安心していたネプギア以外の三人だったが、そこでNギアを操作しようとしたネプギアが呟く。

 

「…あれ?」

 

「ん?どうした。」

 

「…何かあったか?」

 

その言葉に心配になったうずめと光樹は聞く。すると、ネプギアはその理由について困惑した様子で答える。

 

「えと…電源が入らなくて…逃げるとき、無理やり装置から外したせいかな…。」

 

「それって…壊れたってことか?」

 

「みたい…です。」

 

その言葉を聞いて、光樹は大きく息を吐いた。まさか壊れてしまったとは…。こんなところで壊れてしまうことが分かってしまうとは、何とも運がないというか、複雑な気分になる。

どうにかして直さなければいけないが、今は直せる場所はどこにもない。するとそれを見ていたうずめが直そうかと聞く。

 

「なら、俺が叩いてみるか?」

 

「叩く…。」

 

「叩くって、Nギアをですか!?」

 

一昔前の家電を直そうとする母親的発想に、二人も呆れる。流石にそんなものではあの精密機器を直すことは出来ないだろう。

しかし、うずめは自論を通す。

 

「ほら、テレビとか壊れた時は叩いて直すだろ?これも調子が悪い時には叩いて直してるんだよ。ただ、そろそろガタが来てるせいか、最近は叩いても直らなくなってきたんだよな。」

 

ヴィジュアルラジオを見せながらその方法を勧めてくる。叩いて直るならいいが、叩いても直らないのは、おそらく壊れてきているのではないのでは…?

ネプギアもこちらが考えていたことと同じことを発言する。

 

「それって、叩いたせいで余計に壊れちゃってるだけじゃ…。」

 

「ええっ!?そうなのか!?」

 

ネプギアの述べた事実を聞いて、うずめが驚く。これまで自分のやっていたことが正しいと思っていたのがよく分かる。だが、まともで機械を上手く使えるのがうずめと海男など、少人数に限られるこの世界では仕方がないことなのかもしれない。しかし、叩けば直るのは昔の自分たちのおばあさんとかの世代の発想だろう、うずめはその時代出身なのか、と変なことを考えてしまう。

そう考えている内に、ネプギアがヴィジュアルラジオを含めた修理の話を出す。

 

「たぶんそうかなと…。せっかくですし、向こうに着いたら見てあげますね。Nギアが起動しない原因も調べなきゃいけないですし。」

 

「じゃあさ、せっかくだし俺のもぎあっちのみたいにカッコよく改造してくれよ。なんかすげぇ機能とかいっぱいつけてさ!」

 

その話にうずめが食いつく。修理と同時に改造もお願いするとは、おそらくもっと色々な機能を詰め込んで、それらを使う姿を夢見てのことだろう。そうでなくても、自分達が元の世界に帰った後でもうずめがこの世界で生きていくのに何か役立つかもしれない。

 

「あ、それいいかも。うずめさんは搭載して欲しい機能とかありますか?」

 

その意見にはネプギアも賛成し、機能について聞く。

 

「んー。そう言われるとなかなか思いつかないな。」

 

しかし、こういった時にはっきりと何が欲しいかは決まらないものだ。うずめも何が欲しいか悩んでいる。せっかくなので、うずめのためにも、何かいいアイデアはないかどうかを考える。…が、記憶喪失の自分では、いいアイデアは何も思いつかない。

そんな二人の様子を見たネプギアが、焦らずに考えることを伝える。

 

「じゃあ、向こうに着くまでに考えておいて下さい。光樹さんも何か思いついたら言ってあげてくださいね。」

 

「おう、わかったぜ。光樹も何かいいのがあったら、言ってみてくれよな。」

 

「そうだな。考える時間はゆっくりありそうだしな。」

 

先程まで心配していたことなど忘れたかのように、光樹はうずめのヴィジュアルラジオに付ける新しい機能について考えることに夢中になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、海男。まだつかないのか?」

 

うずめの待ちくたびれるような発言を受けて、海男は少し焦っていた。早く着くことは重要だ。それは海男自身ももちろん思っていた。

しかし、いくら歩いても、出口が見つからなかった。それどころか、今のこの景色を、以前に見たことがなかった。おかしいと思った海男は呟く。

 

「おかしいな。ここをまっすぐ進んだ先のはずだったんだが…。どうやら迷ってしまったようだね。」

 

「そうなのか…とりあえず戻った方が…。」

 

それを聞いて、光樹もそう言う。まさか迷ってしまうとは思わなかった。だが、幸い他の道があったので、光樹の言う通り、引き返せば道はある。そこで光樹の意見に従う発言をする。

 

「そうだね。一度引き返そう…」

 

か、と言い返そうとしたその時。

 

 

 

 

「ハーッハッハッハッハッハ!」

 

 

 

 

と、どこからともなくそんな高笑いが聞こえてくる。

 

「!?」

 

四人はその声が聞こえた後方を見る。すると、そこには襲撃してきた敵であるマジェコンヌとエクスが、各々の武器を構えてそこにいた。

 

「随分と楽しそうな話をしていたな。だが、ここまでだ。」

 

その言葉でビクッと内心驚く。まさか、先程の話を聞き取れる距離にいたのだろうか。そんな近くにいたのに気づかなかったのかと焦る。光樹も同じことを思ったのか、エクスに対し、その言葉に質問のように言葉を投げかける。

 

「さっきの話を聞かれてた…ってことか?」

 

「いや、逃げきれてよかったかと思っていたのではと考えていただけだ。ただ、何か面白そうに話していたのは見えたがな。」

 

「それ聞いてないか?」

 

光樹が冷静にツッコむ。どうやら雰囲気は察していたようだが、詳しい話までは聞こえていなかったようだ。

と、そこでうずめが睨み付けながら言葉を発する。

 

「ともかく、なんでポッと出の紫ババアとガンダムもどきが!?」

 

「わたしはポッと出の紫ババアではない!」

 

「ガンダムもどきと言われるとは…ガンダムと言われるのも好かんが、もどきと言われるのはもっと気に食わん!」

 

うずめの言葉に二人の怒りのスイッチを入れたようだった。敵から怒りの感じが見えて分かる。エクスの方は目の部分が赤く染まっていた。その怒りを持ったまま、二人はうずめに理解させるように名乗る。

 

「マジェコンヌ…これが貴様らを倒し、この世界に終焉の鐘を鳴らす私の名だ。」

 

「我はエクス。究極の絶望なり!」

 

わざわざ名乗る必要もないはずなのだが…と海男は思う。名乗りをしている時点でものすごく目立ちたがり屋にも見える。

しかし、今はそれが問題ではない。なぜ、やつらはここにたどり着くことが出来たというのかだ。先程、光樹が聞き出す形となったエクスの話によれば、付けていたというような話だったが、ここまでの道のりで誰一人やつらに気づかなかったなど、ありえるのだろうか?

海男はマジェコンヌたちにどうやってここまで来たのかについて聞く。

 

「ここは地図にも載っていないような洞窟のはず。何故お前たちがここに…。」

 

その海男の言葉にマジェコンヌたちが答える。

 

「簡単なことさ。貴様らを付けさせてもらったのだ。」

 

その発言に、光樹が反応する。

 

「ちょっと待て。こっちはかなりのスピードで飛んでたんだぞ!?それに追いついたのか!?」

 

光樹が驚くのも無理はない。実際、あの時の光樹が出していたスピードは、かなりの速さだった。それなのに、追いつけてしまうとは。

すると、エクスが呆れたように言う。

 

「スピードは対して変わらんさ。こちらも「飛んだだけ」のことだ。バックパックを換装してな。」

 

「っ!よく考えれば、お前はガンダムだからな。それも極限の。」

 

光樹は納得したことを呟く。光樹だけがガンダムではないのだ。敵もまたガンダム、同じことが出来ても、おかしくない話だった。

そこでマジェコンヌが話に割り込む。

 

「だが、そのおかげでこうして貴様らを袋小路に追いつめることができた。感謝するぞ。」

 

そう言われてしまうと、オレ自身の注意力がなかったことが悔やまれる。よくよく考えると、光樹は既に何かを感じていたのかもしれない。マジェコンヌたちが自分達を付けているということに。あの時にもっと注意を払っていれば、なんとかなるかもしれなかったはずだ。

海男が真剣に後悔している間に、うずめがマジェコンヌたちが行った行動に対して、嫌悪感をはっきりと口に出して言っていた。

 

「げっ、キモっ!?ストーカーとかマジキモいんですけど!?」

 

「うずめさん、口調口調!!」

 

思わず本心が出てしまったようだ。慌ててネプギアがうずめを正気に戻すため声をかける。

しかし、今の海男はそんな事を口出しする気にはなれなかった。自身の行動のせいで三人に迷惑をかけてしまった、そのことを気に病む。

 

「嗚呼…すまない、三人共。オレのせいでこんなことに…。」

 

そう謝罪する。しかし、その言葉に、光樹とうずめが反論する。

 

「海男、お前だけじゃない。俺も気づけなかった。何か嫌な予感はしてたけど、行動に移せなかったんだからな。」

 

「俺なんか怪しいとも思わなかったんだぜ?とにかく、要はここでアイツらをぶっ倒せばいいだけの話だ。」

 

二人もこの状況の原因だと語った。そこにネプギアが逆に有利であることを言う。

 

「うずめさんの言うとおりです。追いつめられてはいますが、この狭さなら一度に沢山のモンスターを相手にしなくてもいいはず。」

 

ぎあっちの言う通りだ、と海男は思う。幸い、あの二人以外の明確に敵意を向けている存在はいない。あの二人を倒すことが出来れば、問題は解決するだろう。

意気込んだうずめが心配ないようにこちらに言ってくる。

 

「窮鼠猫を噛む、って言うだろ?懐に飛び込んで、アイツを食い千切ってやるよ。」

 

なかなかワイルドさのある言葉であったが、今は三人が勝つことを祈るしかない。海男は呟く。

 

「三人共…。」

 

そして、ネプギアがマジェコンヌに言い放つ。

 

「覚悟してください、マジェコンヌ!ここであなたを倒させてもらいます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプギアがマジェコンヌを倒すことを言い放ったのを、光樹は確かに聞いていた。この発言は間違いなく、戦いの始まりの合図だと誰もが思うだろう。主人公がボスに対し宣戦布告する。それが引き金のようになってボス戦が始まる。よくあるRPGのゲームでのお決まり展開だ。

ネプテューヌというゲームでも、それは例外ではなかった。そう、なかった…。

 

「な、なに!?貴様、今なんと言った!!」

 

はずなのに、マジェコンヌがそんなことを言い出した。…何か聞き直す言葉が聞こえた気がする。もしかして、先程のネプギアの言葉が聞こえなかった…?

まさか、と光樹は思った。後ろに居る光樹にも、先程のネプギアの言葉は聞こえていた。それなのにネプギアの正面にいるマジェコンヌに聞こえないはずがない。

ならば一体なぜ?何か思いがけない言葉が聞こえたのか、光樹はそう予測する。

その言葉を聞いたネプギアが、戸惑う。

 

「…へ?「マジェコンヌ!ここで、あなたを倒させてもらいます」、ですけど。」

 

先程の言葉を律儀に言うあたり、ネプギアらしいとは思った。だが、その言葉の何にマジェコンヌは反応したのだろうか?

すると、マジェコンヌが更にネプギアに要求してくる。

 

「最初だけ!最初の方だけもう一回!」

 

「マジェコンヌ、お前、何をやっている…。」

 

流石のエクスも、困惑をしているようだ。最初の方というと、確か、マジェコンヌという、名前ではないだろうか。

それを言われて、ネプギアも同じことに気づく。

 

「最初って…名前ですか?マジェコンヌ。」

 

「最後に、さん付けでもう一回だけ!」

 

それを聞いて思った。…こいつは何を考えているんだ。敵に対してさん付けって…。○○様と言え!とかなら、光樹自身も納得していただろう。だがさん付けでと言うし、しかもそれをこのタイミングで言うだろうか普通。あの海男ですら、横で首を傾げる仕草をしているくらいだ。

だがその要求すらも、ネプギアはちゃんと答える。

 

「マジェコンヌさん。」

 

その言葉が響いた瞬間、マジェコンヌは泣きだす。

 

「くうぅぅー…。」

 

いきなりの謎行動に、敵対しているこちらは何がなんだか分からなくなってくる。なぜここで泣く。それも、自分の名前をさん付けで呼ばれたくらいで、そんなに悲しくなることなんだろうか。

が、光樹のその考えは違っていた。

 

「初登場以来、マザコングだのポッと出の紫ババアだのオバサンだの言われ続けたが…ようやく…ようやく私を名前で呼んでくれたか!」

 

あまりの感動で泣いていたのだった。それも名前をちゃんと呼んでくれたことに対してだ。名前を間違えられる、それもわざととしか言えないのであれば、ちゃんと名前で呼んでくれるのは嬉しいだろう。

だが、今このタイミングで気にすることか?こんな明らかにシリアスな状況の中で、戦闘が始まろうとするタイミングでこんな話題に触れるなど、メタい。明らかに狙っているのでは…と光樹は感じていた。

その言葉にネプギアも、

 

「あ、あはは…。実は気にしてたんですね…。」

 

と言う始末だ。

が、ネプギアもこれはチャンスと考えたのだろう。感動の渦に飲みこまれている状態のマジェコンヌにさらっと重要な提案をする。

 

「あ、それじゃあ名前を呼んだ代わりにそこを通してもらいますね。」

 

「な…!おい、紫の女神の妹!何を言って…!」

 

そこにエクスが制止してくる。流石にエクス自身には気づかれてしまったようだ。しかし、マジェコンヌはすぐに答えた。

 

「あぁ、数少ない…いや、唯一私の名を呼んでくれる者の頼みだ。このくらいお安いご用だ。」

 

「ま、マジェコンヌ!?貴様正気か!?」

 

エクスが動揺する。それでも、こんなことで戦闘を回避できるのなら、ありがたい話だ。無駄な戦闘を行わず、突破する、実にいいことだと、光樹は思う。

だけども、こんな突破の仕方で本当にいいのだろうか。何か、俺の直感が言っている。こんな形で突破してはいけないと、ガンダムの神様か何かが言っている気がする。

 

「わーい。ありがとうございます。」

 

しかし、光樹の考えに気づくはずもないネプギアが先頭でマジェコンヌの横を過ぎ去る――――

 

 

 

 

「って、そんなわけあるかー!」

 

 

 

 

前に、マジェコンヌがどんでん返しを起こす。やはり通してくれなかったか。その手のひら返しに、ネプギアも残念そうにしながら言う。

 

「あーん、やっぱりー!?」

 

そう簡単には通してはくれない。もしあのまま突破していたら、すごく気まずい雰囲気だっただろう。だが、エクスもいたから、どちらにしろエクスに止められていた気もするが。

ともかく、これで先程の戦闘前の空気に戻る。その空気を作る先陣を、うずめが切る。

 

「なら、力ずくで道を切り拓くだけだ。見た感じ、テメェとガンダムもどきの二人のようだしな、たった二人で来たことを後悔させてやるよ。」

 

うずめの言う通り、他には誰もいないようだ。あの二人だけなら、こちらにも勝機はある。あの時は数が多かっただけだ。今なら勝てる。

そして、うずめがこちら側の二人に指示する。

 

「ぎあっち、光樹、本気で行くぞ!」

 

「はい!」

 

「よし、行くぞ!」

 

その言葉と同時に、三人は光に包まれる。光の中で自らの戦闘用のアーマーを装着し、再び姿を現す。変身した三人の顔には笑みが浮かんでいた。この戦い、勝てると。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ。今の貴様らなど私とエクスで十分だ。その強気、果たしていつまで続くかな。」

 

マジェコンヌはそう強気に言う。けど、うずめの目からしても、この勝負は明らかにこちらの方が有利だということが分かる。こんなの、ぎあっちと光樹とうずめの三人で勝てる。そんな自信を持っていた。

けど、そこで、ガンダム男こと、エクスが静かに呟く。

 

「くだらない。マジェコンヌ、私はリミット1の最大で行く。それでいいな?」

 

「ほう、リミット1で十分だと?」

 

「あぁ、黒の少年は今は本力を発揮できていない。なら使える手は最後まで取っておくべきだからな。」

 

何か作戦があるみたいだったが、そんなもの、こっちが全力で立ち向かえば問題ないはずだ。光樹にもそのことを言う。

 

「光樹、こっちも全力でね!」

 

「分かった。来い、シュバルトフェニックス!」

 

光樹が叫ぶと、洞窟の入り口の方から風を切る音と共に、鳥のメカ、シュバルトフェニックスが姿を現す。出てきたシュバルトフェニックスは変形して光樹のガンダムの手に握られる。そして戦闘態勢を取る。

一方、エクスはその様子をただ見ていただけだった。すごく余裕そうに見える。光樹もその様子に対し、発言する。

 

「おいおい、シュバルトフェニックスを落としてもよかったんだけど?戦隊モノのお約束壊してもいいんだぞ?」

 

光樹も声の調子を上げている。けど、その言葉を受けて、エクスは語った。

 

「貴様にそんな無駄な力がついたところで大して強くなるわけがない。この姿を見るがいい…エクストリームバースト!!」

 

その声と共に、ガンダム男ことエクスの体が光り輝く。けど、体全体がというわけじゃない。体のあちこちに埋め込まれたクリアーパーツが、青く輝いていた。

けれども、その輝きだけで、光樹が若干後ろに下がる。でも、これはうずめにも分かった。…強くなっているってことが。

そして、ガンダム男がこちらに対して問いかけるように話してくる。

 

 

 

「さぁ、始めよう。絶望の宴の序章を…。」

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みくださり、ありがとうございます。

ジャンヌ「最後の方のエクスのあの輝き…。これはエクストリームバーサスシリーズのゲームシステムのあれですね。」

そうそう。ゲームの方では素のでプレイヤーと戦わない上に、エクストリームバーストもイクスタイプはミスティックしか使ってないから、素のエクストリームにも使ってほしいなって。

レイ「でも、ゲームでエクストリームガンダムが素の状態がエクストリームバースト使ったら…。」

確実に戦犯ですね、負け確ですよ。たまに私も、極限進化状態になれずに落ちることがあります。
さて、今回はここまで。

ジャンヌ「次回の投稿は、土曜日になると思われます。」

レイ「もしこの作品を面白いと思ってくれた方は、是非感想を書いてね!」

では次回もお楽しみに。


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第55話 蒼き極限のガンダムの実力

どもども皆様、つい先ほどまで、今日の投稿を忘れてしまっていた、藤和木弘です。

ジャンヌ「もう…ちゃんと覚えていてください。わたくしたちが言ってなかったら、完全に忘れてましたよね?」

ごめんごめん、ジャンヌさん。

ジャンヌ「はぁ。…話を戻して、どうも、皆様。この一週間の間、暴走してしまったジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「ヤンデレ彼女面白かったよ!けど、その後ジャンヌちゃんの暴走の被害にあっちゃった、レイ・オーバだよっ!」

暴走というのは、ツイッター上で怒った、ジャンヌHSL(ハッピーシュガーライフ)病み事変のことです。

レイ「そんな名前付けたの…?」

やっぱ付けた方がいいかなってね。
さて、第55話、投稿です。

ジャンヌ「無理やりですね…。今回はエクストリームバーストを解放したエクスが光樹さんと戦います。」

レイ「どっちが勝つのかな?」

では、本編へどうぞ!


 

 

「さぁ、始めようか。極限の絶望の序章を。」

 

エクスがシールドを開く。そしてそこからライフルを取り出し、右手に構える。完全に戦闘態勢に移行していた。

もちろん、光樹も既にシュバルトゼロ天を纏い、更にはシュバルトフェニックスを装着していた。しかし、明らかに敵の殺気とでもいうべきか、そんなオーラのようなものに、ひるんでいた。

 

(こいつ、エクストリームバーストとか言ってたな。確か覚醒システムの名称がそんな感じだったか?)

 

光樹は思い出す。エクストリームバーストとは、エクストリームバーサスシリーズの、逆転を作り出すゲームシステム、いわゆるとっておきだ。

その際に機体が光り輝くのだが、それと今のエクスの姿は似ていた。名前からしても、おそらくエクスはそれと同じ状態なのだろう。とすると、かなり速い動きをするのではないだろうか。

そんな事を考えていると、エクスが動く。

 

「来んのなら…こちらから行かせてもらう!!」

 

空中に飛ぶと、こちらにライフルを向け、ビームをこちらに撃ってくる。光樹とネプギア、うずめは分断される。その間にマジェコンヌが、別れたネプギアとうずめの方に向かって魔法弾を撃ちながら歩いていく。

すぐにネプギア達に合流しようとする光樹だったが、その行く手を遮るように、エクスがビームライフルからビームを放ってくる。太めのビームが襲ってくるのを見た光樹は、危機を察知して腕部のユニットからビームシールドを形成し、そのビームを防ぐ。ビームの圧に押されながらも、シュバルトゼロ天はビームを防ぎきる。だが、それだけでは終わらなかった。

光樹の目に、シールドの前まで近づいていたエクスの姿が見える。懐まで近づいてきたエクスは、そのままシールドをこちらに向かって殴りつけてくる。ビームシールドと敵のシールドに施されたアンチビームコーティングが弾き合い、火花が散る。その勢いに負け、光樹は吹っ飛ばされる。

 

「くっ…。」

 

『反撃…否、離脱。』

 

ゼロの声と共に、突然右に向かって機体が動く。ウイングスラスターから勢いよく粒子を放出し、回避行動を取ったのだ。光樹が先程までいたところを、ビーム弾が過ぎ去った。間一髪、攻撃を回避したのだ。

 

「回避したか。」

 

「今度は…こっちから!」

 

地面に足を着けた後、シュバルトゼロ天のスラスターから粒子を放出し、瞬発的にエクスに接近する。

それを予測してエクスは後ろに退避する。しかし、攻撃するには十分な距離だった。足を地面にスライディングしつつ着地する。そして力いっぱいシュバルトフェニックス・ソードモードを振るう。

ところが、その攻撃はエクスに当たることはなかった。当たる直前にエクスは攻撃を回避していた。代わりにシュバルトゼロ天の方が攻撃の隙を見せる形になる。思いっ切り武器を振った反動で、光樹の胴体はがら空きになってしまう。

 

「いただく!」

 

素早い動きでビームライフルがこちらの方に照準を付けてくるのが見える。光樹が防御態勢を取る前に、エクスのビームライフルが火を噴く。ライフルから再び放たれたビームは、シュバルトゼロ天の腹部装甲をかすめた。

ギリギリのところで、光樹は剣を振った勢いを慣性として生かして回避したのだ。が、そのビームは本体には直撃しなかったものの、その直線状に存在したANVドラグーンⅡ改を飲み込み、爆発を引き起こす。

その衝撃で光樹は前のめりに手を着く。しかし、そんなに悠長にいるわけにはいかない。すぐに後ろに下がる。その直後、ビームの光刃が振り下ろされる。

 

「なっ!!」

 

「ちっ…逃したか。」

 

エクスがシールドを腕部に固定し、空いた手にビームサーベルを持って振ってきたのだ。いくらこの機体がガンダムでも、あの一撃をくらえば、装甲が溶解し、最悪撃破されていたかもしれない。

距離が離れたのを確認すると、光樹は落ち着いて残ったANVドラグーンⅡ改を射出する。ANVドラグーンⅡ改がエクスに向けてビームの雨を降らせる。

 

「ふん、この程度…!」

 

自信を持った言葉を発したエクスは、すぐさまライフルで迎撃を開始する。ドラグーンが放つビームより、はるかに太いビームが、ビームを打ち消し、ドラグーンに向かってゆく。光樹はドラグーンが破壊されないようにドラグーンに細かく操作を行う。そのおかげで今のところ、ドラグーンが破壊されることはなかった。

だが、ドラグーンの方に意識を向けすぎた。

 

「本体に攻撃しないとでも思ったか?」

 

攻撃を見切ったエクスが、こちらに向けてビームライフルを構え、発砲する。光樹もそれに気づく。しかし、体が反応しきれない。

 

「しまっ…。」

 

誰もが当たるだろうと思われた攻撃だったが、その攻撃に、ゼロが反応する。

 

『光樹、跳躍を。』

 

その言葉と共に飛び上がる。するとその行動に合わせて、ウイングスラスターから粒子が放出され、上方向に向かって回避する。それにより、ビームは壁に打ち込まれ、消失する。

 

「何っ!?」

 

エクスが唖然とする。光樹も偶然で驚いた。しかし、これはチャンスだ。すぐにシュバルトフェニックス・ソードモードを振り下ろす。大きな一撃が、エクスに対して振り下ろされる。

しかし、上手くはいかなかった。

 

「生意気な!」

 

その一声と同時に、エクスが瞬間的に下がる。振り下ろされた一撃は、地面へと叩き付けられるのみにとどまった。

シュバルトフェニックス・ソードモードを再び持ち上げた後、光樹は息をつく。ここまで戦っても、敵には疲れの様子は見られなかった。予想外の攻撃を行っても、敵はその攻撃に付いて行き、被害を抑えている。対して、こちらはゼロの助けがあってようやく敵と渡り合えている状態だ。

このままでは、こちらが不利だ。そう思った光樹は大きく息を吐いて、ゼロに言う。

 

「ゼロ、トランザムシステムを!」

 

『了解、トランザムモードへ移行。貯蔵粒子解放。』

 

その言葉と共に、機体が赤色へと変色する。限界まで圧縮された粒子が光り輝いているのだ。

赤色に光り輝く機体を見て、エクスが不敵に笑う。

 

「ふ、トランザムシステムか。しかし、そんなものでは我を超えることは叶わんぞ!!」

 

まさか、トランザムをそこまで過小評価するとは…ならば見せるしかないだろう。トランザムシステムの起動性を。

 

「なら、倒して見せろよ!!」

 

光樹は一気に加速し、エクスへと急接近する。向こうも同じように、こちらへと飛んでいた。そして二機は互いの武器をぶつけ合う。

何回もシュバルトフェニックスとビームサーベルが激突する。質量で言えば、こちらが勝っていた。そのはずだった。しかし、敵のビームサーベルはこちらの攻撃を跳ね返してくる。先に斬りかかったのはこちらのはずなのに、互角の近接格闘戦を行っている。あながち、先程の敵の言葉は間違いなかったのかもしれない。エクスにとって、トランザムなど苦でもないというのだろう。それだけエクストリームバーストの性能は高い。

けれども、それに素直に認めはしない。トランザムがダメなら、もう一つのシステムを使えばいい。光樹はシュバルトフェニックスを背中に装着させて、ゼロに指示を出す。

 

「ゼロ。フルバーストモード行けるか?」

 

すると、ゼロがその質問に答える。

 

『システム面は問題ない。後は光樹の腕次第。』

 

そう返され、少しばかり不安になる。今の光樹はそのシステムの使い方をあまり知らない。以前エクストリィムとの決戦で使っただけだ。その時は、まだ動きが遅い分楽に使えたが、今回のような高機動戦は経験していない。ぶっつけ本番のようなものだ。

しかし、やるしかない。光樹はゼロに許可を出す。

 

「あぁ。俺が合わせる。」

 

光樹の声に、ゼロが答える。

 

『了解。――――フルバーストモード移行。デオキシリアシステムリンク。』

 

同時に機体が変形を開始する。翼の小型スラスターがすべて展開し、内部フレームがむき出しになる。更に、脚部・スカートアーマーの装甲も開き、小型スラスターが露出する。そして、頭部マスク部が口を開くように展開する。その隙間から、湯気のようにAN粒子が放出される。

その姿を見て、エクスが呟く。

 

「ほう。フルバーストモードか。しかし、一度使っただけで使いこなせるものか。」

 

そう言い放ったエクスが、ビームライフルを向ける。そして間髪入れずにライフルからビームが放たれる。

攻撃にシュバルトゼロ天が反応する。素早くスラスターを吹かすと、横方向へとスライドするように移動し、回避する。

 

「むっ!」

 

エクスが唸る。当たると思っていたのだろう。だがしかし、そんな簡単に当たるわけにはいかない。光樹は取り回しづらいシュバルトフェニックスに代わり、両手にANヴァリアブルアームズⅡ改を持つ。

そして、突っ込む。

 

「はぁっ!!」

 

「ちっ!」

 

その一閃が、敵の装甲をかすめる。初めてこちらが敵に攻撃を当てた。エクスもその攻撃には驚いたのだろう。一度身を引く。

しかし、光樹はその後を追わない。代わりに、ANヴァリアブルアームズⅡ改をライフルモードに切り替え、ビームを放つ。牽制の代わりだ。その攻撃に対応するように、エクスも回避行動を取る。

その間に、光樹はカメラをマジェコンヌと戦っているネプギア達の方に向ける。どうやらあちらは数的にも有利だった分、楽そうに戦いを進めているようだ。

それならば、と光樹は右手側のANヴァリアブルアームズⅡ改をソードモードに切り替える。そしてビームを撃ちながら敵との距離を詰める。

 

「おのれ…黒の少年!」

 

「俺は…和藤光樹だっ!」

 

そんな掛け合いと同時に、切り結ぶ。ビームサーベルとANヴァリアブルアームズⅡ改が鍔迫り合いを行う。この切り結びで分かる。これならいけると。先程まで弾かれ合うのが多かったが、敵はこちらの剣を弾く力がないようだ。間違いなく、出力が上回っている証拠だろう。

そのことに気づいたのか、エクスが動揺したことを口にする。

 

「まさか、パワーを上回るのか?」

 

「みたいだな。なら、性能で押す!」

 

光樹はそう言い放ち、エクスを押し返す。弾かれたエクスは態勢を保とうとする。

この流れはいい感じだ。こちらが押している。この調子で攻撃させなければ、勝てるのも時間の問題だろう。

ところが、エクスもそれを許すわけではなかった。

 

「少し性能が増しただけで…越えられると思うな!」

 

今度はエクスの方がこちらに攻撃を仕掛けてくる。ビームサーベルの光刃が振り下ろされる。その攻撃をこちらも構えたANヴァリアブルアームズⅡ改で防ぐ。どうやら、すぐに決着はつかなそうだ。

 

「悪い…ネプギア、うずめ。しばらくはそっちに参戦できなそうだ。」

 

向こうで戦っているネプギアとうずめに、聞こえるはずのない独り言を呟きながら、光樹は目の前の困難を突破することに意識を戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「エクスがあのガキを相手にしている分、こちらは楽だ!さぁ、かかってきな!」

 

マジェコンヌは余裕の言葉を発しながら、こちらに魔力弾を放ってくる。その攻撃を、ネプギアはM.P.B.Lで撃ち落していく。魔力弾とビームがぶつかり合って、互いに消滅していく。攻撃を受けないようにするための行動だ。ネプギアの目に映るうずめもまた、ネプギアと同じようにメガホンの衝撃波で魔力弾を相殺する姿が見えた。

けれども、マジェコンヌは次々と二人に魔力弾を放ってくる。魔力弾はそれほど大した威力ではなさそうだけど、それでも二人はなかなかマジェコンヌに近づけなかった。

 

「うっ…近づけません…。」

 

このままではいつまで経っても同じことの繰り返しだ。ここは多少の攻撃は覚悟で、接近するしかない。接近戦に持ち込めば、マジェコンヌはあまり近接戦に強くなさそうだから、この均衡を崩せるはずだ。

 

「―――行きます!!」

 

その言葉と共に、ネプギアは飛翔する。次々と襲い掛かってくる魔力弾を避けていく。

 

「ぎあっち!!よーし、うずめも行くよっ!!」

 

ネプギアのその行動に気づいたうずめも、同じようにマジェコンヌに向かって突撃する。

二人の同時突撃に、マジェコンヌも動揺を見せる。

 

「つ、突っ込んでくるだと!?自ら倒されに来たか!」

 

しかし、すぐに魔力弾でこちらを吹っ飛ばそうと弾幕を濃くしてくる。でも、それにやすやすとやられるわけにはいかない。二人はビームと衝撃波で避けきれない攻撃を相殺しつつ、更に距離を詰める。

見る見るうちに敵との距離は詰まり、そして目の前まで来る。

 

「ちっ!しまっ…」

 

「この瞬間を待ってました!!」

 

近づかれたことに驚いたマジェコンヌに対し、喜びの声と共にネプギアはM.P.B.Lを振る。咄嗟にマジェコンヌは杖で防御し、攻撃を防ぐ。杖とM.P.B.Lは接触面から火花を散らす。

けれど、それを嫌がるようにマジェコンヌは空いた手から魔力弾を発生させて、こちらに投げてくる。

 

「この距離なら…!」

 

「!!」

 

魔力弾を放たれる直前に、ネプギアは鍔迫り合いをやめて、攻撃を回避する。それでマジェコンヌとの距離が開く。さっきの攻撃は鍔迫り合いをやめるために撃った攻撃のようだ。でも、そうはさせない。

 

「おばちゃーん!今度はうずめが相手だよ?」

 

距離を取ろうとしたマジェコンヌに、うずめさんが追撃を掛ける。その攻撃を、なんとかしてマジェコンヌは受け止める。うずめの拳が、マジェコンヌの杖を抑える。

 

「ぎあっち!」

 

「はいっ!」

 

うずめさんがこちらに声をかけてくる。すぐに私はM.P.B.Lを射撃モードに切り替えて、撃つ。狙いはマジェコンヌの持つ杖だ。

M.P.B.Lから放たれたビームは、マジェコンヌの杖を弾き飛ばす。そして弾かれたことで、うずめさんの拳がそのままマジェコンヌのお腹に直撃する。

 

「ぐうぉ!?」

 

「直撃ー!!」

 

「うずめさん!そのまま攻撃を!」

 

「分かってるよ、ぎあっち!えいえいえい!!」

 

喜ぶうずめに、ネプギアは指示を出す。今の攻撃でマジェコンヌは怯んでいる。このまま攻撃する方が、また距離を放されて魔力弾の弾幕を受けるかもと思ってのことだった。

すぐにうずめさんがマジェコンヌに拳の連打を打ち込んでいく。マジェコンヌはダメージを受けまいと下がりつつガードする。けれど、そのガードはどこか頼りないものだった。何とかしのいでいるように見えた。徐々にマジェコンヌは劣勢になっていく。こうしていると、なんだかいじめているようで、あまり気が乗らなかった。でも、相手はうずめさんと敵対している敵だ。先程も邪魔をされたのだし、そう思うと今は容赦していられない。

何とかしてうずめの攻撃から抜け出したマジェコンヌに、ネプギアは太めのビームを撃つ。

 

「出力大!撃ちます!」

 

「何っ。」

 

ビームがマジェコンヌを飲み込む。けれど、当たる直前にビームが拡散する。ビームを撃ち終わると、マジェコンヌの目の前に障壁のようなものが出現していた。バリアだ。マジェコンヌはバリアを張って、攻撃を防ぎ切ったのだ。

バリアによって、危機を脱したマジェコンヌだったけど、その表情は、先程とまでは違い、余裕のなさそうな顔だった。どうやら、先程までの猛攻撃は効いていたみたいだ。それでも倒せないとは、かなりの敵だということが分かる。油断はできない。

更に気を引き締める。すると、マジェコンヌが舌打ちをして言う。

 

「っく、なかなかやるな。」

 

どうやら、こちらの実力を甘く見ていたみたい。でも、まだ戦う気があるみたいだ。その様子を見て、うずめさんがマジェコンヌに対してこの勝負に勝ったようなことを言う。

 

「ポッと出のくせに強すぎぃ…。けど、この勝負、うずめたちがもらったよ!」

 

そう意気込む声を出したところで、左の方で音が響き渡った。その直後、光樹さんのシュバルトゼロ天が血を滑りつつ、着地する。反対側には、エクスというガンダムもいる。光樹さんは体を上下させて、疲れているような様子を見せていた。よく見ると、スラスター部がかなり摩擦しているように見えた。かなりの機動を行った証拠だ。心配したネプギアは、光樹に大丈夫かどうかを聞く。

 

「光樹さん、大丈夫ですか?かなり疲れているみたいですが…。」

 

「大丈夫…だと思いたいな。全然決定打が与えられてない。あいつ、かなりやる。」

 

光樹さんはそう語った。ここまで光樹さんを消耗させるなんて…。武器が多い分、光樹さんの方がいろんな手を打てて、有利に進むと思っていたネプギアとしては、驚きだった。

色々と起こったけど、とりあえず、今はマジェコンヌが消耗していて、こちらが有利に見える。光樹さんのガンダムのエネルギー量が心配だけど、ダメージを大きく受けたはずのマジェコンヌのことを考えると、ここは引いてくるんじゃないかなとネプギアは考えた。

でも、ここでマジェコンヌとエクスがあることをこちらに対して聞こえるように言う。

 

「何を勘違いしている。こちらはまだ半分も力を出していないのだぞ。」

 

「ふっふーん。そんなハッタリ、うずめは引っかからないもんねー。」

 

うずめさんが意にも介さないように余裕を見せる。けれど、マジェコンヌの顔は、笑みを含んだ表情を見せていた。本当に、何かあるような…?

その言葉に、エクスが続く。

 

「構わん、マジェコンヌ。我らの力、見せてやろうぞ!」

 

「もちろんだ。その身で思い知るがいい!我らが真の姿の力をな!!」

 

その言葉と共に、二人の体を地面からあふれだす闇が飲み込む。球体をかたどった闇に、三人は退く。

一体、中で何が起こっているのか、何が始まるのか、ネプギアは考えていた。

そして、その不安は、最悪の形になる。

 

 

 

 

闇が晴れると、そこには二体の悪魔が姿を現した。一方は、まだ原型が分かるくらいの変化だった。機械の体に、新たにパーツが追加された姿…それはエクスであった。脚部にスラスターパーツがふくらはぎに追加され、バックパックが少し大型になっている。そして腕部には、エネルギー放出装置のようなものが取り付けられていた。

そして、もう一方は、おぞましいまでの変化となっていた。紫色の体に、生々しいパーツ、顔のような部分には大きな目玉、腹部から生えたような女性の体は、まるで取り込まれているかのような姿だった。そして、大きな体の部分から生えた四本の巨腕は、まさに「魔王」とでもいうべき姿だった。

そのような姿に変化したエクス、そして、マジェコンヌを見て、光樹とネプギアは呟く。

 

「その姿は…まさか!?」

 

「な、なんであなたがその姿に…。」

 

間違いない。あの姿は、以前戦った犯罪神の姿にそっくり…いや、犯罪神そのものだった。

あの生物とはとても思えない姿に、あの時の戦いの記憶が思い起こされる。その姿に、うずめさんも嫌がる素振りを見せる。

 

「うげっ、きもっ!?加えてなんか増えてる!?ぎあっち、光樹、わたし、あいつらと戦いたくないかもー。触るのやだなー。」

 

その逃走宣言とも言えるような言葉に、ネプギアは焦る。

 

「ええっ!?いきなり何を言い出すんですか!?」

 

そんな、一人ではあんなのには勝てないよ!そう思うネプギアだったが、すぐにうずめがそんな風に慌てるネプギアを面白そうにしながら冗談であると言う。

 

「うそうそ、冗談だって。焦るぎあっち、かーわーいーいー。」

 

「…もう、こんな時に冗談は心臓に悪すぎだよぉ。」

 

困りつつも安心をみせるネプギア、しかし、そこで光樹が真剣に今の状況の悪さを呟く。

 

「犯罪神マジェコンヌに加えて、ゼノンフェースだと…?くそっ、どっちも厄介だろ!」

 

マジェコンヌが危険なのはネプギアにも分かっていた。けれど、エクスの方の追加した武器の強さが、ネプギアには分からなかった。そんなに危険性のあるものなのだろうか。ネプギアは光樹に聞いてみた。

 

「そ、そんなにエクスのガンダムの新しい装備は危険なんですか?」

 

すると、光樹さんがその脅威について説明を簡単に行う。

 

「あの兵装は極限進化用パーツだ。それも、エクストリィムに装備されていた物とは違って、機動戦を前提とした、純粋な戦いに特化した、な。」

 

「戦闘に特化した、パーツ…。」

 

その話を聞いて、そう呟く。

エクス…極限進化だなんて、おそらく、飛躍的に能力が向上するのだろう。そんなのも相手にするなんて…。

その話を聞いていたエクスが、声を発する。

 

「安心しろ、我のターゲットはただ一人…。黒の少年の抹殺のみ!」

 

その言葉と同時に、エクスが腕部にエネルギーを発生させる。発生したエネルギーは球体を形成する。そして、同じようにマジェコンヌも動く。

 

「エクスの方ばかりに集中している場合ではないぞ?そんな余裕があるのならば、このまま死ねぇ!」

 

目玉の部分にエネルギーが集中する。攻撃態勢に入ったのだ。

そして、二体の攻撃が同時に発射される。高速で発射されたエネルギー弾が三人に直撃し、爆発する。

 

 

『キャアアアアア!』

 

「ぐぁあああああ!」

 

三人は爆風に吹っ飛ばされた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。いかがだったでしょうか。

ジャンヌ「まさか光樹さんが負けてしまうなんて…。」

レイ「信じられないよー!これって初めて負けたんじゃ…」

あぁ、レイさん達は知らないだろうけど、新しいNPで復活して逆転したりとか、あとエクストリィム戦では一回戦闘不能になって倒れてるから、意外と負けてるんだよ。

ジャンヌ「あら、藤和木の中では新しいNPが出て勝った時は勝ちにカウントしてないんですね。」

そりゃあね、その時のNPで勝たなきゃ意味ないでしょ。

レイ「なんかかわいそう。」

だって、光樹君本来ならその時の形態でも互角以上に戦えるくらいだよ?

ジャンヌ「もはやチートでは…?」

だからタグにも後半チート化って書いてあるんだよ。

レイ「そ、そうなんだ…。」

あっ、ここから先はジャンヌさんとレイさん少し耳栓を。

ジャンヌ「え?どうしてですか?」

ちょっとメタいこと話すから。

レイ「了かーい!」


さて、Twitter見て下さる方には分かると思いますが、実は私、結構な中二病です。そのため小説内では、とある能力を使えるようにしています。
分かりやすい例えでは、○○程度の能力ですね。名前をつけるとしたら、妄想が現実になる程度の能力かな?
まぁSSRと言う名のG本編には影響しないのですが、実は光樹君のモデルになった由縁でもあったりします。
まぁ、その時はまた妄想にふけっているのか、程度に見守っていてください。もちろん、ツッコミいれてもいいですよ?というか入れて欲しいくらいです。

さて、今回はここまで、レイさーん、ジャンヌさーん、お願いします。

レイ「うん!次回はゴールデンウィーク中だけど、藤和木の都合で金曜日辺りだって。」

ジャンヌ「感想などもお持ちしております。」

それでは次回もよろしくお願いします。


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第56話 もう一人のネプテューヌ、新たな力

どうも、皆様(ザクザク)お元気でしょうか。今日眼鏡を新しく買い替えた、藤和木弘です。(ザクザク)

ジャンヌ「どうも、皆様。藤和木のバトルスピリッツウエハースの食べるのに協力している、ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「いいカード当たらないねー。レイ・オーバだよっ!おやつ代わりにはいいかな?」

お待たせしました、皆様。第56話投稿です。今回はネプテューヌ参戦!

ジャンヌ「間違ってはいませんが、ちゃんと分かるように言いましょうよ…。」

間違ってないならこれでよくね?

ジャンヌ「まぁ…いいですけど。」

レイ「じゃあ、本編に行くよー!」


 

エクスとマジェコンヌの強化された一撃により、三人は吹き飛ばされる。女神の二人は大きく吹っ飛ばされ、地面に体を伏せつけられる。一方の光樹も、地には伏せられなかったものの、大きく後ろに飛ばされる。

攻撃をなんとか耐えきった光樹だったが、そこで、シュバルトゼロ天に異変が起こる。

 

「!?機体が…。」

 

何度動かそうとしても、機体は動こうとしない。四肢のすべてが、金縛りにあったように上手く動かなかった。そこで、光樹は顔のインターフェイスで状況を見る。

すると、情報が出てくる。そこには、「特殊ウイルス・炎熱スタン」の文字が表示されていた。

 

「炎熱スタン!?動けなくなるってことか!」

 

光樹は歯ぎしりする。そういえば、ゼノンの射撃は、当たると炎上してスタン状態、簡単に言えば動けなくなる攻撃があったはずだ。もしかすると、それになったのかもしれない。

まさかこんなところで動けなくなるとは、思ってもみなかった。だが、その姿を見て、エクスが不敵に笑い声を出す。

 

「ハハハハ、無様だな、黒の少年。」

 

「くそっ…卑怯だろ、こんな攻撃…!」

 

光樹は怒りの困った声を出す。しかし、それに意も介さず、エクスが堂々と語る。

 

「戦場で卑怯も何もない。勝ってしまえばいいだけのこと。結果だけが重要なのさ!そして、貴様の命、ここで刈り取る!」

 

そう語り終えると、こちらに対し急接近をかける。しかし、その手には何も武器は握られていない。当然だ。あいつが光樹自身が知っているあの存在と同じような存在なら、使ってくる武器はただ一つ。

 

「せぇい!!」

 

バンカーユニットを展開した右腕が、こちらに迫ってくる。その攻撃を、ようやく動くようになった左手で受け止める。

そう、敵の武器は、その鋼鉄の拳だ。エクスが今現在付けているパーツは、エクストリームガンダムtypeレオス ゼノンフェースのユニットだ。バンカーユニットに覆われた拳を武器とする格闘進化した機体の力、それを手に入れている。

その拳を受け止めた光樹のシュバルトゼロ天ではあったが、すぐに押し込まれる。

 

「くそっ、さっきの攻撃がまだ効いてるのか?」

 

光樹はそんなことを口にする。おそらくそうだ。こっちの本体の方には何も痛みなど、怪我はないはずなのに、押し込まれるなんて。機体の出力が上手く上がらなくなっているのかもしれない。

そして、もたもたしている内に、エクスが動く。

 

「まだ左手がある!失せよ!」

 

「!!」

 

左の鉄拳が、機体の頭部にクリーンヒットする。機体の装甲が軋む音を上げ、シュバルトゼロ天が吹っ飛ばされる。その機体は、そのまま地面に叩き付けられる。その様子を見ていたネプギア達が、ダメージを受けた体を引きずりつつ、こちらに近寄ってくる。

 

「光樹、大丈夫…?」

 

うずめが心配そうに聞いてくる。光樹としてはすぐに大丈夫であることを伝えたかった。しかし、そう言える状況ではなかった。明らかに敵の方が強い。光樹も今の状態では勝てるようには思えなかった。だから、光樹は正直に今の状態を言う。

 

「俺自体は大丈夫…とは言いたいけど、さっきの攻撃でくらくらしてるな。それに、シュバルトゼロ天も万全じゃない。今のあいつらの本気で、全部流れが変わってしまったんだ。」

 

「そんな!まだうずめは…っつ!!」

 

反論しようとしたうずめだったが、途中で顔をゆがめて腹部を抑える。どうやら、うずめもまた限界のようだ。

そして、ネプギアもまた、痛みを負いながら光樹と同じような言葉を呟く。

 

「…力が、入らない。」

 

完全にこちらは不利な状況に追い込まれる形となった。ネプギアとうずめは負傷、光樹はガンダムの損傷が重なりつつある。どちらも良いとは到底思えなかった。

一方、敵側のマジェコンヌとエクス達は、歓喜していた。

 

「はーっはっはっは!先程までの威勢はどうした!ほら、ポッと出の紫ババアとでも罵ってみろ!はーっはっはっはっは。」

 

「このままなら、我の勝ちは決まったようなものだな。ふっ、くだらん幕引き…しかし、我の目的は果たされる!」

 

己が使命を果たせることを、二人は喜びを覚える。このままでは、こちらは負ける。うずめも危機的な状況であることを呟く。

 

「万事休すなの…。」

 

ここにいた光樹達四人が同じことを思っていた。機体も上手く動かないこの状況で、どうすれば…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぷうううううううう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなりのその叫び声が洞窟内で反響する。この緊迫した場面で、そんな雰囲気を壊すような声に、光樹達は困惑する。どこかで聞いたことのあるような声、そして、どこかの誰かに似た言葉に、首を傾げる。

 

「…え、この声って。」

 

「どうしたの、ぎあっち?」

 

「今、お姉ちゃんの声が聞こえた気がして…。」

 

「ネプギアもか。俺の方でも、ネプテューヌの声が聞こえた気がするんだが…。」

 

「ねぷっちの声…?光樹も聞いたの?」

 

三人共、何故こんな時にネプテューヌの声が響くのか、そのことだけが、脳裏で考えられる。ネプテューヌはただ一人、超次元の方に先程帰ったばかりのはずなのに…。

もしかすると、すぐにイストワールに言って、こちらの世界に再転送されたのか、と光樹は考えた。しかし、イストワールが行っていた話を思い出す。

 

(その代わりエネルギーとしてこちらの世界のシェアを大量に消費するのでその点は注意してください。)

 

こちらの世界から元の超次元に戻る際には、大量のシェアエナジーが必要だった。それはもちろん、こちら側に転移する場合でも同じはずだ。転移したのに、すぐにまた転移するなんてこと、無茶すぎる。

ネプテューヌならば、もしかすると、この世界に転移した原因であるゲーム機をまた操作してやってくるという方法を取るかもしれなかったが、それをイストワールが許すとは思えない。どちらにしろ、ネプテューヌがこの世界にいることは、ありえなかった。

そんな会話を聞いていたマジェコンヌが、ありえないと唾を飛ばす。

 

「ふん。そんな時間稼ぎのはったりにこの私がひっかかるものか!死ねぇ!」

 

マジェコンヌが、再びビームを発射しようとする。しかし、隣にいたエクスが覆す言葉を出す。

 

「…待て、マジェコンヌ。レーダーに反応が出た。上方向だ。」

 

「何?」

 

そして、それはこちらの方にも分かった。確かにゼロのレーダーに上からの反応が見られる。

 

「一体、何が…。」

 

光樹の呟きと共に、上から風切り音と共に悲鳴が聞こえてくる。

 

「どいてー。どいてどいてー。ぶつかるううううううう。」

 

『…え?』

 

「何…うぇ!?」

 

見上げた先から、何かが落ちてくるのが分かった。反射的に、その位置にいた光樹はそれを受け止める形となった。

 

「ふぐぅ!!?」

 

光樹はその落ちてきた「何か」の下敷きとなった。

 

 

 

 

「ゲホゲホッ…凄い音…。」

 

突然、天井より落ちてきた何かの影響で発生した土埃を吸い込んでしまったネプギアは、咳をしながらその音に驚く。

けど、本当に一体何だったのか、ネプギアは考えた。落ちてくるほんの少し前、どいてという声が聞こえてきたのは覚えてる。そして、その直後、光樹さんが降ってきた「何か」を受け止めたんだけど、その勢いに耐えられずに地面に倒されたような…?

その落ちてきた「何か」の影響は、敵側にもこだました。

 

「な、なんだ!?何が落ちてきたのだ!?まさか、本当に小娘どもの援軍だというのか!?」

 

「先程の勢い…自滅したはずだが……まさか生きていようなど…!!?」

 

煙が晴れて、その姿に全員が絶句する。そこには紫色の髪に、黒のパーカー、そして黒い十字キーのアクセサリーを頭に二つ付けた女の人がいました。

 

「いやぁ、落ちた落ちた。もう少しでスカイフィッシュが捕まえられそうだったんだけどなぁ…。あそこで、まさか地面がなくなっていたとは…。」

 

女の人が、呑気にそんな言葉を口にする。スカイフィッシュってどんな生き物なんだろうという気持ちがあった。けれど、その人は話を続けていく。

 

「けど、高いところから落ちても大丈夫なように体って意外と頑丈に出来てるんだね。あ、でも今まで着地してきた地面より、一番硬かったような気がするな。まるで鉄って感じ?」

 

『え?』

 

女の人の下になっている光樹さんを除いたこちら側の全員が、狼狽する。だってそうだ。いきなり落ちてきたのもそうだけど、それ以上にその姿は…。

でも、その女の人はこちらに気づくと、さっきの時に、大丈夫だったかどうか聞いてくる。

 

「あ、下にいた人だ。ねぇ、怪我とかない?大丈夫だった?あれ、もう一人いたはずなんだけど、どっか行っちゃった?」

 

心配してくる女の人だったけど、そんな言葉を返す余裕はなかった。

代わりに、疑問の言葉をうずめさん、そして海男さんとで大声で口にする。

 

 

 

 

『だ、誰ええぇぇー!?(誰だっ!?)』

 

 

 

 

「…わたし?わたしの名前はネプテューヌ!何を隠そう、次元を股にかける通りすがりの昆虫ハンターだよ!!」

 

その人は、地面(正確には下敷きになった光樹さんの上)から起き上がると、私のお姉ちゃんと同じ名前を名乗った。聞き間違いなんかじゃない、間違いなく、「ネプテューヌ」と名乗ったのは分かった。でも、なんで?お姉ちゃんと同じ顔と名前なの?ネプギアとうずめは言葉を失っていた。

 

『ぽかーん。』

 

一体、何がどうなって、こんなことになったのか、ネプギアには分からなかった。

疑問を浮かべるネプギアたちに、ネプテューヌさんは先程までの空気を戻す発言をする。

 

「って、取り込み中だったんだよね、邪魔しちゃってごめんね…」

 

「あの……すみません。」

 

そこで突然、ネプテューヌさんの下敷きになっていた光樹さんが話に入ってくる。下から聞こえてきた声に、ネプテューヌさんはビクッと反応する。

 

「おおっ!?いきなり地面から人が出てきたよ!?しかも機械っぽい外見…これは本物の地底人!!」

 

「いや、地底人じゃないです。さっきいたから、この子達と一緒にいた一人。」

 

「あー。確かにそんな外見だったかも。ひょっとしてクッションになってくれたの?いやぁ、助かったよー。」

 

ネプテューヌさんの言葉に、光樹さんは調子を取られながらも落ち着いて自身のことについて話した。というか、光樹さんはネプテューヌさんのこと、分かってて今は気にしていないのかな。今は驚いている場合じゃないって思ってるみたいに冷静だ。

その挨拶が終わった後、ネプテューヌさんはこちらとマジェコンヌたちの方を交互に見る。

 

「………。」

 

じっくりと状況を見た後、ネプテューヌさんは双方に聞こえるように大きな声で話す。

 

「………ふむ。状況は大体わかった!可愛い子の味方のわたしとしては、状況的にもこっちの助太刀をするよ!」

 

「え、えと…。」

 

いきなりの発言にどう反応していいか、ネプギアは困惑する。すると、その状態を察したのか、ネプテューヌさんがこちらに名前を聞いてくる。

 

「ねぇ、そこの桃色の髪の可愛い子、名前はなんてーの?」

 

「私、ですか?」

 

「うん、私私。」

 

いきなりの質問で戸惑いそうになるけど、とりあえず名乗ることにする。

 

「ネプギアって言います。」

 

名前を言うと、ネプテューヌさんは大喜びする。

 

「わーっ、名前にネプってつくなんて奇遇だね!海王星のわたしとしてはセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられないよー。」

 

「おい。」

 

そこに、マジェコンヌがこっちに目を向けるように声をかける。けど、今の大きなネプテューヌはそんなことはどうでもいいように、名前が同じことについて喜んでいる。

その様子を見て居たうずめさんと海男さんはこの状況がどうなっているのかについて話し合っていた。

 

「ねぇねぇ、海男。これってどういうことなの!?ねぷっちがでっかくなって落ちてきたよ!?」

 

「こればっかりはオレにもわからない。けど、協力してくれるならありがたい限りだ。」

 

「おい。」

 

海男さんの言う通り、本当に協力してくれるのならとても助かる。こっちは力では不利になっていたから、人数が増えれば、勝てるかもしれない。

すると、ネプテューヌさんがその二人に今度は挨拶を始めていく。

 

「なになに?君たちはネプギアのお友達?あなたの腕にくっついてるのカッコイイね!見せて見せて!」

 

「カッコイイ!?」

 

その感想に、うずめさんはテンションを上げる。

 

「ふふーん。コレのカッコよさがわかるなんて、大きくてもねぷっちはわかってるじゃーん。」

 

「おい!」

 

うずめさんは大きなネプテューヌが何なのか気にすることを忘れ、得意げになる。先程までのダメージが嘘のように笑っている。

一方、マジェコンヌは相手にされないことに苛立ちを見せ始める。でも、大きなネプテューヌは聞こえてないかのようにうずめさんの腕のシールドを見ることに集中する。

そのことに海男さんが律する。

 

「ねぷっち。今はそれどころじゃ…。」

 

けれど、その言葉を聞いて海男さんの方を見たネプテューヌさんは大笑いする。

 

「てか、その魚なに!?あはははははははは!真顔でおっかしーのー!」

 

「おいと言っている!!!!!」

 

そこでマジェコンヌの怒声が洞窟内を震えさせる。無視し続けられた怒りが爆発したようだ。

その声を聞いた大きなネプテューヌがようやく、マジェコンヌを相手にする。

 

「うわわわわっ!?急に変なのがキレた!?」

 

「くだらんお喋りはそこまでだ!よくも私を無視してくれたな!!」

 

マジェコンヌは巨大な拳を固く握りしめて言い放つ。かなり怒っているのが分かる。そこまで怒らせるネプテューヌさんは気づいていなかった様子を見せる。そして、マジェコンヌに聞く。

 

「あ、もしかして、わたしたちとお話したかったの?けど、女の子をいじめるような悪い人は、わたし的にはお断りかな。見た目も、なんか気持ち悪いし。」

 

その言葉が、更にマジェコンヌを怒らせることとなった。

 

「貴様ぁー…。好き勝手言いおって…!このマジェコンヌ様を馬鹿にしたことを死をもって償わせてやる!」

 

今にも怒りを爆発させそうな気迫で声を荒らげさせるマジェコンヌ。しかし、それを見て、ネプテューヌさんはその言葉を聞いて、笑い声を出す。

 

「マザコング…?あっははははは。変な名前ー。」

 

「マザコングではない、マジェコンヌだ!マ・ジェ・コ・ン・ヌ!」

 

「マ・ザ・コ・ン・ヌ!おおーっ!一文字言い忘れるとマザコンだ!」

 

訂正をするマジェコンヌに、大きなネプテューヌは堂々と間違える。これは誰の目から見ても、わざとであることは明らかだ。こうも煽って遊ぶところは、小さいネプテューヌと似ていた。その様子に、またネプギアたちは苦笑いをする。

その扱いに、マジェコンヌは更に怒りを爆発させる。

 

「きっさまあああああああああ!!!」

 

マジェコンヌを弄ぶネプテューヌさんに、うずめさんも賞賛を送る。

 

「さ、さすがねぷっち!おばちゃんを煽らせたら右に出るものはいないね!」

 

「それ以上に、やっぱマジェコンヌの煽り耐性のなさが問題だな。怒り過ぎだろ、マジェコンヌ。相変わらずだけど、高血圧なんじゃないのか?」

 

「高血圧かどうかは知りませんけど、いちいち反応しすぎな気はしますね…。」

 

三人は各々にマジェコンヌの陰口を言う。

一方、ネプテューヌさんの煽りに対してマジェコンヌは戦闘態勢を取る。

 

「貴様だけは…!貴様だけは許さん!!四人と一匹まとめて、ぶち殺してや…」

 

「待て、マジェコンヌ。」

 

最後の言葉を言い切る前に、先程まで黙っていたエクスが制止する。いきなりの制止に、マジェコンヌも問う。

 

「なぜだ!!なぜ殺す邪魔をする!!」

 

マジェコンヌの言葉に、エクスが答える。

 

「あの者は、今のうちに処理する…この我がな!!」

 

それと同時にエクスが背中の柄を抜き放ち、急接近してくる。柄からは高出力のビームの刃を出現させる。その突撃に反応してネプテューヌさんが対応する。

 

「おおっと!?」

 

すぐにその手に出現させた二本の大剣でビーム剣を防ぐ。そのぶつかり合いの衝撃で、空気が振動する。

まさか、いきなり攻撃を仕掛けてくるなんて…しかも、突然現れたネプテューヌさんにだなんて。少しの間、鍔迫り合いをしていた両者だったけど、それをエクスが強制的に終わらせる。

 

「せぇいやぁ!!」

 

「わわっ。」

 

大きく振るって、ネプテューヌさんの大剣を吹き飛ばす。今のネプテューヌさんに、エクスの攻撃を防ぐものは何もなかった。そこで、エクスが光樹さんをも圧倒したその鋼鉄の拳を振るう。

 

「まずは一人…!」

 

その拳が振るわれる瞬間、後ろから風が吹いた。

 

(何が…?)

 

そして、二人の間で、光り輝き、周りを覆った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおっと…いきなり光り輝いたけど…何が起こったの?」

 

ネプテューヌは顔を塞いでそう言った。元々、腕はさっき攻撃を仕掛けてきたロボットからのパンチを防ぐために防御態勢をしていたから、すぐにこの体勢に持ってこれた。

でも、いきなりのことだったから、何が起こったのかネプテューヌ自身は理解できていなかった。確か、横から何かが間に入って来たような…?

そんな疑問を持ちつつ、目を開ける。すると、その答えが目に入った。

 

「君は…!」

 

割って間に入ってパンチを止めていたのは、さっき下敷きにしていた男の子の声を発したロボットだった。けれど、その姿は少し違っていた。大きな翼が四枚あるのは変わらないけど、背中にあった武器は肩のアームに装備されてた。代わりに元の場所には透明な刃が挟み込まれた金属板のような武器が持たされていた。

そのわずかに違った姿に、ネプテューヌは理解した。きっとさっきの時に新しく武器を付けたのだ。光はその時の影響だと思っていた。

だがしかし、それが少し違うことが、そのロボットの発した声で知らされる。

 

『SSR-VVVX-BA002-X、シュバルトゼロガンダム・クロスセット・オン完了。』

 

「何だと!?またも機体が解放されたというのか?」

 

「解放?もしかして、君は新しい姿になったってことなのかな?こんな戦いで新しい姿になるだなんて、タイミング良すぎじゃない!?」

 

ネプテューヌはそう声をかける。すると、そのロボットはその拳を受け止めたまま返事をする。

 

「まぁ、タイミングは良すぎだな。…けど、今はこいつを倒すだけだ!」

 

空いた左手で敵のロボットの…確か、エクスって言ってたロボットの顔を殴りつける。

 

「ぐっ…!」

 

吹き飛ばされたロボットは、顔を抑えながら地滑りして着地する。ロボットでも、痛いみたいだ。そんなエクスに、その黒いロボットが言う。

 

 

 

 

「さて、試させてもらうぜ。新しいガンダムの性能ってやつを!」

 

 

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、また新たなガンダム登場です。

レイ「まだ少ししか出てないから、次の話に期待だねっ。」

ジャンヌ「そうですね。次回はおそらく今回登場したガンダムが活躍するんですよね?作者。」

まぁね。
さて、今回はここまで!

ジャンヌ「次回は木曜日になると思われます。…でも、ストック大丈夫なんですか?」

やばいね。「あれ」も同時進行してるから、もしかするとそのためにこっちの更新止まるかも。

レイ「そういうことにならないように、頑張ってよね!」

おうとも!

レイ「じゃあ、次回もお楽しみにっ!」




ジャンヌ「あっ、合体スピリットバージョンのセンゴクタイガー当たりましたっ。」

マジでっ!?これならEXバトルで出せるぞ!

レイ「次は勝てるかな?」


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第57話 クロス・カップリングシステム始動

どーも、皆様方。学校の実習で行った先でアニソン集CD買ってご機嫌の藤和木弘です。

レイ「早く聞きたいねっ!レイ・オーバだよっ!!」

ジャンヌ「でも、先に今日の投稿を終わらせないといけませんよ、お二人共。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

さて、第57話投稿です。タイトルにはどこかのアニメで聞いたようなシステム名が出ていますが、もちろん、参考にしてます。

レイ「パクリの域行ってない?」

それは言ってはいけません。ダメなのです。

レイ「だ、だよねー。」

ジャンヌ「作者の考えるガンダムは、皆様にも分かりやすいようにもとからある武器を参考にしてますから、仕方ないですよ。」

まぁ、半分はまっさらな状態から武器作るのは難しいからで…

ジャンヌ「ちょ…!作者!せっかくフォローを…(カッ!)きゃあ!?」

えちょま…倒れ…(ドサッ!)

レイ「うわっ!?二人共大丈夫?ジャンヌちゃん服ちょっと脱げかけてるけど…」

ジャンヌ「ひゃぁああぁ!?さ、作者!あんまり見ないでください!!」

ご、ごめん!!とりあえずレイさん、本編に!!

レイ「じゃ、じゃあ本編にいっくよー!!」


 

 

エクスに対して、強気に言い放った光樹は、すぐに新たな機体、シュバルトゼロ・クロスで戦闘を開始する。腰部に装備されたANカタナの発展型であろう武器を抜き放ち、エクスの高出力ビームサーベル、タキオンスライサーと切り結ぶ。普通なら、エクスの方のタキオンスライサーがすぐにこちらの実体剣であるANカタナⅡを溶断していただろう。

しかし、実体剣はAN粒子でコーティングされることでビームサーベルを切り結ぶことが出来た。それだけではない。機体の出力が更に上がったことで、コーティングする粒子量が更に増大し、タキオンスライサーを負荷なく受け止めるほどの耐久性を持たされていた。

互いに拮抗する状況に、エクスが先に動く。

 

「チッ!」

 

エクスが後ろに下がって攻撃を回避する。空ぶった反動で前のめりになるのを堪える。光樹がすぐに元の体勢に戻ると、エクスが既にこちらに対し、火球を放っていた。

 

「燃え尽きろ!」

 

腕部のバンカーユニットから放たれた火球が、こちらに向かってくる。先程光樹のシュバルトゼロ天を行動不能にした攻撃だ。

しかし、光樹はその攻撃に対し、正面から立ち向かう。

 

『光樹、腕部砲「ディメンションバンカー」を。』

 

「分かった、やってみる。」

 

ゼロからの指示に従い、刀を持った右腕とは反対側の手を火球に対して向ける。そして、手を開く。開いた手のひらの部分には、発射口のようなパーツが露わになる。

そして、そこから攻撃が繰り出される。

 

「キャノンボール!!」

 

腕部にエネルギーが圧縮され、エクスの物と同じような火球が生み出される。すぐにその攻撃は迫ってきていたエクスの火球に向かって放たれる。

同威力の攻撃だったためか、エクスの火球とシュバルトゼロ・クロスのキャノンボールはぶつかると同時に爆発する。爆風のみが互いに吹き、それぞれの攻撃は相殺された。

互いににらみ合う。その様子を、ネプギアとうずめ、海男ともう一人のネプテューヌ、更にエクスの味方であるマジェコンヌがその戦いを見ていた。その様子に意識がいってしまっていた。しかし、あまり見られるのも好きではなかった。光樹はネプギア達に指示する。

 

「こっちの戦いも気になるだろうけど、そっちはそっちで倒しておいてくれよ?こいつと戦った後でそっちまで倒すなんての無理だと思うからさ。」

 

「!!す、すみません。なんだか、光樹さんのガンダムから、エネルギーをもらっているような気がして…。」

 

「ぎあっちも?うずめもなんだか光樹を見てると、凄く気持ちがいいんだー!なんだか勝てる気がしてくるっていうかさー。」

 

ネプギアとうずめはそんな事を口にする。こちらを見ていると元気が出てくるなど、この機体は男性ホルモンでも出しているのだろうか。しかし、海男もこちらを注視していることから、そうではないことが分かった。

だが、そんな事を気にしている状況ではない。ネプギア達にマジェコンヌを倒すように言う。

 

「とにかく、そっちはマジェコンヌを倒してくれ。頼んだぞ、大人ネプテューヌ、今のところ三人の中で満足に動けるのは君だけだから、サポートを!」

 

「んー、了解っと。じゃあ、とりあえずこれどーぞ!」

 

光樹の言葉に反応した大人ネプテューヌがポケットから何か瓶のようなものを出し、二人に手渡す。後部のカメラでその様子を確認していたが、おそらく回復薬だろう。とりあえず、あれを飲めば二人も戦線復帰できるはずだろう。

その様子を見ていたエクスもマジェコンヌにネプギア達を倒すように言う。

 

「あちらは任せたぞ、マジェコンヌ。こちらは我の力を存分に発揮して倒す。」

 

「あぁ。任せたぞ。」

 

その言葉を聞いたマジェコンヌは、ゆっくりとネプギア達の方へと重い足を動かして移動する。横を通るマジェコンヌを、光樹は攻撃することなくあっさりとネプギア達の方へと向かわせた。

その様子を見ていたエクスがこちらにあざ笑うかのように聞く。

 

「通してしまってよかったのか?たかが一人増えたところで、マジェコンヌに勝てるとでも?」

 

その言葉は納得できる。あそこで少しでも攻撃しておけば、ネプギア達が有利に戦いを勧められたかもしれない。

しかし、光樹はそうしなかった理由があった。

 

「マジェコンヌに攻撃したら、絶対マジェコンヌはこっちに向かって攻撃してくる。そこにネプギア達が助けに入って乱戦になったら、不意打ちをするって考えじゃないのか?」

 

光樹は考えていたことをエクスに語る。光樹のほぼ戦闘素人の考えで出した、読みだった。少しくらいは当たっているんじゃないだろうかと自信を持って言った光樹だったが、その考えを聞いて、エクスが笑い声をあげる。

 

「フッ…。確かに普通ならそうだろうな。だがしかし、本来の黒の少年なら、そこまでは考えん…いや、考える必要がない。」

 

「!!記憶のあった時の俺を知っているのか?」

 

光樹は思わずそう口にする。そこで気づく。もしかすると、エクス達は自身が記憶を失っていることを知らなかったのではないのだろうか。先程の笑いが、どうもそんな事を示しているのではないかと深読みに近い考え方を出す。

だが、考えはそこまでとした。エクスがその姿を変えようとしたからだ。エクスがデータの奔流のような光に包まれる。光は球体を形成し、周囲を飲み込んでいく。触れたところから電流が走るのが見えた。それを危険と判断した光樹は、すぐに距離を取る。予測して回避したため、光樹の方に被害はなかった。

光が晴れると、エクスの姿は先程とは違った姿に変わった。両腕に装備していたバンカーユニットや脚部のスラスターユニットが消滅して、代わりに腰にスタビライザーのように下に長いパーツを装備していた。更に肩には巨大なキャノン砲と、後部には縦に長いコンテナ状のパーツを背負う姿が目に映る。

それを見て、光樹がその姿の名前を言う。

 

「エクストリームガンダム…エクリプスフェースか!」

 

その姿は、光樹の記憶にあったガンダム、エクストリームガンダムのエクリプスフェースの姿に似た姿であった。先程もエクストリームガンダムの装備の一つ、ゼノンフェースのパーツを纏っていた。

そのことから、おそらくエクスはエクストリームガンダム、それもタイプex-の装備ではなく、タイプレオスの装備を装着できるのであろう。エクストリィムがex-を、エクスがタイプレオスの装備を使うことを知る。

しかし、装備を変えたのを見ても、光樹は焦らなかった。先程とは違い、近接戦よりも射撃戦を重視した形態に変更したということは、近接戦闘はあちらが不利ということなのだろうと光樹は考えた。きっと距離を取って倒すつもりなのだろう。

それならば、と光樹はシュバルトゼロ・クロスのウイングスラスターを後方に向け、一気に加速する。距離を空けられる前に近接戦闘戦で圧倒すればいいと考えたからだ。

その動きに、エクスも気づいた。エクスはこちらに向かって両手のビームライフルから太めのビーム弾を放ってくる。加えて、腰部からも、ミサイルの掃射を開始する。

その攻撃を、光樹は急停止してから回避を開始する。ビームライフルの弾をスピードで回避し、ミサイルの弾幕を、引き連れつつも距離を取った所で急反転。そして左腕部に装備されたシールドに内蔵しているANフレイムイレイザーレーザー「フレイムテンペスト改」を放射する。炎の光が、引き連れていたミサイルを撃ち落とし、爆発へと姿を変える。

撃たれたミサイル全てを撃ち落したところで間髪入れずにエクスのビームライフルの弾が放たれる。

 

「貫き果てよ!」

 

エクスのイラつきのこもった声と共に並列合体したビームライフルから放たれたビーム。それは光樹のシュバルトゼロ・クロスを捉えていた。しかし、光樹は動いた。

 

「当たるかよ!」

 

反転しつつ、ウイングを左一方向へと向け、一斉に粒子を吹かす。圧倒的なまでの推進力が、シュバルトゼロ・クロスを動かし、ビームを避ける。

そして、そのままの勢いで大きく回るようにエクスへと肉薄する。その間にも、エクスからのビーム・実弾による弾幕が光樹に迫る。だが、光樹も負けてはいない。次々と迫ってくる弾丸を、背部から抜き放ったANブラスターソードエッジで切り裂いていく。刃の部分が少ない、使いづらい武装ではあったが、光樹の振り放つ斬撃は、確実に当たるであろう弾のみを正確に切り払う。

すぐに光樹はエクスの懐まで入り込む。それに慌ててエクスがビームライフルを合体させたうえで右手に持ち、左手にビームサーベルを抜き放って防御する。何とか一撃を凌いだエクスだったが、徐々にエクスが押されていく。いきなりのことだったので、出力をそちらに回しきれていなかったのだろう。

不利に焦るエクスに光樹は言う。

 

「おいおい、随分と押されてないか?さっきまでの勢いはどうしたんだよ?」

 

「おのれ…黒の少年め!」

 

その言葉に怒ったエクスが押し返そうとする。しかし、光樹のガンダムは、更にビームサーベルを押し込む力を強くする。

先程までの不利はいずこかへ。光樹はエクスを圧倒していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「苦い…。」

 

うずめは表情を曇らせながら、そう言った。苦いと言ったうずめと、ネプギアが飲んだのは、大きなネプテューヌが渡してきた回復薬、「ネプビタンVⅡ」を飲んだからだ。その回復薬の色は、深めの緑色の液体で、いかにも苦そうなのが分かっていた。でも、おっきなねぷっちが、一気にと言ったから、ぎあっちとうずめは勇気を出して飲んだのだ。

しかし、その回復薬のネプビタンVⅡは、予想以上に苦かった。まるで、ゴーヤと納豆とシイタケを混ぜたみたいな、うずめにとっても、そしておそらく、同じように顔を苦味で崩しているぎあっちにとっても、その味は強烈なものだった。

けれど、すぐにその効果が表れてくる。さっきまで痛かったところが、すぐに痛みを感じなくなっていったのだ。

 

「けど、凄い…。傷が癒えてく…。」

 

「それに、なんだか力も更にみなぎってくるかも!これならアイツに負けないかも!」

 

先程の光樹の姿を見ていた時に感じた力の高まりが、更に増す。なんだか、疲れもどこかに行ってしまったみたいだ。

二人が元気になった所で、おっきなねぷっちは戦闘開始の合図を告げる。

 

「それじゃあ、今度こそ張り切ってボス戦いってみよー!」

 

その元気溢れる声と共に、おっきなねぷっちの両手に剣が握られる。でも、ちっちゃなねぷっちが持ってた片方にだけ刃がある刀みたいな剣じゃなく、両側に刃のある西洋の剣だ。結構大きい剣を片手で、それも両手に持つ姿に、驚きを隠せなかった。

でも、そんな間に、戦闘は始まった。

 

 

「次元の旅人、ネプテューヌ。いざ参る!」

 

 

早速、おっきなねぷっちが、おばちゃんに対して剣を振りかぶる。その攻撃は、おばちゃんの体?から生えていた腕に止められた。けど、受け止められた反動で、おっきなねぷっちは宙に舞う。その状態で、左手の大剣を粒子にして仕舞い、代わりに腰から銃を抜く。そして連射する。

ハンドガンサイズの銃から放たれた弾は、マジェコンヌの体に少なからずダメージを与えた。

攻撃を受けたマジェコンヌが舌打ちをする。

 

「ええぃ!ちょこまかと…」

 

ゆっくりとした動きで後ろに回ったネプテューヌを捉えたマジェコンヌが、前方に魔方陣を発生させる。しかし、その攻撃の前に、うずめとネプギアが両サイドから攻める。

 

「いっけぇーー!!」

 

うずめの拳にエネルギーがらせん状に集中する。ぎあっちの方の武器も、エネルギーが集中し、ビームが放たれる。ぎあっちの放つビームに、おばちゃんが怯んだ。

 

「ぬおぅ!」

 

その隙に、らせん状に集中したエネルギーを纏った拳をぶつける。何度もガリガリという音が周りに響き渡る。そして、そのままの勢いで抉り抜ける。うずめの放った「夢幻粉砕拳」で抉った部分から、爆発が起こる。

そこに間髪入れずに、何かが切られたような斬撃音がする。すると爆発を突っ切って、ネプテューヌが出てくる。その構えから、おそらくおばちゃんを切り裂いたんだと予測する。

おっきなねぷっちに注目していると、爆煙が突然晴れる。そこには後ろ側に生えた腕をおおきく振った姿で静止しているおばちゃんの姿が確認できた。おそらく、その大きな腕で起こした風で爆発の煙を振り払ったんだ。

けれど、その体は大きく上下させていた。マジェコンヌが口を開く。

 

「くそっ!調子に乗るな、小娘共ぉ!」

 

そう言い放ったマジェコンヌは腕部の先から魔方陣を展開する。全部で四つの魔方陣を展開すると、そこから大量の魔法弾が、こちらに向かって放たれる。

 

「ちょっ!こっちに!?」

 

うずめはすぐに飛び上がって攻撃を回避する。しかし、その先にも、マジェコンヌは腕の先に発生させた魔方陣を向けて攻撃を放つ。

その攻撃も回避するが、更に別の魔方陣から放たれた魔法弾がうずめに迫る。流石にそんなに攻撃されたら避けるのは無理だった。だから、左腕のシールドから、シェアのシールドを発生させて防御する。攻撃を防いだシールドから振動が何度も伝わってくる。

 

「くぅぅ…!」

 

攻撃は何とか防いでいたけど、いつまでも耐えれるかといえば、さすがのうずめでも、耐えきれる自信がなかった。今ぎあっちとおっきなねぷっちはどうなっているのかは見えなかったけど、大丈夫だろうか?

そんな心配をしたところで、突然魔法弾の弾幕が切れる。シールド越しに、おっきなねぷっちがおばちゃんに攻撃したのが見えた。なんとか怯ませてくれたのだ。

うずめへの攻撃をカットしたネプテューヌは、そのまま大剣二本による連続切りでマジェコンヌにダメージを与えていく。何度かダメージを与えたところで、ネプテューヌが下がる。その後に、細いビームが何本も地面を走った。それは、マジェコンヌの背部の腕の手の指から発射された攻撃だった。

攻撃を回避したネプテューヌは、そのままうずめの所に集まる。同じようにネプギアもうずめと合流する。

 

「うん。なかなか手ごわいね。けど、まだ勝負はここからだよ。ね、二人共!」

 

「はいっ!」

 

「まだまだ行くから、覚悟してよね、おばちゃん!」

 

三人共、強気に宣言する。これまでの攻撃だけで、うまくダメージを蓄積させることが出来ていた。おばちゃんの方も、疲れが出てきているように見える。けれど、こっちも疲れは溜まってきていた。さっきの攻撃がシェアを削り、気力を減らしたのである。

でも、こちらは三人。向こうは一人だから、勝てるはずだ。そう安心する。

息を整えたうずめを確認したネプテューヌが再び突撃しようとしたところで、その戦闘範囲の外で、光が炸裂する。

 

『!!!!』

 

その場にいた全員が、その方向を注目する。戦闘に巻き込まれないように岩陰に隠れていた海男も、何事かと顔をのぞかせる。

その光は、エクスとシュバルトゼロ・クロスの激突によるものだった。

そうだ、光樹もまだ戦ってる。新しい力を手に入れて、光樹の方も順調に戦っていた。そんな光樹に負けないようにと心に決めながら、うずめが先にマジェコンヌに攻撃を仕掛けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

光剣と光剣が互いにぶつかり合う。ビームの火花が、シュバルトゼロ・クロスとエクスの間で散らされる。先程、圧倒したように思えた状況だったが、エクスは追加武装を装着した状態でエクストリームバーストを起動し、またこちらが押される状態となっていた。

エクスがこちらを弾き飛ばすと、両手にヴァリアブル・サイコ・ライフルに持ち替え、ビームを放ってくる。その攻撃を、光樹はシールドのアブソーブシステムで受け止める。何度も放たれるビームを、シールドが吸収し続ける。

だが、突如衝撃がシュバルトゼロ・クロスを襲う。更にシールドの内部が爆発する。

 

「ぐっ!?」

 

爆発と同時に、シールドがパージされたので、爆風波受けたが腕の方にダメージはなかった。煙を払いつつ、後退すると、爆風より何かが突き抜けて飛んでくる。それは数十発のミサイルだった。

光樹は納得する。アブソーブシステムは原作ではミサイルなどの実弾、そして格闘武器に弱い。その弱点を突いて攻撃してきたのだ。以前の戦闘で見ただけでこの策を考えたのか、それとも、元からこのシステムの弱点を知っていたのか。

だが、これでシールドというこの機体唯一とも言える防御兵装はなくなった。この状態でディバイダー・ゼロシステムを使えば、防御不能の状態であの弾幕、もしくは砲撃を実体シールド無しで耐えるのは無理だ。他にも拳による連撃や火球、まだ見ていないアイオスのファンネルを防御することは出来ない。回避するにも、全てを避けるのは今までの攻防で不可能だということは分かっていた。

しばらくの間、互いに相手の手をうかがう形になる。どちらも動かない硬直状態だ。そうなると、残るのはトランザムシステムとフルバーストモードだけだ。

しかし、トランザムはおそらく相手も想定している。フルバーストモードは先程も起動したが、まだ制御が上手くいかなかった。以前の時はフルバーストモードを制御するデオキシリアシステムの本能のまま行動していたため、倒せるかもしれないが、無茶な機動でこっちが負荷で倒れてしまうかもしれなかった。先程の使用時の時点でも、かなり疲労が残っていた。しかも、このシステムもエクスに見られていたから、大体のスピードなどの性能は知られていた。

だがしかし、ここで負けるわけにはいかない。光樹はゼロにトランザムとフルバーストモードを起動させるように言う。

 

「ゼロ、トランザムとフルバーストモードで一気にケリを…」

 

『推奨しない。』

 

ここでゼロは不許可の言葉を告げる。いきなりの反対に、光樹も思わず黙り込む。

 

「………。」

 

だったら、どうしたらよいのだろうか。すると、その意見を察したように、ゼロが代わりの案を提案してくる。

 

『光樹、クロス・カップリングシステムを使うことを提案する。』

 

「カップリングシステム!?」

 

その言葉に、光樹は反応する。カップリングシステムとは、「バディ・コンプレックス」というロボットアニメの主役機が装備する、特殊システムであった。始動させることで、機体は瞬間移動ともとれるスピードを発揮、更には、敵の行動を予知できるという、凄まじいシステムだ。

だが、ここで光樹は疑問を持つ。それは、カップリングシステムは本来、二人での運用が想定されたシステムということだ。

光樹以外に、カップリングシステムを搭載した何かはいない。カップリングシステムは使えるはずはないのに、なぜゼロはそう言ったのか、光樹には理解できなかった。

ところが、続いて言った言葉に光樹は思い出すことになる。

 

『スタンドアローンなら、行ける。』

 

「スタンドアローン…そうか、完結編の!」

 

カップリング相手の必要ないスタンドアローンならば、これでも発動できる。あちらは機体そのもののシステムとリンクしていたが、こちらではどうなるのか…。

だが迷っている暇はない。エクスの方もこちらの様子をすぐにゼロに対し、起動させるように命令する。

 

「よし、いくぞ、ゼロ!」

 

『了解、「コネクティブ・シュバルトゼロ」と発言を。』

 

ゼロの言った言葉は、おそらく呼びかけ、システムを起動させるための認証の合言葉だろう。すぐにその言葉を復唱する。

 

「コネクティブ・シュバルトゼロ!」

 

『アクセプション。』

 

その言葉と同時に、脳内にあらゆる映像が流れ込んでくる。凄まじいまでの膨大な量だったが、苦しみはない。垂れ流されているだけだった。

しかし、その映像は、どこかで見たことがあるような気がしてならなかった。数多もの機動兵器と戦う光景、そして仲間の姿。一瞬の事だったので、覚えられはしなかったが、懐かしさを感じた。

それらが脳内の一瞬の出来事であったのを知ったのは、機体に衝撃と同時に変化が生じたためだった。機体の各部分…正確に言えば、頭部と肩部、そしてウイングの部分が展開される。更に変化はそれだけにとどまらない。展開した各部の噴射口から、光の翼のようなブレード状のパーツが生成される。

変形が完了したのを見て、エクスが驚きの言葉を漏らす。

 

「その姿…クロス・カップリングか!!」

 

どうやら、エクスはこのことまでも知っているようだ。もしかすると、こいつは俺の世界の出身なのでは?と思う。それも、自分と戦ったことのある。

だが、今はそんなことを気にしている暇はない。このシステムがカップリングシステムを元に開発されているのなら、当然このシステムにも制限時間を設けられているということだ。

すぐに光樹はエクスに対して急接近をかける。その動きに反応したエクスも、こちらにヴァリアブル・サイコ・ライフル、腰部のマイクロミサイル、そして左側のコンテナを射出し、腰部の物より大きいミサイル

「エクリプスクラスター」であろうものを、次々と撃ちこんでくる。

しかし、その攻撃に光樹は慌てることなく回避行動を取る。ビームが迫る途中で、体感時間がゆっくりとなる。それと同時に、敵の攻撃の数秒早い時間の光景が脳内に入ってくる。これがカップリングシステムの特徴、未来予測だ。

その未来予測により、当たりそうなビームのみを回避していく。そして、続いて来るミサイルに対しては、一気に後方へと飛び去る。その動きを追うように、ミサイルが高速で逃げるシュバルトゼロ・クロスに向かって飛んでくる。しかし、すぐにミサイルは爆発する。

 

「何っ!?なぜミサイルが…まさか、チャフ!?」

 

チャフ。主に細かい金属板による対電子戦用武器の一つだ。これを撒けば、ミサイルの追尾を振り切ったり、ミサイルを途中で爆破させることも出来る。

だが、シュバルトゼロ・クロスにそんなものは搭載されてはいなかった。それなのに、何故ミサイルは途中で爆散したのか。それは、ただシュバルトゼロ・クロスのクロス・カップリングシステムにより向上したスピードで起きた風圧と、壁を沿うように飛行したために起こった砂埃などがチャフの代わりになったためであった。

光樹自身は、スピードで追尾を振り切ったからだと思っていた。しかし、どちらにしろ、これはいい流れだった。そのままのスピードを維持し、近接戦へと移行する。それを敵も感じ取ったのか、装備をエクリプスからゼノンへと戻す。

高速で突撃する機体と、それを迎え撃つ機体。その二機が交差する。

 

 

 

 

その一瞬での攻防は、エクスが勝つ形となった。光樹が振りかぶった背部の武装、ANブラスターソードエッジを、エクスが受け止めたのだ。

エクスはシュバルトゼロ・クロスの武器を抑えたまま、拳を振るう――――

 

 

 

 

「これで…!」

 

 

 

 

その前に、光樹は動いた。

一瞬で、エクスの目の前から、その後ろへと光樹は移動する。その動きは、残像は見えたが一瞬の事だった。瞬間移動して、息が詰まりながらも、光樹はシュバルトゼロ・クロスの手を開く。

そして、開いたその手は、エクスの左肩を真横から捕らえる。

 

「馬鹿な、一瞬で…」

 

エクスが言い終わる前に、その攻撃をする。

 

『ディメンション…』

 

「バンカァァーーー!!」

 

掌と接していたエクスの左腕が、一瞬にして溶解し、爆発を起こした。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。
今回の話ではまたも新たなガンダムがエクスとの戦いに勝ちましたが、うずめ達はどうなったのかは、次のお話で明らかになります。

ジャンヌ「そうですね…。と、とりあえず、次回の投稿は水曜日で、…よろしいでしょうか?」

ジャンヌさん、そんなにキョドらないでください。こっちも内心パニくっているんですから。(;´・ω・)

レイ「二人共別にいいじゃん。割と藤和木もツイッター上ではジャンヌちゃん脱がしたことあr…」

ジャンヌ「レ、レイさんっ!!?そういうことは言わないでくださいっ!!」

レイ「ジャ、ジャンヌちゃん落ち着いてよー。そりゃあ私も藤和木に脱がされたら恥ずかしいよ?でも今回は事故だし…。」

ジャンヌ「じ、事故でも恥ずかしいんです…。」

まぁ、その話はここまでにして、次の投稿は水曜日なんですが…とある発表をいたします!

ジャンヌ「…あ。「あれ」ですか?」

そうそう、「あれ」ですよ。次回当たりの発表が丁度いいですからね。

レイ「ついに発表できるんだねっ!早く水曜日にならないかなっ?」

そんなに早く来たら私が過労死します。( ;∀;)と言うわけで。

レイ「次回も!」

ジャンヌ「お楽しみに…!」


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第58話 マジェコンヌの捕縛、エクス逃す

(二人共、行きますよ?)

ジャンヌ&レイ(はい。(うん!))


全員「祝・ハーメルン活動一周年!!」

はい、というわけで、皆様、お元気でしょうか?藤和木弘です!

レイ「今日は少し始まり方が違うよーっ!レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「今回は特別ですから…どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスですっ。」

先日5月16日に私、藤和木弘はハーメルンでの活動一周年となりましたっ!ここまで続けられて嬉しいです!

ジャンヌ「ここまで続けられたのは、皆様のおかげです。ありがとうございますっ。(ペコリッ)」

さて、今回のお話はエクス達との決着です!そして、あとがきでは、とある発表をいたします!

レイ「さぁ、そろそろ本編行ってみよー!!」


 

光樹のシュバルトゼロ・クロスがエクスの左腕を吹っ飛ばしたのと同じころ、マジェコンヌを相手にしていたネプギアたちの方も、終盤に差し掛かっていた。

 

「えい!たぁ!!」

 

ネプギアのM.P.B.Lの連撃が、マジェコンヌの体を切りつける。攻撃を受けたマジェコンヌが、すぐさま反撃に転じようとするけど、遅い。疲労のたまった攻撃は、ネプギアを捕えることはない。ネプギアは攻撃を下がって回避する。

攻撃が空ぶると、うずめさんが続いて追撃を加えに行く。

 

「てぇーりゃぁ!!グルグルぱーんち!!」

 

うずめさんの手にらせん状のエネルギーが集中する。ドリルのようになった魔力を腕に纏い、うずめさんはマジェコンヌに突撃する。ドリルパンチはマジェコンヌの背面の顔のような部分に直撃する。そして、そのままの勢いで、マジェコンヌを貫き抜いた。

マジェコンヌの背面の顔は、いくつもの抉ったような傷が出来ていた。。先程のうずめさんの攻撃した部分は損傷が特にひどく、らせん状の傷がこちらからも分かった。

その攻撃を受けて、マジェコンヌが吐き捨てる。

 

「おのれェ…!!」

 

そして、目の前に大きな魔方陣を展開する。今までの物よりも、かなり大きめの魔方陣で、三人を丸ごと飲み込むほどの大きさだった。その魔方陣に、周りの魔力が吸収されていく。

その大技の構えに、ネプギアは退こうとしたがそれは無用となる。後ろの方で待機していた大きなネプテューヌが突撃したのだ。その攻撃が放たれる前に、ネプテューヌは決める。

 

「これぞ、二刀流の神髄。」

 

魔方陣を超えて懐に飛び込んだネプテューヌさんはマジェコンヌに、その二振りの両刃剣による連続攻撃を浴びせる。

 

「がぁああ!?」

 

その攻撃を受けて、マジェコンヌは後ろに数歩下がってからうなだれる。どうやらさっきの一撃が決め手になったみたいだ。先程まではここまでの威力はなかった気がするのは、多分待機している間に、強化魔法を唱えていたからだろう。私がやうずめさんが攻撃している間、ネプテューヌさんは自身に魔法をかけている様子が見えたので、間違いないだろう。

勝利できたのを感じ取ったネプテューヌさんが、声を大にして勝利を喜ぶ。

 

「だいしょうりー!」

 

その言葉に、ネプギアたちも勝てたことを感じ取り、喜ぶ。劣勢になった時はどうなるかと思ったけれど、こうして勝つことが出来た。でも勝てたのは、支援に来てくれた大きなお姉ちゃんこと、ネプテューヌさんのおかげだろう。

一方、その様子を忌々し気にマジェコンヌは見て呟く。

 

「馬鹿な!この私が、こんなふざけた小娘如きに敗れるなど…。」

 

負けると思っていなかったマジェコンヌにとっては、これは予想外のことだっただろう。しかし、まだ油断は出来ない。なぜなら、まだ光樹さんの方の戦闘が終わってないから…と思っていると、そちらも動きを見せた。

突然、マジェコンヌと私たちの間にエクスがすべり込むようにして割って入ってくる。いきなり割り込んできたのも驚いたが、更にエクスの左側も見て、驚きは増す。エクスの左腕は、丸ごと消えており、残っているのは熱で溶けたような、肩のパーツの一部だけだった。おそらく、光樹さんの新たなガンダムの攻撃によるものだろうと、ネプギアは予想した。流石、光樹さんだ。

そう思っていると、エクスを追うように、光樹さんも横合いから私たちの前に地を滑りながら現れた。その姿は、先程の姿よりも違っていたけど、間違いなく光樹さんだった。

エクスを退けた光樹に、うずめが声を出す。

 

「光樹!そっちも終わったんだね。」

 

そのうずめさんの言葉に、光樹さんが答える。

 

「あぁ。何とかな。」

 

少し疲れていそうな声だったけど、その言葉を聞いて安堵する。これでもう障害はなくなった。

対して、マジェコンヌは、エクスのそのダメージにも驚いていた。

 

「エクス!貴様、楽に倒せるのではなかったのか!?」

 

「楽に倒せるとは言ってはいない。だが、油断した。まさか記憶を失くした黒の少年がこれほどまでとは…。」

 

「くそっ、嘘だ!このような結果など…!」

 

マジェコンヌはその事実を受け入れようとはしなかった。けれど、そこに、ネプテューヌさんが敗北の事実を宣告する。

 

「それが実際には負けちゃってるんだなー、これが!」

 

「ぐぬぬぬぬ…。」

 

その事実を突きつけられ、マジェコンヌは歯ぎしりをする。エクスも、歯ぎしりなどはしなかったけど、ジッとこちらを見返している。けど、これは私たちというのは正確には違い、ネプテューヌさんと、光樹さんに向けられているように見える。それもそのはず、二人が負けた直接の原因が、その二人によるものなのだからだ。

しばらくの間、勝利に歓喜していた四人だったけど、そこで、ネプギアたちを見ていた大きなネプテューヌが、ある事実に気づいた。

 

「あれ?もしかして、二人って女神様だったの?」

 

それは、私たちが女神だということだった。言うタイミングが遅すぎる気がするけど、そこは多分、戦闘の方に集中していて、気づかなかったということなのだろう。

それを聞いたうずめさんは変身を解き、ネプテューヌさんの質問に答える。

 

「まぁな。名乗り遅れたが、俺の名はうずめ。この国の女神だ。さっきは助かったよ。」

 

うずめさんは例を言う。その姿を見て、ネプテューヌさんが興奮する。

 

「おーっ!うずめって、普段はカッコイイんだね!」

 

「俺がかっこいいだと!?ふっ、さすがねぷっち、わかってるじゃないか。」

 

ネプテューヌさんのその感想を聞いて、うずめさんは喜ぶ。素直にカッコイイと言われたから喜んでいるんだろう。でも、うずめさん、お姉ちゃんとは同じ名前だけど、お姉ちゃん本人ではないと思います…。

そして、大きなネプテューヌは続いてネプギアの姿についても言及する。

 

「ネプギアは女神化を解くと、名前だけじゃなくて見た目もわたしとそっくりさんになるんだね。」

 

先ほどは変身していたから、元の姿が分からなかった故の言葉だった。でも、本当にネプテューヌさんは、お姉ちゃんとそっくりだ。ネプテューヌさんも、思わず願望を口にする。

 

「わたしに妹がいたらきっとネプギアみたいな子なんだろうなぁ。いいなぁ、妹欲しいなぁ。」

 

その言葉を聞いて、ネプテューヌさんが一人っ子であることを知る。でも、まさか自分を見て、自分みたいな妹が欲しいと言ってくれるなんて、少しうれしかった。

けれど、ネプギアはどう反応していいか困る。先程気になっていた、いきなり自分の姉とそっくりな人物が目の前に現れたことに、未だに納得できなかったからだ。

それを察した海男さんと変身をまだ解いていない光樹さんが、ネプテューヌさんに言う。

 

「こらこらねぷっち。ぎあっちが困っているよ。」

 

「そうだぞ。大人ネプテューヌ、少しは落ち着けって。」

 

「ごめんごめん。困らせるつもりじゃなかったんだよ?つい、浮かれちゃって…。」

 

ネプテューヌさんはこちらに対して謝ってくる。でも、確かに困ってたけど、ネプテューヌさんがいなかったら、この戦いにも勝てなかったわけで…。

でも、ネプテューヌさんの驚きは、まだ続いた。それも、驚きの反応が。

 

「っていうか、ロボットっぽくなってる君。――――――ひょっとして、黒の機械天使?」

 

「…え?」

 

その言葉に、光樹さんも戸惑う。だって、光樹さんのことを知っている人が出たのだから。

光樹さんは慌てて、そのことについて追及した。

 

「ちょっと待て、大人ネプテューヌ!過去の俺を知っているのか!?」

 

「あ、うん。ちょっと君みたいな姿をした機動戦士が女神様と一緒にきせーじょーれいと戦ったって話を聞いたことがあるんだ。」

 

きせーじょーれい。それを聞いて、私は思い出しました。

キセイジョウ・レイ。かつて、神次元と呼ばれるゲイムギョウ界を巻き込んだ事件での、黒幕でもあり、被害者でもある人だ。その時は、プルルートさんや、神次元の女神様、それにピーシェちゃんとも協力して、レイさんを止め、最後はタリの女神の力をプルルートさんや正気に戻ったレイさんの尽力で、その力は消え、事件は終幕を迎えた。

けど、先程のネプテューヌさんの話は違っていた。私たちと光樹さんは、お姉ちゃんが拾ってきた時が初めて会うはずなのに、既に光樹さんが私たち女神と会っているなんて。光樹さん程の特徴的な人、忘れているはずがないのに。

その話を聞いて、光樹も考え込むように手を顎に当たる部分に当てる。けれど、話の内容は、元の話へと戻る。

 

「あ、そういえば。このグロテスクなのと青いロボットはどうするの?マザコングとエックスって言ったっけ?」

 

大きいネプテューヌの発言に、ネプギアたちも思い出す。倒したのはいいけれども、どうするかなんて考えてすらいなかった。

その事を、そのまま口にした。

 

「どうしましょう?倒したあとのこと考えてなかったかも…。」

 

「まさか、逆転できるとは思ってなかったからな。」

 

「正直言って、敗走するか掴まるか、やられるか、って思ってたし、さて、本当にどうするか…。」

 

うずめさんや光樹さんの言う通り、先程はとにかくやられるか、もしくは倒すかということしか考えてなかった。倒した後どうするかなんてことを考える暇がないくらい、ギリギリだったので、どうすればいいかを考え始める。

すると、うずめが直球の意見を出した。

 

「けど、散々いたぶってくれた礼をするにはもってこいの展開だな。」

 

「暴力で解決するのかよ…。」

 

うずめさんの直情的な意見に、光樹さんがあまり賛成的ではないことを伝える。

ネプギアとしても、いくらこちらをしつこく狙ってきたとはいえ、あまりいたぶるというのはちょっと…という気持ちがある。

けれども、うずめさんはそのままマジェコンヌたちに言い放つ。

 

「へっへっへー。さぁーて、どんな目に合わせてやろうかぁ。俺直々にかっこよく制裁してやるから覚悟しやがれ。」

 

その言葉は、明らかに悪役の言いそうな言葉であった。女神様が言うような言葉ではない。何回も邪魔されたら、その行動はある意味正しいけれど、流石にそれはやり過ぎだ。

その言葉に、マジェコンヌも狼狽える。

 

「わ、私にはこれ以上貴様らと戦う意志はないんだぞ!それでも女神か!?女神なら女神らしく捕虜の扱いは法律に則ってだな!」

 

「法律?んなもん知らねぇよ!この国の女神は、俺だ。つまり、俺が法律だ。だから、テメェに俺が何したって法定内なんだよ!うっかり、テメェを殴り殺しても法定内での事故なら、仕方ねぇよな?あぁん!?」

 

「ぼ、暴力はいけない!」

 

必死にその制裁から逃れようと説得をするマジェコンヌの言葉には、同情する。けれど、うずめは全く許す気はなく、手をポキポキと音を鳴らす。完全に制裁を加えることしか、考えていなさそうだった。その様子はまるで一昔前のヤンキーとでも言うべき話し方だった。

 

「うずめさん、ノリノリですね。」

 

「これではまるでタチの悪いヤンキーだね…。それほど鬱憤がたまっていたのだろう。」

 

「…けど、完全に悪役キャラですよね。」

 

うずめの様子に、ネプギアと海男が苦笑いしつつその様子を眺める。これでは、どっちが悪役なのか分からなくなってくる。

マジェコンヌが怯えている一方で、エクスが冷静に言い返す。

 

「ふん。貴様の制裁など、痛くもない。」

 

「へぇ。じゃあ、エクスに対する制裁は、光樹に任せるかなー。どうだ、光樹?」

 

余裕そうなエクスを怖がらせるために光樹さんを使おうとうずめさんは思ったのだろう。よく考えると、エクスはロボットだから、私たちの方での制裁ではエクスにはあまり効かないのかもしれない。そう思うと、エクスを中破させた光樹さんがぴったりだろう。

その言葉を聞いた光樹さんは、ノリノリではない様子を見せながらも、従う。

 

「さっきのマジェコンヌの言葉って、カミーユ…って今はどうでもいいか。さて、あんまり無駄な制裁っていうのはしたくないんだけどな。…悪いけど、俺もちょっと怒ってる。だから覚悟しろよ?」

 

「出来るものなら、やってみろ。貴様は我を捕えることなど、出来ないのだからな。」

 

しかし、エクスは余裕で言い返す。まだ、この状況から逃げられると思っているのだろう。けれど、何の根拠があって?ネプギアはエクスを注視する。

と、物騒な考えが出てくる中で、話に入ってなかったネプテューヌさんが仲裁に入った。

 

「待って待って!暴力はダメだってばー。」

 

「なっ、貴様…。私を助けてくれるのか…。」

 

その後ろ姿を見たマジェコンヌが呟く。悪役も助ける辺り、お姉ちゃんらしいとは思った。けど、お姉ちゃんではないことを思い出し、違う存在であることを頭の中に置く。

そんなネプテューヌさんに対し、うずめさんが文句を言う。

 

「どけ、デッカイねぷっち。こいつだけは見逃してやる義理はねぇ。」

 

「ネプテューヌらしいな。けど、それならどうするんだ?」

 

光樹さんも、ネプテューヌさんの言葉に興味を持つ。主人公を自負するお姉ちゃんのそっくりさんだから、きっと主人公らしいこと…たとえば、仲間にしようとか、そういうことを思っているのかな?マジェコンヌを知っているお姉ちゃんだったら、そういうことはしないんだろう。けど、きっとこのネプテューヌさんはマジェコンヌを知らないから、もしかするとそういうことなのかも。

だがしかし、ネプギアの考えは、続いて語られた大きなネプテューヌの言葉によって、変えられることになった。

 

 

 

 

 

「ダメったらダメなの!このグロいのとロボットは、わたしが標本にしたり、軍隊に持ってくって決めてるんだから、だめなの!」

 

 

 

 

 

「…え。」

 

「何…だと?」

 

「…はい?」

 

その発言に、その場にいた全員が驚きを見せる。特にその対象であるマジェコンヌとエクス、それにうずめと同じようにエクスを成敗しようとしていた光樹は、声を出して唖然としている。

けれど、その発言に気にすることなく、大きなネプテューヌは自分の考えを語っていく。

 

「だって、見てよ、この紫色の羽根。如何にも毒を持っている珍しい蝶って感じだし、ぜったいレアな生物だって!それにロボットの方だって、どうやったら、あんなに姿を変えられるのか、気になる人も多いから、技術者さんに見せたら、目の色変えて解体したがるはずだよ!」

 

「た、確かに私、あの体解体したいかも!」

 

大きなネプテューヌ発言に、ネプギア自身も賛成する。

だって、あんな多彩な攻撃が出来たり、機体が発光するって、光樹さんのガンダムを調べたことのある私でも、気になっていたから!もしここで捕まえられたら、好きに解体してもいいってことだよね!もしかしたら、その時に分かった技術を使って、私も機械生命体を作れたり…!

そんな想像を膨らませるネプギアに、危険を感じたのか、光樹がしっかりするように言う。

 

「やめとけ、ネプギア!あいつを解体したら色々不幸になる!」

 

「な、なんでですか!だって、光樹さんも中がどうなってるかとか、気にならないんですか!?」

 

光樹さんの意見に、私は反対する。すると、光樹さんが、きっぱりと言い切る。

 

「ロボットの内部機構は…特にエクストリームは夢の中だけにしてくれ。俺の好きなガンダムの一体にエクストリームがいるから!頼むから身内でそんなことするやつがいると知れたら嫌がられるからやめてくれ!」

 

「は、はい…。」

 

光樹さんの勢いに負け、そう言った。でも、気になるなぁ。

とりあえず、それは保留にしておくとして、ネプテューヌさんはそれらを含めた結論を言う。

 

「だから、生きたまま標本にして、わたしのコレクションにするんだー。」

 

「ひいぃぃぃぃ!?!?!?!?」

 

「…ある意味、一番たちが悪いな。」

 

マジェコンヌは慄く。その発想に、狂気を感じたからだろう。海男さんもそう呟く。そこに、エクスが光樹さんに助けを求めた。

 

「おい、黒の少年!そんなに我のモチーフになったエクストリームが好きなら、見逃すな!?」

 

「あ、ごめん。流石に敵だから助けはしないから、助かりたかったら自分で逃げて。それから、また攻めて来たら、そうなることは覚悟しておけよ?」

 

光樹さんがそう言う。逃がすだなんて…そんなこと、うずめさんが許すだろうか?

うずめの方を見ると、うずめさんは光樹の方に怒りの表情を見せている。やはり許す気はないようだ。そのため、ネプギアは光樹に逃がさないようにと言った。

 

「だ、ダメですよ、光樹さん。ここで逃がして、また強くなって襲ってきたら…。」

 

すると、その質問にゼロさんが答えた。

 

『危険。やつはまだ力を残している。』

 

「え?」

 

言っている意味が分からなかった。力を残している?だって、エクスは失った左腕を庇って…。

そう思ってエクスの方を見ると、エクスは笑い声を出す。

 

「フフフッ。バレていたか。」

 

「あぁ、ディメンションバンカーを最大火力で撃ったのに、意外と余裕そうだったからな。」

 

まさか、笑う余裕があるなんて…。ネプギアはその姿に恐れを感じる。

そして、エクスが背部にウイングを装着し、浮き上がる。

 

「しかし、これは不利だ。今回は退かせてもらおう。マジェコンヌ、貴様は自分でなんとかするのだな。」

 

「エクス貴様、一人で逃げる気か!」

 

マジェコンヌが制止する。しかし、エクスは飛び立つ。

 

「再び会う時には、貴様らは地に付くだろう。その時まで首を洗って待っているがいい。」

 

去り際にその言葉を残して、エクスは飛び去った。

その様子を見送るだけしか、私たちは出来なかった。けれど、いつまでもそんな過ぎた相手にばかり気にしていなかった。ネプテューヌさんが、早速残ったマジェコンヌを標本にするために、行動する。

 

「そんなわけで、きゅーしゅー!えーい!」

 

その言葉を手帳のようなものを向けて言う。すると、手帳から何かを吸い込むように風が発生する。

 

「す、吸われるううぅぅぅ。」

 

マジェコンヌは、その体を小さくされながら、本へと吸われていく。

 

「わっ、すごい。マジェコンヌが小さくなりながら本に吸収されていく。」

 

そして、完全にその小さくなった体が、本に吸い込まれる。

 

「そして、最後にテープで止めたら…はい、おしまいっ、と。」

 

テープが張られ、完全に動けない状態になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

大人ネプテューヌがやったその技に、うずめが食いつく。

 

「へぇ…凄いな、この本。あんなにデカかったやつがこんなに小さくなって貼り付けられてやがるぜ。」

 

ネプテューヌが吸収した本には、確かに厚みのあるシールのように小さくなって、ノートに張り付けられたマジェコンンヌの姿が見えた。まさか、こんなことが出来るなんて、光樹も驚いていた。

しばらく眺めていると、張り付けられたマジェコンヌが驚きの声を上げる。

 

「おい、これはなんだ!この私を誰だと思っている!今すぐ解放しろ。」

 

声が高めになったマジェコンヌが、ブルブルと震えながらそう言う。その様子は、見ていて滑稽だった。ここまで小さくなると、怖さよりもむしろ可愛さが出てくる。

 

「なんか言ってますね。けど、こんなに厚さがあるんじゃ、本が閉じないんじゃないかな?」

 

「こらー!わたしを無視するなー!」

 

ネプギアのその疑問は納得できる。せっかくここまで小さくしても、本が閉じられなければ、持ち運ぶのも難しい。

すると、大人ネプテューヌが慣れたように言う。

 

「それなら、だいじょーぶ。えいっ。」

 

そう言うと、勢いよく、本を閉じた!

 

「あべし」

 

勢いよく本が閉じられたためか、マジェコンヌが奇声を上げた。まさか、そんな無理やり閉じるなんて、思ってもいなかったので、驚く。

同じく、ネプギアもそのことについて発言する。

 

「わっ、潰しちゃった。」

 

一応、閉じれたので持ち運びは問題ない。が、潰れたことでいくら敵とはいえ、マジェコンヌの身を案じてしまう。

だが

その心配は無用であることを大人ネプテューヌが言う。

 

「大丈夫大丈夫。よくわからないんだけど、こうして閉じちゃえばさっきのまま保存できる便利な本なんだ。」

 

「そうか、それなら…え、よく分からないのか?」

 

「いつもこーしてるけど、それで死んじゃったことはないから、大丈夫だよ。」

 

(死んでないなら、大丈夫か。)

 

光樹はそう思った。とりあえず、マジェコンヌはこうして捕まえることは出来た。後でどうすることも出来るなら、これでオッケーだろう。

 

「よくわからねぇけど、なんだかすげぇな。」

 

「けど、これなら持ち運びも便利だし、あとでゆっくり彼女から話を聞き出すこともできるだろう。」

 

海男もそう言った。

だが、うずめは不満そうに呟く。

 

「俺としては、ボコリ足りねぇけどな。」

 

不満を口にするうずめに対して、光樹はなだめる。

 

「まぁまぁ、そう言うなって。あまりそんな発言ばっかりしてると、女神じゃなくて不良に見えるぞ?」

 

「それだけ怒ってんだよ。特に光樹、みすみすとあのガンダムもどきを逃がしやがってよぉ。」

 

突然のうずめからの不満に、光樹はギクッ、とびくつく。やはり、逃がしたことは怒られてしまうか、と思う。

しかし、ZEROシステムから、動かない方がいいという予測をもらったため、それに従って行動したまでだ。確かに、エクスを逃がしたのはキツイ。ああは言ったが、まさか本当に逃がしてしまうとは、思ってなかった。

そこで、海男が元の目的へと話を進める。

 

「さて、それでは改めて本拠点に出発しようか。」

 

「そうだな。でっかいねぷっちも一緒に来るか?」

 

うずめも大人ネプテューヌに同行するか聞く。すると、ネプテューヌは聞き返してくる。

 

「わたしもいいの?」

 

「助けてくれたんだ、当然だ。これから一緒に来てくれると、戦力的にも嬉しいし、何か礼もしたいしな。」

 

光樹がそう言うと、大人ネプテューヌははしゃいだ声を出す。

 

「わーい、やったー!この世界に来てからずっと一人ぼっちだったから寂しかったんだよねー。それにもってた携帯食料がなくて、野垂れ死に寸前だったんだ…。」

 

そんな言葉を聞いて、光樹は少し驚く。

驚いた理由は、ここまで別世界のネプテューヌがしっかりとしていたからだ。以前光樹自身がプレイした「神次元ゲイムネプテューヌV」では、並行世界のネプテューヌはおそらくニートで自立していけないと言われていたのだ。しかし、目の前にいる、おそらく別次元のネプテューヌ(まだどこの世界出身かは知らないが。)は、携帯食料をちゃんと持ってきていて、しかも言葉も大分超次元のネプテューヌよりもしっかりとした言葉遣いで、まるで別人…。それこそ、光樹が仮称している大人という言葉にピッタリだった。

先程の言葉に、うずめが答える。

 

「なら、礼に腹いっぱい食わせてやるよ。」

 

「本当!?ありがとう!」

 

「それじゃあ、出発しようか。込み入った話は、拠点についてからだ。」

 

 

 

 

 

歩いて一時間ほどで、山の中の川沿いに、キャンプ場のような場所にたどり着く。

 

「ここが、俺の拠点だ。」

 

その言葉で、ここが本拠点ということを知る。少し長かったが、ようやく、休めるようだ。

先に進んでいくうずめ達の後を、光樹達は付いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

光樹達が本拠点に着く、三十分ほど前。比較的被害が少ない街の施設の一角に、エクスはいた。

左腕はまだ溶けたままのぶらんとさせ、若干ぶらつく。そうして歩いている内に、とある建物で足を止める。そこはエクス達がこの世界を崩壊させるための拠点だった。その中には、その左手を交換するための機材が置かれており、修理するために戻ってきたのだった。

すぐに部屋に入った所で、エクスのコンピューター内に、一本の通信が入る。通信主は、自身とマジェコンヌのそれぞれの主達であった。すぐに、エクスはその回線に出る。

 

「こちらエクス。」

 

『やぁ、エクス。どうやら黒の少年に後れを取ったようだね。』

 

男の声、自分の主の声。エクスはそれを聞いて言葉を詰まらせる。相変わらず、まるで物事を見ているかのようだった。言葉を詰まらせるエクスに対し、もう一人の声が響く。

 

『まさかマジェコンヌはおろか、君までもが引かされることになるとは、「オレ」も驚きだよ。』

 

「…申し訳ない。」

 

そう呟くと、自分の主が言う。

 

『別に謝らなくていい。君は所詮その程度なのは知っている。それよりも…』

 

その言葉が紡がれる前にこちらから言う。

 

「分かっております。次は必ず、黒の少年を討ちます。」

 

『あぁ。頼むよ。』

 

そう言って通信は切れる。

失敗は許されない。あのお方の前では、すぐに塵にされる。そのことを思いつつ、エクスは左腕を交換する。

手を動かし、接続されたのを確認する。

そして、エクスは独り言を言う。

 

 

 

 

「今度こそ黒の少年…いや、あのお方の因縁の敵を討つ…!」

 

光樹を討つことを考えながら。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




さぁさぁ、今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、お話の後に、今回は発表があります!

ジャンヌ「それは…なんと、作者・藤和木弘とわたくし、ジャンヌ・ドラニエス、そしてレイさんことレイ・オーバの三人がメインメンバーとなる、現状「新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG」の外伝を発表いたします!」



レイ「作者・藤和木弘の妄想と言う名の現実により描かれる、SSRと言う名のGの制作裏での、ちょっとした裏話…!」

タイトルは、「SSRと言う名のG外伝~藤和木弘の極めて中二病な裏話~」です!

ジャンヌ「一応藤和木の二作目となる作品になりますね。」

そうですね。しかし、とある問題が…。

レイ「ん?なんなの?」

原作がどれにすればいいか分からん\(^o^)/

ジャンヌ「へ?超次元ゲイムネプテューヌを原作にすればいいのでは…?」

そんなことしたら同じ作者さんたちにタコ殴りにされる。これネプテューヌじゃないだろって。

レイ「じゃあ、バトルスピリッツかな?」

そしたらバトスピ小説の作者さんたちに…

ジャンヌ「だったら、どうするんですか…。」

そこで私は考えた!原作を「クロスオーバー」にすれば万事解決じゃね?と…!

レイ「あー、確かにそれならバトスピとネプテューヌ混じってても問題なさそうだねっ!」

ジャンヌ「けれど、読んでいただけるのでしょうか?」

そこはまだ分からない。けど、やるならやってみせる!でも、実際私としても他の人の意見を聞きたいです。
というわけで、アンケートです。この極めて中二病な裏話…略して「のめてな」!

レイ「略し方ヒドッ!?」

ジャンヌ「どこかで聞いたような略し方ですね…。」

気にするな。この「のめてな」の原作は何がいいですか?について、今日からアンケートを行いたいと思います。詳しくは、活動報告の方に案内載せておきます。

ジャンヌ「今二つの作品を同時に進めるという今まで経験したことのないことを同時進行中の藤和木としても、かなり困っています。」

レイ「だから、一人でもアンケートに協力してほしいなっ!」

よろしくお願いします<(_ _)>
というわけで、今回はここまで!

レイ「次回の黒の館は、さっきも言ったように、少し藤和木のスケジュールが厳しいから、火曜日辺りになるよ。」

ジャンヌ「次回もよろしくお願いします。」


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黒の館 第7回 解説~シュバルトゼロガンダム・クロス~

どうも皆様、風邪で学校休んだ藤和木弘です。

ジャンヌ「夜更かししすぎです!もう…。どうも、皆様、ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「風邪うつさないでよね?どうも、レイ・オーバだよっ!」

お待たせしました。今日は黒の館第7回目です。今回はクロスの紹介です。

ジャンヌ「それでは、早速本編へ参ります。」

レイ「藤和木が早く投稿して寝ていたいんだって。」

風邪明日までに治さないと授業遅れるからね。


 

藤和木「はいはーい、皆様ごきげんよう!バトスピで切り札は「剣聖姫ツル」の戦姫デッキ、藤和木弘です!黒の館、本日も始まりますよ!」

 

レイ「みんなー、元気にしてた?バトスピで切り札は「戦国超龍 磁威駆武流無・乃刃(ジークヴルム・ノヴァ)」+「獅子星鎧レオブレイヴ」の合体(ブレイヴ)スピリット、もしくは「龍輝神シャイニングドラゴン・オーバーレイ」にアニメでもした光と闇のソードブレイヴコンボのダブル合体スピリットの8コスト星竜デッキ、レイ・オーバだよっ!」

 

ジャンヌ「どうも、皆様、ここではお久しぶりですね。バトルスピリッツでの切り札は「断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス」、もしくは「炎竜将イフリート」に「射手星鎧ブレイヴサジタリアス」+「巨蟹星鎧ブレイヴキャンサー」のダブル合体スピリットの赤緑デッキ、ジャンヌ・ドラニエスです。」

 

藤和木「いやー、やっぱりバトルスピリッツのネタで行って良かったね。」

 

レイ「ホントだよー!」

 

ジャンヌ「一回目は「ら○すた」というアニメ作品関係の始まる時のコールで行きましたが、かなり恥ずかしかったうえに、一人足りなかったため微妙でしたからね。」

 

藤和木「さて、今回もゲストが来ております。」

 

ジャンヌ「今回のゲストは、零次元にて、光樹さん達を助けて下さった、大人ネプテューヌさんにお越しいただきました。」

 

大ネプ「ミステリアスな女、ネプテューヌ、ここに参上!」

 

レイ「わぁ、ちっちゃなネプテューヌちゃんとは違って、大人っぽいかも!」

 

大ネプ「いやぁ、まさかいきなり登場したばかりなのに、ここに出してもらえるなんて、嬉しいよ。」

 

藤和木「まぁ、新キャラだし、当然と言えば当然ですからね。さて、今回の機体の紹介を!」

 

レイ「オッケー!今日の機体は「シュばりゅと」……」

 

藤和木「あれ、ひょっとして噛んで…」

 

レイ「そ、そんなわけないよっ!!こ、今回の機体は「シュバルトゼロガンダム・クロス」だよっ!!」

 

ジャンヌ「あぁ、セリフを噛んで恥ずかしがっているレイさん可愛いですわ…!」

 

大ネプ「こういう子なんだね。ジャンヌちゃんは。」

 

藤和木「まぁ、本来はそうだな。私はその時の表情が可愛いと思うんだが。」

 

大ネプ「あ、分かるかも。ちょっと危なげだけど、可愛いところ見せた時の萌えってやつだね。」

 

藤和木「分かってるじゃないですか、ネプテューヌさん。」

 

レイ「もう!私とジャンヌちゃんをいじらないでよっ!」

 

ジャンヌ「ちょ…!作者!萌えはレイさんの方でしょう?わたくしに萌えなんて、どちらかといえばクールで…」

 

藤和木「いや、どちらかというと、ヤンデレだな。( -`д-´)キリッ」

 

ジャンヌ「あれ、作者はヤンデレ苦手では…っていうか、わたくしがヤンデレ!?」

 

藤和木「いや、なんかジャンヌさん迎えてからヤンデレには慣れてきた。だって、ジャンヌさん綺麗で可愛いし。」

 

ジャンヌ「か、可愛…!こ、こんなところで言わないでください!!」

 

大ネプ「おおっ、これがデレているってことなんだね!二人共似あってるぅ~!」

 

藤和木「え、マジで。」

 

ジャンヌ「ネ、ネプテューヌさん!!」

 

レイ「…あのさ、紹介は?」

 

藤和木&大ネプ&ジャンヌ「あ、忘れてた(ました)。」

 

レイ「もー、イチャつくのもいいけど、場所をわきまえなよー。」

 

藤和木「さて、レイさんからツッコミが入った所で、本題のシュバルトゼロガンダム・クロスの説明に参りましょう!」

 

ジャンヌ「イ、イチャついてないですよ!!?むしろレイさんとイチャつきたいくらいで…」

 

 

 

 

シュバルトゼロガンダム・クロス

形式番号

SSR-VVVX-BA002X

機体解説

エクス達との洞窟内での戦闘で、稼動困難の状態であったシュバルトゼロ天から変身した、シュバルトゼロ天の後継機。

天の能力のほとんどを受け継いでいるが、無印と天の特徴であった統合特能兵装「ANヴルトガ」を失っている。ゼロ曰く、ANヴルトガは大きすぎるので使いづらかったため、オミットされたとのこと。しかし代わりに兵装が追加されていたりする。

本機体は、2014年ごろの機体で、当時のアニメ、「バディ・コンプレックス」の主人公機であるルクシオンなどが持つ特別な機能「カップリングシステム」を強化した、クロス・カップリングシステムを備える。

だが、クロス・カップリングシステムは搭載しただけであり本来のモデルは、エクスのモデルともなったエクストリームガンダム、それもレオス・アロイの搭乗するtypeレオスのそれぞれの形態をモデルとしている。劇中で使用したディメンションバンカーもゼノンフェースのシャイニングバンカーが名称のモデルであり、エクスが使った火球ことレオスショットや火柱を放つファイヤーバンカーなども撃つことが出来る。ゼノン、エクリプス、アイオスの三つの要素を不安定ながらも併せ持つため、正確に言えば、それぞれの形態のパーツ付けた「EXAフェース」をモデルにしていると言った方が良い。

本機体は、立ち位置としてはシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスの試作機とも呼べ、完成系であるシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスのための実践データ取り用の機体でもある。しかしながら、実戦を前提とした機体でもあり、しかも元々はクロスこそSSRシリーズの最後の機体でもあったはずだった。しかしながら、この時期に起こった「全日本プロテクター育成高校部隊大戦」にて機体の力不足により、本機の後継機であるゴッドクロスがクロスの予備機を元に制作されることとなった。

だが、元々武装調整をした技術者達からはこの機体の満足度は少なく、開発当時から後継機の話が想定されているなど、意外と不遇であったりする。

 

 

 

システム系

 

TRANS-AMシステム

シュバルトゼロ天にも搭載されたシステム。制限時間は粒子貯蔵量の多さ、更にはクロス・カップリングシステムの恩恵もあって伸びている。

 

T0DS-∞VVV

シュバルトゼロ天の物と同じ動力の配列システム。しかし、クロス・カップリングシステムのスタンドアローンモードの時にはこのシステムともリンクし、機体との一体化を図る。

 

BCSⅡ

シュバルトゼロの物と同じ。本機体の専用カードとして、スタンドアローンモード時の擬似人格データをカードとして内蔵しており、現在はこのデータが核となる。

 

ANフィールド

機体を覆うことで防御するAN粒子のフィールド。クロス・カップリングシステムの際に生じるエアロスケイルはこれの技術をベースに形成されている。

 

硬質残光

ルーンを固体化して形成する固体物質。踏み台としてだったり、敵を撹乱するのが目的。

本機ではクロス・カップリングシステム時にエアロスケイルを形成する主要物質として利用され、そこにANフィールドが組み合わさることで、高機動、高硬度の光の翼として運用させることが出来る。

 

VVVレイヴコア

機体のコアを兼用するルーン生成動力機関。クロス・カップリングシステム時にはこの機関とも接続することで、ルーンの生成量を増大させる。

 

ノイズドエナジークロスウイング

ウイングより発せられる、光の翼。以前のモデルであるノイズドエナジーウイングよりも進化している。具体的に言えば、クロス・カップリングシステムに合わせた調整を施されており、XCM(クロス・カップリングモード)時に機体各部から発せられるエアロスケイルはこれである。以前の物より、ANフィールド形成機能と硬質残光の技術を合わせたことで原作のコードT2ライズを行ったり、より硬い装甲を切り裂くことも可能となる程の硬度を持たせることが出来るようになった。

 

ノイズドエナジーテレポーテーション

量子化をさらに戦術的に使えるようにシステム化した機能。XCM時にこの機能を併用することで、分身にも似た同時攻撃が可能。

 

VVV-OS

情報原子ルーンの管理や、使用をサポートするOS。シュバルトゼロ天の時と同じOSが担当している。

 

ディバイダー・ゼロシステムⅤ

シュバルトゼロ天の物を強化したシステム。強化されたことで、他機のリンク系のシステムをも断ち切ることも可能となった。しかし、出力が上がり過ぎると、本機のクロス・カップリングシステムも解除されてしまう欠点も併せ持つこととなった。

 

レイヴバーストオーバーヒートモード

機体の熱量ゲージが666を超えた時に発動する限界起動モード。熱量全てを攻撃のエネルギーに転用し、一気に開放する。本機ではその後、機体は急速に冷却されるようになった。その際にはXCM時のパーツがすべて展開され、一気に熱を排出する。

 

フルノイズドエナジールーンフレーム

機体のフレーム全てを構築する、ルーンとAN粒子で形成される特殊素材のフレーム。

元来では装着者の感脳波を強化したり、感脳波を受けてAN粒子やルーンを生成していた。しかしながら、本機ではさらにクロス・カップリングシステム時の制限時間が伸びるという共振機能を持つ。

 

ブラスターシステムⅡ

シュバルトゼロ天にも搭載された限界開放システム。今のところ、光樹はこのシステムをほとんど使ってはいない。理由としては、この段階まで開放しているのにもかかわらず、未だに光樹はこのシステムの限界に耐えきれないこと、そもそもこのシステム自体が搭乗者の生命力も少しながら奪うため、むやみに使わせないためにゼロが封印しているためである。

 

カートリッジシステムMarkⅢ

増加出力、および機体と装着者への負荷効率が良くなった、カートリッジシステムの最新モデル。ゼロによると、このモデルが事実上現在の技術力での限界到達点であるとのこと。

 

トランザムレヴォリューションバースト

粒子圧縮フィールドを形成する特殊システム。しかしながら、様々な理由(主に技術面で)でこのシステム起動時にはクロス・カップリングシステムは使えない。

 

追加武装システム

肩部と背部のコネクターを利用して、同規格の武装を装着するシステム。

 

MLS

シュバルトゼロ天にも備えられている、多重ロックオンシステム。

 

森羅万象システム

攻撃した機械の制御権を奪うシステム。しかしながら、元々シュバルトゼロなどのSSRシリーズのNPは電脳空間に入り、制御を奪うことを前提としていたため、本機能はあまり使われない。しかしながら、多数の無人機との戦闘では重宝される。

 

ZEROシステムVerクロス

シュバルトゼロガンダム・クロス用に調整されたゼロシステム。ちなみにゼロシステム自体はアップデートされているが、シュバルトゼロ系全機のゼロシステムは情報が共有されているので、情報の食い違いなどはない。

クロスバージョンの特徴としては、XCM時の共振時の記憶およびデータ流動の制御を行えるようになった。

 

フルバーストモード

機体性能を向上、生存本能を最大にまで高めてより高機動な動きを実現するモード。しかしながら、XCMと同じ部分を使うため、同時併用が不可能となっている。加えて、同時使用時には異常なまでにデータが相手側に負荷として送られるため、戦闘そのものが不可能となるので使用できないようになっている。

 

デオキシリアシステム

遺伝子を元に構築された自動反応システム。このシステムもクロス・カップリングシステムに反発するため、XCMの時には自動的にオフになるようになっている。

 

アーダーグリップシステム

機体各部に内蔵式となった、ANアーダーグリップの改良型。ユニット自体はXCMのエアロスケイル発生端末として使われている。従来のアーダーグリップの機能を応用して、クロスカップリング時の同調精度を高めることが出来る。

 

ロストドライヴユニット

胸部に内蔵された、未知の動力機関。ゼロ曰く、次世代の動力機関ということだけは分かっているが、それ以上のことは分かっておらず、更には現状では全くと言っていいほど本機の動力としては成り立ってはいない。

 

PXシステム・クロス

クロス・カップリングシステムに干渉するデオキシリアシステムに代わって、XCM時の反応速度を補うシステム。脳波に合わせて、機体の反応性を上げる。

モデルはガンダムジェミナスのPXシステム。

 

クロス・カップリングシステム

本機最大の特徴でもあるシステム。本システムを搭載した機体とリンクし、それぞれの装着者の意識も同時にリンク。リンクした装着者の演算能力を統合し、反応速度向上、そして未来予測を行い、敵の動きを上回る性能を与えるシステム。

モデルはバディ・コンプレックスの機動兵器「ヴァリアンサー」の内の一部の機体に搭載されたカップリングシステム。

本家と違う点として、カップリングはどのような状況でも、必ずしもリンクするのは二人のみではないという点である。これにより、本機のカップリングは、基本的に同シリーズの機体を合わせて計四機の機体と装着者の感覚共有および強化、そして演算能力統合を行うことが出来るのである。この点は本家カップリングシステムよりも優れている。

ただし、同時に四人をリンクさせると、その分それぞれの装着者にかかる負担も比ではない。そのため基本的に二人だけでカップリングすることが推奨されている。

またカップリングシステムでは邪道とも言えたスタンドアローンモードは、本機を含めたSSRシリーズは単機行動が多いため、通常仕様として正式に設定されている。しかしながら、演算能力と感覚強化は通常のカップリングよりも性能は落ちている。

 

共振システム

本機にこっそり搭載されている、特殊駆動システム。機体の武器及び機能を付け加えたりした技術者一同もこのシステムを入れた覚えはなく、ゼロの推測では元々から機体に備わっていた機能と思われる。このシステム起動時にはノイズドエナジールーンフレームが青く染まり、機体のあらゆるエネルギー効率(例えば破壊エネルギーの効率も)が上昇する。最大時には白く染まり、とてつもないスピードで圧倒し、圧倒的破壊力で敵を殲滅すると言われている。

ここで気になるのが、なぜ、元々機体に装備されていたのか、であるが、元々NPは遺跡に眠ったりしている古代兵器と呼ばれる存在である。SSRシリーズもそれは例外ではなく、第一世代タイプのブラックエースなどもそれに当たる。そして、本機は元々のSSRシリーズのプラットフォームであるメテオ・Gと呼ばれる場所に保管されている(メテオ・Gは鈴が話題に触れている)。

発掘されたNPは現代機械の解析によって封印された機能を解除したり、目覚めた際にすぐさま機能を解放したりするタイプが存在している。SSRシリーズの二世代目以降は全て後者に当たるのだが、本機の共振システムのみは第三の方法である「自己進化」によるものである。

それらを踏まえたうえでこのシステムの元を探ると、おそらく「M3~ソノ黒キ鋼~」に登場した機動兵器「マヴェス」のLIMとの共振がモデルと思われる。しかしながら、そうなると何とリンクして機能を発揮しているのかが未だ分かっていないらしく、詳細が不明となっている。

 

 

 

 

武装

 

 

 

 

ANブラスターソードエッジ(カートリッジ7本)

元々機体背部に装備されていたANヴァリアブルアームズ系統の武器に変わって新たに装備された武装。ブラスター(銃)とソードエッジ(剣)のモードを有する。しかし、銃は持ち手が逆手になる、ガンダムの武装で言うならZⅡのメガビームランチャーのように撃つこととなる。更にはソードエッジの方は先端と後端が途中で止まっていて、斬る部分が少ない。他にも二機を合体させてビームの出力を上げたマグナムモードや大剣にしたバスターソードモード、そして端を合体させたナギナタモードを持つ。

また、主兵装から選択兵装に降格したANヴァリアブルアームズの要素としてANマインを側面に24発備える。

以上の点から、この武器は剣として扱うにも銃として扱うにもかなりの腕が問われることになる。当然、記憶を失った光樹はこれの使い方に四苦八苦しているため、専ら主武装であるこの武装は使わず、ビームサーベルや腕部そのものを殴る格闘戦か、もしくはANクロスビームボウガンⅢでの射撃戦が主となっている。

モデルは形状はGNライフルビットに持ち手を追加したようなもの。

 

ANゼロ・ソードキル

膝の部分に沿って二本装備された近接格闘戦兵装。天の物と同じであり、モードもビームソードとツインサイズを持つ。

 

ANカタナⅡ「ゼロエッジⅡ」

サイドアーマーに装備される、実体剣兵装。天から受け継がれ、強化されている。光樹自身も、以前と同じ兵装なので使いやすい兵装として認識している。しかしながら本数は二本に減っている。

モードは前の物と同じようにカタナモードとビームカタナモードに切り替えられる。

 

ANビームサーベルⅦX「フォルドシックルⅡ」

手首アーマー内に装備された格闘戦兵装。以前までのフォルドシックルシリーズの最新型。モードに新たビームナタモードが追加された。

 

ANノイズドエナジーリアクターシールド改

左腕に装備される実体の防御兵装の盾。以前の物と同じように、敵のエネルギー兵装を吸収してルーンに還元するアブソーブシステムを併せ持つ。

表面には機体熱量を利用して放つレーザー兵装、ANフレイムイレイザー「フレイム・テンペスト改」を装備する。

 

ANソードバスターエッジ

シールド裏に装備される二本の大型実体剣兵装。ANブラスターソードエッジと同じような形ではあるが、使い方が一つだけなので扱いやすい。その他、内部に圧縮粒子タンクを内蔵するため、他の機体や人に与えて使わせることも可能。

 

NANジャイアントバズーカ

ANソードバスターエッジで挟み込むようにして保持する実弾兵器。今までの物とは違い、AN粒子を一切使わないオールドウエポンと呼ばれる兵装である。弾数は7発

しかし、それは同時にAN粒子をほとんど使わずに攻撃できるということであり、武装威力も通常のバズーカよりも高い。非常に効率の良い武装である。

モデルとしてはシナンジュの使用するバズーカである。

 

ANロストジェネレーションキャノン

胸部のANロストドライヴと直結してある射撃兵装。しかしながら、直結されてはいるが前述したとおり、動力源としては機能しておらず、ANロストドライヴがこの武装の動力源として使えるのは後継機であるゴッドクロス以降となる。

 

ANZEROユニット

頭部のブレードアンテナを形成するユニット。それぞれビームソードのZEROブレードとキャノンのZEROキャノンに切り替えられる。

 

ANフレキシブルウイングバインダーユニットⅢ

背部に装備される、推進用のウイングバインダー。四枚の羽根の縁には小羽根のようにスラスターが装備されている。シュバルトゼロ天の物の後継装備。瞬発性や加速性が少しずつ上がっている。

モードとしてはXCM時のクロス・カップリングモードと硬質残光モード、そしてキャノン砲に転用するバスターモードにマントのように機体を放出する粒子で覆うマントモードを持つ。後述のドラグーンも含めて、エクストリームガンダムでいう所のアイオスフェースに当たる武装。

 

ANVドラグーンⅢ

ANフレキシブルウイングバインダーユニットⅢの内側で一枚五基ほど漂うオールレンジ端末。正四面体の端末の先端からビームを撃つ。モードは通常のオールレンジ端末として使用するドラグーンモード、フィールドを形成するフィールドモード、フルバースト時に展開するフルバーストモードを持つ。

今までの戦闘もあってか、多少はこの系統のオールレンジ端末を楽に使用できるようになってきている。

 

ANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニット

両腕部に盾のように装備するビームシールド発生ユニット。ANクロスビームボウガンⅢを格納するキャリアも兼ねている。

 

ANクロスビームボウガンⅢ(カートリッジ7本)

ANノイズドエナジーヴァリアブルビームシールドユニットに格納される固定式のビーム発生ユニット。展開時には側面ユニットのビーム発振器からビームを掃射するボウガンモード、非展開時には前門から高出力ビームを放つスマッシャーモードとビーム剣を発生させるソードモード、更に側面ビーム発振器からビームを形成したまま殴りつけるスパインモードを併せ持つ。

光樹は主に手軽に使える対大量の敵用の武器として使っている。

 

ANゼロ・ガトリングバルカン

頭部に二門ずつ、計四門を装備する対空バルカン砲。ビーム弾ではあるが、ミサイルの迎撃はおろか、超近距離で狙いが正確なら頭部などの部分的な分断やコアを撃ち抜くこともできる。

 

ANフレキシブルアームクラッシュバンカー「ディメンションバンカー」

天に装備されていたANフレキシブルアームクラッシュブレイカーⅢを元に、クロス用に調整された腕部。エクストリームガンダムの武装のうち、ゼノンフェースを想定した武装。

以前の物より、「殴る」という行動がちゃんと行えるように強度が上がっている。その分、重さも比例して重くなっている。

モードは有線で腕を飛ばすフレキシブルモード、掌のビーム発振器から形成するビームソードモード、腕部の爪を使って攻撃するクローモード、そしてメインの使い方である高熱爆砕ディメンションバンカーモードを持つ。

 

ANイカロスウエポンコンテナⅡ

機体サイドアーマーを兼ねる統合射撃兵装格納コンテナ。「そらのおとしもの」のイカロスⅡの攻撃を元にした、初代ウエポンコンテナを強化した兵装。しかしながら、コンパクト性を重視して、一部ビーム砲がモード切替で再現している。

このコンテナを含めて、エクストリームガンダムのエクリプスフェースの要素を持つ。

 

ANホーミングレーザーⅢ

コンテナを外側にスライドして出現した発振器から放たれるレーザー砲。オリジナルの永久追尾はやはりないが、追尾距離はエネルギー効率の改善で飛距離は伸びている。

 

ANプロトスタビライザービームキャノン「ヘファイストスⅡ」

コンテナ外側のスタビライザーのようになっているパーツを展開してビームを発射する多目的ウエポン。モードとして、天では絶対的破壊力を持つANサテライトボウ「アポロン」の力を再現したモードアポロンを併せ持つ。

以前よりも効率的になったような武装だが、致命的な問題が存在する。それは、武器の出力を制御できないという、兵器にあるまじき欠陥を持つのだ。設計段階では問題なかったものの、機体に搭載されたANロストドライヴユニットが機能していないのにもかかわらず干渉を引き起こすのだ。

それにより、ビームの出力が肝心な時に上がらないことや、勝手に出力が上がり続けて自滅しかねないなど、じゃじゃ馬のような武装を持つこととなった。

しかしながら、一応後にこの欠陥を解消する追加パーツが作成され、これにより、武装の出力が制御することが出来るようになり、武装として使えるようになった。なお初登場時はこの武装はロックされており、また、後の戦いではこの形態は登場することなくゴッドクロスに出番を譲ることになる。

 

 

 

追加武装

 

ノーマルパック

肩部に装備される兵装の一つ。本武装パックでは天の時に装備されていたANヴァリアブルアームズの改良型のⅢ、ANクロウ・ドラグーン、そしてANフレキシブルアームユニットを備える。

 

 

 

 

 

 

 

 

藤和木「以上がシュバルトゼロガンダム・クロスの解説です!どうです?大人ネプテューヌ。」

 

大ネプ「いやー、割としっかり考えてるんだね。でも、なんかすごくディスってるような気がするんだけど…。もうゴッドクロスの方が強いってことを強調している気がしてさ。」

 

ジャンヌ「そうですね。作者、クロスの事嫌いなんですか?」

 

藤和木「いや、好きだよ?特にANプロトスタビライザービームキャノンが未完成な部分は気に入ってますよ。」

 

レイ「どこをどうしたら好きってことに…。」

 

大ネプ「あっ!もしかして、未完成の方が完成した時の凄さを見せつけるため?」

 

レイ「えー。」

 

ジャンヌ「それは流石に…」

 

藤和木「なぜ大人ネプテューヌが知っている!?」

 

レイ「って、えええ!?」

 

ジャンヌ「事実だったんですか…。」

 

藤和木「うん、私の考えてたこととそのままの答えだよ。実際、これ以上にプロローグでも出てた「ゴッドクロス」という機体は強いですからね。」

 

ジャンヌ「それは楽しみですね。」

 

レイ「あー、ジャンヌちゃんちょっと嬉しそう!」

 

ジャンヌ「だって、自分の考えた機体が動いている部分を打っている藤和木を見るのは好き…ハッ!?」

 

大ネプ「あれ?ジャンヌってば、顔が赤くなってるよー?」

 

レイ「ホントだー!もしかして、恥ずかしいの?」

 

ジャンヌ「っ!!お、お二人共!!」

 

藤和木「まさかそんな所を見られていたとは…恥ずかしい。」

 

ジャンヌ「う、嘘です!そんなことしてません!!」

 

レイ「でも、ジャンヌちゃん最近…っていうか、作者と会ってから藤和木の事よく見てるよね。」

 

ジャンヌ「そ、そんな事ないですっ。レイさんの方が…。」

 

藤和木「あっ、そのことで思い出した。」

 

ジャンヌ「(ホッ…。)」

 

大ネプ「ん?何を?」

 

藤和木「実は、前にも言ったんですが、もう一度宣伝として。今回、私こと藤和木弘がハーメルンで活動して一周年を迎えました。そこで、それを機に、今のところはSSRと言う名のGだけの外伝として、私、ジャンヌ・ドラニエス、そしてレイ・オーバの黒の館レギュラーメンバー兼作者とアシスタントの三人を主軸にした外伝「SSRと言う名のG外伝 藤和木弘の極めて中二病っぽい裏話」を制作中です!」

 

ジャンヌ「外伝は何かの記念として更新予定の作品になります。今回はわたくしとレイさんが、どうやって藤和木と出会ったのかのお話が描かれる予定です。」

 

レイ「そこで、みんなはあの戦国フェスの新たな真実を目にする…!」

 

藤和木「投稿は私が夏休みに入ってから行いたいと思いますが…制作状況によって日時がずれます!」

 

ジャンヌ「ます。なんですね。」

 

藤和木「ぶっちゃけ言うと、専門学校の課題に四苦八苦してます。(´;ω;`)けれど、夏休みに入る少し前の出来事として描くので、間に合わせます!さて、そろそろ次回以降の予告を!」

 

大ネプ「おっ!私も言うんだね!じゃあ、行くよー。…見事マジェコンヌを捕えたうずめ達!」

 

ジャンヌ「捕えたマジェコンヌから話を聞き出そうとするうずめさん達。」

 

レイ「けれども、マジェコンヌは逃走!更にエクスも万全の状態になって、追ってきた光樹君達に再び襲い掛かる!」

 

大ネプ「さらに強化されたエクスが高らかに笑う!」

 

ジャンヌ「しかし、光樹さんのガンダムも、遂に最新機へ移行!」

 

レイ「極限の激突が、一つの物語を急速に終わりへと進める!」

 

大ネプ「次回、『新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG』!」

 

ジャンヌ「第59話、『大人ネプテューヌの話、ガールズのお風呂と機体の限界』!」

 

レイ「極限の希望が、神の名を冠したガンダムが、今目覚める!」

 

全員『解き放て、ゴッドクロス!!』

 




いかがだったでしょうか。
最後の方でも言ってますが、「藤和木弘の極めて中二病な裏話」こと、「のめてな」、もしくは「極中話」は夏ごろ公開予定です。

ジャンヌ「でも、今はSSRと言う名のGの方を中心に進めるんですよね?」

もうストックが枯渇寸前なんですよ。だから先にSSRと言う名のGの方を余裕にしないといけないのでそうなります。

レイ「そういえば、次の投稿はいつなの?」

すみません。それもあって次はまた火曜日です。

ジャンヌ「それでは皆様、また火曜日に。」

レイ「ばいばーいっ!」


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第59話 大人ネプテューヌの話、ガールズのお風呂と機体の限界

火曜日に投稿すると言ったな。あれは嘘だ。
さぁ、どうも皆様、ストックに余裕が出来たので、投稿しました、藤和木弘です。

レイ「いやー、まさか本当に月曜日に投稿できるなんて。藤和木のことだからダメかと思ったよ。レイ・オーバだよっ!」

ちょっと!レイさん酷い(´;ω;`)

ジャンヌ「藤和木がサボっていたりするからですっ。もう…。どうも、皆様、ジャンヌ・ドラニエスです。」

さぁ、お待たせしました。第59話投稿です。

レイ「今回はお風呂って入ってるねー。ひょっとしてネプギアちゃんたち裸なの?」

い、一応そうですが…。

ジャンヌ「じー…。」

大丈夫です!私あの三人をメチャメチャにしようとなんて思ってませんから!

ジャンヌ「その発言がそもそもセクハラだと思うんですが。」

えぇ!?(;゚Д゚)そうなんですか!?

ジャンヌ「なーんて、嘘ですよっ、藤和木っ。」

よ、よかった…。

レイ「ジャンヌちゃん藤和木いじるね。」

ジャンヌ「藤和木はいじりがいがありますから。さて、そろそろ本編に行った方がいいですか、藤和木。」

そうですね。では、本編へ、

レイ「レッツゴー!」


 

 

「わぁ。自然が残っているところがまだあったんですね。とっても素敵な場所。」

 

ネプギアは興味津々に周りの風景を見渡していた。まるで、自然を見るのが珍しいみたいな反応だった。ネプギアだけじゃなくて、あのロボット…ここまで来るまでの間に聞いた、「ガンダム」っていう機動兵器を身に纏って戦っていた光樹って子も、ネプギア程の反応ではなかったけど、その様子に少しばかり驚いた様子を見せていた。

けれど、よくよく考えると、私もこの世界で自然を見るのはあまりなかった気がする。「クロちゃん」に言われてこの世界に立ち寄ってみて、色々あってから今の状況に至るまで、モンスターみたいなのは多く見たけど、自然らしい生き物にもほとんど出会っていない。

そう振り返っていると、ネプテューヌ達の目の前に、ゲル状のモンスターが目の前に現れた。よく見るモンスターの一体、スライヌであった。けれど、敵意は感じていなかった。そして、そのスライヌは、うずめに対して声をかけてくる。

 

「あれ?うずめさんお帰り?」

 

スライヌはうずめが帰ってきたことを喜ぶように体をブヨブヨと上下に振るわせる。すると、それに反応したように、草木の間から、次々とスライヌが増えていく。

そうして増えたスライヌ達に対して、うずめが返事を返す。

 

「おう、お前ら久しぶりだな。ただいま。」

 

「おーい、みんなー!うずめさんが帰ってきたよー。」

 

スライヌが大声を出すと、奥の方にいたと思われるモンスター達も一斉に集まってくる。それだけじゃない。いつの間にか、後ろの方にも既にたくさんのモンスター達が集まってきていた。

 

「うずめさんと海男さんだー。」

 

「お帰りっす、うずめさん。そして、海男さんも。」

 

「あれあれ?知らない人がいるよ?」

 

次々と話し出すモンスターの姿に、ネプギアが驚く。

 

「わわっ!?なんだか沢山モンスターが出てきましたよ!?」

 

「ここは俺だけの拠点じゃなくて、こいつらの拠点でもあるからな。棲家を失ったやつらが身を寄せてるんだよ。」

 

「そうなのか?でもよく見ると、種類の違うモンスター同士、仲が良さそうに見えるし、そう見えるな。」

 

うずめの説明に、ネプギアのように警戒していた光樹が改めて見て、そう言った。

しかし、辺りを見回しただけでもモンスター達が大量に居る光景は、ネプテューヌも初めてだった。これだけいると、少し警戒心も強くなる。

そこに、海男が先程のうずめの言葉の補足をする。

 

「崩壊によって土地を失った者、凶暴なモンスターに襲われ棲家を失った者。デカブツらにより棲家を燃やされてしまった者…。みんな、うずめが助けてここに連れてきたんだ。」

 

そんな話を聞いて、わたしはうずめは優しいんだなぁ、と思った。一緒に戦っていた時は、元気いっぱいの女の子だったり、邪魔をするやつは容赦しない!って言葉が似合うような昔の不良みたいな子かなって思っていたけど、むしろ頼れる姉さんみたいで、カッコよさを求めている女の子だと今では感じる。

その海男の話に、ネプギアが食いつく。

 

「だから、こんなに沢山モンスターたちがいるんですね。そして、うずめさんも凄いです!こんなに沢山のモンスターを助けているなんて。」

 

ネプギアのうずめに対する褒め言葉は、うずめを照れさせる。

 

「お、俺は別に大したことはしてないさ。それ以上に、こいつらの方が俺の為にシェアクリスタルを探してくれたりするんだ。ホント、頭が下がるよ。」

 

うずめは謙遜する。でも、ネプテューヌもネプギアと同じように、うずめはすごいと思う。これだけのモンスターを助けるなんて、うずめの仲間を助けたいという思いが凄く伝わってくる。

その証拠に、モンスター達もうずめのことを助けてくれているのだから、お互いに助け合っているのが聞いていて分かる。

と、そこで唐突にネプテューヌの目にあるものが映った。その視線の先には、上の部分が開けられているドラム缶であった。けれども、ただのドラム缶ではない。下の方に、ドラム缶を支えるようにして石がくみ上げられていて、中心には薪だったり枝だったりがくべられているのが見える。それを見て、ネプテューヌは直感的に理解する。それが、いわゆる「ドラム缶風呂」というものであることに。

それを理解すると、ネプテューヌのテンションが上がってくる。だって、ドラム缶風呂なんて、最近はあんまりやらないレトロな風呂なのだ。一度は入ってみたいと思っていたネプテューヌとしては、入りたいと思っていた。

なので、わたしはうずめ達にそのことを確かめるようにして入る許可を求めた。

 

「ねぇねぇ、これドラム缶風呂だよね?わたし、本物みたの初めてかも!わたし、これに入ってみたーい。」

 

その事を聞いて、海男がそれに答える。

 

「大きくても、ねぷっちは相変わらずのようだね。早速だけど、君が何者なのかを話してくれないかい?お風呂はその後で、ね?」

 

ドラム缶風呂に入らせてくれるのだったら、そのくらいお安いご用だった。それに、こっちも知りたいことはたくさんあった。

早くお風呂に入りたいこともあって、ネプテューヌは話を進める。

 

「うん、いいよー。その代わり、この世界のこととか、あなたたちのこと教えてくれないかな?ずーっと一人だったから何がなんだかサッパリだったんだ。」

 

そう言って、わたしたちはそれぞれの状況について話し合い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーっ、わたし以外にもわたしがいたんだー。会ってみたいなー。」

 

お姉ちゃん…じゃなくて、ネプテューヌさんは喜びの声を上げる。その言葉に返すように、私はネプテューヌさんに先程の話…ネプテューヌさんがお姉ちゃんと違うことを再確認する。

 

「えと、じゃあ、あなたは私のお姉ちゃんとは別のお姉ちゃん、ってことでいいんですよね?」

 

「うん、そうだよ。話を聞いた感じ、ネプギアのいた世界とわたしのいた世界は違うみたいだしね。」

 

その話を聞いて、ネプギアは相槌を打つ。

さっきの話も考えると、確かにこの人は私の知るお姉ちゃんとは違うみたいだ。何より、女神ではないことがそのことを物語っている。けれども、それは同時に、むしろ女神でないのにあの強さが、流石、自分の姉とは別次元の本人だと思わされる。

その話聞いて、あることに気づく。それは、その世界では誰が女神を務めているのか、ということだ。一応、先程聞いた話によると、大きなネプテューヌの住んでいる世界も、ゲイムギョウ界であるとのことだった。それに加えて、大きなネプテューヌが住んでいた場所の名前がプラネテューヌであることも聞いたので、ますます誰がプラネテューヌの女神なのだろうかと気になって仕方がなかった。

早くも聞きたいネプギアは、早速その質問をぶつけてみた。

 

「じゃあ、その世界じゃ、お姉ちゃんじゃない女神が国を束ねているんだね。」

 

確認のような質問だったが、大きなネプテューヌはその質問に頷きつつ答える。

 

「そうそう。えと、プルなんとかって言う女神様なんだ。と言っても、元の世界より別の次元を旅している時間の方が長いから会ったことも見たこともないんだけどね。」

 

ネプテューヌさんはあっさりとそう語った。でも、あっさりと話された内容に、私は反応した。

 

「…プルなんとか?あれ?それってもしかして…」

 

ネプギアの脳裏に、ある人物の存在がよぎる。その人物は、神次元の女神様、プルルートだ。「プル」という名前も入っているし、神次元ではお姉ちゃんに代わってプラネテューヌの女神をしている。その考えは外れてはないだろう。

そのネプギアと同じ考えをしたのが、もう一人いた。

 

「ひょっとして…それプルルートか?」

 

その言葉を言ったのは、光樹であった。

ゲームでネプギアたちの戦いを見ていたなら、やっぱりそうかなとは思ったけど、予想通りそのことについて触れた。

その言葉に、大きなネプテューヌが思い出したように答える。

 

「そうそう!そんな感じの名前だよ!よく知ってるね、光樹。」

 

「神次元での戦いはよく覚えてるよ。何せ、初めてプレイしたネプテューヌのゲームだったからな。」

 

光樹さんが得意げに答える。

そんな話で盛り上がっていたけど、私はネプテューヌさんが言ったもう一つの事について問う。

 

「じゃなくて!今、色んな次元で旅をしているっていいました?」

 

そう。確かにネプテューヌさんはさっき、別の次元を旅しているという内容の話を言っていた。もしかすると、と思って聞いたのだ。

すると、ネプテューヌさんは言う。

 

「そうだけど、それがどうかしたの?」

 

「それって、もしかして好きな次元に自由に行き来できたりします?」

 

もしかすると、と興奮する気持ちを抑えつつ、そう聞く。すると、大きなネプテューヌが発する。

 

「できるよ。」

 

その言葉を聞いて、一気に心の中で喜びが弾ける。

よかった。これで帰る方法は見つかった。帰れるって安心感に、私は安心感を得る。

それは、光樹さんにも伝播する。

 

「本当か!」

 

光樹さんもあまり上げない大きな声で反応する。その反応から、驚きがよくわかる。その話を聞いていたうずめさんが、私たち二人に声をかける。

 

「よかったじゃないか、ぎあっち、光樹!まさかこんなに早く元の世界に帰れる方法が見つかるなんてラッキーだったな。」

 

早速、ネプギアは大きなネプテューヌにお願いをする。

 

「お願いがあるんですけど、私と光樹さんを元の世界に連れていってくれませんか?」

 

「方法は見つけたんだが、本に収まってるマジェコンヌと逃げたエクスのせいで水泡に帰しちまったんだ。何とか出来るか?」

 

光樹もネプギアに続いて協力を請う。すると、その話を聞いていた大きなネプテューヌが返事をする。

 

「いいよー!と、言っても次元を移動できるのはわたしじゃなくて、クロちゃんの方なんだけどね。」

 

ネプテューヌさんが言った、くろちゃんという人物に、私は注目した。クロって名前からして、犬みたいな不思議な生物なのかな?と疑問を持つ。

その話に、海男さんがそのクロちゃんがいるところについて問いかける。

 

「それで、そのクロちゃんと言うのは何処にいるんだい?」

 

未だ一度もその姿を見てないから、ネプテューヌさんとは別行動をしているのかなと感じていた。

すると、大きなネプテューヌが、困った表情を見せつつ、そのいきさつについて語る。

 

「実は、この世界に来るなり、巨人みたいなのを見かけたと思ったら、面白そうとか言って飛んで行っちゃったんだ。」

 

「巨人って言うと、ダークメガミとエクストリィムか…。あの二体を見て面白そうとか、どんな子供な思想の持主なんだ?」

 

光樹はクロちゃんさんの行動と言動に、呆れた様子を見せていた。確かにあんな巨大で凶悪な敵に対してその発言は、どうなんだろうとネプギア自身も思ってはいた。

そうしてクロちゃんさんの人物像がどんなのなのか考えている内に、海男さんが、次の行動について話を出す。

 

「なら、次の目的は決まりだね。」

 

「あぁ。ポッと出の紫ババアもぶっ倒したし、エクスは逃がしちまったけど、直すのは大変だろうし、明日からはそのクロちゃんってのを探そうぜ。」

 

うずめさんも、次にクロちゃんさんを探すことに賛成する。それに続いて、私と光樹さんも返事をする。

 

「はい!」

 

「そうだな。次はクロ探しだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後…、ネプギアとうずめ、そして大きなネプテューヌは、ドラム缶風呂でお風呂に入っていた。

 

「…ふぅ。いい湯だなぁ…。」

 

「そうですね。こうしてドラム缶風呂に入りながら見る風景も、風情があっていいですね。」

 

うずめの落ち着いた声に、ネプギアも同じく、ゆったりとした様子で返事をする。こうしてちゃんとしたお風呂に入るのはいつ以来だろうか、とネプギアは思う。

思えば、お姉ちゃんと光樹さんと一緒にこの世界に来たのも、昔のことのように感じる。早く元の世界に戻って、懐かしいお風呂にも早く入りたいなぁという考えも思いつく。

そんな感じに想像にふけっていたネプギアの耳に、うずめのとある一つの不満が聞こえてくる。

 

「…風呂に三人で入って狭くなければ、なおさらいいんだけどなぁ。」

 

うずめさんの言葉には賛成だ。ドラム缶自体、かなり入り口が狭いので三人で入るのにはきつすぎる。今も、ネプテューヌさんが上半身を外に出しつつ、風呂に入っている状態だ。

そのネプテューヌさんの隠そうともしない開放的な裸に、私は注目する。うん。私のお姉ちゃんよりも、背は高いのはよく分かったけど、それ以上に、胸が大きいのにはびっくりだ。女神化した時のお姉ちゃんのよりは小さいけれど、それでもかなりの大きさで、並行世界の同一人物とは思えなかった。

すると、大きなネプテューヌが、うずめとネプギアの先程の発言に反対する。

 

「ダメダメ!やっぱり、お風呂はみんなで一緒に入らなきゃ!これ、お約束なんだよ。このことは、ねぷのーとにしっかりと書いとかないと。」

 

ネプテューヌさんの言葉に、ネプギアは心の中で笑う。ノートに思い出を書き込むっていう考えは、お姉ちゃんに似ている。本当にノートとかに書いてるわけじゃないけど、いーすんさんに大きな戦いが終わった後に仕事で捕まった時、その事件の整理のための報告書とかで、その戦いのことをよく書いていたりするのだ。もちろん、お姉ちゃん視点での、それも面白おかしくした話だから、全然報告書になってないけど。でも、それはちゃんといーすんさんによって、女神の記録ということで保存されていたりする。実にいーすんさんらしい対応だと、その時は思っていた。

ところが、そこで少し疑問が残る。マジェコンヌと戦闘した後、そのねぷのーとは標本のように使っていることを説明してくれたはずだ。なのに、書くとは…ノートっていうくらいだから、書けるのかもしれないけれど、気になった私は、ネプテューヌさんに話を聞いてみることにした。

 

「えっ、あれって標本じゃないですか?」

 

「ねぷのーとは、ねぷのーとだよ?ノートとして書くこともできるし、何でも標本にできる便利なノートなんだ。ちなみに、標本にした相手が特殊能力持ちだと、その力の一部を自由に引き出して使うことができるんだ。」

 

その話を聞くと、どうやら先程思った通り、ノートとしても使うことは出来るみたい。更には標本として吸収した相手の能力を、限定的ながら使うことができるという。その時点で、もはやノートという域を超えて、別世界の便利端末みたいに思えてくる。

 

「凄い…。そんなノートが実在するんだ…。」

 

そんな言葉を漏らす。ネプギアとしては、そのノートを詳しく調べてみたいところだったが、今はまだあのノートが必要な状況だ。それにいくらネプテューヌさんでも、それを貸して、調べさせてもらうなんてこと、無理そうなので、調査は諦めた方が良さそうだ。

驚きを見せたネプギアに、大きなネプテューヌは更に、これまでそのノートを使ってここまでのことを語る。

 

「そのノートがあったから、クロちゃんの能力を使って、今まで色んな次元を旅してきたんだよ。けど、こうして女の子同士、仲良くお風呂に入ったのは、今回が初めてかな。いやぁ、極楽極楽ぅ…。」

 

私たちと一緒に入れたことがかなり嬉しかったようで、ネプテューヌさんは満足したことを大きく言った。と、そこでうずめさんが小さな声でこちらに声をかけてくる。

 

「………なぁ、ぎあっち。その…なんだ。…悪かったな。今ここにいない、光樹のことについてもさ。」

 

唐突の謝罪に、私は驚く。おそらく、マジェコンヌ達から逃げていた時に怒鳴ったことを言ったのだろう。けれども、こちらも謝られるのも困る。だって、本当ならあの時点で帰れたはずなのに、自分たちのわがままで、ここまで付いてきてしまっているのだ。むしろ、うずめさんの方に、こちらは迷惑をかけてしまっていて、謝らなければいけないはずなのに。きっと、光樹さんも同じことを言うはずだ。

とりあえず、ネプギアはうずめに気にしないようにと答える。

 

「まだそんなこと言ってるんですか。私は気にしてませんし、それはきっと光樹さんも同じです。そして、うずめさんが責任を感じることもないですよ。」

 

「でも、俺のせいで…」

 

「いいんです。中途半端に問題を残して帰るのもやっぱり無責任ですし。それに、結果として帰れる方法も見つかりました。私はこれで良かったと思ってます。」

 

そう言ってうずめの反論を抑える。うずめはその言葉を聞いて、納得できなさそうにしながらも、口を噤む。とても反論したそうに見える。けれど、いつまでもそんなことを気にしているのはうずめらしくないと思ったネプギアは笑顔で通す。

そうして反論を抑えたところで、聞きにくいことを、ネプギアはうずめに聞く。

 

「…けど、一緒には来てくれないんですよね。」

 

「あぁ…。せっかく誘ってくれたのにわりぃな。」

 

それを聞いて、落ち込む。やはり、うずめさんは私や光樹さんと一緒にこの世界から私たちの世界へは来てくれないようだ。でも、しょうがないことだとは思う。前にもうずめさんが言っていた通り、簡単に自分の世界を捨てることなんて出来ない。うずめさんの意見を尊重するべきだ。

 

「いいんです。無理に連れて行っても、喜んでもらえませんし。」

 

ネプギアはそう答える。けれども、やはりうずめのことが気になってしまうネプギアだった。そこで、うずめがそれを察したのか、はたまた偶然か、あることをネプギアに話す。

 

「…実はな、ねぷっちにも誘われたんだよ。ねぷっちの世界に来ないかって。」

 

「お姉ちゃんにも、ですか?」

 

ネプギアは聞き返す。まさか、自分の姉も同じことを聞いていたとは。姉妹だからってことも関係するのかもしれないが、同じように言っていたんだ、と思った。

うずめは話を続ける。

 

「あぁ、ぎあっちと同じことを気にしてくれてた。けど、こんなんでも俺は女神なんだよ。だからさ、いつかはこの国を立て直して人でいっぱいの国にして見せる。」

 

うずめさんのその話に、私は声に出さずに感動する。決して折れない意志に、心を打たれたのだ。もし私が同じ状況だったら、諦めていたかもしれない。女神であるという責任が、ここまでうずめさんを支えていることなのだろう。

感動するネプギアに対し、うずめはとある約束をする。

 

「ゼロからのスタートだが、これが俺の夢だ。叶えたら、ぎあっちの世界に遊びに行くよ。」

 

それは、いつかネプギアたちの世界に来るということだった。その嬉しい発言に、ネプギアも答える。

 

「約束ですよ?」

 

「あぁ、約束だ。その為にも、ぎあっちは俺が責任を持って元の世界に帰してやるからな。」

 

「はい。……ふふっ。」

 

「ん?どうした、いきなり笑ったりして。」

 

いきなり笑ったことに対して、うずめさんが聞いてくる。理由は、そんなことを言ううずめさんがかっこいいと思い、喜んだからだ。せっかくなので、うずめさんにそのことを伝える。

 

「今のうずめさん、カッコイイと思っちゃいました。」

 

「おっ!マジか!やっと、ぎあっちも俺のカッコよさをわかってくれたようだな!そうかそうか。やっぱ俺ってカッコイイか。」

 

「…あ、けど、カッコイイって言われて喜ぶうずめさんは可愛いかも。」

 

そんな笑い話をしながら、私たちのお風呂の時間は過ぎていく。せっかくだから、光樹さんにも、後で入ってもらいたいと思う。一人なのは寂しいかもだけど、この景色はいいものがあるから、きっと喜ぶだろう。

しばらくの間、話をしてネプギアたちは風呂から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプギア達がお風呂でわいわいと騒いでいたころ、光樹はキャンプから少し離れた森の中で、一人立っていた。その身は既に新たなガンダム、シュバルトゼロガンダム・クロスを身に纏い、戦闘状態へと入っていた。

しかしながら周りに敵はいない。そう、これは戦闘ではなかった。これは、テストであった。シュバルトゼロ・クロスの武器を把握するための。

おそらく、またエクスとの戦いは間違いなく起こるだろう。あいつとマジェコンヌを完全に倒しきらなければ、この戦いは終わらない。ならば、こちらも万全の用意をする必要がある。

だがしかし、ここでとあることを知る。それは、ゼロから知らされたことだった。

 

『光樹。腰部のANプロトスタビライザービームキャノンは使うな。あれは制御が現在できない。』

 

「……はぁ!?」

 

あまりに唐突な知らせに、光樹も声を大にする。制御が効かないとは、完全に武器としては欠陥ではないだろうか。

ところが、光樹が気づいたことが、あった。それはエクスと戦って分かったことだった。

それは、武器の性能が天よりも低い気がしたのだ。クロス・カップリングシステムは確かにすごい。高速戦闘により、エクスとの戦いでも、エクスを上回って、背後を取って、一撃を決めることが出来た。

だが、普通なら、あんな近距離で攻撃したのに腕だけが溶解、肩部が残る程度の被害だけというのに納得できなかった。

 

「なぁ、ゼロ。クロスが天より弱い気がするんだが…。」

 

そう聞いてみると、ゼロが答える。

 

『当然。クロスは天より消費エネルギーを減らしたり、制御が効きやすくするために天よりも性能は抑えられている。』

 

「なんだよ、それは…。後継機なのにモデルになった機体より弱いのか?」

 

ゼロの答えに、光樹はつっこむ。本当に性能が低いとは思っていなかった。光樹はがっかりした反応を見せる。

すると、ゼロがフォローを入れる。

 

『しかしながら、本機はクロス・カップリングシステムに特化している。クロス・カップリングシステム時には、天以上の性能を見せられる。』

 

要するに、クロス・カップリングシステムに頼れ、という発言だった。それでもやはり、光樹としてはそんなので本当に勝てるのだろうか心配になってくる。

ところがゼロは、その後すぐにとあることを進めていることを教えてくる。

 

『しかしながら、敵との決戦のため、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスの修復を急ピッチで進めている。それなら、あのガンダムも倒せる。』

 

「ゴッドクロス……?」

 

聞いたことのないガンダムの名前だった。シュバルトゼロの後継機であることは分かるが、どんな機体なのかは分からなかった。

しかしながら、その機体ならばきっとエクスも倒せるのだろう。ゼロも倒せるというのだから、間違いないはずだ。

 

「よし。じゃあそっちの修復、頼んだぞ?」

 

『分かっている。』

 

ゼロにそう声をかけた後、光樹は再び、武器の調整に戻った。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もここまで読んでいただきありがとうございます。

レイ「なんだか今回ほのぼの回かと思ったら、意外と衝撃的な事実が出てきたね。」

ジャンヌ「ゴッドクロスのことは知っていましたが、やはり、あの性能で天より性能が低いだなんて。」

でも、性能の安定性は高いから、光樹君としては使いやすいだろうな。
さて、今回はここまでで!

レイ「次回はいつなの?」

一応月曜日辺りかな?でも進みが良ければ、やっぱり6日更新の日曜日になるかな。

ジャンヌ「じゃあ、しっかりと書いてくださいね、藤和木。」

うん、頑張ります。

レイ「それじゃあ、次回もよろしくーっ!!」


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第60話 お姉ちゃんと呼んで、改修と悪魔の食べ物共

はい、どーも皆様。進みが良かったので、投稿しました、藤和木弘です。

ジャンヌ「と言っても、バトスピのデッキ調整もあって、先週と同じくらいのペースなんですけどね。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「今日は雨だけど、バトルスピリッツの大会景品の特別イラストのストームアタック手に入れたいね!レイ・オーバだよっ!」

さて、第60話、投稿です。

レイ「今回は願望が混じったタイトルが付いてるね。」

ジャンヌ「それにしても、悪魔の食べ物とは一体…?」

それは本編で明らかになります。
それでは本編へ!


 

 

「ちょっと良いですか?」

 

そんな言葉が、急にわたしに向けられて発せられる。周りのたくさんの自然と風景に夢中だった所に、そんな言葉がかけられて、すぐに後ろを振り向く。

すると、そこにいたのはネプギアだった。いきなりのことだったから、何だろうと思い、聞いてみる。

 

「ん?なーにー?」

 

「私の勝手で申し訳ないんですけど、お姉ちゃんって呼ばせてもらってもいいですか?」

 

何か真剣なことなのかなー、と思っていたところに、そんな質問が飛んできた。真面目系のネプギアだから、重要な話だと思った。そしていざ聞いてみたら、そんな質問だったので、大人ネプテューヌは笑いながらその質問に答えた。

 

「なんだ、そんなことかー。いいよ、お姉ちゃんって呼んでも。」

 

「ありがとう、お姉ちゃん。」

 

許可をもらうと、早速ネプギアは、大人ネプテューヌのことを、お姉ちゃん、と呼んでくる。

その言葉を聞いていると、なんだか本当にお姉ちゃんみたいに思えてきてしまう。自分そっくりなネプギアだからなんだろうけど、わたしとしては、それでも嬉しい。それは、言葉にも表れる。

 

「あぁ…新鮮な響き…。」

 

今までに感じたことのない、自分についてきてくれるマスコットに声をかけられるような感覚に、大人ネプテューヌは包まれる(といっても、クロちゃんもある意味マスコットなんだけど)。

気に入ったネプテューヌは、ネプギアにもう一度呼んでくれるように頼む。

 

「ねね、もう一回、呼んでくれる?」

 

「はい、お姉ちゃん。」

 

「くぅー…!いいね、お姉ちゃん!」

 

だんだんと気分が乗ってくる。すごく心にずしっと来る嬉しい気持ちが感じられる。これが歓喜するってことなんだね!

更に興に乗った大人ネプテューヌは、再びネプギアに「お姉ちゃん」と呼ぶように頼み込む。

 

「お願い、もう一回!もう一回だけ!」

 

「お姉ちゃん。」

 

先程よりも、自分に甘えてくる言葉遣いのネプギアの「お姉ちゃん」という言葉に、わたしの心は更に強く打たれる。

 

「もう一回!」

 

「お姉ちゃん。」

 

そんな返しが何度も続く。この時ネプギアは、この流れはいつ終わるのかな、と大人ネプテューヌが要求するのが終わらないだろうかと待ちわびていた。

と、そこで、唐突に光樹の声が響いた。

 

「……何してるんだ?」

 

「あっ、光樹さんお帰りなさい。」

 

「おっ、丁度いい所に!ねぇ、もう一度お姉ちゃんって呼んで!ネプギア。」

 

光樹にも、わたしの今の気持ちを理解してもらいたくて、再びネプギアに呼んでもらうように言う。けれども、そこで光樹に注意される。

 

「いや、ネプギアも収拾つかなくて困ってるっぽいから、止めてやれ。」

 

「うーん。そこまで言うなら…。けど、呼びたいときは呼んでね!」

 

「はい、お姉ちゃん。」

 

ネプギアの再び聞こえたお姉ちゃんコールに、心の中でまた喜ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

うずめのテントの中で、ネプギアは壊れたかもしれなかったNギアを解体していた。原因を調査するために、うずめからこの場所を借りたのであった。そうしてしばらくの間、カバーを開いて部品をばらしていいた。

調べていくうちに、私は溜め息をついた。

 

「…やっぱり、電源系統が壊れちゃってる。これじゃあ、使えないよ。」

 

その溜息の原因は、Nギアが壊れてしまったことにあった。動かなかったときには、まだ直せると思っていたのだが、それ以上に悪い状況であった。

 

「どうだ、ぎあっち、直りそうか?」

 

うずめがネプギアにそう聞いてくる。その質問に、はっきりと現在の状況を教える。

 

「電源系統が完全に壊れちゃって、修理は無理みたい。」

 

「繋いでた時に無理やり外しただけなのに、それだけで電源系統が壊れるのか?」

 

うずめの後に続いてやって来た光樹も、ネプギアに聞く。とりあえず、状況を説明する。

 

「はい。特に今回は世界間通信と、転送装置の制御っていう、難しい作業を同時に行っていました。そんな中で急に機械との接続を断ち切ってしまったので、それがここまで深刻になった原因だと思います。」

 

「なるほどな。重要な部分で抜いちゃったから、回線がいかれてしまったってわけか。」

 

その説明を聞いて、光樹さんは納得する。本当に緊急事態だったとはいえ、ちゃんと抜く作業さえしていれば、問題はなかったはずなんだけど。失敗してこうなっちゃうなんて、と後悔する。

 

「そっか…。代わりの部品があればいいんだけどなぁ。」

 

うずめさんがこちらを心配して声をかけてくる。そのうずめさんの言葉通り、修理に使えるパーツがあったらいいんだけど。

ところが、先程ネプギアがうずめの拠点で集めていた使えそうな機材を見たが、まだ解体していないため、使えるパーツがあるかどうかは分からない。無理に解体して見つからなかった時、また元に戻すのには骨が折れる。

けれど、そのうずめさんの言葉であることを思いつく。私たちは持っているではないか、同じような通信端末を。

早速、ネプギアはうずめにとあることを頼む。

 

「あ!それですよ、その方法がありました。うずめさん、ヴィジュアルラジオを貸してくれませんか。」

 

そう、うずめのヴィジュアルラジオだ。多少互換性があるから、今自分自身が考えている方法ができるかもしれない。

それを聞いたうずめは、嫌な方向へと想像したことを口にする。

 

「ま、まさか俺のから部品をとるなんて考えてないよな…?」

 

うずめさんは心配そうにしながら、私にそう聞いてくる。それだけ聞いていれば、普通うずめさんのヴィジュアルラジオの方からパーツを取って、直そうと思うかもしれない。それを見ていた光樹さんも、苦笑いを見せている。

けれど、私の考えていることは、違った。むしろ、その逆の発想だ。

ネプギアはうずめの心配する気持ちを失くすため、自身の考えている解決策を二人に話す。

 

「まさか。その逆ですよ、逆。Nギアの部品をうずめさんのに移植するんです。改造して欲しいって言ってましたし、ちょうどいいかも。」

 

そう、Nギアの方から、うずめさんのヴィジュアルラジオにパーツを移す。これなら、うずめさんのヴィジュアルラジオは改造出来て、こちらの通信も、データを送るため問題はない。これが、今一番の最善の策なのだ。

うずめも、そのネプギアの発想に驚く。

 

「けど、いいのか?大切なものなんだろ?」

 

「元の世界に帰ればいくつもありますから、大丈夫です。」

 

うずめの心配は、ちゃんと取り除く。実際、Nギアは元の世界には何個もある。その内の一つくらい、ここで失っても、なんら問題はない。それどころか、Nギア並みの機能を持つ端末がなければ、これから先、何かあった時に使えなければ困る。

その話を聞いていた光樹も、ネプギアの考えに納得する。

 

「そういえば、結構持ってたっけな、Nギア。それにむしろNギアから移植させた方が、機能的な不足はなさそうだな。」

 

「はい。じゃあ、早速改造始めますね。」

 

そう言ってうずめさんからヴィジュアルラジオを借りる。そして早速、それぞれの作業に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

カバーを閉め、ネジで止める。後は起動するかどうかだった。ヴィジュアルラジオの電源を入れると、画面が付く。どうやら、上手くいったみたいだ。

そこで、うずめさんと光樹さんに、改造が完了したことを伝える。

 

「できました!」

 

早速うずめにヴィジュアルラジオを返す。ヴィジュアルラジオ受け取ったうずめは、どうなったかを確認し始める。

 

「見た感じなんにも変わってないぞ?」

 

「というか、外装には手を付けなかったのか。」

 

「そうです。腕に付けるのが大きすぎても邪魔になるだけなので、なるべく中に詰め込んでるんです。Nギアの機能を100%とはいきませんでしたが、ほとんどが使えますし、基本性能だって上がってるんですよ。」

 

ネプギアは光樹のその指摘にそう答える。外装を変えて一新するという考えもあったのだが、それだと材料もいる上に時間が掛かってしまうため、それはなしということにしていた。それに、うずめさんがいきなり外装が変われば、どう操作すればいいか困ってしまうのではないか、と考えたからだ。

けれど、外装が変わらなかったことに、うずめは気にする素振りは見せなかった。それよりも、更に性能が上がったことに、感激する様子を見せていた。

 

「ホントか!?すげぇな~、ぎあっち!」

 

その目はキラキラと輝いていて、嬉しさが見て取れた。嬉しいと思ってくれたのなら、ネプギアも嬉しい気持ちになる。

 

「大切に使って下さいね。」

 

「あぁ、一生大切に使わせてもらうぜ。」

 

互いに言葉を交わして、嬉しさを分かち合うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

バンバンッ!

 

そんな音が、どこかから響く。何か、本が開かれようとして重みで閉じられるかのような音だ。

が、その音にテントの近くで眠っていた光樹達は気づくことなく、眠り続ける。

 

「おい!貴様ら起きろ!」

 

そんな誰かの声が響く。高い声ではあったが、声は小さい。必死に出しているような声だった。しかしながら、それらの音を近くで聞いたためか、大人ネプテューヌが文句をぶつける。

 

「もう、朝からうるさいよ、昆布出汁―…。」

 

「誰が昆布出汁だ!」

 

そんな言い争い(片方は寝ぼけた状態)に気づいた光樹も起き始めてくる。

 

「うっ…うるせぇ……まだ起きるには早くないか?」

 

「うるさい!…いや、今は飯だ!飯!腹が減ってたまらん。飯をよこせ。」

 

本がしゃべるように話すマジェコンヌから二人に対してそう命令してくる。本のシールみたいな状態になっているくせに、偉そうな口だった。

一応、光樹には料理の知識はあった。家でも簡易チャーハンを作ったり、ラーメンを作ったりすることもあった。だが、それくらいが作れるくらいで、なんでもは作れない。ましてや、こんなサバイバル状態なのだ。調味料なんかも少ないだろう。

その要求には、大人ネプテューヌも困った様子を見せる。

 

「え…。めんどくさいなぁ。あ、この雑草食べられそうかも。」

 

何を考えたのか、唐突にマジェコンヌに見えない位置に合った雑草のようなものを引っこ抜く。まったくのノールックだったので、何をする気か光樹にも分からなかった。

すると、大人ネプテューヌが唐突に笑顔になってマジェコンヌにその雑草を差し出す。

 

「はい、栄養たっぷりの山菜だよ。」

 

「いや、流石にそれは無理があるだろ。」

 

「貴様、いま雑草って言ったよな!?なめてんのかコラァ!?」

 

その大人ネプテューヌのあまりに無茶苦茶なごまかしに、光樹もマジェコンヌと同時にツッコむ。明らかにマジェコンヌにも聞こえるような発言をそのまま見過ごすわけにはいかなかった。むしろ、ネプテューヌのキャラ的には、ツッコんだ方が良い気がして、結果的にツッコミを入れた。しかしながら、マジェコンヌと同じことを思うことについて、嫌な気持ちはあった。なぜ、同じようにツッコミを入れてしまったのだろう。

その様子に、大人ネプテューヌが笑う。

 

「もう、光樹もそういうこと言わないでよ。そしたらマザコングに雑草食べさせれたのに。」

 

「いや、雑草を食わせるとか拷問以外何物でもないだろ…。」

 

光樹は大人ネプテューヌに対して呆れた声を出す。相変わらず、敵に対しても容赦がないのか、遊んでいるのか、よく分からない性格だ。

光樹が大人ネプテューヌに対してそう思っていたところで、突然周りに「キュゥー」という音が響く。音の発信源は、どうやら大人ネプテューヌからのようだ。

大人ネプテューヌは恥ずかしそうにしながらも、困ったような顔に再び戻す。そして呟く。

 

「うぅ…。マザコングが食べ物の話をするからお腹減ってきちゃったよ。そういえば、朝ごはんてあるのかな?」

 

どうやら、大人ネプテューヌはお腹が減っているようだ。そういえば、自分も腹が減ってきているように思える。何か食べたいとは思っていた。

 

「一応出るはずだけど。でも、ネプギア達いないな。」

 

光樹はそう発言する。光樹が起きた時には、ネプギア達はいなくなっていた。何をしにいったのだろうか、疑問に思う。

 

「それなら、朝食にしましょうか。」

 

そんな声が響く。声の主はネプギアであった。そのネプギアの発言に、大人ネプテューヌが反応した。

 

「朝ごはんあるの!?」

 

大人ネプテューヌは大きな声を上げる。余程、朝ごはんが出ることに嬉しかったのだろう。光樹としても、それはありがたかった。無理矢理起こされたので、少し腹が減っているのも気になっていた。

 

「へぇ。食材はあるのか?」

 

「はい、散歩がてらに食べられそうな山菜や野菜を採ってきたので、今うずめさんが料理してくれているところです。」

 

それを聞いて、この近くには野菜が実っていることを知る。昨日シュバルトゼロガンダム・クロスの武装をテストしていた時には気づかなかったが、意外とあの近くにも食べられる食材があったのか、と気づかされる。朝食を取ってから、少しこの辺りを詳しく見てみると面白いかもしれない。

 

「わーい、やったー!」

 

大人ネプテューヌの喜びの声がこだまする。早速三人は、朝食会場となるテントへと向かった。

 

 

 

 

「ほらよ、俺流野菜と魚の丸焼きだ。ここには食材が沢山あるからな、遠慮なく食え。」

 

うずめが持ってきた皿の上には、沢山の野菜と魚の丸焼きが載せられてきた。それらが載せられた皿が置かれる。

野菜と魚が山盛りに載せられた様子を見て、ネプギアが楽しそうに言う。

 

「わぁ、美味しそう。私、こうやって魚の丸焼き食べるの夢だったんです。はむっ。はむはむはむ…美味しい!ちょうどいい塩加減でとっても美味しいです。」

 

ネプギアが嬉しそうでよかった。一方光樹は微妙な反応をする。

 

「魚は苦手だし、野菜もそれほど好きじゃないな…。」

 

「なんだ、光樹。まさか俺の料理が食べれねぇって、言うんじゃないよな?」

 

その様子を見て、うずめがこちらに圧力をかけてくる。流石にうずめを怒らせるわけにもいかず、光樹は慌てて言い直す。

 

「い、いや。その分野菜食べるよ。魚も少しくらいなら食べるからさ。」

 

「少しでも食っとけよ?でないといざって時に力が出ないからな。」

 

「は、はい。」

 

うずめの反応を窺いつつ、魚の方を食べ進める。光樹自身が魚が苦手である理由の一つである、骨を誤って食べないように気を付けながら、魚にかぶりつき、口にする。

美味しい。確かにネプギアの言う通り、塩が程よく聞いていて、次々と口にする。それを見ていたうずめも、その食いっぷりに驚く。

 

「おおっ。よく食うじゃないか!」

 

「腹が減っているのか分からないけど、何度でもかぶりつきたくなるんだよ。それに美味しいし。」

 

「気に入ってくれてよかったぜ。ほら、もっとあるから好きなだけ食え。」

 

その言葉通り、光樹は魚と野菜を食べ進める。

一方、同じく魚に食いついていた大人ネプテューヌがある物に気づく。

 

「…ねぇ、うずめ。この串に刺さってる紫色の萎びたのってなに?」

 

うずめに自分が取ったものを聞く。それを見て、光樹は驚く。なぜなら、それは「ナス」だったからだ。

なぜナスをネプテューヌが取ったぐらいで、と思うかもしれないが、それには当然理由がある。それも、ネプテューヌファンにとっては、当たり前ともいえる理由が。

ナスといえば、ネプテューヌが最も苦手とする食べ物だ。ひとたびそれがゲームで出ると、必ずと言っていいほど嫌がる様子を見せていた。Vでは、マジェコンヌがナスの大襲撃をしたこともある程、ネプテューヌというキャラクターはナスが嫌いなのだ。

それなのに、このネプテューヌは、ナスを嫌っていない。それどころか、ナスという野菜の存在すらも知らないのだ。他のネプテューヌファンが見たなら、おそらく誰もが驚くのではないだろうか。

不思議そうにナスを見る大人ネプテューヌに、うずめが答える。

 

「ナスだ。なんだ、でっかいねぷっちはナスを食べたことがないのか?」

 

「ちょうど、新鮮で美味しそうなナスを見つけたんです。」

 

ネプギアがナスを採った時のことを話す。しかし、ネプギアは何とも思わないのだろうか?ネプギアも自分の姉がナスが嫌いなのは知っていたはずだ。それなのに、ためらいなくナスを勧めている。ひょっとすると、大人ネプテューヌがナスを知らないことから、きっとこのネプテューヌなら、ナスを食べられるのではと逆転の発想をしたのか?光樹は考え込む。

しかし、その光樹の深い考えに気に留めず、大人ネプテューヌが行動に移す。

 

「へぇ。この変なの、ナスっていうんだ。いっただっきまーす。ぱくっ!」

 

「ナ、ナスを食べ…」

 

「…あ。」

 

光樹が言葉に詰まった。そこでようやく気づいたのか、ネプギアも思わず声を発した。そして、流れは予想していた方向へ。

 

「どうだ?」

 

うずめが大人ネプテューヌに食べてみた感想を聞く。しかし、ナスを食べた大人ネプテューヌの表情は苦悶の表情へと変わる。

 

 

 

 

「おえー」

 

 

 

 

そんな悲鳴にも似た言葉と共に、ナスがネプテューヌの口から吐かれた。いきなりのことで、味を聞いたうずめの顔が驚きの表情になる。

そして、ナスを食べた大人ネプテューヌの第一声が…。

 

「な、何この食べ物!?まずいってレベルじゃないよー!?むしろ、生命の危機を感じる味と食感!?」

 

と、完全にナス嫌いになったことを言った。一応予想はしていたが、ここまではっきり嫌いとなるのは、ある意味笑えてくる。

 

「そうか?普通にうまいと思うけどな。」

 

うずめは涼しい顔でそう言った。しかし、大人ネプテューヌは否定する。

 

「いやいやいやいや!こんな黒紫の変な物体を食べるくらいなら、海男を食べたほうがマシだよ!?」

 

「海男を食べた方がマシ!?それの方が嫌だろ!」

 

大人ネプテューヌの発想に、光樹は反対する。ナスをあまり好かない光樹としても、やはり海男を食べるより、ナスを食べた方がまだマシだ。

その発言を聞いた海男も、気まずい顔をしながらそうしなくてもと言う。

 

「いや、そこでオレを食べようとしなくても…。」

 

しかし、そこからの海男は冷静だった。海男は大人ネプテューヌに大人の発言をする。

 

「いいかい、ねぷっち。君もいい年なんだから、好き嫌いせずに何でも食べなきゃダメだよ?」

 

「えー…だって、これ美味しくないんだもん。食感もグニョグニョだしゲロゲロだしぃ……。」

 

そんな海男の親っぽい発言だったが、大人ネプテューヌ本人は文句を垂れ流す。確かにナスってどう焼いてもその食感は大して変わらない。光樹もその点が気に入らず、あまり積極的に食べようとは思わなかったのだ。

 

「うぅ…。海男が口うるさいお父さんみたい。こんなの人の食べ物じゃないよぉ…。はぁ…どうしよう…。」

 

大人ネプテューヌはその悪魔の食べ物をどうしようかと考えこむ。その一方、光樹の方に、うずめからナスが手渡されていた。

 

「ほら、光樹も食えよ。」

 

「え…。いや、あの、俺もナスそんな好きじゃ……。」

 

その言葉に、うずめと海男が口をそろえて言う。

 

「何だよ。男なら食えよ。」

 

「光樹。君も男の子なんだから、ちゃんと食べなきゃだめだよ?」

 

二人の圧力が多大にかかる。逃げたかったが、逃げられるわけもない。

光樹はためらいながらも、その紫の悪魔を口にするのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。悪魔の食べ物は大人ネプテューヌと光樹君にとってのものでした。

ジャンヌ「光樹さんもかなり嫌いな食べ物あるんですね…。わたくしはあまり嫌いなものはありませんが。」

レイ「私もないよ。けど、藤和木は結構あるよね?」

ははっ。私もナスと魚は好きじゃないぜ。骨がある魚とかトラウマでしかないです。

レイ「あれ?でも川魚とかは骨とかあんまりきにならないよね。今回の話で出てきた魚って川魚だよね。」

魚を見たら、刺身にでもしなければ私の目には同じにしか見えない!

ジャンヌ「好き嫌い無くしましょうよ…。そろそろ、終わりにしますか?」

そうですね。次回の投稿は、実は日曜日が学校の検定試験の後、急いでバトスピ大会に行くので日曜投稿は体力的に無理です!なので土曜日辺りに投稿するかと思います。

レイ「じゃあ、また土曜日にっ。」

ジャンヌ「次回もよろしくお願いいたします。」


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第61話 THE拷問タイム、ネプテューヌとの連絡

はい、どうも皆様。先週の投稿の後、バトルスピリッツ大会で勝ちたいと思っていた相手に勝ちました、藤和木弘です。

レイ「ホント、今でも勝ったなんて信じられないよー!どーも!レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「勝った報告を聞いたあと、わたくしとレイさんとで藤和木に二枚目の金殻皇ローゼンベルグを買ってあげました。どうも、皆様、ジャンヌ・ドラニエスですっ。」

二人からもらったローゼンベルグは早速デッキに入りました。
さて、今回は第61話です。マジェコンヌに対する拷問だぜっ!

レイ「そ、そんなのこの小説で出していいの…?」

あはは、実際には尋問なのでこのタイトル間違っているんですけどね。

ジャンヌ「藤和木が間違えた…ということですか?」

いや、大人ネプテューヌさんが言っていたからね。今回はそれをタイトルとして採用させてもらった。
では、そろそろ本編へ。


 

 

今、光樹達は円になって一堂に会していた。ネプギアに海男、うずめ、そして大人ネプテューヌの四人と一匹だ。そして、その中心には、一冊のノートがあった。そのノートは、今はマジェコンヌを閉じ込めているノート、ねぷのーとであった。

これから何が起こるのか、この様子を見て、何か重要な会議が起こることは分かる。そして、その会議の始まりは、大人ネプテューヌの一声で始まる―――――。

 

 

「第一回!マザコング拷問会、はっじまるよー!」

 

 

まるで、イベントが始まるような始まり方だった。そう聞くと、ふざけたものなのかとも思うが、実際には違う。

しかしながら、拷問とまでひどいことはするつもりはない。語弊がないように言うと、マジェコンヌにこれまでの行動の説明をしてもらうだけだ。つまり、尋問である。ひどい言い間違いだ。

だが、大人ネプテューヌが勢いよくそう言ったので、その当の本人であるマジェコンヌが完全にその発言に恐れた。

 

「拷問だと!?」

 

「拷問ではなく尋問だよ、ねぷっち。」

 

それには海男も間違いを正す。まったく、拷問なんてことになっていたら、絶対ゲームになっていたら、確実にR-18のシーンになっていて、工事中ネプテューヌが画面を塞いでいただろう。

そんな海男の言葉に、大人ネプテューヌがそのことであることを言う。

 

「そうとも言う!」

 

「言葉の意味、全然違うよな。手を出しているか、出してないかって意味で。」

 

光樹は呆れた様子を見せて言った。ネプギアも苦笑している。

その一方、うずめはそれに気にすることなく、マジェコンヌに対して言葉をぶつけていく。

 

「さぁ、この際、洗いざらい全部答えてもらうぜ。テメェとガンダムもどきの正体と目的は何だ?」

 

「そうは言っても、ちゃんと答えるか?」

 

光樹はそんな疑問を呟く。簡単に敵である者たちに、いくら捕まったとはいえ、きちんと答えるかどうか、微妙な所だった。

しかし、それは予想外の方向へと向かう。

 

「せっかくだ、教えてやろう。エクスのことについてもな。」

 

マジェコンヌははっきりと言った。うずめの質問について答えると。

まさか、本当に答えると言うとは思わなかった。だが、嘘が混じっている可能性もある。やすやすと信じるわけにもいかない。

それでも、今はマジェコンヌからの情報でなければ、この世界がどうなっているのかが分からない。そうなると、今はマジェコンヌという、当事者に話を聞くしかなかった。

 

「へぇ、案外、素直じゃないか。」

 

うずめもそれには予想してなかったようだ。普通、敵に情報を教えるなんて、考えられないからなおさらだ。うずめの言葉も納得できる。正に「素直」という言葉だった。が、光樹としては、マジェコンヌの言った、「せっかく」という言葉に引っかかる。まるで、これでもまだ目的を達成できるとでも思っているような、そんな発言だったからだ。

実際、まだエクスが残っているのだから、余裕でいられるのもある意味理解できる。そうとなれば、おそらく、エクスがもうそろそろこちらに向かってきているのかもしれない。

そう思うと、光樹の方も気を引き締める。そうしていると、マジェコンヌがうずめ達に説明を始める。

 

「我が名はマジェコンヌ!この世界に終焉を、そして、女神に死をもたらす者だ!!」

 

散々聞かされた言葉が返ってくる。いい加減、光樹もその答えには飽きていた。そのため、光樹は真っ先にツッコむ。

 

「それは全員知ってるぞ。それ以外のことを教えろよ。」

 

「はい、知ってます。何度も、言ってますよね?」

 

ネプギアも光樹の言葉に続いてマジェコンヌにツッコミを入れる。うずめも言葉にはしていないが、うんうん、と頷いている。

 

「そんなことは今までのことで十分理解しているさ。」

 

「こ、小娘に小僧と小魚風情が…!」

 

海男の冷静な言葉もあって、マジェコンヌは悔しそうにする。おそらく、マジェコンヌとしては、もっと驚いて欲しかったのだろう。

だが、元から目的を話しているのだから、目的は大体分かるし、何回も聞かされたことなのだから、当たり前だ。実際、マジェコンヌ達と遭遇したほとんどで、マジェコンヌは先程の言葉を必ず発していた。登場した戦い全部で言っていたのだから、普通自分でも分かるだろうに、と光樹はマジェコンヌに対し、こっそりそう思う。

しかしながら、こちらの質問の仕方も良くなかったようにも思える。だって、その質問をしたのは自分太刀なのだから。こう答えが返ってきても不思議ではなかった。もっと、具体的な質問をぶつける必要があった。

すると、それを察してなのか、大人ネプテューヌが手を挙げて質問する。

 

「はいはーい!わたしマザコングにしつもーん。うずめを倒したらどうするの?」

 

それは具体的かつ、最も聞きたい質問だった。マジェコンヌはこの世界を破壊するために、うずめを狙ってきていた。うずめが倒れれば、世界は崩壊すると海男も以前語っていた。そうなると、マジェコンヌはその後、何をするつもりなのだろうか?それこそ最悪、自分の存在すらも消えかねないのに。エクスも何を考えているのか…。

 

「ふん、そんなことも聞かないと分からないのか。この世界を破壊するに決まっている。」

 

質問をした大人ネプテューヌに対し、マジェコンヌが馬鹿にしながら自身の目的を答える。その答えは、ある意味間違いない答えではあった。しかし、予想通り過ぎる上、自身の身を考えない行動に、光樹もわけが分からなくなる。

 

「マジェコンヌ。お前、かなりぶっ飛んだ考え方してるぞ、それは。」

 

光樹が、マジェコンヌにそう言った。そして、その質問をした大人ネプテューヌも光樹の言葉に関連した内容を聞く。

 

「光樹の言ってる事、わたしも思ったんだよねー。よくわからないんだよ、この世界を壊したら、マザコングも消えちゃうんじゃないの?なのになんでそんなことをしようとしてるの?」

 

この質問にどう答えるのか。光樹を含めて、ネプギア、うずめ、海男が注視する。だが、マジェコンヌから返ってきた言葉は、予想を大きく裏切る内容だった。

 

「知るかそんなもの。女神を、そして世界滅ぼすのは私の宿命だ。誰にも邪魔はさせん!」

 

「……はぁ!?」

 

光樹は思わず呆れた声をはっきりと口にした。

ありえない。破壊すると言っているのに、なぜ、破壊するのか、その行動に何の理由も持たない。その答えに、困惑する。

それは、もはや無差別殺人と同じではないか。何の意義も持たず、ただただ破壊する。これほど迷惑な存在はない。

それはエクスにも言えるのだろうか。光樹はマジェコンヌにその質問を投げかける。

 

「じゃあ、今度は俺からの質問だ。エクスは、何のためにお前と行動している?お前と同じように、この世界を破壊するためなのか?」

 

すると、その質問に対しマジェコンヌが鼻で笑いながら答える。

 

「フン。確かに私と行動は共にしている。あやつの目的もこの世界の破壊…しかし」

 

「しかし?」

 

マジェコンヌが微妙な所で答えを止める。そんな事をされたら、ものすごく気になる。しかしながら、その後の答えを、マジェコンヌはちゃんと答えた。

 

「目的は貴様、和藤光樹とその仲間の滅殺が目的だそうだ。」

 

「俺と……俺の仲間の滅殺!?」

 

その言葉に動揺する。今までの発言から、自分を狙っているような感じはしていたが、まさか、本当にエクスが自分自身を狙っているとは…。しかも、マジェコンヌの話によれば、仲間を倒すことも考えているなんて。おそらく、ネプギア達を狙っているのだろう。あんなのにネプギア達が狙われれば、あの実力なら確実にやられてしまう。それほどまでにエクスは強いと、あの時思っていた。

 

「だーかーらー!なんで自分も消えちゃうのにそういうことするのかって聞いてるの!それに、光樹の仲間をみんなやっつけちゃんだなんて。なんであの機械は光樹に執着しているの!」

 

先程までの話に対し、まとめて大人ネプテューヌがマジェコンヌに問う。その口調から、少し怒っているように思える。

しかしながら、それが引き金となったのか。マジェコンヌは口を閉ざす。

 

「ふん。我らが崇高なる目的が理解できないようなら、これ以上貴様らに語るつもりはない。」

 

その言葉と共に、マジェコンヌは黙り込んだ。

マジェコンヌの先程の発言に、光樹は考え込む。

 

(マジェコンヌは何をするつもりなんだ…。エクスも、一体何は目的だ?なぜ、エクストリィムを使ってでも、うずめと俺を狙ってくる?)

 

そんな光樹の考え、疑問はますます光樹に謎を考えさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

マジェコンヌの尋問が終わって、全員が解散してから、ネプギアはうずめの元を訪れていた。理由は、改造したヴィジュアルラジオを使いたかったからだ。

今はヴィジュアルラジオではあったが、Nギアのパーツを使ったため、ネプギアたちの世界の通信も、理論上は可能だった。今回は自分の姉やイストワールに現状を伝えるため、そしてヴィジュアルラジオの通信テストもしたかったからだ。

早速、ネプギアはうずめに貸し出しの許可を求めた。

 

「うずめさん、少しの間でいいので、ヴィジュアルラジオを貸してもらえませんか?」

 

「いいけど、何に使うんだ?」

 

うずめさんは許可を出しつつも、何に使うのかを聞いてくる。一応、使わせてもらうのだし、今回のことは隠す必要もない。だから、私はうずめさんにその理由を話す。

 

「そこにまだ動いている端末を見つけたので、いーすんさんと連絡が取れないか試してみようと思うんです。」

 

ネプギアはその端末を指さして言う。そこにはひどく汚れてはいたものの、まだ電気でわずかながら動いていた通信装置のような端末があった。その古さから、もうダメかと思っていたが、先程まだ電波は十分あったので、使えると判断していた。

それを話すと、うずめさんがこちらに頼み込む。

 

「なら、俺も一緒にいいか?話せるなら、ねぷっちとも話したいしな。」

 

うずめさんが話すというなら、きっとお姉ちゃんも話したいと思っているかも。わたしはうずめさんにオッケーを出す。

 

「いいですよ。…あ、けど、実際ちゃんと繋がるかどうか…。」

 

その言葉通り、やはりまだ、元の世界と通信が繋がるかどうかは分からなかった。

一応、いーすんさんに向けて通信を繋ぐため、いーすんさんが無事なら、通信は繋がるはずだ。けど、もう一つの問題として、元々通信していた転送施設の機器よりも、機械の性能は落ちていて、性能不足で繋がらない可能性があった。

けれども、通信をしてみないことには何も始まらない。とにかくやってみよう。そうネプギアは思った。

と、そこでうずめさんが機械のことについて話してくる。

 

「大丈夫だって。案外、野ざらしのやつの方が、しっかりしてる場合もあるしね。」

 

途中から、素のうずめの言葉が混ざってくる。何かまた妄想したのだろうか、と思っている間にもうずめは話を進める。

 

「あー、ねぷっちは今頃どうしてるかな。案外、うずめたちに会いたくて会いたくて震えてたりして。」

 

「え、えーと…。」

 

私はその答えに困る。だってお姉ちゃんって、うずめさんの思っているほど、弱気じゃないですし。あまりにもうずめさんの妄想が激しすぎている。

どう止めようかと考えていると、不意に後ろから声がかかる。

 

「どうした、ネプギア。うずめも妄想モードに入ってどうしたんだ?」

 

「あ、光樹さん。ちょうどいい所に。」

 

ネプギアは光樹に助けを求める。光樹はどうやら機体のテストから帰ってきたところだろう。早速光樹に状況を説明する。

 

「…というわけなんです。」

 

「なるほどな。ネプテューヌに連絡しようとしてうずめも一緒にネプテューヌと話したいって言ってたら、うずめのネプテューヌが今どうしているかについて妄想し始めたってことか。」

 

光樹さんは状況を理解してくれた。きちんと状況を理解してくれる光樹さんは、数少ないツッコミ要員で間違いなかった。たまにうずめさんの妄想に引き込まれちゃうときもあるけれど、今はちゃんとしてくれている。きっと、この状況を何とかしてくれるはずだ。

そうしている内にうずめさんの妄想は膨らむ。

 

「こっちの世界も悪くないって言ってたし、ひょっこりまた来たりして。」

 

その言葉に、ネプギアは少し反応する。

もし、お姉ちゃんだったら、きっと私やうずめさんを助けに行くため、すぐにでも戻ってくるだろう。例え、いーすんさんに止められたとしても、無理を言うんじゃないだろうか。

けれど、今までにネプギアの姉である女神のネプテューヌは来ていない。となると、やはりイストワールに止められた、もしくは何らかのアクシデントがあったのかもしれない。ネプギアはそう考える。

そんなことを考えている内に、うずめの妄想は膨らむ。

 

「どうしよう、そしたらダブルねぷっちじゃん。超見てみたいかもー♪」

 

「…うずめ、口調。」

 

そこで話がそれると思った光樹がうずめの妄想に頬を赤くしながらも止めに入った。それでうずめは正気に戻る。

 

「…え?あ…ごほん。」

 

うずめは光樹の顔を見てから、顔を赤くして恥ずかしがりながらも元の話題に触れる。

 

「ま、まぁ、なんだっ。物は試しって、いうし?駄目元でやってみようぜ。」

 

その話し方はどこかロボットのようにカタコトになっていた。けれど、後半になるにつれて、落ち着きを取り戻していた。

そこで話が戻ったことで、光樹さんも含めた、お姉ちゃんといーすんさんへの通信の為に私は機械とうずめさんのヴィジュアルラジオ改(ネプギア自身が付けた仮称)を繋ぎ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、無事通信は繋がった。

 

「…やった。繋がった。」

 

ネプギアは少しながらも喜ぶ。無事繋ぐことが出来たので、安心したのだ。

おそらく通信相手はいーすんさんだろう。早速、私はいーすんさんに話しかける。

 

「もしもし。私です、ネプギアです。」

 

すると、しばらくの間砂嵐だったモニターから、小さいながらもお姉ちゃんの姿が投影される。

 

『えっ、ネプギア!?良かった無事だったんだね。』

 

まさかの自分の姉が出たことに驚く。確か、イストワール宛に通信したはずだった。だが、まさか最初に出たのが姉だとは想定していたのはしていたとはいえ、少し驚く。

けれども、驚くのはまた後だ。早速ネプギアは現状を知らせる。

 

「うん。あの後、なんとか逃げ切って、今はうずめさんの本拠点にいるんだ。」

 

「ってことだ。俺もネプギアも、それにうずめと海男も全員無事だ。」

 

「心配かけたな、ねぷっち。」

 

光樹さんとうずめさんもその後に続いて無事であることについて話す。そんな無事を聞いて、ネプテューヌも安心したように言う。

 

『おーっ、光樹もうずめも久しぶりだね。そっかそっか。どうなったのか心配してたんだけど、みんな無事そうで何よりだよ。』

 

お姉ちゃんが出てくれて、本当に嬉しかった。無事に元の世界に帰れていて、ちょっと心配だったんだけど、いつものお姉ちゃんだ。そこで私は、次に挨拶すべき、そしてお姉ちゃんが代わることを待っているであろういーすんさんの方に通信を代わってもらいたいということを話す。

 

「あ、それでお姉ちゃん。いーすんさんに代わってもらえるかな?今後のことで相談がしたくて。」

 

その事を聞くと、ネプテューヌは困った様子を見せる。そんな様子を見せられたら、一体何が起こったのか、気になってしまう。それをネプテューヌも分かってか、バツの悪そうに超次元側の現状について話す。

 

『あー…。代わってあげたいのは山々なんだけど、実はいーすん、ぶっ倒れちゃったんだよね…。』

 

「ええっ!?」

 

「はぁ!?イストワールが倒れた!?何があったんだ。」

 

イストワールが倒れた。その事実にネプギアも光樹も驚きを見せる。

そんな、まさかいーすんさんが倒れていたなんて。それなら、いーすんさんが真っ先に通信に顔を出さなかったのも納得できる。

先程の光樹の質問に、ネプテューヌが答える。

 

『そっちからこっちに転送させる為に相当無茶してたみたいで、ショートしちゃったんだ。』

 

「そこまで無茶を…。これは、帰らなかったことがますます負い目になってくるな。」

 

光樹さんの言葉はうなずける。いーすんさんはそんな無茶なことを私たちに行ってきていたんだ。自分の身に大変な負荷がかかるというのに、それを実行した。私たちを元の世界に戻すために。

あの時、この世界に残ってうずめさんの力になりたいから残ると言っていたのは、むしろいーすんさんの負荷を更に大きくするという意味であったことに、私は後悔する。

そこで、ネプギアは聞きにくそうにしながらもイストワールの具合について聞く。

 

「いーすんさん、大丈夫なの?」

 

『さっき、ちょうどアップデートパッチをあてたところだから、たぶん大丈夫じゃないかな?今は、インストール中で、再起動待ちってとこかな。』

 

幸いにも、いーすんさんは今のところ復活させるためにシステムを更新しているようだ。それならきっと、時間をかければ元に戻るだろう。こうして通信していても大丈夫かな、と少し思ったけど、通信には何の問題はないし、お姉ちゃんの方からも、何かおかしいといった不具合はないみたいだ。

 

『だから、大変かもしれないけど、もうちょっとだけ我慢して。すぐにネプギアと光樹をこっちに戻す方法を見つけるからさ。』

 

「うん、わかった。」

 

ネプテューヌからの発言に、ネプギアはうなずいた。とりあえず、今は時間が必要みたいだ。

と、そこで、お姉ちゃんはこちらのことについて聞いてくる。

 

『ちなみにさ、そっちは今どんな感じなの?マザコングとかどう?』

 

「えっと、そのことなんだけど…。」

 

ネプギアは、少し長い現在の状況についての説明を始めた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

ジャンヌ「久しぶりに女神のネプテューヌさんが登場いたしましたね。あちらは確かイストワールさんにアップデートパッチを当てたところで終わっていますね。」

レイ「でもさ、私思うんだけど、これってネプテューヌちゃんが主役のゲームを原作にしてるんだよね?」

え、まぁ、うん。そうだけど?それがどうしたんですか?

レイ「今回って、ネプテューヌちゃん活躍できるの?」

それは言ってはならない!まぁ、今は活躍してないけど大丈夫だから。具体的には言えないけど!ネタバレになるかもしれないから。

レイ「あ、うん。」

ジャンヌ「さて、今日は確か、藤和木のオフィシャルパートナーのZEROKAMI AKIRA様と会うのでしたっけ?」

うん。なんかいきなり呼ばれてさ。まぁ、別にいいんだけど。問題は明日ですよ。

レイ「あー、バトスピの日と検定が被ったんだね?」

そうですよ!全く、運が悪すぎだろ!それ知った友達が「ざまぁwww」って言ってマジでおこですよ!でもまぁ、ちゃんと社会に出るために必要なことなので、ちゃんと出ますよ。
さて、今回はここまで!

ジャンヌ「では次回は金曜日辺りになりそうです。」

レイ「じゃあ、次回もよろしくねーっ!」


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第62話 情報共有、そして天使(悪魔)の囁き

はい、どうも皆様、最近青蘭学園という所でαドライバーになり、女の子達を使役しております、藤和木弘です。

ジャンヌ「そんな回りくどい言い方しないできちんとアンジュ・ヴィエルジュ始めたって言ってください。」

いやー、その方がみんな気になるでしょう?

ジャンヌ「はぁ…もういいです。…どうも、皆様。作者がアンジュ・ヴィエルジュという携帯ゲームを始めて、その様子を見る度に心がもやもやします、ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「ジャンヌちゃんのそれって、光樹にやきもちやいてるんじゃない?っていう私は私はレイ・オーバだよっ。」

ジャンヌ「…ふぇ!?レ、レイさんっ!?何を言っているんですか!?わたくしがやきもちなんて…。」

レイ「でもジャンヌちゃんが作者のアンジュをプレイしている様子を見てる時、顔怖いよ?」

ジャンヌ「そ、そんなことは…」

あー、そういえば私もたまにプレイ途中にジャンヌさんの視線が気になるからチラ見すると、なんか凄い目つきでこちらを睨み付けてますね。

ジャンヌ「嘘…わたくし、そんなに怖い顔を?…。」

あー、もう。ジャンヌさん、あとで買い物行きますか?一緒に。

ジャンヌ「は、はいっ!レイさんとも一緒に行きたいですっ!」

レイ「あ、元に戻ったねー。私もちょうど行きたいって思ってたんだよねー。」

さて、それは後にして、今は第62話の投稿です。

ジャンヌ「そうですね…!今回は、女神のネプテューヌ様との通信から始まります。」

レイ「それにしても、タイトルの後半の意味深なの何?」

ははは、文字通りですよ。さて、光樹君は打ち勝てるのか?では本編へ。


 

 

『おおーっ!マザコングとエックスを倒しちゃうなんて、さすがネプギアとうずめと光樹だよー。』

 

「まぁ、エクスは逃げちゃったけどな。」

 

『いや、それでも新しいガンダムで逃げるまで追い込んだんだから、すごいと思うなー。』

 

ネプテューヌは賞賛の声を上げる。でも、それから最も気になったことについて話に触れる。

 

『けど、それ以上にビックリなのは別次元のわたしと出会ったってことかな。それなら、わたしも帰らずにもう少しそっちにいたかったなー。』

 

もう一人の自分に会った、という話は、やっぱりお姉ちゃんとしても気になるようだ。それでも、自分も帰らなかった方がよかったという発言は、むしろ倒れてしまったいーすんさんを助けることが遅くなってしまうため、あまり言わない方がいいと思うんだけど…。

するとそこで、ネプテューヌはもう一人の大人のネプテューヌが何処にいるのかについて聞いた。

 

『ところで、そのもう一人のわたしは今いないの?』

 

「散歩してくるって出かけたきりで、まだ帰ってないな。」

 

うずめさんはその質問にそう答えた。ネプテューヌさんは、朝ごはんの後で気分を直すのも兼ねて、珍しい生き物を探しに森の方へと出かけて行ったのだ。

それと同じ時に、光樹さんも出て行ったのだが、光樹さんはたった今帰ってきていた。けれど、ネプテューヌさんはまだ帰ってきてない。まだ珍しい生き物を探しているのだろうか。少し心配になる。

その事を聞いたネプテューヌはがっかりした表情をする。

 

『なーんだ、残念。けど、次、連絡するときにいたら紹介してね。』

 

けれど、すぐに調子を戻して、次に通信した時に会わせるように約束してくる。

ネプギアとしても、大人のネプテューヌはネプテューヌ本人に会わせてみたいと思っていたので、その約束は守りたいと思った。

しばらくの間、ネプテューヌからの話が続いていたが、ネプギアからの話が、ここから始まる。

 

「それで、お姉ちゃん。そっちの世界に戻る方法なんだけど、実はこっちでも一つだけ方法が見つかったんだ。」

 

『本当!?』

 

すぐにネプテューヌが反応する。

やっぱり、お姉ちゃんとしても、私たちが自力で帰る方法を見つけたことには驚くよね。すぐに私はクロちゃんのことについて話す。

 

「うん。大きいお姉ちゃんと一緒にこの世界に来た、『クロちゃん』っていう人が、次元を超える力を持っているんだって。…ただ、今はお互いにバラバラになっちゃって、探しているところなんだけどね。」

 

『おおーっ!それは良かったじゃん!じゃあ、その人さえ見つかれば、こっちに戻ってこれるんだね!』

 

それを聞いたネプテューヌは、喜びの声を上げる。何とかこのことは伝えることは出来た。一人元の世界へ戻ってしまったネプテューヌにとって、零次元に残ってしまったネプギア達を思って、きっとイストワールをアップデートしている間にも、こっちのことについて心配してくれていたであろう。イストワールが動けない中で、この報告はネプテューヌにとっても嬉しいはずだった。

けれども、それを伝えるのが少し遅れてしまったことについて、ネプギアは謝る。

 

「ごめんね、本当はもっと早く知らせたかったんだけど…。」

 

『良いって良いって。どっちにしろ、いーすんを直さなきゃいけないしさ。』

 

その事を聞いたネプテューヌはネプギアに落ち込むことはないと声をかける。今そんな事を言っても、仕方ない。どちらにせよ、伝えることは出来たのだから、それでいいはずだ。

そこに、光樹も気にすることではないことを伝えてくる。

 

「少し遅れたぐらいじゃネプテューヌは責めないさ。むしろこうして無事なことを喜ぶのがお前のお姉ちゃんだろ?」

 

『そーそー。だから、気にすることないって!』

 

二人の言葉に、ネプギアも少し心を持たせる。そして、顔に少しだけ笑みを浮かべる。まだ不安そうだったが、それでも笑っていた。その顔に、ネプテューヌと光樹も安心したように見せる。

と、そこでお姉ちゃんが唐突にあることを言い出した。

 

『そうだ!光樹、実はこの前、光樹のことを知ってる人がいたんだよ!』

 

「何だって!?それは本当か、ネプテューヌ。」

 

光樹さんが思わず取り乱す。けど、その気持ちは分かる。だって、記憶喪失になった自分を知っている人を見つけたというのだから。

そのままお姉ちゃんは語る。

 

『うん。それも、どうやら光樹の住んでた世界の人なんだって。光樹がいる秘密組織の部隊の人の。』

 

「秘密組織……それってもしかして、「GKSWAXP」とかいう組織か?」

 

『そうそう!そんな感じの。』

 

段々と、お姉ちゃんの話は光樹さんの核心へとつながることを話す。それも、上手くいけば光樹さんが元の世界へ帰れるかもしれない方へと。

だがしかし、それは光樹との別れを意味していた。ネプギアとしても、それは少し悲しかった。けれど、光樹にとっては、元の世界へ帰ることは大事なことだ。自分が超次元へ戻ることと同じように。

そう思うと、早くここから帰らなければ。そう思った所で、光樹がその人物について聞く。

 

「それで、そいつの名前は?」

 

けど、そこで流れが変わってしまった。

 

『えーと…、あれ?……ごめん。名前忘れちゃった、テヘッ!』

 

「おいぃぃぃぃぃぃ!?!?」

 

お姉ちゃんのドジに、光樹さんが今まで見せたことの無いようなツッコミを見せた。その姿に、うずめさんも思わず大笑いだ。

 

「ぷははははは!!まさか、重要な所で、忘れちゃうなんて……ねぷっちはやっぱちげぇな。」

 

「全く……予想外過ぎて思わずツッコんじまった。」

 

『ごめん。あ、でも一応どの世界にいるのかは教えたから、たぶんあの子のガンダムなら、そっちに来るかも。』

 

「あぁ、了解だ。」

 

お姉ちゃんは落ち込む光樹さんを励ます。……あれ?今、お姉ちゃん、「ガンダム」って言わなかった?

ガンダムといえば、光樹の装着する機動兵器の名称だ。それを他の人物が装着している旨の言葉をネプテューヌが言ったことを、ネプギアは聞き逃さなかった。気になったネプギアは、すぐにネプテューヌに聞く。

 

「お姉ちゃん。今ガンダムって言わなかった?」

 

『あ、うん。実はさ、光樹を探しに来た子も、ガンダムを装着したんだ。』

 

「本当に!?」

 

『うん。いーすんのアップデートパッチをゲットできたのも、その子のおかげなんだ。』

 

「そうなんだ……。」

 

ネプギアは驚く。一応、光樹からはガンダムという機動兵器はひとつじゃないってことを聞いていたから、それは当然ではあったけれど、まさか同じ名前の機体が現れるだなんて。もしかすると、それも光樹が言っていた、「NP」と呼ばれるタイプのガンダムなのかと考える。

それはどんな機体だったのか。ネプギアは更に聞こうとしたが、そこで回線が騒がしくなる。

 

『ネプ子ー。どこにいるのー?』

 

『…っと、あいちゃんが呼んでるみたい。また何かあったら連絡ちょうだい。こっちはこっちでなんとかなるように動いてみるからさ。それじゃあねー。』

 

「…切れちゃった。」

 

それで通信が切れてしまった。おそらく、アイエフさんから呼ばれたからだろう。でも、わざわざ切らなくてもよかったんじゃ…?

そのようにネプギアは思った。一方、うずめはネプテューヌの様子を見て言った。

 

「相変わらず、ねぷっちはねぷっちだったな。」

 

うずめの言葉は、間違ってはいなかった。相変わらずの様子に、ネプギアもなんだか笑ってしまう。だが、そうとなれば、こちらも色々と行動しなければ。光樹もそれについて述べる。

 

「とりあえず、さっきのネプテューヌの言葉にも期待しつつ、俺達はクロちゃんってやつを見つけよう。」

 

「そうですね。……そういえば、光樹さん。大きいお姉ちゃんが言ってたこと、お姉ちゃんに聞かなくてよかったんですか?」

 

「いや、言おうと思ったんだが、その前に回線が切れたからな。」

 

「あ……そうだったんですね。」

 

光樹が姉に神次元の戦いの時のこと聞けなかったことに対し、ネプギアはそう呟いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、うずめ。今日のお昼ごはんはなーにー?」

 

大人ネプテューヌが、うずめに昼ご飯のことについて聞く。先程歩き回ったいたから、もう腹が減ったのだろうか。

まさか、もう早くも昼ごはんのことについて話すなんて、と光樹は驚く。うずめも笑って答える。

 

「朝飯食ったばかりなのに気の早いやつだな。」

 

「だって、気になるんだもん。」

 

「ははは。確かに俺も気になるな。うずめ、メニューは何になるんだ?」

 

ネプテューヌにつられて気になった光樹がうずめに聞く。すると、うずめは少し考えてから、話し始める。

 

「そうだな…。ぎあっちが採ってきた野菜や果物がまだ残ってるから、それを食いきらないとな。」

 

なるほど。しばらくは今日の朝と同じように野菜と果物がメインになるのか。光樹はふーん、と納得する。と、そこにネプギアが申し訳ないように話に入ってくる。

 

「ごめんなさい、まさかこんなところに食材があると思わなくてつい…。」

 

だが、こんな状況で同じようなものにならないわけはない。むしろ、食べ物があるだけましだと光樹は考えた。しかし、それは同時に、また自分の苦手な食べ物が続くという意味だった。あまり光樹としても、野菜は体にいいとはいえ、苦手なため食べたくはなかった。

うずめの言葉には、大人ネプテューヌもやはり反応する。

 

「てことは、お昼もナスなの!?」

 

大人ネプテューヌは嫌がる様子を見せる。それを見た海男が、大人ネプテューヌに言い聞かせる。

 

「ねぷっちはこの機に好き嫌いを直したらどうだい?焼きナスが口に合わなくても、他の料理方法なら案外食えるかもしれないよ。」

 

海男としては、大人ネプテューヌの好き嫌いを改善させたいと思っての発言だろう。

好き嫌いを直すことは別に悪いことじゃない。だが、どうしても、ネプテューヌというキャラクターの、ナス嫌いを克服するというのは、どうも無理な気がする。女神として見た目よりも長い時代生きてきた存在が、長年嫌っている物を食べられるようになるのは無理だろう。そして、それはおそらく同じ存在である大人ネプテューヌも同じはずだ。昔何かの作品で見た、姿かたちの似た同一存在は、似た性質を持つというものに合致するだろう。

そして、大人ネプテューヌは予想通りの言葉を連発する。

 

「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理。」

 

完全に拒否する反応を見せて、大人ネプテューヌは逃げた。その様子に、海男が呆れる様子を見せる。

 

「全く……あんなに嫌がることはないだろうに。」

 

「…お姉ちゃん、やっぱり心底嫌そう。」

 

ネプギアも苦笑いする。まぁ、仕方がないだろう。もしネプテューヌがナスを食べられるようになったなら、光樹も驚いていただろう。だが、それは同時にネプテューヌというキャラクターを壊してしまう気がする。

そういう意味で言うなら、これはある意味正解の対応なのだろうか。

そんな感じで、大人ネプテューヌはテントの方へと逃げ、光樹達は各々のすべきことをするために解散したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし……また野菜と魚かぁ……あんまり食べたくない。」

 

やはり、光樹もまた野菜と魚を食べるのには問題はあった。何せ、自分の苦手な食べ物を二回連続で食べさせられるのは、嫌だった。まぁ、野菜はそこそこだが。人間誰だって、嫌いなものを好き好むということは不可能である。

どうにかして魚と野菜の焼き物セットは回避したかった。だがしかし、この食べ物も手に入りづらい世界で、食べ物を食べずに捨てるというのはダメだろう。それに、せっかくうずめやネプギアが作ってくれるというのに、それを邪魔するようなことをするのは気が引ける。二人もちゃんとみんなに食べてもらいたいはずだ。

そう考えると、ますますどうすればいいかについて考え込む。誰か、うずめとネプギア、それに海男以外でそれらを食べてくれる人物はいないだろうか?

すると、突然、声が響く。

 

 

『……きこえますか…きこえますか…。』

 

「!!っつ、誰だ?」

 

いきなり脳内に響いた声に、光樹はびっくりして体を震わせる。他の人から見れば、それは奇行とも思える反応だった。

そんな反応を見せた光樹は、辺りを見回す。しかし、周りには何も見えない。脳内から響いたということで、どこか遠い所にいるのだろうということは、分かるかもしれない。だが、誰かいるのかもしれないということで周りを確認したのだ。

そう驚いて見渡していると、また声が響く。

 

『天の声です…今…あなたの…心に…直接…呼びかけています…嫌いな物を…無理して…食べる必要は…ありません…。』

 

そんな途切れ途切れの言葉が何処からともなく、脳内に響く。その話の内容は、光樹も願っていたことだった。

ただ、それならどうすればいいのか?俺はそう思う。そう思っていると、それを察したように先程の天の声とやらがこちらに語り掛けてくる。

 

『あなたが…することは…嫌いなものを処分すること…ですが、食べ物を粗末にすることは…いけないことです…。』

 

「なら教えてくれ。どうすればいいんだ?」

 

光樹は質問する。すると、天の声は答える。

 

『マジェコンヌです…マジェコンヌに…嫌いな食べ物を食べさせて処分しましょう…。そうすれば…食材を捨てることには…なりません…。』

 

「なるほど!確かにそれなら俺も苦しい思いはしないし、マジェコンヌなら、何を文句に言っても、誰にも疑われないかもしれない。」

 

それは、非常にいい考えだった。苦手な物を食べさせて処分させる。これなら、誰も損しないし、徳になる。

早速行動に移そうとするが、そこで気づく。

 

(あれ?これマジェコンヌも徳にならないか?)

 

そんな事を考える。確かマジェコンヌは、今ものすごく腹が減っているような発言をしていた。食べさせれば、お腹がいっぱいになる。

そこで問題となるのは、それで魔力などのエネルギーが回復し、反撃の力にならないのだろうか。もし、それで力をつければ、マジェコンヌはおそらくあの封印状態から逃げ出すだろう。

それに加えて、この声も、どこかで聞いたことがある気がする。それも敵対したことがあるような…ゲームで聞いたことがあるような…。

疑念を持った光樹は、その天の声に聞く。

 

「……なぁ、天の声。お前何者だ?どうもマジェコンヌを助けようとしている気がするんだが。」

 

『…え?そ、そんなことはないですよー。』

 

それを指摘された天の声は棒読みになる。怪しい。とても怪しい感じがする。光樹はさらに追及した。

 

「おい、ひょっとしてお前……マジェコンヌじゃ?」

 

しかし、空に向かって放った声に、答えは帰って来ない。

……おそらく、逃げられたのだろうか。まぁ、悪い方向へと事が進まないのなら、天の声が言った行動はしない方がいいだろう。

おとなしく、うずめ達が作る料理を食べることにした光樹は、その場を後にした。

しかし、これは光樹だけに起こったことではなかった。そして、天の声は暗躍する。魔女を復活させるために。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

ジャンヌ「これまでの情報共有で、光樹さんも自らを探す存在に気づけましたね。」

レイ「でもそこで鈴ちゃんの名前忘れるなんて、なんていうか流石ネプテューヌちゃんだね…。」

無印の時はきっとこんなミスはしないんですけどね。でもMK‐2以降はそんなことが出てきているから仕方ないですね。

レイ「でも、光樹君よく罠かもって気づいたね。これがニュータイプってやつなの?」

そんなんだったらコ○ン君もニュータイプですよ…(笑)。これは光樹君が記憶を失いつつも、思い出すたびに研ぎ澄まされている推理力と言った所ですよ。

ジャンヌ「ですが、記憶を思い出すたびに推理力が強化されるということは、光樹さんのIQって幾つなんでしょうか。気になるところですね。」

まぁ、光樹君の本来の力は明らかにするつもりなので楽しみに待っててください。では、今回はここまでってことで。

レイ「次回は木曜日辺りになるって!」

ジャンヌ「それでは次回も皆様お楽しみにっ!」


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第63話 魔女の脱走、決闘の舞台へ

はーい、どうも皆様、今日は授業の一環としてKITTEに行って来ました、藤和木弘です。

ジャンヌ「KITTEに行っておきながら、有名店に入らないなんて、馬鹿じゃないんですか?と思う、ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「私も何か食べたかったなー。どーも!レイ・オーバだよっ。」

お金がなかったんですよ(´・ω・`)さて、今回は第63話投稿です。

ジャンヌ「タイトルとしては、マジェコンヌが逃げるのでしょうか?」

レイ「でも、大きいネプテューヌちゃんのノートに封印されてるよ?どうやって出るの?」

ジャンヌ「もしかすると、エクスが?」

さて、どうしてでしょうね。では本編へ、どうぞ!


 

 

「さて、お昼ごはんは何を作ろうかな。」

 

ネプギアはそんなことを言いながら、テントに入る。そろそろお昼ごはんの時間になりそうだった。そのための準備として、テントの中の食料について確認しようと入ったのだ。

すると、テントの中で不意に声が発せられた。

 

「うん?ネプギアか。」

 

「あ、光樹さん。こんなところにいたんですね。」

 

その声の主は光樹であった。

なぜ、光樹さんがいるんだろうかと私は思った。気になるところだった。

そんなネプギアのことを察した光樹は、ここにいた理由を話す。

 

「いや、ちょっと気になることがあってな。」

 

「気になること?」

 

一体、何が気になったのだろうか。もしかして、今日のお昼ごはんが何かとか?それがもし本当なら、意外と光樹さんも食い意地が張っているのかな。

けれでも、そこで光樹さんは逆に私にここに来た理由を聞いてくる。

 

「そういえば、ネプギアは何をしに?昼ご飯を作りにでも来たのか?」

 

「はい。そうだ、この機会にみんなの好き嫌いを克服してもらうために、みんなの嫌いな食材を使って料理を作ろうと思うんですが、どうでしょうか。」

 

「…なかなか鬼畜なことを考えるな、ネプギア。」

 

ネプギアはその考えを伝える。その言葉に、光樹は苦笑いして答える。

ネプギアとしては、やはり全員に苦手な食べ物があると思うと、どうにかして食べられるようにしてあげたいと思ってしまう。だがしかし、単に出すだけでは、口をつけることなく、残してしまうのがオチだろう。事実、大人ネプテューヌが吐いた後のナスを食べたところを見ていない。一体あれはあの後どうしたのか気になるところだったが、今はそれを考えずに、これから食べさせることを考える。

それらを考えると、ここは作る側のネプギアが作り方、そして味付けを工夫してどうにかしなければならなかった。

この話を光樹さんに聞かせるのは、ある意味脅しとも取れるかもしれない。だって、光樹さんが一番嫌いな物がメンバーの中で多いのだから。魚に野菜、そして話によるとエビやカニも苦手だそうだ。エビやカニはないけれど、それでもまだ嫌いな物があるというのは厄介だ。

でも、光樹さんは意外と嫌いな物でも、躊躇いはするけれど食べている光景を見た。そう考えると、光樹さんはまだ他のみんなよりはマシな気がしないでもない。

そう思いつつも、張り切ってお昼ごはんを作る準備をするネプギアであったが、食材を確認する所で、あることに気づいた。

 

「あれ?ナスとシイタケと魚が足りない…。朝食を作った時はあったと思ったんだけど…。」

 

そう、朝食を作る時はあったはずの、ナス、シイタケ、そして魚がきれいさっぱりなくなっていたのだ。いきなりなくなるなんてこと、ありえない。一体どこに…。

すると、そこで光樹が何かに気づいたように言葉を発する。

 

「もしかすると…。ネプギア、本当にナスとシイタケと魚がないんだな?」

 

「は、はい。その三つの食材だけないんです。」

 

光樹の質問に、ネプギアははっきりと答える。間違いなどはない。何か光樹は考えているようだった。

そして、しばらくの間考えた光樹は、はっ、と何かに気づいたように顔を上げる。

 

「何か分かったんですか。」

 

ネプギアは何に気づいたのかを聞く。それに光樹は答えようとする。

 

「あぁ、それは…」

 

 

 

 

その時、

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな爆発音のようなものが聞こえた。

 

「…い、今の音は何!?」

 

ネプギアは驚く。何か外の方……それも、このテントの近くだったように思える。実際、爆風がテントを揺らし、煙っぽいにおいが微かににおい始める。

ネプギアが狼狽えているところで、光樹が舌打ちをする。

 

「くそっ。まさかそんなことが。とにかくネプギア、外に出るぞ。もしかすると、マジェコンヌが!」

 

「え?マジェコンヌがどうしたんですか!?」

 

「話は後だ。外に出れば分かるかも。」

 

光樹の手に引かれ、ネプギアは外に出た。

 

 

 

 

テントから出ると、煙が辺りを覆っていた。煙を軽く手で振り払うと、ちょうどうずめの姿が見える。

よかった。うずめさんは無事みたいだ。私はうずめさんに何が起こったのかを聞く。

 

「うずめさん!今、すごい音がしましたけど、何かあったんですか?」

 

そう聞いたところで、聞いたことのある高らかな笑い声が響く。

 

「ハーッハッハッハッハッハ!やっとだ…やっと、わたしは自由を手に入れたのだぁー!!」

 

「くそっ、やっぱりマジェコンヌか!」

 

「うそっ!?あのオバサンがマザコングなの!?」

 

その声の主、マジェコンヌに対して、光樹さんが叫ぶ。その姿を初めて見た大きいお姉ちゃんが驚きの声を出す。

けれど、先程の光樹さんの言葉には、まるでマジェコンヌが復活するのを知っていたような口ぶりだ。一体どうして?

ところが、その話は少し別の場所に置いておくことになる。海男が先程の大人ネプテューヌの反応に対して言葉を返す。

 

「そういえばでっかいねぷっちは、こちらの姿をまだ見たことがなかったんだったね。」

 

大きいお姉ちゃんにとって、あの姿のマジェコンヌは初めてだったんだっけ。そりゃそうだよね。最初に見たのは変身した後の姿で、こっちの姿は人なんだから。

でも、どうしてマジェコンヌは標本の中から脱出できたのか。私は疑問を口にする。

 

「どうして…お姉ちゃんの標本の中に閉じ込められていたはずなのに。」

 

「そうだよ!あの標本を抜け出すなんて、クロちゃんだって無理だったのに…!」

 

大きいお姉ちゃんも、なぜマジェコンヌが脱出できたのかと驚きを見せる。

そこで、マジェコンヌはとある事実を話す。

 

「私が本気を出せば、あの程度の封印を破ることなど他愛もない。もっとも、空腹で力が出ない私に食べ物を与えたのは貴様らだがな。」

 

「くそっ、やっぱりそうだったか!」

 

「…それは、どういうことですか?」

 

マジェコンヌと光樹の言葉のやり取りに、疑問を持つ。

私たちが食べ物を与えた?そんなこと、私はしていない。それに、持ち主である大きなお姉ちゃんや、マジェコンヌに迷惑していたうずめさん、それに海男さんがするわけない。それはもちろん、光樹さんもその一人のはずだ。

でも、光樹さんはそのことを分かっていたような返し方だ。もしかして、光樹さんが…?

けれど、そうではないことが、知らされることになる。

 

「よーし。…この中で天の声とかにマジェコンヌに苦手な食べ物食べさせろって言われて実際そうしたやつ、挙手!!」

 

光樹さんは、いきなりそう叫んだ。

…え?私たちが、そんなことするわけない…

けれど、周りを見ると、二本の手と一本のヒレが恐る恐る挙げられた。

 

「え?うずめさんに海男さん……それにお姉ちゃんまで!?」

 

その様子にネプギアは驚く。すると、それに反応して三人が各々に言葉を口にする。

 

「…っく!テメェ、はめやがったな!?」

 

「人の厚意を利用するなんて最低だよ!」

 

「…まさか、あの声がそうだったなんて。」

 

その三人の弁論こと言い訳に、ネプギアは冷や汗を垂らす。そこで、テントの中で光樹が気づいた時のことについて思い出す。

光樹は何か気になることがあって、テントに来ていた。そして、ネプギアがなくなっていた食べ物の名前を挙げて何かに気づいた時のことを。

それらを照らし合わせて、気づく。

 

(あれ、ひょっとしてもしかして…。)

 

なくなっていた食材の共通点に気づいたネプギアは、戸惑いながらも三人に聞く。

 

「………あの、もしかしてみなさんの嫌いな食材だけがなくなっていたのって…。」

 

「すまねぇ…!俺が、シイタケを嫌いなばっかりに…!」

 

「川魚くらい我慢して食えばこんなことには…。」

 

「わ、わたしは悪くないよ!?悪いのは全部ナスだもん!」

 

三人の謝罪(大人ネプテューヌだけ、責任転嫁していたが。)がつらつらと並べられる。

あれ、三人は謝っているけど、光樹さんは?確か、なくなっていた食料全部、光樹さんも苦手って言っていたような…?

 

「……あの、光樹さんは…。」

 

「俺も危なかった。あそこで裏の心理に気づいてなかったら、マジェコンヌに餌をやっていたかもしれない。」

 

「よ、よかった…でいいのかな。」

 

それを聞いてはっきりと分かる。どうやら光樹さんはマジェコンヌの抜け出しに協力していなかったようだ(若干、それに引っかかりそうだったみたいだけど)。

その悔し話を聞いていたマジェコンヌは鼻で笑う。

 

「人間も、女神も、魚類も愚かなものだな!ハーッハッハッハッハッハ!」

 

「………はぁ。」

 

「三人共、後で野菜全部処理してもらうからな。」

 

『え?』

 

ネプギアが溜息をつき、光樹が災いの原因となった三人にお仕置きともいえる罰を言い放った。

けれど、ここで後悔していても意味はない。起きてしまったことなのだから、ここはまた戦うしかない。私はマジェコンヌに言い放つ。

 

「けど、こうなってしまっては仕方がありません。もう一度、あなたを倒してみせ…」

 

 

 

 

その瞬間、上空より光がきらめく。

 

 

 

 

「危ない!ネプギア!!」

 

光樹がこちらに向かって駆け出す。その間に瞬時にシュバルトゼロガンダム・クロスを纏い、一気にネプギアの元に飛翔する。そして、ネプギアを抱きかかえ、身をひねらせる。それと同時に一直線に向かって放たれた光―――――ビームが地面へと着弾する。

 

「な、何!?」

 

私は驚きを隠せなかった。何が起きたのか。私に向かって攻撃されたのは分かったけど、さっきまでマジェコンヌのことを考えていたので混乱する。

すぐに光樹がネプギアを降ろし、とある方向を向く。先程までは何がどうなっていたのか分からなかったが、そこでネプギアは理解した。その方向にもう一体の敵がいたからだ。

 

 

「フン。逃したか。」

 

 

「お前は…!」

 

光樹の敵意のある声の先にいたのは、ガンダムの姿をした敵……エクスだった。

その姿に、マジェコンヌが感謝するように言葉を向ける。

 

「おお、来たかエクス。」

 

「すまんな、マジェコンヌ。だが、自力で抜け出せたのなら、我がくる必要もなかったか?」

 

「はっ、ふざけたことを。早く助けにくればいいものを!」

 

そんな言い合いに、光樹さんが舌打ちする。

 

「くそっ、まさかエクスまで来るとは…!」

 

その言葉に、エクスが返す。

 

「黒の少年よ。貴様は今度こそ駆逐する!」

 

「やれるものならな。」

 

光樹は強気に出る。ここで決着を着けるなら、当然だろう。

しかし、その言葉にはどこかいつもより元気がない。ためらっているような気がするのだ。

けれども、それに構わず、続いてうずめさんもいままでの鬱憤を晴らすようにマジェコンヌに言い放つ。

 

「そうだ、この落とし前は、しっかりつけさせてもらうぜ。」

 

うずめは先程の失態を晴らすことを誓う。だが、それに対しマジェコンヌは冷静に状況を見た。

 

「ふん、多勢に無勢のこの状況。誰が貴様らと正面から戦うものか!」

 

「やろう、逃げるつもりか!?」

 

逃走をしようとするマジェコンヌを捕えようと、うずめは捕まえようと前に出る。

しかし、その前方にビームが撃ち込まれる。それを見て、うずめは止まる。ビームを撃ったのはエクスだった。

 

「くそっ、脅しかよ!」

 

うずめさんが舌打ちをする。けど、今のは危なかった。止まってなかったら、撃たれていたんじゃないかと思う。

そして、エクスが先程のうずめの言葉に返答をする。

 

「逃げる?はっ、そんなものではない。再び貴様らに絶望を与えるため、この場から一度退却するだけだ。」

 

「残された時間を有意義に過ごすのだな。ハーッハッハッハッハッハ!」

 

マジェコンヌの高笑いが響いた後、マジェコンヌとエクスは森の奥へと少し走った後、煙のようにその姿を消した。その様子を見ているだけだったうずめが不満を漏らす。

 

「…っち。まんまと逃げられたか。」

 

悔しそうにするうずめに、光樹が声をかける。

 

「気にするな。下手に手を出して、こちらに損害が与えられたら、すぐに攻めにも行けないからな。」

 

光樹さんの言うことは、的を射ていた。あの場面で下手に手を出したら、誰かが負傷していた可能性もある。

けれども、あそこで逃したのは、悔しかったのだろう。光樹さんのガンダムの手は、硬く握りしめられていた。

そんな感じに逃げられたことを残念そうにしていたネプギアたちだったが、そこで話は先程の食べ物についての話になる。

 

「人の嫌いな食べ物を利用してくるなんて、なんという策士だ。マジェコンヌ、恐るべし…!」

 

「同じ過ちを繰り返さないためにも、嫌いな食べ物は食事に入れない方が良さそうだね。」

 

「あぁ。」

 

「うん。」

 

海男のしてやられた感のある話に、大人ネプテューヌが持論を展開してくる。その様子は正に一致団結という言葉が合うほどで、二人と一匹の言うことがあることに集中する。

そう、苦手な物を食べたくないという気持ちが、前に出て行動していた。その様子に、ネプギアは困惑する。

 

「あ、あの…嫌いなものを克服するという選択肢はないんですか…?」

 

ネプギアのその意見に、うずめ、海男、そして大きなネプテューヌが揃えてきっぱりと言う。

 

「ない。」

 

「ない。」

 

「ない。」

 

「…ですよねぇ。」

 

「…うん、まぁ…知ってた。」

 

ネプギアと光樹の溜め息の声が漏れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

マジェコンヌに逃げられた騒動の後バタバタしていたものの、うずめ達は昼食をとった。そして食べ終わって片づけをしていた。

片付けが終わった所で、ぎあっちが紫ババアのことについて聞いてきた。

 

「マジェコンヌに逃げられちゃいましたけど、どうしますか?」

 

「追うに決まってる。ここの場所がバレたんじゃ、いつ襲ってくるかわからないしな。」

 

そんなぎあっちの質問に、俺はすぐに焦りを含んだ様子でそう答えた。

うずめとしても、いくら自分が知らなかったとはいえ、マジェコンヌを逃がしてしまったことには気を負っていた。しかし、それ以上にここの位置を知られたことに焦りを感じていた。普通、敵の拠点が見つかれば、そこに大量の戦力を投入してくるのは明らかだ。もし、ここが襲撃でもされれば、多くの被害が出る。味方のモンスター達にもひどいダメージを与えることにもなってしまう可能性もある。

そうなると、残された手はただ一つ。こちらに襲撃をかけてくる前に、こちらが向こうの拠点で敵対するもの全てを倒す。いわゆる「先手必勝」を取ることだった。

そのために、今はこちらのことについて早急に行動しなければならない。それはつまり、ネプギアと光樹を元の世界に帰すための存在である「クロちゃん」を探せないことを意味する。そのため、先にネプギアに謝っておくことにした。

 

「悪いな、ぎあっち。クロちゃんとか言うやつを探しに行けなくて。」

 

「私のことは気にしないでください。それに、ここが襲われたら棲んでるモンスターたちにも迷惑が掛かっちゃいますし。それにきっと、光樹さんも同じことを思ってますよ。」

 

ネプギアはそう言って気にしないようにふるまう。

ぎあっちも光樹も、こちらのことについて理解してくれて助かる。ホント、二人には今までこちらのことに協力してくれて助かっている。今までにも礼が沢山あるというのに、そこに面倒事が入って二人の帰る邪魔をしてしまうというのに、二人は嫌がることなく、かえって喜んでこちらに協力してくれている。

協力してくれているからには、必ずマジェコンヌは倒さなければならなかった。うずめは気を引き締める。その状態で、うずめはネプギアに感謝の言葉を伝えた。

 

「恩に着るぜ。」

 

うずめとネプギアが言葉を交わしているところに、大きなネプテューヌがマジェコンヌが抜け出したことに落ち込む。どうやら、まだ信じられないようだ。

 

「わたしもうっかりしてたよ。まさか、あの標本から抜け出す方法があったなんて…。」

 

「今まであの標本から抜け出したことはなかったのか?」

 

「うん。力が常に吸収されちゃうから、ありえないよ。」

 

光樹の質問に、大きなネプテューヌはそう答えた。

そんな便利なものなのに、それを抜け出すとは、紫ババアも侮れねぇみたいだ。

そこで話の主軸は変わる。海男がマジェコンヌの居場所について言ったからだ。

 

「でも、手掛かりもないのに、どうやってマジェコンヌを見つけるんだい?」

 

そこが問題だった。あの後すぐに周辺を少し調べたが、どこにもいなかった。それどころか、足跡も見つからなかったため、雲隠れという言葉が合う状態だったのだ。

うずめはどうしようかと考え込む。

 

「…問題はそこなんだよなぁ。消えて逃げたんじゃ、どこを探せばいいのか…。」

 

「それなら、大丈夫!この魔法の杖が私たちを導いてくれるよー。」

 

すると唐突に、おっきいねぷっちが声を大にして提案した。魔法の杖、という単語に反応した俺たちは、おっきなねぷっちの握っていた魔法の杖だろうものを見つめる。

けれど、そこにあったのは単なる木の枝だった。

 

「なんだこれ?木の枝じゃないか。」

 

「枝が魔法の杖とか、嫌な予感しかしないんだが…。」

 

大きなネプテューヌの真面目な提案に、うずめと光樹は冷静に大きなネプテューヌの言葉に反応する。ただの枝が、なぜ魔法の杖になるのか、うずめは気になった。

そこで、大きなネプテューヌが魔法の杖こと木の枝について説明する。

 

「そこで拾ったんだー。でね、これを地面に立てて……離すんだ。」

 

大きなネプテューヌが枝を地面に立ててから離す。当然、枝は倒れる。

しかし、これはどういうことなのだろうか。もちろん、それはどうして枝が倒れたかというわけではなく、なぜそんなことをしたのか、ということだ。これのどこが、魔法の杖なのか。

すると、その結果を見て大きなネプテューヌは、結論を出した。

 

「魔法の杖が向こうを指してるから、きっとマザコングは向こうにいるはずだよ。」

 

それはもう、完全な運任せだった。流石の俺でも、おっきなねぷっちの考えたその提案に苦笑いをする。ぎあっちも光樹も、反応に困っていたり、呆れたり。

 

「今、そこで拾ったって言ったような…。」

 

「ただの運任せ…というか、完全に適当だろ?これ。」

 

「適当じゃないよ!いわゆる、「神の導き」ってやつ。」

 

神の導き、という言葉に、なんだか笑えてくる。うずめ自身やネプギアが女神なのに、神の導きとやらに頼ることになるとは。

だがしかし、それしか当てがないというのも事実だった。ここは、大きなネプテューヌの神の導きに頼るしかない。うずめはその意見に賛成する。

 

「ま、この際、細かいことはどうだっていいさ。どうせ手がかりなんてなにもないんだ。とにかく、枝が指した方向に行ってみようぜ。」

 

「………仕方ないな。それに従ってみるか。」

 

光樹も納得がいかない様子ではあったが、それに従う。ネプギアと海男もそれに賛同し、うずめ達は魔法の杖の導きで進むのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。今回はこんなにも投稿が遅れてしまい、申し訳ないです。でも、私も通り道の周辺は探っておきたいんですよね。

ジャンヌ「そういうのはいいですけれど、せめて投稿の日ぐらいは自重してくださいっ!読者さんに呆れられますよ?」

うん、何も言えないね。それは考えないと。

レイ「本編の内容だけど、…うずめちゃんと海男と大きいネプテューヌちゃん、何やってるの?」

私もそれ初めてみた時は共感しつつも、「馬鹿かよお前ら(^o^)」と思ったよ。そしてその後のマジェコンヌを追うのに枝を使った所もな。

ジャンヌ「なんというか…女神のネプテューヌ様と似たところがあるんですね…。」

まぁ、そこは流石ネプテューヌだな。ってことですね。
さて今回はここまで。

ジャンヌ「次回は水曜日に投稿予定とのことです。」

レイ「あと作者曰く、その日は授業が極端に疲れ切るってことだから早く帰ってすぐに投稿するらしいよ。」

では次回もお楽しみに。


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第64話 久々の謎のデータ、ドーム突入

はい、どうも皆様、録画機器の不調でダブルドライブまだ見れてない、藤和木弘です。

ジャンヌ「本当に運がないですね…。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「早く亥の十二神皇の力みたいねー。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ。」

さて、気持ちを切り替えまして、第64話、投稿です。

レイ「今回は謎のデータの話なんだね。」

まぁ、そうですね。でも光樹君達も、とある場所にたどり着き、戦闘が行われますよ。

ジャンヌ「謎のデータ…ここまでは零次元での過去が描かれていましたが、今回はどのような内容なのでしょうか…?」

それも含めて、本編で明らかにしていきますよ。では、本編へ!


 

 

現在、ネプギアたちは逃げたマジェコンヌとエクスを追って、魔法の杖(ただの枝だけど)による導きで道のりに進んでいた。けれど、いつまで歩いて行っても、マジェコンヌたちは見つからない。途中の街を調べたりしたけど、手掛かりはなく、見えるのは荒れ果てた街だけ。しらみつぶしに調べたおかげで、探しに出てから、もう6時間ほど経ってしまっている。

そうして今の時刻は本来ならもう夕暮れ時だ。こんな世界のため、あまり暗くはなっていないが、そろそろ休憩を取って、明日以降に歩を進めるべきだ。

そんな事を思っていたのだが、そこで道沿いにとあるものを見つける。それは以前にも見た、ボックスタイプの通信端末だ。そこで久しぶりに、ネプギアはあることを思い出す。以前調べていた、この世界の過去のデータを調べることだ。今までマジェコンヌたちとの戦いだったり忙しくて忘れてしまっていたが、このデータを調べることもネプギア自身の仕事だ。

 

「あ、この端末まだ動いてる。もしかしたら、何か情報が残ってるかも…。」

 

ちょうどうずめからNギアの機能を受け継いだヴィジュアルラジオ改を持ったいたので、早速機器に接続する。

 

「………。」

 

ネットワークに接続すると同時に、ヴィジュアルラジオ改のパネルを操作していく。少し文字が小さいから読みにくいけど、読めないことはないから問題ない。

データに目を通していくうちにその内容を理解していく。

 

「あった。」

 

そして、目的の物は見つかる。すぐさまそのデータを開く。そこにはこう打たれていた。

 

『□□月□□日 そしきが □□□の あんさつを けいかく している じょうほうを つかんだ』

 

『□□月□□日 あんさつに たよるしか ほうほうは ないのか きょうかいが もくにんを けっていした。』

 

『□□月□□日 あんさつを ふせぐては ないのだろうか なにもできない じぶんが くやしい』

 

『□□月□□日 □□□の あんさつが しっぱいした かのじょのぶじに あんどしているじぶんがいる』

 

その内容には、暗殺の出来事についての内容が書かれていた。その文面からは、この日記の書き手の大切な人が暗殺されそうになったみたいだ。

そして、その一文には「教会」の単語が書かれていた。もしかすると、「協会」という語なのかもしれないが、私自身の発想から行くと、それくらいしか思いつかなかった。

それから察するに、どうやら書き手は教会の職員のようだ。そして、暗殺を防ぐことができずくやしがり、なんとか無事に「彼女」は戻ってきたものの、教会の狙いとは違う結果になったことにどう反応すべきか迷っているようだ。

 

「この内容…。今まで見つけたどの記録よりも詳しいかも。他には………あった。」

 

気になったネプギアは、更にデータを解析させる。更に見つけたデータも読んでいく。

 

『□□月□□日 □□□が しょうきに もどった しかし つみのいしきが □□□をむしばむ』

 

『□□月□□日 □□□が □□を のぞんだ それが のぞみなら かなえよう』

 

その言葉に、一つ一つ重みを感じる。どうやら、事を起こした本人が正気に戻ったみたいだけど、その起こってしまったことの大きさに責任を感じてしまったようだ。

そして、最終的に、…何か…こう……深刻そうなことになったような気がする文面に、気になってしまう。けれども、これで大体何が起こったのかが分かった。きっとこの世界がこうなった原因は…。

するとそこに、海男がどうしたのか聞いてくる。

 

「やあ、ぎあっち。そんな真剣な顔をして、何を見ているんだい?」

 

それに気づいたネプギアは、先程考え付いたことを言う。

 

「見てください、海男さん!もしかしたら私、この世界がこうなった理由がわかったかもしれません。」

 

早速、海男にそのデータを見せた。

 

 

 

 

しばらくの間、データを見ていた海男は、ヴィジュアルラジオ改をネプギアに渡したのち、考えるようにヒレで腕組をする。

 

「なるほど…。断片的ではあるけれど、なんとなく内容が読み取れるね。」

 

海男さんも、どうやら私の感じたことを理解してくれたみたいだ。海男さんは読んだ考察を話してくる。

 

「これまでの情報をもとに考察すると、“かのじょ”と呼ばれる何者かが自分の意志とは関係なく滅亡の危機をもたらしたのだろう。

 

「“つみのいしき”“しょうき”があるってことは、例えば暴走してしまったとか、自分では抑えられない状態になってしまったということ、でしょうか?」

 

ネプギアは確認するように海男に自分の考えを出してみる。それらの言葉からは、いかにも暴走しているような発言だったため、気になっていたのだ。

そして、それは海男も同じだったようで、それにすぐに答える。

 

「おそらくそうだろう。」

 

もし、本当にそうなら、次に問題になるのは、この起こした人物が誰なのか、ということだった。

今までこれに関連するデータをいくつか見てきたというのに、未だ、これを起こしたのが誰なのかということを掴めていなかった。「あんさつ」という言葉から、もしかすると、これはかなり位の高い人…例えば、教祖様、最悪の場合、もしかすると女神という可能性まであった。

そこまで高い位の人に暗殺の危険があるというのに、教会がそれを黙認したというのは、それだけ、暴走の度合いがひどかったのだろう。

 

「じゃあ、この“かのじょ”っていうのはいったい…。」

 

そんなネプギアの質問にも似た疑問に、海男が仮説を立てる。

 

「あくまで予想だが、世界に災いをもたらしているという共通点から、マジェコンヌかデカブツが“かのじょ”の成れの果て、の可能性がある。」

 

その考えは、ネプギアも考えていた。この世界でそれ程の恐ろしいまでの行動を起こすのは、あの二人だけだ。それに先程のネプギア自身の考察も加えるとそのどちらかは教会の関係者だったことになる。

 

「じゃあ、やっぱりこの世界はあの二人のどちらかに…。」

 

「そして、いたであろう、うずめ以外の女神も彼女たちのどちらかにやられてしまったのだろう。それなら、うずめ以外の女神不在の状況に納得することができるな。」

 

二人はそう結論付ける。あくまでこれは結論だ。まだこれとは決まったわけではないけれど、この可能性も十分あり得る。けれど、もしそうなら、一体どうしてあそこまで変わり果てたのだろう。そこが疑問だ。

まだ疑問に捕らわれていたネプギアだったが、そこで海男がデータを教えた礼を言う。

 

「…うむ。ありがとう、ぎあっち。あくまで推測だが、この世界や敵についてわかったよ。」

 

「お役に立てて嬉しいです。けど、仮にマジェコンヌが世界をこんな風にした“かのじょ”だった場合、勝てるんでしょうか…。」

 

不安を思わず表に出す。けれど、実際不安だった。マジェコンヌがもし、女神であった場合の“かのじょ”だったなら、私は女神と戦うのだ。女神同士の戦いは今までにも何回もあった。だけど、女神といえば世界の頂点でもある存在だ。この世界を破壊する程の力を持った女神に、私やうずめさん、大きいお姉ちゃんでも勝てるんだろうか。

そして、もう一つここで気になったのは、エクスのことだ。エクスは光樹の知っているガンダムの姿がモデルになっているとのことだ。それが一体どうして、この世界にいたのだろうか?

だけど、それ以上に行動の目的がよく分からなかった。エクスは光樹さんを狙っている行動を取っている。なのに、なぜエクスはこの世界でうずめさんと戦っていたんだろう。光樹さんと戦いたければ、光樹さんの所に最初から行っていればよかったはずだ。それなのに、なんでエクスはこちら世界を侵攻していたのか?

気になったネプギアは更に光樹の方の敵のエクスについて海男に聞いてみる。

 

「それに光樹さんも、エクスに勝てるのかな。それにしてもエクスは何でこっちの世界に?」

 

その疑問に、まとめて海男が答えようとする。と、そこに海男とネプギアのことが気になったのだろうか。うずめと光樹が話に入ってくる。

 

「なに弱気になってんだよ、ぎあっち。俺たちは、勝つんだ。」

 

「相変わらずだな、ネプギアは。こっちも全力で当たるさ。」

 

「うずめさん!?光樹さんまで…。もしかして、今の話…。」

 

先程の話を聞かれていたのだろうか。ネプギアは恐る恐る聞いてみた。すると、光樹がその質問に答える。

 

「まぁな。久しぶりにあのデータを調べてたみたいだからな。俺はうずめを止めたんだけど。」

 

「全く…ぎあっちも光樹も俺を気にしすぎだっての。…“かのじょ”の正体が誰であれ、俺らは今この世界を生きるやつらの為に戦う。…そうだろ?」

 

「そうですね。この世界のために、やれることをやりましょう!」

 

うずめさんの問い掛けに、私はうなずいた。ここで原因が誰かって考え過ぎても良くない。なら、今はマジェコンヌを倒すことを考えなければならない。

 

「じゃあ、そろそろ大人ネプテューヌの元に戻って、マジェコンヌ探しを再開しようぜ。」

 

そのために、私たちは大きいお姉ちゃんの所に戻る。そしてまた運試しを行うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプギアのデータ調査からしばらくして歩いたところで、うずめの中で「とあるもの」を感じた。うずめは声を出す。

 

「…これは、まさか。おい、ぎあっち。」

 

ネプギアに確認するように聞いてみると、ネプギアも同じ反応をする。

 

「もしかしてうずめさんも感じました?」

 

「ん?二人共?」

 

「急に二人揃ってどうしたんだ?」

 

その話に、気づいた二人以外の三人が不思議そうにこちらを見返してくる。この感覚、間違いない。この感じは前に感じたあの良い感じだった。

 

「もしかして、女神様だからこそわかる特別な何か、ってやつ?」

 

大きなねぷっちの言う通りだ。これは多分、俺やぎあっち、女神にしか感じない空気。まるで、シェアの大本とも言える感覚だった。

大きなねぷっちの問い掛けにぎあっちが答える

 

「この先から強力なシェアエネルギーを感じるんです。…たぶんこの感じはシェアクリスタルだと思います。」

 

どれだけ離れているのかは分からないが、目に見えるところには見当たらない。距離はあるようだが、それでもこれだけのエネルギー。これはかなり期待できるレベルのシェアクリスタルに違いない。

 

「シェアクリスタル…?それって、レアアイテムかなんかかな。」

 

一人、その話に付いていけていない大きなネプテューヌは物事をそのようにとらえる。そんな大きなネプテューヌを察したのか、ネプギアが説明をする。

 

「簡単に説明すると、シェアエネルギーを凝縮したクリスタルなんです。」

 

「簡単に言えば、女神のパワーアップアイテムってところか。」

 

その説明に大きなネプテューヌは頷いてみせる。シェアクリスタルのことについては理解した様だ。

それにしても、ここでシェアクリスタルにめぐり合うっていうのも、なかなか奇妙なもんだ。紫ババアを追っていたら、紫ババアとデカブツたちを倒す為のアイテムを感じ取るというのは、偶然以外の何物でもなかった。

 

「まさかこんなところでシェアクリスタルに巡り会えるなんてな。案外、さっきの枝は本当に魔法の杖だったのかもしれないな。」

 

ここでシェアクリスタルを無視してマジェコンヌを優先して追う必要もない。そう考えたうずめはシェアクリスタルを見つけたことを喜び、大きなネプテューヌの魔法の杖こと枝に感謝をする。

うずめと同じように考えた海男も、シェアクリスタルの回収を優先する発言をする。

 

「この先、役に立つかもしれない、回収していこう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

シェアクリスタルの反応を辿って、俺たちはとある施設にたどり着いた。そこにはドームのような屋根を備え付けた大きな施設だ。簡単に言っちまえば、ドームだった。

その大きさはかなりの物で、被害は少なく、今も使えそうなところだ。もしかすると、もしもの避難先として今のキャンプをここに動かすのもいいかもと思うくらいの被害の少なさだったが、ドームから溢れてくる敵意を感じ取って、それは無理だと思う。

 

「ここは…かなり大きめの施設だな。こんなところからシェアの反応が?」

 

光樹が聞いてくる。大きいことから、探すのは困難だろうと思って確認したのだろう。けれども、反応は間違いなくこの中だ。ネプギアもうずめの考えに似たことを光樹に語る。

 

「はい。このドームの中から、大きなシェアの反応を感じます。それにしては、モンスターの敵意が大きいかなって感じますけど。」

 

「だよな。これだけおっきなシェアの反応なのに、こんだけ敵意が向けられるのも珍しいぜ。」

 

うずめとしてもこの敵意の大きさはおかしいと思った。今までよりも大きなシェアエネルギーの反応なのに、シェアクリスタルを見つけた場所と同じくらいモンスターの邪気とも言うべき力を感じる。これは引き締めていかないといけないかもしれない。

 

「よし、それじゃあみんな、入るぞ。」

 

「あぁ。」

 

「はい。」

 

「分かった。」

 

「りょーかい!」

 

五人はドームの入り口からドームの外周部へと足を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドームに入ると同時に、光樹達にモンスター達が襲い掛かってくる。まずは猫の姿をしたモンスター「あかみ」が二匹、こちらに飛び掛かってくる。

その攻撃を、大人ネプテューヌが颯爽と前に飛び出し、二体の攻撃を二本の大剣で同時に受け止める。かなりの大きさのある剣を素早く振るうその力は大したものだ。あかみを動かせない。

その間に、ネプギアとうずめが両脇から攻撃を仕掛ける。

 

「えぇーい!」

 

「おらっ!!」

 

ビームソードの斬撃とメガホンの音波攻撃があかみにダメージを負わせる。二体のあかみは綺麗に吹っ飛ばされる。ネプギアの方で吹っ飛ばしたあかみは、ダメージが大きかったようで、消滅していく。

 

「にゃー…!」

 

一方、残ったあかみは少し下がる。体力を少しでも回復する気なのだろう。それを見たうずめが逃がすまいと追いかける。

 

「待ちやがれっ!!」

 

蹴りがあかみに向かって放たれる。しかし、そこに突然壁ができる。否、モンスターの手がうずめの蹴りを遮ったのだ。モンスターの手に蹴りが放たれた。その一撃にその手はびくともしない。そのモンスターは悪魔のような姿をしたモンスター、以前戦った「アルゴディウス」と同じタイプのモンスターであった。カラーリングは変わっているが、その強靭さは種類が変わっても相変わらずのようだ。

 

「ウォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!」

 

モンスターの低い唸り声と共に腕でうずめを振り払う。うずめは空中で一回転してから、なんとか地面に手を付ける。うずめの蹴りがいくら小型モンスターに向けて放ったものといえども、女神の一撃を軽く受け止めるのはなかなかだ。ここは手助けに入らなければ。

光樹はその手に二振りの剣、聖魔剣デュランダルを出現させる。黄金の剣に、瞬時に黒き機械剣のパーツが合体していく。出現した黒と黄金の聖魔剣を、「カルメルセウス」に切りつける。

 

「ゴゥゥゥゥ!?」

 

深めに入った傷にカルメルセウスは驚きの鳴き声が響く。どうやら攻撃は効くようだ。切りつけた光樹に代わって、先程、あかみの攻撃を受け止めていた大人ネプテューヌが光樹の攻撃に続く。

 

「二刀流の攻撃、受けてみよっ!レイジングラッシュッ!!」

 

二刀流による連続攻撃が、カルメルセウスの体にダメージを加えていく。連続攻撃の締めに、溜めた一撃がモンスターを切り裂く。

その攻撃を受けて、カルメルセウスは消滅する。しかし、まだ終わりではない。モンスターが消滅したデータの粒子を突っ切って、番犬型モンスターが出現する。そのモンスターは、攻撃を終えた大人ネプテューヌに向かって突進する。今の大人ネプテューヌは隙だらけだ。

 

「おおっと!?」

 

大人ネプテューヌは双剣を構えようとする。しかし、その前にうずめが割って入って防御態勢が十分ではない大人ネプテューヌに代わって攻撃を受け止めた。

更にそこに、先程のあかみを倒して戻ってきたネプギアが横槍を刺す。攻撃を受けた番犬型モンスターはダメージを受けて横に吹っ飛ばされる。

しかし、諦める様子はなく、今度は口から火球を放つ。

 

「きゃっ!」

 

なんとか防ぐネプギアだったが、体勢が崩れる。そこを見逃さなかった番犬型モンスター、マジェコンヌから逃げるときに戦ったことのある「メタルナーガ」が噛みつこうとする。

しかし、そこで光樹が動く。

 

「黄二連!」

 

二刀流から放たれる斬撃が、メタルナーガを切り裂く。その一撃のもと、メタルナーガは消滅する。

それを見て、大人ネプテューヌが賞賛の言葉を送る。

 

「さっすが、光樹。生身での戦闘も上手いんだね。」

 

「まぁ、慣れたって感じだな。今でも疲れるけどな。」

 

その賞賛に、光樹は息をついて答える。まだまだだ。攻撃の鋭さが増す分、こちらの負担も大きくなってくる。こんなところで立ち止まるわけにはいかない。

その戦闘の穴を埋めるように、またモンスター達が襲い掛かってくる。

 

「光樹、疲れたら遠慮なく言えよ?俺たちでもやれるからさ。」

 

「そりゃ助かるけど、まだ戦える!このままいくぞ、三人共。」

 

光樹はうずめからの提案を受け取りつつも、まだ諦めないことを伝える。まだやる気のあるその言葉に、ネプギアも言葉を発する。

 

「はいっ!…来ます!」

 

再び向かってくるモンスター達を蹴散らしつつ、光樹達はもう一戦、戦闘に入った。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。最後の方に久々のノーマル光樹君の戦闘です。

レイ「最初の頃は、ガンダムの戦闘がかなり疲労するってことで変身控えてた感じがしたけど、それは大丈夫なの?」

光樹君も慣れてきているってことですよ。まぁ、確かにガンダムになるの多くなってきてはいますけどね。

ジャンヌ「でも、光樹さんも生身での戦いは大丈夫そうですよね。」

でも最初の頃、フェンリル十何体くらいと戦っていたころと比べるとまだこっちの方が楽かもしれないですね。こっちの方では巨大な敵と戦っていることも考えるとこっちの方が厳しいのかな?
そういえば、昨日書店で少し思ったんですけどね?

レイ「ん?どうしたの?」

いや、ライトノベルの作品からアニメ化する作品とかってあるよね?

ジャンヌ「はい。確かにそういった作品はわたくしもよく見てますね。」

アニメ化するのはいいんだけど、…たまにアニメ化すると書籍の進行速度が遅くなる作品があるよね…

光樹「おい!ブラッ○○○ットとか○Sのことに触れるのはやめて差し上げなさい!」

いや、伏字だけど言った光樹君の方が悪いと思うんだが…。

光樹「お前が言わせたんだろ…全く。で、それに対してなんだ?」

いやー、私的にはそれを見ると、なんか心配になるというか…。前者はアニメ見て私も気に入ってるから、続いて欲しいなって。

レイ「そんな事言ってると、この作品も失踪とかするかもよ?」

止めて下さいよ!(;゚Д゚)そんな縁起の悪いこと言う人でしたっけ、レイさん!?

レイ「そうならないって、私は信じてるよ?」

ジャンヌ「レイさんがこう言っているのですから、藤和木も続けて更新してくださいね?」

うわぁ、すごいプレッシャーですわー。まるでハ○ーンさんに睨まれたみたいですね(;^ω^)

光樹「まぁ、頑張れよ。俺達に○されないように。」

しっかりやっていきますよ!それでは今回はここまでです。

レイ「次回は火曜日辺りになるのかな?」

ジャンヌ「でしょうね。では次回もよろしくお願いしますっ!」


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第65話 黒の機動兵器の復活

どうも皆様、お元気でしょうか?最近暑いですね。私も暑い中、スーツを着ていくというものすごく暑い格好していかなければいけない時があります、藤和木弘です。

ジャンヌ「といっても、一週間のうち一日だけじゃないですか…。でもすごく暑そうですし、荷物も着替えを持って行っているので大変そうですよね。どうも、皆様。今はあまりにも暑いので、藤和木の学校に付いて行くときにはグラン・ロロから夏用に短めのステージスタイルを転送してもらってそれを着ています、ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「ジャンヌちゃんの衣装って長袖だもんね。どうも!レイ・オーバだよっ。ちなみに私の衣装は袖部分を取っ払って肩口のないものになるから、それで行ってるよっ!」

ジャンヌさんとレイさんの衣装ことステージスタイルって対称的ですよね。レイさんは夏風、ジャンヌさんは冬風で。

ジャンヌ「私服になると、その逆なんですけどね。」

レイ「一応他にも服はあるんだけど、そこはメタい所になるから言わないけどね。」

まぁ、そうでしょうね。さて、今回は第65話、投稿です。ついに!光樹君の、あの!ガンダムが登場ですよ!!

ジャンヌ「あぁ、光樹さんもようやく本来の力を取り戻すのですね。」

レイ「イメージを膨らませてみたけど、すっごい武装多いよねっ。」

どんな機体なのか、さぁ、本編で確認を!


 

 

襲ってくるモンスター達を倒しつつ、私たちは施設の中を進んでいた。施設の中は少し迷ってしまうこともあったけれど、確実にドームの方へと向かっていた。それと同時に、感じられるシェアエネルギーの量も大きくなってくる。

その反応を元に、道を選んでいく。途中で何かが隠されているような場所があり、もしかすると道を塞いでいるのかもと思い、それらのオブジェクトも破壊していく。

今のところ、特に道がふさがれているというわけではなく、先程通った道へのショートカットを作ったり、アイテムをゲットしたり、もしくは何もないかのパターンに分かれていた。

地道に道を調べていった結果、階段が目の前に見えてくる。階段の先のこの迷路ともいえる通路の出口、そしてドームへの入り口と思われる穴からは光が差している。

 

「おっ。あれってドームに入れる入り口なんじゃない?」

 

「そうかもしれないですね。」

 

「よし、だとしたら早速行くぞ!ぎあっち、ねぷっち、海男、光樹!」

 

大きいお姉ちゃんの予想を、私は頷く。あの穴からシェアの力を強く感じる。

うずめもそれに気づいたようで、一番乗りにその穴へと向かう。

 

「あ、待ってください。うずめさん。」

 

「まったく…慌てることもないだろうに。うずめのやつは。」

 

うずめの反応に海男も少し呆れている。けれども、ここで重要なアイテムが手に入るのなら喜んで先に先に行くのは当たり前なのかもしれない。その後を光樹も追いかけていく。その後ろを、ネプギアは走っていく。

光の指す入り口の中を抜ける。そして、見えたのは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちわびたぞ、小娘共。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「マ、マジェコンヌ!?どうして、ここに!?」

 

いきなりの登場に、ネプギアは混乱する。どうしてこんなところにマジェコンヌがいるのかと。ここに先にいるということは、まさか先回りをしていたんだろうかと考える。

けれど、それではなぜここにいるのかの理由が付かない。先回りをするにしても、私たちがここに来ることを決めたのはこの施設に入るほんの三十分前のはずだったのに…。

すると、マジェコンヌの後ろでこちらを伺うようにしていたエクスが前に出てくる。

 

「貴様らの考えていたことなど手に取るように分かる。どうせ、シェアクリスタルのエネルギーに釣られ、ここまで来たのだろう?」

 

「まさか…これはお前達が俺達を誘い込むための罠!?」

 

光樹がそれに気づく。まさか、本当に罠を張られていたなんて…。シェアクリスタルなら、ネプギアたちをここに誘うことも容易い。まさにマジェコンヌたちがしてやったりであった。マジェコンヌも満足そうに誇ってくる。

 

「その通りだ。貴様らをおびき出すには、シェアクリスタルが手っ取り早いと思ってな。」

 

そのことから、まんまと罠にかかってしまったネプギアたちだったが、今はマジェコンヌたちと戦わなければならない。むしろ、マジェコンヌたちを探していたのだから、これはラッキーだった。探していた対象が向こうから出てきてくれたのだ。倒さない以外のことは考えられなかった。

全員が気を引き締めようとする。でも、そこで声が響く。

 

「ま、見つけ出したのは俺なんだけどな。」

 

マジェコンヌに茶々を入れるように発せられた声に、うずめと海男が辺りを見回す。

 

「…え、その声って。」

 

「この声…まさか!?」

 

一方、ネプギアと光樹は何かを思い出すようにその声が聞こえた上の方を向く。その声の人物に心当たりが二人にはあったからだ。それも、二人にとって、因縁のある(光樹はゲームでだが)相手として聞いたことのある声だった。

視線を向けた先にいたのは、イストワールに似た存在。かつて、キセイジョウ・レイを傀儡として超次元、神次元に被害を出した黒幕ともいえる存在である「クロワール」と呼ばれた存在だった。

けど、そこで大きなお姉ちゃんの言葉で、更に驚くこととなった。

 

「クロちゃん!?」

 

ネプギアの言葉に続くようにして発せられた言葉は、間違いなくクロワールに向けて放たれた言葉だった。そして、クロワールを「クロちゃん」と呼んだ。それはつまり、ネプギアたちを元の世界に帰してくれるかもしれない「クロちゃん」と、かつての敵である「クロワール」が同じ存在ということだった。

姿を現したクロちゃんことクロワールは、大きいネプテューヌに対して挨拶をするように言った。

 

「ネプテューヌじゃないか。久しぶりだな、楽しんでるか?」

 

「楽しんでるも何もないよ!わたし、置いて行かれて凄く寂しくて苦労したんだからね!」

 

大きなお姉ちゃんは、私たちと出会うまでの寂しさをぶちまける。かなり不安だったみたいだ。

そんな大きいネプテューヌに対して、クロワールは軽く謝った。

 

「わりぃわりぃ。こんな面白そうな世界、滅多にないからついはしゃいじまってよ。」

 

でも、その話す様子は、長年暮らしてきた相棒とでもいうべき会話だった。少し内容は過激だったけれど、それでも仲はよさそうに見えた。

全く脅威を感じることのなかったネプギアに対し、光樹は怒ったように言葉をぶつける。

 

「クロワール……まさか、こんなところにいたのか…。」

 

光樹の警戒するようにする様を見て、光樹の存在に気づいたクロワールが思い出したように声を上げる。

 

「あー、てめぇ光樹か!まったく、よくもあの時メガネからひっ放しやがったな!」

 

「!お前も俺に会ったことが!?」

 

「あ?当たり前だろ。何せ、お前のせいで俺の面白い歴史を記録するのを邪魔されたんだからよ。」

 

光樹さんが自分のことを覚えていることに驚く。クロワールも光樹さんが神次元の戦いで戦っていたことを知っているなんて…私はまだ一つも覚えていないのに、一体この違いは何なんだろうか?

その話を聞いていたうずめが、大きいネプテューヌに確認を取る。

 

「ねぷっち、こいつがお前のクロちゃんてやつか?」

 

そのことを聞いたクロワールが、大きいネプテューヌに代わって説明をする。

 

「その通り。俺様がクロワールだ。」

 

「黒いからクロワールっていうんだよ。」

 

「ちげーよ!クロニクルのクロだよ!オメェは、何回言えばわかんだよ。」

 

大きいお姉ちゃんのボケに、素早くツッコミを入れるクロワールの姿はなんだか笑えてくる。

そういえば、クロワールの名前を考えたのって、確かお姉ちゃんだったっけ?キセイジョウ・レイさんが神次元の昔の国、タリの女神だった時からいたから、たぶん命名者は違うだろう。けれども、お姉ちゃんも当時同じようなことをクロワールに言っていたような気もしない。やっぱり、次元が違っていても、同じ存在なんだ。

一方、海男が先程の言葉を冷静に訳す。

 

「クロニクル…年代記や編年史か。」

 

「俺様は歴史を記録するのが役割なんでね。いろんな世界を渡り歩いてはその世界の歴史を記録してるんだ。」

 

クロワールの役割も、基本的にはイストワールと同じだ。歴史を記録するという目的を持つ。けれど、神次元での戦いでは、かなりひどいことをしていた。それを思うと許せない。そんな気持ちがネプギア、そして光樹の中に現れる。

と、そこでうずめがマジェコンヌやイクスといる理由に触れた。

 

「待てよ。なんでそんなやつが紫ババアと一緒にいるんだよ。」

 

何も知らないうずめさんが知らないのも無理はない。普通そんな重要な存在が、世界の敵ともいえる存在に協力するというのもおかしな話だ。

と、そこでクロワールは本性を出す。

 

「そりゃあ、こいつと一緒にいた方が、歴史が面白くなりそうだからに決まってるだろ。」

 

「また、神次元と同じ事件を起こす気か!」

 

その言葉に光樹が怒りをぶつける。その考えは、誰が見ても異常だ。クロワールは更にその考えを語った。

 

「まぁな。だって、世界を滅ぼす一歩手前なんだぜ?世界の滅亡なんて滅多に見ることなんてできねぇよ。」

 

まるで楽しんでいるかのように、笑顔でそう言った。その発言に危機感を抱いたのか、海男が真剣に味方なのかどうかを聞く。

 

「君は、オレたちの味方じゃないのか?」

 

「オレは誰の味方でもないぜ。強いて言うなら、面白い歴史に傾く方の味方だな。」

 

けれども、海男の発言にクロワールはそう答えた。

それにとうとう、光樹の怒りが限界を迎えた。

 

「許さねえ!お前はここで倒す!たとえ、俺たちを元の世界に戻す存在でもなっ!」

 

前に出ようとするけれど、そこでエクスが邪魔をしてくる。

 

「させぬわ!」

 

ビームライフルの一射が放たれる。その一撃に何とか反応した光樹さんは、前に出る体を抑えて、後方に退く。けれど、それで終わりにはしなかった。後方へ飛ぶと同時に、剣を下から上に振り上げると剣より光の三日月状のエネルギー波がクロワールに放たれた。

 

「や、やべぇ!」

 

「いちいち手間のかかる協力者だ。」

 

驚くクロワールを守るように、エクスがエネルギー波の前に立ちはだかり、ビームサーベルで飛んでくる刃を後方へとはじき返す。

いきなりの行動だったので、大きいお姉ちゃんが悲鳴にも似た声で光樹さんを怒る。

 

「ちょっと!危ないよ!?クロちゃんが死んじゃったらどうするの!?」

 

「あんなことを言うんだからな。ついゲームでの怒りが。」

 

「本気でやろうとしてたよね?ダメだってば!」

 

光樹さんとしては、あの発言を取り消させようとしたのだろう。けれど、それは逆に大きいお姉ちゃんを怒らせてしまった。

そうして言い争いが起きようとする。

 

「あいつ頼るのも、あんまりよくないって…」

 

「こ、光樹さん。今はマジェコンヌとエクスを。クロワールに何か言うんでしたら、マジェコンヌたちを倒してからで…。」

 

「そうそう!後でクロちゃんには言えばいいからさー。」

 

ネプギアと大きなネプテューヌの言い分もあり、光樹は不満そうにしながらも、再びエクスと相対する。

その様子を見ていたマジェコンヌが、その言い争いと、クロワールとの会話をまとめて鼻で笑う。

 

「そういうことだ。残念だったな。」

 

悔しいけど、今はクロちゃんことクロワールは協力してくれなさそうだ。一方、本人は大きなネプテューヌを誘う。

 

「どうだ、ネプテューヌ。せっかくだし、お前もこっちに来ないか?一緒に見ようぜ、世界の終りってやつをよ。」

 

まさか、逆に共に旅をする仲間を、世界の崩壊の方に力を貸すように言ってくるだなんて。

そのあまりにも無茶苦茶な考えに、ネプギアは怒りを覚える。こんな考えの人をマジェコンヌのような悪人と行動させていたら、世界を崩壊させるのは明らかだ、と。

けれども、そこはネプテューヌだった。大きなネプテューヌはその言葉に悩むような仕草を見せつつも、答える。

 

「んー。それは、お断りかな。わたし、なんとなくマザコング嫌いだし、世界を滅ぼすなんてやり過ぎだよ。」

 

「なんだよ、つれねぇなぁ。こんな面白い歴史、見たくてもなかなか見れるもんじゃないんだぞ。」

 

クロワールはつまらなさそうに言った。もしも大きなネプテューヌがその意見に賛成していたら、どうしようかと考えていたネプギアとしては、その言葉を聞いて安心した。

と、そこでクロワールの前に出ていたエクスがクロワールに言いつける。

 

「与太話はそこまでだ、黒の歴史監視者。マジェコンヌも我も、そろそろあいつらに引導を渡してやりたいのでな。」

 

「へいへい。短気なもんだ。負けんじゃねぇぞ。」

 

そんな心のこもってない応援を送った後、クロワールはステージの外縁部まで後退する。光樹が追いかけようとしたのか、体が少し前のめりになったが、エクスの視線を感じて、すぐに姿勢を戻す。

 

「私が、負けるだと?ふん、貴様はそこで女神共の最後でも見ていろ。これが、私の真の姿だ!はああああああああ!」

 

先程のクロワールの発言に、マジェコンヌはそう返し、力を溜める。すぐに魔力がマジェコンヌの周りに集まっていくのを感じ取る。

 

「みんな、注意しろ!」

 

海男さんからの指示が飛ぶ。分かっている。マジェコンヌも先程の言葉が嘘じゃないのはこの魔力の量からも分かる。

ネプギアは気を引き締める。魔力が見えるようになり、可視化した魔力がマジェコンヌを包み込む。それはまるで、闇に飲み込まれる魔女と言ったような様子だった。

その魔力は、こちらに風を起こす。風圧でセーラーの裾がめくれるのを抑える。うずめさんたちも顔の前を腕で覆い、風を防ぐ。

そして、魔力が晴れ、姿を変えたマジェコンヌがそこにいた。女性と獣人が一体化したような姿に、後ろに漂う、機械の翼のパーツ、手には巨大な槍があった。

その姿は、かつて見た犯罪神の姿にそっくりだった。その姿に、大きいお姉ちゃんが驚く。

 

「ねぷっ!?変身したよ!?」

 

無理もなかった。大きなネプテューヌはあちらの禍々しい姿しか見ていないのだから。こちらはそれに対し、女神にどこか似た姿をしている。元々、この姿は犯罪神マジェコンヌがギョウカイ墓場と一体化した際、墓場の主ともいえる存在を模して変身した姿だったのだから、このような姿も納得できるのかもしれない。

驚くこちらに対し、マジェコンヌが言う。

 

「今までの私と思うなよ、愚かな女神共よ。私の真の姿の前にひれ伏すがいい!」

 

これまでの鬱憤を晴らすかのように、マジェコンヌは大きく宣言した。

そんな姿を見て、うずめさんがその姿について呟く。

 

「相変わらず悪趣味な見た目してやがる…!」

 

うずめとしては、そんな姿に怖気づくような性格ではないため、強気を保っていた。うずめとしては、こんなところで怖気づいていたら、モンスターたちを守れないという思いもあったのだろうが。

そこでネプギアはその姿のことについて口を開いた。

 

「こ、この姿は…。」

 

「マジェコンヌだからって予想はしていたが、まさか本当にこの姿に?」

 

「ぎあっち、光樹、知ってるのか?」

 

マジェコンヌの姿に、ネプギアと光樹がその姿を知っていた故の発言をする。ネプギアはギョウカイ墓場で見たため、そして、光樹はゲームで見ていたからだ。それを聞いていたうずめが、どういうことなのか二人に聞く。

 

「以前、私が元の世界で戦った犯罪神と呼ばれるマジェコンヌの最終形態と同じです…。」

 

「前に戦った四足歩行のやつも、ネプギア達が戦っていた犯罪神マジェコンヌの第一形態そのままだった。これはヤバいぞ。」

 

ネプギアは、緊張しつつもそう説明する。あの時戦ったとはいえ、この姿を二度も戦うのはやはり精神的にもきつかった。せっかくあれだけ苦労して倒したのに…、と思う。

それに、光樹が言ったように、以前戦ったマジェコンヌの四足歩行形態も、犯罪神事件にて戦ったことがあった。やはり、別世界のマジェコンヌも同じような存在だったのだろうか。

そんなことが重なり、ネプギアは自信を失う。

 

「それに加えてクロワールさんまで一緒にいるんじゃ私たちの勝ち目は…。」

 

「…難しい、というわけか。」

 

「はい…。」

 

海男の言葉に、ネプギアも頷く。あの時はネプギア以外にも、ユニやロム、ラム、そしてネプテューヌたち女神四人に加え、アイエフたちもいたからこそ勝てた、総力を尽くしての勝利だったのだ。

だがしかし、今はネプギアやうずめ、大きなネプテューヌの三人だけ。光樹もおそらくエクスとの相手でこちらには手を出せないだろうと思った。この戦い、不利だった。

 

「せっかく帰る方法を見つけたと思ったのに…。」

 

ネプギアは弱気になる。けど、そこに更に追い打ちをかけるように、エクスが声を大にして言い放つ。

 

「マジェコンヌだけで絶望するか。しかし、我の極限進化は、更なる絶望を加速させる!エヴォリューションフェース、フルセット!」

 

「まさか…エクスも?」

 

ネプギアはそう疑問を口にする。一体、何が起こるのか。

すると、エクスの周りに、データが集まる。データは装甲のような形となってエクスを覆う。更に次々と装着され、装着された部分から次々と実体化していく。それは光樹と戦っていた時や逃げるときにも装着されていたパーツだった。けど、一つ一つを換装するのではなく、一斉に装着していた。

装着が終わったのか、周りにデータのオーラのようなものが張られ、一瞬ではじけ飛ぶ。その姿は、決戦用とでも言うべき程の大量の武器を備えていた。

 

「これが、我の極限進化した真の姿だ。有象無象の少年と雌どもよ、我に勝てると思うな!」

 

「くそっ、EXA(エグザ)フェースか…。」

 

「そんな…あれだけの武器を搭載するなんて…。」

 

勝てるわけがない。ネプギアは直感的に思った。こんな双璧、どうやって倒せというのか。どちらかが倒せなければ、もう一方が倒しても、残った方が倒しにかかってくるのは当たり前だ。ネプギア達三人がマジェコンヌを倒しても、光樹が倒さなければ蹂躙され、光樹が倒しても、またマジェコンヌとの戦闘に入り、光樹のガンダムのエネルギーが尽きるかもしれない。これはどちらも負けたらいけない戦いだった。

そんなネプギアの心配に、うずめが手を差し伸べる。

 

「……いや、まだ諦めるには早いぜ、ぎあっち。」

 

なぜ、ここまで勝てるのか分からない状況なのに、冷静でいられるのか。ネプギアは不思議でいられなかった。だがしかし、すぐにそれは分かった。

 

「正直、俺にはクロワールや犯罪神、それにあの全部乗せガンダムもどきがどんなやつなのかは知らない。ガンダムもどきに関して言えば、ぎあっちだって同じだろ?けどな、クロワールが滅びの歴史を記録したいなら、その可能性を潰せばいいだけだ。」

 

「うずめさん…。」

 

そう、うずめは知らないのだ。何も知らない。

無知であることは本来、戦いにおいては危険だ。相手の経歴を知らずに突っ込めば、やられるのは確定だ。しかし、うずめは知らないことで、戦闘意識を損なわなかったのだ。それにより、相手の圧倒的な姿を見ても、屈していないのだ。

だけど、ここで屈しないというのは、幸いであった。その勢いで、マジェコンヌに臆せず攻撃を全両区でぶつけられる。そしてなにより、そのうずめの意志に、ネプギアが勇気をもらったのだから。

うずめさんが戦う意志を見せているのだ。一度戦い、勝った自分がこんなところで諦めちゃだめだよね。

自分を鼓舞し、自信を取り戻したネプギア。そして、うずめはいつものように、宣言する。

 

「安心しな。あんな紫ババアにガンダムもどき、俺がカッコよくぶっ倒してやるからよ!」

 

光に包まれ、女神化する。オレンジハートに変身し、余裕の表情を見せる。

 

「相手がでっかくないなら、余裕でタイマン張らせてもらっちゃうよー!」

 

オレンジハートが、因縁の敵にそう言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

うずめのそんな勢いづいた言葉に、光樹もまた鼓舞されていた。この状況、かなり不利だ。エクスは全装備統合型のEXAフェースを倒すためには、本機でぶつからなければならない。そんな状況下でうずめの声に、不思議と気分が高揚する。異性に応援されるのだから、この戦いに負けるわけにはいかないと思っていた。

だが、気持ちでは勝とうと思っても、機体が問題だ。今の最新機である「クロス」で勝てるかと言われれば、それは難しい。だが、今ある機体で倒さなければならない。今までの流れからすると、光樹が危険になる辺りで次のファイナライズアップデーティングが起こるはずだ。確実性はないが、それに頼るしかない。

と、そこでエクス達が動いた。

 

「フン、ならその自信叩き折ってくれるわ!!」

 

「橙の女神よ、我が力に沈め!!」

 

一気に距離を詰めてくる。狙いは一目でわかる。うずめだ。先程の発言は相手としても不快だったようだ。

そうなるとうずめが危険だ。あの強敵二体の攻撃を受け止めるのは女神でも難しい。誰かが割って入らなければ、どちらか一方の攻撃を止めなければ難しい。

ネプギアと大人ネプテューヌもそれには気づいており、うずめを守ろうとする。だがしかし、突然前を塞ぐようにビームのカーテンが展開された。

 

「キャッ!?」

 

「塞がれた?うずめ!」

 

大人ネプテューヌはうずめに逃げるように言う。ところが、うずめはシールドで受け止めようとする。ある意味それも正しかったが、動きが遅かった。

 

「無駄だ!!諦めろ!」

 

その一声と共に放たれたビームが、うずめの左腕のシールドに直撃する。ビームが命中した衝撃でうずめの腕が後方へと下がる。

隙だらけになったうずめに、マジェコンヌの槍とエクスのビームサーベルが迫る。

 

「うずめっ!!」

 

光樹が前に出ようとする。その時だった。

 

『シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス修復完了。』

 

待望の知らせだった。クロスを強化した機体、それがこのタイミングで修復完了ときた。このピンチに、装着しないはずがない。

光樹は駆け出しつつ、シューティングスターBを手で握り、叫ぶ。

 

 

 

 

「セット…オンッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

光が溢れる。そして、うずめとマジェコンヌ、エクスの間に機体が割り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん…だと……?」

 

「馬鹿なッ!我が攻撃を受け止めただと!?」

 

「…光樹!」

 

そこにいたのは、うずめへの攻撃を一本の大型の大剣とANカタナタイプの武器でそれぞれを抑え込む、ガンダムであった。

シュバルトゼロ・クロスの姿を受け継ぎつつも、頭部はガンダムとは違う、大きなマスクで覆われ、ガンダムの顔には見えない、いわゆるユニコーンガンダムのユニコーンモードに似た顔つきとなっていた。腰にはクロスでは背中に装備されていた武器に似た武器をテールのように装備、肘には刀の鞘を備えている。腰部のウエポンコンテナは大幅に小型化、シャープな形状になりすらっとしたシルエットになっているが、そこには、二本のロングライフルを備えている。そして、大きく違うのは肩の換装パックと、ウイングだ。肩部のパックユニットには、右側に今持っている大剣を取り付けるようなジョイントが見て取れ、反対側にはシールドとランチャーを一体化したようなものを備えていた。翼の方は、四枚だったウイングが、六枚にまで増え、そのボリュームが一目でわかった。

新たに装着したガンダムに、光樹は驚いていた。最強クラスの敵を相手にしているのに、全く不利を感じていなかったからだ。むしろ、余裕さえ感じる。

 

「こいつが、新しいガンダムの力…!」

 

そのすごさに、感嘆しつつも光樹は目の前の敵に目を向ける。そうだ、ここで倒さなければいけない。そのために、目の前の敵を離れさせなければならなかった。

光樹は出力を上げ、一気に弾き飛ばす。弾き飛ばされたマジェコンヌとエクスはただただ驚く。

 

「おのれ、女神の始末を邪魔しおって!」

 

「黒の少年が力を取り戻したか…。その力、邪魔だな…!」

 

敵もこの機体の性能は予想外の様だ。光樹もこうして動いてみて感じる。この機体なら、やれると。

勢いづいた光樹は、先のうずめの言葉と同じように言い放つ。

 

 

 

 

「こいつなら、負けやしない。さぁ、かかって来いよ!エクス!!」

 

 

逆転が、始まる。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。残念ながら今回はゴッドクロスは活躍が少しだけでしたが、ちゃんとその強さを見せますよ!

レイ「次が楽しみだねー。」

ジャンヌ「ですが、次回の話は女神様達の戦いになるのでは?」

そうです。まぁ、女神の活躍も見せないと、意味ないですよ。もちろん、光樹君に負けないほどの活躍を見せたいと思いますよ!

ジャンヌ「それは…期待していいんですか?うふふ…!」

な、なんか寒気が…。

ジャンヌ「ちょっ…!どうしてそんな怖がるんですかっ!せっかく期待しているのに…。」

す、すみません。さて、今回はここまでにしましょうか。

レイ「だね。今度は火曜日辺りだって。」

ジャンヌ「もうっ!…では皆様。次回もよろしくお願いいたします。」


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第66話 数押しによる乱舞

どうも、皆様、藤和木弘です。

光樹「なぁ、作者。うちの作品って今は6日投稿が基本だよな?」

(ギクッ!)そ、そうですねー。さて、ジャンヌさん達も呼んで…

光樹「今日に投稿したのは、どういうことだ?(ポキポキ)」

ぼ、暴力はいけない!!一方的な暴力はやめましょうよ!

ジャンヌ「こ、光樹さん!今回はどうか許してあげてください。昨日はとあることがあったんです。」

レイ「そうそうっ。藤和木が珍しく女の子助けてあげたんだから!」

光樹「何っ!?まさか痴漢から助けたとか?」

流石にそんなことはない!まぁ、チームの課題を仕上げたくらいだ。その疲れもあって、昨日は投稿できませんでした。火曜日って前の話にはあったんですが、あれは打ち間違いです。本当は昨日投稿して間違えたことを詫びるつもりだったんですが…。まぁ、先程ジャンヌさん達が言ったように、昨日チームで仕上げなきゃいけない課題があったんですよ。それでそこの担当していた子が疲れ切ってしまっていたので、文章考えるだけでイラストレーターほとんど触れてなかった私が代わりにそれを仕上げた次第です。

光樹「ふーん。珍しいな、作者が進んで面倒事を引き受けるなんて。」

それも勉強と思えば少しは楽になるよ。さて、話が長引きましたが、第66話投稿です。

ジャンヌ「今回はうずめ様たち、女神チームがマジェコンヌと戦う場面ですね。」

レイ「本気を出したマジェコンヌに勝てるのかな?」

さぁ、それでは本編へ!


うずめさんに向けての攻撃は、なんとかガンダムになった光樹さんが止めてくれました。けれど、まさか、新たなガンダムにこのタイミングで変身するなんて…。もしかして、このタイミングを待って、変身したのかな?

そう思ったネプギアは、オレンジハートを心配してから、光樹に聞いてみることにした。

 

「うずめさん!大丈夫ですか!?」

 

「うん!光樹が守ってくれたからねー。」

 

「光樹さん、まさかこのタイミングを狙って?」

 

だがしかし、そんな必然の物ではなかった。

 

「いや、さっきこいつに変身できるってゼロが言ったからな。ダメもとで試してみたけど…こいつ、かなりすごいな。クロスなんかとは桁違いのスピードとパワーだぜ。」

 

「…え?まさか、どんな武器があるのかも知らずに?」

 

「そうだな。けど、使うべき武器が頭の中に流れて来て、知らない内にこうなってたって感じだな。記憶が戻ってきてるってことかな?」

 

そんな光樹の言葉が返ってくる。

まさか、直感だけであの攻撃を止めるだなんて…。二人がかり、それもマジェコンヌとエクスの本気ともとれる形態の攻撃をああも簡単に受け止め、更にはじき返すとは。

光樹の余裕そうな姿を見て、こちら側にも余裕が生まれた。

 

「よーし!光樹に続いて、うずめたちもこのまま押していこー!」

 

「光樹に負けられないね。よーっし、クロちゃんを懲らしめちゃうためにも、わたしもがんばろーっと!」

 

オレンジハートと大きなネプテューヌにも、余裕そうな様子を見せる。そんな雰囲気に、ネプギアにも影響は受ける。

 

「…うん!光樹さんの足を引っ張らないためにも、私たちも頑張りましょう!!」

 

そう決めて、ネプギアも女神化する。

プロセッサユニット身に纏ったネプギアは、同じく戦闘態勢を整えた二人と共に、弾き飛ばされていたマジェコンヌと向かい合う。

 

「ほぉ。随分余裕があるようだな。あの小僧一人が粋がってる程度で勝てると思われるとはな!」

 

「光樹さんがあっちを止めているんです。なら私たちがあなたを止めて見せます!」

 

パープルシスターになったネプギアは強気にそう宣言する。先程までの怖気づいていた様子は見られない。うずめの言葉と、光樹の行動がネプギアにエネルギーを与えていた。心の支えとなっていた。

 

「そうそう!覚悟しなよ、マザコング!」

 

「だから!私はマザコングではない!!マジェコンヌだと…!」

 

大きいお姉ちゃんがマジェコンヌを挑発する。ここで倒さなくちゃいけない。私たちの手で。

そして、オレンジハートの言葉で、戦闘が始まる。

 

 

 

「これでオバサンとの因縁も終わらせるよっ!フルボッコだよっ!」

 

 

 

オレンジハートの言い放った言葉を聞いた後、大きなネプテューヌとパープルシスターがマジェコンヌに対して低姿勢で走り出す。放ってくるであろう魔法弾をかわす為だ。

それに対し、マジェコンヌはやはり魔法弾を放ってくる。小型の魔法弾が、軌跡を描いてこちらに飛んでくる。化け物のようなマジェコンヌの時よりも威力と言うよりは狙いを重視した攻撃だった。

けれど、ネプギアからしてみれば、その方が楽だった。錐もみ飛行で回避しつつ、マジェコンヌに対してM.P.B.Lを放つ。連射重視の弾は、マジェコンヌが張ったバリアで防がれてしまう。

だが、そこに大きなネプテューヌは攻撃を仕掛ける。二刀流でマジェコンヌのバリアに剣を突き立てる。そしてそのまま、横一文字に引き裂いた。バリアは消失する。その攻撃にマジェコンヌは舌打ちをする。

 

「くそっ。調子に乗るなよ!」

 

近づかれたことに腹を立てたマジェコンヌは槍を突き出す。大きなネプテューヌに受かって放たれた一撃を、大きなネプテューヌは受け止める。

しかし、攻撃の一撃が強すぎた。受け止めたはずの大きなネプテューヌは、防いだ姿勢のまま、後方へと吹っ飛ばされる。

 

「っとぉぉ!?」

 

「フン!まずは貴様からだ!!」

 

好機と見たマジェコンヌは、大きいお姉ちゃんに追撃をかけてきた。私に目もくれず、突っ込んだのはきっと、お姉ちゃんに今まで馬鹿にされたり、からかわれていたからだろう。

でも、その行動は結果的に正しいことになった。マジェコンヌの二撃目は、大きいお姉ちゃんの二本の大剣を弾き飛ばす。

何も防ぐものが無くなったのを見て、そのまま真っ直ぐに槍を突き出した。

 

「お姉ちゃん!!」

 

ところが、その攻撃は大きなネプテューヌを貫くには至らなかった。

突如として、大きなネプテューヌを守るように壁が出現する。否、壁ではない。それはオレンジハートが展開したシェアの盾であった。

割り込んだオレンジハートは受け止めたことを誇るように言う。

 

「ふっふーん!これくらい守れるもんねー!」

 

「おのれ!」

 

シェアの盾を貫こうとウイングから推力を生み出し、押し切ろうとする。徐々に盾に嫌な音が発せられ始める。

このままではいけない。そう思ったパープルシスターがマジェコンヌに不意打ちをかける。

 

「あなたの相手は…ここにもいます!!」

 

M.P.B.Lをソードモードに切り替え、思い切り振りかぶる。けど、その攻撃は急に動いた翼によって防がれてしまう。

 

「その程度、甘いわぁ!!」

 

バシュン!!

 

「きゃぁぁぁ!!」

 

「うずめ!って、ねっぷぅぅ!!」

 

パープルシスターの攻撃に目もくれず、マジェコンヌはオレンジハートと大きなネプテューヌを槍でシールドを破りつつ吹っ飛ばす。

思い切り打ち込まれたようだけど、幸いけがは浅いようだ。けれど、それはつまりこちらの相手ができるようになったことだ。

マジェコンヌはウイングでこちらを振り払う。地面に着地するが、そこにマジェコンヌが攻撃を仕掛けてくる。ウイングの先からレーザーが放たれる。ネプギアは攻撃を避けていく。だが、ホーミングして飛んでくるレーザーをいつまでも避けられるわけではなかった。徐々に攻撃がかすめ始める。

 

「うっ…!このままじゃ…きゃあ!」

 

判断が鈍った所で、パープルシスターのM.P.B.Lが弾き飛ばされる。加えて足元を狙った攻撃によって体勢を崩し、地面に尻餅をついてしまう。

すぐに立ち上がろうとするが、ホーミングレーザーがこちらに一斉に迫ってくる。

 

「そんな!」

 

「ぎあっち!!」

 

オレンジハートがホーミングレーザー目がけて音波攻撃を飛ばす。しかし、音の速さでレーザーの速度には追い付かない。

咄嗟に防御態勢を取る。多少の攻撃くらいは守れるだろう。

ホーミングレーザーは次々とネプギアに直撃し、爆発を起こす。爆煙を起こしたホーミングレーザーは、一発一発がそれなりの威力を持っていたのは誰から見ても分かった。その様子を見ていた大きなネプテューヌも悲鳴に似た声で安否を確かめる。

 

「ネプギア!!大丈夫!?」

 

その声は、ちゃんとパープルシスター自身にも聞こえていた。すぐに声を出して無事であることを知らせる。

 

「は、はい。何とか…。」

 

煙が晴れた場所には、プロセッサユニットにいくつか損傷が見られ、更にはボディスーツのプロセッサユニットがところどころ破れたパープルシスターの姿があった。防御態勢を取っていたことでいくらか被害は抑えられていたため、まだ戦える様子であった。

このまま押されるわけにもいかないので、弾き飛ばされたM.P.B.Lを取りに行くために滑空する。だが、当然マジェコンヌも邪魔をしようとする。

 

「背中を見せるとは愚か…」

 

「そう言ってるおばちゃんも、隙だらけだよっ!」

 

けれど、そこでうずめさんがマジェコンヌの攻撃を邪魔する。エネルギーで形成したドリルによる攻撃、「夢幻粉砕拳」で攻撃を仕掛ける。

しかしながら、その攻撃はすんでのところで回避される。だが、追撃を仕掛けようとしていたマジェコンヌは驚きの声を上げる。

 

「くそっ、女神風情が!」

 

「んもー!避けるなんて。あとちょっとだったのに。」

 

攻撃を避けられたことをオレンジハートは悔しがる。それでも、オレンジハートが突撃したことで、パープルシスターは既にM.P.B.Lを回収し、銃口を向ける。

今の所、ほぼ互角の戦いに見えた。けれど、こちらが多人数なのに向こうはまだ一度も攻撃をまともに受けいない。以前戦った時とは違って、機動力を重視していた今のマジェコンヌは、攻撃は当てにくいのは分かっていた。

でも、こちらが数的には有利だ。攻めていけばマジェコンヌにも疲れが溜まり、動きが鈍くなるかもしれない。そう考えたパープルシスターはM,P.B.Lから出力大のビームを放つ。

 

「えいっ!」

 

「その程度!」

 

それを余裕をもってマジェコンヌは回避する。飛び上がると同時に、槍の先から魔方陣を展開する。

以前展開した魔方陣に似たような攻撃が来ると考えたパープルシスターたちは身構える。

そして、大きな攻撃が来る。

 

「貴様らすべて薙ぎ払ってやるわぁ!!」

 

槍の途中まで魔方陣を通過させ、魔力のこもった槍先からビームが放たれた。一番端に向けられたのでこちらに直接の被害はなかった。それだけならよかった。しかし、先程の言葉が現実となる。文字通り、こちらに向かって、ビームの柱が迫ってくる。

 

「皆さん!避けて!!」

 

パープルシスターの危険を察知した言葉に、二人も気づいた。三人は散開して薙ぎ払われたビームを避けた。薙ぎ払われたビームの後から爆発が起こる。爆発の煙で視界が封じられてしまった。

 

「うずめさん!お姉ちゃん!大丈夫ですか!?」

 

そんなパープルシスターの声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「煙のせいでみんな見えないよ。でもネプギアは無事みたいだね。」

 

大人ネプテューヌはそう言った。煙のせいで互いの場所は見えないが、幸いネプギアが声を出してくれている。ネプギアを心配させないためにも、大人ネプテューヌは声を出す。

 

「おーい、ネプギアー。わたしはここだ…」

 

その時、何か嫌な視線を感じた。身震いした大人ネプテューヌは咄嗟にその場を離れる。先程までいた場所に、細く鋭い何かが何本も通り過ぎていく。

その方向を見ると、マジェコンヌが空いていた方の手から魔方陣を発生させていた。どうやら、その魔方陣からさっきの攻撃をしたようだ。

避けた大人ネプテューヌを見てマジェコンヌが舌打ちをして残念そうにする。

 

「チッ、避けたか。この煙なら気づかないと思ったのだがな。」

 

「もー!目が見えない状態からの攻撃なんて、反則だよ?正々堂々と勝負じゃない?」

 

「フン!多人数の時点で貴様らは正々堂々ではないではないか?まぁ、それでも私の勝ちは変わらんがな。」

 

大人ネプテューヌの文句も、マジェコンヌの言葉であっさり返される。

まぁ、マザコングのいうことも確かだよね。こっちは三人、光樹も入れれば四人、そしてあっちは二人。それに今はマザコングの相手はわたしとネプギア、うずめの三人で止めてる。これはマザコングは数的に不利だ。

少し同情はしていたが、それでも大人ネプテューヌのする行動は変わらなかった。

 

「だけど…さっきのお返し、させてもらうよー!!」

 

大剣を胸の前でクロスさせた状態で突撃する。マジェコンヌが魔法弾でそれを妨害するが、大人ネプテューヌは器用に避ける。

しかし、動きは直線的だ。マジェコンヌを狙うだけだったので、徐々に攻撃がかすめ始める。

攻撃を避けたところで、魔法弾一つが正面から迫る。

 

「っと!!」

 

すぐに交差させていた剣を振って魔法弾を十字に斬る。ところが、斬ることは出来ず、後方に弾くのみだった。そこに、マジェコンヌの一刺しが迫る。

 

「もらっ…」

 

しかしその時、左後ろ辺りから球が飛んでくる。弾の着弾でマジェコンヌの槍の軌道がずれ、幸いにも大人ネプテューヌに被害はなかった。

その方向には、煙から逃れたパープルシスターがマジェコンヌに向けて手持ち武器のランチャーを構えていた。先程の攻撃はパープルシスターによる援護攻撃だったのだ。

ナイスタイミングな援護に、大人ネプテューヌが賞賛する。

 

「流石ネプギア!助かったよ!」

 

「よかった。お姉ちゃん!そのまま攻撃して!私が援護するから。」

 

「オッケー!!」

 

ネプギアの声援を受けたし、わたしもそろそろ本気出さないとなー!このまま勢いづかれてもこっちが危険になるだけだし。

早速大人ネプテューヌは後方に下がって魔法弾を撃とうと魔方陣を展開するマジェコンヌに追撃をかける。二刀流から繰り出される連撃が、マジェコンヌを襲う。しかしながら、そこは小回りを聞きやすくしたマジェコンヌも負けてはいない。大人ネプテューヌの攻撃を、手持ちの槍でいなす。

 

「この前の攻撃が通用すると思ったなら、大間違いだ!!」

 

攻撃を受けとめていたマジェコンヌが、思い切り弾き飛ばす。その衝撃で、左手の大剣が手から零れ落ちる。

流石に近距離の攻撃はまずいかな?けれども、こっちは近接戦だけじゃないんだなーこれが!光樹みたいに飛び回ってビュンビュン飛ばすのは出来ないけど、カッコイイ攻撃があるんだよねー!

