異端の武芸者 (零譜)
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始まりの過去
始まり


始めてみました。

教養はないので叩かないでね


すべての始まり

 

街は闇に包まれ、土砂降りの雨の中、佇む少年が居た。

少年は雨の中、動こうとする素振りはなく、ただただ空を見上げていた。

 

遠目から見れば泣いているようにも見える。

いや、もしかすれば、本当に泣いているのかもしれないが、すれ違う人々は少年のただならぬ雰囲気に飲まれ、声をかけようとはせず、遠巻きにすれ違うのみだった。

そんな少年に近づく人が二人いた。

 

「ねぇ、どうしたの?」

 

「…」

 

女性の問いかけに少年は沈黙を返すばかりだ。

 

「おい…」

 

一緒に居る男性が少年に声をかけようとすると女性に止められ、怪訝な表情で女性を見るが女性は少年から目をはなさなかった。

 

「…捨てられたんですよ。」

 

少年は外見と声色に似合わない落ち着いた態度でただただ事実を話した。

男性は眉を一瞬動かしたがすぐに元の不機嫌そうな表情に戻った。

女性は予想していたのか表情が全く動くことはなかった。

やがて少年は語り出す。

 

「別段、珍しい事ではないと思いますよ。

飢餓に見舞われたこの街で生きる残るために負担を減らすことは至極単純な答えだと思います。

事実、街の裏通りには沢山とは言えずともいるわけですから。」

 

少年が述べる事に女性は違和感を感じた。

少年の服は雨に濡れているとはいえ、やけに綺麗な状態なのだ。

とても少年の言う裏通りに居る飢餓に苦しみ、捨てられた彼らと同じには見えないのだ。

街が飢餓に苦しんでいるとはいえ、お金をかければちゃんと買うことはできるのだ。

そして、服を買うことができるほどのお金が有れば、当然食料だって買うことができる。

このことから女性は少年が嘘をついていると考え、言葉にした。

 

「確かにこの街は飢餓に苦しんでるね。

でも…君が家を出た理由はちがうよね?」

 

女性の言葉に少年は少しばかり興味が湧き、このとき初めて二人の方を見た。

 

少年は紅い瞳に黒の綺麗な長い髪を後ろで束ねていた。

子供の幼い顔の中にも精悍さが伺える面立ちだった。

 

女性は20代に見える面立ちながらもどこか無邪気さが伺うことができる。

 

男性は無精髭を生やし、ボサボサの髪の中から鋭い眼光がのぞいている長身の20代後半の男性だった。

 

女性は少年の顔、特に眼を見た瞬間、悲痛な表情をうっすらと浮かべた。

やがて女性は口を開く。

 

「…この子、私が引き取るわ。」

 

女性の発した言葉に少なからず衝撃を受けた男性は眉をひそめた。

 

「止めておいた方が良いと思いますが」

 

女性の言葉に返事を返したのは男性では無く少年だった。

 

「それは貴方に捨てられる理由があるからかしら?」

 

遠慮が一切無いようにも聞こえる女性の問いかけに少年は初めて顔を歪めた。

 

「…僕は化け物なんですよ。」

 

苦しそうな表情を浮かべた少年が絞り出すように言葉を発した。

 

「それはどういう意味で?」

 

純粋なようにも聞こえる問いかけの裏に確信を潜めさせた女性は少年から目を離すことはない。

 

「強すぎる力は意識せずに他を傷つける。

っと言ったことですかね。」

 

その答えを聞き、やはりと思い直す女性は少年を引き取ることを改めて決意した。

…その決意が変な方向にはでてしまうが。

 

「…よし!やっぱり君は私が引き取るわ!異論は認めな~い♪」

 

男性は最近起こることがなかったいつもの病気が始まったかとため息をついた。

 

少年は何を言われたのかよく分からず、疑問を浮かべたまま首を傾げていたが女性が少年の手をとり引っ張って歩き出したあたりで気がついた。

そして慌てて女性の手を離そうと試みるも手が離れることはなかった。

 

そんな女性の手から必死の思いで外そうとしている少年を見かねた男性が引っ張られる少年に声をかける。

 

「…諦めろ。

こいつは自分で決めたことは滅多に曲げることはねぇ。

それにお前以上に力の使い方を知ってる本物の化け物だ。

五年後くらいならまだしも今のお前じゃ無理だ。

諦めて受け入れろ。」

 

男性の諦めにも似た達観した表情に呆気にとられ引っ張られ続ける少年の心はいつの間にか暗闇は晴れ、そして日が顔を出し始めた都市の空のように闇が晴れ始めていた。

 

 



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始まりの続き

引っ張られ続ける少年、引っ張り続ける女性。

その奇妙な光景の中の一人としてみられたくないのか5m程離れて歩く男性。

 

男性の努力むなしく、一つの団体と見える奇妙な光景を運良く見られることは少なかった。

見られたとしてもどう見ても誘拐現場の途中の少年を助けようと動き出そうとする者はおらず、女性のただならぬ雰囲気に飲まれて即座に離れるか目を離すかの二択以外の行動をとることはなかった。

 

「…どこまで行くのですか?」

 

男性から言われても続けていた抵抗をする事を諦めてから15分ほどが経とうとしている頃に黙っていた少年が流石に気になったのかしびれを切らして少年が問いかけた。

 

「ん~?分かんないかな?」

 

「一応、候補は出ていますが認めたくないと言いますか…」

 

言いにくそうな少年は頭の中で可能性を否定したがっている。

それでも少年達は街の中央に向かっている。

そう、街の頂、都市の女王が住む城へと向かっているのだ。

 

「…お前の予想通りだろう。」

 

方向的には横にいる男性が少年の言葉に応える。

流石に不憫に思ったのか男性は女性に話しかけた。

 

「そろそろ離してやったらどうだ。」

 

「ん?あ~…逃げない?」

 

引っ張っていたこと自体、忘れていたような反応を示した後、少年に問いかけた。

少しばかりげんなりした様子で少年は応えた。

 

「…ここまで引きずられて今更どこか行こうなんて思いませんよ。」

 

抵抗も無駄だったし。と心の中で付け足しておいた。

その言葉に満足したのか女性は少年を離 すと喋り出す。

 

「まぁ、離したところでもう着いちゃってるんだけどね。」

 

「随分と長く引きずられたものですね…」

 

やや黄昏た様子の少年を背中を押しながら女性は城の中へと入っていった。

男性はそのまま立っていたが門が閉じきったのを確認した男性は身を翻し家へと帰っていった。

 

「まさか女王陛下だったとは…」

 

「驚いた?」

 

呆気にとられた少年は玉座の前に立ち、先ほどの私服であっただろう服から正装に着替えた女性は玉座に座っていた。

 

「…何故、女王陛下が…」

 

「アルシェイラ」

 

女性が少年の話を遮り、言葉を挟み込んだ。

 

「…は?」

 

不遜だと思われるかもしれないがこの場には2人以外居らず、さらに突拍子もないことを言われたためこのような言葉使いとなった。

 

「だーかーらー、アルシェイラ。

アルシェイラ・アルモニス。私の名前よ。」

 

「…教えられてどうしろと」

 

嫌な汗が少年の頬を伝い落ちる。

 

「もちろん、呼びなさい。

貴方に拒否権は無いわよ?」

 

「不敬罪で処されたりしませんか…?」

 

「呼ばないと処しちゃおうかな?」

 

近いうちに首が飛ぶビジョンが頭の中に鮮明に浮 かぶ少年であったが呼ばないと今とばされてしまうので覚悟を決めて呼ぶことにした。

 

「何故、アルシェイラさんがあんな時間に居たんですか?」

 

少年がその言葉を口にするとニコニコしていた女性…アルシェイラが笑みを深くした。

 

「やっぱり気付いてなかったんだね?」

 

少年は身に覚えのないことを言うアルシェイラに首を傾げるしかない。

 

「…うん。決めた!

