俺はなんだってこんなところに (駄作)
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1話 奇妙な体験

さて・・・いきなりだが俺はこの現実に戸惑っている。

 

何のことだか訳がわからないと言われるかもしれないが黙って聞いて欲しい。

 

いや、一行で済む話なんだけど・・・。

 

 

 

目が覚めたら肉体が3歳の子供で自身の生まれた年代がずれた日本でした。

 

 

 

何を言ってるのか、おかしいですよ!カテ○ナさん!!と言われそうだが何が起こったのかわかりようがないからどうしようもない。

 

頭がおかしくなったのかと思いたいがこの子供の肉体に記憶が残っており状況の把握に一役買ってくれた。

 

 

現在、1974年の春。

 

ちなみに子供の体は俺の幼少時にそっくりで苗字が違い名前は同じなのだがどうでもいい話か。

 

どうにも前世と今世の記憶が混ざり合っててカオスな事になってるようだ。

 

家は広めで経済的に中の上と言った小金持ち。

そして、この世界には自身の両親がいるらしい。

 

自身がこの世界に来る前だが片親で父親がやらかした類の輩らしいと家族と知り合いに聞いていた俺は不安になった。

 

この世界の父親は・・・いや、母親もだがまともなのだろうかと。

 

前は母親がまともかつ優しい人だったので比較してしまうかもしれない。

 

 

 

 

と、不安に思ったのは杞憂でした。

 

混乱してから2年経った。

 

様子を見ると父親が違う人であり、まともな人物で母親が同じ人で性格変わらなかったので助かった。

 

現在は平穏かつ無難に過ごしている。

 

そろそろ学校だなぁと呑気に、また小学生で過ごすのかと鬱が混ざった思いで情勢の把握を子供の振りで行ってる。

 

何かテレビでネタのような名前の財団が新技術を開発とか発表されているがよっぽどあの漫画が好きなファンが設立したんだろうなと朧げに聞きながら心の中でジョースターさーーーんとネタで叫んでおいた。

 

 

 

そして、1年後・・・。

 

「そちらのお子さんも入学ですか?」

「あら、あなたもですか?」

 

何か母が外国の女性と話し合っている。

アメリカかイギリス出身の人だろうか?

金色の髪に碧眼だ。

 

普通に近所付き合いがあったのだろうかそれなりに弾んでいる。

 

傍に子供にしては体型がガッシリとした男の子が立っている。

・・・はて、どこかで見たような?

 

「初めまして」

「・・・あ、初めまして」

 

丁寧に嫌味は一切なく挨拶された。

思わず無意識で挨拶を返した。

 

柔らかい雰囲気を感じる。

気のせいかも知れない。

 

「君もこの学校に?」

「あ、うん。

俺の名前は大亜大樹、君の名前は・・・?」

 

好奇心いっぱいな純粋な笑顔で聞かれた。

とりあえず善人っぽいので自己紹介するが・・・。

 

自己紹介で後悔する事になろうとは。

 

「僕の名前は【空条承太郎】、これからよろしくね。

お腹すいたからはやく家に帰ってお母さんのハンバーグたべたいなぁ・・・」

「・・・・!?」

 

思わず叫びそうになったが何とか抑えられた。

何がどうなっているんだろうか?

 

取り敢えずどうしても言いたい事は。

 

「嘘だろ承太郎・・・」

 

俺は奇妙な事を口走り、承太郎に首を傾げられた。



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2話 日常

入学式で再び混乱したが冷静に考えて漫画の世界とか死亡フラグがあらかじめ解ってるんだから俺はモブだし騒動には近づかなければ問題ないなと。

2、3、4部は覚えていて他はうろ覚えだが。

 

承太郎達を助けるのは無理があるし、何より烏滸がましいんじゃないかなと結論した。

 

だってスタンド能力無いし、それ以前に4部以外はついて行けそうにない。

主に言語やら体力で。

方向性が違う億安と同等位の頭の出来だしな俺・・・ヌケサクな名前不明なアレよりはマシだが。

 

烏滸がましいと思った理由は原作がどうこうで無く、改変と言ったところで責任取る能力も無いのにやる事は無責任そのもの。

知っていてやらないのも一緒だろうけど・・・。

 

しかし、真面目な話。

スターダスト・クルセイダース一行は全員が自身が納得と覚悟をして行った冒険で求められてないのに勝手にやった所で迷惑な上に命の危機に対処出来ない悪循環になる可能性が高い。

 

・・・頭と心が痛くなる事はやめて今を考えよう。

 

学校生活は平穏そのもので特に変わったことはない。

 

取り敢えず勉強は時間が恵まれたと思い理解する速度が遅くとも頑張った。

頭悪いと馬鹿にされることが多いだけでなく、いじめ対象にされて泣きを見たことがあるので怠けずに復習と予習を兼ねてやる。

 

ちなみに勉学を理解する速度はナランチャの一、ニ段階上あたりかそこら。

比べる事じたいが目糞鼻糞なんだろうがわかり易くするとこうなる。

 

その過程で思ったんだけど承太郎って子供の頃は素直そのものだったんだなぁと感慨深く普通に友達付きあいしています。

 

遊びに行ったり、カードやったりと平和そのもの。

 

まあ、高校あたりで進路別になるだろ。

ビクついて付き合わないようにしても怪しいだけだし、不自然には離れずこれで良いと。

 

 

 

 

あれから更に時間が経ちました。

中学生になり、承太郎と一緒ですがそこは問題ではない。

 

どうしてこうなった・・・。

 

タカを括っていたとでも?

今現在、俺は。

 

スピードワゴン本社にいる。

 

「職場から許可とったから邪魔にならないように気をつけて課題をやりなさい」

「今日はお母さんがついて行くから触っちゃ駄目なものは言うからね」

 

両親に言われて頷くがまさかスピードワゴン財団に所属していたとは・・・。

課題のせいで騒動に巻き込まれそうな所のスレスレなんだが。

 

何?運命力でも働いてるのか???

 

俺は下手したらモブ以下だし勇気ある黄金の精神や殺意ある漆黒の意思とは程遠い弱者なんだけど。

 

そう思いながら見学できる範囲以内で展示されてるのを見て回っているとドスンと大きな音がして気になって振り返ると。

 

「ガッア!?!?・・・」

 

何かに刺された。

 

壁に不自然な穴が空いている?

 

意識が朦朧としている所で母が悲鳴を上げて近くの社員が急いで電話を取ってる所を見て。

 

 

 

意識が絶えた・・・。



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3話 これは無いだろう・・・

目が覚めると知らない天井が。

 

・・・うん、ネタをやってる場合じゃないな。

 

ゆっくり体を動かすと胸に鈍痛が走り身動きが取れない。

何とか手を動かして病院の呼び出しスイッチを押す。

 

両親が医者とともに来て心配な顔で話しかけてきた。

 

どうも話を聞く限り胸に凶器がどういう訳か刺さり、手術で摘出したが一日寝ていたそうな。

 

そりゃあ身体が動かんわな。

 

「一体、何が刺さったの?」

「・・・それがね」

 

母が複雑な顔で袋から何かを出す。

父も忌まわしげだが複雑そうだ。

 

「・・・!?」

 

出されたものに驚いた・・・。

 

封印とも言うべき固定をされてケースに収められた物。

 

俺は【コレ】を知っている。

 

物語でキャラクターの人生を引っ掻き回したり、切り札にもなった【コレ】は!

 

「この【弓と矢】はエジプト付近で発見されて考古学の部門で調べた結果。

隕石から採取されたと考えられる未知の物質で出来てるらしいけど・・・。

ちゃんと仕舞われていたこれが勝手に動き出すのをカメラが捕らえたのよ」

「これが何の目的で作られ、どういう風に使われるのか誰にも解らない。

色々と謎が多くて表層的な調査しかまだ行われてないからな・・・。

破棄したくとも大樹に起こった事のように何が起こるかわからないから迂闊なことが出来ん。

忌々しい限りだ・・・」

 

やっぱりスタンド使いを増やす原因になった矢だ!?

 

三度混乱することになるとか!!

 

何でこれがここに存在するんだ?

 

原作考えると足りなくなるってか、本数が合わねえ!

・・・まさか、増えてるのか?

 

何?何なの??

 

運命か何かが関わらせようとしてんのか!?

 

「っ・・・(ま、まさか・・・)」

 

生き延びたって事は能力に目覚めた!?

 

厄介事に巻き込まれるの確定じゃねえか!

 

作為的すぎて神の悪戯を疑うレベルだよ!!

 

スタンド使いは良くも悪くも【引かれ合う】ってのに・・・。

 

「・・・(なんかうっすらと見えてきた・・・てっ!?)」

 

見えちゃいけないものが見えてきた・・・気分が落ち込んでいくが目覚めた以上は技能の習得と鍛錬しないといけない。

たしかポルナレフが長い間修行したようだし俺も最低限は身を守れるようにならんと。

 

・・・そう思っていた時期がありました。

 

「・・・(バイク・・だと!?)」

 

人型で無く戦闘に役立つ武器でも無い。

・・・轢き逃げしか出来ない物が出てきちゃったよ。

 

今、本能と言うかインスピレーションでわかったがこいつ【道具型スタンド】だ(汗)。

当たり前だろと言うかもしれないが姿や形に関わらず喋るスタンド、即ち意思があるのもいるから型が違うか複合型かもしれない可能性に懸けたかったんだよ!

 

No.1でなくNo.2を哲学にするカウボーイでも戦闘能力あるのに逃げ足のスタンドって・・・。

俺らしいっちゃらしいものだけど室内戦や狭い所だと即死する弱さかもしれない。

 

「・・・詰んだ」

「「?」」

 

思わずぼやいた愚痴に両親が不思議そうにしていた。

誰か助けてください。



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4話 解説と現状

あれから時間が経ってスタンドの把握に勤しんだけど、スピードが物凄くある。

パワーに持続と税蜜動作は目覚めた当初は初心者なのとバイクなスタンドで感覚が掴みづらくて苦手だったけど高校生になるくらいには普通に成長出来た。

 

基本をまとめるとこんな感じか。

 

 

 

目覚めた当初

スタンド:バイク(まだ名前決めてない)

破壊力:D スピード:A 射程距離:B 持続力:D 精密動作性:D 成長:?

 

 

 

高校生時

スタンド:????

破壊力:C スピード:A 射程距離:B 持続力:C 精密動作性:C 成長:?

 

 

 

成長については資質なんて経験しなければ解らん。

モチベーションが低いだろうからC、Dあたりと考えられるけど不安定だから?で。

 

能力がよくわかってないが風か何かでバリアが張られてるらしくスピード出しても風圧での抵抗が全く無い。

 

ちなみにバイクの外観は大型かつ色は白を基調に狼をモチーフにされた近未来的な物で車体から車輪、エキゾーストパイプ、ロングマフラーに至ってまではバイク其の物でもタイヤが無い。

正確に言えばスタンドのエネルギーか何かで青白く燃え上がるような発光が車輪からタイヤの形で出てる。

 

カッコイイし、役に立ちそうだけど完全に逃げ専用で受け身な能力だな本当に。

 

後、名前なんだけどどう付けるかで悩んだ。

 

アイボリーの後でタロットの名前にしようかと考えたけど象牙色ってか白はあの神父と重なるから止めておいた。

そこで音楽の曲かアーティストの名前を借りようと思ったけど。

 

「・・・駄目だ思いつかない」

 

今、学校に行きながら悩ませている。

学生服で鞄を手で持ち肩に背負う形でだ。

 

ちなみに【弓と矢】は矢尻だけはずして刃にゴムを取り付けて俺の首からペンダントになってる。

 

どうしこうなったかと言うとデータは取った(物質的にでありオカルトは吸血鬼と柱の男以外は信用されてないので取る概念が無い)ので事故があったから破棄する事になる・・・が何故か壊れない。

いつの間にか俺の傍にやってくるので仕方なく研究員の人達や財団と両親に頼んで刃先を防護してペンダントとして身につけることに。

 

・・・本音を言えば取り憑かれているようで怖い。

 

第2部のリサリサと【赤石】みたいに守るのと監視をするのなら自身の近くに置いたほうが無難かなと思ったからだ。

両親は当然いい顔はしなかったが説得して何かあったら財団に返却する形で決着が着いた。

 

話は戻るけど高校生と言う時点で解るかもしれないが。

 

 

「相変わらず湿気た面してやがるなお前・・・」

 

鎖付き改造制服に手のマークの金属ステッカーが貼られた帽子を被ったガタイがやたらと良い男。

・・・承太郎と一緒だよ!

 

運命は俺を逃してくれないって中二病臭い言い方だが誰か代わってくれ!

本当に!!

 

いや、承太郎が悪いわけじゃないんだけね・・・。

 

後、中学中盤から終盤に差し掛かる所でとうとうグレたんだ承太郎。

内容は・・・。

 

 

 

いじめがあってね、承太郎がそれをかばったら標的になって俺は先生を呼んだりスタンドをこっそりと使って(風の能力で応用)転ばしたりで助けたけどやらかした奴等は役に立たない状況証拠だけで確実な証拠ないから対処出来ないって先生に言われた時に静かにキレそうになった。

 

この時代だといじめまだ犯罪として扱われて無いしな・・・。

 

対応した先生は良くも悪くも普通の教師で申し訳ない顔されて必死に謝られるとこっちが悪者みたいで溜め息吐くしかないんだが。

 

証拠残さないズル賢い奴をどうやって捕まえるかなと前世を思い出しながら対策を考える。

前世だと自身がいじめられたから肉体と精神ともに余裕なかったけど今ならそれも無いので考えられる。

 

何より友達付き合いのある承太郎だし、友達なら誰だろうとせめてもの助けはしないとと思っていたら。

 

体育館裏で叫び声がするから承太郎が危ないのかと急いで様子を見に行くとプッツンした承太郎がいじめっ子たちをオラオラ(素手)でボッコボコにしてた・・・。

 

全身複雑骨折してるんじゃないかって位にいじめっ子たちボロボロだった。

 

そんなこんなでいじめ問題解決(物理)。

それでいいのかと思うがアレ直接見たらなにも言いたくなくなるから・・・。

 

これが原因だと思う。

 

 

 

「朝弱いんだよ俺は・・・お前は相変わらず健康そのものだな」

「鍛えてるからな」

「・・・(それ喧嘩と乱闘だろうと言いたいが黙っておこう)」

 

他愛のない会話をしながら一緒に行くことにする。

もう慣れちゃったから自然そのものだわ・・・。

 

「「「キャアアァァーーー!!ジョジョ!!!」」」

 

「・・・ちっ」

「・・・(うっとおしいのが来たぜとか思ってるんだろうな。

まあ、確かにこれが続くのは迷惑だわ)」

 

女学生のおっかけに囲まれて動物園の動物の気持ちが少しわかる。

 

何、目当ては承太郎で俺じゃないって?

 

リア充場発、いや、承太郎はしなくて・・・しない方がいいな、うん。

将来を考えると・・・あの神父は消滅すればいいのに。



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5話 天命⇒テンメイ⇒???

あれから一週間たって相変わらずな日常と言うか承太郎がキャーキャー言われてるな。

よくもまあ飽きずにやれるもんだと周りの女子を見ながら承太郎の隣で歩いていく。

 

どうやら承太郎はジョセフ翁とアヴドゥルとの邂逅を果たしたようだ。

不機嫌だった険が多分だが取れてる。

 

ちなみに当時の俺は喧嘩の現場にはいなくて後で警察に連れて行かれる承太郎と遭遇してどういう人物かの証言したけど釈放は間違い無いし面会せずに手紙ではやく帰ってこいよと書いて送ってもらうように警察に頼んでおいた。

 

 

 

落ち葉がまだある冬の初めあたりの季節だが寒いのは苦手なんだよな俺。

 

そんなこんなで林の間の街道を歩いていると何か絵画を描いている特徴的な前髪で赤みがかった髪の高校生がいたのを見つけちゃった。

 

剣呑な目で赤の油絵具が染まった筆を走らせようとしたので。

 

「へぇー承太郎の絵を描いてる。

上手いねぇ・・・」

「・・・!?」

 

女子の郡に上手く隠れてスタンド限定発動、バイクは出さず風で音を誤魔化して林に隠れながら高速移動して赤い髪の高校生が気づかない内に背後に回る。

 

驚いてるようだがまあ承太郎に集中していたし、スタンドは見えない位置でやったから解らなかったんだろうな。

あのままだと承太郎が階段から落ちるんで妨害位はするさ。

 

・・・今、冷静に考えたら後のフラグ的に迂闊な事をやったか俺。

 

「・・・えぇ、ここに越してきたばかりでして。

絵を描くのが趣味なので描いていたらすごく目立つ一団に一際、異彩を放つ人がいたから描いてみたくなって・・・」

「そうなんだ。

あ、予鈴近くなってるから急いで片付けた方がいいよ。

俺も学校に行くから、じゃあね!」

「はい、さようなら・・・」

 

何気なく時計を見て学校に急ぐふりで離れたけどアクションは起こさず見逃されたな。

しかし、あれが花京院か・・・。

 

レロレロゲーマーな彼を見れて感動したけど目が濁っててあんまり近づきたくないのが本音だな。

いや、さっきは危なかったし手段もあったから実行したけどね。

 

 

 

そんなこんなで授業を受けていると承太郎が保健室に行かない。

 

やっちまった。

 

もしかしてもなにもあの出会いと戦い潰れちゃった・・・(汗)。

どうなるんだこれ?

 

「・・・!」

「・・!じょ、承太郎?」

「コラ!空条なにをしとる!!」

 

授業中に承太郎がいきなり立ち上がってドアへダッシュした!

先生が怒鳴ってるけど。

 

一体何があった?

 

「・・・!(こ、これは・・・)」

 

承太郎の席を見るとノートの上にいつの間にか不自然な紙がある。

 

内容を確かめると。

 

【本日○時○分、大亜大樹の家にて大亜夫妻を殺す。

私の幽波紋で!

仲が良いらしいな?

スピードワゴン財団はDIO様にとって潜在的に敵でもある。

関係無い、ただの脅しだと思っているなら来なくても構わない。

掃除が楽になるからな】

 

「・・・え?」

 

何で父さんと母さんが・・・?

まさか俺の行動のせいで標的にされて!?

 

「・・・糞!!」

「おい!お前もか大亜!!」

 

いても立ってもいられず鞄を持って俺もダッシュした。

 

油断していた!

今の花京院ならそれくらいやれるのに邪魔したからか!?

 

スタンドは温存して使わずただ走る。

 

「間に合ってくれ・・・」

 

冷や汗が止まらない。

自身を呪いたくなる日が再び来るとは!



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6話 裁くのは誰だ!?

住宅地の中で大きめの家がある。

表札には大亜と書かれており、庭も大きめな方だ。

 

それなりに裕福な家庭だと言う事が解る。

 

そんな中で無表情ながら目に焦りを覚えたガタイの良い男が門の前に立っている。

帽子の位置を直すとインターホンを押さずに入り、ドアを確かめる。

 

「・・!既に人質に取られているのか」

 

空いていた。

 

家の中は不自然なほどに静かで不気味さを感じる。

前に来た時はこんな感覚は無かったと苛立ちを覚える。

 

「・・・」

 

意を決して中に入る。

 

廊下が物品で荒れている事が解った。

 

「・・あんたは」

「・・!じょ、承太郎君・・・」

 

服が少しボロボロで弱っている大亜大樹の母がリビングで横たわっている。

 

承太郎に気付き安堵した顔で話しかけてきた。

 

「なにがあった?」

「少し前に学生服を来た男の子が家に訪ねてきて。

それで・・・」

 

弱っているので言葉が続かず長くなるので省略すると敵スタンド使いが一般人を装い大樹の学校に転校してきて友達になったと偽る。

挨拶に来たと土産袋を見せたので警戒することなく中に入ると休んでいた大樹の父親に襲い掛かった。

 

時間を父親が稼いでいる内に助けを呼ぼうと電話を目指していたが目に見えない何かに壊される。

その余波で飛ばされてボロボロになり、這いながら近所に助けを呼ぼうとして俺と出会ったらしい。

 

「・・・ち、ジジイが言っていたDIOとか言う奴の仲間が仕掛けてきたのか?」

 

怒りを抑えて冷静に父親と敵の居場所を聞き現場に向かおうと母親に背を向ける。

 

その時、何かが通り過ぎたような・・・。

 

「・・・ギヒ!」

「・・!な、なにぃーーーっ!?」

 

母親がいきなり床に落ちていた小物を手に持って殴りかかってきた!

不意を完全に突かれ頭に直撃を受けて倒れるともう一撃が迫ってくる。

 

「ぐぅ・・!何だこの腕力っ。女の力じゃあねえ!?」

「た、たたたたすけよばにゃいといけにゃにゃにゃのに?

あぁぁぁそうだこれがたすけぇえええ!!」

 

何とか小物を持った腕を捕まえて押さえつけるが異常な力で承太郎の腕が軋み顔に小物が突き刺さる!

血が溢れ出すが気にする余裕が無い。

 

「さっき床の下から得体の知れぬ物が見えたがスタンドか?」

「その通り」

 

硬直状態で涼しげな声が響く。

承太郎の背後に誰かが立っている。

 

「て、てめえ!何者だ!?」

「私は花京院典明。

お前たちを始末するためにDIO様から命令を受けたものだ」

 

手に操り人形を持ち、動かしながらニヒルな笑みで承太郎を見下ろしていた。

 

「その女には私のスタンドが取り憑いて操っている。

私のスタンドを攻撃する事はその女を傷つける事だぞ」

 

無表情で人形を不気味に動かしながら淡々と説明してくる。

 

「き、きさまぁ」

「スタンドの名は【ハイエロファントグリーン】。

私は人間だがあの方に忠誠を誓った・・・だから!」

 

表情が意を決したものになると人形の手を素早く振り下ろす動作をせる。

連動するかのように大樹の母は承太郎に小物を持った手に力を入れて、襲いかかってくる!

 

「あぁあああっ!ああ!あああ!ああああっ!!」

「・・・許せ」

 

何とか引き抜き母親に近づいていく。

そして。

 

「なっ!?」

 

承太郎は母親の腕を固定してキスをしだした。

その口の中に緑色に光る何かを噛み付いて。



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7話 裁くのは誰だ!? 2

「着いた!」

 

家の様子を見るがドアが開いていて廊下が荒れている。

 

花京院は既に行動を起こしている!

 

「っ。後悔は後回しにしないと」

 

自身の迂闊さでこうなった。

軽い気持ちだったのが否めない。

 

それでも両親を害するのならば。

 

「・・覚悟しろよ花京院!」

 

容赦はしない。

真正面から振り切るつもりで轢く!

 

スタンドを発現。

トップギアで乗り込んだ。

 

 

 

「な、何?」

 

大樹の母親から血飛沫が舞う。

そのまま気を失って倒れる姿に承太郎はショックを受けた。

 

「スタンドは確かに取り除いたはずだ・・・」

「言ったはずだ。

私のハイエロファント・グリーンに攻撃を仕掛けることはその女を傷つけることだと」

 

茫然とする承太郎に再び淡々とした口調で語る花京院。

 

「私のスタンドは遠い所へ行けるが広い所が嫌いでね。

必ず何かの中に潜みたがるんだ」

「・・・」

 

承太郎は何も言わない。

ただ花京院の話を黙って聞く。

 

「引きずり出すと怒ってしまう。

だから喉内部あたりを出る時、傷を付けてやったんだ」

「・・・」

 

承太郎は震えている。

歯を噛み締めながら・・・。

 

「お前が悪いのだジョジョ!お前の責任だ!

これはジョジョお前のせいだ!」

「・・・ギリィ」

「お前がやったのだ!」

 

執拗に責める花京院。

何も言わない承太郎。

 

「最初から大人しく殺されていればこの女は無傷で済んだものを・・・!

立ち上がる気か?」

「・・むぅ」

 

ソファーに手をかけてゆっくりと立ち上がる承太郎。

その表情は帽子に隠れて見れない。

 

「だが悲しいかな。

その行動を例えるならボクサーの前のサンドバック。

ただ打たれるだけにのみ立ち上がったのだ」

 

皮肉っているが疑問を感じた花京院。

本来なら弱々しい筈なのに緊迫した重圧が何故か承太郎から発されてる。

 

「・・・この空条承太郎は・・・。

いわゆる不良のレッテルをはられている・・・。

喧嘩の相手を必要以上にブチのめし、いまだに病院から出てこれねえヤツもいる・・・。

威張るだけで脳無しなんで気合を入れてやった教師はもう二度と学校へ来ねえ。

料金以下のマズイめしを食わせるレストランには代金を払わねーなんてのはしょっちゅうよ。

だがこんな俺にも吐き気のする悪はわかる!!

悪とはてめー自身のためだけに弱者を利用し、踏みつけるやつのことだ!!

ましてや女をーっ!

ダチの母親をーっ!!

貴様がやったのはそれだ!あ~~~ん。

おめーのスタンドは被害者自身にも法律にも見えねえし解らねえ・・・。

だ か ら お れ が 裁 く !」

 

手の指を一本立てて顔の手前に持っていくと振り切る!

 

「悪?それは違うな。

悪とは敗者のこと・・・。

正義とは勝者のこと・・・。

生き残った者のことだ。過程は問題じゃあない。

敗けた奴が悪なのだ。

とどめくらえエメラルド・スプラッシュ!」

 

花京院の前から緑に光ったメロンのようなスタンドであるハイエロファント・グリーンが触手を幾重にも伸ばしてくる。

それから逃げる承太郎だが数が多すぎて捕縛される。

 

ハイエロファント・グリーンが手を構え緑色の液体を生み出し、その中から止めと結晶を飛散させる!

 

「なに・・・敗者が悪」

 

だが承太郎から現れたアステカの戦士の風貌のスタンドの両腕でガード。

逆に弾き返す!

 

「な、なにぃ!

エメラルド・スプラッシュを弾き飛ばした!?」

「それじゃあーやっぱりィてめーのことじゃあねーかァーーーっ。

オララララオラ裁くのは」

 

驚きと帰ってきたエメラルド・スプラッシュに身動きがとれない花京院に承太郎とそのスタンドが手を構えて近付いていく!

 

「「おれのスタンドだっー!!」」

「な・・!」

「おまえ・・・」

 

仕掛ける承太郎の背後上空にバイクが跳んできた!

通り越えて着地した瞬間に搭乗者は仕掛けた。

 

驚愕する花京院に疑問を覚える承太郎。

 

「今は気にするな。承太郎も続け!」

「・・後で説明してもらうぞ」

 

気を取られた承太郎も今は抑えて行動に移す。

 

「「オラァ!」

オラオラオラオラオラァ!!」

「うぼぉあああああっ!?!?」

 

バイクで轢いて空中に上がった花京院を間も無く追撃で承太郎のスタンドがアッパーを決めラッシュを叩き込む。

全身から血が吹き出ながら花京院は天井に叩きつけられ、地に落ちた。



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8話 DIO(ディオ)の呪縛

あれから拘束されていた傷ついた父を発見して縄を解き、意識がしっかりとあるので命の無事を確認した母を任せる。

 

救急車を呼び付き添うだろう。

 

3人で話し合って俺のスタンドの理由は承太郎の家で話す事になった。

父には後でジョセフさんが折り返しで電話する事で知らせる。

 

ズタボロの花京院は承太郎が背負い、俺がスタンドでギリギリの3人乗りで運ぶことに。

 

普通に違反なんだがスタンドなので見えなくてどうしようもない。

緊急事態でもあるしな。

 

「じょ、承太郎?」

「・・・・・・・」

 

さっきから承太郎が不機嫌そうで胃が痛い・・・。

 

説明の仕方が思いつかなったんだよ!

勘弁してくれよぉ。

 

 

 

空条家につくと承太郎がさっさと花京院を背負って中に入っていく。

 

「置いてくなって!」

 

急いでスタンドを仕舞って後を追いかける。

 

うぅ、俺の扱いが何か酷くなりつつある・・・。

 

そのまま承太郎の母さんのホリィさんと言葉を交わして承太郎がジョセフさん達がいる部屋を目指していく。

俺も挨拶してから行くが元気な人だなあ本当に。

 

後を考えるとそうは言えず鬱になるような現実が待っているんだが。

しかし、俺どうしようかな。

 

前の結論としてはこの後の旅には行かないなんだけど両親の件でディオを真面目にぶん殴りたいとも思えて来てる。

今、本当に迷ってる・・・。

 

自分のやりたい事ってなんだろう?