攻撃が迫ってくると大人ネプテューヌは後ろにバック回転しつつ、太腿からあるものを取り出す。それは拳銃だった。

いきなり戦法を変えてきた大人ネプテューヌを見て、マジェコンヌは驚く。

 

「銃だと!?おのれ!」

 

拳銃を取った大人ネプテューヌは、マジェコンヌの周りを走り始める。そして、そのままの状態で銃を乱射する。四方八方からの乱射(といっても、いきなり反対側に移動して攻撃することは出来なかったが。)でマジェコンヌは翻弄されていく。

そこで、パープルシスターも大人ネプテューヌに続いてM.P.B.Lを連射モードで支援射撃を開始する。その攻撃により、マジェコンヌは身動きが取れなくなる。二人の連携がうまくいっていた。

マジェコンヌは攻撃を防ぐため翼を畳み、防御形態を取る。攻撃を防ぎ、ダメージを減らす方へと行動した。

しばらくの間それ続いたが、ここでマジェコンヌが反撃に出る。

 

「調子に乗るなよ!女神共!!」

 

翼にエネルギーが集まり、翼を再び展開すると、エネルギーのランダム放射が二人の射撃を吹き飛ばす。そして、そのままパープルシスターに向かって突撃する。

まさかこっちじゃなくて、ネプギアの方に狙いを変えたかぁ。そうなると、このまま後ろを攻撃したいけど、かわされたらネプギアに当たっちゃうよ。

その考えから、大人ネプテューヌは攻撃をためらう。そうしている内に、マジェコンヌはパープルシスターに迫る。

が、横合いから衝撃波が飛んでくる。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぬおっ!!この騒音は!?」

 

「うずめさん!!」

 

ネプギアが助太刀に来たうずめの名を叫んだ。何とかギリギリ間に合ってくれた。

颯爽と登場したオレンジハートは飛ぼうとする。けれど、そこで上方向から衝撃波が飛んでくる。その衝撃波のせいで、オレンジハートが地面に激突する。

 

「ひゃう!?叩き付けられた!?」

 

「一体なんなの?」

 

わたしは何が起こったのか分からなかった。ここにいた全員が、上の方を向く。すると、その衝撃波の正体を知る。

上空では光樹とエクスが鍔迫り合いを行っていた。どうやらさっきのは二人が激突したことで発生したものだったみたい。一人で大丈夫かな?と思ってたけど、エクスの武器とかパーツが一部がなくなっていたことと、光樹の機体がほぼ無傷だったことから、光樹が優勢みたいだ。

ここまで激しいと、ネプギアやうずめは飛べないというか、飛ばない方がいいかな、と思った大人ネプテューヌは二人に指示する。

 

「二人共、なるべく飛ばない方がいいと思うよ。光樹の戦いに巻き込まれちゃうかもしれないから。」

 

「ですね。」

 

「上は光樹に任せちゃおう!じゃあ、また攻めちゃうよー!」

 

頷いたパープルシスターとオレンジハートは地上からマジェコンヌに向かって攻め入る。それに続いて、大人ネプテューヌもダッシュしてマジェコンヌに接近する。

 

「くそっ、エクスめ、何をしている…!小娘共が!!」

 

言葉を吐き捨てたマジェコンヌは、接近するオレンジハートと大人ネプテューヌに向かって攻撃を放っていく。魔方陣の攻撃が終わると同時に、ウイングから曲がるレーザーを放ってくる。

だが、その攻撃にパープルシスターが反応する。

 

「二人はやらせません!」

 

的確な射撃が、わたしたちに直接当たりそうな攻撃だけを落としていく。流石はネプギアだ。真面目っぽさが攻撃にも出ててこれなら楽して勝てそうだね。

でもネプギアにだけ頑張ってもらうわけにもいかなさそうだ。またマザコングが槍をこちらに向け、その先にエネルギーを溜めた魔方陣をかぶせようとする。

 

「またあの攻撃が来るの!?」

 

オレンジハートの言葉通り、マジェコンヌは再び、あのレーザーを放とうとしていた。しかし、今度は大人ネプテューヌも対抗する。

 

「やらせないよー!ていっ!」

 

思い切り右手に握っていた大剣をマジェコンヌに向かって投げる。走っていた時の速度も足されて放照れた剣はマジェコンヌの左側のウイングパーツの目玉のような部分に突き刺さった。

 

「くぅ!?しかしこの程度…!」

 

マジェコンヌは怯むも、そのまま魔方陣を槍に集中させようとする。

けど、それだけじゃないんだなー、今回は!わたしはホルスターから銃を取り、発砲する。

放たれた弾丸は、先程投げた大剣の柄尻に撃ちこまれた。その衝撃で、大剣は更に翼を貫いた。剣が更に貫いたことで、マジェコンヌが後ろに倒れかける。

 

「姿勢を崩される…くっ!!」

 

なんとかして踏みとどまったが、そこに大人ネプテューヌの追撃が来る。マジェコンヌに接近した大人ネプテューヌは突き刺さった剣の持ち手を握る。だが引き抜くのではなく、それを重心にして上へと体を持ち上げた。当然、勢いに従ってマジェコンヌの背後に向かって落ちる。その刹那、左手に残っていたもう一つの剣が、振られる。

 

「てーりゃぁ!!」

 

ガキャン!!」

 

その一撃は、見事マジェコンヌの背部に存在した四枚の翼のうち、一つを破壊した。そのままの勢いで大人ネプテューヌはマジェコンヌの後ろに着地する。

その攻撃に驚いたマジェコンヌは怒りに震えた声で大人ネプテューヌに向かって吐き捨てる。

 

「おのれェ!!よくも私に傷を…」

 

「よそ見しちゃダメだよ?」

 

けれども、それは更に隙を作ることになった。マザコングがこっちに向いたことでその背後を取ることになったうずめがドロップキックを浴びせる。

 

「ぐふぅ!?」

 

「このままいっくよー!!うわぁぁぁぁ!!」

 

そこから繰り出される音波攻撃がマジェコンヌを地面に倒れさせた。さっすがうずめ!

攻撃を集中させた大人ネプテューヌとオレンジハートだったが、それでもマジェコンヌは倒れずに立ち上がった。

しかし、攻撃はまだ終わらない。

 

「行きます!M.P.B.L・ソードモード!!」

 

M.P.B.Lの攻撃が二回、マジェコンヌのウイングを斬る。それによって、右側のウイングは全て破壊された。残っていたのは、左下のウイング一枚のみだった。当然、それだけ破壊されれば、マジェコンヌの動きも悪くなっている。マジェコンヌは浮き上がれずに地面に着地する。

 

「くそっ、女神どもめ…。」

 

ここが好機だ。そう感じ取った三人は、同時に攻撃を集中させる。パープルシスターの射撃が、オレンジハートの拳が、大人ネプテューヌの連撃がマジェコンヌを攻撃する。

全ての攻撃を受けたマジェコンヌはよろ付く。そして、大人ネプテューヌはオレンジハートに叫んだ。

 

「うずめ!!」

 

「分かってるよ!これで…」

 

うずめが拳にエネルギーをため込む。エネルギーを溜め終わると同時に、マジェコンヌに最後のアタックを仕掛ける。

 

 

 

 

「トドメェェェェ!!!」

 

 

 

 

力いっぱいの拳が、マザコングの腹を打つ!その攻撃に、マザコングは声を出すことなく倒れた。それは同時に、わたしたちの勝利であった。

そして、もう一つの戦いも、決着がつくのである。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さて、次回はいよいよゴッドクロスと本気のエクスとの激突ですよ!

ジャンヌ「もう次回の話題ですか。それ程楽しみなんですね…ふふっ。」

レイ「ゴッドクロスも楽しみだねー。でも今回の話、最後は大人のネプテューヌちゃんが活躍してたねっ!トドメはうずめちゃんが決めたけど、今回のMVPじゃない?」

ははは、書いててそれは思った。
さぁ、話はちょっと外れて、いよいよアンジュ・ヴィエルジュが放送開始したぜー!ヒャッハー!

レイ「あ、それ話すの!?」

ジャンヌ「!」

話さないわけないでしょう!?早速遅ればせながら第1話見ましたが、1話から風呂サービスだと!?期待していいのか、これは!?

光樹「作者、先に言っておこう。アンジュの原作のKADOKAWAは、あの大コケした某人気ソーシャルゲームを作った会社だぞ?」

何でや!あれにKADOKAWA直接関係ないやろ!しかもアンジュのアニメ制作はプリズマイ○ヤだったりのん○んびより作っとる会社だぞ!少しは期待持てよ!諦めんなよ!

光樹「わかったわかった…。」

ふぅ、それで、今日の帰り道に寄ったカードショップで偶然テレビ版アンジュの主人公でもある蒼月紗夜ちゃんのデッキ買ってきました!いやー、可愛い!

ジャンヌ「…。」

光樹「…それで、ルールは分かったのか?」

ははっ、バトスピやってる私でも、準備の所でSA☆PPA☆RI☆WA☆KA☆RA☆N!!なんだよ、最後の方の説明で最初にやったこと繰り返してたぞ!だが、デッキの攻め方は説明書でなんとなく例えができた。

レイ「え。どんなのなの?」

私で例えるなら幻羅星竜ガイ・アスラにバウンスマジック入れて連続アタックしつつサポートカードで敵を除去してライフ削る感じ。

光樹「バトスピやってる人でも分かるかそれ?」

買えば分かると思う。にしても紗夜ちゃん可愛いよー(*´ω`*)

ジャンヌ「…それは良かったですね…藤和木……(ジャキン!)」

ちょっと待って!!なんで裁きの神剣向けてそんなに怒ってるの!?

レイ「ジャ、ジャンヌちゃん落ち着いてっ!?」

光樹「そりゃあジャンヌさんとしてはお前が浮気していることにご立腹だろうよ。」

待って!浮気してない!ジャンヌさんが一番だから!

ジャンヌ「じゃあ、約束しますか…?アシスタントとして彼女を雇ったりとかしてそばに置くことをしないって…。」

あっ…逃げ道塞がれた。\(^o^)/

レイ「ちょっ…!?」

光樹「浮気する気満々じゃねーか!」

ごめん、さっきの話には語弊があった。簡単に言うと、ジャンヌさんとレイさんってディーバの活動もしないといけないでしょ?多分1~2月くらいだと思うんだ。けど、その時にこっちの方に集中してバトスピの世界の方で支障が出ないように、ピンチヒッターとしてメインアシスタントの代わりとして、普段アシスタントしているやっちょちゃんと紗夜ちゃんをその時だけ採用したいと思うんです。それで許しては…。

ジャンヌ「…はぁ、分かりました。わたくしたちのことも考えてのことなら、我慢します。」

よ、よかった…。てことで、今回はここまでです。

レイ「次回はちゃんと月曜日だよ!日曜日じゃないから気を付けてねっ。」

ジャンヌ「…それでは、次回もよろしくお願いしますっ!」




光樹「で、ホントにアンジュのカードゲームのルールが分からないのか?」

これ見てよ、明らかにおかしいじゃん!なんで最初にやったことをまた最後にやってゲームスタートなんだよ。シャッフルが意味ないと思うんだけど。

光樹「そうだな…ん!?分かった、これデッキの説明書が間違ってる。」

マジで!?(;゚Д゚)

光樹「ほら、こっちの公式ルールの方ではそれがない。」

まさかミスを発見するとは…これもう他の人は気づいてるよな…。


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第67話 絶望と希望による極限の戦い

どうも皆様。今日はつなこミュージアムin中部に行って来ました、藤和木弘です!いやぁ、前に東京の方に行った時には行けなかったから、良かった良かった。

ジャンヌ「また投稿遅れて…もうっ!でも、藤和木が嬉しそうで良かったです。どうも皆様、ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「ちょうどその時は私とジャンヌちゃんが黒の館で初登場した後のことだよね。どうもみんな!レイ・オーバだよっ。」

そうそう、あの時はまだ二人も前書きのセリフ噛まないように注意して何回も台本を本番前に読んでたっけ。でも最近言い間違い多くない?

ジャンヌ「そ、その事には触れないでください!…それで、何を買ってきたんでしたっけ?」

ははは、金なかったからデート・ア・ライブの琴理のキーホルダーというかイヤホンジャックだったかを買ったぜ。

レイ「ネプテューヌ関連じゃないんだ…。」

ネプテューヌのいい商品ほとんど高かったのよ(^o^)まぁ、以前ヒカル君が大阪で開催されたミュージアムで買ってきてくれたカレンダーはあるから、実際に行けた分満足です。しかし…うずめのコスチューム見れて感動したよ。

ジャンヌ「もちろん…エロい目で見てませんよね…?」

ごめん、少しだけ…(笑)

ジャキン!

やめて!今日はめでたい日の前日だからさ!

ジャンヌ「…あら?あのこと言うんですか?」

よくよく思い出したら、去年の今頃にも言ってた気がするからさ。まぁいいかなってことで。

レイ「じゃあ、それはあとがきで言おっか。」

ですね。では今回は第67話、投稿です。いよいよ、ゴッドクロスの力の片鱗が見えます!

ジャンヌ「光樹さんのガンダムはこれで完全に復活…つまり、「力の復活」というわけですね!」

でもまぁ、片鱗ですね。

レイ「あれ?てことは今回じゃ全部分からないの?」

それは当たってるね。でも、それでも強いですよ。傍から見ればもうチートです!(笑)さて、それでは本編へ。


ネプギア達が戦闘に入るころ、こちらではエクスと対峙していた。エクスはジッとこちらを睨み付けているように見る。エクスもどうやらここでゴッドクロスが来るとは予期していなかったようだ。

しかし、このタイミングで間に合ったのは、非常に運が良かった。もしあの時まで間に合わなかったなら、うずめはエクス達にやられていただろう。

そんなピンチに颯爽と装着されたこの機体だが、かなり異質なのが分かった。まず、左腕に装備されていたシールドがない。脳内に流れる機体情報から、どうやらこの機体にもディバイダー・ゼロ・システムがあるようだが、左腕に装備されていることの多かったシールドが左腕になかった。代わりに左肩のランチャーのような武器にシールドのようなものが存在していた。一応、シールドはあるということは分かった。

そして、もう一つは、頭部がガンダムらしくなかったことだ。まるで、ユニコーンガンダムのユニコーンモードのようなフェイス部になり、頭部ブレードアンテナも一角というか、二本の角が縦に並んだようになっていた。

そのように、今までのシュバルトゼロとは違った姿だったが、腕部や脚部、ウイングなどに違いはない。武器こそ違っている物もあったが、比較的どう使えばいいのかわかりやすい装備だ。咄嗟に右手に持った大剣も、スローネツヴァイのGNバスターソードに似ていたので使うことができた。武器の把握はまだだが、武器は戦いながら把握するしかないだろう。

そんなことを思いつつ、しばらくお互い待ちの構えだったが、唐突にエクスが声を出してくる。

 

「まさか、ゴッドクロスを出してくるとはな。使えないと思っていたのだがな。」

 

「生憎ながら、使えるようになったんでね。これで勝てるのかな?お前は。」

 

「フン、記憶のない貴様のゴッドクロスなど、恐るるに足らん。」

 

光樹の強気の発言に、エクスはまだ余裕そうに答える。これは、油断しない方が良さそうだ。

しかし、先にこの戦いを動いたのは、相手の方だった。両手のヴァリアブルサイコライフルを合体させて構える。それに応じるように、光樹はゴッドクロスの腰部に新たに装備されていたライフルを二挺構える。かなり長い、いわゆるロングライフル…もしくはバスターライフルのようなものだろうか。それを両手に持つ。

すると、ゼロが手早く指示を飛ばしてくる。

 

『ANロング・メガ・マグナム、ツインロングモードへ、合体を。』

 

その言葉と同時に脳内に合体方法が浮かび上がる。どうやらウイングゼロのツインバスターライフルと同じようなもののようだ。合体させると、右手で持ち手を、左手で砲身を支える。そして、トリガーを引く。トリガーから放たれたビームは、縦に薄いビームでとてもエクスが放ったヴァリアブルサイコライフルのビームを押し返せるようには思えなかった。

そのままビームは互いに伸びてぶつかり合う。が、先程までの予想とは裏腹に、ゴッドクロスのロング・メガ・マグナムから放たれたビームは、エクスのヴァリアブルサイコライフルのビームと同等にぶつかり合う。それどころか、ビームを押し返していく。簡単に言えば細いビームが、中心を撃ち抜いていく感じだ。

 

「な…!押し負けるだと!?」

 

エクスも流石に驚いたのか、途中でビームを撃つのをやめ、回避行動を取る。全部乗せの重い装備でありながらも、瞬発的なスラスターの噴射で射線上から回避する。

ビームの押し合いがなくなると同時に、ANロング・メガ・マグナムの弾が一瞬で通過していく。この武器は破壊力よりも貫通性を重視しているようだ。

だが、そんなことに感心している場合ではなかった。エクスは攻勢を取り戻すべく、ウイングよりファンネルを飛ばす。

 

「ファンネルか!」

 

「行け、アイオスファンネル!!やつを捕えよ!!」

 

エクスの声と共にファンネルは複雑な機動で光樹に迫ってくる。

しかし、光樹の方もそれに対応する。

 

「ゼロ、こいつの機動性を試す。」

 

『了解、そちらに預ける。』

 

ゴッドクロスは六枚ものウイングを一斉に展開する。飛翔すると、その姿は一瞬でそこから消える。否、その姿は既にファンネルの包囲網から抜け出していた。

その動きに合わせてファンネルが追いかけていく。しかし、光樹の思う以上に、ファンネルは遅い、ではなく、ゴッドクロスが速かった。

その高機動性に光樹も舌を巻く。

 

「これは…!かなりの性能だ。クロスなんかとじゃ比較にならない。」

 

しかし、光樹も今は戦いの中で慣れるしかないと考え、機体を反転させる。後ろへと後退しつつ、ANロング・メガ・マグナムからロングバレルを外した拳銃形態、ANメガ・マグナムを向ける。ファンネルに狙いを定めると、そのまま撃つ。連射される弾はファンネルには当たらなかったが、二発ほどかすめ、ファンネルの挙動を鈍らせる。

そこでエクスがこちらに突っ込んでくる。

 

「このまま押されるものか!高熱粉砕!ダークネスバンカー!!」

 

空いた左手にエネルギーを集中させ、突っ込んでくる。避けようとするが、逃げ道をファンネルの一斉射で封じられる。こうなってしまった以上、受け止めるしか…。

と、そこでゼロが言う。

 

『光樹。極限進化機構「ドライブ」を。』

 

「ドライブ!?分かった。極限進化機構「ドライブ」始動!」

 

光樹はゼロの言うようにシステムの起動を叫ぶ。その声に反応して、ゴッドクロスの目に当たるセンサー部分が光る。更に機体のノイズドエナジールーンフレームが光り輝く。そして、ゴッドクロスの頭部が変形を始める。マスク部分が四つに分かれ、頭部横に張り付けられる。その奥からはガンダムフェイスが出現する。更に額のブレードアンテナも展開される。二本のブレードアンテナが四本のV字アンテナに変形する。

変形が完了すると同時に、モニターコンソールに武器が表示される。示された武器は腕部の兵装。それを確認した光樹は、すぐにエクスに向けて左腕部を向ける。

その光と闇はぶつかり合う。

 

「ディメンションブレイカー!!」

 

光樹がその言葉と共に、腕部兵装のANフレキシブルアームデストロイブレイカー「ディメンションブレイカー」を放つ。光の一撃は、闇の波動とぶつかり合うと、周囲に衝撃波を巻き起こす。

ぶつかり合う中で、光樹の耳に突然声が響く。

 

「ひゃう!?叩き付けられた!?」

 

その声の主は女神に変身したうずめことオレンジハートの物だった。どうやらあちらにも被害を出してしまっていたようだ。

しかし、攻撃はまだ終わらない。互いに互いを倒そうと出力を出す。が、それはまたしても決着がつく。

 

ドガァァァァン!!

 

「ぐぅぅっ!!?」

 

エクスがその勢いに負け、吹っ飛ばされる。その勢いは大きく、エクスはステージの場外、光樹達が通ってきた道の一つに足を着ける。

ここまでの成果を見てきて、光樹はただただ驚いていた。今のところ、光樹はほとんど攻撃にあまり集中していない。むしろ、エネルギーの制御に集中力を取られ、攻撃の方に目を向ける暇はあまりなかった。しかし、それでもなおエクスを圧倒している。ここまでの性能は、これまでに触れてきたNPよりも初めてだった。こんな機体を、記憶を失う前の自分が使っていたのを考えると、恐ろしいと感じる。

 

「これが…本当に俺の力なのか?」

 

すると、そこにゼロがツッコミを入れる。

 

『しかしながら、制御は私もやっている。今のお前の戦いは、機体性能に振り回されていると言える。』

 

その言葉に、光樹は何も答えない。ゼロの言葉が事実だったからだ。今の光樹はゼロの言う通り、ゴッドクロスの圧倒的な機体性能についていけていない。今はゴッドクロスの性能に引っ張られている。今は良くても、この先この力を制御していかなければ戦い方は単調になる。

しかし、今はこの状態で戦うしかない。この戦いでできることなら制御しなければならない。光樹は再び戦闘へと意識を向ける。

一方、エクスの方は距離を取る。遠距離から攻撃をするためだろう。その予想は正しく、距離を取った所でファンネルを周囲に展開する。さらにヴァリアブルサイコライフルも構える。その状態から、一気にビームが放たれる。フルバーストだ。

しかし、フルバーストというよりも、エネルギーを束ねて攻撃する、ハイパーバーストのようなものだった。だが、こちらもそれには負けることはない。高威力のビーム攻撃に対し、ゼロの指示に従い、腰部のスタビライザーパーツを前方に展開する。すると、前に向けられたスタビライザーは上下に割れる。分かれたパーツの間にスパークが走る。

この武器は、以前ゼロが言っていた、出力制御が不可能と言っていた武装、ANプロトスタビライザービームキャノンのあった所に存在した武器だった。しかし、ゼロがそれを指示するということは、出力の方は問題ないということのはずだ。

そして、それは事実だった。高出力の蒼いビームが放たれる。データ的には出力は安定している。赤い敵のビームとぶつかり合い、押し合いが起こる。しかし、すぐにこちらのビームが出力で押し勝つ。こちらのビームは相手のビームを飲み込み、エクスに迫っていく。

 

「っ!おのれ!!」

 

慌てて回避したことにより、エクス本体にはダメージは与えることは出来なかった。しかし、左手に持っていたヴァリアブルサイコライフルを飲み込み、破壊する。

そんな圧倒的な力に恐れを抱いたのか、エクスが逃げる姿勢を見せる。当然、こちらは逃がすつもりはなく、その後を追いかける。一旦下の通路の部分に下がった後、ドーム外の通路へと出る。

通路には、未だ何体かのモンスターがいた。すると、エクスが振り返り、モンスター達が攻撃してくる。どうやら一人では勝てないということで、モンスター達を使ってきたようだ。

 

「雑兵どもよ、黒の少年を足止めしろ!!」

 

その指示と共にモンスター達が襲い掛かって来る。光樹は動きを止めて対応しようとしたが、そこでゼロの声が飛ぶ。

 

『ANシェイブシフトドラグーン「ゴースト」、ドライブモードで起動。ドライブ・ゴーストで対応する。』

 

その音声と共にウイング内のドラグーンユニットが離れていく。いつものように攻撃対象となるモンスターに向かって飛んでいく。しかし、そこで変化が起こる。

飛んで行ったドラグーンの形が変容する。一つのドラグーンが突然、ビットらしい砲台の形から、剣のような形状に変化したのだ。

 

「!?これは一体…?」

 

光樹は驚く。いきなりの変化したことにだ。

硬い武器のはずなのに、一瞬で変化するというのは、光樹の頭の中に、ある金属の事を思い出させる。形状記憶合金。初代ガンダムのランバ・ラルの機体、グフに装備された武装、ヒートソードの素材と考察されている武器のことだ。光樹は幸いその記事を知っていたため、そのような判断に繋がった。しかし、それはゼロによって詳しく手短に伝えられる。

 

『フューリーメタルによる変形である。武器の形状を自在に変え、あらゆる状況に対応できる。今回はこちらが制御する。なので挙動はそちらに任せる。』

 

「…何でもありだな、この機体は…。分かった。武器の種類はそっちに任せたぞ、ゼロ。」

 

そう声かけをして、光樹はモンスター達に突撃する。光樹の纏うゴッドクロスに攻撃を仕掛けようとするモンスター達。しかし、そこにANシェイブシフトドラグーン「ゴースト」が先行する。あるドラグーンは剣に、あるドラグーンは盾に、これまたあるドラグーンはガトリングに変形し、攻撃を行う。多重方向からの様々な攻撃がモンスター達に襲い掛かる。

六枚のウイングに装備されていた、計30基ものドラグーン「ゴースト」は光樹をエクスの元へと進ませつつ、通り過ぎた後に全ての敵を掃討した。

その凄まじい戦果に、エクスが慄く。

 

「馬鹿な…これほどの性能を!?くそっ。」

 

後退しつつ、こちらに向けてビームを放ってくる。しかしながら、その攻撃をゴッドクロスは避けていく。

ここまで来ると、もはや弱点などこの機体に存在しないと思える。が、弱点は存在した。

 

「…く、やっぱり高速機動時の反動が…!」

 

俺は苦悶の表情を露わにする。そう、この機体にも、やはり高機動時の負荷がかかるのだ。

それは当然だった。シュバルトゼロガンダム・クロスよりも性能が格段に上がっている機体に、負荷がないわけなどない。その負荷は、少しずつ光樹を苦しめていた。

そうなると、短期決戦で一気に殲滅するしかない。そう思って突撃する。しかし、そこで横合いから敵が出現してくる。悪魔タイプのモンスター、アルゴディウスの一種、カルメルセウスであった。いきなり現れたカルメルセウスは、こちらをその巨腕で捕える。

 

「っつ!!捕まった!」

 

光樹の体に衝撃が襲う。ゴッドクロスは敵に捕らえられてしまう。

 

「ふっ、これは好機。ここで始末する!」

 

その様子を見てチャンスと見たエクスはこちらに再び残った全武装を向ける。どうやらフルバーストを使うようだ。何とかしてその拘束を抜けなければならなかった。

が、その程度はもはやゴッドクロスにとっては無意味のようだ。出力を上げ、力を入れるとカルメルセウスによる拘束はあっという間に解けてしまった。

 

「何っ!?」

 

エクスもそれには驚いた様子を見せる。当然だろう。捕えたと思ったのだから。しかしそれに構わずフルバーストを放つ。光樹もそれに対応して、腰部の射撃兵装、AN高純化射撃兵装「オーディン」を構える。先程まで拘束していたカルメルセウスを巻き込んで、ビームは放たれる。

放ったビームの一撃により、カルメルセウスは飲み込まれると同時に消滅した。その威力のまま、エクスのフルバーストと真正面から衝突する。ぶつかり合ったエネルギーは、その場に留まりあう…なんてことは、これまでの戦いで、ならないことは分かっていた。先程よりも威力が上がっていたためか、押し返す速度は落ちていたが、それでも少しずつ、早めの速さでエクスのビームを押し返す。だがエクスも負けていない。

 

「この…ならばこちらも本気で行く!エクストリームバースト、始動!「EXAフルバースト」!!」

 

その声と共に、ビームの出力が上がる。それにより、先程まで押していたビームの押し切りが止まる。逆に、こちらのビームの方が押され始める。どうやら敵も本機の様だ。

そこで、光樹も機体の性能をさらに引き出す。左肩部のランチャー、ANデストロイランチャーⅡを展開させる。砲身の外側部に装備されたシールドパーツに切れ目が入り、別れる。三つに折りたたまれた砲身が展開される。ビームを放ちつつ、その砲身から飛び出ているトリガーパーツを握る。そして、撃つ。

放たれたビームは、既に放っていた「オーディン」のビームに飲み込まれ、ビームの出力を増大させた。

増大させた出力により、高出力のビームは再びエクスの放っていたビームを押し始める。その様子に、エクスも焦りを見せる。

 

「ば、馬鹿な!?エクストリームバーストが押されるだと!?ビームを追加で放っただけで?ちぃ!!」

 

慌ててエクスはその場から離れようとする。しかし、ビームを撃ち切ったことで、ゴッドクロスのビームがあっという間にエクスを飲み込んだ。そのビームの中から爆発が発生する。

これで倒したか?そう思った俺ではあったが、それは残念だがそうならなかった。ビームを撃ち終わった後から、エクスが姿を現す。しかしながら、エクスの方も、かなりのダメージを負っているのが見えた。展開していたファンネルは全て破壊され、機体の装甲もいくつかが融解している。ゲーム通りなら、ファンネルは自動的に補充されていたような気がするが、これでエクスもほぼ戦闘不能状態だ。

だが、それでもエクスは諦めてはいない。今度は再びドームの中へと、その機体を全力で飛ばす。光樹はそこで考える。もしかすると、エクスはドームに残っているネプギア達にだけでも被害を与えようとしているのかもしれない、と。そんなことにならないため、光樹もまた、ゴッドクロスのスラスターを吹かせ、追いかける。

舞台はまたドームの中へと移行した。そこで、エクスは反転して、ビームサーベルを両手に構え、こちらに振ってくる。その攻撃を、光樹は右肩の大剣…ANデストロイイーターⅡで防ぐ。ANデストロイイーターⅡの刃と、ビームサーベルの光刃がぶつかり合う。切り抜けながらの連撃を交える。

だが、その斬り合いに勝負が着こうとする。光樹が決めようとゼロに告げる。

 

「ゼロ、このまま決めるぞ!」

 

『了解。ANデストロイイーターⅡ「イーターモードⅡ」起動。』

 

突如、ANデストロイイーターⅡが横に割れる。すると、そこから出現した穴からビームソードが発振される。その刀身は黒く、そのエネルギーから刀身を形成しているのはDAN粒子…ディバイダー・ゼロ・システムだろう。

破壊の塊ともいえる牙が、エクスに向けて振りかざされる。エクスは剣を受け止めてくるが、ビームサーベルの光刃は、光樹の振りかざした大剣で叩き折られる。そして、そのままエクスの左腕部を肩口から斬り飛ばした。

斬られた反動で、エクスはステージへと落ちる。その後を光樹は追う。地へと落ちたエクスは、残った右腕にヴァリアブルサイコライフルを持ち直し、撃ってくる。ライフルの攻撃に合わせて、損傷が軽微だった左腰のコンテナからミサイルを次々とこちらに発射してくる。

それに対し、こちらは回転しつつ、エクスの攻撃を避けていく。ウイングによる高速機動は、エクスの攻撃によって捉えられることはない。と思っていたが、右手に握っていたANデストロイイーターⅡが、敵のビームに当たり、手元から弾き飛ばされる。最後の意地なのだろう。かなり諦めの悪いやつだと光樹は思った。

しかし、それでもう止まるような光樹ではなかった。肩部パックの後部に装備されたエネルギー発振器を両手に持つ。両手に持った剣の柄のような発振器の持ち手が延長する。そしてそのまま柄尻同士を合体させ、ビームを形成する。

そのままの勢いで、エクスと交差する。この時点で、勝敗は決まった。光樹のツインブレードと化した剣は、エクスの残っていた右腕も切り離したのだ。攻撃による爆発で、エクスは吹き飛ばされる。エクスは受け身を取れず、体ごと地面を転がる。何とか止まったが、立つのが精一杯の様だ。

しかし、これでこちらも決着が着いた。ネプギア達の方も、マジェコンヌを倒すことが出来たようだし、これで問題ないようだ。

光樹はエクスの方に目を向けて、動向に注意しつつネプギア達の方に合流する。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、光樹君が圧倒してしまいましたね。

ジャンヌ「今まで以上に、終始圧倒していた感はありましたね…。あれが、ゴッドクロス。」

レイ「うん、そうだねー。ゴッドクロスとゴッドゼクスは凄かt…」

わー!それは言ったらだめですよ!

レイ「あ、いや、何でもないよっ!ゴッドクロスかっこいいもんねー!」

ジャンヌ「そ、そうですね…。(危ないところでした。まさか「のめてな」のあの話題に触れかけるとは…。とにかく、話を戻さないと。)…藤和木、それより、これどうぞ!」

あれ、これケーキ…ってこれ誕生日ケーキじゃないですか!

レイ「そうだよっ!藤和木。」

ジャンヌ「お誕生日…」

レイ&ジャンヌ「おめでとう!(ございますっ!)」

おおっ、ふ、二人共…!なんだか泣けてきた…(´;ω;`)こんなに嬉しいことはない…!

ジャンヌ「わ、わたくしとレイさんとで作ったんです。味はどうかは分かりませんが、藤和木の好きだって言っていたチーズケーキですっ。」

レイ「大丈夫だって!絶対美味しいって!」

もう私の今日の疲れが吹っ飛んだ…さて、さっさとあとがき終わらせましょうか!

レイ「うん!次回の投稿は日曜日だよっ。」

ジャンヌ「では次回もお楽しみにっ。」




光樹「おう藤和木。俺も誕生日なんだけど。」

おうふ!そういえば光樹君と私の誕生日同じに設定してたっけ。そうだ、一緒にジャンヌさんとレイさんが作ってくれたケーキ食べる?

光樹「え、いいの?」

ジャンヌ「ええ。元々お二人の誕生日を想定してワンホールサイズを作りましたから。」

レイ「ネプテューヌちゃんたちも呼んであるから一緒に食べよ!」

光樹「去年は何もなかったけど、今年は楽しく過ごせそうだな。」

まったくだよ。さぁ、早速ケーキ食べましょう!


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第68話 撃破と復活

どうも皆様、お元気でしょうか。小学生、中学生、高校生は夏休みに入ったみたいですね。私はまだですが。そんな藤和木弘です。

ジャンヌ「あともうひと頑張りですよ、藤和木。どうも皆様。藤和木の夏季休暇では家の中でゆったりと過ごしたいと思っています、ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「家でのんびりするのもいいけど、やっぱり外に出てプールに入りたいなっ!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ。」

ジャンヌ「!そうですね。プールもいいかも…(プール…レイさんの水着姿…うふふ!)」

プールかぁ、何年も行ってないですね。(ジャンヌさんの水着姿見てみたいな…決して変態発言ではないが…)さて今回は第68話、投稿です。

レイ「前のお話ではゴッドクロスがエクスを倒したところだね。」

ジャンヌ「さて、これで終わりなのでしょうか。」

それは本編でですね。ではそろそろ本編へ。




 

 

光樹の戦闘が終わったのを見て、ネプギア達は光樹に声をかける。

 

「光樹さん!戦闘は終わったみたいですね。」

 

「あぁ、なんとか…って言っても、かなり圧倒してたけどな。」

 

「ホント、そうだよねー!光樹のガンダムが敵に手も足も出させないような戦闘だったみたいだしね。」

 

「特にドームを駆け巡るくらいの攻防がまたカッコイイね!」

 

ネプギアと同じように、オレンジハートと大きなネプテューヌもまた、光樹の戦果を褒めたたえる。

本当に、今回光樹さんが変身したガンダムは、すごいと思ってました。マジェコンヌを倒した後、ふと光樹さんが何処にいるのか確認したら、その時には既に大破寸前だったエクスに巨大な剣を振りかざして攻撃しているところだった。そこからの攻撃も見ていたけど、圧倒的なまでの性能でエクスを追いつめて、光樹さんのガンダムは目立つ損傷もなく一方的に攻撃していたのは、お姉ちゃんだったらたぶんチートとか言うんじゃないかと思うくらいの威力の攻撃だった。

味方の勝利に喜んでいたネプギア達に対して、敵であるマジェコンヌはこの惨状を信じられずにいた。

 

「…何故だ、何故この姿でも勝てんのだ!それにエクスも…エクス!貴様、何をやっていた!?」

 

「黙れ、マジェコンヌ…。こちらも予定外だ。黒の少年が、記憶を失っているはずなのにここまでとは…くそっ!」

 

舌打ちのようにエクスが怒りを見せる。相当負けたのが信じられなかったみたいだ。私たちとしても、光樹さんが勝ってくれるはずだと思っていたけど、まさかここまで圧倒的だなんて、エクスの言いたいこともなんとなく分かる。

が、ネプギア達はこの戦いに勝ったのだ。罠にかかったにも関わらず、真正面から戦ったのだ。圧倒したり、数で攻めても何の問題もない。

言葉を失っているようにも見えるマジェコンヌたちに、私たちはそれぞれの変身を解除していく。けれど、そこにどっと疲れが来る。やっぱり数押しで勝てたとはいえ、体力的にはきつかった。

 

「…へっ、どうやら……勝負、あった…みたい、だな…。」

 

うずめが今までの戦いで見せたことがないくらいの疲れのこもった声を出す。そんな様子を見るのは、ネプギアは初めてだった。でもうずめの疲れも、ネプギアには分かった。一度自分も戦ったことがあるからこそ、マジェコンヌの強さは並みの物じゃない。流石に犯罪神程の強さではなかったけども、ネプギアもこの戦いは疲れてしまった。またネプギア以外の二人は目立つ怪我も少ししていた。

けれども、今はそれよりも、ネプギアの頭の中では、マジェコンヌに勝てた、という理由で頭がいっぱいだった。

 

「本当に、勝っちゃった…。」

 

ネプギアは信じられないという表情をして驚く。勝ったのは事実で、喜べばいいのだが実感が感じられなかったのだ。

その一方で、大きなネプテューヌはうずめと同じように勝てたことに喜びながらも、疲労の声を出す。

 

「けど、かなり厳しかったかも…。マザコング、前回と強さが違い過ぎだよぅ…。」

 

お姉ちゃんも疲れるくらいとは。三人共かなり疲労していて、もう一回戦うというのは無理だと思う。けれど、そんな三人とは違って、光樹さんは余裕の表情を見せる…と思っていたんだけど。

 

「こっちも機動性の負荷とかでかなりつらいな…。げほっ!い、息が辛い。」

 

光樹さんもかなり疲労していただなんて。確かに、光樹さんの新しいガンダムはかなりの高性能で、傷ひとつなかったのは分かっていた。でも、それは同時に、光樹さんの体にも負担が相当掛かっていたということになる。光樹さんも光樹さんで、かなりギリギリの戦いだったようだ。

そんな様子で、全員が疲れ切ってしまっているため、代わりに海男が四人に代わってクロワールにこちらに来るように話す。

 

「さぁ、クロワール。マジェコンヌとエクスが敗れた今、この世界が崩壊する歴史はなくなった。こちらに来てもらおうか。」

 

「おいおい、マジかよ。せっかく、世界の終りが記録できると思ったのによぉ。」

 

クロワールは残念そうにする。しかし、海男の言う通り、これで世界の崩壊などの脅威は去ったはずだ。

そう安心していたネプギアたち、だが、そこで予想外の展開へと変わる。突然、マジェコンヌが声を出す。

 

「まだだ…まだ、私は終わってなどいない!」

 

マジェコンヌは、杖を突きつつもそう叫んだ。立ち上がってきたことに、ネプギアたちは警戒する。

そんな…さっきかなりのダメージを与えたはずなのに、まだ立ち上がるというの?明らかに執念とも言える様子に、私は驚く。けれど、それはマジェコンヌに限った話ではなかった。

 

「ここで……くたばるわけにいかんのだ!!」

 

エクスもまたスパークをあちこちから散らせながらも立ち上がる。そこまでして、光樹を倒そうとする姿に、光樹もネプギアと同じように動揺する。

 

「な…!まだ戦えるのかよ!?」

 

「貴様を倒すまでは、我は折れぬ!!」

 

エクスの執念のこもった声が返ってくる。ここまで体力や装甲が消費しているのに、この二人を行動させる執念は、凄まじいものだった。

だが、一体何をする気なのかと、ネプギアは思った。ここまで被害が出ていて、まだ戦おうというのか?エクスは両腕を失っているというのに。

しかし、その危機的な状況は、二人の言い放った言葉で、危険なものへと変わっていくこととなった。

 

 

 

「クロワールよ、あの力を貸すのだ!」

 

「貴様の持つ、異世界の女神…滅びの女神の力を、我にも貸せ!!」

 

 

 

うずめと大きなネプテューヌは何が起こるのか身構える。だが、その言葉を聞いてそれが何なのかを、ネプギアは理解した。その力が、神次元での戦いで元凶となった力であると。

 

「あ?何でお前らがそのことを知ってんだ?それにテメェは機械だろ。女神の力が手にできるわけ…」

 

「貴様が以前話していただろう?それに、我ならば、女神の力くらい、動力炉に取り込めるわ!」

 

クロワールの質問に対し、エクスが答える。まさか、機械の動力に女神の力を取り込むなんて…。

だが、それが不可能というわけではなかった。現在四国家が合同で開発し、光樹が戦ったシェアプロテクターも、動力源に小型の充電式シェアエネルギーコンバーター(もしくはタンク)でシェアエネルギーを動力として併用している。おそらく、エクスにシェアエネルギーを溜められるような機能があれば使えるはずだろう。

もしそんなことになったら、一体どうなるの?さっきのでもきつかったのに、これでまた体力を回復されたり、修復なんかされたら、勝てないよ。

そして、事態は悪い方へと行く。クロワールがその要求に応じたためだった。

 

「あー…そう言えば、そんなこと話したような…。まぁ、いいや。面白そうだから、この力、貸してやるよ。」

 

クロワールの乗っていた本から、黒い炎のようなもやが現れる。現れたもやは、二つに分かれると、それぞれマジェコンヌとエクスに向かって移動していく。

 

「それって、まさかタリの女神の!?」

 

「へぇ、扱いが悪かったくせに、よく覚えてんな。」

 

ネプギアもそのもやを見て、確信する。タリの女神の力。それはかつて、超次元と神次元、両方の次元を争いへと導いた力。破壊へと導く、間違った女神の力だ。それを取り込んでしまえば、また破壊が生まれてしまうようなものだ。

 

「おい、ぎあっち。なんなんだ、あのドス黒い塊は。」

 

うずめがネプギアにあれの正体を求める。答えないわけにもいかないので、ネプギアは手短に言う。

 

「以前、私やお姉ちゃんが神次元という世界で戦った最古の女神の力です。」

 

「まさか、そいつをマジェコンヌとエクスに使うってのか!?」

 

「そのとおり!さぁ、どうなるかは見てのお楽しみだぜ!」

 

うずめさんも、どうやらその危険性には気づいたようだ。マジェコンヌを紫ババアと呼ばないことが、何より危険性を理解している証拠だ。

そんな私たちを笑うようにクロワールがマジェコンヌとエクスの方にタリの女神の力を向ける。

ネプギアとうずめの二人と同じように危険だと思った光樹も、焦りを見せる。

 

「くそっ、まずい。早く止めるぞ!」

 

「はい!」

 

「マザコングとエクスを止めればいいんだね!行くよ、うずめ!」

 

「あぁ!」

 

光樹さんの声に従って、私たちは止めようとする。大きいお姉ちゃんとうずめさんが止めようと走り出す。その後をネプギア、そして再び変身しようとする光樹が追いかける。

だがしかし。

 

「無駄だ。」

 

「ファンネルよ、時間を稼げ。」

 

二人がそう呟くと、うずめさんたちとマジェコンヌたちの間に魔力とビームによる二重障壁が展開されてしまう。

うずめが障壁に当たり、舌打ちをする。

 

「っく!」

 

「うぅ…これじゃあ近づけないよ…。」

 

大きなネプテューヌもこれにはお手上げだった。二人が立ち止まってしまうが、それでもマジェコンヌたちが止まることはない。すると、それを間に合わせるために、再装着した光樹が前に出る。

 

「このくらいの防御壁で!」

 

『これなら破壊できる。ANデストロイイーターⅡ、イーターモードⅡ起動。』

 

光樹さんの新たに装着したガンダムが構えた大剣が、変形し、大出力のビーム刃を形成する。その一撃が、マジェコンヌの展開した魔力障壁を突破する

次に立ちふさがるのは、エクスの遠隔操作端末による、ビームのカーテンだ。けれど、それに対しては、光樹さんのガンダムの頭部のビーム砲による攻撃で破壊される。

圧倒的なまでの威力で破壊したことで、すぐにマジェコンヌたちに近づけた。それでも、既に時遅しであった。既に二人の中へと、力が入り始める。そして、とうとう力が完全に入る。それと同時に、二人の体から黒いオーラが発生し始める。それと共に、マジェコンヌたちの様子が一変する。

 

「ハーッハッハッハッハ!力が…力が満ち溢れてくるぞ!」

 

「この力…これが絶望に等しい、破壊神となった女神の力か!悪くはないな、この暗き漆黒の力。」

 

二人は未だダメージを受けていたはずなのに、何故か二人とも、変に高揚した様子を見せていた。その原因はなんとなくだが分かっている。これはタリの女神の力によるものだろう。実際、タリの女神の力を手に入れたレイさんは、今の変化とはだいぶ違ったけど、かなり気分がハイテンションになっていた。

エクスの方は、損傷した部分こそ復活はしていなかったけど、腕部の切り口から黒いオーラが次々と溢れ出てくる。でも、それだけでこちらに嫌な感じを送ってくる。恐怖を感じるような気にあてられる。

しかし、それだけにとどまらない。二人は更にテンションを上げて、ネプギアたちに向けられて言い放たれる。

 

「さぁ、小娘共、そして小僧よ。この絶望、止められるものなら止めてみよ!」

 

その声と同時に、マジェコンヌのオーラが空中に解き放たれる。解き放たれたオーラは、形を作るように固まっていく。形あるものへと、急速に姿を変えていく。

初めこそ、何が出来上がるのかは分からなかった。私の予想だと、最初は何か武器を作る気なのかと思った。けど、それにしては大きすぎる。次に考えたのは、モンスターだ。モンスターなら、このくらいの大きさである可能性も存在するから、妥当な考えだった。

けど、それすらも違うのではと思わせた。モンスターにしては大きすぎる。何か、もっと巨大な何かであるような…。

そうしている内に、黒いオーラがある形となって実体化した。実体化した「それ」は、屋根を突き破ってこちらを見下ろす。その姿は、以前倒したはずの、人型の巨人「ダークメガミ」だった。

 

「ーーーーーーー!」

 

「…うそ。なんで…。」

 

「おいおい、マジかよ…。」

 

その姿を見て、ネプギアとうずめの二人は絶句する。倒したはずの強敵が再び現れてしまったのだから。その巨体は、再びネプギアたちの前に姿を現したのだ。

そして、恐怖はそれだけに留まりはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジェコンヌだけに驚くのでは面白くはないなぁ。黒の少年よ、目を離すな。漆黒の光よりやつが来る!!」

 

エクスはこちらにそう言い放ちながら、先程のマジェコンヌと同じように、闇のオーラを体より放出してくる。先程のマジェコンヌの行動通りなら、おそらく来るのは…!

それが現実にならないように、光樹はゴッドクロスを突っ込ませる。エクスを自身の距離に捉えた所で、ANデストロイイーターⅡのイーターモードⅡで切り倒そうとする。

しかし、その攻撃は闇のオーラに止められる。闇のオーラに触れると、その刃の攻撃は止まってしまう。高出力のビーム刃を、闇のオーラが侵食していたのだ。押し込んでも全くびくともしない。

このままでもおそらくどうにもならない。そう感じた光樹ではあったが、止めないわけにもいかない。何もしなければ、エクスの思う通りにさせることになる。

しかし、今なお攻撃していても、闇のオーラは出ることをやめず、姿を形作る。光樹もエクスに攻撃しようとウイングスラスターも吹かせて押し切ろうとするが、届かない。先程まで圧倒していたはずなのに、何故かこのオーラだけは断ち切れなかった。それもそのはず、この闇のオーラは女神の力によるもの。単なる攻撃では断ち切ることは不可能だった。

それに気づいた時には、もう遅かった。エクスの発した闇のオーラが人型となり、具現化する。

 

「フンスッ!!」

 

具現化した闇の鉄機人、エクストリームガンダム タキオンフェイズ、いや、エクストリィムガンダム タキオンフェイズがその場に現れる。

やはりそうだったか。光樹の予想は当たる。先程マジェコンヌが、倒したはずのダークメガミ(あの戦いの後、ゼロと共に「ダークパープル」仮称した個体)を出現させた辺りで予想はしていたが、こっちもまさか、エクストリィムが復活するなんて。

流石に今の光樹も、立ち向かうほどの力、というよりは余裕はなかった。先程エクスという強敵と、本気の戦いをした後でエクストリィムを相手にするのはやりたくはない。そうとなればここでやることは、このままエクスを攻撃することだった。

ようやく光樹も普通の攻撃は効かないと判断した。そのためディバイダー・ゼロ・システムⅤを起動させる。そしてそのエネルギーをANデストロイイーターⅡ・イーターモードⅡに乗せて切り裂く。バリアごと斬り去ると同時に、ANデストロイイーターⅡのビーム刃を突き出す。突き出された刃に、エクスの体が貫かれる。しかしながら、エクスも回避行動を取っていたので、貫いたのは敵機体左胸部近くの装甲を溶解させただけに止まった。

これ以上の損傷を避けたエクスが後方に飛び去る。更に追撃を仕掛けようとしたところで、エクストリィムが動く。

 

「浅ハカナ!」

 

「っ!!危ね。」

 

剣を突き立ててエクスへの追撃を妨げる。流石に今のゴッドクロスであのビームソードは斬れない。エクストリィムの行動を見るため、光樹はネプギア達の元に合流する。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、まさかのあちらも復活だぁ!(笑)

ジャンヌ「まさか、マジェコンヌ達の操るダークメガミ達も復活するだなんて…でも、光樹さんも強くなっているんですから、大丈夫ですよね?」

さて、どうなるかな。というかこれ書いてる時にメガミブレイカーの存在を思い出したんですけど…。

レイ「え!?忘れてたの!?」

あんまりにも出番のない兵装だったので…。でも話には問題ないですよ。そして、光樹君のこれからの戦いに注目です!さて、今回は最後に連絡事項です。以前言っていた、SSRと言う名のGの外伝、藤和木弘の極めて中二的な裏話の投稿が、7月30日くらいになることが決まりました!

ジャンヌ「あぁ、いよいよわたくしとレイさん、そして藤和木との出会いが描かれるのですね。」

レイ「楽しみだけど、話の方の進み具合はどうなってるの?」

ははは、まだ三話目に入るところだ。

ジャンヌ「ま、間に合うんですか?夏休みの終わりまでに。」

間に合わせるしかないね。そのため今はSSRと言う名のG進めてないからな。と、連絡事項はここまで。

レイ「じゃあ、今度の投稿は土曜日だよっ。」

ジャンヌ「では次回もお楽しみに。」


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第69話 撤退、うずめの傷を治すために…

どうも皆様、お元気でしょうか。私も夏休みに入ったぜ!ヒャッハー!な藤和木弘です。

ジャンヌ「今日はバトスピの最新弾の発売日でしたね。藤和木も買ってきました。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「当たったXレアはトリック・ワスプ・Aと亥(いのしし)の十二神皇カラミティ・ボアだったよ。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

さて、夏本番となる中、第69話、投稿です。そして、この後、すぐに藤和木弘の極めて中二的な裏話も投稿いたしますので、今回はさっさと本編へ行きます!さて、前回の悪夢ともいえる展開、どうなる、光樹君達!


 

 

「光樹さんっ!こんな…こんなの、どうやって戦えば…。」

 

「落ち着け、ネプギア。あの時みたいにエクス達はこっちで対応する。その間はネプギア達でマジェコンヌの相手をすればいい。そうじゃないか?」

 

「…は、はい。」

 

この状況に流石のネプギアも動揺を見せる。そんなネプギアを、光樹は落ち着かせる。だがこの状況で落ち着けなんて、無茶な話だろう。

二人の出した隠し玉ともいえる切り札に、力を与えたクロワールは、大喜びだった。

 

「おーっ!なんだ、マジェコンヌもやればできるじゃねぇか!エクスもこんな面白れぇもんだせるなんて、これは盛り上がってきたぜー!」

 

クロワールとしては、混沌を求めているため、この展開はおいしかったのだろう。おかげで楽しい歴史を見ることができるのだから。

そのように盛り上がっていた敵側だったが、それが嫌な方向へとヒートアップしていくこととなる。

 

「ハーッハッハッハッハ!もっと、モっとだ!もット絶望ニ染まレ!!」

 

「クハハハハハハハ!我ノ絶望ニ、慄クがヨい!!」

 

その言葉に、だんだんと狂いが見えてくる。カタコトのしゃべりが混じってくるのが分かってくる。

気味悪さが混じってくる中、うずめが前に出て宣言する。

 

「誰が、絶望なんかに染まるか!それに絶望に膝付くかよ!テメェらみたいな吐き気のする悪なんざ、この俺が何度だってぶっ飛ばしてやるよ!」

 

うずめはどうやらここで決着を着けるつもりのようだ。だが、ここまで疲弊した状態で勝つには、シェアリングフィールドが必要なはずだ。あの時は味方のモンスター達からのシェアエネルギーの供給があったからこそ良かったが、今回は違う。味方モンスターは居ない。うずめにはそれでもシェアリングフィールドを張る気なのか。

そこでうずめが、海男に手持ちのクリスタルの確認を取る。

 

「海男、手持ちのクリスタルでシェアリングフィールドは行けるか?」

 

「無理だね。ねぷっちを帰す時にほとんど消費してしまったからね。今あるのも、うずめを女神化させるくらいのものばかりだ。」

 

だが、残念ながら、うずめ達にシェアリングフィールドを張れるほどのシェアクリスタルはなかった。そうなると、ここは撤退するのが一番だった。シェアエネルギーを得られない以上、ここで戦っても無意味だからだ。

溜め息をつきつつ、海男が諦めの言葉を出す。

 

「全てを使ったところでアイツを包み込むことは無理だろう。」

 

「じゃあ、どうすればいいの!?わたしたち、やられちゃうの!?」

 

大人ネプテューヌが先程の言葉に対し、聞く。このままではその言葉通り、やられてしまうだけだ。光樹も逃げることを提案しようとする中、一人、うずめだけが、その顔に笑みを浮かべる。

 

「…へっ。そんなもん、決まってんだろ。アイツの持ってる特大のシェアクリスタルを奪うんだよ!」

 

うずめはそう言って走り出す。それは的を射た考えではあったが、あまりにも突発的で、無謀な発言だった。今の疲弊している状態で、強化されているマジェコンヌに立ち向かっても、やられる可能性が大きい。まともに相手にしないにしても、その後のダークメガミ戦を戦い抜けるかどうか、厳しいと思われた。

あまりにも無茶な追撃に、光樹も止めるように飛ぶ。

 

「待て、うずめ!!」

 

うずめに対し叫ぶが、うずめはこちらを向くことなく、マジェコンヌと対峙する。

突撃してくるうずめに、マジェコンヌが迎え撃つ。

 

「させルか!」

 

「もらった!」

 

 

 

 

互いに互いを狙い、交差する。

 

 

 

 

魔力のこもった杖と、うずめの拳、どちらも一撃でかなりのダメージを与える攻撃だった。その一撃は、戦いに決着を付けた。

 

「……。」

 

「…フッ。」

 

「うずめ!!」

 

うずめが何も言わず、ではなく、言えずに地面に倒れこむ。倒れこむ直前に、体に一瞬で切り傷ができる。あの一瞬で、そこまで攻撃の威力と範囲が大きかったのだ。

そうして一騎打ちに負けたうずめ。そのうずめに、エクスがトドメを放とうとする。

 

「消エろ、橙の女神ィ!!」

 

「させる…かよ!!」

 

エクスのファンネルに、ゴッドクロスが一瞬でドライブモードへと移行する。ドライブを発動すると同時に、左手を敵に向けて構える。そこから叫ぶ。

 

「ディメンション・ブレイカー!!」

 

広範囲に対しての全体攻撃に、エクスの放ったファンネル全てが攻撃を受けて落ちる。うずめに対する追撃を阻止するも、エクスは再び背部ウイングよりファンネルを形成しようとする。しかし、流石に同じことはさせるつもりはなかった。右手で保持していたANデストロイイーターⅡを投げる。その攻撃はエクスには回避されるが、光樹はこれが狙いだった。

うずめへの射線を切るという目的は成功した。そのスピードを保った状態で、うずめの元に地を滑りながら着地する。そのままうずめを抱える。そこに、ネプギア達も駆け寄ってくる。

 

「うずめさん!」

 

「大丈夫だ。まだ息は十分ある。」

 

ネプギアの心配を取り除くようにして言う。実際、怪我の方は浅そうだし、まだ大丈夫なはずだ。しかし、このまま流血しているままは危険だと思っていた。そこで、大人ネプテューヌが撤退することを提案する。

 

「ネプギア、光樹、うずめがやられたんじゃこれ以上は無理だよ!逃げよう!」

 

「わかりました!うずめさん、私の肩につかまって下さい。」

 

ネプギアがうずめに手を差し伸べる。今の俺よりも、ネプギアに預けた方が、こちらも殿だったりをする時にはいいだろう。

うずめもそれを断ることなく、ネプギアに謝りながら呟く。

 

「…っ…すまねぇ、ぎあっち…。」

 

「しゃべらない方がいい。傷は深くはないけど、いくつも出来ているし、もしかすると深い傷もあるかもしれない。」

 

「そうです。今は無茶をしないで!」

 

うずめに安静にするように言う。しかし、心残りだったのか、申し訳なさそうにうずめが苦しそうに言う。

 

「俺は…お前らとの、約束、を……。」

 

「約束なんてどうでもいいんです!だから…だから…!」

 

またネプギアが泣きそうになる。けれども、ネプギアも泣いている暇ではないことを考えてか、すぐに元の冷静さを取り戻して逃げる方へと動く。

 

「ネプギア、準備はできたね。なら、逃げるよ!光樹もいい?」

 

「あぁ、俺が殿を務める。二人は先に逃げて!」

 

うずめを支えた二人が先に後退する。しかし、その様子を見て、逃がす気は相手になかった。マジェコンヌが逃がさないことを口にする。

 

「誰ガ逃すもノか!!こコは貴様らノ墓場なンだよ!」

 

「行クゾ、ダークメガミ、エクストリィムよ!圧倒的な力デ、黒の少年も全テを破壊するノだ!!」

 

その命令に、ダークパープルとエクストリィムが動く。拳を地面に向けて構えの姿勢を取る。手始めにこのスタジアムを破壊しようとしていたように見えた。これ以上被害を出させるわけにはいかない。光樹は真っ向から言う。

 

「させるかよ!!」

 

両手にANロング・メガ・マグナムを構える。全ての武装をもって、撃滅する必要があった。

攻撃の構えを取って万全に待っていたが、一方で、その行動にクロワールが慌てた様子を見せる。

 

「バカかオメェら!それじゃあ、俺たちまで巻き込まれるじゃねぇか!」

 

クロワールは暴走する二人を制止する。流石に、その行動はまずいと思ったのだろうか。おそらくは自分まで巻き込まれるのはごめんというものなのだろうが。自分から争いを起こそうとしているくせに、自分からは巻き込まれたくはないようだ。

しかし、そんなこともお構いなしと言わんばかりにすっとぼける様子を見せる。

 

「そレガどウシた?」

 

「もハや我らノ身ヲ考える必要ナドナい!!」

 

「女神ト世界二破滅ト終焉をもたらすモノ!女神さヱ、女神サヱ始末できレバこの生命、惜しクハナい!!」

 

完全に狂った反応だった。もはや人としての、正常な意志はないようだ。その様子に、クロワールも困惑する。どうやら完全に手元から離れたようだ。このままいるのも、もしかすると危険かもしれない。クロワールもその状態に危険性を感じる。

 

「やべぇ!?こいつ、力のオーバーフローで完全に頭のネジがぶっ飛んでやがる!」

 

そんなクロワールの言葉も聞いていないかのように、マジェコンヌ達は更に暴走する。

 

「女神よ、機動戦士よ、そしてゲイムギョウ界よ!私にヒれ伏し、そシて、滅ビヨ!!」

 

「手始メに、黒の少年ヨ。我らの生贄トなルがいイ!!」

 

その声に反応し、ダークパープルとエクストリィムは光を放つ。光線と光剣にエネルギーが集中し始める。

 

「くそっ!まずい…!」

 

慌ててその場から退避する。レーダーからの反応だが、マジェコンヌ達のところから小さな反応が離脱するのが分かった。おそらくだが、クロワールも逃げ出したようだ。

高速で離脱する中、後方に、光が灯った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはうずめの本拠点の近く。そこでは、マジェコンヌ達を追いかけて行ったうずめ達を送り出すために、モンスター達が守りを固めたり、シェアクリスタルの捜索をするため、個々に動いていた。

 

「…ふぅ。結構集まったかな。」

 

一体のひよこ虫が息をつく。ひよこ虫の近くには、大量のシェアクリスタルが置かれていた。大きさは小さめのものが多い。

そんな様子を見て、近くにいたもう一体のひよこ虫が驚く。

 

「わぁ!シェアクリスタルがこんなに!これ、どうしたの?」

 

「一族のみんなが集めて来てくれたんだ。うずめさん、喜んでくれるかな。」

 

「これだけあれば、きっと喜んでくれるよ。」

 

自分達の、小さくはあるが重要な成果を喜んでもらえるか、そんな事を考えていた。それでも、精一杯の今までの感謝をしたいモンスター達は、早くうずめが帰って来ないかを待ちわびていた。

そんな所で、異変が起こる。

 

「………あれ。」

 

「どうしたの?」

 

一体のひよこ虫が、その異変に気づく。その視線を先を、もう一体のひよこ虫も見つめる。その先には、何やら光が見えた。紫色の光が、不気味な光のように、ドーム型に広がっていた。

 

「今、向こうの山の方で何か光った気がして…。」

 

「本当だ。なんだろう、あの光。シェアクリスタルの光かな?…いや…違う…違うな。シェアクリスタルはもっとぱあーって輝くもんね。」

 

その光を目にして、二体はそう話し合う。その光に、他のモンスター達も気づき、なにやら話し込む。

 

「…ねぇ、あっちって、うずめさんたちが行った方向だよね。なにも、なければいいんだけど…。」

 

ふとそう呟く。この時、ひよこ虫達は気づかなかった。いや、気づくわけがなかった。その光は、うずめ達の戦闘した場所での出来事であることを。その後、最悪の状況が待っているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

光が収まった後、大人ネプテューヌたちは来た道を駆け抜けていた。といっても、うずめの状態もあり、少し速足と言う速度だったのだが。ネプギアの左隣、大人ネプテューヌの右隣にはうずめが肩に腕を回して運ばれていた。その傷は直後は大丈夫そうだったけど、徐々に傷口から流血をし始めていた。

その様子に、ネプギアも軽く青ざめた表情を見せていた。けど、わたしが大丈夫?と声をかけると、ネプギアは平静を取り戻し、前へと駆けだしていく。

その途中で、ネプギアがうずめに声をかける。

 

「うずめさん、頑張ってください。あと、もう少しで本拠点です。」

 

「拠点につけば、きちんとした治療ができるはずだ。それまで頑張れ、うずめ。」

 

うずめを元気づけるように、ネプギアと海男が声をかける。

 

「……」

 

しかし、うずめは答えることなく、むしろ痛みで苦しみながら、うめき声を吐くのみだった。このままではうずめが危ないのは、大人ネプテューヌにも分かった。しかし、今自分…自分だけではなく、ネプギアたちに出来るのは、一刻も早くうずめを本拠点に運び、治療することだと大人ネプテューヌは思っていた。

しかし、流れはどんどん悪くなっていく。ふと、うずめの手を取ると、脈が弱くなっていくことに気づいた。

 

「どうしよう、うずめの鼓動がどんどん弱くなってくよ…。」

 

わたしは不安な気持ちを露わにした。このままじゃ、うずめは本当に…。

そんな言葉に急かされたのか、ネプギアの速度が上がっていく。それに合わせるようにして、大人ネプテューヌも速度を上げ、本拠点へと急いだ。

 

 

 

 

そのままの勢いで、大人ネプテューヌたちは、本拠点へと戻ってきた。戻ってきたことに気づいたモンスターの一体が、全てのモンスターたちに届く声で知らせる。

 

「おーい!うずめさんたちが帰ってきたぞー!」

 

「ほんと!うずめさん戻ってきたの!?」

 

最初はみんな、うずめが帰ってきたことに夢中だったけど、わたしたちの方を見て状況を理解したモンスターがすぐに状況に対応する。

 

「ここにいるやつは急いでベッドと治療の用意だ!」

 

「…え、なに。何があったの…?」

 

「うずめさんがやられて死にそうなんだ!だから、ありったけの薬草と包帯をかき集めて!」

 

その事を聞いて、モンスターたちがあちこちへ行ってその知らせを飛ばしていくのが見えた。

モンスターたちが治療の準備の最中の時には、既に大人ネプテューヌたちは本拠点のキャンプ近くまでたどり着いていた。息をついたところで、わたしはたどり着けたことに安心する。

 

「はぁ、なんとか着いたぁ…。」

 

これでうずめの治療ができる。かなり容体はひどくなっているけど、まだ何とか間に合うはずだよね。でも、うずめを心配したモンスターたちがこっちに集まってきて、通れなくなっちゃった。うずめを気にする気持ちは分かるけど、早く手当てをしないとうずめが!

大人ネプテューヌの思っていたことを、ネプギアが代わりに言う。

 

「道を開けてください!それと、とにかく薬をあるだけ持ってきてください!」

 

ネプギアの声に律されて、群がっていたモンスターたちは群れるのをやめ、すぐにテントへの道を開け、薬の用意を始めた。開いた道を、大人ネプテューヌが進んでいった。

 

 

 

 

テントに入った後、早速ネプギアが手当てを始める。傷薬を傷口に当ててから包帯を巻いて、出血を抑えていく。巻き方は少しぎこちなく、上手いとは言えなかったけど、今は手当てできるだけマシだと思う。

うずめの方を見てみると、少しだけうめき声を唸らせ、苦しそうにしながらも息はあった。

 

「………」

 

そんな様子を見て、手当てに協力していたひよこ虫…女神のネプテューヌに「エビフライ」と名づけられたひよこ虫が心配そうに聞く。

 

「ねぇ、うずめさんは大丈夫なの?助かるの?」

 

「…正直、オレにもわからない。ただ、もしものときのために、覚悟だけはしておいた方がいいかもしれない。」

 

ひよこ虫の言葉に、海男も言葉に困りつつそう答えた。海男もやっぱりどうなるかは分からないみたいだ。とにかく、ここが正念場だと思う。

その時だった。テントの幕が荒っぽくあげられる。全員がその方向を向くと、ガンダムを装着していた光樹がいた。

 

「光樹!無事だったんだね。」

 

「あぁ。何とかな。それより、うずめの状況は?」

 

わたしの言葉に、光樹は軽く答えてから、うずめの様子を聞いた。ネプギアは治療に集中しながらも、容体を答える。

 

「今は、薬を塗りながら、包帯を巻いているところです。これが終わった辺りで、落ち着いてくれるといいんですが…。」

 

「そうか…。頼んだぞ、ネプギア。」

 

光樹もネプギアの邪魔をするまいと、それ以上の話をするのはやめた。ネプギアがうずめの手当てに集中し、光樹が後ろの方に離れる。

光樹はこうして戻ってきたけど、マジェコンヌとかはどうしたんだろう。あの後、後ろから光は見えたんだけど、どうなったのかは光樹くらいしか分からない。

そこで、気になった大人ネプテューヌは光樹にそのことを聞いてみた。

 

「そういえば、マジェコンヌとかはどうなったの?」

 

「あぁ、そっちもネプギアが手当てを終わらせてから、話すとするよ。…結構、厄介そうなことになったからな。」

 

光樹は何か含みのあるような言葉で、大人ネプテューヌに告げた。

何だろう?何か嫌な感じがする。そんな思いを感じるのも珍しかったけど、でもまだ戦わなくちゃいけない。うずめの手当ても、ちゃんとしないとね。

大人ネプテューヌはそう思って、ネプギアによるうずめの手当てが終わるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

うずめの怪我の手当てをしている時、ネプギアの脳裏に、あることが浮かんだ。それは海男との話で少し出た話の内容だった。

もし、零次元最後の女神であるうずめが消えたら、この世界がどうなるのかを。

うずめさんがいなくなれば、ゲイムギョウ界という世界は、支えを失って消滅してしまうことを聞いていた。もし、このまま本当になったら?

 

(最後の女神がゲイムギョウ界から消える時が、ゲイムギョウ界の終り…。)

 

「そんなこと、私がさせません。うずめさんは私が助けます!」

 

ネプギアははっきりと宣言した。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

レイ「ど、どうしよう!うずめちゃんやられちゃったよ!?」

ジャンヌ「確かにかなりの重症ですね…うずめさんは大丈夫でしょうか…。」

助かるかどうかは次の光樹君達の行動次第ですね。さて、今回はここまで!

レイ「み、短いね…。でも、今日はこれだけじゃないよね!」

ジャンヌ「そうです!今日は「SSRと言う名のG外伝 藤和木弘の極めて中二的な裏話」の初投稿日です!」

いよいよこの時が来ましたよ!さて、次の投稿なんですが…先に謝っておこう!まだ夏休み分の全部打ててない!だからSSRと言う名のGの投稿間隔が伸びます!

レイ「どれくらいのペースになるの?」

8日感覚デス。私が二人くらい欲しいほどヤバいです。次は黒の館なんですが、それでも余裕がない!

ジャンヌ「なので、皆様。投稿期間が伸びることお詫び申し上げます。それでは皆様、また次回。」


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黒の館 第8回 解説~シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス

はいはーい、久しぶりの本編投稿です、藤和木弘です。

ジャンヌ「なんだかあっちの方が本編になってきている気がするんですが…。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「さっさとあっちを終わらせないと、こっちも進まないよー?どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

今回は黒の館第8回、遂にシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスの紹介です!ようやく主役ガンダムの紹介です。

ジャンヌ「このガンダムはわたくしたちも「のめてな」の方で知ってますね。」

レイ「ちなみに、この黒の館の収録前に今の「のめてな」のストーリーが入るよっ。」

それでは本編へ。


 

藤和木「さーて、今回も始まりますよ、黒の館!皆様今年の夏休みはどう過ごされたのでしょうか?私は…うん。まぁ、よかったんじゃないかな?藤和木弘です。」

 

ジャンヌ「こんなこと言ってますけど、実際のところ、この話書いている時は夏休み始まった辺りですからね。まだ藤和木も満喫していないんですよ。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

 

藤和木「ちょっと待ってください!流石にそれ言うのはアカン!それだけは言ってはいけませんよ!?」

 

ジャンヌ「って!おそらく藤和木ならうやむやにすると思っていたのに、なんで思いっ切り自分からバラしているんですか!?」

 

藤和木「流石に私も全部を理解しているわけじゃないですからね!?何でもかんでも私の言葉に頼らないでください!」

 

レイ「…え、えっと…。どうも、みんなー!夏休みは三人で祭りに行った、レイ・オーバだよっ!」

 

藤和木「レイさん、流石にもうそれで押し通すのは無理…」

 

レイ「さっ、そろそろ今回のゲスト呼んじゃお?」

 

藤和木「…そ、そうですね。(レ、レイさん、流石だぜ。)」

 

ジャンヌ「そ、それでは今回のゲストを紹介しましょうか…。(あぁ、藤和木やわたくしのミスを思い切ってカバーしてくれるレイさん、真面目で素晴らしい…その目でわたくしを射止めて…うふふ)…今回のゲストは、わたくしたちが初登場した回以来のご登場、この作品の主人公、和藤光樹さん。」

 

光樹「あ、どうも皆さん。和藤光樹です。というかジャンヌさんレイさんににやけてない?」

 

ジャンヌ「だって、レイさんが凄く魅力的ですから!」

 

光樹「すみません、ジャンヌさん。言葉のキャッチボールしてください…。(汗)」

 

藤和木「ははっ、相変わらずですね、ジャンヌさん。この話の前に、「あの話」したせいかな?」

 

ジャンヌ「!!そう、かも、ですね。」

 

光樹「でもまあ、あれは俺的には衝撃的だったな。あんなことが起きてたとか、面白い話だったし。」

 

藤和木「本当に、あの時のジャンヌさんはレイさんにベタ惚れでしたけど、なんか気づいたら私の方にもたまに可愛いところ見せてくれるようになりましたし。」

 

ジャンヌ「お二人共!なんですか、その言い方。」

 

レイ「あれ、ジャンヌちゃんそう言うってことはつまり、いつも可愛いとこ見せて…」

 

ジャンヌ「!!??レ、レイさんっっっっ!?う、嘘です。別に藤和木にわたくしを見て欲しいとか、そんなんじゃないです!」

 

藤和木「…ツンデレ?」

 

光樹「これはツンデレの反応だな。」

 

ジャンヌ「わ、わた、わたくしは、藤和木の変な目がレイさんに向かないように、あえて!あ・え・て、振舞っているんです!!」

 

パリィィィン!!

 

光樹「あ、藤和木のガラスのハート兼ライフが。」

 

藤和木「…ひどいや、ジャンヌさん…私があんなに必死になったっていうのに…。」

 

ジャンヌ「………え、えと…。(勢いで言ってしまいました…藤和木がこういうこと言われるとかなり折れてしまう性格だということは分かっていたのに…。ど、どうしましょう…!そうです!)そ、それでは今回の機体の紹介にでも…」

 

藤和木「私のガラスのハートのライフが壊れてしまったので、今日は無しで。」

 

ジャンヌ「はい!?」

 

光樹「おいテメェ、まだもう一人紹介してないのに、終わらせる気か?」

 

レイ「流石にないよねー。」

 

藤和木「だ、だって、ジャンヌさんが…。」

 

ジャンヌ「…もうっ!別に藤和木のことは嫌ってませんから!」

 

藤和木「あざっす!さて、もう一人のゲストは、これまた久々登場、海男さんです。」

 

海男「また呼ばれてしまったな。ぎあっちも今回は聞きたいことがあるから出たいと言っていたんだが…どうしてオレをチョイスしたんだ?」

 

藤和木「え?俺の方にそんな知らせ来てないんだけど?」

 

海男「え?」

 

光樹「おいおい…まさかの伝達ミスか?」

 

藤和木「ちょっとー、アシスタントのやっちょちゃーん。これどういうことー?…あ、そういうことですか。」

 

ジャンヌ「どういうことだったんです?」

 

藤和木「簡単に言えば、聞き間違いです。伝言は「海男がネプギアと変わりたい」だったんですよ。今回だとネプギアが出たいと読み取れるんですが、私は海男が、出るはずのネプギアと代わって、出たいと思っていたんです。」

 

レイ「えー!?藤和木何やってんの!?」

 

藤和木「ははは、これは私のミスですわ。でもまぁ、まだ黒の館は終わらないのでまた出てもらいますよ。…「第2章」でね。」

 

光樹「…?まだガンダムが出るのか?」

 

藤和木「まぁ、新しいガンダム、と言っていいかな?光樹君も分かるはずさ。」

 

光樹「なんか意味深だな…。」

 

海男「さて、全員そろったのなら、そろそろ機体の紹介を始めた方がいいんじゃないかい?」

 

ジャンヌ「そうですね。では今回紹介するのは、光樹さんの新たなガンダム、「シュバりゅと」…」

 

レイ「あ…。」

 

光樹「またか…。」

 

藤和木「…」

 

ジャンヌ「ち、違うんです!わたくしはちゃんとシュバルトと…」

 

藤和木「可愛いー!!!ジャンヌさんがセリフ噛んで恥ずかしがってるのがまたいい!!」

 

ジャンヌ「と、藤和木!恥ずかしいからもう言わないでくださいっ!」

 

光樹「さて、藤和木がジャンヌさんとイチャイチャしているから、爆弾でも投げるか?」

 

海男「流石にリアルに、リア充爆ぜろ、はダメなんじゃないかな?」

 

レイ「光樹君物騒なこと考えるねー。しょうがないから私が言うね。」

 

光樹「あ、じゃあレイさん頼みます。」

 

レイ「じゃあ、今回紹介するガンダムは、「シュびゃルト」…」

 

光樹「…またなんですk…」

 

レイ「光樹君…もう言わないでっ!恥ずかしいの分かってるから!」

 

ジャンヌ「光樹さん…?よくもわたくしのレイさんを…泣かせましたね…?(ゴゴゴゴゴッ!)」

 

光樹「や、止めてください!そんな静かに怒らないで下さい!!」

 

藤和木「やれやれ、今回は私が言うことにしよう。…今回のガンダムは、「シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス」です。」

 

海男「ゴッドクロス…さしずめ、「神と契約した」、「神と交わった」…いや、別の言葉で言うのなら、「神と合わさった」かな?」

 

藤和木「まぁ、どれもある意味では当たってるな。私の方では、「神の領域に触れた」かな。さて、長話もここまでにして、いつもの解説、行ってみますか。」

 

ジャンヌ「そ、それでは、わ、わたくしが資料を準備いたしますので、少々お待ちを!」

 

 

 

 

 

 

 

 

シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス

形式番号 SSR-VVVX-BA002GX

解説

シュバルトゼロガンダム・クロスを素体として、機体の装甲や武装、エネルギー回路などを再調整、交換し、機体性能を当時の技術の限界まで引き上げた機動兵器。エクストリームガンダムType-レオスの改良機、エクストリームガンダムType-レオスⅡヴァリアント・サーフェイスをモデルとして、武装を変更している。シュバルトゼロ・クロスの抑えられていた性能を全面的に開放できるようになっており、システム系にも、改良が加えられている。

特に圧倒的に違う点が、頭部パーツの完全な新造と、胸部の動力機関、ロストドライヴを使用可能となったこと、更に、変形が可能となったことである。

頭部パーツの新造は、ゼロ曰く当時の光樹の意見で、機体性能には特に影響はない。頭部パーツのマスクパーツは直接形状のモデルとなったユニコーンガンダムのユニコーンモードより、この機体のモデルとなったエクストリームガンダム系統の変形の一部を採用している。タキオンフェイズを装着した時の顔の変形が分かりやすい。

胸部の動力機関、ロストドライヴは「次元力」と呼ばれるエネルギーを生み出すようになった。

そして変形機構は、この機体の「とある機能」を盛り込む際、その機能に追加する形で搭載することとなった。しかし、この機体の変形は変形機構を持っていたEFXシリーズの物よりかなり複雑化しており、胸部と頭部をZタイプ、脚部をVF-25系統のままに、腕部の格納法を機体横に配置するだけという、シンプルなものに置き換えている。この方法は、変形機構を持っていた。EFXシリーズに肩部の武装がないことを前提としたものに対し、こちらは肩部を換装可能なものにしており、特にゴッドクロスの肩部基本兵装が大型の武装であるため、こちらの変形法に変更となった。更にウイングも脚部の間に挟むような形になっていたのに対し、背中部分に固定されるようになった。

しかしながら、大きく変わった三つの要素以外の部分も、かなり強化されている。特に背部のウイングが3対、計6枚の大型ウイングになったため、推力は大幅に向上。機動性もかなりの物となっており、劇中でもそのスピードに光樹も驚愕していた。

だが、この性能はあくまで記憶を失っている光樹の状態であること。つまり、記憶を取り戻した際には、更に性能は向上していることとなる。封印されている「機能」も含めて、完全な機能を解放したゴッドクロスは、この性能を遥かに上回ることは間違いないだろう。

 

 

 

 

機体性能

システム系

 

 

TRANS-AMシステム

粒子放出量のリミッターを解除して、機体性能を三倍まで引き上げるシステム。クロスの物より、制限時間は伸び、性能も純粋に強化している。

 

T0DS-∞VVV

機体の背部に二本搭載されているANドライヴを同調させ、粒子生成量の増加を目的としたシステム。ゴッドクロスの圧倒的な性能を引き出すために、更に同調率を高め、可能な限り粒子生成量を多く確保している。

 

BCSⅡ

機体にデータとして保有されている武器データを実体化させるシステム。しかしながら、ゴッドクロスの支援兵装を転送させるためのカードがメインとなり、携行武装は減っている。

 

ANフィールド

機体周囲に展開する高密度粒子による防護膜。ゴッドクロスはシールドをビームシールドと肩部のランチャー砲に設置された特殊加工セパレートシールドに依存しているが、全方位からの同時攻撃に対応するため、フィールドも引き続き装備している。

 

硬質残光

機体のスラスターやビーム発振器から生成する結晶体。ゴッドクロスでは武器の形になるように調整すれば、硬質の実体剣や一発限りのビームライフルを形成することもできる。

 

VVVレイヴ・コア

腹部に搭載されている、機体の搭乗者の命そのもの。しかしながら、極限進化機構「ドライブ」や、「とある機能」使用時には搭乗者をシステム、機体と一体化させる際に、黄金色から前者は橙色に、後者は光り輝く緑、簡単に言えば宝石のエメラルド色になる。

 

ノイズドエナジーゴッドクロスウイング

シュバルトゼロ・クロスのノイズドエナジークロスウイングをゴッドクロスの機能に合わせて強度、エネルギー効率を強化されている。光の翼に干渉できるようにしたことで、面積を伸ばせば、マントのようにも扱うことができる。

 

ノイズドエナジーテレポーテーション

トランザム中の機体を量子化させる緊急回避システムの一種。ゴッドクロスの緊急回避時に使用されるが、元からかなりの機動性を誇るゴッドクロスにトランザム中の機動性が追加された状態で攻撃を当てるのは至難の業である上、その状態で当ててくる敵に、思考速度が追い付かないため狙って発動が難しくなっている。

 

ディバイダー・ゼロ・システムⅤ

シュバルトゼロ・クロスの物と同じシステム。本機には、このシステムを武器の一つに内蔵しているため、重ね掛けでの使用も可能。

 

レイヴバーストオーバーヒートモード

機体の熱量が全体に貯まったことで発動するモード。自動的にNFB「レボリューション・ゼロ」シリーズを使用するが、光樹の判断でこの状態で戦闘を続けることで、発生する熱量でビームを弾くことも想定している。だが当然、その際には機動性は劣化する。

 

ディスチャージシステム

両腕部にアブソーブシステムで溜められたエネルギーを武器のエネルギーに送り込み、超過出力で攻撃するシステム。本機では、「とある機能」にてシステムを動かすためのシステムとしても使用される。

 

フルノイズドエナジールーンフレーム

機体を構築するフレーム。本機では可変用のフレームに変更されているが、可変フレームに足りない強度を、本フレームの強度でカバーしている。

 

ブラスターシステムⅢ

機体のリミッター解除用システム。ところが、システムの負荷は未だ健在であるため、あまり使われないシステムとのこと。

 

カートリッジシステムMark-Ⅲ

機体武装に装備された、エネルギー供給用カートリッジを使用するためのシステム。なお、システム採用武器ならば、本システムを持った機体で、別のシステム搭載武器を使用することも可能である。

 

トランザムレボリューションバースト

高濃度圧縮粒子を完全開放し、高密度AN粒子空間を形成する。

 

追加武装システム

機体各部のハードポイントを使って、規格に合う武装を追加で装備するシステム。現状は肩部ハードポイントにヴァルヴレイヴユニットと腰部のバインダーを装備することに使用する。

 

MLS

敵機体を同時に何機もロックオンし、全体へ攻撃するシステム。ゴッドクロスの性能を更に引き立たせることができる。

 

森羅万象システム

実体剣兵装の先にデータを集め、接触した機械の制御をこちらで乗っ取るシステム。

 

ZEROシステムverゴッドクロス

自己進化と戦術展開を支援するインターフェース、ZEROシステムのゴッドクロス対応型。ドライブ使用時にはドライブの性能を強化し、敵のいかなる対応にも対応可能なほどの柔軟性を機体に持たせる。この機体変身後辺りから、ZEROシステムを無意識かつ本格的に使用するようになってきている。

 

フルバーストモード

機体と操縦者の意識を同期させ、機能を高めるシステム。本兵装はドライブモードとの併用は不能となっており、クロスの時と同じように、クロスカップリングシステムも同時起動は不可能となっている。

 

デオキシリアシステム

機体に登録された装着者のDNAデータを用いて、自動的に機体の動きをサポートするシステム。

 

アーダーグリップシステム

機体のルーンの流動制御を担当するシステム。ドライブモードの機体出力制御も対応している他、実は本機の腰部に装備されたビーム砲の出力制御を担当することで、胸部のロストドライブの影響を受けても制御可能としている。

 

PXシステムGX

ゴッドクロスに対応したPXシステム。ドライブモード時に同時併用すると、暴走する可能性もあるが、機動性はかなりの物となる。

 

クロスカップリングシステム

同システムを装備した機体の装着者とつながり、演算能力を高め、予知能力を持たせる機能。機体変形を行うが、ゴッドクロスのドライブはモード起動時に機体各部のリミッターの解除と頭部の変形のみを行うため、追加で起動させることができる。このシステムも頭部は変形するので、同時運用時には、後の変形時には特に形状は変わらない。

 

共振システム

機体との共鳴をキーとして性能を強化するシステム。「共鳴」と「同調」の違いとして、共鳴は機体との元からのマッチングの良さ、同調は外部的な影響でリンクすることである。

 

極限進化機構「ドライブ」

本機の性能を次元力外の限界まで発揮させるシステム。機体のリミッターを解除すると、特殊な名称を持つ三つの武装の機能を完全開放(一時解放の物もある。)し、機体性能も引き上げられる。今のところ、性能を強化されていることが分かっているのは、腕部兵装のANフレキシブルアームデストロイブレイカー「ディメンションブレイカー」、腰部兵装のAN高純化射撃兵装「オーディン」、ウイングの兵装ANシェイブシフトドラグーン「ゴースト」、今のところ分かっていないのは肩部パックのANデストロイドブースターユニット「ドライブ」の計四つ。

機体のモデルとなったエクストリームガンダムType-レオスⅡヴァリアント・サーフェイスの持つ爆熱機構「ゼノン」をモデルにしたシステムで、格闘・射撃・遠隔操作端末の三つと機動性を強化しているところも共通している。

 

ロストドライヴユニット

機体胸部に内蔵されている特殊動力機関。クロスの時には、起動しない上に機体の武装に悪影響を与えるという、重りでしかなかったドライヴだったが、ゴッドクロスの機能につられるようにしてドライヴの機能が始動するようになったとのこと。

次元力を機体のエネルギーとして活用できるようになっている。が、現段階では機体の動力補助を行っているのがメインであり、武装の転用は、胸部のビーム砲、そして機体を守る二つ目の防御膜であるD・フォルトにしか使われていない。

 

D・フォルト

ANフィールドと共に機体を守る、もう一つの防御兵装。次元力を使った防御膜であり、並大抵の攻撃ではANフィールドよりも貫くことは難しい。

 

フューリーメタル制御オペレーション「アリン」

ANシェイブシフトドラグーン「ゴースト」の形状を変化させることをサポートする制御OS。このOSはVVV-OSに代わってVVVレイヴ・コアの制御を行うことができる。本来装着者のイメージに応じてシェイブシフトドラグーンの素材であるフューリーメタルの形状を変化させるが、イメージを保ったまま、空間把握を行いつつ、戦闘行動を行うのはかなりの至難である。その負担を少しでも顕現させるために作成されたのが、本OSである。ある程度の形状は自動で形成するため、攻防に使えるように自動処理してくれている。

OSの擬似人格は、フューリーメタルの語源となった「フェアリーフェンサーエフ」の武器「フューリー」に宿る妖精の一体「アリン」である。

 

 

 

 

 

装備解説

 

ANヴァリアブルエッジバインダー

腰背部に装着される可変型バインダーユニット。ANブラスターソードエッジのプラットフォームとして機能している。武器の装着時には機体の機動性をコントロールするために、武器接合部を動かすことができる。

 

ANブラスターソードエッジ

クロスにも装備されていた多目的攻撃ユニット。カートリッジは7発。モードは以前と変わらず、「ブラスターモード、ソードモード、マグナムモード、バスターソードモード、ナギナタモードを持つ。側面部にはANマインⅡを24発装備している。

 

ANゼロガトリングバルカンⅡ

頭部に片側二門、計四門装備される近接防御機関砲。クロスの物より強化され、貫通性を高め、また収束性を持たせることで、細身のビームで敵を貫くことも可能となっている。

 

ANゼロ・ソードキルⅡ

膝部に沿って装備されるエネルギー発振器。クロスの物の二世代目であり、新たにビームガンとしても使えるようになっている。

 

ANカタナⅡ「ゼロエッジ・ソウテン」

日本刀をベースとした実体剣。クロスも一世代前の物を装備していたが、装備位置が腰部から肘へと変更された。また、新たにツインブレードとして使えるアンビロテクス・ハルバードモードを備える。

 

ANビームサーベルⅦX「フォルド・シックルⅡ」

手首アーマー内に装備されるビームサーベル。クロスのものと同じものである。

 

ANディメンションスマッシャー「ヘルヘイム」

機体胸部に装備する大出力ビーム砲。胸部内部に存在するロストドライヴからエネルギーを供給している。ビームは緑色の光を放つ。またロストドライヴのカバーも兼ねており、防御性もD・フォルトを超近距離で発生させているため、防御力も高い。

名称は北欧神話に登場する、世界樹ユグドラシルの地下に存在するという死者の国の名前から。

 

ANZEROユニット

機体頭部に装備される複合アンテナユニット。砲のANZEROキャノンモードと剣のANZEROブレードモードを持つ。ちなみに今のところブレードモードは最初のZEROであるブラッドゼロの時からあるが、光樹が記憶を失ってからは一度も実戦で使われてはいない。

 

ANフレキシブルマルチウイングバインダーユニット

背部に装備される、六枚のウイングユニット。クロスの時よりも二枚増え、それに伴い、機動力も増している。が、普段は六枚展開はせず、二枚はそのままである。この閉じているウイング二枚は、クロスカップリングシステム、ドライヴモード時に開き、機動力を更に高めている。なお、閉じている時には、ブースターとしての機能を持つ。

モードとして、クロスカップリングモード、硬質残光モード、フルバーストモード、射撃のバスターモード、防御のマントモードを備える。

 

ANシェイブシフトドラグーン「ゴースト」

エクストリームガンダムType-レオスⅡヴァリアント・サーフェイスの武器をモデルにした、「ドライブ」の影響を受けることのできる特能兵装「エヴォリューション・ドライブ・ウェポンシリーズ」の一つ。モデルはヴァリアント・サーフェイスの武装「全感応ファンネル「アイオス」」をモデルとしている。

しかしながら、「アイオス」をモデルとしているとはいえ、感応はあまり重視されておらず、戦闘性能に特化させている。素材には形状変化可能な、特殊形状記憶合金「フューリーメタル」を採用。「幽霊(ゴースト)」の名を冠する通り、形状を多彩に変化させ、あらゆる角度から、様々な武装に変化し、攻撃することを可能としている。

基本的な形状は、通常の砲塔型のドラグーンモード、剣の形のブレードモード、フィールド展開ユニットのリフレクターモード、シールド型のシールドモード、ブレードモードよりも取り回しやすいナイフモード、火力特化のガトリングモードを固定化させている。だが、装着者側からの指示で、変化させる形状を記憶させることが可能。ドライブモード時には反応速度が向上する。

 

AN高純化射撃兵装(もしくはANマルチバスターウェポン)「オーディン」

クロスの腰部にあった、ANプロトスタビライザービームキャノンの完成系。ヴァリアント・サーフェイスの高純化射撃兵装「エクリプス」を参考に開発されている。オリジナルが背部バックパックに装備されていたのに対し、装備位置が腰部に変更されている。これはシュバルトゼロのウイングがオリジナルと比べて多いこと、そして本来の性能が発揮できなかったANプロトスタビライザービームキャノンの設計が正しかったことを証明するための物である。他にも光樹が腰部兵装を残したいという要望からも、この兵装は腰部に取り付けられることとなった。

出力は単砲だけのノーマルモードと、「ドライブ」使用時の両砲を同時に使用したドライブモードを持つ。

 

ANロング・メガ・マグナム

「オーディン」の上から装備するロングライフル。カートリッジは6発。二丁装備する。ブラッドゼロ以来の、ビームライフルタイプにのみ属するウェポン。元々は、拳銃タイプのANメガ・マグナムにロングバレルユニットを接続させたのが本兵装である。

放たれるビームは、板のような形状で面での破壊力よりも、貫通性を重視している。これはモデルとなった銃の影響を受けたためである。元々双剣双銃の戦闘を得意とした光樹には、この武器構成は武器の入れ替えを要するものの、銃としての機能に特化させた分、光樹の戦闘による負担に耐えられるようになった。

武器のモデルは「魔法科高校の劣等生」の司馬達也の持つCAD、「トライデント」を外装データに、内部的データはF91のヴェスバーとユニコーンガンダムのビームマグナムを掛け合わせたものとなっている。

 

ANボックスレールランチャー

ANロング・メガ・マグナムの銃身下部に装備される多目的射撃小型コンテナ。ボックス状のランチャーに四種類の武装を内蔵し、電磁レールでボックスを回転させて武器を使用する。

モデルはユニコーンガンダム2号機のバンシィ・ノルンの持つビームマグナムに装備されたリボルビングランチャー。オリジナルが円柱なのに対し、四角柱となっている。

コンテナ武装は二種類が存在。標準的なノーマルパックは、光質と吸着性を持つ徹甲弾、ANフラッシュグレネードボム・近接でのミサイルを放つANミドルレンジミサイル・ANマインより小型のANマイクロホバリングマイン・格闘兵器を受け止めるANビームジュッテ。もう一方の特装パックはビーム主体の兵装で、連射のきくANビームマシンガン・短距離から範囲の大きい散弾を放つ、ANショットガン・一発のみだが狙撃可能な、ANビームスナイパーガン・敵機を捕縛するなどが行える、ANビームアンカー。それぞれ四種類ずつ備える。

 

ANノイズドエナジーヴァリアブルリアクタービームシールドユニット

両腕部に備えられたビームシールド発振器。しかしながら、今回はクロスまで装備されていたアブソーブリアクターとしての機能を、ANクロスビームボウガンを開くことで再現している。

モードは普通のビームシールドモード、ビームを吸収するリアクターアブソーブモード。

 

ANクロスビームボウガンⅣ

ビームシールドユニットに付属している武装。カートリッジは7発クロスの物より内部を強化し、ユニットの後部を前面に展開して二本のビームサーベルをその先から出現させるツインビームサーベルモード、さらなる高出力化により、格闘兵器を両断させるように特化させたソードブレイカーモードを新たに備える。

 

ANフレキシブルアームデストロイブレイカー「ディメンションブレイカー」

腕部兵装、フレキシブルアームシリーズの最新型。次元力を運用することを目的としているが、今のところ発揮されてはいない。しかしながら、名称が「次元を壊す者」の名を冠していることから、次元力に関わることは間違いない。

これまでと同様に、モードは遠隔操作のフレキシブルモード、発振口からビームを形成するビームソードモード、爪で攻撃するクローモード、攻防万能にエネルギーを運用するディメンションブレイカーモードを持つ。

 

ANデストロイブーストユニット「ドライブ」

肩部ヴァルヴレイヴウェポンフレームに装備する増速ブースターユニット。ヴァルヴレイヴチェンジウェポンであると同時に、極限進化機構「ドライブ」で性能が強化される。「ドライブ」起動時には装甲の細い隙間から光が溢れるドライブモードに機能が変更される。

 

ANデストロイイーターⅡ

ユニット「ドライブ」の右側に装備される大剣。カートリッジシステム搭載型で、6発持つ。武装モデルはガンダムスローネツヴァイとアルケーガンダムのバスターソードをそれぞれ掛け合わせた形状となっている。だが武装自体にディバイダー・ゼロ・システムを搭載しているため、本体のディバイダー・ゼロ・システムⅤと重ね合わせることで、破壊力を増す。

機能は剣として扱う、「バスターソードモード」、剣を縦に分割し、持ち手のアームガードをトリガーにして撃つ「ビームスマートガンモード」、刀身を横に割って黒いビームサーベルを形成する「イーターモードⅡ」。

 

ANデストロイランチャーⅡ

ユニット「ドライブ」の左肩部に装備した、ランチャー砲。折りたたみ式の砲身だが、それを利用して外側に分割できるシールドユニットを備える。このシールドは透明だが、強度はかなりの物。

通常出力のノーマルモード、砲身を縦に展開し、砲口を大型化させたデストロイモードⅡに切り替えられる。

 

ANエネルギーシャープナー「バーニングセイバー」

ユニット「ドライブ」の背部に装備されているエネルギーシャープナー。二基装備する。ビームサーベルより薄く、刀身の長いビームの刃が出現する。

ビーム刃を出現させる「ビームソードモード」、両柄尻同士を合体させて長大な槍とする「ストームソードモード」、本体を重ね合わせ、腕部のディメンションブレイカーと機能を合わせる、「ディメンション・ブレイカーソードモード」の三つを持つ。

武装モデルはスーパーロボット大戦Dのフォルテギガスの持つエネルギーソード端末「フィガ」。

 

 

 

 

 

 

 

 

藤和木「はい、これがシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスの性能と武装一覧です。」

 

ジャンヌ「本編でも活躍を確認しましたが、恐ろしいまでの性能を見せていましたね。」

 

光樹「使ってて思うけど、本当にこいつはすごいな。正にチートだな。」

 

レイ「ほんとほんと。光樹君にもう敵なしだねっ!」

 

藤和木「ははっ、でも光樹君はまだ復活というか、記憶が戻ってないから、まだこれが本調子じゃないんですけどね。」

 

ジャンヌ「そういえばそうですね。まだ光樹さんは記憶を思い出しきってはいませんし。」

 

海男「これでまだ本力を発揮しきれていないと思うと、これは恐ろしいな。敵に回さなくてよかった思うよ。」

 

光樹「記憶を思い出すのが怖くなってきたんだが…。でも、そうしないとこの物語は進まないし、とにかく、力はこれで復活したのか?」

 

藤和木「おおっ、ご名答だね。これで光樹君の力は全て元に戻った…わけあるかぁ!!」

 

光樹「は!?」

 

ジャンヌ「確かに、まだ「とある機能」が分かっていませんね。」

 

レイ「なんだか気になっちゃうよー。それって何なの?」

 

藤和木「ふっふっふ、それは零次元最終回の後の黒の館でかな?」

 

光樹「なんだかなー。まぁ少し予想できるかな?」

 

藤和木「ほう、どこらへんを考えているのかな?」

 

光樹「ロストドライヴユニットが次元力を引き出すってことは、ロストドライヴは、「あれ」じゃないのか?まぁ、ここで分かっただけだから、本編じゃまだ分からないけどな。」

 

藤和木「ほぉ、そこまで考えるとは。光樹君も勘が戻ってきてるみたいですね。その調子で零次元の戦闘を終結させてくださいよ?」

 

光樹「当たり前だ。海男も頼むぜ?」

 

海男「あぁ、うずめの事は任せてくれ。」

 

ジャンヌ「さて、藤和木。そろそろ次回予告に行きませんか?文字数がもうこの時点で11000字行っているので…。」

 

藤和木「それですよ!早く!次回予告を!」

 

光樹「ハイハイ…。…エクス達相手に勝利を掴んだ、俺達。」

 

海男「しかし、滅びの女神の力を手に入れてしまった魔女マジェコンヌの攻撃で、うずめは重傷を負い、倒れてしまう…。」

 

ジャンヌ「うずめ様を助けるため、ネプギア様が調べた怪我の治療薬を求め、探索へ行く。」

 

レイ「でも、治療を進めている間にも、ダークメガミとエクストリィムに融合、飲み込まれたマジェコンヌとエクスが迫る!」

 

藤和木「満身創痍のうずめと共に、最後の決戦へ!」

 

海男「絶望と希望が交錯し、漆黒のガンダムは再び姿を変える!」

 

ジャンヌ「今、神の領域へと進んだガンダムの真の姿を見る!」

 

レイ「零次元編もいよいよ最後のお話へ!」

 

光樹「次回、「新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG」!」

 

海男「第70話「うずめの怪我を治すためには…」。」

 

ジャンヌ「零次元の戦いが、一つ目の世界を巡り終え、次なる次元で、次の戦いが待つ…!」

 

レイ「絶望のガンダムに…向かい合う希望!」

 

全員『次のステージへ、飛べ!ゴッドクロス!!』

 




今回も読んでいただき、ありがとうございます。

ジャンヌ「もうそろそろ、零次元編も最後になってきましたね…!」

レイ「やっと零次元が終わるんだね。長いね。」

ホント、そうですよ。長すぎっしょ(笑)。でもやっと次の段階に移行できそうです。

ジャンヌ「でしたら、すぐに進めないと…」

ですが、…すみません。私にお盆休みを下さい。(^o^)

レイ「まさか…まだ「のめてな」が?」

ようやく重要な所まで来たんですが、あと三話くらい打たないと終わらないんですよ!あ、ちなみに今からではなく、今書き溜めしているところからです。

ジャンヌ「…でしたら、ちゃんとわたくしたちにも言ってくださいっ!わたくしたちは、一応藤和木のアシスタントなんですよ?」

え、あ、うん。分かった。

レイ「ふふっ。じゃあ、そろそろ締めるよ。藤和木、次の投稿日!」

あー、次の投稿は1~2週間後になります。決まっていないのは、「のめてな」の進行状況によるためです。Twitterで進捗状況を知らせたり、活動報告で知らせたりしようと思いますので、是非確認を。

ジャンヌ「では次回もお楽しみにっ。」


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第70話 うずめの怪我を治すためには…

どうも皆様、お元気でしょうか?生徒の方は、もう夏休みはあと少しだぞ?宿題やりましたか?夏休みは満喫しましたか?藤和木弘です。

ジャンヌ「わたくしたちは、家にいることが多かったですね。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「でも、昔のアニメとか見てることが多かったよねっ。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

さて、SSRと言う名のG本編復活です。今回は第70話、投稿です。

レイ「…前ってどんなところからだっけ?」

あぁ、やっぱりその話来ますか…まぁ私ものめてな終わった辺りからこっちの打ち込み再開した時にちょっとボケてましたけど。

ジャンヌ「えぇと…確かうずめさんが危機的状況に陥っていましたよね?」

そう、うずめがマジェコンヌの攻撃受けて生命の危機に陥っています。

レイ「うずめちゃん、大丈夫かな?」

さて、そろそろ本編へ。


 

ネプギアは、はっきりとそう宣言した。今一度、うずめを助けるっていうことを再確認するのは、正に本気で直そうという気持ちが分かった。けど、それでもネプギアに治療することができるのだろうか。

少しの傷くらいなら、ネプギアにも出来るだろう。しかし、この傷は明らかに専門の人がいるのが大人ネプテューヌの目にも分かった。今ネプギアが手当てをしているけど、うずめは相変わらず苦しそうにしていた。

心配になったわたしは、ネプギアに聞いてみた。

 

「けど、ひどい傷だよ?ネプギア、治療できるの?」

 

「治療とかの経験はありません…。」

 

はっきりとそう答える。まさか、治療の経験がないのに、今進んでうずめの手当てをしているのだから、かなりすごいことだ。

しかし、ネプギアは真っ当なことを言った。

 

「でも、誰かがやらなくちゃいけないんです。」

 

「ぎあっち…。」

 

「ネプギア…。」

 

ネプギアの決意に、海男と光樹が呟く。その姿勢に心を打たれたようだ。

しかし、それでうずめの傷は治るはずはない。何か手を打たなければいけなかった。すると、うずめ腕の方に、ネプギアが手を伸ばした。見るとそれは、うずめの大事にしているヴィジュアルラジオ改だった。

 

「うずめさん、ヴィジュアルラジオ、ちょっとの間だけ借りますね。」

 

うずめに断りを入れてから、ネプギアはしばらくの間ヴィジュアルラジオを操作する。何をするのかと思ってしまう。それに対し、ネプギアはこちらに目を向ける暇もないように、ヴィジュアルラジオに向かって呟く。

 

「Nギアの機能とデータベースを移植したこれなら…。」

 

大人ネプテューヌは何が何なのかは分からなかったが、その呟きから、何かを調べることなのだろうと察した。ここは機械で調べるのがいいと思ったからこそのネプギアの行動だった。大人ネプテューヌとしても、ちゃんとしたデータなら、信頼性がある。今はそれに頼ろうと思った。

 

「………」

 

ネプギアはうずめから借りたヴィジュアルラジオ改を操作して調べる。しばらくすると、ネプギアが突拍子に声を上げる。

 

「………あった。医療用のデータベースです。念の為に入れてて良かったぁ。」

 

ネプギアは少し安堵して見せた。何とか見つかったみたいだ。けど、さっきの発言から、そのデータはネプギアがいれたみたい。

そこで大人ネプテューヌは思い出す。うずめたちとであった頃、うずめがヴィジュアルラジオを改造してもらったと自慢してきたことがあったことを。その時にネプギアが改造して、そのデータを入れたのだろうと大人ネプテューヌは思った。

事実、ネプギアはNギアのデータを移植していた。その際に役立ちそうなものは全てNギアからヴィジュアルラジオ改に移していたのだ。

偶然とはいえ、そのことに安心する。それを見れば、うずめの手当てに何か力になるはずなのだから。ネプギアもすぐにそのデータを開いた。そして次々と内容を見ていく。それで安心したのか、海男が早くその内容を聞きたいように見せた。

 

「なら、うずめは助かるのか?」

 

「まだ、わかりません。でも、絶対に私がうずめさんを助けてみせます。」

 

海男の言葉に、ネプギアはデータを見つつ、そう返した。流石にデータを見てすぐに結論を出せるかといえば、出せるわけがない。今はネプギアが内容を見終わってからだ。しばらくの間、ネプギアを集中させるために、大人ネプテューヌと光樹は、テントを後にした。

 

 

 

 

テントを出ると、入り口の方から声がする。

 

「おっ、ネプテューヌ。探したぜまったく。」

 

それはクロちゃんこと、クロワールであった。大人ネプテューヌが出た時にはまだドームの中にいたのは知っていたが、その後のことは知らなかったのでどうなったのか気になっていたが、光樹が出る時にレーダーで悟ったのと同じように、爆発からは逃げていたようだ。

けど、姿はいつもの人型ではなく、羽だけの姿でしゃべっていた。何かあったのだろうか。

しかしながら、大人ネプテューヌはクロワールが無事ということを知っても、今はあまり嬉しくなかった。それはもちろん、うずめが怪我をしたのは、クロワールが原因でもあったからだ。

 

「もう、うずめがこんなんなっちゃったのも全部クロちゃんのせいだからね!」

 

わたしはクロちゃんにかなり怒りのこもった声でそう言い放つ。クロちゃんはこういう時はとことん悪い流れに話を持っていくから、これくらい怒らないとダメだろうし、わたしも気が済まなかった。反省してもらうためにも、これは当然だ。

 

「罰として、もう二度と悪さができないようにまた標本に封印しちゃうんだから。」

 

大人ネプテューヌはノートを開いて、クロワールに向ける。しかし、自分も悪いはずなのに、責任を全て押し付けるようにした大人ネプテューヌに、クロワールも納得は行かない様子を見せる。

けど、それで今回は引き下がらないよー!さっそくクロちゃんの羽根を鷲掴みにする。それがあまりにいたかったのか、クロちゃんがバタバタと羽を動かす。

 

「ちょっ、おまっ!?いってぇ!破ける!羽!羽が破けるっての!!」

 

クロワールは本に封印されまいと必死に抵抗する。その騒ぎで、左手に持っていたねぷのーとが手から落ちる。と、それを見ていた光樹が、すぐに落ちたねぷノートを拾い上げる。

 

「大丈夫か、ネプテューヌ。」

 

「あ、光樹。ありがとね。…もう!クロちゃん、暴れすぎだよ!大人しくノートに入りなさーい!」

 

「このっ!誰があんな力取られるノートに入れられるかよっ!」

 

だが、本を持ちなおしても、クロちゃんが必死に抵抗する。今回はやけに強情だと大人ネプテューヌは思った。余程この世界の崩壊が見たいのだろうか。

でも、そんなこと、絶対にさせない!ネプギアが、今そうならないように必死に調べてくれてる。ネプギアが集中できるようにも、クロちゃんは抑えておかないと。

すると、それを見かねたのか、光樹が本の方を持つ。

 

「ネプテューヌ。俺が本を持つから、そっちはクロワールを。」

 

「あ、うん。りょーかい!」

 

ノートを持ってもらったことでフリーになった左手も使って、クロちゃんを押さえる。

押さえつけた状態でノートにくっつけると、クロワールが小さくなっていく。そして小さなサイズになった。こうなってしまえば、後は大人ネプテューヌの勝ちだ。すぐにノートにテープを張り、クロワールを動けなくする。

 

「テープで標本に羽を貼り付けて…っと。よし、これで完成!」

 

何とかクロワールの封印には成功した。それに喜んだのか、光樹が笑みを見せた。

 

「ふぅ…。これでこれ以上最悪な展開になるのは避けられそうだな。」

 

クロちゃんを明らかに悪者扱いしていたけど、今回はわたしも同意見だ。これ以上最悪なことが起きたらm本当に世界崩壊まっしぐらだからね。

一方、完全にノートに封印されたクロワールは、弁明するかのように言い訳をする。

 

「…はぁ。俺だって、まさかあんなところで自爆まがいなことをするなんて思ってなかったんだよ…。」

 

「よく言うぜ。あんな恐ろしい結果になったってのに、まだ楽しむ気でいたんだから当然の報いだな。」

 

それに光樹がいじっていく。それに対し、クロワールは歯ぎしりしつつも、落ち込んだ様子を見せる。

 

「貴重な女神の力どころか、俺の力まで奪いやがって…。こんな姿、惨めすぎるだろ…。」

 

その事を聞いてようやくその姿になった理由を知る。大人ネプテューヌは、たぶんマザコングにクロちゃん自身の魔力を取られ、それにより人の形を保てなくなったんだ、と予想した。実際、その事実は正しく、マジェコンヌ達が更なる力を求めた結果、クロワールの力も奪い、ダークメガミとエクスにそれぞれ融合していたのだった。

そこまでは知らないものの、それだけ聞くと、クロワールの自業自得だった。それを聞いて光樹が呆れる。

 

「はっ、マジェコンヌになんか協力するからこうなるのさ。ざまあないぜ。」

 

「テメェ!俺より先に逃げたくせして偉そうにすんなよ!」

 

それに腹を立てたクロちゃんは反論した。それがきっかけとなって言い争いが起きる。

 

「大体、何でお前がネプテューヌと行動しているのかって思ったけど、分かったぜ。多分ネプテューヌの天然さを利用して自分の思い通りにして戦闘を任せているんだろ?流石黒幕、汚いな。」

 

「あぁ!?こっちは普段はノートに挟まって好き勝手出来なかったんだぞ?こんな時にでも派手に動かなきゃ体がなまっちまうんだよ!」

 

大人ネプテューヌのノートから口出ししているクロワールと光樹の間に火花が散っていそうな程の睨み合いが発生する。傍から見ると、光樹とノートが喧嘩をしているようで、シュールな光景だったがどちらも一触即発だ。今の状況なら光樹の方が有利なので、クロワールが一方的にやられる勢いだったが。

しかしながら、それを続けさせるわけにもいかないので、仲裁をする。

 

「二人とも落ち着いて!光樹はクロちゃんを怒らせるようなこと言わないで。クロちゃんも光樹を挑発しない。」

 

その声と共に、光樹が複雑そうな表情を見せつつも、溜息をついてから口げんかをやめる。クロちゃんもノートを震わせてから口を閉ざす。

なんとか二人共喧嘩はやめたけど、この二人は一体どうしてこんなに嫌いあうんだか。クロちゃんが危険な思考の持ち主だってことは聞いてるけど、危機感を出し過ぎだよ。それにクロちゃんの話によると、光樹は昔のクロちゃんとも会ったことがあるみたいだし、きっとその時に何かあったのかな?

光樹とクロワールの因果を考えつつ、大人ネプテューヌはノートを持ったまま、ネプギアの手当てが終わるまで時間を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、ネプギアはテントから出る。うずめの治療が終わったのだ。しかし、その顔にはまだ安心感は見えない。

理由は簡単、うずめの治療が終わっていないからだ。一応、終わったは終わったが、ちゃんと手当てをしてもう大丈夫、というレベルの治療が出来ていなかったのだ。

私は今の現状に危機感を抱く。今はまだ持っているけど、このままだとうずめさんは最悪…。

とはいえ、ここからは光樹達の協力が必要になりそうだったため、今の治療を可能な限りまでやり切り、切り上げた。ここからは完全な治療を行うための準備だ。

テントから出てきたネプギアに気づき、大きなネプテューヌと光樹がネプギアの元に来る。

 

「ネプギア、うずめの様子はどう?」

 

「あ、お姉ちゃん。止血はなんとかできたよ。…でも、ここの薬だけじゃうずめさんは…。」

 

大きなネプテューヌに今の現状を伝える。それを聞いて、大きなネプテューヌが心配そうにテントの方を見つめる。うずめが気になるのも当然だ。今の状態ではうずめが危ういのなら、困るどころか重く感じてしまう。そんな空気は光樹にも伝播する。

 

「このまま、うずめが衰弱していくのを見ているだけなのか?」

 

「そうだよ。薬は作れないの?」

 

光樹の歯痒さはネプギアにも分かった。このまま何も出来ないままでは、何も変わらない。自体が悪くなるだけだ。けど、まだ可能性がないわけじゃない。先程大きなネプテューヌが言った言葉は、まさしくネプギアが言おうとした可能性だった。早速そのことを二人に聞かせる。

 

「作り方自体はデータベースにあったんですけど肝心の材料がなくて…。」

 

ちょうど医療用のデータベースに、傷薬の作り方が書いてあったのだ。それならば、うずめの具合も良くなるかもしれなかったが、問題は材料だった。

材料はいずれもかなりの強さを誇るモンスターの二種だった。それに、そのモンスター達もこの世界にまだいるかという問題もあった。いち早く見つけないといけないが、見つけられるかどうか心配だった。

けど、そこで光樹さんがこちらに言ってくる。

 

「なら、俺が取ってくる。ゴッドクロスの性能なら、いち早く材料を取ってこれるかもしれない…いや、取ってくる。薬の調合はネプギアは出来るんだろう?」

 

光樹さんはそう強く言ってくる。確かに光樹さんの今のガンダムなら、任せられるかもしれない。けど、その提案は光樹さんからだけじゃない。

 

「わたしも手伝うよ。場所が離れてるなら、一人よりも二人で担当した方がいいでしょ?」

 

「ネプテューヌ。…そうだな。俺とネプテューヌで薬の素材を探せば、時間も短縮できるな。」

 

二人は話を進める。その勢いに、ネプギアも声を大にして宣言する。

 

「…正直、薬なんて作ったことありません。けど、うずめさんの為に、私が何とかします。」

 

「よく言った、それでこそわたしの妹!…って、本当の妹じゃないんだけどね。」

 

大人ネプテューヌがネプギアに優しく鼓舞する。その言葉でネプギアも照れるように少し笑みを見せた。

ここで笑うのもどうかと思ったけど、こういう時こそ明るく振舞わないと。今のお姉ちゃんは、本当のお姉ちゃんじゃないけれど、お姉ちゃんと同じように不安そうにする私にそう声をかけてくれることは、次元が違っても同じなんだなぁ。

そんな言葉の交わし合いに、光樹も入ってくる。

 

「今はネプギアが頼りだ。正直言って俺達が手伝えるのはこれくらいだ。でも、早く集めてうずめを助けよう。」

 

光樹さんも大きなお姉ちゃんの言葉に続いてそう言った。そうだ、今すぐにでも出発して、早くうずめさんを助けないと。

しかし、二人にだけ素材集めを任せるわけにもいかない。ネプギアは自分も付いて行くことを告げる。

 

「それなら、私も一緒に行きます。」

 

「うずめに付き添ってなくていいの?」

 

「今私にできるかぎりの治療はしましたし、あとは海男さんたちに任せても大丈夫です。ただ、薬だけは一刻を争います。遅れれば遅れるほど、うずめさんの体力勝負になりますから。」

 

大人ネプテューヌの質問に、ネプギアは答える。先程の通り、ネプギアは既に自分にできうる限りの行動はし切っていた。このままうずめのそばにいるよりも、海男や他のモンスターにうずめを任せ、自分は薬の材料探しに出た方がいいだろう。

それを聞いて、大人ネプテューヌが了解する。

 

「それじゃあ、早く行かないと。」

 

すぐに出発の準備に掛かろうとした時、大人ネプテューヌの方から声が響いた。声の主は、クロワールさんだった。

 

「仕方ねぇ。それなら、俺も力を貸してやるよ。」

 

「この声、クロワールさん?けど、どこから?」

 

いきなり響いたその声に、ネプギアは不思議そうに見渡す。ネプギアはクロワールがいる経緯を知らないのだから、当然ではあった。それを察してか、大人ネプテューヌがその場所を明かす。

 

「じゃーん。ここでしたー!」

 

「ええーっ!?クロワールさんが標本に!?」

 

その状態に、私は驚く。だって、お姉ちゃんが見せたノートの中に、クロワールさんの羽だけが貼り付けられているんだから。こんな姿で収まるのも気になったけど、一体どうして…?

しかし、それは大人ネプテューヌが断片的に話す。

 

「うずめがこんなになっちゃったのも全部クロちゃんのせいだからね。だから、罰として、もう二度と悪さができないように標本に貼り付けたんだ。」

 

ノートに貼り付けられた姿は、正に標本だ。特に今はクロワールは羽だけなので、ますます標本らしい姿だった。他の人から見ると、可哀想に見えるけど、今のネプギアには、クロワールには悪いが思わずにやける。

 

「あ、でも。その姿だと、ある意味お似合いかも。」

 

「テメェ、今笑いやがったな!」

 

「はっ、ざまあみろだな。これなら俺も文句ないな。」

 

「光樹、テメェまで…!おい、ネプテューヌ!いい加減、さっさと俺を解放しやがれ!」

 

ネプギアと光樹に笑われて、クロワールは怒る。流石に今のこの姿を見て笑われるのは気に入らなかったのだろう。すぐさま大きなネプテューヌに自分を解放するように要求した。

流石にお姉ちゃんでも解放しないかな、と思っていたけど、そこで大きいお姉ちゃんは条件を言った。

 

「じゃあ、一つだけ条件を出そうかな。これから、ネプギアと光樹と、うずめに使う薬の材料を探しに行くんだけど、協力してくれたら考えてあげてもいいかな。」

 

その条件は、私たちの材料探しを手伝うという物だった。確かに手伝ってもらえるのならありがたいことだ。物理的には無理そうだけど、情報を提供してくれるだけでもいい。クロワールさんもいーすんさんと同じような目的で生み出されたのだから、情報の検索だってできるはずだよね。

そのネプギアの考えは当たり、クロワールは喜んで協力する姿勢を見せた。

 

「本当か!それくらいなら、お安いご用だぜ。ほら、さっさと探しに行くぞ!」

 

その言葉と共に、ネプギアと大きなネプテューヌ、光樹は先に行こうとする、ノートに貼り付けられたクロワールをなだめつつ、本拠点を出た。

 

 

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

ジャンヌ「次回からは、うずめさんの薬の材料探しからですね。」

レイ「うずめちゃんを助けるために、光樹君が奔走するんだねっ!」

ネプギア達も忘れないであげてね、レイさん。さて、今回はここまで。次回は私の都合により、来週の土曜日辺りに投稿です。

ジャンヌ「あら、金曜日辺りでは?」

まだそんなに余分が溜まってません!あと最近始めたソーシャルゲームにはまってます。

レイ「それってひょっとして?」

そうです。「艦これ」です。前々から始めたいと思っていたんですが、最近新規着任が解放されたので、着任しました。未だに新米です。

ジャンヌ「…わたくしたちはどうなるのでしょうか…?(ガシャン!)」

待って!誰もジャンヌさんのこと気にしなくなったなんて言ってないから!暇つぶしに始めようと思っただけだから!

レイ「別にいいけど…でも私たちにも、目を向けて欲しいなっ。特にジャンヌちゃんに。」

ジャンヌ「レ、レイさん…(かぁ)」

え、あ、うん、わかった。では次回もお楽しみに!


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第71話 薬の材料調達へ

どうも、皆様、お元気でしょうか。艦これ?ははっ。小説の遅れを取り戻すためにむしろやってないことがあります。藤和木弘です。

ジャンヌ「それ、露骨すぎると思うのですが…。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「でも、いい娘は来てるんでしょ?どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

いやまぁ、確かに流れはよさそうだけどさ。っと、小説小説。今回は第71話、投稿です。

ジャンヌ「今回はうずめ様の薬の材料を探しに行くところですね。」

レイ「光樹君達、ちゃんと材料を見つけるといいねっ。」

さて、それでは本編へ。


 

 

今、光樹達はうずめの本拠点から少し歩いたところにいた。ここにいる理由はもちろん、うずめの怪我を治すための傷薬を作るため、その材料を探しにだ。

早く帰って、うずめの怪我を治さなければ…、と光樹は心の中でそう思う。その考えは光樹だけではなく、ネプギアや大人ネプテューヌも思っていた。一刻も早く、うずめを助けたいと。

そのため、三人も自然と足を速くしていた。もしかすると、走るかもしれないだろう。と、そこで大人ネプテューヌが突発的なことを聞いた。

 

「勢い良く出てきたのはいいけど、薬に必要な材料ってなんなの?」

 

光樹もそれには気づかされる。よくよく思い出すと、先程までクロワールがノートから出られると思い、急かすように言ってきていたのも合わさって、そのことを聞いていなかった。

何も聞かずに探そうとしても、それでは何から手に入るのかが分からないはずなのに、なぜそのことが頭に入らなかったのだろうか。これでは聞き流しているようなものではないか。

光樹も忘れていたことについて言及する。

 

「あ、完全に忘れてたな。一体何がいるんだ、ネプギア?」

 

大人ネプテューヌと光樹の疑問に、ネプギアは快く答える。

 

「はい、確か、ジングウザクラの花びらとオラトリオのタングラムというアイテムです。」

 

その答えを聞いて、早速解放されたいという願いを思っていたクロワールがノートからそれの情報について教えた。

 

「あぁ、それならお安いご用だ。どっちもモンスターからドロップするはずだ。」

 

「モンスターからドロップ…?少なくともジングウザクラの方は花びらだろ?だったら咲いていた桜から花びらを頂戴すればいいだけじゃ…。」

 

光樹はそんな疑問を思う。光樹の言う通り、ジングウザクラといえば、以前光樹達がダークメガミやエクストリィムと戦った場所、「ジングウサクラ公園」と同じ名前だ。おそらく、そこで咲いていた桜こそ、その「ジングウサクラ」なはずだ。それならば、モンスターからドロップする必要はない。ただちぎってくればそれでいいのだから。

しかし、そこでそれ程単純な話ではなかったことを聞かされることとなる。

 

「いえ、確かに同じジングウザクラの花びらなんですが、今回薬に使用する桜の花びらは、モンスターの影響を受けて生命エネルギーの貯まった花びらを使用する必要があります。」

 

「そうなのか?」

 

「そうそう!ただの桜で傷薬なんて作れるかよ。とんだ馬鹿にでもなっちまったか?」

 

「………。」

 

二人の指摘を受けて、光樹は理解する。光樹としては、おそらく桜の化学成分が何らかの形で作用し、傷薬の成分になるのだろう、と思っていたため、その答えは納得するしかなかった。しかしながら、クロワールからの馬鹿にしたような反応に対しては、光樹も黙りつつも気にしていた。

まったく、こっちとしては記憶がまだ思い出すのが戦闘のやり方くらいしか思い出せていないのだ。クロワールと戦った時の俺自身の考え方なんて知るわけがない。だが、それも受けて早く記憶を取り戻さないと。

光樹の疑問を口にしたのとは別に、大人ネプテューヌはクロワールにそこまで知っていたことに対して褒めた。

 

「おおーっ!クロちゃん物知りー。」

 

「クロワールさんのこと、ちょっと見直したかも。」

 

クロワールの情報提供に、ネプギアも笑顔を浮かべつつ賞賛する。それを見ていて、光樹の気持ちは複雑となっていく。クロワールは知っているのに、自分がこの世界のことについて知らないということに、当然ではあるはずなのに、何故か気になってしまうのだ。

一方、クロワールはそのことに嬉しそうにしつつも、さっさと行くことを提案する。

 

「伊達に世界の歴史を記録しちゃいないぜ。ほら、ごちゃごちゃ喋ってないで、さっさと行くぞ。」

 

その言葉に従うように、ネプギア達は先へ行こうとする。

しかし、そこで光樹は思った。探すべきものは二つ。場所もおそらく違うはずだろう。少なくともジングウサクラ公園はここからだと山道を避けて通っていくと、時間も体力もかかってしまう。それだけではなく、ジングウザクラ公園方面に行くということは、先程までいたドームの方へと向かうこと。つまり、ダークメガミとエクストリィムと再び遭遇する可能性もある。今のダークメガミ達は意志を持っているような動き方をしていた。もしかすると、ダークメガミにマジェコンヌが憑依したり、エクスがエクストリィムに搭乗していたりするのかもしれない。どちらにせよ、厄介なことになるのは明らかだった。

そうなると、より遠くに行かなければいけない方は、早めに帰って来ないといけない。だとすると、ここは自分が行った方がいいのでは?と考える。光樹ならば、ガンダムのスピードで速く戻ってこられる。それは本拠点に戻る際にも確認できたので、問題はない。

早速、光樹はそのことについてどうだろうかと打診する。

 

「なぁ、クロワール。花びらとオラトリオ、どっちのドロップアイテムを持つモンスターが棲むところはどっちが距離が遠い?」

 

「あぁ?どっちかって言うと、ジングウザクラの方だな。オラトリオの方は、もう少し手前の街に棲んでるモンスターのドロップだからな。そんなこと聞いてどうするんだ?」

 

「あぁ。うずめを早く助けるためにも、ここは別れて目的地に行った方がいいんじゃないかって、思うんだが、どうかな?」

 

「それは…確かにそうですけど。でも、上手くいくんでしょうか?」

 

ネプギアが不安そうに聞いてくる。しかしながら、それくらいなら一人でも問題ないと思うのが、今の光樹であった。慢心は禁物とも言うが、あの戦いで圧倒できた光樹は、むしろあのガンダムの限界を試したいと思っていたのだ。言うなれば、戦いに血が飢えている、だろうか。

だが、ネプギアの気持ちは他にもあった。それは、もし自分達が倒れてしまい、怪我を負ってしまったら、と。これ以上状況を悪くしたくない故の発言だったのだ。

それに少し遅れてから気づく。

 

(…もしかして、俺達が怪我をしてダークメガミ達との決戦で足手まといになることを恐れているのか?)

 

光樹は少しネプギアと大人ネプテューヌの方に目を向ける。どうするか考えこむネプギアと、早く動きたい故に待ちわびている大人ネプテューヌの姿。

そんな二人の為に、光樹はネプギアに肩を掴んで言い聞かせる。

 

「ネプギア。俺を信じてくれないか?それに、俺だって二人が失敗しないって信じてるし、もし何かがあったら、すぐに向かう。だからさ、早く行こうぜ?」

 

光樹のその眼差しに、ネプギアは顔を伏せる。流石にきつく言い過ぎただろうか?と思ったが、その心配は無用だった。

 

「…そうですね。今は、早くうずめさんを助けないと!」

 

「ネプギア…!」

 

ネプギアのその答えに、笑みをこぼす。

そうなれば、距離の遠い方には俺が行った方がいいだろう。ゴッドクロスなら一気に行けるはずだ。機体の限界性能を出すにはうってつけだ。

早速、その考えを伝える。

 

「じゃあ、二人はオラトリオの方に行ってくれるか?俺は花びらの方…ジングウサクラ公園の方に行く。」

 

「はい。分かりました。」

 

「オッケー!二手に分かれて、さっさと薬を作ろ!」

 

その言葉により、賛成は決まった。後は、薬の材料を落とすモンスターの情報だ。おそらくクロワールなら知っているだろう。あまりあてにはしていなかったが、今は別だ。光樹はクロワールにモンスターの情報を聞いた。

 

「クロワール。「ジングウサクラの花びら」をドロップするモンスターはどんなのだ?」

 

「あぁ?教えるにしても、どうやって教えんだよ。言って分かるか?」

 

クロワールは困った様子を見せる。クロワールのいうことも確かだ。口で言っても、どうやって見分けるのか。何か目立った特徴が分かればいいのだが。

すると、この場面では久々の、ゼロが音声を発した。

 

『クロワール。貴様にはデータ通信用のセンサーシステムはないか?』

 

「おおっ!?機体の方から声が?にしては前のやつより荒っぽいぞ。」

 

クロワールはゼロの声に驚く。その事に光樹は少しながら疑問を持つ。確か、記憶を失う前の自分はクロワールと出会っていたという話のはずだ。その事はクロワールの過去の発言からも分かっていた。しかし、今のクロワールが言ったのは、前よりも荒っぽいとのことだ。もしかすると、クロワールと出会う前のゼロはもう少し話し方が違ったのだろうか。

しかし、そのことに触れることなく、ゼロは話を進める。

 

『それはどうでもいい。それがあるなら、データを送ってくれるなら、それでモンスターを判別できる。』

 

「あぁ、そういうことか。待ってな。すぐそっちに送ってやるよ。」

 

「なるほど。イストワールの影みたいなクロワールも、人工生命体で、データの扱いは出来るからか。」

 

光樹もその会話で納得した。イストワールはかつて大昔のプラネテューヌの女神によって作られた人工生命体だ。こ世界に来るまでの間に、イストワールの仕事を見せてもらっていたこともあったが、その時も何か自身に蓄えられたデータが必要となったような時に、機械端末にデータを送っているような様子はあった。ならば、そのイストワールの影ともいえるクロワールにもそれは可能だろう。

しばらくクロワールが何やら呟いている内に、首に掛けていたシューティングスターBから画面が目の前に表示され、ウィンドウが次々と表示されていく。おそらく、データを受信しているのだろう。しばらくの間、それが続いた後、完了の合図が知らされる。

 

「よし、終わったぜ。後はとっとと素材を探しに行けよ。」

 

「ふっ。言われるまでもないさ。それじゃあネプギア、大人ネプテューヌ、そっちは任せたぞ。」

 

「はい!」

 

「そっちも気を付けてねー!」

 

二人と言葉を交わしたのち、すぐにゴッドクロスを身に纏う。そして、目的地に向け機体を飛ばす。その機体の重さが少し体に掛かる。しかし、スピードはそれに比例するように早くなっていた。これならすぐにつくだろう。慣熟も兼ねて、光樹は機体のスピードを上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

光樹と別れてから1時間ほど経った頃、ネプギアたちはオラトリオのタングラムを落とすモンスターがいるらしい「名も無き廃墟」に来ていた。ここは、かつてネプギアたちとうずめが初めてであった街でもあった。

今思うと、あの時から今に至るまで長かったなぁ。光樹さんも今は少し違うけど、前は私たち女神にもかなり注意を払いながら話しかけていたっけ。それにうずめさんともまだ警戒心を持たれていたりしたっけ。

そんな思いでに浸るが、今はそれどころではないことを思い出す。今そのうずめはけがで苦しんでいるのだ。こっちも早く目的を終わらせなければいけない。ネプギアたちは奥へと足を進めていく。

 

 

 

 

それからほどなく、目的のモンスターが見つかった。

 

「見つけた。アイツが例のモンスターだ!」

 

クロワールがそのことを報告してくる。声の先には、以前戦ったことのある、ユンゲルトスに似た馬型モンスターがそこにいた。

その報告を聞いて、大きなネプテューヌが早速戦闘に入ろうとする。

 

「行くよ、ネプギア」

 

「はい!」

 

その返事と共に、ネプギアと大きなネプテューヌは、「レ・イグニス」との戦闘に突入した。

 

 

最初に攻めに入ったのは、ネプギアだった。ビームソードをレ・イグニスに向かって振る。以前ユンゲルトスと戦った時とは違い、攻撃はレ・イグニスにダメージを与える。斬撃を受け、敵モンスターが後方に下がる。

 

「攻撃が効いてる。わたしも続くよ!」

 

その言葉どおりに、大きなネプテューヌが横方向から攻撃を仕掛ける。二刀による斬撃で、レ・イグニスにダメージを与えていく。

だがレ・イグニスは攻撃を受け止めきる。そこからレ・イグニスは大きく前足を上げ、攻撃態勢を見せる。それに対し、ネプギアはビームソードを構え、防御態勢を取る。それに構わず、レ・イグニスは持ち上げた前足をネプギアに向かって下す、踏みつけ攻撃を行う。攻撃は一度は受けきるも、防御されて仰け反ったのを逆手に取り、更に攻撃が襲ってくる。二度蹴りを受けて、ネプギアは後ろに引かされることになる。

 

「攻撃が重い…でも、マジェコンヌと比べたら…!」

 

しかしながら、攻撃を受けたネプギアは、それに苦を見せることなく、立ち向かう。その通り、今のネプギアにとっては、先程の攻撃はマジェコンヌと比べればまだマシな方だった。そして、それと同時に、ネプギアに早くこのモンスターを倒さなければ、という気持ちを抱かせることになる、

自信を持ったネプギアは、すぐにまた切り込んでいく。

 

「連続攻撃、「ミラージュダンス」!」

 

「おおっ、じゃあこっちも行くよ!「レイジングラッシュ」!」

 

ネプギアのスキル技「ミラージュダンス」と、大きなネプテューヌのスキル技「レイジングラッシュ」が同時にレ・イグニスを襲う。間髪入れずに襲い掛かる斬撃に、レ・イグニスも姿勢を低くして防御態勢で凌ごうとする。しかし、それもあまり効果は見せることなく、ダメージが、傷がレ・イグニスの体に刻まれていく。

攻撃が終わると、逆にレ・イグニスが反撃を仕掛けてくる。突進攻撃でこちらに向かってきた。ところが、それはネプギアが回避したことで攻撃は当たることはなかった。攻撃が外れたのを知って、レ・イグニスがブレーキをかけて、反転してくる。再び攻撃を仕掛けてくるレ・イグニスだったが、突進攻撃ではなく、代わりに口から光を放つ。それは、レーザーだった。

いきなりそんな攻撃をしてくるのは予想できませんでした。私は慌ててビームソードを構えて攻撃を辛くも防ぐ。あそこで気づかなかったら、当たり所次第では大けがをしていただろう。

もしそうなっていたなら、うずめの治療に取りかかれなくなっていたかもしれない。それによって気を引き締めたネプギアは、戦闘に集中する。しかし、それでもうずめを一刻も早く命の危機から救うため、すぐに倒そうと動く。先程のレーザーを警戒して、「スラッシュウェーブ」を敵に向けて放った。地面を走っていく衝撃波に向かって、敵も口からレーザーを放って相殺する。

だが、それによってレ・イグニスの動きが止まる隙を見せた所で、大きなネプテューヌは攻撃を仕掛ける。

 

「よーし、「レイジングラッシュ」、いっくよー!」

 

大きいお姉ちゃんがまたスキル技を放っていく。攻撃を放った直後だったから、ダイレクトに攻撃を受けたのが見えた。けれど、まだ倒れはしない。逆に攻撃の終わり際に、目の前のモンスターは二度ふみ攻撃を仕掛けていく。

 

「いったぁ!」

 

攻撃を直接喰らった大きなネプテューヌが悲鳴にも似た声でそう叫ぶ。かなりダメージは入ってしまったようだ。しかし、そこでネプギアが手助けをする。

 

「ヒール!」

 

大きなネプテューヌに対し、回復魔法を放つ。それにより、大きなネプテューヌの感じていた痛みが取れていく。

 

「ありがとう、ネプギア!」

 

「お姉ちゃん!今だよ!そのまま攻撃して!」

 

回復を受けて礼を言ったお姉ちゃんに向かって、私は指示した。今攻撃を集中させれば、きっと倒せるかもしれない。そう思ったからだ。

その言葉を聞いて、大人ネプテューヌは再び攻撃を仕掛けていく。

 

「分かった。もう一回!「レイジングラッシュ」!」

 

三度目の攻撃をレ・イグニスに向かって放つ。流石にその連続攻撃にレ・イグニスも追従できず、前足が膝をついた。そこで、ネプギアが前に出て、トドメの一撃を放つ。

 

 

 

 

「これで………とどめっ!!」

 

 

 

 

ビームの刃による一閃。それにより、レ・イグニスは地に倒れ、消滅していく。振り返ってみると、その消えた後に、何かが落ちているのが見えた。それを拾い上げると、それは探していたオラトリオのタングラムだった。

 

「やったよ、お姉ちゃん!オラトリオのタングラム、ゲットしました!!」

 

「やったね、ネプギア!これで後は光樹の「ジングウザクラの花びら」だけだね。戻ろっか?」

 

「うん。」

 

見つかったことに歓喜する。後は光樹さんの探す「ジングウザクラの花びら」を持つモンスターだけ。光樹さんなら、きっと無事に戻ってきて、ちゃんと持ってくるはずだ。

早く戻ってきてくれることを祈りつつ、ネプギアたちは一足先に本拠点へと戻るのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。あぁーバトスピのデッキ構築が…。

ジャンヌ「…いきなり小説に関係ない話しないでください…。」

うん、ごめんなさい。さて、ネプギア達は薬の材料を手に入れることが出来ましたね。

レイ「後は光樹君の桜の花びらだけ!すぐに手に入れられるといいね!」

ジャンヌ「そうですね。うずめさんが離脱してしまうような最悪の結末だけにはならないで欲しいです。」

さて、今回はここまで。次回は久々に6日投稿、つまり金曜日辺りに投稿します。

レイ「それじゃあ次回もよろしくねっ!」


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第72話 素材調達終了、傷薬制作

どうも、皆様、お元気でしょうか。艦これを始めた影響で、艦これの小説の一つ、「鶴翼の絆」をブックオフで買い、執筆中に読んでます、藤和木弘です。

ジャンヌ「その影響で藤和木も「あぁ、瑞鶴と翔鶴揃えたい。」と言ってましたが、未だに揃えられていないみたいです。どうも、皆様、お元気でしょうか。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「建造で片方が出て、片方が出ない状況なんだよね。あ、どうも、みんな!レイ・オーバだよっ。」

まったく、なんで翔鶴さんは三回出て、瑞鶴が一度も出ないんだよっ!あれか、睦月を旗艦にしているせいなのか!?ロリコン属性が出ているからなのか!?

ジャンヌ「落ち着いてください…あと自分からロリコンだなんて。」

でも昔、ネプテューヌシリーズではブランが好きだったから、あながち間違いではないと思うぜ?

ジャンヌ「それでも、自分から口外するのはちょっと…。潔いとは思いますが、やけになり過ぎですっ。」

ジャンヌさん…そうですね。それでは落ち着いたところで、第72話、投稿です。今回は光樹君視点からのうずめの傷薬に使う材料探しですよー。

レイ「ネプギアたちは手に入れることが出来たから、光樹君も早く手に入れてくれるといいねっ。」

…今の光樹君、ゴッドクロス解放しているから、多分余裕で勝てると思うよ?ドロップする敵には。

ジャンヌ「確かに…現にゴッドクロスはエクスを圧倒しきっていましたから。」

レイ「んー、でも光樹君ってまだ不完全なんでしょ?だったら機体の限界について来れずに急にバタッ!って倒れちゃうかなって思ったんだけど。」

あー、それはあり得るかもですね。でも本気を出す段階ではないですね。それはおそらく、最終決戦の時に起きるかもですね。

ジャンヌ「それでは、そろそろ本編へ。」


 

 

一方、ネプギア達と別れた光樹も、既にジングウサクラ公園にたどり着いていた。しかしながら、見つけた際にすぐにでも戦闘状態に突入できるように、未だ変身はしたままだ。以前は変身したままだと付けているだけで疲労が溜まってきていたが、今はあまり感じられない。どうやら慣れてきているようだ。しかしながら、先程の最大加速での飛行は少々辛く、少し溜息をつく。

 

「…ふぅ。まだゴッドクロス…いや、ガンダムを扱えるようにはなってないってことかな。」

 

光樹はそう呟く。すると、それを聞いていたゼロが言う。

 

『あまり気負う必要はない。確かに今は機体性能に振り回されているというのは間違いのないことだ。しかし、この短期間で、今までの機体を戦闘が可能となるまで使えるようにはなったのだから、そこは賞賛に値する。』

 

「ゼロ…。ありがとう。」

 

意外にもこちらを賞賛してきたことに、光樹も驚く。いつものゼロなら、もっとうまく扱えるようにとか言ってくるものだと思っていたのだが、こう褒められると、少しうれしく思う。

少し照れる光樹だったが、そんな様子を見て、落ち込むようにテンションを下げて、ゼロが呆れた様子を見せる。

 

『…ともかく、今はオレンジハートの怪我を治すための薬を探せ。一刻も早く助けなければならないはず。』

 

「お、おう。…って、あれは…?」

 

ゼロの指示に従って歩みを進めようとしたところで、光樹の目の前に、目的とするモンスターの姿が現れる。オウムのように大きく膨らいだ胸に、大きなキツネのような体を持つモンスターだ。よく見ると、後ろにはいくつかの尻尾が生えており、まるで九尾のキツネのような見た目だった。

そんな感想もいいが、今はそのモンスターが落とすジングウサクラの花びらが必要だ。すぐに倒して、ネプギアの元に持っていかなければ…。光樹は両手にANロング・メガ・マグナムを持って、キツネ型のモンスター、「キニーオウス」との戦闘に入った。

 

 

 

 

先制攻撃は、光樹の方が先だった。素早く銃を構え、二丁ライフルを連射する。その一瞬の速射でキニーオウスの体勢を崩した。攻撃を仕掛けた光樹は、素早くその場から移動し、敵の背後を取る。一方、キニーオウスは攻撃してきた方に向けて、レーザーを飛ばした。しかし、そこに光樹の姿は当然なく、空を薙いだ。

 

「遅いぜ!」

 

キニ―オウスにそう言って左手のANロング・メガ・マグナムを右手の方に合体させ、ツインロングモードにする。しかし、ビームを放つのではない。左手をフリーにするためだ。フリーになった左手にANビームサーベルⅦXを持つと、その一閃で切り抜ける。

切り裂いた腹部から粒子が飛び散り、キニーオウスが唸る。

 

「オォーウ!?」

 

攻撃を仕掛けてきた光樹を止めようと、敵はドロップキックを浴びせる。しかし、ゴッドクロスのスピードを捕えきれずに、地面へと打ち込まれる。

攻撃して隙だらけの所に、光樹が右手のANロング・メガ・マグナムツインモードのANボックスレールランチャーを撃つ。光を放つ球体と、超小型の無誘導ミサイルが放たれる。ミサイルは敵に着弾すると爆発を起こし、キニーオウスの体勢を崩す。そして光を放つ球体「ANフラッシュグレネードボム」が敵に付着すると、これもまた爆発を起こす。

その衝撃で、敵は撃ち上げられる。撃ち上がって隙だらけとなった敵に、光樹は下から攻撃する。ANロング・メガ・マグナムをツインモードで次々と撃ち抜く。撃ち抜いた弾口から粒子が血のように次々と吹きだす。

弱ったキニーオウスに、光樹はそのままトドメを刺す。左腕のビームサーベルを出力を上げ、その一撃を腹部に差し込む。その一撃にキニーオウスはもだえる。その状態のまま暴れ、光樹は離れる。しかしながら、ビームサーベルはまだ差し込んだままだ。

迂闊にも攻撃を受けてしまった。おかげでまた近づくのに苦労するのだろう。ならば、遠距離から仕留めれば…!

近接戦での決着から、遠距離からの圧倒に切り替えた光樹は、ANロング・メガ・マグナムからビームを放つ。だが、今までの単発ではない。照射するビームで攻撃する。放たれたビームは、貫通性を重視した形状でキニーオウスに迫り、そのまま撃ち抜く。

撃ち抜かれた体は光を放ちつつ、消滅する。敵を倒したのだ。敵が消えた後から、何かがヒラリヒラリと落ちてくる。それを、光樹はジャンプしてつかみ取る。それは、目的の「ジングウザクラの花びら」であった。

それを見て、光樹はゼロに目的の物かを確認させる。すると、答えはすぐに返ってきた。

 

『間違いない。これは目的のジングウザクラの花びらだ。』

 

「よし。それじゃあ、ネプギア達に合流だ。」

 

『了解した。飛行形態に移行する。』

 

ゼロの声と共に、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスは空へと飛びあがる。十分高度を確保すると、ゴッドクロスはその形を変える。機体のパーツが移動し、瞬時に飛行形態に変形する。そして、ネプギア達に向けて飛翔する。

 

 

 

 

 

 

 

 

光樹がネプギア達に向け移動した少し後、ネプギア達はうずめのいる本拠地へと戻る道にいた。早くたどり着こうと、走ろうとも考えたが、光樹に何かあった時、少しでも早く支援に行けるようにとゆっくりと行くことにした。

もし気になるのであれば、光樹の向かったジングウザクラ公園へ行くことも考えられたであろうが、それでは本拠点への距離が離れてしまうこともあり、本拠点へと帰る道のりにいたのだ。

本拠点へと目指す中、ネプギアはふと、大きなネプテューヌに聞く。

 

「お姉ちゃん。光樹さん大丈夫かな?」

 

「光樹?光樹なら多分大丈夫でしょ!あれだけ圧倒できるだけの実力があるんだし、今は気にしないでいいと思うよ?」

 

その質問に、お姉ちゃんはそう答える。あの時の光樹さんの力を信じないっていう私がおかしいんだろうけど、でもやっぱり、うずめさんがやられたことを思うと、もしかすると光樹さんもって思ってしまう。

ネプギアがそう思うのも当然だ。うずめが倒れ、マジェコンヌたちが蘇らせたダークメガミとエクストリィムが迫っている。こんな状況では、余計悪い方に考えてしまうのも当然だろう。

しかしながら、ネプギアも今はこれを考えている場合ではないと考える。今はうずめの薬を作ることに意識を向けなおす。

 

「そうですよね。なら、光樹さんが帰ってくれば、後は薬を作るだけです。それさえあれば、うずめさんを助けることができます。」

 

光樹が目的の物を持ってくることも含めて、ネプギアは薬について言った。けど、ちゃんと薬を作れるのかクロワールに問われる。

 

「いいか、絶対失敗するなよ?お前の作る薬に俺らの生命がかかってるんだからな。」

 

「…うっ、そう言われると緊張して自信がなくなってきたかも。」

 

その言葉に、ネプギアは不安になり始める。本当に自分に薬が作れるのか。失敗して今までの苦労が台無しになるんじゃないだろうかという悪い結果だけが頭の中に過ぎる。

考え過ぎ、とも思えるが、今のネプギアはそれだけ追いつめられていたのだ。自分の行動ひとつで、全ての結末が変わると。

そんなネプギアに向かって、上空より一言の声が響く。

 

「誰だってこんな時は自信を失くすよ。でも、不安の一つは、これで取り除けるんじゃないか?」

 

「この声…光樹さん!」

 

その声の主は、光樹だった。いきなり声にびっくりしていたが、それ以上に光樹の声が聞こえたということが示すのはただ一つ。ネプギアは、成果を聞く。

 

「それで、材料は…」

 

その言葉を聞いて、光樹は腕のビーム砲のハッチを開くと、袋を取り出す。

 

「もちろん、ゲットしたさ。ほら、これでいいだろう?」

 

それは、間違いなく「ジングウザクラの花びら」だ。それを見て、ネプギアは喜ぶ。

よかったぁ。これでうずめさんを救うことができるよ。でも安心すると同時に、肩に失敗しないかという不安がまたのしかかる。

先程の言葉に対してか、それとも思っていたことで不安が顔に出ていたのか、そんな様子を見てクロワールがやれやれと言った具合で不安を口にする。

 

「…おいおい、大丈夫かよ。」

 

クロワールさんの不安はもっともだ。こんなことじゃ、うずめさんを助けるのなんて…。

困っているネプギアだったが、そんな様子をクロワールは気にも留めない。それよりも、最初の時に言っていたことについてクロワールの関心は移っていた。

 

「それはそうと、協力したんだからそろそろ解放してくれよ。」

 

どうやら早くここから逃げたいようだった。しかしながら、薬探しの最初の時から、そんな気はこちらには、少なくとも大きなネプテューヌには全くなかった。なので、大きなネプテューヌは少し考える仕草をした後、答える。

 

「んー…。やっぱり、ダメかな。」

 

「テメェ!約束破る気か!?」

 

その答えに、当然クロワールは怒る。クロワールからしてみれば、出してあげるということに聞こえたため、怒るのもなおさらだ。しかし、大きなネプテューヌはその条件を提示した時にこう言っていた。

 

(これから、ネプギアと、うずめに使う薬の材料を探しに行くんだけど、協力してくれたら考えてあげてもいいかな。)

 

そう、大きなネプテューヌは『考えてあげてもいいかな』と言ったのだ。それはつまり、出すことを考えはするが、本当に出すかどうかは分からないということであった。その証拠に、大きなネプテューヌもそのことに触れる。

 

「約束は破ってないよ?考えてあげてもいいって言ったでしょ?」

 

「テメェ!騙したな!」

 

そのことに気づいたクロワールさんは、怒って封印されているノートごと暴れる。かわいそうだけど、上手く利用したお姉ちゃんに、私も思わず流石だよって思いました。

 

「騙してなんかないよー。クロちゃんを利用しただけだもーん。」

 

大きなネプテューヌが得意げにからかう姿を見て、ネプギアも光樹も少し笑う。かつての自分たちのラスボスとも言える敵が、たった一人の少女に弄ばれているのだ。これほどまで面白い様子はなかった。

一方、それを知らされたクロワールは悔しそうにその体ともなっているノートを震わせて歯ぎしりする。

 

「ぐぬぬぬぬ…。」

 

けれど、その言い争いのせいか、私もなんだか不安が少し消えたかも。おかげで、薬も作れそうな気がする。

前向きに考え直したネプギアも含め、四人は足早に本拠点へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー!」

 

テントの中に、大きなネプテューヌの声が響く。その声は、薬の材料を取りに行ったネプギアたちの帰還を意味していた。

どうやら戻ってきてくれたようだ。オレはそう安心する。今のところ、うずめは無事だが、いつうずめが危ない状況になってしまうか心配していたところだったので、オレにとってはその知らせは何よりも嬉しいものだった。

大きなネプテューヌに続いて、ネプギアと光樹もテントの中へと入ってくる。

 

「今戻ったよ。待たせてすまない。」

 

「いや、むしろちょうどいいくらいかな。」

 

「お待たせしました。うずめさんの様子はどうですか?」

 

光樹と言葉を交わすと、ネプギアが早速、うずめの状態を聞いてくる。取りに行ったネプギアとしても、いない間の状態が気になるのは当然だ。すぐに海男は、状況を伝える。

 

「ぎあっちが出かけた時と変わらず、よく眠っているよ。素材の方はどうだい?」

 

「なんとか手に入れることはできました。あとは、私が上手く薬を作れれば…ですけど。」

 

「不安なのかな?」

 

「…はい。私の肩にうずめさんと、この世界の運命がかかっていると思うと…震えが止まらなくて…。」

 

ネプギアは顔を少し俯けて、不安そうな表情を見せる。たった一人の少女を救うのに、それは大袈裟と思うかもしれない。しかし、それが成功するか、失敗するかで、世界の行く末が決まるというのなら、たった一人の少女が背負うのは重過ぎる。それが例え、世界を救うことを目的とする女神であっても。

海男としても、あまりネプギアに精神的に追いつめたくはなかった。しかし、今はネプギアだけが頼りだ。とはいえ、何もかもをネプギアに任せるつもりは全くない。ネプギアの負担を和らげるため、海男は言う。

 

「ぎあっちが全て背負い込むことはないさ。うずめが勝てなかった時点で、世界の運命は決まっているようなものなんだ。駄目でも誰も文句は言わないさ。だから、気負わずにやってみるといい。」

 

「海男、それでお前はいいのか?」

 

「構わないさ。少なくともオレはネプギアを信じている。だから、結果に文句は言わないさ。」

 

光樹の問いに、海男はそう答えた。この時、光樹は少し困惑した様子を見せていたが、その言葉を聞いて、ただ一言。

 

「そうか。」

 

と呟くにとどまった。

それを聞いていたネプギアは、それに少しだけ安心した様子を見せる。

 

「海男さん…。」

 

その様子を見届け、海男はテントの外に出る。

が、テントの外を出たところで、溜息をつく。そして、胸の内に秘めていた思いを呟く。

 

「…ぎあっちや光樹の手前、ああは言ったけど、うずめも、この世界も救われて欲しいと、願いたいものだ。」

 

そう、海男も実際のところ、ネプギアにはうずめの手当てが成功してほしいと思っていたのだ。しかし、今のネプギアにそんなことも言えず、心配ないということを伝えたのだ。

すると、後方から声が響く。

 

「…やっぱり、うずめのこと心配してたんだな。」

 

「光樹…。」

 

それは光樹の声であった。光樹は気になって海男の後をついてきていたのだ。

ぎあっちもいないようだし、光樹には嘘は通じなさそうだから、言うしかないか。諦めたオレは、光樹に本音を漏らす。

 

「…オレも実際のところ、うずめには助かってほしい気持ちは多いよ。けど、ぎあっちに余計な心配を掛けるわけにもいかないからね。」

 

海男は言い訳のように言った。しかし、その言葉に偽りはなかった。それを知っていたかのように、光樹もそれに応える。

 

「まぁ、海男の思う気持ちも分かるよ。ここで余計にネプギアにプレッシャーをかけるのは良くないっていうのも、当然だろうしな。」

 

光樹も、今はネプギアに余計な不安を与えるのはよくないと理解していた。だが、それでも光樹は心配していた。このままうずめがいなくなってしまうのはいけないということを。この時、海男は光樹たちが帰れなくなるからと思っていたが、実際のところ、今の光樹はあの「夢の女神」の言葉を果たさないといけないという気持ちが前に出ていた。

そうとは知らずに、海男は少し考える。

 

(このまま上手くいけば、うずめもきっと元に戻る。しかし、戦闘はかなり不利だ。間違いなく、ダークメガミやエクストリィムはやってくる。そうなれば戦闘は回避できない…。)

 

海男が考える通り、このままうずめが回復するのを待っても、何か対抗策がなければ、またうずめ、もしくはネプギアたちが手傷を負わされるのは分かり切っていた。

そうなると、その戦いを有利に運ぶ、有効な手が必要だった。その為に、オレが、いや、オレたちが出来ることは…。

そこでとある考えに思い至った海男は、呟く。

 

「…さて、オレはオレで成すべきことを成そうか。」

 

それに気づいた光樹は、海男を呼び止める。

 

「海男?どうした?」

 

光樹が気づくのも当然だろう。だがその「策」に、光樹を巻き込むわけにもいかない。しかし、何らかの理由は必要だった。そこで海男は去り際に言う。

 

「光樹。ぎあっちとうずめを頼んだよ。」

 

「え、おい!」

 

光樹の制止も振り切り、海男はテントから離れる。この戦いを終わらせる一手を決めるために。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。そういえば、この一週間の間に起きたことについてまとめます。

レイ「いきなりだね。でも今週は慌ただしかったし、いいかも。」

ジャンヌ「まず、藤和木の学校が始まりましたね。そのため、執筆速度も落ちていたりします。皆様、もしかすると、また更新が遅くなるかもしれないので、ご了承くださいませ。」

あと、日曜日にまたバトスピ大会に出たんだよね。

ジャンヌ「結果は準優勝。ですが、今回は少し違うんですよね。実は!藤和木が大会に行くお店の店舗決勝に参加できるようになりました!」

レイ「初めてだよね、藤和木が店舗代表を決める大会に出るのって!」

ほんとですよ。昔にあったバトスピブームでは、大会に出ることなく、友達同士で盛り上がるだけでしたから。一応他のカードゲームでも大会には出たことありましたが、それでは一度も勝つことが出来ず、勝つの自体が夢のまた夢だって思ってました。でも、ここまで勝てるようになって、あのころよりも成長したんだなぁ、と思ってしまいました。

ジャンヌ「でも、大会勝てるんですか?」

そこが微妙。私とジャンヌさんのデッキって、ジャンヌさんリスペクトでジャッジメント・ドラゴニスが入っていて、それで若干動き辛いんですよね。でも抜きたくない。抜いたらジャンヌさんデッキにならないってことで残してあります。

レイ「ある意味、光樹は縛りを入れてるってことだね。赤緑だとさほど問題ではないけど。」

でも、今回の準優勝を受けて、デッキの構築を大きく見直そうと思っています。大雑把に言うと、十二神皇という、干支モチーフのカードの一つ、「エグゼシード」を軸にしていこうかと。その為、十冠という系統をもつスピリットを入れて、エグゼシードの動きやすさを重視しようと思います。

ジャンヌ「それはいいですね。」

まだ企画案だけなので、これから体制を整えていきますけどね。さて、次回のSSRと言う名のGは海男が光樹にうずめを任せた後からスタートです。

ジャンヌ「海男さんは一体何を…?」

それは次回以降に明らかになりますよ。今回はここまで!

レイ「次回なんだけど、今回は水曜日には更新しようと思ってるんだって。何でも、木曜日から藤和木が福井に研修に行くんだって!」

ジャンヌ「そのため、早めに出しておこうということですね。」

その通り。では次回もよろしくお願いいたします!


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第73話 薬の完成、決戦へ向けて

どうも、皆様、昨日は学校のスポーツ大会で、思いっ切り筋肉痛になりまして、今も痛く感じています、藤和木弘です。

ジャンヌ「かなり痛そうですね。わたくしもスポーツなどはあまり得意ではありませんが、体を動かすのはアイドルをやっている影響か、それ程少し動いただけでは筋肉痛にはなりませんね。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「藤和木ってば運動音痴なんじゃないの?私は体動かすのは大好きだよ!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

いや、昔は私、運動系の習い事したり、運動部とかに入っていたりするから、多分その時の感覚で体を動かすから体に負荷がかかってるんだと思う。
さてさて、今回は第73話、投稿です。

レイ「この前は海男が何か考えているようなところで終わったよね。」

ジャンヌ「それを見送った光樹さんは、あの後どう行動したのでしょか。」

それが今回の話の中心ですかね。タイトルからも分かる通り、薬は無事完成です。うずめを助けられるのか?では本編をどうぞ。


 

 

「海男…一体、どうしたっていうんだ…この状況でうずめの元を離れるなんて……。」

 

光樹はそう呟く。海男がテントから離れるのを見送っていた光樹には、今の海男の考えは分かってはいなかった。

でもまぁ、うずめのことは心配していたし、何かを考えて行動しているのか?そう俺は解釈し、海男のことはしばらく置いておくことにした。

そこで光樹の意識は、テントの方に向けられる。今はネプギアが薬を作っている最中だ。しかしながら、テントを出てすぐ入るのも、なんだかおかしいと思っていた。そのため、光樹は少し外の状況を見てから入ることにした。

 

 

 

 

しばらくの間、ゼロと武装のチェックを行ったのち、光樹は再びテントを訪れた。

 

「ネプギア、入るぞ。」

 

断りを入れてから、光樹はテントの中に入る。テントの中は、若干薬の独特の匂いがあったが、それ以外は異変はない。

そして、包帯を巻かれ、寝ているうずめの隣でネプギアが薬の調合を行なっていた。

 

「………最後に粉末状にしたこの素材を配合して…っと。よし、できた。あとは、これをうずめさんの傷口に塗って…」

 

ネプギアはこちらの声に気づいていないようだった。薬を作るのに、夢中になっているのだろう。光樹もそんな様子に感心する。だが、それでも、ちゃんと薬は出来たようだ。

と、そこでネプギアがこちらに目を向ける。そして驚く。

 

「わぁ!光樹さん、いつの間に…。」

 

「あぁ、さっきな。でも、そこまで驚くことか?」

 

「いや、全然声とか聞こえませんでしたよ?」

 

「…マジか。俺、入るぞ、って言ったよ。」

 

「…へ?そ、そうなんですか?」

 

二人はそのように言葉を交わす。だが、ネプギアの話を聞いていて光樹は面白く感じてしまう。まさか本当に気づかなかったとは、光樹も本気で思っていたわけではないのだ。

その反応に、シューティングスターBにて状況を見ていたゼロも呆れる。

 

『…真面目なことは非常に重要なことだ。しかし、他の人の声を聞こえないほどの真面目さは、戦場では大きな隙となる。気を付けよ、ネプギア。』

 

「へ?あ、は、はいっ!」

 

そのツッコミに、ネプギアも慌てて返事をする。その様子を見ていて、光樹は微妙な空気を感じる。

別に今言うことでもないだろうに…。そう思う俺はゼロに言う。

 

「別に今、そのことを言う必要はないんじゃないか?ゼロ。」

 

『…だが、まだ不安さを持つが故の物であれば、それは注意しなければならない。目の前のことだけに注視しすぎて、他の内容に目を通さないのは、成功するはずのものも失敗してしまう。』

 

その光樹の注意に、ゼロはそう言った。要するに、先程のは、ゼロなりの最後の確認をするようにしっかりしろという叱咤激励だったのだ。それにしては、きつめのものだったような気もしなかった。

そんな話の中、ゼロは光樹に進言する。

 

『それより光樹。今ネプギアはうずめに薬を塗ろうとしていたのでは?』

 

「…どういう…あ。そういうことか。」

 

一瞬、どういうことか本気で疑問に思った光樹だったが、少しして、ようやくその意味を理解した。薬を塗るためには、うずめの体がここにいる人物全員が見る必要がある。更にそのためにはうずめの服を脱がせる必要もある。

そんな状況で、男である光樹がここにいるというのは、他の人から見れば大変不味い状況だ。一部の人からは、これほど嬉しい展開はないというかもしれないが、普通ならその逆だ。

流石の光樹もそんな空気は味わいたくはなかった。光樹は慌ててテントの出口の方を向く。ネプギアも苦笑いしつつ、作業を始める。この時、テントを出ればよかったのでは?とも思えるが、しなかった理由が二つほどあった。

まず一つは、手当てが終わらないタイミングでまたテントに入るようなことにならないためだ。しかし、それならテントの外で待っていればいいのではと思うだろう。しかし、この時の光樹もまた、うずめの状況を心配する一人であったため、少しでも早く、うずめの具合を知りたかったため、外に出ることをやめたのだ。

二つ目は手当ての際に何らかの手伝いのためだ。もし、何らかのアクシデントがあった時に、すぐに手助けできるようにすることを考えたのだ。

しかしながら、そんな心配もなく、作業は進んでいるようだった。光樹もそれに少し安堵する。だが、油断は出来ない。薬をこぼしたとかいうのが起きないわけでもない。後ろを向きつつも、注意をする。他にも、誰かが急に入ってきて、特にモンスター達がうずめの裸体を見るような事故を起こさないようにも、テントの出口の方にも注意を向ける。

作業が長いと思いつつも、そう気を張っている所で、ネプギアが最後の段階に入る。

 

「それと、気付け薬としてお姉ちゃんからもらったスペシャルネプビタンVⅡを飲ませて…っと。…ふぅ。これでよし。」

 

ネプギアの言葉どおり、それで治療は終わった。その声を聞いて、光樹もネプギアの方を向く。見ると、ネプギアがうずめに巻かれていた包帯を処理しているのが見えた。長いと思っていたのも、包帯も巻き替えていたためなら納得がいく。

しばらくすると、テントの中に、大人ネプテューヌが入ってくる。

 

「ネプギア、薬はどう?」

 

大人ネプテューヌもまた、うずめの様子が気になっている。だからそう聞くのは当たり前であった。大人ネプテューヌの質問に、ネプギアは答える。

 

「あ、お姉ちゃん。丁度今、完成した薬を飲ませたところだよ。…あとは、うずめさん次第、ってところかな。」

 

その言葉を聞いて、大人ネプテューヌは喜びと同時に、とある問題が起きていることを知らせる。

 

「良かった。…って、言いたいところなんだけど、実は大変なことが起こっちゃったんだ。」

 

「…何かあったのか?」

 

その言葉には、光樹も気になる。今の危機的状況から脱したと思った所からのその報告なので、二人も緊張感を持った表情を見せる。

その二人に、大人ネプテューヌは言う。

 

 

「実は、さっきまでクロちゃんとマジェコンヌとエクスの偵察に行ってきたんだ。」

 

それは、撤退したことで動向が掴めていなかったマジェコンヌとエクスの偵察に関してのことだった。実はテントに到着した後、大人ネプテューヌは街の様子を見てくると言って、ここから離れていたのだ。光樹も何をしに行ったのかは分からなかったが、それを聞いてそのためであったことを知る。

それはいいとして、さっき大人ネプテューヌは「大変なことが起きた」と言っていた。それと関連して偵察の話が出てきたということは、動きがあったということなのだろう。

光樹の思う通りのことが、大人ネプテューヌの口からではなく、ノートにいるクロワールの口から語られる。

 

「そしたらよ、マジェコンヌのやつダークメガミと一つになりやがった。それにエクスのやつも同じだ。エクストリィムの動力っぽい所に飲み込まれたと思ったら、動き出したぜ。」

 

「一つに…って、つまり融合したってことですか?」

 

「話が早くて助かるぜ。今までのダークメガミにエクストリィムってのは、マジェコンヌやエクスの命令に従うだけの木偶人形だったんだ。だが、今回は違うぜ。ダークメガミやエクストリィムと融合することで自由に動かせる巨大な体と力を手に入れちまったんだからよ。」

 

クロワールの言葉通りなら、それは厄介なことであった。どれほど巨大でも、それがゲームのCPUだったりすれば、それは自立意志が無く、相手にするのも簡単だ。だが、自立意志があるということは、その力を最大限にまで発揮することができる。

今までのダークメガミやエクストリィムよりも、強敵になることはよく分かった。しかも、それだけではないことがクロワールの口から発せられる。

 

「しかもだ。最悪なことにゆっくりとだが、こっちに向かってるんだよ。」

 

「そ、そんな…。まだうずめさんも目覚めていないのに…。」

 

事態は完全に風向きが逆だった。ダークメガミ達がこちらに向かってきている以上、どうにかしなければ全員に命はない。逃げ延びるか、もしくは撃破するか。

ネプギア達は深刻にこの状況の打破を考える。するとそこに、待ちに待った声が聞こえる。

 

 

 

「…なら、モンスターたちを早く避難させねぇと。」

 

 

 

声の響いた方には、先程ネプギアが手当てをしたうずめが起き上がろうとしていた。それを見て、ネプギアが嬉しそうにする。

 

「うずめさん!目を覚ましたんですね!」

 

どうやら薬が効いたようだった。起き上がろうとするうずめに、ネプギアが駆け寄る。その様子は、まだ痛みが残っているようではあったが、それでも動けるようになったことは容体が良くなったということだ。

その姿に、大人ネプテューヌや光樹も笑みを見せる。しかし、うずめはそれに気にすることなく話を進める。

 

「海男を呼んでくれ。近くに棲むモンスターたちを避難させねぇと………痛っ!」

 

起き上がろうとするうずめだったが、途中で痛みに負け、地面に倒れようとする。倒れるその体を、光樹が駆け寄って支える。

 

「ダメだ、うずめ!今無茶をしたら、それこそどうなるか…。」

 

無茶をしようとするうずめを、光樹は制止する。いくら目を覚ましたといえども、今の状態で動くのは危険だった。

だが、うずめは痛みに耐えながら、弱々しい声で言う。

 

「だが、早く知らせないと逃げ遅れるやつが出ちまう!知らせなきゃいけないんだ…!」

 

うずめの思いは分かる。誰も傷つけさせたくないのは、俺も同じだった。でも、それでうずめが傷ついたり、苦しんだりするのは嫌だ。

けれども、うずめの思いに答えたいと光樹は思っていた。すると、そんな言葉にネプギアが答えた。

 

「なら、私が代わりに行きます。だから、うずめさんはダークメガミやエクストリィムとの戦いまでに体を少しでも休めてください。」

 

それは、ネプギアなりの、うずめの説得だった。代わりに行くというのなら、うずめも了解すると思っての行動だったのだ。

しかし、後半のその言葉に、大人ネプテューヌは大反対する。

 

「何言っているのさ、ネプギア!?こんな体でうずめがダークメガミやエクストリィムと戦うなんて、絶対無理だよ!」

 

大人ネプテューヌの言う通りだ。これ以上うずめに無理をさせれば、どうなるか分からない。俺も大人ネプテューヌの意見に同意だということを告げる。

 

「もうこれ以上うずめは戦えない。なのに戦わせるなんて、死人に鞭を打つようなこと、許されるわけが…!」

 

だが、その意見に、ネプギアはある程度分かっていること伝える。

 

「私もそう思います。けど、そう言っても、きっと素直に聞いてくれませんよね?」

 

大人ネプテューヌや俺の意見にそう返しながらも、うずめに諦めを呟くようにしながら聞く。その姿は、まるで戦場に行く恋人を引き留めようとする女性のような様だった。

その言葉に、うずめも息を整えつつ、笑いを見せる。

 

「わかってるじゃないか、ぎあっち。仲間がラスボスと戦ってるのに、呑気に布団で寝てるなんてかっこ悪すぎるぜ。」

 

…どうやら、何を言っても無駄なようだ。それを俺は理解する。ふと大人ネプテューヌの方を向くと、俺と同じように、諦めの表情を見せる。

そういうわけで、光樹達はうずめを止めることを諦めた。しかし、うずめ以外の三人は、まだうずめに無茶をさせるわけにはいかないと思っていた。早速、ネプギアが大人ネプテューヌにダークメガミ達の更に詳しい状況を聞く。

 

「お姉ちゃん、ダークメガミたちはどのくらいでここに到着するか分かるかな?」

 

「んー…。丸一日はかかるんじゃないかな?結構距離もあるし、マジェコンヌはまだ新しい体に慣れてないせいか転びまくってたし。エクスも飛ぼうとすると前のめりになっていたり、マジェコンヌに進撃の速度を合わせてたよ。」

 

その様子を聞いて、光樹も安堵する。その状況なら、確かに一日は時間が掛かるだろう。それに、慣れない体になってそこまで動くのに苦心しているということは、もしかすると休憩の時間もあるかもしれない。

そうなると、大人ネプテューヌの推測通り、一日は時間があるだろう。それだけあれば、何かは出来るだろう。

 

「なら、あと一日、うずめさんは体を治すことに集中して下さい。私は、避難誘導をしてきます!」

 

ネプギアがうずめに安静にしていることを伝えながら、自分が避難誘導を行うことを名乗り上げる。そうなると、光樹も何かをするべきだった。そのため、光樹はネプギアに何かできることがないかと聞く。

 

「ネプギア、俺も手伝うよ。」

 

「でしたら、光樹さんは私と一緒に避難誘導に。逃げ遅れたモンスターがいないかどうかを確認してもらえますか?」

 

「分かった!」

 

ネプギアに返事をすると、光樹もネプギアに後れてテントを出る。

誰も死なせない。モンスターも、うずめも。そのために、俺は俺にできることを、精一杯成す。そう心に決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなさん!こっちに!慌てないで落ち着いて!」

 

ネプギアの大きな声が響く。その誘導の指示に従い、多くのモンスターたちがその方向へと避難を開始する。

私は、今海男さんから教えてもらった、ダークメガミたちの進行ルート上に存在するモンスターたちの避難誘導を行っていた。いきなりのことだったけど、うずめさんからの指示だということを伝えると、みんな不安そうにしながらも冷静に動いてくれるから、本当に助かるよ。

そう思いながら、避難指示を進める。すると、避難してくるモンスターたちの後方から、別のモンスターたちがやってくる。それは避難するモンスターたちを襲う、凶暴なモンスターたちだった。

そのモンスターたちが、避難するモンスターたちに攻撃を加えようとする…ところに。

 

「やらせない!!」

 

光樹さんが間に割って入った。ビームサーベルで敵の攻撃を押さえつつ、左手のライフルでもう一体を撃ち抜く。

もう一体の方も、左手に持ったANカタナⅡで切り裂く。その一撃は、機械の腕すらも両断する。そしてそのまま頭部のANZEROキャノンで撃ち抜く。一通り、襲ってきたモンスターが消滅したところで、光樹はネプギアに報告する。

 

「こっちの方は終わったぞ、ネプギア。」

 

「はい。これでこの辺りは終わりです。次の場所に移動しましょう。」

 

「了解だ。」

 

声をかけ合いつつ、二人は次のモンスターたちの棲家へと移動する。避難するモンスターを引き連れつつ、他の場所に住むモンスターたちと合流する。そんな作業を、何度も繰り返していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、ネプギアはうずめの本拠点にて風呂に入ろうとしていた。避難誘導を終わらせたのだ。避難誘導は光樹の協力もあり、全員が無事、この本拠点に避難が終了した。だが、それだけ時間もかかり、今は夜の時間帯へとなってしまっていた。おかげでネプギアの体もヘトヘトだった。

そんな時間帯に風呂に入ることに、ネプギアは溜息をつく。

 

「…ふぅ。何とか避難誘導が終わったけど、もうこんな時間かぁ。」

 

この時間になると、起きている者はほとんどいない。本拠点にて、留守をしていた大きなネプテューヌも、今は寝てしまっている。一方、ネプギアと共に避難誘導した光樹は、武器の整備を行っていた。全員、迫りくる最終決戦に備えていた。

 

「お風呂から上がる頃には、もうみんな寝てるかな。」

 

ネプギアはふとそう呟く。おそらくネプギアの言う通り、この時間ならば起きている者も、そうはいないだろう。

そう思いつつ、ネプギアはドラム缶風呂に入ろうとする。するとそこに声がかかる。

 

「よっ、ぎあっち、お疲れ。俺もいいか?」

 

一瞬ビクッ!となったが、すぐにその声の主を知る。声の主はうずめだった。それを見て、ネプギアは慌てて駆け寄る。

 

「うずめさん!?ダメですよ、まだ寝てなきゃ。」

 

まだうずめは十分回復できていない。それなのに、無理に風呂に入るはどうかと思ってのことだった。だがしかし、うずめはネプギアにこう返す。

 

「ずっと寝てちゃ体も鈍っていざと言う時に動けないと困るだろ?」

 

うずめの意見は的を射ていた。あまり動かさないでいると、感覚が鈍るというものだ。安静にしている必要はあるが、それでも戦場に立つ必要があるのなら、少しは体を動かさなければならないだろう。

心配そうにしつつも、ネプギアはそのことを了承する。

 

「まだ、絶対安静なんですから、無理はしないでくださいね?」

 

「わかってるよ。」

 

そのような会話をして、ネプギアたちは風呂に入ろうとする。するとそこで、ネプギアはとあることに気づく。それはうずめの姿にあった。うずめの風呂に入る姿は、女性のようなものではなく、男性が入る時のような、首からタオルをかける姿だったのだ。

周りに人がいないとはいえ、その大胆な風呂の入り方に、ネプギアはどうしてかを聞く。

 

「…って、あれ?うずめさん、その格好、恥ずかしくないんですか?」

 

すると、うずめは若干照れくさそうにしながらも言う。

 

「…お前らのおかげでなれた。恥ずかしいって言っても、人前で裸になることだしな。それにさえなれちまえば、あたりに誰もいないんじゃ、こんな格好恥ずかしくもなんともねぇよ。まぁ、男の前だと、恥ずかしいけどな。」

 

それを聞いて、ネプギアはへぇ、と思いながらもそう感じたうずめに対し、心の中で思う。

 

(この人、裸族…?)

 

何か、ネプギアが考えてしまってはいけないというか、それはネプギアが言えるようなことではないような気もする言葉ではあったが、ある意味当たってはいただろう。誰かに見られても問題ないというのは、流石に裸族と思われても仕方がなかった。

しかしながら、「男」はちょっと、という発言に対しては、ネプギアには心当たりがあった。それは間違いなく、光樹のことだろう。

今この世界にいる人で、男といえば、光樹さんしかいないよね。海男さんは今まで一緒にいたってことから、多分男としてはカウントしていないと思う。でも、やっぱり男の人に裸を見られるのは、やっぱり嫌だよね。

ネプギアの思う通り、うずめが言っていた「男」とは、光樹のことであった。とはいえ、それをネプギアは予想しただけで、実際にそうであるということは知る由もなかった。

そう思いつつも、二人共湯船に入る。と、そこでうずめがネプギアに言う。

 

「…で、だ。俺を助けてくれたの、ぎあっちなんだってな。だから、その…礼を言わせてくれ。助けてくれて、ありがとな。」

 

それは、自分を助けてくれてありがとうということだった。確かに、うずめを助けたのは、結果的にはネプギアだ。しかし、当の本人であるネプギアはそうではないと思っていた。ネプギア自身、薬を作れたのは自分によるものが全てではないと思っていたからだ。もちろん、それをネプギアは話す。

 

「私だけじゃありません。光樹さんも、お姉ちゃんも、クロワールさんも、海男さんも他のモンスターも、みんなが頑張ってくれたおかげです。なので、お礼ならみんなに言って下さい。もちろん、マジェコンヌとエクスを倒した後で、ですよ?」

 

ネプギアの笑顔による回答に、うずめもそれに合わせて答える。

 

「あぁ、もちろんだ。」

 

そう答えた後、うずめは何かを考えるように黙る。

 

「…」

 

「…?」

 

ネプギアも、何だろうと思っていると、うずめがふと、口にする。

 

「…今だから言えるんだが、ぎあっち、お前たちに会えてよかった。」

 

それは、うずめからの、これまでのことについての礼だった。

うずめは少し自信なさげにネプギアに打ち明ける。

 

「きっと、俺一人じゃここまで来ることはできなかったと思うんだ。改めて言うけどさ、ねぷっちとぎあっちに向こうの世界に来ないかって誘われて、……凄く嬉しかったんだ。」

 

ネプギアたちの世界に行く、それは以前にうずめに提案した話だ。しかし、前に話した時には、うずめはその誘いを断っていた。

でも、私はそれを聞いて、なんだか安心しました。やっぱり、うずめさんも私たちの世界に行きたい気持ちがあったんだ、って。

だけど、うずめさんの話は、まだ終わらない。

 

「ぎあっちたちの世界に行けたら、どんなに楽しいか、何度も何度も妄想したんだ。実は、海男たちも、俺が行きたいなら行ってもいいって言ってくれて背中を押してくれたんだ。」

 

それは、まだネプギアが聞いていなかった事実だ。海男や他のモンスターたちも、うずめがネプギアたちの世界に行くことを許してくれた。むしろ、うずめの気持ちに同調してくれていたのだ。

けれど、それを隠していたということは、当然理由があったのだろう。うずめはそれを言う。

 

「…けど、ダメだった。少しだけど、シェアを取り戻す度に記憶が蘇るんだ。」

 

「…え?」

 

うずめの言葉に、ネプギアは疑問の声を出す。シェアを取り戻す度に記憶が蘇るということに、気になったからだ。

おそらく、女神の力の源であるシェアが、何らかの形でうずめさんが忘れてしまった記憶に干渉して、記憶を取り戻しているのだろう。でも、本当にシェアによって記憶が戻るのだろうか、と思う。だって、今までの歴代の女神様が記憶喪失になったことなんて、聞いたことがなかった。騒ぎを起こすことがあるお姉ちゃんでも記憶喪失になんてなったことなんて、一度もなかったんだから。

だから、ネプギアはそれに半信半疑だった。しかし、うずめがそう言うのだから、そうなんだろうということにしておいた。そして、うずめの話は続く。

 

「俺が女神として沢山の人に囲まれている姿や、綺麗でみんな幸せそうに暮らす俺の国がさ。そんな思い出を見ちまうとさ、今まで以上に愛着が湧いてさ、余計この世界を捨てて行くことなんてできなくなったんだ。」

 

うずめの思いがネプギアにもよく分かった。人は誰だって、故郷を思う気持ちがある。何年も、何十年も暮らした街を捨てることなんてできはしない。たとえそれが、これほど荒れ果てた零次元であったとしても、だ。

その話を聞いたネプギアに、うずめはいつもの強気の笑みを見せて言う。

 

「だからさ、ぎあっち。改めて力を貸してくれ。俺はこの世界を救いたい。俺と一緒に、マジェコンヌからこの世界を救ってくれ。」

 

それは、今までにも言われたことだった。だがしかし、それはネプギアたちにとってお約束とも言える言葉でもあった。

それを断るなんてこと、私はしません。出来るわけありません。だから、私はそれを快諾する。

 

「もちろんです。だって、私たちの出会いも、その約束で始まったんですから。だから、一緒にマジェコンヌを倒して救いましょう。このゲイムギョウ界を。」

 

 

二人の意志はゆるぎない。だからこそ、二人は望む。この最後の強敵に立ち向かうことを。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。うずめも何とか復活。さて、そろそろ決戦が近くなってきました。

ジャンヌ「うずめさんは怪我を押してでも参加することを望んでいますね…。なんだか不安です。」

レイ「守りたいから、戦わなくちゃいけない。うずめちゃんも、それを分かっていて、戦うんだね…。」

ジャンヌ「…レイさん?」

レイ「っ!いや、でもそこは流石、うずめちゃんだと思うよっ!」

(レイさん、まさか「彼」に重ねて?)…まぁ、それがうずめですからね。光樹君もうずめのサポートをこなしてくれることを祈りますよ。
さて、今回はここまで!

ジャンヌ「次回の投稿は火曜日辺りになります。」

レイ「それじゃーみんな!明日から藤和木は福井に学校の研修旅行に行ってくるね!次回もよろしくねっ!」

よし、今からお祈りだ!

ジャンヌ「何のです?」

台風よ、早く熱帯低気圧に変われ!

レイ「それ、明日学校がある学生が聞いたらすごく反対しそう…。みんな学校が休みになってほしいって思ってそうで。」

ジャンヌ「台風は、時として消えて欲しいとも、消えないで欲しいとも思われるますね。」


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第74話 決戦前夜のフラッシュバック、作戦開始

どうも、皆様、お元気でしょうか?台風また発生したそうですよ?良かったね、学生の皆様!藤和木弘です。

ジャンヌ「とかいう藤和木も、学生ですよね…。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「うーん、やっぱり雨ばっかりは嫌だなぁ。早く晴れて欲しいよっ!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ。」

うーん、私は夜に雨が降ってくれると、心が安らぎますね。なんか静かな中、雨の音きくと面白いっていうか。

ジャンヌ「あら、藤和木はそういった物にも興味があるんですね。なんだか物静かな感じですね。」

元々私、学校ではこれほどしゃべりませんけどね。そっちの方が本来の性格に近いというか…。

レイ「雨の音かぁ。私は雨そんなに好きじゃないから、そういうの聴く暇がないなぁ。」

聴いてみると面白いですよ。二人もそういうの意識してみると天気も面白いですし。
さて、それでは今回もお話展開です!今回は第74話をお送りします。

ジャンヌ「ネプギア様とうずめ様の決意の裏で、光樹さんも何かが起こりそうですね、このタイトルは。」

レイ「最近起こってなかったあの思い出しかな?」

さぁ、それは本編を確認して見て下さいませ。


 

 

ネプギア達が風呂に入っている間、光樹はゼロと共に、武装の最終チェックを行っていた。ゴッドクロスを装着し、ANロング・メガ・マグナムの動作確認や、ウイングユニットの稼働状態、そしてAN高純化射撃兵装「オーディン」の出力確認など、それらをゼロの指示通りに確かめていく。

 

「『オーディン』、動作確認、どうだ?」

 

『問題なし。射撃シークエンスも正常に稼働確認。全機能問題なし。次、腕部のANノイズドエナジーヴァリアブルリアクタービームシールドの展開、およびリアクターシステムの動作確認だ。』

 

「分かった。…にしても、これ多いな。チェック項目。」

 

光樹は思わずそう呟く。先程から、他の武装もチェックしているが、武装の数が多いため、疲れが溜まってきていた。先程、ネプギアが風呂に入るのを目撃していたので、後で自分も入ろうかと思っていた。

そんな光樹の呟きに対し、ゼロが無理もないということを言う。

 

『機体が強力な分、こうしたチェック項目も多くなる。特に明日の戦闘は過度な物となる。激戦を戦い抜くためにも、今の状況では我ら自身がこうした武装チェックをする必要がある。』

 

ゼロの言い分も分かる。ここ一番とも言える戦いで、動作不良が起きたりすれば、逆転の一手を与えてしまうことは間違いなかった。

だからこそ、今を手抜きでやるわけにはいかない。光樹もそのことについて言及する。

 

「だな。一番大事な所で失敗して、他のみんなに迷惑をかけたくないしな。…よし、動作確認終了!次は?」

 

『これでゴッドクロスの武装の整備は終了した。後は、メガミブレイカーの整備だけだ。』

 

その報告を聞いて、ようやく終わりが見えてきたことを知る。これが終われば、明日に備えて寝支度を整えるだけだ。光樹も早速メガミブレイカーの動作確認に入る。

しばらく砲撃体勢に入ったり、砲身の稼働アームの動作を調べていた所で、ゼロが光樹にとある話をする。

 

『…光樹、次の作戦だが、最悪、現状のゴッドクロスでは撃破出来ない可能性…いや、未来がZEROシステムによって明らかになっている。』

 

「マジかよ…それじゃあ、どうするんだよ?」

 

まさかの敗北宣言に、光樹も動揺する。しかし、それに対して、ゼロはそうならないための策があることを告げた。

 

『だが、最後の切り札が、その機体にはある。変形機構を流用した、最後のモードが、その機体には。』

 

「最後の切り札…。」

 

その言葉の響きに、光樹も思わず食い入る。

最後の切り札なんて、ガンダム世界ではあまり聞こえがいいものじゃないが、それでも今はありがたいことだ。それさえあれば、この戦いでも勝てることだろう。

そう意気込む光樹であったが、それには隠れた意味がもう一つあった。「最後の」と名前が付くということは、追い込まれた末の、一か八かの一手ということ、それしか手が無いという状況でのみ使用する機能ということだった。

そのためゼロも光樹に進言する。

 

『ただし、その機能は「その時」が来た時に、こちらが指示する。今は考えなくていい。』

 

「おいおい…その機能はチェックしなくていいのか?」

 

『問題ない。こちらがリザーブ内で調整する。もう遅い。光樹、貴君も休息を取れ。』

 

光樹の問い掛けに素っ気なく返すと、ゴッドクロスが装着解除される。地面に着地すると、光樹の肌が外気に触れる。

まったく、ゼロも気になることを残してくれる。俺はそう思う。けど、ゼロの言う通りだ。最後の切り札は、最後まで取っておくもの。使わないに越したことはないんだからな。

そう思っておくことにした光樹は寝室に使っているテントに戻り、休息を取った。

 

 

 

 

その時だった。

 

 

『俺は、人を越えてみせる!このシステムでっ!』

 

 

 

 

「!?」

 

一瞬、脳裏にその言葉と同時に、光り輝く機体の姿を見る。慌てて起き上がるが、その時には既にそんな機体の姿は一つもなく、テントの内部が目に見えるだけだった。

…気のせいか。そう思った俺は、再び眠りにつく。

しかし、これは起きることだった。それも近い内に。その機動兵器の姿を、力を、それをまだ、光樹は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

決戦の朝は来た。

朝、といっても、この世界に太陽がはっきりと昇ることはない。時計だけがその時間を知らせるだけだった。

しかし、ここに集ったマジェコンヌとエクスの討伐メンバーたちの目は、はっきりと中心にいるうずめに対し開いていた。全員が、ラスボスを倒すことに対し、やる気を見せていた。

そんな様子を見て、俺も倒れるわけにはいかないと思った。正直言って、今もまだ頭がくらくらしたり、怪我の痛みが残っていたりした。もっとも、前半の方は大きいねぷっちに頼んだ「荒療治」の影響もあるだろうが。

そのように限界をとっくに超えていたうずめだったが、それでもこうして前に立つ。そして、決戦前の確認を行っていく。

 

「さて、勝負の時間だ。」

 

うずめはいつもの調子でそう告げる。しかし、心配に思ったネプギアが、体調について聞く。

 

「うずめさん、体は大丈夫なんですか?」

 

治療をしたぎあっちとしては、ちゃんと薬が効いているのかどうかが気になったんだろう。けれど、ちゃんとぎあっちの薬は効いてる。だから俺は、大丈夫だってことを伝える。

 

「あぁ、ぎあっちのおかげで、すこぶるたぎってるぜ。それに、でっかいねぷっちにスペシャルネプビタンVⅡを大量に貰って浴びるように飲んだからすこぶるたぎってるぜ。」

 

「はい!?」

 

「浴びるようにって…どんだけ飲んだんだよ…。」

 

その発言に、ネプギアも光樹も驚きを見せる。というよりは、その発言に引いていた。流石に浴びるように飲むというのは、言い過ぎのような気もする。

しかし、うずめの発言は事実であった。その時の様子を、うずめは語る。

 

「ドラム缶一杯分くらいだな。途中、鼻血が出たけど、かっこ良く飲み干してやったぜ。」

 

「あ、だからドラム缶が薬臭かったんですね…。」

 

その説明でネプギアも思わず納得してしまう。実際、昨日の風呂の時にも、お湯を沸かす前に薬のような臭いを感じていた。あの時はなぜだろうとネプギアは思っていたのだが、その時は気のせいだと思い、気にすることはなかった。

しかしながら、その話に対する声は、まだ続く。

 

「って、ドラム缶!?あれはそんなに大量に飲むような物じゃありませんよ!?」

 

「…ドラム缶をコップ代わりにって、どんなんだよ…。というか、よく飲めたなって俺は思うんだけど。」

 

ネプギアが再び驚き、光樹が茫然とする。二人もその惨状とも言える状況に頭を抱えていた。

返って心配される声が聞こえるが、それでも、今はこうするしかない。無理にでも決戦の場に立つためには、こうしなきゃダメだ。でっかいねぷっちには無理を言ったから、それにはとても感謝してる。

一方、ネプギアがその薬であるネプビタンVⅡを作った本人である大きなネプテューヌに対し困惑の声を上げる。

 

「てか、お姉ちゃんもお姉ちゃんだよ!うずめさんに何飲ませてるの!」

 

それは、あまりに無茶な行動にむしろ背中を押す形となった大きなネプテューヌへの叱りだった。しかし、それに対して大きなネプテューヌは軽く言う。

 

「いやぁ、だってうずめが飲みたいって言うからさ、つい張り切って作っちゃったよ。テヘペロ☆」

 

「て、テヘペロって…。」

 

「やりすぎちゃったテヘペロとは、正にこのことだな。まぁ、それで大丈夫なら問題ないってことだ。むしろ無理してでも元気になってくれたのは、喜ぶべきことだって。そう思っておこうぜ、ネプギア。」

 

「光樹さん、諦めたんですね…。」

 

それに対し、光樹も呆れてそれに乗る形となった。その様子にネプギアも少し悩む。そこでうずめはネプギアを納得させようと、大きなネプテューヌに責任転嫁しないようにすべく話す。

 

「俺が無茶を頼んだんだ、あまりでっかいねぷっちを責めないでくれ。ぎあっちは絶対止めただろうからな。けど、一晩で治すにはあれくらい無理はしょうがないさ。光樹の言う通り、こうして元気になったことを喜んでほしいぜ。」

 

うずめの言葉に、ネプギアも、そして光樹も理解を示したように頷く。さらに追加で、うずめは言った。

 

「それに、今度こそ最後の戦いなんだ、やれることはやっておきたかったんだ。」

 

そう、この戦いでこの悪夢を終わらせる。そのつもりでうずめはいた。

これで俺たちの戦いが終わる。それなら、なおさら俺が出ないわけにもいかない。そして、勝つために、最後に笑顔で終われるように、俺自身の手で終わらせられるようにここまで無茶をしたんだ。勝つ。勝ってぎあっちと光樹を元の世界にも戻さなくちゃいけない。

そう思う中、うずめは海男のことについて聞く。

 

「…で、だ。海男はどこにいるんだ?こんな大事な時にいないなんて珍しいな。」

 

そう、海男がいないのだ。いつもなら、これほど大事な戦いで、うずめに細かく指示を出す参謀のような海男がいないのは、珍しいを越えて滅多にない状態だった。その点にクロワールも付け足しで言う。

 

「そういや、モンスター共も見かけねぇな。…まさか、逃げたんじゃないだろうな。」

 

更にその発言に、光樹が海男のことについて言ってくる。

 

「そういえばさ、昨日海男と話していたんだが、突然「後は頼む」って感じでどっか行ったのを見たぞ。」

 

「本当か?いったい海男はどこに…。」

 

昨日の時点ではいたようだ。しかし、海男は一体どこに…。

考えるうずめだったが、考えるのはやめることにした。ただでさえ体は倒れそうになっている中、海男を探す暇も体力もない。それに使うのなら、倒す方に力を向けた方がいいと思っていたのだ。それに、海男ならきっと戦闘の前にひょっこりと戻ってくると信じていた。

そしてうずめは、クロワールの発言から海男を擁護しつつ、海男のことは今は放っておくことを表す。

 

「海男はそんなやつじゃねぇよ。…まぁ、海男は海男なりに何かあんだろ、きっと。俺らは俺らの仕事をするだけだ。」

 

その意見でまとまった所で、うずめはネプギアに現状と作戦の説明を要求する。

 

「ぎあっち、状況の説明と作戦を頼む。」

 

その声に、ネプギアは待っていたかのように返事をする。そしてうずめから借り受けたヴィジュアルラジオ改を操作する。するとうずめたちの目の前に大きなマップが表示される。

 

「はい。現在、ダークメガミとエクストリィムは大量のモンスターを引き連れてゆっくりと進軍中です。そして、私たちですが、シェアリングフィールドを展開する為、うずめさんをダークメガミの正面まで連れて行く必要があります。」

 

ネプギアの操作により、マップにダークメガミの進撃予測方向が表示される。このコースは、こちらの本拠点へと向かう方面だ。進撃先にも、本拠点が設定されている。

その進撃を食い止めるには、俺のシェアリングフィールドしかない。だが、ぎあっちがそのことを議題に挙げたように、それは簡単なことじゃない。そこにいくためには障害がいくつもあった。

ぎあっちが出したマップには、小さな点がマジェコンヌを囲うように表示されていた。これらは全て、マジェコンヌとエクスと共に進撃するモンスターだった。おっきなねぷっちからも、それは言われていた。

どうにかしてその厚い防衛陣を突破しなければ、マジェコンヌ、そしてエクスが融合したダークメガミとエクストリィムの前に出ることは難しい。そこで、ネプギアがそれらの問題に触れつつ、それを打開する策を提示する。

 

「ですが、正面から挑んでは迎撃されるので、この先の廃墟でダークメガミたちを待ち伏せて、通りかかったところで奇襲を仕掛け、ダークメガミとエクストリィムだけをシェアリングフィールドに隔離して、雑魚との戦闘を極力最低限に抑えます。」

 

「いい作戦だ。その方法なら、確実にデカブツに近づける。」

 

うずめはその策に賛成する。他の二人もその策に頷いて賛成を示す。

そこで必要とされるのが、うずめがシェアリングフィールドを展開するまでの間にも近づいて来るモンスターに対しての迎撃だ。しかしながら、それに対する対応は既に考えられていた。ネプギアがその迎撃について言及する。

 

「そして、廃墟でのモンスターの露払いや囮は私とお姉ちゃん、それから光樹さんが担当します。うずめさんはなるべく体力を温存しながら、とにかく気づかれないように身を隠して下さい。」

 

それはうずめを除いた三人が、陽動として敵の目を引き付けるということだった。未だ怪我が完治していないうずめに、なるべく戦闘を行わせないようにするための策だった。いつもならそれには反対のうずめも、今回は自身の状況を理解しているためか、いつものように文句は言わない。それが最善の策であったからだ。

そのためうずめはネプギアに頷く。

 

「あぁ、分かった。」

 

「頑張ろうね、三人共!」

 

「みんな、無理はしないように。」

 

「よし、どうやら俺の役割はないな。なら、高みの見物とさせてもらうぜ。」

 

大きなネプテューヌと光樹の声が響く。一方、突然聞こえたクロワールの逃げる発言に、大きなネプテューヌから逃がさないことを告げた。

 

それはダメ。クロちゃんは、わたしと一緒に最前線で、しっかりとこの世界の歴史を記録してもらうんだから。」

 

「おいおい、マジかよ…。」

 

その宣告に、クロワールは嫌そうな声を出す。クロワールは、自身が戦いに巻き込まれるとは思っていなかったようだ。

そんなクロワールに対し、俺もクロワールに来ることを強制する発言をする。

 

「どうせ、失敗すればこの世界ごと消滅するんだ。どこにいても変わりはしねぇよ。」

 

更に光樹もまたクロワールを逃さないように笑みを浮かべて言う。

 

「残念だったな。お前は俺達についてなきゃ、元の姿に戻るのも、生き残ることも出来ないってことだ。諦めとけよ。」

 

その光樹の言葉が引き金となったのか、クロワールは自暴自棄となり、やけくそに命令する。

 

「あーっ、もう!わーったよ!いいか、やるからには絶対勝つんだぞ!そして俺を優先して守ること、いいな?」

 

「まったく、クロちゃんたら素直じゃないんだから。」

 

それには流石の大きなネプテューヌもやれやれと思いつつも、守ることを約束した。

最悪、おっきなねぷっち、ぎあっち、光樹を元の世界に逃がしてもらうために、次元の移動ができるクロワールにはいてもらいたいところだ。

そんなこともあったが、うずめたちは接敵地点へと向け、走り出す。そして、ネプギアの声が響く。

 

 

 

「それでは、行きましょうか。」

 

それにうずめも答える。

 

「あぁ、俺たちの最後の戦いのはじまりだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……きたか。」

 

うずめがそう言った。その発言は、ダークメガミとエクストリィムが来たことを意味していた。いや、この場合はマジェコンヌとエクスと言った方が、今の敵の状態的にもいいだろう。

近づいて来る地面の揺れも、それを知らせる。今、ネプギアたちはビルの一角にて待機していた。しかし、そこに既に大きなネプテューヌの姿はない。大きなネプテューヌはもう作戦開始の定位置についていたのだ。

そして、光樹もまた、大きなネプテューヌと同じように外でガンダムを装着して待機していた。しかしながら、今はネプギアの目には見えていない。実はこの時、光樹はゼロからの指示を受け、敵に気取られないようにビルの上で体勢を屈めて敵の様子を探っていた。

他の二人が持ち場に着く中、うずめに付き添っていたネプギアは、作戦の内容を伝える。

 

「うずめさん、チャンスは一度だけです。慌てず、ギリギリまで引き付けて下さい。」

 

「あ、あぁ、わかってるさ。」

 

ネプギアの言葉に、うずめが詰まりつつも応える。その声は、怪我の影響もあるせいか、今までの覇気があまり感じられなかった。しかしながら、今のうずめは冷静に状況を見ていた。それを考えると、今の状態は助かる。

だけど、それも当然だよね。私はそう思う。だって、今のうずめさんは十分に戦える状態じゃない。それでも戦う以上、慎重に行動しなくちゃいけない。その分、今のうずめさんは、こういうことを言っちゃいけないけど、扱いやすくて助かる。

ネプギアがそのように思っていると、突如、大きな爆発音が響き渡る。

 

「っ!」

 

その爆発は、戦闘開始の合図だった。どっちから戦いの火蓋を切ったのかは知らなかったが、作戦を実行に移すしかない。すぐにうずめにネプギアは合図を送る。

 

「うずめさん!」

 

「あぁ、任せろ!」

 

うずめもまた作戦準備を整える。靴が脱げないかどうかを確認すると、うずめは立ち上がる。そして二人は爆発の余波で崩れ始めるビルから飛び出した。

 

 

 

 

「!?」

 

ビルから出た後、左手側にダークメガミの姿が見える。確認と同時に、他のところでも爆発が起こる。おそらく、光樹がエクストリィムの相手をしている音だろう。ネプギアはそう考えた。

しかし、ダークメガミたちの取り巻きであるモンスターたちに気づかれる。

 

「!?」

 

それにより、ダークメガミもまたこちらに気づいた様子を見せる。そこでネプギアはダークメガミの方面に向かって走る。うずめはまだ隠れていたため、モンスターたちはまだうずめに気づいていないように、こちらを追いかけてくる。

偶然とはいえ、これは願っていた展開でした。うずめさんが通るルートは前もって決めていたから、あとはこちらが派手に陽動をしてうずめさんを近づけさせられれば大丈夫だと思う。

ネプギアも含めた三人は、うずめのシェアリングフィールド発生時にはすぐにうずめの周りに集まる必要があったため、敵を引き付けつつ、モンスターとの戦いを切り上げる手はずになっていた。実際三人もバラバラに戦闘を行いつつ、ダークメガミの周りに集まっていく。ただし、光樹だけは、エクストリィムの誘導も目的に追加されていたが。

しかしながら、全員戦闘を行いつつも、それぞれの目的通り、ダークメガミへの集合と、エクストリィムの誘導を誘っていく。

そしてついに、作戦の始まりが、うずめの言葉により告げられる。モンスターの目をかいくぐって、ダークメガミと光樹によってダークメガミの近くまで移動してきたエクストリィムの前に現れたのだ。現れたうずめは、ダークメガミとエクストリィムに対し、大声で叫ぶ。

 

「よう、デカブツ!待ってたぜェ!この瞬間をよォ!」

 

その声と同時に、不意打ちの如く、素早く女神化する。その様子を見ていたネプギアは、確信した。これなら成功する、と。このタイミングで、あそこまで近づけたなら、きっとシェアリングフィールドの中に閉じ込められるはずだ。

そして―――――

 

 

 

 

「シェアリングフィールド、展開!」

 

 

 

 

その声によって、シェアのエネルギーが集まるのを感じ取る。それに呼応するかのように、大きいお姉ちゃんや光樹さんも私の周りに集まってきた。

しかし、ここからが戦いの本番である。三人もそのことを分かって表情に緊張が露わになる。

 

 

 

 

だが。

 

 

 

 

パリィィィィィィン!!!

 

 

その音と共に、形成され始めていたフィールドは、砕け散ってしまった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

ジャンヌ「作戦開始、まさに後半はそれでしたね。ですが…」

レイ「うずめちゃんのシェアリングフィールド、どうしちゃったの!?砕け散ったって最後の方に書いてあったけど、まさか、展開できなかったってこと?」

まぁ、そうですね。唯一敵に有効打を与えられる切り札を使えないネプギア達、さぁ、勝てるのか?というのが、次回のお楽しみですね。

ジャンヌ「ですね。…そうだ、藤和木、あとがきの後で少しお話いいですか?」

うん?まぁ、いいけど?

ジャンヌ「はい。少し時間をいただければいいので。」

レイ「ジャンヌちゃん、どうしたの?」

ジャンヌ「ちょっと藤和木に、決断してもらいたくって…!」

レイ「?」

まぁ、それは後で…さて今回はここまで!

ジャンヌ「次回の投稿は月曜日になりそうです。」

レイ「じゃあみんな!まったねー!」





(ここから先はバトスピ関連の話です。)






…で、ジャンヌさん、話って?

ジャンヌ「はい。…それは、藤和木のバトスピのデッキのことで…。」

え?なんでそれをここで…

ジャンヌ「お願いです、藤和木には勝ってほしい。でもわたくしの我儘で作るきっかけとなったジャッジメント・ドラゴニスに固執しないで…藤和木の考えた構築で戦ってくださいっ!ジャッジメント・ドラゴニスが邪魔なんでしょう?」

ジャンヌさん…でも、それじゃあ…。

ジャンヌ「意味がなくてもいい。わたくしは、藤和木の思うがままに戦って、勝ってほしいんです。リボル・ティーガとエグゼシード。二体の十二神皇を軸に、店舗決勝を勝ってくださいっ!」

…次回までに考えさせてください。


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第75話 絶体絶命!次元を超えて届く思い(シェア)

どうも皆様方、お元気でしょうか。台風が接近してこっちは大雨です。藤和木弘です。あれ、なんか先週も同じこと言ったような…。

ジャンヌ「藤和木、先週もちょうど台風が接近している時の投稿でしたよ。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「先週も雨だし、なんか気持ち落ち込んじゃうなー。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

そうか、先週は研修旅行前で、雨よ!早く温帯低気圧に!とか言ってたんでしたっけ…。

レイ「そうそう。それで藤和木が雨の音は夜聴くといいって言ってたよね。確かにいいかも!」

おお、そう思っていただけるとは…あれ?先週…何か言われたような…。

ジャンヌ「えぇ、藤和木には、わたくしリスペクトのジャッジメントの投入について、次回答えると言ってましたよ?」

\(^o^)/やっべぇ、そんなことあったな。まぁ、とりあえず今のところの決断を言っておこう。

ジャンヌ「さぁ、答えは…!」

結論、回してみないと分からん!( ー`дー´)キリッ

レイ「ええー!?」

ジャンヌ「ちょっと!それ答えになってませんよ!?」

というか今そんな話している場合じゃねぇ!今回は第75話、投稿ですっ!

レイ「あ、流した。」

ジャンヌ「もうっ…!後で聞きますからね。と、今回はシェアリングフィールドを打ち消された場面ですね。」

そうそう、原作ではここは序盤の見せ場なんだけど、ちょっと…話の展開を変えてあります。

レイ「どんなところを?」

それは最後まで見れば、原作知っている人なら分かりますよ。まぁ、それ見て、あれ、全然違くね?と思われるかもしれませんが。

ジャンヌ「それは、見ないと分かりませんね。」

レイ「じゃあ、早速本編に行こう!」


 

 

「…なんで…どうして…」

 

オレンジハートへ変身したうずめは絶句する。

うずめは、シェアリングフィールドを形成し、そこで一気に攻めるというつもりだった。ネプギアに指示された作戦だった。この前は成功した、だから今回も問題ないはずと思っていた。

だが、現状は違った。展開されるはずのシェアリングフィールドは、展開される途中で砕け散ってしまったのだ。

展開できないことに困惑するうずめに対し、危機が迫ったような声でネプギアが叫ぶ。

 

「うずめさん!」

 

「うっ…。」

 

分かってる。ぎあっちが聞きたいことは。うずめだって、こんなのわけが分からない。でも、何でかシェアリングフィールドが展開しない。

状況を理解しきれていなかったネプギアが、うずめにしっかりするようにと声をかける。

 

「うずめさん、しっかりしてください!敵は目の前なんですよ!!」

 

ネプギアの言葉に対しうずめは疲れ切ったような様子息を乱す。フィールドを再展開するように力を込める。しかし、フィールドはいつまでたっても展開されない。

うずめも焦っていた。なぜ、シェアリングフィールドが展開できないのか。ネプギアの言う通り、しっかりしないといけないのと、早く展開しないと敵にやられるという、二つの焦りが、うずめにかかる。

早く展開しないと…うずめがこの作戦の要なのに!シェアリングフィールドを展開させようと腕のシールドパーツを何度も起動させる。でも、すぐに機能が止まっちゃう。まるで、何かに止められているみたいな…。

 

「はぁ…はぁ…。」

 

それを繰り返していく内に、うずめも体力を消費していく。怪我を負った状態で、負担が大きい行動を何度も繰り返すことは、けが人にとってはそれだけで多くの負担がかかっていく。

大きなネプテューヌと光樹も何が起きているのかをそれぞれの相方たちに聞く。

 

「クロちゃん、何がどうなってるの?途中までは成功してたよね!?」

 

「ゼロ、これはどういうことだ?何でシェアリングフィールドが展開しない!?」

 

二人からの問いに、クロワールとゼロ、人工生命体と機体OSが状況を分析、その見解を述べる。

 

「…あの野郎、まさか打ち消しやがったのか。」

 

「打ち消す?打ち消すって、どういうことなの!?」

 

『まだ仮説だが、おそらくは、あの二体からシェアリングフィールドの形成成分であるシェアエナジーの反質成分を展開すると同時に放出。エネルギー結界を打ち消していると想定する。』

 

「まさか…そんなことが…いや、アニメでもアンチシェアクリスタルがシェアの力を打ち消していた。ありえない話じゃないな…。」

 

予想外の対策に、絶句する。本当にそんなことをしているのかという疑いもうずめたちは思っていた。するとそれの真相が思わないところから出てくる。ダークメガミとエクストリィムが高笑いをし始めたのだ。

 

「ハーッハッハッハッハッハ!」

 

「哀レ哀レ!クハハハハハハ!!」

 

「その声は、マジェコンヌに…エクス!?」

 

ネプギアがその声の本当の主の名を上げる。うずめにも分かる。今までの唸り声と違って、その笑い声には聞き覚えがあったからだ。

ダークメガミとなったマジェコンヌとエクストリィムとなったエクスが嘲笑いながらシェアリングフィールドが展開できない理由を明らかにさせる。

 

「久シイナ、小娘共ヨ。マサカ、コノ私タチガソノ対策ヲシテイナイトデモ思ッテイタノカ?」

 

「対策って……。シェアを打ち消すことなんて、そんなことできるわけが…。」

 

「デキルサ、紫ノ女神ノ妹ヨ。我々ト、クロワールカラ奪ッタ、異次元ノ原初タル女神ノ力ガアレバナァ!」

 

原理はどうであれ、はっきりとしているのは、今うずめたちが非常にピンチな状況ということだった。ダークメガミたちと互角以上に戦える切り札であるシェアリングフィールドを展開しても、その度に敵が考え出した「対策」がある限り、うずめたちに勝ち目はなかった。

絶望にくれるうずめとネプギア、大人ネプテューヌらに対し、マジェコンヌは高笑いをする。

 

「運命ハ既ニ決マッテイル。貴様ラノ抵抗ハ無意味ナノダ!ハーッハッハッハッハッハ!」

 

それだけでも、うずめたちは圧倒される。だが、それだけでは終わらない。

そこにエクスまでもが敗北を受け入れるように言ってくる。

 

「貴様ラニ勝チ目ハナイ。諦メロ!そして終焉ヲ受ケ入レヨ!!」

 

その言葉と共に、背部の高出力ビームソードを抜き放ち。うずめたちに切っ先を向ける。もはや万事休すだった。

最悪の状況に、うずめは絶望に陥ってしまう。

もうダメだ。これじゃあ、勝てないよぉ…。うずめは、自分が無力であることを悔いる。

 

 

 

 

「…もう、ダメなの…?やっぱり、うずめは、ダメな女神なの…。何も、守れないの…。」

 

 

 

 

涙ながらに、うずめは呟く。もはや再び立ち上がる気力もあるようには見えなかった。もはやこれまで…。

だがそこに、叱咤の声が響く。耳元で響く。

 

『まだ諦めるのは早いよ、うずめ。』

 

「………ほにゃ?」

 

その声は、先程までうずめたちとはいなかった、ある人物の声だった。そして、待ちに待った人物の声でもあった。

その声は、まさか…。うずめはその声の主の名を聞く。

 

「…その声…海男なの?」

 

この懐かしさを感じる声、そして、この言葉遣い。うん、間違いない、海男が来たんだ!

すぐにうずめはその声のしたシールドユニットの通信機能を起動させる。すると、やはりその、うずめの待っていた存在、海男の姿が映った。

どこにいたのかという疑問と、やっと来てくれたことに喜びがうずめに同時にやってくる。海男が来てくれたというだけで、今のうずめに、嬉しいことはなかった。

しかし、今ようやく海男が来たのはなぜなのか、という疑問も、うずめの脳裏に過ぎる。しかし、それは海男が説明に入る。

 

『待たせてすまない。少々準備に手間取ってしまった。』

 

「それって、どういう…。」

 

うずめはそう聞く。うずめには、海男の言っている「準備」が、一体何なのかを理解できていなかったからだ。

うずめはしばらく茫然としていたが、周りに起こった変化により、徐々に状況を理解していくこととなる。

まず、周りに光の粒子が浮遊し始める。まるで地面から浮かび上がる雪のような光。しかし、それに力を感じる。それを見ていたネプギアが、まず気づく。

 

「この光…そして、この力…。これって……!」

 

「シェアエネルギーだ!けど、なんで!?何でこんなにシェアがあるの!?」

 

うずめもその正体に気づく。そう、その光は、まぎれもないシェアエネルギーだった。これほど視覚化するのは、とてつもないまでのシェアエネルギーが一点に集中しているが故の現象であった。いわゆる、シェアエネルギーのオーバーフローとも言うべき状況だった。

しかしながら、先程うずめが言った通り、なぜこの場にシェアエネルギーがあるのかという疑問が残っていた。

シェアは普通、人、この世界ではモンスターたちのいる所から発生するはず。だけど、こんなところに、モンスターたちがいるわけが…いたとしても、敵のモンスターだけのはずなのに…。

だがしかし、それはうずめたちの目の前に現れた海男の発言により明らかになる。

 

「もしもの為、保険をかけておいて正解だったよ。」

 

「海男!?どうしてここにいるの!?」

 

「ここにいるのはオレだけじゃないよ。君を慕う全てのモンスターが、ここにいるのさ。―――――それも、みんながシェアクリスタルを持ってね。」

 

本拠点から消えていたモンスターたちが、うずめたちの戦う場所に集まってくるなんて…。みんな、木津付いたりするかもしれないのに…。

 

「みんな…。避難したんじゃ、なかったんだ…。」

 

うずめはそう呟いた。その行動に、光樹も海男の行動を理解したように頷く。

 

「そうか…うずめの持っていたシェアクリスタルはネプテューヌを転移させたときにかなり使っていた。それに、本拠点にいたモンスターたち全員に持たせるためにはシェアエネルギーを生み出す媒体であるシェアクリスタルを多く手に入れる必要がある。…海男、もしかして、昨日の…」

 

光樹の思いついた予想は、海男の口から語られる。

 

「そう。光樹の言う通りだよ。黙っていてすまなかった。少々シェアクリスタルの探索に手間取ってしまったのだ。」

 

海男は怪我をしたうずめでも、マジェコンヌと戦えるように、これほどまでの対抗策を取っていたのだ。その手際の良さは、流石海男だとうずめは感動する。

けれど、海男だけじゃない。これだけのシェアエナジーを生み出しているモンスターたちみんなにも感謝だよ!

盛り上がっているうずめとは対照的に、大きなネプテューヌは話に付いていきにくいこともあってか、光が見えるほどのエネルギー量と比例するモンスターの量に一人驚く。

 

「けど、この光の数だけひよこ虫やスライヌがいるって思うと、それはそれでちょっと気持ち悪いかも…。」

 

大きなネプテューヌの言う通り、この光の量だけ、味方のモンスターたちはここを包囲するように包囲・展開していた。その量はかなりの数だったが、この作戦に参加したメンバーは、その準備のために、海男に率いられてダンジョンや廃墟を巡って、シェアクリスタルを全員分集めていた。

それにより、これだけのシェアが発生するまでに至っていた。これほどシェアが集まったのをうずめは見たことがなかった。

うずめたちが救援に盛り上がっている一方で、その状況を見ていたマジェコンヌたちは対照的に苛立ちを口にする。

 

「忌々シイシェアノ光メ!」

 

「コレデ、勝ッタ気ニナルナ、小魚ドモォ!」

 

「シェアクリスタルだけではない。オレたちのうずめへの想いを打ち消せるものなら打ち消してみるがいい。」

 

しかし、ラスボスである二体に対し、海男は自信満々に答える。その言葉の通り、更にシェアの力が強くなっていく。そのシェアに込められた思いに、ぎあっちも頷く。

 

「なんて暖かいシェア…。」

 

とても暖かい、みんなからの期待と応援が、うずめの中に流れ込んでくる。

 

『うずめさん、諦めちゃだめなのです。』

 

『僕たちのシェア、使って下さい!』

 

『いつも僕たちの代わりに痛い思いをさせてごめんなさい。』

 

『一緒に戦えなくても、シェアを送るくらい僕にだって…!』

 

『うずめさん、負けないで!』

 

「なに、これ…?エビフライたちの声が、頭に…ううん。うずめの心に響いてくる。」

 

「きっと、うずめさんの仲間たちの想いがシェアエネルギーに乗って流れ込んできているんです。」

 

うずめは、その思いに感動していた。今まで守ってきたモンスターたちが、今度はうずめたちを助けてくれている。直接戦う力はなくても、思いの力が、うずめたちを手助けしてくれてる。ぎあっちの言う、シェアエネルギーとして。どうしよう、涙が出てきちゃうよ。

 

「みんな…。」

 

「うずめ。いつも君にばかり戦わせてすまない。だが、今は、オレたちも一緒だ!」

 

「海男…。―――――うん!」

 

海男のその言葉に、涙をこらえるうずめだったが、いつまでも感激に浸っているわけにもいかない。力をくれているということは、マジェコンヌたちに攻撃されることを意味している。早くフィールドを展開しなければ、エビフライたちモンスターたちにも被害が及ぶ。

モンスターたちの声援を受けて、失意の中から復活したうずめが、再びシェアリングフィールド形成の声を響かせる。

 

「シェアリングフィールド、展開ッ!」

 

その声と共に、再び盾のパーツに光が灯る。展開を開始し、エネルギーが放出される。

だが、それをやすやすと許すマジェコンヌたちではなかった。それを見て、マジェコンヌとエクスが動く。

 

「無駄ダ!シェアナド、何度デモ打チ消シテヤルワ!」

 

「全テ受ケ入レヨ!絶望ヲナ!」

 

「くっ…!」

 

その声と共に、黒いオーラのようなものがマジェコンヌたちを覆う。そして、そのオーラを衝撃波として飛ばしてくる。

衝撃波はそのまま三次元的に放たれ、シェアリングフィールドとぶつかり合う。しばらくの間ぶつかり合っていたが、二つが弾け合うとどちらも消滅した。しかし、それは同時に、こちらのシェアリングフィールドも消滅してしまったということだ。

そんな…これでも駄目なの?うずめの今できる最大限のシェアリングフィールドを張ろうとしたのに…。

 

「そ、そんな…!?うずめたちのシェアを全部使っても、まだ足りないっての!?」

 

うずめたちの全力をかけた展開を、マジェコンヌたちはそれすらも打ち消してしまったのだ。もはやうずめたちに逆転の目はないのか…。そう思われたその時。

懐かしの声が、耳に響く。

 

『でしたら、こちらのシェアを使って下さい。』

 

「いーすんさん!?」

 

その声にネプギアが一番に気づく。そう、その声の主は、ネプギアたちの保護者とも言える、プラネテューヌの教祖、イストワールだった。

だがしかし、それだけではなかった。

 

『おまたせ、ネプギア、光樹。いーすん、完全復活だよ!』

 

「ネプテューヌ!間に合ったのか!?」

 

そう、それは小さなネプテューヌの声であった。久々の登場が、うずめの盾のパーツに変化しているヴィジュアルラジオを通してのものだったが、それでもこのタイミングで電話がかかってくるということは、悪い流れではないとうずめたちを奮起させる。

小さなネプテューヌも、待たせたことについて詫びる。

 

『当然!逃げも隠れもするけど、嘘は言わないのがわたしだもんね!』

 

ねぷっちの言う通りだ。世界を隔ててても、ちっちゃいねぷっちは、うずめたちの味方なんだ…!けれど、通信が繋がっただけじゃ、何も力にはならない。いや、声が聞けただけでも、嬉しいし、まだ諦めないという気持ちは浮き上がる。

すると、ネプテューヌと共に話していたイストワールがこの状況の打開策を伝える。

 

『うずめさんの端末を通して、こちらの世界のシェアエネルギーをネプギアさんに送ります。きっと、ネプギアさんなら、うまくシェアを使いこなせるはずです。』

 

それは、ネプギアたちの世界にて得られたシェアを、こちらの世界で使うというものだった。別の次元のシェアも使ってなら、単純なエネルギー量でなら、シェアリングフィールドを解除させるほどの黒い波動を打ち消せるかもしれない。

その可能性に、かける他何もなかった。だから、うずめはぎあっちに頷く。それに対し、ぎあっちも理解したみたいで、頷きを返すと先程の言葉に返事をする。

 

「はい、分かりました!」

 

その言葉と同時に、イストワールはエネルギーの転送を開始する。

 

『ネプギアさん。あなたに力を―――』

 

ヴィジュアルラジオ改を通して、ネプギアにシェアエネルギーが送り込まれる。シェアを受け取ったネプギアは、胸の前にシェアクリスタルを出現させて、女神化する。

女神化したネプギアは、そのシェアの力に安心した様子を見せる。

 

「この懐かしさと温かさ…うん、これこそ私の世界のシェアエネルギーです!これをうずめさんのシェアエネルギーに共鳴させれば!」

 

シェアを受け取ったぎあっちは、うずめの方にシェアの共鳴を行う。シェアとシェアが混ざり合う感じを、うずめも感じる。

うずめの世界のシェアとは、少し違う…けれど、本質的には同じような力を感じる…。これが、ぎあっちと小さいねぷっちの世界のシェア!

その輝く思いを受けて、二人はまたマジェコンヌたちに顔を向ける。その二人に対し、大小のネプテューヌの応援の声が重なる。

 

『二人共、いっけええぇぇぇーーー!!』

 

『はああああああああああああ!!!!!』

 

二人の力のこもる声が響く。

シェアの光が、加速度的に瞬く。これならいける。誰もがそう思った。

 

 

 

 

しかし。

 

 

 

 

「我ガ居ル限リ、モウ貴様ラノ思イ通リニハサセン!!タキオン・スライサー、ダークネスドライブ!!」

 

エクスが振ったビームソードが、その輝きを断ち切る。断ち切れた光が霧散していく。

 

「そんな…。」

 

「嘘…でしょ…?」

 

ネプギアとうずめが絶句する。三度目のフィールド展開を阻止されてしまった。

ネプギアに溜められていたシェアも、先程の展開で霧散した。もう、うずめたちに、残された手はなくなった。

ゆっくりと、だが壮大に足音を立てて、敵はこちらに迫る。しかし、うずめに、もう立ち上がる気力はなく、へたり込んでしまった。

もう、本当にダメだ。結局、世界を救えないまま、ここで…。うずめは完全に諦めていた。うずめだけじゃない。ぎあっちも、おっきなねぷっちも、海男も、ちっちゃいねぷっちも、、光樹も、誰もが言葉を失うように黙っていた。

全てを受け入れるかのような姿に、マジェコンヌは高笑いを見せる。

 

「ハーッハッハッハッハッハ!コレデモウ終ワリダナ。ココデ果テルガイイ、女神ノ小娘!」

 

 

 

 

その時だった。

 

「…きらめるな…」

 

そんな小さな声が響く。誰が発したのか、分からなかった上、聞き取れなかったので、何を言っているのかも分からなかった。

涙で目の前が良く見えないでいると、後ろの方から風が通る。それと同時に、涙で見えない視界の中で、黒い物体がうずめの目の前にいることを感じ取る。

 

(…この姿…は?)

 

黒い姿ということは、この場に二人しかいない事を指す。一人はパーカーが黒い少女、そして、もう一人は黒い鋼鉄を纏った少年。しかし、先程聞こえた声は、間違いなく、少年のものだった。それが意味するのはただ一人の存在だ。

涙をぬぐったうずめの目に見えたのは…。

 

 

 

 

「まだ、諦めるなよ!」

 

ゴッドクロスを身に纏った、光樹の姿であった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さぁ、原作と違う所はどこかな?

レイ「…どこ?」

ジャンヌ「…すみません。なんで三度目のシェアリングフィールド発生が出来なかったんですか!?」

レイ「え!?本当なら三回目で張れるの!?」

ジャンヌ「はいっ!藤和木の編集中に見ていた場面では、確かに三度目の正直と言わんばかりにシェアリングフィールドを張ることが出来たのに…。エクスのせいですよね?」

ジャンヌさんご名答。ぶっちゃけエクスがいるなら、こういうこともあり得るんじゃないかってことで変えさせていただきました!いや、だって原作ではマジェコンヌ単独だったし、仲間いるならこうなるんじゃないかなと。

ジャンヌ「まぁ、確かに…。」

レイ「でも、そこで光樹君が前に出たね!さぁ、光樹君がこの流れを変えてくれるのかなっ?」

それは次回で明らかになりますよ。さて、今回はここまで!

レイ「次回は日曜日辺りだって。」

ジャンヌ「ちなみに藤和木はその日、またバトスピの大会だそうです。それも新作の赤緑を崩して作る赤白混色だそうです。」

今度こそ!優勝をもぎ取ってみせる!では次回もお楽しみに!







ジャンヌ「さて、藤和木。分からないと答えた理由を…」

いや、だってさ、私ジャッジメントの追加ターンで何度かピンチを切り抜けているからさ。

レイ「でも赤白でジャッジメントって出せるの?」

一応、コアブーストをできるようにメインド・ウルフを入れてるし、何より今回の弾で出たレーシングペンタンを入れてる相手に、このままだと決めきれない可能性があるからな。

ジャンヌ「でも…。」

でも、結局決めるのはカードが売られるようになってからだな。まだ売られてないから、実際にデッキを作れないし。まぁ、10月1日、2日の店舗決勝までには決めますよ。だから対戦相手、二人共お願いしますよ?

レイ「うん、りょーかい!」

ジャンヌ「…はいっ!」


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第76話 開戦は放たれし虹の光

どうも、皆様、お元気でしょうか、バトスピ大会に新作のデッキを持っていって準優勝に終わりました、藤和木弘です。

ジャンヌ「まだ店舗決勝ではないんですから、いいじゃないですか、また次があるんですから。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「そうそう、今回は試運転なんだから、本番で勝てたらいいんだから!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

うん、そうだね。さて、本日は第76話をお送りします。さて、前回は光樹君の言葉が飛んだところから、今回の始まりですね。

レイ「光樹君のみんなに対する叱咤激励!光樹君がまさかの展開を起こしてくれるのかなっ!?」

ジャンヌ「楽しみですね。光樹さんがどのような戦いをするのか…!」

光樹君が、かのガンダム少年の如き活躍を見せてくれるのか?それでは本編へ!


 

 

この最悪の状況の中、光樹はうずめの前に出た。それは、うずめを守るかのようで、実際、今の光樹はうずめを守ることと、「あること」を行うために前に出ていた。

今の光樹が、うずめを守る理由は変わっていた。あの「夢」に出てきた女神の言葉だけではない。うずめという、一人の「少女」を守るために、その前に立っていた。

誰もが勝利を絶望している中、どうしてここまでして立っていられるのか。それにはただ一つの決意があった。それは、光樹が身に纏いし機械の鎧、NPの名称の「ガンダム」という単語に込められた思いだ。

ガンダムは、光樹の憧れてきた存在、剣だ。一言にガンダムと言っても、作品ごとにその捉え方は違う。戦争を終わらせる切り札、反乱分子の象徴、黒歴史、神…様々なガンダムのパイロットである少年達によってその世界では英雄として捉えられることがある。

そして今、光樹はその英雄の一人でもあるのだ。例え絶望的な状況でも前に出なければならない。ガンダムという単語は、それほど重く、そして覚悟のある名前なのだ。

だから、光樹は前に立っていた。仲間を守るために、仲間を導く軌跡を刻むために。

その姿を見て、エクスが嘲笑する。

 

「フン、黒ノ少年カ。ダガ、例エ黒ノ少年デモ、今ノ我ヲ止メルコトハ出来ン!!」

 

エクスには完全に光樹に対する余裕が見えていた。こちらの切り札であるシェアリングフィールドを完全に封じることが出来たからだろう。実際、それは当たっていた。こちらはシェアリングフィールドを展開できない以上、逃げるか、玉砕覚悟で突っ込む、それか、ただやられるのを待つかだけであった。

だが、それをひっくり返せないわけではないことを、光樹は知っていた。

しかしながら、まずはこの絶望しきった全員を再起させることが先決だ。光樹は全員に聞こえるように言う。

 

「みんな、まだ諦めたら駄目だ。まだ希望は残ってる。」

 

「希望って…でも、シェアリングフィールドは形成できないんですよ!?それに、私たちの世界のシェアだって、もうほとんどを使い果たして…」

 

ネプギアが今の悲惨な状況を伝える。

確かに、この状況はもう絶望以外の何物でもないだろう。俺も正直言ってどうなるか足がすくみそうだった。けど、まだチャンスは、方法はある。そのことをゼロが導き出してくれた。なら、その手に賭けるしかないのだ。

そこで光樹は、その策を通達する。

 

「俺のゴッドクロスの、トランザムレボリューションバーストを使う。」

 

トランザムレボリューションバースト、その単語を聞いて、うずめ陣営のメンバーは全員が頭にはてなを浮かべる。それも当然、ほとんどのメンバーは、というより、光樹以外は知っているはずがなかったからだ。

簡単に言えば、トランザムシステムの粒子放出量を遥かに超える粒子を放出するということだ。もっと分かりやすく言えば、機動戦士ガンダム00の主人公、「刹那・F・セイエイ」の駆ったガンダム、「ダブルオーライザー」の機能、「トランザムバースト」を再現した機能である。その機能の効果は、人々の思いを繋げる空間を形成すること。

それが、何故今の状況を打開できるのか、そう思っただろう。だが、シェアの力は、「人々の思い」だということを知っていた。ひょっとすると、空中に散ったシェアを、再び散布された高濃度AN粒子がネプギアとうずめ、二人の女神とを繋げ、シェアリングフィールドを展開できるのではないかと考えたのだ。

だが、それが理論的にできるか、光樹は分からなかった。それも当然。光樹は記憶がないのだから。しかし、光樹には、頼れる相棒がいた。それこそがゼロ―――ZEROシステムだった。すぐに策を思いついた光樹は、小声でゼロにそれが可能かを計算してもらった。そして出た答えは、「理論上、そして実戦的にも可能」ということだった。その上、ゼロは先程のエクスと一体化したエクストリィムのタキオンスライサーの攻撃で解除されることも計算に入れ、消費粒子量の詳細もデータにまとめていた。

消費粒子量はかなりの量になることは分かったが、それでも、今はあいつらをシェアリングフィールドに封じ込める必要がある。光樹は二人に口頭で指示を出す。

 

「ネプギア、うずめ!俺がトランザムを使ったら、もう一度シェアリングフィールドの形成を!」

 

「ト、トランザム?」

 

「とにかく、赤く光って粒子を大量に放出したらシェアリングフィールドの展開をもう一度!分かるだろ、うずめ!」

 

タイミングを教えて、うずめが頷く。それを確認して、光樹はゴッドクロスのトランザムを起動させる。トランザムの効果により、ゴッドクロスの装甲が赤く染まる。

いつもなら、そこから高機動性を生かして突撃していたが、今回は違う。すぐにトランザムレボリューションバーストを始動させた。

 

『トランザムシステム、ドライヴと完全同調。ゴッドクロス、トランザムレボリューションバースト始動。』

 

ゼロの音声と共に、機体各部のスラスターが展開され粒子が大量に放出される。しかし、これまでのAN粒子とは違い、暗めの赤色であった色は、輝きを帯びて、虹色がかった赤に変化していた。

その起動と同時に、装着者の光樹にも変化が起きていた。装甲内の光樹の目が、虹色に輝いていたのだ。それは、光樹のイノベイタータイプとしての能力だった。

光樹の発する脳粒子波が作用し、完全開放された粒子は、勢いよく街を駆け抜け、決戦の地を完全に包み込む。その様子は、外から見れば、虹が街を覆っているかのような様子だった。

それと同時に、ネプギア達がある感覚を得ていく。

 

「…あれ、シェアの力を、感じます!」

 

「ホントだ!けど、なんで!?使ったはずのシェアが戻ってくるなんて…。しかも、前よりも強く…!」

 

ネプギア達が、失ったはずのシェアの力を感じ取ったのだ。繋がった理由は、もちろんゴッドクロスの使用するトランザムレボリューションバーストの影響だった。霧散したシェアを、AN粒子で繋ぎ留めていた。

それだけではない。失われる前よりも、シェアの力が強まっていた。これは、先程のゼロの予測に含まれていた、AN粒子でシェアを増幅させる効果によるものだった。

増幅されたシェアを感じ取り、ネプギア達は、再び立ち上がる。それは、絶望を振り切った証拠であった。ネプギアとうずめは、今一度、叫ぶ。

 

『はああああぁぁぁぁぁ!!…シェアリングフィールド、展開ッ!!!』

 

うずめ達を、シェアの光がまた覆う。それも、先程よりも強く、更に周囲のAN粒子と同じくらいの輝きを見せていた。光はAN粒子を取り込みつつ、大きくなっていく。

 

「オノレ!ダガ!我ノ一撃デ今一度!!」

 

それを見て、エクスもまた再展開を阻止しようとタキオンスライサーに暗黒のオーラを纏わせて、振りかざす。今度もまた阻止しようとするつもりらしい。

しかしながら、それは遂に実現することはなかった。シェアリングフィールドと敵の高出力ビームソードがぶつかり合う。だが、ビームソードが徐々にシェアリングフィールドに押されていく。それに加えて、ゴッドクロスから放出されるAN粒子の奔流が、エクストリィムの振り下ろしに対抗し、間接的にネプギア達のアシストを行なっていた。

そして、敵の抵抗も虚しく、フィールドが敵二体を飲み込んだ。

 

 

 

 

「よし、やったぞ!」

 

光樹は思わず喜びの声を上げる。ここまで持ち込めれば、なんとかできるだろう。

 

『シェアリングフィールド展開確認。トランザムレボリューションバースト解除。』

 

ゼロもフィールドの展開を確認すると、すぐにゴッドクロスのトランザムレボリューションバーストを停止させ、粒子の放出を停止させる。まだこれから戦闘が控えているのだ。これ以上粒子を放出するのはまずいだろう。光樹もそれは理解していたので、特に止めることもなかった。

シェアリングフィールドに取り込まれたマジェコンヌ達は苛立ちを見せる。

 

「オノレ!オノレ女神!!そしてガンダム!!!」

 

「ダガ、コノ程度デヤブレル我ラデハナイゾ!!」

 

シェアリングフィールドに取り込まれたことは予想外のようだったが、それでも、まだ勝ち目はあると思っているらしい。

確かに、その考えは正しいかもしれない。シェアリングフィールドは、うずめが発している。その為、うずめが倒れれば、このフィールドも維持が出来ず、崩壊するだろう。敵もそれを狙って、うずめに集中攻撃してくるかもしれない。

しかし、そんなこと、させるつもりなんてない。うずめを守るために、俺も全力を出し、その進撃を止める。

光樹の思いが再び強くなると共に、こちら側の有利な状況が、更に追加されることとなる。

 

『いやー、予想外のハプニングはあったけど、これでこっちの作戦は成功だね。それにマザコングたちには残念だけど、プレゼントはシェアエネルギーだけじゃないんだな、これが!!』

 

「…え?」

 

装着したプロセッサユニットの盾パーツから通信を行っていたうずめが、一瞬キョトンとする。プレゼントという意味が分かっていなかったのだ。

どういうことかという疑問はあったが、すぐにそれは晴れた。うずめ達の後方から、ネプテューヌが現れたのだ。

颯爽と現れたネプテューヌは、自慢げに名乗りを上げる。

 

「わたし、参上!やっぱり、ラスボス戦に主人公は必要不可欠だよね!」

 

「お姉ちゃん!」

 

ネプギアが、そのサプライズな登場に驚きと喜びを見せる。これまで何度もゲイムギョウ界を守ってきたプラネテューヌ最後の希望、ネプテューヌがやってきたのは、光樹達にとっては心強い救援だった。

その登場は、他の三人にも反響を与えた。

 

「おおーっ!もう一人のわたしだ!ちっちゃい!」

 

「ねぷっち!来てくれたんだ!」

 

「まさに、総力戦、だね。」

 

大人ネプテューヌとうずめ、海男も、ネプテューヌが来たことに喜びを感じる。特に大人ネプテューヌは別次元のもう一人の自分に会えたことに対して、感激していた。

今の状況は、先程の海男の言葉通り、まさに「総力戦」だった。これだけの戦力、これなら勝てるだろう。とはいえ、今のところ、エクストリィムを倒せるのは光樹のゴッドクロスくらいしかいないので、エクストリィムとは一対一であるが。

そんなことを考えつつも、光樹は意識を再びマジェコンヌらに向ける。この最後の決戦、勝たなければ、未来はない。それに肯定するかのように、ネプテューヌが女神化する。ここは自称主人公としても、本気で戦う必要があると判断したのだろう。

ネプテューヌも本気を見せつつ、戦闘準備が整う。その一連の流れを見ていたオレンジハートがここにいない者達に対してにも向けて、決戦へと言葉を紡ぐ。

 

「海男、ひよこ虫…みんな…ありがとう。そして、ねぷっちに、ぎあっちにでっかいねぷっち!そして…光樹!最終決戦、みんなで勝ちに行くよーっ!」

 

その声と共に、最終決戦へと立ち向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな言葉を聞き届けた後、光樹は場所を変えてエクストリィムと相対する。といっても、動いたのはエクスで、光樹はそれを追うように移動しただけなのだが。

うずめ達と距離が離れたことで、すぐに救援に行くことが出来なくなった代わりに、うずめ達にエクスの攻撃が行かないようになったとも言える。どちらにしろ、光樹としてはエクスとは一対一の方が、他に迷惑をかけることがなく、思う存分に戦えると考えていたので、それはそれでよかった。

その一方で、このシェアリングフィールドはどれほどの体積・質量を持っているのかということが気になった。ダークメガミだけが良く見え、うずめ達の姿はあまり見えない距離まで離れたため、そう思ってしまったのだ。

しかし、それまで離れられるのなら、それに対しては問題ないだろう。光樹はエクスに体を向ける。それを見ていたエクスは憎しみを持って言葉を発する。

 

「ココナラバ、モハヤ邪魔ハ入ルマイ。」

 

「そうだな。これなら、こっちも本気を出せる。」

 

光樹もそれに乗るかのように、エクスを挑発する。どちらも、相手の一手を待っていた。

長めの沈黙が続いた後、二体のガンダムの装着者と融合者は言葉を紡ぐ。

 

「サテ、ココデ貴様ニ引導ヲ渡シテヤロウ!今度コソ爆ゼヨ!!」

 

「ここで、お前との決着を付ける!ゼロ!!」

 

『了解した。』

 

ゴッドクロスは突撃の体勢を取る。そして、合図の言葉を飛ばす。

 

「シュバルトゼロガンダムゴッドクロス、和藤光樹…目標を、駆逐するっ!!」

 

絶望の象徴と、希望の皇が、飛ぶ。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

レイ「光樹君が虹色にたっくさん輝いてたねっ!私もやってみたーい!」

いや、今でも十分に輝いていると思うんですがそれは…。

レイ「でも、もっともーっと輝きたいよ!それに私の光はみんなに物理的に力を与えたり、あんな現象起こせないからね。」

ジャンヌ「レイさんがあの光を使えたら、もっとレイさんを見る輩が…でもそんなレイさんをわたくしも見てみたいです!…それと、ネプテューヌ様もここでまさかの零次元へと復帰ですね。」

さぁ、自称主人公なネプテューヌも含めて、女神達、そして、光樹君は勝てるのか!?それは次回以降だ!

ジャンヌ「では、次回は土曜日辺りになると思われます。」

レイ「みんなー!次回も、よろしく!!」


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第77話 世界を救う戦い、目覚める黒の次元皇

どうも、皆様、お元気でしょうか。パソコンのアップデートで投稿時間が遅れてしまいました、藤和木弘です。

ジャンヌ「本当にいきなりパソコンを付けたら、そうなりましたからね。しかもアップデート速度も遅かったですし。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

いやー、私も流石に焦った(笑)

レイ「でも、今日は投稿出来てよかったね!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

さぁ、今回は第77話の投稿です。いよいよ、ダークメガミ、並びにエクストリィム、いや、この場合はマジェコンヌとエクスと言った方がいいですかね?零次元編のラスボスとの決戦です!

ジャンヌ「女神のネプテューヌ様も参戦する、零次元最後の戦いですね!」

レイ「光樹君も、最後の切り札を使うことになるみたいだけど…どんな機能なのか、楽しみっ!」

私はそれよりも、プレバン限定のバトスピの詩姫の聖夜祭限定のジャンヌさんとレイさんが楽しみ!

レイ「…え?」

ジャンヌ「藤和木…流石に、それは…。」

待って!冗談だから!こっちも同じくらい楽しみにしてたから!これでようやく遅れてたタグが嘘にならないからさ!

レイ「それって、スパロボの?」

そうそう!さぁ、ゴッドクロスが次元の皇になる時、物語は一つの終わりを見る!そろそろ本編へ!プレバンの話はまたあとがきで!


 

 

「皆さん、散開を!敵の注意を分散させましょう!」

 

女神化したネプギアの言葉に従い、パープルハートたちは飛ぶ。その場所に、ダークメガミとなったマジェコンヌがその巨腕をぶつけてくる。幸い、ネプギアの言葉に全員が従ったことで、ネプテューヌたち女神側の被害はゼロだ。

流石ネプギア。私の妹なだけはあるわ。思わず心の中でそう思う。私が居た時よりも、ネプギアも判断が良くなっているように見える。おそらく、私がいない間に成長したようだ。

自分の妹の成長に喜びつつも、その言葉に従って、ダークメガミを囲むように四人は展開する。その様子を見て、ダークメガミことマジェコンヌは苛立ちを見せる。

 

「終焉ヲ受ケ入レロ!」

 

マジェコンヌはダークメガミの力で、こちらに攻撃を仕掛けてくる。巨腕を再び浮遊する岩の一角に振り下ろす。そして、そのまま横に薙ぎ払う。岩の上に存在するもの全てを薙ぐ攻撃に対しその岩に居たうずめは薙ぎ払われる前に飛んで回避する。回避したうずめは、そのまま別の岩に着地する。

だが、それだけで終わりではない。今度は大きなネプテューヌの方を向くと、再び巨腕を富裕岩に叩き付ける。しかし、今度は何度も打ち続ける。その衝撃で、大きなネプテューヌは揺られ、その巨腕から逃げるために何度か岩全体を回った後、他の岩へと飛び移る。

それを見たマジェコンヌは、更に執拗に攻撃を大きなネプテューヌに集中させる。その攻撃に横槍を入れるかのように、パープルシスターがM.P.B.Lのビーム射撃で追撃を抑え込む。

その攻撃で注意をひかれたマジェコンヌは、そのまま攻撃してきたネプギアに対して攻撃を行う。その攻撃を、ネプギアは回避する。

すると、それで興味がなくなったのか、はたまた面倒になったのか、攻撃目標を再び大きなネプテューヌに仕掛けていく。その攻撃を、大きなネプテューヌは次々と浮遊する岩を駆け巡って回避していく。

その間にも、背後を取る形となったパープルシスターとオレンジハートが、マジェコンヌの背後と左側から攻撃を放っていく。音波攻撃にビーム射撃、拳と斬撃。二人の攻撃を受けたマジェコンヌは、たまらず反撃とばかりに両手を使って二人に攻撃を浴びせる。

しばらくの間、避けながら攻撃を行う二人。その二人の動きに、マジェコンヌもやや苦戦気味だ。しかし、何度目かの打撃で岩のいくつかを破壊すると、唐突に再び、マジェコンヌの攻撃対象は、大きなネプテューヌに移ることとなった。

一体なぜ、マジェコンヌが大きいもう一人の自分に対して、攻撃を仕掛けるのか分からなかった。この状況では、初見なら、そう思うのも当然だった。

マジェコンヌが執拗に大きなネプテューヌを集中して狙う理由はただ一つ。マジェコンヌが捕まっている間、大きなネプテューヌが雑に扱ったためであった。その事を、未だにマジェコンヌは根に持っていたのだ。

それを知らないパープルハートだったが、そんなパープルハート自身も、いつまでももう一人の自分を狙わせるわけにもいかず、大きなネプテューヌに対して放たれた一撃を、刀で二人の間に割って入って受け止める。

 

「おおっ、もう一人のわたし!?」

 

「大丈夫?といっても、この状況はまずいわね…。」

 

ダークメガミの拳を、刀の刀身で受け止めつつ、大きい私に、私は言葉を返す。その言葉の交わし合いから、どうやら私と性格はそれ程変わらないみたいだ。女神化する前の私に似た雰囲気だと感じる。

そんな事を考えていたが、徐々に拳に刀が押されていく。既に足は地面に付き、腕に負荷がかかっていく。このままでは、地面に押しつぶされ、大ダメージを負うのが確定だ。

危機を察したパープルハートは、大きなネプテューヌに退避を命じる。

 

「もう一人の私!ここから逃げて。もう持たない!」

 

「うん!分かった!」

 

それを聞いた大きなネプテューヌが、先にその場から退散する。それを確認して、パープルハートも動く。後ろに飛び去って、攻撃を回避する。しかし、このままだとまた大きなネプテューヌに攻撃が行きかねない。その予想を回避するために、パープルハートは背部のウイングユニットを出力全開にしてダークメガミの懐に飛び込む。

飛び込むと同時に、胸元目がけてクロスコンビネーションで切りかかる。胸部の輝く部分を集中して切り込む。狙った理由はただ一つ。こういったボスは、ゲームで光り輝いている部分はコアと呼ばれる弱点であることが多いからだ。ゲームからの知識ではあったが、それでもダメージは大きいはずだ。

そのパープルハートの考えは正しかったようで、その攻撃を受けて、ダークメガミが大きく仰け反り、マジェコンヌが唸る。

 

「クッ。コノ程度ナラバ、マダ戦エル!!」

 

攻撃が効いたのを見て、パープルシスターもその事実に気づき、攻撃を敵のコア中心に攻撃を仕掛けていく。横からの攻撃で狙いは甘かったが、ビーム射撃の何発かがダークメガミの胸部にヒットし、電撃が走る。

その攻撃に反応し、ダークメガミの攻撃の狙いが、パープルシスターに切り替えられる。巨腕をパープルシスターに目がけて何度も振るい、岩の表面を薙ぎ払う。

幸い、パープルシスターはその攻撃を見切り、余裕をもって回避していた。敵が大きい分、動きは遅いので回避するのは目で動きを見ていれば回避できる攻撃であった。

攻撃がネプギアの方に集中している間にも、こちらは何もしないわけではない。女神化した私とうずめが、岩を蹴って飛び、ダークメガミの背後に近接攻撃を浴びせる。硬い鎧に刀による攻撃はあまり通りづらく、目立った効果は出ていない。しかし、何度も攻撃を与えていけば、それはダメージに繋がる。それに、シェアの攻撃なら、多少の物理法則的な何かの問題は突破できる。

パープルハートのクロスコンビネーション、クリティカルエッジ、桜花一閃。オレンジハートの咆哮夢叫、夢幻粉砕拳、夢創衝破拳。二人のスキル技が次々と叩き込まれる。これだけの連撃に、ダークメガミに影響がないわけがなかった。攻撃の度に、マジェコンヌの一体化した拳の攻撃が、狙いを外して空振りに終わっていた。

その攻撃に怒りを覚えたマジェコンヌは、ダークメガミとなったその体を、今度はパープルハートとオレンジハートの方に向け、攻撃の対象にする。マジェコンヌは、まずはパープルハートの方に狙いを絞る。今度もまた拳による攻撃が来る…と思い、飛び上がろうとする。しかし、今度は違った。

 

「甘イワァ!!」

 

ダークメガミとダブった声でそう言い放つと、拳をパーの形にして向ける。そうすると、手に光が集まる。

私の予想と違う…!読まれた!?そう察した私は、すぐに回避行動を取る。

その直後、ダークメガミの掌に集まった光が放たれた。魔力によるビーム攻撃だ。

一瞬にして放たれたビームが、パープルハートの横を通り過ぎる。かなりのエネルギーのこもったビームだった。回避はしたものの、その熱量を体に感じていた。この一撃を真正面から受けていたら、攻撃を防御しても、かなりの反動を喰らっていたか、もしくは押しに負け、吹っ飛ばされていたかもしれない。シールドを持っているオレンジハートはいいとしても、自前の専用防御手段を持っていない者なら、素手で発生させたシェアシールドでも持たなかっただろう。

攻撃を避けたことを喜んでいる内にも、マジェコンヌはダークメガミの力を存分に振るってくる。拳の攻撃に、先程放った魔力ビームによる射撃も絡めての攻撃で、パープルハートたちを追いつめていく。攻撃が浮遊岩を破壊し、少しずつ足場の余裕をなくしていく。

その暴れぶりを止めようと、パープルシスターが横合いからM.P.B.Lの近接格闘戦モードへと切り替え、胸部に向け攻撃する。攻撃はダークメガミの胸部を見事に切り裂き、コアの核の部分から光の粒子を吹きださせる。

その一撃を喰らい、マジェコンヌは苦しみを見せる。

 

「グォォォォォ!?我ガコアヲ狙イオッテェ!!貴様ラ、命ヲ絶ヤスダケデハ済マンゾ!」

 

怒りの声と共に、マジェコンヌが飛び上がる。空中に飛びあがると、一気に急降下してくる。それを見て、全員がその場から退避しようとする。ただ一人、大きなネプテューヌだけは飛ぶことができないため、パープルシスターが運ぶ形で、飛び上がった。

そのままダークメガミは地面ともいえるシェアリングフィールドの底に着地すると、地面から衝撃波が発生する。その衝撃波は空中まで影響し、風圧で四人は空中でバランスを崩す。

 

「きゃあ!?」

 

私は思わず声を上げる。姿勢制御が失敗したためだ。ネプギアもうずめも、私と同じように空中での浮遊に苦戦している。

 

「うわわっ!」

 

「うわぁ!と、突風のせいで…飛びにくい…!」

 

うずめは一人だから大丈夫みたいだけど、ネプギアはもう一人も私も抱えているせいか、余計制御に苦戦しているみたいだった。それを心配するかのように、大きい私もネプギアに抱えられつつも聞く。

 

「大丈夫?ネプギア。」

 

「はいっ。まだこれなら!」

 

その声に答えたネプギアは、持ち前のメカニックとしての腕で細かいプロセッサの制御を行い、地面へと着地する。

その様子にパープルハートは安堵する。が、そこで。

 

「余所見ヲシテイル暇ガアルトハナァ!!」

 

「っ!しまっ…!」

 

パープルハートがその声に気づいた時には遅く、その体はダークメガミの腕に体が振るわされる。ダークメガミの腕は、そのままパープルハートの体を捕え、そのまま地面へと向け弾き飛ばす。弾かれた体は、地面に直撃。土埃を上げる。

立ち上がらなければやられる。そう思うパープルハートではあったが、先程の衝撃で、体がいうことを聞かない。そのままパープルハートは、意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎあっち!ねぷっちが!」

 

オレンジハートの声が、パープルシスターにも届く。先程の光景は、パープルシスターも見ていた。その原因が自分にあることに少し責任を感じるが、今はそんな感傷に浸っている暇はない。そう切り替えたパープルシスターは、姉であるパープルハートの抜けた穴を埋めるべく、大きなネプテューヌを近くの岩に降ろすと、再び飛び上がり、離れたところから自らの武器であるM.P.B.Lを撃つ。トリガーを引く度に放たれるビームは、的確にマジェコンヌに当たっていく。しかし、それでもダークメガミの動きは止まることなく動く。

すると突然、ダークメガミがこちらを振り返る。攻撃してきたパープルシスターに狙いを変えたのだ。未だに倒れたままの姉、パープルハートに攻撃が行かないことについては、パープルハートとなっているネプギアとしてはありがたいことではあったが、攻撃に対処する必要がある。

予想通り、マジェコンヌはダークメガミとなった腕で攻撃を仕掛けていく。パープルシスターはプロセッサユニットのウイング部分を制御しつつダークメガミの拳の攻撃を回避、もしくはM.P.B.Lを使って攻撃を受け流していく。順調のように見えるが、敵の一撃が重いため、徐々に押されていく。

このままじゃ、ただ攻撃を受けるだけ…でも、抜け出せない!私は何とかしてこの拘束から抜け出そうとするけれど、それを予想するかのように逃げる道を両手を次々と振りかざしてくる。

 

「くっ!攻撃が激しい…!」

 

攻撃を避けて一言発したところで、パープルシスターは、目の前に迫る危機を知る。目の前には、こちらを掴もうとする手が。

 

(…避けきれない…っ!)

 

相対速度、攻撃の向きから、プロセッサユニットの出力を極限まで出して緊急回避をしても、おそらく避けきれないだろう。このままでは捕まる。パープルシスターは、頭の中で思考を加速させる。しかし、その答えに行きつく前に、ダークメガミの手は、パープルシスターを捕えられる距離まで来ていた。

パープルシスターの考えも虚しく、捕まった…

 

 

 

 

 

 

 

 

パープルシスター達がダークメガミと戦う頃、光樹もまた、エクストリィムと一体化したエクスと戦闘に入っていた。

まずは、互いの射撃兵装が火を噴く。ゴッドクロスのANロング・メガ・マグナム二挺と胸部のANディメンションスマッシャー「ヘルヘイム」から放つビームは、エクストリィムの肩の関節部分に向けて放たれる。

その攻撃は、残念ながらエクストリィムが高速展開した背部マントパーツが形成するシールドで防御されてしまう。放ったビームの速度とそれに対応する反射能力。それはエクスがエクストリィムを制御できている証拠でもあった。お返しとばかりに、エクスがエクストリィムのサイドアーマーから取り出す動作を見せ、電撃球…もとい雷光球を投げ、広範囲にスパークを散らせる。球体のように広がっていく電撃の玉の隙間をゴッドクロスが回避し突撃する。光樹だけではなく、ゼロもZEROシステムとして光樹のアシストを行い、器用に隙間をすり抜けていく。

電撃球の壁を抜けたところで、目の前に上段から剣を振り下ろそうとしているのが見えた。光樹はすぐにゼロが提示したANデストロイイーターⅡで受け止めに入る。受け止めると光樹の体に大きな衝撃が走る。大きさが違うことと、上から来ることから、支え切れていたゴッドクロスも重みに負け始める。

 

「くそっ!大きさもパワーも違い過ぎる!!」

 

『ゴッドクロス、出力限界まで上昇。粒子供給量80%突破。しかし…』

 

「これは…もうやばい!!」

 

ゼロとの会話中、危機を察した光樹は敵のビームソードを受け流す。避けたゴッドクロスの至近距離を、一瞬で高熱のビームソードが横切る。受け止められていたビームソードは結界の底に突き刺さる。それを見て一瞬シェアリングフィールドが破壊されてしまうかとも思ったが、大型ビームソードが抜かれても未だに展開されているのを見て、まだ持ちそうではあるのを知る。

しかしながら、未だに安心は出来ない。これが何回も起きればひょっとすると…そう思った光樹は再び射撃戦に切り替える。

 

「ゼロ!極限進化機構!」

 

『了解。極限進化機構『ドライブ』システム起動。』

 

ゼロとの掛け合いと同時に、ゴッドクロスのフレームがオレンジ色に輝きを放ち始める。更にウイングユニットもオレンジ色の線が灯る。ドライブモードを起動させると、すぐに腰部のスタビライザーを展開する。それはAN高純化射撃兵装「オーディン」の発射する合図であった。

一瞬の溜めがあった後、青い光と共に「オーディン」から高出力ビームが放たれる。ビームの狙いは今度は頭部になっていた。これは先に視界を奪うという光樹の考えからであった。

高出力の避けきれないビーム。しかし、エクストリィムは予想外の方法で攻撃を受け止める。ビームがエクストリィムの目の前で拡散を始める。

 

「なっ…!」

 

『ビームソードを盾に…』

 

光樹とゼロは吃驚する。なぜなら、ゴッドクロスの放った「オーディン」のビームを、エクスはエクストリィムに装備された大型ビームソードで防いだのだから。よくアニメで見る、剣で縦にビームを斬るのではなく、面が広い方を向けて、シールド代わりにして。

予想外の防御にこちらも作戦を変える。本当なら、ここで頭部を融解させて、メインカメラを使えなくしたところで首の装甲の隙間辺りからメガミブレイカーを撃とうとしたのだ。だが、これではエクストリィムの首元までたどり着くのは難しい。ここは無理に攻めず、もう一度メインカメラをどうにかして叩かなければ。

この時、光樹は失敗してもまたやればいいという考え方だった。その為、光樹はまたANロング・メガ・マグナムの射撃に戻る。そしてまたエクストリィムが剣を振り下ろしてきたところで回避して「オーディン」を撃とうと考えていたのだ。

しかし、その考えをエクスが読めないわけがなかった。エクストリィムと融合していたエクスは笑う。

 

「フン!貴様ノ動キナド、トウニ読メテイルワァ!!」

 

その声と共にエクスは全身のスラスターを吹かす。それにより、ゴッドクロスはエクストリィムの懐に入る。否、エクストリィムがゴッドクロスを自らの距離に抑え込んだのだ。

圧倒的な加速に光樹も驚いていた。まさかあの巨体でこの距離を詰めてくるとは思ってもみなかった。光樹は何とかしてこの包囲から抜け出そうとゴッドクロスのウイングを前に展開。六基のウイングスラスターを同調させて逃げようとする。だが、その前にエクストリィムが攻める。

 

「タキオンスライサー!乱舞!!」

 

「グッ!」

 

以前に光樹とシュバルトゼロを追いつめた神速の連刃がゴッドクロスに襲い掛かる。その攻撃に対し、光樹はゴッドクロスの武装をマグナムからANデストロイイーターに切り替えていた。デストロイイーターと左肩のANデストロイランチャーのシールドを使えば防ぎきれるという、ゼロからの指示だった。

咄嗟のことに、光樹も疑うことなくその大剣でビームソードを受け止める。受け止めた刃をいつまでも同じところで受け止めていればいつ刀身が溶け出すか分からなかったため、受けた刃を表面で受け流し、攻撃を滑らせて受け流すようにする。それにより、繰り出された七連撃を上手く凌ぐ。しかし、攻撃を受け止めたシールドは赤熱化してデータによれば耐久性が一時的に低下している。また、ANデストロイイーターⅡもまた表面にビームの圧により大きな切れ込みが入ってしまっていた。これではもう武器として使うことも困難だった。

その損傷具合を見たゼロが光樹にANデストロイイーターⅡの廃棄を指示する。

 

『ANデストロイイーターⅡ使用不能。廃棄を進言。』

 

「確かに…こいつ重いしな!盾としても使えなさそうだし。」

 

そう返して光樹はANデストロイイーターⅡから手を放す。離されたANデストロイイーターⅡはそのまま下に落ちて、光樹の視界から消える。それを見届けつつ、光樹は次の兵装として、肘部に装備されたANカタナⅡを構える。実体剣では傷がつけられないと判断したため、実体剣を鞘に納めて持ち手からビームを生成する。

しかし、光樹が行動に移す前にエクスは動く。光樹に向かってタキオンスライサーを投げ放ったのだ。ブーメランのように回転しながら迫る凶刃を見て、光樹も焦りを見せる。

 

「やばっ…!」

 

なんとか下に急加速して回避する。ブーメランとなったビームソードはそのままゴッドクロスが居た場所を通り過ぎる。

攻撃を回避した光樹だったが、それだけでエクストリィムの攻撃は終わることはなかった。今度はエクストリィムがゴッドクロスに迫ってくる。先程の乱舞の時のように急加速してきたのだ。

近づいてきたエクストリィムは、そのまま両手を振り下ろす。鋼鉄の拳による攻撃を、光樹は避ける暇なく受け止めることになった。だがその拳の一撃をゴッドクロスでも止めることは出来ない。すぐに下に向かって弾き飛ばされる。

その間にエクストリィムは投げたタキオンスライサーを回収する。

 

「くそっ!でたらめな出力だ!」

 

ANカタナⅡを取りこぼして、そう愚痴を漏らす。以前よりも遥かに強くなっている敵に対して、そう言う他なかった。その出力にはゼロにも危機感を感じさせていた。ゼロは作戦を立てる。

 

『光樹、トランザムモードに。』

 

「了解!トランザム!!」

 

その声と共にゴッドクロスは赤い光に包まれ、トランザムを起動させる。続いて来る攻撃に回避行動を取った後、両手にANロング・メガ・マグナムを持って敵に急接近する。

しかしながら、ただ突っ込むのではない。距離を取りつつ、回避行動を行いながらANロング・メガ・マグナムを撃つ。ツインモードによる攻撃がエクストリィムの左肩口を抉っていく。

 

「左腕ヲ狙ウカ、卑怯者メ!!」

 

攻撃を受けたエクスはそのような言葉を吐きながら、光樹を迎撃する。

まったく、どっちが卑怯なのか。絶対に巨大兵器を使っているあちら方が卑怯だと俺は思う。けれども、今は試合なんかじゃない。戦いだ。戦いに卑怯なんて言葉はない。

光樹はそう思いながらも、トランザムの急加速でエクスからの追撃を回避する。回避したことでエクストリィムの背後を取る形となった。それをチャンスとして、光樹はゴッドクロスのドライブモードで起動させていた「オーディン」を展開する。ゴッドクロスを見失ったエクスは、辺りを見回す。その隙に、攻撃は放たれる。

だがしかし、こちらを向いた一瞬で敵も攻撃に気づいた。気づいたエクスは、放たれる攻撃に対して背部マントを前に展開し、シールドを形成する。それでもゴッドクロスは「オーディン」のビームを放った。放たれたビームがマントの上部に直撃、弾かれていく。それでも、ゴッドクロスは更にビームを太くする。ビームの出力を上げたのだ。上がった出力はエクストリィム・タキオンのマントを焼いていく。そして、ビームが敵の肩部装甲をマントごと貫く。

 

「何ィ!!?」

 

この出来事には、攻撃を防いだエクスも驚きを見せる。攻撃を防げると思っていたためだ。しかしながら、今の攻撃で光樹に勝ち目が見えた。

 

(左腕部は撃ち抜いた…。おそらく、左手はもう使えないはず…!勝てるかもしれない!)

 

光樹には、まさに逆転への一手に見えた。確かに左手を撃ち抜いたことで左腕が使えなくなったというのは間違いなかった。それにエクスも足を下げて後退していた。このダメージは想定外のことであるのは明白だ。

ここを攻め時を考えた光樹は、ゼロに指示する。

 

「ゼロ!メガミブレイカーを!!」

 

『了解。メガミブレイカー転送。』

 

その声と共に、背部に重みがかかる。メガミブレイカーを装着すると、ゴッドクロスは左腕側に突撃する。エクスは隙を見せまいと右腕側のシールドを解除して、タキオンスライサーで迎撃する。しかし、攻撃は当たらない。

次々と攻撃を回避したゴッドクロスの前に、とうとう左腕の真上が見えた。光樹はすれ違う刹那、メガミブレイカーを展開する。そして、通り過ぎる直前に発射する。放たれた一撃が装甲を穿ち、爆発を起こす。爆発を起こしたエクストリィム・タキオンの左腕は左背部のマントと共に地へと吸い込まれるように落ちていった。

 

「グワァァァァ!?!?」

 

左手を失ったエクスは苦しみの断末魔を上げる。これでこちらも優位に立った。この調子でエクストリィムを攻撃すれば勝てる。そう光樹は思った。

 

 

 

 

だが、エクスもそれで逆転させる気はなかった。

 

「調子ニ乗ルナァァ!!」

 

その声と共に、エクストリィム・タキオンが持っていたタキオンスライサーが巨大化する。刃の部分は結界の外側にまで広がっているほどだ。

その巨大な一撃を、エクスは振り切る。

 

「刹那ニ散レ!!」

 

タキオンスライサーが一瞬で辺りを蹂躙する。その強大なエネルギーの影響により、その射線上とも言える一閃上にあった物全てが大爆発を引き起こす。

その攻撃を何とかビームシールドで受け止める光樹のゴッドクロスにも、爆風の余波が起こる。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

周りの浮遊岩、ビームシールドユニット、ドラグーン、そしてメガミブレイカー…ビームシールドで直接防ぎきれず、タキオンスライサーで切断、およびそれによる二次災害で起こった爆風により、ゴッドクロスの武装が次々と小爆発を起こし、破壊される。

爆風にあおられつつも、なんとか残っていたウイングにより体勢を立て直した光樹は、残っていた浮遊岩に着地する。

あの攻撃は、見たことがあった。エクストリームバーサスでタキオンフェイズが使う、「タキオンスライサー・オーバーリミット」だろう。まさか本当に使ってくるとは…おかげで、モニターに映る武装損壊状況のデータは酷いものだった。爆風と斬撃、二つの攻撃による被害が、そこには映っていた。

ウイングユニットは何とか健在。幸い飛行には何の支障もない。だが残っている武装は右腕部のANノイズドエナジーヴァリアブルリアクタービームシールドユニットとそこに内蔵されているANクロスビームボウガンⅣ、両腕部内蔵のビームサーベルとANフレキシブルアームデストロイブレイカー「ディメンションブレイカー」、そして胸部のANディメンションスマッシャー「ヘルヘイム」と腰部のANヴァリアブルエッジバインダーのみ。後は全て爆発で消失、もしくは使用不能となっていた。

また、頭部のANZEROユニットは変形が不可能となっており手持ち武器は軒並み使えない。メガミブレイカーも延長バレルが破壊、更に手元を離れて使用不能。この危機的状況、もはや、光樹に勝ち目はないだろう。このままやられるだけだ。

だが、まだ最後の手はあった。光樹は、あのことについてゼロに問う。

 

「ゼロ、もうここは「最後の切り札」しかない。この状況で使えるか?」

 

そう、光樹には、ゴッドクロスには、切り札があった。この状況を覆せるかもしれない、最後の切り札が。

しかし、光樹はその詳細を知らないので、この破損状況で使えるかどうかは分からなかった。その為、光樹はゼロに聞いたのだ。

そして、ゼロははっきりと告げる。

 

『装甲各部に深刻な破損なし。ANフレキシブルマルチウイングバインダーユニットも稼働に問題なし。――――いける。』

 

その言葉を、俺は待っていた。「最後の切り札」を使える。それだけで俺の心は諦めることはない。まだ希望がその先にあるのなら、うずめの未来を叶えるため、戦うだけだ。

その時、光樹の脳裏に記憶がよぎる。それはその「最後の切り札」を使うための方法だ。

そして、光樹は起動させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「モード・フルドライブ・アップ。ロストドライヴ接続、解放!…DAI(ダイ)モード、起動!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と共に、ゴッドクロスが光を放つ。しかし、その光は「ドライブ」の時とは違い、鮮やかな青緑色に見えた。

装甲の隙間から光を発していくと同時に、ゴッドクロスにも変化が生じる。機体の装甲がスライドを開始したのだ。腕部と脚部の装甲がスライドし、ゴッドクロスの四肢が一回り大きくなったように見えるようになる。スライドしたことで大きく開いた装甲の隙間は、展開された装甲の裏から更に装甲が展開し、隙間を塞ぐ。また、腕部の変形は肩部にまでおよび、VVVウエポンがこれもまた大きくなっていた。

更に、ウイングユニットも小型スラスターとそれらをすべて含んだ中型スラスターが全て展開され、スラスター口から緑色となったAN粒子のような粒子を発する。

一瞬にしてゴッドクロスは、スマートな姿から、ボディビルダーなどのマッシブな姿に変形、いや、変身したのだ。その姿は、例えるならリアルロボットからスーパーロボットのような姿になったと言える。

変形したゴッドクロスに、力が溢れる。その姿を見て、エクスが唖然とする。

 

「ナ…馬鹿ナ!?ソノ姿ハ…」

 

ゴッドクロスの変化に知っているような口だが、それでも驚きを隠せていなかった。そして、ゴッドクロスの真の姿に変身させた光樹は、自信に満ち溢れた声でゼロと共に機体名を言い放つ。

 

 

 

 

「シュバルトゼロガンダム…ゴッドクロス・ダイ!」

 

『これが我らの、最後の希望だ。人を越えた力が、貴様を破壊する。』

 

 

今、女神と機動戦士の反撃が始まる。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。遂に!スパロボ要素の一つをこちらで調整したものであるロストドライヴ起動!そしてDAIモードの発動です!

レイ「すごい!カッコイイよ!!」

でしょう?

ジャンヌ「確かにカッコイイとは思いますが…これ変形機構と変身機構を両立させているんですよね…?上手く動くとは思えないんですが…。」

ははは、そこはご都合主義ってことで!…と、言いたいところなんだが、実はちゃんと考えてあったりする。

ジャンヌ「へ?そうなんですか?」

そこら辺の解説は、この機体、ダイの解説時にまた少し触れましょう。それよりもだ!遂にプレミアムバンダイでバトスピのアイドル達、ディーバの中でも、総選挙で選ばれ、そこに見事に入ったレイさんとジャンヌさんのクリスマスサンタ特別コスチュームに身を包んだカードもセットで付いてくる!「詩姫の聖夜祭」が予約開始だぜ!!

ジャンヌ「だ、だからその話バトスピ知らない人は知らないですって。」

でも、近況報告としてあとがきはいいんじゃないか?それにジャンヌさんとレイさんが限定カードになるんだし、紹介しておきたいしね。あと、ハーメルンの広告にもたまにそれあるし。

ジャンヌ「はぁ…。」

レイ「でも、今回はサンタさんの衣装なんだよね!みんなにプレゼントを!あと、ジャンヌちゃんにも!」

ジャンヌ「あぁ!レイさん!プレゼントはわたくしですっ!」

ありがとう!ジャンヌさん!ジャンヌさんがプレゼントなんだね!

ジャンヌ「す、すみません。藤和木。今回のカードのテキストフレーバーはレイさんへの…。」

(´・ω・`)ヒドイやジャンヌさん。いや、分かるんだけど、分かりたくなかった。

レイ「あはは…。でも、おかげで12月はクリスマス終わるまではバトスピの世界、グラン・ロロに私たちは戻らないといけないんだよね。撮影とか、イベントとかあるし。」

ジャンヌ「今年のクリスマスは、一緒に過ごせないのは、少し残念です…。」

おおっ!ジャンヌさんが私の心配を!(´;ω;`)ブワッ

ジャンヌ「でも、わたくしは、レイさんさえいればっ!」

(´・ω・`)…だよね。

ジャンヌ「も、もう!藤和木!元気出してください!…でも、その間、藤和木はこの前書きとかは一人でなさるんですか?」

レイ「それ心配なんだよねー。前は一人でやってたみたいだけど。」

あぁ、ご安心を。その間いないかなーと思って、今とあるカップリングに出演依頼を交渉中です。

レイ「あ、そうなんだ。」

ジャンヌ「…ちなみに、誰なんですか?」

睦月如月か、鶴翼コンビ。

レイ「艦これ!?まさかの艦これ!?」

ジャンヌ「う、浮気はしないでくださいね…?」

大丈夫大丈夫。二人以外とは浮気しない!…多分。

レイ「心配だね。もしかして、帰ってきたらお役御免とかありそう…。」

だったら、クリスマスの夜に二人がこっちにサンタさんとしてプレゼントくださいっ!

ジャンヌ「…か、考えて、おきますっ!」

やったぜ(^o^)さて、今回はここまで!

レイ「次回の投稿は金曜日くらいになるみたい。」

ジャンヌ「では皆様。次回もよろしくお願いしますっ。」


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第78話 平和への一撃

どうも、皆様、お元気でしょうか。先週はバトスピ大会でミスって負け、今週は専門学校の友人に連れられ、モンスト物産展やら、ゲームセンターに行って来ました、藤和木弘です。もうこの時点で疲れた\(^o^)/

ジャンヌ「ちょ!まだ力尽きないでくださいっ!?」

だったらジャンヌさんの薄い本でも誰か描いて!

レイ「う、薄い本?何のはなs…」

ジャンヌ「レイさんは関係ありませんっ!!(ドガッ!)…ど、どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスですっ。」

レイ「うーん。ならいいけど…。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

いてて、さて、気を取り直して、第78話、投稿です。ちなみに今回の話はネプテューヌ達の方の決着です。

レイ「ってことは、マジェコンヌとの戦いだね。」

ジャンヌ「前回のネプテューヌ様達は、女神化したネプテューヌ様が倒れ、女神化したネプギアさんがダークメガミにつかまりそうになったところですね。」

さて、ネプギアの運命は?そして、うずめ達はダークメガミを打ち倒せるのか?それでは本編へ!


 

「…あれ?」

 

パープルシスターは、そんな素っ頓狂な声を漏らす。いきなりこんなことを言うのもおかしいかもしれないが、理由はあった。

先程まで、パープルシスターはダークメガミの攻撃にさらされていたはずだった。そして、攻撃を受ける直前だったはずだ。その事はパープルシスターも覚えていた。それなのに、何故かいつまでたっても、攻撃を受ける衝撃が来ないのだ。

どうなっているのか分からないため、パープルシスターは閉じられていた目を開き、状況を見る。すると、その理由が分かった。

 

「!!お姉ちゃん!?」

 

「くぅぅぅっ…大丈夫?ネプギア!」

 

それは、ダークメガミの迫る手を、姉であるパープルハートが受け止めていたのだ。機械刀を両手で抑えつつ、ダークメガミを受け止めていた。

さっきは気を失っていたけど、目を覚ましたんだ。それで、すぐに私を助けに…。でも、このままいたら、お姉ちゃんが!

受け止めて自分を守ってくれた姉に感謝しつつも、これ以上このままにしておくのはまずいと考えたパープルシスターはすぐに空中へと避難する。

 

「お姉ちゃん、早く!!」

 

「えぇ!」

 

パープルシスターの声に返事をして、パープルハートは一歩下がって攻撃を回避した後、パープルシスターの横に向かう。

 

「お姉ちゃん!ありがとう。さっきは大丈夫だった?」

 

パープルシスターは姉にそう聞いた。助けてもらう前に受けた攻撃が大丈夫かどうか気になったからだ。しかし、パープルハートは余裕を見せつつ、その質問に答えた。

 

「えぇ、多少ダメージを受けたけど問題ないわ。ネプギアも大丈夫みたいね。私が意識を失っている間、攻撃を引き付けておいてくれて、ありがとう。」

 

「お姉ちゃん…うん!」

 

お互いの無事を確かめ合っていると、そこに向かって声が飛ぶ。声の主はオレンジハートと大きなネプテューヌのものだ。

 

「おーい!ぎあっち!ねぷっち!大丈夫ー?」

 

「とりあえず二人共!こっち来てー!」

 

「はいっ!今行きます!」

 

その声に従って二人はもう二人が待つ浮遊岩の上に降り立つ。そして、オレンジハートの元に集まる。

 

「さっすがねぷっち。ぎあっちの救出上手くいったね!」

 

「言われるほどではないわ。私だって、さっきまで気を失っていたんだから。」

 

「けど、どうやってマジェコンヌを倒そう?個人個人の攻撃じゃ、大して効果がなさそうだけど…。」

 

三人の声が響く。確かに、大きなお姉ちゃんの言う通り、さっきまでの攻撃で、敵に目に見えるほどのダメージは与えられてなかった。こっちもお姉ちゃんが気を失うほどのダメージを受けた以外はほとんどダメージはないように見える。

でも、お姉ちゃんのプロセッサユニットには傷が沢山出来ている。それにうずめさんも直撃を受けたわけじゃないけど、肩で息をしている状況だった。

このままではこちらがダメージ量でジリ貧になり全滅してしまうのは明らかだ。だがここで撤退すれば、もうチャンスはない。戦うしかない。

となれば、取るべき行動はただ一つ。全員で総攻撃をかけることだ。分散しつつも、一か所に攻撃を集中して、大ダメージを与えるほかない。そうなってくると、攻撃の場所はただ一つ―――――そう、敵のコアパーツだ。

そこで、パープルシスターは、全員に進言する。

 

「皆さん!攻撃を一か所に集中させましょう!」

 

「ネプギア?」

 

「私たちの攻撃をいつまでも防御力の高いところを分散して攻撃していたら、敵へのダメージ量で負けてしまいます。でも、敵の弱点に攻撃を集中させれば、きっと!」

 

「…つまり、一点突破、ということ?」

 

「うん、そうだよ、お姉ちゃん。」

 

姉であるパープルハートにそう返す。後はこの作戦が受け入れられるかどうかだった。

しかし、その心配は、もはや杞憂であった。

 

「…うん、そうだね、ぎあっち。ここで負けないためには…ううん、勝つためには、それしかないもんね!」

 

「うずめさん!」

 

オレンジハートが真っ先にその案に賛成する。それに続いて、大きなネプテューヌ、パープルハートも言う。

 

「よーっし!私もその案賛成!」

 

「ネプギアの言うとおりね。これまでの攻撃で、後ろからの攻撃よりも、あの光を放ってる部分の時の方がダメージは高いわ。真っ向から立ち向かわないといけないけれど、これはこれで燃え上がるような展開ね。」

 

「みんな…!はいっ!」

 

全員の意志は決まった。ダークメガミと真っ向から立ち向かう。狙いはコアだ。

全員の視線がダークメガミとなったマジェコンヌに集まる。そして、攻撃は再開される。

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「愚カナ…!全員マトメテ吹キ飛バシテクレル!!」

 

 

 

 

パープルシスターの叫び声に、マジェコンヌはそう言葉を吐き出しながら拳を振るう。大振りで放たれた打撃を、四人は散開して回避する。

回避したところで、最初に攻撃に移行したのはパープルハートだった。機械刀を構え、マジェコンヌに迫る。更に大きなネプテューヌも浮遊岩を蹴りながらマジェコンヌに迫る。

 

「行くわよ、もう一人の私!」

 

「おっけー!二人で、同時に、切り込むッ!!」

 

同じ存在である二人の剣が、マジェコンヌに向けて振られる。

 

「クロスコンビネーション!!」

 

「レイジングラッシュ!!」

 

二人の連撃は、ダークメガミのコアを確実に切り裂く。その攻撃を受けてダークメガミが下がる。

 

「ヌヲヲヲ!?」

 

そこに、間髪入れずに、オレンジハートが攻撃に入る。下がろうとするダークメガミに追撃の攻撃、「夢幻粉砕拳」を放つ。ドリル状に形成されたエネルギーの奔流が、確実にダークメガミのコアを傷つける。

傷つけるたびに、ダークメガミと一体化しているマジェコンヌの唸り声のようなものが響く。攻撃は確実に効いている。

そこに更に追撃のようにパープルシスターも更にスキル技を放つ。

 

「「マテリアルボンバー」!シュート!!」

 

高圧縮されたビームの弾丸が高速で放たれる。弾丸は一瞬にしてダークメガミの胸元に着弾すると、爆発が引き起こされる。先程のパープルシスターのスキル技、「マテリアルボンバー」は対物体用の徹甲弾武装だ。普通、生き物に対しての使用はあまり推奨されないが、今のマジェコンヌは、ダークメガミと一体化した敵だ。そんなことに気にすることもない。その為、次々とマテリアルボンバーを撃ち込んでいく。

撃っていく間にも敵の攻撃は飛んでくるはずだった。しかし、それを補うように、大きなネプテューヌやパープルハートが攻撃を仕掛けていく。そのおかげで、パープルシスターは射撃に専念することが出来た。

一方、近接攻撃の方はパープルハートや大きなネプテューヌが攻撃の激しさを更に強くしていた。パープルハートが腰溜めに機械刀を構え、大きなネプテューヌは両手の大剣二刀流に力を込める。

それにダークメガミが警戒を見せる。そして、攻撃が放たれる。

 

「全力で行く!「桜花一閃」!!」

 

放たれた神速の一閃がダークメガミのコアを切り裂く。重みのある一閃に、マジェコンヌも苦しそうにもがく。

でも、攻撃はこれだけではない。今度は大きいお姉ちゃんの番だ

 

「私も負けないよー!!くらえ!「紫炎連刃」!!」

 

紫のオーラを纏った剣を持って、大きなネプテューヌがダークメガミを通り過ぎる。だが、それは一回だけではない。何回も連続で過ぎ去っていく。

それと同時に、ダークメガミを剣の軌跡が切り裂いていく。切り裂く度に、ダークメガミが苦しむ。エネルギーが込められた大きなネプテューヌの連撃がダークメガミを、マジェコンヌを追いつめる。

そして、最後の一撃が決まると、剣の一閃の後と共に爆発を起こし、大ダメージを与える。その攻撃により、ダークメガミが膝を付く。そのチャンスを見逃さず、オレンジハートがトドメと言わんばかりに一撃を放つ。

 

「夢創衝破拳!!いっけぇぇーーー!!」

 

大きな一撃が、再びコアに放たれる。アッパー気味に放たれた一撃が、ダークメガミの巨体を吹き飛ばす。吹き飛ばされたダークメガミはそのまま背後の浮遊岩に背中を打たれる。

遂にダークメガミを、マジェコンヌを追いつめた。その喜びがパープルシスターとなっているネプギアに希望を見せる。

ネプギアだけではない。パープルハートことネプテューヌも、オレンジハートであるうずめも、大きなネプテューヌにも、笑顔が見える。

これなら勝てる。そう思った四人だったが、そこでは終わらせまいとマジェコンヌがダークメガミの体を起こし、復活する。

 

「マダダ…貴様ラヲ根絶ヤシニスルマデ、私ハ倒レン!!フンッ!!」

 

ダークメガミは振り払うようにオーラを纏うと、空中へと飛び去った。そして、空中で静止すると、エネルギーを溜め始める。

その様子を見て、パープルシスターは感じ取る。何か、とんでもない攻撃が来ることを。それを他の三人も感じ取り、各々が構える。

空中で静止するダークメガミは、天に両手を掲げる。すると、その両腕の先に、大きな球体を発生させる。その球体は、圧倒的なエネルギーを集中させた、マジェコンヌ、ダークメガミの切り札であった。圧倒的な一撃に空気が震える。

遂に、その一撃は放たれる。

 

 

 

 

「コレデ、終ワリダ!!消エロ、女神ィィ!!!」

 

 

 

 

放たれた球体はパープルシスターたちと同じ位置に到達すると、急速に収縮する。そして――――

 

 

 

 

球体は大爆発を起こす。

 

「!!!」

 

辺りが、光に包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りは、光と煙により状況が分からないほどであった。女神たちが生きているのかも、分からないほどに。その様子を見て、地面へと降り立つダークメガミは笑みを浮かべるように口元を若干上げる。

この決戦、勝ったのは、マジェコンヌ…

 

 

 

 

「どこを見てるのかなッ!?はぁ!!」

 

「何!?」

 

と思われたその時、声が響く。その声にマジェコンヌが驚く前に、煙の中から飛び出した人物がダークメガミの胸元に強襲をかける。それは大きなネプテューヌであった。大きなネプテューヌはそのまま右手の大剣をダークメガミのコアに突き立てる。

突き立てられた大剣は、ダークメガミのコアにヒビを入れる。その一撃に、マジェコンヌが苦しむ。すぐに大きなネプテューヌを振り払う。振り払われた大きなネプテューヌは地面に浮かぶ岩の一つに着地する。

 

「おおっと!落とされちゃった。もう少し攻撃しようと思ったんだけど…」

 

「問題ないわ、もう一人の私。」

 

「ん?」

 

残念がる大きなネプテューヌにそんな声がかけられる。それと同時に、大きなネプテューヌの後ろから勢いよく飛び出す影…パープルハートがダークメガミに加速して飛んでいく。

パープルハートは突きの構えを取り、攻撃を放つ。放たれた一撃はダークメガミのコアに突き刺さっていた大きなネプテューヌの大剣に刺さる。そして、パープルハートは自身の機械剣で、大きなネプテューヌの剣を打ち込むように更にウイングパーツの出力を上げる。推力の向上が、ますます剣をコアの深くにまで突き刺さっていく。

剣が押し込まれるたびに、ダークメガミの、マジェコンヌの苦悶の声が響く。

 

「グォォォォッ!!」

 

苦しみつつも、マジェコンヌは黒いオーラを放つ。そのオーラによりパープルハートは弾かれる。弾き飛ばしたのち、マジェコンヌが叫ぶ。

 

「我ガ望ミハ、マダ消エヌ!!」

 

まだ諦めを見せないことを明らかにする。だがしかし、それを聞いても、パープルシスターたちは、女神たちは屈しない。

それを表すように、オレンジハートがダークメガミの前に立ちふさがる。

 

「これで…決めるよっ!!」

 

うずめさんはマジェコンヌに言い放った。どうやらこれを、最後の一撃にするつもりだ。それなら、私も応えてみせます!

そしてオレンジハートはダークメガミに突撃する。圧倒的加速力でダークメガミの懐に飛び込むオレンジハート。その動きにダークメガミの腕は追従できない。

 

「ッ!!?速イ…」

 

その速さにマジェコンヌも驚きを露わにする。すぐに振り払おうとするが、もう遅い。

オレンジハートが、必殺の拳を放つ。

 

「夢幻極真拳!!」

 

エネルギーのこもった右手を、大きなネプテューヌが突き刺した剣に突き出す。剣の柄と拳がぶつかり合った衝撃波が周囲に広がる。

 

「ガァァァァァァ!?」

 

その一撃に、ダークメガミとマジェコンヌの絶叫が重なる。コアの部分から次々と光が溢れ始める。ダメージの積み重なりにより、ダークメガミが限界を迎えていたのだ。

今しかない。そう思ったパープルシスターはオレンジハートに叫ぶ。

 

「うずめさん!私のシェア…今、あなたに!!」

 

そう言い放つと、パープルシスターは、自身の武器であるM.P.B.Lをオレンジハートの背部に向ける。狙いを絞ると、M.P.B.Lのトリガーを引く。すると、M.P.B.Lから光の粒子を伴ったレーザーのようなものが照射される。それがオレンジハートの背中に当たると、オレンジハートの体を、放たれたレーザーと同じ光が包み込む。加えてオレンジハートの勢いも更に加速する。追加されたシェアの力が、オレンジハートの突撃力を強化したのだ。

強化されたオレンジハートの勢いにより、剣は更に突き刺さっていく。突き進んでいく度にコアのヒビが全体へと広がっていく。

 

「オオオオオオオ!!」

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

コアを砕かれまいとマジェコンヌが力を入れる。それに呼応し、オレンジハートとパープルハートもシェアの力を増大させる。我慢対決のような状況で、その場の空気が震える。

そして―――――

 

 

 

 

ガッシャァァァァァン!!

 

 

「オオオッ!?バカナァァァァ!?!?」

 

ダークメガミのコアが撃ち抜かれる。撃ち抜いたオレンジハートは静止し、その右手に撃ち抜くのに利用した大人ネプテューヌの剣を持つ。そのまま叫ぶ。

 

「これで、うずめたちの勝ちぃぃぃぃ!!」

 

剣を振り抜くと、ダークメガミの体は光を放って爆発、崩れ落ちていく。それはパープルシスターたちの勝利を意味していた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。うずめ達によるコンビネーション必殺技、「夢幻極真拳」はスパロボOGジ・インスペクターの最後の一撃、そしてバトルスピリッツソードアイズの龍輝神シャイニング・ドラゴン・オーバーレイが黒皇機獣ダークネス・グリフォンとバトルした際、トドメを刺したシーンを組み合わせ、うずめ達の武装に合わせてリメイクしたものだったりします。

ジャンヌ「わざわざ考えていたんですね。」

レイ「でも、どうしてそうなったの?」

いや、実はですね。原作ゲームではこのタイミングで使えるようになる、ネプテューヌ達四人によるカップリングスキル「クアッドバースト」があるんですよ。でも私の中の記憶にあったクアッドバーストが、なんだかトライバーストと大して演出が変わってなかった気がしたんです。それで確認したところ、案の定あんまり変化がなかったので、これ前の時と変わらないなってのと、どうせなら、零次元ラストの戦闘なんだから、もっと凝った攻撃方法にしようとなり、武器を確認していった結果、あのような技が生まれました。

レイ「そうなんだー!」

ジャンヌ「ダブルネプテューヌ様の攻撃がバトスピの、うずめ様とネプギアさんの所がスパロボジ・インスペクターの「届いていたぞ、アクセル!」とキョウスケさんが叫んだ場面ですね。でも、ネプギアさんのエネルギーを送ったあれは?」

あれはネプギアのセリフから分かる方もいるかもしれませんが、あれはガンダムXのサテライトキャノンとかのマイクロウェーブですね。GジェネのDXのサテライトキャノン発射時にガロードがパイロット時のティファのセリフでネプギアと似たセリフが聞けますよ。あとこれは余談ですが、オレンジハートの最後の決めシーンは構図こそ全く異なりますが、あれはスパロボの問題作であると共に、私が初めてプレイしたスパロボ「K」のレヴリアスのトドメ演出が発想の元だったりする。

ジャンヌ「他にも、インパルスのデュートリオンビームとかも関連しそうですね。」

おおっ、ジャンヌさんにそれを言われてしまうとは、これは一本取られましたかね?

ジャンヌ「伊達に藤和木にガンダム話を聞かされていませんからね。」

レイ「というか、そもそもイストワールさんの声優さんがティファちゃんだから、ネプテューヌシリーズではそのネタ多いよね!」

そうそう。だからそれも考えると妥当な攻撃だったわけですよ。と、今回はここまでとしましょうか。次回は、ゴッドクロス・ダイとエクストリィムとの最終決戦です!

ジャンヌ「今回の話では収まり切れないため、途中でお話を切り分けたんですよね。」

そうそう。もしくっつけてたら10000字軽々超えてたよ。

レイ「そんな次回の投稿日は木曜日っ!だよっ!」

ジャンヌ「では、皆様。次回もお楽しみにっ。」


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第79話 無限なる次元の一撃、炸裂

どうも、皆様、ご機嫌いかがでしょうか?学校の疲れで胃腸風邪になりました、藤和木弘でございます。今も薬飲んでいるけど、頭と胃が痛いです。

ジャンヌ「学校だけで胃腸風邪ですか?どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「でも、健康には気をつけなきゃだねっ。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

だがしかし!今回は力尽きるわけにはいかん!!今回のお話、第79話は、遂にゴッドクロス・ダイの大活躍だぜぇぇ!!

ジャンヌ「いよいよ、光樹さんのガンダムの、切り札の活躍ですねっ!」

レイ「ようやく主役機登場って感じだもんね。光樹君は、エクストリィムに、エクスに勝って、ネプテューヌちゃんたちと一緒に笑顔で帰れるのかな?」

さぁ、いよいよ本編、零次元最後の戦闘、始まりです!


 

 

「黒ガ…黒キ次元ノ使イ手が使エルヨウニナッタカ…!」

 

ゴッドクロス・ダイの姿を見たエクスはそう言った。どうやらこの姿もエクスは知っているようだ。だが、知っていても、それについてこられるかどうかは分からない。この形態が最後の切り札なら、これで圧倒できるかもしれない。

逆転の開始に光樹の緊張は高まる。と、そこでゼロがDAIモードを起動させたゴッドクロスの注意点を述べる。

 

『光樹。ゴッドクロスのDAIモードは制限時間が設けられている。』

 

「制限時間?」

 

『そうだ。本モードはゴッドクロスの特殊動力機関「ロストドライヴ」から生み出される「次元力」を使うために設定された機能。しかし次元力を限界まで引き出す都合上、ドライヴはおろか機体そのもの、それどころか今現在はお前の体にも負担を掛ける。それら全てを考慮すると、制限時間は一分程度…。』

 

「い、一分!?ちょっと待て!もう30秒くらい時間が…!」

 

いきなりの発言に、光樹は驚きを見せる。それも当然、制限時間など知らないので、ついついゆっくりとしていたのだから。

しかし、光樹の心配は無用であったことを知らされる。

 

『その心配はない。今はスタンバイモードだ。制限時間はまだ58.7秒残っている。しかし、戦闘が始まればこのカウントダウンは通常通りの物となる。』

 

「つまり、今はそんなに次元力使っていないから、制限時間はそんなに使ってないってことか。」

 

『その通り。しかし、来るぞ!』

 

ゼロの説明に安心する。要するに今はあまり時間が減っていないということだ。

だが安心するのもつかの間、ゴッドクロスに向けて、ビームの刃が振り下ろされる。驚きつつも光樹はウイングスラスターから粒子を放出し、回避行動を取る。

ゴッドクロスよりも速いスピードを出しての回避に、光樹も舌を巻く。

 

「ゴッドクロスよりも性能がいいのか…!」

 

『当たり前だ。戦闘継続力は落ちているが、短期間の戦闘ならこちらが上…光樹、そろそろ行くぞ。』

 

「あぁ。」

 

ゼロの促しに光樹は答える。今は驚いている場合ではない。ネプギア達も向こうで戦っている。光樹はネプギア達がいる方を見つめつつ、気を引き締める。

攻撃を行ってきたエクスも、エクストリィム・タキオンの体を起こし、大型ビームソードを構える。

 

「黒ノ少年ヨ…ココデ終焉ヲ受ケ入レヨ!」

 

その声と共に、エクストリィムはこちらに急接近してくる。バックパックのスラスター全開でゴッドクロス・ダイを剣の範囲に収めたエクスは再び剣を今度は地を薙ぐようにして振ってくる。

しかし、それをゴッドクロス・ダイは同じくスラスターを全開にして回避する。それは、同時にゴッドクロス・ダイのカウントが始まったということでもあった。

制限時間は残り50秒。それを確認した光樹も、本気になる。

 

「さて、制限時間50秒で片付くのか、これは!」

 

そう弱気になりつつも、今はマイナスを考えることは後にした光樹は、ゴッドクロス・ダイのスラスターを全開にし突っ込む。エクスもまた近づけさせまいと剣を振るう。しかし、剣を振るう直前には、既にゴッドクロス・ダイは胸部装甲の近くにたどり着いていた。

エクスも虚を突かれたような声を出しかける。だがその前にゴッドクロス・ダイはそこから姿を消す。そして緑の軌跡を残していつの間にか背後を取ったゴッドクロス・ダイは右手で何かを掴むような動作をする。更に反対側の手を銃の形にした。銃の形にした指先に光が集まる。エネルギーを圧縮しているのだ。

エクスが後方のエネルギー反応を察知し、振り向こうとした時には、攻撃は放たれていた。

 

「ミドガルズ・ゲショス!」

 

指先から弾丸のように放たれた一撃は、敵の肩の接続パーツを撃ち抜く。ビームライフルでは狙えないような、小さな隙間を狙い撃ったのだ。撃ち抜かれた肩と体とを接続するパーツは火花を起こす。そして、そのまま爆発を起こし、腕は剣と共に地面へと落下していく。

これにより、敵の防御手段は、右側に残されたマントユニットを残すのみとなった。攻撃兵装に関しては、もはやその巨体しか何も残っていない。

光樹もここを決め時と判断する。光樹はゴッドクロス・ダイの胸部のキャノンをチャージする。胸部のANディメンションスマッシャー「ヘルヘイム」のエネルギー供給に次元力が付与され、圧縮された高密度エネルギーを生み出す。

エクスは自身の体となったエクストリィムのマントユニットを展開し、防御を図る。その防御に対し、ゴッドクロス・ダイの砲が唸る。

 

「「ヘルヘイム」ファイア!!」

 

胸部の砲口から放たれた一撃は、球体状のエネルギー弾だ。それがゆっくりとも早いとも言えない、中途半端なスピードで放たれる。

だが、その玉は徐々にスピードを速める。そのエネルギー球は敵のマントパーツに着弾すると、爆発を起こす。起こった爆発により、エクストリィムの体は大きく後方に倒された。何とか踏みとどまるが、受け止めたマントパーツの着弾点は、爆発により、綺麗な円形の穴が生成されていた。ヘルヘイムの砲撃で装甲ごと削り取ったのだ。

そこでエクストリィムに異変が起こる。突如胸部辺りから白煙を放出する。すると、小爆発のようなものが連続して響く。爆発音が収まると、エクストリィムの頭部が本体から離れる。…否、エクストリィムの体から、先程までより一回り小さな体をしたエクストリィムが飛び出したのだ。

それを光樹は瞬時に把握する。それは、エクストリームガンダムの素体に当たるノーマルの機体だと光樹は判断する。

事実、それは正しく、これこそエクストリィムの本体、エクストリィム・ノーマルであった。

この脱出により、再びエクストリィムは戦闘を継続可能となった。右手にビームライフルを、左手にシールドを構える。どちらの武器も、ギターを意匠とした武器だ。

 

「このまっさらな状態をまた破壊しないといけないってことか…。」

 

『以前はこの分離を行う前にメガミブレイカーを撃ちこむことで大破に追い込んだ。しかし、今のゴッドクロスならば…!』

 

「なら、さっさと終わらせるぞ、ゼロ!」

 

『制限時間34秒。―――いけ!』

 

ゼロにそうかっこつけて言い、ゼロもそれに了解する。それに応じるようにゴッドクロス・ダイはエクストリィムに正面切って突撃する。

それをエクストリィムは迎撃する構えを取る。敵のビームライフルがこちらに向けられる。

 

「消エロ、黒ノ少年!!」

 

その憎悪のこもった弾丸が放たれる。放たれた弾丸は真っ直ぐゴッドクロス・ダイに向けて放たれる。その弾丸を、光樹も見つめ返す。このままでは直撃は避けられない。よっぽど機体の装甲に自信があるように見える光景だ。

しかし、ゴッドクロスは元々装甲の薄いタイプに分類されるNPだ。攻撃を喰らえば、大きさの違いから中破までは免れないだろう。

ところが、弾丸が中間の距離まで接近したところで、ゴッドクロス・ダイの腕が動く。右腕を正面に構えたのだ。それはまるで、迫りくるビームを受け止めようとしているように見えた。まさか、本当に受け止めるのではと、誰もが思うだろう。

だがしかし、それは正にその「まさか」を起こす。

 

『次元解放!』

 

「ディメンションブレイカー!!」

 

光樹の叫び声と共に、前へと突き出したゴッドクロス・ダイの掌の砲口から光が溢れる。次元力とAN粒子、その両方を放出した手で、ゴッドクロスはビームを真正面から受け止めた。

ビームはこちらを撃ち抜こうと迫りくる。だがゴッドクロス・ダイの放出する「ディメンションブレイカー」がそれを遮る。

 

「おおおおおおおおおっ!!!爆ぜろ!!」

 

光樹の叫び声が響く。手でビームを握りつぶすようにすると、ビームははじけ、消失する。攻撃を防ぎ切ったのだ。

エクスが驚く暇なく、光樹はゴッドクロス・ダイを突っ込ませる。ビームライフルを構えた状態のエクスの顔に、今度は左手を拳の形に変える。その拳に先程の光を纏わせ、エクスの顔面を強打する。

 

「グぅっ!?」

 

「いっけぇーーー!!!」

 

光樹は思い切りその拳でエクスを吹き飛ばす。吹き飛ばされたエクスの体は浮遊岩を砕く。

なんとか体勢を立て直そうとするエクス。ただし、その前にゴッドクロス・ダイは敵の背後を取る。

 

『残り20秒。』

 

「これが…!」

 

「ナ…!ウs…」

 

エクスが振り向く前に構えた右手でエクストリィムの肩部に拳を打ち込む。打ち込まれた打撃が機械の装甲を破壊し、内部機構に光が伝わる。光が伝わると同時に敵の肩部が光を放って爆発する。

だがこれだけでは終わりではない。その爆発と同時に、光樹は怒涛の連続攻撃を繰り出す。右ストレート、左アッパー、乱打、振り下ろし…。それらの連続攻撃がエクストリィムを襲う。それらすべての攻撃が、先程のゴッドクロス・ダイの拳に集まっていた次元力とAN粒子を混ぜ合わせた光と共に放たれるため、エクストリィムの体が、装甲が、次々と砕けていく。

更に光は敵の体にダメージとして溜まっていく。それにより、エクストリィムの各部から光と爆発が次々と起こる。

その攻撃に耐えかね、遂にエクストリィムは膝を付く。だがそれでも光樹は攻撃をやめない。光に包まれたゴッドクロス・ダイごと下から接近し、胸部にアッパーを喰らわせる。その一撃でエクストリィムのバックパックが爆発する。これにより、エクストリィムは飛ぶことすら出来なくなった。

 

「オノレェ…!オノォレェェェェェ!!」

 

エクスが憎しみを露わにしてゴッドクロス・ダイに拳を振り放つ。まさに最後の一撃とも言える攻撃だ。それに対し、ゴッドクロス・ダイは向き直り正面から立ち向かう。右手の拳に、光を更に圧縮させて。

その拳が放たれる。

 

 

 

『次元覇道。』

 

「ディメンション・ナックル!!!」

 

 

 

最大出力の次元力を込めた拳が、エクストリィムの拳と打ちあった。広がる衝撃波、吹き荒れる風。その空気全てが互いの攻撃の凄まじさを物語る。

だが、そのぶつかり合いにも、終止符が打たれる。

 

 

 

バギャァァァン!!

 

 

 

そんな音と共に、エクストリィムの右腕部は赤緑色の光を放って粉砕される。粉砕された衝撃でエクストリィムは後ずさる。

快進撃を続けるゴッドクロス・ダイだったが、ここでゼロが最悪の事実を告げる。

 

『制限時間、残り7秒。』

 

「くそっ!もう時間が…!」

 

制限時間が近づいたのだ。あと7秒しか、DAIモードは維持できない。この7秒で決められるのか、光樹は焦りを見せる。

だが、ゼロがそれを解決する。

 

『光樹、メガミブレイカーを転送する。最後の弾丸を撃て。』

 

その声と共に、メガミブレイカーが右に転送される。既に爆発した延長バレルは切り離され、バズーカのような長さになっていた。

それを光樹はすぐに構える。狙いはただ一つ。敵のコックピット部分だ。ゼロのデータ分析で、エクスと動力機関がそこにあることは分かっていた。

狙いを定めた後、光樹はトリガーを引く。同時にメガミブレイカーから最後の弾丸が放たれる。放たれた衝撃が光樹の体を襲う。何回かの発射で光樹もそれには慣れたいたため、堪える。

しかし、発射と共にゴッドクロス・ダイの装甲の光が途絶える。DAIモードが解除されたのだ。予備動力が働かないのか、それともこれが当たり前なのかは分からないが、ゴッドクロス・ダイの状態を機体は保っていた。

弾丸は敵のコックピット部の装甲に着弾し爆発を起こす。大爆発により、エクストリィムの装甲の一部が飛び散る。また爆風によりエクストリィムは地面となっている浮遊岩の上に落下する。

これで終わったと思いつつ、光樹もまた浮遊岩に着地する。

だがしかし、これで終わりではなかった。突如地に落ちたエクストリィムの腕が浮遊岩に叩き付けられる。そしてその腕で再び起き上がる。

 

「何っ!?」

 

その行動に光樹も驚く。先程の一撃で倒したと思っていたからだ。

起き上がったエクストリィムの体を見る。すると、コックピットの状況が分かった。コックピットの装甲は確かに撃ち抜かれていた。だが、その後ろにシャッターのような遮蔽物が張られていたのだ。そのシャッターも撃ち抜かれていたが、中への被害はそれ程で、中にいたエクスもスパークを散らせつつも現存していた。

その様子で俺も分かった。あのセーフティシャッターがメガミブレイカーの弾丸の威力を弱めたのだ。一枚の防御用装甲の有無で敵は何とか生き残ったのだろう。

だが、それだけでこちらは窮地に立たされてしまった。こっちはDAIモードが使えないどころか、機体のエネルギーも足りない。それにメガミブレイカーも弾丸が尽きた。こちらには、抵抗する手段はもうなかった。後は敵になすがままにされるだけだ。

 

(もう、終わりなのか…?)

 

鈍い駆動音を立てながら起き上がろうとするエクストリィムに対して、光樹は地面を見つめる。最後の切り札を使って逆転の目を失った絶望を感じながら。

光樹の心が絶望に傾く、その時だった。ふっ、とこの戦闘の前の言葉を思い出す。

 

『諦めたら、ダメだ!』

 

「!!」

 

そうだ、諦めてはいけない。俺だってネプギア達に言ったではないか。それなのに自分が諦めれば、向こうで戦っているネプギア達に迷惑がかかる。

光樹は闘志をよみがえらせる。そのおかげで冷静となった頭脳で、とある考えが思いつく。更にそれに連鎖するように光樹の脳裏に記憶が流れ込む。それは誰かがメガミブレイカーを使う記憶だった。誰なのかは分からない。だが、その人物のメガミブレイカーの弾丸を撃ちきった後の行動を見て、光樹に最後の攻撃を行う気力を持たせる。

その考えをまとめ、ゼロに指示を出す。

 

「ゼロ、お前は俺の体のことも考えて、DAIモードの制限時間が1分だって言ってたよな?」

 

『光樹?…あぁ、そうだが。』

 

「なら、俺の体にどれだけの負担がかかってもいい。10秒だけ、俺を、ゴッドクロス・ダイにしてくれ。」

 

『…この状況で、何かを考え付いたようだな。なら、私も応えよう。DAIモード、制限時間拡張!』

 

ゼロは何も断らずに了承してくれる。その声と共に、再びゴッドクロスに緑色の光が灯る。DAIモードが再始動したのだ。最後の力を振り絞って、ゴッドクロスが再起動する。

同時に、光樹の体を痛みが襲う。DAIモードの負荷だ。

 

「ぐぅぅぅっ!!これは、キツイ、な…けど!!」

 

しかし、光樹はその痛みを跳ね除けた。そしてメガミブレイカーを上に向ける。それを見てエクスが消えかけの声で笑う。

 

「フ、フフ。ソレデ、何ガ出来…」

 

だがそれに構わず、光樹はトリガーユニットの閉じられていたボタンを開き、押す。それによってメガミブレイカーが変形を開始する。側面の装甲が開き、砲身の熱を逃がすような形状に変化する。更に弾丸給弾ユニットが砲身後部側面に合体すると同時にエンジンの駆動音を上げる。

そして、砲身から――――――巨大なビームサーベルを出現させる。

メガミブレイカーはキャノン砲であると同時に、ビームサーベルを形成する端末だったのだ。その姿にエクスは怯える。

 

「バ、バカナ…!コ、コンナ…」

 

だが、光樹にも時間はない。光樹はその最後の一撃を振り下ろす。

 

 

 

 

「これで…本当に終わりだぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

ブゥゥゥン!!

 

 

 

 

ザンッ!!

 

 

 

 

「グ、グォォォォォォ!?!?」

 

 

 

 

その音と共にエクストリィムの体は左右真っ二つに切断される。中央にいたエクスは断末魔を上げながら、ビームの刃により消滅する。巨大なビームサーベルが浮遊岩ごと切り裂いた後、エクストリィムの体は爆発し、光の粒子となって消滅していく。乗り捨てたタキオンの体もだ。

それによって、光樹の戦いも終わりを告げた。振り下ろしてしばらくして、メガミブレイカーからスパークが散り、煙を発生させる。ビームサーベルが消失した後、光樹はゴッドクロス・ダイの腕からメガミブレイカーを離す。その直後、爆発を起こしメガミブレイカーは大破する。メガミブレイカーもどうやら限界のようだった。

メガミブレイカーの亡骸を見つつ、光樹は空を見上げる。

これで終わったのだ、俺達のこの世界での戦いが。

勝利を心で受け止めつつ、光樹はネプギア達の元へと、変形し、元の姿に戻ったシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスで向かった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。ここで戦闘は最後を迎えたけど、お話はあと2話くらい続きますよ。

ジャンヌ「それから、わたくしたちがパーソナリティを務める黒の館もですね。」

レイ「今回は、本来の仕事できそうだね。」

ははは、しばらく解説の補佐でしたもんね。

レイ「でも、今回の光樹君、すごかったね!最後に巨大なビームサーベルを発生させるなんて!」

え?ガンダムじゃ常識だよ?

レイ「…え?」

いや、だって、ZガンダムにZZガンダム、ユニコーンガンダムにV2ガンダムが最終話近くのクロノクル撃墜。更にはシャイニングガンダムのシャイニングフィンガーソード、そして極めつけはダブルオー系のライザーソード…あと、レコンギスタのGセルフもか?