貴方、やっぱり私の家族になりなさい。」

 

少年は聞き間違いであってほしいと思うような言葉がアルシェイラから少年へと届いた。

そして相手も同じ、シチュエーションも変わらぬまま本日2回目の言葉を言うことになった。

 

「…は?」

 

確かに引き取るという中の一つの手段としては正しいのだろう。

先程の男性も自分より化け物だといったのだ。

選択としては間違っていないのだろう。

しかし、少年は聞かなければいけなかった。

 

「………ませんか。」

 

俯きながら出された声は双方が思った以上にか細く、アルシェイラに届くことなく消えていった。

 

「ん?」

 

微笑みを浮かべたアルシェイラは少年のところまで行き、包み込むように抱きしめて聞き直した。

 

「…僕を…捨てませんか?」

 

アルシェイラは内心驚き、憤慨してい た。

先程まで気丈に何事もなかったかのように振る舞っていた子が一つの言葉で感情の捌け口を手に入れただけでここまで儚く、今にも消えてしまいそうになるほど弱っていたのかと。

そして、ここまで弱っていた事に気づかなかった自分と少年を捨てた親にどうしようもないほどに腹が立ったのだ。

 

「…捨てないよ。アイツが言ってたでしょ?

私は君以上の化け物だって。」

 

アルシェイラの言葉に少年は泣き、ぐしゃぐしゃになった顔を上げ、アルシェイラを見た。

 

「貴方が望むなら貴方が居た家を潰してあげる。

貴方が望むなら家族だってあげる。

貴方が望むなら彼女にだってなってあげる。

最後のは…無理があるかもしれないけどね?」

 

ウインクを決めて和ませようとするアルシェイラに少年はクスリと笑った。

 

「ふふっ…でも、どうしてそこまで…?」

 

少年に問われたアルシェイラは至ってシンプルに応えた。

 

「家族だから」

 

先ほどまで漂わせていた冗談を全て無くし、真摯に答えるアルシェイラに少年は損得抜きにこの人の剣になろうとこの時決めた。

 

「あ、あと出来れば彼女でお願いします。

好きです。アルシェイラさん」

 

「ふえっ!?」

 

最後にアルシェイラに爆弾を落とされたが



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発展

3年後

 

とても広い空間の中に打撃音が鳴り響き、常人には見ることはおろか、どこで音が発せられているかさえ分からない格闘戦を繰り広げているのは少年から青年に成長を遂げた男の子。

そして相手は3年前から余り変化が見られないアルシェイラだった。

 

「まさか3年で追い付かれるなんてね ~」

 

呑気に呟いてはいるが、今は二人とも本気の打ち合いの最中である。

 

「まだまだ甘いですよ。

俺の目標はアルシェ…シェイラを護れるようになることが最終的な目標なんですから。」

 

今の会話の中で、なぜ彼が呼び方を訂正したのかと言えば無言でアルシェイラの攻撃は続行していたのは変わりなかったが鋭さと殺気が織り交ぜられたからである。

 

「いい加減クロウディアは私の呼び方、慣れたらどうなのかな?」

 

「そう言うシェイラも、俺の二人で決めた名前呼ばないじゃないですか。」

 

「ゴメンね?クロ」

 

この少年、今は青年…クロウディアだが彼は以前の名を捨てた。

理由はひどく簡単だった。

「アルシェイラさんにつけてもらった名前でこれからの人生を生きていきたいんです。」

この台詞を子犬のような瞳で、期待でキラキラ輝いた状態で上目使いをされたアルシェイラはあえなく撃沈した。

1週間丸々、天剣全員を呼びつけ考え抜いた結果、クロウディア・アルモニスいう武芸者が生まれた。

そこから天剣全員に教えを請い、驚くべき才能で自らの中へと昇華していった。

あらゆる意味でオールマイティーになったクロウディアは自分の中で絶対的強者であるアルシェイラに頼み、訓練をしていた。

 

「…いつ見ても凄まじいものだな。」

 

ポツリと呟くように言ったクロウディアをつれてくるときに一緒にいた男性…リンテンスは二人から隠れる様に見ている。(二人とも気付いてはいるが)

余談ではあるが、クロウディアつれてきた時から一緒にいたリンテンスはクロウディアを年の離れた弟のように接していた。

 

「そうですねぇ~」

 

返ってくるはずのない返答の声に嫌々ながらその方向をみる。

そこには銀髪の長身の男性がいた。

 

「何故お前が此処にいる。サヴァリス」

 

ニコニコと後ろにいる銀髪の男、サヴァリス・クォルラフィン・ルッケンスは問いに直ぐには応えず、リンテンスの近く、かつぶつからない場所にて観察を始めた。(何度も言うがこの時点でばれている)

 

「何故って弟の様にかまっているのは貴方だけではないのですよ。リンテンスさん」

 

サヴァリスのその言葉に苦い表情をわずかに浮かべるリンテンスは気にすることを止めたのか、観ることを再開した。

 

「それに陛下が戦われている所などそうそう見られるものではないですからね。」

 

その言葉に少しは同意したリンテンス。

アルシェイラが一人をのぞいて本気を出すなどあり得ないことなのだ。

そしてその日、訓練は日が沈んでも続いたが、流石 に覗いていた二人は途中で帰っていった。

とある晴れた日、コロシアムのような形状の建物の中に人は熱中し、歓声を上げていた。

 

「決まるかな…?」

 

アルシェイラの近くにいるクロウディアがボソッと呟いた。

 

「決まってくれたら嬉しいわね。」

 

アルシェイラはクロウディアの独り言を聞き取り、クロウディアの方向を向き、自らの思いの望みを返した。

今は12人目の天剣授受者を決める試合 の最中だ。

クロウディアと同じ10歳になるかならないかくらいの少年と男性が戦っている。

一見不利に見えるその試合は観客の予想を大きく裏切り、少年の方へと勝利は傾いていた。

 

「まさか俺と同い年の子がね。」

 

そう、クロウディアはどう見ても青年ほどの成長をしているが未だ10歳だ。

武芸者が必ず持つ剄を特殊に使い、身体の成長を促し、アルシェイラと釣り合うような外見までになった。

余談ではあるが自他共に認めるバカップ ルであり、お互いがお互いの為に生きているような状態になっている。

しかし、どちらもいきすぎているため、すれ違い、王宮を壊すほどの大喧嘩になったりと、周りを困らせた。

しかし、最終的にはクロウディアが男を見せ、アル シェイラが感動し仲直りした。

それ以降は喧嘩もなく、二人の仲は深まっていった。

 