理不尽な事から逃げてばかりで考えたことが無かったな。

 

 

 

部屋につくと花京院は布団に寝かされた。

 

承太郎と俺は立ったままで。

白髪のムキムキなお爺さんなジョセフさんと装飾品を多くつけた占い師を感じさせる服装のアヴドゥルさんは正座だ。

 

ジョセフさんとは子供の頃の日常で一回だけ会ったことがあるので自己紹介は省略してアヴドゥルさんと挨拶を交わす。

 

事情を軽く話して俺がスタンド使いである事を話して、花京院の件が片付いたらに話す事になった。

 

話していて思ったけどアヴドゥルさん転生前にブ男とか言われてるけど物凄く礼儀正しいぞこの人。

黒い肌がマッチョさと合わさって似合ってるしな。

いつの間にか、この人に尊敬していた。

 

そんなこんなでジョセフさんが診察する。

 

「手遅れじゃ、コイツはもう助からん。

後、数日の内に死ぬ・・・」

「・・・むぅ」

 

ジョセフさんの言葉に承太郎が唸る。

冷血な様に見えて優しいから気にしてるんだろうな。

 

「承太郎、お前のせいではない。

見ろ。この男が何故、DIOに忠誠を誓いお前を殺しに来たのか」

 

診察から手を花京院の特徴的な前髪に触れて退かす。

そこには・・・。

 

「その理由が・・・ここに有る!」

 

晒された額に肉の欠片が大きな出来物の様に膨れ上がってジュルジュルと蠢いてる。

承太郎が思わず指摘する程に驚愕し、俺は気持ち悪さに口を押さえた。

 

現実に見ると漫画が如何にマイルドなのか解るぞ、これ。

 

ジョセフさんから説明を受け、アヴドゥルさんがDIOと出会ったトラウマを語り諦めようとした時。

 

承太郎が放っておけず花京院の顔を両手で固定してジョセフさん曰く【肉の芽】をスタンドが掴み抜き始めた。

 

ジョセフさんとアヴドゥルさんは止める様に言う。

承太郎に【肉の芽】から触手が生えて腕に侵入されるのを見て、俺は手助けは必要か尋ねると要らないと言われたので静かに座る。

 

やがてアブドゥルさんが慌てて引き離そうとするのをジョセフさんが止めて様子を見る事に決めたようだ。

 

そうして抜けた【肉の芽】はスタンドが承太郎の腕から抜くと同時に引きちぎり宙に放る。

ジョセフさんが波紋で止めを刺して花京院は助かったのだった。



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9話 DIO(ディオ)の呪縛 2

何故、助けたのかを承太郎に尋ねる花京院だが俺にもようわからんではぐらかされてどうすればいいのか迷っているようだ。

ここだけなら気にする事もなかったんだが。

 

「大亜・・・お前はなぜ私を殺さなかったんだ?」

 

どうやら俺の両親にやった事で正気に戻ったのも相俟って負い目を感じているらしい。

同時に疑問でもあるんだろうな。

 

複雑ではあるが洗脳状態と解っていて知能犯も判明しているしなぁ。

けどそれでは納得しなさそうなんで。

 

「お前よりも殴りたい奴がいる。

それも泣くまでやめない、しこたまにぶん殴りたい糞野郎が」

 

花京院が驚いた顔をしてジョセフさんにアヴドゥルさん、承太郎までこっちの顔を伺いだした。

なんでさ?

 

騙された奴が悪いとか言う奴がいるけど解るっちゃあ解るが、騙した奴は殺されても文句が言えない下劣じゃないか。

特に悪意があって命(お金を含めて)に関わることならば。

実際にやれば捕まるだろうが。

 

あれ、もしかして墓穴を掘ったか俺・・・?

 

気にせずにそのまま俺がスタンド能力が発現した理由を話してバイクは学生だと普段、使い道があまりなかったので風の操作で生活を便利にする位か自己防衛で鍛えたと話した。

 

実際に使う機会は鍛える時と夏と冬しか出番がないんだな、これが。

 

結果はスタンド発現関係無しでの身に纏う系統だけしか出来なかった(泣)。

 

「つまり隠していた訳では無いと?」

 

承太郎が不機嫌そうに聞いてくる。

 

いや、言う機会もそうだけど超能力が使えますだなんて現代社会で言いようがあるか!

黄色い救急車呼ばれて終わりだよ・・・。

 

「どう説明すればいいんだ。

俺の頭では説明の仕様が無かったんだが?」

「・・・俺が悪かった」

 

素直に言ったら目を逸らしやがったこの野郎(怒)。

ジョセフさん溜め息吐いてるし、アヴドゥルさんと花京院は解ってないようだな。

 

そうだよ!

転生で時間を恵まれても漸く高校生平均よりちょいと上レベルの学力で頭の回転率が低いんだよ!

 

物事をやった後で気づくのも一度や二度じゃないしなorz

 

そんなこんなでホリィさんに治療された花京院は戸惑いまくってる。

ジョセフさんは日本嫌いでホリィさんと漫才を繰り広げてアヴドゥルさんと俺が苦笑い。

 

「・・・やれやれだぜ」

 

帽子の位置を直して呆れたように呟く承太郎で締めくくった。

 

皆、事情がありでお泊りする事になり空条家で寝ます。

 

ジョセフさんが父に電話で事情を伝えてる様子を見ると何故か申し訳なさそうな顔をしていたが何だろう?

【矢】については聞こえたが・・・。

 

 

 

朝、起きて廊下に出る。

 

「おはよう大亜」

「おはようございますアヴドゥルさん」

 

アヴドゥルさんが居たので挨拶を交わし、そのまま一緒に行動する。

ホリィさんの体調がそろそろ危うくなるはず。

 

「昨日も美味しいかったですが今日の朝食、何が出るか楽しみですね・・!」

「私もだ。日本食はヘルシーで好きなんだ・・!」

 

何気ない会話で暫く歩いていくと台所の部屋が有る前の廊下にスプーンが落ちている。

これだけならともかく台所の部屋の方から冷気が漏れていて不自然だ。

 

急いで中に入ると・・・。

 

「「ホリィさん!?」」

「・・・んぅ・・・・・・・」

 

冷蔵庫開けっ放しの状態で倒れていた。

明らかに何かがあったとしか言えない状況。

 

「ひ、酷い熱だ。病気か?」

「気温が低いと体に悪い・・!

背中に何かが?(本当は知ってるんだけど・・・鬱だな)」

 

アヴドゥルさんが駆け寄ってホリィさんの熱を計る。

俺は開けっ放しの冷蔵庫を閉めて気温低下を防ぐ。

 

「まさか!し、失礼・・!?」

 

背中に植物を見つけて言うとアヴドゥルさんが青褪めた顔でホリィさんをうつ伏せにして背中を確認する。

やはり、シダ植物みたいな透明に近い物がビッシリと張り巡らされていた。

 

「な、何て事だ!す、透ける!

スタンドだ。ホリィさんにもスタンドが発現している!」

 

アヴドゥルさんが植物に手をかざすとすり抜けた。

 

スタンド能力の無意識での発現・・・暴走である。

 

「し、しかし。この高熱・・・スタンドが害になっている。

ジョジョとジョースターさんだけ異常がありホリィさんだけ異常が無かった事に安心しきっていた。

いや、安心しようとしていたのだ。無いはずがないのだ」

 

自身を責める様に言うアヴドゥルさんだが俺も同罪。

下手したらもっと重いかもしれない。

 

「ジョースター家の血が流れている限りDIOからの影響はあるはずだったんだ」

 

スタンドとはその本人の精神力で操るものであり戦いの本能で行動させるもの。

おっとりした平和な性格のホリィさんにはディオの呪縛に対しての抵抗力が無い。

 

即ちスタンドを行動させる力が無いのでスタンドの力がマイナスに働いて害になってしまう。

アヴドゥルさんからの受け売りだが俺は覚えてる。

 

このまま行くと死ぬ事も・・・。

 

 

 

異変に気づいたジョセフさんと承太郎が到着して承太郎に弱音を吐くジョセフさんだが腕を握り締められ対策を迫る承太郎。

 

解決策は治療や封印等のスタンド能力者に頼る等と色々あると思うが時間稼ぎにしかならないだろうし実質的に一択しかない。

 

「DIOを見つけることだ。ディオを殺して、この呪縛を解く事だ!

それしかない!」

 

ジョセフさんに答えられた内容に重圧がかかる。

 

果たして俺はどうするべきだろうか?



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10話 スターダストクルセイダース

ホリィさんを寝かした後、四人でジョセフさんのスタンド能力で念写したDIOの写真を分析するが見事に闇だらけ。

流石、吸血鬼。

 

承太郎が自身のスタンドの基礎能力でファインプレーを見せて写真に何かを捉え、スタンドにスケッチさせるとハエが描かれる。

 

アヴドゥルさんが見覚えあるらしく書庫を借りて図鑑で調べに行き、ホリィさんが起きたのでジョセフさんが世話を焼き、承太郎はホリィさんの為に水を取ってくる。

俺は手持ち無沙汰なので男の手料理(簡単なレシピ)を作りに行く。

 

意外に思われるかも知れないが日本の調理道具と材料で簡易な料理なら出来るんだな、これが。

 

おかゆをちょうど良い温度でジョセフさんに持っていきホリィさんに食べさせるように言うと少し微妙な顔をされたが純粋な意味での病人食かつホリィさんが弱っているので流石に日本嫌いは引っ込めたな。

 

承太郎の父親が憎たらしいんだろうがいい加減に子離れしようぜ・・・。

 

ホリィさんにおかゆのお礼を言われたが気にしないようにと返した。

ジョセフさんと承太郎は様子を見ていたがホリィさんが起きて無理をしようとしたので承太郎が寝るように怒鳴った。

 

承太郎も心配で取り乱しているな。

 

そのやり取りで解る。

ホリィさんは自身のスタンドに気づいていて心配かけまいと誤魔化そうとしていた。

 

本当に気丈で優しい人だ。

 

この時、アヴドゥルさんが戻って来てハエの品種が解る。

出身からエジプトのナイル川、アスワン付近と判明。

 

花京院もやって来て、自身のDIOとの経緯を語る。

三ヶ月前にエジプトに家族旅行していた結果に出会い【肉の芽】を植えられたらしい。

 

自身もディオ退治に同行すると言い出し、承太郎に真意を尋ねられるがそこんところだが私にもよくわからないんでねと返される。

 

目が覚めたことの礼を言われ承太郎が解りづらい照れ隠しで舌打ちした。

ジョセフさんとアヴドゥルさんは笑みを浮かべてる。

俺は・・・まだ迷っているな。

 

「さて、準備しないとな。お前は行くんだろ」

「・・・!?」

 

承太郎!?

俺が行くのが当然みたいな態度だけどなんでさ!

 

「あんな啖呵をきったんじゃ。やる気満々なのは解る」

「大亜、お前の覚悟に期待させてもらうぞ」

 

ジョセフさんとアヴドゥルさんまでもか!

花京院も黙してうんうんと頷いてるし!

 

アカン、どうすれば・・・よし。

 

「良いのか?俺のスタンドはこの中じゃ最弱だ。

足でまといになるかもしれないぞ、これが」

 

行きたいのか行きたくないのかまだ解ってないんだよ俺は。

時間が欲しい・・・。

 

「珍しくやる気を出した今のお前がそんなタマかよ」

「強制はしたくないが今の我々には一人でも多くのスタンド使いが必要なんだ。

頼む一緒に来て欲しい」

「なーに、遠慮する事は無いわい!

儂はお前さんの事は子供の頃から知っとるから自身が決めた事は曲げないじゃろ?」

 

逃げ道が無くなっちゃった。

 

てか、ジョセフさん。

あんたとは一回だけしか会ってないぞ!

実は気付いていて悪乗りしてないか?

 

「先の事は本当に申し訳なかった。

着いて来てくれるなら僕がなるべくフォローしよう」

 

花京院・・・気遣ってくれるのはありがたいがお前が止め刺したぞ!

 

「やってみるさ」

 

もうサングラスかけた赤いロリコンの返事するしか無い。

行くよ!行ってやる!!

 

両親の件だけでなく、この不条理もぶつけてやるぞディオ!

 

 

 

この後でスピードワゴン財団から医療スタッフと護衛がやってきた。

負傷した家の母と父が一緒に空条家に搬送されて驚いたがジョセフさんが護衛対象を一纏めにする為にやったとの事。

学校は承太郎と花京院と共に公欠で出してくれたそうな。

とは言え勉強までは無理だが・・・トホホ(泣)。

 

様子を見ていた花京院が申し訳無さそうな顔をしたので引き摺るなこれはと思った俺は。

 

「・・!グフッ!?な・・・何を?」

「これでお前が俺の家族にやった事はチャラだ。

後はDIOから尻の毛まで毟り取らせてもらう。お互いにもう気にすることはない。

いいな?」

「・・・・・」

 

DIOよろしく腹パンで怨恨無しを示しました。

これから毎日ディオをボコろうぜなノリで。

 

花京院が驚きで絶句してますが承太郎がニヤリと笑っていて何か恥ずかしい。

 

そんなこんなでアヴドゥルさんが承太郎のスタンドをタロット占いで決める事になり承太郎がカードを引く。

 

旅の運命の暗示でもある結果は。

 

「星。スターのカード。名付けよう君のスタンドは【スタープラチナ】!」

 

有名なスタプラさんになりました。

 

旅が始まると思ったら。

 

「大亜、君のスタンドは名前を決めているか?」

「いや、思いつかなくてバイクのままで」

「ならば君のスタンドも私に付けさせて欲しい」

 

俺も尋ねられて決めてないからかカードを差し出された。

 

タロットはやめておこうと思ったんだけどせっかくアヴドゥルさんがやってくれるのだから引く事にする。

 

「・・あ!?」

 

カード引く途中で強風が吹いてカードが空に飛散した!

結果はどうなるんだこれ?

 

「直ぐに拾い直そう」

「手伝います」

 

やり直しらしい、アヴドゥルさんと俺だけでなく皆がカードを拾う。

その中である音楽が近所の家から流れてるのが聞こえた。

 

これは・・・。

 

「Born to Be Wild?」

 

壁や障害を超えていくのとバイクの意味がある曲・・・よし、決めた。

 

「アヴドゥルさん名前は今の音楽で決めました。

タロットはもういいです」

「ほう?」

「こいつの名前は・・」

 

スタンドは出してスロットルを掛けながら言う。

 

「【ステッペンウルフ】!」

 

モーターから良い音を奏でられる。

カナダのロックバンドから取られた名前。

 

意外に合ってるんじゃないかな?

 

カードを集め終わり飛行機に乗る為に全員で行く。

 

スターダストクルセイダースの始まりであり長い旅路になるだろう。



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11話 灰の塔

皆で夜の飛行機に乗りました。

スピードワゴン財団のチェックが入った便です。

 

今思うと【タワーオブグレー】の爺さんはよくこのチェックを抜けられたな。

スタンドで引き起こした事故だから経歴に怪しい点が無かったのか?

 

取り敢えず俺はフライト後に少しして皆が寝た後で。

 

「トイレに行くわ」

 

小さく言い、紙に書いておく。

 

隙だらけで向かう。

 

いつかは解らないけどパイロットが殺されるんだよな。

 

こっから先は俺にとって室内やら水中やら鬼門ばかりで改変に積極的にならんと死ぬ可能性ってのもあるが関係ないのに殺されるのは反吐が出るんだよなぁ。

 

囮を努めつつ探す。

 

流石に機内では仕掛けられず、トイレを目指すふりでコクピット近辺へ歩くが。

 

「お客様どちらへ?ここから先はコクピットで立ち入り禁止になっています。

お引き取りください」

 

やはりキャビンアテンダントに止められる。

仕方無い。

 

「トイレを探しているんですがこの便だと何処にありますか?

飛行機は初めてでして」

 

言い訳っぽいが半分は本当である。

前世では2回乗ったが今回は初めてだ。

 

「かしこまりました。

お手洗いへ案内します」

 

プロらしく挨拶とともに背を向ける。

誤魔化して案内してくれる隙に・・・。

 

「・・(ステッペンウルフ限定発動!)」

 

風で音を誤魔化して相手に着いて行ってるような足音少しの間だけ聴かせ(単純な音なら可能。射程距離と限定発動の問題でバイク無しだと10メートル離れると操作不可能)。

俺は急いで自身の足音を消してコクピットに向かう。

 

途中で交代まで休むためか仮眠中のキャビンアテンダントが居たが音を消しているので大丈夫だ。

 

中に入ると。

 

「・・!(居たか)」

 

クワガタ虫が中で待機していた。

 

タワーオブグレーだ。

 

機を見計らってパイロット二人を殺して旅客機を墜落させるつもりだろう。

早めに行動して良かった。

 

こちらも自身だけでなくパイロットにバリアーを張って待つ。

 

「・・・・・ぶぅううううううううん!」

「・・(今だ!)」

 

『・・!な、なにぃいいい!?』

 

バリアーで弾かれてクワガタ虫が困惑している。

 

してやったりだぜ!

 

タワーオブグレーは破壊力(パワー)が弱いから防ぐだけなら余裕だ。

承太郎のスタープラチナなら3秒辺りでぶっ壊されて死ぬけどね。

 

そっから先は千日手で持久力が同じでも攻められる対象が俺なんで相手も消費してもこっちは防ぐ分だけ早く消耗するから負け確定。

 

故にここが第一の鬼門だ。

 

『・・そこか!』

 

「・・!ベロベロバー(気づかれた)」

 

急いで承太郎達がいる方に逃げる。

一人じゃないのが幸いだ。

 

わざと舌を出して挑発を忘れずにだ。

 

『きさまぁ!』

 

「・・(この基本能力を試すか)」

 

『この虫野郎。機内に羽音が聞こえた時点で何かがおかしいと思ったんだ。

やはりこの旅客機を落とす為に行動したな!』

『ば、馬鹿な!?気付いていたとでも言うのか!』

 

スタンドにはテレパシーで相手に言葉を伝えられる。

同じスタンド使い限定だが。

送信は自由で不可にも出来ると。

 

気付いた理由をでっちあげたが風の能力なので可笑しくはないだろう。

実際は無理なんだがな・・・orz

 

だが、相手はそんなことは知らないもんな。

 

悪意が無かろうが俺も騙したからには覚悟を決めないとな。

そのまま弾きながら承太郎のいる方へ入った。



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12話 灰の塔 2

「何があった!」

 

ジョセフさんが驚いて聞いてくる。

承太郎と花京院の眼光が鋭くなり、アヴドゥルさんも身構えてる。

 

俺が何かから逃げるようにこっちに来たからだろう。

 

「トイレに行こうとして迷ったら羽音が聞こえておかしいと思って様子を見に行くと。

クワガタ虫のスタンドがここのパイロットを殺そうとしていました!」

「何だと!?」

 

説明するとジョセフさんは驚愕する。

警戒を強めてアヴドゥルさんに虫のスタンドがいるかと聞くとありうると返された。

 

「パイロットはどうしたんだおめぇ?」

「ほうっておけないからバリアーで守ってあの虫を挑発してこっちに引き寄せた!

て、来た!?」

「で、でかい!こいつスタンドだ」

「・・!気持ちわりぃな。だが、ここは俺に任せておけ」

「き、気をつけろ!人の舌を好んで引きちぎる虫のスタンド使いが居ると言う話を聞いた事がある」

 

花京院が虫の大きさに驚きスタンドとある程度に信用する。

承太郎がパイロットの様子を聞き、答えると納得した瞬間に俺に唾液を垂らしながら体当たりをして風のバリアーで防いだ瞬間に承太郎が仕掛ける。

アヴドゥルが承太郎に注意を促すが。

 

「スタープラチナ!・・っ!?」

 

捕まえようとスタープラチナの手が伸ばされるが余裕でよけられた!

 

「か、かわした!し、信じられん!

弾丸を掴むほど素早く正確な動きをするスタープラチナより速い」

「や、やはりスタンドだ。その虫はスタンドだ!

どこだ?何処にいる!?こいつを操る使い手は何処に潜んでいる!?」

 

アヴドゥルさんが目の前の出来事に驚愕し、花京院はスタンドの確信を得る。

だが、全員がスタンド使いの居場所を見失っている。

 

そう、俺も含めてなんだ。

 

早めになんとかしないと乗客が不味いかもしれない。

犯人の爺さんが居ない。

 

俺が挑発したことで行動に変化が出てる。

 

「こ、攻撃してくるぞ!」

 

花京院が警告してきたので急いで防御態勢に入る。

だが。

 

「・・!?承太郎!」

「・・!」

 

俺を狙うかと思いきや承太郎に標的を変えやがった!

口の塔のような針が急速に伸びる!

 

戦闘中での扱いに慣れてないせいでバリアーが間に合わねえか!?

いや。

 

「オラ!」

 

スタープラチナの手で防ぐが貫通して針が伸びる!

 

承太郎の手から血が溢れる!

 

「しまった!」

「承太郎!」

「「ジョジョ!」」

 

スタープラチナの開いた口へ目指して伸びる!

 

ジョセフさん、アヴドゥルさん、花京院が思わず叫ぶ。

承太郎が冷や汗を流して油断に後悔するが。

 

「【ステッペンウルフ】!」

 

バイク本体を出して射程距離を本来の物へ戻す。

 

間に合わせて見せる!

 

そして。

 

『・・!ち、また貴様か』

 

バリアーで承太郎の口の前に展開して弾き飛ばす!

 

狭いから走れないが防御ならば何とかなる。

 

「バリアーで悪霊クワガタの口針を止めたはいいが」

 

ジョセフさんは攻略に悩んでいるらしい。

口から漏れてるな。

アヴドゥルさんが承太郎の口を引きちぎろうとしたのでスタンドの正体に確信を持つ。

 

破壊と災害、旅の中止を暗示するスタンド。

【タワーオブグレー】だと。

 

事故に見せかけて大量殺戮をする極悪スタンド使い。

 

スタープラチナの手から針が抜け出して来たので承太郎は仕掛ける。

 

「オラオラオラオラオラオラオラァッ・・!」

 

両手でのスピードラッシュを難なくタワーオブグレーに回避された。

 

本当に異常なスピードとサイズ補正のあるスタンドだな、こいつ。

さっきから爺さんを探しているんだが真面目に居ないぞワ○リー博士みたいな髪型のやつが。

 

どうすれば・・・いかん!

もう、乗客達全員に対してバリアーを張らんと。

 

これ、やると俺の身の守り無くなるんだよな。



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13話 灰の塔 3

【タワーオブグレー】の説明と挑発が始まる。

 

至近距離で10丁の銃から弾丸を撃たれても当たらないってのは自信の現れなんだろうな。

スタンドは思いの正負問わずに強いと強くなっていくから。

 

そこが同時に弱点でもあるんだが。

 

ジョセフさん達はここら近辺で探しているな。

言いたくても言い様がないってか説明に時間が掛かり過ぎて間に合わない。

何より今みたいに過程が変わる事があり得ると・・・改変はリスクが高いってのを身を持って知った。

 

説明も迂闊に出来ないぞ、これは。

 

「あそこに移動したぞ!」

 

花京院がタワーオブグレーの場所に指をさす。

 

何をするつもりか困惑している皆だが俺は解る!

 

ゆっくりと乗客の座席の後ろに降りていくのを見て俺は猶予はないと判断した。

 

「皆、後は頼む!」

「「「大亜?」」」

 

承太郎以外が首を傾げる。

承太郎も不可解な表情をしているが。

 

「ステッペンウルフ!フルスロットルだ!」

 

バイクのモータ音が響く俺の周りのバリアーが取れて。

 

『・・!?いい加減にしろ貴様!』

 

「・・!そういう事か。あの野郎」

 

承太郎達は気付いて怒りが漏れてる。

タワーオブグレーが弾かれて苛立ってる。

 

風のバリアーはこの場の乗客達に包み込まれる!

射程は大丈夫でも力が足りず自身に致命的な隙を晒すが。

 

「お客様。こんな所にいたのですか?」

「・・!?」

 

俺が誤魔化したキャビンアテンダントが中に入って来て!?

いかん!

 

『この場での障害は貴様のようだな。

だがその前に、引きちぎってやる!狂い悶えろ!!』

 

「・・!げふぉっ!?」

「大亜!」

「ひっ!・・・うーん」

 

苛立っていたのか俺でなくキャビンアテンダントの方を攻撃しようとしたのでバイクを置いて残ったスタンドエネルギーを足に集中して蹴り出す!

 

生身で飛び出してキャビンアテンダントの人は守れたが。

俺の左横顔を引き裂いて苦しめる様に攻撃してきた!

 

崩れ落ちてその場に倒れる俺にアヴドゥルさんが焦った声で叫ぶ。

今の光景の訳の解らなさと血が吹きかかった事でキャビンアテンダントは声を上げずに気絶した。

 

痛い・・・めっちゃ痛い。

舌抜かれてないから死んでないけど血がドバドバ出てる。

キャビンアテンダントの人には申し訳ないことをした。

 

しかし、こいつの本体は何処なんだよ本当に。

 

『どうやら乗客とその女を守る為に自身の守りが疎かになっているようだな。

愚か者が、ほうっておけば良いものを。俺の目的は!』

 

俺から削った頬肉の血で書くつもりらしいな。

あの趣味の悪い。

 

 

 

【Massaqre(マサクゥル!)】

 

 

 

皆殺しの落書き。

 

クワガタ虫がストレス発散したのか調子良さげにブンブン飛び回ってやがる。

 

「や、やりやがった・・・」

「・・ヅゥッ。焼き殺してやる!【マジシャンズレッド】!」

 

花京院が冷や汗を流し、アヴドゥルさんがキレて鳥人のスタンド。

マジシャンズレッドの発現から炎が迸っている!

 

飛行機の危険が危ないってばよ!?

 

「待て、待つんだアヴドゥル!」

「・・っ!」

 

花京院が止めに入った。

アヴドゥルさんが冷静になってマジシャンズレッドを収めてくれた。

 

・・・危なかった。

しかし、ここで爺さんが無関係を装って血で驚くはずなんだが。

この場に居ないせいか何も起こらない・・・。

 

「マジシャンズレッドでは飛行機を爆発しかねない。

ジョジョ、君のスタンドのパワーだと機体壁に穴を開ければ大惨事だ。

ここは私の静のスタンド」

 

花京院が戦闘態勢に入る。

承太郎は様子見に徹するようだな。

 

俺は乗客守るのと近辺で探すので精一杯です。

これが俺の精一杯と花京院の遺言やっとる場合じゃない。

 

「【ハイエロファントグリーン】こそ奴を始末するに相応しい」

 

『花京院典明か。お前の事はDIO様から聞いてよく知っているよ。

やめろ。自分のスタンドが静と知っているなら俺には挑むまい。

貴様のスピードでは俺を捉えることは出来ん!』

 

花京院の言葉に余裕綽綽で浮遊しながらタワーオブグレーは警告する。

 

確かにスピードでは勝てない。

だが、方法はある。

 

もう何処にいるか解らないから花京院に任せて撃破してもらおう。

血が出すぎて俺の意識が危うい・・・。

 

「出来なかった・・・」

 

『・・ああ?』

 

花京院が呟く一言にタワーオブグレーが訝しげになる。

 

「フォロー出来なかった!

僕の所業を許してくれた大亜に申し訳が立たない。

何よりも・・・僕自身が今、お前のやった事に怒りを感じているんだ。

エメラルドスプラッシュ!」

 

『はん、貴様も同類か。数うちゃあ当たる発想なんだろうがちっとも当たらんぞぉ』

 

ズアッと手をピストルの形にして立てながら額に青筋が浮かんでいる花京院。

そのままハイエロファントグリーンに緑の結晶を放たさせるがタワーオブグレーに馬鹿にされながら回避される。

 

気にしすぎだろ花京院。

いかん、意識・・が・・・。

 

『ビンゴ!』

 

「くっ!」

 

エメラルドスプラッシュが抜けられた。

 

花京院が・・危・・・ない。

 

『・・!しつこすぎるぞ貴様!』

 

「だ、大亜!?」

「ステッペン・・ウル・・・・・」

 

最後の・・・・バリ・・・・・アー。

も・・・・・眠・・・・・・・・・。



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14話 銀の戦車

明日は不定期関係なく一回だけの投稿です。


目が覚めるとジョセフさんが波紋で止血してくれていて周りは海の上だった。

 

ジョセフさんの波紋あったかいなりぃー。

何か懐かしい感覚があるなぁ、て。

 

コ○助化してる場合じゃない!