レイ「ちょっ…!?そんなに大きなビームサーベル使うガンダムいるの!?」

今は思い出せないけど、他の機体も使えたかも…まぁ、それは置いておいて、もう疲れたんで、次回予告を…。

ジャンヌ「はいはい…。次回の投稿は水曜日になります。」

レイ「じゃあ、みんな!また次回もよろしくねー!!」

多分次回には治っているはずなので、ご安心を…。


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第80話 一つの世界との別れ

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?今日は学園祭の前準備に駆られました、藤和木弘でございます。

レイ「みんなー、元気ー?レイ・オーバだよっ!…って、あれ?ジャンヌちゃんは?」

あぁ、それが…

ジャンヌ「Gは消えなさいGは消えなさいGは消えなさい…(ブツブツ)」

レイ「あ、ひょっとして藤和木の学校の準備の時の?」

そうです。実は前準備で取りに行った場所で、ガンダムじゃないGが出現しまして…その時にジャンヌさんが肩から落ちて、目の前にGが出たショックで錯乱中です。

レイ「先週は藤和木が胃腸風邪で、今度はジャンヌちゃんがノイローゼ?なの?」

ははは、私もガンダムじゃないGは怖いから逃げたので原因の一つですがね。さて、今回は第80話を投稿です。もうすぐで計90話くらいになります。

レイ「今回は、光樹君達とうずめちゃんの別れ、だね。」

二人は別れ、一つの物語に、終わりが迎えようとする。今がその時です。では、本編へ。


「何故ダ、ナゼ勝テヌ!?」

 

ダークメガミもとい、マジェコンヌはそう呻く。体が消えようと粒子を飛び散らせていた。その事を大きなネプテューヌも気づき、指摘する。

 

「見て!マザコングが崩れていくよ。」

 

マジェコンヌは何とかしてそれを食い止めようと抗うが、もはや何をしても無駄だった。ダークメガミの声に同調してマジェコンヌも消えたくない一心で叫ぶ。

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?!?」

 

だが、そんな必死の抵抗も虚しく、マジェコンヌはダークメガミの体ごと、消滅していった。それを確認すると、オレンジハートがぼんやりとしつつも、声を出す。

 

「…勝った、の?うずめたち、勝ったんだよね?」

 

それは、勝った事実を未だに信じられない気持ちから出た言葉だった。オレンジハートとしては、自身が願い続けていたことであったため、それがまるで夢のような出来事なのだから。

そんなオレンジハートに対し、戦闘中に岩陰で隠れていた海男が笑みを見せて答える。

 

「あぁ、オレたちの勝利だ。」

 

その言葉を聞いて、ようやくオレンジハートは喜びを露わにする。そして、完全にシリアスな雰囲気を吹き飛ばして、喜びを解放する。

 

「やった!やったよ海男!今度こそ、本当に勝ったんだよー!」

 

オレンジハートの喜びに同調したい気持ちがあったが、それでも、向こうの方で戦っていた青年…光樹が決着を着けなければ、本当の勝利とは言えない。それを海男らも呟く。

 

「嬉しい気持ちは分かるけど、まだ光樹の方が終わっていないかもしれないからね。油断はまだ早いよ。」

 

「そうですね。光樹さんが苦戦しているかもしれませんし…。」

 

「そうだね、海男、ぎあっち。…あれ?でも光樹が行った所、もうでっかいガンダムの姿が見えないね。」

 

そう言われて、パープルハートも気づく。

うずめの言うとおりね。確かにどこを見ても、あの巨体の機械の体は見えない。もしかすると、本当に光樹一人だけで倒した可能性もある。

そして、それは現実であることになった。

 

「見て!あの機体。あれって光樹じゃない?」

 

「本当だ!光樹だよっ!!」

 

パープルハートたちに向かってくる物体を確認する。それは六枚の羽根を備えた機械の人、光樹であることを示していた。

こちらに気づいたように、接近してくる存在は、こちらに飛んでくる。徐々に近づいてくるのと同時に、それが光樹であることが確実となる。その接近に大きなネプテューヌもオレンジハートも声を高めて気分が高まる。

光樹のガンダムが地面に降り立つと、光樹がこちらに聞いてくる。

 

「こっちも終わったよ。そっちも倒せたみたいだな。」

 

「はい!」

 

「少し手こずったけれど、問題ないわ。それより、あなたのガンダム、しばらく見ないうちに随分と変わったわね。」

 

私は無事に倒したことと共に、光樹のガンダムの話題について触れる。既にネプギアたちが体験している話題だけれども、ここはそれに触れた方がいいかもしれないから触れておくことにした。

その質問に対し、光樹は笑って答える。

 

「まぁな。これが俺達の最後の切り札、って言ったところらしい。いや、切り札だ、かな。」

 

その言葉には、迷いなく言い切った感じが見て取れる。ここまでの戦いで、度胸が付いた証拠のようだとパープルハートは感じ取る。

その度胸がこの世界での戦いで身に付いたことは間違いない。だが、それは、光樹が多々見る「夢」による戦闘の記憶を思い出したことも関係していた。

しかし、それまでは知らないパープルハートはこの戦いが光樹を成長させたと思い、笑みを浮かべる。

と、そこで光樹が反対にパープルハートが来たことについて発言する。

 

「しかし驚いたぜ。まさか最後の決戦の中でネプテューヌがこっちの世界に来るなんてな。どんな方法を使ったんだ?」

 

「そうだよ。タイミングが良すぎて、私もびっくりしちゃった。」

 

それは、光樹だけではない疑問だった。一体どうして、パープルハートことネプテューヌが零次元に戻ってきたのか。この次元へ次元移動できる手段は今のところ、あのゲーム機しかない。しかし、あれではピンポイントに光樹達がいた場所に、それもシェアリングフィールドの中に直接転送されるとは考えられなかったのだ。

その疑問に答えるべく、パープルハートは女神化を解除する。

 

 

 

 

女神化を解除したネプテューヌは先程のシリアスな口調から一転、明るいいつもの陽気さで先程の疑問に答える。

 

「いーすんがパッチでアップデートされたおかげで次元を超えるゲートを作れるようになったんだ。条件はシビアみたいなんだけどね。でも、決戦前にいーすんのアップデートと再起動が間に合ってよかったよ。」

 

ネプテューヌの言う通り、ネプギアたちが丁度ダークメガミとの決戦に向け、移動し始めたころにイストワールが目覚めていたのだ。そして再起動したイストワールに、いきなりの頼み事としてネプギアたちの救援に力を貸してほしいと頼んだ。それにイストワールは断ることなく、これに応えた。自身に新たに付与された次元移動用のゲートを作り、ネプテューヌを再び零次元へと戻す。以前までのイストワールなら出来なかったことだが、それにより、ネプテューヌは零次元へと救援に向かうことが出来たのだ。

そこで話がネプテューヌの同士の話に移った。戦闘を終えたことで、余裕が戻った大きなネプテューヌが、女神の小さなネプテューヌを見て一言。

 

「うわーっ!小さいわたし、かわいい!」

 

大きなネプテューヌはもう一人の自分のかわいさに歓喜していた。

うん、やっぱりわたしって、主人公さと一緒にヒロインのようなかわいさがあるよね!大きなわたしの言葉に、わたしも思わず自画自賛する。

お返しにわたしも大きなわたしに見た目の感想を返す。

 

「そういうあなたは、大きいわたし!へぇ、わたしって、大きくなるとこんな風になるんだ。よかった、身長だけじゃなくてちゃんと胸も成長してるみたいで安心したよ。」

 

大きなネプテューヌの姿は、小さなネプテューヌからしてみても、自身が成長していたら、こんな風に、と思わせる外見だった。ちなみに、女神という存在はシェアの力によって歳をとることはない。その為、ネプテューヌは大きく成長した別次元のネプテューヌがいるという事実をネプギアと光樹から聞いた時に、あってみたいと思っていたのだ。

一戦交えてからの顔合わせではあったが、服こそ黒色でも、本質は変わらないように見えた。それに戦闘スタイルが大剣の二刀流というのがネプテューヌに更に好奇心を抱かせた。

あんなに大きな剣を二本、両手に持つなんてすごい!変身してる時のわたしなら、持てないこともないだろうけど、女神じゃないのにあんな剣を使いこなすなんて…別次元のわたしは本当にすごいなぁ。見た目もクールビューティーって感じだし!

それに、何よりもちゃんと成長してるところは成長してるしね!ブランが変身した時みたいにならずに、大人になっても大きくなっていて、別の次元の、それも人として生きてるわたしと会えて、安心だよ。

ネプテューヌが色々と大きなネプテューヌに思っている間に、オレンジハートとパープルシスターも女神化を解除。うずめとネプギアの姿に戻る。二人もまた、大きなネプテューヌと女神の小さなネプテューヌがいることについて話す。

 

「にしても、ねぷっちが二人並んでるってのも、不思議な光景だな。」

 

「ですね。こうしてみると、本当にそっくりです。でも、どう呼び分けしよう…。」

 

ネプギアが二人をどう呼ぼうかと考えていると、こちらもまた変身、というより、装着を解除した光樹が話に入ってくる。

 

「だったら、大人って付ければいいんじゃないか?大人お姉ちゃんっていうのはおかしいけどさ。」

 

「うーん、それもありといえばあり、なのかな?」

 

「少なくとも、俺は大きい方は黒ネプか大人ネプって分けてるな。」

 

「へぇ、なんか、ゲームでの用語の略称みたいだな。」

 

光樹の発案に、二人も反応する。実際にそう呼ぶかはまだ分からないが、もしかすると、その案を採用するかもしれない。いずれにせよ、それを決めるのはネプギアだ。光樹も特に強制する様子はなかった。

そのように話が賑わいでくる中、上を見上げたうずめがシェアリングフィールドの限界を知らせる。

 

「さて、この空間もそろそろ消えかかってるし、さっさと元の次元に…」

 

「あーっと、待ってうずめ!ストップストップ!!」

 

零次元へと戻ろうとするうずめにネプテューヌは待ったをかける。いきなりのストップにうずめは疑問を浮かべる。

 

「ん?なんでだ?」

 

うずめのその質問に、ネプテューヌは答える。それは、この空間、シェアリングフィールドがネプテューヌたちの帰還に重要な役割を持っていたからだ。その詳しい内容をネプテューヌはイストワールから次元移動用のゲートを作る際に聞いた話を元に説明する。

 

「実はこの空間が消えちゃうと、わたしもネプギアも、光樹も元の世界に帰れなくなっちゃうんだ。」

 

「え?そうなのか?ネプテューヌ。」

 

「お姉ちゃん、それって、どういうことなの?」

 

その発言に、光樹とネプギアの二人も思わず聞き返す。その話に驚いたのだ。何しろ、帰れるかどうかの話の内容だったからだ。

更に二人に分かるように説明を続ける。

 

「しかもこのゲートってさぁ、開くだけじゃなくて、維持するのにも、物凄い量のシェアエネルギーが必要なんだ。」

 

「なるほどな。つまり、ネプテューヌがナイスタイミングで登場したんじゃなく、俺達がナイスタイミングで戦闘を開始したってことか?」

 

「そうそう!わたしとしては主人公的な展開じゃなくって残念なんだけど、そういうことなんだよねー。いやーほんと、このタイミングでこの空間作ってくれてありがとう!」

 

「いや、むしろそっちにも礼を言わないといけないよ。シェアの供給をしてくれたんだからな。」

 

光樹の結論は的を射た答えだった。二つの次元での行動があったからこその出来事の進みだったのだ。ネプテューヌと光樹、二人が互いにそれぞれのタイミングに行動したことに感謝を述べる。

しかしながら、それを聞いてとあることに気づいたネプギアが冷や汗を垂らしながらそのことについて聞いてくる。

 

「お、お姉ちゃん。プラネテューヌのシェアは大丈夫なの?」

 

莫大なシェアが必要だということは、プラネテューヌ側にかなりのシェアの消費を要求する。しかも今回はシェアリングフィールド展開のために次元を超えてシェアを送ってきた。いくらシェアリングフィールドがゲート生成のために利用したといっても、その消費量はかなりのものだ。実際ネプギアが感じ取ったシェアの量はかなりの量が超次元から送られたのを感じ取っていた。

そのため、ネプギアは女神の活動にも必要なシェアを今回のためだけに使用しても、今後に影響がないのかを聞いたのだ。しかしながら、それを女神のネプテューヌは自信満々に答える。

 

「大切な妹と仲間、それにお友達のピンチだもん!もったいぶってられないよ!減ったシェアなら、また溜めればいいだけだしね!」

 

「それまた、大きな判断をサクッと決めたな…。でも、すぐに決めてなかったら、この展開は起きなかったかもしれないし、今回はネプテューヌの即決に感謝だな。」

 

ネプテューヌのその決断に、光樹も首を傾けるが、それでも平常運転のように事を飲み込んだ。

それらの話を聞いて、海男がこれまでの情報を整理する。

 

「…なるほど。シェアエネルギーで構築されたこの空間が消えてしまうと、ゲートも閉じてしまうわけか。」

 

「そういうこと。だから、のんびりしていられないんだ。」

 

「…そうか。もう少し一緒にいられると思ってたけど、別れってのは急にくるものなんだな。」

 

「…あ。」

 

「っ…。」

 

うずめはそれを聞いて、残念そうな表情をする。うずめだけではない。ネプギアも同じ表情をし、光樹も少しボーっとした表情を見せる。

いきなりの別れに、どうしたらいいか、どんな言葉を言うのがいいのか、それをうずめとネプギア、光樹は迷っていた。

ネプギアたちの表情を見て、うずめが笑顔を向けて言葉をかける。

 

「なんだよ、そんな顔するなよ。出会いあれば、別れありだ。…それに、本当だったらあの時にぎあっちと光樹は帰っていたはずなんだ。なのに今まで一緒にいてくれたんだから、俺としては十分楽しませてもらったさ。」

 

うずめの言葉に、二人も頷く。そう、女神にも当然、出会いと別れがある。二人を見つめるネプテューヌもそれを知っていた。だから、ネプテューヌはいつも出会った一人一人との記憶を忘れないように明るく過ごしていた。

その部分だけは、ネプテューヌは女神としての役割を果たしているとも言えた。唯一だが、大切な女神としての役目であった。

加えてうずめはネプギアに語る。

 

「それに、お互い女神なんだ、今生の別れってわけじゃあるまいし、いつかきっと会えるさ。」

 

うずめの言葉にネプテューヌも同じことを考えていた。

そう。わたしたちは女神。女神は基本的に年を取らないんだ。だから、いつまでだって待つこともできる。そのおかげでわたしたちには時間がある。だから、いつかうずめが零次元を復興してこっちの世界に来れれば、また会える。それだけじゃなくて、わたしたちの方から、またゲートを作って会いに行くことだってできる。シェアを使うから、いーすんに怒られるかもだけどね…。

そんな事をネプテューヌは思う。しかしながら、先程のうずめの言葉を聞いて、ネプギアも何かが決まったように表情を改める。まるで迷いがなくなったような顔だった。そのネプギアから、再会を約束する言葉が紡がれる。

 

「…そうですね。いつか、また会いましょう。」

 

「あぁ、約束だ。」

 

ネプギアとうずめは互いにそう言って、別れを惜しむ。一方、光樹も何かを考えていたようにしていたが、ネプギアの後に続いてうずめに話しかける。

 

「うずめ…。」

 

「ん?どうした、光樹。お前も別れるのが嫌とかじゃないよな?」

 

「いや、…でも、いつかまた君と会うだろうな。君のために。」

 

「俺の、ために?」

 

光樹の言葉に、うずめは首を傾げる。どういう意味なのか、理解できなかったからだ。ネプテューヌも、告白でもしてるのかなと思っていたくらいだ。

だが、そんな空気を知ってか、光樹は頭を掻く動作をした後、はぐらかす。

 

「まぁ、とにかく。会えたら再会を喜ぼうぜ、ってことだよ。」

 

「なんだ、そういうことか。…もちろんだ。その時は、またよろしくな、光樹!」

 

二人共、それで満足したように笑みを浮かべて、互いに離れる。光樹はそのまま、ネプテューヌらの所に戻る。

それと同時にネプテューヌの持っていたNギアの画面で待機していたイストワールが声を大にして時元転送の準備を開始する。

 

『それでは、ゲート、開きます!』

 

その声と共に、目の前に光の柱のようなものが出現する。これこそ、ネプテューヌを零次元へと戻した、イストワールの作ったゲートであった。

三人は別れを惜しみつつも、ゲートの方へと歩こうとする。すると、そこで大きなネプテューヌと一緒に居た存在が清々したように声を発する。

 

「これで、ようやくこの次元ともおさらばだぜ。」

 

声の主、クロワールは勢いよく大きなネプテューヌの服の裏から飛び出す。しかしながら、力を奪ったマジェコンヌを倒しはしたが、まだ力が戻っていないのか、姿は未だ蝶のような翼だけの姿であった。

その姿に、最初こそ小さなネプテューヌは驚くが、声を聞いてその声の主の正体にたどり着く。

 

「うわっ、何この蝶!?てか、この声…まさか、クロワールなの!?」

 

小さなネプテューヌとしても、まさか以前に騒動を起こしたラスボスの腰巾着が今いるのは考えていなかった。それも当然。小さなネプテューヌは大きなネプテューヌは知っていても、クロワールのことはネプギアたちから聞いてはいなかったのだから。以前連絡を取った時には、まだクロちゃんという大きなネプテューヌと一緒に旅をしている人物という情報しかなかったため、知らないのも無理はなかった。

驚きつつもクロワールであることを指摘した小さなネプテューヌに対し、クロワールは文句を呟く。

 

「悪かったな、こんな姿で。俺だって、好きでこんな姿してるわけじゃねぇよ。」

 

その雰囲気と他の全員からの目線から、なんとなく状況を理解した小さなネプテューヌは、反省をするようにとクロワールに言う。

 

「けど、こんな大騒ぎ起こしたんだから自業自得だよね。少しは反省する気になった?」

 

「反省も何も、俺はただ面白い歴史を記録しようとしただけだっつーの!」

 

しかし、小さなネプテューヌの言葉も虚しく、クロワールは自身の起こしたことを否定する。

まったく!神次元の時も色々と悪さをしたけど、今回のことも反省する気が無いみたい!それを理解したわたしはしつけの必要があることを口にする。

 

「反省の色無し。これはお仕置きが必要だね。」

 

その言葉に賛成するように、大きなネプテューヌも同じように表情を曇らせる。お仕置きを行なおうとする雰囲気を見て、クロワールは言う。

 

「誰が、お前らにお仕置きなんかされるかよ!それじゃあな!」

 

そう言い放つと、クロワールはゲートの中へと入る。

 

「ねぷっ!?逃げ足速っ!?」

 

そのスピードに小さなネプテューヌも思わず驚きの声を上げてしまう。逃げた時にはクロワールを自身の手で捕まえようとしていたのだが、判断すらも追いつかずに取り逃がしてしまう。

それを見て、大きなネプテューヌが慌てて追いかける。

 

「ちょっと、クロちゃんてば!置いていかないでってばー!」

 

クロワールと同じような速度で、大きなネプテューヌは素早くゲートの中へと追いかけるように消えていく。その一連の流れに、ネプテューヌたちは何も言わず、ただ見ているだけだった。何もしなかったというより、何かを起こす暇がなかったというのが正しいが。

 

「まるで、嵐のような二人だったね。」

 

あっという間に去っていった大きなネプテューヌとクロワールに、海男がそんなことを口にする。海男の言う通り、本当に二人は出来事を大きくして、一瞬にして去っていったのは間違いない。風来坊、と言ってしまってもいいかもしれなかった。

とはいえ、自分たちもそろそろ帰らなければいけない。先に入っていった二人を追うように、ネプテューヌたちもゲートに入ろうとする。と、そこでうずめがネプギアを呼び止める。

 

「あ、そうだ、ぎあっち。これ、本当にもらっていいのか。」

 

そう言ってうずめが示したのはうずめが大事にしている端末機器、ヴィジュアルラジオだった。もっとも、今は改が付いているが。しかしそれは、ネプギアの持っていたNギアのパーツを組み込んで修理したものだ。そのためうずめは、このままもらってもいいのだろうかと気になったのだ。

それに対して、ネプギアは気にしない様子で答えた。

 

「もちろんです。もともとそれは、うずめさんの物なんですから、うずめさんが持っていてください。」

 

ネプテューヌとしては、ネプギアらしい対応だと思っていた。例えそれが自分の持っていた大事なものの一部を組み込んだものでも、執着することなくそれをプレゼントする。昔はそういうことはちょっとためらっていた気がしたが、それだけ何度も苦しい戦いを繰り広げて成長したということであった。

それにネプテューヌはこうも思っていた。おそらくネプギアはそれを零次元復興のための一歩としてもらいたいのではと。ネプギアのNギアにはこの次元よりも科学の進んだ、超次元のデータも詰まっているはず。それに、まだモンスターたちを統制するために、他の者と連絡するために必要であるからそれが必要になるはずだ。復興への道しるべにもなるヴィジュアルラジオを渡してもらうなんてこと、できるわけがない。

ネプテューヌはそんな事を思いつつ、二人の様子を見る。その言葉を聞いたうずめは、笑みを作って礼を言う。

 

「そうか。じゃあ、ありがたくもらうぜ。」

 

うずめがそう言ったところで、ネプギアは思い出したように声を出す。

 

「あ、そうだ。今回は諦めますけど、次に会った時こそはうずめさんのシイタケ嫌いを直してみせますから。」

 

それは、次に会った時の約束だった。けれど、その内容はうずめの苦手な食材を食べさせるという、小さい様な目的だった。でも、うずめがシイタケ嫌いをなくしたら、それはそれでカッコイイと思っていたので、そんな約束もいいかなと思っていた。

 

「なら、次にぎあっちと会うまでは、間違ってもシイタケ好きにならないようにシイタケを食わないように気をつけなきゃな。」

 

対するうずめも、皮肉っぽくその質問に答える。うずめもまた、再会の時の楽しみが増えるようにそう言ったようだ。なんだか早くまた会いたくなってしまう。

 

「じゃあ、そろそろ帰ろうぜ。ネプギア、ネプテューヌ。もうシェアリングフィールドも限界そうだし、うずめにも余計に負担を掛けるわけにもいかないしな。」

 

「そうですね。それじゃあ、うずめさん。そろそろ私たちも、行きますね。」

 

光樹にそう言われて、ネプギアも急いでゲートの方に戻る。

 

 

 

「今度こそ、本当のさよならだね。」

 

「だな。また会おうぜ、ねぷっち、ぎあっち、光樹!」

 

「はい、また会いましょう。」

 

 

 

そう言い残して、ネプテューヌたちは、光に包まれた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。ここで零次元が終わり…というわけではないんですよねー。

ジャンヌ「はぁ…はぁ…もうあんなの見たくありません…。」

あ、ジャンヌさん大丈夫?

ジャンヌ「藤和木…今度わたくしを落とすようなことがあったら、…分かってますよね?」

も、申し訳ありませんでした…(;´・ω・)

レイ「あはは、ジャンヌちゃんの気持ち、わからないことはないね。私もガンダムじゃないGは怖いし。」

ジャンヌ「もう…レイさんじゃなかったからいいものの…もうあんなことにはなりたくはないですっ。今日は念入りに洗います…。」

レイ「だね。にしても、本編の方、あのあとどうなるの?」

本来なら、うずめ達の視点でこの物語は終わるんですが…今回はネプテューヌ達の視点と、次の物語へ続く視点を描きます。

ジャンヌ「次の物語というと…光木さんが登場するんでしたっけ?」

レイ「鈴ちゃんが登場かぁ、楽しみだねっ。」

他にも、光樹君陣営、超次元編の中立?陣営のゴールドサァド、そして超次元編の敵陣営のアフィ魔X側のキャラも本格的に登場です。次章の話は、また次回以降ということで…さて、そろそろ締めましょうか。

レイ「うんっ。次回の投稿は火曜日辺りになりそうだよっ!」

ジャンヌ「では皆様、また次回にお会いしましょう。」


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第81話 GKSWAXP行動開始、一つ目の次元の物語の終わり

どうも、皆様、お元気でしょうか?専門学校で学園祭の準備に追われている、藤和木弘でございます。あー足が痛い。

ジャンヌ「こんなところで愚痴らないでください…。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「でもでも!教室いい感じだよっ!本当に家の中みたいでさっ!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

さぁ、今回でようやく零次元編こと第2章終了!第3章へのつなぎとなるエピソードになります、第81話の投稿です。計90話ですよ。

レイ「鈴ちゃんや絵里奈ちゃんの他にも新しい登場人物もでるよっ。」

ジャンヌ「話し相手としてだけは出ている方もいて、本当に新登場となる方は少なめですね。皆様は分かるでしょうか?」

さて、そろそろ本編へ!


 

光樹達が零次元を去った直後、とある世界のとある部隊では、大きな動きをみせていた。空中要塞の作戦室に、次々と人が集まっていたのだ。そのメンバーは、いずれも青年、もしくは少女で、大人には不十分な幼さを残しつつも、表情を真剣にしていた。

そして、そこに一人の少女が更に入ってくる。少女は黒髪をツインテールでまとめ、肩の前に垂らした髪型をしていた。更に服装はオレンジを基調に白と水色の入ったジャケットとスカートを纏っている。しかしながら、その表情は性格が出ており、少し垂れ目になっていた。

しかし、容姿はしっかりとした服装であり、その意匠は他のメンバーの服にも見られていた。それも当然、それは組織共通の制服だったからだ。

色鮮やかな制服を身に纏った青年少女達は、その少女が入ったことで合図のようにその少女の方を向く。それに対してやってきた少女は気をつけをすると、右手を額に当て、敬礼をする。それに合わせ、他の者達は彼女に対し答礼を行う。

それら一式が終わると、少女…福内絵里奈は声を出す。

 

「じゃあ、今から報告するよー。光樹君の行方についてと作戦行動について。鈴ちゃん。観測機器の情報をー。」

 

絵里奈は今回全員を集めた理由を話す。それは、二日前より行方不明の少年であり、GKSWAXPの総司令、そして、絵里奈が思いを抱く青年、和藤光樹の行方についての報告結果とそれに基づいた行動確認であった。

まるでやる気のなさそうな声ではあったが、それが彼女の平常運転の姿でもあった。いつも通りのその呼びかけと共に、一人の少女が前に出る。少女はショートカットの髪に、同じような制服の内、下をズボンタイプのものした服装を身に纏う。そんな彼女だが、その顔は、超次元にてケーシャやネプテューヌと共に戦ったあの少女の顔だった。

彼女の名は「光木鈴」。超次元ゲイムギョウ界にて光樹の捜索を行っていた、MP「ガンダムR-EXE・グレイガ」を操る少女だ。鈴は早速、端末を操作する。すると、足元のパネルにいくつものデータが表示される。いくつか開いた後、鈴は説明する。

 

「まず、さっきの時の次元力観測機器で得られた次元波についての報告から行くわ。この次元波だけれど、波状識別から、これはゴッドクロスのものだということが分かったわ。」

 

「ゴッドクロス…つまり、ダイモードを起動したってことか?」

 

鈴の報告に、青年が口を開く。紺を基調とした服を着る青年、古谷 勇也(ふるや ゆうや)だ。

彼は光樹とかつて鈴を巡って対立していたこともある青年だ。結局は二人共、今は振られ、特に理由なくいがみ合っているのだが。しかしながら、その腕は一級で、光樹と張り合うことができる数少ないトップエースの一人でもあった。

勇也のその指摘が正しいことを、鈴は報告する。

 

「そう。時間としては、ゴッドクロス・ダイの最大稼働時間の約5分の1程度だけどね。」

 

「最大稼働時間に満たない…これって鈴ちゃんが聞いてたとおりってこと?」

 

鈴の言葉に、絵里奈がそう聞く。聞いてたとおりとは、光樹の記憶喪失のことについてだった。

鈴が元のこの世界に戻り、状況を報告した際に、絵里奈や他の全員も光樹が記憶喪失であることは聞いていた。

けど、最初聞いた時には、驚いたなぁ。光樹君が生きてることと、…記憶がなくなっていることに。こうして反応が検知されることから、記憶がなくても戦える、それか記憶が戻ってきてるのか。どっちかは分からないけど、光樹君は元気にやってるみたい。

絵里奈は光樹がどうしているのか気になり、考えを巡らせる。しかしながら、絵里奈が考えている間に話は進む。

 

「多分ね。おそらく光樹は、記憶がないことでゴッドクロスの性能を引き出しきれていないのよ。」

 

「それはきついな。ゴッドクロスは、俺達2代目SSRNPがマスターだった時代のNPをモデルに作られたVVVシリーズ第3世代型だろ?制御も難しいし。」

 

「松木。俺ら3代目SSRNPのマスターが言うセリフだろ、それ。」

 

鈴の出した結論に青年が付け加えるが、その松木という名の青年に、スポーツ刈りの青年、鈴宮敦也がそんな言葉をはっきりと言う。後代が先代に対しいろいろ言うのは少しおかしいかもしれないが、彼らは全員同級生。そのためタメ口で話すことが多かった。

その証拠に、敦也のNPの先代である「松木 悠(まつき はる)」はその言葉に対し笑って返す。

 

「そうだな。でもまぁ、光樹と一年間戦闘を共にしたから、つい気になるからな。今のマスター程、言えないこともないからな。」

 

「ははっ、流石だな、俺の前にガンダム・ホワイトジャックシリーズを使ってたことはあるな。」

 

「うーん、二人とも、そういう風に楽しそうにするのはいいけどさー。それだったら、私たち、「初代」メンバーの方が、付き合いは長いんだからねー!」

 

悠と敦也の会話に、絵里奈がいきなり入っていく。しかし絵里奈としては、光樹とは一番付き合いが長いといえる自分の方が心配しているということをどうしても示したかったのだ。

その言葉に対し、作戦会議の場に笑いが起こる。

 

「くくっ!」

 

「ははは!」

 

「へ?わ、私、何か変なこと言った!?」

 

いきなりの笑いに、絵里奈は戸惑う。絵里奈は自分も光樹を心配しているということを示したかっただけだった。

だが、絵里奈の言葉は、ある意味では誤解を生む言葉だった。そして、それをメンバーのほとんどがそっちの意味で解釈していたのだ。

そんな事も知らず、戸惑う絵里奈に、他の2代目、3代目SSRNPのマスターとなった者たちがフォローに入る。

 

「大丈夫。絵里奈さんはそれでいいんですって!」

 

「そうだよ。絵里奈ちゃんが別におかしいってわけじゃないんだから。でもちょっと…笑っちゃうけれど!」

 

「えぇー?真奈ちゃんに真由美ちゃんまでー。おかしくないって言ってるけど、笑ってるよー!?」

 

絵里奈にそう言ったのは2代目SSRNPマスターである「米山 真奈(よねやま まな)」と「岡野 真由美(おかの まゆみ)」だ。2代目からは初代メンバーである絵里奈や鈴、勇也とは学校が違う為学校生活では特に関係は深くはなかった。が、GKSWAXPのメンバーに初代メンバーの光樹以外の三人が戻って以降は、任務を行う内に今のような関係となっていた。

そんな二人のフォローに絵里奈も思わず友達との話の時のように笑って返す。が、そこで鈴の咳き込む声が響く。

 

「…ごほんっ。」

 

「!!鈴さん。」

 

その声で鈴の怒りを抑えるように、落ち着いた様子を見せる理恵が制止する。それで話の主旨が外れていることに気づいた絵里奈は鈴に謝罪する。

 

「あー、鈴ちゃん、ごめんねぇ。そういえば、今回の集まりは、光樹君の場所が分かったことでどうするかってことだったよねー。」

 

「まぁ、あなたがあの馬鹿の無事を気にしてるのは今に始まったことじゃないし、気になるのは仕方がないわ。でも、今は馬鹿との合流が先なんだからね。」

 

鈴は絵里奈の言葉を聞いて、溜息をつきつつも、改めて目標の確認を取る。しかし、鈴による光樹に対する馬鹿発言に絵里奈は文句を言う。

 

「うー。鈴ちゃん相変わらず光樹君のこと馬鹿扱いするよねー。」

 

「それだったら、古谷も同じよ。」

 

「そこで俺を出すか…。」

 

「いいじゃない。今でもあたしのことについて二人でいろいろと言い争っているんだから。」

 

いきなりの責任転嫁に、勇也も驚きを隠せないでいた。しかし、事の重大性を考えて、勇也は特に反論なく口を閉じる。そうしてようやく静かになったところで鈴は再び話を元に戻す。

 

「とりあえず、あたしたちの今後のことを考えた結果、GKSWAXP総司令、「和藤光樹」の復帰が必要。…そして更に、もう一つ重要なことが発覚したわ。」

 

「重要な、ことですか?」

 

鈴の意味深な言葉に、青色のジャケットを纏う少女、京香が疑問を口にする。鈴の話し方から、何か嫌な感じがしたためだ。それは京香だけでなく他のメンバーも同じことを思っていた。

一体、何があったのか。全員が鈴の言葉に注目する。その鈴から告げられた事実は、絵里奈すらも慌てさせることとなる。

 

 

 

 

「光樹がゴッドクロス・ダイを起動させた世界で、共鳴するように次元波を観測したわ。…それも、京香から報告のあった、光樹を追いつめたNPのね…。」

 

「…へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

周りの風景が光が溢れる空間だけ、という状況の中、光樹達はその光の中を一直線に進んでいく。現在光樹達はうずめ達がいた零次元から、元の次元、超次元への帰還途中だった。イストワールの開いた次元移動ゲートの内部だ。シェアの力によるもののためか、いるだけで目がだんだんとチカチカとしてくる。

 

「なんか、目が疲れるなぁ。」

 

「ちょっとそれは言えますね。でも、シェアの道によるものですから仕方がないですよ。」

 

疲れたことを呟く光樹にネプギアは言葉をかける。光樹からしてみれば、この光景はかなり光樹の目に負担を掛けていた。先程まで極限までゴッドクロス・ダイを使用していたことも重なり、光樹は外傷はないのに体の方は限界に近かったのだ。既に何度かこの空間の中でふらっと体が揺れることがあった。しかし、それでもここを抜ければようやく安心して超次元に帰れる。それを思うと、光樹は意識を持ち直す。

そんな中、道の先をシェアの光とは違う光が差し込む。その光に気づいたネプテューヌが出口であることを知らせる。

 

「二人共!いよいよ元の次元だよっ!」

 

「お姉ちゃん、ほんと!?」

 

「ようやく、戻ってこれたのか…。」

 

「そうそう!早く帰っていーすんに無事な顔を見せよっ!」

 

そう大声を出したネプテューヌが先にゲートを潜り抜ける。その後を追いかけるようにネプギアも駆け出していく。

二人ほど元気ではなかったものの、二人に遅れるわけにもいかず、光樹もまたゲートの出口へと駆けて行った。

 

 

 

 

光が晴れる。先程よりも瞼で感じる明かりが弱くなったことで光樹は目的地へと着いたのだと悟る。そして、ゆっくりと目を開けた先に、小さな妖精、人工生命体イストワールの顔が映る。

 

「お帰りなさい。ネプギアさん、光樹さん。」

 

いつものイストワールの様子で、こちらに帰還を喜ぶ言葉をかける。かなりの間、イストワールとは会っていなかったので、なんだかすごく懐かしい空気を光樹は感じる。とはいっても、先程の戦闘の時には通信回線でながらも会っているので、間違っているのだが。

しかしながら、その声を聞いて光樹は安心する。ようやく超次元に帰ってこれたのだ。まだ本当の元の世界に帰ることは出来ないが、今の光樹にとっては、このゲイムギョウ界のプラネテューヌ協会ことプラネタワーが元の世界だ。

これから、どんなことが起こるのか、光樹は気になりつつも、イストワールに帰りの言葉を返す。

 

「あぁ、ただいまです。イストワールさ…ま……」

 

しかし、その言葉を言い終える前に、光樹は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん…ここは…。」

 

光樹は意識を目覚めさせる。しかし、目覚めたのは超次元の世界ではなく、最初に超次元に来た時に見た「夢」の世界であった。

久しぶりの「夢」の世界だったので、何なのだろうと思っていると、背後から声がかかる。

 

『久しぶりだね、光樹。』

 

「!!うずめ!…って、お前は…オレンジハート?」

 

光樹はすぐにその名を呼ぶ。言い直した理由としては、うずめの変身するオレンジハートとは雰囲気が違っていたため、こうした差別化がいると思い、オレンジ色の女神をオレンジハートととして呼んだのだ。

その言葉に、オレンジハートは笑みを見せて言う。

 

『フフッ。私のこと、少しわかったみたいだね。でも、残念だけど、私は彼女であって、彼女じゃない。』

 

「うずめであって、うずめでない?どういうことだ?」

 

その言葉に、光樹も疑問を浮かべる。うずめでないのは分かるが、うずめでもあるということに疑問を持ったのだ。うずめでないなら、彼女は一体誰なのか。光樹の頭の中はそれでいっぱいになる。

だが、オレンジハートは気にせずに言う。

 

『これで最初の次元は越えた…でも、気をつけて。まだ戦いは終わらない。物語はまだ、始まったばかり。』

 

「!始まった…ばかり…。」

 

光樹は顎に手を当て、下に目を向ける。確かにオレンジハートは三つの次元を巡り、自分を救うように要求した。そして、その最初の次元はうずめ達のいた零次元だ。これで残る世界はあと二つ。二つの次元で、何かをすれば、目の前にいるオレンジハートはおそらく助けられるのだろう。

そう思っていると、オレンジハートはそれを聞いていたかのように言葉を付け足す。

 

『私を救ってくれようとするのは嬉しいよ。でも、正確には、私と同じ姿をした女の子。つまり、天王星うずめこと、本当のオレンジハートを助けることになるよ。』

 

「何?君はオレンジハートじゃないのか?」

 

『うん。彼女であると言えば、言える。けど、私は違う。私は…』

 

光樹の質問に対し、オレンジハートもとい、橙の女神は言葉に詰まる。まるで、この先を言いたくないかのように。

しばらくして、再び橙の女神が単刀直入に言う。

 

『とにかく、あなたがやるべきことはただ一つ。これからも立ちはだかる敵を倒していくこと。そのガンダム。双子座の力を備えた機動兵器で。』

 

「それは、分かってる。でも、どうやって他の二つの次元に?またゲーム機を使うのか?」

 

橙の女神の言葉に、光樹は翻弄されていく。一応やってほしいことは分かるが、それを行うための方法が分からなければ、光樹はその役目を果たすことは出来ないのだから。

すると、橙の女神はその質問に返す。

 

『大丈夫…。あなたはもう…次の戦いの場にいる。ううん。「戻って」きた。これからは、…あなたの味方も……一緒…だ…』

 

「お、おい!!」

 

しかし、その最後の言葉を聞く前に、光樹の意識は元の世界へと覚醒することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ…ここは。」

 

「あっ、光樹さん。大丈夫ですか?」

 

目を開けると、そこには濡れたタオルを持つコンパと、コンパの手伝いをするネプギアの姿があった。その様子からして、自身の世話をしてくれたことを悟る。

心配してくれていた二人の顔を見るため、光樹は起き上がる。

 

「うっ…く。」

 

「こ、光樹さん!まだ寝てなきゃ…。」

 

「大丈夫だよ、ネプギア。少し寝たらよくなったからな。」

 

心配するネプギアに、光樹はそう答える。

そこで、周りを見ると、そこは光樹の部屋だった。その事から光樹は二人がここまで運んで来たのかと考える。そうでないにしろ、布団の上で寝られたことで体のだるさは少し解消されていた。しかし、いまなお、体の痛みは残っていた。

しかしながら、その様子を見て、命には別条がないことを感じ取ったコンパが後は体を休めるだけであることを言った。

 

「それは良かったです。ギアちゃんやねぷねぷから呼び出された時にはどうなっているか心配でしたが、体の怪我は大丈夫みたいですね。後は一日安静にすればいいと思うです。」

 

「あぁ。そうかn…って痛た!?」

 

しかしながら、答える途中で体の痛みを感じ取った光樹は悲鳴を上げる。そのただならぬ声から二人は慌てる。

 

「こ、光樹さん!?」

 

「はわわ!外傷ではなくて、内部の怪我ですか!?」

 

そのコンパの言葉は正しかった。目立った傷は感じないものの、体の内部からの痛みを光樹は感じて悲鳴を上げたのだ。

そこでふと、光樹はゴッドクロス・ダイの注意事項のことを思い出す。

 

(そういえば、体に負担がかかるとか言ってたな、ゼロは。)

 

それにより、状況をなんとなく理解した光樹は二人を落ち着かせて理由を述べる。

 

「多分、大丈夫だ。この痛みはゴッドクロスの最後の切り札を使ったからだと思う。」

 

「ごっどくろす、です?」

 

「光樹さんのガンダムの、最後の切り札!?」

 

コンパはよくわからないような声を出すが、反対にネプギアは目を輝かせて興奮する。ゼロが何と言うかは分からないが、後日ネプギアにも見せてあげようと思い、光樹は言葉を続ける。

 

「あぁ。だから、これはその反動だと思うから、心配しないでくれ。」

 

「手当は、大丈夫ですか?」

 

「あぁ。だから、二人共晩飯の準備を頼むよ。何だかお腹が減ってさ。」

 

「分かりました。じゃあコンパさん、行きましょう!」

 

「そ、そうですね。機械によるものでは私もあまり役には立てないですから。なら美味しいご飯を作ってあげるです!」

 

そう言って二人は部屋を出て行った。一人になった部屋で光樹は夢の中での出来事について呟く。

 

「俺の味方…。ネプテューヌやネプギア?それとも…。」

 

だがしかし、そんないつのことかも分からないことを気にする気もなく、光樹はコンパ達が料理を作るを待って、再びベットに背を預けたのであった。

 

 

 

 

CHAPTER 2 END

 

 

TO BE CONNTINUED

 

 

NEXT CHAPTER 3 超次元編 四女神STORY 「黄金の戦士達と新たなガンダムマイスター達」

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。あとすみません。この後は黒の館です(汗)

レイ「そうだよー?黒の館で、光樹君のゴッドクロス・ダイの紹介ッ!」

ジャンヌ「それが終わって、ようやく第3章ですね。」

さーて、皆様も次の黒の館を見終えて、すぐに第3章を見たいでしょうが、私のスタイルは変えませんよ?(笑)…でもまぁ、次回は月曜日なんですが…

ジャンヌ「あら?黒の館は5日更新では?」

ごめん、流石に学園祭の疲れを日曜日だけで回復させるのは私には無理!それにちょっとそろそろシェアプロテクターの設定も詳しく書き留めておきたい。

レイ「まぁ、しょうがないよね。藤和木の学校の学園祭、金曜日と土曜日だもんね。」

ジャンヌ「そうですね。では、次回の投稿は月曜日ですっ。」

レイ「じゃあみんなー、また次回の黒の館でッ!」


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黒の館 第9回 解説~シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイ

皆様、ご機嫌いかがですか?学園祭の疲れ+その他諸々でダウン中の藤和木弘でございます。

ジャンヌ「藤和木、だからといって、重要な日に休んではいけませんよ?どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「でも、明日はいけるよね?どうも、みんな!レイ・オーバだよっ。」

流石に明日は休めないし、この遅れも取り戻しますよ。さて、今回は黒の館!第9回はゴッドクロス・ダイの紹介です。

ジャンヌ「ゲストはあの姉妹がついに揃ってご登場ですっ。」

レイ「さぁ、みんな。本編にGO!」


 

藤和木「さぁさぁさぁさぁ、皆々様!遂にSSRと言う名のGも零次元編が終了です!黒の館、今宵も始めさせていただきます!黒の館司会こと主、藤和木弘です。藤和木 弘です!藤和じゃないよ!?」

 

ジャンヌ「いよいよ長かった零次元編が終わりますね。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。…ってやけに藤和木、今回名前を意識しますね。そんなに皆様に名前をしっかり覚えていただきたいんですね。」

 

藤和木「そうだよ!割と皆様私の名前を呼ぶとき、なぜか「藤和」なんだよ!?あれか、名前を区切った方がいいのか?そーなのか!?」

 

レイ「お、落ち着きなよー。藤和木が最初からテンション上げてるせいで私自己紹介まだなんだよ?…どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

 

藤和木「よっし、気を取り直して、今回も素敵なゲストが来ているぞ?ジャンヌさん、ご紹介を。」

 

ジャンヌ「はいっ。本日のゲスト、まず一人目は、プラネテューヌの女神様、ネプテューヌ様。」

 

ネプテューヌ「三回目で今の所一番の登場率なわたしの出番!わたし、参上っ!」

 

レイ「またまたネプちゃん!この前は大人なネプテューヌちゃんが来てたけど、こっちのネプちゃんもまた可愛いー!」

 

ネプテューヌ「いやぁ、可愛いだなんて、わたしもなんだかうれしくなるよっ!」

 

ジャンヌ「ネプテューヌ様。本日もよろしくお願いしますね。」

 

ネプテューヌ「もー、ジャンジャンってば、わたしのことは様付けじゃなくっていいんだよ?」

 

ジャンヌ「いえ、女神様なのでわたくしよりも地位の高いお方には…って!?ジャンジャン!?」

 

ネプテューヌ「ジャンヌちゃんでもいいけど、言いにくいんだよねー、はっきり言って。それにわたしとしては、もっとフレンドリーになりたいっていうかさ。いいでしょ、藤和?」

 

藤和木「だぁーかぁーらぁー!!俺は「藤和木 弘」だと、何度言えば分かる!?何で私の名前こうなるの!?」

 

レイ「あれじゃない?うちの主人公の光樹君が名字と名前が三文字のひらがなだから、藤和木の名前も三文字だって思ってるんじゃない?」

 

藤和木「やべぇ、マジでありそう。」

 

ジャンヌ「そ、そんなことよりもっ!わたくしは名前できちんとお呼びくださいっ!」

 

ネプテューヌ「えぇー、いいじゃん!ジャンジャン~!」

 

ジャンヌ「くぅぅっ!(そう呼んでいいのは、許せるのはレイさんだけ…っ!)」

 

藤和木「あージャンヌさん?」

 

ジャンヌ「何ですかっ!藤和木…」

 

藤和木「ジャンヌさんにスキンシーップ!!(ギュッ)」

 

ジャンヌ「!!ひゃぁぁ!?!?と、とと、藤和木っ!?いきなり抱きつかな…っていうか、セクハラしないでぇっ!!」

 

ドガッシャーーーーン!!!

 

 

 

 

 

 

(しばらく待ってなさいよね!By やっちょちゃんこと八千代)

 

 

 

 

 

 

ジャンヌ「はぁっ、はぁっ。ま、全く、いきなり服の中に手を入れてくるだなんて、何を考えているんです!?」

 

藤和木「いやぁ、すんませーん。でもさ、プレミアムバンダイ詩姫セットのクリスマスパーティのカードでジャンヌさんの体型知った時、抱きつかずにはいられなかったんですよー。深く反省はしている。だが、後悔はしていないッ!!( -`д-´)キリッ」

 

ジャンヌ「っ!変態っ!!」

 

レイ「と、藤和木…流石にこれはやり過ぎ…」

 

藤和木「とまぁ、これでジャンヌさんのこと名前で呼んでもらうってことでいいですか?」

 

レイ「およ?」

 

ジャンヌ「…へ?」

 

ネプテューヌ「いやいやいや!何で作者がセクハラしただけでそうなるの!?」

 

藤和木「あ、ダメです?ならちょいとお耳を…。」

 

ネプテューヌ「ん?何?耳にいきなり息かけるのはなしだからね?」

 

 

 

ゴニョゴニョ…

 

 

 

ネプテューヌ「!?わ、分かった!分かったから!主人公のわたしであるためにも、ジャンヌちゃんって呼ぶから!それでいい!?」

 

ジャンヌ「あ、は、はいっ。」

 

藤和木「よっし、これで解決ですね。」

 

レイ(もしかして、藤和木はジャンヌちゃんの怒りを抑えるのと、ジャンヌちゃんに代わって説得したの?)

 

ジャンヌ「…(藤和木…まさか、わたくしのために…?)」

 

藤和木「さて、問題解決したところでもう一人のゲストを紹介しないとですねぇ。(このままだとゲストを紹介できそうにないからなぁ。ただノワールの出番今後増やすよ?って言ったら、こうなったし、権力の乱用っていうんだろうなーこれ。あんまり使いたくないな、この手は。でも何より、ジャンヌさん確実にネプテューヌをやってただろうしなぁ。ジャンヌさんの手を汚すわけにはいかないからね。でも痛かったなぁ。まぁ、ジャンヌさんの我儘なボディ少し感じた分、報酬としとくか。)」

 

レイ「そうだねっ。もう一人のゲストは、ゴッドクロスのことがすっごく気になって仕方がなさそうなメカっ娘女神!ネプギアちゃんだよーっ!」

 

ネプギア「はいっ!久し振りに出られました…しかも、お姉ちゃんと一緒だなんて、嬉しいです。」

 

ネプテューヌ「ここでようやく、プラネテューヌの女神コンビが揃ったよ!」

 

ジャンヌ「確かに、今回が初めてですよね、ネプテューヌ様とネプギアさんが揃うのは。」

 

ネプギア「はいっ!お姉ちゃん、今日の光樹さんのガンダムの紹介、楽しみだねっ!」

 

ネプテューヌ「え、あー、うん…た、楽しみだね…。」

 

レイ「どうしたの?ネプテューヌちゃん?テンション低いけど。」

 

ネプテューヌ「それがね、前々から、新しいガンダムが出る度に、ここで色々と質問したかったって言ってたんだよね。で、更に前回と今回の黒の館の間で、光樹のガンダムが変身する第二形態が凄く気になってるんだよねー。それこそ、この黒の館に呼ばれるのを楽しみに待ち遠していたんだよ。何度もまだかな?まだかな?って言ってね。」

 

ジャンヌ「余程、光樹さんのガンダムが気になっていらっしゃったんですね。」

 

ネプギア「はいっ!光樹さんのゴッドクロスが更に変身したガンダム…「ダイ」!凄く気になります!」

 

藤和木「さて、それでは今回も紹介に移るとしましょうか。」

 

ジャンヌ「はい。今回紹介するのは、光樹さんのガンダム、「ゴッドクロス」がANロストドライヴの次元力を利用して更に変形…いえ、変身したガンダム、「シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイ」ですっ!」

 

レイ「これが、零次元編最後の紹介だよっ!!」

 

 

 

 

 

 

シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイ

形式番号 SSR-VVVX-BA002GXmodeDAI

解説

シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスに搭載された特殊動力機関、ANロストドライヴより、次元力を抽出し、機体全体に次元力を送り込むことで機体全体のリミッターを解除、変形することで使用可能となる、「DAIモード」を起動させたゴッドクロスの第2形態。ゴッドクロスの「最後の切り札」でもある。

本機体の機能と、機体設計データには、エクストリームガンダムType-レオスⅡだけではなく、ANロストドライヴの復旧作業の参考モデルとなった、別世界で「スフィア」と呼ばれる次元力運用機関を搭載した機動兵器「ジェニオン」の物が用いられている。この「ダイ」も、ジェニオンのもう一つの姿かつ真の姿である「ジェニオン・ガイ」から発想を得た機能である。

だが、ここで問題となることがある。ゴッドクロスはそもそも、光樹の時代にて、リザーブにて保管されていた「クロス」を改造して制作された、ある意味光樹達の時代で初めて制作されたNPと言っても過言ではない。しかし、それは関係なく、問題はその過程である。この変形機構はブラッドゼロなどにも搭載されていた航空形態への変形も行える状態でこの機能は盛り込まれた。だが、これほどの機構を二つも盛り込むことは、フレームの変形限界をゆうに超えるほどのものであるはずなのだ。しかしながら、それらの機構をゴッドクロスは組み込むことができた。

これらのことができたのは、フレームの優秀さと、ゴッドクロスの設計を行った光樹やGKSWAXPの綿密な設計により、実現した機能であるとゼロは語る。前者については、クロスのフレームは解析によると様々な機構を複数運用できるだけの汎用性を持ったマルチフレームとでもいうべき機能を持つフレームだったためである。後者についても、この機構を知ったことと次元力を運用できるかつ、ゴッドクロスの運用上の戦闘スタイルに最も近いかつ、境遇の似たジェニオン・ガイをベースとすることを決めたことで、これらの設計データをそれぞれの世界の制作者を通じて機体に反映させた。

機能名称である「DAI」は「Dimension Armor Infinity」の略で「無限なる次元の鎧」となる。また、ジェニオン・ガイの「ガイ」が規格外の「外」や「鎧」、そして「骸」という意味になるように、ダイは極大の「大」や英語で「死」の「DIE」、更に代替の「代」など、それらの意味も込められている。「代」というネーミングについては、本機の搭載するANロストドライヴが、スフィアと同程度か、それ以上の力を持つとされる、オリジナルの動力機関「超次元ドライヴ」と呼ばれるものの代替品であることに由来するとゼロは言っている。

前述したとおり、本機は本来想定した動力機関である超次元ドライヴを搭載していない。その為、モデルとしたジェニオン・ガイと同じように、このモードの起動限界時間が存在する。機体の動力と装着者、二つの存在に、それぞれ負荷がかかるためだ。本来設定されている制限時間はジェニオン・ガイとは違い、5分まで延長されている。しかし、零次元編では制限時間がジェニオン・ガイと同じように1分、その後、ゼロへの指示により10秒間だけ起動を行っている。ただし、その分光樹の体には大きな負担を掛け、超次元到着後にすぐに気絶してしまっている。これは光樹が記憶を失っていることで、機体の次元力を引き出す資質を失っているためである。この資質こそ、ジェニオンを使う資質である、「リアクター」としての資質である。

これらのことから、記憶を失っている光樹がこれらの機能を使いこなしているとは言い難い。そのため、記憶が戻った際のゴッドクロス・ダイがどれほどの能力を持つのか、注目されるだろう。

ちなみに、ゴッドクロス・ダイはDAIモードとドライブモードを同時に発動が可能。他にも、クロスカップリングモード、TRANS-AMが同時に併用が可能となっている。しかしながら、それらのマルチドライブは光樹にも多大な負荷をかけるのは当然である。

 

 

 

藤和木「これが、ゴッドクロス・ダイの、機体の説明だけです。」

 

ネプテューヌ「あれ?いつもの機能と武器の紹介は?」

 

ジャンヌ「そうですね。どうされたんです?今回は。」

 

藤和木「いやね、ゴッドクロス・ダイって、ゴッドクロスが変形というか、拡張することでなる形態なんだよね。だから、武装はほぼ据え置きなんだよ。」

 

レイ「あー、確かに!武器は特に変わらないもんねー!」

 

ネプギア「ということは、紹介しないんですか?というより、DAIモードになっても、武装は全く変わらないんですか?」

 

藤和木「いや、そういうわけではないよ。ここからは、DAIモード時に変化する機能・武装を紹介していこう。」

 

 

 

 

システム系

 

TRANS-AM

機体の粒子放出量を増大させていた本システムは、DAIモード時には、ANロストドライヴとも機能を直結させることで、次元力を更に引き出すことが可能となる。しかし、その分制限時間も短くなるため、使いどころは限られる。今現在は光樹のゴッドクロス・ダイの運用維持時間の都合上、ゼロがロックをかけている。

 

極限進化機構「ドライブ」

本モードにて、ゴッドクロス・ダイ専用のトランザムシステムとなる。通常時はこれで事足り、更に制限時間も圧迫しないなど、非常にノーリスクハイリターンな結果をもたらす。しかしながら、制御が困難になるため、本機能は超次元編以降に見られるはずだろう。

 

 

 

 

武装

ANディメンションスマッシャー「ヘルヘイム」

本形態では、ANロストドライヴとの直結が確立されるため、次元力を利用した砲撃が可能。更に発射される弾は通常のビーム系に加え、新たに球状のエネルギー球を形成が可能となっている。

 

ANフレキシブルマルチウイングバインダーユニット

背部の大型推力発生用のウイング。それらの小型ウイングに加え、それらが装備される中型ウイングが展開され、その姿はジェニオン・ガイのように、大きなウイングを背負っているように見える。

 

AN高純化射撃兵装「オーディン」

ゴッドクロスの時よりも、砲撃が強化されているが、ANロストドライヴの干渉により、拡散照射モードへの切り替えが可能となっている。これはクロスの時の干渉が、ゴッドクロス・ダイになったことで干渉を抑えきれなくなってしまったためである。しかし、ゴッドクロス・ダイのシステム系の更新により、この干渉を自らの力へと変えることが可能となり、ビームを拡散させられるようになった。簡単に悪く言えば暴走だが、よく言えば、オーバードライブ状態となっている。

 

ANフレキシブルアームデストロイブレイカー「ディメンションブレイカー(次元を壊す者)」

腕部構造が大型化したため、大きさによるダメージの増大を可能としている。また、次元力を機体全体に流すことで、腕部の耐久性が向上、それにより、高威力の打撃攻撃、「ディメンションナックル」を使用できるようになった。ディメンションナックルは、機体に流れる次元力を拳の一点に集中させ、敵の内部構造を破壊する次元の拳。次元力を今現在、最大火力で解放できる、唯一の攻撃でもある。

 

 

 

 

藤和木「以上が、ゴッドクロス・ダイの武装等々になります。どうです?ネプギアさん?」

 

ネプギア「はいっ!本編ではまだ調べてませんが、ここで教えてもらったことをまとめると、光樹さんのゴッドクロス・ダイは、短期決戦に特化した、近接戦主体の機体なんですね!こんな機動兵器、見たことないですよ!」

 

藤和木「おおっ、それはよかったよかった。」

 

レイ「ネプギアちゃん、すごく嬉しそうだもんねー!よかったね、ネプギアちゃん!」

 

ネプギア「はいっ!出来れば、装甲を外して、どういった構造になっているのか、調べたいですが、それは本編の方で調べてみたいと思います。」

 

藤和木「うん。きっと光樹君なら、ネプギアのお願いを聞いてくれると思いますよ。そういえば…ネプテューヌとしては、これどう思うんだ?」

 

ネプテューヌ「うーん。前よりも制限時間が出来た分、主人公っぽくってうらやましい限り!かな?だってわたしたち女神には制限時間っていうより、エネルギー切れって方があってるし。」

 

ジャンヌ「!そういえば…藤和木、ちょっとよろしいでしょうか?」

 

藤和木「おやおや、ジャンヌさんが質問とは珍しいですね。何かありましたか?」

 

ジャンヌ「そういえば、光樹さんのガンダムも、トランザムといった、制限時間が設けられている物がありますけど、今回のお話では、全くそういった描写がなかったなぁ、と。一度閲覧したのですが、エネルギー切れらしいのは最初のエクストリィムとの決戦とゲームセンターの戦闘、そしてゴッドクロス・ダイの制限時間オーバーくらいですよ?トランザムをちゃんと使っているのに。」

 

藤和木「なるほど。つまりジャンヌさんが言いたいのは、制限時間切れになって、ピンチになったことがない、ということですね?」

 

ジャンヌ「そうですね。ここまで戦っていると、そう思うのですが。」

 

レイ「それってさ、光樹君がエネルギー切れになる前に大きなダメージを負っているから、それが知らされてないってことじゃないかな?」

 

ネプギア「そうかもしれません。光樹さんっていつもピンチの時はエネルギー切れではなくって、大きく損傷した時ばかりですから。」

 

ネプテューヌ「でも、今後は制限時間が1分だから、それも多く見ることができるんじゃないかな?」

 

藤和木「あ、すみませんネプテューヌさん。今度の超次元編の方で、感謝祭の時にはDAIモード2分くらいに延長させるんですよ。」

 

ネプテューヌ「いきなり!?…でも、2分も厳しそうだよね。」

 

ネプギア「大丈夫だよっ、お姉ちゃん!もしもの時は私がDAIモードの制限時間を取っ払うから!」

 

藤和木「やめて!そうしたら、光樹君が負荷で死んじゃう!」

 

レイ「あ、あはは…。じゃあ、今回は久々に質問コーナーがあるよっ。」

 

ジャンヌ「今回は同じ方、ですね。そういえば、わたくしたち、藤和木のアシスタントを始めて初の質問返答コーナーでしょうか?」

 

藤和木「じゃあ、私が選んだ質問の一個を紹介します。ジャンヌさん、よろしくっ!!」

 

ジャンヌ「はいっ。…では、「超次元編はオリジナル展開なんでしょうか?」です。」

 

ネプテューヌ「おおっ、これは気になるねー!どうなの?」

 

藤和木「あんまり大きくは話せないけど、ある、と言えば、ありますよ!まず最初の感謝祭編はもちろん、女神個別ルートで、光樹君側のオリキャラが絡んだエピソードを送る予定であります。お待ちくださいませ!」

 

レイ「次回からの超次元編、どうなるのか、お楽しみ~!」

 

藤和木「さて、そんな感じで紹介してきた黒の館ですが、今宵も閉館の時が参りました。皆様とは、次の黒の館でお会いしましょう。ということで、皆さん!次回予告を!!」

 

ジャンヌ「はいっ!藤和木!!…零次元から戻り、しばらく体を休めていた光樹さん達。」

 

レイ「その一方、女神様達は、日に日に増えていく女神の悪い噂に頭を悩ませてた。」

 

ネプテューヌ「だがしかし、わたしが提案した策により、ゲイムギョウ界感謝祭が開かれる!」

 

ネプギア「その中でも見どころは、女神様参戦のトーナメントバトル。」

 

ジャンヌ「そのトーナメントに光樹さんも参加、しかし…」

 

レイ「突如現れた4人の少女達と4体の機動兵器が立ちふさがるっ!」

 

ネプテューヌ「追いつめられてしまう、わたしたち四女神と光樹!」

 

ネプギア「そんな5人を助けたのは、ガンダムを操る、数多の少年少女達!」

 

ジャンヌ「この出会いが、次の物語へと誘う…!」

 

レイ「次回、「新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG」!!

 

ネプテューヌ「第3章 「超次元編 四女神STORY 黄金の戦士達と新たなガンダムマイスター達」!!」

 

ネプギア「第82話、「四女神、作戦会議と言う名のお茶会」!!」

 

ジャンヌ「光樹さんの過去の記憶を巡る戦い…」

 

全員『今、始まれ、ダイ!!!!』

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。これにて、本当に零次元編終了です。

ジャンヌ「ここまで長かったですね。」

レイ「私たちもかれこれ30話近くここまで来たみたいだね。長かったぁ。」

次回からは超次元編!うずめとはしばしのお別れ。そして、ゴールドサアドのご登場!新たなガンダムに敵も参戦!次からもガンダムの嵐がやまないですよ。

ジャンヌ「さて、それでは次回は日曜日の投稿になります。」

レイ「それじゃあ、今回は短いけど、またねー!」




それから皆様、Happy Halloween!!今日はハロウィンですよー。

レイ「あれ、やけに藤和木発音いいね?」

私、こう見えても英検準2級を高1で取ってますから!

ジャンヌ「あら、そうなんですね。発音が良かったご褒美にお菓子でもあげましょうか?」

ありがとうございますっ!\(^o^)/


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第3章 超次元編 四女神STORY 黄金の戦士達と新たなガンダムマイスター達
第82話 四女神、作戦会議と言う名のお茶会


どーも皆様、お元気でしょうか?こちらは元気にパワーポイントで雑誌企画のプレゼン作っております、藤和木弘でございます。

レイ「ど、どうみてもその工程は空しそうに見えるんだけど…。ど、どうも!みんな!レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「今も小説打つのを合間にして資料作成してますよね、それも死んだ目をしながら…。でも藤和木が先日休んだのがいけないんですよ?どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

さーて、こちらは遂に第3章の始まり!しかし、今のストーリーは第3章のプロローグに当たる物語となっております。

ジャンヌ「そういえば、最初の時も、第0章という形でプロローグがありましたよね?」

そうそう。今回もそんな感じで始まります。

レイ「タイトルで、四女神がお茶会かぁ。楽しそうっ!」

ジャンヌ「わたくしには、どう見ても何か面倒なことから逃避したそうなタイトルに見えるんですが…。」

気にしないで気にしないで。大体予想通り。

ジャンヌ「どこが大丈夫なんですか…。」

レイ「さぁ、次の章の始まりは、いつも穏やかな所から!!はっじまるよー!!」


ネプテューヌとネプギア、更に光樹達が零次元から帰還して数日後のこと。その日、ネプギアたちは、零次元の件で協力してくれた三女神たちへ、心配を掛けたお詫び、加えて、それらへのお礼を兼ね、プラネテューヌへ小さなお茶会を開催していた。

四女神が揃うのは、久々のことだった。なぜなら、ここ最近はどの国も守護女神の転換期の真っただ中なのだ。そのため、断られる可能性も、ネプギアは考えてはいたが、その考えに反して、三人の女神たちと女神候補生たちはこれに応えて来てくれた。

ここまで聞いていると、再会を喜んで来てくれた、ように思えるだろう。だがしかし、現実はそんなものではない。三人が来た理由。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーっ!もう、誰よ勝手にラステイションの女神は友達がいない孤独な守護者とかネットに書き込んで広めたのは!」

 

大きな声を上げて怒っているのは、ラステイションの守護女神であるノワール。しかしながら、その様子はいつものような冷静さはなく、腹を立てているような口調で、お茶を淹れているネプギアも、いきなりの発声に少し驚く。驚いた影響で、ティーポッドでカップにお茶を淹れる手を止めてしまう。

い、いきなりそんな事を愚痴るなんて…。と私もお茶を淹れつつも傍らでそう思います。けど、それは何もノワールさんだけではないことを知らされる。

 

「わたくしもですわ。昨日は一日中部屋に缶詰でしたのに、紅茶ショップ巡りをして高い紅茶を経費で沢山買ったことにされていますわ。」

 

「わたしも。何故か、わたしの名前でAMAZOOの商品レビューを書かれてる。しかも、全部評価が最低で、抽象的な内容。二週間で百以上の商品に最低評価をつけたり、購入を『ココウニュ~』、ゲームを『ゲムー』って書いたりしているあたり、間違いなく煽ってるわ。」

 

ベールさんやブランさんも、同じく苛立ちを顔にまで表していた。中でもブランさんは、手を少し上げて、握りこぶしを作る始末だ。こうも三人で怒られていると、なかなか話しづらいなぁ…。

今はネプテューヌが話を聞いているため、どうやって話に割り込んでお茶を持っていこうと考えるネプギアであったが、三女神の言っていることは、ネプギアも問題であることを感じていた。四女神に対する悪いイメージは、もちろんプラネテューヌにも波及していたからだ。

女神に対する悪いイメージの放流。それら全ての対応は、今はイストワールが対応していたが、たまに量が多いと、ネプギアと光樹も手伝いを受けていた。その際に、そういった問題の一部に接するのだ。内容も、自身の姉のあることないこと(と言いたかったが、中にはまさにその通りなこともあったけど…。)が書かれていて、ネプギアもそれらを見る度に気持ちを落としていた。

こういった時こそ、女神であり、姉であるネプテューヌに動いてもらわないと、と思うネプギアではあったが、当然ネプテューヌは女神の仕事でありながらも、よく言えば状況静観、悪く言えばサボっている状況だった。

 

「そして、何故かそれをわたしの裏アカウントだというデマまで出始める始末…。」

 

そう言ってブランは頭を抱える。そんな三人の女神の愚痴に、ネプテューヌも同感して、自身の不満をぶつける。

 

「わたしだって、仕事をネプギアやいーすんや光樹に押し付けて遊び呆けてるなんて書き込まれてるんだよ、失礼しちゃうよね!」

 

自信を持って、言ったセリフのようだったが、それを見ていた三人は口を閉ざしていた。否、むしろあまりに変なことを言っていて、何を言っているのか分からないというような様子を見せていた。

そのネプテューヌの言葉にはネプギアも聞いていて、唸った。

 

(でも、お姉ちゃん。それ事実…だよね?ノワールさんたちも絶対そう思ってる顔だよね。)

 

心の中でそう思いつつ、ネプギアはその隙を突くように、お茶をササッと四女神の前へと持っていく。もちろん、お菓子も欠かさずに出す。

それらでようやく意識を遠くから戻した三人の女神がお茶を口にする。

と、いった具合に、同じ国を治めるもの、同じ問題に困らせている同士で愚痴るために、このお茶会の開催は決定したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ホント、こんな問題は、相手にする方は困っちゃうよねー。わたしはネプギアが出してくれたお菓子とかに口をつけつつ、そう思う。

普段だらけている自分の所だけじゃなく、自分よりもいち早く問題を解決してるようなイメージのあるノワールのラステイションですら、そんな状況だと知ると、同情する気持ちも出てきてしまう。どこも同じ状況。全員が同じ問題に困ってしまう現状に、ネプテューヌは、それを口に出して言う。

 

「やっぱ、みんなのところも同じかー。まったく、ひどい世の中だよね。ほんと、参っちゃうよ。」

 

「そのせいで、最近は甘いものがないと、やってられませんわ。これでは、また余計なお肉がついちゃいますわ…。」

 

ベールのその言葉に、ネプテューヌも納得するような表情を見せる。人は困難に立ち向かう時、頭を使う。そのため、自然と体内の糖分を使用してしまう。それは女神も同じだ。それによる影響、肥満もまた、女神にも起こる。だからこそ、ベールはその心配をしていたのだ。

その一方、ノワールの付き添いでやってきていたユニが呟く。残念ながらネプテューヌの耳に聞こえることはなかったが、ベールの言葉の意味を認識違いしていて、脂肪が別の所につくと思っての発言だったのだ。

ユニの言葉は拾われることなく、続いてブランの付き添いであるラムやロムがネットへの書き込みに対し怒りと悲しみを見せる。

 

「でも、ひどい人もいるわよね。どうして悪口やウソばっかり平気で書き込むのかしら。」

 

「お姉ちゃんたち、かわいそう…。」

 

二人の純粋な気持ちは、その場にいた全員に同情とやるせない気持ちをもたらす。そんな疑問はもっともだが、それをなかなか解決出来ないのが当たり前だ。

ピュアな感情を言葉にした二人に、教えるような口調でベールが語る。

 

「考えられるのは、二つ。一つは、愉快犯による犯行。そして、もう一つは私たちを陥れたい誰かの陰謀ですわ。」

 

ベールの言葉は正しく、それらによるものだろうと、四女神は思っていた。ネプテューヌとしては、オンラインゲームで悪口を書き込んでくるようなものだと捉えていた。それもまた、ネット上で起こる問題である。難しいことが苦手なネプテューヌとしては、そちらの方が分かりやすかったので、そう考える。

ラム、ロムに対し、ベールが落ち着いた様子で答える。

 

「その場合、敵対しあっている国が犯人なのですが…、さすがに、この中ではそれはありえませんわ。」

 

「お姉ちゃんたち、みんな仲良し。」

 

その言葉を聞いて、ロムたちも安心した様子を見せる。だが、事態はそんなに簡単な話ではなかった。

 

「えぇ。なので、わたくしとしても、四人揃って、この時期を乗り越えたいのですが…」

 

ベールが何か言おうとしたところで、急にノワールがわたしに話を振ってくる。

 

「ねぇ、ネプテューヌ。そういえば、お茶会の他に、何か重要な話があるとか言ってなかった?」

 

「そういえば、そんなことを言ってたわね。つい、愚痴るのに夢中で忘れていたけど…。」

 

もー、なんなのさ、ノワール!それにブランも!ベールが何か重要なこと言おうとしてたのにー、って怒るとこだけど、なんだかベールもマイナスな話をしようとしてたし、なにより、わたしがみんなをお茶会に呼んだもう一つの理由に触れてくれたから、おかげで思い出したし、話さないといけないね。

考えを切り替えたネプテューヌが、ノワールの質問に答える。

 

「そうそう、そうだよ。わたしもすっかり忘れてた。えっとね、こういう時期だからこそ、個別に対応するんじゃなくて、みんなで連携して乗り越えられないかな、って思ってるんだ。」

 

「…ネプテューヌにしてはいい案ね。わたしも、一人では限界を感じてたところ。」

 

それは、共に助け合って、この危機を乗り越えようという考えであった。一人よりも二人、二人より三人、そして、三人より四人。単純に数が増えれば、この危機を乗り越えられる手も考えることができるはずだという考えだ。

ストレートな案に、ブランも賛成を示してくれた。その言葉を受け取りつつ、さらにネプテューヌは持論を展開する。

 

「でしょでしょ?三本の矢は一本の矢よりなんたらって言うように、こんな時だからこそ協力しあうべきなんだよ!」

 

明るく未来に目を向けたネプテューヌの発言だったが、それに賛同しつつも、なかなかそれを実行できないとノワールが頭に手を当てて言う。

 

「協力、ねぇ。いい考えだと思うけど、それはそれでまた叩きの材料にされるのよね…。」

 

「『慣れ合い政治乙!』や『一人では何もできない守護女神』とか批判の書き込みが目に浮かぶようですわ…。」

 

「い、いくらなんでも、ネガティブになりすぎじゃあ…。」

 

ノワールの意見に、ベールも同意だという声を出す。それを聞いていたネプギアも、気まずそうにする。しかし、そのネプギアに、先程ネプテューヌの意見に賛成を見せたブランも、憂鬱になりながらこれまでの苦労を呟く。

 

「実際に長時間叩かれてみればわかるわ…。良かれと思ったこと全ての揚げ足を取られて叩かれるんじゃ、こっちまでマイナス思考になるわ…はぁ…。」

 

それらの言葉を聞いてると、そういったマイナスな言葉も思考も出てくるよね。あんまり考えたくはないけど。

でも、今回はそれだけじゃあ、ないんだよね。そう思ってわたしは納得しづらい雰囲気を出している三人を説得する。

 

「確かにそういうことにもなるよ。でも光樹のガンダムのAI?のゼロが言ってたよ。マイナス思考になってしまったら、失敗しか結果としてならないって。」

 

「ネガティブさが却って失敗を招く、という意味ですわね。」

 

「確かに。何もかもマイナス思考じゃ、冷静な判断は下せないわ。」

 

ネプテューヌがゼロに言って、ゼロが答えた回答の言葉を、ネプテューヌが言う。しかしながら、ゼロの言葉はネプテューヌも理解していた。というより、ゼロが説明したことを、ネプテューヌが理解できなかったため、ゼロが簡単に説明を行い、ようやくこうした言葉になっただけなのが真実ではあったが。

しかしながら、その言葉にベールとブランの二人も納得する。残るノワールにも、更に言葉をかけていく。

 

「それにさ。今ここにはいない光樹も言ってたけど、わたしたちって、これまでもみんなで協力して、大きな問題に解決してきたでしょ?だから今回も力を合わせて…。」

 

「協力して、このゲイムギョウ界の危機に立ち向かう、ってことね。いつも通りのことだけど、それが私たちにとって一番なのかもしれないわね。まだ、どうやってするかを聞くまでは納得はしないけれど。」

 

「そうそう!いやー、さすが光樹!わたしたちのことを外からよく見てるよ!」

 

ノワールの言葉を聞き、ネプテューヌも少し肩の荷を下ろす。だがしかし、ノワールはネプテューヌが考えた案によって行動すると言った。まだネプテューヌとしても、この計画に賛同してもらう必要があると理解していた。

一方、その案はネプギアたち女神候補生からは期待の声が上がっていた。女神候補生たちは全員で姉たちの力になりたいと思っていたためであろう。

その中で、ユニが先程のネプテューヌの言葉に期待を寄せる。

 

「でも、やってみる価値はあると思います!きっと、ネプテューヌさんのことだから、凄い案があるんですよね!」

 

ユニからの言葉は当然だ。案がない状態でこんなことを言うわけはない。ちゃんとネプテューヌなりに、考えた案があった。その案は、光樹どころか、ゼロもスケールの大きさに少しの間言葉を失わせるアイデアだったのだから。

 

「それは期待し過ぎな気がするけど…、実際はどうなのよ、ネプテューヌ。」

 

わたしに期待を寄せる自身の妹であるユニちゃんを心配するノワール。でも、ノワールなら、きっとこの案に賛成してくれることを信じて、わたしは宣言するよっ!

テンションを上げてネプテューヌは自身の案を出す。

 

「うん、わたしたち四国共同で、おっきなおっきなお祭りをやろうと思うんだ!」

 

「お祭り?それなら、どの国も毎年やってるじゃない。」

 

その案を聞いて、ノワールがそのことを口にする。ノワールの言う通り、このゲイムギョウ界にもお祭りは存在する。

しかしながら、それはネプテューヌも理解していた。そして、それらを踏まえての意見であることを強調する。

 

「それは国別でしょ。わたしがやりたいのは、四国合同の、言わばゲイムギョウ界感謝祭的なでっかいやつ。で、国家予算の全部をパーッと派手に使っちゃうんだ!」

 

ネプテューヌの発言に、ノワールたちが唸る。そう、ネプテューヌが考えていた、一番のセールスポイントこそが、国家予算のすべてを全て使うということであった。

その言葉に、まだ話の内容を聞いていなかったネプギアが躊躇いの声を出す。

 

「さすがに、それは…」

 

ネプギアとしても、その意見に賛成するのはいないと思っていたのだ。だがしかし、ネプテューヌはこれに食いつくはずだと思っていた。予算を抑えた政治をするよりも、とんでもないビッグな考えで行った方が、国民からも逆に信頼が得られるかもしれないという、ハイリスクハイリターンな状況にしようという考え。これまでの対応にこまねく状況を打開する、いい案のはずだ。

現に、それを聞いた三女神たちも…。

 

「………。」

 

まんざらでもない様子で、それぞれ考え込む。ネプテューヌの案による結果を思案してるのだ。

考え込むのが終わったノワールが、まずはその意見による結果を出す。

 

「…いえ、いいアイディアね。」

 

「えぇ!?」

 

いつものノワールとは違う、リスクを選択した回答に、ネプテューヌに期待を寄せていたユニも思わず声を高くして驚く。が、その言い方は誤解であることをユニに言う。

 

「誤解しないで。国家予算の件は流してただけよ。」

 

「よ、よかったぁ…。」

 

残念ながら、ノワールは当然のように予算を大きく使うハイリスクを避ける選択だった。ユニも姉の壊れたともいえる回答に納得して息を吐く。しかし、ネプテューヌの案に否定というわけではなく、ゲイムギョウ界感謝祭的な考えには賛成するという結果であった。

いやー、ノワールからわたしの意見に賛成してもらえるなんて!でも、やっぱり予算の件になると、そこは譲れないよね。仕方ないかぁ。でも、感謝祭だけには賛成してくれるんなら、無問題だね!

ノワールの賛成に、ネプテューヌも笑顔を見せる。そこに、ベールとブランも賛成の意見を並べる。

 

「わたくしもネプテューヌの意見に賛成ですわ。今までは国ごとの対応でしたが、この案なら、何か変わるかもしれませんわ。」

 

「そうね。…もしかしたら、陰で変な情報を流している犯人を炙り出せるかもしれないわ。」

 

「変な情報を流してるって?」

 

そこでブランの言葉に引っかかったネプテューヌが、ブランに聞く。陰で変な情報を流している犯人というのが気になったためだ。

そこに気づいたネプテューヌにブランはこれまでに分かっていることを説明する。

 

「まだ確証はないけど、わたしたちに関してデマや嘘を流して人々を不安に陥れているやつがいるの。」

 

「これは、あくまで推測ですが、規模的に何かしらの組織の犯行ですわ。でなければ、この量の情報操作は無理ですわ。」

 

ブランの説明に、ベールの付け足しも含めて、ネプテューヌは相槌を打つ。三人はネプテューヌがいない間のプラネテューヌの支援に加えて、それらも連携して調べていたことを知り、称賛する。

 

「わたしが向こうに行ってる間に、みんなはいろいろ調べてたんだね。」

 

そのネプテューヌの言葉に対して、ノワールは溜息を付きつつも、話をまとめる。

 

 

 

 

「まぁ、ネプテューヌがこういうのに疎いのはいつものこととして、ゲイムギョウ界大感謝祭、やってやろうじゃないの。」

 

「じゃあ、みんなでお祭り成功させるぞー!」

 

『おーっ!!』

 

こうして、ネプテューヌたちの、ゲイムギョウ界大感謝祭の計画が、始まることとなった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。最初の部分はゲームの超次元編の始まりを光樹君もネプテューヌの言葉として絡ませました。

ジャンヌ「光樹さんは、女神の皆様の事を外から見ていらしてる設定でしたからね。いいと思います。」

レイ「でも、案外今のゲイムギョウ界って黒いんだね…。」

何を言ってらっしゃる、レイさん。現実世界もこういった世界も、どこもどす黒さで満ちてるよ。ポケットに入るモンスターだって、今も昔も黒いよ?

レイ「藤和木が藤和木じゃないよ…。そりゃあ、私たちの世界でもそういったのはあるけどさぁ。」

え?何何?レイさんやジャンヌさんが枕え…(ドガッダン!!)

ジャンヌ「…藤和木?あなた今なんて言おうとしたんですか…?」

スミマセンナンデモアリマセン。

ジャンヌ「全く…レイさんを変なものに関わらせないでくださいっ。」

レイ「?ジャンヌちゃん、藤和木が言ってたこと分かるの?」

ジャンヌ「レ、レイさんには関係ないことですっ!さぁ、藤和木!次回予告の方行きますよ?」

ほいな。次は特に障害なし!土曜日でイッテイーヨ!!

レイ「どこかの仮面のバイク乗り君の武器かな?」

ジャンヌ「それでは皆様。また次回っ。」


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第83話 ダイの解析、迫る感謝祭

どうも、皆様、お元気でしょうか。明日がまた試験な藤和木弘でございます。先週に引き続いてだよ…(´;ω;`)

ジャンヌ「まだそんな事言ってます…。昨日はあれだけサービスしたんですから、シャキッとしてくださいっ!どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「ホントホント!ジャンヌちゃん昨日はいつもより藤和木にサービス精神あったんだから、頑張りなよ。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

昨日のポッキーゲームは、うん、嬉しかったよ。でもそれをやっても試験が延びることはない…悲しい。
と、言ってられないですね。

レイ「そうそう!今日は第83話だよっ。でも更新前に藤和木が話の話数をミスってた件について。」

いやー、なんかおかしいなーと思ってたら、原稿の話数が間違うという失態。危なかった危なかった。

ジャンヌ「見直ししてて良かったですね、藤和木。今回は光樹さんのゴッドクロス・ダイ関連のお話でしたよね?」

そうそう。ダイの力はどのくらいなのか?「彼ら」の協力を持ってして、ゴッドクロス・ダイの性能が分かります。

レイ「ゴッドクロス・ダイ、今の力はプロローグとどれだけ違うのかな?それじゃあ、本編に!」


 

「…という話になりました。」

 

「結局、ネプテューヌの案が採用されたのか…。」

 

ネプギアからの通達に、光樹はそう答える。現在光樹とネプギアはプラネテューヌの「SP」…別名、「シェアプロテクター」用の工廠施設に来ていた。シェアプロテクターとは、光樹が以前戦った、ゲイムギョウ界の新型機動兵器のことだ。

工廠施設は、光樹達が零次元へ行っている間にイストワールが建造の指示を出し、完成度は今の所70%。しかしながら、まだ機体性能があまり解析できていないことと、現状況で一番戦力としての力がある機動兵器であることから、光樹のガンダムの専用整備ハンガーが完成していたのだ。後々、本命のシェアプロテクターもこの工廠に来る予定であったが、先に光樹のガンダムの解析を行うために稼働試験も兼ねての運用であった。

ただし、光樹は既に来ており、来たのはネプギアだけなのだが。そのネプギアの説明で、四女神達は四か国合同の感謝祭を決定したことを知る。光樹は昨夜、イストワールに国民の不信感をどうにかするように言われたネプテューヌと一緒に、その解決策を考えていた際にその案を聞いたのだ。ネプテューヌの考えを聞いた際には、ネプテューヌらしい考えとは思ったが、それを他の全員が納得するかが問題だった。

しかしながら、光樹もあの三人ならこの案には乗ってくれるのではないだろうかと思っていたので、それほど驚きはしなかったのだ。と、言っても、ノワールが素直に従ったということだけは(否定は少ししているが)、少し驚きを見せる。

 

「まさかノワールをその意見で納得させるとはなぁ。ネプテューヌの考えは間違っていなかったってことか。」

 

光樹としても、ノワールがこの案で障害となる存在だと思っていた。ノワールに失礼だが、基本ぼっちなノワールが他の三人と進んで協力するというのがあまり見たことがなかったからだ。

そう言いながら、光樹はドッグにアームで固定されていたゴッドクロスを装着する。電子化していく体がゴッドクロスに入っていく。装着が完了するとアームが外れ、光樹に対しドッグの整備員が声をかける。

 

「では、光樹君。これより昨日の続きとして、ゴッドクロスの第二形態、「ダイ」と呼ばれる機能の解析を開始させていただきます。DAIモードの起動を。」

 

「あぁ。ネプギアも見ていくか?」

 

「はいっ。零次元での最後の戦いで使ったモードなんですよね?私もまだ見たことがないので、見てみたいです。」

 

ネプギアも光樹のガンダムの機体解析に興味を持つ。それも当然。ゴッドクロス・ダイの姿をゲイムギョウ界の面々は見たことがなかったからだ。もちろん、ネプギアもだ。ちなみに、この解析調査はイストワールが必須事項として光樹に命じていたことである。イストワールによると、今後ガンダム自体に関連して厄介な問題が起きた際の弁護のためのデータ取りとのことだ。無理もない話だ。何せ、今のゴッドクロスの第二形態「ダイ」は女神三人を軽々超えるほどの性能を計算上持つ機体なのだから。

イストワールからの頼みに応えるべく、光樹はDAIモード始動の言葉を口にする。

 

「モード・フルドライブ・アップ、DAIモード、始動!!」

 

その言葉と同時に、ゴッドクロスは変形を開始する。腕部、脚部の装甲が展開し、ゴッドクロスの四肢を拡張させる。更に胸部装甲は胸部砲口の周りが前に少し突き出る。また、背部のウイングは全てのスラスターが展開し、ゴッドクロスのシルエットを大きくする。

その展開する姿を見て、ネプギアが興奮した様子を見せる。ネプギアとしても、まだ自分が見たことのない機動兵器の変形に興味を持つのであった。驚きの度合いが違うが、作業用アームの操作を受け持つ整備員の者達も驚きの表情を見せる。

 

「すごい…機体の装甲裏に配置させた装甲を展開して、各部を大きくすることで武器のリーチを伸ばしているんだ!」

 

ネプギアの解説も交えつつ、ゴッドクロスは最後の変形を開始する。肩部を武器装着ユニットごと大型化させ、胸部の砲口の隙間から緑色の光を灯す。それが終わると、ゴッドクロス・ダイが姿を現す。

 

「変形完了っ。じゃあ、アームユニットに再固定しますよ?」

 

光樹は変形を終えたことを告げ、アームの固定を願う。それに整備員が答える。

 

「はい。ではアーム再固定開始。…3、2、1、…固定します。」

 

ガチャコン!!

 

その音と共にゴッドクロス・ダイはハンガーに固定された。固定を確認すると、光樹はゴッドクロス・ダイから分離する。

地面に着地すると、ネプギアが目を輝かせながら、光樹に疑問をぶつけてくる。

 

「光樹さんっ!今度のガンダムって、どの位の性能なんでしょうか!?」

 

「それは…まだ分からないな。というか、それを調べるための今回の整備だからな。」

 

「そ、そうですよね…すみません。」

 

ネプギアの疑問に、光樹はそう返す。光樹の言う通り、今のハンガー入りはゴッドクロス・ダイの性能を測るためのものでもあるのだ。それら関連のものは、これから分かる物だ。

それを忘れていたのか、それとも光樹なら既に分かっていると思ったのか、どちらかは知らないが言葉を返されたネプギアは顔を赤らめながら謝る。しかしながら、その反応から、おそらく前者であろうと光樹は判断するに至る。

光樹は恥ずかしがるネプギアに悪かったと伝える。

 

「いや、ネプギアが謝ることはないって。機体の性能を理解しきれていない俺の方が…。」

 

「い、いえ!光樹さんはまだ記憶が戻っていないんですから。そんな時に性能がどうとか聞いた私の方が…。」

 

謝る光樹に対し、ネプギアもまた謝る。それは互いに自分が悪いという連鎖が生んでしまっていた。ネプギアも光樹も、お互いに生真面目な所があるために謝り合戦の様相を見せる。

しかしながら、いつまでも整備ハンガーの中に居ては、整備員の迷惑だろう。そう思った光樹はネプギアにここから離れることを提案する。

 

「うーん、確かに、そうだな。でも少しずつは戻ってきてるし、でも、今すぐに性能を言うのは無理だけどな。それより、整備員の所で具体的な性能を聞こうぜ?」

 

「そうですね。じゃあ、すぐに整備員さんの所に行きましょう!」

 

そう言って、二人は整備員のいる、ハンガー脇のデータ観測所に入る。部屋の中には多数の計器類が存在した。そこで光樹達は整備員に軽くお辞儀をして、整備員の計器類の前に立つ。二人が計器類の前に立ったのを確認して、整備員達は計器を操作していく。

そのすぐ後で、ゴッドクロス・ダイを固定するハンガーアームのランプが点灯。それにより機体の周りをデータの光が覆う。それはダイの機能の解析が開始されたのだ。

ここで気になるのは、なぜゴッドクロス・ダイの機体性能解析が実機での運用テスト方式ではなく、機材を用いた、外部からの接続で能力を測るのか、ということだ。以前性能を測った際はブラックエースⅣを光樹が動かしていたのだが、今回は理由があったため違う。

その理由は簡単。ゴッドクロス・ダイが制限時間を持つからだ。制限時間の関係上、ゴッドクロス・ダイの変身が終わるまでに検査を終わらせるのは何日もかかる作業だ。それでは効率が悪い。

それに加え、光樹への負担も尋常ではない。一日に何回もやれるようなものではない。更には何日間も続けるのも不可能。だからこそ、整備員らがゴッドクロス・ダイの性能を測れる安全策として、この方式が取られたのだ。

加えて、ゼロもこの試験に協力。主に出力の計算をゲイムギョウ界側の演算コンピューターのレベルに合わせる役割を持っていた。

しばらくの間、待っていると、次々と整備員からデータが読み上げられていく。

 

「電子空間での「ダイ」、機動データ限界値測定…反応速度0.12、機動速度…秒速18メートル!?」

 

「ほ、本当ですか!?そのデータ!?」

 

「はい、間違いありません。」

 

まず最初の機動系統のデータだけで整備員とネプギアは驚く。その反応に、光樹はすごいということだけ理解する。実際に動かしている光樹にも、ゴッドクロス・ダイの性能全てがとんでもないことは分かってはいたが、それが実際に数字に表された際にどんなものなのかは、全く分かっていなかった。

その為、光樹はすぐにその疑問をネプギアと整備員にぶつける。

 

「な、なぁ、二人共。具体的に言って、どれくらいすごいことなんだ?」

 

その質問に、ネプギアは答える。

 

「い、いいですか?私たちの技術で制作された、シェアプロテクターが大体、反応速度が0.9秒をギリギリ超える速度、そして速度が秒速5メートルくらいなんです。でも、さっきのゴッドクロス・ダイの計算された速度は、限界まで入力したのがさっきの数値…分かりますか?」

 

「あ、うん。大体分かった。つまり「ダイ」はネプギア達の世界のテクノロジーを余裕で超える性能ってこと?」

 

光樹はそのネプギアの説明でようやく理解する。数値の桁が違い過ぎる。反応速度は1秒未満を余裕でマークし、更に速度は秒速で表示。この差は流石に数学系統の問題を苦手とする光樹にもゴッドクロス・ダイの性能がバカげていることを教えていた。

しかしながら、それだけで計測は終わることはない。整備員達もその結果に汗を浮かべつつ、測定を続けていった。

 

 

 

 

測定はこの日でなんとか終わることは出来た。とはいえ、それでも整備員らは残業する形となったが。

そして、その結果だがそれを測定した整備員ら、加えてそれを見ていたネプギアさえも顔を真っ青とする程の結果が出された。その性能は、機動データはシェアプロテクターの約4倍、出力はなんとSPのおよそ6倍以上のデータを記録していた。

簡単に言えば、その性能はもはや人が全力で扱うことは不可能というレベル。女神が仮に装着できたとしても、その限界までの性能を一人で操作することは不可能という。

これを光樹が扱えた理由は、大きな要因として、ゼロという存在があった故であることが結論として出された。

ところが、ゼロによる話とこれまでの運用データから、今のままではゴッドクロス・ダイの性能を引き出しきれないという。それは、この機体を制御する存在が欠けているため。それにより、現在のゴッドクロス・ダイはその性能を半分も出し切れていないことが明らかとなった。

それらの結果に、整備員らはうなだれ、帰る足取りは重く、光樹に不安を抱かせた。誰か自分達の技術の粋を集めた機体(SP)を超える機体を超える機体が今目の前にあったことに絶望し、自殺する者が出るのではないかと。そして…

 

(これは…俺に扱いきれる代物なのか…?)

 

そう思いつつ、光樹もネプギアと共にプラネタワーへと帰ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

光樹のガンダムの測定があった日から数か月後。この日ネプギアは再びシェアプロテクター、およびガンダムの工廠ハンガーに足を踏み入れていた。

実はこの時、女神側でもとある大きなイベントが控えていた。それは、以前ネプテューヌが提案した、ゲイムギョウ界感謝祭の準備を行っていたのだ。だが、今ネプギアはこうして数か月前も訪れたシェアプロテクター工廠に訪れていた。それはなぜか。

それは、この日、光樹のガンダム、「シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイ」とゲイムギョウ界四大国家すべてに配備されたワンオフモデルシェアプロテクター、「パープルプロテクター」「ブラックプロテクター」「ホワイトプロテクター」そして「グリーンプロテクター」との性能対決があったのだ。その見とどけ人として、イストワールからの指示でネプギアが派遣されたのだ。

ネプギアとしても、この戦いは非情に気になるものだった。自分たちの技術の粋を集めて制作された「SP」と光樹の操る「NP」、ガンダム。どちらが強いのか。普通に戦えば、数で勝るSPの方が上だろうが、それでも単機の性能はゴッドクロス・ダイの方が上回る。

イストワールの命令でもあったこの命令。ネプギアは非常に緊張を感じる。

 

(私たちの力と、光樹さんの異世界の力…どっちが強いんだろう…楽しみです!)

 

私はそう思う。いーすんさんの光樹さんのガンダムの危険性を察しての杞憂も分かるけど、それを除いてもこの戦いは本当に気になる。これで負けても、SPの性能強化に一役買うことだってできる。その時には私も参加したいなぁ…。SPの制作には極秘事項ってことで私はあんまり直接的に参加できなかったから、もしかしたら今回は…!

そう思いつつネプギアは工廠内を歩いて行く。途中で案内の人と出会い、対戦の場所へと進んでいく。

そして、大きなドアの所で案内係の人物が壁面のパネルを操作する。すると目の前の大きなドアが開く。そのドアを潜り抜けていくと、そこにはすでに何人もの整備員、技術者の方々がいた。

ネプギアが案内されるまま、席に着席すると、それが合図のようにスタッフの面々が口々に指示を飛ばしていく。

 

「これより、ガンダムとシェアプロテクター4機の実戦形式テストを始める。」

 

それと同時に、情報のモニターに試験場の様子が移される。そこにはすでに光樹のゴッドクロスが準備していた。

そこに、反対側の地面の方に穴が開かれる。そこからは4機の機動兵器が姿を現す。その色は紫・黒・白・緑と、四か国の女神のパーソナルカラーをそれぞれ塗装されていた。そう、シェアプロテクターだ。

そうしてテスト用の全機体が揃ったところで、スタッフが全員に開始を告げる。

 

 

 

「それでは、対戦開始!!」

 

 

 

その声と同時に、4機のシェアプロテクターが飛ぶ。先行するのは海優のパープルプロテクター。それに対し、光樹はすぐにゴッドクロスを変形させる。

海優のSPが近づく前に、ゴッドクロスはダイへと変形を完了させる。それと同時に、ゴッドクロス・ダイは消える。

 

『!?』

 

それを見て海優の驚く声がスピーカーに流れる。しかし、それと同時にもう一人の声も響く。

 

『な…早…ッ!?!?』

 

ホワイトプロテクターを操る少年、「ミヤト・サカザキ」の声が聞こえる。と同時に何かにぶつかったような音が響く。

何が起こったのかを見ると、全体の様子を移すモニターに、それは映っていた。試験場の壁に砂煙が引き起こされていた。光樹のダイが起こしたものだ。一瞬にして海優の正面視界から消えると同時に、最後尾にいたミヤトの顔面を打ち据え、殴り飛ばしたのだ。

一瞬の事で、唖然とするSPメンバー。だけどそれにいち早く行動したのは、四人をまとめるリーダー、カテリーナさんだ。

すぐに身をひるがえして、腕に構えたパルチザンらしき武装を伸ばして攻撃を行う。

 

『早いですね。なら手加減いたしません!』

 

高速で放たれる突きの攻撃。しかしながら、光樹はゴッドクロス・ダイの機動力をもってして、この攻撃を最小限の動きにて回避する。

 

『リーダーの攻撃を回避した!?』

 

『スピードならカテリーナが一番なのに…アイツ、かなり腕を上げてる…っ!』

 

その圧倒的な性能に、パープルプロテクターの海鳴海優とブラックプロテクターの黒崎閃は驚く。彼らの中で、カテリーナの実力はかなり上だと思っていたが為の発言だった。それにはネプギアも驚いていた。

カテリーナさんの槍術はベールさんも一目置くほどの実力の持ち主だ。並大抵の人ではそれを避けることは出来ない。その上、今のカテリーナさんはシェアプロテクターを纏っている。以前の時よりもSPの運用には慣れが出来て、攻撃速度も上がっているはず…。それなのに、光樹さんは…。

光樹の操縦技能が上回っていることを感じ取っていた海優と閃の二人だが、それでも三人ならば。そう考えたように二人はカテリーナの攻撃に合わせ援護する。ライフルブレードとビームソードの二刀流による攻撃。海優の連撃を、槍から逃れた光樹のガンダムに向けて放つ。

それを光樹はまた避ける。着地に放った一撃ではあったはずなのに、光樹は六枚のウイングユニットによる噴射で後方に下がったのだ。

だが、それはSP側の狙いであった。突如、ゴッドクロス・ダイの後方の風景が歪む。それと同時に黒き機影…ブラックプロテクターが姿を現す。

 

『もらった!!』

 

『っ!!』

 

いきなりの出現に光樹も驚きの声を出す。これはブラックプロテクターに備えられた特殊機能「ミラージュライド」だ。自身の装甲を周りの風景と一体化させ、姿を隠す、いわゆるステルスであった。

この機能はプロテクター標準装備ってわけじゃない。実はそれぞれの国家に配備するにあたって、それぞれの国オリジナルの機能をつけようというお姉ちゃんからの発言の元、実現された「シークレットウエポン」の一つ。例えば私たちプラネテューヌなら、シェアエネルギーの消費を多くする代わりに攻撃力を倍加させる「熱血モード(お姉ちゃんのネーミングです)」、ブランさんたちのルウィーならシェアシールドを機体全体に張る「絶対零度の鎧~アブソリュート・レアアーマー~(ブランさんのネーミング…)」だったりと、女神の皆さんがつけたいと思った機能を再現している。

ノワールさん以外が全員自身の戦闘スタイルに合ったものを機能として搭載させている中、ノワールさんのラステイションだけは、ノワールさんたっての希望で、ステルス機能を取り付けたんだよね。理由が諜報活動にも力を入れたいんだそうです。ノワールさんはやっぱり実用的な機能を求めるんだね。

その機能のおかげで、見事ゴッドクロス・ダイの虚を突くことができた。ブラックプロテクターはそのまま手に持ったナイフブレードを振り下ろす。この勢いなら、ゴッドクロス・ダイに一撃与えられる。そう誰もが思っていた。

だが。

 

 

 

 

『ゼロッ!!』

 

『ノイズフォースビックバン、「ディメンション・ブレイカー」』

 

一瞬で反転し、攻撃を左手で受け止めた。攻撃を受け止めるのはある程度予測は出来たが、まさか機体本体で受け止めるとは、誰も思いもしなかった。しかも、その状態で、ゴッドクロス・ダイは必殺の一撃を放つとまでしていた。

 

『マズイ!』

 

攻撃を喰らうまいとブラックプロテクターはゴッドクロス・ダイから離れようとする。ところが、そうもいかないことになる。

剣を引こうとするが、全く動かない。何度も引こうとする様子はモニターを見ていたネプギアにも分かったが、何度やっても、ナイフブレードは動かない。

その状況に、海優が閃に言い放った。

 

『閃!今は避けて!!』

 

『海優…!くっ!!』

 

その指示を受け、閃も了解した様子を見せて武装から手を離して回避しようとする。

が、それはゴッドクロス・ダイにとっての、チャンスだった。

 

『逃がさないっ!!』

 

光樹の叫び声と共に、ゴッドクロス・ダイはスラスターを吹かし、小ジャンプをする。そのジャンプで剣の峰をブラックプロテクターに押し込む。そしてそのまま―――――――

 

 

 

 

左手から極太ビームが放たれる。

 

 

 

 

しかし、今までのビームとは違う。機体を覆う、緑色の光と同じ色のビームだ。その攻撃が手で押さえていたナイフブレードを撃ち抜きつつ、ブラックプロテクターを襲う。

たちまちブラックプロテクターはそのビームに飲み込まれる。そのまま直進したビームは更に後ろにいて、攻撃から立ち直ったばかりのホワイトプロテクター、ミヤトにも迫る。

 

『んな!嘘やろ!?』

 

ミヤトの声も虚しく、ホワイトプロテクターもその極太ビームに飲み込まれる。飲み込まれたのち、二機の機体が居た場所で爆発が起きる。

その爆発と共に、計器類を見ていた技術者たちが叫ぶ。

 

「ブラック、ホワイト、両プロテクター大破!!」

 

「え!?一気に二機も!?」

 

ネプギアもまた驚く。偶然とはいえ、まさかこんなことになるとは考えていない。だが、そう考える裏で、こうも思う。もしかすると、光樹とゼロはこれを狙っていたのではと。

ネプギアの考えでは、光樹のゴッドクロス・ダイは、その圧倒的な性能と引き換えに、そのガンダムでいられる時間に限りがある。だからこそ、機体を同時に撃破してでも、敵を減らす必要があった。効率的に戦い、場を制圧する。これこそゴッドクロス・ダイの運用法でもあると。

その爆発を見ていた残り2機のSP、グリーンプロテクターのカテリーナとパープルプロテクターの海優はすぐに爆発の中に飛び込む。あの破壊力を見て、危険を感じた二人は、早々に決着を着けないと勝てないと理解したのだ。

そこで爆炎に隠れることで、発見を鈍らせようとしたのだ。煙の中の様子は、ネプギアには分からない。上手くいくのかどうかに目を向ける。

そして――――

 

煙から、機体が飛び出す。

 

しかし、その機体はSPではない。NP、ゴッドクロス・ダイだ。

体の向きを変えつつ地面に着地したダイはそのまま左腕を回す動作をして、右手を銃の形にする。その先にエネルギーを溜めて。

その指先から、攻撃が放たれる。ゼロの音声と共に。

 

 

『ノイズフォースビックバン、「ミドガルズオルム」』

 

 

指先から放たれたエネルギー弾が煙を吹き飛ばしつつ直進する。

そして、その一撃は、緑のSP、グリーンプロテクターを直撃し、壁へと撃ち込む。

 

『きゃあ!!………。』

 

カテリーナさんの声が響く。しかし、その後沈黙し、モニターにグリーンプロテクターが戦闘不能になったことを知らされる。

そして、残ったパープルプロテクターの海優さんがヤケになって突っ込む。

 

『よくも…みんなを!!!けど、それもここまでよ!!』

 

その声と共に、機体を虹色に輝かせる。シェアリング・フルコンタクトモードを起動させたのだ。加速した機体がゴッドクロス・ダイに突っ込む。

それに対応するように、光樹は右手を開く。すると、その先の空間が歪む。というよりも、何かが出てくるような電子的なものが現れる。

そして、そこから出てきたのは、―――――――――巨大な大型武装だった。見た目は巨大なランチャーのような武装だ。けど、それは明らかに大きすぎる、手持ち武器にしてはいささか過剰な見た目だ。

その見た目に屈することなく、パープルプロテクターは突撃する。その様子に光樹が言う。

 

『海優…これが、俺の新たな力だ!!「ビルレスト」、フルシュート!!』

 

『!!光樹ィィィィィィ!!!』

 

 

 

 

モニターが、光で覆われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……」

 

SP対ダイの激突から数十分後、海優はSP操作用カプセルから目を覚ましていた。まだ頭がボーっとしていたが、それでも事態を理解していた。

その結果は、海優たちの全面敗北。SPは全て撃墜判定。一方ゴッドクロス・ダイはダメージ判定がブラックプロテクターの物のみ。完全な敗北だった。

しかし、それに対して、海優はなぜか悔しがらなかった。もちろん、本当に悔しがっていないわけではないが、表面には出してはいなかった。

以前と違い、ちゃんと自分の力で戦い、負けた。それが何故だか、自身のわだかまりをすっきりとさせていたのだ。本気でぶつかっても、勝てなかったのには少々落ち込むが。

と、しばらくした所に、とある人物がやってくる。

 

「お疲れ、海優。」

 

「!光樹…。」

 

それは、先程戦った人物、光樹であった。その顔は特に勝ちを誇った顔ではなく、少し疲れたような表情だった。それも当然。先程の戦闘は光樹にとってもきついものだったのだ。

やってきた光樹に対し、海優は言う。

 

「流石よ。まさか、4人で戦っても、あそこまで圧倒されるなんて。」

 

「それはこっちのセリフだと思うんだけど…。4人の連携は合っていたし。」

 

「何を言ってるのよ、アンタは。最初に近接戦に持ち込むために、砲撃戦仕様のホワイトを行動不能にして、近接戦に持ち込ませたくせに。」

 

「あ、ばれてたか。」

 

「バレるに決まってるでしょ?ミヤトが結構怒っていたわよ?」

 

「マジか。これは後で謝っておかないとな。」

 

そんな感じで笑いを見せる。こんなやつが、あたし達4人を圧倒していたなんて、と思う。

と、そこで海優は光樹に聞く。それは、感謝祭のことだ。

 

「で、アンタも出るんでしょ?感謝祭の「アレ」に。」

 

「まあな。でもそっちも出るんだろう?感謝祭。」

 

「えぇ。今度こそ、アンタを倒す!!」

 

光樹の問いに拳を突き出してそう答える。もう既に次の戦いの場で、リベンジする気は満々だ。

そして二人は最後に言葉を交わす。

 

「感謝祭、負けるなよ?」

 

「そっちもね。ゲイムギョウ界トーナメント・ロボ部門。戦うのはあたし達よ!!」

 

そう意気込んで、二人は帰るべき場所へと帰っていった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

レイ「ま、まさかの四対一で勝利!?何、光樹君はバトスピの異界プレイヤー並みの力を持ってるってこと!?」

た、例え方がおかしい気がする…(;´・ω・)とはいえ、光樹君はこれでもまだ記憶があまりない状態。記憶を取り戻した時には、これ以上の性能はあると思ってもらった方がいいですね。

ジャンヌ「やはりそうなんですね。そういえば、光樹さんが最後に使っていた武装…あれは一体…?」

あ、すみません。あれ黒の館で紹介し忘れてたやつです。

ジャンヌ「はいっ!?」

レイ「えー!?紹介し損ねてたの!?」

い、いやー。あれはオプション兵装なので、機体とは別で大まかな設定集に入ってたから、完全に忘れてました…多分次の黒の館にて新キャラ一人の紹介と共に紹介したいと思います。では、そろそろ次回の投稿の方に。

ジャンヌ「はい。では次回の投稿は金曜日になります。」

レイ「それじゃあ、みんな!また次回ッ!!」


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第84話 感謝祭開幕、ゴッドクロス快進撃

( ゚д゚)どうも皆様…お元気でしょうか…いつも元気な藤和木弘で…ございます…。

ジャンヌ「ちょ…全然元気のある顔ではありませんって!?」

レイ「まさに心ここにあらず…だね。どうしたの?」

どうもこうしたもないよ…今日は学校が5限、6時近くある日で疲れ切っているのですよ…。

レイ「それは分かるけどさぁ…って、自己紹介忘れてたっ!どうも、みんな!いつも元気いっぱい!レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「どうも、皆様。レイさんの笑顔がわたくしの元気の源。ジャンヌ・ドラニエスですっ。」

とはいえ、いつまでもこうしてたらダメですね…よし、ウェイ○アップ、ダン!!

レイ「それ、何のネタ?」

詳しくは「ガン×ソード」で、検索検索ぅ!さて今回は第84話の投稿です。と、ここで飴食べよ。(パクッ)

ジャンヌ「前書き中にお菓子食べるんですか…。」

疲労には甘いものが一番!

ジャンヌ「まぁ、それは間違いないですね。今回のお話は?」

タイトル通り、ゲイムギョウ界感謝祭が既に始まっている状況です。最初は重要そうな部分全部オリジナル書こうという壮大な計画が投稿当初は思っていましたが、流石にそれは話が進まないだろうと途中で気づき断念しました。ごめんなさい。

レイ「それはそれで見たかったかも~。」

まぁ、今はその話は置いておいて、それでは本編へ、どうぞ!


 

 

お祭りが決定した女神達のお茶会から数か月後、光樹のガンダムとSPとの性能テストから1週間後。遂に四か国共同のゲイムギョウ界感謝祭は無事開催となった。

この間に、女神達の悪評や根拠のないデマは酷くこそなっていたものの、感謝祭の期間中は祭りの方に目がいっているのか、そのような噂はほとんど見受けられなかった。それどころか、女神に対するシェアが回復しているように、女神関係者達は思っていた。

そんな様子で、感謝祭は成功の方へと進んでいた。そして、この感謝祭の大きな目玉となるのが、大スタジアム二つで行われる、ゲイムギョウ界の腕に覚えた者達が戦う「ゲイムギョウ界トーナメントバトル」、またの名を、「G-1グランプリ」だ。このトーナメントバトルは二つの部門に分かれ、決勝へと勝ち進んでいく方式だ。

その部門は、生身で戦う「ナチュラル」と機械系の体で戦う「ロボボ」に分かれている。このうちナチュラルには四女神やネプギアなどの女神候補生らが参加していた。そして、もう一つのロボボ。そこに光樹や海優達はいた。

今、ロボボの試合状況は準決勝。それも、戦っているのはゴッドクロスを身に纏う、光樹であった。

 

 

 

 

「いくぞ、ゼロ!!」

 

『了解。極限進化機構「ドライブ」起動。』

 

ゼロの声と共にゴッドクロスはオレンジ色の光をフレームに宿す。それと同時に、機体を相手に向けて飛ばす。

今、光樹が相手にしているのはラステイションの兵器メーカー「チーニー・オウビット」の機動兵器「アキレイス」。巨大な槍とシールドを備えた、モンスター「シュジンコウキ」系をモデルとしたロボットだ。

その突っ込んでくる様子を見て、アキレイス開発者達が笑う。

 

「ふはは!まさか突っ込んでくるとは!我が社のアキレイスが今までの相手を全て近接攻撃してきたところを粉砕したのを忘れたか!?だがまぁ、射撃攻撃は全てエンハンスドVモードで封じられては、意味はないがなぁ!!」

 

開発者の言う通り、このアキレイスは今までの相手すべてを近鉄格闘戦を仕掛けたところに、必殺の一撃を決めて撃墜判定に持ち込んでいる。ならば近接格闘戦を避けて、砲撃に徹すればいいと思うだろう。だが砲撃に持ち込もうとすると、エンハンスドVモードと呼ばれる機能で、射撃攻撃は全て反射されてしまっていた。

こう聞くと、どこにも弱点はなさそうに見えた。だがしかし、光樹とゼロには、対策が既にあった。その為の、ゴッドクロスのドライブモードの起動なのだ。

光樹のガンダムの突撃に対し、アキレイスが攻撃に入る。

 

『アタックドライブ、ライトニングスピア。』

 

右腕に装備していた槍に、電撃が走る。エネルギーを集中させているのだ。敵の攻撃は電気エネルギーで形成された、全てを撃ち抜く雷神の一撃。その一撃は、今までに立ちふさがった敵をすべて撃ち抜いている。

その一撃が、ゴッドクロスに放たれる。一点突破型の攻撃に、光樹は…右腕を突き出し、叫ぶ。

 

「進化加速!!ディメンション…ブレイカーァァ!!!」

 

腕部に搭載された高エネルギー圧縮ビーム砲、「ディメンションブレイカー」が放射される。しかし、放射と言っても、一直線に放たれるわけではなく、広域にエネルギーを放出するタイプの攻撃だ。その状態でゴッドクロスは突撃を続ける。

その様子を見て、アキレイスの開発者らは笑みを浮かべる。彼らはこの攻撃が決まれば、勝ちは間違いないと思っていたからだ。

そして、電撃の槍と右腕の光がぶつかり合う。雷撃が撃ち抜き、光樹のガンダムの右腕を破壊する…。

 

 

 

 

ことなく、

 

 

 

 

光樹のゴッドクロスが、雷撃槍を右手で砕く。

 

「ば、ばかなぁ!!?」

 

その状況に、アキレイスの開発者達は驚きの声を上げる。今までにその攻撃を突破した者はいなかったからだ。豆鉄砲を食らったかのように驚くアキレイス側に対し、光樹はそのままアキレイスに接近する。

我に返った開発者らがすぐにアキレイスに指示を飛ばそうとする。だが、もう遅かった。アキレイスがすぐに放った腕部バルカン砲を回避すると、そのまま右腕で相手の顔面を抑え込む。頭部を掴まれて、必死にもがくアキレイス。必死の抵抗をする機動兵器に、黒き次元の機動兵器がその手を光らせ、叫ぶ。

 

 

 

 

「俺達のこの手が光って唸る!勝利を掴めと、輝き叫ぶ!!ディィィメンショォォォォン………」

 

一時の溜めを挟んだ後、ゴッドクロスは最大火力の一撃を放つ。

 

「ブレイカァァァァァァァァ!!!」

 

 

 

 

その一撃が、爆発を引き起こす。ビームが零距離着弾し吹き飛ばされたアキレイス。その鋼鉄の塊は、なんとか体勢を立て直して地面に着地する。しかし、その頭部は半分が融解し、見るも無残な姿になっていた。アキレイスはエンハンスドVモードにより、なんとか耐えることができたのだ。しかし、光樹のガンダムの一撃でも、それだけしか威力を抑え込むことが出来なかったという意味であったが。

それを知らないアキレイスの開発陣は、外部からアキレイスのシステム復旧をしつつ、光樹に対して挑発する。

 

「ふん!貴様の力でも、我らが最高傑作は、まだ動ける!今度こそ、ライトニングスピアで…」

 

「へぇ、なら、倒すしかないな!お得意の機能を吹き飛ばす程の射撃で!」

 

その言葉に、光樹も挑発で答える形でそう言い放つ。

この時、この戦いを見ていた誰もが思った。まさか、本気でそれを実現して勝つつもりなのだろうか、と。今までの戦いで、アキレイスは全ての、どれほどの射撃攻撃をも耐え凌いだ。その中には、あのホワイトプロテクターの砲撃すらもだ。シェアの力を使う機動兵器をも退けた機体を、どう射撃攻撃で突破するのか。それを観客達は、驚きと共に気分を高まらせた。

そんな観客達の期待に、光樹は応える。サイドアーマーの二門のスタビライザーを前に出し、展開することで。これこそ、光樹の…ではなく、ゼロの提示した対策だ。これまでの射撃は、全てアキレイスの受け切ることのできる許容範囲内の射撃。そう予測した光樹の考えに、ゼロはそれ以上のエネルギー、破壊力のある攻撃で撃ち抜けばいいという発想で応える。これが、ゼロ達が考え出した「答え」だ。

そして、光樹はゴッドクロスの腰部ビーム砲、AN高純化射撃兵装「オーディン」をドライブモードで放つ。いくつも絡み合ったスパークが散り、ゴッドクロスの大きさを超えるほどのビームが放たれる。ビームはスタジアムの地面をも抉ってアキレイスに迫る。

機械の目であるセンサー、および頭部を半分失ったアキレイスにその攻撃を受け止める動きは出来ない。すぐに攻撃を確認した開発者達が手元のパソコン類を操作する。それによってアキレイスは左腕の盾を瞬時に構える。

防御行動を起こしたアキレイスに「オーディン」のビームがぶつかる。黄金に輝く機体の盾が、ゴッドクロスのビームを受け止めた。この光景に、アキレイスの開発陣はガッツポーズをした。この攻撃さえ受け止めきれば、勝てる見込みがあったからだ。

だがしかし、そのままうまくいくことにはならなかった。ビームは止まることなく、放たれ続ける。更に光樹はゼロに指示を飛ばす。

 

「ゼロ、フルパワーだ!」

 

『了解。』

 

その声と共に、粒子ビームは出力を上げて、アキレイスの盾を貫こうとする。先程までのビームを耐えていた、アキレイスの盾が表面から徐々に焼かれ解け始める。加えて黄金の輝きもまた弱まりを見せる。反対に、ゴッドクロスの機体はドライブモードの光を更に輝かせていた。出力の増大を意味し、本気を出したことを示して。

その様子に、開発陣らも焦りを露わにする。

 

「バカな!?アキレイスのパワーが…」

 

「えぇい!何とか持ちこたえさせろ!ここで機体を失えば…!」

 

悲鳴を上げる技術者達。機体を何とかして守ろうとするが、彼らには何もできず、もはや無意味だった。

遂にシールドが溶け、半分に割れる。受け止めていたものが無くなったアキレイスを、「オーディン」のビームが飲み込む。飲み込まれたアキレイスは何とか装甲とシステムで耐えようとする動きを見せていたが、しばらくして次々とビームの奔流の中から、爆発が轟く。

ビームを撃ち終わった後、数秒の間を置いてスタジアムに大爆発が起こる。爆風が観客席にまで達し、観客が爆煙に苦しむ。

その爆煙が晴れた先で、観客らが見たのは無残な結果だった。攻撃を受けたアキレイスのパーツが散乱し、アキレイスは倒れこむ。機体のパーツは両腕部、頭部、右足を失い、装甲は溶けて内部機械も露出していた。

その結果を見て、慌てて試合を執り行うレフェリーが手を上げ叫ぶ。

 

 

 

 

「し、試合終了!勝者、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス!和藤光樹!!」

 

 

 

 

その声に合わせて、光樹はゴッドクロスの腕を上げ、勝利のポーズを取る。それに観客が歓喜の声と拍手喝采を響かせる。

勝者に向けられた喜びを表した証に、光樹は笑みを見せる。今まで戦ってきた中で最も嬉しい勝利に、光樹も喜んでいたのだ。決して命の駆け引きをすることのない、かつ自身の力を示せる戦いで勝利したことに。

笑う光樹に、ゼロも賞賛する。

 

『見事だ、光樹。力任せの戦いではあったが、想定したとおりに策は成功した。』

 

「お前の綿密な作戦のおかげだよ、ゼロ。」

 

お互いに褒めつつ、光樹は歓声を背に、その戦いの場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

光樹の試合から1時間後、ネプテューヌ…ではなく、パープルハートは第1スタジアムのステージにいた。パープルハートだけではない。ブラックハートやホワイトハート、グリーンハートら、ナチュラル部門の3人。そして、ロボボ部門に参加していた、光樹を含めたロボボ決勝進出者4名もだ。なぜこれほどの人数がいるのかというと、今、G-1グランプリは、決勝戦まで進んでいる。その最後の戦いを行う為、全員がいたのだ。

しかしながら、ナチュラルとロボボの試合会場は本来分かれており、光樹に「ロボボ」の予選を勝ち抜いてきた3人はここにいるはずはなかった。ならば何故、ここにいるのか。誰もが思う疑問ではあったが、それには当然理由があった。実は、光樹が戦った際に撃った、「オーディン」によるビームが、会場のあちこちに被害を与えており、第2スタジアムの試合続行が不可能となっていたのだ。具体的に言えば、抉った地面がほぼすべてを交換する必要があり、更に爆発地点にも大きく穴が開いていた。

幸いにも、残っていた試合は、試合を勝ち抜いた4機の機体が戦うバトルロイヤルのみが残されていただけだった。せっかくだからということで、女神4人の戦いと同時に「ロボボ」の決勝戦も行おうということになり、今この場に4人の女神と、4人の人物たちが揃う形となった。

しかしながら、今のパープルハートが驚いていることが二つあった。一つはロボボという、機動兵器の力が試されるトーナメントであるにも関わらずに、勝ちあがったのはいずれもパワードスーツに分類されるであろうアーマーを身に纏った4人の人間が勝ち上がったこと。パープルハートも、光樹は流石に勝ち上がるだろうと思ってはいたが、あとの3枠は女神陣営のシェアプロテクター、もしくは有力企業の新兵器くらいだと思っていた。しかし、勝ち上がった残りの者たちは、自立起動のロボットや機械モンスターはもちろん、シェアプロテクターでもなかった。

そして、驚いていたもう一つの理由は、その決勝進出者の一人が、かつてイストワールのエラーを直すために行ったダンジョンで出会った少女が、少女のガンダムがこの場にいたことだ。

 

(まさか、彼女がここにいるだなんて…。でも、以前この世界にいたことがあるんだし、それに光樹もいるから、何らかの情報でやってきたようね。)

 

パープルハートの思うように、何かの理由でここに来たのは明らかだ。光樹を探しているということなら、自身を探していた時と同じように光樹がこの大会に出ることは知ることができるかもしれない。

普通の人間ならそうは思わないだろう。実際、女神化したネプテューヌもなぜそんな結論に至ったのかは分からなかったが、光樹の知り合いと思うとなぜかそうではないかと思ってしまったのだ。

そう思いつつも、かつて会った人物に挨拶しないわけにもいかない。パープルハートはガンダムとなっていた少女に話しかける。

 

「久しぶりね。確か名前は…鈴、と言ったかしら?」

 

「パープルハート……えぇ、そうね。久しぶり。」

 

パープルハートの声に、光木鈴も応える。鈴もまたパープルハートの事を覚えていたのだ。

その声かけに、残りのメンバーが鈴に話しかける。その様子から、彼らは鈴の仲間だったようだ。

 

「鈴、知り合いか?」

 

「えぇ…って、あなたも知っているでしょ?この世界の重要人物!」

 

「へぇ、この人がー…。よろしくですー。」

 

「え、…えぇ。よろしく。」

 

こちらに鈴とは違うガンダムを身に纏ったもう一人の少女が挨拶を行なう。なんだかすごくおっとりしていて、本当にこんな子が勝ち上がってきたのかと思ってしまう。でも挨拶を返さないわけにもいかず、私は返事をする。

しかしながら、今は彼らとの話ではない。既に待たせている3人の女神との戦いが先。そう思い出したパープルハートは彼らとの目線を外した後、3人の女神…ノワールことブラックハート、ブランことホワイトハート、ベールことグリーンハートと向き合う。

 

「お話は終わったみたいね。でも、やっぱり、こっちはこの四人が残るのね。」

 

ブラックハートは呆れたように言う。だが無理もない言葉だった。ナチュラルという、生身で戦う部門で、女神以外の者が勝ち上がるのは、このゲイムギョウ界では難しいことだ。同じ女神でも、ネプギアといった女神候補生らが現役女神に勝つこともだ。実際、ベールと当たったネプギアは善戦こそしたものの、惜しくも力及ばず最終予選を5位で終わっている。

歯ごたえがないというブラックハートの意見に対し、女神化したブランが気にしないように言う。

 

「ちょうどいいじゃねぇか。この際はっきりと、誰が強いのか決めようぜ。」

 

普段のブランではなかなか言わない好戦的な言葉に、グリーンハートも同意をする。

 

「いいですわね。わたくしの強さを示すのにこれ以上の場はありませんわ。」

 

ベールとしてもこの戦いは、四女神だけの戦いは重要な物だと思っていたのだ。どこが一番強いのか。それを証明した時、最強の女神が生まれ、後の信仰を多く集めることができるのだ。

そんな戦いにパープルハートは少し肩を落とす。パープルハートの冷静な性格が、このノリに乗らないわけではなかった。しかし血の気立っている他の女神達を見てなんだか馬鹿らしく思えてしまったのだ。

とはいえそれに賛成せずにいるわけにもいかないと、そんな思いを秘めつつも、やる気になる女神達にパープルハートはわざとらしくやれやれといった様子で口を開く。

 

「まったく。みんな女神化すると強気になるんだから。」

 

「あなたはどうなのよ、ネプテューヌ。」

 

「構わないわ。ここで勝てばプラネテューヌの未来も明るく確かなものになるはずだわ。」

 

パープルハートの賛成した言葉に、次々と歓声が沸く。観客もこの戦いを待っているのだ。

全員の意志が決まったところで、ホワイトハートが目を少細め、やる気を見せて言う。

 

「なら、決まりだな。一対一の勝負なんてやってらんねぇ。四人入り乱れての乱戦マッチと派手に行こうぜ!」

 

その声で、勝負の始まりを予感した光樹達「ロボボ」の四名も、少し離れて戦闘開始の準備を始めようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「その勝負、ちょっと待ってもらおうか!」

 

 

 

 

いきなりそんな声が4人の耳に響く。いきなり戦いの邪魔をされたことに、ブラックハートが不満そうにして突然の乱入者に対し声を放つ。

 

「誰!?何処の誰か知らないけど、姿を見せなさい!」

 

その声に対し、靴の音が響き渡り始める。音の数から、一人ではなく、何人かの乱入者であることが分かる。そして、その方角を向くと、そこにはゆっくりとステージを上っていく4人の姿が。ロボットに乗り、バズーカ砲を背負う幼い少女に、背中にキャノンのような物を背負う少女。剣士のような格好をした女性に、格闘家を彷彿とさせる女性…。四人の女たちがステージに上がった。

そして、先程の声を出していた格闘家のような女性と剣士の女性が名乗りを上げる。

 

 

 

 

「私たちが誰かって?…そうだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「四つの黄金の頂に君臨せし者―――――――――ゴールドサァド…とでも名乗らせてもらおうか。」

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。遂に最後の方でゴールドサァド参戦です。ちなみに、光樹君の戦った相手、あれの元ネタ分かる方いるかな?

ジャンヌ「元ネタって…とはいえ、この区切り方。これは次回以降に戦闘は持ち越しですね。」

レイ「いきなり女神様達に喧嘩を売るなんて、度胸あるねー!私でもびっくり!でもネプテューヌちゃんなら、大丈夫かな?」

さて、それはどうかな?喧嘩を売るということは、それだけ実力は高いはずですからねぇ。

ジャンヌ「ネプテューヌ様方には、油断せずに戦って欲しいですね。こんな大舞台で負けたら…。」

信仰がた落ち待ったなし!ですからね。この運命、変えられるのでしょうか?では次回の投稿日について。

レイ「うん!次回は木曜日だよっ。」

ジャンヌでは皆様。次回もよろしくお願いいたしますね。」




あー…疲れたぁ…ジャンヌさーん。(パタッ)

ジャンヌ「へぇっ!?と、藤和木っ!だからってこっちに体を預けないでください!っていうか、胸が当たって…」

( ˘ω˘ )Zzz

レイ「あー、寝ちゃってるね、これ。」

ジャンヌ「んー、もうっ!寝かせるしかないですね…肩を回して…ベットに…んしょっと。」

レイ「これで大丈夫だね。ジャンヌちゃんそのまま横で寝てあげたら?」

ジャンヌ「へ!?レイさん!?な、なんでわたくしが…」

レイ「でも夜はいつもそうでしょ?」

ジャンヌ「…はぁ、分かりました。レイさんの要望なら。(…と、藤和木の寝顔…少し可愛い…ふふっ。)」

レイ「せっかくだし、私も寝よーっと!(ジャンヌちゃんも少し嬉しそうっ!)」


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第85話 黄金の頂の者たちの圧倒的な力

ジャンヌ「どうも、皆様。お元気でしょうか。わたくし、藤和木弘のアシスタントのジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「やっほー!みんな、元気にしてた?聖剣使いこと、シャイニーハーツと新チーム、「セイクリッドソーズ」メンバーのレイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「今回は第85話をお送り…したいんですが…その…当の本人である藤和木が…。」

レイ「あー、ネットのバトスピWikiで、今度のカードゲーマー31号の特別パックの情報が来たんだよね。なんだけど…」

あー!!?なんでだ!何でジャンヌさんの情報だけまだなんじゃァァァァ!!?早く!レイさんとか出たんだから、ジャンヌさんのカードの詳細を早く出してくれ!バトスピWikiィィィィィ!!

ジャンヌ「…と、言った具合です。」

光樹「あいつ仕事しろよ…。どうも、皆様。ここではお久しぶりです。SSRと言う名のG主人公の和藤光樹です。肝心の藤和木が使い物にならないため、今回は俺も参加します。今回の85話では、黄金の頂に君臨せし者たち、ゴールドサァドと女神達との戦いです。」

ジャンヌ「光樹さん、今回はお話の紹介、ありがとうございますっ。」

光樹「あぁ、気にしないでジャンヌさん。藤和木も、アイツなりに来月までの間に二人のことを心配してるが故に…」

おっしゃ、キタ━(゚∀゚)━!ジャンヌさんのカードテキスト来たー!!!

光樹「テメェ!俺の気遣いを無下にするか!?ディメンションブレイカー!!」

ちょっと黙っとれい!!と同時にディメンションブレイカー!!(バチィン!!)さぁ、ジャンヌさんがまた病んでくれましたぜ!しかも、他のメンバーを排除する域にまで突入しましてさぁ大変!しかも召喚時効果条件がまたもぶっ飛んでます。もうレイさんとジャンヌさんだけのデッキを作れということですか、バン○イさん!?

光樹「そりゃないだろ!?というか同じ技でぶつけ合うとか…まぁいい。こっちはこっちで紹介し終えたからな?」

おお、それはどうも。さて、ようやく情報も届いたことですし、そろそろ本編へ!

レイ「強引すぎー!」

ジャンヌ「…あぁ、帰った時が楽しみです…♡」


 

 

「ゴールドサァドですって!?三だか四だかしらないけど、せっかくの決勝戦に水をささないでくれるかしら!」

 

いきなりの乱入者に、初めに言い返したのは女神化したノワール、ブラックハートだった。ブラックハートに限ったことではないが、ノワールもまた、せっかくの対戦が邪魔されることには驚きと怒りを隠せなかったのだ。

そんなブラックハートに対し、ロボットに乗っていた小さな少女が反論を行なってくる。

 

「失礼ね!せっかく盛り上げてあげてるんじゃない!本当なら、課金どころじゃ済まない額を請求してるところなのよ!」

 

盛り上げて「あげてる」ですって!?女神である自分たちに対するその上から目線の言葉に、私は苛立ちを覚える。いきなり登場しておいて、しかもお金を取るような発言をするだなんて、何なの!?

それはブラックハートだけでなく、他の女神たちも思っていたことであった。いきなり女神である自分たちにいきなりそんなことを言うなんて、一体何を考えているのか、と。

しかし、こうも考えていた。そういったことを言うのは、彼女だけではないか。全体を見てみると、一番幼いのは先程の黄色いコスチュームが目を引く小さな少女。幼いのなら、そういうことを言っても、調子に乗っているだけだろう。すぐに他の3人が言葉を訂正するはずと考えた。

そこで、敵の狙いを見るためにも、先程の小さな少女の言った言葉についてグリーンハートが聞く。

 

「…お金が狙いですの?ですが、それを抜いたとしても、ゲイムギョウ界の覇権は譲りませんわよ。」

 

が、その質問をカジュアルな剣士風の服に銀髪の女性がバッサリと切り捨てる。

 

「ゲイムギョウ界の覇権?…興味ないね。」

 

お金が目的ではない。その言葉に疑問を持つ。なら、なぜ先程のようなことを言ったのか。

金銭目的ではないのなら、これまでの状況からして目的は女神との戦いを望んでいるということになる。ゲイムギョウ界の覇権すらも興味がないと言い切るのなら、それくらいしか目的は見当たらなかった。

 

「じゃあ、何か?わたしたちと戦うためだけに来たってことか?」

 

そこでホワイトハートが、それを口にする。目的が何なのかを知らなければ、今自分たちがどういう状況なのかも分からないからだ。

その問い掛けに、ファイター風の青色がメインカラーの女性が答える。

 

「その通り。以前から、一度女神様と手合わせしたいと思っていたんだ。」

 

その口調は、今までの者たちとは違い、比較的穏やかなものだった。一番話を理解していなさそうなイメージとは裏腹に、リーダー格を務めているように感じさせた。

しかし、その彼女からの話で本当に彼女たち「ゴールドサァド」たちは、自分たち女神らと戦おうとしているのだ。そんな自信満々に倒そうと思っている者たちに、パープルハートも余裕そうに言葉を発する。

 

「へぇ…。あなたたち、わたしたちに勝てるとでも思っているの?」

 

普段のネプテューヌが望んでいるような、主人公ぽさとは違った、悪役のような発言に対し、銃を持った赤色が基調の服を纏う少女が言い返す。

 

「出来るか出来ないかの問題じゃない。ただやるだけ。」

 

「いい覚悟ね。いいわ、わたしたちが相手してあげるわ。」

 

「パ、パープルハート、大丈夫なのか…?相手はいきなり乱入してくるほどの奴らだぞ?」

 

「問題ないわ。それに、ここで引き下がるようじゃ、女神の名前が傷つくわ。」

 

「………。」

 

少女の言葉は、正に彼らが、自分たちを悪に見立てて討伐しようとする正義の味方…「主人公」であるかのような雰囲気を出す。少女の言葉に返した女神化したネプテューヌの言葉も、返ってそれを助長しているようにも思えた。

それを心配するように、光樹が声をかけるが、そこはネプテューヌの発言で理解したようにそれ以上は何も言わず、スタジアムから下がる。

ネプテューヌの言う通りよ。私たちがここで引き下がるようなら、逆にシェアが下がる事態になる。ならなおの事。けれど、光樹の言うように、油断はし切らないわ。

その考え通り、女神化中のノワールたちも全力で戦う。ここで勝てば、女神の力をより一層示し、信仰も増えるはずだ。それに何より、勝負の邪魔をされた以上、ただで帰すわけにはいかないという気持ちがあった。女神に対し、ここまでされては怒りも我慢ができなかったからだ。

先程のパープルハートの言葉に従って、お互いに武器を構え、戦闘準備に入る。この状況は4対4。ならばここは1対1に持ち込むのがセオリーだとブラックハートは考えた。敵がどのような力を持っているか分からない状態での単体行動は危険かもしれないが、まずは小手調べということではそちらの方がいい。それに、ノワールとしてはこの4人の中で、誰が一番先に倒せるかという勝負もしていいと感じていた。いつものノワールとは違い、好戦的なブラックハートらしい考えである。

そこで女神化しているノワールは、他の女神たちにそのことを打診する。

 

「ねぇ、ここはいっそのこと、誰が一番先に倒すか勝負、っていうのはどうかしら?」

 

「あら、ノワールにしてはそういうのに興味あるのね?」

 

「おもしれぇじゃねぇか。」

 

「わたくしもそれには賛成ですわ。」

 

ノワールの考えに他の女神たちも賛成する。全員の意見が一致したところで、ブラックハートは再び相手の方を向き、叫ぶ。

 

 

 

 

「それじゃあ、行くわよッ!!」

 

 

 

 

黒の女神が狙いをつけたのは、銃を持った赤色の服を纏う少女だった。銃ということなら、接近戦には弱く、距離を詰め続ければ勝てるという考えからであった。ちなみにこの時、ネプテューヌは黄色のワンピースを着た幼女と、ブランは格闘家のような女性と、そしてベールは、興味がない、とゲイムギョウ界の覇権を一蹴した女性との戦いに入っていた。

まずは先制してブラックハートの大剣が振り下ろされる。

 

「まずは一撃で退かせて…」

 

しかし、その一撃を少女は背部に背負った、プロセッサユニットのような装備から粒子を吹かせて攻撃を回避する。

避けられたことに驚いたノワールに対し、その隙を突くように少女は背部のユニットを展開する。展開したコンテナ状のユニットから見えたのは丸型の姿。それがこちらに向かって一斉に放たれる。

それはミサイルであった。コンテナの中に入っていたため、攻撃が放たれてようやくそれに気づいたブラックハートは、すぐに後退してミサイルを回避する。ブラックハートの回避行動で、ミサイルは追いつけない…ことはなく、すぐ傍まで迫ってきていた。

速い!?いったいどこのメーカーのミサイルを…?今まで普通の人間が作り出した兵器としての誘導弾で、私を捕えたものは存在しない。それなのにここまで追いかけてくるだなんて…。

振り切ろうとしたブラックハートだったが、振り切る前にミサイルが爆発を起こした。既にミサイルの爆破圏内だったため、信管が起動し、爆発したのだ。爆発の衝撃で、ブラックハートはバランスを崩す。

 

「くぅ…避けきれないだなんて…!!」

 

何とかバランスを保とうとするブラックハートの目に、少女の姿が映り、驚く。なぜなら少女はこちらに銃を向けて全速力で駆け抜けて来ていたからだ。

少女は足を止めた後、射撃姿勢になる。両手の拳銃を好戦的な黒の女神に向け、連射する。目にも止まらぬスピードで撃たれた弾丸の雨を、ノワールは満足に回避行動を取ることなく攻撃を受けることとなった。

 

「ぐうっ!?けれど…まだ…!」

 

攻撃を受け、怯むブラックハート。しかし、このダメージは、まだブラックハートにとってはこの程度と思わせていた。伊達に何年も女神をやってはいない。そのプライドにより、すぐにノワールは態勢を立て直す。そして、敵を視界に捉え…ようとしたが、黒の女神の視界には目標の少女の姿がなかった。

それが一瞬の隙となる。上方から小さな炸裂音が響く。その方向を見ると、そこには空中に飛びあがった少女と少所の背負う黄金色の背部兵装コンテナから放たれたミサイルがいくつも確認できた。

しまった!さっきの攻撃はこの流れに繋ぐための…!ようやくそのことに気づいた私は、なんとかその射線上から退避しようとウイングユニットを噴射し、回避行動を取った。けれども、その攻撃は、先程も私を捉えたことのある攻撃。スピードも速く、すぐに迫ってきていた。

ここで避けきれないと判断したブラックハートはミサイルの迎撃に入る。自身の武器である大剣を構え、目の前のミサイルを一閃する。一閃されたミサイルは勢いを失くし、切った本人の斜め後ろで爆発を起こす。何とか目の前の危機を逃れたノワール。しかし…。

 

「それだけで終わりでは…ない。」

 

少女の冷徹な声が響くと同時に、地面に着地していた赤服の少女が背部の武装を動かす。今度はミサイルのコンテナとは逆の方にあった二門の砲身を構える。構えると同時に、一瞬でエネルギーを溜める。その動作で危険と察したブラックハートはそれを避けようとするが、その前に少女の攻撃が放たれる。

 

「レールガン、ホーミングレーザー、展開ッ!ファイヤ!!」

 

少女の叫び声と共に放たれた一撃は、ブラックハートの体に当たり、爆発を起こす。ビームの直撃で、黒の女神は黒煙と共に吹き飛ばされていく。

 

「きゃぁぁぁぁ!?」

 

攻撃をもろに喰らったブラックハートは、受け身を取れず、そのままスタジアムに体を打ち付けられる。まだ意識は保っており、なんとか起き上がろうとするが、起き上がるのと同時に、ノワールは危機を感じていた。

 

(不味いわね。こいつら、かなり強い。女神に勝負を挑んできたことだけはある。他の三人は…)

 

自分は押されつつあったが、他の女神たちとなら。少し卑怯な考えではあったが、他の女神が勝てればその女神と共に2対1になり、相手を押すことができると考えたのだ。

しかし、現実はそう上手くはいかない。ブラックハートの見る先から、三人の人影がこちらに向かって吹き飛ばされてきた。その三人は、もちろん、女神化したネプテューヌ、ブラン、ベールの三人だった。ノワールと同じく、彼女らもまたゴールドサァドたちにやられてしまったのだ。

この状況、誰がどう見ても、女神の敗北は明らかだった。もっと言うなら、これは完全敗北でもあった。ダメージを誰も与えられず、こちらは敵の攻撃を受けていた。いいようにやられてしまったのだ。

その敗北という事実に、ブラックハートは絶望を呟く。

 

「そんな…私たちが、負けるの…!?」

 

「…ありえないわ。」

 

ノワールの言葉に、女神化していたネプテューヌもそれに連なって呟く。その言葉は、女神の誰もが思っていたことだった。自分たちは女神で、この世界で一番強いはずなのに。この世界の平和を守る守護者なのに、いきなり出てきた存在に負けてしまったのだ。

その結果に、観客席からも、歓声が消え、動揺のざわめきが聞こえてくる。それに対し、女神たちを下したゴールドサァドたちはその結果に驚いていた。

 

「まさか、勝てるとは。」

 

「けど、勝って当然だよね!だって、私たち強いもん!」

 

青い服の女性の言葉に対し、黄色の服の少女は自信満々に言う。おそらく、最初は勝てるとは思っていなかったようだ。そんな者たちに負けてしまったのかと、ブラックハートは思った。

徐々にスタジアムに活気の落ちた声が充満していく。その光景に、グリーンハートとホワイトハートが負けを後悔する。

 

「せっかく、盛り上げたっていうのに…。」

 

「最後の最後にこれじゃあ…、しゃれになんねぇだろうが…!」

 

女神たちに、もはやこの状況をひっくり返す手はなかった。誰もが女神を諦め、突如現れた者たちに目を向けていく。負けたものには興味がないとでも言うように。

ただ女神は、この状況を静観するしかない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思われた、その時だった。

 

 

 

 

「残念だけど、まだ戦いも、あんた達の目的も、終わっていないよ?」

 

「何?」

 

「!光樹!?」

 

ゆっくりとスタジアムに上がりつつ、そう声を発したのは、1人の少年だった。その少年は黒を基調としたジャケットを着て、青系統のズボンを穿いている。

この戦いの結末に、待ったをかけたその人物は、他ならぬ少年、和藤光樹であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

光樹が現れたその時、とある少女がその様子を見ていた。

少女は紺色の髪を編み込んでツインテールにしており、服装はスーツのような黒い服に、サスペンダーをつけてスカートのようなズボンを穿くスタイルとなっている。

他の人が見れば、こんなところにそんな服は恥ずかしい、と思うかもしれないが何故か少女の姿は他の者たちから認識されていなかったのだ。まるでそこに誰もいないかのように、一人も気にする素振りをすることなく。

そんな状態で、女神と突如現れたゴールドサァドと言う名の者たちの戦いを見ていたのだが、決着と同時に、彼女はとある準備にかかっていた。自身の計画を成功させるための足掛かりを、だ。だが、それを邪魔するかのように、黒い服を着た少年がゴールドサァドたちの前に立ちふさがったのだ。

少女は思ってなかったアクシデントに驚きつつも、この戦いを見ることにした。何せ、自身が「創り出し」た魔女と魔神、そして、彼女の相棒ともいえる者の創造した機動戦士と機械魔神を討ち果たしたのだから。「本来」なら、こういうことにはならなかったと聞いていたが、彼女はむしろ逆にいい感じだと思っていた。

 

(面白いじゃないか。記憶を失って半人前の黒の烏と、黄金の戦士たちの戦いは。)

 

少女はこの唐突の戦闘に興味を持った。そこで、その準備を少し遅らせ、少年とゴールドサァドたち、そして、「もう一つの黄金の戦士たち」をこの目で改めて見ようと考えたのだ。

これまでにない混沌。それが何を成すのか。それが彼女を期待させる。

 

「…さぁ、見せてもらおうじゃないか。「アイツ」に負け続け、悲しみの連鎖に引き込まれ続ける者の、足掻く姿を、ね?」

 

少女は口角を上げ、不気味に笑みを浮かべつつ、そう呟いた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、前書きは何か変なノリでしたけど、いよいよバトスピは詩姫の時期になります。

ジャンヌ「詩姫の聖夜祭に始まり、カードゲーマーの記念パックの「セイクリッドソーズ」の通販販売、そして、ディーバブースター「詩姫学園」…」

レイ「私達だって、駿太君達の十二神皇に負けないんだから!!」

マジでお願いします、バン○イさん。今度こそ詩姫達が活躍できる優しい世界を…

光樹「残念。バースト封印起動。アバランシュ・バイソン召喚(笑)!『要塞』発揮!」

やめろ!それシャレにならんから!!

ジャンヌ「って、藤和木!今回の話の方にも目を向けてくださいっ!!」

おおっと、そうだった。さて、最後の方に光樹君がまたも女神の危機に立ち上がる!

レイ「光樹君、女神様達を、女神の地位を守って!!」

光樹「あぁ、もちろんだ。女神を倒したかったら、俺を倒してみろ、チートゴールドサァド!俺のゴッドクロスが倒してやる!!」

…これでフラグ何本立ったかな?

鈴「一、ニ、三…四本くらいかしら?」

光樹「ちょっと!?なんで鈴まで…っていうか、俺はフラグ立ててないって!」

さぁ、フラグをはたき折れるか?さて、今回はここまでとしましょうか。

レイ「りょーかい!次回は水曜日辺り!」

ジャンヌ「わたくしたちの…グラン・ロロへ一度帰還する前の、最後の日です…。」

いやー!私を置いてかないで―!!

光樹「いや、別に今生の別れでもないだろうに…。」

鈴「次回もよろしく、と言っておくわ。次も見なさい。」


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第86話 黄金のサァド達と漆黒の翼の騎士

どうも、皆様、投稿時間が普段より遅れてしまい、申し訳ない!ちょっとカードゲーマーの情報とか、SEED ASTRAYシリーズの最新作読んでたらここまで時間がかかりました、作者の藤和木弘です!

ジャンヌ「それから、藤和木の学校で、居残り補講があったためです。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「ちょっと時間かかり過ぎじゃないかな?どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

さぁ、今日は第86話の投稿です。にしても…ジャンヌさんの制服姿かわええ…( ^ω^)

レイ「えー…そこでジャンヌちゃんの新カードのイラストの話になる?」

ジャンヌ「もうっ!藤和木っ!わたくしが可愛いってあんまりこういった場所で口外しないでくださいっ!は、恥ずかしい…です……。」

いやー、もう。学校の途中でその情報が急遽入ってきたものだから、午後の授業中ずっと「ジャンヌさんの制服姿どんなんだろう!?」ってわくわくして授業が全然頭に入らなかったぜ!

レイ「それ、自慢することじゃないよ…。と、ところで、今回のお話は?」

そうだった。今回はゴールドサァドVSシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスの戦闘です。さぁ、前回のあとがきでは盛大に敗北フラグを立てていった光樹君ですが、果たして!光樹君はあの原作では圧倒的能力値数で絶対に勝てないだろうパラメータを見せつけたゴールドサァドを止められるのか?そして、最後に私はジャンヌさんとの別れを堪えられるのか!?

ジャンヌ「さ、最後のは特に物語に関係ないですよね…。」

レイ「とりあえず、本編行ってみよー!!」


 

 

スタジアムへと上がった光樹は、女神達を守るように乱入してきたゴールドサァド達と向かい合う。

女神を今は守るべきというのもあるが、このままアウェーな状態で終わってしまえば、ゲイムギョウ界にどれだけの被害をもたらすか。そう考えた時には既にフィールドへと向かっていた。

スタジアムに上がった光樹を見たゴールドサァド達の内、黄色の少女が文句をぶつける。

 

「ちょっと!わたしたちが勝ったんじゃない!別のトーナメントに関わっていたあんたには関係ないでしょ!?」

 

「それはこっちのセリフじゃないか?参加すらしていないお前らが、女神と戦うことはルール違反だと思うな。」

 

「な…!それは女神様全員と戦わないと意味ないからで…」

 

光樹の返しに、意を突かれた少女は慌てて反論する。少女の言うことには、光樹もある程度納得は出来た。自分達の力を証明するために、女神を倒すことが目的ならば、必ず決勝まで勝ち上がるであろう女神達と戦うにはこの時しかない。

ところが、光樹はそれに納得することはなかった。代わりに少女に言い返す。

 

「それなら何をしても大丈夫だってことか?それはないだろ?」

 

「ぐぬぬ…。」

 

「そこまでだ、ビーシャ。」

 

「!エスーシャ!!」

 

すると突然、黄色の少女「ビーシャ」を制止して、現代の騎士風の服を纏った銀髪の女性「エスーシャ」が話に割って入る。

言葉のぶつけ合いでは不利だと判断したのだろう。ビーシャに代わって、エスーシャが今度は光樹に反論する。

 

「なら、何故お前は私達の邪魔をする?貴様に、私達を止める理由が何処にある?」

 

エスーシャという女性の言う通りだった。光樹は特に女神と関係が深いわけではない。今の光樹は、女神の家に居候している身だ。今ここで彼女らと戦う理由はない。

だがしかし、光樹には自身を動かす理由があった。

 

「確かに、俺には今ここでお前達と戦う理屈はないさ。…でもなぁ、お前達のその行動は間違ってる。」

 

「何だと?」

 

エスーシャは疑問を口にする。自分達が行ったことを否定されたの。今までの間で情動的にならなかった剣士も怒りを薄いながらも表情に表していた。

エスーシャだけではない。ビーシャや、他の二人も、怒りの度合いは違うながらも、各々不満そう、もしくは怒っていた。

 

「ちょっと!!それのどこが私達の勝ちに待ったをかけれるのよ!?」

 

「貴様の言葉には理屈がない。そんなもので、私達は止められない。」

 

「っ………。」

 

そんなゴールドサァド達に、光樹は話を終わらせるための言葉は吐く。

 

「お前達の考えは、歪んでいる。女神を倒すっていう、その歪み、それを俺は破壊する!お前達が女神を倒すのと同じようにな!」

 

「…まさか、私たちにそこまで言うとはね。いいよ、じゃあ君を倒して、私たちの勝利を確実なものにする!」

 

光樹の挑発に乗ったゴールドサァド達は一斉にこちらに向かって展開する。戦闘開始の合図となったのだ。光樹の方も両手にANロング・メガ・マグナムを構える。

先に仕掛けたのはゴールドサァド側。射撃戦がメインと思われた黄色の服のビーシャと赤い服と眼帯が特徴の少女がそれぞれバズーカと拳銃二丁で光樹に攻撃を行う。

 

「えい!当たれッ!!」

 

「この連射を避けきれるか?」

 

息のあった攻撃で放たれる攻撃を、光樹はゴッドクロスのスピードで回避していく。まだこの程度でなら、光樹にも避けることは可能であった。

しかし、敵も単純ではない。今度は青い服に翼のようなユニットを装備する女性が格闘戦で攻めてくる。

 

「はぁっ!!」

 

「おっと!」

 

右手の拳による攻撃を、光樹は掌で受け流す。だが敵も一回の攻撃を避けられたくらいでは諦めていない。次々と腕と足を使ったコンボで光樹を責め立てる。

それに対し、光樹はビームサーベルを抜く。そして、光刃でエネルギーのこもった連撃をいなしていく。一定の距離を取ってこちらのリーチの内側に入られないようにしつつ、ビームサーベルの斬撃で敵の拳を弾いていく。ゼロの設定でこちらのビームサーベルは人体を切り裂くなどという残虐なことにはならないようにしている。その為、光樹も思い切り迎撃を続ける。

何度か続いた後、突如青服の女性が距離を取る。何かと思ったその瞬間に、ゼロが叫ぶ。

 

『前方、剣士が接近。』

 

「!!」

 

「…はぁっ!」

 

神速ともいえる速さ。そのスピードで剣士風のユニットを纏った女性、エスーシャがゴッドクロスに斬撃を行なってくる。間一髪、ゼロの知らせによって光樹はその剣をビームサーベルで抑える。

攻撃を受け止められると、すぐにエスーシャは退く。その後退に合わせ、ビーシャと赤い服の少女が射撃を再び行ってくる。バズーカとミサイル、両方の爆発がゴッドクロスの周りで起こる。

なるほど、かなり連携は上手いみたいだ。まずは射撃でこちらの攻撃を抑える。回避に一辺倒になったところで、近接戦を得意とする二人が攻める。その二人も押され始めれば、また射撃戦がメインの二人で行動を縛る。単純だが、かなり有効な戦術だ。現にこちらもかき乱されていた。

しかし、そこから、光樹はその流れを変える。

 

「ゼロ、ZEROシステム始動!!」

 

『了解。ZEROシステム、作動開始。』

 

ゼロとの掛け合いで、ZEROシステムを稼働させる。システムの情報流し込みが始まる。今までの光樹なら、なんとか制御は出来ていたが負担は強く、疲れが後に出るほど使いこなすには程遠い状況だった。

しかし、今の光樹は違う。このG-1グランプリでシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスを使いこなすために、ZEROシステムの訓練や、DAIモードでの活動を多く経験してきた。そのおかげで、ZEROシステムを効率よく使えるようになり、DAIモードの制限時間も最大2分まで延長できるようになっていた。

ZEROからの指示を取捨選択し、そこから最善の手を導き出す。その予測に光樹は従い、動く。まずはもう一度来る青い服とウイングユニットを背負う女性を再び相手にする。

 

「はぁっ!!」

 

「…っ!!行く!!」

 

放たれた右ストレート。それを光樹は左手で弾く。攻撃を弾かれたことで、相手の胴が空く。その隙を光樹は逃さない。すぐに右手にANビームサーベルⅦXを持つ。先程と同じようにビームの出力を調節し、攻性を調整する。そのビームサーベルで女性の脇腹を切り裂く。

 

「はっ!!」

 

「!つぅぅ!?」

 

脇腹を切り裂き、ダメージを与える。しかし、相手の切られた部分はビームの出力に反比例して浅く、小さな切り傷を作るに留まった。だが、それでも青服の女性は苦痛を見せる。

その反撃を受け、青い女性が後退する。代わりに不利を補うようにエスーシャが前に出る。

 

「下がれ、シーシャ。」

 

「あぁ、すまない。」

 

その掛け合いで、青い服の女性の名前が「シーシャ」であることを知る。だが、そのことを理解しきる前にエスーシャが攻撃を仕掛けようとこちらに急接近してくる。

しかしながら、光樹はそれを避けるように横を上手く通り抜ける。振られた斬撃が空気を薙ぐ。そしてそのまま腕部にANロング・メガ・マグナムを構える。格闘戦型なら、射撃攻撃で押せばいい。そう考えた光樹はシーシャに向け射撃を放つ。板状のビームがシーシャを襲う。

 

「はぁっ!!」

 

「このあたしに射撃だなんて、随分と洒落た真似をしてくれるじゃないか。」

 

迫るビームにシーシャはそう叫ぶ。ビームの弾丸を回避するシーシャだが、徐々にその肌に弾が霞める。

その連弾の一つにシーシャの足が撃たれる。撃たれたことでシーシャの足が止まる。

 

「逃さない!!」

 

出来た隙を光樹は逃さない。すぐに追撃をかける。左腕を後ろに引くと同時に、ゴッドクロスは輝きを放つ。フレームがオレンジに輝く…そう、極限進化機構「ドライブ」を稼働させたのだ。稼働させた理由はただ一つ、腕部の必殺の一撃を放つためだ。

左腕に光が集まると、光樹はその手を開いてシーシャに伸ばす。シーシャは攻撃を防ごうと手を振って弾く行動に出る。しかし、今のゴッドクロスにいくら女神を倒す程の力を備えていても、ゴッドクロスの腕は逃さない。伸ばした左腕がシーシャの右腕を掴む。掴んだことを確認した光樹が叫ぶ。

 

「ディメンション…ブレイカー!!!」

 

その叫び声に呼応して腕部からビームが放たれる。零距離からの着弾で、シーシャの体が吹っ飛ぶ。

 

「ぐぅぅっ!?」

 

攻撃を受けたシーシャはそのままステージを転がっていく。何とかステージの縁で止まるが、攻撃を直接受けた左腕には軽い火傷のような跡が残る。

光樹はそれを見て少し驚く。いくらこちらがなるべくけがをさせるのを抑えているといっても、あの零距離であの程度とは思っていなかったのだ。それはつまり、彼らも女神並みの頑丈さを持っているということなのだろう。なら遠慮はしなくてもいいのかもしれない。

しかし、そんな事を思考している間にも、攻撃が襲ってくる。

 

「よくもシーシャをっ!!許さないんだから!!」

 

ビーシャが怒りに身を任せるようにバズーカを乱射してくる。しかし、弾丸は的確にではなく、かなりランダム性があった。それらを回避することなど、ZEROシステムを利用していた光樹に避けられないことはなかった。光樹はゼロの予測に従い、バズーカの弾を避けていく。その合間に、光樹もまたANロング・メガ・マグナムで反撃する。バズーカを撃った瞬間にマグナムのトリガーを引く。板状のビームがビーシャの背部に浮いていた丸っこいユニットを撃ち抜く。撃ち抜かれたユニットはスパークを散らせながら爆発を起こす。

 

「きゃあ!!」

 

爆風によって、ビーシャは空中でバランスを崩し、落下する。先程光樹が撃ち抜いた丸いユニットは、彼女らが女神と同じように飛ぶのに必要なウイングパーツだったのだ。

上手く二人を退けた光樹だったが、まだ油断は出来なかった。突如背後からの攻撃を知らせるアラートが響く。すぐに後ろを向くと、目の前から光の奔流が襲ってきていた。赤い服の少女の背部ユニットからの攻撃だった。スラスターを右に向けて吹かせることでその攻撃を間一髪避ける。だが避けた先で、エスーシャが攻撃を仕掛けてくる。

 

「この流れを断ち切るっ!!」

 

「ちっ…しつこい!!」

 

言葉を吐き捨てつつ、光樹は左手にANカタナⅡ「ゼロエッジ・ソウテン」を抜き放ってエスーシャの攻撃を受け止める。雷を纏った斬撃とビームの剣が交わり火花を散らす。エスーシャは押し切ろうと力を入れてくる。それに負けじと光樹もシュバルトゼロの出力を上げて対抗する。鍔迫り合いとなった状況、しかし、光樹は負けるわけにはいかなかった。

 

「ここで負けて…負けてたまるか!!はぁぁぁぁぁ…ていやぁ!!」

 

「!?こいつ…やる…!だが…」

 

光樹の宣言と共に、ゴッドクロスの出力が急上昇し、エスーシャを弾き飛ばす。エスーシャもこのままぶつかり合うのはまずいと考え、下がる。退いたエスーシャに代わり、先程吹き飛ばしたシーシャが再び戦列に戻ってくる。だが、流石にまずいと判断したのか、残っていた赤い服の少女に向かって言い放つ。

 

「ケーシャ!ここは足止めだ。あいつ、かなり強いやつだ。全員で当たろう。」

 

「了解…これより、奴の行動を封じる。ミサイル連続発射…!!」

 

シーシャに従い、赤服の少女、ケーシャがこちらに何発ものミサイルを放つ。ミサイルによる攻撃は先程もノワールことブラックハートの戦闘を見ていたかぎり、かなり早いことは分かった。しかし、ZEROシステムを通してなら、迎撃は出来るくらいだと感じた。

光樹はミサイルを頭部のANガトリングバルカンで迫りくるミサイルを迎撃する。頭部に埋め込まれたリボルバータイプの砲身が回転して放たれる細かなビームの弾がミサイルを穿ち、爆発を起こさせる。光樹の視界を爆風が覆う。それによって光樹の目にはゴールドサァド達の姿を見ることが出来なくなる。それでも、今光樹はゴッドクロスを身に纏っている。肉眼で見れないなら、機械に、ゼロに頼ればいい。光樹はゼロに脳内でレーダー情報の提示を命令する。すぐにゼロから周辺のレーダーが送られてくる。それにより、ゴールドサァド達の居場所を特定する。幸いにも、場所は今光樹の目の前。つまり、先程ケーシャがミサイルを放ってきた方向にいることを知る。

レーダーを見て不意打ちをされないようにしつつ、光樹は爆煙が晴れるのを待つ。無理に爆発の中を進むのは危険だと判断したからだ。

煙が晴れると、光樹のちょうど正面にゴールドサァド達が集まっていた。全員武器を構えて警戒態勢を整えている。

 

「行くぞ、「ドリーム・トーネード」!!」

 

エスーシャの叫びと共に、一斉に全員が動く。まずは先程と同じように射撃戦の二人がこちらの動きを止めるためにバズーカと拳銃を放ってくる。しかし、光樹もこの攻撃を悠長に構えているなどすることはなかった。光樹の肌でも分かる、この圧倒的なまでのエネルギーを発する4人。それに光樹もまた本気でこれを迎撃に掛かる。

ビーシャとケーシャの弾をANフィールドで弾く。攻撃を防御したのに対し、射撃コンビの二人はそのまま光樹を迂回するように二手に分かれる。何かと思った所で視界の端に影が映る。真正面からシーシャが突っ込んでくるのが見えたのだ。

この状況は、光樹が敵の策にはまっている状態になる。なぜなら光樹は今防御行動を取った。防御から攻撃に転じるのに、どれだけ優れていても必ず防壁を解除する時に隙が出来る。そこを近接格闘戦を心得ていたシーシャが防御を崩し、更に追撃でエスーシャが決める。これがゴールドサァド側の考えだったのだ。

迫るシーシャ。この状況なら、一発攻撃を与えることでゴールドサァド側にペースを持っていける。そう思えた。だがしかし、光樹も負けてはいなかった。

 

「突っ込んでくるなら…こちらも!!」

 

『ウイング全展開。ハイマニューバで切り抜け開始。』

 

シーシャの行動に対し、光樹も前に出る決断をした。普通なら後退するか、横に避けるかの二択だっただろう。その予測外の行動にシーシャが舌打ちをする。

 

「クッ…まさかこっちにくるだなんてね…でも!こっちも負けるわけにはいかない!」

 

迫る敵に対し容赦することはないとでも言うかのように、シーシャはそのまま右拳を放つ。一方、光樹は左手に持ったANロング・メガ・マグナムの銃身下部のコンテナを回転させる。電磁レールによって宙を浮きながら目的の場所まで回転したコンテナが開かれると、そこから青い光の棒が発せられる。その青い光を放ったまま、光樹は左腕を曲げる。まるで、居合の構えをするかのように。

そして、二人が交差する。

その刹那、光樹のANロング・メガ・マグナムが振られた。青い光棒がシーシャの脇腹を斬り裂く。

 

「何…っ!?」

 

その攻撃にシーシャは倒れる。先程の青い光の棒。それはANロング・メガ・マグナムの銃口下部に備えられたコンテナ「ANボックスレールランチャー」に内蔵された、対格闘戦用武器、「ANビームジュッテ」だった。出力こそ単純なビームサーベルに劣るものの、短い分攻撃はちゃんと受け止められるほか、射撃中の緊急迎撃も可能な兵装だ。

何とかシーシャの攻撃を切り抜ける光樹。だが、まだ攻撃は終わらない。元々シーシャの攻撃の後に追い打ちをかけようとしていたエスーシャが飛び上がり、こちらに剣を振り下ろそうとしていたのだ。後方の二人も反転して射撃体勢に入っていた。

完全に挟まれた状況だったが、それでも光樹は勝利を諦めない。ZEROシステムから力を引き出すと、反撃に出る。まず最初に後方の二人の迎撃を行う。体だけ反転させると、背部のウイングを6つすべてを展開させる。普段はブースターとしての使用しかしていない第3対ウイングも開いて出したのは、ANシェイブシフトドラグーン。遠隔操作端末が攻撃を放とうとする二人を塞ぐ。彼女らも流石に急なオールレンジ攻撃に動きが止まる。回避運動に入ろうとしていたのだ。そこを好機と見て、光樹はANロング・メガ・マグナムの狙いを定め、撃つ。

 

「もらった!!」

 

響き渡る2発のビーム音。それを出すのは2本の光条。光樹が狙いすまして放った連弾のビームは狂うことなく、二人の少女の腹部に直撃を与える。とはいっても、二人を撃ち抜くなどということにはならず、そのままバズーカを持った少女と拳銃を装備した少女は吹き飛ばされる。

後方の安全を確保した後、光樹はすぐに前を向き直る。すると、既にエスーシャとの距離はおおよそ9メートルのところまでしかなかった。この距離ではビームを放っても当てられるかどうか微妙なところで会った。

その為、光樹は格闘戦にシフトする。ANロング・メガ・マグナムを腰部に装着し、すぐに取り出せるANビームサーベルⅦXを持つ。そしてビームを発振させ、高所からの飛び降り攻撃を行うエスーシャの攻撃を受け止める。

受け止めると同時に火花がいくつも散る。お互いに一歩も引かない展開。だが…。

 

「まだ、甘い!!」

 

「…!?」

 

ビームサーベルでいなし、懐に飛び込むと、ビームサーベルを捨て、肉弾戦に移る。左腕部でエスーシャの腕を掴むと、右手を相手の左胸の服の端を右手でつかむ。そのままの状態で体をひねらせ、姿勢を落としてエスーシャを投げ飛ばす。いわゆる、「柔道」の型に合わせた投げ技であった。

投げ飛ばされたエスーシャは空中で態勢を立て直し、なんとか着地する。そんなエスーシャに、光樹は追い打ちを放つ。右腕部を閉じて開いた後、ANフレキシブルアームデストロイブレイカーを起動させる。光が一瞬にして集まり、ビームとなってエスーシャに放たれる。

攻撃を受け止めるエスーシャではあったが、光の奔流を受け止めきれず、飲み込まれる。爆発と同時にエスーシャは地面を転がっていく。何とか止まるも、その姿はボロボロであった。

それは逆転であった。先程まで女神側が劣勢だった状況は、一瞬にして、女神側もまだ負けていない、五分五分の状況となったのだ。それも、全て光樹という一人の少年によって。

その光景に、女神達も驚く。

 

「…すげぇ…。光樹のやつ、ここまで強かったのか…。」

 

「こんなの、シェアプロテクターの比じゃないわ。」

 

ホワイトハートが光樹の強さに驚き、ブラックハートは唖然とする。二人でだけではなく、グリーンハートやパープルハートも続いて述べていく。

 

「でも、これでなんとかわたくしたちの面子は保たれたようではありますわ。光樹さんもわざわざ女神のためにということで戦っていましたし。」

 

「そうね。今回は光樹に助けられたわ。」

 

女神達も怪我を負いながらもその顔に余裕を見せ始める。

と言っても、ここまででは、まだ女神の勝利ではなかった。それよりもむしろ、より悪いパターンでもあった。光樹がゴールドサァドを倒したのなら、必然的に女神よりも強いということになる。そうなれば、光樹によって様々な観点から問題が起こり始める。異世界からの来訪者ともなれば、それこそパニックにもなりかねない。それだけ、今の状況は女神にとって、ありがたい状況でも、苦しい状況でもあった。

しかし、今のネプテューヌ達はそこまで考えることはしなかった。自分達が逆転した方が良かったとはいえ、光樹が流れを変えてくれたのだから。

一方、光樹はまだ戦闘態勢を解いていなかった。理由は簡単。まだ彼女らに、ゴールドサァドに戦う意志があったからだ。各々に武器や腕を構えて戦闘態勢を取る。

あまり光樹もこれ以上は傷つけたくはなかったが、邪魔するのなら容赦はする必要はない。光樹は再びゴールドサァドに近づいていく。

 

「さて、そろそろここで終わりに…。」

 

そう言った、その時。

 

 

 

 

「おっとぉ!!悪いがこれ以上俺達の相棒に傷はつけさせないぜ!!」

 

「っ!!」

 

いきなり響いた声に、光樹は顔を上げる。視線の先には、スタジアムの縁から、こちらに飛び降りてくる影が4つ。それらがこちらに来ることを悟った光樹はすぐに後退する。

光樹が退いた場所に、その者達は着地する。だが着地した時の音は靴のような乾いた音ではなく、機械が落ちた時のような、非常に重量感のあるものだった。

何者かと思った光樹はその者達を見る。するとそれはとんでもない者達の驚きの姿が…。

 

「お前らは…一体…?」

 

 

 

それは、全員が鋼鉄の装甲を身にしている、人型機動兵器の姿であった。そして、その者が言い放つ。

 

 

 

 

「俺達は…「ゴールドソフツ」!ゴールドサァドの守護者…ってところかな?」

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さぁ、ゴールドサァドには勝ったね。「ゴールドサァド」には。

レイ「やめてあげて!光樹君、ゴールドサァドとの戦いに勝ったよね!?フラグ折ったよ!?」

ジャンヌ「で、ですが、まさかここで新たな敵が現れるだなんて…。」

ははは、いきなり現れた機動兵器集団「ゴールドソフツ」、この新たな敵と言う名のフラグ建築に、光樹君は勝つことができるのか?それは次回に持ち越しです。

レイ「あーあ。…見たかったなぁ、光樹君の活躍っ。」

ジャンヌ「わたくし達は、明日の午前0時に行かなければいけませんからね。グラン・ロロに…。…藤和木、大丈夫ですか?」

大丈夫大丈夫。たかが24日分なんだ。二人が居なくても、ちゃんと書きますよ!

ジャンヌ「藤和木…。」

レイ「なんかすごく成長した気がするー!」

いや、これは普通でしょ。さて、では次回予告へ。

レイ「次は火曜日あたりっ!次からしばらくの間は代わりの子が来るんだって!」

ジャンヌ「では、皆様。しばらくの間、お別れです。また24日以降、お会いしましょうっ。」


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第87話 一人の力、過信しすぎた力

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?ジャンヌさんがいなくなって泣いてるだって?ははつ、そんなことはないと言わせてもらいます、藤和木弘でございます。

光樹「とか言ってるけど、Twitterでも泣いている時あるじゃねぇか。どうも、皆様、主人公の和藤光樹です。」

そ、そんなこと、あろうはずがございません…。さ、さぁ、まずは、ジャンヌさんとレイさんに代わる一時的なアシスタントのご紹介です。

光樹「それはいいんだけどさ。なんか嫌な予感がしてならない。」

ん?なんで?

光樹「いや…マジで艦これのキャラに代役任せるのか、と。」

あぁ、その案残念ながら却下になりました。

光樹「あ、そうなのか。でも、なんで…」

ジャンヌさんに押し倒された。この意味わかる?

光樹「あ…(察し)」

というわけで、ジャンヌさんもこの人物ならということで、ご紹介するのはこの二人!

絵里奈「はーい!SSRと言う名のG、光樹君の仲間で、元ガンダム・アズールセブンシリーズのNPマスターで、現在ガンダムR-ZXのマスター、福内絵里奈だよー。それからー」

鈴「まぁ、少しは出てるから、分かるわよね。ガンダムR-EXEグレイガのマスター、光木鈴よ。ジャンヌから藤和木のアシスタントを任されたわ。よろしく。」

光樹「り、鈴さんかよ…というか、もう一人の子俺知らないというか、まだ会ってないから覚えてないんだけど…。」

まぁ、そこは気にするな。後々分かるから。さて、今回は第87話です。過信しすぎた力…これが意味するのは…?

光樹「嫌なタイトルだけど、まぁ勝てるだろ。」

絵里奈「それはどうかな?光樹君強いけど、今は記憶ないからねー。」

鈴「油断はどんなミスよりも致命的なもの。さぁ、力を過信しすぎたのはどちらかしら?」

それでは本編スタートです!


 

 

光樹の目の前に現れた次なる乱入者。それは全員が機械の装甲で覆われていた。その様子はどう見てもロボット。なぜいきなり、乱入してきたのだろうか。そう思う光樹の疑問はすぐに解決することとなる。

 

「ふぅ…大丈夫か?ビーシャ。」

 

「うん!まだ動けるよ。」

 

再び乱入してきた別の者達はゴールドサァド達に無事を確かめる。どうやら、この機械の体を持つ者…ゴールドソフツと名乗った者達も、ゴールドサァドのメンバーのようだ。

無事を確認した機動兵器達はこちらを向く。そして光樹を視界に捉えると、中でも一際大きい体を持つ、ゴーグルのような頭部が特徴的なロボットが声を大にする。

 

「よぉ!黒い装甲を纏う少年!よくも俺達の仲間に怪我させてくれたな!」

 

「…それで、何が目的だ?」

 

「そんなの簡単さ。俺達がお前を倒すのさ。女神が勝っているような状況は嫌だし、それに俺としては、「ロボボ」でかなりの強さを誇るお前と戦いたいと思ってるからな!」

 

光樹の質問に、ゴーグルロボットはそう答える。狙いは先程のゴールドサァド達と同じように、女神の強さの没落。それと同時に、今度は光樹自身との対決を望んでいる。先程までのゴールドサァドの言葉から、ひょっとすると今喋っている奴だけがそう思っているのかもしれない。

しかし、それで断ることはしない。こちらに向かってくるのなら、今は戦うのみ。光樹はその言葉に対し言葉を返す。

 

「挑戦者ってことか。俺の目的は女神の地位を守るってことなんだけどな…でも、そっちが来るなら、こっちも行くだけだ!行くぞ!!」

 

「そう来なくっちゃなぁ!!」

 

二人の考えが重なる。その掛け合いで他のロボット達も戦闘態勢を取る。

光樹は今現在の粒子供給量を頭部コンソールに表示させる。まだ想定起動限界時間が訪れる気配はない。それでも、あの敵がどれほどの力を備えているか分からない。

先程は生身の人との戦いだったため、ある程度気にすることはなかったが、同じ機械同士の相手なら、ダメージもこちらにはかなり来ると思っていた。とはいえ、こっちには切り札もある。制限時間があるとはいえ、あのモードなら…DAIモードなら、一瞬で倒すこともできるはずだ。

そう考えた光樹は、すぐにゼロにDAIモード起動の指示を出す。

 

「ゼロ、ゴッドクロス・ダイで仕掛ける!」

 

『了解。ゴッドクロス、DAIモードドライブ開始。』

 

指示を受けたゼロがDAIモード始動画面を開く。それを確認して、光樹はシステム始動の言葉を声高々に言い放つ。

 

「モード・フルドライブアップ、DAIモード、始動!!」

 

その宣言と共に、ゴッドクロス・ダイを光が覆う。緑色の光を各部から放ちつつも、機体各部の変形を開始させる。次々と装甲が展開し、ゴッドクロスの体を拡張していく。変形により閉じられていたウイングも展開し、ウイングを肥大化させると、ゴッドクロスの胸部が光り、DAIモードへの変身を完了させる。

変身が完了し、光樹も戦闘へと意識を向ける。これでさっさと終わらせて、あとの試合で勝たなくてはいけない。「ロボボ」の試合前にDAIモードを見せるのは癪だったが、それでも今は起動させるしかない。

 

「さて、この後のロボボも戦わないといけないんだ。さっさと終わらせる…」

 

だが、その言葉を言い切る前に。

 

 

 

「この…馬鹿!!」

 

ガツゥン!!

 

「あ!?」

 

 

 

いきなり光樹の頭を衝撃が襲う。と言っても、単に驚いて衝撃を受けたのではない。物理的な痛みとして頭部を叩かれたのだ。

いきなりなんだと俺は思う。最初は敵が高速で攻撃してきたのかと思った。しかし、叩かれる瞬間に放たれた言葉とアラートが鳴っていないことから、敵ではないのことが分かっていた。なら一体誰だ?

だが、それと同時に、その声にどこか聞き覚えがあった。何故か聞いていて気分が落ち込むけど懐かしい様な声に。

頭部装甲がなんともないのを確認してから後ろを確認する。すると、そこにいたのは…緑色の獣のような耳を備える―――ガンダムの姿であった。

 

「な…ガンダム!?俺以外のガンダムだと?」

 

いきなりの登場に光樹も驚く。今までガンダムといえば光樹自身のガンダムのみ。ガンダムに似たような存在としては、超次元のゲイムギョウ界にて開発されたシェアプロテクター、もしくは零次元で最後の決戦を行なった相手であるエクスやエクストリィムくらいだった。

だが、エクストリームガンダムがベースとなっているようなエクスを除いて、これほど完全にガンダムである機体は初めてだった。それも、光樹の今まで見たガンダムとは全く違う、シュバルトゼロガンダムと同じ完全にオリジナルの機体だ。

どこの機体かと未だに驚いている光樹に対し、そのガンダムから声が響いた。

 

「ちょっと、馬鹿光樹!あんた何いきなりDAIモードを起動させてるのよ!?」

 

いきなりの一声に光樹は二つの意味で驚くこととなった。一つはいきなり怒声を浴びせられたこと。そしてもう一つは、自身の名前と、このガンダムの機能を知っているということだ。

特に後者に当たる、ゴッドクロスが変形することは、光樹自身の知っている範囲では四女神とネプギア、それにゴッドクロス・ダイの試験に協力したシェアプロテクター装着者の4人とプラネテューヌSP技術者達だけだ。それに光樹のガンダムはクエストもこなしている都合上、一応公に公開されているものの、それでもゴッドクロス・ダイは極秘情報となっていて、知る者は女神関係者以外は知ることは難しい。

なぜ、そんな事を当たり前のように知っているのか。光樹は悩んだが、答えを出す前に突如後方から声が飛ぶ。

 

「おいおい…いきなりなんだ?この茶番はよぉ。さっさと始めようぜ?」

 

ゴーグル型ヘルメットをかぶったロボットがそのもめ合いに介入したのだ。それで光樹も思い出す。今はこのガンダムに関わっている暇はない、と。

少し新たなガンダムを見たのち、迷いを晴らすようにゴールドサァド側のロボットに目を向ける。ここで勝たなければ、女神に未来はないかもしれない。信仰を失い、没落していく。特にネプテューヌがその傾向になりそうだ。そうならないためにも、戦いに集中する。

スタジアムにて、両者が向かい合う。対決は先程と同じ1対4。しかし、光樹も負けるつもりはなかった。

そんな中、戦いは急遽始まる。光樹が先に動いたのだ。

今のゴッドクロス・ダイは制限時間がある。現在はゴッドクロス・ダイの制限時間を延ばす訓練で零次元の最後の戦いの時よりも時間が伸びたとはいえ、それでも時間は2分のみ。今の話し合いで2秒ほど消費していた。これ以上時間をかければ、こちらが不利になる。だからこそ、光樹は先に仕掛けたのだ。

光樹はゴッドクロス・ダイの圧倒的な推力で一気に距離を詰める。まずはいかにも攻撃力の高い敵である、ゴーグル型ヘルメットのロボットに攻撃を仕掛ける。あいさつ代わりとして右手に拳を作って構える。殴ることのできる範囲まで急接近したゴッドクロス・ダイはそのまま拳を振り下ろす。

ところが、その拳はゴーグル型ヘルメットのロボットに届かなかった。一瞬で光樹とゴーグルロボットの間に割って入った影があったのだ。

間に割って入ったのは、体は細身の、小さな翼を備えた天使のようなロボットだった。そのロボットは、右手に装備していたユニットを展開し、剣のようにしてゴッドクロス・ダイの右手を受け止めていた。

 

「攻撃を…受け止めた!?」

 

光樹はその速さに驚く。あの速度に対応できると思っていなかったのだ。動揺する光樹に対し、攻撃を受け止めた天使型ロボットが言葉を返す。

 

「その程度では、私を止めることは出来ません。」

 

「くっ…!言ってくれる…けど!」

 

光樹は相手の言葉に反論しつつ、拳を剣に打ち据えて、その反動で後方に下がる。距離を取った光樹は、続いて右手を構えて引く。そこから左腕を前に突き出す。突き出した右腕は人差し指を伸ばして銃のような形を作る。その先にエネルギーを溜め、光樹はその攻撃名を発する。

 

「ミドガルズオルム!!」

 

指先から次元力を圧縮した円形の波動が放たれた。正に弾丸ともいえる次元力が、再びゴーグルロボットに向かって進む。

だが、今度はゴーグルロボットが行動に出る。右腕を前に構えると、光の球が腕部より放たれる。

 

「念力結界、「ドミニオンズボウル」!!」

 

光の球体がゴーグルロボットの目の前に次々と射出される。その先には、光樹が放った次元弾「ミドガルズオルム」が迫っていた。自身の攻撃でミドガルズオルムの弾丸を相殺しようとしていたのだ。

ゴーグルの「ドミニオンズボウル」と光樹の「ミドガルズオルム」がぶつかり合う。最初の内は次々と迫りくる小球を蹴散らしていくミドガルズオルムだったが、徐々にその速度が落ちていく。威力を殺されていったミドガルズオルムに次々とドミニオンズボウルが集まっていく。そしてとうとう、ミドガルズオルムが結界で覆われ、はじけ飛ぶ。

自身の攻撃を受け止められた光樹は少し危機感を感じる。光樹の攻撃を敵は見事に受け止めている。現在は敵に若干押され気味になってきていた。しかし、まだ最初の内。これからさらに責め立てようと光樹は考える。

考えを決めて、すぐにゴッドクロス・ダイで戦闘を続ける。生半可な拳も射撃も効かない以上、こちらも手加減をするつもりはなくなっていた。ならば本気でぶつかるのみであった。着地したゴッドクロス・ダイは足で地面を思い切り蹴って飛び込む。その速度を保ちつつ、光樹は両腕を構える。

この時光樹は近接格闘攻撃の連撃をかけようとしていた。一発ずつの攻撃では攻めきれないと考えたのだ。次元力の連撃なら、これを突破できると判断したのだ。

それを今度はエスーシャと何か言葉を交わしていた白と黄色の騎士型ロボットが迎撃に来る。騎士型ロボットの手には、灰色の真ん中が割れた剣が握られていた。

その状態で、2機は激突する。交戦の直前、敵の剣が剣の形に戻り、赤く発光する。拳と剣がぶつかり合ったのち、次々と連撃が放たれる。しかし、互いに拳、剣で攻撃を相殺する。

このままではキリがない。そう光樹は考える。無論、光樹自身はこのような拳と剣のぶつかり合いを好きでやっているわけではない。目の前の敵に直撃させようとしていた。が、その速度に敵がついて来れていたのだ攻撃を決めきれないことに焦る中、光樹は敵の姿を見てとあることに気づく。

 

(なんか、この敵。何かに似ている気がする…。)

 

何故なのかは知らないが、戦っていた敵に、既視感を感じていたのだ。目の前の敵は後部にパーツの伸びた白い兜と騎士甲冑を被ったような白い装甲を持つロボット。それに今ぶつけ合っている剣もどこかで見たことがあった。

と、そこで光樹はとあることを思い出す。光樹の記憶の中に居たのだ。その特徴に合う機動兵器が。それと同時に他の機体についてもそれぞれの機体の既視感の理由を拳をぶつけつつも理解する。

 

(そうだ。こいつは今剣で戦ってるやつは…ランスロット!)

 

そう、今光樹の目の前で戦っている機体は、光樹の知るアニメの一つ、「コードギアス」という作品にて登場する機動兵器「ナイトメア」の一機、「ランスロット」に姿が似ていたのだ。白い装甲はもちろんの事、特徴的な頭部はランスロットの特徴に当てはまっていた。

更に他のやつらも確認するために一度後退する。一瞬のうちに全員を見ると、他の3機もまた、光樹の知る存在であることを知る。まず、ゴーグル型ヘルメットをかぶっている、大型ロボットはゴーグルからしてスーパーロボット大戦シリーズの3機が合体して生まれる機動兵器、「SRX」だろう。ゴーグルのようなヘルメットなら、SRX以外はありえないだろう。

続いて見たのは腕部に剣に変形する武器を備えた天使型ロボットだ。天使という例えなら、分かりづらいかもしれないが、腕部の武器と、天使と仮定した理由でもある背部の小さな翼、それに目のような部分が見えないことを元に、そのモデルとして予想したのは「ゾーン・オブ・エンダーズ」に登場した機動兵器「ジェフティ」に似ていると思った。機体の色もなんとなく青緑に見えることからも、そうではないだろうか。

そして、これまでの戦闘に関わることのなかった、最後の者は…と考えた矢先に、後退する光樹に目がけてその最後の機動兵器がこちらに迫ってくる。

 

「シーシャたちをよくも!許さない!!」

 

「!!腕が…くそっ!!」

 

敵は腕部を変形させてソードに変えるとその腕を振り下ろす。その攻撃を光樹は右腕部のシールドユニットで受け止めた。いきなりの事ではあったが、攻撃を受けることにはならずに済んだ。それと同時に、今戦っているロボットの…もとい、機動兵器のモチーフを悟る。腕部を剣に変形させる前、敵の左手が右腕のデバイスを操作していたのを見たのだ。それに機体全体を見てみると、目立った武器は存在せず、背部にウイングが一対と円盤状のウイングが一対存在した。

それらをすべて加味してみると、とある存在にたどり着く。それは光樹のガンダムのモデルともなっているだろう電脳の戦士。その二つの姿が、一つに重なって光樹の目に見えていた。

そう、光樹が今相手にしている機動兵器、そのモデルの正体は…流星のロックマンのファイナライズ形態、「ブラックエース」と「レッドジョーカー」であった。カラーリングも赤と黒を主体にしていることからも、あの二機を連想させていた。

その事に気づいたものの、それに気づいたところで、という状況であった。今は目の前で切り結んでいるブラックエース似の機動兵器を退ける必要がある。すぐに光樹は左腕にミドガルズオルムを溜めて、ブラックエースもどきに向けて放つ。

 

「このっ!!」

 

「うっ!?」

 

攻撃が直撃する。光樹の攻撃をもろに受けて、ブラックエース似の兵器は吹き飛ばされる。ようやく一体を倒せた、と思った光樹だったが、そう甘くはなかった。吹っ飛ばされた赤と黒の、翼を持った機体は空中で回転すると、無事地面へと降り立つ。

光樹は心の中で危険を感じる。何故かといえば、もうすぐでゴッドクロス・ダイの制限時間が来るのだ。制限時間はあと30秒。その時間で決める必要があった。

が、そのことに目を取られてしまい、目の前にワープしてきたジェフティ似の機体に反応しきれなかった。

 

「もらった。」

 

「な…」

 

ジェフティに似た機体は、光樹の懐近くにまで機体を潜り込ませていた。光樹はすぐに防御態勢を取ろうとしたが、その距離では拳による迎撃は不能。更に防御するにも間に合わない。となればただ一つ。回避するしかなかった。ウイングを前方に向けてジェフティをモデルとするロボットの攻撃範囲から逃れようとする。

しかし、青緑の機体の剣が展開され、振り抜かれる。振り抜かれた刃はゴッドクロス・ダイの装甲の一部に刃に切り込みを入れ、火花を散らせる。

一撃を入れられ、動揺する光樹。そこに地面を滑ってランスロットを模した姿をする白騎士が急接近する。

 

「いっけぇぇぇぇっ!!」

 

「くそっ!!」

 

光樹は体を捻らせ、回避しようとするが思い通りにはいかない。ランスロットのような機体は回避先に蹴りを入れてくる。蹴りを入れられて光樹は吹っ飛ばされる。

吹っ飛ばされた光樹に対し、今度はファイナライズタイプの黒と赤の機体が急接近する。急接近する機体の腕は、両方ともエネルギー端末になって、発振口からはビームの剣が出力されていた。その剣で、光樹が体勢を整える前に切りつける。

 

「イットウブレード、二刀流!!」

 

「くそっ!…く…サイドバインダーが…!」

 

攻撃が左腰のサイドバインダーを切り裂く。サイドバインダーはAN高純化射撃兵装に加えANロング・メガ・マグナムも装備する位置だったため、二つの武器がまとめて爆発を引き起こす。

至近距離の爆風により、光樹は吹き飛ばされる。爆風であおられた鋼鉄の体は地面へと重力の関係で地面へと叩き付けられる。

見せつけられる圧倒的な力の差に、光樹は焦りを見せていた。数でも圧倒されるばかりではない。一人一人の実力も高かった。こちらの攻撃を、敵は受け止める、もしくは避ける。代わりにこちらは攻撃を上手く回避できない。

一方的な攻めに加え、迫る制限時間。それによって光樹は決断する。最強の一撃でこの場を突破すると。この状況、もはや長く続けていれば、こちらが持たなかった。既に光樹も息が自然と上がっていたのだ。

そう考えた光樹は、ゼロに指示を出す。

 

「ゼロ、こっちは限界だ。「ビルレスト」の全門一斉射撃で撃ち抜く!」

 

『体力的にも限界を確認。…それしかないだろう。不服ではあるが、これに賭ける以外ない。』

 

ゼロも光樹と同じ考えであったことを告げる。二人の考えが一致した以上、その考えが最良というべきものであった。

意見の一致を確認した光樹はすぐに右手を開く。それに合わせ、ゼロが異次元より巨大武装砲「ビルレスト」ユニットを転送する。右手で持ち手を掴む。そしてそのまま、敵へと向ける。

それに対し、相手からはSRX似の機動兵器が他の三人の前に立つ。そこから同じく右手を開く動作をする。すると、上方から何かが飛来する。それは人型の機動兵器であった。急襲した人型の機動兵器はSRXのような機動兵器の前に飛来すると同時に、変化を始める。腕部が折りたたまれ、胸部が前倒しになる。腕部にあったキャノン砲のようなユニットは取り外され、代わりに脚部へと移動し、機体自体を新たな砲へと変形させた。

その姿に、見覚えがあった。あれは、SRXの外部式強化兵装ともいえる機体、R-GUNパワードの形態の一つ、「メタルジェノサイダーモード」に似ていた。そこから放たれる攻撃も、その威力の危険性も光樹は客観的にだが知っていた。

しかし、ここで撃たなければやられる。光樹は残り時間の少ないDAIモードから供給される次元力を全て巨大武装砲「ビルレスト」に供給する。その間に、SRXを模した機体もその手に変形したR-GUNであろう銃を手に取り、こちらに向けて構える。敵もまた、その銃身にエネルギーをチャージする動作を見せる。

しばらくエネルギーチャージの時間が起きる。そこで光樹は疑問を持つ。なぜ、敵は攻撃してこないのか。その間に光樹は動けなかったので敵は十分攻撃する時間があった。しかし、そこで攻撃を行わなかったのはミスか、それとも、攻撃を押し返すだけの力があったのか。

だが、それも脳内の考えから捨て去る。「ビルレスト」のチャージが終わったのだ。エネルギーのチャージを完了したのを確認すると、光樹はすぐにそのトリガーを引く。

 

「いくぜ!ビルレスト・フルバースト!!」

 

上下左右、四つの側面から二種類のビームが高出力で一斉に放たれる。球状のビーム弾と細い線を描くビームがSRXに思える機体に迫る。

それを見て、敵も動く。光樹に狙いを定めて、攻撃を放つ。

 

 

 

「次元無敵の、一発必中砲!!」

 

 

 

手にした武器から、高出力ビーム砲が放たれる。だが、光樹の放ったビームとは違い、一つの砲身から巨大なビームを放っていた。そのビームによって、光樹の放ったビームは次々と飲み込まれ、消失し、光樹へと真っ直ぐ伸びていく。

その攻撃に、光樹も危機感を感じる。というよりも危機感しか感じなかった。こちらの最大出力はあれだけしかないことは知ってはいたが、予想以上の威力の違いに光樹は驚いていた。武装の大きさで言えばこちらの方が大きいはずなのに、ビームは敵の方が大きすぎたため、こちらが飲み込まれる形となる。

そのまま伸びたビームに光樹は飲み込まれる。咄嗟にビルレストユニットを前にしてシールド代わりにする。なんとか攻撃を受け止めるが、端の所からビームに削られていく。

そして、最終的にビームの温度に耐えきれなかったビルレストユニットが爆発を起こす。生じた爆風が光樹を、ゴッドクロス・ダイを吹き飛ばす。

 

「ぐぅああ!!?」

 

吹っ飛んでいく間にも降り注ぐビーム。それにより機体の肩部や脚部に展開させた装甲が弾き飛ばされる。最終的にビームの雨が降り終わった後、ゴッドクロス・ダイは地面へと叩き付けられる。

すぐに光樹は立ち上がろうとするが、そこで突然、体が動かなくなる。機体状況を映すモニターのウインドウを見ると、「DAIモード起動限界」の文字が。DAIモードの時間切れだった。

 

(そんな…ここまでだっていうのか!?)

 

認めたくなかった。自分の力が及ばなかったことに。自分は零次元に迫った巨大な敵をも倒したはずなのに、負けるということが信じられなかった。

そう思って、光樹は立ち上がろうとするが、既にNPシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスはDAIモードが制限時間切れによる機能停止。その影響で機体がオーバーフローを起こし、システムに障害が出ていた。その為、ゴッドクロスへと戻ったガンダムの重量は元に戻り、光樹の体にその重量が襲っていた。

立ち上がれない光樹を見て、敵が余裕を見せる。

 

「どうやら、ここまでみたいだな。」

 

「解析結果。その機動兵器に、もはやエネルギーはない。私達の勝利は確定。」

 

SRX似のロボットに、ジェフティを模した機動兵器が結論を導き出す。そう、光樹はもはや戦えない。敗北したのだ。

光樹も負け、もはやこれまでと女神達が思っていた、その時だった。

 

 

 

 

「まったく…やっぱりあんたは馬鹿光樹よ。」

 

「…何…?」

 

 

 

 

光樹の前に一機の機体が庇うようにして現れる。その機体は横から割り込む形で入ってきており、すぐ傍にいたということを意味させる。それに、その姿は、光樹が先程見た姿…ロボット達と戦う前に光樹を叩いた存在と同じ、ガンダムの姿。

彼女だけではない。次々とスタジアムの下段、更には観客席から光樹らのいるステージへと飛び出していく。それも、全員が、見たことのない人型の機械の姿をして。

彼らが全員で揃うと同時に、少女はロボット達と、光樹に対し宣言する。

 

 

 

 

「私達、GKSWAXPが、この戦闘に終止符を打つわ!」

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、光樹君完全敗北ですね(笑)

光樹「う…うるさい!四対一じゃなかったら…。」

絵里奈「うーん、それもあるけどー。今回は光樹君の練度不足!だね。」

光樹「れ、練度不足!?記憶がないからとかじゃないくて?」

鈴「確かに、記憶も光樹の戦いを再現するのに必要なことよ。でも、そんなものは所詮記憶なだけ。光樹は今までも新しいガンダムを纏うたびに訓練を欠かさなかった。そこに「アイツ」との一心同体のコンビネーションのおかげでこれまでの戦いを切り抜けてきたのよ。今回は、そこまで思い出せなかった、あるいは訓練できなかった光樹、あんたの今のままで十分だっていう「過信」よ。」

光樹「う…反論できない……。でも、てことはゼロと一心同体の状況までリンクすれば、解決できるってこと…」

鈴「あんたバカァ?」

光樹「やめろ!その言葉は何かの逆鱗に触れる!っていうか、あれ、違うの?」

絵里奈「うーん、ここで言ってもいいんだけど…藤和木さん、言ってもいいの?」

あ、ごめん。流石にそれは本編での話のネタにするから、ネタバレ禁止で。

絵里奈「りょーかーい!」

鈴「さて、今日はここまでとのことよ。次回は次の月曜。珍しく、今回はその日確定らしいわ。なんでも…」

あ、それ言わないでね?

鈴「…はいはい……。」

絵里奈「じゃあみんな!これから少しの間だけど、よろしくねー!」


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第88話 記憶にない仲間、光に包まれて…

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?遂に昨日、プレミアムバンダイにて頼んでいた詩姫の聖夜祭が届いて、気分は上がっているけど、体調不良で体はダウン中の藤和木弘でございます。

鈴「全く……来るまでの一週間、面倒なことを一生懸命やった結果がこれなんだから、ジャンヌに怒られるわよ?どうも、皆さん。臨時アシスタントの光木鈴よ。」

絵里奈「光樹君と似たところあるよねー。作者さん。どうもー、みんなー!同じく臨時アシスタントの福内絵里奈だよー!」

やべぇ、意識朦朧としてアシスタントを打ち間違いそうになる(;´・ω・)

鈴「重症じゃない……とりあえず、今日の話はあたし達の戦闘シーンね。」

絵里奈「でも、ここで倒しちゃうのかな?ゴールドソフツ。ここで倒しちゃったら、話が進まないよね?」

大丈夫、「あの方々」がなんとかしてくれますよ。それでは、本編へ。


「おやおや。今度は女の子が相手か?そんな機械を纏っちゃって、俺達は容赦しないぜ?」

 

「あら、随分と威勢のいいことね。あんな未熟者を倒した程度で粋がるんじゃないわよ?」

 

ひやかしのようにも聞こえた白を含めたトリコロールの機体に、鈴は挑発で返す。鈴としては、この程度のやつを倒したところで、勝ちと思ってもらうにはいかなかったからだ。それに加え、先程の戦闘、いくら光樹が記憶を失いつつも使えるといっても、あれはきついものがある。なら、その穴埋めくらいはしなければ。

そう思っていた鈴に対し、青銅色の機体…ではなく、かつて自分と会ったことのある機体が前に出る。

 

「まさか、貴女がこの場に出てくるとは…しかし、今回は見逃しはしません。」

 

その声と共に、かのロボット、「ジェスティ」が腕のソードを展開して突撃してくる。

あんまり、あの子とは戦いたくはなかったけれど、仕方ないわね。あたしは少し息を吐く。それから、後方にいた絵里奈に光樹の救助を指示する。

 

「絵里奈。光樹は頼んだわ。こっちはあたしと勇也で抑える!他のメンバーのうち第2世代は女神の護衛、第3世代は何かあった時のサポート!」

 

『ラジャー!』

 

「うん、りょーかーい!」

 

「俺も戦うのかよ…まぁ、鈴だけじゃ、不安だな。いくぞ!」

 

その声かけが終わると同時に、鈴は迫りくるジェスティを迎撃する。もう一人の勇也は、鈴に冷やかしをかけていたトリコロールの機体と戦闘に入る。

ジェスティは右腕のソードを振り下ろす。対して鈴は右腕部のANファングクローシールドを振り上げる。その形で両者は交差する。一瞬の交差の後、突如ジェスティの右肩部から火花が散り、爆発を起こす。

 

「ぐぅ…やりますね。しかし…」

 

ジェスティが賞賛する。鈴が切り抜けに勝利したのだ。だが油断は出来なかった。ジェスティが含みのある言葉を吐くと、正面より接近警報が響く。その方向に目を向けると、目の前から黒と赤の機体がウイングを展開してこちらに迫ってきていた。鈴の目にはどうもブラックエースとレッドジョーカーを混ぜたような機体に見えた。奇しくも、この発想は先程の光樹と同じものであった。

だが、鈴はそれに対し、落ち着いて対応する。撃ってくるキャノンガンのような武装から放たれる弾丸を両下腕部に装備されているANビームループメイカーのビームトンファーモードで弾いていく。攻撃と迎撃の間にも両者の距離は詰まる。

そして、ある程度距離が縮まったところで、BAとRJを混ぜた敵がもう片方の腕をソードに変形させる。

その行動に、鈴は既視感を覚えた。なぜなら、自身も行ったことのある行動であったから。しかし、そんなことを懐かしむことなく、鈴は自身のガンダム、R-EXEグレイガに背部のANソードカノンⅢを手元に送るように指示を送る。

 

「グレイガ、ソードカノンを。」

 

『了解!』

 

すぐに手元にANソードカノンⅢがアームで移動し、鈴の左手に握られる。アームの接続を解除すると同時に、鈴はそのカノンで目の前のファイナライズもどきの機体の剣を受け止める。互いの剣が火花を散らしていくが、徐々に鈴はその刃を敵の懐へと滑らせていく。

そして、ソードの根元にまで滑らせると、鈴はグレイガの出力を上げる。すると、受け止められていた剣はソードとの切り結びを解除し、敵の腕の装甲を滑る。そのままの加速力でANソードカノンⅢは敵の左腹部を斬る。その切れ目からは、こぼれだす赤い粒子が。

その一瞬の出来事に、ファイナライズもどきの者は信じられずに倒れる。

 

「ぐぅ…僕が…こんな…?」

 

「…あんた達とは…戦ってきた年季が違うのよ。」

 

敵の言葉に、鈴はその言葉で切って捨てる。鈴としては確かに彼らは強いとは思った。だが、出力が「強い」だけだと同時に感じてもいた。出力に技量が伴っていない。それでは様々な戦いを今ここにいるメンバーの中でも長く経験してきた鈴にとっては未熟。その言葉しかなかったのだ。

一方、鈴と共に彼らを相手にした勇也も、既に戦闘を終わらせていた。勇也を相手にしたトリコロールの機体と白い甲冑型のロボットは今、膝を付いていた。勇也にとっても、この程度は朝飯前。伊達に鈴と同じだけの時間、ガンダムを纏っていたわけではなかったのだ。

その圧倒的な戦闘能力に、彼らは動揺を見せる。

 

「こんなにも強いやつら、だったとはなぁ。これは俺達も本気で行くしかねぇか?」

 

「そうかもしれない。この二人だけでも強力なのなら、最後の切り札も…。」

 

鈴の耳に聞こえた、敵の本気を出すという宣言。それに対し、鈴は思う。なら、最初から使えばよかったのに、と。

一応、切り札は最後に取っておくもの、というのは鈴にも理解できた。だが、それは元々の実力が、技量と共についてから言うもの。今の力すら上手く使えない者に、鈴は負ける気はしなかった。それはもちろん、今の光樹に対しても、であった。

その敵が体勢を立て直そうとする中、余裕を感じた鈴は後方の方に目を向ける。後方にいるのは、ガンダムR-ZXを身に纏う絵里奈に、第2世代のガンダムマイスターことマスター、第3世代、現在のSSRシリーズのマスター達。それに加え、先程無残にやられた光樹も。

絵里奈は光樹の方に寄り添っているが、光樹は肩を借りつつも、立ち上がろうとしている。まだ戦うつもりなのだろう。それに気づいていた絵里奈も制止する。

 

「だ、駄目だよー、光樹君。無茶しちゃ…。」

 

「う…くっ……なんか…頭が…うっ!!」

 

光樹は頭を押さえ、苦しそうにする。鈴の記憶が正しければ、特に頭部に対して致命的なまでの攻撃は受けなかったはずであった。ならば、それは戦闘が直接の原因による痛みではない。考えられるのは、記憶喪失ということなら、ZEROシステムの過剰使用、もしくは、記憶が戻ろうとしているのか。

前者は負荷を耐えきれるだけの精神力が失われている中で、無理やり使用しているなら、という考えの元、そう思っていた。だが、鈴は後者の方ではないかと勘ぐった。光樹は苦しそうにしつつも、未だその口調はやさしさのあるものだったからだ。ゼロに吞まれているのなら、そんな口調ではない上に、苦しいということすらも表情にも言葉にも表すことはないはずだ。

だがしかし、そんな戦闘を行うには不可能ともいえる状態で、光樹は再び立ち、歩こうとする様子を見せる。相変わらずの無茶だと思っていたが、今は記憶がない状態。ならここで無理をさせるわけにはいかない。いくら馬鹿光樹でも、今は事態が違う。ここで光樹を失うわけにはいかない。すぐに鈴は光樹に対し言い放つ。

 

「無茶はよしなさい、馬鹿光樹。今のあなたじゃ、帰って邪魔よ。」

 

「な…大体、お前らはなんなんだよ!ガンダムも使うし、それに、その声、どっかで聞いたことが…。」

 

光樹は頭を抱え、苦悶の声を呟く。なんとなく「聞いたことがある」所まで分かっているのなら、ここは分からせた方がいいかもしれない。そう思った鈴は、コンソールの操作を思考して行う。コンソールに行った行動はただ一つ、頭部フェイスユニットの一部開放。要するに、顔を見せる、ということだった。

戦闘中に生身の体を見せるというのは、プロテクター戦ではかなり危険な行為だ。それに、相手は機械の機動兵器ばかりの今の戦闘状況では、一瞬の隙を突いての攻撃も危険な状況だった。

しかし、今はそんなことを言っている場合ではなかった。光樹の記憶を戻せるなら、自分達の望む方向としては正しい道なのだから。

そうして、頭部のマスクユニットが解放される。マスクユニットを解除すると、ホログラムのように表示される、鈴の顔が外へと露出した。それ以前の時には、光樹は頭を痛め、何がなんだか分からないという様子だったが、それを見て、表情を一変させる。

 

「…!?なん…で?」

 

光樹もどうして目の前にその人物がここにいるのか、不思議に思うかのように表情を唖然とさせる。鈴としては、ややオーバーな反応とも思ったが、鈴は前提となる理由を思い出す。光樹記憶を失っている。ならこの反応は想定ないだろう。

さて、どんな反応が返ってくるか、どこまで思い出してるのかしら。あたしを含めた全員が固唾を呑んでその言葉を待った。

そして、言葉が発せられる。光樹の口から。

 

「…光木……鈴!?何でだ…何で、お前がガンダムを!?」

 

光樹の口から飛び出したのは、鈴の名前となぜ鈴がガンダムを纏っているのかという質問。それは、光樹が自分のことは覚えているということの証拠であった。

だが、鈴がガンダムのマスターであることを知らないことを言っていた。ということは、人物の名前は知っていても、GKSWAXPのことは忘れてしまっている、ということだ。茫然とした様子で動きが停止した光樹に対し、鈴が声をかけようとする。だが、その前に、いち早く行動をした人物がいた。

 

「光樹君…!鈴ちゃんのこと、分かるんだねっ!?」

 

絵里奈だった。絵里奈は光樹の言葉に反応して、自身もまた頭部のマスクユニットを解除する。

 

「ちょ…絵里奈さん!?いきなり過ぎですよ!?」

 

その行動には二代目SSRNPマスターの真奈も驚きの声を上げる。二人を守っているのに、その二人の内一人がいきなり、しかもあの絵里奈がまたも奇想天外すぎる行動を行っているのだから。

しかしながら、その行動により、絵里奈の顔を見た光樹がまたも驚きを見せる。

 

「…え!?君は…福内絵里奈!?い、一体…何で……。」

 

「…ぇえぇ…やっぱり私達との思い出…ううん、私達が何でここにいるのか、分からないの…?」

 

光樹の言葉に、絵里奈が落胆する。無理もない。絵里奈としては、今の光樹との関係があるのはGKSWAXPが、光樹という総司令がいたからこそのものなのだから。

とはいえ、それに構っていられるほど鈴は暇ではなかった。すぐに前を向き、本気を出そうとしているジェスティとその仲間達を注視する。

その時。

 

 

 

 

「…時は満ちた。オレはこの時を待っていた。」

 

「!?」

 

いきなり、脳内にそのような声が響く。何故頭に響いたのか、それを鈴は知っていた。鈴の能力だ。

どこからのものかと頭を振って確かめようとする鈴の脳内に、更に流れていく。

 

「もう、世界も守護女神も、そして機動戦士すらも、負の感情には逆らえない。」

 

「一体…どこのどいつが……。」

 

鈴は何とか見つけ出そうとするが、どこにもその姿は目に映らない。必死に探す鈴。しかし状況が動く。突然、スタジアムの方で光樹の戦い、そして、先程の鈴の戦いを静観するしかなかった紫の女神、パープルハートがとある方向に向けて言葉を呟く。

 

「あれは…!?」

 

「……何…?」

 

鈴も釣られてその方向を見る。すると、そこには黒い服を着た少女がいた。それだけなら、また乱入者だと思った。だが、そこで鈴はおかしなことに気づく。

少女の顔だ。少女の顔は、どことなく、というよりも明らかに今声を出した女性、パープルハート…ではなく女神化する前の姿であるネプテューヌに似ていた。紫の髪に色こそ違うものの、頭にはコントローラーのような髪飾りをつけている。

身長や色さえ変えれば、そっくりそのままネプテューヌではないかと思う。しかし、その少女が「虚空」に向かって言い放つまでは。

 

「ダメだよ!それだけはやっちゃダメ…!」

 

何を言っているの?と鈴の考えは変わる。何をやってはいけない?それはさっき自分が聞こえた声に対しての反応なのだろうか。そして、少女は「誰」に言っているのか。少女の視線の先には誰もいない。まるで先程声を聞いたかのようなのに、叫ぶ方向はその状況からまるで当てはまらない、見当違いの方向。

それに合わせ、少女がノートをこちらに向ける。すると、自身の周りを光が包む。

 

「何なの!?」

 

鈴は動揺する。いきなり出てくるのもそうだが、彼女は一体自分達に何をする気なのか、それだけが頭の中を駆け巡る。

そんな中、同じように光に飲み込まれたと思われる光樹が、呟く。

 

「大人ネプテューヌ…!?どうし…て……」

 

光と共に、光樹の言葉が途切れていく。気絶したのか、はたまたこの光のせいで音が聞こえなくなっていっているのか…。

その光の中で、鈴は浮遊感を感じる。巻き込まれた以上、この光に委ねるしかない。そう思っていた鈴の耳元に、声が二つ、響く。

 

「さぁ、はじめようか。世界の―――ゲイムギョウ界の改変…そして……」

 

 

 

 

 

 

 

 

『新たな、そして繰り返される戦争を…な。』

 

 

 

 

 

 

 

 

光が視界を覆い、平衡感覚を失う。鈴は完全に光に飲み込まれたのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、鈴さんが完全にベテランの風吹かせてますね。

鈴「当然よ。あたし達初代SSRNPのメンバーは、NP黎明期から戦い続けているんだから。」

絵里奈「私も同じくらいだけど、あそこまでは出来ないなー!」

鈴「…あなた何を言ってるのよ……。少なくとも、射撃戦闘じゃ、あたしよりも数段上でしょ…。」

絵里奈「えー、でも鈴ちゃんも砲撃は得意でしょー?」

鈴「同じ射撃型でも、あなたの方が相手にしたらきついって……。でも、なんで絵里奈はこういう性格なのか、ちょっと恐ろしいと思うわ。」

絵里奈「うー。また言ってるよー。」

この会話についてですが、そこら辺はまた本編の方でお話できるかと思われます。さて、今回はここまでとさせていただきましょう。私も体力限界…。

絵里奈「うん、りょーかーい!次回は日曜日だよっ!」

鈴「ちなみに、その日は投稿時間がどれくらいになるかわからないらしいわ。いつもの時間ではなくて、夜遅く、それも22時になるかもってことだから、よろしくね。」

ではまた次回!


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第89話 始まる改変、草原での目覚め

どうも、皆様、お元気でしょうか。学校の冬休みまであと1週間!な藤和木弘です。

鈴「作者はようやくSSRの後れを取り戻せそうね。どうも、皆さん、臨時アシスタントの光木鈴よ。」

絵里奈「学生さんはこれから受験だねー。頑張ってね!どうも、みんなー。同じく臨時のアシスタント、福内絵里奈だよー。」

と言っても、受験生は小説見る暇なさそうですけどね(笑)さて、今回は89話をお送りします。

鈴「改変…あたし達が光に消えた後のことね。」

絵里奈「改変って一体何なんだろうねー。」

それは本編で明らかになっていく予定ですが……今回は始まりからネタバレしそうなくらい、重要人物出ますからねー。まぁ、わざとどんな姿か分かりづらくしているつもりですよ。光樹サイドの黒幕とも言えるやつは。

絵里奈「分からないんだねー。」

鈴「初めから分かってたら面白くはないわね。でも、一応分かっているとは思うんだけど…。」

それは言っちゃダメですよ…。では本編へ!


 

 

女神、ならびに光樹達が光に消えた後、とある場所にて人が集まっていた。集まっていたのは金色の鎧を纏う、巨大なメカ。それに加えて赤い装甲と一本のブレードアンテナが頭部に装備された騎士ともいえるロボット。そして、黒い髪にスーツスタイルのシャツとスカートの少女と、その傍らにいる、暗い影を纏った「何者か」がその場にいた。

全員の姿は実に異常で、マトモと言えるのは黒髪の少女くらい、しかもその少女の目も、光がなかった。まるで、世界に絶望したかのような目をしていた。

それだけではない。部屋の内装も普通とは思えない物であった。金の装飾に高級そうな壁紙、天井の照明もまた豪華さを過度に表している。だが、それだけではなく、壁には様々なものが掛けられていた。例えば、金色の鎧を纏うロボットの座るイスの後ろには、額縁に飾られた、「時は金なり」という文字が書かれた紙。また部屋の別の壁にはその金色のロボの姿が描かれた絵が飾られていた。

言うとすれば、趣味の悪い部屋、であるその部屋に彼らはいた。しかし、それらに何事も動じない彼らの中で、黒髪の少女が話を始める。

 

「世界は書き換えられた。さぁ、アフィモウジャス将軍よ、君は改変された新たな世界に何を望むんだい?」

 

金色のロボットに対して、その言葉は向けられた。しかし、その表情には不気味な笑みが映る。まるで、餌を求める蛇のような目で。

それに対し、机に手を付けていた金の装飾が目立つロボット、アフィモウジャス将軍は迷いなく、動揺も見せずに言う。

 

「金だ。持てる限りの富を、ワシは手に入れるのだ。」

 

「…金、か。いつの時代にも金の亡者はいるものだ。」

 

その言葉に、黒いツインテールの少女は反応を薄くしつつも、興味深そうな答えを返す。

だが、少女としては、もっと恐ろしいものを考えていたかのようだ。そこで、少女は更に深入りするように質問を投げかける。

 

「まさか、侵略戦争でも始めるのかい?」

 

侵略戦争という恐ろしい言葉に、一人の者が若干動いた。それは赤い装甲を持つロボット、シナンジュ王だ。彼は元々戦場を仕事とする存在、故に戦争という言葉に敏感であった。

…まさか、そのような言葉が飛び出てくるとは…。シナンジュ王は内心驚きを見せていたのだ。今のシナンジュ王は国家全体を巻き込むような戦争を求めてはいなかった。過去の戦争が、シナンジュ王に戦いへの誘いを拒絶していたのだ。

しかし、シナンジュ王は黙る。信じていたからだ。アフィモウジャス将軍が、そのようなくだらない争いを好むような人物ではないことを。とはいえ、シナンジュ王自身も己の今ここにいる理由は分かっていた。アフィモウジャス将軍の作る世界、金で動く、無駄な争いの起きることのない情報管理された世界のために戦う。戦うだけの老兵にとっては、ただそれだけで動くのであった。

そして、先程の問いに、アフィモウジャス将軍は王の予想通りの答えを吐く。

 

「戦争、か。武力による争いなど、旧世代の争い成り!現代の戦争とは、すなわち情報戦!そしてまた、情報は武器にも富にも成る!それ故の、秘密結社アフィ魔Xである!!」

 

その力強い言葉に、シナンジュ王もまた安心を見せて顔をコクンと頷かせる。一方、その言葉を聞いて、少女は意外と思っているような反応を見せる。

 

「…なるほど。見た目によらず、君はインテリなようだ。じゃあ、シナンジュ王。君はこの世界で何を求めるんだい?」

 

そこで唐突に話の相手はシナンジュ王に移った。まさか、自分にもくるとは。そう思いつつも、先程の考えていたことを含めて、王は話す。

 

「私の望む物、か。私が望むのはただ一つ。人の総意たる器となる存在を守ることだ。」

 

「おやおや、意外だね。昔は自分自身がその総意たる器になろうとしていたんじゃなかったかな?」

 

その言葉に、シナンジュ王は驚きを感じる。少女が自身の昔を知っているとは考えてもいなかったからだ。一体、誰からその情報を…。シナンジュ王は少し考えたが、今は質問に答えた方がいいと判断し、先程の言葉に続ける。

 

「…確かに、昔はそうだった。だが、今は違う。昔の戦争のような、人と人が、そして機械と機械が争っても、何も変わらない。今はそういう時代なのだ。その中ですべてを制するのは情報戦に制した者。それはすなわち、今のアフィモウジャス将軍。彼こそ、人々の気持ちを受け止め、その流れを制御し、正しき道へと誘う、総意たる器。そう私は信じている。」

 

「なるほどね。だから、君は…」

 

「そうだ。私にできるのは、戦うことと、指揮をとること。力こそが私の全てなのだからな。私は、アフィモウジャス将軍の剣だ。」

 

シナンジュ王は少女へと、言い放つ。それしか出来ない。それが彼という機械なのだから。

その言葉を聞いた黒髪ツインテールの少女は笑みを浮かべつつ、言葉を返す。

 

「美しい関係だね。でも、約束を忘れてもらっては困るよ?」

 

「分かっておる。アレを手に入れればいいんだろう?」

 

「それならば、既に我らの部下が動いている。心配はいらないはずだが?」

 

ふと、本来の目的である「とある物の捜索」についての話に、二機はそのようにして答える。実は彼らはこのゲイムギョウ界を自分達が動きやすくできるようにしてもらうように依頼していたのだ。だが、それには条件があった。それは、彼らは応えると共に、こちらの世界の四か国に散らばるとある物一式をすべてそろえることだった。

なぜ、それが交換条件だったのか。気になるところはあったが、シナンジュ王達はそれに深入りすることなく、それを呑んだ。今の世界が、自分達の目的にとって必要なことであったから、その目的を叶えるために。

と、そこでくぐもった、というよりボイスチェンジャーを通したような機械音声が響く。

 

『あぁ、もう知っているよ。忍者ステマックスとローゼン・ズール…いや、ここは騎士ローゼンかな?』

 

いきなりの声ではあったが、既にその声は何度か聞いたことがあったため、少し驚きつつも平静を余裕で保つ。相変わらずの声に王は毎回本当にこの者が信じられるのだろうかと思ってしまう。今回のことはこの者達がいたからこそ出来たこと。あまり疑いたくはなかったが、それでも好奇心、もしくは危機感により、黒いもやに覆われたその男に目を向ける。だが、いつまでもそんなことを思っていてもキリがない。自分達を手助けしてくれた恩人なのだから、恩を返さないわけにもいかないシナンジュ王はためらいつつも、黒いもやの男に肯定する。

 

「…そうだ。彼らは私達の露払い、それに隠密行動を行う。どちらかと言えば、ローゼン自身は騎士と呼ばれることを望んでいるので、騎士と呼んでやってほしい。」

 

『…ふふふ、そうだな。彼は騎士だよ。いつの時も、ね。』

 

「………。」

 

黒いもやの者の言葉にシナンジュ王はまたも考えさせられる。まるで、いままでの活躍を見てきたかのように。当然ながら、ローゼンはまだ自分達の組織がある程度行動できる状態になる今よりも前から、組織の細かな準備を行ってきた。当然それを今目の前にいる者も知っており、別に言葉におかしなところはない。

だが、どうもその言葉が気になっていた。深い意味で言うなら、何もかもを見通しているような。そんな風に王は思う。

そんな所で、それを察したのかは分からないが、黒いもやの人物は口を開く。

 

『とはいえ、我らは長き時間の間待ち続けていたのだ。それが揃う時を…この時が来るのを。我らに逆らうもの全てを抹殺し、今度こそ…』

 

何かを言いかけた黒いもやのかかった存在だったが、そこで口を閉ざす。一体何をしゃべろうとしたのか。気になるシナンジュ王だったが、それに触れる前に相手の方が言う。

 

 

 

 

「…と、いうわけだ。君達には期待しているよ。アフィモウジャス将軍。それに、ラステイション軍元大佐、かつてのラステイションの赤い彗星、シナンジュ王。」

 

 

 

 

 

 

 

 

光に飲み込まれたのち、光樹は遠い意識の中に居た。意識はまだはっきりせず、まるで夢の中にいるようだった。

そんなあやふやの中、耳に遠くからの声が聞こえてくる。

 

『…樹君………光……樹…君っ…………!』

 

(何だ…この声……。どこかで聞いたような…懐かしい…?声……?)

 

その声を聞いて懐かしさを感じる。聞いたことがないはずなのに、聞いただけで心地よさを感じる声に、光樹はいつまでも聞いておきたいと思う。

その声に浸って、まだ目を覚まさないでいようと考える。もう少し、この声を聞いていたい。何故か、記憶が戻りそうな気がしているのだ。

そこで光に飲み込まれる前に起こった頭痛のことが思い起こされる。あの時、光樹の頭の中には、いくつものビジョンが入り込んできていた。特に、二人の少女…かつて中学校で同じクラスだった光木鈴と福内絵里奈の顔を見た時に、強く記憶が蘇ってきたのだ。

蘇った記憶の内容としては、彼女達と話している姿。その場所は鉄の壁が張られていた廊下のような場所で、どこかの基地のように感じた。

気まずそうに、あるいは楽しそうに会話する姿が沢山流れ込んできたことには驚きであり、記憶が蘇ったことに喜びを感じるが、それでもまだ困惑していた。

困惑する理由は二つ。何故彼女達がそこにいたのか、そして、何故彼女達がガンダムを纏っていたのかだ。記憶の流れからはなんとなく予想は出来たが、確信とまではいかない。その事が頭の中を駆け巡る。

その時だった。

 

 

 

 

「いい加減に…早く起きなさいッ!!!!!!」

 

「!?うわぁぁぁ!?い、一体何が…」

 

耳元を貫くほどの大声に、光樹は驚き一気に意識を覚醒させる。起きるとそこは草原だった。見渡す限りの緑の草原。それは光樹がこの世界に来た時の、ネプテューヌと初めて会った時のような何の変哲のない草原だったのだ。

いきなりの大声で状況を掴めていなかった光樹だったが、後ろで肩を掴んでいる感覚を知った光樹が後ろを振り返ると、そこに多くの知らない人物達がいた。その人数は先程頭に浮かんだ鈴と絵里奈を含めて9人。いきなり知らない人間が7人もいるとなると、光樹も若干身構えるが、すぐにその必要はなくなる。

彼らの顔を見た瞬間、頭の中に記憶が戻ってきたのだ。それにより、その場にいた人物に対し、思い出した内容が確かかどうかを確認する。まずは、高校1年生の時に知り合った者達に名前を出す。

 

「お前達は…米山真奈に岡野真由美?それにそっちは、松木悠…だっけ?」

 

「!光樹、知ってるの?」

 

「光樹君、もしかして、記憶が…?」

 

その言葉にショートカットの少女である真奈と髪の両側をおさげのようにしたツインテールにしている少女の真由美、その二人が反応する。その反応を見て、光樹はそれで間違いないことを知る。それに遅れて、悠も笑みを見せて聞いてくる。

 

「俺達のことを見て、思い出したんだな。けど、その反応、ひょっとしてまだ記憶が?」

 

「あ、あぁ。ごめん。まだみんなが何でここに来ている理由が分かってない。」

 

「それは残念やな。まぁ、全部が全部、同時に思い出せるわけでもないしな。」

 

その会話に割って入ってきたのはスポーツ刈りを踏襲しつつも、髪は少し長めにしている少し大柄な少年だ。話し方には、少し関西弁に近いものが入っていたが、それはその少年のクセであり、特に大阪方面が出身というわけではない。その事を光樹も思い出していた。

そのように話した青年に対しても、光樹は思い出した名前を口にする。

 

「上手くいかなかったのは、俺も残念だって思うよ、敦也。」

 

光樹がそう言うと、敦也は嬉しそうにして腕を頭の上で組む。名前をちゃんと思い出してもらえたことに嬉しさを感じているのだろう。光樹としても、ちゃんと名前が合っていたことに安堵する。

すると、次に光樹の両側に二人の少女が立つ。唐突に挟まれる形になったため、光樹もなんだろうと思ったが、その二人もまた、光樹の記憶を確かめるようなことを聞く。

 

「流石です。記憶を失っても、大切なことは思い出す…。相変わらず、仲間思い。」

 

右側にいた、髪をポニーテールとしてまとめている少女が呟く。…というよりも、静まり返る程の大人しさで話す。小言のようにも聞こえるが、彼女はあまりしゃべらないかなりの無口さであるため、そのようなしゃべり方となっていたのだ。その特徴で、光樹も彼女の名前に確信を持つ。彼女の名前は…岡島理恵、だろう。光樹はすぐにその名前で合っているかどうかを聞く。

 

「君は確か…岡島理恵、だったか?あんまり学校の方では話したことなかったと思うけど…。」

 

「えぇ。そう。確かに学校の方ではあんまり話してはいない。けれど、組織では話はしていた。それも、かつてパートナーとしても活動したこともある。」

 

真摯な眼差しで放った言葉には、光樹も虚を突かれる。まさか、自分のパートナーとして、戦ったことがあるようなことを言われるとは。そうなると、記憶が戻っていないことをますます罪悪感を感じさせる。

が、そこで光樹に声をかけた人物がいた。

 

「気にしないで、光樹。そんな顔をしたら、私の方が悲しくなるから。」

 

「……君は…………佐川……京香?」

 

佐川京香。それが彼女の名前だったと記憶している。おぼろげながら覚えている名前。そして、自身が少し気になっていた少女だった。

そんな彼女がここにいるのも驚きだったが、着ている服を見て悟る。自身と同じく、GKSWAXPという組織に所属しているから、この場にいるのだと。

だが、そんな彼女の言葉を聞いて、疑問を感じる。彼女が後半に言った、「私の方が悲しくなる」という言葉にだ。なぜ、悲しくなるというのだろうか。気になる光樹はそのことについて聞く。

 

「というか……佐川さん、どういう意味だ?悲しくなるって……。」

 

その言葉に京香は口を閉ざす。その様子は、まるで話したくないことを聞かれ、対応に困っているかのように。

その姿を見て、光樹もまずいことを聞いたと思ってしまう。すると、そこに話に割って入った人物がいた。

 

「……簡単な理由よ。光樹、アンタが記憶を失い、このゲイムギョウ界に流されたのは、京香と共に戦った時の戦闘のせいだからよ。」

 

それは、光樹を起こした人物でもあった鈴だった。京香の話から、いきなりの展開だったため、光樹も驚く。特に、自分が記憶を失ったこと、そしてゲイムギョウ界へとやってきたのは、彼女との共闘時の戦闘が原因であることに。

具体的には何がどうなって、そうなったのかは分からない。記憶を失っている光樹には知る由もない。だが、その表情から、何か嫌なことがあったからだろう。それを詳しく聞きたい光樹だったが、そこで重要なことに気づく。女神だ。思えば、先程から女神の姿が見えなかったのだ。

あの時、女神達もあの光に飲み込まれたのは、薄れゆく意識の中でも視認していた。だからこそ、女神もこの近くにいるはず……。

そう思っていると、目の前にいた、とある男の後ろから聞いたことのある声が響く。

 

「う……ん……?あれ?ここ、どこ?わたしたち、確かアリーナにいたはずだよね?」

 

「!!ネプテューヌ!?」

 

その人物の名を呼んだ。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

鈴「シナンジュ王……ガンダムの世界にいた、「あの人」と似ているわね。」

絵里奈「だね。「あの人」は自身が器になろうとして、バナージ君に負けちゃったけど、こっちは将軍さんに任せる形だね。」

鈴「そうね。あいつは自身が人の意志を統べようと……箱を……。」

あの人は箱を使ってジオンを反映させようとしていましたからね。でも私的にはOVAより小説の戦闘の方が好きですね。

鈴「うん、あたし、戦闘の事に関しては言っていないからね。」

とはいえ、鈴さんも中々起こし方雑でしたね(笑)。

鈴「仕方ないじゃない。あの馬鹿は…。」

絵里奈「まぁまぁー。次はネプテューヌちゃんと話すところからかな?」

第2の物語もいよいよ始まりそうです。さて、今回はここまで!

絵里奈「次回は土曜日ー!」

鈴「ジャンヌもレイも帰ってくる日よね。」

あぁ、ジャンヌさん…帰ってくるんだー!!

鈴「でも、実際にするんでしょ?告白的なこと。」

う、うん。でもまぁ、振られることに関しては、私は慣れてますからね。

絵里奈「そんなこと言ってるとー、また失敗しちゃうよー?」

あ、はい。ではまた次回!


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第90話 離れ離れの女神、四本の塔

どうも、皆様、クリスマスイブどのようにお過ごしでしょうか?私はジャンヌさんとレイさんの帰り待ったり、バトスピのデッキ構築してます、藤和木弘です。ぶっちゃけ言おう、今寂シマスだよ!

鈴「はいはい、二人が帰ってきたらジャンヌとラブリマスなんでしょ?どうも、皆さん、臨時アシスタントの光木鈴よ。」

ちょ…ラブリマスってあっちこっちのネタ…

絵里奈「でもー、実際そうしたいんでしょー?あ、どーもー、みんなー。同じく臨時アシスタントの福内絵里奈、だよー!」

いや、あの……まぁ、そうですけど……じゃなくて!今回は第90話、計100話目のお話の投稿ですから!

絵里奈「あー、ごめんってー。」

鈴「まぁ、でもまさかこんな日に100話目の投稿だなんてね。」

それには私もびっくりですよ(;^ω^)さて、今回のお話では黄金の塔に気づきます。

絵里奈「それに、ネプテューヌちゃんと無事を確認したりねー!」

鈴「ちょっと光樹のマヌケな部分はあるけどね。」

あれを光樹君自身のマヌケと言っていいのだろうか…。さて、それでは聖夜の夜に、本編スタート!!


 

 

その声ですぐにその人物が女神の一人、ネプテューヌであると悟った光樹は、すぐにその方へと駆ける。それに同期するように、挟むようにして立っていた青年も少し息をつきつつ、そこを動いて、道を開けた。すぐにそこを通ると、そこには、光樹が思っていた通り、目を覚ましたばかりのネプテューヌの姿があった。だが、そこにはネプテューヌの姿だけで、他の三人の女神の姿は見えない。

ここにいない三人のことも気になったが、今はいる者の心配が先。そう切り替えた光樹は、すぐに無事を聞く。

 

「大丈夫か、ネプテューヌ。」

 

「おおっ!光樹だ!」

 

その声に気づいたネプテューヌはすぐに表情を明るくしてこちらに返事をする。どうやら、特に怪我などはない、というよりかは、治っていたようだ。

一方、光樹を見つけたネプテューヌは、光樹の姿を確認しつつも、辺りを見回して、他の三人の女神がいないことについて言及した。

 

「って、もしかしてわたし以外、光樹だけなの!?おーい、ノワール!ブランー!ベールー!」

 

ネプテューヌが心配するのも当たり前だ。光に共に飲み込まれたはずの三人が、一緒に居ないのだから。

 

「あぁ、残念だけど、ここにはネプテューヌと俺。それに、どうやら俺の仲間っぽい、こいつらしかいないみたいなんだ。」

 

そこで、光樹は現状を言った。とりあえず、ネプテューヌにもこの状況を理解してもらう必要もある。

その事を聞くと、ネプテューヌもまた状況を理解したことを伝える。

 

「み、みたいだね。ノワールたちどころか、ネプギアもいないなんて。いったい、何が起こったの?確か、ゴールド何とかってのに勝ったように見えたんだけど、その後いきなり光に包まれたんだよね?」

 

ネプテューヌの問いに、光樹も頷く。確かにゴールドサァドはには光樹が、そしてゴールドソフツには、明確な勝ち負けは決まらなかったものの、鈴と赤と黒のカラーリングが特徴的なガンダムによって優勢の状態で、いきなり光に飲み込まれた。そこは覚えている。

だが、その前後がよくわからなかった。覚えているのは、素のネプテューヌの声が聞こえたことと、誰の声か分からない、何やら悪意のある言葉を発した少女の声が聞こえたくらいだ。

ネプテューヌと一緒になって考えているところに、青年の声が響く。

 

「そうだ、女神さん。それと、後はいきなりフィールドに出てきた今の君とそっくりな子が出てきたことだな。」

 

「そうそう!もう一人のわたしが、会場に来たんだよ!なんか叫んでて…しかも、結構、切羽詰まってそうな表情で!」

 

「あぁ、俺も大人ネプテューヌの声が聞こえたのは覚えている。けど、まさか大人ネプテューヌが来るなんて…。」

 

青年の言葉でようやくネプテューヌが思い出した。また、ネプテューヌの口から放たれた言葉に、光樹も同じことを知っていたことと、大人ネプテューヌの存在に驚いたことを呟く。

大人ネプテューヌとは、零次元の最後の戦いで別れた以来。それ以降は感謝祭へ向けて、そしてシェアプロテクターや光樹のガンダムの調整、訓練によってそのことはしばらく頭の隅に追いやられ、大人ネプテューヌの事も、若干頭の中から抜けかけていた。

しかし、そのネプテューヌの話の中で、光樹は疑問を持つ。大人ネプテューヌの言った言葉の意味と、なぜあのタイミングで光樹や女神達を助けたのか、ということだ。

まず、大人ネプテューヌの言葉。光樹の耳に聞こえた言葉は、「それだけはやっちゃダメ」。まるで、誰かを制止するかのような言葉だった。だが、それは一体、誰に向けて放たれた言葉なのだろうか。思い返してみても、何かやろうとしていた人物は何処にも見当たらなかった。先程のネプテューヌの言葉を踏まえてみると、ますます何かを起こそうとする悪意ある人物はそういなかった。

だが、心当たりがないといえば、ないわけではない。それは、光樹に代わって鈴達が戦った時に言った、ゴールドソフツのメンバーが言っていた言葉だ。ダメージと記憶の奔流によって、全てを記憶していたわけではなかったが、微かに聞こえた単語に、光樹は注目した。

光樹が聞こえた単語は「最後の切り札」。つまり、相手はあの状況をひっくり返せる手があったということだ。それを先程の言葉と組み合わせると、その切り札が、とてつもない危険性を備えた物、という意味に取れた。だからこそ、それを止めるために大人ネプテューヌが止めに入った、ということだろう。光樹はそう考える。光樹には少なくとも、そうだとしか思えなかった。

それが本当なら、二つ目の疑問にも答えが出る。あの時おそらく大人ネプテューヌが発生させたであろう光は、大人ネプテューヌの持つ「ねぷのーと(正確にはノートに封印されているクロワールの力だが。)」によって起こされた移動するための光だったのだろう。つまりは、大人ネプテューヌは、相手の最後の切り札を使わせないために、その場から光樹や鈴達、それにネプテューヌや他の三女神をどこか…例えば、今の場所である草原に移動させた、あるいは退避させたのが大人ネプテューヌの狙いだったのではと考える。

そう意見を並べた結果は、敵の切り札からこちらを、並びに観客を守るために大人ネプテューヌが逃がした、あるいは敵が切り札を発動する必要がなくなるように光樹達を移動させた。それが最後に現れた大人ネプテューヌの目的だったのだろうと光樹は予測する。

おそらくはそうだろうと考えた光樹は、先程の発言から、考えるネプテューヌに対して、持論を話す。

 

「でも、きっと大人ネプテューヌは俺達を逃がそうとしたんじゃないか?」

 

「逃がす?」

 

光樹の言葉に、ネプテューヌが疑問の言葉を口にする。そんなネプテューヌに、光樹は話を続ける。

 

「あぁ。多分あのゴールドソフツってやつらが繰り出そうとした切り札が、辺りを巻き込む大量破壊兵器で、それを受けたらネプテューヌ達も観客席の民間人も甚大なダメージや被害を受ける…。だから、大人ネプテューヌはあそこから俺達を消すことで、それを使う機会を無くならせたんじゃないかな?」

 

その言葉に、ようやくネプテューヌも納得したように、表情を明るくする。自身と同じ存在同士、光樹の予想にネプテューヌもまた納得したためであった。

そうして謎が一つ解決…しようとしていたのだが、そこでとある人物が待ったをかけた。

 

「いえ…、それは単純すぎるわ。」

 

それは、実際にゴールドソフツのメンバーと戦った、鈴であった。まさか反論されるとは思ってなかった。それも、単純すぎる、という理由は光樹に驚きを与える。

茫然とする光樹に対し、鈴はすぐに自身の考えていたことを言及する。

 

「確かに、あの状況なら、誰もが切り札が危険だって思うかもしれないわ。でも、あたしには聞こえた。何者かの悪意のある声が、ね。」

 

「聞こえたって…どうやって?」

 

光樹は思わず聞き返す。いくらあの時、光樹の意識が朦朧としていたとしても、その声が聞こえないことも、言った本人も当然見えないはずがない。なのに、なぜ鈴にはその悪意ある声が聞こえたのだろうか。他のメンバーには聞こえなかったのだろうか。

光樹のそんな疑問に、鈴の口から発せられる。

 

「当然よ。声じゃない…正しく言うなら、頭の中に聞こえたんだから。」

 

頭の中に響く。その返しに光樹は一瞬、どういうことか分からなかった。

頭の中に響く?まるで超能力者じゃないか?まさか鈴は超能力者なのか?鈴に対して様々な考えが俺の頭の中をよぎる。

だが、それだけでは留まらなかった。

 

「あ、それなら私も微かに感じました。」

 

「真奈さん?」

 

「それなら、私も感じていました。報告が遅くなってしまい、申し訳ありません。」

 

「え…理恵さんも?」

 

いきなり真奈と理恵、二人の人物が同じようにその声を聞いたというのだ。鈴だけと思っていた光樹にとって、二人からの知らせには戸惑ってしまう。まさか、他のメンバーも聞いていて、自分だけが聞こえなかった、なんてことに…、と。

だが、そこで助け舟とは言えなかったが、絵里奈がその理由について光樹に説明する。

 

「あー、当然だよ。鈴ちゃんと真奈ちゃん、それに理恵ちゃんはガンダム・レッドジョーカーの……イノベイタータイプ特化NPの歴代マスターだもんねー!!」

 

「!!レッドジョーカー!?」

 

絵里奈の言葉に、光樹は反応する。反応した理由は当然、その機体名だ。レッドジョーカーと言えば、光樹が身に纏うガンダムの一体、ガンダム・ブラックエースのモデルとACEから言われていた、流星のロックマン3で登場したロックマンの形態の一つ。ブラックエースと対を成す形態、鉄壁の守りを持つ赤い機体だ。

ブラックエースという名前を聞いた時から、ひょっとすると、対となるレッドジョーカーもあるのではないかと思っていたが、ここに来てようやくそれが確かな予測であったと知る。とはいえ、まだ気になることはある。レッドジョーカーがZEROから聞いていた、光樹自身の能力、イノベイタータイプの力を特化しているということだ。

ここに来て、なぜイノベイタータイプが関係するのだろうか。イノベイタータイプの力なら、光樹も持っている。ならなぜ、自分にはその声が聞こえなかったのか。気になることが次々と頭の中に出来ていく。

すると、そこで鈴が呆れたように溜息をつきつつもその理由を述べた。

 

「まぁ、簡単に言えば、あたし達レッドジョーカー装着者は、イノベイタータイプとしての力を存分に発揮できるように機体に力を引き出されるのよ。」

 

「力を……引き出される?」

 

「そう。鈴さんが真のイノベイタータイプに目覚めたことで、レッドジョーカーにはその資質を後継者に受け継ぐようにプログラミングされているの。」

 

「だから、鈴さんと真奈、そして私は強化された感応能力によって、離れて発せられた声を聞くことができたってわけ。」

 

「な、なるほど…。」

 

それを聞いて、光樹もようやく納得する。要するに、光樹は真のイノベイタータイプではないから…と思った所で、光樹は疑問を持つ。

 

(あれ?前にゼロが、真のイノベイタータイプの力を取り戻したって言ってなかったっけ?)

 

光樹は零次元でのことを思い出す。それは、初めてダークメガミと戦う直前のこと。

一際大きなシェアの力を感じた一行がシェアクリスタルだと考え、探しに行った時、光樹の目が、光り輝いていたのだ。

その時、確かにゼロは光樹が真のイノベイタータイプとしての力を取り戻したと言っていたはずなのに…。疑問を感じた光樹は、そのことを言ってみる。

 

「でも、前に目が虹色に輝いた時、ゼロが言ってたけど…。真のイノベイタータイプの力を取り戻したって。」

 

それを聞いて、鈴はすぐに回答する。

 

「あぁ、多分特化度合いの違いと、記憶の欠落のせいね。」

 

「また、記憶か…。」

 

これで何回目だろうか。記憶のせいで毎回光樹は苦い思いを短期間で感じていた。とはいえ、記憶が失ったぐらいでも戦えていたから問題ないと感じていた光樹も、今はそれが正しいと考えざるを得ず、それに従うのであったが。

そうして話が逸れていったところで、元の目的に引き戻すかのように、甲高いベルの音が響く。電子的な音だったため、鈴達が一斉にその方向を向く。光樹もまた遅れながらもその方向を向くと、そこにはその音にはっとするネプテューヌの姿が。

その音は、ネプテューヌが持つ携帯端末、Nギアから発せられた音であった。すぐにネプテューヌも電話を取って話しかける。

 

「この音…まさか!もしもし!」

 

『ネプテューヌ!?あなた無事なのね!』

 

聞こえてきたのは、切羽詰まった様子で話しかけるノワールの声であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでの間、光樹の記憶が戻ってきたことと、この今の状況を判断する中で、かかってきた電話は、まさに話を元に戻す、話題の転換ともいえる通話であった。

京香のとっては、光樹とようやく会えたことに嬉しさを感じていたが、それでも、記憶が戻っていないということは、京香にとっては罪悪感を未だ感じさせていた。一応、この世界に来る前に、何度も先輩の鈴や同期ともいえる理恵から励ましの言葉をもらっていたものの、それでも今になって、後悔を感じる。なぜ、あの時光樹を助けられなかったのか。あの時助けられていれば、すぐに反撃の手を考え、先手を素早く打つこともできたのに。

とはいえ、今はそのことは後回しだ。離れ離れになってしまった四女神のうち一人との通信は、流れを変える重要な出来事だ。

気持ちを切り替えた京香はネプテューヌの通話内容を他のメンバーと共に聞くことにした。先程のノワールの言葉に、ネプテューヌが答える。

 

「うん、無事無事。ノワールは?って、見ればわかるか。てか、そっちは今何処にいるの?」

 

『わからないわ。けど、たぶんラステイションの何処かだと思うわ。遠くに見覚えのある景色が見えるもの。』

 

こちらの状況を述べたのち、ネプテューヌはノワールの様子も聞く。そこにノワールの答えに便乗するかのように同じく通話に出ていた残り二人の女神も話に入ってくる。

 

『こちらも、たぶんリーンボックスにいますわ。』

 

『同じく。こっちも多分ルウィーね。』

 

「……ということは、四女神はそれぞれの国に飛ばされたってこと、みたいね。」

 

その会話を聞き、鈴が状況を口にする。その通りであった。あの時、四女神や京香達は一緒にあの光に飲み込まれたはずだ。だが、今彼女達はそれぞれの国の近くであろう所にいると言っている。それに対して、京香を含めたマスター達は思っていた。都合が良すぎると。

同じ光に飲み込まれたはずなのに、四女神達はそれぞれの国に分かれて散っている。悪く言えば、戦力を分散されたようなものだ。四女神の無事は分かったが、この状況、どうにかする必要があった。

GKSWAXPの京香達がそう考えている中、電話を受けているネプテューヌは、その事実に気にすることなく、ノワール以外の二人も無事であったことに喜ぶ。

 

「ベール!ブラン!よかった、二人は無事だったんだね。」

 

ネプテューヌのありのままの質問に対して、ベールらは答えつつもここまでの経緯について確認する。

 

『えぇ。ですが、これはいったい何が起きているんですの?』

 

『不覚にもゴールドサァド、それに光樹といきなり乱入してきた人たちと戦ったゴールドソフツに負けたのは覚えているわ。そして、気づいたらここにいた。』

 

その事実に、京香もとあることに気づく。誰も、光に飲み込まれた後の事を知らなかったのだ。京香達は光樹はもちろん、女神であるネプテューヌよりも早く意識を取り戻していた。むしろ逆を返せば、誰も光に飲み込まれたところまでは覚えていても、それ以降の記憶が、光の中の記憶がない…つまり、意識が目覚めていなかったということになる。

この点はいったい何なのか。なぜそうなったのか。京香は考える。この疑問は奇しくも京香以外にも、初代メンバー全員と、二代目の一部、三代目の女子二人が同じく疑問に思っていた。

それに気づいた理恵がこちらに近づいて耳打ちした。

 

(京香、今の話…。)

 

(えぇ、そうよね。少しおかしいっていうか……都合がいいというか……。)

 

(やっぱり。あの少女……もう一人のネプテューヌは、何か細工をしたんだと思う。それがいいことなのか、それとも悪いことなのかは、分からないけど。)

 

理恵の話はもっともだ。あの光の穴に意識障害を起こす超音波や光の点滅といった、障害を引き起こすものがあるはずであった。そうでなければ、京香達GKSWAXPのメンバーがその程度の空間移動で意識を失うとは思えなかったのだ。

しかしながら、そう考えても今は答えが見つかるわけではなさそうな状況であったため、京香はすぐに考えを切り替える。京香は再び、ネプテューヌの会話に目を向けた。理恵の話を聞きながらではあったが、その会話は京香の耳にも入っていた。今はノワールが今の女神の状況を整理したところであった。

状況を整理したノワールは、それによって導き出された考えを口にする。

 

『…あくまで、予想だけど、私たちの想像を超える何かが起こっているんだと思うわ。』

 

「その意見、確かにある程度は的を射ているわ。黒の女神、ブラックハート。」

 

『……?あなたは……?』

 

突如回線に響いた鈴の声に、いきなり話を振られるような形となったノワールは率直に誰なのかを聞く。それを受けて、鈴は紹介をする。

 

「失礼したわ。あたしの名は光木鈴。そして、あたし達は私設式次元境界および新人類管理世界安定軍事警察組織……頭文字を取って、「GKSWAXP」よ。」

 

『GKSWAXP…確か、光樹の……?』

 

その名前にいち早くブランが反応する。組織の名前を知っていたことに京香は驚くが、それには理由がある。それはもちろん、光樹が教えていたためである。自身の組織の名前を。

ブランの言葉に、他の女神達も納得したように声を唸らせる。だがしかし、今は組織の名前を聞いている暇はなかった。すぐに鈴は話を元に戻すように言う。

 

「そうよ。でも、今はそれどころの話じゃないわ。とりあえず、聞かせてもらえるかしら。あなた達が、あなた達の想像を超える何かが動いているっていう根拠を。」

 

鈴の言葉に、京香は少し臆する。先輩である彼女とは、ある程度気が合うのだが、如何せん、なかなか緊張してしまう。キャリアの差という、差のせいで。

それでも、以前よりはビクビクすることはなくなった。この強い口調こそが、鈴の本来の話口調であると知ったからだ。そう思うと、非常に頼りのある先輩であった。

その強い口調に負けて、白の女神、ブランは少しの沈黙のあと、その根拠を言った。

 

『……塔のことよ。あの、黄金の塔。』

 

「黄金のって…ひょっとして、あれのことー?」

 

絵里奈が指さす方向を京香達は一斉に向く。すると、確かに塔らしきものが四本、離れた間隔でそびえているのが見えた。それを見て、京香も不自然さを感じる。この世界に来た時には、なかったものであったからだ。

塔を確認すると、ブランの話に続いて、ノワールも通信画面から塔について言及する。

 

『ご名答。あんな塔、いままでなかったはずよ。』

 

ノワールの言葉には納得させられた。このゲイムギョウ界については、外の世界の人物である京香達、GKSWAXPのメンバーよりも、現地の人物、それも国の代表として四か国それぞれを治めている四女神の方が、異常には敏感だ。それも、あれほどの大きなものであれば、いくら少しの間気を失っていたとしても、すぐに建てるには何かトリックが必要だった。

納得を見せるGKSWAXPメンバー。それにはネプテューヌも、そして光樹もまた、同じく気づいたという事実を述べる。

 

「でも、何あのでっかい塔!しかも四本も。」

 

「四本……ってことは、ひょっとして四か国に建っているのか?」

 

光樹のその予想に、ブランが言葉を続ける。

 

『それはまだはっきりとは分からないわ。けど、推測だけど、あの塔は四か国にあると思う。そして、あの塔が何か関係しているんじゃないかしら?でないと、突然飛ばされた理由が思いつかないわ。』

 

ブランの言葉を聞いていた京香達も、あの塔が関係していると思っていた。今までになかった塔、散り散りとなった四女神…。それがすべて、あの塔の出現で起こっているとしたら…。

そう思った所で、悠が話を展開する。

 

「なぁ、みんな。あの黄金の塔とスタジアムで光樹や鈴さん達が戦ったやつら。関係があるんじゃないか?」

 

「それは……ありそうだよね……。」

 

悠の言葉に真由美が言葉を濁す。悠の言う通り、あの塔の特徴とゴールドサァド、それにゴールドソフツ。それらはとある二つのキーワードに合致していた。

一つは、四。「四つ」の塔と「四人」の人物、そして「四機」の機動兵器。いずれも、「四」の数が完全に当てはまった。

そしてもう一つが「黄金」、すなわち「ゴールド」だ。「ゴールド」サァドに「ゴールド」ソフツ、それから今の所仮の名称としてついている「黄金(ゴールド)の塔」と、必ずゴールドが関係している。明らかに怪しかった。

しかしながら、今はどうつながっているのかは分からない。今は、四本の塔についての対策、これからの行動についてが先だ。京香はそう切り替え、次の行動についての話に集中した

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。京香さんの視点が初登場。でも弱気な部分が多い気もしませんね。

絵里奈「でも、それがかえってガンダム・アズールセブンシリーズのガンダムを運用できるようになっているんだよー?何せ、あの機体のコンセプトは遠距離狙撃戦。臆病者は遠くから真剣に狙い打てばいいんだから!」

鈴「……ねぇ、絵里奈。それ褒めているのよね?」

絵里奈「うん、そうだよー?」

鈴「あ、うん。やっぱりそうよね……。」

いや、絶対絵里奈さん馬鹿にしてる気が…(;´・ω・)

ジャンヌ「な、なんだか怖い面を見てしまいました…」

!!ジャンヌさん!!

鈴「あら、帰ってきたのね。」

レイ「私もだよーっ!みんな、おひさーっ!!」

絵里奈「あー、レイちゃんだ!」

ジャンヌ「皆様、お久しぶりです。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「正式なアシスタントメンバー!レイ・オーバだよっ!カムバック!」

うん、二人共、おかえり!

レイ「うん、ただいまー、藤和木!」

ジャンヌ「ただいまです、藤和木…!」

鈴「さて、二人も帰ってきたことだし、そろそろ締めようかしら?作者?」

そ、そうですね。次回は大晦日、つまり12月31日に投稿で!

ジャンヌ「では、皆様。」

レイ「また次回!だよっ!!」


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第91話 四女神と星の機動戦士による物語の始まり

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか。年明けまであと半日ですね。今年はゆっくり小説打ちながら年を越そうと考えています、藤和木弘でございます。

ジャンヌ「今年がわたくしたちは藤和木と過ごす、初めての年明けになりますね……。どうも、皆様っ。藤和木と年を越すのが楽しみな、ジャンヌ・ドラニエスですっ!」

レイ「今年ももう終わりだねー。みんなはこの一年どうだったのかな?私は結構楽しめたよ!どーも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

さーて、年越し前にSSRと言う名のGも投稿です。今回のお話は、四女神STORYの最終話になります。ってあれ、なんかここ書いたな。

レイ「書いたってどういうこと?」

なんか、夢で見たことある光景だなって。

ジャンヌ「未来予知者か何かですか…?」

なんかそういうこと多いんだよね。それはともかく、星の機動戦士と四女神による物語が今始まろうとする場面です!

ジャンヌ「さぁ、今年も最後の投稿ですっ!」

レイ「みんな、今年最後の投稿も、ちゃんと見てよねっ!」

では本編へ。


 

 

京香が四女神達の話し合いに再び意識を向けると、一人の女性が提案をした。四女神の中でも大人びた印象を持つ女神、ベールによる考えがこの場に出てくる。

 

『でしたら、国へ帰ったほうがいいですわね。幸い通信は繋がりますし、直ぐに妹さんたちも集めた方がいいですわ。』

 

一度国へ帰る。その考えは、この状況の分からない中では最善のように思えた。何も分からないよりも、動いて情報を集める方がずっといい。それに何より、ここに居てもどこにも拠点となりそうなところもない。なら、市街地へと行く方が重要なはずだ。

京香もベールの出した案に賛成であった。だがしかし、考え方は人によってそれぞれだ。どう考えるかは、人の何を重視するかによっても異なる。

その中で女神達は、その案に賛成を伝えていく。

 

「そうね。何があったかわからない以上、あの子たちが心配だわ。」

 

ブランの心配に、他の女神達、そして光樹も頷きの声を出していた。やはり妹のいる女神達にとっては、自分の妹達が今どうしているかは気になるのだろう。また、光樹も今まで世話になっていた少女達を心配している様子だった。

GKSWAXPの第2世代、第3世代のメンバーも、次々とそれに賛成をすることを告げる。

 

「確かにそうだ。女神候補生、だったかな、彼女達ももしかするとこの騒動に巻き込まれて、離れ離れになっているかも…。」

 

「だったら、すぐに女神様達も国に帰って妹さん達も探さないと!」

 

悠と真奈が真っ先に言う。他のメンバーである真由美や敦也も頷きを見せる。京香も同じように思っているため、同じく頷いた。

すると、そこで鈴の声が響く。

 

「それはちょっと待ってくれるかしら?四女神さん、それにみんな。」

 

「鈴……さん?どういうことですか、それは。」

 

真由美が疑問があるような声のトーンで聞く。真由美だけではない。悠ら第2世代のマスター、そして第3世代の敦也に京香自身もなぜ、と思っていた。

一体、どうしてここで静止したのだろう。鈴さんはすぐにこの状況を打破しようとは思わないのだろうか。今の私達の目的は光樹の記憶を取り戻させること。なら、すぐにこの世界の事件を解決してから、記憶を思い出させるためにすぐに行動した方がいいと思うのに。

だが、京香は鈴が何を考えているのかを、すぐに知らされることとなった。

 

「みんなが言いたいのは分かっているわ。女神様達は妹さん達の、女神候補生達の無事を確かめたいってことも、真由美達はすぐにこの異変を終わらせて、「あいつ」との決戦のために光樹の記憶を最優先に取り戻させたいっていうのもね。」

 

「だったら、なおさら今すぐに行動しないと…。」

 

悠が鈴に行け音を言おうとしたが、そこで今まであまりしゃべっていなかった勇也が悠に説明する。

 

「いや、ここはむしろ慎重に行くべきだ。今、このゲイムギョウ界は、何者かによってあるべき道から外れようとしている。それがあの「黒いNP」なのか、それとも他の者達なのかは分からないが、やみくもに動いても、あまりいい結果は得られないだろう。」

 

「勇也さん……。」

 

京香もそこで静止の意味を理解する。もし、今のままで行っていたら、このゲイムギョウ界を今裏で操っている者に駒として扱われるかもしれない。GKSWAXPはそう簡単に敵に動かされてはいけないのだ。

とはいえ、そうなると、どうするべきなのかが賛成を示していた者達の頭に浮かぶ。四人の女神を全員欠かすことなく、この問題を解決し、更には光樹の記憶を取り戻させなければいけない。

すると、そこで自身のガンダムの先輩である絵里奈が、その考えを解決するアイディアを出した。

 

 

「そうだ!じゃあー、私達が4チームに分かれて、女神様に協力する、っていうのはどうかな?」

 

 

単純な考えであった。これだけのメンバーがいるのだから、4チームに分かれて、4女神をそれぞれにサポートする。それならば、女神だけで行動するよりも、それぞれの女神の国で柔軟に動けるだろう。それに、ゴールドサァドと共に行動していると思われる、ゴールドソフツ。彼らとの戦いは、おそらく自分達機動兵器ガンダムを持つ者達でなければ、あれを倒すのは難しいだろう。

加えて、まだここまで、はっきりとはしていないがあの黒いガンダムが裏で動いているかもしれない。ならば、女神達を守るためにもここは別れて動いた方が賢明な策だ。

京香も、絵里奈の案に賛成をする。

 

「それは、いいかもしれませんね。何があるか、分かりませんし。」

 

「私も、それには同意見です。」

 

その意見に理恵もまた賛成する。その様子から、おそらく最初から戦力を分けた方がいいと思っていたのだろう。理恵の事なら、それもあり得る。

となれば、どのようにメンバー分けをした方がいいだろうか。今のチームなら、3チームしかないが、工夫すれば、4チームにはなる。

そこで京香は自身の案を伝えることにした。

 

「でも、どうします?ここは私達、現SSRNPのメンバーが…」

 

だが、それを遮るように、鈴がチームについての分け方について述べる。

 

「いえ、あなた達、3代目SSRマスター達は2代目マスターと一緒にネプテューヌ以外の3人の女神の守護を担当して欲しいわ。」

 

「わ、私達が……3女神の方を?」

 

鈴からの指示を受け、京香は驚く。京香だけではない。同じ3代目メンバーである敦也と理恵、更には2代目メンバー達もその指示には動揺を隠せなかった。この状況、間違いなく、記憶を失っている光樹を優先して狙ってくるはず。なら、最大戦力の大きい自分達3代目を光樹の行く先……おそらくはネプテューヌの治めるプラネテューヌへ配置した方が返り討ちにできる可能性が高いはずなのに。

だがしかし、そこは経験の多い1代目でもある鈴の方がしっかりと状況を見据えていた。すぐにその理由を説明する。

 

「確かに、話が出た時には、あなた達に任せた方がいいとは思ったんだけどね。けど、他の女神の方に、もしSSRの力が必要になった時に対処できないようになったら、かなり不利になるでしょう?それに、黒いガンダムの仲間が出てきたときに、あたし達だと、機体性能で絶対的に不利になる。だから、あなた達に任せたいのよ。」

 

「な、なるほど…。やっぱり、そこは慎重に考えていますね。」

 

真奈が鈴の言葉に頷く。京香も同じく流石だと感じていた。自分達よりも、まだ経験が浅い内からしっかりと組織が出来上がっていない時期から様々な敵と戦ってきた実力と経験は伊達なんかじゃない。自分達がSSRNPを纏っていても、模擬線で互角に戦えるのは判断力の違いからなのだから。

そう思っていると、その話に置いてけぼり感があった話の中心の一人であった光樹が、こちらに来て聞いてくる。

 

「ちょ、待って!つまり今どういうことなんだ?」

 

今の所、光樹が話に付いていくのには、確かに難しい話とも言えた。何しろ、こちらの実力がどうなのか以上に、今話している内容の一部も、記憶がない状態なら飲み込みにくいはずだから。困惑する光樹に対し、鈴が近づいていく。

そして、光樹の頭に、チョップを入れた。

 

「あいだ!?」

 

「はぁ……アンタは馬鹿だって昔から思っていたけれど、記憶がないとここまで馬鹿だなんてね。恐れ入ったわ。」

 

そして、鈴の鋭い落胆の一言。これには流石に京香も含めたメンバーの何人かも哀れを感じていた。記憶がなくても、鈴のツッコミは厳しいのは、どれだけ光樹が嫌われているかが見て取れる。実際、SSRの任務中でも、口喧嘩は耐えることはなかった。

しかしながら、それでは話が進まない。それに、鈴の言葉に、光樹も不満を見せ始める。二人の折り合いのつかない仲がここまで来るとこちらにも迷惑だ。何とかしなければ…。

そう思っていたところで、助け舟が出る。それは女神の一人、ブラックハートことノワールからだ。

 

『ちょっと!いつまでも言い合いしていたら、キリがないでしょ!?とにかく、早く合流しておきたいから、言い争いはそこまでにして!光樹も我慢しなさい。あなたの仲間の方が今は立場としては上なんでしょうから、諦めて素直に従っておきなさい。』

 

ノワールの催促に、二人は黙りつつもいがみ合いをやめる。鈴は息をつき、光樹も口をへの字にしてはいたが、大人しくなって元の話について質問する。

 

「……まぁ、そうだな。とりあえず、チーム分けするっていうのは分かったから、どういうチームで分けるんだ?」

 

「まぁ、そうね。とりあえず、アンタにはあたしと勇也、それに絵里奈がそれぞれ護衛、それから記憶の再生をアシストするわ。もちろん、ネプテューヌの手助けもするけれどね。」

 

「あぁ、そうか。じゃあ……よろしく。」

 

鈴の説明に、光樹も納得の言葉を発する。しかし、そのそっ気のないかつ、躊躇いのある言い方には、鈴も少し表情をむすっとさせる。しかし、それではいつまでも話が進まないと理解したのか、鈴は光樹に続いて、話をまとめる。

 

「それで残りの三女神にあてがうメンバーだけど、これは2代目、3代目それぞれの、「レッド」、「ホワイト」、そして「アズール」のガンダムを担当している、もしくはしていた子で分けるのを考えているわ。ただ、まだどこがどの女神を担当するかっていうのは決めていないけど……。」

 

どの女神を担当させるかまでは決めていなかった鈴は、考え込む。どこに誰を担当させるかは、本来なら光樹が担当していた分、鈴だけで考えるのは難しいところがあるようであった。

しかし、そこは経験豊富な初代メンバー。しばらく様子を見ていた勇也が鈴のアシストを行う。

 

「なら、順番にレッドをラステイション、ホワイトをルウィーに、そしてアズールをリーンボックスに置けば簡単じゃないか?」

 

「か、簡単って……。」

 

勇也の「簡単」に決めた配置に、全員が茫然とする。確かに単純ですぐに決めるならそうかもしれないが、そんな単純に決めてしまっていいのだろうか。京香の考えと同じことを思った真奈が指摘する。

 

「いや、もう少し考えた方がいいんじゃ……」

 

しかし、その言葉に勇也は返す。

 

「いや……今は早く動くのが先だ。もしかすると、敵は女神達の排除に、既に動いているかもしれない。そうなれば、一刻も早く、合流した方がいい。後のことは、SSRNPの性能と、メンバーの判断で対応すればいい。」

 

清々しいまでの、責任任せというものであった。聞こえは悪いが、それでも、時間が少ない中では、それもいいことだと考えることにした。

勇也のその発言に、他のメンバーも従うように何も言わない。時間が優先だと思ったためだろう。

文句の一つも出なかったところで、鈴が勇也の案に則り、指示を出す。

 

 

 

 

「それじゃあ、勇也の言葉に従って、全員チームに分かれて。別れたら各個女神との合流開始!後は各自の判断に任せる。以上!!」

 

 

 

 

『了解(ラジャー)!!』

 

全員声を大にして、行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴の声が響いてから、全員はすぐに集まって行動を取った。それぞれのメンバーは全員NP、およびMPを纏って飛び立つ。その様子を絵里奈も見送っていた。

そして、光樹を真ん中にして、プラネテューヌメンバーはネプテューヌの街、プラネテューヌへと足を進め始めた。

少し落ち着いたところで、絵里奈は光樹に色々と話しかけ始めた。

 

「ねぇー、光樹君。私のこと、本当に覚えてないの?」

 

一声はその言葉。他の者から見れば、その様子はかなり積極的に見える。その純粋な眼差しと口調に、光樹も困りながら答える。

 

「えぇ……あ、うん。一応、あの時顔を見た時にようやく名前と学校の時の事を思い出したけどね。絵里奈……さん。」

 

光樹からの反応に、絵里奈はがっかりした様子を見せる。その理由はもちろん、光樹が自身の事を覚えていないからだ。一応、学校で一緒だったころのことを覚えていることは言っていた。しかし、絵里奈にとっては、それは副産物だと思っていた。重要なのは、自身が戦うために着いた組織での記憶、GKSWAXPで戦った時の記憶。その時の光樹の方が、絵里奈にとって重要なことだった。

なんだか、昔の……ううん、学校での普段の光樹君を見ているみたい。昔のような、自信のなさげな、いつもの光樹君らしさのあまりない反応に、私は少し不安を覚える。

本当は、そんなことに心が揺らいでいたらいけない。2代目の子達、それに3代目の子達を支えてあげないといけないから。

そう思っていると、そこで勇也が光樹に話を振る。

 

「おい、光樹。俺の事に関しては全然言わないが、どういうことだ?」

 

それを聞いて、ようやく絵里奈も気づく。今の所、光樹は他のメンバー達には声をかけていたものの、勇也に関しては何も言わず、無視するように発言を避けていた気がする。

見ると、それを指摘された光樹も何かそれに触れてほしくなかったかのように目を逸らしていた。なぜ、目を逸らしたのか。見ている者からは苦手意識があるように見えた。しかし、絵里奈達は知っていた。彼らの学校での、否。元からの関係を。

鈴からも視線が向けられると、光樹は少しためらいつつも、その理由を言った。

 

「それは当然だ。……勇也とは、同じ人を……鈴を好きになって、色々といがみ合っていたというか……。」

 

その通りである。光樹と勇也は、学校の方、日常生活では光木鈴のことを好きになってしまっていたことがある。その状況は、まさに三角関係。絵里奈も何故かその関係にはどこか胸が痛んでいた。

……ただし、それは昔の話。今は全く違う。今はむしろ三角関係はいい方向から、悪い方向への三角関係で、素っ気ない返事や、空気の悪い会話くらいしか聞かない。一応、そこには絵里奈もいるため、大分マシになっていたのだが、それでも絵里奈がいないと、この三人の間の会話は日常の話になると、他人の介入は大変困難となるくらいだ。

また今回も、言い争いになりそうな空気を感じ、私はそれを止めようとする。けれど、そこで勇也君の対応は変わった。

 

「…まぁ、仕方ないな。組織の仕事以外じゃ、俺とお前はそんな仲良くないしな。」

 

珍しく、勇也は引き下がった。ともかく、言い争いはなかっただけ、よかったと思う。ここで言い争いをしていても、迷惑だ。とはいえ、周りにはまだ草原だけで、ネプテューヌを含めたプラネテューヌ組くらいしかいないのだが。

すると、そこでネプテューヌがこちらに向く。

 

「ねぇねぇ、みんなは光樹とはお仲間なんだよね?記憶があった時の光樹って、どんなんだったの?」

 

「光樹の様子?それって、記憶がある時の光樹がどういう人間だったか、ってこと?」

 

「そうそう!わたしたち、光樹の昔のことについては知らないからさ。それに、なんだかみんなの光樹の扱いがいまいち分からなくってさ。」

 

ネプテューヌが聞いてきたのは、光樹の昔についてであった。ネプテューヌからしてみても、光樹について知っているのは、何故か分からないが、光樹がこの世界に飛ばされた跡のことしか知らないため、知りたいのだろう。

すると、それに便乗して光樹もまた話を聞こうとする。

 

「あ、だったら俺も聞きたいんだけど…。」

 

そのお願いに、真っ先に絵里奈は答えようとしたが、そこで鈴が遮る。

 

「それは光樹が思い出す事ね。」

 

「はぁ!?何で…」

 

光樹君も、流石にその対応には怒っちゃった。すぐに突っかかろうとするけど、ひらりと身をかわして、足を引っかけて転ばせる。

 

「ふんっ!」

 

「って、うわっ!?」

 

思い切りこけたのを確認して、鈴ちゃんはネプテューヌちゃんにも同じことを言う。

 

「とりあえず、今あの馬鹿に教えると、余計な気を使わせるから、知りたかったら記憶を取り戻してから聞きなさい。」

 

「あ、うん。分かった!」

 

その様子を見ると、ネプテューヌも悟ったようにそれ以上は聞かないことにして、再び歩み始める。一方、絵里奈はこけた光樹の助けに入る。

 

「大丈夫?光樹君。」

 

「お、思い切りこかされた……。あ、ありがとう、絵里奈…さん?」

 

「もうー!絵里奈の事は、さん付けしないで!」

 

敬意を払う光樹に対し、絵里奈はそう怒る。

でも今はいい。光樹君に、また会えたから。会えたなら、きっと光樹君もすぐに記憶を取り戻してくれるはず。そう思いながら、私は光樹君と一緒に、先へと進む三人の所に駆け出す。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。物語もいよいよ個別ルートに入りますが、次回は黒の館をお送りいたします。

レイ「あれ?誰を説明するの?」

光樹君と一緒に行動している、勇也君と絵里奈さんですね。あ、あと勇也君です。「勇人」君は誤字だと思われます。

ジャンヌ「あれ、お二人ご紹介するのですか?それだと結構長くなりますね」

あー、実はですね。今回の黒の館、前編後編に分けます。

レイ「おおーっ!豪華仕様だね!」

いやー、ハーメルンの文字制限で入り切らなそうだったので、分けました。二人にはその分仕事してもらいます。

ジャンヌ「か、構いませんよ?わたくしとしては、藤和木と一緒にいられるので……!」

レイ「おおっ!ジャンヌちゃんデレてるー!」

ジャンヌ「レ、レイさんっ!あ、あんまり、からかわないで……」

ははは、今年は色々と楽しかったですよ。特にジャンヌさんと近くに居られるようになって。

ジャンヌ「と、藤和木……!はいっ」

さて、今年最後の投稿もこれで終了!次回の黒の館の投稿は年が明けてからの、木曜日か金曜日の投稿になると思われます。まだ年明け直後の予定が分からないので、曖昧です。
さて、では皆様!

全員『良いお年を!!』


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黒の館 第10回 前編 解説~古谷勇也、ガンダムR-ZERO

はい、皆様、明けましておめでとうございます。本年も頑張っていきたいと思います、けど、今風邪気味な藤和木弘でございます。

レイ「子どもは風の子!元気な子!!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!!今年も盛り上がっていこー!!」

ジャンヌ「藤和木、大丈夫ですか?無理はしないでくださいね?どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。本年もよろしくお願いいたします!」

いやー、にしても、初詣の二人の振り袖姿は可愛かった。

レイ「えへへー!でしょー?」

ジャンヌ「とはいっても、わたくし達の服装、戦乱魂歌で着ている衣装ですけれど……でも、藤和木が喜んでくれて……嬉しいっ。」

さて、本年一発目は黒の館!今回のはかなり人数多めですよ!

ジャンヌ「今回の黒の館は色々と大変でした。色々な方がいらしたので……。」

レイ「ジャンヌちゃんいじられまくってたからねー。藤和木とのイチャラブに!まぁ、私もいじってたけれど!」

さて、今回の紹介は、前編後編に分かれております。今回は古谷勇也君と勇也の装着するガンダム!では本編へ!



 

藤和木「さてさて、今回も始めますよ、黒の館!今回は光木鈴と福内絵里奈の臨時アシスタントとジャンヌ・ドラニエスとレイ・オーバの正式アシスタントメンバーという、豪華なメンバーでお送りするぞ!!」

 

鈴「どうも、画面の前の皆さん、光木鈴よ。ふ。ようやくあなた達もここに戻ってこれたわね。おかえりなさい、ジャンヌ。」

 

ジャンヌ「はいっ!凄く久しぶりに、藤和木と仕事ができてなんだか気分が上がります……。でもレイさんとの時間も……あぁ、レイさんと一緒に過ごす学生生活は懐かしかったです…っ!どうも、皆様。お久しぶりです、レイさんはわたくしの嫁、藤和木はわたくしの雇い主で……い、愛しい人、ジャンヌ・ドラニエスですっ!」

 

絵里奈「相変わらず、ジャンヌちゃんはレイちゃんのことが多いねー、って思ってたら、藤和木さんの事にも触れてるよ!照れてるジャンヌちゃん可愛いー!どうもー、みんなー。福内絵里奈だよーぅ!」

 

レイ「えー?私のことが多いかなっ?絵里奈ちゃん。でも、ジャンヌちゃんとの学校生活、久しぶりですごく楽しめたよ!けど、学校とか仕事の時にはたまにジャンヌちゃん、光樹の事思い出してたよ。それもちょっと甘えたそうに眼を悲しげにして!でも、帰ってきたらすっごく甘えてて、私も嬉しい!どうも、みんな!レイオーバだよっ!みんなはクリスマスどう過ごしたのかな?」

 

ジャンヌ「ちょっ…!!レ、レイさんっ!?!?ななな、何を、いいい、言っているんですかぁ!?」

 

レイ「えー?だって、ジャンヌちゃんってば、帰って来て、あとがきの方に顔出した後、藤和木の横にすっごく引っ付いて甘えて…」

 

ジャンヌ「!!ひゃぁぁぁぁ!?そ、それ以上はぁぁぁぁ!!」

 

絵里奈「なんだかんだで、二人の関係も良くなってきてるみたいだねー。」

 

鈴「ほんっと、うらやましい限りというか、バカップル並みのイチャイチャと言うか…。藤和木自身も光樹のイメージソースの一人って考えると、まぁ、あり得なくはないけど、それでもこれはねぇ…。」

 

藤和木「い、いやー、ジャンヌさんが受け入れてくれたことを言って、可愛らしい仕草とかで来たもんだから…(笑)。」

 

ジャンヌ「と、ととと、藤和木もあの時のことは言わないでくださいっ!!」

 

藤和木「いや、でも、あの時のジャンヌさんってすごく女の子らしい雰囲気で…。レイさんに病んでる時もいい表情だと私は思っているけど、それ以上にあの時の笑顔は私の心を鷲掴みにされましたよ。」

 

レイ「わぁぁ!ジャンヌちゃん褒められてるよっ!」

 

ジャンヌ「は、はぅぅぅぅっ……!」

 

勇也「……で、俺はなんだ。このイチャイチャを見せられているんだが…。」

 

福内「あー、勇也君だー。」

 

鈴「って、あんたが今回のゲストってことね。とりあえず、自己紹介すれば?」

 

勇也「おう。今回は光樹とは腐れ縁でガンダム・ホワイトジャック系列SSRNPの初代マスター、俺、古谷勇也がゲストとして招かれた。よろしく頼む。」

 

レイ「あー、光樹君と仲悪い人だ。確か鈴ちゃんを巡って……。」

 

勇也「悪いが、そのことはあんまり言うな。俺もそれをいじくられると虫唾が走るというか…過去を思い出す。」

 

鈴「まぁ、あんた達はその事、ほじくり返されると嫌がるからね。」

 

絵里奈「ホントホントー!」

 

レイ「あー、なんだかすごく仲いい感じー!みんな、同じ時にガンダムを纏っていたんだっけ?」

 

鈴「えぇ、そうよ。まぁ、戦闘時の連携はすごくいいわね。けど、この場に光樹が、それも記憶が戻った時の光樹だったら、勇也を煽っていたんでしょうけど。」

 

勇也「間違いなく、あいつならやってるだろうな。」

 

ジャンヌ「な、なんだか初代メンバーの方々は喧嘩する程仲がいい、のようなメンバーなんですね。」

 

絵里奈「うーん。でも私は最初の頃はいなかったよ?その頃はさらに酷かったみたいだし、私のおかげとか言われるねー。」

 

レイ「へー、そうなんだー!」

 

藤和木「って、やっぱり人数多いとしゃべる暇が……(´・ω・`)」

 

ジャンヌ「そ、そうですね……これはこれでちょっと大変ですね。」

 

勇也「大変、かぁ。まぁ、そうだな。とりあえず、次の黒の館というか、後編は俺は外れておこうか?」

 

鈴「いや、あたしが外れるわ。今回は勇也と絵里奈の紹介だし、あたしは前にも何回か出てるし。」

 

絵里奈「ごめんねー、絵里奈ちゃん。」

 

鈴「別に。気にしていないわ。ただ……」

 

藤和木「ただ……なんです?」

 

鈴「勇也と絵里奈、レイの三人には、藤和木とジャンヌのからかいくらいは頼んでおくわ。」

 

藤和木「ブフッ!?」

 

ジャンヌ「ふぇあ!?り、鈴さん!?」

 

絵里奈「あー、分かったー。ジャンヌちゃんと藤和木さんの仲を深めさせるってことー?」

 

鈴「まぁ、概ね合っているわ。あたしも前半はいじるけど。」

 

ジャンヌ「ちょ…!鈴さん!?絵里奈さんも……」

 

レイ「私もそれにさんせーい!藤和木への思いを解放したみたいなジャンヌちゃんを見てるの面白いしっ!」

 

ジャンヌ「レ、レイさんまで……。(かぁ)」

 

藤和木「まぁ、とりあえず、今回の黒の館の紹介コーナー行きましょうか。ジャンヌさん、こ…こっちに来てもいいよー?」

 

ジャンヌ「ぁあぅ……は、はい。///」

 

ちょこん

 

レイ「!?ジャ、ジャンヌちゃんが藤和木の隣にピッタリ座ったよ!?」

 

絵里奈「おー、うらやましいかもー。」

 

勇也「あれ、二人ってこんな感じだったのか?」

 

鈴「……少なくとも、クリスマス前にはこんなことにはならなかったわね。やっぱりあの件が?」

 

ジャンヌ「……あ、あの、藤和木っ!そろそろ…は、恥ずかしいので……。」

 

藤和木「あ、うん、分かりました。じゃあ、今回は……って、それ紹介するの、二人じゃ……」

 

レイ「なら、アツアツなジャンヌちゃんに代わって、私が言うね。」

 

ジャンヌ「あぁ、レイさん、ありがとうございますっ…!」

 

絵里奈「あ、素が出た?」

 

鈴「でも、病んでこそいるけど、今のジャンヌの様子からして割と正常かもね。」

 

勇也「聞いてた分には、そうかもしれないな。藤和木に引っ付いているし。」

 

レイ「うんうん!いい感じ!今のジャンヌちゃん、すごく笑顔で輝いてるよっ!さて、私も仕事するよっ!今回、前編で紹介するのは、古谷勇也君と勇也君のガンダム、「ガンダムR-ZERO」だよ。」

 

ジャンヌ「ま、まずは、古谷勇也さんからの紹介ですっ!」

 

 

 

 

古谷勇也(ふるや ゆうや)

 

年齢 17歳

生年月日 1997年6月5日

血液型 AB型

身長 168㎝

外見 少しボサボサ髪に近いストレート髪。光樹と同じように眼鏡をかけている。少し肌の色は暗め。髪色は黒とグレーを混ぜた色に近い。

好きなもの スポーツ(球技、特に野球)、勉強(数学系)

嫌いなもの チョコレート(固形のもの)、トランプ(ポーカー)、軽い女

 

GKSWAXPに所属する、パイロットの一人で元SSRNPの一機である「ガンダム・ホワイトジャック」シリーズのガンダムの初代マスターである。性格の変動が多い光樹に比べ、冷静な部分が多く、物静かさを見せる。しかし、それはあくまで日常の中であり、戦闘中は機体性能を十全に安定的に引き出しつつも、心の中にある熱さを露わにするほどの静かな情熱を秘める青年となる。スポーツをよくこなしているが、元々は極度のぜんそくを患っていたことがあり、任務時にも、無理はしないように機体を動かすことが多い。「オーバーロード」と呼ばれる能力をホワイトジャック系列の者に与えられる能力として備えており、それを使って、敵の動きを見切って攻撃につなげるスタイルを戦闘に適用している。しかし、オーバーロード使用後には糖分接種する必要がある。

超次元への調査に関しては、単独でラステイションに派遣されていたが、光樹の情報は得られなかった。代わりに、ラステイションの古い文献を扱っている図書館にて、約80年前の戦争「ラプラスボックス事件」の資料を発見。その文献に残されていた、白と黒の一角の機人達とラステイションの大佐、「赤い彗星」の情報に目をつける。

その後は反応を確認された光樹を連れ戻すため、GKSWAXPのトップエースメンバーである、SSRNPのマスター、元マスター達と共に、超次元へ移動。乱戦の中、光樹対ゴールドソフツとの戦闘で敗北した光樹に代わってゴールドソフツメンバーと戦闘し、勝利する。ちなみに、ゲイムギョウ界トーナメントのロボボ部門にて、勝ち上がったのは鈴と絵里奈、それに彼である。

生身での武装は鈴と同じものを備えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンダムR-ZERO

形式番号 RTZ-X001

機体解説

古谷勇也が装着するガンダムタイプのMP。鈴と同じく、シュバルトゼロの属するNPではなく、劣化版のMPとなっている。機体性能こそ、上位機種であり、オリジナルとも言えるNPに劣るが、元SSRNPの装着者達に支給されるMPはパイロットの反応値を高めに設定し、機体性能も普及している他MPよりも高性能。そこにSSRNPの運用経験も相まって、特に初代メンバーのMPは運用に慣れていないSSRNPのマスターの挙げる戦果と同等かそれ以上の結果を引き出すことも可能となっている。

本機もまた地上戦を重視した設定となっているが、右背部に装着される巨大兵装がウイングの役割も果たしているため、空中戦も変則的な動きではあるが得意としている。戦闘スタイルとしては近距離を得意とする。しかしながら、本機の持つ武装の特殊性はR-ZEROよりも癖が強い。特に射撃兵装に対する対策として装備されている腕部のANブーメランシールドユニットは原型機ともいえる赤きレプリロイド「ゼロ」の戦闘スタイルをモデルとしたためか、運用時には慣れが必要。しかしながら、勇也も既にこの機体を扱うのは既に3年目に入ろうとしており、既にこの機体の癖はほぼ扱いきれていて、機体性能が約3年前の物であるにもかかわらず、その実力でSSRNPのホワイトジャックの3代目マスターである鈴宮敦也を圧倒する程の力を見せている。

その他、本機の特殊システムである「ゼロナックルシステム」はレプリロイド「ゼロ」の持つ武装強奪運用システムであるが、勇也はこれを専ら主兵装として扱う場面があり、実際G-1グランプリでの戦闘では相手の武装を奪い取りながらトーナメントを勝ち進み、対決を行っていた。

 

 

 

 

システム系

 

TRANS-AMシステム

NP、および高位のMPに搭載されているシステム。出力が三倍化され、機体を赤く染める。

 

TFDS-∞

機体に搭載された二つのANドライヴを同調させ、膨大な粒子を供給させる動力システム運用機構の一つ。0タイプ(T0DS系列)の物よりも粒子生成率は落ちるがそれでもこの性能のMPを運用するには十分すぎるものである。

 

ZEROドライブシステム

シュバルトゼロガンダムにも搭載されている戦術支援システム「ZEROシステム」系列のシステムに近いシステム。モデルは「SDガンダムジージェネレーションDS」に登場した戦術支援インターフェースである「ZEROドライブ」。

このシステム起動時には敵の動きを予測し、イメージとして装着者の脳に送信される。その為、実質的に未来予測と言っても差し支えない。とはいえ、弱点としてこの未来予測は脳に多大な負荷を掛ける上に脳の演算領域を超える予測は見ることができない。

 

ANフィールド

機体を覆うAN粒子による防壁。

 

ノイズドエナジーウイング

AN粒子を硬質化して形成する粒子の翼。一応、空力制御能力はあるが、本機のノイズドエナジーウイングは空力制御能力が目的ではない。この機体ではウイングの形状は頭部のウィッグユニット。このウィッグユニットはZEROドライブシステムや後述するいくつかの機能を運用するための放熱や生成機能を兼ねた機構となっている。

 

フルノイズドエナジーフレーム

機体のフレームを構築するAN粒子の結晶体の骨格。

 

カートリッジシステムMark-Ⅱ

専用の弾薬に内蔵された粒子をリロードすることで機体の出力・火力・機動性を瞬間的に強化する機構。

 

トランザムバースト

機体の粒子放出量を完全開放し、高密度AN粒子空間を形成する。本機では高密度AN粒子空間により、敵機の運動性能を抑制し、自身に有利な戦闘空間を作ることで、オーバーロードの負担を多少軽減させることができる。

 

追加兵装システム

機体のジョイントに新たに武装を装着するシステム。本機では背部のウエポンのマウントに使用しているため、背部ウエポンユニットは状況に応じて様々な武装による戦闘が可能となっている。

 

ゼロナックルシステム

本機最大の特殊兵装であり、本機にしか搭載予定もない兵装。このシステムは大雑把に言えば「武装の強奪」。それだけ聞けば、単に武装を奪うなら普通に機能として運用しなくていいと思うかもしれないが、本機の機能はただ単に武装の強奪を行うというわけではない。本機の最大の特徴は、強奪した相手の武装の使用法までも強奪し、攻撃を行なえるという点である。この機能は、武装を奪えるだけの技量がないと意味がないが、奪うことさえできれば、後は機体が自動的に相手の戦闘ログやデータをインストールして自機の攻撃として組み込むことができる(なお、この際には敵の武装使用歴が脳にフィードバックされる)。

ただし、欠点としては敵の練度に左右されることで、ベテラン級の装着者相手では一瞬の隙を突かなければ発揮は難しいという所である。とはいえ、勇也自身のSSRの練度から機体性能差さえ不利でなければ大抵は成功し、自身の武装の消費を抑えることができる。

 

アクセラレイト・イリュージョンⅡ

ノイズドエナジーウイングを機体フレームと共振させることにより粒子を広範囲に散布、収束させることによって物理的同一存在を生成する機能…………と言えば、難しいかもしれないが、簡単に言えば、分身を生成する機能である。生成された分身には質量およびエネルギーが乗っており、武装の威力を半減こそするものの敵に攻撃することがある程度可能となっている。

この機能により、R-ZEROはMPでありながら多数の機体と互角に渡り合うことができる。

 

 

 

 

 

 

武装

 

ANゼットセイバー

機体サイドアーマーに2基装備される、次世代型ビームサーベルおよびマルチウエポンのプロトタイプ。カートリッジは4発。通常時のユニットはブレードを形成するためのセイバーモードの待機状態で装備される。

本兵装はビームの剣を形成するセイバーモード。そして、残りの武装ではあるが、残りの武装には、全てこの兵装に用いられている素材が関係している。この兵装は形状記憶合金で形成されており、それによりデバイス自体を形状変化することができる。それにより、モードは通常のビームサーベルよりも更にバリエーションが多い。続けて、搭載モードはデバイスをチェーンのようにビームで伸縮・連結してリーチの長い兵装として使用可能なチェーンロッドモード、持ち手を伸縮させ、槍として使用するトリプルロッドモード、デバイスを逆手持ちにし、ビーム発振器を後方に伸ばしてビームの発信方向を伸ばすことでトンファーとして運用可能なリコイルロッドモード、そして二基の柄尻を合体させることで両刃の槍として使用可能なアンビロテクスハルバードモード。

モデルはロックマンゼロに登場するレプリロイドかつ、作中の主人公である「ゼロ」の持つ武器「ゼットセイバー」。

 

ANブーメランシールドユニット

両腕部に装備された本機の防御用兵装。ビームシールドとは違い、射撃兵装にしか防御性能はない。しかし、本兵装の特徴は射撃攻撃を受け止めた際にある。射撃攻撃を受け止めると、そのエネルギーをシールドのエネルギーに自動的に変え、ブーメランに展開したシールドに変形し射撃兵装として使用ができる。

モデルはゼロの持つ能力であるシールドブーメラン。

 

ANバスターショットガン

腰背部に装備される、小型の拳銃型兵装。あくまで「ガン」であり、「ショットガン」ではない。拳銃型な上に、ビーム弾ではあるが、ビームピストル系のものではなく、現実にある程度沿った形状の拳銃であるため、通常の機械系の装甲にダメージを与えることは難しい。

だが、それは敵機体の装甲に対して与えるダメージが、ということであり、本兵装の狙いは装甲ではなくフレームなどの装甲の隙間を狙っていく装備である。機体の隙間を狙うなら、この兵装はピンポイントに狙えるため、敵の自由を奪う武装としては理にかなっている設計である。

武装モデルはゼロのバスターショット。しかしながら、モデル元にあったチャージショット機能はない。

 

ANエクサランスアームズⅡ

機体の右背部にバックパックに装備されたアームに接続される大型可変マルチウエポン。ウイングの代わりを果たすことで、空中での姿勢制御にも使われる。他にも、ブースターとしての運用も行われている。

アームから取り外した際は格闘のバスターソードモードと射撃のブラスターモード、更に中距離戦用のブーメランモードへ変形する。

これらの大型武装の変形しての運用は勇也にとっては最初こそ扱いづらい様子が見られたが、現在は数々の経験を通して対MAクラスの敵への決定打としての使用に重宝されている。

武装モデルはガンダムアストレイブルーフレームセカンドLのタクティカルアームズ。しかし、その切開に「ダンボール戦機WARS」の武装システムの一つであるマルチギミックサックの運用データも用いられている。この運用はかつて勇也が装着していたホワイトジャックの進化型の機体、ビャンクゼクストガンダム以降のガンダムが運用するANZXマグナムにも受け継がれていたりする。

 

ANショートレンジウエポンコンテナⅡ

機体左背部に伸びるアームに接続される武装格納コンテナ。名前の通り、近距離にて力を発揮できる武装を多く備えている。

 

ANエグナーウィップⅤ

コンテナを正面から展開して右上部に当たる部分に格納された鞭型の兵装。リボーンズガンダムなどに装備されていた武装の発展型。電撃を発することで敵自身と敵機体のコンピューター計器にダメージを与える。

 

ANフレームドビームジャベリン

コンテナの左上部に格納される折りたたみ式のビームジャベリン。フレームのような持ち手を備えるため、この名称がついている。ビーム発振器にはノイズドエナジーフレームが内蔵され、ビームの出力を増大させる。また、フレーム構造のため、突き出しの構えから持ち手を展開することで不意打ち的な攻撃を行うことも可能。

武装モデルはユニコーンガンダムのハイパービームジャベリン。

 

ANビームショットキャノンⅡ

コンテナの右下部に収納された、拡散性のビーム砲。ビームが拡散するため、射程は短く、威力が減衰するが、近接戦では拡散されたビームの方が広範囲へのダメージが大きくなるため、近接戦での射撃にピッタリの兵装となっている。

武装のモデルはV2バスターガンダムが装備するスプレービームキャノンがモデル。モデル元でも、近接の防御用弾幕を張ることを目的としている。

 

NANガトリング

コンテナの左下部に収納された実弾ガトリング砲。本来MPなどのプロテクター系列の機動兵器には実弾はAN粒子のコーティングによって装甲へのダメージは少なく、決定打を与えるのは不可能である。

だが、本兵装は粒子を使わないNAN……ノンAN粒子兵装には貫通性を高めた弾頭の改造が行われており、実弾兵装でもプロテクター戦に対応した兵装となっている。

ちなみに、NAN兵装は通常の弾よりも重く、生身の人間で運用することは考えられていない。

 

ANビームガトリングⅣC(コンパクト)

両腕部の肘部に装備されている小型連射ビーム砲。三つの砲身を一つにまとめたガトリング砲であり、収束率も高め、近接での運用も両腕が塞がっていても使用可能と、本機の特徴に合わせた武装となっている。また、本兵装の中央部にはビームサーベルの発振器が内蔵され、出力することでビームトンファーとしても使用可能。

武装のモデルはVer.KaのHi-νガンダムに装備されているガトリング砲。ただし、形状はガンダムNT-1アレックスの物を採用している。

 

ANビームブーメランⅣ

機体の肩部に装備される実体刃とビーム刃を持つ近・中距離戦用の兵装。出力の切り替えでブーメランとビームサーベル、二つの機能を使いこなすことができる。

 

ANアーマーシュナイダーⅣ

機体の太腿に片側1本ずつ、計2本装備されている小型の実体剣。実体剣と言ってもANコーティングされた装甲を突破するには若干火力が少ない。しかし、ピンポイントで攻撃を行うことや、全武装が損傷した際の最後の武装、そして敵を仕留めることなく稼働不能とする不殺を行うことを行う際も本兵装は使われる。

武装モデルはストライクガンダムが装備するアーマーシュナイダー。名称も本家から採用している。刃の収納も折りたたみ式。

 

ANランサーライフルビット

右腕部に携行する槍状のライフル。カートリッジシステムを採用しており、弾数は6発。また本兵装はビットの名が示す通り、遠隔操作も行うことができる。また、ランスの部分は射出可能であり、飛び道具として一度だけ仕様できる。

モードはランスとして使用するランスモードとランス装着状態のライフルモード、遠隔操作のビットモードとランスを外した状態で撃つライフルモード。ライフルモードの銃口はランス装着時はランス側面に4門、ランス射出後はランス装着部が砲門となるため1門。

武装モデルはキュベレイ・パピオンのランスビットとベルガ・ギロスのショットランサー。

 

 

 

 

 

 

 

藤和木「……さて、勢いでそのままガンダムR-ZEROまで紹介してしまったよ。」

 

鈴「まぁ、その方が進めやすいでしょうしね。」

 

絵里奈「勇也君の情報見て、みんなどうだったかなー?」

 

レイ「うーん、今でこそ色々と活躍してるけど、昔は病気だったっていうのが驚きだったねーっ。」

 

勇也「まぁな。というか、SSRNPを纏ったおかげで、今もこうして活動出来ているっていうのが本音だな。」

 

ジャンヌ「ガンダムのおかげで……勇也さんの人生が変わった、ということですか?」

 

勇也「ある意味当たっているな。その回答は。おかげで光樹なんてうるさいやつとかと会ったり、鈴にも振られたりもしたがな。」

 

絵里奈「でも、私を除いた3人の出会いって、ガンダムが発端じゃないんだよー?」

 

レイ「へぇ?ガンダムがみんなの出会いじゃないの?」

 

鈴「えぇ。少なくともあたしと勇也、それにここにいない光樹はガンダムじゃなくて、とある能力が出会いのきっかけよ。後から絵里奈もその力に関係してたってことが分かったんだけどね。」

 

レイ「力って?」

 

藤和木「うーん、それは本編の方で明らかにしたいですね。今までも敢えてそのことについては書いてなかったので。」

 

ジャンヌ「あ、敢えて、ですか……何か気になります。」

 

鈴「……ねぇ、藤和木。ジャンヌにくらいは教えてあげたら?」

 

ジャンヌ「えぇ!?」

 

藤和木「いやー、ジャンヌさんも同じ時に教えてもらった方が…。」

 

ジャンヌ「い、いえっ!ど、どうせなら……後編に入る前の休憩時間にでも、お話を……」

 

絵里奈「うわぁ、ジャンヌちゃんもじもじしながら藤和木さんにおねだりしてるーぅ!」

 

レイ「なんだか照れ屋さんのお嬢様みたいだねーっ!可愛いよっ。」

 

ジャンヌ「あぁあぁ……レ、レイさんっ、そ、そんなに好奇心の目で……」

 

藤和木「あはは、ジャンヌさんも戸惑っているから、そのくらいで…」

 

鈴「さて…と。そろそろあたしは帰るわ。後は絵里奈と勇也に任せるから、よろしくね。」

 

絵里奈「うん、りょーかい!」

 

勇也「さて、どうやって作者やジャンヌさんを困らせるか……。」

 

藤和木「考えが不純な気がする…(´・ω・`)」

 

ジャンヌ「も、もうっ!鈴さんも…そ、そんなにわたくしや藤和木をいじるのは……っ!」

 

鈴「もうっ。ジャンヌ、あなたはもう少し光樹に甘えたり求めるなら大胆にかつ動揺しないようにしなさい。それだから他の人がいじりたくなるのよ?」

 

レイ「あ、それ分かるー!なんだか反応が面白いんだよねっ!」

 

ジャンヌ「レ、レイさぁん……(ぐすっ)。」

 

藤和木「あーもう、よしよし、ジャンヌさん、困ってる姿も、ジャンヌさんらしい可愛さがあるから、みんなが嫉妬してるんじゃないかな?」

 

ジャンヌ「と、とと藤和木っ!?!?(かぁぁっ)」

 

鈴「あら、言ってくれるじゃない。」

 

勇也「それはそれは。そういうことにしておいてやるか。藤和木がジャンヌさんにぞっこんってことも証明されたけどな。」

 

藤和木「あ……。」

 

ジャンヌ「はぁうあう……(と、藤和木がわたくしのことを……そこまでっ!駄目です、わたくし、恥ずかしすぎて…)ひゃうう…(バタッ)」

 

レイ「ジャ、ジャンヌちゃん!?」

 

藤和木「おいおい…ジャンヌさん気絶しちゃったんだけど…。」

 

勇也「まぁ、それは休憩挟んだら戻るだろ。」

 

鈴「とりあえず、前編はここまでね。後半は絵里奈の紹介だから、是非見て欲しいわ。それじゃあ、前半終了よ。」

 

 

後半へ続く!

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。後編はまたしばらく経ってから、ということになります。とはいえ、館内の時間的には1時間後なんですけれどね。

ジャンヌ「それからもかなり大変でした……鈴さんが置いていった爆弾ともいえるお願いのせいで……。」

レイ「ジャ、ジャンヌちゃん。気をしっかり!」

ジャンヌ「レ、レイさんの声援があるなら、わたくしは折れません!次も頑張りますっ!!」

さて、本日はこれまで!次回は5日後、火曜日辺りになります。あー、さっさとガンダムブレイカー3やろう。

レイ「みんな、聞いて。この作者、ネプテューヌ最新作買わないくせに、お年玉でガンダムブレイカー3を今更買ったんだよ!?」

いや、あのさ。ネプもやりたいのはやりたいんだよ。けれど、今回のネプって、見た感じ○Fっぽくね?私F○やったことないんだけど……というかそもそも、F○ってそういう認識で良かったっけ?

レイ「大丈夫大丈夫!作者、K○ならやったことあるんでしょ?それと同じ感じだよ!」

○Hに似てるか……?サイバーネプって……。というか、そもそもネプテューヌの積みゲーも溜まってきたから、あんまり購入しすぎるのも……。

ジャンヌ「な、ならなんでガンダムブレイカー3を買ったんですか……しかもPS4の。作者PSVita持ってましたよね?ネプテューヌシリーズだって進められたんじゃ……。

残念。PSVitaさんはスティックがお陀仏になりました。ちなみにPS4の方にした理由も大体それが原因。あと、ガンブレ3安かったのよ。と、色々言ってますが、やっぱりネプテューヌも欲しいんだよなー。アクションとRPG混ぜた感じだし。でも私オンラインに怯えてますし。

レイ「エクバで負った傷は深かったんだね……。」

俺だって必死にやってたのよ。まぁ、それはともかくとして、今年もネプテューヌはもちろん、ガンダムもオルフェンズが放送中。バトスピもイベント様々!今年もいろんなものに出会いましょう!それでは皆様!

ジャンヌ「次回もよろしくお願いしますっ!!」


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黒の館 第10回 後編 解説~福内絵里奈、ガンダムR-ZX~

皆様お待たせしてしまい申し訳ございません!今日ではなく、明日が投稿日だと勘違いしてゆっくりして家に帰る途中で今日が投稿日だと気づき、急いで帰ってきました、藤和木弘でございます。ホント、ごめんなさい!

レイ「ゆ、ゆっくりし過ぎだよー。しかも今日が投稿日だってツイッター見た時に気づくとかさ。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「まさか気づいていなかっただなんて、わたくしも思っていなかったです……。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。今日は黒の館の第10回後編をお送りいたします。」

いやー、二人が「投稿日いいの?」って言ってくれなかったら、たぶん気づかなかった……(;^ω^)とはいえ、今日も変わりなく、解説を紹介していきます。では、後編の始まりですよー!」

レイ「ジャンヌちゃんもいじられまくり―!!」

ジャンヌ「はうあぅ……!」


藤和木「はい、それでは後編も進めて参りましょう!黒の館!第10回後編のメンバーは私藤和木弘と、」

 

絵里奈「うふふー!ジャンヌちゃん、ほらー。藤和木とツーショット!!どうも、みんなー。臨時アシスタントを務めてた福内絵里奈だよー。」

 

ジャンヌ「はぁうう……え、絵里奈さぁん、そ、そんなに写真撮らないで……」

 

レイ「ほらほら、ジャンヌちゃん!藤和木の方にもっと寄ってーっ!あ、どうも、みんなー!ジャンヌちゃんと藤和木の写真を撮るのが楽しくなってきたよー!レイ・オーバだよっ!」

 

ジャンヌ「レ、レイさんまで……恥ずかしいですっ!お願いですから、も、もうやめ…」

 

勇也「いや、二人共もっとやってやれ、せっかくだし。さて、前回に引き続いて登場の古谷勇也だ。」

 

ジャンヌ「っっっ!!あぁ、ダメです!藤和木と一緒だと、わたくし、恥ずかしすぎて…(でも、一緒に写れて……嬉しいっ!)。ど、どうも、皆様っ。帰って来てから、色々と……恥ずかしくて、嬉しくて、胸が苦しいジャンヌ・ドラニエスですっ!!」

 

藤和木「う、うん。ジャンヌさんも恥ずかしい思いしてるから、みんなそのくらいで許してあげようか?」

 

レイ「えーっ!?」

 

絵里奈「ここからが面白いのにねー。」

 

勇也「まぁ、いつまでもいじってたら、ジャンヌも困り果てるというか、精神的にも持たないか。」

 

ジャンヌ「はぁ。よ、ようやくいじられるのが終わりました。わたくし、先程気絶から目覚めて、藤和木からSSRNPの初代メンバーさんの馴れ初めの設定を聞いていたら、すぐに絵里奈さんやレイさんが次々と藤和木との写真を撮ったりと…。何かとわたくしをいじってきますから……。」

 

レイ「あー、ごめんね?ジャンヌちゃん。でも、私としては、二人の仲が気になるからさっ!」

 

ジャンヌ「レ、レイさんなら喜んでっ!」

 

藤和木「うん、ツイッター上でのこと以来、デレが多くなったよね、ジャンヌさん。」

 

勇也「当然だろ。作者がクリスマスイブで二人が帰ってきた後で告って、ジャンヌさんも良いって言ったんだし。」

 

絵里奈「あんな度胸があるとは思わなかったよー。」

 

藤和木「まぁ、昔は……割と積極的だったんだけどね。今は色々と卑屈だったり、弱気だったりと、マイナス方面でしたからね。」

 

ジャンヌ「ほ、本当に中々藤和木が積極的になってくれませんでしたから……。それにわたくしも決めきれませんでしたし。で、でも……」

 

レイ「でも?」

 

ジャンヌ「あの時の藤和木は……嬉しかったです…っ!」

 

藤和木「っ!そ、そうですか。(ヤバイ、ジャンヌさんの表情が可愛い……。)」

 

勇也「あ、また二人で喜んでるっていうか、笑顔になってるな。というよりもラブラブってか。」

 

絵里奈「ほんと、うらやましい限りだよー。私も光樹君とそういう関係になれたらなー。」

 

レイ「あれ、絵里奈ちゃんは光樹君の事を?」

 

絵里奈「うん、好き。でも、なかなか気づいてくれないっていうか、流されちゃってるんだけどねー。」

 

レイ「なんだか藤和木と同じだねー。」

 

勇也「いや、でも藤和木の方がまだマシだぞ。光樹の場合は知ってるような、知っていないような口ぶりで遠回りに返事をするからな。」

 

ジャンヌ「な、なんだかすごく面倒くさい性格なんですね……光樹さんって。」

 

絵里奈「うん。でも、その性格を考えたのは他でもない藤和木…」

 

藤和木「そんな事言ったら、オリキャラ全員がそれ当てはまりますよ。まぁ、光樹君の本来の性格は、ここでの私をベースに明るさと冷静さ、冷徹さを引き上げていますからね。その分、かなり面倒くさいやつには仕上がってます。」

 

レイ「そうなんだー。じゃあ、絵里奈ちゃんはどんな子になっているのかな?」

 

藤和木「では紹介に入りましょうか。今回の紹介は福内絵里奈とガンダムR-ZXです。」

 

絵里奈「私のデータ、是非目を凝らしてみてねー!」

 

 

 

 

 

福内絵里奈(ふくち えりな)

 

年齢 17歳

生年月日 1997年10月20日

血液型 O型

身長158㎝

外見 ツインテールの髪型に、少しの垂れ目が目立つ。大人しさを持つが、表情には穏やかさを通り越し、のほほんとした表情が多い。肌の色は薄肌色。髪色は黒。

好きな物 スイーツ(和菓子系)、和藤光樹、静かな場所

嫌いな物 急ぐこと、量の多い食事

 

GKSWAXPに所属しているガンダム装着者。元ガンダム・アズールセブンシリーズのマスターであり、初代に当たる。しかし、絵里奈は鈴達とは違い、鈴達がGKSWAXPという組織に所属するようになってから出会った仲間である。というのも、SSRシリーズを手に入れたのは光樹達ではあったが、GKSWAXPを光樹は作ってはいない。正しくは、別の組織が作った組織に所属していたのである。光樹達がGKSWAXPの前身である「GKP」という組織に所属してから、絵里奈は適性があったためスカウト。その後鈴達と同じ時期に一度組織を離れたがすぐに組織に戻っている。

性格は今までの発言通り、かなりのおっとりさを持ち、更には周りを笑わせるほどまでの発言を行う天然である。また彼女の行動の中には、光樹に関わるものが多く、その様子は無意識かつ表情に出さず言葉でさらっと出てくる病んでいないヤンデレともいえる。

戦闘ではNPシリーズではあまり見ない射撃戦、それも更に運用されている例は少ないと言われている狙撃戦、加えてMPの方でもなかなか見られるものではない機動狙撃戦を非常に得意としている。その狙撃能力は機動性が高い機体が相手でもあまり動いていないときはおろか、高速機動中でも攻撃を当てられるなど、ことさら狙撃に関して言えば、光樹よりも数段上とメンバーの中でも言われている。また近接格闘戦も光樹ほどではないものの、迎撃格闘を行う際は上手く捌くなど、狙撃戦に最低限必要な要素はこなせるだけの実力がある。

固有能力は「XN(ザン)ドライバー」。これはSSRNPのメンバーが有することのできる能力のうち、モデルが存在しない能力であり、能力は他の物と繋げ、新たなものを生み出す力。ちなみに、ガンダム・レッドジョーカー系列が持つリアクトエンゲージシステムもこれに似た性質を持つが、こちらは人と人の心も繋げ、当時の最強攻撃であった「XNコンビネーションフォースビックバン」という技を使用する際の更なる攻撃力の強化を行うことができた。

生身での武装は他のメンバーと同じくフォトンサーベルと、絵里奈専用にチューンされたマテリアルビームスナイパーライフル。ライフルは弾丸の切り替えが可能で、実弾も撃てる。

零次元編では自信を気遣って出撃した鈴の代わりに本部の指揮を執り、超次元を調査する他のメンバーからの情報をまとめていた。しかし、それでも光樹への心配は絶えず、また光樹への心配をするあまりに、好き宣言をしてしまっている(しかも、本人はそれを言っていることを意識していない)。

そして超次元編では遂に絵里奈もゲイムギョウ界へと参戦。ゲイムギョウ界トーナメントでは自身のMPガンダムR-ZXで参戦。ロボボ出場メンバーではグリーンプロテクターと交戦しており、槍の速度に苦戦した様子を見せるも、攻撃を完全に回避し、至近距離での連射でグリーンプロテクターを戦闘不能まで追い込み、ロボボ決勝へと駒を進めている。

 

 

 

 

 

 

ガンダムR-ZX(ゼクス)

形式番号 RZX-X001

機体解説

福内絵里奈が装着するガンダムタイプMP。機体の全体的なモデルは「ロックマンZX」に登場した、ロックマンモデルZX。名称もそれにちなんでつけられた。機体の戦闘性能としては近・中距離に重きを置いた万能機であり、絵里奈が得意とする狙撃戦を行える装備は一切装備されていないなど、光木鈴のMPであるガンダムR-EXEグレイガよりも、元SSRNPでの得意分野を引き継いでいないガンダムである。これには絵里奈も流石に使いにくさを当初は言っていたが、機体のモデルをベースとすることを重視したことと、絵里奈自身もそのような戦闘法を使っている内に気に入ったことから(とはいえ、中には光樹がそれを設定したことから、光樹を好いている絵里奈自身が光樹の意志に従った面もあるが)、今なおこの仕様で普段は戦闘を行っている。とはいえ、状況に応じては、スナイパーとして前線に出ることも多い。その為、本機は初代SSRマスターの使っているMPの中でも追加兵装システムを使うことが多い。

しかしながら、一つも絵里奈が運用していたガンダム・アズールセブンシリーズのNPの特徴を引き継いでいないかと言えば、そういうわけではない。ガンダム・アズールセブン系統の特徴として引き継いだものとして、機体装甲裏に格納された特殊兵装と、胸部に装備された、獣のような口である。これらの解説については後ほど。

また、機体形状はガンダムR-ZEROに似ており、この点はオリジナルがZEROのモデルを参考にしているため、ある意味では設定どおりではある。

 

 

 

システム系

 

TRANS-AMシステム

機体を赤色化させ、圧縮粒子を解放することで機体性能を三倍化させるシステム。本機では、特殊なコロイドシステムがこの機能に対応し、敵の誘導ミサイルの誘導を完全に切れるほどである。

 

TFDS-∞

機体の粒子生産能力を向上させるために、機体に2基装備されたANドライヴの同調率をMPで行えるだけの同調率で運用可能としたシステム。初代メンバーの運用するMPでは共通の機構。

 

エレメントシフト

機体の攻撃に火・水・風・闇・無の五つの攻撃属性を与える特殊機能。属性にはそれぞれ特徴があり、火は機体の武器に熱を追加し、敵へのダメージを向上させる、水は敵の動きを阻害、風は機体の速度を向上させ、機動戦に有利になる、無属性は敵の防御機構にある程度影響されずにダメージを与え、闇属性は敵への心理的プレッシャーを攻撃が敵か敵の武器に当たる度に与えるなど、戦闘を有利に進める機能となっている。しかし、これらの能力は、同じような機能を所持する機体、特にSSRNPに対しては、SSRNPが本来持つ属性付与機能に相殺され、持ち味を生かすことができない。

しかしながら、そのような能力を持つのはほとんどがNPであり、上位クラスの元SSRマスターのMP以外のMPなら、その能力を存分に発揮できる。

 

ANフィールド

機体周囲に展開するAN粒子防壁。

 

ノイズドエナジーウイング

AN粒子を硬質化させ、飛行性能を向上させるユニット。本機では他の同シリーズのMPとは違い空戦・宇宙戦も想定されているため、機動力向上の恩恵を多く受けている。更に、ブースターとの組み合わせで、ブラックエースシリーズしか運用不可能であった攻撃パターンを使用可能である。

 

フルノイズドエナジーフレーム

機体のフレームとして採用されている特殊フレーム材。しかしながら、本機のそれは特殊装甲武装との兼ね合いでフレームにある程度の改造が行われている。

 

カートリッジシステムMark-Ⅱ

機体の武装に装備される出力瞬発的増大システム。

 

トランザムバースト

機体をTRANS-AM状態にして圧縮粒子を完全開放するシステム。R-ZXはこの機能を使う際は後述するOXモード時のみになる。

 

追加武装システム

機体のハードポイントを使用することで多種多様な武装を装備可能なシステム。絵里奈は主に狙撃戦を得意とするため、状況に応じてはスナイパーライフルのマウントジョイントを装備することも多い。

 

OXモード

本機最大にして、オンリーワンなモードチェンジシステム。モード説明としては、機体の動力経路を変更し、本機の活動制限リミッターを解除、圧倒的粒子放出によってフィールドを完全制圧する。要するに、このモード発動時には限界まで機体性能を使用可能ということである。TRANS-AMと違うのはトランザムが粒子放出量を解放するのに対し、こちらは粒子全てを武装や機体に回し、機体性能だけに粒子を割り切るということである。つまりは、自分の機体だけにトランザムバーストを起こしているということになる。

本システムの発動により、R-ZXには常時AN粒子によるオーラが展開。並大抵の射撃兵装は通用しないようになっている。また、エレメントシステムにも大きく影響を与え、属性付与率が増加、NP系列の必殺技でもあるNFBに近い攻撃を行うことも可能である。

システムモデルはロックマンZXに登場するロックマンモデルOX。その圧倒的な出力と技のバリエーションを受け継いでいる。

 

ミラージュガストレイドコロイドシステム

機体の装甲の隙間から特殊粒子を散布。それにより、機体を透明化する、ガンダムSEED系列のミラージュコロイドに近いシステム。本機のシステムは姿を消すだけではなく、残影のように機体を見せるデスティニーガンダムの光の翼と同じ運用も可能。特に残影を見せる時には機体の飛び武器の残影を見せることもできる。

 

 

 

 

 

武装

 

 

 

 

 

ANZXアームズ

機体サイドアーマーのソケットに差し込む形でマウントする、遠近両用のマルチウエポン。カートリッジシステムを持つ武装で、弾数は4発。デバイスに変形機構を備えた武装であるが、R-ZEROの持つANゼットセイバーとは違い、形状記憶合金によるものではなく、細かなパーツの組み換えによるモードチェンジを行う。モードは剣のZXセイバーモードと銃のZXバスターモードを備える。特にZXセイバーは斬撃時に属性付与が可能かつ、柔軟な運用で様々な攻撃が可能である。更にバスターモードでも、属性を込めた弾を撃つことができる。

武装モデルはロックマンモデルZXのZXセイバー。

 

ANHXウイングスラスター

機体の背部に装備された、二枚のウイングユニットとバックパックで構成される推進機関。ANドライヴから直結してエネルギーを供給しているため、ドライヴ自体を推進機関として使わない、主推進機関としてはかなりの推力を生み出す。

ウイングユニットは可変式で、ノイズドエナジーウイングモードと折りたたむことで直線的な加速力が強化されるブースターモードとしても使用できる。更に、ノイズドエナジーウイングモードでもノイズドエナジーウイングを最大出力でエネルギーを発することで、ウイングを剣として使用することで、敵を切り裂く「ウイングブレード」という、ブラックエース系列専用の攻撃方法が可能である。これは他の機体ではなかなか出来ず、機体の性能を極限まで発揮できるため、出来た芸当である。

武装モデルはロックマンモデルHXの背部ウイング。

 

ANFXキャノンバスター

ウイングスラスターの側面に2基懸架される大型射撃火器。高出力のエネルギー弾を放つ。しかし、その形状はかなり異質。というのも、その形状は銃口と持ち手を装甲で覆い、四角形のような形をしていて、そのまま殴打できる格闘兵装としても使用可能。

その射撃は様々な撃ち分けが可能で、通常のキャノンモードと、遠隔操作システムを応用して、脳内で思う通りに弾丸を曲げられるエディットバスターモード。そして敵に格闘攻撃を仕掛けられるストロングナックルモード。

武装モデルはロックマンモデルFXの腕部に装備する兵装であるキャノン砲、ナックルバスター。

 

ANLXハルバード

ANHXウイングスラスターのバックパックユニット内部に格納されている近接格闘専用兵装。近接武器でも、リーチが長いので、攻撃にバリエーションを持たせることができる。また、本機の水中での運用兵装の一つである。

武装モデルはロックマンモデルLXのハルバード。

 

ANPXアームズギア

機体の腕部に装備されたエネルギーウエポン生成兵装。武装内部にてAN粒子を硬質化させ、ユニットから取り出されることで武装として運用できる。

使える武装は、ANノイズドエナジークナイとANノイズドエナジーシュリケン。特にクナイは、絵里奈が手持ち武装としての使用も多く、R-ZXの持つミラージュガストレイドコロイドで、姿を隠している際の暗殺兵装としての使用が多い。

武装モデルはロックマンPXの武装。

 

ANアルゴスハンドレットアイミラージュアーマーⅡ

機体腕部・脚部・肩部装甲を展開して露出する装甲裏に装備された精神侵食型特殊兵装。展開される装甲内に電子的な機器を装備し、発せられる電磁波や催眠波を敵に浴びせることで幻覚を引き起こして、敵を惑わせる。

本兵装では幻覚を見せるのと、ミラージュガストレイドコロイドを発生させるミラージュガストレイドコロイドモードと機体の任意の部分に超高度のAN粒子の壁を形成するアイシクル・クリスタル・ミスト・リフレクターモードを備える。

兵装モデルは「機神大戦ギガンティック・フォーミュラ」に登場したロシア系列の国の機体、ユーノワⅧの持つ武装百目翼こと別名「アルゴスの百目」である。

 

ANミラージュブラスターソード

機体の腰背部に装備された大型マルチウエポン。剣の先にビーム発射口があり、遠距離の砲撃戦を行える。しかし、機体の粒子量をかなり使うため、絵里奈はあまり本兵装を使っていない。

 

ANケルベロスヘッドユニット

機体の胸部を形成する装甲。胸部を形成する装甲が、獣の形をしている特殊な兵装で、ただの飾りでは決してない。武装も内蔵している他、相手への威嚇機能を備えている。

 

ANバスターキャノンⅤ改・改

ケルベロスユニットの口に当たる部分に内蔵された高出力ビーム砲。その構造からかなり敵からこの攻撃を予測することは難しく、不意打ちとしての使用が主な運用となる。

この兵装もまた、遠距離への攻撃が可能のように思えるが、かなり圧縮させてから放たないと遠くへは届かないため、絵里奈は専ら近接戦での突発的な運用がメインとなっている。

 

ANビームファングⅣ

ケルベロスユニットの牙に当たる部分から発生させるビーム兵装で、かなり扱いの難しい兵装。というのも、この武装の搭載位置は胸部。つまり、敵に密着する程の距離で胸を突き出すようにしなければ攻撃出来ないという、かなり変な欠点を持っているのだ。これには流石に絵里奈も苦言を続けており、それでもこの機構は運用廃止にはしていない。

その理由なのだが、絵里奈がSSRNPのマスターをやめたのちのガンダム・アズールセブン系列のNPに、支援兵装「ブラウォケルベロス」を投入していたためである。このブラウォケルベロスは装備時にNPの胸部に頭部ユニットを装備する形となっていて、絵里奈が使用した際の使い勝手を見るため、この装備を搭載したままである。

 

ANマルチサポートユニット

脚部に外付けの形で装備された戦闘支援兵装。絵里奈自身の元々の戦い方をある程度支援するための兵装である。

武装の構成は増加装甲のように脚部に装着されており、装甲内部にANチャフミストマイクロミサイルを片側3発の計6発。そして、側面に大きく出た形状のANハイパーEXブースターである。チャフミストマイクロミサイルは発射すると敵を範囲内に捉えると爆発し、敵の視界を奪うと同時に、敵の動きをある程度封じるという、特殊な炸薬を持つ。一方、ハイパーEXブースターの方は機体の加速性能を向上させる目的で装備されており、直線的な回避運動においては、この兵装が役に立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンヌ「以上が、絵里奈さんとガンダムR-ZXの解説になりますっ。」

 

レイ「な、なんだか光樹君に嫌われているというか、ないがしろにされているかのような武装選択と説明だったね……。」

 

絵里奈「そうなんだよー。光樹君って、他の子の機体の武装はちゃんと合った物を用意してるのにさー。」

 

勇也「でも、これもある意味では光樹らしい武装のチョイスなんだよな。」

 

レイ「っていうと?」

 

勇也「これらの武装は、いずれもSSRNPとかかわりのある兵装ばっかりだ。光樹も、もしかするとまた絵里奈や俺がSSRNPを纏うことを考えて、その時に運用しやすいようにわざわざ苦手な武装とか戦闘法を行なっていたりするのかもな、ってことなんだが……。」

 

絵里奈「あぁー、それなら私も納得だねぇー。」

 

ジャンヌ「な、納得しちゃってます……。……でも、藤和木はその設定はどう考えていらっしゃるのでしょうか?」

 

藤和木「うん?あぁ、まぁ簡単に言えば、それも入っているね。けど、作品の方に入って言わせてもらうと、ある程度は元々前に使っていた機体をベースに新しいものを取り込む、ってのを光樹君は前提にしているからね。」

 

レイ「そうなんだー。じゃあ絵里奈ちゃんも、ある意味光樹君に愛されているのかなっ?」

 

絵里奈「うーん、どうだろう……。光樹君、鈴ちゃんが原因で女の子に興味なくなっているからねー……。」

 

レイ「あ、ひょっとして鈴ちゃんに心を大粉砕されちゃったのかな?」

 

藤和木「うーん、鉄の覇王はやっぱり怖いですよねー。私もトラウマですよ。」

 

勇也「ちょっと待て。それバトスピの大粉砕の話になってないか?」

 

藤和木「あ、ごめん。レイさんが言ったもんだから、ついそっちの方の話に……いや、なにせ今度のバトスピ界放祭に参加しに行こうと思いまして、色々とバトスピ関連のデータ見てるので。」

 

勇也「なんだそりゃ……。光樹もバトスピ好きだが、あのデッキははっきり言ってどうなんだろうな。」

 

藤和木「そりゃ、あのデッキは白緑、それもラグナ・ロック主軸でしたからね。でも、今の光樹君用のデッキって、かなりおかしいですよ?」

 

レイ「そりゃあ、そうだよ……。なんで白緑でデッキ破棄してるのさ。」

 

ジャンヌ「あれには驚きましたね。わたくしのデッキのレディアント・ぺガスを召喚したら、鉄の覇王がバースト発動しましたし。」

 

藤和木「でもまあ、その時は思いっ切りバースト外して召喚できなかったというね(笑)」

 

絵里奈「あれ、いつからバトスピ談議になったの?」

 

藤和木「そうじゃん!ここ黒の館で絵里奈さんとかR-ZXのことについて談義する場面じゃん!」

 

レイ「素で忘れてるよ……。まぁ、私が話逸らしちゃった部分もあるけどさっ。」

 

ジャンヌ「あぁ……レイさんのお転婆っぷりもいいです……!」

 

勇也「……とりあえずこのデータには間違っているところはないな。レイとジャンヌはどう思う?」

 

ジャンヌ「あ、はい。わたくしはガンダムR-ZXの武器の一つ、ANZXセイバーが勇也さんのガンダムのゼットセイバーと似ているような気がしたのですが……。」

 

絵里奈「あー、それは簡単!実は、勇也君と私のガンダム、モデルは色々と遡ると、同じ存在にたどり着くからねー。」

 

レイ「えー、そうなのっ!?」

 

絵里奈「そーなの!」

 

勇也「もっとくわしく言うなら、俺のガンダムはレプリロイド「ゼロ」をモデルとしているが、絵里奈のR-ZXはロックマンモデルZXシリーズがモデル。そして、そのロックマンモデルZXのモデルは、レプリロイド「ゼロ」。ってことさ。」

 

レイ「……うん、だ、大体分かったっ!」

 

藤和木「いや、その反応分かってない気がする……。レイさん。要するに、二人の機体は、言うなれば、ロックマンの一人、「ゼロ」っていう存在をベースにして、アレンジを別にしたって感じだ。」

 

レイ「あー、アレンジだねっ。理解できたよー。要するにいろんな衣装スピリットが色々な効果を持ってるってことだよねーっ!」

 

ジャンヌ「ちょ……レイさん!?」

 

藤和木「……まぁ、いいや。そういうことで……。」

 

絵里奈「藤和木さんが折れたよー。で、そろそろ次回予告?」

 

藤和木「あ、すみません。前にとある方から指摘されたことについて少し質問返答を。」

 

絵里奈「あ、うん。分かったよー。」

 

レイ「今回の質問はこちら!「鈴さんの発言ってサードチルドレンのやつ?」だって。サードチルドレン?」

 

藤和木「あぁ、それエヴァの碇シンジ君のことですね。これはとどのつまり、鈴さんがセカンドチルドレンこと式波・アスカ・ラングレーっぽいってことで言ってくれたようなんですよね。」

 

勇也「あぁ。確かに鈴のセリフ、それと同じだもんな。で、それが何かあるのか?」

 

藤和木「いやー。それを言われて、まぁ、元ネタはそれなんだけど。色々と設定を思い返すと、…ですね。」

 

絵里奈「どうしたのー?」

 

レイ「なんだか言いにくそうだけど…。」

 

藤和木「うん。簡単に言おう。……鈴さんとアスカさん、共通項が多いことが発覚した(笑)」

 

絵里奈&レイ『…………え?』

 

藤和木「いや…言われて気付いたんですよ。よく見ると、鈴さん、色々とアスカに近い部分があるなって。」

 

絵里奈「まさかそれってパクリー?」

 

藤和木「パクリと言うわけではない。だが、無意識にいろんな所が似ていたんだよ…。」

 

勇也「口調はある程度近いとは思うが……ほかに何かあるのか?」

 

藤和木「まず、髪型。今の鈴さんはショートヘアなんだけど、昔はツインテール系列の髪型で、確かアスカがツーサイドアップだってどこかの資料で見た気がするから、似てるって感じ。」

 

絵里奈「確かにー!鈴ちゃん中学1年生の春はツインテールだった気がするもん!」

 

藤和木「続いて機体関連。搭乗、および装着していた機体がどちらも赤を主色としている。」

 

勇也「思いっ切りかぶってんな。全体のカラーリングは流石に違うみたいだが。」

 

藤和木「そして三つ目。その機体が同系列機体のシリーズの2号機。」

 

ジャンヌ「な、何という偶然……。これ、藤和木は無自覚で?」

 

藤和木「口調以外ほぼ無自覚で当てはめてた(笑)。まさかこんなことになっていたとは……ご指摘ありがとうございます!多分言われなかったら一生気づかなかったかもしれないです。」

 

勇也「さて、とんでもないカミングアウトも終わったことだし、そろそろ次回予告じゃないか?」

 

藤和木「ですね。じゃあ皆さん、後はよろしくです。」

 

レイ「りょーかーい!!……黄金の塔、そして黄金の戦士達が支配する世界となった超次元ゲイムギョウ界。」

 

ジャンヌ「ネプテューヌ様と共に行動をすることとなった光樹さんとSSRNP初代メンバー達はプラネテューヌへと足を進めた。」

 

勇也「そこでネプテューヌは大親友のアイエフと出会う。しかし……」

 

絵里奈「アイエフちゃんは、ネプテューヌちゃんや光樹君を覚えていなかった!?」

 

レイ「誰も自分の事を知っていない世界の中でネプテューヌちゃんはもがく。」

 

ジャンヌ「しかし、一筋の光、一人の存在が覚えていてくれたこと、そして、黒の魔女との再戦で流れは変わる!」

 

絵里奈「暗躍する忍者と騎士との、黄金の頂に君臨する者との邂逅、対決、そして共闘!」

 

勇也「そこで、光樹は取り戻す。失われた記憶の欠片を。」

 

レイ「光樹君達は、プラネテューヌを取り戻せるのか!?」

 

ジャンヌ「次回、『新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG』!!」

 

絵里奈「第3章 超次元編 ネプテューヌSTORY!!「第1次超ロボット大戦G(ゴールド)」!!第92話「プラネテューヌへの帰路」!!」

 

勇也「次元の力が少年の思いに応える……」

 

全員『プラネテューヌを取り戻せ、ガンダム達!!』

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。完全に投稿日を忘れていた件については、本当に申し訳ありませんでした……。

レイ「でも、こうして投稿出来たんだし、よかったよかった!」

ですね。さて、次回からは第3章のネプテューヌSTORYが開幕!!メンバーはネプテューヌを中心に、光樹君と鈴さん、それに今回の黒の館二本立てで紹介したお二人が、プラネテューヌの異変を解決していきますよー!