「クロだってなろうと思えば今にでもなれるじゃない。」

 

「まあ、天剣授受者になっても天剣が使えないけどね。」

 

「あ、そういえばそうね」

 

クロウディアは武芸者として覚醒した 時、自分の中にある膨大な力を極限まで一点に集めたらどうなるのだろうと思いアルシェイラ監視の元、実行をしてみた。

その結果、武芸者が扱う特殊な武器、錬金鋼(ダイト)の中の今まで発見されているどの種類にも属さない錬金鋼(ダイト)が出来てしまった。

驚くことはこれだけに留まらず、 天剣以外の錬金鋼(ダイト)は、性質上、硬さ、剄の伝導率など、様々な部分で妥協することが必須となるが、クロウディアの作った天剣もどきはその上限がなく、部類としては同じ様な性質を持つ天剣に属されることとなった。

この天剣は「13本目の天剣」と呼ばれるようになったがこれがまた厄介だった。

他の天剣授受者が扱おうとしても弾かれてクロウディアの元へと戻ってくる。

更にクロウディアが練習として扱おうとしていた鋼鉄錬金鋼(アイアンダイト)が破壊された。

意味が分からず今度は黒鋼錬金鋼(クロムダイト)を使ってみたが同じく破壊された。

紅玉錬金鋼(ルビーダイト)青玉錬金鋼(サファイアダイト)、それに続き碧石錬金鋼(エメラルドダイト)軽金錬金鋼(リチウムダイト)白金錬金鋼(プラチナダイト)を使ってみたが結果は同じだった。

躍起になって同じ種類の全ての錬金鋼(ダイト)を試そうと思ったが錬金鋼(ダイト)を調節してくれるダイトメカニックに泣きつかれて諦めた。

天剣ならもしかしたらとアルシェイラに言ってみたが頭を叩かれてこれも諦めた。

以降、クロウディアがこの天剣擬き以外を使おうとした事はなく、天剣授受者になろうともしなかった。

 

「ま、俺はシェイラと一緒に居られればそれで良いし、天剣なんていらないさ。 」

 

試合を見ながら笑顔で言うクロウディアを見た後、アルシェイラは下を向き呟いた。

 

「…そうはさせないんだけどね。」

 

あまりにも小さかったアルシェイラの呟きは突如上がった歓声にかき消された。

玉座の間に居るのはアルシェイラ、クロウディア、そして試合を勝ち抜き、新しく天剣授受者となるレイフォン・アルセイフだ。

 

「お前にはこれから天剣授受者としてこの街のために戦ってもらう。」

 

「はい。」

 

「そしてクロウディア。」

 

厳粛な空気で進められていた天剣の授受はアルシェイラの言葉で違う方向へと向かっていく。

 

「ん?」

 

当然こんな段取りはクロウディアが知るわけもなくクロウディアは疑問で返すこととなった。

 

「お前にはこれから私の婚約者、ひいては夫としてこれからを過ごしてもらう。 」

 

「…は?」

 

突如として始まったアルシェイラの爆弾発言にレイフォンもクロウディアもついて行くことができなかった。

 

「…嫌か?」

 

クロウディアの反応が芳しくなく、不安げに聞いたアルシェイラは断られるのではという恐怖に涙目になり不安で前傾姿勢になった。

アルシェイラは涙目の上目遣いでクロウディアを見た。

 

「…いや、このタイミングで言われる かと驚いていただけだよ。

勿論、受けさせていただくよ。

シェイラ。」

 

漸く話に着いてくることができたレイ フォンはクロウディアのその言葉を聞いたときに拍手をしていた。

 

「まあ、取り敢えずレイフォンの天剣授受者の式典を締めくくろうか。」

 

「あ、はい。」

 

パチパチとレイフォンの拍手が聞こえて、さっきまで堂々としていたが急に恥ずかしくなったアルシェイラは顔を真っ赤に染め、下を向いていた。

クロウディアは段取りを頭に入れていたためレイフォンをテラスに行かせ、天剣の勇姿を民衆へと見させるよう指示をした。

 

「シェイラ。」

 

クロウディアの呼びかけにビクッと肩を震わせたアルシェイラはおずおずと顔を上げた。

真っ赤な顔で。

あまりの可愛さにクロウディアは抱きつきそうになったが何とか押さえ込み、アルシェイラへと話しかけた。

 

「シェイラ。

君には先を越されっぱなしだ。

俺が言おうと思っていた告白も君に言われてしまった。

せめてと思っていたプロポーズさえもとられてしまった。

だから、アルシェイラ。

今更と思うかもしれない。

それでも俺はきちんと君に言いたい。

だから聞いてくれ。」

 

其処までクロウディアは一気に言い、アルシェイラへと問いかけるような眼差しで見た。

アルシェイラはその言葉を受け取り、既に眼から涙がこぼれそうなくらいにいっぱいに溜め、嬉しさのあまり真っ赤になった顔で頷いた。

 

「アルシェイラ・アルモニスさん。

僕が18歳になったとき。

結婚をしていただけませんか?」

 

「…はい。」

 

ポロポロとアルシェイラは頬を涙で濡らしながらアルシェイラはこれまでの中で一番の笑顔でクロウディアに答えた。

 

 



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五年後

 

今、クロウディアの目の前では戦いが繰り広げられている。

天剣授受者レイフォンと挑戦者ガハルドだ。

天剣授受者になった者はその瞬間、責任と義務が与えられる。

最強であり続ける責任、自立型移動都市(レギオス)を襲う汚染獣を撃退する義務、そして挑戦者が出てきたときに()()()をする義務だ。

言わずとも天剣授受者はクロウディアの居る自立型移動都市(レギオス)グレンダンの武芸者の中でも最高位を表す言葉だ。

汚染獣が襲ってきたら武芸者であるならば農家が食料を作るように、武芸者と名乗るのならば自分達の住む自立型移動都市(レギオス)を襲う汚染獣を撃退しなければならない。

汚染獣という化け物と対等に、いや、凌駕するほどの力の持ち主(化け物)が人間と戦うのに手加減をしなければ周りの人間に恐れられ、排除されてしまう。

天剣授受者は普通の武芸者、ひいては一般人に紛れ、化け物と気付かれてはいけない。

これが()()()の常識だった。

クロウディアはこれを堂々と破った。

そもそも、クロウディアの容姿はどう見ても15歳の容姿ではない。

幼い頃の容姿も街の者は全員 知っている。

しかし、2年後、公の場に出てきたクロウディアの容姿は成長期では説明が付かないほどに成長していた。

クロウディアはそのことを問われると隠すどころか堂々としながらも、照れながら「一刻も早くアルシェイラに釣り合うよう男にになりたかったもので…ズルしちゃいました。」と言った。

以前から街に出て民と遊び、これまで前例にない程の信頼を街全体で勝ち取っているクロウディアはこの事で一時恐れられそうになった。

だが、照れながら嬉しそうに話すクロウディアに自分達が信じたクロウディアのまま、なにも変わってなどいないのだということを理解した。

さらにクロウディアが強引に引き連れた天剣授受者が揃い踏みでクレープを食べる光景など微笑ましい光景が繰り広げられたため恐怖心など微塵にも出ていなかった。

 