 

どうやら不時着は変えられなかったらしい。

 

話を聞くと花京院が俺に向かっていきそうなタワーオブグレーを挑発で標的を自身に変え。

エメラルドスプラッシュで特定の範囲におびき寄せて、触脚で串刺しにして撃破。

スタンド使いは荷物置き場の袋に小型の酸素ボンベに脱出用パラシュートと一緒に入っていたらしくその中から舌と額が裂けた爺さんが出たそうな。

 

索敵能力がないと解らないな。

アヴドゥルさんのアレは広い所か燃えても気にならない所じゃないと使えないし。

 

俺、花京院の戦略の邪魔したんじゃと謝ったら逆に花京院に感謝されたよ。

こ、心が痛い。

ニコニコするなよぉ・・・俺、知っててこの様なんだぜ。

 

その後で飛行機の左エンジンが爆弾を仕掛けられていたらしく、爆発してそのまま香港の近くで不時着になったそうな。

 

タワーオブグレーの爺さんが念を入れていたのだろう。

それでも爆弾を仕掛けるだけで良かったとは思うが。

 

花京院が安心した顔をしているので心配かけたようだ。

 

しかし、【左エンジンで爆弾】かぁ。

 

何かが気になるけど今は救助作業の真っ只中だし、治療が終わったら俺も出来る手伝いをしてこよう。

 

 

 

香港に到着。

 

ジョセフさんが連絡の為に離れるのである料理屋を集合地点として全員解散。

 

色々と店を回ると何か変な浮浪者に絡まれて襲われた。

 

スタンド使いらしく、岩を使う強力なスタンドだったんだけど肝心なスタンドの使い方が俺よりも駄目で勿体無い事になってたな。

こいつは十中八九、DIOと関係無いな。

 

撃破した後で近くに居て様子を見ていたらしい眼光が鋭いバンダナ被った傭兵の若者に勝負しないかと誘われたけど。

俺、戦闘型じゃ無いと断ったら親切にスタンドの基本的なタイプと弱点や使い方について教えてくれた。

 

外国にもあーゆう良い人いるんだなと感心したな。

DIOの配下かと疑って申し訳なかった。

 

お礼を言って別れた後で何か意味深なまた会うかもしれないと言われたけど何なんだろう?

とりあえず聞いた内容をメモに書いておこう。

 

 

 

そんなこんなで皆で料理屋に集合して相談中です。

飯はまだ頼んでいないが茶を飲んでる。

 

50日以内でDIOを倒さないといけない。

飛行機はもう使えない。

 

一般人が巻き込まれるし、俺の負担がでかくなるとアヴドゥルさんに言われた。

承太郎も花京院もジョセフさんも同様らしいのか頷いて悩んでいる。

 

いや、確かにそうだけど。

もう行くと決めた以上は出し惜しみしないし、健康には気を使う方だから心配しすぎだろ皆。

 

・・・はい、無茶したのが原因ですね。

申し訳ない。

 

全員が渋い面で頭を悩ませる中でジョセフさんが船で行く提案をしてきた。

 

海なら遭遇戦を低目に防げると考えたんだろう。

国境も面倒だからそれがいいとアヴドゥルさんが賛同して花京院、承太郎は素人なので任せると言う。

 

「質問いいですか?」

「何だ?反対なのか?」

 

ジョセフさんが疑問そうに聞く。

そうじゃない、俺が心配なのは。

 

「俺も賛成ですが疑問があります。

船員はスピードワゴン財団かその紹介で集められるんですよね?」

「そうじゃな。・・そういう事か。

緊急だからと言ってセキュリティは甘くはならないぞ」

「だとしても現場から集めるのだけは時間が少し掛かっても辞めた方が良いでしょうね。

それが駄目でも徹底的に確認してから乗りましょう。

スタンド使いならば能力によりますが有り得るんじゃないかなと」

「ふむ・・・」

 

船長に成り代わられるんだよな。

或いは初めからそうだったかもしれないが本人の主張と性格から成り代わりの方だろうな。

ジョセフさんが悩んでいるがちゃんと受け取ってくれてると信じよう。

 

「解った。財団に話を通しておこう」

「お願いします」

 

よし、これでなんとかなる。

ジョセフさんと話している間に花京院が承太郎に香港のお茶の礼儀教室が終わっていたようだ。

 

店員が離れていくとメニューの本を持った隠しきれない頭髪の男がこちらに近付いて来る。

あの有名なAAの生まれたあの人が来るみたいだ。

 

「すみませーん。ちょっといいですか?

私はフランスから来た旅行者なんですがどうも漢字が難しくってメニューが解りません。

助けて欲しいのですが」

 

ポルポルさんがログインしました。

 

生で見たせいかテンションがおかしくなってつい日本語で口走ってしまった。

 

「柱のような男・・銀の電柱」

「ブッホッ!?プフゥー・・・」

「わぁー!花京院、吐くな!俺に被害が!?」

 

花京院が茶を吹いた!

対前にいた俺に被害が!!

天罰かい!

 

花京院はプルプル震えながら笑いを堪えてる。

そんなにツボに入ったか?

 

ナプキンで拭きながら周りを見たら。

 

「おほん!無様な所を見せてしまった。

侘びと言ってはなんだが一緒にメニューを取ろう・・・」

 

ジョセフさんは年長らしく冷静に対応しているな。

でも、足の指に力が入ってるのか丸めてるのが靴の上でも解る。

そして、プルプル震えてるってことは笑いを堪えてるな。

 

アブドゥルさんは解らなかったようだ。

日本語で無くネタの方だ。

疑問そうに様子を見てる。

 

承太郎は。

 

「嘘だろ承太郎」

「・・・・・・」

 

初めて会った時と同じく思わず呟いたよ。

 

帽子で顔を隠してる・・・。

え、今お前笑顔になっちゃってるの!?

 

緩んだ顔を見てみたいけどオラオラされそうなんで止めておこう。

 

ポルナレフは不思議そうだが解らない方がいい。

てか、ごめんなさいと心の中で謝っておく。



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15話 銀の戦車 2

皆で飯を食う事になりメニュー頼んだ。

だけどミスってカエルが来ちゃったよ。

他はおかゆや魚に貝。

 

ジョセフさんが誤魔化しながら言うが目が俺のせいだと言っている。

 

俺がアレやらなくともあんたミスするじゃないか!

承太郎と花京院までこっち見るし、ポルナレフは困惑してる。

 

仕方ないな。

 

「カエルの大部分は俺が食べるよ・・・」

「「「「「!?」」」」」

 

お前、食えるのかって顔してこっち見てる。

好きとは言えないが嫌いとは言えない位には大丈夫なんだよねカエルなら。

 

「・・アグ」

 

心の中でメメタァッ!と思いながら食べると信じられない顔されたよ。

味は鶏肉なんだよ本当にね。

 

「見てる場合か。皆も足くらいは食べろ」

「「「「「・・・」」」」」

 

ヤブヘビだったな。

 

引き攣った顔しても足を切り取って皆の皿に配膳します。

 

食え、な?

 

全員食ったのを見て平気そうだったのが腹立ったな。

意外といけるとか鶏肉の味とかあんな目して熱い手の平返しかよ、けっ!

 

「おぉこれは。手間隙かけてこさえてありますなー」

 

・・・動いたか。

 

電柱な男が箸でそれを摘まみ上げる。

 

「この人参の形。スターの形。

何か見覚えあるなぁー」

 

全員の目が集中する。

警戒と疑念でだ。

 

「そうそう。私の知り合いが首筋にこれと同じ痣を持っていたなぁ」

 

もう隠す気はないな。

おちょくりもあるのだろうが。

 

「貴様・・・新手の・・・」

「・・・フッ」

 

花京院が問いただすが鼻で笑うこの男は人参を首に付ける。

 

その瞬間。

 

「おうっ!?」

「ジョースターさん!危ない!」

 

おかゆから銀色のレイピアとそれを掴む手が生えて驚きの声が漏れるジョセフ。

アヴドゥルが焦ってジョセフに注意を促すが。

 

レイピアの刀身が回転してジョセフに迫る!

 

「ステッペンウルフ限定発動!」

 

流石に場所や体勢的にもバイクが出せないのでバリアーをジョセフさんに優先して張る。

 

だが。

 

「・・!(切り裂かれるか!)」

 

風故か能力の不足か相手の腕前なのかレイピアに切られてジョセフさんに尚も迫る。

 

「だったら!」

 

相手のスタンドのレイピアの根の部分と手にバリアーを張って止める!

 

「スタンドだ!」

 

火花が散るが上手くいったようだ。

 

ジョセフさんが警戒を周りに促すように言いながら立った。

 

「【マジシャンズレッド】!」

 

アヴドゥルさんがマジシャンズレッドの炎で仕掛ける。

 

「・・へっ」

「な、何!?」

 

銀のスタンドのレイピアをくるくると回転させて炎を絡め取られた!

 

「新たなスタンド使い!」

 

アヴドゥルの警戒が強まる。

 

飛んで倒れた机に絡め取られた炎が放られて火の時計とも言うべき物が作られる。

 

「・・むぅ」

「な、なんという剣捌き・・・」

 

ジョセフの声が漏れ、花京院は剣の腕前に驚愕する。

 

俺と承太郎は黙して相手の様子見をする。

 

「俺のスタンドは戦車のカードを持つ【シルバーチャリオッツ】!

モハメド・アヴドゥル、始末して欲しいのは貴様からのようだな」

 

相手の眼光がアヴドゥルを捉える。

 

「そのテーブルに火時計を作った!

火が12時を燃やすまでに・・・貴様を殺す!」

 

シルバーチャリオッツの剣先がアヴドゥルに向けられる。

 

「恐るべき剣捌き見事なものだが。テーブルの炎が12を燃やすまでにこの私を倒すだと?

そうとう自惚れが過ぎないか、あーと?」

 

アヴドゥルはゆっくりと構えマジシャンズレッドを出す。

 

「ポルナレフ、名乗らせていただこう。【ジャン・ピエール・ポルナレフ】」

 

ポルナレフが名乗りを上げる。

 

スタンドバトルで騎士の決闘の演出は未来なら馬鹿としか言われないだろうがポルナレフだと何故か馬鹿に出来ないんだよな。

 

「メルシーボーク、自己紹介恐縮の至り。しかし」

 

アヴドゥルさんが丁寧な対応をしつつマジシャンズレッドで身動きせずをあまりせずに火時計の下半分を燃やし尽くし、宣戦布告に答えた。

 

「ムッシュ・ポルナレフ、私の炎が自然通り。

常に上の方や風下の方へ燃えていくと考えないでいただきたい。

炎を自在に扱えるからこそマジシャンズレッドと呼ばれている」

 

自由自在の炎は恐ろしいな本当に。

 

この後、自惚れかどうかでコインを取り出して炎と絡めた曲芸を見せて全員の度肝を抜かして外に出て正々堂々戦う事になる。

 

ポルナレフのスタンドは俺の能力だと相性悪いんだよな。

風がバターの様に裂かれる剣の腕だもの。

アヴドゥルさんが相手してくれるからなんとかなるかな。



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16話 銀の戦車 3

ポルナレフに宣戦布告をされて表に出ました。

 

奇妙なオブジェクトが多いタイガーバームガーデンが現在地です。

 

アヴドゥルさんが前に出て皆が見学中。

 

「ここで予言してやる。まずアブドゥル、貴様は貴様自身のスタンドの能力で滅びるだろう」

 

対峙するポルナレフが自信満々で宣言する。

 

「アヴドゥル」

「承太郎、手を出さなくていいぞ。

これだけ広い場所なら思う存分スタンドを操れるというもの」

 

承太郎が一歩前に出るが静止するアヴドゥル。

 

こちらも自信があるようだ。

 

「大亜、お前も能力を解除してくれ」

「・・!気づいてましたか」

「気持ちはわかるが大亜・・・」

 

実はこっそりっとバリアーをアヴドゥルさんの要所に張ってました。

花京院に突っ込まれた。

 

だって心配なんだもん。

また、何かが変わって被害出るんじゃないかと。

 

「心配するな私はあんな奴には負けんよ」

 

マジシャンズレッドに炎を宿しながら言われる。

 

そこまで言われたら引っ込むしか無いじゃない。

能力を解除して承太郎の隣で様子を見る。

 

戦いが始まる!

 

「ホーラッ!ホラ!ホラ!ホラ!ホラ!

どうした?得意の炎を思う存分に吐かないのか?」

 

レイピアの連続刺突がマジシャンズレッドに迫るが何もせずに避け続ける。

 

「吐かないのなら、こっちから行くぞ!

ホラ!ホラ!ホラ!」

 

『・・むぅーブボァッ!』

 

勢いのある剣撃にたまらずマジシャンズレッドの口から炎の塊が複数出る!

 

だが、レイピアで全て弾かれてタイガーバームガーデンに設置されている鳥型のオブジェクトに命中した。

 

「むぅお!?」

「野郎。こ、コケにしている。

突きながらマジシャンズレッドにそっくりの像を彫ってやがったッ!」

 

アヴドゥルが驚いてその様子に振り返ってみると鳥型のオブジェクトがどういう訳かマジシャンズレッドの形に彫られ形成していた!

ジョセフが相手のやり方に苛立ちを覚えるのも無理はない。

 

曲芸が多いなーと思いました(小学生感)。

何て思ってる場合じゃ無いよな、剣でこれだけやれるってのが異能じみてる。

 

「なかなか、ふふふ・・・この庭園にマッチしとるぞ。マジシャンズレッド」

「・・むぅん!」

 

挑発に答えるようにマジシャンズレッドから炎が迸る。

 

「来るな・・・本気で能力を出すか。面白い。受けて立ってやる」

「おい!何かに隠れろ!アヴドゥルのアレがでる・・・そう言えばお前がいたな」

「アレだと?」

「能力が能力だから仕方ないけど俺が盾役なのね・・・」

 

ポルナレフが面白そうに構える。

 

ジョセフさんが周りに警戒を促すと俺を見て背後に回ってくる。

承太郎が問い返しながらも俺の後ろに来てる。

 

あんたらなぁ。

 

「世話になるよ大亜」

 

花京院、お前もか!

 

連続でも暫くは防げるけどさぁ。

 

「【クロスファイヤーハリケーン!】」

「これしきの威力しかないのか?

この剣捌きは空と空の溝を作って、炎を弾き飛ばすと言ったろうが!」

 

アンクの形をした大きい炎が射出されるがシルバーチャリオッツに再び弾き飛ばされマジシャンズレッドに直撃する!

 

『グゲギャア!ギャア!』

 

「う、おおおお!」

 

炎に包まれてマジシャンズレッドとアヴドゥル両方が苦悶の声を上げる。

 

「アヴドゥル!」

「アヴドゥルさん!」

 

ジョセフさんと俺が思わず声を上げる。

 

炎があまりにも強いので自分自身が焼かれている。

やがて、倒れる姿に解っていても汗が止まらない。

 

「フハハハ。予言通りだな自分の炎に焼かれて死ぬのだ」

「むぅーん!」

 

『キィェェエア!』

 

「あーあーあー、やれやれやれやれだ。

悪足掻きで襲って来るか?見苦しいな!」

 

勝利を確信するポルナレフにアヴドゥルが力を振り絞り燃えるマジシャンズレッドを飛ばす。

呆れたポルナレフがシルバーチャリオッツのレイピアで切り払うが。

 

「妙な手応え?何!?馬鹿な!

切断した体内から炎が出るなんて!?」

 

炎が切ったマジシャンズレッドから移り驚愕するポルナレフ。

 

「あれはスタンドではない。人形だ!」

「炎に目が眩んだな。貴様が切ったのはシルバーチャリオッツで彫った彫刻の人形だ」

 

正体を当てるジョセフ。

燃えたのはさっきポルナレフが弾いて彫ったマジシャンズレッドそっくりの人形。

アヴドゥルも手を構えながら言う。

 

正体に気付いたポルナレフはまた驚愕する。

 

「私の炎は自在と言ったろう。

お前が打ち返した火炎が人形の関節部をドロドロに溶かし動かしていたのだ。

自分のスタンド能力にやられていたのはお前の方だったな」

「・・!」

 

更にアヴドゥルから突きつけられる事実にポルナレフの驚きが止まらない。

 

「そして、改めてくらえ!【クロスファイヤーハリケーン】!」

「うぐわぁあああああ!?」

 

アンク型の炎が再びマジシャンズレッドから発射される。

今度のは直撃してポルナレフとシルバーチャリオッツは一緒に吹っ飛ぶ。

 

「占い師の私に予言で戦おうなどと10年は早いんじゃないかな」

 

アブドゥルの勝利宣言に地面に叩きつけられたポルナレフは何も言わない。

 

恐るべき威力だった。



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17話 銀の戦車 4

勝負は付いたのでとっとと皆でカイロを目指す事に。

 

とは言え、これで終わりではない。

まだ続くのを俺は知っている。

 

爆発する音に皆が背後に振り返ると鉄片が勢いよく飛んでるがアレはシルバーチャリオッツの甲冑。

 

そのまま、勢いよく背を向けた状態でポルナレフが空を飛んだのを見かけた。

 

「奴が寝たままの姿勢で空へ飛んだ!」

「ブラボー!おお、ブラボー!」

 

花京院が思わず言葉にする。

ポルナレフは背中を地に向けて拍手と笑みを浮かべる。

 

その姿に俺は。

 

「逆さになっても電柱・・・」

 

思わずまた呟いた。

 

「ブッフゥ!?ヒヒ!ノホホ!ノホホホホ!

お、おい大亜!こんな時に笑わせるような事を言うんじゃない!」

「お前は儂等を笑い殺したいのか大樹!」

「あ・・・すいませんでした」

 

花京院がまた吹いた。

茶が口に入ってないのでバッチイ展開にはならなそうです。

流石にジョセフさんに怒られた。

でも、笑いを堪えるためか頬がプルプルしてるのを俺は見逃さなかった。

 

「やれやれだぜ・・・なんで奴は飛んでるんだ」

 

顔を遠い所に向けながら呆れたように呟き現状の疑問を言う承太郎。

でも、目が怪しい事になってるのに気付いた俺は嘘だろ承太郎と呟く事にした。

 

ちなみにアヴドゥルさんとポルナレフは勝負再開に集中していてこっちの話は聞いてなかった。

それでいいし正しいと思う。

 

甲冑が外れたシルバーチャリオッツが7体に見える程の残像の高速移動。

 

俺の基礎能力だとバイク無しの残像は無理だな。

出る数は5体辺りかな?

誰か追加で乗ってる状態でも無理だが。

 

説明が終わって仕掛けられてアブドゥルさんが形振り構わず大苦戦だがアヴドゥルさんも説明して仕掛けた。

 

「【クロスファイヤーハリケーンスペシャル】!かわせるか!」

 

マジシャンズレッドが大きく構え放たれる複数のアンクの炎。

 

飛び散る炎と熱波がこちらに来るがバリアーで防ぐ。

温度調節も完璧だぜ!

 

「くだらんアヴドゥル!オォォォォー!」

「円陣を組んだッ!」

「死角がないッ!」

 

シルバーチャリオッツの残像がポルナレフの周りで円陣を組みジョセフが驚いた声を上げる。

花京院も一瞬で素面に戻り隙のなさに驚愕した。

 

さっきの状況と今の状況のシュールさに俺は絶句したが。

主に味方側。

いや、俺が原因なんだけどね。

 

「甘い!甘い甘い甘い甘い!

前と同様、このパワーをそのまま貴様に!

切断!弾き返してぇええ!何ぃ!?」

 

複数に迫るアンク型の炎を弾こうとしたシルバーチャリオッツの残像達がマジシャンズレッドの炎によって穴が空いた地面から巨大なアンク型の炎が噴出して全員が消された!

 

そのまま、迫った炎がシルバーチャリオッツと共にポルナレフに直撃して炎に包まれ吹っ飛ばされる。

 

思わずジョセフが解説する姿に俺はスピードワゴンの意思が受け継がれてるのか魂が取り憑き、そうさせる様にしてるのだろうか?と思ってしまった。

 

「炎に焼かれて死ぬのは苦しかろう。その短剣で自害するといい」

 

懐から短剣を出してポルナレフの前に投げるアヴドゥル。

そのまま背を晒して仲間達の所へ歩き出す。

 

その姿にポルナレフが一瞬、投げようとするが止めて自決しようとするがこちらもやめて炎に身を任せる様にする。

 

「うぬぼれていた。炎なんかに私の剣きばきが負けるはずがないと。フフ、やはり。

このままいさぎよく焼け死ぬとしよう。それが君との闘いに敗れた私の・・・。

君の能力への礼儀、自害するのは無礼だな」

 

ゆっくりと目を閉じるポルナレフ。

そのまま炎の熱さに気絶する。

 

その姿にアヴドゥルは振り返り炎を一瞬で消す。

 

花京院は笑みを浮かべ、承太郎は何も反応しないがアヴドゥルの行動に肯定しているのだろう。

 

「あくまでも騎士道とやらの礼を失せぬ奴。しかも私の背後からも短剣を投げなかった!

DIOからの命令をも越える誇り高き精神!殺すのは惜しい。

何か訳があるなこいつ」

 

歩み寄ったアヴドゥルはポルナレフを抱えて額を探ると案の定に【肉の芽】が植えられていた。

 

アヴドゥルが承太郎に声を掛け、それに答える承太郎。

肉の芽の抜き取りの始まりである。

 

ジョセフさんがうぇ~この触手がきもち悪いんじゃよな~!承太郎!はやく抜きとれよな。早く、早く!と子供の様に動きながら言ってるが絵面的にその表情は不味いんじゃと言いたくとも言えなかった。

 

承太郎が五月蝿いと言う事で収まったが、どう見てもあれはア○顔です。

本当にありがたくありませんでした。

 

「これで肉の芽がなくなって、にくめないヤツになったわけじゃな!

ジャンジャン!ヒヒ」

 

【肉の芽】がなくなるとダジャレを言う姿に全員が気分を落とす。

 

シュールだなと俺は思った。

 

「花京院、大樹、オメーラこーゆーダジャレいう奴ってよ~無性に腹が立ってこねぇか?

まだ、大樹の思わぬ失言のがおもしれぇ」

「っふ・・・プフ。駄目だ、思い出してしまった・・ヒヒ」

「・・・どうでもいい」

 

承太郎の苛立ちの混ざった質問に花京院は目を瞑って笑みを浮かべる事で返した。

だが、何が面白かったのか笑いが込み上げたようだ。

 

俺は面倒臭くてぶっきらぼうに返した。

 

そんなに面白かったかぁ?

俺がギャグ言うと白けるのが普通だったんだが素面で思わず言うと前世でも家族や他人関係なく笑われたけどさぁ。

 

 

 

やがて、スピードワゴン財団の作業が終わったらしくて全員で船に向かう。

長く待ったが作業員曰く、5時間程ロストしたらしい。

 

それでも襲ってくる可能性が下がるなら良いと俺は思うが。

その分で時間を稼げるし。

 

向かってる途中でポルナレフに止められてお礼を言われた。

皆が気にする事はないスタンスなんでポルナレフが怯んだがジョセフさんに質問をしてきた。

あなたの左腕は右腕ではないだろうな?と妹を殺した男がそれで探しているらしい。

 

奇妙な質問に答えて手袋を外して義手を見せるとポルナレフが謝罪した。

ジョセフさんが気になって質問をする。

 

ポルナレフは3年前、雨が降った日の妹とその友達の学校の帰りに不思議なことに雨なのにその男のまわりは透明の膜でもあるかのように雨がドーム状によけてとおっていた。

突然クラスメートの胸がカマイタチにでもやられたかのように裂けた。

そして、次に妹が恥かしめを受け殺された。

男の目的はただそれだけだったそうな。

 

その後に復讐の為に探しているとDIOが接触してきて探すから友達になってくれないかと勧誘と言う名の強制【肉の芽】をぶっすりされたそうな。

 

心の隙間に入るのが上手く、捨て駒作りする下衆野郎だなと思ったのが俺の正直な気持ちだ。

 

風が操れるので俺が容疑者に一時期浮上したが左手があるので取り消したと言われた時は微妙な気持ちだった。

確かにドームやれるし、成長次第でカマイタチいけそうだけどさぁ。

 

推理すると両右手の男はDIOの仲間だなと花京院が言う。

 

花京院、正解です。

君にはスーパー荒木先生人形をプレゼントだ。

 

ポルナレフがついて行きたいと言い出して皆は良さそうだけど俺は胡乱げな目でしか見れない。

 

こっちも謝られちゃったけどね。

 

まあ、謝れて頼まれたから引っ張らないけどさ。

 

ちなみに原作での写真撮ってくださいとは言われなかった。

時間ずれてるしな。

 

そうして皆で船に搭乗。

DIO目指して出発です。



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18話 暗青の月?

ウミネコがニャアニャア鳴くのが聞こえます。

現在、スターダストクルセイダース一行はポルナレフを加えて航海中です。

 

青く広い海の上で承太郎と花京院は日光浴、他は椅子でだらけてます。

 

制服でジョセフさんに突っ込まれたりしていると。

 

「離せ!離しやがれ!このボンクラが!畜生!はなせッ!はなしゃがれ~!」

「しずかにしろッ!ふてェ~ガキだッ!」

 

男臭い船上に家出少女が!

 

殺伐スレ風に言ってしまったが船員に捕まって暴れまくってる。

 

てか、どうやって忍び込んだ?

俺、セキュリティ強化するように言ったから乗ってないと思ってたぞ!

 

「おいどうした?儂等の他には乗客は乗せない約束だぞ!」

 

ジョセフさんが説明を求めるが目が鋭く疑ってる。

船員が密航された事に謝罪して説明してる。

 

曰く、船の修理用機材置き場のコンテナの中に紛れ込んでいたそうな。

 

進言してこれだからジョセフさんはスタンド使いの疑いを持つのが早まったか。

実際、この世界の彼女はどうなんだ?

 

よりによって修理用機材置き場?

原作の船倉のがまだ説得力あるぞ。

 

「来るなら来い!タマキンけりつぶしてやるど!」

「海上警察につき出してやる!」

「え、警察?」

 

威勢が良かったのが船員の言葉で萎んでいく。

 

・・・なんか、迂闊さが見えてきて違うんじゃないかなと思えてきた。

 

「お、お願いだ。見逃してくれよ!

シンガポールにいる父ちゃんに会いに行くだけなんだ!

なんでも仕事するよ!コキ使ってくれよ!」

「ど~しよ~かな~?みのがしてやろ~かな~?

ど~しよ~かな~ど~しよ~かな。やっぱり駄目だね!ヤーだよ!」

 

涙を流す演技で船員に頼み込んでいるが船員は意地が悪いらしく考えるふりで抓りながらデコピンして断った。

まあ、違反を犯したのは彼女だから解るんだがデコピンは余計だと思うぞ。

 

「取り敢えずキャプテンに報告するから着いて」

「ガブッ!」

「ギィエアアアアッ!?」

 

あー腕噛まれたな船員が。

その隙に家出少女が海へダイブしたか。

 

「おいおい、飛び込んだぞ。元気いい~」

 

ポルナレフは呑気に言う。

 

「もしかしたら違う・・・いや、油断は出来んな」

 

ジョセフさんが呟く中でこっちに目を合わせてきた。

意見を求めるのに情報がなくて解らないからこちらも疑っているが解らないで返しておいた。

 

「ここから陸まで泳ぐ気なのか?」

 

花京院が心配そうな様子で海の方へ船上を立ち歩く。

 

「どうする?」

「けっ、ほっときな。泳ぎに自信があるから飛び込んだんだろ」

 

ジョセフの問いかけにセメントで対応する承太郎。

 

偽船長来るのだろうか・・・?

