京-Kyo- 仮面ライダーディケイド    (アマガキ)
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咲-Saki-の世界
第一話 世界の破滅


彼らの旅はいかにして始まったのか?


くたびれた大地、そこにマゼンダの破壊者は立っていた。

そこに飛来するミサイル。しかし破壊者は一切動揺せず敵を待つ。

 

待ち受ける破壊者を気が付けば、四人の戦士が囲んでいた。

飛蝗に似たのが二人、あとは蜻蛉と蜂。

直後五人の姿が消えた。

正確には消えたのではなく、認識できない高速の戦いに入ったのであるが。

しかし再びその姿が現れた時には破壊者以外は皆息絶えていた。

 

戦いの火ぶたは切って落とされたとばかりに一万の騎兵、無数のマツボックリの足軽が群れをなして破壊者に迫っていく

しかしただの一人もたどり着けず無残に数を減らしていった。

そんな破壊者へ次々と戦士が戦いを挑んでいく。

 

白鳥の騎士が白き翼で眩惑し、緑の不完全がどう猛に襲い掛かり、蟹が捨て身の攻撃を仕掛ける。

しかしそのコンビネーションも一蹴された。

骸骨の探偵はその骨を砕かれ、ドリアンの傭兵もその体を貫かれ、命を失った。

顔の宝石が違う三人の魔法使いは皆頭を砕かれた。

緑の列車は跡形もなく消滅し、赤き電車は爆散し残骸となった。

銀のカブトムシ、浅紅のエイ、二色の探偵、疾風の鬼、最強の蜘蛛、紫の炎鬼。

意志も絆も踏みにじられ、未来もなく死んでいく。

 

城のような竜に乗る蠍の戦士、牛のようなロボットを連れた戦士、パワードスーツの戦士、凍土の斧をもった戦士、蝙蝠のような鎧の戦士。

しかし一瞬の閃光とともに巨竜は堕ちた。

それでもなお巨竜に乗っていた戦士たちは立ち向かっていく。

そして次々に斃されていった。

 

巨大な重機、黑い装甲車、黄色いロボット、次々に突撃したそれらもあっという間に大破していった。

大破した重機から十字架の粛清者、古の魔法使い、カプセルの重戦士がとびおり、破壊者に向かっていく。

皆むごたらしく命を散らしていくというのに。

 

オレンジの武者、火竜の騎士、赤き銃使い、黄光の戦士、轟く鬼。

進化し続ける力、バナナの騎士、レモンの伯爵、コオロギの紛い物。

紅き閃光、紫紺の剣士、蝙蝠の騎士、ドングリの戦士。

誰一人としてあきらめなかった。それでも希望が叶うことはなかった。

 

 

何物も破壊者の前ではその命を失っていく。

 

 

赤と青のクワガタの戦士が、緑の異形の戦士が虫けらのように潰れていく。

天を舞う蒼光の機兵が、黑いハートの死神が、黒龍の騎士が、銅の角持つ鬼がゴミ屑のように崩れ落ちる。

 

白き巨人の爪も黄金のカブトムシのこぶしも宝石の魔法使いの希望も白き宇宙飛行士の友情も届きはしない。

 

赤きカブトムシの戦士は神速のバイクを借り、メロンの侍はバイクとなった戦士に乗り、黄金の不死鳥が天を舞い輝く。

しかしそれすらも無意味に潰えた。

 

オメガの戦士は体の上下が泣き別れし、葡萄の戦士は四肢を引きちぎられ、蒼き流星は地に埋もれ、三色の戦士は首を落とされた。

彼女たちの亡骸を見ると自分の身が裂かれたような悲しみを感じた。

 

そうしてすべてを破壊したものの名は・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・ディケイド」

 

 

 

 

  ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

「咲さん、朝ですよ?」

「うぅ………」

その声で宮永咲は目を覚ました。

「ああ……和ちゃん、おはよう」

その声は彼女のチームメイト、原村和のものだった。

「大丈夫ですか?うなされていたみたいですけど?」

「うん大丈夫だよ、ごめんね心配かけて」

そう咲は心配をかけたことを和に詫びる。

「ひどい夢でも見たんですか?」

「うん、訳が分からないことばっかりな夢を」

「団体戦を優勝できて、せっかくお姉さんとも仲直りできたのに夢見が悪いとはついていませんね」

そう、和の言うように彼女の所属する清澄高校麻雀部は全国の団体戦で優勝した。

咲自身の個人的な目的である姉との仲直りも果たすことができた。

そしてすでに大会も全日程が終了し本日は長野に帰る日だった。

 

 

 

「咲、調子悪いみたいだけど大丈夫か?」

ホテルのチェックアウトを済ませ、駅に向かっている際、咲のことを気にして声をかけたのは、麻雀部の部員にして咲の幼馴染でもある須賀京太郎。

「なんだか今日は朝から胸騒ぎがするんだ」

「お前も?俺もなんだか調子悪いんだよな。変な夢見たし」

「へえ、京ちゃんも?」

「お前もか。そのせいかなんか嫌な予感がするっていうか」

「ちょっと二人とも大会も終わったのになに言ってるの?」

そこで部長の竹井久が会話に入ってきた。

「そうじゃ、もう長野に帰るだけなんじゃぞ?」

次期部長の染谷まこが同調する。

「ですよね…」

「何かあっても電車が止まるぐらいですよね?」

「それはそれで十分困るんじゃがの」

「京太郎、タコスが欲しいじぇ」

「本当に優希はマイペースですね」

咲、和、京太郎と同じ一年の片岡優希はいつも通りのペースだった。

「当たり前だじょ」

「はいはい今朝作ったやつだ。これでも食っとけ」

 

 

 

 

 

こんなふうに何事もなく長野に帰れるとこの時は思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

銀色のカーテンのようなものが現れた。

「は?」

そして京太郎の目の前でビルが散りのように消えた。

麻雀のオカルトがシャレにならないくらいの何かが目の前で起こった。

「え?」「いったい何が?!」「じぇっ?!」

突然目の前で起こったことに麻雀部の面々も困惑していた。

 

そしてその銀色のカーテンから怪人が現れた。

そうとしか言いようがない何かだった。

異形。人ではない何か。怪物が現れたのだ。

「逃げろ!」

とっさに叫んだのは京太郎だった。

彼の勘はこれはヤバい何かだと訴えかけていた。

その言葉にははっとしたように麻雀部の面々は今まで歩いてきた道へと走り始めた。

荷物を投げつけた後に京太郎も走り出した。

しかしその目の前に突如銀色のカーテンのようなものが現れた。

勢い余った京太郎はそのままそこへ入ってしまった。

 

 

「うわっ、どこだよここ?!」

銀色のカーテンを抜けてしまった先は夜のビル街だった。

「いったい何がどうなってるんだ?」

ぼやくも何も変わらない。

幸いにも怪人はおってきていない。

「おーい咲―、和―、優希ー」

さっき目の前にいたはずの人間が消え、周りの景色までもが変わったしまったのだ驚かないほうがおかしいだろう。

「こんばんは」

「へ?」

そんな京太郎にいきなり後ろから声がかかった。

彼が振り向くとそこにはフードで顔をすっぽり隠した人物がいた。

「今日この世界は滅ぶ」

声から女性とはわかるその人物はまず京太郎にそう言った。

「何言ってるですかあなたは」

いきなりのことで京太郎の頭はついていけない。

「バックルとカードを探して、きみがそれを手にしなければならないから」

そんな彼の様子には取り合わず女性は言葉を続ける。

「バックル?!カード?!」

「そう」

思わず聞き返した京太郎に女性は相槌を打つ。

「あの怪人たちをあなたは見たはず」

「っ?!」

先ほどの恐ろしい異形を思い出す。

「私の言ってることの意味はすぐ分かるよ」

うっすらと銀色のカーテンが現れた。

「頑張って世界を救えるのは君だけなんだから」

それが通過したときにその人は消え、昼間になっていた。

「何なんだあの人は……?」

何が何だかわからない京太郎だったが、現状やらなければならないことは一つだった。

「とにかくみんなを探さないと……」

そうつぶやいた彼は目の前に現れた銀色のカーテンのようなものを見据える。

 