この出来事により、天剣授受者ほどの武芸者は化け物じみた、しかし自分たちと同じ()()のような人間という認識になった。

 

 

挑戦者ガハルドがレイフォンを脅迫し天剣授受者を辞めさせようとしている。

 

 

天剣授受者の中で唯一の念威繰者であるデルボネ・キュアンティス・ミューラからアルシェイラ、天剣授受者、そしてクロウディアに伝えられたのはこの戦いが始まる前日である。

この晩、全員が集まり、どのように始末するかを考えていた。

夜が明け、やけに思い詰めた顔をするレイフォンをクロウディアが後ろから抱え込み拉致し、全員がいる状態でレイフォンに作戦を話した。

とは言ってもレイフォンがやることは合図があるまでガハルドは倒さず、戦いを引き延ばすこと。

合図があれば、殺さず、肉体的に損傷を与えず気絶させる。

これだけだった。

レイフォンの一番の友と言えるほどの仲のクロウディアに諭され、納得はせずとも実行には移した。

その間、クロウディアは何をしていた か。

これまでの出来事や、民に心配されるほどに身を削りながら頑張っている姿がを見て、皆に絶大な信頼を得ているクロウディアがレイフォンの事情を話し、今の境遇を要所要所で話してまわった。

本来であれば蔑まれ、疎まれるはずの内容であるにも関わらず街の民は一切その気配がない。

それどころか一般的に言えばやり方は汚くとも正しいことをしているガハルドに怒りさえ覚えている。

近くにいた20人程になるべく多くに人に伝えてほしいとクロウディアが頼むと民達の行動は早く、20人が40人、40人が80人と尋常ではない早さで広まっていた。

クロウディアは自分達のことに民が一丸となって協力してくれているその事実に感極まって泣きそうになり顔を伏せていたが、近くにいた民がクロウディアに試合中のレイフォンの所 へ行ってやれと後押しされ、顔を上げると周りの全員が口々に同じ事を言い、中には背中をたたいたり頭をなでたりされながら励まされたため、この 場を全員に任せ、走っていった。

その後、多くの人が住んでいる自立型移動都市(レギオス)、槍殻都市グレンダンの全域に広まるのに、そう時間はかからなかった。

 

クロウディアは闘技場へと戻ってきたとき、真っ先にレイフォンに合図を送った。

その合図を受け取ったレイフォンは先ほどからの戦いの流れを組み、自然な流れでガハルドを気絶させた。

 

レイフォンはクロウディアに連れられ、ガハルドが眠る医務室へと向かっていた。

 

「あの、クロウディア様」

 

着いてきているレイフォンが聞きたくて仕方ないといった感じで声をかけた。

 

「何をしたか。かな?」

 

質問を投げかける前に答えられ、レイフォンは少し驚いたが肯定の意味で沈黙を返した。

 

「悪いとは思ったが君の過去、今の境遇を民に話した。

これくらいしか君を助ける方法が幼い私には見つからなかったからだ。」

 

その言葉を聞いたとき、レイフォンは驚きはしたが心の中で「やっぱり…」とも思っていた。

クロウディアは守ると決めた者は本人の了承をなく動く。

それが結果的に本人の秘密をバラそうとも必死に考えて最終手段としてやるため、やられた方も怒るに怒れないのだ。

まして、天剣授受者はクロウディアの性格、人柄を理解しているため、最初から怒る気も起きないのだ。

 

暫く、クロウディアはレイフォンに雑談するように闘技場に居なかったとき何をやっていたかを医務室へ向かう道中、話していた。

そして医務室の中へと入り、ガハルドの眠るベッドに着いた。

 

「結果としては…おっと、起きるな。」

 

クロウディアが起床時の僅かな剄の乱れに反応し、話をやめた。

 

「う…こ、こは…」

 

ややかすれた声色で話すガハルドにクロウディアは言葉を返す。

 

「医務室だ。」

 

「!…クロウディア閣下…」

 

「俺だけではないよ。」

 

クロウディアがそう言うとガハルドは視線をさまよわせ、レイフォンを見つけた。

 

「ヴォルフシュテイン…!」

 

苦々しく呟くガハルドにレイフォンは答えず、ただただ沈黙を返した。

 

「さて、君がレイフォンを脅迫しようとしたことは此方も知っている。

そして、君が此処から出るときにはも う、君の作戦も意味を成していないだろう。

危険度はかなり低いとは言え天剣授受者を脅迫したんだ、覚悟の上と、俺は理解しているが… 相違はないかな?

ガハルド・バレーン」

 

問いかけるクロウディアの言葉にガハルドは一度頷くことで肯定をした。

 

「いいだろう。

では、都市外追放を命じる。

これは民達の総意でもある。

都市を守る12の剣を実力も無しに脅か した罪はお前が考えるよりも重く、民の心 に写っている。

一ヶ月の猶予を与える。

それまでに荷物を纏め、出ていくといい。

以上だ。」

 

クロウディアは言い終わるとレイフォンを残し、出ていった。

レイフォンは言葉は発することなく、お辞儀をして出ていった。

一人になったガハルドは後悔したような表情ではなく、晴れ晴れとした表情をしていた。

 

 

「とは言ってもレイフォンが騙されやすいって言うのは事実だな。」

 

顎に手を当てながら歩くクロウディアの後ろをレイフォンが着いてきている。

剄で成長を促しているクロウディアの後ろを歩くレイフォンは兄弟のように見える光景だった。

 

「はぁ…そうですか?」

 

首を傾げ心底疑問に思ったような表情で聞き返すレイフォンにいきなりクロウディアは振り返る。

 

「そうだ!レイフォン。

学園に行こうか!」

 

またもやいきなり言い放つクロウディアに対してレイフォンは沈黙を返すしかなかった。

城の中を歩きアルシェイラに事情をクロウディアは話した。

 

「ん~、クロも行くの?」

 

恒例となっている上目遣いでクロウディアを見るアルシェイラは不安そうに言う。

 

「できれば俺も行きたいと思ってる。

シェイラの隣に立つためには普通の人たちがするような経験が足らないと思うんだ。」

 

真摯なクロウディアの眼差しにアルシェイラは即座に頷きそうになっていたが踏みとどまり条件を提示した。

 

「条件があるわ。

グレンダンの王としていくこと。

帰ってきたらすぐに結婚すること。

定期的に私達の共有している精神世界に入ること。」

 

「それだけか?」

 

思った以上にあっさりとした条件のた め、クロウディアは拍子抜けしたように聞いた。

 

「うん。

あんまり束縛しすぎても私が嫌だしね。 」

 

「分かった。

必ず守るよ。」

 

こうしてクロウディア、レイフォン両名は、レイフォンの懐事情の関係上で奨学金が必須だったため、何とか奨学金制度の試験にて合格することのできた学園都市ツェルニへと向かうことになった。

 

「何でなんだ…」

 

「すいません…」

 

クロウディアの不満を残して…




結構書き直したりしてました。
どのくらいかなーって文字数見たら3500でした。

ちょっとショックです。
やだ…私の文字…少なすぎ…?
やっぱり携帯上げって疲労量に対して文字が追いつかない…!