 

「ま、まずいっすよ!この辺は鮫が集まってる海域なんだ!」

 

船員が焦って声を出す。

全員が海を見ると鮫がゆっくりと家出少女に。

 

船員もやられたのに心配するとはいい所あるな。

 

「これはまずい!」

 

花京院が目を細めて言う。

 

確かにこのままだと食われるな。

 

「おい、小僧!戻れ!戻るんだ!危険だッ!」

「鮫だぞ!鮫がいるぞ!」

「え?うわぁあああああ!」

 

ジョセフとポルナレフが警告するが気付いてももう遅かった。

 

仕方が無い、リスクがあるけど。

 

「承太郎!」

「・・!」

 

ステッペンウルフを発現して承太郎に背に乗るように目配せする。

承太郎が驚いたが直ぐに俺の脇腹に捕まる。

 

「オラオラオラァー!」

 

そのまま海に着水はせずに海面を走る!

そして、直ぐに追いついて鮫に気絶する範囲でスタープラチナがラッシュを叩き付けた。

 

家出少女は自身の目の前で何が起こっているか解らず、そのまま承太郎に掬い上げられ俺と承太郎の間に収まった。

 

ステッペンウルフは3人乗り状態だが家出少女は小さいので花京院と違って余裕はある。

 

「やれやれだぜ、くそガキ。ん?てめぇ・・・女か・・・それもまだ小便くせえ・・・」

 

手が家出少女の胸に有り動かして確認している承太郎。

 

解らなかったのは無理も無いが今の動作はセクハラだぞ承太郎。

 

「よ、よくもオレの胸をじっくりイジリやがったな!ちくしょー!」

 

怒って承太郎に攻撃する家出少女だが簡単に防がれた。

 

って、そこは殴られておけよ。

 

「やれやれだ・・・」

「呆れてる所で悪いが今のお前の行動は警察に捕まっても俺は擁護出来ないからな」

「・・・わざとじゃねぇ」

 

帽子の位置を直しながら呆れている承太郎。

 

帽子を直してる場合かとシュトロハイムばりに突っ込みたかったがこれで済ました。

 

「お、俺は今なにを見たんだ?」

「当て身!」

「へぶっ!?」

 

船員が戸惑ってる所に花京院の手刀が首に入り気絶。

 

何やってるの花京院?

 

とりあえず周りを確認しながらステッペンウルフで船に向かい、船壁を走って船上に到着する。

 

「花京院?」

「夢か何かで誤魔化さないと後で面倒な事になるだろうから仕方無く」

「この船員も不憫だなぁ」

 

俺が聞くと花京院は誤魔化しの為と言う。

ポルナレフが可哀想な目で船員を見てる。

 

しかし、スタンドが来なかったな。

 

「この女の子かね?密航者と言うのは」

 

年老いた声が聞こえる。

 

来たか・・・どっちだ?

 

「私は密航者には厳しい方でね。

女の子とは言え舐められると限度なく密航者がやってくる。

港に着くまで下の船室に軟禁させてもらうよ。

そこで気絶しているのは?」

「この女の子が海に落ちて鮫に追われる所を見て慌てて助けたのですが安心して気絶したようです」

「なるほど・・・まったくだらしないなぁ。

君も君だ、女の子が危ない事をしたら駄目だろう。

おい、奴さんを運んでくれ」

 

そう言うと船長は暴れる家出少女のナイフを締め落として。

脇から荷物を扱うように持ち上げる。

だが、何処かに優しさを感じる。

気絶した船員は他の2名に運ばれていった。

 

動作が違うってことは本人かな?

 

「キャプテンお聞きしたいのですが船員10名の身元は確かなものでしょうな?」

「まちがいありませんよ。何故そこまで神経質になっているかはわかりませんが」

 

ジョセフの問いに船長はしっかりと答える。

 

「ところで、甲板での喫煙はご遠慮願おう・・・。

君はこの灰や吸い殻をどうする気だったんだね?

この美しい海に捨てるつもりだったのかね?

君はお客だがこの船のルールには従ってもらうよ」

「・・・すまなかった」

 

煙草を取り上げて自身の指で消すと自身のポケットに入れて説教を始める船長。

承太郎が帽子を取って謝った。

 

この時期の承太郎が初見の人間に素直に謝った!?

凄いレアなのを見たぞ・・・。

 

やがて何も起こることなく旅は続く。

これは、回避出来たと考えていいかな?

 

あ、承太郎のハッタリが潰れた!

・・・まあ、船長が本物っぽいしいいか。



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19話 暗青の月? 2

今日は早めの二回目投稿。
明日は一回だけの投稿です。


そろそろシンガポール近くの海域に入る。

サクサクと進んでいるな。

 

「このままいけそうですね」

「うむ、ロストした時間分はもう稼げたじゃろうしな」

 

花京院が言うとジョセフが頷く。

 

どうなるかと思ったけど行けるかな、これは。

DIOの妨害が今まで無いのが不思議だが。

 

 

 

【ズガガガァアーーーンッ!!】

 

 

 

・・・油断した罰でも来たとでも?

 

爆発音に全員が警戒すると船員の人がやって来て。

 

「急いでこの船から脱出してください!」

「何!一体何があった!?」

「どういう訳か船底から複数の爆発が発生して船に穴が!?」

「・・・!?」

 

ジョセフさんの問いの船員からの返答に驚愕する。

 

まさか、仕掛けてきた?

このタイミングでかよ。

 

あんだけチェックやったのに。

 

水中から仕掛けられたかこれは?

 

結局、俺のやった事はプラマイゼロかぁ。

 

 

 

全員でボートに乗るとゆらゆらと霧が出てきた海にたゆたう。

家出少女も一緒だ。

 

ゆっくりしていると水を貰って飲んでいた家出少女が吹いた。

 

勿体無いとジョセフから注意を受けるが。

 

「ち、違う・・み、みみみみみ皆アレを見てーーー!」

「「「「「「!?」」」」」」

 

船が見える。

 

おいおい、これってまさか。

 

「えぇ!」

 

ジョセフが驚愕している。

 

とりあえず。

 

「アヴドゥルさん救難信号用のロケットはどこでしてたっけ?」

「確か・・・」

「あ、大丈夫ですよ。こちらでやります」

 

俺が尋ねるとアヴドゥルさんが探すが船員さんが既に行動を起こしていた。

船長の指示の下でテキパキと動いてる。

 

打ち上げて暫くしても無反応なのに奇妙さを感じるがタラップが船から降りていた。

 

殆どのものが喜んで登ろうと準備するのに対して承太郎と俺は素直に喜べなかった。

てか、【貨物船じゃなく豪華客船】・・・?

 

「承太郎、大樹・・・何を案じておる?

まさかこの客船にスタンド使いが乗っているかもしれんと考えているのか?」

「いいや・・・タラップがおりているのになぜ誰も顔をのぞかせないのかと考えていたのさ」

「加えて霧が出てる中で航海中ってのが気になりますね。

シンガポールの近くだから停泊して様子見すると思うのですが・・・」

 

俺は知っているからだが承太郎は怪しいと思ったからだろう。

人気が無さ過ぎる。

 

加えて俺は【あのスタンド使い】がどこに行ったのかが気がかりだった。

爆弾で船を破壊した時に仕掛けなかったのは数の不利さだろうが。

 

余計な事になってしまったかもしれない。

 

ポルナレフが罠でも乗ると発言したので他に手段はないので全員が行動を移す。

 

登ってみるとやはり誰も居ない。

 

「つかまりな、手を貸すぜ・・・」

「(べ~)」

「やれやれ」

 

承太郎が手を貸そうとすると家出少女はジョセフに捕まって舌を出した。

ちなみに家出少女の名前はアンと言うらしい。

 

承太郎は呆れているがお前のやったアレのせいだろ。

俺は擁護出来ないからな本当に。

 

全員で船を捜索しても無人。

明らかに異常である。

 

極めつけは。

 

「みんな来てみて、こっちよ!猿よ!オリの中に猿がいるわ」

「オランウータンだ」

「猿なんぞどうでもいい!こいつに餌やってる奴を手分けして探そう」

 

家出少女アンが檻を見つけて来てみる。

花京院が種類を判別してジョセフは苛立ちが混ざった声で捜索に行く。

 

やはり、こいつなのか・・・。

こいつがアレって事を俺は知っている。

証拠が無いから今はどうする事も出来ない。

 

暫くしても誰も見つからない。

 

腹が減ってきたな・・・。

 

「おい、この香りは・・・」

「何だ?」

「誰かが食事をしている?」

 

船員達が匂いを感じて誰かしらの存在に確信しだす。

 

「行ってみよう」

 

ジョセフさんが先頭に立って匂いへ近付いていく。

全員があとに続く形だ。

 

やがて食堂を見つけて入ると煌びやかな装飾が施されてる大きな部屋だった。

机には大量の高級料理が並んでいて奥の方でガタイの良い男が食事を取っている。

 

「貴様は?」

「新手のスタンド使い」

 

ジョセフが問い、花京院が構える。

 

この男も俺は知っている。

そうか、タッグで来ちゃうのかぁ・・・。

 

余計な事したの確定だわ。



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20話 魚類人猿

「この船へようこそジョースター一行の皆さん」

 

ニヤリと笑みを浮かべながら飯を食う男。

 

腹減ってるから苛立つわ。

 

「お宅らに最後の晩餐を用意しておいたよ。

遠慮せずに頂くといい、とは言え爆弾をもう馳走済みだからいらないかな?」

「アレをやったのはお前か!よくもクルーと客を危険な目に合わせたな!」

 

笑みを浮かべながら何てことは無い風に言う男に全員が苛立つが船長が凄い剣幕で怒っている。

無理もない。

 

だが、機先を制する様に帽子を被った一人の男が一歩前に出る。

 

「大物ぶってカッコつけんじやあねぇ、このタコ」

「あ゛ぁ?」

 

承太郎の挑発に苛立つ男。

何か言おうとするが。

 

「オラァッ!」

「ぐぶ!?」

「オラオラオラオラオラオラオラァッ!」

 

速攻でスタープラチナを出してラッシュを音に叩き込む!

 

打ちのめされ血が流れた状態で壁に吹っ飛ぶ。

 

「・・ヒヒ・・・やってしまったなお前」

「・・・!?」

 

そのまま壁に埋め込まれる様に消えていく男に承太郎が何故か踏ん張る。

 

これは、もしや?

 

「承太郎!」

「く、来るな!してやられた・・・」

「フジツボだ!あの甲殻海棲動物のフジツボ虫だ!」

 

スタープラチナの腕にフジツボがビッシリと取り付いてる。

気のせいでなく数が増えていってる。

花京院が種別を言うがそれどころではない。

 

俺達が行こうとしたら止められたので間違いないな。

元【偽テニール】だ。

 

水のトラブル!

嘘と裏切り!

未知の世界への恐怖を暗示する月のカード。

スタンドの名は【ダークブルームーン】!

 

「てめーらと6対1じゃ流石の俺も骨が折れるからな。

潜入して一人ずつ始末してやろうと思ったら警戒が強すぎた。

だから、予定変更で爆弾を先に使って後からじわじわと始末する事にした。

まず一人目だ!」

「ち、畜生!引きずり込まれる!」

「「承太郎!?」」

 

偽テニールが壁へ消えると承太郎が吹っ飛ばされて同じ場所で減り込み消えていった!

 

思わず俺と花京院が叫ぶ。

予想外かつ、いきなりの事だったから対応が遅れてバリアーが張れなかったのが失敗だ、糞ったれ!

 

しかもこれは【スタンドの合わせ技】だ!

 

「むおっ!」

「こ、これは・・!?」

「何なんだこれは!」

「畜生、動けねえ!」

 

背後からの声に振り返るとジョセフさん、花京院、アヴドゥルさん、ポルナレフ、船長と船員達が足が地面に埋め込まれた様に取られて身動きが取れなくなってる!

 

気づいたら俺もだ!

 

まさか。

 

「ウホウホホホホ」

 

近くの壁から檻に居たオランウータンがすり抜けるように出てきた。

船長服に帽子を被り、煙を出しながらパイプを口に携えて。

 

「こいつスタンド使いだと言うのか!?」

 

ポルナレフが驚いた声を出すとオランウータンはニヤリと笑みを浮かべて辞書を出し、ある項目に指をさす。

 

オランウータンの示した単語はなんと【ストレングス】。

意味は力、元気、勢い、助け。

そしてタロットで8番目のカード。

それは挑戦、強い意志、秘められた本能の暗示!

 

しかし、アンちゃんだけは拘束されてない。

まさか・・・。

 

「ウホウホ!ウヒューヒッヒッ!」

「きゃあああああ!」

 

オランウータンが服を晒すとソコにはそそり立つ男のシンボルが!

目がイヤらしくアンに固定されている。

思わぬ事態にアンが叫び声を上げる。

 

「こいつ・・!」

 

アンを犯す気だ!

それも俺達の目の前で!

 

距離は安全を保っていて誰のスタンドも届かない。

 

「ハイエロファントグリーン!エメラルドスプラッシュ!・・何!?」

 

花京院がハイエロファントグリーンで仕掛けるが地面から生えた鋼鉄の壁で弾かれた!

 

「マジシャンズレッド!・・ぐぬぅうう!?」

 

アヴドゥルさんがマジシャンズレッドの炎で仕掛けるが鋼鉄の壁が幾つも生えてアヴドゥルさんごとマジシャンズレッドを取り囲み、押しつぶす勢いで壁が幾つも張り付いていく!

 

徹底的に対策されている!

 

てか、こいつは鋼の錬金術師か!?

明らかに原作のより強くなってるぞ!

 

「ウヒヒ」

「い、嫌だ!嫌だーーー!!」

 

いい気になったオランウータンはゆっくりとアンに近付いていく。

アンは逃げようとしたがドアが閉まっていて開かない。

 

「すべて・・・なにもかもが【巨大なスタンド】だったッ!」

「こ、この船がッ?スタンド使いじゃない水夫や女の子にも見えるスタンドがあるのか?

てかアヴドゥル!大丈夫か!?」

「な、何とかな・・・この実在感!エネルギーがあまりにも巨大だからと!

考えるしかあるまい!」

 

ジョセフが当たりをつけて、ポルナレフが疑問とアヴドゥルの安否に叫ぶ。

アヴドゥルが鋼鉄の塊の状態で声を出して生存と推測を伝える。

 

「そ、それじゃこういう事か!絶体絶命!俺達は既に完全に囚えられていた」

「グフグフ!」

 

ポルナレフが焦る。

 

オランウータンはこの船のすべての物が俺のスタンドさ!

てめーらは完敗なんだよォ!

どうすることもできね一だろお!そういってやがるッ!

 

このエテ公はそう言っているのに対して俺は。

 

「まだ諦めない!【ステッペンウルフ】!」

「「「「!」」」」

 

バイクを出してそれごと地面に埋め込まれそうになる。

だったら。

 

「エンジン全開!スタンドエネルギー集中!フルスロットルで【回転】だぁッ!」

「ウホッ!?」

「乗れ!」

「あ、うん!」

 

バリアーを一点に集中してそれを高速で回転させる!

そうして掘削機と化したバイクで走り出せば埋め込まれても抜け出た。

そのままアンちゃんを背中に乗せる。

人質対策もあるがレイプ防止が主な理由だ。

 

オランウータンも予想外らしく驚いてる。

この中で最弱の戦闘力だしな。

 

だが。

 

「こっから先が問題だ・・・」

 

ステッペンウルフとストレングスの相性は【最悪】!

 

室内戦に加えて周り全てストレングスの武器でエネルギーが異常。

本体も人間の5倍の力。

 

真面目にここで死ぬかもれない。



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21話 魚類人猿 2

急用が決まったのでストックしている内の2話を投下。
明日から二日は投稿出来ません。


「やれやれ、あのエテ公に獲物を殆ど譲ることになったがまあいいさ。

ジョースターの一族を殺れば賞金だけでなく、DIO様の側近の立場が手に入るからな。

(懐の金が痛いが上手く行けば伸し上がれるしな、あの方はいずれ世界を統べるお方だ)」

 

周りは水。

深い水槽のプールに男が二人いる。

 

「よお~こそ、よお~こそ、ククックク。

来てしまったなあ!

【ダークブルームーン】の独壇場、水中へ・・・ククク。

この俺を舐めとったらいかんぜよ、お兄ちゃん!

水中とはいえスタンド同士の会話が可能だからよって・・・。

もう一遍、さっきのような生意気な台詞をたれてみィ!

お兄ちゃんよォ~あ!?」

 

水中で偽テニールが分断された承太郎にダークブルームーンと共に脅しを掛ける。

 

「てめー何になりてえんだ?」

「ぇ?」

 

スタープラチナを出した承太郎にいきなりの質問に偽テニールとダークブルームーンが呆ける。

 

「なりてえ魚料理を言いな。

カマボコか?それとも刺身とかよ。

てめーのスタンドを料理してやるからよ。」

 

指をさして逆に挑発する。

 

「この馬鹿が強がった口を聞いとるがよう兄ちゃん。

お宅は今、心の中でこんな事を考えている。

こいつ、いったいどのくらいの時間で水中に潜っていられるのか?

自分の限界は2分って所だが自分より長く潜っていられるのだろうかと、ねえ?」

 

正気かと尋ねるジェスチャーをダークブルームーンと共にしながら笑い声を漏らす。

そんな、偽テニールに眼光を緩めない承太郎だが。

 

「答えてやろう。俺の肺活量は普通の人の3倍よ!」

「・・!」

 

流石にこの答えには承太郎も動揺を隠せなかった。

同時に疑問もある。

 

こいつのスタンドはフジツボと船を自在に移動するものじゃないのかと。

 

「そして訓練されている。潜水の自己ベストは6分12秒。

この数字を聞いただけで意識が遠くなるだろう!

そして!」

 

ダークブルームーンの手の水掻きから火花が散る。

 

「ダークブルームーンの水掻きはスクリューの回転よりシャープに動く水中カッター!

その上、舐めた口を聞く前にてめーのスタンドをよーく見てみろ」

 

水流が生まれ水中が慌ただしくなる!

 

「こいつのつけたフジツボがどんどんお前のパワーを吸い取って繁殖しとるでぇ。

どんどんパワーが無くなっていくのが実感できるだろう。

フェーフェフフフフ」

 

スタープラチナに着いたフジツボは確かに増え続けていた。

脱力感を感じる承太郎だがそれでも眼光は緩めない。

笑われようとも水面を目指して泳ぐ。

 

「泳いで水面に逃れるか?周りをよーく見ろ!

ハッーハハ、さっきからダークブルームーンが水中に渦の流れを作っていることに気がつかねぇーのかお兄ちゃん?」

 

踊るように両手の水掻きを掻き回し続けるダークブルームーン!

水流は渦となり承太郎とスタープラチナを捉えている!

 

「泳げ!泳げ!どんどん呼吸が苦しくなりパワーが抜けて行くぞ!

だがてめーのような思い上がり小僧は痛ぶり殺すにはこれだけじゃあまだ足りない!」

「や、奴の鱗?」

 

挑発が続くがまだ抵抗する承太郎。

しかし渦にダークブルームーンから射出される鱗のカッターに承太郎とスタープラチナは切り刻まれる!

 

「そして次に何を考えているか当ててやろう。

渦に一点だけ動かない部分がある。フッヘヘヘ・・・ありふれてるね。

それは中心だ!

奴のいる中心に飛び込めば攻撃出来る。

フッへへ、そう考えてるな?」

 

推理が始まる中で流石にダメージを受けすぎたかグッタリとしている承太郎とスタープラチナ。

それでも止まる事はない。

 

「さっきのような自慢のパンチを俺に浴びせられる自信があるなら向かってきな!

フジツボに力を吸いとられ・・・ろくすっぼ水もかけないスタンドでこの水中カッターより鋭い攻撃がくり出せるならよおお!

お兄ちゃん!」

「・・・・・」

 

偽テニールに何も答えない承太郎。

 

「刺身にするとかぬかしてくれたなあ~~!スライスされて刺身になるのは!

・・・うっ!」

「【流星指刺!(スターフィンガー!)】」

「ほげぇ~」

 

仕掛けるために接近したダークブルームーンにスタープラチナの2本の指が伸び顔面に突き刺さる!

 

「やっぱり、てめーだ刺身になったのは」

「パクパクパク・・・」

 

言いたくとも何も言えない偽テニール。

顔面から血が溢れている。

 

「なにぃッ!聞こえねえなあ!水中だからよぉ!はっきり言えや!」

「吸い取られていたのに・・・。

力を指の一点にためる為にワザとぐったりしてたな・・・そ、そう考えてたな!」

「違うね」

 

承太郎の怒声に弱まりながらも推理する偽テニールだがはっきりと否定される。

 

「俺が考えてたのはてめーがやられた時、小便ちびられたら水中だから汚ねーなって事とアイツ等がどうなったかだ、おっさん!」

 

帽子の位置を直しながら指を1本突き立てたそれで横に掻っ切って答える承太郎。

そのまま偽テニールは水中の底へ力尽きて沈んでいった。

 

「ぶっはっ!・・・急がねーとアイツ等が危ない」

 

確認した承太郎は急いで水面に出て船上を目指す。

偽テニールとダークブルームーンの戦闘方法から違うスタンド使いが絡んでいる事に気づいたからだ。

 

そのままさっきの食堂へと走り出した。



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22話 魚類人猿 3

急用が決まったのでストックしている内の2話を投下。
明日から二日は投稿出来ません。


ステッペンウルフのモーター音が鳴り響く。

口の中が乾く・・・相手のオランウータンはまだ動きを見せない。

様子見をしているようだ。

 

「・・・どうしたもんかな、これが」

 

いい加減にじれったくなってきた。

 

アンが背中で震えている。

 

あのエテ公が・・・(怒)。

 

「相手の方がパワーが圧倒的に上だ。気をつけるんだぞ!」

「大亜、相手の領域は全てだ!

マジシャンズレッドと違う意味で際限が無いからバリアーを絶やすな!」

 

ジョセフさんとアヴドゥルさんの注意に耳を傾ける。

 

実際に言った通りだからこっちは下手に仕掛けられない。

突っ込んでも隠れられて壁とストレングスの能力に嵌って圧死するだろう。

 

どうすればいいんだよ、こんなの・・・。

承太郎はよく倒せたな。

 

「・・ウホホ!」

「来た!」

 

試し撃ちだろうか?

ボルトとネジを弾丸の如く俺の全方位で連射して来たのでバリアーで防ぐ。

走りたいがまっすぐならともかく自在には行けない広さだ。

 

これ位なら余裕だが回転する羽や大きいのが複数来ると不味い。

基本的に鋭い斬撃に弱いからなぁバリアーって。

後者はパワーが相手のがかなり上だからだ。

 

タイミングを計るか。

 

「ウホ!」

「今度は釘にパイプかよ!

しっかり捕まってろよ!激しく行くからな!」

「う、うん・・・」

 

飛ばして来たのは釘に長いパイプ!

 

恐らく貫通するかの見極めと拘束かぁ。

だが、【リズムが単調なんで風で掴んだ】ぜ。

 

「オォオォオ!ウウゥゥアアォオ!!」

 

釘は柔らかく弾力を付けて受ければ風船と違って破裂しない。

やたらと伸びてくるパイプはバイクをその場でスピンさせて風とともに弾く!

 

防がられたんで怒ってるな。

いいぞ、もっと怒れ。

 

何であろうと必ず【クセ(癖)】がある。

機械であろうと物であろうと。

特にオランウータンは生き物だ。

今、怒ってるようにストレスがあれば個性がある。

ある時、足を動かすのに連動して上半身が少しぶれたり。

またある時、追い込まれると呼吸が荒くなるのもいる。

嫌いな物に触れられると肩が怒って筋肉が収縮して固くなるのもいる。

体を沈める奴、歩幅が変わる奴。

戦闘中に個々のクセを読み取り、そこから仕掛ければ・・・どんな相手でも先制攻撃や回避と予測

する事が出来る!

 

・・・DIOじみた事を考えてるけど7部のiとoが小文字のあいつだから突っ込まないで欲しい。

前世のいじめでの相手から逃げるのに顔と動作を伺うコレが役に立つのが複雑だが、そうも言ってられない。

攻撃の起こりさえ解かれば。

 

「その時がお前の最後だ」

 

ステッペンウルフにスロットルを掛ける。

 

まだだ、慌てるなよ・・・。

 

「ウホォオオ!」

 

回転する羽を複数作り始めたな!

 

今、この一瞬こそ。

 

「ステッペンウルフ!【ウィンドブレイカー】!」

 

全てだ!

 

風のバリアーを前面に展開して高速回転させる!

さっきの採掘機と違って前面だけなのがポイントであり弱点だ。

 

そのまま突っ切る!

 

要するに物凄い轢き逃げだ。

 

「ウホ・・・ニヤリ」

「・・!な、なにぃ!?」

 

攻撃をせずに作りっぱなしで地面に潜って回避した!

今までのは演技でわざとだったと!?

 

壁に激突する所を風で防いだがそのままパイプが伸びてバイクごと拘束された!

壁に減り込む。

 

「あ、あ、ああああ」

「ウヒヒ・・・」

 

み、身動きが取れない!

このまでは不味い!

 

喜々として放り出されたアンに近づくオランウータンの姿。

 

あいつ殺すのが優先で無く、犯すのが最優先だったのか!

そこまでは予測できねえ・・・。

 

てか、そんな奴のクセなんて読んだ事が一度もねえよ。

 

「ガハァッ!?」

「大亜!」

「クソぉ、シルバーチャリオッツが使えない!

スタンドも掴み取れるのかこいつは!?」

 

ぐぅ、圧迫が酷くて血を吐いた・・・。

花京院が心配で叫び、ポルナレフはスタンドが使えなくて焦ってる。

 

初めからスタンドを封じなかったのは無力を思い知らさせる為か?

鬼畜エロゲー主人公と同じような事しやがってエテ公が!

 

「ペッ!」

「・・・!」

 

ムカつきのあまりに血の混じった唾を吐きオランウータンの首筋に掛ける。

気になったオランウータンが手で拭き目の前でその手を見る。

 

気のせいかプルプルと震えているのに俺は閃いた!

 

「その唾は当たり前だがお前のスタンドじゃあねえぜ・・・フン、怒るか?

確信した勝利の誇りと交尾するのに気分が害されたと言うわけか?

・・・いや気分は害されんな。

・・・エテ公に誇りと品性なんぞねーからな(承太郎、借りるぜ!)」

「ウッギャアアアアア!」

 

怒ってこちらに飛びかかるオランウータン。

 

読み通りだ!

 

「・・・そこんとこが、やはりエテ公なんだな、これが。

害されるのは・・・てめーの脳天だ!」

「・・!?ギャァッヒィイイイイイッ!?!?」

 

風のバリアーを一点に集中して槍の如く伸ばす!

 

勢い余って射出してオランウータンの頭を更に抉ったのは予想外だが。

 

とっさの事だったけど今のを名付けるなら【ガストオブウィンド】かな。

意味は突風、一陣の風。

 

パイプが解けて俺とステッペンウルフの拘束が解ける。

 

オランウータンがダメージで満足に動けない状態で怯えながら服のボタンを引きちぎって腹を見せる。

 

「承太郎がいればやれやれとでも言うんだろうな・・・」

「ヒイイイイイイーッ」

「恐怖した動物は降伏の印として自分の腹を見せるそうだが・・・許してくれという事か?

しかし、お前は既に動物としてのルールの領域をはみ出してしまった。

駄目だね、これが・・・オラァ!」

「ギャヒィ!?」

 

ステッペンウルフでのし掛かり、スタンドエネルギーのタイヤでオランウータンの頭を下敷きにする。

 

「ぶっ潰れろォオオお!」

「ギャァガガガガガッ!?!?」

 

タイヤは高速で回転してオランウータンの頭部に火傷と共に肉を引き潰して振動を与える!