ジャンヌ「さらに、藤和木によれば、光樹さんの失った記憶にも、話が絡むそうですっ!」

さて、どう展開するのか?光樹君はどう活躍するのか?そして女神の戦いは?それは次回以降です。

ジャンヌ「それでは、次回は月曜日の投稿とさせていただきますね。」

レイ「なんか、次回からは話の書き方に変化があるんだって!分かるかな?」

まぁ、結構分かりやすい変化ですし、今までなんでしてこなかったの?とツッコミされるような気がしますが……次回もお楽しみに!


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第3章 超次元編 ネプテューヌSTORY 第1次超ロボット大戦G
第92話 プラネテューヌへの帰路で……


どうも皆様、ご機嫌いかがですか?こっちは雪が降っていて寒い思いしつつも、学校に行ってました、藤和木弘でございます。暖パンのありがたみを初めて知った気がする……

ジャンヌ「藤和木って、あまり暖パンは暑苦しいから、ということであまり着ないということを聞いていたのですが、今日はいい感じの気温だったようですね。どうも、皆様。学校への同行時にはミニモードで藤和木のジャンバーのポケットにいることが多いですが、今日は藤和木と一緒に歩いて雪を見ていました、、ジャンヌ・ドラニエスで……へっくちゅん!!」

レイ「あれ?ジャンヌちゃん風邪?」

ジャンヌ「うぅ……そうみたいです……」

多分私の風邪がうつったんだと思います

レイ「もー!それは逆パターンでしょ?どうも、みんな!雪が積もってたから、朝は普通サイズで雪を触っていた、レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「レイさんって、本当に朝は元気ですよね。うらやましいです……。って、逆パターンとは?」

あー、要するにあれでしょ?傍で看病して「俺に風邪をうつせ」的な

ジャンヌ「ふぇっ!?(かぁぁ)」

レイ「大正解!!なのに何でジャンヌちゃんにうつすかなぁ……」

これは不可抗力ですよ。私は昔から風邪ひきやすいんですから……とはいえ、ジャンヌさんにうつしたのは申し訳ないです

ジャンヌ「……だ、だったら、か、看病して……くださいね?」

え、あ、うん。分かった。とまぁ、全国的な寒さに関する話は置いておいて。今回から第3章のネプテューヌ編こと、ネプテューヌSTORYの開幕です!

レイ「ネプテューヌちゃんのストーリーってことは、光樹君の出番だねっ!」

ジャンヌ「光樹さん達のストーリー……どのように展開するのでしょうか?」

さぁ、それでは本編へ行きますよー!っと、今回からOPチェンジ!曲は「流星Lovers」で!


 

 

この時代、ゲイムギョウ界は大きな改変を迎えていた。突如として出現した黄金の塔、各国の政治体制の異常。そして、女神という存在の消失……。全てが変わってしまっていた。

 特にゲイムギョウ界という世界に欠かすことのできない存在、女神がいなくなってしまったことには、残された者達の中でも、それを悲しむ者達もいた。だが、全員がそう思っているわけではない。ゲイムギョウ界における異変。それは人々の記憶にも影響を与えていたのだ。

混沌の中、特に騒ぎを起こさないことはかえって不気味さを感じさせていたが、それを感じる者達さえもいなかった。

そんな中、プラネテューヌのはずれを歩く、5人の集団がいた。その集団が目指すのは、四か国のうち一つの国、プラネテューヌと、プラネテューヌ領土内に現れた、黄金の塔。それは、ネプテューヌ達、プラネテューヌへと行く、女神一行であった。

彼らは知らない。この異変に。しかし、それでも彼らは目指す。変わってしまった世界を、修正するために。光ある世界を目指して、硬い意志を…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁかぁらぁ!!こっちがプラネテューヌへの道よ!!」

 

「いやいや、違うって!!こっちがプラネテューヌだって!!記憶がないからって、馬鹿にしてんのか!?」

 

「そうね。とてもじゃないけど、記憶を失った馬鹿光樹のいうことなんて、信じられないわね」

 

「んな……!!鈴だからって、流石にそんなこと言うなら、こっちだって我慢の限界があるぞ!?というか、そっちが振って、なんで俺にここまで当たってくるんだよ!!」

 

『…………』

 

 

 

 …………硬い意志とは到底言えない、醜い争いをしてはいたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

全く……何でこうも俺の発言に色々と反応してくるのだろうか。

光樹は今、とてもイラついていた。いきなり怒るはずも当然なく、それには理由があった。それは、ネプテューヌと共にG-1グランプリの会場から平原に飛ばされる一幕の間に出会った、というより、再会した人物、光樹の所属する組織の仲間である、初代SSRNPのメンバーにあった。

最初は、何故ここに彼らがいたのかが理解できなかった。なぜなら、彼らは光樹が覚えている限りでは、ただの中学時代の友人、もしくは知り合いの関係。それに加え、うち二人は自分が特にいい印象を持たない二人、光木鈴と古谷勇也であるのだ。その二人にいい関係ではなかった光樹にとっては、今どうしてこんなことになっているのか、理解できなかった。

だが、それ以上に不満なのは、一緒に行動するようになった後の、鈴の態度であった。最初に会った時から、何故かこちらのことを馬鹿と呼び、更には行動も自分が中心となって行動している。

確かに、今の自分では記憶がないため、話しづらいとは思っていた。しかし、それでも光樹は思い出さなければならないと感じていたのだ。これからの戦いを戦い抜くことと、自身がどういった人物なのか、そして、記憶がないせいで誰かが悲しむのを見たくはなかった。

そんな所で、光樹は積極的に全員と記憶があった時はどうなのかを知るために話しかけていたのだが、そこから今回の言い争いは起きていた。絵里奈は比較的素直に答え、情報を多く教えてくれていた。特に、自身の影響もあり、絵里奈が今の仕事にやりがいがあるということに対しては、なんだかうれしくなっていた。自身のおかげで、笑顔になってくれる人がいるのだから。とはいえ、聞いてて冗談にも聞こえる物もあり、そこは笑って済ませたが。

 勇也に関してだが、鈴という、一人の少女を好きになって振られた者同士、息が合うようになったのかは知らないが、比較的こちらの質問には答えてくれた。勇也曰く、記憶を失う前の光樹も、勇也とはそこそこ仲は良かったということだ。まさか、勇也と普通に話せていたとは思わなかったが。

 そのようにして、順調に記憶を失う前のことは分かってきた。しかし、鈴だけは他二人とは違った。こちらが聞こうとすると、聞かないようにして無視してきたり、もしくは黙るように言ってきていた。そして、最終的にプラネテューヌへの道がどっちかということを発端として、言い争いが起きていたのだ。

 どちらも一歩も引かず、自分の言っていることが正しいということを主張する。

 

「だからさ、俺も記憶は失っているけど、ここでの記憶は失っていないんだから、こっちがプラネテューヌへの道だって!!」

 

光樹は鈴に対し叫ぶ。光樹が主張する理由は、以前この近くまでクエストで来たことがあったからだ。というのも、この分かれ道の近くに、見覚えのある石像を発見したのだ。それは単なる獣の像であったが、その姿はまるで四足歩行の動物と、手を持つ動物が混ざり合ったかのような像だった。

そんな珍しい像は光樹の頭の片隅にちゃんと残っており、帰る時の道もそっちであったため、その方向なら帰れるということが分かっていた。だからこそ、光樹はそれを主張していたのだ。

その発言に、聞いていた絵里奈やネプテューヌが支持する。」

 

「確かにー、光樹君はここでは結構生活しているんだし、ここに来たことがあるなら、なおさらだよー!」

 

「うん!光樹が言うんだから、こっちがプラネテューヌで間違いないよ!」

 

二人からの支持。これなら流石に鈴も従ってくれる、そう思っていた。だが、鈴はその考えを超える考えを持つことを話す。

 

「まぁ、確かにプラネテューヌへの道はこっちで合ってたかもしれないわね」

 

「だろ?……って、合ってたかもしれないってどういう意味だ?」

 

 鈴の発言に、光樹は疑問を浮かべる。かもしれない、という発言に対してだ。光樹は鈴が何を考えているのかを予測できなかった。

 光樹はどういう意味か考えていたが、その答えが出る前に、鈴は自身の考えを言う。

 

「でも、プラネテューヌへ行く前に、あの塔を調べておきたいことは……ないかしら?」

 

「あ……」

 

「あー、それはした方がいいかもー」

 

鈴の発言に、ようやく光樹もその狙いに気づくことができた。ゼロの距離予測では、あの塔は光樹達がいた地点から見て、手前側……つまりは距離で言えば、黄金の塔の方が先に到着できるのだ。つまり鈴は、先に行けるなら、その怪しげな黄金の塔へと行って、何かこの異変に関係しそうな証拠を掴もうと言っていたのだった。

そんな考えに、絵里奈に続いてネプテューヌも納得した様子を見せた。

 

「おおーっ!それはいい考え!さっすが光樹と同じ組織で働いているだけのことはあるね!」

 

「まぁ、こんなことは、GKSWAXPメンバーにとっては当たり前の考えよ。もっとも、そこにいる馬鹿は、一つの考えに縛られているみたいだけどね」

 

「……っ!」

 

鈴からの発言に光樹も苛立ちを見せる。その様子は、また言い争いの起きそうな雰囲気であった。しかし、そこで勇也が話に入ってくる。

 

「ま、ここで面倒な言い争いは止そうぜ。光樹もここは素直に鈴に従っとけ。鈴の方が今は経験もあるし、判断もいいと思うし」

 

その提案に光樹は嫌そうな顔をする。あまり素直に従って、後々の主導権を取られたくなかったのだ。そう思うのは、絵里奈から聞いた、光樹の元の世界での立場であった。

 光樹は私設式(以下略)ことGKSWAXPにて、全てのメンバーを束ねる、総司令であるということを教えられた。この辺りの話は、以前イストワールに見せたドッグタグのことから、ある程度は知っていたが、問題はどれほどの規模の総司令か、ということであった。絵里奈によると、光樹の肩書であるGKSWAXPの総司令は、世界の経済界にすら影響力を与えるほどの身分。国家間の戦争時にも、光樹の影響力があると言われているのだそうだ。

 それ程の階級なら、ここは自分に分かる範囲ならちゃんと隊員でもある鈴達に指示していかなければならない。そう思ったのだ。

 しかし、今のやりとりでも分かったように、鈴は今は自身よりも頭の切れる司令塔。光樹の留守を預かっていたほどなのだから当然であった。光樹も仕方なさそうにしつつも、鈴に従うことを全員に告げる。

 

「勇也……。っ!!分かったよ……とにかく、行くとしようぜ、ネプテューヌ」

 

「うん!じゃあ、まずは黄金の塔へ!!しゅっぱーつ!!」

 

「おー」

 

「ってぇ!!何あんたが仕切ってんのよ!?絵里奈も今の馬鹿光樹の雰囲気に乗らない!!」

 

「……やれやれ。記憶を失っても、周りをさりげなく巻き込むクセは健在のようだな。」

 

鈴がツッコミを入れつつ、勇也も呆れ笑いをして、先行く光樹やネプテューヌの後を追いかけていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ。やっと着いた…」

 

ネプテューヌは思わずそう呟く。あの言い争いから1時間ほど歩いて、5人はようやく、黄金の塔のふもとにまでたどり着いていた。しかし、その距離は長く、光樹もネプテューヌと同じように息が上がった様子を見せていた。

 

「ほんと、長すぎだろ……この距離。あそこから1時間近くかかるとか……」

 

しかし、そんな二人をよそに、鈴、勇也、絵里奈の3人はすぐに行動を開始していた。全員が同じような端末を持って、黄金の塔のあちこちを調べ始める。

 うわぁ、すごいなぁ。わたしは思わずそう思う。塔が凄い金ぴかだったり、高いこともそうだけど、それ以上に驚いたのは、鈴たちの女神じゃない子たちの体力。女神のわたしが少し息をつくくらいなのに、みんな息つく暇なく、すぐに色々と調べ始めるんだから。

 本当に疲れていないのか、気になったネプテューヌは、どうなのか聞いてみることにした。聞く相手は鈴ではない、もう一人の女子、絵里奈という少女にであった。

 

「ねぇねぇ、絵里奈ちゃん、だったっけ?」

 

「あ、はいー。なんでしょうか、ネプテューヌ様ー」

 

ネプテューヌの確認の言葉に対して、絵里奈はゆったりとした語尾をつけつつも、礼儀正しく答える。この反応に、ネプテューヌも少し困ってしまう。

 

(な、何だろう、この感じ……。どことなくぷるるんに似た話し方なんだけど、変に礼儀正しいっていうか……)

 

ネプテューヌとしても、絵里奈がどうしてそのような話し方なのかはある程度分かった。おそらくは女神という立場であるため、それを尊重しているのだろうと考えていた。しかし、その気遣いは、逆にネプテューヌに気を遣わせていた。見た目からして、大体ネプテューヌと同じくらいの容姿。年齢や考え方もネプテューヌとは同じくらいのはずで、気軽に話せる雰囲気が普通ならあってもおかしくはなかった。

しかし、目の前の絵里奈という少女は、口調こそのほほんとした、年相応の少女であったが、それでもその話し方から、どこか遠慮しがちな気をネプテューヌに感じさせていた。

すると、そこでネプテューヌは思い切って言ってみることにした。

 

「ねぇ、絵里奈。わたしのことは特に気を使わなくっていいから、気軽に行かない?」

 

「気軽にー?」

 

 その要求に、絵里奈は疑問符のようなものを浮かべる。言葉の意味が分かっていないようなので、ネプテューヌはその言葉に肯定しつつ、説明する。

 

「そうそう!わたしのことは、ネプちゃんとか、ねぷねぷとか、ねぷえもんって呼んでくれていいからさ!とりあえず、様付けっていうのは、わたしの性格にも合わないからさー」

 

 それを聞いて、絵里奈も理解を示したように頷く。

 

「あぁー!私今までネプテューヌちゃんのこと、様付けだったよ!ごめんねー、ネプテューヌちゃん」

 

 その言葉を聞いて、ネプテューヌも安心する。よかったぁ。結局のところ、絵里奈はわたしのことちゃん付けで今まで接しようとは考えていたんだね。ならよしよし!

 ネプテューヌはそれを確認すると、話を続ける。

 

「うん!それでオッケー!でも、まさかちゃんとわたしの名前を呼んでくれるとは……これも流石、秘密組織の一員ってところなのかな?」

 

「あ、うん。GKSWAXPだよー。でも、これとはあんまり関係ないかもー」

 

「オオウ!まさか、そんな風に返されるとは……流石だよ、絵里奈ー!」

 

二人でしばらくの間、話を華やがせる。すると、そこで塔を調べていた鈴が端末で絵里奈の頭に軽くぶつけて話を持ってくる。

 

「はいはい。お話はそこまでにしてもらえる?お二人さん」

 

「あ、鈴ちゃん」

 

「何かわかったの?」

 

鈴は若干怒り気味に二人に話しかけていた。さっきの言い争いがまだ鈴の中では不満なのか、それとも二人が今優先すべき、塔の調査をさぼっていたからなのか。それは分からないが、すぐに絵里奈とネプテューヌは鈴に返事をした。

二人の聞き返しに、鈴は全員を集める。

 

「まぁね。とりあえず、そこでへたばってる馬鹿光樹もこっちに来なさい。」

 

「そんなにへたばってないって。……で、この塔は何なんだ?」

 

光樹は溜息をつきながらも、鈴にこの黄金の塔の事について聞いた。それを聞いて、鈴は大きく息を吸ってそのことについて触れる。

 

「とりあえず、外観はね。で、分かったことは……」

 

『分かった、のは……?』

 

光樹とネプテューヌの声が重なる。二人共、その事実について気になるという雰囲気を出す。

 そして、鈴はその結論を出した。

 

「外からの解析が、全然ダメ。内部構造のスキャンが出来ないわ。」

 

『ズコーッ!?』

 

驚くほど、肩透かしな回答であった。要するに、分からなかった、ということであった。ネプテューヌとしては、先程の鈴の様子から、何か分かったから、早くこっちの話を聞いて欲しい、という風に見えたので、従ったのだが、まさか分からないと来るとは思わなかった。おかげで二人は大きくコケるような声を出してしまっていた。

鈴もその結果には思わず呆れた様子で手を横にして息を吐いてうなだれる。鈴としても、この結果は予想外のようだ。

一方、しばらくその様子を見ていた勇也が、少し笑う。

 

「……フフッ」

 

「何よ、勇也。そんな変な笑いをして。あんただってそっちで調べて同じ結果だったでしょう?」

 

その姿に、鈴は若干キレ気味に詰め寄る。ネプテューヌの目から見ると、何故かその様子が理不尽に勇也という少年……というより、青年が怒られているように見えてしまい、何故だろうと感じる。しかし、その考えに答えが出る前に、詰め寄られた勇也が先程の笑いの理由を呟く。

 

「いや、なに。光樹がここまで馬鹿になっているとは、ってな。」

 

「はぁ!?俺が馬鹿になってるって……」

 

かなりの変化球だった。鈴に笑った理由を話していたはずなのに、光樹の話になっていたのだ。いきなり話を振られた光樹も、唐突の事だったため、戸惑いつつも言い返す。

そんな姿に、ネプテューヌもまた笑う。

 

「あはは!光樹言われちゃってるよー!」

 

「ネ、ネプテューヌも笑うな!!」

 

「もうー。鈴ちゃんも勇也君も、光樹君は記憶がないんだからしかたないでしょー!?」

 

 反論する光樹に絵里奈がフォローを入れる。一緒に行動していて気がついたのだが、絵里奈はどうやら光樹のことが好きなんだ、と紫の女神は感じていた。だからこそ、自身の思い人が色々といじられていると保護したくなる。今のように。

 しかしながら、話が脱線してしまっていたことに気づく。まさか、中が分からないなんて、そんなのはおかしい。そう思い、ネプテューヌは直接的な行動へと移す。

 

「でも、中がわからないんなら、直接中に入ればいいだけだよ!中に入って上から見下ろせば、プラネテューヌがここからどの方向にあるのかもわかるしね!!」

 

そう言って、わたしは黄金の塔の入り口に向かって走り出す。そうだよ。外から様子がわからないんなら、中に入ればいいんだよ、要するに探索!いつもの行動。

 

「あ、ちょっと待ちなさ……」

 

制止する鈴の声を聞かず、ネプテューヌはそのまま黄金の塔へ入れるように見える扉へとたどり着く。そして、そのままその扉を開けようと取っ手に手を掛ける。

 

 

 

 

「それじゃあ、おじゃましまーっす」

 

 

 

 

その声と共に、扉は―――――開かれなかった。

 ……あれ?びくともしないけど……?あ、そうか、これ引くんじゃないかな?そう思ってわたしは押すのではなく、引いてみた。

 だが、それでも扉は開く気配を見せない。それどころか、引いた時の力で腕に疲労が貯まる。その状況に、ネプテューヌは叫ぶ。

 

「ちょっとちょっと!引いても押しても全然開かないよ!?」

 

 怒るのも当然だ。自分は扉なら開くはずだと思い込んで、力を込めて開けようとしたのに、扉は1ミリたりとも動くことがなかったのだから。

 なぜ開かないのかと騒ぐネプテューヌに、鈴が溜息をつきながら説明する。

 

「まったく……言おうとしたのに」

 

「何々!?どういうことなの!?」

 

「この扉、力任せじゃ絶対開かない扉よ」

 

それを聞いて、ネプテューヌは一瞬、どういうことかと思ったが、その説明を聞いた光樹の言葉によって理解する。

 

「それってつまり、何か特殊なものがないと開かないのか」

 

それは、この扉がある条件下でしか開かないということを意味していた。それが正解であるということを、鈴も語る

 

「その通り。よく分かったじゃない、光樹」

 

「そりゃどうも」

 

 鈴からの皮肉ともいえる賞賛に、光樹は嬉しそうにはせず、不満そうにしながらも礼を言った。だが、それではこの塔を調べることは不可能ということを意味してしまっていた。

 どうしようかと考えていると、絵里奈が提案を行う。

 

「そうだー。じゃあ、空を飛んであの塔の頂上まで行けばいいんじゃないかなー?」

 

 それは、このメンバーではもっともな考えであった。幸いにも、このメンバーは全員が何かしらの方法で空を飛行することができるメンバーだ。光樹たち別世界の人物たちはガンダムになれば飛べる。そして、ネプテューヌ自身は、女神化すれば飛べる。それを知っている絵里奈に限らないが、全員の力を知っているからこその考えであった。

 ところが、そこで問題があった。それはネプテューヌに起こっていた問題であった。

 

「うーん、確かにいい考えなんだけどなー。わたし、女神化しようとしても、ゴールド何とかに負けたダメージかなんかのせいでいまいち女神化出来ないんだよねぇ…」

 

「え?それは本当なの?ネプテューヌ」

 

「うん。途中で道をどっちに進むかでもめた時に女神化しようとしたんだけど、どうもうまく女神化出来なくって……」

 

 それは唐突なカミングアウトであった。女神化出来ない。その問題は、共に行動するうえでもっとも重大な問題であった。いつもシェアが他の国と比べてギリギリな国なのに女神化できていた今までの事もあり、ネプテューヌもこの状況には困っていたのだ。

 そして、その情報は、一緒に居た光樹はもちろん、鈴や勇也、絵里奈にも動揺を与えていた。

 

「えー!ネプテューヌちゃん、女神化出来ないのー!?じゃあ、飛べないよー」

 

「……とはいえ、四人も飛べるやつがいるんだ。一人くらい、誰かが抱えて行けば問題ないんじゃないか?」

 

絵里奈はそのことに落胆してしまうが、そこで勇也が機転を利かせる。飛べないのはネプテューヌだけ。なら、誰かが運んでいくことが出来れば、余裕で行けるはずだ。

 それを聞いて、鈴もその方向で行くことを決めたようで、話を進めていく。

 

「じゃあ、誰が運んでいく?あたしの機体は陸戦重視で、空なんか飛べないわよ?」

 

 自分の機体ではネプテューヌを運べないという鈴。だが、そこで勇也が思いもよらない発言をする。

 

「大丈夫だろ。お前はビースト形態でネプテューヌがそれにつかまって登っていけば」

 

「はぁっ!?あんた正気!?」

 

思わず鈴は怒声を発しながら、勇也に問い詰める。一体、何を言っているのか、ネプテューヌには分からなかったが、そこで光樹からも質問が出る。

 

「なぁ、要するにどういうことだよ?」

 

「……これ考えたの、元々はあんたなんだけどね……。―――――要するに、あたしの機体が機体のかぎ爪で塔に張り付いて登るから、その背中にネプテューヌが乗ってくれってことよ」

 

 へぇ、そんな風に……って、何その斬新なアイディア!?思わずわたしは心の中でそうツッコんだ。え、何?鈴が壁に張り付いて登るから?わたしはその背中に落ちないようにしてしがみ付いてろってこと!?

 ネプテューヌも流石にその考えにビックリ仰天してしまう。誰も思わないだろう。まさか壁をよじ登っていくような人の背中に付いて、塔を上るなど。

 そのダイナミックなクライミング法には光樹も苦言を呈する。

 

「うーん……いくらネプテューヌでも、それはどうなんだ?」

 

「俺が知っているネプテューヌなら、このくらいはやると思うんだがな」

 

 ところが、その勇也の言葉に、ネプテューヌは反応した。

 わたしならやる?つまりは、わたしならそれをやるってこと。つまり、わたしにしか出来ないってことかな!?わたしにしかできないってことは、それはつまり、主人公にしか出来ないこと!?

 そのようにネプテューヌは様々な考えを巡らせる。勇也が言っていた言葉の意味を考えずに、主に、自分の長所を拡大解釈しながら。そして、危険性を一切無視し、出した答えはただ一つ……。

 

 

 

 

「わたし、やるよ!!」

 

 

 

 

それは、自殺宣言とでもいうべき発言であった。その宣言に、誰もが唖然とし、頭を抱え、苦笑いをする。しかし、彼女の意志は変わらない。

その宣言を聞いて、諦めた様子を見せた鈴が、声を大にして言う。

 

 

 

 

「分かったわよっ……!でも、絶対に離さないでよね。結構揺れるし、落ちても知らないから!!」

 

そうして、全員は黄金の塔へと昇る準備を始めた。数分後、彼らは黄金の塔の頂上を目指して登り始めた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

レイ「いきなり開始早々から、光樹君と鈴ちゃんの言い争いが来るだなんて……光樹君記憶戻ってるんじゃないの?」

いや、光樹君はGKSWAXPを介さない元々から鈴さんに嫌われているような感じですからね。記憶を持っている鈴はもちろんのこと、光樹君もGKSWAXPの記憶がなくても苦手意識があるから、こうなっているんだと思いますよ?

ジャンヌ「それには今後上手くやっていけるのかという不安が残りますね……。でも、それ以上に勇也さんのアイデアに驚きなんですが……」

レイ「そうだよ!!壁を駆けるようにして登っていく鈴ちゃんのガンダムの背中に捕まるなんて、よくネプテューヌちゃんもやる気になったよね……私よりすごいかも」

勇也さんの話によれば、それ当たり前の光景なんだとか(笑)

ジャンヌ「え?」

レイ「ってことはつまり、他にもやった人いるの!?」

らしいよ。でも本編でも言ってたとおり、それを考え付いたのは他でもない光樹君だという

ジャンヌ「光樹さん……」

レイ「規格外すぎだよぉ……。で、でもそんな感じのアトラクションがあったら、一度は乗ってみたいかも!」

ジャンヌ「だ、駄目です!レイさんをそんな危険な目に遭わせたら、絶対に駄目ですっ!!」

うん、レイさん。さすがにあれは常人では不可能に近いから。あんなのやれるの多分普通の人なら大人ネプテューヌくらいしかやらないと思う。

ジャンヌ「いや、大人ネプテューヌ様でも、流石にやらないと思いますよ!?」

今度聞いてみましょうか。聞けるときにでも(笑)
さて今回は話の構成を少し変えてみたのですがいかがったでしょうか?

ジャンヌ「段落下げを行なったんですね。他の方の作品を見て、やろうとしたのでしたっけ?」

いや、小説書く上での基本知識的なものにあったからです。よく考えると、段落さげてないと読みづらいかなと思ったのは前々からも少し思っていたのですが、機会がなかったので

レイ「あ、あとセリフの所!最後が「。」で終わらなくなってるね」

それも変更点ですね。他の方のを見てこちらも今回から変更いたしました。それでは、次回予告です

レイ「次回は日曜日だよっ!」

ジャンヌ「では皆様。今回から想定EDも復活ですっ。曲は「迷々コンパスはいらない」を聞いてお別れですっ。皆様もお体を大事にしてくださいねっ!」

では皆様、また次回!


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第93話 アイエフとの再会

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?今日は昨日、自転車がパンクしたのでサイクルショップに修理に出して、バトスピのショップバトルに行って帰りに取りにいきました、藤和木弘でございます

レイ「大変だねー。ショップバトルのある店まで歩いて行ってきたんでしょ?お疲れさまー!さて、どうも、みんな!最近はディーバブースターの情報を見ていることが多い、レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「今回は本当に多くの詩姫がまた新しく登場しますね……(藤和木はわたくしだけを見てくれればいいですから……他の娘は……)。どうも、皆様。藤和木に新しいカードを使ってのわたくしが主役のデッキを作ってもらうようにお願いしている、ジャンヌ・ドラニエスです」

いや、あのさ……これはディーバブースター恒例の仕様なんだけどさ、今回のジャンヌさん、フレンドくらいしか使えないんですが……

ジャンヌ「何を言っているんですかっ!わたくしとレイさんだけで組んだデッキを作れば動けますよ♡」

ごめん!それ組んでみたいと思ったけど、確実に事故る未来しか見えなかったから不採用で!さて、今回は第93話を更新です。

レイ「アイエフちゃんが登場かぁ。私達はまだ会ったことないねー」

ジャンヌ「アイエフさんとの再会で、事態は動くのでしょうか?」

さて、気になったところで本編へどうぞ!


 

 

しばらくした後、黄金の塔のふもとに一人の少女が訪れていた。少女は茶髪のロングヘアーに双葉リボンを装着、服は黒の短パンとウェア、そして足元まで伸びる長いコート。その姿は、どこか現代風の探検家のようにも見えた。

そんな彼女の名はアイエフ。彼女の目的は、特にはなく、ただ仕事の途中で立ち寄った、というだけだ。いつ頃出来たのかは、アイエフにも分からなかった。しかし、昔からあったとなぜか認識しており、思うのは、いつか登ってみたい、という気持ちであった。そして仕事というのは、とある人物を調査する、ということであった。

というのも、自分の上司である、プラネテューヌ教会の教祖、イストワールがどうしても、というので、調べに来たのである。一応、アイエフも組織の一員ということもあり、断りはしなかったものの、その様子は今までとは違っていたように感じていた。いや、ここ数日の間から、何か様子がおかしかったのである。一つ例を挙げるなら、「女神」という単語を言うことが多くなっていたのだ。「女神」だなんて、そんな存在、このゲイムギョウ界に存在しているはずがないのに、変なことを言っているわ、とアイエフは思っていた。

この仕事も、イストワールが話していた時に「女神」と言いかけていたので、それ関連なのだろう。アイエフとしては、そんなもの、存在するなんて、馬鹿らしいと考えていた。とはいえ、自身の上司からの直々の命であるので、適当に済ませるつもりはない。ちゃんと調べて、その不安を断ち切らなければ。あの子のためにも。

そう考えつつ、改めて塔を見る。塔は果てしなく高く、自身の好奇心に刺激を与える。

 

「これが黄金の頂ってやつね。塔マニアとしては登ってみたいけど、今は仕事が先よね」

 

 その高さは、今までアイエフが攻略したどの塔型のダンジョンよりも高くそびえ、一度でいいから、挑戦したいと思っていた。このゲイムギョウ界には、これと同じ、黄金の塔こと、「黄金の頂」と呼ばれるダンジョンが他に3つそびえていた。しかし、今までアイエフはそれらに登ったことはない。仕事が多忙だったのだ。

 

「登りがいのある塔だし休暇がとれたらまた今度来ようかしら」

 

 だがしかし、今は仕事の方が先。早速周囲を調べようとした。その時である。

 

ねぷうううぅぅぅぅ

 

どこからか声のようなものが耳に入る。しかし、声は聞いたことのない様な、変な言葉であったが。しかしながら、その声の聞こえ方から、人の声であることは分かった。

 

「………ん?何かしら、人の声?けど、いったい何処から?」

 

 そう呟いたアイエフはどこから声が響いているのか、と周りを見回す。しかし、首を横に振っても、どこからの声かはアイエフには判断しかねた。見渡した先には、森が広がるばかり。先程通ってきた道からも、人が走ってくるような光景は見えない。

 不思議そうに思っていると、また同じ声の主からと思われる声が響いてくる。

 

 

 

 

「落ちるーっ!どいてー!退いて退いて!!」

 

 その声で、ようやく自分の置かれている状況が分かった。自分の頭上から、誰かが落ちてきているということに。すぐにアイエフは嘘ではないかという疑念を持ちつつも、気づいたことを口にする。

 

「…まさか上から!?」

 

「どいてってばーーっ!」

 

また一際、大きな声が、アイエフに向かって飛んでくる。アイエフはすぐに上を向く。すると、そこには確かに上方からこちらに向けて落ちてくる物体(というより、人)が見えた。それは光の逆光で性別は分かりづらかったが、声の高さから、おそらく女性、それも少女なのだろう。ともかく、少女が落ちて来ていた。

だが、そのまま居ては、こちらが危ない。現に落ちてきている方も退いてと言っている。なら、ここは退避するしかない。落ちてくる少女が無事なことを信じつつも、この状況にツッコミを入れる。

 

「な、何で子どもが空から降ってくるのよ!?」

 

 そんなアイエフのツッコミに、落ちてくる少女は言葉を返す。

 

「子どもって…あなたこそ人のこと言えないでしょ!だいたい誰!?」

 

なぜ、こんな状況で自分の紹介をしなければならないのだろうか。しかも相手は落下中という状況で。紹介する間に既に地面に着いているような気もしたが、しょうがないので、自己紹介をすることにした。

 

「私はアイエフ。ゲイムギョウ界に吹く一陣の――――」

 

「って、あいちゃんだーっ!」

 

「――――って!何悠長に落ちて……」

 

 

 

 

ドッガァァァァァァン!!!

 

 

 

 

盛大なまでの着地に生じる風圧と着地音で耳と視界が遮られる。幸い、ちゃんと避けていたため、アイエフは無事、危機を乗り越えていた。

 ……まったく!何なのよ!いきなり落ちてくるわ、しかも人が名前を言ってる最中に遮ってくるわ。しかも、名前もあだ名で呼んでなかった?あいちゃんってコンパくらいしかそのあだ名で呼んでいないはずなのに……。

 そんな不満を持ちつつ、アイエフは風圧で閉じた目を開く。すると、目の前に少女ともう一人……否、もう一人と言ってよいのだろうか、もう一機、ロボットのような物が目の前にいた。

 いきなり、そんな人物とロボットがいて、アイエフも少し茫然とする。だが、目の前にいる者たちは、そんなことは気にしていないかのように、自身に話しかけてくる。

 

「光樹、ありがとう!……いやぁ、にしてもこんな形であいちゃんと再会するなんて、初めて会った時のことを思い出すね!確か、あの時も地上にいたあいちゃんの目の前に、真ネプトラルタワーの最上階からついうっかり足を滑らせたわたしが、落ちてきたんだったよね!」

 

「それ、どんな出会いだよ。塔から落ちてきたっていうのは知っているけど……。でも、まさかここでアイエフと会えるとは、助かったぜ。ようやく知り合いに出会えたし、久しぶりだな、アイエフ」

 

 まるで、自分の事を知っているような、それも、かなり仲が良さそうな雰囲気で話しかけてくるので、意味が分からなかった。アイエフ自身、こんな人物たちは知らない。いきなり塔から落ちてくる子どもも、機械の知り合いも。一応、機械の知り合いは、教会にいる「アイツ」がいるけれど、こんな人型サイズのロボットは知らない。知っていたら、覚えているはずだ。

 なおもしつこく迫ってくる二人に対し、アイエフは告げた。

 

「…あのさ、アンタたち、誰?てか、なんで私のあだ名を知ってるわけ?」

 

「な……知らない!?」

 

「やだなぁ。さすがのあいちゃんでも、それは酷いんじゃないかな?」

 

その言葉に、二人は信じられないという反応を取る。特にロボットの方はかなり驚いた様子を見せていた。だがもう一人の、少女の方は、確認するかのように謝罪しつつもう一度聞き返す。

 

「突然会場から姿を消したのはわたしたちだって不本意だったんだから、それで怒るのはお門違いだと思うな」

 

 相変わらず、言っている意味が分からなかった。会場だの、姿を消しただの、身に覚えのないことに、アイエフは困る。更にお門違いとまで来ている。ここまで来ると、頭のおかしいことを言っている、変な子としか思えない。もしかすると、先程の落下のショックで、記憶が混乱しているのかも……と考える。

 そこで、アイエフは大丈夫かどうかを聞く。

 

「…アンタ、何を言ってるの?もしかして、落ちてきた時に頭ぶつけたとかないわよね?それなら、早く救急車を呼んで病院に連れて行かなきゃ。そっちのロボットはコールセンターにでも連れて行けばいいかしら?」

 

すると、ロボットの方が行動を起こす。

 

「……仕方ない。アクセス解除」

 

 その言葉と共に、ロボットが光に包まれる。いきなりの事に、アイエフは目を閉じる。

 

「きゃあ!何!?」

 

 いきなりの行動で、すぐに戦闘態勢を取る。が、それはすぐに解けることとなった。なぜなら、光が晴れたそこにいたのは、一人の少年だったのだから。なぜ、そこに今までいなかった少年がいるのか。最初は戸惑うアイエフだったが、すぐに状況を察して確認する。

 

「……ひょっとして、今さっきのロボット!?」

 

「あぁ、そうだよ。これでも誰か、分からないか?アイエフ」

 

アイエフの問いに、少年は答える。確かに、ロボットは少年であったのだ。その事実に、アイエフは未だ信じられなかった。まさか、ロボットの中に人がいるなんて、と。

なおも来るロボット改め、少年からの質問に、アイエフも気づいて答える。

 

「……残念だけど、アンタみたいなとんでもない子は知らないわ。知ってたら、覚えているわよ」

 

「…………それも、そうだよな……」

 

少年の方は、それで納得したように頷く。少年の方は大分物分かりがいいようだ。そう感じると、妙にこの知り合い感に説得性も出てくる。だが、当然アイエフはその少年や、女の子のことは知らない。

冷静に話をする少年に対し、もう一人の、やたら馴れ馴れしく付きまとってくる少女の方は、更に活発的に怒りを込めてくる。

 

「もう、あいちゃんたら失礼しちゃうな!けど、これ以上人をバカにするのはさすがのわたしでも怒っちゃうよ」

 

「…はぁ」

 

その様子に、アイエフは溜息をついてしまう。

 ……何なの、この子たち。一人はやたら熱心に人を知っているように迫ってくるし、もう一人は冷静だけど、こっちも少しおかしなことを言っているし。

 少しの間、考えた結果、結論を出す。

 

「ダメね、こっちの子。余程頭を強く打ったせいか、言っていることが滅茶苦茶だわ。幸い少年の方は大丈夫なおかげで大体聞きたいことは分かったけど、それでも私は知らないし」

 

「まさか、こんなことになるとは……」

 

少年の方も、その言葉を聞いてがっかりする。するとそこに空から更に人物が現れる。

 

「馬鹿光樹、ネプテューヌ様大丈夫でしょうね!?」

 

「あぁ、鈴。とりあえず大丈夫なんだけど、ちょっと来てもらっていいか!」

 

少年の見上げた方を向くと、そこにはとんでもない光景が広がっていた。そこには先程の少年の姿と雰囲気がよく似た、ロボットが3機もいたのだ。しかも、一機は壁を獣のように腕と足でしがみ付いているなど、明らかにその性能は見るだけでおかしいのが分かった。

すぐにアイエフは、再び戦闘態勢を取るが、それを見て、相手側も慌てて地面に着地し、少年と同じような光を発する。再びそのまばゆい光に目を瞬きさせると、その間に三機のロボットはまたしても人の姿へと変貌する。

もう……さっきからなんなの!?いきなり降ってくるわ、ロボットが人間になるわ。こんなのイストワール様が言っていた、女神って存在よりも信じられないわよ……。

現状に声が出せずにいると、変身を解いた少女の一人、ショートカットの少女が先に変身を解いた少年、確か、コウキ、だったと記憶している。そのコウキに近づいていく。

 

「あぁ、実はちょっとさ……」

 

そう言ってコウキは、少女の方……おそらく、リンという名前の少女と何やら話をする。しばらくの間、それを見ていたのだが……途中、少女の方が変に大きな反応をしているため、不信感を感じる。いや、この場合は不信感ではなく、本当に大丈夫かどうかという、不安なのだが。

そう思っていると、話し合いが終わる。そして、リンという少女がこちらの方に来て声をかけてくる。

 

「あなたがアイエフね」

 

「えぇ、そうだけれど……あなたは?」

 

「あたしは光木鈴。世界を守護する人達、って認識でいいわ。ところで聞くんだけど、あいつらのこと、覚えてないの?」

 

 アイエフの問いに答えつつも鈴はそう聞いてくる。一応、落ち着いた言い方だったため、話の内容は分かったが、相変わらず、聞いてくるのはあの少年を覚えているか、ということだった。先程も答えたのに、まさかもう一度聞いてくるとは思ってなかった。だが、理由は分かる。おそらくはコウキという少年が、そのことを言っていなかったのだろう。

 そのことを今一度鈴に説明する。

 

「残念だけど、知らないわ。頭のネジが沢山外れている女の子に、あんないきなり機械に変身していた男の子なんて、見たのが初めて……じゃないか。確か、シェアプロテクターっていうのがあったはずだけれど……」

 

「シェアプロテクター……聞かない名前ね」

 

鈴は首を傾げる。その言葉に、アイエフは不信感を覚える。確か、シェアプロテクターは最近になり、存在が公になった存在。それも、四か国に同時に教会より発表された最新鋭機。なら、その存在を知らないはずがないというのに……。

それに先程鈴の言った「世界を守護する人」という認識も引っかかる。この世界全体を守護するのに、こんな大々的に公開できそうにない、シェアプロテクターと似たような機動兵器を持っているのはおかしかった。

今話している者達が何者なのか。それを警戒しつつも、アイエフは話を聞くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱりおかしいわ。この意見の食い違い。それに、光樹の事はおろか、ネプテューヌの事も覚えていないだなんて……。

 アイエフからの言葉を聞いて、鈴は考えを積み重ねていく。鈴がおかしいと思っているのは、ネプテューヌと光樹に繋がる人物の中でも、重要な立ち位置にいると思われる、アイエフが二人の事を覚えていない、ということだ。

 先程、光樹から短く聞いた話、そして、他の世界の情報では、アイエフという存在は、大抵がネプテューヌとは顔見知りであることが多いという。もちろん、この世界でも、光樹がやってきた時に知り合い、これまでもクエストでお世話になったことも多いという。

 だが、そこで覚えていないというのはおかしい。光樹がこの世界の時間ではかなりお世話になっていたというのに、そのことを忘れてしまうなど、わざとそう言っているようにしか思えないのだ。

 それに、彼女も「あの時」、G-1グランプリ決勝のことを見ていたはず。なら、あのハプニングのことも覚えているはず。しかし、それすらも話に上がらない。まるで、記憶がないかのように。

 そんなおかしい状況に、絵里奈が耳元で声をかけてくる。

 

(ねぇ、これって少しおかしいんだよね?)

 

(絵里奈……えぇ、そうよ。それもかなりね)

 

(だよね。だって光樹君の事、覚えてないだなんて……)

 

絵里奈の言う通りである。この違和感、間違いないと思った。この違和感は、あの時の襲撃が引き金だと。だが、それと同時に疑問を持つ。ならば、誰がこんなことをしたのか。怪しいのは一見すると、あの時スタジアムに降りて来て、光で覆った黒い服の大人になったネプテューヌだと思われる。だがしかし、鈴にはあのネプテューヌに悪意を感じなかった。あの時の言葉も、誰か別の人物に向けられた言葉のように思える。

では、誰なのか。その事が鈴の頭の中を駆け巡る。そんな中、アイエフとネプテューヌ、それに光樹が状況を動かす。

 

「けど、安心したわ。ようやく、普通に会話できるようになってきたじゃない」

 

「いや、俺は最初から割と落ち着いていたような気がするんだけど……」

 

「まぁ、あんたは外見が外見だったからね。ちょっと詰め寄ってきたところはさすがにちょっと引いてけどね」

 

光樹とアイエフは互いに先程の状況整理や、これからどうしようかについてを話している。一応、これからどうしようかと考えていたところなので、話を進めている光樹には心の中で感謝する。

だが、状況はなかなか最悪だ。というのも、この今の世界、どうも女神サイドの味方がいないように思える。ネプテューヌの親友ともいえる存在であるアイエフがこの状況……もしかすると、この異変に巻き込まれていない、女神候補生達にも被害が……。

そんな最悪なことは避けたい、と思っている間に、話は動きを見せる。

 

「あ、そうだ。せっかくだから、ちょっと調査に協力して欲しいんだけど。この辺りで不審な人物を見かけなかった?」

 

「不審な人物?」

 

「何?この辺り、不審者でもいるの?」

 

「えぇ。別に人を襲ってるとかじゃないんだけどね」

 

鈴の問いにアイエフがそう言った。鈴としては、この世界に長くいるというわけではないため、答えるのは難しい。それに今のこの状況で役に立つような情報ではなさそうだ。

とはいえ、その不審者というのは気になった。もしいるのなら、ちゃんと注意、もしくは確保しなければならない。GKSWAXPに所属しているための癖だ。何故か、不審者と聞くと、自組織が警察組織系列でもあるためか、自然と仕事のことを思い出す。それに、もし自身と同じ女性が襲われでもしたら、乙女として、許すことは出来ない。それ故に、この話は聞いておきたかった。

 

「へぇー、どんな人なの?」

 

「怪しい人にどんな人って言っていいのか……?」

 

アイエフの話に、絵里奈も聞きたいという気持ちを表に出す。怪しい人物に興味津々なのはあまり褒められるものではないが、鈴自身も聞きたいとは思っていた。勇也のツッコミには同情しつつも、鈴はアイエフにその人物について聞いてみる。

 

「ちょっと情報が不十分だけれど、聞くわ。そいつの特徴は?」

 

すると、アイエフはその人物の事について口を開く。

 

「分かったわ。見るからに怪しいオバサンなんだけど」

 

「ううん。見てないよ?」

 

それを言って、話は終わる。しばらく続いた沈黙ののち、それでようやく話の内容を理解し、焦ってアイエフに聞き返した。

 

「え、ちょっと待って。もしかしてそれだけなの!?」

 

「えぇ。ちょっと不確定な情報だから、まだ調査段階なのよ」

 

「そんな……」

 

鈴は思わず肩を落とす。まさか、それほどまでに情報がないとは。一応、分かりやすい特徴ではあるが、それがまさか、見るからに怪しい、それもオバサンだとは思わなかった。

完全に無駄な情報ではあったが、少なくとも男ではないことに鈴は安心した。それに、そのことを聞いて、アイエフもまた溜息をつく。

 

「てなると、デマを掴まされたか…」

 

 思うように調査が進んでいないのが見える。デマを掴まされるのがかなりキツイのは鈴も分かる。そんな中、ネプテューヌがその怪しいオバサンのことについて、更に情報を聞いていく。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

レイ「前回結構危ないことをしながら塔を上っていったネプテューヌちゃんだけど……本当に落ちちゃうなんて……ね」

ジャンヌ「でも、あれで無事だなんて……流石女神様です」

シリーズで言うなら、あれ以上に高いところからネプテューヌ落ちたことあった気がしますからね。女神の名は伊達ではない!

ジャンヌ「いえ……女神様でもあれって他の人はどうなんですか?ノワール様とか……」

ノワールは高高度から落ちてきた女神の下敷きになったことがあるからね。それも1回どころじゃなく、2回、3回と

レイ「女神様ってタフ~だねっ!」

ジャンヌ「ですが、まさかネプテューヌ様や光樹さんのお知り合いであるアイエフさんが覚えていないだなんて……この異変、普通じゃありませんね」

さて、この異変はどう動くのか?ちなみに次のお話ではアイエフに同行して目的地へと向かいます。さて、今回はここまで!

ジャンヌ「次回は土曜日に更新予定ですっ!また、その日はディーバブースター第4弾、「詩姫学園」の発売日ですっ!」

レイ「みんなも気になったらぜひ買ってみてねーっ!また次回!!」


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第94話 ひとまずは目的地へ……

どうも、皆様、お元気でしょうか、バトスピディーバブースターで見事に爆死した、藤和木弘デス……

レイ「完全に絶望の目になってるね……先週のよろこびが嘘みたいだよ……。っと、どうも、みんな!いつもと変わらない、レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「で、ですがもう既にわたくしのパラレルイラストはネット通販で購入されたんでしょう?ならいいじゃないですか。どうも、皆様。デッキも新調し、色々な喜びも多い、ジャンヌ・ドラニエスです」

いやー、まさか同じ同志に会えるとは驚きです。やっぱりジャンヌさんは可愛いんだ!

レイ「よかったねー、ジャンヌちゃん!」

ジャンヌ「は、はいっ!でも、ワンと言うのは、ちょっと……恥ずかしいと言いますか……」

てれり顔が見れて嬉しい限り!さて、今回は第94話を投稿です。

ジャンヌ「アイエフさんと出会えましたが、記憶がなかったんですよね」

そうそう。さて、ここから6人はプラネテューヌに向かいます

レイ「プラネテューヌに着いたら、どうなっているのかな?」

それでは、本編へ


「その怪しいオバサンがどうかしたの?あいちゃんが追ってるってことはなんか悪いことした人だよね、きっと」

 

ネプテューヌの言った質問は鈴も同じように質問をしようとしていた。追いかける以上は、何か犯罪を起こしたのかもしれない。もしくは、犯罪の一歩手前、それこそストーカーだったり。しかしながら、いい歳のオバサンがストーカーなど、そんな光景は見たくもないが。

情報が少ない中で出た質問に、アイエフも答える。

 

「詳しくは話せないんだけど、とある連続窃盗事件の犯人なのよ。で、数少ない目撃証言を辿ってきたものの、結果はごらんのとおり、ってわけ。さっさと、教会に戻ってまた情報を洗わないとなぁ…」

 

 思わず肩を落としてがっかりとした様子を見せる。その様子から、本当にここまで来るのにかなりの苦労をしたことが伺える。彼女なりに苦労しているのだ。

 とはいえ、これでも少しは情報を得られた。窃盗目的の犯人なら、窃盗物から犯人の犯罪傾向の予測はもちろん、良ければ相手の姿も、おのずと見えてくる可能性もある。それに、こうした黒い事件は、思わないところで大きな異変の解決の糸口になっていることもあるかもしれない。今までの鈴達も小さな事件から、国を、そして世界を揺るがす大事件の黒幕を突き止めたこともある。この事件も、必ずというわけではないが、もしかするとこの異変を解決できる可能性も……。

 と、アイエフが言った言葉に、ネプテューヌが反応する。

 

「教会!?教会ってことは、プラネテューヌに行くんだよね?」

 

 教会に行く。その言葉に鈴はもちろん、他のメンバーも気づいていた。教会は、自分達が目指すプラネテューヌの中枢を担う機関だ。そこへ行くということは、彼女に付いていけば、迷うことなくプラネテューヌに行くことができる。それだけではない。もしかすると、うまくいけば教会の後ろ盾を持ってこの異変を調査できるかもしれない。とはいっても、この異変……ゲイムギョウ界の改変とでもいうべきか。その改変した世界の中で、味方は四女神とGKSWAXPのメンバーだけなのが現状だが。

 それでも、寝床や活動拠点を確保できるチャンスに乗らない手はない。ネプテューヌの言葉を後押しするかのようにアイエフに訴える。

 

「じゃあ、あたし達も教会に付いて行ってもいいかしら?」

 

「あ、あなた達が!?さすがに、あんな武装満載の姿に変身できる知らない人達を置くっていうのは……どうなの?」

 

 だが、アイエフからの答えは厳しいものであった。普通ならそう考えるのは当然だろう。いきなり武装した、というよりも、アイエフの言葉を借りるなら、武装形態に変身できる人間を一国家の懐近くに置くというのは確実に裏切りの起こるシチュエーションだ。その事は鈴自身も十分承知している。

 しかし、それでもこの世界に詳しくない自分達はおろか、このわけが分からない状況になっている世界の中で、活動するにはそれしかない。鈴は強く頼み込む。

 

「それは……あたし達も十分承知しているわ。けど、あたし達には、今行く当てがない。この紫髪の子と共に、この世界の歪みを破壊するために……」

 

「歪み……?」

 

「その台詞……ひょっとして、刹那……」

 

 光樹がそう言ったところで、鈴は光樹の口に人差し指を口元に当てて話すことを禁ずる。ここで余計なことを言って、信頼性を失わせるのを避けるためにだ。

 先程の光樹が言おうとした通り、今鈴が言ったのは自分達の先輩と言っても差し支えない、別の世界でガンダムを駆る存在、ガンダムマイスター「刹那・F・セイエイ」のよく言った言葉だ。今起きている異変を強く意識するために、「歪み」という言葉を敢えて使ったのだ。

 そんな鈴の言葉は、アイエフに届いたようで、アイエフは悩みながらも決断をする。

 

「……でもまぁ、私としても興味はあるし。それにこんな場所にあなた達を残しておくのも二つの意味で考え物だし……。いいわ。ここは私が責任持つってことで、一緒に教会まで来てもらいましょう」

 

「本当にー!ありがとー、アイエフちゃーん」

 

 アイエフからの答えに、絵里奈が大喜びをする。絵里奈程ではないものの、勇也に鈴自身もその答えには安心を感じていた。これでまずは拠点は確保できただろう。

だが、それだけで話は収まるわけではなかった。

 

「あんまり喜べないかもしれないわよ?まずは入国審査もあるだろうし、それに入れても、教祖様の判断によっては、厳重な監視下に置かれるかもしれないんだから」

 

 その事を聞かされて、少し躊躇いのように言葉に詰まる。予測していなかったわけではない。国家なら当然な判断だとむしろ思っていた。しかし、実際にそうなるかもしれないことを告げられると、かなり言葉や行動に気を遣わなければならない。GKSWAXPは、次元世界の平和を、秩序を、そして紡がれるべき歴史を守らなければならないのだから。自分達で歴史を大きく変えることは、行ってはいけない禁止事項であるから。

 その話を聞いていた光樹も、頭を抱えて呟く。

 

「……俺が最初にこの世界に来た時には、ネプテューヌと最初に出会えたからなんとかなったけど……もしそうじゃなかったら、こういう風に警戒されていたんだろうな」

 

 話の内容から、それが光樹がこの世界に記憶を失って初めてやってきた時のことであることを知る。どういった経緯でネプテューヌと会ったのかはまだ聞いてはいないが、記憶を失っていたという状況から、もしネプテューヌと会えていなければ、餓死していただろう。光樹の事なら、なおさらそう思えた。

 光樹が思い出している一方で、ネプテューヌはその話に大賛成であることを伝える。

 

「うん、一緒にいくいくー!教会に行けば、きっといーすんがなんとかしてくれるもん!!」

 

 ネプテューヌの言う「いーすん」とは、おそらくはイストワールのことだろう。一応、鈴達初代SSRNPのマスターと、二代目のマスターは別世界のネプテューヌ世界に行ったことがあるため、イストワールの事は知っている。ネプテューヌのその言葉から、狂いがなければそれはイストワールで違いないだろう。

 イストワールが人工生命体であるためにどうなるかは分からないが、覚えていなくてもこちらが敵意を示さなければ友好的に接してくれるはず。ならば、ある程度希望は持ってもいいかもしれない。

 そう思った所で、鈴達は答えを聞いて先に歩いて行くアイエフの後を付いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイエフと行動を共にしてしばらくして、光樹達はプラネテューヌの都市へと着いていた。アイエフが言っていた通り、プラネテューヌの領地と街へと入る入口にて、警備兵に止められ、身体チェックなど様々な検問を受けたが、どれにも引っかかることなく、こうして無事プラネテューヌの都市へと入ることができた。

 そうして街の中に入って、しばらくは無事に戻れたことに安心を感じる。しかし、徐々におかしさを感じる。まず、ネプテューヌがいるのに、誰もその存在を注視しないのだ。まだネプテューヌは気づいた様子は見せていないが、この状況は何かおかしい気がした。 いや、おかしいというレベルの問題ではない。今までの生活通りなら、ネプテューヌが一度街に出れば、みんなが声をかけ、明るく楽しく話しているというのが当たり前であったはずなのに、それがない。その事に光樹は戸惑いを見せる。まるで、世界が変わってしまったかのようだ。

 しばらく街を歩いたところで、先頭を歩いていたアイエフが立ち止まる。何かあったのだろうかと思うと、アイエフは振り返って言う。

 

「とりあえず、ここまでくればいいわね」

 

 その発言で、案内も終わりだということを理解する。アイエフの言う通り、プラネテューヌの市街地まで来れば、まず心配はないのは理解できた。それを考えれば、仕事のあるアイエフにここまで案内してもらえれば十分だろう。

 案内が終わると、アイエフはネプテューヌに対して強く言う。

 

「いい?あんな高いところから落ちて無傷なはずないんだから、ちゃんと病院に行くのよ。あなた達もこの子を病院に連れて行ってね」

 

 どうやら、今のアイエフからすると、女神であるネプテューヌがあの高さから落ちたことに心配なようだ。何の事情も知らないアイエフの反応は、一般人の視点からしてみれば当然の反応だ。

 アイエフの言葉に対し、ネプテューヌは今後の予定を聞く。

 

「あいちゃんはこれから教会?」

 

 その問いに対し、アイエフは少し悩んでから返事をする。

 

「そのつもりだったんだけど、ちょっと変更。もう少し街で情報を集めてから戻るわ」

 

 アイエフも、先程の情報が空振りだったのはかなり痛手だったようで、これからの行動のためにも、街で聞き込みをして、情報を確かなものにしてから教会へと戻るようだ。すると、それを聞いていたネプテューヌが同行しようとする。

 

「なら、わたしも―――」

 

「手伝うってのなら、お断りよ」

 

 しかし、アイエフはそれを断る。その反応から見るに、アイエフからしてみればネプテューヌに手伝ってはもらいたくない様子だ。

 

「えー…」

 

 素っ気ない態度を取るアイエフに、ネプテューヌは残念そうにする。ネプテューヌとしては、早く今の現状を知りたいのと、大親友であるアイエフの手伝いをしたかったのだろう。光樹も情報収取の一環として、アイエフに同行したかったが、その反応から、おそらく光樹自身が言っても答えはノーのような気がする。

 更にアイエフ自身からも、ネプテューヌに言い聞かせる。

 

「これはあくまで仕事なの。それに、あなたみたいな子どもを危ないことに巻き込めないわ」

 

 アイエフらしい理由だった。国家の一員であるなら、民間人の安全は最優先、ということなのだろう。しかし、それを聞いたネプテューヌは不満そうにする。

 

「ぶーぶー。あいちゃんのケチー」

 

 不機嫌になるネプテューヌ。そんな所で、鈴がなだめに入る。

 

「まぁ、諦めなさい。ネプテューヌ。今のあなたじゃ、受け入れられるのは難しいところよ」

 

「うー。分かったよ」

 

 鈴の説得にネプテューヌも渋々了承する。ネプテューヌも今の現状を理解することにしたようだ。

 しかし、光樹もその言葉で改めて思う。今の自分達は、この世界では今までの常識が通用しないことを。アイエフが知らないということなら、教会にいるであろうイストワールも、もしかするとネプテューヌのことを覚えていないということもあり得る。そうなれば、ここからは自分達でこの異変の元凶と戦わなければならないかもしれない。

 と、そこで思い出す。そういえば、アイエフはあのゴールドサァドやゴールドソフツ達を知っているのだろうか。ここまですっかり忘れていたのだが、ゴールドサァド達はこの世界で何をしているのか、気になるところだ。

 だが、黄金の塔でのことを思い出す。アイエフはネプテューヌがあの場でのことを聞いた時に、覚えていなかったはずだ。となると、ゴールドサァドやゴールドソフツについて、知らない可能性が高いように思える。

 その為、光樹は特に聞くことはしなかった。そのままアイエフの言葉を聞く。

 

「とりあえず、オッケーみたいね。それじゃ、ちゃんと病院に行くのよ」

 

「はーい…」

 

 そう言ってアイエフはその場を後にした。ネプテューヌも残念そうにしながら見送る。見送ると、絵里奈が困った様子を見せながら、これからの事について聞く。

 

「でもー、これからどうするー?とりあえず、ネプテューヌちゃんを病院に連れて行かないと…」

 

「……絵里奈。まさか、本気でそれを思っているの?」

 

「えー?でもアイエフちゃん言ってたじゃん。あんな高いところから落ちたから、病院に連れて行ってって」

 

 絵里奈の発言に、鈴は頭を抱える。まぁ、分からなくもない。だってネプテューヌは女神、そして、落ちる達人なのだから。あの高さなんて、Vの時にはそれ以上の高さから真っ逆さまで落ちたこともあるのだから、これくらいなんともないと光樹も思っていた。

絵里奈の発言にはネプテューヌも問題ないことを告げる。

 

「あー、あれくらいどうってことないよ!わたし、落ちるのには慣れているからね!」

 

「へー、そうなんだー!!……あ、そういえば前にもノワールちゃんの所に行くときも、飛んでいる途中で落ちたことあるもんねー」

 

「……あれ、そうだっけ?」

 

 絵里奈の発言に、光樹は疑問を持つ。超次元でそんなことは起きていただろうか、と思ったのだ。それも、絵里奈達が来た時に。少なくとも、光樹が知っている範囲ではそんなことはなかったと思うのだが……。光樹は疑問符を頭に浮かべる。

 すると、それに付け足すように鈴が補足をする。

 

「ネプテューヌが知らなくて当然だわ。だって、別の世界線の超次元だから」

 

「別の世界線の……超次元?」

 

「おおーっ!?いきなり世界線なんて言葉が出てきたよ!?もしかして、中二病な大学生兼自称科学者の作ったマシーンが絡んでいるの!?」

 

 光樹は鈴の言葉に困惑する。別の世界線とはどういう意味だろうか?世界線と言えば、ネプテューヌが言おうとしている、中二病な青年が世界の滅亡に立ち向かうために時間を遡り、世界線を元に戻す物語である「シュ○イ○ズ・ゲー○」が思いつく。そこではどの位世界が変わったかを示す度合いとして世界線が使われていたのだが、そういうことなのだろうか。

 光樹が考えている内に、鈴はネプテューヌの考えに対して言う。

 

「え……あ、うん。まぁ、そうね。簡単に言えば、別の世界ってことで認識してくれればいいわ」

 

「あー、そういう感じかぁ」

 

「別の世界……」

 

 鈴の説明にネプテューヌと光樹は納得する。別の世界ということなら、大体理解できる。要するに、超次元と零次元、という感じに近いものだろう。よくよく考えてみると、海男も昔言っていたが、ゲイムギョウ界と呼ばれる世界は、いくつも存在しているということに近いものを言っていたような気がする。そう思うと、別の世界でノワールの上に落ちたこともあるのだろう。

 と、そんな事を考えていた光樹だったが、いつまでもそんなことに疑問を抱えているわけにはいかない。今はこれからどのように行動するかということを考えないといけないはずだ。光樹は早速、そのことについて話し合うように話を持っていく。

 

「でもとりあえず、今はこれからどうするかを考えないか?」

 

「そうだねー。私の話は、後々話すよー」

 

「多分、GKSWAXPの記憶がない光樹でも、今のは分かると思うんだけれど……まぁ、いいわ。それについて考えましょう」

 

「そうだね。なんであいちゃんがわたしのことを知らないのかは、さておき。とりあえず目的のプラネテューヌについたことだし、ちょっと情報収集しようか?」

 

 他の全員も、今は情報を集めた方がいいという考えに賛成をする。となれば、どこを当たるかを決めなければならないだろう。

 

「じゃあ、どこに聞き込みするんだ?街の人でも、ネプテューヌのことを覚えていない時って……」

 

 すると、そんな光樹の疑問に、鈴が珍しく問い掛けに応じる。

 

「まぁ、あんまりネプテューヌが女神って情報を出すのはちょっと慎重にしたほうがいいわね。もし黒幕にあたし達の行動を探られるっていうのはね……」

 

 鈴も慎重に慎重を重ねる対応で行動するつもりのようだ。鈴の言う通り、ネプテューヌの情報を扱うのなら、言葉を選んで聞いた方がいいかもしれない。だが、それを意識し過ぎれば情報を引き出す方が難しいかもしれない。

 だが、そこで勇也がそんな迷いを断ち切る発言をする。

 

「大体は分かった。だが、ある程度は踏み込んで聞き込みした方がいいんじゃないか?」

 

「……そうね。どこでこの異変の直前の事を覚えているか、分からないから。だから、ネプテューヌの名前までは出すことにして。分かったわね?」

 

「了解ー!」

 

「うん!了解!わたしの聞き込みスキルを舐めないでね!」

 

 絵里奈とネプテューヌが揃って賛成をする。それに続き、光樹もOKを出すと共に、その後の行動について提案する。

 

「あぁ。じゃあ、ある程度情報が集まったら、また集まろうか?とりあえず、何かあったら連絡ってことで、いいかな?」

 

「えぇ。それで構わないわ。……って、いつの間にかまたあんたが仕切ってるし」

 

 鈴もそこで気がつく。光樹もよくわからないのだが、意識していないのにいつの間にかこのパーティーのリーダーをしていた。光樹としては、ここはけいけんが豊富であろう、鈴や勇也に任せた方がいいと思っているのに、何故か鈴から話の中心を奪っているような行動を取っていた。何故だか分からないが、何故だろうか。

 とはいえ、誰もその意見に誰も反対しない以上、これでいいと言えば、いい。そのため、その方向で話が進む。

 

「……っていっても、それが一番いい感じだよー?」

 

「そうね。じゃあ、何かあったら連絡で。一時間後辺りに、ここにまた集合で。いいわね?」

 

 鈴の問いに全員が頷いて、一時解散する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ。プラネテューヌについたことだし、ノワールたちに連絡入れなきゃ」

 

 聞き込みを開始し始めてすぐにネプテューヌはそのことに気づく。草原で目覚めた所で、電話の切り際にノワールが言っていたような気がしたのを思い出したのだ。国につき次第、それぞれで確認の電話を入れることに。

 プラネテューヌに着いて一安心してすっかり忘れていたため、すぐにNギアを取り出し、電話を繋ごうとする。

 

「えーっと、番号は…っと」

 

 

 ネプテューヌはNギアに番号を打ち込んでいく。急いでいたため、すぐに打ち込みは完了する。通話ボタンを押し、電話がつながるのを待つ。待つ、のだが……。

 

「…あれ?」

 

 思わずネプテューヌは疑問符を浮かべる。何があったのか。それは簡単。電話が繋がらないのだ。一人だけ出ないのであれば、何か取り込み中なのかもしれないが、ノワールたちだけではなく、自身の妹であるネプギアへの電話も全くつながらなかったのだ。

 

「………みんな出ない。ノワールたちだけじゃなくてネプギアの反応もないし、どうしたんだろう。このおかしな現象の相談したかったのになぁ」

 

 誰も出ない状況にネプテューヌは頭を抱える。せっかく電話することに気づいたのに、これではどうしようもなかった。他の国も同じかどうか、聞きたかったネプテューヌにとっては、これはとんだ計算違いであった。

 とはいえ、そんなことで落ち込んではいられない。時間が経てば、着信に気づいてかかってくるかもしれない。その時に相談すればいい話である。そう考えることにして、ネプテューヌは聞き込みを開始しようとした。

 その時、ビルの壁面に埋め込まれていた画面に映っていたニュースからとある言葉が耳に入る。

 

 

 

 

『続いてのニュースです。指名手配されていた住所不定、職業女神のノワール容疑者(年齢不詳)を捕まえたとの情報が入りました』

 

「…へ?」

 

 正に今、かけようとしていた人物が逮捕されたという情報に、ネプテューヌはキョトンとした。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

レイ「ノ、ノワールちゃんが捕まっちゃった……どうするの!?」

お、落ち着いてください(汗)。ここのお話はレッド組の二人がなんとかすると思われますので、とりあえず、今はスルーを!

ジャンヌ「そ、そうですか……。あれ、光樹さんって「V」以降の作品は全てプレイや視聴されているのでは?」

あぁ、シュタゲの話が出たところですね。あれは光樹君が思い出せていないだけです。なんか、光樹君この世界改変後は記憶が混乱しているんですよ

ジャンヌ「なるほど……確かに色々ありましたもんね。仲間が現れたり、負けたり、転移させられたりと」

レイ「光樹君もいろんなことがあり過ぎて訳が分からなくなってきてるんだねー」

さて、ノワールのことはノワールSTORYで明らかになることとして、次回の投稿は金曜日になります

レイ「いつも通りの6日更新!でもこの時期ってみんな受験なんだよねー」

ジャンヌ「だから伸びが悪いんでしょうか……それでは皆様、次回もよろしくお願いいたしますっ」


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第95話 バッドなサプライズ

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?現在短期休学期間の藤和木弘でございます。

レイ「うーん、まさかこの時期に休みがあるなんて!びっくりだよねっ!どうも、みんな!しばらくのんびりと過ごしてる、レイ・オーバだよっ!!」

ジャンヌ「ですけれど、意外な休息期間に、わたくしも嬉しいですっ。どうも、皆様。ここしばらく、藤和木とゆっくり過ごしている、ジャンヌ・ドラニエスです!」

いやー、本当、ゆっくり過ごしていますよ。ジャンヌさんとゆっくりと寝ていますし

レイ「……本当なら、小説ももっと進めないといけないんだけどね」

うぐぅ!?

ジャンヌ「ほんとですね。わたくしも甘やかしすぎていたかもしれないです」

はぐぁあ!?ちょ……二人共すごいダイレクトアタックなんだけど!?トリプルシンボルのアタックなんだけど!?いや、でも少しずつは進めているでしょ?

ジャンヌ「これで進んでいなかったら、わたくし泣いていましたよ……」

うん、でも明日は家族と石川まで行かないといけないから、また遅れる……

レイ「でも、私達も一緒に行くから!」

ジャンヌ「烈火伝の資料で見た、ストーンリバーのモデル……楽しみですっ!」

さて、私の日常はここまでとして、今回は第95話の投稿です

ジャンヌ「前回はノワール様の逮捕のニュースが……」

レイ「早くもノワールちゃんのストーリーが気になっちゃうよー……」

とはいえ、ここはまだ光樹君とネプテューヌの物語。この展開を見届けましょう。それでは本編へ!


 

 

 ビルの壁面に埋め込まれていたテレビから流れた情報。ただのニュースだと思っていた。それも、普段と何一つ変わらないような、暖かかったり、面白かったり、悲しかったりするニュースだと。

 しかし、現実は違った。繋がらないと思った矢先に、唐突なまでのそのニュース。……ノワールが逮捕された。それは、ネプテューヌにとって、それどころか、女神関係者にとっては、とんでもない事態であった。

 まさか、女神の中で最も真面目かつ、しっかりとした人物であり、絶対にそんなことにはならないと思っていたノワールが……。一体、何をやらかしたのか。ノワール逮捕に茫然としつつも、何をしてしまったのか、そんな好奇心が胸の中を駆け巡る。

 そんな好奇心に答えるかのように、ニュースアナウンサーの女性が続きを読み上げる。

 

『入ってきた情報によりますと、ノワール容疑者は長く逃亡していましたが先ほど自ら出頭してきたとのことです』

 

「アタママッシロ…」

 

 まさかの単語に口調がカタコトになる。長く逃亡?自ら出頭?ノワール、何をしたの!?今までにノワールが容疑者になっていたなんてことは聞いたことはなかった。ってことは、あの電話からこの日まで約数日。その間に、何か犯罪を起こしたのかな……?

 と、そこでようやく現実の世界に意識が引き戻される。と同時に、今の現状に改めて驚く。

 

「って、ノワールが逮捕!?確かに、ちょっとお高くとまってて、ユニちゃんの前では素直になれないツンデレさんで、こそこそと隠れて趣味のコスプレを楽しんでたり名前や職業を偽ってこっそり声優デビューをしようと企んでたりするむっつりさんだけど真面目な服を着てツインテールしているようなノワールが犯罪だなんて、絶対何かの間違いに違いないよ!」

 

 それでもなお、ノワールの逮捕が何かの間違いではないだろうか、とその事実を否定しようとしていた。しかし、その発言からは、どうもノワールに対し、悪意のあるような発言が次々と飛び出す状態となっていた。それでも、ネプテューヌとしてはネプテューヌなりの、ノワールの逮捕をにわかに信じがたい故の発言だったのだが。

 唐突の衝撃的なニュースではあったが、それでも収穫がなかったわけではなかった。それは、ユニの名前がなかった、ということであった。ノワールの事なら、もう既にユニと合流していて、行動していると思っていたからだ。しかし、ユニの名前はニュースでは出なかった。となるとつまり、ノワールとは合流していないということなのだろうか。

 だがしかし、その異常事態にネプテューヌは困惑する。

 

「ニュースを見た感じ、ユニちゃんは一緒に捕まって無いみたいだけど、いったい何がどうなっちゃったの…」

 

 ノワールのことが心配になりつつも、今は自分のことを進めないと、とネプテューヌは考え、やりかけていた聞き込みを改めて開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 別れて聞き込みを開始し始めて数十分後、光樹は街の道路を歩いていた。かなりの人物に若干ビクつきながらも会話をして、情報を集めることに成功した。だが、それでもかなり困惑する結果となっていた。

 とりあえず、状況を整理する。まず、日常系の会話からだ。ここ最近のトレンドは何か、最新のゲームは何なのか、また、ここ最近に出た新商品は何なのか。それらを聞いたところ、様々な回答返ってきた。それらをシューティングスターBにインプットされていた、あの異変以前の情報と比べたところ、少し違う部分はあるものの目立った違いはとある事柄関連を除いて変化は微々たるものであった。

 続いて、もう少し踏み込んだ、政治関連のことについてだ。このことに、最も衝撃を受けたことが多い。なぜなら理由はただ一つ。――――――ネプテューヌ、という存在、言ってしまえば、女神という存在が、このゲイムギョウ界から消えてしまっていたのだ。まだネプテューヌという存在がないというのなら驚きこそするがそこまでではない。いや、それはそれで大事件なのだが。だがしかし、それ以上に、ゲイムギョウ界という世界に欠かせないと海男も言っていたことがここに来て予想以上にショックを光樹に与えていた。女神という存在を出しても、誰もそんなものは知らないという。そこで、代わりに出てくるのが、もう一つの問題である「ビーシャ」、そして「DRX」という名前であった。

 ビーシャにDRX。その名前に心当たりがない……ような気がしなかった。何故か、どこかで聞いたことのある名前のような気がしていた。ならば一体どこで?光樹は記憶の中でしばらくの間考え込む。

 しばらくしたところで、光樹はとあることを思い出す。それは、あの異変の当日、ステージでの出来事。あの時戦った「ゴールドサァド」という人物達、そのうちの一人が、確かビーシャ、と呼ばれていたということを思い出したのだ。

 同一人物なのかは分からなかったが、可能性はあると思っていた。一方、もう一人の名前であるDRXについてだが、こちらは全く分からなかった。そんな名前の人物は聞いたことがない。というよりも、そもそもそんな名前の人物などいるのか怪しいところであった。コードネームならあり得そうな名前ではあったが、それでもコードネームが人に知られているというのはある意味ではおかしかった。その為、どういうことなのか、結局のところ結論を出すには至らなかった。

 このように、今のプラネテューヌの政治関連は、そのビーシャとDRXという者達が仕切っている、ということであり、女神と言う存在は全く欠片も残っていなかった。まるで、女神と言う存在がその者にすり替わったかのような……。

 しかしながら、それ以上に今気にしていることがあった。それは、先程報道されたニュースの内容であった。実はネプテューヌと同じころに、光樹もまた同じニュースを違う画面で見ていたのだ。

 正直言って、光樹も同じようにあのニュースには驚いていた。まさか、ノワールが逮捕されることになるなんて。しかし、一体なぜ捕まるようなことになったのだろうか。光樹はすぐにその疑問を感じた。

 しかし、すぐにとある考えに思い至る。それは、この異変の黒幕の手によるもの、ということであった。もし、女神達があの場を切り抜けていたとしてもいいように、黒幕がゲイムギョウ界の政府機関を裏で操り、四女神達を犯罪者に仕立て上げたとしたら。それなら、かなりの真面目さを兼ね備え、優等生らしい人物であるノワールが逮捕なんてことになるのも納得である。

 となると、そこで問題となるのは、それが四女神すべてに逮捕命令が出されていたら、ということである。これが本当に黒幕が画策したことなら、このプラネテューヌでも言うなれば女神狩りがあってもおかしくはない。それが本当なら、大変なことである。あのネプテューヌならば、この分散行動中にいつの間にか捕まってしまっている可能性もあった。

 すぐに光樹はネプテューヌを探そうとしていたのだが、そこでふと思い出す。アイエフがネプテューヌの事を一切覚えていない、および知らなかったのだ。アイエフが教会から女神の逮捕命令が出ていたなら、あの時点で逮捕行動に出ていたはずだ。それがもし本当なら、少なくともこのプラネテューヌには女神の逮捕命令は出ていない、ということになる。

 それなら問題はないだろう、と考え、光樹はまたこれからの事を考えようとした。すると、ふと前方を見ると、その先に見覚えのある少女の姿が映る。それは、先程まで心配していた、この国の女神(今のところは「元」だが)である、ネプテューヌであった。

 その無事な姿を見て安心する。掴まっていたなんてことはなかったようだ。だが、少し様子がおかしい。かなり落ち込んでいるように顔を下に向け、トボトボと歩いている。

 あのネプテューヌがあそこまで落ち込むなんて……まさか、イストワールにでも会って、加えて知らないとでも言われたんだろうか……。ネプテューヌがあそこまで落ち込むなんて、それくらいの物でないとおかしい。

 しかし、話しかけないわけにもいかない。今はこちらが追いかけている状態なので、光樹はネプテューヌに向かって駆けていく。追いつくと、ネプテューヌの肩を軽く叩いて話しかける。

 

「どうしたんだ?ネプテューヌ。そんなに落ち込んで」

 

「……光樹……!!」

 

 いきなり声をかけられたためか、ネプテューヌは驚きつつ光樹の名を口にした。すぐにネプテューヌはその問い掛けに返事をする。

 

「あ、うん。ちょっといろいろとショックでさー……」

 

 ネプテューヌの話し方から、どうやら光樹が思っていたほどショックな出来事ではないようだ。光樹もそれには安心する。しかし、あの落ち込みよう、気になるところではあった。そこで光樹は更に聞く。

 

「色々と……って言うと?」

 

「あー……さっきまではあいちゃんだけがおかしくなったのかなって、思っていたんだけど……聞き込みしている内に、他のみんなも同じだったんだよねー」

 

 光樹もその発言に頷く。確かに、街の人は一切ネプテューヌのことは覚えていなかった。国を治める統治者としては、自国民がいきなり自分の事を忘れていることにショックを受けるのも当然だ。特に本人がそれを知った時には、ショックは並大抵なものではないはず。それを知らずに聞いてしまったのは、間違いだったのかもしれない。

 

「そ、そうか……。それはかなりショックだよな……」

 

「さすがのわたしも、これには精神的にきっついよぉ…」

 

 光樹の気を使った言葉に、ネプテューヌは落ち込みの言葉を強く吐き出す。その様子からいつも元気が取り柄なネプテューヌらしからぬ弱気であった。それだけネプテューヌとしてもショックが大きいのだ。

 そんなネプテューヌも気になるが、他のメンバーがどうしているのかも気になる。腕時計を見ると、もうあと10分ほどで集合時間を迎えることに気づく。ショックを受けている中でこういうことを言うのもつらいが、今は全員の情報をまとめることが先だ。光樹はネプテューヌに声をかける。

 

「とりあえず、今は鈴達と合流しよう。落ち込むのはそれからの方がいいよ」

 

「……うん。そうだね……きっと、誰かが絶対覚えていてくれているはずだよ!光樹も覚えてくれていたんだし!」

 

 光樹の励ましが効いたようだ。落ち込んでいた声は何処へか、いつものネプテューヌに戻り、声を上げる。それには光樹も安堵する。

 そんなネプテューヌに光樹も同意する。

 

「そうだな。俺達以外にも、誰かが俺達のことを覚えているかもしれない。だから、まずは今の街の施設を回ってみよう。鈴達とも合流してさ」

 

「だね。じゃあ、戻ろっか」

 

 そんな会話をして、二人は集合場所へと足を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まぁ、こんなものよね」

 

「結局、気になりそうなのはこの国のトップと、ネプテューヌという存在の消失、そしてノワールの逮捕……ってところか?」

 

 鈴の声に、光樹の返事が返っていく。鈴達は合流後、それぞれの情報を共有し、これからの行動について決めるところであった。今はちょうど、それぞれの情報共有が終わったところだったのだが、分かった仲でも気になるのは三つであった。

 まず一つ目は、現在のプラネテューヌのトップ。この国のトップについて、話を聞いたところ、そこで本来出てくるはずのネプテューヌという言葉は返ってこなかった。代わりに、出てきたのはビーシャとDRXという、自分達が把握していない存在の名前である。だがしかし、一方の方だけは、こちらも把握していた。そう、ビーシャ、である。

 ビーシャと言えば、この異変の原因となったあの日に、女神達や光樹と戦った敵、ゴールドサァド。その者の一人の名前である。まさか、あの少女がこの国で今はトップとして君臨しているとは……。鈴としてもこれは予想外であった。となると、あの襲撃はやはり、女神からトップという地位を手に入れるためのものだったのだろう。

 続いて、ネプテューヌという存在が消えているということ。これは完全に先程の話が関係しているものだと思う。ネプテューヌの記憶が消え、その部分の記憶がビーシャにすり替わっている。そのように思えるように、人々はネプテューヌを知らなかった。鈴はその情報をなるべく重要そうな場所、市役所のような施設にて民間人から話を聞いていた。そこに他のメンバーからの情報も元にして、そうなっているのだろうと考えている。

 最後に、これが最も重要かつ最悪の話だった。ノワールが逮捕された、それはかなり危ういものだと鈴も思っていた。とはいえ、ここで自分達が動くわけにもいかないわけがあった。今から行っても、既にノワールは捕まった身。捕まっているのは刑務所だろう。ニュースから察するに、この件にはラステイションという国そのものが絡んでいる。それはつまり、教会が絡んでいるということ。そんな所に助けに行こうとすれば、間違いなく教会と正面衝突だろう。

 しかも、自分達は今はプラネテューヌの対応をしなければならない。ここはラステイションを担当する真奈と理恵、二人の後輩に任せるべきだろう。

 そのように鈴が心の中で思った所で、絵里奈が話を進める。

 

「ノワールちゃんが捕まっちゃうだなんてー……。やっぱり誰かが?」

 

「それはまだ分からないわ。けど、ここは既にノワールと真奈達が会っていて、かつ行動してくれていることを信じて待ちましょう」

 

 鈴は先程の考えを返しに使う。その案に勇也も賛成をする。

 

「まぁ、今は俺達の管轄ってわけじゃないしな。おそらくあいつらもそのことくらいは間違いなく知っているはずだし、信じるとしようぜ」

 

「ノワールは心配だけど……そうだよな。今はネプテューヌの国の事……プラネテューヌのことを考えよう」

 

 光樹も勇也に続いて賛成する。ネプテューヌも頷いており、全員の意志は決まっていた。

となると、次はどう行動するかになる。

 

「じゃあ、これからどうするー?」

 

絵里奈が全員に問いかける。するとそこで、声を上げた人物がいた。

 

「はいはーい!じゃあ、教会に行くとかはどうかな!?」

 

 それはこの国の「元」トップとなっているネプテューヌからの声であった。声高々に挙げられた意見ではあったが、その内容はかなりリスキーな意見であった。確かに、国の現状を知ると共に、自分達の活動拠点は欲しいところであった。その為に教会に行くというのは、良案の一つに違いない。

 だが、先程のノワールの件が鈴に決定をためらわせていた。もし教会に行って、そこで黒幕に近いと思われるビーシャやDRXという者達に捕まれば、厄介なことになる。それを避けるためにも、その意見は採用したくはなかった。

 すぐに鈴は反論を口にする。

 

「それは危険だわ。教会では何が起こるか……」

 

 だが、そこで鈴に対し光樹が割り込んで意見を出す。

 

「でも、行ってみる価値はないか?」

 

「光樹……っ、あんたは……」

 

 その言葉に、鈴は舌打ちする。何故このタイミングで意見を出してくるのか……、そう思う。鈴は話を続けようとしたが、光樹がまたも遮る。

 

「ノワールの件は警戒した方がいいのは確かだ。けど、このまま行動していたら、黒幕の後手しか取れない気がするんだ。だったら……」

 

「先に先手を打って、教会を掌握する、ってことか?」

 

「掌握、とまではいかないけど、確認しておきたいんだ。本当に誰も女神の事を、ネプテューヌのことを覚えている人がいないかってことを」

 

「…………」

 

 虚を突かれる発言だった。いつまでも慎重に行動しているのもつらいところだ。なら、思い切り行動するのは悪くない。それに、鈴も確かめたいところではあった。本当に教会という、女神に近い場所で働く者達が、誰もがネプテューヌのことを覚えていないのかということに。

 少し腹が立ってしまったが、鈴はゆっくりと返事を返す。

 

「……分かったわ。今回は光樹に免じて、ネプテューヌのアイデアを採用しましょう」

 

「やった!!」

 

「ただし、悪い流れになったら、実力行使して、ネプテューヌを守ること。いいわよね、みんな」

 

「うんー!」

 

「仕方ねぇな。……了解」

 

「あぁ、分かった」

 

 鈴の指示に全員が返事をする。行動が決まったのなら、行動するしかない。鈴達は早速、プラネテューヌの教会へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっだいまーっ!やっほー、帰ってきたよー」

 

「む。誰だ君達は?」

 

 ネプテューヌの声に対し、中に居た職員の一人がそう聞き返す。その様子から、どうやらその人物はネプテューヌのことを覚えていないようだ。予想はしていることはしてはいたが、これは厄介なことになりそうだと勇也は察する。

 だが、そんな勇也の危機感も知らずに、当の本人である紫の女神はその人物に対し聞かせるように大きく声を上げる。

 

「誰だって、やだなぁ。わたしだよ、わたし。ネ プ テ ュ ー ヌ」

 

「ネプテューヌ?知らぬ名だ」

 

「和藤光樹……知らないか?」

 

「ワトウ?そっちも聞かない名前だ」

 

 ネプテューヌに続いて光樹も名前を名乗る。だが二人の問い掛けに対し、その職員は同じ答えを返す。

 

「やっぱり、ダメか?」

 

「みたいね。……ここは情報を聞いてから……」

 

 その答えを聞いて、光樹がすぐに状況を察する。そして光樹は鈴に小声で判断を仰ぐ。それには振られた鈴も慎重に行動をしようとしていた。だが、そこで大きく行動してしまったのが……。

 

「またまた。あいちゃんと一緒で冗談きついなぁ」

 

「……あ、ネプテューヌ」

 

 この国の女神であった、ネプテューヌである。どうやらネプテューヌは、あの職員が冗談を言っているように思えたのだろう。だが、そんなはずはない。あの反応はどう見ても本当に知らない反応だ。その発言には勇也も頭を抱えて、名前を呼んで呆れる。この後の展開が見えたからだ。鈴や光樹も唖然としてネプテューヌと職員の会話を目視する。

 

「あ、さてはわたしに内緒でサプライズパーティとか仕込んでいるからそれを隠すために冷たくしてるんでしょー」

 

 完全に何を言っているのか分からない状況に、見ている勇也達は冷や汗をかいた。絶対にその返しは違う。ネプテューヌとしては、真面目にやっているつもりなのだろうが、傍から見れば、無茶苦茶なことを言っているとしか思えないその場の雰囲気が漂う。

 光樹や鈴は言葉に出来ない絶望に満ちたように目元が暗くなる。一方、それを見ていた絵里奈は驚きつつも目を輝かせていた。

 ……絵里奈、お前、そこはその反応じゃない。真剣な場だからな?サプライズパーティをしているわけではないぞ?

 勇也がそう思う中、話を聞いていた職員は咎めるようにして言葉に怒りを含み始める。

 

「ここはビーシャ様の神聖なる教会。騒ぐようなら、子どもとてようしゃはせんぞ」

 

 そう言うと教会の職員はネプテューヌに詰め寄る。この状況、かなり危険だ。そう察知した鈴達がすぐに行動しようと目を細める。鈴と光樹の体勢が若干前のめりになる。先程までネプテューヌの雰囲気に流されていた絵里奈もまた、はっと意識を戻し、体勢を低くして突撃の構えを取る。

 そして勇也も同じように左手を下げ、ホルスターの方に手を伸ばしかける。完全に戦闘態勢ともいえる状態となる中、更に先程の発言にネプテューヌが火に油を注ぐようにして言葉を返す。

 

「ちょっと待ってよ!ビーシャ様って誰!?てか、ここわたしの教会のはずだよね!?まさかみんなの言う通り、本当に教会が占拠されちゃったわけ!?」

 

 ネプテューヌの発言は、正にこちらとしても知りたい情報ではあった。教会の信仰対象もビーシャという存在に置き換わっている。となると、ここも完全に乗っ取られたということだろう。なら、ここに長居は危険。ネプテューヌを連れ出さなければ……。

 すると、職員の方も手荒な真似をしたくないように小蠅を払うように手で払いながら説得する。

 

「ええーい、やかましい子どもだ。全員今すぐ教会から出て行きなさい」

 

「ちょっ、まっ、ええっ!?」

 

「ちょっ……まだ話が……」

 

 その対応にネプテューヌと光樹は慌てる。一応、無事に帰れるのは、ありがたいことだ。だが、こちらほ本来の目的の一つである、教会から情報をもらうということを遂げていなかった。

 だがしかし、今は贅沢は言っていられない。これまでのことから教会の現状が分かっただけでも収穫だ。その事を鈴も二人に言う。

 

「構わないわ、二人共。ここは一旦出直して……」

 

「あの、騒がしいようですが、何かあったのですか?」

 

 すると突然、若い女性のような声が教会内に響く。その声は叫び声のようなものではなく、一般的な話し声程度の声量であったが、声の持ち主の発声から、その声は近くにいた者にはっきりと響いた。その声を聞いて、一同は静まる。

 

「あ、イストワール様。いえ、ただ子どもらが勝手に奥に入ろうとしていたので…」

 

 職員がその人物に説明する。だが、思いもよらないことが起こる。その人物が傾げるようにしてネプテューヌと光樹を見て、目を丸くすることになる……。

 

 

 

 

「子ども?って、ネプテューヌさんと光樹さんではありませんか!?」

 

 

 

 

 その声に、二人が反応した。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。いかかでしたか?

レイ「わぁぁ!!イストワールちゃんだー!!いーすんだよ!!ネプテューヌちゃんの保護者が覚えててくれた―!!」

ジャンヌ「光樹さんのことも覚えているようですし、これで一筋の光が差し込みましたね」

やっぱり、こういう状況では、味方がいないときついですからね。次回はイストワールと出会って、場所を移すところです。

ジャンヌ「でも、ネプテューヌさんも途中ではかなり落ち込んでいらしてましたね……。あんなネプテューヌ様、初めて見たかもしれません」

レイ「やっぱりねー、私みたいに元気にしてても、悲しいことってあるんだよ!ネプテューヌちゃんの気持ち、わかるよ」

ほう、レイさんも落ち込む事が?

レイ「そりゃあ落ち込むことぐらい、一つや二つあるよ。例えば、ディーバのオーディションに落ちたりとかさ。でも、その時はジャンヌちゃんが励ましてくれたりっ!」

ジャンヌ「レ、レイさん……っ!!(かぁぁ)」

なるほどなるほどー。ジャンヌさんも頼れるところがあるんですね

ジャンヌ「と、当然ですっ!もし、藤和木が落ち込んだ時があったら……って、Twitterとかでは言っていないこともありますけど、割とそういう時ってありますよね?」

あ、そうだね。その時もジャンヌさんが優しく励ましてくれることがありますね。忘れてた。
さて、今回はここまで!

レイ「次回は木曜日になるよっ!でも、その日は藤和木の就職活動があるから、遅くなるよ!」

ジャンヌ「では皆様、また次回」


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第96話 イストワールとの再会

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?今日が企業への説明会だったのですが、応募資格の対象に外れていて、急いでキャンセルした、藤和木弘でございます

ジャンヌ「それ、ドタキャンですよ?あんまりそういうのはなくさないといけませんよ?
どうも、皆様。今日は学校に付き添う日と同じ時間の起床でした、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「まぁ、OKもらったけど、行くべきかどうかってのに悩むのはよくわかるよ。どうも、みんな!今日は学校休みなのに早起きして気分もいい、レイ・オーバだよっ!」

うん、本当に急な予約キャンセル申し訳ないと思っております。一応期間には間に合っていたから、あれで大丈夫ですかねと本当に心配してます
さて、本日は第96話の更新です

レイ「イストワールさんが覚えててくれたんだったよね。これで一安心になるのかな?」

ジャンヌ「ここからどのようなお話になっていくんでしょうか?」

さて、どうなることやら?それでは、本編へ!



 

「いーすん!?いーすんはわたしのこと忘れていないの!?」

 

 ネプテューヌは声を大にして驚く。その様子は、正に予想外、もっと言うなら、諦めかけていたところに希望が見えたようなものだ。

 それと同じように、光樹もまた驚きを露わにする。ここで記憶を失っていない人物が出てきたのはこちらとしても衝撃と同時に安心感を感じていた。覚えている人物がいたことに対する衝撃と、それが信頼できる人物であることに対する安心感を、だ。ともかく、これは幸いともいえる展開であった。

 いーすんと呼ばれたその女性、勇也自身が記憶している名前ではイストワールだったはず。イストワールはネプテューヌに対し返事をする。

 

「誰がネプテューヌさんを忘れるものですか。嗚呼…まさか、またネプテューヌさんに会える日がくるだなんて…。光樹さんも、無事で何よりです」

 

「本当だよ。けど、イストワールが覚えていてくれて、助かったよ」

 

「わたしもだよ、いーすん。あいちゃんも街の人も、みーんなわたしのこと覚えてないから寂しかったよ」

 

 その言葉に、二人も待ち望んでいたように落ち着いた様子を見せる。すると、そこでイストワールが勇也達に声をかける。

 

「それで、こちらの方々は?」

 

 そう聞くのも当然だ。こちらはあったことがあると言っても、別の世界で、というだけであり、こちらのイストワールとは光樹以外は何の接点も持っていないのだから。そう言われるのは当然のことだ。

 そこで真っ先に行動したのは、光樹であった。すぐにこちらのことについて説明に入る。

 

「あぁ、こいつらは……俺の元の世界での仲間……らしいよ?」

 

「らしい、じゃないわよ……まったく……。初めまして、イストワール。あたしは光木鈴。GKSWAXPのメンバーの一人よ。こっちは仲間の勇也と絵里奈」

 

「古谷勇也だ。よろしく頼む」

 

「福内絵里奈です。よろしくお願いしますー」

 

 鈴に続いて勇也達も挨拶をする。何度も経験していることだが、やはり別の世界線で同じ人物に自己紹介するというのは、中々にシュールな光景だと思う。そんな事を知らないイストワールは、そんな挨拶に対して返事をする。

 

「あらあら、光樹さんの……。わざわざ来て下さるとは、ご苦労様です、それで、こちらに来ていただいたのは、どういったご用件で?」

 

 イストワールはこちらがここまで来たことに気になったようだ。光樹が外の世界からやって来たのは鈴を通して伝わったネプテューヌの話から分かっている。つまり、何故光樹を見つけたにも関わらず、この世界に残っているのか、ということが気になっているのだろう。

 そう言われればそうだ。こちらの当初の目的は、光樹を元の世界に連れ戻す事。光樹との接触が達成された今、この世界に留まる理由はないのは明らかだ。

 だが、それは光樹が行方不明になった時。あくまでも、「当初」のころの話である。事態は常に変わるもの。状況が変化したのは、紛れもない、GKSWAXPメンバーでこれまでの情報を整理するための会議で分かった事実のためだ。

 しかしながら、それを今この場で言うのはあまりに危険だ。そこで鈴がイストワールへの対応に当たる。

 

「それはちょっとこの世界でやらないといけないことが出来たからよ。そして、それはこの世界の異変を解決することにも直結しているわ」

 

「この世界の異変……ですか」

 

 イストワールもその言い回しを聞いて、真剣そうな表情を作る。イストワールも、この世界の異変に気付いている者。その一人として、この話は聞きたいはずだろう。

 と、そこで話の内容にまったく付いていけていない様子を見せていた人物がいた。先程まで、ネプテューヌと言い争っていて、こちらを追い出そうとしていた職員である。イストワールが警戒をすることなく、話す様子から、困惑しているようだった。話の最中、その職員は状況がどうなっているのか質問する。

 

「…あの、イストワール様。この方はイストワール様のお知り合いですか?」

 

 ためらいつつの発言だった。無理もない。怪しいやからだと思っていたら、いきなり上司が親しそうに話し、自分の事にお構いなく、色々と話していたのだから。

 そんな様子を察してか、イストワールは口元を緩ませ、微笑みを見せて紹介する。

 

「はい。彼女達とは旧知の仲、そして、心強い協力者なんです。なので、彼女達は私が預からせてもらいますね」

 

 イストワールはそう言った。その言葉はどれほどありがたい言葉だろうか。イストワールは自分達を保護すると言ってくれたのだ。協力者が出来ると共に、行動するための拠点を確保できたことはこの状況を打破するための足掛かりとして十分な成果であった。これならば、この世界での活動もしやすくなるだろう。

 とは言っても、あまりに大きく行動すれば黒幕に何をされるか分からない。それでも、今はこのことに感謝するほかない。

 一方で、その決定を聞いていた職員も態度を改め、平静を見せ返事をする。

 

「はっ、かしこまりました」

 

 そう言って職員はその場を去る。イストワールなりの気遣い、もしくは配慮なのだろう。ともかく、これでゆっくりと話すことができる。イストワールもこちらに提案をしてくる。

 

「こんなところで立ち話もなんですし、奥でゆっくりお話をしましょう」

 

 その提案にはこちらも賛成だ。こんなところで話をするというのは明らかに失礼だ。それに加え、誰かに聞かれるというのも困る。それも、今話したいのはこの世界の異変について。他の教会の者が聞いていたら、最悪黒幕に情報が漏れる可能性もある。そういった意味では、ナイスなタイミングであった。

 そんなイストワールの言葉に対し、勇也達は頷き、その後を付いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 イストワールの案内で、案内されたのは、とある一室であった。教会の中ではあったが、その部屋は鮮やかな配色の家具が並べられていて、普通に生活感ある部屋であった。

 しかし、この部屋を光樹は知っていた。ここは教会におけるネプテューヌの部屋である。主に女神達を呼んでの会議に使われることが多く、以前にもネプテューヌ達がゲイムギョウ界感謝祭の計画を立てた時にも使用したとネプギアが言っていたのを思い出す。そう言った関係上で、この部屋にはたくさんの遊び道具(ゲーム類が多い)があり、部屋も女の子らしい雰囲気を持っていた。

 そんな部屋に光樹達は案内されると、各々に配置されていたソファーの上に腰を落とし、着席する。全員が座ったところで、ネプテューヌが早速イストワールにこれまでの事を聞く。

 

「それで、いーすん。これはいったいどういうことなの?」

 

 ストレートな質問だった。何が起きているのかはこちらも聞き込みで得た情報のみで、世界改変後の情報くらいしか知っていない。どうしてこうなったかの理由がネプテューヌも知りたいからこそ、この話を最初に聞いたのは光樹にも分かる。

 すると、その質問に対し、イストワールは息をついてからそのことについて話す。

 

「正直に言いますと、詳しいことはわかりません」

 

 聞こえたその言葉に、全員が落胆する。まさか、意識を失っていないはずのイストワールにも、この異変は分かっていないようだ。イストワールなら、何か知っているのではと思っていたのだが、やはり意識を失っていた光樹達以外もこの原因は分かっていないのだろうか。

 しかし、イストワールはその言葉にさらに続ける。

 

「ですが、この世界…ゲイムギョウ界から、女神の存在が消し去られてしまったのは確かです」

 

「消し去られた……教会の職員の反応から見ても、どうやらそのようね」

 

 鈴がイストワールの言葉に納得するような声を出す。教会の職員も記憶を覚えていないというのは、却って教会という場所が何のためにあるのかということを感じさせていた。

 一方、その話を聞いていたネプテューヌもこれまでのことを振り返る。

 

「だから、みんなわたしもを見ても、初対面な反応だったんだね」

 

 街の人間がネプテューヌのことを知っていなかったことも、イストワールからの発言で、異変の影響であるということに納得できた。女神のことを忘れていたのなら、ネプテューヌを知らなくてもおかしくはない話だ。

 するとそこで、ネプテューヌがあることに気づく。

 

「あれ?じゃあ、なんでいーすんはわかるの?」

 

 それは当然の疑問であった。他の人間は忘れているのに、なぜイストワールだけはこの異変の中で当事者であるネプテューヌ達四女神や光樹達以外で覚えているのだろうか。ちなみにこの考えは鈴に勇也が光樹が気づくずっと前から、イストワールと話した時から気づいていた。

 そんなことに気づくはずもなく、光樹もそのことについて言及する。

 

「それもそうだな。この異変に深く関わっている俺達以外に、まさか、イストワール様が覚えてくれていたってのは不思議っていうか……」

 

 光樹が不思議がっていると、イストワールが二人の疑問に対する推測について話す。

 

「あくまで予想ですが、プラネテューヌの歴史の記録者として、人工的に生み出されたせいではないでしょうか。この事象はゲイムギョウ界の歴史やあり方を、何かしらの力で改変した結果だと思っています」

 

 人工生命体だから。その理由に光樹も改変のやり方に対して若干の理解できていない部分を持ちながらも頷く。だが、光樹の理解した様子に不安か、はたまた呆れたのか。それは分からないが、鈴が分かりやすく解説をする。

 

「まぁ、要するにイストワールは歴史を記録するために作られた存在。だからあたし達とは記憶の保持する方法が違うってことよ。そういうことよね、イストワール?」

 

「えぇ。簡単に言えば、おそらくはそうなのだと思います」

 

 鈴からの確認に、イストワールがそういうことであるという返事をする。光樹もその説明を受けてようやく納得する。

 その言葉通り、イストワールはゲームの設定ではプラネテューヌの過去の女神によって造られた存在だ。記憶する際に覚える過程が違うのもおかしくはない話だ。

 もしそれが本当なら、感謝しなければならないだろう。イストワールを作った、過去の女神に。光樹の記憶が正しければ、MK2だったかリバース2で、イストワールはプラネテューヌにいた過去の女神が作ったという話を、聞いたことがあるような、ないような気がしていたからだ。そして、それはこの世界に来てからもイストワールと話した時にも聞いたことがあるため、確実だろう。ともかく、この事態になっても覚えている人物に会えたことには礼を言うべきだろう。とは言っても、その礼を言うべき相手は、もうこの世にはいないのだろうが。

 そう思いつつも、光樹はふうむと唸る。対してイストワールは先程中断したゲイムギョウ界を変えた事象について話を戻す。

 

「ともかく、その改変のせいで、女神ではなく、ゴールドサァド、そして、補佐としてゴールドソフツが治めるゲイムギョウ界へと変わってしまったのではないかと……」

 

「なるほどねー」

 

 イストワールの異変に対する推測に、ネプテューヌは大きく頷き、納得した様子を見せる。これで原因の一つが分かった。光樹も同じように理解を示すように首を縦に振る。

 様子を見て、理解したことを確認したイストワールは、続いてこの世界で起こっている他の出来事について5人に伝える。

 

「そして、大きな変化はいくつかあります。一つは、新たなモンスターの出現です」

 

 新たなモンスター達の出現。光樹達には、心当たりがあった。それは、黄金の塔への向かう道中、モンスターが襲ってきたのだ。

 当然、外を歩いていればモンスターが襲ってくるのはこの世界では当たり前のこと。光樹達もそれは十分承知していた。そして、5人はそのモンスターと戦った。しかし、その様子を一目見て、感じたのだ。こんなモンスター、居ただろうか、という疑問を。

 モンスターの姿は見た目はただの小さなうさぎ型のモンスターであった。その種類は一応前に光樹がクエストに行った時、見たことがあった。しかし、初めて見た時には今までのネプテューヌシリーズで見たことがなかったので、イストワールに聞いたところ、以前からいたと言われた。おそらくゲームで登場しなかっただけなのだろう。とはいえ、今の状況でモンスターの情報を知らないというのはダメだ、ということで、その派生種もイストワールから借りたモンスター資料集を借りて頭に叩き込んだ。

 ところが、目の前にいたモンスターは図鑑で見たどのモンスターとも違う体色をしていたのだ。加えて、モンスターの攻撃性もかなり異なっていた。具体的に言うなら攻撃を積極的に行うようになっていた。それ以外にも耐久力がややタフにはなっていたが、それでもまだ苦戦するというレベルではなく、あっさりと倒すことが出来ていた。

 そのことについて、イストワールが詳しい変化について説明する。

 

「これまで確認されたことのない獰猛なモンスターたちが、徐々にその数を増やしているんです。そして、突如モンスターが凶暴化する現象も報告されています」

 

 イストワールの後半の言葉に光樹は注目した。凶暴化する。それは先程思い出していたモンスターの状態と似ていたのだ。

 それがイストワールの言う凶暴化なのか、光樹は聞くことにした。

 

「イストワール様。多分俺達、凶暴化したモンスターとはもう既に戦ったかもしれない」

 

「それは本当ですか?」

 

「はい。今までに見た同じ種類のモンスターが、確認されていない体色になっていたんです。それも、モンスターの雰囲気もかなり危なげというか……暴走しているように見えました」

 

 光樹からの報告を聞いて、イストワールは頷く。その様子から、どうやら光樹の思う通り、あれもゲイムギョウ界の改変による影響を受けた結果のようだ。無意識だったため、気にも留めていなかったのだが、これもこの改変に繋がることなら、気をつけなければならないだろう。

 一方、イストワールは話を再開させる。

 

「おそらくは、光樹さん達が戦ったのも、凶暴化したモンスターでしょう。過去に、犯罪神の瘴気に当てられたモンスターが汚染され、凶暴化した事案がありましたが、それとは異なる現象です」

 

 犯罪神。その言葉に光樹も思い出す。「MK2」や「V」でも戦った普通のモンスターが何らかのオーラのようなものに当てられてステータスが強化された状態。それがかつて、「汚染化」という状態であったと覚えていた。だがしかし、イストワールはそれとは違う状態だという。その事に鈴が話に割って入る。

 

「今までの凶暴化と違う現象……。それは一体……?」

 

 鈴の質問に対し、イストワールが答える。

 

「自分以外の他者に対して見境なく猛威を振るうことから、わたしたちは「猛争化」と呼んで、原因を調査しています」

 

「猛争化……ねぇ」

 

「争いに猛る姿に変化……ってところか」

 

 話を聞いていた勇也も鈴と共に納得する。特に勇也のその例え方は独特で、かつ納得のできる補足であった。一方、光樹は絵里奈とネプテューヌと共に、猛争化のことについて言葉を交わす。

 

「まさか、ゲイムギョウ界の改変がモンスターにも影響しているなんてな……」

 

「うん。モンスターもおかしくなっているんだね」

 

「あの時は数が少なかったけどー、あれがもっとたくさんいたら大変だねー……」

 

 ネプテューヌがその変化に困るように息を吐き、絵里奈がこれ以上のことになった時に危機感を感じる。ゲイムギョウ界にいるモンスター達。それがもし、一斉に「猛争化」を起こせば、とんでもないことになるだろう。

 ともかく、イストワールが調べているというのなら、今はそれについても対応していかなければならない。光樹はそれを感じながらも、続くイストワールの話にも耳を向けた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

ジャンヌ「今回は、猛争化、という現象についての説明でしたね」

レイ「というか、光樹君達、もう戦っていたんだね……」

いやー、起きたこと全部書いてたら、全然話進みませんから(笑)。たまにこういうこともあるので、ご理解をお願いします。

レイ「さて、しばらくイストワールさんのお話はまだまだ続きそうっ。世界が変わった影響はどこまで来てるのかな?」

ジャンヌ「支配者の入れ替わり、それに今まで以上の争いの起こる世界になりそうな予感ですね」

ここからしばらく、イストワールとのこれまでのことについてのお話が続きますので、大きく動くのはそれ以降ですね。では、今回はここまで!

ジャンヌ「次回は水曜日の投稿になりますっ」

レイ「じゃあみんな、また次回ッ!!」


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第97話 世界の敵

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?日曜日にバトルスピリッツの界放祭に行って来ました、藤和木弘です

ジャンヌ「皆様、本当にバトスピを楽しんでいて、楽しかったですね。どうも、皆様。藤和木の勝利を応援していました、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「でも、まさか赤白で行くだなんてね。本当はマウチューで行こうとしていたのに。でも、勝てればいいよね、そんなの!どうも、みんな!同じく応援していた、レイ・オーバだよっ!」

初のバトスピ大型イベントの参加でしたが、楽しかったです。さて、今回は第97話の投稿です!

レイ「世界の敵……イノベ○ターかな?」

それは00です(;´・ω・)

ジャンヌ「まさか、もう既に、プロローグで戦った敵が?」

流石に登場するのが早過ぎるよ!と、まぁ、それはこの話で名前が出てきますよ。さて、そろそろ本編スタートです!


 

 

「そして、二つ目がそれに託けた団体や組織が、小競り合いを始めたことです」

 

 その言葉に一瞬光樹は理解できなかった。「託けた」という言葉の意味が分からなかったのだ。といっても、話の流れから大体は察する。おそらくはそれを理由にした、などの意味なのだろうと光樹は考える。

 そうすると、イストワールの言葉の意味をもう一度整理する。先程イストワールは猛争化という新しいモンスターの突然変異について言っていた。それが理由になっているということは、モンスターが凶暴化して大暴れしていることを理由に小競り合いが起きているということ……なのかという答えにたどり着く。

 一人考えていると、それを見ていた絵里奈が不思議そうにこちらに顔を近づけて聞いてくる。

 

「んー?どうしたのー、光樹君。そんな難しい顔して」

 

「う、うわっ!?え、絵里奈さん……?」

 

 いきなりこちらの顔を覗き込むようにしてきたので思わず驚きの声を上げてしまう。唐突な事だったためだ。しかし、その反応を見て絵里奈は少し落ち込んでしまう。

 

「う、うわっ!?って、そんなに私のこと見るの嫌いなのー?」

 

 その様子からして絵里奈は嫌われたと思ってしまったようだ。こちらはもちろんそんなつもりはない。むしろ、感謝していた。自分の事を気にかけてくれたことに。それだけ自分の顔がひどかったということなのだろう。

 光樹としてはそれに気づいていなかったので、せっかく心配してくれたので、すぐに謝罪する。

 

「いや、ごめん。ちょっと考え事してる時に、いきなり声をかけられたから、すこし驚いちゃってさ」

 

「そっかー!それはごめんねー。でも、何を考えていたのー?」

 

 絵里奈はそれを聞いて安心した様子を見せる。だが、それと同時に今度は何を考えていたのかについて聞いてきた。当然のことだろう。何かについて考えていたということなら、聞きたくなっても仕方はないはずだ。

 だが、こんなところで言っていいものだろうか。人が言ったものの意味が分からなかったから考えていた、など鈴が聞いたら、馬鹿にされるに決まっている。しかし、せっかく心配してくれた絵里奈に言わないわけにもいかないので、光樹は少し考えてから、ようやくその口を開いた。

 

「……まぁ、簡単に言えば、言葉の意味が分からなかったんだよ。「託ける」って言葉のさ」

 

「はぁ……あんたそんなことも分からないの?ひょっとして、学校の記憶すらも忘れているんじゃない?」

 

 案の定、鈴が早速その発言に対して罵ってくる。その言葉に光樹も気にする。とはいえ、知らなかったのだから、仕方がない。

 鈴が光樹を馬鹿にする一方、勇也と絵里奈は違う反応を見せる。

 

「そこまでにしておけよ。光樹はどこか抜けてるのは昔からなんだ。こんなことは初めてってわけでもないんだしな」

 

「そうだよー!光樹君はたまにそんなミスすることはあるけど、それでも平常な反応なんだよ!」

 

「…………」

 

 ……と思っていたのに、二人は鈴よりも優しい言葉ではあったものの、結局のところ光樹を馬鹿にしていることには変わりはなかった。勇也はいつもの事、と軽く流すように促し、絵里奈は辛うじて擁護をしているのが分かったがそれでも言っていることは先に口を開いた二人と結局のところは変わっていなかった。

 加えて記憶を失っていない自分自身の時点でそれくらい馬鹿だということは光樹にとってはかなりのショックであるのは確実であった。事実、光樹も驚きすぎて声も出なかった。そうして思ったのはただ一つ。記憶が戻ってもこの扱いは永遠に変わらないのかという絶望感であった。逆を返せば、記憶を失っても三人は対応を変えない人物であると言えるが、そんな前向きに光樹は考えることは出来なかった。

 一方、その様子を見ていたイストワールが見かねたように光樹を気にかける。

 

「い、色々と光樹さんのお仲間は厳しい方ばかりなんですね……」

 

「えーそう?鈴ちゃんはそうでも、私は違うよー?」

 

 しかし、イストワールの言葉に対し、絵里奈がそのような返しをする。その言葉には、明らかに嘘が混じっているように思えた。先程の発言がいつもの事と遠回りに言っているのに、馬鹿にするのは鈴だけというような発言は返って恐ろしさを感じさせる。

 絵里奈の天然さに光樹は茫然と名前を呟く。

 

「……絵里奈……」

 

「いつも通りなのはどっちなのよ……まったく、これだから絵里奈は……」

 

 その様子には流石の鈴も呆れている。絵里奈の天然発言はどうもこれが初めてというわけではないのに気づく。よくよく考えれば、目覚めたところから、ここまで来る間にも絵里奈は割と変な発言が多い気がする。簡単に言えば、発言につかみどころがないのだ。そこに絵里奈自身の独特なおっとりとした発言の仕方も、かえってそれを増長させていた。

 一体、何を言えばいいのだろうか。光樹は考え込んでいたが、そこで思い出す。今はそんなことに気を向けている場合ではない、と。本来、話していたのはモンスターの猛争化による、ゲイムギョウ界にある団体や組織の小競り合いについてのはずだ。一体、どうしてそうなったのか。……それは、他でもない光樹自身のせいなのだが。

 ともかく、早く話を元に戻すべきだと考えていたところで、まさかの人物が外れた会話を元に戻した。

 

「って、元々の話と違くない?」

 

 それは、他でもないネプテューヌであった。思ってもいないところからのツッコミに光樹を含め、鈴達GKSWAXPのメンバー、それにイストワールもキョトンとしている。

 いや、女神ということなら、これが本来正しい行動であるのだ。だがしかし、普段は怠けていて、無駄話を進めることの多いネプテューヌが、この場でツッコミを入れたことに誰もが目を疑ったのだ。その事を、他の者達も考えていた。

 しかしながら、そのまま無視するなんてこともない。そのためイストワールが咳ばらいをして話を戻すことを告げる。

 

「そ、そうですね。今はこの世界のことを話さなければなりませんね。では話を戻します」

 

そう言ってイストワールが話の続きを語る。

 

「先程の組織の小競り合いについてですが、まだ国家間の戦争とまではいきません。しかし、その規模や戦火は徐々に大きくなっています」

 

「争いの規模が、大きく……」

 

 思わず言葉が止まってしまう。憂いていたのだ。ネプテューヌがこの国の守護者であった時は平和な国だったはずなのに、守護者が、いや、世界が変わっただけで、平和が儚く崩れることに。今でこそ規模は小さくても、その小競り合いをする組織がたちの悪い、例えば暴力団のような組織だったり、ガンダムの世界でも戦争へと発展させるようなこともある傭兵集団なら、イストワールが危惧しているような「国家間の戦争」が起きるのは時間の問題だ。

 もし、そんなことになれば、多くの人々が傷ついてしまう。同僚であった教会の職員の人達も、それに何より、市民の人達も。みんなの笑顔を失わせるわけにはいかない。そんな光景を、光樹は見たくはなかった。

 そのためにも、この異変を解決しなければ。光樹はそう心に硬く決める。そう考えている間に、イストワールが更に重要なことを教える。

 

「そして、今最も深刻なのは、それらを裏で操っていると言われる…」

 

 すると、そこでまたも唐突にネプテューヌがその言葉に答えを出す。

 

「秘密結社アフィ魔X、でしょ?」

 

「……はぁっ!?」

 

 光樹は思わず驚きの声を発してしまう。何故既にそんなことを知っているのか。光樹はそんなこと聞いたことはこれまでに一度もなかったと記憶しているのに。何故ネプテューヌがそんなことを知っているのか。しかし、それにはイストワールも思わず聞き返した。

 

「な…何故、その名前を!?情報統制されてるのに!?」

 

 どうやら、その情報は本来トップシークレットのようで、本来は知りえない情報らしい。それならば、光樹も知らないのはある意味当然なのかもしれない。

 だが、それはむしろ、逆にネプテューヌが知っていることに対する疑念に拍車をかけていた。一体どうして、と。

 今の気持ちは他のメンバーもそうなのか、と光樹は周りを見る。鈴の方はあまり驚いた様子はしておらず、続く勇也もまた口を閉ざしつつも、その様子を静観している。その一方で、絵里奈は光樹よりも感情を露わにして驚いていた。とはいえ、驚くというのにはややオーバーリアクションのような気もしたが、これまでの絵里奈を見ていると、それが絵里奈の平常運転なのかもしれない。

 それでも、何故情報統制がされているにも関わらず、ネプテューヌが知っていたのか。情報が管理されているのなら、聞き込みでも一切情報が挙がらないはずなのにだ。

 すると、その理由について、ネプテューヌが語った。

 

「普通にネット掲示板のNちゃんねるで見たけど?」

 

 ネプテューヌの答えは簡潔なものであった。ネット掲示板からの情報。ネットにそのような情報が挙がっているのなら、おかしいことはなくはない。ネプテューヌは確かNギアを持っていたはず。おそらくはそれを使ったのだろう。

 ネプテューヌの回答にイストワールは虚を突かれたように言葉を乱す。

 

「ね、ネットですか!?まさか、どこからか情報がもれているのでは…」

 

 予想外の事に、危機感を抱くイストワール。そんなイストワールに対し、更に追い打ちをかけるかのように鈴も言葉を続ける。

 

「あら、あれって国家機密クラスの情報だったの?あたしも同じようにネットの方で見たんだけど……」

 

「り、鈴さんも!?どのサイトか、具体的に教えていただけますか?」

 

 イストワールの質問に鈴は腰のホルダーに入れていた端末を操作してから、その情報について語る。

 

「ええっと…………あったわ。名前は「0O(レイオー)速報」ね」

 

「あぁ、そのサイトか。俺も見たが、信頼性がどうなのかってことで、俺はあんまり気にしていなかったな」

 

「勇也さんまで!?」

 

 鈴に便乗して勇也もそのことについて語る。まさか、その情報について知らないのは自身と絵里奈だけだったとは、思わず唖然としていた。

 そもそも、二人が言っている「0O速報」とは、各国の兵器に関する情報をまとめたNちゃんねる系列のまとめサイトで、その成り立ちは光樹が超次元に来たあたりから運営され始めている。その内容は、よくある未確定情報のまとめばかりであり、真実はかなり少ない。とはいえ、以前にはシェアプロテクターの名前が、それどころか、光樹のガンダムも姿を遠目に撮影された画像が投稿されていたりと、侮れない部分も多い(それでも、スペックなどは過小評価されている部分も多かったが)。

 しかしながら、疑問も少なからず生まれていた。本来兵器を扱うはずのサイトであるはずなのに、なぜそんなゲイムギョウ界を支配しようとしている組織の名前を扱っているのか。単なる閲覧数稼ぎであるのなら、結びつかないこともないが、それではあまりに方針と違い過ぎる気もする。

 だが、そんなことにも気に留めず、イストワールが頭を抱えていた。どうやらイストワールもそこまで情報が民間に漏洩しているのは想定外だったのだろう。……もっとも、イストワールの先程の驚きようを見ると、そもそも情報が漏洩している自体が、寝耳に水、のようだ。

 そんな中、ネプテューヌが組織について聞く。

 

「で、その秘密結社ってのは、具体的には何をしてるの?Nちゃんねるで質問しても、「あの結社のことを思い出させるな」「あれは世界の影の部分だ」とか全然答えてくれないんだ」

 

 その話の一端を聞いて、なんだかかなりヤバい雰囲気を持つと感じさせられる。光樹としても、秘密結社の行動を知りたいとは思っていたものの、まさか、そんな返しがネプテューヌの口から語られるとは思っていなかった。別に、ネプテューヌが既に調べていたから驚いたわけではない。質問に対する答えの内容に対して、だ。そこまでそのアフィ魔Xは人々から嫌われるほど、既に悪事を働いているのだろうか。

 光樹は刹那の間、その可能性について考える。もし、世界改変によって過去の出来事すらも改変されているのなら、あり得ることだ。いや、むしろ今の女神の存在が消え去っているこの世界では、その方がおかしいというのが筋だろう。過去が変えられていなければ、今の状況が説明できないのだから。

 疑問にとりあえずの答えを光樹が出すと、ネプテューヌの発言に対し、イストワールの解説が始まる。

 

「秘密結社アフィ魔X…それは、企業の技術や情報を盗み出し、それを他者に売り捌き、戦火を広げているという情報もあります」

 

 聞くだけで分かってしまった。とんだ最悪の組織であることに。ガンダムで言うなら、「SEED」や続編の「Destiny」に出てきた「ブルーコスモス」や「ロゴス」のような組織だろう。どちらかと言えば、その内容からも「ロゴス」の方が近いだろう。

 「ロゴス」というのは、「機動戦士ガンダムSEED Destiny」にて登場する組織で、通称「死の商人」とも呼ばれている。その内容は、武器の流通や戦争への民意誘導。まさに、戦争へと世界を誘う、死を振りまく商人のようなものである。

 そして、今のアフィ魔Xの行動も、今話を聞いたところでは似ている部分はあった。情報の流通、それによって企業同士の争いの扇動。それはまさに世界を争いへと発展させるための一つの企業そのものだ。それならば、誰も好き好んで言いたくはないだろう。

 

「企業同士の争いの発展……ロゴスか、はたまたサーシェスみたいな傭兵ね」

 

「だねー。組織同士の小競り合いっていうのも、それが原因なのかなー?」

 

 鈴と絵里奈の言葉の意味を、光樹も理解する。「ガンダム00」に登場した、「アリーアル・サーシェス」もまた、国同士の戦争を起こそうとする「戦争屋」だった。戦争により世界を陥れている。組織の小競り合いも、少なからずそれが影響しているというのも、納得できる話だ。

 二人の発言に、ネプテューヌも同感するように言った。

 

「誰の事かは分からないけど、なんか、ゲームやアニメに出てくる、儲けるために戦争を起こして兵器を売る、黒幕的な組織みたいだね」

 

 二人の発言を簡単に解説する内容だった。実際、その二つの名前のモノは戦争の黒幕の一つだったり、ゲームのボスのような立場だったりと、今の状況に合致する例えであった。

 イストワールも、その答えに頷く。

 

「まさに、そうなんです」

 

 しばらくの間、静寂が部屋を満たす。各々がその答えに納得したのだ。光樹とネプテューヌはそれを倒さなければ争いが終わらないことに。そして鈴達は、これを解決しなければ、次の戦いが始まらないことに。

 訪れるであろう、終わりと始まり。それぞれが決意する。アフィ魔Xを倒すことを、強く。

 数秒の沈黙ののち、ネプテューヌが話を引き戻していく。

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

ジャンヌ「世界の敵は、アフィ魔X、という名前なんですね。では、あのプロローグの機体も、この組織に?」

それは、どうだろうね

ジャンヌ「……もうっ!教えてくれても……」

いやー、教えるわけには……

レイ「っていうか、それも気になるけど、途中の速報の名前、ひょっとして私の名前から?」

いや、…違うよ。ただ、設定した後で気づいたね。名前がレイさんに似ているの

ジャンヌ「そうですか……。あ、皆様、昨日は乙女のイベント、バレンタインデーでしたが、いかがでしたか?」

レイ「みんなはチョコをもらったり、あげたりしたのかな?」

ちなみに私はジャンヌさんとレイさんからもらいました。あと光樹君とか、描かれていないけど勇也君ももらってたね

レイ「いやー、作り過ぎちゃって……」

ジャンヌ「と、藤和木っ!わたくしのチョコ、美味しかったですか?」

うん、美味しかったです!

ジャンヌ「よかったぁ……!」

レイ「良かったねー、ジャンヌちゃんっ!」

ジャンヌ「はい!レイさんも美味しいと言ってくれていたので、嬉しいです」

さて、そろそろ次回予告と行きますか

レイ「うんっ!次回は火曜日になるよっ!」

ジャンヌ「では皆様。また次回に」


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第98話 プラネテューヌを元に戻すために……、光樹への課題

どうも、皆様、お元気でしょうか、現在学校の春休みに入りました、藤和木弘です。

ジャンヌ「また休みに入りましたねっ。どうも、皆様、また藤和木に甘えられる、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「これで、遅れの出てるSSRが進むね!どうも、みんな!光樹にどんどんSSRの執筆を進めさせてる、レイ・オーバだよっ!!」

最近はレイさんが急かしてきてほんと大変……でも、今ストックが少なくなってきていて、本当に困ってますけどね。さて、今日は第98話の投稿です。

レイ「プラネテューヌを、ゲイムギョウ界を戻すために、遂に行動開始だねっ!!」

ジャンヌ「そして、光樹さんへの課題……とは?」

さて、そろそろ本編へ!!


 

「けどさ、女神がいないだけで、なんでこんなに物騒な世の中になるんだろうね?」

 

 ネプテューヌの言葉……女神の有無だけで、ここまで世界が変わることについてのこと。それは未だそのような経験がないであろうネプテューヌが口にする疑問としては、聞きたいと思うのが筋なのは鈴にも分かった。今までの世界よりも状況が悪くなったからであろう。

 だがしかし、鈴自身にはその理由がなんとなく分かった。それは、その存在そのものが世界の根幹を成していたから。元々、次元の壁を隔てて生み出された世界はその世界の中で、核となる「不変せし物語を編む者」という存在を中心に秩序を保っている。

簡単に言うなら、ゲームでいう所の物語の主人公だ。ゲームでの主人公の行動によって物語が変わるように、世界もまた、その存在の行動によってその未来を変える。もう少し分かりやすく例えるのなら、世界が人間の肉体、「編む者」が脳とすれば分かりやすいだろうか。

 そして、先程のネプテューヌが感じていた女神の有無による世界の改変についてだが、要は今現在、物語の主人公がいなくなってしまった状態なのだ。今は代わりに主人公の偽物が物語を動かしている。だが、本来の主人公による物語の進行ではないため、争いが起きているのだ。

 このように、物事には必ず中心となる人物がいる。今回はネプテューヌ達四女神が「編む者」。つまり主人公だ。どうにかして、彼女らに主人公としての座を戻す必要がある。それこそが、自分達の目的なのだ。

 ネプテューヌの疑問に対して、鈴はその持論をもって答える。

 

「確かに不安になるのは分かるわ。でも、逆に考えれば、あなた達の方が有能だった……というか、あなた達こそが本来の守護者。あなた風に言うなら、この世界の「主人公」だから、ってことにもならない?」

 

「おおーっ!!それはいいかも!!前は無能だとか使えないとか叩かれていたわたしたち女神だけど、やっぱり国を治めるのは女神ってことだよね!鈴、ナイス発言!ドヤ顔してもいいんだよ?」

 

 鈴の答えを聞いてネプテューヌが大喜びでこの状況をポジティブに考える。これが世界を早く元に戻そうという気持ちに火をつけてくれるだろう。

 鈴はそう思っていたが、実際の所、ネプテューヌのやる気は既に出ていた。光樹と合流した時にだ。だが、少なからず、鈴の言葉による鼓舞はネプテューヌの女神に返り咲こうとする意志を助長させていた。

 そうとは知らず、鈴は自身の言葉でやる気が起きたのならいいと思っていた。鈴も機嫌がよくなっているネプテューヌに言葉を返す。

 

「フフッ、そう言われると、少し気分が上がっちゃうわね」

 

「鈴、お前なんでそんなに自慢そうに……」

 

「光樹、アンタは黙ってなさい。嫉妬するのも、大概にしてほしいんだから」

 

 余計な茶々を入れてきた光樹に対し、そのように軽くあしらう。いつもからかってきている光樹へのささやかな仕返しであった。しかしながら、今の光樹は記憶を失っている状態なので、ほぼ八つ当たりに近い状況だが。

 鈴の言葉を受けた光樹は若干不満そうにしつつ、元の話に注目する。

 

「……だけど、ほんと、今になってよく分かるよな。改変前の女神が国民から愚痴とか批判を受けていた状況の方が今よりマシっていうのは」

 

「それは言えていますね。今思うと、あの時が一番平和だったんだと、改めて思います」

 

 改変前の方がまだ平和だった。光樹とイストワールはそのように語る。鈴達初代SSRNPのメンバーも改変前の状況は光樹を探しに来た時にも知っている(絵里奈のみ来てはいないが)が鈴としては、改変前もさほど平和な感じはない部分もあった。というのも、鈴がこの世界に調査しに来た直後の出来事が原因であった。鈴がこの世界に最初に訪れた時に、不良メンバーと交戦していた。その時不良達が拳銃やナイフを使って襲ってくる姿は、見慣れている光景とはいえ鈴には以前のゲイムギョウ界が平和だったとはあまり思えなかったのだ。

 だがしかし、それ以外のことは特に荒れている様子はなく、今の状況は異変を異変として認識できていない部分を含めると昔の方がマシだというのも納得せざるを得ないのは事実であった。あの時は運が悪かったのだと自分に言い聞かせることにした。

 

「ところでさ、わたしの代わりにプラネテューヌを治めているゴールドサァドってのはどこにいるの?」

 

 鈴が考えを切り替えた直後に、ネプテューヌはゴールドサァドの現在の行方について聞いた。ゴールドサァドはこれまでの情報から、現在プラネテューヌ教会のトップにいることは分かっていた。ネプテューヌは今すぐにでもその人物と話をしようというのだろう。

 危険ではあるが、それは把握しておきたい事項ではあった。今敵になっている者の動きを知っておくというのは、反逆もとい、レジスタンスの戦略としては定石だ。特に敵組織の裏側に入り込んだ者には必ず把握しておかなければならないと言える必須事項だろう。

 そんなネプテューヌの問いに、イストワールは頭を抱える。まるで、言いづらそうな態度を取っている。それに気になった光樹が聞く。

 

「どうしたんです、イストワール様。なんか、凄く悩ましい顔していますけど……」

 

「困ってそうな顔をしているな。何かあったのか?」

 

 勇也も光樹の言葉に連続的に質問を繋げる。少し圧迫感を感じさせるかのように連続した質問だったが、それにイストワールが息をついてから答えた。

 

「それが、何の因果かネプテューヌさんのようにいつも遊んでばかりで、今日も朝から外に出かけているんです。ゴールドソフツのDRXさん達も、ビーシャさんに付きっきりです」

 

「……え?」

 

「……なんだそりゃ」

 

 思わずしりすぼみしたように言葉が止まる光樹と勇也の二人。あまりに予想外な回答にあっけに取られてしまったのだろう。鈴も何もしていないという回答に反応が鈍る。

 

「へぇ~、ゴールドサァドちゃんも、ネプテューヌちゃんと似ているんだねぇ。仲良くなれそうかもー!」

 

 ただ一人、絵里奈だけは自由過ぎる回答をする。ネプテューヌと似たところがあるというのは、一体どんなシンクロをしたのだろうか。その状況には、流石のイストワールも溜息をついてしまっていた。

 

「どうして、プラネテューヌばかり、こう仕事をしない人がトップになるのでしょうか…」

 

「……あなたも、なかなか大変な立場よね。代表が変わっても、役職が全く変わらないんだから……」

 

 鈴は同情にも近い様な言葉をかける。その落ち込みようを何とかしないといけないと思ってしまったからだ。そこまで感じさせることからも、プラネテューヌという国はトップが責任感を持っていないのは明らかに見えた。

 だが、それがイストワールの考えをフル回転させたようだ。ふっと顔を上げたイストワールがこの状況を打開する策を声高々に言い放った。

 

「……あ、そうですよ!ビーシャさんが仕事をしないなら、代わりにネプテューヌさんにしてもらえばいいんですよ!」

 

「ねぷっ!?」

 

 その考えにネプテューヌは思わずビクッと反応する。予想していなかった考えに動揺した様だ。正に、寝耳に水、のように。

 一方、それを聞いていた光樹はお気の毒とでも言うかのように、笑って伝える。

 

「ははは、いきなりのお願いとは大変だな、ネプテューヌ」

 

その声にネプテューヌが溜息をつく。だが、光樹のその余裕顔は一瞬で終わることとなった。

 

「あぁ、もちろん光樹さんにもネプテューヌさんのサポートをしてもらいますよ?」

 

「……え、あ、マジですか……」

 

 イストワールから発せられた、更なるお願いは光樹をも巻き込んだ。この世界でお世話になるのなら、当然手伝ってもらう、かのような流れでサポートをお願いされる。そんな様子に、鈴も心の中で小馬鹿にする。

 

(ざまあないわね。さて、それにあたし達も協力しないとね……)

 

 光樹とは反対に、鈴は逆にこのお願いに協力したいところだと思っていた。その理由はもちろん、異国も早くこの状況を打破したいと思っていたからだ。仕事をこなし、教会側からの信用を得る。そして、最終的にはゴールドサァドとの決戦に臨む。それが鈴が現状で考えていた策だ。

 だがしかし、今はその必要性がなさそうに思えて来ていた。イストワールからの話で、ゴールドサァドもゴールドソフツも、今は特にこちらの邪魔をしているわけではないことが分かっている。ならば、まだ余裕はある方ではあるのだろう。

 しかし、それでも鈴達が光樹の、もっと突き詰めるのならネプテューヌの手助けをするのなら、そのサポート組に回る必要がある。記憶を元に戻す治療を行うには、光樹との行動がいる。そのために、イストワールから許可をもらわなくては。

 だが、鈴のその不安も無用となるのであった。

 

「あ、私達は、どうすればいいですかー?」

 

 絵里奈が早速、イストワールに自分達の行動について聞く。すると、イストワールは手早く指示を出した。

 

「では、鈴さん達も、ネプテューヌさんのお手伝い兼見張りをお願いできますか?」

 

「見張りね」

 

「それはこっちとしても望むところだな。光樹の記憶喪失の件も解決する必要があるからな」

 

 イストワールの言葉に二人で了解の返答をする鈴と勇也。その一方で先程嫌そうにしていたネプテューヌが必要性を訴える。

 

「どうしてそうなるわけ!?しかも、光樹達を見張りにつけるって、どれだけ信頼されてないの?」

 

 ネプテューヌにとっては、現在の国のトップの代わりとして仕事をすることと、自分達が見張りに付けられることに納得がいかないようだ。その事について鈴は同情するつもりは残念ながらなかった。というのも、鈴としてもやるべきことをやらないメンバーを気に掛けるつもりはない、というのが鈴の信条であったからだ。

 それになにより、この問題は、本来守護者であるネプテューヌがやるべきこと。女神の威厳を保つためにも、ここはネプテューヌにやらせなくてはならない。それに、それぞれの世界で起きた事件は、世界外からの干渉がない限りはその世界の者が立ち向かわなければならない。そうでなければ、歴史が乱れる。歴史を自ら乱すのはGKSWAXPの使命にも反する。それは避けるべき事態だ。

 加えて、イストワールもネプテューヌのだらだらしたいという叫びを咎める。

 

「ただでさえ、世界が争いばかりで大変なんですから、こういう時こそ女神としての責務を果たしてもらいます。それを逃さないためにも、光樹さん達には見ててもらいたいのです。それに……」

 

「……それに?」

 

 光樹が首を傾げる。そこでイストワールが言った。

 

「それに、今回の案件、私の勝手な憶測なのですが、女神の力だけでどうにかなるようなものではないと思うのです」

 

 その言葉に、鈴は動揺を見せる。憶測とは言ってはいるものの、その指摘はあながち間違いではない。何せ、こちらもこの案件は、自分達が追っている黒きNPが関わっていると思っていたのだから。

 

「……その理由は?」

 

 鈴はゆっくりとその理由について聞く。すると、イストワールも頷いてから、訳について触れた。

 

「実は、各地で正体不明の機動兵器が目撃されているんです」

 

 正体不明の機動兵器。それだけ聞いて、勇也と絵里奈が反応する。鈴も同じだ。まだどのような特徴かは知らないが、それだけ聞いただけで、鈴達にはとある機動兵器が頭に浮かんだ。そう、襲撃してきた、あの黒いNPである。

 すぐさま、勇也がその特徴について尋ねた。

 

「ちなみに、その機動兵器の特徴は分かるのか?」

 

「えぇ。三体確認されています。まず、青紫色の機体。こちらは盾のように装備された手裏剣や刀を持ち、姿は忍びの様な姿です」

 

「忍者ってこと!?ゲイムギョウ界にも、忍者の姿をしてる機体がいるんだねー!」

 

 絵里奈がやけに喜んで反応する。あまり騒ぐようなことではないのだが。しかしながら、MPやNPの中で忍者モチーフの機体は少ない。忍者のような武装を装備するMPを使う絵里奈としては、興味があるのだろう。

 そう思いつつも、次の機体の説明に耳を傾ける。

 

「続いての機体は、また紫色の機体ですね」

 

「また紫色の機体か。同型機か?」

 

 肩透かしを食らったように勇也が呟く。話を聞いている限りでは、色が似ているとカモフラージュのためか、もしくは同型機だと疑うのは筋だ。勇也の言葉には鈴も頷いていた。

 だが、そこから違いが出てくる。

 

「ですが、こちらの機体は、指に当たる部分が三本のかぎ爪になっていますね」

 

「指がかぎ爪?」

 

「しかも三本?」

 

 勇也と絵里奈が疑問を浮かべる。ロボットの指がかぎ爪なっているのが、何故か珍しく感じてしまったのだ。

 ……あら?紫色の機体?指が三本のかぎ爪?そんな機体、どっかで見たことがあるような気がしてならないわ。でも、どこで……。

 悩んでいる矢先に、イストワールが大きな特徴について述べた。

 

「加えて、その背部にはタンクと一緒に、薔薇、とでも言うような。とにかく、薔薇状のユニットを装備しているそうなんです」

 

「……あ」

 

 思わず声が止まってしまう。その正体がなんとなく分かってしまったからだ。

 鈴の頭に浮かんだのは、機動戦士ガンダムの舞台である宇宙世紀。そのUC.0096の時代、ネオジオン残党「袖付き」にて開発された対サイコミュ用モビルスーツ。その名は「ローゼン・ズール」。

 まさか、その機体がこの世界にいるとは想定できなかった。いや、想定したくはなかった。あのパイロットには若干苦手意識があり、あまり好きになれるようなキャラではなかったのだから。

 鈴と同じように、勇也や絵里奈も理解したように各々に納得した様子を見せていた。そして、イストワールに対し、光樹がその正体について言及した。

 

「……なんか、それ、ローゼン・ズールだよな?」

 

「ローゼン、ズール?光樹さん、知っていらっしゃるのですか?」

 

「あぁ、確か、アンジェロが駆った、対サイコミュ用のインコム搭載機だろ」

 

「さ、さいこみゅ?いんこむ?何それ?美味しいの?」

 

 光樹の説明にネプテューヌが付いて行けずに疑問符を浮かべている。イストワールも細部については分かっていなさそうな反応を見せる。

 まったく、これだから状況判断能力が退行した馬鹿は……。そう思いつつ、鈴は二人に分かるように翻訳する。

 

「要するに、あたし達が見てきた、別世界に存在する機動兵器の事よ。それから、人の脳波で操作する武器のことよ、ネプテューヌ」

 

「おおーっ!まさか外の世界の機動兵器が、ここにいるなんて!!」

 

 ネプテューヌが理解した様子を見せる。分かってくれたようでよかった。その説明にイストワールも納得を見せる。だが、そんな様子を見せつつも、的確な疑問が飛んでくる。

 

「では、何故、そのような別世界の機動兵器がここに?まさか、それが皆様が追っている敵だったりするんですか?」

 

「それは……まだ分からないわ」

 

「そう、ですか」

 

 イストワールからの質問に、鈴は曖昧な答えを返す。外の世界にいるはずの機体がこの世界にいる。それはつまり、外部からの侵入者がいるということを意味する。その可能性は鈴も考えてはいた。

 だが、中には例外が存在する。例えば、スーパーロボット大戦の世界には、色々な世界の機動兵器が一堂に会しているが、それでも、中の世界で起こったこと。それは特に世界の破滅要因にはならない。ローゼン・ズール似のその機動兵器も、もしかすると、この世界が生んだ物……なのかもしれない。

 とはいえ、まだイストワールの話は続いている。3体目が一体何なのか。本当に、黒きNPなら……。

 そんな中、いよいよ、3体目の特徴について語られた。

 

「最後に3体目ですが……赤い機体で、実は、随分と昔に見たことがあるような機体なんです」

 

「ずいぶん昔に見たことのある機体?」

 

 光樹が疑問に持ったのは後の特徴の方であった。イストワールが昔に見たことがあるというのはつまり、以前よりゲイムギョウ界にいたということだ。もしかすると、イストワールも思い出しかけているのかもしれない。

 そんな中、鈴が気になったのは、先に言った特徴の方。赤い機体という単語に、気にせざるを得なかったのだ。というのも、先程言ったローゼン・ズール似の機体のことを先に聞くと、どうもその機体が、あの機体の事しか思いつかなかったのだ。単なるこじつけかもしれないが、本当にそうだったら……。

 そう思っていた鈴を横目に、何か心当たりのある勇也が顔をはっと上げ、イストワールに対して質問した。

 

「なぁ、ひょっとして、その赤い機体を見たっていうのは、80年前のラプラスボックス事件で見たんじゃないか?」

 

「ラプラス……ボックス?」

 

「……そうです!その時に見たんです。ラステイションの赤い彗星!」

 

 イストワールがその言葉に反応する。どうやら勇也の考えていたことが当たったようだ。

 しかしながら、鈴には何がさっぱりだ。光樹の反応と同じ状態で、詳しく聞く必要があった。すぐに鈴は勇也に詳細を尋ねた。

 

「ねぇ、ラプラスボックス事件って何?それに赤い彗星って、あの赤い彗星?」

 

「あぁ。その事なんだが、俺らの知っているラプラス事件に似ててな。今は長く話していられるほどじゃないが、世界を混沌へと追いやる程の闇の力を秘めたっていう、ラプラスボックスっていう名前のゲームデータを巡って、ルウィーに居た一角の機人機動兵器がラステイション軍の当時大佐だった別名「赤い彗星」って名前を持った、「フロンタル・ジ・シナンジュ」っていう同種の兵器と世界を賭けて戦ったっていう話だ」

 

 その話はまさにラプラス戦争に近い物語であった。赤い彗星という機動兵器が間違いなくそのシナンジュという、「あの機体」と姿が似ているのは確かだ。だが、まさかそんなことが起きていたとは、鈴も到底考えつかなかった話だ。

 それを勇也が知っていたのも気になったが、今はイストワールとの話が先だと考え、後で言うということを伝える。

 

「色々とツッコミどころはあるけれど……あとで聞くわ。それで、イストワール。本当に確認されたのは、その機体で間違いないのね?」

 

「はい。撮られた写真は間違いなくその機体です。ですが、その機体は、いえ、そのロボットは80年前に行方不明になったはず……どうして、今になって……」

 

 イストワールは首を傾げる。どうやら、今でも活動していることに疑問を感じているようだ。その事については鈴も少し、不信というよりも、驚愕を感じていた。まさか80年も稼働している機動兵器があるとは……。と言っても、自分達が駆ってきたSSRシリーズのガンダムは約1万年以上前に開発されたという、古代のロストテクノロジーで生み出された機体ではあったのだが。

 性能はおそらくはその時代据え置き。ならばただの骨董品……かもしれないが、それだけの年代があるということは、腕もそれ相応あるということ。戦うことになれば、油断は出来ないだろう。

 とはいえ、元々の話から主題が外れてしまっている。本来の話に戻さなければ、話は進まないだろう。すぐに鈴はそのことを提案する。

 

「で、元々の話はネプテューヌがこの国の今の代表に代わって仕事をするって話だったわよね?」

 

「そうですね。ネプテューヌさん、みなさんに監視される理由、理解できましたか?」

 

「うん。まぁ、分かるけどさぁー……でも……」

 

 イストワールからの説明に納得しきれない様子を見せるネプテューヌ。それに対し、やれやれと言った様子で再びイストワールが説得する。

 

「嫌がってもダメです。プラネテューヌの、いいえ。ゲイムギョウ界のピンチなんですよ」

 

 ここまで言っても動かないのなら、もう仕方がないかもしれなかったが、そこで折れたのはネプテューヌの方であった。

 

「じゃあさ、あいちゃんを手伝って来てもいいかな?」

 

「アイエフさんをですか?…ですが、彼女はネプテューヌさんのことを…」

 

 その発言に、イストワールは大丈夫かと聞き返す。あいちゃんといえば、、先程別れたアイエフのことだろう。ネプテューヌの親友でもあることから、手助けをしたいと考えているのだろう。

 だが、そこで心配するイストワールが言いたいのは、おそらくネプテューヌのことを覚えていないということだろう。しかしながら、ネプテューヌはそのことを知っている。それを知らないイストワールは、本当にそれでもいいのかと聞いたのだろう。

 それでも、ネプテューヌは答える。

 

「うん、それなら、さっき会ったから知ってるよ」

 

「辛く、ありませんか?」

 

「そりゃあ、辛いけど、今はしょうがないよ。けど、もしかしたら、一緒にいるうちに思い出すかもしれないじゃん?」

 

 イストワールの心配を突っぱねるように、今までにも見てきた明るさで言った。だが、そこから急にシリアスな表情に変えて、思っていたことを言う。

 

「それにさ、いーすんとか鈴に勇也の話を聞いてると、あいちゃん一人に秘密結社を追わせるのも危ない気がするんだ」

 

 それは親友ゆえの心配だった。普通の人間に、それも、女の子に危険な橋を渡らせたくないという気持ちからの発言であった。

 そんな様子を見て、イストワールも了承したように許可を出す。

 

「…そうですね。何が起こるかわかりませんし、そういうことなら、許可しましょう」

 

「わーい、やったー!」

 

「ですが、くれぐれも邪魔をしてはいけませんよ?」

 

 イストワールからの注意を受けつつ、ネプテューヌは教会を後にした。その後を、光樹も追っていく。本来なら、鈴達もすぐに行かなくてならないが、そこで鈴は止まる。

 さて、あたし達もやることやってから行かなくちゃね。その前に、ちょっとやることもあるけれど。あたしはイストワールに一つ頼みごとをする、

 

「じゃあ、あたし達も少ししてから行動を開始するわ。スタジアムを借りられるかしら?それも、軍事試験用の」

 

「軍事試験用……ですか?構いませんが……なぜ?」

 

 イストワールが首を傾げる。理由を言わなくてはいけないのは当たり前だ。まぁ、隠すべきことでもないため、鈴はその理由を語る。

 

「えぇ。ちょっと、光樹の事なんだけどね……」

 

 

 

 

 

 

 

「……んで、なんでこんなところに俺を呼んだんだ?」

 

 光樹は広いスタジアムの中央に立っていた。現在光樹はプラネテューヌ国内に存在する機動兵器運用訓練スタジアムに来ていた。実は、ネプテューヌの後を追っていく途中で、鈴に急に呼び止められたのだ。

 訳を聞く暇もなく、鈴達に連れられ、ここにやって来ていた。そして、今目の前には鈴に勇也、絵里奈の三人と向かい合っていた。

 一体、何が始まるのか。気になる最中、端末をいじっていた鈴が、端末を仕舞ってこちらに話しかけてくる。

 

「待たせたわね。じゃあ、始めるわ」

 

「始めるって……一体何を始めるんだよ。ネプテューヌの方はいいのかよ……」

 

 光樹の心配に対し、絵里奈が前に出て答える。

 

「あー、それなら大丈夫ー。こっちのサポートメカがちゃんと行方を追ってるよー」

 

 ちゃんと見張りがいるのなら、問題はない。絵里奈の発言で、光樹も早くこの時間が終わってほしいという気持ちは引っ込んだ。

 だが、それでもこれは何なのか。なぜこんなところに来たのかという気持ちが巡る。すると、先程の光樹の話に鈴が答える。

 

「まぁ、いつまでも教えておかないってわけにもいかないわ。じゃあ、単刀直入に言うけど、」

 

 

 

 

 

 

 

 

「光樹、アンタの今の実力、あたし達3人にぶつけてきなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 鈴の乾いた声が光樹の耳に届いた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




本日もお読みいただき、ありがとうございます。さて、久々にあのシナンジュ王の名前が出てきました。

レイ「でも、まさかフロンタルさんの名前をつけてるなんて、やっぱりガンダムUCとかかわりあるね」

ジャンヌ「時期が時期ですからね。それに敵の二人がどうも二人の関係に似てますから」

それで決定した感じではあるけど、意外にしっかりとハマっているんだよね。さて、次回は光樹君と鈴達との対戦!そんな次回の投稿日は、今回はやることも少しあるので、火曜日になります

レイ「設定とかあるもんねー」

ジャンヌ「それでは皆様、また次回に」


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第99話 実践演習と緊急事態

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?休み期間には就活したり、小説を進めている、藤和木弘です。

レイ「でも、あんまり就活の方は進んでないんだけどねー。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「それに加えて、カードサプライも購入していたり、ですね。どうも、皆様。最近は三人で家にいることの多い、ジャンヌ・ドラニエスですっ」

聖剣の乙女も届いて執筆意欲も増しています。さて、今回は第99話、投稿です!

ジャンヌ「前回は光樹さんに対し、鈴さんがガンダムによる対決を申し込んだところですね」

レイ「さて、光樹君と戦う真意は一体何なのかなっ?」

それでは、本編へ、レッツゴー!


 

 それはいきなりの発言だった。言われたのはただ一つ、自分達と戦え、ということ。光樹を試すと言っていたのだ。

 そんないきなりの宣言に、光樹も驚きを隠せない。何故、そんなことをする必要があるのだろうか。自分の実力なら、良くも悪くもあのゲイムギョウ界グランプリで示されたはず。それを見ているにも関わらず、どうして「今」なのか。

 だが、光樹の考えが答えに至る前に、鈴がこちらに指示する。

 

「ネプテューヌとの合流のためにも、早くNPの準備をしなさい。あたし達はMPだから、3人で相手をするから……」

 

「ちょっ……!なんでそんな必要があるんだよ!今はネプテューヌに付いて、アイエフの手伝いをしたほうが……」

 

 鈴の指示に反対する光樹。だが、光樹の言い分を無視して、鈴は言い放つ。

 

「元々、あたし達はアンタの行方を追ってやってきた。それなのに、アンタは記憶喪失。そのままじゃ、絶対にアンタは負ける。なら、もっと戦闘に慣れる必要があるわ。それに、もしかするとあたし達との戦闘で、記憶も元に戻るかもしれない……」

 

「っ!!確かに、今の俺は力不足だ……。だけど、だからって今なのか?」

 

「今、だと思うなー、私は」

 

 鈴と光樹の言い合いに、絵里奈が横から言葉を割り込ませる。まさか、絵里奈にも戦えと言われてしまうとは、思っていなかった。学校の時に見た絵里奈は、光樹が覚えている範囲では、ここまではっきりと「すべきだ」などと言うような少女ではなかったのに。

 そこに追い打ちのように、勇也が決定的な発言をする。

 

「と、二人もこう言っているんだ。諦めろ、光樹」

 

「……分かったよ」

 

 光樹は息をつく。観念したような言葉を呟いて、胸にかけられたシューティングスターBに触れ、声を大にして言う。

 

「行けるな、ゼロ!」

 

『問題ない。シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス、セットオン』

 

 その掛け合いと同時に、光樹の体を赤黒い光の柱に包み込まれる。光の粒子が創り出す奔流の中で、光樹の体に合わせ機械の体が構築されていく。フレームが完成し、装甲が付けられ、最後には武装が取り付けられる。

 そして、光の粒子を弾き飛ばし、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスの装着が完了する。右手を振り払うように動かし、空中で姿勢を制御することでポーズを取る。試しにやってみたいと思ったため、取り入れてみたのだ。

 

「わぁ!光樹君、カッコイイよっ」

 

「あ、ありがとう。試しにやってみたんだけど、やっぱガンダムは戦争モノでもこういうのがないとかな?」

 

 その突発的な行動は、意外にも絵里奈からの好感を得た。「物は試しよう」とはよく言ったものだ。一方、それを見ていた他の二人は、どうも納得がいかないような表情をする。

 絵里奈の方に目を向けていたため、その視線に気づかなかった。絵里奈の反応に少し得意げになる中、鈴がゴッドクロスの肩を掴んで詰め寄る。

 

「ちょっと、何で変身の許可をゼロがやっているのよ?」

 

「えっ?ゼロがブラックエースとかのガンダムの管理をしているんだろ?今までもそうなんだけど……」

 

 最初は鈴の言っていることが理解できなかった。今までガンダムを装着する時は、ゼロがやってきたというのに、鈴はそれがおかしいと指摘したのだ。今までの装着でそれが問題になったことはなく、特に気にすることではないと思うが、違うと何がおかしいのか。

 気になった光樹は鈴に聞き返していた。すると、鈴が頭を抱えて呟く。

 

「嘘でしょ……まさか、「アルセウス」にも障害が出てるっていうの……?」

 

「アル、セウス?誰だ、それ?」

 

「簡単に言えば、お前の相棒だ。お前自身に宿る守護霊って言ってもいいかもしれない、な」

 

 疑問を抱く光樹に対し、勇也が例えで説明する。守護霊、と聞くと、光樹の頭に思い浮かんだのは、先祖の霊が子孫を守るというものであった。そういった物は、大抵憑かれている本人を守るように行動するという。

 守護霊かどうかはともかくとして、そのアルセウスとかいう存在がガンダムの装着を行うのに必要なら、何故ガンダムを装着出来たのかが問題となる。

 

「なら、何でそのアルセウスがいなくても、俺はガンダムになれていたんだよ?」

 

 光樹の率直な疑問が飛ぶ。それを聞いて、鈴がその質問に答える形となる。

 

「……別に、アルセウスがシステムの制御担当じゃなくても、ゼロで変身は出来るわよ」

 

「なら、何で……」

 

「けど、今のゴッドクロスは、最大限に能力を発揮するなら、アルセウスでないと発揮できないのよ」

 

 思っていなかった回答が返ってくる。アルセウスがゴッドクロスを最大限に使うために必要な存在であること。守護霊のような存在ひとつで、機体の性能を左右するなんて、と思っていた。ガンダムでは主人公でなければこの機体を扱えなかっただったり、戦争を終わらせることは出来なかったと言われることもあるが、よもや、サポートが特定の存在でなければ機体の全性能を発揮できないとは。

 

「そ、そうなのか……ってことは、そのアルセウス……って、あれ?アルセウス?」

 

 鈴にアルセウスを再び出せるようにしようと言おうとしたところで、光樹は自身の言葉に引っかかりを感じた。どこかでそんな名前を聞いたような……!

 そこで光樹は気づく。聞き覚えのある理由に。その理由が正しいかどうかをすぐに鈴に確かめる。

 

「なぁ、鈴。ひょっとして、アルセウスってあのポケモンの?」

 

「……まぁ、ね。それでも当たってたはずよ」

 

 鈴の答えに、思わずガッツポーズをする。やはり、アルセウスとは、あの有名ゲーム、「ポケットモンスター」に出てくるアルセウスのことであるようだ。鈴はあまり確定したような言い方ではないが、それでもあのそうぞうポケモンが自分の相棒だったとは。これには流石に驚いた。

 早く出せるようになりたいという気持ちが昂る中、勇也が指摘する。

 

「まぁ、そんな話もいいが、それよりも今は俺達との対戦だ」

 

「そうね。こっちも行くわよ、絵里奈!」

 

「うん!」

 

 勇也の催促を受け、鈴と絵里奈が声を交わす。そして、三人は各々の端末を起動させ、体に当てる。すると、三人を光樹と同じ赤黒い光が球状を形成して覆う。

 そして、赤黒いAN粒子の光が晴れると、三人のそれぞれのガンダムが姿を現す。改めて見ると、やはり三人の機体は光樹のNPではなく、劣化型のMP。つまり、この一見して光樹が不利と見える状況は、逆に光樹の方が有利なのだと光樹は考えた。

 たとえ運用する者が記憶を失っていても、機体性能差が勝敗を分けるのだろう。なら、こちらが勝てる可能性はほぼあるはずだ。さっさと終わらせて、ネプテューヌと合流したいところだ。早速光樹は変身した三人に対し叫ぶ。

 

「じゃあ、さっさと終わらせる!!」

 

『光樹、気をつけろ』

 

ゼロからの気を引き締めろという注意を受けつつも光樹は変身した三人との対決に臨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、10分が過ぎた。

 

「っ!!くそっ!!」

 

「甘いっての!!」

 

 光樹の舌打ちの後、鈴の勢いの良い声が通る。今現在、光樹は不利な状況に追い込まれていた。最初のうちは、ANロング・メガ・マグナムの弾丸で牽制し、ビームサーベルでの切り抜けを狙っていたが、その先制攻撃がまず鈴によって凌がれた。詳しく言うと、鈴は飛んできたビーム弾を腕部に装備されていたクロー付きシールドのクローの部分で切るようにビームを受け流していたのだ。

 そのお返しと言わんばかりに、その後は鈴の攻撃を一方的に受けていた。だが、それでも活路を見出そうと他の二人に狙いを定めた。しかし、それも上手くはいかなかった。勇也も適切に攻撃を捌き、逆にこちらに物理的な一撃をかまし、絵里奈の方は的確なキャノン砲による弾幕を一撃ずつこちらの装甲に着弾させていた。

 まさか、ここまでやるとは、正直言って思わなかった。相手はMP、そしてこちらはMPの約15倍の戦力比率と教科書にも載っている最強の機動兵器NP。にも関わらず、こちらは押され気味であった。数による戦力差が原因か、はたまた実力差によるものか。おそらく、後者なのだろうが。

 あまり納得は出来なかったが、確実にこの三人は強い。その上、この三人とは学校でのMP運用授業で戦った記憶がなかった。否、おそらくは、記憶がなかった。どうも、この三人は光樹の攻撃を読んでいるかのように攻撃を的確に当ててきていた。記憶がなくなっていても、人の本来の癖が残っているように、こちらも戦闘の癖がまだある、もしくは戻ってきていて、それを上手くカバーできていないのだろう。

 そんなことに何度目かの舌打ちをする。と、そこでまた絵里奈のガンダムの砲撃が機体を襲う。衝撃のせいで機体のバランスが崩れる。

 

「くそっ!!機体が……!!」

 

 そこにすぐさま、勇也のガンダムの攻撃が来る。手に持ったビームサーベルのような武装の光刃が迫りくる。何とか光樹も手首に収納されているビームサーベルを射出して手に取り、その攻撃を受け止める。

 

「やるなぁ!光樹。だが……」

 

「っっ!!!勇也……!!」

 

 言葉を交わしつつの鍔迫り合い。だが、そこに獣のような姿をしたガンダムが襲い来る。鈴のガンダムだ。モニターに表示されている名称は、「ガンダム R-EXE・グレイガ」。どこかで聞いたような名前だが、今はそんなことを気にしている暇はない。鈴は勇也と引きはがすように大型のキャノン砲を腕に持って砲撃する。

 

「こんな状況で!?」

 

「相変わらず、無茶をする!!」

 

 すぐに離れて、左手にANブラスターソードエッジ、それをブラスターモードに切り替え、射撃を行う。高出力ビームを放つ。だが、鈴は右手のシールドから伸びている、クローでビームを切り裂いて凌ぐ。そのまま、こちらに格闘戦を行う。

 腕に持ったキャノン砲がそのまま振り下ろされる。対してこちらもANブラスターソードエッジをソードに手早く持ち手を変形させて防御する。振り下ろされたキャノン砲は砲身の縁がソードのようになっており、こちらの粒子伝達ブレードを防御していた。

 まさか、そういうことだったとは……。最初はてっきり、こちらに対する挑発の意味を込めて、鈍器のようにして殴ってくるのかと思った。だが、そうではない。こちらがガンダムなら、あちらもガンダム。あのキャノン砲の縁にも、粒子伝達ブレードが使われているのだ。

 その勢いにゴッドクロスの出力を上げる。増大した馬力で徐々に押し返す。だが、いつまでも構ってはいられない。すぐに他の二人から攻撃が飛んでくるはず。

 すると、目の前の鈴が接触通信で呼びかけてくる。

 

「その程度だなんてね。そんな程度の動き……じゃあ!!」

 

 その声が飛ぶと、一気に鈴は押し返す。通常のMPでありながら、その出力の高さに驚いてしまう。

 が、実際はそうではなかった。鈴は粒子伝達ブレードに通達させた粒子を表面で弾かせ、押し返したのだ。それが、光樹の目からは出力に任せて押し返されたと思っていた。まさに戦闘技術の違い。明らかに実力が違っていた。

 距離を取ろうとしていた光樹だが、そこに勇也と絵里奈の機体の攻撃が襲う。絵里奈の腕部に装着したキャノン砲の一撃で、右手に持っていたANブラスターソードエッジが弾かれる。そこに勇也のガンダムの下腕部に装備されたガトリング砲が放たれる。ビームの豆鉄砲に機体の関節部にダメージを喰らう。

 だが、その攻撃に便乗して、鈴が攻撃を仕掛ける。畳みかけてきたのだ。その攻撃を受け止めようと、ビームサーベルを構えようとする。だが、その前に手から弾き飛ばされる。鈴のシールドのクローがこちらの腕部を叩いたのだ。

 

「マズッ……!」

 

「もらったァ!!」

 

 

 

 

 鈴のガンダムの一撃が、光樹のガンダムの左腕部を斬り飛ばす。もっとわかりやすい例えで言うなら、脚部のANブレイク・スライサーⅡで蹴り飛ばした、が正解であった。

 ともかく、光樹のゴッドクロスは左手を失う。だが、それでも光樹は諦めない。蹴りの体勢を行なったことで、今の鈴は隙だらけだ。何とか、一撃でも入れなければ……

 だが、それすらも光樹には叶わなかった。蹴り上げた足に目がけて右手のビームサーベルで切り上げようとするが、直後に腕部に衝撃が走る。

 

「何っ!?」

 

 鈴が上げた足を振り落としたのだ。脚部前面に存在したスラスターを全力で吹かし、踵落としの要領で。その奇抜な一撃で、光樹はビームサーベルを落とす。

 

「しまっ……」

 

「遅い!!」

 

 すぐに代わりの武器を探すが、その事を考えたのが間違いであった。少しの躊躇いが隙を生む。その間に鈴は手持ちのキャノン砲の鋭く尖った先端を光樹の右肩部に突き刺す。そして、そのまま貫き切る。

 両腕部を失い、ゴッドクロスは戦闘能力をほぼ失った。それでも、光樹は何とか反撃をしようとするが、そこで鈴の声がスタジアムのスピーカーを通して響く。

 

『じゃあ、これで終了よ。結果はあたし達の勝ちね。今回はこれで終わり。いいわね』

 

「な、これで終わり!?」

 

 唐突の終了に、光樹は両腕を切断された状態で聞き返す。両腕は切断されていると言っても、電子化状態での切断のため、痛みはあるものの、それを気にすることなく鈴に問いかけた。

 あまりに唐突な終了だ。いきなり戦えと言われ、戦ったと思ったら、こちらが戦闘不能に近い状態になれば、すぐに訓練を終わらせる。おかげでこっちは振り回され、困惑していた。

 だが、鈴はその問いに答えた。

 

「えぇ。アンタもまだあたし達と戦うのは記憶を失ってからはこれが初めてでしょ?初めてで3人とやってここまで耐えれたのは十分だから、今回はここで切り上げ。あんまりしごかれるのも嫌でしょう?」

 

 どうやら、鈴なりにこちらの心配をしてくれていたようだ。今までの扱いから、本当にそうかどうかは疑いたくなるところだが、それでも必要以上に痛めつける気が無さそうで、それは助かるところだ。

 光樹は鈴の気遣いに礼を言う。

 

「……あぁ。いきなりハードな戦闘を行われるのもきついからな」

 

「あら、まだ楽そうって言うのなら、次からはもっと厳しく行くけれど?というか、あたしとしては、もっと厳しくしていかないといけないって思っているわ」

 

「……もう少し、お手柔らかに……」

 

 鈴からの厳しい一言に、身構えてしまう。今のままでも勝つことが難しいどころか、互角に渡り合っているかどうかという状況だというのに、これ以上は流石に……と思っていた。

 ともかく、今はこの決闘と言う名の訓練は終わり、元々の話を進める必要がある。光樹は変身を解除して絵里奈にネプテューヌの動向を聞く。

 

「そういえば、絵里奈。今ってネプテューヌはどうしているんだ?」

 

「あー、ちょっと待っててー。今見るからー」

 

 そう答え、絵里奈は端末を取り出そうとした。

すると、突然、手に取った端末からブザー音が響き渡る。その音に鈴と勇也の二人が緊張したような表情をしつつ、絵里奈の方向を向く。まるで、何か予期せないことが起きたかのように。

 一体何なのか。光樹は絵里奈に聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、絵里奈。このブザーってなんだ?」

 

 少し気を引き締めた表情を見せて、光樹は絵里奈に聞いてくる。その様子から、内容は分からないが何か深刻なことがあったのだと理解しているようだ。

 実際、これは非常事態を知らせる警報だ。特にこの警報は、今まさに関係する話を振られたばかりの事柄に関係することだ。というのも、この音は絵里奈達がネプテューヌに対し見張りとして配置したサポートメカ、「レイヴンファイター」からの緊急信号だ。

 サポートメカからの非情事態通告。それは絵里奈達を焦らせるのには十分だった。何が起こったの?ネプテューヌちゃんは無事なのかな。そんな心配が心の中を巡る。

 絵里奈は鈴と勇也に顔を合わせる。二人も深刻そうに端末を見つめる。ただ一人、光樹だけが事態を理解できていない。すぐに理解してもらうべく、光樹に説明をする。

 

「……これは、危険信号だよ。それも、ネプテューヌちゃんに対して放ったメカからの、ね」

 

「何!?本当か、それ」

 

 その発言に、光樹も驚きを露わにする。まさかこんな短時間にこうなるとは、思っていなかったのだ。だが、まだどんな危機が迫っているのかは分からない。早急に絵里奈はサポートメカからの知らせを表示させる。

 端末から映像が流れる。すぐに他の3人に注目するように伝える。

 

「とりあえず、これを見てっ!!きっとわかると思うから……」

 

 そのように伝え、端末の立体映像式モニターを表示させる。それに3人が注視する。そこに写っていたのは、物陰で辺りを確認するネプテューヌだった。その様子から、随分と周りを警戒して木の木陰に身を隠しつつ、ゆっくりと移動していた。

 その様子から、どうやらまだ本人には危機は迫っていないようだ。ならなぜ、そんな危険注意ブザーが鳴ったのか。しかし、それはすぐに分かるようになる。

 注目すべきは、その次以降の映像だった。次に移ったのは、青いコートを着た少女。その後ろ姿は、このプラネテューヌまでの道を共に歩いた人物に似た姿。そう、ネプテューヌの親友、あいちゃんこと、アイエフちゃんだ。

まさか、アイエフちゃんが捕まったのかとも思った。だが、アイエフは特に捕まっているような様子は無い。むしろ、ネプテューヌの行動に似た動きで、何かを付けているのような動きだった。

 では、誰を?その答えが、ようやく分かる。続いてその先に全員が視線を移す。すると……その先には衝撃を感じる存在がいた。

 

「……!?」

 

「こいつは……」

 

「まさか……この女……」

 

 全員が息を呑む。その人物に、心当たりがあったからだ。見るからに怪しそうな服装。そして、年老いた印象を十分受けるオバサンの様な顔色。それはアイエフが言っていた、追っているという窃盗事件の犯人の特徴にそっくりだったのだから。

 特に、光樹にはあまりに印象が強すぎた。その理由は、その存在とついこの間、別次元で実際に戦ったためだ。

 

「何でだ……あいつは確かに……あの時……」

 

 光樹が言葉に詰まる。生きていたということに、驚きを感じながら。そして絵里奈達も、まさかまた敵対することになろうとは、と。

 そして、鈴がその存在について、名前を呟いた。

 

 

 

 

「ゲイムギョウ界の魔女、マジェコンヌ……」

 

 

 

 

 遠目に映像に写るその人物は、にやりと口元で薄ら笑いを浮かべていた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。光樹君が、まさかの圧倒的敗北です。と言っても、前にも1、2回はありましたが。

ジャンヌ「やはり鈴さん達はお強いですね。光樹さんのガンダムの劣化版のMPであるのに」

レイ「まさに、『モビルスーツの性能差が、戦力の決定的差ではない』だね!」

まさしく、その通りですね。そして、アイエフ達に迫る危機!それはなんと、倒したはずのマジェコンヌだった!

レイ「あのオバサンしつこすぎるよー!」

ジャンヌ「ですが、どうして?あの時うずめさん達が倒したというのに……」

なぜ生きているのか?そしてこの後どうなるのか?それは次回に続きます。さて、今回はここまで、ということで。

ジャンヌ「では次回は月曜日に投稿となります」

レイ「みんな、次回もよろしくー!!」


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第100話 こそこそ追跡、再来したオバサン

どうも、皆様、お元気でしょうか。最近近場にカード取扱店が増え、休みの間に行っていることもある、藤和木弘です。

ジャンヌ「他にも、様々な本を読んでいますよね。どうも、皆様。藤和木の就職関連のお手伝いをしている、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「後々、色んな昔の物整理していたりするよねー。どうも、みんな!最近エアコンが直って、元のあったかい部屋で過ごしてるよ、レイ・オーバだよっ!」

マジであの時は寒かったですよ……。小説書いている時も指がかじかみますし。打ち間違いが多くなってたし。

ジャンヌ「本当に大変でしたよね……。アシスタントのわたくし達ももうすぐ春だというのに寒さに凍えてました」

さて、そんな話は置いておいて、今回は第100話の投稿です!

レイ「100話かぁ。黒の館含めるとそれ以上だよね」

ジャンヌ「そうですねっ。以前計100話目の時にも、そんなこと言ってましたね」

さて、タイトルのオバサンとは、あの方なのか?では本編へ!!


 

 

 光樹達が演習のためにドームへと向かったころ、ネプテューヌはとあるダンジョンへと足を踏み入れていた。そこは、「サクラナミキ」という、文字通り桜が多く咲き誇るダンジョンだ。

 なぜ、こんなところに来ているかというとそれはネプテューヌの視線の先にいる少女が関係している。その少女とは、他ならないネプテューヌの親友、アイエフだ。

 光樹達と結果的に別れた後、すぐにネプテューヌは街の中でアイエフを探した。すると、すぐにアイエフは見つかった。

 イストワールからの仕事の依頼をパパッと終わらせるためにも、ネプテューヌはアイエフに事件の調査を手伝うと言った。だが、それをアイエフは断った。危ないからという理由でだ。そしてきつく自分に付いてくるなと釘を刺し、アイエフはまたどこかへと聞き込みをしに行った。

 分かってる。あいちゃんが今はわたしのことを分からないのは。目を合わせても自分の事を「ネプ子」と呼んでくれない。今はまさに赤の他人のような状態だ。だけど、それでもあいちゃんを助けたい。友達が困っているのを放っておけない。それにどれくらいかいれば、きっとあいちゃんもわたしのことを思い出してくれるはず。

 そう考えたネプテューヌは、すぐにその後を追って行った。そして、情報を手に入れたアイエフが向かった先がこのサクラナミキ。今もネプテューヌはアイエフを尾行していたのだ。

 ストーカーって思うかもしれないけど、これは違うよ?あいちゃんを守るために、見守っているんだよ!そう考えつつも、周りの岩陰に隠れ、耳を立てて独り言になっている呟きを聴く。

 

「ここが秘密結社の構成員が潜伏しているダンジョンね。見た感じ、怪しげな場所はなさそうだけど……まぁ、いいわ。とにかく調べてみましょ」

 

 ダンジョンの様子を見て、罠がないかどうかを確かめたのち、アイエフは調査を始めようと足を進めかける。

 だが、不意に足を止める。その行動に、慌てて岩陰から出そうになった体をひっこめる。これはある意味見つかったらダメなスニーキングゲームだ。行動には注意を払わなくてはならない。

 アイエフはいきなりなぜ足を止めたのか。そして、辺りを見回しているのか。気になりつつもNギアの液晶画面でネプテューヌはアイエフの様子を確認する。

 

「……」

 

 何やら怪しんだ様子である。だが、しばらくして再び足を進める方向に顔を戻すと、心配事を呟いた。

 

「……妙に嫌な予感がするんだけど、まさか、あのネプテューヌって子、つけて来てないわよね……?」

 

 それはネプテューヌが自分の後を付けているかもしれないという心配であった。ネプテューヌの本来の姿を知らないアイエフとしては、民間人でしかない彼女が危険な所に首を突っ込まないか心配だったのだ。

 おぉ……まさか、こんなところであいちゃんに気取られるなんて……流石あいちゃん!って言いたいところだけど、出来れば今は気づいて欲しくない。わたしがあいちゃんのピンチに颯爽と登場する!って感じの展開を求めてる今は、とにかく気づかないことを願うしかない!

 木陰に何とか身を隠すネプテューヌ。気づいて欲しくないという願いが届いたのか、アイエフは再びダンジョンの方に目を向け、気のせいだと呟く。

 

「さすがにこれは私の考え過ぎよね」

 

 そう自分に言い聞かせて、アイエフはダンジョンへと入っていく。そんな様子を見届け、十分な距離を取ったところで、木陰から出て、満足そうにその後ろ姿に言い放った。

 

「ところが、ぎっちょん!」

 

 光樹がいれば、間違いなく反応する言葉を得意げに言った。見事に気づかれることなくやり過ごしたネプテューヌはそのことに安心し、気づかなかったアイエフに対し聞こえない言葉を口にする。

 

「一度や二度注意されたからといって、素直に言うことを聞くわたしじゃないんだなー、これが!」

 

 まさにしてやったり、とでも言うべき発言だった。ネプテューヌは何度注意されたとしても、やろうと思ったことに対してはその凄まじい行動力をもってして挑む。例えどれだけ注意を受け、妨害をされたとしても。今のネプテューヌにそんな言葉は届かなかった。

 そして、気づかれなかったことをいいことに、更にネプテューヌはアイエフの後を追って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……バレてるわよ。いい加減出てきなさい」

 

 ダンジョンの中腹あたりに達したところで、アイエフは立ち止まってそのように言葉を吐いた。周りには一見誰も見当たらず、誰もいないように見えた。

 だが、アイエフは気づいていた。途中途中でやけに後ろからの視線を感じたことに。誰かまでは分からなかったが、なんとなく察しは付いていた。おそらくは、このダンジョンに来る前に協力したいと言ってきた、あの少女、ネプテューヌという少女だろう。

 しばらくの間、静寂が辺りを覆う……ことはなかった。

 

「ぎくっ!?」

 

 明らかに声にださなくてもいいような動揺の音を声に出して、隠れていた人物は驚く。しばらくして、草むらの陰から、紫色の髪の少女が姿を現す。それは先程の予想通り、手伝うと言って断った相手であるネプテューヌであった。

 当たってはいたものの、何故か素直に喜べない。むしろ逆に呆れて溜息をつく。

 

「……はぁ、やっぱり」

 

「さすが、あいちゃん。いつから気づいてたの?」

 

 対して自身がいることに気づいたことに賞賛を送るネプテューヌ。だが、そんなことに賞賛を受けても、今のアイエフにとっては何の喜びにもならない。むしろ、付いてきてしまったの……という気持ちが大きくあった。

 別に目の前の少女の期待に応えるつもりはなかったが、その質問に鬱陶しそうな表情をしつつ答える。

 

「確証はなかったけどね。けど、何故かあんたならついて来そうな気がして、ダメ元で声に出してみたってわけ」

 

 アイエフの回答、それは言うなれば賭けであった、ということだった。確かに視線はなんとなく感じていた。だが、それが本当に人が付いてきているかということにはつながらない。もしかすると、モンスターであるかもしれない。

 加えて、もし視線を感じたのが自分の思い込みであり、本当は誰もいない中声を出すという状況になっていただろう。その事を、ネプテューヌも指摘してくる。

 

「それって、もしわたしがつけてなかったらかあり恥ずかしくない」

 

「う、うるさいわよ!てか、話を脱線させないの!」

 

 あまりにストレートに言われたものだから、慌てて否定すると同時に元の話について話題を元に戻す。今は恥ずかしい話についてではなく、付いてきたことについて再び注意を促すのが先決だと考えたからだ。

 

「いい?何度も言ってるけど、子どもの遊びじゃないの。何かあっても守ってあげられないんだから、さっさとお家に帰ること。っていうか、一緒にいたあの子達はどうしたのよ」

 

「光樹達?なんか、光樹達は行くところがあるからってことで別れたんだよねー」

 

「そう。なら、あっちが出口だから。行った行った」

 

「はーい」

 

 返事をすると、ネプテューヌは出口の方に向かって去っていく。途中で聞いたが、まさか、あのしっかりしていそうな4人はどうやら別行動のようだ。あの4人がいれば、ちゃんと帰ってくれるかもしれないが、居ないのなら仕方がない。

 だが、それでも今の言葉で退いてくれたことを考えると、素直に従ったのだろうと思っていた。居ても守ってあげられない。それは付いてくる者を危険から遠ざけるのには十分な言葉だ。これで来るのは余程の心配性な人物か、ただの馬鹿か。ともかく、目の前から去っていったのを確認して、アイエフは安堵する。

 

「さすがに、このくらいきつく言えばあの子もわかってくれるでしょ。光樹とか鈴って子はそこまで馬鹿な感じはしなかったし、あの子の姿を見つければ、すぐに引き留めてくれるでしょうし。これで、心置きなく仕事ができるわ」

 

 また戻ってくるなんてことがないように、あの少年達が少女を制御してくれることを祈りつつ、アイエフは仕事に戻ろうとする。だが、そこでアイエフはなぜか不自然さに引っかかる。

 

「……けど、何故かしら。初めて会ったはずなのに、あの子と話していると懐かしい感じがするわ」

 

 アイエフの引っかかった不自然さ。それはあの少女、ネプテューヌと話す事自体であったネプテューヌと話したのは今日が初めて。それ以前には話したことも出会ったこともない。彼女だけではない。光樹という少年にも、同じ気持ちを感じていたのだ。まるで、以前によく話していたような……特に、ネプテューヌとは、先程のような言い合いを以前にも言っていたような気がしてならない。

 

「……って、なに感傷に浸ってるのよ私は。さ、仕事仕事。気分切り替えて行くわよ」

 

 そんな話、あるわけがない。そう思ってアイエフは仕事を終わらせることを考え、立ち止まっていた足を再び動かす。

 この時、アイエフは気づかなかった。主に二つの事に。離れたところでまたネプテューヌが笑顔で隠れて付いて行こうとしていることに。

 そして、もう一つ。そのアイエフの様子を離れた場所で見ている人物に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくしてから、ネプテューヌはダンジョンの最奥部近くまで来ていた。だが、そこでうろうろと様々な所を歩いていた。

 何があったのか、簡単に言うと、見失った、の一言だ。実は、アイエフに気取られないようにと誰もいないと思った時のアイエフの恥ずかしがる様子を見たくて、先程よりも遠くを歩いていたのだ。おかげで見つかることはなかったものの、今度は本当にその場にいなくなってしまったという本末転倒な状況になっていた。

 

「んー……。あいちゃんどこだろう?もしかして見失っちゃったのかなぁ」

 

 これは何とも……いや、非常に困ったなぁ。元々はあいちゃんを手助けに来たっていうのに、あいちゃんに断られて。それでもピンチの時に颯爽と現れて助けることを考えたら、あいちゃんを見失っちゃうなんて。さすがに女神でもあいちゃんがどこにいるかをわたし自身の特殊能力的な何かで探し出すってことも出来ないし……どうしよう。

 これからの行動をどうしようか。そう考えたその時。

 

 

 

 

「ハーッハッハッハッハッハ!」

 

 

 

 

「ねぷっ!?」

 

 思わず自身の特徴的な奇声を上げてしまう。いきなり声が聞こえれば、驚くのは誰でも分かるはずだ。だが、いきなり声を上げただけで驚いたのではない。それに加え、どこかで聞いたような声であったため、更に驚いてしまったのだ。

 

「な、なんだろう……。この嫌な予感がしまくる、一昔前の悪役みたいな高笑いは」

 

 いかにも悪役という役が似合いそうな、見なくてもどんな姿か想像できてしまうほど、聞きなれている声。こんな笑い方をするのは、自身が知っている中でも、たった一人くらいしかいない。

 なぜ、そんな人物がここにいるのか。そして、なぜいきなりそんな高笑いをその人物がしたのか。いやな予感がしたネプテューヌはためらいつつもその声の方へと向かう。

 

「とにかく、行ってみよう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 声のした方では、二人の人物がいた。一人は地面に倒れこむ少女、もう一人はその少女を遠目から見下ろす形でゆっくりと足を進めるオバサンだ。

 倒れた体を起こそうとしている少女、アイエフに対し、オバサンことネプテューヌが想像していた人物であるマジェコンヌはその無様な姿を見て高笑いをして調子に乗っていた。

 

「ハーッハッハッハッハッハ!私を捕まえに来たはずが、逆に捕まるとは笑いが止まらんなぁ!」

 

「……っく。こんなはずじゃ……」

 

 アイエフは舌打ちをしながら、今の状況を悔しがる。アイエフは今、窮地に立たされていた。

 こんな状況になってしまったのは、アイエフの不注意ともいえる。ダンジョンの奥へと進んでいった先で、この見るからに怪しいオバサンを見つけた。遠目からその姿を確認し、考えた。この人物こそ自分が追っている事件の犯人だと。そして、後をつけ、この最奥部までやってきたのだ。

 このまま行けば捕まえられる。そう思った所で突然ターゲットがこちらを向いた。やばいと考えた時には既に遅く、放たれた攻撃に対応できず、そのまま地面に倒れ伏せてしまう。そんなことがあり、今に至る。

 尾行してきたアイエフに対し、マジェコンヌは笑みを浮かべたまま、どうするかについて触れる。

 

「貴様を生かしたせいで足取りがついては困るのでな、ここで始末させてもらう」

 

 目の前のオバサンが言った言葉。それはアイエフをここで消すということであった。

 

「情けをあけて一思いに殺るか、それとも、私の恐ろしさを伝えるために惨たらしく苦しめながら惨殺するか……」

 

 自身の殺害方法について、意気揚々と語るオバサン。その様子に危機感を感じる。急いでこの場から離れなければ、自身の身が危ない。

 だが、先程の攻撃のせいで、うまく動けない。どうやらスタン系の攻撃だったらしく、逃げようという気持ちがあっても、ゆっくりとしか動けなかった。

 動くのに四苦八苦している中、先程の言葉について、目の前のオバサンがその方法についてこちらに聞いてくる。

 

「貴様はどっちがいいと思う?」

 

「そ、そんな……」

 

 その言葉に恐怖を感じる。そんなの、どっちもお断りな方法だ。どちらを選んでも、先に待っているのは死ぬことだけ。拒否するしかない。

 恐怖を感じるアイエフの表情に、マジェコンヌが不気味な笑みを浮かべる。

 

「いいぞ。その絶望に染まった表情がたまらん」

 

 ゲスな反応であった。自身の目の前にいるオバサンは、アイエフの顔を見て、喜びを感じていたのだ。そしてアイエフに対し、命乞いを要求する。

 

「死にたくないのならば、必死に命乞いをしてみてはどうだ?もしかしたら、気が変わるかもしれんぞ」

 

「……っ」

 

「泣き、跪き、助けを乞うのだ!そして、貴様の最も屈辱的な姿と態度で私に服従を申し出るのだ!屈辱的に染まり、一生私に服従を誓うだけで生命が助かるのだぞ?安いものだろう?」

 

 悪役らしい言葉が次々とアイエフにかかる。命が助かるには、自身で切り抜けるか、それともその誘いに従うか。前者は今は自由に動けないのなら難しい。となれば後者しかない。だが……。

 アイエフにそのつもりはない。その悪魔の囁きに対し、抗う。

 

「…………れが……!」

 

「あん?」

 

「誰があんたみたいな根っからの悪党に服従を誓うものですか!」

 

 面と向かってそのようにマジェコンヌの言葉を突っぱねる。続けざまに自然と頭の中に出て来た言葉を口にした。

 

「例え、無残に負けたとしても、この国をもっと豊かにしていくって、あの子と交わした約束がある限りあんたなんかには絶対に屈しないんだから!」

 

 そう、アイエフにはこの仕事を続ける理由があった。自身の親友である「彼女」との約束が……。そこで、ふと疑問が生まれる。

 

(……え?あの、子……?)

 

 知らず知らずのうちに、そう言っていた。今まで頭の隅にも浮かばなかったはずなのに、何故か出て来た「あの子」という存在。

 今の状態で、どうしてそんなことを思い出したのか。唐突に出た単語に、ピンチな状態であるにも関わらず困惑する。それでも事態は悪い方へと動いていく。

 

「そうか。せっかくかけてやった情けを無下にするとは愚かなやつだ」

 

 先程の拒否を受け、マジェコンヌはイラつきを見せていた。もはや、オバサンには情けのひとかけらもなくなっていた(最初からなかったかもしれないが)。そしてその手を振りかざし、叫ぶ。

 

 

 

 

「ならば、死ねっ!」

 

 

 

ガキィン!!

 

 

 

 

 杖に纏った魔法の刃がアイエフを襲う。が、そこで何かが弾かれる音が響いた。

 

「何っ!」

 

 マジェコンヌが驚きの声を上げる。トドメを刺そうとしたはずが、邪魔が入ったためだ。一体誰が、アイエフを助けたのか。だがそれはアイエフの目にも見えていた。横合いから入ってきた人影が、目の前のオバサンの魔法で形成した刃を持っていた刀で弾いたのを。そして、それが誰なのかも、分かっていた。

 攻撃を弾くと同時に、目の前の人物はアイエフを守るように手を横に振った。紫色の髪に、白いパーカー姿。間違いない、彼女は……。そう思っていると、少女はオバサンに向かって言い放った。

 

 

 

 

「嫌な予感がしてきてみたけど、やっぱりお前だったんだな、マザコング!」

 

 薄い紫髪の少女―――ネプテューヌが対峙する。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

レイ「さっすがネプテューヌちゃん!!アイエフちゃんのピンチに颯爽登場だよ!!」

ジャンヌ「いつもながら、仲間の窮地を救う、主人公らしさがありますよね。しかし、またマジェコンヌですが……一体、なぜまだ生きているのか……」

レイ「ほんとだよー。うずめちゃんの言葉を借りるけど、ホントしつこすぎー」

マジェコンヌは生きていましたが、この「SSR」にて、共に戦ったエクスはどうしたんでしょうね?やはり、あの時に死んでいたのか?それとも?

ジャンヌ「……それを作者本人である藤和木が言うんですか?」

いや、まぁそうだけどね。でも、皆さんとしては、機械であるエクスは生きているんじゃないかって思うかもしれませんよ。果たしてエクスはどうなったのか、マジェコンヌが生きているわけは?そして、前回その少し前の様子をサポートメカを通して見ていた光樹達はたどり着くのか?

レイ「次回の投稿は日曜日になるよっ!」

ジャンヌ「では皆様。また次回」



うーん、やっぱりWordで打ってると、自動改行の所はハーメルンの投稿画面で反映されないんだな。

ジャンヌ「まぁ、それは文章の確認と同時に直していくしかありませんよ」

レイ「なんだか面倒だねー。もうサイトの方でやれば?それならスマホとかでも編集できるし」

でも自分のデータとして持っておきたいんだよね。注意しないと……


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第101話 再激突、魔女&極限の機動兵器

どうも、皆様、お元気でしょうか。今日のバトスピショップバトルのバトスピの日で優勝してしまった、藤和木弘です。

ジャンヌ「それは良かったじゃないですかっ♡勝ててスリーブをもらえたんですから、喜びましょう。どうも、皆様。藤和木のバトスピの日優勝が嬉しい、ジャンヌ・ドラニエスですっ」

レイ「優勝ってことは、一番輝いてるってことだよっ!喜ばなくちゃ!どうも、みんな!ネプテューヌの最新作の情報を知って、今から楽しみなレイ・オーバだよ!」

そうだよ!なんでも、ネプテューヌVⅡR(リアライズ)だって!?VRにまで進出してしまったか、ネプテューヌ!!私も嬉しいですよ!!

ジャンヌ「それはいいことですが……藤和木ってまだVR持ってませんよね。ソフト代金も含めると、とても買えるお値段ではない気が……」

うん、働いてない私がその作品を買うのは無理だね!というか今年は就活もあるから、しばらくゲームはカード以外禁止にするし、小説もペース落とすつもりだしね。

レイ「それだけで就活成功すればいいんだけど……」

というか、初任給でも買えるかどうか怪しいしなぁ。でも、溜めて絶対買いたい。うずめに会えるかもしれん!

ジャンヌ「……もちろん、それは「ネプテューヌ」のキャラの中で、ですよね?一番、会いたいのはわたくしですよね……♡」

だからバン○イさん、バトスピのVRゲーム、PS4で出そう?

レイ「それは万分の1以下の確率だと思うなー。でも、キャラクターをクリエイトしてもらえるサービスとかあったら、できるかもねっ!」

あー、そういえば、そんな感じのプレゼン、私専門学校でやったなぁ。さて、楽しいネプテューヌ新作の話もいいですけど、今回は第101話をお届けしますよ。

ジャンヌ「ネプテューヌ様がアイエフさんを助けたところですね」

レイ「っていうか、タイトルで「あれ」の登場が予期されているような……」

さて、本当に奴が来るのか?それでは本編へ!


 

「き、貴様は!?」

 

 目の前のオバサンこと、マザコングに対し、わたしは自分が言った先程の言葉に続いて言う。

 

「けどね、わたしの目が黒いうちは、あいちゃんは絶対にやらせたりはしないんだから!」

 

 その姿は、他の人から見ればまさにヒーロー。仲間の絶体絶命のピンチを、カッコいいセリフと共に現れた主人公のような、そんな姿でマジェコンヌと対峙する。そんな様子を見て、アイエフもいきなり現れたことに戸惑いつつも聞き返した。

 

「……え?ね、ネプテューヌ……?」

 

「おまたせ、あいちゃん。マザコングにボロボロにされちゃって……。これじゃあ、せっかくの可愛いあいちゃんの顔が台無しだよ」

 

 対するネプテューヌはいつもような明るさを持って、アイエフにふざけたような笑いの出る言葉をかける。いきなりそんな事を言われたため、言葉を受けた本人は恥ずかしがりながらも反論する。

 

「か、かわいい!?こ、こんな時になに馬鹿なこと言ってんのよ、ネプ子!」

 

 一瞬、予想もしていないような言葉が飛んでくる。そう、アイエフはネプテューヌのことを、改変前に呼んでいた、「ネプ子」とたった今呼んだのだ。本来なら、出てこないと思ったいたはずの単語を、アイエフは言ったのだ。

 それは、言った本人でもあるアイエフ自身も、驚きを隠せていなかった。

 

「……えっ。今、私なんて……」

 

「そうそう!やっぱり、あいちゃんはその呼び方じゃなくちゃね!こっちのモチベーションも上がるってもんだよ!」

 

 元の呼び方で呼んでくれたことに喜びを感じつつも、今は戦闘の最中。そう思ったネプテューヌはすぐに体を光に包ませる。

 

 

 

 

 光の柱が消えると、そこには女神化を終えたネプテューヌことパープルハートが機械剣を携え、マジェコンヌに対し声を出す。

 

「そういうことだから、あいちゃんの仇はわたしが討たせてもらうわ」

 

「へ、変身した!?……けど、どうしてなの。初めて見るはずなのに、見覚えがある……」

 

 ネプテューヌの変身に、最初は驚くアイエフだったがどこか既視感を覚え、それ以上は声を高く上げず、落ち着いて様子で見る。

 一方、変身した姿を見てマジェコンヌは歯ぎしりを立てる。

 

「相変わらず小さくなったりでかくなったり忙しいやつだ!」

 

 その言葉は、ある意味ネプテューヌのことを、女神の事を指すのに適切な言葉であった。まだ女神に敵対心を持っていることが分かる。

 だが、怒りを表しつつも、すぐに落ち着いた様子を見せるマジェコンヌ。その顔には余裕が感じられた。ボロボロになりつつもまだ動けそうなアイエフも入れて、2対1なのに、一体どこからそんな余裕があるのだろうか。

 すると、マジェコンヌは笑みを浮かべて言った。

 

「だが、零次元で味わわされた屈辱、今ここで返してやる!こいつと共になぁ!!」

 

「こいつ……?」

 

 疑問を浮かべた瞬間、こちらへの殺気を感じる。すぐにその場を離れると、そこを光の矢が過ぎ去り、地面に突き刺さる。突き刺さると同時に光の矢が消失する。それを見て直感でビームによる攻撃だと理解する。いきなりマジェコンヌ以外から攻撃されたことに驚いていたが、その驚く間に次の攻撃が迫っていた。空中を端末が飛ぶ。目による一瞬の認識で、それが機械の砲塔であることを知る。

 その端末が、先程の光の矢を放ってくる。その攻撃は、アイエフにも迫っていた。

 

「あいちゃん!!」

 

「なっ……!?」

 

 すぐにアイエフを抱えると、地面を滑るように攻撃を避ける。多方向からの遠隔攻撃。まるで光樹の攻撃のようだ。何とかその攻撃を避けていく。

 だが、そこに更なるビームが飛んでくる。明らかに端末からの攻撃ではなかったそのビームを機械刀で弾く。

 

「くぅっ……」

 

 何とか防ぐことに成功するが、そこが大きな隙となった。動きが止まったパープルハートを周りを覆うように、いくつもの砲塔がこちらに狙いを定め、静止した。

 完全に囲まれてしまった。どこを見ても、ビームを放つ機械の砲塔が、こちらを捕えている。既に遠隔操作端末にはビームの光が灯されており、動けば即発砲、そんな状況になっていた。

 だが、こんなものを一体誰が?この包囲網からの脱出を考えると同時に、そんなことが頭に過ぎる。しかし、砲塔の姿がその答えを出そうとしていた。よく見ると、その砲塔は、あの激闘が続いた零次元で見たことがあった。それを使っていたのは、今敵対しているマジェコンヌと共に行動していた、あの機動兵器ただ1体。

 すると、パープルハートに対し、一言投げられる。

 

 

「残念だが、ここは我の距離だ」

 

「貴方は……光樹と戦った……」

 

 

 その方向を見るとそこにいたのは、予想通り零次元でかつて敵対した、白と青を機体のカラーとする機動兵器。光樹の期待と同じ「ガンダム」の名前を冠する姿をした機動兵器、エクスであった。

 確かにあの時、光樹がちゃんと倒したはずなのに。なぜマジェコンヌと一緒にまだいるのか。困惑する中、白き絶望は容赦しなかった。

 

「今は黒の少年はいないようだな。だが、ここでお前達は始末する……!」

 

「くぅ……っ」

 

 そのように目の前のガンダムは引導を渡そうと右手のライフルを構える。それと同時に、周りの砲塔からもビームの光が強く発光していく。もはや、避けることは叶わない。

 

「さぁ、まずは女神と雑魚を……」

 

 その声が響くと、自然とアイエフを守るように腕でその体を強く抱く。アイエフにダメージが少しでも通らないためにだ。

 そして攻撃が放たれる―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「今よ、狙い撃ちなさい!!」

 

「いちいち指示するな!!」

 

「よーっし!撃っちゃうよ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 いきなり賑やかな喧嘩のような声が響いた。一体何なのかとその声の方を向くと、その方向から光の矢と光球が次々とこちらに向かって飛んできていた。

 最初はエクスの攻撃が飛んできたのかと思った。だが、その攻撃は周りに浮遊していた遠隔操作ビットに向けて放たれたもので、攻撃を受けた浮遊する端末はビームの発射を中止して回避行動を取る。だが、連続して放たれるビームの雨あられに何機か落とされていく。

 

「さっきの声…まさか!!」

 

 一瞬の出来事だったため、判別するのが少し遅れたが、パープルハートは先程の声を聞いて理解する。声の主が誰であるのかを。

 ビームと共に駆け抜けていく影が一つ。その物体がエクスに向かって突撃する。

 

「ちぃ!まさか!!」

 

 舌打ちをしつつ、エクスは左手に装備されたシールドを構え、防御態勢を取る。突撃した存在と、そのシールドとが激突し、火花を散らせる。

 エクスと鍔迫り合いを行うのは、黒く、翼を持った機械の人間。赤い粒子を放出し、押し合いを行なっている。二人を守るために、今、戦っている存在。その名前を叫ぶ。

 

「光樹!!」

 

「悪い、ネプテューヌ。いや、今はパープルハートだよな。アイエフも大丈夫か?」

 

 その叫びに、機械を纏いし人間、和藤光樹は答える。いつも通りの口調で。だが、光樹だけではない。

 

「大丈夫?パープルハート様」

 

「助けに来たよ~、二人共ー」

 

 鈴に勇也、それに絵里奈も光樹と同じようにそれぞれのガンダムを纏ってこちらに助けにくる。ともあれ、四人のおかげで、なんとか窮地を脱することが出来た。

 

「ね、ねぇ、ネプテューヌ。これは助かったの……?」

 

 守られていたアイエフは困惑しつつもそう聞いてくる。一度見たとはいえ、困惑しているようだ。そんな不安を取り除くように、パープルハートは言う。

 

「えぇ、大丈夫よ。この子達なら、ね」

 

 自信たっぷりの声でそう語ると、アイエフも理解したように頷く。あっちの方は光樹達が対応してくれるとすれば、マジェコンヌはこちらの相手。そろそろ相手の方も当然現れた光樹への注目が解ける頃だ。

 そこでわたしはマジェコンヌに対して挑発する。

 

「さて、隠し玉も今は光樹の相手をしていることだし、そろそろわたしとの対決じゃないかしら?」

 

「くうぅ!!おのれ黒の少年めぇ。またしても邪魔を……!!だが、今度こそ、お前達には負けん!!」

 

 不意打ちで倒せなかったことを悔しがりつつも、それは過ぎたこと、というように再び戦闘の構えを取る。相手もここで始末しなければという気持ちが伝わる程の殺意をこちらに向けてくる。

 その言葉から分かったが、以前のことを覚えているあたり、やはりあの時倒したはずのマジェコンヌで間違いないようだ。あの状態からどうやって生き延びたのかは知らないが。あの時の本人であったことに納得しつつも、生きていたことに関してマジェコンヌに問う。

 

「……やっぱり、そうだったのね。けど、あなたはあの時倒したはずよ」

 

「さぁ、なんでだろうな?」

 

 問い掛けに対し、問われた方はそんなのは知らないとでもいうような態度で答える。少し苛立たしい声での回答にパープルハートも少し苛立ちを覚えるも、その挑発ともいえる言葉に冷静さを持ってわざと乗る。

 

「なら、あなたの口から聞き出すだけね」

 

 その言葉を聞いてマジェコンヌもその口を悪そうな笑みの形に変える。どちらも戦闘の構えを取り直す。するとそこに、もう一人の声が入る。

 

「二人どころか、あっちもあっちで盛り上がってる所わるいけど、私を忘れてもらっちゃ困るわ」

 

 あいちゃんこと、アイエフの声である。彼女もまたその体に受けたダメージなど知らないように再び立ち上がっていた。

 

「あいちゃん、戦えるの?なら、仇討ちではなく、リベンジに変更ね。……でも、怪我は大丈夫なの?」

 

 いきなりの事だったため、驚く。だが、自然とそれを許可してしまう。そうでなければ、アイエフに、自身の親友に失礼だと、思ったためだ。その言葉に、アイエフにも笑みがうっすらと浮かぶ。

 けれど、本当に大丈夫なのかしら?あんまり無茶させ過ぎるのも……。

 そんなパープルハートの心配に、アイエフは少し苦痛を感じる表情を見せると、こう言ってきた。

 

「見てわからない?大丈夫なわけないでしょ。でもね、自分でもわからないけど、何故かあんたは危なっかしくて、放っておけないって気がしてしょうがないのよ」

 

「あいちゃん……」

 

 つらいと言いつつも、自分の事が心配だからと戦意を見せるアイエフ。その口調は、仕事をやっている時の、この改変された世界のアイエフではなく、いつもネプテューヌといる時の、フレンドリーに話すときの口調そのものであった。

 先程再会してからの変容ぶりに、パープルハート自身は茫然としていた。まさか、マジェコンヌとの接触と、自分の褒めちぎりが功を成したのだろうか。その理由を考えようかとも思ったが、そんな暇、今はない。

 そこに、アイエフも言う。

 

「そういうわけだから短期決戦で一気に決めるわよ」

 

「わかったわ」

 

 その通りだわ。あいちゃんに負担を掛けないためにも、最速で決める!そこに鍔迫り合いを終え、後退した光樹がこちらに合流する。

 

「話は決まったのか?」

 

「えぇ。こっちはわたしとあいちゃんでやるわ」

 

「そうか……でも、アイエフは……」

 

 光樹はあいちゃんの心配を真っ先にする。やっぱり光樹も同じように思うようね。でも、ここまであいちゃんの意志を尊重して、2人で一緒に戦うだけ。そのことを伝える。

 

「大丈夫よ。わたしがフォローに回る」

 

 そう言うと、その言葉に鈴が提案を挟んでくる。

 

「でも、女神と言えども、相手はボスクラスの敵のはずよ。こっちは全員で6人。なら、1人はそっちに回せるんじゃないかしら?」

 

 人員の分割。そう鈴は提案をしてきた。確かに悪い話ではない。こちらの方が数は上。しかも2人を相手に6人もいる。無理に不利な戦いをするよりも、ここは数的有利をもらった方がいい。それになにより、怪我をしているアイエフの消耗をさせたくはなかった。

そこでわたしは鈴の提案を受け止めた。

 

「じゃあ、1人こっちに回してもらえる?」

 

「分かったわ。絵里奈、行ってくれる?」

 

「うん、りょーかい~!」

 

 鈴からの指示に、絵里奈が答える。絵里奈がサポートについてくれるようだ。

 

「フン、そちらは3人ずつで対応か」

 

「そうだ。だから、こっちも手加減はしない!」

 

 エクスからの問いに光樹が答えると、すぐにまた突撃していく。その後を怒声を飛ばしつつ鈴と勇也のタッグが追従していく。

 その様子を見届けると、こちらも戦闘を開始する。目でコンタクトすると、まずはパープルハートが先陣を切る。一直線にマジェコンヌへと突撃する。

 対するマジェコンヌは魔方陣を宙に描く。そしてそこから魔法により形成された三日月状の刃のようなエネルギー波を飛ばしてくる。その攻撃に対し、こちらも機械剣を前に構える。徐々に近づいてくる刃。それを受け止めると、そのまま体勢を低くする。低くしたことで、マジェコンヌの魔法の刃を刀の表面で弾き、受け流す。

 攻撃をこちらの勢いを殺すことなく接近することに成功する。だが、それも計算のうちのように、次の魔法の刃を飛ばしてくる。だが―――

 

「こっちは3対1よ、忘れたかしら!」

 

 アイエフの声が飛ぶ。と同時に魔法刃の進行する手前に赤い魔方陣が展開される。魔方刃がその上を通過すると同時に、アイエフがその名を叫ぶ。

 

「魔界粧・轟炎!!」

 

 その声に反応し、魔方陣から数多もの炎が吹き上がる。吹き上がった炎の威力で、魔法で形成されたエネルギー波は瞬く間に消滅する。

 あいちゃんの得意魔法、「魔界粧・轟炎」だ。相変わらず容赦なく燃やしていく炎ね。でも、これで楽に接近できる!

 アイエフの援護もあり、更に速度を上げて弱くなった炎を突っ切り、マジェコンヌへと接近していく。攻撃を突破してくる様子を見て危機感を覚えたのか、マジェコンヌは別の魔方陣を展開しようとする。それをさせまいと、パープルハートの後ろから絵里奈のガンダムが飛び出す。飛び出した絵里奈は両手に装備する巨大な手持ちキャノン砲を構えて放つ。

 

「いっけー!キャノンバスター、狙い撃ち!!」

 

「ちぃ、だが、そんな生っちょろい弾で……」

 

 絵里奈の元気ある声で放たれた砲撃は、その声ほど勢いある弾ではなく、マジェコンヌも余裕を持って回避する。しかし、絵里奈に気を取られたことでマジェコンヌは安堵を見せる。その安堵は、大きな隙になった。

 

「甘いっ!!」

 

 プロセッサユニットのウイングから放出する推力を最大にする。増した推力で加速したパープルハートは、そのまま空中にジャンプし、マジェコンヌの上から、機械刀を振り下ろした。

 

「喰らいなさいッ!!」

 

 パープルハートの強い意志を込めた一撃がマジェコンヌの杖と火花を散らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 パープルハート達とマジェコンヌが戦闘を開始すると同時に、光樹達もまた、エクスとの対決を開始していた。

 この時光樹もなぜエクスが生きていた、というよりも、無事でいたのかを疑問に思っていた。確かにエクスは、光樹自身が確かに倒したはずだ。それも、メガミブレイカーのオーバードビームサーベルモードで。あの超出力のビームサーベルを耐えきれたとは、到底思えなかった。

 だが、今ここにいるのなら、あの戦いを生き残れたということなのだろう。そう考えて、エクスとの戦闘を続けていく。エクスは今までの姿と同じ、EXAフェース形態で攻撃を行ってきている。しかしながら、以前よりも動きがいい。以前は光樹の方が圧倒的に有利に戦闘を進めていたが、今はこちらが攻撃しても出力で押し切れていなかった。

 光樹が苦戦する中、鈴と勇也は違った。エクスからの攻撃で光樹が怯む。

 

「ぐ……!」

 

「もらった!!」

 

 怯んだ隙にエクスが攻撃を仕掛ける。が、それを防ぐように勇也が割って入る。エクスのビームサーベルを、勇也はANゼットセイバーのセイバーモードで受け止め、弾く。はじき返して隙だらけになってエクスに向けて、すかさず下腕部に装備されているガトリング砲で追撃を浴びせる。

 その攻撃を腕部に装備していたシールドで防ぐエクスだったが、後方から鈴がスピードを上げて急接近していく。

 

「くっ……早い……!!」

 

「アンタが遅いだけ……よ!!」

 

 エクスに返すと、口部に内蔵された振動砲をかましていく。だが、その攻撃は回避され、その先に居た光樹に向かって伸びる。

 

『光樹、攻撃接近。味方からの誤射』

 

「うおっ!回避っ!!」

 

 寸前の所でなんとか回避を行う。攻撃をしようとしていたところだったため、前進しながら錐揉み回転での回避になったがおかげで回避できた。

 その攻撃に光樹は文句を言った。

 

「鈴!いくらなんでも、今のは危ないだろ!?」

 

「うっさい!!変な所で特に考え無しで攻撃するアンタが悪いんでしょ!」

 

 光樹の抗議に対し、鈴は歯牙にもかけないように光樹のせいにする。完全に今のは光樹のせいではなく、鈴が考え無しに攻撃したからだと思われたが、鈴にその自覚はないように見えた。実際は光樹が鈴の行動を読めなかったというのもこうなった原因の一つであり、お互いの意志疎通がなかったというのが真実なのだが。

 そう言い争っている所に、エクスが攻めてくる。

 

「この程度か?GKSWAXPの初代メンバーとは!ゆけ、アイオスファンネル!!」

 

「!!」

 

 エクスのウイングから放たれた遠隔操作端末が鈴と勇也の周りを取り囲む。放たれる攻撃を、鈴と勇也は回避していく。手慣れているためか、回避行動をこなしつつビットを落とそうとする。だが、敵のビットも動きが早い。まだエクストリームバーストを発動させていないにも関わらず、その動きはそれとほぼ同等の動きをしている。包囲の外から見ていて分かる。かなり強化されていると。

 苦戦している二人を助けるために右手にANロング・メガ・マグナムを構えて助けに行こうとする。しかし当然、エクスはそれを許さなかった。

 

「油断し過ぎぞぉ!!」

 

「なっ!」

 

 横合いからいきなりビームサーベルで切り付けてくる。それを防ぐために咄嗟にANロング・メガ・マグナムで防ぐ。攻撃に切り裂かれ、マグナムは爆発を引き起こす。爆風から逃れて距離を取ろうとする光樹。そこにエクスが爆風を突っ切って襲い掛かる。

 

「浅はかな!!」

 

 その声と共にビームサーベルを振り下ろしてくる。こちらも左手に持っていたANビームサーベルⅦXを切り上げの形で受け止める。が、相手の力の方が強く、こちらのビームサーベルが弾き飛ばされる。更に、その勢いのまま胸部装甲に敵のビームサーベルが切り込みを入れた。

 

「マズッ……!」

 

 装備していた腕部武装を弾かれ焦りを見せる。早く次の武装をもって反撃しなければやられる。直感的にそれを察する。

 すぐに右腕の手首に内蔵されたビームサーベルを持とうと射出する。だが、焦りからか、手を振って出したためサーベルの柄を取り損ねる。

 

「しまった!!」

 

「ハハハハハ!!まずは黒の少年!!頂いた!!」

 

 取り損ねたサーベルを取ろうとするも、エクスに溶断されサーベルの柄が破壊される。そして隙だらけの光樹に対し、ビームサーベルを突き出す。

 ダメだ、反応しきれない。手持ち武器を取る暇がない。左肩部のANデストロイランチャーのシールドを向けるのも難しい。避けるのも間に合わない。どこからどう考えても、必ず攻撃が当たるのは見えていた。

 光樹はどうすれば混乱する。そのせいで動きが鈍る。そこに攻撃を回避していた鈴が言葉を飛ばす。

 

「光樹!とにかく避けなさ……」

 

 だが、その声が届く前に敵のビームサーベルが動く。突きが光樹のガンダムの首筋に迫る。その様子を、光樹はただ茫然と見るだけであった…………

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。やはりエクスも再登場!となりました。

レイ「でも、第2章の最後に光樹君がおっきなビームサーベルで溶断したよね?」

ジャンヌ「溶断、というか、消滅させてたと思うのですが……。でもエクスだけなら、機械ということなら、体は別物、ということでしょうか?」

まぁ、エクスだけならそれでしょうね。だけど、それだとマジェコンヌが生きている理由はどうなるか、ってことですが

レイ「藤和木はもう知っているんだよね?」

そりゃあ、クリアしていますからね。でも教えたら楽しみがなくなりますし

レイ「だよねー。でも、今度のVⅡR、話はこのV2のリメイクになるのかな?」

それは私にも分からないですよ。まだ詳しく情報見てないので、これから情報集めを始めるつもりなので。でも現実に女神が投影となると、ストーリーに含まれるのかな、その要素は

ジャンヌ「それはお楽しみ要素になるのでは?VR専用ソフトになるのなら、VRだけに特化していそうですけど。でもゲームになるってことは、ゲームに関わりありそうですし」

うーん、ここはちゃんと情報集めますか

レイ「就活の情報も集めてよね?」

分かってますって。さて、今回はここまで!

ジャンヌ「次回は土曜日になりますっ」

レイ「じゃあみんな、また次回っ!」


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第102話 少しの記憶、久々のコンビネーション

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか。たまに約束を破る、藤和木弘です。

ジャンヌ「でも、今回の約束破りは、皆様としては嬉しいのではないでしょうか。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「土曜日に投稿すると言ったよね。あれは嘘だよ!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

「あれは嘘だ」のセリフ、オリジナルの意味では、今回の状況とは違いますけどね(うろ覚え)。さて、Twitterで見ていた方は知っての通り、ストックに余裕が出て来たので、今回1日前倒しで投稿しますっ。今回は第102話の投稿です。

ジャンヌ「前回のあとがきでは触れていませんでしたが、今は光樹さんがピンチでしたね」

レイ「光樹君、どうやってこの危機を乗り越えるのかな?」

さて、それでは本編へ!


 

 目の前に迫る危機に、光樹は諦めを感じていた。既に敵のビームサーベルはこちらの首筋を捉えている。頭を飛ばされれば、いくら電子化で痛みが少ないとはいえ、かなり痛むはずだ。それに加えて、メインカメラを失ってサブカメラに切り替える間にこちらのコアを狙われてやられる。

 ならば回避か。だが、回避するにもここから回避するには首を傾けるしかないだろうが、ロボットの首を曲げても人体ほどの可動域はない。曲げれたとしても誤差程度であり、回避しても甚大な被害は免れない。確実にどこかがダメージを受ける。

 それでも光樹は諦めることは許されなかった。諦めれば、絵里奈や鈴が泣くかもしれない(鈴は本当にどうかは分からないが)。なら、生き延びることを考えなくてはならない。

 ただひたすらにウイングへの緊急機動を命令する。それでもZEROシステムの予測では間に合わない。

 

(もう、間に合わないのか……?)

 

 そんな言葉が心の中で過ぎった。その動きがシュバルトゼロの動きを止める。

 

「消えよ、黒の少年ッ!!!!」

 

 エクスの声が響く。サーベルが、ゴッドクロスの首筋に伸びた――――――

 

 

 

 

 その時だった。脳内に一瞬でビジョンが流れる。

 

(なん……!?)

 

 一瞬の出来事に光樹は混乱する。が、それが光樹の考えを変える。そうだ。回避が出来ないのなら、「防げ」ばいい。その答えにたどり着く。なら、どうすればいいか。この武器を装備する間にも攻撃されるような状況で。今までの光樹なら届かなかったであろう方法。それを、光樹は行った。

 

 

 

 

『ANクロスビームボウガンⅣ、抜刀』

 

 

 

 

 ゼロの声が響き、ビームサーベルの火花が散る音が鳴る。鈴と勇也はその瞬間を目撃していた。そう、エクスのビームサーベルが、光樹の首筋を…………ギリギリ外しているのを。そして光樹のゴッドクロスが、腕部のユニットから発したビームソードでビームサーベルの軌道を逸らしていたのを。

 

「ナイスよ、光樹!!」

 

「相変わらず、見事なカウンター術だ!」

 

 鈴は目の前の攻撃から目を離して称賛する。勇也もまた同じように褒める。勇也の言葉から、それは普段の光樹にとっては当たり前の防御手段であったようだ。

 それに対して突きを放ったエクスは動揺を見せていた。

 

「馬鹿な……この距離で防がれただと!?」

 

「エクス……悪いな。俺もまだ、こんなところじゃ、終われない!!「彼女の願い」を果たすまで、はな!!」

 

 光樹はそう言い放った。今もなお流れ込んでくる記憶の影響もあり、普段とは違った声のテンションと口調で。そのまま腕部端末に出力されたビームソードを機体の腕の力だけで弾き飛ばす。そのテンションの変わり様は大きく、つい夢の橙の女神についても、意識しない内に言うほどであった。

 弾き飛ばされたエクスは機体の制御に手を取られていた。その隙を、光樹が攻める。左手に残っていたANロング・メガ・マグナムを構えエクスに向かって連続して放つ。放たれた攻撃は最初こそエクスに避けられていたが、徐々に掠めていき、遂に敵の本体に着弾する。

 

「ぐぅあ!?」

 

「今だ!!」

 

 好機と見た光樹は、ゴッドクロスを突撃させる。突撃中も左手のANロング・メガ・マグナム、そして右腕部のANクロスビームボウガンを放って敵を逃さない。自身の危機を感じたエクスは、鈴と勇也に放っていたアイオスファンネル戻して光樹への迎撃に当てる。

 増した弾幕に、光樹は少し手間取る。だが、手間取る程度だ。何せ、相手がファンネルを戻したことで、こちらには鈴と勇也がこちらに戻って来ていたのだから。弾幕を避けつつ接近してきた勇也がこちらに指示を要求する。

 

「助かったぜ、光樹。で、どうする?」

 

「相手の弾幕が多い。こっちも同時に迎撃するか、ドラグーンを使うか……でも」

 

「でも?」

 

 鈴が聞き返す。その先が気になったためだろう。そこで光樹は、鈴達が驚く一言を言い放つ。

 

「でも、これくらい、コンビネーションR-3αで対応出来る……だろ?」

 

「!!」

 

「その名前は……!!」

 

 「コンビネーションR-3α」。それは、光樹・鈴・勇也が行う、コンビネーション戦術であった。本来なら今の光樹が知っているはずのない攻撃方法だったが、先程の記憶のフラッシュバックで光樹は思い出していた。その為光樹の口からその名前が出て来たのだ。

 そのことに驚きつつも、意図を理解した二人は頷いた。

 

「……分かったわ。でも、ミスはしないでよ?アンタがミスしたら、あたし達が危ないんだから」

 

「あぁ、分かってる」

 

「じゃあ、突撃してくるぜ。援護頼むぞ?」

 

 声をかけ合い、鈴と勇也が二手に分かれて弾幕を張ってくるエクスに突っ込んでいく。その後を追うように光樹も機体を飛行させる。先行する二人に、ビームの弾丸が迫っていくと、光樹は両腕部のANクロスビームボウガンを展開する。ボウガンモードに変形したユニットからビームの矢が連続して放たれる。飛んでゆくビームの矢はカーテンのように二人の前を流れて飛んでいく。ビームは一見乱射しているように見えたが、実際は違う。確かに弾幕に対する弾幕であり、ある程度は適当だが、ビームのカーテンをすり抜け、襲ってくるビームに対しては中央部のブレード発振口から発射するビームで狙い落としていた。

 ビームのカーテンにより先行する二人は守られた。では光樹自身はどうなっているのか。それはいたって簡単な答えで、前方にANシェイブシフトドラグーンのシールドモードを張って弾を防いでいた(透明化も行なっている)。攻撃の防御をゼロの操るドラグーンに任せつつ、光樹は鈴と勇也の防御を担当する。そして、一定の距離まで近づいたところで、動きを変える。

 突如二人が更に上空へとスラスターを噴射して飛び上がる。飛び上がった二人に、エクスが注意を向けた。

 

「おのれ、上空からの攻撃などと……!ファンネルッ!!」

 

 宙に静止して地上を狙っていたファンネルを飛び上がった二人に向ける。飛び上がった二人の機体は元々地上戦特化の機体。空中での回避性能はあまりない。今攻撃されれば二人が危険だ。

 だが、この瞬間をこちらも待っていた。ドラグーンの注意があちらに向くのを。二人を狙うエクスに対し、光樹はエクスに向け、「オーディン」を放つ。

 

「ドライブモード始動!「オーディン」、てぇーーーー!!」

 

「くっ!?このタイミングでだと!?」

 

 いきなりの大出力ビームによる攻撃がエクスを襲う。だが、当然エクスもただ見るだけではない。すぐに後方へと飛び上がってビームを回避する。それでもエクスの足先を飲み込み、ファンネルも数機巻き込んで爆発を起こす。

 脚部の爆発により下半身のバランスを失うエクスに、飛び上がった鈴と勇也が追撃をかける。勇也がバックパック左に装備するコンテナを開いて展開したANビームショットキャノンでファンネルを撃ち落し、ビーストモードに体勢変形した鈴が爆風を突っ切ってEXAフェースの姿をしたガンダムに襲い掛かる。

 

「グッ!鈴の少女……」

 

「遅いっ!!」

 

 攻撃を防ごうとするエクスだったが、遅かった。瞬間的にトランザムシステムを起動した鈴のグレイガが速度を増して一閃する。振るったANビームメイカーのトンファーモードでエクスの左肩に装備されていたブラスターカノンのような武装を真ん中から切り裂き、使い物にならなくする。

 エクスはすぐに使用不可となったキャノン砲を切り離す。切り離されたキャノン砲はスパークを帯びて破壊された。しかし、暇を与えるわけにはいかない。既に光樹はウイングの出力を上げ、エクスのすぐ近くまで接近していた。

 

「っ!!今度は黒の少年か……ッ!!」

 

「ゼロ!このまま……切り裂く!!」

 

 厄介そうに光樹のことを呼ぶエクスに、光樹はANクロスビームボウガンⅣのソードブレイカーモードを起動させる。盾状のユニットから高出力のビームソードが発生する。

 防御態勢に入るエクス。だが先の鈴のガンダムの攻撃により初動が遅れる。それにより防御するよりも先に光樹の攻撃が通る。ビームソードによる斬撃がエクスの体を切り裂く。それも一度ではない二度三度と、連続して切り裂いていく。

 一度攻撃の手を緩めると、光樹は後方に下がる。代わりに勇也のR-ZEROがコンテナユニットからワイヤー上の武器を放つ。放たれたワイヤーは先程切り裂いた装甲の隙間に刺さると、電流をエクスの体に浴びせる。

 

「ぐがぁぁぁぁ!?これは……電気攻撃……ッ!?」

 

「御名答。ANエグナーウィップⅤだ。こいつは痺れるぜ?」

 

 勇也がエクスの問いに得意げに答える。「ガンダム00」にも出て来た対パイロット・電子機器兵装は機械であるエクスには強烈にダメージを与えていた。

 勇也が拘束している間に、鈴が無駄なく次の工程を開始していた。サイドアーマーに装備していたユニットを分離させる。分離したユニットは宙を自由自在に飛行し、エクスの周りで静止する。

 

「さて、キツイの行くわよ……!」

 

 鈴が手を前にかざす。そして、勇也と光信号でコンタクトを交わすと、勇也が放っていたANエグナーウィップⅤをエクスから引きはがす。そのタイミングを見計らって、鈴は浮遊させたユニットに指示を出す。

 

「ANインパクトブレイカーユニット、バーストウォール、アクティベート!!」

 

 その叫び声に呼応して二つのユニットから視認可能なエネルギーフィールドが生成される。生成されたフィールドは一瞬で膨張し、ちょうどエクスを両フィールドで抑え込むような状態を作り上げる。

 そのフィールドに押しつぶされる形となったエクスは動けないことに苛立ちを叫ぶ。

 

「ぐぅぅ!!この程度のフィールドでぇ、我を止められるものかぁ!!」

 

 その言葉が正しいかのように、エクスは徐々にその両腕でフィールドを押し返す。だが、先程の電撃のせいでその体は未だにスパークが散り、電撃が走る度にフィールドに再び押しつぶされていく。

 この攻撃により、完全に敵の動きが止まった。それこそが、こちらの狙いだ。最後の仕上げにかかる。光樹はANデストロイイーターⅡを、鈴はANブレイク・スライサーⅡを、そして勇也はバックパック右側のANエクサランスアームズⅡを攻撃の体勢で構える。

 一瞬の溜めのあと、遂に機は訪れる。エクスを縛り付けていたインパクトブレイカーモードのユニットから、エネルギーフィールドが解除される。これにより、ようやくエクスは解放されることとなる。だが、決して隙を与える為ではない。こちらが、一斉攻撃を行うために、だ。

 フィールドが解除された瞬間、光樹を含めた三人は一斉に攻撃を行う。

 

「これで、決める!!」

 

「避けられないわよね!」

 

「始まりの三人の一撃、受けてみろ!!」

 

 勇也がエクスの左腕部を切断、鈴は右肩部をウイングごと思い切り脚部を蹴り上げ、スライサーで本体から両断。最後に光樹のゴッドクロスがANデストロイイーターⅡを横薙ぎに切り抜ける。両腕を斬り飛ばし、敵腹部の装甲に左半分の切断跡を残す。切断面からは、機械のスパークと多量のAN粒子が血のように噴き出していた。

 攻撃をし終えた光樹達は、地面を滑りつつエクスに向き直る。攻撃を受けたエクスに向かって光樹が呟く。

 

 

 

 

「これが、俺達の新たなる始まりだ……」

 

 

 

 

 光樹が言い終わると同時に、エクスを爆発の炎が飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、マジェコンヌとの戦いを演じていたパープルハート達。絵里奈達がマジェコンヌの攻撃を迎撃、およびマジェコンヌへの牽制を行いつつ、パープルハートを送り出す。パープルハートの上段からの渾身の一撃は、すんでの所でマジェコンヌが左手に発生せた魔法の障壁で受け止められる形となった。

 攻撃を受け止められたことで、パープルハートはその場に留まる。そのまま押し切ることを選んだからだ。その考えを見通したマジェコンヌは逆の手に持っていた杖を空に掲げる。すると、上空に長大な棒のような魔力の塊が生成される。その魔力の塊は、先端が鋭く、まるで槍のような形状を生成していた。

 

「えぇい!!このまま貫かれよ!!」

 

 マジェコンヌのその言葉で、絵里奈は危機感を感じた。あの槍がそのまま降ってくれば、パープルハートことネプテューヌはただでは済まない、と。すぐに絵里奈はR-ZXのスラスターを全開にする。加速している状態で右手に構えていたANHXキャノンバスターを前に向ける。すぐにモードをエディットバスターモードに切り替える。

 エディットバスターとは、ANHXキャノンバスターの持つ射撃モードの1つである。その特徴は、脳波コントロールによる、ビーム弾の遠距離精密誘導弾を放つこと。原理としてはマスターの空間認識能力によるイメージに沿って、砲身から放たれたビームの余剰エネルギー波を制御することでビームを自由自在に制御することが出来るのである。

 敵の魔力槍が放たれると同時に、絵里奈はANFXキャノンバスターを放つ。放たれた弾丸はそのまま真っ直ぐと砲身の延長線上の真空を貫いていく。しかし、若干こちらのビームの方がスピードが速い。このままでは先にビームが通り過ぎることになる。当然、絵里奈もそれを分かっていた。そこで、ビーム弾の動きが変わる。

 直進していた弾丸が、突如上方向に壁に弾かれたように軌道を変更する。それによりビームの到達点がずれる。しかし、それでもまだ誤差が出る。すると今度は下方向に対し、軌道が若干変わる。再びビームの弾丸に干渉したのだ。

 二度の軌道変更を行ったビームはパープルハートに向かって落下する魔力の槍に目がけて着弾し、爆発する。魔力槍によるものか、それともビームによる爆発か。それは分からなかったが、ともかくこれでパープルハートを守ることが出来た。邪魔をされたマジェコンヌは苛立ちを露わにする。

 

「馬鹿な!?あれを撃ち落されただと!?小癪な……!」

 

「絵里奈ね、援護ありがとう。……せぇい!!」

 

 援護をした絵里奈に対しパープルハートが礼を口にしつつ、攻撃を撃ち落されたことに気が向いていたマジェコンヌを魔力壁ごと押し返す。力が緩んだマジェコンヌを押し返すのは簡単で、機械刀の一振りでマジェコンヌは大きく弾かれる。しかし、マジェコンヌも反撃に転じる。地面に足を着け、勢いを殺しながら杖を振って魔法を放つ。

 

「この……喰らうがいい!!」

 

「くぅ!!マズイ……」

 

 突発的に放たれた攻撃にパープルハートは防御態勢を取る。腕のプロセッサユニットを盾代わりにして防御するも面積が少なく、本体の部分にも爆風が起こるのが見えた。

 

「ネプテューヌちゃん!!」

 

 絵里奈はすぐに無事を聞いた。その問い掛けに攻撃を受けて後方に下がってきたパープルハートが答える。

 

「……えぇ、大丈夫よ」

 

「よかったぁー……」

 

 パープルハートからの答えに絵里奈は安堵する。本来こんな戦闘状況で安堵をすれば危険だが、絵里奈にとってはこの世界の重要人物に何かあれば、と思うと、心配せずにはいられなかったのだ。他にも、今のマジェコンヌに対し、それ程危機感を感じなかったという、いわゆる余裕を感じたためでもあったのだが。

 だが、安心している間にマジェコンヌは攻撃を行なおうとする。杖を地面に突き立てる動作をすると、魔方陣がその先に生成される。大出量を持つ魔力攻撃の動作だ。絵里奈もパープルハートもその攻撃に気づく。すぐにその場から退避しようとするが、その必要はなかった。

 その魔方陣に重なる様に、新たな魔方陣が生成される。だがしかし、その魔方陣の色はマジェコンヌが今まで発生させた魔方陣の色である禍々しい黒や紫色ではなく、全く正反対の印象を与える白色の魔方陣である。

 それに何より、その魔方陣に気づいたマジェコンヌがいきなり発生した白の魔方陣を見て、驚愕していた。その反応から、マジェコンヌが発生させたものではないことを察した。マジェコンヌはすぐにその場を離れようと後方へと退くが、発生した白の魔方陣は思った以上に大きかった。大範囲に展開された魔法の円陣はマジェコンヌが範囲内から退避する前に光を放った。放たれた光は、神々しく輝きを放ってマジェコンヌに襲い掛かる。光の奔流に巻き込まれ、マジェコンヌは体の至る所にダメージを負う。

 

「よし、上手くいったわ!」

 

「アイエフちゃん!?ナイス追撃ー!!」

 

 先程の攻撃はアイエフの攻撃によるものであった。先程パープルハートの攻撃を支援したっきり、しばらく見なかったが魔法攻撃を行うための準備をしていたようだ。かなり時間のいる魔法だったらしく、その発動タイミングが、たまたま今さっきの瞬間。しかしながら、攻撃のタイミングはこれ以上ないグッドタイミングであった。

 この隙を逃さない手はない。既にパープルハートが攻めに入っていた。

 

「あいちゃんの作ってくれた隙、逃さないっ!!」

 

 腰溜めに機械刀を構えて突撃する。先程の攻撃を受けてマジェコンヌは動けていなかった。どうやらかなりダメージを受けたようだ。攻撃の出来るレンジまで近づいたパープルハートは武器で切りかかる。

 

「クリティカルエッジ!!」

 

 振り下ろしの後、斬り上げを行う。生身の女性の腕ながらも、その力強い一撃でマジェコンヌの体が宙に飛ぶ。

宙に舞うマジェコンヌ。それを追うようにパープルハートが飛ぶ。それに便乗し、絵里奈もANHXウイングスラスターを吹かせる。丁度マジェコンヌと同じ高さに到達すると、二人は攻撃態勢を取る。パープルハートは機械刀を両手で持ち、絵里奈はR-ZXのANZXアームズのZXセイバーモードを両手に装備する。

 そして、一気に振り下ろす。

 

「せぇい!!」

 

「くっらえー!!」

 

 息の合った同時攻撃で、マジェコンヌの腹を叩き付ける。剣の一閃による傷が3つ、マジェコンヌの腹部に刻まれつつ、その体が急降下する。叩き落とされたマジェコンヌの体は、地面に激突すると地表を割る。かなりの力で叩き付けられたのが見て取れる。

 流石に、これは勝ったんじゃないかな?そう思った私は頭部ユニットの中で笑みを浮かべる。このオバサン、別の次元で会った時もかなりしぶとかったけど、この連携攻撃なら、たぶん大丈夫でしょ。

 余裕を見せる絵里奈に、パープルハートも同じように終わったようなことを呟く。

 

「さて、これならしばらくは大丈夫でしょ……う!?」

 

 が、途中でその言葉に驚愕が混じる。何があったのかと、その方向を向くと、そこには切り裂いた部分から紫色の血のようなものを流す、魔女の姿がそこにあった。

 

「う、ウッソー!?ま、まだ生きてるのー……!?」

 

 絵里奈は思わず驚きを露わにする。が、そんな言葉は届いていないかのように、マジェコンヌは傷口を抑えつつ、ゆっくりと空中に浮遊しなおし、憎しみを込めて声を発する。

 

「こ、この程度……まだ終わらぬわ!!」

 

 そんな叫びと同時に、急速に前面を魔方陣が覆いつくす。その量はかなりのもので、確実にこちらの動ける範囲までを制圧するかのような多さであった。

 

「い、いきなりこんな大魔法を!?」

 

「まずい!!みんなわたしに集まって!!」

 

 アイエフが危機を感じ、パープルハートが上空に手をかざして集合を叫ぶ。そんな一瞬のうちに、攻撃は放たれた。

 

 

 

 

「バーサーク・アーチランサー!!」

 

 

 

 

 マジェコンヌの号令と共に、魔方陣から大多数の槍とも矢とも見える攻撃を放つ。攻撃が放たれ、一瞬で土煙と突風が盛大に引きおこる。と同時に轟音が周囲に響き、風圧をより一層強くする。それが数秒の間、続いた。

 そして、魔力弾の斉射が終わると、辺りは静寂に包まれた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、光樹君達がコンビネーションを見せてくれました!

レイ「必殺技って感じがしていいね!やっぱりガンダムには、連携攻撃の方が見栄えいいよねっ」

ジャンヌ「はいっ♡レイさんの言う通りですっ!でも、鈴さんと光樹さん、あれだけ喧嘩していたのに、よく合わせられましたよね。光樹さんだって本調子というわけではないというのに」

光樹君も、三人との再会で戦闘の感だけじゃなく、自分らしさを取り戻している、ということでしょう!

レイ「だねっ。それで、ネプテューヌちゃんの方だけど、あの攻撃すっごいね。マジェコンヌが終わりがけに放ったあの魔法攻撃」

ジャンヌ「……気のせいでしょうか。似たような攻撃をアニメで見た気が……」

やけに金ぴかな王様お兄さんの攻撃なんか真似してませんよ~(笑)

ジャンヌ「……とりあえず、何も言いませんからね?」

ま、まぁ原理は別だけど、似てはいることは認めよう。ギルなんとかさんってサーヴァントの攻撃に似ているというのは!

レイ「あ、あはは……。うん、これでもう終わりかなっ?」

ですね。次回予告に行きましょう。

レイ「次回は木曜日に投稿予定だよー!」

ジャンヌ「それでは皆様、また次回にお会いいたしましょう」


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第103話 ZXオーバーコンビネーション炸裂

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?最近は就職活動のおかげで胃が痛い、藤和木弘です。

ジャンヌ「藤和木、緊張し過ぎですって……リラックス、ですよっ?どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「履歴書も何回も失敗しているからねー。焦る気持ちも分かるよー。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

そんな合間にバトルスピリッツダブルドライブもいよいよ最終決戦になってしまった……そしてやはりバトスピアニメは消えるのね……。少し寂しいね。さて、今回のSSRは第103話を投稿です。

ジャンヌ「ZXといえば、絵里奈さんのガンダムですね」

レイ「必殺技かなっ!?どんなコンビネーションになるんだろう!」

前回の攻撃を、どう耐えたのか?それでは本編へ!!


 

 爆風が過ぎた後、一人の笑い声が響いた。

 

「アーッハッハッハッハッハ!!やったぞ!!遂にあの忌々しい小娘を倒したぞ!!」

 

 未だ爆煙が立ち込める方を向いての狂喜。それも当然。先程の攻撃を敵対していた存在に防御する暇もなく着弾させたのだから。

 まさか、この攻撃がこんなところで役立つとは……。マジェコンヌは喜びと共に、疑いが晴れたように感じていた。何にしろ、この攻撃は、元々マジェコンヌが考案した攻撃ではなかったからだ。

 元々の攻撃こそ、マジェコンヌの元来の魔法であったが、それにアレンジを加え、完成したのが、先程の魔法攻撃、バーサーク・アーチランサー。その攻撃を考えたのは、自分の主たる存在に力を貸す、「あの男」だ。

 胡散臭いやつではあったが、この攻撃はかなり使える。それも女神を倒す程の威力を持った攻撃。これならば、自身を葬った、あの橙の小娘にも……!

 

「まぁ、あっけないものだな、終わってみれば。さて、後はエクスの奴が……」

 

 残っている敵を任せているエクスの方へと向かおうとする。だがそこで、マジェコンヌはあることに気づいた。それは未だに残る爆煙に異変を確認したからだ。

 爆煙は今になってようやく晴れてきていた。その先にいるのは、攻撃を受け、無様に地に伏せている女神と小娘、そしてガンダム1機。その「はず」であった。だが、煙が晴れた先から見えたのは、そんな光景ではなかった。見えたのは、何やら光を帯びた、水晶のように透き通る物体。

 なぜ、そんなものが?そう疑問に思うマジェコンヌ。そんな疑問は、徐々に見えてくるその全貌が明かされていくにつれ、分かることとなる。

 マジェコンヌが水晶のようだと表現したもの。それは、巨大な剣であった。剣は地面に突き刺さるようになっており、その前面には、先程のバーサークアーチランサーの刺さった後のような傷が出来ていた。

 それは、パープルハートが咄嗟に繰り出したスキル技、「32式エクスブレイド」であった。それも、本来攻撃に使う時の物よりも、遥かに大きい。この攻撃を防ぐために、以前見たアニメを参考に仕様変更して防御に応用したのであった。

 

「な、馬鹿な!?防いだだと!?」

 

 巨大な剣の面による防御にあっけにとられる。だが、それが大きく隙を作ることとなる。突如として、盾となっていた魔力で生成された大剣に横一文字に切れ目が入る。切れ目にそって剣がずり落ちると、剣の向こう側から飛び出してくる存在が一人。

 飛び出してきたのは、機械の装甲を身に纏った少女、絵里奈。そして、絵里奈はその手に巨大なキャノン砲を持っていた。目の前にいる敵を排除するために。

 

「くっ……!突っ込んでくるか」

 

「悪いけど……あなたはここで倒すよ!」

 

 絵里奈による乱撃が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 絵里奈が勢いよく、切れたエクスブレイドの上を飛んでいくのを、パープルハートは見ていた。自身がエクスブレイドの解除をする前に、奇襲するために、と突撃していく絵里奈を。パープルハートはただただ驚く。まさか、ここまで絵里奈が積極的に攻撃をしていくとは。               

一見して、絵里奈は色々とのんびり屋で戦闘時にも少なからずそれが反映されるのではと思っていたのだが、そんな予想を裏切り、絵里奈は隙を逃さなかった。その奇襲は、間違いなくマジェコンヌに焦りを生ませていた。魔女が攻撃をギリギリ受け流していくのが多いのに対し、絵里奈のガンダムの方は両手に装備したキャノン砲で撃ち、時にはその大きさを武器に打撃兵装としても運用する。その戦い様は、少女でありながらも、まるで歴戦の傭兵のような戦い方だ。

 そんな様子を見ているだけでは、こちらも物足りない。まだあいちゃんのリベンジは果たせていないんだから!そんなわたしとあいちゃんはすぐに絵里奈の元に向かう。

 

「絵里奈、手伝うわ」

 

「パープルハート様っ!……うん、行こう!!」

 

「さて、じゃあ一斉に行くわよっ!」

 

 言葉を交わし合うと、3人はマジェコンヌへと突っ込んでいく。この戦いに決着を打つために。

 

 

 

 

 

 

 

 

「小癪な……調子に乗るなよ、小娘!!」

 

 マジェコンヌの憎しみのこもった一撃が、絵里奈に向けて放たれる。だが、絵里奈はそれを軽々と躱す。そして再び振り向くと返しの一発にANミラージュブラスターソードをミラージュブラスターモードに切り替え、腰だめにビームを撃つ。剣よりも大きなビームがマジェコンヌに伸びる。マジェコンヌは何とかそれを魔法障壁で受け止める。

 障壁に当たったため、ビームは着弾と同時に表面で爆発を起こす。爆風が立ち込めるも、そんな中で突っ込んだのは、アイエフであった。

 

「はぁっ!!」

 

「ちぃ!今度は貴様か……!!」

 

 姿勢を低くしてアイエフがマジェコンヌに接近していたのは絵里奈も見えていた。怪我をしていたのも分かっていた。だからこそ、先程も敢えてこちらに目を向けるためにわざわざウイングブースターユニットからノイズドエナジーウイングを展開し、目立っていたのだが、おかげで上手くマジェコンヌの元へ行かせることに成功した。

 絵里奈の見えない支援によりマジェコンヌへと接近したアイエフは、自慢のカタールを振る。初撃はマジェコンヌの杖に阻まれてしまうも、続いて二撃目のカタール攻撃をかける。蹴りも含めた次々と繰り出す攻撃を徐々にマジェコンヌは額に汗を浮かべていく。そして、アイエフの両カタールによる同時斬撃でマジェコンヌのガードを崩す。

 

「しまっ……」

 

「もらった!!「魔王暗翼刃」!!」

 

 その刹那に、アイエフは大技を繰り出した。カタールを後方に振ると、カタールを黒い粒子が覆う。その状態でアイエフは駆け出す。マジェコンヌの懐に潜り込むと、その刹那、左手のカタールでマジェコンヌを切りつける。そのままの勢いで、マジェコンヌの横を切り抜ける……と思われたが、違った。マジェコンヌの横を通り過ぎるわずかな時間にもアイエフは動く。カタールを振った勢いでそのまま回転する。そして両手のカタールで同時にマジェコンヌの体を切りつけたのだ。

 アイエフの2連続攻撃にマジェコンヌが苦しい表情をする。すぐにその傷口を抑える。しかし、そこをこちらは見逃さない。パープルハートが既に攻撃の構えを取って急加速でマジェコンヌの所にまで接近していた。

 

「まだまだ行くわよ!!」

 

「ちぃぃ!!」

 

「せぇい!!」

 

繰り出される刀の一閃を受け止めるが受け止めた時の衝撃でマジェコンヌが表情を崩す。生じた力の緩みを感じ取ったパープルハートはそのまま力任せに振り上げる。痛みの方に気がいったマジェコンヌの力は弱い。勢いよく切り上げると、その杖は勢いよく宙へと飛んでいった。一方のマジェコンヌは杖が打ち上げられたことで回収しようとそれを追いかける。

 

 

 

 

 だが、それを絵里奈は許さなかった。

 

 

 

 

「ターゲット、シュートー!!」

 

 素早くANHXキャノンバスターを向けると、そのまま一泊置くことなく放つ。放たれた弾丸はエディットバスターモードではない。ところがその弾は一直線に杖へと伸び、大きく弾き飛ばした。

 

「なっ……!?」

 

 いきなりの狙撃にあっけにとられるマジェコンヌ。その驚愕は味方であるパープルハートやアイエフにも伝播していた。

 

「すごい……」

 

「あの距離であの早撃ち!?」

 

 2人が驚いた絵里奈の早撃ち。しかしそれに絵里奈は目を向けない。絵里奈の目に映っているのは倒すべき敵だけだ。

 今までのようなのほほんとした表情からは考え付かないほどの思考。だが、口を開けば……。

 

「さー、あっちはコンビネーションを見せてるんだしー、こっちも大技、いっくよぉー!!」

 

いつも通りの絵里奈である。しかしながら、彼女もしっかりとしている部分があるという証拠でもある。しっかりと、光樹達の戦いを戦闘中にも目視していた。あちらが既に仕上げの段階に入っているのを。

 なら、こっちもやるしかないよー。私はこの機体の切り札を使う。脳波による指示をR-ZXことゼクスちゃんが読み取る。

 

『了解です。オーバーインヴォークシステムオンライン。アタックドライブ「ZXオーバーコンビネーション」!』

 

「まずはコロイドを散布っ!!」

 

支援AIのゼクスとの掛け声と同時にR-ZXの機体装甲が開かれる。更に脚部の増加装甲もスライドして展開される。展開された装甲からは青い粒子が散布される。散布される粒子は急激に周囲を覆いつくす。覆いつくされた粒子により周囲の視界が悪くなる。

 

「すごい……霧、と言えば、いいのかしら?」

 

「なんにも見えないじゃない!!」

 

 パープルハートとアイエフはその濃度の濃さに困る。だが、これこそが絵里奈のアタックドライブ……劣化ノイズフォースビックバンの攻撃法なのだから。

 

「二人共、迷惑かけるけど、すぐに終わるからねー」

 

 2人にそう声をかけて、絵里奈は攻撃を開始する。ANHXウイングスラスターを吹かせて滑空する。滑空状態のまま、ANHXキャノンバスターを通常射撃のキャノンモードで砲撃を開始する。この視界の悪さでは絵里奈は相手を見えないように思えるが、それは間違いである。絵里奈の方は機体が散布したミラージュコロイド粒子を通して敵の位置を把握しており、確実にマジェコンヌへの攻撃を行っていた。

 見えない視界からの攻撃に対しマジェコンヌは手を焼く様子を見せていた。散布されたコロイド粒子により見えない場所から正確な攻撃が襲い来るのは厄介や恐怖といったもの以外の何物でもない。

 加えて、この粒子は絵里奈のガンダムの特殊能力、ミラージュガストレイドコロイドシステムによるもの。この特殊粒子により、絵里奈のガンダムはステルス状態となっている。粒子を散布することで相手の視界を悪くし、こちらは身を隠す上に相手の場所が丸わかりという、圧倒的に絵里奈が有利な状況へと変えたのだ。

 だが、それはあくまでアタックドライブの準備段階のことだ。そのまま絵里奈はキャノンによる飽和攻撃を行う。

次々と行われる正確無比な精密砲撃に晒されるマジェコンヌ。だが、そこで更に絵里奈は攻撃の方法を変更する。ANHXキャノンバスターをANHXウイングスラスターの側面に装備すると、再び腕部を突き出す。突き出された腕部から、次に繰り出されたのは、紫色のエネルギー物体だ。

 その攻撃は両腕部に取り付けられたANPXアームズギアから放たれた、ノイズドエナジー結晶を手裏剣状に加工した攻撃であった。腕部のスロット口から次々と攻撃が放たれる。

 攻撃が変わったことで、マジェコンヌの方も混乱が発生していた。

 

「くっ……今度は小物を繰り出してくるか!っ!!」

 

 連射される弾幕のような手裏剣はマジェコンヌの体を次々と切り裂いていく。傷は浅いながらも、その刃は鋭く、マジェコンヌにダメージを与えていく。

 ある程度撃ちまくった後、絵里奈は続けてANPXアームズの表面を開く。開いた中から今度はノイズドエナジー結晶で形成された苦無が排出される。ANノイズドエナジークナイをその手に取ると、そのクナイに電気が走る。

 R-ZXの特殊能力、エレメントシフト。機体の攻撃に風・火・水・闇・無のエネルギーを纏わせ、属性に応じた付加攻撃で敵にダメージを与える機能である。元々はMP・NPの中でもSSRシリーズの特殊機能として知られていたが、鈴達のガンダム「Rシリーズ」からはMPも運用できるように改良された機能である。

 今回絵里奈が使用した属性は風。だが、属性の掛け合わせ……今回は火と風を掛け合わせたため、属性合成により雷属性を纏ったのである。

 電気を帯びたクナイをコロイド粒子が覆う中に投げ込む。その先には、もちろんマジェコンヌがいた。死角から投げられたクナイにマジェコンヌは対応しきれず、右肩近くに刺さる。

 と、同時にマジェコンヌの体を電撃が走った。

 

「ぐぉぉっ!?電撃攻撃とは生意気な……!!」

 

 クナイに刺されたマジェコンヌはクナイから流れる電撃のせいで体を動かすことが困難になる。そう、雷属性攻撃の影響、「スタン」だ。敵の神経系、もしくは電子機器にダメージを与える攻撃。その効果をマジェコンヌは受けてしまった。

 絵里奈もそのことは機体の解析映像から分かっていた。これこそ、こちらの願っていた状況である。スタンが効いたのなら、次の攻撃に繋げられる。なら、行くしかない。一気に絵里奈はマジェコンヌとの距離を詰める。十分な距離まで接近すると、ANHXウイングスラスターの上部カバーが開く。開いた中には、小さな槍のようなものが搭載されていた。それが目の前に射出される。射出された槍は、一瞬のうちに伸長し、本来の姿へと変形する。

ANLXハルバード。この機体の武装シリーズ「Xウエポン」の系列の兵装だ。戦斧へと変形した武器を手に、絵里奈はマジェコンヌに振るう。下から振り上げる斧がマジェコンヌに迫る。

 

「っ!?!?馬鹿な、そこから!?」

 

 姿を見ることが出来なかったマジェコンヌは攻撃を受けつつも驚愕を叫ぶ。だが、それでも絵里奈は攻撃を続ける。こちらはミラージュコロイド粒子のおかげで敵からの視認は至近距離でも攻撃を振るわないとそれを察知できない。実際、マジェコンヌもそうであった。

 どこから来るかもしれない攻撃を絵里奈は繰り出していく。横薙ぎに振るい、大振りをかまし、突きを繰り出す。そして、攻撃が来れば、ANHXスラスターを急噴射して場所を巧みに変える。

 拘束乱舞を繰り出したのち、一旦下がる。だが、その途中でも攻撃は続ける。ハルバードに代わり、今度は主兵装「ANZXアームズ」をZXバスターモードに切り替えて放つ。連射される弾丸はマジェコンヌに襲いかかり、貫いていく。

 地面に滑りながらの着地を行い、止まるとその地面を蹴って再接近する。その手にはセイバーモードに切り替えられたANZXセイバーが握られていた。

 

「これで、決めるっ!!!」

 

 前方にクロスして構える。そして、そのまま切り裂くように振るった。

 

 

 

 

「てぇーいっ!!」

 

 

 

 

ザンッ!

 

 

 

 

 クロスするように刻まれたXの傷跡。マジェコンヌは傷口を抑えて倒れる。

 大丈夫。あの傷は熱で付いた物。だから、本当には斬れてないよ。でも、痛みはあるけどね。そう心の中で言いながら、私はマジェコンヌに向き直る。

 向き直ったタイミングで、散布していたコロイド粒子が途切れる。徐々に視界が晴れ、同じように霧の中にいたパープルハートやアイエフの姿を確認する。霧が晴れたことで状況を確認したアイエフ達が、その状況に驚きを見せる。

 

「嘘でしょ!?あのオバサンをあそこまでやったの……!?」

 

「あの視界の悪い中で……よくもまぁ、あれだけのダメージを……」

 

かなり茫然としているようだ。あれだけ視界が悪かったにも関わらず、敵に的確にダメージを与えたことに対して、だ。あの中で行動できるタネが分からなければ無理はないことだ。

 マジェコンヌが動けなくなったところに、横合いから物体がよろよろと浮遊してくる。それは光樹と戦っていた、エクスであった。

 うん、これで終わりだよね。私は目で見てその事を理解する。どちらもあのダメージなら、あの二人だけで逃げ切るのは難しそう。

 絵里奈はそのように判断すると、パープルハートの方へと大きく回って合流した。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。マジェコンヌにも大ダメージを与えて、ネプテューヌ側が勝利しました!

レイ「でも、すごいねっ!絵里奈ちゃん、あんな中で行動できるなんて!」

ジャンヌ「機体のシステムによるものとはいえ、所々でとんでもない腕を見せてますね。高速狙撃だったり」

まぁ、絵里奈さんはステルス戦・狙撃特化ガンダムのアズールシリーズの初代マスターだからね。あのしゃべり方からは想像できないくらい、狙撃戦では恐ろしいですよ。

ジャンヌ「以前話した時からは、全然感じられませんでしたから、余計驚きますよ。これであとはマジェコンヌとエクスの確保だけですね」

レイ「でも、簡単に捕まるのかなぁ?」

さて、レイさんの不安が現実になるのか?次回に続きます。

レイ「次の投稿は水曜日だよーっ!」

ジャンヌ「それでは皆様、次回もよろしくお願いいたしますっ」


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第104話 追撃を邪魔する機体

はい、皆様、ご機嫌いかがですか?Twitterの方でハーメルン活動2周年絵を公開いたしました、藤和木弘です。

ジャンヌ「わたくしとレイさんはもう1年になりますね。どうも、皆様。これからも藤和木をサポートしていこうと思っているジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「いやー、1年経つのって早いね!昔は早く次のクリスマスにならないかなー?とか思ってたのに、年取ると時間が早く感じちゃう、レイ・オーバだよっ!」

いやー、これももう2年か。2年でやっと超次元編……遅いな。

ジャンヌ「あ、それ藤和木が言いますか」

うん、言っちゃう。さて、鉄血のオルフェンズはもうすぐ最終回。ガンダムファンはみんなそっちの方に夢中な中で、こちらは第104話の投稿です!

レイ「いやー、前のお話じゃあ、絵里奈ちゃんがビシッと決めてくれたね!」

ジャンヌ「今回はマジェコンヌ達の身柄の確保ですかね?」

さて、事件はこれでひと段落?では本編へ!


 

 

「こっちは終わったぞ、ネプテューヌ。そっちはどうだ?」

 

「光樹。えぇ、こっちも絵里奈が決めてくれたわ」

 

 光樹の問いにパープルハートはそう答える。見るとマジェコンヌの胸元にクロスに刻まれた傷が見て取れた。光樹もそれを見て、本当にかなりのダメージを与えたのを察した。

 そんな所に、大回りしてこちらに向かってくる絵里奈のガンダムの姿を確認する。地面を滑るように背部バックパックから粒子を放出して浮遊している。絵里奈がこちらに来たところで、マジェコンヌ達が言葉を吐き捨てる。

 

「……ちっ!……強すぎる。やはり侮れんか、黒の少年とそのおまけは……」

 

「……の、よう、だな。今の我らでは、まだこいつらとの戦闘はきつすぎる……」

 

 両者とも、それぞれのダメージにより、言葉が途切れ途切れとなっていた。光樹達の攻撃をもろに受けたためだ。むしろ、あれだけのダメージを受けて倒れないマジェコンヌや、機能停止に至らないエクスがおかしいほどであった。特に、エクスは腹部の装甲を半分ほど抉られているにも関わらず、まだ動けていることの方が逆に恐ろしさを感じるくらいである。

 そんな言葉を聞いていた光樹達は動けない様子のエクス達に言い放つ。

 

「ここまでだ、エクス、マジェコンヌ」

 

「そして、教えてちょうだい。何故、零次元で倒したはずのあなた達がここにいるの?」

 

 完全に戦闘困難状態である二人に今なお生きている理由を問う光樹とパープルハート。その様子を見ていた鈴達は、少し疑問を浮かべた様子を見せる。だが、質問を投げかけられた二人は鼻で笑ってそれを拒否する。

 

「ふん。敵である貴様らに易々と話すものか」

 

「お前ら……何か秘密があるんだな?」

 

「教えなさい。その理由を!」

 

「フフフ……」

 

 未だに余裕そうな様子で拒絶の意志を見せるエクス達。しかし、光樹達に手出しは出来ない。エクス達が零次元での激闘から生き延びた理由が何なのか。それを知る必要があるためだ。

 教えないことに苛立ちを見せるパープルハートをなだめるように、アイエフが次の目的の解決に出る。

 

「……さて、にらみ合いが続くだけなら、次はこっちの番ね。盗んだものを返してもらうわよ」

 

「盗んだもの?何のことかな?」

 

「白々しいわね。あんたがプラネテューヌで盗みを働いている証拠は上がってるのよ」

 

 そう、元々アイエフの目的は、プラネテューヌで盗みを働いた、窃盗犯の身柄の確保であった。その犯人は間違いなく、今ここにいるマジェコンヌ達だろう。だが問い詰めるアイエフに対し、マジェコンヌはとぼける。更にエクスもマジェコンヌに同調して言葉を続ける。

 

「ハハハッ。貴様もまさか状況証拠だけでしか知らないのではないかな?」

 

「あんた達……!これ以上言ってもしらばっくれるってなら、強硬手段も辞さないわよ」

 

「やってみよ。この我とマジェコンヌに対してなぁ!」

 

 エクスがアイエフに対して挑発する。その言葉にアイエフもすぐに乗ってしまう。

 

「へぇ……。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらって……」

 

「あいちゃん、危ない!」

 

「ちぃ!アイエフ!離れなさいっ!!」

 

 アイエフの言葉を遮って、何かに気づいたパープルハートと鈴の声が飛ぶ。何が起こったのか、分からなかったアイエフと光樹の声が出る。

 

「え?」

 

「何……」

 

 そんな声が呟かれている間に、二人が襲い掛かる2つの影から繰り出された攻撃を受け止め、弾き飛ばした。

 まさか、今のは敵!?二人の迎撃により、俺もようやくそれを察知する。慌てて身構えると、既に勇也や絵里奈もその手にANランサーライフルビットとANHXキャノンバスターを構えていた。まさか、2人も察知できてたなんて……。それも俺よりもおっとりな様子を見せる絵里奈が気づくなんて……。

 自分が気づくのに遅かったことに驚き、がっかりする。だが、そんな暇はない。パープルハートと鈴が迎撃した影達がマジェコンヌらの元に降り立つ。

 

「誰っ!?」

 

「まさか、仲間が?」

 

 パープルハート達の声が響く。もちろん、その襲撃者に対してだ。その姿を確認する光樹達。すると、それは明度の違う紫をメインカラーとする、2機の機動兵器のような者達であった。1人は忍者のような、もう1機は3つの爪を持つ機動兵器達であった。

 その姿を見て、アイエフを除いた五人が真っ先に思い出す。プラネテューヌ、果てはゲイムギョウ界を暗躍するという3機のロボットの情報を。その2機は、イストワールの言っていた3機のうち、2機の特徴とそっくりであったのだ。

 現れた2機に驚く中、現れた2機はそれぞれマジェコンヌとエクスに対して無事を確かめる。

 

「マジェコンヌ殿、迎えに上がったで御座る」

 

「エクス、動けるか」

 

「忍者か。迎えに来るとは気が利くな」

 

「騎士よ。タイミングが良いな。褒めて遣わす」

 

 その掛け合いから、どうやら元々マジェコンヌ達を回収しにやって来ていたようだ。ということは、マジェコンヌ達がここにやって来たのは、離れた場所で自身達を彼らに回収されるためにここまで移動したというのが狙いだったようだ。

 回収にやって来たことに感謝するマジェコンヌ達であったが、そこでマジェコンヌがあることに考えを変えた。

 

「だが、ちょうどいい。手伝え」

 

「……と、言いますと?」

 

「マジェコンヌ?」

 

「私とエクスは、この紫色のガキと黒の少年に因縁があってな。血祭りにあげるチャンスなのだ、手伝ってもらおうか」

 

 そう、まだマジェコンヌは戦おうとしているのだ。あれだけのダメージを受けても、未だにこちらに向かってくる。その憎悪にも近い戦意に光樹は引いてしまう。

 とはいえ、別に無暗に殺したくないというわけでもない。むしろまだ向かって来てくれるのなら、こちらもここで因縁を断ち切るというのは、今後マジェコンヌによる被害を防ぐという点では重要な選択だ。ここでマジェコンヌの首を取るべきか……。

 それを悩む光樹。一方、その話を聞いていた鈴と勇也がこちらだけに聞こえる声で話す。

 

「……どうやらあっちはまだやる気みたいよ?どうする……?」

 

「どうするって言ったって……」

 

「いや、おそらくは来ないだろう。あんな怪我でやる方が頭がおかしい。それを相手も分かって……」

 

 勇也が何かを言いかけるようにして言葉を止める。相手の方の話が動いたからだ。マジェコンヌに対して「忍者」と呼ばれた方のロボットが一瞬考えるように黙ってパープルハートの方を一瞥してから意見する。

 

「………………マジェコンヌ殿。申し訳ないで御座るが、拙者の主はアフィモウジャス将軍ただ一人。将軍か、あるいは将軍の友人である「大佐」殿以外の者の命令には従えないで御座る」

 

「ステマックスの言う通り。私も大佐の指示以外は聞けん」

 

 迎えにやって来た2機はそれぞれマジェコンヌの言葉を聞かなかった。おそらく、今の状態では自分達の方が不利だと思ったのだろう。その2機の言葉を尊重するように、エクスも言う。

 

「二人の言う通りだ、マジェコンヌ。このままなのは口惜しいが、今はこの場から撤退するのが先決。これ以上の戦闘行動は、不可能だ。お前も、我も」

 

「揃いにそろって……。まぁ、いいだろう」

 

 三人からの説得もあり、マジェコンヌはその考えに賛成する。どうやら、撤退するようだ。だが、それを聞いてパープルハートの視線が細くなる。ネプテューヌには逃がすという考えは毛頭ないようだ。

 マジェコンヌが了承したのを聞いて、ステマックスという、忍者が撤退の用意を指示する。

 

「理解していただけたので御座るなら、退却の準備を。ローゼン殿、二人の回収の準備を」

 

「分かっている。インコムユニット、射出ッ!」

 

 ステマックスからの指示を請け負い、行動不能近くにまで追い込まれていたマジェコンヌ達を、ローゼンと呼ばれた機体が腕をワイヤーで射出して二人をがっちりとその3本の爪で固定する。そして射出されたワイヤーを巻取り、二人を回収する。

 そして、それを確認すると、ステマックスが腰部のポーチ状のユニットから球体の物を取り出すと、それを地面に投げつけた。

 

「せい!」

 

 地面に叩き付けられた球体は、周囲に白いもやのようなものを噴き出す。それは、煙幕であった。すぐに周囲の視界を奪う。

 

「煙幕!?」

 

「これじゃあ視界が悪くて何も見えないわ!」

 

「まさか、こんな小細工をしてくるだなんて……」

 

 アイエフがその正体に最初に気づく。続きパープルハートや鈴、そして光樹もそれに気づく。生身のパープルハート達は口を塞いでいたが、こちらは全身を装甲で覆っていたため、特に呼吸へのダメージはない。だが、それでも視界を奪われてしまう。

 煙を振り払う中、絵里奈が光樹に言う。

 

「光樹君!シュバルトゼロのウイングで、この霧何とかしてーっ」

 

「……そうだ、俺の機体、羽があるんだ!」

 

 絵里奈からの指摘で気づく。そう、光樹の機体には、空中機動用のウイングが備え付けられていたのだ。その事を完全に失念していた光樹。そんな光樹に、鈴が呆れる。

 

「そんなことにも気づいてなかったの!?……まったく、コンビネーション技久々に使ったのに、ますます心配だわ」

 

「う、うるさい!とにかく、やるぞ!!」

 

 悪態を付ける鈴に、光樹はそう言い返すと、ウイングをはためかせようとした。だが――――

 

 

 

 

「ほら!貴様らに置き土産のプレゼントだ」

 

「こいつも味わうといい!!」

 

「ウィーン」

 

 

 

 

 突如視界から消えたマジェコンヌとエクスの声が聞こえたかと思うと、別の何かの唸る声がする。見ると、そこには巨大な影がぼんやりと浮かぶ。その姿を見て、パープルハートが真っ先に正体を叫ぶ。

 

「モンスターを召喚した!?」

 

 マジェコンヌとエクスは、足止め役としてモンスター達をその場に出現させたのだ。それも一体ではない。はっきりとは目視できないが、レーダーには約六体もの熱源反応を確認できた。その為、光樹はウイングをはためかせることを見送った。そんなことをしている内に攻撃されると思ったからだ。

 モンスターを見送るかのようにマジェコンヌ達がこちらに別れを告げる。

 

「それでは、今度こそさらばだ。また会おう……と言いたいが貴様らが生きていればの話、だがな」

 

「とはいえ、これくらいならば黒の少年達でも軽すぎると思うがな。今度会った時はその首、もらい受けよう!」

 

 そう言い残して、敵は逃走する。機体のセンサーからも、熱源が遠ざかるのが見えた。ここは追いかけて確保するべきだろう。しかし、今こちらは視界が奪われている上に、敵にも囲まれている。迂闊に動くのは危険……。

 だが、それを顧みず、パープルハートが動いた。

 

「待ちなさい、マジェコンヌ!」

 

 視界も良く見えない中、逃走するマジェコンヌ達の方へとパープルハートは向かって行く。かなりの無茶である。どこから攻撃が来るのか、機械のレーダーに頼れる光樹達はともかく、いくら常人よりも優れた能力を持っていても、悪意の察知なんてニュータイプ的な能力がない女神が先走るのは危険だ。

 そして、その光樹の心配は半分現実となる。

 

「ネプ子、あぶない!」

 

 アイエフの声が響く。突っ込もうとしていたパープルハートを突き飛ばしたのだ。突き飛ばされたパープルハートの状況を理解できなかった声が漏れる。

 

「え」

 

「ウィーン」

 

 モンスターの声が響いた直後、何かを切り裂いた音がする。その直後、すぐに煙幕が晴れていく。霧が晴れてその目で見たのは、地面に倒れこむアイエフの姿であった。

 

「アイエフ!?」

 

「っく……!」

 

 攻撃を受けた横腹は服が破け、血が垂れ流されていた。おそらく、アイエフがパープルハートを庇って、攻撃を受けたのだと光樹は考えた。パープルハートの飛ばされた方向と、攻撃したモンスターの位置からいっても、そう考えるのが妥当であった。

 そんな様子を、突き飛ばされた本人も見ていた。そこへ更なるモンスターの追撃を防いで倒したのち、すぐに助けたアイエフへと駆け寄る。

 

「あいちゃん!」

 

 心配そうに駆け寄ると、アイエフは傷を押して、まだ立ち上がろうとする。

 

「なんの……これしき!ネプ子は、ネプ子は、私が守るんだから!」

 

 しかし、その言葉を振り絞るのが限界だったようで、言い切ったところで再び力を失って倒れる。倒れる時にパープルハートが支えたため、地面に背中が叩き付けられることはなかったが、アイエフの口からは苦悶の声がこぼれる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「あいちゃん!わたしを庇ったせいで傷を……」

 

 パープルハートの動揺の声が聞こえる。とにもかくにも、ここは引かなければいけない。すると、勇也がどうしようかと焦りをみせるパープルハートに指示を出す。

 

「パープルハート、君はアイエフって子を抱えて、離れた場所へ。そこで手当てか、もしくは誰か人を呼ぶんだ。こっちは俺達でなんとかする」

 

「勇也……。分かったわ」

 

その言葉を聞いて、すぐにパープルハートはアイエフを抱えてその場から離脱する。離脱する時も勇也と絵里奈がその援護を行い、モンスターの邪魔を防いだ。

 二人を離脱させた勇也に、モンスターに意識を向けつつ、言う。

 

「勇也、助かる」

 

「本当なら、お前が真っ先に言うことがいつものことなんだがな。それよりも、このモンスターを何とかしない限りはまだ危ないぞ」

 

 勇也の注意を呼び掛ける言葉に、鈴は余裕を見せて答える。

 

「フン。こんな下級モンスターくらい、楽勝でしょ?」

 

「だねー。こんなの簡単に……」

 

 鈴に続いて絵里奈も余裕であることを口にする。ところが、状況はそれほど簡単に動くものではないことを、知らされる。

 

「ウィィー……ヴ」

 

 突然、モンスターの動きがおかしくなる。機械タイプのモンスターであるにも関わらず、何か苦しみだしたのだ。

 

「何だ、一体……?」

 

「気をつけなさい。何か、来るわ!」

 

 先程楽観視していた鈴が、一瞬で人が変わったかのように警戒をする。絵里奈も同じように少し体勢を後ろに引きつつ、モンスターの様子に困惑を見せる。

 しばらくして、モンスターの色が、一瞬で変わる。その色は銀色の如何にもロボットの装甲の色であったのが、紫色の混じった、邪悪さの混じった物に変わっていた。

 

「な、何あれー!?」

 

「色が変わった……。鈴、こいつは……」

 

 勇也もその変化に気づく。そう、イストワールから聞いていた、現在のゲイムギョウ界の脅威。光樹達も戦った、「猛争化」に似た現象だ。

 マジェコンヌ達が生み出したモンスターであるためなのかは分からないが、ともかく、これは厄介だ。体力が増加してタフになるだけでも厄介だが、それが五体もいるとなれば、かなりの強敵であるのは確実。早く倒してアイエフを治療するためにも、ここは時間をかけるわけにはいかなかった。

 

「まさか、猛争化?けど、それくらいなら問題ないわ。光樹、「DAI」は起動出来るわよね?」

 

「当たり前だ。すぐに変形して……」

 

 鈴からの問いに、光樹はすぐに答える。光樹のガンダム、ゴッドクロス。その最大出力形態である「ダイ」なら、この程度のモンスターならいかに猛争化状態でも止められるはず。そう結論付け、二人はそれを決めたのだ。

 だがしかし、そこで問題が起こった。またしてもモンスター達に異変が起こった。それに最初に気づいたのは絵里奈であった。指を指してそれを指摘する。

 

「ねぇ、またなんかおかしいよー?」

 

「おかしい?いったい何が……」

 

 それに釣られて、光樹もモンスターの方を向く。すると、今度は機能不全のような動きで四肢をやたらと振り回していた。

 

「何?動作不良?」

 

「モンスターだから、それはなさそうだけど……おかしいのは確実だな」

 

 鈴と勇也が警戒する。と、上空からモンスター達に向かって、何かが降り注ぐ。降り注がれるのを見て、すぐに光樹達は後方へと退避する。幸いにも、後方に居た敵は先程の猛争化の段階で横に逸れていたため邪魔されることなく回避できた。

 後方に退いて、その状況を見る。それはモンスターに起こるのは初めてな、そして光樹達にとっては当たり前であった光景が広がっていた。

 

「あれは……AN粒子!?」

 

 思わずその光景に叫ぶ。モンスターに降り注いだもの、それはAN粒子の塊、「ノイズ」の柱であった。光樹がガンダムに変身する時も、同じものが降り注ぎ、その中で変身をしていた。

 だが、それを今モンスターが浴びていた。一体何が起こるのか。光樹には予測できなかった。しばらくの間、降り注ぐノイズの柱。すると、それらは一つにまとまっていく。その様子に全員が息を呑む。

 そして、ノイズが晴れる。そこにはとんでもないものが目に映っていた。現れた物、それは先程のモンスターよりも大きくなった、加えて武装を満載した、大型の人型機動兵器の姿をしたモンスターがそこにいた。

 

「なっ……!?」

 

「お、大きくなっちゃった!!?」

 

「おいおい……流石にこいつは……!」

 

「こいつ……あの時と同じように!?武装化したの!?」

 

 四人はその大きさに、その姿に驚愕する。反応は違うものの、同じようにその姿には驚くしかなかったのだ。

 そんな四人に対し、凶暴化した上に武装化したモンスターが攻撃を仕掛けてくる。

 

「グォォォォン!!」

 

 モンスターの唸り声に呼応して背部に新たに装備したユニットから、煙を吐いて円柱状のものを放つ。ミサイルだ。ミサイルによる飽和攻撃が地面に爆発を生じさせる。

 

「ぐぅ!!」

 

「こいつ……!!」

 

 攻撃を回避した鈴が、お返しに背部のカノン砲を腕部下に展開して放つ。だが、その攻撃は装甲を開いて放たれた膜のようなもので相殺される。

 

「あれは、ANフィールド!?」

 

「ダメ、全然効かないよー」

 

 攻撃の効果がないことに女子の二人が困惑の声を出す。光樹もゴッドクロスの射撃兵装を放っていたが、どれもそのフィールドに相殺されていた。

 だが、光樹にも考えがあった。光樹は思い出していたのだ。ANフィールドの弱点を。ANフィールドは「ガンダム00」にあった防御兵装GNフィールドをモデルとした兵装。なら、あれを貫けるのは、粒子圧縮率を越えた攻撃、もしくは実体剣での攻撃なら、あのフィールドを貫けるはずだ。

 

「なら、格闘戦でいけば!」

 

 光樹はそう意気込んで突撃をしようとする。が、そこにモンスターからのレーザー攻撃が阻む。

 

「そんなことは分かってるわよ!でもこの弾幕はかなりきついわ……。出来たら真っ先にあたしが行ってる!!」

 

「だ、だよなぁ……。くそっ!この弾幕が止まればいいんだけど……」

 

 鈴からの返しに思わずたじたじになってしまう。よく考えれば、接近出来れば格闘戦兵装の豊富な鈴達が既に突撃しているはずだ。だがそれを行なっていない。その理由はもちろん、あの弾幕を回避できないから。回避できたうえにあのフィールドを突破できるとしたら、おそらく、光樹のゴッドクロスにしか出来ないだろう。

 しかし、そのためには突撃のタイミングが必要であった。いきなり弾幕の中に突っ込んでも光樹では避けきれない気がしたからだ。そこで、光樹は三人に援護を要請する。

 

「だったら、俺が突っ込む!だから、三人は援護を……」

 

 その言葉を言い切る直前に、四人のレーダーに熱源反応をキャッチする。急な熱源反応に、光樹達は辺りを見回す。

 

「接近警報!?」

 

「反応は……あのモンスターからか?」

 

「で、でも、新しい敵なんて、居ないよー?」

 

 熱源の反応は、ちょうどあのモンスターの位置からだった。だが、目視では新しい存在は確認できない。ならば、何故反応したのか。考える三人。

 すると、そこで光樹はある考えにたどり着く。その可能性を光樹は呟く。

 

 

 

 

「まさか……空から!?」

 

 

 

 

 その声と共に、モンスターに何かが落ちた。落ちたものはモンスターと激突すると、辺りに衝撃波を起こす。風圧が周りの木々を激しく揺らす。

 

「何だ!?」

 

「本当に落ちてきた!?」

 

 勇也と鈴がその事実に驚く。気づいた光樹自身も、何がなんだか分からなかった。これほどの衝撃波を起こしたのだ。それ程の機体でもなければ、落ちた側が危ないのに。

 しばらくすると、モンスターの悲鳴のようなものが聞こえた。

 

「ヴァァァァァン!?」

 

 直前に、何かを突き刺したような音が聞こえたので、おそらくはそれによるものであることは分かった。どうやら、落ちた側は大丈夫なようだ。

 徐々に落ちた衝撃による土煙が晴れる。そして、モンスターの背中に居たのは、光樹の知る、あの機体であった。

 

「あれは……!」

 

 紫色の機体に、ブースターのようなウイングユニット。女神のような装甲。加えてその機体が持つのは、ビーム刃の発生したアサルトライフル。間違いなかった。あの機体は……。

 武装化したモンスターに突き刺していたビームソードを抜くと、その機体を操る少女の声が発せられる。

 

 

 

 

「まったく…………。何なのよ、この状況は!!」

 

 

 

 

 パープルプロテクター、それを操る、海鳴海優であった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。はい。マジェコンヌ達は捕まらず、ムッチャ変な敵が現れました!

ジャンヌ「オリジナルモンスター……ということでいいんですよね?」

レイ「元々はガーダー系のモンスターで、それが色々暴走して、今の姿になったんだよね?」

そうです。猛争化したところで、武装化が同時に起こって、同じ個体同士で共鳴して誕生したんですね。機械系モンスターなので、強化するなら合体する感じかなと思い、設定しました。ちなみにモデルはスマブラXのガレオムさんだったり。

ジャンヌ「そ、そうなんですか……。でも、久しぶりに海優さんの登場ですね!」

レイ「この海優ちゃんは、記憶を覚えているのかなっ?」

さて、彼女が現れた理由とは?それはまた次回かな。

ジャンヌ「次回は火曜日に投稿になりますっ」

レイ「それじゃあみんな、また次回ッ!」




レイ「この後は、私達はバトルスピリッツのアニメ最終回を見るね。実は、これでバトスピのアニメは8年の歴史に幕を下ろすんだ!」

長かったなぁ。バトスピのアニメも。途中でやめた時もあったけど、面白かったと思う。特にブレイヴの最終回。

ジャンヌ「藤和木はやはりダンさん世代なんですね」

激覇の最終回も良かったし、バトスピ最終回のランキングでは激覇とブレイヴが来るね。さて、最後のバトル、どんなのになるか!


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第105話 桜散る中の装甲纏いし者達の激闘

どうも、皆様、お元気でしょうか、藤和木弘です。鉄血のオルフェンズも遂に最終回を迎えましたね、私も見たけど、考えたくなかったエンドでした。

ジャンヌ「確かに、あれは考えたくはない終わり方でしたね。でも、世界は変わりましたし。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「私もあれには少し心残りがあるね……。でも、最後の方で戦いは報われたと思ってる、レイ・オーバだよっ!」

さて、一つのガンダムの物語が終わりを迎えたところで、こちらは第105話の投稿です。

ジャンヌ「前回は海優さんが登場しましたね。共闘を見ることが出来そうです」

レイ「さぁ、みんなであの合体したモンスターを倒しちゃおう!」

それでは本編へ


 

 この状況に、海優は困惑していた。そもそも、何故海優はこんなところに来ていたのか。実は、アイエフが関わっていた。

話は少し遡る。マジェコンヌに捕まった時点で、アイエフは携帯を操作して、救難信号を発信していたのだ。

 その救難信号は、任務での窮地を知らせるもので、発信先はプラネテューヌの国防軍となっていた。その国防軍もそれを確認。その救援のために国防軍は海優に出撃を命じたのだ。

 出撃した海優はすぐに信号の発信先、サクラナミキまで急行した。敵からの補足を避けるため、かなり上空を飛行して現場に向かったのだが、到着してまず最初に見たのは、戦いが終わった直後の様子であった。

 まだその場にアイエフが残っていたことから、抵抗したようだと考えたが、周囲を確認して、状況が面倒になった。アイエフの周りに海優が確認したことのない人物、そして、機動兵器が確認できたのだ。

 

「何?あいつら……見たことのない機動兵器ばっかり……あれが敵?」

 

 最初は海優も警戒するが、その後の行動で、海優はそれを改めた。アイエフに襲い掛かった2つの攻撃を紫髪の女性と獣のような機動兵器が防いだ場面で、だ。

 アイエフを守った……ってことは、敵じゃない?っていうか、相手の方は、報告書にも合った、例の機動兵器じゃない!

 スコープ機能を使って拡大したカメラ映像には、確かに国防軍が注意している機動兵器2機が確認できた。その事から、アイエフと行動している者達は敵ではないと確信する。

 その後しばらく様子を見ていたが、空から降り注いだ赤い光を見て、危機感を感じた。赤い光を浴びたモンスター五体は融合し、1機の大型機動兵器へと姿を変えたのだ。

 マズイ!あんな大きな機動兵器、すぐに倒さないとプラネテューヌにどんな被害を起こすか……!それに、アイエフもあの女の人を庇って動けない……。

 アイエフが倒れ、機動兵器が暴れ回る。次々と放たれる攻撃に、サクラナミキの地形は次々と変わっていった。4機の機動兵器達は迎撃をしていたものの、その攻撃は敵の張ったシールドで防御されている。

 このままでは……。そこで海優は判断した。あの機動兵器部隊を支援することを。本部の応援を待つというのもあったが、今行動できるのは、自分だけ。

 だが、それ以上に、何故か心の中でうずいていた。あの機動兵器の1機、黒いプロテクターのような機体を放っておけない気がしたのだ。

 

「さて……あのバリアを突破するためには……これしかないっ!!」

 

 突撃の覚悟を決めた海優は右手にビームアサルトライフルを、左手にビームソードを構える。そして、一気に降下する。ブースターの出力を最大にしての突撃降下。それはかなり危険な賭けであった。この攻撃で相手に防がれれば、こちらのダメージは深刻なものになるに違いない。

 しかし、それでも彼女は落下速度を高める。この一撃に全てを賭ける。そして、その行動は功を成した。

 凄まじい速度で落下したパープルプロテクターの武装は、相手のフィールドを貫いた。そしてモンスターの背中の装甲にビームの刃が突き立てられる。

 

「ヴァァァァァン!?」

 

 攻撃を受けてモンスターが苦しむ。苦しみの後、モンスターは倒れる。だが、まだ消滅はしない。ということは、まだ動く可能性があるということだ。

 

「まったく…………。何なのよ、この状況は!!」

 

 そのように悪態をつく。今の状況が信じられなかったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、現在にいたるわけである。落下の衝撃で起きた土煙が晴れていく。晴れた視界の先に、こちらを見つめるあの黒い機動兵器がいた。

 海優に対し、その機動兵器が音声を……否、声を出した。

 

「やっぱり、パープルプロテクター!海優か!!」

 

「え……何で、この機体を、あたしを知っているの?」

 

 いきなり名前を呼ばれたことに動揺を覚える。こちらはまだ名乗りすら上げていないのに、何故自分の事を知っているのか。スパイかもしれないことを考え警戒をする。

 だが、その考えとは裏腹に、何故かその声で呼ばれることに高揚感を感じた。まるで初めてあったわけではないような、呼ばれると嬉しい様な、そんな気持ちになる。

 何かが記憶に引っかかる感じを感じている中、突如地面が揺れる。いや、正確には、足を着けていた突然変異系機械型モンスターが再起動したのだ。

 

「ちぃ!まだ動くっての!?」

 

 すぐに海優は飛翔して離れる。黒い機動兵器とその仲間達の近くに降りる。倒れていた巨大な機械モンスターは咆哮を上げ再びこちらに相対する。

 

「まだ、戦うってことか」

 

「あなた、こっちの味方?だったら協力して!あれは近接攻撃で突破できる」

 

 獣型の機動兵器から少女の声が掛けられる。協力して欲しいとの要請、しかも、あの機動兵器を止めるためというのなら、協力しないわけにはいかない。海優はその要請に応える。

 

「了解したわ!近接攻撃なら、あたしのパープルプロテクターの十八番よ!」

 

 自信満々に言うと、海優はビームアサルトライフルにビームブレードを再び発生させ、戦闘状態に移行する。そして機動兵器側からも、もう一人近接攻撃を行う者が出る。

 それは先程海優の名を叫んだ、黒い機動兵器の者であった。海優の横に立って、腕部の武装から大出力のビームソードを発生させた。

 

「へぇ、あんたも攻撃するのね」

 

「あぁ。それで、こっちのことは覚えてないんだな」

 

「覚えてない……?変なこと言うわね。あたしはあんたのことは知らない……って言いたいけど、なんかひっかかるっていうか……」

 

 黒の機動兵器にそう聞かれ、海優はよく分からないという返答をした。確かに覚えていないというか、知らないのだが、それでもこの男と立つと、なんだかすごく懐かしさを感じていた。

 不思議な感覚に再び襲われる海優だが、そこに攻撃が放たれたことで意識を戦闘に向けなおす。鉄の巨人から放たれるレーザーが地を薙ぐ。これ以上の進撃を許せば、アイエフにも危険が及ぶ。海優は一気に敵へと急接近する。

 反対側からは黒の機動兵器も突撃している。突撃する二人にモンスターからの砲撃が飛ぶが、背後からビームの弾幕が張られ、攻撃を防いだ。背後からの突撃支援を受けつつ、近距離まで接近すると、ビームアサルトライフルを振る。ビームブレードはフィールドに阻まれ防がれるが、構わず押し込む。押し込んだビームブレードはフィールドを突破する。

 突破したのを確認すると、そのまま刃を動かしていく。ビーム刃は干渉を受けつつも、フィールドを徐々に切り裂いていく。しばらくフィールドを切り裂いたところで、フィールドが消失する。二人の攻撃により、フィールドを維持できなくなったのだ。

 この時ビームブレードでもANフィールドが解けたのは、出力の違いによるものであったからだ。本気モードを起動させ、出力を向上させることによる、無理やりの突破。それによって相手のフィールドを貫き、破壊したのだ。

 そんなことは知らず、海優はそのまま左手のビームソードを構え、突貫していく。右方向からは黒い機動兵器が刀を持ったまま、腕部のビームソードを再出力し、攻撃を行う。こちらは背中に狙いをつけ敵モンスターを上から回り込んでビームソードを突き立てる。一方黒い機動兵器は肩部に向けてビームのカタールのようなビーム刃を突き立てた。それぞれの攻撃は敵に確実にダメージを与えていた。敵の動きが停止する回数が多くなっている。

 よし、このまま翻弄して、敵の稼働できる部分を叩いていけば!あたしの脳裏に勝ちまでのビジョンが浮かぶ。けれど、油断は禁物だと後悔することになる。

 攻撃を受けて一度停止を見せた敵は急に動きを変える。まるで興奮したかのようにジャンプを連続で行ってきたのだ。ただジャンプするだけであったが、ジャンプをする存在の大きさが問題だ。その巨体による跳躍行動は地面に着地する度に空気の衝撃波を引き起こす。その空圧に、戦闘中の全員が影響を受ける。

 

「ぐぅっ!いきなりジャンプなんかしてっ!!」

 

「ひゃううー!地面が揺れてる~!?」

 

 獣の機動兵器と巨大なキャノン砲を持った機動兵器の少女のものと思われる悲鳴が上がる。地上にいた者にはかなり影響が大きいのは海優の目にも分かった。

 一方、男の方が使っていると思われる機体の方は衝撃波に苦戦しつつも何とかして反撃を撃ち込んでいた。

 

「ちぃ、なかなかやる……!せい!!」

 

「空に居てもこの影響……。くっ、狙いが……!!」

 

 障壁が解除されていたため、射撃攻撃が通るものの、ジャンプにより狙いは大きくずれて着弾してしまっていた。その強靭な装甲に攻撃が弾かれてしまっている。

 海優も何とか狙って行っているにも関わらず、衝撃波の散発のせいでライフルの衝撃を抑えることが困難になり、思うように狙い撃てない。ならば、接近戦に……!と思い、突撃を敢行しようとした瞬間、体に大きな衝撃を感じた。

 

「ぐぅぅっ!?」

 

 右半身に衝撃を感じた時には、既に海優の体は地面へと叩き付けられていた。敵の左腕を振った攻撃に直撃したのだ。反動で意識が飛びかけるのを何とか耐える。遠隔操作でもこれだけのダメージが来ることに驚きを感じるが、それを考えるのは間違いであった。

 海優の向いた先には、こちらを睨み付けてくる敵モンスターの姿があった。それもその巨大な拳を振り上げて。確実に海優を狙って来ていた。

 こっちを狙って来てる。すぐにスラスターを吹かせて、回避を!あたしは機体にスラスターの出力を指示する。が――――

 

「っ!?動かない……?どうしてっ!」

 

 機体が動かないことに焦る海優。スラスターに何度指示を送っても、機体のカメラ映像を映すモニターにはエラーの文字が浮かび上がるのみ。先程の攻撃が原因で、機体の制御系統に問題が起こっていたのだ。

 迫る敵に恐怖を感じる。だが、それでも目は閉じない。こんなところで逃げるような行為をすれば、「あいつ」の……戦闘訓練に付き合ってくれていたあいつに顔向けなんて出来なかった。

 

「…………!助けて、光樹ッ……!!」

 

 無意識にその少年の名を呼んだ。何故知らない名前を叫んだのかも知らずに、攻撃が来るのを無防備なままで見つめ返して。

 

 

 

 

 

 

 

 

「海優っ!!」

 

 海優の危機は、光樹にも見えていた。早く退避しなければいけない状況であるのに、動かないのを見て、何かトラブルがあったのだと、光樹にも分かっていた。

 すぐに急加速してパープルプロテクターと目の前の武装化モンスターの間に機体を割り込ませる。そして、振り下ろされた巨腕をシュバルトゼロの両腕部で受け止める。

 

「ぐぅっ!!」

 

 受け止めると同時に、機体を通して光樹の体に凄まじいまでの力がかかる。ゴッドクロスは押しつぶされるのを防ぐため、全AN粒子を駆動系に回していたが、それでも徐々に押し込まれる。その様子を見ていた海優が心配そうに見つめる。

 

「光樹……ッ!」

 

 いつの間にか、光樹の名を呼ぶようになっていた。もしかすると、記憶を思い出しているのかもしれない。ゲイムギョウ界改変前の記憶を。それを心の中で嬉しく思いつつも、この状況に四苦八苦していた。

 ゴッドクロスの出力でも無理……。なら、ダイしかない!光樹はDAIモード起動を叫ぼうとした。

 

 

 

 その時である。

 

 

 

 

『ダイモード、力は一点のみに非ず……』

 

「!?」

 

 突如、そのように声が響く。一体誰の声か、光樹はそっちの方に気を取られる。その間に、敵は更に押し込みをかける。それによって状況は悪くなる。ゴッドクロスのモーターが悲鳴を上げ始めたのだ。今からDAIモードを発動させても、押し返すことも、そして海優を助けることも難しい。

 だがしかし、その声に続くかのように、更なるビジョンが、光樹の頭の中を巡る。それは、かつての記憶。ゴッドクロス・ダイの戦いの記憶。その中で、同じように力で押し込まれていた。しかし、その中でゴッドクロス・ダイは、光樹は迷っていなかった。そのビジョンから、この状況の突破口を見出す。

 

(今は……未熟な俺が使うなら、これだ!!)

 

「いくぞ、ダイ!!」

 

『オールライト。シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイへ、モードシフト』

 

 ゼロからのコールでゴッドクロス・ダイへと変形する。拡張する機体全体の変形により、地面が少し陥没する。若干のアクシデントではあったが、それでもゴッドクロス・ダイへの変形を完了させる。

 変形したことで次元力も出力に付与され、再び互角の力比べとなる両者。しかし、質量の違いは明らかで、ゴッドクロス・ダイのモーターに負荷がまたかかり始める。それを援護すべく、鈴達が敵の気を引こうと攻撃するも、モンスターは光樹の方に注意を向けたまま。ここで葬るということなのだろう。如何にもマジェコンヌやエクスが出してきたモンスターらしい考え方だ。

 だが、光樹もやられっぱなしではない。先程の記憶が見せたヴィジョンを再現する。

 

「ゼロ、両腕部ディメンションブレイカーにエネルギーを集中!」

 

『了解。ディメンションブレイカーにAN粒子、および次元力チャージ』

 

 ゼロに指示を送ると、ディメンションブレイカーにエネルギーが急速にチャージされる。そうしてエネルギーが目的の量まで貯まったところで、鈴達に通信を送る。

 

「鈴、『DPB』を使う!衝撃に注意しろよ!」

 

『はぁ!?アンタ、それ知ってるの!?』

 

「今思い出した。早く!!」

 

『フン、相変わらず、都合のいい!!』

 

 鈴と勇也も光樹の発言には驚く。とはいえ、それを疑っていては自分達も被害に遭うことを分かっていたため、その指示に従い、距離をとる。

 後ろにいた海優には被害は及ばない。不安要素を取り除いたの確認すると、光樹は言い放つ。

 

「今だ!ゼロ!!」

 

『ディメンション・パーティクル・ブラスト、ファイア』

 

 ゼロの音声が発せられると、腕部から光が放たれる。すると、受け止めていた敵モンスターの腕が、ゴッドクロス・ダイから離れた。見ていた海優からは、弾き飛ばしたようにも見える。

 実際、それは正しかった。このディメンション・パーティクル・ブラスト、通称「DPB」はAN粒子と次元力を用いて、それぞれの粒子を圧縮し、同時開放することで炸裂させ、接触面で爆発を起こす攻撃であった。似たような攻撃として、先の訓練で、鈴が光樹の攻撃を受け止めた際に使ったのは、これの源流、「ノイズド・パーティクル・ブラスト」である。

 特に機体のパワーや質量に影響されることなく反撃できるDPBのおかげで敵の攻勢を文字通りはじき返すことに成功する。弾き飛ばされた武装化モンスターは倒れる。そして、無防備な所に鈴達が攻撃をかける。

 

「今よ、インパクトブレイカー、シュート!!」

 

 鈴のガンダムから腰部に装備していた武装が分離し、敵の装甲の隙間に先端を突き刺す。機械の駆動音の後、武装から衝撃波が放たれる。放たれた衝撃波によって装甲が割れる。

 割れた装甲に向け、勇也のガンダムの武装が投擲される。背部右に装備されていたANエクサランスアームズだ。

 

「こいつで……切り裂いてやるよ!!」

 

 大剣を横に薙ぎ、装甲を切断していく。切断された装甲からスパークが散っていく。だが、それだけで終わらない。続いて勇也のR-ZEROは右肩の接続部にANエクサランスアームズを突き立てると、そのまま上に動かし、接続部を破壊する。破壊した部分は先にエネルギー伝達が行えないようになり、右腕部がだらんと垂れるようになる。

 攻撃を受け、敵モンスターはのたうち回る。だが、右手にほとんど出力の回らないため、攻撃が激しくない。右側の方は安全地帯のように余裕があった。勇也もそちらの方に機体を置いて余裕をもって回避行動を行っている。

 暴れ回るモンスターに対し、更に追い打ちをかけたのは絵里奈だ。地面を叩いたり、ジャンプをして暴れ回る敵にANHXキャノンバスターを放つ。放たれた弾丸は吸い込まれるように敵武装化モンスターの脚部を撃ち抜く。撃ち抜かれた弾痕からスパークが走り、爆発を起こす。

 足を撃ち抜かれたことで、敵は跳躍を停止させられる。何とか動こうとするが、既にそれは遅い。

 

「ゼロ、ノイズフォースビックバンで決める」

 

『了解。ノイズフォースビックバン、「ヴァナルガンド・フルコンボ」』

 

 ゼロの音声と共に右手を高く上げる。右手から放たれた光が空中で停止すると、次元力で生成された穴が開かれる。そこから落下してきたのは、かつて海優達プロテクター装着者と模擬戦を行った際やゲイムギョウ界トーナメントで使用した大型武装「ビルレスト」。

 転送された「ビルレスト」のグリップを右手で握る。グリップに装備されたトリガー3つを全て引き、異なる性質を持つビーム弾を次々と放つ。放たれた弾幕は敵の破損した装甲部や関節部を撃ち抜いていく。

 ある程度時間が経ったところで、武装を放ったままビルレストユニットと共にゴッドクロス・ダイは突っ込んでいく。弾幕が続き、敵の懐まで接近する。接近しきったところで、光樹はビルレストユニットごと空中で跳躍した。丁度、敵の真上まで到達するかのどうかの所で、光樹は機体を一気に降下させる。ビルレストユニットの前面を敵の腹部に向け。

 そのまま敵の腹部正面にビルレストユニットを叩き付けた。甲高い金属音と共に辺りの空気が振動する。一拍置いて、今度は装甲を割る音が響いた。ビルレストユニットのバンカー機能を使ったのだ。杭打ちの一撃で敵の胴体部前面装甲が破壊されたのを確認して、光樹はトドメの一撃を放つ。

 

 

 

 

「これで、トドメだッ!!」

 

 

 

 

 「ビルレスト」の射撃武装を完全開放し、一斉に撃っていく。装甲を失った胴体部への射撃はもちろん、破損した右腕、頭部、左腕下部、腰部接続部……と、完全に敵の息の根を止めるように集中砲火していく。その様子は、まるで一切の容赦をも許さない、死神のような行動であった。

 しばらく続いた一斉射ののち、光樹は退く。光樹が退避すると、モンスターは爆発を起こす。爆発を起こした敵モンスターからは内部の燃料が垂れる。垂れたオイルに更に火が引火し、再び爆発を引き起こす。

 

 

 

 

 モンスターの機能が完全停止したのを見て、全員が息をつく。

 

「やった……の?」

 

「まったく、手こずらせてくれるわ」

 

「ほんとほんとー!」

 

「でもまぁ、これはこれで感謝だな。光樹の記憶も少し戻ったようだし」

 

 終わったのを見て、海優がパープルハート達の方に向かって行く。おそらく、二人の無事の確認だろう。アイエフは早く医療機関に見せる必要もある。光樹は声をかけ、鈴達と共にでパープルハート達の方へと駆け寄っていった。

 その後アイエフは駆け付けた「ネプテューヌのもう一人の親友」と海優が戦闘開始前に呼んでおいた救護班に運ばれ、光樹達も、それに付き添ってプラネテューヌへと戻っていったのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。突如現れたモンスターも、光樹君が撃破しました。

レイ「いやー、だんだんと記憶を取り戻しつつあるのかな?」

ジャンヌ「ですが、今のところは戦闘用の記憶が多く戻ってきているような気がしますね」

まぁ、戦闘中に記憶を戻しつつあるからね。これからは戦闘以外の記憶も戻すつもりですよ。さて、今回はここまで!

レイ「次回は月曜日だよっ!」

ジャンヌ「それでは皆様、また次回にお会いしましょう」


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第106話 海優との再会

どうも、皆様ご機嫌いかがですか?うちの学校にも、もうすぐ後輩が入ってくることに少し緊張している、藤和木弘です。あぁ、マジで迂闊な行動が出来ないよ\(^o^)/

ジャンヌ「くれぐれも変な真似はしないでくださいね……?どうも、皆様。様々な方の入学、入社、おめでとうございます、と、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「それもあるけど、藤和木は就活を十全に進めないとねー!どうも、みんな!私の絵をSDバトスピの作者が描いてくれていたことに驚きな、レイ・オーバだよっ!」

あー、あれか。今日偶然調べたら見つけたけど、可愛かったね、レイさん

ジャンヌ「あぁ、本当に可愛らしかったです、あのイラストは……♡小さくデフォルメされたレイさんなら、この手で優しく触ってあげたい……♡」

レイ「あはは、私もぬいぐるみとして欲しいかもっ!」

さて、今回は第106話の投稿です。またストックに限界が見えて来たよ……

ジャンヌ「そういう裏話はやめておきましょうよ……就活で焦っているのは分かりますけれど」

あぁ、もうマジで就活中は休載しようかなと考え始めたり。今回は海優達とその上司の登場です。

レイ「軍の上司、ってそれって上官、っていうんじゃないの?」

(;゚Д゚)何でレイさんがそれ知ってるの!?一番分からなさそうだったからわざわざ簡単な名称にしたのに!?

レイ「フッフーン。私とジャンヌちゃんが所属する「セイクリッドソーズ」の衣装は軍服が一応モデルだよ?その時に色々と教えてもらったの♡」

ジャンヌ「はぁあぁん、あの時は幸せな時でした……♡……でも、その数日後の、藤和木の言葉が一番の幸せになりましたけれどっ♡」

え、あ、うん(レイが知っていたことと、ジャンヌさんからのカミングアウトに恥ずかしくなる)。じゃ、じゃあそろそろ本編へ!