 

 

 

 

咲は一人で裏路地を走っていた。

ここまで逃げる途中で、他の麻雀部員とははぐれてしまった。

「ハァ、ハァ、ハァ」

運動が得意でない彼女にしてはかなり頑張って走った。

しかしその体力も限界だった。

幸いにも彼女を追ってくる怪人はいないようだった。

「いたっ!?」

注意散漫になっていた彼女は気が付くと何か石のようなものに引っかかってこけた。

「もぅ……なに……?」

涙目になりながらそれを手に取ってみる。

「これは………」

それは今朝咲が見た夢であの破壊者ディケイドの腰に巻かれていたバックルと左腰に装備されていモノだった。

「なんでこれが現実に……?あれは夢じゃ……」

その前に銀色のカーテンのようなものが現れた。

また怪物が現れるのかと咲は絶望しかける。

 

「おい、咲!!」

「きょ、京ちゃん?!」

しかし意外にもその向こうに見えたのは先ほどはぐれたはずの彼女の幼馴染だった。

咲はすぐさま駆け寄ろうとしたがその手は届かなかった。

銀色のカーテンのようなものは壁のように固くそれに阻まれたからである。

「なんで通れないんだよ……」

壁の向こうから京太郎が困ったという風に言う。

「ど、どうしよう」

咲はただおろおろするばかりである。

「あっ、咲、後ろ……」

 

 

 

その言葉に彼女が振り向くとそこには宮永咲が立っていた。

 

 

 

比喩表現などではない。

そこには宮永咲そっくりでそうとしか言えないようなものが立っていた。

「ど、ドッペルゲンガー」

しかしやがてそれは蛹のような化け物へと姿を変えていった。

「ひぃ?!」

その怪物は脱皮し咲に迫っていく。

「畜生」

京太郎はどうしたら咲を助けられるかとあたりを見回すも役に立ちそうなものはなく。

目の前の壁が邪魔となり何もできない。

そんな中咲の持っている二つのものが目に入った。

彼はそれが自分を呼んでいるかのような感覚を覚えた。

「咲それ渡せ」

「え?これ?!」

「たぶんそれで何とかなると思う」

「これで?」

根拠のない勘だったが何とかなると思った。

「でも壁が」

「いいから」

言われて咲が渡そうとするとその二つは壁が存在しないかのようにこちらに届いた。

そして京太郎は咲から受け取ったもの、ディケィドライバーを腰に当てた。

同時にディケイドライバーから出たベルトが腰にまかれる。

そしてもう一つのもの、ライドブッカ―から一枚のカードを取り出し、それをベルトに装填する。

「変身!」

≪KAMEN RIDE DECADE≫

十四のシルエットが彼の周りに現れ、集まり一つになり、一つの装甲となった。

緑の複眼にマゼンダのボディ、そして黒と白のライン。

その姿は咲の夢に出てきた破壊者そのものだった。

そして変身の完了と同時に銀色のカーテンのようなものが割れ、伸ばした手は咲に届いた。。

「咲!大丈夫か?!」

「京ちゃん!」

咲はあまりの恐怖に泣いていた。

「今すぐこいつらぶっ倒す」

幼馴染を泣かせた敵を見据えて宣言する。

 

カードホルダー、ライドブッカ―をソードモードにして彼は怪人に切りかかる

「え?!なに?!」「がっ?!」

しかし突如怪人が消えディケイドは吹き飛ばされた。

「速いな……」

≪KAMEN RIDE KABUTO≫

ディケイドの姿がマゼンダから赤き装甲の戦士、カブトへと変わっていく。

その頭部にはカブトムシを思わせる角があった。

≪ATTACK RIDE CLOCK UP≫

「はああああ!」

怪人と同等の速さとなったディケイドカブトはその剣の一撃で切り裂き倒した。

一瞬で終わった戦いに咲は何が起こったのか全く分からなかった。

「終わったぞ」

「う、うん」

戦いを終えたディケイドはもとの姿に戻り、そこでふと疑問を持った。

(俺は今なんでこのカードを?)