 

悲鳴を上げるがお前さんには漆黒の意思ばりに絶対に容赦しないと決めたんでね。

アンちゃんが助かった喜びと俺の恐怖で複雑な表情なのが心に痛いが・・・。

 

地面が血塗れになると船が崩れ出して皆の拘束が解けた。

 

それにしても油断と怒りと承太郎の前例がなかったら死んでいたのは俺達だな・・・。

真面目に強すぎるぞオランウータン。

 

 

 

承太郎も血が出てる状態で合流して脱出する事になる。

 

船長と船員が手伝って作業してくれるので早く済んだ。

 

やがて崩れ落ちた豪華客船に諸行無常を感じていると。

中型のクルーザーが中から現れた。

ギリギリで全員乗れるやつだな。

 

とりあえずこれで近場のシンガポールに寄港する事に。

不可思議な光景(スタンドバトル)は黙ってくれるように頼んで船長が了承してくれた。

 

余計な事になったのには反省だがここに居る人達が助かって良かったわ、本当に。

 

未だにアンちゃんに怯えられて承太郎に張り付いてる姿を見た時には落ち込んだけどね。



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23話 悪魔

昨日の忙しさから体調が整ったので投稿。
この作品は色々と問題がありますがこれからもよろしくお願いしますm(_ _)m


全員、ホテルで休憩を取る事が決まりました。

船長と船員には船の弁償をジョセフさんとスピードワゴン財団名義で行って今までの給金を払い解散に。

 

船も危険になちゃったからなぁ。

 

いやぁ、あの偽船長になる予定だったのが死んだからな。

オランウータンも同様にヤリ逃げだな。

 

・・・笑えねえよ全然に、これが。

 

ポルナレフの荷物がゴミに間違われて警察に突っ込んでいるとアンが笑っているのに気づく。

全員が振り向きアンが気まずそうな表情をしている。

 

アンちゃんが未だに着いてきている。

 

多分、能力だけでなく承太郎達に惹かれてるんだろうな。

問い質すとツンデレそのものな反応で返ってくる。

 

どうするかで皆が迷うがジョセフさんの鵺の一声でホテル代を奢ることに。

ポルナレフが怒らせるが嬉しそうに承太郎に付いて行く。

 

俺には恐怖の目だがね(泣)

 

感謝くらいはしてくれよ・・・。

 

ホテルの部屋決めで俺は余ったポルナレフと一緒になる。

俺が居るからスムーズに決まちまったよ。

 

・・・また、室内戦だよ。

いい加減にしろDIO配下のスタンド使いどもぉっ!

 

運命か!運命の試練だとでも!?

 

いや、外道だが回避方法はある。

味方も一切怪我をしないグレートな方法だ、これが。

 

けど、これやるとポルナレフの戦闘経験が積めなくてどうなるか解らないんだよなぁ。

加えて俺の行動の疑念が出る可能性が。

敵とは思われないだろうけど不和の種を生んじゃうのはなぁ。

 

「いくぜ、香港を出てから碌な目に合わなかったからな。

早く安全な部屋でシャワーでも浴びようや」

 

ポルナレフが率先して部屋に向かうのに全員が笑みをこぼす。

確かに疲れが溜まってるんだよな。

特に承太郎と俺は。

 

途中で承太郎達と別れて俺達は9階、承太郎達は12階へ。

 

二人で部屋に入って警戒すると不気味な人形がベッド近くの小物置きの上に電話機と一緒に居たよ・・・。

そして、不自然に冷蔵庫の中身が机に置かれてる。

 

わざと攻撃を受ける気満々ですね。

ポルナレフはわざと気付いてないふりしてるけど。

 

悪魔のカードの暗示。

呪いに振り回され、精神状態の悪化。

不吉なる墜落の道を意味する。

スタンドの名は【エボニーデビル】!

 

「はぁ~。確か・・!」

「・・(しぃー!)」

 

ポルナレフが窓を開けて溜息を吐いて何かを言いかけた時に俺が手で抑えて静かにとジェスチャーをする。

 

不和が心配だけど、構わん行ってみよう。

 

「・・!(おい、既に敵が居るってのがわかってんのに何故・・!)」

「・・にやぁ(こいつを使うからさ!)」

 

ポルナレフが抗議するが俺がポケットから出したテープにマジかよと言いたげな表情に一瞬で変わった。

特に否定はされなかった。

 

俺は静かに冷蔵庫の前に立ち、ステッペンウルフを発動すると人形と一緒に風で別々に離してから纏わり縛る!

ストレングスとの戦いの経験で多少は融通が効くようになったらしい俺のスタンド。

 

 

 

現在

スタンド:ステッペンウルフ

破壊力:C スピード:A 射程距離:B 持続力:C 精密動作性:B 成長:?

 

 

 

表示するとこうなる。

精密動作性がCからBへ成長。

 

さっきの風で縛るのを名付けるならマジシャンズレッド風に【ウルフバインド】と名付けよう。

纏われた風が狼の形になりアギトを開けて噛み付く様に風が束縛するので。

 

流石に気づかれたのか冷蔵庫からガンガンと音が鳴るが知らんぷりでテープで何重にも貼り付ける。

人形はまだスタンドが憑いてないのが確認出来たので窓からポイ捨て。

 

ポルナレフが今のポイ捨てに怪訝な表情を浮かべたが。

アレが少し動いたから多分スタンド能力の副産物と無理矢理に誤魔化して電話でジョセフさん達に敵スタンド使いを捕まえたと伝えてと言っといた。

 

解せぬ顔だが行動に移して電話で連絡を始める。

 

よーし、【デーボ】戦終了!

ホテルマンとポルナレフの洗ってないパンツの犠牲は無かった事に。

 

とりあえず俺が束縛して様子を見ると言うとポルナレフは周りの様子見とついでに飲み物でも買ってくると言い外に出る。

5分経って戻ってこなかったらジョースターさんに伝えてくれと言われてだ。

 

デーボちょろいっすわーと調子に乗っていた。

実際に戦うとストレングスの次辺りで怖いけどね。



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24話 虫人形

・・・おかしい。

 

時計を見ながら俺は疑問を感じている。

ポルナレフが戻ってこない。

それどころか承太郎達の内で誰もこの部屋に来ないってのは異常だ。

 

「どうなってるんだ?」

 

思わず俺は口に漏らした。

時間はもう10分経つ辺りだ。

 

「だ、大樹!」

「・・!」

 

いきなりドアが荒々しく開くとそこには銀の電柱、じゃなかったポルナレフが凄く焦った表情でこっちを見る。

 

「どうしたポル・・」

「スタンド使いだ!新手の・・!?来やがった!【シルバーチャリオッツ】!」

「・・!?」

 

ポルナレフがドアの外を向いて何かを切り落としている!

するとそこには大きな緑色の虫が。

 

「うわぁああああああ!?」

「・・!【ステッペンウルフ】!」

 

落ちたと思ったら大群の虫がシルバーチャリオッツとポルナレフに群がろうとしている!?

急いでバイクを出してバリアーを張って守ると腹部の下から針を出して何度も突っついてる。

 

こいつら蜂のスタンドか!

 

飛行機の時と違って自身含めて守れるのが幸いだった。

数がいなければ範囲が広くないしね。

 

「た、助かったぜ大樹ぃ・・・。すまねえ、巻き込んだ」

 

凄い安堵した表情している。

だが、巻き込んだ事に謝罪するポルナレフ。

 

こいつらもしや。

 

「どうなってやがるんだ。スタンドは1人1体じゃねぇのかよ!」

「群体型のスタンドだ・・・」

「なにぃ!?知ってるのか!」

 

困惑するポルナレフに答えると驚愕する。

 

この時代で見る事になるとは・・・誰だこいつの使い手は!

 

「通常1体のヴィジョンとして顕れるのがスタンドだが、数体から数10数100体というヴィジョンとして顕れるのが群体型スタンド。

ただし基本的概念として1体のヴィジョンが分割しているから1体1体は小さめなヴィジョン。

特長として1体あたりの本体対応ダメージが小さくなる。

ただし、群体数が少ないと1体あたりのダメージ対応が大きいから特長と言えなくなるタイプもいる。

パワーが小さいため比較的遠距離に行くことも可能、だが遠隔視能力を持って無いのが多い」

 

香港で教えてもらった内容はメモして覚えている。

 

どうすべきかな、これは。

 

「つまり何か!本体を狙わないと駄目ってことか?」

「群体型の持ち主は善人悪人を問わずに心の中に大きな空洞や欠落を抱えている事からなるって香港で知り合った親切なスタンド使いが言ってた!」

「誰だよそれ、詳しすぎるだろ。ヒィ!虫がうじゃうじゃして気持ち悪りぃ!」

 

ポルナレフが困惑する程の詳しさかぁ。

本当にあの人は何者だったんだろう?

 

虫がさっきからうっとおしい程に群がって苛立ってきた。

バリアーで守られてるから一時期は大丈夫でもこのままだと物量で削り殺されるな。

 

ポルナレフも怖がっているし、電話でも取ろう。

 

「もしもし、ジョースターさん!」

 

 

 

プツッ、ツーツーツー

 

 

 

電話が切れてる!

全員に掛けても繋がらないって事は向こうも何かあったのか。

 

本当にどうすればいいんだこれは。

身動きを取るにも何処に本体がいる?

 

スタンド使いの恐ろしさを今、本格的に味合わされてるな。

今までは知識があったから対応できたけど。

皆、この恐怖を感じて対応しているのか。

 

捕らえたデーボにも気を回さなきゃいけないのに・・・。

 

 

 

ガチャ・・・ガチャ・・・

 

 

 

「今度はなんだ!人!?」

 

振り返るとそこには人が!

 

ポルナレフが思わず叫ぶ。

 

「いや、違う!」

 

俺が否定する。

 

精巧に作られた人形が手に何かを持っている。

それを放り投げるとその人形は襲いかかってきた!

 

「っ・・!」

「大樹!シルバーチャリオッツ!」

 

身動きがとれない俺に襲う人形をシルバーチャリオッツの剣閃が走り切り落とす。

安堵したのも束の間。

 

『よくも冷蔵庫に閉じ込めっぱなしにしたな!

今からてめーらのタマキンかみ切ってやるぜーッ!

メーン!』

 

放られたそれを見るとデーボのスタンドが取り憑く人形が!?

取り憑いたそれは口を開けて仕込まれたミキサーの刃が回転している。

 

どうやら冷蔵庫の傍に落ちて感知したデーボがエボニーデビルを憑依させたようだ。

閉じ込められた怨みでパワーアップしてる・・・。

 

アカン、状況は最悪だ。



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25話 虫人形 2

「オラァッ!」

「数が多すぎる!エメラルドスプラッシュ!」

 

12階の部屋でも戦いが起こっていた。

スタープラチナが人形を壊し、ハイエロファントグリーンが遠距離で支援する!

 

だが、それでも。

 

「・・・一向に数が減らねぇな」

 

承太郎がうんざりしながら呟く。

 

連戦も重なっていて疲れてきている。

地面には壊れた人形の残骸が散らばっている。

 

「物質のあるスタンド・・・。

いや、ストレングスと違ってこれは実際の人形を操っているのか?

・・!」

 

花京院が構えを解かず推理し始める。

 

だが、間も無く増援がやってくる。

 

「今日は厄日だな・・・」

「ああ、全くだよJOJO」

 

作業とも言うべきループを再び二人は開始するのだった。

 

 

 

「アヴドゥル!そっちはどうだ?」

「えぇ、ジョースターさん!なんとか蹴散らしましたが・・・」

 

12階の廊下では人形がひしめきながらの状態で虫が飛び向かっている。

 

ジョセフが右腕から紫の茨に電流が迸るような熱を帯びて人形を破壊する!

アヴドゥルは虫の方を調節した炎で落とし続ける。

 

壊しても落としてもまだまだやってくる!

 

そして、この役割分担にも理由がある。

 

「まさか、人形にガソリンを仕込んでいるなんて・・・」

「敵は明らかにこちらを圧倒的な物量で押し潰すだけでなく対策がされているな」

 

この事態に嫌な顔をするアヴドゥルとジョセフは策を考えながら敵の所在を探る。

 

だが、近場に居ないと言うよりは周りが人形の大群で見えない。

 

「うひょひょひょっ!よーこそー俺ちゃんのワンダーフェスティバルプラスアルファへッ!」

「「!?」」

 

響く声に二人は警戒するが人形と虫が引切り無しに襲いかかるのでそれどころではない。

 

「アメリカ、エジプトをくみ日本から当ホテルへお越し頂きドウモ アリガト ネですよーッ。

もっとも俺ちゃんは日本からずっとアンタラの様子見と追いかけて来たんだけど サッ!」

 

変態っぽい口調の男の言葉に二人が顔をしかめるが黙って手を動かす。

 

「本当は俺っチッの趣味じゃーないんだけど。

依頼主のDIO様からの要望が入ったからには【俺ちゃん達】で仕掛けないといけなくなっちゃったの サッ!」

「なんだと!」

「・・異常だと思ったがやはり複数のスタンド使いの仕業か」

 

ジョセフが激高してアヴドゥルが染み染みと納得する。

ただし、手は止めずに。

 

しつこいが手を止められない。

 

「ケイトちゃんはメッチャやる気出すし、ドMなアイツは否定したけどゴリ押しと依頼金額の増額で仕方無く妥協したんだけどッ。

俺ちゃんも嫌だけど金を貰ったし、失敗作の人形達を有効活用で仕込んだから、それでお掃除した後ッ。

ジョーイのコレクションで命をとってあげるよッ!」

 

人形達が迫りかかる!

先のと合わせこれらは失敗作らしく雑な面が見える。

操作も適当だ。

 

「腹ただしい奴だのぉ。だが、アヴドゥル!」

「はい!」

 

敵は3人のスタンド使い!

それを確信してまずは目の前の人形遣いをどうするか考える。

 

手段は決まった!

 

「【ハーミットパープル】!」

 

右腕を地面に着いて紫の茨を最大限に伸ばす。

電流のように迸る波紋で人形達をコケさせて絡める!

 

「【マジシャンズレッド】!」

 

炎を天井付近で平たく広げ周りを燃やさないように一気に虫を焼き尽くす!

 

「虫のスタンド使いは任せたぞアヴドゥル!」

「了解ですジョースターさん!」

 

其々が反対方向に走りだす!

 

人形を飛び越えジョセフはこの階から聞こえた声の廊下の奥へ、アヴドゥルは下の階へと。

 

「見つけたぞ!」

「うひょひょっ!よく此処まで来れたねッ!

失敗作とは言え俺ちゃんのゲージュチュを平気でぶっ壊すビチグソ野郎にゃ。

もうそろそろ俺ちゃんとバニーちゃんでお仕置きしないと んネッ!」

 

椅子に座っている如何にも変態そうな優男を見つけるジョセフ。

しかし、その背後から容姿端麗なバニーガールの人形達がゾロゾロと現れ始め襲いかかってくる!

 

それにしても喋り方がウザい奴である。



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26話 虫人形 3

「虫と人形のダブルパンチかよ!」

 

実際はトリプルパンチなのだが9階にいる大樹とポルナレフには知る由がない。

 

現れた人形もデーボがストレングスと同様に強化されていると大樹は思っていた。

 

『俺の【エボニーデビル】は恨みを力に変えて強くなれる!

まずはお前からだ大亜大樹!

切り裂いてやるよッーーー!』

 

「ぐぅ・・!」

 

動く事ができない!

バリアーだけでなく束縛の維持と虫の大群による視界の悪さが相俟ってどうしようもない。

 

どれかを解くと死ぬ!

 

詰んでる一歩手前だ。

 

「させねぇーっつってんだろぉ!チャリオッツ!」

 

『ぶぁかかァーッてめーは!おめーのスタンドは!

自分の目のとどかねえところで闘えるスタンドじゃあ、ねえだろーがぁ!』

 

剣を振り回すシルバーチャリオッツだがあちらも視界が悪くて虫を幾らか切るだけで不気味な人形にはかすりもしない。

人形は一旦、大樹から離れたがその様に嘲笑を上げる。

 

奴さんのペースに持ち込まれたのと侮れたな俺もポルナレフも。

 

『さすがの騎士も見えねえとスイカ割りもできねえみてえだなぁ・・・。

おめえ勘がッ!ドっにぶィゼィイイッ!ぶきィィィーッ』

 

「ちくしょぉぉぉおおお!てめーっ!

いいかげんにしろよ、この豆チビがァーッ!」

 

『ヘタッピィッ!』

 

挑発に乗ってしまっている為かシルバーチャリオッツの動きが荒く、振り回まされてる。

視覚の共有がスタンドと出来ないのもそうだろう。

 

人形にコケにされながら切り掛かれてシルバーチャリオッツやポルナレフの足が切られる!

人形が持ち出した剃刀は切れ味が鋭いらしい。

 

虫ごと裂いてるが群体型だから虫のスタンド使いのダメージの影響は少ないと思ったほうが良いな。

 

俺は風の動きで射程距離内なら大雑把に何かが居る位置、ストレングスの時のクセの把握を併用する事で動いてるのが解るが頭悪いから指示能力が無ければ伝えても相手のが行動が早い。

 

攻撃はガストオブウィンドが一点集中の単発だから射出するとそこからバリアーに穴が出来て虫に侵入される!

 

ウルフバインドはバリアーと違って個数制限がある。

バリアーを応用して弄っているものなので仕方ないかもしれない。

冷蔵庫を長らくの間に束縛中で纏わり出す数が現在出せる個数8個から4個に減る、この虫の大群の内から誤って捕まえかねない上でエボニーデビルの人形が虫を盾に使いそうで消耗を早めるだけ。

纏わり噛み付くのに若干のタイムラグがあるしなぁ。

 

そして、何よりもホテル室内でスピンは弾くと酒やら調度品やらでポルナレフと俺に危険だし、狭すぎて風でしか出来ない・・・。

 

 

 

八方塞がりってレベルじゃねぇぞ!

 

 

 

『けぇっへへへへへ!』

 

不気味な笑い声を上げながら人形はビンを割る音を部屋に鳴り響かせ、何かを撒く音が聞こえる。

何かを壊す音も。

 

まさか。

 

『これからおれは、この漏電しているヘアドライヤーでその濡れたところへどおおすると思うねぇー大樹にポルナレフゥ?

部屋を乾かしてやるんじゃねーぜッ!』

 

「くぅ・・・」

「ポルナレフ」

「・・!」

「いきなりで何を言ってるんだと思うかもしれないが俺に賭けてくれるか?」

 

恐らく自身で壊した漏電してるドライヤーを酒びたしの部屋に投げる為に天井に居るはず。

それも何かにぶら下がって!

 

風で感知できたがこの対処の仕方を前世で知っていてもガラスは虫のせいで役に立たない。

となれば方法は雑だが思いついた。

 

俺達は追い詰められ過ぎた・・・。

ポルナレフは乗ってくれるだろうか?

 

「・・お前さんとは出会って間も無いし、よくは知らねえ。

けど、このままアイツ等の好き勝手てのは心の底から気に入らねえっ!

何より俺は身動き出来ないお前を危険に巻き込んじまった!

賭けるぜ大樹!やってくれ」

「グッ・・メルシー、ポルナレフ」

 

『ギャハハてめぇーらは完全に詰んでいるんだよぉっ!

・・・死ね!感電してあの世へ行きな!うらみはらさでおくべきか。

・・・大樹!ポルナレフ!』

 

天井にぶら下がった人形はそのまま手に持ったものを放り投げる。

虫たちも身動きと視界を潰す最低限を残して天井に上がっているのが大樹には解る。

シルバーチャリオッツはじっと力を抜き、その時を待つ。

 

思わずベービー、いやボビーだったかな?

グッド!と言いそうになって誤魔化したが感謝の気持ちってのはこういうものなんだなポルナレフ。

 

ポルナレフの期待に答えるのとこの状況を切り抜ける事にやっこさん等をぶちのめなさないといけないと言う三つ同時にやらなきゃあいけない事態に陥るのがスターダストクルセイダースの辛い所だよなっ!

 

一つは俺が賭けでやったことだけどさ。

 

「ステッペンウルフ!【ウルフバインド】!」

 

束縛を掛ける対象、それは!

 

『馬鹿がッ!当たるかよ!』

 

三発、纏わりつく様に人形の傍に現れたそれは一発は人形に向かったが。

残りの二発は位置がズレている。

 

そのまま人形は天井で【振り子】の様に余裕綽綽で風の縛狼を回避した!

 

「動いたな・・?オラァッ!」

 

『へへっ!ナッ!?ギャッヒィイイイイッ!?!?』

 

「この感触は!?」

 

シルバーチャリオッツがその瞬間に落ちてくるドライヤーごと天井の人形の頭をレイピアで貫く!

人形は痛みに絶叫し、ポルナレフは手の感覚に驚きを覚える。

 

してやったりだぜ、これが!

 

『な、なぜ正確にッ!なぜ正確に俺の位置が解ったのだァーッ!?』

 

「俺のスタンド。

ステッペンウルフは射程距離内ならば風の動きで大雑把に対象の位置を把握して感じる事が出来るんだな、これが!

何よりお前は動きすぎたからな・・・。

一矢報いさせて貰った。

迂闊に身動き出来ない俺から確実に殺ってれば、まだわからなかっただろうよ」

 

位置を特定された事に叫びながらも問う人形に俺は淡々と答えた。

 

俺が賭けと同時に纏わり掛けた対象はシルバーチャリオッツの【レイピアを持った右手首】だ!

そのまま誘導してあげればご覧のとおりなんだなー、これが。

 

後のウルフバインドは牽制と【居場所を相手が動きで起こす風】で把握する為の撒き餌に過ぎない。

 

「今だポルナレフ!」

「・・!おう、メルシー大樹。

ホーラァッ!ホラホラホラホラホラホラァッ!」

 

『ギャッベ!ヒッ!?ギィイイイイイイッ!?!?』

 

ポルナレフに掛けたウルフバインドを解除する。

自身の周りの虫ごと視界の悪さに関係なく、そのままシルバーチャリオッツは人形にレイピアのラッシュを突き込んだ!

 

 

 

「まだ、終わってないぜ!」

 

そのまま俺自身の手の平を翳して集中する。

 

回転するイメージ。

 

そして。

 

「とっさに方法を思い付いてよかったぜ、これが。

悪い虫はホイホイしましょうねぇっ!」

 

室内の虫たちに対して大樹の手の平から発生する小型の竜巻に吸い込まれていく!

そのまま虫たちはウルフバインドを掛けられて何もできずに固まってしまい身動きが取れない。

 

掃除機で思いついたのをとっさにやってみたけど上手くいって良かったわ、これが。

失敗すれば俺達は死んでたしな。

 

「ポルナレフ!」

「あいよっ!」

 

手の平の虫の塊を差し出して、人形を突き飛ばしたシルバーチャリオッツは振り返りざまに何重に虫達を斬り裂いた!

 

形勢逆転だ!

 

「おいデーボ聞く事がある。

俺は両手とも右手の男を探している。

その男のスタンドの正体を喋ってもらおうか?」

 

『馬鹿か!スタンドの正体を人に見せる殺し屋はいねーぜ!

見せた時は相手か自分が死ぬ時だからよ!

てめーらのように皆に知られちまってるスタンド使いは弱点まで知れ渡っているぞォーッ!

唯一、例外は大亜大樹のスタンド能力を細かく把握出来ていれば俺がてめーらをぶっ殺していたぜぇーッ!』

 

ポルナレフの質問に弱った人形が答える。

 

ハーミットパープルなら応用で情報を引き出せるかと思ったけど筋金入りの暗殺者なこいつは把握する情報としない方がいい情報が解かってそうだから束縛する意味なかったかな?

 

でも、しないと余計に好き勝手やられてるか。

 

「よし、もう一度かかってこい!どうした?」

 

『へっ?』

 

ポルナレフの返答に困惑する人形。

 

あーそうか、用済みってことか。

殺しにかかって来たしな。

 

「てめーおれのタマキンをかみ切るとかいってたなあ、やってみろ!

この、ド低俗野郎が・・・おれはてめーの・・・」

 

『ぎ、ギィ・・ガルルルルーッ・・・』

 

構えるポルナレフとシルバーチャリオッツ。

壊れた体を引きずりながらも飛びかかる人形エボニーデビルに。

 

「そこ以外を斬り刻む!」

「ギャアアアアアアッー!?」

 

刻まれすぎて股間以外が消え去った人形に冷蔵庫から叫び声が聞こえる。

気のせいか液体が滴る音が聞こえるが冷蔵庫からは何も垂れてない。

 

決着は付いたけど・・・開けたくないな、これが。

と、とと・・・?

 

「・・・・・ふぅ」

「大樹!?」

 

倒れ込んだ大樹。

ステッペンウルフの能力は解除される。

ポルナレフは心配して叫ぶ。

 

連戦が重なった上でコレだもの・・・。

疲労・・・困憊・・・・です。

 

「おい、しっかりしろ!」

「もう・・スタンド・・エネ・・・切れた。

虫・・・使い・・・・まだ・・・・・・生きて」

「・・!」

 

ポルナレフに・・揺すられ・・・る中で何・・・・とか伝え・・・・・・たいこと・・・・・・・は伝え・・・・・・・・る。

 

「あと・・・・任せ・・・・・・・・・スヤァ・・・」

「よっぽど疲れていたんだな・・・。

よし、任せろ!その前にお前の安全を確保しないとな」

 

ポル・・・部屋出・・・・・・も・・・・・・・・眠・・・・・・・・・・・。



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27話 虫人形 4

「急がなければ!」

 

現在10階、虫をマジシャンズレッドで燃やしながらアヴドゥルは下の階に行く度に周りを注意しながら広いところで炎の探知能力を発動して確認する。

だが、それでも発見できない。

むしろ、虫ばかりでスタンド使いのエネルギーの流れが何処から来ているのか大雑把にしか解らない。

 

しかも、下に行くほど虫が増えていってる気がする。

 

やがて、9階に来た時。

 

「アヴドゥル!」

「・・!」

 

呼び止められた声に反応して振り向くとポルナレフがシルバーチャリオッツで虫を斬りながら近付いて来る。

 

「そっちもスタンド使いの襲撃があったのか?」

「ポルナレフ・・ああ、どうやら3人のスタンド使いがこの件に関わっているらしい。

お前も血が流れている所を見ると手ごわかったのか?」

「1人目のデーボはちょろかったと思ったら廊下に虫の大群がやって来て。

大樹がいる部屋に逃げたら更に人間大の人形が来て襲いかかられて、小さな人形を放り投げたらそれも襲いかかってきて危なかった・・・。

しかし、3人?

あの人間大の人形はデーボのじゃ無かったのか?」

「・・よりによって裏社会で有名な暗殺者を捕らえていたのか。

まあ、それは今となっては良い方だな。

12階にでかい方の人形を幾つも操るスタンド使いがいてな。

人形にガソリンが仕込まれているわ虫も襲って来るわでこちらも大変だった・・・」

「なるほどな。そりゃあ連絡がつかない」

 

状況の説明に2人は修羅場と鉄火場に同情と襲ってきたスタンド使いに対する怒りが沸いていた。

 

「とにかく大きい人形の方はジョースターさんが相手取ってる。

JOJO達は来ないところを見ると足止めを食らっているのかもしれない。

我々は虫のスタンド使いを倒さなければ!」

「おう、わかったぜ!大樹がエネルギー切れで倒れたからこのまま続くと危ないかもしれねえ。

承太郎と花京院なら俺が来る途中で会った。

ジョースターさんに虫の方をお願いされたようだったがちょうど良かったんで眠ってる大樹を預けた。

短期間は心配はいらねえ」

「よし、いくぞ!」

 

意を決した2人は階段を降りていく。

虫は下の階を降りていく程、やはり増えてるようだ。

 

警戒しながら行くと5階辺りで虫たちが突然に消え去った!

 

「「何が起こった!?」」

 

2人は当然だが困惑した。

 

 

 

「JOJO、これは?」

「油断するな花京院。まだ何かあるかもしれねぇ・・・」

 

12階から9階にジョセフからの指示で降りていた承太郎と花京院は其々スタンドを出しながら周りを警戒する。

虫たちが消えたのはここもだった。

 

「ポルナレフの野郎、話をまともに聞かずに行きやがって・・・」

「それだけ慌てていたんだろうけど今となっては悪手だったのかそうでないのか・・・誰にも解らないよ」

 

話し合う承太郎と花京院。

其々に呆れが浮かんでいる。

 

承太郎の背中には。

 

「・・・スヤァ・・・・・ぐ~・・・・・・・・」

 

呑気に寝ている大樹の姿が。

 

 

 

「ファッ!?ま、まさかケイトちゃんがッ!」

 

虫たちが消えたのは12階も同様。

 

そして。

 

「今だ!【ハーミットパープル】!