 

 

「…………にしても、色々とあったけど、思い出してくれたってことで、いいんだよな?」

 

「えぇ。なんでか知らないけど、あんたの機体を見るうちに、ね」

 

 光樹の質問に、先の武装モンスターとの戦闘で共闘した少女、海鳴海優が答えた。現在、勇也も含めた、プラネテューヌ組は海優が所属する国防軍の休憩スペースにいた。

 ここまでの経緯だが、あの戦闘後、勇也達はネプテューヌの仲間であるアイエフの手当てのため、プラネテューヌへと戻ることになった。アイエフ自身は海優が呼んだ救護隊に運ばれ、ネプテューヌの親友であるコンパの職場である「プラネテューヌ国立病院」へと運ばれた。実際にコンパがネプテューヌのかけた電話で来たため、そこへ運ばれることとなったのだ。

 そして、パープルハートを含めた全員もアイエフの容態を心配し、付いて行こうとする。だが、そこでパープルハートを除く光樹達初代SSRメンバーだけ、離れることになる。というのも、武装をしていた勇也らを、救護班と共に駆け付けた海優の応援部隊に拘束されかけたのだ。そのことについては、こちらもある程度は予測はしていた。教会はイストワールがなんとかしているとはいえ、国防軍ともなれば、イストワールから連絡がなければ、武装している自分達は危険人物の一員だ。

 無理に刺激しないために、勇也達は抵抗することなく、国防軍側の指示に従おうとした。が、そこで海優が割って入った。そして割って入った美優は、「彼らは敵ではない」と言ったのだ。まさか、擁護してもらえるとは思っていなかった。こういう状況、仮にも自国領土内で勝手に戦闘行動を行なったのだ。自分達の世界では拘束の対象となってもおかしくない。それにこの場に居た国防軍の人間の中でも、最も若い少女が言ったのだ。もし勝手な行動であれば、彼女自身にもよくない。

 しかし、それを聞いた国防軍のメンバーは互いに顔を見つめ合ったのち、銃を降ろし、戦闘態勢を解除した。指示を了解したのである。

 そんな様子を見て、まるで自分達のようだと勇也は思った。組織をまだ未熟のように思える少年少女達が指示を出して統率する。それが今のGKSWAXPであった。

 警戒が解けたのち、海優は共に来るようにこちらに提案してきた。こちらとしては、重要人物であるネプテューヌと離れて行動する気はなかったし、それにアイエフの容態も心配だった。それに、護衛ということなら、これは願ったりかなったりだった。その為鈴が了承したことで、勇也達はプラネテューヌへと戻ったのだ。

 

 

 

 

 

 ここまでが、プラネテューヌへと戻る経緯だ。そして、時間はあれから2日経過している。この間に勇也達はとりあえず再びアイエフが襲われることを防ぐべく、しばらくの間警護に回っていた。それが今日、イストワールから重要なお話という形で、国防軍の基地までやって来ていたのだ。

 案内があったとはいえ、実際勇也達はここの施設に一度来ている。というのも、2日前に光樹を特訓のために連れて来た場所こそがこの基地の一角だったのである。

 しばらく待機して欲しいという基地の案内係の指示に従い、応接室にて待機したところで、やって来たのが、海優とその上官、「海道寛人(かいどう ひろと)」中佐であった。

 

「お待たせして申し訳ない。私がこのプラネテューヌ特殊部隊基地を預かる、海道寛人です。階級は中佐だ。このたびは、我がプラネテューヌの諜報員救出の件、感謝申し上げます」

 

「いえ、こちらこそ警護や戦闘支援のご協力、ありがとうございます、中佐殿」

 

 互いに敬礼をしてそれぞれの行動に対する支援に謝辞を述べた。鈴の礼に合わせ、勇也達も礼をする。形式的なものが終わったところで、海優がこちらに声をかけてくる。

 

「今回は助かったわ。それで、あなた達は、光樹の仲間ってことでいいのよね?」

 

「えぇ。そうよ。それで、あなたは……それに、あの機体は?」

 

 応答をし、鈴は疑問に思っていたことをぶつける。勇也としても、助けてもらった時に気になっていたところだ。ここは海優自身か、この世界でお世話になっていた光樹からしか話は聞けない。

 その質問に、海優も答える。

 

「名前は知っているわよね。とりあえず、ここでは信仰装甲機、もしくはシェアプロテクターを操作するパイロットをやっているわ。それで、あの機体は、そのシェアプロテクター、プラネテューヌ用シェアプロテクターの「パープルプロテクター」よ」

 

「パープル、シェアプロテクター……」

 

 鈴はその名を口にする。勇也としても気になる所だ。その名前の響き、そして、機体の各部形状。それは勇也達の世界の機動兵器、MP、そしてNPに似たものであった。

 だが、当然MPやNPとは違うだろう。あの機体からはAN粒子の反応がなかったのは戦闘中に分かっていたことだ。とりあえず、どんなエンジンを積んでいるかは分からないが、何か自分達の世界との関わりがあることは頭に入れておくことにした。

 鈴が頷く中、その話を聞いていた海道中佐が一言かける。

 

「まぁ、今回は本当にありがとう。君達の顔を見れたことだ、今日はこれで君らはお開きということにしよう。せっかくだ。私は覚えていないが、光樹君と久しぶりに話し合いたいだろう。それにこれだけ同世代の子らがいるんだ。ゆっくりと話してみてはいかがかな。イストワール様とのこれからのことの相談もある。休憩スペースにでも案内させよう」

 

「中佐……はい。ありがとうございます」

 

 中佐からそう提案される。提案を受けた海優はキョトンとしたものの、すぐに中佐の意向を察し、指示に従う。部下思いの、優しい上官のように見える光景だった。

 一方、こちらもその意見を尊重する。光樹がイストワールに待ち合わせをする。

 

「じゃあ、イストワール様、あとで合流しましょう」

 

「はい。では皆さん、後ほど」

 

 言葉を交わし、ドアの前で改めて敬礼をして部屋から退出する。その後、外で待機していた案内員の人に従って、休憩スペースへと向かった。

 休憩スペースに着き、飲み物を自販機で買い、口に含んだところで、光樹と海優が互いに言葉をかけ合い、現在に時間は戻るのであった。

 

 

 

 

 二人の言葉には、久しぶりに会ったという空気が伝わってきた。その話し方からも、親しげがあり、光樹は記憶を失いつつも、上手くやっていけていたようだ。

 かつては一人の少女を巡り争っていた勇也も、争い相手である光樹が上手くやっていたことには安堵を安心を覚える。だが、それは決して心配という意味ではない。自身と張り合う相手。そんな存在を好敵手、ライバルと言うが、そんな存在が予期せぬことでマヌケな部分を見せているのは何とも恥ずかしいと思っての反応だったのだ。

 しかしながら、仲間意識がないわけではなかった。世界を救うために、光樹の力は必要不可欠。勇也は認めていたのだ。本来の光樹の力を。だからこそ、記憶が戻ったことに関しても今までのように光樹を称賛していたのだ。

 すると、海優と光樹の話に、絵里奈が入っていく。

 

「光樹君のガンダムを見てたら、かぁ。やっぱり光樹君はみんなに影響与えるんだね」

 

「それはあたしも思ったわ。ホント、あんたには頭が上がらないわ」

 

 海優は絵里奈の意見に同調する。世界に驚くくらい深く干渉してしまうのは、記憶を失ってもそうでなくても同じのようだ。

 しばらくの間、五人はこれまでの事について話し合った。

 

 

 

 

「ってことは、やっぱり、あの黄金の塔が?」

 

「あぁ、たぶんそうだと思う」

 

 自分達の自己紹介について話した次に来た話はこのゲイムギョウ界改変の原因についての話であった。改変の影響を受けた人物も、もしかするとこの原因について何か知っているかもしれないと思っての話題であった。

 早速鈴が知っていることがないかどうかを尋ねる。

 

「それで、あなたは確かあの大会に出てたわよね。何か変なものは?」

 

 鈴からの問いに、海優は少し唸った後、答える。

 

「……ごめん。あたしもあの時何が起こったのかは、あなた達が知っているところまで、だわ」

 

「そうか……」

 

 光樹は少しがっかりする。やはり、思うように原因の特定は掴めなかった。そこで光樹が海優に対し、質問をした。

 

「そういえば、他のプロテクターのパイロットからは何か分からない?」

 

 それは、各国にいる、海優と同じプロテクター使いからの情報を聞いたかどうかというものであった。どうやら光樹は既に頼んでいたようだ。各国に散らばった装着者達。彼らに話を聞くというのは、間違ってはいない判断だろう。

 が、そこで上手くいくなんてことはなかった。海優は悩んだ様子を見せてから言った。

 

「それなんだけど、やっぱりみんな、あの時のことは覚えてないわ。光樹のことも思い出せてないようだし」

 

「そうか……」

 

 光樹も気まずそうにジュースの缶を見つめる。やはり海優が思い出せたのは、ひとえに光樹という存在があったからこそなのだろう。

 残念ながら、今自分達はプラネテューヌの異変を解決するのが目的。流石に各国を巡って全員の記憶を呼び覚ますというのは無茶があった。その考えはまた次の機会の保留するしかない。

 

「流石に、今はここから離れるのは難しい。ラステイションの女神の件もある」

 

「そうだな。あそこの軍が黒幕に乗っ取られている可能性もあるかも……」

 

 勇也の意見に光樹が合わす。光樹も無理な行動はやめた方がいいと分かったのだろう。少し臆病な分、意見がまとまりやすいのは幸いだった。

 そう言っていたところで、休憩スペースに話をしていたはずのイストワールと海道中佐が現れる。お話は終わったようだ。

 

「やぁ、お話は済んだかな?」

 

「中佐!お疲れさまです。お時間頂き、ありがとうございますっ!」

 

 戻ってきた中佐に、海優がかしこまって敬礼をする。その姿は正に真面目そのもので、自分達よりもしっかりした様子に見れる。そんな中、同じく話を終えたイストワールに鈴が声をかける。

 

「イストワール様。ここで少しお時間よろしいかしら?」

 

「えぇ、構いませんが……」

 

 鈴はイストワールに断りを入れたのち、全員に問いかける。

 

「今回の事件、一番変に思ったのがあるんですが……」

 

「変に思ったこと?それってマジェコンヌとエクスが誰かと手を組んでいるってことか?」

 

 鈴の言葉に光樹が予想を立てて発言する。その事は光樹が行っていたという別の次元の話のため、くわしくは知らないが、おそらく未だにその別の次元「零次元」で倒したはずの二人が生きているということに関してだろう。

 だが、それは鈴の考えていることとは違った。光樹の答えを否定しつつ、鈴はその疑念を口にした。

 

「それも気になるけれど、それは光樹とネプテューヌ以外からしては今は変ってわけじゃないわ。あたしがもっと変だって思うのは、今回の騒動の最後に起こった、大型モンスターのことよ」

 

 全員が鈴の言葉にどよめく。この戦いで遭遇した、というよりも、敵が繰り出したモンスターが今までの変化とは違った特徴を出していたというのは少なからず注目しなければならない点だ。そして、それは当然、中佐とイストワールも危惧していることであった。二人が鈴の発言に答える。

 

「それはこちらも今現在調査中だ。先程の相談も、実はそれについて話していたのだよ」

 

「私もこの事例は初めてです。まさか、モンスターが融合するだなんて……。それも武装を新たに装備、加えて、それを行なったのは、他でもない、光樹さんが変身にも使う、あの赤い光、AN粒子だということも」

 

 その説明に勇也達は相槌を打つ。モンスターの武装装着はゲイムギョウ界にも前例はないようだ。……と思っていたのだが、そこで鈴が衝撃の事実を述べる。

 

「実は、今回の件がモンスターの初の武装化事例じゃないんです」

 

「何……!?」

 

「今までにも前例があるのですか!」

 

 既に似た前例がある。鈴のその発言はイストワール達に衝撃を与えた。それどころか、鈴以外の、この場にいたすべての人間を驚かせることとなる。

 鈴は何を言っているんだ?こんな現象が前にも起きていたってなら、一体どこで……俺の頭の中を疑問が次々と駆け巡る。

 驚きを見せる全員に、鈴が本当の初の武装化事例について述べる。

 

「実は以前、ネプテューヌがイストワールの故障を直すために、初代女神の聖地を訪れたことがあるんです」

 

「ネプテューヌ、といえば、確か今、イストワール様が預かっていらっしゃる方の一人ですね」

 

「私の故障を直した時……とすると、大体半年前に当たる時期でしょうか?」

 

 イストワールの故障、勇也もそのことは光樹捜索に出ていた時期の出来事として鈴が報告していたこととして覚えていた。報告によれば、光樹のことをネプテューヌが知っている可能性があるということで追跡していた時のことだ。

 絵里奈もその事を思い出したように手を打つ。しかし、それがどう関係するのか。それをこれから聞く。

 

「そうです。そしてその時に現れたモンスターも、融合はしませんでしたが、生身の体に砲や実体剣、装甲を装備してネプテューヌとあたしと戦ってきました」

 

「融合はなし……して、そのモンスターの種類は?」

 

「確か、エンシェントドラゴンタイプ、だったと思います」

 

「ふむ。エンシェントか……」

 

 鈴からの情報に、中佐は内容をしっかり理解するように頷く。イストワールも急な情報に驚きつつも情報を整理する。

 

「なるほど。ということは、その敵は倒すことが出来たんですね?」

 

「はい。その時もノイズの柱を見てて、あたし自身もおかしいとは思っていましたがこちらも光樹のことで手一杯だったので……」

 

 こちらも光樹の捜索に集中していたのは分かる。だが、これはこちら側のミスだと反省させられる。もしこの世界に自分達が来ていなければ、今頃ゲイムギョウ界はどうなっていたことか。

 鈴からの突然のカミングアウトに、集まったメンバーの中で状況が混乱してしまう。が、そこで光樹がまとめ上げをする。

 

「とにかくだ。これからは猛争化に加えて、モンスターの武装装備……「武装化」モンスターも相手にしなくちゃいけないってことだ」

 

「……そうですね。みなさんも、くれぐれもご注意を」

 

 イストワールからの注意が語られたところで、勇也達は海優達と別れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、話し合いも終わりましたし、これからどうしますか」

 

 話し合いが終わったことで大きく伸びをする光樹。中佐の雰囲気は明るかったとはいえ、軍人だったので光樹も知らず知らずのうちに緊張してしまったようだ。肩をほぐす傍ら、その様子を溜息をついてみていた鈴が注意する。

 

「そういう所、あんまり変わらないわよね。仮にもうちの組織のリーダーなんだから、しっかりしてよね?」

 

「うっ……まだそこら辺のことについては思い出せていないんだよ……」

 

 鈴からの心への殺傷力のある言葉に光樹は気まずそうにしながらも答える。その話を聞いていると、記憶を失う前の光樹も緊迫する場面で肩に力が入ってしまうのは同じのようだ。

 が、先程の光樹の言葉を絵里奈も口にする。

 

「でもそうだよねー。これからどうする?クエストか光樹君の特訓でもやる?」

 

「あぁ、そういえば」

 

 絵里奈の言葉に、何かを思い出したかのようにイストワールが声を出す。その言葉に全員が反応し、話に耳を傾ける。

 

「モンスターとの戦闘で入院されていたアイエフさんですが、今日無事退院されたそうですよ」

 

「アイエフが!?」

 

「本当にっ!?」

 

「はい。今はネプテューヌさんとコンパさんが迎えに行っているはずです」

 

 アイエフが無事退院したという知らせに、光樹と絵里奈が真っ先に反応する。2日の戦闘終了後に見た限りでは、かなりの重傷であるように思えたが、それでもこの短時間で回復できたことの喜びに声を上げて喜んだのだ。

 アイエフの怪我が癒えたのなら、早速会いに行くべきだろう。状況が混乱していて気にしていなかったが、あの時アイエフは改変前の記憶を取り戻していたようだ。回復したアイエフを見るためにも、ネプテューヌだけではなく、光樹のことも思い出しているかどうかを確かめるべきだ。

 

「あら、なら快気祝いに挨拶しに行った方がいいんじゃない?」

 

 話を聞いていた鈴が言った。勇也もそれを見て首を縦に二度振る。全員が鈴の意見に賛成する。それを見ていたイストワールも了解する。

 

「では、皆さんアイエフさんへの快気後の挨拶、お願いしますね」

 

「あぁ、任せておいてくれ」

 

 イストワールからの言葉を受けて、光樹達はイストワールと別れる。そしてアイエフと行動していると言っていたネプテューヌに連絡を取るのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、お気づきの方が何人かいるんじゃないかな?

ジャンヌ「お気づき?」

レイ「何のこと?」

あぁ、簡単に言いますと、時間経過を今回少し変更しております。原作だと2日も経過していない感じです。ただ、今回プラネテューヌの国防軍が関わるということで、光樹君達を少なからず警戒したことと、海優が事情を説明する時間等を設けたという設定から、こうして時系列を変えさせていただきました。

レイ「ってことは、これから先も出来事が少し変わるの?」

まぁ、話した事柄が少し変わるといった程度……にはならないんだよなぁ、これが。

ジャンヌ「何か話しにくいことが?」

いや、次回以降に将軍たちのシーンを入れるんですが、ニュースが少し遅れての登場だったり、ステマックスが将軍に頼まれたモノの発売日が二日後だったり、原作知らないなら気にならない程度の誤差が生じます。

レイ「あっちゃー、それ具体的にどうするの?」

一応、プラネテューヌ国防軍があの巨大モンスター、タイラントガーダーの影響で何かが起こった時の措置ということで、情報統制等がかかって、それがゲームや同人誌の出荷状況に影響した設定になっています。

ジャンヌ「プラネテューヌ軍からしてみれば、初めて起こったことが何か更なる事件を起こさないかという警戒をするというのは当然ですね」

一応、それもあって海道中佐と会うのが遅れた理由にもなっています。さて、今回はここまでということで

ジャンヌ「次回は、日曜日の投稿になります」

レイ「藤和木の新しいバトスピのデッキが火を噴くよっ!」

一応日曜日は基本バトルスピリッツの大会に行きますからね。でも、今回は出発前に更新する予定ではあります。それでは、また次回!


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第107話 少女の快気祝い、状況の整理

どうも、皆様お元気でしょうか。バトスピ新デッキ発売に心躍る、藤和木弘です。

ジャンヌ「でも、赤のデッキの切り札が藤和木はモチーフ元の方がいいって言ってますけれど、そんなことは思ってはいけませんよ。どうも、皆様。新環境ではジャッジメント・ドラゴニスの煌臨スピリットが出ないかしらと思っています、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「それどころか、リボル・ティーガなのに緑のジークフリードを入れようとしてたもんね。どうも、みんな!次環境では星竜の煌臨スピリットが出ないかなと期待している、レイ・オーバだよっ!」

あー、ジークヴルム・ノヴァの煌臨スピリット早く来てほしいよ

ジャンヌ「藤和木最初のキースピリットですもんね。早く来てほしい気持ちは分かりますよ」

レイ「カードゲームで最初に作ったデッキのキーカードって思い入れあるよねー」

今日はその運用のためにバトスピの日にも行きますので、今日は早めの投稿です。今日は第107話の投稿です。

ジャンヌ「快気祝い、ということは、アイエフさんと合流したみたいですね」

レイ「日常回だね」

さて、それでは本編へ


 

 

 プラネテューヌの街、それはいつも通りの賑やかなものであった。女神と言う存在が消失した中でも、街の人々は誰もそのことに気づいていない。改変前から続く平和な日常であった。

 そんな街の中を無事回復した少女を中心として、七人の集団が歩道をしゃべりながら歩いていた。ネプテューヌとその友人のコンパ、怪我から回復した少女であるアイエフに、光樹・鈴・勇也・絵里奈の四人だ。

 あの後光樹達はネプテューヌに連絡を取り、合流していた。合流したところで、アイエフに怪我の具合を聞いたり、アイエフが重傷を負って気を失った後のことを話したりして、歩いてきたのだ。

 

「なるほどね。入院中に色々と話は聞いていたけれど、武装化モンスターね。しかも、光樹達のガンダムと関係がありそうっていうのは気になるわね」

 

 光樹の話にアイエフがそう返した。これまでのアイエフも、猛争化については知っていたものの、先程からの話によれば、武装化についてはやはり知らないようだ。諜報員であるアイエフが知らないのも当然な話ではある。何せ、それとあの時以前に戦ったことがあるのは鈴とネプテューヌの二人だけなのだから。

 一方、見た本人の一人であるネプテューヌにもう一人の目撃者である鈴が少し肩を落とした様子を見せる。

 

「でも、まさかネプテューヌがこのことを教会の情報として共有していなかったのには驚いたわ。普通なら今までにないことは報告するでしょうに……」

 

 ネプテューヌが情報の共有化をしていなかったことに対する呆れであった。鈴としては報告を行っていなかったことが信じられなかったのだろう。確かに、社会の掟の一つとして、「ホウ・レン・ソウ」はとても大事だ。特にネプテューヌは見た目は少女でも女神という国の「元」代表。国の中で一番の上司が部下に言うべきであろう「ホウ・レン・ソウ」を行わないというのはあってはならないことだ。

 鈴の呆れた様子を見てネプテューヌは申し訳ないという表情で謝罪する。

 

「いやー、ごめんごめん。あの時はいーすんを直して、ネプギアと光樹を早く助けに行かないとー!って焦ってたからさー。反省もしている後悔もしてるよ」

 

「はぁ……こんなので、本当にプラネテューヌの改変をどうにか出来るのか、心配になるわ」

 

 不安になる鈴の気持ちも分かる。だが、そんな事を考えてばかりで上手くいくことはないだろうと、光樹はネプテューヌへの助け舟という形で鈴に反論する。

 

「まぁまぁ、鈴の心配も分かるけど、あの時は心配になりそうな状況でネプテューヌは超次元に戻されたんだ。そこは仕方がないんじゃないか?」

 

「っ……!……まぁ、そうね。あたしも捜索の会議で報告書に纏めるの忘れていたくらいだし」

 

「おいおい……」

 

 鈴のうっかりに思わず気まずそうなツッコミを入れてしまう。色々と言っていた鈴も、同じように報告を忘れていたのだ。

 

「確かにそうだな。鈴はモンスターとの戦闘は言っていたが、武装化モンスターのことは言ってなかったな」

 

「そうだねー。鈴ちゃんてば、うっかり屋さん~!」

 

 光樹に加勢するように勇也と絵里奈もその失態に付け込む。三人からの指摘に鈴がイラつきを見せ、怒りを爆発させる。

 

「もうッ!!あたしが悪かったわよ!!でも報告書作る段階では、最重要目的が光樹の救出だったから、関係ないと思ったのよ!!」

 

「分かったって……。でもこれ以上ネプテューヌを攻めることはないだろ?」

 

「えぇ、そうね……」

 

 光樹からの意見に鈴も渋々納得する。鈴の追及が止まったところで、ネプテューヌが話の主軸を変えた。

 

「あの武装化モンスター、これからも出てきそうだよね。いやぁ、それにしても、あいちゃんがわたしとか光樹のことを覚えていなかった時は、本気でどうしようかと思ったよ」

 

 アイエフの記憶についての話だ。ネプテューヌとしても、あの時に記憶が戻ったことが余程気になった様子だ。その発言から、あそこで記憶が戻っていなかったら、これからどうなるか心配していたようだ。いつまでも記憶がない元親友と話すというのが気まずかったのだろう。

 思い返すと、前にネプテューヌと共にプラネテューヌの街で情報を探っていた時も、ネプテューヌは住民の人達が自分のことを覚えていなかった時もかなり落ち込んでいた。笑顔が取り柄の彼女もまた心ノン下では不安なのだ。

 だが、それでも自身の行動で思い出してくれたことはネプテューヌにとっては嬉しいことのはずだ。だからこそ、今もこうしてそのことに触れ、心配していたことを言っているのだろう。

 対してアイエフはネプテューヌの言葉に困っている様子を見せて返答する。

 

「だから、それは何度も謝ってるでしょ。私だって、何でそうなったのかわからないんだから」

 

 アイエフの言う通り、実はこの話、何度も交わされた会話なのである。それも、入院中のアイエフから聞いた話では入院していた2日間毎日、この話が3回以上はあったと言っていたのだ。流石にそれは多すぎな会話の回数である。同じ話でそう何度も話すのは余程ネプテューヌはアイエフが思い出したのがうれしい証拠であったのだろう。

 二人のやり取りに対し、普段のんびりな様子であるコンパが、意外にもその話の核心を突く疑問を発した。

 

「そうですね。どうして、世界中のみんなが、ねぷねぷたち女神さんのことを忘れてしまったのでしょうか」

 

 アイエフ達も含めた、この世界の住人の記憶の改変。女神関係を改変したことに関しては、かなり疑問が残る。女神達を排除するという意図は取れるものの、それがなぜ、女神の駆逐ではなく、女神に関する記憶がなくなったのか。また、イストワールがネプテューヌや光樹のことを覚えていたことにも疑問が未だにあった。果たして、イストワールの記憶の保持が、本当に女神によって造られたからだとでもいうのだろうか。

 そんなことに光樹が疑問を持っている間に、鈴がその疑問について、今の所の原因を口にする。

 

「そうね……未だにこれっていった理由はまだ分からないわ。でも、間違いなく、関わりがあるのは、あのゴールドサァドとゴールドソフツ達にネプテューヌや馬鹿光樹が負けたことね」

 

「久々にそう呼んだよな、その名前で……」

 

 鈴からの不満のこもった呼び名に光樹は溜息をつく。この世界で最初に会った(というよりかは再会)した時から、たまに光樹自身を馬鹿にするようなことで話しかける際、鈴はいつも「馬鹿」とつけて呼んできていた。黄金の塔へ向かう途中の道でもそう言っていたので、既に慣れ始めていたが、それでも相変わらずの呼称に光樹も嫌な気持ちが出ようとしていた。

 自分が思い出す限りでは、「あの件」があってから、嫌われていたのは光樹も思い出していたが、一体何がここまで彼女を未だに怒らせているのか。だが、それを考えるよりも先に今はコンパの疑問について考えるのが先だと考えを戻す。

 先程の鈴が指摘した通り、おそらくあのゲイムギョウ界トーナメント決勝での戦闘が原因だ。あの時突如割り込んできた少女達「ゴールドサァド」とそれに付き添う機動兵器群「ゴールドソフツ」。彼らとの戦闘後にクロテューヌが起こしたと思われる光の中に包まれて、起きた時には世界が改変されていた。

 となると、光の中に包まれている間に世界が改変されたということだろう。だが、誰が?以前に予想した時には、襲撃して来たゴールドサァドか、大人ネプテューヌだと予想していた。だが、今現在、光樹が考えている人物が二人、いや、二組いた。

 

「うっさいわね。それで、最初はゴールドサァドか、最悪、助けてくれたもう一人のネプテューヌがかなって、思ったんだけど、この前の戦闘で、もう一つ可能性が出て来たわ」

 

 鬱陶しそうに光樹の言葉に返しつつも、光樹が考えていたことと、同じことに触れる鈴。そう、先日のアイエフ救出戦で、その人物達は現れた。

 鈴の言葉の投げかけに、ネプテューヌが答えた。

 

「あ、ひょっとしてそれってマジェコンヌ?」

 

「えぇ、そうよ。マジェコンヌとエクスってやつ。あいつらがこの改変を起こしたって可能性が出て来たのよ」

 

 光樹の予想通りの回答だった。今までに光樹達が改変後の世界であった人物達。その中でも最も怪しいかつ、女神達に因縁のある存在。それこそが、マジェコンヌとエクスの二人であった。ゲイムギョウ界の改変を起こすとしたら、そいつらくらいしかいない。あの二人が原因である可能性は高いだろう。

 しかし、少し気になる点がそれでもあった。それは、マジェコンヌ達を追いつめた際に現れた、2機の機動兵器だ。忍者とローゼン・ズールの2機は、確かにあの時、マジェコンヌ達を助けに来た。その時は、てっきり彼らの部下だと思っていた。が、あの場での会話では、マジェコンヌの言うことを聞かなかった。それどころか、自分の助ける存在はマジェコンヌではないと言っていたように見えた。

 そうなると、マジェコンヌ達がこの改変を起こしたという考えは少しおかしいと思えるのだ。他にこの改変を起こしたものがいるような……。

 だが、それは鈴も少し考えていたようだ。絵里奈の納得に続いて鈴が話す。

 

「じゃあ、マジェコンヌとエクスが今回の主犯なの?」

 

「って、ことなら、本当に簡単なんだけどね……。でも、これはそんなに簡単な話じゃないと思うわ」

 

「えー?どういうこと?」

 

 鈴からの自分自身の考えの否定に、絵里奈が鈴に理由を聞く。すると、勇也がその疑問に回答した。

 

「要するに、今回の件は他に黒幕がいるってことだろう?例えば、あの忍者達の上司とかな」

 

「あー、あの忍者さん達の上官さんかぁ。そう言えば、言ってたもんね~。将軍さんがどうとかー!」

 

 勇也の説明で絵里奈が理解を示した。やはり絵里奈はどこか抜けているように見える。が、戦闘の時は全くそんなことは感じられないのだが。実際、2日前に行った演習でも、絵里奈の実力は見ていた。それでもあれが絵里奈の本気ではないことをアイエフの入院中の警護の間に勇也から聞いた時は、かなり驚いた。

 だが、勇也のその話には、光樹も納得する。マジェコンヌだけがこの改変に関わっているようには、思えない。絵里奈も言っていたように、その「将軍」なる人物が関わっているのは否定できないだろう。

 将軍が一体何を以てして、こnゲイムギョウ界を改変したのか。それを調査することも、今は優先事項として挙げておく必要がある。マジェコンヌとエクスと組んでいる辺り、ゲイムギョウ界の滅亡という目的もあるが。

 将軍についての話題にはアイエフも反応する。

 

「やっぱり、あのオバサン……マジェコンヌとエクスってやつだけじゃないみたいね。今回の事件。将軍についても、私から情報部の上の人に話は通しておくわ」

 

「えぇ。頼むわ」

 

 鈴がアイエフに調査を依頼する。このゲイムギョウ界をおかしくしたのは誰なのか。そして何のために?深まる疑問を光樹が浮かべる中、アイエフのこのように話が通じる状況に喜びの声を発した。

 

「分かったわ。けど、こうしてネプ子や光樹が戻ってきて、更に心強い救援も来てくれたんだし、不思議と何とかなりそうな気がするわ」

 

「そうですね。何故か、ねぷねぷなら、なんとかしてくれそうな気がするです。もちろん、光樹さん達にもです」

 

 二人からの心強いという発言に、ネプテューヌや光樹達は笑みを浮かべる。頼りにされているということに安心感を得ていたのだ。

 そう。これからはアイエフやコンパ、イストワールに海優もいる。だが、先立って状況を解決するのは光樹達だ。この現状を解決するために、いち早く行動しなければならない。高揚する気分の中、光樹が声を上げる。

 

「よし、じゃあマジェコンヌ達の情報を集めるためにも、まずは聞き込みと行こう!」

 

「えぇ。行きましょう!」

 

 アイエフからの返事とそれ以外の頷きが起こった後、光樹達は街の中を進んでいくのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。相変わらず、光樹君への鈴さんからの呼び名が続いております。

レイ「鈴ちゃん、相変わらず光樹君にきびしー」

ジャンヌ「光樹さんも大変ですね」

光樹君達はアイエフの快気後、早速異変の解決のために街を回ります。ただ、次回は敵側の視点になります。

ジャンヌ「敵側……ということは、将軍達ですね」

そうそう。早速時間経過変更の影響が出てきます。

レイ「敵もどんな動きをしているのか、気になるねー」

さて、今回は短いですがここまでです。いやー、ちょっとパソコンのアップデートが控えているので……

ジャンヌ「そのため、もし間違いを訂正する場合は時間が経過してからになります」

レイ「それから、次回投稿は土曜日だよっ!」

それでは皆様、また次回!


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第108話 将軍と忍者の微笑み、大佐と騎士の日常

どうも、皆様、お元気でしょうか?最近寝落ちの多い藤和木弘です。なんかベットに入ると、自然と寝てしまう……

ジャンヌ「電気付けた状態でよく寝られますよね……。どうも、皆様。そんな藤和木に布団をかけてあげている、ジャンヌ・ドラニエスですっ」

レイ「でも、そのせいで小説の進み具合遅いもんね。どうも、みんな!私のスリーブが届くのがまだかなと焦ってる、レイ・オーバだよっ!」

そうなんだよな(;´・ω・)レイさんスリーブがまだ届かないっていう。公式に連絡でもするかな?

ジャンヌ「他の人に聞いてみたところ、それは少し遅いんじゃないかと言われたんでしたっけ」

そうそう。で、今回は第108話の投稿です。敵側の視点になりますよ

レイ「アフィモウジャス将軍達かぁ。何が起こるのかな?」

それでは本編へ



 

 

 ゲイムギョウ界の地から、少し離れたとある場所。そこで、光樹達の話にも上がっていた存在、将軍ことアフィモウジャス将軍が「ラステイションの赤い彗星」であるシナンジュ王と共に自室にいた。相変わらずの金色ばかりの装飾が多く。異様さを感じさせていたが、むしろそれが特徴となり、誰も文句は言わなかった。

 シナンジュ王の護衛の元、将軍はパソコンを見て情報を集めていた。今見ていたのは、新作ゲームに関する情報であった。一通り目を通して、アフィモウジャス将軍は確信を込めた予想を口にする。

 

「…………うむ。この新作ゲームの記事は注目を集めそうだ。さっそく、ブログにまとめなければ」

 

 そう言ってパソコンに表示させたブログ編集ページを開き、編集を始める。ブログのページに書かれたブログ名は「@将軍のまとめサイト」。アフィモウジャス将軍が運営する、ゲイムギョウ界の情報まとめサイトだ。

 重厚な甲冑姿に似合わない速度でブログに情報をまとめつつ、別のページにアクセスしていく。そんな様子を見ていたシナンジュ王が将軍に声をかける。

 

「どうかな、将軍。今日の情報収集の状況は」

 

「あぁ。今日は素晴らしい情報がいくつかあるのう。お、なんと来期の新作アニメのキャスティングが発表のようじゃ!!まったく、今日はいつにも増して、忙しいわい」

 

「ふふっ。それは良かったじゃないか」

 

 将軍のにやけ声に王が理解を示す。この活動は、ゲイムギョウ界改変以前より行っていたアフィモウジャス将軍の仕事風景だ。王もまた、この仕事時間中の将軍の護衛が続いている。だが時たま、こうして話し合ったり、場合によっては周辺領域のパトロール、それに加え、アフィモウジャス将軍にとって障害となる存在を排除したりと、意外にも忙しい護衛であった。

 やれやれ、君は凄いやつだよ。私自身も、元軍人ということから、報告書の制作といった書類制作は行ってきた。が、インターネットのブログ活動といったものに関しては全く知識がなかった。当然、その二つは別物だ。しかし、将軍の活動を見て、それが軍の諜報活動に似たものを感じると、将軍の能力の高さが分かる。情報は力だ。それをまとめ、人々を自在に動かす将軍は正に電子戦の将軍だ。

 そのように微笑ましく思っているところで、部屋に気配を感じる。一切の音を立てずに入ってきた存在にシナンジュ王は目を向ける。だが、それは敵ではない。音を立てずに入ってきた存在――――忍者ステマックスが、将軍に報告する。

 

「アフィモウジャス将軍、忍者ステマックス。只今密命から戻ったで御座る」

 

「うむご苦労。して、成果は?」

 

「はっ」

 

 将軍が聞くとステマックスが背部に背負っていたボックス状のユニットから、本を取り出す。その本の表紙には、金色の髪の女性のイラストが描かれた本が一冊。

 そして、将軍に対し、その本の詳細を告げる。

 

「こちらが、本日から委託販売が開始された同人誌「黄金色の冬休み」の新刊で御座る」

 

「確かに、褒めてつかわそう」

 

「ありがたきお言葉!」

 

 将軍の言葉に、王は一層そのカメラユニットに光を灯す。緊張感を高めていたのだ。そうしなければ自分はいけなかったから。

 そして、受け取った将軍が呟く。

 

「と、形式張ったものはここまでにして。――――いやぁ、今回もすまないのうステマックス!ネットの通販予約を失敗した時はどうなるかと思ったが、お主なら買ってくれると信じておったわい」

 

 それは、先程までの、厳格ある将軍とは違った話し方であった。それも当然。ステマックスが渡した本。それに理由があった。

将軍は非常にゲイムギョウ界のカルチャーであるアニメやゲーム、漫画に関心があった。そして、先程ステマックスが渡した本、それは同人誌。同人誌とは、簡単に言えばブックショップなどに代表される一般販売されて漫画や小説とは違い、作者の個性が強く出た、いわゆるファンブックのようなものだ。

 そして、アフィモウジャス将軍がステマックスに頼んだ代物は、同人誌の中でも、アダルトな作品の部類に入る。機動兵器とはいえ、シナンジュ王もまた、ゲイムギョウ界の住人である。いかがわしいものに関しては、あまり耐性がなかった。R-18という部類でも、人の流した血を幾度も見たことのある歴戦の傭兵でも、そういった物はあまり好んで見たくはなかったのだ。

 が、そこはいくつもの戦いを行なってきたラステイション軍元大佐。目を背けることなく、その様子を見ていた。逆に将軍が喜んでいるところを喜ばしく思うようになっていた。将軍の息抜きとして考えるようになったのだ。

 アフィモウジャス将軍の先程までとは違った声音に対し、ステマックスもまた、同じように砕けた話し方で答える。

 

「けど、今回はほんとぎりぎりだったんで御座るよ?なんと、残り三冊」

 

 今回の案件は、予約し損ねたその同人誌の確保。パソコンから離れることを避けたい将軍にとって、予約の失敗は致命的であった。しかし、そこでステマックスに同人誌の確保を依頼したのだ。

 そのことに関しては、シナンジュ王は反対しなかった。将軍はとても忙しい。加えて今のゲイムギョウ界の改変に深く関わっている。そんな中で外に出ることは、もっとも避けたいことではある。だからこそ、今動ける将軍が最も信頼する人物であるステマックスに命令したことは間違いではない。むしろ今の状況の中では最善手であろう。

 一方、ステマックスからの話に、アフィモウジャス将軍は頼んでよかったと伝える。

 

「うむ、あの時迷わず、直ぐにお主に頼んで正解だったな。どれ、ではさっそく中を拝見……」

 

「あ、将軍だけズルいで御座る!拙者にも見せて欲しいで御座る」

 

「ふふふっ。慌てるでない」

 

 二人の様子は如何にも少年誌を確認しようとする子供の反応であった。それだけ、二人にとってその本は待ち遠しい物だったのだろう。将軍が開いたページをステマックスが横に回り、本の端を持ってその中身をじっくり拝見する。そして――――

 

「おおーっ!」

 

 興奮の声が、同時に響いた。どうやら二人にとって、その本は至福のものだったようだ。次々とめくっていく途中で、ステマックスが感動の声を漏らす。

 

「なんと素晴らしいイラストの数々!朝から並んだかいがあったで御座る」

 

 ステマックスの言う通り、彼は今朝早くから、その依頼をこなしていた。早く行かなければ売り切れる可能性があるゆえにだ。その時間は、比較的早くから起きるシナンジュ王も少し驚いたほどだ。

 内容に対する感動のあまり、ステマックスが将軍に同意を促す。

 

「やはり、女の子は金髪巨乳に限るで御座るな、将軍!」

 

「あぁ、全くだ。これこそ、まさに真理とも言えよう。やはり、豊かな胸は金髪少女に似合う」

 

 好みの女性に関する談義が行われる。そんな様子を見て、シナンジュ王は笑みを浮かべる。

 

「……フフッ」

 

「ん?なんじゃ、王よ。もしやお主も見たくなったか?」

 

 そんな声を聞いて、将軍がこちらに話を振る。先程の笑いが、彼らにとっては興味を示したと思ったのだろう。

概ね、シナンジュ王の考えは当たっていた。普段あまり本当の意味で笑うことが少ないシナンジュ王の笑い声を聞き、ひょっとして、と思ったのである。とはいえ、これが初めてというわけではないが。

 思わず声を出してしまっただけなのだが……。やれやれと思いつつも、王はその反応に言葉を返す。

 

「いや、相変わらず、趣味の方になると、君らは実に楽しそうにするのでね。思わず反応して微笑ましく思ってしまっただけさ。あまり私は、そちらの方に興味はないのでね」

 

「うむ。そうか……」

 

「別に、私は君らの趣味を否定しているわけではないさ。むしろ、このように忙しい中でも、趣味を楽しむ心があることは実にいいことだ」

 

「王殿……」

 

 シナンジュ王の気遣いを二人は受け取る。趣味を楽しむことに共感したことが先程の笑い声に納得した様だ。言った本人も、息抜きに関してはこういった暗躍では必要であることを知っていたため、そう言ったのだ。

 と、そこで何かを思い出したかのようにステマックスがサラッと重要なことを報告する。

 

「あ、そう言えば将軍、王殿。以前に報告した、マジェコンヌ殿とエクス殿が戦った、プラネテューヌの元女神ネプテューヌと黒いガンダムの少年の仲間が、今日病院から退院した様で御座るよ」

 

「なんと!」

 

「ほう。それはそれは……」

 

 プラネテューヌに差し向けていた、「あの者たち」からの援軍であるマジェコンヌとエクスが敗れた相手であるプラネテューヌの元女神と、黒の少年という、次元の調停者とその仲間の存在は知っていた。現に、プラネテューヌ以外の四国家にも、既にその仲間がこちらの計画を邪魔し始めていたのだから。

 特に、黒の少年である「和藤光樹」という存在は、シナンジュ王も注目していた。モンスターの猛争武装化状態の機体を倒したほどの実力者。その存在に、シナンジュ王は魂の高鳴りを感じていた。かつて、ジニアスの作った「アフサラスⅢ」、そしてパープルプロテクターを破った存在に。

 

(待っていたまえ、和藤光樹君。君がどれだけ、この私を楽しませてくれるか、どうか……)

 

 シナンジュ王が心の中で思っている間に、それを聞いていたアフィモウジャス将軍が驚きを見せる。

 

「ほう、もう回復したのか。にしても、あの時聞いた時は驚いたものじゃ。行方不明と聞いていたはずが、まさか、こちらの妨害を行ってくるとはのう。……して、どうだった?ネプテューヌの方は。まさか、女神化している状態で会ったのではなかろうな」

 

 プラネテューヌの元女神に関して追及すると、ステマックスが答える。

 

「流石に、戦闘中ではなかったので、女神化はしていなかったで御座る。しかし、二日前のあの姿と比べると、やはりますます金髪でないことが残念かつ、あれと同一人物であることが信じられなかったで御座る」

 

「くそぅ!実際に会っていたことが、今でもますます羨ましすぎる!しかし、直接話していなかったのは、もったいなかったのう」

 

「だ、だって、あまりにも緊張しすぎて……」

 

「まったく、相変わらずお主はヘタレよのぅ。女性との会話くらいなんともないだろうに。一緒におったローゼンは大丈夫であったのだから」

 

 ネプテューヌや光樹と出会った時のステマックスの心境に、アフィモウジャス将軍がやれやれとがっかりする。その反応が示す通り、ステマックスには致命的な欠点がある。簡単に言えば、女性恐怖症だ。彼は女性と目が合うと、極度に緊張してしまう。そのため、正確には極度の女性に対するあがり症だろう。

 いつも完璧な仕事を行なってきていたステマックスだが、ただ唯一の弱点には、アフィモウジャス将軍も心配だったのだ。とはいえ、マジェコンヌに対しては、そういった弱点は感じられないようだが。

 女性との話を出来ないことを落ち込むステマックスに対し、シナンジュ王はアドバイスを送る。

 

「ステマックス君。そう気に病むことはない。誰だって弱点はある。ただそれをを認めて、次こそはと思えばいい。それが大人の特権だ」

 

「シ、シナンジュ王殿……」

 

 励ましにも似た言葉に、ステマックスが声を震わせる。その言葉に感銘を受けていた。シナンジュ王の言葉にアフィモウジャス将軍も肯定する。

 

「そうじゃの。生きている者には必ず弱点がある。今度こそ話すことが出来れば、それで良いのだから。再び会った時に離せるようになればいいのじゃ」

 

「はい、将軍!!」

 

 将軍からの応援を受け、次こそはと意気込むステマックス。と、そのタイミングでちょうど部屋の扉が開かれる。部屋に入ってきたのは、とある任務に従事していたローゼン・ズール。どうやら任務を無事達成し、戻ってきたようだ。

 部屋に入ってきたローゼンが敬礼に近い体勢で報告を行う。

 

「失礼します。騎士ローゼン、ただいま周辺警戒および物資調達任務より戻りました」

 

「ご苦労だったね、騎士ローゼン。それで、結果は?」

 

「はい。警戒任務に関しては、問題はありません。物資調達につきましては、予定通り、明日早朝ポイントPTW5023にて補給に決定いたしました」

 

「そうか。ご苦労」

 

 ローゼンの報告に、王はそのように返す。とりあえず、改変後の世界でも今の所問題なく活動は順調だった。ここもいくら高性能な設備が揃っていても、補給は欠かさなければ持つことは難しい。以前の補給が改変前の2週間前であるので、この辺りが丁度いいくらいではあろう。戦いに補給は欠かすことは出来ない。

 報告を受けたところで、ステマックスが将軍に提案をする。

 

「それにしても将軍、たまには外に出てみてはどうで御座るか?シナンジュ王も。二人共、もう一週間は引き籠って御座るよ」

 

 そう言われてみれば確かにそうだ。補給が行われた後も一度外に出たことはあるとはいえ、もう二人共この一週間はここからほぼ出ることが全くなかったのである。

 一応、休息は取ったりしているものの、アフィモウジャス将軍のサイト「@将軍のまとめサイト」の記事づくりに時間を割いている状況だ。

 不用意に外に出ることは危険であるのは分かっているものの、それでもいくら機械の体でもあまり外で体を動かさないのは腕が鈍る原因だ。体のエネルギー循環機能も上手く働かなくなる原因にもつながる。

 それについては、アフィモウジャス将軍も分かっていた。

 

「そうしたいのだが、最近は話題性のあるニュースばかりでまとめてもまとめてもキリがないんじゃ」

 

「では、王だけでも……」

 

「そうはいかんよ。私だけが外に出るのは極力避けたいところだ。特に、この一週間集中してブログの記事づくりに精を出している将軍を放っておくことは危険だ」

 

 ならば王だけでも……というローゼンからの意見に対して、シナンジュ王はそう答えた。以前は確かに将軍の傍から離れ、厄介な敵性組織を排除するために活動していた。最後に外に出た一週間前の日も、改変直後に活発化した組織同士の小競り合いに介入し、制圧していた。

 が、今はそういうわけにはいかない。一週間も働きづめの将軍を一人にすることは危険だ。加えて、改変後に動向が掴めなかった女神達が、黒の少年こと、かつてのゲイムギョウ界にて女神に力を貸したと言われている和藤光樹とその仲間達と共に行動を開始していた。不用意に動けば、ここの位置がばれ、襲撃を受ける可能性もある。下手に動くことは出来ないのだ。

 ローゼンの意見を却下した後、アフィモウジャスが「だが」と切り返して言う。

 

「ここまで忙しいとはいえ、そのおかげで、アクセス数も伸びて、広告収入もウハウハじゃ!」

 

「いつの間にか『@将軍のまとめサイト』も知らない人はいないくらいビッグになったで御座るからなぁ」

 

「まったくだ。任務中にも、たまにその名前を聞くほどだ」

 

 ステマックスとローゼン・ズールが関心を示す。将軍が運営しているサイト「@将軍のまとめサイト」。最初の頃こそ、その知名度は高くなかったものの、ここ数ヶ月で知名度を上げ、改変後の影響と自分達の地下活動もあり、今ではトップクラスの情報サイトへと成長を遂げていた。

 そのおかげもあってか、現在では収入にそのサイト分が加わり、大分金銭面に余裕が出来た。この「場所」も買うことが出来たのだから。将軍の手腕とステマックス達の諜報活動様様である。

 

「これも、お主らが情報を操作したり、何処よりも早く情報を手に入れてくれるおかげじゃ。それにシナンジュ王の隙のない護衛のおかげで、安心して作業に取り組めるのにも感謝じゃ」

 

「ふふ。そこまで言われるとは……。ありがたき言葉でございます」

 

 アフィモウジャス将軍からの褒めの言葉に、シナンジュ王は謙遜しつつも、首を垂れ、ありがたくその言葉を受け取った。王の反応に合わせ、忍者と騎士も同じように顔を下げた。

 そこまで感謝されるのなら、素直に受け取った方がいい。信頼関係というのは非常に重要なものだ。互いの関係が戦力に反映されるのは今までの戦いで学んできたことだ。素直に感謝され、それを受け取るのも。

 と、礼を示したところで、早速アフィモウジャス将軍が次の仕事の依頼を行う。

 

「ところで、帰ってきて早々で悪いが、またもう一仕事、頼めんかのう?もう少しで、今月の広告収入が先月の二倍になりそうなんじゃ」

 

「なら、ローゼンにも私から頼みたい。将軍との打ち合わせで、少し気になる集団がいる。その集団との話し合いだ。場合によっては、力づくでも構わない」

 

 二人からの依頼が唐突にそれぞれの部下達に送られる。帰って来てからの間髪入れずの指示。が、それに対し、二人は嫌そうにせず、すぐに応える。

 

「はっ。仰せのままに」

 

「了解いたしました。すぐに行動いたします。では」

 

 素早く部屋を後にしたステマックスとローゼン・ズールの二人。ステマックスは、先程までの口調から一瞬で仕事での話口調に変えて答えた。流石、と思わずそう思っていた。

 二人が部屋を出て、静寂が部屋を支配した。

 しかしすぐに、そこへ客人がやって来た。それもやや厄介な客人だ。この世界を変えるほどの力を持った……

 

 

 

 

 

 

 

 

「首尾はどうだい?」

 

 その声が唐突に部屋に響いた。いきなり響いた声に、シナンジュ王がすばやく部屋の一点の方向そ向く。。将軍も同じようにその声の持ち主がいる方に目を向ける。

 目を向けた先に居たのは、黒髪の少女。スーツの様相を見せた服装に、闇に覆われたように錯覚する肌。その少女を、将軍達は知っていた。

 やれやれ……このタイミングで話しかけてくれようとは……。ワシが緊張をほぐすために息を吐くと、王が少女の声に返す。

 

「……君か。君達から頼まれている例の物なら、まだ探している最中だが?」

 

 シナンジュ王からの声にはやや怒りのこもったような、もっと言うなら、警戒していると分かるような声音で返答していた。

 将軍も王の話し方には納得する部分があった。唐突に、それもわざわざ気配を消してまで話しかけてくる姿には、気味の悪さを感じるほどだ。

 ところが、そんな歓迎を感じない返答に気にすることなく、声の持ち主はやや肩を落として落胆する。

 

「そうか。まだ見つからないのか……」

 

『まさか、ブログの資金調達の方を優先しすぎて、忘却の彼方だった……というわけではないだろうな?』

 

 少女の残念そうな声に続いて、また先程までいなかったはずの人物の声が響いた。今度は壁に寄りかかり、その体を支えていた。だがその姿は影に覆われ、全く姿が分からない。かろうじて、その声から男性であることは分かった。それも少年と呼べるほどの若い人物の声が。

 突如として現れたその存在に緊張感を持ちつつも、将軍は返事をする。

 

「忘れてなどいるものか。貴様らには、世界を創り変えてくれた恩があるからな」

 

「そうだ。貴様らの力なくしては、今のこの状況もなかったのだ。恩義はきっちりと返す」

 

「良かった、忘れていなかったんだね」

 

『そうか。ならそれはそれでよい』

 

 将軍と王の回答に、相手は納得を示す。

 相変わらず、将軍達との取引で要求されたモノの捜索具合が気になるようだ。そもそも、このゲイムギョウ界を改変し、創り変えたのは、他でもない彼らだ。

 その彼らが、改変の代わりに要求したモノこそ、自分達がサイトの記事を作っている中でもしっかりと時間を作って部下達、そして彼らから提供された人材こと魔女マジェコンヌとエクスに探させている「とある機器」なのだ。

 今の所、良い報告はあまり見られていない。だが、それでも見つけるために行動に出しているのだ。そう思っていたところで、唐突に少女の方が一つ質問を投げかけてくる。

 

「……ところで、どうだい?君らから見た、改変された世界は?」

 

 それはこの生まれ変わった世界に対する、自分達の評価というものだった。

 評価、か。少し悩むが、やはりこれじゃろう。すぐにワシは言ってやる。

 

「そうだな……。例えるならば、……そう、金のなる木だ!」

 

 その言葉に、王がやはりかと言うかのように首を頷かせ、少女が興味を持つ。そんな一方、黒いもやの人物はあまり反応しない。少し息を吐いただけである。

 しかし、その反応に気にすることなく、将軍は持論を語る。

 

「かつては女神の守護のもと、平和だったゲイムギョウ界が今はどうか!女神がいないだけで、国は乱れ、モンスターは増え、争いが争いを呼ぶ!!まさに、情報で金を儲ける為にある世界だ!!」

 

 そう、今の時代は非常に混乱している。混乱した状況の中で人々が求めるのは情報。何が起こっているのか、世界が今、誰を中心にしているのか、それを決めるのは全て情報だ。

 そして今、それを制しているのは、情報強者、すなわち自分。現に今のゲイムギョウ界で、誰もが将軍の「@将軍のまとめサイト」を知っている。この世界の中心に、今やなりつつあるのだ。

 将軍の意見に、シナンジュ王も続く。

 

「私も、その意見に近いね。今の世界は誰もが目に見える安全がない。むしろ逆に、恐怖が人々の感情を支配している。女神という安心が消えた今、頼りにできるのは情報のみ。それを支配してしまえば、私達の勝ち。そういった意味では、この世界は、私なりに言うなら、戦嵐の世界、かな?」

 

 王の言葉を聞いて、将軍は理解をする。かつて、数十年に渡って、ラステイションの軍を率いて戦っていた将軍らしいと感じる。本来「乱」とすべき部分を「嵐」としている辺りからも、シナンジュ王の戦いに対するこだわりが見える。

 そんな二人の意見を聞き、少女がクスリ、とほくそ笑む。

 

「気に入ってもらえて、何よりだよ。オレも、住民たちの苦しむ姿が見れて楽しい限りだよ。シナンジュ王のその意見には、オレもゲイムギョウ界を巻き込んだ最終戦争が起きて欲しい限りだよ。君はどうかな、「キング」?」

 

『……そうだな。あまり私としては期待はしていないが、是非そうなってほしいものだ』

 

 話を振られた黒いもやの人物「キング」が溜息をつきつつも、その言葉をかける。

 何故かは知らんが、キングは期待しておらんな。時とおり、このような反応をしてはおったが、今回は更に強くその部分が出ているように感じるのう。まるで、何回も失敗して飽き飽きしているような……。

 アフィモウジャス将軍はそのように感じるが、そのような夢物語があるわけがないと考え、その言葉を受け止める。すると、その言葉を聞いていた少女が提案をする。

 

「……けど、まだ生ぬるいと思わないかい?」

 

「これ以上の動乱を望むというのか?目的は例の物だけではないのか?」

 

「昔から人の不幸は蜜の味……と言うだろう?人々が苦しむ姿は大好物なんだ」

 

 少女はその顔に喜びの笑みを浮かべていた。その表情は協力者でありながらも、不気味さを感じさせる。少女の笑みに続くように、「キング」がそれに対する回答を求める。

 

「……ということだ。お前らも、その方がもっと金儲けができるはずだが?」

 

『………………』

 

 二人は揃って黙っていた。相手の黒い考えに、怯えてしまったのだ。だが、それに構わず、少女が自らの絶望を、ぶちまけた。

 

 

 

 

「ゲイムギョウ界なんて、滅茶苦茶になっちゃえばいいんだ……」

 

 

 

 

 少女の声がこだまする。その声に、黒いもやの人物の口元に笑みが浮かんでいた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。しかし、この作品の原作にすっかり影響されたのかな、私。

レイ「というと?」

いや、だって、アフィモウジャス将軍達、好みのタイプは金髪巨乳だろ?ジャンヌさんとかそれに割と当てはまってるし。前はうずめが好みだったのに……あ、一応ネプテューヌという作品の中ではうずめが一番好きですよ

ジャンヌ「た、確かに……。でも、わたくしとしては、藤和木自身の好みに当てはまったって言われた方が……わたくしは嬉しいです……♡」

うん。ジャンヌさんはカード画像見て一目惚れしたようなものだからね

レイ「……で、話の方だけど、シナンジュ王は改変の元凶を嫌ってる感じなのかな?」

ジャンヌ「そんな所がありますよね。どうなのですか?」

シナンジュ王としては、まだ信用しがたいところがあるんだよ。裏ではローゼンと共に動いている所とかがあるし。第0章でも暗躍していたりもしてるね

ジャンヌ「そういえばそうでしたね。ジニアスの忘れ形見とは一体……」

それは後々明らかにするとして、次回は黒の館!ですが投稿は金曜日辺りになります

レイ「執筆ペース落ちてるもんね」

ジャンヌ「それでは皆様、また次回にお会いしましょう」


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黒の館 第11回 解説~海鳴海優、パープルプロテクター、タイラントガーダー、ビルレストユニット

はい、どうも皆様、お元気でしょうか。世間ではいよいよ明日からゴールデンウィーク。私も夢の9連休に心躍っています、藤和木弘でございます。

ジャンヌ「今日は色々と歩いて疲れましたが、その後の連休は嬉しいものですね。どうも、皆様。今日は藤和木と友人さんと一緒に、近くの縁日に実習で行って来ました、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「いやー、ほんと今日は楽しかったね!いろんなものも食べたり撮ったり。どうも、みんな!縁日で思い切り遊んできた、レイ・オーバだよっ!」

二人は楽しんでたよね。まぁ、私は課題を終わらせるために色々と必要なものを食べたり撮ったりしたわけですが。

ジャンヌ「仕方がないですよ。それも勉強なんですから」

でも、友人と混じって色々と楽しんだし、いいんだけどね。それに、ジャンヌさんらとこういう場所行くのもね

ジャンヌ「……ふふっ♡」

レイ「あはは。二人共ラブラブだねー」

さてと、今日は黒の館の投稿になります。

レイ「今回は特に紹介する数が多いよね」

それでもまぁ、オリジナルガンダム紹介するよりかは一つ一つの文章量は少ないから、少し余裕はあるんですけどね。

ジャンヌ「なら、もっと打ち込みペースを上げましょうよ……」

うん。それは言えてる。さて、それでは黒の館へご案内です!


 

 

藤和木「はいはい、今回も始めていきますよ、黒の館!司会はいつも通りの藤和木弘と!」

 

ジャンヌ「アシスタントは1周年を迎え、藤和木の恋人な、わたくしジャンヌ・ドラニエス」

 

レイ「そして、もう一人のアシスタントで、ジャンヌちゃんと二人で藤和木の部屋に居候しているレイ・オーバだよっ!」

 

藤和木「さて、SSR本編では様々な機動兵器が登場しましたので、黒の館をお送りいたします。さて、まずはゲストのご紹介!」

 

レイ「今日のゲストは二人!一人目は私達の主人公!和藤光樹君!」

 

光樹「どうも、和藤光樹です。やっぱり主人公な分、出てくるのは多いな」

 

藤和木「まぁね。それでもまだ今数えたら6回……あれ、6回も出てるの、光樹君」

 

光樹「おい、作者が主人公の出演回数忘れてるぞ!」

 

ジャンヌ「もう……!覚えておきましょうよっ!」

 

藤和木「う、うん。いや、もう少し少なめかなと思っていたから、驚いたんだよ」

 

レイ「それでも忘れてたんじゃん……」

 

藤和木「そうだね……(´・ω・`)。さて、もう一人のゲストは、」

 

ジャンヌ「はい、もう一人のゲストは、超次元での光樹さんの友人以上の方、海鳴海優さんです」

 

海優「ねぇ、変な説明入らなかった?」

 

レイ「えー?でも光樹君に赤面してる部分が第1章初めに出てたし、そうじゃないの?」

 

海優「ち、違うからっ!そ、そんなんじゃ、ないし……」

 

藤和木「はいはいツンデレツンデレ」

 

海優「ヤンデレなお嬢様とイチャイチャしてるあんたに言われたくないわね!」

 

藤和木「なんやと!?ジャンヌさん可愛いでしょ!?」

 

光樹「何の言い合いだよ、全く……」

 

ジャンヌ「はぁん……もぅ、藤和木ぃ……♡」

 

レイ「あ、ジャンヌちゃんがデレデレになってる」

 

藤和木「あぁ、もう、とりあえず、今回の紹介に行きましょうか」

 

海優「確か、今回はあたしの紹介よね?」

 

レイ「それに海優ちゃんのシェアプロテクターの紹介とー」

 

ジャンヌ「海優さんが光樹さん達と協力して撃破したモンスター、「タイラントガーダー」の紹介になりますね」

 

藤和木「あぁ、あと追加で、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイの兵装である「ビルレストユニット」も紹介だよ」

 

光樹「あれ、ビルレストって紹介してなかったのか?」

 

藤和木「紹介するって随分前に言ってたんだけど、すっかり紹介し忘れていたんだよね。せっかくだから、トドメを決めたすぐ後がいいからってことで、今回紹介だよ」

 

光樹「解説を忘れるとか……」

 

藤和木「解説をすっぽかしていたのは認めよう。さて、まずは海優の紹介から入ります」

 

 

 

 

海鳴海優(うみなり みゆう)

 

 

年齢 18歳

生年月日 G.C.1996 12月26日

血液型 AB型

身長 160㎝

外見 ピンク髪のポニーテール。目つきは普通、瞳の色は碧眼。表情は年頃の少女よりも、厳しさのある女性といったものが多い。

好きな物 スケッチ、ウノ、ケーキ(ショートケーキ系)

嫌いなもの 素人さの目立つ人物、クモ

 

 

プラネテューヌの国防軍に所属する少女。シェアエネルギーを糧とする新型機動兵器「シェアプロテクター」の試験機でプラネテューヌ仕様の「パープルプロテクター」を運用するパイロットでもある。階級は准尉。プラネテューヌの国民の一人として、ネプテューヌを敬愛し、自分の国であるプラネテューヌの平和を守るために15歳で軍学校に入り、今年から新兵器であるシェアプロテクター運用チームへと配属された。

 シェアプロテクターの受け取りのため、光樹が超次元ゲイムギョウ界へとやってきた1週間前より、リーンボックスへ向かい、そこで同じようにシェアプロテクターを操る雷堂閃にミヤト・サカザキ、カテリーナ・リーフィ、そしてリーンボックス軍に所属し、海優が密かに思っていたシン・ドルクーと出会った。

 閃達と最初に出会ったころは、軍学校の成績を常にトップでキープしていた自身よりも上手くシェアプロテクターを使いこなす姿に焦り、失敗を繰り返し、徐々に距離を置くようになっていた。しかし、その時シンが声をかけ、悩みを打ち明けたことでメンバー全員で話し合い、やがてチームとして結束していった。

 が、その後シンはジニアス・サハリンが制作したアフサラスⅢの攻撃を受け戦死。その際に援護を行う対象であった光樹に八つ当たりとして模擬戦闘を申し込む。その後は本編のこともあり、光樹とは和解。以降は海優の方から距離を縮めようとしている。

 超次元編からはプラネテューヌの国防軍に戻り、国防軍SP運用部隊の要として活躍、作中のゲイムギョウ界トーナメント前までの約半年の間に25のモンスター駆除・暴力団鎮圧任務、更に光樹のガンダムの模擬訓練等に従事。

ゲイムギョウ界トーナメントでは準々決勝にてアキレイスと対戦。近接戦闘戦を行うも、機体の大部分を損傷する被害を受けてK.O判定で敗退し、その後は客席で光樹の決勝を観戦しようとしていた。だが、ゴールドサァドとゴールドソフツの反乱後、記憶を改変されて前後の記憶が曖昧となってそのまま部隊の職場に戻っていた。

 改変後、しばらくは教会側との連携でマジェコンヌの足取りを追っており、アイエフからの緊急コールを受けて光樹達と遭遇。警戒するも非常事態ということで協力し、敵変異体を撃破する。

 部隊のコールサインは「トライアル1」。

 また、彼女が軍人を志した理由には上に挙げたプラネテューヌを守りたいという理由の他に、かつてキセイジョウ・レイが起こした「タリの女神事件」の最中、街の中で襲い掛かってきたモンスターから、とある人物に助けられたことから、だが、その人物の顔をよく覚えていないとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

藤和木「こちらが海鳴海優さんの設定になります」

 

光樹「へぇ、海優ってスケッチが好きなんだな」

 

海優「何?あたしってそんなにうるさいイメージがあるの?」

 

光樹「だって、絵を描く軍人って……あのAIと戦った軍曹さんだって、イメージすることが苦手だったりするし」

 

藤和木「あっちはのちに克服したような感じじゃない?あと、絵を描く軍人ってガンダムシリーズにいるぞ」

 

レイ「へー、そうなんだ!なら絵を描く軍人さんもおかしくないねっ!」

 

海優「そういうことよ。分かった?光樹」

 

光樹「まぁ、分かったよ。で、次はパープルプロテクターだろ?」

 

ジャンヌ「はい。そうですね。パープルプロテクターの資料も、用意できています」

 

藤和木「じゃあ、このまま行ってみようか。続いて紹介するのは、海優が操る機体、パープルプロテクターです」

 

 

 

 

パープルプロテクター

形式番号 SP-001P

機体解説

ゲイムギョウ界主要四カ国にて採用された新型機動兵器、「シェアプロテクター」の先行試作機の1機。四か国合同で進められた機体であり、その姿は女神のプロセッサユニットに似せられて制作されている。

 構成としては光樹達が使用するNPやMPと似ており、パイロットが専用カプセルに入って機体と精神リンク、パイロットの思うがままに動かせるという機動兵器である。

 開発の際に女神の力を参考にしており、特に試作型4機はそれぞれのカラーをモチーフとする女神の戦闘スタイルに合わせた調整が施されている。

 機体共通のリミッター解除機能としてシェアリングフルコンタクトモードを備えるほか、それぞれの国の女神が設定した専用機能を使用可能。

 ある意味では光樹達とゲイムギョウ界と何らかの関係性を感じさせる、本作品のカギを握る要素の一つだろう。

 

 

 

 

システム系

 

シェアコンデンサー

機体背部に搭載される、エネルギータンク。内部には機体運用のエネルギーとなるシェアエネルギーが詰まっており、本機運用の最重要機関。

 エネルギーのチャージに関しては、イストワールの管理の元、女神が保有するナチュラルシェアクリスタルから変圧器を通してコードで供給されている。そのため、本機関は永久機関ではない。

 

シェアリング・フルコンタクトモード

 機体の出力を開放する機能であり、光樹達のガンダムで言う所のトランザムシステム。内容はトランザムと同じで、機体のチャージされているシェアエネルギーを開放し、機体出力などに大量にエネルギーを供給する。

 しかしながら、少なくとも光樹達のガンダムよりも起動時間が少ない上に、エネルギーも有限であるため、使いづらさはある。

 

熱血モード

 各国の女神からの要望で制作された、各プロテクター専用のシステム。プラネテューヌ仕様のこのシステムは、シェアリング・フルコンタクトモードを越えた超過出力を生み出し、機体の攻撃力を絶大なまでに引き上げる。

 が、当然出力を引き上げるということは、消費するシェアエネルギーも増大する。その出力は3倍の攻撃力と3倍の粒子消費を受ける。

 なお、シェアリング・フルコンタクトモードの更に限界を開放するものであるため、消費エネルギーは6倍必要、なことにはならない。

 

 

 

 

武装

ビームアサルトライフル

 機体のメイン武装となるマルチウエポン。不使用時には左腰に装備される。銃と剣として使用可能。銃の時にはマシンガンのように連射を利かせたビーム弾やビームライフルの弾を放つことが出来る。一方、剣としての機能はビームソードを武装下部のユニットのスリットから生成する。

 パープルハートの機械刀をモデルとしたカラーであり、立ち位置も同じように近接戦闘戦での要となる。

 

ビームソード

両腰のユニットの差込口に挿入された近接兵装。ビームアサルトライフルよりも軽量で取り回しが効きやすい。

 装着方法はインフィニットジャスティスのビームサーベル収納法と同じもの。

 

シェアシールド

 機体左腕部に装備された防御兵装。シェアで形成したバリアを本兵装のスライドしたユニットからシェアを放出し、攻撃を防ぐ障壁を形成する。機構としてはオレンジハートが使用していた盾のユニットに似ている。

 本兵装は、かつて過去に存在した女神用武装の一つを再現したものである。だが、どの女神か、それが分かっておらず、世界改変後もその資料をとある熱心なメカニックが捜索している。

 

 

 

 

ジャンヌ「……と、いうわけで、以上がパープルプロテクターの説明になりますっ」

 

レイ「いやー、ホント、光樹君を見てると、似てるよね、パープルプロテクターとガンダム」

 

光樹「本当にそうだよな。初めて見た時は女神に似ているって思ったけど、後々俺のガンダムというか、NPに似てる部分が多いっていうか」

 

海優「そういえば、リーンボックスの技術者さんはある日ふとこの機体のアイディアが浮かんだって言ったわ。それにしては似過ぎよね、損傷しても実体にはあんまりダメージが通らなかったり、人型サイズの機動兵器だったり」

 

藤和木「まぁ、この機体は後々その開発の根元部分を明らかにしていく予定ですので。それまではなぜこのパープルプロテクターがガンダム達に似た性質を持つのかを考えてみてください」

 

レイ「うん、秘密がどんなのがあるのか、楽しみ~!!」

 

ジャンヌ「そうですね。……では続いての紹介に参りましょうか、藤和木」

 

藤和木「うん、じゃあ次はマジェコンヌ達が繰り出したメタルガーダーが猛争化し、更に融合して武装化したモンスター、「タイラントガーダー」の紹介です」

 

 

 

 

タイラントガーダー

 

解説

マジェコンヌ達が置き土産に残していったメタルガーダーが、猛争化と武装化を同時に引き起こし、誕生した特殊凶暴化モンスター。その姿は、以前のような姿とは違い、はっきりとした人型となっており、頭部も明確なものへと変化している。

 頭部がサイのようであり、口にはアイアンガードのようなパーツを付けている。また頭部から下の人型の体も、変化前よりもがっちりとした構造に変化している。

 戦闘スタイルは、主にその巨体を駆使した格闘戦。だが格闘戦というよりも、猛争化も起きている都合上、暴走のように格闘の型がなっておらず、予想外の攻撃を放ってくる危険性もある。加えて背部に備わったバックパックからミサイルを放つことが可能で、射撃戦も出来ないことはない。なおレーザー砲も装備されているが、こちらは近接防御兵装としての仕様になっている。

 また本編では登場していないものの、このモンスターは変形が可能であり、変形時には脚部をブースターとしてその巨体で突進することも可能である。

 主に近接戦に特化している都合上、遠距離が不得手だが、その点は機体の肩部・脚部装甲に備えられたANフィールド発生装置によりカバーしている。

 弱点としては攻撃が乱雑なため、そこを突いて回避行動に専念しての近接格闘戦が基本となる。また、本モンスターのAN粒子は出現した当初のモンスターの生命エネルギーを転換してAN粒子を生み出しているため、ANフィールドは短時間しか生成できない。その為時間を掛けるか、もしくは超高密度のAN粒子による射撃攻撃か連続した射撃攻撃を浴びせればAN粒子がすぐに底をつくと思われる。

 戦闘後、本モンスターは消滅することなく、爆発を起こして残骸としてプラネテューヌ国防軍技術部に解析のため送られている。また、その際にモンスターの内部からはAN粒子タンクの他に、モンスターの元々の稼働用燃料が残っていたことから、武装化してもモンスターの本来の生命は残っていると推測されている。

 モデルはスマブラXにて登場したガレオム。

 

 

 

武装

 

8連装ミサイルランチャー

背部バックパックに装備される本機の主射撃兵装。2機を背部に装備しているため、一回の射撃で放てるのは16発。なお、モンスターの力による無限生成が可能なため、実際数は無限に撃てる。

 

近接防御用レーザー

 機体各部に装備された小型のレーザー砲。脚部に4門、腕部に8門、頭部に2門、そしてバックパックに4門と隙をカバーしている。しかしながら、その出力はビームと見間違うほどの出力である。

 

 

 

 

藤和木「以上がタイラントガーダーの紹介になります」

 

光樹「本当に、こいつは強力だったな」

 

海優「そうね。体が大きいやつが暴れるだけでも、本当に厄介」

 

ジャンヌ「しかも、暴走状態ですからね。本当にお疲れ様です」

 

海優「そんな言葉、いいわよ。あたし、この時ほとんど役に立ってなかったし」

 

レイ「えー?でもANフィールドをビームサーベルで破ったんでしょ?そこに追撃も入れたわけだし、いいんじゃないかな?」

 

光樹「そうだと思うぜ?普通ANフィールドは実体剣でないと破れないのに、ビームアサルトライフルで切ったんだし」

 

海優「あれは本気モードのおかげで突破できたわけだし……。っていうか、あのレーザー、近接防御用なの?」

 

藤和木「うん?そうだけど?」

 

光樹「それにしては、出力高すぎないか?地を薙ぐっていう表現があったくらいの出力だったぞ?」

 

レイ「見返してみるとそうだね。明らかに光樹君達が避けるくらいの攻撃だったわけだし」

 

藤和木「まぁ、そこは猛争化による出力の向上があったわけですよ」

 

ジャンヌ「それはあるかもしれませんね。猛争化はまだどんな被害があるか分かっていないわけですし」

 

光樹「けど、このオリジナルモンスターが出てきて、他にもこういったモンスターは出るのか?」

 

藤和木「そうだね。一応4カ国回っているチームレッド、チームホワイト、チームアズールとそれぞれが護衛している女神達も、猛争化、もしくは武装化したオリジナルモンスターと戦わせる予定だよ」

 

海優「閃とか大丈夫かしら……」

 

レイ「でも、光樹君とシェアプロテクターが戦った時、光樹君を追いつめた機体でしょ?なら大丈夫だよ!」

 

海優「いや、そう単純な問題じゃないの。人とモンスターと戦うってことはね」

 

ジャンヌ「違うと言うと……自意識があるかどうか、ということですか?」

 

海優「まぁ、そういう問題で問題ないわ。獣は本能で動くもの。予想外の行動も起きやすいし」

 

光樹「それは俺も戦ってて思うな。人と戦う時は思考の基本が同じ構造、同じ種族だから考えることが分かりやすいけど、モンスターだとほんと、それが分かりづらいっていうか」

 

藤和木「そこはもう、知性の発達具合によるところが大きいからね。光樹君と海優の言いたいことは分かるよ」

 

レイ「じゃあ、次はいよいよ、光樹君の武装の紹介かな?」

 

藤和木「だね。光樹君は今はだいたい把握してる感じか?」

 

光樹「それなりに、かな。ゼロの解析とかもあるし」

 

海優「あたしも光樹の訓練に付き合っていたりするから、見ててこいつの性能は分かるわ」

 

ジャンヌ「では今回最後の紹介は、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイの主兵装の一つ、「ビルレストユニット」になりますっ」

 

藤和木「お、今回は長かったけど、噛まずに言えたね」

 

ジャンヌ「あ、あんまり失敗すると、恥ずかしいので……!」

 

光樹「本当に、ゴッドクロスの名前は言いづらいよな……」

 

海優「あたしも、最初の頃は結構噛んだわ……」

 

 

 

 

ビルレストユニット

 

武装解説

 シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイの使用する、専用兵装の一つ。異空間へのアクセスを行うことで、手元に転送される。その巨大さは、四肢の拡張したゴッドクロス・ダイも上回り、通常の機体はトリガーで持ち上げることすら困難。

 本兵装はゴッドクロス・ダイの腕部から次元力とAN粒子を供給されることで、かなりの大きさを誇りながらも、片手での保持、運用が初めて可能となっている。よって、一応それら二つの要素を備えた機体なら、この武装は使用可能である。

 武装は射撃兵装でまとまっている。その為、基本的な運用としては、射撃兵装による遠距離戦を得手としている。だが、その真価は後部を形成しているブースターによる突撃であり、この武装の実態は、「射撃で牽制しつつ、突撃。その後は機体の格闘兵装、もしくは先端部を展開して使用可能となるバンカーで貫き通す」という運用である。

 本編では、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイの主兵装として運用される。対SP戦やゴールドソフツ、タイラントガーダー戦で使用。必殺の兵装としての運用が多いが、鈴によれば、本来の光樹はこの武装よりも、腕部を使用しての格闘戦が多く、大型の本兵装は大型MA戦くらいしか使用していないとのこと。それでもめったに使われることはないという。というのも、そもそもこの兵装は高出力で押し切るというよりも、弾幕を形成する兵装であるため、決定打になりにくいためである。

 武装モデルはジェニオン・ガイの超巨大武装ユニット「ビルレスト」。

 

 

武装

 

ANピンポイントビームガン

 ユニット左右に装備された小型ビーム砲。ビームガンと言っても、それは倍の大きさを誇るキャノン砲の威力とほぼ同じであり、本武装の中では小回りが利く。

 

ANホーミングキャノン

 ユニット上下に備えられた誘導式ビーム砲。武装内部に設けられた予測インターフェースにより弾道をコントロールされ、敵へと球体のビームを放つ。

 前述したビームガンも含め、これらの兵装は全てゴッドクロス・ダイの突撃をカバーする兵装である。

 

ANインパクトバンカー

 武装正面に設けられた格闘兵装。伸縮機能で瞬時に放ち、敵を打撃で粉砕する。前述した2つの兵装で牽制し動きを止めたところでこの武装でトドメを刺す、というのがモデル元とも同じ基本戦法。

 

 

 

 

 

 

 

 

藤和木「以上が、ビルレストユニットの解説になります」

 

光樹「うん……やっぱり、ジェニオン・ガイのビルレストとほぼ同じ仕様だな。そのおかげで俺も使いやすいんだけど」

 

海優「ほんと、真正面からこれとぶつかり合うのは得策じゃないくらい恐ろしい兵装だわ。でも、それ以上に驚いたのが、他の世界でこれのモデルが運用されたっていう方だけど」

 

レイ「大きな武装、うん、カッコイイよね!これで剣とかがあれば最高なんだけど……」

 

ジャンヌ「け、剣って……。どこに付けるんですか、それ」

 

レイ「うーん、正面装甲がパカッと開いて、伸びる!みたいな?」

 

光樹「それはそれで面白そうだな」

 

藤和木「でも斬るってのは難しくないか?」

 

海優「なら突き刺すとかは?」

 

藤和木「突き刺す、か。そうなるとランスで良くない?ってなるけど……でも面白そうだね。武装ネタとしてその意見はもらっておこう」

 

ジャンヌ「そのアイデアは一体いつ解放されるんでしょうか……楽しみですね」

 

光樹「まぁ、とりあえず、今はこのまま運用ってことだよな?」

 

藤和木「そうだね。とはいえ、これ、本来の光樹君は主兵装としては使ってないんだけどね」

 

レイ「肉弾戦が光樹君の得意な戦闘って書いてあるもんね」

 

海優「次元力が未だにどういう理屈かは知らないけれど、格闘戦でぶつけた方が効果あるってことかしら?」

 

藤和木「そういうこと。さて、今回はここまでにしようか。次回予告よろしく!」

 

ジャンヌ「はいっ。……回復したアイエフさんと合流したコンパさんと一緒に、再びプラネテューヌでの調査を再開する光樹さん達」

 

レイ「すると、そこで子供の声が響く!」

 

光樹「助けようとした俺達だったが、そこに現れたのは、あの時敵として立ちはだかったあの機動兵器と少女であった!」

 

海優「その存在に光樹達が警戒する中、モンスターの発生情報が流れ込む」

 

ジャンヌ「すぐに現場に向かうものの、怯えるゴールドサァドのビーシャ、その理由は?」

 

レイ「ネプテューヌ様とゴールドサァドちゃん、そして、光樹君とゴールドソフツが決めた約束は?」

 

光樹「一つの解決が、再び一つの事件を生み、物語が起こっていく……」

 

海優「そう、忍者と騎士が再び動くとき、平穏が再び崩れる!」

 

ジャンヌ「次回、「新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG」!」

 

レイ「第109話、「銀髪の少女は誰なのか、事件発生」!」

 

光樹「恐れは誰だってある」

 

海優「だからその絶望……」

 

全員『打ち払え、ガンダム!!』

 




今回もご覧いただき、ありがとうございます。四つも紹介されると混乱しそうなのが気になってしまうけど、どうなんだろう。

ジャンヌ「ですが、あまり話数を多くすると短くできませんよね……。そこは悩みどころになってしまいます」

レイ「でもコンパクトにまとめた方がいいことはあるよね」

学校でもよく「短くまとめろ」と言われますからね。気をつけないと。さて、明日からほとんどの人はゴールデンウィークに入ると思いますが、皆様は何をして過ごすのでしょうね。

ジャンヌ「ちなみに藤和木は就活の質問対策だったり、課題の後れに取りかかるそうです。けれど、日曜日にはバトスピショップバトルに参加しに行くそうです」

待っていろ、ストライクヴルム・レオ、紫煙獅子……。今度こそ、お前らを構築の基本を前に戻した断罪の歌姫デッキで葬ってくれる!!

レイ「ちなみにそれはフリーで、本命はいつもの赤白リボルだってさ。ただし!明日発売の最新ブースター煌臨編第1章のカードも盛り込んだのを予定しているらしいよっ!」

今度こそは……二対戦連続で零式で聖域当たらないことを願う!!

ジャンヌ「それ、フラグですよ?」

さて、今回はここまでです

レイ「次回投稿は木曜日だよっ!」

ジャンヌ「この休み期間に後れは取り戻すそうなので、皆様ご安心を。ではまた次回にお会いしましょう」


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第109話 銀髪の少女は誰なのか、事件発生

どうも、皆様、お元気でしょうか。パソコンの不調に嫌気がさしてきた、藤和木弘です

ジャンヌ「前書きから書くの、これで2回目ですからね……。どうも、皆様。実はこれ二回目の収録になります、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「さっき打ったのに、いい所で接続切れちゃったからねー。どうも、みんな、レイ・オーバだよっ!」

Twitterも相変わらずパスワードが打ち込めないし……まぁ仕方ない。今回は第109話の投稿です。

ジャンヌ「今回はツイッターの方で初登場した、光樹さんの妹が回想で登場します」

レイ「光樹君はどこまで思い出せるのかな?」

それでは、本編へ


 

「こうして、四人でお出かけするのも久しぶりですね」

 

 コンパがそのように語る。四人、というのは、ネプテューヌというゲームの世界の中で親友のネプテューヌ、アイエフ、コンパに加え、半年近く前から居候のような形でお世話になっている光樹を含めてのことであった。

 コンパの言葉を聞いて、光樹もそういえば、と思う。改変後はもちろんそうだが、改変前の時も、ネプテューヌがゲイムギョウ界感謝祭の運営のために、アイエフはその手伝いとして裏方を、そして光樹はゴッドクロスの解析作業にクエストと、全員が忙しかったため、一緒に出掛けるということが少なかったのだ。

 そう考えると、コンパに寂しい思いをさせていたのかもしれない。この異変を解決するために調査は必要だが、そんな中でも交流はしなければいけないだろう。

 すると先程のコンパの発言に、絵里奈が興味を持ったのか、聞いてくる。

 

「へー、ネプテューヌちゃん達はみんなで一緒にお出かけしたことあったのー?」

 

「えぇ、光樹が最初にやって来た時には、服の買い物だったり、クエストをクリアしたりしたわね」

 

 絵里奈の質問にアイエフが細かく答える。思えば、あの時が始まりだったのかもしれない。急にこの世界にやってきて(正確には落下だが)、パープルハートに変身したネプテューヌにキャッチされ、居候を志願して。次の日には服を買いに行って、武器を手に入れて。更に次の日には、モンスターを狩りに行った。

 光樹の脳裏に、その時の光景が今でも鮮明に残っていた。記憶を失って、初めての変身。あの頃はまだ戦闘技術も未熟だった。

 けど、それを言ったら、鈴に「まだ未熟よ、馬鹿光樹が」と言われるだろう。それは嫌だから、言わないでおくか。

 とはいえ、その変身が、様々な出来事を起こした。シェアプロテクターとの対決、零次元でのダークメガミや、エクストリィムとの激闘、そして世界の改変を巡っての戦闘であろうゴールドサァドとゴールドソフツとの対峙。

 心の中で、今までの戦闘を振り返っていると、アイエフの言葉を聞いていた絵里奈が「んー」と声を伸ばしたのち、言う。

 

「ちょっと意外だったなぁ~。光樹君って、普段は好き好んで日常で女の子と話すことってなかったのに」

 

「え!?そうなの!?」

 

 そのカミングアウトにネプテューヌが驚きを露わにする。ネプテューヌだけではない。コンパも……

 

「そうなんですかー!?」

 

 と、口を開けて驚いていた。唯一、アイエフだけは意外そうな反応をしてその話に声を返していた。

 

「へぇ。こっちに来てからは結構話していたから、普段の感じみたいにフレンドリーだと思ってたわ」

 

「……一応言っておくけど、最初に来た時は少し緊張していたけどな」

 

 アイエフの言葉にそう返答する。記憶を失っていて、以前とは違う雰囲気かもしれないが、光樹もネプテューヌ達に会った時は、女子相手に話をすることに少し緊張を覚えていた。

 普段の、残っていた記憶の中での学校生活でも、俺はクラスでも女子と話すことは少ないと記憶している。鈴とあそこまで言い合いになるのはおそらく、覚えていなかった記憶の中で、言い合っていたんだろうな。

 すると、鈴がその話に入ってくる。

 

「あら、驚きだわ。まさか、この日常時の性格はヘタレな馬鹿光樹が女子と会話しているなんて」

 

「……なんだ、その嫌味のある言い方は」

 

「あら、何のことやら」

 

 鈴からの挑発に、光樹が怒りを覚える。またその呼び方をしてきたので、気になったのだ。

 が、そこで勇也が喧嘩に発展する前に話題を逸らす。

 

「……そういえば、前にネプテューヌが言っていたんだが、今のゲイムギョウ界が抱える問題の一つで、アイエフが追ってたっていう秘密結社の足取りとかはどうなっているんだろうな」

 

 秘密結社「アフィ魔X」。イストワールと再会した時にネプテューヌが口にしていた組織の名前。アイエフが負傷して病院に搬送された時に、イストワールからアイエフの調べていた案件の一つであることを話されたのだ。

 なんでも、アフィ魔Xとマジェコンヌとエクスは、ゲイムギョウ界トーナメントでの一件以降、改変後の世界で急に目撃者が増えたのだという。

 理由は不明。だが、その二つが、何らかの関係があるというのは間違いないだろう。もしかするとただの偶然、という可能性もあるが、今はその二つの足取りを追う必要があった。

 勇也の喧嘩の泥沼化を避けた発言に、光樹達がヒートアップする怒りを抑える。話を聞いていたコンパが思い出したかのように声を出す。

 

「あ、そういえば、その秘密結社ですが、今度はラステイションに現れたらしいですね」

 

 コンパの発言にアイエフも続いて関係する情報を口にする。

 

「確か、向こうで盗まれたのは、どっかの企業の特許関係の資料だったかしら」

 

「企業の資料……やっぱり、企業同士の争いを激化させるのが狙いかしら」

 

 鈴が顎に手を当て唸る。今の所、、秘密結社が行っているのは情報の盗難や他の組織との衝突だ。アイエフが療養していた間にも、光樹達はイストワールに頼まれ情報の整理をしていたが、目に入った資料にはその結社の活動が細かに記載されていた。

 秘密結社の名前は「アフィ魔X」。記憶の片隅に、似たような名前の単語があったような気がしたが、そのことについてはそれ以上考えはしなかった。アフィ魔Xがこれまでの起こしたのは、企業の極秘情報の漏洩、組織との抗争、窃盗と様々なものに渡ると書かれていた。

 特に、極秘情報に関しては、情報の種類は先程の特許のような、企業の利権にも関わる重要なものから、アニメの制作発表まで、多岐に渡る。だが、多岐に渡り過ぎてその情報の中心は見えなかった。秘密結社と言うのに、アニメの情報を盗むというのが、どうも光樹には理解が出来なかった。結社の狙いが分からなかったのだ。

 確かに、アニメのような娯楽の部類に渡る情報も、漏れれば大変なことだ。ところが、そのことが、どうも光樹のイメージする結社のすることとは思えなかったのだ。何故、よりにもよってアニメやゲームの情報を……と。

 それだけではない。つい先日、マジェコンヌが盗んだものについても気になっていた。少し前に、アイエフにあの時マジェコンヌが盗んだものが何だったのか、を聞いてみていた。怪我だったり、捕まっていたこともあり、見ていない可能性もあったが、それでもアイエフはしっかりと答えてくれた。

 アイエフが言った盗まれたモノは、ゲーム機、であった。その回答は、ますます光樹を混乱させた。アイエフの言うことはほぼ確実だ。しかし、何故秘密結社がゲーム機を?まさか、これから起ころうとしている危機を乗り越える、もしくは起こすためにそのゲーム機が必要だったのかとも考えてしまう。どこの科学アドベンチャーゲームだ。

 その時はひとまず、考えることは後にしていたのだが、そのスポットが再び当たることとなる。ネプテューヌがアイエフの言った、ラステイションでの被害のことに合わせて言う。

 

「そういえば、この間マザコングが盗んだのもゲーム機だったんだよね?」

 

「そういえばそうだっけか。しかし、何でゲーム機を?」

 

「それには、私も疑問に思っているわ。秘密結社の連中、どういうわけか、プラネテューヌではゲーム機ばっかり盗むのよね」

 

 勇也の疑問にアイエフが同意する。アイエフの口から語られた通り、プラネテューヌの被害は、ゲーム機に集中していた。こうなると、秘密結社はオタクで、ゲームをやりたいだけなのではという気持ちが出始める。

 が、そんなことはありえないと考える。ゲーム機一つでこんなことをしていると考えると、馬鹿らしく思えるからだ。

 鈴も呆れつつ、現在の住民からの事件に対する意見を話す。

 

「そういえば、その事で住民からはプラネテューヌで最重要物資がゲーム機だってことになっているわね」

 

「ゲーム機が一番大切なものって……いつの時代の話だよ」

 

 光樹は鈴の言葉にツッコミを入れる。ゲーム機が大切なものに格上げされるなど、いつかに見たゲーム機の歴史を語る実況での出来事かと思ってしまう。

 そんな言葉に、アイエフも溜息を吐いて頭に手を付ける。

 

「ほんと、ゲイムギョウ界の創世記並みの話よ。おかげでプラネテューヌのバラエティー番組でも取り上げられて、いい笑い者よ」

 

 バラエティーでもネタにされるとは……。この事件は思ったより重大のようだ。行われていることは馬鹿げているのに、ここまで事が大きくなるとは……。

 その時である。

 

 

 

 

(―――――――――ってことで、今や俺達のガンダムは、お茶の間で最も人気のある話題、ってことさ)

 

 

 

 

「ーーーーッッ!?」

 

 急に、脳裏に光景が過ぎる。記憶の解凍だ。

 だが、それは今まで戦闘中に見た物よりも鮮明で、かつ量も多かった。鈴との言い合い、勇也を連れての鈴の尾行、絵里奈をメンバーに引き入れるためのデートのような(絶対デートのように思えたが、何故かそうではないと思考する)お出かけ、任務前のブリーフィング、任務後の報告と休憩。

 そして、場面はさらに進む。次は建物の中だ。どこかの施設に乗り込み、出てくる機動兵器を纏った兵を次々と殺していく。やがて、最奥部に到着し、ボスのような人物と接触する。少しの会話が交わされ、戦闘に発展する。敵をビームサーベルで貫き、ボスの機体を撃墜した後、何かに気づいたように足を進める。足を進めた先の物陰を覗き込む。

 すると、そこにいたのは、銀髪をツインテールで纏め、こちらにナイフを向けてくる少女……。

 その少女を知っているように思った瞬間、記憶は途切れる。待て、終わるのは早い。そう思っても記憶は留まることなく現実に引き戻される。先程の記憶解凍時のショックで、光樹の足は曲げられ、地面に膝ま付いていた。

 なぜ、今のタイミングで?まさか、バラエティー番組という単語に釣られて?そうであれば、とても滑稽なことだ。

 が、いつまでも茫然としているわけにもいかない。目の前で無事を確かめてくる普段は穏やかな口調で話してくるツインテールの少女が心配する様を確認すると、光樹はゆっくりと立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「光樹君!大丈夫!?」

 

「ちょっと!いきなりどうしたっていうのよ?」

 

 光樹の異変に真っ先に気づいたのは、絵里奈だった。絵里奈の声に釣られ、アイエフ、鈴と次々とその異変に気付いて駆け寄る。

 少年に起こった異変は、絵里奈達の反応で、周囲の人も目をやる程の騒ぎにすぐに発展した。いきなり少年が倒れかけ、頭を抱えたのだ。心配したり、興味本位で覗く野次馬もいて当然だ。

 声をかけるも、光樹は未だに地面を見て息を途切れ途切れに吐くだけだ。そんな様子を見て、絵里奈は混乱する。

 

「ど、どうしよう……しっかりして、光樹君!」

 

「落ち着け、絵里奈。一体、何が起こってるっていうんだ……」

 

 光樹に必死に声をかける絵里奈に対し、勇也がなだめる。その言葉を受け、絵里奈も騒ぎ過ぎたことに気づく。

 そ、そうだよね。一回落ち着こう、私。息を吸って吐くと、今度は先程よりは落ち着いた様子で光樹に声をかける。

 

「ねぇ、どうしたの光樹君。返事をして……」

 

 ただこちらのことに気づくことを願う絵里奈。すると、その願いが届いたのか、光樹の息が正常なものに変わり、ゆっくりとこちらを向いて、立ち上がった。

 その顔には、汗が少し滴っており、不安にさせるものであったが、しっかりと絵里奈の顔を見つめていた。息を吐いて、絵里奈に返事をする。

 

「…………あぁ。大丈夫だ。心配させてごめん」

 

「光樹君……」

 

 無事な姿を見て、絵里奈はホッとする。元の様子に戻ったのを見て、ネプテューヌが安心の声を出す。

 

「いやー、いきなりどうしたのさ。急にうずくまるもんだから、てっきりあいちゃんみたいに中二病になったのかと……」

 

「ちょっとネプ子!それどういうことよ!」

 

 さらっと言ったアイエフへのからかいに当人が気づき、問い詰める。その問い詰めにネプテューヌは「まぁまぁ!」と抑える。何だかんだでいつも通りの光景であった。

 しかし、光樹の様子が気になったのは絵里奈も同じだ。急に倒れかけて、何か無い方がおかしい。すると、光樹は立ち上がり、先程起きたことを一言で纏めた。

 

「簡単に言うと、記憶が少し戻った」

 

「へー、記憶が戻った……マジで!?」

 

「少し、な」

 

 記憶の復活に驚くネプテューヌを光樹は重要な部分を伝えて反応を抑える。だが、その事実に驚くのはネプテューヌだけではない。他のメンバーも各々にそのことに対する言葉を言う。

 

「ほんとー!?どんなことなの~?」

 

「いきなりね、アンタは本当に」

 

「記憶が戻った、か。全部じゃないって言ってたが、一体、どこら辺まで思い出したのやら……」

 

「すごいです!記憶喪失というのは、何かショックがなければ思い出すのは難しいはずなのに……それで、どんなことを思い出したです?」

 

 絵里奈やコンパがこぞって聞く。アイエフと勇也は比較的落ち着いた様子で、二人ほどではないものの、光樹の取り戻した記憶が気になっているようだ。

 早く聞きたい。光樹君が、一体何を思い出したのか……!で、できれば、私達の時の記憶が思い出せていたらなぁ……。私はほのかに期待する。

 各々が光樹の記憶に興味を持つ中、ただ一人黙っていた鈴も、一拍おいて、光樹に詳細を要求した。

 

「……それで、何を思い出したの?」

 

「あぁ、思い出したのは、鈴と勇也、それに絵里奈の、たぶん、日常系の記憶……かな?それも結構前の」

 

「私達初代メンバーのっ!?」

 

 その言葉を聞いて、我も忘れて光樹に急接近する。その速度は凄まじいもので、ネプテューヌ達もその速度に驚いてしまっていた。これには記憶が戻り切っていない光樹もよく分かっていない様子で目を何度も瞬きさせる。

 

「え……あ、早……」

 

「…………あ」

 

 そこでようやく、絵里奈は自身の行動に気づく。すでに周りからはネプテューヌのニヤニヤとする表情や鈴の何度も見てきた故の呆れなどがその場の空気を支配する。

 恥ずかしさを感じた絵里奈は話を逸らしながら、記憶のことについて再度聞く。

 

「あ……あはは~。ところで、他にはどんな記憶を思い出したの~?」

 

「な、流したよ……」

 

「ネプ子、言っちゃいけないこともあるのよ。……流石に、私も予想していなかったけど」

 

「う、うううー……」

 

 二人からの指摘に私も恥ずかしいと思ってしまう。や、やっちゃった……いつも鈴ちゃんとかに言われてる時は何ともないけど、今はすごく恥ずかしい!これも、光樹君がいつもと違う反応してるからぁ~。

 心の中での葛藤が顔にも出てしまい、顔を背ける絵里奈。そんな彼女に助け舟を出すように、光樹が先程の質問に答える。

 

「何がなんだかだが……でも丁度いい。俺も記憶に関して、確かめたいことがあったからな」

 

「聞きたいこと?」

 

「……っていうと、何だ?」

 

 鈴と勇也はどんな質問が来るのか注目する。しかし、その質問は、非常に気まずくなる最悪の質問であった。

 

 

 

 

「あぁ。記憶の中で、ナイフを持った銀髪をツインテールで纏めた女の子が出て来たんだけど、あれって誰だ?」

 

 

 

 

 その質問に鈴達GKSWAXPメンバーが目を見開く。思ってもいなかった発言だったから。いや、正確には少しは考えていたものの、まさか今唐突にその質問が来るとは思ってもみなかった。その為、驚きがより大きく感じた。

 あー、やっぱり記憶失ってるってことは、それも出てくるよね。けど、いきなり唐突に出てくることもないんじゃないかな。何だか、神のいたずらっぽいね。けど本当に困ったなぁ。

 

「……何でこんな時にそんな話しづらい質問するのよ……」

 

「諦めろ、鈴。これが和藤光樹っていう人間だってのは今までも承知してたはずだろ?全く、アイエフの快気直後になんて質問をぶつけてくるんだ」

 

「ほんと、光樹君ってたまにとんでもなくどう接すればいいか分からないときあるよね~」

 

「はぁ!?何で馬鹿にされてるんだよ!?」

 

三人の結局のところは凄く面倒だという発言に光樹がツッコミを入れる。別に、教えないというわけでは絵里奈達は思わなかった。が、タイミングが悪すぎた。光樹が記憶を思い出している間に、実はネプテューヌがゲームショップに寄ろうと話していたのだ。

 店名は【チューコの激レア中古ショップ】。アイエフによると最近できたお店らしく、古いゲーム機やソフトを売っている店らしい。

 犯人を追うなら犯人になれ、という思想に乗っ取り、もしかするとゲームを見ていれば犯人の狙いが分かるかもしれない、という鈴の発言もあり、光樹を除いた全員で決定したのだ。

 が、そこで光樹の声が聞こえないことに絵里奈が気づき、後ろを振り返ってみると、体勢を低くしてうずくまる光樹がいた。その為、絵里奈達は行く途中で呼び止められる形になっていたのだ。

 光樹の思い出した記憶に答えることも大事だ。が、今まさに事件の解決への糸口を探そうとしているところで、光樹の身内に関することを教えて欲しいという発言は、核爆弾発言並みに扱いの難しい話だ。

 どう答えるかを考える絵里奈達を、ネプテューヌ達は不思議そうに見つめている。普通なら、今ここで行ってしまえばいい話だと思うだろう。ところがこの話は簡単に答えてしまえば予想以上に混乱する話だ。

 しばしの間考えのために無口になった後で、鈴がその回答を出す。

 

「……とりあえず、今はネプテューヌの言ってた中古ショップの方に行ってみましょう?光樹、あんたの質問は近い内に話すわ。だから、今だ・け・は!!忘れてなさい」

 

「な、何だよ……その強調したような言い方は……。でも、行かなくちゃいけないなら、行かないとな」

 

 鈴の強調させた言葉の勢いに押され、光樹は口を紡ぐ。とりあえずの問題を片づけると、絵里奈達はその中古ゲームショップに入店していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ。まさかこんなことになるなんて……」

 

 カウンターに当たる部分で、一人のいや、一匹のネズミが溜息を吐く。その声から、ネズミは女性のようだ。彼女は、非常に悩ましい状況に陥っていた。

 というのも、実は彼女の経営するこのお店、【チューコの激レア中古ショップ】で、盗難が起こったのだ。普段から盗難に関してはしっかり防犯を心掛けていたものの、今回はその防犯の手が届かないほどに、ひどい被害であったのだ。

 加えて、盗まれた商品もレトロ感があり、かつ大変貴重なものばかり……店の損害はもちろん、メンタル面へのダメージも非常に大きかった。

 あぁ、ようやくお店も経営が波に乗ってきたところなのに、どうしてこんなことに……。

 盗難を受けたということに、ショックを受けていたそのネズミの店員、チューコだったが、そこに声が掛けられる。

 

「店員さん?どうしたの?」

 

 落ち込んでいたところに心配するようにかけられた声かがけられる。チューコはハッと顔を上げる。見るとそこには紫色の髪にかなり大きめのように見えるパーカーを着た少女が覗き込んでいた。それだけではない。彼女の連れのように少年少女達がお店の中に入ってくる。

今は経営の時間。お客様にそんな姿を見せるわけにはいかないと気持ちを素早く切り替え、謝罪の言葉を添えて答える。

 

「あ、お客さん。いらっしゃいでちゅわ。でも、ごめんなさいっちゅ。今日はもう閉店なんでちゅわ」

 

「……何かあったの?」

 

 その返事に気になった少女が理由を聞いてくる。閉店するというのなら、それなりの理由があると察したのだろう。チューコも、閉店する理由はきちんと説明しなければいけないと理解していた。

 困り顔を見せながらもチューコは起こった悲劇を語る。

 

「それが、商品のゲームを盗まれてしまったんでちゅの」

 

 最後の方を急ぎ早に言って、申し訳ない気持ちを露わにする。店の方はほぼ一人で経営する都合上、警察への被害届を出したりするのなら店を開けなければならない。そのため、店を開けることは出来ない。せっかく来てもらったのに見て行ってもらえないことは店側にとってやってはいけないこと。それに責任を強く感じていた故のこの発言だったのだ。

 もう一人の店員に頼むという方法もあったが、それはいくら何でも彼女に負担がかかり過ぎる。それに普段裏方の「彼女」が表に出て仕事をするというのはこんな形でやらせたくはなかった。

 頭を下げて詫びるチューコであったが、そこで聞いていた少女達の反応が変わる。顔を互いに見合わせ、何かを話し合う。

 一体何があったのだろうと困惑するチューコ。しかし、その出会いは、彼女に良き方向へと物事が進む結果へと変わることになるのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。また書くってなると、正直辛いんだよなぁ……

ジャンヌ「かなり不調ですからね、このパソコン。買い替えを考える必要がありますね」

だね。まだこどもの日という保険は効くから、親に相談してみるか。

レイ「それは、いいのかな……?」

まぁ、あんまり使いたくはないけど、そうするしかないね。USB買ってきてデータを移さないと……。と、次回はチューコの店に侵入した泥棒の情報を聞くところから始まります。

ジャンヌ「ですね。今回はこれで終わりです。次回は水曜日の投稿になります」

レイ「それじゃあみんな、また次回ッ!!」


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第110話 誰が犯人なのか

どうも、皆様、お元気でしょうか。昨日は自宅のパソコントラブルで投稿できませんでした、藤和木弘でございます。

ジャンヌ「本当にあれは不幸な事故でしたね。どうも、皆様。アシスタントのジャンヌ・ドラニエスです。昨日は投稿できなかった事、申し訳ございませんでした」

レイ「あれは完全にダメになったね。どうも、みんな!アシスタントのレイ・オーバだよっ!」

とりあえず、父に言って何とかしてもらおうとしていますけど、あれは買い替えかな?

ジャンヌ「そんな感じはしてますね。でも、なるべく部品交換で何とかしようとしているのでしょう?」

うん。そのため少し最後の方にお知らせしておくから。

レイ「あんまり言いたくないこと、だよね……」

仕方ないことだよ。さて、今回は第110話の投稿です。

レイ「ネズミの店主さんの店に来たところだね」

ジャンヌ「果たして、どうなるのでしょうか?」

それでは本編へ!!


 

 

「ま、まさかこれも秘密結社の犯行だったりするのかな?」

 

 いきなりのドンピシャな出来事だった。先程まで、光樹達は秘密結社の話題について触れていた。それはもう、アイエフの退院後すぐに行こうということを入院中の護衛でも語っていたことであり、加えてここに至るまでの間にも、秘密結社の動きについて確認し合っていた。

 だが、あまりにも運の良すぎる話だ。まさか、偶然あったお店に入ったところ、そこで盗難が起きていたと言われたのだ。しかも、盗まれたものは店の系統からしてゲームに違いない。これでもし、ゲーム機が盗まれていれば、秘密結社の犯行の線は濃厚。すぐにその犯人を追いかける流れになるはずだ。

 店の惨状とネズミが店員だということに驚くことすらも忘れて、そこまで流れが出来てしまう運の良さに、返って疑いを感じる。その事はネプテューヌもその話の流れの良さに疑いを持って言葉に詰まってしまうほどだ。

 ネプテューヌの判断を仰ぐ言葉に鈴とアイエフがとりあえずの決定をする。

 

「あまりにも話が上手すぎるけれど、そう考えるのが妥当かしらね」

 

「そうね。その線が濃厚だと私も思うわ」

 

 鈴達が納得する間に、横を過ぎてネズミの店員に勇也が盗難に対する措置を聞く。

 

「それで、警察とかの通報とかはしたのか?」

 

「ちょうどさっきしたところでちゅわ」

 

 ネズミの店員はそのように律儀に答える。

 うん、やっぱりネズミだな。言葉の最後で「ちゅ」の系列を語尾にしているところからも、ネズミ以外の何物でもない。いや、このネプテューヌシリーズにはしゃべるネズミなんて、既に例がいる。確か名前は……。

 しゃべるネズミのことについて、自身の中で掘り下げようとする光樹。が、その後ろから大きな衝撃が光樹を襲う。

 

「痛っ!!り、鈴!」

 

「なーに考えてんのよ。ほら、この人から話を聞くわよ」

 

 呆れた様子で光樹に対し語る。光樹がボーっとしている間に、既に次の段階へと進もうとしていたのだ。

 鈴からの叱咤を受け、光樹はすぐにネズミの元に移動する。アイエフが店員に聞く。

 

「警察に通報したのなら、先に私たちに詳しく話を聞かせてくれないかしら?私はアイエフ。教会の者よ。そして、こっちの二人はネプ子……じゃなくてネプテューヌとコンパ。それで、こっちの四人が……」

 

「あたしが光木鈴よ。それで、こっちの子が絵里奈」

 

「初めまして~、絵里奈です」

 

「……で、こっちの残念男二人が……」

 

「流石にその区分に分けるのはやめろよ……。俺は古谷勇也。こっちは和藤光樹だ」

 

「あ、どうも。よろしくお願いします」

 

 全員が挨拶をする。この大人数だと、紹介もかなり長くなってしまう。覚えきれるのだろうかと心配しつつも、ネズミの店員の返事を聞く。

 

「わたしはこの店の店長のチューコでちゅわ」

 

 名前の部分をきっちりと強調して自己紹介をする。やはりネズミの姿なだけあって、名前もそれに関連していそうな名前であった。

 チューコからの自己紹介に、コンパが返事をする。

 

「可愛い名前ですね。よろしくです」

 

 握手をして、早速光樹達はチューコからこの事に至るまでの経緯を聞く。

 

 

 

 

 数分程話を聞いたところで、アイエフがチューコに聞き返す。

 

「なるほど……。出勤してきたら、店がこの有様だった、ってわけね。で、盗まれたのは中古のゲーム機と中古ソフト、か……」

 

 アイエフの話を分かりやすくまとめると、まずチューコは早朝、この店を経営するもう一人の店員を迎えに行ったのち、ここに開店の準備のためにやってきた。

 着いて早速、裏口の鍵を開けようとしたのだが、そこで鍵が開いているということに気が付いたそうだ。しかし、その時は前日に閉め忘れたのではないかと思い、店の開店を優先。だがしかし、店の入り口を開けて店内のチェックにかかったところで店の奥の一角の異変に気付き急行。見るとショーケースが割られ、商品が数点なくなっていた。

 ここまでがチューコの話である。中古のものとはいえ、盗まれた以上、損失が出るのは店にとっては痛いところ、それも中古のゲーム機となると、被害は予想よりも多くなるかもしれない。

 すると、そこでコンパが疑問を投げかける。

 

「ところで、中古のゲーム機とソフトって、盗むほどの価値があるんですか?」

 

「ゲーム機とソフト自体はそんなに高いものでもないし、盗むほど価値があるとは思えないわ」

 

「古いものほど、動きは悪いからね。まったく、盗んだ奴は何でよりにも古い時代遅れのゲームなんかを……」

 

 一般人のごく普通の質問であった。確かに古ければそれだけ値段は下がる。古いため、価値が次々と下がっていくのだ。普通なら、誰も盗もうという気はほぼ起きないであろう。

 アイエフや鈴の疑問ももっともらしい反応だ。ゲーム機とソフトは過去に一般販売された量産物。値段もそれほど高くはなく、ゲームの操作性も今よりも断然遅いのが現状。普通の人なら、理解できないであろう。

 ところが、光樹はそうではないことを知っていた。確かに、古いゲームには、今ほどの面白さが欠けているかもしれない。だが、問題はそこではない。重要なのはそのゲームの良さを知っているかどうかなのだ。

そして、それを理解する人物が、ここにもう一人存在した。

 

「ふっふーん。三人ともレトロな中古ゲームの価値がわかってないなー」

 

光樹と同じようにゲームを愛する少女、ネプテューヌだ。ゲームでも見ていた通り、やはりネプテューヌも中古ゲームについての知識はあるようだ。

 光樹の考えは正しく、早速ネプテューヌはあまり分かっていない様子の三人に解説していく。

 

「コアなファンを持つマニアなレトロゲームや今は製造されていないゲームは当時の十倍以上の価値がつくことがあるんだよ」

 

「十倍ですか!?」

 

 ネプテューヌから出た、驚きの値段の増加にコンパが目を見開いて聞き返す。そう、ゲームと言っても世の中には様々なものがある。それが次世代機発売に伴って販売を中止すると、それだけで希少価値が高まる。

 光樹が持っているPS2も、「連ザⅡPLUS」がやりたいがためだけに通販サイトで買ったのだが、数年たってもかなりの値段をしたほどだ。最初に見た時は本当にこれは旧世代機のゲームかと疑ったくらいだ。今になれば、もしかすると更に値段が上がっているかもしれない。

 光樹もネプテューヌの解説に負けじと、それに対する意見を出そうとするが、そこで先に口を出したのは、まさかのチューコであった。

 

「それで驚くにはまだ早いでちゅわ。それが少数生産しかしてないゲーム機なら、百倍の値段がするんでちゅのよ」

 

「え、あ、そうだな」

 

 先程までの落ち込みは何処へか、急に興奮気味に語る解説に思わず押されて口を紡いでしまう。だが、その指摘は正しい。流石、中古ゲームショップの店長なだけはある。

 その跳ね上がった値段の例えに、今度は絵里奈も含めて驚きの声が上がる。

 

「ひゃ、ひゃくばい!?」

 

「ふぁぁぁー、凄いねぇ。そんなの売っちゃえばしばらく働かなくても暮らせるよ!」

 

 二人が驚く横で、その様子に引きながら見る鈴の姿があった。どうやら話に付いていくのに疲れてしまったようだ。しばらくして、鈴は売れるゲームの基準について聞く。

 

「でも、やっぱり面白いゲームが売れるんじゃないの?それこそ、売り上げトップになったゲームとか……」

 

「それは……ない……です」

 

「ひゃっ!?」

 

 唐突にカウンターの方から声が上がる。鈴が声を裏返らせてまで驚くほどに唐突なタイミングでの声だった。

 普通なら声が急に出ても驚きはしない。だが、今声が上がったのは、先程までいた人物の声ではなかったからだ。声の方向を向くと、そこにいたのは、水色のウェアの上からエプロンを付ける少女だ。そのエプロンはチューコのかけているものと同じ物であり、関係者であることを自然と理解させる。

 すると、その声に気づいたチューコが駆け寄る。

 

「まぁ、鈴奈。どうしたんでちゅか?ガラスの片づけは?」

 

「はい。既に終わりました。報告に行ったら、話していたので、どうしようかなと思ったんですが……さっきの話で認識の違いがあったので……」

 

 その話から、やはりチューコと関係のある人物であることが強まる。しかし、先程の声のかけ方、完全に気配を消していたが故に、鈴も思わず驚いていた。かなりの空気能力を持っているようだ。

 鈴奈、と呼ばれた少女から報告を聞いて、チューコが話題の焦点を切り替える。

 

「失礼したんでちゅ。こちらは私の店を手伝ってくれている、本下鈴奈(ほんもと すずな)というんでちゅ」

 

「どうも……初めまして」

 

 ぺこりとお辞儀をされ、こちらも軽く言葉を返す。一通り挨拶をしたところで、先程の急な声かけに驚いていた鈴が割って入ってきた話題に対する訂正が何だったのかを要求する。

 

「……で、さっきあたしの考えに異議ありって感じだったけれど、どういうこと?」

 

「あ、はい」

 

 鈴からの要求に、鈴奈が返事をすると、早速訂正について語る。

 

「先程おっしゃっていたのは、最初から人気のあるゲームの方が高く売れる、ということでしたよね。確かに、人気のあるゲームは買っていかれるお客様も多いです。ですが、中古ゲームの世界では、そういったものはあまり人気は少ないんです。何故だか分かりますか?」

 

「え……そうね…………数が多いから、とか?」

 

「そうです。数が多ければ、それだけ世の中に流通しているゲームの数も多い。中古系は希少価値も問われるブランド。ですから、最初から人気のゲームはあまり高く売られないんです」

 

「へ、へぇ。そうなのね」

 

 淡々と答えるその姿に鈴は押される。まさか、あの鈴がここまで押されるとは。取り戻した記憶の一部には、鈴との交流も含まれていた。

 だが、そこに映った鈴は違う。学校では優しさをリーダーシップを備える彼女も、GKSWAXPの中では責任感溢れ、強引な圧力にも負けない姿があった。

 それとは違った姿が、光樹には鈴の本来の姿ではないのかと思っていたことも思い出す。とはいえ、鈴が本当にそうであるかどうかは分からないのだが。

 鈴に理解を得てもらったのを確認して、鈴奈は状況を見直す。そして、いきなりの発言に恥じらう様子を見せる。

 

「あ……すみません……余計なことを」

 

「いや、盗まれた物の価値を教えてくれたんだ。別に謝ることはない」

 

「そうね。私もこれがどれだけ、被害に遭った人の苦しみがあるのか、分かったんだから。感謝するわ」

 

 鈴奈の言葉に勇也とアイエフが理解を示す。彼女を責める気はこちらには何もない。むしろ、盗難品に関する情報を教えてくれたことは感謝すべきだ。加えて、光樹も中古ゲームに関する知識を少し高めることが出来た。

 と、先程まで話していたことからずれた話題を戻す疑問をコンパが呟く。

 

「でも、そんなに高くて売れるんですか!?」

 

 確かに、それだけ希少価値が高く、値段が高い物であるならば、売ることは難しいだろう。だがしかし、それは問題ではなかった。何しろ、そういったゲームの役割は「売られる」ことが仕事ではないからだ。

 コンパの疑問に対し、ネプテューヌが自信満々に解説する。

 

「わかってないなー、こんぱ。売れなくても店にあることに意味があるんだよ。そういうのがディスプレイされてるだけで、物珍しさや、品揃えがいい店だと思って、お客さんがたくさんくるんだ」

 

 ネプテューヌの言う通りだ。希少性のあるゲームが価値のある値段で売られているということは、その店がそれだけ業界に精通した店であることを示している。

簡単に言えば、広告だ。店で売られていることが人に見られることで興味を惹き、口コミで情報が広がり、更に人を集める。店のウリを示す、これ以上ない看板商品だ。

 その事を光樹がコンパに先程考えたことを分かりやすく言う。

 

「つまりは店の広告みたいなものなんだよ。一際目立つものがあれば、誰だって注目する。実際、コンパもその値段の高さに驚いただろう。そうして興味を惹いていくのが、レアな中古ゲームの仕事なんだ」

 

「そうそう!ちなみにレアなゲーム機やソフト=お店のステータスってことでもあるんだ」

 

 二人の説明を聞いて、理解したコンパが拍手をして頷く。

 

「すごいです、ねぷねぷ、光樹さん。物知りです」

 

「まぁ、ゲームをよく買っているからな。鈴も分かったか?」

 

「ふん、それくらい、いつもゲームを買ってきてた時にアンタがよく言ってたから、知ってるわよ」

 

 光樹からの言葉に、素っ気なく鈴が回答する。どうやら光樹に言われたことが気に入らないようだ。

 だが、そこで鈴の強がりを勇也が崩す。

 

「でも、その発言は知ってたけど、覚えてなかったってことだよな?」

 

「なっ!?」

 

「うん、そうだよねー。そういえばー、鈴ちゃんは、光樹君のゲームのは話、何かを賭けてでの対決の時以外はそういうは話は聞いてない感じだったもんねー!」

 

 鈴の動揺に、更に絵里奈が傷穴を開く発言をする。鈴の言葉が完全に失言となってしまったのだ。過去に話していたのにそれを覚えていないというのはどういうことなのだろうか。とは言っても、言った本人である光樹自身は、まだそんなことまで思い出しきれていないので、詳しいことは不明であるが、笑えてしまう。

 笑う様子を見た鈴が、歯ぎしりをした後、光樹の胸倉を掴んで詰め寄る。

 

「な、何よ!そんな細かいところまで、それも興味の無い様な事まで覚えられるほど、人は記憶できないわよ!馬鹿光樹ッ!!」

 

「ちょ……あんまり怒るなって……!」

 

 光樹は掴みかかる鈴を制止する。が、それでもやめようとしない。するとそこで勇也が仲裁に入る。

 

「へいへい。そんな個人同士の争いは止して。……話を巻き戻すが、チューコさん、被害に遭ったのは全部、そんな感じのレアなゲーム機ばかりってことか?」

 

 その事を耳にして思い出す。そうだ。元々俺達チューコから事件の被害について聞いていたのだ。けれど、コンパとかのゲーム機の価値をあまり知らない者達に教える方向にシフトしてしまっていた。まだゲームの盗まれた時の状況や具体的な被害を知っていなかった。

 勇也の話で、鈴も思い出したように光樹の拘束を解き、息をついて話を聞く体勢を取る。

 

「そうなんでちゅ。だから、うちの店でも、そういうレアなゲーム機やゲームソフトはショーケースに入れて飾っていたんでちゅが、この通り、ショーケースが壊されて全部盗まれていたんでちゅわ」

 

 涙ながらに、その被害について語るチューコ。それに準ずるように、鈴奈も落ち込みを見せる。更にチューコが、ゲームを盗まれた悲しみを最近の事情を交えて話す。

 

「ただでさえ最近は、ゲームの不正コピーや違法ダウンロードのせいでお店が苦しいのに……」

 

「許すまじ泥棒!!ゲーマーとして許せない犯罪だよ!まさに、万死に値する!!」

 

 チューコの悔しさにネプテューヌが激しく同意する。その言葉に、無意識にヴェーダの申し子の発言を使っている辺り、本気で泥棒を許す気はないように見えた。

 とはいえ、光樹もネプテューヌの意見には同意だった。貴重なものを盗むなど、それを好む人の気持ちを踏みにじる行為は許せなかった。

 そういえば、このゲイムギョウ界では以前、コピーしたゲームで女神達を苦しめた組織がいた。光樹も「リバース2」その出来事を知っている。その組織の名は、「犯罪組織 マジェコンヌ」。一応、その危機は女神達の活躍により乗り越えた。

 実は光樹も、この世界に来た頃、光樹自身が知っている知識が合っているかをイストワールに確認を取ったことがある。イストワールと照らし合わせたところ、その知識はほぼすべてが当たっていたが、所々変化のある部分があった。

 その一つが、チューコの言っていたゲームの違法コピーだ。どうも犯罪組織の使っていたマジェコンほどの高性能なものではないものの、悪質なコピー品がまだ裏で流通しているらしい。

 そういった物の排除も必要だが、今は盗まれたものを取り返すのが先決。そうでも言うかのように、アイエフがネプテューヌの言葉に呆れつつ、盗まれたものを取り返すことを告げる。

 

「ネプ子の私情はさておき、教会の方でもこの件は調べてみるから、何か分かったら連絡するわ」

 

「御親切にありがとうでちゅわ」

 

「感謝、します」

 

 店の二人がお辞儀をして操作の方をお願いする。そうして、7人は店を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、いきなり盗難に関する被害が出た店に当たったな。よりにもよって一発目で当たるなんて」

 

「そうだねー。最初から当たるなんて、運がいいのか悪いのやら~」

 

 光樹の言葉に、絵里奈が肯定する。あまりにもスムーズ過ぎる物語の展開ではあったが、それだけ事件を追うのが楽になったと絵里奈は思っていた。

聞き込みは戦闘がメインとなる機動兵器のパイロットはあまり得意ではないが、自分達はGKSWAXPのトップメンバー。次元の海に溢れる世界での探し物は、いくつも探してきたため、聞き込みを嫌うわけではないが、負担が少ないことはいいことであった。

 二人の言葉に反応しつつ、鈴が今のゲイムギョウ界の荒れようを呟く。

 

「まぁ、そんなことでも、事態は前に進んでいるわ。いい方か悪い方かは分からないけれど。しかし、ゲイムギョウ界は争いの多い世界ね」

 

「平和な時は平和なんですけれどねぇ。早く昔みたいに平和になってくれればいいんですが……」

 

 鈴の言葉に、コンパは若干悩ましそうにしながらも、一刻も早い平穏の再来を願う。コンパのささやかな願いに反するように、アイエフが他の国の現状について話す。

 

「けど、まだプラネテューヌはマシな方なのよ。聞けば、リーンボックスは正体不明の勢力から侵略を受けているって話だしね。そのせいで、海路も空路も止まっているらしいわ」

 

 貿易が止まる。その言葉の意味は重い。どんな国家でも、貿易というのは大切な物である。生命線の一つだ。その事を考えると、確かに今のプラネテューヌはどれだけ幸せなことだろうか。

 うーん、リーンボックスかぁ。確か、チームアズール……真由美ちゃんと京香ちゃんが行ってる国だね。二人の方は無事に女神さんと合流できたのかな?国が鎖国状態なら、国に入ることすらも難しそうだけれど。

 リーンボックスへと向かった仲間の無事を心配する中、ネプテューヌもリーンボックスにいる女神の一人について口にする。

 

「ベールは大丈夫かなぁ。上手くやれてるといいんだけど」

 

「確かに……リーンボックスの仲間は少なそうだし。早くこっちの仲間の……えぇと」

 

「岡野真由美と、佐川京香よ。覚えておきなさいよ」

 

「悪い悪い。二人がベールと合流していれば、楽なんだろうな」

 

 忘れていた名前を鈴に言ってもらった光樹が、ネプテューヌにそう励ます。聞いたネプテューヌも、頷いて再び呟く。

 

「うん。……ベール」

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

レイ「オリキャラも登場だね。鈴奈ちゃんだっけ?」

ジャンヌ「人手不足の可能性も考慮しての追加ですね」

そうだね。チューコ一人で経営するの大変そうだしね。さて、ここで少し残念なお知らせが。

レイ「そうなんだよー。実は、藤和木のパソコンが壊れちゃって、しばらく投稿ができなくなる可能性があるんだー」

ジャンヌ「ですので、予告がなくなります。投稿ができるかどうか……。現在、これは学校のパソコンで打っています」

あんまり学校で書くっていうのも落ち着かないので……それでは皆様、次回がいつになるか、分かりませんが、よろしくお願い致します!


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第111話 姉妹の再会、頼み事

どうも、皆様、お元気でしょうか。パソコン復旧が無事完了いたしました、藤和木弘でございます。

ジャンヌ「今回も6日投稿になりました。皆様、ご迷惑をお掛けし申し訳ございません。ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「それでも、今日はまだネットが万全じゃないって感じだから、学校のパソコンなんだけどね。どうも、みんな!学校でパソコンを借りて投稿中なレイ・オーバだよっ!ちなみに、学校の藤和木の同級生からは姿は見えていないからね?」

さて、今回は第111話の投稿になります。

レイ「今回は光樹君と零次元を冒険した、ネプテューヌちゃんとも関わり深いあの子が登場だよっ!」

ジャンヌ「長い時間の末に再開した姉妹の甘いひとときですっ!」

それでは早速、本編へ。


 

 チューコ達からの依頼を受け、犯人を捜すために、街で情報を集めている。そんな最中に、唐突に動きはあった。

 

「あーっ!」

 

 そのような叫び声がこちらに向かって響く。その反応はまるで何かを見つけたような声である。いきなり響いた声は、のんびりと調査をしていたネプテューヌすらも慌ててしまうほどだ。が、驚いたのは、声の大きさに、などではない。

 

「ねぷっ!?この声はもしや!?」

 

「あぁ。まさか……」

 

 聞き覚えのある声だ。ネプテューヌに続き、光樹も顔を合わせてコンタクトを取る。二人の考えは一致していたようで、すぐに声のした方を向く。すると、そこには光樹達のよく知る少女がいた。

 ネプテューヌと同じくらいの紫髪をロングに伸ばし、白が主色のセーラースタイルの服を着る、ネプテューヌより少し背の高めな少女。そう、ネプギアだ。

 しばらく以来、会えていなかった少女は、こちらに向かって駆けてくると、ネプテューヌに無事を確かめる言葉をかける。

 

「やっと会えたよ、お姉ちゃん!光樹さんも一緒で。よかった、無事だったんだね!」

 

 姉であるネプテューヌに抱きついたのち、光樹の方にもお辞儀をする。どうやらネプギアの方も無事なようだ。

 やっと会えた妹に、姉は今まで会えなかったことを謝罪する。

 

「心配かけてごめんね。けど、ネプギアも無事そうで何よりだよ」

 

「よくここまでこれたな。大変だったんじゃないか?」

 

「いえ、意外とここまでは簡単に来れたんですけど、探すのが苦労しちゃって……でも、会えて嬉しいです!」

 

 ネプギアは余裕を見せて光樹の問いに答える。その様子から、詳しくは分からないが、こちらほど苦労はしていないようだ。やはり近くにいた自分達の方がかなり苦労する立ち位置に居たのだろう。

 ネプギアはどうだったのかを光樹は考える。すると、ちょうど良い具合にネプギアはこれまでの事を簡単に教えてくれた。

 

「こっちは大変だったんだよ?突然、会場から消えちゃうから心配もしたし、おまけに、何故か誰も私たち女神のことも覚えてないしもう何がどうなっているの?」

 

 ネプギアの遭った状況でようやく直後の様子を理解する。どうやら、ネプギア達からは、光樹やネプテューヌ達だけがあの場から姿を消したことは間違いないようだ。加えて、異変が収まった後は、別に他の人は特におかしくなったことはない。……ただし、記憶の改変があった、ということを除いては。

 概ね、こちらが体験したことを先に体験していたみたいだ。女神に関係する女神候補生の存在も記憶から消えていることから、女神の排除の線がより濃厚になる。

 やっぱり、女神の存在を消すことが黒幕の目的なのだろうか。それにしては、詰めが甘い様な気もする。まるで意図が読めない状況に、光樹は不信感を感じる。

 先程のネプギアの不安のこもった言葉に、ネプテューヌも困った様子で返事をする。

 

「それが、わたしたちにもさっぱりなんだ」

 

「そっか……。それで、アイエフさん達の隣にいる人達は誰なの?」

 

 唐突にネプギアが疑問を口にする。アイエフ達とは違う人物と言えば、それはおそらく鈴達のことであろう。

 鈴達はあの場で間接的ながら目撃されているだろうが、それでも遠目。どういった人物なのかは全く知らないのも当然。誰なのかを説明する必要があった。

 そこで光樹は鈴達を手招いて紹介をすることにした。

 

「あぁ。まだ言ってなかったな。こいつらは俺の元の世界での仲間だ」

 

「えっ!?この人達が、光樹さんのお仲間なんですか?」

 

「えぇ。一応ね。……あたしは光木鈴。よろしくね、ネプギア」

 

「はい。よろしくお願いしますっ!」

 

 鈴が挨拶すると、互いに握手をする。続いて勇也、絵里奈が次々と自己紹介をする。

 

「俺が古谷勇也だ。よろしく頼む」

 

「私が福内絵里奈だよー。よろしくー!」

 

 二人からの握手とハイタッチにネプギアはそれぞれ答える。と、そこでネプギアが気になったことを呟く。

 

「……あれ、そういえば私、皆さんに名前を名乗っていましたっけ?」

 

「あ、そういえば言ってないな」

 

 光樹もその点に気づく。よくよく思えば、まだネプギアの名前は面と向かって聞いていないはず。遠くからでも聞こえる程、先程の話し声は大きかったのか、それとも光樹自身と同じように、全員ネプテューヌのゲームをプレイしていたのだろうかと思う。

 しかし、それを鈴が説明すると、話は解決した。

 

「それなら簡単な話よ。私たちは別の世界のあなたと共に戦ったことがあるのよ」

 

「はぁ!?お前らが?」

 

 思わず声を荒らげる。鈴からの、別世界で会ったことがあるというカミングアウト。一体どういうことなのか。光樹は疑問を浮かべる。

 そんな様子を見て、絵里奈は少しがっかりした様子で光樹に聞く。

 

「あー、そこはまだ思い出せていないんだね」

 

「どういうこと?」

 

「私たちの組織って、次元の海に浮かぶ様々な次元の世界を守っているんだよー」

 

「へぇ!?そうなんですか!?」

 

 スケールの大きい話が唐突に横切った。次元の海?そこに浮かぶ次元の世界?突飛すぎる話は光樹も理解するのに数秒を要した。

 落ち着いて状況を整理する。つまり、光樹自身が所属する組織は、次元の海を巡る組織ということだ。

 だが、何のために?考えていると、勇也が分かりやすい例を挙げる。

 

「俺達の仕事は次元世界の安定。簡単に言うなら、次元世界の流れを守る、いわば警察みたいな組織だ」

 

「警察組織……それが、俺の組織……」

 

「そう。そして、その頂点に立つのがアンタってわけ」

 

 鈴の言葉で、ようやく考えて来た謎が一つ解けた。この世界にやってきた時に持っていたドッグタグ。そこに書かれていた、「総司令」の英字。つまり、光樹は次元世界の平穏を守る組織の長なのだということだ。

 とはいえ、今の所、思い出せているのは鈴達と共に仕事をした場面のみ。そこでも特別世界を守ったという記憶はない。が、おそらく光樹が見た光景は、その組織での活動なのだろう。

 ふと最初の時の記憶が思い起こされる。それは組織の名前。その名は……

 

「GKSWAXP……」

 

「そう。それが、アンタの組織の名前よ」

 

「光樹、なんだかとんでもなく偉い地位の人だったんだね……」

 

 突然の事実にネプテューヌも困惑する。当たり前だろう。話の中心である光樹も、記憶がないため実感を持てずにいるのだから。

 そんなことで空気が重くなり話が途切れる。何とかして話を戻したいところだ。そんな所で、話を遠くから聞いていたアイエフが話題を元に戻した。

 

「光樹も案外大変な地位にいるのね。とはいえ、これでプラネテューヌの女神も揃ったわね」

 

 アイエフの発言通り、これでプラネテューヌの最大戦力である女神二人がここに集まった。女神が二人いるのなら、これほど心強い存在はない。

 ネプギアの帰りに、先程の話をあまり聞いていなかった様子のコンパがいつも通りの口調で迎える。

 

「色々と話がややこしくなっているみたいですけど、ギアちゃん、おかえりです」

 

「はい、ただいまです」

 

 光樹の話を何とか理解して、そう答える紫の女神候補生。その顔には安堵した様子が見て取れる。久々の全員集合といった雰囲気があって、いいものだ。

 再会の感動と唐突の告白を終えると、早速ネプテューヌが気になっていたであろうことについて聞いた。

 

「そういえば、ネプギアはノワール達のことなにか知らない?」

 

 他の女神の状況は、残念ながらいい情報が聞こえてきていない。ノワールが捕まったラステイションの方も、これといってニュース関連で新しい情報は一切入っていないことから、心配が加速していた。話をあまり聞かないルウィーやリーンボックスは大丈夫であろうか。

 とは言っても、こちらを探すのに精一杯なはずなネプギアに聞いても、あまりいい結果は得られないだろうと考え、これからの行動についてネプギアとも相談しようと考える。

 だがしかし、答えは予想外の物が返ってくることとなる。

 

「んー……。私もたいしたことは知らないかな。ノワールさんはラステイション教会に捕まって、今はユニちゃんが救出行動を実行している頃だし、ロムちゃんとラムちゃんは、ついさっきルウィーに着いて、ブランさんを探してるみたいだけど、なかなか会えないみたい。リーンボックスに関しては、魔王が復活したとかどうとかで騒ぎになっていたような……」

 

 待て待て待て待て待て。唐突な話の切り返し後の発言がとんでもなさすぎる!今、ネプギアはなんて言った?確か、最初に大したことは知らないと言っていたな。それでこっちもそうか、と思って肩を落とした。そこまでは分かる。

 が、その次のネプギアの発言は飛躍し過ぎた内容だ。ユニが今ラステイション教会にノワールの救出のために行動中で?ロムとラムがブランを探していると?そんでもってリーンボックスは魔王が復活?

 光樹達が知りえない情報を、ネプギアはすらすらと口にしたのだ。次々と流れた情報に、コンパや絵里奈は放心状態となり、勇也と鈴、そしてアイエフが状況を整理する。

 

「ちょ、ちょっと待ってもらってもいいかしら?ネプギア!?」

 

「あんた、なんでそんなに詳しいのよ!?」

 

「諜報部のアイエフが知らないほどの情報……どうやって手に入れたんだ?」

 

 三人の声が立て続けにネプギアに投げかけられる。いきなりの質問攻めに困った顔を見せつつも、その理由について語った。

 

「なんで……って、ユニちゃんたちとは、お互いの携帯端末を改造していたから無線で途中まで連絡取り合ってただけだし、ノワールさんやリーンボックスの件は、偶然、向こうの無線を傍受しただけだし……リーンボックスの件は……、ちょっと、ハッキングもしたかな」

 

 最後の方を照れて話を逸らすようにして説明を締める。なるほど。ネプギアならではの方法だったというわけだと光樹は納得する。端末の改造は、以前の零次元でもうずめのヴィジュアルラジオの改造の例がある。自分の分は除いて、他三人の端末の改造も比較的楽に行えたのは予想できた。

 続いく無線の傍受も、零次元で超次元との通信を調整する様子から、あり得ない話ではない。ハッキングも、同じく向こう側で古いデータをサルベージする程の腕前があれば、納得がいく。

 と、自分を納得させるようにネプギアの行動に理由づけたものの、その考えはあまり考えるのが大変になってしまっていた。

 いや、まだ無線の傍受くらいなら、まだ許せるんだ。うん。だけどな、リーンボックスの件を調べるのに行ったハッキングだけは、納得してしまいたくなかった。

 リーンボックスといえば、四国家でも軍事面ではトップクラスの国だったはずだ。シェアプロテクターの開発も、リーンボックスが主導で行い、四国家のパイロット候補を集めていた国でもあるため、確かである。

 そうなれば当然情報の機密性などは軍事クラスのはず。なのに、ネプギアは単独でハッキングを成功させてしまったのだ。人一人が大国家のシステムにハッキングなど、気の遠くなるほどおかしい話だ。それでもハッキングの件がニュースにならないということは、リーンボックス軍もおそらくは気づいていないのだろう。

 本当に何をやっているのか。かつてリーンボックス軍の衛星に機体のシステムにハッキングを要請させた少年は女神候補生の仕事に心配をしつつも、驚きを口にする。

 

「ネプギアって、女神じゃなくても世界と十分に戦っていけるよな」

 

「ほんと、それは言えてるわね。あんたと同じ考えになるのは気に食わないけれど」

 

「そういうのが、ネプギアって人間なのさ」

 

 鈴と勇也も光樹の意見に肯定し、言葉を続けた。唯一、絵里奈だけは光樹達の言葉にどこかおかしいツッコミを入れる。

 

「えー?ネプギアちゃんは女神だよー?」

 

「……ごめん、絵里奈。今はそういう真面目な返しは求めてないんだ」

 

「えー?」

 

 首を傾げ、反応する絵里奈。一方、情報の出所を聞いたアイエフは頭を抱え、自分のプライドにダメージを負っていた。

 

「……うぅ。諜報員としての面子が……」

 

「どんまいです、あいちゃん」

 

 すかさずフォローに入るコンパ。肩に手を置き、アイエフを慰める。だが、アイエフへの慰めムードを邪魔するかのように、ネプテューヌが妹の実力に驚嘆する。

 

「さすが、ネプギア。まさか、メカヲタ設定がここにきて、あいちゃんの諜報力を上回るとは……恐るべし我が妹」

 

「いや、何普通にネプギアを褒めているんだよ。お前の妹、普通に国家犯罪レベルの大事やらかしているんだぞ?」

 

「そこは気にしなーい!!」

 

 光樹のツッコミをも無理矢理回避するネプテューヌ。二人の言葉に若干照れと苦笑の混じった顔で妹のネプギアが返す。

 

「あ、あはは……。で、でも、大袈裟だよ、お姉ちゃん」

 

 流石に言い過ぎだという返しに、謙遜し過ぎではないかという気もしたが、続く言葉がつい先程の言葉に納得させることとなる。

 

「ただ、零次元でネット環境に依存し過ぎてたことを痛感したから、いざという時の為に、みんなの端末を改造していただけだよ」

 

 零次元での出来事。それは今でも昨日のことのように思い浮かぶ。ライフラインも十分でない中で、襲い掛かる脅威と戦った日々。そこでの生活は、インターネットなどを利用する情報社会の中で育った者にとっては、厳しい生活であった。

 特に、零次元のこと自体を知る時も、電波が拾えなかったことから、基本的に端末に直接接続してでしか情報を得られなかったことは数メートル範囲に居ても通信できなかったことから、不便さはかなりあった。

 そう考えれば、ネプギアの前もって行った行動は正しい。そのおかげで、まだ知りえていなかった他3国家の現状を少しだけでも把握できたのだから。

 

「確かに。あの時はネット活動が随分制限されていたからな」

 

「あら、SSRのガンダムでも駄目だったの?」

 

 光樹の思い出した言葉に、鈴がそのように聞く。聞き方からして、SSRのガンダムなら、どのような電波状態でもネットを使うことが出来るという感じのように取れた。だが、光樹もあの時はあまりシュバルトゼロに詳しくはなかった。もしかすると見落としていたかもしれない。そこで、光樹は曖昧な形で答える。

 

「あぁ。あの時はまだゴッドクロスの性能をあまり分かっていなかったから、もしかすると出来たかもしれないけど、今になっては確認できないしな」

 

「ふーん、そう」

 

 その回答を得て、鈴は不満そうにしながらもそれ以上の追及はやめた。一方、ネプギアがリーンボックスの方で行動する女神の事を口にする。

 

「……でも、ベールさん、一人で大丈夫かなぁ?」

 

「そうですね。リーンボックスに限っては、女神候補生もいないですし……」

 

 コンパもつられてベールの心配をする。コンパの言うように、リーンボックスにはネプギア達女神候補生が一人もいない。現実のゲーム事情を絡めて言うのなら、リーンボックスの元になった会社は、ベールに当たる家庭用ゲーム機とは違う、携帯ゲーム機がないため、女神候補生がいないのも当然のことである。

 ネプテューヌというゲーム的にはややこしくなく問題ないが、それでも今となってはリーンボックスに女神候補生がいないというのは、戦力的に見ても不利な状況であった。

 とはいえ、一応こっちからも、チームアズールの二人、岡野と佐川が行っているはずなので、合流さえすれば少しは楽になるはずだ。鈴もネプギアに援軍の件を伝える。

 

「言っておくけれど、他の3ヶ国にはあたし達以外のガンダム装着者が2人ずつ付いているわ。合流さえできれば、戦力にはなるはずよ」

 

「そうですか。それなら少しは安全ですね」

 

「えぇ。問題は、合流できるかっていうのと、万全を期すなら、もう一人欲しいってところかしら……」

 

 ネプギアの安心に、少し不安のこもった回答を出す鈴。彼女としても、少なくとも1国家につき最低4人は欲しいようだ。4人なら前のマジェコンヌとエクスとの戦闘時のように2人来ても2人ずつで相手が可能なことを考えると、理想的な状況に持っていくにはあと1人……といったところだろう。

 不利な状況であるリーンボックスに対し、ネプテューヌも不安を吐き出す。

 

「今直ぐにでもベールのところに飛んで行ってあげたいけど、さすがにプラネテューヌを空けるわけには行かないしなぁ……」

 

 友人の助けに行きたいネプテューヌでも、今は自分の国が優先という考えを優先する程だ。この八方ふさがりの状況に、ネプテューヌが深く考え込む。

 

「んー……」

 

 と、そこでネプテューヌは理想的かつ、突飛な回答を出す。

 

 

 

 

「………………!そうだネプギア。ちょっとリーンボックスまで行って、ベールを手伝ってくれないかな?」

 

 

 

 

 それは、再会した早々に話すには重い、だが的確な頼み事であった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

レイ「今回は再会のシーンでまるまる使ったねー」

ジャンヌ「それに、完全に光樹さんの視点だけでしたね。でも、久々に内心で焦る光樹さんが見られたように感じましたね」

一応、前回も光樹君の内情は出てるところはあったと思うんだけどね。でも、光樹君もさすがにネプギアのハッキングには驚いたんだろう。まぁ、零次元でもわかってたし、どっちかっていうと、あそこの動揺はネプギアがいろいろと情報を知っていたところに関する部分が大きいけどね。

レイ「でも、せっかく再会したばかりの妹を行かせようとするなんて、芯が強いよね」

ジャンヌ「確かに、そうですね。わたくしだったら、再会したばかりのレイさんや藤和木と別れるだなんて……」

さて、ネプテューヌはどういった心境でその言葉を発したのか。それはまた、次回ということで。

ジャンヌ「次回はパソコンの復旧具合を考慮して、火曜か水曜日に投稿予定になります」

レイ「それじゃあみんな、また次回っ!!」


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第112話 妹よ、リーンボックスへ

ハーメルンよ、私は帰ってきたー!!

レイ「すっごい初期の黒の館のネタだね……元ネタはガトーさんだけど」

まさかある意味で本当の意味として使うとは思ってなかった。どうも、皆様、お久しぶりです。今回の話まで何とか書き上げました、藤和木弘です。

レイ「みんなーひっさしぶりー!!レイ・オーバだよっ!そしてー?」

ジャンヌ「ふふっ。ようやく投稿できますね♪どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスですっ!」

いやー、データ消えたときは「もうだめだ……おしまいだぁ……」と思ってましたけど、何とか書き上げられましたよ。

ジャンヌ「これも、休み中にも見てくださる方がいたおかげですねっ!」

本当にそれですよ。あれのおかげで、書かなくちゃっても気持ちが維持できましたから。感謝しかないです。
では今回は第112話の投稿です!

レイ「前は……ネプテューヌちゃんがネプギアちゃんにリーンボックスに行って!って突き放したところだね」

ちょっと待ってレイさん!?表現がおかしくないですか!?

ジャンヌ「いえ……今回はあとがきで色々とわたくしの不満を暴露するので、前書きでは事実を述べなくては……。そのために、レイさんにはあえてそう言ってもらったんです……♡」

え、ちょっと待って、何の話か分からない!

レイ「まぁ、あまり言いたくないけどねー。ネプテューヌちゃんは頼み込みだからね!で、藤和木は「人魚姫」といえば分かるかな?」

え?人魚ひ……あ(;・∀・)

ジャンヌ「分かりましたか……?わたくしの気にしている点は……?」

いや、待って!弁明させて!決してジャンヌさんを見捨てたわけでも、和翠(なごみ)ちゃんに浮気したわけでもなくて……

ジャンヌ「それでは皆様、最新話をどうぞ!!その間にわたくしは藤和木をシメておきますので……浮気と、ここまで遅くなったリカバリーについて……♡」

やめろー!まだ死にたくなーい!!

レイ「大丈夫だって、死にはしないよ♡じゃあ久々の本編、行ってみよー!!」


 

 ネプテューヌが発したリーンボックスへの手助けは、意外な答えとなった。まさか、再会した場からの妹と、すぐに分かれることを決めるとは。

 聞いていた鈴としても、これは完全に想定していなかったことだ。鈴にも、弟と妹の二人の兄妹がいる。もし自分がネプテューヌと同じ立場であったなら、再会したばかりの兄妹を簡単に行かせるようなことにはためらいを覚えただろう。

 だが、ネプテューヌはそれを選択したのだ。ようやく会えた自分の家族を、仲間の危機を助けるために向かわせる。その方が重要だと考えたから。

 そこまで考えての発言とは鈴自身は思えなかった。だが、基本的にみんなでいることを重視するイメージのあったネプテューヌがその判断をするということは、それなりに考えての発言だろうと鈴は考えることにした。

 一方、その発言を受ける側となったネプギアは受け切れていなかった。

 

「私!?」

 

 どうやら完全に姉と共に居ようと思っていた反応であった。普通に考えれば、ようやく会えた身内をすぐに追いやるようなことをするわけがないと思うはずだ。

 ネプテューヌの突飛な発言に、アイエフやコンパ、それに光樹がツッコミを入れる。

 

「ちょっと、ネプ子。あんた、何言い出すのよ!」

 

「そうですよ。ギアちゃんと会えたばっかりなんですよ?ギアちゃんのことですから、ずーっとねぷねぷと会いたかったに違いないです」

 

「いつものネプテューヌなら、もう少し妹を大事にするんじゃないか?」

 

 3人の言い分は確かだ。その意見に口を出さなかった勇也と絵里奈も頷く様子を見せる。だが、ほとんどのメンバーが行動に反対する中、ネプテューヌは言葉を切り返す。

 

「うん、それはわかるよ。わたしだって、ずーっとネプギアに会いたかったもん。でも、これはネプギアにしかできないことなんだよ」

 

 ネプテューヌの言うことは正しい。今現在、四女神それぞれに人手がいる。だがプラネテューヌには既に人手が足りている状況だ。反対にリーンボックスは元から頼れる存在が身内の中には少なく、女神候補生もいないため、かなり厳しい状況。

 だからこそ、ネプテューヌはネプギアにリーンボックスに行ってほしいというのだ。更にネプテューヌが付け足しで語る。

 

「わたしね、初めてプラネテューヌに来た時は光樹達以外には、元々のこの世界の誰にも頼れなくて、少し辛かったんだ。でもね、光樹達と探して、いーすんにあいちゃん、こんぱ。たった7人しかわたしを覚えていたり、頼りに出来る人がいなくても、それだけで、今は何とかできるかも、って思えるんだ」

 

 自身の体験。それが今、ネプテューヌの支えになっているということ。そのことを聞いて、先程まで反対していた者も納得や口を閉ざして考え込む。もちろん、鈴もだ。

 友人を助けたい。その為には、例え別れが辛くても、一旦分かれようとする気持ち、か。あたしもそれには納得できるわ。自分と同じ危機に陥っている中で、友人を助けたいって気持ちが出てくるっていうのは、多分あたしも同じだから。

 そして、ネプテューヌは重ねて自身の妹にお願いする。

 

「………………うん、わかった」

 

「ギアちゃん、本当にいいんですか?」

 

「そうだよー?せっかくお姉ちゃんに会えたんだし、もっと居ても……」

 

 コンパと絵里奈が、すぐに行くことに関して寂しくないのかと聞く。が、ネプギアは姉の言葉に従うことを告げる。

 

「確かに、やっと会えたのに、もうお姉ちゃんと別れるのはちょっと寂しいです。でも、ゲイムギョウ界の危機に、そんな甘えたことは言ってられないと思うんです」

 

 しっかりした少女の真っ当な回答であった。言葉から出る真面目さが、決意を確かなものにしていた。更に、ネプギアは少し気を抜いて、そこまで深刻ではないということを言う。

 

「今生の別れでもありませんし、今、一緒にいられないぶんは、あとで目一杯甘えさせてもらいますから」

 

 そう言われればその通りである。何か最悪の展開がありでもしない限り、会えるはずなのだから、今別れを惜しむよりも、後で心置きなく触れ合えることを思った方が気楽である。

 ネプギアの正論に対し、アイエフがやれやれといった具合で感心する。

 

「……まったく、ついこの間までネプ子に甘えっぱなしだったのに、いつの間にこんなに成長したんだか」

 

「あいちゃん、まるで娘の成長を見守るお父さんみたいです」

 

 コンパがアイエフの様子を見て例えを口にする。鈴もコンパの言葉を聞いて、そのような気がしてくる。

 成長した姿に、ネプテューヌも安心を口にする。

 

「強くなったね、ネプギア」

 

「きっと、うずめさんたちのおかげです。あの時、零次元に取り残されたから、今、こう考えられると思うんだ」

 

「零次元での出来事は、ネプギアに強い心を与えてくれたんだな」

 

 強くなった理由に光樹が言葉を続けた。零次元、という言葉に鈴達は心当たりがなかったが、おそらく光樹が一時的に移動していた先の世界だろうと考えた。実際、それは正しかった。ここで2人が言った「零次元」とは、光樹達が超次元から消えていた時にいた世界である。

 その世界に関しては、鈴達GKSWAXPも把握しきれていなかった世界であり、要調査とする世界のリスト入りをしていた。次元世界を守ると言っても、全てを知っているというわけではないのだ。

 

「そっか。うずめたちに感謝しなきゃいけないね」

 

 現地の住民と思われる人物への感謝を呟くネプテューヌ。一通り話を終えると、早速ネプギアはその役目を果たしに行こうとする。

 

「それじゃあ、お姉ちゃん。私、行くね」

 

 せわしなく行こうとするネプギアをコンパとアイエフが止める。

 

「もう行っちゃうですか?」

 

「いくらなんでも急過ぎよ。少しくらいゆっくりしていきなさいよ」

 

 2人の言葉には納得できる。早く行くにしても、今プラネテューヌに来たばかりであると思うのにもう行くのは急すぎる気もする。少しくらい、ここまで来るのに消費した気力や体力を回復させてからでもいいとは思う。

 しかし、そこは姉よりも真面目さの目立つ妹だ。2人の言葉を受け止めつつも自身の意見を通す。

 

「そうしたいのは山々ですが、早くベールさんの力になってあげたいんです」

 

 一刻も早く、誰かの力になってあげたい。そんな素直な気持ちに、不思議と笑みがこぼれる。鈴の顔を見た絵里奈が、表情の理由を聞いてくる。

 

「あれ?どうしたの鈴ちゃん。顔が笑ってるけど」

 

「……そう?何でかしらね」

 

 曖昧な返しに絵里奈は疑問を浮かべる。それもそうだ。なぜなら、かつて、あの馬鹿も……。

 と、昔の事を思い出しかける中で、ネプギアが本音を漏らした。

 

「それに、これ以上いると、情けないことに決意も揺らぎそうで……」

 

「それだったら、これ以上俺達がどうこういう必要はないな」

 

 恥ずかしながらも言ったその言葉に、勇也が他人の意見を入れる余地を失くした。ネプギアの意見を尊重するかのようにだ。

 まったく、勇也は誰かの決意に駄目だしさせないっていうのが強いんだから。でも、ここでは需要かしらね。かつで自分を好いた男の片割れに呆れつつも、あたしもネプギアを送り出すことにした。

 

「えぇ。あたしも何も言うことはないわ。他は?」

 

 意見を促すと、全員黙っていた。うんうんと頷くものも居れば、まだ何か言いたそうな面々もいる。だが、これ以上邪魔はしないように、意見する者はいない。

 そして、ネプテューヌが妹の手を取り、言葉を送る。

 

「なら、ベールのこと、頼んだよ。ネプギア」

 

「うん。任せて。ちゃんとベールさんの役に立ってみせるから」

 

 ネプギアもネプテューヌに安心するように言う。そして、手を放して、ネプギアは街の外へと続く道へと駆けて行った。

 駆けてゆく姿を見送り、見えなくなったところで、アイエフがポツリと言う。

 

「行っちゃったわね」

 

「ネプテューヌちゃん、これで良かったのー?」

 

「そうですよ。ギアちゃん、もしかしたら、もう少し居たかったかもしれないのに……」

 

 そう、ネプギアは行ってしまったのだ。会えなくなるわけではないが、再会と別れの速さに、絵里奈とコンパもネプテューヌに向かって言う。

 すると、ネプテューヌは言った。

 

「辛くないわけないよ。……でもね、ネプギアも言ってたけど、世界の為に今は甘えたことは言ってられないと思うんだ」

 

 鈴は察する。ネプテューヌも分かった上での頼みだったのだ。辛くないわけがない。やっと会えたばかりの妹を、また別れさせるようなことは、望んでいなかった。それでも、今の現状を考えたがための頼みである。妹の前で甘えのような反応をしなかったのは、姉としての覚悟もあったのだろうか。

 ネプテューヌの立派な言葉に対し、アイエフが少しいやらしい考えの発言をする。

 

「……けど、本当に良かったの?ただでさえ、ネプギアはベール様のお気に入りなのに、こんな状況でネプギアが協力しにきたんじゃ、余計妹として欲しくなるんじゃないかしら」

 

 それは、ベールがネプギアを取ってしまうかもしれない、という発言だった。まさか、と鈴は思った。漫画の中ではごくまれにありそうなことでも、いくら女神に妹がいないくらいで、そんなことしないだろう。アイエフにしては、少し妄想が過ぎるのではと考えた。

 だが、それに続いてコンパや光樹も続く。

 

「ギアちゃんもねぷねぷのいない寂しさをベールさんで紛らわすかもです」

 

「それで、もしかすると、今度会った時にいつの間にかネプギアが「お姉ちゃん」と言うのが、ベールになっていたり……」

 

「それはないでしょ」

 

 2人の言葉を受け、鈴はツッコミを入れる。特に光樹の方には素手でチョップを軽く入れる。ばかばかしいことだ。非常事態ということもあるのだから、そんな程度でコロッと態度が変わるはずもない。

 が、その悪乗りは更にエスカレートする。

 

「いいえ、十分ありえるわね。ベール様もその隙に上手くつけこんでネプギアを落としちゃうかもね」

 

「ふぇえぇ……ベールさんってそんな一面が……」

 

 アイエフの考えに、絵里奈が動揺する。あまり恋愛系の奥行った用語は効かない(「聞かない」ではない)絵里奈も、流石に女同士の間で「落とす」という用語には面食らったようだ。

 そんなこんなで妄想を広げる彼、そして彼女らに対して一喝する。

 

「そんなわけないでしょ!全く……ネプテューヌ。貴女も何か言って……」

 

 騒動の真ん中にいるネプテューヌにも何か言ってやれと言うように話を振る。ここで鈴としては、その考えを否定することを望んだ。だがしかし、その思惑は外れることとなった。

 

「えぇっ!?そ、それは困るよぉ!?」

 

「えぇ……」

 

 妹が取られるという発言で、一番動揺してしまっていた。

 いや、貴女が一番最初に送り出すって言ったんでしょ?それなのに今になって心が揺らぐってどうなのよ……。頭に手を当て、あたしは溜息をつく。

 鈴の溜め息にも気にせず、ネプテューヌは今から追いかけようとする。

 

「今ならまだネプギアに追いつけるよね!ちょっと引き止めてくる」

 

「いや、もう遅いだろ……」

 

「言い出しっぺが何言ってんのよ……」

 

「姉妹離れが必要なのは実はねぷねぷだったですね」

 

 ネプテューヌのその発言には、先程までからかっていた面々も呆れてもう遅いと告げる。特に最後のコンパの言葉は、まさしく的を射た発言だ。結局のところ、ネプテューヌはまだ妹の支えが必要だった姉であったのだ。

 そうしていくらかの余韻を残しつつ、全員でまた事件の聞き込みを再開させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネプギアと別れて3日ほど経った頃、光樹達はまた街に情報を求めて行動していた。あまりいい情報は入っては来ず、少し暇を持て余すということが多かった。

 だがそれでもネプテューヌ達の方はということで、光樹に暇があったわけではない。この3日間の間、光樹はまた鈴達と記憶復活を兼ねた演習を何度も行っていた。あれから1週間程経った今でも、光樹は彼らに勝つことは叶わなかった。しかしながら、少しずつではあるが徐々に実力を付ける……否、戦闘の勘を取り戻していき、攻撃を軽くいなされるということはなくなっていた。

 そしてこの日も、演習が控えており、それまでの間の時間を諜報活動へと回していた。そして、物事は動き出す。

それは、一つの音によりもたらされた。鳴った電話の持ち主はアイエフ。メンバーの視線はアイエフに集中する。

 アイエフも、その表情にこわばりを一瞬見せたが、電話主の名前を見て、少し息を着く。その反応がどういうことを示すのか。光樹の疑問はすぐに晴れることになる。

 電話主を確認したアイエフがそのまま通話ボタンを押して電話に出る。

 

「もしもし、オトメちゃん。何か用かしら?」

 

 オトメちゃん、という単語で理解する。アイエフの諜報部の知り合いだ。光樹自身は実際に会ったことはないものの、アイエフといるとよくその口から語られる存在だ。なんでも、アイエフとは同期で、仲もいいらしい。噂によると、乙女ゲーム系のゲームをよくプレイするという話も聞く。

 アイエフの仲間からの連絡だと分かって、光樹は少し緊張を解く。おそらく、定時報告のようなものか、もしくはこちらが追っている事件の手掛かりか。今現在、アイエフが諜報部にも窃盗犯の被害を報告していたため、そっちの方もプラネテューヌ諜報部が動いているから、それらの可能性も高かった。

 しばらく、アイエフが電話に耳を傾ける。すると、すぐに反応を変えた。

 

「………………それは本当なの?」

 

 急に真剣な表情に変わるアイエフ。頷きをして話を聞き、終わったのか、アイエフは電話主に了解と礼を言う。

 

「……えぇ。わかったわ。ありがと」

 

 締めの言葉を口にして、スマートフォンの電源を切る。電話が終わったのを確認して、コンパがさっきの電話が何だったのかを質問する。

 

「お仕事の電話です?」

 

「まさか、秘密結社を見つけたとか?」

 

「それとも、窃盗犯を見つけた、とかー?」

 

 続くネプテューヌが何の話だったのかの予測を立てる。光樹としてはやはり秘密結社に関する情報が出て来ればいいと思っていた。秘密結社を追うこちらとしても、願ったりかなったりだ。

 さて……外れか当たりか。当たりが出て欲しい気持ちが大きいけど、どっちになるか。俺は話がどうなるかをただ見守る。

 するとアイエフがそのうちの一つを口にした。

 

「絵里奈のが正解ね。この間、泥棒に入られたゲームショップの件なんだけどね。そこから盗まれたと思われるゲーム機やソフトが別の中古ゲームショップに持って来られたらしいわ」

 

 話の内容は、チューコと鈴奈の中古ゲームショップの件だ。話の内容から、どうやら犯人は別のゲームショップに転売にやって来たようだ。

 となれば、犯人を捕まえるのは簡単だろう。というのも、中古ショップで物を売る時には犯人確保に役立つあるものが必須となるのだ。それは、身分証だ。

 身分証と言っても種類は様々だ。免許証や学生証などが該当し、それを提示しなければ売ることは出来ないようになっている。だから、売ったのなら確実に犯人は身分証を出したはず。おそらく店側も管理しているはずなので、それを確保できれば、警察と連携して身元を割り出して犯人確保まで一直線だ。

 という流れで、犯人確保は間違いなし。と思っていたのだが、そんなに上手く物事は起こらなかった。アイエフが溜息を吐いて、残念そうな表情でその結果を言う。

 

「それが、残念なことに身分証の提示を求めたら、断られて逃げられたらしいわ」

 

「逃げられた、か。まぁ、普通なら自分の証拠を残すことは避けるよな」

 

 なんと、犯人は身分証を出さずに逃走してしまったのだ。これには聞いていた勇也も先程の言葉を口にして肩を落として言う。勇也の言う通りだ。盗んだものを売る以上、顔を知られるのは避けたいところ。ならば、身分証の提示の段階で逃げるのは予測できたことだろう。

 あと少しで犯人の身柄を確保できたかもしれない事実に、落胆する一同。が、希望が消えたわけではなかった。更にアイエフが続ける。

 

「けど、特徴のある人物だったから、捕まるのも時間の問題ね。まぁ、人っていうより、ネズミだったんだけどね」

 

 特徴的な人物という単語に希望を持つ。が、同時にネズミだったという大きな特徴を言ったアイエフの言葉に若干疑問が浮かぶ。犯人は大きな特徴を持ってはいるが、その大きな特徴がネズミというのは、あまりにかみ合っていないように見える。

 おそらく、民間人なら、一瞬放心してしまっただろう。だが、一同は既にネズミの店主ことチューコを見ていたため、それ程驚くことはない。

 しかし、そうなると一体誰なのか。店主本人である可能性は低い。更にしゃべるネズミなんて、某夢の国の王様は外れるとしても、数はそういないはず。

 ……というのが光樹を「除いた」メンバーの見解だった。話を聞いて、コンパが聞き返す。

 

「犯人さんもネズミさんだったんですか?」

 

「そう。しかも、特徴から、そのネズミっていうのが……」

 

 アイエフが知っているような口ぶりでコンパに答えを語ろうとする。が、その時。

 

 

 

 

ドガッ!!

 

 

 

 

「きゃっ!?」

 

「あいたっ!?」

 

 コンパの悲鳴が響く。と、同時にコンパの体が前のめりになって正面から倒れてしまう。何が起こったのか。こけた本人が地面に打ったところを抑える。

 

「いたたたた……」

 

 いきなりこけたコンパを気遣ってコンパの方に視線を送る中、先程までいなかったもう一人の声が響く。

 

「痛いのはこっちだっちゅ!何処に目をつけて歩いているっちゅか!」

 

 文句を垂れ流す声。明らかにこの接触は相手がいけないと思われる中、相手が文句を言うのは大抵たちの悪い大人の典型例だ。

 ところが、ぶつかられた側のコンパはそのたちの悪い何者かの言葉に圧倒されてしまい、早口で謝罪をする。

 

「ご、ごめんなさいです……」

 

「ちょっと、何コンパが謝ってるのよ。悪いのいきなりぶつかってきたそっちでしょう!?」

 

 コンパを庇うように、鈴が加害者に対し言葉を吐く。が、既にその犯人には鈴の言葉は届かなくなっていた。

 

「何をい…ぢゅっ!?そ、その声はまさか……」

 

 反論をする声を止め、コンパの方に注目するような反応を見せる。ここに来て、光樹の悪い予感が現実となろうとしていた。

 一方、それを聞いていたコンパは何がなんだか分かっていない様子だった。

 

「へ……?」

 

 状況を理解しきれていなかったコンパに対し、その人物……いや、ネズミがコンパの名を叫ぶ。

 

 

 

 

「こ、コンパちゅあん!?」

 

 

 

 そこでようやくコンパも気づき、叫んだ。

 

 

 

 

「ね、ネズミさんです!?」

 

 

 

 

 それは、かつての敵との再会でもあった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




こ、今回もお読みいただき、ありがとうございます。久々な上に、気持ちの浮き沈みがあったりとで、あまり出来のいいとは思えないかもしれませんが、これでも話の流れを思い出しつつのものなので、察していただけるとありがたいです。

レイ「ははは、でも本当に頑張ってたよねー。「早く思い出さないと!」ってパソコンの前で四苦八苦してたし」

それでも完全に前と同じってわけではないんですけどね……最初、鈴の視点からのはずが、アイエフからの視点になってましたし。

ジャンヌ「すべてがすべて同じように思い出すのは難しいですからね。仕方がないですよ」

うん。それは今回、身に染みて分かった。……で、最初の方の話だけども、一応説明しておくと、中古の方で「L@ve Once」なるゲームのPS3版を買ってプレイしてました!

レイ「……なんで小説を書き直さないといけないのに、そうゲームを買うかなぁ。しかも、恋愛ゲーム」

いや、でもある意味ジャンヌさんに関係してるからね

ジャンヌ「……あまり納得いかないと言えば、いかないんですけどね……。でも分かると言いますか……」

実はこのゲーム、ジャンヌさんこと、「ジャンヌ・ドラニエス」のデザインを担当された「ささきむつみ」さんがキャラデザインを担当されたゲームなんですよね!その画像を小説のデータが消えた週に見て、「小説の修復作業の傍らにでもやってみるか」と興味を持ったわけですよ。で!そのキャラの一人の「橘和翠」ちゃんにジャンヌさんの面影を感じたのですよ!

レイ「まぁ、言葉遣いとか身長はジャンヌちゃんとはかけ離れてるけどって藤和木は言ってたけどね」

ジャンヌ「わたくしも藤和木と光樹さん+一名を交えてのプレイを見てましたけど……わたくしとは全然違いますよね、あの娘……。どこが似てるっていうんですかぁ……?」

うーん、わかりやすく言うなら、目の前の恋に全力!ってところかな?

ジャンヌ「ふぇあ!?」

レイ「あー、確かにそれはあるね!」

確かにキャラデザが同じところが気に入ったり、性格が違うってところは分かると思うんだ。でも、二人とも意中の人に全力で接しててさ。そこが気に入った理由でもあるんだ。

レイ「あ、ジャンヌちゃんが……」

ジャンヌ「も、もう……♡分かってるんじゃないですかぁ♡」

さて、今回はこのくらいかな。一応、投稿当日も朝っぱらから思い出しつつ書いているんですが、ちょっとつらいところがあるので、1週間投稿にさせてください。

レイ「ってわけだから、次回の投稿は土曜日だよっ!」

ジャンヌ「そ、それでは皆様、また次回っ♡」


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第113話 ネズミの追跡、ゴールデンプレスト見参

どうも、皆様、お元気でしょうか。今週はすごい不機嫌な状態で過ごしていました、藤和木弘でございます。未だに怒りが残るよ。

ジャンヌ「まぁ、あれはすぐに機嫌を直せと言われても、出来ませんよ。どうも、皆様。そんな藤和木を励ますのがこの一週間でした、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「ほんっと、私も珍しく怒ってたよ。ひっどいことする人もいるんだねー!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!!」

怒ってる理由ですが、学校の課題でとある同級生の馬鹿が名誉棄損したって話です。詳しい話はしませんが。とりあえず、第113話、投稿です。

ジャンヌ「データが消えた未投稿話の二つ目ですね。ちなみにこれが出来たのは二日前です」

レイ「なんかグロッキーになってたよね、藤和木」

また同じところをやるっていうのがね……。しかも気分が落ち込んでいる中書いてたし……。みんなも経験あると思うんだ、いやな時にやらなきゃいけないことって。

レイ「話の内容は、ぶつかってきたネズミの話だったね」

ジャンヌ「このネズミはネプテューヌ様達は知ってるようですね」

さて、このネズミはあのネズミなのか?なぜここにいるのか?本編へレッツゴー!!


 

 

 いきなり叫び声をあげるネズミに、勇也は少し驚いた。誰なんだ、という気持ちと、こっちの方を知っているということは、何か関係があるのだろうという期待感を感じさせた。

 様子を見る限りは、ネプテューヌ達超次元側のメンバーは全員知っているようだ。しかしながら、アイエフの表情には懐かしさを感じさせるようなものではなく、何か嫌がる気持ちを感じ取れたが。

 そして、SSRメンバーの中で、ネプテューヌのことには詳しい光樹の方を見ると、それはもう、面白い反応だった。表情は苛立ちの中に笑みがあり、憎めないやつを見るような眼だ。分かりやすく言うなら、まるで恥ずべき知人が突然仕事場に現れたかのような表情だ。

 何がどうしてそんな表情をしたのか、分かりづらかった勇也であったが、そこであることに気づく。ネズミに見覚えがあったのだ。

 黒い色に腹のマーク。そしてその顔を見て、思い出す。別次元のゲイムギョウ界で見た、あのネズミと同じ存在だということを。

 

(まさか、このネズミ……女神達をアンチクリスタルで閉じ込めた、あいつらの……)

 

 別次元でのことが思い返される。そうだ。こいつは別次元で、女神達をシェアクリスタルの反転性質を持ったアンチシェアクリスタルでネプテューヌ達を捕獲したマジェコンヌと行動していたやつだ。確か、名前は……。

 名前を思い出そうと脳裏で探している間に、そのネズミはコンパと出会ったことに関して言及した。

 

「ま、まさかこんなところで愛しのコンパちゃんに出会えるなんてまさに運命っちゅ!」

 

 そのネズミはいきなり告白宣言ともとれる単語を次々と言い放った。愛しのだとか、運命だとか。そんな言葉、現実世界で告白に使う人物は稀だろう。もう少し、ふざけ過ぎない雰囲気で、言うべき言葉だ。

 しかし、目の前のネズミは確かにそう言った。運命の出会いというほど、コンパの事を好いているようだ。

 が、別の世界でも見た通り、こいつはかなりの悪役だ。大抵は世界が変わっても、同じ人物の場合はやることは変わらないのが基本であるため、もしかすると、という考えが浮かぶ。

 そこに続いて、ネプテューヌがネズミを指さして思い出す。

 

「あーっ!いつぞやのネズミだー!」

 

 ネプテューヌの反応からして見ても、以前に何かネプテューヌ達と因縁があることは明白だ。絵里奈がネプテューヌに知り合いかどうかを聞くと、すぐにその因縁について話した。

 

「ねぇ、ネプテューヌちゃんはこのネズミさんのこと、知ってるのー?」

 

「うん!説明しよう!このネズミはワレチューって言って世界中の色んな所で悪さをしている小悪党なんだ」

 

 そうだ、ワレチューだ。あのネズミの名前はそれだ。俺はようやく思い出す。あの時の邪魔したのも、同じ名前のやつだ。

 思い出したことに納得しつつ、その解説に頷く。概ね、予想通りの回答だった。やはり、悪党という認識で問題ないようだ。勇也の予想も当たり、認識を確実にさせたところで、ネプテューヌは先程の説明に付け加える。

 

「で、いつだったかこんぱに一目惚れしてそれ以来ずーっと、片思い中なんだよね」

 

「へぇ、そうなんだ~。けど、無理だよねー。そんな悪党じゃ」

 

「ど、どういう意味っちゅか!?」

 

 絵里奈の納得が気に入らないネズミ、ワレチューがツッコミを入れる。が、それも一瞬のみで、すぐにコンパの方に視線を、というより、体を向けた。それにより、何故コンパのことを見て、あの反応だったかの理由が分かる。一目惚れとは、一体何がどうして好きになったのか。……なんとなく、理由は付くが。おそらく、コンパの方に理由があるからだろう。

 そんな言い合いに、アイエフも加わる。

 

「そうそう。いつまでもそんなんじゃ、コンパに気づいてもらえないっての。ま、それを直したところで、って感じだけどね」

 

 アイエフのツッコミが入る。確かに、ネズミと人では、いくら何でも無理があるように思える。SSRの女子2人も、若干ワレチューの執心ぶりに引いた様子を見せている。鈴は毛嫌い、絵里奈も苦笑いをしつつ、若干後ろに下がっていた。

 それらの話を踏まえて、光樹にワレチューの話について聞いてみることにした。

 

「なぁ、光樹。お前もあいつのことは知っているのか?」

 

 そう聞くと、光樹はワレチューに対し、むすっとした様子を見せてから、こちらに顔を向けずに言う。

 

「一応、ゲームを通して、だけどな。レベル上げまくっていたから、戦闘は大して苦労はしなかったけれど、ストーリーでやることが、な。俺はあんまり気に入らないというか……ついでの奴も含めてな」

 

 どうも気に入らないという反応だった。だからこその、先程までのあの表情、ということなのだろう。そのように解釈したものの、そこから光樹は意見を転換させる。

 

「でも、ネプテューヌらしいキャラクターだと思ったけどな。憎めないところもあって」

 

「どっちなんだよ……まったく、相変わらずだな」

 

 その曖昧な回答に勇也はツッコミを入れる。どうにも締まらない回答が、勇也には甘いように思えたのだ。意見をどちらかに絞らなければ、何事も行動には移しづらいためだ。

 しかしながら、やれやれといった具合で、それを受け入れる。今は記憶喪失中の光樹に求めても、意味はないと判断したからだ。記憶が戻っていれば……いや、記憶が戻っても、このやり取りが更にややこしくなるかもしれないなら、今の方がマシ、と考えることにした。

 勇也のツッコミの後、コンパがワレチューの怪我の具合を聞く。

 

「ネズミさん、怪我はないですか?」

 

 普段のやさしさ溢れる声でワレチューに聞く。すると、ワレチューはそれを聞いて、かっこつけた言い回しで答える。

 

「オイラは平気っちゅ。このくらい、女神共の馬鹿力に比べればどうってことないっちゅ。それよりも、コンパちゃんっちゅよ!怪我はないっちゅか?も、もし傷ができても、オイラが、お嫁にもらってあげるから、安心するっちゅ」

 

 完全に先程までの対応と、綺麗に真反対の事をその口から言ったのだ。先程までそっちが悪い的なことを言っていたはずが、いつの間にやらぶつかった相手を気にするとは……変わり身が早いとはこのことではないだろうか。

 しかも、最後の方はかなり危ないことを言っていたように思える。傷ができたらお嫁に、などという言葉、決して子供が聞いてはいけない単語の組み合わせであろう。

 ワレチューの身勝手かつ危険な発言に、鈴も厳しい目で見つめて呟く。

 

「さっきまで色々文句言っときながら、何よその反応」

 

「同感ね。同じ口から言ったこととは到底思えないわ」

 

 真面目な女子2人の嫌味の言葉が吐かれる。2人の性格からして、出てきて当然の言葉であろう。対して、当事者の1人であるコンパは、そんなワレチューの告白、およびセクハラまがいの言葉を軽く受け流して無事を伝える。

 

「うふふっ。ネズミさんは冗談がじょうずですね。けど、見ての通り怪我はないので、安心してください」

 

「そ、そっちゅか……。それはそれでちょっと残念っちゅ」

 

 何もないことにワレチューは少し残念そうにする。そこはむしろ、何もなくて一安心すべきところなのだが、ワレチューの思惑は完全に外れた部分にあった。

 ワレチューが残念そうにしている所に、声が飛んだ。

 

「さて、まさか、お前に会える時が来るとはな……」

 

「ん、お前は……」

 

 声の主は、光樹であった。光樹はその拳を片方の手のひらで抑えて、喧嘩を始めようとする様子で近寄っていく。その様子はただならない様子だ。

 あいつ、何をするつもりだ?行動を起こす光樹を理解できない勇也。すると、光樹がその理由を呟いた。

 

「様々なネプテューヌシリーズでたまった恨み、晴らさせてもらうぜ!」

 

 ド直球すぎる八つ当たりだった。待て、先程までお前はあのネズミを「ネプテューヌらしいキャラ」とか、「憎めないやつ」と言っていたのではないか。先程までとは違う、かつ勇也達が知っている「現在の光樹」のような唐突な行動に困惑する。

 すると、その様子を見て、ワレチューもまた反応した。

 

「な……!お前はガンダムのガキっちゅか!?」

 

「は?俺の事を知っているのか?」

 

 既にワレチューの方は知っているようだ。お互いの反応からおそらく、光樹の方は覚えていないよう……?

 そこで、勇也は違和感を感じた。確か、この超次元は、「何者か」による工作で、ネプテューヌ達は光樹達のことを「覚えていない」とのことだった。そこまでは、光樹から聞いていた話でネプテューヌ達が光樹のガンダムを知らなかったことから分かっていた。

 しかし、そこで問題となるのが、先程のワレチューの発言だ。なぜ、ワレチューは光樹のことを覚えているのだろうか。まさか、ワレチューは「何者か」の息がかかっているため、覚えているのだろうか。

 光樹の反応に、ワレチューが何を言っているんだという形で聞き返す。

 

「何言ってるっちゅか。お前は二回もオイラのいたところの企みを邪魔してきたんちゅよ?」

 

「え?光樹ってば、前にもゲイムギョウ界に来たことが?」

 

「いや……覚えてないけど……。女神に秘密裏にってことか?」

 

 ネプテューヌからの問いに、光樹も何がなんだか分かっていない様子であった。どうやら、この世界に一度来たことは忘れてしまっているようだ。ネプテューヌと、光樹、両者お互いに。

 話がややこしくなりかけている中で、コンパが話の主軸を元に戻す発言をした。

 

「私たちは知らないですよ?でも、ネズミさんと会うのも、久しぶりですね。今日はどうしてプラネテューヌに来たですか?」

 

 コンパの質問に対し、ワレチューは気まずそうな顔をする。

 

「それは……」

 

 手をいじって、何か言葉に困った様子だ。まるで、その理由を言いたくないかのようだ。普通なら何を隠しているのか、分からなかっただろう。

 だが、コンパと絵里奈、それにネプテューヌ以外の全員は、なんとなく、そしてアイエフには確実にその理由が分かっていた。おそらく、それはアイエフが話していた泥棒に関係することで……。

 すると、いつの間にかワレチューの背後に回っていたアイエフが見下ろすような形で言い放つ。

 

「ゲームの転売をしに、でしょ?はい、容疑者一匹確保、っと」

 

 軽くネズミの背中をつまんで持ち上げる。やはりそうだったか。犯人がネズミという点と、この世界観で悪さをするという二つの点から導き出されるのは、間違いなくそのネズミに違いないのだから、そうでなければおかしいのだが、冤罪の可能性も少なからずあった。しかし、アイエフの行動で、それが間違いないという証明になったので、問題はない。

 

「ぢゅー!?な、何をするっちゅ!?」

 

 わけも分からず、捕まったワレチューは説明を要求する。シラを切るつもりのようだ。すると、アイエフが罪状を言い渡す。

 

「あんたが、中古ゲーム店から盗んだものを転売しようとしてるのはわかってるのよ」

 

「ど、どうしてそれを!?身元がバレると思って身分証は出していないはず……」

 

 ワレチューは身分証を出していないことを口にする。その時点で、こちらは証拠を握ったため、この時点で逮捕が可能である。しかし、アイエフは更にワレチューを犯人だと絞った理由を述べる。

 

「ネズミってだけでも、犯人は絞れるのよ。それに、悪事を働くネズミってのも、アンタくらいしかいないしね」

 

 その絞り方は、間違ってはいないだろう。過去の犯罪履歴から犯人を割り出すというのは、現実でもよくあることだ。ただそれが、警察組織のライブラリーのような部分を通して行われていないというだけだ。

 それだけ、ネプテューヌ達からは印象が強い悪役キャラということだが、理由を聞いていたワレチューは勘違いと共にその理由に対して言う。

 

「まさか、オイラの人気が仇となったとは……」

 

「それは人気とは違うような……」

 

 率直にネプテューヌがその認識は違うと否定する。ネプテューヌの言う通り、それは人気ではない。警戒が強いとかいう部類の話だ。加えて光樹もワレチューの自己中心的な発言に物申す。

 

「何夢を見ているんだ、世界で4番目に人気のネズミを自称する悪チュウが」

 

「光樹君、流石にそれは不味くない?花札屋の人達に怒られちゃうかもよー?」

 

 光樹の発言に絵里奈が注意を入れる。確かに、その名称は天に任せる会社に失礼なネーミングだとは思うが、そのくらいは許容範囲内ではないだろうか。

 しかし、ワレチューにも泥棒としての意地があった。偉そうに手を放すことを要求する。

 

「けど、ここでつかまってはネズミの面汚しっちゅ!離すっちゅ!」

 

 しかしながら、人とネズミという大きさでは力でなんとかするのには無理がある。ところが、そこでワレチューは機転を利かせた。

 

「ペロリ」

 

 なんと、いきなりアイエフの指を舐めたのだ。流石にこの行動にはアイエフも咄嗟に適切な行動がとれず、嫌がってしまう。

 

「うわぁ!?ネズミが指を舐めた!?」

 

 女の子故に仕方がないことだ。汚い物に触られた時の反応としては当たり前の行動であった。が、それが大きな隙となってしまう。

 

「隙ありっちゅ」

 

 手の拘束が弱くなったところで、ワレチューは体を振って拘束から脱出する。そして、そのまま地面に着地すると同時に、逃げ出した。

 

「しまった!?」

 

「何やってるのさ、あいちゃん!」

 

 思わずネプテューヌが失態にツッコむ。ネプテューヌの言う通り、あそこは捕まえたままの方が良かったのは確かだ。しかし、状況や常識といった不可抗力な点も否定することはできない。アイエフも、その事を強調する。

 

「だって、指を舐めてきたのよ!ばっちいじゃない」

 

「確かに、それは離すっていうのも分かるわ」

 

「あんなネズミさんになめられちゃったら、どんあ女の子でも離しちゃうよぉー!気持ち悪ーい!」

 

 アイエフの意見に鈴と絵里奈も納得を入れる。汚いものに触れたくないというのは、綺麗な女性ほど顕著なものだ。

 しかし、いつまでもそんな女々しいことに付き合っている暇はない。ネプテューヌと光樹が逃げたワレチューを指さして追いかけることを言い放った。

 

「もう!そんなこと言ってないで、早く追わないとネズミに逃げられちゃうよ!」

 

「ショックかもしれないけど、今は追跡の方に目を向けよう!」

 

 その言葉を聞いてアイエフもやるべきことに目を向ける。すぐにハンカチで指を拭き取る。その間に光樹達はネズミを追いかけ始める。勇也もその後を走っていく。

 こうして、ネズミの追跡劇が始まったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てやこらぁ!!」

 

 逃げるネズミに対し、光樹はそう叫びながら追いかける。その声には周りに居合わせた民間人も驚きを示す。その追跡劇はかなりの人の注目を集めていた。

 先頭を光樹とネプテューヌ、そして鈴と勇也が続いて追いかけ、後はアイエフ、絵里奈、コンパの順で追うネズミもといワレチュー捕獲部隊。だが、そんな様子を後ろを振り向いて見たワレチューが鼻で笑う。

 

「ぢゅっぢゅっぢゅー。誰がお前らみたいなノロマに捕まるかっちゅ。あ、けどコンパちゃんには捕まってもいいかもっちゅ」

 

 余裕を込めた言葉を吐き捨て、更に逃げる速度を上げるワレチュー。その言葉に、光樹達の方はかなり怒りを溜め込ませることとなった。

 

「あいつ……!余裕そうにしやがって!!」

 

「任せときなさい!走るのならこっちに分があるわ!!」

 

 光樹の舌打ちに、鈴が応答する。すると、鈴は更にスピードを上げてワレチューに迫る。光樹達をあっという間に追い越す速さに、光樹は驚いてしまう。だが、それでもワレチューを捕まえるには至らない。

 なんて速さだ。こっちも全力で追いかけているのに……。歩幅も明らかにこちらの方があるというのに、あのネズミはどれだけ早いんだよ?というか、それについていける鈴も鈴だろう。

 ワレチューはおろか、鈴にすら追いつけないことに光樹は戸惑いを覚える中、同じ速度で追いついた勇也がこちらに聞いてくる。

 

「大丈夫か、光樹」

 

「あぁ。まだ何とかな。というか、鈴ってあそこまで速かったか?体育祭でも、あそこまで速かったようには……」

 

 光樹は疑問を呟く。その疑問に勇也が軽く答える。

 

「まぁ、鈴は学校での身体能力は少しセーブしてるしな。学校じゃ、結構鍛えた脚力は隠しているから」

 

「マジか……。でも、俺も確かに、学校と任務での体力が違ってたしな」

 

「それは記憶が戻った……というか、分かったんだな」

 

「あぁ。とりあえず、早く鈴に追いつかないと……」

 

そのように交わすと、光樹と勇也もスピードを上げてネズミを追いかける。ネプテューヌもそのスピードに追従していく。流石、女神と言ったところだ。非女神化時でも自分達に付いていけるのは零次元であの巨大な敵達と渡り合っただけのことはある。

 が、そこで思わぬことが前方で起きる。ワレチューの進行方向に親子が出て来たのだ。

 

「わっ!でっかいネズミだ!ママ、デッカイネズミがこっちに来るよ!」

 

 少年がワレチューを指さして離れたところにいる親に言う。その声音からして、先程のアイエフと同じく、汚いものを見たような反応だ。

 だが立ち位置が悪かった。ちょうどワレチューの進行方向を邪魔する形となっていたのだ。加えて、親の方を見て言っているので、ワレチューをよく見ていない。それを見て、ワレチューが迷惑そうに叫ぶ。

 

「邪魔だっちゅ!」

 

「……え?」

 

 

 

 

ドガンッ!!

 

 

 

 

 鈍い音と共に、ワレチューは少年を突き飛ばした。かなり乱雑に弾いたためか、少年は尻餅をつくと、涙を浮かべて叫ぶ。

 

「うわあああん、ママあああああ!」

 

「坊ちゃま!?大丈夫ざますか!?」

 

 子供の叫びに、親も慌てて駆け寄る。しかし、少年は痛みに耐えかねて泣き叫ぶ。

 

「うわあああああああああああん」

 

 そんな少年に対し、ワレチューは面倒くさそうな様子で言い捨てた。

 

「すぐに泣くから人間の子どもは嫌いっちゅよ」

 

 身もふたもない、わがままな言葉だった。子どもは弱い。だが、それならそれなりに心配すべきなのに。逃げるためなら、自分優先だとしても、そんなことを言うなど、許されないことだ。その行動に対し、光樹達は怒りを込める。

 

「あのくそネズミ!!」

 

「最っ低ね。子どもに対して、あんなこと言うなんて……!!」

 

 光樹が呟くと、少し先にまで近づいていた鈴も同意の声を漏らす。勇也もその表情を硬くし、許さない構えを見せる。

 それに対する怒りは、ネプテューヌも同じだ。後方で声を大にして言う。

 

「あのネズミ、男の子を突き飛ばしたよ!」

 

「最低ね。けど……」

 

 アイエフが何か言っていたものの、それは既に光樹には届かなかった。ワレチューへの突貫を決め、変身しようとしていたのだ。

 

「もう我慢できない!!シュバルトゼロを使う!!」

 

「待ちなさい、光樹!!」

 

「そうだ。いくら非道でも、こんなところで無闇に変身すれば……」

 

 鈴と勇也は止めようとする。が、それを聞かずに変身する。変身が完了すると、光樹は空に飛び上がる。そして、ウイングのスラスター口を後方に伸ばし、急加速して突っ込んでいく。

多数の人物が目撃している様子が見えるものの、そんなことは気にしていられない。子どもを傷つけたことを後悔させるために、光樹はその手に力を込める。鉄拳制裁の構えだ。その勢いにはいくら足の速いネズミでも、すぐに距離が詰められる。

 そして、その拳を突き出し、飛び込む。

 

「この一撃……喰ら……」

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

「まてーーーい」

 

 

 

 

そんな静止の声が響き渡る。何事かと思った所で、光樹の目の前に壁が現れる。

 

「んな……!!」

 

 急停止をかける光樹。残念ながら完全に勢いを殺すことは出来ず、その硬い壁に拳を打ち据える。AN粒子を込めた一撃は、その壁……否、装甲に阻まれる。

 なぜ壁がいきなり目の前に現れたのか、という疑問は顔を上げて分かることになる。そこには巨大なロボットとその肩に乗る1人の少女がいた。光樹がぶつかったのは、ワレチューを越えて出た、ロボットの腕だったのだ。どこかで見たことのある姿に、目元を隠す変なマスクを掛けた姿はどこか滑稽さを感じさせる。と、そこで少女は高らかに宣言する。

 

「天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!」

 

「悪を倒せと我らを呼ぶ!聞きな、悪人共!」

 

 唐突に始まる戦隊モノのようなコールに、光樹は戸惑うと共に、既視感を口にする。

 

「な、なんだ、こいつら……。でも、どっかで…………って、あ」

 

 そこでビジョンが重なる。あの日、ゲイムギョウ界トーナメントでの出来事。突然、女神達の決勝に割り込んできたイレギュラー。そして、女神と光樹を負かした者達。そう、彼らは、ゴールドサァド、そして、ゴールドソフツの1人と1体だ。

 いきなり現れた存在に、いきなり現れた謎の正義の味方を見た悪役のようにワレチューは叫ぶ。

 

「だ、誰っちゅかお前は!そこをどくっちゅ!」

 

 すると、先程の光樹のつぶやきも合わせて、名乗りを上げた。

 

「我は正義のヒーロー、プレスト仮面!!」

 

「そして、俺はその相棒、プレスターD!!」

 

 

 

 

「「我らが「ゴールデンプレスト」が、悪人を裁くッ!!」」

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。プラネテューヌのゴールドサァドのご登場です!!

レイ「ゴールデンプレスト……かっこいい!!」

ジャンヌ「いきなりの登場でしたが……というか、何気に光樹さんの攻撃を止めているという……」

そうなんだよねー。一応、NFBの攻撃ではなかったにしても、ゴッドクロスの拳を止めるのはすごいよね。大きさが違うってのもあったんだろうけども。

ジャンヌ「それにしても、今回ネタが多くありませんでしたか?世界で四番目に人気のネズミっていうのと、あと天に任せる会社って……」

レイ「あー、それ思った。一番人気のネズミのところは、言ったら消されちゃうし、天に任せる会社ってのも、動画からのネタのような気もする」

ははは、大丈夫じゃない?

レイ「いいのかな……」

ジャンヌ「あぁ、それと、ワレチューが光樹さんのことを知っていましたが、あれは……」

あぁ、あれは結構重要なことなんだよね。それは追々わかるから、ここでは言わないでおこう。

ジャンヌ「ネタバレは禁止ですからね」

そうそう。さて、今回はここまで

レイ「次回も光樹のペース配分として、土曜日の投稿になるよー!」

ジャンヌ「それでは皆様、また次回です」


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第114話 子供好きなヒーロー達、DRXの挑発

ウルトラマンさん!ティガさん!

光の力、お借りするぜ!!煌臨、発揮!!

光樹「はいはいコラボブースター乙」

いいじゃないか、光樹君。今日はめでたいコラボブースター発売の日なんだから!どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?今日は祖母の家の方の墓の掃除をしてから、バトルスピリッツのコラボブースターを買ってきて、狙っていたXレア「初代ウルトラマン」と「ウルトラマンティガ」を当てて、ラッキーな藤和木弘です。

光樹「なんだよ、この強運は……。どうも、作者のテンションに付いていきづらい、主人公の和藤光樹です」

ジャンヌ「でも、やはり目当てのカードがボックス買いでまとめて引き当てられれば、それだけ費用の出費も軽くなりますよ?どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスですっ」

レイ「光の巨人って聞くと、すっごい私が使いたくなるけどねー。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

あー、確かに。レイさんのデッキにしとく?

レイ「いやー、そこまでは別にいいよ。私としてはゼットンの方に興味あるし」

うぐっ!

光樹「作者の心へのダイレクトアタックである」

ジャンヌ「れ、レイさん。あまり藤和木にそれを言うのは……藤和木も新たな星竜の可能性をということで狙っていたら、星竜でもあまり知らないマガタノオロチが当たって悩んでいるんですから」

レイ「あーそうだったね。ごめんね?」

い、いや……引き当てられなかった俺のせいだから……。さて、今回は第114話の投稿です。

光樹「あの金ぴか仮面ライダーもどき達の邪魔が入ったところだな」

レイ「なんかそう聞くと、明日の仮面ライダーの最強フォームみたい!」

ジャンヌ「よく考えてみると、確かゲームの方で初めてゴールドサァドと戦った時は無敵とでもいうくらい強かったんですよね」

そうそう。負けイベントっていうのは分かっていたけど、ハイパームテキの姿を見たとき、これと連想したのはたぶん俺以外にネプテューヌやってる人でいるんじゃないかな?

ジャンヌ「あの方とか、ですかね?」

レイ「どんな風にワレチューを成敗するのかなっ?」

それでは光樹君、頑張ってねー。

光樹「あぁ。それじゃ、本編に行きます」


 まるで目の前でヒーローショーが始まったのかと思った。それかもしくは、特撮ヒーローの撮影でも始まってしまったのかという雰囲気だが、もちろんそれも違う。

 いきなり現れた少女とロボットが、ワレチューと光樹の激突を防いだのだ。それを見ると、一見してワレチューを守る行動だ。ネプテューヌも最初は敵だと思ってしまったが、それが違うということを知る。光樹のガンダムを止めたロボットの方が、光樹に向かって言った。

 

「悪いな、そこのロボットボーイ。だが、そこは俺達の出番だぜ?」

 

「はぁ!?いきなり邪魔してきやがって……」

 

「こんなところで暴れちゃ、それこそ迷惑だと思うけどな?」

 

「っ!!」

 

 出番を横取りした様子の仮面ロボットに光樹が言い返すも、そこは相手の方が一枚上手だった。周りの被害が出ることを引き出して、光樹の反論を止めた。

 そうなると、確かにあっちの方の言い分が正しいよね。こっちも犯人のネズミを逃さないためってのと、さっき突き飛ばされた男の子に報いるために光樹が突っ込んだけど、それはあっちの方の言う通り、女神としては国の被害を大きくはしたくはないよ。

 と、考えようとするも、ネプテューヌとしては、それに反抗したくなる光樹の気持ちも分からないわけではない。せっかく捕まえようとしたところで邪魔されたとなると、被害を最小限にしたいというなら、それこそ一刻も早い捕獲が求められる。

 ロボットと光樹の睨み合いが続く。鈴と勇也もそのいざこざを止めようとするが、そこでワレチューが残っていた少女の方を突破しようとするのが目に映る。

 

「変なマスクを付けてわけのわからないやつっちゅ!どかないなら、力づくでいくっちゅ!」

 

 ワレチューは仮面の少女の方に向かって突進していく。まさしく強行突破というべき突破方法であったが、それをさせまいと少女ことプレスト仮面が阻む。

 

「そうはいくか!くらえ!必殺、プレストキーック!」

 

「ぢゅーっ!?」

 

プレスト仮面がジャンプしてから放ったキックを、ワレチューの顔面に直撃させるとワレチューは大きく吹っ飛ばされていく。そして、その様子を見て、謎のプレスト仮面は決め台詞を口にする。

 

「認めたくないものだね、過ちというものをね……」

 

 なんだか、とても金髪のクローン人間が放ちそうな台詞である。そんな台詞にネプテューヌ達といた絵里奈が反応する。

 

「うーん、やっぱり、彗星さんの再来の言うことって、結構流用しやすいんだねー」

 

 どうやら、絵里奈は過去に同じような言葉を呟いた人物を知っているようだ。ともかくプレスト仮面達の活躍のおかげで、事態は収束へと向かった。ワレチューの被害者である先程の少年とお母さんも助けてくれたプレスト仮面とプレスターDに感謝を述べる。

 

「ありがとう!プレスト仮面!プレスターD!」

 

「ありがとうざます。なんとお礼を言ったらいいか……」

 

 親子からかけられた礼の言葉を受けて、プレスト仮面達は当然のことだと答える。

 

「我らは正義のヒーローとして当然のことをしたまで!」

 

「そうそう。お礼を言われるほどでもないさ!」

 

 その言葉は、まさに正義の味方と言ったところだ。光樹が少し納得がいかない様子を見せる中、ネプテューヌはその姿に感動し、思わず声をかける。

 

「おおーっ!まさにヒーロー!かっこいー!」

 

 すると、それでこちらに気づいたプレスト仮面が、こちらに確認を取る。

 

「あのネズミを追っていたのは君たちだね?」

 

「そうだよ!」

 

 その問い掛けにネプテューヌは真っ先にそうだと答える。逃げられたりした時にはどうなるかとも思ったが、これで一件落着だ。

 となるはずなのだが、流れはそれ程甘くはなかった。目の前のヒーローが、唐突にとんでもないことを言い出したからだ。

 

 

 

 

「うむ、初めて見る顔だね。なら、今回は初回特典として1000クレジットにまけてあげよう」

 

 

 

 

……今、目の前の人物は、なんと言ったのであろうか。確か、最初に初めて見る顔だと言われた。確かに、今まで会ったことはなかっただろうから、それは合っている。続いて言ったのは初回特典という言葉。何が初回特典なのか。それは最後の方に言った言葉にある。最後に言ったのは、「1000クレジットにまける」という言葉……。

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 それが意味するのはただ一つ。目の前のヒーローは、助けた礼として、お金を要求してきたのだ。普通なら、こういった正義の味方が金を要求するなどほとんど見たことはない。ネプテューヌ自身も、こういった唐突な場面で助ける場合でも、お金を要求したことはなかった。決して、女神だからという理由ではなく、困っている人を助けることは当然だからだ。

 それなのに、目の前の、泥棒ネズミを捕まえた仮面のヒーローはお金を要求してきている。その唐突な発言に、ネプテューヌは呆気にとられつつ、もう一度、何かの間違いであることを願って聞き返す。

 

「……へ?1000クレジット?」

 

「あぁ、いい忘れたけど、その子、子ども以外からはお金とるから」

 

 ええっ!?とネプテューヌはまた驚いてしまう。まさかの子どもの手助け以外は料金が発生するとは、ネプテューヌも思っていなかった。

 というか、あいちゃん!それだったらもっと早くに教えてよ!!そう心の中で叫ぶネプテューヌだが、ともかく、その金への執着のあるヒーローに対し、冗談ではないかとアイエフに聞き返す。

 

「うそーっ!?何そのがめついヒーロー!!?てか、わたしお金持ってないよ!」

 

 ネプテューヌの発言を聞いたプレスト仮面は、若干肩を落として落胆して呟く。

 

「なんだ、持ってないのか。……しけたやつ」

 

 あまりにもヒーローからかけ離れた印象のある言葉だ。が、それを察してか、プレスターDが補足を入れる。

 

「まぁまぁ、そう悲しむなってパープルガール!今回は特別に初回お試しってことでタダにしてやるぜ!」

 

「まぁ、今回は私たちの広い心でそれでいいよ。ただし、次からはきっちり貰うからね!しかも前払いで!」

 

 プレスターDの言葉に不満そうながらも、料金のことについては無料となった。とはいえ、サラッと次の時の決まりまでも約束させられることになったが。

 

「それじゃあ、またねー!さらばー!」

 

 プレスト仮面がそう言い残すと、「とうっ!」と叫んでプレスターDの肩に乗り、そのまま彼方へと走り去っていった。

 なんだかとんでもない女の子だったなー、とネプテューヌは思っていた。が、そこで後方の異変に気付いた。ふと振り返ると、ガンダムへの変身を解いた光樹がすごく不満そうな顔をしていたからだ。

 

「うわぁっ!?光樹、どうしたの!?」

 

 思わず光樹に問いかける。だが、光樹は聞こえていないかのようにネプテューヌの言葉に答えない。すると、光樹の言葉を代弁するかのように、鈴が答える。

 

「あぁ、この馬鹿、いつも通りに馬鹿真面目さが発揮されてるのよ」

 

「馬鹿真面目さ?」

 

「そう。実はさっきの子の人助けに料金を取るってのに、なんだか怒っててさー。まぁ、私も少し納得いかないんだけどねー」

 

 続く絵里奈もまるでいつものことのように少し微笑んで言う。本来の光樹がこれというのは、確かにネプテューヌも理解できた。今まで戦ってきた中でも、よく分かる。光樹は悪を許せないのだ。

 しかしなががら、いつまでもそれはまずいと思った勇也が、こちらの話に引き戻すように光樹を説得する。

 

「まぁ、ああいう正義もあっていいんじゃないか?子どもにとってはヒーローなんだし。同じ子どものヒーローごっこなんだしな」

 

 勇也の言葉に光樹が反応を見せる。だが、少し顔を上げたのち、光樹は呟く。

 

 

 

 

「ヒーローっていうのは……隔てなく接するものだと思う。それを子どもだけなんて言ってるのはおかしい……。よく分からないけど、俺は少なくともそう思う」

 

 

 

 

 光樹の意見が全員の耳に入る。コンパは少し悩み、アイエフは困ったように笑いを含んだ表情を見せる。まっすぐな心から出た意見だった。

 うん、なんだか光樹らしいな。やっぱり光樹は真面目さがある。ネプギア並みにあるとわたしは思っていた。けど、まさかいいことしたあの仮面の子にまで怒りを募らせるなんて、ね。光樹はある程度許す部分がありそうだったのに。まぁ、わたしもいきなりお金を取るっていうのには驚いたし、どうなのかなーって思ったけども。

 しかしながらそんな光樹の意見に共感を感じたため、ネプテューヌもそのことについて擁護するような形で先程の少女達について物申した。

 

「うん。光樹の言ってる事、わたしも少し思うなー。だって、ヒーローからお金を要求されるなんて、未知との遭遇並みに驚くことだよ。それでも、わたしは光樹程に怒りを込めるなんてことは出来ないかなー」

 

 意見に準じつつも、光樹の反応はオーバー過ぎと返すネプテューヌ。そこでアイエフや鈴も光樹の不満を抑え込むように説得する。

 

「まぁ、そんなに怒んないの。ネプ子がよく言ってるけど、このゲイムギョウ界は常識にとらわれちゃいけないんだから」

 

「そんなヒーローもいるわよ。今までも見てきたんだから、記憶が戻れば、認められるから。今は我慢しておきなさい」

 

「……わかったよ。でも、なんだかなぁ……」

 

 完全に納得はしなかったものの、今の状況を理解し、ひとまず光樹は怒りを抑えた。とりあえず、光樹の怒りを抑えることはできたようだ。

 と、そこで話題を変えるように、先程プレスト仮面に蹴りを入れられ、気絶していたワレチューがうめき声を上げた。

 

「ぢゅー……」

 

「ネズミさん、すっかり伸びきっちゃってるです……」

 

 コンパが心配そうにワレチューの具合を診ている。コンパの言う通り、完全に意識を失っている様子だ。しかしながら、そうなった理由はワレチュー自身に原因があるので、仕方がないのだが。

 むしろ、光樹のガンダムの一撃に比べれば、これでもまだマシな気もしていた。もし、あそこであのゴールデンプレスター?だっただろうか。その一人のプレスターDが止めに入らなかったら、光樹のガンダムの超火力打撃攻撃を喰らって、もっと大変なことになっていただろう。

 そこで、ネズミの心配をしたコンパが、アイエフと鈴に懇願する。

 

「あいちゃん、りんちゃん。ネズミさんを教会で治療してあげてもいいですか?」

 

 コンパらしい考えだった。コンパとしても、知り合いが目の前で気絶しているともなれば、見捨てることはできないのだろう。

 そんな質問に、アイエフが拒否するように言葉を返す。

 

「あのねぇ……。こいつは泥棒なのよ?それに、そういうのは警察が……」

 

「ですが、目の前で倒れているのに放っておけないです……。りんちゃんはどうですか?」

 

「そうね……あたしとしては、アイエフの意見を尊重したいところね」

 

「そうですかぁ……」

 

 さらに願うコンパに、鈴はアイエフの対応が優先、というような返答をする。その言葉に、コンパは一度落ち込んでしまう。が、そこで鈴は機転を利かせた。

 

「けど、診てあげた方が、かえっていいかもしれないわよ?知ってる人間に対しての方が、話しやすいってこともあるだろうし」

 

「……鈴、あなたもねぇ……」

 

 鈴の提案に、またアイエフが難色を示す。アイエフとしては、ちゃんとした施設で交流した方がいいと思っているようだ。

 反対に、コンパは明るい表情を見せていた。自身の考えを汲み取ってくれたのだ。喜びはずだ。

 だが、まだアイエフは納得がいかない様子だった。先程の光樹と同じくらいの真面目さだった。

 仕方ないね。ここはわたしが!そう思って、わたしはあいちゃんに対してこんぱの提案を賛成するように言った。

 

「ねぇ、あいちゃん。わたしからもお願い。治療してあげようよ」

 

「あんたも?」

 

 ネプテューヌからも来たお願いに、アイエフは豆鉄砲を喰らった鳩のような表情をする。が、そこにさらに光樹と勇也、それに絵里奈も続く。

 

「俺も同意見だ。こっちで確認したいこともあるし」

 

「だな。このネズミ、興味深いことをつぶやいてたしな」

 

「私もさんせーい!こんぱちゃんとなら、このネズミ、何でも喋ってくれそうだもんっ!」

 

 三人の違う部分もある理由に、アイエフがまた困った様子を見せる。徐々にこちらの意見に押され始めているのが分かった。ここでもうひと押し……。そう思ったネプテューヌが終の一手となる言葉をかける。

 

「別に知らない関係じゃないんだしさ、ちょっとぐらいいいじゃん。みんな理由は違えど、保護したいんだし、悪人には悪人同士の情報網があるって言うし、もしかしたら秘密結社のことも何かわかるかもよ」

 

 完璧な発言だと、ネプテューヌは思った。アイエフは大抵、悪者に対しての容赦はない。けど、今回はコンパも知っているあのネズミが相手なのだ。コンパの頼みを助長する発言には反応するだろう。

 加えて、賛成人数的にもこちらが有利。たった1人の保護反対に対して、保護を賛成しているのはネプテューヌも含めた6人。これだけいれば、アイエフもうかつに反対はしないはずだ。

 そして、その狙いは当たる。少し考え込んだアイエフは6人の保護すべきだという意見と、その理由に頷き、口を開いた。

 

「……そういう考えもある、か。ネプ子にしてはいい考えじゃない」

 

「でしょー」

 

 その言葉を聞いて安心する。アイエフのその発言から、決め手はネプテューヌの意見だったようだ。これでコンパも安心だろう。

 保護を決めたアイエフが早速保護する名目を唱える。

 

「なら、このネズミは重要参考人として、一時的に教会で預かることにするわ」

 

「重要参考人、ね。それならイストワールも納得でしょうね」

 

 鈴の指摘にあいちゃんが苦笑を浮かべつつも頷く。そうしてわたしたちは、倒れたワレチューを教会へ運ぶのだ!(ちゃんちゃん!)

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っはー!!納得いかない……」

 

 自販機から出たサイダーを一口飲むと、光樹はそのように文句を口にした。光樹の様を見て、勇也がやれやれ、といった具合で諫める。

 

「落ち着けっての。お前の気持ちはわかるけども、仕方ないだろ?あいつの言ってたことは正しかったんだし」

 

「……でもなぁ……」

 

 勇也に反論しようとしたところで、鈴がふたの空いてないジュース缶を光樹の頭に振り下ろす。衝撃で缶の重みのある音が響く。

 

「とりあえず落ち着きなさい。ひとっ走りしたから疲れてるのよ全員。その話は飲み物を飲み終えてから」

 

「鈴……そうだな」

 

 鈴からの叱りも受け、渋々ながらもその苛立ちを止める。光樹が怒りを収めるのを見て、絵里奈の顔に安堵の表情が見える。

 なぜ、光樹がここまで怒っているのか。それは簡単。先程のゴールデンプレスト達の対応である。彼らは好き勝手して逃走したワレチューを成敗した。これだけなら正義の味方といっても過言ではないだろう。

 が、問題はそれ以外であった。攻撃を止めた後の光樹への対応、そして犯人を追っていた自分たちへ金銭の要求、加えて偉そうに今回はタダでいいとするあの対応……それは光樹に信用を抱かせないようにさせるには十分だった。

 あんなものが、正義であっていいわけがない。正義というものは、悪を止めようとする者に協力すべきではないのだろうか。あれでは傭兵と同じような気がしてならなかった。

 と、いった具合に、光樹はゴールデンプレストに不快感を感じていた。もっとも、他の三人からしてみれば、光樹は少し熱くなりすぎていると思っていたのだが。

 だがもう過ぎたことだ。ペットボトルのサイダーを飲み干し、余剰分の炭酸をガスとして口から吐くと、光樹は鈴に今日の訓練を要請する。

 

「とりあえず、鈴。今日もとっとと模擬戦をしよう」

 

「ちょっと、落ち着きなさいって!あたしや絵里奈はまだ飲み切ってないんだから!」

 

 急かす光樹に、鈴は開けたばかりの缶を指して発言する。光樹はいつもよりもさらに積極的になっていた。それもゴールデンプレスト達の影響でもあったのだが。だが、それだけではない。早く終わらせて、ワレチューの話も聞いておきたいという気持ちがあったからだ。

 まだだと言う鈴と急いで飲もうとする絵里奈に、光樹はまだかと腕を組む。そんな中だ。

 

 

 

 

プシュッ!

 

 

 

 

休憩室のドアが開かれる音が聞こえ、間髪入れずに声が……いや、音声が響く

 

「おいおい。そんなにレディを急かせちゃ、振られちまうぜ?」

 

「はぁ!?」

 

「ブフッ!何よ、いきなりそんな冗談を言うやつ……って、あんたは」

 

 部屋にいた全員が突如乱入してきた存在の方を向く。当初は困惑した反応だったものの、その姿を見て、空気は動揺から緊張に変わっていた。

 それもそのはず。入ってきたのは、先程も会った、光樹がおかしいと思っていた存在、「ゴールデンプレスト」のロボットの方、「プレスターD」だったのだから。体はかなりの大きさを誇る施設のドアぎりぎりの大きさだ。よく移動できたとは思う。

 が、そんなことは光樹には二の次の問題だった。むしろ、こんなところになんでいるんだという気持ちが出ている。真っ先にその疑問を浮かべた光樹が正面に移動し、質問をぶつける。

 

「っ!なんでお前がここにいる?ここはプラネテューヌの軍内部だぞ」

 

「何でって……そりゃあここが俺の持ち分だからな」

 

「……なるほどね。改変後のプラネテューヌの軍は、貴方が掌握してる、ということね?」

 

 鈴がそう聞くとその金属の巨大な手で拍手を送る。

 

「そうそう、正解だぜ、嬢ちゃん」

 

「あら、あたしは嬢ちゃんって呼ばれる筋合いはないんだけど」

 

 対して鈴は不満を持って返答する。鈴も光樹とは違った理由で警戒を強めていた。勇也や絵里奈も各々に戦闘態勢を取る(絵里奈だけは、猫パンチのように手を振っていた)。

 そんな様子を見て、プレスターDはおどけて誤解を解く。

 

「おっと、こりゃ失礼。けど、今回はお前らの敵になりたいためにやっていたわけじゃねぇよ」

 

「えー?じゃあ、なんで来たのー?」

 

 絵里奈が緊張感0な口調で本人に問いかける。だが、こちらとしても相手の狙いは知りたいところであった。勇也も絵里奈に続いて聞く。

 

「とりあえず、理由はあるんだろ。言ってほしいんだが……」

 

「おう、そうだな。じゃあ、合体している中で、俺が代表して言うぜ」

 

 少し息をためると、プレスターDは言った。

 

 

 

 

「黒いロボット少年、お前にこの俺、プレスターDことR1(アルワン)もとい、「DRX」が、戦いってのを教えてやるぜ!!」

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、次回はどうなっているのか?」

レイ「まさか、光樹君に喧嘩を売るなんてね」

ジャンヌ「光樹さん、挑発に簡単に乗らなければいいのですが……。でも、光樹さん、今回かなりゴールドサァド側に苛立ちを感じていましたよね?」

まぁ、ね。光樹君が真面目すぎるゆえにそう考えたんだし、激突は避けられないだろうね。次の話は戦闘回になる予定ですが、果たしてどうなることやら……。
さて、今回はここまでです。次回から、データぶっ飛び後に書くことになる内容です。ただ、まだ一話も出来てないんだけどね。

レイ「か、書けるの?」

そこはもう、1週間もらえれば何とか

ジャンヌ「と、いうことなので、次回の投稿はまた1週間後になります」

レイ「たぶん夏休みまではこうなんじゃないかな。それでも藤和木の就活の状況にもよるけど!それじゃあみんな、また次回ッ!」


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第115話 子供への愛という正義、怒れる拳

どうも、皆様、お元気でしょうか。麦茶のおいしい月になりました、藤和木弘でございます。

レイ「いやー、昨日は藤和木の通り道のお祭り見てきたけど、楽しかったよー!どうも、みんな!祭りの楽しめる季節になったね、レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「7月になって、わたくしもワンピースに衣替えですっ。どうも、皆様。ワンピース姿の似合う季節になりました、ジャンヌ・ドラニエスです」

みんなで夏と言えばということで、夏と言えば何か!を言ってみました。ちなみに光樹君に聞いたところ、テニスの盛り上がる時期だそうな。暑い中よくやるよ……(´・ω・`)

ジャンヌ「でも、藤和木も昔は部活動でソフトテニスをやっていたのでしょう?わたくしとしては、その時のかっこいい姿、見たかったです」

レイ「藤和木のスマッシュ、見てみたいなー♪」

いや、一応私後衛だったんだけど……まぁ、いいか。今回は第115話の投稿です。

ジャンヌ「DRXからの挑発で終わっていましたね」

レイ「光樹君、どう返事をするのかな?」

さて、この二人の激突、どうなる?それでは本編へ!


 戦いを教えてやる。プレスターD、いや、DRXは確かにそう言ってきた。先程の割り込み後、不満を持ちながらも、光樹はそのロボットの言葉を重く受け止めていた。あの場面での言い分は確かに正しかった。冷静になってからは少なくともそう思えた。

 だが、目の前に再び現れたそのロボットは、こちらの考えを無視し、挑発を入れてきたのだ。あまりにも露骨な挑発だ。普通の人間なら、よほどのことがなければ、その挑発を買いはしない。

 ところが、今の光樹に、その挑発はクリーンヒットしてしまった。その言葉を聞いて、光樹は持っていたペットボトルを乱雑にゴミ箱の方角へ投げつける。投げつけられたペットボトルは壁に当たり宙を舞う。そこから何の手助けもなく、ゴミ箱の中にすっぽりと納まる。

 見事な技だが、その当の本人は目を細め、DRXと名乗ったロボットを睨み付ける。怒りが先走った行動に、鈴が咎める。

 

「ちょっと、馬鹿光樹。挑発に乗らない!DRX、あなたも直球な煽りはやめときなさい」

 

「ああ、そうだろうな。この生意気な少年は、周りもよく見えない少年なんだから、これくらいのこと、冗談だと思って乗るわけないって。まぁ、女への優しさもない青臭いガキには、これでも乗せられちまうんだろうけどな」

 

 限界だ。完全にこちらをなめきっている。それが敵の狙いだというのは、光樹にももちろん分かっている。ここで手を出せば、こちらがかえって不利。その件を理由に、何かここで活動するのを阻害するつもりなのだろう。やはり、狙いは秘密結社の手伝い……。

 絵里奈が不安そうにその行く末を見つめる。ここで割って入らないということは、自身の行動に何か安心感を持っているということなのだろう。絵里奈の期待を裏切りはしない。そして、このまま好きにもさせない。

 その口から出かけていた怒りの言葉をグッと堪えつつ、表情を変えずにDRXに返す。

 

「……おい、そこの合体ロボの野郎」

 

「あ?何だい、気配りのない少年君?」

 

 おどけた様子で返事をする。が、それには目もくれず、挑発への返答だけをする。

 

「そんなに自分達の正義を示したいのなら、戦えばいい。ここは模擬戦ドームなんだ。そこで証明すればいいだろ?」

 

 対戦を行おう。そう意味した、目先の餌だ。果たして、やり返しともいえるこの挑発に乗るのかどうか……。光樹は若干の心配をしたものの、それは無用となった。

 

「……正義を示したいのは、君なんじゃないかい?ブラックボーイ?」

 

 先程の挑発を返した光樹からの逆挑発に、先程よりも真剣さのある声で返答する。どうやら、こちらからの焚き付けは成功したようだ。それを見計らって、やり取りを見ていた鈴と勇也が対決のルール等を提案した。

 

「じゃあ、成立ってことね。ここの第2模擬場を使うってことで」

 

「あそこならお前らも全力で戦えるだろう。開始は10分後でいいか?二人とも」

 

「あぁ、それで行こう」

 

「こっちもそれで構わないぜ。さぁて、悪はどっちなのかな?」

 

 二人は各々に頷きを見せる。そこで準備のためにDRXが部屋を出ていく。よって静寂が部屋を支配した。突如として緊迫に圧されていた空気は、あっけなく終わりを迎えたのだ。

 終わりを察したところで、絵里奈が息を思い切り吐いて、疲労を語った。

 

「…………はぁぁぁ~……びっくりしたぁ……。どうなるかと思ったよ」

 

 絵里奈の言葉は一番この雰囲気を象徴する言葉であった。続く鈴や勇也も、緊張したことを明かす。

 

「まぁ、驚くのも無理はないわね。まさか、改変して一番目立つ人物がやってくるなんて。しかも、さっき会ったばかりだってのに」

 

「やって来た理由は、邂逅したこと自体がなっていたようだけどな。……とはいえ、記憶喪失なのによくああも模擬戦の方向に持ってったと思うな。光樹、あれは狙い通りか?」

 

 勇也からの問いに、光樹はそうだったと答える。

 

「あぁ。目に見えた罠だったし、ここで即攻撃、なんてことしたらイストワールやネプテューヌに迷惑をかけたはずだからな。って言っても、もうあと何回か挑発か何かを受けてたら、耐えられなかったかもしれないけれど」

 

「フン、そもそも挑発に乗ること自体をしなければ、こんなことにはならなかったと思うんだけど?」

 

 鈴からは厳しい指摘を受ける。鈴の言うこともごもっともだ。あんな安い挑発、気にしなければよかっただろう。しかし、光樹も自身の考えを変える気はなかった。それが、自身の信じる道だからだと思ったから。

 光樹の思惑を汲み取るように、絵里奈も鈴に向けて擁護する。

 

「でも、あのままいいように言われるのも、なんかしゃくじゃないかなー?少なくとも、私は嫌だな~。だってぇ、光樹君に色々と言うだけ言うなんて、許せないもん!」

 

「絵里奈、あんたも少しは大きく物事を見て……」

 

 鈴が否定しようとするところで、それを遮るように礼を口にする。

 

「ありがとう、絵里奈。絵里奈の言う通り、ただ自分の考えを無理矢理押し付けるってのは、俺も気に入らなかったからさ」

 

「光樹君……えへへ……!」

 

 そのまま絵里奈の頭に手を置くと、絵里奈は照れ顔を見せて喜びの笑みを見せる。絵里奈の喜びに光樹の口元が自然と緩む。一方、見せられていた鈴は大きくため息をつくと、光樹に強く言いつける。

 

「はぁ~~っ……。光樹、とりあえず今回はあんたに賭けるわ。絶対に負けるなんてこと、ないように!もし負けでもしたら……」

 

「分かってる。負けられない……この戦い!」

 

 そう意気込み、光樹は第2模擬戦場へと足早に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、まさかこんなことになるなんてね~」

 

「だよねぇ~。私も思わなかったってー」

 

 ネプテューヌの声に絵里奈が頷き返す。彼女らは現在、第2模擬戦場の観客席にいた。呼ばれたネプテューヌは最初こそ、なぜ自分が呼ばれたのかは分かっていなかった。しかし、絵里奈に連れてこられたここで、鈴からの説明を聞いてようやく話を理解することができた。

 でも、正直言って驚いたなぁ。さっき会ったばかりのゴールデンプレスト?って二人組の一人とまた会って、しかもそのロボットの方が光樹と対戦するなんて。

 ネプテューヌが聞いていたのは、絵里奈からは光樹との進退を賭けた一騎打ち、鈴からは各々の信じる正義を賭けての真剣勝負だという。どちらにしても、光樹にはかなりプレッシャーがかかっているはずだ。それほどの勝負を買って出たことにネプテューヌも驚いていた。

 しかし、その分自分がここにいることは理に適っていると思う。こっちはこっちでアイエフとコンパにあのネズミ……ワレチューの看護と見張りで留まってもらっているが、この大一番の勝負、国の代表が見なければいけない。……「元」、ではあるが。

 そんなことを考えているうちに、フィールドに動きが出る。地面に開いた穴から、それぞれの機体が出てきたのだ。右に出てきたのは、お馴染み黒いガンダムこと和藤光樹の「ゴッドクロス」、左手から上がってきたのは、ワレチュー追跡時に姿を見せた仮面のロボット、「プレスターD」だ。

 出てきた二機を見て、絵里奈が真っ先に指し示して言う。

 

「見てっ!光樹君達だよっ!」

 

「本当だ。あの仮面ロボットもいるね」

 

 ネプテューヌも同じく反応する。ただ、ネプテューヌの言葉には誤りがあった。現れた仮面ロボットは、今は仮面をつけていなかったため、ただのロボットに近かった。とはいっても、仮面がついていないだけで、今はやけにモニターの部分がデカい顔と、その奥に光る二つの光が灯されているのだが。

 二人の盛り上がりを見つつも耳に当てたイヤホンマイクから声を出す鈴。増幅された声がスタジアム中に響く。

 

『じゃあ、これから模擬戦を始めるわ。互いに武器はセーフティ設定。ただし出力はそれぞれの機体と同じ。全力で戦って、先に機体の設定ライフポイントを削り切った方の勝ち、いいわね?』

 

『了解!』

 

『おうっ、構わねぇぜ?』

 

 二人からの返答がスピーカーから流れる。お互いにルールを確認しあったようだ。

 今回の勝敗は「ライフポイント形式」だ。機動兵器のコンピューターに耐久値を設定し、装甲にもらった攻撃の大きさによって耐久値が減少、0になった方が負けというものだ。ネプテューヌも海優との練習で知った模擬戦形式だ。

ついでにセーフティ設定とは、電子的にダメージを作り出し、反映させるというもの。これは光樹のガンダムのシステムを解析して作られたシステムだ。

 お互いに機体のチェックを行う。プレスターDの方からは先ほども聞いた声のほかに、男系の声と女系の声が聞こえることから、どうやら複数のロボットが合体しているようだ。合体していないとどうなんだろうかとネプテューヌは気になる。

 そして、勇也が戦闘開始のコールを行う。

 

 

 

 

「じゃあいくぞ。3、2、1……GO!!」

 

 

 

 

 その声と共に、激戦が始まる。まず最初に動いたのは光樹。早速両手に持ったANロング・メガ・マグナムを連射する。素早い連射にプレスターDは臆することなく、防御姿勢で攻撃をその自慢の装甲で守っていく。

 先にも思った通り、この模擬戦はライフポイント制だ。攻撃を受ければ、ライフが減っていく。となると、攻撃を受けるのは悪手とも言える。この場合、受けに回ったプレスターDが不利だろう。

 が、それは甘い考えだ。目の前にモニターされている二人の体力ゲージを見る。すると、プレスターDの体力はあまり目立つようなダメージの減り様は見られなかったのだ。

 

「やったぁ!光樹君の先制攻撃っ!……って、あれ?あんまりダメージ受けてないような……?」

 

 光樹の攻勢に喜んでいた絵里奈も疑問を浮かべる。ここが重要な点だ。

 まぁ、わたしも最初にこれやったときは驚いたんだよね。簡単に言えば、これ、防御値が反映されちゃってるんだよね。もっと簡単に言うなら、本人の耐久が体力の減りにも反映されてるってこと。

 耐久値が高ければ、それだけ受けるダメージが減る。ということは、防御が厚ければ受けるダメージも減るということだ。ここが、普通の模擬戦とは違う厄介なところ。リアリティさを表現しているが、踏ん張りが反映されないという、安全性とリアルな戦闘を絶妙に再現した機能だ。

 光樹もそれには手を焼いたように手数から威力で押す攻撃法に変更する。ライフルを合体させ、高出力のツインモードにすると、高出力ビームを放つ。が、これに対してもプレスターDは防御姿勢でダメージを抑える。

 連射攻撃が収まったのを見て、今度はプレスターDが攻撃に回る。全スラスターを全開にしてゴッドクロスに突撃したのだ。

 

「今度はあっちの攻撃みたいだな」

 

 勇也もそれを察する。接近したプレスターDは脚部の装甲を開く。内部には多数の弾頭が見える。それら全てが一斉に白煙を上げて光樹のガンダムに伸びる。

 反撃として放たれたミサイルに光樹は一旦距離を取る。距離を取ったところで空中でドライブモードを起動させて「オーディン」の砲撃態勢を取る。刹那の溜めののち、「オーディン」は赤い閃光と共に放たれる。放たれた光の矢により、迫りくるミサイル全てを撃ち落とす。

 攻撃を防がれたものの、プレスターDは気にすることなく、顔面部のモニターを光らせる。本気を出すときの合図か、とも思ったが、それは違った。その直後、光るビームがゴッドクロスに放たれる。

 

『ちぃっ!!』

 

 光樹は光る瞬間に回避行動を行い避ける。だが回避するにしてもスムーズ過ぎたようにネプテューヌには見えた。

 

「おおう!?いきなりなのに避けた!」

 

 考えたことを口にすると、鈴がその理由を説明する。

 

「おそろく、光樹自身も覚えているんでしょうね。あの機体のモデルのことを」

 

「だろうな。でなきゃ、あんな初見の攻撃を、ああもよけられたりはしないだろうよ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 二人の推測にネプテューヌは押される。光樹をほめているようにも、馬鹿にしているようにも聞こえたその言葉には、どことなく期待感が感じられた。何だかんだ言っても、結束は強いと思った。

 そんな唐突な攻撃を避けた光樹だが、プレスターDが続いて攻撃を行う。

 

『念力結界、「ドミニオンズボウル」!!』

 

 無数の赤・緑・青に輝く光の球体が放たれる。先程の攻撃を回避して接近をしようとしていた光樹も、それを見て急停止して回避行動に移る。

 ネプテューヌも知っていた。この攻撃は、あの場、ゲイムギョウ界トーナメントで見た攻撃だ。そこでようやくネプテューヌもあのロボットがゴールドサァドと一緒にいた、「ゴールドソフツ」の一人であることを知る。

 ってことは、この戦いはリベンジマッチだね。再戦という言葉に、わたしも固唾を飲んで見守る。

 特殊な球体による攻撃へ、光樹が迎撃を行う。腕部の端末からビームソードを出現させると、その再びプレスターDに突撃する。その途中で念力結界とすれ違う、が、その刹那で念力結界に対し、腕部のビームソードを突き立て、切り裂く。

 切り裂かれた念力結界はスパークを散らせた後爆発する。爆風に光樹のゴッドクロスが巻き込まれるものの、すぐに爆煙から飛び出し、また次の念力結界の処理を行う。回避する方法もあるだろうが、今回はこちらの進退を賭けた戦闘。処理できるものは限りなく処理した方がいいのはゲームでも現実でも同じことだ。それでもどちらかと言えば、リスクは軽減していきたいところだろうが、光樹としては邪魔なものはその時排除するというのが根本的な考えなんだろうと思った。

 すべての念力結界を破壊した光樹は、そのままプレスターDに突撃をかける。膝に装備されたANエネルギシャープナー「ゼロ・ソードキルⅡ」で切りかかる。プレスターDもそれに呼応するように右手に青い光を帯びさせてその拳で迎え撃つ。

 ビーム剣とエネルギーナックルがぶつかり合うと、激しいスパークが散る。辺りを激しく照らしたのち、両者はピンボールの如く弾かれる。互いに地面を擦って後退を止める。お互い、一歩も引かない攻防だ。HPゲージでは光樹の方が有利だが、それでも体力の差はあまりない。

 息詰まる攻防にどちらが勝つのか、この場にいる誰もが注目していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 視点は変わって光樹の方はと言うと、この一進一退の戦況に困っていた。とはいえ、静止するのもよくはないため、次の一手を考えつつ、再び攻撃に入る。腕部のANクロスビームボウガンⅣを高出力射撃、スマッシャーモードに切り替えて撃つ。高速で放たれる攻撃だが、それに対し、DRXはまた防御壁を展開しつつの防御態勢で攻撃を防ぐ。

 これまでの攻撃は、すべて防御姿勢に加えて、装甲に展開した防御用の障壁によって防御されていたのだ。光樹や観客席の鈴と勇也の見立てでは、DRXはスーパーロボット系の機動兵器。そういったものは大抵は装甲による防御性能が高い。その分、スピードはないものの、防御行動に回れば、攻撃は非常に通しづらい。そこに加えて、防御障壁ともなれば、まさに鉄壁の城、難攻不落の要塞だ。

 ライフルなどの高速の攻撃では不利。ならば一撃に重みのある攻撃をすればいい。そう考える光樹はANシェイブシフトドラグーンを展開する。展開されたドラグーンが包囲し、総攻撃を行う。全遠隔操作端末による攻撃は苛烈さがあり、傍から見れば大ダメージ必須な攻撃だ。

 だが、それでもなお、DRXは装甲での防御を選ぶ。こちらほど早く動けないというのもあっただろうが、それ以上に通常のドラグーンシャワーでは一点に与えるダメージが小さすぎて装甲と障壁のダブル防御に信頼を置いたうえでの行動なのだ。

 事実、観戦エリアの方の耐久メーターでは、先程よりもゲージは減っていたものの、未だにその耐久値は余裕を見せていた。

 だが、それも光樹としては予想の範囲内なのであった。本命はここからだ。光樹はゴッドクロスの右手に光を収束させる。黄金に輝く右手を開き、一撃を放つ。

 

「高熱爆砕!!」

 

『ディメンション・ブレイカー』

 

 敵機めがけて一直線に突撃する。DRXもまた指の部分から弾幕を放って迎撃する。爆風がこちらを覆い尽くす。ダメージが入っていくが、それでも軽微。ビームによるバリアとなった攻撃の余波でそのまま突撃していく。

 突撃した先に、DRXの装甲を確認する。そこへ、一点集中の一撃を撃ち込む。接触と同時に表面にビームが放たれ、爆発を起こす。爆風により光樹は空中でやや後退、攻撃を受けたDRXは弾き飛ばされる。弾き飛ばされたDRXは背中から地面に激突する。光樹が攻撃を放った左腕の装甲には、ダメージのセーフティ設定の影響で赤く光るダメージの跡が残る。

 

「……ち。なかなかやるじゃねぇか……!」

 

 ダメージを喰らったDRXも憎々しげにその実力に驚嘆する。予想以上にダメージが入ったということなのだろう。

 そのことに少しだが安心する。これで効かなかったら、もうDAIモードしかないと思っていたほどだったため、ダイだけではないのなら、負担をまたかける必要はない。今のドライブモードで最大の攻撃を喰らわせ続けることが出来れば、勝てる。

 ところが、そうもいかない。相手もこのダメージにより、本気になることとなった。

 

「けど、こっちもやられてばっかなわけにもいかないんでね!!R2、R3!!」

 

「あぁ!!」

 

「了解よ!」

 

 DRXの声に二つの機械音声が響く。おそらく、元ネタとも言えるSRXのR-2、R-3のパイロットに当たる存在だ。二つの声と共に、DRXは駆動音を響かせ、攻撃に移る。巨体からは予測できないやや早めの速度で、こちらに襲い掛かる。

 と同時にその巨大な腕でこちらに拳の一撃が伸びる。こちらもすぐにディメンションブレイカーで受け止めるものの、質量の差で押し負ける。地面をバウンドしつつ何とか着地に成功する。

 だが、そこに追い打ちと言わんばかりにまたDRXが近接格闘攻撃を仕掛ける。

 

「行くぜ!ジ・ザインナッコウ!!!!」

 

 巨体から放たれる拳がシールドを展開して防御した光樹にすらも衝撃と痛みを与える。この一撃、装甲を纏っていなければ骨が折れているレベルでは済まなかった。もしガンダムを纏っていなかったなら……と考えてしまう。

 だが、この状況は不利だった。次々と繰り出される重みのあるパンチは、こちらを防戦一方にさせる。さらには、こちらの耐久ゲージまで減らしてくる。防御力の低いシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスには、このダメージはあまりよろしくない。ビームシールドで防御する中、体力ゲージが半分を切った危険ゲージの音が鳴る。

 

『光樹、HPが半分を切った』

 

「この数発で!?あっちよりも受けた攻撃は少ないってのに……」

 

 このまま攻撃を受け続けるのはまずい。そう考えた光樹はすぐに離脱を試みる。しかしながら、それをのうのうと見逃すDRXではない。拳を繰り出した左手を突き出したまま、右手で光樹の回避先を塞ぐ。

 逃げ道を塞がれると同時に、光樹に左手のラリアットがかまされる。光樹は防御態勢を両腕で取る。攻撃を受け止めることには成功するも、ビームシールドの展開が遅く、衝撃がすべて光樹の電子化された体に襲い掛かる。地面に跳ねるように着地する光樹。そこになおも本気を出したDRXが迫る。

 胸部の装甲が開くと、そこから何かの持ち手が現れる。それをDRXの巨大な手が持ち、引き抜くと、それが刀身を形成し、一本の剣へと姿を変える。仰々しいまでの登場の仕方の剣をDRXはこちらに振りかざす。

 

「喰らいな、このD・O(デュナイド・オリハルコニウム)ソードをな!!」

 

「くっそっ!!」

 

 振り下ろされた必殺の一撃を、光樹はゴッドクロスのディメンションブレイカーで再度受け止める。腕で受け止めるのは無謀とも言えたが、防御能力も考えられたうえで、ビームの流れを断ち切られにくいこの攻撃でなくては受けきれない、かつビームサーベルを出す暇も惜しかった光樹にはそれしかないと思い、受け止めた。

 攻撃は凌ぐものの、圧倒的なエネルギーの疑似熱で機体の腕部にダメージが重なっていく。セーフティとはいえ、ここまでのダメージを負わせるのは普通ではない。完全に相手の機体のエネルギーが大きすぎた。加えて、耐久値もレッドゾーンに突入する。

 

「くっ……」

 

 光樹のゴッドクロスが体勢を崩しかける。それを見て、DRXが勝機を悟った発言をする。

 

「へっ!見たか!!これが子供というか弱き存在に代わって悪に鉄槌を与える、子供への愛っていう正義なんだよ!!」

 

 叫びと共にDRXが剣を振り下ろす力に更に上乗せする。このまま押されてゆく―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、光樹の中の、「何か」が弾けた。怒りの限界を突破したような感覚だ。だが、それと同時に、光樹の脳内にまた、記憶が流れ込む。光樹のブラッドゼロガンダムと孔雀のような翼を持つ機動兵器と対峙している、そんな唐突な場面が流れ込む。

 ところが、それを光樹は理解していた。どの場面なのか、「思い出していた」。それは、GKSWAXPが、まだGKPと呼ばれていた頃。

 当時の、「総司令」と対峙した時の事。未来を掴もうと反逆する光樹に対し、その「総司令」の言葉が蘇る。

 

 

 

 

『子供とは、ただ大人が、「正義」が与える未来を歩めばいい……それが弱く未熟な小童どもへの祝福だ……!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………違う………………」

 

 光樹のトーンの落ちた声が紡がれる。と同時に、押し込まれていたD・Oソードが地面に突き刺さる。

 

「よっしゃ!!……ってぇ、あれ?どこに……」

 

 剣への抵抗がなくなり、大ダメージを与えたと喜んだDRX。しかし、そこに光樹の姿はない。確かめようと首を振ったその時……

 

 

 

 

ガギャァン!!

 

 

 

 

「ぐぁっ!?」

 

 DRXの頭が真横に吹っ飛ぶ。吹っ飛ぶといっても、頭部が体と離れるほどではなく、突如横からの衝撃に合わせて体が動かされたというのが正しい。

 吹っ飛ばされるその前の地点に、残像を起こすほどの速度で光樹のゴッドクロスが姿を現す。その姿はすでにダイモードへと移行し、機体のツインアイを赤く光らせている。

 禍々しい雰囲気を持ったまま、間髪入れずに、DRXに突撃を行う。腰部のAN高純化射撃兵装「オーディン」もスラスターに転用し、速度を上げている。先の回し蹴りで怯んでいるDRXに対し、光樹は先にDRXが言った言葉に対し、言い放つ。かつての記憶の中で見た「総司令」に向けた言葉を、適した言葉に変えて。

 

 

 

 

「子供だけへの「愛」だけが「正義」なんて……そんな「正義」、絶対に違う!!そんなの、子供への「愛」でも「祝福」でもでもねぇ。強者だと思い込んでいる者の、ただの「自己満足」だッ!!!!」

 

 

 

 

 子供だけを守るという、身勝手な考えを持つ者への、怒りの拳が炸裂した。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

ジャンヌ「光樹さんの記憶が戻った……ですけど、今回は戦闘の記憶ではなく、非戦闘時の記憶でしょうか?」

そうですね。ただ、今回思い出したことは、光樹君が総司令という職に就いたことと、密接な関わりがありますね。

レイ「そっかー。光樹君の苦労話が聞けるのかな?」

そ、それはどうだろう……。でも、そろそろ以前光樹君が思い出した銀髪の少女の話についても書く予定ではありますね。時期が問題だけども。

ジャンヌ「それは考えなければいけませんね」

レイ「それはそうと、もうすぐ夏だけど、番外編とか書かないの?」

書きません。ただでさえこれも昨日打ちあがって出来立てなんですから。誤字脱字がすごい怖い……。

レイ「あははー、そうだったね……。ってことで、今回はここまで!次回も土曜更新になるよっ!」

ジャンヌ「それでは皆様。次回またお会いしましょう」


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第116話 黒き鋼の心、輝ける次元力の一撃

どうも、皆様、お元気でしょうか?先日、この猛暑の中、学校近くの美術イベントを巡ってきました、藤和木弘です。

ジャンヌ「この猛所の中、本当にお疲れさまでした、藤和木。どうも、皆様。ミニモードの時でも日傘をさして熱中症対策をしていました、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「ほんと、暑いよねー。冷たい飲み物欲しくなるよ。どうも、みんな!いつも元気でも、やっぱり日焼けは乙女の天敵!日焼け止めクリームを塗って外に出てる、レイ・オーバだよっ!」

まぁ、そんなことが日中にあっても、私はバトスピショップバトルに行ってきましたが……結果はお察しだったけど

レイ「でも、ネクサス対策とかして速度の落ちた死竜コントロール相手に健闘してたじゃん。対戦相手も「ここまでウルトラマンをうまく使える人はいない」って言ってくれてたんだし!」

うん。それは素直に嬉しかった。けど、やっぱヴォーダンとか、ブリュンヒルデとかを何とかしないときつい……トライアングルバンで8コスト指定してバースト発動不可にするか?……でもそれだとアビスが抜けるかもしれないし……

ジャンヌ「藤和木。それもいいですけれど、最新話の投稿ですよ?」

おっと、そうだったね。今回は第116話の投稿になります。

レイ「光樹君が覚醒して、反撃の開始ってところだったね」

ジャンヌ「タイトルの黒き鋼の心、とは何なのでしょう?」

さぁ、光樹君は強敵DRXを撃墜判定まで持っていけるのか?それでは本編へ!


 

 

 光樹が消えた瞬間、観客席は二つの声に割れていた。一つはネプテューヌの「光樹がやられた」と思った声。そしてもう一つは、「光樹が避けた」ということを理解した、絵里奈達の次の行動を確認しようとする声だった。

 

「そんな!光樹がやられ……」

 

「いや違う」

 

「えぇ、避けて……」

 

「……いたっ!!」

 

 絵里奈の声が響くと同時に、DAIモードに変形しつつ横に回り込む光樹の姿を確認する。その速さは今までの記憶をなくしていた光樹のものよりも早い。記憶をなくす前ほどではないが、それでも十分な速さで、DRXを回し蹴りで吹き飛ばす姿を確認する。

 回し蹴りを放って静止したことでようやくネプテューヌも光樹が無事だったことを理解する。見事に決まった光樹の反撃の一撃に、ネプテューヌは興奮気味にその様子を言葉にする。

 

「おおっ!?キレのある一撃っ!!」

 

 ネプテューヌの言う通り、光樹のその攻撃は今までとは違う。ここ最近の訓練ではまったくそこまで行くほどの動きではなかったはずなのに、今の光樹の攻撃の動きは記憶を失う前の、「総司令 和藤光樹」に近い動きであった。

 しかし、今いったいなぜ。急に動きがよくなるのもおかしいと言えばおかしい話であった。光樹の動きを確認できていた絵里奈達も、疑問を浮かべていた。が、そこで光樹が叫んだ言葉で考えがとある方向へと結びつく。

 

『子供だけへの「愛」だけが「正義」なんて……そんな「正義」、絶対に違う!!そんなの、子供への「愛」でも「祝福」でもでもねぇ。強者だと思い込んでいる者の、ただの「自己満足」だッ!!!!』

 

「その言葉は…………」

 

 鈴は驚きをつぶやく。心当たりのある言葉だったからだ。勇也もその言葉に苦笑を浮かべる。

 

「……ははっ。懐かしいこと言ってるじゃねぇか」

 

 二人の顔にはどこか懐かしさを感じる表情を見せていた。二人の反応に続き、絵里奈もその言葉を理解し、気恥ずかしさを感じながら、攻撃を放つ光樹に向けて独り言をつぶやく。

 

「そっか……。その記憶を取り戻したんだ……!」

 

 記憶を取り戻したということをなんとなく理解した言葉を発する。そんな言葉を放っている間に、光樹のゴッドクロス・ダイは次々と連撃を浴びせていく。絵里奈達はそんな光樹の姿に、早く記憶が戻ってくれることを願いつつ、勝利を願う。光樹の取り戻した、「黒き鋼の心」の宣言に思いを込めて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 先程の言葉を放っての攻撃は、見事に相手のDRXの胸部を強打する。攻撃がヒットすると、そこから衝撃がDRXの体を貫く。攻撃によるダメージがDRXの動きを鈍らせる。再び動きが止まると、光樹もまた、今度は反対の腕で殴り掛かる。

 連続した拳の一撃は、徐々にDRXの体にダメージを重ねていく。光樹自身の怒りそのものが次元力を纏った拳のダメージを増大させていたのだ。

 攻撃を重ねていく光樹自身も、確かなダメージを与えていることは感じ取っていた。しかし、それ以上に怒りの感情が必要以上に高まり、ほぼ直感だけで攻撃を行っていた。さらにその眼からは光が消え、口を閉じていれば冷静沈着な様子をうかがわせる表情となっていた。その状態でも、光樹は確実に敵のボディにダメージを重ねる。

 が、そこでDRXも黙ってはいない。繰り出される猛攻の合間に機体装甲に防御障壁を展開する。DRXの強固な装甲をさらに固くする、「サイキックフィールド」にゴッドクロス・ダイの攻撃が今一度阻まれる。

 が、それでは光樹はもう止まることはなかった。受け止められた左腕をそのまま押し付けつつ、光樹はゴッドクロス・ダイのシステム系に脳波信号を送る。その信号を受け、ゼロがその指示を受け止め唱える。

 

『カートリッジ、ロード。パワーブースト』

 

 その音声と共にゴッドクロス・ダイの左腕の手甲部から二回に渡って「パシュッ!」という音と白い煙が放出される。出力の増大システム、カートリッジシステムのロードだ。

 カートリッジシステムを稼働させたことで、障壁に打ち込んだままであった左の拳を押し込む力が増す。徐々に障壁は押し込まれていき、さらに激しく火花を散らせる。

 続く攻撃と防御の我慢比べだが、このまま延々と続けるつもりはなかった。その状態のまま、光樹は左拳をゆっくりと開く。障壁の影響で時間がかかりつつも、手を開くと、その手で障壁を「掴む」。

掴むと、その障壁を強引に引きちぎる形で破壊する。

 

「んなっ……!?サイキックフィールドを砕いた!?」

 

「不味い。R1!!」

 

 DRXのうちR2からの注意がフィールドを壊されて驚くR1に響く。それに構わず、光樹はゴッドクロス・ダイの攻撃を放つ。

 

 

 

 

「ゼロ、このまま撃ち込む!!」

 

『了解』

 

 

 

 

 ゼロからの合図とともに、光樹は開いた腕部から次元力のこもった衝撃波を零距離から放つ。

 

「ミドガルズ・ゲショス!!」

 

 緑色を帯びた、半透明の弾が生成されると同時に爆発を起こす。爆風により、DRXは再び地面へと倒れる。光樹も爆風を受けつつも地面に降り立つ。

 かなり高威力を与えたと思われる攻撃だ。これでおそらくはライフゲージも半分以上を削ったと感じていた。事実、光樹の予想は正しく、既に相手のダメージはレッドゾーンへと突入していた。

 ところが、DRXも諦めを見せない。頭を振りつつ、立ち上がるとDRXは怒りを露わにして言葉を吐き捨てる。

 

「くそが……。俺達の正義が自己満足だと!?ふざけるじゃねぇよ!!」

 

 その言葉と共に、模擬戦場に新たな機影が出現する。出現した人型の機体がこちらにけん制攻撃を放ちつつ、DRXの元に静止する。DRXの手助けにやって来たロボットは、体を光らせたのち、大きくその姿を変形させる。上半身が折りたたまれ、腕部に持っていた武装が脚部に連結され、砲身を形成する。

 「銃」の姿に変形した機動兵器をDRXがその手に装備する。この光景は以前にも見たことがあった。そう、あの日、ゴールドサァドとゴールドソフツ達に敗れた日。光樹自身を破った、あの攻撃だ。

 

「へへっ……俺達は負けねぇ……正義のヒーローのとっておきは、最後の一撃にふさわしいもんだぜ!!」

 

 DRXが得意げに言いながら、こちらにその銃口を向ける。しかし、そのセリフはこちらも同じだ。あの日以来、目覚めてからどうすればいいか。それだけを考えていた。鈴達にどうすればあの攻撃を突破できるかを相談し続けていた。

 ところが、鈴達は「記憶が戻れば、あの程度の攻撃は真の「ディメンションブレイカー」で余裕、と言われていた。本当の力なら、その程度で突破できる、ということだったが、あいにく光樹自身もどのタイミングで記憶が戻るかなんて分からなかった。

 それは、記憶が全部戻れば、全性能を発揮したシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスの力で押し切れるというのは分かる話だ。そんな分かり切った話が出来ないのだから聞いたのに、その答えで返されてしまったのだから、もうため息が自然と出てしまう。

 そのため、ゼロと、有志として協力してくれた絵里奈と共に考えた、今の光樹でもできる方法を考えた。そこで思い付かれた案が、次元力を極大まで高めたNFB「ディメンション・ブレイカー」で突撃する、というものであった。

 単に攻撃を避けるという案も当然あった。当初ゼロもシュバルトゼロの機動力であの程度の攻撃は避けられる、ということで提案を受けた。しかし、それでは光樹自身が納得できなかった。真正面から破られたのなら、今度はこちらが真正面から破らないと納得できない、そうでなければ本当の勝利とは言えない。そう思ったからだ。

 光樹自身も、あまりにも固すぎる、また変に真面目すぎる考えだと思っていた、しかし、その話を聞いていた絵里奈からは「それこそ光樹君らしい」と言われていた。どうやら記憶を失う前の、機動兵器を扱う面の自身も、負けず嫌いなようだ。

 そうして、次元力の一撃で攻撃を受け止めそのまま吹き飛ばす、という考えが決まったわけである。だが、少し前までこの場面になって使うことをためらっていた。

 その理由はもちろん、この対戦形式だ。耐久性のバトルは、攻撃が当たれば、特殊なことをしていない限り、ダメージを受ける。当然、フィールドで防御するにしても、受けた攻撃の威力を抑えきれるほどのエネルギーでなければ、ダメージはカウントされてしまう。DRXも攻撃を念力フィールドで抑えていたが、それでもダメージを軽減させる程度の能力だったため、ダメージを受けていた。

 まだ最初のうちなら、もしくは耐久性とは違う、決着の形式だったなら、この攻撃に賭けるということで躊躇いなくエネルギーを込めて突撃していただろう。だが、今は耐久ゲージが半分を切るどころか、レッドゾーン。装甲の薄いゴッドクロス・ダイには、あと一撃大きな攻撃を受ければ、撃墜判定をもらう体力だ。攻撃を凌げなければ、間違いなく終わる。

 確実性を得るためには、避けるしかない。あの攻撃がどれだけ連射できるか、もしくはDRXがどのように攻撃してくるかによっては、それもなかなかリスキーなことだった。今現在、ゴッドクロスはDAIモードを起動させている。システムが停止する制限時間終了直後の隙を狙われても終わる。

 光樹の中では、どちらかを選ばなければ終わる状況の最中であったのだ。刹那の中、迎撃しようと考えたものの、それらを想像してしまった光樹が、後者を選ぼうとしたところで、その考えは変わった。

 

(……そうか、そうだよな。ここで逃げれば、証明なんて出来ない。昔の俺だって……)

 

 よみがえった記憶と、新たに考え付いた戦術が光樹のたどり着いた「答え」につながる。もはや迷っていられない。光樹は真っ向から立ち向かう方を選ぶ。

 光樹はゴッドクロス・ダイのNFBモードを起動させる。未だ一度も試したことない、即興の攻撃のためゼロからは『NFB』としか発音されない。NFBモードにより、次元力とAN粒子が右手に集中していく。

 そして、ここからが、過去と今の戦術が合わさる時だ。チャージを行いつつ、ウイングユニット内のANシェイブシフトドラグーンが分離し、機体の前方に展開される。展開されたそれらは、形状を変化しつつ、6つの編隊を作る。

 その形状は、何かの筒を作る板だ。外側は小さな山を作りつつも表面は平ら。一方、内側にはエネルギーの発生装置が内側に、何かを光線で繋ぐようなレーザーサイトの装置が側面に設けられている。

 そして、それらは光樹の進行方向上に予想通り筒のような配置をする。まるで、発射台のようであり、実際そうであった。配置されたANシェイブシフトドラグーンは一度中央に集合するとすぐに離れる。離れると同時に、そこに大きなエネルギーの膜を形成。再び元の位置にてエネルギーの膜を固定した。

 それを確認し、光樹はゴッドクロス・ダイのスラスターを全開にし、突っ込む。右手を前に突き出すと、エネルギーが幕を形成して突撃する光樹のゴッドクロス・ダイを覆う。

 突撃したゴッドクロス・ダイが筒の中を通ると、エネルギーの膜がゴッドクロス・ダイに重なる。エネルギーが蓄積される。通ると同時に、加速がつき、すぐに次の膜を通る。

 次々と膜が重なり、スピードを上げてDRXに突っ込んでいく。それにDRXも気付くが、その時点でゴッドクロス・ダイは3つ目のドラグーンの筒を突破していた。

 

「自殺紛れの特攻か!?けど、こっちの方が早ぇ!!」

 

 ちょうどチャージが完了していたDRXの大出力砲撃……「限界突破一発必中砲」を放つ。

 

「次元無敵の、一発必中砲!!!!」

 

 DRXの中核となっている者の声と共に、全エネルギーを込めた砲撃が放たれる。放たれる頃には、光樹はすでに4つ目の筒を抜け、5つ目のドラグーン帯に手を伸ばしていた。

 ゴッドクロス・ダイが抜けるのが早いか、それともDRXの砲撃が飲み込むのが先か。その勝敗の行方を、観客席の面々も見つめる。そして、その時は来る。

 ゴッドクロス・ダイが最後の膜を破ろうとしたところで、ビームがドラグーンに激突する。攻撃を受けたドラグーンと光樹が飲み込まれると同時に、大爆発を引き起こす。さらに伸びるビームが後方の壁まで伸び、大きなエネルギーの爆発を引き起こす。しばらくの間、砂埃と爆炎がフィールドを覆い尽くした。

 

 

 

 

「やったぜ!!!!俺達の、勝ちだッ!!」

 

 勝利を確信したDRXのうち、R1の声が響く。爆風に飲み込まれた相手の機体を見ての反応、当然のことであった。

 しかし、ことはそう上手く運ぶことは、遂になかった。直後、爆風の中から機体が出現する。それは、エネルギーを右手に溜め切り、攻撃を凌いだ光樹の姿であった。

 

「なっ……」

 

「馬鹿なっ!?」

 

「不味い、何とか避け……」

 

「くぅぅっ!あたしが盾に……!!」

 

 突然の襲撃に驚きを隠せないDRX面々。何とか銃の形態となった機動兵器を掲げて防御しようとする。だが、それはもはや無意味な壁となる。圧倒的速度で敵に激突し、押し込む。同時に、全エネルギーを解放……NFBを放つ。

 

 

 

 

『ノイズフォースビックバン、ネイムド?』

 

 

 

 

 ゼロから名称の要求を受け、光樹は名前を付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディメンション・ブレイカー・ディスチャージ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その声と共に、機体の前にシールドを形成していたエネルギーが集まり、大出力のビームが一気に放出される。ゼロ距離から放たれたビームは容易く銃の機動兵器を撃ち抜く。その勢いは止まることなく、DRXの体にも直撃する。殺傷力のない設定のビームでも一気にDRXの体も撃ち抜く。幾重にも重ねられたエネルギーの過分出力がドリルのような形となって突き抜け、外壁にもダメージを発生させる。エネルギーの放出が終わると、そこには機体の中央に黒い丸の燃えカスが形成されたDRXが立っていた。

 まだ戦えるのか、と思い、再び警戒する光樹。だが、その心配はなかった。機体が揺れたかと思うと、DRXは何も言わずに地面へとその巨体を押し付ける。手を付くことなく倒れた姿は、まるで抜け殻だ。

 そうなったところで、観客席の方にいた鈴の声がこちらに響く。

 

『体力ゲージ0、加えて、DRXの信号途絶。よって、この勝負、和藤光樹の勝ち!!』

 

 それは戦いが終わりを告げた相図であった。その声と共に、待機していたと思われるDRX側の整備兵たちがDRXの元に駆け寄る。それを見てようやく、光樹も緊張を解き、地面に膝をつく。

 何とか勝った。あの時と完全に同じ状況(4対1)ではなかったものの、DRXに勝った。あの必中砲を破った上で。単体の相手に対してはこれ以上ない、最高の勝利であった。

 光樹が繋いでいた通信回線からは、ネプテューヌと絵里奈の喜びの声が聞こえてくる。2人もこの勝利を喜んでいた。そう思うと、光樹も自然と頬が緩む。

 

「やったんだ……俺は。あの時のリベンジを……」

 

『その通りだ。少なくとも、あの機体……DRXはお前が倒した。よくやったというべきだろう』

 

「……へへっ」

 

 ゼロからの珍しい褒め言葉に、なぜだか喜びを感じる。するとそこに、鈴からも称賛の声が贈られる。

 

『よくやったじゃない。……まさか、あんな新技を完成させるだなんて』

 

「ははっ、鈴が協力してくれたら、もっといい攻撃が出来たかもしれないけどな」

 

『……言ってくれるじゃないの。今度からもーっと訓練メニューを強化しておいた方がいいかしらね?』

 

「……」

 

 冗談交じりに鈴に強がってみた結果がこれであった。やはり、挑発を交えての応答はいけなかったようだ。本当にそうならないか、心配になってしまう。

 鈴からの返事に若干反応に困る光樹に、勇也が声をかける。

 

『……まぁ、おめでとさん、って言ったところか。リベンジ戦は制したことだし、早く戻ってきな。絵里奈が早くお前と話したいみたいだしな』

 

「そっか。……絵里奈には色々と世話になったしな」

 

『だよな。まぁ絵里奈としても、それは本意みたいだったし、それに対して俺は何も言わないぞ』

 

 勇也の言葉に光樹は少し驚いたのち、口元を緩める。どうやら、勇也は自身と絵里奈の「作戦会議」については知っていたようだ。見られていたんだろうかと思うが、それよりも早く絵里奈に会ってやらないといけないことを理解して光樹は先程の勇也の言葉に返す。

 

「そうかい。じゃあ、そっちの方に戻るよ」

 

『了解。こっちに合流したら、アイエフ達と合流するぞ。そろそろあっちも起きるころかもしれないからな』

 

「分かった。すぐに戻る」

 

 それを伝えると、光樹は通信を切って体を反転させる。振り向きざまにDRXの方を見る。何人かの専属スタッフが端末を用いて再起動のようなことを行っている。

 しかし、かなり四苦八苦している様子だ。それも当然だろう。先程の「ディメンション・ブレイカー・ディスチャージ」によるダメージは、攻撃を放った感覚的に、かなりの威力であることは明らかだった。それこそ、セーフティモードであったとしても、その威力は間違いなく敵機体のシステムに大ダメージを与えたはずだ。

 

(しばらくはあのままだろうな。ま、殺す……いや、壊したりはしていないから、すぐにまた動くだろうけど)

 

 先程の戦闘で少し戻って来た直感でそう感じつつ、作業を背に光樹は鈴達との合流を急いだ。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。見事大勝利しました、光樹君でしたね。

ジャンヌ「そうですね。まさか、正面から攻撃を突破するとは思ってもいませんでしたけれど。それと、黒き鋼の心は、昔光樹さんが言っていた言葉だったんですね」

そうです。具体的には、前話で前の総司令との対決時に言ったのが「黒き鋼の心宣言」ですね。これによって、志願制の子供兵士徴兵ができるようになった感じですね。とはいえ、利点ばかりではないですけれども。

レイ「でも、光樹君の新しい必殺技、かっこよかったね!エネルギーをため込んで突撃して、攻撃をはじきつつ相手にダメージを与えるなんて!」

一応元ネタはあります。ガンダム知っている人には、ディスチャージの言葉でわかるかもしれません。次の話からは、ワレチューとの話になりますので、戦闘回はそれらを挟んでからまた行いますね。それでは、本日はここまでです。

レイ「次回もまた土曜日だよー!」

ジャンヌ「それでは皆様、また次回お会いしましょう」


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第117話 目覚めたネズミへの質問

どうも、皆様、お元気でしょうか。夏の暑さが本番になってきたように外に出るたびに思い始めている、藤和木弘です。

ジャンヌ「本当、暑くて敵いませんね……。どうも、皆様。日に日に暑くなるこの季節にため息が出てしまう、ジャンヌ・ドラニエスです……」

レイ「ほんと、もうあっついとしか言えないよねーっ!こんな時には海にでも行きたいよね。どうも、みんな!最近はジャンヌちゃんと水着を選んでる、レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「そうですね。最近は海で過ごせるように新しい水着を見に行ったりしていますっ!」

あぁ、そういえば私が学校の方で課題に追われてる中、2人とも近くの店に行ってたっけ。

レイ「そうそう!だから、藤和木。夏休みが始まれば、ジャンヌちゃんの水着姿が見られるよっ!」

ジャンヌ「ちょ、れ、レイさんっ!?そんなはっきりと言わなくても……」

よっし、やる気出た!テストも課題も小説も、この1週間本気モードで片づける!!

ジャンヌ「も、もしかして、わたくしとの時間のために……ですか?」

それ以外に何がある!?ジーっとしててもドーにもならねぇから、本気出す!!

ジャンヌ「はぁあぁん♡藤和木……っ!」

レイ「ちょ、それ最新のウルト○マンの主人公のセリフ……」

さて、今回は第117話の投稿です。

ジャンヌ「そうですねっ♡今回はあのネズミへの尋問になりますね」

レイ「そ、そだね!ワレチューから語られるのはどんな事実なのかな?」

それでは本編へ!


 

 

「いやー、見てて手に汗握るバトルだったね!」

 

 ネプテューヌの称賛の声が響く。現在、ネプテューヌ達は教会の存在するプラネタワーの廊下を歩いていた。ネプテューヌが話していたのはもちろん、光樹と仮面戦士「プレスターD」との対決についてだ。ネプテューヌも女神サイドの観戦者の一人として、見届けたのだ。

 ここまでくる間にも、何回もあの戦いについて話してるけど、本当に、あれはすごかったよ!!光樹の否定の言葉で一気に劣勢を逆転して!それから急に動きのキレが良くなったまま突撃!そこに前に光樹を倒した攻撃が来ても、迷わず突っ込んで正面から攻撃を破るなんて!この作品、わたしが主人公だけど、今回ばかりは光樹を主人公って呼んでもいいんじゃないかな、って思ったくらい、今回はすごい対決だったなぁ……!

 勝手に光樹のことをそう思いつつも、何度目かになる光樹の褒め言葉に鈴が呆れの言葉を放つ。

 

「よく何回も言ってて飽きないわよね。あの程度、本当の光樹なら楽勝だって言ってるのに……」

 

「でもさ、記憶を失った光樹がここまでやれるようになったんだよ!前よりも絶対強くなっているし、わたしとしては、光樹の成長は嬉しいな!ただ、物語の主人公は渡さないけどね!」

 

「何を言っているんだか……。だがまぁ、同じこと思ってるやつはいるみたいだけどな」

 

 ネプテューヌの問いかけに、勇也は少し気まずそうにしながらも横に目をやる。そこにはネプテューヌの言葉を聞いて、随分とご満悦そうな絵里奈が光樹にくっついて歩いていた。

 

「だよねぇ~!!光樹君だってちゃんと記憶を取り戻すために頑張って戦っているんだよ~。鈴ちゃんも、ネプテューヌちゃんを見習って素直に褒めてあげようよー?」

 

 絵里奈からの説得に、鈴はあまり乗り気ではないようにまた息を吐く。どうやら光樹に対しては、記憶を失っていても進んで言葉を交わしあう仲ではないようだった。

 しかし光樹の成果に対して触れないつもりはなかった。絵里奈の言葉の内容に軽く交えながらも、光樹に対し発言する。

 

「まぁ、この馬鹿の奮戦のおかげで、こっちのメンツは保てたんだから、喜ぶことにしましょう」

 

「……まぁ、その扱いにはもう慣れたよ。これで俺達も少しは大きく動けるかもしれないからな」

 

 光樹も鈴の言葉を受け流しつつ、返答する。光樹の言う通り、ネプテューヌ達は今のゲイムギョウ界を支配しているというゴールドサァドとゴールドソフツのうち、プラネテューヌのゴールドソフツに勝利を収めた。それは少なからず、何か影響を与えるはずだ。これで少しは事態が動けばいい。

 そうこうして話しているうちに、一行はアイエフ達がワレチューの看護をしている部屋までやってくる。ネプテューヌが立ち止まると、ドアをノックして開ける。ドアを開けた先では、見張るアイエフと看護するコンパ、それに未だ目覚めぬワレチューの姿があった。

 アイエフがこちらに目を向けると同時に、ネプテューヌは帰ってきたことを伝える。

 

「あいちゃんただいまー」

 

「あら、早かったわね。それで結果は?」

 

「聞いてよ、光樹の大勝利!!あいちゃんとコンパにも見てもらいたかったなー」

 

「それじゃあ誰がネズミを見張るのよ」

 

 ネプテューヌのボケにいつも通りアイエフがツッコミを入れる。光樹達が続いて部屋に入って来たのを見て、コンパも声をかける。

 

「おかえりなさいです、ねぷねぷ、光樹さん。けがはないですか?」

 

 コンパの気遣いに、光樹は機嫌よく答える。

 

「あぁ、大丈夫だ。ダメージは軽減されていたし、少し腕がしびれてる部分もあるけど、問題ないよ」

 

「そうですか。ですが、無理をしてはいけませんよ?」

 

「あぁ。その時は頼むよ」

 

 光樹の返事に、安心したコンパは、再びネズミの看護の方に当たる。と、そこでネズミことワレチューの目が動く。

 それに気づいた鈴が全員に伝える。

 

「みんな、そろそろ起きるわよ」

 

「えぇ」

 

 アイエフは軽く返答すると、ワレチューの寝ているベットの横につく。対して鈴はその左に立ち、脱走不能の状況を作り出す。なぜかこの二人が並ぶと、双璧とも言えるほどの威圧感を発生しているように思える。

 そんな中でワレチューが目を覚ます。

 

「……ぢゅ。ここはどこっちゅ?確かオイラは……」

 

 まだ完全に目が覚めきっていない様子で、辺りを見回す。鈴とアイエフの二人の方を見ても反応しないあたり、少し視界がぼやけているか、頭の中の記憶の整理が整っていないのか……。

 困惑した様子のワレチューに対し、アイエフが待ちわびたように声をかける。

 

「やっと起きたのね」

 

 アイエフの言葉を聞いて、ワレチューの目がそちらに行く。そこでようやくワレチューが二人に対し驚きの声を発した。

 

「ぢゅっ!?お前は女神のおまけと、それにそっちのお前は……」

 

「光木鈴よ。この次元では初めて会うわね、黒ねずみ?」

 

 鈴はそのように自己紹介する。どうやら別の次元で、鈴も別のワレチューに会っているようだ。しかしながら、光樹ほどはっきりと憎しみや敵意を感じさせてはいなかった。

 一方、先程の言葉に、気に触れたアイエフが怒ってその表現を否定する。

 

「誰がおまけよ、誰が!あんたが私をどういう目で見てたのかようやくわかったわ」

 

 その怒る様はまるでノワールがぼっちと言われて怒るのに似ていた。普段はクールなことが多いアイエフも、このように失礼なことを言われれば怒るのは当たり前であろう。その怒りの勢いに、ワレチューも体を震わせて自分がここにいる理由について聞く。

 

「お、オイラを捕まえてどうするつもりっちゅか!?」

 

 その言葉はまるで悪の組織に捕まったヒロインがおぞましいことをされる直前に言う言葉であった。大抵こういう時は仲間が助けに来るというのが鉄板ではあったが、悪人にそんなことが起こるわけがないとネプテューヌはその考えを捨てる。

 そんな一方、ワレチューの方はというと、何やら勝手な妄想を始めていた。

 

「はっ!?まさか、ネズミ界ナンバー3のオイラを消すために、ナンバー4のあいつが圧力を……」

 

「ナンバー4って誰だよ……」

 

 光樹が思わずツッコミを入れてしまう。ある意味正しいツッコミではあったが、それでもどこか今の状況に合っていないとアイエフが咎める。

 

「もうっ!バカなこと言ってないで、コンパに感謝しなさいよね。街中で伸びてるアンタを治療したいって言って、教会まで連れてきたんだから」

 

「そうじゃなかったら、目覚めた先は冷たい牢屋の中にいる予定だったんだから。コンパにはお礼を言いなさいよ?」

 

 アイエフと鈴がワレチューに今の状況がどれだけ配慮されたものだったのかを語る。ネプテューヌも、もしコンパがあれだけ優しくなかったら、間違いなくワレチューは薄暗い教会の奥底にいたと思っていた。

 ホント、ネズミはコンパに感謝しないといけないぞー?わたしだってコンパが治療したいって言うから、先に折れてコンパの味方をして、人数多数で教会で預かることになったんだから。コンパがいなかったら、わたしも特別なことがない限りは、中古の貴重なゲームを盗んだってことで、ソッコー牢屋へシュゥゥゥト!!してたかもなんだから!

 二人からの説明を受けて、事実を知ったワレチューは、かなりの妄想を交えてこの状況を、そしてコンパに対し感謝と褒めの言葉を口にする。

 

「そ、そうだったちゅか。コンパちゃん、やっぱり天使っちゅ」

 

「いくらお人好しのコンパでも、ここまでいれこむのはホント珍しいのよ」

 

「ということは、まさかオイラって、コンパちゃんにとっては、特別な存在っちゅか!?」

 

 アイエフからの言葉を、かなりポジティブな方向へと勝手に助長させていくワレチューも、かなりの人物ではないかとネプテューヌ、それに光樹達も思う。ワレチューの改竄した内容一つにで、アイエフの眉は何度も上にぴくぴくとさせているにも関わらず、全く意に介していないのだから。一方のコンパもそれを見て知らないように笑っていた。完全に外の人といった具合に。

 すると、そこでちゃんと理解させるのに諦めたのか、アイエフはワレチューの言葉を切り捨てつつ、コンパのためにと釘を刺す。

 

「さぁね。けど、そんなコンパを悲しませることだけはしないでよね?」

 

「オイラがコンパちゃんを悲しませているっちゅか?」

 

 コンパの話に一際神妙な面持ちで聞き入る。どうやらコンパの悲しんでいるということが気になったのだろう。

 すると鈴がそのあとの言葉を代弁する。

 

「当り前じゃない。知り合いが悪いことをしていて、いい気分な人なんていないわ。それも片思いの相手がそう思っているんだから、分かるでしょ?」

 

「……そうっちゅか。……けど、訂正するっちゅが、オイラとコンパちゃんは両想いっちゅよ?」

 

「……このネズミ、ひょっとして光樹より馬鹿なんじゃないの?」

 

 真面目に話したのにも関わらず、ワレチューからの返事に鈴は頭を抱えてつぶやいた。

 うん、鈴の考えは分かるな。このネズミ、コンパが関わるとそれしか考えられなくなっちゃうからね。今までのシリーズでも、コンパがいると戦闘中に「はぁはぁ」とかいう時もあったくらいだからね。それでいて両想いだって思っているんだから、ガッツだけはすごいなぁとは思うけど。

 が、そこで話がすっきりと進む……はずだったのだが、次の言葉はまたツッコミの必要な内容であった。

 

「一時期はオイラも悪事から足を洗って、違法コピーゲームの販売をしながらおとなしく暮らしていたんだっちゅが……」

 

「いや、足洗えてないだろ、それ」

 

「そうだね。違法なことしてるって言った時点で、それは悪事だよぉ……」

 

 光樹の率直な意見と共に、絵里奈も気まずそうに違法であることを追及する。アイエフや鈴も疑り深そうな目でワレチューを見る。悪事を洗ったのなら、違法などという言葉は出てこないはず。完全にまだ悪事を続けていた、立派な証拠だ。

 悪事を続けていた発言に、ドン引きな様子のネプテューヌ達に気にすることなく、ワレチューが話を続けようとしたところで、コンパがその具合を見て安心したように言う。

 

「元気になってよかったです。けど、これに懲りたら、もう悪いことしちゃダメですよ?」

 

 コンパからの注意に、すんなりとワレチューは言葉を返す。

 

「そうっちゅね。一時期は犯罪組織でマスコットをやってた時期もあったっちゅ。けど、それが解散してからは、コピーしたゲームを売って小銭を稼ぐ日々……そろそろオイラの悪の道も潮時っちゅかねぇ……」

 

 先程までとは明らかに違った返しに、ネプテューヌはあまり信じられなかった。今まで何度もネプテューヌ達と激突しているのだから、信頼できない気持ちがあったのだ。

 周りを見渡すと、ネプテューヌと同じことを思っているのか、光樹達面々にアイエフも疑い深そうに見つめていた。

 けど、本当に悪事を洗う気があるなら、その覚悟を見せて欲しいところがあるよね。同じようなことが起きないためにも、何か新しい犯罪の犯人の第1号になってみんなから冷たい目で注目されるような、重ーい罰が!何かないかなー?

 そのように考えたところで、お遊び感覚で刑罰を思い付く。早速考え付いた案をアイエフ達に笑顔で告げる。

 

「あいちゃん!わたし、ゲームを違法コピーする人は無期懲役でもいいと思うんだけど、どうかな?」

 

「そうね。二度と悪さができないように牢屋にぶち込んだ方がいいかもしれないわね」

 

 ネプテューヌの悪ノリに珍しく素直にアイエフが乗る。先程の発言もあってか、アイエフはその顔に悪いことを考えている表情をしていた。まさに、本当に実行する流れであった。

 そんな流れは、光樹達にも伝播する。鈴からの意見が飛ぶ。

 

「意外といけるかもしれないわね。たかがゲーム一つで無期懲役なんて、新鮮味があって、いい犯罪予防につながりそうだわ」

 

「鈴が珍しくゲームの話題に意欲的に考えてるな。まぁ、考えていることは完全に悪魔のするようなことだが」

 

 鈴の出した賛成の意見に勇也が意外だという言葉を口にする。どうやら、鈴とゲームは無縁のような関係らしい。しかし、その言葉を口にしたということは、それだけ今回の件には色々と思うところがあったようだ。とはいえ、続く勇也の言葉で、それは完全に怒りのはけ口としての発言だったようだが。

 鈴と勇也の会話に続き、光樹と絵里奈も各々の意見を出す。

 

「うーん、俺としては無期懲役の他に、何か罰が欲しいところだな」

 

「何か他に罰って言うと~?」

 

「例えば、中世ヨーロッパの拷問……アイアンメイデン、とか……」

 

 オオウ!まさか光樹からそんな物騒な単語が出てくるなんて!わたしは少し驚いてしまう。あまりにもこの場で言うのは難しい部類の単語だったから、光樹の頭のねじが外れちゃったんじゃないかって思ったよ。

 けど、よく思えば、光樹ってまた記憶を取り戻したみたいなんだよね。さっきの戦闘の後で聞いた感じ、その記憶は光樹が組織のトップに立つ前の出来事みたい。記憶が戻ったんなら、今までの光樹からは出てこなかった言葉が出てきてもおかしくはないよねー。

 光樹の発言には気にしないようにしたネプテューヌはわざとらしい声で罰についてどうしようかということを発言する。

 

「さぁーて、どれがいいかなー?無期懲役?拷問?それとも社会的に抹☆殺!とかのがいい?」

 

 女神とは到底思えない(今は「元」女神だが)その残酷な罰の言い渡しに、焦るワレチューが待ったをかける。

 

「ちょ、ちょっと待つっちゅ!自分語りくらい、しんみりやらせて欲しいっちゅ。なのに、何をオイラへの判決を真面目に考えているっちゅか!?少しはこっちの話にも耳を傾けてほしいっちゅ」

 

 ワレチューから懇願の声が漏れる。えー、もうちょいいじりたかったんだけどなー。

 少し名残惜しさを感じつつも、とりあえずその話を収める方向にアイエフが話題を変えた。

 

「なら、足を洗うついでに、あんたが知っている悪人たちの情報を洗いざらい話してもらおうかしら」

 

 見逃す代わりに、情報をすべて吐け、というのは、物語でもよくある交換条件だ。とはいえ、ネプテューヌの見立てでは、常に悪人に対しては容赦のないアイエフが、そう気前よく悪人を見逃すとは思えなかったが。

 だが、それ以前の問題であることがワレチューは口にする。

 

「……ふっ。残念ながら、そいつはできないっちゅ。オイラ、悪党とはいえ、仲間や友人を売るようなことはできないっちゅよ」

 

 ワレチューは何のプライドなのか、情報を教えることを断ったのだ。どんな悪党の中でも一番小物そうなネズミが仲間を売ることはできないと口を堅くする。まさかこのネズミが、仲間の情報を売らないというのには正直驚いてしまう。簡単に口を割ると思っていた故に意外である。

 が、それで引き下がるネプテューヌ達ではなかった。まだこちらには「奥の手」がある。その「奥の手」である人物が、今度は話に入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 情報を割らないネズミことワレチューに、絵里奈達は困っていた。見た目と違って口が堅いというのは、意外にも尋問ではなかなか口を割らないというのは絵里奈達も何度か経験したことがある。

 記憶を失う前の光樹でも、そういった種類の人物に対しては尋問がやりづらいと言っていた。無理矢理吐かせるという手も、GKSWAXPという「警察軍隊」の枠である組織ではよほどのことがない限りやりづらいからだ。

 加えて、現在光樹は元の状態ではない。聞き出すのは難題だろうと思っていた。しかし、ここで絵里奈は不自然に笑ったネプテューヌの顔を見る。

 

(……あれ?ネプテューヌちゃん笑ってる。何かあったのかな?)

 

 首を傾げる絵里奈。しかし、その疑問はすぐに解決へと導かれる。タイミングよくコンパがワレチューに話しかけたのだ。

 

「わたしたち、アフィ魔Xっていう秘密結社を追っているんです。知っていることがあったら教えてほしいです」

 

 それは頼み込みであった。「お願い」といってもいいかもしれない。とにかく、コンパのさりげない頼みが目の前で行われる。

 けど、流石にそれじゃあダメでしょ、と思った私の前で、事態は意外な方面へと向かう。

 

「そんなことならお安い御用っちゅ。コンパちゃんにオイラの情報網の凄さを見せてあげるっちゅ」

 

「ズゴーッ!」

 

「えぇ~!?」

 

 一瞬の変わり身に先程予想はしていたが思わずコケるネプテューヌと絵里奈の驚きの擬音と叫びが響く。鈴と勇也が冷めた目でコンパにデレまくるワレチューを見据える。その様子は完全になかったことにしたいような眼であった。

 一方、光樹の方は、こちらも予想通りという反応で、呆れてため息をつく。何度もその様子を見てきているという感じが伝わってくるような姿勢だ。

 変わり身の速さに、テンションがガクッと落ちたネプテューヌがツッコミを入れる。

 

「さっき仲間を売れないとか言ってたのに、何この変わり身!?」

 

 ネプテューヌちゃんのツッコミはもっともだ。さっきまでの言葉と真反対な返答に絵里自身もどう対応していいのか分からないよ……。このネズミ、絶対スパイとかに向いてないよ……。簡単に釣られて寝返って情報漏らすタイプだよ。

 絵里奈の顔から珍しく笑みが消えている中で、アイエフがなぜこうなったかについての考察を苦笑いしながらも行う。

 

「このネズミがちょろいのか、それともコンパが魔性の女なのか……」

 

「こ、コンパちゃん、恐ろしい子……」

 

「女は美貌が武器って話は聞いたことがあるけど、でもこれはたぶん前者でしょうね」

 

 絵里奈がコンパを畏怖し、鈴が続いてさりげなくそれにツッコミを入れる。テンプレ通りのような会話であった。

 しかし、そこで話が意外な方向へ動く。光樹が話題を戻しつつ、質問を投げかける。

 

「……だけど、意外だよな。お前みたいな下っ端系の悪者が、この世界を騒ぎに騒がせてる秘密結社のことを知ってるなんて。ひょっとして、秘密結社のメンバー、とか?」

 

 光樹の冗談交じりの問いには、絵里奈もないだろうと思っていた。普通、こういう組織のメンバーは、こんな小さなことで捕まるミスを起こさないと思っていたからだ。

 おそらく、何か怪しい取引を見た、というだけなのだろうと思っているところに、予想だにしない事実が舞い込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

「知ってるも何も、まさしくオイラはその秘密結社の一員だっちゅ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……一瞬、何のことか分からなかった。その告白は、あまりにも唐突過ぎたからだ。信じられない、だが、信じるしかない。切望していた願いが叶う。秘密結社の足取りを追うという、願いが。

 絵里奈の、SSRメンバーの声が、重なる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『あなたが(お前が)秘密結社の一員っ!?』

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。分かる人には分かるけど、また今回話の部分変えたところがあります。

レイ「あそこだよね。光樹君達がワレチューのいる部屋に戻って来たところ」

ジャンヌ「ゲームの方ではコンパさんがネプテューヌさんと一緒に外へ行ってて、アイエフさんが見張っていたところでしたからね」

まぁ、今回は光樹君の戦闘が長引いたってことだから、時間がかかって、ワレチューも時間の強制力的な物で目覚めるのが遅くなったということになります。

レイ「時間の強制力って何?」

簡単に言えば、未来で起こると決まったことを簡単に変えることは難しい、だったかな?名称もあやふやなところがあるし、正しいことは忘れちゃったから。

ジャンヌ「とはいっても、わたくし達のいた時間軸のグラン・ロロでは「ダークネスホール」こと「終焉の黙示禄」事件で過去を変えてしまっていますから、あまりそうは思いませんけれど」

あぁ……あれほんと大変だったなぁ……。まぁ、その話は置いておいて。次回の投稿なんですが、前半で言った通り、私、月曜日から試験なんですよね。

ジャンヌ「なので今回は8日後の日曜日までお時間を頂くことになります。皆様、ご迷惑をおかけします」

レイ「それじゃあみんな、また次回ッ!夏休みに入るだろう人達は存分に夏休みを楽しもうっ!」


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第118話 語られる秘密結社の情報

はい、皆様、お元気でしょうか。先日、二十歳の誕生日を迎え、心機一転しました、藤和木弘です。まぁ、二十歳になったからといって、目に見えて変わったのはお酒が飲めるようになったってことくらいですかね。

ジャンヌ「そうかもですね。でも、お酒の飲み過ぎは体に毒ですよ?どうも、皆様。7月21日はわたくしのモチーフ「断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス」がアニメで火山より生成された日。ということでわたくしも誕生日を迎えました、ジャンヌ・ドラニエスですっ!」

レイ「二人とも、プレゼントをお互い内緒にしてたから、すごい偶然だよねっ!どうも、みんな!私の誕生日は何も祝ってもらってない、レイ・オーバだよ」

ごめんって!ジャンヌさんの方にしか気づいてなかったのは謝るから!というか、ジャンヌさんがもう既にプレゼント送ってるのにはびっくりしたわ!

ジャンヌ「うふふ♡わたくしとレイさんの付き合いを考えれば、覚えているのは当たり前ですっ!」

レイ「うん、本当ジャンヌちゃんしっかりしてるよ!藤和木も来年は忘れないでくれてるといいな♪」

う、うん、覚えておく。というか、今週は色々とあったなぁ。

レイ「藤和木とジャンヌちゃんの誕生日、藤和木の学校のテストくらいじゃない?」

いや、もう一つあるよ。

ジャンヌ「それって?」

ウルトラマンジード ソリッドバーニングのお披露目だ!

ジャンヌ「あ、あぁ、そうでしたね……」

もうなにあのロボっぽい演出!肘のブースターで加速つけての攻撃!胸部アーマーっぽいもののガッションガッション動く機能!さらに足のパーツにスラッガーをつけてのブースト回し蹴り!そして決め手の手首パーツ展開の必殺光線!!何なんだよこのウルトラ戦士!?一瞬ロボットアニメ見てたのかと錯覚したわ!(歓喜)

レイ「ここからまた、光樹君とかのガンダムに機能が移植されていく気がする……」

まぁ、そうなったとしてもかなり後、たぶんこのSSRと言う名のGでは出てこないだろうね。

ジャンヌ「さらっと続編制作を言いましたね……」

さて、そんな近況報告もいいけど、今回は第118話の投稿です。

レイ「今回は前のワレチューからの衝撃事実発表の後から!」

ジャンヌ「ワレチューの話は事実なのか、そして秘密結社の全貌とは?」

それでは本編へ!


 唐突過ぎた話であった。目の前にいたネズミは自分こそが秘密結社アフィ魔Xのメンバーであると口を割ったのである。

 先程も絵里奈を含めたGKSWAXPメンバーも驚き、同時にそれを見ていたネプテューヌ達も、一同驚きの声を上げていた。

 

『はあ!?』

 

 誰もが驚く中、そういった類の驚かしに慣れていたのだろうネプテューヌが、かの有名な、絵里奈達はまだ行ったことはない世界の名言で感想を語る。

 

「あ……ありのまま、今起こったことをはなすぜ!小悪党だと思っていたネズミが、実はわたしたちが追っている秘密結社の一員だった……。な……何を言っているのか、わからないと思うが、わたしも何をされたのかわからなかった……。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」

 

「いや……別に○・ワールドされたわけじゃないんだが……」

 

「そ、そうだな。時が止まってからオ○オ○か○駄○駄○ラッシュを受けて「時は動き出す」とか言われたわけでもないだろうし……そもそもお前はポル○レフじゃねー……」

 

 メタすぎるネタを知っていた光樹と勇也が続けてネプテューヌの言葉にまだ焦りを浮かべつつもツッコミを入れる。こういったネタに関しては、光樹や勇也の方が詳しいため、すぐに反応することが出来たのだ(ちなみに、鈴は2人の言葉に未だついていけていない)。

 そこまで時間が経って、ようやく他のメンバーも立ち直り、その事実を受け止める。

 

「まさに瓢箪から駒とはこのことね……」

 

「事実は小説より奇なり、とは言うけれど、まさか本当にこんな展開になるなんて……勉強になったわ。この世界で、本当に常識は通じないみたいね」

 

 アイエフと鈴の言葉に、絵里奈もただ納得する。

 ホント、驚きだよねー。どうしたらこんないい感じに情報って集まるのかな?私達GKSWAXPで取り扱った大きな事変でも、ここまで上手く物事が進むことなんて、なかったと思うんだけど……。でも、これで情報は手に入りそうだし、いいかなっ♪

 早速、アイエフが秘密結社の構成員だと分かったワレチューに質問をかける。

 

「なら、教えてちょうだい。秘密結社の構成員は?そして、やつらはこの国で何を企んでいるの?」

 

「はいはーい!わたしはマザコングの正体が知りたいなー」

 

「俺も、ネプテューヌの質問に似るが、エクスの正体が知りたい。出来れば、エクストリィムって巨大兵器とか、もし知ってるなら、ダークメガミ、も」

 

 続くネプテューヌと光樹も、同じように疑問をぶつける。だが、絵里奈達は光樹の言っていた単語に疑問を浮かべていた。

 エクスというのは分かる。先日の戦闘で、マジェコンヌと共に襲撃してきた相手だ。だが、エクストリィムとダークメガミというのは、まだ話に聞いていなかった。そういえば、と絵里奈は思い出す。確か、光樹が一時飛ばされていたという「零次元」という世界では、巨大な敵が姿を現していたという。それも2体。

 それらは、光樹とネプテューヌ、ネプギア、そして、現地協力者の「うずめ」なる人物と協力して撃破し、零次元に平和をもたらしたとのことだ。

 その際にそれぞれ同化していたというマジェコンヌとエクスは撃破したはずだとあの先頭ののち、アイエフが入院している間に聞いていたが、ネプテューヌと光樹の質問は、おそらくそれを踏まえたうえで質問したのだろう。

 とはいえ、流石にワレチューも一度に質問されるのは困り、注意をする。

 

「質問は一つずつにするっちゅ。一度にされても答えられないっちゅよ」

 

 い、意外とそういうのには言うんだね。まぁ、誰もが「一度に10人の話を聴ける」っていう「聖徳太子」さんじゃないんだし、それもそっか。

 絵里奈は当たり前のことに自問自答し、考えを元の方向に戻す。今はワレチューから話を聞かなければ。アイエフ達も気を改め、質問を一つずつ始めることにする。順番は質問を口にした順に、つまりアイエフからだ。

 

「なら、私からよ。秘密結社の規模や構成員を教えてちょうだい」

 

 物事を一番分かりやすく見るための、典型的な質問だ。相手の構成を知ることは、組織戦においても重要である。ただ、問題はワレチューがいくらコンパに懐柔されたからといって、本当に教えてくれるかどうかということである。流石にそれには答えないのでは……とも思ったが、それには及ばなかった。ワレチューはすんなりと答える。

 

「8人ちゅ。いや、正確には7人と1匹っちゅね」

 

「思ってたより小規模なのね」

 

 アイエフはその答えに意外な表情を見せる。アイエフだけではない。GKSWAXP側の光樹に鈴、勇也……加えて、絵里奈自身も、流石に今回は驚きを隠せない。

 8人、かぁ。確かに、私達も次元の海の中にある世界で活動するときは最少人数4人で活動することはあるね。けど、それでもバックにはGKSWAXPとか、SSRシリーズのNPには「メテオ・G」だってある。そんな少人数でこのゲイムギョウ界を裏で活動しているってことは、それだけ何か大きな力でも持っているのかな?

 同じように光樹達も心理下で考えを巡らせていた。光樹は何か大きな黒幕がいると、鈴と勇也は絵里奈と同じく、自身を支えるバックの組織が構えていると考えていた。

既にここまで考える光樹達に対し、ネプテューヌ達はまだ言葉の意味をそのまま受け取っていた。アイエフですら、まだ少なすぎると考えていた。そこにワレチューがアイエフ達の認識を訂正する。

 

「それはそうっちゅ。オイラたちは秘密結社じゃないっちゅからね」

 

「秘密結社なのに秘密結社じゃない?どういうことです?」

 

 コンパがわけがわかっていないように聞き返す。表情からも分からないというのがひしひしと伝わってくる。

 もー、コンパちゃんにも分かるように言わないとー。私の認識としては、私達が勝手に秘密結社って呼んでるだけ、なのかなー?

 感覚的にそのような考え方を浮かべる絵里奈。だが、それは正しい認識であったことをワレチューが説明する。

 

「秘密結社ってのはメディアが勝手に付けた名前っちゅ。それに、構成員が7人いても、実際に盗みを働いているのは、オバハンとバッテンだけっちゅ」

 

「あー、やっぱりそうなんだー」

 

 絵里奈は納得の声を出す。思い返せば、絵里奈達はゲイムギョウ界改変後、秘密結社の情報についてはその場にいた住民達や軍人達といった、改変の影響をもろに受けた人物や、こちら側の人物でマスメディアに現在最も近いイストワールからの情報しかない。

 それらの人物は、大抵がメディアや諜報部からの情報が主となる。そうなれば、名称を勝手につけたり、仮称したりするため、情報がそれらに頼ってしまうことになる。ともなれば、こういった認識の違いがあっても当然と言えば当然な話である。

 そのように、注目を感じさせるワレチューの言葉に対し、アイエフと鈴がそれぞれその中でも特徴的な単語である「オバハン」と「バッテン」呼ばれる人物の詳細について聞く。

 

「オバハン……それって、マジェコンヌのことよね?」

 

「じゃあ、バッテンはエクスよね?」

 

「そうっちゅね」

 

「マジェコンヌと言ったら、以前、存在した犯罪神や犯罪組織と同じ名前だけど……エクスは、私達は心当たりがないわ。鈴達は?」

 

「エクスって名前そのまま、ってわけじゃないけど、心当たりがあるとすれば、「イクス」かしら」

 

 「イクス」。それはとあるガンダムの世界において、ラスボス的存在となったキャラクターの名前だ。絵里奈は光樹と共に一度、その世界に行き、対峙したことがあったため少し知っていたが、鈴達はそのキャラについては、その人物が登場するゲーム「エクストリームバーサス」から得た情報しか知らなかった。

 鈴から話を振られた勇也は、少し考え込みながらも、思い出したことについて答える。

 

「だろうな。別の次元で、極限のガンダム「エクストリーム」を使って、電脳世界のガンダム作品に対し、「破壊による支配」を行おうとしたやつだったか。この辺は光樹が知っているんだが……」

 

 流石に、ガンダムの詳しい話となると、光樹に頼るしかない。覚えているかどうかが気になったものの、光樹はその不安を打ち破り、詳しい説明を語る。

 

「あぁ。エクストリームバーサス、もしくはガンダムEXAの世界で、データ上にだけ存在する、「極限のガンダム」と称される「エクストリームガンダム」の1機を操るGダイバーの1人だな。正確には、イクスは管理プログラム「EX-A666」というプログラムだったはずなんだけど。……エクスはロボットとして誕生したイクスなんだと思う」

 

 光樹の説明もあって、アイエフも納得した様子を見せる。ネプテューヌが思い出したようにエクスのことについて呟く。

 

「でも、あんまり強くなかったイメージだなぁ。わたしが見たの、エクストリィムを操ったときくらいしかないもん」

 

 直接戦ったことはないという発言だったが、そこで光樹がネプテューヌの言葉に補足を入れる。

 

「そりゃあ、ネプテューヌがいなかった時のことだもんな。知らなくて当然だ」

 

「確かにそうだね。強かった?」

 

「かなりな。まぁ、ゴッドクロスのおかげで、エクス自体は楽に倒せたんだが……」

 

 その話からして、どうやら光樹もエクスが強敵だったということを感じていたようだ。ゴッドクロスを持ち出すあたり、記憶を失っている点を含めれば強敵であるのは間違いないだろう。

 それらの解説を聞いて、アイエフが話を元の方向に戻す。

 

「それで、あいつらは何者なの?そして、目的はなに?」

 

 アイエフの一番聞きたいことに対しての質問が飛ぶ。倒したはずの敵がいるというのもおかしい話だ。命なんて、例外がなければ1つしかないはずなのに、なぜ彼らはまだ生きている、そして稼働しているのだろうか。そもそも、彼らの出自は……。

 それらを込めての代表したアイエフの質問であったが、ワレチューは少し困った様子を見せつつ、はっきりと答えた。

 

「わからないっちゅ。気になって調べようとしたっちゅが、オイラの知り合いの誰も知らなかったんだっちゅ」

 

 分からない。その一言は絵里奈達を落ち込ませるのに十分な威力を持つ。その秘密さえわかれば、何か事件が見えたり、先手を打つこともできたかもしれなかったのだが。

 が、逆にそれはそれほどの事情がある、ということでもあった。その秘密が明かされたときには、事態が大きく動くかもしれなかった。

 そう考えることにした絵里奈だったが、そこでワレチューがさらに気になることを続けて語っていた。

 

「ただ、オバハンとバッテンが渦巻きマークのゲーム機を探していることだけは確かだっちゅ」

 

 その言葉を聞いて、物事がつながった。確か秘密結社はゲーム機を盗んでいたはず。その理由が、そのゲーム機を探すことだとすれば、行動がつながる。

 そっか。だからゲーム機が盗まれていたんだね。ゲーム機を盗むって聞いた時には、秘密結社っていう割には小さいことをしてるなぁって思ったけど、マジェコンヌとエクスがそのゲーム機を探してたっていうなら、それも当然だね。

 絵里奈以外にも光樹達GKSWAXPのメンバーはそれに気が付いた。そんな一方、コンパが繰り返してワレチューの発言を繰り返す。

 

「渦巻マークのゲーム機、です?」

 

 心当たりのないといったような様子であった。ゲーム機をあまりよく知らないコンパならでは反応であった。絵里奈達もあまりこの世界のゲーム機に関しては知らなかった。が、そこで適任の人物がいた。ネプテューヌだ。ネプテューヌのゲームに関する知識は、既に窃盗事件の時点で明かされている。もしかすると、ネプテューヌなら、何か知っているかもしれない。

 すると、ネプテューヌも心当たりがあったのか、何やら呟いた。

 

「……渦巻きマークかぁ。ま、まさかね……」

 

「ん?どうしたの、ネプテューヌちゃん?」

 

「うんっ!?な、何でもないよー?いやー、わたしですら知らないゲーム機だなぁ、って思っただけ」

 

「そっかー、残念」

 

 ネプテューヌも知らないということを聞いて、少しがっかりした様子を見せる絵里奈。そう物事はうまく運ばないようだった。

 が、それらを聞いて、鈴とアイエフが納得を示す。

 

「ネプテューヌも知らないってなると、トップシークレットのゲーム機ってことかしら」

 

「もしかすると、新型ゲーム機か、もしくは試作機ってなるわね。けど、ようやく分かったわ。だから、秘密結社はいつもゲーム機ばかりを盗みを働いていたのね。そして、あんたも」

 

 鈴達の厳しい目がワレチューに向けられる。が、それにお構いなしと言わんばかりにワレチューは潔く失敗を認める。

 

「結局は全部、ハズレだったっちゅがね」

 

 がっかりする様子を見せたワレチューを見る。骨折り損のくたびれ儲け、といったところだ。しかしながら、アイエフはそれに気にすることなく、次の質問へと話を移す。

 

「じゃあ、次の質問。他の構成員について教えてちょうだい。あと、そいつらが何を担当しているかも」

 

「それも言わなきゃダメっちゅか?」

 

 続くアイエフからの質問に対しては、ワレチューが嫌がる素振りを見せる。ワレチューもこれ以上仲間を売るような発言はしたくないようだった。

 絵里奈も、その気持ちは分からなくもない。かつて、GKSWAXPと激突した組織との激突で、絵里奈も同じように捕まり、情報を吐くことを要求されたことがある。

その時の記憶はあまり思い出したくはないが、あの時が自身がSSRシリーズのガンダムを扱った、最後の時期の事件であったから、余計に記憶が残っていた。悪い記憶というものは、トラウマとして残りやすいものである。

 とは考えても、今は必要なこと。相手に同情していては何も得ることは出来ない、と鈴がアイエフの言葉を代弁する。

 

「いや、むしろそここそ一番重要なところじゃない。言わないと即冷たい牢屋行きよ?」

 

「おーおー、鈴の容赦ない発言が飛ぶなぁ」

 

 鈴の脅しに勇也が怖がるような声を出す。光樹とネプテューヌも、それを見て苦笑いをしつつ、冷や汗をかく。先のアイエフも含めた、2人の威圧感にワレチューがビビりながらも情報の提供を渋る。

 

「それだけは勘弁してほしいっちゅ。……けど、やっぱり仲間を売るようなことは抵抗あるっちゅ」

 

「マジェコンヌとエクスのことはあっさり喋ったのに」

 

 ワレチューの発言に即反応したネプテューヌの言葉には納得である。仲間を売りたくないのなら、なぜあの2人だけは例外なのだろうか。気になったところでワレチューが本音を呟く。

 

「オバハンは人使いが荒いだけだから例外っちゅ。バッテンもバッテンで、何考えているか分からないっちゅからね。あんまり進んで仲良くやりたくはないっちゅから喋っただけっちゅ」

 

「えぇ……何その勝手な理由……」

 

 絵里奈は少し呆気に取られた様子を見せる。いくら人の扱い方が酷かったり、危険人物だからと言っても、それはどうなのだろうか。

 とはいえ、ここで引き下がるわけにもいかず、光樹が更に聞き入ろうとしたその時である。

 

ピーンポーンパーンポーン

 

 いきなり迷子センターから、迷子のお知らせのような音が部屋に響く。教会からのお知らせなのだろうか。すると、何かあったということだが。

 気になった全員は、お知らせに耳を傾ける。すると、聞き覚えのあるような、少女の声が響く。

 

「ピンポンパンポーン♪業務連絡。業務連絡。えー……ネプテューヌ、アイエフ、コンパの3名と、和藤光樹とその他3名は大至急、謁見の間に来るように。……特に和藤光樹、覚悟しておくように。以上、業務連絡でしたー」

 

 最初にも聴いたセルフ木琴の音を発して、お知らせは終了する。その知らせに、光樹は特段反応しなかったが、その他3名として扱われた鈴、勇也、絵里奈は不平等の声を漏らす。

 

「ちょっと、この馬鹿だけ名前で呼んで、どうして私達だけその他扱いなのよ!!」

 

「まぁ、落ち着け。多分さっきの模擬戦が原因で呼ばれたんだろう。その他扱いもあんまりこの世界で名乗ってなかったし。ただ、まぁDRXが名前を憶えてなさそうだったから、この扱いは予想できたがな」

 

「うーん、出来れば名前で呼ばれたかったなー。私達影薄い感じなのかな」

 

 ぞんざいな扱いを受けたことに納得はいかなかったが、それでも呼ばれたいうことなら、行くしかない。アイエフ達も3人の扱いに笑いつつ、これからの行動の変更を伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「珍しいわね、ビーシャが直々に呼び出しだなんて。けど、あなた達の扱い、酷いわね」

 

「全くよ。光樹がぶっ飛ばしたんだから、光樹だけにしておきなさいよ、ホントムカムカする……」

 

 アイエフからの発言に鈴が怒りを込めつつ返答する。先程の件は、どう見ても喧嘩を吹っかけてきたゴールデンプレスター側が悪いというのに、その余波が直接関わった光樹だけでなく、自分達にも降りかかってくるというのはあまり見過ごすことは出来なかった。

 が、勇也からの発言も無視できないところであった。よくよく考えれば、光樹の方がこの世界により馴染んでいる。馴染んでいる側が名前を憶えられているというのはよくあることだ。

 そう切り替え、思考を平常に保つ。すると、その呼び出しを聞いていたネプテューヌが、声の主についての質問をアイエフに投げかける。

 

「ビーシャって、この国のゴールドサァドだよね?今の今まですっかり忘れてたけど」

 

 確認のためという感じがしており、事実ネプテューヌもそのつもりで訊いていた。確認の声に対し、アイエフがこと細やかにビーシャについての情報を語る。

 

「そ。そして、エキシビションマッチでネプ子たちを倒した相手でもあり、さっき私たちを助けてくれたゴールデンプレストの片割れのプレスト仮面の正体の子よ」

 

「そうなの!?」

 

 ネプテューヌが驚きを露わにする。この驚きようは完全に気づいていなかった時のリアクションだ。

 もちろん、鈴達は彼女の正体がなんとなくゴールドサァドの1人であることには気が付いていた。光樹ですら、あの妨害ののち、プレスト仮面がゴールドサァドのメンバーだろうと休憩所に着く前に言っていたため、気づいていたというのに。

 ネプテューヌの大げさなリアクションにアイエフは少し信じられないといった表情で驚いた様子の真偽を問う。

 

「……まさか、あんた。気付いてなかったの?」

 

「うん。謎の組織に改造された改造人間的なヒーローかと思ってた」

 

「な、何よその設定……」

 

 少しおかしな方向へと持っていくネプテューヌに呆れを口にした鈴。鈴自身、それがどういったことなのか分かっていなかったが、そこで光樹がその発想元について口にした。

 

「仮面○イダーじゃねぇか、その話……。しかも初代」

 

「え、仮面ラ○ダーって改造人間の話だっけ?」

 

「そうだったろ。知らねぇのかよ、鈴」

 

 勇也がため息をつく。なぜか、自身が知らなかったことに対して羞恥感が出てしまう鈴は慌ててそれを隠すように反論する。

 

「お、女の子がそんな男の子向け作品なんか見るわけないでしょ!バカみたい!」

 

 鈴の知らなかったことを当然だという返しが飛ぶ。だがしかし、そこに絵里奈が絡んでくる。

 

「えー、仮面ライ○ーが改造人間だったっていうの、私知ってたよー?」

 

「……絵里奈、それは光樹から聞いたりして……」

 

「ううん、バラエティ番組とかで見たよ?」

 

「………………」

 

 打つ手を出し尽くした。知ってなかったのがあたしだけだなんて……。あたし以外のメンバーが全員知っていることにあたしは言葉も出ず、ただ立ち尽くす。

 と、そこでアイエフが助け舟を出す。

 

「はいはい、そんな話は置いておいて。ネプ子、見て分からなかったの?街の人たちもみんな知ってるのよ。呆れるわ……」

 

「そ、そうね。あれだけ正体が分かっているのなんて、むしろ分からなきゃおかしいわよ」

 

 アイエフの言葉に続き、ネプテューヌへのため息を漏らす。光樹達からの視線が気になったが、それは気にしないことにした。そこに天然なコンパも続いて周知の事実であることを告げる。

 

「バレてないと思っているのは、ビーシャさんだけで、みーんな知ってるです」

 

 その言葉に、改変後の世界の事情をあまり知らない光樹達も納得して頷く。ネプテューヌ以外全員が、正体を分かっていた。

 追い打ちに、アイエフが現在のビーシャの活動について語る。

 

「いつもDRXとほっつき歩いてヒーローの真似事してるけど、それでも治安維持には協力してるし、あれでも一応は、この国のトップなのよ。まぁ、お金には汚いけどね」

 

 最後の容赦ない指摘にも力を入れてアイエフが語る。どうやらその点だけはあまり評判は良くないようだ。その話に対しネプテューヌが感激した様子でフォローの言葉をかける。

 

「おおーっ!知っていても知らないふりをしてあげるなんてリアルなヌクモリティを初めて見たよ」

 

 ……いえ、その反応はちょっとおかしいと思うわ、ネプテューヌ。あと、ヌクモリティってなによ、その新しい単語……。

 心の中で自然と突っ込む鈴。しかし、呼ばれたというからには行かなければならない。となると問題が一つ。コンパがそれについて聞いた。

 

「ところで、あいちゃん。ネズミさんはどうするです?」

 

 そう。ここを離れるということは、このネズミを自由にしてしまうことを意味する。するとアイエフは少し考えたのち、考えをまとめた。

 

「そうね……。とりあえず、檻にでも入れておきましょ」

 

 

 

 

 その一言で、ネズミは牢屋に入れられた。後を看守達に任せ、鈴達は牢屋を後にする。

 こうしておけば、ネズミに逃げられることはないはず。そう思っていたのだが、そのすぐ後で、ネズミが助けに来た忍者によって牢屋を脱獄したのは、予想外であったのである。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さて、次回はいよいよ正式にネプテューヌとビーシャの対面です。

レイ「結局、ワレチューからこれ以上情報は引き出せなくなっちゃったってことだよねー。もう少し分かればよかったのに」

ジャンヌ「そうですね。それにしても、今回は忍者ことステマックスだけなのですね」

まぁ、ローゼンは電子戦を得意とするタイプだからね。隠密行動とかではローゼンは邪魔になるから。とはいっても、ローゼンの「あの機能」で、監視カメラ類は無効化してたり。

ジャンヌ「影の活躍、ということなのですね。人には向き不向きがありますし」

レイ「色々なんだねー」

では今回はここまでで。

レイ「次回はまた1週間後!今週の水曜日を過ぎれば、藤和木もいよいよ夏休みだよ!」

ジャンヌ「そうなれば、少しはまた更新ペースも上がると思われますので、皆様お待ちいただけると幸いです。では、また次回、お会いしましょう」


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第119話 対面、ビーシャからの命令

どうも、皆様お元気でしょうか。学生は夏休み満喫してますか?私は人生最後の大型休暇を就活と共にエンジョイしています、藤和木弘です。

ジャンヌ「専門学校生の藤和木にとっては、これが最後になりますからね。どうも、皆様。今日は藤和木の親御さんが東京の方に行っているので明日の昼まで藤和木と二人きりです♡ジャンヌ・ドラニエスですっ!」

レイ「ついにバトルスピリッツ最新弾蒼キ海賊も発売っ!藤和木も久々に最高レアリティのXXレアを当てたよ!どうも、みんな!星竜のデッキをどう組もうか考えてる、レイ・オーバだよっ!」

さてさて、今日は第119話の投稿になります。ビーシャとの対面です。

レイ「そういえば呼んでたね。でも、光樹君にすごい敵意丸出しだったよね……大丈夫なの?」

さぁ、ビーシャから言われるのは、いったい何なのか?光樹君は無事この場を切り抜けられるのか?

ジャンヌ「戦闘パートじゃないんですから、切り抜けるはおかしいと思うんですが……。それでは、皆様、ここから本編になります」


 

 

 呼び出しから数分後、ネプテューヌ達は教会の「謁見の間」という部屋にやって来た。ここは以前から……犯罪組織事件や、タリの女神事件で作戦会議として使用したこともある部屋だ。

 教会でもかなり重要な部屋にネプテューヌは一番乗りを上げる。

 

「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃじゃーん!ネプテューヌ参上!」

 

 元気よい一声が部屋に響く。遅れてアイエフ達も入ってくるが、先のネプテューヌの言葉に苦笑いをする面子が多い。光樹もネプテューヌに聞こえないように「いや、お前はくしゃみする大魔王じゃねぇだろ……」とツッコミを入れているくらい、ネプテューヌの発言はメタかった。

 一方、部屋の中にはすでに2人の人物たちが一行を待っていた。1人は、現在のネプテューヌたちの頼れる味方であるイストワール。ネプテューヌの反応をいつも通りと受け止め、冷静な表情を保っている。

 そして、もう1人もそのネタを気にすることなく、強気な笑みを崩さずに待っていた。その服装はオレンジ系統の色のワンピーススタイルで、どこかで見たような服装だった。

 ネプテューヌたちが部屋に入ったのを確認して、イストワールが声をかける。

 

「お待ちしていました」

 

 イストワールのいつも通りの落ち着いた声が通る。続いて、オレンジ服の金髪少女……いや、幼女がその姿勢を崩さず、こちらに歩いてくる。

 

「よく来たね、ネプテューヌ。エキシビションマッチ以来だね」

 

「ねぷっ!もしかして、さっきの課金ヒーロー!?」

 

 その声を聞いて、ネプテューヌも確信する。アイエフから聞いていたとはいえ、やはり驚いてしまう。よく聞けば、声にも同じ感じがあったからだ。

 またお金を要求されると思っての警戒の発言だったが、それは逆にビーシャの動揺を誘うこととなった。

 

「ぎくっ!?ひ、人違いじゃないかな?」

 

「人違いもなにも、あんな変装すぐにわかるってば!」

 

「いや……ネプテューヌはさっきまで正体に何もかも気づいていなかったぞ……」

 

 ついうっかり事実を口にした光樹に慌ててネプテューヌはその手を光樹の口に当ててその口を塞ごうとする。

 

「ちょ……!光樹!何を馬鹿なこと言ってるの!わたしだって最初から気づいてたよ!」

 

 口を塞ぎつつ、ネプテューヌは必死に訂正を行うが、鈴や勇也も苦笑いをし、絵里奈ですらも困り顔をしつつ、その様子を面白そうに見ていた。

 そんな絡みをしている様子を見ても、プレスト仮面ことビーシャは見破ったことに驚きを感じていた。

 

「さすが女神様。わたしの完璧な変装を見破るなんて……」

 

 ふっふーん!当事者が気づいていなければ、問題ないもんねー。おそらく、光樹の言ってたことはビーシャって子には届いていないみたいだし、これは嘘だってばれる前に何か話題を逸らさないと……。

 光樹を抑えつつ、早く次の言葉につなげようと考えるネプテューヌだが、話題は自然と変わることとなる。ビーシャが表情を曇らせて近づいてきたのだ。

 最初は何か自分に関係あると思って慌てて背中を隠そうとしたネプテューヌだったが、その眼を見てビーシャの狙いが別であることを理解する。よく見ると、その視線の先には光樹がいたのだ。

 あれ、光樹に何か用があるのかな?と視線が気になったネプテューヌはビーシャと光樹の間を空ける。すると、すぐにビーシャは光樹の前に詰め寄り、顔を覗き込む。

 

「ふーん、君が光樹だね」

 

「……そうだけど」

 

 光樹も警戒するようにその顔を見つめる。傍から見ると一触即発の雰囲気だ。そして、それは見事に的中してしまう。ビーシャが一歩下がると、光樹に人差し指を向けて言い放つ。

 

「よくも私の大切なパートナーのR1をひどい目に合わせたな!今度は私が相手だ!!」

 

 そう言ってビーシャは手にバズーカ砲を持って光樹に向ける。唐突な行動に、誰もが驚き、警戒を強める。いきなり向けられた側である光樹もわけが分からず、慌てて制止するように手を振る。

 

「ちょ……ちょっと待て!状況が分からない!!説明をしろ!?」

 

「動かないで!光樹君に手を出したら、撃つよぉ!!」

 

 唐突な仲間(というよりも大切な人)の危機に、絵里奈も切羽詰まったように光樹の持っていたレーザーガンと同じ形状の銃を向けて呼びかける。鈴と勇也も銃を構え、暴発時の事故を防ぐために銃口を下に向けつつも警戒する。

 咄嗟に反応できなかったアイエフやコンパは動揺と混乱の様子で、状況を見る。ただ1人、すべてを見越していたかのように少し表情をきつくしてその様子を見つめる。

 や、やばいよ。一気に戦闘中みたいな雰囲気になっちゃった……。これ、わたしのフラグブレイカースキルでも全然解決出来そうにないんだけどー。どうする、どうするよわたし!続く気がしないんだけど!?