初めて変身したことというのにまるで以前から戦っていたかのように戦えた。

たった今使用したカードを見るとその絵がはがれるように消えて行った。

「どういうことだ?」

「京ちゃん、他のみんなを探さないと」

「ああ、そうだな」

咲に言われて今の優先事項を思い出した京太郎は移動を始める。

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

咲とディケイドはバイクに二人乗りをしていた。

あの後ディケイドと咲の前にマゼンダのバイク、マシンディケイダーが現れた。

感覚的にそれが自分のものだと理解したディケイドは、その後ろに咲を乗せ移動することにした。

「京ちゃん、バイクの運転なんてしたことなかったよね」

「ああ、何でか乗り方がわかるけどな」

ほんとこれは何なんだとぼやきながら銀色のカーテンのようなものを抜けるとそこでは優希がクモ、コウモリ、ヒョウの三体の怪人に襲われていた。

「やべっ」

慌ててバイクを止め、怪人に飛びかかる。

「優希、大丈夫か?!」

「だ、誰だじょ?!」

ディケイドは慌てて駆け寄るが、優希にはわからずに戸惑われる。

「咲説明頼む」

「わかったよ」

咲が優希に説明しながら怪人から離れる間に彼は怪人に向き直りカードを手に取る。

「さてこっからは俺が相手だ」

≪KAMEN RIDE KUUGA≫

また姿がマゼンダから赤に変わる。

だがその角は二本で、クワガタに酷似しており、先ほどとは違いメカメカしくない生物的なフォルムをしている。

ディケイドクウガは殴り合いでそのまま三体を圧倒する。

そして強引に作った隙にクモの怪人にとび蹴りを食らわせる。

「おらぁっ!」

燃え上がる蹴りがクモの怪人に刻印を刻みそのエネルギーがベルトに達し爆散した。

このままなら行けるとディケイドが考えたが、そこで銀色のカーテンが再び現れた。

さらには銀色のカーテンの影響なのかディケイドの姿はクウガから元のマゼンダに戻ってしまった。

そしてそこからは怪物に追われ、原村和が現れた。

「和、無事だったか」

「ひゃ、あ、あなたなんですか!?」

「説明なら咲に聞いてくれ」

ビビられたことに若干傷つきながらも咲たちのほうを指し示す。

そしてディケイドは和たちをかばうように戦いを再開した。

戦局は防戦一方だが彼は何とか立ち回っていた。

和を追っていた怪人を彼の攻撃がとらえると驚いたことにメダルをまき散らした。

それを見た彼は一枚のカードを取り出した。

≪KAMEN RIDE OOO≫

派手な音楽とともにメダルの形をしたエネルギーが現れそのうち三種により姿が変えられる。

そして頭部が赤く鳥のような形、胴は黄色で、爪が装備され、足は緑で虫のようなオーズとなった。

「おっらぁ!」

トラクローで気付つけられた怪人は傷口から次々にメダルをまき散らす。

しかしメダルの怪物は一向に倒すに至らない

さらにはヒョウとコウモリまでいる。

「一気に片づける!」

≪FORM RIDE OOO TAJADORU!≫

荘厳な音とともに三色だった体色が真っ赤に変わる

≪FINAL ATTACK RIDE O O O OOO!≫

火の鳥と化したディケイドオーズのその突撃によってにすべての怪人を焼き払った。

「はあ、はあ、疲れた・・・・」

地面に着地した京太郎はあまりの疲労にそのまま変身が解除された。

「京ちゃん、大丈夫?」

その様子に咲が駆け寄ってくる。その後ろから和と優希も驚き半分心配半分の視線を送ってくる。

「ああ、何とか」

その彼の手の中で、またカードの絵柄が消えて行った。

「またか・・・」

それを見た彼は一人呟く。

 

 