そんな第4?話でした(*・ω・)ノ
次から本編のツェルニ編です。

おわかりかと思いますが、ガハルドさん生存につき、ゴルネオさんぷんぷんルート無しです。

シャンテをこのままゴルネオにベッタリか悩み中

では、近いうちにまた上げます。
次がストック最後だった気がします。
少ないって思うかもしれませんが、pixiv重くってやる気起きなかったんです。

こっちで頑張ります


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学園都市ツェルニ

若干、グロいかな…?

自分の中では普通なんだけどね

見るとき気をつけて


自立型移動都市(レギオス)

それは、この荒廃した世界で唯一と言える人間の住める場所である。

荒廃した世界は大気中に汚染物質が空気中を常時、舞い続ける世界で、人間は防護スーツを着なければ外に出られない。

都市の外に生身で出れば、普通の者なら5分と保たず体を焼くような痛みが襲い、やがては死に至る事になるからだ。

自立型移動都市(レギオス)は上から見れば丸の形をしており、それを覆うように半球型に薄い膜のような物がある。

この膜が外の汚染物質を排除し、空気を中に入れる事を可能にしており、それこそ自立型移動都市(レギオス)に人間が住める要因だ。

自立型移動都市(レギオス)はその名の通り移動を繰り返す。

丸型の都市を支えるように地面に建っている何本もの足は固定するためではなく移動するためだ。

移動を繰り返し、ある時期になると都市同士が近づき、所謂(いわゆる)、《戦争》が始まる。

多くの人が住むこの都市も何も動力が要らないわけではない。

都市の移動にはセルニウムという金属が必須となり、純度の高いセルニウムが埋まっている鉱山の保有権を奪い合う為の戦争だ。

 

クロウディアとレイフォンが向かうのは学園都市ツェルニ。

クロウディア達が入学してきた年のセルニウム鉱山保有数は1つを残すのみだ。

なぜこんな危うい都市に来たかと言えば理由は至極簡単だ。

 

レイフォンが合格できなかった。

 

理由はこれだけだ。

そして今、クロウディア達は都市間を移動するためには欠くことの出来ない乗り物、放浪バスに乗り、ツェルニへと向かっていた。

 

「何で合格できないかねぇ…」

 

呆れ顔のクロウディアの目線は変わらず外を向いているが、レイフォンに聞こえるように呟かれていた。

 

「うっ…すいません…殿下…」

 

明らかに落ち込んでいるオーラを放ち、 小さくなっているレイフォンに周りの乗客、というよりも放浪バスの乗客全員が(もうやめてあげて!!)と思っていたがクロウディアの異様な雰囲気に当てられ、何もすることができなかった。

それもそのはず、クロウディアはアルシェイラに分からぬよう、落ち込んでいたのだ。

クロウディアの計画ではグレンダンの中にある学校に通い、アルシェイラと離れるつもりは毛頭なかったのだ。

それをまさかのレイフォンの学力の問題により都市外の学園都市に行かざるを得ない状況になったのだ。

それによりクロウディアはアルシェイラの近くに居られなくなったため、アルシェイラの前ではなくなったこの放浪バスの中で、レイフォンでも分かるくらい落ち込んだ。

 

「まさかここまでバカだったとはな…」

 

「すいません…」

 

「まぁ…今更嘆いても結果は変わらんか…」

 

「はい…」

 

さらに小さくなったレイフォンを乗客は見守っていたがやがて意識をそらし、眠ることにした。

 

「仕様がないな!

こうなったら学園都市を満喫することにするか!

レイフォンも落ち込むのやめて友達作ること考えな。」

 

「はい…!頑張ります!」

 

落ち込んでいた子犬のような表情をしていたレイフォンは、クロウディアの言葉で元気を取り戻し、キラキラしていた。

 

その後はクロウディアは周りを警戒したり本を読んだりし、レイフォンは一生懸命勉強をしていた。

よっぽど分からない内容はクロウディアに教えてもらって時間を過ごした。

 

「……っ!」

 

静かに本を読んでいたクロウディアは突然顔を上げ、窓から外を見た。

レイフォンは勉強に疲れ、ぐったりとした姿勢で深い眠りについていた。

 

(汚染獣…この気配は…遠ざかっているのか…)

 

クロウディアは類い希なる戦闘スキルにより、並みの念威繰者よりも早く気配を察知し、未来予知にも似た危険予測をするようになった。

それでもデルボネより劣っていることを悔しく思っており、日々、気配の探知を心がけている。

その危険予測に引っかかった汚染獣は、放浪バスにとっては幸いと言うべきか、放浪バスとは反対方向に進んでおり、やがてクロウディアの察知圏内からはいなくなった。

 

(良かった。

さすがに負けはしないがグレンダンの紋章の入った都市外戦装備は気軽には使えないからな…)

 

クロウディアは、汚染獣の気配はないまま、目視で学園都市ツェルニが見える位置にまで近付いてきたのでレイフォンを起こそうとしたが改め、少しでも長く休ませるため、着いてから起こすことにした。

 

寝過ぎて汚染獣が来たことにも気付かなかったレイフォンは、ずっと起きていたクロウディアと交代する約束を破ってしまったため、ツェルニに降りた瞬間土下座して謝り、クロウディアはそれに困るという構図ができあがったが。

 

 

場所は変わって学園都市ツェルニ。

入学式のある講堂へと足を進める二人、クロウディアは武芸科の制服を、レイフォンは余りに一般教養がなくクロウディアがキレたため普通科の制服を着ている。

 

「ん~っ!はぁ~…」

 

長い間座り続け、凝り固まって筋肉を腕を広げ伸びをするクロウディアにレイフォンは苦笑をしてみている。

 

「よし! んじゃ、行くとするか!」

 

「はい。」

 

クロウディアの言葉にレイフォンは頷き答え返し。

二人は周りにいる新入生の波に逆らわず歩いていった。

 

入学式の行われる講堂の前まで行くと何やら人混みが出来ており、クロウディアとレイフォンは二人して顔を見合わせ人混みを…スルーした。

二人の思考はいたって平和思考であり、 何か出し物をしているのではと思いスルーをしたのだ。

そして通り過ぎようとした瞬間、クロウ ディアの耳には確かに聞こえた。

 

復元(レストレーション)

 

明らかに出し物としてはそぐわない言葉が聞こえた。

レイフォンは考え事をしていたようで聞こえていなかったらしく、止まったクロウディアを頭をひねって見ていた。

クロウディアはそんなレイフォンには気付かず、ただ人混みの中を見据えていた。

やがて人混みの中の声が大きくなってきた。

それと同時にクロウディアの雰囲気も悪くなっていく。

そんなクロウディアの雰囲気にレイフォンは青くなっていく。

そして人混みをかき分けるように念威端子が飛んできて声を届けたのがクロウディアの引き金となった。

 

「危ない…!」

 

ドンッ!という音とともに残されたクロウディアのカバンは宙を舞いレイフォンがキャッチをして人混みの中へとクロウディアを追いかけた。

中を見たレイフォンが見た光景は倒れた女の子を助けた状態で俯いたまま止まっているクロウディアだった。

 