 動揺が顔に出てしまっていることにも気づかず、ネプテューヌは2人を交互に見る。が、そこに新たな人物の、いや、ロボットの登場で状況はまたも一変する。

 

 

 

 

「待て、ビーシャ」

 

「!R1!?大丈夫なの!?」

 

 声の方を見ると、そこには2メートルサイズのロボットが立っていた。しかし、部屋の椅子に手を乗せており、少し足取りがおぼつかないようだ。それを心配してビーシャがすぐにR1と呼ばれたロボットの方に駆け寄る。

 一見ビーシャでは支えられないと思われたが、持っていたバズーカを杖代わりにして支えることに成功する。

 

「大丈夫だぜ。それよりも、もう俺が負けたことには気にすんなよ」

 

「R1……でも……」

 

 支えてもらいながら、R1はビーシャを諭す。しかし、それでもなお、ビーシャは光樹を涙目になりながら睨み付ける。視線を向けられている光樹も、ここに居づらそうに視線を逸らす。

 ……あれ、どうして光樹が目を逸らすんだろう?光樹は確か、もっと巨大なロボットと戦って勝ったはずだよ。だから、もしビーシャが怒るとしたら、あの大きなロボットがここで出てきて、ビーシャの攻撃を止めないといけないのに……。ん?でもそしたら、ここで出てくる名前ってDRX、だよね?確かビーシャはR1って……。

 しばらくの間、どういうことなのか考えるネプテューヌ。ふと周りを見渡すと、他の全員は神妙な表情でビーシャとR1というロボットを見つめる。そんな様子にネプテューヌは困惑する。すると、R1が音声を発する。

 

「こいつは、俺……いや、俺達DRXの攻撃を真正面から打ち破りやがった。模擬戦だったけども、見事に俺達を撃墜したんだ。加えて、こいつ自身の正義も聞いた。俺としちゃあ、まだ納得がいかねぇが、少しは耳に入れておくことにしたしな」

 

 その言葉を聞いて、ようやくネプテューヌも目の前のロボットが、光樹と先程戦ったDRXと同じ存在であるということを理解する。「俺達」という言い回しと、先程の模擬戦での会話と交えると、おそらく合体していたそのうちの一体だろう。

 しかし、R1のその言葉は意外な発言だと感じた。なぜなら、さっきまで、光樹と敵対していたのに、少なからず光樹を認めていたのだから。普通、模擬戦で争うとなると、かなりいざこざした関係というのがアニメなどの常識であるのが多いというのに、この「河原で決闘してボロボロになったあと、仲直りする」という流れは夢のようだと感じる。実際、光樹が攻撃を破ったことに関しては、素直に称賛していた。案外DRXはビーシャよりも軽そうな発言に反して、状況は見えているのかもしれない。

 先の戦闘で戦ったDRXからの言葉に、光樹はやはり同じように納得がいかなそうにしながらも、大きく呼吸をしたのち、その返答をする。

 

「……それはどうも。俺としては、最大の攻撃には、最大の攻撃で対抗するっていうのが生にあってるっていうか……」

 

「……俺よりヒーロー気質じゃねぇか……」

 

「それはどうも」

 

 光樹の回答にR1はため息を漏らして驚嘆する。その言葉に気を良くしたのか、光樹も口元を緩める。

 そんな様子を見て、絵里奈達も安心したように口を開く。

 

「そりゃそうだよ~。光樹君は常に正面突破!なんだから!!」

 

「まぁ、その表現は当たってるが……」

 

「どっちかっていうと、本来の光樹は無策な突っ込み、よね。それが何でか、アルセウスとガンダムのおかげで何とかなってるっていうか……」

 

 各々に光樹の過去話について語る。正面突破が光樹のセオリーだったというのには意外だった。ネプテューヌからしてみれば、よく光樹は攻撃を回避したりする場面が多かった気もしたのだが。だが、よく思い返すと、正面突破というのも間違いではないかもしれない。というのも、光樹は今までの、零次元での戦いで特に顕著だったが、大抵敵を倒すときに、ピンチに陥るとよく新しいガンダムや新たな武器で逆転している場面が多かった。

 もちろん、ネプテューヌも光樹がそれだけに頼って戦っているとは思っていない。そもそも、ピンチに陥ったのも、光樹が自分たちを守ったり、もしくは一人で戦うことが多かったからだ。光樹は人間だというのに、自分たちよりも多く負担しているからこそ、光樹は苦戦する場面が多かったのだ。

 だが、そう思っても、勇也と鈴の言葉に否定的というわけではない。ピンチに陥っても必ず光樹はガンダムの力で今まで何とかしてきてしまっている。最初にシェアリングフィールドで戦った時や、自身がいなかった時のマジェコンヌとエクスの戦い、それにモニター越しで見ていたダークメガミたちとの最終決戦の時も、光樹のガンダムの秘められた力で、敵が強力な妨害攻撃を行ったとしても、必ず作戦を成功させたり、守ったりしてしまう。そういった面で言えば、光樹は自身よりも主人公であると思える。

 絵里奈たちからの話で、少し理解したR1が少し気になった様子で質問を投げかける。

 

「……ん?本来?それってどういうことだ?」

 

 光樹の現状を突く質問だ。光樹が答えようとしたところで、鈴が代わって話をする。

 

「あぁ、それなんだけど……今の光樹は、記憶を失っているのよ」

 

「え!?」

 

「そうなのか?それにしちゃあ強いと思うんだが……」

 

 ビーシャ達の驚く声が響いた。無理もないだろう。光樹は記憶喪失だという雰囲気が今は出ていないのだから。記憶を失って初めてこの世界に来たのが既に5か月はゆうに過ぎていた。それだけの間にも光樹は色々と思い出したと語っていた。特に、零次元での生活の中で、戦闘に関する多くのことを思い出したという。

 よく思い返すと、ガンダムが出てくるたびに光樹の口調も少しずつだが変わってきていた。最初の頃は、少し言動が柔らかかったが、後になるにつれて少しずつしっかりと、かつ意志の強い発言に変化している。特に、先程の戦闘でも語った言葉は、今までの光樹からは考え付かないような話し口調だった。

 それが本来の光樹と思うと、少し驚きだ。けれども、それが本来の光樹であるということなのだろう。記憶を完全に取り戻した時には、最初の頃とどれだけ違うのか、ということに対しネプテューヌは考えを巡らせる。

 ビーシャたちの驚きに、光樹の口元がわずかに緩み、事実であることを伝える。

 

「記憶失ってるって言っても、もうかれこれ半年近くになるからな。思い出してきたものもあるから」

 

「なるほど……結構時間が経っているんだな……」

 

 R1が納得する。ビーシャも記憶喪失である点に頷いて理解を示す。

 よかったー。一時はどうなるかとも思ったけれど、何とか丸く収まったみたい。ここはこれ以上争うことを避けるためにも、さっきビーシャが言ってた発言に関して口にすることにしよう。

 

「そういえばさ、ビーシャとR1はわたしが女神だってことは覚えてるの?さっきの話のときに、わたしのことを女神って言ってたし」

 

 ビーシャが言った「流石は女神様」の意味を持った言葉に対する疑問だった。女神と知っているということは、もしかすると、と思い、光樹の話からの話題転換でそれに触れたのである。

 ネプテューヌの気づいて指摘したことに対し、先程までの態度から一変してビーシャたちは答える。

 

「もちろん。ネプテューヌと、あと、話に聞いていた光樹も覚えてるよ」

 

「そして、今も間接的に、色々と協力してくれていることもな」

 

 その言葉に、一瞬どういうことだろうと思ったが、すぐにその話が、マジェコンヌたちとの戦闘だと気づく。この変わってしまった世界で、ネプテューヌたちが起こした行動の中で大きいものはそれくらいだ。

 と、そこでビーシャが更に話を持ち出してくる。

 

「けど、今日はその話をするために君たちを呼んだんじゃないんだ。大至急、ハネダシティに向かって欲しいの」

 

 それは、ネプテューヌと光樹たちへの、仕事の依頼であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 先程までの日常や恨み話からうって変わって、光樹達に伝えられたのは、街への出動依頼だった。最初のうちは、ここに呼ばれた理由はDRXに関係のあることだと感じていた。事実、先程もビーシャから敵対された。流石にいきなりバズーカ砲を向けられるとは思わなかったが。

 そのため、穏便に話が済むとは思っていなかったのだが、R1からの口添えもあり、何とか敵対姿勢は薄まることとなり、安堵していた矢先に、ビーシャからの話であった。

 どうして街に行く必要が?気になる俺の横から、鈴がその理由を聞く。

 

「ハネダシティ?確か、隣町だったかしら?けど、どうして?」

 

 鈴の問いにR1が少し厄介そうな雰囲気を見せて、状況を通達する。

 

「実をいうとだな。今猛争モンスターの群れに襲われているって連絡がきたんだ。現在はそのエリア担当の魔術師や戦闘員が戦っているらしいが、なにぶん数が多い。救援がなけりゃ、戦えない」

 

「だから、急いで行って助けて来て」

 

続くビーシャからの言葉も受けて、状況を把握する。まさか、そんなことが今起きていたとは……。猛争モンスター達の襲撃……これは早くいかなければならないかもしれない。

 

「なるほど、だから私たち7人を指名したってわけね」

 

 アイエフの納得がいった声がつぶやかれる。光樹は勇也達に視線を向け、互いに頷いてその救援に向かうことを全員で賛成する。コンパやネプテューヌも、救援に向かう気満々だ。

 光樹達の満場一致の異論なしの合図に、ビーシャは機嫌よく声をかける。

 

「そういうこと!だから、よろしくね」

 

 こちらを送り出す言葉であったが、そこにイストワールが付け足しでビーシャに指示する。

 

「その話ですが、ビーシャさんとR1さんにも一緒に行っていただきます」

 

 何気ないイストワールの一言。光樹も聞いている限りでは何も不信はない。現在の国のトップが直々にモンスターの討伐に来るというのは、今までのゲイムギョウ界でもおかしくない風景だったからだ。事実、ネプテューヌも面倒くさいと言いながらも、ネプギアと共にモンスターの討伐にも参加したりしていた。

 だから、ここでビーシャもR1も流れで来ると思った。のだが、そこで大きく反応したのがビーシャであった。

 

「ええっ!?わたしも!?」

 

「お、おいおい!それは本当か、イストワール女史?」

 

 一緒に行くようにと言われたビーシャがたじろぎ、R1がそれを認めないような雰囲気でイストワールに反論する。まるで、行くことは最初から考えていなかったかのようだ。

 その反応に注目する光樹を見ることなく、ビーシャは何やら言い訳のようにイストワールに同行する必要性のなさを説く。

 

「だ、だけどさ、ゴールドサァドとゴールドソフツが一気にここを離れるといろいろ問題が起きない?ほら、今はこの国の統治者なんだよ!?」

 

 言い訳がましさのあふれる発言だったが、話を聞いていたイストワールは笑顔を見せてその心配はないと伝える。

 

「問題ありません。そういうことにならないように、今の体制が組み上がったのですから」

 

「まぁ、トップが不在なだけで国が傾くんじゃ、ネプ子の時代に既に潰れているわよね」

 

 アイエフが皮肉のような発言をする。確かにアイエフの言う通り、国の統治者が遊びほうけていることが多いのに、今のゴールドサァド達が現れる前に、国が何回も滅びていたはずだ。特にVの時代なら、何回国が滅んでいただろうか。

 それを耐え凌げたのだから、今回の短い時間の間くらい、いなくなっても問題はないだろう。

 それらの話を聞いていたネプテューヌが、状況を整理して結論を出す。

 

「つまり…………それって、わたしのおかげってことだよね!」

 

「ねぷねぷ、それ、褒めてないですよ」

 

 コンパからの呆れに似た追及が飛ぶ。それもあまりネプテューヌは気にしていないようだ。どうやらネプテューヌは、今のこの状況が自分自身のおかげと思いきっているらしい。ネプテューヌの楽観的な意見に、鈴も頭を抱えて嘆く。

 

「こんなのが国のトップで、よく持っているわよね……。光樹がネプテューヌ並みにひどくなくてよかったわ」

 

「けど、たまに光樹もこれくらい酷いときはあるよな」

 

「あぁ、そうね……。まぁ、私達としてみれば、絵里奈の方が普段は酷いかしら」

 

 光樹が失っている部分の記憶について2人でこそこそと話す鈴と勇也。話のタネとなっていた絵里奈はネプテューヌの能天気な発言に笑いを見せていた。

 出ることを渋るビーシャに向けて、イストワールが強く言葉で釘をさす。

 

「事態は一刻を争います。人命がかかっている以上、大至急ハネダシティに向かってください。R1さんも、DRXが使用可能であれば、出撃をお願いします」

 

 人命という言葉で、ようやく2人の言葉に決心が……いや、諦めがついたのか、それぞれ了解の意を口にする。

 

「はー……い」

 

「……気が進まねぇが、いかなきゃいけねぇな。了解した」

 

 全員が行くことを承諾したところで、光樹達はハネダシティへと急遽向かうのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。DRXさんのおかげで、最悪の事態は免れましたね。

ジャンヌ「本当、R1さんがいなかったら、戦闘が起きていましたね。藤和木の前書きが正しかっただなんて」

レイ「それで、次回からまた戦闘に入るみたいだね。しかも、街の救援だって!ゴールドサァドの実力が見れるね!」

……うん、まぁ、そうだね。けど、DRXを構成する1体のR1の戦闘はここで初めて見られるだろうから。というかここだけの可能性もあるけれど。

ジャンヌ「合体兵器は合体前はあまり活動しませんからね。強い方でいた方が楽ですし」

そうそう。さて、今回はここまでです。

ジャンヌ「次回なのですが、来週の月曜日になります。ツイッターの方で小ネタをやる関係で、ペースが落ちるかもしれないので」

レイ「でも、ペースが早ければ、日曜日に投稿するからね♪私達も少し関係するよ。じゃあ、みんな!また次回ッ!!」


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第120話 ハネダシティへの救援

はい、どうも皆様、本日は晴天なりー

ジャンヌ「思いっきり嘘をつかないでください……こっち今台風直撃する直前なんですよ?どうも、皆様。こちらは迷走台風と呼ばれている台風5号の影響下に入っています、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「堂々と嘘をつくにしても、それはあまりにも不謹慎な面があると思うよ……どうも、みんな!午前中は藤和木の用事で学校の方まで行ってた、レイ・オーバだよ!」

そうそう、この台風が接近してる中、わざわざ学校に行って就活の報告いれてました、藤和木弘です。決められた日にちゃんと報告いれること!って言ってたから行ったら「こんな日によくこっちまで来たね」と返されもう何なんだよ(´・ω・`)と思ったよまったく。しかも帰りに思いっきり雨に降られるし……。

ジャンヌ「まぁまぁ、そんな気を落とさないでください。わたくし達がずぶ濡れにならないようにしてくれたのには感謝していますから♡」

うん。で、今回は第120話ですね。ここまで続いてるのも何なんだろうね。

レイ「そんなメタい話はしない方がいいと思うけど……で、今回はモンスターに襲撃された街に光樹君達が救援に行ったところかな?」

そうですね。今回からハネダシティ防衛戦が展開されていくので、また戦闘シーンが色々と出来る予定です。いや、マジで夏休みに入ってもペースが進まねぇ……

ジャンヌ「それもツイッターの方で知り合いの作者さんとネタをやっていたからというのと、藤和木がバトルスピリッツで毛嫌いする「死竜コントロール」の対策を考えていたからですよ。それくらいは自分で何とかしてください」

だから今日も午後からさっきまで打っててようやく完成したんですから。それでは、皆様、そろそろ本編になります。どうぞ!


「ここがハネダシティですね」

 

 コンパが声を出し、目的地に着いたことを呟く。現在光樹達は、ビーシャ達現プラネテューヌ代表達と共に、ハネダシティに来ていた。コンパが着く頃には、足の速いメンバー達は既に到着していた。

 すると、先にやってきていた鈴がガンダムで跳躍して街の中心方向から戻ってくる。戻って来た鈴は変身を解除する。元の姿に戻ったところで、鈴が息をついて街の惨状について話す。

 

「ふぅ……結構酷い状況ね。見ても分かる通り、モンスターだらけよ」

 

「みたいだな。これは多すぎって感じだけども……」

 

 鈴のため息に光樹も頷く。それもそのはず、鈴が戻って来た方向には、多くのモンスター達が街を襲っていたのだから。その数は、かつての零次元でのモンスター襲撃時を思わせるほどの量のモンスターだ。これが入り口に入ってすぐの所であることから、進めばもっと多くのモンスターがいることだろう。

 その量には歴戦の勇者とも言えるネプテューヌも声を大にして驚く。

 

「うわっ!街中、モンスターだらけだよ」

 

「ほんとだ~!この量はすっごいねー。最初から全力で行かないとね」

 

 絵里奈の口からは、全力でこのモンスター軍団を倒すという意思が現れている。他のメンバーも、モンスターの数に驚きつつもそれぞれ武器と変身装置の確認をしている。

 戦闘準備を整える中で、1人あまり気乗りがしない人物がいた。ビーシャだ。

 

「………………」

 

 その様子はどことなく不安な気分を感じさせる雰囲気で、じっとモンスターの方を見ていた。それに加え、付き添うR1も武器となるライフルを持ってビーシャの周りで警戒をしていた。

 そんな動きに光樹達が気づかないはずがない。それを見て鈴が2人に聞く。

 

「……ん?どうしたの、貴女は戦わないの?」

 

 急に話を振られたビーシャがビクッと跳ねて驚く。

 

「うぇ!?い、いや、何でもないよ……?」

 

「ビーシャ、やっぱり、お前は……」

 

 R1がビーシャに何か伝えようとする。光樹と絵里奈も気になったところで、それぞれのセットアップユニットより通信が入る。その声の主は勇也だ。

 

『悪い、そっちにスライヌが何匹か行った。応戦を頼む』

 

「スライヌ?……って、あれか!」

 

 光樹の声で全員がその方向を向く。すると、そこには10体程のスライヌ軍団がこちらに向かってきていた。

 

「ぬらぁ~」

 

「た、助けてくれー!」

 

 進行方向先にいた老人が悲鳴を上げる。それを危険と判断したアイエフが迎撃を指示する。

 

「到着早々、こんな場面に出くわすなんてね。7人共、行くわよ」

 

 いくらスライヌと言えども、流石にそれだけ集まるとかなり苦戦しそうであった。しかし、それも1人で戦うなら、という話。こちらは8人。1人1体、2人程2体を相手にすれば楽に倒せるだろう。

 すぐに光樹と鈴が老人の前に出て、迎撃に入る。光樹はデュランダルを顕現させ、横を通り過ぎる刹那、切り抜く。スライヌ程度なら一発で倒せる聖魔剣が敵を一刀両断し、消滅させる。

 鈴の方も、レーザーガンを連射したのち、手に持った柄からレーザーサーベルを生成して2体をまとめて切り抜く。2人の攻撃により、先行してきた3体をあっという間に倒す。

 残りの7体は光樹達の防衛ラインを抜ける。だが、それらは待ち構えていた絵里奈とネプテューヌ達、そしてR1がそれぞれ迎撃する。

 

「てぇりゃー!!」

 

「はぁっ!!」

 

「えーいです!!」

 

 ネプテューヌ達がそれぞれの武器をもって迎撃する。ネプテューヌの木刀による打ち下ろし、アイエフのカタールの一閃、コンパの注射器での一突き。それらが見事一発でスライヌ達を撃破する。

 絵里奈も負けてはいない。レーザーガンをチャージしてからの速射がスライヌの口を打ち抜き、一発で消滅させる。続けて通り抜けてきたもう1体も狙撃し、これで計8体撃破する。

 流れるような作業でスライヌ軍団を撃破していく光樹達。最後の2体はR1とビーシャに任せてよいだろう。そう思っていた。が、それは上手くことを運ぶことはなかった。

 R1はすぐに両手のライフルで向かってきたスライヌを撃破する。が、撃破すると同時に、続く最後の1体に素早く狙いを定めて撃つ。ビーシャに任せることなく撃つ、という姿勢に、光樹はビーシャにてこずらせることなく倒すという意思の表れかと思った。しかし、狙いを外したR1が焦りを見せる。

 

「ちぃ!逃すかよ!!」

 

 脇を抜けてビーシャに迫るスライヌをしつこく追撃する。その様子に、光樹は疑問を持つ。

 

「なんだ?どうしてまだ狙って……」

 

 どういうことだろうか。抜かれたのなら素直にビーシャに迎撃を任せた方が効率的だろう。何か理由が……?

 その理由を理解する前に、スライヌがビーシャとの接敵距離に入る。

 

「ぬぅららぁ~」

 

「ひぃ!?」

 

 声を上げて突撃してくるモンスターにビーシャが怯える。それを狙い撃とうとR1がライフルを向けてビーシャに言い放つ。

 

「ビーシャ!逃げろ!!」

 

 R1からの指示が飛ぶが、それよりも前にモンスターが勢いをつけてビーシャに襲い掛かる。

 

「ぬらぁ!!」

 

「っ!?」

 

 そこで、予想外のことが起こる。飛び跳ねて襲い掛かったスライヌを避けると、ビーシャはそのまま逃走してしまったのだ。

 その様子にネプテューヌが呆気に取られて思わず制止する。

 

「ねぷっ!?ビーシャ、どこ行くの!?そっちは逆だよー!」

 

 しかし、ネプテューヌのからの制止も届かないといった様子で、その勢いのまま街とは逆方向に行ってしまう。

 

「ま、まさか逃げたですか!?」

 

「ちょっと、どこまで行くのよ!?」

 

 珍しくコンパの怒りが少しこもったような声が飛ぶ。鈴も声を荒げてビーシャを追おうとする。が、それを許さないように続くモンスターの襲撃が迫ってくる。

 すると、ようやく最後のスライヌを撃ち抜いたR1がこちらに唐突な予定変更を告げてくる。

 

「悪い、けど、今回は俺達抜きでやってくれ!俺はビーシャを追うから、後はお前らに任す!」

 

「はぁ!?ちょっと、待ちなさいよ!!」

 

 モンスターとの相手をしていた鈴からの制止はまたも振り切られ、R1までもが戦線を離脱する。2人の戦線離脱を受けて、モンスターと攻撃を打ち合っていたアイエフが、モンスターを振り払って現状を憂う。

 

「……冗談でしょ。ただでさえ、この数だってのに。ゴールドサァドにゴールドソフツまで抜けたらどうしようもないじゃない」

 

 アイエフの意見はもっともだ。この数は普通に相手をしていたら、確実に倒すまでに時間がかかる。加えて、モンスターの数を正確に把握していないことから、体力の配分も難しい。だからこそ、数は欲しかったというのだ。

 女神にガンダム並みの強さを誇るゴールドサァドとゴールドソフツ達が抜けた今、戦力は大幅に下がったのは明白だ。しかし、だからといって、撤退するわけにもいかない。逃げ遅れた住民に迫る鳥形モンスターの「赤チョコピ」をデュランダルで撃破したところで、ネプテューヌが光を放つ。

 光が消えると、女神化したネプテューヌ、パープルハートが姿を現す。そして、アイエフの言葉に返す。

 

「でも、だからといって引くわけには行かないわ」

 

 強い意志をもって、引くことは出来ないと語るパープルハート。パープルハートの言う通り、ここは引くことは許されない。引けば、多くの犠牲者が出る。

 女神の威厳をもって語るパープルハートに、鈴も同意を示す。

 

「そうね。パープルハートの言う通り、ここは何が何でも、逃げることは許されないわ」

 

 最初からそのつもりで来ていた光樹達に迷いはなかった。光樹と絵里奈もその言葉に頷くと、それぞれ前に出て、モンスターと相対する。

 

「そうそう!私達はガンダムなんだから~!」

 

「よし、行くぜ!」

 

 絵里奈の言葉に光樹が続く。3人のガンダムマスターのその姿勢に、アイエフも安心感を覚えて呟く。

 

「ネプ子に鈴の言う通りだわ。こっちには、女神も、ガンダムだっている。戦力的には、まだ互角なはずね」

 

 アイエフからの大きな信頼を受け、光樹達も自然と笑みを浮かべる。光樹は自然にそう思ったが、それは果たして、記憶を失う前も同じだったのだろうか、と疑問を少し浮かべる。が、そんな暇はない。

 早速、3人は各々のセットオン端末を手に収める。それぞれが端末を突き出し、モンスターの耳に焼き付けるように言い放つ。

 

 

 

 

「グレイガ、セットオン・ビースト!」

 

 

 

 

「R-ZX、クロス・セットオーンッ!」

 

 

 

 

「シュバルトゼロ・ゴッドクロス、ファイナライズ・セットオン!!」

 

 

 

 

 同時に赤黒い粒子の柱に飲み込まれたのち、一気に粒子の柱が弾け飛び、ガンダムが姿を現す。鈴と絵里奈のガンダムは目を光らせて装着完了。ゴッドクロスは顔面部と頭部アンテナを展開させてからセンサーアイを光らせ、ガンダムモードに切り替えて変身完了となる。

 光樹達がガンダムに変身したのを見て、パープルハート達が集まってきて、戦術を伝えてくる。

 

「あの子たちが抜けたぶんは、可能な限りわたしと光樹、それに鈴と絵里奈が補って、あいちゃんとこんぱは援護。これでいいかしら?」

 

「えぇ、問題ないわ」

 

「はいです」

 

「りょーかーい!」

 

「頼りにしてるわよ、4人共」

 

「任せろ。一気に片づける!支援は頼んだぞ、アイエフ、コンパ。行くぞ、鈴、絵里奈、ネプテューヌ!!」

 

 役割を全員が理解したところで、6人となったハネダシティ救援隊は戦闘を開始する。

 

 

 

 

 まずは、馬型モンスターの馬鳥の軍勢がこちらに突撃してくる。体の横に異形のように生えた翼により、通常の馬よりも速い速度で来るが、それに対応して鈴が前に出る。

 

「まずはその2体の翼を落とすッ!!」

 

 馬鳥相手に勢いよく言い放った鈴は正面から馬鳥とぶつかり合う。両腕のANファングクローシールドで先行していた2体の馬鳥を受け止める、と空中に放り投げる。空中に高く上げたところで、脚部のスラスターを吹かせ勢いよく跳躍する。タイミングよくスラスターを吹かしたおかげであっという間に馬鳥達に追いつく。

 馬鳥達に追いつくと、空中で一回転をして馬鳥の背中と腹に、脚部のANフットクローを振り下ろす。脚部に装備されたそれは、回転の勢いで素早く振り下ろされ、馬鳥達に直撃する。攻撃を受けた馬鳥2体は地面に叩きつけられる。叩きつけられた馬鳥達を支えた地面には小さなクレーターが出来上がる。

 先頭の2体を外された馬鳥達は、構わず突撃してくる。そこでアイエフの出番だ。

 

「行くわよ。ラ・デルフェス!!」

 

 アイエフの光属性の魔法が馬鳥達を飲み込む。馬鳥達のうち、先行していた何体かが飲み込まれ、攻撃を受ける。攻撃を受けて走る速度を失速させる馬鳥軍団。だが、後方にいた馬鳥と、残る鳥形モンスター「赤チョコピ」達は攻撃を受けて弱る馬鳥達を追い越し、光樹達へと向けて走る。

 だが、これだけでは終わらない。今度は光樹が前に出る。モンスターと向き合うと同時にウイングユニットからANシェイブシフトドラグーンを展開する。展開された30基ものドラグーンが光樹の指す手とシンクロして飛び立つ。

 飛び立ったドラグーンはすぐに敵を包囲すると、静止する。そして、光樹はドラグーンに殲滅の指示を出す。

 

「全基、一斉砲撃!!」

 

 その声と共にドラグーンは砲撃を開始する。空中のあらゆる個所から一斉に囲んだモンスター達を襲いだす。光の矢は何発も馬鳥とチョコピらをかすめ、貫く。

 一斉砲撃が終了すると、モンスター達は大きなダメージを負った姿を見せる。中には既に砲撃に耐え切れず倒された個体もいる。先程の砲撃がいかに苛烈だったかがよく分かった。

 しかし、残ったモンスター達も諦めず再びこちらに向かってくる。中には光樹自身に恐れを抱いたのか、他の方向にいる未避難者の方に向かう敵もいた。

 

「ヒヒィーン!!」

 

「うわぁ!」

 

 モンスターが逃げ遅れた人に迫る――――ところで、絵里奈のガンダムR-ZXのANZXセイバーが未然に阻止する。

 

「ふぅ。それじゃあ私達を倒すことは出来ないよー!」

 

 絵里奈が滑空してきた後には、既に何体もの馬鳥とチョコピ達が倒れ、消滅を始めていた。他の方向へ行った個体達も、先行した2体を仕留めた鈴があらかじめスタンバイし、迎撃し終えていた。ラ・デルフェスで足止めしたモンスターも……

 

「消えなさいっ!!」

 

「ふぅっ!まだまだっ!!」

 

「えぇーいです!!」

 

 パープルハート、光樹、コンパの3人が相手をし、撃破する。残る敵が逃げようとする動きを見せる。が、そこに突如、街の奥の方から巨大なブーメランが飛んできて妨げる。巨大ブーメランのようなものは、そのまま逃げようとしていたチョコピを撃破する。唐突な攻撃に焦るモンスター達であったが、その攻撃に目を取られた隙に、鈴と絵里奈がそれぞれANアーマーナイフとANノイズドエナジークナイの小型兵装2種で手早く仕留める。

 仕留めたところで、街の奥の方面から勇也のガンダムR-ZEROこちらに手を振りながら来る。先程のブーメランは、R-ZEROが背中に背負っている「ANエクサランスアームズ」のようだ。

 

「おう。そっちは片付いたみたいだな」

 

「えぇ。こっちに救援に来る余裕はあったみたいね」

 

 勇也と鈴が各々に状況を軽く話し合う。先行して残っていた勇也も戻ってきたことで、戦力は元に戻ったように思える。これでここのモンスターを残さず倒すことが出来るだろう。

 と、それらモンスター達を倒すことに成功したのを理解した老人が、助けられたことに安心を呟いた。

 

「わ、ワシは助かったのかのぅ」

 

「はい、モンスターさんはわたしたちがやっつけたので、安心して欲しいです」

 

 まだビクビクしていたものの、コンパの言葉を聞いて段々と落ち着きを取り戻していく老人。そんな老人に、パープルハートが避難を促す。

 

「ここもいつまでも安全とは限らないわ。早く避難所へ」

 

 如何にも女神らしい国民を優先する対応に、光樹も少し感心する。やはり、やるときのネプテューヌはいつも以上に安心感がある。

 パープルハートからの指示に、老人も素直に従う。が、そこでとあることをその老人は口にした。

 

「おぉ、そうじゃの。……それにしても、気のせいじゃろうか。おまえさんを観ていると、えらく懐かしい感じがするぞい……」

 

 懐かしいという単語に、一同が注目する。その老人はパープルハートを指して、そう言ったのだ。

 その反応には、パープルハートも少し困惑を見せる。

 

「……わたし?」

 

 冷静な状態でいることの多いパープルハートも驚くように、それはアイエフや光樹達も驚きを見せる。改変された世界ではありえないことだと思っていた範囲の反応だったからだ。

 疑問を浮かべたコンパが、疑問をパープルハートにぶつける。

 

「ねぷねぷ、お知り合いですか?」

 

「いえ、知り合いにこういう人は……」

 

「いないっていうの?なら、どうして……」

 

 パープルハートからのこの老人のことは知らないという回答に、鈴も手を顎に当て、考える。すると、アイエフがとある仮説を立てる。

 

「……もしかして、ネプ子のことを思い出そうとしてるんじゃないかしら」

 

「わたしのことを?」

 

 アイエフの仮説に、未だパープルハートは理解が出来ていない。同じく理解が出来ていない光樹達のうち、絵里奈がその理由について聞く。

 

「それってどういうことー?」

 

「鈴達は知らないでしょうけれど、ネプ子っていつもどこかでトラブルに首を突っ込んでは人助けをしてるのよ。だから、その時の姿と、今の出来事が重なって、思い出しかけてるんじゃないかしら」

 

「へぇ、ぐーたら女神って聞いてたけれど、案外人助けはするのね」

 

 鈴の意外そうな言葉が呟かれる。しかし、光樹はアイエフの説明に納得がいく。確かに鈴の言う通り、「普段の女神としての仕事」が絡むものに対しては消極的だ。しかし、「人としての人助け」の時は話が別。困っている人を見かければ、それとなく助ける場面を何度も見てきていた。

 もし、あの老人が過去にネプテューヌに同じような場面で助けられたというのなら、それで思い出すのにも納得だ。人助けというものは、しておくに越したことはないというものだ。

 しかしながら、普段は全く仕事をしていないのは事実。鈴からの言葉に若干不満だったパープルハートが、反論をする。

 

「わたしでも、人助けくらいするわ。……女神の雑務に関しては、その通りだけれど」

 

 だが、後半は事実を認める形で少しばかり気にする。そんなところで、コンパがパープルハートを励ますようにこの混迷する時代に差した、一筋の光とも言える事実に注目させる。

 

「じゃあ、このまま人助けをすれば、みんながねぷねぷを思い出してくれるですか?」

 

 コンパが人々の女神に関する記憶(特にネプテューヌに関する記憶に)が戻るかもしれないことに期待する。その可能性を、アイエフも口にする。

 

「十分その可能性はあるわ。私の場合も、似た感じだったしね」

 

「そういえば、そうだったわね。なら、このまま人助けをしましょう」

 

 鈴の言葉も受けて、コンパが更に喜びの表情を見せる。余程パープルハート、いや、ネプテューヌの記憶が人々から戻るかもしれないというのがうれしいのだろう。

 光樹としても、それは良いことだった。本来のゲイムギョウ界の姿へ戻すのが、おそらくゲイムギョウ界、いや、ゲームの「ネプテューヌ」として、正しい道であるはずだから。

 珍しくコンパが全員を引率するように先頭となって、モンスターのいる奥地へ走る。光樹達も、その後に続いて、モンスターの討伐を行っていった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。今台風の強風で家が揺れたんだけど!?

ジャンヌ「あれは一瞬冷や汗を感じましたね……って、そうじゃなくって、まさかR1さんのこの場面の戦闘シーン出番あれだけですか?」

うん、多分そう。

レイ「うっわー、R1君あれだけなの……?」

流石に逃げたビーシャをほっとくことは出来ないからこうなりました。いや、でもR1は合体形態が基本だから。ネプテューヌ編後半で見せてくれるから。

ジャンヌ「それならいいですけれど……それにしても、まさかネプテューヌさんのことを思い出しかけている人が民間人にもいらっしゃるとは驚きです」

レイ「そうだよ!この展開、何だかウルト○マンのクライマックスでありそうなシーンだよね!」

それメ○ウスな。私完全にすべて見たわけじゃないけど多分メ○ウスだと思うよそのシーン。さて、他にも思い出す人は現れるのか?では次回の投稿日についてのお知らせです。

レイ「次回は月曜日の投稿になるよー!つまり1週間後~!」

ジャンヌ「それでは皆様、また次回っ!」




さて……最後のひとっ走り、付き合えよ!

ジャンヌ「はぁん♡藤和木ぃ……出来ればわたくしに関係していれば最高なのに……」

レイ「かっこいいこと言ってるけど、これアンジュ・ヴィエルジュのイベントの話だよ。すごろくイベントでもらえる子がいい感じだったからってことで躍起になってるんだよね……。まぁ、ポイント溜めてのガチャはお察しだったけど、もう最高レアリティを2体ゲットしてるから、頑張れー!」


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第121話 モンスター達の猛襲、住民防衛戦展開

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?つい先日、久々にバトスピショップバトルでいい戦績を残せました、藤和木弘でございます。

ジャンヌ「この調子なら、今年のチャンピオンシップの地方決勝に行けるかもしれませんねっ♡どうも、皆様。夏休みも半分になろうとしている方もいるんじゃないでしょうか、藤和木はまだ余裕があります、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「それでも、途中途中で学校に出なきゃいけないんだけどね。どうも、みんな!暑い夏はやっぱりイベントに冷たいアイス!レイ・オーバだよっ!」

まぁ、イベントはあんまり行ってないけどね。それでもヒカルとか誘ってみんなで集まろうかと考えたけど、もう仕事始まってそうだからな。仕方ないってことにしてるね。さて、今回は第121話の投稿です。

レイ「光樹君達の救助活動だねっ!これぞガンダムの見せどころって感じかな?」

ジャンヌ「この状況、光樹さん達はどれだけの人々を救い出せるのでしょうか…」

さて、それではそろそろ本編へ!


 

 

 現在、モンスターの襲撃を受けるハネダシティは、多くの爆音が響いていた。モンスターの建物への攻撃、街の防衛隊の攻撃。攻撃する者と、守る者の両者一歩も引かない激闘で、街は至る所から煙を吐き出していた。

 ハネダシティの住民達には、既に避難勧告が出されていた。最初のうちは防衛隊が避難誘導を行い、安全に住民達を避難させていた。だが、徐々にモンスターとの連戦で、避難誘導に駆り出されていたメンバーも戦闘へ行き、それでもなおモンスターの一部が防衛線を突破。それにより、モンスターへの恐怖により、人々はパニックとなり、街のあちこちで孤立する形となっていたのだ。

 迫りくるモンスター達になす術もない住民達はとにかく逃げる。だが、逃げた先にもモンスターが。

 

「くっそ!こっちにもモンスターが!」

 

「そんな!後ろにだっているのに!!」

 

「ひぃ!き、来たぁ!!」

 

 一本道の場所で、追い詰められてしまう人々。横は壁であり、逃げ道はない。そんな絶望的状況に、泣きわめく。

 

「防衛隊は何してるんだよ!!ちゃんと守ってくれよ!」

 

「そんな……ここで終わりなの……?」

 

 詰みの状況の中で、自暴自棄となり諦めを見せる人々が出る中、助けが来ることを信じる者もいた。

 

「大丈夫だよ!ゴールデンプレストなら、みんな助けてくれるもん」

 

 子供の口から語られた、正義の味方として現在の世界に周知されている存在の名を発する少年。それに続いて、他の子供達もそうだそうだと言い出す。

 

「そうだぜ、ゴールデンプレストなら、もうぼくたちの元に来ようとしてるはずだって!」

 

「そ、そんな馬鹿なことあるか!夢の見過ぎだ……」

 

「そんなことないもん!ゴールデンプレストは、わたしたちの味方だもん!」

 

 希望を見出そうとする子供達と、それを信じない大人達の激突が起こる。すると、その騒ぎにモンスター達が好機と、言い合いに夢中な住民達の方に向かって襲い掛かる。

 モンスター達の攻撃態勢に気づいた大人側が声を出して退避する。

 

「ひぃ!」

 

「なんだよ!……え?」

 

 自分達の意見を言うことに夢中になっていた子供達の反応が遅れる。既にモンスター達は各々の攻撃態勢に入る。当たれば確実に重症だ。その状態となってしまったことに大人達が焦りを口にする。

 

「まずい!!誰か助けに……」

 

「待って!後ろからも来るわ!」

 

 動揺する大人達の背後を突くように後ろのモンスターもじりじりと距離を詰めることから襲い掛かる方へとシフトする。前門の虎後門の狼、逃げ道はない。

 このままでは子供が危ない。かといって助けようとすれば、自分達が逆にやられる。それが大人達を躊躇わせた。

 そして、何も出来ずに、モンスターが両側同時に襲い掛かった。

 

 

 

 

「ひぃぃ!!」

 

「た、助けて!ゴールデンプレストォ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィン!ザンッ!!

 

 怖さのあまり、モンスターから目を外し、顔を覆う人々。だがしかし、いつまで経っても痛みはない。それに、モンスターの声とは違った、何か金属のような固いものがぶつかり合った音と、切り裂いた音が響いたことに違和感を感じる住民達。

 恐る恐る、目を開く。すると、そこはもう先程の状況とは違っていた。子供達の前にはブースターパックを背負い、両手にビームの短剣を持って子供達を守るようにモンスター達と相対する赤と黒の機体。そして、大人達の方には、緑色の獣らしいフォルムを持つ機動兵器と、赤と黒、緑の、背部に六枚の翼を浮遊させた機動兵器が、同じく大人達の前に立ち、モンスターと相対している。

 

「どうなってんだ!?」

 

「た、たすかった……?」

 

 子供達は一瞬のうちに起こったことに理解がついていけていない様子を見せる。すると、目の前でこちらに背を向けて守る立ち位置になっていた機動兵器から声がかけられる。

 

「大丈夫だよ。私達は、正義の味方♪みんなは私達が守るからー!」

 

 少しおっとりとした口調で、自信満々に答えた少女の声。歳は子供達よりもずっと高く感じられる。

 いきなりの邪魔を受けて、戸惑うモンスター達。しかし、それに構わずモンスターの一体が再び襲い掛かろうとする。

 

「サタァァァァ!!」

 

 灰色の小型モンスターが正面突破を狙おうとする。だが、目の前の赤と黒のロボットは、その場で剣を構え、距離が詰まったところで、モンスターに一閃を放つ。その一閃でそのモンスター「セサガターン」は消滅する。

 そのきれいな一太刀に、子供達は魅了される。と、目の前の戦闘に夢中になっていた少年達に、後方から声がかかる。

 

「そこの子供達!こっちよ」

 

「早く避難するです」

 

「あ……はいっ!」

 

 青いコートの少女と、優しさの溢れる女性がこちらへ来るように手を振る。それに気づき、子供らは急いでその方向へと走っていく。横では大人達を助けた緑色の獣型ロボットと、翼の生えたロボット達が逃げ道を確保している。

 自分達が望んでいたのは別の人物だった。しかし、助かったことが今は喜ぶべきである。無事大人達と共に安全なところまで紫髪の宙に浮いた女性と先程子供達を助けたロボットと同じような人型ロボットに護衛してもらったのち、別れる。

 ようやく助かったという実感を得た住民達。そこで、少年達はとある感覚を感じる。先程の紫髪の女の人が、どこかで見たことがある。そう思えたのだ。

 

「た、たすかったぁ……!」

 

「どうなっちゃうかと思ったー」

 

「うん。でも、あのひと、どこかで見たような……」

 

 少年がそう呟くも、その反応にあまり共感を持たれることはなかった。そして、少年達は大人達の引率により、街の出口まで足早に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったくー、あんな風に民間人を襲うなんて、モンスターも卑怯だよ!」

 

 先程救った人達の襲われていた状況に対し、モンスターへ文句を口にする絵里奈。あの状況はかなり危険だというのは、絵里奈以外の全員も思っていたことだ。しかし、モンスターも考える生き物。追い込んで狩りをするというのは生き物にとって重要な行動の一つ。もしかすると、逃げる途中の通路で溜まっていたのかもしれない。いずれにしろ、何も持たずにモンスターのいるところをうろうろすることの方が危険なのだ。

 だからこそ、今無力な人々を救える力を持つ自分達が、このハネダシティの住民を救わなければならない。まだ他にも襲われている住民はいるのかもしれないのだから。

 

「……けど、本当に多いね、モンスター!いっけぇ!FXキャノンバスター!!」

 

 未だに残るモンスターの残党を、背部から持ってきたANFXキャノンバスターで吹き飛ばす。たった二発の放たれた弾丸はコントロールにより何体ものモンスターにミサイルのように続けざまに直撃し、射貫いていく。

 前面に展開していたモンスターを一掃し、一先ず自身の担当していた戦闘エリアのカタが着く。

 ホント、さっきも言ったけど、数だけは多いよね。ここまで来るのに助けたのは人の集まりで数えるなら6つくらい。街の深部までかなりあるのに、メインの道は至る所にモンスターばっかり。光樹君のフルバーストアタックで掃討できればいいんだけどなぁ……。

 絵里奈の心の中でのため息が生まれる。これだけのモンスターがいるとなると、一斉射撃のようなもので片づける方が楽だ。しかし、ここは民間人もいる市街地。記憶が戻っていない光樹では狙いを正確に付けられるかどうか不安があった。

 そのため、地道に一体ずつ、時には先程のように一気に倒し、道を少しずつ切り開いていた。大人達を襲っていた方のモンスターを担当していた光樹と鈴の方を見ると、そちらも戦闘がひと段落するところであった。

 

「行く!」

 

『all right.ドラグーンストーム展開開始』

 

 光樹の声と共に、ドラグーンが翼から離れていき、敵に突っ込んでいく。ビームによる射撃の嵐の中で、剣へと姿を変えたドラグーンがその間を抜けてモンスターを切り裂いていく。

 遠隔操作端末による蹂躙が終了すると、モンスター達は一匹残らず消滅した。弱めのモンスターばかりであったため、攻撃範囲の大きい、がダメージが拡散する攻撃でも楽に撃破することが出来た。

 光樹の方が終わると、鈴の方もいつの間にか終わっていた。腕部のクローシールドを縮小し、光樹の方へと駆けていく。絵里奈もそれに準じるように、光樹の元に向かう。

 

「ふう……とりあえず、これで全部か?」

 

「この辺りはね。けど、まだ街には多くのモンスターがいるわ」

 

「やっぱりそうだよねー。まだやれるけど、どこまでいるんだろうー?」

 

 戦闘を終え、少しの間息を整える3人。ガンダムを纏っているため、けがなどはないが、それでも少しずつ体力は減っていく。息を整えていた3人に、アイエフとコンパが声をかけてくる。

 

「3人共ご苦労様。けど、まだモンスターはいるわよ?」

 

「みなさん、けがなどはありませんか?」

 

「えぇ、早く次の所に行かなくちゃね。少しのどが渇いてきてるけど、まだいけるわ。早く次の所に」

 

 鈴が早くいかなければとまだモンスターの残る中央部への道に目を向ける。十分な休息も取れないというのは、防衛線ではよくあること。どちらかといえば、今は救出戦になっているが、それでも街への被害は最小限に留めることも目的の一つだ。

 住民達のことを考える鈴の発言を遮るように、避難者の護衛に付いていた勇也とパープルハート達がちょうど戻ってくる。

 

「よう、無事防衛隊まで引き渡してきたぜ」

 

「そっちもご苦労様。ネプ子、どうだった、様子は」

 

「そこまで見ていないわ。まだまだ避難させなくちゃいけない人がいるんだから」

 

「それもそうね」

 

 パープルハートへの質問は、避難を優先したという返しであっさりとそれ以上は追及しなかった。パープルハートの、女神に関する記憶が戻っていくことを確認しておきたいという発想も、今のこの状況とは行動がかみ合わないため、仕方のないことだ。

 全員集まったところで、各自は再びモンスターの討伐に目を向けていく。

 

「アイエフ、次のエリアはこっちか?」

 

「えぇ、防衛隊の情報によれば、この先は1個小隊が防衛に付いているみたい」

 

「それでもここまでモンスターが来ているってことは……」

 

「あぁ。相当苦戦してるみたいだ」

 

「じゃあ、その人たちを助けに行かないとね!」

 

 絵里奈の一声に、全員が頷く。中央エリアまでは道がある。だが、先にいる防衛隊の所まで行けば、何か情報を得られるかもしれない。

 

「合流すれば、何か得られるかもしれないわ。急いで!」

 

 そこでパープルハートは全員に指示すると、一番にその方向へと飛んでいく。それに影響されて、鈴達やアイエフ達も急いでその方向へと向かう。

 

 

 

 

 その道中、避難誘導を担当する防衛隊を確認する。周りにはモンスターと戦闘した跡が残っており、激闘が垣間見えた。

 すると、モンスターを倒し、息をついていた防衛隊の一人がこちらにやってきて声をかける。

 

「やぁ、君たちが教会からの応援かい?」

 

「そうだよ」

 

 パープルハートから元の姿に戻っていたネプテューヌが返答する。やはり、常時女神化を行うのは消費が激しく、エネルギー消費を抑えるために、移動は元の姿で行っていた。

 同じく、絵里奈達ガンダムマスター達も移動時の味方識別を考慮して、変身を解いていた。光樹の存在も忘れられていたことにより、移動時に警戒を強めてしまうことからだった。

 私達教会の応援隊全員に目を向けると、その防衛隊の人は早速救援要請を出した。

 

「なら、至急街の中心部に応援に行ってくれないか。この街を襲っているモンスターたちのボスを見つけたらしいんだが、どうも苦戦しているみたいなんだ」

 

 それは、このハネダシティを襲撃した親玉の情報だった。少し前に接触した同じ防衛隊からも聞いていたけれど、やっぱり中心部に敵の主力がいるみたい。なら、倒すしかないよね!断る理由なんてないはず。

 そして、その要請にもちろんこちらも了承を伝える。

 

「わかったわ」

 

「座標はどのあたり?エリアだけでもいいわ」

 

 アイエフの了解ののち、鈴が位置の確認をする。正確な位置は分からなくても、ボスの相手をしている防衛隊の位置が分かれば、ルートを絞って最短距離を算出できるはずだ。

 それを分かってか、すぐにその防衛隊員は最後に確認した位置を伝える。

 

「中央エリアのCブロックだ。その時にはD方面へと向かっているともあった」

 

「エリアD……その方向には、まだ人が?」

 

「あぁ。その先にはビルの密集地が……そこで働いている人がまだ残っているらしい」

 

 それを聞いて、全員の気が引き締まる。もしその防衛部隊がやられれば、その人たちに危害が及ぶ。一刻も逃げ遅れた人達を、そして防衛隊も助けなければならない。

 丁度そのエリアまでの道順を示した全体エリアを光樹が全員の携帯端末に送信したところで、それを軽く確認したアイエフがすぐに向かうことを全員に呼びかける。

 

「6人共、急いでいきましょ」

 

「ラジャー!」

 

「あぁ」

 

「早く行かなくっちゃ!」

 

 7人は再び街の中央へと足を速めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 街の中央へと駆けだして2分。モンスターの軍勢は先程よりも少なくなっていた。戦闘の後こそ見られたが、どうもそのせいではないということを鈴が呟いた。

 

「……おかしいわね」

 

「何がだ?」

 

「いや……本当にこれ、撃退したのかしら、って……」

 

 光樹はその理由を聞く。おかしいとは、どういうことなのだろうか。魔法の放たれた後からしてみても、モンスターを倒したように思えるのだが……。

 すると、ゼロが鈴の考えを肯定するように、状況を解析した。

 

『鈴、その通りだ。戦闘の程度を分析したが、どうもこれはモンスターのいたエネルギー痕跡から見ても、かなりの数だ。それに対し、防衛軍側の攻撃は魔法攻撃と兵器攻撃が最低10発程度。しかも威力も低め。これは、おそらく……』

 

 ゼロが結論を言おうとしたところで、何かに気づいたネプテューヌが全員に知らせる。

 

「見て!あそこに防衛軍の人たちが集まってるよ」

 

 ネプテューヌの示す先には、武器を持った防衛隊の面々が、武器を持って攻撃中であるのが見えた。大通りの前で直線があるであろう先に、武器を向け、魔法を放ち、銃を撃っている。どうやら戦闘中のようだ。

 まだ敵がいるのだろうか。一先ず、光樹達は部隊の方々に合流した。

 

「失礼します。こちら、プラネテューヌ教会からの応援部隊です。状況は」

 

「ん?君達がか。ちょうどいい、力を貸してほしいんだが……」

 

 鈴の名乗りを聞いて、その隊長らしい風貌の男性のその口から出たのは、協力してほしいという言葉であった。どうやら、かなり苦戦しているようだ。すぐさまアイエフがそれを請け負う返事をした。

 

「分かったわ。それで、敵は……!?」

 

 防衛隊の人々が攻撃する方向を見て、アイエフは絶句した。既に見ていた勇也も呆然とし、ネプテューヌと絵里奈はそれに対し叫ぶ。

 

『な、なにあの集まり様!?』

 

 その視線の先に見えたのは、通りを塞ぐほどの幅まで展開された、モンスター達の壁であった。

 通りの端から端までぎっしりと詰められているうえに、その上空には鳥形モンスター「赤チョコピ」と空中浮遊型スライヌの「ヒールスライヌ」が覆い、そこを立ち入り封鎖区域とするまでの規模で封鎖していた。

 こんな恐ろしい状況に、鈴は何があってこうなったのかの状況説明を要求した。

 

「ちょ、ちょっと!これどういうことよ!?」

 

「私達は、奥でモンスターによって逃げられなくなった要避難者の安全を確保するために、モンスターを残したまま、先発隊を行かせたんだ。残るモンスターを私達が引き受け、後で援軍に行けるようにだ。しかし、先発隊が突っ切って、私達がモンスターを相手にしたとき、モンスター達はそれに釣られる様にして街中央部へ通じるこの大通りを封鎖してしまった。この壁を何とか攻撃で数を減らしていっているのが、今の現状、というわけだ」

 

 鈴へそう説明する隊長。おそらく、モンスター達は先発隊の動きに気づいて、街の中央部にいるであろうボスへ行かせまいとここで足止めをしたのだろう。この量のモンスターも中央部へ向かうまでに他のエリアにいたモンスター達をそのまま押し出して、ここまで引っ張ってきたのだと考えられる。

 それによりようやく疑問は解消される。先程までの間、モンスターが少なかったのも、これが原因だ。そのエリアでモンスターを対処していた者達も今ここにいる者たちなのだろう。やけに大隊を形成していると思えば、自然とそうなったのであろう。

 とはいえ、それが分かったところで、これを地道に撃破していくというのはかなりきつい作業だろう。その間にも、先発してボスと戦っているという防衛隊のメンバーに負担がかかる。

 

「しっかし、どうするよ。これ。俺達Rシリーズでもこれは無理だぞ?」

 

 勇也が無理だという発言をする。確かに、これはどれだけ戦闘に優れた並みのガンダムでも、突破するのは困難だろう。

 ここ以外からではダメなのか、コンパが隊長に聞いてみた。

 

「あのー、ここ以外からでは行けないんですか?」

 

「そうだよ!別の所からなら、先に行った人達を助けられるかもしれないよ?」

 

 だが、その案を隊長は却下する。

 

「だめだ。どちらにしろ、このモンスター部隊を撃退しなければ、ボスを倒したとしても、これでは集団で分散するモンスターで避難した人達に大きな被害を与える可能性もある」

 

「……そんな」

 

 ネプテューヌが絶句する。突きつけられた目の前の現実は、まさしく厚く、険しい壁として物理的にも、そして心理的にも立ちふさがったのだ。

 ここを超えることは女神でも造作もないことだろう。しかし、現在の信仰力の低下した状況でのエネルギーの維持、いつまで向こうが耐えられるかというタイムリミットは今の現状を大変厳しいものとした。

 それでも、諦めずに防衛隊は今なお攻撃し続けている。撃ち続け、回復し、また戦線へ……。だが疲れの色が見えていた。防衛隊の一角にモンスターからの反撃が飛ぶ。

 

ドッガァァン!

 

「ぐぁっ!」

 

 倒れる隊員、すぐさま衛生兵が後退させ、ダメージの治療を行う。これを突破するために、皆が必死でいた。

 光樹も考える。ここをすぐに突破するためには、圧倒的な範囲攻撃を持つ攻撃でなければ難しい。光樹自身のフルバーストやドラグーンコンビネーションでもこれを突破するのには厳しい。もっと、強い攻撃があれば……。

 だが、そんな状況を一変させる力を、鈴と勇也、絵里奈が口にした。

 

「……ここを超えるには、圧倒的な破壊力を誇る、大出力範囲攻撃が必要……」

 

「……?鈴?」

 

 少し笑みを浮かべた鈴に、ネプテューヌが首を傾げる。その後を、勇也と絵里奈が続けて言った。

 

「そして、SSRシリーズのガンダムは、常識を超えた、高性能かつ圧倒的な力を秘めた特別な存在……。なら」

 

「その力、見せてあげようよっ、光樹君ー!今こそ「ノイズフォースビックバン」、その真の力を使う時だよー!」

 

 

その言葉は、光樹へと向けられていた。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。最後に特段大きな壁が出てきましたが。

レイ「これは突破するのが大変そう……でも、光樹君のガンダムが解決してくれそうだね」

ジャンヌ「今までにもノイズフォースビックバンは光樹さんのガンダムの必殺技として登場してきていますが、今度の技は一体どのような技なのか気になりますね」

それはもうこの大軍を突破できるだけの技ですよ。流星のロックマン3やったことのある人ならわかりそうですけどね。さて、今回は短いですがここまでということで。

ジャンヌ「次回もまた月曜日投稿になりそうです」

レイ「それじゃあみんなー、また次回ッ!」


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第122話 暗黒空間のNFB

星よ、光よ!煌めき纏う聖なる龍よ!未来へと希望をつなげ!我が元に煌臨せよ、煌星第二使徒スターゲイズ!!……どうも、皆様。今日が学校に報告入れに行く日だと思っていたら、明日でした、藤和木弘です。

ジャンヌ「闇を照らす輝き、流星と共に現れる星の龍。煌星第二使徒スターゲイズ、ここに煌臨しなさいっ!……どうも、皆様。最近はフェイトアポクリファを時間があるときに藤和木とレイさんと観ています。ルーラーの真名と同じ名前の「ジャンヌ」を持つジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「世界を照らせ、輝ける星の王者!煌星第二使徒スターゲイズ!今こそここに煌臨せよっ!……どうも、みんな!さっきから藤和木が気に入ったバトスピ最新弾に入っているカード、「煌星第二使徒スターゲイズ」の召喚口上をみんなで言ってたよ。レイ・オーバですっ!」

うちのレイさんが「です」言うの結構珍しいよね。さて、ここのネタが尽き始めている中、第122話の投稿です。

ジャンヌ「今回は光樹さんのガンダムの奥儀、ノイズフォースビックバンの真価が見られるとのことでしたね」

レイ「タイトルが暗黒空間って出てるのを見ると、ちょっと怖そうだよね」

さて、光樹君が放つ攻撃は、モンスターの大軍を突破できるのか?それでは本編へ。


 

 

「俺の……シュバルトゼロのNFB?」

 

 光樹は聞き返す。NFBという単語には、聞き覚えがあった。というよりも、先程DRXを倒した技も、NFBだ。光樹もそれを聞いてシュバルトゼロの必殺技、もしくはスキル技であることは分かっていた。

 だが、ここで気になったのは、NFBの真価ということ。今までのNFBとは違うことを指している言葉に、光樹は疑問を感じていたのだ。

 それに気になったのは光樹だけではない。アイエフとネプテューヌも鈴達にどういうことなのかを聞く。

 

「真の力……って、何?あのガンダムには、まだ光樹が扱いきれていない機能があるっていうの?」

 

「まさかまさか、必殺技を超えた「究極技」とか!?」

 

 ネプテューヌの言った究極技という単語には、光樹も興味を持った。今のゴッドクロスなら、それくらいの技があって、光樹自身は使用できないのもそれなりの力がなければ使用できないということなら納得する部分があった。

 それらの疑問は、勇也が答えを明かす。

 

「究極技ってわけじゃないな。これはSSRシリーズのガンダムが持つ有り余るパワーを攻撃に回しつつ属性付与して、かつその出力を束ねずに解き放つことで起動するNFBだ。俺達は「オーバーエリアタイプノイズフォースビックバン」って呼んでるな」

 

「お、オーバーエリア……なんです?」

 

 その長い名前にコンパが戸惑う。確かに名前にしてはかなり長い名前だ。説明もかなり回りくどい説明のように思える。すると、鈴が簡単な説明に直す。

 

「要するに、大範囲を攻撃できる、属性攻撃よ。敵1体に対する破壊力は一点特化型のNFBよりも劣るけれど、力を収束してない分、攻撃範囲は圧倒的に広いし、全体的な威力も馬鹿にならないくらいの破壊力があるわ」

 

「そんな攻撃が光樹のガンダムにはあるっていうの!?……何なのよ、光樹のガンダム……1体だけで世界相手に出来るんじゃないの?」

 

 アイエフが冗談交じりに驚く反応を見せる。1体だけで流石に世界は相手に出来ないだろうと思うも、絵里奈がそれを肯定した。

 

「うん。事実、光樹君は世界規模の戦争行為に介入しているくらいだからねー。それに世界の平和を脅かすくらいの敵も倒してるから!まぁ、私達を含めて、なんだけどねー」

 

「……な、なんという……」

 

 話を聞いていた防衛軍の隊長も過去の光樹の戦歴に驚く。信じがたい話だが、光樹には不思議と信じることが出来た。

 というのも、やはり零次元での戦闘が関係している。あの時はメガミブレイカーというチート級の兵装があったとはいえ、それを扱う自身のガンダムは全く動きに支障をきたすことなく、超巨大敵機であるエクストリィムと互角の戦闘を繰り広げていたほどだ。

 そんな活躍に加え、各国シェアプロテクターとの一斉対決やG-1グランプリでのゴールドサァドとの戦闘でも女神と同等かそれ以上の力を誇る敵を複数相手にして圧倒できるというのは普通の機動兵器ではない。それらも含めて、鈴達の話には信憑性があると確信したのだ。

 それが出来るのは自分だけ。ならやるしかない。光樹は鈴にその方法を聞く。

 

「それで、オーバーエリアタイプノイズフォースビックバンってのは、どうやるんだ?」

 

「簡単よ。今までのNFB使用タイミングでオーバーエリア……略してOETNFBを認識させれば、使用画面で使うNFBが出てくるから、それを思考選択するだけ。いつもなら音声認識で出来るけど、今は覚えてないだろうし、とりあえず項目で選択しなさい」

 

「なるほどな。了解した」

 

 鈴からの説明で大体の流れを確認した光樹は早速ゴッドクロスに変身する。変身を終えた光樹はスラスターを吹かしてモンスターの前に出る。空中で制止したまま、NFBの使用欄を展開すると鈴の言う通りタイプの選択が表示される。そこで光樹がOETNFBを選択すると、すぐに技の名前が一通り出てくる。

 だがその数は豊富で、どれを選んでいいか迷ってしまう。どれも広範囲に攻撃が可能なら、どれでもいいかと思ったその時、とある名前で目が留まる。

 

(これは……)

 

 そのNFBの名前は「シュバルト・ゼロ・ギャラクシー」だった。その名前の響きに心当たりを感じる光樹は、その名前を思考で選択する。すると、頭の中に発動までの流れがインプットされる。

 それを見て、光樹も確信が生まれる。この攻撃は自分が知っている攻撃の派生型のようなものだと。まだOETNFBをよく知らない光樹としては、知っているような攻撃をする方が予想外のことにも対処可能だろうと思って選択したが、それは合っていたようだ。

 両腕を前に突き出すと、ゴッドクロスの腕部武装ユニットが展開される。左右それぞれのANクロスビームボウガンⅣが少し左右に開き、手のANフレキシブルアームデストロイブレイカーのビーム口が少し前に出る。少ししてボウガンユニットから黒い羽が生成される。と同時に両手には黒い球体が出現する。球体には赤い電撃が走っている。見るからに危険そうなエネルギーの流れが感じ取れる。

 と、そこで見ていた鈴達から声が飛ぶ。

 

「ちょぉ!?あんたそれ選んだの!?」

 

「こ、これはやばいかも~」

 

「た、確かに……あの黒いのはわたしも見るからにやばいって思うよ?これ大丈夫?」

 

「なわけねぇだろ……とりあえず全員、下がれ!あれに吸い込まれたら死ぬぞ!!」

 

 GKSWAXP組のメンバーがネプテューヌ世界の人物を避難させる。攻撃を行っている光樹もこの時点でようやくその危険性を理解した。

 ここでようやく気付いたのも、おそらくゲームでの使用率が原因なのだろう。あの時はただひたすらにこれに似た攻撃を行っていたため、その恐ろしさを理解していなかったのである。

 だが、ここで終わるわけにもいかない。それだけの力があるなら、このモンスター軍団も倒せるはずだ。光樹はそのまま攻撃態勢に移行する。

 

「行くぜ……てぇぇぇい!!」

 

 両腕を一度引いてから、一気に突き出す。すると左右に開いていたボウガンユニットが閉じ、翼が中に吸い込まれるように消える。翼の消失に準じるように、両手に込められた球体に電撃が走り、敵の方に飛んでいく。圧倒的なまでの電撃破を生じた黒い球体は敵を電撃で巻き込みつつその球体に取り込んでいく。

 球体がモンスター軍団の中心に到達すると、球体が停止する。そして二つの球体が爆発、融合を起こし、大きな球体……ブラックホールとなって周りのものをすべて飲み込んでいく。小型ブラックホールに飲み込まれていく敵は、まさに掃除機に飲み込まれていく塵のようだ。その様子に少し見とれてしまうが、それでは倒せない。

 倒すために、光樹は最後のシークエンスに突入する。両手のANクロスビームボウガンⅣをソードブレイカーモードに切り替える。だが、そこから発せられるビーム刃はいつもとは違う。黒い刀身に赤いビームの刃が生成される。

 その剣を構え、ウイングを6枚すべて展開し、突撃する。

 

 

 

 

『ノイズフォースビックバン』

 

 

 

「シュバルト・ゼロ・ギャラクシィィー!!!」

 

 

 

 

黒い球体状のブラックホールを突っ切り、両断する。一瞬の刹那のうちに切り裂かれたブラックホールは光を放ちつつ、爆発を起こす。爆発を起こしつつ、中に吸い込まれたモンスター達が放出される。だがはじけ飛ぶ途中で次々と消滅していくモンスター達。光が収まったときには、多くのモンスターが光となって消滅し、残ったモンスターは1体もいない状況となっていた。

 まさしく敵の殲滅というには相応しいほどの破壊力である攻撃に、ゆっくりとその惨状を見る。周りのビルの壁や街灯も飲み込まれている様子は、その威力を証明するのに十分だ。これは場所を選んで発動させるNFBを選ばないといけなさそうだ。

 攻撃が収まったところで、鈴がこちらに駆けてくる。こちらに向かってくるのは鈴だけではなく、勇也や絵里奈、それにネプテューヌ達もだ。

 

「ちょっと!どれでもいいとは思っていたけど、いきなりそれをぶっ放す!?」

 

 早速鈴からお叱りの言葉が飛ぶ。流石に光樹もあれの危険性は理解したので、ここは素直に謝罪した。

 

「わ、悪い……。なんか聞き覚えのある技だったから、つい……」

 

「そ、それにしてはとんでもないの選ぶよねー……ちょっと冷や汗かいちゃった」

 

「まったく……恐ろしいやつだ」

 

 絵里奈達の焦りを覚えたつぶやきに光樹も申し訳なく思う。そして、それはネプテューヌ達も同じであった。

 

「な、なにあのチート級必殺技!?味方巻き込みの全体攻撃……マップ兵器だよね!?」

 

「すごい吸引力です!!」

 

「これは教会に報告しておいた方がいいんじゃないかしら……あんなの無意識に放たれちゃ街への被害が大きくなるわ」

 

 アイエフの言葉に、若干真実味を感じる光樹。これだけの被害、何度も出されては困るのも当然だろう。

 しかし、街の防衛隊の隊長はあまり気にしていないようだった。被害を受け止めつつも、道が開けたことについて喜ぶ。

 

「これはすさまじい……だが、これで救援に行くことが出来る」

 

「けれど、街の被害はそこそこ甚大よ?」

 

「モンスターに襲撃されていた時点で街の被害は甚大なんだ。今更気にするほどではないさ」

 

「そ、そういうものなの……?」

 

 ここを超えられれば気にしないというポジティブ精神に、鈴とアイエフは若干不安を見せる。とはいえ、今は奥でモンスターを抑えている防衛隊への救援が先だ。考えを切り替え、アイエフが全員に告げる。

 

「けれど、道が開けたのは事実ね。早速行くわよ、みんな!」

 

「オッケー!ここまでモンスターが集まってたんだし、楽に進めるんじゃない?いけいけゴーゴー!!」

 

「ま、待ってください、ねぷねぷ~」

 

 先にネプテューヌとコンパが進む。その後を絵里奈に引かれて鈴と光樹が行く。

 

「さーって、私達も行くよー三人共~!」

 

「あ、あぁ」

 

「これくらいの被害は何とかなるか……って絵里奈!そんなに引っ張らないで!」

 

「はぁ……まぁ、これくらいの騒ぎが俺達としては平常運転か」

 

 鈴の心情を勇也が代弁して、全員がその場を離れ、奥のモンスター討伐へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 光樹達がモンスターの壁を撃破した少しあと、ハネダシティの最奥部では二人の防衛隊員が戦っていた。それぞれ杖を持ってモンスターに攻撃を放っている。が、その攻撃を意に介すことなくモンスターのうち1体が受け止める。

 そのモンスターはフェンリルタイプのモンスターである。だがその体には機械の装甲が装着されその背には2門のキャノン砲を装備していた。その砲門が唸ると、そこからはビームが放たれる。

 

「ちぃ!!」

 

「うおっと!?」

 

 2人は何とかその砲撃を回避する。だが、そこに追撃として装甲の付いたウサギ型モンスター「ラビリム」と同種のモンスターがバルカン砲を放つ。

 攻撃を防壁で受け止める2人。攻撃が収まり、防御障壁を解くが、その額には汗が溜まっていた。それもそのはず、2人は何十分もこのモンスター達と戦っていたのだから。いや、正確にはその少し離れたところに倒れている、4人の防衛隊員と共に、だが。

既に防衛隊側は4人が戦闘不能状態となっていた。彼らからモンスターを引き離すために、彼らはモンスターを引き付けていたのだ。だが、何度攻撃しても躱されるかその強固な装甲に阻まれていた。

その状況に1人が舌打ちをする。

 

「くそ、何だこいつは!他のモンスターとは段違いだぞ!?」

 

「グルルルル……」

 

 反撃の魔法を放つも装甲に阻まれる。武装化フェンリルは攻撃を受けて強く唸り声を上げる。これまでの苦戦ぶりに、もう1人が今までの惨状を呟く。

 

「こいつら3匹に何人の仲間がやられたことか……。これじゃあ、どっちが追い詰めてるんだかわかったもんじゃねぇ」

 

「もう2人にまで追い込まれてるんだからな。悪い冗談だ」

 

 悪態を着きつつも更なる攻撃を躱す。だが、その体力もほぼ限界となっていた。ここで止められなければ、まだビルに残っている人を守ることは出来ない。だが、これ以上戦闘を続けても、勝てる見込みはない。事実、彼らは見ていた。隊長達にモンスターの討伐を任せたのち、モンスターが道を閉ざした状況を。

 あれを倒し切るには時間がかかる。だからこそここで何とかしなければならなかった。しかし、何十分と戦闘を続けて未だに余裕を見せるモンスターに叶うはずもない願望と共に言葉を吐き捨てた。

 

「まさに、バケモノだな……。こういう時、女神様がいてくれたら……」

 

 女神。それは自分達が崇める存在。彼らが本来尽くすべき人物だ。あの日以来、周囲の人々は女神の存在をまるっきり忘れてしまっていたが、彼らは違った。はっきりと覚えていたのだ。女神達が各国にいたことをしっかりと記憶していた。

 周りの人々からはそんなものいるわけがないと馬鹿にされていたが、それでも信じ続けていた2人がここでまだ戦っているというのは、まるで奇妙な縁だった。誰も覚えている人がいないと諦めた矢先に出会った、同志と今戦っているというのは、まるで女神があきらめるなと言っているようだ。

 しかし、一方はそれを聞いて、諦めの形で奮起する。

 

「女神様なんてもういないんだ。だから、その代わりに俺たちがここで踏ん張らなきゃいけないんだよ!」

 

「そうだな。女神様の代わりに、この命にかえてでも、この街は守ってみせるさ!」

 

 相方の言葉に応える形で、もう一人もまた杖を構え、相対する覚悟を見せる。そう、ここでこの街をモンスター達に支配されてしまえば、女神に顔向けできない。なら、自分達を犠牲にしてこの街を守らなければ……。

 それを力にして最後の攻撃をするために力を蓄える。モンスターも砲門にエネルギーをチャージし始める。この攻撃で勝負が決まる、そう感じ取りつつ唾を飲み込んだ、その時である。

 

 

 

 

「もう、どうして男の人って、そうやって直ぐに生命を投げ出そうとするのかなぁ」

 

 

 

 

「そ、その声は!」

 

 思わず魔力を溜めることに集中していた隊員がはっと声の主の方向を向く。そこには自分達が願っていた人物……この国の女神が立っていた。

 一瞬、見間違いかと思った。だが、その人物は高らかに自身の名を宣言した。

 

「じゃっじゃーん!プラネテューヌの女神、ネプテューヌ只今見参!」

 

 その言葉を聞いて、彼らの心に光が差した。諦めなかったことで答えてくれた。自分達が心から慕う存在が、再び自分達の元に現れてくれた。

 女神の登場が、この劣勢を跳ね除けることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんちゃってー」

 

 先程のかっこいいセリフから一転して、冗談であるように笑いを入れたネプテューヌ。さっきまで真剣に戦っていた防衛隊の2人を応援する意味を込めての発言がシリアスとコメディのバランスを崩してしまったように感じたため、一転してのこの発言だ。

 しかし、それは気にしていないかのように、2人は感激した様子でこちらに話しかけてくる。

 

「ね、ネプテューヌ様!?」

 

 その様子から、どうやらわたしのことを知っているみたいだ。あれ、もしかしてこの人たちわたしのこと覚えてる感じ?そう思いつつも、ここまで戦い抜いた2人に、後は任せるように伝える。

 

「そういうわけだから、あとはわたしたちに任せて!」

 

 その声と同時に横を光樹が突っ切っていく。狙いは防衛しているラビリムタイプのモンスター1体。その武装化モンスターに光樹の聖魔剣デュランダルが振り下ろされる。

 

「せぇい!!」

 

力強く振り下ろされた剣の一撃は、モンスターに新たに装着された装甲をいともたやすく切り裂いた。攻撃を受けて武装化モンスターは消滅する。追撃をかわすために光樹は退くが、武装化モンスター達は冷静に構えていた。

 それらの一連の行動のうちに、ネプテューヌ達の周りに遅れていたアイエフ達と鈴達が集結していた。が、それだけの増援よりも、彼らにとってはネプテューヌの存在が重要だった。

 

「ネプテューヌ様……。……よかった、生きていたんですね」

 

 再び発せられたネプテューヌの名前に、アイエフが驚く。

 

「……驚いた。まさか、ネプ子のことを覚えている人がいるなんて」

 

 予想していなかった名前を聞いて意外だったのだろう。今のネプテューヌも、驚いていることにはびっくりしているくらいだ。しかし、そこで少しいたずら心が芽生える。早速アイエフに、気にしているであろうことをサラッと言う。

 

「あいちゃんは忘れてたけどね」

 

 その言葉にアイエフの息が詰まる。コンパがやり過ぎだという苦笑いをしている。光樹や鈴はため息をつき、絵里奈も表情は笑ったまま、アイエフに同情している様子を見せる。

 

「ね、ネプテューヌちゃん、そんな前のことをいじらなくてもー……」

 

「そうよ。そのことはもう言わないで。気にしてるんだから……」

 

 アイエフも少し気を落としていた。自分が触れた話題であることが余計自身に重しとなってこの事実を重くしているのだろう。

 これはやり過ぎたかなぁ?と思ったネプテューヌも謝る。

 

「ごめんごめん」

 

 しかし、ここで分かったことがあった。そう、今まで女神化できていた理由だ。世界のほとんどの人が女神のことを忘れていたにも関わらず、なぜ自分が女神化できるのか。それは前から思っていたことだ。

 その理由は簡単だった。必ずしも誰もが忘れていたわけではないのだ。一緒に事象に巻き込まれた光樹達、そして今なお女神に忠誠を誓っていた人物達がいたこと。小さな信仰が、自分を女神でいさせてくれたのだ。

 それをネプテューヌは目を閉じて言葉にする。

 

「けど、やっとわたしが女神化できた理由がわかったよ。一緒に巻き込まれた光樹達だけじゃない、この人たちみたいに、わたしのことを覚えてくれていた人がいたおかげだったんだね」

 

「ネプテューヌ……」

 

 ネプテューヌの言葉に一同が注目する。覚えてくれていた人への感謝の言葉だ。いかに女神が人々に支えられているか、それがよく分かった故の発言である。それをネプテューヌは本心から思ったのだ。

 そんな場面でも、モンスターは容赦しない。吠えると攻撃態勢に入る。

 

「ガゥゥッ!!」

 

 吠えと共に放たれた攻撃に対し、困った顔をしつつも回避する。

 

「って、さすがにしんみりはさせてくれないか」

 

 残念そうにみせるも、ネプテューヌは目を閉じ光に飲み込まれる。女神化だ。光の中で女神の姿となって次々とユニットを装着し、光の中から女神パープルハートは現れる。

 意識の冴えたネプテューヌは、引き締まった様子でモンスターに宣告する。

 

「なら、彼らの想いに応えるためにも、あなた達はここで討たせてもらうわ!」

 

 その声に合わせ、コンパたちが武器を構える。そして光樹達は自分達の変身道具を掲げ、ガンダムへと変身する。攻撃態勢を構えたこちらに対し、モンスターもウサギ型の近接部隊を3体新たに呼ぶ。

 女神達とモンスター達の、ハネダシティを賭けた戦いが始まる。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。今回光樹君が放ったNFBはシュバルトゼロのモチーフとなっている、「流星のロックマン3」のファイナライズ形態、「ブラックエース」のNFB、「ブラックエンド・ギャラクシー」がモデルとなっています。

ジャンヌ「動画を見ましたけれど、演出がかなりすごかったですよね……。今回の光樹さんのそれも、流れを踏襲しつつもブラックホールを2つ放って一つにするあたり、強化されて登場しているというのが分かります」

レイ「そういえば、光樹君が最初に変身していたブラックエースⅣのNFBはこれ……っていうか、ブラックエンドギャラクシーそのままなの?」

よく気づいたね……一応ブラックエンドギャラクシーだね。けど切り裂き攻撃はビームサーベルでやってるね。

ジャンヌ「NFBで思い出しましたけれど、ディバイドゼロ・エクリプスはどうなったんでしょうか……」

あれも結構な威力あるね。けどブラッドゼロ用のNFBでシュバルトゼロも使えるけど攻撃力は据え置きなのに防御兵装の無効化付いてるから、あんまり使われていないね。もし全力を出しての戦闘なら使うかもしれないけれど。さて、そろそろ次回予告と行きましょうか

レイ「そうだね。次回もまた月曜日になりそうだよっ」

ジャンヌ「それでは皆様、また次回、お会いしましょう」


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第123話 砲撃の雨、切り裂けデュランダル!

どうも、皆様、お元気でしょうか。学生は夏休みが終わったかあと少しかな?夏休み終了間近になって宿題をしていないかな?私は昔は結構残ってました、藤和木弘です。

ジャンヌ「ヒカルさんから聞いていましたが、藤和木あまり宿題をやるのに意欲的ではなかったそうで……でも今は課題はちゃんと時間内に終わらせていますね。どうも、皆様。先日前アシスタントのヒカル様とお会いして、わたくし達と藤和木とのやり取りが面白いと頂きました、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「けど、まさかヒカル君がZ/Xに興味を持つなんてね!それもビジュアルで選んでるって、ジャンヌちゃんを選んだ藤和木みたいっ!どうも、みんな!ネプテューヌVⅡRが発売したね!レイ・オーバだよっ!」

そうだね、ネプテューヌをやっている方々は、もうVⅡRはやられたのでしょうか?私は残念ながら就活と金銭の問題でまだ買ってません!(´;ω;`)

レイ「本当はやりたいって言ってたのにねー」

ジャンヌ「それもVRも揃えたいと言ってましたし……でも、学生の藤和木がVRを買うのは厳しいです(けど、おかげで藤和木がわたくしを見てくれてる……うふふっ♡)」

まぁ、それに関わる話も、この話のあとがきで言うことにして、今回は第123話になります。

ジャンヌ「今回は猛争・武装化モンスターとの戦闘ですね……これで2体目ですか?」

レイ「ネプちゃんと鈴ちゃんのも合わせると3体じゃない?」

3体目だね。けど、正しくは3件目かな?ここでは集団全てが猛争・武装化モンスターだから

レイ「へぇー、そうなんだっ!」

ジャンヌ「砲撃の雨、ですか。激戦になりそうですね……!」

鍵を握るのは、光樹君のあの武器!さて、それでは本編へ!!


 

 

「さて、じゃああの武装化モンスター達を倒すとするか」

 

「えぇ、そうね。これを倒せば、この戦いも終わりそうだし」

 

 光樹からの言葉に、鈴は手早く反応する。光樹の言う通り、これがこの街のボスだという可能性は高い。フェンリルタイプはこの世界では危険種という情報を聞いていた。加えて猛争化時の電磁波と武装化の見た目もまたボスらしい特性を示している。これは強敵だ。

 早速だが、あいさつ代わりに武装化フェンリルの砲撃が飛んでくる。砲撃を躱す鈴達。回避したところで、絵里奈が攻め方について聞く。

 

「ところで、このモンスター達どうやって倒すー?」

 

「まずは取り巻きから片づけましょ。大きいのの攻略を邪魔されて、その隙に撃ち込まれた、なんてやられ方はしたくないでしょう?」

 

「それもそうね。じゃあ、私と光樹で大型モンスターの気を引いて、残りのみんなは小型の掃討をお願い」

 

 アイエフの言葉を聞いて、パープルハートが役割分担を出す。その命令に異存はなく、頷くとそれぞれ攻撃対象に向かって別れる。鈴は絵里奈と共に武装化ラビリム2体を相手にすることとなった。勇也とアイエフ、コンパはもう一方のラビリム達、そして光樹とパープルハートは武装化フェンリルに向かっていく。

 直援に付いた絵里奈に、私はしっかり援護するように言う。

 

「絵里奈、サポートは任せたわよ」

 

「まっかせといて~。私の狙撃スキル、伊達じゃないよー!」

 

 意気込みよく絵里奈はANFXキャノンバスターを向けて放つ。素早く放たれた砲狙撃は当たりこそしなかったものの、武装化ラビリム達の動きを制限する。動きの乱れたところで、鈴の出番だ。R-EXEグレイガのANファングクローシールドを展開して突撃する。

 敵に十分接近したところで右側にいた武装化ラビリムに攻撃を行う。腕部のANファングクローシールドと脚部のANフットクロー、2つの実体の刃を体全体を使って振るっていく。

攻撃を受けて距離を取ろうとする武装化ラビリムだったが、それを鈴は許さない。機体のフロントアーマーがパージされる。否、それは違う。機体と離れたフロントスカートはチェーンで繋がっていた。さらにスカートの端部分そのものがスカート下を軸に回転し、ハサミのような形に移行する。

 ちょっとしたギミックで展開されたANシザーアンカーⅤは武装化ラビリムの懐に入り込み、腹部を抑える。こちらの方に向かって巻き取りを行う。だが、相手は小さくても猛争化、加えて武装化モンスター。小さな体でありながら、新たに装備している装甲のスラスターで踏ん張る。さらに背後からはもう1匹の武装化ラビリムがバルカン砲を放とうとしていた。

 だが、それは絵里奈によって防がれた。背後の武装化ラビリムが撃つよりも早く、絵里奈が肩部のバルカン砲の片門を撃ち抜いたことで起きた爆発によってだ。

 相変わらず、狙撃の腕は感心するわ。おかげで安心して後ろを任せられる。あたしは心の中で思いつつ、目の前の武装化ラビリムとの力比べに集中する。目の前のウサギ型武装化モンスターは巻取りとほぼ同じ強さで相手も抵抗してる。さっきもされそうになっていたが、この状態でバルカン砲を撃たれて苦戦するのも嫌だわ。だったら……。

 鈴は機転を利かせる。チェーンを掴むと、それを引っ張る。加えて機体のスラスターを吹かせて自身の力も利用して、武装化ラビリムを右へ左へと動かしていく。

 一気にそれらの動きを行われていくにつれて、ラビリムは徐々に抵抗を少なくしていく。これが鈴の狙いであった。無理に体を動かし、相手の抵抗を強くする。こうすることで、相手の体力を、エネルギーを減らしていく。そうすることで、敵の勢いを削いだのである。

 抵抗の弱まった武装化ラビリムに対し、鈴はグレイガに指示を飛ばす。

 

「グレイガ、今よ!」

 

『了解ッ!』

 

 すると、一気にチェーンが巻き取られていく。抵抗のなくなった武装化モンスターの体は軽くこちらに飛んでくる。十分巻き取ったところでANシザーアンカーⅤの拘束を解く。そして下腕部に装備されたANビームメイカーをトンファーモードで起動する。細長いビーム発振器の後部から細長いビームの剣が生成される。生成された剣をそのままラビリムに向け、振り抜く。

 振り抜いた一閃が武装化ラビリムの腹部装甲を切り裂く。切り裂いたのち、体を回転させ、リアスカート部に固定されたANテールヒートロッドⅡを当てる。攻撃を受けたラビリムは斜め上空に飛ぶ。そして、最後の一撃は……。

 

「ANビームブラストマグナム、シュート!!」

 

 リアスカートの上部に装備されていたANビームブラストマグナムを素早く両手で構え、撃つ。過剰なまでのエネルギーのスパークを纏った高出力ビームがラビリムに向けて放たれる。ビームはそのままラビリムの強化された防御の象徴である機械装甲を融解させ、その体を貫いた。

 

「ビィ~……」

 

 ダメージを受けすぎたラビリムは機械の装甲が外れながら消滅していく。あとは絵里奈と勇也達の方だけ、と思った矢先。

 

「鈴ちゃーん、こっちは終わってるよー」

 

 こちらの方に手を振って絵里奈が報告する。絵里奈も無事モンスターを討伐したようだ。そして、もう一方も……。

 

「アイエフ、ラスト1匹!」

 

「分かってるわ!「魔王暗翼刃」!!」

 

 アイエフのカタールから生成された黒い光の刃が、武装化ラビリムの装甲の隙間を上手く突き刺す。その攻撃を受けて、機械の装甲が外れていくとともに光となって消えていく。もう1体のラビリムもいないことから、どうやらあちらも露払いは終わったようだ。

 これであの大型猛争・機械化モンスターに集中できる。既に相手にしていた光樹とパープルハートに対し、鈴は機体の拡声器を使って告げる。

 

「こっちは全部片付いたわ!あとはそいつだけ。一気に叩くわよ!!」

 

 鈴達も光樹達が戦っている大型猛争・機械化モンスターの「フェンリル・キャノン」との戦闘に加わっていく。ここからが、彼らのハネダシティ防衛戦の本番であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴からの声に、光樹は通信回線を使って応答する。

 

「了解した。援護を頼む。そろそろ切り込みたいと思ってたところだ」

 

『了解。思う存分突っ込みなさい!』

 

「あぁ。……パープルハート、そろそろ行くぞ」

 

 鈴からの返答に手短に答えたのち、攻撃を回避しながらパープルハートの所まで地面を滑るように移動した光樹は切り込みを提案する。先程まではなるべく鈴達の方に攻撃が行かないように射撃と回避、迎撃を中心にしていた2人。だが小さくてすばしっこいやつらを討伐し、こちらの方にも来られるようになったということは、もう後退的な行動を取らずに済むということだ。

 当然だがパープルハートもそれを理解し、光樹に返答する。

 

「そうね……じゃあ、行くわよっ!!」

 

 勢いよく突っ込む紫の女神。これまでの鬱憤を解放するかのような速度で「フェンリル・キャノン」(光樹が命名)に詰め寄る。疾風とも言える速度により起きた風が機体の装甲の横を通る。

 やっぱり攻撃をする方がネプテューヌは合ってるな。実際ネプテューヌは攻撃技のほとんどは刀による物理攻撃と刀身にエネルギーを込めた属性攻撃がほとんどのはず。距離を離しての戦闘は決め手が少ない以上、先程も回避がほとんどだった。だから、こうして近接攻撃に移れたことで、有り余っていた力を今ぶつけに行ったんだろう。現にその攻撃はフェンリル・キャノンを翻弄するくらいだ。

 しかし光樹もただ見ているだけではない。先程も鈴に対し「切り込む」と言った以上接近戦を仕掛けなければいけない。光樹は主武装をANロング・メガ・マグナムからANビームサーベルⅦXに切り替えると、同じく突撃に入る。

 突撃を行う光樹に気づいたフェンリル・キャノンは、パープルハートの攻撃を後ろに飛んで避けるとこちらにキャノン砲を放ってくる。ビームによる砲撃を光樹はウイングスラスター4枚を使って避ける。続けざまに地面に降り立った武装化フェンリルは口から冷凍攻撃を放つ。が、これも光樹はウイングの一斉噴射で上空に避ける。上空に回避し、そのままの勢いで地面に着地したフェンリルに向かって一直線に向かっていく。次々と繰り出される攻撃に対し、光樹は回避したり、ビームサーベルで切り裂いたりして徐々に接近していく。

 そのまま攻撃を受け流していった光樹はゴッドクロスの両手を振り上げ、そのまま切り込む。右前脚を装甲ごと切り裂き、ダメージを与える。

 その攻撃により吠えるフェンリル・キャノン。すぐさま反撃に出るゴッドクロスは後退し空振り。代わりにパープルハートが脇から飛び出し、すれ違いざまに反撃に出した左前脚に機械刀で装甲に覆われていない隙間を切り裂いてダメージを与える。

 上手く攻撃を回避しながら戦う2人。しかし、攻撃はそれだけではない。こちらにフェンリル・キャノンが反撃を行おうとしたところで突如武装化フェンリルの装甲が表面で爆発する。続けざまにモンスターの下から炎が吹き上がる。炎攻撃から飛びのいてダメージを最小限に留めるフェンリルに続けてビームの円を描くものが飛んでくる。それは流石にフェンリルも装甲で的確に弾く。それらの攻撃は当然、援護にやって来た鈴達の攻撃だ。

 さらに勢いよく飛び出した鈴が、追撃の一撃を浴びせる。

 

「ほら、もう一発あるわよッ!!」

 

 普段は背中に装備されているR-EXEグレイガの大振りなソードカノンがフェンリル・キャノンの腹部装甲を突く。装甲により貫くことはなかった。だが鈴の攻撃は終わらない。そのままキャノン砲の砲身を展開し、ビームを撃つ。

 ゼロ距離から放たれたビームで武装化フェンリルは軽く吹き飛ばされる。装甲にも焦げた跡が見られ、それなりに装甲にダメージを与えたようだ。

 フェンリルを押している……今がチャンスだ!そう思った俺はノイズフォースビックバンを起動させる。起動させる技は……。

 が、その一瞬の考えた時が大きな隙となった。

 

「グルアゥ!!」

 

「っ!!光樹!!避けなさい」

 

「え……うわっ!?」

 

 鈴からの指示に、光樹は反応が遅れる。フェンリル・キャノンの砲撃が飛んでくる。それも、放たれたビームの弾が途中で拡散し、細かな弾丸となってゴッドクロスを襲った。ゴッドクロスはその砲火をもろに受け、のけ反ってしまう。

 光樹をサポートしようと鈴達はフェンリル・キャノンに向け、ビームと魔法による攻撃を行う。だが、それらは装甲を展開して発生させた粒子の壁に遮られる。それを見て、絵里奈が防壁の名前について言う。

 

「え……あれ、ANフィールドじゃないの~?」

 

「みたいね。前のやつもフィールドを展開してたけれど、こいつも展開できるなんて……」

 

 こちらのガンダムに装備されている防御兵装を敵も持っている。やはり「武装化」はこちらの世界と何か関わりがあるようだった。

 しかし、ANフィールドも弱点がないわけではないことを鈴達、そして、攻撃を受けた光樹も知っていた。ANフィールドを突破する方法、それはフィールドの圧縮率を超える高出力ビーム兵装か、AN粒子を纏わせた実体剣による攻撃。そのどちらも、光樹のガンダム、ゴッドクロスは持っていた。

 突破するためにも、光樹は息を吸って、攻撃を防御しつつ態勢を戻す。そして左肩のシールドを構えたまま、左腕のANカタナⅡ「ゼロエッジ・ソウテン」を右手で抜き放つ。刀を抜いた光樹が鈴に対し、援護を要請する。

 

「鈴、こっちであれに切り込む。援護を!」

 

「えぇ、そうね。ANカタナであんなフィールド、ぶった切ってきなさい!!」

 

 鈴の掛け声ののち、遠距離攻撃が可能なメンバーが遠距離攻撃を放っていく。ビームと炎、それに光が敵のビームと冷気による攻撃の応酬が行われる。

 そのうちにこちらへの攻撃が弱まった。ここで行くしかない。俺はゴッドクロスのスラスターを全開にして突撃する。向かってくるのに気付いて武装化フェンリルもその背中に背負ったキャノン砲をこちらに向けて放ってくる。砲撃が機体を掠めても、光樹は突撃を続ける。

 攻撃の届く距離まで来たところで、光樹のゴッドクロスは飛び掛かる。ANカタナⅡの剣先を下に向け、突き下ろす構えで。落下のスピードをウイングスラスターの加速で高める。

 そのまま剣が敵のフィールドとぶつかり合う。互いのAN粒子が干渉しあって動かない。だが、光樹がゴッドクロスの出力を上げる。

 

「カートリッジ」

 

 光樹の声に合わせ、腕部のANクロスビームボウガンⅣに内蔵されたカートリッジが両方合わせて2本ずつロードされる。出力を武装と推力に回して、さらに突撃の威力を上乗せする。

 突破力の増した実体剣はフィールドを貫通していく。数ミリずつ徐々に内部に入り込んでいく。その状況に、フェンリル・キャノンにも動揺が見られる。数秒のぶつかり合いののち、フィールドが砕ける。砕けたことで、一気に下へ降下していく。

 もはや邪魔するものはない。このまま一気に貫く。これを喰らえば、大ダメージは間違いない。

 が、それは甘かった。急降下してフェンリルの装甲に突き立てられる前に、再び攻撃が止まる。

 

「な……!?」

 

 決して急停止したわけではない。なのに空中で再び止まるゴッドクロス。その剣先には、先程も見た「障壁」とのぶつかり合いが起こっていた。

 

「二段式ANフィールド!?」

 

「不味い、光樹、一度下がれ!!」

 

 鈴の声がその防壁の理由を説明する。そう、敵は先程のANフィールドの内側に更にもう1枚、フィールドを張っていたのだ。勇也の命令に即座に反応した光樹はウイングスラスターを前面に展開し後退する。

 その直後、フェンリル・キャノンの尾が振り抜かれる。少し反応が遅れていれば、攻撃を喰らっていたのは間違いないだろう。

 何とか攻撃を避けるのには成功した光樹。だが、あのフィールドを何とかしなければならない。そこでパープルハートがこちらに来て提案をする。

 

「光樹、わたしが1枚目の障壁を突破するわ。あなたは2枚目を割って!」

 

「そうか、2人で攻撃すれば、2枚のフィールドでも……!」

 

 パープルハートの作戦に乗る。まずパープルハートがモンスターへの接近を試みる。光樹はそのアシスト。接近しつつも射撃兵装でけん制を放っていく。

 無事パープルハートが間合いまで到達すると、己の武器である機械刀にシェアを溜めてぶつける。振り下ろされた一刀に対し、再びフェンリル・キャノンの周りにANフィールドが展開され、攻撃を防ぐ。激しいぶつかり合い。再び敵のフィールドの攻略が始まる。

 パープルハートの剣は先程のゴッドクロスのANカタナⅡと同じように徐々にフィールドの内側に押し込まれていく。機械などのサポートを受けずに鉄壁のフィールドを壊そうとしている様子は女神の名が伊達ではないことを示していた。

 やがてフィールドに刀身が半分ほど入ったところで、強引にパープルハートが剣を振るう。

 

「てぇぇい!!」

 

 気合を込めた一閃が遂にフィールドを1枚破った。次は自分の番だ。すぐに光樹は両手にANカタナⅡを持って次のフィールドの攻略に入る。

 が、それを敵も読んでいた。一旦離れたパープルハートの与えたわずかな時間の間に目の前のフェンリルはフィールドを解除し、キャノン砲をゴッドクロスに向けて放った。

 

「ちぃっ!!」

 

「光樹君!!」

 

 絵里奈の悲鳴が飛ぶ。何とか攻撃は回避したものの、フェンリル・キャノンは余裕をもって後退を行ってから再び砲撃に加え、キャノン砲の横に装備されていた遠隔操作兵装を放って全方位に向けて放つ。

 

「この武器……光樹と同じ!」

 

「全員注意して回避!獣でのオールレンジ操作なんて、動きが予想できない!」

 

 アイエフと鈴の声が飛ぶ。その声に従い、全員が敵のビットの動きをよく見ながら逃げ回る。上手く避けていくが、絵里奈が回避しようとした時である。

 

「よっと。これじゃあキリが……ってうわぁ!?」

 

「絵里奈!っと!こいつ」

 

 ビットの砲撃を回避した絵里奈のR-ZXに対し、今度はビットで突撃を行う。予想外の攻撃に対処できずに吹っ飛ばされる絵里奈。それをカバーしようと勇也が向かうも、同じようにビットが突撃し、何とか回避する。

 アイエフやコンパも攻撃を回避するのに苦労しているも、攻撃を避けている。だがそこでフェンリルからの砲撃で分散させられる。

 

「ひゃぁぁぁ!あっちからもこっちからも攻撃されてるですぅぅ!?」

 

「この砲撃……何とかするにしても、どうやってあのフィールドを破るっていうのよ!?」

 

 アイエフの言葉に、光樹も心の中で頷く。この砲撃は攻撃している間は撃てないはず。なら攻撃すればいい。とはいえ今の弾幕の多さでたどり着くのは至難の業。たどり着いたとしても、あの二段式ANフィールドを貫けなければダメージを与えられないのが事実。最初のうちに攻撃できたのがまるで嘘のようだ。

 事実、フェンリル・キャノンは戦術を近・中距離戦から中・遠距離戦へと変えていた。そうすることで敵を翻弄できると考えたのだろう。実際、それでうまくさばけているので、その考えは現状に即した攻防になっていた。

 ともかく、この均衡を崩すには攻撃に移らなければならない。だが、どうやって?考えを巡らせる光樹に、鈴が声を大にして飛ばす。

 

「仕方ない。光樹、デュランダルを使いなさい!!」

 

 鈴からの言葉に、光樹は考える。デュランダルと言えば、光樹が現在生身の時に使用している剣のことだ。それを使うということはつまり、変身を解除しろということになる。しかし、それでは逆に不利になるだけではないだろうか。

 それを考えて、鈴に言い返す。

 

「デュランダル?聖魔剣のことか?でもあれはNP不使用時の武器じゃ……」

 

 ところが、光樹の発言に呆れを交えて叫ぶ。

 

「はぁ!?あんたデュランダルのことも覚えて……っていうか、ゼロも教えなかったの!?」

 

『すまない、鈴。現状でデュランダルのAN粒子制御に難があると判断し、説明していない』

 

 ゼロからの応答に、攻撃を避けながら舌打ちをした。その様子は仕方ないというものと、苛立ちを感じさせる表情だ。

 話を聞いている限りでは、ゼロが意図的にそれを知らせていなかったようだ。裏を返せば、デュランダルを光樹自身のガンダムが扱えば強い武器になるということも意味していることも悟る。

 知らなかったことに謝りを加え、鈴にどうすればいいかを尋ねる。

 

「事情は少し分かった。けど、詳しいことは後でいいか?とりあえず、使い方を……っ!」

 

 言葉を言い切る前に向かってきたキャノン砲の砲撃を避ける。そう長くは話していられない。早く聞かなければならなかった。

 それを同じように砲撃の的となっていた鈴も分かっていた。すぐに光樹に通信回線で伝える。

 

『いつもみたいに出しなさい!後はゼロに機体と武器の接続をオンラインにすれば出来るっ!』

 

 その言葉を聞き、光樹はそれを実行する。すぐにデュランダルは手元に2振り顕現する。後は機体とのリンクをすればいい。するとゼロが自動的にそれを行う。

 

『シュバルトゼロ・ゴッドクロスとの心造兵装「デュランダル」とのリンク、開始』

 

 それと共に、光樹の意識が遠のきかける。

 

「グッ……!?」

 

 視界がぼやける。が、完全に意識が飛ぶ前に自我を保ち、踏みとどまる。思わず地面に着地するほどのことだ。攻撃が飛んできていたが、それはゼロが自動的に放ったANシェイブシフトドラグーンのシールドモードで防いでいた。

 一瞬のうちの機械による判断か、それともあらかじめこうなることを予想しての前もっての行いだったのか。ゼロに聞きたいところであったが、それよりも今のことだ。なおも来る意識の遠のきに耐えつつ、ゼロにこの理由を聞く。

 

「……ゼロ…………こいつは、一体……っ!」

 

『これはデュランダルにAN粒子を循環させたときにおこる、形成物質の持ち主へのフィードバック。デュランダルはとある世界の性質が真逆な結晶体2種を融合させて形成される兵装。その結晶体は、持ち主の心と融合されている。よって、そこにエネルギーが注ぎ込まれることにより、使用者に苦痛が与えられる』

 

 その言葉を苦痛の中、何とか頭の中で整理する。要するに心の中に今AN粒子が注ぎ込まれているような状況ということだ。しかし、それは持ち主に拒絶反応を起こす。それが今の意識の遠のきということなのだ。

 しかし、それでいいのだろうか。拒絶しているということは、上手く接続が行われていないのではないだろうか。気になる光樹はゼロにそれを尋ねる。

 

「け、けど、干渉してるってことは、上手く使えないんじゃ……・」

 

『そこは慣れしかない。その痛みは同調すればするほど強くなる』

 

「使いこなせば使いこなすほど、悪影響が出るのか……」

 

 ゼロからの回答に、光樹は少し困りを見せる。何とも使いづらい兵装だと思ったからだ。まるで使うたびに武器に侵食される系の武器である。呪いの武器とも言えるだろう。

 しかし、それを使わなければ、今はこの状況を突破できないのが事実だ。光樹は意を決して、デュランダルを構える。

 

「……よし、行くぞ、デュランダル!!」

 

 後方に剣先を向け、ウイングスラスターを全開にする。ドラグーンのシールドを回収しつつの突撃に対し、武装化フェンリルも攻撃の火線を集中させる。キャノン砲のビームを加速することで通り過ぎ、ビットによる射撃には機体全体のスラスターを使って円滑に回避する。

 攻撃を回避しながら、ゴッドクロスは聖魔剣を構える。構えに呼応して、剣にエネルギーがチャージされていく、チャージされたAN粒子が剣の隙間からあふれ出る。

 迎撃を潜り抜けた先に、再び敵の障壁が形成される。先程も攻撃を防がれた、鉄壁の二段防壁だ。しかし、それでも光樹はゴッドクロスの腕に力を込め、2振りの剣を振りに行く。

 振られた聖魔剣2本をフィールドが受け止める。が、一瞬でANフィールドを切り裂いた。

 

「一発であのフィールドを切り裂いた!?」

 

「嘘……光樹が使ってた武器、こんな力があったっていうの!?」

 

 パープルハートとアイエフがその力を見て驚く。二人の驚きも光樹も納得していた。自分が普段変身していない時に使っていた武器が、ここまで簡単に苦戦していたものを突破できると思っていなかった。

 しかし、まだもう1つのフィールドが残っている。驚く2人に答える傍ら、鈴がもう一つのANフィールドの突破を指示する。

 

「あの武器の力はこれだけじゃないわ。光樹、残ったフィールドも壊しなさい!!」

 

「あぁ!」

 

 光樹は短く答え、振り下ろした体勢から踏み込んで、聖魔剣を前に交差して振り上げる。ANフィールドに一瞬阻まれるも、剣から発せられるAN粒子の高密度のオーラが容易くフィールドを切り裂いた。そうしてフェンリル・キャノンがようやくはっきりと確認できた。

 フィールドを破られたフェンリル・キャノンは再び後方へ飛び退く。距離を取って仕切り直すという狙いだろう。だが、それを逃しはしなかった。後方へ飛んだ武装化フェンリルの脚部にチェーンのようなものが巻き付く。チェーンを巻いたのは、もちろん鈴のR-EXEグレイガだ。

 R-EXEグレイガのANシザーアンカーⅤでフェンリルを捕らえると、鈴はすぐに巻き取る。加えて、鈴もR-EXEグレイガの腕で思い切り引っ張って無理矢理地面にたたき落とす。

 

「今よ、全員、集中砲火!!」

 

 鈴の声と共に、回避に徹していたメンバー達が一斉に攻撃する。その間に、絵里奈と勇也が装甲の一部にANゼットセイバーとANZXセイバーを突き立てていく。

 

「こっちも攻撃を回避してただけじゃないよー!ちゃーんとフィールドの発生させるところ見てたもんねー」

 

「悪いが、もうあんな固いフィールドは使わせないぜ」

 

 先に敵の核となる戦術を崩す。2人ともしっかりとした対応だった。攻防の要を失ったフェンリル・キャノンは、こちらに向かって突撃する。キャノン砲を撃ちまくりながら、こちらへ突進している。まるでやけくその特攻だ。

 だが、ここで逃しはしない。光樹はNFBを発動させる。デュランダルを使用する専用のNFBだ。先程の接続時、光樹は既にそのやり方を思い出していた。

 デュランダルを腰に構え、ゼロが名前を読み上げる。

 

『ノイズフォースビックバン、「デュランダル・バーストブレイド」』

 

 聖魔剣を金と黒のエネルギーで形成した刀身が覆う。それを声を上げて振るう。それと同時に、横方向からパープルハートが機械刀の一撃を加える。

 

 

 

 

「ここで決めるっ!」

 

 

 

 

「これで終わりだぁぁ!!!!」

 

 

 

 

フェンリル・キャノンの爪攻撃を刀身で弾き、その刹那腹部を装甲ごと切り裂く。切り裂いた装甲からは火花と血液、そして粒子がこぼれる。パープルハートの斬撃も光樹が爪を弾いた直後に装甲の合間を裂いていた。

 聖魔剣からエネルギーが解かれるとほぼ同時にフェンリル・キャノンは倒れる。モンスター自身は消滅し、残る装甲。

 ボスモンスターの消滅を見て、一同も戦闘態勢を解く。光樹も息をつく。街の騒音も消えつつある。戦闘が終結していくのであった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。光樹君の武装が新たに増えました!というか、元々の使い方を使えるようになった、の方が正しいですね。

レイ「デュランダルの分類の「心造兵装」って?」

まぁ、そのまま心を武器にした感じです。これの誕生にはアニメ版のネプテューヌが関わってきます

ジャンヌ「それの紹介などはいたすのでしょうか?」

うーん……個別で作るか?紹介はするけど、いつかはまだ未定ということで。で、話はVⅡRになります。

レイ「リメイク来ちゃったけど、この作品には反映するの?」

はっきり言おう。それはない!

ジャンヌ「随分と大胆に言いましたね……それで理由は?」

いくつかあるんだが、代表的なのが、まだ買っていないことと、それを入れて、今までの話が崩れる可能性があること、あとは元から入れる気がしなかった。

ジャンヌ「意外と理由多いんですね……」

レイ「一つ目二つ目は納得だね。けど、三つめは最初っから?」

少し考えたんだけど、それだと最初の考えから逸れるからね。他の作品見ててもそうだけど、リメイク作品に合わせなくても問題ないと思ったからね。申し訳ないです。それじゃあ、伝えることは終わったから、次回予告!

ジャンヌ「次回もまた月曜日になります」

レイ「うん、全然6日更新にならなくてごめんねっ。藤和木も就活で忙しいんだ。じゃあね、また次回っ!」


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第124話 防衛戦終結、記憶とゴールドサァドの謎

どうも、皆様、お元気でしょうか。先程まで、歯医者に行ってきてました、藤和木弘です。

ジャンヌ「ちゃんと歯磨きしていないからこうなるんですよ?どうも、皆様。藤和木の歯医者の付き添いに行ってきました、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「けど、その帰りに買ったZ/Xのパックで、ヒカル君が欲しいって言ってた子のカードが出るなんてね。加工は違うけども。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

ホントそれね。さて、今回は第124話の投稿になります。

レイ「今回は防衛戦終了後かな?」

ジャンヌ「2つの記憶と、ゴールドサァド達に関する謎が明かされると台本にはありますね。一体どのような話になるのでしょうか?」

それに関しては何話か使って確かめていきます。それでは早速本編へ!


 

 

 パープルハートと光樹の渾身の一撃。それらは見事に決まり、ボスのモンスターである猛争・武装化モンスターを倒した。パープルハートは刀に入れていた力を抜いて息をつく。

 すると、見ていた防衛隊の生き残りが両手を上げて喜ぶ。

 

「やった!やったぞ!ネプテューヌ様が倒してくれたぞ!」

 

 その様子は見ていて気持ちのいいものだった。なじみ深い人以外からの声援に喜びの声は、女神としての役目を果たせた気がしたからだ。救援にきた直後はあれだけ消耗していながらも、その疲労は全く見えていなかった。

 そんな2人に、コンパが怪我の手当てについて聞く。

 

「みなさん、怪我はないですか?」

 

 すると彼らはすぐに姿勢を正して答える。

 

「はい、おかげさまでこのとおりです」

 

「ですが、向こうの方に、仲間たちが倒れています。手当ての方、お願いできますか?」

 

 自分達は大丈夫だが、離れたところに重傷の仲間がいるという知らせに、コンパはすぐに返答する。

 

「分かりました。すぐに手当てに行きますね」

 

「お願いします」

 

 言葉を交わしてコンパはすぐに手当てに向かう。と、入れ替わりに状況を見ていたアイエフと勇也がこちらに来て状況を語った。

 

「コンパは怪我人の手当てに言ったみたいね。早速だけど朗報よ」

 

「朗報っていうと……」

 

「あのボスクラスのモンスターの敗北が伝わったんだろう。街を襲っていたモンスターの群れがここから敗走していくのを確認した。防衛隊も徐々にこっちに集まってきてるみたいだ」

 

「本当ですか!?よかった。これでハネダシティは救われた」

 

 脅威の撤退に喜ぶ一同。パープルハートもその話を聞いて安堵する。これだけの大規模戦闘が無事こちらの勝利として終わったのも、自身だけでなく、みんなのおかげだ。特に光樹達ガンダム使いの力が大きいだろう。

戦闘の終了で緊張感の解けた輪の中で、パープルハートがふと自身を覚えていた防衛隊の2人に話を訊く。

 

「けど、驚いたわ。まさか、私を覚えてくれている人たちがいるなんて」

 

 すると、比較的冷静な様子で接する防衛隊の1人が当然のことのように話し出す。

 

「何をおっしゃりますか!例え世界がおかしくなったとしても、我らがパープルハート様を忘れたことはありません!」

 

 忠誠心溢れる言葉に、パープルハートも少し笑みをこぼす。それだけ自身に信仰を持ち続けていたことに感謝したのだ。

 すると、もう一方の、先程まではテンションの上がっていた方の防衛隊のメンバーがおずおずとこちらに手を差し出し言う。

 

「あ、あの!握手してもらってもいいですか?」

 

 少し手が揺れていたのを見る。どうやら緊張してしまっているようだ。しかし、求められたのなら、断るつもりはない。それに、彼らがあそこまで頑張っていたのだ。これくらいは当然のことだと思い、パープルハートは了承する。

 

「いいわよ」

 

 そうして出された手をこちらの左手でしっかりと握る。握手してもらった防衛隊の人は、目をうるうるとさせ、声を大にしてお礼を言った。

 

「か、感激です!」

 

「お、俺も俺も!」

 

 それを見ていたもう1人の方も同じく握手を求めてくる。しょうがないわね、と思いつつも、その光景をほほえましく思いつつ、握手に応じる。

 女神であれば、当然とも言える光景に絵里奈が息を大きく吐いて眺めていた。と同時に今までとは違うことに対する驚きを鈴達と話す。

 

「けれど、直接巻き込まれてた私達と、ネプちゃんと親しいアイエフちゃんとコンパちゃん、それに生まれが特殊なイストワール様以外に、女神様を覚えてるなんて、驚きだよねー」

 

「そうね。てっきり黒幕をどうにかしないと市民は思い出さないと思っていたんだけれど……何か共通点ある?っていうか……大丈夫、アイエフ?」

 

「あぁ、もう何で思い出す人が出るたびにこんな気分になるのよ……。本当は喜ぶべきことなのよ。けど、忘れてた自分にすごく自己嫌悪感がぁ……」

 

 絵里奈と鈴の意見には同感だ。こうして握手を求められるのも女神の記憶を覚えていたからこそ。他の人達が覚えているのに、なぜ彼らだけ?いったい何が関係してるっていうの……?

 けど、本当あいちゃんは考え過ぎね。結局は思い出せたんだから、いいじゃない。むしろ思い出してくれただけでも、わたしにとっては嬉しいことなんだから。

 そう思いつつも、パープルハートは話を本題の方に戻す。

 

「けど、どうしてあなたたちは、わたしのことを覚えてくれていたの?」

 

 すると、自信満々にしっかりとした口調で答える。

 

「それはもちろん、パープルハート様への愛に決まってます!」

 

「あ、愛……?」

 

 愛。その言葉に少し困惑する。予想以上の回答にどう反応していいか困ってしまう。困惑は鈴達にも伝播する。

 

「愛って……これまた大きく出たな。それだけパープルハートのことを思っていたってことか?」

 

「もちろんです!俺たち、パープルハート様の役に立とうと思って、この職についたんです!」

 

 勇也の問いにそう返す防衛隊の1人。そこから、彼らの過去語りが始まる。

 

「本当は教会に勤めたかったんだけど、俺たちバカだから試験に落ちたんです」

 

「けど、それでも女神様のお役に立てると信じてこの街で、この職についたんですが、まさかこんな形で報われるとは……」

 

「俺、生きててよかった!」

 

 話すうちに2人の目に再び涙が溢れる。その話に絵里奈と光樹も彼らの気持ちに同情する。

 

「あぁ、なんかいい感じだよねー……!憧れの人の近くで働いていたら、その人に気づいてもらえて感激するって話」

 

「確かに。憧れの存在であればあるほど、会えた時の感動がな。それでその人の元で修行するってのもよくあるような気がする」

 

 絵里奈達の覚えていた防衛隊の2人の夢が叶ったことに対する感慨深さ。しかしながら、流石にそこまで感激されるとどうすべきか困るパープルハートは呟く。

 

「そんな大袈裟な……」

 

 それでも彼らには届いていないようで、お互い感動を分かち合っていた。そんな様子を眺めつつ、アイエフが騒音の消えた街を一瞥して、教会への帰投を口にする。

 

「さて、どうやら他のモンスターも片付いたようだし、私たちは教会に帰りましょ」

 

 それにはパープルハートも賛成だった。ここでのことの報告は必要だが、それ以上にパープルハート自身が気になっていたことがあった。そう、序盤にどこかに行ってしまった、ビーシャとR1。ゴールデンプレストの行方だ。

 すると、その件に関してちょうどアイエフも怒りを見せて言及する。

 

「結果としてなんとかなったけど、ビーシャとR1だけは許せないわ。ゴールドサァドだかゴールドソフツだか知らないけど、とことん問い詰めてやるわ」

 

 同じように鈴も怒りを吹き返してアイエフの考えに乗る。

 

「アイエフの言う通りね。結局のところ、あの子達全然実力ないんじゃないの?モンスターにビビッて逃げるなんて、まともに戦えるわけないわ」

 

「そうね。イストワール様にも報告いれておかなくちゃね」

 

 2人とも普段から厳しいところがある故の同調だ。大事な場面で逃げたことが、余計に2人の怒りの炎を燃え上がらせていた。

 そんな一方、コンパがその時の状況を思い返しつつ何があったのかと疑問を呟く。

 

「ビーシャさん、どうしたんですかね?」

 

 コンパの言葉にはパープルハートも気にしていたところだ。そして、それは光樹も同じであった。

 

「……そういえば、イストワールの話とか、鈴が防衛戦の初めの頃に聞いた時に様子がおかしかったような……」

 

「そこが私も気になっていたのよ。何か事情があるのは間違いないわ。ともかく話をしてみましょ。どうするかはその後で。いいかしら、2人とも」

 

 パープルハートもビーシャの逃亡に怒りを覚えていた2人に言う。あの状況で自分のやるべきことを放り出すくらいなら、逆に何か理由があるとしか思えなかった。だからこそ、ビーシャを擁護するような形で、まずは話を聞いてからという姿勢だった。

 パープルハートからの提案に、少し納得がいかないような表情をしたものの、頷いて了承する。それを確認すると、変身を解いたネプテューヌ達はプラネテューヌに戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ほどなくしてネプテューヌ率いるハネダシティ防衛戦援軍はプラネテューヌに帰ってくる。勇者の帰還、とはいかないものの、教会の職員からは注目を集めていた。既にハネダシティでの戦闘の結果がこちらにも届いているようだ。

 情報が早いな。まぁ、大方、ハネダシティの防衛隊の人とかがこっちに情報を挙げてきているんだろう。特にあの防衛隊長辺りが報告していそうだ。

 光樹が「シュバルト・ゼロ・ギャラクシー」で出した損害がイストワールを怒らせていないことを祈りつつ、勇也達は謁見の間へと入る。中には既にイストワールが待っていた。表情はいつも通り落ち着いている。

 早速ネプテューヌが帰ってきたことを宣言する。

 

「いーすん、たっだいまーっ!」

 

「おかえりなさい、みなさん。ハネダシティの方々から報告はいただきました」

 

 勇也の予想通り、既にハネダシティの方から報告は受けていたようだ。ルートビルドシステムを使ったとはいえ、少し時間がかかっているため、こちらに情報が来ているのもやはり当然のことだろう。

 さらにイストワールは言葉を続ける。

 

「すごい活躍だったらしいですね。特に光樹さん、話によれば70体以上のモンスターを一網打尽にしたとか」

 

 その言葉に光樹が反応する。その話が出てくるのは当然だろう。あれを突破しなければボスの所まで行けなかったのだ。それを聞かずしてモンスターの撤退を聞くことは出来ないのだから。

 が、イストワールの顔にはあまり怒りの表情は見られなかった。光樹もそれを見て、安心した様子でそれについて説明する。

 

「あそこは一気に突破しないといけないってことで、こっちの最大火力をぶつけたからな。けど、街の方も少し被害が出たし……」

 

「はい。攻撃の余波による被害の方も既に報告が上がっています。ですが、防衛隊だけでは突破出来なかったことということで、今回はハネダシティとプラネテューヌ双方、特に触れない形で決着していますので心配いりませんよ。肝心の被害の方も軽微でしたし、何よりネプテューヌさん達の救援活動が評価されていますから」

 

「よ、よかった……」

 

 光樹の安堵の声が響く。双方不問。それが光樹の放ったNFBに対する対処であった。イストワールの話も納得できる。マイナスよりも、プラスの方が大きいという判断なのだろう。それに加えて、今回の救助行動の積極性が加算されて、マイナス分はほぼなくなった、というわけであった。

 それを聞いて、ネプテューヌも自分達が頑張ったことに触れつつ、ハネダシティで起こった、1つの奇跡について話し出す。

 

「そうなんだ!でね、聞いてよ、いーすん。あの抹であった衛兵の人たち、わたしたちのことを忘れずに覚えてくれていたんだ」

 

 すると、イストワールは興味深そうにその話に注目した。

 

「本当ですか!?……まさか、わたしたち以外にもそういう人がいるなんて」

 

 その驚き様から、やはりイストワールももう覚えている人は自分たち以外はいないと思っていたのだろう。自分達ですら、いるとは思っていなかったくらいなのだから。

 ネプテューヌのことを思い出したのは防衛隊の2人、最初の方に助けたおじいさん、更に帰還する途中で寄った避難キャンプの方で自分達が助けた子供達もおぼろげながらネプテューヌがいたことを思い出していた。

 他にもネプテューヌの顔を見て思い出しかけている人も含めると約8人がネプテューヌの存在を記憶、あるいは思い出していた。そのことをネプテューヌ話に補足する形で鈴が細かく報告する。

 

「覚えている人だけじゃなくて、ネプテューヌを見た人が思い出すってパターンもありました。というより、その形の方で記憶している人が今は多い現状ね」

 

「なるほど……分かりました。こちらでも他にもネプテューヌさんのことについて知っている、あるいは思い出した人がいないかどうかも確認を進めますね」

 

「それがいいと思います。それと彼らに共通する点もあれば、調べておいてくれると助かります」

 

「そうですね。それも調査します」

 

 鈴とこれからの女神の記憶に関する対応を協議したイストワール。話が終わったところで、アイエフがハネダシティを離れる前に話題にしていた、ゴールドサァド達の行方についてイストワールに聞く。

 

「ところで、ビーシャとR1は帰ってきてますか?」

 

「ビーシャさんとR1さんですか?いえ、まだですけど……ご一緒ではないのですか?」

 

 キョトンとした様子で聞き返すイストワール。完全に知らない様子のため、どうやら教会にも帰ってきていないようだ。

 アイエフと鈴が頭を抱えつつ、その時の状況をまとめて説明する。

 

「それが、実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っていうこと、ですね」

 

「なるほど……そういうことがあったんですね」

 

 2人の説明を聞いて、イストワールも起きたことについて理解する。簡単に言ってしまえば、ビーシャが逃走して、それを追いかける形でR1も戦線を離脱した、ということだ。軍で言うなら軍法会議ものの規律違反である。

 とはいっても、勇也達のいるGKSWAXPでは、総司令である光樹もあまり重大すぎるかつ、仕方のないことであるならば、無事済めばあまり軍法会議は開きはしない。イストワールも比較的落ち着いた人物であるので、あまり問題にはしないのではないかと考えていた。

 それらの話を聞いて、更にイストワールは自身の考えていたことを呟く。

 

「張り切って正義のヒーローをしている手前、モンスターから逃げ出すようには思えないのですが……」

 

「所詮、「正義の味方ごっこ」なんでしょう。自身の行動に責任を持てないのなら、そんなことしない方がみんなのためってものよ」

 

 鈴から厳しい言葉が飛ぶ。まぁ、あの状況で逃げられちゃ、きつい部分もあっただろうな。流石に俺もフォローはしきれないかな。

 勇也も鈴の意見に頷く。だが、光樹と絵里奈が、それに意見する。

 

「……けど、少なくとも並大抵のモンスターを寄せ付けないだけの実力はあった。何か事情があったように俺は思うんだけど……」

 

「それは一理あるよね。ネプちゃんが前に言ってたように、様子がおかしかったってことは、何か重大な理由があったんだよー」

 

 光樹と絵里奈のそれぞれの考えに、勇也達も少し唸る。パープルハートの言っていた通り、イストワールからモンスターの討伐を依頼されたときの様子がおかしいのは分かっていたことだ。それに鈴からの話で、ハネダシティ到着後のビーシャの様子もおかしかったというのも聞いていた。

 それらを踏まえてみても、まだ結論を出すのは早いだろう。ハネダシテから出る際にパープルハートから言われたことも尊重して、鈴も考えを改める。

 

「……まぁ、さっきのネプテューヌの言ってたこともあるわ。とりあえず、2人を探さなくちゃいけないわね」

 

「そういうことだな。怒るのはその後でもいいだろう」

 

 勇也も鈴をなだめる。と、その話をした本人であるネプテューヌが、イストワールに手短に言う。

 

「いーすん、わたし、ビーシャ探してくる」

 

 唐突な発言である。話をすることは言っていたものの、まさかいないから即探しに行くというのは、あれだけの戦闘の後で言えるのは流石女神と言うほかない。

 とはいえ、普段から高難易度の任務に従事することの多い勇也達もまだ体力は有り余っていた。記憶を失っている光樹もまだ余裕が見えている。付いていくのが難しいのは、コンパだけのような気がする。

 しかし、勇也の予想は裏切られることとなる。急いで探しに行こうとするネプテューヌに同調した。

 

「いきなりですね、ねぷねぷは。じゃあ、わたしもお手伝いするです」

 

 2人で行くのなら、より簡単に早く見つけられるだろう。ところがネプテューヌは首を横に振ってそれを断る。

 

「ごめん、こんぱ。こればっかりは、1人で行かせてくれないかな?なんか後ろめたいことがある感じだったし、わたし1人だけの方が話しやすいかもしれないしさ」

 

 断りを入れるものだから、一体どのような理由なのか、と思ったが意外にも考えての発言であった。相手の当時の様子から、あまり人数が多いと話してもらえないかもしれないから1人で行くという、ネプテューヌの性格からは考えられないと勇也は思った。

 しかし、それは勇也の勝手な思い込みであり、それを見ていた光樹の方は、ネプテューヌらしい考えだと思っていた。

 と、そこで光樹が間に割って入る。

 

「……けど、俺も一緒に行かせてくれないか?あの場にはR1もいるんだ。あいつからも話を聞きたい」

 

「光樹……。うん、分かった!一緒に行こう!」

 

 光樹の考えを聞いて、ネプテューヌも快く了承した。これでビーシャを探しに行くメンバーが揃った……と思いきや、更に声をあげる者がいた。それも意外な人物……鈴だ。

 

「……ごめん、あたしもいいかしら?」

 

「鈴?さっきも言ってただろ?あまり人数が多すぎるのもダメだって……」

 

 これでは流石に人数が多い、と反対する光樹だったが、それを押し切って鈴はその理由を告げる。

 

「確かにこれ以上人数を増やすのはまずいかもしれない。けれど、その場で一応光樹に伝えておかなくちゃならないことがあるのよ」

 

「お、俺に伝えておかないといけないこと?何だよ、それって……?」

 

 若干光樹の表情が引きつる。少し目を挙動不審に動かしていることから、告白の類だと思っているのかもしれない。鈴の先程の発言から想像するには、それくらいしかない。

 が、当然そんなものではないことを勇也は予想していた。自身や光樹を徹底的に振った鈴から、よりを戻す類の言葉が出てくるわけがないと分かってのことである。そして当然、鈴から告げられたのは別のことであった。

 

「伝えるっていうか、教えておかないといけないことね。……前に言ってたじゃない。思い出した記憶の片隅にいた、銀髪の少女の事」

 

「……あ。そういえば……」

 

光樹がそれを聞いて気づく。同じく絵里奈、そして勇也も納得のいったように反応する。鈴はこのタイミングで「彼女」のことについて話すようだ。だが、まさか、と勇也も思う。

 何せ、「彼女」の件は今の光樹の地位を作るきっかけとなった案件だ。GKSWAXPでも今なお話題の取り扱いでかなり問題に上がるくらいだ。所謂裏事情の話だ。

 そんな面倒な話をわざわざ探しに行った先で話すのもどうなのかと思った勇也は少し考えるように説得する。

 

「落ち着け、鈴。その話結構な面倒話だぞ?逃げたやつに話を聞きに行った先でその話をするのか?」

 

 そう言われたものの、鈴は一瞬考えただけで考えを押し切る。

 

「そりゃあそうだけれども……けど、今を逃すと、もう話す機会ないわよ?むしろ光樹の話を聞かせて、糧にしてもらえる方にあたしは賭けるわ」

 

「な、なんだそれは……。無茶苦茶な考えだな……」

 

 勇也は呆れた様子でため息をつく。いつもなら冷静に行動する鈴だったが、今回はかなり大きく出ている。おそらくは鈴も早く光樹に記憶を取り戻してもらいたいのだろう。

 面倒な話をする鈴の発言を受けて、絵里奈も賛成の考えを出す。

 

「そうだね~。そろそろ言わないと、光樹君も気になってたかもしれないしねー」

 

「そんなに面倒な話ならいいんだけど……。けど、した方が良いっていうなら、してもいいんじゃないか、その話」

 

「光樹まで……まぁ、いいんじゃないか?多数決では話す方が多いしな」

 

 完全に説得を諦め、勇也は大きく息を吐く。それを気遣って、アイエフが声をかける。

 

「あなたも苦労人ね」

 

「普段はこうじゃないんだがな。やっぱり光樹が普段の調子じゃないと狂うな」

 

「光樹も早く記憶を取り戻すためにも、今回の話はしっかり聞いとくのよ?それが仲間のためってもんなんだから」

 

 勇也の気持ちを察してアイエフは光樹にそう伝える。光樹も頷いて勇也に声をかける。

 

「悪いな、勇也。俺も早く記憶を取り戻すよ」

 

「出来ればそうしてくれると助かる。前まで鈴達の愚痴をこっちが聞く形になっていたからな」

 

 2人の話が終わりを見せたところでビーシャを探しに行くネプテューヌ達に対し、応援の言葉をかける。

 

「それじゃあ、3人共、ビーシャさんとR1さんをよろしくです」

 

「それじゃ、すぐに戻るから待ってて!」

 

 ネプテューヌが告げたのち、3人は入って来た扉から外へ駆け出していく。3人を見送ったのち、アイエフがその間にすることを口にする。

 

「さて、それじゃあ、私たちはネプ子が戻ってくるまで、ネズミの事情聴取でもしてましょ」

 

 

 

 

「あーのーネーズーミー……!逃げやがったな!」

 

 牢屋に付いていきなり、アイエフの怒りが炸裂する。見ているコンパや絵里奈も反応に困り、苦笑いをする始末だ。

 何があったのか。それはいたって簡単。先程捕まえていたネズミが、救援活動をしている間にいなくなっていただけだ。言葉にしても違和感はないが、直球に言えば脱走だ。もっと言うなら「脱獄」であり、犯罪にもなる。しかし、それよりもアイエフにとっては、行動的にも物理的にも舐められたことで頭に血が上ってしまっていた。

 お約束と言えばお約束だが、まさかそこまで脱獄のスキルが高かったとは勇也も思っていなかった。教祖のイストワールも脱獄という事実に呆然としている。

 

「まさか、教会のセキュリティが破られるなんて……」

 

「それほどにまで、高いセキュリティを持っているのか?」

 

「もちろんです。ラステイションほどではありませんが、仮にもここは国を束ねる教会の牢屋です。逃げ出すのも一苦労なはずなんですが……」

 

 イストワールからの説明で、なるほどと頷く。よく見れば鍵は電子ロックに加えて錠前も付いている。ここから逃げ出すともなれば、かなりのプロでなければ難しいことが分かる。

 勇也が納得を見せる一方で、アイエフはもしもの可能性を口にする。

 

「やっぱり、あの時警察に引き渡しとくんだったわ」

 

「ごめんなさいです……。わたしのわがままのせいで……」

 

 原因の一端とも言えるコンパが謝罪をする。しかし、アイエフもそこでようやく落ち着きを取り戻す。

 

「コンパが気にする必要なんてないわ。せっかくかけてやったコンパの厚意を裏切ったアイツが悪いんだから」

 

 アイエフの言う通りだ。せっかく情けをかけてやってもこうなるのだから、これはコンパの責任ではないだろう。勇也もコンパに言葉をかける。

 

「そうだな。コンパが悪いわけじゃないと思うな。ここじゃなくても、もしかしたら警備を突破してどっちにしろ逃げられていたかもしれない。少なくとも、核心に繋がる情報のいくつかは聞けたことを喜ぶとしようぜ」

 

「そうだよー。コンパちゃんがあそこで引き取ってネズミにお願いしてなきゃ、警察に任せてたら、何も聞き出せていなかったかもしれないんだしっ!」

 

 2人のフォローもあり、コンパも笑顔を見せる。続いてアイエフも2人の言葉に納得を見せた。

 

「はいですっ!」

 

「確かに。あのネズミ、コンパが相手じゃなきゃ、話しそうになかったし。収穫ゼロよりもマシかもしれないわ。……今度、見つけたら、次こそ容赦しないわよ」

 

 今度会った時の誓いを口にするアイエフ。熱くなるのもいいが、少し落ち着かないとな。俺はやることがなくなった全員に休憩を勧める。

 

「まぁ、しばらくは光樹達待ちだな。あのネズミの再捕獲はゆっくりしながら協議しようか」

 

「さんせーい!あれだけの戦闘の後は休憩が必須だよー」

 

「じゃあ、私がお茶を入れるです」

 

「では、そうしましょうか。上のネプテューヌさんの部屋にでも……」

 

 気持ちを切り替え、5人は午後のティータイムを楽しむために牢屋を後にした。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。記憶の謎、それは女神の記憶と光樹君の記憶の謎だった、というわけです。

ジャンヌ「次回以降に光樹さんの記憶は明かされそうですね。銀髪の少女、彼女は既にツイッターで登場した「彼女」ですよ」

レイ「あー、あの子、今どうしてるかな?光樹君を探して放浪中なんだっけ?」

いや、あの後GKSWAXPに捕まって、お留守番中のはず。で、話も鈴の語り部となっているので、過去を知りたい人はお楽しみに!さて、今回はここまで!

レイ「歯が痛いから、もう早く終わらせたいんだってー。次回もまた月曜日っ!」

ジャンヌ「その翌日は藤和木の学校の研修があるそうですので、わたくしたちも同行しますっ!それでは皆様、また次回お会いしましょう」


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第125話 ビーシャの過去、光樹の過去

どうも、皆様お元気でしょうか。昨日は新しいバトスピのデッキでショップバトルを準優勝を勝ち取り、明日から学校の研修旅行があり、更に就職の内定を頂いたりと今週は既に大きな出来事がたくさん起きています、藤和木弘です。

ジャンヌ「…ど、どうも、皆様。本当ならつーんとした対応で藤和木との会話を進めるつもりが……藤和木にたくさんの朗報があり……あぁもう!藤和木、内定と準優勝おめでとうございますっ!!わたくしも嬉しいですっ!!ジャンヌ・ドラニエスですっ♡」

レイ「あはは。流石にそんなに起きたら、ジャンヌちゃんも無下には出来ないよねー。どうも、みんな!藤和木が無事内定決定!で小説のペースが進むかもしれないよ、レイ・オーバだよっ!」

うん、先週今週と色々とあって私の頭付いていけない\(^o^)/なんか今すごい波に乗ってる。この調子で小説も進めたい。
とまあここまでは近況報告として、今回は第125話の投稿になります。

レイ「今回は……また重くなりそうなタイトルだね……。けど、光樹君の過去が明らかになるの!?」

ジャンヌ「ビーシャさんの過去も気になりますが光樹さんの過去も気になりますね」

さて、ビーシャの過去に鈴達はどう反応するのか?そして、光樹君の過去の話は?それでは本編へ!


 

 

 プラネテューヌ市街にある、1つの公園。そのベンチに、少女とロボットが座っていた。少女の方は浮かない顔をして顔を俯けている。一方、ロボットの方は少女を励ますように寄り添っている。

 落ち込んでいる少女……ビーシャがため息をつく。

 

「……はぁ」

 

 ハネダシティから逃げてから何回も同じようにため息を出していた。後悔と懺悔のため息に共に付いてきたR1がフォローをする。

 

「まあ、仕方ないって。いくら強いヒーローにだって、弱点はあるって……」

 

「うぅ……R1……。でもさぁ……」

 

 R1の言葉に返そうとする所で、突如聞き覚えのある声が響いた。

 

「へぇ、弱点、ねぇ。詳しく聞きたいわ?」

 

 いきなりかけられた声に、ビーシャの肩がビクッと震える。R1の方も少し態勢が反る。いきなり聞かれたくない、弱みを指摘されたため焦ったのだ。

 声の方を向くと、そこには先程いたハネダシティに共に向かったネプテューヌ、鈴、それに光樹がいた。

 

「ビーシャ発見!」

 

「へ?ネ、ネプテューヌ!?」

 

 思わずビーシャが驚きの声を上げる。まさかこちらを探しに来ていると思わなかったからだ。指さすネプテューヌの横で、光樹もR1に声をかける。

 

「R1もいるな。探したよ」

 

「和藤、光樹……それに、鈴、だったか……」

 

「光木鈴、ね。私のフルネーム。まあ、今はどうだっていいけれど」

 

 R1の言葉に名乗りと言う名の訂正をつける。しかし、鈴の言葉にはかなり棘があった。ネプテューヌと光樹が比較的やわらかなのに対し、この反応は、やはり自身の行動が原因なのだろうとビーシャも感じていた。

 それもそうだ。私が逃げたせいで、戦力の落ちた中で、戦ったはずなんだ。私のせいで……迷惑をかけたんだ。

 R1からの話で、ビーシャが逃げた直後の様子は聞いていた。その中でも最も逃走に怒っていた1人、が目の前にいる鈴ということも知っていた。

 逃げてしまったことには申し訳ない気持ちがもちろんあった。だが、どうしようもなかったのだ。どう言葉を返せばいいのか、戸惑うビーシャ。それを見て少し前に出て庇う様子を見せるR1。

 と、そこでネプテューヌが先だってビーシャに無事であったことを喜ぶ発言をする。

 

「良かった、無事に帰ってこれたんだね。けど、突然いなくなるから心配したんだよ」

 

「ごめん……」

 

 ネプテューヌの言葉には比較的怒りがこもっていなかったため、すぐに謝罪をする。その行動に、怒りを見せる姿勢をそのままに鈴が今度は聞いてくる。

 

「その謝罪は逃走に対して?それともネプテューヌに心配をかけさせたことかしら?」

 

 鈴からの言葉に、少し怖気づいてしまう。後から聞いてきた質問の内容が鈴を含めていないところから、鈴の考えの中心が違うことが分かる。鈴は自身の無事については考えていないようだ。

 それを察したのか、R1が訂正を申し入れる。

 

「おい、流石にそれは……」

 

 R1からの要請を鈴は厳しい事実を告げる。

 

「はっきり言って、今のこの状況じゃ、そう言うしかないわ。アイエフも、何も事情を聞かない限り、そういう見方しか出来ないと思うし。だから、今あたしはそう言ったの。で、どうなの?」

 

 鈴の質問する目が、ビーシャを精神的に圧迫し、追い詰める。その目は優しく接する目ではなく、まるで厳しく指導する大人の目だ。それは、ビーシャに逃げた責任を問う眼差しでもあった。

 言葉に迷ってしまうビーシャだったが、それでも何か言わなければならない。そう考えると、恐怖と緊張を抑えて、口を動かす。

 

「それは……その……どっちも……」

 

 言いづらそうにしながらも口から絞り出した言葉を受けて、ネプテューヌがその顔に笑顔を見せて、ビーシャに自分達の気持ちを伝える。

 

「わかってるなら、よろしー。けど、安心して。わたしたち、心配はしてるけど、怒ってはないから」

 

「うぇ!?ほ、ほんと?」

 

 思わず疑ってしまう。確かに、今話してるネプテューヌはもちろん、光樹もこれといって目立って怒ってはいない。けど、問題は鈴の方。さっきからの言葉や態度も、怒ってるようにしか見えない。現にさっきだってそういう見方しか出来ないって言ったばかりで、その言葉を信じることは出来ない。確実に鈴は怒ってるよ。

 ビーシャのその疑惑をR1が言葉にして鈴に問いかける。

 

「怒っていないだって?冗談じゃないぜ!鈴は明らかに怒ってるじゃねぇか!?」

 

 声を大にして指摘するR1。しかし、鈴は少し髪をいじってから、R1の言葉に反論する。

 

「怒ってる?冗談じゃないわ。今、あたしは「真剣」に話を聞いてるの。高圧的なのも、事実を明らかにしたい、潔白にしてビーシャに不安なくこっちに戻ってきてもらうための対応よ。むしろ、今この場で一番怒っているのは、あなたじゃなくて?」

 

「な……!そ、それは、ありがてぇけどよ……」

 

 意外な回答に、R1も口を閉ざす。完全に言い負かされていた。聞いていたビーシャも、その返しに呆然としてしまう。

 そんなに思ってくれているんだ……。怖くなって逃げたのに……。それなら、ちゃんと話した方が良いのかも。

 更にそこに、ネプテューヌが加わる。

 

「ほら、鈴だってそういう風に思ってくれてるんだよ。じゃなきゃ、こうしてお話に来ないよ」

 

「それはもっともだな。怒ってた1人の鈴がここにいるってのは、俺も驚いてるくらいだ」

 

 ここにいた3人がまだ自身のことを信頼してくれているということを受けて、ビーシャも落ち着きを取り戻していく。少しずつ、心が楽になってくる。

 しかし、このままでは何も変わらない。その理由が分からなければ、本当に信用はしてもらえない。それを証明するように、ネプテューヌが理由について聞いてくる。

 

「だからさ、なんでビーシャが逃げたのか、理由を教えて欲しいんだ」

 

「それに、R1。貴方のビーシャへの防衛行動も。多分、理由は同じ所に行きつくんでしょうけれど」

 

「……そりゃあ、そうだよな……」

 

 R1にも理由を聞く鈴。あの場面でR1が抜けたことも、彼らにとっては予想外の行動であるのはビーシャやR1本人も分かっていた。むしろ、あそこでなぜR1も追って離脱したのか聞きたいぐらいであるだろう。無論、理由は鈴の予想通り、ビーシャ自身の問題にあった。

 R1に対しての質問も含めて、ビーシャとR1にどうなのかを聞く。

 

「いーすんも理由を知らないってことは、ずっとビーシャとR1とで抱え込んでたってことだよね?だからさ、力になってあげたいんだ。2人でダメなら、3人、4人って、もっと多い人数で力になるからさ」

 

 優しく、積極的に問題解決に関わろうとしてくれるネプテューヌ。嬉しいと思う一方で、疑問を感じる。なぜ、ここまで自分に快く接してくれるのか。あの時、ゲイムギョウ界トーナメントでいきなり現れて、「何かの力」で国を奪って、元いた地位にいるというのに。それなのに、どうして……この異変の元凶とも言える自分にここまで親身になってくれるのだろう、と。

 どうしてなのか分からなくなったビーシャは疑問をそのままネプテューヌに問いかける。

 

「……どうして?どうして、ネプテューヌは、この国を奪ったわたしに……わたしたちに良くしてくれるの?」

 

 その言葉に、ネプテューヌではなく、鈴が若干目線をきつくする。それに気づいて、また反射的に体をビクつかせてしまう。すると、ネプテューヌが鈴の方に顔を向けて叱る。

 

「もー、ダメだってば。今は怒るときじゃないって」

 

「ネプテューヌ。……分かったわよ……」

 

「ははは、流石の鈴も怒られるもんなんだな、これは」

 

 ネプテューヌに注意された鈴を見て、光樹が笑う。しかし、鈴の怒りの矛先は、それによって光樹に向けられる。

 

「……光樹、あんた今日はDRXとの戦闘でダイを使ってたから言わなかったけど、これからDAIモードを起動させてもいいのよ?」

 

「……悪かったって……」

 

 鈴からの痛烈とも取れる言い方で仕置き内容を告げられた光樹は、手を振って遠慮する様子を見せる。しかしビーシャはDAIモードがどういったものか知らなかったので、何を言っているのかは分からなかった。少なくとも、光樹にとって嫌なことであることはビーシャには分かった。R1も相手こそしたものの、詳しい詳細は知らないので同じ感想であった。

 鈴達の言い合いが終わると、ネプテューヌが先程のビーシャの考えの誤解を解く。

 

「んー……。まずは、そこんとこの誤解をとかなきゃだね。わたし、国を奪われたなんて思ってないよ?それどころか、みんなから忘れられちゃったわたしの代わりに国を守ってくれてるんだから、感謝はしても、恨んだりはしないよ」

 

 ビーシャ達にとって、予想外の反応が返ってくる。ネプテューヌが今回の一件はもちろん、大事である国の代表を奪い取る暴挙にすらも気にしていない、むしろ自身がいない間に国を守ってくれたと逆に感謝する対応にビーシャはますます困惑を見せる。

 いや、確かに途中から、女神の代わりに何とかしないとって思ってたけど……でも、ネプテューヌからしてみればあれは国を盗ったことになるはず。今までの世界でなら、女神の地位を奪ったことは大罪に繋がるほどの事件なのに……。どうして、ネプテューヌはそんなわたしを許せるの?

 ますます困惑するビーシャを見て、首を傾げてネプテューヌはビーシャの発言の真偽を聞く。

 

「……けど、まさか、盗んだつもりだったの?」

 

 ネプテューヌの顔が残念そうになっていく。それを見て、慌てて盗んだことを否定する。

 

「ち、違うってば!それだけは信じて!」

 

「それは本当なの?」

 

「あぁ、本当だ。決して悪意があってあんなことをしたわけじゃない」

 

 鈴からの追及をR1が擁護してくれた。ビーシャ達もそこまで悪に落ちていない。むしろ正義を名乗っているのだから、そんなわけはない。そしてもちろん、自分達の行動で、世界が滅茶苦茶になっていることにも、責任を感じていた。

 責任を感じていたからこそ、ネプテューヌが戻るまで何とかしようと頑張って来た。しかし、結局は今回のようにダメだった。自身の欠点のせいで、果たさなければならない使命を放り出した。

 そんなビーシャの心理を読むかのように、探りを入れてくるネプテューヌ。

 

「んー……。けど、そのリアクション、なんだか怪しいなぁ……」

 

 どうにも信じ切ることが出来ない様子を見せる。しかし、それはネプテューヌの考えの中であった。続けて彼女の口から一気に問題の中心となる件が口にされる。

 

「どうして逃げたかを話してくれたら、盗んだつもりはないってこと信じてあげてもいいな」

 

 それは選択誘導だった。逃げた理由を話せば、国の一件は許す。しかし、話せないのなら許すこともできない。

 最初から逃げた理由については聞いていたが、深くは聞き入らなかった理由は、ビーシャの隠している心理を探るためだったのだ。その表情からは、まったくそんなことは考えていなさそうだったが、それでも確実に話すか話さないかの2択に絞らせたのはネプテューヌの手によるものであり、完全にビーシャはそれに乗せられたのだ。

 

「……ネプテューヌの意地悪」

 

 ビーシャの口が細くなり、思わずそう口から恨み言のように呟く。ここまで来た以上、もう言い逃れも、下手な嘘も言えない。ビーシャに続いて、R1も降参を口にする。

 

「参ったな……流石、プラネテューヌの女神だぜ」

 

 一方、その様子を見ていた光樹達はネプテューヌの耳元で囁く様子を見せる。この時は全く聞こえなかったのだが、鈴と光樹はネプテューヌが本当にここまで計算通りに事を運んだのかを聞いていた。ネプテューヌのその口から語られたのは「それはどうかな~」と言葉を濁しての回答だったが。

 ビーシャ達の負けを認める発言と、光樹達の確認を聞いて、当の本人は調子よさげに胸を張って自信満々に言い放つ。

 

「ふっふーん。悪知恵なら小学生にも負けない!それがわたしなのだ!ドヤァ!」

 

「あー、なんかネプテューヌに負けたのがすごいショックに感じるよ……」

 

 光樹も思っていた言葉を口にしていた。人は見かけによらないというのも、この場にいたネプテューヌ以外の人物が思っていた。

 けど、ここまで話す場を展開されて、話さないわけにもいかない。

 

「………………」

 

 しばらく沈黙を守るビーシャ。だが、横からR1の視線を感じたところで、ビーシャは顔を上げる。もう、言うしかない、と。

 R1の方に顔を向け、頷いて、心の準備を決めたのち、ビーシャは話を切り出した。

 

 

 

 

「……わたしね、モンスターが怖いんだ。だから逃げた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビーシャの発言は、光樹達にもよく聞こえた。モンスターが怖い。確かに彼女はそう言った。モンスターの存在がよく知られているゲイムギョウ界でも、そんな人はいるかもしれない。事実、先のモンスター襲撃でも、民間人は逃げ回っている。武器の有無かもしれないが、この世界にもモンスターを怖がる人はいるだろう。

 しかし、ビーシャがそう言うのには、どうも信じ切れなかった。意外だと思ったのだ。女神を圧倒でき、シュバルトゼロもそれなりに苦戦させられている。女神やガンダムが圧倒的な力を持っているのに、それに臆することなく立ち向かい、女神に対しては勝利もしている。

 その女神が、モンスターに悠然と立ち向かっている中、彼女はモンスターが怖い、だから逃げた。その事実は光樹を混乱させるのには十分だった。話を聞いていたネプテューヌも最初は素直に受けていたが、後から驚きを露わにする。

 

「そっかそっか。モンスターが怖いから逃げたのかぁ。……え、マジ?そんな単純な理由!?」

 

「うん。マジでそんな単純な理由」

 

 聞き返したネプテューヌにビーシャは先程と同じような声音で返す。あまり気乗りではないテンションに、鈴も怪訝な様子でR1に真偽を確かめる。

 

「……ただ、それだけなの?」

 

「あぁ、それだけだ。けど、それだけ深刻なのさ」

 

 R1から真剣な口調で語られる。そんな風に言われてしまえば、嘘だとも思えない。信じるしかないだろう。だが、それを聞いて、モンスターが怖いというのが、ビーシャにとってかなり重いというのも理解する。

 ビーシャから衝撃発言を聞いて、困惑を見せたネプテューヌだったがこの世界をよく知っているだけあって、順応は早い。そこまでの問題に至るだけの理由を聞く。

 

「これまた予想外な展開だよ。真っ先に、それはないと思ってたのに。何かトラウマでもあるの?」

 

 ネプテューヌの質問に、ビーシャは小さく頷く。そして語りだす。

 

「うん。小さい頃に、モンスターに襲われたんだ」

 

「モンスターに……」

 

 鈴が復唱する。小さい頃に襲われたり、恐れたりしたものがトラウマになるというのは、よくある話だ。実際、光樹も虫とかは苦手だ。まだゲイムギョウ界の虫系モンスターは戦えたりするが、純粋に虫となると触れない。小さくもぞもぞとしたものがダメなのだ。

 続けてビーシャは話す。

 

「それが自分でもビックリするくらい、トラウマになってるみたいで、未だによく当時のことを夢で見るんだ……」

 

 怖いことが繰り返し脳裏に現れ、それをずるずると引っ張ってしまう。トラウマのよくない典型的な流れである。

 だが、その流れが悪いこともビーシャは分かっていた。それに呼応して現れた気持ちを次に口にした。

 

「だから、かっこよくモンスターや悪人と戦うヒーローにすっごく憧れたんだ。自分もこの人たちみたいに強くなれば、このトラウマも克服できるかもって思って今までわたしを守ってきてくれて来たR1と一緒に、強くなるためにゴールドサァドになったんだ」

 

「憧れて、それでゴールドサァドに……」

 

 ビーシャがトラウマを克服するために選んだもの、それこそが、ゴールドサァドへの道であった。恐怖の対象となる存在を打ち消す力を手に入れることで、恐れをなくし、トラウマを支配しよう。それがビーシャの考えだったのである。

 これで光樹達もビーシャがゴールドサァドになった理由が分かった。となれば、R1がゴールドソフツになった理由も……と考えた光樹がR1に真相を確かめる。

 

「R1がゴールドソフツになったのも、それに関係が?」

 

「あぁ。ビーシャでも自衛出来ないモンスターが出てきた時でも、ビーシャを守れるように、ゴールドサァドの守護者にも力を分け与えてもらえるっていう話だったから、俺も相方のR2、R3を呼んで、ゴールドソフツになったのさ」

 

 光樹の予想通りの答えだった。ビーシャを守るために、R1もゴールドソフツという、ゴールドサァドの守護者となったのだ。

 だが、残念ながら、ビーシャの考えは上手くいかなかったことを光樹達は事情を知ると同時に理解した。ビーシャもそれを語る。

 

「……でも、やっぱり無理だった。それに、最近は今まで以上に当時のことを夢で見るようになっちゃって……。余計にトラウマが悪化しちゃったんだ」

 

「余計に?力を手に入れたのにか?」

 

 光樹もビーシャのその発言に疑問を口にする。力を手に入れたことがトラウマを刺激したのだろうか、と考えたからだ。すると、鈴が事象例を挙げる。

 

「むしろ、力を手に入れて、余計にモンスターのことを意識したせいかもしれないわ。モンスターへの対抗できると強く持ちすぎて、裏にある不安も増したんだとしたら……」

 

「……なるほど」

 

 鈴の考えに頷いて納得する。裏にある不安とは、また同じような目にあった時への「恐怖」だろう。もう二度と同じ目に遭いたくないという気持ちが、より一層トラウマの風景を印象付けているのだとしたら、そうなるのも致し方ないのかもしれない。

 先程のビーシャの話に続いて、R1もその現状を話す。

 

「前はスライヌ程度の低ランクモンスターなら何ともなかったんだが……。ここ最近は特に酷くてな、とにかく俺無しじゃ遠くの街へ行くのも一苦労なんだ」

 

 R1の言う通り、それはかなり酷い状況だ。夢で繰り返されることで、ビーシャのメンタルにも負荷がかかっていると予想できる。そこにまた現実でのモンスターの遭遇なども重なるのだとしたら、完全に負のスパイラルに陥っている。

 それを今まで抱えていたのだとしたら、ストレスレベルにまで達していてもおかしくない状況である。事実、ビーシャの口から、弱音の言葉が口にされる。

 

「こんなんじゃ、ヒーローどころか、ゴールドサァドも失格だよ……」

 

「ビーシャ……」

 

 R1も心配の声を向ける。光樹もなんと声をかけたらいいのだろうかと反応に困る。すると、ネプテューヌと鈴がそれぞれ前に歩み寄る。

 

「そんなことないよ。モンスターが怖くて戦えなくても、ビーシャは悪い人から子どもたちを助けてくれてたよね?自分でできることを精一杯やってたんだから、ヒーローもゴールドサァドも失格なんかじゃないと思うな!」

 

「そうね。ゴールドサァドは失格かもしれないわ。けど、ヒーローとしては、まだ失格じゃないんじゃないかしら?」

 

 如何にもネプテューヌらしい言葉と、鈴らしからぬ発言だと思った。ネプテューヌの方は、まだ考え方がいつものネプテューヌらしく、ビーシャの行動を良い方向に捉えて励ましている。しかし、鈴の方はゴールドサァドとしてのビーシャは良くないと言っているものの、ヒーローとしてのビーシャを否定していない。そんなところが、これまで関わってきた鈴の性格から想像出来なかった。あまりにも想像から外れていたのだ。

 案外人の考えは外見や普段のことからは読み取れないと改めて知らされた。光樹も何か言わなければと思ったが、そこで鈴から制止を受ける。ビーシャが口を開いたからだ。

 

「……でも、そのせいでモンスターの対応が疎かになってハネダシティがあんなことになっちゃったし……」

 

 先程の失態を悔やむビーシャ。すると、ネプテューヌが提案を持ちかける。

 

「なら、これからは2人で協力してこうよ」

 

「……え?」

 

 あまりのことに一瞬ビーシャは反応に困った。予想だにしていない言葉が飛んできてから、もしくは、どういう意味か理解に困ったからだろう。そこで、ネプテューヌもビーシャの返事にすぐ説明を合わせる。

 

「誰にだって、特異不得意はあると思うんだ。けど、それって仲間同士で補えばいいだけの話だと、わたしは思うんだ。ビーシャは街の治安維持。わたしはモンスターの討伐。R1はビーシャに付いていくもいいし、わたしや光樹に協力してもいい。そうすれば、それぞれの長所を生かせるし、問題ないよね?」

 

 ビーシャとR1、それに鈴や光樹達にもその言葉は向けられる。早い話が役割分担だ。今までもネプテューヌは役割分担で国を治めてきた(もっとも、どちらかというとネプテューヌが怠けすぎていて、イストワールが仕方なく分担の形を作った上にイストワールが事務のほとんどを行っているのが現状だが)。考えとしてはアリな方法である。

 もちろん光樹は頷いて賛成する。他にも鈴に加え、R1も戸惑いつつも賛成する。

 

「それはありがたいが……けど、いいのか?」

 

「うん!てか、これもう決定事項ね!」

 

「随分と強引な決定事項ね……」

 

 意気揚々と既に決まった事と語るネプテューヌに鈴も頭を抱える。しかし、反論することはなく、認めているようだ。

 無理矢理感があるものの、自然とその気にさせるネプテューヌにビーシャがポツリ、とつぶやきを口にする。

 

「……あぁ、そっか。だから、この国の人たちはネプテューヌを信仰してたんだ……」

 

「……そうだな。俺達以上に、それも無意識にヒーローだったんだよ、ネプテューヌは」

 

 そんな2人の納得を聞いて、光樹達は不思議と笑いがこみ上げてくる。もしや本当にネプテューヌが常にダラダラしていたと思っていたんじゃないかと考えたからだ。もちろん、そんなことで2人がそう言ったわけではなかった。それに、光樹達もその考えを切り捨て、本当は今まで人々が信仰していた理由を知ったからだと考え直す。

 一方で、それらが耳に入っていなかったかのように、ネプテューヌが2人に聞き直す。

 

「ん?なんか言った?」

 

 この状況で、どう考えても聞こえてたとしか思えない上でのその反応に、光樹達も反応に困る。

 ……いや、お前絶対聞こえてたよな?ビーシャの声はともかく、R1はそこそこ聞こえる声でビーシャに語っていた。俺達にもよく聞こえてたくらいだというのに……。そのとぼけはどこか裏があるとしか思えないぞ、その反応は。

 しかし、ビーシャの方も気にしていない様子で、返事をする。

 

「ううん、なんでもない!」

 

 ビーシャの表情には、迷いはなかった。それを見たところで、鈴が唐突に割って入る。

 

「これでビーシャも気持ちが決まったようね。けど、話はまだ終わらないわよ。ここからは、貴女が自分で成長できるための足掛けの話よ」

 

「あ、足掛けの話?」

 

「それってなんだ?」

 

 話が終わったところでの次の話題の内容に困惑する2人。当然話す内容は光樹達は知っていたが、ここで話すことになるとは……。

 とはいえ、機会があるとしたら、ここしかないことは間違いない。むしろ、先程そう言って付いてきた鈴としては、ここで話しておかなければ、付いてきた意味がない。

 唐突ではあったが、光樹もその流れに乗ることにした。

 

「あぁ。……ちょっとな」

 

「何でも、光樹の過去に関わるらしいよ?」

 

『光樹の?』

 

 ネプテューヌも含めた内容の詳細にビーシャ達は声を合わせて返答をする。実際光樹も知らないため、これからあの銀髪の少女について、何が語られるのかが気になっていた。

 そして、鈴は話の始まりを告げる。

 

 

 

 

「じゃあ、始めるわ。……これは、1人の少女を救うために、「不死鳥」と呼ばれた王に反逆した、新たな不死鳥となった少年の物語よ」

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さぁ、光樹君の過去語りは残念ながら次回になります。

ジャンヌ「これ、詐欺じゃないんですか?」

うーん、詐欺じゃないと言いたいんですが。でも光樹君の過去、それもGKSWAXPの総司令となった経緯が語られる手前も入っているので、このタイトルにした。ある意味じゃ、まだ完全に語ってないからセーフ!

レイ「どうなんだろ……。でもネプテューヌちゃん、悪知恵が働くね。結構天然系だと思ってたのにー!」

レイさんがそれ言うかな……(;´・ω・)でも、ネプテューヌああ見えても結構策士なとこあるよ。今あまり言うのは控えるけど、大人ネプテューヌもそれが目立つし。

ジャンヌ「確かに、既にVⅡの前回、Vのラスボス格を既に閉じ込めているのは大変強力だと思います」

でしょ?オリジナルの話でもそこを大きく出したいと思うんだけどなー。出せるように努力します。
さて、今回はここまでです。

ジャンヌ「次回ですが、冒頭にも申しました通り、明日から藤和木は2日の研修旅行に行ってきます。なので1日分書くペースが落ちるので、火曜日に投稿する形となります。火曜日ですよ、皆様」

レイ「それじゃあみんなー、また次回っ!!」


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第126話 漆黒の不死鳥が目覚めた時

はい、どうも皆様、お元気でしょうか。無事専門学校の前期成績発表で補講に引っかからず、安心していたけど明日は学校に行かないといけないということを友人から聞き、危なかったと思った、藤和木弘です。

ジャンヌ「もうっ、完全に忘れていましたよね?ダメですよ、忘れていたら。もうすぐ社会人だというのに……。どうも、皆様。アシスタントはわたくしとレイさんだけでいいと思っている、ジャンヌ・ドラニエスですっ♡」

レイ「それ以外にも心のセミナーにも行かないといけないんだよね。どうも、みんな!そろそろ新しいアシスタントが来てもいいかなって思う、レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「そんな……レイさんはわたくしのこと嫌いなんですか!?それとも藤和木が他の女と結ばれる結末が良いっていうんですか!?」

レイ「いやー、ジャンヌちゃんは友達として好きだよ?それに藤和木とジャンヌちゃんが結ばれてほしいとは思うよ?でも藤和木の言う通り、ちょっとここら辺がマンネリ化してる感じはするんだよね」

うん、そうだよね。多分読者の8割以上が思い始めてる気がするんだ。2人だけだと話の方向が少し狭まるっていうかさ。だから近くにその準備を……

ジャンヌ「けれど、わたくし以外の方に浮気した時の代償、高くつきますよ?」

というかむしろわざと浮気してジャンヌさんが嫉妬してる姿を見たいなぁと思うことは……あるんだよね

レイ「藤和木、そんな性癖は捨てた方がいいよ?」

レイさんに言われたよ……(´・ω・`)さて、今回は第126話をお届けします。

レイ「いよいよ、光樹君の過去語りだねっ!!」

ジャンヌ「わたくしに嫉妬させるなんて……藤和木も意地悪っ♡そうですね。タイトルからもかなりシリアスな内容になりそうです」

さぁ、鈴が語る形での光樹君の過去、総司令「和藤光樹」への道と記憶の片隅にいる少女の関係とは!?それでは本編へ!!


「それは、あたしたちが中学を卒業する年…「セントラルワールド」の2013年、3月のことだったわ」

 

「セントラル……ワールド?」

 

「何それ?世界の名前?」

 

 鈴の言葉に、光樹とネプテューヌが真っ先に質問する。光樹はGKSWAXPのことは少しずつ思い出してきているものの、すべてを思い出したわけではない。ネプテューヌの方は別の世界については同じような世界であるゲイムギョウ界系列しか知らないという話だったため、知らなくて当然だ。

 その一方でビーシャ達は頷いて理解を示している。完全には分かってはいないようだがそれでも世界の名前であることは分かっていた。質問を行った2人に、鈴は答える。

 

「まぁ、そうね。光樹やあたしが居る、本来の世界の名前よ。まぁ、あくまで簡潔に言えるように、そう名付けてるだけで、正式名称は古文書からは「リング・オブ・アルテリウス」っていうらしいわ」

 

 世界の名前についてはこれくらいでいいだろう。あたしはそれだけ伝えて、大元の語りを続ける。

 

「その年度……2012年度は、あたし達にとっても大きな年だったわ。SSRのADXシリーズ……偽りの神、「アルセウス・ダミー」のNPを使っていた時期、そして、中学卒業で、あたし達初代SSRメンバーと光樹が別れる時期でもあるわ」

 

「え!鈴達は光樹の組織から抜けてた時期があるの!?」

 

 その話に興味を示すネプテューヌ。ネプテューヌの言う通り、2013年の春、鈴達初代SSRマスターは中学の卒業を機に脱退していた。しかし、そうなったのも、今回話すことにつながりがある。

 

「えぇ。それもまぁ、今回話すことと関係があるから。……それで、ADXシリーズでの最終決戦から1週間後、あたし達に、上から指令が降りたわ。それは、とある武装集団の駆逐よ」

 

 武装集団の駆逐。私設武装組織として設立されたかつてのGKSWAXPことGKPが武装集団を駆逐する、というのはある意味抗争だ。だが、当時としてはよくあることであり、鈴達もあまり気にしてはいなかった。もちろん光樹もいつも通りのことだと思って、すぐに作戦に向かっていた。

 

「いつもと何も変わらない、普段の任務。光樹もあたし達も、目の前の敵を片っ端から倒していった。それで、光樹が敵の親玉の所に攻め入ったの」

 

「おお、結構スムーズなんだね」

 

 実際、その行動はネプテューヌの言う通り、スムーズに進んだ。いくらADXシリーズが封印されていた時期とはいっても、その相手はEFXシリーズの最終完成機、ブラッドゼロなどで十分なほどであった。

 当然、敵の親玉との戦闘でもその差は圧倒的だった。

 

「ADXは使えなかったけど、それでも十分制圧するのは十分だったから。幾度かの剣戟と銃撃を交えて、光樹も無事に敵のリーダーを倒したわ」

 

「その話の、どこがわたしに聞かせたいの?光樹がいつも通りに倒したってこじゃないの?」

 

「確かに……これじゃあ、その通りだぜ?」

 

 ビーシャとR1がその説明に文句をつける。あまり大きく動いていないから、じれったいと思っているのだろう。

 しかし、話はちょうどここからだ。鈴も全員の注目を集めるために、息を大きく吸ってからその話に触れる。

 

「ここまではね。けど、ボスを倒したところで、部屋に音が響いたの。その直前に光樹の方の確認のためにあたしもその部屋に入ってからだから覚えてるけど、明らかにあたし達のものじゃない音が、部屋の奥にあった机の裏から聞こえてきたの」

 

 普通なら、伏兵が隠れていたという場面を想定する説明だ。事実、鈴達も敵の伏兵を考え、警戒して接近していった。そして、十分近づいたところで、光樹と2人で回ったところで、彼らの目の前に、予想外の光景が目に入ったのだ。

 

「それで、気になったあたしと光樹は、両サイドから机の裏に潜む敵と相対した。けど、そこにいたのは、1人の少女だったの」

 

「少女……」

 

 光樹が、何か考え込む。心当たりがあるかのような表情を見せている。どうやら、光樹も少しずつ思い出し始めているようだ。当然だ。これは光樹自身の物語なのだから。思い出してもらえなければ、話す理由も見当たらない。

 光樹の反応で手ごたえを感じた鈴は、話を続ける。

 

「彼女は、光樹が倒した……いえ、正確に、正しい表現をするなら、殺したリーダーの娘だったの」

 

「こ、殺……!?」

 

「それもそうだが……殺した奴の娘が隠れてたのか!?」

 

「……」

 

 いきなり出た衝撃の単語に、ビーシャが驚く。殺人などの単語、ビーシャどころか、女神すらも長い間生きているとはいえ、特にネプテューヌには衝撃だろう。事実、ネプテューヌも「こ、光樹が人殺し!?」と驚いている。

 その一方で少女の方に注目したR1は話が分かっていて助かった。光樹も黙ってこそいるが、娘の部分で考え込んでいたところから、同じように脳内で引っかかっていることだろう。

 しかし、光樹が殺したのは事実だ。だが、それは任務。宗教上の罪であっても、国への被害を抑えていることを挙げれば、人殺しはたちまち英雄となる。

 が、その場面で、当時の光樹は違った。続いて鈴は当時の行動をなぞる。

 

「任務の内容は関係者の全滅。その少女も親の仇打ちとして光樹を狙ってきた。けど、光樹は彼女を殺さずに、捕虜として捕らえたの」

 

「捕虜に?関係者を全員殺すって任務の内容なのに?」

 

 ネプテューヌも光樹の行動に疑問をぶつけてくる。流石に女神のメンタルによって不吉な言葉への耐性はすぐに付いたようだ。躊躇いなくその単語を口にしている。ビーシャ達も気になって顔を寄せてくる。どうしてそのような行動に出ようとしたのか、気になるからだ。

 そう来るというのは鈴も承知済みだ。鈴は、当時の状況を自身の感想を含めて語る。

 

「最初は、あたし達も任務に反すると止めたわ。けど、光樹は彼女を当時のGKSWAXP……GKPに連れ帰ったの。彼女が拒否しても、「私も殺せ」と言っても、ね」

 

「親と一緒に死にたいってことか……?けど、どうしてその時の光樹は、お前らが反対しても連れて帰ったんだ?」

 

「簡単よ。あの時の光樹は、「迷っていた」の」

 

「迷っていた……?」

 

 R1から飛んだ質問への鈴の回答に、ネプテューヌは首を傾げる。それだけでは何に「迷っている」のかは分からない。鈴は迷いの原因を口にする。

 

「そう。ADXシリーズの決戦時、絵里奈が敵の構成員の少年に庇ってもらっていたの。元々、その少年は家族を当時のGKPの総司令「鳥門 轟火(とりもん ごうか)」、またの名を「ザ・フェニックス」に殺されていた。GKPに憎しみを持っていた彼が、絵里奈がビームに撃ち抜かれる代わりに……」

 

「……少し、思い出してきた。確かにそいつは絵里奈を守って……」

 

 光樹からも、ようやくその時の記憶が浮かび上がってきたようだ。頭を抱えて、必死に思い出そうとしている。光樹に注目が集まる中、話は続く。

 

「命尽きる前に、その彼が光樹に何か言ったらしいわ。その言葉を受けて、光樹は今のGKPのあり方……鳥門のやり方に疑問を覚えた。そして匿いながらも、光樹は戦争の中で生活してきた彼女を日常に戻そうとしたの。遊園地やショッピングに連れて行って、今時の子供らしくなれるように……」

 

「光樹……!優しいところはこの時からあったんだね」

 

 ネプテューヌは安堵の声を漏らす。普通なら、この行為は勝手な行動。軍法会議にかけられることが前提となる行動だ。ところが、光樹はそれも構わず命令違反を犯し続けた。彼女の笑顔を見るために。

 

「光樹の行動に、あんまり喜ぶ反応は見せていなかったけれどね。でも少しずつ、彼女の心を変えていたの。それに付き合ううちに、あたし達も心を動かされていったわ」

 

 鈴の中に当時の風景が残っている。あの時の彼女は見るもの全てに新鮮味を感じていた。荒野となっていた彼女の心が、草木育つ穏やかな平原へと変わっていったようだった。中でも、ショッピングで初めて女の子らしい服を着た時の羞恥は自然と頬が緩む。

だが、幸せは長くは続かず、決断の時が来る。

 

「けど、その時は来たわ。匿っていた少女の存在が見つかったの。そして「ザ・フェニックス」が直々に「処分」を下すことになったの。光樹には、謹慎を伝えて、その前に少女に光樹自らが伝えるっていう、趣味の悪い命令を下したわ」

 

「そんな……そんなのって!」

 

「……最低だな。当時のその総司令ってのは……」

 

 ビーシャ達の口からも、怒りのこもった言葉を吐く。彼らの怒りで、鈴も当時の気持ちが思い出される。鈴達の意見を全く聞くことなく、「惨殺し、見世物にする」という言葉と共に放たれた命令は、まさに外道の言う言葉。しかし、それでも当時の鈴達に、総司令の指揮するGKP全戦力と対峙する勇気はなかった。

 重い空気となる中、その先を言う。

 

「それに逆らうことが出来ず、光樹とあたしは、彼女にそれを伝えることになったの。そして、彼女に言った。「ザ・フェニックス」への怒りと、少女への悲しみを抑えてね。けど、そうしたら……」

 

『そうしたら……?』

 

 ネプテューヌ、ビーシャ、R1の声が重なる。一番重要な話だ。注目が一番集まるところだ。実際、ここからが光樹の……2代目総司令「漆黒の不死鳥(ブラック・フェニックス)」誕生の盛り上がりの始まりなのだから。

 それを言おうとしたところで、沈黙を黙っていた彼の口からその続きは紡がれる。

 

 

 

 

「「嫌だ……あたし、死にたくない……!」……そう言ったんだ」

 

「こ、光樹!?」

 

「まさか、思い出したのか!?」

 

 ネプテューヌ達の驚きが光樹に向けられる。唐突な口の開きが余計に彼らの驚きを大きくしている。話している人物とは違う人がいきなり話のことを喋りだしたのだ。無理もない。

 ほんっと、いきなり話に割り混んでいくんだから……。けど、直接聞いた本人からそれを言ってもらえるなんて。それ以外にも言ってたけど、その様子からしてそれ以降はまだ思い出せていないのね。でも話をする度に反応してるから、これはいけるかもね。

 光樹が思い出し始めている予兆を見て、笑みを浮かべる鈴。更に光樹が思い出すことを期待して、光樹の言葉に付け足していく。

 

「そう。彼女は生を……生きることを望んだの。「まだ死ねない。こんな楽しいことのある世界から、消えたくない!」、「光樹へ感謝しきれていない」。そう言ったの」

 

「そんな……」

 

「戦争の中で生きていた少女が、光樹の行動で変わったっていうのか……」

 

「ううっ……!!涙なしでは聴けない話だよ!」

 

 少女の言った言葉に涙を流す2人と感慨深く呟く1体。それだけ、絶望的状況で、儚く絞り出した言葉だったのだ。生への渇望を望む声に、当時の鈴達も心を大きく動かされた。そして、物事は大きく動く。

 

「彼女の願いに、光樹は応えたわ。「絶対にお前を死なせない」。そう言って、光樹とあたし達は、「ザ・フェニックス」指揮するGKP隊員総勢約4万5千人に対して4人だけで反逆したの」

 

 とんでもない数の差であった。明らかに無謀な反逆であることは誰の目から見ても分かる。ネプテューヌも無茶であることを指摘した。

 

「4万人対4人!?ガンダムの力があっても勝てるの!?」

 

 普通の戦力差では絶望的だ。相当な力がなければそれを突破することは出来ないのは明らかである。しかし、それでも鈴達は戦った。

 

「それでも戦えるのを可能にしたのがSSRシリーズよ。少女を安全な場所に隔離してから、あたし達は戦ったの。けど、それにも限界はあった。最初こそ優勢だったあたし達はたちまち追い詰められていったの」

 

「そりゃ、当然だよ……勝てるわけない……!」

 

「それで?どうやってその状況を突破したんだ?」

 

 ビーシャもその絶望的状況に恐れを感じていた。ネプテューヌもその額に冷や汗を浮かべている。

 しかし、R1の言葉通り、それを逆転させることが出来た。その方法を今度は明かす。

 

「簡単よ。あたし達は全回線で呼びかけたの。「変わろうとする少女を救うために戦う」ことと、「総司令への道を通す」ことをね」

 

「説得ってこと?……でも、そんなので突破できたの?」

 

 ビーシャが半信半疑になって聞く。が、それに答えたのはネプテューヌだった。

 

「難しいかもだけど……出来たんだよね?」

 

「えぇ。最初は聞いてもらえなかった言葉も、あたし達が向かってくる隊員の不殺を徹底して戦い続けることで、あたし達への攻撃の意思は弱まっていった。そうして最後まで残った四天王を、あたし達4人は突破して、「ザ・フェニックス」の元へたどり着いたのよ」

 

「なんてこった……本当に言葉で余計な邪魔を排除して、そこまで行ったのかよ……」

 

 当時の事の説明に、R1が驚きを隠せずに本音を吐く。信じてもらえなくても当然な状況だったが、それだけ当時の光樹への期待と信仰が集まっていたのも事実。それがなければ、突破は出来なかったはずだ。現在も光樹への忠誠は大きく、それもあって、今回の光樹行方不明には全隊員が全力で捜索、および柱を失ったGKSWAXPの運営に従事している。一番の頭を失っても、決して反乱なども起こらなかったのは、奇跡にも近い。

 話も半分を過ぎる。ここからはもちろん、「ザ・フェニックス」こと「鳥門 轟火」との決戦の話になる。

 

「とうとうあたし達は鳥門……当時の総司令「ザ・フェニックス」との対決になったわ。光樹とあたし、それに勇也と絵里奈で一斉に飛び掛かったの」

 

「おおっ!パーティ全員で突撃したんだ!」

 

「じゃあ、コテンパンにしたんだ!」

 

 状況から有利だったと感じ取ったネプテューヌ達の意見は、残念ながら外れていた。そう、SSRシリーズのガンダムではなくても、強力なNPは存在していた。それが、鳥門のあの機体……「ガンダム・フェニオン」だったのだ。

 

「いえ、4対がかりでも、性能ではあちらが数段上。1対4でも、総司令の名は伊達じゃなかった……コンビネーションも破られて、光樹以外は全員セットオフ……装着を解除されてしまったの」

 

「う、嘘ぉ!?どんだけ強いの!?」

 

「性能差が、戦力の決定的差だって言うのかよ……」

 

 ネプテューヌ達も、ザ・フェニックスの実力には驚いている。予想通りの反応ね。あたしだって、必死に戦っているのに攻撃が当たらなかったし、それに当たっても対して効かないって状況だし、どうやって勝てばいいのか、諦めるしかないという気持ちすら起きたぐらいだもの。

 だけど、この馬鹿……光樹はそれでも諦めなかった。それにガンダムも答えたんだから。あたしは光樹のした行動を言葉にして説明する。

 

「けど、残った光樹は奮戦したわ。変身が強制的に解除させられて、危険なあたし達を守るように戦った。旧式のブラッドゼロガンダムでね。どれだけ攻撃を受けても、どんなに攻撃が弾かれても、この馬鹿は必死に食らいついていった。そんな、諦めない心に、復活したアルセウスが厳重封印していた、ADXシリーズが、覚醒したの」

 

「厳重封印……そういや、そのADXシリーズってのは上位機体だって話だったよな?どうして封印されてたんだ?」

 

 R1から質問が飛ぶ。先ほど言われていなかったためスルーしていたのだが、説明する必要があるようだ。鈴はそれの話を手短に行う。

 

「ADXはSSRシリーズのデッドコピーのような機体なのよ。しかも、SSRの使用者を負荷で蝕む機能も付いていたから……だから、封印されていたの」

 

「ふぅん。デメリットが大きすぎたって感じか」

 

「そういうことよ」

 

 R1も鈴の説明に納得する。話を聞いていたネプテューヌ達も納得を示した。

 鈴もあれの負荷は覚えている。使うたびに段々と生気を奪われていくような感覚を、装着している間は感じていた。あれを積極的に使うように言ってきた、「パルキア・ダミー」こと「パルテーラ」は今でももう二度と会いたくない存在だ。けれども、この戦いでの彼らの救援とも言える「置き土産」は大変ありがたかったが。

 説明が終わったところで、話はまた光樹の活躍に戻る。

 

「それで、話を戻すけど……光樹の力を求める声に答えて、光樹はADXシリーズの最終機体で、この時期から少し前に終結した、中学3年の時の「XN事件」で駆った「ブラッドィアジークガンダム」を再び纏ったの。それも、デメリットを一切なくした、新たな仕様でね」

 

「えぇ!?デメリットなくなって!?」

 

「おぉ~!それはもう勝利フラグじゃないの!?」

 

 光樹が纏った後の流れは、まさしくネプテューヌの言葉通りだ。なんと、光樹はその力をフルに発揮し、今までの劣勢から優勢に逆転したのだ。

 

「その通り。まさに光樹は水を得た魚の如く、形勢を逆転していったわ。高速化した戦闘の中で、相手の攻撃を受けつつも、それ以上のダメージをガンダム・フェニオンに与えていった。その逆転する直前に言い放った言葉が、ネプテューヌとR1が聞いた、「ただの「自己満足」」って言ってた「黒き鋼の心宣言」よ」

 

「え!?あのやけにかっこよく言ってたあの言葉、この時にも言ってたの!?」

 

「あの時は調子に乗ってるって思ってたが……元々その外道に言った言葉だったんだな……。納得の言葉だぜ」

 

 2人も今日の出来事だったため、印象に残っていたようだ。特にR1は言われた側の立場だ。その言葉を聞いて負けていたのだから、余計に記憶……いや、この場合は記憶回路と言うべきか。ともかく、その記憶回路に残っていて当然だろう。

 そして、戦いはクライマックスを迎える。

 

「そして、戦いの果てに光樹はガンダム・フェニオン……ザ・フェニックスを撃墜。鳥門は拘束されて、この戦いは終結したの」

 

「勝てたんだね。それで、彼女はどうなったの?」

 

 一安心した様子を見せたのち、ビーシャがその後を聞いてくる。おそらく、ここまでで最も気になるところだろう。話さないと意味がないので、鈴も早速続きを話す。

 

「無事、新生GKPこと、GKSWAXPによって保護されたわ。でもまぁ、こう言った方が良いかしら。彼女は新しい名前をもらったの。その名は華南……和藤華南」

 

「え……!?」

 

「和藤って……」

 

「まさか、光樹の家族になったのか!?」

 

「そう、華南は光樹の義妹になったの。光樹が提案して、ね」

 

「……あぁ、そうだったような気がする」

 

 鈴からの説明に、光樹の方に視線が集中する。視線だけではない。光樹の行動に、質問攻めが起こる。

 

「えぇ~、光樹ってば、カッコいいこというじゃん!義妹なんて、一人っ子だから妹が欲しかったとか!?」

 

「それはまだどうだったか思い出せてないな……」

 

「けど、言われた華南はどんな気持ちだったんだろう……やっぱり、嬉しかったのかな?」

 

「そりゃもう嬉しいでしょ!泣いて頼み込んだんだよ?しかも光樹に頼み込んでたくらいだし……。まさしく、ヒーローって感じだよね!!」

 

「お、おいおい……あんまり騒ぐなって……」

 

 ネプテューヌとビーシャの盛り上がりを光樹が止めようとする。何度かこちらに救援を求めるかのように目を向けてきていたが、その様子の方が面白いと思い、気づかないふりをしている。

 話題はすっかり華南と光樹の関係に触れようとしていたが、ここでR1が思い付いたように鈴に聞いてくる。

 

「……なぁ、さっきの話とビーシャとの関係って……、まさか……「誰でも誰かのヒーロー」ってことを言いたいのか?」

 

「あら、よく分かったわね」

 

 意外そうに鈴はR1に返す。そう、鈴がこの話をした理由は、まさにその通りだった。ビーシャがモンスターと戦うのがダメだったように、光樹も迷いでどうすればいいのか分からなかった。けれども、きっかけ一つで誰かのためになれる。それにどちらも当てはまっていたがゆえに、鈴はこのタイミングで光樹に話すと同時に、ビーシャを元気づけようとしたのだ。

 その話を聞いていたビーシャが思わず聞き返す。

 

「それって本当なの?」

 

「えぇ。……どれだけ困難が……苦手なものがあっても、きっかけ次第できっと乗り越えられる。貴女の場合、それがまだなだけ。だから、今あることを精一杯やりなさい。それが、今の貴女に出来る、ヒーローであり続けるために必要なことなのよ」

 

 ビーシャの肩に手を乗せて、しっかりとした口調で話をよく聞かせる。心なしか、それを聞いて、ビーシャの顔にも最初の頃とは違って、笑顔が戻ってきていた。やはり心温まるエピソードが誰かの心の励みになるという考えに則って話したのは正解のようだ。……もっとも、この話をしたことを記憶の戻った光樹や華南はあまり心よく思わないだろう。普段も彼らはこの話をしようとすると素早く口を塞いで来ようとするのだから。彼らもその当時の言葉が恥ずかしすぎたという意識があるためだ。

 今のうちに事実を知った彼らの羞恥の表情を想像しようとする鈴。一方、それらの話を聞き切ったビーシャが顔を上げてやる気に満ちた表情で鈴達に宣言する。

 

「うん、わたしもわたしを必要としてくれている人のヒーローでいる!だから、これから頼らせてもらうね。ネプテューヌ」

 

 ビーシャからの頼みに、ネプテューヌが引き受けると同時に提案をする。

 

「もちろん!あ、そうだ。せっかくだから、ビーシャもわたしのこと愛称で呼びなよ。知らない仲じゃないんだからさ」

 

「いいの!じゃあ、これからはわたしも、ねぷねぷ、って呼ばせてもらうね!」

 

 ネプテューヌからの提案に快く了承するビーシャ。もうわだかまりは一切ないようだ。もう一方のR1の方も、鈴と光樹の方に少し頭を下げつつこれからの共同活動の始まりを確認し合う。

 

「悪いな、お前たちも一緒で……」

 

「俺は気にしないさ。むしろ、俺と同等の力を見せる存在が味方になって心強いくらいさ」

 

「あたしも同じくね。けど、あんまり単独行動はやめてよね?」

 

「ははっ、分かったよ」

 

 鈴からの指摘に少し声を高めにして答えるR1。

 2人の不安も完全に取り除いたところで、5人はイストワール達が待つ教会の方に足を向け、公園を後にした。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。少し足りない内容かもしれませんが、もしご好評なら、この話だけを特別枠で書くかもしれません。

レイ「わざわざ光樹君の思い出しとか鈴ちゃんの回想で書かなかったってことは、何か理由でもあるの?」

ぶっちゃけ言うと、この話、回想だけで8……いや10話くらい行きそうなんだよね。回想に8話も使えないからさ。

ジャンヌ「本編を優先する都合上、書けないのは残念ですね」

大元の話がオリジナルだから、多分そっちに集中すれば学生期間なら1か月で書けそうなんだけどね。社会人期間になると書くの難しいかも。

レイ「だけど、光樹君かっこよかったんだろうなぁ……!」

ジャンヌ「たった一人の、ただ任務で確保した捕虜の少女の為に過酷な戦いを突破し、最終的に組織の頂点まで上り詰める……。今の光樹さんでは考えられませんね!」

多分そこらへんが記憶を失う前の光樹君と記憶喪失の光樹君の狭間だろうね。だから、ここから光樹君の意志の強さや判断の良さが変わってくる……かも?さて、それでは今回はここまで!

レイ「次回は黒の館!月曜日に投稿だよ。それもかなり多く紹介するよ!なんと、今回話にでた彼女もっ!?」

ジャンヌ「それでは皆様。また次回、お会いいたしましょうっ!」


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黒の館 第12回 解説~心造兵装「エクスカリバー」「アロンダイト」「デュランダル」、ザ・フェニックス(鳥門 轟火)、ガンダム・フェニオン、和藤華南

どうも、皆様、お元気でしょうか。昨日企業の懇親会に行ってきて、ちょっと飲み過ぎた気がする、藤和木弘です。

ジャンヌ「……いや、チューハイ1缶だけ飲んだだけですよね……?どうも、皆様。今回が終わると2週間ほど休みをもらいます。ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「いやー、久々のまとまった休みだよ!この前藤和木の研修旅行の時も休んだけど、2週間も休みがもらえるのは嬉しい!どうも、みんな!休みは何しようか考える、レイ・オーバだよっ!」

うん、二人には頑張りすぎるくらい頑張ってもらったからね。それでも遅れは取り戻せてないけど、それはこれからまた取り戻すので。さて、今回は黒の館をお届けします。

ジャンヌ「序盤から登場しつつも、あまり触れられていなかった聖魔剣デュランダルを含めた心造兵装の説明に加え、過去の回想のデータを明らかにするんですね」

レイ「別に良かった気もするけど、何か理由が?」

あー、うん。これからの光樹君の転換点とも言えるから、その周りを明らかにしといた方がいいかなってね。あと、華南ちゃんはTwitterでもう出してたから。

レイ「ふーん、そうなんだー」

ジャンヌ「ですが、光樹さんのガンダム以外の、初のNP紹介になりますよね。このフェニオンは」

そう。それも光樹君のガンダムとはコンセプトが一緒でも、その配置はかなり違うからね。ではそろそろ本編へ!!


 

藤和木「はいさて皆様、今回も始まりました、黒の館。今回もわたくし藤和木弘と」

 

ジャンヌ「アシスタントのジャンヌ・ドラニエス!」

 

レイ「もう一人のアシスタントのレイ・オーバでお送りするよっ!」

 

藤和木「今回のゲストは光樹君と激闘を繰り広げた者達、ゴールドソフツの2人がゲストだぞ!!」

 

ビーシャ「おおっ!わたしたちも遂にラジオデビュー!?どうも、小さな子供の味方!ゴールドサァドのビーシャだよ」

 

R1「ラジオってわけじゃないだろう、ビーシャ……。っと、いけねぇな。おう!俺がDRXの頭脳!R1だぜ!!」

 

ジャンヌ「今回はお二方、よろしくお願いしますね」

 

ビーシャ「へぇ、この子が作者さんの恋人?」

 

ジャンヌ「あらっ♡、そんないきなり言われると……嬉しいですっ!」

 

レイ「あはは、ジャンヌちゃんも機嫌いいね。にしても、私としては、R1にはDRXで出て欲しかったなっ!」

 

R1「まぁでも、DRXだとこの部屋に入れないからな。仕方ないぜ」

 

藤和木「一応、部屋の空間の大きさ変えれば余裕なんだけど、それの設定面倒なんだよね……。疲れるっていうか……」

 

レイ「っていうか、私が驚きなのはDRXを今回紹介しないんだね」

 

藤和木「うん。DRXはネプテューヌ編終了時に解説に回そうかと考えてる。あと、ついでにフェンリル・キャノンも同じ」

 

ジャンヌ「……というか、話を書いていた時も思いましたが、フェンリル・キャノンってバトスピのあのスピリットと同じ名前……」

 

R1「そうなのか?普通にありな名前だと思うが……」

 

藤和木「うん、最初はいいと思ったけど、瞬きした次の時に違和感して、「match」飲んだ瞬間、「あ、これJ君のフェンリルキャノンだわ」って言ってた(笑)。けど、それ以外に名前が思い付かなかったんだよ……。決してパクリではありませんので!(汗)」

 

ビーシャ「これは重罪だね!今すぐ新しい名前に変えよう!!」

 

ジャンヌ「それは流石にもう無理ですよ。それにわたくしも、それで怒ったりとかはしていないので」

 

藤和木「ジャンヌさんがいい子で良かったよ……」

 

ジャンヌ「けど、もう少し、なかなかない奇抜な名前を考えて欲しいです。フェンリルタイプブラスターとか」

 

藤和木「あの……フェンリルキャノンタイプB……」

 

ジャンヌ「う……そ、それは置いておいてくださいっ!(かぁ)」

 

藤和木「はは、流石にそんなことは言わないさ。さて、今回紹介するものについて、レイさん」

 

レイ「はーい!今回は光樹君の生身で使ってた武器の本当の姿、心造兵装の3タイプと鈴ちゃんが語った光樹君の過去に登場したGKPの元総司令官「ザ・フェニックス」こと、鳥門轟火と所有するNP「ガンダム・フェニオン」!そして~?」

 

ジャンヌ「ツイッターの交流で最初に顔見せして、光樹さんのフラッシュバックで本編登場、そして前話でようやく語られた光樹さんの義妹、和藤華南さんの紹介になります。というか、前も思いましたが、光樹さんの義妹って本当に光樹さんのことを思っているんですよね。恋人みたいです」

 

藤和木「大丈夫大丈夫。義妹なら結婚可能範囲!」

 

ジャンヌ「……それ、本気で言ってます?」

 

藤和木「……大丈夫。予定では光樹君は華南ちゃんと結びつかないから。家族として好きだから。光樹君はそんな禁断の関係に手を付けるわけないよ!」

 

レイ「それならいいけども……。っていうか、義妹になる過程もすごいよね……」

 

ビーシャ「うん、4万人位に対して、4人で挑むなんて、無双ゲームじゃなきゃ無理だよね、それ」

 

R1「それを行う光樹もそうだが、共に戦った鈴とかもすげぇよな……これ。確か鈴は光樹のことを嫌ってたんじゃ……?」

 

レイ「だよね。絵里奈ちゃんならなんとなく分かるけど、鈴ちゃんが一緒に不利な状況で戦うなんて、思えないっていうか……」

 

藤和木「まぁ、それも、今までの不満×華南ちゃんの想い暴露に、卒業前に何か残したいって気持ちから、ですよ!」

 

ジャンヌ「最後のは絶対に違うと思います……(汗)。でも、前の2つはあり得そうですよね」

 

藤和木「事実、前の2つが主理由なんだけども。さて、そろそろ紹介行きますか」

 

レイ「最初の紹介は、光樹君の「新」兵装、もとい、「真」兵装、そして「心」兵装な武器、心造兵装「デュランダル」とそれを構成する心魔剣「エクスカリバー」、心聖剣「アロンダイト」だよっ!」

 

 

 

・心造兵装

使用者の心を元に形成される、心象をベースとした武器。この類の武器は、過去に光樹達が戦った者達も使用していた武装の一種であったが、光樹達はまだ持っていなかった。

 本兵装を光樹達が使うようになったのは、光樹達が「超次元ゲイムネプテューヌ THE ANIMETION」の世界の第4話近くの、アンチシェアクリスタル登場後から。というより、これらの武装は、アニメ版ネプテューヌにて確認されたアンチシェアクリスタル、およびアニメ世界のイストワールから譲渡してもらったシェアクリスタルを体内、もしくは機体に取り込んで誕生した兵装である。

 これまで魔剣として使用されてきたエクスカリバーはアンチシェアクリスタル、聖剣として使用されてきたアロンダイトはシェアクリスタルから生成される。そして、これらの武装を両方合わせることで完成するのが、光樹が今まで使ってきた「聖魔剣デュランダル」こと、心造兵装「デュランダル」となる。

 通常、アンチシェアクリスタルとシェアクリスタルは相反する力であり、融合などは出来ないが、これらは光樹およびそれらを機能として取り入れたSSRシリーズの機体の力によって成せる業である。特に光樹の物はそれぞれ2つずつ、その体に取り入れた影響で、二刀流となっている。これらの武装はシェアのような暖かな心の力とそれに反する力を相手にしても、戦うことのできる兵装となっている。また、光樹の場合、偽りを持ちし者に対しては、最大出力かつ持ち主本人の心とのシンクロ係数の高さによっては、それぞれの相反機能で偽る姿、事象をすべて白黒はっきりさせる(つまり、ダミー機能、および擬態機能、事象改変などを断ち切る)機能を持つ。

 序盤でロッカ・タカナキが占った際には心造兵装であることは明かされなかったが、これは情報ロック機能によるもの。相反する力が外部に漏れないためである。

 なお、偽りを白黒はっきりさせる機能に関してだが、現在超次元で起こっている事象も、これで解決することは可能である。が、それには光樹の意識の奥底で眠る「神獣 アルセウス」および光樹の記憶が必要であり、現状すべての記憶が戻っていない光樹は、この機能を使うことは出来ない。これは記憶の中にその機能を使うための出来事があるためであり、それを「体験」したことを体で思い出す必要があるためである。

 共通する機能はAN粒子循環による、パワーブースト機能である。

 

 

 

心魔剣「エクスカリバー」

 アンチシェアクリスタルを媒介に生成される魔剣。心の力を否定する力であり、攻撃に特化した性能となっている。

 能力は「ブラッドカイン・デッド(生命能力の強奪、およびそれを剣のエネルギーとする力)」、「バーサーク・ブースト(理性の暴走)」。特にバーサーク・ブーストは第1章序盤でのメガスレイモンとの戦闘時、ZEROシステム稼働時に顕現していないにも関わらず、発動し、暴走を誘発させていた。

 

 

 

 

心聖剣「アロンダイト」

 シェアクリスタルを媒介とする聖剣。人々の思いの力の増幅、および守りに特化した性能を持つ。

 能力は「ホーリー・リンク(エネルギー、体力の共有)」、「ブーステッド・ウィッシュ(意志の力の増幅)」。

 第2章終盤でのトランザムレボリューションバースト起動時にもこの機能が発現しており、これにより、エクストリィムの「タキオンスライサー・ダークネスドライブ」の出力を上回るシェアの増幅を1機で可能にしたと鈴達は予測している。

 

 

 

 

心造兵装「デュランダル」

 心造兵装としての力を完全に発揮した、アンチシェアクリスタルとシェアクリスタルの融合体。見た目はエクスカリバーとアロンダイトの主要パーツが合体したものであるが、それぞれの干渉・増幅機能で通常出力でも両兵装の最大出力に匹敵する。

 が、これら機能はどれもNPでの運用を想定したものであり、生身で使用した場合は作中通り、モンスターとのぶつかり合いが限度の武装である。だが、それでも生身の武装としては一級品であり、その力は侮れない。

 機能は世界の偽りを暴く「ブレイク・ザ・イルージョナリー」、突き刺した先のエネルギー機関やエネルギーの流れを増幅・減少させる「ブレイキング・コントロール」、そして武装のパーツを変形・変化により形を変更する「シェイブシフト・ウェポン」である。

 

 

 

 

藤和木「これが、心造兵装の能力になります」

 

ビーシャ「……へ?」

 

R1「……あのよぉ……ひょっとして記憶を取り戻せば、万事解決なんじゃねぇのか?」

 

レイ「それ思うよね……偽りを暴くって、恐ろしすぎるよ……」

 

ジャンヌ「しかも、事象そのものに干渉って……アカシックレコードの機能ですよね、それ」

 

藤和木「けれども、出来ることには限りがあるよ。ドラ○ンボールみたいに、ね。けれども、この能力、ほぼ事象に干渉できてもせいぜい改変をフォーマットするくらいのものだよ」

 

ジャンヌ「主に、ツイッターでの小ネタ用にですか?」

 

藤和木「まぁね。それでも、本来の光樹君実際この能力意欲的に使ってないらしいけどね」

 

ビーシャ「えー、どうして?こんな便利な能力なのに……」

 

藤和木「記憶を取り戻した真・光樹君曰く……」

 

レイ「ちょっと待って、それゲンムの社長さんの復活時の名前……」

 

藤和木「細かいことは気にしない気にしない!」

 

ビーシャ「それで真・光樹曰く、何なの?」

 

藤和木「余程手詰まりでもない限りは最初からチート機能は使わないっていうのが信条なんだよ。とはいえ、この作品のタグの、主人公後半チート化=記憶取り戻したらの如く、チートと言える強さを持つんですがね」

 

ジャンヌ「光樹さんの強さの核は……この話はもう少し先ですかね」

 

藤和木「出来れば、今回の後半に持っていきたい話だね(笑)」

 

レイ「二人とも息が合ってるね。お互いのことをよくわかってるって感じ」

 

ジャンヌ「交際して、もう1年半近くですから♡」

 

藤和木「一緒に生活するようになって、もうそんなにか……ジャンヌさん達には感謝してるよ。ヒカルに代わってアシスタントになってくれて、私のことを直接的にサポートしてくれてるっていうのは本当にありがたいよ」

 

ジャンヌ「うふふっ♡」

 

R1「さて、それはいいけども、次の紹介に移った方が良いんじゃないか?」

 

ビーシャ「そうだよ!早くしないと、枠内に収まらないよ?」

 

レイ「だから、ラジオじゃないよー?」

 

藤和木「うーん、でもメタいこと言うと、時間経過が遅くなる=文字数多くなるの関係だから、次行こうか」

 

レイ「め、メタい……。でも、そうだね。次の紹介に行こう♪」

 

ジャンヌ「それでは、次は作中の過去語りで存在が語られた存在、初代GKSWAXPもとい、GKPの総司令「ザ・フェニックス」こと、鳥門 轟火の紹介になります。彼は何のために、光樹さんと敵対することとなったのか。その過去も明らかに?」

 

 

 

 

・鳥門 轟火(とりもん ごうか)

性別 男

身長 183cm

体重 64kg

コードネーム 「ザ・フェニックス」

誕生日 1974年 6月12日

享年 38才

外見 黒と白のメッシュの髪。目元はバイザーで常に隠している。瞳は藍色。感情の気迫はほぼなく、冷徹。

好きな物 効率、大義

嫌いな物 役立たず、情、家族

 

 

 

かつてのGKSWAXPこと「GKP」にて、総司令の地位についていた男。当時の光樹達の上司であり、数々の作戦の指揮を執った軍師であり、歴戦の傭兵。

 光樹達がその元で活動するようになってから、あまり戦場に出なくなったが、それまでの戦歴では、たった1人、それも生身(MPやNPが登場するようになる以前のため)でかつてとある国の政府反対派の暴動を鎮圧したほどの実力者であり、SSRシリーズのEFX系列のNP4機を完全に抑え込み、オーバードライブ状態の光樹のかつての切り札「ブラッドィアジークガンダム」とも互角に渡り合うほどである。

 その過去については、光樹が彼を撃破した「オペレーションニュージェネレーション」前には明らかになっていなかったが、彼の撃破後、出てきた手記から得られた情報が分かっている。

 その手記によれば、彼は幼い頃に両親から妹と共に捨てられ、孤児院の出身であった。だが、妹を強制的に売られ、妹を取り戻す一心で裏の世界に踏み入れた。そこで究極の傭兵「ケイネル」に弟子入りし、そこからとある国の軍に入隊。多くの戦場を彼と共に駆け、次第にケイネルに匹敵するほどにまで成長する。

 しかし、数々の任務の果てで、再開した妹と恩人ケイネルの命を天秤にかけた任務に遭遇。両方救おうとした結果、その両方を失う結果となる。その過程で迷いを認識した鳥門は、「迷いが誰かの命を失うこととなる。ならば、誰かがその道を決めてしまえばいい」という考えに到達。それを実現すべく、GKPを立ち上げた。

 その結果として、今のGKPに迷いを抱いて、華南を救うべくか考えていた光樹を「導く」ために華南を敵対者として処刑する命を出す。

 結果として、彼は暴走し、GKPのメンバーを総動員して光樹達と圧倒的戦力差で倒し切ろうとした。光樹達とは機体の性能差、そして戦闘技量で当初は完全に圧倒し、追い詰めるが、光樹達へ「お前たちは私が指す道を進んでいればいい」「子供とは、ただ大人が、「正義」が与える未来を歩めばいい……それが弱く未熟な小童どもへの祝福」と発言。とどめを刺そうとしたところで光樹の覚醒を許し、光樹の元に今一度現れた希望「ブラッドィアジークガンダム」と対峙。歴戦の腕前で対抗するが、覆ったわずかな機体性能差、そして、光樹の迷いを捨てた「覚悟」に呼応し、AN粒子の出力が上がったブラッドィアジークの前に敗北を喫する。

 その後は拘束され、新生GKSWAXPの監視下に置かれたが、数日後独房で病死する。原因はかつての核戦争阻止の際に浴びた大量の放射線によるがん。

 だがしかし、彼がオペレーションニュージェネレーション直前に残した遺言によると、彼は当時の光樹と自身を重ねており、その危うさ、もしくは彼の覚悟を確かめるべく今回の行動に出たと取れる発言をする。つまるところ、彼は光樹を試したのである。

 その結果として、光樹はGKSWAXPの総司令に着任。彼の本当の理想を目指すべく、彼の遺志を継いで、「漆黒の不死鳥(ブラックフェニックス)」と名乗るようになった。彼の過去は光樹達の壁として立ちはだかった最大の「敵」であったが、それと同時に、未来への可能性を託した最大の「味方」でもあったのである。

 

 

 

 

レイ「以上が、鳥門 轟火の解説になるよっ」

 

ビーシャ「……うん、なんというか、完全な悪ってわけじゃないんだね」

 

R1「それな。光樹達の敵になったが、最もその先の未来を心配した味方だったんだな」

 

ジャンヌ「そうですね。彼は大人として、最後の仕事をしたんですね。……ちなみに、本編でこの件を話した鈴さんは、この話のあと、光樹さんと勇也さん、絵里奈さんの前で涙を見せたそうです」

 

ビーシャ「鈴も完全な悪人じゃないってことから、そう反応したんだね……」

 

レイ「ううっ、泣ける話だよっ!!ちなみに、光樹君はこのことを思い出したの?」

 

藤和木「あぁ、完全には思い出せていないみたいだ。けれど、鳥門……ザ・フェニックスが考えあってこの騒動を起こしたことはなんとなく思い出しているらしい」

 

R1「まぁ、光樹はその話を聞いても一概に悪人とは捉えないだろうよ」

 

ビーシャ「そうだね。光樹なら、きっとそのことも思い出すよね?」

 

藤和木「そのはずですよ。さて、では次は鳥門の操ったNP、ガンダム・フェニオンの解説です」

 

 

 

 

ガンダム・フェニオン

形式番号 GKNP-UX001F

機体解説

GKPで調査した遺跡の中から発見されたNPのフレームと動力機関「ANドライヴ」のサンプルを元に装甲と武装を取り付けた機体。

 バイザーの下にツインアイを有するガンダムであり、形状は鳥をモチーフとしている。翼部分は光樹のSSRシリーズ「ブラックエース」から得られたデータを元にしており、ウイング内部には遠隔操作端末を有する。

 その性能は発掘当初からアップデートされ続け、オペレーションニュージェネレーション時には、封印直前のADXシリーズからデータを反映させたことでADXシリーズ最終機体とほぼ同等の性能を有する。

 だが、最も恐ろしいのは鳥門の戦闘技能を完全に反映させることが出来ることであり、それらと機体性能が合わさることで、オーバードライブ状態のブラッドィアジークと渡り合うことが出来た。

 

 

 

 

システム系

 

TRANS-AM

ANドライヴとコンデンサー内の圧縮粒子を完全開放し、性能を向上させる機能。SSRシリーズを反映させてきていたため、性能は変わらない。

 

T0DS∞

AN粒子生産量を向上させるシステム。性能は無印シュバルトゼロの0タイプとほぼ同性能。

 

ANフィールド

AN粒子による防御兵装。

 

ノイズドエナジーウイング

スラスター部の発信機から生成される固形化されたAN粒子の翼。ガンダム・フェニオンの場合、ウイングユニットから生成される。

 

フルノイズドフレーム

フレームとして生成されたAN粒子の結晶体。

 

カートリッジシステムMarkⅡ

武装に取り付けられた、機体の武装出力を増大させる機能。

 

 

 

 

武装

ANビームアサルトライフル「ケイネル」

 機体のメイン兵装となる射撃武器。いたって性能は普通だが、出力増大型のバーストモードへの変形を持つ。鳥門が傭兵時代に愛用していたライフルがベースとなっており、鳥門の技能が合わさって、必中の性能を持つ。カートリッジシステム対応で、弾数は6発。

 名称は鳥門の恩人「ケイネル」から。

 

ANダブルエッジ・セイバー「スノウ・フラワー」

 機体のメイン兵装となる格闘武器。実体剣と真ん中辺りがビーム刃となっているハイブリット仕様。大型の見た目に反し、実際にはかなりの軽量化を行っており、素早く振られる一撃は障壁をも軽々切り裂く。

 名称は鳥門の妹「雪花」の英語訳。

 

ANディバイドシールド「ディスティニー・ティアーズ」

 左腕に装備される、大型の実体シールド。先が前面と後面に分離し、クローとなる。開いたクロー内部にはバンカーがあり、捕らえた相手を確実に一撃で仕留めることを考えて制作されている。

 名称は鳥門の過去をイメージ。

 

ANドラグーンⅥ「フェニックス・フレイム」

 背部ウイングに浮遊格納された遠隔操作端末。ブラッドゼロのドラグーンの発展形、ブラックエースⅣとシュバルトゼロのドラグーンのプロトタイプでもある。機能は砲撃のみになっているが、ドラグーン自体にビームコーティング処理が施されており、AN粒子による実弾防御耐性と機動性も合わさって落とすことは難しい。

 名称は鳥門 轟火から連想して命名。

 

 

 

 

レイ「これが、ガンダム・フェニオンの解説だよっ。元傭兵ゆえの装備の簡略化・シンプルさを追及した武装構成になってるんだって」

 

R1「確かに、光樹達のガンダムと比べると、圧倒的に武装が少ないな……」

 

ジャンヌ「まさかの4種類だけ。それもビームサーベル系統の武器がないなんて、すごい潔いと言いますか……」

 

藤和木「けど、それだけ彼自身の戦闘技能が高かったということです。機体性能もチューンナップされていて、ADXシリーズに引けを取らないのは技能と機能、2つが完全に型にはまっていたからです」

 

ビーシャ「確かに……人と武器の相性が完全にぴったり一致して、あの話になるから、鳥門……ううん、ザ・フェニックスは強かったんだね」

 

藤和木「シンプルな機能と武装で光樹君を追い詰めた彼は、おそらく当時もっとも最強の人類だったでしょう。さて、いよいよ最後の紹介になりまっす!」

 

レイ「だねー!最後は光樹君の義妹!」

 

ジャンヌ「過去の回想で、迷いを抱いていた光樹さんの道を示した少女、和藤華南さんの紹介になります!」

 

 

 

 

・和藤 華南(わとう かなん)

 

 

 

年齢 16歳

生年月日 西暦1998年8月22日

血液型 B型

身長156cm

外見 モデルは「這い寄れ!ニャル子さん」のクー子。髪は銀髪のツインテール瞳の色は藍色。表情は感情の上下の激しさはないものの比較的表情のバリエーションは多い。

好きな物 クレープ、リズムゲーム、義兄

嫌いな物 漬物、軟体動物、家族を愚弄する者

 

 

 

 

 かつてGKPに唯一の肉親であった傭兵の父「神足 レイジ」を殺された少女で、現在はGKSWAXPの総司令和藤光樹の義妹。当初の名前は「神足 カナン」

 父が存命だった頃は、傭兵部隊「リッド」の若きエースパイロットであり、次の隊長候補と隊長である父からもその実力を認められていた。しかし、GKPの襲撃時、前作戦で既に自身のMPが中破していて、父から出撃を禁じられて拠点の中枢で隠れながら、戦況をうかがっていた。

 だが、父の死ぬ瞬間を目撃したことで若さゆえに忘れていた「死への恐怖」が起こり、戦う意志との衝突で錯乱。光樹へと生身でナイフを向けて特攻するも取り押さえられる。

 その後は光樹に匿われたうえで捕虜として扱われる。父のいない世界に生きる意味はないと話すが、「お出かけ」を通して戦いから離れた世界を見せつづられ、次第に光樹に感化されていく。何度目かのお出かけののち、光樹達の動きを察知した鳥門の指示によって処刑を言い渡されるが、その際に光樹達に対し「生きること」を強く希望し、無事新生GKPことGKSWAXPに保護される。

 GKSWAXPに保護された後は、華南たっての希望から光樹の義妹に戸籍を変更。名前も本来の名前をベースに「華南」と名付けられ、光樹の家族となる。

 現在は兄と同じ高校に通いながら、新型MPのテストパイロットとしての活動がメイン。親を嫌う光樹としては、気兼ねなく話し合える家族であり、華南自身も光樹に対しての好意もあって仲睦まじい兄妹として過ごしている。

 光樹の行方不明後は当初華南に対しては情報の箝口令を敷かれていたがとあるミスで情報を知ることとなり、彼女も光樹の捜索隊に加わることを志願。だが、鈴から待機を命じられる。しかし、待機中も何か役立てるようにとテスト機体で試作型の武装のテストに志願したり、更には独自に光樹の場所を探しに別世界へと渡り歩いたりしている(その度にGKSWAXPのメンバーに捕まっているが)。

 

 

 

 

レイ「以上が、華南ちゃんの情報になるよー!」

 

ジャンヌ「華南さんは光樹さんにとってかけがえのない家族であり、理解者という立ち位置ですね」

 

ビーシャ「確か親を嫌っているんだっけ。それで妹だけに心を開いてるって、少し王道展開だね」

 

藤和木「少しそうかもね。けど、華南ちゃんにとっても、光樹君は自分の命の恩人だし。ちなみに華南ちゃんは両親に対しても友好な関係だよ」

 

R1「なんか、親の心配を華南が伝えてそうだよな」

 

藤和木「R1さん、まさしくそんな感じ!」

 

R1「当たっちまったか……。まぁ、光樹にとっても遠慮なしに話し合える家族が一人いるっていうのはそれだけ余裕があるってことなんだな」

 

ビーシャ「そんな可愛くて良心的な義妹のことを忘れているなんて、光樹もダメなやつだね!」

 

藤和木「んー、それを証明してしまっているというのは仕方のないことだね」

 

レイ「早く兄妹で再会できる時が来るといいねっ!」

 

ジャンヌ「そうですね。その時光樹さんはどんな顔をするのかも、楽しみですっ」

 

藤和木「さて、今回はここでお開きとなります。次回予告よろしく!」

 

ジャンヌ「はいっ。……ビーシャさんとR1さん達とお互いに助け合うことを誓ったネプテューヌ様と光樹さん達」

 

レイ「しばらくの間、分担分けで上手く国を治めていくみんな」

 

ビーシャ「だけど、その平穏はあっけなく崩れ去る……」

 

R1「偽情報におびき出された光樹達、本命を追いかける裏で、ビーシャと俺達に魔の手が迫る……」

 

ジャンヌ「盗まれたゲーム機、それを持ち去った2体のロボット」

 

レイ「そして、プラネテューヌで暴れるネズミの魔物と」

 

ビーシャ「事件を裏で糸を引くものに操られてしまったわたしとDRX!」

 

R1「2人を止めるために、ネプテューヌと光樹は、戦う!」

 

ジャンヌ「次回、「新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG」!」

 

レイ「第127話「支え合っていく者達」

 

ビーシャ「意識を闇に飲まれても、言葉は響く」

 

R1「誰かを救う力、それを今、ここに!」

 

全員『闇を切り裂け、ガンダム!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

藤和木「さーってみなさん!お待ちかね、新キャラというか、新アシスタントの紹介でーす」

 

ジャンヌ「う……まだあんまり認めたくないですけど……でももう呼んであるんですよね?」

 

藤和木「うん。でもジャンヌさんも休みが欲しかったんでしょ?」

 

ジャンヌ「……わたくしは、藤和木とも一緒に休みを取りたかったです……。……だから、わたくしの担当の時は甘えさせてくださいね……?」

 

藤和木「う、うん、分かった(あ、可愛いや)」

 

レイ「じゃあいっくよー!私達に追加で登場するアシスタントちゃんはこの2人~!」

 

シエラ・ムルセーヌ「えと、あ……こほん!シエラ・ムルセーヌよ。今回はこの男と伝説の救世主「ロロ」様からの命で、この男のアシスタントとして雇われることになったわ。……別に、緊張してなんか、ないんだから!」

 

藤和木「おお、ツンデレツンデレ」

 

シエラ「っ!!藤和木弘!あなたが毎回ちゃっかりとこの世界軸でのグランロロで活躍しているの、認めないんだから!」

 

藤和木「そのやつはまったくの非公式だから特に気にしてないですよ。次回からよろしく、シエラちゃん!」

 

ジャンヌ「シエラ……ちゃん?」(ゴゴゴ……)

 

シエラ「あっ……と、とりあえず、ちゃん付けはやめなさい。ジャンヌさんの思い人でもまだ認めたわけじゃないから」

 

???「シエラ、そんなに強く言っちゃだめだよ。仮にも雇い主さんなんだから」

 

シエラ「……ソニアもそんなに肩入れしないの!」

 

レイ「さてさて、ソニアちゃんも自己紹介~」

 

ソニア・A・ワスプ「あ、はい。レイさん。……は、初めまして、みなさんっ!わたし、トワイライトゴシック所属で、ジャンヌ・ドラニエスさんの後輩に当たります、シエラの友人のソニア・A・ワスプでしゅっ!……はうぅ~……また噛んじゃったぁ~……」

 

シエラ「ちょっと、本番でも噛んでどうするの!?」

 

ソニア「はうぅ~……ごめん、シエラ……」

 

ジャンヌ「まぁまぁ、シエラさん。結構ここ、話すときに噛んでしまう方が多いので、そんなに言わずに……」

 

シエラ「え?まさかジャンヌさんも台詞を言えなかったことがあるんですか?」

 

藤和木「あぁ、2、3回あったね。結構可愛い感じに噛んでくれたね」

 

ジャンヌ「も、もうっ♡藤和木ぃ……♡」

 

ソニア「はわわ……やっぱりジャンヌさん、男の人が出来て変わったんですね」

 

シエラ「え、……ごめんなさい、失礼だけど前と変わってないような気も……」

 

レイ「シエラちゃん、それは違うよ!ジャンヌちゃんは藤和木に惚れて、色々変わったんだから!ソニアちゃんの言う通りだよー」

 

ソニア「や、やっぱりそうなんですねっ!」

 

シエラ「いえ……対象が変わったというだけで、本質は変わってないような……」

 

藤和木「あー、シエラ並みに常識人な子がいると正常さがよく分かるわ。でもジャンヌさんの病んでるところが好きになる」

 

ジャンヌ「シエラさんも藤和木のアシストのために、この空気に慣れてくださいねっ。けど……藤和木を取るなんてことしたら……分かってますよね……?」

 

シエラ「……安心して、ジャンヌさん。それはあり得ないから」

 

レイ「あはは、藤和木とジャンヌちゃんの仲は裂けないって!」

 

ソニア「ほんと……そこまでくっついてるところをみると、そう思えます。ジャンヌさん、変わりましたね!」

 

藤和木「本当、私責任重大だわ。さて、次回から2回分はシエラとソニアがアシスタントを担当、そこからはランダムに組み合わせてアシスタントを選んでいきます。黒の館は全員集合に近いことになるかも?」

 

レイ「それじゃあみんな!これからも!」

 

ジャンヌ「この作品をよろしくお願いいたしますっ!」

 

ソニア「次回からよろしくお願いしましゅ!」

 

シエラ「また噛んで……え、もう時間が!?ま、また見なさいよっ!!」

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。アシスタントとして入ったシエラとソニアは2週間分を担当していただきます。

シエラ「まぁ、これまでジャンヌさんとレイの扱いを考えれば、これくらいの休みが妥当な気もするわ」

ソニア「うん。連続5,6か月くらいもアシスタントってすごいよね……」

レイ「まぁ、藤和木の実習にも付き合ってたから、つまらないことはなかったけどねー。でも私達もちゃんと詩姫学園から出てる宿題とかやったり、この世界を更に満喫したい!ってね」

ジャンヌ「そうなんですよね。帰り道とかにいい店とかがあったんですけど、藤和木が入りたがらないので、行けないから……」

ソニア「ちなみにどんなお店なんですか?」

レイ「あー、藤和木とか男の人が1人で入るのは厳しかったりするお店とか」

シエラ「……まぁ、可愛いもの系ってことにしときましょう。あっち方面っていうのもこの男に迷惑だろうし」

シエラさん、助かります。私が直接言ったりするのは警察事になりそうですからね。

シエラ「言うだけでそれって……あなた何なのよ」

最後の青春を謳歌している、学生ですが?

シエラ「あぁ、そう……」

ジャンヌ「でも、帰ってくるのは藤和木の部屋ですから、こっちも見ることはありますけれど♡」

ソニア「それでも、息抜き出来るのはいいことですっ。その間、わたしとシエラで支えるので、二人は楽しんでくだしゃい!」

レイ「あはは、また噛んでるよ。けど、二人とも、よろしくねー!」

さて、それでは今回はここまでかな。

ソニア「えっと、次回は1週間後の月曜日に投稿するそうです」

シエラ「次回も、また見てくださる?」


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第127話 支え合っていく者達

どうも、皆様、お元気でしょうか。今日は午前の授業ののち、就活関連で内定した会社に行ってました、藤和木弘です。

シエラ「えっと……どうも、みなさん。今週から前書きの担当になった、シエラ・ムルセーヌよ」

ソニア「藤和木さんと同じ会社を内定した人がたくさん来てました~。藤和木さんも色々な方と打ち解けていた感じですね。あ、どうもみなさん。ジャンヌさん達と交代して2週間分を担当させていただきます、追加アシスタントの1人のソニアですっ!」

うん、ソニアさんいい感じ。シエラももう少し表情とか言葉を柔らかく

シエラ「な、何よ!人を緊張しているように言って!わ、わたくしは緊張してないわ!」

ソニア「うーん、シエラ、藤和木さんの言う通りだよ?今日何があったかのことも言うようにってジャンヌさん達からも言われてたのに言ってないし」

シエラ「だ、だって、それは……。でも、ジャンヌさん達だって最初のうちは緊張で言えなかったり……」

あぁ、すまん。ジャンヌさんとレイさん、結構最初のうちも喋ってたぞ?

シエラ「う、嘘……。そうなの?」

うん。本編中に当時のやつ見せるから

シエラ「へ、へぇ……。で、でもまだここの紹介が終わってないわよ?」

ソニア「そうだね。じゃあ話の解説をしますっ!今回は第127話をお届けします。黒の館を挟む前は、光樹さん達の回想が終わって、みなさんでぷらねて……ぷ、ぷらねてーぬ?」

シエラ「ソニア、それを言うなら「プラネテューヌ」よ!」

ソニア「ご、ごめん……」

シエラ「もう!そんなに落ち込まないの。それで、今回は戻ってきての所からの話みたいよ」

説明ありがとう!流石にシエラは噛み間違いしないか

シエラ「当然よ!」

じゃあ、プラネテューヌって10回言ってみて?

シエラ「何でなのよ……まぁいいわ。プラネテューヌプラネテューヌプラネテューヌ……(カット!)プラネテューヌ!」

じゃあ、この子は?(ネプギアンダムの写真を見せる)

シエラ「ネプテューヌ!……はっ!」

ソニア「し、シエラ……」

シエラ「と、藤和木弘!騙したわね!?」

必ずしも引っかかりそうな名前を出すとは限らんさ!さて、支え合う者、その者達の未来が、今、交わる!それでは本編へ!!


 

 

 ビーシャ達の話を聞いて互いに助け合う関係を築くことになったネプテューヌ達は、プラネテューヌ教会に戻ってきていた。早くその理由を伝えたかったのと、ビーシャから誘われた、「やりたいこと」をやるためにだ。

 戻って来たネプテューヌ達にイストワール達が迎える。着いて早々、イストワールに話にあったことを伝え、すぐにやりたいことを開始する。ネプテューヌとしては、それで万事OK!だと思っていたのだが、そう上手く物事は運ばない。否、ネプテューヌ以外、その流れで強く納得する者はいなかった。

 なぜ、ネプテューヌの行動があまり認めてもらえていないのか。これは4回目の説明後の話となる……。

 

 

 

 

「てな感じで、これからは、わたしたち2人でプラネテューヌを治めていくことにしたんだ!あと、光樹達とR1はそのサポートだよ?」

 

 ネプテューヌは喜びに満ちた口調で、共に国を治めることを口にする。それを聞いている立場となっているイストワールも特に反対する様子を見せずに聞いている。だが、表情は決して喜んでいるようなものではない。

 周りのアイエフや光樹達も各々苦笑いや呆れの表情をしており、あまりその意見を歓迎しているようではない。

 だが、決してネプテューヌの意見に対してではなかった。その考えにはむしろ皆、今の状況を打破するのに有効な案だと考えていた。問題となるのは、今のネプテューヌの行動なのだ。

 イストワールが、その点について共同活動について理解を示しつつも追及する。

 

「……それは、何度も聞いています。そして、そのことについて反対意見を言うつもりはありません」

 

 ……あれれー?おっかしいなー。反対してないなら、これで話は終わりのはずなのに、なんでいーすんは怒ってるのかな?光樹達もなんだか様子がおかしいし、わたしは今、集中力をもって、作業に勤しんでいるのに、みんなジト目だったり、おてあげ状態みたいにため息ついたりしてさ。

 どういう意味か分からず、そのまま作業を行うネプテューヌとビーシャ。すると、イストワールがその作業について直接言及した。

 

「……ですが、どうしてその後ずーっと2人で遊んでいるんですか!!」

 

 イストワールは子供を叱る親のように怒る。そう、ネプテューヌは今、ビーシャと遊んでいる最中だったのだ。しかし、遊びと言っても今はプラモデルを作っている。だからこそ、ネプテューヌも「作業」と認識していて、イストワールにその時の状況を説明しながらそれを組み立てていたのだ。

 そんな様子を見ていた光樹達も怒るイストワールとそれをあまり気にしていないネプテューヌのやりとりを見て、苦笑を隠せなかった。

 

「ははは……やっぱりネプテューヌだな」

 

「せっかく光樹のあの話をしたってのに……少しはやる気を見せてもらいたいわ……」

 

「わ、悪い、鈴。俺からもビーシャに言った方がいいとは思うんだが……」

 

「なら早く言いなさいよ!?」

 

 鈴からの怒りのこもった要請がネプテューヌ達の方にも聞こえた。怒る鈴をネプテューヌは組み立て作業を行いつつも注意する。

 

「もー、ダメだよ鈴。そんなに怒ってたら、パーツを間違って切り離しちゃうかもしれないんだし」

 

「今問題にしてるあなたに言われたくないわよ!……もう、光樹とそっくりなんだから……」

 

「鈴ちゃん、あれほど光樹君は面倒じゃないと思うよー?」

 

 光樹を引き合いに出した鈴を絵里奈がなだめる。まだ納得がいった表情ではなく、もし言葉を間違えればまた怒りが爆発するだろう。

 一方、鈴の言葉を半信半疑な光樹がイストワールの怒りを察する。

 

「俺ネプテューヌ並みに面倒なのかよ……。けど、俺としてもここら辺りで中断してもらいたいところだな。イストワールの言う仕事を早くやることに関連するけど、もっと方針を決めないといけなさそうだし……」

 

「そうですよ!改変前も改変後もお二人は全く仕事に無関心なんです。今日こそは、お二人にしっかりと働いてもらいますからね」

 

 だが、2人の言葉に緊急性を感じないネプテューヌは、まだ遊ぶ宣言とも取れる発言をする。

 

「もうちょっとだけ待ってよ、いーすん。もう少しで、1/1ネプギアンダムのプラモができるからさ!光樹だってプラモ作ってたんだから分かるでしょ?」

 

 その言葉が、イストワールと鈴の機嫌を更に損ねる。2人の怒りはまさにもうボルテージMaxで、いつ堪忍袋の緒が切れるとも分からない状態だ。

 そんな様子を見て、最悪の事態を避けようと光樹と勇也がそれぞれの間を取り持つ。

 

「待てって!鈴、ここで怒るのは押さえろ」

 

「ネプテューヌも俺を話題に絡ませるんじゃない!確かにプラモ作ってるときに邪魔されたくないと言ったかもしれないけど、今はイストワール様と鈴の機嫌を悪くさせるのだけは……」

 

 怒る2人の対応に追われる2人の男子達。だが、そんなのをよそにビーシャがネプテューヌに完成状況を伝えた。

 

「ねぷねぷ!ネプギアンダムの上半身が完成したよ!」

 

「こっちもちょうど下半身が完成!」

 

「よーっし!じゃあ、さっそく合体させよう!」

 

「おっけー!」

 

 上半身と下半身の合体。それはプラモデルを作るうえで最も盛り上がるところだ。特にロボットのプラモデルであれば武器がまだだったとしても、本体が完成するだけで1つの完成形に到達する。そこから早く飾れることを楽しみにして武器を作っていくのが醍醐味だ。

 かなりロボットの方に詳しく、プラモデルを作っているという光樹なら分かってくれると思うのだが、あいにく光樹はイストワール達の仲裁中であった。光樹と共に本体完成を喜ぼうと思ったネプテューヌだったが、それができそうにないため残念そうに心の中で思いつつも、ビーシャの持つ上半身のパーツにこちらで出来た下半身のパーツに息を合わせて合体させる。

 

『せーのっ!ガッシャーン!』

 

 2人の息が合って、寸分の狂いなくネプギアンダムのプラモデルが完成する。上半身と下半身が合体し、無事完成形となったプラモデルを見て、ビーシャと大喜びする。

 

「やった!完成だよ、ねぷねぷ!」

 

「完成形の超合金もいいけど、こうして自分で作ったのもいいよね!光樹もそう思うでしょ?」

 

 先程あまり反応のなかった(本当はイストワール達の怒りを抑えていた)光樹にこの気持ちを共有しようと聞く。二度目となる声かけに流石に光樹もネプテューヌの方に反応する。

 

「あ、あぁ、そうだな。完成したんだから、もういいよな?」

 

 光樹の言う通り、これで完成したから、次にやることをやらなくちゃね。もう決めてるよ。それは……!

 ネプテューヌの言葉に先回りするように、ようやく安堵した様子のイストワールが仕事への誘いを言い渡す。

 

「そうですね。では、さっそく仕事を……」

 

「ねぇ、ビーシャ。もう1つ作ってみたいんだけど、オススメないかな?」

 

 ネプテューヌの考え。そう、それは次のプラモデルを作りたい、ということだった。実は、作っている最中から、他のものも作ってみたい気が起きていたのだ。先程の完成で、更にネプテューヌのプラモ精神が刺激され、新たな作品へ手を伸ばしたい、と思った。プラモ作りではよくあることだ。

ネプテューヌの言葉にイストワールが困惑した様子を見せる。イストワールだけではない。鈴も怒りが溜まってとうとうそれを口にする。

 

「あ、あの……ネプテューヌさん?」

 

「ちょっと?それ作ったら仕事やるって言ったわよね?流石にもうちゃんとその言葉録音してるからね?」

 

 鈴は手に持った変身端末を突き出している。しかし、そんな真面目な彼女達の言葉に耳を貸さず、ネプテューヌに次のプラモデルについてビーシャが勧める。

 

「じゃあ、このネプギアンダムVer.2.0はどう?細かくパーツが分かれているんだけど、塗装する時超楽なんだよ」

 

「ビ、ビーシャさん……?ビーシャさんもそれを作ったら働くって言いましたよね?」

 

 ネプテューヌの言葉に乗り気なビーシャも見て、イストワールが更に困惑する。もはや、イストワールの言葉は彼女達に届いていないようだ。

 それを見て、絵里奈が可哀想と思いイストワールに声をかける。

 

「まぁまぁ、イストワールさん、落ち込まないでー。もう一回声かけてみよ?」

 

 絵里奈なりの励ましがイストワールに贈られる。一方、そんなものは知らずというように、ビーシャからのアドバイスを受けて、ネプテューヌが悩みつつも塗装に挑戦することを伝える。

 

「塗装かぁ……。せっかくだし、挑戦してみようかな」

 

 そういえば、光樹は塗装はほぼしないって言ってたんだよね。光樹曰く、お金がかかるからってことなんだけど、ビーシャならもうそういう道具とかは持っていそうだし、このタイミングでやってみるのもいいかな?

 そんな考えもあり、ビーシャに塗装への挑戦を伝えるネプテューヌ。すると、ネプテューヌの予想通り、ビーシャが塗装道具の貸し出しを申し出る。

 

「じゃあ、今日は私の塗装道具を貸してあげる。本当なら、課金しても貸してあげないんだけど、ねぷねぷだから特別ね」

 

「わーい、やったー!」

 

 塗装道具を貸してあげるという申し出に手を上げて喜ぶネプテューヌ。ネプテューヌの初となる塗装作業に、興奮を隠しきれないのであった。

 対して、イストワールは絵里奈から励ましを受けたものの、話すタイミングを失ってしまっていた。

 

「あのー……」

 

 自身に注目して話を聞いてもらおうとするも、段々と自信を無くして、覇気のなくなった声では届くことはない。そのままネプテューヌ達は次の作品への制作へと取り掛かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネプテューヌとビーシャがプラモデル制作に夢中になっている様子を見つつ、光樹と鈴、それにR1はコンパ達の方へと行く。彼女達がいた机には既にネプテューヌとビーシャ、それにR1の分を除いた紅茶が用意されていた。

 そのうちの1つに光樹が手を付け、口にする。口を潤したのち、早速鈴が遊びに夢中な2人への愚痴を漏らす。

 

「まったく……あの2人、約束を守らないんだから」

 

「……ま、遊び人2人が意気投合したらこうなるわよ。多分しばらくはあのままよ」

 

 鈴の怒りの声にアイエフが落ち着くように言う。アイエフとしてもこうなることは分かっていたようで、既に諦めを感じてお茶会に徹している。無駄な体力を使うよりも、有意義に時間を使うことに重きを置いたようだ。

 光樹もこうなるのではと思っていた。しかし、比較的真面目な鈴、女神のサポートとして生み出されたイストワールにとってはこの予測不能な行動に非常に頭を悩まされることとなった。

 その2人に言い聞かせるように、コンパと絵里奈が口を開く。

 

「けど、ねぷねぷとビーシャさんが仲良くなって良かったです」

 

「うんうん、出会いこそよくなかったけど、結果的にこうして一緒に遊ぶまでになってよかったと思うよ?いつまでも意見の行き違いがあるよりも、意気投合できる環境の方がいいはず。2人とも、そう思えば気楽なもんだよ!」

 

 コンパ達の言葉を聞いて、少し気持ちを落ち着かせる2人。2人の言葉を聞いていた勇也もそれが結果的に良かったことを伝える。

 

「絵里奈達の言う通りだ。この状況を改善していくには、元の守護者と、改変で新しくトップとなった者達の共闘がカギになる。この状況は事態が大きく動く前触れになるはずだ」

 

「そうね。今のあの2人なら、こんなゲイムギョウ界でもこの国を良くしてくれそうな気がするわ。本当にこの事態が大きく動きそうな気も自然と思えてくるわ。……それまで、イストワール様の胃と鈴の堪忍袋の緒が持てばいいんだけど……」

 

 勇也に続けて言ったアイエフの言葉に思わず笑いが起きる。アイエフの例えはまさしく考えを射貫いていたからだ。イストワール達の我慢強さが、おそらくこの状況をよくも悪くもする要素のはずだ。

 そう思う中、アイエフが光樹とR1との関係について聞いてくる。

 

「そういえば、あなた達はもういいの?」

 

「R1とわだかまりがないかってことか?」

 

「そう。実際2人とも直接やり合ったんでしょう?」

 

 まぁ、そうなるよな。と光樹は思う。一応アイエフ達も光樹とR1の合体形態DRXとの戦いは話してある。ビーシャ達が話をして仲を深めたのに対して、光樹とR1は光樹の過去を語っただけで、特に何も認める理由になっていないように思える。

 だが、そうではないことをR1の言葉によってアイエフ達が気づかされる。

 

「その心配はねぇよ。そもそも俺はこいつに負かされた時点で認めてるさ」

 

「負けた時点で?」

 

「光樹さんと戦った後でですか?」

 

「あぁ。アイエフ達に会った時に言ったろ?俺達DRXの必殺技を真正面から打ち破ったって。その時点でもう覚悟が違うって思ったさ。そこに光樹の過去の決断を聞いた以上、光樹への不信感はなくなった。それにあんなことがあったからこそ、こいつがここにいるってのがよく分かったから、これでもう認めないなんてことはない。だから問題ない」

 

 R1からの言葉で光樹も頷く。確かに、お互いの必殺技を直接当てて、勝敗が決したのならその時点で少しは認めるだろう。加えて光樹の過去を聞けば、光樹がどういった人間なのか、記憶喪失でも本質が変わっていないのなら、疑いもある程度解ける。その2つが合わさったからこそ、光樹達とR1は共闘関係になんら問題はなくなったのだ。

 しかし、疑問がまだ残ることも事実。絵里奈がその点について聞いてくる。

 

「確かにR1とは仲良くなったけど、R2とかの合体要因のロボット達にはどう伝えるの?R1だけが聞いても分かんないと思うよ?」

 

 絵里奈の言う通り、今はR1だけがその事実を知っている状態だ。他の合体機である者達への説明はまた面倒になる。それに第一、必ずしも同じことを思うことはロボットであっても少ないだろう。

 しかし、そんな疑問をR1が打ち消す。

 

「問題ねーよ。俺達は合体するとそれぞれの記憶回路を共有するんだ。その話をそこで共有すれば話す手間が省ける。それに、俺達の心はいつも1つさ。合体攻撃で敗北した時に、それぞれ光樹の正義を認めていたから、大丈夫だって」

 

 話はあとで共有できる上にそもそも心構えが同じ。加えて同じタイミングで光樹を認めていたという事実。R1のその説明を聞いて、不安がっていた絵里奈も納得を示し、R1へと任せる。

 

「あー、そうなんだ。じゃあ任せた方がいいねー!R1、説明よろしくね?」

 

「おう、任せな!」

 

 絵里奈の頼みにR1が勢いよく答える。それを見て他の者達も安堵した様子を見せる。話が着いたのなら、早速行動に移すべきだろう。光樹は鈴達に声をかけつつ、記憶の共有を提案する。

 

「じゃあ、鈴、勇也、絵里奈。DRX組の記憶共有、一緒に行くか?」

 

「……まぁ、あの2人が動かない以上、あたし達で動けるものに動くしかないわね……」

 

「そうだな。物事はスピードが大事だ」

 

「よーし、早速みんなの意思確認に行こう♪」

 

「じゃあ第3格納庫に行くぜ!」

 

 R1を先頭に光樹達はR1の仲間が待つ、いつものプラネテューヌ軍基地の格納庫へと向かっていくのだった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。相変わらずのネプテューヌとビーシャのぐーたらに頭を悩ませるイストワールと鈴でしたが、次回には直っている……かも?

シエラ「かもって何なのよ……」

ソニア「シエラ、そこはお楽しみって言うものだよ?」

シエラ「あぁ、そう……。けど、今までの読み返してみたけど、光樹の性格、変わっていってる……っていうか、未熟さがなりを潜めてるわよね?最初と比べて」

うん、そうだね。光樹君も記憶を取り戻していくと総司令としての意識を高めているみたいだから。

ソニア「新しい武装に対しての反応も、今ではしっかりと受け答えしているように思えます」

さて、次回はこの1週間後の話となります。それでは今回はここまで!

シエラ「次回も1週間投稿らしいわね。そんなに進んでないの?」

夏休み謳歌しすぎたのよ……(´・ω・`)反省はしてる

ソニア「それじゃあ皆様!また次回ですっ!」


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第128話 強まる向かい風

どうも、皆様、ご機嫌いかがですか?1週間後と言ったな、あれは嘘になった、藤和木弘です。

シエラ「それ、「あれは嘘だ」よね?けど、それもわたくし達のおかげではあるけれど。どうも、皆様。この1週間の間、藤和木の執筆を限界まで進ませたわ、シエラ・ムルセーヌよ」

ソニア「ほんと、この1週間でここまで書けるなんてすごいですね!どうも、皆様!シエラと一緒に藤和木さんを最大限フォローしました、ソニア・A・ワスプですっ!」

うん、この1週間、学校もあるっていうのに今使ってるパソコンの制限時間いっぱいまで帰ってから書いてたからね。バトスピのデッキ調整する時間も結構減らしたし。

シエラ「その時間も削ればよかったんじゃないの?と言いたいところだけど、今日の最後のフリー対戦であれを見せられたら、ジャンヌさんのためにも言えないわね」

そう言ってくれると助かります。さて、今回は第128話、前回から1週間後のことになります。

ソニア「強まる向かい風、ってことは、何か嫌な感じがしますね」

うん、ネプテューヌサイド、そして光樹サイドにも少し世間と言う名の風が強まります。最後の方には、光樹君と鈴が犯罪組織への対抗策を考えますが果たして……?それでは本編へ!


 

 ネプテューヌとビーシャ、そして光樹とR1が同盟を結んで1週間が過ぎた。この1週間の間に、国には大きく影響を与えることとなった。

 まず、R1陣営との全面的な同盟。光樹と共に向かった第3格納庫にて、R1とその合体ユニット、R2とR3。それにサポートユニットのRマグナム・レイと鈴達GKSWAXPが直接邂逅したことだ。

 お互い最初の出会いこそ悪かったものの、R1の言う通り、合体した彼ら全員が光樹はもちろんのこと、戦いの場を用意した鈴達も仲間と認め、お互いがそれぞれの窮地を助け合い、行動することを約束。

 同盟の結果は高く、プラネテューヌ周辺の暴走モンスターをプラネテューヌ防衛軍とも連携して撃破。あのハネダシティ襲撃から今日まで街の占拠などの大事へ発展した事例はなく、この混沌渦巻くゲイムギョウ界の中ではまさに大成功とも言える成果となった。

 続いて国のトップの共同活動。これは街の治安を守るゴールドサァド・ビーシャと元国のトップであり、光樹達とは違う、仕事として依頼されたモンスターの討伐を担当するネプテューヌの分業体制だ。今までトップがモンスターの案件に関わらなかったことが原因で起きたハネダシティ襲撃の教訓を生かした非公式のようにも見える公式な2人のトップで活動することによってその不安をなくすことに成功。ネプテューヌもビーシャと共に街の人と関わることで徐々に女神の記憶を思い出し始める人も続出している。

 後のことは完全に予測していなかったものの、むしろ良いことであったため結果的に以前よりも治安・モンスター・それに変革以前への復興も夢ではないことを自分達にもたらすこととなった。

 しかし、よいこともあれば悪いこともある。これは1週間後のイストワールへの報告の話となる……。

 

 

 

 

 

「では、アイエフさん、鈴さん、報告をお願いします」

 

 イストワールから報告の要請を受けるアイエフと鈴の2人。彼女達は、ネプテューヌサイドと光樹サイド、それぞれの関係者の中で報告をする立場の人物であった。

 鈴は当初からこの役目で了承していた。というのも光樹では役不足、勇也はMPの機体の整備側であるため書類や報告などの作業に関わりづらい、絵里奈はあの喋り方から報告には向かないと判断され、残る鈴が残った、という形になっていたからだ。

 だがしかし、鈴も各々の得手不得手、事情、個性は把握していたため、それに自然と違和感はなかった。むしろ、これは平常運転とも言えた。

 光樹は比較的お偉いさんと話してて場慣れしてるけどむしろ相手の感情を逆なですることもあるし、そもそも今は記憶を失ってるから報告に穴が出る可能性がある。勇也に重荷を背負わせるわけにもいかないし、絵里奈は絵里奈で報告に向かない人物だし。それを全部考えると……やっぱあたしが適任になるのよね。

 諦めを心の中で持ちつつも、鈴はアイエフと共に報告する。

 

「国民の意識調査アンケートの結果ですが、先週よりもはるかに評価が上がっていました。おそらくですが、ネプ子とビーシャの役割を明確化したことにより治安の改善が図られた結果だと思います。ネプ子に関しては、急増している猛争モンスター危険種の討伐が国民から評価されているようです。ビーシャに関しては、相変わらず子どもたちに人気があるせいか主婦層の支持も高まっています」

 

「こちらもプラネテューヌ軍へのアンケートですけど、かなり軍への信頼度が高まっています。主にあたし達ガンダムとDRX、それにプラネテューヌ軍の切り札「パープルプロテクター」のそれぞれが協力し合って街に迫る脅威の殲滅を行っていることで、国民からの信頼を得ていることに起因していると思われます。特に光樹に関してはハネダシティ襲撃以降、武装化モンスターの討伐時の活躍がかなり軍にも高評価を得ています。細分化した調査結果では、特にメカニック系列の仕事を持つ男性にこちらは評価されている傾向です」

 

 2人の報告が終わる。アイエフからはネプテューヌとビーシャの行動による国民からの評価だ。以前の時よりも国民の心をつかんでいた。

 そんな一方、鈴の話は、光樹達が一時的に属するプラネテューヌ軍への評価だ。ガンダムチームとDRXの連携により、これまでの脅威はどれも街到達前に粉砕していた。

特に光樹はあの話以来、確実に動きがよくなっているように鈴には思えた。その証拠に、今まで苦戦していた武装化モンスターの討伐をDRXの協力もあってかなりスムーズに行えていた。まるで、何かに覚醒したかのように。

 本当、何が引き金になるか分からないもんね。あたしは心の中でそう呟く。あの話がきっかけで、光樹は徐々に記憶を取り戻してきてる。戦闘スキルが多いけど、あたし達と行動してた時の、中学3年生までの記憶が徐々に戻りつつあった。

 多分、今は初代メンバーとの交流が多いから。だから、他のメンバーとの交流も深まったりすれば、もしかすると……。

 何もかもが上手くいくわけではない。しかし、鈴は光樹の早期の復活を願う。そうでなければ、またあの黒いNPに……。その思いを考える中、イストワールが2人の渡した報告書を確認してから、報告に返答する。

 

「一時はどうなることかと思いましたが、これなら、プラネテューヌも安泰ですね」

 

「すごいです、ねぷねぷ。やっぱりねぷねぷはやればできる子です。光樹さんも随分活躍しているみたいですし、これなら上手くやっていけそうです」

 

「でしょ?これでもうプラネテューヌの不安要素はなくなったよー。この状況のまま、改変の黒幕を見つけていこうっ!」

 

 イストワールとコンパがその活動に安心したことを口にする。3人の言葉には鈴も同じ気持ちだ。特に絵里奈の言った「不安要素」がなくなりつつあることには報告をまとめていた鈴も見ていて安堵する結果だった。

 もちろん、まだ完全に安心できるわけではない。だが、それでも改変から1週間の時よりかは今の方が政治も軍事も上手く回っていると言えた。国を運営するうえで欠かせないこの2つが改善されたことは、今のプラネテューヌにとって非常に安定した結果を生み出すことになる。連携が出来れば、秘密結社アフィ魔Xの尻尾を掴むのにも良い影響を与えるだろう。

 とはいえ、ここで油断してはいけない。いつ秘密結社の介入で、この均衡が崩れるかも分からない。だからこそ、あたし達は常に脅威に目を向けないといけないんだから。

 そんな鈴の心配が早速現実のものとなる。

 

「えっへん!ドヤァ!」

 

 コンパからの褒めの言葉を受け、ネプテューヌは誇らしげに胸を張る。油断してはいけないと思った矢先にこの対応だったので、鈴の胸の内は不安が溜まっていく。

 その一方で、光樹の方は冷静さを持ってネプテューヌに忠告をする。

 

「あんまり余裕持ちすぎるとダメだぞ、ネプテューヌ。アイエフの報告書をちょっと見せてもらったけど、いいことばかりじゃないみたいだし」

 

 いいことばかりではないというのは、主にネプテューヌサイドの方の問題だった。詳しいことがネプテューヌへの叱りと共にアイエフが光樹の言葉に付け足しで報告する。

 

「光樹の言う通りよ。その反面、2人の良くない噂やデマもネットを中心に出回っていることも事実です」

 

「あ、あれ……?」

 

 アイエフの報告に戸惑いを見せるネプテューヌ。先程までいいことばかりを聞いていたので、悪いことが来るとは思わなかったのだろう。

 その報告に興味を示した、というよりも、危機感を感じたイストワールが更にその話を詳しく聞く。

 

「例えば、どんなものでしょうか?」

 

「「ビーシャに金を請求された」「ネプテューヌはいつも遊んでばかりで仕事していない」「平日の昼間に2人でおもちゃ屋で買い物をしていた」などです」

 

 いずれの話も、ネプテューヌサイドで活躍する2人に対する問題だ。悪い噂は根絶すべきなのはどこの世界でも常識ではあるが、この内容は、残念ながらどれも事実であった。

 イストワールもそれを感じていて、否定することなく事実を受け止める。

 

「……ある意味事実ですね。ちなみに、これはどこからですか?」

 

 一体その情報はどこからなのか。イストワールからの問いに、アイエフの口から、語られたのはようやく聞きなれるようになったこの世界のサイトの名前だった。

 

「ネット掲示板のNちゃんねるで最も多く見かけた書き込みです」

 

「Nちゃんねる……ホント、こっちの2ちゃんねると同じね」

 

 Nちゃんねるとはこの世界でのインターネット中心のニュースが多く乗っているサイトだ。その内容は、鈴達の世界での2ちゃんねるというサイトと同じような感じであり、この世界での2ちゃんねるがNちゃんねるなのだろうと思っていた。

 呟いた鈴に目を向けつつも、アイエフが更にその影響を伝える。

 

「ですが、そのせいもあって、『@将軍のまとめサイト』などの有名ブログにも取り上げられています」

 

「もう、失礼しちゃうよね!たまたまあの日は休みだったから、ビーシャと遊びに出かけただけだったのに」

 

 休息の時をサボりの証拠として押さえられた結果にネプテューヌが文句を言う。いつもなら、ネプテューヌに同情する気はないが、今回は流石に酷いものだと思う。

 事実、この1週間ネプテューヌは真面目に働いていた。イストワールが普段こなしているものより量は少ないものの、それでもまだ仕事をしている方だった。その合間に仕事の進み具合を考慮して、イストワールからも休憩のOKサインをもらって外へ遊びに行っていた。今のこの大変な時期に遊ぶべきではないとは思うが、それでもネット民の言葉に反感を抱いた。

 すると、その情報に対して、疑問がアイエフの口から語られる。

 

「……けど、どうして教会でのネプ子のことまでまとめられているのかしら」

 

「……あのぉ、それってどういうことー?」

 

 アイエフの疑問に絵里奈が問う。疑問にした点がよく分かっていないためだった。言葉の内容から、なんとなくおかしな点を察した鈴はアイエフに更に追及していく。

 

「おかしな点って……もしかして、教会での行動が書かれてるってこと?」

 

「そう。教会内でのネプ子の行動が見て取れるように分かってるのよ」

 

 そう言ってアイエフがタブレットに表示させた記事を見せてくる。サイトは先程も名前に上がっていた「@将軍のまとめサイト」である。

 記事の内容を見ていく。すると、確かにアイエフの言っていたおかしな点がよく分かる。例えば、ネプテューヌがぐうたらしているという情報の所。この時はネプテューヌがビーシャと一緒におやつを食べていた、というものなのだが2人が食べていたものがすべて書かれていた。それも出鱈目ではなく、そのメーカーまで記されていた。

 なぜ、ネット系列の物でも、ここまで情報が正確なのか。この情報の正確性は軍の諜報部並みの情報。それが言い過ぎだとしても、最低でも情報を多く集める力の強い週刊誌の記事程には情報が正確だ。

 しかし、その正確性も、あくまで事実に対すること。このまとめサイトは欠けているものがあった。公平性だ。そのことについて、ネプテューヌも口にする。

 

「てかさ、この『@将軍のまとめサイト』ってヤツ?記事のまとめ方に悪意がありすぎるんだってば。見てよ、ネガティブな噂が必ず記事の最後に来るように順番を変えてるんだよ」

 

 そう、ネプテューヌの指摘通り、このサイトの国関係の記事は、いずれも悪印象を与えるものが多かったのだ。記事のまとめ方に共通性があるというのは整理されているという印象を与えるが、それでもこのやり方は関係者に誤解を与えかねない。

 その影響で、後に書かれた感想的な欄にも、その影響を真に受けた人が多く記事に流された内容の意見を書いている。

 これらを含めて、この書き手はかなり偏見を読者に植え付ける人物のようだ。だが、国への不満を煽るにはこれほど完璧に先導するのは流石と言うべきだろう。

 

「こういう記事の最後のコメントって、書き手側が意図しなくても、読み手側は記事の結論として受け取るってベールが言ってたもん」

 

「確かに、言われてみればそうかもです」

 

 ネプテューヌの言葉に、コンパが納得する。絵里奈も頷きを見せている。彼女達もネプテューヌの指摘に納得したのだ。

 

「絶対、このサイトの管理人、わたしに恨みある人がやってるよ」

 

「まぁ、その考えは正しいかもしれないわね。現にこのサイト、あたし達関連でもかなり偏見を書いているし」

 

「え?俺らにも?」

 

 と光樹が疑問をかけてくる。光樹が知らないのは当然だ。鈴も全員にいちいち教えているわけではない。これを知っているのは今現状、勇也のみ。その勇也も鈴の書類制作の手助けをしていたがために知った過程があるため、ほぼ偶然だ。

 鈴はすぐにその実態を言葉にする。

 

「えぇ。特に光樹に対してなんだけど、そのサイトで取り上げられていたの。……「世界を混沌へと導く、異次元からやって来た戦いの魔王」ってことでね」

 

「戦いの魔王……」

 

「魔王って……確かに光樹君、戦闘では容赦ないところあったけど……」

 

 その話を聞いて、当の本人である光樹に加え、絵里奈も否定する。そんなことはないのだが、やはり外の世界の人物だとそう思われる例も少なくない。

 だが、問題はそれだけではない。問題はなぜ光樹が別世界の住人だと分かっているのか、だ。改変後は把握しているが、改変前も光樹の話では別世界の人物であることは特別な場所を除いて、ほとんど別世界の住人であるということは伏せているという。

 記憶喪失については話しているものの、それでもこのサイトでは光樹は別次元の住人であることが語られている。知っている人物から聞かねば分からないはずの事実を、なぜここで書いている人物が知っているのか。諜報活動に長けた人物がいるのか、それとも……。

 疑問がうずめく中、イストワールもそれに対し重く感じてコメントする。

 

「光樹さん達について国民への正式な発表が必要かもしれませんね。ただ、今はコメントすべきではないかもしれませんが」

 

「機を見て発表するのが得策でしょう」

 

「発表は最低でも国を十分安定させてからの方が良いだろう。でなきゃ問題に足を絡まれて突発的なことに対応できないからな」

 

 鈴と勇也がそれぞれ情報の取り扱いについて提案をする。イストワールもその意見に賛成し、それに沿う。

 

「そうですね。光樹さんの件は、また機を改めて発表する方向で、今は事態の沈静化を図りましょう」

 

 そう結論づいたところで、話はまたネプテューヌ達の問題に戻る。つい先ほどのネプテューヌの発言に引っかかったコンパがその疑問について聞く。

 

「それで、ねぷねぷ?もしかして、身に覚えがあるんですか?」

 

 コンパからの質問に、ネプテューヌは目を見開く。そして、相手の考えを予測した。自信満々の目をして。

 

 

「そりゃあ、これだけキュートでチャーミングでとっても強いわたしに嫉妬してる女の子に決まってるよ!」

 

 

 驚くほど、自己陶酔じみた考えだった。そんなもの、本気で考えていても、ここまでする人間は果たしているのだろうか。いや、余程狂った人間でもなければ、そうは考えないだろう。

 下手すると、自分を悪役として考えているような発言をしたネプテューヌを見る周囲の全員は反応に困っていた。イストワールや光樹はおろか、あの絵里奈も口を開いて呆然としているくらいだ。

 だが、ネプテューヌの自己中心的な発言は止まらない。

 

「あ、もしかしたら、わたしが高嶺の花過ぎて近寄りがたいから失脚したところをアプローチしようと考えている男の人だったりしてー!いやぁ、これだから人気者は困るなぁ」

 

「……高嶺の……花?」

 

「え?誰のこと言ってるの?アイエフちゃんがってこと?」

 

「残念だけど、ネプ子が言ってるのは自分自身ね。でも、別にあんたは人気者だったとしても、高嶺の花なんかじゃないっての」

 

 光樹に絵里奈、それにアイエフがそれぞれネプテューヌの言動に引きながらも現実をぶつけていく。話を聞いていたイストワールも呆れてしまって話を逸らす形で元に戻す。

 

「理由はどうであれ、この2つの問題はどうにかしなくてはいけませんね。プラネテューヌだけでなく、他の国でも同様に、ゴールドサァドと女神様達の悪い情報ばかり記事にされていますし」

 

 イストワールからの情報を聞いて、鈴達も気を引き締める。そう、問題が起きているのはプラネテューヌだけではない。防衛隊とのコンタクトで他の国でもよくない噂が多数流れていることが判明していた。

 一応、後の3国家それぞれにはレッド・ホワイト・アズールの3チームが分かれてる。けど、通信状況が悪いのか、それともそれぞれの国の妨害なのか、あるいは取り込み中だったのか、なかなか通信が繋がらない状況。やっとの思いでレッドの方には繋がったけど、それも今は取り込み中とのことですぐに切れたし、これは厳しいところだわ。

 鈴がどうすればいいのか考えている間に、ネプテューヌが次のための行動を口にする。

 

「となると、うかうか外出もできないよね。ってことで、プラネテューヌの為に、しばらく部屋に引きこもりまーっす!」

 

「……はぁ。どうすればそういった考えに行き着くのでしょうか」

 

「あんまりそれは得策じゃないかもー」

 

 ネプテューヌのサボり発言に頭を抱えるイストワール。それをフォローするように絵里奈もネプテューヌの考えに反発する。

 絵里奈の言う通り、それは却って悪手だろう。敵は室内の様子も知りえる存在。何か、トラップを仕掛けてくる可能性もある。ならば、中より外の方が安全ということも考えられる。いずれにしろ、ここで大事なのは行動すること。それも、ちゃんと仕事に集中することなのだ。

 

「まぁ、閉じこもるのもあんまり良くはないから、ネプテューヌは今まで以上に仕事を行いつつもこれまで通りに過ごして。後はあたし達の方でも考えてみるわ」

 

「うん!参謀組に任せるっ!!」

 

 馬鹿正直にネプテューヌはこちらにすべてを任せる。少しはネプテューヌにも案を出してもらいたいところではあったが無意味だろう。

 

「ネプテューヌがサボる分、俺も協力するよ。まずは国中の防犯システムの再チェックか?」

 

「光樹……。そうね。手始めにそれをもう一度考え直しましょう」

 

 光樹からの提案を鈴は受け入れる。人に関わることでも、広がったものへの始末より、広がる元を断つことが最優先だ。

 鈴の了承を聞いて、勇也とアイエフも頷く。

 

「了解だ。システム系は今は俺が担当しよう。光樹ほどじゃないが、今よりは良くしてみせる」

 

「あたしも、教会の警備の強化を依頼しておくわ」

 

「頼んだわよ、2人とも」

 

 鈴の声を受け、2人はそれぞれの持ち場へと向かう。2人が出て行ったのを見送ると、光樹が辺りを見回して聞く。

 

「あれ、そういえばネプテューヌとコンパは?」

 

「そういえば……そうね。あの2人はどこに行ったのかしら?」

 

 鈴も今気づく。ネプテューヌとコンパがこの部屋のどこを探してもいないのだ。部屋を出ていったのかと思うと、絵里奈が先程の行動を話す。

 

「あー。そういえばネプテューヌちゃんの誘いを受けて部屋にゲームしにいったよー?」

 

「え、マジでやりに行ったのか?」

 

「うん。大マジー!」

 

「ちょっと……あんな有言実行しないでよ……」

 

 光樹の聞き返しに絵里奈が先程の説明と同じように返す。まさかとは思ったが、本当にゲームをしにいくのは鈴も予想外だった。

 全く……何やってんのよあの2人は。こっちは防犯系の見直しをするっているのに!それは確かに、あの2人はそういった作業に向いていないわ。けど、それでも「手伝えることはある?」とか聞くのが筋ってもんでしょう。

 過ぎたことに苛立ちを立てる鈴。その横で絵里奈が2人の先程までの様子を説明する。

 

「うーんとねー。なんか、ネプギアちゃんが修理してたゲーム機に対応したゲームソフトを見つけてきたんだって」

 

「ゲーム機……?なぁ、ひょっとしてそれって渦巻きマークがついてるとか言ってなかったか?」

 

 絵里奈の説明に光樹が反応して話を聞き入る。何を聞いているのか、もしや、光樹もまたサボりたいなどとは言うのではないかと警戒するが、そうではないことが明らかになる。

 

「えー?確か……うん、そんなこと言ってたような気がするー」

 

 その言葉を聞いて、光樹は真剣そうな表情をして鈴に話す。

 

「なぁ、確か、俺が別次元に言った時の話は知ってるよな?」

 

「え?……あぁ、そういえばゲーム機を操作したら別の世界に行けたって話だったわね。もしかして、そのゲーム機?」

 

「たぶん、いや、間違いなくそうだ。この件とは関係ないかもしれないけど、あれについても調べてくれないか?過去のデータから分かると思うんだが……」

 

 光樹からの頼みを聞いて、若干迫力に押される。記憶を失っているというのに、この圧迫感……何かを掴み始めている雰囲気だ。まさに、記憶を失う前の、事件を、裏の戦略を感じ取った光樹の様子だ。

 そう言われてしまえば、鈴も断る気にはなれない。それに鈴も少し気になることがあった。そこで鈴はその理由を光樹に問う。

 

「別にいいけど、その理由は?」

 

「犯罪組織がゲーム機を探してるって言ってただろ?俺達が別次元へ送られたのもゲーム機によるものなら、もしかすると……」

 

 ……まさか、ここまで同じように思っちゃうなんて、あたしもまだまだか……。それとも、光樹の直感が戻って来たのか……。

 光樹の記憶の復活速度に感服しつつも、どこか納得のいく鈴。そう、鈴も先程の光樹と全く同じことを考えていたのだ。

 となれば、返す言葉はただ1つ。鈴は返答する。

 

「……分かったわ。それも調べるわ。でも、その作業のメインはアンタと絵里奈。それでいい?」

 

「あぁ!言い出しっぺだからな」

 

「私も光樹君と一緒なら万事オッケー!!」

 

 これで役割は決まった。話を聞いていたイストワール達も光樹達に応援の言葉を贈る。

 

「それでは光樹さん、絵里奈さん。秘密結社の事件の派生調査、よろしくお願いしますね」

 

 

 こうして、鈴達は自身の担当するものに取り掛かっていった。

 

 

 

 その裏で、既にアフィ魔Xの諜報員がすぐ近くまで迫っていたことに気づくことなく。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。ここからネプテューヌ編の後半戦になっていきます。

シエラ「そんな感じはするわね。状況の一部好転と陰で活動する諜報員っていうのが特にそれを感じさせるわね」

ソニア「でも、わたし一番見てて思ったのが、ネットで色々書かれてるってことだなぁ。やっぱり人のうわさってそういうのが強調されて伝えられちゃうんだなぁ、って思いました」

それは仕方ないところあるよ。ネットではそういうのを完全に否定は出来ないし、現実でもそういうのはあるから。

シエラ「あなたがそういうこと言うなんてね。てっきりそっちの方だと思ったわ」

しょぼーん(´・ω・`)いや、否定は完全に出来ないけどさ。けど、次回から遂にネプテューヌ編で秘密結社が大きく動きますよ。

ソニア「そうみたいですね。光樹さん達が活躍するの、楽しみでしゅ!は、はぅ!また噛んじゃったぁ……」

シエラ「そろそろ慣れなさいよ、ソニア……。それで、来週からはわたくし達とレイ・ジャンヌさんのタッグを1週間おきに組み合わせるのだったかしら?」

そうそう。次の時はジャンヌさんとシエラで行くつもりだから。

シエラ「早速あなたのお気に入りペアで行くのね……」

お嬢様×お嬢様とか良くない?

シエラ「知らないわよ……」

ソニア「けど、ってことはその次はわたしとレイさんですか?」

にしようとは思ってる。楽しみにしてて。

ソニア「はいっ!ナンバーワンディーバのレイさんと話すの、すごく楽しみですっ!」

ってことで、今回はここまでです。

ソニア「次回は土曜日の更新になります!」

シエラ「じゃあ……次回も待っていてくれると嬉しいわ」


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第129話 渦巻きマークのゲーム機、動くアフィ魔X

どうも、皆様お元気でしょうか。この1週間、ずっとSSRの遅れを取り戻す作業をしていました、藤和木弘です。いや、ホント、マジです

ジャンヌ「バトスピのデッキ調整もやらずにひたすら文字を打っていましたからね。お疲れ様ですっ♡どうも、皆様。今週からアシスタントに復帰しました、ジャンヌ・ドラニエスですっ!」

シエラ「少し詰め過ぎた感はあるけれどね。どうも、皆様。今回はジャンヌさんとお届けするわ、シエラ・ムルセーヌよ」

うん、先週も言ってたけど、なんかすごい執筆が今まで以上に進むよ。これも就活という枷が外れたからなのかな

シエラ「枷って言うのどうなのよ……」

ジャンヌ「それは悪い方向に連想させてしまいますよ……」

けど本当に良く進むのは事実。とはいえ夜更かしMaxだから頭痛とかもするんだけどね。さて、今回は第129話をお届けします。

シエラ「今回は、いよいよアフィ魔Xが動くみたいね」

ジャンヌ「えぇ、そうですね。前回の終わりでアフィ魔Xの構成員が聞いていたようですし」

一応大筋は原作通りだけど、それでもこの先どう展開するのか?それでは本編へ!


 

「うむ。ステマックスよ、ご苦労であった」

 

 跪くステマックスに対し、アフィモウジャス将軍はねぎらいの言葉をかける。彼は先程、諜報活動から戻り、その内容を報告していた。

 報告していた内容とは、プラネテューヌ教会内で耳に挟んだ、ゲーム機の情報であった。本来ならステマックスはプラネテューヌ教会に侵入し、再びネプテューヌのぐうたら情報を仕入れ、主である将軍のサイトのネタを集めようとしていた。その際、ちょうどネプテューヌ達が会議をしていたため盗み聞きをしていたのだが、そこで思わぬ事態が生じたため、戻る時間を早め、事態を伝えるべく戻ったのである。

 その事態とは、防犯体制の強化……ではない。ネプテューヌがコンパに話し、絵里奈が光樹と鈴に伝えた、渦巻くマークのゲーム機について、であった。

 なぜネプテューヌ達が持つゲーム機が原因なのか。それは簡単。それこそがアフィ魔Xが探していた、マジェコンヌやワレチューが盗んでいたゲーム機その実物だったからだ。

 見つかったという事実に気味の悪い肌をした魔女、マジェコンヌとエクスがその事実を納得して受け止める。

 

「見つからないとは思ったが、まさか、女神が持っていたとはね」

 

「となると、やつらが我らと戦うことになったのもそれが遠縁だろう」

 

 2人はこちらには事情の分からない話をする。おそらくだが、彼らが女神達と出会った時のことを言っているのだろう。

 

「ありかさえわかれば、あとは奪うのみ」

 

「既に我らの手中に収めたも同然の状況だな」

 

「ではステマックスよ。例のゲーム機を頼む」

 

「騎士ローゼンは合流ポイントにて待機。いいかね、2人とも」

 

 魔女と機動戦士の2人が手に入れたことを確信する中、冷静に将軍とシナンジュ王がステマックス、それにローゼンに指示を出す。今回はまずステマックスが潜入し、その後ローゼンと合流してそのままここに帰還する流れであった。

 ここまでやる必要は本来ならないはずだったでござるが……やはりこれも、和藤光樹の影響によるものでござるな。拙者は話を盗み聞きしていた時のことを思い出す。ゲーム機の話を聞き終わり、帰還する準備をしていたところで、更に話が続いていた。気になった拙者は危険を覚悟でさらに聞いていたでのであるが、その時和藤光樹はもうあのゲーム機に目をつけていたでござった……。

 そのことはもちろん将軍と王には話してあるでござる。それを聞いてのこの任務……これは責任重大でござる!

 ステマックスも緊張感が高まる中ローゼンと共に了解の音声を発する。

 

「御意!」

 

「お任せください、王」

 

 重大な任務を受け、2人の声の調子が高くなっていた。それだけ、信頼されていることに高揚感を感じていたのだ。

 対して、話を聞いていた側のマジェコンヌが、その決定に待ったをかける。

 

「おいこら!何故私ではなく忍者なのだ!貴様も知っているだろう、私もそのゲーム機を探しているとな」

 

 プラネテューヌでのゲーム機確保は、元々マジェコンヌとワレチュー、加えてエクスの領分だ。彼女としては、仕事を奪われたようなものだったため、反論を行ったのだ。

 すると、アフィモウジャス将軍がマジェコンヌへこの判断の理由を説く。

 

「それは重々承知している。だが、在処が分かった今求められるのは確実さ!しかも場所は教会!失敗は許されないのだ」

 

 力強い将軍の言葉には、とても説得力があった。失敗できないからこそ、慎重に行くべき。となれば、諜報に長けたステマックスを突入させるのが得策だ。

 だが、その言葉が逆にマジェコンヌを逆なでしてしまった。

 

「私が失敗するとでも?」

 

 が、そこでいち早くマジェコンヌを説得した人物がいた。シナンジュ王だ。

 

「あぁ。失敗、というよりも、君の場合は派手に起こし過ぎるだろうね。」

 

 一切の優しさもない、冷徹なまでの指摘がマジェコンヌに対して放たれた。1つ間違えばこの協力関係が崩れる可能性もある。そのうえでこの発言はかなり勇気のいる行動だろう。

 しかし、シナンジュ王はそれよりもリスクが出る可能性の方を危惧したのだ。もちろん、言葉にも気を付けて、明らかな悪口ではなく、理性的に失敗する理由を語っている。マジェコンヌが余程の単純な頭をしていなければ、言葉の意味を理解するはずだ。

 更に本来はマジェコンヌと同じ立場であるエクスも、王の言葉に賛同してマジェコンヌに意見する。

 

「王の言う通りだ。悔しいところもあるが、この任務に関して言えば、彼らの方が適している。戦闘メインの我らよりも、彼らに任せてみようではないか」

 

「くぅ……エクスまで……」

 

 エクスからの発言もあり、マジェコンヌは手柄を取られたような表情をする。本来なら自分の役目であったはずが、手柄を取られる形となったのだ。無理もない。

 とどめと言わんばかりにワレチューのツッコミがマジェコンヌのプライドを抉る。

 

「確かにオバハンは騒ぐ方が合ってるっちゅ。けど、騒いだところで、前みたいに女神達にやられるに決まってるっちゅ。もうそのことも忘れたっちゅか?これじゃあ、オバハンじゃなくて、ババアっちゅね」

 

「ガキに蹴られて捕まった情けないネズミは何処の誰だっただろうな?」

 

 痛いところをついてきたワレチューにマジェコンヌも皮肉をぶつける。ワレチューは比較的上手くやってきていたが、前回の時は関係ないところで女神と遭遇し、その際に現れたゴールドサァドの活躍によって囚われている。マジェコンヌを乏しめるつもりが、彼自身も失態を犯していたところを指摘されてしまった。

 それを境に、2人の言い争いが始まる。

 

「年増のオバハンにだけは言われたくないっちゅね」

 

「ドブネズミ風情が生意気な口を……!」

 

 互いに不満を高めていく。シナンジュ王のように誰かの失敗を追及するときに遠回しに言えない2人では、直接的に相手の悪口を言ってしまうが故にこうなってしまう。お互い自分の非を認めたくないがためにだ。

 どちらも一歩も引かない悪口合戦。だが、いつまでもこうしておくのは良くない。空気もそうだが、これ以上の言い争いは将軍にも悪影響を与えてしまう可能性があったからだ。

 それに王の方も比較的冷静ではあるが、手間をかけさせると後でローゼンが機嫌が悪くなる可能性もある。いや、普段のことを考えると、王の手間をかけさせた事柄には確実に怒っていた。

 こうなれば自分が何とかするしかないでござるね。拙者は2人の仲裁を行う。

 

「双方ともやめるで御座る。将軍と王の御前で御座るぞ」

 

 ここで積極的に止める方に行動したステマックスの行動は正しかったであろう。これ以上の時間の浪費は誰も望んでいなかったからだ。

だが、それと同時にステマックスに対しては厳しい言葉がかけられることになった。マジェコンヌが横やりを入れてきたステマックスを軽く罵倒する。

 

「空気忍者は黙ってな!」

 

「く、空気!?」

 

 変な罵倒のされ方で、他のメンバーはおろか、ステマックスですらもどう反応すればいいのか戸惑ってしまう。が、そのおかげもあってか、マジェコンヌもようやくそれらの話の決着を飲む。

 

「アフィモウジャス、シナンジュ、それにエクス。お前らがそこまで言うなら、ここはおとなしく空気忍者と悪趣味騎士に譲ってやるよ」

 

 さりげなくステマックスと同じように馬鹿にされるローゼンだったが、ローゼン本人はそれを聞いてもあまり関心がないように放っていた。彼にとっては自身が罵倒されることは王が関わらなければどうでもよいからだった。

 しかし、作戦内容を飲んでも、マジェコンヌはまだ諦めない。マジェコンヌは釘を刺して言う。

 

「ただし、失敗したらわかっているだろうね?」

 

 自分から手柄を奪うのだから、当然失敗はしたらどうなるか、とでも言うような発言を受ける。だが、失敗することなど、鼻からステマックス達は考えてはいない。これ以上の言い合いを避けるため、2人は沈黙でこの場を治める。

 

『…………』

 

 しばらくの間、沈黙が続く。その沈黙を破ったのは、ワレチューの言葉である。

 

「まったく、自分勝手なやつっちゅ」

 

 ワレチューの言葉が、マジェコンヌを指しているのか、それとも止める側であったステマックスを指すのか。おそらくは前者だろうがそれに対してマジェコンヌは特に言わなかった。

 意見がようやくまとまったところで、将軍と王から任務への出発を指示される。

 

「ではステマックスよ。頼んだぞ」

 

「2人とも、気を引き締めていけ。もう既にステマックスからの報告があったように、警戒を整えている可能性もある」

 

「はっ、御意に!」

 

「お任せください」

 

 2人の了解の声が響くと、2人は部屋の外へと出る。

 

 

 

 

 部屋を出たところで、後ろからまた扉の開く音がする。見るとそれはマジェコンヌと言い争っていたワレチューである。

 何かと思うと、その口から出たのはマジェコンヌへの愚痴であった。

 

「オバハンの信用もすっかりガタ落ちっちゅ。まぁ、あれだけ失敗すれば当然っちゅね」

 

 ワレチューは近くにマジェコンヌがいないことをいいことに、堂々と悪口を言っている。相当ストレスが溜まっていたようだ。

 そんなワレチューに同情して、マジェコンヌの失敗したことを口にする。

 

「プラネテューヌだけでなく、リーンボックスでお失敗したらしいで御座るな」

 

「まったく、年増のババアでは任務も達成困難とは、愚かなものだ」

 

 リーンボックスでの件とは、リーンボックスのゴールドサァドを狙って起こした事件のことだ。そちらの方もプラネテューヌの時のように、女神とガンダム達に阻まれたらしい。

 ここまで事件の流れを変えられるとは……やはり和藤光樹……いや、ガンダム達はかなりの障害のようだ。どうにかせねばなるまい。

 任務の無事遂行ためにも、ステマックスはワレチューに頼みごとをする。

 

「ところで、ワレチュー殿。この度の任務、手伝ってほしいことがあるので御座るが……」

 

「オイラにっちゅか?けど、人手なら、もうローゼンでも足りるんじゃないっちゅか?」

 

 いきなり頼まれた協力要請に、ワレチューは疑問を浮かべる。だが、頼まれたことにワレチューも嫌とは言わず、協力することを告げるとともに、先日の逮捕の件について聞く。

 

「けど、人手が足りないっていうなら手伝うっちゅ。そういえば、なんでお前らはオイラが捕まった時に情報を漏らしたことを話さないっちゅか?」

 

 ワレチューは情報を女神達に知らせた、というより吐かされた幸いにもステマックス達の救援を受け、無事脱出した。それから1週間程度。失敗をしたのに咎めがないことに疑問を持つのは予想できた。

 特に隠す必要もない。ステマックスとローゼンはその問いに答える。

 

「マジェコンヌ殿による無作為なゲーム機の窃盗が繰り返されれば、いずれバレていた情報で御座る」

 

「既にそのきっかけが起ころうとしているのなら、今更情報の漏れで騒ぐ必要もない。それにお前のことを思ってのことではない。今回は、それが必要ないと考えてのことだ。それ以外に理由はあるか?」

 

 彼らの予想では、そろそろ情報が漏れ始めてもおかしくない事案であった。ならば、それを止めることよりも、次のことに目を向けなくてはならない。だからこそ、2人はワレチューのことを報告しなかったのである。

 その言葉を受け、ワレチューが肩を落としつつ、現実を語る。

 

「けど、“ほうれんそう”は社会人の常識っちゅよ。何かあった時に怒られるのは、じぶんっちゅよ」

 

「言われるまでもない。必要になれば隠さず言うさ」

 

「もちろん、この任務も必ず拙者らが成し遂げるで御座るからな」

 

 自信満々に任務の達成を予告するローゼンとステマックス。そんな2人の目を見て、ワレチューも2人の作戦に乗ることにした。

 

「じゃあ、段取りを説明するっちゅ」

 

「分かっている。まずここだが……」

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。今回は短めのお話になりました。

ジャンヌ「5000字に満たないって最近の話でも珍しいですよね」

シエラ「と言っても、次回のやつチラッと見たけど、次回はネプテューヌサイドの一部をカットしてるみたいね」

まぁ、その部分をここに持ってきても良かったんだけど、それ読むのも面倒くさいだろうなってことで省いておきました。ただ、次回は光樹サイドで秘密結社の起こした事件の始まりを描くので、原作ゲーム見てない人でも詳細は分かると思います。ではそろそろ次回予告です

シエラ「次回も6日更新よ。つまり金曜日に投稿するわ」

ジャンヌ「それでは皆様、また次回お会いしましょう」


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第130話 再来する危機、ネズミにつかまされた罠

どうも、皆様、お元気でしょうか。今日の学校の授業の途中からすごく頭痛が激しくする、藤和木弘です。

レイ「ご苦労様だよっ。けど、更新はしないとね!どうも、みんな!久々登場っ!レイ・オーバだよっ!」

ソニア「レイさんは久々の登場ですねっ。どうも、皆様。藤和木さんの実習に同行しました、ソニア・A・ワスプです!」

うーん、頭がぼーっとする……くらくらもするし……

レイ「ここ最近の無理がたたったんじゃない?」

ソニア「シエラとジャンヌさん、かなり書かせていましたし……。これが終わったら休息されたらどうですか?」

うん、そうする。さて、それでも今は頑張ろう。今回は第130話の投稿です

レイ「再来するって、またマジェコンヌとエクス?」

ソニア「いや、多分ネズミってきてるのでワレチューさんじゃないんですか?」

レイ「あー、そっちかぁ。再来するって前も使ったからてっきり魔女の方かと……」

ソニア「私とシエラがまだ来てなかった時の話ですね」

やっぱもう少し捻りを入れるべきだったか……とはいえ、もう仕方ないと言えば仕方ないけどね。前回のステマックス達からの協力要請を受けたネズミの罠とは?それでは本編へ!



 

 

 イストワールへの報告が終わってから、鈴達はプラネテューヌの街へと足を運んでいた。

 街の治安維持という目的もあったが、問題はそこではない。今街へ出ている理由は、光樹以外のGKSWAXP組の生活用品の調達であった。

 一応、鈴達も己がガンダムのデータ式の格納スペースに衣類などは持ってきていた。しかし、それだけでは足りなくなってきていたり、こちらの新しい服も買いたい気持ちが出てきていたのだ。

 そのようなこともあり、既にこの世界に熟知している光樹を案内役として、鈴達は店を転々と巡っているのだ。ちなみに勇也も買い物をしてはいるものの、光樹と共に荷物持ちをしていた。

 

「案外いいところじゃない。ゲイムギョウ界」

 

「そうだねー。結構ゲームのキャラがプリントされてたりするのが多いけど、それを除いてもいい感じの服がいっぱーい!」

 

 鈴と絵里奈はショッピングの成果を見て笑みを露わにする。それなりの値段をしているが、その料金はイストワールから頂いた謝礼金で何とかなっていた。鈴達のことを考えて、イストワールは多めに渡していたのと、鈴達がお金を上手く使ったためだ。

 だが、鈴達はまだ買い物をするつもりだった。2人とも財布の中身を確認し、何を買おうかと相談する。

 

「さて、他には何がいるかしら?」

 

「ま、まだ買うのかよ……」

 

「もう少し買っておきたいところね」

 

「な、なぁ、少し休憩しないか?」

 

 まだ買い物を続けようとする鈴に勇也と光樹が限界を示す。2人の手には既に持ちきれないほどの買い物袋があり、よく持てていると思える。常人では限界の域だろう。

 あらあら、もう限界だなんて。男子なんだから女の子の荷物持ちくらい、ちゃんとやりなさいよ。根を上げる男子2人にあたしは呆れる。

 けど、休憩はいいかもしれないわね。こっちのスイーツとか食べてみたいと思うし、せっかくの休息だもの。楽しまなくっちゃね。

 そう考えた鈴は男子2人の提案を受け入れる。

 

「そうね。じゃあ、あそこで一休みしましょ。デザートでも食べましょう」

 

「はぁー、ようやくか」

 

「デザートがメインそうだがな」

 

「いいねぇ~。みんなでおやつタイムだよー」

 

 休憩とデザートという単語に喜びを見せる3人。買い物の途中での休憩は、女子にとってはおいしいものを食べられるチャンス、そして男子にとっては女子の買い物に付き添う時の唯一の安息の時間だ。

 早速、鈴達は目についた店に入ろうとする。が、そこで鈴の端末が鳴る。すぐに端末を取ると、画面にはイストワールの名前があった。

 唐突なコールは嫌なことがつきものだ。イストワールは鈴達が午後からショッピングに行っていることは知っている。余程のことがない限りは戻ってこないことを伝えてある。それでも電話がかかって来たということは、つまりはそういうことなのだろう。

 すぐに鈴は立ち止まって電話に出る。

 

「はい、こちら鈴」

 

『あ、鈴さん。せっかくの所、申し訳ありません』

 

 イストワールから早速邪魔したことへの謝罪がされる。しかし鈴もそれは仕方のないことと要件を聞く。

 

「それは気にしていないわ。それで、何が起こったの?」

 

 鈴の問いに対し、イストワールは手短に要件を言う。

 

『それが、緊急事態が発生しました。再びハネダシティがモンスターに襲われているという情報が入りました』

 

 ハネダシティ、モンスター、そして襲撃。それらの単語を離れて聞いていた光樹達の表情に緊張感が走る。ハネダシティと言えば、以前にもモンスターが現れた場所だ。

 まだ街の修復は終わっていないだろう中で起こったモンスターの再出現を聞いて、絵里奈と勇也が横から話に加わってくる。

 

「またなのー!?」

 

「それで、そっちは?」

 

『現在ネプテューヌさん達がモンスターの討伐に向かって行っています。ビーシャさんとDRXさんには、プラネテューヌの警備に付いてもらっています』

 

 イストワールが他の者達の行動についての詳細を伝えてくる。既にネプテューヌ達が動いているのなら、まだ問題はないだろう。だが、それも出てきているモンスターによる。もし、武装化モンスターがいるのなら、いくら女神化したネプテューヌでも苦戦は必至だ。

 その救援のためにも、すぐに戻らねばなるまい。鈴はすぐに返答する。

 

「住民は無事なんですか?」

 

『わかりません。突然のことに現場も混乱しているようで……』

 

「……分かりました。あたし達は一旦そっちに戻ってからハネダシティに向かいます」

 

『お願いします』

 

 イストワールからの懇願が聞こえて、電話が切れる。状況を理解し、鈴達はすぐに行動する。

 

「じゃあ、全員。急いでこれを置いてハネダシティに向かうわよ?」

 

『了解!!』

 

 男子2人から女子が荷物を半分ほど受け取ると、4人はすぐにプラネテューヌ教会へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 光樹達よりも先に一足先にハネダシティに到着したアイエフ達。彼女達の目に映ったのは、大量のモンスター達であった。

 

「げえっ!?なんかいっぱいいる!?」

 

 モンスターの大軍を見て、ネプテューヌが第一声として驚きの声を漏らす。無理もない。流石に以前の時よりは少ないものの、その量は十分大軍と呼べるものであったのだから。

 この量には流石にアイエフも困った様子を見せる。

 

「思ってた以上の数ね……」

 

 完全に予想外だわ……。急にって話だったから、てっきりそこまでの数じゃないと思ったんだけど……。これは、DRXに手伝ってもらいたかったかも。

 一応、来る前にもらっていた情報によれば、既に防衛隊が応戦しているそうだ。だが、今見えている範囲では見当たらない。やはり、先週の襲撃で人員が減っているようだ。

 再び見ることとなったモンスター達の大軍を見て、コンパが人々の安全について心配する。

 

「みなさん、大丈夫でしょうか?怪我とかしていなければいいですけど……」

 

 コンパの言うことも納得できる。今回は電撃的にモンスターが現れたそうなので、民間人の安全も確保しなければならないだろう。

 ともかく、今はモンスターの数を減らことが大事だ。もし武装化モンスターが出てきたら、こっちに向かっているという光樹達が来るまで持ちこたえなければならない。

 気を引き締めようとしたところで、唐突にこちらに向けて声が飛んでくる。

 

「やっときたっちゅね」

 

 聞き覚えのある嫌な声にアイエフ達はその方向を見る。すると、そこには以前に捕らえたあのネズミがいた。

 その姿を見て、ネプテューヌが指さしてネズミ……ワレチューに叫ぶ。

 

「あーっ!脱走ネズミー!」

 

 捕まえて牢屋に入れていたはずが、いつの間にか脱走されていた、あの憎たらしく、気持ち悪いネズミ。そんなワレチューがここにいること、そして、先程の言葉。それを踏まえて、アイエフはモンスター襲撃の理由を口にする。

 

「まさか、あんたがこれを……?」

 

「オイラが盗みしかできないと思ったら大間違いっちゅよ。おいらから溢れ出るカリスマとIQ250の頭脳にかかれば、モンスターたちにこの街を襲わせるなんて朝飯前っちゅ」

 

 得意げにモンスターを呼んだことを悪びれもせずに明かすワレチュー。IQに関しては気にしていないが、このネズミがこの街を襲撃させたとは、アイエフも驚きを感じる。

 まさか、こんなネズミがこのハネダシティを襲ったって言うの……?とてもそんなことが出来るなんて思えないんだけど……。

 モンスターを集めたことに驚愕するアイエフとは別に、コンパはIQに関して触れた。

 

「IQ250ですか!?」

 

「ちゅっちゅっ。コンパちゃんも驚いてるみたいっちゅね。これは、オイラへの好感度バク上げっちゅ!」

 

 コンパの反応を受けてワレチューは得意げな様子で好感度アップを豪語する。当のコンパは全くそんなことは口にはしていない。だが、ワレチューの勢いは留まることを知らず、勝手なことばかりを口にしていく。

 

「きっと、“わたし、頭のいい人大好きです!ネズミさん、結婚してください!”な展開間違いないっちゅ」

 

 まったく……勝手なことばっかり言って!コンパがそんなことをあんたなんかに言うわけないでしょうに。

 そんなアイエフの言葉が正しいことを示すかのように、コンパが質問をかける。

 

「ところで、あいちゃん。IQ250って、どのくらい頭がいいんですか?」

 

「ズコー!」

 

 天然的な質問に、妄想をしていたワレチューすらも思わずずっこけてしまう。アイエフもコンパがワレチューに惚れなかったことに安心しつつも、コンパへの反応に頭を悩ませる。

 しかし、そこは頭の回転を利かせる。コンパの質問にアイエフは割と真面目な感じで答える。

 

「んー、そうね。人間の場合は、けっこう頭が良い部類に入るんだけど、ネズミの場合は、その十分の一なんじゃないかしら」

 

「なんだです。驚いて損したです」

 

 アイエフの的確な乏しめを受けて、コンパは素直に受け止める。そしてワレチューへの驚きをなかったかのように振る舞う。

 

「じゃあ、ネズミさんは、おバカなんですね」

 

「ガーン!?こ、コンパちゃんにバ、バカって言われたっちゅ……」

 

 コンパの安心した表情から先のとがったナイフのような言葉がワレチューの心に突き刺さる。余程コンパに「おバカ」と言われたことがショックだったように見える。

 けど、当然よ。コンパをたぶらかそうとしたんだから。けど、その程度じゃあ、コンパの心は奪えないわよ?

 アイエフは心の中で優越感に浸る。アイエフとしては、以前に手をなめられた件に対し、仕返しが出来たため、それだけでも満足だった。不思議と今なら、このモンスター達とも十分に戦える気がした。

 必要以上に落ち込みを見せるワレチュー。そんな様子を見て、ネプテューヌも同情する。

 

「うわぁ……。見ててかわいそうになるくらい本気でヘコんでる……」

 

「なにを今さら……。何回捕まっても、悪さをやめない時点で筋金入りのバカじゃない」

 

 対してアイエフは言葉の殺傷力を緩めることなく、ワレチューに救いがないことを呟く。アイエフ達からの再三にわたるバカ発言にワレチューも流石に怒る。怒るのと同時に、今回の襲撃の狙いについても暴露する。

 

「バカバカうるさいっちゅ!お前らの方こそ、こんな簡単な陽動に引っかかるなんてよっぽどのバカっちゅ!」

 

「陽動!?」

 

 その言葉を聞いて、ネプテューヌは驚く。ネプテューヌだけではない。コンパや、アイエフ自身もその言葉には目を見開く。

 陽動とはつまり、誘われたということ。モンスターが襲撃したということを知って、アイエフ達がそこへ向かうのは予想できる。それを逆手にとって、ワレチューはモンスターを率いて、プラネテューヌから引き離したのだ。

 ところが、その言葉に最も反応したのは、ワレチュー自身であった。

 

「しまったっちゅ」

 

 言った本人が驚く。その反応から、陽動であることを秘密にするつもりだったのだろう。だが、そのおかげでアイエフ達も状況を理解した。

 まさかネズミに策を講じられるなんて、思いもしなかったわ。けど、わざわざ自分から教えてくれたから、質問する手間が省けたわけだけど。

 

「へぇ……。おかしいと思ってたけど、やっぱり狙いがあったのね」

 

 陽動と知った以上、狙いを割る必要がある。アイエフはネプテューヌとコンパに命令する。

 

「ネプ子、コンパ。このネズミを捕まえて吐かせるわよ」

 

「そ、そうはいかないっちゅ!いくっちゅ、モンスター共!!」

 

 アイエフとワレチューの応戦する掛け声が合図となって、モンスターたちとの戦闘が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「見た感じ猛争モンスターはいないね。じゃあ、相手は楽かな!」

 

 余裕と判断しつつ、ネプテューヌはモンスターの群れに切り込んでいく。馬鳥の懐に潜りこんで横一線に刀を振るう。切り付けられた馬鳥は一撃で消滅する。

 陽動と知ってからか、自然と刀に握る力が強くなっていた。もしプラネテューヌから自分達を離すのが目的なら、プラネテューヌが危機に脅かされるということだ。もしプラネテューヌがモンスターに襲撃でもされれば……。

 そう思うとモンスターを早く倒さないとという気持ちが先走る。そのため攻撃の威力も上がっていたのだった。馬鳥の群れが突っ込んでくるのを見て、ネプテューヌも駆けだしていく。

 

「クロスコンビネーション!!」

 

 刀を連続で振り抜いていく。1体斬ってまた1体斬る。流れるような動きですれ違うモンスター達にダメージを与えていく。

群れを突っ切ったのち、後ろを振り返ってモンスターを正面に捉える。ダメージを負って動きの鈍ったモンスター達に向け、右手をかざす。その上空に魔力の剣が生成される。生成が終わると同時に一気に右手を振り抜く。

 

「いっけー、32式エクスブレイド!!」

 

 光の剣、エクスブレイドがモンスターの群れに突き立てられる。地面に突き刺さると同時に爆発が起こる。爆発によりモンスターが浮き上がり地面に叩き付けられる。

 攻撃を受けたモンスター達は次々と消滅していく。一気に敵を薙ぎ払ったネプテューヌの攻撃を見て、アイエフ達も驚きを隠せない。

 

「最初っから飛ばすじゃない、ネプ子」

 

「すごいです!一気にモンスターが消えたです!」

 

「陽動っていうなら早く倒さないとね!でないと陽動の目的を止められないでしょ?」

 

 ネプテューヌからの問いにアイエフも頷く。その通り。陽動と言う以上、ここに時間は掛けてはいられない。力の出し惜しみはしていられなかった。

 本気を出し始めたネプテューヌに負けじと、アイエフとコンパもコンビネーションで敵に対応する。

 

「行くわよ!烈火死霊斬!!」

 

 アイエフのカタールに炎が纏う。その状態で敵の群れに突撃する。切り抜けを繰り返してモンスターにダメージを与えていく。

 最後の切り抜けが終わり、アイエフが一度下がる。すると既にコンパが攻撃の準備を整えていた。斜め頭上の空中に注射器から放たれていたエネルギーのこもった球体が生成されている。そして、注射器を振り下ろすと同時に、攻撃が放たれる。

 

「アルカンシェルですぅぅ!!!!」

 

 力いっぱい注射器を振り抜いたコンパの動きに合わせ、極太ビームがモンスターの群れに向かって放たれる。アイエフの攻撃で怯んでいたため、モンスター達は避けられず攻撃をもろに受けた。

 連続した攻撃で一気に数を減らしたネプテューヌ達。だが、それでもモンスターは突っ込んでくる。その攻撃を各々さばいていく。

 もうっ!数だけは多いよね。早く倒さないといけないっていうのに!これは女神化した方が早いかな?

 女神化を視野に入れるネプテューヌ。ここまで数が多いとその方がかえって楽だろう。

 シェアの消費よりも時間短縮を狙ったネプテューヌは変身をしようとする。だが、止まったところで後ろからモンスターの攻撃が襲う。

 

「うぐっ!?」

 

「ねぷねぷ!?」

 

 コンパの悲鳴が響く。連続した攻撃は何とか防ぐが、それでも押し込まれていた。すぐにアイエフが手助けしようとするがそこに満を持してワレチューが突っ込んでくる。

 

「手助けはさせないっちゅよ!!」

 

「このっ……!ネプ子!!」

 

 攻撃を受け止めつつもネプテューヌに向けてアイエフが叫ぶ。攻撃を受け止めている姿勢に横から蹴り攻撃を喰らわせる馬鳥。攻撃を受けてネプテューヌは吹っ飛ばされる。

 完全に勢いに押されていた。それを打開すべく素早く変身を行うネプテューヌ。光が解け、パープルハートとなった彼女の前にモンスター達が襲い掛かる。

 

「まだ終わらないわ!」

 

 モンスターの群れを捌く。パープルハートとなったことで更に攻撃の威力は上がる。加えて機動力も得て何とかモンスターの群れを突破する。が、そこにアイエフの相手をしていたワレチューが向かってきていた。

 

「そこっちゅ!!」

 

「くうっ!!」

 

 捌ききったところへの予想外の攻撃。何とか防御しようと機械刀を振るも攻撃は避けられ懐に飛び込まれる。回避できない。そう思った。だが。

 

 

 

 

「させるかよ!!」

 

 

 

 

 聞き覚えのある声と共に放たれたのは一条の光。その光はワレチューの横腹を直撃し、吹っ飛ばす。放たれたビームの方向を向くと、そこにはライフルを構えた光樹のガンダム、その後方には鈴達のガンダムの姿があった。救援だ。

 パープルハートの危機にタイミングよく現れた光樹に向けて感謝を述べる。

 

「光樹!それに鈴達も……来てくれたの?」

 

「あぁ。ちょうどワレチューに攻撃受けるところだったから、危なかったな」

 

「この騒動……あのネズミが?」

 

 光樹達も今の状況を理解し、ワレチューに目を向け戦闘態勢を取る。このタイミングで光樹達が来てくれたのは幸運であった。ワレチューを引き離したことで戦闘は仕切り直された。ここからまた攻勢に出られる。

 対する敵も再びワレチューを囲うようにモンスター達が集まっていく。お互い態勢を立て直す。

 息を整えたのを確認して鈴が言い放つ。

 

「全員、モンスターの排除後、一気に本命を叩くわ。行くわよっ!」

 

『了解(です)!!』

 

 全員の返事が重なり、それぞれ攻撃を開始する。流れるような動作で敵モンスターを制圧していく。絵里奈のANFXキャノンバスターから弾が次々と発射され敵を制圧し、そこから勇也・アイエフ・コンパがとどめを刺していく。

 もう一方のパープルハート達も光樹のガンダムのフルバーストで一網打尽。ワレチューの姿を今一度捉える。

 

「ちゅちゅー!?モ、モンスター共が!?」

 

 道を切り開かれ焦るワレチュー。だがそれにお構いなしと言わんばかりに鈴のガンダムR-EXEグレイガのシールドクローが振るわれる。

 

「せいやっ!」

 

 攻撃を何とか躱すワレチュー。反撃の一撃を放つが、斬撃は回転して振り抜かれたANテールヒートロッドⅡで防御される。受け止めた姿勢のまま、後方からパープルハートが突きでワレチューを吹っ飛ばす。

 

「はあっ!」

 

「ぢゅっ!!」

 

 小さくうめくワレチューだが、攻撃はまだ終わらない。絵里奈のR-ZXのANFXキャノンバスターが連射される。壁にも着弾し、砂埃が宙を舞う。

 しかし、その攻撃を受けてもワレチューは煙の中から出て応戦する。今度は光樹が相対し、ANロングメガマグナムを向けて突撃していく。引き金を操作すると、銃身下部のコンテナが回転する。固定されると上部に来た蓋が開かれ、光る物体がワレチューに向けて放たれる。

 だがその攻撃はワレチューに避けられる。逆にワレチューが今度は光樹に向かって尻尾の攻撃を浴びせようとする。それを光樹は装甲で受け止める。尻尾と装甲の間で火花が散る。お互い一歩も引かない。

 攻撃を通そうとワレチューはそのぶつかり合いをやめ、代わりに尻尾を使って懐に飛び込む。そして、小さな拳に力をため込む。

 

「いくっちゅよ!ウイルスアタックっちゅ!」

 

 渾身の一撃が光樹の腹部に放たれる……が、それはゴッドクロスのスラスターを吹かせて回避する。代わりに返す刀として右手のANクロスビームボウガンⅣをソードブレイカーモードに切り替え、ビームの剣でワレチューの体に切り付ける。

 

「甘いっ!ソードブレイカー、クロスコンボ!」

 

「ぢゅぢゅー!?」

 

 連続して斬撃ダメージを受けるワレチュー。とどめにゴッドクロスの右手にANブラスターソードエッジが握られ刃の付いていない部分で打ち込む。攻撃を受けたワレチューは軽々と吹っ飛び地面に倒れる。

 

「やっぱり、負ける運命っちゅね……」

 

 意識は保っているようだが、それでもダメージはかなりのようだ。モンスターもすべて倒した。これで制圧は完了する。

 戦いが終わり、装着を解いた鈴と絵里奈がこちらに声をかけてくる。

 

「お疲れさまー!結構な量だったねー」

 

「そうね。あなた達が来てくれなかったら、危なかったわ」

 

「確かにあの流れはまずかったわね。にしても、まさかこんなところでネズミと再会するだなんてね」

 

 鈴もワレチューがいたことを指摘した。ワレチューには聞きたいことがあるわ。すぐに聞き出さないと。

 変身を解くと、まだ事情を知らない鈴達に手短にやることを伝える。

 

「とりあえず、今はネズミから話を聞こう。どうやらこれ、陽動みたいなんだ」

 

「陽動だと?」

 

「ってことは、本命がプラネテューヌに?」

 

 勇也と光樹がそれぞれ聞き返す。光樹達も予測していなかったことだ。早速、事情を知るためにネプテューヌ達はネズミの元に歩み寄っていった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

レイ「いやー、今回も色々と暴れたねぇ、光樹君達」

ソニア「ネプテューヌさんも最初からかなり飛ばしていましたし、そうなるとこの罠っていうのが何なのか気になりますよね」

レイ「うんうん!でもそれよりもネズミの扱われ方に笑えちゃうっ!」

ソニア「あー、IQの話ですよね」

書いてる時ふと本当にネズミの頭ってどれくらい賢いのか調べようと思ったけど、そんなこと調べても雑学程度にしかならないやってことで調べるのやめたね。

レイ「唐突に調べるの、藤和木の癖だよねー」

ソニア「でも、知識を蓄えるのっていいことじゃないですか?」

まぁ、それはそうだけどもさ。さて、次回はこの罠が何だったのか、それに対するネプテューヌ達の行動が描かれていきます。それでは今回はここまで!

ソニア「次回は木曜日に投稿するようですっ」

レイ「それじゃあみんなー、また次回っ!!」


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第131話 ワレチューショック!窃盗犯を追え

どうも、皆様、お元気でしょうか。バトスピディーバパックの最新情報で、この小説のアシスタントのレイさんことレイ・オーバに続き、私のフェイバリットカードかつキースピリットのジャンヌさんことジャンヌ・ドラニエスの最新イラストが公開され、テンションフォルテッシモな気分でいます、藤和木弘です。やったぜ!

ジャンヌ「最初、その情報を見たとき、藤和木イラストをよく確認せずに水着イラストと勘違いしていたくらい、喜んでいましたからね……。でも、藤和木に見てもらえてうれしい気持ちを露わにしてしまいます、ジャンヌ・ドラニエスですっ♡」

ソニア「元々、今回の前書きあとがきは藤和木さんが気になっていた今期アニメの「妹さえいればいい」と前期アニメの「ナイツ&マジック」について語るつもりだったのが、今回こうして変わったくらいですもんね。どうも、皆様!次のディーバブースターで出番があるかどうか少し気になってます、ソニア・A・ワスプです!」

え、でもソニア前の時9位くらいじゃなかったっけ?だったら出れるんじゃ……

ソニア「それが……シエラがランク外だったので、シエラも一緒に出られるかどうかとかが心配で……」

あっ……(察し

ジャンヌ「前回の時、デリスさんと一緒にジーク・フリーダさんが一緒に出ていませんでしたからね……。そのことを考えると、ランク外のシエラのことを心配するのはよくわかりますよ」

ソニア「そうなんです。そのせいでシエラ、結構不安がっているので……」

んーでもバトスピの詩姫登場の基準って、割と決めたタッグで出すっていうのが多いし、何とかなるでしょう。リゼとキャンディの例もあるし。さて、バトスピの話はここまでにして、今回は第131話の投稿です!

ジャンヌ「はいっ♡今回は、ワレチューを倒したところからの再開になります。ワレチューの陽動を手短に片づけたネプテューヌさん達」

ソニア「ですが、負けたワレチューさんに、更なる追い打ちが!そして、奪われた「あれ」を奪回しに向かいますっ」

それでは本編へ!


 

 

 ハネダシティの再襲撃を計画したワレチューにアイエフが詰め寄っていく。

 

「さぁ、洗いざらい吐いてもらうわよ。そして、その後は今度こそ警察につきだしてやるんだから」

 

「それだけじゃないわ。前の腹いせにあんたの尻尾を掴んで地獄のメリーゴーランドに招待してあげるわ。感謝なさい!」

 

 続けて鈴もワレチューに対し脅しをかける。2人はワレチューに対してあまりいい出来事がなかった。他のメンバーもそれは同じだったが、この2人は特にその気持ちが強かった。

 まぁ、無理もないよねー。アイエフちゃんはネズミさんに指舐められてるし、鈴ちゃんの方はテレビ版の世界で着替え見られたんだし、それを別の世界でも根に持っているみたいだし。でもそれは流石にワレチューが可哀想だなー。しかも、地獄のメリーゴーランドって、あの宇宙世紀の機体の技だし。まぁ、陽動に誘われたから、許さないけどー!

 アイエフ達の怒りに満ちた顔が迫っていくが、それでもワレチューは余裕を崩さない。なぜまだ余裕でいられるのだろうか。すると、ワレチューが得意げに忠告をしてくる。

 

「ちゅっちゅっちゅっ。そんな事をしていると、お前らの大切なゲーム機がどうなっても知らないっちゅよ?」

 

「……ゲーム機?って、おい、それって……」

 

「ゲーム機!?まさか、狙いはそれだったの!?」

 

 一瞬どういうことか分からなかった絵里奈達であったが、ネプテューヌがやけに大きくその単語を強調するのを見て不安を抱く。ネプテューヌには何か心当たりがあるようだ。

 驚く様子を目の当たりにして、機嫌を良くしたワレチューが更に情報をスラスラと喋り出す。

 

「やっと気が付いたっちゅね。オイラの役目は、お前らを教会から遠ざけることっちゅ。まんまと引っかかったっちゅね」

 

「やばいよ、あいちゃん!光樹!早く教会に戻らなきゃ!」

 

 教会への帰還を急かすネプテューヌにアイエフは困惑した様子でどういくことか聞き返す。

 

「さっきから話の内容が見えないんだけど、なんであんたが動揺してるわけ?こいつの話がその通りなら、ネプ子がこいつらの探してるゲーム機を持ってることになるのよ」

 

 ネプテューヌの焦る理由が全く分かっていないようだった。コンパもどういうことか全く理解できていない様子だ。

 しかし、絵里奈達は分かっていた。なぜなら、今日の午前中に入れた報告の時に、絵里奈達の間でその話題が出たからだ。ちょうど光樹が鈴にそれの調査をしたくらいだ。記憶に真新しい。

 分かっていないアイエフに対し、ネプテューヌも事実を告げた。

 

 

「持ってることになるんじゃなくて、持ってるんだよ!」

 

 

「……はあ!?」

 

 

 衝撃の事実を語られ、アイエフは目を丸くして唖然とする。唐突に語られた「持っている」という発言に思考が追いついていないのだろう。コンパに至っては「え?えぇ?」となんと言えばいいか戸惑ってしまっている。

 急展開に付いていけていないアイエフにいち早く理解してもらおうと、光樹が状況を説明する。

 

「前にネプテューヌが拾ってきて、俺達が零次元に飛ばされた事件があっただろ?そのやつだ!」

 

「そうそう!あれからネプギアが修理してくれたやつ、それなんだよ!」

 

「バカッ!なんでそんな大事なことを今まで黙ってたのよ!」

 

 2人の説明でようやく状況を理解するアイエフ。早速ネプテューヌへのツッコミが炸裂する。

 そういえば、アイエフちゃん光樹君達がその話しているときもう部屋から出て行ってたもんね。だから知らなくても当然だよねー。

 怒るアイエフにネプテューヌも申し訳なさそうに謝る。

 

「だって、なかなか言い出すタイミングがなくって……」

 

「けど、一応こっちでも調べるつもりではあったんだ。でも今日は午後から買い物に行ってて……」

 

「だったら私にも伝えておきなさいよ!!」

 

 光樹からも制する言葉がかけられるが今のアイエフを止めるには至らない。一気に状況が悪くなって言動や行動には現れていないものの、テンパっていたのだ。

 そんなアイエフを見てコンパは今するべきことについてを明らかにする。

 

「あいちゃん。ねぷねぷや光樹さんを叱っても仕方ないです。早く教会に戻るです」

 

「そうね。モンスターもあらかた片付いたみたいだし……。けど、問題はこいつよね」

 

 コンパからの説得を受けてアイエフはようやく落ち着きを取り戻す。コンパの言う通り、ここにいつまでも留まっている暇は絵里奈達にはなかった。一刻も早く戻る必要があった。

 しかし、アイエフが示したワレチューのことも放っておくわけにはいかなかった。ここまでした以上、どこかしらの所で拘束する必要もあるが、警察に行く時間すらも惜しかった。また教会で拘束するにしても、また脱走されては意味がない。

 

「警察に連れていくのももったいないし……。いっその事、ここに埋めちゃう?」

 

「うわぁ。あいちゃんが今までに無いくらいブラックだ……」

 

 果てにはアイエフもこの街中に埋めることを言及するくらいだ。普通ならこのコンクリートの中に埋めるには時間がかかるし、そもそも死体遺棄の疑いがかけられる。だがそれくらい、今ワレチューに対して関わる時間がなく、かつ怒りも収まらなかったのだ。

 ネプテューヌも引くくらいの発言に、絵里奈も反対する。

 

「アイエフちゃーん。埋めるのはやめてあげよ?どっちにも徳がないし」

 

「そりゃ徳がないけれど、それでも何度も人の厚意を裏切られちゃ、さすがの私も怒るわよ」

 

「アイエフの言う通りね。あたしだってこんなやつ、今すぐにでも存在を消したいと思うし。むしろどうしてやろうか考えられていることをありがたく思うことね」

 

「アイエフちゃんに続いて鈴ちゃんまで……」

 

 2人の怒りが留まることを知らないのを見て、絵里奈も解決策がなくなってしまう。この怒りを解くには今の時間では足りない。今は一刻も早く教会に戻ることを考えなくてはいけないのだから。

 しかし、そんな状況でもネプテューヌは果敢にボケを入れていく。

 

「それが、こんぱのことになるとなおさらだしね」

 

「は、はい!?べ、別にコンパだけ、ととと特別ってわけじゃないのよ!?」

 

 予想もしていなかった言葉にアイエフの言葉が乱れる。人は聞かれたことが予想外の事だと対応できないと言われている。アイエフのその反応はまさしくそれであった。

 2人のやり取りを見て鈴がため息を漏らす。

 

「まったく……緊張感がないんだから……」

 

「けど、いつまでも怒ってても仕方がないぜ?」

 

「勇也……。でも、それはそうね。そのせいで行動が止まっているわけだし」

 

 落ち着くように伝えた勇也に一瞬睨み付けるも、状況を考え鈴は怒りを少し鎮める。2人の怒りが少しだけ鎮まったところでコンパから対応をどうするか質問が投げかけられる。

 

「そうです。早くネズミさんをどうするか決めないとです」

 

「なら、さっさと埋めましょ。ネプ子、スコップ持ってきて」

 

「よし、あたしの方もグレイガの転送でスコップを……」

 

 先程の考えを変えることなく、アイエフはネプテューヌに指示する。鈴もガンダムの格納スペースに格納しているであろうスコップを取り出す準備をする。本当にやろうとする様子を見て、流石に危機感を抱いたワレチューも悲鳴を上げる。

 

「ぢゅーっ!?生き埋めだけはかんべんっちゅ!コンパちゃん!助けてほしいっちゅ!」

 

 先程までの余裕な表情はいずこへ、コンパに対し助けを求めるワレチュー。その様子は、先程まで自分を褒めたたえたり、作戦が成功して得意げになっていたのと同じ存在だとは思えなかった。

 もう、自分勝手でしょ、このネズミ。強い時は威張って、弱い時は助けを求めるなんて、性別が男なのに、だらしないよ。

 けど、またコンパちゃんは許しちゃうんだろうなぁ……、と私は思ったんだけど、そこはコンパちゃんも、もう限界だったみたいだ。

 ワレチューからの助けを呼ぶ声を聞いたコンパは、残念そうな表情で、ワレチューの言葉に返答する。

 

「……ごめんなさい、ネズミさん。わたし、もうネズミさんを庇ってあげられないです」

 

「そ、そんな……。もしかして、オイラが脱走したせいっちゅか?」

 

 コンパからの拒否にそうなった原因を聞くワレチュー。その様子は、まさに振られる寸前の男性の言い訳する姿そのものだ。

 ワレチューからの問いに対し、コンパは力強くその言葉を、否定した。

 

「違うです。ゲーム機を盗むためだけにこんなに街を滅茶苦茶にして、沢山の人に怪我をさせるなんて……そんな人、わたし大嫌いです」

 

「ガーン」

 

 擬音を口から発するほどのショックだったようだ。だがコンパの言うことは正しい。脱走したことを恨んでいるというよりも、街を破壊し、人々を傷つけたということに対してコンパは怒っていたのだ。

 絵里奈もコンパの言葉はよく分かった。ただ1つのゲーム機を奪うためだけにこれほどのモンスター襲撃を起こしたことは、戦争を起こすことと同じことだ。自分達の徳になるために戦争を起こして、無理矢理土地を手に入れる。幸せになるのは攻撃した存在だけ。そんなものはただの「傲慢」というものだ。

 嫌われたことに大いにショックを受けるワレチューの様子を見て、ネプテューヌが面白がっていじる。

 

「おおーっ!効果は抜群だー!」

 

 面白がるネプテューヌにも目を向けず、ワレチューは上の空の状態で言葉を繰り返す。

 

「嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……コンパちゃんが、オイラを嫌い……しかも、大嫌い……嫌いより嫌い……」

 

「ちょっと、これ精神崩壊してない?」

 

「思った以上にショックを受けてるわね……」

 

 ワレチューの悲惨な姿を見て、鈴とアイエフも流石に憐れんだ。ショックの受け方が尋常ではなかったからだ。やがてワレチューは1つの単語のみを連続で繰り返すようになる。

 

「嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……」

 

 段々と声の調子が悲鳴じみていく。そして、最後には……。

 

「うわーーーん!!」

 

 奇声を発して、その場から走り去っていった。あまりにも速いスピードで走っていったことで、アイエフも捕まえる間もなく、逃がしてしまう。

 

「しまった、逃げられた!?」

 

「てか、速すぎじゃない!?あれ」

 

 その逃げ足の速さは、まさしく神速であり、鈴も驚いていた。その様子を、ネプテューヌが言葉に例える。

 

「まさに、これが失恋の痛みの速さ!?」

 

「まぁ、逃げたくなるのも分かるけどなぁ……」

 

 自然と光樹もネプテューヌの言葉に納得をする。光樹も失恋をいくつも経験してきた故に、それを理解できたからだ。

 しかし、これまた面倒なことになったのは事実であった。今すぐ戻る必要があるにも関わらず、処遇をどうしようかとしていたワレチューに逃げられてしまった。もし逃がせば、また面倒なことを仕掛けてくるに違いない。

 

「あいちゃん、どうするですか?追うですか?」

 

 コンパからもネズミに対する対処を仰ぐ発言が出る。しかし、目を閉じて思索したのち、アイエフは結論を出す。

 

「……しょうがない。あのネズミは諦めましょ。秘密結社がなにを企んでいるかわからない以上、あのゲーム機を渡すわけにはいかないわ」

 

「そうね。それじゃあ、すぐに戻るわよ」

 

 鈴からの納得の声が出ると、7人はプラネテューヌに急いで帰還する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 プラネテューヌに戻ってきて早速、ネプテューヌは部屋に向かう。部屋に入ってすぐにテレビの前を見る。何事もなければ、ゲーム機はそこにあるはずだ。

 だが、現実は非常であった。アイエフがゲーム機の状態について確認を取る。

 

「どう、ネプ子。例のゲーム機はあった?」

 

 テレビの前に、ゲーム機はなかった。もしかするとイストワールがどこかにしまったかもと辺りを探すがどこにも見当たらない。

 

「あわわわわわわわわ。どうしよう、あいちゃん!やっぱりなくなってるよ!」

 

 ネプテューヌの珍しく大きくどうようする声が聞いた者達の焦りを促す。既に奪われた後でだったのだ。

 盗まれたという事実に肩を落としてアイエフが呟く。

 

「まったく、あんたが持ってるってことを話してくれれば防げたかもしれないのに……」

 

「あうぅ……ごめんなさい……」

 

 あいちゃんの言う通りだ。ちゃんと話しておけば、盗まれなかったかもしれない。けど、あの状況じゃあ言いづらいよ……。

 ところがそこで光樹と鈴も謝罪する。

 

「悪い。俺達ももしかしてと思っていたんだが……」

 

「まさかその話をした今日に盗まれるなんて思わなかったわ。これなら、買い物せずに優先してそれを調べていれば……」

 

 光樹達は自分達の行動の遅さを謝ったのだ。ネプテューヌは知らないが、光樹達は今日の報告の時点でそのゲームの解析を考えていた。秘密結社がそのゲーム機を狙う理由を探るためにだ。

 そ、そんな……光樹達は悪くないのに……。けど、まさか光樹もあのゲーム機に気づいてたなんてね。確かに光樹は一緒にあれに巻き込まれた当事者だけど、最初にゲーム機の情報が分かった時には何も言ってなかったから、覚えていないかと思ったのに。

 そんな光樹達の失態を自責する発言を受けるもアイエフはそれを理由に一方的に責めはしなかった。

 

「確かに知らせていなかったのは悪くないとは言えないわ。それでも注意を向けていたんだから、隠してたネプ子よりはまだマシよ。それに過ぎたことをいつまでも言っても仕方ないわ。まだ遠くに行ってないと思うし、探してみましょ」

 

「……そうね。ありがとう、アイエフ」

 

 失態を追及しなかったアイエフに鈴が感謝を述べる。そんな言葉を受けたアイエフは、特に気にしないように言う。

 

「別に気にしてないわ。それよりも早く探さなくちゃね」

 

「えぇ」

 

 やり取りを終え、ネプテューヌ達は教会を後にする。

 

 

 

 

 ゲーム機を盗んだ犯人を捜すべく、街へと急行したネプテューヌ達。だが、犯人の足取りがつかめているわけではなく、手詰まりの状況であった。

 既に偶然出会ったビーシャに犯人の足取りを知らないかを聞いていたが、ビーシャも犯罪を取り締まっていたがそんな人物は見ていない、とのことだった。

 それを聞いて、ビーシャも犯人を捜すと言ってくれた。人数が大いに越したことはない。が、それでも今のネプテューヌ達にとっては厳しい状況だ。

 

「あいちゃん。探すにしても、どうやって犯人さんを探すです?」

 

「そうだよー。どんな奴が盗んだかも分かってないのに、どうやって探すの?」

 

 コンパと絵里奈からも状況が良くないことが指摘される。それにはアイエフも悩ましい表情を見せる。

 

「勢いで出てきたけど、確かにそうね……。不審な人物なんて言ったらきりがないでしょうし……顔さえ分かっていれば良かったんだけど、教会に戻ったところで監視カメラに映っているとは限らないとなると……」

 

 困り果てるネプテューヌ達。すると、そこに聞き覚えのある人物の声が響いた。

 

 

 

「あら、あなたたち。こんなところで会うなんて奇遇でちゅわね」

 

 

 

 その人物とは、以前窃盗に遭った中古ゲームショップの店員の「チューコ」であった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さて、この章では大きな戦闘はここを含めてあと3回ほどになります。

ソニア「戦闘は3回ですか……でも、光樹さん達のサイドを含めると、6つくらいの戦闘がありそうですよね」

ジャンヌ「ソニアさん、一応補足をしておくと、藤和木の予定ではちょっとした戦闘が1回あって、それを除くと大きな戦闘が5回になるみたいですよ?」

ソニア「え、そうなんですか?」

ジャンヌ「そうでしょう、藤和木?」

うん、そうだね。ジャンヌさんにはもうこの章の大まかな流れは伝えてあるから、光樹君サイドの戦闘も含めて、大きな戦闘は5回。そのうち2戦は実はもうストックとして書いてあったりします。

ジャンヌ「藤和木がほぼギリギリまで徹夜して1日に4000字くらい打っているので、話の投稿ペースに大分余裕が出来たため、こうして皆様に進行状況をお伝えすることが出来るんですね」

ソニア「話の進行状況を皆さんにお伝えするのも、アシスタントの仕事ですからね。藤和木さん、お疲れ様ですっ」

前よりも学校の授業に空きが出来たから、そんなことも出来るんだけどね。就活が終わってなかったら、今もたぶん苦しんでいたと思う。本当に決まってよかったと思うよ……。さて、そろそろあとがきも終了して、次回の投稿日についてです。

ジャンヌ「次回は水曜日の投稿になりますね。次回のお話としては、最後の方に出てきたチューコさんからの情報を受け、ネプテューヌさん達の行くべき方向が示されます」

ソニア「それでは皆様。また次回もお楽しみにしてくださいね」


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第132話 久々のチューコ、闇の見せる夢―混乱―

どうも、皆様お元気でしょうか。今週は学校の学園祭の出し物の準備のため、買い出しや飾りつけに奔走しています、藤和木弘です。

レイ「1年前の学園祭は大変だったよねー。学校の地下行ったらGが出てきたし。どうも、みんな!藤和木の学園祭での楽しみはイラストを描いてもらうことらしいよ、レイ・オーバですっ!」

シエラ「あぁ、そういえば藤和木が見せてきましたよね、ジャンヌさんのイラスト。今年は何を描いてもらうのかしらね。どうも、皆様。今週はそんな感じで藤和木は疲れMaxで小説の方に遅れが出ているわ、シエラ・ムルセーヌよ」

ねぇ、まだ遅れと言ってもストック4つくらいあるよ!?それで遅れてるっていうの!?