 

「大丈夫か?三人とも?」

「京ちゃんのほうこそ」

「それより京太郎さっきのはなんだじぇ?」

「俺もよく分かんねえ。わけわかんねえ人にバックルとカードを探せとか言われてさ」

優希の質問に京太郎は答えられない。

「バックルとカード?」

「ああ、とりあえず咲が持ってたから渡してもらったらなんとなく使い方がわかった」

「そんなオカルト………」

まさにオカルトだが京太郎はそれ以上の説明はできなかった。

「そういや咲はこれどうやって手に入れたんだ?」

「偶然拾って……」

「結局情報なしか」

そんな話をしていると再び銀色のカーテンが現れフードをかぶった女性が出てきた。

「誰だじぇ?」

「さっき言ったわけわかんない人だ」

 

「どう?戦ってみて何か分かった?」

「戦い方がわかりました。でも俺は今までこんなことしたこともないのに。このカードだって初めて使うはずなのに……」

「そう」

「これはいったいどういうことなんですか?あなたはいったい何を知ってるんですか?」

「今は言えない」

だがこの人の声はどこかで聞いた気がする。

その疑問を考えながらも続きを聞く。

「あなたたちには今から十四の世界を旅してもらう」

「いきなり何を言ってるんでだじぇ?!」

「今この世界にあなたというライダーが生まれたようにほかのライダーのいる世界が十四ある」

「十四も………」

「その世界を旅して繋いでもらいたい」

「繋ぐ?」

「そう、でなければ十四の世界もこの世界も破滅の道をたどることになる」

「破滅?!」「じぇ?」「何を言ってるんですか?!」

「拒否権はないんですね」

すでに一度聞いたので破滅という言葉にそこまで京太郎は驚かなかったが、他の面々はとても困惑していた。

「断られたらこちらは困るけど、君たちも困ると思うけど?」

「まあそうですね」

「とりあえず君たちの旅が終わるまでこの世界の時はわたしたちの手で止めておいてあげる」

「そんなことできるんですか?」

「私の仲間にできる人がいる」

「一ついいですか?」

「何?」

そこで和が発言した。

「染谷先輩や部長は無事なんですか?」

「無事だよ」

四人は先ほどからずっと気がかりだったことの答えが聞けて安心する。

「今のうちは。世界が破滅すると元も子もないから」

その言葉を聞いてますます断れなくなった。

「最後に一つだけいい?」

「なんですか?」

そしてフードの女性が近づいてきた。

「咲をよろしく」

「え…?」

その言葉を最後にその女性と彼らの間に銀色のカーテンが現れた。

「待ってくれ」

慌てて京太郎が追いかけてそれを抜けると………

「ここは部室か?!」

清澄高校麻雀部の部室だった。

「そんな……さっきまで私たちは東京に…」

「いったい何がどうなってるんだじぇ?」

「そ、そんなオカルトありえませんよ」

あとからついてきた三人も驚いている。

京太郎が周囲を見ても例の女性はいなかった。

 

「さっきの人ほかの世界を旅しろとか言っていたよね」

みんなが混乱したままだが一応落ち着いたとき、咲が口を開いた。

「そんなこといきなり言われてもどうすればいいんだ?」

さしあたっての問題だった。

「そんな非常識な………」

「でものどちゃんだって見たじゃないか、あの化け物を」

「それは………」

和に反論はできなかった。

「それにしてもできるならさっさと移動したいんだが……」

その声に反応したのか壁が光り輝き始めた。

「は?」「え?」「じぇ?」「そんな……」

光が収まった後のその壁は………

「なんだよこの絵?」

そこにはパトカーと金と赤のバイクの絵が描かれていた。

 

 

 

 

 

この時は世界を救う戦いに挑むということの重さなんて俺はわかっていなかった。

 

 