 

 

――数分前――人混みの中――

 

学園都市ツェルニに入学する生徒、その多くが講堂に行く際、喧噪に包まれた場所で足を止めていた。

武芸者の卵を育てる科、武芸科の新入生二名が喧嘩をしていた。

理由は些細なことでしかなかったが、お互いが武芸者、そして頭に血が上りやすいことが失敗だったのだろう。

あっと言う間に言い合いでしかなかった事が小競り合いまで発展した。

事は一般人からすれば最悪の事態へと転がる。

 

復元(レストレーション)

 

双方が錬金鋼(ダイト)を取り出し、設定した武器の状態に戻す為の言葉、復元言語を発した。

そのことがきっかけで動揺した野次馬の新入生は動揺し少しでも下がろうとした。

その余波を受け、長髪の女性が押し出され、その女性は喧嘩をしている二人に近づいてしまった。

二人はその事に気付かず喧嘩を続けていた。

女性は逃げようと講堂に入るための扉とは別の扉へと走ったが焦りすぎたため、足がもつれ、転倒してしまった。

そして、女性の上にある天井を支える支柱に片方の攻撃が当たり、周りに緊張が走り、悲鳴が上がった。

その事で喧嘩をしていた二人もようやく気付いたが二人とも咄嗟のことに体が緊張状態に陥り動くことができなかった。

 

瓦礫に潰れてしまう…!

 

その場の全員がそう思い、瓦礫と化した天井が女性に落ちた。

いや、そう()()()()()出来なかった。

土煙が上がり、その中心は見ることができない。

いや、見たくもないだろう。

その場の全員が女子生徒が瓦礫に潰され、下には赤い血が広がっていることを想像し青くなるか、茫然として誰一人として動こうともしていなかった。

 

「何の騒ぎだ!」

 

その場に漂う静寂を破ったのは金髪の女性だ。

だからこそ変化に気が付くことが出来なかった。

金髪の女性生徒が声を荒げながら近寄ってくる前から土煙を渦状に巻き始めていた事に。

ようやく気が付いた突然の事態に、一帯が騒然となり慌ただしくなるが突如、渦を巻いていた土煙がほどけ、強風となって辺りを襲った。

皆が一度目をつぶり、風が止み、目を開けると全員の予想が裏切られる光景が広がっていた。

瓦礫は中心を残した周りへと追いやられ、その中心には被害をかぶることになった女性を、黒髪の長髪の男性、クロウディアが女性は抱えるように座り、喧嘩をしていた二人には見向きもせず俯いていた。

 

「殿下!」

 

俯いているクロウディアにレイフォンは近寄っていった。

 

「レイフォン…俺の思いは…願いは…おかしいのか…間違っているのか…?」

 

俯きながら縋るかのように吐き出される言葉にレイフォンは胸に確かな痛みを覚えた。

 

「そんなことはありません。殿下。

殿下の思いはグレンダン全員の思いです。」

 

精一杯、気遣われたクロウディアの雰囲気は少し柔らかくなるのを感じた。

レイフォンにクロウディアは女の子を少しばかり傾きを直し、レイフォンへと渡そうとする仕草をした。

レイフォンはそれを正しく理解し、レイフォンとクロウディアの鞄を置き、女の子を預かった。

クロウディアはその事を確認すると静かに立ち上がった。

少し前に出たクロウディアは二人を見据えて悲しそうな表情を浮かべる前に再び顔を下げた。

 

「君ら二人に問う。」

 

顔を上げたクロウディアの目は喧嘩をしていた二人を見ていた…ように見えた。

しかし、クロウディアには幼き頃の自分、そして両親へと向けられていた。

 

「武芸者の役割は何だ。」

 

「え…と、自分を強くすること…?」

 

「…武芸者のあるべき姿は何だ。」

 

「……強くあることじゃないのか?」

 

答えが返ってくるごとに不正解だと言わんばかりのクロウディアのプレッシャーに戦々恐々としながらも答えていく二 人。

何度かこの問答を続け、クロウディアは最後に聞いた。

 

「 武芸者とは何だ。 」

 

その言葉にクロウディアは今までの人生のすべてを乗せた重みがあった。

レイフォンは小さくではあるが確かに違った重さに気付いた。

いや、気付いてしまった。

答えを間違えれば殺されると思ってしまうほどの重さにレイフォンは息をする事さえ忘れてしまう。

しかし、二人は気付けなかった。

 

「…人間の中でも選ばれた人間。」

 

その言葉は禁句だった。

間違いどころではない、最早爆弾に火をつけたようなものだ。

クロウディアから一切の感情が消えた。

 

ただ一つ、憤怒を残して。

 

周りにいる武芸科の制服を着ている新入生も同じ意識なのか誇らしげだ。

それがさらにクロウディアの神経を逆撫でした。

 

「…おめでたい連中だな。」

 

ボソッと放たれた言葉は一番近いレイフォンと女の子、そして喧嘩をしていた二人にのみ届いた。

俯いていたクロウディアはそのまま話をする。

 

「武芸者とはその都市の民間人を守るための存在だ…

武芸者とは他の模範となるべきものだ…

武芸者とは汚染獣と戦うための人間に与えられた武器だ…!

武芸者とは己を律し、民間人に混ざり生きていくものだ…!!

武芸者とは常に己を高める努力を止めぬものだ!

武芸者とは一般人からすれば恐怖の対象になり得るものだ!!

武芸者とは…戦うことを強制的に義務づけられた『モノ』だ!!!」

 

静かな言葉を発していたクロウディアは最後には吐き捨てるように言った。

 

「それを選ばれた人間…?

反吐が出るほど甘い台詞だな。

そういう馬鹿げた事を言うやつほど汚染獣戦になると恐怖で体が動かず食われて死んでいく。

だからさ…」

 

俯いていた顔を上げ、クロウディアは二人を見据える。

 

「お前たち未熟な武芸者に、誇りあるグレンダンの武芸者として、守るべき存在を蔑ろにしたお前等には償って貰うぞ。」

 

内力系活剄(ないりきけいかっけい)の変化 旋剄(せんけい)

武芸者の中にある剄を使い、行われる剄技の中でも自身の体に作用する内力系活剄、その中でも多く使われる旋剄は脚力に作用し、大幅な速度の上昇を見せる。

使い手次第でこの速度はどこまでも上げ られる。

クロウディアは二人に旋剄で近付いた。

同じ武芸者である二人にさえ、見る間もなく、いつの間にか消え、現れて数秒経ってからようやく気づくことができた。

 

「安心すると良い。

剄技はこれしか使わない。

お前等程度に攻撃するのに剄は要らない。」

 

そう言うとクロウディアは二人へと攻撃を開始した。

言葉をようやく理解した二人は動き始めることはできた。

しかし、次の瞬間、二人の内の片方の姿が消え、ドゴッ!という音が後ろから聞こえた。

残った方が後ろを見ると消えた男は木に張り付けられていた。

クロウディアが男の顔を掴み、木に押しつけたのだ。

そしてクロウディアの姿がまた唐突に消えると木に押しつけられていた男を見ていた男の風景がいきなり変わった。

自分も投げられたと気づいたのはクロウディアが手を離したことにより木から落ち始めた男にぶつかる寸前だった。

 

「つくづく甘い。」

 

崩れ落ちた二人を醒めた目で見ていたクロウディアは呟くとレイフォンのいる方へ歩き出した。

 

後にこの事件がツェルニ中に広がり、クロウディアが何故か憧れられ、都市のほぼ全員から閣下と呼ばれ、不機嫌になるのにそう時間はかからなかった。




そして知らぬ間にUAが1400くらいでした。

こんなつまんないの見てて楽しいかね?