シエラ「当り前じゃない。先週までの間で1話くらいしか出来てないんだから、十分遅れているわ」

レイ「ごめん、シエラちゃん。今先週のと数えたら、1話も完成してない!3000文字くらい打ってるけど」

シエラ「ならもっと悪いわね。ちゃんと仕上げなさい」

この忙しい時期に私を酷使しないで……(´;ω;`)

レイ「ま、まぁ今度のバトスピ煌臨杯の店舗決勝のデッキ調整とかもあるもんね。けど、仕上げないと後後きついよ?」

うん、それは重々承知してる。だから今日早く帰れたから書くつもりです。さて、今回は第132話の投稿です。

シエラ「今回はあのネズミの店長さんがくるみたいね」

レイ「ネズミの店長さんと言えば、鈴奈ちゃんは出るの?」

あぁ、チューコの付き添いとしてでる予定です。けども、タイトル後半の、あのウルトラマンの話のタイトル名のような不穏さ掻き立てるもの一体何なのか?それでは本編へ!

シエラ「あぁ、自分でも意識してたのね……私あまりウルトラマンは知らないけど」


 

 

 いきなりの再会にネプテューヌも驚きの声を上げる。

 

「おーっ!あなたは確か、いつぞやの中古ゲームショップの店員さん!」

 

 彼女と会うのはもう1週間ぶり近くになる。ワレチューを捕まえた時にゲーム機を押収してその後は教会の人に返還を任せていたため会うことはなかったのだが、あれからどうだったのか気になっていた人物だ。

 ネプテューヌの発言にチューコは深々と頭を下げて、その時の礼を述べた。

 

「その節はお世話になりましたでちゅわ。おかげで、あのあと盗まれた商品も戻って来きたんでちゅの。戻ってこなければ、最悪、店を閉めていたところでちたわ」

 

「それはなによりだよ!」

 

 そんな言葉を聞いて、少し嬉しく感じる。チューコも、無事商品が戻って来たことがとても嬉しい様子だ。その時のお礼にと、チューコは券のようなものを手渡す。

 

「こんなものしかないんだけど、お礼にうちの店の割引券をあげるでちゅわ」

 

「おおっ!しかも、6000クレジット以上お買い上げの時に限る、30%オフ割引券だ!」

 

 ささやかな貰い物に、ネプテューヌは今するべきことを忘れるほど喜ぶ。

 まさか泥棒を捕まえてこんなお得な割引券をもらえるだなんて!店員さん気前がいい!こんなときじゃなかったら、楽しくゲーム談義をしながら店に向かってゲームを買いに行ってたんだけどなー。

 今起きてる騒動から手が離せないことを強く悔やむ。今は一刻も早く犯人を追わなければならない。だが、しっかりとお礼をする姿勢にアイエフも関心を見せる。

 

「商魂たくましいというか、ちゃっかりしてるというか……」

 

「でも、ちゃんと感謝してくれるって、大事なことよ」

 

 鈴もチューコの律義さを見て好意的に見ている。しかし、ネプテューヌの思うところは少し違った。感謝する相手が違っているからだ。嬉しさを惜しみつつ、ゆっくりとその割引券を返しながら伝える。

 

「……けど、これをわたしたちじゃなくて、ビーシャにあげてくれないかな」

 

「え?……あぁ、なるほどな」

 

「泥棒ネズミを捕まえられたのはビーシャとR1のおかげなんだ」

 

 ネプテューヌの行動に、光樹の困惑の声が一瞬響く。だがしかしネプテューヌの考えを理解して納得するに言葉を留める。

 元々、ネプテューヌが追っていた事件ではあったが、あの時ワレチューを捕まえられたのは紛れもなく、ビーシャ達のおかげだ。その時の出来事で衝突したこともあったが、それも今は過ぎたこと。今がよい関係になったのだからそれはそれでよかったのだろう。

 今受け取れないのは本当に申し訳ないって思う。だが、それが事実だから、伝えることは伝えないとね。泥棒を捕まえた話の詳細を聞いてチューコは納得する。

 

「まぁ、そうだったんでちゅの!」

 

 しかし、それでも受け取ってほしいとチューコは言葉を続ける。

 

「……けど、それはあなたたちへのお礼だから、そのまま受け取って欲しいでちゅの。ビーシャ様にはまた別の物を用意しまちゅわ」

 

 機転を利かせ、そのままもらってほしいと頼むチューコ。そう言われてしまうと、断るわけにはいかない。ネプテューヌも喜んでその券をもらうことにする。

 

「なら、これはありがたくもらっちゃうね!」

 

 券を大事にポケットにしまい込む。盗難の際の礼を受け取るのが終わったところで、アイエフが唐突に現在の優先事項について聞く。

 

「そうだ、ダメ元で聞きたいんだけど、見慣れないゲーム機を持った怪しい人を見かけなかったかしら?」

 

「あたし達、それを持ったやつを追っているの。もし知っているなら、どっちに行ったとか教えて欲しいんだけど……」

 

 鈴も同じように尋ねる。チューコが必ずしもその居場所を知っているとは思っていない。だが、見かけた可能性があれば、それを覚えている可能性が高いのはチューコかもしれなかった。

見たところ、あのゲーム機はあまり見たことのないゲーム機で、見る人が見れば特徴的なことが分かるはずだ。中古ゲーム機をいくつも見ているチューコなら、もしかするとよく見ているかもしれない。

 とは考えたものの、それらはすべてこちらの願いだ。事が上手く運ぶ保証はない。だが、それは無用の心配だった。

 

「見慣れないゲーム機でちゅ?それって、もしかして、白くてオレンジ色の渦巻きマークがついたやつでちゅ?」

 

「嘘っ!?まさしくそうだよ!?」

 

「どうして分かったですか!?チューコさんすごいです!」

 

 チューコの口から語られたゲーム機の特徴。それはまさにネプテューヌ達が探しているゲーム機とまったく同じものであった。それを聞いて絵里奈とコンパも驚きを露わにする。

 驚く様を見て、チューコは当然のように語る。

 

「中古ゲームショップの店員を甘く見ないでもらいたいでちゅわ。これでも、歴代のゲーム機は全て網羅しているんでちゅのよ」

 

 おー!歴代のゲーム機をすべて覚えているなんて、やっぱりこの店員さんしっかりしてる!

 わずかな望みに希望を見たアイエフはすぐに持っていた人物の特徴と向かった先について尋ねる。

 

「そいつの見た目と、向かっていった先を教えてくれない?」

 

「いいでちゅわよ。けど、このわたしが知らないあのゲーム機は何なんでちゅの?試作品にしてはちょっと古めのデザインで、年季が入ってたでちゅち……」

 

 チューコもあのゲーム機について気になるところがあるようだ。特に、チューコですら知らないというのは気になる話だ。とはいえ、ネプテューヌも拾ったもののため良く知らないのでチューコにはよく分かっていないことを伝える。

 

「それが、たまたま拾ったやつだからわたしも詳しいことはわからないんだ」

 

 説明に困るネプテューヌに代わって、光樹が機密に関わることをぼかしてそのゲーム機について説明を付け加える。

 

「けど、かなりワンオフなゲーム機ではあるみたいだ。けど、チューコでも分からないなんてな」

 

 光樹はそんなことを口にする。すると、チューコの店員魂か何か火が付いたように提案をする。

 

「なら、取り戻した後、わたしと鈴奈にみせてくれない?これでも、昔は“ハード鑑定士チュー”と“歩くゲームペディアベルアップル”の二つ名でそれぞれよばれていたんでちゅわ」

 

 それはそのゲーム機の調査をしたいということであった。ゲーム機については光樹達が元々調べようとしていたことだ。それならばまだ間に合っている。だが、別の側面から見ることも時には大事だ。

 話を聞いていた鈴と光樹がそれぞれで示し合わせる。

 

「そうねぇ……。光樹、彼女達に後で任せてみる?」

 

「鈴もか。元々俺達が何とかしようとしていたことだけど、彼女達の力を借りた方がなにか分かるかもしれないな」

 

「そうかもね。……じゃあ、その時はお願いできる?」

 

「もちろんでちゅわ!」

 

 鈴達からもチューコ達に任せるという意見がまとまる。話の整理がついたところで、一行はチューコから、窃盗犯の情報について教えてもらう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 チューコから情報をもらった光樹達は、現在プラネテューヌの街の外へ出る道へ来ていた。犯人の逃走した方向がそちらだったからだ。

 その方向を一瞥し、アイエフが再び犯人の情報を確認する。

 

「確か、チューコの話だと、如何にも忍者って感じのロボットがこの先に向かっていったのよね」

 

「だな。けど、忍者ってもしかして……」

 

 光樹の言葉が詰まる。というのも、その人物に心当たりがあったからだ。

 それは、アイエフと海優の記憶が戻った時、マジェコンヌとエクスと再び相対した時だ。確かマジェコンヌ達の離脱を手伝ったロボットのような敵が、忍者のような姿だったのだ。

 同じようにネプテューヌもしばし考えたのち、それに気づいてその人物の存在について触れる。

 

「にんじゃ……にんじゃ……あいちゃん、光樹、もしかしてあいつじゃないかな?ほら、あいちゃんがドジ踏んだ時にマジェコンヌを助けにきたやつ」

 

「だから、その言い方やめなさいって。こっちだって好きでドジ踏んだわけじゃないんだから」

 

「ごめんごめん」

 

 触れられたくない話題に触れられて、バツの悪い表情をするアイエフにネプテューヌは謝罪する。あの時はアイエフの尾行が気づかれ捕まる形となったため、ネプテューヌの言葉はその事実を証明していた。プライドの高いアイエフとしても、そう言われるのは事実でも傷つくのは当たり前であった。

 だが、アイエフもネプテューヌの言及した場面のことを思い出して、その意見を肯定する。

 

「けど、あいつが犯人なら見つけるのに好都合だわ」

 

「あぁ。あれほど見つけやすい人物はいないだろうし」

 

 示し合わせると、光樹達は犯人の追走を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、プラネテューヌの路地裏ではネプテューヌ達から逃げ去ったワレチューがとぼとぼとと歩いていた。

 ため息をつき、先程のコンパに言われたことを思い返す。

 

「……はぁ。今度こそコンパちゃんに嫌われたっちゅ……」

 

 コンパの口から飛び出した「大嫌い」という言葉。それがワレチューの心を深く傷つけていた。今まで、何度もコンパとは戦っていたワレチュー。だがそれまでの間、ワレチューは一度も大嫌いとまでは言われていなかった。

 しかし、今回の戦闘で、ワレチューはコンパの口から、自身に向けて直接言われてしまった。面と向かって言われ、もはやどう自身に言い聞かせればいいのか分からなかった。

 

「恋に破れ、仕事にも失敗……。オイラはこれから何を生きがいに生きていけばいいっちゅかねぇ」

 

 ステマックスとローゼンから要請された陽動の仕事もあっさり突破されてしまい、時間稼ぎになったかすらも分からない。果たしてステマックスは無事ゲーム機を手に入れ羅手たのだろうか。それを知るすべは今のワレチューには分からなかった。

 行き場を見失ってどうするべきか。そんなワレチューに、物影から突然声をかけられる。

 

 

「なら、俺がいい夢を見せてやるよ」

 

 

 いきなり響いた声に驚き、声の方向を向く。すると、そこにいたのは1人の少女と1機のロボットであった。声の感じから、先程の声は少女の方だろう。訝しみつつも、ワレチューはその人物達に聞く。

 

「ちゅ?お前ら、誰っちゅか?」

 

 すると、今度はロボットの方がその質問に答える。

 

「なに、ただの通りすがりだよ」

 

 人の声のような発声に、ワレチューも警戒をする。そして、その人物達から、ワレチューに悪魔の囁きが告げられるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 場面はまた変わって、プラネテューヌの公園。ビーシャが何かを探すように辺りを見回していた。見渡した先にいるのはいたって普通の人々だ。その中からビーシャが探していたのはネプテューヌから伝えられた、怪しい人物の捜索だ。

 ゲーム機を盗まれたということを聞いたビーシャは自分にも手伝わせてほしいと頼み、こうして自分の活動範囲内をくまなく捜索し、犯人逮捕につなげようとしていた。捜索にはDRXも加わっており、2人がかりで至る所を回っている。が、残念ながら簡単には見つからない。

 

「怪しい人かぁ。んー……ここにはいないなぁ」

 

 早く見つけないと、犯人に逃げられちゃうよ。犯罪組織にねぷねぷの大事なゲーム機を取られるなんてさせないんだから!わたしはそう意気込みを入れる。……けど、どんなやつなんだろう……。ねぷねぷに聞いておけばよかったなぁ。探してるときに会ったら特徴を聞いて、今は怪しそうなやつを片っ端から追うかな?

 そのようなかなり非効率的な考えを取ろうとする傍ら、しばしの間沈黙を守る。そしてふとビーシャは呟く。

 

「やっぱり、ねぷねぷは凄いなぁ」

 

「ビーシャ?どうかしたか?」

 

 ビーシャの呟きにDRXも反応する。聞いてきたDRXにビーシャはその言葉の意味を語る。

 

「うん。ねぷねぷは元々この国のトップで、今はみんなから忘れられたんだよ。でもすぐに人気者になっちゃうなんて……わたしには出来ないよ」

 

 ビーシャは、ネプテューヌの強さに感心していたのだ。例え今までの地位がなくなっても、それでもこの改変された世界で自分の居場所を見つけている。そんなネプテューヌを見ていると、今の自分を超えないといけないような気がしたのだ。

 超えるべきものとは、もちろんモンスター恐怖症のことだ。今のビーシャに足りないもの、それはモンスターに立ち向かう勇気だ。仲直りの際、ネプテューヌは言っていた。2人で支え合っていけばいいということを。その時はそれでもいいと思っていた。しかし、それでは納得しきれない。

 

「それに、無理に直さなくてもいいって言ってくれても、そうはいかないって思うんだ……」

 

「ビーシャ……」

 

 DRXもそれを聞いて口を閉ざす。別に、ビーシャに呆れたりバカバカしいと思って言いたくなくなったわけではない。むしろ逆で、そこまで思い詰めているビーシャにどう言葉をかけていいか分からなくなっていたのだ。

 しかし、今のビーシャにとっては、それでよかった。無理に言われるよりも、今は自分で決めていきたかった。ネプテューヌが自分自身の力で人々の助けになっているのだから、自分もそれを自分の力で乗り越えていきたかった。

 それでも思い悩んでしまう。その迷いをため息として口から吐き出す。

 

「……はぁ」

 

 すると突然、声がかけられる。

 

「やっと見つけたでちゅわ。あなたがビーシャでちゅわね」

 

 いきなりであったので誰なのかすぐに声の方を向く。すると、そこにはエプロンをした白いネズミとジャージを羽織る少女がいた。

 普通なら誰なのか名乗りを聞く場面だ。が、ビーシャの目に強く印象に残ったのはネズミの方……そのネズミがモンスターに見えた。突然現れた苦手なものにビーシャは怖さのあまり大きく退く。

 

「ひぃ!?モンスター!?」

 

 なぜモンスターがその場にいるのか。ビーシャには分からなかった。が、それ以上に分からなかったのは、モンスターが自分の名前を言ったのかであった。

 

「どどどどうしてモンスターがわたしの名前を!?……はっ!?まさかわたしを食べる気なんじゃ!?」

 

「お、落ち着け、ビーシャ!このネズミはたぶん敵じゃない!」

 

 恐ろしい発想をするビーシャをDRXは制する。そのやり取りを見て、白いネズミこと「チューコ」も自身の扱いにツッコミを入れる。

 

「まったく、こんなに可愛いわたしを怖がるなんて、しちゅれいでちゅわ」

 

「て、店長も落ち着いて……。何か事情があると思いますから」

 

 チューコを少女がなだめる。だが、それぞれのパニックと反射的なツッコミをサポート役が抑えても、モンスターの恐怖さからビーシャの警戒は解けない。

 

「ガクガクブルブルガクガクブルブル」

 

 全く言葉を聞こうとしない様子を見て、白いネズミは困る様子を見せる。

 

「これじゃあ、せっかくお礼を言いに来たのにそれどころじゃなさそうでちゅわね」

 

「お礼……だって?」

 

 白いネズミからの話を聞いて、DRXが頭を傾げる動作を取る。その言葉で少し落ち着きを取り戻したビーシャも何が何なのか分からなかった。

 お礼?って言っても、わたしこの白いネズミとあった事なんて今までになかったよ?もしかしたら、前に助けた子供の親ってことなら分かるけど、そもそもモンスター嫌いの私がネズミ型モンスターの子供を助けたことなんてないし……。

 いったいどういう接点があるのか過去の記憶を思い出そうとするビーシャとDRX。だが、記憶のどこを探しても、関係ありそうなものは思い出せなかった。すると、チューコは理由を2人に語る。

 

「この間、うちの店に入った泥棒をあなたが捕まえてくれたってネプテューヌたちに聞いて、ずっと探してたんでちゅわ」

 

 それでようやくビーシャも納得がいく。あの時はあまり気にしていなかったが、確かにネズミを捕まえた後でイストワールにその事件については聞いていた。

 その事件に自分が関わっていたとは知らず、ビーシャは頷く。

 

「そうだったんだ。あのお店の店員さんかぁ」

 

 しかしその声にはどこかぎこちなさがあり、変な喋り方となる。まだ目の前のネズミがモンスターであるという事実を受け入れられなかったのだ。喋り方を不安に感じたDRXは大丈夫かどうかを聞く。

 

「ビーシャ、無理してないか?」

 

「だ、大丈夫だよ!それよりも、それをわたしに伝えに来たってことは、プレスト仮面の正体も!?」

 

 DRXからの声かけに返答しつつもビーシャは自身がプレスト仮面である事実を知っているかを確認する。普通ならプレスト仮面のことをこの場面で聞くのは自分がプレスト仮面がであるということをバラしているようなものだ。もっとも、元から正体を知っている人の方が多いのだが。

 そして無論、目の前のネズミ達も知っていると返答する。

 

「それは前から知ってたでちゅわ」

 

「お……同じく、私も……です」

 

「さ、さすがモンスターとそれを操るモンスター使い……。ネズミタイプとは言え、侮れない」

 

「あなた、まさか気づいていないと思っていたんでちゅの……」

 

 誰も気付いていないという思い込みにツッコミを入れる白いネズミ、いや、もうチューコと呼ぶべきだろう。ツッコミを入れたところで、これまでのビーシャの反応に対して考えを口にする。

 

「けど、まさかヒーローともあろう子がモンスター恐怖症なんて情けない話でちゅわね」

 

「うぅ……」

 

「そんなに言ってやらないでくれ。ビーシャ自身も気にしているんだ」

 

「それは……申し訳なかった……です」

 

 直球で言われたことで落ち込みを見せるビーシャ。そこでDRXがフォローを入れる。だが今はどうしてもそれに対し強く出れない。どうにかしなければという思いは大きいが、それでも行動に移しきれないのだから。

 すると、少し考えたチューコが妙案を出す。

 

「んー……そうでちゅわね。泥棒を捕まえてくれたお礼といってはなんでちゅが、わたしがあなたのモンスター恐怖症をなおしてあげるでちゅわ」

 

「治すって……店長、そんなことが出来たんですか……?」

 

 チューコの口から出てきたのは「治す」という単語であった。無論それはモンスター恐怖症のことを指している。自身を雇っている店長から出た言葉に店員の鈴奈も困惑を見せていた。おそらく、そのような事実を初めて知ったのだろう。

 

「治す……けど、どうやって?」

 

 ビーシャもどういうことか理解できていない。DRXもその巨体を傾け、考える。

 だが、チューコの案は既に行われていたのだ。チューコはその事実を2人に共有させる。

 

「あなた、気づいてないんでちゅの?今、わたしと普通にお話ししているんでちゅわよ」

 

「あ、本当だ!?」

 

 当たり前のことに気づく。そうだ。さっきまでは少し怖がっていたのに、今は全然そんなことを考えずに話が出来てた!モンスターを克服しようっていう気持ちを抱えてないのに、なんで!?

 考え込むビーシャ。すると、チューコはその理由について簡単に予想をする。

 

「きっと、わたしがチュートで可愛いからでちゅわ。わたしのお友達を紹介してあげるから、徐々にモンスターになれるといいでちゅ」

 

自画自賛っぽいが、もっともらしい理由である。だが、少し離れたところでDRXと鈴奈がその理由を語る。

 

「まぁ、こじつけっぽいよな。自分から可愛いって言うあたり」

 

「けど、あの話の入り方が店長のいいところですから。……そういう私達も、け……結構話せてますね……」

 

 2人の会話もまた弾んでいく。そして、ビーシャは徐々にチューコのペースに巻き込まれていく。

 

「わたしほどではないでちゅが、みんな可愛い子ばっかりでちゅのよ」

 

「ほんと!それなら、ちょうどいいよ!わたし、モンスター恐怖症を治したいと思ってたんだ!」

 

 チューコの誘いにビーシャが乗る。ようやく自分のモンスター恐怖症も治る。そう思えてきたビーシャはすぐにチューコと鈴奈にDRXと共に付いていこうとした。

 だが、それは突然の乱入者によって大きく邪魔されることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 DRXがそれに気づいたのは、ビーシャ達と同じく、悲鳴を聞いたからであった。

 

「だ、誰か助けてだっちゅー!」

 

 助けを呼ぶ声を聞いて、一瞬ネプテューヌ達が追っているという窃盗犯が誰かを追いかけているのかと思った。だが、その声が聞こえた方向からやって来たのは、窃盗犯側の人物、いや、ネズミであるワレチューだったのだ。

 その姿を見て、チューコ達も現れたワレチューに以前のことを引き合いに出して警戒する。

 

「あ、あなたは、うちの店に入った泥棒ネズミでちゅわね!?」

 

「うわ……やっぱり店長と違って、……汚いことが大好きそうなネズミ……」

 

 警戒心を強める店員達とは対照的に、いきなり増えたモンスターの一種にビーシャが若干戸惑いつつも身構える。

 

「ネズミが増えた!?しかも、なんか悪そうな顔してる!?」

 

「なんで一度捕まえたネズミを怖がってるんでちゅの!!」

 

 怖がる姿勢を見せるビーシャをチューコが一喝する。彼女の言う通り、今は怖がっている場合ではない。ネズミが仕掛けてきても、ネズミを追っている者がいたとしても、どちらにしろ民間人の2人を守らなければならない。DRXは拳を構えつつ、ビーシャに2人の護衛を伝える。

 

「ビーシャ、戦えるか?」

 

「た、たぶん……。でも、あの時はプレストマスクをつけてテンションが上がってたから、ノリでたまたまだったし……本当に出来るかどうか」

 

 ビーシャから不安の声が漏れる。今のビーシャでも、いきなりモンスターとの戦闘は難しいだろう。ともかくDRX自身は前に出ることを意識して構えようとする。その体格差から、攻撃が1発当たれば終わるだろう。

 が、黒いネズミのワレチューは攻撃の姿勢を取らずに、こちらに向かってきて頼み込んでくる。

 

「そ、そんなことはどうでもいいっちゅ!今すぐオイラをかくまうっちゅ!」

 

 ワレチューからの尋常ではない頼み方にDRX達も困惑する。一体何に怯えているのだろうか。だが、それはすぐに分かることになる。

 地面をゆっくりと踏みしめる音が聞こえる。DRXはすぐにその正体を確認する。がそこにいたのは拍子抜けするほどの存在だった。

 黒髪の……少女?それにあれは……ガンダムか?俺はそう認識する。姿こそ全く違うが、2人には共通点がある。色だ。どっちも黒を基調にした服と装甲が目に映る。

 ガンダムの方はともかくとして、少女の方は一体なんだと疑う。すると、その少女がワレチューに向けて言う。

 

「おいおい、いきなり逃げることはないだろ。そんなに、オレたちのことが嫌いなのかい?」

 

 少女は冷静な表情で淡々とそう言った。たったそれだけではあったが、DRXにはその言葉に何か違和感を、いや、少女の雰囲気に危機感を抱いていた。

 お、俺が危機感を……?そんな馬鹿な。相手は少女だぞ。まさか、あんな奴が俺よりも強いっていうのか?

 DRXが恐怖を己の中で抑え込む中、DRXと同じことを感じ取っていたワレチューが言い返す。

 

「生まれついてのワルなオイラにはわかるんだっちゅ。お前らからは嫌な感じしかしないっちゅ」

 

 強気に言い返すが、その表情はこわばっており、汗を額に浮かべていた。緊張感が押し寄せる中、黒いガンダムの方が今度はその声を発する。

 

 

 

 

「……あぁ、それは心外だよ。せっかく、君にいい夢を、彼女と共に見せてあげようと思ったんだが……」

 

 

 

 

 ガンダムの言葉に続いて、少女が再び、今度は哀しい声音で呟く。

 

 

 

 

「そうだよね……。オレなんかが見せる夢なんてどうせ気に入ってくれないもんね……」

 

 

 

 

「だが、君はそうだったとしても、そこにいる可愛らしいネズミの子なら、どうだろうか。それに、ちょうどよい具合にうってつけの子と戦士もいることだ……全員で楽しい夢でも見ようじゃあないか?」

 

 

 

 

 ゆっくりと向けられたカメラアイ。それに見られ、チューコとビーシャ、そして……DRXの体が、揺れる。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さて、黒幕達も怪しく動き始めてきました、どうなる次回以降!?

レイ「今日特撮ネタ多くない?」

シエラ「あれじゃないですか?今週のジードの話」

レイ「あぁ、そっかー」

今週の連続タイプチェンジからのロイヤルメガマスターかっこよかったです。特にソリッドバーニング登場時から流れた挿入歌とそれをバックにどんどん押していくジードの姿!マグニフィセント登場時なんか予測していたのに轟音と共に悠然と向かっていくジードには感動を覚えた!これを超える話があると思うとジード最終回楽しみですよ!(過度な期待)

レイ「まぁ、男の子たちの心をくすぐる展開ではあったよね」

シエラ「無理矢理見せられましたからね。しかも公式配信を流しながら小説3000字分の一部打ってたし。多分それがあんまり進まなかった原因」

それは認めよう。事実私が小説進める時は適当なアニソンをループで流してそれをバックに書いている方が進むし。だからしばらくはアニソン流さないとね。次回はまた戦闘回!……だったはず。

レイ「けど、それって確か小さな戦闘なんだよね?ジャンヌちゃんから聞いたよ?」

うん、でも今回の超次元編を大きく動かすかもしれない戦闘シーンになるよ

シエラ「あら、そうなのね。ってことは、捕虜を確保したり?」

それは次回の楽しみということで。さて、今回はここまで!

レイ「次回は火曜日に投稿だよーっ!」

シエラ「じゃあ、次回もまた見なさいよね?」


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第133話 一つ目の兵隊達、情報のサルベージ

どうも、皆様ご機嫌いかがですか。今週は学校の学園祭があり、更に週末には私の就職祝いを家族に祝ってもらい、そしてバトスピ煌臨杯店舗決勝で激闘を繰り広げてきたりと、ハードスケジュールをこなし過ぎて風邪でダウンしています、藤和木弘です。

ジャンヌ「本当に1週間すべてに予定がありましたからね……でもそれでダウンしていては社会人としてはダメですからねっ?どうも、皆様。学園祭では絵は描いてもらえませんでしたが、藤和木の意外な才能を垣間見ました、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「そうそう!藤和木が途中からだけど学校の校長先生と将棋で対局したんだよー!どうも、みんな!バトスピ店舗決勝で藤和木が調査員に対してタイミングを見計らいつつνジークを出したけど、見事に警戒していたマグナマイザーにとどめを刺されたのを見て、哀れに思った、レイ・オーバだよっ!」

やめて!気にしてる事2つも言うのはやめて2人とも!

ジャンヌ「結局将棋もバトスピも敗北しているっていうのはちょっと……」

レイ「しかもどっちも守りに入ったのが敗北の原因っていうねー」

仕方ないだろ!将棋は相手の攻め手にけん制しつつ王手してたらいつの間にか負けてるし、バトスピはバトスピでνジーク出す完璧なタイミングがなかったから仕方なくネクサスで補給される紫シンボルを徹底的に潰すしかなかったんだし!νジークの制限は認めるから、頼むからマグナマイザーを制限に入れてくれ!

レイ「けど、まぁ勝負は時の運だよ。それはそれで藤和木は改善点見つけたんでしょ?」

うん、まぁ……。さて、今日も更新しますよ。今回は第133話の投稿です。

ジャンヌ「先週の不穏な空気から、今回は光樹さん達の視点ですね」

レイ「一つ目の兵隊……まさか、お化けの兵隊!?」

それはない。ガンダムシリーズ知ってる人なら連想できるあの系統の機体ですよ

ジャンヌ「果たして、行く手を阻む機動兵器たちを光樹さん達は突破できるのでしょうか?」

それでは本編へ!


 

 

 窃盗犯を追いかけていた光樹達がたどり着いたのは、「プラネスタジアム」と呼ばれるところであった。通りすがりの旅人達に尋ね、その結果ここへ辿り着いたのである。

 既に内部には突入し、途中途中のモンスター達を撃破し現在進行形で最深部へと急行していた。特別迎撃が激しいわけではなく、野良モンスターが占拠している状況で光樹とその仲間達は順調に進んでいく。

 

「ここに逃げ込んだらしいけど、そんなに迎撃は少ないわね」

 

「というより、雑魚で足止めしている間に更に逃げようとしてるんじゃない?」

 

 モンスターを消滅させながら、ガンダムを纏った鈴とアイエフがやり取りを交わす。2人の考えは納得できるものがある。モンスター達はこちらを迎撃してくる。が、その行動にはまとまりがない。隙が多い。もし本気でこちらを本気で足止めしようというのなら、もっと組織的に行動した方が妨害しやすい。そうでないということは、このモンスター達は、アフィ魔Xが使役するモンスターではないということだ。

 そうとなれば、このモンスター達を突破するのは容易いことだろう。2人の話を聞いてネプテューヌと勇也は急ぐことを口にする。

 

「だとしたら、早く行こう!」

 

「だな。ここで時間を食ってる暇はない。とっとと先に……」

 

 だが、勇也がその先を言おうとしたところで、物音が響く。

 

ガッシャン、ガッシャン!

 

 機械が駆動するかのような音だ。光樹達の視線がそちらの方に向けられる。すると、そこにいたのは、大軍を擁する一つ目の人型機動兵器群であった。

 機体カラーは緑色がほとんどで、1機だけは紫色の機体が混ざっていた。他には機体の頭部や肩、脚部の装甲が他と違う機体だったり、最も分かりやすいのは装備が全く違う機体だったりと、かなりのバリエーションを誇っていた。

 だが、その機体に見覚えがあった光樹とSSRの面々。その機動兵器の名を呟く。

 

「あれは……ギラ・ズールか?」

 

「そのようね」

 

「な、なんでガンダム世界のモビルスーツが?」

 

「あれ、光樹達はあのロボット知ってるの?」

 

「残念だが、そのツッコミはあとにした方が良いみたいだぞ?」

 

 疑問が飛び交う中、敵の銃口が向けられる。本能的にやばいと感じた光樹達は回避行動を開始する。紫色の機体の左手が上げられたのち、勢いよく振り下ろし、号令をかける。

 

『全軍、銃撃開始!』

 

 構えられた銃口から、次々とビームの弾丸が飛び出す。通路だったので銃撃は自然と道いっぱいに広がっていく。通路の端に隠れられるスペースはない。光樹達は後方へ回避しながら通路の角まで逃げおおせる。

 光樹達が視界から消えてもなお、銃撃は止まらない。どうやら完全にこちらを警戒しているようだった。鳴りやまない銃撃の下で鈴は声の大きさを大にして怒りを露わにする。

 

「っつ!!やっぱり組織のやつらがいたわね……っていうか、まだ狙ってくるんじゃ、出ていこうにも出ていけないじゃない!!」

 

「はわわ……壁にどんどん当たっていくです!」

 

 コンパの発言通り、敵のビーム弾は通路の角の先にある壁を穿っていた。見るだけで突撃を躊躇うほどだ。

 しかし、ここで止まるわけにはいかなかった。この場を突破しなければ、ゲーム機を取り返すことは出来ない。だが、そうは思っても行動には移せない。

 

「こ、この銃撃、いつまで続くの!?」

 

「たぶん弾切れを起こすと思うんだけど……でもサブアームの武器だったり、連射を行わない狙撃タイプの機体もいたから……銃撃が収まっても突撃には気を引き締めないと……」

 

「けど、これ終わる気配がないわよ……?」

 

 鈴のいう通り、この弾幕が途切れた時が反撃の合図だ。だが弾幕を超えた先にも危険がある可能性もある。それ以前にアイエフが言った銃撃の収まる気配が見受けられない。かれこれ1分は経つが、それでも銃撃の激しさは収まらない。早く突破したいというのに……。

 何か案はないかと俺は考える。すると、唐突に銃撃が収まる。

 

「銃撃が収まった……?」

 

「弾切れじゃない!?だったら早く出て行って……うわっ!」

 

 壁際から通路に出ていこうとするネプテューヌの服の襟元を絵里奈が引っ張って制止する。

 

「どうしたの、絵里奈」

 

「いったー……何やってんのさ、絵里奈。早く行かないとゲーム機が!」

 

 止めた絵里奈に対し、ネプテューヌが文句を言う。絵里奈の行動には鈴も少々驚いていた。予想外の行動だったからだろう。

 しかし絵里奈は止めた時の真剣な表情と共に、止めた理由を伝える。

 

「いきなり止めたのは悪いと思うよ。けどね、多分これは弾切れじゃないと思う。だって、マシンガンのマガジン交換音とロングカノンの冷却音が聞こえてないの」

 

「……なんですって?」

 

 鈴がその言葉を重く受け止める。光樹も話を聞いてなんとなく状況を理解していた。ギラ・ズールのビームマシンガンはエネルギーマガジンを介してビームを撃つタイプだ。それを交換しないと弾数は回復しない。砲身の長いビーム兵器もスナイパーライフルなどでも銃身に熱がこもりやすい。それらの音がしないということは、やはりまだ狙っているということなのだろう。

 しかし、絵里奈は凄いな、と思う。この状況下でよくそんな音が聞き取れたと思う。普通の人間なら聞き漏らしていてもおかしくないだろう。絵里奈の話を聞いて、ネプテューヌも理解を示す。

 

「うーん、なら危なかったかな。ありがとう、絵里奈!」

 

「それはどうもー」

 

 こうしてネプテューヌは砲火にさらされることはなかった。とはいえ、この好機を逃さない手はない。出ていくなら今しかない。だが、あれだけの量を突破するには味方の援護と、出来るなら敵の視界を潰したかった。

 すると光樹の頭の中にあるアイデアが思い付く。光樹は早速鈴に突撃を打診する。

 

「鈴、やっぱり今しかないと思う。突撃しよう」

 

「光樹、あんたの言うことも分かるわ。けど、相手はあそこまで陣形を整えていたのよ?あれをどうやって突破するっていうのよ」

 

 鈴もあれを突破するのが厳しいと感じ取っていた。しかし、それを突破するための方法があるかもしれなかった。光樹のガンダム、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス……いや、SSRシリーズのガンダムに備わる力で。

 そこで光樹は、その作戦を全員集めてから語る。

 

「方法はある。まずは……」

 

 

 

 

「っていうのが、俺の考えだ。どうだ、みんな」

 

 伝え終わったことを光樹は全員に今一度確認する。ネプテューヌ達の反応は表情からも分かりやすく、賛成といった雰囲気だった。

 

「うん!それなら分かりやすい!」

 

「流石です、光樹さん!」

 

「なかなかいい作戦じゃない。それなら突破できるかもしれないわね」

 

 一方、鈴達の方も思うところがあるようだが、おおむね納得をする。

 

「撹乱しつつ突撃する、いいじゃないか、俺達の得意とする戦法だ」

 

「そうね。まさか記憶を失ってる馬鹿光樹があたし達の十八番をやるっていうなんて、予想外だったわ。……まぁ、優先事項からしてみれば、言ってなかったらあたしが言ってたかもだけど」

 

「けど、自分から率先して言うなんて、流石光樹君だよー!」

 

 話を理解した各々は攻撃の準備を整える。それぞれ武器を持って突撃の準備を完了したところで、光樹が叫ぶ。

 

 

 

 

「よし、行くぞ!!NFB!「メテオライトバレッジ・フルバースト」!!」

 

 

 

 

 光樹のガンダムが手を伸ばす。伸ばした掌に白いエネルギー球体が生成されていく。更にその周囲にも一回り小さいエネルギーの玉が出来上がっていく。

 エネルギーを完全に生成したところで、光樹はその手を一度後方に引く。そして、もう一度突きだすと、エネルギーの球体から光の奔流が多彩な軌道で放たれていく。放たれた光の弾丸は曲がり角を大きく曲がり、敵がいる方向へと伸びた。

 

『攻撃か。迎撃開始!』

 

 一方、それを見たギラ・ズール部隊は一斉に砲撃を開始する。迎撃のためだ。だがしかし、迎撃のための弾幕はむしろ光樹達からしてみれば予想通りだった。むしろ、そうしてくれなければここでまた足止めされていた可能性があった。

 1発の弾丸が迎撃を受けて爆発する。爆発の光は大きく広がり、敵の視界を潰す。視界が奪われたことで敵は残りの弾幕を撃ち落とせない。敵の弾幕を潜り抜けたエネルギー弾はそのまま彼らの足元に着弾、爆発で破壊した床から埃を巻き上げ更にいくつかの機体にダメージを負わせる。

 

『目くらましと判断。全機、警戒を……』

 

 リーダー格のロングライフルとエネルギーパックを持った紫色のギラ・ズールから指示が飛ぶ。が、それが全機に伝わる前に爆発が起こる。

 その爆発は無論、光樹達の手によるものだ。爆風で舞った埃を煙幕として強襲をかけたのだ。

 

「次!せいっ!!」

 

 光樹のゴッドクロスが先の爆発で撃墜したギラ・ズールからビームサーベルを抜き、そのまま脳波で感じ取った敵機の位置へそのビームサーベルを投擲する。その先にいた機体にも見事に命中し、また爆発を起こす。

 光樹以外もこの煙幕の中で戦っていた。アイエフのラ・デルフェスが発動すると、敵機に攻撃をし、その影響で開いた視界で敵機を確認したネプテューヌは刀でその胴体を2機連続で真っ二つにする。

 

「よしっ!2体撃破」

 

「他のみんなもいい感じに撃破してるみたいだわ。次、行くわよ!!」

 

 ちなみにアイエフ達は鈴達から渡された簡易式サーモグラフィゴーグルでこの視界の中でも動けていた。鈴曰く、簡易式のため、一度起動すると内装電池が切れると次には使えない使い捨てらしい。それでも加勢するだけでもありがたい装備であった。

 次々と敵を撃破していく光樹達。そして埃が徐々に薄くなっていく頃に、光樹とリーダー格のギラ・ズールが激突する。

 

「リーダーはお前か!」

 

『敵とエンカウント。迎撃を開始する』

 

 すぐにロングライフルのビームが伸びる。だが、それを通り過ぎる形で回避する光樹。回転する間にANクロスビームボウガンからビームソードを形成させる。縮まっていく距離、そして敵に到達すると同時に光樹はそのビームの剣を振るう。

 

「これでトドメだっ」

 

 敵も咄嗟にビームで形成された斧を構える。だが、剣を受け止めるよりも先に光樹のガンダムの攻撃がギラ・ズールを袈裟斬りにする。肩口から火花の散るリーダー格のギラ・ズールが断末魔のように言葉を残す。

 

『ググッ……敵機の、……排除ニ、失敗……』

 

 直後に肩口から爆発を起こす。さらにカメラアイから光を失い、機能を停止する。既に後方に飛び爆発から逃れていた光樹が仕留めたことを通達する。

 

「よし、目標は撃破した」

 

「まぁ、余裕ね。接近出来ればこんなものよ」

 

 鈴から余裕という言葉が飛んでくる。突撃のチャンスを作るまでは慎重だったが、実際にやってみるとあっけなく終わったのが、彼女の表情に余裕を見させたのだろう。

 

「けどこのメガネすごいよねー。埃の中でもちゃんと見えるんだもん!」

 

「そうですね!まるで、軍隊さんが使うスコープみたいです」

 

 それと対比するかのように、ネプテューヌとコンパは支給された簡易式サーモグラフィゴーグルの使用感を述べる。あれほどの砂塵の中ですいすいと動けるほどの視界を得られたのが驚きだったのだろう。

 だが、それも目くらましが上手くいったからこそ。勇也がそうでなかった時のことを語る。

 

「だが、相手が暗視スコープシステム系を持っていなかったのが幸いだったな」

 

「もしあったら、ここまで上手くいかなかったもんねー。見えていなくて良かったー」

 

 相手もこちらと同じ対処法……暗視ゴーグルの類の機能を持たれていた場合、ここまで上手くいくことはなかった。なので、ほぼ賭けに近いところがあった。それにも関わらず、光樹達がこの作戦に踏み切ったのには、やはり早く窃盗犯を追いかけることへの思いが強かったからである。

 ここを突破できたということは当然先に進むのを優先しなくてはならない。アイエフも先を急ぐことを口にする。

 

「それじゃあ、とっとと先に進みましょう。ここのおかげで、結構時間も食ったことだし」

 

 アイエフの発言を受けて、鈴が割り込んでいく。

 

「ねぇ、ちょっと待ってくれるかしら?」

 

「もうっ!どうしたのよ、鈴」

 

 これにはアイエフも困った様子を見せる。光樹もなぜ止めるのかを疑問に持つ。そこで鈴は状況に対する理由を語る。

 

「このままこの機体を放置するのはどうかと思ってね。もしかしたら、機体ログから、秘密結社の情報をロードできるかもしれないから」

 

 その考えに光樹はなるほど、その手があったかと心の中で納得する。この機体達はおそらく秘密結社お抱えの機動兵器群。機動兵器には基地データなどがインプットされていることがほとんどだ。もし、そこからデータをサルベージし、秘密結社に繋がる情報……もしかすると、敵の根城が分かれば、それは大きな進展となる。

 その話を聞いて、ネプテューヌもそれを打診する。

 

「おー、名案!!せっかくだから、鈴にここは任せようよー?」

 

「それは盲点だったわね。それなら仕方のないことかも。最悪、今秘密結社を追うのをやめて、ここから情報を引き出して……」

 

 だが、そんなアイエフの考えを鈴が再び遮る。

 

「いえ、貴方達はこのまま追って。必ずしも、ここから情報を引き出せるわけじゃないし、それにデータ削除を行ってたら無駄足になる。そうなれば手がかりを一気に失う。だから、ここはあたしがやっておくから、そっちは窃盗犯の確保を!」

 

「鈴……。分かったわ。私達はこのまま秘密結社を追うわ」

 

 鈴は情報が手に入らなかった時のことも考えてこちらに秘密結社を追えと指示する。ここでもし失敗すれば、鈴の言葉通り、一気に行方は闇の中だ。アイエフも鈴の話の内容を噛みしめ、それを受諾する。

 だが、そんなアイエフの表情にはどこか躊躇いがあった。もしかすると鈴の安全を案じているのかもしれない。すると、それを勇也が察してか、最善策を打ち立てる。

 

「大丈夫だ。俺も鈴と一緒に残る」

 

「勇也……?」

 

「いいの?」

 

「あぁ、元々鈴とはタッグで行動するのがほとんどだし、それに女の子だけを残すのも危険だろうしな。それでいいか、2人とも」

 

 その「2人」とは光樹と絵里奈のことであった。この時点で勇也は光樹と絵里奈の2人に敵の追撃を頼んだのだ。

 鈴の方は軽く自分がその選択権に入っていないのが気に障るような表情をしていた。が、既にそこまで決められているのなら仕方がないだろう。光樹と絵里奈は二つ返事で了解する。

 

「あぁ、構わない」

 

「こっちも問題ないよー。窃盗犯1体なら、こっちは5人なんだし、圧倒できちゃうからー!」

 

 2人の承諾を受けてアイエフとネプテューヌが先へと向かう。

 

「さぁ、急ぐわよあんた達!」

 

「了解~!!」

 

「急ぐです」

 

 5人は次々とドーム中央部へ続く道を駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 5人の先へと向かう後姿を勇也は見送る。あれだけの戦力なら、自分達が追う勢力相手には十分だろうと心の中でそう思い込む。

 すると、大破した機体との接続を行っていた鈴が作業を行いつつ、絵里奈と今残っている勇也に対してのツッコミと悪態を口にする。

 

「だから、必ずしもあの忍者機体が1人で行動してるわけじゃないでしょう。前にも言ってたローゼン・ズール型が出るかもしれないっていうのに……。……あと、勇也。何かっこつけてんのよ」

 

 睨み付ける視線を向けられ、勇也はたじろぐ。あまり怒るのも大概にしてほしいと思うのだが、2人の過去からの関係を考えれば、こうなるのは必然ではあったのは予想できたことだ。

 それでも勇也が残ると言ったのには3つほど理由があった。1つは、光樹には多くの戦闘を経験してもらう必要があるということ。というのも、今までの記憶の取り戻しにはどれも戦闘によるきっかけによるところが多い。ここで情報を集める方に残ってもらうより、先に行って強敵と戦うことが結果としてこちらの思惑通りになる。

 2つ目は絵里奈のメンタル面だ。光樹を好いている絵里奈は出来るだけ光樹と一緒にいた方が良いだろうと思ってのことだ。別にここに残ったからと好感度が下がるわけではないが、それでも元々絵里奈は顔にはっきりと出すわけではないが、特に女性に対してはやきもちを焼くこともあった。そのせいで連携が乱れるのも良くないため、絵里奈を残した。

 そして3つ目は単純に戦力比率だ。最高戦力であるシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスはゲーム機奪還を確実なものにするためにも必須。となれば、そのバックアップを誰が当たるかということになる。鈴はこの作業に掛かるため組めないとして勇也はそこそこ光樹との連携は取れる。だが、それ以上に絵里奈とのタッグが一番成果を出せる組み合わせだった。

もちろん、それは記憶を失う前の話だ。今がどうなっているかは実戦でしか分かっていない。だが、それでも絵里奈の援護と今の光樹の動きは以前ほどではないが十分かみ合っている。それなら絵里奈と組んで、余裕を持って敵の制圧に当たってもらうべきだ。

 それらの理由から勇也がここに残る選択をしたのだ。曲りなりにも勇也の中で考え抜いたのだ。別に以前の「より」を戻したいなどでは断じてなかった。だからこそ、鈴には真意を明かさずに表面上の理由だけを語る。

 

「ははっ、別にかっこはつけてねーさ。けど、シュバルトゼロと光樹が追いかけるのは戦術的にもこれからのためにも必要だ。それに絵里奈に不満顔されるものごめんだからな」

 

「本当?……けど、ゴッドクロスと光樹にしか出来ないことね。絵里奈に関しては、あたしも同意見だわ。あんたが最初にここに残るって言いださなくて良かったわ」

 

「それもそうだな」

 

 2人の談話が続く中、コードを接続した鈴のR-EXEグレイガが作業を終える。

 

「さて、これで読み込み準備は完了よ」

 

「よし、周辺警戒は任せておけ」

 

 そう伝えると、勇也はR-ZEROで周囲を警戒する。その間に鈴は解析を進める。

 しばらくして、鈴のため息が聞こえる。勇也は警戒を続けつつ、小声で聞く。

 

「……どうだった?」

 

「ダメね。場所に関する情報は今の場所じゃ解析できない」

 

「そうか……」

 

 無理だったという回答が返ってくる。それは残念なことであった。それを今伝えることが出来れば、光樹達にそれを伝えることも出来たのだが……。

 どっちにしろ、光樹達の活躍に任せるしかないか……。そう思いつつも、鈴の活路がまだ残った発言に対し、俺はその先を聞く。

 

「それで、その回答が来るってことは、もう少しマシな解析機関があれば……?」

 

 すると、その反応を待っていたかのように鈴は接触回線で答える。

 

「えぇ。ブラックボックスから情報を引き出せるかも……!」

 

 その言葉を聞いて喜ぼうとしたものの、そこで緊張が高まる。倒したはずの機体達から駆動音が響き始めた。再起動しようとしていたのだ。動き始める機械の兵達に勇也と鈴は危機感を抱く。

 

「このタイミングで再起動、か……」

 

「嫌な予感しかないわね」

 

 2人の予感は的中した。解析に使用した機体以外の機体から光があふれ始める。そして同じ言葉が同時に発声される。

 

『自爆モード、起動します』

 

「ちぃ!」

 

「マズイ!!」

 

 2人も急いで退避する。そして2人の影が光に照らされ――――――――

 

 

 

 

 通路の一角が、大爆発を起こしたのであった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さぁ、最後の方に鈴と勇也の2人がピンチになりましたがどうなる次回!?

レイ「ノリノリだねー。けど本当に大丈夫かなっ!?」

ジャンヌ「爆発に飲み込まれたみたいですけれど、大丈夫でしょうか……。でも爆発した時の描写、少し曖昧じゃないですか?」

うん、何のことだかさっぱりだなー(*´ω`*)

ジャンヌ「あ、これ確信犯ですね」

レイ「ってことは無事なんだね?でも藤和木のことだから何かありそうかも……」

ジャンヌ「何かといえば……そういえば絵里奈さんが何か物凄い超感覚を発揮していましたね」

レイ「そうそう!銃の音をあの状況で聞き分けるってどうなの!?」

まぁ、あれは絵里奈にしか出来ない芸当ですよ。視覚だけではなく聴覚も優れている。スナイパーだけじゃなくアサシンもこなせますよ。

レイ「……あのゲームの中でアー○ャーとアサ○ンこなしているサー○ァントっていたっけ?」

それは知らん。私F○teはよく知らないから

ジャンヌ「とか言っていますけど、最近アポ○リフ○見てるじゃないですか」

それは丁度バトスピにマッチした英雄が出ているからで……

レイ「あぁ…諏○部さん?」

ジャンヌ「あとわたくしと同じ名前のルー○ーさんもいますよね」

諏○部さんはバトスピでも有名な方だからね。一度フリーの方でその人がやろうとしていたことをやってみようとしたけど恥ずかしさからまだできていないよ\(^o^)/解放したいわ、一度でいいからあの名前を

レイ「でも藤和木は英雄じゃないからねー。仕方ないよ」

(´・ω・`)

ジャンヌ「まぁ、藤和木の場合は最近は当てはまらない、のでしょうけど」

ま、まぁね。さて、今回はここまでです

レイ「次回は月曜日に投稿だよーっ!」

ジャンヌ「それでは皆様、次回も是非見てくださいねっ」


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第134話 立ちはだかる忍者と騎士

どうも、皆様お元気でしょうか。学校の課題でまた帰る時間が遅くなりました、藤和木弘です

ソニア「で、でも途中寄り道してたじゃないですか……。あ、どうも、皆様!今私達が気になっているのは今週発売予定のバトスピメガデッキです、ソニア・A・ワスプです」

シエラ「紫速攻……となれば、わたくしのモチーフの出番ね!どうも、皆様。藤和木が紫速攻デッキを作ったらわたくしの使用デッキにしようと思っているわ、シエラ・ムルセーヌよ」

うん、それは予定通りだよ?っていうか、むしろまだシエラのモデルのムルシエラは現役で使えるカードだからね。私が考えてる煌臨ジャッジメントとかいうわけ分からないデッキよりも作るの簡単だよ。

シエラ「いや、なんであんたジャッジメントと煌臨を合わせてるのよ……」

だってジャッジメントの効果はアタックした瞬間効果が確定するんだよ!?しかもまた自分のターンが回って来れば、ソウルコア使えるんだよ!これもうジャッジメントのステップ開始時効果→カタストロフドラゴンに煌臨→強制ブロックBP25000で無限アタック→ターン終了時再度自分のターンとかロマンでしょ!ジャンヌさん大喜びだよ!?

ソニア「あの、それダイノブライザーの方が強くないですか?」

やめろ!そんなことを言うんじゃない!

ソニア「あぁ、知っててそう言うんですね……」

シエラ「むしろこれ知ってるから必死に言ってたんじゃない……?」

うん、そうだね。ターン追加にこだわらなければ普通にブゲイシャ―煌臨の方が強いと思うよ

シエラ「自分で認めてるじゃない……。っていうか、あんたのブゲイシャー煌臨はどこかおかしいから」

まぁ、6色ジークフリードデッキを組む上でのテストタイプみたいにやってるからね。けど、その話は近況報告だからどうでもいいんだ。さて、今回は第134話の投稿です。

ソニア「な、流した……。そ、そうですね。今回は忍者さんと騎士さんとの対決の場面ですか?」

そうです。対決までの間の会話と、ステマックスとネプテューヌ達の第1ラウンドをお送りします。

シエラ「ってことは、今回はネプテューヌ様達の視点ベースということ?」

そうなるかな。さて、忍者ステマックスの驚くべき弱点……は分かってる人は分かると思うけど、ローゼンの趣向がなんと……?

ソニア「ステマックスさんの扱いが……」

いや、だってもうVⅡ出たの2年くらい前だよ。しかも今年にはリメイクされてるから、多分分かってる人が多いでしょう。それよりこの投稿ペースを何とかしたいです。あ、今年度中にはネプテューヌ編終わると思います。それでは本編へどうぞ!



 

 あの場を鈴達に任せ、先を行ったアイエフ達がその爆発音に気づいたのはスタジアムのステージに至る道の手前であった。突如後方から響き渡る轟音、振動。それを受けてアイエフ達の足が止まる。

 

「今の爆発なに!?」

 

「後ろからだ……まさか、鈴と勇也が!?」

 

 ネプテューヌと光樹が鈴達の安否を心配する。先程駆けてきた道から爆発が響いたということは、その進路元で何かがあったということ。それで一番関連性があるのは、撃破した敵の機械兵達だ。

 トラブルの中でも最も考えられるのは自爆だ。この爆発の規模からも、その可能性が最も高い。不安に駆られる空気がメンバーの間に流れる。

 

「だ、大丈夫でしょうか……」

 

「……多分、としか言えないね……。あの2人なら大丈夫だと思うけど……」

 

 コンパと絵里奈の心配する声はこの場の誰もが思っていたことだ。しかし、今自分達が止まってしまえば、みすみす逃すことにも繋がる。アイエフは一泊置いてから全員に指示する。

 

「心配になるのも分かるけど、今は窃盗犯の確保よ。行きましょう」

 

「……あぁ、そうだな!」

 

「分かった。だったら早く行こう!!」

 

 心配する気持ちを抑え、再びスタジアムの奥地へと急行する。

 

 

 

 

それから程なくして、スタジアムの奥地……スタジアムのステージにまで到達する。上から照らされる証明に光でステージ上に2つの影を浮かび上がらせる。その陰に気づいたネプテューヌがアイエフに知らせる。

 

「あいちゃん、あそこ!あそこに変なのがいるよ!しかも2人!!」

 

 ネプテューヌからの誘導に従ってその方向を見ると、確かにステージ中央に怪しい人物達が2人いるのが見えた。それも、どちらも人というより、人型のロボットだ。姿もマジェコンヌ達の応援に駆け付けた人物達が、そこにはいた。

 何とか追い付けたみたいね。あたしは確認したことを口にする。

 

「あれは……ネプ子、上出来よ。やっと追いついたわ」

 

「こらーっ!そこの忍者待てー!」

 

 ネプテューヌが目標に対して制止を叫びながらステージ中央まで追いかける。

 

 

「……むっ。追いつかれたで御座るか」

 

「ほう、ここまでよく追いかけてきたものだ」

 

 目標の2体がその声に気づき、こちらに振り返る。どうやら相手は更にここから逃げるところだったらしい。しかし、ここまで追いつけば、もう逃げられる距離ではない。

 

「やっぱり、あの時の忍者だ!」

 

「それに、ローゼン・ズール……合流したって感じだな」

 

 ネプテューヌに光樹は敵の姿を今一度再確認する。追い詰めたところでアイエフは敵に対し、捕まるよう要求する。

 

「あんた達がネプ子のゲーム機を盗んだ犯人ね。諦めて盗んだものを返してもらうわよ」

 

 真剣な表情で強く言うアイエフ。その一方でコンパと絵里奈は、目の前の光景に感動と納得を感じる。

 

「すごいです!本物の忍者です!わたし、本物の忍者さん初めて見たです」

 

「うーん、やっぱローゼン・ズールかぁ。武装もまんま同じだしー」

 

 2人ともあまり危機感がない。一応絵里奈は敵の特徴を注意深く見ているとも取れるが、コンパの方は完全に忍者に初めて会ったという感動が大きく表情に出ていた。

 対する忍者と騎士……ステマックスとローゼンは追いつかれたことに驚きを見せていた。

 

「まさか、こんなに早く追いつかれるとは……。しかも、3人は妙齢の少女、で御座るか……」

 

「追いつかれたのは想定外だな。だが、少し人数は絞ることは出来たようだな」

 

「人数を絞る……って、やっぱりあれは!」

 

 ローゼン・ズールの方の話に光樹が食いつく。人数の絞り込みという単語から人数を減らしたということを読み取ったからだ。その反応に、ローゼン・ズールが得意げに語る。

 

「そうとも。あれを撃墜されたという反応を受けて、少し驚いたがそれもまた一瞬。その程度ならばこの私、騎士ローゼンの敵ではない!」

 

「っく……!罠にはめるなんて、騎士にしては卑怯だよー!」

 

 罠に嵌めた事実を聞いた絵里奈がその作戦にいちゃもんを付ける。がそんなことはお構いなしにと騎士ローゼンは意に介さない。

 

「フン!小娘には分からん、軍人として真っ当な行動をしただけさ」

 

「真っ当じゃないよ、部下を捨て駒にするなんて!まぁ、作戦としては成立するのは認めるけどー」

 

 とはいえ、絵里奈も作戦としてはありなことを認めていた。が、今の状況になっても2人が戻ってこないとなると、心配は増す。

 2人の安否を心の中で願いつつも、戦う素振りを2機に対し降伏を勧める。

 

「一応、言っておくけど、素直に返してくれれば、悪いようにはしないわよ」

 

「………………」

 

 その言葉を聞いて、忍者の方は目を合わすことなく何も言葉を発さない。降伏するべきか考えているのか、はたまた答えるつもりはないということなのか。おそらくは後者なのだろうが。

 

「……へぇ。さすが、忍者。話すつもりもなければ、目を合わせるつもりもない、か」

 

 忍者の無口ぶりをそのように称する。口が堅いというのは、のちに尋問するにしても厄介だ。もう少し言葉で抵抗してくれればこちらとしても戦闘の時に仕掛けやすいところであったが、これは長くなりそうだと感じた。その一方で、騎士の方は大きく反抗してくる。

 

「フッ。騎士である私が、むざむざと渡すものか!」

 

「そっちは完全に戦闘態勢完了ってところか……いいぜ、やってやる!」

 

 光樹と絵里奈に対する戦意を真っ向から受けて立つ勢いの光樹達。しかし、そこで騎士ローゼンが付け足しで語り始める。

 

「……だが、そこの女、その解釈は間違っているぞ……?」

 

「はぁ?どういう……」

 

 アイエフ自身に向けられたその言葉に首を傾げる。だが、そこで忍者が声を発した。それも、小さな声で。

 

「ぁ……いや、ちが……でござ、る……」

 

「あいちゃん。小声ですけど、何か言ってるですよ」

 

「ほんとだ。小声だけど、「御座る」って言ってる」

 

 その小さな声に気づいたコンパがそれを伝える。ネプテューヌもかすかに聞き取った単語を口にする。そして絵里奈が、聞き取った全文面を再び声にして全員に伝達する。

 

「うん。「あ、いや、違うで、御座る」って言ってたね……」

 

 違う?何が違うのよ。ってか、声も小さいし、どういうこと?

 困惑する中、再びアイエフはステマックスの小声を聞くことに。

 

「……その、……将軍、からの勅命で……だから……その、生命に、代えても……」

 

 かすかに、かつ言葉にまごつく忍者の話し口調に、苛立ちを募らせていく。

 

「イライライライラ……」

 

「……なんかこの光景見たことあるな……」

 

「……だから、拙者……その…………えと、だから……渡せない……御座る」

 

そしてとうとう、怒りを爆発させる。

 

「あー、もう!!なんではっきり喋らないのよ!敵とはいえ、目も合わさずにそうやってウジウジ喋ってるとムカつくのよ!!」

 

 怒りのあまり、ここまでの間に感じたこと全てをぶちまける。敵前の中であるにも関わらず、そんな弱々しい喋り方がアイエフ自身の戦意を逆なでさせてしまっていた。

 すると、そんな怒りのツッコミを受けて騎士ローゼンが理由を説明する。

 

「このステマックスは女を前にすると、上手く喋れなくなってしまうのだ。とかいう私も、女はあまり好かんがな」

 

「そうなので、御座るよ……っ。あまり、なれて、なくて……」

 

 その説明を要約すると異性を前にすると喋れなくなってしまうということだった。つまり、女の子を相手にすると緊張で上がってしまうということだった。

 先程までの自分の考えを完全にひっくり返されてしまったことに腹を立てたアイエフはそんな軟弱者に手厳しいツッコミを入れる。

 

「思春期の男子中学生かお前は!!」

 

 尋常ではない程のキレ方を見てネプテューヌも横から見て目を白黒させる。

 

「おー、あいちゃんがめっちゃキレてる」

 

 今までもアイエフがキレることはあった。というより、先程のワレチューとの戦闘前にもネプテューヌがゲーム機を持っていることを隠していた時も同じような反応をしていた。

 が、それとはまた違った理由での怒りがにじみ出ていた。その様子をコンパが例える。

 

「あいちゃん、昔からはっきりしない人が嫌いな委員長タイプだったですからね」

 

「あー、なんか聞いてて分かるー。鈴ちゃんとかそういう感じー」

 

 絵里奈もコンパの意見に賛成する。緊張感のない2人の談義が展開される。だが、その雰囲気に流されたのか、光樹も忍者に対する感想を口にするまでになる。

 

「そうか。この光景見たことあると思ったら、学校での俺がそうなんだ」

 

「そういえば、前に鈴から聞いた光樹の人物像がそうだったね。けど、今までに会ったことのないタイプの敵で、ちょっと新鮮かも」

 

 その指摘通り、光樹の過去の情報が忍者のそれと同じであった。異性との会話に混ざりづらいその様子はこの世界ではなりを潜めていたが、過去の学校での光樹はそのタイプだったという。

 するとふと、疑問の先が騎士ローゼンの方に向けられる。

 

「そういえば、騎士の方?君も女の子が苦手的なことを言ってたけど、どうなの?」

 

「私か……?敵となれ合うつもりはないが、教えてやろう」

 

 断る雰囲気を見せつつも、その質問に答えるあたり、秘密結社も意外と律義なのかもしれない。と思うのも、異性と話せない思春期男子の忍者と比べれば、という認識であったが。

 だが、その考えは覆ることになる。

 

「私が苦手とするもの……それは女性という女々しいもの!そして私が愛してやまないのは、屈強なる男の力強さ!そう、男のありのままの姿!!それが戯れる姿こそ至高なのだ」

 

 そう告げられて、ネプテューヌを除く他のメンバー達の思考が凍り付く。その意味の深いところを認識してしまったからだ。

 一瞬認識を理解しなかったネプテューヌも光樹から説明されるうちにその深い意味を理解する。

 

「おおーっ!男の力強さに惚れてるんだ!男前~!」

 

「……いや、ネプテューヌ。その後の言葉2つに注目してほしいんだが……」

 

「その後の2つ?っていうと、ありのままの姿と、戯れるってこと?別に本来の姿を見せたり、遊んだりすることって普通じゃ?」

 

「2つかけ合わせてみろ。あと、コミマ要素を入れて」

 

「2つの要素……男、ありのまま、戯れ……って!まさかこのロボ!」

 

「あぁ、こいつは男好きだ!!」

 

 光樹が大きく宣言する。明かされた素性、それは騎士が男好きということだった。その説明を受けて騎士ローゼンが反発する。

 

「それのどこが悪い!?そう言ったものは幅広く受け入れられなければならないのだ!」

 

 律義にそれを認めさせようとする辺り、根は真面目であることは確かだ。だが、唐突な事実に全員が困惑する。

 まさかこんなやつだとは思わなかったわ……。別に同性愛を否定するわけでも侮辱するわけでもないけど……けど、今は敵、そういうのは関係ないわ。

 とはいえ、その回答が予想外だったのか、光樹がその失礼を謝る。

 

「うーん……否定しきれない……。それは悪かった……けどだからといって、くれぐれも押し付けはやめろよ?」

 

「あんた……否定するのか賛成するのかどっちなのよ……」

 

 アイエフも光樹の優柔不断ぶりに悩まされる。けれど、今回の敵は思春期男子の忍者に、同性愛の騎士、かなり濃いメンツが揃っている。ネプテューヌとコンパも今までに戦ったことのない組み合わせに注目する。

 

「けど、今までに会ったことのないタイプの敵で、ちょっと新鮮かも」

 

「そうですね。戦闘狂だったり、小さい子が好きだったり」

 

「無駄に暑苦しかったり、オカマなハッカーだったりそれでもって、何故か3Dモデルが実写なおじさんだったもんね」

 

 次々と今までに相手をした者達の名前が出てくる。アイエフの脳裏にも、もう二度と会いたくないやつらの顔が見えてくる。思えばワレチューもそのうちの1人であった。

 広がっていく今までの敵の特徴。それを聞いていた絵里奈は千差万別の回答にただただ茫然としていた。

 

「ほわぁ、この世界ではネプテューヌちゃん達そんなにキャラの濃い相手と戦っていたんだねぇ」

 

「もう今までにそれだけ戦ってきてるのか……まぁ、同じ世界の物語が2回続けばそれもあり得るか……」

 

 その一方で光樹は比較的話に付いていけている状況だ。この世界をゲームで体験しているということから、そのやつらともゲームで戦っているためだろう。奇妙な気分になるのはまだ慣れないが、その分説明が省けるのは楽な方だ。

 しかし、未だアイエフ自身の怒りの矛先は向いたままだ。このままグズグズしてるつもりはないアイエフはゲーム機の奪取を声に出す。

 

「とにかく、なにを企んでるか知らないけど、あんたの持ってるそれは返してもらうわよ!」

 

「よーっし!いっくよー!」

 

「俺と絵里奈はローゼン・ズールの方をやる!」

 

 ネプテューヌと光樹の指示を了解する言葉と共に、アイエフ達はゲーム機を賭けての戦闘を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーっし、早速切り込み開始ー!」

 

 勢いよく、ネプテューヌが先制攻撃を仕掛ける。上段からの振り下ろしが振り下ろされる。だが、先程までのまごまごとした言い方からは想像できないような反射神経で攻撃を回避するステマックス。

 その隙を埋めるかのように、続いてアイエフがカタールを横薙ぎに振る。攻撃は回避こそされたものの、避ける態勢となったためちょうどコンパのスキル技、「コンパ・ラブ・ハート」が先回りという形でヒットする。

 

「くっ……」

 

「やったです!当たったです」

 

 攻撃が当たったことに歓喜するコンパ。体勢が崩れたところに間髪入れずに、アイエフとネプテューヌの同時攻撃が放たれる。

 

「クリティカルエッジ!!」

 

「烈火死霊斬!!」

 

 叩き込まれた強力な一撃を、ステマックスは小刀で何とかいなす。とはいえ、女神の攻撃を含めての強力なスキル攻撃。攻撃のエネルギーが小刀の周囲に散る。

 

「中々の攻撃で御座るな……。しかし、ここで負けていられないのもまた事実!!」

 

 気合を入れなおしたステマックスは小刀を構えなおし、突撃を行う。瞬発的に攻撃を賭けてくる。その一撃をネプテューヌは防ぐ。だが、攻撃が加わったと思うと、次の間には目の前からいなくなる。

 

「あ、あれ?どこに……」

 

「……!!コンパ!!」

 

 アイエフが叫んだ頃には既にターゲットがコンパに移っていた。コンパも注射器の側面で何とか防御に成功する。しかし先程と同じように瞬きした次にはそこから姿を消していた。

 かと思えば、今度はアイエフの後方から奇襲を仕掛けていた。奇襲に反応が遅れ、攻撃を間一髪受け止めたアイエフのカタールが1本、弾かれて宙に舞う。

 

「流石に忍者!スピードで翻弄してくるわね……」

 

「あいちゃん、援護するです!」

 

 注射器による近接攻撃をかけるコンパだったが、その攻撃をやすやすと忍者に躱され、今度はコンパが攻撃を受ける。

 

「甘いで御座る」

 

「ひゃうっ!?」

 

 小刀の一撃で倒れ込み、尻餅をついてしまうコンパ。それを好機とみてステマックスはダメ押しの一手を構える。後方に回って左手を手刀の構えに取り、後ろの首筋を狙う。

 

「まずは1人……」

 

 気絶を狙っての一撃が放たれるも、途中でその動きは止まる。距離を詰めたネプテューヌが刀を手刀目がけて突きだしたのだ。

 その攻撃により、回避を選んだステマックスは大きく後退する。その間にネプテューヌはコンパを立たせる。

 

「大丈夫、コンパ?」

 

「はいです。ありがとうです、ねぷねぷ」

 

 ネプテューヌの助けを受け、気絶を免れたコンパは礼を述べる。一方、後方に引いたステマックスの方は、地面に足が着くと同時に炎に囲まれる。アイエフの「魔界粧・轟炎」だ。

 咄嗟のことだったが、アイエフが追撃を行ったことで隙をなくすことが出来た。これこそプラネテューヌの仲良し三人組のコンビネーションであった。しかし、そのうちの1人であるアイエフの考えは少し違っていた。

 

「よくもコンパに一撃くらわそうとしたわね!この思春期男子の忍者!!そんなんじゃ私達にダメージは与えられないわよ」

 

 そう、アイエフの中では、未だに先程のやり取りのことが残っていたのだ。その攻撃は先程の礼を兼ねてのことだったのだ。

 あちゃー……まだ根に持ってる。余程あの時の反応が気に入らなかったんだね……。しかもコンパに攻撃したから、その時のことも相まっていつもよりあいちゃんの炎がいつにも増して激しく燃えてるよ……。

 炎とアイエフの勢いに圧倒されるネプテューヌ達であったが、それでも今は頼もしい。この攻撃でかなりダメージを負ったはず、そう思った。そしてそれは半分当たっていた。

 突如、炎の渦が横一線に線が入ったかと思うと崩壊する。そこには小刀と大きな手裏剣を振った態勢で静止するステマックスの姿があった。手裏剣は左腕に装着されていたものであり、その大きさは展開すると更に大きくなっていた。

 おそらく、その2つの武器で勢いの増した魔界粧・轟炎を切り払ったのだろう。炎の渦から解き放たれたステマックスは声を少し荒くしつつこちらに称賛を送る。

 

「はぁ……はぁ……。見事な連携と実力の伴った攻撃で御座るな」

 

「あら、そう?だったらここらへんでゲーム機を返してもらいたいところなんだけど?」

 

 称賛を受け取りつつも降伏を再度提案するアイエフ。しかし、その言葉をステマックスは断る。

 

「それは出来ない相談で御座る。……だが、拙者も覚悟を決めたで御座る。そろそろ本気で行かせてもらうで御座る!!」

 

 小刀を前に、手裏剣を後方に引いて戦闘態勢を今一度取る。どうやら敵も本気モードのようだ。

 先制したのは、ステマックスの方だった。

 

「てぇい!!」

 

 左手に保持していた大型手裏剣を投げる。投げられた手裏剣は円弧を描いてこちらに伸びてくる。咄嗟にネプテューヌは回避し、アイエフとコンパは攻撃を防ぐ。防がれた手裏剣はそのままの軌道で再びステマックスの手に戻る。

 大ぶりな攻撃であったが、避けるか防いでいればダメージはない。このまま3人で突撃を……と思ったものの、そこで異変が起きた。攻撃を受け止めた2人が異変を口にする。

 

「この程度の攻撃……って、なに!?」

 

「あ、足が動かないです……?」

 

 2人はその場から1歩も動かない。いや、動こうとはしていたが、上半身があたふたするだけで、下半身は全く動きがみられなかった。

 一体どういうことなのだろうか。2人に目を向けるネプテューヌに向け、ステマックスが2人に起こった状況を説明する。

 

「どうして……」

 

「簡単で御座る。拙者の手裏剣には移動封じの術がかけられているので御座る。2人はその影響を受けただけで御座るよ」

 

「何その攻撃!?これは早いとこ手裏剣を壊した方がいいかも……っと!」

 

 壊すことに集中しようとしたところで急接近してきたステマックスの攻撃を受け止める。だが、その攻撃はまたしても手裏剣による攻撃で、攻撃を受け止めたネプテューヌの身にも下半身の硬直を感じる。

 

「しまった!!」

 

「これでお主達の動きは封じた……後は気絶まで持ち込んで、ローゼン殿の手助けで御座る」

 

 そう言い放つとステマックスは手始めにネプテューヌの背後を取る。このままではまずい。この状況を打破するためには、硬直から逃れなければならない。

 そこでネプテューヌは残しておいた手を使う。

 

「仕方ない。女神化っ!!」

 

 その叫びと共にネプテューヌの体が光に包まれる。光が包んだことで紫色のスパークが弾かれ、さらに迫っていたステマックスをも弾き飛ばす。強い光の柱が、フィールドを照らす。

 攻撃を弾かれたステマックスは吹っ飛ばされる体を立て直し着地する。女神化をされたことには予想外の様子だが、それでもなお立ち向かう姿勢を示す。

 

 

「変身したで御座るか、女神……しかし!!」

 

 

 そう言葉を吐き捨てたところで光が解け、その場に濃い紫色の髪と黒の肌に張り付いたスーツを纏った女神パープルハートが姿を現す。

 よし、女神化の衝撃で硬直が解けたわ。体が動くのを確認したわたしは、剣を敵に向け、叫ぶ。

 

 

 

 

「さぁ、ここからがわたしの本気よ!女神に挑んだこと、後悔なさい!!」

 

 

 

 

 ステマックスと女神パープルハートによる第2ラウンドが始まった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さぁ、ピンチを辛くも女神化でしのいだネプテューヌもといパープルハート、戦いの行方は!?

シエラ「けどすごいわね、動きを封じる状態異常って」

ソニア「ゲームとかだと麻痺ってあるけど、これは少し違う感じですか?」

うん、麻痺とかは何も出来ないことがあるけど、こっちの影ふみ状態だと動けないだけでアイテムとかは使えますからね

ソニア「あー、じゃあ楽じゃないですか?攻撃も出来るわけですし」

でも、ネプテューヌっていうゲームはフィールドを動いて接近して攻撃するゲームですからね。こうなると射程の長い攻撃でないときついですよ。

シエラ「けど、まさか全員が動けなくなるなんてね。女神化がなかったら危なかったところね」

女神化がなければ、即死だった……

シエラ「いや、何を言ってるのよ……」

いや、事実だから。当時私影ふみを甘く見てて、メンバー全員?(記憶が曖昧)が動けないとかいう酷い惨状だったから。

ソニア「な、なんていう状況……良く勝てましたね」

なんかスキル技放ってたら勝てたんだよね……。それでこの話書くのに参考となるプレイ動画みたいなのを見てたらなんかスキルばっかり使ってた方がボスに対してはダメージ効率が高いっぽいね

シエラ「そ、そう……。け、けど、まさかローゼンが、あ、ああいう考え方だったとはね……」

ソニア「私見ててあんまり変だとは思わなかったよ?私とシエラだって、同性同士で遊んでたりしてたわけですし……」

……うん、ソニアちゃんは純粋だね

シエラ「そ、そういうことじゃないから、ソニアっ!」

ソニア「?」

さて、まぁその話は置いておいて。と言いたいんだけど、実はそこ、結構言葉に悩んだところなんだよなー……。

シエラ「そうなの?」

うん、こう言った創作とかでも表現とか言葉には気を使わないといけないところとかあるからね。戦闘とかでは少しだけだったのがここでは何回かネットで調べて何回も書き直してた。

ソニア「大変だったんですねぇ……」

うん。……それでは今回はここまで!

シエラ「次回は日曜日の投稿になるわ。次は光樹サイドでの戦闘が中心のようね」

ソニア「それでは皆様、また次回ですっ!」


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第135話 交差する閃光、オールレンジVSオールレンジ

どうも、皆様、お元気でしょうか。今日はバトスピショップバトルに行ってきてからの投稿になります、藤和木弘です。

ジャンヌ「でも、書き始めは確かに帰ってきてからなんですけれど、今のこの時点で1時間程度掛かっているという……でも、今日はいい感じでした!どうも、皆様。シエラと共有で紫速攻デッキを使用することになりました、ジャンヌ・ドラニエスです」

シエラ「白ジークは藤和木のデッキだし、赤白リボルは光樹さんのデッキになりそうだからっていうから、分かるのは分かるんだけど、何だかって感じね。けど、バトスピのルールをまだよく把握してないこっちとしては、ジャンヌさんがセコンドに入ってくれるのはありがたいわね。どうも、皆様。赤緑忍風も買ってもらいたかったけど、藤和木が買わなかったわ、シエラ・ムルセーヌよ」

いや、まぁ、買えばレイとソニアの共有デッキになってたけどさ。でも双黒の方を2個買わないとジークネクロが揃わないからさ。いや、赤緑が私のバトスピ復帰後の明確な主要デッキだったこと考えても欲しかったけども買うのはもう少し待ってくれ!実際に一部カードを使われて強いのは認識出来たから!あとソニア思いだね。

シエラ「べ、別にわたくしはソニアだけのけものっていうのが気に入らないからで、それ以上の事は思ってないし!」

ジャンヌ「な、何だか少し恥ずかしい気を感じます……。けど、レイさんは使用デッキは爪鳥では?」

あぁ、パワー不足すぎるんで、最近調整しなおした星竜煌臨に変更しました。

ジャンヌ「え、あの紫ジークフリードのあまり分を入れた?」

ぶっちゃけ言って、あれなかなか強いよ。召喚時封じるし、けどそれでもハイパーゼットンとかも遠慮なく入れてるしで、対戦相手を困惑出来たよ。勝敗もいいところだし。ただもう少し数を重ねたいところ。

シエラ「ふぅん、けど紫速攻も調整しておいてよね。今回1回戦落ちなんだし」

それは申し訳ないと思ってます。けど私自体、速攻構築苦手なのと紫を構築したのが少ないのもあるから、もう少しいろんな人の構築見ます。あ、最近は特撮系ゲームの実況見ながら小説打っているので書くペースが落ちてます。

ジャンヌ「唐突にそういうのを入れるんですね……。でもそれ以外にも学校の課題で買えるのが遅くてその疲れで書けていないっていうのもありますよね」

それなんだよねぇ。まぁまだ投稿ペースを変えるほど切羽詰まっていないので、少し集中して書いていきたいところです。さて、今回は第135話の投稿です。

ジャンヌ「今回は前回のパープルハート様達の視点から、光樹さん達の視点での戦闘になりますね。しかも、本格的に戦闘シーンになりそうです!」

シエラ「オールレンジ、っていうのは、どんな距離からでも攻撃可能ってこと?」

まぁ、正解。ただ、SFでのオールレンジっていうのは、宇宙空間の前後左右上下などのさまざまな角度からの攻撃を意味することが多いんだけどね。もちろんこの話ではそちらになります。さて、光樹君と絵里奈の前に立ちはだかる屈強なる騎士、ローゼンのオールレンジ攻撃を捌けるか?それでは本編へ


 

 

 地上での戦闘が始まったと同時に、絵里奈達もまた目の前の敵、騎士ローゼンとの戦闘に突入していた。空中へと飛び上がると同時に、ローゼンの周りに先程戦ったギラ・ズールと同型の機動兵器が2機直援として入る。しかし、お互いそれには目もくれず、すぐさま両者共に射撃による弾幕戦を展開する。

 

「ANロング・メガ・マグナム!!」

 

「ANHXキャノンバスター!!」

 

「三連装ビーム砲!!」

 

 光樹と絵里奈、それにローゼンの武装を叫ぶ声が響き、ビームの矢がそれぞれに向けて放たれていく。光樹は空中で小刻みに動いてローゼンの直線的なビームとギラ・ズールが放つビームマシンガンの連弾を避けていく。

 一方、絵里奈の方にはあまりビーム弾が飛んできていなかった。攻撃の大抵はギラ・ズールからのビームマシンガンで、絵里奈は客席を低空滑空しながら、攻撃を避けていく。その分絵里奈は光樹への負担を減らすべくキャノンバスターで的確にローゼンの手を撃っていく。

 ローゼンの腕はクローとビーム砲が合わさったウエポンアームズだ。当然ローゼンも腕部の喪失を防ぐべく絵里奈からの砲撃にも注意する。互いに攻撃を加えつつも回避していくその様子はさながら乱戦の様相を呈していた。

 順調に攻撃を避けていきながらも突破口を見つけようとしていく絵里奈達。だが戦闘は弾幕戦に固定されたまま動きを見せなかった。互いに慎重に事を運んでいたのだ。戦闘が硬直するのはあまり良いことではない。いつまでも弾幕を張るだけでは時間をむやみに消耗するだけだからだ。そこで絵里奈が動く。

 横への回避運動を行ったのち、息を吸って一瞬集中する。精密な射撃攻撃の前兆であった。一気に集中した絵里奈は、素早くR-ZXのANHXキャノンバスターを構える。構えるとほぼ同時にトリガーを引き、撃つ。

 放たれた弾は真っすぐと相手の方へ飛んでいく。そして、敵に直撃する。直撃したのは騎士ローゼン……ではなく、直援に付いていたギラ・ズールのうち1体の右腕だ。それも肩と機体をつなぐ接続部を撃ち抜き、体から分離させた。分断された右腕はスパークののち大きな爆発を起こす。

 

「馬鹿な、あの弾幕の中で!?」

 

 絵里奈の正確無比な狙撃を見て驚きを見せる騎士ローゼン。当然、ローゼンも絵里奈の狙撃は話に聞いていた。だが、実際に目の当たりにしたことでその恐ろしさを改めて認識したのだ。

 それに敵が気を取られたことで、弾幕が緩む。その瞬間を逃さず、絵里奈は光樹に突撃を指示する。

 

「今だよー、光樹君ー!」

 

「あ、あぁ。……行くぞ!!」

 

 突然できた隙に戸惑いつつも、光樹も反射的に敵に突っ込んでいく。それに気づいた騎士ローゼン達もダメージを受けたギラ・ズールを庇いつつも弾幕を再形成する。だが敵のビームマシンガンを1丁潰したことで弾幕はやや薄くなり、光樹も先程よりもスラスラと弾幕を突破していく。

 突破していくと同時に光樹は再びロング・メガ・マグナムを放つ。放たれた高圧縮粒子ビームは一直線に敵の弾幕の間をすり抜け、騎士ローゼンに伸びる。だが、敵もその攻撃には対応する。

 ローゼンがシールドを構える。するとビームが直撃する瞬間、拡散し、後方へと霧散していく。それを見て、光樹がその正体の名前を予想する。

 

「Iフィールドか?」

 

 原典機であるローゼン・ズールにもシールドの機能として持っていた防御兵装だ。世界観と技術は違えども、同じビームという分類上弾くことが出来たようだ。

 とはいえそれはあくまでガンダムシリーズを含めた話。本当にそうだからなのかは分からないにしても、ビーム兵器は使いづらいだろう。そこで光樹は攻め方を変えた。

 

「ならこっちは……ANシェイブシフトドラグーン!!」

 

シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスのウイングからドラグーンユニットが分離する。分離したユニットは形状を刃先のとがったナイフ型に姿を変え、敵に肉薄していく。

迫ってくる敵の攻撃を見て、ローゼンらも迎撃する。

 

「遠隔操作端末か……!2機とも、迎撃ッ」

 

 ローゼンの号令と共に敵はそれぞれ離れて攻撃に対抗する。右腕を失ったギラ・ズールも残った左手に構えたビームトマホークを構えて突撃と砲撃を行うシェイブシフトドラグーンの攻撃に対抗する。

順調に攻撃を捌いていくローゼン・ズール達。しかし、攻撃は飛び回る遠隔操作端末の突撃だけではなかった。

 

「そこっ!」

 

「私を忘れてもらっちゃ困るよー!」

 

 光樹と絵里奈は両手に持った射撃兵装を次々とターゲットを変えつつ撃っていく。ドラグーンの隙間を狙って撃ち、敵の逃げ道を塞いでいく。更に激しさを増していく弾幕は敵に徐々に掠り始めていき、遂に敵の肩部後方に着弾し装甲を削る。

 

「ちぃ、餓鬼風情が……!」

 

 舌打ちをするローゼンだったが、回避で動きが乱れた隙を絵里奈は見逃さなかった。

 

「!今っ!!」

 

 またANHXキャノンバスターを向ける。今度は2門同時に放つ。狙いすまして放たれた弾丸は寸分の狂いなくドラグーンの本体と弾幕とを潜り抜け、ローゼンの脚部装甲に被弾する。

 惜しい!私は心の中でそう舌打ちをする。本当なら脚部装甲の隙間を狙ったんだけど、敵もそれを分かって関節部よりも装甲の厚い部分で防御していた。やっぱり、ここで相手をするだけあって手ごわい……!

 しかも、その攻撃はローゼンの怒りを買うことになった。

 

「よくも私の装甲に傷を……!もはや手加減は無用ッ!!――――行け、インコム!!」

 

 インコムと呼ばれた、腕部のウエポンアームズが手首の袖ガラのパーツから分離し、空中に浮遊していく。ユニットと本体は3本のアンカーで接続されていた。それらユニットはパーツを中継地点のように空中に静止させつつ、こちらに伸びてくる。そしてこちらに向けてビームを放つ。

 

「やっぱりか!」

 

「うん。でも、まだ余裕っ!」

 

 予想していたことを口にしつつ、絵里奈達は機体のスラスターを吹かせてその攻撃を回避していく。そう、これもまたモデル元と思われる機体に装備されていた兵装だ。インコムという名前を聞いて、絵里奈も察しがついたのだ。

 だが、そこからは予想外であった。攻撃を行ってきたインコムユニットはその後もこちらを捕らえて離さないかのようにすさまじい勢いでこちらに追従し、追撃を加えてきていた。

 

「って、これ、結構早いよ!?えいっ!!」

 

「確かに……避けるのも精一杯だ。っと!」

 

 何とか撃ち落とそうとビームを放つ絵里奈と光樹。だがそれらの弾丸も空中に向かって放たれ、インコムには当たらない。予想以上にインコムの展開速度が速かった。

 ANシェイブシフトドラグーンによる攻撃を受けているにも関わらずこれほどの攻撃を正確にかつ精密に行ってくるあたり、敵もかなりの実力者であるのは確かであった。2人とも敵への攻撃が減り、弾幕戦はほぼ互角に戻っていた。

 その状況で更に絵里奈のR-ZXに対し攻撃が飛んでくる。先が膨らんだ鉄の棒が煙を吐いて飛んでくる。空中でインコムの攻撃を避けたのち、絵里奈はそれを迎撃する。だが、ANHXキャノンバスターの攻撃を受けると、それは大爆発を起こしてR-ZXの装甲と絵里奈の体にダメージと衝撃を与える。

 

「くぅぅ……これってシュツルム……?」

 

 絵里奈はその武装の名前を口にする。シュツルム・ファウスト、使い捨て・携行式の実体弾頭だ。バズーカと違って携行しやすい分、弾頭は大抵1発限りの兵装だ。

 最初に見たとき、シールドに先程の弾頭に似た形の物を絵里奈は見ていた。それを敵は使ったのだ。

 一方の光樹はうって代わって大出力のビームにさらされていた。見るとローゼンがシールドを構え、そこに内蔵された砲口からビームを同時に3本放っていた。単発式のビームを連続で放ち、光樹に襲い掛かる。それを光樹はゴッドクロスの機動力を最大限使って回避していた。

 攻撃こそ直撃していないものの、徐々に押されつつある絵里奈・光樹ペアは一度距離を取る。展開されていたANシェイブシフトドラグーンもエネルギー切れが近くなっていたため次々とゴッドクロスの背部に戻っていく。敵ににらみを利かせつつ、2人はどう攻略するか相談する。

 

「ねぇ、どうするのアイツ。結構強いよ?」

 

「そうだな。今までの相手は機体の性能でゴリ押せるところもあったけど、こいつには通じない……」

 

 光樹の言葉はまさしく的を射ていた。最近は光樹も武装化モンスター相手にそれほど苦戦することはなくなっていた。

だが、それはモンスターを相手にした時であり、絵里奈や鈴達とのトレーニングではまだ3人同時に相手できるほどの実力は取り戻せていなかった。それどころか、1対1の時でも危機に陥る場面もあった。

そう、この相手にはただ機体性能で圧倒するにしても機体を上手く使いこなさなければ難しい。その一方で絵里奈の機体では十分な威力を発揮するのには隙が必要だった。今のこの状況は機体性能が上な光樹のガンダム「ゴッドクロス」に、光樹に頼るほかない。それを光樹も自覚していることを伝えてくる。

 

「俺も今持てる力を持ってあいつを倒す。だから絵里奈、直援の相手は……」

 

「うん。私に任せて。分断してくれれば、後は私が何とかするよー」

 

 光樹の頼みに絵里奈はいつも通りの気の抜けそうながらもしっかりとした口調で応える。

 作戦を決めたところで、2人は再び騎士と近衛兵の包囲網に挑む。

 

「さぁ、もう一度、いっくよー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「無駄なことを……何度やっても同じことだ!行け、インコムッ!!」

 

 ローゼンの返答と共に再びインコムがこちらに向かって伸びてくる。スラスターの付いたリング状の中継ユニットがいくつも展開されていく。

それらが完全に展開されれば、またこちらが圧倒されてしまう。だが意識したからと言ってANシェイブシフトドラグーンの操作が良くなるわけでもない。だからこそ、光樹は機体の性能を限界まで発揮させる。腰だめに手を構えて、ドライブモードの発動を宣言する。

 

「ドライブモード、イグニッション」

 

『allright.ドライブモード始動。ANシェイブシフトドラグーン「ゴースト」限界稼働』

 

 システムの起動がゼロに読み上げられると、再びドラグーンが展開されていく。再展開されたドラグーンにはラインが浮かび上がっていた。ANシェイブシフトドラグーンはドライブモードの影響下に入る武装のため、その起動に乗じて見た目にも変化が見られていたのだ。

 ドライブモードの力に影響されたドラグーンは先程よりも速いスピードでローゼン達に向かって展開する。その展開スピードはローゼンのインコムに劣らない。敵を砲塔の射程範囲内に捉えたところで、一斉射撃を命じた。

 

「全一斉射っ!」

 

 次々と放たれるビームの雨。それらは丁度ローゼンとギラ・ズール2機の間を離すように流れる。ギラ・ズール達はその攻撃に対し大きく外側に移動することで回避、その一方でローゼン・ズールは避けることはしなかった。そもそも避ける必要がなかったのだ。

 それはもちろん先程絵里奈が言っていた言葉に一因する。分断すればあとは絵里奈が直援を撃破してくれる。しかし、絵里奈単独では敵を分断するには厳しいのが現実。なら光樹がその状況を作るしかない。

 だからこその、先程の一斉射である。光樹の考え通り、甘い射撃に対してもギラ・ズール達をローゼンから離すことが出来た。ギラ・ズール達は再び陣形を戻そうとするも、それを阻む形で絵里奈が片腕を失っていないギラ・ズールを強襲する。

 

「残念だけど、君はここで足止めー!」

 

 右手に装備したANZXアームズのZXセイバーモードが勢いよく振り下ろされる。その攻撃は機体右側に装備されたシールドに咄嗟に阻まれる。が、それも織り込み済みのように受け止めた敵の側面にブースターで加速した左足の蹴りを叩き込む。

 敵が1体減ればまだ突撃はやりやすい。そのことも考えて、絵里奈は射撃攻撃の行えるギラ・ズールの方を強襲したのだ。そして、光樹は再び騎士ローゼンと、右手を失ったギラ・ズールと激突する。

 ドラグーンからビームを放ちつつの突撃に対し、ローゼンもインコムユニットで応戦する。だが、敵一直線に突撃する現在の光樹にインコム程度の弾幕で止めるのは難しかった。ドラグーンのけん制とも合わせ、ゴッドクロスはインコムの死角とも言える内側に突撃する。内側に入り込めば、いくらかインコムの攻撃は鈍る。それを敵も分かって攻撃をゴッドクロスに集中する。

 

「ちぃ、インコムの内側に入り込んだか……だがそれだけで突破できたと思うなァ!!」

 

 ローゼンはインコムを回収する作業を行いつつ、左腕のシールドをゴッドクロスに向ける。シールドに内蔵されたビーム砲にエネルギーが集まっていく。ドラグーンによる攻撃を行うも、同時に発生していたIフィールドバリアによって弾かれる。

 なおも突撃する光樹を迎撃するかのように騎士ローゼンの大技が放たれる。

 

 

「私の前から……いなくなれェェェェ!!!!ブーステッド・クロス・イレイザー!!!!」

 

 シールドから極太のビームが照射される。しかも、そのビームはいくつにも分かれ回転しながら空中を薙ぎ払っていく。

 その薙ぎ払いがドラグーンを飲み込んでいく。ビームの奔流に飲み込まれたドラグーンは次々と爆発を起こす。光樹自身は自身目がけて飛んできた中央の極太ビームを避けることに成功する。しかし、その後も避けた極太ビームに収束してきた薙ぎ払いのビームが続いて光樹を襲う。

 

「ANシェイブシフトドラグーン、シールドモード!!」

 

 手をかざしてゴッドクロス前面にシールドモードに形状変更させたドラグーンを集合させる。その状態で攻撃を続ける敵のビームを受け止める。上から下に向かって薙ぎ払われるビームをシールドで耐えつつ、体の重心を移動させる。その甲斐もあって敵のビームを受け流すことに成功する。

 それを見て騎士ローゼンが驚きの声を漏らす。

 

「馬鹿な!?攻撃を耐え凌いだだと!?」

 

 呆然としている様子を見て、光樹は攻め時と一気に外側から敵に距離を縮める。ウイングから発せられるAN粒子の放出で加速するゴッドクロス。やがて攻撃を終えた騎士ローゼンはこちらへの迎撃を開始する。腕部のインコムユニットから射撃が放たれるが、その攻撃全てを光樹はゴッドクロスの機動力で回避する。細かいスラスターの挙動で行われる動きにローゼンは翻弄される。

 回避行動を行いつつ、光樹はゴッドクロスの右腕部のANクロスビームボウガンⅣのソードブレイカーモードを起動する。幅広の光の剣が生成される。直後の攻撃を避けたところで、光樹はANクロスビームボウガンⅣ・ソードブレイカーモードを構えて攻撃の範囲内まで迫る。敵も弾幕を張るが、それらの攻撃は回避かソードブレイカーモードで切り捨てられていた。

 もはや機体数機分の距離となったところで、ローゼンはシールドから収束ビーム弾を放った。狙いをしっかりつけて放たれたその一撃は真っすぐゴッドクロス目がけて進む。しかし、それに対し、光樹はANクロスビームボウガンⅣのビームソードを突きだす。ビーム弾とビーム剣が接触する。が、ビーム同士の干渉でビーム剣の方が横に逸れる。そのタイミングで、ゴッドクロスが大きく横に回避した。

 あまりにも強引な回避行動。ところが、それには流石にローゼンも驚きの声を漏らす。

 

「くっ、無茶な回避行動を!」

 

 とはいえ、流石の隊長格。咄嗟の変化に対処する形で、自身に真っすぐ伸びる攻撃にシールドを構える。

 シールドとビームソードが接触すると、その接触面から火花が散る。シールドの対ビームコーティングとビームとのぶつかり合いだ。お互いそれによって空中で静止する。その隙を狙って、ゴッドクロスの背後から、片腕のギラ・ズールがビームトマホークを構える。

 

「今だ、こいつの背後を!」

 

 ローゼンが自身の反対側にいるギラ・ズールに向かって叫ぶ。一つ目の緑色の機体も、それを了解してカメラアイを光らせて、ビーム斧を大きく振りかぶる。

 スラスターを全開にして、背後が疎かとなった光樹の背後から襲い掛かる。しかし、その攻撃を光樹がカウンターする。

 

「簡単に背後を取ったと思うな!」

 

 そう言い放つと、光樹はローゼンのシールドにビームソードブレイカーの刃を立てたまま、左手に構えたANロング・メガ・マグナムを向ける。狙いを定め、すぐにビームを撃つ。放たれたビームはそのままギラ・ズールの腹部を撃ち抜く。

 撃ち抜かれたギラ・ズールはスパークを放ちながら、重力に引かれて地面へと落ち、空中で爆発する。爆風が空中の2人を揺らす。爆風に気を取られているローゼンに、光樹は互角になったことを言う。

 

「これで、イーブンだろ。このまま行かせてもらうぜ!」

 

「小癪な……まだ私は負けていない!!」

 

 余裕を見せた光樹に敗北を認める様子を見せないローゼンは荒々しくシールドで思い切りはじき返す。

 やっぱりこいつは強いな。今までの猛争化・武装化モンスターも強かったけど、こいつはその強さとは違う、明確な意思を持って対峙してるだけあって手ごわい。けど、それで引き下がれはしない。立ち向かうっていうなら……。

 抵抗するローゼンに向け、光樹は言い放つ。

 

「なら……こっちも本気で行かせてもらう!」

 

『トランザムシステム、始動』

 

 ゼロの音声と共にゴッドクロスは赤い光を纏う。更に装甲のラインを光らせていたドライブモードも合わさり、赤いボディにオレンジの線が浮き上がる。

 機体性能の上がったゴッドクロスは、一気に距離を詰める。そのまま右手に装備したANビームサーベルⅦXを振り抜く。

 その振り抜き攻撃はローゼンのクローが捕らえる。それに構わず、光樹は左腕のANクロスビームボウガンⅣソードブレイカーモードを起動し、そのビームの刃で切り込む。だが、それもまた今度は反対のクローでソードを受け止められる。

 それでも光樹は動きを止めない。両方の武器が受け止められた状態から敵の空いた胴体に向けて体を前に出してから蹴りを打ち込む。

 

「胴体ががら空きだ!!」

 

「ぐぅ!?」

 

 攻撃を受けてローゼンが後ろに後退する。攻撃が少し効いたようだ。それを確認して光樹は更に攻撃を加えに掛かる。蹴りの反動で一回転をしつつ、勢いを増したスピードで突っ込む。今度は右手のボウガンもソードブレイカーモードに切り替える。その3本の剣で再びローゼンに挑む。

 

「はぁぁ!!」

 

「ぬぁぁぁぁ!!」

 

 斬りつけては斬りつけ、防御しては防御。その攻防がお互い続く。それぞれの反射速度の高さと、機体性能の高さがここまでの剣とクローによる攻防を生み出していた。しかし、光樹のゴッドクロスはトランザムモード。それに加え、ドライブモードも発動している。それを証明するかのように、段々とローゼンの体に傷が重なっていく。

 ここが決め時、そう感じた光樹は更に剣の攻撃を激しくする。速く、重くなる一撃が段々と騎士の防御の構えを圧倒していく。

 

「ぐっ……こんなはずでは……」

 

 ローゼンも更に激しさを増す攻撃に対応が追いつかなくなっていく。段々と光樹達の方に戦いの流れが変わっていく。そして、それを決定づけるかのように、金属を裂く音が聞こえた。

 その方向に目を向けると、ギラ・ズールの腹部にANZXセイバーを突き立てた絵里奈のR-ZXの姿があった。

 

「よーし、これでこっちはおしまいー」

 

 剣を横に動かして内部の機器にダメージを与えてからセイバーを引き抜く絵里奈。その背後を爆風が彩る。絵里奈が残っていたギラ・ズールを倒したことで、完全に流れがこちらに向く。チャンスの到来であった。

 それを見て、絶句するローゼンの声。

 

「ば、馬鹿な!?えぇい、残りの部隊は……」

 

 救援を呼ぼうとするのを見て、光樹は逃さなかった。左手にANブラスターソードエッジを構え、右手のビームサーベルと合わせて二刀流で斬りかかる。

 

「こっちを忘れていないかっ!?」

 

「っ!!この……!」

 

 振り下ろされた2つの剣をシールドで受け止めるローゼン。だが剣のうち1本は実体剣の刃を持つANブラスターソードエッジ。いかに防御に優れた盾でも、その威力は押しとどめることは叶わずAN粒子がコーティングされた剣が防御機構を持ったシールドを寸断する。

 寸断されたことでシールドから電気が走る。爆発する前にローゼンは自身から外し、その爆風から逃れる。これでビーム兵器を遮るのは厳しくなった。光樹は爆風で下がっていく紫色の機体に今一度突撃する。

 

「はぁっ!!」

 

 ビームサーベルによる突き出しが繰り出される。攻撃に対し、ローゼンは横に動いて攻撃を脇に通す。だが、攻撃は終わらない。その勢いのまま、今度は機体のスラスターを噴射し、上から思い切り左手のANブラスターソードエッジを振り下ろす。連続して繰り出された振り下ろし攻撃はローゼンも避けることが出来ないと判断し、クローで受け止めようとする。

 しかし、クローと言ってもその範囲はわずかなものだ。攻撃を受け止めようとしたローゼンのクローごと、渾身の一撃がその機械の体にわずかに亀裂を入れる。

 

「ぐおおぉぉ!?」

 

 攻撃を受け、大きく後ろに後退するローゼン。そして、光樹はとどめの一撃を放つ。

 

「ノイズフォースビックバン」

 

『ノイズフォースビックバン、ディメンション・ブレイカー』

 

 右腕にエネルギーがチャージされる。光が掌のビーム発射口に集まってゆく。ローゼンが体勢を立て直す前に、ゴッドクロスはその一撃を放った。

 

「撃ち抜けっ」

 

 右手を突きだしたと同時に圧縮されていたビームが一気に解放される。解放されたビームは真っすぐローゼンに向かって伸びる。そして放たれたビームはそのままローゼンを飲み込む。

 完全にビームを放射し終わり、奔流に飲み込まれたローゼンが姿を現す。腕を交差し、機体のボディを守っていた。そのおかげで今見えている腕部正面や脚部には黒いすすがかぶっているものの、上半身はほぼ原色を残していた。

 防御態勢をゆっくりと解くローゼン。まだ向かってくるかと思い、光樹は構えるも、突如降下していく。脚部が曲がり、地面に手を付いたのを見てこれ以上の戦闘が無理なことを悟る。

 

「……クソッ……」

 

 ローゼンから憎々しげに言葉が吐き捨てられる。あの有利な状況から負けたのが認められないのだろう。だが勝利は勝利。光樹もこれ以上の戦闘は望まない。相手はモンスターのような無法者ではないから。

 戦闘の終了を感じ、光樹と絵里奈も同じように地面へと降りて行った。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。オールレンジ攻撃とオールレンジ攻撃の応酬、割とガンダムではよくある光景ですね。

ジャンヌ「でもオルフェンズでは出てこなかったですよね」

シエラ「オルフェンズで?」

あぁ、まぁあの辺でも空間把握能力って割と機体制御に重要で、阿頼耶識とかもその類に支障があると使えない感じの事を外伝でも言ってた気がするよ。けど、オルフェンズの世界観は射撃兵装とかがダインスレイブ除いて全く効果ないから、遠隔操作端末っていう力の弱い、手数で勝負する兵装は発達しなかったのかもしれないね。

ジャンヌ「確かに、オルフェンズの機体の装甲って、ビームはほとんど効果ないですからね」

シエラ「でもダインスレイブっていう射撃兵装は効くんでしょ?だったらそのダインスレイブって武器をオールレンジで攻撃すればいいんじゃ?」

そんなもん出来るか!出力問題とかもあるし、それ以上に敵も味方も被害甚大だわ!しかもメタなこと言えば、そんなことしたら余計面白くなくなる!

シエラ「あ、そ、そう……ごめんなさい」

ジャンヌ「まぁ、あんな兵器を使った時点で機動戦の面白さがなくなるのに、それを小型化してしかも全方位から撃たれたらもう終わりですよ……」

……でも、オルフェンズで遠隔操作端末ないかと言われればそうでもない。ハシュマルの尻尾こと高周波ブレードは色々動くし、それを一部移植したバルバトスルプスレクスの武器もオールレンジ攻撃らしく多数の敵を屠ってきたからね。

ジャンヌ「けど、ダインスレイブみたいな実弾兵装を放つオールレンジ兵装っていうのも面白いかもしれませんね」

シエラ「え、ジャンヌさん、今藤和木それはダメだって……」

いや、ダインスレイブほどの異常な速度と威力のある実弾兵装は嫌いってだけで、私は実弾のオールレンジ攻撃も面白いとは思うなぁ。ただそこまで文明発達してる時点で、ビームが既に出ている可能性があるから……やっぱそこは「ビームで良くね?」ってなる。さて、今日はここまでにしておこうか。

ジャンヌ「次回は土曜日の投稿予定ですね。話は再びネプテューヌ様のサイドになるみたいです」

シエラ「ネプテューヌ様は果たしてこの危機を潜り抜けられるのかしら。次回も見なさいよね」


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第136話 勝敗を決する二打、合流

どうも、皆様、お元気でしょうか。最近カフェイン中毒というネットの記事を目撃し、もしかしてと思って私がよく飲んでいる「M○TCH」の成分を確認したら見事にカフェイン入っていて、「あ、私ひょっとしてカフェイン中毒?」と思ってしまいました、藤和木弘です。

レイ「まぁ、友達よりはいいんじゃない?藤和木の専門の友達って、モ○スターとかレッド○ルとかよく飲んでて体調崩すくらいだし、藤和木はそれなりに制限しているときはしてるからいいと思うなー。どうも、みんな!最近飲んだペットボトルのイチゴのソーダが気に入った、レイ・オーバだよっ!」

ソニア「そうですねぇー。藤和木さん、頭痛い時の次の日は飲み物は水かお茶って時が多いですし。あ、どうも皆様。ディーバデザインズというバトスピの詩姫イラスト集についての情報が少し出てきましたね、ソニア・A・ワスプです!」

そう!ついにバトスピ全ディーバファン待望のイラスト集登場ですよ!

レイ「でもまだ3週間くらいあるよ?それと藤和木、それに付いてくるカードの情報見たとき、微妙って言ってたじゃん」

あ、うん……だって煌臨した後BP10000以下のスピリットの行動不能と自身のシンボル追加ってなんか微妙なんだよ……。どうせならアルティメットへの対応か、シンボル追加を常時、もしくはディーバの数まで増強とかしてほしかったところ

ソニア「そ、それ強すぎませんか!?詩姫の数までシンボル増強とか、プリティアニマルズが強くなりすぎる気が……」

いや、そこらへんは考えてるよ。そもそも煌臨条件がコスト5の時点でプリアニで満たすのは難しいし。

ソニア「あ、それもそうですね……」

レイ「意外とそういうのは考えてるんだねー」

それよりか私としてはネクロ聖剣レイジャンヌをどう組もうか考えたい。

レイ「あー、あのジークフリードネクロと私とジャンヌちゃんのコンボかぁ」

ソニア「聞いた時にはおもしろそうだと思いましたけど、何か問題が?」

ネクロの枚数が足りねぇ!あともう1セットいる!

レイ「藤和木の財布に迫る危機!って感じだね」

ソニア「あの、私とかの為に忍風をわざわざ買わなくてもいいですから、ね?」

いや、後でシエラが怒ってくるからそれは無理だ!だからネクロの枚数同じなら紫速から流用しようかな……って思ってる。

レイ「初、大戦前の入れ替え作業だね」

ソニア「それなら安く済みますね!」

さて、それでは今回も更新ですよ。今回は第136話!パープルハートとステマックスの第2ラウンドだ!

ソニア「女神化して危機を脱したパープルハート様との対決ですね。勝つのはどっちなんでしょうか?」

レイ「それでもって合流と続く……これは敵の増援なのか、それとも……なのかなっ?」

さて、戦いの決着と、合流するのは果たして?それでは本編へ!


 

 

 時間は少し戻って、ネプテューヌサイドの戦闘も展開が変わる。最初にコンビネーション攻撃を決め、流れを持っていこうとしたネプテューヌ達。しかし、それを分かってステマックスも対抗策を取る。その対抗策とは移動制限の状態異常を引き起こす術式が刻まれた左腕に装備されていた大手裏剣で動きを封じるというものであった。

 その攻撃をネプテューヌは避け、アイエフとコンパは受け止めた。それにより、アイエフ達の動きが封じられる。

 そんな状態では、アイエフ達が簡単にやられてしまう。そのために立ち回ろうとした矢先に、ネプテューヌもまた動きを封じられる。全員が動けない中、まず最初にネプテューヌが狙われるも、その状況を崩すべく、ネプテューヌは女神化した。

 女神化の余波で状態異常を迫っていたステマックスごと弾き飛ばしたパープルハートは、刀を構えなおしたステマックスに剣を向け、2ラウンドの開始の合図を告げる。

 

 

 

 

「さぁ、ここからがわたしの本気よ!女神に挑んだこと、後悔なさい!!」

 

 

 

 

 その言葉を口にしたのち、パープルハートは刀を構えて近接戦闘を行う。大きく振り下ろされた一刀がステマックスの刀とぶつかり合う。ぶつかり合った刀は一瞬の間交差したのち、ステマックスの腕力で弾かれる。

 だが、それでもパープルハートは攻撃をやめない。弾かれた機械刀を今度は横から振るう。ステマックスも冷静に受け止める。が、受け止められると、今度はパープルハートの方から切り結びをやめる。しかしながら、攻撃をやめたのではない。剣をひっこめると、今度は前に踏み込んで逆袈裟切りの態勢で攻撃を行う。

 体勢が前のめりになった状態でのその攻撃は避けづらい。ステマックスも思い切り地面を蹴って後ろに後退した。

 流石にやるようね。今のは決まったと思ったのだけれど、やっぱり一筋縄じゃいかないわ。この強さ、間違いなくエリアボス並みの強敵ね。

 若干のメタさを考えつつも、次の攻撃の狙いを定めたパープルハートは息を整えてまた突撃する。次々と連撃を重ねていく女神の一撃は普通の人なら2撃程で防御が疎かになってしまうほどだ。だが目の前の敵はそれを小刀で正確に防御していく。それでもパープルハートは休まずに攻撃を行っていく。

 あまりにも前衛的過ぎて、途中で息が上がってしまいそうになるほどであったが、そこまでして攻撃に集中する理由は他でもない、アイエフ達に被害が及ぶのを防ぐためだ。

 こうして連撃をかましていく間も、まだアイエフ達は上手く動けてはいない。コンパがバックにしまっていた薬を漁っているものの、まだ解除用の薬は見つかっていないようだった。もし、出方を窺っていればいれば、その隙にコンパ達にまた攻撃対象が及ぶに違いない。その隙を与えさせないという目的もあり、パープルハートはひたすら攻撃を行っていたのだ。

 何度も交わされる刀同士の斬り合い。しかし、紫の女神もいつまでもこんなことを続けては無意味だというのは分かっていた。だからこそ、パープルハートは刀の握る手を強くし、一刀に力を込めた一撃を繰り出す。

 

「せぇい!!」

 

「むっ!!」

 

 上段から繰り出された一撃を防御するステマックス。だが刀同士がぶつかり合うと同時に衝撃波が巻き起こる。パープルハートの刀から発せられた、シェアの力がこもった衝撃波だ。その一撃で忍者はそのままの態勢で地面を抉りながら後退させられる。

 強大な一撃に思わずステマックスは片膝を着く。そこに目がけて、パープルハートはウイングの推力を上げて急接近する。突撃の姿勢で構えられた機械刀がステマックスの眼前で突きだされる。ところが、それは決め手の一撃とはいかない。

 視認していたステマックスはその姿勢のまま待機、ぎりぎりまで攻撃を引きつけ、つきだすタイミングと同時に大きく左に避けたのだ。

 攻撃を躱されたことで大きな隙を晒すパープルハート。それを狙ったステマックスは横へ側転しつつ左腕の大手裏剣を左手に持って攻撃の態勢を整える。今のままなら確実に攻撃は当たる。避けなければならないが、避けたとしても、この距離ではどこかに当たる。

 被害を最小限にしようとするも姿勢が前のめりになって行動が追いつかない中、その攻撃は放たれなかった。横から攻撃する影があったのだ。

 

「むむっ」

 

「やらせないっ!!」

 

 リーチの短い武器で攻撃が放たれる。ところがその攻撃は気配を察していたステマックスの反応により回避される。それでもダメ押しのように放たれる攻撃を辛くも小刀が防御する。ネプテューヌを援護するように攻撃を行ったのは、もちろんアイエフであった。攻撃による状態異常から抜け出したのだ。

 丁度いいタイミングで救援に来てくれたあいちゃんにわたしは声をかける。

 

「あいちゃん!もう大丈夫なの?」

 

「当然!……とはいいがたいけどね。でも、だいぶ動けるようになったからマシよ……っと!!」

 

 パープルハートからの言葉に返答しつつ、アイエフは思い切りステマックスを弾き飛ばす。その動きには若干まだ動きづらさを感じさせるが、それでも戦闘は出来るほどだった。

 けれども、それ以上に今思うべきなのは、あのタイミングでよく防御するまでに至ったことだ。アイエフ達に近いところにいたとはいえ、あのタイミングで飛び込んできたのは予想外だった。しかしその予想外に今は感謝する。

 そして、遅れてコンパもパープルハートの隣に来る。息を上げつつも、無事硬直状態から解けたことを伝える。

 

「けど、偶然2つだけ解除の薬があって良かったです。おかげでねぷねぷを助けることが出来たです!」

 

「そうね、こんぱ。2人が状態異常の薬を飲むのがもう少し遅かったら、わたしはやられてたわ。……けど、ここからは3人で対抗よ。2人とも、いいわね?」

 

 パープルハートがそう聞くと、2人は当然のように答える。

 

「当然よ!」

 

「もちろんです!」

 

「そう……じゃあ、行くわよっ」

 

 敵を囲むように3人は散開する。まずコンパは遠距離から注射器による射撃を行う。意外にも注射器による攻撃は弾速が速く、ステマックスも慌てて回避する。

 コンパの射撃に気を取られているステマックスの背後からアイエフがカタールによる強襲を行う。首元を狙った一撃だが、そこは流石隠密行動を得意とする忍者。見事に攻撃を刀で受け止める。それでもアイエフはカタールに入れる力を緩めず切り結び、敵をその場に固定する。

 そしてパープルハートは正面から斬りかかる。だが、その直前でステマックスがアイエフの対処に追われたため、その背が明らかとなっている。攻撃を受け止めていたステマックスも、素早くアイエフの切り結びによる拘束を弾き飛ばし、パープルハートと相手をする。後方に刀を向けてからの右切り上げを放つ。それを左腕に盾のように大手裏剣を再装備して防御するステマックス。しかし、防御することには成功するものの、攻撃の勢いを殺せず、大きく後方に腕ごと弾かれる。

 その勢いで大きく後退するステマックスだが、それを逃さないようにパープルハートは踏み込む仕草でウイングの出力を全開にして距離を再び詰める。詰めた先で今度は機械刀を上から真っすぐに振り下ろした。振り下ろされた一撃は小刀に再び防御されるが、その勢いまでは殺せず、機械刀を受け流す形となった。攻撃を捌ききれなくなっていくステマックスが呟く。

 

「くっ……勢いを殺しきれない……」

 

「今よ!!」

 

 それを攻める好機と悟ったパープルハートは一気に状況を突き崩す。一度前に出た手を引き、突き出し攻撃をかける。今までの突きは体を狙っての物。だが、今度は違う。狙うべき場所、そう、厄介な大手裏剣だ。相手の行動で最も厄介なもの、それは反射神経、機動性能、そして何より状態異常を起こす手裏剣がこの状況を起こしていた。なら、それを壊せば、状況の不利につながるに違いない。それをネプテューヌの時点で考えていたパープルハートは、コンパ達が復帰したところでそれを実行に移したのだ。

手裏剣の展開部分を狙っての一撃が繰り出される。反応が遅れたステマックスは手裏剣による防御を狙うも元から狙いはその大手裏剣。狙いすました突きが手裏剣の可動部をピンポイントに刺さる。

 

「狙い通りよ!」

 

「な……しまった!」

 

 攻撃を受け、可動部の一部が砕ける。砕けたのを見て、ステマックスが下がる様子を見せる。だが、ここで逃がす女神ではなかった。機械刀を構えなおして、最後の攻撃をかける。

 

「これで決める!」

 

「そうはいかないで御座る!」

 

 ステマックスも負けるわけにはいかないと煙玉を投げようとする。だが、投げつける前にそれはステマックスの手から落ちる。突如パープルハートの後方から放たれた空気の塊が左手に持った煙玉を吹き飛ばしたのだ。

 

「な……」

 

「やったです、狙い撃ちです」

 

 それはコンパの注射器から放たれた射撃であった。あの距離からではダメージを与えるにはやや厳しかったものの、煙玉を吹き飛ばすには十分な風力を持っていた。

 ステマックスの手から今この瞬間を乗り切る一手は離れた。決めるなら今しかない。機械刀を目の前で構え、敵に向かって飛び込む。刀に力を込め、衝撃波を2発放つ。2発の衝撃波は光を放ってステマックスに直撃し、その場に固定する。その拘束から逃れようとステマックスも抵抗するが、攻撃は既にステマックスの抵抗を封じた。

 機械刀に更にエネルギーが溜まる。動きの止まったステマックスに、その最後の一刀を振るう。

 

「デルタスラッシュ!!!!」

 

 横一線に振るった刀から衝撃波が飛ぶ。きれいに一直線を描くエネルギー刃は既にステマックスの動きを封じていた2つの光の刃と繋がり、正三角形を形成する。形成された正三角の刃がステマックスの体にダメージを与える。

 ダメージを与え続けた末に、その三角形ははじけ飛ぶように消失する。拘束から解放されるステマックス。だが攻撃は終わらない。パープルハートは素早くステマックスの前まで急接近する。刀を振り上げ、とどめの一撃を放つ。

 

「せいっ!!」

 

「くっ……」

 

ザンッ!バキャン!パキン!

 

 金属音が響いたのち、パープルハートはステマックスの後ろまで通り過ぎていた。だが、ステマックスが咄嗟に防御に使用した大手裏剣と小刀は破壊、折られステマックスの攻撃の手は完全に喪失した。

 攻撃の手を失ったところで、上空から1機の機体が降りてくる。それは光樹と戦っていた騎士ローゼンであった。だが、その装甲には多くの傷が刻まれており、片膝を着いた状態で舌打ちする。

 

「……クソッ……」

 

「ローゼン殿……ここまでで御座るか……」

 

 ステマックスも限界を悟った様子を見せる。そしてそこに光樹達もまた戦闘を終え地上に降りてくる。

向こうも戦いが終わったみたいね。上での騒ぎはあまり見ていなかったのだけれど、それでもかなり派手に戦闘を行ったのは分かったわ。途中で地上近くで機体の爆発があったし、その激しさはこちらと決して劣るものではないのは確かね。

それぞれの戦いを制し、敵からの抵抗がなくなったところでパープルハート達は2機にゲーム機の奪還を行う。

 

「わたしたちの勝ちのようね。約束通り、このゲーム機は返してもらうわ」

 

 2機の前に放り出されたゲーム機をその手に取る。アイエフから、それが本当に求めていたものかを確かめるよう指示される。

 

「ネプ子、それで間違いない?」

 

「えぇ。確かにこれよ。間違いないわ」

 

 その手にあるのは確かに渦巻きマークが描かれた、白いゲーム機である。それを光樹も確認して間違いないことを伝える。

 

「うん。俺も保証する。これで間違いない」

 

「これで一件落着だねー」

 

 ゲーム機の奪還に喜ぶ一同。だが、それとは対照的にステマックスとローゼンは奪い返されたことを悔しそうにする。

 

「不覚……!まさか、せっかく手に入れたものを奪われるとは……!」

 

「何たる失態……これでは大佐に示しがつかない……!」

 

 攻撃のダメージによりあまり大きく動けてはいないものの、それでも悔しさを表現するには十分だ。

 そして、アイエフが動けない2人に対し、教会への強制連行を伝える。

 

「あんた達を秘密結社の重要参考人として、教会が拘束するわ」

 

 ここまでの大事を起こす敵をこのまま見逃すわけにはいかない。ワレチューよりも口は堅そうだが、それでも聞き出せれば大きな情報を持っているに違いなかった。

 だがそこで、ローゼンが記憶の片隅にしまい込んでいた事実を思い出させる。

 

「ククッ。だが貴様らは何か忘れていないかな?」

 

「忘れて?」

 

「そうだとも。我々が嗾けたオートマシン・ギラ・ズールの残骸による自爆に巻き込まれた者達のことを」

 

 ギラ・ズールという単語に、光樹と絵里奈が大きく反応する。そう、わたし達、特に光樹と絵里奈に大いに関係のある話だったわ。襲い掛かって来た機械の兵士達を倒したのち、データのサルベージを行うために残った2人。2人にその場を任せてここに来る直前に聴こえた、あの爆発。あれはこのローゼン達が仕掛けた罠だったのだ。

 ゲーム機を奪い返した以上、2人の無事を確認しに行かなければならない。しかし、いくら無力化したとはいえ、2人も無理をすればまだ戦えそうな様子だ。もしかすると、救援に行かせている間にゲーム機を奪い返されて逃げられる可能性もある。

 女神としてのプライドに賭けてそれはないと思いたいが、かなりの実力者であることも否定できない。救援に行かせるとしたら1人位だろう。アイエフが爆発の件を思い出しつつ、どうするかを考える。

 

「そういえば、そうだったわね。2人の救援に向かわないと……。けど、コンパだけに行かせるっていうのもそれはそれで心配だし……」

 

「かと言って、わたしや光樹も行くと戦力的に不安だし……」

 

「なら仕方ないな。こいつらも連れて戻るか?」

 

「そうね」

 

「確かに、その方がいいかもー」

 

 光樹からまとめて連れていくという案が出る。それならば全員で向かうためまだ安心だろう。アイエフや絵里奈からも頷きがくる。意見が一致してすぐにステマックス達の捕縛を開始しようとしたところで、聞き覚えのある声が飛ぶ。

 

 

「ちょっと、悪いけどあたし達は何ともないわよ?」

 

 

 その声の方を一斉に注目する。パープルハート達の前に現れたのは、少し細く見える鈴のガンダムR-EXEグレイガと勇也のガンダムR-ZEROであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事にあの爆発から逃れて、急いで来たらもう戦闘が終わっているなんてね。もう少し早く来なきゃいけなかったわね。そんなことをあたしは心の中で思う。けれども、光樹も絵里奈と2人で敵を倒せるようになるまで戻って来たんだから、それはそれでいいか。そして、相手は忍者とローゼン・ズールに似たやつ……まぁ、予想は出来てたけど。

 鈴は素早く状況を読み取っていく。彼女達は爆発による被害を最小限に抑えてここまでやって来た。では、どうやって?それを知るには、その当時の状況を知る必要があった。時は爆発直前のことだ……。

 

 

 

 

『自爆モード、起動します』

 

「ちぃ!」

 

「マズイ!!」

 

 2人は自爆の宣言を聞いて、すぐさま駆けだした。目指す先には突撃を行う前まで隠れていた曲がり角があった。鈴はその手に敵の機体のコアを抱えていた。無論、データのサルベージをちゃんとした設備で行うためにだ。これが失われれば、秘密結社への足取りが減ってしまう。任された以上、これを手放すのだけは出来なかった。

 しかし、コアのみを回収するために鈴は自爆宣言の直後にコアと機体との切り離し作業を行った。しかも切り離しにはフロントアーマーの裏側に装備されているANアーマーナイフを使っている。いくら装甲を斬りやすいのと接続部がさほど頑丈ではなかったとはいえ、それらは鈴の逃げ出すタイミングを遅らせるのには十分であった。

 逃げる途中で間に合わないと感じ取る。このままでは機体は地面に叩き付けられる。そこで鈴は咄嗟に腰部のANインパクトブレイカーユニットを切り離した。機体重量を軽くしたのだ。だが、それでもわずかにスピードが上がっただけ。光が増していくのを背に、更に鈴は最後の手を使う。

 

「――――超獣化!!」

 

 鈴がそのコールを行うと、機体を禍々しい輝きが包む。機体のカメラアイは黄色から赤に変わり、機体各部も装甲が一部展開されていく。

マスクが解放され、牙をむき出しにしたような顔つきになった「超獣化」形態になったところで、爆発が起こる。迫る爆炎に分離したインパクトブレイカーユニットが飲み込まれ更なる爆発を起こす。だが、R-EXEは飛ぶ。更に増した推進剤と壁を地面として蹴って跳んでいく。爆発が迫る2秒ほどのわずかな時間の間で、鈴は何とか通路の角まで逃げ切る。

 壁にたどり着くと爆発が角の所まで到達し、こちらに残りの爆炎と爆風が襲う。だがそれらもすべてガンダムの装甲には何ともない。爆炎にさらされる中、鈴と既に壁に到着していた勇也は静かに待つ。爆炎が過ぎたところで、2人は息を着く。

 

「……っは、何とかなったな……」

 

「えぇ。結構ギリギリだったけどね……」

 

 勇也からの危なかったという言葉に鈴も同意を見せる。あの爆発なら、普通の人間ならもう死んでいた距離だ。ガンダムを纏う鈴達でも、攻撃はもろにくらい、最悪壁にぶつけられ意識を失っていたかもしれなかった。しかし、鈴達はトラブルがあっても何とか無事に切り抜けることが出来た。

 安心したところで鈴のガンダムの超獣化が解ける。緊急とはいえ、この機能を使わなければただでは済まなかったことには鈴も反省させられる。もっと上手くやらなくては、という気持ちがよぎる。

 ふと、手に持っていた敵機体のコアに目を向ける。コアには多少黒いすすが付いていたが、目立つ傷は一切ないと思われるほど光を放っていた。これの為に命を懸けるというのもあまり嬉しくなかったのが事実だ。それでも無事手に入れられたことに改めて良かったと口にする。

 

「けど、これでこっちに有益な情報が手に入るってものよ」

 

「だな。……さてと、この爆発だ。ひょっとすると光樹達も心配しているかもしれない。急ぐぞ」

 

「それもそうね。行きましょうか」

 

 勇也の予測に頷くと、鈴も続いて通路に出る。通路はボロボロで、機械の破片がいくつも転がっていた。いつ崩れるかもわからない通路を鈴達は急いで通る。そしてそのまま、光樹達のいるスタジアム中心部へと足を進めていった。

 

 

 

 

 ここまでが、鈴達の危機を潜り抜けた方法であった。何はともあれ、鈴達はモンスターを蹴散らしここまで来たのである。

 2人の様子を見て、女神となっていたパープルハートとガンダムのままの光樹が無事を確かめてくる。

 

「鈴、勇也。無事だったのね」

 

「当り前よ。あれでやられたなんて思ってたの?」

 

「少し武装がなくなってるみたいだけどな。けど、目立った損傷はないみたいで安心したよ」

 

「鈴は直前まで作業をやっていたからな。けどまぁ、そのおかげでこいつらに繋がる手がかりは手に入れたんだけども」

 

 勇也が手に入れたものについての話に触れる。その言葉を聞いて、絵里奈が小さく喜びを見せる。

 

「ってことは、情報ゲット!?」

 

「まだ完全には、だけどね。それでも解析すれば、こいつらの情報も分かるってものよ」

 

 鈴は膝を着く忍者と騎士を一瞥して答える。コアは既に鈴のガンダムの電子ストレージに電子化して保存してある。これで物理的な手段で壊したり奪ったりは出来ない。物理的以外の方法で奪おうにも電子化に干渉可能な機体でなければ奪うのはほぼ不可能だ。

 余裕を見せられたステマックスとローゼンは、悔しがりつつも、奥の手を繰り出そうとする。

 

「おのれ……まさか無事だったとは……!」

 

「……っく、かくなる上は……」

 

「まさか、奥の手を隠していたというの!」

 

「不味い!」

 

 パープルハートと光樹が身構える。他のメンバーにも緊張が走る。2機はどちらも懐部分から何かを取り出そうとしている。本当に奥の手を出そうとしている様子だ。

 そして、2機の奥の手が明かされる。

 

「これでも見るがいい!!」

 

 懐からまとまった紙が投げられる。それも、いくつも。だがやがてそれは紙の束ではなく、本であることを知る。ただの本を投げられたと思ったアイエフがそれに拍子抜けした様子を見せる。

 

「何をしたと思えば、ただ本をばら撒いただけじゃない」

 

 しかし、そんな様子を見て、ステマックス達は何やら気持ち悪い笑い声を響かせる。

 

「ふ、ふっふっふ……こ、これらがただの本とあ、あなどるなかれ……」

 

 なんだか詰まった声に鈴は怪訝さを感じる。鈴はまだステマックスが女が苦手なことを知らないため、そんな風に感じていたのだ。同じく勇也もそれとローゼンの男好きには全く情報がなかった。

 すると、ステマックスとローゼンは力を込めて手を振るう。

 

「せいっ」

 

「はぁっ」

 

 その手は爪のようにとがっていた。そのため本はきれいに斬られていく。意味不明な行動にパープルハートと絵里奈が戸惑いを見せる。

 

「自分で本を切り裂いた!?」

 

「な、何?まさかこの葉隠れの術っ?それとも紙がくれの術?」

 

 絵里奈の言っていることはわけが分からなかったが、この行動にいったい何の意味があるのか。静観していた鈴であったが、その狙いがすぐに分かることになる。

 

「ふふふ……よく目を凝らしてみるがいい」

 

 ローゼンからそのように伝えられる。全員はその言葉に従って紙を見る。

 

「よく見る?」

 

「よく見るって、何が……って、えぇ!?」

 

 絵里奈の声が響く。続いてパープルハート、光樹、勇也と次々と声を、悲鳴を上げていく。

 

「何この本っ!?」

 

「ぶっ!!?こ、これって……」

 

「な、なんだこりゃ……こいつは……」

 

 全員言葉を失っていく。かくいう鈴も、頭を抱える。全員が悲鳴を上げる理由、それは彼らの斬った本、その内容。そこに描かれていたのは2種類。1つは肌を露出させる少女の絵。そして、もう1つは男と男がいやらしく絡み合う絵。

 それを言い表す本の種類を、鈴は怒りがこもった声で叫ぶ。

 

 

 

 

「エロ本じゃない、これぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」

 

 

 

 

 鈴の絶叫がスタジアム中に響く。そう、それは18禁モノの女性と男性にそれぞれフォーカスを当てた本だったのである。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。合流したのは鈴と勇也達でした!

レイ「比較的無事っぽい?でもインパクトブレイカーがなくなってるみたいだね」

あ、ちなみに続く戦闘でも鈴のガンダムのインパクトブレイカーは使用不能ですので、ご注意を。

ソニア「藤和木さんも忘れずに覚えておかないといけないですよね」

うん、そうだね。忘れないようにしないと……

ソニア「あ、あとあんまり言いたくないんですけど、最後の鈴さんの叫びが……」

レイ「うんうん、あれは絶叫物だよねー。いきなりハレンチな物を切って見せるって、うちの学園の風紀委員がみたらシェイロンデスされるよ……」

シェイロンデス……それは何とも、恐ろしいな。まぁ、更に呼び寄せるつもりは今のところないけれど。さて、今回はここまでです。

レイ「次回は金曜日の投稿だよっ」

ソニア「それではみなしゃま!……じゃない!皆様、また次回もよろしくお願いします!(また間違っちゃったよぉ、シエラぁ……)」


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第137話 轟音、一時的な共闘

どうも、皆様ご機嫌いかがでしょうか。ここ数日、胃腸風邪で家でおとなしくしつつ、その直前に買っていたPC版「ストロベリーノーツ」というゲームをやっていました、藤和木弘です。ルートは穂海を攻略してました\(^o^)/

ジャンヌ「思いっきり浮気だったんですがぁ……。……でも、そのヒロインがわたくしと似てて、やっぱりわたくしと似た人を好むんだと思い、少し恥ずかしい気分になりました、ジャンヌ・ドラニエスですっ♪」

ソニア「え、えと、なんて話せばいいんでしょうか……あ、私もそのゲーム見てたんですが……その……と、とあるシーンが恥ずかしすぎて、見れませんでした!ソニア・A・ワスプでしゅっ!」

ジャンヌ「うふふ。ソニアさん、思いっきり噛んじゃってますよ?」

ソニア「しゅ、しゅみませぇん……(かぁぁ)」

うん、やっぱりソニアはみかも枠かな?

光樹「とりあえずお前はデスピアズの如く数万年単位で封印されてくれ。どうも、皆様。ツッコミがいないとこの空気をどうにか出来ないため、やってきました、主人公の和藤光樹です」

そんなことしたら、分身作るよ?

光樹「それはどうでもいいから。とりあえず、この状況をどうにかしろ」

ソニア「は、はうぅぅ……」

ジャンヌ「あ、藤和木「さん」、ソニアさんがオーバーヒート中みたいです。どうしますか?」

とりあえず、冷却は裏方のやっちょちゃんに任せるとして……うん、やっぱりジャンヌさんが私にさん付けってなんか調子狂うなぁ

光樹「あ、ちなみに今回ジャンヌさんはストロベリーノーツ攻略の影響で、試験的に藤和木をさん付けしています」

ジャンヌ「そうですか?確かに以前のが慣れているというのはありますけど、わたくしとしては、さん付けの方が愛する人への好意を伝えられていると思いますよ、藤和木さんっ!」

光樹「んー、でも藤和木の言いたいことは分かるな。基本作者系列って呼び捨てってことが多いし」

この喋りは基本ゆっくり実況をベースにしてるから、呼び捨ての方が気楽なんだよね

ジャンヌ「んー、わたくしは別にさん付けでもいいのに……でも、藤和木さんがそう言うのなら次からは……あ、でも条件があります」

ん?条件?

ジャンヌ「藤和木さんも、わたくしの事を呼び捨てにしてほしいです。ジャンヌ、って!」

……ごめん、それは今は、ちょっと……

光樹「あ、顔赤くしてるな」

えぇい、そんなところまで見るな!!さて、今回は第137話の投稿です。

光樹「ソニアがまだ気絶してるな……仕方ない、俺が代わりをやるよ。今回はステマックス達が放った驚異の奇策が炸裂したところだな」

ジャンヌ「偶然ですが、奇しくもそれに関連した前書きを書いたところでこの話とは、運命のいたずらでしょうか?」

まぁ、たまに私現実で驚異的な引きすることあるけどね。ただ今回のは全くの偶然です。書くことがこれか胃腸風邪で学校の成績がやばいってことくらいだったからね。さて、光樹君達はいかにしてこの奇策を突破するのでしょうか?それでは本編へ!

光樹「あ、ソニアの復活頼みますジャンヌさん」

ジャンヌ「はい、お任せを」


 

 唐突に見せられた、いかがわしい本の切れ端。それはアイエフ達を混乱させた。いや、させ過ぎたと言っても過言ではない。それどころか、怒りが出るものもいた。特に先程の鈴の声から分かる通り、いきなりそんなものを見せられては平常心を保つのも難しい。混乱の中でコンパが先程の鈴の言葉をまだ優しく解釈する。

 

「ほ、ホントです!は、ハレンチな本です!お、大人にならないと買えない本のページがいっぱいです!」

 

「ええー!?そんなものばらまくなんてー……」

 

 コンパと絵里奈の話し方から分かる通り、かなりおっとりな性格の2人でもその事実に対しては困惑を感じていた。

 当然、アイエフも確認していた。そして、羞恥で目を丸くしつつ、色々とこみ上げてきた怒りと疑問をステマックス達にぶつける。

 

「はあ!?あんたたち、なんてものばらまくのよ!てか、なんてもの持ち歩いてるのよ!」

 

 アイエフのツッコミに、ステマックスが未だ女性との会話に緊張感を持った状態でその問いに答える。

 

「こ、これぞ五欲の術で御座る……!し、しし色欲に溺れるがいいで御座る」

 

 こちらの羞恥を引き出し、動きを封じるという回答。その微妙な回答に、アイエフと鈴が直球でツッコミを入れる。

 

「五欲の術って……」

 

「ただエロ本ばら撒いただけじゃないの!け、けど、予想外すぎる手だわ。戦闘中だったら、十分やられていたわね……」

 

「鈴、そういうものなのか……?」

 

 鈴の解答だけ、最後の方に戦闘中なら通用していたかもしれないという言葉が入る。確かにそうだったかもしれない。馬鹿らしいかもしれないが、戦闘とは予想外のことをされると大きく隙を見せてしまうものだ。流石にこんなおかしいことを代表的なものにするにはいかないが、自陣での重要人物の暗殺ともなれば、分かりやすいだろう。

 しかしながら、続いた光樹の発言通り、それを今言うのかどうかは疑問である。そして、パープルハートもまた、それを切って捨てる。

 

「鈴の言うとおり。タイミングが悪かったわね。その術、見切ったわ」

 

 意識を集中させるパープルハート。その口から、この卑怯な手に対する回答が語られる。

 

「精神を研ぎ澄ませて敵の忍者のみを視界に捉える。そうすれば、破廉恥な本のページは簡単に視界から消すことができるわ!」

 

 意気込んでの発言はもっともらしい回答だ。ようやくすれば、破廉恥な本を気にしなければいいというものであった。人はただ一つのことに集中すれば他のことにはまったく目に入らない。それを利用した作戦である。

 なんだ、ネプ子にしては真っ当な考え方じゃない。てっきり目を閉じて気だけで敵を感じ取って取り押さえるのかとも思ったけど、やっぱり女神の時にそれはないわよね。これならネプ子に任せてもいいわね。

しかし、そのアイエフの考えは少し優しく考えすぎていた。というのも、パープルハートが集中した矢先。

 

「……チラッ」

 

 と、少しだけエロ本の方に目を向けたからだ。これには大丈夫と信じ込んでいたアイエフも素でツッコミを入れる。

 

「視界から消すほど集中してるんじゃないのかよ!」

 

「み、見てないわよ!こ、こんなハレンチなもの、好き好んで見るはず無いじゃない!」

 

 人というものはそう簡単に一度目に入った気になる物に目を離すのは難しいということを知らされる。だが、それを受けて、鈴も対抗策を口にする。

 

「確かにパープルハートの行動は間違っていないわ。むしろ、戦闘においては、それほど重要なことはないんだから!」

 

「そうだな。俺達も集中しておけば、あいつらを捕らえることだって!」

 

 光樹の意気込みが語られる。絵里奈もそれに応える。

 

「そうだね、私たちなら十分っ!」

 

 しかし、鈴から自分達では戦力不足だと鈴の口から語られる。

 

「大丈夫よ。今のアンタは実力的に無理だから。代わりにあたしが!」

 

『……えぇ……』

 

 2人とも落ち込みようが見て取れる。絵里奈はともかく、光樹まで言われるのは、アイエフも意外であった。

 ふぅん、光樹を外すってことは案外光樹も年相応の男の子、ってことかしら。まぁ、さっきもそれなりに驚いていたから、記憶喪失の状態っていうのも鑑みれば、鈴からしてみれば不安なんでしょうね。

 その点でキャリアがある鈴に対する期待がアイエフの中で高まる。しかし、鈴もまた、1人の少女であるのだ。

 

「………………チラッ」

 

「……」

 

「……」

 

 光樹と絵里奈の呆然とたたずむ姿が目に映る。パープルハートやコンパも目を丸くしている。かくいうアイエフも反応に困る。すると、それを察したのか、全員の言葉を勇也が代弁する。

 

「……はぁ。結局お前も同じように欲には逆らえないんじゃないか……」

 

「ううう~~~!うるさいっ!!こんなの見たくて見てるんじゃないわよ!!……チラッ」

 

 しかし、否定している間にも鈴はまたR-18系の方に目を向ける。同じようにパープルハートも見ていたので、2人に対し光樹とアイエフの声が重なって言葉での追撃を行う。

 

「人に言っておいてそういうのは……なぁ?」

 

「あんたもちゃっかり見てんじゃないわよ、ネプ子!」

 

 言い出した者が真っ先に見ているようでは先程の説得力のある言葉も意味はない。すると今度はコンパが考えを出す。

 

「それなら、目を閉じれば解決です!」

 

 自信満々に目を閉じるコンパ。確かに、その考えは正しい。視界の中に入ってしまうのなら、それを見ないようにすればいい。実にコンパの考えた案は即している。

 ただ一つの問題を残しては、だが。その問題がすぐに露呈する。

 

「あ、あれ?真っ暗で回りが見えないです」

 

 コンパは目を閉じたまま、手を振り回す。当然だ。普通の人間なら、目を閉じてしまえば、視界から光以外の一切の情報が手に入らないのだから。

 ネプ子なら考えそうだと思ったんだけど……まさかコンパがその考えにたどり着くなんて。もう、恥ずかしいから早く止めて、コンパ!

 心の中で早く終わってほしいという羞恥心とため息が出るほどの諦めの気持ちとが折衷する。だが、それはそう早くは終わらない。いつまでも見えない状態で右往左往に手を振ってアイエフ達を探す声を出す。

 

「ねぷねぷ。あいちゃん。光樹さん、鈴さんに勇也さんに絵里奈さん。どこにいるですかー」

 

「こ、コンパちゃん、どこに……」

 

 どこへも知らずふらふらと歩いていくコンパの姿を見て、絵里奈もただ眺めているだけであった。誰かが助けるべきなのだろうが、それすらも今は起きる気がしなかった。

 ただいかがわしい本のページが散乱しているだけでこの惨状。そんな様子を見て、アイエフは対応に頭を抱える。

 

「こっちはこっちで本末転倒だし、ふざけないでまじめにやりなさいよね!」

 

 悲鳴にも似た響きを上げる。が、しかし。

 

「……ちらっ」

 

「あいちゃん……?」

 

 アイエフも視界に入ったそれに目を向けてしまう。その様子に先程まで目が離せない様を指摘されていたパープルハートも怪訝そうに指摘しようとする。その一方でそれを見ていたステマックス達は気分よく自分達の策に機嫌をよくしていた。

 

「ふふふ……拙者の忍術は無敵で御座る」

 

「我ながら、完璧な策だな、ステマックス!この隙にゲーム機を取り返せれば……!」

 

まさにしてやったりの状況だった。このまま時間が長引けば、良くない方へ流れが変わってしまう状況だった。すると、そこで光樹が妙案を出した。

 

「……なぁ、アイエフ。俺今すごい簡単な対処方法を出したぞ」

 

「……なんですって?」

 

 一瞬、耳を疑った。こんな状況を覆す、いい方法が思い付いたというのだから、注目せざるを得ない。全員の目が光樹に集まる。敵もそんな方法があるはずがないと強がりを見せる。

 

「この状況を脱する方法で御座るか?」

 

「そんな方法、あるわけが……」

 

 だが、光樹の口から語られたのは、残念ながらここにいた誰もが考えていなかった、かつ最も合理的な方法であった。

 

 

 

 

「燃やせばいいんじゃないかな?」

 

 

 

 

『……あ』

 

 たどり着いたその答えに、誰もが唖然とする。そう、光樹の言ったことは、燃やしてこの場から消してしまう、というものであった。よく考えれば、誰もがたどり着くであろうその答え。しかし、たどり着かなかったのには、自分で処理したくないという女神側の者達のいかがわしい本への嫌悪と、物理的に処理することを考えなかった双方の失点が影響していた。

 とはいえ、それはすごく当り前な回答の1つだわ……。それ以外にも風で吹き飛ばすっていう方法もあるわけだから、そんな簡単な考えにたどり着かなかった私達自身の頭を疑っちゃうわよ。

 しかしながら、強力な一手かつ確実な対処であることは間違いない。早速光樹が行動に移そうとする中で、ステマックス達が燃やすことに反発する。

 

「ま、待つで御座る!それじゃあもったいないで御座るよ!?」

 

「そうだぞ!それを燃やすということはつまり、人類の宝を燃やすということだぞ!?」

 

「いや、人類の宝をそれにするのはやめてほしいわ。あとあんた達人類の部類でいいの?」

 

 あまりにアホらしい制止の言葉に鈴がツッコむ。その通り。勝手にいかがわしいものを人類という大きなくくりでの宝物にしてもらっては困るというものだ。

 2人の制止も空しく、光樹が焼却態勢に入る。

 

「ノイズフォースビックバン!」

 

『了解。ノイズフォースビックバン「アトミックグランドフレア」』

 

 腕部の駆動音が響くとゴッドクロスの右手に炎が集まる。炎はメラメラと揺れながら

燃え滾る。そして一点に集中したところで右手を地面に叩き付ける。すると、地面が爆発を起こす。その爆発は連鎖的に起こし、エロ本のある地面までたどり着いたところで、地上に爆発と共に火柱を生成する。勢いよく起きた爆発でエロ本の切れ端は火柱に飲み込まれ、焼却されていく。

 

「すごい炎……!」

 

「さっすが光樹君っ!」

 

パープルハートと絵里奈、2人の声が響く。火柱はしばらく伸びた後、勢いを弱めて地面に消えていく。その後には爆発で空いた穴以外に何も残らず、本の切れ端を1つ残らず燃やし尽くしたことを確認させた。

 

「全部燃えたみたいね」

 

「これで邪魔するものはなくなったわね」

 

 鈴とアイエフは満足げに微笑みを見せる。今まで視界を防ぐものが消えたことでこれまで手間を取らせたことへの腹いせが頭の中の考えとしてあったため、その企みが表情として出ていたのだ。

 

「く……燃やすとは外道な!」

 

「あぁ……拙者らのコレクションが……」

 

 それらいやらしい術を展開した敵側も、各々燃やされたことへの怒りや悲しみを露わにしている。だが、策を破った以上、敵もそうそう攻めようとはしないだろう。今度はこちらのターン、というわけである。

 すると、パープルハートが行動を起こす。それも、相手にとって、相当困りそうな策で。というのも、悲しむステマックスにパープルハートがいきなり急接近する。

 

「なっ!?」

 

「なんだ?」

 

 パープルハートに近づかれたステマックスがびっくりして思わず声を上げる。そんな様子を見て、ローゼンも虚を突かれたような声を出す。

 当然、アイエフ達は何なのかは分かっていない。だが、どうしてパープルハートがその行動を起こしたのかをすぐに知ることとなる。急接近したパープルハートが声に楽しみを込めたような話し方でステマックスに問いかける。

 

「さて、ここからはわたし達の番……そういえば、あなた。女性が苦手みたいなことを言っていたけど、触られるのはどうなのかしら?」

 

「ちょっ、ひゃばっふは!?」

 

 急接近したパープルハートからの問いに、ステマックスは焦りを露わにする。危機感、と言ってもいいだろう。段々と縮む距離に、徐々に顔が赤く染まっていく。一方で、こちら側の男性陣がその様子から顔を背けていた。

 パープルハートがとった行動、それはお色気であった。戦闘前にステマックスが女性と話すのが苦手と言っていた。それを逆手にとって、逆に接近してしまえばステマックスもおいそれと行動しづらくなるのではというのがパープルハートの考えであり、その行動であったのだろう。

 アイエフも近づくのは危険だと判断していたのだが、その様子を見て、何か行けるという確信を抱いていた。むしろ逆に、相手にとっては拷問のような気がしていいのではと思ったのだ。

 一方で変態ロボットを相手に色気で対抗するパープルハートは、顔を赤く染めるステマックスを見て更にその勢いをエスカレートさせていく。

 

「ふふっ。ロボットなのに、真っ赤になっちゃって可愛い。やっぱり、慣れてないのね」

 

「ひょ、ひょんはこちょは!?」

 

 なんとかパープルハートの言葉に反論しようとするステマックスだが、それでも上手く言葉には出来ていなかった。そんな様子を見て、更にパープルハートは機嫌を良くしたように遂に行動にする。

 

「……じゃあ、こんな風に体を密着させたら、どうなるのかしら……?」

 

 ステマックスの鋼鉄の体に、パープルハートの腕が押し当てられる。その様子は女神側にも反響を呼ぶ。

 

「……っ!」

 

「はわわー、パープルハート様、大胆~……!」

 

「こ、これが本当の……お色気の術、というやつか……」

 

「よくあそこまでやるわよ……。は、恥ずかしくって、出来やしないっ」

 

刺激が強すぎたのか、ガンダムの装着者達は誰もが顔を赤面させる。男性陣は視線を外しながらも少しちらっと向け、女性陣もその行動に赤面をしていた。

 ちょっとネプ子大胆過ぎない?って思うけど、さっきの術まがいの策で色々と悶々としてたから、今度は逆にこっちがその手で、ってことみたいね。けどわ、私もこれを見るのはなんだか恥ずかしいし……。

 だが、その攻撃はステマックスに大きく効いていた。ステマックスはその手を振りほどこうとする。

 

「ひゃはうぉえ!?」

 

 しかし、その言葉にならない叫び声は届かず、余計にステマックスに分が悪い状況となる。

 

「離れちゃだーめ。あなたにはいっぱい聞きたいことがあるんだから、ね?」

 

「○×□※△○×□※○×!?!?!」

 

 更に強くなった腕の拘束と共に胸までもがその体に押し付けられると、唐突ステマックスの叫びはもはや文字としても成立しないものへと変わってしまう。それと同時に、ステマックスのカメラアイから光が消え、地面へと膝を着く。パープルハートが腕を持っていたため、何とか地面に顔が叩き付けられることにはならなかった。しかし、羞恥のあまり倒れたことに対し、だらしないということパープルハートは口にする。

 

「あら、倒れちゃったわ」

 

「ネプ子、あんたやり過ぎよ」

 

「そうね……あれはやり過ぎだわ……」

 

「他者の欠点をあそこまで酷く攻めるとは……貴様、それでも女神かっ!!」

 

 ネプテューヌサイドからだけではなく、残った敵であり、その様子に引いていたローゼンも文句を言う。敵が文句を言うという時点で、パープルハートの取った行動がどれだけ強烈だったかが分かる。

 そんな言葉攻めを受け、パープルハートも少し反省をする。

 

「ごめんなさい、あいちゃん、鈴。だって、初すぎて、どんな反応するか徐々に楽しくなってきちゃって、つい。確かにこれは正々堂々とはしていないかもね。けど、これで人数は減ったから、対処が楽なものよ」

 

 謝罪が終わると、パープルハートは光に包まれ、元のネプテューヌの姿に戻る。元の姿に戻ったネプテューヌが地面に着地する。

 

「よっと」

 

 満足そうな顔から、ネプテューヌも十分先程の仕返しが出来たようだ。アイエフも先程の仕返しをしてもらって少し気分がいい。後はこの2人を拘束してプラネテューヌに帰還するだけだった。

 

「まぁ、いいわ。いかがわしい紙も光樹が燃やしてくれたことだし、こいつらをつれてさっさと……」

 

 だが、その時である。地面が轟音と共に揺れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

その振動は天井の照明をも揺れるほどであった。全員、何があったのかと辺りを見回す。

 

「な、なに!?この音は!?」

 

「この揺れ……また自爆か!?」

 

 ネプテューヌと光樹の言葉が飛ぶ。また彼らの起こした物かと疑うが、それを否定するかのように、ローゼン、そして意識を取り戻したステマックスが正確な情報を伝える。

 

「いや、これは自爆の爆発ではない。もっと別の物だ」

 

「方向から察するに、おそらくプラネテューヌで御座るな」

 

「復活はやっ!?」

 

 ステマックスの復活の速さにはアイエフも驚いた。しかし、それにお構いなしと言わんばかりに、その忍者は肌で感じ取った不穏さを語る。

 

「それに、なんで御座ろうか。この感じ……嫌な予感がするで御座る」

 

 嫌な感じ、という言葉を聞いて、絵里奈達の頭に不安がよぎる。まさか、追っていた者達からそう言われるとは……。アイエフが警戒しつつもどういうことか話しかける。

 

「嫌な感じ?てか、あんた普通に会話できるじゃない」

 

「そんなことより、今は一刻も早くプラネテューヌに戻ったほうがいいで御座る」

 

「あんた達、そうやって逃げるつもりでしょ。その手には引っかからないわよ」

 

 自分達がそっちの対処に追われているうちに逃げおおせるのではというアイエフの疑念が忍者達に向けられる。そうなるのはある意味当然であった。まさに捕まろうとしていた絶体絶命とも言える危機の中起きた騒動に乗じて逃げるのは戦略としてはありだ。簡単に言えば、危機的状況から隙を作って逃げるようなものだ。この場合、自然と利用できる状況が起きたので、早く行くことを誘っている形となっている。

 アイエフの危惧も分かる。しかし、それでも自分達は早く戻った方がいいのではと思う。もし本当にプラネテューヌで大変なことが起きているのなら、早く解決しなければならないのだから。例え、ここで彼らを取り逃してでも、だ。

 しかし、そこで予想外のことが起きる。先程のアイエフの考えを、ステマックスらが一蹴したのだ。

 

「こんなときに何を言ってるで御座るか!」

 

「そうだとも。罪のない者ども危機に瀕している。そんな中でまだお前は争うことや出し抜くことしか考えていないのか!!そこのガンダム達よ、それこそが軍人ではないのか!!

 

「あ、あんた達……」

 

 アイエフも流石にそれらの言葉に押される。彼らの純粋な思いから出た言葉が、逆に青エフに墓穴を掘らせたのだ。そして、それは絵里奈達ガンダムマスター達の心も揺さぶった。

 

「鈴、俺もあいつらの意見には賛成だ。こんなところで、争ってる場合じゃない。こんな時だからこそ、協力する必要があると思う。

 

「……そうね。こんな時に争っているのは、軍人としては間違っているわね」

 

「ってことは、決まりだな」

 

 絵里奈を除いた3人のガンダムマスター達は交互に頷き合う。絵里奈も彼らの言葉を代弁するかのように、先程の言葉を述べた、先程まで敵だった者達に要請する。

 

「お願い、2人とも。私達に、力を貸してくれる?」

 

 その願いに、2人は揃って答えを返す。

 

「もちろんだ。騎士ローゼン、力となろう!」

 

「拙者も同じで御座る。忍者ステマックス、忍として手を貸すで御座る!」

 

 2人の言葉を受け、絵里奈も強く感じた。彼らも自分達と同じように、人々を守る心を持っていると。敵対関係から共闘関係となったのを受け、先程返しに困っていたアイエフも息を吐いてからその状況を苦しくも受け止める。

 

「口調も性格もさっきとは別人ね……。どうしたのかしら」

 

 すると、アイエフの疑問に対して、ネプテューヌがこの状況に合致すると感じた言葉を出した。

 

「わかったよあいちゃん!賢者タイムだよ。賢者タイム!」

 

「け、賢者タイム?」

 

「ど、どういうことー、ネプテューヌちゃん?」

 

 アイエフが困惑するのなら当然、絵里奈もそれ以上に困惑していた。それどころか鈴もまたどういうことかが気になってネプテューヌの方に顔を近づけているほどだ。それに対して、光樹と勇也はその意味をある程度把握しているのか、苦笑いしてそれを静観している。そして、ネプテューヌの口から、それがどういうことなのかが説明される。

 

「きっと、わたしのせくしー悩殺攻撃で思考回路がショートしたおかげで煩悩が消えて、悟りを開いたんだよ!そんでもって騎士の方も、通信回線とかでその影響を受けたんだよっ!」

 

「まさかそんなわけ……」

 

「えぇ、ありえない……」

 

 アイエフと鈴がそれはないと否定しようとするも、それを遮って2機のロボット達はこちらに急ぐよう伝える。

 

「5人共、無駄話をしている暇はないで御座る!急ぐで御座る!」

 

「話から外れている2人も、準備は出来ているな?すぐにここを出るぞ!」

 

「そうね。とりあえず、今は頼らせてもらうわ」

 

「えぇ、全員、準備良いわね?」

 

 2機の急かしを受け、今は詮索している場合ではないと判断した2人はその考えを後にして共に行くことを承諾する。

 うん、何だかいい感じだねー。後はすぐにプラネテューヌに着く方法があればいいけどー、案としては私達ガンダム4人にみんな捕まってトランザムで急行するって方法くらいじゃないかな。でもそれだと粒子を消費し過ぎちゃうからあんまり良くないんだけどー……。

 すると、そんな絵里奈の不安を払拭するようにステマックスが音声を発する。

 

「では、8人共、拙者のどこかに捕まるで御座る。忍術でプラネテューヌに送り届けるで御座る」

 

 忍術で送り届けるという発想は自分達にはあまりなじみがなかった。もしそんな方法があるのなら、平和になってから教わりたいぐらいである。

 とはいえ、今はまだ忙しい時。すぐに7人はステマックスの体に触れていく。

 

「よっと」

 

「じゃあ俺はここに捕まるかな」

 

「私はここを持っておくぞ、ステマックス」

 

「掴まれそうな場所……ここか」

 

「悪いわね、忍者ステマックス」

 

「じゃあ、私はここー。失礼しまーす」

 

 順調に絵里奈を含めた6人が次々とステマックスの体の部分を掴んでいく。意外にも掴まれそうな場所は少ないため、ガンダムの接触アシスト機能でしっかりと接触を強化する。

 6人まで掴まったところでアイエフが掴み、残っていたコンパに声をかける。

 

「こうかしら。コンパ、後はあなただけよ。急いで」

 

 これで行ける、そう思った絵里奈達。しかし、その当の本人のコンパはというと……

 

 

「あいちゃんー。どこですかー。真っ暗で見えないですー」

 

 

 未だに1人暗闇の中を彷徨っていた。とっくにもう終わっているものだと思っていた面々も苦笑いを浮かべる。

 

「……あんた、まだ目をつぶってたのね」

 

 アイエフの呆れた声が聞こえる。その気持ちは絵里奈にもよく分かった。自分でもこういう時は真剣に取り組むというのに、コンパは逆にすごいと思ってしまった。仕方がないので、絵里奈がコンパを連れてくることを言う。

 

「しょうがないなぁ。私が行くよ。アイエフちゃんはそのままね」

 

「あなたが行くのもそれはそれで心配だけど……でも任せるわ」

 

 アイエフからコンパの連れ戻しを頼まれた絵里奈はすぐにコンパの下に向かう。手を取って、行き先を伝える。

 

「コンパちゃん、私が連れて行ってあげるー」

 

「ほんとですか!ありがとうですー」

 

「うん、だから目、開けよっか?」

 

 苦笑を浮かべつつも、絵里奈は目を開けたコンパに事情を省いてとにかく捕まることを伝え、ステマックスと共に全員でプラネテューヌに向かうのであった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さて、光樹君が禁忌(?)の方法でいかがわしい本を突破してしまいました(笑)

ジャンヌ「確かに割と考えられる方法ですけど、思い切りましたよね、光樹さん」

ソニア「本当ですよね。それにビームで焼くのかと思ったら、NFBで焼いてましたし」

まぁ、そこは確実なものを選んだということで。あ、ちなみにパープルハートの色気シーンなんですが、原作の流れに加えて、鈴がローゼンを誘惑するシーンを考えていましたが、尺の都合でなくなりました。

ソニア「り、鈴さんのお色気シーン!?ですかぁ!?」

ジャンヌ「……へぇ、そんなことを考えていたんですかぁ?(まさか、藤和木は鈴さんが好みっ!?)」

でも、話の尺の都合と加えて、鈴の性格から光樹達の前でそんなことはしないだろうと結論を持ってなくなりました。ちなみに鈴は胸は普通くらいはあります。絵里奈はそれの2割減くらいかな?

ジャンヌ「唐突にそういう個人情報を入れ込むんですね……。後でお二方に怒られませんか?」

いや、2人にあらかじめ聞いたら、ろくにそのデータを紹介文の方にも乗っけていないから、今更ながら上げておいてって言われましたので、ここで言っておきました。のちのちまとめるかもしれないけど。

ソニア「あー、情報をまとめておかないと、色々と後で問題起きますよねぇ。あ、でも私達のとかはなしですよ!」

うん、それは分かってる。公式で発表した時にこんがらがるからね。さて、今回はここまでということで。

ジャンヌ「ステマックスの協力で戻る光樹さん達に待ち受けるものとは……!次回の投稿は木曜日になります」

ソニア「それでは皆様、また次回も是非見に来てくださいっ!」


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第138話 戻った先で見たもの、悪夢の一部始終

どうも、皆様お元気でしょうか。先日、ネットで見かけたストロベリーノーツの寿々苗穂海が描かれたスリーブを見て、欲しい!と思ったけどネットだと少ししたので一度諦めたのですが、諦めきれず、あるわけないだろうと思いつつ名古屋のカードショップのスリーブ置き場を漁っていたら、まさかのそれを見つけて即買いしてました、藤和木弘です(*´ω`)

シエラ「いや……本当にあんた何者なのよ、藤和木弘……。っと、ど、どうも、皆様。最近藤和木が紫ジークフリードをネクロレイジャンヌなるデッキで使いまくってるから、わたくしの紫が全然活躍しないわ、シエラ・ムルセーヌよ」

レイ「ごめんね、シエラちゃん。でも私もあのフラッシュタイミングでの除去力と打点増加に心躍っちゃってさー!上手く回らないけど、回ったら爽快だよ!どうも、みんな!最近藤和木のテンションが上がったり下がったりだよ、レイ・オーバです!」

うん、幸せと不幸は常にバランスを保つように訪れるっていう理論は認めてるから、何も言わないよ……。まぁ、そのなかでもちゃんと投稿します。今回は第138話を投稿です。

レイ「ここはステマックスの忍術でプラネテューヌに戻ったところだね」

シエラ「悪夢、っていうのだけが気がかりね。何か嫌なことが起こりそうだけれど……」

さて、悪夢とは一体?それを見たのは?それでは本編へ!


 

 

 ステマックスの忍術「流宇羅の術」で無事プラネテューヌに帰還したネプテューヌ達。術の効果として出た煙が晴れ、すぐにプラネテューヌの状況を知る。だが、それは衝撃を伴う光景を見ることとなった。

 その惨状に、ネプテューヌは絶叫する。

 

「な、な、な……なんじゃこりゃあああああああ!」

 

 あまりにオーバーリアクションな叫び。しかし、それは決してノリで言ったり、冗談ではない。街は至る所が破壊され、更にその中心にいたのは、黒い禍々しい姿をした、大型のネズミ型モンスターであった。そのことから、この破壊の限りを尽くしたのはそのネズミであることが容易に想像できた。

 だがしかし、それだけではないことをネプテューヌ達は知らなかった。唸り声を上げるネズミ型モンスターに突如として砲撃が襲い掛かる。

 

「フシュー……フシュー……」

 

「喰らえ!」

 

「はっはぁ!!吹っ飛びなぁ!!」

 

 聞き覚えのある声と共に放たれた砲火は大型ネズミモンスターに直撃してダメージを与える。が、それでも攻撃に耐え、唸り声と共にモンスターは尻尾による攻撃を無差別に放つ。

 

「ぢゅうぅ……!」

 

よく見ると、その尻尾の先には金属製のパーツが備えられている。更に体の部分にも装甲と如何にもビームを発射しそうな砲口があった。それを見て、そのモンスターが武装化モンスターであることを知る。

 そのネズミ型モンスターの声を聞き、すぐに正体を察したステマックスがその名を呼ぶ。

 

「こ、この声……まさか、ワレチュー殿で御座るか!」

 

 ワレチューという名前を聞いて、衝撃が走る。あれがワレチューだということを信じられなかったからだ。

 

「ええっ!?あのおっきいのがネズミさんですか!?」

 

「はぁぁ!?何であんなラスボスじみた姿になってんの!?元からそういう変身能力が!?」

 

「いや、そんなことは聞いたことがないな……おそらく、猛争化……それに武装化か?」

 

「け、けどあんな姿見たことないよ!?」

 

「猛争化で、あそこまで姿が変わるっていうのか……?」

 

 コンパと鈴の言葉に、ローゼンがそう答える。敵側がそういうのだから、間違いないだろう。しかしネプテューヌはおろか、光樹すらもその姿に驚いている。2人ともあのネズミとはかなり、実際、そしてゲームで戦っているにも関わらず現在の見たことがなかったからだ。

 となればローゼンの予想通り、あれは猛争化した姿なのだろう。そして武装化した状態でもある。これまで襲撃してきた機械化モンスターの特徴を兼ね備えてはいたが、それ以前の姿をよく知っていたがゆえに、猛争化しているというのも含めて驚きも大きいものであった。アイエフもこの豹変ぶりに冗談ではないと告げる。

 

「そうよ、ありえないわ!どういう手品を使えばあのネズミがこんな化け物になるのよ!猛争化だってこんなことにはならないわよ!?」

 

 しかし、そこでネプテューヌがありえそうもない可能性をアイエフに説いた。

 

「はっ!まさか、失恋のショックが原因で……」

 

「そんなわけないでしょ!」

 

 ワレチューは先程、コンパに拒絶されたところだ。いくら窃盗犯を追う時間があったとはいえ、その心の傷を癒すには不十分すぎる。そして心の傷を抱えているうちに、心の奥底に眠っていた闇が体を侵食し、ワレチューをこの禍々しいネズミの化け物に変えてしまったのではないか。それがネプテューヌの考えた豹変の理由であった。

 ネプテューヌの中ではそれで完結していた。ところがそれはアイエフに受け入れられるわけもなくツッコミを入れられる。その様子には光樹達もネズミの方に気を向けつつも苦笑いする始末だ。

 しかしながら、驚くべきことはそれ以外にもあった。それはビーシャがそのワレチューが変異したモンスターと戦っている、ということであった。ビーシャは元々、モンスター恐怖症があり、ゴールドサァドの力がありながらも国の防衛に生かすことが上手くできなかった。だからこそ、モンスターの討伐をネプテューヌ達が担当していたくらいなのだ。

だが、ビーシャは今戦っている。DRXもまたビーシャと肩を並べて戦っている。その様子から、もうモンスターに怯えている姿はないように見えた。ビーシャの変わり様を見て、アイエフもどこか安心した様子を見せる。

 

「けど、まさか先にビーシャとDRXが駆けつけていたなんてね。いつモンスター恐怖症を克服したのかしら」

 

「きっと、モンスターに襲われる子どもたちを見て、トラウマを振りきったんだよ!それか子どもたちの危機に怯えたんだけど、DRXからの叱咤激励を受けてかな?ともかくさすが、ヒーローだね!」

 

「そう、なのか……?」

 

 怪訝そうな声でネプテューヌの言葉に光樹が返す。光樹だけではない、変身を解除していた鈴達ガンダム装着者達はこの状況を目を細めて、不安そうに眺めていた。

 どうしたんだろ、光樹達。せっかくビーシャ達が戦っているっていうのに……。ここはみんなで一斉に加勢しよう、っていうところなのにさ。特に光樹なら絶対に救援に向かおうとしているはずなのにさ。

 4人の疑いに首を傾げるも、それを気にすることなく、ネプテューヌは2人の加勢に向かう。

 

「よーしっさっそく加勢しちゃうよー!」

 

「!待ちなさい、ネプテューヌ!!」

 

 鈴の制止を振り切ってネプテューヌがビーシャの前に出た。だが、加勢しようとするネプテューヌの思惑とは違い、その姿を見るとビーシャとDRXが睨み付け、荒々しく声を上げる。

 

「新手!?」

 

「ハッハァーン!容赦しねぇぜ!!」

 

 ビーシャ達の持つ武器から攻撃が放たれる。間一髪の所でネプテューヌは避けることに成功するが、いきなりの攻撃に困惑した様子を見せる。

 

「ちょっ!危なっ!?もう、わたしは敵じゃないってばー!」

 

 命の危機を感じたものの、きっと高ぶる闘争心が収まらないんだろうと考えるネプテューヌ。とりあえず落ち着かせようと思ったが、後方から光樹の声が響く。

 

「待て、ネプテューヌ!」

 

「迂闊に近づいてはいけないで御座る!」

 

「へ?」

 

 切羽詰まった様子でステマックスも同じように制止をする。なぜ、そこまで2人が止めるのか、ネプテューヌには理解できなかった。そこまでして止めることなのだろうかと思っていたのだ。だが、続くローゼンと鈴の言葉で、その考えは覆ることとなる。

 

「我々は誤解をしていたようだ……この現状を」

 

「そうね。どうやらワレチューだけじゃなくって、あの2人にも何か起きてるみたいよ」

 

 何かが起きてる?ビーシャとDRXに?え、でもビーシャ達の外見には、何も起こっていないよ?姿だって猛争化とか武装化の兆候は見られないわけだし……。

 ネプテューヌと同じように状況を理解していなかったコンパがその言葉の意味を問う。

 

「ど、どういう、ことです?」

 

 2人は理解が出来ないまま、誤解をしている意味を理解するためビーシャ達の様子をよく確かめる。すると、その警戒する理由を知ることとなる。

 

「なに?また新手なの?けど、わたしの前ではモンスターなんかみんな肉塊にかえてやる!」

 

「さぁ、どいつからでもかかってきな、モンスター共!!」

 

 そう言ってビーシャ達は攻撃を放つ。だが、攻撃を放つ先にいたのは、モンスターなどではなくネプテューヌ達であった。容赦なく放たれる攻撃に驚きつつもネプテューヌ達は回避する。バズーカと指から放たれる光弾を回避すると、またもハイテンションな状態で、避けたことに対し言葉を吐き捨てる。

 

「オラオラ!逃げるだけかぁ?惨めだなぁっ!!ハッハー!!」

 

「ちっ!逃げるな!モンスターはぶっ殺す!ぶっ殺す!ぶっ殺おおおおおす!」

 

 バズーカの弾と光弾による攻撃が市街地を蹂躙していく。もはや言葉が届く状況ではなかった。あまりにも酷い暴言の数々に、流石のネプテューヌも引いてしまう。

 

「ちょっ!?完全にイッっちゃってるよ!?何あのブランもビックリな豹変ぶり!?」

 

「確かに……これブランよりも酷くないか……?」

 

 光樹の言う通り、この反応は最悪切れた時のブランよりも酷いかもしれなかった。行動とその口から繰り出される言葉はもはやヒーローの欠片もない。するとその様子を観察していたステマックスが今の2人に起こっていることを予測する。

 

「あの娘とロボットの言動から察するに、もしかして拙者たちがモンスターに見えているようで御座るな」

 

「そのようね。けど、もっと考えるなら、最悪他の人達も……」

 

「それって、自分以外のみんながモンスターさんに見えるってことですか!?」

 

「おそらくそうだろうな」

 

 自分以外がモンスターに見える、これほどたちの悪い状態異常はなかった。ゲームで言うところの混乱状態の味方への攻撃バージョンである。何とかして、ビーシャ達を助けなければならない。しかし、そう簡単に上手くいくわけではなかった。ステマックス達の発言を聞いていたアイエフが頭を抱える。

 

「と、なると結構面倒くさいわね」

 

「そうね。ビーシャとDRXがネズミと戦い合ってくれるなら一番いいんだろうけど、介入すればあたし達は襲われる。流石に3人との混戦ともなれば、戦いづらいったらないわ。暴走しているビーシャとDRXはお互いの姿を認識しているみたいだけど、それはおそらく、この状態にした犯人の嗜好なんでしょうね」

 

 続く鈴の話も良くない状況であることを示していた。流石の女神でも、それだけの強敵を相手に上手く立ち回るのは厳しいところであった。しかし、このまま傍観していても街の方はもちろんのこと、最悪民間人に被害が出るのは時間の問題だ。街を守る者として、ここで静観するわけにはいかなかった。

 となれば、最善策として取るべき行動はただ一つ。この3人を引き離してからどうにかするしかない。ステマックスも引き離すべきだと進言する。

 

「ならば、引き離すしか方法はないで御座るな」

 

 その言葉を受け、早速光樹達が動こうとする。が、肝心要のビーシャ達の状態異常をどう解くのかが明らかになっていなかったことをコンパが指摘した。

 

「けど、引き離してどうするです?原因がわからないんじゃ、3人を止められないです」

 

 一体どうしてこうなってしまったのか、それが分からないままでは止めるための行動に移せないのが事実である。もしこのまま戦ったとして、この状態が続けばとてもではないが一緒にはいられない。最悪の場合、特殊な機関に預けられてしまう可能性もあった。

 しかし、そんなことを進んで納得するネプテューヌではない。いくら国のためといえ、ビーシャへそのような仕打ちをするわけにはいかなかった。それを回避するためにも、問題となった原因を把握しなければならない。ところがネプテューヌの頭には原因となりえるものがモンスター恐怖症くらいしかなかったのが現状だ。

 

「……んーあるとすれば、モンスター恐怖症くらいかなぁ。けど、だからといってあんなにぶっ飛ぶとは考えづらいし、それどころかDRXの方は何が原因でああなったのか分からないし」

 

「一体、何が……」

 

 考え込む一同。すると、その八方塞がりの状況を打開するかのように彼らに声が飛んでくる。

 

「それは、あの女たちのせいでちゅわ!」

 

 その声の主は、ステマックス達の情報を教えてくれた中古ゲームショップの店長、チューコであった。

 

「チューコさんです!?それに鈴奈さんまで……こんなところにいたら危ないですよ」

 

 この状況の中現れたチューコに対し注意を呼びかけるコンパ。しかし、今のこの状況の中で気になることをチューコは発言した。そのことを聞き逃さなかった鈴達が聞き返す。

 

「あなた達、あの3人が豹変した理由を知っているの?」

 

「詳しく教えてくれないかしら」

 

 話の内容から、おそらくこの状態を起こした犯人の話についてなのだろう。ともかく聞く価値はあった。もしかすると、それを聞けば何か分かるかもしれない。2人の要請にチューコと鈴奈は頷くと体験したその瞬間について話し始める。

 

「……あの女……そして、あの機械の人間は、ワレチューを追ってやってきたんでちゅわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は遡り、ワレチューが逃げ込んできた場面。いきなり現れた「彼女ら」の姿を見て、警戒を持ちつつもビーシャが声をかける。

 

「あなた達は……?」

 

 自然と出た何者かを確認する言葉。だがそれに構うことなく、その者達は話を持ってくる。

 

「オレ達が誰かなんてことより君のモンスター恐怖症を治すのを手伝ってあげるよ」

 

『ただ、安全は保障出来ないかもしれないがな』

 

「……え、それってどういう……」

 

 ビーシャが疑問符を浮かべる。それを見ていたチューコは何か危機感を抱いていた。あまりにも不安感のある回答、それと同時にその雰囲気から発せられる、不快感のある空気にチューコは警戒を解くことができなかった。チューコだけではない、横にいた鈴奈もジャージの袖を引っ張る手が小刻みに震えていた。しかも、それが知らず知らずのうちに出ていることを鈴奈は口にする。

 

「あ……あれ?なんで、私……」

 

「鈴奈、どうかしたんでちゅの?」

 

「いや、あの……あの人達を見てたら、自然と震えが、止まらなくって……」

 

 鈴奈が怯えているんでちゅの?そのことにわたしは彼女達への警戒を強める。何かがある。何があるかまでは分からないでちゅが、ともかく、彼女達に関わるとまずいことは間違いないでちゅ。

 そんなチューコと同じ危機感を抱いたのか、ビーシャの前にDRXが即座に立ち塞がる。ビーシャを庇うように構えを取るDRXがその者達に言い放った。

 

「なんだか分からねぇが、ともかくビーシャには近づけさせはしねぇ!!とっととあっちに行け!!」

 

『これはこれは、心外だな。私達は君達の役に立とうというのに……。まぁいいさ。じきに分かる』

 

 完全に厄介者と判断されたことを受け、ロボットの方が肩を落とす。しかし、声からはあまり落胆しているようには見えない。それに加え、分かるのはすぐだという発言に、何やら引っかかる部分を感じる。まるでこれから、何かを起こそうとしているようだ。

 チューコの嫌な予感は的中した。ロボットの言葉への同意を含めた言葉と共に、女がほくそ笑みつつ行動を起こした。

 

「……本当だよ。オレ達の厚意は無駄じゃない。それを今から教えてあげるよ。まずは、君からかな。可愛いネズミさん」

 

 赤黒い靄を纏った右手がチューコに向けられる。一体何が起こるのか、分かっていないチューコの素っ頓狂な声がポツリと響く。

 

「え?」

 

「て、店長っ!」

 

「あ、危ないっちゅー!!」

 

 鈴奈の悲鳴が飛ぶ。それと同時に女、そしていつの間にか手を突き出していたロボットの手から赤黒い靄が同時に飛ぶ。しかしそれを浴びることはなかった。赤黒い靄が届く前に黒いネズミことワレチューがチューコを突き飛ばしたのだ。突き飛ばされたチューコは地面に倒れる。何とかチューコはその靄から回避することに成功する。が、伸びた靄はそのままワレチューを覆い、包み込んでいく。

 なぜ、先程追いかけてきた者達から逃げる立場であったはずのワレチューがチューコの危機を救ったのか。狙っていたのはチューコだったのだからそのまま逃げても良かったはずなのだ。しかしワレチューは助けた。それは同種族であるのと同時に、背負い込んだ面倒ごとを自分で何とかしようとしたからであった。

 靄に飲み込まれたワレチューはその影響故か、苦しむ声を上げる。

 

「ぢゅううううううううう!?」

 

 苦しみ悶えるワレチュー。苦しみながらその体は靄の拡散と共に大きくなっていく。何が起こっているのか理解できないまま、その様子をただただ見るチューコ達。やがて、靄が晴れると、そこに現れたのは異形の姿へと変貌したネズミの姿であった。

尻尾がいくつも生えその顔はもはや自分と同じネズミ系モンスターのものとは違った、敵意を感じさせる顔つきとなっていた。しかし変化は肉体そのものだけではなく、体に新たに追加された金属の装甲の有無にまで渡る。更にその装甲には砲門やコンテナのようなものもあり、更に尻尾の先には金属装甲が装着され、如何にも強化されている状態であった。

 民間人には未だ武装化についての情報を伏せられている。しかし、それを見たチューコ達にもその異常さは感じていた。そしてそれを起こしたのが、他でもない女とロボットの2人組であることも記憶にしっかりと焼き付けていた。一方姿の変貌したワレチューは不気味な声を上げる。

 

「ぢゅー……」

 

「キャー!?」

 

「ひぃっ!?」

 

 その不気味な咆哮を聞いてチューコ達は悲鳴の声を出す。変化前とあまりにかけ離れた咆哮を聞いて、すくんでしまったのだ。そして当然、影響はビーシャにも及ぶ。モンスター恐怖症のビーシャはいきなり現れた恐ろしい姿のモンスターを前に慌てふためく。

 

「も、モンスター!?どどどどどどうしよう!?」

 

「どうしたもこうしたもねぇ……。てめぇら、何が目的だっ!!」

 

 怒りを露わにしたDRXは女達と戦闘態勢に入る。が、それを見ても慌てる素振りすらも見せず、余裕の雰囲気を保ったままDRXに語り掛ける。

 

『目的、か。簡単だよ。俺達はただ君達の手助けをしているだけさ』

 

「手助けだと?モンスターを出しておいて、何が手助けだ!その悪行、俺が許さねぇ!!たぁぁぁぁ!!」

 

 そう言い放つと、DRXは機体のスラスターを吹かせてロボットに突撃をかける。手を拳の形にし、巨腕を振るった。人のサイズに対しての攻撃にしては少々オーバーキルになりそうな一撃だ。ところが、その一撃は敵に届くことはなかった。突き出された拳がピタッと制止する。空中で静止したのかと思ったが、よく見るとそうではなかった。その拳の先ではロボットの腕がDRXの巨腕を腕1本で受け止めていたのだ。

 あり得なかった。DRXの腕と比べればその腕は明らかに細く弱いものだと思っていた。にも関わらずロボットの腕は苦も無く大きな拳を受け止めている。攻撃を止められたDRXが驚愕を口にする。

 

「んな……!?」

 

『……やれやれ。礼儀がなっていないようだな。しかもこの程度とは……フン!!』

 

 DRXの行動に苛立ちを覚えたロボットは、荒々しさを出した態度で受け止めたDRXの腕を思い切り弾き飛ばす。巨体にも関わらずDRXはボールのように軽く弾かれてしまう。勢いのままに後ろに後退したDRXもその大出力に今一度驚きを露わにする。

 

「な、何て出力だ……!こいつ、光樹より強い……」

 

『フフフ……当然だ。なぜなら俺こそが……』

 

 右手に再び靄のようなものを停滞させるロボット。そして、その口から衝撃の事実が語られる。

 

『和藤光樹を記憶喪失に追いやったのだからなぁ!機械よ、絶望に飲まれよ!!』

 

 話を聞いていた者のうち、チューコと鈴奈は一瞬その言葉の意味に戸惑う。ネプテューヌ達と一緒にいる光樹という少年が記憶喪失であるという事実はまだ知っていなかったからだ。唐突に出会った少年が記憶喪失だという事実にも驚くが、同時にその原因を作ったのがロボット自身だという話にも衝撃を受けた。

 しかし、それを良く考える暇は与えられなかった。衝撃の事実を発した次の時には赤黒い靄がDRXを包む。靄は機械の体の隙間から内部に侵入していく。次々と入っていく靄の影響か、DRXも苦悶の声を上げる。

 

「ぐぅぁぁあああああ!?」

 

「R1っ!!?」

 

 ビーシャの悲鳴が響く。が、靄の影響で苦しむDRXは彼女に向かってチューコ達と共に退くことを指示する。

 

「ビー……シャ、にげ、ろ……これは……俺達の力では……ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「R1っ!!?みんな!!」

 

 しかし、その呼びかけも甲斐なく、DRXはゆっくりと立ち上がると、その豹変した様子を露わにする。

 

「……さぁ、モンスター共は全員俺が滅殺してやるぜぇ!!」

 

「な、なんてこと…………」

 

 凶変した様子を見て、鈴奈も恐怖を感じていた。先程のDRXからは予想できない言葉遣いだけではない。新たに発生した体を包むオーラも何やら不安感を煽る物だったのだ。暴走を起こしながらDRXは変貌したワレチューへと向かっていく。一方その様子をただ見ているだけであったビーシャはどうすればいいのか混乱に陥ってしまっていた。DRXの言葉通り逃げるべきか、それとも立ち向かうべきか。

 

「あ、あぁあ、R1……!そ、そうだ、逃げなきゃっ!け、け、けど、ここでわたしが逃げたら……」

 

 しかしこうして悩んでいる間にも、戦闘は勃発してしまう。化け物と化したワレチューとDRXが相対するとお互いの存在を認識し、それぞれが襲い掛かる。

 

「ぐおおおおおおおお」

 

「地獄に堕ちやがれええぇぇ」

 

 両者が激突すると辺りに衝撃波が起こる。衝撃波は風となってチューコ達に吹き、体を地面から飛ばそうとする。チューコは鈴奈の助けもあり何とか吹き飛ぶことはなかった。ビーシャの方も恐怖ですくんでしまった影響は飛ぶことはなかったものの、思い切り地面に背中を打つ結果となった。

 激しく打ち合うその光景にビーシャは悲鳴を上げる。それを見て女は機嫌を良くしたのかビーシャに語り掛けていく。

 

「ひいいい!」

 

「フフフ、怖いかい?」

 

「う、うん……」

 

 女からの問いにそう答えるビーシャ。その様子はもう怖いものに怯える子供そのものだった。弱音を吐くビーシャに今度はロボットの方がこの状況を打開するためにはどうすればいいかをスピーカーから出力して告げる。

 

『だが、ここで逃げてしまっては、今度は街中の人が恐怖に慄くだろうなぁ?それは君の望むところではないのではないかい?』

 

 その言葉は、まさに悪魔の誘いとも言える話し方で伝えられた。明らかに、何かを言わせようとしていた。その言葉に乗ってはならないとチューコは感じていた。しかし、チューコの願いとは裏腹に、ビーシャはその言葉に従うかのように今の自分の弱さに涙する。

 

「わ、わかってる……わかってるよ……。けど、足が……体が震えて……」

 

 どうしても力が入らない体は小刻みに震えたままだ。余程目の前の状況に恐怖しているのだろうということが分かった。チューコも早くビーシャを立ち直らせなければと思っていたが、それをさせまいと女がビーシャを諭すように冷淡な声で言葉をかける。

 

「……そうか。なら、もうひと押し、オレが手伝ってあげるよ」

 

 少しずつ、靄を体に纏わせた状態でビーシャに迫っていく。徐々に圧を加えて近づいてくるその危険な雰囲気を持つ人物に、ビーシャも一瞬のけ反る。

 

「ひぃ!」

 

 その様子をチューコ達はただ見ていることしか出来なかった。明らかにおかしな力を持った人物達に近づくのはかえって危険だと判断したのだ。この状況を打開できるとしたら、以前の事件を解決してくれたネプテューヌ、光樹達しかいないと感じたから。

 ともかく、今はこの状況を目に焼き付ける。助けることが出来ないのがもどかしいが、ここで無理に近づいて行って同じようになれば悪循環になってしまう。そして赤黒い靄が消え、女がビーシャから離れると、ビーシャもまた狂った様子で叫んだ。

 

「モンスターは……わたしがぶっ殺す!!」

 

「ビーシャ……」

 

「そ、そんな……」

 

 変わってしまったビーシャの様子に嘆きを呟く。その状況を見て女たちはその口角を上げ、笑みを作る。

 

「さぁ、ここからが絶望の宴だよ」

 

『この絶望、止められるというのなら、止めてみるのだな。まぁ、これくらいは出来るだろうがな』

 

 そんな声と共に女らは姿を消す。残ったのは暴走する3人とそれに怯えるチューコと鈴奈。攻防を行いつつ、3人は街の方向へと向かう。

 もうこれ以上、犠牲を出してはいけない。止めてくれるものに今の事を伝えるためにもチューコ達は何とか立ち上がり、ビーシャ達が向かうプラネテューヌの市外へと同じく向かっていったのだった……。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さて、次回より暴走したワレチューとビーシャ、それにDRXとの対決が描かれていきます!

シエラ「少し前の話で不穏な場面だったのが、まさかこんなことになるとわね……」

レイ「うん!黒幕感満載なやつらだね!というかガンダムの方は、光樹君を記憶喪失に追い込んだって言ってるし!」

シエラ「そういえばそうですね。ってことは、この機体、プロローグに出てた敵機体?」

うん、そうだね。ただ、あの後武装設定に修正入ってるから、武装が若干違っています。

レイ「へぇ、そうなんだ。けど、その対決も気になるけど、最初のステマックスの術の名前はネタ?」

うん、某竜のクエストの便利魔法からだね。ちなみに名前の候補としては穴抜けの術、とか輝類保(てれぽ)の術とかあったよ。

シエラ「とりあえず、ここで元ネタに触れるのはやめておくわ。それで、次回からしばらく、タイトルが専用の物になるのよね?」

そうそう。女神&ガンダムサイドVSゴールドサァド&ソフツの対立を作りたいから、シリーズ的なタイトルとしてね。あ、ちなみにサブタイトルなどもちゃんと考えてるので、お楽しみに!さて、では次回の投稿日についてです。

シエラ「えぇ。次回は水曜日になるみたいよ」

レイ「それじゃあみんなー!また次回っ!!」


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第139話 襲い掛かる黄金の戦士達―Bの心を取り戻せ―

どうも、皆様、お元気でしょうか。今日は前々から友人が企画していた、後輩を含めての飲み会で居酒屋に行ってきました、藤和木弘です。あ、ちなみに酔いはしてないです。

ジャンヌ「あぁ……せっかくだったら、酔いつぶれてくれれば、寝込みを襲ってわたくしの自由にできましたのに……。でも、藤和木ってお酒の場面でもしっかりとしたところはありますよねっ。どうも、皆様。久々にレイさんと一緒のアシスタント担当回になりましたっ!ジャンヌ・ドラニエスですっ」

レイ「あはは、いくら何でも酔いつぶれたところで甘えたら……まぁ、ま、間違いとか、起こっちゃったら、責任とれるのかな、藤和木は?けど藤和木もそこは隙を見せないっていうのはしっかりしてるよねー。どうも、みんな!料理とかがメインだけど、私やジャンヌちゃん、シエラちゃんにソニアちゃんも楽しんだよっ!レイ・オーバですっ!」

まぁ、私自身なるべく度数が少なそうな物選んでますし。けど後輩達も楽しんでくれて嬉しい限りだよ。さて、今回は疲れているのでさっさと行きましょう。今回は第139話をお届けします。

レイ「いよいよプラネテューヌでのゴールドサァド達救出戦の始まり!激闘が見られそうだね!」

ジャンヌ「そうですね。Bということは、今回はビーシャさんとの対決みたいです。果たしてパープルハート様達はビーシャさんを止められるのでしょうか?」

それでは本編へ!


 

 

「おおーっ!?概要を話すんじゃなくて、時系列を戻してイベントを見せるなんて斬新な回想ー!」

 

「ネプテューヌ、何を言っているんだ……」

 

「時系列戻して回想なんかじゃなかったでしょうに……ネプテューヌの中じゃ、何かが見えたの?」

 

 ネプテューヌのメタな言葉に黒と獣のガンダムのマスターがツッコミを入れる。黒のガンダムマスターである光樹はなんとなくネプテューヌのメタに気づいていたが、鈴・勇也・絵里奈はネプテューヌという作品について別の次元で知っていたものの、シリーズ自体はよくは知らないため、何のことだかさっぱりの状態だった。

 ネプテューヌは何を言っているのかしら……。時系列を戻すって、ネプテューヌは過去を自由に巻き戻して見ることが出来るっていうの?けど、そんなことあたし達の中じゃ光樹のパートナーのアルセウスか時間の神「ディアルガ」の力を借りることが出来るガンダム・ホワイトジャック系列のガンダムマスターくらいしか出来ないっていうのに……。でも、光樹の言い方からして、何だか嘘っぽいけれど。

 しかしながら、鈴も流石にネプテューヌがそんな能力を持っているとは鵜呑みにはしない。同じように光樹の言葉を受け取った勇也と絵里奈が概ね鈴が感じたことと同じような感想を述べる。

 

「それはないだろうな。まぁ、話の内容を理解できたんなら、それでいいんじゃないか?」

 

「うん、ネプテューヌちゃんが分かれば、それはそれでいいと思うしー」

 

 大抵、こういう場面でネプテューヌかコンパ、もしくは絵里奈が話の内容を理解していないことがこれまでにはあった。だがしかし、絵里奈はその反応から分かる通り、その話を理解していた。コンパも同じようにコクコクと頷いていることから話は理解できているようだった。

チューコ達から聞いた話は簡単に言えば、逃げてきたワレチューを追ってきたやつらの攻撃(と呼べるかも分からないが)でワレチューとDRXが変貌、凶暴化し、残ったビーシャは少女達の言葉に侵食されてDRXと同じように凶暴化してしまったということだ。しかしながら、その話はかなり重要な話だ。というのも、彼らを凶暴化させた少女達、その片割れが、鈴達がこの世界に来た理由である光樹をこの世界へと飛ばしてしまった原因とも言えるガンダムと特徴が酷似しているのだ。

 もしかすると、その敵が今回の騒動の手を引いているのかもしれない。そう思うと早くこの騒動を抑えなければならない気持ちが先出る。とはいえ今は目の前のことを優先しなければならない。しかしながら、ネプテューヌは自身の画期的に思ったメタな話を信じてもらえなかったことに若干ショックを受ける。

 

「えぇ~……。本当に今さっき見えてたじゃん!みんなには見えてたよね?」

 

 どこへ言っているのか分からない発言をするネプテューヌを軽く無視して、アイエフが先程のチューコと鈴奈の話で気になったことについて口にする。

 

「話に出てきた謎の女とロボットっていうのが気になるわね……。何者なのかしら」

 

 アイエフもやはりそのことには注目していた。その少女達が怪しいのは明らかだからだ。すると、それを聞いてステマックスとローゼンが顔を合わせて黙り込む。

 

『………………』

 

 その表情は何か言いようがなさそうな感じである。しかしながら、この時鈴達は2人のその様子に全く目を向けてはいない。というより、目を向けている暇がなかったのだ。

 気になるのは、どうやってビーシャ達を元に戻すか。話は聞いたものの、それでどうにかなることではなかったのだ。アイエフもそのことについて言葉を口にする。

 

「それに、原因がわかったところで、どうしたものか……」

 

 すると、悩むアイエフにネプテューヌが単純な答えを上げる。

 

「そんなの簡単だよ!3人と戦って、気絶させちゃえばいいんだよ!」

 

 意気込みを語ると同時に、ネプテューヌは光を纏う。暖かな優しい光が彼女を包み、辺りを照らす。光が消えると女神としての姿を解放したネプテューヌの姿、パープルハートへと変身を完了した。

 パープルハートの言葉はもっともである。その証拠に、コンパもそれが当然であるということを指摘する。

 

「ゲームのお約束ですね」

 

「まぁ、それが一番手っ取り早いな」

 

 勇也もそれに賛成の意見を示す。鈴にも反対する意思はない。むしろそれが分かりやすい案である。女神への変身前のネプテューヌやコンパが言うのだから、それが一番いい。しかし、それはどうなのだと思う者も少なからず出る。ステマックスとローゼンだ。

 

「……しかし、それでは」

 

「2人を傷つける、ということ。それはいいことなのか?」

 

 彼らに敵意はない、と言いたいのだろう。その通り、彼らは操られてこの騒動を引き起こしている。なるべく無傷でことを収めたいというのが2人の考えなのだろう。当然、無暗に傷をつけるのはこちらとしても避けたいところだ。何事も無益な傷の付け合いは何の利益も生まない。

 だが、今はそれを必要とする場面である。このまま優しい対応をしていては、街が破壊されるだけだ。鈴は2人の考えに肯定しつつも、攻撃することを選ぶ。

 

「よくない、とは思うわ。けれど、明確な解除方も分からないんじゃ、彼らとプラネテューヌの建物と人に対して一番いいのは気絶させること。2人の無力化が優先よ」

 

「鈴の言う通りね。戻らなかったら戻らなかったで、その時に改めて考えましょ」

 

「分かったで御座る」

 

「むぅ、ならそれで行くしかないな」

 

 アイエフからの付け足しも受けて気持ちが整理したのか、ステマックス達も協力することを伝えた。後はどうやって攻略するかだ。しかしそれもスムーズに決まることになる。続けてステマックス達が分担について進言してきたのだ。

 

「では、拙者達はワレチュー殿を引きつけるで御座る。その隙にアイエフ殿達は彼女達を!」

 

「けど、大丈夫か?ワレチューとはいえ、仮にも強化されているなら今の2人じゃあ……」

 

「問題ない。我らは将軍と王を守る盾。実力なら十分ある。貴様らはあの者達の目を覚まさせろ!」

 

 光樹が2人だけで大丈夫なのかという質問に対しても、自分達の腕に自信を持って残る2人への戦闘を任せる姿勢を彼らは見せた。その言葉を言い終えると、早速忍者と騎士は変貌したワレチューの相手をすべく、その前方へと向かった。

 あたしは戦闘を見ていないけれど、その損傷具合は一目瞭然。忍者は最初に会った時に携行していたシールドを失ってる。騎士も騎士で元の兵器の特徴的なシールドを喪失しているうえに腕部の後方と脚部がビームに焼かれた跡がある。それでもなお戦うっていうのは、もしかすると自分達の仲間が今騒動を起こしていることへの償いなのかしら?

 けど、戦ってくれるっていうなら、あたし達としても助かるものね。止めはしないわ。それに、光樹が特に何も言わないなら、それでいいと思うし。ともあれ、あっちを彼らに任せた以上、こっちもしっかり目を覚まさせないとね。

 意気込む鈴はこちらに気づいて警戒態勢を取る黄金を纏う少女と合体ロボに目を向ける。パープルハート達も構えを取りつつ、戦闘に入る前に準備がいいかを確かめ合う。

 

「さて、ちょっとやりにくい相手だけど、ネプ子、光樹、いいわね?」

 

「えぇ、わかってるわ。それに、今の状態だって彼女達が望んではいないはずよ。なら、止めてあげるのが、友としてのつとめよ」

 

「あぁ、問題ない」

 

 アイエフからの確認にパープルハートと光樹の声が返される。覚悟を決めた2人に鈴はまとめて言う。

 

「パープルハートの言う通りよ。それが彼女達にとってもいいことだから……。だから、全力で行くわよ、みんな」

 

 鈴の言葉に、全員が頷く。そして、それぞれの担当の敵、ネプテューヌサイドはビーシャを、光樹サイドはDRX達へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに?モンスターの癖に、わたしとやろうっての?」

 

 担当が決まり、ビーシャの前に立ち塞がったパープルハート達女神側の人物達に対し、ビーシャはそのように言い放つ。当然のことながら、未だにパープルハート達の事をモンスターと認識しているようで、警戒を強めていた。

 そんな姿を見ていると、一刻も早くその洗脳から解放しなければならないと思う。これ以上被害を広げれば、街だけではなく、人にも被害が及ぶ可能性もある。そうなれば後々話を聞いてビーシャがまた思い詰めるかもしれない。そんなことにならないためにも、今ここで止める必要がある。巨大なバズーカ砲を構えるビーシャに、こちらも機械刀を片手で構え、呟く。

 

「……ビーシャ」

 

 悲痛な思いを込めての発言。しかしそれは今のビーシャには到底届かない。

 

「このわたしの前じゃ、おまえたちなんてただの肉塊だってことを教えてやる!」

 

 パープルハートとアイエフ、コンパに向かってモンスターを相手にしていることを全手とした発言を行う。その光景だけで、パープルハートの心は締め付けられる。

 ……これ以上、ビーシャに罪は背負わせない。それが力を持つ者としての……いいえ、国を守る、女神としての役目だから!わたしは強く刀の持ち手を握る。

 パープルハートの強い敵意に反応して、ビーシャもまた変化を生じさせる。それは、ビーシャの、ゴールドサァドとしての力を解放するための態勢であった。ビーシャを包み込むように光が球体に発光し始める。その様子はネプテューヌが女神へと変身するのに似ていた。光がビーシャを覆って数秒、光が消え、ビーシャはゴールドサァドとしての姿を見せた。その姿を見てパープルハートも確信する。確かにあの時、世界が変わるきっかけとなったゲイムギョウ界トーナメントに乱入してきた少女の姿だ。体の周りを浮遊する、装甲の類。配置の仕方などは女神と似通っているところがある。やはり女神との関連が感じられる。

 変身して迎え撃つ構えを見せるビーシャ。しかし、それでもパープルハートは一歩も引くことなく、ビーシャを見据える。

 

(ごめんね、ビーシャ。でも、わたしはやるわ……。プラネテューヌの女神として!)

 

 ビーシャに対し、機械刀の切っ先を向けると、パープルハートは叫ぶ。

 

「ビーシャ、あなたの暴走、わたしが止めて見せる!!」

 

 機械刀を腰だめに構え、地面を強く蹴る。戦闘開始だ。急接近するパープルハートと、それを援護するようにアイエフとコンパが散開してバックアップに入る。ビーシャは狙いを向かってくるパープルハートに定め、バズーカ砲から弾を放つ。

 

「このぉ!!」

 

 反動も気にせずに連射されるバズーカの弾頭。パープルハートはそれをよく見て攻撃を回避する。プロセッサユニットのスラスターを噴射しての回避行動だ。バズーカの弾は誘導性も少なく、やすやすと回避する。だがビーシャもそれで終わりではない。再びバズーカから弾頭を放つ。しかし、今度の弾は一味違った。途中で爆発を起こすと、散弾となって突撃するパープルハートに降り注ぐ。

 

「っく!!」

 

 顔などの重要な部分を守るため、パープルハートは接近を停止し、機械刀で防御の態勢に入る。散弾だったため、すべてを防御しきることは出来ず、足や肩の部分に被弾する。攻撃力が拡散しているので大したダメージにはならないものの、それでもパープルハートの体力は削られ、突撃は止められてしまう。

 パープルハートの動きを支援するかのように、今度はアイエフがビーシャに攻撃を仕掛ける。

 

「炎よ、燃え盛りなさい!魔界粧・轟炎」

 

 炎が渦を巻いてビーシャを捕らえる。大きく形成される炎の渦がビーシャを抑える。ところが、その拘束は長く続かない。内部で爆発のような音が響く。その音が何度か聞こえると、炎は勢いを失って炎は消える。

 消えた炎の先から見えたのは、バズーカを構えるビーシャの姿があった。手に持ったバズーカと肩上部に浮遊する、丸い顔のような姿をした物体から何かを放ったと思われる煙を吐いていた。それを見て攻撃により炎の渦を壊したのだと悟った。

 攻撃を振り払ったビーシャはすぐさま狙いをアイエフに変えて突撃を開始する。

 

「よくもやったな!このっ、死ねっ!!」

 

 暴言と共に放たれるバズーカ弾は連続してアイエフを襲う。対象となったアイエフも、迷わず攻撃を回避する。順調に躱していき、代わりにそのカタールで反撃を仕掛ける。狙いは肩に浮遊する球体の顔パーツだ。しかし格闘の間合いに入るまでもう少しとなったところでそのパーツから攻撃が放たれる。

 

「なめんなぁ!!」

 

「くぅ!!」

 

 高速で放たれる不意のビーム弾をアイエフは体を倒して無理矢理避ける。攻撃は当たらなかったものの、思い切り地面に倒れ込むアイエフ。それはビーシャからしてみれば攻撃を行う絶好のチャンスだ。すかさず、倒れたアイエフの腹に目がけて膝蹴りを叩き込んでいく。

 攻撃に対し腕を交差させて防御したアイエフ。何とか急所とも言える部分への攻撃は防ぐことに成功する。しかしそれでもビーシャは態勢を整え攻める手を緩めず、むしろ激しさを増して攻撃を行う。

 

「このっ!このぉっ!!」

 

「っく!!攻撃が激しい……!」

 

 倒れたままのアイエフに対し、足での踏みつけ攻撃を連続して繰り出すビーシャ。その様子はまるでキレてがむしゃらに暴れまわる、制御の効かなくなった子供のようだ。もはや考えて行動しているのではなく、目の前にある障害をひたすらにぶち壊そうとしているようだった。暴走の域まで達しているその攻撃を見て、コンパが支援に入る。

 

「あいちゃん、すぐに助けるです」

 

 注射器から放たれた射撃がビーシャを直撃する。直撃を受けたビーシャはバランスを崩しつつ後退する。無事救出したアイエフにコンパが駆け寄る。

 

「あいちゃん、大丈夫ですか?」

 

「えぇ、助かったわ。けど、やっぱり手加減はしてくれないわよね……」

 

 そう語りつつ、アイエフは少し顔をゆがめて下腕部と下腹部横をさする。攻撃は少なからずアイエフのボディにダメージを与えていたようだった。

 確かに、あいちゃんの言葉は正しい。明らかに手加減を行うことなく、こっちに攻撃をしてくる。気を抜いたら、こっちがやられそう……。

 パープルハートは心の中で手加減という考えを捨てるかどうかの判断に迷う。しかしその考えの思索をしたところで、ビーシャから重い反撃が飛んでくる。

 

「邪魔しやがって!モンスターなんか、全部全部駆逐してやるぅぅぅぅ!!」

 

 雄たけびのような声を上げると、バズーカと球体ユニットから弾幕を次々と放っていく。一斉砲撃、というよりは蹂躙とも言える攻撃が3人を襲う。パープルハートはその場から素早く飛んで空へと回避する。しかし空へ逃げる術を持たないアイエフとコンパは体を起こしつつ、弾幕の中を回避しようとする。

 しかし、弾幕は先程とは違って、バズーカの弾が割れて散弾を放ったり、ビームも拡散式の物で回避は困難を極めた。攻撃が回避できないと判断した2人が防御姿勢になって攻撃を防ぐ。細かな弾幕は2人の体と服に焦げ目をつけていく。顔は幸いにもそれぞれの武器で防御して、胸の方への攻撃も腕で攻撃を受け止めていた。

 攻撃が収まると、アイエフとコンパが息を一気に吐いて膝を着く。攻撃を受けた部分の服が焼けて穴が空き、その下にあった肌にもやけどや流血を多少伴わせていた。攻撃の激しさがうかがえる。すぐにパープルハートも2人に駆け寄ろうとした。

 

「こんぱ、あいちゃん!」

 

 だがしかし、その前にビーシャが攻撃を仕掛ける。パープルハートがたどり着く前に球体ユニットからビームを放つ。ビームは真っすぐ2人に直撃し爆発を起こす。

 

「きゃあ!!」

 

「うっ!!」

 

 2人の悲鳴が響いた。爆発の影響で2人の状況は確認できなかった。しかし、無抵抗に近い体勢で攻撃を受けたのだ。ダメージは必至だろう。先手を打たれたことに呆然とするパープルハート。

 

「ビーシャ……!これ以上はやらせないっ!!」

 

 ビーシャへの制止を込めた言葉に怒気を込めて口にする。これ以上暴れられるのは良くない。しかしなにより、敵意を向けて親友を攻撃されたことに遂に気持ちが抑えられなくなったのだ。ビーシャを止めるために機械刀の切っ先を後ろに向けて、腰だめに構えて飛んでいく。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。ビーシャとの決着は次回に持ち越しです。

ジャンヌ「ですが、あのパープルハート様も最後の方で遂にビーシャさんに対して怒りを露わにしたみたいですね」

レイ「うんうん!けど、やっぱり洗脳されている状態で戦うって、これ以上つらいことってないよね……」

ジャンヌ「うっ……ごめんなさい……レイさん……」

レイ「え?どうしたの?」

ジャンヌ「だって、わたくしのアニメでの使い手のガルドス様、レイさんの使い手さんの仲間を洗脳して……」

こ、ここでソードアイズのあの展開を持ってくるって……まぁ、言いたいことは分かるなぁ

レイ「あー、言われてみれば。でも、ジャンヌちゃんが関わってるわけじゃないし、気にしてないよ!」

ジャンヌ「うう……で、でもぉ……!」

レイ「んーじゃあ、藤和木はあれをどう思うの?」

私に話を振りますかレイさん……。私としては、アニメ的にはあり得る展開だと思うし、そもそもガルドスにも憎めない部分あるし。それに私はジャンヌさんはそれに全く関与してないから、ジャンヌさんは悪くないと思うよ?あ、味方洗脳とかは許さん!って考えだけど。

ジャンヌ「藤和木……ありがとう、ございます……!」

それ以上に、今は先日のジャンヌさんの水着イラストでそんなの関係ない状態ですけどね!

レイ「あー今度のディーバブースターの公開されたイラストだね!」

ジャンヌ「お店に張られていた予約のお知らせの紙で載っていたわたくしとレイさん、それにキャンディさんのノーマルとおそらくパラレルのイラストですね。藤和木の癒しになってくれたようで、わたくしも恥ずかしいですけれど、とても嬉しいですっ♡」

うん、この1週間かなり疲れてたけどそれと今日の後輩らとの食事、そして16日発売のディーバデザインズへの期待でまだ頑張れそうです。さて、それでは今回はここまでです。

ジャンヌ「次回は火曜日の投稿になりますっ♡」

レイ「それじゃあみんなー、また次回も見てねーっ!」


終了後…


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第140話 襲い掛かる黄金の戦士達―打ち合う必殺技、Bを止めて―

どうも、皆様お元気でしょうか。この1週間でうちの学校も冬休みに入ります、藤和木弘です。皆様は既にクリスマスに向けてパーティとかの話が挙がっているのでしょうか?ちなみに私の方は就職先となっているところのクリスマス会に出るつもりです。

シエラ「その時の為に、今も名古屋の方で残ったりしているのよね。どうも、皆様。ますます冷えてくるこの季節の為に、藤和木にコートをソニアの分と合わせて買わせたわ、シエラ・ムルセーヌよ」

ソニア「本当、冷えるもんね。虫系のスピリットが転生前の私には寒さは天敵だよぉ。どうも、皆様。藤和木さんの授業の一環で万華鏡を見に行ってきました、ソニア・A・ワスプです」

うーんこの出費は痛いですね……まぁ昨年の時点でジャンヌさん達のコートも買ってたから、予測は出来ていたけどさ。

ソニア「すみません、藤和木さん。わざわざ買っていただいて……」

気にしないでいいよ、ソニアさん。アシスタントに風邪ひかせる方が問題あるし。

シエラ「そうそう。雇っているんだから、これくらいはしてくれないとね」

シエラさんはもう少し私と私の財布に優しくしてくれるといいのになぁ……(´・ω・`)シエラさんのコートでどれだけ掛かったか……

シエラ「でも私達の分の費用は現実には関係ないんでしょ?ならいいじゃない。あなたもディーバデザインズ買ったんだから」

メタいけどそうだね。まさかデザインズ2冊買うとは思わなかったけど……。けど付録がやけに高評価だからね。買っておくに越したことはないよ。それよりもジャンヌさんが可愛いです(*´ω`*)

ソニア「ノアさん流石ですっ!……あ、シエラも良かったからね!?」

シエラ「ソニア!わざわざ言う必要ないでしょっ!?」

まぁ、それは置いておくとして、今回は第140話の投稿です。

ソニア「そうですねっ。今回も共通タイトルを冠する、対ゴールド勢力戦ですね!」

シエラ「逃げたわね……2人とも。まぁいいわ。怒りを乗せたパープルハート様の進撃が始まる部分ね」

そうそう。さぁいよいよネプテューヌのあの必殺技も本作品の中で初お披露目!ゴールドサァドを……ビーシャを止めることは出来るのか?それでは本編へ!


 

 

 一気に近づいてくるパープルハートに対し、ビーシャも迎撃のバズーカ弾とビームを放つ。しかし、その攻撃をパープルハートは剣先に生成させたエネルギーの刃で切り払う。切断されたバズーカの弾とビームが空中で爆発を起こす。その爆発を背にパープルハートはビーシャに斬りかかる。

 

「はぁっ!」

 

「ちっ!!生意気だ!!」

 

 ビーシャは素手による格闘攻撃で機械刀と打ち合う。エネルギーを込めた拳により機械刀の斬撃は防がれる。続けてビーシャの蹴りが横腹を直撃する。攻撃によりパープルハートの動きが若干鈍る。加えて至近距離からのバズーカの散弾がパープルハートのボディ部分のプロセッサユニットに無数の穴を作る。

 

「ぐ……でも、まだっ」

 

それでもパープルハートは切り返しの攻撃を喰らわせる。カウンター攻撃だ。今度は攻撃を受けた勢いに任せて刀を一回転して斬りつける。その一撃がビーシャの腹部に当たりのけ反らせる。

 

「くぅぅ!」

 

 攻撃が効いてる。そうわたしは手ごたえを感じる。あれだけ攻撃に集中していたビーシャの勢いが一瞬だけ止まった。このまま押し切れれば……いいえ、押し切らなきゃ正気に戻せない!

 そのまま攻撃することを選んだパープルハートは斬り下ろしと斬り上げ攻撃を続けざまに放つ。その攻撃は後方へのステップで回避される。が、それでもパープルハートは攻勢に出た。ウイングユニットを勢いよく噴射し、距離を詰めると素早い突きの攻撃をビーシャの額に放つ。攻撃はビーシャの額に直撃する。若干の切り傷を作ったその攻撃でビーシャは頭を押さえる。大きな隙だ。

 

「この……よくもわたしにこんな傷を……!」

 

「……!今よ」

 

 その隙を逃さずパープルハートは距離を詰める。その強襲に対し、バズーカと腕で防御の姿勢を取るビーシャ。だがそれにお構いなしとパープルハートは横薙ぎに機械刀を振るった。バズーカへの直撃を狙った強烈な一撃がビーシャを襲う。そしてそのままパープルハートは刀を力任せに振り抜く。思い切り弾き飛ばされるビーシャの体は建物の壁に叩き付けられ、その部分の壁が崩壊する。崩壊の影響で砂埃が舞う。

 強烈なまでの一撃を受けたビーシャ。しかしまだその目には憎悪の炎に飲み込まれたままであった。モンスターからの攻撃を受けたと思っているビーシャの口から、憎しみに満ちた言葉が飛んでくる。

 

「こんな……こんなモンスターなんかに、わたしは負けない……!絶対にぶっ殺してやる!」

 

 再びバズーカをこちらに構えなおすビーシャ。だが、足元を見てみると、ひざが震え姿勢が安定していない。先程のパープルハートの攻撃の影響でバランス感覚に支障が出ていたのだ。更に息も大分上がっている。

 しばらくは簡単には動けない……説得するなら今ね。そう考えたわたしは、ビーシャに向けて説得を試みた。

 

「ビーシャ、もうやめに……きゃあ!?」

 

 ところが、ビーシャはそれを聞かずにバズーカの弾を放ってきた。いきなり放たれた攻撃にパープルハートも慌てて左手で顔を庇う。バズーカの弾頭は左手に直撃し爆発を起こす。攻撃を受けた左手にやけどの痛みが走る。

 

「うぅっ!もろに受けるだなんて……」

 

「ふっ、これで形勢逆転、あとはぶっ殺す!!」

 

 制止を聞かなかったビーシャからの攻撃にパープルハートもダメージで表情をゆがめる。あの程度のダメージじゃダメ。とはいえ、アイエフの魔法攻撃も効かなかった。となると、ここは隙を見計らっての大技を仕掛け、更に体力を削るしかない。

 その一方でビーシャは機嫌よくこちらに近づいてくる。何かないかと隙を窺うパープルハート。すると、そこに後方の2方向から強力な空気弾と光の粒子弾が飛んでくる。

 

「何!?」

 

 慌てて防御するビーシャ。だがそこにダメ押しと言わんばかりにハート型のエネルギー弾が飛んでくる。エネルギー弾の直撃をもろにくらい、ビーシャは体を後退させる。この攻撃はもちろん、コンパとアイエフによるものだ。すぐに後方から2人が駆けつける。

 

「大丈夫ですか、ねぷねぷ!」

 

「こんぱ、あいちゃん!無事だったのね」

 

「ちょっとダメージを喰らい過ぎたけどね。でも、援護出来る余裕はあるわ」

 

 少し辛そうにしつつもこちらにしっかり笑顔を見せ、無事を見せるコンパとアイエフ。よく見ると、服も既にかなりボロボロで焼け焦げてる部分もあった。しかし、そんな大ダメージの中でも2人はパープルハートの救援に来てくれたのだ。

 ふとビーシャの方を見ると、まだ少しふらついた様子を見せていた。額の攻撃と先程のコンパのスキル技「コンパ・ラブ・ハート」の影響で態勢を立て直せていなかった。攻撃を手中させ、ビーシャを止めるなら今しかない。パープルハートは2人に攻撃を指示する。

 

「2人とも、威力の高い大技で怯ませて!動きが止まったら、わたしの必殺技で決めるわ」

 

「ここで必殺技を使うの?けど、使うなら今ね」

 

「分かったです。思いっきり大きな攻撃で、ビーシャさんの動きを止めるです」

 

 2人もそれぞれ頷き、その指示に従う。まずはアイエフの攻撃だ。カタールにエネルギーを集中させ、小型の光の槍を周りに生成させる。そして手前に少し飛ぶと、その状態でビーシャに向けて投げつける。

 

「行きなさい、「マイクロ・ファランクス」!!」

 

 アイエフの動きに合わせて光の槍が一斉に放たれる。超高速で放たれた攻撃をビーシャは避ける暇なく体で受けることとなる。顔への攻撃は腕で防いでいたが、受け止めた腕の部分や足には魔力で生成された槍が突き刺さっている。すぐに光の槍は消え、ビーシャも反撃に移ろうとする。

 

「こんな程度……傷なんかに入らない!仕返しだぁ!ぶっ飛ばして殺してや……」

 

「そうはいかないです!「アルカンシェル・フルバースト」です!!」

 

 勢いづこうとするビーシャの猛り声を遮る形で今度はコンパが攻撃を行う。注射器から魔力弾を空中に放つ。放たれた光弾は一定の高さまで打ちあがると爆発を起こす。その爆発から空に現れたのはハートマークに英単語のCが形どられた、例えるなら花火のように整列された魔力弾であった。そのエネルギー弾が次々とビーシャの周りに落ちていく。

 

「うっ……くそっ!!」

 

魔力弾が地面に落ちた衝撃で起きた爆発をビーシャはもろに受ける。その小さな体が吹き飛ばされる。宙に浮いてから地面へと叩き付けられたビーシャは起き上がろうと懸命に地面を踏みしめる。だが、その速度は先程よりもはるかに遅い。

再び訪れたチャンスにあいちゃんとこんぱがわたしに呼びかける。

 

「行きなさい、ネプ子!!」

 

「ビーシャさんを元にするです!」

 

「えぇ。……ビーシャ、見せてあげる。これが――――――プラネテューヌの女神の必殺技!!」

 

 2人の言葉を受け取り、わたしは刀の切っ先を空に掲げる。しばしの沈黙ののち、一気に距離を詰める。距離を詰めると同時に、わたしはそのままビーシャに対し機械刀を振り抜く。

 パープルハートの神速とも言える太刀筋は確実にビーシャの胸部部分にダメージを与え、更に空中にその身を打ち上げた。斬り抜けた後から苦悶の声が漏れる。

 

「ぐうぁ!?」

 

 突撃したパープルハートの姿を捕らえていても、ダメージを積み重ねられていた状態では防御しきれない。それと体が軽いのも含めて宙に打ち上げられてしまったのだ。

 空中に打ちあがったビーシャに対し、パープルハートは方向転換を行いつつ更に攻撃を仕掛ける。連続した高速切り抜け攻撃でビーシャを翻弄し、ダメージを重ねていく。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 十連もの斬り抜け攻撃を繰り出し、地面に再び着地するパープルハート。だが、まだ攻撃は続く。再び体を反転させ、機械刀を使った渾身の一撃を浴びせる。

 

「喰らいなさい、この一撃!!」

 

「がぁっ……!?」

 

 腹部に打ち据えた刀による一閃。その攻撃を終え、パープルハートは地面を滑るような動きで着地する。これで攻撃は終わり……ではかった。

 まだビーシャにダメージが入り切っていない……ここで攻撃を終わらせて、また襲われるなんてことになったら、流石にその時は反応しきれないかもしれない。なら、ここで最後まで出し切る!!ビーシャがギリギリ耐えてくれることを信じて……!

 完全に技を出し切るまで終わらせないことを選択したパープルハートは空中に刀を投げ出す。その刀を再びその手に収めると、地面に落下していたビーシャに突撃し再度空へと打ち上げた。その後をパープルハートが追う。追い抜く刹那、切り上げ攻撃を浴びせてそのまま空に飛翔する。そして途中でターンをして、ビーシャに突撃する。パープルハートの必殺技、その最後の一撃を、繰り出す。

 

 

 

 

「ネプテューン……ブレイクゥゥゥゥ!!」

 

 

 高空からの突撃がビーシャを地面に激突させる。その余波で、辺りに砂塵が巻きあがる。パープルハートの渾身の必殺技「ネプテューンブレイク」により、ビーシャは大ダメージを受けた。まだ息があるのを見て、パープルハートも少し安心をする。しかし、その安心はすぐに危機へと変わる。

 

「ぐっ!!まだだ……!」

 

「……嘘。まだ戦えるっていうの……?」

 

 苦悶の表情を浮かべつつも、ビーシャは再び立ち上がろうとしていた。それと同時にビーシャから衝撃波が起こる。

 

「うぉぉぉぉっ!!」

 

「何?この感じ……!?」

 

「ネプ子、下がって!何か仕掛けてくるわ!」

 

 唐突に放たれた黒いエネルギーの衝撃波から、パープルハートは何か嫌なものを感じる。衝撃波の見た目からも、かなり危険であることは察した。それでもどうしてビーシャがこんなものを発したのか、戸惑うパープルハートにアイエフが指示を飛ばす。

確かに下がるのがベストである。しかし、ここで逃げてしまってはいけないとパープルハートの直感が告げる。迎撃を選んだパープルハートはアイエフに謝りつつも機械刀を構えなおす。

 

「……ごめんなさい、あいちゃん。ここは引けないわ……っ!」

 

「ネプ子!!」

 

 アイエフの嘆願の声が響く。同時に黒の衝撃波はビーシャの周りに集約し、やがて黒いオーラとなって停滞する。その状態で口の口角を上げて不気味に笑ったビーシャが空に手を上げて叫ぶ。

 

「来い、バソダヌッ!!」

 

 ビーシャが叫ぶと、空からジェット音が響く。この辺りまで降下してくる飛行機などは存在しない。となれば、それは必然的にビーシャが呼んだ存在によるものだ。ジェット音は更に大きく響き渡り続け、ビーシャの背後にそれが降り立つ。それは1機のロボットだった。

 その大きさはビーシャより少し高いくらい、DRXよりも小さい大きさだ。バソダヌと呼ばれたそのロボットが到着すると、ビーシャはその背中……というより、大型化した頭部の後方に搭乗する。搭乗すると早速ビーシャは何やら操作し始める。操作が終わるとバソダヌはこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 

「グォォォン!!」

 

 拳を作って向かってくるその姿を見て、パープルハートは迎え撃つべくウイングユニットの出力を上げて飛び込んでいく。

 見たところ、武器は持ってないわね。……となると、内蔵兵器。ビームかしら?わたしはそう予想するも、それを大きく外す回答が目に映った。

 

「いけっ、あいつらをぼっこぼこの肉塊に変えてやれ!!」

 

「グォン!!」

 

 目の部分が紫色に変わったかと思うと、バソダヌは拳を振りかぶってくる。突撃の勢いを乗せての唐突な攻撃をパープルハートは機械刀で咄嗟に防御する。

 

「なんですって!?ぐっ……きゃあ!?」

 

 しかし受け止めたはいいものの、バソダヌの突撃の勢いを殺すまでには至らず、大きく後方に吹き飛ばされてしまう。何とか刀を地面に突き立て、後退を最小限に留めたパープルハートは心の中で舌打ちをする。

 まさかそんな手があったなんて……やるわね。けど納得できない話じゃない。思えばビーシャの武器はバズーカや球体のキャノン砲と射撃の武器ばかり。今は洗脳の影響で足による肉弾戦が多いけど、本来ならあのロボットかDRXが近接戦闘を担当するって感じみたいね。

 不意打ちを喰らい、勢いを削がれてしまったパープルハート。だがしかし、パープルハートもそれで手がないわけではなかった。再び急接近を行ってくるビーシャとバソダヌを落ち着いた様子で刀を構えなおして迎え撃つ。今度はかなり集中して待つ姿勢だ。そんな様子を見て、コンパ達が慌てて助太刀に入ろうとする。

 

「ねぷねぷ、何をしているんです!?」

 

「そうよ!このままじゃ押し込まれて……」

 

 しかし、駆けだそうとする2人に背を向けたまま、パープルハートは手で制止を行う。それを見て、騒いでしまっていた2人もおとなしくなる。そしてバソダヌの攻撃範囲内に入ると、ビーシャ達は攻撃を仕掛けてくる。

 

「これで、ぶっ飛べぇぇぇぇっ!!」

 

 思い切って振りかざされる拳。その攻撃の瞬間、パープルハートの手が動いた。

 

「今っ!!桜花一閃・間(はざま)!!」

 

 素早く機械刀を腰に構えると、すぐに振り抜くパープルハート。振り抜かれた刀から、シェアのエネルギーで形成された刃が飛ぶ。それはバソダヌの拳を避け頭部の搭乗場所、ビーシャを直撃し、搭乗場所から吹き飛ばす。

 

「いっつ!」

 

しかし、それと同時にバソダヌの拳もパープルハートの左肩から胸部の間に直撃する。直撃と同時にパープルハートはその部分を中心軸に後方へと回転しながら吹っ飛ばされる。

 

「ううっ……ぐぅ!!」

 

「ネプ子!」

 

「かなり強く叩き付けられたです。大丈夫ですか、ねぷねぷ!」

 

 一度地面に強く叩き付けられるも、膝を着いて立ち上がるパープルハート。アイエフ達から漏れる心配の声をよそに、すぐに状況を確認する。見ると、ビーシャは背中から倒れ、立ち上がろうとしている最中だ。新たなロボ、バソダヌの方は未だ稼働状態ではあったものの、その場で停止している。

 パープルハートの思った通りだった。ビーシャが乗った時に何かコンソールのようなものを操作する動きをしていたが、バソダヌは操作して攻撃を行うロボットだったのだ。ビーシャの元へ駆けつけるための出撃の行動はプログラミングされているのだろうが、自動攻撃までは出来ない仕様なら、ビーシャをあのロボットから降ろせば、攻撃も出来ない。だからこそパープルハートは相打ち覚悟でビーシャをバソダヌから叩き落したのだ。

 ……よし、バソダヌっていうロボットはとりあえず無力化に近い状態に出来たわね。後はビーシャがそれなりに疲労していてくれればいい。流石に、かなりシェアも体力も使ったし、ここで止まってくれないと……。

 そんなパープルハートの願いは半分叶う形となった。立ち上がったビーシャであったが、声が漏れると、片膝を地面に着く。

 

「ぐっ……傷が……」

 

 先程攻撃を放った部分である胸部に手を当て、表情を崩す。先程の攻撃が効いていたのであった。

 

「……はぁ……はぁ。さすが、ゴールドサァドね」

 

「……あんたもやるじゃん、モンスターの癖にさ」

 

 ようやく追い込んだという実感を得てそう言葉を漏らすパープルハート。しかし未だにビーシャはこちらをモンスターと認識したままだ。とはいえ、相手もスタミナが限界となった状態。このチャンスを逃す手はない。未だ光樹達の方で爆発の音が響く街の中で、決死の洗脳解除のための呼びかけが開始される。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。直接のぶつかり合いではないものの、双方に大ダメージが及んでの説得となります。

ソニア「かなり激しい激突でしたね……。で、でもこれで話し合いに持ち込めそうですね!」

シエラ「だといいけれど……。でもこれは難しくないかしら?」

そうだね。きっかけがないと、この洗脳は解けないだろうね。

ソニア「それとビーシャさんから発せられた黒いオーラってやっぱり洗脳の影響何ですか?」

まぁそうだね。詳しいことはのちのち話すかな?

シエラ「ここでの明言は避けたみたいね。わたくしとしては、パープルハート様のネプテューンブレイクって明らかに他と違う技と、前から出てたっていう桜花一閃・間が気になるわ」

ネプテューンブレイクっていうのは原作ゲームでエグゼドライブゲージっていう特別なゲージを使って発動する必殺技だね。他と違うのはボス限定での追撃攻撃があるってことくらいかな。あ、ちなみにエグゼドライブにもこの小説限定の物を考えているのでお楽しみに!

ソニア「へぇ~。それは楽しみですっ!それで桜花一閃・間っていうのは?」

あれは元々あった桜花一閃の射撃型と捉えていただけると助かります。桜花一閃と射撃型の間はどちらもVⅡでネプテューヌ……いや、パープルハートが習得する新たなエグゼドライブ技のプロトタイプとして設定した技になります。

シエラ「プロトタイプね。大体わかったわ」

ソニア「どんな技も基礎が出来てないと使うのは難しいですもんね」

さて、それでは今回はここまでということで。次回からは光樹君達の戦闘になります!

ソニア「光樹さん達もDRXとの戦闘は頑張ってほしいですね!次回は月曜日の投稿になります」

シエラ「それじゃ、次回もまた見て頂けると嬉しいわ」


さーって、ジャンヌさん達、またクリスマス衣装着てくれるかな?

シエラ「あんた、本当にそれはどうなのよ……。まぁお二人は気にしていないみたいだから止めないけれど」

ソニア「私達もクリスマス衣装欲しいなぁ……あんまり寒くないやつで」

クリスマスは各々に楽しみましょう!


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第141話 襲い掛かる黄金の戦士達―Dの特機、0とZEROの連携―

どうも、皆様、メリークリスマス!クリスマスイブはいかが過ごされたのでしょうか。こちらはジャンヌさん達も含めてクリスマス会をしました、藤和木弘です。

ジャンヌ「で、でもまさか、藤和木もクリスマスプレゼントを用意してくれていたのには驚きでしたっ♡どうも、皆様。藤和木から手袋をもらいました、ジャンヌ・ドラニエスです」

シエラ「こっちのジャンヌさんもそうだけど、公式のジャンヌさんもまさかあんなサプライズをバトスピ詩姫ファンに出してくるなんて、思わなかったわ。そしてこの作者の突発的な行動にも……。どうも皆様。ソニアと一緒に……その、過ごすクリスマスは悪くなかったわ……シエラ・ムルセーヌよ」

うん、ジャンヌさんプレゼントありがとう。嬉しいよ。それに公式もレイさんジャンヌさんのツイートをクリスマスに仕掛けてくるなんて、流石でした。思わず公式のツイートに返信してしまってたよ!

ジャンヌ「わたくし、今日藤和木のスマホ確認したらそれを知って……珍しい、ですよね、藤和木が公式のツイートに返事を入れるのって」

というか今までにしたことないんじゃないかな?

シエラ「ひとえにジャンヌさんからのサプライズに、心が躍っていたみたいね」

心が躍るなぁ!

ジャンヌ「藤和木、パ○ドさんのセリフを取らないであげましょうよ……でも、嬉しいですっ」

シエラ「そういえば、エグ○イドのクリスマス回って……」

みんなのトラウマを刺激するのはやめよう!?

シエラ「いや、あんたが言い出したんでしょうが……」

ジャンヌ「けどF○teの方もなかなか衝撃的な場面でしたよね。感動いたしましたけども」

うん、良かった。最終回が楽しみだね。さて、それでは今回も行きましょう。今回は第141話の投稿です。

ジャンヌ「今回は暴走するゴールドサァド達との対決編、その光樹さん視点のようですね」

シエラ「ねぇ、特機、って何?」

うん、それはスパロボに関係することだから、後で言うね。さて、Dの特機ことDRXに光樹君達はどう挑むのか?それでは本編へ!


 ビーシャ達が戦闘を始めた頃、同じように光樹達もまた暴走するDRXの元に駆け付けていた。自分の前に立ち塞がるように現れた光樹達に、DRXは異常なまでのハイテンションでガンを飛ばす。

 

「はーん、てめぇらが俺を止めるっていうのかい?如何にもやせっぽっちで弱そうなモンスター共だぜ!!」

 

「やっぱり、あたし達の事も敵と思ってるみたいね」

 

「うんうん、私達と初めてあった時より怖くなってるー」

 

 DRXの変貌ぶりを鈴と絵里奈の2人が指摘する。見ていた時から分かっていたが、やはりこっちを敵と認識しているようだった。こちらに攻撃の構えをしたままという時点で、それは分かっていたことだったが、それでも戦うのには抵抗があった。

 ……分かっている。今のDRXは別のシステムか電気信号、もしくはウイルスでおかしくなっているだけなんだ。それを解くためには、DRXを止める必要がある。それこそ、大破させる覚悟も必要かもしれない。

 心のどこかで、一度は仲間となった相手に攻撃を行うことにためらいを感じる光樹。すると、さりげなく勇也が光樹の気持ちを推し量るように声をかける。

 

「光樹、油断するな。その油断が、俺達や、街の人を危険にさせるかもしれない」

 

「……あぁ、分かってる。そのために……!」

 

 勇也の言葉の通り、自分が攻撃する覚悟がなければ、誰かが傷ついてしまう。そうして行った行動で、何度もメンバーを危機に遭わせてしまったことを、光樹も思い出してきていた。なら、ここで止まるわけには行かなかった。

 勇也への返事を言い切ると、光樹は右手をジャケットの内側に入れる。そのまま首から下げていたシューティングスターBを掴む。それを掴んだまま、DRXに見せるように前に突き出すと、DRXに対し語る。

 

「これが、俺の意志だ!――――――ファイナライズ・セット・オン!!」

 

『了解。ANパーティクルエリア、展開』

 

 ゼロの了解の声と共に、光樹の周りをAN粒子が覆う。その中で、光樹は体が電子へと変換されていく。その体を覆っていくように金属の装甲……ガンダムの装甲を纏っていく。機体の装甲が装着されると、続いて武装が装着されていく。

 マグナム、デストロイブーストユニット、バスターソード、ランチャー、ヴァリアブルエッジバインダー……武装をあらかた装備したところで、最後にウイングユニットを背中に装備する。ウイングの装備が終わると、AN粒子の奔流が解かれる。AN粒子の奔流が晴れると、シメに頭部がユニコーンタイプのマスクからガンダムの顔へと変形し、ツインアイが光る。

 今までほぼ粒子の奔流、ノイズの中でマスク変形はしてきたが、今回はあえて外になってからマスクを変形させた。それは、ガンダムとして、1人の戦士として目の前の仲間を解放するすることを決意したからであった。そのガンダムというフェイスが、光樹の心の中で戦う決意が固まった……そのための表れなのだ。

 シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスへ変身すると、先程ステマックス達と戦った時よりも落ち着いた様子でDRXを光樹は確認する。その間に後方に現れていた3つのノイズの奔流も拡散して3体のガンダムが姿を現す。鈴のガンダムR-EXEグレイガ、勇也のガンダムR-ZERO、絵里奈のガンダムR-ZX。3人のガンダムが変身を完了していた光樹の周りに集まる。

 集合した鈴達を見て、光樹は全員に確認する。

 

「みんな、準備はいいな?」

 

「もっちろんー♪」

 

「とっとと片づけるとするか。鈴、あまり無茶するなよ?」

 

「フン、勇也に言われたくないわね。あたしだって、まだ戦えるんだから」

 

 勇也からの心配をする声に、鈴は余裕を見せる。とはいえ、鈴のガンダム、R-EXEは機体の兵装の1つ、ANインパクトブレイカーを失っている。加えて今はステマックス達がけしかけたギラ・ズール部隊のうち1機から抜き取ったというコアも機体の電子空間に入れていた。戦闘力が堕ちた鈴をフォローするだけでなく、なるべく攻撃を受けすぎるのもコアの事を考えると避けたいところだったのだ。

 このこともあり、勇也は心配する声をかけたのだが、鈴はそれに気にすることなく戦う意志を見せた。こうなった以上、光樹達もなるべく鈴を守る方向で戦闘を進めることにした。

 

「よし、なら鈴は絵里奈と一緒に俺らのフォローを頼む。光樹、俺達であいつと張り合うぞ」

 

「あぁ。勇也も無茶すんなよ?」

 

 光樹が放った言葉に、一瞬虚を突かれたように目を丸くする勇也。しかし、少し笑うと勇也は光樹のガンダムの頭を叩いて軽口を叩く。

 

「はっ。本調子じゃないお前に言われたくないな……!行くぞ!」

 

「あぁ!!」

 

 掛け声と同時に光樹と勇也はDRXへと突撃を行う。それにより戦闘が開始される。鈴と絵里奈はそれぞれの射撃兵装を構える。射撃戦をする動きだ。どうやら鈴もおとなしく遠距離で自分の身を案じる方向性だ。

 対するDRXも向かってくる光樹達を迎撃するかのように……否、迎撃を開始する。機体各部の装甲を開くと、その中からミサイルの弾頭が姿を現す。外界に触れたミサイルは煙を巻き起こして次々と光樹達に襲い掛かる。

 

「喰らいな!サイキック・ミサイル・フルボンバーァァ!!!!」

 

 狂気の声を上げながら、DRXはミサイルを放つ。突撃する光樹と勇也は、それに対し、回避の行動を取る。ゴッドクロスは空中を、R-ZEROは地上を的確な軌道で移動し攻撃を回避していく。その回避行動により、光樹達に向かっていたミサイルは全て回避する。しかし、残ったミサイルが鈴と絵里奈、そして物陰で隠れていた住民達向けて伸びる。

 後方を振り返ってそれに気づいた光樹は鈴と絵里奈に声を飛ばす。

 

「2人とも、回避と迎撃をっ!」

 

「言われなくても……!」

 

「くぅっ!せーい!!」

 

 鈴と絵里奈はANビームブラストマグナム、ANPXアームズギアを構えて弾幕を形成する。2人がかりの弾幕は正確ではないものの、多くのミサイルを撃ち落とす。最終的に何発かが建物や地面に爆風を発生させるが、2人と逃げ遅れていた市民に被害は出ることはなかった。

 被害が出なかったことに安心するのもつかの間、今度はDRXが全スラスターを全開にしてこちらに突撃を仕掛けてくる。攻撃が来るのを見て、勇也が光樹に言い放つ。

 

「光樹、攻撃来るぞ!」

 

「っ!せぁっ!!」

 

 突貫を仕掛けてくるDRXに向け、素早くドライブモードを起動させた光樹は腰部のAN高純化射撃兵装「オーディン」を構える。数秒ほどのチャージののち、上下が反転した態勢で大出力のビームが板状のバレルから放たれる。横への宙返り際に放った攻撃だ。真っすぐDRXの頭部に伸びる。

 しかし、その攻撃にDRXは左手を前に出す。突き出された左腕にビームが直撃する。だが、その表面でビームは受け止められ、後方へと受け流されていく。バリアだ。光樹もDRXとの模擬戦闘でそれは把握していた。そのバリアは、どうやら実戦でも模擬の時と寸分たがわぬ性能のようだった。

 出力を込めた一撃を受け流されたことに苛立ちを感じるも、並みの相手ではないことを敵として改めて認識する光樹は間髪入れずにANロング・メガ・マグナムを向ける。銃身下部のコンテナも稼働させると、トリガーを引く。それぞれの銃口からビームと光り輝く光の弾が放たれる。それと同じタイミングで勇也のR-ZEROからもコンテナユニットから拡散ビームが放たれる。

 息の合った同時攻撃ではあったが、DRXはそれも手を伸ばしてフィールドで防御する。伸ばした手の先で攻撃が直撃し、後方へと受け流され、爆発を起こす。攻撃が決まらなかったことに勇也が舌打ちをする。

 

「ちっ、全然効いてねぇな……」

 

 そう言葉を吐き捨てつつも今度は下腕部に装備したANビームガトリングⅣCを放つ。しかし、連続した弾丸もDRXのバリア、「サイキックフィールド」に阻まれてしまう。攻撃を防いだ状態で、DRXは光樹への攻撃態勢に入る。

 

「吹っ飛びなァ!!ガウン・デストロイヤァァー!!」

 

「くっ!……このっ!!」

 

 顔面部のモニター部分から放たれたビームを避けつつ、ゴッドクロスは返す攻撃で左肩のANデストロイランチャーⅡを放つ。薙ぎ払うように放たれたビームがDRXの装甲を焼いた。この接敵で初めての相手へのダメージであった。ところが、その攻撃もDRXの装甲に若干のダメージ跡を残しただけで、装甲を融解させるには至らなかった。

 あまりに硬い。そう光樹達は感じた。ガンダムの力を込めた一撃はフィールドで防ぎ、隙を突いた一撃もその強力な装甲で耐える。まさにスーパーロボットとでもいうべき耐久性は機動戦を前提とした光樹達には障害として立ち塞がったのだ。

 だが、それで攻撃をやめるわけにはいかない。そう言わんばかりに鈴と絵里奈がそれぞれの射撃兵装による砲撃を放つ。

 

「ANソードカノンⅢ!!」

 

「ANミラージュバスターソード!!」

 

 R-EXEは背部に背負っていた長いロングカノンから、絵里奈は大振りの剣に備えられた大口径のビーム砲からそれぞれ大出力のビームを撃つ。如何にも高出力のビームだ。これならば大ダメージは確実、と思うものの、そう上手くはいかない。右腕で防御の構えを取り、放たれた2本のビームを右腕だけで防御する。ビームの勢いで若干DRXが後ろに後退するも、その攻撃をDRXは腕部表面に展開したサイキックフィールドで防御する。

 攻撃を防いだDRXが荒々しく声を上げて腕を振るって攻撃を弾く。

 

「うらァ!!」

 

「防がれた!?」

 

「ならこっちで!!」

 

 鈴の声が響くのと同時に、光樹と勇也が近接攻撃を仕掛ける。それぞれの手にはANエネルギーシャープナー「フィガ」ストームソードモードとANゼットセイバー・トリプルロッドモードが構えられている。それぞれ槍としての機能に特化した武装だ。

 光樹と勇也はそれぞれDRXの両側から攻め込む。先に攻撃を仕掛けたのは勇也だ。

 

「くらえ、アタックドライブ「ハンドレッドストライク」!」

 

 エネルギーのこもる、連続した高速突きがDRXの装甲に放たれる。何度もロッドと表面に展開したサイキックフィールドが弾き合う音が響く。そして最終段の強力な一撃が放たれる。しかし、それはDRXの強固な装甲に届くことなく、DRXのサイキックフィールドで防御される。

 そこに間髪入れずに光樹のANエネルギーシャープナー「フィガ」ストームソードモードの攻撃が叩き付けられる。ところがその攻撃もDRXの装甲を傷つけるまでには行かない。2人の攻撃が全く効かないことにDRXは気分を良くし、高らかに雄たけびを上げる。

 

「ハッハァ!!圧倒的じゃないか、俺の装甲は!!」

 

 そのまま腕に力を込めると、そのままゴッドクロスとR-ZEROを吹き飛ばす。吹き飛ばされた2機は態勢を立て直して地面に着地する。だが、2人に諦めの動きはなかった。それどころか、2人の戦意は更に高まる。

 

「流石だな……こっちの攻撃が全然通用しない……!」

 

「あぁ。だが、俺も、お前もまだ本気じゃねぇ!!行くぞ光樹。鈴と絵里奈も援護を」

 

「了解!」

 

「まっかせてー」

 

 勇也からの指示に鈴と絵里奈が頷く。その勢いのまま、再び光樹と勇也はDRXに接近をかける。それを見て、DRXは無駄だと嘲りながらも迎え撃つ。

 

「はっ!そんな程度の力で、俺に敵うと思うなァ!!ハイフィンガーバスター!!」

 

 手の先を向け、そこからバルカンのような連射でビーム弾を次々と放つDRX。その攻撃は苛烈で、近づくのが容易ではない弾幕を形成する。しかし、光樹は止まらない。その弾幕の間を軽々と避けていく。同じく勇也も機体のスラスターを吹かせて素早く地を飛んで接近していく。

 射撃支援を行っている鈴達も例外ではない。落ち着いて攻撃を回避しつつ、反撃のビームを放って光樹達をアシストしていく。連続して放ったビームのうちいくつかが、DRXに被弾する。

 

「なっ!当ててくるとは、やるじゃねぇかァ!!!!」

 

 攻撃を当てられたことに怒るDRX。更に弾幕を厚くする。しかし、その弾幕を掠めながらも近づく勇也と、同じく被弾をもらいつつも、それぞれでカバーする鈴と絵里奈。

 そして、ただ1人光樹だけは、未だにその弾幕攻撃に被弾することなく既に格闘攻撃が届く距離まで近づいていた。攻撃を横に回避すると、チャンスと言わんばかりに武器をANブラスターソードエッジに切り替えて急接近する。

 それを確認し、DRXも両手から放っていた弾幕のうち、片方を中断する。そしてその手を光らせて、迎撃に移る。

 

「このォ!!堕ちろ、モンスター!!」

 

「でぇぇい!!」

 

 アッパーカット気味に放たれたDRXの拳。しかし、それを光樹がギリギリのところで回避する。そしてそのままDRXの腕部に向けてANブラスターソードエッジを振り下ろす。振り下ろされた斬撃はDRXの装甲を斬る。装甲にわずかだが裂傷を生み、内部からのスパークが引き起こされる。

 直撃を受け、DRXの体がふらつく。それを逃さず、光樹もそのまま連撃を仕掛けていく。ANブラスターソードエッジで斬撃を浴びせ、その終わり際に蹴りを浴びせる。蹴りの反動で空中を一回転しつつ後退してそのままANブラスターソードエッジを射撃形態「ブラスターモード」に切り替えてビームを放つ。DRXの胸部付近に集中して放たれた連続攻撃はフィールドの展開を許さず、その装甲にダメージを与えた。対応が追いつかない連撃にDRXも荒れた口調で声を張り上げる。

 

「このォ!!モンスター如きがァ!!」

 

 反撃と言わんばかりに全砲門をゴッドクロスに向け咆哮と共に放つ。怒涛の攻撃を回避する光樹だったが、腕部の連弾をウイングユニットの端にくらいバランスを崩す。

 

「当たった!?」

 

「ヘッ!消し飛びなァ!ガウン・デストロイヤーァァァ!!」

 

 DRXの顔面ヘルメットモニターが光る。力を溜める動作ののち、大出力のビームは放たれる。それを咄嗟に腕部を構えて防御する光樹。攻撃の直撃を受けて爆発が起き、ゴッドクロスの姿が爆炎に飲み込まれた。

 

「へへっ、ざまあないぜ!」

 

 その姿を見て、DRXが得意げな様子でポーズを決める。しかし、それで光樹達の勢いは止まらない。光樹を撃破したと思ったDRXが作った、そのわずかな油断を勇也達が攻める。

 

「こっちを忘れてもらっちゃ困るぜ!!」

 

「そうよ、相手は光樹だけじゃないんだから!!」

 

 勇也のガンダムR-ZEROがコンテナユニットから取り出したANフレームビームジャベリンを突きあげる。下からDRXの腹部を目がけて繰り出された攻撃にDRXも体をひねらせて避けようとするも、そこはロボット。緊急的に展開されたサイキックフィールドを勢いのまま貫き破り、人ほどの可動域を持たない腹部の脇にビームの刃が若干突き立てられる。

 その状態で勇也は突き立てられたビームの槍をそのまま外の方に振り抜く。するとDRXの装甲を切り裂いて抜ける。装甲が破壊された部分がスパークを散らせて小爆発を起こす。攻撃を受けたDRXも思わずうめき声を漏らす。

 

「ぐがっ!テメェ……!」

 

 反撃を仕掛けようとするも、その前に鈴の攻撃が続く。ロングレンジからANビームブラストマグナムを構えて撃つ。銃口付近に装着されたスマッシャーユニットも使っての収束射撃が勇也の削った装甲部分に直撃しダメージを重ねた。

 破損した部分に加わった攻撃でDRXは大きく膝をついた。DRXのガウン・デストロイヤーを受けた衝撃から立て直していた光樹もそれを見て心の中で小さくガッツポーズをした。

 少しずつだけど、DRXにダメージを与えられている。あそこの攻撃を集中してダメージを与えていけば、動きが止まるかもしれない。なら、ここでいつまでも見ているわけには行かない……!

 光樹はゼロに攻撃の再開を指示する。

 

「ゼロ、行けるか?」

 

『問題ない。腕部装甲へのダメージは2割ほど。十分戦闘に耐えられる』

 

 ゼロからも問題ないことを伝えられると、光樹は再度DRXへの攻撃を開始した。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。今回は光樹君視点だけとなりました。

シエラ「けど、最初の光樹の思い、何だか覚悟を決めたって感じね」

覚悟……そうだ、触れなければいけないことが!

ジャンヌ「なんとなく分かったので、後にしましょうね、藤和木?」

あ、はい。(´・ω・`)けど味方だった存在と戦うっていうのは、記憶を失った後の光樹君としては初の事ですからね。

ジャンヌ「確かに、シェアプロテクターとの対決はあくまで試合形式でしたから、味方に対しての本気の戦いは今回が初めてかもしれませんね」

シエラ「それを考えると、この戦いは光樹のとっての試練なのかもしれないわね。それで、前半の方に言ってた、特機の事なんだけど……」

あぁ、簡単に説明するとですね、スパロボ世界でのいわゆるスーパーロボット系とでも思ってくれればいいです。ガンダムのような低い攻撃力で敵わない相手に対して、圧倒的な破壊力で敵を粉砕する機体ですね。

シエラ「へぇ、そうなの」

ジャンヌ「この世界で言うなら、光樹さんのゴッドクロス・ダイもそれに当てはまるのではないでしょうか?」

うん、一応当てはまるね。ロストドライヴからの次元力を得て起動する、従来のガンダムの力を超えるガンダムだからね。ただ鈴とかのMPと対比するなら、光樹君のガンダムのNPも特機に当たるかもしれないけれど。

シエラ「確かに、光樹のガンダムって、他のガンダムより性能二回りくらい違うからね。よく分かったわ」

ジャンヌ「そう聞くと、他のSSRシリーズの性能が気になりますね!」

さて、今日の話の感想はここまでにして、覚悟を決めたウルトラマンの話をしようか。

シエラ「さーて、来週のSSRは……」

待って!まだ私のターンは終わってないよ!?

ジャンヌ「えぇ……でも皆さん聞きたいんですか?」

一応私の思ったことを報告したいんですよ!?とまぁ無理矢理ねじ込みますが……ウルトラマンジード、遂に最終回を迎えましたね!ジードの父、べリアルとの決戦でジードが全フォーム同時に登場したのを見たときは「その時、不思議なことが起こった!」って脳裏で思いましたからね。

シエラ「確かに、同一人物が5人もいるなんて、驚きよね。というか、他に例があるの?」

ジャンヌ「えぇ。仮面ライダーBLACK RXであったようです。藤和木の脳裏の言葉もそこから取っていますし。でもウルトラマンの世界だと「キングの奇跡」で解決しそうですよね」

キングは偉大だからね。だからウルトラマンのコラボブースターにもチートラマン1人くらいXXで出そう?

ジャンヌ「藤和木、諦めましょう?」

シエラ「効果の再現で確実に制限・禁止になりそうだものね」

(´・ω・`)さて、それでは次回の投稿日についていきましょうか。

シエラ「次回の投稿はこのままいくと丁度12月31日になるわね」

ジャンヌ「切りのいい日になりますね。それでは皆様、次回もお楽しみにっ」


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第142話 襲い掛かる黄金の戦士達―ゼロ距離の砲撃、怒りの拳―

どうも、皆様年明け直前、いかがお過ごしのことでしょうか。私はのんびり過ごしつつも、就職先の企業からの宿題として出されている資格の勉強をしています、藤和木弘です。

レイ「でもまぁ、少し遊びの方に重点は寄ってるけどねー。どうも、みんな!今年最後の投稿になるよー、レイ・オーバだよっ!」

ソニア「私とシエラはこっちに来て初めての年末ですが、やっぱりこっちも大掃除とか大変ですよね。どうも、皆様。来年の抱負を今から考えています、ソニア・A・ワスプです!」

レイ「あー、抱負かぁ。去年私なんか言ったっけ?」

何も言ってないとは思うけど……。まぁ、それは後々考えればいいさ。ちなみにソニアさんは?

ソニア「やっぱり、文字をかまないようにしたいです……。というか、落ち着きを欲しいですぅ……」

ははは、それは頑張ってほしいね。さて、今回は第142話の投稿です。

レイ「光樹君達VSDRXとの対決だね。ゼロ距離の砲撃も気になるけど、また光樹君は怒りの拳炸裂みたいだね!」

ソニア「なんだか、怒りの拳って使うこと多いですよね」

だけど、今回は光樹君の新たなNFBが炸裂しますよ。その連撃は、果たしてDRXを打ち破ることが出来るのか?それでは本編へ!


 

 

「ちぃ、テメェらモンスター共が、俺達の道を阻んでんじゃ、ねぇよッ!!あの世へ行きやがれ!!」

 

 DRXの雄たけびと共に、再び全体への攻撃が放たれる。咄嗟に防御する絵里奈達。機体稼働のための重要な部分への防御を成功させるも、装甲に着弾したミサイルやエネルギー弾の爆発で装甲に軽微のダメージが徐々に蓄積されていく。

 うー……、ちょっとダメージが溜まってきたかも。まだ全体の損傷率で言うならそれほどでもないけど、この状況が長続きするって可能性は出てきてるなぁ。そろそろこっちも本気で行った方が良いかもー。

 この状況を良くないと判断した絵里奈は、横合いから攻めようとしていた光樹に気づく。光樹も先程吹き飛ばされてしばらく攻撃していなかったので突撃していたのだが、それは絵里奈にとってもありがたいことであった。同時攻撃ならフィールドを貫く、もしくは張られる前に攻撃が出来ると踏んだのだ。

 両手にANZXアームズを構えると、絵里奈はDRXに向かって飛んでいく。ANHXウイングスラスターを吹かせて突っ込んでいくのを見て、鈴が援護を行う。

 

「絵里奈、頼んだわよ」

 

「うん、まっかせてー!」

 

「そっちに合わせる」

 

 同じく勇也もコンテナユニットの武装で支援攻撃を行う。コンテナの正面から右下に位置するカバーが開き、外に触れた砲門から拡散ビームが放たれる。鈴はソードカノンでの支援砲撃だ。

 迫る2方向からの攻撃に対し、DRXはミサイルで迎撃する。マイクロミサイルが突撃を敢行する光樹と絵里奈、支援を行う鈴に向かって放たれる。ミサイルを吐いたのち、DRXの装甲部は閉じられる。

迫るミサイルに、光樹の方は両腕にビームサーベルを構えたまま頭部から光を輝かせる。ANZEROユニットからのZEROキャノンの光だ。一気に放たれたビームは空を薙ぎ払うように放たれ、向かってきていたミサイルの波に大きな穴を空けた。大きく開けた敵の弾幕の間をゴッドクロスは通り過ぎていく。

 一方の絵里奈の方は脚部の武装を展開する。脚部装甲が開くと、その中から3本の弾頭が姿を現す。それが両足合わせて6本。そのミサイルに発射指示を送る。

 

「行って、ANチャフミストマイクロミサイルー!」

 

 絵里奈の声を合図に3本のミサイルがAN粒子の尾を引いて放たれる。しばらく進んだのち、ミサイルは弾頭を分離させる。するとその後部から細かな粒子サイズの物が空にばら撒かれる。ミスト状のチャフだ。空に展開されたミストチャフはAN粒子の干渉により広域に展開される。その中にDRXが放ったミサイルの群れが突っこんでいく。だが、そのわずかな時間で次々とミサイルは空中で爆発。絵里奈に届く前にほぼすべてのミサイルが撃ち落とされることとなった。

 すべてのミサイルが空で散って、地上はその爆発の光で照らされる。その爆発が残る中を、絵里奈はANHXウイングスラスターと脚部のミサイルを放ったユニット、ANマルチサポートユニットの外側に装備されたANハイパーEXブースターを噴射して突っ切っていく。爆炎を抜けた先で絵里奈の目に見えたのは暴走するDRXの姿。既に光樹が攻撃を仕掛けていた。

 

「はぁぁ!!」

 

「吹き飛べェェェェ!!!!」

 

 ANデストロイイーターⅡとD・Oソード。2人の持つ大型格闘兵装がぶつかり合う鍔迫り合いの状況だ。DRXの腕力で光樹が弾かれ、そこに更に追撃としてDRXが上段の構えから一気にソードを振り下ろす。辛くも光樹がこれをANデストロイイーターⅡで防御する。が、その勢いに負け、ANデストロイイーターⅡが破壊される。デストロイイーターⅡが破壊されたことで受け止めていたD・Oソードの刃が光樹を斬る。

 

「ぐぅぁ!?」

 

「光樹君!?この……っ」

 

 絵里奈は悲鳴を上げる。光樹が斬られた、という事実に恐怖を感じたからだ。斬られた状態から地面に叩き落されたゴッドクロスは地面をバウンドしながら吹き飛ばされる。

 しかし、その事実は絵里奈に怒りの感情を持たせるには十分だった。素早く両手に握っていたANZXアームズのソードモードを逆手持ちにすると、スラスターを大きくふかせて空に飛びあがる。そこから一気に降下し、DRXの胸部装甲に目がけてANZXアームズを突き立てる。

 だが、その攻撃はDRXが展開したサイキックフィールドに阻まれてしまう。DRXを敵の攻撃から守る最大の盾。それをガンダムR-ZXの剣は貫くことが出来なかった。ところがそれで絵里奈は退くことはなかった。

 

(攻撃を受け止められた……でも、まだ終わりじゃない!)

 

 受け止められた状態で胸部を前に突き出す。すると胸部に存在していた獣の顔が前に展開される。その獣のパーツからはビームの刃が展開される。ビーム刃が展開された胸部ユニットが敵のフィールドに接触する。フィールドは通そうとはしなかったが、それに構わず絵里奈はカートリッジシステムを起動させる。

 

「カートリッジ、ロード!!」

 

『了解、出力増大』

 

 R-ZXのナビゲーター「モデル」が返答すると更に胸部の顔がフィールドにねじ込まれていく。段々とフィールドを突き破っていき、最後に大きくその口を開くとフィールドは完全に破壊される。

 フィールドが解除されたことで持っていたANZXアームズ・ソードモードが胸部ユニット「ANケルベロスヘッドユニット」の牙と共にDRXの装甲に突き立てられる。その攻撃でDRXが面食らった声を上げる。

 

「馬鹿な?フィールドを破った!?」

 

「このまま……行くよっ!!」

 

『ANバスターキャノンⅤ改・改、発射』

 

 モデルの声と共に胸部のケルベロスユニットの口部分に内蔵されていたキャノン砲が放たれる。ゼロ距離からの砲撃はDRXの装甲を抉りながら吹き飛ばす。

 しかし、絵里奈もその影響を受けないわけではない。その反動で絵里奈も大きく後方に飛ばされる。

 

「うわぁぁ!」

 

 吹き飛ばされつつもスラスターを吹かして何とか反動を抑え込む絵里奈。その直後、後方から鈴と勇也による追撃がDRXを襲った。攻撃を受けて2度揺らぐDRXの巨体。

 ふぅ……ダメージは与えられたみたいだね。私はそう感じ取る。胸部装甲へのゼロ距離砲撃、ついやっちゃったけど、光樹君に攻撃が及ばなかったからこれでいいよねー。

 突発的な行動を反省するも光樹への追撃がなかったことに安心する絵里奈。ところが、攻撃を喰らったDRXが立ち上がると、攻撃の矛先を絵里奈に向けて急接近を開始し始める。

 

「ゼロ距離からの攻撃たぁ、生意気じゃねぇか、モンスター!!」

 

「ちょっ!いきなり攻撃ー!?」

 

 地面を揺らしながら距離を詰めるDRX。スラスターを吹かして更に距離を詰めると、D・OソードをR-ZXに振り下ろす。大型のエネルギー剣を受け止めるべく、素早く腰のANミラージュバスターソードに持ち替えて防ぐ。

 攻撃を何とか受け止めることには成功する。受け止めた場所からエネルギーと火花の弾き合いが起こる。だが出力は当然DRXの方が上、すぐに押し込まれて片膝を突いてしまう。

 

「くうぅ……お、重いぃ……!」

 

「絵里奈!!」

 

 悲鳴を飛ばした鈴がANソードカノンⅢとANビームブラストマグナムを同時に発射する。その攻撃は真っすぐDRXに着弾し、爆発を起こす。だが、それでもDRXを絵里奈からどかすことは出来なかった。

 すると今度は勇也が接近攻撃を仕掛ける。手には大質量で対抗しようとANエクサランスアームズⅡがバスターソードモードで握られていた。そのまま大振りで振り回す。

 

「こっちを向け、このっ!!」

 

「ハッハア!!そんな程度……でぇ!!」

 

 だがそれを見切っていたDRXは鍔迫り合いを一旦解くと絵里奈の体を蹴飛ばし、R-ZEROをD・Oソードで迎え撃つ。ぶつかり合う大型の剣。それでも勢いに負けたのは攻撃を行った勇也の方であった。

 

「てんにゃろうがァ!!」

 

「ぐおっ!?」

 

 思い切り横薙ぎに振られたDRXの大剣に弾かれ、勇也のR-ZEROがビルの壁面に叩き付けられる。叩き付けられた衝撃で勇也の空気が吐き出された声が聞こえる。R-ZEROは壁面から抜け出そうとしていたが、その前にDRXが追撃を放つ。

 両腕部からハイフィンガーバスターが一気に放たれていく。連続して放たれたその攻撃で勇也のR-ZEROは瓦礫の塵によってその姿を確認できなくなってしまっていた。何とか無事を確認しようと鈴が通信回線に呼びかけていた。

 

「勇也、大丈夫なの!?」

 

 しかし、その声をかけている間にもDRXは攻撃をやめない。今度は鈴の方に赤・緑・青に輝く念力の結界弾を放っていく。

 

「こいつで動きを止めてやらァ!」

 

「くっ!!」

 

 鈴も気付いて回避行動を取るが、いかんせん弾数が多かった。ギリギリのところで避けていくが、動きに機体の性能が追いつかなくなっていく。

 そして、とうとうその念力による磁場が鈴のR-EXEグレイガを捕らえた。球体に捕まると、鈴の動きが止まってしまう。

 

「鈴ちゃん!!」

 

「く……動け……ない!」

 

 絵里奈が呼びかけても鈴は全く動こうとはしない。動けずにいた。一方DRXはそれを見て得意げに叫ぶ。

 

「モンスター如きが、逃げられるとでも思ってたのかァ!吹っ飛べ!!」

 

 そう語るDRXはその手にD・Oソードを構えていた。あんなもので叩ききられたら、ガンダムタイプとはいえMPの範囲内の性能しかないR-EXEでは耐え切れない。危険な状況だ。

 もちろん、それをただ見ているわけには行かない。すぐに敵の行動を妨害しなければならない。絵里奈は機体のトランザムシステムを発動させてその手にANHXキャノンバスターを持つ。モードは威力重視のキャノンモードだ。腕をしっかりと固定しその一撃をDRXの腕部に放った。

 

「こっのぉぉぉぉー!!」

 

 絵里奈も声を上げて渾身の攻撃を放つ。ANHXキャノンバスターの反動で放ったR-ZXの機体が大きく揺さぶられる。反動でトランザム中の機体の残像が小刻みに発生する。その砲撃は絵里奈の狙い通り、その一撃はDRXの腕部に直撃をする。

 しかし、攻撃を当てて爆発を起こすDRXの手であったが、爆炎が晴れると、その手にはまだD・Oソードが握られたままであった。

 う、うそ……。R-ZXのトランザム下の高出力射撃でも無理なの?私は心の中で困惑する。けど、その手に見えた輝くものを見てその理由を察する。フィールドだ。DRXはその手にサイキックフィールドを形成して邪魔となる攻撃を防御したんだ。

 絵里奈の思った通り、DRXは手元の防御の為にフィールドを展開していた。他からの攻撃で邪魔されるのを嫌ってフィールドで攻撃をシャットアウトしていた。特別絵里奈の砲撃を警戒しての事ではなかったのだが、この行動が絵里奈の精密射撃による妨害を無駄とした。

 攻撃を凌がれたことに絵里奈は呆然とする。しかし、DRXが飛び上がろうとするのを見て我に戻ると再びDRXの腕部に狙いを定める。

 

「……くっ!当たって、貫いてー!!」

 

 先程よりも硬く、鋭いエネルギー弾を収束させてから撃つ。が、その前にDRXはドミニオンズボウルで捕獲した鈴に向けて進撃する。もう撃っていては進攻を止められないと判断した絵里奈はスラスターを全開にして鈴の元へ向かう。機体を滑りこませて防御すれば、被害を最小限に出来ると考えたのだ。

 

「お願い、間に合ってー……!」

 

 精密射撃を行いつつ向かう。しかし、DRXの進攻は止まらず距離が詰まっていく。スタートダッシュが遅れた分絵里奈と鈴の距離もDRXよりもある。このままでは割り込めない。

 そして、DRXがその剣の攻撃範囲に鈴を捕らえると大剣を上に掲げる。

 

「これで終わりだァッ!!」

 

「っーー!!」

 

 もう自分の手は届かない。それを察した絵里奈がただただ鈴の無事を心に強く願う。DRXの刃が無慈悲に鈴に向け振り下ろされる――――その時。

 

 

 

 

「やらせねぇ……よっ!!」

 

 

 

 

 唐突に聞こえた声に思わず顔をはっと上げる。聞き覚えのある、絵里奈を安心させる声だ。顔を上げたときには、先程の絶望的状況は変わっていた。

 振り下ろされたDRXの必殺兵装D・Oソード。それが鈴のR-EXEグレイガを覆っていたドミニオンズボウルの障壁を破っていた。その切り裂いたものの中には鈴のR-EXEが……含まれていなかった。斬れたのは念力結界の外縁部分だ。

 なぜ、あのタイミングで鈴は攻撃を受けなかったのか。それは実に簡単だ。DRXの手元を狂わせた存在がいたのだ。その機体は光を放ちつつ変形を行い、赤色化させた機体を2人の間に滑り込ませ、瞬時にDRXの手元を思い切り蹴り飛ばした。過程を見なかった絵里奈も、顔を上げた時に見た光景からそれを察することが出来たのだ。

 DRXの攻撃の軌道を逸らした者はゆっくりと蹴り上げた足を下ろし、腕を格闘の構えに作るその人型機動兵器。自身の攻撃を邪魔されたDRXは唐突の乱入者に拳を飛ばす。

 

「堕ちろ!!」

 

「ふっ!」

 

 しかしながらDRXの攻撃を回避する乱入者。代わりにその拳に、自身の次元力を込めた拳の一撃を放つ。次元の拳を受けて起きた衝撃波でDRXが大きく後退する。

 拳を放ったその機体……その装着者は絵里奈と鈴を守るように立ち、DRXに言い放った。

 

 

 

 

「言ったはずだ。俺は、誰かを傷つけるなら、仲間だったとしても容赦しない、ってな!」

 

 

 

 

 その言葉と共に、その機体、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイはDRXに向け飛んでいく。その様子を絵里奈は心強く安心の面持ちで見届ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハン!モンスター風情が、ヒーローのように現れんじゃねぇぜェ!!ガウン・デストロイヤー!!」

 

 DRXが猛ると同時に顔面部からビームを放つ。突発的なビームに対し、ゴッドクロス・ダイ、光樹は避けることなく、その腕部を突き出す。握りしめられたその拳はそのままDRXの放つ高出力ビームを受け止める。そのまま熱量に負けることなく次元力を解放してビームを相殺、打ち破る。

 この時、光樹の脳裏には避けることは考えていなかった。正面から打ち破る。それだけを考えていた。というのも、それはDRXを洗脳から解くために考えた光樹の考えである。

 それはかつての状況を再現することで思い出させるということであった。かつてDRXとぶつかり合った時、光樹はDRXの攻撃を真正面から打ち破った。その状況に近いことを見せることで、DRXの記憶回路に干渉できれば……もしかすると洗脳が解けるかもしれない。

 その考えを持って光樹はDRXへの突撃を続ける。その突撃にDRXも近づけさせまいと一斉射撃を放つ。

 

「このッ!沈みやがれ、DRXフルバースト!!」

 

 既に弾数を切らしたミサイル以外の、DRXの全射撃兵装が発射される。バルカンの雨とビーム砲の嵐が飛んでくる。しかしその攻撃を光樹は少し大型化したゴッドクロス・ダイの次元力がこもった拳でいなしていく。バルカン弾を弾き、ビームをANフレキシブルアームブレイカー「ディメンションブレイカー」で受けとめる。受け止めたビームを拳で握り潰すような動作で消失させる。

 放つ攻撃を次々と相殺されていくことに苛立ちを見せるDRX。光樹もそれは願うところだ。感情を滾らせれば、洗脳の波に介入できるはずだと信じて。しかし、唐突に聞こえた悲鳴が、光樹に更に影響を与える。

 

「きゃあ!!」

 

「ひーちゃん!?」

 

 突如聞こえた親子の声。見ると、そこには吹き飛ばされたと思われる子どもと駆け寄った母親の姿があった。DRXの攻撃のうち、光樹が見逃したものが流れ弾として隠れていた瓦礫の近くに被弾し、子供が吹き飛ばされたのだろう。

 攻撃を払っていた絵里奈と拘束が解けた鈴がすぐにその子供と親に駆け寄る。

 

「大丈夫ですかー!?」

 

「幸い軽傷ね……ここから動かないでください。あたし達が守ります」

 

「は、はいっ」

 

 鈴の言葉に母親が頷く。その様子を、攻撃を回避・防御しながら光樹も見ていた。無事でよかったと思う。しかしながら、ふと見た周辺反応を見て息をのむ。まだこの近くに民間人が残っていたのだ。それも、かなりの人数が。

 こんな状況で派手な戦闘は出来ない。しかし、DRXが攻撃を行いつつ言い放った言葉が光樹の怒りに触れる。

 

「フン!これだけ撃ち続けてりゃあ、隠れてる雑魚にもついでに当たるってもんさァ!!」

 

「……っ!!この……!」

 

 隠れている民間人を「雑魚」だと……?その人達は民間人なんだぞ?子供だっていた。守るべき存在だ。なのに……それを洗脳の影響でモンスターとしてしか見ることが出来ないなんて……!

 DRXの言葉に対する怒りが沸き上がる。光樹もそれが洗脳の影響であることは分かっている。そしてその怒りの矛先はあくまでその言葉であってDRX本人ではなかった。そして、その怒りの矛先を、光樹は口にする。

 

「許さない……DRX、お前に洗脳を施した、少女とガンダムは絶対に!!だから……!お前を討つ!!」

 

 その怒りが、光樹自身のリミッターを解除する。かつてDRXと戦った時に見せた、瞳から光が消えた状態、鈴達から聞いた「無想」。それを発動させる。

 6枚のウイングから粒子を一気に放出し、DRXとの距離を一気に詰める。DRXも慌てて迎撃を行うも、放つ頃には既にハイフィンガーバスターの前まで接近を許していた。

 

「クッ、はえぇ!」

 

 すぐにバルカン弾が放たれる。だが、それを光樹は次元力を集めた脚部で蹴り弾く。蹴り弾かれたバルカン弾はそのままハイフィンガーバスターの銃口に着弾し、爆発を起こす。

 DRXが爆発の余波でよろめくその前に、光樹は横に回り込む。そしてその顔面に右ストレートを打ち込む。

 

「ぐぅ!?がぁっ!?い、いつの間に……」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 右ストレートを決めたのち、すぐ回し蹴りを放つ。右に揺らいだDRXの巨体はすぐに反対側に無理矢理動かされる。

 DRXは態勢を整えようとする。もちろん、それを光樹は許さない。巨体を固定しようとするDRXに追撃の飛び蹴りを浴びせる。その後空中で後転するとウイングスラスターを全開にして拳と足によるラッシュを胸部に与えていく。

 右足の蹴り込み、左振り下ろし、左足の回し蹴り、右肘の打ち込み……。拳法の型とは程遠い、関連性のない攻撃ではあったものの、強烈な一撃が次々と繋がっていく。その拳に、ただただ洗脳が解けることを願う気持ちを込めて。

 それらの連撃でDRXは胸を押さえ、頭を振るう動作を見せる。かなり効いているようだ。

 

「くそがッ!まだ俺はァ……」

 

『今だ、光樹』

 

 ゼロからトドメを促される。しかし、DRXを完全に倒すわけにはいかない。それでは意味がない。倒せるか倒せないかの、ギリギリの一撃がいる。光樹は残り1分となったダイモードの発動限界時間を見てからNFBを発動させる。

 

「あぁ、ノイズフォースビックバン!!」

 

 ゴッドクロス・ダイは構えを取る。それと同時に、光樹は脳裏にとある光景を思い出す。それはネプテューヌのゲームの映像だ。それはネプテューヌの必殺技、エグゼドライブ「ネプテューンブレイク」。その技をゴッドクロス・ダイのNFBで再現するためにだ。

 その攻撃をゼロのシステムにも認証させる。認証させると、そのまま攻撃に移る。まずは一気に加速してからの強烈な次元の拳の一撃を放つ。

 

「でぇいりゃぁ!!」

 

「ぐうォ!?」

 

 その一撃はDRXの巨体を揺らす。その勢いは凄まじく、ゴッドクロス・ダイの体はそのままDRXを過ぎ去り、後方まで機体を滑らせる。機体のウイングスラスターを反対に向けて制止させたのち、ゴッドクロス・ダイは機体を反転させると再び攻撃を行う。

 ダイの限界まで強化された推進力で放たれる連続蹴りがDRXの体に衝撃を与えていく。その攻撃が8回続く。8回目の蹴り込みを行ったのち、一旦静止して再び反転してDRXに突っ込んでいく。今度は右手を拳の形に固める。その拳をDRXの胸倉に叩き込む。

 

「はぁっ!!」

 

「がぁっ!?」

 

 すさまじい轟音と共にDRXの体に大きな衝撃を与える。攻撃を喰らったDRXはそのまま空中を飛んで大きく後退する。そこで一旦攻撃の手を止める光樹。しかし、わずかな溜めののち、光樹は再び攻撃を開始する。

 フルバーストモードを追加で起動させ、更に加速度を増してDRXの懐に潜りこむと、その両腕の連撃を打ち込む。それを振り払おうとDRXが右手のD・Oソードを振るうが、それを下に潜り込んで回避するゴッドクロス・ダイ。その姿勢から強烈な蹴り上げを行う。

 蹴り上げの威力で、DRXの体は上空に吹っ飛ばされる。とはいえ、その高さはせいぜい5メートルほど。すぐに叩き付けられる高さだ。だがしかし、その前に光樹は飛び上がる。飛び上がった光樹は打ち上がったDRXに追いつくと、拳を上げる。これが、本当の最後の一撃であった。

 光樹は最後の一撃と共に、叫ぶ。

 

 

 

 

「これで……元に戻れぇぇーー!!」

 

『ノイズフォースビックバン「ディメンションコンボアーツ NB(ネプテューンブレイク)」』

 

 

 

 

 ゼロの読み上げと共に次元力のこもった最後の一撃がDRXの腹部に叩き込まれる。渾身の力を込めた攻撃がDRXの腹部に強く衝撃を与える。

 

「グハァッ!!」

 

 その攻撃によってDRXの声が漏れる。攻撃を受けたその特機の体は斜め下に向かって落下。地面に叩き付けられ、転がりながら停止する。丁度その近くにはパープルハート達と言い争いを行うビーシャの姿があった。

 どうやらあっちはもう説得に入ってるみたいだな。俺はそう察した。見たところ、攻撃を受けたDRXも機体のあちこちからスパークを散らせ、その巨体を上下に揺らしている。説得するタイミングは丁度今しかない。

 すると、そのタイミングで音沙汰のなかった勇也が回線に入って来た。

 

『よう、また新しい技を編み出しやがって……!』

 

「勇也、無事だったのか」

 

『当たり前だ。……多少武装は損傷して使えないのもあるけどな。それより満足に動けない今がチャンスだ。洗脳を解きに行くぞ』

 

 光樹からの声に多少の余裕を含んだ声で返す勇也。大分やられたようではあるが、それでも思っていたほどではないようだ。

 勇也からの洗脳の解除を促される声に同じく鈴と絵里奈からも通信が入る。

 

『そうね。光樹のおかげで、だいぶあっちも動けなくなってるみたいだし』

 

『早く正気に戻さなくっちゃ!』

 

「あぁ。行こう」

 

 2人の声にそう答えると光樹は地面に降り立つ。3人が着地した光樹の元まで集まるのを待って、光樹は大ダメージに苦しむDRX、そしてビーシャに説得を行うパープルハート達の元に向かった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。まさかのゴッドクロス・ダイがNFBにネプテューンブレイクを取り込みました。

レイ「でも、徒手空拳での連続コンボって、なんか格闘ゲームを感じさせるよね」

ソニア「でも、DRXさん大丈夫でしょうか……」

レイ「あぁ……それはそうだね。絵里奈ちゃんの怒りのゼロ距離砲撃に、前の話じゃ勇也君のジャベリンで腹部分を損傷しているし……」

ソニア「これじゃあ、助けても戦えるかどうか心配ですね」

まぁ、そこはスーパーロボットですから。伊達に装甲厚くないですよ。さて、それでは今回はここまでです。あ、ちなみにまだアポ○リファは見てないので、その話題はまた次回以降かな。

レイ「あはは、メタいよ藤和木~。じゃあ、次回の年明け後の初投稿は1月6日辺りになるみたいだよ」

ソニア「次回はアシスタント全員集合します!では皆様、よいお年を!」


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第143話 説得、正気へと戻す光

どうも、皆様。明けましておめでとうございます!SSRと言う名のG、作者の藤和木弘です!

ジャンヌ「今回はアシスタント全員であいさつです、今年の抱負は就職で忙しくなる藤和木を今まで以上にしっかりとサポートしたい、ジャンヌ・ドラニエスですっ♡」

レイ「こっちに来て2回目の年越し!今年の抱負は、ディーバ総選挙3冠達成!なレイ・オーバだよっ!」

シエラ「レイさんは本当に目標が高いですね。まぁ、わたくしも今年はディーバ総選挙のランクインしたいわね。シエラ・ムルセーヌよ」

ソニア「私の抱負は、昨年も言ってたけど、落ち着きが欲しいです!ソニア・A・ワスプでう!……いきなり噛んじゃったぁ……」

シエラ「しょっぱなからそれって、何だか心配ね」

レイ「あはは、これからちゃんと出来る合図かもねー」

ソニア「はうう……そうであってほしいと思いたいです……」

ジャンヌ「さて、今回はあいさつで少し使ってしまったので、早めに今回のお話の紹介にしますか?」

うん、そうだね。今回は第143話の投稿です。

レイ「前回はDRXの動きを止めたんだったね」

シエラ「止めた、というより、沈黙させたって方が合ってる気もしますけど……」

ソニア「でも説得ってタイトルからもここが正念場って感じですよねっ」

ジャンヌ「そうですね。とはいえ、後半の正気へと戻す光、という所から分かりますが、簡単にはいかなさそうです」

さぁ、新年1発目の更新、光樹君達はビーシャ達を救うことが出来るのか?それでは本編へ!


 

 

 強力な一撃で、何とかビーシャを止めることに成功したパープルハート達。しかし、先程のビーシャの言葉で、未だに洗脳が解けていないことは、パープルハートの心に油断を作らせてはいなかった。

 流石にゴールドサァド、私達女神と変わってゲイムギョウ界の守護者になったのは伊達じゃないわね……。もう少し付き合ってあげてもいいけれど、でも、ここで止めなくちゃ……!

 パープルハートは未だ戦意を見せるビーシャに向かって語り掛けるように呼びかける。

 

「ビーシャ。お願い、正気に戻って!見えないの!わたしたちのプラネテューヌが……。そして、逃げ惑う子どもたちのことが!」

 

 悲痛そうに叫ぶパープルハートの声。その言葉通り、パープルハート達とビーシャが戦っている周りには、多くの逃げ遅れた子供たちがいた。中には瓦礫に隠れながら、こちらの戦闘を窺っている子供の姿も見られた。

 そんな子供達を、もうこれ以上危険には合わせられない。それを伝えて、この戦闘を終わらせなければならない。しかし、パープルハートのその言葉に、ビーシャは疑いの目を向ける。

 

「……子どもたち?モンスターがわたしを騙そうったって、そうはいかないんだから」

 

 そう言うとバズーカを持つ手を横に振るう動作をして自身に今見えている世界を話し出す。

 

「ここにいるのはみーんなモンスター。モンスターは子どもの敵。子どもの敵はわたしの敵!だから、モンスターは皆殺しよ!」

 

 無情にも言い放たれたその言葉。それはパープルハートの心を抉る。自身の訴えも、今のビーシャには届かない。自分の無力さ、そして本心から言っているわけではないはずのビーシャからの反応にパープルハート、そして後ろで構えているコンパとアイエフは複雑な表情を浮かべる。

 もしかすると、もうビーシャを解放することは出来ないのかもしれない。そうなれば、ビーシャの意識を失わせる必要が出てくる。だが最悪の場合……。その結末を浮かべてしまったパープルハートは、この悲しい現状に対し言葉を吐く。

 

「……どうして、届いてくれないの」

 

 これだけ願っているのに、ビーシャの洗脳を解くには至らない。しかし、諦めるわけにはいかない。続けてパープルハートが説得しようとしたところで、突如視界の端の方から何かが飛んでくる。それは光樹の所で戦っていたDRXの巨体であった。

 

「ぐああぁぁぁぁ!?」

 

 勢いよく飛んできたDRXは絶叫を上げつつもダメージを受けた体を何とか起き上がらせる。スパークがあちこちに飛び散っている。大ダメージなのは一目で分かる。

 その後に続いて、パープルハート達の元にゴッドクロス・ダイ……光樹達が合流する。合流すると同時に、光樹のガンダムから光が消え、機体各部の展開部分が収納され、ゴッドクロスの姿に戻る。

 

「パープルハート、どうだ?」

 

「光樹……。残念だけど、あんまりよくはないわ」

 

 声をかけてきた光樹に対し、パープルハートはそう残念そうに呟いた。ビーシャに話しても、まったく耳を貸してくれない状況なのだ。自然とそうなってしまう。

 それを聞いていた光樹も言葉に詰まる。しかし、いつまでもそう落ち込んでいる暇はないことも知らされる。不意にステマックスとローゼンの声が飛んだ。

 

「グハァ!?」

 

「ステマックス!?うぐっ!?」

 

「ステマックス!?」

 

「ローゼン!!」

 

 不意にその方向に目を向けると、攻撃を受けたと思われるステマックスとローゼンの姿があった。2人ともそれぞれダメージの受けたと思われる箇所を抑えている。

 そのダメージが決定的となったのか、ステマックスとローゼンは遺言のように言葉を絞り出す。

 

「む、無念」

 

「ぐぅ……すまん、女神、黒の少年……いや、和藤光樹」

 

 言葉を言い切ったのち、ステマックス達は地面に倒れる。それにより、邪魔者がいなくなった猛争・武装化ワレチューが、再び進撃を始める。

 暴走状態のワレチューが向かう先を見て、アイエフがその行き先をこちらに知らせてくる。

 

「まずいわ!ネズミが市街地の方へ向かったわ!」

 

「くぅ!マズイ、私達が止めに行くわ!」

 

「俺も行く。絵里奈は光樹のサポートを」

 

「う、うん、分かった!」

 

「頼んだわよ!」

 

 それを止めると言った鈴と勇也が市街地の方に向かう。市街地の方からは既に人々の悲鳴が鳴り響いていた。

 

『うわあああああああ』

 

「バケモノだあああああ!」

 

「た、助けてええええ」

 

「ママあああああああ!!」

 

 老若男女問わずに聞こえてくる人々の悲鳴に、今すぐ向かいに行きたくなる気持ちが沸き上がる。だがそうしてしまえば、今度はビーシャを止めるものが居なくなってしまう。上手く動けないこの状況に、パープルハートはもどかしく感じ、それと同時にどうすればいいのか分からなくなってしまう。

 とうとうパープルハートの口から、弱音が出る。

 

「この状況、どうすればいいの……!?」

 

 八方ふさがりのこの状況に、女神である自分がとても不甲斐なさを感じる。しかし、当然その悩みを相手が待ってくれるわけではない。ダメージコントロールを完了したDRXが立ち上がり、両腕部の武装を市街地に向ける。

 まさか……攻撃を!?わたしの中で危機感が高まる。わたしと同じように察した光樹がすぐにその前に出て制止しようとした。

 

「くっ!これ以上はやらせない!!」

 

 しかし、その砲門から光の弾幕は放たれることはなかった。攻撃を受け止める準備を行っていた光樹と対比して、ビーシャ達の様子がおかしくなっていたのだ。

 

「……っく!」

 

「あ、あぁ……?この……声、は……?」

 

 ビーシャ達の様子をコンパや絵里奈が指摘する。

 

「ねぷねぷ、光樹さん、ビーシャさんとDRXさんの様子が……!」

 

「本当だー!でも、どうして……」

 

「まさか、子どもの声に反応しているの」

 

 アイエフの指摘でパープルハート達に希望が見える。もし本当に子供の声に反応しているというのなら、その声が洗脳を解くカギとなるかもしれなかったからだ。

 アイエフの言葉に反応したのか、チューコと鈴奈が呼びかけを行いながらビーシャの方へと向かっていく。

 

「ビーシャ様!!」

 

「ビーシャ……様ぁ!!」

 

「チューコさん!?鈴奈さんまで……!?」

 

「だ、ダメだよ!今のビーシャちゃんに不用意に近づいたら!!」

 

 2人の行動はあまりにも危険だ。確かに先程、子どもたちの呼びかけで一旦動きの止まったビーシャとDRXだが、それが本当にそうなのかも分かっていない。コンパと絵里奈が止めるのは当たり前の行動だ。

 もちろんパープルハートも止めるべきだとは思った。しかし、もし子供達やチューコ達の言葉で彼女達を救えるのであれば……そのわずかな可能性に賭けてみたい、そう思った。

 同じく、止められたチューコが行動せずにはいられないことを告げる。

 

「こんな時にそんなこと気にしてられないでちゅわ!うちのお客の子どもたちを守るためにも、プレスト仮面の力が必要なんでちゅの。子どもがメインの顧客の店が、客を失ったらどうなるか……。考えただけでも、おぞましいでちゅわ」

 

 それは、今ここで言うべき台詞なのだろうか、という感想を聞いていた全員の脳裏に浮かび上がらせた。おそらくパープルハートが女神化していない、ネプテューヌの時点でそれを聞いていたのなら、真っ先にツッコミを入れていたであろう。しかし、パープルハートよりも先に、話を聞いていた絵里奈が苦笑いを見せてその姿を称える。

 

「あぁ……すごく、お金にがめつ……ううん、お店の店長らしい考え方……商魂たくましいいっていうか……」

 

 意外な考えのためか、絵里奈が素で黒いことを言いかけてしまう。慌てて訂正するも、これはあとでどうなるか気になるところであった。

 店長の話でややこしくなった話だが、そこで鈴奈がフォローに入る。自分自身の意見をパープルハート達に聞かせる。

 

「確かに、営業者にとってお客が減ってしまうってことは危機的な状況です……。……でも、それは同時に、私達が見ることが出来る、子どもたちの笑顔が減ってしまうってことです。子どもたちが傷つくくらいなら……私達が傷ついた方が、はるかにマシ……です!」

 

「鈴奈ちゃん……」

 

「鈴奈、あなた……」

 

 鈴奈の言葉に、思わず言葉が出る絵里奈とアイエフ。2人の思うことは話を聞きながら警戒していたパープルハート達の耳にも届いていた。彼女達も、各々が思う、子どもへの愛を持って今自分達と共にビーシャ達を洗脳から解放しようとしていたのだ。

 そして、先程の言葉はビーシャ達の方に影響があったようだ。2人は頭を押さえながら、本来の守るべき存在について思い出し始める。

 

「た、助けなきゃ……。子どもたちを……モンスター……から……!」

 

「あ……ぁ。そうだ……子供達の笑顔が消えるのは、絶対に……させねぇ……!!」

 

「ビーシャ、DRX……」

 

 2人の言葉に、光樹が耳を傾ける。2人も今、心の中で敵の意志と戦っているのだ。

 

「わたし達が……プレスト、仮面が……ゴールデン、プレスト、が……助けて、あげなきゃ……。でも、モンスターが……」

 

 苦しみながらも絞り出されるビーシャの言葉。やはりビーシャも戦わなければいけないと思っていたのだ。しかし、そこにはやはりモンスター恐怖症がビーシャの願いを遮ってしまっていた。

 どうしようもない恐怖の記憶。だがそれは同時に超えられる自分の限界でもあった。そして、それは無理に超える必要はない。パープルハートは自分の思いを乗せてビーシャに説く。

 

「ビーシャ、聞いて。誰だってモンスターは怖いものよ。わたしだって怖いわ。でもね、その怖さを無理に克服しようとしなくてもいいの。あなたなら持っているはずよ、それを受け入れる勇気を」

 

 その言葉を聞いて、ビーシャの意識が戻り始める。パープルハートの発した、「受け入れる勇気」という単語に反応する。

 

「怖さを……うけ、いれる……。そっか、怖くても、いいんだ……」

 

「えぇ。怖さを知らなければ、ヒーローにはなれないわ」

 

 わたしもビーシャの言葉に頷き返す。弱さもまたその人にとっての強さだとわたしは思っているわ。だから、ビーシャ……。

 しかし、そう言った直後、再びビーシャ達が苦しみだす。

 

「うっ!うわぁあぁ!!」

 

「ビーシャ!?」

 

 パープルハートは思わず声を上げてしまう。いきなり苦しみだすビーシャを抑えようとする。同じように、先程までパープルハートの言葉に同じように耳を傾けていたDRXもその腕を再び市街地の、モンスターが暴れている方向へと向ける。

 しかし、それは彼らの意志ではなかった。DRXが、DRXを構成する機体達がパープルハートや光樹に対し、制止を求める。

 

「パープルハート……わ、和藤光樹、止めてくれ……っ!」

 

「私達じゃあ、もう、この力を止められない……R1が制御しようとしているけれど……あぁっ!!」

 

「R2、R3……!」

 

 DRXの中核をなすR1と共に戦う存在、R2とR3の声が途切れ途切れとなりつつも聞こえてくる。彼らも洗脳の影響から解放されつつあったのだろう。しかし、今また強まった洗脳の影響が彼らの意志の覚醒を阻んでいる。

 必死に洗脳により高まる敵意を抑え込もうとするビーシャが、パープルハートに対して乞う。

 

「お願い……ねぷねぷ……!わたしに、これ以上傷つけさせない……で!」

 

「ビーシャ……」

 

 ビーシャからのお願いにパープルハートは葛藤する。おそらく気絶させてと言うことなのだろう。気絶させることが出来れば、今のビーシャ達の暴走を止められるかもしれない。

 だが、本当にそれでよいのだろうか、という気持ちもあった。ここで気絶させてしまっては、ビーシャの本当の気持ちを……子供たちをモンスターから守るという願いを達成させることが出来ない。

 もちろん無理にはさせないことはさっきも言った通りだ。けれどもビーシャの願いを叶えてあげたい。これがビーシャにとって大きな転換点となるのなら……。

 しかし、考える間にビーシャの悲鳴が更に大きなものとなる。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

「ビーシャ……!くっ!!」

 

 その声を聞いて、パープルハートは決心する。ビーシャを苦しみから解放する、そして、これ以上ビーシャの願いをビーシャ自身の手で汚させないためにもパープルハートは剣の峰を向ける。

 ところが、そこで横から光樹の声が響く。

 

「パープルハート……いや、ネプテューヌ。お前が行動する必要はない」

 

「光樹!?でも……」

 

 光樹からの拒絶の言葉にパープルハートは反論しようとする。だが、その後に続いた光樹の言葉に、パープルハートは沈黙し、納得することとなる。

 

「ここで直接攻撃する必要はない。……俺達がやるのは、心に訴えかけるってことだけだ」

 

「……えぇ、そうね。あなたの言う通りだわ」

 

「ってことは「あれ」だね。了解ー!」

 

 パープルハートは表情を明るくする。絵里奈の方も光樹の行動を理解し返事を返す。パープルハート自身はよくは分かっていなかったが、今の光樹なら、この状況を何とか出来る。そう感じたのだ。

 光樹はまさにその通りの方法でビーシャ達を解放する手段を繰り出した。ゴッドクロスが再び飛び上がると、機体を赤色化させる。TRANS-AMシステムが起動し、光樹はその場にいた人々に呼びかける。

 

「頼む、みんな。彼女達を解放する為に、みんなの思いをくれ!!」

 

 その言葉はパープルハート達だけではなく、民間人の人々に対しても向けられていた。強い思いの力を核にするためだ。パープルハート達がまず頷き、やがて見ていた子供やその両親達も光樹の指示に従って祈りを見せ始める。

 しかし、それではDRXの動きは、2人の洗脳の影響は止まらない。とうとうDRXのハイフィンガーバスターが光樹のいる方向……市街地へと向けられる。それと同時に、ビーシャとDRXの声が重なって絶叫として響き渡る。

 

「やめろぉぉぉぉ!撃たせるなぁぁぁぁ!」

 

「嫌だぁぁぁぁ!!」

 

 ハイフィンガーバスターの砲門が光る。だがしかし、それと同時に光樹の方もまた行動を起こしていた。赤く光る機体から冷静沈着なAIの声がその機能の名を告げる。

 

 

 

 

『――――トランザムレボリューションバースト、始動』

 

 

 

 

 赤々と輝くゴッドクロスの機体が緑色に変わる。それと同時に機体から赤と緑の混ざり合ったAN粒子が大量に吐き出される。一方DRXの方からもハイフィンガーバスターが暴発し、弾丸が放たれる。しかしその弾丸はAN粒子の起こす圧倒的な粒子の奔流により防がれ、霧散する。

 解放されたAN粒子の波は更に大きく広がり、あっという間にDRXとビーシャを飲み込む。当然パープルハート達も粒子の波に飲み込まれていった。圧倒的な粒子で視界が奪われる。それと同時に意識が宙に浮く感覚を感じる。

 この光、見たことがあるわ。そう、あれは……マジェコンヌとの零次元での最後決戦の時に、光樹がモニター越しに見せた光……。一度展開を阻害されたシェアリングフィールドのシェアを集めなおすためにこの光が発せられたんだわ。

 パープルハートの脳裏に当時の記憶が呼び覚まされる。しばらくすると光が徐々に弱くなる。しかし、その光が少し晴れた先で見たのは、先程よりも弱いが、それでも十分に光を放つ空間。そこにいたのは、赤い靄に包まれ、苦しむ様子を見せるビーシャとDRX、そして光を放った本人である、光樹のゴッドクロスであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 光樹の考え通り、トランザムレボリューションバーストが作り出した量子空間へとビーシャとDRXを飲み込むことに成功した。それは洗脳の影響で苦しむビーシャとDRXを救うにはこれしかないと判断した故の行動であった。言葉での説得は通じている。なら後は心への侵食を直接心理空間で視覚化して排除するしかない。

 光樹自身も上手くいくかどうかは分からなかった。しかし、かつてこの機体の動力と理論が似たガンダムの話を思い出し、更にビーシャ達自身の力で洗脳が弱まった、このタイミングでこれしかないと確信した。結果、その判断は功を成し、2人の精神空間に入り込むに至った。

 精神空間の状況を把握した光樹は早速同じく精神空間に入り込んでいたパープルハートに合流を果たす。

 

「パープルハート、動けるか?」

 

「こ、光樹。えぇ、こっちは問題ないわ。それより……これは」

 

 パープルハートもいきなりこの空間に放り込まれたことに困惑しているようだ。しかし、そんな悠長に時間を消費する暇はない。この空間がいつまで維持できるかどうかが分からない以上、すぐに行動しなくてはならない。光樹は説明を省いて問題だけを明確化する。

 

「話はあとだ。とにかく、ビーシャ達を覆ってるあの靄を何とかしよう」

 

「分かったわ。けど攻撃が効くの?」

 

 投げかけられた疑問に対し、答えたのはゼロであった。

 

『問題ない。彼女達を覆うあの靄、その靄と彼らをつなぐ部分を断ち切れば洗脳は解ける』

 

「そう。なら、さっさと終わらせましょう。2人のためにも」

 

「あぁ。行くぞ!」

 

 2人は納得を示すと、それぞれの目標に向かって飛翔する。パープルハートはビーシャ、そして光樹はDRXを担当する。それぞれの目標までたどり着くと、それぞれ合図を送る。

 

「光樹、準備はいい?」

 

「問題ない。合わせる」

 

 互いに確認し終えたのち、2人は武器を手にしてその靄と対象を繋ぐ部分を断ち切る。

 

「せぇい!!」

 

「おらっ!!」

 

 断ち切れると、赤い靄はエネルギー元を失ったかのように霧散していく。そして量子空間に光が再び溢れる。その光に4人は飲み込まれていく――――

 

 

 

 

 次に光樹が目を開けたとき、その風景は元のプラネテューヌの市街地に戻っていた。機体のトランザムシステムは解除され、目元のバイザーにはトランザムが限界を迎えていることを告げるポップアップが表示されていた。

 ふと、ビーシャ達のいた方角を見る。すると、そこには元の状態に戻ったビーシャ達と、それを介抱するコンパ、アイエフ、絵里奈、チューコ、鈴奈の姿が見受けられた。同じく量子空間に入っていて行動が遅れたパープルハートと顔を見合わせたのち、2人もすぐにビーシャ達の元に向かった。

 地面を走りながら目的の地点にたどり着くと、アイエフが油断を許さない発言をする。

 

「……さて、ビーシャとDRXが正気に戻ったところで、残るは、あのネズミの化け物ね」

 

「そうだねー。鈴ちゃん達、大丈夫かなぁ……」

 

 絵里奈はステマックス達に代わって足止めを行っている鈴達の無事を心配する。猛争化していたビーシャとDRXと互角に渡り合っていたのだ。その不安はよく分かる。しかし、光樹はまだ大丈夫だと感じていた。

 なぜか、は分からない。しかし先程のトランザムレボリューションバーストの影響で蘇った記憶がそう感じさせていた。彼らはSSRNPと一番長く共に戦ってきた。だから戦いはよく分かっている。そうそう負けるわけはない。

 しかし、それはあくまで渡り合えるというだけ。倒すのはまた別の問題だ。それを案じてか、正気を取り戻したビーシャが2人の手助けを優先する発言をする。

 

「……なら、急ごう」

 

「ビーシャさん、その体で大丈夫なんですか!?無理しちゃダメです」

 

 そのダメージを見てコンパからもストップがかかる。医療関係の仕事を扱うコンパの発言通りなら、無茶させるのはよくはない。だが、ビーシャもそれを承知で反論をする。

 

「無理だからって、呑気に休んでられないよ。こういう時こそ、ヒーローの出番なんだから」

 

「ビーシャ……分かったわ。けど、コンパの応急処置を受けてから、ね?」

 

「ねぷねぷ……うん、わかった」

 

 パープルハートからの指示を受けてビーシャはそれにおとなしく従う。その一方でDRXの方はそれを見て少し心残りのように悔いを漏らす。

 

「残念だが、俺は少し暴れすぎたみてぇだ……。光樹、ビーシャのこと、頼めるか?」

 

 唐突に相談される、ビーシャのアシスト。てっきりDRXも援軍に加わると思っていたので少し驚いたが、その言葉をしっかり受け止める。

 

「分かった。あとは俺達に任せ……」

 

 ところが、そこで唐突にR2の声が響く。

 

「R1、遠慮なんてするんじゃない」

 

「R2?どういうことー?」

 

 同じく話を聞いていた絵里奈がどういうことかの説明を要求する。遠慮とはどういうことなのか。それはすぐに知らされる。

 

「R1ってば、私達の損傷具合を心配しているのよ。まだ十分に戦えるっていうのに」

 

「な……!そんなことは……」

 

 続いたR3の説明とそれに対するR1の反応を見て、光樹も少し理解する。要するに仲間の損傷具合を懸念しての断念だったようだ。

 その反応からしてR1はそれを隠したかったのだろう。仲間に無茶をさせない為に。合体機のリーダーとして、仲間を酷使することが出来なかった。だがしかし、遠慮を持つR1に、R2とR3が言う。

 

「R1、俺達だってビーシャの力になりたい。俺達の気持ちも汲んでほしい」

 

「らしくないわよ、R1。こんなところで立ち止まるあんたじゃないでしょ?」

 

「R2、R3……」

 

 しばしの間、R1が沈黙する。仲間からの言葉にどうするべきかを考えていた。その様子を光樹と絵里奈はただ見つめる。ここは光樹達の介入する話ではないと判断したからだ。

 そして、次にR1が発した音声は確かな答えであった。

 

「分かった。行こうぜ、俺達の護るべきものの為に!!」

 

 そしてその答えを光樹達にも告げる。

 

「光樹、さっきの言葉は撤回だ。俺達も一緒に行く!」

 

「あぁ。分かった。一緒に行こう!」

 

「うんうん、それでこそって感じだね!」

 

 5人が頷く。ビーシャの手当てが終わると7人と、その後を追う2人は市街地……猛争・機械化状態のワレチューの元へと急いだ。

 

 

 TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。新年1発目から粒子大放出でしたね。

シエラ「いや、在庫放出みたいなノリで言わないでほしいわ……」

レイ「うん、何だかそんな感じするよね。でも新年から鮮やかな場面、そして希望ある展開っていうのはいいんじゃないかなっ♪」

ソニア「それは間違いないですね!暗い展開から明るい展開が来るっていうのが、新年の始まりとしてとてもいいことだと思います!」

ジャンヌ「後はワレチューとの決戦……DRXさん達、いえ、この場合はビーシャさん達と言った方が良いでしょうか?ともかく、全員の力を結集してのネプテューヌ編の決戦となることは間違いないですね」

最終決戦、果たしてどうなるのか?……さて、それじゃあ私もこれからの予定と合わせて抱負でも言うかな?

ジャンヌ「あら、ちゃんと言うんですね」

ソニア「どんなことを抱負にするんですか?」

まぁ、SSRの更新をちゃんとする、かな?

シエラ「なんか面白くないわね、真面目すぎて」

レイ「そうだよ、もっと大きな目標にしなくちゃ!」

えー……でも今年から働くことになるから、それも出来るか少し怪しいからそれにしたんだけど

シエラ「それにしたって、他にないの?」

んー……。じゃあ、2つでいい?

ソニア「抱負を2つ、ですか?」

レイ「んー、内容によるかな?言ってみて?」

バトスピチャンピオンシップ地方予選参加!

ジャンヌ「バトスピですか……でも、いいかもしれませんね」

シエラ「それもちょっと……けど、2つ掲げるから、まぁオッケーにしておくわ」

レイ「もちろん、ディーバで店舗決勝突破だよね♪」

ソニア「えっ!?ジャンヌさんが入ったデッキでですか!?」

ジャンヌ「本当ですかっ!?藤和木っ♡」

待て、そんなことは言っていないぞ!?

レイ「あはは、冗談だよー」

はぁ……新年しょっぱなから焦りますよ……

シエラ「けれど、それはそれでいいかもしれないわね」

ソニア「そうだね。それが出来れば、カッコいいですよね」

ならジャンヌさんの強いカードを今度のブースターで出してください\(^o^)/

ジャンヌ「それはバンダイさんのみぞ知る、ですよ、藤和木」

そうだね……。さて、今回はここまでです。次回の投稿は金曜日になります。

ジャンヌ「それでは皆様、今年もこのSSRと言う名のGをよろしくお願いしますねっ」


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第144話 揃う布陣、力を託す

どうも、皆様、お元気でしょうか。学校の卒業課題に追われています、藤和木弘です。

ジャンヌ「学校の卒業課題が終わるたびに、もうすぐ学生生活が終わる、というのをひしひしと感じますね。わたくしの事ではないのに、それはなんだか残念です。どうも、皆様。新年が明けて、未だに藤和木とバトスピショップバトルに行けていない、ジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「そうなんだよねー。せっかく新しいデッキとか作ってるのに、藤和木全然行けてないんだよー!裏で「行きたいなぁ」っていうの何回も言ってるし。あ、でもそれらはある意味藤和木だからこその大切な理由で行けていないんだけどね。どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

うん、すごくバトルしたい。魂が燃えてますよ。でもその前に今日の投稿はしないとね。今日は第144話の投稿です。

レイ「前はビーシャちゃん達を正気に戻したところだったね。後は、ワレチューをフルボッコにするだけだね!」

ジャンヌ「れ、レイさん、あくまで止めるのが目的ですよ?……でも、タイトル後半の力を託すという言葉……一体、誰が、誰に力を託すのでしょうか?そこが気になりますね」

力を託された者が強敵に対し、最強の布陣で立ち向かう、っ割と王道的なところあるよね。さて、それでは本編へ!