そして【サンライトイエローオーバードライヴ(山吹色の波紋疾走)】!」

「うげげッ!なんて奴だ・・・・・ッ!」

「・・!こ、これは!」

 

ハーミットパープルの引き寄せで波紋入りの拳を食らわせるジョセフ。

だが、ジョーイの身体が崩れていくのに驚愕する。

 

「だが次は こうはイカネー ゼッ !」

 

やがて完全に崩れて首が取れた!

人形に本体の振りをさせていたらしい・・・。

見た目はふざけていてもかなり用心深いらしい。

 

「・・なんとも厄介な奴だ。儂も行かなければ」

 

ジョセフは人形の跡を見ずに状況を理解するために階段を下りていった。

 

 

 

「どうだアヴドゥル?」

「スタンドもそうだが生命反応が客しか無いので解らん」

 

とりあえず、警戒は解かずに1階ずつ探索していく。

 

すると。

 

「・・!看護婦が気絶している?」

「このホテルでか?誰かコールでもしたのかよ・・・。

うお!美人だ」

 

2階でアヴドゥルが倒れた看護婦を見つけて介抱の準備、ポルナレフはリゾートホテルにわざわざアレ目的で呼ぶ馬鹿がいるのかと思い顔を顰めた。

だが、看護婦の顔を見て直ぐに笑みに戻る。

それにアヴドゥルは少し呆れたが。

 

「・・!アル・・ハート・・・・!」

「な!?」

 

目が覚めたらしい看護婦は近くに居たアヴドゥルにいきなり緑色の蜂を飛ばしてくる!

 

「・・!シルバーチャリオッツ!

この看護婦があの虫達の使い手か!?」

 

少し離れた位置にいたポルナレフがフォローに入る。

信じられないと言いたげな表情を浮かべる。

 

シルバーチャリオッツに切られ蜂が落ちると看護婦は呻き声のようなものを漏らす。

 

「でぃ・・DIO様・・・・・申し訳・・・・・あり・・・・・・」

 

がっくりと倒れた看護婦。

どうやらさっきの行動は最後の一撃だったらしい。

 

スタンド名【アルハート】再起不能

 

「この女性はDIOの配下だったのか。

いったい誰にここまでやられたと言うんだ・・・?」

 

今も死んではいないがズタボロだった。

 

アヴドゥルが看護服をよく見ると濡れている事に気づく。

ホテルの中で?

プールの近くでもない廊下で?

疑問が多く出たが情報が少なくて解りそうにない。

 

やがて承太郎と花京院にジョセフがやってきたのを見て相談した後にスピードワゴン財団にこの女性を引き渡すことになった。

 

 

 

「良かったのか?」

 

シンガポールの路地裏で眼光の鋭いバンダナを被った男が呟く。

 

気のせいか右手に何処かで見た変態っぽい表情をした男がボコボコで人形の腕を持ったまま気絶している。

 

「本当はお前も一緒にアイツ等と行きたいんじゃないのか?

俺を今回、助けてくれた事には感謝しているんだが・・・」

「だからこそよ・・・」

 

どうやら相手は女性らしい。

長い金髪にケープを被り、布を身体に纏って全貌がよく解らないがその眼に優しさがある。

 

どうやら気絶した男には触れない・・・触れたくないらしい。

 

「私は助けられたと勘違いして半場で死に恐ろしい結末を招いてしまったわ。

よくよく考えれば迂闊だったのにね・・・。

先の解らない運命で結果を示した今の私はせめて、あの母親の妄念を阻止する事しか出来そうにない。

干渉すると私という結果に引き寄せられる。

なによりあの・・・」

「お前曰く【8人目】か・・・」

 

二人共遠い何かを見るように呟いている。

 

「大亜君、自身もそうだけどスタンドを含めて今までに無かった現象が起きてる。

内容が同じように見えても改変されつつある・・・私はその可能性に賭けてみたい」

「俺をお前が助けられ、アイツ等を影から助けられた事、このジョーイと言う愉快犯な敵スタンド使いを早々に倒せた時間があったみたいにか?

どれだけ危ういかはこの先を知っている俺もお前にも解ってると思うんだが」

 

女性の言葉にやれやれと言いたげに返答する男。

 

「拙くとも私には希望に成りうると思ったもの。

一方的なものでなく、あの子も誰にも運命の先がわからない物になっていく・・・。

勝手ながらだけど出来る限り手助けをしたい」

「お前がそう言うなら俺は構わないがな。

俺自身、あいつからもお前と似ている部分があるのに違うものを感じるしな。

なによりあの女に意趣返しが出来る。

運命の奴隷に自ら成り下がり、他者ばかり犠牲を強いるあの女を・・・」

 

女性の答えに頷く男。

どこか、儚さと怒りを感じる。

 

「出身不明・・・一矢報いる者。

【8人目のスタンド使い】・・・大亜大樹。

JOJO達をお願い」



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28話 黄の節制

今日は一個だけ投稿です。


「どういうつもりなんですじゃDIO様?」

 

真っ暗な部屋の中でロウソクの灯りが灯されている。

杖を持った老婆がベッドに座る妖しい色香を漂わせる金髪の裸な男に対して問いかける。

 

「フッ、戯れだ。

少し気になった事があってな。

確認の為に行っただけだ・・・。

もう解ったので今回の様な事はせんよエンヤ」

「・・・気になりますがわかかりましたのじゃ」

 

金髪の男の現にエンヤは疑問そうだが押さえ込み頷く。

そのまま部屋をゆっくりと出て行く。

 

その姿をみた金髪の男は左目を抑えながら笑みを浮かべる。

 

「ジョースターに比べれば大した事はないがアレも私にとっては目障りだな。

今回の件は調度いい、そのままこちらに向かってくるがいい・・・辿り着けるならな」

 

独り言を呟いた後、ベッドに背を乗せて本を読み出した。

 

 

 

皆もそれなりにだが俺が疲弊しちゃって1日休むことに。

承太郎あんだけ戦ったのにもう平気とか流石としか言い様がない。

 

ポルナレフが先の件で感謝してくれているらしく、休む間の部屋の前で護衛についてくれている。

こいつも気にしすぎだろ・・・。

 

まあ、二人揃って警察にお世話になったけどね。

弁護士によって釈放されました。

スピードワゴン財団さまさまですわー。

 

寝ていると承太郎と花京院はアンちゃんと出かけるとの事。

本当は俺も連れて行きたかったらしいけど見ての通りのグロッキーなので手を振ってお留守番です。

 

 

 

そうして暫くして。

 

はて、何かを忘れているような・・・。

 

「大亜」

「・・?花京院??」

 

寝ているところに花京院に呼びかけられる。

承太郎と一緒に出なかったっけ?

 

「JOJOに置いていかれたのでプールサイドで日光浴をしていたのだけど何処に行ったか知ってるかい?

部屋の前のポルナレフが何故か疑問そうな顔していたけど・・・」

「・・え?お前さっき承太郎と一緒にこっから・・・!?」

 

今、思い出した!

 

アカン、ハンサム顔(虫うめぇ)さんが殺しにかかってくる事を失念していた!?

慌てるな俺、まずは確認だ!

 

ポルナレフも呼んで花京院と3人でジョセフさんとアヴドゥルさんの部屋へ行く。

 

 

 

『花京院さんの顔がバガッと割れたの!でも花京院さんは花京院さんじゃあなかったのよ!

そいでJOJOがケーブルカーの中で、ヘドロにおそわれ指を食われて大変なのよぉおお!』

 

「落ちつきなさいッ!今どこにいる」

「貿易センタービルのとこのケーブルカー乗り場!おそわれてるのよ!

花京院さんにジョジョがおそわれてるのよォ!」

「僕がどうかしたんですか?」

 

部屋の前で話してる内容が聞こえてきた。

ジョセフさんがアンちゃんと電話しているようだ。

 

花京院は気づかずに入るが俺たちも続く。

 

「ジョセフさん、アヴドゥルさん!これはやはり・・・」

「なにがどうなってるんだぁー!?

ありのまま今、起こった事を話すぜ!

俺は承太郎と花京院が来て出て行ったと思ったら、いつのまにか花京院が来ていた。

な・・・何を言ってるのへブッ!?

何、すんだ大樹!」

「いいから!言いたい事は痛い程に解るから話を聞こう、な!」

 

俺は把握してはいるが確信が欲しかった。

だが、寝過ごした可能性がでかいらしい・・・。

 

後、ポルナレフの口を遮った理由だが早いと思ったからだ。

メタ的だがそれはまだ言うものじゃなければ色んな意味で危険だ。

 

「お前・・・今までどこに?」

「・・?JOJOに置いていかれたのでプールサイドで日光浴を・・・」

「学生服のままで?」

「それが?」

「大丈夫、こいつは本物だ。ということはアン、そっちの花京院は偽物だ!」

 

『わかってるわよ!!』

 

ジョセフさんとアヴドゥルさんの質問に花京院は答える。

ジョセフさんはアンちゃんに電話しなおすと大声で解ってると返ってきた。

 

確定したな花京院に成り代わったアイツに承太郎は襲われている!

 

節制の暗示。

調和、自制。

消耗による生活の乱れを意味する。

スタンド名は【イエローテンパランス】!

 

「承太郎が危ない!」

「あ、まて大樹!病み上がりだろうが!

俺も行くぜ!」

 

行動を起こさなくてならない。

あんだけイレギュラーがあったんだから楽観することが出来そうにない!

 

ポルナレフが心配して着いて来くれるようだけど今はありがたい。

 

「なら、私も!」

「花京院!お前は今回、行ってはならん!」

「・・!?」

 

花京院はジョセフさんに止められる。

 

「何故です!ジョースターさん!」

「敵はお前に化けて行動しておる!

今、お前が現場に行けば混乱する様に仕向けられる可能性がある!」

「占ってみたが今回は悪い事態を招くようだな。

承太郎に新たな危険の兆候がありそうだ・・・花京院、すまないが」

「・・わかりました。

大亜とポルナレフに・・・任せます」

 

止めた事に怒って聞くとジョセフとアヴドゥルの返答に溜息を吐き、深呼吸をしてソファに座る。

待つしかないというのはつらい。



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29話 黄水

急いで貿易センターのケーブルカー乗り場付近に直行する。

ステッペンウルフを発動してポルナレフを後ろに乗せてだ。

地図をポルナレフに持ってもらいナビゲートして貰いながら道を曲がっていく。

 

既に戦闘が始まっているはず。

 

イエローテンパランスは弱点が無い。

本体はともかくとして応用が効く上に打撃、自然系統(炎、氷等)が効かずにゲル状のヴィジョンが過剰反応する。

しかも食う事で増殖するのが厄介だ。

 

ゲーム風に言えばデバフを掛けられ時間制限ありで相手は無敵状態かつバフで限界なく強化されつづけてるコントローラーを投げたくなる仕様そのもの!

 

唯一、効きそうなのは鋭い斬撃だが数が増えすぎると意味がなくなる。

俺のステッペンウルフより防御性能高い上に攻防兼ねてる。

承太郎のスタープラチナのラッシュに耐えられる位だしな。

 

機動力や走破能力は優っているけどそれだけで勝てない。

応用次第になるが不利気味で室内だと4番目に怖いスタンドだ。

その代わりバリアーで食われないけど。

ちなみに状況を考えて3番目はタワーオブグレー。

 

大きめの排水溝があるそれなりの道を通り抜けて大通りを避けながら人があまりいない道を通る。

 

・・・道具型スタンドだから一般人に見えないのが厄介なんだ、これが。

大通りとか人が多いところでこれやると下手したら警察かテレビ局に連絡される。

 

「後、どれくらいでつきそうだ大樹?」

「5分辺りだと思う・・・間に合うか微妙な所だな」

 

ポルナレフの質問に汗を流しながら俺は答える。

 

本当に間に合うだろうか?

異常事態が起こると困るぞ。

 

そう考えていたのが不味かったのか。

 

 

 

【パシャッ!】

 

 

 

「・・つっ!」

「大丈夫か大樹?走ってる中で水が掛かるとか」

 

結構な衝撃に驚くと水が横から飛んできた!

 

驚いたが恐らく放水だろう。

バリアーのお陰で濡れることはないけど生身だと加速してる中で痛かっただろうな。

まあ、熱いから今のは仕方ないか。

 

「いや、これは!?大樹、新手だ!」

「・・!」

 

ポルナレフの言葉に後ろを向くと上半身が人型の下半身が液体の水が追って来てる!

 

こいつは遠隔操作型か自動操縦型のスタンド能力!?

 

「ポルナレフ・・こいつをどうにかしないと承太郎が余計に危ないことになる」

「ああ、わかってる。

しかし、液体相手だと俺のシルバーチャリオッツは相性が最悪だ!」

 

道を切り替えて承太郎から離れた位置で戦う事にする。

 

間に合わなくなるがコレでは仕方が無い。

液体のスタンドとなると有効手段は俺の風だが防御型の能力だとバインド位しか役に立たない。

 

「・・こいつを倒せる手段が今の俺たちには無い。

くっ!」

 

【バッシャー!】

 

水がバリアーで弾かれているがこちらも攻め手が無いので持久勝負になってしまう。

相手の持久力次第だが悠長なことは出来ない。

 

本体を見つけるしかない!

 

「ポルナレフ、付近に怪しい奴は!」

「・・駄目だ、誰もいねえ!一体どっから操ってるんだコイツ!」

 

水は延々と追いかけてくる。

こいつには驚かされっぱなしだ。

 

射程距離がどうなのか疑問があるが・・・待てよ、水?

 

閃いた・・・この状況をどうにかする方法が!



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30話 黄水 2

「ポルナレフ、ここらで日が当たる大通りを探してくれないか!」

「えぇー!えーと・・・・・恐らくここだ。

次の道を曲がって真っ直ぐ行くとあるから近いな。

どうするつもりだ?」

 

俺の質問に驚きながらもバリアーがあるためか水に迫られながらも冷静に調べてくれた。

当然、疑問そうだが。

 

「人がいないか確認次第でこいつを蒸発させる」

「・・出来るのか?」

「風で抑えつければ何とか!」

「うっし、任せたぞ」

 

こいつを蒸発させる事にポルナレフは頷いた。

 

かなりの温度が必要だが風の操作による温度調節は日本に居たころから出来るので日光で焼けた道と掛け合わせで何とかする。

 

それにしても、ポルナレフとのやり取りで長らく走っているのにここまで追ってくると言う事はこの水のスタンドは自動操縦型の可能性が高いな。

 

決められたルールで動くタイプだろうと当りをつけた。

本体は恐らく遠い所にいる。

 

遠隔操作で本体も移動する乗り物で来ている可能性も無くはないが人気が居ない所を走っていて乗り物が確認できてないんだ、これが。

 

「大通りに出た!」

 

ポルナレフがそういうと人は遠い所に集まっていたのでその場でバイクを後ろに振り向かせて止める。

 

 

【バッシャーン!】

 

 

水が気にせず向かってきているのを確認したので早速、仕掛けよう。

 

「ステッペンウルフ!【ウルフバインド5連打】!」

 

水を抑えるように出てきたのを複数の風の縛狼による牢獄を作り押さえ込む。

そのまま、温度の調節で焼けた道路と一緒に高め続けボコボコと水が沸騰して暴れる。

 

だが身動きが出来ないそれは抵抗虚しく、水の容量が減っていき。

抵抗が弱まるとそのまま完全に抑えられ気体に蒸発した。

 

そう言えばジョセフさん達から俺が目覚めて聞いた話だと虫のスタンド使いは水に濡れて気絶していたらしいからこのスタンドにやられたのか?

仲間割れの原因が解らないし、情報が少なくて判断の仕様も無いけど。

 

なぜ、気絶なんだ?

殺さずに気絶・・・?

駄目だ、解らない。

 

「おいどうした大樹?済んだのなら承太郎の所に行かねえと!」

「・・あ!ああ、ごめん。ちょっと考え事をしてた。

今、行くよ!」

 

ポルナレフの注意に意識が戻る。

再びバイクを承太郎の居そうな所に向けて走らせる。

 

考えてる場合じゃなかったな、これが。

早く助けに行かないと。

 

 

 

「何だー?食われてる最中だぞこのタコッ!

俺のスタンドに捕まって逃れる事は出来んと言うのに逃げるだとぉ!」

 

ケーブルカーに穴が空き、中から黄色いゲル塗れの承太郎が落ち、続く形で上半身裸でゲル塗れの後ろ髪がモジャモジャした男が落ちる。

よく見ると黄色いゲルは2人に繋がっている。

 

「逃げると言ったのは水の中だぜ!」

 

空中でスタープラチナにゲルを掴ませる承太郎。

そのまま、海へと落ちる。

 

「こ・・い、息が・・・・・・」

 

スタープラチナが掴んだゲルでモジャモジャな男の顔に締め上げて息を封じる承太郎!

水中なのもあって自由が効きづらいのか苦しんでいる。

 

「ぶっはぁあああ!?」

 

ゲルを解いて海面から顔を出して息を吸うモジャモジャな男。

その背後には。

 

「息を吸うためにスタンドのガードを開いたな?

絡みついたスタンドが幾ら無敵だろうと本体をやっつけりゃあスタンドも死んじまうだろうさ」

「うぇえっ!?」

「Do you understand?」

 

承太郎とスタープラチナが立っており逃げようとした男をスタープラチナが羽交い締めにする!

 

「てめぇ、随分好き放題コケにしてくれたじゃねえか、エェ?

俺はコケにされると結構根にもつタイプでな。オラァッ!」

「ブギュイイッ!?」

 

怒る承太郎の拳が固められモジャモジャの頬を殴り抜ける!

あまりの威力に歯が折れて飛んでいった。

 

「ブヒュウッ!?!?アッヒヒィ!」

 

更に無言の肘打ちに鼻血が止まらない。

 

「はぃ・・・やめちくり~・・・もう、再起不能だよぉ~・・・」

 

弱った男は辞めて貰うように手の平を前に出す。

 

「顎の骨が折れちまった・・・下顎の骨も針金で繋げなきゃならねぇよぉ・・・きっと。

俺はDIOには金で雇われたんだ・・・ウゲブッ。

命を張ってまであんたらを狙うつもりはもうねえ・・・」

 

そう言った瞬間にゲルを引かせて承太郎から解くモジャモジャ男。

 

どうやら降参するつもりらしい。



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31話 黄水 3

「な、ほら!」

「喋ってもらおうか?」

「へっ?」

 

承太郎の言葉に疑問が漏れるモジャモジャ男。

承太郎は許すかどうかを決めた訳では無い。

 

「これから襲って来るスタンド使いの情報だ」

「そ、それだけは口が裂けても言えねえ・・・ぜ。

誇りがある。殺されたって仲間のことはチクルわけには・・・いかねえ・・・ぜ」

 

情報次第なのだろう。

慌てるように断るモジャモジャ男だが。

 

「なるほど。ご立派だな」

「ヒ、ヒィイイッ!」

 

海中からずぶ濡れの腕を出して拳を握る承太郎。

脅しと何もない場合は二度と追ってこれないようにボコボコにするつもりだろう。

モジャモジャ男は恐怖の声を上げる。

 

「思い出した!

【死神】【女帝】【吊られた男】【皇帝】の4人がお前らを追ってるんだった!」

「ふーん。で、どんな能力だ?」

「し、知らねえ」

 

耐え切れずにばらしたモジャモジャ男。

承太郎の尋問に答えなかったので手を上げると。

 

「いや!こ、これは本当に知らねえ!

スタンド使いは能力を他人に見せない。

弱点を教える事にほかならねえからだ」

 

どうやら本当に知らないらしく、モジャモジャ男に対して手を握ったり緩めたりを繰り返す承太郎。

続けろと言うことなのだろう。

 

「ただ、DIOにスタンドを教えた魔女がいるがその息子が4人の中にいる。

名前はJ・ガイル目印は両手とも右手の男。カードの暗示は吊られた男。

ポルナレフの妹の仇だろ?そいつの能力は少しだけ・・・噂で聞いたぜ。

鏡だ。鏡を使うらしい。実際見てねーが、ポルナレフは勝てねーだろう。

死ぬぜ」

「・・・・・」

 

モジャモジャ男は承太郎から離れながら岸に手を載せて答える。

話を聞いていく内に汗が流れる承太郎。

タイミングが悪いと思ったのだろう。

 

ポルナレフが暴走するかもしれないと。

とは言え有力な情報なのでどうするか悩む。

 

「・・!へへ・・・あ?」

 

目の前に排水口がありザリガニが集っているのに気付くモジャモジャ男。

良からぬ事を企みかけたが排水口の水が不自然に蠢いているのに疑問が浮かぶ。

 

「・・!ぐっはぁっ!?て、てめえぇ・・・」

「な!ち、違う!俺じゃあねえ!!」

 

排水口から水が飛び出してザリガニごと承太郎にぶつかる!

あまりの勢いに打撲で怪我していても無理もない程に。

 

承太郎が目の前の男に苛立つが違うと否定する。

 

「な、なぜお前が!?お前が動くのはまだずっと先だったはずだ!」

 

 

【ピチョピチョン・・・ザッバー!】

 

 

「ヒィッ!まさか情報を漏らしたから俺を始末するように依頼されたのか!?

は、早過ぎる!アッバッアアアッ!?!?」

「・・!なんだと?」

 

目の前に現れた上半身人型の水は疑問を叫ぶモジャモジャ男を無視して襲いかかる!

構わないその姿勢に恐慌状態の男はそのまま飲み込まれた。

 

目の前の予想外の光景に驚愕する承太郎。

 

「おい、てめえ。何者・・ッ!?」

 

 

【ザッバーン!】

 

 

「オラアッ!・・・問答無用か」

 

相手の素性を問う承太郎を無視して襲いかかる水のスタンド!

 

スタープラチナで海面を思いっ切り叩くことで発生する衝撃で離れさせたが相手はビクともしていない。

その勢いで岸の方へ手を掛けられたが。

 

「・・・また相性の悪いスタンドか」

 

承太郎が汗を流しながら帽子を直して考える。

対処法もそうだがこのスタンド使いは何処だと。

 

 

【・・・・・】

 

 

「・・・?」

 

岸から上がると何もせずに見逃す水のスタンドに承太郎は疑問に思う。

こいつは一体どういうつもりなのかと。

 

間違っても味方ではないと言うのは確定している。



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32話 黄水 4

「承太郎さぁ・・・ん」

「・・!てめえ、やはり懲りてなかったか・・・?」

 

後ろを振り返る。

いつの間にか陸に上がったモジャモジャ男が承太郎の背後を取っていた。

ゲルを展開してだ。

 

しかし、様子がおかしい。

目が白く、表情が不自然な笑みになっている。

 

「くきこけくきぎぎぎぎ・・・」

「こいつ、操られてるのか!」

 

ロボットの様にぎこちない動きだがゲルを纏わせて襲いかかるモジャモジャ男。

だが、動きが鈍い為に承太郎は余裕で回避できるが。

 

 

【ジャブジャブ・・・ザッバーン!】

 

 

「・・!オラオラオラオラァッ!!

またか、こいつ規則性がある?」

 

水のスタンドが容赦なく回避した所へ時間差で襲いかかる!

スタープラチナのラッシュで迎撃することで何とか弾くが水である為にダメージが無い。

 

承太郎は水のスタンドに対して何かルールがあると推測する。

気のせいかモジャモジャな男を操ってる時に本体だけでなくゲル状のスタンドが弱まっているのでリスクもあるのだろう。

 

 

 

「経過は順調のようね・・・」

 

建物の屋内にて女が呟く。

コートを羽織っているが中には気のせいかハイレグな物が見えている。

 

「・・!熱ッ!?あっちのバイクに乗った日本猿!

私の【ショッキングブルー】を撃破したのね・・イラつくわ!」

 

左手を抑えながらもより怒気を強めていく。

 

「・・・・・」

「あんたもご苦労なことね。

白人混じりの日本猿を仕留めるのに私が手を抜かなければ協定違反なんてしていないと言うのに・・・」

 

その傍にもうひとり女が居る。

被り物をした左半分が黒で右半分が白の変わった服を着ている。

何かに怯えるようにビクビクしているが目は濁ったまま傍にいる女から外れない。

 

「・・・(まったく、なんでこんなことになったのかしら?

ジョースターに日本猿とエジプト猿達の賞金の為に様子見で来ていたのにケイトの奴が水の能力の不意打ちでやられた。

DIOはともかく同僚内で私が疑われるなんて。

ジョースター達は戦っている真っ最中な上に能力上ありえない。

となると近場に居る水のスタンド使いになるけど、それは私だけになる。

・・・ビチグソがぁ。

賞金稼ぎに喧嘩売る真似した奴は生かしておかない・・・必ず苦しめた上で殺してやる)」

「・・・くいっ」

「・・ッ!わかってるわよ!!

疑いはここで晴らすわ!(しかも監視に付けられたこいつが嫌すぎる。

嫉妬塗れな視線で疑われる動作をすればこいつはDIOの狂信者だから命諸共で私を殺しにかかる!

ほんとにケイトを倒した奴は余計な痕跡を残してくれたものだわ・・・)」

 

額に青筋を見せながらコートを羽織った女はスタンドの操作を遠くからしている。

傍に爆弾のような女に証明しろと目で見つめられながら。

 

 

 

「「承太郎!」」

「・・!大樹、ポルナレフ!」

 

どうするか迷っている時にバイクに乗った2人を見て運が向いてきた事を実感する承太郎。

 

「乗れ!任せたポルナレフ!」

「おう、【シルバーチャリオッツ】!」

「待って・・よぉおお・・・・承太、うべぇっ!?」

 

承太郎は伸ばされたポルナレフの手を掴み、モジャモジャ男が妨害するがシルバーチャリオッツにゲルごと斬られて驚き共に転ばされる!

そのままその場から離れるが。

 

 

【ザブ、ジャブ・・ジャバッ!】

 

 

「あっぶ!・・・おぶっ・・・・・!」

「・・!アレは。やはり」

 

倒れたモジャモジャ男に襲いかかる水のスタンドを見て離れながらも確信する承太郎。

ゲルで守られていたので致命傷では無いようだが。

 

「あいつは驚かした相手に攻撃が出来る!」

 

水のスタンドにそう確信を抱いた。

不自然な動きの多さに何かあると考えていたがそういうスタンドも居るのかと承太郎は学んだ。

そのまま、ポルナレフの後ろに乗り3人乗りになる。

 

せ、せまい・・・。

 

「・・!こ、これは・・・」

「「・・!?」」

 

 

【ザッバババババッーン!!】

 

 

どうやら水のスタンドは1体でも液体ゆえに分け身が出来るらしい。

モジャモジャ男を襲う奴とは別にバイクの走る先に津波の如く覆い尽くそうと大きなのが迫ってくる!

 

あまりの事に全員が驚いてしまった。



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33話 黄水 5

「あばばばばばばばアバチャッ!?

人前に間違っても出れないし、こいつをどうにかしないとここらが大惨事とか!?!?」

「やれやれだぜ。これを驚くなってのは無理がある・・・」

「言ってる場合かぁーーーッ!何とかせんと飲み込まれて溺れ死ぬぞっ!!」

 

岸近くとは言え地上なのに目の前に迫りつつあるビックウェーブ。

遠い目をしながら若干の現実逃避をする大樹と承太郎に突っ込むポルナレフ。

 

そう言われても何だ困るんだな、これが。

え、これ本当にどうすればいいの?

津波って冗談抜きで死亡率高いんだぜ、これががが!?!?

 

「う、ウォおおおおおおッ!ステッペンウルフ!

最大パワー!!」

「良し、いいぞ大樹!その調子だ!」

 

最大限のスタンドパワーで惜しみなく自身を含めてポルナレフと承太郎を入れて風のバリアーを張る!