お気に入りが40近くだったよ。

一個評価が9が付いてたよ。

ええ、気が付かなかったよ。

と言うか4話投稿した時間にアクセス200て…

ありがとうございます。

頑張って書きます


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第十七小隊へ

遅くなりました。
多分、待ってねーよ的な言葉がくるだろうと思う今日この頃

察して欲しい、宅配は疲れが大きいんだという事を…
そんな中書いた一本


学園都市ツェルニ。

現在のセルニウム鉱山の保有数、1ヶ所。

現在の生徒会長、カリアン・ロス。

 

学園都市にはグレンダンのように都市の長が居ない。

そのため代わりを務めているのが学園都市としての長、生徒会長だ。

なぜこんな説明をしているかと言われればクロウディアとレイフォンがその生徒会長の部屋の中に居るからだ。

因みに騒ぎの責任をとらされると思っているレイフォンの顔は青い。

 

「まずは、挨拶をしよう。

私は、学園都市ツェルニの生徒会長、カリアン・ロスだ。

よろしく頼むよ。」

 

レイフォンの顔を青くしている本人は嫌みとばかりにレイフォンに向かって生徒会長を押してくる。

そしてそんな生徒会長の周りには生徒会のメンバーと思われる人が居た。

 

「あ…槍殼都市グレンダン出身のレイフォン・アルセイフです。」

 

「なるほど、グレンダン出身か、武芸の本場だね。

彼が強かったのもそこが大きいのかな?」

 

にこやかに話すカリアンにレイフォンはまだびくびくしながら話していた。

そんな話の中心でもあるクロウディアはというと…

 

「…zzzZZZ」

 

とても健やかに寝ていた。

アルシェイラが居たら写真を撮りまくるであろう寝顔を男二人にさらしていた。

かたやびくびく、かたやスヤスヤというカオスな場所にノックと共に来訪者が現れた。

 

「失礼します。」

 

それはクロウディアによる制裁をしていたとき駆けつけた金髪の女性だ。

彼女は生徒会長の前で寝るクロウディアを見つけると理解できないかのように固まった。

 

「それで?

用件は何かな?

ニーナ・アントーク君?」

 

生徒会長、カリアンは実に(レイフォンにとって)いやな笑みをニヤニヤ浮かべながら金髪の女性、ニーナ・アントークへと聞いた。

 

「…っは!

用件というのはこの…えと、こいつ名前なんだ。」

 

カリアンの言葉に固まった状態から戻ったニーナはクロウディアを指差し、レイフォンへと小声で聞いた。

 

「クロウディアです。

クロウディア・アルモニス。」

 

「クロウディアを…クロウディアをウチにください!」

 

「…は?」

 

ニーナの言葉に固まったレイフォンは慌ててニーナへと詰め寄る。

 

「ちょ…ちょっと待ってください!

どう言うことですか!」

 

レイフォンの疑問にはニーナではなくカリアンが答えた。

 

「レイフォン君は都市間戦争を知っているかな?」

 

「それは、もちろん。

どの都市に住んでいても逃れることは出来ない宿命ですから。」

 

「ではこの都市が…」

 

レイフォンが答えたことに満足したかのように頷き、次の質問を問いかけようとしたとき、声がその流れを断った。

 

「この学園都市ツェルニのセルニウム鉱山の保有数は未来には絶望的な1つのみ。

過去の戦争には一切勝てず、今年も負け、都市として終わるのではないかという噂も飛び交っている。

以前の戦争で屈辱を味わった一人の女性が都市と戦うため、汚染獣と闘うために存在する小隊を十六までしかなかったものを十七へと増やした。

先程の()の格闘戦の実力から戦争でも通用する実力なのではないかと思った。

そのため、生徒会長室まで赴き、直談判をしに来ている。

違うか?

第十七小隊 隊長 ニーナ・アントーク先輩」

 

「起きていたんですか?殿下」

 

カリアンの話を遮り現状、そして憶測を織り交ぜた話を終えた後、ニーナの方を向いたが、レイフォンに問いかけられたため、クロウディアはレイフォンの方を向いた。

 

「あぁ、ああも五月蠅くされては眠れるものも眠れん。

無理やり起こされたようなものだ。」

 

呑気に話している二人とは別に、カリアンとニーナは絶句していた。

カリアンは寝ていると思っていたクロウディアが、一目おいている武芸者であり、気配を読むことに長けているレイフォンとニーナに一切悟らせることなく起きていたことに。

ニーナは此処に来た経緯と自分の過去を知らないはずのクロウディアの口からでたことに。

二人はそれぞれの理由を持って絶句していた。

 

「その反応は肯定ととるぞ、ニーナ先輩。

その件を含めて話すとしよう。

結果から言って、俺が小隊に属することはあり得ない。」

 

「なっ…!」

 

「まぁ待て、これから訳を説明をする。」

 

クロウディアのあんまりな言い方にニーナは口を挟みそうになるがクロウディアに止められた。

 

「第一としてメリットがない。

これはどうあがいても君ら学生()()では俺には何ももたらされないことを意味する。

第二に目的がない。

そもそも俺がここに入学してきた理由は、レイフォンの付き添いとしてきているだけだ。

目的なぞこの学園で出来うることはない。

第三に…これが問題だな。

そもそも俺が小隊に入っては全武芸者が鍛錬している意味を無くすことになりかねん。」

 

途中、ニーナが何度も口を挟もうとするも、クロウディアが制するように続きを話したため途切れることはなかった。

しかし、終わったことにより一気に吹き出した。

 

「ちょっと待て!!

学生程度とは何だ!

目的が無い!?

意味を無くす!?

ふざけているのか!

お前程度の武芸者に…!」

 

ニーナはその続きを言えなかった。

いや、言えなくされた。

ただ一つの間違い。

あの程度の喧嘩で出したクロウディアの力を、ニーナが実力の全てと勘違いしたがためにでた言葉が、レイフォンの堪忍袋の緒を切ったためにレイフォンから発せられる威圧感(プレッシャー)に喋ることも出来なくなったのだ。

この威圧感(プレッシャー)を当てられているニーナは勿論、一般人であるカリアンにも届き、誰一人として言葉を発することが出来なかった。

 

「レイフォン」

 

ただ一人、レイフォンの親友であり、剣の所持者でもあるクロウディアを除いては。

クロウディアが声をかけたことにより、レイフォンの威圧感(プレッシャー)は微塵も残さず霧散した。

 

「なに、レイフォンの威圧感(プレッシャー)に当てられるのは悪いことではないんだよ。

一般人にも分かるようなレベルで出したんだ。

当てられなければおかしい。

さて、先輩の顔を立てて説明をするとしよう。

まず、学生程度と言ったことだがこれはそのままの意味だ。

この都市の中で、汚染獣と戦闘した経験のある奴は何人いる?