 

 

「ぢゅううう!!」

 

「くぅ!!速い!!」

 

「予想以上だな……っ!あぶなっ!?」

 

 猛争・武装化したワレチューの尻尾から放たれる刺突用装甲を生かしての物理攻撃を鈴と勇也は何とか回避する。しかし、それに追撃のように大型化した腕部に装着された複合防盾からビームの弾幕が襲い掛かっていく。

 それらの弾幕は回避しきれず、2人は防御兵装で防御する。しかし、敵の弾幕の威力が強く、1、2発当たっただけで2人の機体は大きく弾かれる。だがタダで押されるわけではない。勇也のR-ZEROは受け止めた攻撃のエネルギーを、シールドを構成するエネルギー体に乗算させてブーメラン状の武器に変えると、そのままワレチューの尻尾に目がけて放つ。

 勇也のガンダムの防御武装は少し特殊だ。腕部に搭載したシールド発生装置から展開するエネルギーシールドなのだが、受けた攻撃を受け止めてエネルギーをキープする。そしてその状態でエネルギーをブーメランのような投擲兵装の形に変えて攻撃として敵にカウンターを浴びせることが出来る。その名は「ANブーメランシールドユニット」と呼ばれている。

 自分達をこれほど弾く攻撃を受け止めてのカウンター攻撃だ。かなりのダメージが期待できると踏んだ鈴だったが、その予想は悪い意味で裏切られる。投げられたブーメランはワレチューの持つ尻尾に阻まれると、そのままワレチューの口でキャッチされる。そしてそのブーメランをワレチューが貪り喰らう。

 

「ぢゅ、ぢゅうううぅぅぅ……!」

 

「う、嘘だろ……!」

 

「ちょっと!攻撃を食べるなんて聞いてないわよ!?」

 

 予想外の行動に思わず素っ頓狂な声が漏れる。滅多に見ないその行動が2人の行動を鈍らせた。ワレチューの両腕部から圧縮されたビームが放たれる。迫る攻撃に、動けずにいたステマックスとローゼンの声が放たれる。

 

「2人とも、回避で御座る!」

 

「墜とされるぞ!!」

 

 2人は何とかギリギリのところで回避する。だがそれでも完全な回避行動ではない。R-EXEグレイガは右手のANファングクローシールドを、勇也は左肩部のANビームブーメランⅣと左背部のANショートレンジウェポンコンテナⅡの一部をそれぞれビームに飲み込まれる。それに伴ってそれらの武装が機体からパージされる前に爆発を起こす。

 機体近くで起こった爆発により、2人は舌打ちをする。

 

「くぅぅ!!」

 

「やっちまったか……!」

 

 何とか態勢は立て直すと2人はそれぞれ機体の状況をモニターで確認する。鈴のグレイガの方は右ANファングクローシールド喪失、爆発の影響で右ANソードカノンⅢが損傷、更に右ANビームメイカーにも不調と出ていた。既にDRX戦の時点で脚部のANブレイクスライサーⅡは機能停止、ANハウリング・シャウターもその開閉機構を封鎖していた。そしてそれ以前に両腰のANインパクトブレイカーユニットⅡもギラ・ズール部隊の自爆で喪失している状態であった。

 もうかなりの武装が使えない状態ね。スラスターも右肩は機能停止、他の部分もDRXから受けた念力攻撃の時点でリアスカートのは完全に使えないし……そしておまけに右腕部もさっきの爆発で肘の可動が悪い……。これで戦うのはかなり無謀ね……。

 鈴はこの状態を心の中で嘆く。まさかここまでとは、と。対する勇也の方も鈴と大差ない状況であった。先の2つの武装の喪失と同時に、左ANビームガトリングⅣCと左腕ANブーメランシールドユニットの破損とそれに伴う左腕部可動部の損傷で左手が全く動かない状態であった。その上でDRXの過剰なまでの攻撃で既に両腕・脚部のスラスター機能の低下が起こっていた。加えて同じタイミングで失っていたANエクサランスウイングアームズⅡとワレチューの進路を妨害する際に喪失したANランサーライフルビット……。

 もはや2人に戦う力は残されていなかった。辛うじて残っている武装もそのほとんどが高機動を前提とした格闘戦兵装ばかり。下手に近づくのは危険である。2人もこれ以上の戦闘は無理と判断し、自分達の防御を優先する。

 ゆっくりと、しかし着実に鈴達とステマックス達のいる方向へと向かっていく猛争・武装化ワレチュー。彼らの後ろにはまだ避難している人達がいた。ここで逃げては、民間人が危ない。

 

「っ。もう、ここまで……?」

 

「無念。まさか、これほどの力とは……」

 

 鈴とステマックスの諦めの言葉が響く。それに反論する形でローゼンが声を高くする。

 

「そんなわけにいくか!ここで退いては、か弱き民達が……」

 

「……けど、戦略的撤退、って言葉もある。退くこともまた戦略の1つだ……とはいえ、引けに引けないんだが」

 

 残念だけど、ここは勇也の意見を尊重したいところね。命あっての物種っていうのもあるわけだし。ここで私達がやられれば、それだけで戦況に影響が出るんだから。まぁ、残りたいっていうのなら、ローゼンだけ残して、撤退するって考えもあるわけだけど。何せ敵が1人減るんだから、楽になるんだから。もちろん、そんなことはさせないけどね。

 少しブラックな方向に考えを向ける鈴。だがしかし、先程鈴はあることを察知していた。それは鈴が真のイノベイタータイプの最適合者であるからこそ気づいたこと。戦場で膨れ上がった、人々の思い。暖かな人々の意志の光を感じ取っていた。ここまでの暖かな光、発することが出来るのは鈴が知っている中ではただ一つの機動兵器しかない。かつて鈴が装着していた、革命を起こす流星の王者。SSRシリーズのガンダム達だけだ。そしてそれを今この場で起こせるのはただ1人。

 もう向こうの戦場の音は聞こえない。停戦状態か、はたまたこちらの望む状況か。しかし、それが確認できるまでは油断は出来ない。お互いに武器を向けてけん制し合う。だがこちらは武装がほとんど使用不能。残ったわずかな武装をしっかりと持つことが精一杯だ。

 それでも4人は戦意を衰えさせない。むしろガンダム側は機体の損傷とは裏腹に、鈴達の戦意は高まっていた。あちらが終わりかけなら、ここで踏みとどまるのがセオリーだから。しっかりと彼らに引き渡さなければならない。この戦闘のバトンを。

 そして、それは果たされることとなった。互いに砲口を向ける緊張状態を、待ちかねた者達の声が破る。

 

「待たせたわね、ステマックス、ローゼン」

 

「ネプテューヌ殿!」

 

「ネプテューヌ……それに、光樹達もか。……ビーシャ達が来ているということは……」

 

「あぁ。無事に正気に戻してきた。……というか、酷い損傷だな、鈴、勇也」

 

「本当だよーっ!?鈴ちゃん、勇也君、大丈夫?」

 

 パープルハート達の帰還だ。とはいっても、近い距離を移動してきただけなのだが。だが、無事に暴走状態であったビーシャとDRXを正気に戻すことが出来たようだ。

 こちらの機体の損傷具合を見て、無事を聞いてきた光樹と絵里奈に、鈴は何とか大丈夫そうに立ち上がる。とはいえ今になって脚部の可動に負担がかかってきて、若干体の態勢を崩しそうになったが。ふらつく体をよそに、鈴は大丈夫であることと状況を伝える。

 

「問題ないわよ。これくらい。それより、ちゃんと足止めはしておいたわよ」

 

「大丈夫って……その損傷で!?」

 

「そうですよ!いくら光樹さんのガンダムと同じで、傷が体に反映されにくいって言っても、ボロボロじゃないですか!」

 

 その状態を見て、アイエフとコンパにも心配されてしまう。2人の指摘通り、こちらの機体はほぼ全損状態に近い。だが、鈴としては記憶喪失の、半端な状態の光樹に情けをかけられたくはなかった。例えSSRを身に纏っていなくても、かつて同じ戦場を駆けた者として弱いところを見せたくなかった。

 それを察したのか、勇也が話を取り持つ。

 

「まぁボロボロだが、最後の仕事くらいは出来る余力はあるからよ。なぁ、鈴」

 

「最後の……?……えぇ。まだ今のあたし達なりの戦い方があるから」

 

 いきなりの声かけに戸惑ってしまった鈴。何のことを言っているのかすぐには分からなかったからであったが、分かっていないことを指摘されるのを避けるため、鈴はすぐに答える。

 最後の仕事?何、遠距離から別の武装を転送して砲撃するの?それともまさか民間人の避難誘導ってこと?前者は光樹に頼らないといけないし、後者も納得は出来るけど、あんまり裏方を任せるってことはしたくはない。

 本当に何を指して言っているのか、心の中で未だに分からずにいる鈴をよそに、押しとどめていた者達にパープルハートが礼を言う。

 

「けど、あなた達が必死にネズミを食い止めてくれていたおかげよ。本当にありがとう」

 

「改めて言わなくてもいい。こうして間に合ったのだからな。それよりも今はワレチューの相手だ」

 

 素直に言われるのを嫌ったのか、ローゼンが優先すべきことを指し示す。そう、食い止めたとはいえ、あのネズミ……猛争・機械化状態のワレチューにはまったくと言っていいほどのダメージを与えられていない。

 尻尾の地面への突き立てと共に、ワレチューが咆哮する。

 

「ぢゅううううううう!」

 

「ひぃ!?」

 

 その声にビーシャが驚き、悲鳴を上げてしまう。やはり洗脳が解けたことにより、モンスターへの恐怖心が残っているようだ。まだモンスターとの戦闘には立てないと察したパープルハートが退くことを促す。

 

「ビーシャ、無理ならやっぱり……」

 

 この状態である鈴も、ビーシャを無理に戦わせるというのはどうかと思っていた。モンスター恐怖症のせいで戦う者達に迷惑をかけ、逆に危機に陥らせる原因にもなりかねない。戦場に覚悟のないものが出てくるな、という言葉もある。

 しかし、その鈴の考えは間違いであった。ビーシャはモンスターが怖いという気持ちこそまだあった。だが、その中に、戦うという覚悟がないわけではなかったのだ。ビーシャ自身の口からも、それが語られる。

 

「だ、大丈夫。突然だから、ちょっとびっくりしただけ。……それにしても、ほんと間近でみると大きいね、こいつ。これじゃあ、わたしじゃなくてもみんな怖いよね」

 

 怖い、と明言しつつも、その表情にはどこか落ち着いたものがあった。怖気づいていても、退かない姿勢。その姿に、鈴はかつて初めてNPで戦場に立った時の自分の姿を重ねる。

 それまで妖怪と言ったバケモノや妖術使い相手に対して戦えた鈴も、殺し合いが平然と行われる異常な世界で鈴は少し怯えていた。ガンダムのファンであった光樹ですら緊張していた中で、少女が戦場に立つというのは無理があったのだ。

 だがしかし、出撃前に光樹と勇也で決めたこと。「全員で生き残る」ことに必死になった時、目の前の現実に乗り越えていこうと無我夢中になった。それが今、ビーシャの中では「怖くても立ち向かう」ということに変わっているだけなのだ。

 

「ぐるるるるるる」

 

 少し前に出たビーシャに気づき、威嚇をするワレチュー。そしてビーシャが覚悟を決め、宣言する。

 

「でもね、わたしはもう逃げないよ。そして、このマスクにはもう頼らない」

 

 その手に握られていたマスクが捨てられる。それは過去との決別であった。

 

「怖い自分を隠すために、仮面を着けてヒーローを演じてた。けど、どんな仮面を被ってヒーローを演じても、黄金の力を身に纏っても、わたし自身が変わらなきゃ意味がなかったんだ!」

 

「ビーシャ……」

 

 DRXが呟く。しかしその声にはどこか感慨深そうに、まるで成長を見届ける親のような声音を感じられた。守ってきた大切な人が、大きく前に踏み出した姿に感動するように。

 そのビーシャの口から、2つの宣言が敵と味方、両方に掛けられる。

 

「だから、その一歩として、わたしは、お前から絶対に逃げない!……そしてDRX。わたしのことを守るべき対象じゃなくて、1人の戦友として、認めてくれる?」

 

「……あぁ。もちろんだ!!」

 

 目の前の壁に真正面から立ち向かう意志と共に発した、もう守られたくないという思いから発したと思われるその言葉。そんなビーシャからの問いに、DRXはためらうことなくしっかりとした口調で受ける。それはここに1組のチームが成立した瞬間であった。

 ビーシャの覚悟をチームの完全な成立を見届けてパープルハートもビーシャの思いを汲み取る。

 

「よく言ったわ、ビーシャ。なら、あなたのはじめの一歩、DRX、それにガンダムと共に踏み出しましょう!」

 

「女神とゴールドサァド、それに特機とガンダムの初の共同戦線と行くか!」

 

 光樹の言葉には少し文句を言いたくなったものの、間違ってはいないこととして、その立ち向かう姿を鈴は見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ゴールドサァドの方も戦う準備は出来ていることだし、俺らも力となるか」

 

 勇也が力強く言う。鈴が分かっていない状況の中、当然光樹もそれの意味は分かっていなかった。2人の損傷の具合は一目瞭然。最後の仕事が何なのか、光樹にもよく分からなかった。

 しかしそこは強情な鈴とは違い、どういうことか知りたいと思った光樹。勇也に対し説明を要求した。

 

「そういえば、最後の仕事ってどういうことだ?」

 

「そうね。あたしと考えていることが違うかもしれないから、答え合わせをしてみない?」

 

 光樹の質問と同じような問いを鈴が追加で求める。言い方は少し紛らわしくしているが、その言葉の意味は突き詰めると光樹と同じ質問であった。

 ……おい、鈴はさっき分かったって言ってたよな?つまり勇也と同じ考えってことのはずなんだよな?ならどうしてそんな質問をしているんだよ……。

 遠回しの分からない発言に勇也も苦笑を交えて指摘する。

 

「なんだよ……結局のところ、鈴も分かってないんじゃねぇか……」

 

「確かにー。それ、遠回しに分からないって言ってるようなものだよねー」

 

「う、うるさいわね!間違ってたら嫌だったのよ!で、結局何だったの!?」

 

 絵里奈からも指摘されてしまい、開き直る鈴。その姿はこの雰囲気を置いて、どこか面白おかしく思ってしまう。だが、今ワレチューを自然とけん制してくれているパープルハート、ビーシャ、DRXのためにも早く終わらせなくてはいけない。

 手短に済ませることを同じく考えていたのであろう勇也も、鈴をなだめつつもその最後の仕事の内容について話す。

 

「はいはい、間違ってた方も恥ずかしいよな。で、俺の考えだが……光樹、お前に俺達の全AN粒子を託す」

 

「そうか……え?」

 

 返事をするも、少しの沈黙ののち、思わず聞き返してしまう。AN粒子を託す、とは一体どういうことだ?そのままAN粒子を渡すにしても、AN粒子を放出しては集めることなどできはしないというのに……。

 だが、その言葉だけで鈴には理解できたようだ。意味を把握した鈴が、それが意味することを明確にする。

 

「要するに、AN粒子の転送ってこと!?それは確かにあたし達に出来る最後の仕事だけど……でも、よりにもよって今の光樹に!?」

 

 AN粒子の転送。つまり鈴達のガンダムのAN粒子を、ゴッドクロスに移し替える、ということだった。確かに転送に関係する装置が壊れていなければ、ガンダムで出来る「最後の仕事」ではあるだろう。つい先ほど勇也が言った「力になる」というのにも当てはまる。

 しかしながら、鈴はあまり乗り気ではないようだ。おそらくそれは、光樹が元の光樹ではないからだろう。しっかりとしていない分、不安感があるのか、それとも光樹という人物に貸しを作りたくないという、元々の関係からなのか。その両方とも取れる反応だった。

 とはいえそこは鈴と同じように戦い続けてきた勇也である。鈴に対し勇也が現状を強く伝える。

 

「そんなこと言ってられる場合じゃない。今戦えるのは光樹と絵里奈だけ、それも光樹はトランザムレボリューションバーストを使ったんだ、粒子は回復しているだろうが、それでも全力で戦うには不十分だろう。対してこっちはほぼ武装全損、だが圧縮粒子貯蔵コンデンサにはまだ十分粒子が残っている。……なら、光樹に賭けてみようぜ?」

 

「それは……分かってるわよ。渋って絵里奈に粒子を供給しても、哀しいけど、やつに有効打を与えられそうにはない……。なら、光樹に託すしかない……あたし達の粒子を、願いを乗せて……!」

 

 最初はまだ渋っていた鈴も、状況と自身の心を整理していく。何が今、重要なのかを自分の心に言い聞かせるようにして。そうして顔を上げた鈴が光樹の方に手を伸ばして気恥ずかしそうに言う。

 

「……光樹、後ろ、向きなさい……」

 

「鈴……」

 

「早く!とっとと終わらせるわよ!!」

 

 急かしを受けて光樹もガンダムの装甲の中で苦笑を浮かべる。恥ずかしがる鈴というものを、光樹は初めて見たような気がしたからだ。実際は鈴達とのチームを組んでいた時の記憶を思い出しつつあったので、そうではないのだが。だが、今の記憶喪失状態の光樹に対して初めて見せた恥ずかしがりではあった。

 鈴の望み通り、光樹は2人に背中を向ける。するとすぐに背中のバックパックにユニットに2人のガンダムの手が当てられる。同時に何かが接続するような軽めの音が響くと、ゼロのコンソールに粒子残量の画面が表示される。残っていた粒子残量が3種類表示され、そのうち2つの粒子残量が減っていく。だがそれに応じて、中央の粒子残量がすごい速度で回復していくのが分かった。

 15秒ほどの時間ののち、2人の手が離れていく。同時に後方でノイズの光が放たれる。振り返ると、装着を解除した鈴と勇也の姿があった。全部のAN粒子を託したことで、装着が解除されたのだろうか。その考えは正しく、勇也がこちらに言う。

 

「ガンダムの維持用のAN粒子も任せたんだ。こっちは避難誘導に回る。後は頼んだぞ、2人とも」

 

「あぁ。分かった」

 

「2人も気を付けてね」

 

 まさか、ガンダム状態を維持するまでのAN粒子まで託されるとは思わなかった。確かに戦えないくらいなら、その分のAN粒子まで託してもいいかもしれない。それ以上に、AN粒子のないガンダムを纏っていても、ただ重いだけなのだから、それもありだろう。

 ともかくそれだけの粒子供給のおかげで光樹のゴッドクロスのAN粒子残量は8割方まで回復した。2機のMPの粒子供給でも完全に回復しないというのには驚いたが、それだけあれば十分だろう。2人の意志を受け取って、光樹と絵里奈も2人に民間人の方を任せてパープルハート達の方へと向かう。その途中、鈴がこちらの背中に向けて言う。

 

「絶対……止めなさいよ!!」

 

 その言葉が心に沁みる。鈴からの嫌そうながらも向けられた応援の言葉に、光樹は背を向けたままはっきりと言う。

 

「……あぁ。任せてくれ!!」

 

 隣にいた絵里奈がその言葉を聞いて装甲下の顔に笑みを作る。2人の思いも引き継いで、2人は戦線へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「パープルハート、遅れてすまない」

 

「ちょっとエネルギー供給してもらってたよー」

 

 光樹と絵里奈が謝罪を上げつつこちらに合流する。それをパープルハートは快く迎える。

 

「いいえ、気にしてはいないわ。それよりも、力を託してくれた2人のためにも、全力で挑まないといけないわね」

 

 パープルハートも目線はワレチューに向けつつ、耳は光樹達の会話に向けていたため、状況は把握していた。

 無事な者に傷ついた者達のエネルギーを渡す。何だかゲームの最終決戦でありそうなシチュエーションね。けど、それもまたいいわ。むしろその方がストーリー的には熱く燃え上がるというもの。負ける気がしないわ。

 パープルハートからの激励に光樹と絵里奈が頷く。

 

「あぁ、そうじゃなきゃ、意味がない」

 

「だねー。……あれ、アイエフちゃんとコンパちゃんは?」

 

 ふと辺りを見渡した絵里奈がそれに気づく。2人は先程のことを聞いていないため、気づいていないのも当然だろうが、今回アイエフとコンパはこの戦闘には参加しない。

 というのも、2人ともビーシャとの戦闘でかなりダメージを負ったのと、機械化モンスターに有効打を与えるのが今は難しいためであった。これは2人の方から言われたことでパープルハート自身もそれを受け入れた。だが、それでも何もしないというわけではない。ダメージの治療と避難民の誘導をやってくれるという。特にダメージの回復はコンパの得意分野である。それをやってくれるというのなら、大いに助かる。避難民の誘導もアイエフなら慣れているだろう。それに先程までの話を聞いていると、鈴達も避難誘導をしてくれるようなので、3人もいれば間違いなくスムーズに避難させることが出来るだろう。

 そのことを光樹と絵里奈にも説明する。

 

「2人は後方支援よ。ダメージを受けたら、コンパの近くまで行けば回復してくれるはずだから」

 

「そうか。分かったよ」

 

「とはいえ、私達は傷が治っても、機体のダメージが大きかったらダメなんだけどねー。光樹君のガンダムは例外だけど」

 

 少し気になる発言が絵里奈のガンダムから出たけれど、それを今聞くのは余計に時間を取ってしまうことね。早く決着を付けなくちゃ。わたしはワレチューの方に目を向ける。けれど、またも遮る声が響いた。それも嬉しい方の予想外の者の声だった。

 

 

 

 

「お待たせしました、パープルハート様、光樹も大丈夫かしら」

 

 

 

 

 芯のある声が響く。その声の主をパープルハート達は知っていた。この世界で女神の姿であるパープルハートをそのような声で「パープルハート様」と呼ぶのはただ1人。その方向を向くと、そこにいたのは予想通り、光樹と同じように機械の装甲を纏う少女、海鳴海優であった。

 プラネテューヌの異変と言えば、やはり彼女が出てくるのは当然だろう。むしろこの危機に来ない方がおかしい。とはいえ、あの猛争・機械化ワレチューを攻略するのにこの増援は渡りに船であった。この場は数よりも実力が物を言う。以前マジェコンヌ達が繰り出してきた融合猛争・機械化モンスターのタイラントガーダーを光樹達と共に倒したことのある海優とパープルプロテクターなら間違いない。

 

「海優。来てくれたのね」

 

「はい。これだけの大型強化モンスター……止められるのは、あたし達だけでしょうから。けど、光樹のところの2人は?」

 

「鈴と勇也は機体破損で後退だ。けどその分、2人の機体のAN粒子をゼロに供給してもらったから、問題ない」

 

「そう?なら、とっとと相手をしましょうか」

 

 光樹から鈴と勇也のことを聞いた海優はその手にビームアサルトライフルを持ち、ワレチューに向ける。もう既に戦闘をする気は満々のようだ。

 これ以上長引かせるつもりのないパープルハートは正面に立ち、機械刀の先を向け、号令をかける。

 

 

 

 

「じゃあ行くわよ、みんな。……全員、突撃っ!!」

 

『了解!!』

 

 

 

 

 紫の女神の号令に一斉に反応し、猛争・武装化ワレチューとの戦闘が始まった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。さぁ、次回よりワレチューとの決戦、ネプテューヌ編の最後の戦闘が始まります!

ジャンヌ「力を託す、は光樹さんのガンダムへの言葉だったんですね。でもまさか鈴さんが光樹さんに力を託すだなんて、少し驚きです」

レイ「だよねー。恥ずかしがってたのもなんだか可愛かったし!けど、最後の方でまさか海優ちゃんが来るなんて、まさに「布陣は揃った」だね!」

残念ながら鈴と勇也、それにアイエフとコンパは直接的には参加していませんが、それぞれサポート、およびエネルギーとして力を貸している形となっている総力戦を次回からお楽しみください!それでは今回はここまでです。

ジャンヌ「次回は木曜日の投稿になります」

レイ「最後に輝く笑顔を見せるのはどっちだ!それじゃあみんなー、また次回ッ!」


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第145話 暴虐の限りを尽くす巨大ネズミ

どうも、皆様お元気でしょうか。もうすぐ学校のテスト期間に入るので、それに向けての勉強もしています、藤和木弘です。

シエラ「ご苦労様ね、藤和木。けど、胃腸風邪でダウンだなんて、まだまだね。どうも皆様。藤和木の風邪がうつらないようにマスクをしているわ、シエラ・ムルセーヌよ」

ソニア「藤和木さん、あまり無理はしないでくださいね?ジャンヌさんをまた心配させちゃいますよ?どうも、皆様!こっちの少女漫画も読みたいなぁって思い始めてるソニア・A・ワスプです!」

学校の授業が終わって即病院行ったら診断されました……胃腸風邪ってマスクで防げるの……?まぁ、それは置いておくとして、今日は第145話の投稿です。

ソニア「いよいよ猛争・武装化状態のワレチューさんとの決戦ですね!光樹さん達は勝てるんでしょうか?」

シエラ「暴虐の限りってところからしてみても、苦戦は必至でしょうね。けれど止めなきゃ街の人に被害が及ぶから、なんとしてでも食い止めないと……!」

それでは本編へ!


 

 最初に先制したのは女神・ゴールドサァド・ガンダム混合チームであった。海優のパープルプロテクターと絵里奈のR-ZXがビームアサルトライフルとANPXアームズギアによる射撃攻撃を放つ。

 

「いけっ!」

 

「連弾の嵐ぃー!!」

 

 2人の向ける銃口から放たれる弾丸の雨がワレチューに襲い掛かる。けん制程度の弾幕だったのだが、その雨を喰らったワレチューが少しのけ反り空に吠える。

 

「ぢゅっ!?……ぢゅううううううう!!!!」

 

 右前脚となっている右手を目の方に当てている。おそらく、弾丸の1つが目に直撃したのだろう。いきなりダメージを与えるというのは少し予想外だったが、それを確認して真っ先に声を上げた人物を見て納得することとなる。

 

「やったぁ!大当たりぃー!!」

 

「やるわね……。いきなり1発を当てるだなんて……」

 

 攻撃を当てたことで喜ぶ絵里奈。やはり狙撃の腕で彼女の左に出るものはそうはいないだろう。狙撃用の武器でないのに正確に敵の急所とも言える部分に当てるなど、到底できない。海優の発言も当然だろう。

 だが、こちらとしても攻撃の起点を作ることが出来たのは幸いだ。すぐに2人の後方にいた光樹とDRX、加えて絵里奈とビーシャが敵を囲うように散開する。そして、その中央を抜けるようにパープルハートが突撃する。

 対するワレチューも目のダメージ減となっていたANPXアームズギアから放たれたANノイズドエナジーシュリケンを無理矢理引き抜き、迎え撃つ姿勢を取る。その間に目のダメージも瞬時に回復する。

 やっぱり、多少のダメージじゃあすぐに回復されるみたいだな。AN粒子の出し惜しみは出来ない……!

 光樹も心の中でそう思うと、機体の出力をドライブモードに切り替える。DAIモードは既に制限時間を使い果たした。そうなれば、この機体の最大出力で大ダメージを見込めるのはトランザム、カートリッジシステム、フルバーストモードもしくはクロスカップリングシステム、今起動させたドライブモード、そして今まで一度も実戦で起動させたことのないブラスターモードと共振くらいだ。ただし、いくつかの機能は他の機能と競合するものもあるため、同時運用は現状最高でも5つか6つ程度だろう。

 しかし、相手は初めて戦うタイプの敵。状況を見て使っていく必要がある。光樹はその事を頭にしっかりと入れて、その右手にANブラスターソードエッジ・マグナムモードの持ち手を握る。パープルハートが敵の間合いに入る直前に、攻撃指令が放たれる。

 

「みんな、今よ!」

 

「おう!喰らいな、ガウン・デストロイヤー!!」

 

「うん!バズーカ連射!!」

 

「オッケー!ANミラージュブラスターソード、ミラージュブラスター!!」

 

「行くぞ、ANブラスターソードエッジ、マグナムモード!!」

 

 4人の一斉砲撃が仕掛けられる。このままでは当然パープルハートも危険だ。だが言った直後にパープルハートは身を引き、攻撃範囲から逃れている。一方のワレチューの方は向かってきたパープルハートにカウンターを仕掛ける動きであったが、その行動によって大きく隙を晒すこととなる。

来ると思っていたパープルハートを迎え撃つように前に出たからだと尻尾が前のめりの姿勢になる。だがそこには当然パープルハートの体などなかった。地面に突き立てられた尻尾と大きく突き出した両腕部。防御姿勢のまともに取れないその状態へ、ビームと実弾の弾幕が直撃し、大爆発を起こす。

 爆発でまだワレチューの状態が見えない状態であったが、それに構わず光樹達は次の攻撃に移る。光樹はゴッドクロスの左肩のANデストロイランチャーを展開、DRXも両腕部のハイフィンガーバスターを爆炎が上がる中央付近に向ける。

 2機の攻撃が同時に放たれる。暴力的なまでの弾幕と集中砲火は炎の中に飲み込まれると更により一層大きく爆発し、その炎を燃え上がらせる。

 ここまでは光樹達の流れであった。完全に相手を抑え込み、ダメージを与えている。この流れをなるべく維持したいところである。爆炎が少し晴れ、ワレチューの姿が少し見えると、パープルプロテクターの海優が突撃を駆ける。

 

「よし、動きが止まってるなら!!」

 

 ビームアサルトライフルをブレードモードに切り替え、スラスターを全開に炎の海を突っ込んでいく。剣先を中心にしたシェアフィールドで突っ込んでいくため、通っていった後の炎が2つに分かたれていく。

 この中でよく突っ込んでいけるなぁ、と心の中で思う光樹であったが今はこのペースを掴むためには攻撃を途絶えさせないことが大事だ。コンボを繋いでいき、大ダメージを重ねていくのが理想な流れ。なら海優の攻撃を止める必要はない。

 だが、何もせずに見ているわけではいかない。こちらからも援護攻撃を行う必要がある。すぐに射撃が可能なメンバーが動く。

 

「こっちも支援攻撃だ!」

 

「了解~、光樹君!」

 

「あぁ、ぶっ放すぜぇ!」

 

「拡散弾に切り替えて……よし、撃つよ!!」

 

 絵里奈、DRX、それにビーシャがそれぞれの射撃武装を撃つ。ビームと拡散弾の雨が地上と空からワレチューを攻めたてる。未だにワレチューは動かない。攻撃を浴びせた地点からそのままだ。一方海優は先に攻撃を一発決める。反対側に脱出し、反転してもう一発叩き込む流れだ。

 

「もう一撃!たぁぁぁぁ!!」

 

 海優の2度目の突撃が成功する。銃剣の刃先が装甲の隙間を抜け見事ワレチューの体に刺さる。その体から血飛沫と粒子が上がる。かなりのダメージが期待できそうだ。

 とはいえ、あまりダメージが入り過ぎるのも考え物である。相手は敵とはいえ顔見知りのワレチューだ(悪い方での、だが)。特にコンパが悲しむ可能性がないこともない。加えてチューコからの話ではワレチューが庇ってくれなければ、チューコがあれと同じものになっていたという。ならば、したくはないがますます情けをかける必要がある。流石にダメージ過多で消滅なんてことにするのは不味い為海優にやり過ぎないように呼びかける。

 

「すげぇダメージだな。あ、でも殺したら駄目だからなー?」

 

「ちょっ……!?殺すなって面倒くさい注文押し付けないd」

 

 ところが海優のその言葉は最後まで言う前に途切れる。直後に大きな金属音が響く。その音はまるで金属が無理矢理壊されたような音だ。その音の方向は、ちょうど海優の方角。

その視線の先で、海優のパープルプロテクターは右肩部から先を吹っ飛ばされていた。それを見て、パープルハートが叫ぶ。

 

「海優!?」

 

 不意打ちだった。ライフルのブレードを押し込んだ海優がこちらを少し向いた隙に、ワレチューの変異した2本の尻尾のうち1つがパープルプロテクターの肩部を貫いたのだ。尻尾をよく見るとハートの形が分かたれ、テール部分が2本付いていたので、正確には4本だが、それを今考えている暇はない。

 唐突な攻撃を受けて海優は慣性で後ろに下がる。だが下がるといっても回避しているわけではないのでまだ攻撃される範囲内。当然猛争・武装化ワレチューが追撃を仕掛けてくる。

 

「ぢゅぢゅっ!!」

 

「くあ……っ!?」

 

 飛んで回避しようとした海優のパープルプロテクターの脚部を再び尻尾による刺突で粉砕する。主推力の1つを失ったパープルプロテクターは当然炎の燃え広がっている地面に落ちる。その状況はいくら装甲で守られているとはいえ、何かに引火する危険性もあった。すぐにパープルハートが海優の回収を指示する。

 

「海優っ!誰か、海優の回収を!」

 

「あぁ、分かってる」

 

 その声にすぐに反応する。ゴッドクロスの機体をクロスカップリングモードに移行させ、推力をドライブモードと合わせて強化して突撃する。近づいてくる光樹に気づいたワレチューは海優へのとどめの一撃を放棄し、光樹への迎撃を行う。尻尾と大型化した両腕部の射撃ユニットからの砲撃の雨が光樹を襲う。だが、こちらもクロスカップリングモードを起動させている。並大抵の攻撃ではそう簡単には当たらない。順調に距離を詰める。

 光樹の救助行動に合わせ、他の味方も動く。絵里奈はいつも通りのANHXキャノンバスターでの精密射撃で尻尾を狙い撃つ。攻撃は回避されるも、狙いを絞らせない。ビーシャも散弾でワレチューの気を引こうとする。そしてDRXが最大まで溜めたガウン・デストロイヤーをワレチューの体右半分に向けて放つ。DRXの攻撃が一番威力も大きく、爆発を起こしてワレチューを怯ませた。

 全員の攻撃で隙が生まれたところで光樹は海優の元に駆け寄る。かなり酷い損傷だが、それでも海優の方は見た感じでは無事のようであった。駆けつけた光樹に対し、海優が謝罪する。

 

「ご、ごめん、光樹……」

 

「今はいい。とにかく下がるぞ」

 

「うん……」

 

 海優の機体を抱えると光樹はすぐにパープルハートの方角に向かって飛ぶ。ワレチューの方を背にしての飛行で少し心配だったが、3人が足止めをしてくれていたのでそれを信じて飛行する。パープルハートの元にたどり着くと、いったん着地して安否を伝える。

 

「何とか回収は出来た。……けど、これ以上の戦闘は無理だな」

 

「そう……。申し訳ないけど、海優は物陰に隠れていて。決着はわたし達で付けるわ」

 

「……はい。頼みます」

 

 少しの沈黙があったものの、海優は素直に従う。女神を置いて自分が戦えないというのが悔しいんだろう。けど、今のダメージじゃ何も出来ないのが現実だな。

 パープルハートが代わりに前に出たのを見て、光樹は鈴達のいる方の瓦礫に向かう。そこまでたどり着き、瓦礫の影に海優を降ろすと、近くに丁度いた鈴が現状を聞いてくる。

 

「光樹、状況は……って、聞くまでもないわね」

 

 鈴も海優の現状を見て察したようだ。光樹もそれを理解し手短に説明する。

 

「あぁ。悪いけど海優の機体を頼む。一応体は別にあるから撃墜されても問題ないだろうけど、機体は大事にしないといけないから」

 

「了解したわ。って言っても、今のあたしじゃどうしようも出来ないから、海優は先にフェードアウトして中佐さんに状況を伝えてあげて」

 

「そうね。そうさせてもらうわ……光樹、ネプテューヌ様を頼んだわよ?」

 

 鈴からの要請にそう答えると、海優は機体とのアクセスを切る。機体のツインアイの光が消え、それが分かる。海優が残した言葉に、光樹は機能を停止させたパープルプロテクターの前で返す。

 

「あぁ。任せてくれ」

 

 光樹は機体を翻す。戦いを繰り広げている者達の加勢をするために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 光樹が一旦海優を逃がすために抜けた後、パープルハートは暴走するワレチューとの格闘戦を演じていた。近づくパープルハートに対しワレチューは尻尾による迎撃を行う。素早い突き刺し攻撃を機械刀でいなしつつ、その装甲に一撃を撃ち込む。

何度も戦闘を行っていたプラネテューヌ防衛軍からの情報で、シェアを含んだ攻撃なら 機械化された装甲にもダメージが与えられるというのは分かっている。シェアを込めた一撃を繰り出せるのはパープルハートと先に攻撃した海優のパープルプロテクター。ゴールドサァドの力を持つビーシャも出来るかもしれない。

 理屈はともかくその一撃はワレチューを覆う装甲の一部に直撃する。甲高い金属音と共に、少しの切り傷がその装甲面に付けられたのが見えた。効いているのだ。それに呼応してワレチューも少し怯む。

 戦い方としては、やっぱり機械モンスターと同じような感じかしら。けれど、これだけ圧倒的なまでの防御力を持つ敵相手でも攻撃が通るだけまだいい方だというのは、思った方がいいかもしれないわね。

 敵の怯みを継続させるようにパープルハートは機械刀による上段振り下ろしを行う。その一撃がワレチューの頭部に炸裂する。攻撃により、ワレチューの体が少し地面に沈む。だがしかし、ワレチューからの反撃は早かった。攻撃を喰らった頭部をそのままに、両腕部を突き出してパープルハートの体に思い切り弾き飛ばす。刀を引く暇もなくパープルハートはもろにその攻撃を喰らう。勢いを殺そうとプロセッサユニットのウイングパーツからシェアエナジーを吹かす。何とかブレーキをかけて止まることに成功する。

 が、更なる追撃がパープルハートを襲う。ワレチューの口が突如大きく開く。更に肩部に存在したビーム砲も外側からこちらに向きを変えていた。そして、その3つの口から、光の熱線が奔流となって放たれる。

 

「ぢゅうううううう!!!!」

 

「粒子ビーム砲!?」

 

 思わず大声を上げてしまう。突然の攻撃を咄嗟にプロセッサユニットの推力を全開にして回避を行う。何とか回避には成功し、ビームは先程パープルハートがいたところを通り過ぎていく。通り過ぎたビームは建物に直撃し、大きな爆発を起こす。

 紙一重の回避だった。もし回避が遅れていれば、かなりのダメージであったのは必至だっただろう。しかしながらそれを見たことでこちら側も気を引き締める。ビーシャとDRXがこれ以上の攻撃をさせまいと攻撃を放つ。

 

「ねぷねぷ!!」

 

「それ以上は撃たせねぇ!!ガウン・デストロイヤー!!」

 

 バズーカの3連発と顔面からのビームがワレチューに向けて放たれる。ところがその攻撃はワレチューを覆った赤黒い粒子の壁により阻まれる。光樹も使う防御兵装、その名前を絵里奈が口にする。

 

「うー、やっぱりANフィールド持ってるよねー……」

 

「防御も完璧、ということね」

 

 光樹達の世界の機動兵器が持つ粒子による防壁、ANフィールド。今までも自分達を苦しめてきた障壁だ。攻撃をフィールドで受け止めたワレチューは攻撃を放ってきた2人にそれぞれ腕部、そして尻尾のビーム砲を向け、ビームの砲撃を開始する。

 弾幕による攻撃をビーシャは回避、そしてDRXはサイキックフィールドと自慢の十三港で防ぐ。ビーシャはゴールドサァドとしての追加装備によるブースター噴射で上手く躱していく。一方のDRXも光樹との戦いで見せていた鉄壁防御で攻撃を凌ぐ。だがそれもすべて攻撃を受けたパープルハートの隙を埋めるための行動である。パープルハートもその間に絵里奈と合流し、入れ替わりに同時攻撃を仕掛ける。パープルハートは頭上に光の剣「32式エクスブレイド」を形成する。絵里奈の方はというと手にANLXハルバードを構え、突撃する。

 絵里奈が突撃を開始すると同時にエクスブレイドを投下する。

 

「喰らいなさい……32式、エクスブレイドッ!!」

 

 光の剣は真っ直ぐワレチューに向けて落ちる。直前にワレチューがANフィールドを張るかもしれないとも思ったが、その心配なくエクスブレイドがワレチューを貫き、爆発を起こす。

 エクスブレイドの貫通でワレチューの攻撃が途切れる。そこに絵里奈が追撃をかける。

 

「はぁぁーっ!!てぇい!!」

 

 ハルバードによる薙ぎ払い攻撃がワレチューの装甲を斬る。だが装甲までは斬れていない。それに構わず続けざまに突き攻撃がワレチューに放たれる。その突きは鋭く、貫きはしなかったものの、ワレチューの体を少しのけ反らせる。

 そのまま続けざまに攻撃、とは残念ながらいかない。すぐにワレチューが反撃に出る。尻尾による振り払いに絵里奈は後退する。その穴を埋めようと今度はDRXが格闘戦を仕掛けていく。その手にD・Oソードを構え、ワレチューの肩部に向けて振り下ろす。

 

「せぇいはぁーーーー!!」

 

 先程の戦いでも見られた、圧倒的な破壊力を持つ、DRXの必殺武装の1つ。その一撃がワレチューの肩部に直撃する。肩部にあったキャノン砲も巻き込んでの斬撃はキャノン砲の爆発を誘発させた。剣の威力と武装の爆発によりワレチューの体は再び揺れる。

 続けざまにビーシャも攻撃を仕掛ける。バズーカ砲から弾頭を連続して放っていく。

 

「はあああぁぁぁ!!」

 

 連続して放たれるバズーカ弾がワレチューの胸部に爆発を連鎖的に起こす。爆風で怯んだ隙にパープルハートとDRX、それに絵里奈の格闘武器で一斉に攻撃する。

 

「クロスコンビネーション!!」

 

「D・Oソード、3連切り!!」

 

「ANZXアームズ、ZXセイバーモード!!」

 

 3人の攻撃は見事ワレチューの装甲部に直撃する。パープルハートの連撃とその合間に絵里奈の切り抜け攻撃、そしてDRXの薙ぎ払いをワレチューはその身に喰らう。

 締めにパープルハートのスキル技「クロスコンビネーション」の最後の一撃が振り下ろされる。が、それは何にも当たることなく空を切った。回避したのだ。ワレチューは足元をCD上の浮遊ユニットに付けており、その浮力で攻撃を受けながらも回避することが出来た。

 

「回避された!?」

 

 攻撃を空振りし、思い切り機械刀が地面に当たる。その衝撃はパープルハートの体を巡る。その刹那の間に、ワレチューは次なる攻撃を放ってくる。その巨体を上空に大きく飛び上がらせるとCDユニットから円盤状のエネルギー物質を地上にばら撒く。

 上空からの攻撃に、全員が回避・防御行動に移行する。パープルハートとビーシャは回避、絵里奈は撃ち落とし、そしてDRXはフィールドでの防御で攻撃を凌ごうとする。だがそれらは上手くはいかない。

 

「ちぃ、攻撃が速い……ぐぅっ!」

 

「このっ!っ……きゃあ!?」

 

「数が多すぎるよぉ!!って、うわぁー!?」

 

 攻撃を1発喰らえば、すぐに次の攻撃が襲い掛かる。そのコンボでパープルハートとビーシャ、絵里奈の3人はダメージを受け、地面に叩き付けられる。早く立とうとするもその前に次の弾幕が3人を襲う。

 

「ビーシャ!っく!!弾幕が……ぐおっ!?」

 

 弾幕による制圧の悪循環に巻き込まれたパープルハート達を助け出そうとDRXが駆け寄ろうとするも、突如DRXの体が上に打ち上がる。CD状のエネルギー攻撃が下からの奇襲を行ったのだ。しかもそれがサイキックフィールドで覆われていない、更に光樹達との戦闘で破損し内部機械が剥ぎ出しとなっていた部分に喰らったのだ。

 不意打ちを喰らったDRXの上部に展開されていたサイキックフィールドが解除される。攻撃を受け止めていた障壁が消えたことでその分の攻撃が次々とDRXに襲い掛かる。その自慢の重装甲もあり、何とかサイキックフィールドの再展開を行えたものの、その装甲には痛々しい焦げの後が残っていた。

 不味いわ。この状況が続けば、こっちが先にやられる……。何とかしなければいけないと思ったわたしは思い切ってプロセッサユニットを吹かせる。何とか飛行することには成功するけど、問題はここから……。その時、背中に再び衝撃が走る。

 

「くぅっ!?」

 

 背中に再度のCD攻撃を受ける。だが今度はすぐに体を反転させ、そのCD攻撃を迎え撃つ。機械刀で弾き、攻撃を受けまいと振り続ける。何とか攻撃を捌くパープルハートではあったが、それも時間の問題。続く攻撃に疲労を見せ始める。

 

「女神がここまで押されるなんて……!」

 

 絶え間なく続く攻撃にパープルハートは舌打ちをする。このまま攻撃を捌いていては、いずれこの弾幕にやられる。しかし、攻撃に切り替える隙が見当たらない。先程までいた地点の近くで防御態勢を取りつつ迎撃を続けていた絵里奈も何とか狙撃で敵の動きを止めようとしていたものの、放つ弾丸はどれも途中でばら撒かれるCD攻撃の1つに当たってしまっていた。

 切り返すための一手を打てない状況。それを崩したのは、またも彼であった。横合いから声が響く。

 

「これ以上はやらせない!!」

 

 キリッとした声と共に放たれた光の一閃がCDの鏡面部分を直撃する。被弾の衝撃でワレチューの体がぐらつく。その一瞬のうちに駆ける機体がワレチューの乗るCDユニットと交差する。交差した直後に振り抜かれたビームサーベルの刃はしっかりとCDユニットを両断していた。

 光樹だ。光樹のシュバルトゼロ・ゴッドクロスが、トランザムを起動させて斬り抜けたのだ。切り裂かれたCDフライトユニットはスパークを散らせて爆発を起こす。浮遊する力を失った猛争・武装化状態のワレチューの巨体が地面へと落下する。

 CDユニットが破壊されたことで攻撃の雨は止む。その間にパープルハート達は態勢を立て直す。ダメージを受けたパープルハートとビーシャは後退し息を整える。対して機械にダメージを受けた絵里奈とDRXはダメージコントロールを行っていた。

 一方地面へと落下していくワレチューだったが、そこは機械化も合わさったモンスター。太い腕と比較してやけに細い脚と大きく広げられた羽に装備されたブースターを吹かせると、落下スピードを抑え、地面へと安全に着地した。

 

「ぢゅうううううう……」

 

 地面へと降り立ったワレチューがこちらを威嚇する。対してこちらに再合流した光樹がそれに相対するように降り立つ。

 戦いはまだ終わらない。敵が倒れるか、こちらが倒れるか。パープルハートは息を整えつつ、そのにらみ合いを注視する。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

シエラ「あの……一ついいかしら?」

ん、何?

シエラ「海優っていうシェアプロテクターを纏った娘いたわよね?……あの子今回噛ませじゃないの?」

せやな。

シエラ「あっさり言ったわね!?」

ソニア「あの扱い、流石にひどすぎますよ……。攻撃は効いているのに、攻撃を受けてしょっぱなから離脱って……」

けど戦えているだけまだマシだと思うよ?それにシェアプロテクターはまだまだ未完成の機体だからね。性能はまだフルに発揮できていないのもあるから。

ソニア「え、シェアプロテクターってまだ強くなるんですか?」

うん。光樹君達のと比べてやけに武装が少ないでしょ。まだまだ武装増やしたりとかできるからねー。

ソニア「はわわ……それは凄いです!つまり今回のはそのための準備段階ってことなんですね!」

その通り!

シエラ「……だからって、扱いが悪いことには違いないと思うのだけれど?」

そこは……うん、否定しない。とりあえず、次回もまたワレチュー戦の途中なので、お楽しみに!それでは今回はここまで。

ソニア「次回は水曜日の投稿です!ちなみに藤和木さんのテスト週間は丁度水曜日からみたいです」

シエラ「それじゃあ、次回も見なさいよね。あと、海優を応援してあげてね」


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第146話 形勢逆転の連続

ど、どうも皆様……お元気でしょうか……。先程、極寒の外から帰ってきました……藤和木弘です……早く暖房効いてぇ!!

シエラ「う……うるっさいわよ……!けど、早く部屋が暖まらないとろくに話せない……。ど、どうも皆様……。藤和木の学校から帰って来たばかりよ、シエラ・ムルセーヌです……」

ジャンヌ「確かに、部屋の中なのにこの寒さは少し応えますね……どうも、皆様。帰り道は藤和木がクリスマスにプレゼントしてくれた手袋のおかげで雪の中でも暖かかったです♡ジャンヌ・ドラニエスですっ」

私もジャンヌさんからのマフラー、暖かかったです。さて、そ、それじゃあ第146話、投稿です。

ジャンヌ「形勢逆転の連続……戦いの場面ではよくあり得ることですね」

シエラ「割と実力が拮抗している相手とだと起きやすいわよね。ちなみに藤和木のバトスピ対戦では割と一方的なことが多いみたいね」

ここで私の対戦成績について触れますか……(´・ω・`)まぁ、最近はνジークがそっぽ向いてる事多いですからね。デッキ更新でちゃんと動いてくれるといいんだけど……

ジャンヌ「たまには、わたくしのデッキでショップバトルに出て欲しいですっ」

うん、一応次のパックで使えそうなのは入れていこうとは考えているから。それでは本編へ!


 

 

「みんな、大丈夫か!?」

 

 光樹から無事を聞く声がかけられる。先程の攻撃で機体の方にはダメージが重なってはいたものの、まだ絵里奈は動ける範囲だった。すぐに絵里奈は状況を伝える。

 

「私はまだ大丈夫ー。他のみんなは……」

 

 絵里奈の答えを促す声に、他の者達も続く。

 

「えぇ。問題ないわ」

 

「これくらいのダメージ、まだいけるんだから!」

 

「生憎ながら、まだ倒れるわけにはいかないからな!」

 

 多少の疲労を見せてはいたが、概ね絵里奈自身と同じようにまだ戦えることを伝える3人。光樹もそれを確認すると安心しつつ、次の手に出ることを打診する。

 

「良かった……!とりあえず、まだこっちはCDユニットを破壊しただけだ。もう一回、攻勢に出よう」

 

「もちろん。そのつもりよ」

 

「そのためにも、わたしが道を切り開くっ!!」

 

 すると早速ビーシャが勢いよく前に出る。それに遅れて、DRXも前衛に向かう。

 

「ははっ!ビーシャも勢いが付いてきたぜ!援護に回るっ!」

 

 ビーシャとDRXのタッグはワレチューとの距離を詰める。それに対し、ワレチューも両腕部を向けてビームを連射する。単発のビームが両側2発ずつ放たれる。しかしそれをビーシャが横に躱す。だがそのままではDRXに直撃してしまう。とはいえ、DRXなら何の問題もなかった。

 

「甘いぜぇ!!サイキックフィールド!!」

 

 左手の平を開くとその手にサイキックフィールドを展開させるDRX。そのフィールドを張った手でビームを受け止める。今まで光樹達とぶつかった時と同じように、そのフィールドはまたも敵の攻撃を受け止める。流石、防御力の高いスーパーロボットタイプの体形は伊達ではないようだった。

 そしてビーシャの方もそれだけを狙って避けたわけではなかった。DRXが防御するタイミングで空中に飛び上がると回転しつつ、バズーカ砲を連射する。

 

「たぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぢゅぢゅぅぅぅっ!?」

 

 攻撃を行った直後の攻撃がワレチューに直撃する。攻撃を受けたワレチューの体は大きくのけ反り、DRXに向けて放とうとしていた追撃の肩部ビーム砲があらぬ方向へと飛んでいく。

 不意打ちによりダメージを受けたワレチューに続けて攻撃を仕掛けたのは絵里奈とパープルハートであった。パープルハートが真っすぐワレチューの懐に飛び込むと、そのまま胸部装甲に機械刀の振り上げを入れる。

 

「せぇい!!」

 

 装甲に対しての攻撃であったが、その攻撃で装甲が少しへこみ、宙に浮かぶ。シェアの力を込めた一撃がダメージを与える。その打ち上がった体に絵里奈のガンダムR-ZXが放ったビームの連弾が直撃する。直撃した弾丸の反動でワレチューはパープルハートから距離を離す。

 パープルハートへのカウンターも考慮しての徹甲弾による攻撃で距離を離すことに成功する。だが油断する暇はない。攻撃を喰らったワレチューは地面に着くとその強靭な腕部でブレーキをかけると、体に装着されていた装甲をこちらに向けて開く。

 

「ぢゅぢゅっ!!」

 

 向けられた装甲の蓋が開くと、その中から見えたのは多数のミサイル弾頭であった。絵里奈は他の者達に注意を呼びかける。

 

「みんな、ミサイル攻撃来るよー!!」

 

 絵里奈の声と同時にミサイルがワレチューの叫び声と共に煙を吹いて一斉射される。火薬を搭載しているであろうミサイルの軍勢は一斉にこちらに伸びる。

 それを見てすぐに全員が距離を取る。ミサイル攻撃に対してはとにかくまずは距離を取り、振り切るというのが鉄則だ。パープルハートとビーシャは真っ先に後退する。続く絵里奈と光樹もそれぞれの射撃兵装で撃ち落としつつ、機体のスラスターを吹かせて逃げ切る。

 だがDRXはそんな細かい動きは出来ない。そのためDRXはサイキックフィールドを再び展開……するかと思われたが、今回は違った。機体の武装をすべて、ミサイルに向けると、雄たけびを上げる。

 

「行くぜぇ!DRXフルバースト!!」

 

その声と共に、弾数の残ったすべての武装から一斉にビームを放つ。ガウン・デストロイヤー、ハイフィンガーバスターから放たれた攻撃がミサイルに直撃し、次々とミサイルを撃ち落とす。派手な一斉射で空はたちまち爆発の花で埋め尽くされる。

中々の派手さであったが、それでも流石にすべてのミサイルを撃ち落とすには至らない。そこはいつも通り、サイキックフィールドで防御する。だが、攻撃が少なくなったことで爆発の衝撃によるダメージは軽減されているようであった。

 うん、いい感じに動けてそうだねー。ここは返しに一発入れたいところ!そう思っていたら、光樹君が動いてくれた。爆発の花が晴れたところで頭部に光を集めて叫んだ。

 

「行くぜ!AN……ZEROキャノンッ!!」

 

 両手を握りこぶしにして顔を前に向けると、頭部のブレードアンテナを形成する部分にあった砲口から高出力ビームを一気に解放する。直線的に放たれたビームは地面を薙ぎ払いながらもワレチューを捉える。攻撃が装甲部に直撃し、そのまま装甲を焼くように照射する。

 直撃した高出力ビームで装甲が焼かれていくと、ワレチューは苦しむ声を吐き出す。

 

「ぢゅううぅぅぅぅぅぅ!?!?」

 

「効いているわ!」

 

 パープルハートも攻撃が効いていることに注目する。シェアの攻撃も効いているのは分かったが、やはりビームの攻撃が一番効く。ダメージを与えていく姿を見て、絵里奈も思わず声が張り、光樹を応援する。

 

「光樹君!そのままやっちゃえー!!」

 

「あぁ。……フルバーストモード始動!カートリッジシステム、ロードッ!!」

 

 光樹の声と共に機体のウイングユニットが小羽を開く。開かれた小羽からはAN粒子が翼の形を描くように放出される。さらに機体各部の武装に搭載されたカートリッジユニットが稼働し、煙を上げる。上がる出力、そしてそれが放たれる高出力ビームにもいきわたり、ビームがより太く放たれる。出力の増したビームがワレチューを飲み込み、その地点に大爆発を引き起こした。

 爆発の影響で暴風が発生する。その暴風に飛ばされまいとパープルハートとビーシャが足を踏ん張る。絵里奈も機体制御用のAN粒子を操作して、地面に機体を固定する。

 爆風が収まり、煙が晴れていく。煙の隙間からワレチューの様子が見え始める。ワレチューは息を激しくしながらも、未だ健在であった。とはいえダメージが通っているのは事実で、肩で息をしている状態であった。

 ダメージは通ってる。ここで気を緩めたらダメだ。手負いのジャッカルは危険って光樹君もいつも言ってたように、手負いの敵が一番危険。やけくそ気味に放った攻撃で部隊が壊滅、なんていうのを結構やってきてるこっちがそれを喰らったら恥ずかしいからね。とにかく一気に決めることを考えないと!

 絵里奈の考えをパープルハートも進言する。

 

「攻撃が効いてるわ。このままトドメまで持っていきましょう!」

 

「分かった」

 

「任せといて!」

 

「全部の出力を解放してやるよ!!」

 

「よーっし、これで終わりにしよー」

 

 パープルハートの言葉に全員一致し、攻撃を仕掛けに行く。先行したビーシャと絵里奈が射撃兵装であるバズーカとANミラージュブラスターソードを撃つ。バズーカ弾とビームによる砲撃が直撃しワレチューの動きを縛る。

 ワレチューの動きを抑えたところで、DRXが攻撃に続く。怯ませた瞬間に腕部に念力結界「ドミニオンズボウル」を展開させ、それをワレチューに対し向ける。

 

「行って来い、ドミニオンズボウル!!」

 

 赤・緑・青の光を放つ球体がワレチューに向かって飛んでいく。球体がワレチューの尻尾による刺突弾幕を回避しつつ到達すると周囲に展開し、光を放つ。光が晴れるとワレチューは念力結界の中に閉じ込められた。捕らえることに成功したのであった。

 しかし、捕らえたといっても抵抗が収まったわけではない。動きを拘束されつつも、尻尾を動かそうとしたり、腕部ビーム砲を固定されたまま発車していた。このままでは突破されてしまうだろう。無論、それを黙って見ている絵里奈達ではない。追撃の攻撃を光樹とパープルハートの2人が放ちに向かう。

 

「光樹、タイミングを合わせて」

 

「あぁ。……せい!!」

 

 念力結界の固定が効いているうちに、と2人はその手に掴んだ実体とビームの剣を振るう。機械刀とANビームサーベルⅦXはワレチューの左脇腹部と残った肩部のキャノン砲を斬る。切り裂かれた部分から粒子の放出と爆発が起こり、ダメージがワレチューに重ねられる。

 

「ぢゅぢゅうううううう!?!?」

 

 攻撃を行ったことで、ドミニオンズボウルの膜は破れてしまう。だが、そこに追い打ちを掛けるが如く、DRXが巨腕に持ったD・Oソードを振るう。

 

「この一撃、受けてみなぁ!!」

 

 上から大きく振りかぶってのD・Oソードがワレチューの胸部追加装甲を切り裂く。豪快なまでに振るわれた攻撃によりワレチューはのけ反る。しかし、すぐさま反撃の一手を放つ。尻尾のうち1本を割れたハートの形に分裂させて一瞬の隙にDRXの体に目がけて打ち込む。

 

「ぢゅぢゅっ!!」

 

 普通なら、それくらいの攻撃ではDRXは何ともない機体であろう。スーパーロボットの装甲を撃ち抜くのは非常に骨の折れる戦闘なのだ。ところが問題は狙った部分であった。ワレチューが狙ったのはDRXが現時点で最も装甲が薄くなっている部分、先の戦闘で勇也のガンダムR-ZEROの攻撃で喰らった部分だったのだ。

 一瞬の隙を突かれての、弱点となっていた部分への攻撃にDRXはよろめく。

 

「ぐぁっ!?装甲のない部分を狙って……!?」

 

「DRX!!このっ!!」

 

 DRXの危機を察して、ビーシャがすぐさま援護に入る。背後からバズーカ弾を放ってワレチューの動きを抑制する。そのわずかな時間にDRXも態勢を立て直してよろめきを継続させるためのソードの薙ぎ払い攻撃を喰らわせる。

 

「ビーシャ、助かる!……せぇい!」

 

 攻撃を浴びせたのち、DRXは脚部スラスターを全開にして後退する。ビーシャとそれに反応した光樹と絵里奈による背後からの攻撃のおかげでDRXは無事後退することに成功する。

 突発的な攻撃だったとはいえ、これは望むところであった。DRXが後退したのと、ワレチューの注意を引くために分散して攻撃したことで丁度ワレチューを囲む形で包囲陣形に展開することが出来た。

 敵を逃さないように展開する包囲陣形が出来た。となれば、やることはただ一つ。絵里奈は全員に呼びかける。

 

「今だよー、全員一斉射撃ーっ!」

 

 その声に一斉に反応を見せる光樹達。AN高純化射撃兵装「オーディン」、バソダヌ、ガウン・デストロイヤーといった大火力兵装を用意する。

 

「カートリッジロード、「オーディン」、出力最大!!」

 

「バソダヌ、肩部ボンボンユニット狙いよし!!」

 

「ガウン・デストロイヤー、出力マキシマイズ!!」

 

 みんな、最大火力で終わらせようとしてる。なら私も手加減する必要なしだよねー!久々の使用だけど問題ないはず!私は自機に備わった2つのモードを起動させる。1つはガンダムのお馴染み機能。そしてもう一つは、この機体のモデルの力を参考にした、限界突破システムだ。

 絵里奈は2つのシステムの承認をコールする。

 

「モデル、トランザムシステム……それから、OXを解放するよ」

 

『了解。トランザムシステム始動。および、OXモードに機体出力切り替え。OXバランサーユニット稼働』

 

 その声と共に機体装甲が赤く光り輝く。トランザムの始動だ。だが、そこで一拍おいてからR-ZXに変化が生じる。機体各部のボルト部分のロックが傾き解除される。更にロックを解除された部分の隙間から蒸気が溢れる。やがて、ロックの解除された部分から蒸気に変わって深紅のAN粒子が放出を始める。放出される粒子は機体を呑みこむほどであったが一瞬で機体にぴったり張り付く。まるでオーラのように。

 AN粒子のオーラを纏う形となったガンダムR-ZX。その状態で絵里奈は胸部のANバスターキャノン改・改の砲門をワレチューに向ける。残念ながら絵里奈のガンダムの中で威力が高いのはこの武装とANミラージュブラスターソードくらいだ。しかし大出力を発射しても射撃時の安定性を考えると、機体に埋め込まれた砲身を持つANバスターキャノン改・改の大出力の方が安定して撃ち続けられる。

 

「胸部ANバスターキャノン改・改、出力最大ー!」

 

 武装の出力を増大させて敵に狙いを合わせる。そして光樹の一声で一斉に攻撃が放たれる。

 

「全員、一斉射!!」

 

 高出力のビームと実弾の連続射撃、それらが次々とワレチューに向かっていく。ワレチューはそこから動くことなく、攻撃をまともに受ける。

 同時に直撃した絵里奈達の全力攻撃は巨大な爆炎となって辺りを照らす。その爆炎が収まる前に、待機していたパープルハートが腰だめに機械刀を構えて突貫する。炎の海をパープルハートが突きぬけていく。

 

「桜花一閃、喰らいなさい!!」

 

 機械刀にシェアを込めての一撃がワレチューの体を斬る。攻撃が当たると同時に爆炎に穴が出来る。斬った時の振りで起きた風によるものだ。そのままパープルハートは切り抜けて地面に着地する。

 

「これで、終わりよ」

 

 パープルハートの声と共にワレチューを中心にシェアによる爆発が炸裂した。その爆発を受け、ワレチューは唸る。

 

「ぢゅぢゅううぅぅ……」

 

度重なるダメージにワレチューは腕の方に重心を預けなければ立てないようになっていた。それは最大出力による攻撃が効いている証拠であった。しかしながら、ここまで攻撃を加えていても、未だ猛争化の影響が途絶えていないというのは予想外のことではあったものの、この調子なら倒せる。

 そこで絵里奈とビーシャが追撃の一撃を加えに接近する。

 

「よーっし、このままダメージ追加するよー」

 

「うん!ここで倒そう!」

 

「待ちなさい、2人とも!油断は禁物よ!」

 

 パープルハートが止めに入ろうとしたが2人はそのまま抵抗のないワレチューとの距離を詰めていく。絵里奈もパープルハートの言葉はちゃんと心の中で受け取ってはいた。だがこれ以上戦闘が続くのは良くないと感じていたのだ。

 何度かの爆風で避難民の方で不安が生まれていた。直接的な被害がないとは言っても、これ以上市民の不安を煽るのは良くない。何事も、迅速な対処による沈静化が重要なのだ。

 ある程度の危機感を持って対処するつもりの絵里奈とは反対に、ビーシャはパープルハートの方に手を振りながら大丈夫だと叫ぶ。

 

「大丈夫、すぐにみんなが怖くなるものを取り除くから!」

 

 女神たちの戦いを見守る人々にも聞こえる声での返事を送るビーシャ。そして2人は近接距離までたどり着いたところで攻撃を仕掛ける。

 

「喰らえ!バズーカ散弾3連射!!」

 

「ANZXアームズ、アタックシフト「龍斬火炎撃」!!」

 

 息の合ったビーシャの散弾と絵里奈のエネルギー刃の攻撃がワレチューに伸びた。その攻撃はワレチューの装甲を穿つ―――――

 

 

 

 

ことはなかった。

 

 

 

 

 瞬間、ワレチューは動いた。尻尾を前面に向けると、ハート型の尻尾を2つに割る。別れた尻尾が四隅の形を作る。そして別れた尻尾の間に電撃を発生させた。

 唐突の雷撃防壁は向かってきていたバズーカ弾とエネルギー刃を阻む。散弾として分かたれた弾も電撃のランダム放電によってほぼ撃ち落とされ、ワレチューの体にはダメージを与えることは叶わなかった。

 攻撃凌がれたことに絵里奈とビーシャも驚きを隠せない。

 

「嘘ぉ!?電撃!?」

 

「やるね……けど、だからって引けはしない!」

 

 とんでもない方法だったとはいえ、絵里奈達に攻撃の手を緩める暇はない。ビーシャが一足先に立ち直ってバズーカ弾を連発する。

 だがしかし、反撃を開始したワレチューは止まらない。バズーカ弾が散弾に変わる前に尻尾からの雷撃を飛ばし、バズーカの弾を撃ち落とす。

 

「バズーカの弾を電撃で撃ち落とした!?援護する」

 

「あの電撃、厄介そうね。2人とも、気を付けて!」

 

 見ている側だった光樹達も2人に気を付けるよう通達しつつ援護を行う。しかし、光樹の放ったANデストロイランチャーⅡの砲撃はとあるもので防がれることとなった。ワレチューは突如、口を開く。何をしてくるのか、という絵里奈であったが、すぐに理由がわかる。

 ランチャーが放つビームの方向に口を向けると、そのビームは口の中に吸い込まれていった。攻撃を回避や防御するのではなく、その生身の口で吸収したのだ。先の鈴達の防衛戦でも見せたその防御行動が絵里奈達を驚かせる。

 

「び、ビームを飲んだ!?」

 

「そんな防御法があるかよ!くそっ!」

 

 DRXもツッコミを入れる。今まで盾や腕でビームを吸収した敵はいくつもいた。だが流石にビームを生身の口で飲み込むというものは絵里奈も見たことがなかった。

 そして、ワレチューが怒涛の攻撃を開始する。まず腕部を地面に叩き付けると、地割れが発生する。いきなりの攻撃に近づいていた絵里奈とビーシャは後ろに飛んで回避する。しかし、その地割れが更なる攻撃を呼び寄せる。割れた裂け目から炎で形成された巨大な腕、がビーシャ達を吹き飛ばす。

 

「ぐはっ!?」

 

「こ、これって腕……!?」

 

 自然現象を利用しての攻撃なんて……。やっぱりこのワレチューの猛争・武装化状態、いつもの猛争・武装化モンスターとは違う……っ!

 予想外の攻撃に舌を巻く絵里奈。だが攻撃の波は緩まない。吹っ飛ばした直後にワレチューは4本となった尻尾を自身の前面に展開する。また防御壁を形成しての待ちの態勢を取るのかと思ったが、違った。展開された尻尾同士を電撃で繋ぐ。そしてその口をまた大きく開ける。そして間髪入れずにその口から大出力のビームを放つ。

 砲撃ならそれほど驚くものではない。ところがその砲撃は先程までの砲撃とは明らかに違う挙動を見せる。電撃の間を通過すると、そのビームは拡散し、まるで雷撃のように拡散し、絵里奈達に連続してダメージを与えてきた。

 

「ぢゅううううううう!!」

 

「ふぇえ!?あああっ!?」

 

「う、うわあぁあぁぁぁ!!」

 

「ビーシャ!!くぅぅ!?」

 

 吹っ飛ばされた絵里奈おビーシャがもろに攻撃を受け、助けに入ろうとしたパープルハートもその余剰分を受ける。絵里奈とビーシャは地面にそのまま地面に叩き付けられる。何とか動こうとする2人であったが、雷撃型ビームの高い威力で上手く動けずにいた。

 何とか立ち上がりながら機体の状況をチェックする。けど、その状況は芳しくないことを機体のシステム側から告げられる。

 

「モデル、状況……は?」

 

『殴られた時点で機体の内部回路に若干の損傷。そこに雷撃型ビームを3発もらったことで左腕部の粒子供給回路損傷。装甲の破損は左肩、ボディユニットにいくつかのヒビありです』

 

 モデルの言う箇所を少しチラ見する。確かに左肩の装甲を損傷してる。体の部分にも装甲を割れてるところがあった。不意打ちとはいえ、これだけのダメージがあるのはちょっと辛いかな。

 それらを踏まえて次の行動を考えようとする絵里奈をよそに、ワレチューが再び動く。今度は腕部をこれまでの地面への設置位置をより奥の方に持っていくと、光を放って飛ぶ。今度はビームをスラスター代わりにしたのだ。あまりにも予想外すぎるその行動だが問題はその狙い。飛んだ先にはようやく立ち上がったビーシャがいた。

 

「き、来たぁ!?」

 

「ビーシャ!!危ねぇ!!」

 

 DRXが体を張ってビーシャの前に出る。腕を真正面に向けて飛んでくるワレチューを抑え込もうとする。ところがワレチューの砲撃による飛行はDRXの力を超えていた。ぶつかり合った腕部と頭はワレチューが押し上げる。頭部がそのままDRXの胸部を捉えて地面へと押し倒す。

 押し倒されたDRXに馬乗りの形となったワレチューは右腕を上げる。するとその巨腕に装備されたビーム端末から3本の光の爪を形成する。ビームクロ―だ。それを振り下ろすしぐさを見せる。

 

「DRX!」

 

 すぐに対応するようにパープルハートが呼びかける。もちろんDRXもそれは承知済みであった。巨腕が振り下ろされる前に素早く攻撃箇所に対しサイキックフィールドを形成して防御する。展開は間に合い、何とか防御することに成功する。

 しかし、それでワレチューの猛攻は終わらない。防がれてもそのまま二度三度とその剛腕とともにビームクロ―を振りかざす。それでもなおDRXのフィールドが阻む。しかし、三度目の攻撃の直後、ワレチューは攻め手を変える。尻尾を結合させると、一気にフィールド発生部分に向けて打ち込む。鋭角的なその先端はいともたやすくDRXが生成したサイキックフィールドを貫いた。貫いた先には、先の戦闘で損傷した装甲の切れ目があった。その部分をピンポイントで攻撃される。

 

「グハァッ!?」

 

「DRX?DRXっ!!」

 

 攻撃を庇ったDRXの危機にビーシャが悲鳴する。だがワレチューはそのまま腕部によるクロー攻撃で更に傷口を痛めつけていく。その度にDRXの体から爆発が起き、スパークと部品が飛び散る。

 このままではDRXがやられる。当然そう危機感を感じ、パープルハートと光樹が背後からの奇襲をかける。それぞれの手に持った機械刀とANブラスターソードエッジで斬りかかる。

 しかし、その攻撃すらも今のワレチューには予測済みだった。振りかざされる攻撃を尻尾での振り払いによるカウンターで2人を吹き飛ばす。

 

「ぐぅ!」

 

「中々の威力……けど、まだっ」

 

 光樹が負けじと反撃しようとするがその行動の前にワレチューは足と翼のスラスターを吹かせて距離を詰める。急な強襲に流石の光樹も驚く。

 

「な……!?」

 

 だが、その驚く暇さえも一瞬だった。距離を詰めたワレチューは尻尾の雷撃機能を活性化させ、距離を取ろうとするゴッドクロスの四肢を電撃で拘束する。電撃のダメージが光樹を襲う。

 

「ぐああああぁぁぁぁ!!」

 

「光樹君!?」

 

 ようやく立ち直った絵里奈はすぐにANHXキャノンバスターを向け、撃つ。だがその弾丸は周囲にまき散らしだした電撃で防がれる。

 

「そんな……くっ!」

 

 早く助けないと……!そう思う絵里奈だが周囲にまき散らされる電撃のせいで攻撃を行えずにいた。やがてワレチューは光樹に対し必殺とも言える攻撃を準備する。周囲に放電していた電気が上空に収束し始める。まるで雷雲の中で起こっていることが視覚化されたようなその現象はやがて、凄まじい電撃の嵐を形成する。

 そして十分とも言える電撃を集めたところで、ワレチューが咆哮するとそのプラズマ集合体がワレチューと光樹を飲み込むように落ちる。

 

「ぢゅぢゅううううぅぅぅぅ!!」

 

「ぐがああああぁぁぁぁっ!?」

 

「こ……光樹君!?」

 

 圧倒的過ぎる電撃に顔を塞ぎつつもワレチューの捨て身とも言える攻撃を喰らう光樹の名を叫ぶ絵里奈。辺りを光が包む。

 やがて光が晴れた先で見たのは、電撃が未だほとばしりながら、地面に倒れ込む光樹のシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスと、身体に残っていた電撃を振り払い、疲労を見せつつも未だに健在の猛争・武装化ワレチューであった。

 

「そ、そんな…………」

 

「何てこと……」

 

 同じく見ていたパープルハートもその威力とワレチューの耐久性に驚く。明らかに自身を巻き込んだ攻撃であるにも関わらず、機体の装甲に焦げが見えている程度のダメージだった。

 そして、まだ戦いは終わっていない。それを示すようにワレチューは光樹に背を向け、今度はパープルハートと絵里奈の方向に体を向ける。

 

「ふしゅー……ふしゅー……!!」

 

「くぅ!!」

 

 パープルハートも機械刀を向ける。しかし戦力はほぼ半壊。残っている者達もパープルハート以外は消耗している。この絶望的状況をどう立ち向かえばいいのか。

 しかし、諦めることは許されない。絵里奈は心を奮い立たせて、ANHXキャノンバスターを向ける。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。あー、ようやく暖房が効いてきたよ……。

シエラ「ようやくってところね。それでも部屋に入った直後よりはマシだわ……」

ジャンヌ「部屋の方もいいですけれど、光樹さん達、かなりピンチに陥っていますね……」

シエラ「そういえばそうですね。尻尾からの放電とか、腕部で地面を割っての攻撃はこの作品でのオリジナルの攻撃法みたいね。藤和木の考えかしら?」

そうだよー。そのままだと5人相手には勝てないでしょうよ。まぁ、大抵武装化は攻撃バリエーション増やすのと耐久力増やすが目的だから、狙い通りではあるよ。

ジャンヌ「そのおかげで光樹さん達は苦戦していますからね。次回はここからどうなるのでしょうか……」

シエラ「ネプテューヌ編最後の戦いだから、光樹達には何としても踏ん張ってもらわないと、ですね。藤和木もストック回復させなさいよ?」

そうですね……テスト期間とか全然書けていないですし……。それでは今回はここまでです。

シエラ「次回は1週間後の水曜日の投稿になるみたいよ。藤和木もテスト期間終了の日は少し落ち着きたいみたいね」

ジャンヌ「それでは皆様。次回もよろしくお願いいたしますっ!」


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第147話 負けてたまるか、リミットブレイク

どうも、皆様お元気でしょうか。つい先日発売されたバトルスピリッツ最新ブースター「選バレシ者」を2Box分を買ったりガチャを回したけれど、目当てのものをほぼ全く当てられず、今回のブースターはもう諦めようかなと思っていた矢先に買った3パックのうち1つの中から、かつての相棒で今弾ぶっちぎりのトップレアである「超神星龍ジークヴルム・ノヴァ」のリバイバルを引き当て、更にノリで買ったBoxから狙いの物を2枚ほど引き当てました、藤和木弘です。説明長くてごめんなさいm(__)m

レイ「あ、あはは……本当、藤和木ってハチャメチャな展開になりやすいよね……明日から企業関連の物事が集中するっていうのにさ……。でも、それだけの運を引き込めたんだから、これはこれでいいよねっ!どうも、みんな!カードゲーマー付録カードにもなった、レイ・オーバだよっ!」

ソニア「今までの結果が散々だった分、今回はいい結果になったんですねっ!けど、小説の方もいくら企業からの宿題的な物があるとはいえ、サボってはいけないですよ?ってシエラも言ってました、ソニア・A・ワスプです」

うん、こんなに色々なことがあると、たまに体力なくなるんじゃないかなって思う。どうせなら体力ゲージ3本くらい欲しいね。そんなのは実際には無理だけど。

レイ「それ、エグ○イドから?」

それに限らないけれど?

ソニア「あはは……。それよりも藤和木さん、今回のお話の方に行きませんか?」

おお、それもそうだね。今回は第147話をお届けします。

レイ「光樹君が電撃で倒れて、ネプテューヌちゃんと絵里奈ちゃんだけとなった戦場……。2人は勝てるのかな?……っていうけど、タイトルがネタバレになってそう……(笑)」

ソニア「この流れ、いつも通りですよねぇ……。けど、リミットブレイクっていうのは気になる単語ですね」

ははは、まぁね。さて、ガンダム1機とゴールドサァド組を蹴散らす黒き猛獣を止めるのは誰だ!?本編をどうぞ!



 

 

 その時、光樹はまた光の世界にいた。オレンジハートの姿をした少女のいる「夢」の世界ではなく、光に包まれた存在のいるほうのだ。来た直後はまた前後の記憶が曖昧でどうしてと思ったが、すぐに前後の状況を思い出す。

 意識が飛ぶ直前に光樹のガンダム、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスはワレチューの攻撃に巻き込まれた。尻尾からの電撃で動けなくなったのだ。何とかして光樹もその拘束から逃れようとゼロのコンソールに脱出するための方法を念じていた。だが、その前に敵の行動の方が速かった。自身を避雷針とした落雷攻撃には流石のゴッドクロス……というよりも、光樹の方が先にダウンする形となった。意識を保つためのダメージ許容量を超えて、結果意識を失っていた。

 まさか自分の方が先に限界を迎えるなんて。まぁ、意識があったとして、ちゃんと戦えたかは分からないが。それでも起きているのと起きていないのとでは天と地ほどの差がある。とにかく早く起きなければ……。

 すぐに頭の中で意識を覚醒させようとすることを考える。だがそう簡単に失神状態から起きることは人には難しいことだ。それよりもまたここに来たということにはまた意味があるということであった。そしてそれはすぐに判明する。

 

『久しぶりだな、光樹よ』

 

 ふと、久々の声が響く。この声を聞くのはいつぶりだろうか。確か、天が解放されたときだろうか。聴くとなぜか安心するその声する方向にはやはりあの光の球体に包まれた「それ」がいた。

 落ち着いた様子でこちらに語り掛けるその光の球体に光樹は返答する。

 

「お前は……あぁ、久しぶりだな。ここに来たってことは……」

 

 ここに来た理由を問う。光樹の問いかけに、球体の人物は答える。

 

『あぁ。お前がもう一歩、力を取り戻すための段階に達したことを伝えに来た。……もっとも、今もまた危機の真っ最中だが』

 

「そうだよな……。第一、なんで毎回こんな危機的状況の中でこの世界に呼ばれるんだよ」

 

 以前と同じような状況での呼び出しについて口にする球体に対し、光樹もツッコミを入れる。毎度毎度こんなことがあったのでは、いつかコールセンターにでも苦情がかかるだろう。……しかしながら、この世界にコールセンターがあるわけなどなく、そもそもここを利用しているのはおそらくこの球体と光樹くらいなので、苦情を言うとしたらこうきだけだろう。

 光樹からの指摘に球体は笑いながら責任を転嫁し要点を伝えてくる。

 

『それは知らんよ。そんな状況に陥るお前が悪い。……が、その時を狙ってこっちに招き入れているというのは否定しないがな。今回呼び出したのは、お前の記憶、どれだけ思い出している?』

 

「知らないとか言っておきながら意図的じゃねぇか……。って唐突だな。んー……鈴達と戦ってた時の記憶が前の時からは多く思い出してきたかな。あ、華南のことも思い出し始めてはきているな。それがどうかしたか?」

 

 光樹の記憶の中で新たに思い出しつつあったのはそれくらいだ。3人と共に戦った記憶。その戦いの記憶はいずれも激闘であり、戦ってきた相手の名前も思い出しつつあった。古代戦闘人種の「バイオレンサー」、成層圏内浮遊大陸「クロスエヌ」の種族「ザンヒューマン」、偽りの神々を使役した「イマジンズ」の面々……中には、光樹達のクローンまでいた。

 その中にはもちろん、華南の本当の父親やかつてのGKSWAXPの総司令、鳥門も含まれている。中学生という3年間の中でもそれだけの者達と戦ってきていたのだ。

 そして中学生活の最後を飾った戦いで得た、かけがえのない義妹、華南。その記憶はまだ思い出せないものもあるが、高校に上がる直前の所までは思い出せた。とても短い期間ではあったが、それだけでも華南との思い出は総司令を継いだ直後の忙しくあった光樹の癒しとなりえそうな内容だった。

 だが、そんな内容に何か重要な意味があるのだろうか。心の中でどういうことか考え始めると、光の球体はそれを踏まえての発言を行う。

 

『……そうか。ならば言わせてもらおう。今のそれで満足しているのか?』

 

「満足って……どういうことだ?」

 

 急な問いかけに光樹も困惑する。光が訊いている言葉の意図がよく分からなかったからだ。それを察して、光の球体も言葉を改める。

 

『言い方を変えようか。……今の目の前にある物だけを守るだけで、お前は十分なのか?そのために、自分から限界を超えることを諦めてしまっているのではないのか?』

 

「な……!?そんなこと……は……」

 

 遠回しに自分が前に進めていないということを指摘され、感情的になる光樹。ところが言うにつれて、言葉の勢いがなくなっていく。その言葉の意味を次第に理解したからだ。

 確かにそれは言えている。新しい力を手に入れてはいるものの、それはどれも、誰かの助言があってこそのもの。デュランダルのNP使用は鈴から、そもそも攻撃のパターン展開も前よりは減少したとはいえ、未だにゼロからのサポートが多い。自分から行動したとは言い難い。そもそも、ゴッドクロスも、未だに自分が動かしているのか、ゼロが動かしているのか怪しいところがある。

 それに限界を超えてというのにも心当たりがある。それはもちろん、ゴッドクロス・ダイの制限時間の延長だ。約半年かけてようやく1分から2分の起動時間延長に成功したのに、この激闘が続く中で未だに変身可能制限時間を延ばすことが出来ていない。鈴もその事には訓練の時に不審がって聞くことがあった。これだけ激しい戦闘をしていれば、普通なら制限時間が伸びても不思議ではない。体に多くの負担がかかっているのに、その「限界」を超えることが出来ない現状こそが、「限界を超える」事なのだろう。

 俺は一体、何なんだ……これじゃあ、鈴が文句を言い続けているのにも納得だ。けれど、どうすればいい?どうやって、戦えば……。

 

「確かに、俺はまだ鈴達が求めているような、しっかりとした、安心して総司令を任せることが出来る俺に戻れていない……。なら、どうすれば……?」

 

 一体何をすれば変われるのか。悩む光樹。だがしかし、その答えを光の球体がはっきりと答える。

 

『まぁ、そんなに考え込むな、光樹よ。そんなのは簡単だ。……たった1つ、たった1つのことを成せばよいのだ』

 

「たった……1つ?」

 

 光の球体が発した言葉を復唱する。とても重要なことだから、よく覚えておこうという意志の表れであった。だが、球体から語られたのは、光樹が考えていたような、とても厳格ある助言ではなく、かといって適当なことでもない、シンプルかつ意味の大きいことであった。

 

「そう、それは、お主の体のままに動く。ただそれだけのことだ」

 

「……はぁ?体のままに動くって……」

 

 体のままに動く、とは、あまりにも人任せな言い方だと思う。要するに自分がやりたいようにやれということだ。それでは戦闘もあったものではない。だが、そこを光の球体もフォローする。

 

『とはいえ何も考えずに戦うなと言っているわけではないぞ。戦い方は既に体に染みついている。お主は、それに無理に逆らおうとするのではなく、その流れに身を任せ、かつどれだけ自分の思うままに動かせるかだ』

 

 戦い方が体に身についている。その言葉にはどこかしっくりくるものがあった。例えば、ビームサーベルを振るとき。その太刀筋は記憶の片隅にあったものを使っているが、時には自分の体が勝手に斬撃の軌跡を描くことがあった。他にも射撃武装を撃つ時も最近では直感とも言えるほど無意識に狙いを定めて撃っている。

 それをもし、意図的に出来るのなら、それはもう戦場を駆けるベテランエースパイロットとでもいうべきなのではないだろうか。堅実的な攻撃をいつもの事のようにこなせるようになれば、きっと鈴も見直すはずだろう。もっとも、そんなに簡単に見直してくれるわけはないだろうが。

 光樹は自分に言い聞かせるように、光の球体の言葉をもう一度口にする。

 

「自分の体に従う……無理に逆らうんじゃなく、流れに身を任せて、俺がしたいように」

 

 そう言ったところで、空間に変化が生じる。右方向の空間に、光が差し始めたのだ。それを合図に、光の球体は別れの言葉を口にする。

 

『ではの、光樹よ。お主が思い出したときは、また共に戦おうぞ』

 

「あぁ。その時は、よろしく頼む。今回はありがとう。俺は、ワレチューに負けない。負けてたまるか!絶対に、あの化け物をくい止めて見せる!」

 

『……ふふっ。それならば安心だ。くれぐれも気をつけてな』

 

 光樹の誓いに光の球体は少し口調を柔らかくして激励する。そののち、光の球体は光の先へ去っていく。

 もう十分に体力は回復出来た。戦い方も定まった。後は、ここから目覚めること、そして自分で勝手に定めた限界を超えていくこと。そのために必要なのは、ありのままの自分を解放すること。

 光樹は光に向かって足を進める。徐々に生身の肉体の感覚を感じ始める。景色も目に映り始める。その目、ゴッドクロスのカメラアイから見えたのは、ダメージを受けてもまだ立ち上がろうとするパープルハート達の姿。彼女達の思いに応えるために光樹は手を伸ばす。光樹の硬い意志が、強い脳波が機体に伝播する。脳波の波が、傷ついたガンダムにこの危機的状況を覆す力を再起動させる。今までの限界を超えていく、大きな一歩として。未だ完全に覚醒しきっていない意識の中でゼロがその名前を告げる。

 

 

 

 

『装着者の強い脳波を確認。セーフティリミッター1段階解除、機体各部装甲稼働問題なし。――――――――DAIモード、1分追加の再解放』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぢゅぢゅううぅ!!」

 

「くぅ!!」

 

 飛んでくる尻尾の刺突を手に持った機械刀で受け流す。受け流された尻尾はその地面に突き刺さる。互いに一歩も引かない。

 小回りの利く部分が一時的に使えないところを狙ってパープルハートは機械刀を振り上げる。だが、完全に振り上げる前にワレチューの巨腕が思い切り突き出される。ビームクローも展開しての突き出しを危険と察したパープルハートは攻撃を取りやめ、そのままクローを防御する。

 

「ネプテューヌちゃん!ってぇい!!」

 

 攻撃は数センチの所で機械刀で防ぐことに成功する。だがまだクローはこちらに向けられたまま。逃げ出す好機を作るべく絵里奈がANHXキャノンンバスターを撃って注意を引く。

 攻撃はワレチューの左わきを撃ち抜く。正確な狙いながら、攻撃はわずかにその血を滴らせるだけに留まる。だが、それでも狙いどころは正確で、ワレチューはそちらの方に気を向ける。

 

「ぢゅぢゅう……?」

 

「!今っ」

 

 機械刀で受け止めていたクローの手が少し緩むのを感じ取ったパープルハートはすぐに距離を取る。バックジャンプではあったがそれでもウイングのユニットを使えば十分に逃げ切れる距離だろう。

 だがそれは止められてしまう。少しこちらの方に目を向けたかと思うと、地面から放電が発生する。もちろんそれは自然現象ではない。見るとワレチューの尻尾に付いた、地面に触れていない部分の金属装甲から電気が走っていた。

 不味い、気づかれた!わたしがそう思ってすぐに全力で離脱しようとしたものの、行動するのが遅かった。ウイングにシェアエナジーの放出を行わせて噴射する瞬間に、放電が開始される。

 

「ぐあぁあぁぁぁぁ!?」

 

「ネプテューヌちゃん!?」

 

 予測不能な雷撃の直撃を受ける。絵里奈が叫ぶも、パープルハートはもろに喰らい、大ダメージを負う。ボディのプロセッサユニットの一部が焼けて破れ、身体を余剰電気が走る。

攻撃を受けて地面に叩き付けられるパープルハート。何とかして立ち上がろうとするも、その身体も痺れがあって思うように動けなかった。体力の方にはまだ余裕はあったが、痺れという枷が行動を縛る。

 それを敵も分かっていたようだ。ワレチューは援護攻撃として放っていた絵里奈のANHXキャノンバスターによる連続射撃を受けてもパープルハートにのみ意識を集中させる。攻撃を受けながらもワレチューは胸部のビーム砲からビームを放つ。光弾ではない、収束ビームがパープルハートに向けて放たれる。

 回避しようにも、まだ体が十分動けない。しかしパープルハートは女神としての意地を見せる。プロセッサユニットを、シェアを通して無理矢理動かし、機械刀を振るう。女神化後のプロセッサユニット装着システムを利用した、少々イレギュラーな身体操作であったが、それは功を成す。何とかワレチューの砲撃が直撃する前に機械刀が攻撃を防ぐ。

 だが防いだだけであり、自身の力を上乗せできない状態でビームを斬るなどということは出来そうになかった。砲撃の威力に何とか拮抗し、ビームを受け流すことには成功する。受け流されたビームはパープルハートの斜め後方に過ぎ去り、建物の壁に爆発を起こす。周辺にまた瓦礫の山を作る。

 何とか裏技的なもので攻撃は凌いだ……けど、いつまでもこのままってわけには行かないわ。出来ればこんぱにパララキシンを届けてもらいたいところね。でも、この状況で来られるかどうか怪しいところ。さっきビーシャの方に応急手当をしに行ったのは見えたから、それが終わっていればこんぱの事だから、来るかもしれない。いえ、むしろこの状況でも隙を見て来てくれることを願いたいわ。

 そんなパープルハートの思惑を外すかのように、ワレチューは続く2発目を放とうとする。パープルハートもゆっくりとだが身構えようとする。だが、その前にワレチューを魔法による光の奔流が襲う。

 

「ネプ子はやらせないっ!!」

 

 アイエフだ。パープルハート達の危機を見て、援護に駆け付けたのだ。光の魔法「ラ・デルフェス」により、ワレチューの動きが止まる。だが何もアイエフだけが動いていたわけではなかった。後方から待望の声が聞こえてきたのだ。

 

「ねぷねぷ、大丈夫ですか!」

 

「こんぱ!いいところに……!」

 

 コンパがこちらに救援に来たのだ。パープルハートの状態を察して既にその手にはパララキシンを手にしていた。コンパもそれを落とさないようにしっかりとパープルハートに手渡す。

 

「はいです。これでまだ戦えるはずです」

 

「えぇ。んく……」

 

 自身の手の力も今の出せる力でしっかりと持ち、口に持っていく。今は時間が惜しい為、一気に飲み干す。すると、すぐに体の痺れが解けていく。それをはっきりと感じ取ったパープルハートは助けに来てくれたコンパにお礼を言う。

 

「助かったわ、こんぱ。これでまた戦えるわ」

 

「良かったです!もしダメージが大きくなったら、言ってください。あ、でもこれを渡しておきますね」

 

 コンパが更に回復薬の瓶を手渡す。おそらく回復する時間が間に合わなかった時の保険としてだろう。その気遣いとアイテムをパープルハートもありがたく受け取る。

 

「これは……助かるわ」

 

 アイテムを腰のプロセッサユニットに格納する。その頃にはアイエフのラ・デルフェスも放射が収まり、ワレチューもまた攻撃を加えようとしていた。だが、その前にワレチューの胸部装甲が火花を散らせた。それは横から近接攻撃を行った絵里奈のR-ZXによるものだった。

 

「いくらネプテューヌちゃんが弱ってる上に、私のガンダムの火力がないからって、無視するなんていい度胸してるよー!」

 

 連続したANZXアームズ・セイバーモードがワレチューの胸部装甲に切り込みを入れるダメージを与えワレチューが吠える。

 

「ぢゅぢゅうっ!?」

 

 攻撃に怯んでいるうちにコンパは後退することに成功する。代わりに攻撃を終えた絵里奈がマニューバを行ってパープルハートの横に来る。絵里奈の発言には少しパープルハートもにやりとしてしまう。相手にされなかったことに不満を持っていたようだ。

 危機に陥っていたパープルハートを助けるのに自分の機体の火力不足に文句を言うというのはどうかというかもしれないが、結果的にパープルハートのクールタイムを稼ぐ目的を果たせたのには変わりない。パープルハートは絵里奈に言葉をかける。

 

「助かったわ、絵里奈。けどそんなことないわよ。絵里奈はそれを補って、あまりある精密射撃センスがあるんだから」

 

「むー、でも火力が足りないのは確かなんだよねー。OXになってもそんなに出力が増してるわけじゃないしー」

 

 絵里奈は口を尖らせたような言い方で機体への文句を続ける。光樹の記憶が戻った時はそのことを言った方が良いのかもしれない。とはいえ、今はそれに目を向ける暇はない。ワレチューが装甲部分から発せられる火花にかまわず、ミサイルを放つ。

 

「ぢゅぢゅぢゅううぅぅ!!」

 

 ばら撒かれる弾幕に、2人は回避行動を選択する。大きく後退しつつ、それぞれのウイング、スラスターユニットからチャフとして放出したシェアとAN粒子の塊でミサイルを落としていく。

 全弾落としたところで、パープルハートは再度接近を試みる。だが、ワレチューの方も丁度同じタイミングで接近戦を仕掛けていく。全スラスターを全開にして突っ込んでくるワレチューに対し、紫の女神も全力で立ち向かう。機械刀をそのまま一直線に突き出す。だが、神速の一閃はワレチューの肥大化した腕部で一瞬のうちに掴まれる。

 

「攻撃を止めた!?」

 

「ネプテューヌちゃん!そのままやらせないよーっ」

 

 絵里奈がすかさずフォローに入る。後方からの接近攻撃で不意打ちを狙う。しかし、その行動を敵も予測していた。後ろで見えないはずの攻撃にワレチューの尻尾が反応、絵里奈のガンダムの左肩装甲を粉砕、更に胸部装甲を貫く。

 

「げぁ!?」

 

「絵里奈!?」

 

 絵里奈の苦悶の声が漏れる。幸い光樹達のガンダムの急所だという「コア」は破壊されていないものの、機体の各所から火花と血のようにAN粒子がこぼれだす。しかしその反動を利用しスラスターを吹かせて距離を取る。

 つい絵里奈の方に目を向けてしまうが、こちらも悠長に構えている暇はないことを知らされる。機械刀を押さえつけた状態で、ワレチューの口が開く。その口から光が収束する。

 

(まさかビーム攻撃!?この至近距離で!?)

 

 そう思った時には既に遅かった。口から高出力のビームが放たれる。咄嗟に機械刀から手を放し、両腕で防御する。攻撃は何とか受け止められる。受け止めたときに気づいたが、どうやらこの攻撃は魔力ベースの攻撃のようだ。ワレチューが元から魔法を使えたかは忘れてしまったが、これだけの高火力はおそらく猛争化によるものだろう。

 しかし攻撃を受け止めたとはいえ、その威力は凄まじい。一気に押し返される。それどころか腕が後方に押し出され、ビームの直撃を体に受けてしまう。

 

「くうっ!!」

 

 直撃を受け、吹っ飛ばされるパープルハート。地面に倒れるも、すぐに立ち直す。

 大丈夫。ダメージは受け止めたおかげでそれほどじゃない。それに肩のビーム砲を先に潰していたおかげで火力もそれだけ落ちているみたいだし……まだ戦える。それよりもさっきの絵里奈のダメージが心配だわ。

 パープルハートは絵里奈の方に目を向ける。その機体からはいくつかスパークが散り、立ち上がるのにも不安定だ。ここは絵里奈への離脱を呼びかけた方がいいだろう。パープルハートは叫ぼうとする。

 

「絵里奈、一旦退いて態勢を……」

 

 だがワレチューがその声の意図に気づいた。急に方向転換したかと思うと、その方向に一気にスラスターを吹かせて突撃する。その方向とはもちろん、絵里奈のいる方角である。

 

(っく!しまった!このままじゃ絵里奈が……!)

 

 声かけによる失態にパープルハートは心の中で舌打ちをする。すぐに飛び出すが距離が遠い。意外にも猛争・機械化状態のワレチューは速度が高い。ワレチューはそのまま絵里奈の機体へと急接近していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、不味い……くぅ!」

 

 自身の身に迫る危機に、当然絵里奈も気付いていた。機体を動かそうとデータとなった四肢を動かそうとする。だが、機体の損傷の影響を受け、思うように動けない。MPやNPの機体電子一体化技術は、思うように動ける分、機体の損傷が動きにもダイレクトに動きに反映される。その逆もまた然りである。それが今影響しているのだ。

 早く、早くっ!機体の動きの悪さに焦りを感じる。けど、私の思いに反してR-ZXは答えてくれない。久々だ、ここまでダメージを受けるなんて。今までは何とか対応できてたか、それか他の人に助けてもらってたからそんなに危機に陥ることってなかったんだけど……。

 でも、そんなことをいつまでも考えていられるほど、状況は予断を許してはくれない。ワレチューはこちらにそれなりに距離を詰めたところで砲撃態勢に入る。胸部のビーム砲と口部、更にはウイングに装着したフィールド発生装置をも連動させてビームを圧縮し始めていた。圧縮ビーム弾を形成しているんだ。イメージはセラヴィーのハイパーバーストの印象だと思う。

 しかし、絵里奈の考えは少し甘かった。敵の圧縮したビームはハイパーバーストの時の球体ではない、その形を二又の槍のようなものに変えていたのだ。明らかに殺傷することを狙っての形状変更に絵里奈はゾッとする。

 

「嘘……でしょ?そんなの……耐えられるわけ……っ!」

 

 しかし、その拒絶も無意味だ。ワレチューは咆哮を上げるとそのビーム槍を飛ばしてくる。いつもの調子のR-ZXなら、硬質AN弾で軌道を逸らしたりでも出来るのだが、今は動けない。もっとも、あの攻撃を本当に逸らせるかどうか、不安なところであったが。

 しかし高速で放たれた槍を、こちらは回避できない。もう、終わりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、すべてを貫く光の槍は、絵里奈を貫くに至らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビームが何かと干渉する音が響く。最初はR-ZXが貫かれたのかと思った。だが、機体のコアが貫かれたわけではない。続いて考えたのは当たったものの、運よく急所を避けることが出来たのだろうか、ということだ。

 しかしそれも違う。機体のどこも動きが受ける前とほぼ変わらない。ならば先程……否、今も響き続けるこの音は何なのか。それは簡単だ。

 絵里奈もその目にしっかりと見ていた。受け止めていたのだ。彼女の愛する少年のガンダムが、既に今日の変身可能分を使い潰したはずの機能を使い、その片手で。赤色に輝く機体全体装甲にオレンジ色の光を放つ機体フレーム。そして拡張した機体各部の装甲……。再び姿を現した、次元の機動戦士の名前を口にする。

 

 

 

 

「…………シュバルトゼロガンダム……ゴッドクロス・ダイ……光樹君……!!」

 

 

 そう、ゴッドクロスが、再び「次元の拳」の力を得たのだ。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。颯爽とピンチに駆けつける光樹君でした!

レイ「まぁ、読めてるよねぇ。とはいえ、流石にDAIモードがまた使えるようになるのは予測できなかったけどさっ」

ソニア「そうですねぇ……ワレチューさんの攻撃の方も驚かされましたし。特にパープルハート様の剣を捕らえるほどの瞬発性と二又の槍をビームで生成するところとか」

レイ「そうそう。あれだけの装甲積んでいるのにあの女神化したネプテューヌちゃんの剣を止めるのは、私も驚いたなぁ。この時点で結構ワレチュー強いと思うんだけども……」

ソニア「これから先、更なる上が出るってことですよね、藤和木さん?」

うん、そのつもりではある。私の方も他のアニメとかゲームから技の発想とかもらったりしてオリジナルを織り込んでいこうとしたりしているからね。それでは今回はここまでということで。

ソニア「えっと……次回なんですが、藤和木さんの都合により、今度は来週の木曜日に投稿するとのことです。理由は冒頭にも言っていたのですが、藤和木さんの会社関係の都合が連続していて、とても十全に書ける状況じゃないから、とのことです」

レイ「そんなんじゃ、これからが心配だねー。もっと気を持ちなよー」

正直言って、どうなるかが分からないからっていうのも今回の期限伸ばしに関係しています。最近体の方が休まっていないからか、寝落ちすることが多いですからね……

レイ「だって。みんなに迷惑をかけるね。それじゃあ、次回、木曜日にまた!次回もよろしくねっ!」


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第148話 流れるように繰り出す、慣れた技で…

どうも、皆様ご機嫌いかがですか。この1週間近くの間、企業の研修などに参加して、くたくたの藤和木弘です。……いやぁ、もう本当に疲れましたよ…。

ジャンヌ「終わってもレポートや、企業さんからの課題も出ていましたからね……小説もあまり進んでいないようですし。どうも、皆様。研修の途中で藤和木が熱を出してしまい、心配になりましたが治ってくれてよかったと思う、ジャンヌ・ドラニエスです」

ソニア「本当ですよねぇ。インフルエンザかもと熱を出した日には心配でしたが無事に治って……。ひとえに、ジャンヌさんの献身のおかげかもしれませんねっ!どうも、皆様。研修中は私達も藤和木さんの研修風景を見ていました、ソニア・A・ワスプです!」

ジャンヌ「そ、ソニアさんっ!?……そう言われると、少し照れちゃいます……フフッ♡」

そんな発言を意識もせずに言えるとは流石としか言えない……。ま、まぁ、そのおかげもあるかもしれませんが。それでは今回は第148話の投稿です。

ソニア「え?何の事ですか?」

うん、ソニアは気にしなくていいと思うよ……。むしろ気にしたら負けだと思う。

ソニア「?」

ジャンヌ「それよりもっ!今回のお話は前回からの続きで、光樹さんの大活躍が予感されるお話ですねっ」

そうそう。ちょっと新しいアイテムというか、装備も出てくるから、楽しみにしていただけるといいかもですよ。

ソニア「流れるように繰り出す……慣れた、技……私もそんな風に噛まずに言えるようになれたらいいんですが……」

ジャンヌ「それは練習あるのみですねぇ……光樹さんが前話で光の球体から得たアドバイスで、どこまで戦えるのでしょうか?」

それでは本編へ!



 ギリギリの所だった。目が覚めつつあった時点で絵里奈のR-ZXに対して攻撃が放たれるのを見てマズイと感じた光樹は無意識に飛び出そうとした。トランザムとドライブモードを再始動させて割り込むつもりではあったが、それでも速度が足りない。それでも光樹は諦めずに完全に覚醒しきっていない脳で必死に体に、機体に命令を下した。

 とはいえ、まさかそれに応える形でDAIモードが再起動を行うというのは予想外の事であった。飛び出す最中に機体の各部が展開したことに意識が戻り始めた光樹は気づいていなかった。急に早くなったところで少し手の距離が長くなったということでようやく気付いたくらいだ。

 だがDAIモードを起動したゴッドクロス……ゴッドクロス・ダイでなければ、あの状態から絵里奈に迫る攻撃を防ぎ、救うことは出来なかっただろう。それを含めれば間に合ったのはまさに自分の限界を突破し、ZEROにDAIモードの再解放をさせた光樹の強い意志があったからこそ、であろう。

 ANフレキシブルアームデストロイブレイカー「ディメンションブレイカー」で受け止めたビームの槍を、ビームを纏った手で捨てる。攻撃を当てることが叶わなかった光の槍はそのまま消失していく。投げ捨てたところで光樹はワレチューと向かい合う。

 

「………………」

 

「ぢゅぢゅうぅぅ……」

 

 互いににらみ合う硬直状態。そんな中、後方から絵里奈のところまで集まってきていたパープルハートとビーシャがこちらに声を送る。

 

「光樹!絵里奈を助けたのね」

 

「その姿って、確か、DRXを救った時の……」

 

 2人の言葉に答えたい気持ちはある。だが、それよりも今は現状の説明が欲しかった。光樹は構わず、全員の状態を聞き出す。

 

「パープルハート、絵里奈の状態は?それにみんなも」

 

「光樹……。私は大丈夫よ。絵里奈の方は……立てる?」

 

「は、はい……。光樹君、ありがとう……!」

 

「わたしも大丈夫!DRXは?」

 

「あぁ。俺も、まだまだ戦えるぜ!このくらい、まだ戦え……っ!……るぜぇ!」

 

 光樹からの問いかけに対する返事は、全員速かった。その声に安心すると同時に、少し不安を感じる。生身であるパープルハートとビーシャは体力を回復アイテムで回復できる。だが戦闘能力の残存を機械という外部の存在に頼る絵里奈とDRXは修理をしなければ回復できない。特にDRXはロボットであることから内部機構の破損状況で状況が違ってくる。

 しかし、光樹の中に、試してみたいことがあった。それは、光樹が完全に取り戻した、中学生時代のガンダムの機能。

 

「分かった。けど、DRXと絵里奈はこれを使っておいてくれ」

 

 光樹は腕部クロスビームボウガンから手元にデータを実体化させる。そこには「リカバリー500」と書かれたパックパーツが2つあった。それを2人にそれぞれ投げ渡す。

 

「おっと!?……光樹、こいつは……?」

 

「!これ緊急時のリカバリーパックだよ!!機体の損傷を修理するやつ!」

 

「へぇ、便利だな……」

 

 首を傾げるDRXに絵里奈が教える。そう、これは機体を修理しなければ破損したまま戦うことが考えられるMP・NPの損傷をある程度回復させることのできる、「リカバリーパック」というものだ。

 元々はSSRシリーズのガンダムが当時持っていたリカバリーカードというSSRのみの回復機能だったのだが、現在では機能を解析し、機体の応急修理パックとして全MP・NPの標準装備となっていた。

 だが、それは同時に絵里奈の機体にもあるということだ。絵里奈もそれを指摘する。

 

「けど、これ使ってもいいの……?私の分ならあるし……」

 

「いいんだよ。元々MPの方に500ほどの容量を積める余裕はなかったと思うし。場合によってはその分は取っておいた方が良いかもしれないからな」

 

「光樹君……うん!」

 

 光樹からの「遠慮するな」という意味の言葉に絵里奈も受け取る姿勢を見せる。それを見届けて光樹はワレチューの方に目を向ける。またいつ、攻撃を仕掛けてくるか分からないからだ。

 これだけ便利な機能ではあるが、ここで問題が2つあった。1つは元々からある問題で、どこまで回復できるかは損傷次第、ということだ。今回出したのは最大回復可能範囲の半分である500。1000は残念ながら現在切らしていた。そのため2人の損傷を満足に回復できるかどうか分からなかった。そしてもう1つはDRXに果たして効くか、ということだ。中学3年間の記憶の中でリカバリーパックを外のロボットに対し使ったことがなかったのだ。

 それら2つの問題を心の中で心配する光樹。だが、その心配は杞憂となる。

 

「それで、どう使うんだ?」

 

「損傷部位近くで潰せばいいんだよー。こんな風に、ねっ!」

 

 絵里奈が損傷部位の近くでリカバリーパックを割る。損傷部位は右胸部から腹部に駆けての部分と左肩装甲部分だ。そのため間に当たる左胸部の部分で割ると、中から出てきた光の粒子がたちまち損傷箇所に向けて伸びる。二手に分かれた光の粒子はすぐさま損傷箇所を覆いだす。

 そして瞬く間に絵里奈のR-ZXの損傷箇所は回復した。それもほぼ完璧に回復していた。元々NPを回復させるだけの損傷修理用マテリアルだったため、MPならば全回復したのだ。

 それを見て、DRXの方もすぐさま損傷部である腹部でパックを割る。

 

「おお、すげぇな!なら俺も……!ちょ、ちょっとくすぐったいが……痛みが引いていくぜ!」

 

「本当ね!機体装甲が完全に修復しているわ!」

 

「これなら継戦出来るぞ」

 

 その修復能力にR1はおろかR2、R3も驚きの声を漏らす。どうやら回復は成功したようだ。

 光樹が安心するも、その隙を狙って、ワレチューが攻勢に出る。スラスターを吹かせ、尻尾の先から電撃を放ちながら接近を行ってくる。

 

「ぢゅぢゅうううぅぅぅっ!!」

 

「来たわっ!!」

 

 パープルハートが全員に注意を促す。だが、ここで簡単に崩れる光樹達ではもうなかった。それに一番に対応したのは、意外にもビーシャだった。

 

「もう好き勝手にはやらせないよっ!「マルチブラスト」、全弾発射ー!!」

 

 両腕にゴールドサァドの力で分身させたバズーカを構え、一斉に発射する。それらの弾丸は電撃によって本体には当たらなかったものの、ワレチューの進行速度を抑える。それどころか、電撃を押し返してしまったのだ。

 そこで更なる追撃を行う。パープルハートと光樹はバズーカが撃ち終わると同時に突撃する。光樹が真っすぐワレチューに突っこみ、パープルハートは回り込みながらの接近だ。まず攻撃したのは光樹だ。機体のウイングスラスターを全開にして一瞬でワレチューの懐に飛び込む。

 

「ぢゅ……」

 

「遅いっ!!」

 

 ワレチューが驚きの声を漏らす前にその胸部を思い切り拳で殴りつける。殴りつけた衝撃が空気を振動する。空気をも振動させるゴッドクロス・ダイの一撃だが、それに続けて回し蹴りがワレチューの顔を直撃し、吹っ飛ばす。

顔を思い切り蹴とばされ、ワレチューは瓦礫の山に激突する。だが起き上がる前に光樹とパープルハートが攻撃を放つ。

 

「パープルハート!」

 

「えぇ!三十二式……エクスブレイド!!」

 

 パープルハートの声と共に、上空に光の剣が生成される。光樹の方も回し蹴りの終わり際から、そのまま「ミドガルズ・オルム」の発射態勢を取る。銃の形をとった手の先に、次元の力が収束する。

 そして、2人の攻撃が同時に放たれる。

 

『いっけぇぇぇぇーーーー!!』

 

 上空と地上からの二面攻撃は寸分狂わずワレチューに直撃する。丁度瓦礫から顔を上げたところで、攻撃は顔面を直撃。そのまま顔面部で爆発を起こす。

 爆風が光樹達に吹く。更に砂埃が戦場を舞う。この状態ではどちらも視認不能で、攻撃は仕掛けづらい。

 だが、そんな状況に構わず、攻撃を仕掛けた者がいた。煙の中から飛び出してくる、黒いネズミ……ワレチューだ。

 

「ぢゅぢゅぢゅぢゅううううーーーー!!」

 

 電撃で砂塵を弾き飛ばしながら光樹に向かっていく。その光景を見て、機体損傷を回復して武器を構えなおしていた絵里奈が叫ぶ。

 

「光樹君!危ないっ!」

 

 近づいてくるにも関わらず、光樹は絵里奈の声に耳を貸さないように立ち尽くす。だが、実際は違った。光樹は待っていたのだ。攻撃を通す、その瞬間を。やがて電撃が光樹の方に伸びる。

 

「光樹君っ!!」

 

「……大丈夫さ」

 

 絵里奈に対し、通信回線を開いてそう呟く。すると、電撃が直撃すると思われた瞬間、光樹の機体が大きく前方に倒れる。そのまま地面に着くことはないその姿勢で電撃を避ける。狙ったような避け方に、ビーシャとDRXが驚く。

 

「えっ!?何その避け方!?」

 

「姿勢を低くしつつの回避……これなら、すぐに攻撃に」

 

 DRXの1機、R2の言葉通り光樹は傾いた姿勢から前に足を踏み出す。そして地面を蹴り上げると同時にウイングの出力を最大まで高めて、一気に放出、加速する。

 初速を上げての突撃に対し、再びワレチューの電撃が迫る。だが、こちらの方が突っこむスピードが速い。加えて、光樹の方も電撃の流れに対応していた。迫る電気の柱と網に対し、機動力だけで回避していく。

 攻撃を避けていくうちに分かる。確かに瞬間的な攻撃は早い。けど、よく見れば当たりはしない。それに必ず電撃を放つ前にはワレチューの尻尾に電気が走る。それを見た上でなら、回避も容易だ。

 その言葉の通り、光樹は迫りくる電撃をすべて回避し、懐まで飛び込む。だが、そこでワレチューも不意打ちを仕掛ける。突如電撃を放出するのをやめ、代わりに力を溜めて一気に尻尾を突き出してくる。唐突な、かつ狙い澄ました一撃は流石に光樹も避けきれない―――

と思われたが、その攻撃を光樹は瞬発的に避ける。

 明らかに当たると思われた一撃を、光樹は避けてしまったのだ。それを見ていたパープルハート達も目を見張る。

 

「あれを避けた!?」

 

「光樹君……今までの動きと違う……まさか、記憶が?」

 

 絵里奈の言う通り、光樹は記憶を取り戻していた。鈴や絵里奈達と共に戦った、中学3年間の記憶だけではあるが、日常も戦い方も思い出していた。その影響で、光樹は先程の攻撃に思考よりも先に体が動き、攻撃を回避するに至ったのだ。

 光樹を狙った尻尾の4本はそのまま空を通り抜け、地面に突き刺さる。手ごたえがないことでようやく避けられたことに気づいたワレチューは残った部分から電撃を放電する。不意の後ろからの攻撃。だが、今の光樹にはそれは通用しない。光樹は後ろの様子を映すカメラに自然と目を向けて、攻撃をウイングスラスターの噴射で回避する。回避したところでそのまま敵の顔面を殴りつける。流石に口でそれを捕らえるなどという芸当は出来なかったのか、攻撃はそのまま通り、ワレチューは大きく吹っ飛ばされる。

 次元の拳で殴られたワレチューは何度か地面を転がって、途中で停止する。顔を抑え、頭を振る。ワレチューにダメージが重なりつつあったのだ。

 そろそろ決めに掛かった方が良いかもしれない。限界を超えたゴッドクロス・ダイと言えども、DAIモードの制限時間はもう残り25秒ほどだ。このまま戦っていたら、先にDAIモードの時間の方が尽きる。

 制限時間を考慮し、光樹は全員に提案を入れる。とはいえ、提案というよりは、頼みであったが。

 

「みんな、今しかない。もう一度全力攻撃を!!」

 

「よっし、了解だよ」

 

「光樹?……あぁ、承知した!!」

 

 その声にビーシャとDRXがすぐに反応する。2人ともあまり深く考えないタイプのため、すぐに返事をする。一方のパープルハートと絵里奈も事情を察して答える。

 

「意外ね。もう少し削ると思ったのだけれど……」

 

「たぶん制限時間だね。分かったよー、私の全力、ぶつけちゃうよ!」

 

「なるほどね。なら、この一撃にすべてを賭ける!!」

 

 パープルハートが機械刀を構える。その刀にシェアの光が収束していく。大技の準備だ。そして、攻撃は開始される。まずは、ビーシャの攻撃からだ。

 

「いくよっ!とうっ!!」

 

 背部の球体ユニットのスラスターを吹かせ、ジャンプと共に大きく飛翔する。バズーカもサイドグリップを展開し、バズーカを保持する手とは反対の手でそれを構える。如何にも大技を放ちそうな構えだ。

 最高到達点となったところで、ビーシャはバズーカから、最大火力の必殺技を放つ。

 

「バズーカモードスキル!いっけぇ、アトミック・オーバーバズーカ!!」

 

 バズーカより実体の弾頭が放たれる。速度は遅いが、ワレチューとの距離をすぐに縮めていく。そのまま意識をはっきりさせようとするワレチューに弾頭が直撃する。すると、その弾頭が光を放って大爆発を起こした。

 爆発は、今まで放った攻撃の余波全てよりも規模が違った。そして、強烈なまでの光と爆風が見ていた者達を襲う。

 まるで、核爆発のような爆風が収まると、爆心地にいたワレチューの姿が明らかとなる。その体に存在していた装甲にすすなどが大量に付着していた。それを掃ってワレチューが吠える。

 

「ぢゅ……ぢゅうううぅぅぅ!!」

 

 しかし、当然これで終わりではない。既に他の者が次の攻撃態勢に入った。次はDRXの攻撃であった。呼び寄せたDRXの支援機であるRマグナム・レイが銃の形態へと姿を変えていた。それを手に持ち、エネルギー充填を完了させたDRXはアトミック・オーバーバズーカの余波が終わったところで続けざまに放つ。

 

「いけよ、次元無敵の、一発必中砲!!」

 

 DRX最大の一撃、「限界突破一発必中砲」を繰り出す。大出力の一撃は、ワレチューを撃ち抜き、連続した爆発をワレチューの纏っていた装甲に生じさせる。装甲の溶解がさらに目立っていく。

 だが、連携攻撃はまだまだ続く。今度はエネルギーを溜めていたパープルハートと絵里奈のガンダムが相手となる。パープルハートは腰だめに機械刀を、絵里奈は上段からの振り下ろしの構えでANZXアームズ・セイバーモードをそれぞれ準備していた。そしてDRXの攻撃が終わったところで、2人は同時に溜めていた力を解放する。

 

『行く(わ)っ!!』

 

 2人の合図と共に、それぞれの剣に光が凝縮される。それぞれ圧縮されたシェアエナジーとAN粒子が一回りはおろか、二回り以上の大きさを誇る光剣を形どる。

 圧倒的なまでのエネルギー剣「オーバーライトブレイド」と「限突至煌剣」。2つの刃が、2人の使い手と共にワレチューの方に向けられる。スラスターを全開にして一気に距離を詰める2人。続く攻撃に対応できないワレチューからの妨害なく、攻撃が届く範囲にたどり着いたところで2人の剣戟が炸裂する。

 

「せぇい!!」

 

「たぁ!!」

 

 パープルハートが横から、絵里奈が上から放つ一閃を繰り出す。剣の軌跡が十字を生み、ワレチューに大ダメージを与える。2人の同時攻撃がワレチューを中心に爆発を生む。攻撃を終えた2人は、そのまま距離を空ける。

 次々と繰り出されていく大技。それらはすべてワレチューにとって脅威の一撃となっていた。ワレチューが肩で大きく息を吐いていた。

 

「ぢゅ……ぢゅ……ぢゅううぅぅ……っ!」

 

 姿勢を維持するのに精一杯となっていた。だが、ワレチューもこのまま終わるわけではないようだ。尻尾を分割して4つにすると、電撃を間に形成する。更にワレチューの口も大きく開き、ビームのエネルギーを集中させる。その攻撃は、先程絵里奈達にダメージを与えた砲撃だ。雷撃のようなビーム「ボルテックス・フルバースト」の発射態勢を整えていた。

 だが、光樹もまた攻撃の準備は整えていた。ウイングユニットを後方に向け、両腕部を拳の形にする。その手には、既にAN粒子と次元力を大量に込めていた。制限時間内に、一発で決められるだけの粒子を込めて。

 そして、2つの影は同時に動く。

 

「ぢゅぢゅううううううぅぅぅぅぅぅぅっっっ!!!!」

 

「………………!」

 

 ワレチューの口部から圧縮された高出力ビームが放たれる。雷のような軌跡を描くそれは、地面を抉りながら光樹のゴッドクロス・ダイへと伸びる。光樹の方も、その中に向かって突撃する。次々と迫る雷撃ビーム。だがそれを光樹は肩と脚部のスラスターの噴射で回避していく。今までのような最大出力での回避ではない。スラスターの噴射制動が以前よりも無駄なく行われていた。

最小限の動きでの回避で光樹はワレチューをその拳が届く範囲に収めた。懐に飛び込まれたワレチューは足掻きと言わんばかりに砲撃の中で両腕部を光樹に打ち付けようとした。だが、その前に光樹がゴッドクロス・ダイの拳をその胸部に打ち込む。強力無比な、その機体の十八番とも言える技を。

 

 

 

 

「ディメンション…………ツインナックルッ!!!!」

 

 

 

 

 ワレチューの胸部をゴッドクロス・ダイの両腕部が強烈に打ち据える。打ち込まれた拳の影響で衝撃波が横に発生し、打ち込んだ方向の空気をも振動させ、ワレチューの胸部を大きくへこませる。へこんだ直後、装甲に亀裂が生じる。亀裂は徐々に大きくなっていく。

 その過程で、光樹のゴッドクロス・ダイのDAIモードが解除される。緑色の光が消失し、装甲が変形を始める。

 

 

 

 

 だが同時にワレチューが纏っていた装甲が、完全に破壊される。

 

 

 

 

「ぢゅ……ぢゅうぅぅぅ……」

 

 装甲が砕け、ワレチューは力を失ったかのように地面へと背後から倒れ込む。最初は警戒していたビーシャ達も、倒れたワレチューを見て、恐る恐る勝利の確信を得ようとする。

 

「……や、やったの?」

 

「えぇ。勝ったのよ。わたしたち」

 

「……そっか。勝ったんだ……わたし、モンスター相手に逃げなかった……んだ……」

 

 パープルハートからの勝利の報告を聞いて、ビーシャは安堵したのか、その場に倒れかける。幸い、間一髪の所でDRXが駆け寄り、その腕で抱きとめる。

 

「ビーシャ!?」

 

「大丈夫だ。多分疲れて気を失っちまったんだ……けど、まさかモンスターと戦えるようになれるなんてな」

 

「うんうん。良かったねー」

 

 取り乱したパープルハートも、DRXの言葉に一安心する。光樹もその様子を倒れたワレチューのそばで見る。一方のワレチューの方は、身体から赤黒い靄が抜け、小さな姿へと戻っていた。

 あぁ。これで終わったんだな。この戦闘も。まだワレチューやビーシャ達をああしてしまった少女とガンダムを倒してはいないが、それでもこの戦闘はひと段落だ。それに、ビーシャの方も困難を1つ乗り越えたみたいだし。

 ビーシャの周りを囲むパープルハートとDRX、絵里奈。それに集まってきていたアイエフとコンパ、鈴と勇也を見て、どこか安心した気持ちを抱く。そして光樹も、その中へと混ざりに行くのであった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。これにて猛争・武装化ワレチューとの決戦は終了となります。

ソニア「結構長く続きましたよね、今回の戦い……」

ジャンヌ「ステマックスにローゼン、それにビーシャさんやDRXさんとの戦いも続いての戦闘ですから、余計にそう思うんでしょうね。実際今回の戦いひとくくりで十数話あるみたいですから……ですが、その分戦闘は多く描けたのでこれはこれでいいのではないでしょうか」

そうですね。戦闘を多く書けたのは少し嬉しいですね。それにあまり執筆が進んでいないといっても、ネプテューヌSTORYの最終話が見えて来てはいるので、書くペースも上がりそうです。

ソニア「あ、もうすぐネプテューヌさんの物語が終わるんですね!あぁー、しばらくネプテューヌさんが見れなくなっちゃうんですねぇ……」

ジャンヌ「ネプテューヌさんだけではないですよ?光樹さん達も含めた、プラネテューヌの担当者さんはほぼ全員がしばらくお休みですから」

それにステマックスとかマジェコンヌはまだまだ別の大陸で出ますからね。とはいえ、それまで少し話が続きますから、ね。それじゃあ次回予告行ってみましょうか。

ジャンヌ「そうですね。では次回の更新はまた1週間ほど空きます。藤和木がペースを取り戻すまでお待ちいただけると嬉しいです」

ソニア「それでは皆様、次回もお楽しみくだしゃい!……か、噛んじゃいましたぁ……」

まぁまぁ、気を落とさないで。

ジャンヌ「それがソニアさんの個性というものですから」

ソニア「はうぅ……すみませぇん……」


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第149話 プラネテューヌ事変終結

どうも、皆様ご機嫌いかがですか。先日はバレンタインデーでしたね。私の方はまぁ、リアルはお察し、こっちではジャンヌさん達に頂きました、藤和木弘です。

シエラ「はぁ、あれわざわざ作るの大変だったんだからちゃんと食べなさいよ?どうも、皆様。ソニアとレイさんの勢いと、ジャンヌさんからの要請で仕方なく藤和木にチョコを作ってあげたわ、シエラ・ムルセーヌよ。言っとくけど、本当に仕方なく、よ!」

レイ「あんまり強調しすぎると、「ツンデレ乙」ってきちゃうよーシエラちゃん。どうも、みんな!藤和木へのチョコはバトルスピリッツソードアイズで重要な役目をはたして、私やジャンヌちゃんと縁の深い12聖剣と裁きの神剣・真裁きの神剣を含めた、ソードブレイヴチョコを贈ったよー、レイ・オーバです!」

いやもうホントありがとう。多少就職関係で疲れた心に沁みますよ、本当に。さて、今回は第149話をお送りします。

レイ「前回でプラネテューヌでの決戦も終了!ネプテューヌちゃん達も光樹君も無事みたいだし、今回はどんな感じになるのかなー?」

シエラ「たぶん、状況報告とか、あと話を聞くんじゃないんですか?ワレチューに」

レイ「あー、そういえばそうだね。暴れまわったのワレチューだし」

シエラ「毎回逃げおおせているワレチューだけれど、今回も上手くいくかしらね」

ワレチューの運命やいかに!?それでは本編へー!


 

 

 何とか無事、終わったみたいね。大分こっちも被害は出たけれど、それでも連戦を考えると、この被害で収まったのはまだいい方だと思うけど。

 パープルハート達に勇也と共に合流した鈴はそのように感じつつ、疲れと緊張から気を失ったビーシャを見守る。しかし、この勝利はある人物の奮起のおかげでもある。鈴自身最初は認めていなかった、「彼」の存在だ。そして、猛争に取り込まれたネズミを倒した、「彼」もそのネズミの尻尾を掴んでこちらに合流する。

 

「みんな、無事か?」

 

「光樹君!」

 

「光樹。えぇ。みんな無事よ」

 

「遠目から見ていたけれど、大活躍じゃない。これはプラネテューヌ勲章をもらえるくらいの戦果よ」

 

「はは。言い過ぎじゃないのか、アイエフ」

 

 自身が出した戦果に、少し遠慮がちな光樹。だが、鈴としても、今回の光樹がこの戦いに与えた影響は大きいと感じていた。むしろ、今回は光樹が居たからこそ勝つことが出来たとも思っていた。光樹無しでは語ることが出来ない戦果を、鈴は素直に認めていた。だからこそ、鈴は光樹の言葉を否定する。

 

「……いいえ。今回ばかりは言い過ぎじゃないと思うわ。あんたが居なかったら、多分勝てなかった。さっきまでの限界を超えた、あんただからこそ、勝てたんだから。……もっと自信持ちなさい」

 

「鈴…………ありがとう」

 

 光樹から出た、ありがとうという言葉に、鈴は顔を少し赤らめてそっぽを向く。記憶が失っているとはいえ、面と向き合って言われたのが気恥ずかしく思えたからだ。

 

「そ、そんな素直に言うんじゃないわよ……」

 

「ははっ。鈴、照れてんのか?」

 

「そ、そんなんじゃないわよ!勇也、いい加減にしなさい!」

 

 鈴の表情の変化を茶化す勇也を怒る。基本的に勇也にからかわれるのは嫌だったが、よりにもよって態度の変化に対して弄られるのが気に食わなかった。鈴は勇也に食って掛かろうとする。

 

「ちょっ!?鈴落ち着けって!?」

 

「ざっけんじゃないわよ!絶対許さないんだから!!」

 

「あはは……勇也さんとばっちりですね……」

 

 鈴と勇也の言い争いにコンパを始めとする女神組にも笑いが起こる。傍から見れば完全に八つ当たりだ。鈴もこうなった以上、勇也に当たらなければ後々光樹に付け入る隙を与えることになるため、ますます勇也に対する当たりを強くする。

 だが、それを収めたのは意外にも事の中心となっていた光樹であった。

 

「まぁ、あれが鈴の平常運転だからな、無理もない。GKSWAXPを、SSRのNPマスターからやめさせるのにも苦労したわけだし」

 

「平常運転ってな……ちょっと待って。何でその話が出てきて……まさか、記憶が!?」

 

 光樹からの発言に鈴は勇也に上げていた手を止める。鈴だけではない。鈴からの制裁を受けていた勇也、そして絵里奈が光樹の方に視線を向けていた。一斉に向けられる目線に少し困った様子を見せる光樹ではあったが、すぐに3人の問いかけとも言える対応に答える。

 

「……ああ。って言っても、高校に入る前の所までの記憶だけどな。とはいえ、日常の記憶は俺が記憶を失う前まで残っているわけだから、少しややこしい状況だけど」

 

「そうなんだぁ……記憶が戻って、良かったねー」

 

 絵里奈は記憶の思い出しに安堵した様子を見せる。鈴も内心喜んでいた。中学3年間だけとはいえ、そのレベルの戦闘スキルが蘇ったのだから、これは大きな戦力向上だからだ。……と言い聞かせるも、実際は自分達と戦った記憶を思い出してくれたことに喜びを感じていた。

 そんな鈴の気持ちを察してかは分からなかったが、光樹が主に鈴に対して、初代SSRメンバーへ感謝とこれからについて言う。

 

「そうだな。……けど、まさかGKSWAXPを辞めたはずが、まだ俺と共に戦っているなんてな。だけど、状況は一刻を争うみたいだ。……まだ戻り切ってはいないけど、これからも、俺と共に戦ってくれるか?」

 

「…………フン」

 

 ワレチューを掴む手とは反対の、差し出された手を鈴は払いのける。その行動には見ていた全員が驚愕する。しかし、鈴は戦うことを拒否したわけではなかった。別の事で苛立ちを感じたため、その手を払ったのだ。そして鈴は言い放つ。

 

「バカバカしいわね。あたし達はあたし達の意志で戦っているのよ。……そんなの、言わなくても分かるでしょ、今のあんたぐらいなら」

 

「……ふふっ。そうだな。訊くまでもないか。……ありがとう」

 

「……別にそんなこと言わなくていいわよ」

 

 鈴は背を向ける。そんな2人の会話に普段ならパープルハートことネプテューヌが「おおーっ、ツンデレだ!ノワールとおんなじだ!」とでも茶々を入れるのだろうが、そんな発言をする人物はいなく、本人であるパープルハートもその様子を微笑ましく見ていた。おそらく、言っていたならまた否定していただろう。

 光樹との互いの認識を経たところで、問題の人物が目覚める。いや、この場合、ネズミと言った方が良いだろう。そのネズミとは当然、暴れていた本人であるワレチューであった。

 

「……ちゅ?」

 

 光樹のゴッドクロスに尻尾を吊られ状態で目が覚めたワレチューは、未だはっきりとしていない意識の中で、頭を振って状況を確認する。

 

「……あ、あれ?オイラはいったい……。って、ななななななんでお前らがここにいるっちゅか!?というか、なんでオイラは尻尾を掴まれて宙づり状態なんだっちゅか!?しかもガンダムに!!」

 

「おい、ガンダムにってなんだ、ガンダムにって。お前も次元が変わっても相変わらずだな」

 

 唐突なガンダムへのディスりに光樹は不服を言う。同時に持っていた尻尾を離して、ワレチューの体を地面へと落とす。地面に頭から落ちたワレチューは地面に激突した部分を抑え、逆に文句を言う。

 

「な、何をするっちゅか!わけも分からない間にいきなり掴んでおきながら……」

 

「まぁまぁ、落ち着いてくださいです。……それよりも、記憶がないですか?」

 

 喧嘩を仲裁しつつ、コンパが状況の確認を行う。ワレチューもコンパからの問いを受けて、

状況を整理しようと記憶を辿る。そうして帰って来た問いは……。

 

「……記憶っちゅか?確か、変な女に追われて……。………………あ」

 

 ただ一言、呟く。加えて表情が一転して険しいものに変わる。その表情は如何にもやらかした、というものであった。アイエフも表情の変化を見逃さず、ワレチューに詰め寄る。

 

「どうやら、しっかり覚えているみたいね」

 

「ご、誤解っちゅ!これはあの女のせいで、オイラが暴れたくて暴れたんじゃないっちゅ」

 

 必死に弁明をするワレチュー。しかしながら、それをアイエフは許さず、自分の意志でやったのではと決めつけをする。

 

「そんな見え透いた嘘に引っかかるとでも思ってるつもり?」

 

「嘘じゃないっちゅ!クールガイなオイラの胸の奥から、暴れたい衝動が沸き上がってきたんだっちゅ」

 

 しかしながら、ワレチューもアイエフからの疑念と今までの恨みから来る怒りの問いかけに真っ向から反論する。如何にも犯人と刑事の取調室でありそうなやり取りだ。鈴もアイエフの、ワレチューを疑いたくなる気持ちは理解できる。これまで逃げられ続けたり、欺かれたり、挙句の果てにはまた逃げの弁解を通して、信じるというのは些か無理な話である。

 まぁ、ワレチューは今の今まで自分の自我を取り戻していなかったから、取り戻す気がなかったっていうのは言えているかもしれないわね。ビーシャとDRXは途中から自我を取り戻し始めたところで、光樹のトランザムレボリューションバーストで何とかなったけれど、ワレチューはその素振りすら見せなかったわけだし。嘘っていうのは間違ってはいないかもしれないわ。ワレチュー本人が思っていても、実際に何か影響したわけじゃないし。ここはアイエフの方に味方をするわ。

 アイエフに続き、鈴もワレチューの心の奥にあったであろう考えを突こうとする。

 

「へぇ。その割には、ネプテューヌ達を思いっきり拒絶してたみたいだけど?」

 

「あ、あれは……その……オイラの今までの女神に対する恨み、というか……」

 

「決定ね。もう一度牢屋に入れましょう。今度は絶対に逃げきれないようなやつで」

 

 ワレチューの失言にアイエフが流れでこの後の流れを語る。その言葉の発音から、絶対に逃がさないという信念が伝わってくる。これはアイエフもまた本気のようだ。アイエフの怒りと言う名のオーラがひしひしと周りの人物達にも感じられていた。当然、聞き手であったワレチューは身の毛もよだつほどの危機感を抱き、それだけはやめてほしいと嘆願する。

 

「そ、それだけは勘弁を……」

 

「では牢獄に入るかどうかの前に、先程の話、詳しく聞かせていただけますか?」

 

 すると、そんなワレチューに助け船とも言える発言が飛ぶ。それは幼さと大人らしい声質が合わさったような、補佐を行う秘書のような女性の声だ。その声を鈴達は聞いたことがある。忘れるわけがない。なぜなら、彼女は自分達が現在お世話になっている教会の職員の1人なのだから。

 声のした方角に視線を向けると、そこには本に載った小人サイズの女性の姿。間違いない。プラネテューヌの教祖であり、ネプテューヌのサポーター兼保護者であるイストワールだ。その隣には先程戦線を離脱したパープルプロテクターの装着者である海優と同じ防衛軍の隊員が警護のように同行していた。

 いきなり現れたイストワールにアイエフも怒っていた表情から改めピシッと背筋を伸ばして対応する。

 

「イストワール様!?どうしてここに!?」

 

 アイエフの驚きは当然だ。普段なら教会の方での仕事がメインの人物が、先程まで戦場であったこの場所にいつの間にかいるというのは虚を突かれる出来事なのだから。とはいえ、考えてみるとそれは当たり前の事であった。

 これだけの騒ぎが起きているのにも関わらず、女神が不在の状況であると思っているイストワールが、街中でのモンスター騒ぎが起きているというのを知れば、確かめる必要がある。最悪イストワール自身が前線で行動することも考えられる。それ以上に、プラネテューヌ防衛軍の一員である海優が来ているのであれば、防衛軍の代表から国の代表各所に通達が出ているはずだ。海優達がここにきているのが、何よりもその証拠だ。

 鈴も最初こそ驚いたものの、その事と結びつき納得していた。そして、イストワール自身の口からも同じような理由が語られる。

 

「街中からの騒ぎと防衛軍の方から話を聞いて、様子を見に来たのですが……。どうやら既に解決したみたいですね」

 

「えぇ。女神とゴールドサァド、そして、ガンダムにプロテクターという全戦力で食い止めることが出来ました」

 

「わ、私はあまり活躍出来ませんでしたが……」

 

 鈴の報告を耳にして、海優が気恥ずかしそうに自らの失態に気分を沈める。だが、そんな彼女を励ます。

 

「そんなことはないわ、海優。あなただって最初の流れを掴むっていう重要な役目を果たせたんだから」

 

「で、でも……」

 

「そうそう。俺や鈴はそもそも戦いに参加することすらも出来なかったんだ。むしろ戦えただけいい方なんだぜ?」

 

 遠慮しがちな海優に対し、勇也が自分達の例を挙げてよい方へと持っていこうとする。勇也の発言には鈴も少し引っかかったが、それは事実だ。自分達は光樹のガンダムにAN粒子を供給するだけで、直接戦うことは出来なかった。結果的にはそれで勝つことが出来たのだから良かったのではあるのだが、それでも少し心の中では心残りがある。

 しかし、戦場では心残りはあまりよくはない。対象を倒すことばかりに集中してしまうと、周りが見えなくなってしまうこともある。ただ生き残ることを第一に考えなければ、勝利は出来ないのだから。それを考えると勇也の発言は実例を交えた良い例えだ。

 しかしながらそれでもなお海優はそのことにこだわる。

 

「それはそう、だけど……」

 

 流石に鈴も聞いていてうっとおしくなってしまう。素直に受け止めればいいのにということを鈴は言い聞かせる。

 

「あんまり快く受け止めないのは良くないわよ。自分にとっても、相手にとっても、ね」

 

「あ……は、はい!分かりました」

 

 鈴のため息交じりの発言を聞いてようやく海優も状況を受け止める。まるで昔の自分を少し見ているような気分だ。とはいえ、今はそれに浸る暇はない。鈴は話が終わったのを見計らって発せられたイストワールの言葉に注目した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、確かワレチューと言いましたね。おそらく、あなたの姿を変えたのは猛争化現象、それに機械化現象と見て間違いないでしょう。最近、ゲイムギョウ界で発生したこの2つの現象は謎に包まれていましたが、もしかしたらその謎を解き明かすことができるかもしれません」

 

 イストワールの口から語られたのはワレチューが陥っていた状況についてのことだった。猛争化と武装化、そのメカニズムには未だ不可解な点が多い。例えば病気などは基本的に発症した人を調べて病気の原因などを探る。イストワールが言っていることも、猛争化と武装化が本来の生命体の状態を異常化するものだとしたうえでの協力要請であった。

 しかしながら、この場で言うのならそれは言い換えるならモルモットと言うべきものだ。謎を解明するための実験体とでも言うべきものだ。イストワールの詳しく聞きたい、という話が本当ならその心配はないものの、そちらの方を想像してしまったワレチューは、身体をガクガクとさせて怯える。

 

「ま、まさかオイラをモルモットにするつもりっちゅか!?同じネズミでも、ネズミ違いっちゅよ!?」

 

「ま、まさかいーすんがマッドサイエンティストな外道キャラになってしまったなんて!?ゲームでは唯一、この作品の中でも光樹達と並んで数少ない常識人がぁぁぁ!?」

 

 ワレチューの発言を聞いて、女神化を解除していたネプテューヌも話に流されて驚いていた。

 ……ネプ子、あんた本当にそう思ってるの?イストワール様がそんなことをする人じゃないっていうのは私達がよく分かっていることでしょうが。まぁ、私としてはどっちかっていうとお望みならしてもらった方がいいんだけど。だって今まで散々騙されたり嵌められたりしたわけだし。埋めるよりはまだいいと思うんだけれど?

 驚きの後に続いた発言については無視をすることにして、イストワールもネプテューヌの考えを否定する。

 

「外道キャラになんて、なっていません。猛争化と武装化解明の為に協力してもらうだけです」

 

「なーんだ、それならそうと早く言ってよ。てっきり解剖とかするのかと思っちゃったよ」

 

「イストワールがそんなことするわけないだろう、ネプテューヌ」

 

 光樹もツッコミを入れる。そうしてネプテューヌの誤解が解けたところでイストワールは問題の中心となっていたワレチューに対し返事を聞く。

 

「さて、ネプテューヌさんは置いておいて、あなたはどうですか?協力してくれれば、お礼として今まであなたが起こした事件や騒動を少しくらい許してあげることもできます。と、言っても、執行猶予くらいですが」

 

 情報提供の代わりにこれまで起こした事件などの罪を一部免除する。それはワレチューにとっては魅力的な話だろう。何せ、この騒動だけではなく、プラネテューヌ襲撃やゲーム機強奪の件も罪の免除に入るのだ。ここでまとめて清算すれば、もし、後々更生するという時にも楽だろう。

 しかしながら、ワレチューからの回答は、イストワールが望んでいるだろう答えではなかった。

 

「……だとしても、教会に協力だなんてオイラのプライドが許さないっちゅ。生まれついてのワルのオイラにはアウトローがお似合いっちゅ」

 

「え、こんな魅力的な話なのに、断るっていうのか?」

 

 ワレチューの発言に勇也からも問いかけが入る。しかしながら、今まで教会関係に対立していたワレチューから出てくる言葉としては、考えられることではある。

 ところが、それもイストワールは予測していたのであった。断られると、残念そうにしながらも淡々と現実を突きつける。

 

「そうですか。……では、今回の騒動の賠償として100億クレジットの請求と、身柄の拘束をしなければいけませんね」

 

「ひゃ、ひゃくおくっちゅか!?」

 

「100億て……」

 

「す、すごい金額出てきちゃったねー……払えるのかな?」

 

 唐突に出た、被害総額100億という金額にワレチューだけではなく光樹と絵里奈も驚く。ゲイムギョウ界でもそうでなくとも、100億もの巨額への驚きは同じだった。

 普通は払えない額ね。ワレチューでもそうでなくても払うのには一苦労なはずよ。これで払うって言ったらすごいと思うけれど、このネズミならまずありえないわ。となれば、教会や女神を嫌っているこいつなら、逃げるしかないわね。

 けど、果たしてこの状況から逃げられるかしら。いくらネプ子達に撃破されて体力は減ってる。しかもこっちは元々のメンバーに加えてプラネテューヌ国防軍の隊員達もいる。どこを向いても敵っていう状況から逃げることなんて出来はしないはずよ。

 更にイストワールは追い打ちを掛けるように言葉を続ける。

 

「……残念です。あなたが、協力してくれれば、その成果をもって、賠償はなし、これまでの事も執行猶予を与えようと思っていたのですが」

 

「うっ」

 

 それらの言葉にワレチューは躊躇いを見せる。一方アイエフ達もどうするべきか迷っていることを指摘する。

 

「傾いてるわね」

 

「傾いているわね」

 

「あからさまに金額を聞いてビビってるね」

 

「ビビッてそのまま泣いたりしねぇか、これ」

 

「それはないだろうけども……けどワレチューはどっちにしろ覚悟を決める必要があるな」

 

「ワレチューの明日の未来はどっちだー」

 

 もはやワレチューが賠償金を払えることは誰も思っていない。これまでの行動を顧みれば当然の事だろう。そしてトドメにイストワールは強烈な誘い文句を口にする。

 

「それに、今ならコンパさんが教会に住んでくれているので、三食、彼女の美味しいご飯が食べ放題ですよ?」

 

 その一言に、ワレチューは枷を振り切った。

 

 

 

 

「まじッちゅか!?」

 

 

 

 

 ちょろい。思わずその場にいた全員が思った言葉だ。そんな考えを知らずに、ワレチューはそのまま自分の願望の為にイストワールへ協力を申し出る。

 

「それなら、このワレチュー、ネズミの名にかけて全力で協力させてもらうっちゅ」

 

「ネズミのプライドって何だろう……」

 

 先程までの言葉を全否定するかのような発言だった。ネプテューヌはワレチューが先程まで大事にしていたであろうネズミのプライドというものに疑問符を浮かべている。同じように鈴もあまりにも切り替えの早いワレチューの思考に頭を抱える。

 

「ネズミのプライドなんて、所詮その程度ってことなのよ」

 

「ネズミならそんなもんか」

 

「頭小さいもんねー」

 

「ネズミで賢いのは、猫と仲良く喧嘩するってフレーズのあのネズミキャラクターくらいだろ」

 

 ガンダム組で行われるネズミのプライドへの罵倒討議にアイエフもそうねと思う。コンパのことを出せば、すぐにこのネズミは従うというのは今までも分かっていたことだ。嵌められた時だって、コンパの嫌いという言葉で落ち込んでいるのだから。

 しかし逆に考えると、ワレチューは、メンタルは強いのかもしれない。嫌いと言われたその日のうちに、コンパのご飯が食べられるという情報だけで立ち直れるのだから。もっとも、ワレチューの場合は嫌われたということを忘れたという方が正しいのかもしれない。絵里奈の発言通りに、だ。

 ガンダム組4人に気にすることなく、ワレチューは早く教会に連れていくように急かす。

 

「さぁ、さっさと教会に行って猛争化と武装化について研究するっちゅ!」

 

「な……!ま、待ちなさいよ!!すみません、追いかけるので失礼しますっ」

 

 凄まじい速度で教会の方へと走り出すワレチューを海優と国防軍隊員達が追いかける形で離脱する。ワレチューの影が小さくなっていくのを見て、アイエフはため息を漏らす。

 

「相変わらずの手のひら返しね」

 

「そうね。変わっていないっていうか……」

 

「そうだな。前の時と世界は違っても、考えることは同じだもんな」

 

 鈴と光樹もアイエフの言葉に続いて呆れと笑いを見せる。しかし、ワレチューの事について集中していたアイエフ達を、コンパが引き戻す。

 

「そういえば、忍者さんと騎士さんはどこです?さっきまでいたのに、何処にもいないです」

 

 なんですって?私はすぐに辺りを見回す。まさかと思ったけど、コンパの言葉通り、周りには忍者と騎士の姿は一切なかった。

 

「ホントだ。いつの間にかいなくなってる」

 

「まさか……逃げられたのか?」

 

 この状況、光樹の言う通り、どうやら逃げられたようだ。忍者という姿通り、まさに忍んでこのプラネテューヌ関係者のいるこの場から抜け出すことに成功したのであった。

 まさにしてやられた、というものである。ネプテューヌも逃げられたことをどこか楽しそうに悔しがる。

 

「戦闘のドサクサにまぎれて逃げるなんて、きたないさすが忍者きたない!ついでに騎士もきたない!」

 

 悔しいのはこの場にいた誰もが思っていた。その中でもアイエフと鈴が逃がしたことに人一倍怒りを燃やしつつも冷静にこの後の事を考える。

 

「捕まえられなかったのは悔しいけど、あいつらが秘密結社の構成員だってわかっただけでも十分よ」

 

「そうね。それだけでも、今回は良かったんじゃないかしら」

 

「お2人の言う通りです。それに実態がつかめれば、自然と打つ手は決まっていきます」

 

 イストワールも2人の発言に納得を見せつつ、今回の事をねぎらう。

 

「さて、みなさんも疲れていることでしょうし、わたしたちも教会へ帰りましょう。……みなさん、ほんとうにお疲れさまでした」

 

「あぁ。今日はみんなでお祝いだ!ゲーム機奪還とプラネテューヌの防衛成功、それに……ビーシャの初戦闘も含めてな!」

 

「おおっ!いいねぇ!!」

 

 教会への帰還ということで、今日の祝いをしようという光樹にDRXが同調する。その様子を見ていた鈴がため息交じりに呟く。

 

「全く、相変わらず人を巻き込むんだから……。まぁ、少しは戻ったような気がしていいんだけれど」

 

 どこか呆れと懐かしむ気持ちの合わさった様子を見せる鈴。そんな鈴に対し、アイエフはこれでもいいのではと言う。

 

「まぁ、いいじゃないの。今日は色々あったんだし」

 

「……それもそうね」

 

 その言葉に鈴は納得を示す。そうしてアイエフ達は寝てしまったビーシャの様子を気に掛けながら教会へと戻るのであった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。次回のネプテューヌ編エピローグと総括の黒の館をもって、ネプテューヌ編が終了する予定になります。

レイ「いやー、長かったねぇ……前もジャンヌちゃんとか言ってたみたいだけど、本当に長いよ……。あと、ワレチュー軽すぎ」

シエラ「わたくし達が出てきたのが大体ネプテューヌ編の半分を少し過ぎたあたりですから……そこから数えるにしても結構長いですよね……。そうですね。あんな性格のやつは嫌です。」

まー光樹君が関わるから、多少光樹君に関連する事柄起こしているとこうなっちゃうよ。あとワレチュードンマイ!けれども、ノワール編とかでもNP装着者をメインとする話を考えてはいるけれども。

レイ「へぇ、そうなんだー」

シエラ「他のNP……っていうと、確か前に見たのだと、次はロートクウィーンとかいう機体なのよね?」

あんまり情報を先に開示したくはないけれど、まぁそうだね。シュバルトゼロ・ゴッドクロスとはフレームが共通した、同型シリーズの機体で、砲撃戦を得意とする機体だから、スピードより火力が見られるかな

シエラ「光樹よりはスピードが落ちた戦いになるってことかしら?」

んー、とはいえ並みのNPよりは機動性はあるよ。ゴッドクロスと比べると多少落ちるけども。まぁ、そこら辺は登場してからということで……。じゃあ、次回予告に行こうか。

レイ「りょーかい!次回は……えぇ、金曜日の投稿なの……?」

思った以上に作業が進みません……(´・ω・`)ごめんね。

シエラ「また書かせまくろうかしら。それじゃあ、次回もちゃんと見なさいよね」


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第150話 平穏を取り戻した街と未だ動く秘密結社

どうも、皆様お元気でしょうか。SSRの執筆も進めたものの、対して進んでいないということに焦りすらも覚えてきています、藤和木弘です。

レイ「そんな事言ってるけど、実際の所、明日発売のバトスピディーバブースターの方と就職先の企業の問題とで板挟みになってたの知ってるよ?どうもみんなー、今回のブースターの撮影は4人で担当を回しながらこなしたよ、レイ・オーバだよっ!」

ジャンヌ「どちらも気になるのは分かりますが、それでSSRの更新が止まるのはダメですよ?明日のディーバブースターで藤和木がわたくしのパラレルを当てられるのか、気になっています、ジャンヌ・ドラニエスですっ」

うん、Pl○ym○ker呼んでもらってもいいかな?(錯乱)

レイ「いや、それでも藤和木の場合無理だと思うよ?」

ジャンヌ「むしろ藤和木の場合、何かの手違いでパラレル枠にリバイバルジークヴルム・ノヴァが当たりそうですよね」

やめて!もう私リバイバルノヴァは2枚あるから!ノヴァを当てるだけの運気があるなら、好きな詩姫のパラレル当てられるだけの運気もあるはずでしょ!?ていうかそんなことあったら即公式にテレフォンするわ!

レイ「まぁまぁ♪とりあえず、今回は第150話だよねっ。まさかネプテューヌちゃんの物語がキリの良い話数で終わるなんてねっ」

ジャンヌ「そうですね。この次はいつもの黒の屋敷を挟んでノワール様の物語になるようですし、長かったネプテューヌ様サイドの物語がここで終わるんですね」

はぁ……まぁ、そうだね。さて、ネプテューヌのストーリーはどんな形で終わるのか?それでは本編へ!


 

 

 プラネテューヌで起こった、ゲーム機の奪い合いと大襲撃事件から、数日後―――

 

「そういえば、ネプテューヌさん。盗まれた例のゲーム機は何処にありますか?」

 

「ぎくっ!?」

 

 教会の中で集まっている中、イストワールがふと、そのような疑問を投げかける。ゲーム機とはもちろん、件の騒動で主な原因ともなった、あの渦巻きマークのゲーム機である。思い返せば、それについてこの瞬間まですっかり忘れてしまっていた。

 そういえばそうだな。あれが今回の騒動の主原因でもあるわけだから、イストワールとしてはそれの所在は気になるはずだ。思い返せば、光樹と鈴もあのゲーム機の調査を考えていると言っていたような気がする。

 

「……え、えと……今、渡さなきゃダメ?」

 

 しかし、イストワールから話を振られたネプテューヌの歯切れは悪い。まるで、何か言いたくないような様子だ。もっとわかりやすく言うなら、何か悪いことをして、言い出しづらい子供のようだ。

 ところがそれに構わず、当然と言わんばかりにイストワールが言葉を続ける。

 

「秘密結社の狙いが分かった以上、これは厳重に保管しようと思います。それに、前に光樹さん達も調べてみたいと言っていたので、この機に教会側でも調査しようと思っていますので」

 

「あぁ……そういえば、そんなこと言ってたなぁ……」

 

「そうね。あの戦いで破損が重なっていたMPとかの修理に掛かりっきりだったから、完全に忘れていたわ」

 

 光樹と鈴がそう言われて思い出す。2人も記憶からそのことが抜けていたようだった。しかし、それは無理もない話ではある。鈴の言う通り、勇也達は今回の騒動で中破・大破した機体の修理を行っていて、それどころの話ではなかったのだから。

 鈴と勇也の機体は大きく大破し、予備のパーツを取り寄せて修復した。戦闘中に破損個所をリカバリーパックで補修した絵里奈のR-ZXもあくまで応急的な修理だったため、それ以降の戦闘で使うためにやはり同じようにパーツの交換などが行われた。R-ZXは腹部パーツを一度貫かれていたため、その付近の粒子回路などもほぼすべてを替えることとなっていた。

 幸いプラネテューヌ国防軍の格納庫とメカニックを借りることは出来たので、修復は順調に進み、つい先ほど修復が完了したばかりだ。これはMPとシェアプロテクターにある程度の共通点があったからこそのものである。

 修復直後の慣らし運転もしなくてはならないと思いつつも、今はゲーム機の方に集中する。だが、光樹と鈴の話を聞いて、ますますネプテューヌ表情を曇らせていた。

 

「あー……やっぱりそうだよね……けど、まさか光樹達までそんなことを……」

 

「そういえば、ネプテューヌも聞いていなかったんだってな。突然で悪いが、これも秘密結社の目的を阻止するのと光樹達の疑問解決のためだ。渡してやってくれないか」

 

 渡すのを拒むような態度を見せるネプテューヌに渡すように促す。同じくアイエフとコンパも一緒になって言う。

 

「なによ、ネプ子。ずいぶん、歯切れが悪いわね。別に減るもんじゃないんだし、勇也の言う通りでもあるんだし、渡したら?」

 

「まさか、ねぷねぷ、壊したりなくしちゃったりしたですか?」

 

「さすがにそれはネプ子でもないでしょ。せっかく取り戻したゲーム機なんだし、間違って壊すならまだしもなくすなんて……」

 

「そうだよねー。ゲーム機ソムリエだっけ?その称号を持つネプテューヌちゃんが、そんな素人みたいなことするわけないよー」

 

 2人の会話に絵里奈も混ざって茶化しを入れる。全員ネプテューヌが無類のゲーム好きという所から、ゲーム機を持ってはいるものの渡すのを嫌がっていると思っていたのだ。

 その考えはもちろん勇也の頭の中でも思っていた。絵里奈の言っているように、ゲーム機ソムリエのネプテューヌが、貴重なゲーム機を渡したくないのだと思い込んでいた。だが、ふとネプテューヌの顔を見て、何か嫌な感じをしてしまう。ネプテューヌの額には汗が浮かんでおり、苦しそうな表情を先程よりも強く出していた。

 ……んん?まさか……?嫌な予感がしたと俺が思った時には時すでに遅く、ネプテューヌは自らの重い唇を開いた。

 

「ううっ……。あいちゃんと絵里奈が逃げ道を塞いでいく件」

 

 その発言に、聞いていた全員がどよめく。ようやく状況を理解したアイエフがネプテューヌに詰め寄って真偽を確かめる。

 

「あ、あんた……まさか、本当になくしたの!?」

 

 聞きたくない事実。だがネプテューヌはその口から、どうしようもない事実を語りだす。

 

「……実は、あの戦闘のあと、無いのに気づいて、けどなかなか言い出せなくて……」

 

「あー……」

 

「なんで、それを早く言わないのよ!親が怖い、子どもかアンタは!?」

 

 アイエフのツッコミ口調の叱りが炸裂する。アイエフだけではない。同じような性格である鈴も呆れを交えつつも怒る。

 

「もう少し、早く言ってくれるかしら……!?女神様なら、報告・連絡・相談はしっかりしてほしいんですが……」

 

「あうう……ごめんなさい……だって、怒られると思って……」

 

 鈴お得意のホウ・レン・ソウが決まっていく。その追撃にネプテューヌからも反省の声が漏れる。本当に女神様なのだから、そういったことには貪欲でいては欲しいと思う。とはいえ、なくなったものは仕方がないだろう。この場合、なくなったというよりかは、「盗られた」という方が正しいだろうが。アイエフも気を取り直して犯人の目星を付ける。

 

「まったく、あんたときたら……。てなると、犯人はむっつり忍者と薔薇すぎる騎士ね」

 

「その方が考えやすいってものね。いつの間にか消えてもいるし、多分あいつら、秘密結社の中では相当のやり手でしょうね」

 

 盗んだ犯人はほぼ間違いなくといってその2人である。しかしながら、それらの話を聞いてまだ冷静でいられるイストワールは流石であろう。早めに考えを切り替えて、なくなったものは仕方がないとしていた。

 

「盗まれたものは仕方ありません」

 

 ゲーム機を盗まれて、落ち込むネプテューヌを励まそうとする発言。だが、それは却ってネプテューヌを上機嫌にさせることとなった。

 

「そうそう。どうせ秘密結社を何とかしなきゃいけないなら、その時に取り返せばいいだけだよ」

 

 いや、お前その発言はないだろうに……。俺の予想通り、ネプテューヌに非難の雨あられが飛ぶ。

 

「……盗まれた張本人が言うと説得力ゼロね」

 

「……そうね。聞いてて呆れるというか……。多分女神様じゃなかったら、間違いなく独房に入れていたわね……」

 

「あはは……確かに結果的にそうなればいいんだけど……ネプテューヌちゃん、すごいポジティブだねー。よくそれで今まで国のトップとしてやれてると思うよー」

 

 プラネテューヌ組の常識人であるアイエフと鈴からの鋭い言葉と、絵里奈のほんわかな毒舌が飛ぶも、ネプテューヌは気にもせずに結論を言う。

 

「絵里奈の言う通り!人生、何事もポジティブシンキングだよ、あいちゃん、鈴!」

 

「あんたは、人をイラつかせる資格でも持ってるのかしら?」

 

「……流石にちょっと自覚持ってほしいわ。修正した方がいいかしら……?」

 

「鈴、流石にやめておけ。これでも女神なんだぞ」

 

 鈴からの直接的な叱り発言を受け、慌てて光樹が止めに入る。いくら女性同士とはいえ、これは暴力沙汰になってしまえば後々面倒だ。が、勇也も苦笑いをしているものの、ネプテューヌの発言には考えるものがあったのも事実である。

 一方、当の本人であるネプテューヌからは反省の言葉ではなく、更に煽るような発言が来る。

 

「なんのことかな☆」

 

『イラッ』

 

「ネプテューヌ……」

 

 真面目女子2人のイラつきの擬音が聞こえる。光樹ももう止めようとはせず、逆にネプテューヌに哀れみとも言える目つきを見せる。これは2人の怒りが爆発しないように祈るばかりだ。

 2人の怒りを見て話の論点をすり替えようとしたのか、それともただの天然か、コンパが唐突に話の中心を変えた。

 

「ところで、いーすんさん。ビーシャさんとDRXさん、それにネズミさんはどうしてるですか?」

 

 話の内容は今回の事件で謎の少女達によって洗脳されてしまった者達の現在だ。洗脳が解けたとはいえ、今回の事件は彼らにも少なからず影響を与えている。それが心配なのだろう。

 だが、その質問に答えたのはイストワールではなく、あの人物……いや、ネズミであった。

 

「彼女なら、うちの店で働いてるでちゅわよ」

 

「チューコさん!?」

 

 いきなり発せられたそのネズミの声に、コンパは思わずその名前を叫んでしまう。だが、コンパの驚いた表情を見て、ネズミの店長ことチューコは聞き飽きたとでもいうべき表情で注意する。

 

「もう、こんなチャーミングなわたしに驚くなんて失礼でちゅわね」

 

「ごめんなさいです。けど、働いているって、どういうことです?」

 

 コンパはいきなり大声を出してしまったことを謝りつつ、質問をする。この時勇也達も、チューコの発言には引っかかりを覚えていた。今でもビーシャは一応プラネテューヌのトップだ。当然お金の工面には困らないはずなのだ。それなのにお店で、それもわざわざ知り合いであるチューコの下で働くというのは非常に気になるものであった。

 すると、コンパ達の疑問を先程答え損なう形となっていたイストワールが事情を説明してくれた。

 

「なんでも、彼女のお店はモンスター系の市民に人気があるらしく、そこで徐々にモンスター慣れをしていくとのことです」

 

 なるほど。それなら合点がいく。ビーシャは先の事件でモンスターと戦えたものの、まだ克服しきれてはいない。これからもモンスター達と向き合って(戦って)いくためにも、まずは多くのモンスターと触れ合っていくことが大事だと考えたんだろう。

 とはいえ、いきなりモンスター討伐を1人でやるというのはハード。そこでモンスターとの関わりが多いチューコの店で手伝いをしながらモンスターに慣れていく、としたのだ。

 関係なさそうに見えるが、これもまた恐怖症を克服するためのいいトレーニングだろう。イストワールの説明にチューコも相槌を打つ。

 

「そういうことでちゅわ。最近はだいぶモンスターにも慣れてきたようでちゅわ。始めた頃によく顔を出していたDRX達も、見回りに寄るペースも少なくしているようでちゅち。こっちも、彼女のおかげで、人間の子どものお客が増えて、商売繁盛でちゅ」

 

「へぇ、DRX達もパトロールしつつもビーシャちゃんを見守っているんだねー」

 

「修理の時には顔を見かけることはあったけど、まさかパトロールと保護者していたとはね。それは気づかなかったわ」

 

 絵里奈と鈴もDRXの行動に納得する。ビーシャもDRXも、お互いのやるべきことをやっているのである。質問をしたコンパも頷きを返すも、新たな疑問に触れていく。

 

「それは、よかったです。……あれ?けど、どうしてここにいるですか?」

 

 そう。なぜ教会にいるはずのないチューコがここにいるのか。それは大きな疑問である。教会に用事があるのであれば、納得はいく。しかし、そうなるとそれは何なのか。すると、質問を投げられたチューコは頬を少し赤らめて、言葉に困る。

 

 

「そ、それは……」

 

 

 

 

「ワレチューさんとの面会のため、ですよね」

 

 

 

 

 すると、その疑問に答えたのはイストワールだった。唐突、かつ意外な答えに、一同はざわめく。

 

「え、ワレチューに面会?」

 

「あんな泥棒ネズミに?珍しいことがあるものね」

 

 光樹と鈴が揃ってネズミの面会という点に驚いている。盗みを数々行い、女神と対立してきたワレチュー。加えて彼女とワレチューは、かつての事件の容疑者と被害者なのだ。それなのに面会に訪れるというのは、かなり驚かされる事実だ。

 が、どうやらチューコとしてはそれを知られたくはなかったようだ。慌ててイストワールに文句を言う。

 

「ちょ、ちょっと!何勝手に答えてるんでちゅか!」

 

 普通なら、この時点で大体の状況は察することが出来る。もちろん、勇也達ガンダム装着者達もなんとなくは察していた。しかしながら、それを言われてもコンパはその深い意味を理解できずにいた。ワレチューに会うということを理解しながらも更に質問する。

 

「ネズミさんに、ですか?また、何か悪いことをしたんですか?」

 

 いや、これは反応からして、あれだろう……、と勇也は心の中でツッコミを入れる。少し天然系のコンパの様子を見ていると、本当に気づいていないのかと思うが、おそらく本当に気づいていないのだろう。それをよしとしてチューコは平静を取り戻して質問に回答する。

 

「退屈していると思って、うちのゲームを差し入れに持ってきてあげたんでちゅの。遊べるゲームがあれば、ゲームの違法コピーや違法ダウンロードする気も起きないはずでちゅわ」

 

 ゲームの差し入れという、明らかにおかしな意味を持つ単語が出たものの、チューコは詳しいことを隠す。だが勇也には分かった。これは完全に、ワレチューに心を惹かれたに違いない。

 チューコと鈴奈が先日の戦いの中で話してくれた、猛争・武装化が起こった時の説明からも、確かワレチューがチューコを庇う形でそうなったという話をしていた。その状況でおそらくチューコは気になってしまったのだろう。

 少し複雑な関係だと思う中で、チューコの発言にイストワールが若干悪意というか、いたずら心のある補足を加えていく。

 

「なので、チューコさんは毎日、こうして差し入れを持ってきてくれているんですよ」

 

「すごいです、チューコさん」

 

 話を聞いていたコンパがぱちぱちと拍手を送る。実に純真な反応である。しかしながら、チューコの気持ちを察した者達が勇也以外にもいるのは当然だった。

 

「はたして、それだけですかねぇ、あいちゃん。ニヤニヤ」

 

「んー……、そうね。私的には、それは後付で、ネズミに会いに来てるんだと、推測するわ。光樹も絵里奈と鈴の意見は?」

 

「あー、私もそんな感じはするー。全然あの感じを隠せていないもん~」

 

「絵里奈、よくそれを堂々と言えるわよね……って、まぁあなたの場合は隠す気がないっていうのが正しいけれども。とはいえ、まさかそうなるとはね」

 

「ほぅ、これはまさか、あれですかねぇ、あいちゃん、鈴、絵里奈」

 

「えぇ、間違いなくアレね」

 

「アレしかないわね」

 

「もう確実にアレだよー。乙女がときめくー、ア・レ」

 

 女子連中の間で恋バナが交わされていく。その光景を男性陣である勇也と光樹はただ苦笑いする。

 

「ははは……完全にあいつらの空間だな」

 

「そうだな。下手に入れないっていうか……まぁ、今回はチューコが素直すぎる反応したからな、仕方がない」

 

「とはいえ、それを黙って見逃すチューコではないようだぜ?」

 

 自分達が精神的には入れない空間について言葉を交わす男子2人。しかし光樹への返しの言葉通り、ネズミの女性店長も勝手に膨らむ自身とワレチューの関係に静止を駆けようとする。

 

「ちょちょちょちょっちょっと!勘違いしないで頂戴でちゅわ!わわわたしは中古ゲームショップで働く身として、違法コピーと違法ダウンロード撲滅と、ワレチュー更生の為に仕方なくやってるだけでちゅ!あの時、庇ってもらったからとか、ちょっと気になってるからとか、そんなことは全然、ないんでちゅわよ!!」

 

 必死に自分がワレチューを好きではないと弁明するチューコ。しかし、その反応と言葉は、どうしてもその疑惑を晴らすに至らず、むしろ逆にその関係のにおいをかえって濃くするだけであった。

 中古ゲームの鑑定士をやっているという話から、割と人生経験は多いのかと思っていたが、案外こういった話や経験には弱いようだ。やはりこういった側面は、話題として振らないと分からないものなのだろう。チューコもそのような経験をもっとしておけば、ここまでテンパりはしなかっただろうに、と思う。

 一方、からかう側であったネプテューヌ達は、顔をニヤつかせながら同じ言葉を呟いていく。

 

「青春ですなぁ」

 

「青春ね」

 

「青春だねー」

 

「青春よね」

 

 

「揃いも揃って、言わないでほしいでちゅのっ!!」

 

 

 教会の謁見の間に、チューコの悲鳴とも怒りとも取れる絶叫が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、失礼したで御座る……」

 

「も、申し訳ございません……王」

 

 ゲイムギョウ界のどこかにある、アフィモウジャス将軍の部屋を2人の戦士ステマックスと騎士ローゼン・ズールが出ていく。その様子は、とても穏やかではなく、慌てての体質であった。

 しかし、それにはそれなりの理由があった。そしてそれを命じたのは、他でもない彼らの上司であるアフィモウジャス将軍とシナンジュ王なのだ。

 シンと静まり返る部屋。その中で沈黙を守るアフィモウジャス将軍。

 

「………………」

 

 張り詰めた静けさの空気の中で、音声を発したのはシナンジュ王の方であった。

 

「……少し、気が引けるかな?」

 

 明らかにアフィモウジャス将軍に向けられたその言葉に、将軍もしばしの沈黙ののち声を出す。

 

「…………それが、あやつらのため……どれだけ非情でも、私達にはやらねばならん使命があるのだ」

 

「……そうだな。これは私達がやらなければならないことだ。彼らには内密に……」

 

 2人はよくやってくれた。あれだけの戦闘になったものの、何とかあのゲーム機を取り返し、持ってきてくれた。だが、あの質問だけは……このゲーム機が何なのか、それだけは話すことは出来ない。

 彼らの私達への忠誠心はありがたい。だが、それでもこのことだけは、今は話すわけにはいかない。話せば、彼らも巻き込んでしまうからだ。

 シナンジュ王は思う。もう、自分の起こす勝手なエゴに、誰かを巻き込むのはごめんだ、と。最後の扉を開くのは、自分だけでいい。それをアフィモウジャス将軍も同じことを考えていた。だからこそ、「あの話」は2人だけの秘密としていたのだ。

 

 

 

 

 2人は静まり返った部屋の中で思う。最後のステージで女神達と戦うのは自分達だけでいい、と。

 

 

CHAPTER 3 ネプテューヌSTORY END

 

TO BE CONTINUED

 

 

NEXT CHAPTER 3 超次元編 ノワールSTORY 「ZONE OF YANDERE」

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。次回は黒の館が入り、2回分終わればノワールの物語になります。

レイ「ノワールちゃんかぁ、楽しみだなぁ!けど、最後の方なんか怪しいっていうか……」

ジャンヌ「なんといいますか……彼らにも、何か思惑がありそうですよね……あれだけしっかりとした上司部下関係にヒビが入るだなんて……」

レイ「それも、上司の方が部下を気遣ってるみたいでさ。敵とはいえ、死んじゃうなんてことはあってほしくないなぁ……」

ジャンヌ「少しいやらしい部分はありますが……どうかネプテューヌ様や光樹さんには容赦してほしいって思っちゃいます」

まぁねぇ。そこはネプテューヌや光樹も分かるんじゃないかな?特にステマックスやローゼンは……いや、この先はまだ言わない方がいいかな?

ジャンヌ「なんだか気になる切り方ですねぇ……」

レイ「あー、もう後の事が気になっちゃうよー!」

さて、今回はここまでということで

ジャンヌ「はい。次回は黒の館ですが、1週間後になります。皆様、お間違えの無いようお願いしますね」

レイ「それじゃあみんなー、また次回ッ!!


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黒の館 第13回 前編 解説~フェンリル・キャノン、ワレチューエンペラー~

どうも、皆様、お元気でしょうか。もうすぐ専門学校の卒業式なので、髪を切りにいつも行ってる理容店で散髪をしてもらったら、途中でセットが楽になるようにとパンチパーマにされて表では笑っていたけど、心の中では内心「え、これこのまま!?」と焦っていました、藤和木弘です。

シエラ「藤和木がパンチパーマになった時はちょっと面白いって思ったわね。まぁ、髪洗ったら元に戻ったのは残念に思ったけれど。どうも、皆様。シエラ・ムルセーヌよ」

ソニア「確かに。藤和木さんのいつものイメージと異なっていたので、ちょっと新鮮だなぁって思っちゃいました!どうも、皆様!卒業式にはアシスタント4人もミニモードで同席します、ソニア・A・ワスプです!」

ほんとあの時危機感を抱いたよ……けどセットの楽さを体感した時、すっごいいいなぁと思いました。これなら当日も大丈夫かなと。さて、今回は黒の館です。

ソニア「今回の黒の館はちょっと大変ですよね」

シエラ「そうね。後編の途中で……」

あ、それはあとがきにて発表しますので(´・ω・`)

シエラ「そう?」

ソニア「じゃあ長い話はここまでにして、黒の館、今日も開演です!」

あ、ソニアさん、黒の館だから開館ですね

ソニア「はうう!?」

シエラ「いちいち細かいわね……。まぁ、分かるけど」


 

 

藤和木「はい、今回も始まりますよー、オリジナル登場人物&機体&モンスター紹介コーナー「黒の館」!今回は初のアシスタント4人登場です!」

 

ジャンヌ「一応、臨時のアシスタントとかの話であれば、鈴さんや絵里奈さんが当てはまるんですけどね。でも、ちゃんとしたアシスタント4人というのは初めてですねっ。アシスタントの1人、ジャンヌ・ドラニエスと」

 

レイ「次期ディーバ総選挙でも1位取っちゃうよ~!レイ・オーバに~?」

 

シエラ「今度のブースター……わたくし、出なかった……シエラ・ムルセーヌ……」

 

ソニア「えと……ソニア・A・ワスプですっ!シエラちゃん、気をしっかりもとう?」

 

藤和木「あ、ちなみにソニアのシエラを呼ぶときの掛け合いがちゃんに変わったので。公式に準じまーす」

 

レイ「さーて、今回のゲストは前編後編で違うよー!前編のゲストはゲームの主人公ネプテューヌちゃんと、ゴールドサァドのビーシャちゃん!!」

 

ネプテューヌ「今回の物語の立役者!ネプテューヌだよ!」

 

ビーシャ「ねぷねぷずるーい!わたしもみんなを守るために頑張ったんだよ?プレスト仮面改め、ビーシャだよ。ここではお久しぶりー!」

 

ソニア「ビーシャさんも本編ではお疲れさまでしたぁ!苦手だったものを克服して子供達のために戦う姿、かっこよかったです!」

 

ビーシャ「あはは、けどまだ怖いって思っちゃうから、それは150話でも言ってた通り、チューコのところで克服しようと思ってるよ」

 

ジャンヌ「ネプテューヌ様も女神の面目躍如でしたね。お疲れ様ですっ」

 

ネプテューヌ「うん!けど流石にあそこまで強くしなくても良かったんじゃないのかなぁ……あれ光樹達が居なかったら多分ダメだと思うよ?」

 

藤和木「とか言って本当は?」

 

ネプテューヌ「いやー実は……って、そんなことないからね!?」

 

レイ「んーノリツッコミとしてはもう少し欲しいところじゃないかなー?けど本当強かったよね、2体とも」

 

ビーシャ「本当、あれ女神が攻略すること考えてるの?」

 

藤和木「んーそもそも武装化は女神陣営が相手することを考えてないからねぇ。AN粒子による装甲厚とか……まぁ、シェアの攻撃とかはよく効くから、相手に出来ないことはないけれどもさ。まぁ、その話は後々もするとして……シエラは大丈夫なのか(;´・ω・)」

 

シエラ「……すみません……少し席外します……」

 

ソニア「あぁ……すみません、藤和木さん……」

 

藤和木「まぁ、気にしてないよ。シエラの方がよっぽど気にしてる感じだし」

 

ビーシャ「ねぇ、シエラ、だっけ?あの子。何があったの?」

 

藤和木「簡単に言うと、スタメン落ち」

 

ジャンヌ「藤和木、その言葉には誤解がありますよ。簡単に言うと、新しく出る(作成時まだ発売していない)バトスピディーバブースター「真夏の学園」で、シエラさんの新しいカードがないんですよね……」

 

ネプテューヌ「あちゃー、それはやる気も落ちちゃうわけだぁ……。ちなみに3人は?」

 

レイ「私はXレアで登場!ノアちゃんには負けないもんねー!」

 

ジャンヌ「わたくしはレアリティRで登場ですね。以前と同じですが、それでもパラレルが出るとか」

 

ソニア「私はコスト1でジャンヌさんと同じくRですね」

 

ビーシャ「こ、コスト1……」

 

藤和木「しかも効果が神速の下位互換だからね。ソニアをあのマッハジーと同じ扱いにするとは流石楽しい時を作る企業だな、ビーシャ」

 

ビーシャ「……うん?私?」

 

レイ「と、藤和木それはその……」

 

ジャンヌ「流石に……その……若干メタい、です」

 

ネプテューヌ「何々?メタいってどういうこと?」

 

藤和木「まぁ、その話はどうでもいいんだ。そろそろ紹介の方に行こうか」

 

ビーシャ「あ、流した」

 

ジャンヌ「そ、そうですね……。では、今回は1回目のハネダシティ襲撃で現れた猛争・武装化モンスターの「フェンリル・キャノン」とプラネテューヌを襲撃し、光樹さんやここにいるネプテューヌ様、ビーシャさん達と激戦を繰り広げた猛争・武装化ワレチューこと「ワレチューエンペラー」の紹介になりますっ!」

 

ソニア「まずはフェンリル・キャノンからの紹介になります!」

 

 

 

フェンリル・キャノン

 

狼型モンスターの「フェンリル」が猛争化と武装化の影響を受けて凶暴化したモンスター。体の各部が装甲で覆われ、キャノン砲などの武装を持っており、元来から得意としていた接近戦の高さをなるべく維持しつつも、遠距離への対抗策を得ている。加えて接近戦に対しても、腕部に重ねるように追加された爪型兵装やANフィールド発生装置による防御でカバーしているため、無駄がない。

 元となったフェンリルの種族としては氷の属性を持つアイスフェンリルと思われる。のちにフェンリル・キャノンが残した装甲内の増設コンピュータ類から得た情報によれば、このモンスターはAN粒子兵装によって生じた熱を自身の冷気でカバーしていたらしい。もしこのモンスターが本気で戦った場合、凄まじいまでの継戦能力でネプテューヌを苦戦、最悪撤退させていたとの見方が出ている。

 

 

武装

 

フレキシブルキャノン

 背部に装備されたキャノン砲。形状は円盤状で回すことで砲門を前後左右に向けることが出来る。放つ砲弾はビームと実弾の混合式である。

 

ウルフファング

 腕部に装着される増加装甲型近接兵装。フェンリル元来の接近戦をより強力に行うことが出来る。

 

クラスタービームキャノン

 胸部に1門存在する大型ビーム砲。鬣のような形で装甲ごと装着されているので砲門は前方を向いている。

 

フェンリル・ビット

 フレキシブルキャノンの側面に装着された遠隔操作端末。片側6基の計12基が装着されている。形状は狼の頭のような形状をしており、口を開いてその中に隠された砲門からの砲撃と牙と形状を活かしての突撃攻撃を行う。

 

ANフィールド発生装置

腹部横に装着されたブースターユニットと併設して装備されるフィールド防御兵装。フェンリル・キャノンの場合、フィールドを2重で張ることで更に防御力の向上を図っている。これはシールドの装着位置が地味にずれていることで可能としている。また本編では使用されていないがこの装置はブースターごと切り離すことが可能で、ビットとしての機能の他、サブフライトシステムとしての運用も可能である。

 本兵装を解析したプラネテューヌ国防軍はこれをアレンジした兵装をパープルプロテクターに実装しようとしているが、現段階では時間がかかる模様。

 

 

 

藤和木「以上が、フェンリル・キャノンの解説になります」

 

ネプテューヌ「ちょっと他の所から聞いたんだけどさ、このフェンリル・キャノンって、同名のスピリットっていうの?そんな感じのカードがバトスピであるって聞いたけど?」

 

ビーシャ「あ、それわたしが出たときに言ってたやつだね。結局名前変えてなかったみたいだけども」

 

藤和木「いや、後々設定とか名前変えるのってなかなか勇気いりますよ……。まぁ、機械化時のモチーフはそこから取ってるところあったから、それは仕方がないってことで!」

 

レイ「あはは、あんまり触れて欲しくないみたいだねー」

 

ソニア「私とシエラちゃんが参加するってなった時にやってた話ですよね。私達も台本見て2人で顔を見合わせてましたっけ」

 

ネプテューヌ「けど本当にこいつも強かったよー。だってバリアが2つもあるし、1つ破ったら解除して砲撃しながら下がっていくしで、光樹がデュランダル使わなかったら本当に解説通り、撤退してたかも……」

 

ビーシャ「この時の私がこの場にいても、何も出来なさそうだもんね。精神的なのと物理的なのと」

 

藤和木「両方って……まぁ、この時のビーシャが居たら、悪いけどかえって邪魔になっていたかもね」

 

ビーシャ「否定できないのが悔しい……」

 

ジャンヌ「うふふ。では次に参りましょうか。次はワレチューエンペラーの紹介になりますっ」

 

 

ワレチューエンペラー

 

解説

 幾度もネプテューヌ達の邪魔をしてきた存在、ワレチューが謎の少女から発せられた赤黒い靄に包まれ、その影響を受けて変貌した大型モンスター。猛争化状態だとワレチューキング(仮称)となるのだが、今回はそこに機械化の影響(おそらく、少女の隣にいたとされる、シュバルトゼロガンダムによく似たガンダムによるもの)でより強力、凶悪となったのが今回のワレチューエンペラーである。

 姿としてはVⅡの同じタイミングで登場するワレチュー猛争化状態と同じだが、その体には多くの機械パーツが装着されており、戦闘能力が大幅に強化されている。更に、今回のワレチューに装着されていた装甲には装着しているモンスターの意識に働きかけ、より凶暴にさせるシステムとモンスター本来がもつ属性とは別の属性を付与するシステムが備えられており、解析したプラネテューヌ国防軍ではこれらのシステムを「バーサクドライブ」と「マージエレメント」と呼称している。バーサクドライブの影響によって回復能力を得ており、弱い攻撃ではダメージを無効化される。雷撃の形となって飛んできていたビームも、マージエレメントによるものだと推測される。

 多くの装甲に加えて、肥大化した腕部にはクローとシールドがセットになった増加装甲が、肩部にはビームキャノン砲、そして尻尾に刺突用の装備兼電撃付与を行うユニットなど、装備も非常に豊富となっていて、隙は少ない。強いて弱点を言うなら、中・近距離戦に特化しているため、遠距離からの攻撃が可能であるなら、一方的に攻撃は可能である。だがANフィールドを持っていることも考えると、あまり得策とは言えない(高出力ビームで打ち破る、という方法もあるが、それで打ち破るより、実体剣で切り裂いた方がエネルギー消費が少ないため)。とはいえ、完璧な兵器など存在しないというのも事実である。このモンスターの大きな弱点、それは消費エネルギーが大きいということである。これだけの装備を持ちながら、機動性も補うためにこのモンスターには多くのスラスターが装甲に備えられている。更にANフィールドを張れはするものの、消費粒子は多く、エネルギーが切れるのが速い。相手を拘束するほどの砲撃を継続して叩き込むことが出来れば攻略は楽になると思われる。

 本編ではパープルハート、ビーシャ、光樹、絵里奈、DRX、海優(サポートとしてアイエフとコンパも)の当時投入できるフルメンバーで攻略したものの、これだけの多数の相手をしつつも海優のパープルプロテクターを大破、撤退させ、DRXも一時的に戦闘不能な状況まで追い込んでいる。更に生身であるビーシャやパープルハートも電撃攻撃で一時的に動けなくなり、特にパープルハートは女神およびプロセッサユニットの裏技で続く攻撃を防御せざるを得なかったほどである。

 まさに皇帝の名にふさわしい、強敵だろう。ちなみに初期案ではエンペラーの名前にふさわしくなるように杖の装備も考えられていたが、ワレチューが手持ち武器というのはあまり思い付かないとのことで却下。代わりに尻尾の刺突パーツにその意匠を持たせている設定である。

 

 

武装

 

腕部マルチアームウェポン

肥大化した腕部に装着されるマルチウェポン。通常時はシールドとクローだが、クローの部分をシールドに折りたたむことで3連装のビーム砲が出現、連射、収束といった異なるビームを放つことが出来る。

 

 

肩部フレキシブルビームキャノン

 肩部に備えられたビーム砲。肩を軸として、四方に向きを変えて砲撃が可能。胸部、口部と合わせて収束ビーム砲「メガ・バースト・バスター」を発射できる。

 

 

胸部ビームキャノン

 胸部の装甲と共に装着された高出力ビーム砲。収束と拡散が可能であり、尻尾のユニットと合わせて最大攻撃「ボルテック・フルバースト」を使用可能である。

 

 

ミサイルポッド

 各部装甲内に内蔵された誘導兵装。なぜフェンリル・キャノンにはビットが装着されていたのにワレチューはミサイルなのかは分かってはいないが、とある人物による見立てでは「ワレチューのような馬鹿には扱いきれないから」だという。この人物は機械に詳しいわけではないが、教会の中枢付近にいる人物のため、国防軍の技術者もそうだと思っているらしい。誰とは言わないが。

 

 

ワレチューウイングブースター

 背中に生えていた翼が大型化し、更にブースターが取り付けられたことで命名された。攻撃性能としてはミサイルしかなく、機動性もブースターによる無理矢理の機動運動しか出来ない。だがワレチューエンペラーが乗るディスク状のフライトユニット「ディスクフライヤー」との併用でホバー移動による回避を複雑かつ円滑に行うことが出来るようになる。

 

 

フライトユニット「ディスクフライヤー」

 ワレチューエンペラーが乗るディスク状のサブフライトシステム。大型化したワレチューの機動性をサポートする。また側面には全方位にビーム発射が可能な全方位ビーム砲が備わっており、これらを使うことで円形のビームディスクを放つことが出来る。

 

 

テイルスピアー「エンペラーステッキ」

 ワレチューが持つ、割れたハートの尻尾の先に備え付けられる追加装甲。猛争化ワレチューだと尻尾は2本に増え、割れると4本になるため、4つ装着されている。このユニットに電撃を生成する能力が備わっている。この尻尾攻守に使うのがワレチューエンペラーの基本行動になる。逆に言うと、本編でこの電撃が出なかった序盤は、まだ本気を出してはいないということになる。

 先程も書いた通り、この「エンペラーステッキ」は皇帝の杖をモチーフとしている。

 

 

 

 

ソニア「以上が、ワレチューエンペラーの詳細データになります」

 

ビーシャ「えーと、最初のうちはステッキを持たせようとしてたけど?ワレチューが武器を手に持つのはあんまりよくないと思って、尻尾の武装にその印象を持たせたってこと?」

 

藤和木「簡単に言うとそうなる。出来ればそのパーツを絵にかいてみたいけど、時間がないんだなー、しかも対して上手くないという」

 

レイ「他の同じ作者さんみたいに、絵も積極的に描けばいいのにー。前に描いたジャンヌちゃんみたいにさ!」

 

藤和木「あの絵私としては恥ずかしすぎるんだけど?ちゃんとジャンヌさんを描けていないし……。そのうち余裕が出来ればまた描き直したいって思ってる。けど今はこっちの方を集中しないといけないのでね」

 

ネプテューヌ「あははー、そうだね。けどワレチューが乗ってたCDにも武装の名前が付いてたってことは、これもゲームのワレチューの物とは違うってこと?」

 

ジャンヌ「えっと、資料の方を見てみると……そうですね。CDユニットに更に機械化の影響を受けて、あれになっているみたいです」

 

レイ「ゲームの画面見たけど、確かにCD状のビーム放ってくる描写なかったもんね。あれ、そういえばCDの光反射する面からもビーム放ってなかったっけ?」

 

ビーシャ「そうだ!それについて書いてないけど、あれは?」

 

藤和木「ごめん、それ完全に解説抜けてた(;´・ω・)ここで説明するけど、CD裏の鏡面自体がビーム反射ミラーになってて、そこからビームが生成、発射が出来るんだよ」

 

ジャンヌ「後付けで設定に加えることも出来たのでは……?」

 

藤和木「ここまで来たら、ここら辺りで入れた方がいいんじゃないかなってね。あと原理もなかなか難しくなるし……いわゆる、追加特典だ!みたいな」

 

ビーシャ「ちょ……それわたしのスキル……」

 

シエラ「それくらい……自分で何とかしなさいよ……」

 

ソニア「あ、シエラちゃん復活した!」

 

ネプテューヌ「うーん、復活……で、いいのかなぁ、これ」

 

シエラ「もうどうでもいいです……。こうなったら、藤和木のPS4のガンダムバーサスで、キマリストルーパーでボスラッシュに突っこんでいくわよ!この後でねぇ!!」

 

藤和木「壊れたな」

 

レイ「壊れちゃったねぇ……。ソニアちゃん、サポートお願い」

 

ソニア「えぇ!?そんな、私あんまり得意じゃ……。でも、シエラちゃんのために、頑張ります!」

 

ビーシャ「まぁ、それはいいんだけどさ。これで解説も終わったから、この前編締めなくてもいいの?」

 

藤和木「そうだね。次のやつの解説もなかなか長くなりそうだし。それでは今回はここまでだな」

 

ジャンヌ「ゲストのネプテューヌ様、ビーシャさん、今回はありがとうございました。しばらく会うことはないみたいですが、また会えた時はよろしくお願いしますね」

 

ネプテューヌ「うん!次が楽しみだよー」

 

ビーシャ「次はDRXっていうか、R1の出番なんだよね?続けてゴールドサァド勢が出るけれど、よろしくねー!」

 

レイ「うん!ビーシャちゃんも、また会う時までー!」

 

藤和木「それでは前編はここで終了です!」

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。機械化モンスターの中には、紹介していないものもありますが、まぁ、少しだけなのでね。省略です。

シエラ「いいじゃない。どうせ今回前後編じゃなくて間に入るんだから」

ソニア「あ、シエラちゃん、それ言っちゃって良かったのかなぁ?」

んー、まぁ私の方から言おうと思ってたけどどう切り出そうかと悩んでたからね。シエラナイス。

シエラ「なんか癪ね。とはいえ、それはいいことだわ」

というわけで、シエラも少し触れていましたが、黒の館が少々伸びます。正確には前後編の2本から前中後編の3本になります。

ソニア「理由としてはDRXを構成するR1さん達の説明が少し伸びちゃったんですよね……。みなさんにはご迷惑をおかけします!」

シエラ「別にソニアが謝らなくてもいいことじゃない。元はと言えば作者の執筆遅れが原因なんだから」

返す言葉もないです\(^o^)/というわけで次回の黒の館はまた1週間後になります。

ソニア「それではみなさん、次回も楽しみにしていてくださいっ!」


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黒の館 第13回 中編 解説~DRX構成ユニット~

どうも、皆様、お元気でしょうか。2日後にバトルスピリッツ煌臨杯東海地方大会と並行して行われるバトスピ界放祭のガンスリンガーのために小遣いを叩いてリバイバルジークヴルム・ノヴァを購入しました、藤和木弘です。2枚揃えていたとはいえ、1枚1万近く吹っ飛ぶのは本当にきつい(´・ω・`)

ジャンヌ「本当にご決断ご苦労様ですっ。砲撃リオルを組みたがっているレイさんのためにも、エターナルアイドルの確保お願いしますね?藤和木。どうも、皆様。バトスピ界放祭へは電車で向かうようです、ジャンヌ・ドラニエスです」

シエラ「前の時はヒカルさんに車出してもらったらしいわね。今回も頼んだみたいだけど、暇すぎるってことで断られたみたいね。どうも、皆様。紫速攻で藤和木の大会使用用のダブルノヴァの調整をやっているわ、シエラ・ムルセーヌよ」

電車代……まぁ、払っても一応リミテッドパックは買えるけども……さて、今回は前回言った通り、黒の館の「中編」になります。「中編」ですからね!

シエラ「って言っても、黒の館本編中だとまだ後編の予定で進めているんでしょう?」

ジャンヌ「今回の黒の館の終盤で、一応後編のアナウンスはさせてもらいますので、皆様ご注意くださいませっ」

それでは長い挨拶はここまでで、黒の館中編を始めて行きます!


藤和木「はいはーい、黒の館続いて行きますよー」

 

レイ「アシスタントは引き続き、レイ・オーバと!」

 

ジャンヌ「藤和木の横は……わたくしだけですっ!レイさんの横もわたくしだけですけど!ジャンヌ・ドラニエスと……」

 

シエラ「結局、ボスラッシュをキマリストルーパーでクリアすることは出来なかったわ……。シエラ・ムルセーヌと……」

 

ソニア「本当に疲れたよぅ……ソニア・A・ワスプでお送りします。では、後半のゲストの紹介です。後半のゲストは、ゴールドサァドであるビーシャさんを、以前よりサポートしていたDRXさんを構成する機体の1つ、R1さん」

 

R1「待たせたなぁ!DRXのリーダー、R1、再登場だぜ!!」

 

シエラ「暑苦しい」

 

ソニア「し、シエラちゃん!?」

 

藤和木「これまた凄まじいまでのディスりだね……なんかあった?」

 

シエラ「いや……待っていたかって言われると、そうじゃないし……どっちかというと、この解説ではR2とかR3にやってもらった方がいいんじゃないの?」

 

R1「それが一番なんだけどな。けど、あいつらの担当していた体の部分が大ダメージだったから、修理が追いついていねぇんだよな。だから、俺が再登場したってわけだ。悪いな、嬢ちゃん!」

 

シエラ「嬢ちゃんって呼ばないでよ……」

 

藤和木「……というわけで、本編での回復が追いついていない感じになりますので、R1が再登場となります」

 

レイ「あはは、シエラちゃんそれは自分で墓穴掘っちゃってるよー。さて、もう1人ゲストはいるから、紹介するねっ。もう1人のゲストは、2回前に登場した、海鳴海優ちゃん!」

 

海優「どうも、プラネテューヌ国防軍准尉の海鳴海優です。ここにはあたしの紹介以来の登場になるわね」

 

ジャンヌ「お二方とも、再登場の形になりますね。R2さんとR3さんが登場しないのは少し残念かもしれませんが……」

 

海優「そこはサービス精神ないかもしれないわね。作者さん?」

 

藤和木「無理に裏の裏を読もうとしないでください……(;´・ω・)しかしながら、ここまで決定しておいて、失態だったとは思っている。けど今さら変えようとなると辛い……。R2とR3は本編で頑張ってもらうか、それともまた別の機会に来てもらうかかな」

 

ジャンヌ「藤和木、今は今の事を考えましょう?」

 

藤和木「そうだね。じゃあ今回の紹介は前編で休んでたシエラでお願いできる?」

 

シエラ「なんでそんな理由で……まぁ、仕事やってなかったから、いいけれども。というか今wikiを確認したら、わたくしの絵師さんで別の子を担当しているのね。気付かなかったわ」

 

藤和木「え、そうなの?」

 

シエラ「ほら、プリアニとトワゴシに属してる、ドーラって子」

 

藤和木「あ、シエラの絵師さんの名前だ」

 

レイ「なるほどー、今回はシエラちゃんはカード化はお休みで、代わりにドーラちゃんが出るからってことなんだねっ」

 

海優「いわゆる大人の都合ね」

 

R1「まぁ、そこは言わねぇ方が良いんじゃねぇか?子供達の夢を壊すぜ?」

 

藤和木「そこはそうだな。楽しい時を作る企業と言っているから、それ以上は言わないでおこう」

 

シエラ「さて、少し話が逸れちゃったけど、今回はDRXとその体を構成するR1、R2、R3の詳細、それに限界突破一発必中砲を使うために使用する、支援機のRマグナム・レイの紹介になるわ」

 

レイ「そういえば少しの間だったけど、Rマグナム君の名前違う時なかった?」

 

藤和木「あー、それ気づいちゃいましたか……思いっきり名前つけてないと勘違いしていたんですよね」

 

ジャンヌ「第148話の所ですね。直すのが遅かったので、別の機体と思った人も多かったのではないでしょうか」

 

DRX「まったくよぉ、俺らの武器とかのミスをするなよな?」

 

藤和木「面目ない」

 

ソニア「あはは……それじゃあ、まずはR1さんからの紹介です!」

 

R1「俺の概要、とくと見なぁ!」

 

 

R1(アルワン)

 

全長 173cm

製造年日 G.C.1996年12月27日

好きな物 子ども達、ロボット格闘ゲーム、スーパーロボット

嫌いな物 非道な大人、リアルロボット(光樹達のガンダムは別とのこと)

 

過去のプラネテューヌにて、他の国からの防衛を目的とした兵器開発計画「プロジェクトDRX」で生まれた合体兵器「DRX」のコアを形成する機体。自我を持ったロボットであり、現在はビーシャをサポートしている。

機体そのものの特性は高機動戦重視であり、2丁のライフルと2振りの小型ナイフ、それにウイングユニットに装着されたミサイルで戦闘を行う。これら武装は全て実弾である。これは当時の開発主任が確実にダメージを与えることを重視して、当時まだ技術が確立しきっていなかったビーム兵器を嫌ったためである(なお、R2とR3、それにRマグナム・レイにはビーム兵装を装備している。これはR1の製造が優先して進められたことによる)。また特殊機能として、いわゆる超能力的な力を付与する「P-LINKシステム」とそれに関連するシステムを搭載する。しかし、DRX自身はこれらの武装を多用する、リアルロボットのような戦闘よりもスーパーロボットのような圧倒的な火力を求めている。そのため、R1はDRXとしての姿をメインとして戦うことが多い。

また本編では未だ使用されていないものの、飛行形態への移行が可能である。しかしR1自身が飛行形態への変形を嫌がっていることもあり、最後の変形は3年前となっている(DRXへの合体時に飛行形態へは移行するが、合体時に変形する際はカウントされない)。

 そもそもなぜプラネテューヌで開発されたR1がビーシャに付いているのかについてだが、出会いはおよそ3年前のかつてタリの女神事件と呼ばれる、2つの次元のゲイムギョウ界を襲った事件。その際にモンスターに襲われていたビーシャを国防軍に所属していたR1が救出したのが縁となってパートナーとなった。ちなみにビーシャのモンスター恐怖症はこの一件も1つの原因となっている。

 機体そのもののモデルはスパロボシリーズの機体である「SRX」の構成ユニット「R-1」である。カラーリングもモデルのトリコロールを赤と青の部分を逆にしている。

 

 

システム

P-LINKシステム

機体に搭載された、念力能力増幅装置の名称。簡単に言えば、DRXが各所で使用している念力結界を生成する超能力「超念力」をサポートするシステムの事である。機械が超能力を、というとおかしいかもしれないがR1達DRXの構成ユニットは自我の形成の為に人間の脳波データがインストールされており、その脳波データから元々の人間の持つ超能力を使うことが出来る。

 ちなみに、脳波データのインストールは簡単に言うと、意識を機械に取り込むということで、ガンダムシリーズに登場するEXAMシステムとほぼ同じ原理である。無論、この世界でもその方法は禁忌の技術とされている。それがなぜサポートユニットも含めて4機も存在しているかだが、脳波データそのものは約80年前の「ラプラスボックス事件」でインストールされていたもので、インストール元の人間も直前の時点で死にかけであったため、特にお咎めなくプラネテューヌで保管されることになった。それをこれら機体群「プロジェクトDRX」の自我形成のために引っ張り出してきたとのことである。

 R1の場合、後述する拳に纏わせてのP-LINKナックルや念力エネルギーの剣であるP-LINKソードに使用される。

 モデルはT-LINKシステムである。名称のP-LINKのPとは「psycho」の略称。

 

サイキックフィールド

P-LINKシステムから引き出される超念力の力を防壁として利用する。R1状態では出力は据え置きで、作中のDRXのような防御力は持たないが、本機にとってはDRX合体までの間を守る重要な機能である。

 

変形

Rウイングへと変形が可能。

 

合体

 R2とR3とでDRXへと合体する。

 

武装

 

頭部バルカン砲

頭部のこめかみに装備されるけん制用実弾兵器。1出撃当たりの装弾数は片側15発の計30発ほど。

 

P-LINKナックル

 拳に念力結界を形成し、そのまま殴りつける兵装。要はパンチ技である。しかしR1はDRXの時と同じように戦えることから、この姿で戦う際の主力技として使用している。両腕で殴り抜くP-LINKダブルナックル」も存在する。

 

限界突破念力粉砕剣(P-LINKソード)

 自我と機体のP-LINKシステムを同調させて両腕のP-LINKナックルから超念力で生成した剣。投擲して刺さった瞬間に爆発させたり、短時間なら近接戦にも使用可能である。なお、正式名称は後者の「P-LINKソード」である。限界突破の方はR1のネーミングからである。

 

アイススラッシュナイフ

 腕部装甲裏に装備される小型の実体剣。威力はそれほどだが、接触対象を凍らせる冷凍兵装としての機能を持ち、主にモンスターへの攻撃や敵機体の関節部に攻撃することを目的としている。

 

B・リフル

 両腰に装備される実体弾射撃兵装。高機動戦を得意とするR1の主力兵装。だがR1本人は豆鉄砲のような射撃兵装は好んでおらず、この武装を使う時は大抵ビーシャなどの防衛対象が居る時である。

 飛行形態時には「B・リフルキャノン」へと変わり、主力兵装として活躍するが、R1が滅多に変形を行わないため、ほとんど使用されていない。

 名称の「B」はバレットの略、「リフル」はライフルの英単語に音を当てたもの。

 

アクセラレート・ライフル

 腰背部に装備できるR1の換装兵装。B・リフルよりも銃身が長い為、狙撃を得意とする。また実弾とビーム弾を選択して撃つことができ、更に拡散弾頭などの特殊弾も放つことが可能。

 

シールド

左腕に装着される大型シールド。飛行形態時の機首になるほか、合体時にはヘルメットユニットと「D・Oソード」の柄にもなる。

 

ミサイルポッド装備型ウイングバックパック

 ミサイルポッドとウイングユニットが一体化したバックパック兵装。変形時に主力となるホーミングミサイルと羽を兼ねている、この機体の代表的な兵装である。

 

 

 

 

ジャンヌ「以上が、R1さんの解説になります」

 

レイ「あんまり活躍こそしてなかったけど、結構武装あるんだねー」

 

R1「そうだぜ?まぁ、この形態だとライフルとかが主力兵装になるんで、あんまり好きじゃないんだけどな」

 

ソニア「藤和木さんはリアルロボットの、ガンダムみたいなのの方が好きなんですか?」

 

藤和木「いや、どっちも好きって感じ。あと元ネタのSRXが支援機のR-GUNと天上天下とかくらいしか手持ち武器がなかったので、ちょっと換装射撃兵装にアレンジを加えたね」

 

シエラ「まるっきりそのままっていうのも、味気ないものね。けど、DRXシリーズって、実は作っちゃいけない機体だったんじゃないの……?P-LINKシステムの設定的に」

 

藤和木「EXAMと同じような感じで作っちゃったものを使ってるからねぇ。EXAM搭載機は好きだけど、やってることはちょっと……って感じだからねぇ、EXAMの誕生経緯とか」

 

海優「そこは昔の人か、あなた自体を問いただす必要があるけれども。……それより、R1、あなたとビーシャの出会いは3年前……タリの女神事件の時、なのよね?」

 

R1「ん?あぁ、そうだな」

 

レイ「タリの女神事件……そういえば、海優ちゃんが軍人を志すきっかけとなったのも、その事件の時だっけ?」

 

海優「そうなのよ。R1はあたしを助けたことってあった?」

 

R1「いや、多分会ったのはこのゴールドサァド騒動が初めてじゃないか?」

 

海優「そう……(じゃあ、あの時あたしを助けてくれたのは……)」

 

ソニア「あれ?お二人は国防軍所属なのに、会ったのは今起こってるゴールドサァドの騒動が初めてなんですか?」

 

R1「あぁ」

 

海優「まぁプロテクターシリーズはまだ各国のトップシークレット扱いでもあるから、他の部隊との交流が少ないのは事実ね。とはいえ、今回の騒動で割とオープンになりつつあるんだけれども」

 

シエラ「プロテクターも大変なところあるのね」

 

ジャンヌ「さて、それでは次はR2さん、R3さんを一気に紹介していきますっ!」

 

 

 

 

R2(アルツー)

 

全長 221cm

製造年日 G.C.1996年12月27日

好きな物 茶道、パズルゲーム、囲碁

嫌いな物 考えずに行動する人物、ティム社製製品

 

他国からの侵略行為からの防衛兵器開発計画「プロジェクトDRX」で製作された重装備ロボット。R1と同じく自我を持つ。機体特性は砲撃戦を得意とする。

 他の機体と違う点として、P-LINKシステム系列の機能を一切持たない。これは自我の構築の為にインストールした人物の脳波が超念力適性を持っていなかったことが挙げられる。だが、代わりに天才的とも呼べるほどの演算能力があり、DRX移行時の機体制御関係すべてを担当する。

 自我の傾向としてはR1よりも静かに考える人物像であり、DRXの制御役。だが一見静かに見えても、その中では熱く燃えることもある。

 そのほか、本機にはDRXへの合体に欠かせない特殊動力「デルニウム」を積んでいる。デルニウムは制御が困難な動力であり、他の2機が合体時にP-LINKシステムで機体の攻撃と防御に集中する関係上、R2にしか搭載できなかった。だが結果としてR2の自我が非常に演算能力に長けていたこともあり、結果としてこの判断、そしてR2がP-LINKへの適性を持っていなかったことが良かったことに繋がる。

 カラーリングはR1と同じくR-2のカラーのうち、白と赤の部分が反対になっている。機体各部も若干カクつきが異なっていたりする。

 

 

システム類

 

デルニウム・ドライヴ

 機体に搭載された特殊動力機関。この動力機関があってこそ、DRXへの変形・運用が可能となっている。これによりR2はDRXを運用するにおいて欠かせない機体となっている。

ちなみにデルニウム自体は米粒サイズであり、デルニウム・ドライヴ自体も缶ジュース程度の大きさのシリンダーに入っているため、R2の中に内蔵されていても装甲を圧迫することはない。

 

合体

 R1、R3と合体することでDRXになる。

 

 

武装

 

バルカン砲

 機体の頬部に搭載されるバルカン砲。装弾数はR1と同程度。

 

シールドビーム・チャクラム

 機体両腕部に装備されたユニット。装着時にはデルニウムで運用可能なビームシールドを形成する他、先端部を切り離してアンカーで繋がったビームチャクラムとして使用できる。

 

ハイアレイバスター

 機体背面に装備される大型マシンキャノン砲。DRX時には両腕を形成するパーツである。

 この武装は追加パックであり、外すことで軽量化した状態になることも出来る(当然ながら火力は下がる)。この追加パックを装着した本機は正式には「R2グレート」と呼ばれているが、他のチームメンバーからはそのままR2と呼ばれることとなっている。

 

エクス・ビームライフル

 R2の換装武装として設定されている武装。しかしやや大型ゆえに取り回しがよくなく、装備しても途中で捨てられることもしばしばとのこと。

 

 

 

 

R3(アルスリー)

 

全長 233cm

製造年日 G.C.1996年12月27日

好きな物 旅行、バードウォッチング、シューティングゲーム(戦闘機系)

嫌いな物 怠けている人物、雰囲気よさげに振る舞っている男性

 

 

「プロジェクトDRX」によって誕生した試作防衛兵器「DRX」を構成する機体の1機。脚部にR2のハイアレイバスターと同系列のプラスユニットを装着しており、基本的に浮遊する。機体特性は後方支援を担当する。

 自我はR1とR2とは違い女性がベース。なお、Rマグナム・レイとは脳波データの元となった人物が姉妹だったこともあり、姉妹として接している。R1と同じくP-LINKシステムへの適応があるものの、R1の物より出力は低め。代わりに安定性があり、DRX時の普段のP-LINKシステム系列は彼女が担当する。

 自我の傾向はクールなイメージである。以前は自己を強調する部分が強かったが、DRXを形成する面々と共に戦っていくうちにそれらは解消され、今ではメンバーを支えられる自我を形成している。また脳波データ上の妹であるRマグナム・レイにも優しい(叱るところは叱る)。

 本機の特徴として、P-LINKシステムを飛行に利用したP-LINKフライトシステムを内蔵した脚部スラスターユニットをプラスユニットとして装備する。この機能は本機を飛行させると共に、DRXが高速で飛行できるようにするための補助システムとするためである。

 機体カラーリングは元になったR-3のカラーリングより、青と白の部分を反転させている。機体各部の装甲も装飾の形を変更している。

 

 

システム

 

P-LINKシステム

 R1に搭載されているものと同じ、超念力増幅装置。R3の物はR1のものより最高出力が抑えられている。

 

サイキックフィールド

 R1と同じく、超念力による防壁。フィールド自体の安定性はR3の方が上回る。

 

P-LINKフライトシステム

 P-LINKシステムによる超念力を飛行に応用した空中浮遊用システム。この世界で言うなら、女神のプロセッサユニットによる浮遊を超念力で再現したものである。なお、本システムは合体時にサイキックフィールドを本システムで制御することで合体シークエンス中の機体群を守るほどのフィールドを生成する。

 

合体

 R1、R2とでDRXを形成する。

 

 

武装

 

バルカン砲

頭部に搭載された近接防御兵装。R3の場合、ほとんどが遠距離特化兵装のため、懐に飛び込まれた際の防御用に重宝される。

 

サイキックスポイトレーザーキャノン

 主兵装として運用される手持ちの収束式ロングレンジライフル。収束はP-LINKシステムにより行われる。ピンポイントまで絞った攻撃では、理論上ANフィールドも突破可能とのこと。

 

サイキック・ミサイル

プラスパーツとして装着されたブースターユニットのコンテナから発射される誘導兵装。誘導の際にはP-LINKシステムがサポートする。

 

ストライク・シールダー・ビット

 両肩背部に装着されたアームで保持されるシールドタイプの遠隔操作端末。「ストライク(攻撃)」の名前の通り、突撃による物理攻撃も兼ね備えた兵装。突撃時にはサイキックフィールドを展開してフィールド自体を炸裂させてダメージを与える。

 

 

 

 

ソニア「……これで、R2さん、R3さんも紹介終了、ですね!」

 

海優「意外なのが、R2ってP-LINKの適性ないのね」

 

R1「もともとは全員が超念力を使える人物の脳波データから生み出される予定だったんだ。けど、80年前の、それもかなり大きな戦争の最中で脳波データを取ったやつを使った。選定する暇もない状況で、とにかく死にそうな人間を片っ端から装置に入れてデータを取りまくったせいでR2みたいな超念力を使えない自我も生まれたんだよ」

 

レイ「へぇ~、そうなんだ!……あれ?でもそれだけ数任せにデータ取ったんだったら、他にも超念力使えそうなAIが居てもよさそうだけど?」

 

R1「あぁ……それに関してなんだけどな……」

 

ジャンヌ「R1さんから提供していただいたデータによると、80年も前のデータだったので、いくらか不慮の事故で失われたデータも多かったようです」

 

レイ「ふ、不慮の事故?」

 

海優「軍の兵器で不慮の事故、っていうと、この場合だと、破損とか?」

 

R1「まぁそれもあるっちゃあるんだが……昔聞いた話によりゃあ、80年前の当時に脳波データまとめたUSBとかを運んでいた車やらなんやらが輸送中に敵にやられたとかなんとか」

 

シエラ「なるほどね。戦争なら、そういうのもあり得るわね」

 

海優「あり得ると言えば、あり得る話ね。それで超念力持ってた人の脳波データが丸ごと消えちゃったって感じ?」

 

R1「現存していないから、本当に持ってたか、今の技術で調べてみることも出来ないから分からないけどな。まぁ、それが結果としてDRXを安定させたことに繋がるわけだが……というかR2とR3の話じゃなかったのか?」

 

藤和木「そうなんだよー(´・ω・`)みんな、もっとその2機に興味ないのー?」

 

レイ「んー、気になることといえば……みんな誕生日同じなんだね」

 

シエラ「誕生日じゃなくて、製造年日ですね……けど確かにそうね。兵器とかだと、兄弟機と言えども、開発された年日とかは違うと思うんだけれど……」

 

R1「あ、わりぃ。これ製造年日つっても自我が機体に収まった日だな」

 

ソニア「い、言っている意味が分からないです……」

 

海優「要は、機体と自我が同調した日ってこと?」

 

R1「そういうことだ。戦闘訓練と自我の育成は別でやってたし、全部が1つになることで誕生ってのが俺らの開発者の考えだからなぁ」

 

レイ「そうなんだぁ」

 

ソニア「構成するものすべてが1つになった時が本当の誕生ってことなんですね」

 

ジャンヌ「ところで、藤和木。これDRXを解説する暇ってあるんですか?」

 

藤和木「ごめん、ジャンヌさん。それ正解」

 

ジャンヌ「正解ってことは……まさか、解説する暇がないんですか!?」

 

藤和木「そう!」

 

シエラ「そう!じゃないわよ!?あんた何考えてんのよ!?」

 

藤和木「いやー、メンバー3人分の概要が思った以上に長くなりまして……書いてる途中で気づいたけど、もうこれは今回を中編にしないとね(;´・ω・)」

 

海優「それは仕方がないわね。計画的にやってほしいとは思うけど、こうなった以上、次回を最後にしないといけないわね」

 

藤和木「というわけで、今回は中編ということで!」

 

ジャンヌ「えぇと……次回は後編、今度こそ、DRXとそのサポートメカ「Rマグナム・レイ」さんをご紹介しますねっ!ゲストも仲の深まったあの2人がご登場しますので、お楽しみに!」

 

 

 

 

 

シエラ「それもそうだけど、ディーバブースター「真夏の学園」、わたくしネクサスの絵で出ていたわ!」

 

ソニア「あー、確かに。良かったね、シエラちゃん♪」

 

レイ「今回の詩姫総選挙も途中結果だけど私いい感じ~!ジャンヌちゃんも5位で藤和木もはしゃいでるし!」

 

ジャンヌ「それに藤和木もシングルでわたくしのパラレルを……嬉しいっ♡」

 




今回もお読みいただきありがとうございます。というわけでDRXと支援機Rマグナム・レイの紹介は後編に紹介します。申し訳ないです(´・ω・`)

ジャンヌ「もう……藤和木もそろそろSSRのストックを増やしてほしいですっ!」

シエラ「って言ってもまたストック少ないんでしょ?1話とちょっとだけっていうし」

そうです。なので次回も1週間後にしてほしいなぁ……

ジャンヌ「まぁバトスピ界放祭もありますし、仕方ないですね」

ありがとう、ジャンヌさん!

シエラ「あ、でも条件付けたらどうですか?10勝出来なかったら6日更新で、とか」

ちょっと!?(;゚Д゚)

ジャンヌ「あ、それいいですねっ♪」

ジャンヌさんまで……え、マジで?

シエラ「というわけで、次回の投稿は今度の藤和木のバトスピ界放祭の戦績で投稿間隔が変わるわ」

ジャンヌ「わたくしの条件としてはエターナルアイドルを手に入れられなければ……」

ん?あ、ごめん。界放祭の景品からエターナルアイドルなくなってるわ

ジャンヌ「はぁ!?」

シエラ「本当ね…どうします?」

ジャンヌ「仕方がありませんね……では猫の手も借りたい剣を3枚コンプで」

勝利数的には達成しづらくなった……で、出来なかったら?

ジャンヌ「6日更新で。出来れば1週間でいいですよ?もし別口でエターナルアイドルがゲットできるのであれば8日でもいいですが」

うん、とりあえず1週間を目指すよ(´・ω・`)

シエラ「じゃあ、今回はここまでね。次回は6日後か1週間後よ。ツイッターでも結果は呟くつもりだから」

ジャンヌ「それでは、次回もお楽しみに♪」


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黒の館 第13回 後編 解説~DRX、R-マグナム・レイ~

どうも、皆様お元気でしょうか。バトスピ界放祭も行ってきて、何とか目標の9勝を超え、1週間後の投稿となりました、藤和木弘です。

レイ「日数もらえて良かったね。けど私としてはエターナルアイドル手に入れて砲撃リオル作ってみたかったなー。どうも、みんな!もうすぐ第4回ディーバ総選挙の締め切りが迫ってます、レイ・オーバだよっ!」

ソニア「はわわ……今度は私、どれくらいになるんでしょうか……シエラが入るかも気になるけど、それ以上に私の順位が気になります!どうも、皆様!今度の土日が終わるとしばらく藤和木さんはバトスピショップバトルに行けなくなるそうです、ソニア・A・ワスプです!」

そうなんだよなー。(´・ω・`)ちょうど会社の研修とかが日曜にあってね……まぁ、それ以上にこっちを続けられるかとか心配なわけなんだが……。

レイ「まぁ、ちゃんと続けられるように、頑張ってね♡」

あっ、はい(´・ω・`)それでは今回は黒の館第13回の後編をお届けします

ソニア「今回でネプテューヌ編も終わりなんですねぇ……ゲストはやっぱりあの人たちでしたね」

さぁ、ネプテューヌ編最後を飾る黒の館最後のゲストは誰なのか?それでは本編へ!


 

 

藤和木「ってことで、本当の後編始めて行くぞー!!」

 

ジャンヌ「もう……読者さんは待ちかねていたと思われますよっ。皆様、今回で黒の館第13回も最後になると思われます、アシスタントはジャンヌ・ドラニエスと」

 

レイ「3回も連続で黒の館っていうのも疲れるなぁ……。けど、頑張っちゃうっ♡レイ・オーバだよっ!」

 

シエラ「連続3回登場って……どんなブラックな労働環境よ全く……。シエラ・ムルセーヌに……」

 

ソニア「私、ソニア・A・ワスプも引き続き解説コーナーのアシスタントを担当しますね」

 

藤和木「いやー、まさか前中後編構成になるとは……」

 

シエラ「予想は出来なかったの?」

 

藤和木「思った以上に概要で文字数使ったのと、R1とR2、R3の解説の間にみんなの声を入れたのが響いて……」

 

ソニア「こういうの調整するの、大変そうですよねぇ。調整はやっていたんですよね?」

 

藤和木「大体2話で今回の黒の館を終わらせる予定ではあったんだけどね。けど調整やっても気まぐれで文字数増やしたいとか出てくるからねぇ」

 

レイ「例えば、ジャンヌちゃんがディーバ総選挙の初動2日間分の発表で5位になっているのにバンザイしてたこととかねっ♪」

 

ジャンヌ「そういうレイさんこそ、いつもながら1位じゃないですかぁ♡藤和木もわたくしに票を投入してくれてありがとうございますっ」

 

藤和木「シングルでジャンヌさんのパラレルとかも買ったからねぇ。さて、そろそろ今回のゲストを紹介するとしようか?」

 

レイ「そうだね。今回後半のゲストは、私達の主人公、光樹君とツンデレヒロインっぷりを見せてくれた鈴ちゃんだよーっ!」

 

光樹「ちょ、レイさんそれはまず……!」

 

鈴「こんなやつのヒロインとかあたし嫌なんだけど!?とりあえずあんたはぶっ飛びなさい!!」(R-EXEグレイガのクローシールドを光樹に振りかぶって)

 

光樹「うお、あぶねっ!?……相変わらず鈴も俺に対しての殺意が激しいというか……」

 

鈴「殺意とは失礼ね。あくまで誤解を解いただけよ」

 

藤和木「んー、でも鈴の本編でのあの反応はツンデレでしょ」

 

シエラ「まぁ、この会話とかも大筋は藤和木が設定しているけれど」

 

藤和木「ちょ、メタい」

 

鈴「ってことは、ツンデレヒロインっていうのはアンタが考えたってことでいいかしら?」(ゴゴゴ!)

 

レイ「おおーっ、鈴ちゃんが怒ってる。これは波乱の予感……作者の運命やいかに!?」

 

藤和木「何をアニメの最終回直前の雰囲気で言っているんですか……(;´・ω・)」

 

ジャンヌ「鈴さん、藤和木はやらないでくださいっ!藤和木もいじり過ぎは良くないですよ?わたくしに対してなら……少しはその……いいですけれどっ♪」

 

鈴「ホント、愛されてるわね、あんた」

 

藤和木「うん、その一途さに救われています」

 

光樹「うん、良かったな(こっちも話ずれて良かったし……)。ってことで、話はまとまったってことでいいのか?これは」

 

ソニア「そうですね。では今回は前の話で紹介されたR1さん、R2さん、R3さんが合体して誕生する、他国からの防衛目的の試作合体兵器『プロじゃ』……じゃなくて、『プロジェクトDRX』のフラグしおっぷ……うう……」

 

レイ「ありゃりゃ、結構噛んじゃったね、ソニアちゃん」

 

ソニア「す、すみません!難しい発音が多くって……」

 

シエラ「もうっ!最近は調子いいと思っていたのに、油断するから!」

 

ソニア「ご、ごめん、シエラちゃん……」

 

鈴「まぁ、それはよく分かるわ。本編じゃ出てないけれど、あたし達SSRのメンバーもR1達と和解するときに機体がどういうのかって確かめる時に言いづらかったから」

 

ソニア「鈴さん達も言いづらかったんですね。良かったぁ……」

 

鈴「……まぁ、どっちかっていうと、あたし達の場合は「他国からの拠点防衛」の部分が少し言いづらかったんだけどね。プロジェクトとかフラグシップとかはよくGKSWAXPでも使ってた言葉だから」

 

ソニア「はううっ……」

 

レイ「まぁまぁ、そう落ち込まないで」

 

シエラ「っていうか、ソニア、解説する物の説明の途中よ!」

 

ソニア「はわわっ!そうだった……。えと、どこから言えば……」

 

シエラ「もうっ!」

 

ジャンヌ「では、わたくしが代わりに読みますね。今回の紹介は、R1、R2、R3の3機が合体する、他国からの侵攻の防衛用合体兵器計画「プロジェクトDRX」のフラグシップ機、「DRX」と、そのサポート兼武装の「Rマグナム・レイ」の紹介になります」

 

レイ「ジャンヌちゃんさっすがぁ!!」

 

ジャンヌ「そんな、レイさん……嬉しいですっ!」

 

ソニア「あれだけの文章量を噛まずにだなんて……やっぱり2年もやってると慣れがあるんですねぇ!」

 

シエラ「流石ランキングディーバ常連の1人……」

 

鈴「とはいえ、昔は噛みも多かったみたいだけれど」

 

光樹「それでも十分成長してるって思えるな。ソニアやシエラも頑張れ」

 

ジャンヌ「ありがとうございます。それでは、いよいよDRXの紹介になりますっ!」

 

 

 

 

DRX(ディーアールエックス)

 

全高 349cm

 

解説

プラネテューヌにおける他国からの防衛用兵器開発計画「プロジェクトDRX」により開発されたR1・R2(グレート)・R3(グレート)の3機が合体することで誕生する大型機動兵器。DRX合体時にはR1がメインの操縦者となる。機体区分としては「超汎用型人型防衛用決戦兵器」、R1には「絶対勝利のスーパーロボット」と呼ばれている。

 合体時にはP-LINKシステムによるサイキックフィールドを展開、機体全てを保護し、その中で合体する。R1は主に頭部を、R2は頭部以外の上半身、R3は下半身を構成する。DRXへの合体はR2とR3の追加パーツである「グレートユニット」が必要となるが、一応宇宙空間などの無重力空間ではグレートユニットなしでも胸部と腰部のみの状態となるが合体できる(もっとも、現時点で宇宙空間での戦闘は行われていないが)。

 DRXの合体は機体の強力化を狙った物であり、その出力水準は後年に開発されたパープルプロテクター以下シェアプロテクター達の出力を大きく上回るほどである。だが、それ以上に本機が開発された理由としては「国が所有する機動兵器の数のごまかし」と「女神では対応できない敵への対決」という面がある。

DRXはプラネテューヌの当時の軍備配備データによれば「3機が1機になって戦える機体」としてではなく、「1機の機動兵器が3機の小型機に分離できる機体」として登録されていた。これにより2機分の余裕を持つことができた。

 後者については当時のことを知るイストワールによれば既に女神であったネプテューヌがモンスター相手に苦戦を強いられたことがあり、それへの危機感からである。しかしイストワールによればそうでなくても当時まだ国同士のシェアの奪い合いが深刻化していたこともあり、他国へのカウンターとして戦力を持ちたかった国防軍が開発指令を送っていた可能性を示唆している。ちなみに同時期に他国でも同じ目的の兵器群がコンセプトは違えども開発されていたとのこと(加えて偶然かは分からないが、いずれの機体もゴールドサァドの側近であるゴールドソフツになっているという)。

 DRXはR1からの別名通り、スーパーロボットらしい大出力・高威力の攻撃を多く備えた機動兵器である。しかし万能兵器の側面として近・中・遠距離の攻撃に対し、何らかの攻撃を仕掛けることができる。普通ならこれほどの高火力の武装を持ち、どんな状況にも対応可能な大型兵器はエネルギーを食い過ぎるのが弱点だが、それを自身の構成機であるR2に搭載されたデルニウム・エンジンでカバーしている(逆に言うと、最初からデルニウムの膨大なエネルギーに頼り切っている、もしくはデルニウムがなければ満足に機能しないとも言える)。また本機は飛行可能であるがこれについてもR3のP-LINKフライトシステムを流用し、デルニウム・エンジンの出力で機体を浮かせているとのこと(ただし飛行中はかなり不安定であるとのこと)。

 唯一の弱点としては構造が複雑で、もろい部分が多いことと、メンテナンスに時間がかかることが挙げられる。

 モデルはスーパーロボット大戦シリーズのオリジナル機体「SRX」から。なおDRXのDは「ダイナミック」のDと「ディメンション」のDを掛け合わせている。ちなみにDRXの頭部ヘルメットユニットはモデルと同じような形状だが、こちらではビーシャと共に過ごすことになった際、ビーシャのマスクのモデルともなった設定である。

 

 

システム

 

P-LINKシステム

 R1、R3のシステムを引き続き使用する。

 

サイキックフィールド

 同じくR1とR3の機能を利用する、バリア兵装。DRXの場合、R2のデルニウム・エンジンによる豊富なエネルギーもあって強度は2機の物を大きく上回り、作中でもシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスの攻撃を何度も防いだ。

 

武装

 

ハイフィンガーバスター

 両腕部となったR2グレートのグレートユニット「ハイアレイバスター」のアップグレード版。DRXにとっては適切な間合いを取るためのけん制兵器としての意味合いが強い。合体時にはデルニウム・エンジンの出力がフルドライブ状態であるため、細かな弾丸でもかなりの威力がある。

 

ガウン・デストロイヤー

 頭部を覆うように装着されたDRX用の頭部ヘルメットのモニター部から放たれる高出力ビーム兵装。敵に当たった際には奇妙なSEが鳴る。しかしR1はこれを気に入っている。

 なお、頭部ユニットはR1の時のシールドパーツが分割して形成している。具体的にはシールド後部である。

 

サイキック・ミサイル

 DRXの脚部となったR3のグレートパーツから引き続き使用する兵装。性能はR3の時と大して変わっていないが、DRXの射撃武装と合わせて一斉射(DRXフルバースト)を放つことができる。

 

エッジキッカー

 DRXの脚部となったR3グレートのコンテナ横のウイングがそのまま脚部ブレードとなったもの。蹴り込んでの装甲を裂く攻撃の他、飛び蹴りの要領で勢いよく切り裂く方法をR1は好んで使用している。またサイキックフィールドでブレード部を保護することも可能である。

 

ジ・ザインナックル

 両腕をサイキックフィールドで覆って叩き込む近接武器。その威力は相対した際のゴッドクロスがビームシールドを展開したにも関わらず大ダメージを与えるほどである。

 

ドミニオンズ・ボウル

両手甲から形成する光のエネルギー状の物体を放つ攻撃。別名「念力結界」。サイキックフィールドを射出型のフィールドとして使用しており、触れればそのまま念力結界に囚われ、攻撃をなすがままに受けるだけである。DRXにおける連続コンボ攻撃の要である。

 

D・O(デュナイド・オリハルコニウム)ソード/限界突破無限剣

 胸部に格納された柄から刀身を形成して作り出す、DRX単体での最強必殺武器。刀身はデルニウムのエネルギーから生成された、オリハルコンと同種の構成である。また切り離すことも可能であり、切り離した後は細部の物質にP-LINKで働きかけることで爆発させる攻撃法もある。その場合は「限界突破念力爆砕剣」となる。

 

 

 

 

ジャンヌ「以上が、DRXの解説になります」

 

光樹「DRXって結構身長あるんだよな……」

 

シエラ「3m中ごろっていうのはやっぱり大きいわね。そういえばDRXの状態であなた達が休憩しているところに入って来た時あったわよね?あれ本当に入れたの?」

 

鈴「それなんだけど、話によるとDRXの状態だと、サイズ変えられるみたいよ?」

 

ソニア「え!?どういった原理でそんなことが出来るんですか!?」

 

光樹「ええと確か、プラネテューヌ国防軍で開発された「マイクロ化装置」のおかげだったかな?とあるモンスターの力を機械で再現して小さくなることが出来るって話だ」

 

レイ「へぇ~便利なんだねぇ」

 

シエラ「ちなみにそのモンスターっていうのは?」

 

鈴「うん……それが、多分この作品のオリジナルモンスターのようなんだけど、名前が「タヌえすけ」っていう、青い狸型モンスターなのよね……」

 

シエラ「……なんか藤和木の録画番組の中に似たキャラクターの出てるアニメなかった?」

 

ソニア「うん、見たことあるよね……。藤和木さん?」

 

藤和木「あんなこっといいn……」

 

レイ「ちょいちょいストーップ!!?」

 

ジャンヌ「藤和木っ!?流石にそれ以上は消されますって!?」

 

藤和木「おおう?まぁ、そうだね。これだけで結構時間というか、文字も消費しているし、あと気になることとかは?」

 

光樹「そういやこの作品ではビーシャのマスクはDRXのヘルメットからデザインもらっているんだな」

 

レイ「そうだよね。原作だと特に触れてなかったけれど、ここら辺の設定は元から考えていたり?」

 

藤和木「うん、まぁ一応。実はそれについての話も書こうかなーって思ってたんだけど、書くスペースなかったのと、完全に忘れてたのとで書けてません」

 

鈴「ダメじゃない……あ、ちなみに私達はその由来は聞いているって設定だからね」

 

シエラ「聞いたとしたら、多分ビーシャと光樹の過去が語られた辺りかしら?」

 

鈴「そうね。連れて帰る途中で聞いたらそうだったって感じね。あ、そういえばDRXのヘルメットデザインの由来の物語はあるのかしら?」

 

藤和木「えっと……開発スタッフの談があるね」

 

光樹「へぇ、あるんだな。どんなのだ?」

 

ジャンヌ「わたくしが読みますね。……どうやら、昔活躍した、レーサーでありながら格闘技で悪を倒すヒーローのマスクから来ているようですね」

 

シエラ「レーサーが格闘技で悪を倒すって……なかなか謎なヒーローなのね」

 

ソニア「というか、大元がそのヒーローから取っているって、何だか数奇な運命って言いますか……」

 

鈴「最終的にまたヒーローの証になってっていうのは、まさしく運命って感じね」

 

光樹「どっかで見たことのあるヒーローのような気がしてならないけど、別にいいか。次は支援機のRマグナム・レイだっけ」

 

藤和木「そうだね。ちなみにRマグナム・レイもR1達と同じ自我を持ったロボットなので、また解説が長くなります」

 

レイ「それじゃあ、もう紹介しないとね。続いてRマグナム・レイの紹介だよーっ!」

 

 

 

Rマグナム・レイ

 

全長 214cm

製造年日 G.C.1997年2月3日

好きな物 ロボットゲーム、音楽鑑賞

嫌いな物 過去、整備

 

解説

 DRXの追加兵装としてプロジェクトDRXのデータを利用し、追加制作された機動兵器。R1達と同じく自我を持ち、データ上ではR3と姉妹である。

 元々は大型銃として設計されていたが、戦場でのスムーズな使用と戦力の増大を重視したことで、人型への変形機構を盛り込み完成した。当時のデータによれば、他にも大型剣やブースターも考案されていたが、DRXの武装として採用されたのはこのRマグナム・レイのみ(ただし、剣の方はのちに別の機体のパワーアップパーツとして改修されて使用されたとされている)。なお人型への変形機構を盛り込む際、R2やR3のグレートパーツに当たる追加パーツを装着しているため、一部の人間からは「Rマグナム・レイ・グレート」とも呼ばれる。

 本機の動力にはデルニウム・エンジンが採用されており、変形してからDRXに装備されることによりオーバードライブ状態になる。その状態で撃つのがハイパー・デルニウム・バスターキャノンである。ただしR1の意向で名称は「限界突破一発必中砲」、もしくは「次元無敵の一発必中砲」となっている(なお、Rマグナムの方も、R1に影響を受け、納得している)。

 機体モデルはDRXのモデルであるSRXの支援機「R-GUNパワード」である。機体色は

 

 

システム

P-LINKシステム

 R1とR3に装備されたものと同じシステム。ただし姉の物より出力はR1寄りに出せるようになっている。

 

サイキックフィールド

 超念力により展開される防壁。デルニウム・エンジンを載せているものの、出力はDRXに大幅に劣る。これは超念力を持つAIの数の違いによるもの。ただしDRXと合体している際はDRXの防御力を更に高めることとなる。

 

変形

ハイパー・デルニウム・バスターキャノン(HDBキャノン)を使用できる「バーストディバイダーモード」へと変形する。

 

 

武装

 

 

頭部バルカン砲

片側30発、計60発を備える。これはRマグナムの大きさが若干R1を上回るためである。

 

ビームカタールセイバー

 肩に装備されるビームソード。カタールと言えば曲刀をイメージするが、Rマグナムの物は機動戦士ガンダム00シリーズに出てくる「GNカタール」に似た形の刃を形成する。柄同士を合体させることでブーメランとして使用することも可能。

 

フル・ツインバスター

 バックパックに装備される重粒子砲。グレートパーツに当たる武装であり、変形時にはバックパックから分離し変形した脚部に装着され砲身とする。

 

HDBキャノン「ハイパー・デルニウム・バスターキャノン」

 巨大銃形態であるバーストディバイダーモードへと変形して放つ超火力の重粒子ビーム砲。本来ならDRXにより運用されるが、一応本機のみで発射することは可能であり、Rマグナム・レイが単機で戦う際の切り札とも言われている。ただし合体時と単機時の威力の差は明らかであり、検証実験時では合体時のモンスター撃破数がスライヌ109体(照射時間15秒)に対し、単機の際はスライヌ44体(照射時間6秒)である。

 

ツイン・バレットライフル

 ビームと実弾を切り替えて撃てる2連装のライフル。2丁装備する。なお、変形時に本兵装はパージされる(戦闘終了までの間、内蔵されたスラスターによって戦闘区域外で待機、終了後に回収される)

 

 

 

 

レイ「以上が、Rマグナム・レイちゃんの解説になるよーっ!」

 

ソニア「レイちゃん、って……大丈夫なんでしょうか……」

 

レイ「でもR3とは姉妹なんでしょ?ならあってないかな?」

 

シエラ「そ、それはそうですけれども……」

 

鈴「まぁ、いいんじゃないかしら?本編で描かれていないところだけど、喋った感じは幼い感じだし、R1と似て子ども達とよく遊ぶ感じらしいから、大丈夫でしょ」

 

光樹「そうだな……。っていうか、元ネタからどうやって「レイ」って部分が出てきたのか……」

 

ジャンヌ「まさか……レイさんの「レイ」からとかじゃないですよね、藤和木?」

 

藤和木「ははは、まさか。ちょっとビームキャノンからビームライフルに、更にそれを光線銃に置き換えて銃を「マグナム」に、「光線」を「光」→「RAY」→「レイ」としただけです。作品内だとそんな難しくない設定ですが」

 

ジャンヌ「ならいいですけれど……」

 

光樹「いや、レイさんの名前自体もオーバーレイのレイで「光」だからな?」

 

藤和木「……考えた発想が違えば、問題ないさ」

 

レイ「あはは。まぁよくあることだからいいんじゃない?レイって結構ある名前だからさっ」

 

ジャンヌ「レイさんがよろしいのであれば……」

 

ソニア「あはは……ジャンヌさんもレイさんと藤和木さんには強く言えませんよねぇ」

 

ジャンヌ「あら、2人のこっちにいる間の指導、少し強めにした方が良いでしょうか?」

 

ソニア「ごめんなさい!」

 

シエラ「な、なんでわたくしまで……」

 

光樹「飛んだとばっちりだな。藤和木のせいで」

 

藤和木「すまない」

 

鈴「それはあの英雄が多数登場する作品のあの英雄の言葉でいいかしら?」

 

藤和木「さて、今回はここまで。……ということで、光樹君と鈴を含めた、ネプテューヌSTORYで活躍した味方サイドのメンバーはしばらくお休みです」

 

光樹「しばらく俺は出ないのか……。なんか不思議な感覚だな」

 

鈴「本来のこの馬鹿なら、時間操作してでも出てやるさ!と言いそうだけれども」

 

ソニア「ほ、本来の光樹さんって、どんな人なんでしょうか……」

 

シエラ「時間操作って、もう並みの人間がやることじゃないわよ……」

 

レイ「スピリット化したら、装甲系能力を打ち破れる連続アタッカーになりそうだよねー」

 

ジャンヌ「あと付けるとしたら……アタックステップ限定で完全耐性とかでしょうか?」

 

光樹「どんな想像をしているんだ……。まぁ、それくらいのことをやりそうなのは否定はしないな。記憶も戻ってきているし」

 

レイ「あれ?そういえば今の光樹君って、丁度鈴ちゃん達と一緒にいた頃の光樹君なんだよね?どうなの?」

 

鈴「あぁ、結構当時の反応とか来るわね。大抵イラつくんだけど」

 

光樹「おいおい、そりゃないだろ?けど、ここにきて改めて思い直すのは、藤和木にジャンヌさんはもったいないと思うな」

 

藤和木「ははっ、俺が一番思ってるよ、そんなことは」

 

光樹「やっぱか。まぁ非公式だからいいんじゃないか?」

 

藤和木「そう言ってくれると助かりますわー」

 

鈴「うん、やっぱ裏設定でパラレルワールドの同一存在的な関係って言ってる通り、そこそこ似てて何だか疲れるわ」

 

シエラ「奇遇ですね。わたくしもそれを思いました」

 

光樹「まさか、シエラは鈴の並行同位性存在か?」

 

鈴「あんたは何を言ってるの?」

 

シエラ「それはないでしょう、設定考えた時系列的に」

 

藤和木「はは。それは流石にないよ。……ちょっと掠ってる部分はあるけれど」

 

シエラ「……はぁ!?」

 

ソニア「え?どういうことですか?」

 

鈴「掠ってる、ってことは、さっきの話のどこかが何かの話に関係してるってこと?」

 

藤和木「それは面白くなくなるから言わないでおこう。時が来るまでね。それより、2人はもう言うことない?」

 

光樹「んー……言うとしたら、勇也と絵里奈って、キャラデザの設定は固まっていないような気がするんだが?」

 

藤和木「あはは、というかうちの作品で絵が描けるほど設定が固まっている、というより、絵が描いていただけるだけちゃんとイラストが頭に浮かんでいるキャラは光樹君と鈴、あと華南ちゃんくらいのものです(笑)」

 

ジャンヌ「確かに、この作品が描かれる際は大抵光樹さんか、何故かアシスタントのわたくしになりますし。それはちょっと死活問題では?」

 

鈴「っていうか、あたしのは決まっているのね……」

 

光樹「あぁ、なんかうずめっぽいとは思うんだよな、顔つきが。記憶失ってから鈴を見たから、余計にそう思う。もしかして、鈴ってネプテューヌシリーズの人物だったり?」

 

鈴「そんな冗談、あんまり聞きたくはないんだけれど?別にネプテューヌシリーズが嫌いってわけじゃないんだけど、光樹が言うとなんか……」

 

藤和木「まぁでも、鈴のデザインはネプテューヌのイラストに近い感じにしてはいるね。で、さっきの質問だけど、一応今チームレッドまで決めたぞ」

 

シエラ「早っ!?」

 

ソニア「この短い間に……流石ですね!」

 

藤和木「いや、これでもかなり時間かかってるから(笑)。とりあえず今言っとくのは勇也と絵里奈のデザイン似てるやつからかな?」

 

光樹「初めに似ている奴からデザインって決めていくものだと思うんだが……、面白いやり方してるよな、作者って。で、似てるのは?」

 

藤和木「勇也はコードギアスの四聖剣の1人「朝比奈省吾」。絵里奈の方は蒼の彼方のフォーリズムの「有坂真白」のデザインをベースとします。細かいところは違うので、もし誰かに描いてもらう時とかツイッターで小ネタやるときは言葉で調整するかな?」

 

鈴「行き当たりばったりっていうか……。けど、決まってよかったってことにしておくわ。じゃあ、そろそろ次回予告行っていいわよ」

 

藤和木「では次回予告はアシスタントメンバーで行います!シエラから、どうぞ!」

 

シエラ「わたくしから!?……まぁ、分かったわ。台本も用意してあるし……。舞台は変わって、黒の女神ブラックハートが治めていた土地、ラステイションへ」

 

ソニア「山岳地帯を、女神ブラックハートこと、ノワール様が走ります!」

 

レイ「けれど、その後ろから追いかけるのは……なんと、自らの国を守る、国防軍のメンバーだった!?」

 

ジャンヌ「そんなノワール様をチームレッドのメンバーである米山真奈とSSRシリーズの1機を操る岡島理恵が救う……」

 

シエラ「なぜ国のトップが、自らの国の兵に追いかけられるのか……そんなことは他所に、猛争・機械化モンスターは現れた」

 

ソニア「辛くもモンスターは撃破する一行。ですが、街に付いた途端、倒れてしまうノワール様!」

 

レイ「けれど、それを1人の少女とロボットが助ける!」

 

ジャンヌ「彼らは一体何者なのか……?」

 

シエラ「次回、「新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG」!」

 

ソニア「第3章、ノワールSTORY 「ZONE OF YANDERE」 第151話「追われる黒の女神」」

 

レイ「黒の女神の物語がいよいよ始まる!」

 

ジャンヌ「ともに駆け抜けるは、赤き砲撃型ガンダム……蠢く陰謀を……」

 

アシスタント全員『撃ち貫け、ロートクウィーン!!』

 




今回もお読みいただきありがとうございます。次回からはノワール編へと入ってまいります。

レイ「今回は先にキャラクターを紹介ってことはないんだねー」

ソニア「そういえば勇也さんと絵里奈さんはお二人の活躍するネプテューヌ編がスタートする前の四女神編の最後に紹介したんでしたっけ」

レイ「そうそう。多分あんまり黒の館を連続させるのは不味いって思ったんじゃないかな?」

ソニア「そうなんですか?」

うん、当たり。あとキャラクターが出た後で紹介した方がいいのかなって感じがしたから。紹介の前後はまた考えたりもするので、今度のガンダムサイドのメンバーは一度戦闘を挟んでから辺りになります。

レイ「ノワールちゃんと理恵ちゃんだっけ?どんな絡みをするのか楽しみだねー!」

ソニア「一応会ってはいますが、理恵さんは結構物静かっていうか、口数少ないですよね。まるでアブソリューツのアメディスさんみたいな感じです」

さて、それではそんなノワール編の投稿日こと次回の投稿日は1週間後になります。

レイ「また延びちゃうねー。藤和木も書きなよ?」

うん、一応ペースは速くなってはいるよ?

ソニア「それでは皆様。ノワール編もよろしくお願いします!」


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第3章 超次元編 ノワールSTORY ZONE OF YANDERE
第151話 追われる女神


どうも、皆様、ご機嫌いかがでしょうか。明日から就職先の会社でのリクルート研修が始まります、藤和木弘です。

ジャンヌ「藤和木も少し緊張していますよね。わたくしもレイさんと同じアイドルになって初のライブの時は緊張しましたからよくわかります。でもそんな重みのある責任をちゃんと背負っていけるようになっていってくださいね?どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです」

ソニア「わ、わたしもグラン・ロロでライブがあるときは戻って活動していますけど、未だに緊張が抜けないです……。でもいろんな人が期待してくれているって思うと、すごく嬉しいです!どうも、皆様!最近は日本中で雨が降りましたがどうでしたか?こちらもかなり予定が狂ってしまいました、ソニア・A・ワスプです!」

ジャンヌ「そうなんですよねぇ……。本当なら藤和木が就職前に気分を整えるために名古屋の方に行こうって言っていたんですが……行けずじまいです」

そうなんだよなぁ……一応リクルート研修の時そこそこ早く帰れるのなら名古屋の方によって行きたいんだけども。

ソニア「でもそっちに集中してリクルート研修が疎かになっちゃダメですよ?今回は藤和木さん達新入社員の方々の初仕事的な物っていうらしいですし」

うん、気を付けるよ。さて、今回は第151話の投稿です。

ジャンヌ「それだけではありませんよ?今回からラステイションの女神、ブラックハートことノワール様の物語になります!」

ソニア「ノワールさんって、本当優秀な方みたいでしたよね!けど、タイトルがあの人からはとても感じられないようなものですね……誰に追われているんでしょうか……まさか、ネプテューヌ編でも言ってた、秘密結社でしょうか?」

ジャンヌ「そういえば、ネプテューヌ編でノワール様が指名手配犯とかどうとかで逮捕された的なことが上がっていたような……」

ソニア「し、指名手配!?」

そういやその頃はまだソニア達が来てなかったころだったっけな……ここからどうやってネプテューヌ編のアレに繋がってしまったのか?今回はその一連、そしてノワールに付き従うこととなる、今回の章に登場するガンダムサイドのメンバー2人が明らかになります。それでは、本編へ!


 

 時は、女神達が自国の辺境に飛ばされて、しばらくした頃……。

四国家の1つ、ラステイションの山岳道を1人の少女がその道を駆けていた。黒髪のツインテールに、白と黒をメインに青色をアクセントとした短めのドレススタイルの服装を纏う少女は額に汗を浮かべ、何かから逃げるように後方にやけに目を向けていた。

 その少女こそ、このラステイションを本来治める存在、黒の女神「ブラックハート」こと、ノワールであった。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

 しかし、走っていたためか、本来の彼女らしい冷静さが今はない。息を何とか整え、木陰に避難する。そもそも、何故彼女は逃げているのか、何から逃げているのか。その疑問はすぐに分かることとなる。

 ノワールが通って来た道の方から、男が2人程駆けてくる。どちらもきっちりとした制服を着ており、その手には機関銃を持っていた。ただならない様子の男達が辺りを見回しながら悪態を着く。

 

「クソっ……!あの女はどこに逃げたんだ」

 

「女一人に何を手間取っている。逃げられたら我らラステイション軍は笑いものだぞ」

 

 男達から聞こえてきた、「ラステイション軍」という単語。そう、彼らは本来、ノワール……ブラックハートに従うべき存在、ラステイションの国防軍に属する兵士なのだ。

 だが、今の彼らからは女神に従う姿勢が全く見られていない。それどころかノワールをただの少女と思っていた。兵士達は今後の動向について話す。

 

「しかし、少女とは思えないほどの俊敏さで……とても……」

 

「だとしても、やつとて限界はある。そろそろ体力も限界だろう。もっと、よく探すのだ。残りの予備兵力も全て投入しろ!なんとしても、捕らえるんだ!」

 

「了解!」

 

 短い会話を終えると、兵士達はその場からノワールの逃げたであろう方向へと去っていく。いなくなったことに安心しつつも、話を陰で聞いていたノワールは周りに気を付けつつも小声で文句を言う。

 

「く……しつこいわね!どこまで追いかけてくるつもりよ」

 

 しかしそこはしっかりとやる女神筆頭。今までと違う状況でも重要なことを理解し、兵が完全にいなくなったところですぐに場所を移動する。

 

 

 

 

 だがアクシデントは続く。木々の生える山道を急いで移動していたところで急にノワールは腹部を抑える。木々の枝が服に引っかかり、服の下の肌ごと切ってしまったのだ。

 

「痛っ!ああ、もう……この服、気に入ってたのに破けちゃったじゃない」

 

 やり場のない怒りがその口から吐かれてしまう。内心ノワールもこの状況に対し怒りを感じていたのだ。そして、その口から現在の状況について、こうなった理由を独り言として問いかける。

 

「はあ……なんでこんなことになったのかしら……」

 

 彼女が自国の兵に追われることとなったその理由。それはまた少し遡ることとなる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう……やっと次の街に着いたわね。ユニ、大丈夫?」

 

 少し腕を空に伸ばして、後ろを付いてきている自らの妹ユニに対し、声をかける。ノワール達は当時、ラステイションの首都に向け、街へ街へと移動を行っていた。

 やっぱり移動には少し不便ね。本当ならルートビルドで作った道を行きたいんだけれど、今は黄金の塔による影響に何があるか分からないから、不用意に使えないし、空を飛んでいこうにも、そっちはそっちで別の問題があるしで、陸上を歩いて移動しなきゃいけなかったわ。

 そんなことを心の中で思っていると、持っていた荷物を地面に下ろしてからユニは自らの姉に返事する。

 

「うん、アタシは大丈夫だよ。でも……前の街から結構、遠かったね」

 

 大丈夫、と答えつつも、ここまでの移動が遠かったことについて言及するユニ。ノワールもそれに対し頷く。

 

「そうね……早く教会に戻って今の状況を把握しないといけないのに、移動に時間がかかるのは歯がゆいわね」

 

「……だね。けど、どうしてこんなにシェアが下がったんだろ」

 

 女神ならば本来なら女神化で空を飛ぶことも出来る、だが、それが出来なかった。正確には出来ても短時間しか力を出せずにいた。その原因はシェアの不足だ。

 今まで確かに感じていたはずのシェアの力を今は少ししか感じられていない。シェアとは人々が女神を信仰して生み出されるエネルギー。それがなくなっているという事実はノワール達も困惑していた。

 

「……わからないわ。前に立ち寄った街じゃ、何故か誰も私たち女神のことを覚えていないみたいだったし……。本当ならすぐにでも飛んで教会に戻りたいんだけどなぜかシェアが少ないせいで短時間しか女神化できないんじゃ、たまったものじゃないわよ」

 

 歯がゆい状況に息を吐いて肩を落とすノワール。彼女達はこの街の前に立ち寄った街で、聞き込みをしていた。といっても、少し話しかけただけで、奥入ったことを聞いたわけではない。しかし現在の状況を知るのは、国のトップとして当然の事。情報を集めれば、何が起こっているかも分かると踏んでの事だった。が、そこで予想外の事が起こった。それは、女神という存在が人々から消えているということだった。

最初は、たまたま話しかけた人がこの4国家のある地方とは別の、海を越えた遠い地方の人なのだと思った。だが聞き込みを続けていくうちにその認識は変わっていった。誰も、女神が誰なのかというのはおろか、女神という存在が何なのかすらも知っていなかったのだ。このゲイムギョウ界で女神を知らない人間などほぼいないはず。明らかな異常だとノワールは感じていた。

 無論この時のノワール達は気づく余地もないが、この時のゲイムギョウ界は女神の存在が消し去られていた。シェアが少ないのも、そもそも覚えている人がいないためである。

 そんなことは知らず、出来ないことは出来ないとノワールは考えを切り替える。

 

「……と、愚痴ってても仕方ないわ。ユニと合流出来ただけでも運が良かったと思わないとね」

 

 自然と妹へと投げかけられる、再会できてよかったという言葉。しかしノワールにとって、自らの妹であるユニと早々に合流できたのはとても良いことであった。身内の無事もそうだが、今のよく分かっていない状況の中で、味方がいるというのは、戦力でも心理的にも心強い。それが妹であるならなおさらだ。

 けど、本当にユニと合流出来て良かったわ。後は情報だけね。私は一泊置いてから、ユニにこれからのことについて話す。

 

「――――さて、せっかくだし、この街で少し情報収集をしていかない?」

 

「情報収集は、基本だもんね」

 

「そ、わかってるじゃない」

 

「何度もお姉ちゃんに教えてもらったからね」

 

 ユニも姉からの提案にすぐに納得を示す。妹のスムーズな反応にノワールも口元を緩める。そんな様子は第三者が見れば、まさしく仲睦まじい姉妹と言えるだろう。とはいえ、話している内容は一般の姉妹が行うような会話ではないが。しかし、姉妹の形にも色々なものがあるのも事実である。

 早速ユニは聞き込みに良さげな店を指し示す。

 

「ねぇ、お姉ちゃん、あのお店なんてどうかな?人もたくさんいるし、ちょうど良いんじゃない」

 

 ユニの示したその店には確かに人が集まっていた。人が多ければ、周りの状況がよく分かっていない分、危険もあるがそれだけ集まる情報も多い。リスクを考慮しつつも、メリットの方が多いだろうと考えたノワールはそれを了承する。

 

「そうね。行ってみましょうか」

 

 

 

 

 そこは一軒の本屋であった。店内には棚いっぱいに本が並んでおり、棚の前には多くの人が手に取り内容を確認したりしていた。

 店に入った2人は手近な客に声をかける。ノワールが声をかけたのは1人の男性だ。

 

「こんにちは。ちょっと、いいかしら」

 

「なんだ、あんた。見慣れない顔だけど、何者だ?」

 

 見知らぬ人から声を掛けられた時の反応を、男性は取る。いたって普通の反応だ。女神という存在が忘れられているのなら、当然である。女神という存在が忘れ去られていることを心の中で痛感しつつも表情には出さず、一般人を装って言葉を返す。

 

「通りすがりの女神……じゃなかった。私たち、観光でこの街に来たばかりなの」

 

 少し本音が出かけていたものの、何とか持ち直す。男性の方もそちらには気にすることなく、観光客、という点に目を向けた。

 

「……観光客ねぇ。こんな辺境の街には珍しいな」

 

 男性が若干疑いの目を向ける。それを指摘されて、ノワールも小声で失態を口にする。

 

「うっ、確かにこの街は特に観光名所や特産品がないことで有名な街だったのをすっかり忘れていたわ……」

 

「お姉ちゃん!?」

 

 自国であるラステイションの事を辺境の街までよく知るノワール。いつもならそのことも考えて言い訳を考える。だが、そんな彼女も少なからず女神である自分の事を影も形も覚えていないことにはショックを受け、完全にそのことを失念していたのだ。

珍しい姉の失態に妹のユニも声を大にしてツッコミを入れてしまう。ノワールも慌てつつも失態の理由を述べる。

 

「し、仕方ないでしょ!私だって、ちょっと焦ってたんだから!?」

 

 ノワールとしては本屋ということで地図を探しに来た旅行客、というものを想定していた。更にその旅行客という設定にも、姉妹2人であちこちを回る旅人というものを考えていたのだ。

 が、男性からの女神を知らないという反応に対して、本来の反応が返ってこなかったことにまだ頭が追いついていなかったのだ。前の街でも女神の事を覚えていないということで困惑し、この街でも同じ反応が返ってくる可能性は考慮していたのだが、思考と口に混乱が生じてしまった。加えて、それを言い直すことに気を取られ、この街に有名なものがないにも関わらず旅行客という単語が頭に出て、そのまま言ってしまったのだ。

 先程の言葉に加えて、2人の焦る様子を見て、男性も疑いの目を強める。

 

「怪しいな……」

 

 まじまじと2人を見る男性。事を大きくしないようにと、ノワールは必死にごまかそうと言い訳を並べる。

 

「あ、怪しくないわよ。ほら、見ての通り姉妹水入らずの旅行なのよ。ねー、ユニ」

 

「うん、お姉ちゃん」

 

 姉からの唐突な振りを向けられるも、そこはいつも仲のいい妹。すぐに話に合わせる。とはいえ、その話し方はまだ先程の姉の失態への困惑が残っていて、あからさまに怪しい物ではあった。そして、その事を男性の側も指摘する。

 

「なんで、2人共声が引きつってるんだ……?」

 

 流石にこのままだと、嘘だとばれてしまう。何とかしてごまかしきるか、ボロが出る前に退散しないと……。ノワールの頭の中を、その2つの対応が巡る。

 だがここで状況が変わる。2人の顔を見て、男性が何かに気づいた。

 

「……ん?そういえば、お前らの顔、どこかで見覚えあるぞ。確か、えーっと……」

 

「え、それってまさか……!?」

 

 見覚えがある、そんな言葉にノワールは思わず食いつく。ノワールだけではない、ユニも男性の言葉に注目する。見覚えがあるということは、もしかすると女神の事を思い出そうとしているのかもしれない。最低でも覚えてくれているのなら、信仰によりシェアを取り戻せる。男性がどんなことを言うのか、2人の期待は強まっていく。

 だが、とんでもない言葉が、男性の口から飛んでくることとなった。

 

 

 

 

「そうだ、思い出した!最近、この国を騒がせている秘密結社の構成員だな!!」

 

 

 

 

『はい!?』

 

 一瞬耳を疑い、脳が言葉を理解しきる前にノワールとユニは同時に、まったく同じ反応をする。見当違いの反応ならそうなっても仕方がない。だが、あまりにも見当違いすぎる答えは2人には困惑しかもたらさなかった。

 ちょ、ちょっと、秘密結社の構成員!?私たちが!?何がどうなって、どうしてそんな聞いたこともない秘密結社のメンバーになっているのよ!?私はこの国の女神で、ユニは女神候補生よ?しかもこの国を騒がせているって、まるで悪人じゃない!

 だが、そんなノワールの考えも空しく、それらの言葉は周りにいた人々に伝播していく。

 

「お、おい。どういうことだ!?この子たちが例の秘密結社の一員なのか!?」

 

「そっちの小さい子は知らないが、こっちの大きい方は間違いねぇ。今朝の朝刊にチラシと一緒に挟まれてた、指名手配書とまったく同じ人相だ」

 

 勝手に進む話に、しばらく目を丸くしていたノワールも理解が追いついていないものの明らかな誤解だと感じ、それを否定する。

 

「ちょっと、私たちが指名手配ってどういうことなの!?何かの誤解じゃないの!?」

 

 しかしそんな弁解も思い出した男性の方は訝しんだ声で警戒しつつその事実を語る。

 

「誤解なわけないだろ。その黒髪のツインテールに、漆黒のドレス!間違いねぇ!間違いなくこいつは、ラステイション転覆を企んでいる、秘密結社アフィ魔Xのノワールだ!」

 

「はいぃぃ!?」

 

 無茶苦茶だ、とノワールは思った。なぜ女神である自分が指名手配犯なのかということや、自分の姿で指名手配の写真が載っていること、そして自分が馴染みのない、悪さを企んでいるのであろう秘密結社の一員に勝手にされていること。それら全てに対して、ノワールは困惑と焦りの中に放り込まれてしまった。

 そして、更なる事実がこじつけで作られていくこととなる。話に入って来た男性がユニの方を指し示して確認する。

 

「じゃあ、こっちの小さい子は?」

 

「おそらく、どこからか攫われてきたんだろう。だが、安心してくれ、お嬢ちゃん。今、俺達が助けてやるからな」

 

 ユニの事を勝手に自分が攫ってきた子だと断定する2人の男性。それらを含めたおかしな情報にノワールも流石に声を荒げる。

 

「ちょっと、待ちなさいよ。なんで、女神である私が自分の国を転覆させないといけないのよ!」

 

 ノワールとしては、女神である自分を侮辱されたことへの怒りから出た発言だ。だが、それは却って彼らの怒りを買うこととなる。

 

「こいつ、既にラステイションの支配者を気取ってやがる。しかも、この国の神ときたか……!」

 

 と、そこへ更に乱入者が来る。その人物が、この流れを更に悪くする。

 

「おい、なにを騒いでいる」

 

 

その場に現れたのは、ラステイションを守る、ラステイション国防軍の兵士であった。おそらく、この街を守る地方軍の者なのだろう。その国防軍兵士に対し、疑い深い男性の方がノワールの事を伝えた。

 

「おお、ちょうどいい所に!指名手配犯のノワールが現れたんだ!しかも、女の子を誘拐してやがる!」

 

「なんだと!?確かにこの人相はあの極悪非道の殺戮神ノワールだ!まさか、誘拐にまで手を染めているとは……」

 

「だから違うって言ってるでしょ!もう、どうして誰も信じてくれないのよ!」

 

 ノワールも対応が自棄になっていく。人質扱いされているユニも、状況について行けず、ただただオロオロとしていた。

 一方、ラステイション国防軍の兵士の方は騒ぐノワールに耳を貸さず、そのまま強引に連行しようとする。

 

「ええーい!問答無用!世のため、ラステイションのため、この場で捕まえてやる!」

 

 捕まえようと伸ばされる手。このままじゃ、無実のまま捕まっちゃう。けど、相手は私の国の兵士。敵ではない相手を倒すわけには今はいかないわ。こうなったら……出来るのはただ1つ!

 伸ばされた手を払いつつ、ノワールは未だ状況の飲み込み切れていないユニに一喝するように指示を飛ばす。

 

「もう、何がどうなってるのよ、もう!ユニ、逃げるわよ!」

 

「でも!アタシたちはなにも悪いことしてないのに。それにこんなやつら、アタシが返り討ちに……」

 

 しかし、ユニは聞こうとしない。むしろ、反撃をしようと手を開き、愛銃を手にしようとする。ユニとしては、自らの姉に掛けられた濡れ衣を晴らしたいという気持ちが高まっていたのであろう。だがしかし、それは最悪手だ。現在はノワールと一緒に行動しているものの、ユニの方には罪がかかっていない状況だ。もしここで攻撃すれば、ユニにも罪がかかってしまう。愛する妹にまで勝手な濡れ衣を着せられるのは、姉としては許せなかった。

 そして、それ以上に彼らがラステイションの国民であることが何よりも重要だった。彼らは今まで自分達の為に尽くしてきた、また自分達が守ってきた存在だ。どんな状況でも、完全な悪意を持って攻撃してくるのならまだしも、彼らは今女神の事を忘れているために、何らかの原因で敵対してしまっている。もしここで攻撃すれば、記憶が戻った時に問題となる可能性もある。お互いのためにも、ここで自分達から攻撃することは絶対に出来ない。そのことをユニにも伝える。

 

「ダメよ、例え私たちのことを忘れていても彼らはラステイションの住民なの。傷つけるなんて絶対にダメ」

 

「……っ!」

 

 悔しそうにしつつも、ユニはその言葉に従い、手を下げる。そしてユニの手を引いて、店から飛び出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 本屋から逃走することには成功したノワール達。だが、追ってくるラステイション軍兵士の追走を振り切ろうとするうちに、路地裏まで来てしまう。その道の先はフェンスで塞がれており、唯一とも言える逃げ道からは追いかけてきた兵士と男性達でいっぱいだ。

 もはや逃げ道はない。兵士達がノワールに対し捕まるように呼びかける。

 

「さあ、大人しくしてもらおうか!そして、まずはその子を解放するんだ」

 

「………………」

 

 その言葉に対し、ノワールは口を閉ざす。更に兵士の方を強く見つめていた。見つめられる兵士側も、緊迫した状況に表情をより硬くする。まさに一触即発の状況。だが、それを破ったのは、ノワールの側であった。

 

「………………わかったわ。ユニ、向こうに行きなさい」

 

「お姉ちゃん!?どうして!?」

 

 それは、ユニを渡す、ということであった。姉の唐突過ぎる別れを告げる発言に、ユニも困惑を隠せず、声を大にしてしまう。しかし、ノワールとしては、これが最も最善の策だと感じていた。ユニにも、これまでに理解が出来た状況だけを小声で伝える。

 

「あの人たちの話を聞く限り、指名手配されているのは、私1人。なら、ここは一度別れましょ。あなたまで、危険な目にあう必要はないわ」

 

 ノワールの言う通り、現時点での指名手配は自分だけ。先程も思っていた通り、妹まで犯罪者の仲間入りにさせるわけにはいかない。まだ逃げられる可能性があるなら、妹だけでも安全に逃がすのが、姉としての役目だろうと考えていた。

 とはいえ、それはつまりノワールが危険な目に遭うということ。当然ユニも理解し、そんなことを簡単に受け入れなかった。

 

「けど、それじゃあ、お姉ちゃんが……」

 

 しかし、そこは長年女神を経験し、更に姉として振る舞ってきたラステイションの女神。ユニを説得するべく、右手を腰に当てて、余裕を見せて答える。

 

「私は大丈夫よ。あなたとは年季が違うんだから。逃げ切ってみせるわ」

 

「でも……!」

 

 しかし、ユニは食い下がる。姉を置いて、自分だけが逃げるのが許せないのだろう。私に少し似て、強情なんだから、と思うノワールだったが、もう1つの考えをユニの耳元で吹き込む。

 

「それに、これは保険でもあるの。おそらく、私はラステイション全土に指名手配されてるわ。もし、私が捕まったら、頼れるのはあなたしかいないの。お願い、分かって」

 

 内容はシリアスだが、その頼み方は皮肉にもわがままを言う妹を窘める姉のようだ。また言い方もどこかお願いをするような声のかけ方であった。流石のユニも、それらの言葉の意味と気迫に押され、それを受け入れる。

 

「……わかった」

 

 その声と共に、ユニはゆっくりと兵士達の方へと歩いていく。その後ろ姿に、ギリギリ聞こえる大きさの声で、ノワールの別れの言葉が投げられる。

 

「いい子ね。気をつけるのよ……っ!」

 

 そう言うと同時に、ノワールは壁に向かってジャンプする。ジャンプした先で壁に足を着け、壁を蹴って更に飛ぶ。飛んだ方向にあったのはフェンスだ。だが壁を蹴って更にジャンプしたことと、女神自身の身体能力の高さで道を塞ぐほどの大きさのフェンスを越えて路地裏の通路を突っ切っていく。

 流石にこの行動を予測しきれなかったラステイション国防軍もすぐに追っ手を出す指示を飛ばす。

 

「クソ、逃げられた!追え!追うんだ!絶対逃がすな!」

 

 そんな声が響く中、ノワールは振り返ることなく走っていく。その目に少量の涙を流しながら。その涙の1滴は瞳から零れ、地面を濡らす。

 ダメだ、今泣いてはいけない。そう思ったノワールは走りながらも目元の水滴を服の端で拭く。また会えるはずだと信じて、街の外へと速度を落とさず走っていく。その後ろには、彼女を追うラステイション国防軍の兵士達の姿があった。

 そして、路地裏に残されたたった1人の妹は、欺かれた事実で人質となった自分を救出したことを喜ぶ男性達に声を掛けられる中で自身の弱さを感じた。そして、その光景を眺める、2人の機人が黒の女神を追っていく。その背部から、赤黒い粒子を放出しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここまでが、ラステイションの女神、ノワールの身に起こった、事の始まりである。その眼を閉じると、今でもあの時のユニの顔が思い浮かんでいた。怒られたように気分の沈んでいたユニの表情。それを思うと今どうしているのかでいっぱいになってしまう。自然と、その口から本音が漏れる。

 

「……ユニ。無事だといいんだけど……。けど、きっとあの子のことだし、大丈夫よね。さて、私も早いとこ追っ手を撒かないと」

 

 妹の事は気になるが、今は自分の身を考えなければならない。再び追っ手に気を付けて歩こうとする―――――――――――

 

 

 

 

「無事ですよ。妹さんなら……」

 

 

 

 

 唐突に響く、後方からの声にノワールは反射的に体を震わせる。明らかに自分に向けられた言葉だということは分かる。だがそれ以上に女神である自分がそれに気づかなかったというのは完全に失態だったからだ。すぐにノワールはその手に剣を持って戦闘態勢で相対する。だが、その相手は予想外の相手であった。

 

「誰っ!!…………その姿……まさか、あなたは」

 

 ノワールの目に映ったのは、2機の機動兵器だった。しかし、その姿は人型であり、またその大きさも人と同じサイズだ。ノワールが知っている兵器で、このような特徴を持つ存在は2つしかない。1つは、シェアプロテクター。このゲイムギョウ界を収める、4つの主要都市が合同で作り上げた、次世代の防衛機構。ここがラステイションであることを考えると、いるべきなのは自国ラステイションの機体である「ブラックプロテクター」だろう。しかし、目の前にいるのは2機、しかも色はブラックプロテクターの名通りの黒ではない。1機は赤をメインカラーにした機体、もう1機は翼の部分は黒ではあるものの、機体本体の色は白と黄色を主色としており、やはりブラックプロテクターと違う。

 そして、もう1つの存在、それはつい半年前にこの世界にやって来た少年と共に知らされた、未知の機動兵器群。その名前をノワールは呟いた。

 

 

 

 

「ノイズドプロテクター……ガンダム……!」

 

 

 赤のガンダム、その眼が光った。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。今回登場した光樹君と同じSSRシリーズと呼ばれる赤きガンダム、「ロートクウィーンガンダム」の性能はのちのち戦闘シーンと共に明らかになることでしょう。

ジャンヌ「それで、ノワール様の方についてですが、ここで見る限りは濡れ衣をかぶせられているような感じでしょうか?」

ソニア「あわわわ……赤いガンダムの人が大丈夫とは言ってしましたが、ユニさんも大丈夫でしょうか……?」

ジャンヌ「あと、ノワール様が逃げる時の動き、あれは実際に映像だったりであるんですか?」

いや、完全に想像です。ゲームからの音声でなんとなくこうかなと思ってこんな感じになりました。ただ、少しやり過ぎた感が……(;´・ω・)

ソニア「壁に向かってジャンプして、更にその壁を蹴ってフェンスを越える……すごい動きですよね……」

まぁ、そこは女神だから、ということで……。では次回の投稿日について発表しようか?

ソニア「分かりましたっ!次回の投稿日も、また金曜日になるようです」

ジャンヌ「やはり書くペースが落ちているようですね。けれど、これからまた更に忙しくなるので、これからもこのペースをなるべく維持して投稿していけるように参ります。それでは次回もお楽しみにっ」


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第152話 赤の少女達との合流

どうも、皆様、お元気でしょうか。先日会社の研修を終え、今日までの間、リフレッシュをしておりました、藤和木弘です。3日間とはいえ、本当に緊張したなぁ……。

レイ「もう少し根性を持ちなよね?って言っても、藤和木がやってたのって本来ならあの人数でも3日じゃ終わらない感じだったっていうし、それを終わらせたってことはいいことじゃないのかなっ。どうも、みんな!3日間の研修の間、私達もミニモードで藤和木に付いて行ってたよ、レイ・オーバだよっ!」

シエラ「でも、明日もまた行かないといけないらしいじゃないですか。しかも明日は罰ゲームありのボーリング大会だとか……。藤和木はボーリング苦手みたいだし、これはどうなることやら……どうも、皆様。仮面ライダーコラボのデッキを藤和木はWとディケイド&ビルド、それに紫怪人を作ったみたいよ、シエラ・ムルセーヌよ」

いやぁ、今日発売だったらしい風都探偵を買いましたが、これはよさげですね。それもあってかWのデッキを作っていましたが……うん、ゴールドエクストリーム、ダブルノヴァに入れてもよさそうな気がする

シエラ「えぇ……それはどうなの?」

レイ「んー大丈夫じゃない?藤和木は前にも、ウルトラマンのデッキにジークフリード・アビス入れていたくらいだから、今回は逆バージョンってことで!」

はっはっは。そんなこともあったね(実は近々、前よりも安くなったオメガモンをノヴァに入れようと思っているんだけどね……)。さて、今回のSSRと言う名のGは第152話をお届けします。

レイ「前回は逃げていたノワール様の前に赤のガンダム「ロートクウィーンガンダム」とそのパートナー機体が登場したシーンだったね。どんな子達が乗っているんだろうっ♪」

シエラ「その2人が、どのようにノワール様を助けてくれるのかも気になりますね」

それではそろそろ本編へ!


 

 

 ノワールの声に反応し、宙を浮いていた2機のガンダムは地面へと降り立つ。そして2機を光が包む。光が晴れると、そこには2人の少女が現れた。どちらも黒髪で、1人は髪を首の後ろ辺りで束ねており、もう1人はショートカットで後ろの髪を揃えている。そして服装はどちらも同じ赤いジャケットを羽織り、下はスカートとなっている。そして、服装の雰囲気はどこか光樹を思わせる服装だ。

 その姿を見てノワールは思い出す。四女神が各国の辺境に飛ばされた直後、ネプテューヌからの通信で見た、光樹の別の次元での仲間達、そのうちの2人だ。確か名前は……と思ったところで、彼女達の方から自己紹介が行われる。

 

「驚かせてしまい、申し訳ありません。私達が、ノワール様のアシストの為に参りました、SSRのレッドジョーカーシリーズマスターの岡島理恵と……」

 

「米山真奈です。よろしくお願いします」

 

 2人は地面に膝を突け、仰々しくノワールに頭を下げる。しっかりと礼儀の出来た2人だ

と思う。とはいえいきなり頭を下げられたのではノワールも焦る。お互いの緊張を解くべく、その跪きを止めるようにお願いする。

 

「ありがとう。けれど、流石にこんな状況でされるのもあれだし、普通に接してくれればいいわ。お互い年も近そうな感じなんだから……」

 

 しかし、そう提案しても理恵と名乗った方の少女は頭を下げたまま、言葉を返す。

 

「いえ、ノワール様はこの世界で非常に重要な人物の1人。それに対し、私達は客観的に見ればイレギュラー。協力しあう立場とはいえ、相手を敬わなくては……」

 

「そ、それはそうだけど……でも、もう少し柔らかく接してくれた方がこっちとしても助かるんだけど……」

 

 頭を抱えつつ、ノワールはこの状況をどうしようかと考える。望むのなら、もう片方の真奈という少女の方が何とかしてくれるといいのだが。すると、真奈の方が跪いた体勢を崩しながら話の方向を変えていく。

 

「まぁ、それもそうですよね。形式じみたものはこのくらいにしておきましょうか♪理恵ちゃんもそろそろ立とう?」

 

「真奈……まだこれからノワール様の下に着くことを了承してもらわないと……」

 

「いや、だからそのためにも立ってちゃんと面を合わせて、お願いしないと。あと口調とかも、もう少し友好的に、ね?」

 

「むぅ……分かりました」

 

 真奈は慣れたその口調で理恵を納得させる。立ち上がった理恵は先程よりも少し柔らかい、しかし失礼のない言葉遣いと動作でノワールと言葉を交わす。

 

「……先程は行き過ぎた反応をしてしまいすみませんでした。これからしばらくの間は私達もノワール様の力になります。よろしくお願いします」

 

「行き過ぎたなんて……ついこの間まで色々とあって女神扱いされなかった反動で、少しやる気を取り戻せたわ。ありがとう。これからしばらくよろしくお願いするわ」

 

 そんなノワールの発言を聞いて、理恵は真奈の方を向くとノワールの発言を持ち出して抗議する。

 

「……ノワール様も嬉しがってた。別に先程までと同じで良かったと思うんですけど」

 

 抗議の内容は先程の発言に関してのものだった。気力を取り戻したという発言で、もう少しやってもいいのではないか、という結論に至ったのだろう。確かにノワールもその言葉に嘘はない。だが、いつまでもそうだと、満足にストレス発散を行えそうにない状況では流石の自分自身でも制御できるかどうか不安だ。

 そのため、真奈の諭しに合わせて懇願する。

 

「いや、流石にずっとそうっていうのも、どうかと思うよ?」

 

「真奈の言う通りね。お互いフェアな関係、立場で行きましょ?」

 

 すると、理恵もしばらく考え込んだのち、再び了解の合図を告げた。

 

「了解です」

 

 とりあえず、最初の挨拶はこれで終わりだ。まずは状況の整理を行いたい。その中でも気になっているのは、彼女達が声をかけてきた時に言っていたことについてだ。

 

「さて、ちょっと聞きたいんだけど、どうして2人はユニが無事だって分かっていたのかしら?もしかして、どこかで見ていたの?」

 

 彼女達は自分と別れた後のユニの状況を知っていた。ということは街の中に彼女達もいたということだ。もしいたのなら、何処にいたのだろうか。そして、どのあたりからいたのだろうか。すると、2人はその時の状況を語り始めた。

 

「はい。一応そこに至るまでの段階も見ていました」

 

「至るまでの経緯っていうと……」

 

「本屋に入って、出てきてから路地裏に追い詰められてノワール様がフェンスを越えて更に逃走するところまで、です」

 

「……ほとんど全部じゃない……」

 

 ノワールは手を額に当てて悩ましい表情をする。まさか、街に入ってからの所をすべて見ているとは思ってもみなかった。幸い、本屋での失態は聞かれたりはしていないようだ。

 続いて真奈の方が見た方法について語りだす。もっとも、先程までの状況を考えると、大体察しは付いていたが。

 

「見た方法はNPとMP……ノワール様に分かりやすく言うなら、ガンダムによってですね」

 

「やっぱりそうなのね。けど、それならガンダムで私達を助けることくらい……」

 

「んー、そうなんですよね……」

 

 ノワールの予想通りの回答だ。ガンダムを纏って、空から見ていたのだ。しかしそうなると、気になるのはその時2人を救出できたのではないかということだ。ビルの上からでも2人を掻っ攫ってその場から飛び去り離脱することもガンダムなら出来るはず。それをしなかったのが、少なからずノワールに疑問を与えていた。

ノワールの本音を聞き、真奈は困った様子を見せる。真奈もそれを考えていた故の反応だと考えた。もし本当なら、その理由を聞いておきたい。疑うつもりではないが、聞いておかなければならない。なぜ助けなかったのかの理由を。

 すると、理恵の方が口を開いてその質問に答える。

 

「理由としては、2つあります。1つは、ガンダムの存在をなるべく秘匿したい、こちらの思惑。無理にガンダムを別世界の争いに介入させると、本来の流れに割り込んでしまいますから。……そしてもう1つの理由は、ノワール様が言っていたように、ユニさんを逆転の一手として扱う方のメリットを考えたからです」

 

「ユニを逆転の一手……」

 

 逆転の一手。確かにユニに対して「何かあった時の保険」「頼れるのはあなただけ」と言っていた。それを彼女達も考慮して、自分達でもどうにもならなくなった時のことを考えて行動したのだ。

 それから、理恵は頭を軽く下げた状態で、謝罪をする。

 

「お2人を救出できなかったことは本当に申し訳ないと思っています。けれど、今回の敵はおそらく一筋縄で上手くいかない相手……念のための保険は私達もかけたいと思っています。理解していただけますでしょうか?」

 

 理恵に続いて、真奈もまた頭を下げる。それは2人を助けられなかったことへの反省のように取れた。

 理解していただけますでしょうか、か。確かにさっきは私が疑うような言い方をしちゃったから、そうするのは当然ね。けれど、彼女達は私が危機に陥った場合の事を考えてのケアを優先して行動してくれた。もしかすると、別れた後のユニを確保せずに、私の所に来たのは非常事態に陥っている私の方を優先してくれての事かもしれないわね。それをちゃんと誤ってくれるのなら、文句なんてないわ。

 彼女達の考えを理解したノワールは、2人に声をかける。

 

「……えぇ、もちろんよ。2人は私のためにやってくれた。ならそこにどうこういう必要はないわ」

 

「ノワール様……ありがとうございます」

 

「そう言っていただけると、私達としても助かります。それじゃあ、いつまでもここにいるのも危険ですし、そろそろ行きましょうか?」

 

 そうしてお互いにそれ以上詮索することなく納得する。互いに納得したのなら、もうその話は終わりだ。真奈からの意見にもノワールは肯定的に答える。

 

「そうね。いつまでもこんなところにいても危ないし、ユニも心配だから、さっさとこの峠を越えましょ」

 

「分かりました。私と真奈とで前後は抑えるので、お任せを」

 

 ここから動くと決まると、早速理恵が動く。これだけきびきびと動ける人物が味方というのはこちらとしても助かる。ノワールはそのエスコートに従い、また道を指示しながら山道「西風の吹く渓谷」こと「サンロック渓谷」を進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノワールと合流し、山道を進んでいく理恵達。あらかじめゲイムギョウ界の地図情報はそれぞれのデバイスに入れていたものの、実際の地形特性などはその土地にいる人物の方が詳しい。特に今自分達と行動しているのは、この国「ラステイション」の女神、ノワールことブラックハートだ。モンスターとの戦闘はもちろんのこと、道についても近道などを教えてくれていたおかげで、迷うことなくスムーズに進むことが出来ていた。

 女神としての実力はやはり伊達ではない、ということですね。私は心の中で強く思う。真奈達2代目、その先代である鈴さん達のSSRNP装着者達はアニメーション次元の女神達と共闘したという。その時は女神達に大変助けられたというし、今回は私達が女神の助けになれるようにと思っている。もちろん、GKSWAXPの理念通り、過度な干渉は避けないといけないけれど。

 この時理恵は気づいていなかったが、ノワールとしては逆に理恵達の戦闘能力に驚かされていた。女神である自分に付いてこれるなんて、と。そんなこととは知らず、理恵は道の行く先について考える。

 さて、次の方向はどっちに行けばいいのか……。分かれ道に来た私は再び後ろにいるノワール様に次の道を聞く。

 

「ノワール様、次はどちらに……」

 

「そうね……確か次は……」

 

 その時、後ろの方から真奈の声が小声で飛ぶ。

 

「……っ!2人共」

 

「ん」

 

「ちょっ……何!?」

 

 理恵はすぐに反応し、ノワールの肩を持って一気に物陰の岩場に隠れる。少々手荒な真似だとは思ったが、真奈の声音から状況を察し、素早く行動することを優先した。そして、理恵の予想通りの出来事が起こる。先程までいた場所にどこかの組織の制服を見に纏った男性の集団がやって来た。その服装は、先程ノワールを追いかけていた人物達と同じ服……そう、ラステイション国防軍の者達であったのだ。

 流石真奈。後方からの敵襲に反応出来たおかげで、まだ見つからないで行ける。それに、もしかするとここで隠れて話を盗み聞いて今後の動きが分かるかも。隠れていると予想通り、兵士達は消えた女神の行方について話し始める。

 

「おい、そっちはいたか?」

 

「いや、こっちはいない。……まさか、もうここを抜けられたんじゃ……」

 

 彼らの方はどうやらノワールがここにいることは分かっていなかったようだ。その様子を窺いつつ、ノワールが2人に気づいてくれたことへの礼を小声で述べる。

 

「危なかったわ……ありがとう2人共。一先ず隠れてやり過ごしましょう」

 

「承知しました」

 

「はい」

 

 理恵達も簡潔に返答する。3人は息を飲んで音をたてないようにして様子を窺う。そんなこととは知らず、ラステイション国防軍兵士達はそのまま会話を続ける。

 

「うー……む、やはりいないな。たかが少女がこの包囲網ができる前に、ここを抜けたとは考えられんのだが……」

 

 先の方の道へと歩きつつ、隊長格の男はふぅむと首を傾げる。逃げているとは思わないその考えは当たっているが、よもやその対象であるノワールが、その近くにいるとは思ってもみないだろう。

 こちらの方に向かってくるということもないまま、彼らはそのまま先の道を行こうとする。早く過ぎ去ることを願いつつも、戦闘意識を集中させていると、足音が彼らの方へ向かう。それは他の場所を調べていたと思われる兵士によるものだった。

 

「おい、二人共、これを見てくれ!」

 

 何かを見つけたと思われる呼びかけに理恵は目を細める。なるべく痕跡は消してきたはずだったので、何を見つけたのかと気になったのだ。

 一体、何を見つけたっていうの……?私は神経を集中させて話を聞きとる。

 

「なんだ、この布切れは……?」

 

 布切れ、という単語に理恵は頭を傾げる。布ということだから、おそらく服の切れ端だということを予想する。しかし自分達は別に服の端を切ってしまったということはしていないと思っていた。

 だが実際は違う。正確には理恵達は把握していなかったことがある。それはノワールが単独で逃げていた際、道に生えていた木の枝で服が破けてしまっていたことだ。この布切れとは、まさにその時破けてしまった服の切れ端だったのだ。

 当の本人であるノワールも、流石にそれには気づき、やってしまったと1人額に手を当てる。そんなこととは知らず、理恵達はそれに対する兵士達の反応を静かに聞き取る。が、それに対する兵士の対応が、またも彼女達を驚かせてしまうこととなる。

 

「ぺろっ」

 

 なんと、その兵士は地面に落ちた、あるいは枝に引っかかっていたと思われる布切れを、その口で舐めたのだ。いきなりの出来事に聞いていた理恵は脳裏で困惑の渦に飲み込まれる。

 ……はぁ?ちょっと待って。何か変な音がしたんだけど。なんていうか、その……うん、これ完全に舐めたよね?舐めると言ったら、それはその通り舌で舐めたってこと。布切れを舐めるっていうのも問題だけど、それを落としたっていうか、残した人物がノワールかもしれないってことを考えれば、それって結構失礼なことだと思うんだけど?そんなの普通は変態と思われる行動だと思う。っていうか、そもそもそんなので誰が落としたなんて分かるわけ……。

 ノワールが落とした布切れを舐めた兵士に対し、軽蔑の視線を飛ばしたいと思う理恵だったが、更にそこから状況はややこしい方向へと進む。舐めた兵士が、驚いた様子で周りの兵士に伝える。

 

「こ、これは、あの女の服じゃないか!?」

 

 ……はぁ!?なんでそんなことが分かるの?普通そういうのは見て判断する物でしょう。なのにあの兵士は舐めて分かるって……足取りを掴まれたことよりも、舐めて誰の物かを判断するその変態さの方での衝撃が大きすぎてもう意味が分からなくなってきた……。私は声に出そうになる困惑を必死に抑える。

 理恵がふとノワール達の方を向くと、やはり2人も何がどうなっているのかということと、変態的行動への衝撃さから動揺が生まれている。特にノワールは恥ずかしさからか、少し顔が赤い。

 物陰で悶々としている中、その舐めた兵士が布切れを持ってきた兵士に対しそれをどこで見つけてきたのかを問う。

 

「こんな物、何処で見つけたんだ!?」

 

「ええっ!?今ので分かったの!?」

 

 その行動で誰のか分かったということは、見つけてきた兵士もまた理恵達と同じように驚いていた。「今ので」ということからも、その兵士のあり得ない能力に戸惑いを口にする。理恵としては自分達と同じことを思う相手側の人物がいて良かったとどこか安堵する。

 もう1人の隊長格と思われる兵士は布切れを見つけたという兵士にどこで落ちていたのかを訊く。

 

「お前、これをどこで見つけたんだ?」

 

「ここに来る途中で見つけました」

 

「まさか、見逃していたとは……。だが、お前のおかげでやつがここを通ったのはわかった。全兵士に通達して、この街道を中心に捜索にあたる、いいな」

 

「了解」

 

 それらの一連の流れが終わると、兵士達はすぐさまそれぞれの役割の為に先と後の方に向け走り出す。人気が完全に消えたところで理恵達は隠れていたところから出てくる。

 

「……まずったわね。まさか、あんな布切れ一枚でバレるなんて」

 

「確かに、予想外でしたね。私達もそこまでフォローしきれていなかったです……」

 

 ノワールからのやってしまったという発言に理恵も冷静に返答する。この街道を通ったということを知られたのは非常に厄介だ。しかも、全ての兵士に通達という所からも、この先かなり警戒して進んでいかないといけない。

 しかし、だからといって退くことは出来ない。それをノワールも口にする。

 

「2人は悪くないわ。私の責任だもの。けど、だからって後には引けないわ。女神として、なんとしても教会に行くんだから」

 

女神としての矜持がその口から語られる。今のこの混乱を収められるのはやはり女神である彼女しかいない。そのためにも自分達が彼女を護衛しなくてはならない。そのことを2人も強く認識し、発言する。

 

「そのためにも、私達が全力で護衛しますねっ!」

 

「私達は持てる力をもって、ノワール様をカバーします。……それはそれとして、1つご提案があります」

 

 ふとノワールに言葉を投げかける理恵。本当なら先程までそんなことを言う必要はなかった。むしろ内容的にはこの状況で言うべきではないことでもあった。だが理恵としては、今後のノワールのためを考えてのことだった。

 そしてノワールの方も理恵からの提案に耳を傾ける。

 

「何かしら?」

 

 一体何を言おうとしているのか、ノワールは知らない。だが、それはすぐにノワールの支持を受けることとなる。理恵はその提案の内容を発表する。

 

 

 

 

「もしノワール様がラステイションの女神としての地位を取り戻した際には、先程ノワール様の服だと断定した兵士……除隊しませんか?」

 

 

 

 

 それは理恵自身がとても嫌悪したことへの対処であった。女性の服を舐めるなど、いくら証拠を確かめるためと言ってもあまりにも常識外れの行動だった。もしこの事件が解決したとしても、その兵士の行動は非常に目に余るものがある。この先残しておくと、何かまた別の問題を起こすと思い、ノワールに打診したのだ。

 普通こんな状況では無視される事案……。だが、ノワールからの返答は良いものだった。

 

「……そうね。無事戻れたら、そうしておきましょうか」

 

 一瞬の躊躇いがあったものの、ノワールも理恵の考えには納得する。やはり、いくら数少ない証拠から見事持ち主を当てることが出来たとはいえ、あまりにも見栄えのしない方法を取る人物は採用できない、ということだろう。理恵にとっても、ノワールの判断は大変ありがたいものであった。

 意見に答えが出たところで、3人は再び先を急いだ。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。投稿する時間が段々遅くなっている気がする(´・ω・`)

レイ「それは藤和木が本を読んでたからだよー。でも風都探偵もそうだけど、ガンダムワルプルギスのオーヴェロンもなかなかだよねぇ」

シエラ「大きい外装のモデルがいるってのも驚きですけど、中身がガンダムっていうのも正直驚きましたよね」

まぁ、ビルドシリーズまで行けば、ドムの中にガンダムいたから(笑)。そのビルドシリーズも新しいのが今度やりますからね。さて、武装をパク……参考に出来そうなのはあるかな?

レイ「あ、あはは……」

シエラ「はぁ……。っていうか、今回のお話では、まだガンダムのパイロットの理恵と真奈の実力は見られなかったわね」

レイ「そういえば……地の文ではノワールちゃんが2人の戦闘能力に驚いてたみたいだけど……」

そこは後々出すね。けれどガンダムを使わない生身の戦闘だと、光樹君と他の人の差って正確性とかになるからね。多分そのままガンダムの戦闘になるかも。

シエラ「それはそれでダメなような気がするけど……まぁいいわ。近く理恵達の実力も見られるんでしょうし」

うん、その時をお楽しみに!というわけで今回はここまで!次回の投稿日について!」

シエラ「次回投稿日は……え、8日間隔になるの?」

はいそうです。仕事がどれくらいになるかとかあるので。あと時間も結構遅くなると思われます。

レイ「まぁ、最初のうちはそれに慣れることが先決だよね。みんなにも迷惑をかけるけど、ごめんねっ。じゃあみんなー、また次回っ♪」


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第153話 白い猫と危機一髪

どうも、皆様お元気でしょうか。現在社会の波にのまれてストレスもたまり始めている、藤和木弘です\(^o^)/

ジャンヌ「本当ですよね。でも少しずつですが成長している藤和木もいいですっ!どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスですっ」

レイ「そしてバトスピにも新たな環境と情報到着!藤和木も日曜日が休みになったから心が躍ってるよっ!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ」

とりあえずこれ書けたら即詩姫プレミアムボックスの購入ボタンぽちっとしにいく。というわけで第153話の更新です。

レイ「あー、確か先週はノワールちゃんの服を舐めた変態兵士がいたよね」

ジャンヌ「もしレイさんの服を舐めていたら、悪・即・滅していましたっ。わたくしも藤和木以外にされるのは嫌ですっ!……藤和木でも恥ずかしいですけれど……///」

さて、それではそろそろ本編へ!あ、あとあとがきで重要発表があるので最後まで見ていただけると助かります。


 

 

 道中のモンスターを倒しながら、ノワール、理恵、真奈の3人は西風の吹く渓谷を進んでいた。いくら山道とはいえ、ここはダンジョン。モンスターとの接敵はある程度は覚悟しなければならなかった。加えて、今ここ一帯を捜索しているラステイション国防軍の監視の目を潜りながら行動するのはなかなか大変なことであった。

 だが、彼女らも伊達にいくつもの戦いを潜り抜けてきたわけではない。モンスターとの戦闘を行いつつも、あまり派手に音が上がらないようにしつつ、周囲への警戒を強めて国防軍の追っ手から逃れていた。今もまた、道を塞ぐモンスターとの戦闘の最中だった。

 

「ノワール様、理恵、今っ!」

 

「えぇ」

 

「了解」

 

 真奈の持つレーザーガンの連射弾が、タワーのように積み重なる岩を殻とする「メカドラワター」と「ヒヨコ虫」の動きを止める。攻撃を受けた反動で鈍った2体のモンスターにノワールと理恵の2人が持つ片手剣、そして黄金と黒の剣「聖魔剣デュランダル」が振り抜かれる。片手剣の鋭い一撃と、聖魔剣の一刀はそれぞれモンスターに直撃し、モンスターを斬った後から光の粒子と血が噴き出す。吹き出した血は地面に付くもすぐに乾いていく。そして斬られたモンスターの体は地面へと体を付けたのち、消滅する。

 モンスターとの戦闘が終わると、3人はそれぞれ武器を収納する。ノワールと理恵の剣は光となって消滅し、真奈のレーザーガンはジャケットを開いた内側に備えられたホルスターにしまい込む。

 うん、モンスターとの戦闘も大変だなぁ、と私は思う。あまりガンダムは使えない関係で、私達は生身で使用できる武器を使っている。そのため、どうしてもモンスターとの戦闘に掛かる時間が多くなる。先を急ぐノワール様のためにも早く抜けたいところだけど、そうもいかない。だって、ガンダムで戦闘を行えば、2つの点ですぐさま国防軍が駆けつけるかもしれないんだから。

 真奈の挙げる、ガンダムになれない2つの理由とは「戦闘規模」と「AN粒子の特性」によるものであった。まず1つ目の戦闘規模は、言うまでもなくガンダム、MPとNPが起こす戦闘が大きすぎることだ。実弾や格闘兵装はともかくとしても、大出力ビームを主兵装とする理恵と真奈のガンダムはこういった隠密行動優先の作戦には向いていなかった。

 これ、本当なら悠達チームホワイトの領分だったほうが良かったんじゃないかなぁ。あっちのガンダムは白兵戦を主眼としてるガンダムばっかりだから、比較的この状況でも戦いやすいだろうし。……まぁ、こっちも一応「隠密に動く」ことが出来ないわけじゃないけどさ。とはいえ、それは1人でないと色々と難しい方法だから、2人をまとめて運んだりとかが出来ないんだよね。

 国の情勢を見てから判断しなかったのは迂闊だったと思う真奈。遠くから派手に暴れまわることを得意とする真奈達チームレッドのガンダムに、隠密行動を行いつつの敵との対決は難しいものであった。とはいえ、それは合流してようやく分かった事。ならば対応して見せるのが一流の装着者というもの。それに関しては真奈達も自覚していた。

 だが、そこに更にガンダム特有の問題がかかってくる。それこそが第2の理由、AN粒子の性質だ。AN粒子は、とあるガンダムの世界で機動兵器の動力機関として運用されている特殊粒子「GN粒子」のセントラルワールド版とも言える粒子である。その性質も似たところがあり、その中の1つに、粒子散布領域における、通信機器の電波遮断というものがあった。これは粒子の構成に電波に干渉するものがあり、それらのせいで使えなくなるというものだ。

 電波遮断による影響でレーダーもAN粒子発見前の物は使えないためこの世界でもおそらくその影響が強く出る。だが、それは逆に言えばレーダーでこちらの位置を知られないということも意味していた。ではなぜ、それが隠密行動に邪魔なのか。それは電波が使えないことを利用しての位置の特定が行われる、ということであった。

これは簡単に例えると、電波が使えない地域があるということは、そこにガンダムがいるということを逆に証明する確証ともなりえる。電波をかく乱されると、その近くを高速で動く物の動きは見えないが、遠くならばその領域がどこまで伸びているのかを調べれば、そこには目的のMP・NPがいるということを自然と教えてくれる。こういったものの応用として、GN粒子があった世界では双方向の通信機能を持った端末を利用してのGN粒子運用組織の場所を掴み、攻撃を仕掛けたという実績があった。

 このような例があった以上、同じような性質を持つAN粒子を運用するのならばそれらを考慮して行動しなければならない。それらの例を知らないとしても、ラステイション国防軍がそれらに対し、同じような対策を取ってこないとも限らない。隠密に行動したいこちらとしても、なるべくガンダムで場所を探られたくはなかった。だからこそガンダムを使わず、生身での戦闘を行っていたのだ。

 しかし、最悪の事態に遭遇した場合、ガンダムを使わざるを得ない可能性はある。例えば、この世界で危険種とされるモンスターに対しては、ガンダムがなければ厳しいところもある。先程から転戦している最中にも危険種の1体である「フェンリル」と呼ばれる種族のモンスターの1種を見かけている。ノワールも女神化は出来るものの、その時間が限られている。ノワールが女神化しないといけない、かつ長引く戦闘では自分達もガンダムを使わなければならない。ともかく、ここを抜ける間に起こる戦闘だけは激しくないものを真奈、そして理恵は願っていた。

2人がそんなことを心の中で思っている中、モンスターを倒して後方の道を見たノワールが息をついてもうすぐ逃げられるのではないかということを言及する。

 

「……ふぅ。このあたりまで来れば大丈夫かしら」

 

 ノワールの言葉には、真奈達もそうでありたいと思った。だが、油断は禁物であるということを理恵が告げる。

 

「そうですね。でも、まだ油断していると……っ!」

 

 すると突然、葉っぱが擦れる音が響く。その音にひと段落しようとしていた3人も驚きを露わにする。

 

「!?見つかった!?」

 

「嘘っ!?」

 

「ノワール様、下がっ……て?」

 

 最初はまたラステイション国防軍の兵士達が物陰から襲ってきたのかと、大きく身構える3人。だが、茂みから現れた物を見た途端、近いところにいた人物達の顔から緊張の表情が薄れていく。

 というのも、茂みから現れたのは、兵士ではなく……。

 

 

 

 

「なー……」

 

 

 

 

 和らげな声で鳴く、純白の毛並みを揃えた1匹の子猫だったのだから。こちらに顔を出した子猫は、そのまま茂みからその体全てをこちらに見せる。それによりようやく真奈達も緊張を解く。

 

「な、こ、子猫……」

 

「驚いた。てっきり敵かと思った……」

 

「本当ね。……もう、脅かさないでちょうだい」

 

 ノワール様の言葉はもっともだ。先程まで一切殺気とかも感じずにいきなり音がしたから、本当に暗殺部隊とか、特殊部隊がノワール様を狙いに来たのかと思っちゃったなぁ。けれど、こんなところに子猫なんて、ちょっと珍しいかも。

 完全に警戒心を解いた3人に対し、その子猫は恐れることなくノワールの下へと近づいていく。

 

「なーなー……」

 

 まるで、自分達に対し、何をやっているのかと聞くかのように、鳴き声を発してノワールの足元までやってくる子猫。しかし、見たところ危険そうでもないので、理恵と真奈もその様子を傍観する。一方、自分の元までやって来た子猫に対し、ノワールは優しく声をかける。

 

「あなたはこんなところで何やってるの。もしかして迷子?」

 

 一部の人が見れば「猫と会話するなんてナンセンス」だったり「ロマンチスト」と言われそうな光景ではあったが、理恵と真奈はそんなことなく、その光景を微笑ましく見ていた。ノワールも緊張の連続であったので、少しくらい気を抜く時間があってもいいと思っての事だった。しかしながら、理恵の方は周囲の方に少し警戒を張っていた。それを感じ取ったのか、ノワールの手にじゃれついていた猫が不安そうな声を出す。

 

「なー。……なー?」

 

「理恵、少し気を張り過ぎじゃない?」

 

「真奈……分かった」

 

 真奈からの言葉を受けて、少し殺気を収める理恵。それにより、猫の方も落ち着いた様子でノワールの手にじゃれついていく。理恵の事については聞こえていなかったノワールは、そのまま猫の反応に対し心中を加えて話しかけていく。

 

「んー?そうか、そうか迷子か。実は私も迷子なんだ……」

 

「なー」

 

「……あなただけよ、こんな不条理な世界で、優しく語りかけてくれるのは……。……あれ、何でだろう、急に、涙が……」

 

 迷子と涙と言う言葉に、見ていた真奈は少し負い目を感じる。

 そうだ、もし私達があの場で助けていたなら、ノワール様もユニちゃんと別れることはなかった。本当は私達も2人を助けた方がいいのではと思っていた。いや、正確には、私は助けようとしていた。けれど助けるためにビルの上から飛び出そうとしていたのを、理恵が止めた。理恵は小声で「今出て行ったら、私達も逮捕される。それに無暗に別世界の中で行動するのは世界の秩序が乱れる可能性がある。それは次元世界への過度な干渉を禁止するGKSWAXPには許されない」と諭した。

 2つの状況は、私達にとって避けなければいけない。まさかSSRのマスターとしては先輩な私が、後輩の理恵に諭されるなんて思わなかったけど。でも、あの状況でも冷静に状況を見られるのはすごいと思う。……ん?

 と、そこで真奈は理恵の手元を見る。その視線の先で理恵はノワールに見えないようにしながら拳を固く握りしめていた。更に顔を見ると、その表情はうっすらとながらもどこか暗く見えた。

 ……そっか。理恵も同じ気持ちなんだね。もしかすると、あの時も心の中で迷ってたのかも……。

 理恵の気持ちを察して、真奈は静かに微笑む。彼女のためにもそして、ノワールのためにも本人には黙っておこうと決める。

 そして、ノワールの方の気持ちにも共鳴したのか、子猫が首を傾げて鳴く。

 

「なー?」

 

「ノワール様……」

 

 まるで、どうしたの?と聞くような声のかけ方だと思った。そんな声に続けて理恵も不安になって声をかける。それらの声にノワールも目元を拭って、言い聞かせるように大丈夫だと答える。

 

「……大丈夫よ。大丈夫、女神だもの。大丈夫よ。だから、あなたも心配しないで、って言ってもわからないか。理恵も真奈も、私は大丈夫だから……ただ、少しの間、これからすることは見なかったことにして?」

 

「見なかったことに……?」

 

「……分かりました。見なかったことにしますので、どうぞ」

 

 理恵はノワールからの発言に疑問符を浮かべていたが、真奈は思い当たる物を見出し、遠慮なくと言葉を返した。

 決意をする前に見なかったことに、と言うのは大抵涙を流す流れだ。大きなものを失って、それでも前に進むために今その時だけは多くの涙を流したい、流さなければ、また同じような場面で泣いてしまい、周りの人を不安にさせてしまう。そういったドラマを見たり、そのような流れがあった世界に任務で行ったことがあったりしたため、よく覚えている。

 だからこそ、ノワールもこれ以上涙を流して、子猫はもとい自分達に迷惑を掛けないようにと涙を流そうとして言ったのだろう。真奈はそう思った。

 ……が、それは予想外の方向に事態が流れることとなった。2人に言ったのち、ノワールは子猫を抱く。そして、涙声が聞こえて――――

 

 

 

 

「にゃー、にゃにゃにゃー、にゃにゃ!」

 

 

 

 

 ……くることはなかった。代わりに聴こえてきたのは、ノワールの声の調子の高い猫の鳴き声のものまねである。簡単に言ってしまえば、ノワールは子猫に対し、猫の鳴きまねでコミュニケーションを図ろうとしていたのだ。

 普通なら、そんなことで猫の言葉が分かるわけはない。とはいえ、そのようなことをする人は少なかれいる。そういったものは大抵はおふざけ半分でやるのが当たり前だ。そして、おそらくノワールも、寂しい気持ちを上げるためにそのようにしているのだろう。だが、先程までの暗い感じからの移り変わり、そしてそれを勝手に感動的なシーンにしようとしていた真奈の妄想もあって、不意を突くのには十分すぎた。

 の、ノワール様もこういった一面があるんだなぁ……別の次元のゲイムギョウ界で、コスプレ好きっていうのは知ってたけど……やっぱり別次元の同じ人を見ると、こういったのもあって飽きることはないなー。あー、勝手に涙の出るシーンだと思ってた自分が恥ずかしい!けど、その様子が可愛いからもう少し見ていたい!

 心の中で盛り上がる真奈であったが、身体の方は反応が付いていけておらず、少し放心状態で口を半開きにしていた。

 

「………………」

 

「ねぇ、これって真奈が予測していたこと?」

 

 そんなところに理恵が尋ねてくる。放心状態だったこともあり反応に少し遅れ、慌てて真奈に言葉を返す。

 

「……へ!?え、あ……うん!やっぱ女の子って、不安になるとああいう風に誰かににゃんにゃんって言いたくなっちゃうものなのよ!」

 

 しかし、慌てながらの返答はところどころおかしな文章として口から出ていく。おそらく、記憶の戻った光樹あたり聞けば「へぇー……ニヤニヤ」と含み笑いと共に後々まで弄ってくるだろう。光樹が現時点で記憶を失っていたこと、そしてなにより、この場に光樹が居なかったことは幸いだった。

 とはいえ、その誤解のある解釈を、聞いていた理恵はそのまま納得する。

 

「へぇ……まぁ、それが普通なら止めはしないけれど」

 

 この誤解がそのままというのが少し怖いが、今はその様子を見守るのと辺りの警戒をするのが先だ。とはいえ、真奈の視線は未だ戯れるノワールと子猫の方に視線がいっていたが。

 

「なー、なー」

 

「にゃにゃにゃにゃー」

 

 ……流石にこんな姿、誰かに見られでもしたら……。そんな不安は、最悪の形でかなえられようとすることとなる。

 

「おい、今こっちで声がしなかったか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひゃい!?」

 

「っ!真奈」

 

「う、うんっ!」

 

 真奈と呼吸を合わせて、ノワールと子猫を含めて、咄嗟に岩陰に隠れる3人と1匹。岩陰から除いた先に見えたのは、予測していた人物達。男の声を聞いた時に真っ先に思い浮かんだ人物達……そう、ラステイション国防軍の兵士達だった。

 危なかった……もう少し気づくのが遅かったら、確実に見つかってた。とはいえ、今もこの状況は少し危険なのは明白。ともかく、分かりやすい声を上げてくれたのだけは命拾い。

 岩陰で目標達が隠れているのも知らずに、兵士達は言葉を交わす。

 

「そうか?何も聞こえなかったと思うが。確認だけしてみるか」

 

 そう言いつつ、こちらの方にじりじりと近づいてくる兵士達。このままの流れだと、これは確実に戦闘になる。

 

「こっちに来る……」

 

「流石に戦闘は避けられないかもしれないわ。2人とも、ごめんなさい。私が迂闊で……」

 

「ノワール様は気にしないでください。注意が散漫になってた私達にも問題が……」

 

 岩陰で兵士達に聞こえない音量で謝罪し合う3人。しかし、その間にも兵士達が近づいてくるのを悟って、理恵が目を細めてその場を収める。

 

「覚悟は当に出来ています。とりあえず、私が先行して……」

 

 だが、指示が真奈に通達する前に、状況が動く。

 

「にゃー」

 

 唐突な鳴き声。それはノワールに抱えられていた子猫のものだった。鳴き声を上げると共に、子猫はノワールの抱きかかえから抜け出し、岩陰から出て行ったのだ。その行動に、ノワールも不意を突かれた様子で子猫を制止しようとする。

 

「あ、こら、ちょっと!今、出ていったら!」

 

 ノワールの言いたいことは分かる。今出て行けば確実に怪しまれる。まさか、こんなタイミングで子猫が出ていくなんて、理恵も思わなかった。

 不味い、まさか、あの猫はわざと?ってことは、あの猫は敵……!だとしたら、この場所もすぐに知らされる。それを避けようと私はレーザーガンによる狙撃を敢行しようとする。動物に銃を向けるなど、あってはならないことだけど、それでも今の状況が悪くなったら……。

 ところが、銃口を向けようとしたところで、子猫は岩による死角に隠れてしまう。もし今攻撃しようとするなら、確実に相手に身をさらすこととなってしまう。もう少し、早く動いていたなら。だが、結果的にそんなことをしなくても、問題ない、むしろ良かったものになろうとは思ってもなかった。

 突然岩陰から出てきた子猫に慌てて視線を向ける兵士達。

 

「ん、なんだ!?」

 

「なー」

 

 兵士達に怖気づくことなく、子猫はそのまま鳴いて見せる。すると、それを見た兵士が、何か声がしたと言った兵士に笑いながら先程の声の正体について触れる。

 

「おいおい、お前が聞いた声ってもしかしてこれじゃないのか?」

 

 よし、これは僥倖。相手は子猫が出てきたことで、逆に子猫が先程の声の主だと誤解している。さっきは焦ったけど、まさか子猫がこんな機転を利かせた行動を取ってくれるなんて。

 そして、声を聴いたという兵士も相方の兵士にため息交じりに子猫に対し文句を言う。

 

「みたいだな。全く、紛らわしいことしやがって。しっしっ、あっち行け」

 

「なー」

 

 その兵士の言葉に従うように、子猫はそのままこちらの岩陰近くまで後退する。子猫を見送ったところで、兵士達は元の目的であるノワールの捜索に戻っていく。

 

「向こうを探してみるぞ。そこまで遠くには行ってないはずだからな」

 

 その言葉を残し、兵士達は更に奥の方へと進んでいった。人気がなくなったところで、理恵達が息を大きく吐いて、逃れられたことを口にする。

 

「……行ったみたいね」

 

「ですね……危機一髪」

 

「本当本当。子猫ちゃんのおかげだね」

 

 真奈が示した子猫の方に目を向ける。出て行ったときはどうなることかと思ったが、結果的に助けられる形になった。いや、もしかすると、この子猫は自分達を助けるために出て行ったのかもしれないと感じた。ノワールがやっていたように猫語を話せれば子猫がどういう思考をしていたのか分かったかもしれない。

 一方、3人を助けた子猫はそんな緊張感溢れる状況だったのも知らずに、ノワールの元に再び寄っていく。

 

「なー」

 

「そうね。あなたのおかげで戦わずにすんだわ。ありがとう」

 

 ノワールも子猫にそんな言葉を掛けつつぎゅうっと抱きしめる。そんな様子は幸せのひと時だが、またこんなところで立ち止まっていたばかりに見つかった、なんてことになってしまえば、せっかくの子猫の働きも無駄になってしまう。理恵はノワールに先を急ぐことを勧める。

 

「ですが、ここにいつまでもいるのは危険です。今のうちに」

 

「ええ。彼らがいない隙にここを抜けないとね。2人とも、行くわよ?」

 

「はい!」

 

「了解」

 

 3人はその場から再び移動を開始しようとする。すると先程の子猫がまたその鳴き声を響かせる。

 

「なー」

 

「あ、子猫ちゃん、どうしたの?」

 

 真奈がしゃがみ込んで、子猫に対し尋ねる。当然ながら、相手は子猫であるため、言葉として返ってくることはありえない。しかし、鳴き方から大体の気持ちは分かるものだ。それはまるで、何処へ行くの?と聞くかのような声である。

 ノワールも子猫の方に体を向け、姿勢を少し低くして上から覗き込むような態勢で、子猫に声をかける。

 

「さて、私達はもう行くけど、あなたも一緒に行く?」

 

 理恵としては、本当ならあまり余計な物は付いてきてもらうと困る。特に子猫のような小動物は、特別なことがない限り、物理的にも、政治的にも強くはないからだ。しかしながら、この子猫は自分達を助けてくれた。それが意図的かどうかはともかくとして、そんな恩人ならぬ恩猫を無下に扱うことは出来ない。

 そしてなにより、付いて行く、連れていくを決めるのは理恵ではなく、子猫自身、そしてノワールである。ノワールからの問いに、子猫は喜びの鳴き声を聞かせてくる。

 

「なー!」

 

「そう。なら、一緒に行きましょ」

 

 ノワールの返事ののち、子猫はノワールの両腕の中に抱きかかえられる形で収まる。こうして、子猫も加えて逃走劇が再び開始されることになった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

レイ「白い猫ちゃんナイス!ノワールちゃんを助けちゃったよ!」

ジャンヌ「飛び出したときには理恵さんの思っていた通り、もうだめかと思いましたが……運がよかったですね」

まぁ、兵士の方も単純に鵜呑みにしたからこそだと思うけどね。……さてそれでは少し重要な話をしようかな。それは、しばらくSSRと言う名のGの投稿を休載します!
というのも、実は現在私、藤和木弘は小説の執筆に全く手が付いていません!

レイ「仕事が忙しすぎるんだよねー。帰ってきても風呂に入ってゲームを少ししてそれでねるっていうのが常習化しているし」

ジャンヌ「藤和木との甘い時間が減るのは少し寂しいです……。ということで、今回は次回予告が無いようです」

休載期間はとりあえず1か月をめどにします。その間に私の方も仕事の慣れと小説を書く時間のバランスをとれるようにしたいと思います。それでは、いつになるかはまだ分かりませんが、次回の投稿を気長に待っていただけると幸いです(´・ω・`)


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