そのまま、津波がそれごと覆い尽くそうとのし掛かり。

 

「だだだ、駄目だ!たたたた耐え切れれれれれっ!?」

 

あまりの負荷に俺の体全体の消耗率が激しい。

連続に水の衝撃がかかるのでバリアーをバイク周囲に集中しても身動きが出来なくなる。

初撃のみで後から続く波によって地上なのに水中と変わらない状態になる。

 

「仕方無い。無理もねえがな、手伝うぜ。オラオラオラオラオラオラ!」

「道は俺が斬り開くから、頼むぜ大樹!ホーラッ!ホラホラホラホラ!」

 

そのせいでステッペンウルフが走れなくなると思ったが。

スタープラチナのラッシュで水を叩きまくる衝撃で押さえ込む。

シルバーチャリオッツの剣閃で波を斬り開く事で道を作り、レイピアをアヴドゥルと戦った時のように回転させて水を絡めとり続ける事でステッペンウルフの負担を減らしてくれる。

 

「こんんんんのぉおおおおおっ!!」

 

力を入れて無理矢理にバリアーを回転させて採掘機と化す!

斬り開かれた道に突っ込み、強行突破する。

承太郎とポルナレフはそれに察知してスタンドを収めた。

 

力不足で大きな竜巻は起こせないので波は封じられない。

そもそも街中で竜巻は別の大惨事になる。

 

「抜けた!被害を考えると・・!」

 

そのまま一気に少し狭い路地裏へ突っ切る。

人気が無いので二次被害や人質の心配が無い。

 

さっきモジャモジャ髪した男を見たけどあれがラバーソウルか。

歯が折れて白目で操られていてハンサム顔(仮)になってたけど。

 

そのまま水が侵入して来る!

どうやら分け身を集めて津波を起こしているから水の容量が大きくなりスピードが遅くなっているようだ。

その代わりパワーが洒落で済まない程の高さになってるけど。

 

具体的に言うと人が2~30人は容易く死ぬ規模だ。

 

「・・!大樹!目の前からも迫っているぞ!?」

「・・このままだと挟み撃ちだな」

 

ポルナレフの警告に承太郎の言葉に俺はグリップを深く握る。

目の前には後ろ程ではないが水のスタンドが迫っている、後ろは激流葬。

 

諦めたわけではない。

 

「まだだ!2人ともしっかり捕まってろよ!!」

 

そのまま車体を路地の建物の壁へ寄って行く。

 

「イィイイイイッ!?無茶するんじゃねーよ、おい!!」

「・・ほう、B級映画みたいなバイクのカーチェイスになってるじゃないか」

「感心するところかぁ!?」

 

壁にタイヤを乗せるようによりスピードを出して体勢を横にして走り出す。

壁走りでそのまま目の前の脅威を回避する。



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34話 黄水 6

「あいつらしぶといわね・・・」

 

コートを羽織った女は苛立ちが隠せなくなってきていた。

額に青筋を浮かべて様子を見ていたが我慢の限界らしい。

 

「・・・・・わかってますの?

DIO様の信用を裏切ることがまあ貴方は賞金稼ぎでどっちにもつ・・」

「わかってるって言ってるでしょうが!!」

「くんでしょうけど・・・・・」

 

早口を捲し立てる様に言い出す傍の女に怒声を浴びせる。

この女性の存在も精神に余裕を失わせてる原因だろうと思われる。

 

「・・・仕方ないわ。

リスクがあるけどやるしかないわね・・・」

 

ぼやく様に言うと移動を始める。

 

 

 

「だいぶ入り乱れたところに来たが大丈夫なのか大樹?」

「・・・・・・」

「・・・大樹?」

 

路地裏で複雑に入り組み始めてることにポルナレフが問う。

無言の大樹に承太郎が問うが。

 

「・・道に迷った」

「ハアッ!?」

「・・・おい」

 

思わず涙を流しながら答える大樹にポルナレフが思わず突っ込む。

その答えに溜息を吐く承太郎。

 

「だって初めて来たところにナビゲート無いんだから逃げ続ければ迷うでしょう、これが・・・」

「いや、その・・・すまん。

必死だったから地図の確認忘れてた」

「・・やれやれだぜ」

 

言い訳をしながら運転は続ける大樹。

ポルナレフが言いよどみながら謝る。

帽子の位置を直しながら呆れる承太郎。

 

背には水の激流葬が迫って居る・・・?

 

「・・あれ?」

「おい、水の奴は何処に行った?」

「逃げられたんじゃねえのか?」

 

後ろを向くと水がいつの間にか無くなっている。

疑問の声を上げる承太郎にポルナレフが答える。

 

おかしい、ここで見逃すのか?

執拗に追いかけておきながら?

 

俺は疑問が止まらなかった。

取り敢えず、周りを警戒しながら元の道を探し続ける。

 

やがて、交差する所に行き着く。

 

「・・!ぐわっ!?」

「・・!オラオラ!ぐぅううっ!?!?」

「な!ポルナレフ!承太郎!?」

 

通り抜けるところで道端に置かれていそうな容器が幾つも飛び向かって来た!

ポルナレフは反応したが連続で来る容器に行動できずバリアーごと衝撃で吹っ飛び、同じく承太郎もスタープラチナで幾つかを落としたが上から来たのを防げずそのまま後続の容器に当たりバリアーごと吹っ飛ぶ!

 

どうやら容器には。

 

 

【ジャブジャブ・・・ザッバーンッ!】

 

 

あの水のスタンドが入っており、全ての容器からポルナレフと承太郎の追撃に出てくる!

 

「やらせると思っているのか!【ステッペンウルフ】!」

 

バイクを緊急で止めて2人にバリアーを再び張ることで追撃を阻止する。

 

タイミングを計られてると俺は考える。

敵が本腰かつここで殺しにかかってきたと。

 

「本当にしぶとい・・・しかし、2人はもう戦えまい」

「だ、誰だッ!?」

 

蔑んだ声が路地で響き渡り周りを警戒する。

声質から女であると確信する。

 

「流石、日本猿。しぶとさは折り紙つきね。

ゴキブリもびっくりだわ」

「ま、まさか・・・あの女性が!」

 

視界に入ったのはコートを着た女性。

美人ではあるが冷たく蔑んだ視線を向けてくる。

 

嫌な視線だ・・・内面が碌な奴じゃないぞ、これが。

 

「日本の猿共に名乗るのも癪に障るけど私の方から礼節を欠くのは人間として汚点になるから名乗ってあげるわ」

 

どうやら人種差別主義者らしい。

 

嫌いなのはともかく頼んでもいなのに上から目線で説明とか高慢だな。

 

「私の名前はマリスカ。あんた達のような野蛮な猿でも愛想を振りまいてあげる」

「・・?」

 

コートに手を掛けながら何かの準備をする様子に警戒する。

 

一体、何をするつもりだ?

 

「とっても優しいバニーガールちゃんよ」

「ディ・・DIOの手下かッ!

て・・・へ、変態だぁッ!?!?」

 

コートを脱ぎ出すと付け耳を付け出してハイレグ姿を晒した!

疑問を問うが目の前のインパクトと常識からありえない状況に冷や汗を流す。

 

ここ街中なんだぞ!女の変態とか未来を先取りしすぎろう、これが!?

正直、混乱しているのとアレ相手に近付きたくない・・・。



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35話 黄水 7

今日の投稿が終わったら明後日まで休稿します。
日焼けが酷いことになって体中が痛い・・・。
6月でも油断すると大変なことになる(汗)


「・・誰が変態よエロ日本猿。DIOね・・・。

あんた達の首に賞金をつけた奴ではあるわね」

「エロいのはあんただよッ!?こっちに近づくなよ!絶対だ!

振りじゃないからな!!」

 

言い返すのと説明をしだすバニーガールにシュールさを感じる。

 

真面目に考えても人種差別主義者で外でバニーコスとかイベントでもなければトラウマもんだよ、これが。

承太郎とポルナレフが呆れた視線を俺とバニーガールに向けるけど俺は関係無いってかアレ相手に本当は喋りたくもない。

 

でも、戦いになりそうなんだよなぁ・・・鬱だ。

 

「私は賞金稼ぎ。特に金持ち相手のね。

その中でも更に特別。日本の猿は優先的に始末するとっても世界に優しい賞金稼ぎちゃんなのよねぇ」

「お・・おい、俺は」

「やっぱ変態ってかド変態じゃないですか嫌だぁッ!?!?」

「・・・大樹ぇ」

 

民族差別に限定的だがサイコパス追加されてしまったら、どう考えてもド変態です。

本当にありがたくありませんでした。

 

倒れてるポルナレフが何か言いかけたが俺の反応に頭を抑えた。

同じく承太郎はなにも言わず溜息を吐くだけだ。

 

気のせいでなくバニーガールの額に青筋が浮かび恐ろしい形相になってきている。

 

「ふふふ・・・エロ猿の浅知恵ね(怒)。

私のスタンド、【ショッキングブルー】はもう知ってるでしょうけど驚かした相手にしか攻撃出来ない自動操縦型。

だけど驚かせた相手の体内に侵入する事で心を壊してロボットのように出来る・・・」

 

怒りながらやたらエロ猿を連呼しながら説明するマリスカに俺は怒ってるって事は誤解であろうとなかろうとも無自覚で認めてるってことじゃあとは言えなかった。

 

だって、俺が知ってる中で差別主義者なら何を言おうと戯言として聞かないか怒らず自身の非を認めず人を見る目をしないままの輩が多いもの。

 

「さて優しいマリスカちゃんのスタンド講座はこれにて終了。

後はアンタの始末だけ・・・よくも散々な事を言ったわね楽に殺さないわよ」

 

マリスカの傍に水のスタンドが控え構える。

戦闘開始間近だ。

 

この状況に俺は。

 

「あら、猿が一匹で戦うつもり?

随分となめられたものね・・・それとも猿だから実力差が分からないのかしら?」

 

一人でも戦う。

 

現実を見えてないと言われるだろう。

だが、それでも俺は一人で何か大きな事を成し遂げた事がない。

自信が欲しいのもある。

 

「・・・承太郎、ポルナレフ。すまないが、そこで待っていてくれ。

出来るだけ早く終わらせるよう頑張る、これが」

「てめえ、なに馬鹿なこと言ってやがる。

お前のスタンドは真っ向勝負に向いてないだろうが」

「そうだぜ!無理するんじゃねーよ!ここは俺と承太郎が」

 

何よりこの2人を見捨てられない。

この2人をド変態相手に見捨てると自身の中の何かが終わる気がするのもあるが見捨てて死ぬより見捨てずに抗いたいと。

今、初めて思っている。

 

本音を言えば強面の承太郎に凄まれて睨まれたら退いてしまいたいのだが、こればかりは譲るわけにはいかなかった。

 

「そうだな。でも悪いけど断るぜ、これが。

これからDIOをしこたまブン殴りに行くって人間がこんな正真正銘のド変態に手こずっていたら足手まといにしかならないだろう?

・・・だから、ここは俺一人で十分だ、これが」

「こんな・・ですって?また変態と言ったな日本猿!!」

 

マリスカが何かを言っているが無視して決意を告げる。

 

ステッペンウルフのエンジンを鳴らす。

意地を通すのに賛同しているように。

 

幼い頃から逃げる事が多い俺は信用されるか心細かったが。

 

「・・・分かった。頼むぜ、大樹」

「承太郎!?・・ちッ。どの道ダメージ抜けてない俺達は役に立たねえか。

勝てよ大樹!必ずだぞ!!」

「ああ!」

 

渋々だが承諾した承太郎とポルナレフ。

俺はそれに答える為に目の前の脅威に目を向ける。

 

「この私を何度も変態呼ばわり・・・です、って?

身の程知らずの猿め、いいわ。まずはアンタから血祭りにしてあげるッ!」

「正直、話すのも近付くのも億劫だが言ってやるよ、これが。

イベントでも無いのに路地とは言えバニーガール姿で散々に変態じみた事を言う女が変態でなく何だと?

礼節を考えてる様に見えるだけで失礼をかますお前には今まで言うのは可哀想かと思ったけど言わせてもらったぜ」

 

そのままステッペンウルフでマリスカに突っ込む。

スタンドは自動操縦かつ液体なのでダメージのフィードバックは見込めないので本体を狙うしかない!



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36話 黄水 8

「か、わい・・そう?

猿が・・よりによって日本猿が私に哀れみですって・・・」

 

怒りに身を震わせながら液体のスタンド、ショッキングブルーがマリスカの周りに集まっていく。

 

これは、不味いか?

 

「私の精神を犯したわね猿・・・許さない。

許さない、許さない、許さない、許さない!!

【ショッキングブルー】!奴をズタズタにして逆に犯し抜きなさい!!」

 

 

【ジャブ、ジャブ・・ジュビィーーーーンッ!!】

 

 

「自意識過剰だろって、これは!イッづぅ!?(いかんっ!?)」

 

ショッキングブルーから水のレーザーがこちらに向かってくる!

ウォーターカッターだ。

 

アレはステッペンウルフのバリアーだと防げない!

貫通だけじゃなく斬撃も入ってるアレは。

 

右肩に掠ってパックリ切れた!

取れる程ではないけど血が溢れる。

路地の建物の壁を貫通している事から殺意が高い。

 

バイクが衝撃とダメージで寄れて対象から外れマリスカの背後の壁へ向かう!

 

「くぅっ!」

 

なんとか立て直し、そのままスピードを殺さず、タイヤを壁に掛けて壁走りをする!

建物の屋上へ向かいながらもショッキングブルーが追いかけてくる!

 

「ちょこまかと本当に。本当にしつこいわね失礼な日本猿が・・・」

 

壁に背を預けて、余裕そうにこちらの様子を見ているマリスカ。

 

なんだ?

何であんなに自信満々なんだ?

 

「大樹、上だ!」

「・・!?」

 

ポルナレフの声に上をよく見る。

気が付けば建物を超えた屋上より上から、大量の水の塊が降ってくる!

いつの間にか用意していたようだ。

 

このトリックの道具は恐らくは貯水タンク!

前に容器に入った水で、そのまま飛ばして来たからな。

 

言ってる場合じゃねえ!?

 

「ぐぅ!くっそ・・!?」

「そのまま落ちなさい」

 

驚いた事で襲いかかる水の塊に腹から当たる!

バリアーで防いでも水の重さ、壁が水浸しになる事でスリップして落ちる!

10階相当の高さから、ステッペンウルフごと真っ逆さまで。

 

対策は当然だがされているのか!

 

「がっは!?」

「ダメ押し・・行くわよ!」

「・・!?」

「「大樹!?」」

 

地面に叩きつけられる俺。

バリアーの操作で急いで衝撃を逃す。

バイクを急速に起こして備えた。

 

だが、そのまま水の塊は俺達がやって来た道を塞ぐ。

他の道全てに設置されていた所から水が塞ぎ、洪水の様な有様になる!

 

その中には備品だけでなく自動車やタンクローリーまで。

 

「・・・(絶体絶命ってか、タンクローリー!?

まさか、アレに・・・)」

「お察ししてるでしょうけど。

タンクローリーには私のショッキングブルーが入っていたわ。

運転手の心を壊して操ることで自給自足に、ね」

「・・!何だと?」

 

マリスカの言葉に目を向けると、洪水に流されるタンクローリーに運転手が乗っている。

表情は白目で正気ではない。

 

運転手の肌は浅黒いようだがやった理由はまさか。

 

「フフ、日本猿を殺すのに役に立つのだから。

シンガポールの黒猿も喜びに満ち溢れるてわね」

「【ステッペンウルフ】!(冗談抜きでいかれてやがるぞ変態女!

思い通りにさせるか!)」

「・・!なんですって!?」

 

迫ってきた水の流れにバイクの上体を上げて、ウィリーしながら水の上を走る!

承太郎とポルナレフは危険を察知して、さがったので水に呑まれていない。

 

だが、運転手は別である。

 

このままだと人質に取られかねないので、タンクローリーに近づいてそのままドアを開け、背に乗せる事で脱出する。

 

「賞金稼ぎの癖に関係無い一般人を巻き込むかよ!

変態の上に最低の女だな、あんた」

「フフフ・・・」

「・・?」

 

俺が挑発しても怒らずにマリスカは妖艶ながらも不気味な笑みを浮かべる。

 

対策は乗り切ったはずなのにこの余裕は何だ?

 

「・・・・・がぼ、ががが、うぎ、うぎぎゲロォッ!」

「・・!なッ!?」

 

背に乗せていた運転手から漏れる音が聞こえ出す。

首を向けると口から液体が大量に溢れ、人型を成し至近距離で襲いかかってきた!

 

「ステッ、ぐっふぅッ!?!?」

「あのままでは!スタープラチナは距離が届かず間に合わん・・・」

「シルバーチャリオッツで狙いたいが位置が悪い!

あの女、徹底的に追い詰めつつも慢心していねえっ!!」

 

ステッペンウルフでバリアーを張ろうとしたが間に合わず俺の顔にへばり付く!

息ができない。

 

承太郎とポルナレフが黙ってられず、乱入しようとしたが距離が届かなかったり、操られた洪水で本体はガードされていて手が出せなくなっている。

運転手は放り投げられ、その場で倒れて動かない。

マリスカはゆっくりとこちらに近付くが、ガードを怠らず水で守られている!

 

そのつもりは無かったのに油断していた!

まさか、花京院のようにスタンドを潜ませるとは。

 

水の、ショッキングブルーに顔に巻き付かれッ!

このまま・・溺死させる気か・・・ッ!?

 

「さんざん馬鹿にするような事を言って弱いくせになにカッコつけているんだか。

ばっかじゃない、のッ!?」

「ゴボァ!?」

 

傍に来たマリスカは苛立ちを発散するかのように蹴り出す!

バリアーを張る余裕が無い俺は無防備でそれを体中に受ける。

 

ステッペンウルフが完全解除され、消えた為に地に足がつき膝まづく体制になる。

なんとか蹴りに耐えるが唇を釣り上げながら、気のせいでなく恍惚とした表情ですらりとした足のハイヒールを叩きつける!

凶器でもあるそれは執拗に繰り返され、水が血で赤く染まっていく。

 

大樹の血だ。

 

「く・・承太郎!」

「わかっている・・いや、大丈夫だ」

「ハアッ!?」

 

焦る2人だが承太郎は何かに気づいて安堵した。

ポルナレフは訳が分からない。

 

「アッハハハハ!あ・・?」

「・・・」

 

苦し紛れで立ち上がる大樹。

目の前がショッキングブルーと叩かれたダメージにより、霞んで見えない状態でグニュと何かに右手で大樹は触れる。

 

嬉しそな笑みから一気に引き攣った表情に変わるマリスカ。

 

「こ、このエロ日本猿が!

よくも私の胸に・・!グゲッブッファッ!?!?」

 

何かが炸裂した音が周りに響き渡り、糸が切れた操り人形のごとく倒れるマリスカ。

何が起きたのか解らず、ショッキングブルーが解除されて、洪水が治まり周りが水浸しの状態になる。

 

顔から水が無くなった大樹は唾を吐きながら、目の前に倒れてるマリスカにゴミを見るような冷たい眼光で見下ろす。

 

「さ、猿・・あんた・・・私が蹴っている時に・・・・。

力を集中して・・・・・圧縮したソレを・・・・叩き込むのを・・・・計って・・・・・・?」

「違うんだな、これが。

お前が調子に乗っている時、俺はその臭い足で変態そのものなSMプレイを興じながら自慰でも始められたら、近くにいる俺がバッチイ事になる。

それが嫌だと思っていただけさ、これが(言い返すのに承太郎の台詞が便利すぎるな、これが。

でも、体が痛い・・・)」

 

身動きがとれず、悔しさを浮かべるマリスカに冷たい目線のままで言い返す。

右手の中で風を纏わせ続け、圧縮し相手に悟らせず意識が朦朧としている振りで相手に触れて叩き込んだ。

目が見えない状態だからお互いに不幸な事になったが・・・。

 

古い忍者アニメを元にしたソレは効果が抜群だったようだ、これが。

 

「触れたくもないのに胸に触れちまったのが今回における最大の誤算だ。

この手は後で念入りに洗って消毒しておく事にするよ、これが。

じゃ あ な ド 変 態 女。

二度と会いたくないからスピードワゴン財団に連絡しよう」

「・・・・・(ぐくやじぃいいい、ビチグソがぁっ!

アレ・・でも何か今の状態が気持ちよくなって。

日本猿に精神だけでなく肉体も嬲られる・・・。

これ、イイ・・かも)」

「・・ビックゥッ!?(寒気!?)」

 

マリスカの再起不能を確認し、そのまま背を向けて粗大ゴミに出されるのを祈りながら離れる大樹に怨みの視線を向けていたが、知らぬ内に何かに目覚めさせてしまったらしい。

大樹としてはそんなつもりは一切無く、誤解もあるが心から軽蔑しただけ。

だが、寒気が感じて体が震える。

 

水に濡れたせいか?と疑問に思う。

 

無様かつ最後がアレ過ぎるが勝てた事に喜び、取りあえずホテルに帰る為に承太郎とポルナレフに合流する。

 

 

 

「任務は完了ですわDIO様・・・。

やはり私だけがあなたの期待に応えられる」

 

屋上から様子を見ていた白黒の服を着た女は。

やられたマリスカを尻目に屋内へと消えていった。

 

 

 

ポルナレフが褒めてくれる中で、無言で歩く承太郎に続いて行く大樹。

2、3歩で急に止まったので、何事かと思うと。

 

「今回は助かった、礼を言うぜ」

 

それは、なんでもないようなお礼の言葉だ。

再び歩き出す承太郎の背中を、呆けて大樹は見つめた後で慌てて付いて行く。

 

友達や仲間を助けるのは当然だ。

その当然を、前世だけでなく手段がある今世でさえ、上手く行く事が少なかった。

今回の事で自信が持てる。

 

でもそれ以上に。

仲間と一般人を守れたことが、何よりも嬉しかった。



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37話 皇帝と吊られた男

皮がベロンベロンで取るのに苦戦中です。
取り敢えず。今日、一回だけの投稿で。


帰って来たら即座に波紋で治療を受けました。

ジョセフさんとアヴドゥルさんに花京院にトリプル説教を受けて(泣)。

 

だってあそこで何かしないと嫌な予感と自身が許せなかったんだもの。

後で引き摺りそうな位には。

 

最後に変態にくらわせた、アレの名前どうしよう?

元ネタの○圧拳は不味いしな。

まあ、名前は付けなくていいか。

いちいち、付けるのもなんだし。

 

承太郎から今回の情報が渡ると皆が考える中でポルナレフが、脂汗を流しながら手を握り、黒いオーラが出てます。

 

漆黒の殺意がバリバリで・・・。

 

その様子にアヴドゥルさんが心配そうです。

俺も心配ではあっても何も言えそうにない。

 

だって家族の事だもの。

 

俺と花京院のケースは現実では珍しいと思う。

許せた事も含めて。

 

承太郎から聞いて、わかったんだけどワンコ助けられなかった・・・。

イエローテンパランスに食われたそうな。

 

グロッキーになる程に能力を使わなければ。

いや、後付け論か。

 

命が幾つあっても足りなくなるから仕方ない。

無理矢理にでも納得しよう。

使わないとデーボで死んでるし。

 

 

 

ホテルを出て、現在は一般人に扮して旅客船で移動中。

 

次に着くのはインドですが。

大丈夫かなぁ?

 

「インドという国はカレーばかり食べていて、病気にすぐにでもかかりそうなイメージがある」

「おれ、カルチャーギャップで体調をくずさねェか心配だな・・・」

「フフフ、それは歪んだ情報です。

心配ないです。素朴な国民のいい国です。

私が保証しますよ」

 

ジョセフさんとポルナレフのインドでの心配にアヴドゥルさんは大丈夫と言う。

 

ジョセフさんやポルナレフ程では無いけど、衛生面で心配なんだよな。

主にガンジス川とか。

飲料水の設備は整ってるかなぁ?

質問しよう。

 

「水は大丈夫ですかね?」

「川の水や町から離れた水飲み場では飲まない方がいいかもしれない」

「日本人は衛生が良い所に住んでいるから菌に弱いんだ。

病気にならないよう、そこら辺は気を付けないといけないよ大亜」

 

アヴドゥルさんもそこは気をつけてるようだ。

花京院が補足してくれて注意した方が良いと確定した。

 

2人の知識は本当に頼りになるね。

 

港に着いて皆で降りるとたくさんの地元の人々が集まってきた!

仕事が欲しい、金を恵んで欲しい。

バクシーシの連呼が鳴り響く。

 

なるほど、ここの人達はバイタリティに溢れてるな。

 

「うえぇ~牛のウンコをふんづけちまった、チクショー」

「僕はもう財布をすられてしまった」

「チップ、チップ、チップ!」

「チップくれないと天国へ行けないぞ、ニイチャン」

 

ポルナレフが靴を確認しながら顔が引き攣り。

花京院は目の前の光景に翻弄されてる。

承太郎は無言ながらも子供達に引っ張られているが怒らない。

 

子供達の目が意外にも綺麗な物だからだろうか?

或いは生きるのに一生懸命なのが感じ取れてるのだろう。

 

「こら!鼻をつけるな鼻を!」

「ア・・・アヴドゥル、これがインドか?」

「ね、いい国でしょう。はははは、これだからいいんですよ、これが!」

 

ポルナレフの荷物が悪意の無い子供の鼻水で汚れる。

怒るにしても本気では無理。

ジョセフさんが困惑しながらアヴドゥルさんに問うが、いい笑顔で返される。

 

「兄ちゃん恵んでくれよ!」

「なるほど、確かに良い国だ。

けど、俺達には目的があって時間を取られる訳にはいかないのが、残念な所か・・・」

「・・!大亜?何をする気だ!」

 

こちらも沢山の子供に大人に囲まれてる。

財布は頑丈なチェーンとジッパーが付いた物を使っているのでスリは心配ない。

アヴドゥルさんが俺が何かしようとしている事に疑われるが。

 

別に手荒い方法を取るつもりは全く無い。

ポルナレフと花京院から対処方法を借りるだけだ、これが。

 

「ほーら、コインが3枚あるだろー?」

「「わぁーー!!」」

 

俺が手から出すのに子供たちが一斉で反応し出す。

アヴドゥルさんは俺の行動に頷いて黙る。

 

「早い者勝ちだ!取った者がコインの所持者だ!(そして、ステッペンウルフ!)」

「「俺だ!いや、俺のだッ!!」」

 

コインを別々の方向、まとめて投げると子供達と大人の幾らかが反応。

一斉に散り散りになって、そちらに群がり出す。

子供達が離れた事でスペースが出来たのでステッペンウルフを発動出来る。

 

反応しない者達、特に仕事が欲しい者達には微風を巻き起こし、砂埃で一時的に目を潰す。

目を抑えて離れいく事で全員の道が出来る。

 

「あまり、喜ばしくない事なのだが・・・」

「このまま時間、取られても困るのは俺達ですもの。

ホリィさんとDIOの件さえ無ければ、そのままでも良かったんですけどね」

「それを言われては、何も言えないよ大亜・・・」

「いや、本当にその無粋な事しちゃって、ごめんなさい」

 

アヴドゥルさんが残念そうにしているのに申し訳無く思う。

とは言え、このままは皆が困るしなぁ。

 

「ちゃ、チャンスだ!大樹が道を作ってくれたぞ!

ここから一気に離れるんだ!」

「メルシー大樹!」

 

ジョセフさんとポルナレフは、いの一番に離れていくのに苦笑いを浮かべるしかない。

 

「やれやれだぜ」

「助かったよ大亜。

もうちょっと、早く行動を起こして欲しかったのは僕の我儘かな」

 

ちょっと残念そうに帽子の位置を直して、呟く承太郎。

服がヨレヨレでも、すぐに直して礼を言う花京院。

 

早めろと言われても、バイタリティ違いすぎて無理。

直接、見てわかったけど諦めない人達だもの、インドの人達は。

 

この後、店で休憩する為に全員で移動を始めたのだった。



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38話 皇帝と吊られた男 2

今日も一回だけの投稿です。


現在、レストランでチャイを飲んでいます。

皆が休憩中です。

 

「・・ふぅー。やっと、落ち着いたわい」

 

味を堪能しながら、呟くジョセフ。

 

「要は慣れですよ。

慣れればこの国の懐の深さがわかります」

「なかなか気にいった、いい所だぜ」

「旅の目的さえなければ、ゆっくりと旅行してみたかったですね」

「マジか、承太郎!大樹!