次回の京-Kyo- 仮面ライダーディケイドは

   「世界をつなぐっていったい何すりゃいいんだ?」

   「今使える手札はこれだけか」

   「の、和?!」「憧?!」

   「未確認生命体?」

    ≪FINAL ATTACKRIDE DE DE DECADE!≫
    

    第二話『空我』 十四の世界を巡り全てをつなげ


以下後書きです。

京太郎スレなどを読んではまったので書いてみました。
一話を書く上で何が大変だったかというと各せかいのライダーの配役をどうするかです。
やはりライダー大戦のシーンでいろいろやるうえでそういうのを最初に決めておきたかったですから。

カメンライドは原作と同じでも面白くないので、配役から考えた結果こうなりました。
実はこれホントは安価スレでやってみようかと思ったんですけれど、フラグ管理とか無理そうなので断念しました。

次回は一二週間以内の予定です。


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クウガの世界
第二話 空我


彼らはどこに来てしまったのか?


「いったいなんなんだこれ?」

京太郎たちはいくつものパトカーの書かれた絵を見ていた。

「パトカーだじぇ」

「それはわかってるけどなんでパトカーなのかだよ」

優希が当たり前のことを言い、それに京太郎が言い返す。

「おかしいですね」

「そうだね?いきなりこんなのが現れるなんて」

「それだけじゃありません」

「へ?」「え?」「じぇ?」

そんな中一人和だけは別のことに気付いていた。

「このナンバープレートの地名を見てください」

「あれ?」

「そんなにおかしなことがあるか?」「いたって普通のナンバープレートだじぇ」

咲には何か伝わったが、優希と京太郎には何もわからなかった。

「長野と東京の地名のナンバープレートが混ざっています」

「この二か所か………」

偶然なのか彼らの高校たる清澄高校のあった長野と彼女たちの戦った全国大会の会場である東京である。

カーテンの閉め切られた部室の中で彼らはしばらくその絵の前で悩むことになった。

 

 

一同はしばらくしてこのまま悩んでいても仕方がないと部室の備品の確認をし始めた

「なんでこれがここに……?」

その中で京太郎は部屋の隅のあるものを前に驚いた。

「どうしたんですか?」

「ああ、これを見てくれ」

「私たちの荷物ですよね?」

「これ俺が全部怪人に投げつけたはずなんだよ」

「え?」

そこにあったのはさっきまで京太郎が担いでいたみんなの荷物。

怪人が現れたときに投げ捨てられたものだった。

「ほらとっさに時間稼ぎのつもりで投げつけたんだよ。大体こんなもの持ってちゃ走れないしな」

「それはそうですがならばなぜここに?」

「あの人が運んだのか?」

「…………確かにそれしか考えつきませんね」

京太郎にもそれ以外の理由は思いつかなかった。

「って、荷物の後ろにもなんかあるぞ」

そのまま荷物をどける。

「いやいや待てよなんでこんなもんがここにあるんだよ………」

「これは……?!」

「さすがにおかしいだろこれは。どうやって持ち出されたんだよ」

「一体どうしたんだじぇ?」「二人ともそんな深刻そうな顔をしてどうしたの?」

和と京太郎が騒ぐので何事かと咲と優希も寄ってきた。

「お前らこれを見てみろ」

「これって私の………」

「私のもあるじぇ」

「当然俺や和のもある」

京太郎が差し出したものは預金通帳だった。

「あれ?」

「どうしたんだ咲?」

「金額がちょっとおかしなことになってる」

「おれのもだな」「私のもだじぇ」「私もです」

みんなの口座のもっとも新しい部分にかなりの額の預金があった。

「これでやり繰りしろってことか?」

「そうとしか思えませんが、これを持ち出されているのは気分がよくありませんね」

「だよなあ」

「でもこれでタコスが買えるじょ」

「お前はマイペースだな」

とにかく生活面での心配は必要なくなったのだった。

 

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

 