この都市の中に、普通の都市の戦争を体験した者は何人いる?

その経験がない時点で教わることなどありはしない。

経験があったとしても10歳にも満たない状態から汚染獣を殺し続けている俺が、そんな奴らに劣るわけがない。

二つ目、目的がない。

正確に言えばあることはある。

自分の力を高めることだ。

だが、自分の実力より下にかけ離れた奴を相手に強くなれるか?

そういう意味だ。

三つ目、戦争を()()で終わらせる事の出来る実力者が居たら人間はどうなると思う?

怠惰に走るんだよ。

「あいつが居るから真剣にやらなくても勝てる。」

本人が意識せずとも、心の中で無意識に思うんだよ。

そしてそれが当たり前になる。

それが大人であったのなら更に切磋琢磨しあうのだが、学生ではいけない。

楽を憶えるとずっと甘えてしまう。

そして、俺たちが卒業と同時に負け続け、結局破滅だ。

それでは入る意味が意味がないんだよ。

…此処で一つ話をしようか。

レイフォンを君らの小隊とやらに入れよう。

レイフォンは個人技ならば一級品の腕前だ。

だが、逆に団体になるとどうも相手に実力の足並みを揃えることに気を取られすぎるきらいがある。

俺はそこを治して欲しいと思っている。

そして、君らは戦力が欲しいと思っている。

利害関係が結べると思えないかい?」

 

「なっ…!!そんなことが通ると思って…!」

 

「分かっていないようだね。

これは提案なんて温いもんじゃない。

決定事項なんだよ。

ニーナ()()

 

クロウディアの言葉に反応するのはニーナばかりで、嫌悪の念を抱いたであろうレイフォンも反応を示すと思われた。

しかし、実際にはレイフォンは何の反応も見せず、ただクロウディアの言葉を聞いていた。

そんな態度にカリアンは疑問に思い、聞いた。

 

「レイフォン君、君は…異論はないのかい?」

 

「ありますが?」

 

間髪入れずに返ってきた答えにカリアンは驚いた。

そこまで嫌なのに一切の感情を見せない事に対して。

 

「嫌であろうとも、異論があろうとも、殿下の決定されたことです。

その事に対して僕ら()は必ず従います。」

 

従順。

 

ただその言葉だけが今のレイフォンに合う言葉だった。

あまりのやりとりにニーナは絶句していた。

そしてその光景に、カリアンは言わなくて良い言葉を言ってしまう。

 

「流石はグレンダンの王と天剣授受者と言うことか…」

 

その言葉を聞き取れたのは武芸者だけだった。

それでも十分すぎる範囲だった。

二人の武芸者(化け物)に言って良い言葉、発して良い言葉ではなかったのだ。

 

「貴様、どこで知った。」

 

レイフォンは威圧感(プレッシャー)が発せられている。

対してクロウディアはいつも通りだ。

そう、いつも通りのクロウディアがただ一つ、2mを越えるであろう大鎌を持っていたことを除けば、いつも通りだった。

そのことが不気味さを醸し出していた。

クロウディアの大鎌は後ろからカリアンの首をはね飛ばす寸前で止められ、レイフォンの刀は大鎌の隙間を埋めるようにカリアンの首を囲っていた。

此処までの過程を行った本人達以外が、自身の一生を全てを武芸に支払ったとしても、その目で捕らえることは出来なかっただろう。

 

「俺がグレンダンの王である事は知っていて構わない。

レイフォンも殿下と呼んでいるし、入学志願書にも一応書いてある。

だがその後がいけない。

天剣授受者はそう簡単に知れるもんじゃ決してない。

グレンダン市民か…あるいは、そう、脱獄者か…

前者はまずあり得ない。

グレンダンの全員の顔と名前を憶えているからこそはっきり言う。

貴様は知らない。

ならば残るは脱獄者だけだ。

脱獄者の顔なぞ憶える価値もないから憶えていない。

改めて問おう。

どこで知った。」

 

「答えによっては今此処で首をはねますのでお気をつけください。

最も、嘘なら問答無用ではねますが。」

 

肩に死神の手が掛かっているような状況で、小粋なジョークをかますような胆力をカリアンは持ち合わせてはおらず、正直に話し始めた。

ちょっと涙目だが。

 

「む…昔、旅行で他の都市に寄ったことがあるんだ。

その時汚染獣に襲われたんだ。

放浪バスに乗っていてよく見えなかったけど、卵のようなもので攻撃していたのを憶えている。

そこで汚染獣を撃退したのが三人の武芸者だったんだ。

その中の一人がレイフォン君で、グレンダンについて調べていたら新聞に天剣授受者と言う言葉とともに君の写真が載っていたんだ。

こ…これが真実だよ…

降ろしてもらえないかな…?」

 

(卵…三人…そんな戦闘一回しかないな。

インビークー戦。

過去の天剣が逃した老成六期の汚染獣、名付きのインビークーに対して天剣を三人使って殺した戦闘の詳細。

ましてやインビークーの攻撃の仕方まで知っていれば問題はないか。

しかしこの男、嘘は付かずとも全ては語らず、企んでいるな。

まぁ、この都市を繋げる為の算段だろうが…)

 

そんなことを思いながらクロウディアとレイフォンは武器を納めた。

 

「無礼を詫びよう。

しかし、天剣のことは軽々しく口にはしないでいただきたい。

グレンダンの者が言うのと、無関係の者が言うのでは天と地程の差があるのだから。」

 

クロウディアの雰囲気は一切変わっていない。

だからこそ、この場にいるレイフォンを除いた全員がクロウディアに畏怖を抱いていた。

何をしても、どんな行動をしても()()()()時と一切変わらないクロウディアの醸し出す異様な雰囲気に対して。

 

「さて、話は終わりかな?

であれば、俺は帰らせてもらうよ。

レイフォン、君はこの後の打ち合わせをしなさい。

皆さんと仲良くするんだよ?」

 

「はい、勿論です。

殿下の名を汚すこと無いよう気をつけます。」

 

「別にそこは気にしなくても良いんだが…

まぁいい、ではな。」

 

クロウディアはカリアン達に喋らせることはせず、雰囲気のみで察し、出て行った。

それを確認すると全員がため息を付いた。

レイフォンは剣としての自分からいつもの自分に雰囲気を変えるスイッチとして。

カリアン達はこの短い間に苦手となったクロウディアが出て行ってくれたことに対して。

それぞれの意味を持った溜め息は見事に重なった。

レイフォンはカリアン達の抱いていた雰囲気に、そして溜め息の意味に気付いていたが無視することに決めた。

ただ一つ、「皆さんと仲良くするんだよ。」と言うクロウディアの(めい)を守るために。

 

そしてその後、この部屋では第十七小隊にレイフォンが所属し、クロウディアはどういう扱いにするのか、レイフォン主導のもと、話し合いが続き、解散となった。

 




こんな感じでございます。
時間かけた割に少ないだろ?
こんな程度しかかけないのさ!


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