マジに言ってんの?おまえら・・・」

 

アヴドゥルの解説に承太郎と大樹は頷く。

ジョセフは信じられないと言いたげだ。

 

その中でポルナレフがトイレに行くので席から離れる。

注文をどうするかで、ゴージャスなのが良いと言いながら去る。

花京院がその様子に何でもいいって事で、メニューを取り始める。

 

しかし、荷物を誰にも預けずにトイレに持っていった様子から、仲間としてはまだまだ認められてないんだな、と思った。

 

 

 

店員とやり取りしながら、棒を受け取りトイレに。

 

「ん~妙な形をしている便器だが、なかなか綺麗じゃないの・・・ハっ!

ナイスガイの俺はトイレの汚いのだけは我慢ならんタチだからな。

うっ・・・。ぎィにゃああああ・・・!うわあああああ!?」

 

トイレから急に出て、慌てるポルナレフに問う店員を掴み、揺すりながら逆に説明を問う。

どうやら、豚小屋とトイレが繋がっており、餌になっているらしい。

何がとは言わない。

 

ホテルまで我慢する事に決めて、洗面上で手を洗う。

鏡が設置されており、電柱なような髪型に上半身と背面の窓が映っている。

離れようとした、その時。

 

「・・ん?」

 

鏡に映る、窓から手が映っていることに気付く。

気になり、鏡越しで目を配るとミイラの様な男が窓からこちらに侵入しようとしている!

 

急いで振り返ると誰も居ない・・・。

 

「疲れてるのかな?

まあ、便器に豚が居たんで疲れてるんだな。

インドカルチャーショックって奴か・・・」

 

再び、洗面で顔を水で洗おうとする。

鏡を見ながら、顔を拭こうとすると。

 

「な、なに!?」

 

再び、振り返えっても居ないが、鏡を見ると確かに居る。

ミイラ男が窓を開けてポルナレフに近寄る様子が!

 

「こいつは!鏡の中だけに見える!」

 

状況を把握するが、どうすればいいか困惑する。

鏡の中の物に手を出しても、通り抜けられないのは必然だからだ。

 

「こいつが承太郎の聞いた、鏡のスタンド。

なんか、やばい!こいつは・・・相当やばいぜ!」

 

遂にポルナレフの傍に立ったミイラ男は手を構える。

仕込みナイフを右腕から出す!

 

「おぉっ!シルバーチャリオッツ!」

 

銀の甲冑のスタンドはレイピアで鏡に突き刺すが、反応なく鏡が壊れるだけ。

 

「な、なんだぁこいつは?ちっくしょぉー!」

 

息切れしながらも鏡から離れる。

 

 

 

「・・?」

 

承太郎達はポルナレフが急いで来たのに訝しげになる。

 

Jな吊られた奴が来たようだな。

 

「スタンド!どいつだ?どいつが本体だ!」

 

店内に両手とも右手な男は確認が出来ない。

そのまま、ポルナレフは店の外へ出る。

 

「この人の数・・くっそぉー」

 

外には不特定多数の人々が居て、判別の仕様が無かった。

説明を求めるジョセフに答えると皆でどうするか考える。

 

だが、ポルナレフは・・・。



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39話 皇帝と吊られた男 3

お出かけしないと行けない用事で遅れて投稿。
時間ないから一回だけかな。


1人で行くと言い出す。

 

その様子に。

 

「こいつはミイラとりがミイラになるな!」

「どういう意味だ?」

「いま言った通りだ。

羊毛刈りに出かけて、身ぐるみ剥がれて帰ってくる」

 

アヴドゥルさんが警告する。

問うポルナレフに、相手の策に乗っている事を皮肉混じりで言う。

 

だがポルナレフはアヴドゥルがDIOから逃げた事を非難。

そして、DIOはどうでもよく、俺はいつでも1人で行くので利用しただけだと。

 

「もういい!行かせてやろう。こうなっては誰にも彼をとめることはできん」

「いえ、彼に対して幻滅しただけです。

こんな男だったとは思わなかった。確かに私は恐怖して逃げた。

しかし、だからこそ勝てると信じるし、お前は負けると断言できる」

 

怒りで殴り掛かろうとしたアヴドゥルをジョセフが止める。

アヴドゥルはポルナレフへの幻滅で顔を伏せる。

 

 

「いいか、おれはただの風来坊さ。

その日その日をきままにくらし、いずれはのたれ死ぬ運命なんだぜ。

貴族の名門のおめーがおれと結婚するなんざ考えちゃあいけね一ぜ。

いくらお互い愛し合っていてもな!」

「ほんと?私のことを愛してくれているのですか?」

「ああ・・・世界でただのひとりさ!」

 

所、かわって荒野でカウボーイルックの金髪、白人男性が褐色肌の装飾品を多くつけた女性に抱きついている。

傍には乗っていったらしい象と夕日が差し込んでいる。

 

やがて、女性はカウボーイから離れて、歩いて帰っていく様子を見届けると象に乗り出して、進もうとする。

だが、途中で崩れて、途中で折れた柱の影に帽子を被った、黒い上着を着た男がボトルを置いて、笑っているのを見て、カウボーイは象を再び止めた。

 

「盗み聞きたぁ、趣味がよくねーぜ!」

「クク・・・」

 

文句を言うカウボーイに不気味に。

ただ、不気味に笑みを返している。

 

その手は、【両方とも右手】と言う、奇妙な物だった。

 

「あいかわらず、回りくどいことやってると言いてえだろうがよ、あんな女が世界中にいるとよ何かと利用できて便利なのよ。

何でもしてくれるぜ。命も惜しくないって風にな」

「おれのやり方はわかっているよな・・・J・ガイルの旦那よ!」

 

確認するように話すカウボーイにやはり、笑うだけで返す。

 

「ところでだ、シルバーチャリオッツのポルナレフだが。

単独行動であんたを探し回っているぜぇ。どうする?

あんたが、わざと誘き出しているのに引っ掛かりやがったなぁ・・・。

フッ、やるのは奴からか?・・・んっ?」

 

カウボーイの笑みを浮かべた質問に笑いを辞めるJ・ガイル。

不思議そうなカウボーイに構わず、その身を乗り出すと、荒野で餌を探していた蛇が警戒するように周りを見渡している。

 

「・・・ニィ」

 

蛇に気づいたカウボーイは、何も無い手から銃を発現して、蛇を撃ち抜く!

上体と胴体で泣き別れになり、血を撒き散らしながら、J・ガイルへと牙を出しながら飛ぶが。

 

ボトルのガラスに映った蛇が、そこの潜んでいたミイラ男に八つ裂きにされて、屍を晒した。

 

「行くか。吊られた男、【ハングドマン】のあんたと。

皇帝、【エンペラー】のこの、ホルホースが居れば、奴らは皆殺しだぜ」

「・・・へっへへへへ」

 

両者共に笑みを浮かべながら荒野を歩いて行く。

獲物を狩りに行くために。



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40話 皇帝と吊られた男 4

今日も一回です。


「なにッ!見ただと?両手とも右手の男を確かに見たのか?

どこでだッ?」

「あれぇ?おかしいな・・・。

ひ・・・ひとり見失っただ。今そこにいたのに。」

「なにッ!」

「ほれ、その男と一緒に居た・・・」

 

道を歩くポルナレフは人々に話を聞き、情報収集すると老人から目撃した事を告げられる。

しかし、一瞬の後に2人から1人に減ってしまい、カウボーイルックの男の背が見えるだけだ。

 

見失った事に、迂闊さを後悔するが直ぐに周りを警戒する。

 

目の前にはカウボーイが止まる。

 

「銃は剣より強し。んっんー、名言だなこれは」

「あーん?」

 

突然、諺を言い出すカウボーイ。

対して、眉間に皺を寄せて、怪訝なポルナレフ。

 

「なんだぁ、てめえは?」

「フッ、ホルホース。俺の名前だぜ、エンペラーのカードを暗示するスタンド使いってわけよ」

 

ポルナレフの問いに帰ってきたのは、名前とタロットの暗示。

 

【エンペラー】。

権威、安定、未熟、横暴。

タロットで5番目のカード。

それは統治・堅固さ、同盟する事を意味する支配の暗示!

 

「あんたらを始末して来いと、DIO様に金で雇われたって事さぁ」

「はぁー・・・。おい、田舎もん!てめーの自己紹介は必要ないぜ。

両右手の男を知っているのか?」

 

目的を告げるホルホースに、溜息を吐くポルナレフ。

呆れか、気分を落ち着ける為かは定かでない。

逆に自身の目的が居るか問う。

 

「かってなヤローだ、あんたがきいたから答えたんだ・・・。

フッ、まあいい。奴とは一緒に来た。近くに居るぜ」

「なに!どいつだ!?」

「それこそ、言う必要のねえー事だぜ。

このホルホースがあんさんを始末するからなぁ」

 

ホルホースの返答に周りを探すポルナレフだが、両右手の男は見つからない。

やれやれと言いたげなジェスチャーで、ポルナレフを煽る。

 

「おめーのようなカスは皆、そう言うぜ。

そして、いつも逆にやられる」

「ニッヒヒヒヒ」

「ほーう、おかしいか?」

 

ポルナレフの煽り返しに、おかしいとばかりに腹を抱え、笑うホルホース。

その様子に問う、ポルナレフ。

 

「DIO様が言ってたぜぇ。ポルナレフって野郎は、人を甘く見る性格してるから、俺になら簡単に倒せるってな」

「っ!」

「その通りなんで、思わず笑っちまったぜ。

ヒッヒヒ」

 

滑稽さに笑ったらしい。

DIOに見透かされてる様な不気味さに、思わず怯むポルナレフ。

 

「貴様を先に倒さなきゃ、奴に会えねーんなら、そうしてやる。

かかってこい」

「軍人将棋ってあるよな?戦車は兵隊より強いし、戦車は地雷に弱いんだ。

ま、戦いの原則ってやつよのぉ」

 

表情を抑えて、嘲笑う様に煽り出すポルナレフ。

それに対して、説明をし出すホルホース。

 

「このホル・ホースの皇帝は、あんさんより強いから、おれのスタンドの能力を戦う前に教えといてやるぜ・・・。

銃は剣よりも強し、名言だなこれは・・・」

「さっきから何が言いてえんだ?」

 

ホルホースのしつこい説明に、不信げなポルナレフ。

 

「おれのスタンドはハジキだ。ハジキに剣では勝てねえ!」

「なに?おハジキだあ~?ワッハハハハハハハハ!」

「ニッヒヒヒヒヒヒヒヒ!」

 

その答えに馬鹿にしたような顔で、手を耳に当て、聞き間違いのジェスチャーをするポルナレフ。

明らかに、わざと侮っている。

 

そして、お互いに笑い出す。

その様子に通行人が、好奇心の目を向ける。

 

「「てめー、ぶっ殺す!」」

 

道路の水たまりから、水滴の音が鳴ると同時に、笑いが止む。

お互いが睨み合う。



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41話 実吊り皇帝

指が死にかける事態と言うか、打撲したので一回だけが暫く続くかも・・・。
ボールをキャッチするのミスった・・・。


「甘く見たな、ポルナレフ!」

「・・!」

 

ホルホースの手から、銀の銃が発現する!

驚くポルナレフ。

 

「やはりてめ一の負けだッ」

 

 

【バキューン!】

 

 

ホルホースの宣言と同時に、銃から弾丸が放たれる!

 

「甲冑を脱ぎ捨てればッ!これしきの弾丸!な、なにィィ!?」

 

迫る銃弾に、いつぞやの残像を繰り出そうとするポルナレフ。

発現した、シルバーチャリオッツの剣閃が弾丸を弾こうとする。

 

だが、目の前で信じられない事が起きる!

 

「バ、馬鹿な!軌道が曲がった!し、しまったッ!」

「弾丸だってスタンドなんだぜ~、オレを舐めきって、そこんとこを予想しなかった、あんさんの命とりなのさぁー!」

 

驚愕するポルナレフを尻目に、剣を避けるように動く弾丸は、そのままポルナレフの額に向かって直進する!

 

「ポルナレフ!」

「ア、アヴドゥル!」

 

ずっと探していたらしいアヴドゥルが、体当たりでポルナレフを押し倒す。

弾丸はそのまま、ポルナレフから逸れて、通り抜けた。

驚愕するポルナレフとホルホース。

 

「心配して来てみりゃいったことじゃあない!

うぬぼれが強すぎるぞ、ポルナレフ」

「し、心配だと!」

 

少し呻いたが体を起こして、怒りながらも心配していたアヴドゥル。

素直になれないのか、苛立つポルナレフ。

 

「この野郎、まだ説教するつもりか!」

「相手はお前を知り尽くしているんだぞ!

お前は一人で生きてきたと言ったが、これからはお前一人では勝てんぞ!」

 

仲違いする2人。

 

「とんだところで邪魔が入ったが・・・」

 

その様子に煙草を加えなおすホルホース。

 

「どけ、ポルナレフ!弾丸が戻って来る、マジシャンズレッド!」

 

通り抜けた弾丸はUターンして、アヴドゥルの方へ。

察知したアヴドゥルはポルナレフをどかして立ち上がり、マジシャンズレッドを発現する!

 

「・・・やきつくしてやるっ!」

 

赤い鳥人は炎を両手に纏い、待ち構える。

その様子にホルホースはただ笑みを浮かべるだけだった。

 

 

 

「アヴドゥルの奴、一人でポルナレフを探しに出るとは!」

 

走り抜けながら、辺りを見渡すが見つからないジョセフ。

焦りが見える。

 

 

 

「・・・」

 

寡黙に承太郎は辺りを見渡しながら走る。

こちらも見つからない。

 

 

 

「駄目だ、これが。

褐色肌の人は珍しくないし、装飾品の多さで判断するにも。

占い師はここらじゃ珍しくなくて、気にしない人達が多いぞ・・・」

 

こちらも先に単独で捜索に出ている。

承太郎達に言い訳をするのが大変だった。

疑われるかな、これは?

 

ステッペンウルフを飛ばしながら、人に聞いて探すが見当たらない。

途中で商人に情報料金を騙されて、木の実みたいなのを売りつけられた。

 

原作だと現実で、あの場所はどこだったか・・・わからない。

結末は知っていても、安心出来る要素が無いのが悩みの種だ。

 

 

 

花京院もアヴドゥルの行動に心配して、捜索に出ていた。

人の多い、露天商の商売人から話を聞いても見当たらない。

 

「どこだ、アヴドゥルさん!ポルナレフ!?

さっきから嫌な予感が・・・」

 

焦る花京院。

 

「おい、あっちで妙な喧嘩してるぞ!」

「・・!」

 

人が噂するソレに、何かがあるのを感じた花京院。

 

 

 

「アヴドゥルさん、伏せて!」

「・・!」

「どっせい!」

 

警告にしゃがむアヴドゥル。

声の主に検討が付いてるからだ。

 

間も無く、何か黒いのがアヴドゥルの上を飛んでいく!

弾丸を巻き込んで、ホルホースに向かって行く。

 

「・・!どうなってやがる!?(スタンド体の弾丸が巻き込まれた!?)」

 

目の前の出来事に信じられず、硬直したホルホース。

アヴドゥルに当たるはずだった弾丸が何故か黒いのに当たって、絡め取られたのに言い様がない不自然さを感じたからだ。

 

「・・ガブッ!・・・・・木の実だとぉ?」

 

凶器でないのが解りきっていたので、硬直が解けるとスタンドで埋まってる手でなく、口の歯で噛みながら受け止めると黒い林檎のような木の実だと、歯応えに味で解る。



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42話 実吊り皇帝 2

「・・!これは!?」

「・・!そんな所にもいやがったのか!?」

 

しゃがんでいたアヴドゥルが背後を見ると驚愕する。

同様に離れていたポルナレフが驚く。

 

水たまりに、ミイラ男がアヴドゥルを刺そうとして、外れてていたのが映っていた!

 

 

『くそ!まさか、このタイミングでしゃがまれるとは。

・・!?』

 

 

「なんとぉーッ!!」

 

映っていた、ミイラ男の悔しさを感じる間もなく、時間差で上から鍋を被せられる!

持っているのは警告した主である、大樹。

 

汗を流しているので、相当に焦っていたようである。

 

「無事で良かったですアヴドゥルさん!(ギリギリだった・・・。

少しでもタイミングを間違えたら、アヴドゥルさんが中途再起不能に!

木の実はアヴドゥルさんに当たっても位置がずれるから投げたけど、素直に聞いてくれて助かった・・・)」

「皆!特にアヴドゥルとポルナレフ!探したんだぞ!!」

 

手に力を入れながら鍋を固定する大樹。

内心では、上手く行ったことに安堵していた。

花京院が怒りながら、こちらに合流して来るのに、この場の有利を感じる。

 

探すのに時間がかかりすぎた、これが・・・。

すぐ傍にちょうど中身がピカピカの鍋があったから、適当に金を置いて使わせてもらったけど大丈夫かな?

 

露天の商売人に目を向けると、金に喜んでいる様子なので大丈夫らしい。

ここから出せ!と声が聞こえるが、それはスタンド使いだけである。

 

【ハングドマン】。

修行、忍耐、投げやり、自暴自棄。

タロットで12番目のカード。

それは慎重・直観、欲望に負ける事を意味する試練の暗示!

 

「後は、そこのカウボーイだけ・・です?」

 

目を上げて見ると、そこには異様な光景が。

 

さっきから何も言ってないから怪しかったけど、これは・・・。

 

「うぎゃあああ!?!?」

 

叫ぶ、カウボーイことホルホース。

 

「いったい、何が?」

「おい、田舎もん・・・何だアレは?」

「・・!アレはまさか・・」

 

顔に何かが取り付いてるのに、アヴドゥル、ポルナレフも疑問そうだ。

花京院もそうだったが、当りをつけた。

 

透けた物がへばりついてる。

 

「スタンドだ!あのトカゲはスタンド体だ!」

「みるみるとホルホースから、水分を取ってるぞ。

・・・何者だよ?」

 

花京院の言葉にポルナレフが訝しげにその様子を見る。

トカゲのスタンドによって、ホルホースの顔がミイラに近付いていく・・・。

 

「大亜、どういう事だ?」

 

アヴドゥルに追求される。

 

タイミングが良すぎるのに加えて、新たなスタンド使いである。

疑われるのも無理はない。

 

「わ、わからない・・・。

アレは露天商人に、アヴドゥルさんとポルナレフを探す為の情報料金を騙された時、買わされたやつなんだ

(俺にもさっぱり、さっぱりだよ、これが・・・)」

 

訳がわからないと言いたげな素振りをする大樹。

 

てか、あんなの居たのか。

スタンド使いは誰だ、これが?

 

 

『キシャーーー!』

 

 

トカゲは急速的にホルホースから離れると、脱兎のごとく逃げていく。

 

「・・・・・ま、まちやがれ!」

 

 

【バキューン!バキューン!】

 

 

その様子にホルホースが弱りながらも銃のスタンド、エンペラーを構えて撃つが。

速いので誘導弾でも回避されて、射程から脱出された。

 

そのまま、姿が見えなくなる。

 

・・・アレ?

 

「もしかして、このまま行くと俺達の勝ちか?」

「・・!ポルナレフ!近くに両右手の男が居るはずだ!

一緒に探しに行くぞ!!」

「お、え、おう!・・いや、止め刺すの俺だからな!

いいな!俺がシェリーの仇を取らなきゃいけないんだからな!!」

 

俺の呟きに反応した花京院が、直ぐに行動に移る。

ポルナレフが戸惑いながらも、我に返って後を付いて行く。

 

「・・・」

「・・?アヴドゥルさん?」

 

アヴドゥルさんがこちらを複雑そうに見ている。

もしかして、ポルナレフ以上に俺の行いで疑われてるのか?



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43話 実吊り皇女帝

「今のうちだ・・!

(こ・・・こいつはかなわんぜッ!俺ひとりじゃ、完璧不利!

ここは逃げて次の機会を待つぜ!俺は誰かとコンビを組んで初めて実力を発揮するタイプだからな。

相方が戦闘不能じゃあ、コンビの定義が崩れる!

1番よりNO.2!これがホル・ホースの人生哲学。文句あっか!

このチャンスを逃すわけには行かねえ。

J・ガイルの旦那は後で・・・助けられるのか?

だが、こっちも新手のスタンド使いのせいで、脱水症状だ。

しかも、継続して奪われてやがる!

向こうも知らんようだし、どうなってやがるんだ、まったく!

・・喉が乾く・・・・・)」

 

水分が抜けて、ミイラに近付きながらも逃走しようとするホルホース。

 

俺たちの様子から、チャンスだと考えたらしい。

 

「逃すと思っていたのか?」

「・・!うっげぇええええ!?」

「【マジシャンズレッド】!【レッドバインド】!」

 

いつの間にか、背後に回っていたアヴドゥルがホルホースを止める。

状況の悪さと弱まってる事が相俟って、驚愕が止まらないホルホース。

そのまま、発現したマジシャンズレッドによる炎の輪に縛られて、手を使えない形で拘束される。

エンペラー、使用不可能。

 

アブドゥルさんのマジシャンズレッドは本当に自由自在だなぁ、これが。

 

「大亜、君の追求は後にしよう。

君が裏切っているのは、タイミング的にも、今までの行動からも有り得ないからな。

まず、この男から情報を吐かせたいところだが。

このままだと死ぬな・・・」

「くぅ・・(不味いぜ、水分不足で死ぬ!

J・ガイルの事を気にかける余裕どころか俺が危うい!)」

 

アヴドゥルがホルホースを掴み、焦りを抱くホルホース。

実際に詰む一歩手前の状況なので無理もない。

 

 

【ぎにやあああああああ!?!?】

 

 

「・・!(マジかよ、J・ガイルの旦那!?)」

「アヴドゥルさん・・・わかりました。

ポルナレフはやれたようだな、これが」

 

J・ガイルの断末魔にホルホースは絶望した。

詰んでしまったからだ。

大樹はソレを上手くいって安堵した表情で聞き、鍋から手を離す。

 

絶体絶命なホルホース。

 

「ポルナレフが居ないから、代わりに俺が判決をいうぜ、これが。

DIOに関する情報を吐かなきゃあ、死刑!

(嫌いなキャラじゃないけど、こいつの女性の扱いは尊敬できる部分があれば、反吐が出る部分もある。

そして、命を狙ってきた敵だからな・・・。

見逃せないね、これが)

なにっ!?」

「お逃げください!ホルホース様!」

「な!なんだあーッ!この女性はッ!

(ここで来るのが、こいつかッ!)」

「ぬおっ!!しまった!マジシャンズレッドが!?」

 

ステッペンウルフを発現して脅しをかける大樹に、馬に乗った、褐色肌の美しい女性がホルホースを呼びながら、突っ込んできた!

地面の鍋が蹴り飛ばされ、アヴドゥルに直撃、馬がホルホースの傍に立ち止まる。

 

褐色肌の女は馬から飛び降りて、大樹に乗りかかってきた!

動きを封じてくる為にスタンドの発動を解除せざるを得ない。

飛んだ鍋の不意の衝撃でマジシャンズレッドが解除されて、拘束が解けた!

 

ちくしょうめ!この女の情報は俺しか知らないから、疑いが俺にある今、強制的に振りほどくわけにもいかない。

こいつも刺客だってのに・・・。

 

「ホル・ホース様!わたくしには、事情はよくわかりませぬが、あなたの身をいつも案じておりまする。

それがわたくしの生きがい!お逃げください、早く!」

「こ、この、離せ!なに考えてんだ、あんたは!

アヴドゥルさん、ホルホースを逃がしてはッ!」

「駄目だ、もう遅い・・・」

「え?(ま、まさか・・・)」

 

女性の言葉に反論しながら、アヴドゥルに訴える大樹。

だが、アヴドゥルの苦い顔に素で驚く大樹。

 

「よく言ってくれたベイビー!おめーの気持ちありがたく受け取って生きのびるぜ!

逃げるのはおめーを愛してるからだぜベイビー!永遠にな!」

「野郎!逃すと思ってるのかッ!ステッペン・・!?」

「ああ・・・」

 

ホルホースは弱々しくも、馬に跨って意気揚々にクズい、スケコマシ振りを見せながら逃走する。

それを許さないためにステッペンウルフを発現して、追撃に移りたかったが、また女性に邪魔をされた。

その間にホルホースは、もう目の届かない所へ・・・。

 

明らかに、この女は俺のスタンドが機動力に優れてるのに気づいて、無知を装い身を持って封じに掛かってやがる!



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44話 吊られた女帝

「悔しいが、このままジョースターさん達とポルナレフ達に合流するしかない」

「・・くそッ!」

 

アヴドゥルの発言に、大樹は地面に拳を打ち付ける。

解っていても、どうしようのない苛立ち。

ぶつけるしか、払えそうにない。

 

本音を言えば、ホルホースはここで殺すのでなく、捕まえたかった。

襲って来た手前、死刑を言ったが。

アイツの能力はコンビを組まれると、本当に厄介だからだ。

 

加えて、傭われとしての繋がり、裏社会の情報が欲しかった。

何よりもDIOの情報も欲しいので言ったけど、外部の人間に詳しい情報を持たせないし、デーボと同じように情報の取捨選択できそうだから期待できないか。

 

「・・良い加減に離してくれないか?

もう、あいつは行っちゃたよ」

「・・?・・・・・」

 

褐色肌の女性は未だに、俺に抱きついていたので注意すると、疑問そうな顔から訝しげな表情に変わって、俺をマジマジと見てる。

正体が解ってるから手法も解るんだが、恐らく俺にアレを付けようとしたんだろうな。

 

バリアーで弾いてやりましたとも。

 

「仕方無い、アヴドゥルさん。

まず、合流しましょう」

 

憂鬱に大樹は振り向く。

 

女性がこっちを見続けてるが無視する。

関わってる暇はない。

後で、それとなく皆に注意しないとな。

 

「・・・・」

「・・?

アヴドゥルさん、なぜそんなに汗を流し・・!?」

 

アヴドゥルを見た瞬間に、冷や汗が流れる大樹。

 

馬鹿な、なんでコイツが!

 

「まだ、生きていたとでも!?」

 

 

『・・グッフフフ。

ポルナレフに斬られはしたが、お前たちを人質に取り、もうひとりスタンド使いが居る事を仄めかす事で、何とか膠着状態に持っていった。

アヴドゥルは俺を斬った見せしめだ!』

 

 

目の前のアヴドゥルからは、ただ、不自然に背中から血が溢れてる。

近くの、水たまりに体に斬られた痕が嫌でも見える。

ミイラ男がアヴドゥルを掴み、右手の仕込まれた剣で背を刺している!

 

糸の切れた人形のように倒れるアヴドゥル・・・。

 

「・・くッ!

(しまった!

こいつの能力はネタが割れてれば封じれるので、怖くないと考えていた!)」

 

汗を流し、焦りながら距離を確認する大樹。

そのまま、倒れたアヴドゥルに近づき、水たまりに映らないようにしゃがむ。

 

あの女が馬で鍋を弾いたのは、ホルホースを逃す為だけで無く、J・ガイルのスタンドが生きてるのが、どうしてか解ったから、時間稼ぎで逃がしたのか!

自身の能力が、効かなかった場合に備えて・・・。

 

目を女に向けると無表情そうに見えて、こちらを観察している。

恐らく、俺の頭が悪い推理でも、大きくは外れて無いはず。

 

「アヴドゥルさん!しっかりしてください!

アヴ・・!馬鹿な・・・呆気なさすぎる。

こんな、簡単に・・・・・」

 

気絶しているアヴドゥルさんを掴むと生きてるか、確認を行う。

確信した俺は、本来は花京院が行う演技を即興で行った。

 

生きてはいるのが解かるのに涙が溢れる。

ああ・・・俺は、また。

 

「守れなかったって言うのか・・!

承太郎、ジョセフさん!」

「「・・・」」

 

守れずに目の前で傷つく経験を再びする事に涙が止まらない。

 

承太郎とジョセフさんが気づいて、無言で近づく。

 

「いけない!こっちに来ては餌食になる!!」

 

俺がストップを掛ける。

既にここが相手のテリトリーだからだ。



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