「あれ?京ちゃんそういえばバイクは?」

備品の確認を終えてひとまず休んでいるときに咲が思い出したように京太郎に質問した。

「へ?」

「だから京ちゃんバイクだよ。さっきディケイドになったときに乗ってた」

そういわれた京太郎はしきりに周囲を見渡す。

「室内に運び込まれているとは思えませんが?」

「ちょっと探してくる!」

和の言葉を聞いた京太郎は一目散に駆け出した。

「えええええええええ!!!!!!」

と思えば部屋を出て立ち止まって叫びだした。

「一体どうしたんだじぇ?」

ちょこちょこと優希が京太郎の様子を見るため外に行く。

「じぇえええええええ?!」

優希も部屋の外で驚きの声を上げる。

「いったいどうしたんだろう?」「見に行ってみましょう」

和と咲が部屋から出るとそこは見知らぬ廊下だった。

廊下の窓からのぞく景色も全く知らないものだった。

それどころか、時間帯も早朝だった。

彼女らは現在を昼の三時ごろだと思っていたので、これにも驚いた。

慌てて部室に戻った京太郎がカーテンをまくるとそこからのぞく景色も普段とは全く別のものだった。

「ここいったいどこなんでしょう?」

ここにきて四人は自分たちが別の世界に来たという自覚がはっきりと湧いてきた。

 

 

 

「と、とにかくバイク探してくるからな!」

沈黙を破ったのは京太郎だった。

この空気に耐えられなくなったのだ。

「あ、私もついて行っていい?」

「いいけど、迷子にならないでくれよ」

「ならないよ迷子なんて」

そう咲は言い切る。

「前科をわすれたのか?」

「な、なんの事かな?」

冷や汗をかきながら咲はとぼける。

「開会式、東京見物、決勝前、個人戦照さんと戦った後」

「うう……」

「これ聞いてなんかあるか?」

「ごめんなさい」

しかし最近迷子になった状況を京太郎があげると咲は認めるしかなかった。

特に最後の時は、姉の照と一緒に迷子になったから白糸台からも捜索隊が出ていたなぁと京太郎は遠い目をする。

「お前は高確率で迷子になるんだから、ちゃんと自覚を持てよ」

「……はい」

そう念押しをする。

「それじゃ行ってくるな」

 

 

 

「慌ただしく行っちゃいましたね」

「全くだじぇ」

和と優希はバイクを探しに行く京太郎と咲を見送って、そう言葉を漏らした。

「ちょっと、うるさかったわよ、あんたたち―」

後ろから声がかかった。

(あれ?どこかで聞いたような?)

その声にちょっと疑問を持つが和はその時は考えなかった。

振り向くとその人は二十代ぐらいの女性だった。

「徹夜してたのはこっちの事情だけど、廊下で騒がないでよね」

「すみません」

どことなく見覚えのある髪の色、雰囲気にくびをかしげながらも素直に謝る。

「って、え?あ?あれ?」

しかし和を見た女性はひどく狼狽した。

その姿にどことなく誰かに似ているなと思いながら和は見ていると、

「の、和?!」

いきなり名前を呼ばれた。

そのことに和は思わずといった感じで後ずさる。

そして女性が誰に似ているのかに気付いた。

「えっと、もしかして憧?」

「そ、そうだけど、なんか小さくなってる?!」

「へ?!」

 

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

 

「今使える手札はこれだけか」

京太郎は絵柄のあるカードをすべて机に並べる。

あれから咲と二人でマシンディケイダーを見付けた京太郎はそのまま二人で出かけ、今は適当な喫茶店に入っていた。

「あれ?さっき使ってたやつは?」

「力が消えた」

「力が消えた?」

訳が分からないという顔をした咲の前に京太郎は十四枚のカードを並べる。

「絵がなくなってる」

「見ての通りだ、使えないんだ」

先ほど使った三枚を含む十四枚のカメンライドカード。

そのすべてから本来描かれていた絵が消えていた。

「なんかいっぱいあるね」

「これは全てさっき姿を変えたカメンライドに使ったカードと同じやつだ」

「つまり京ちゃんは十四の姿になれるんだ」

「たぶんそうなんだと思うぜ」

したり顔で京太郎はうなずく。

「でも今はその力がないと」

「そうなんだよなぁ」

「残りは何なんなの?」

「これか」

そこにある四枚。

ディケイドが描かれた、BLAST、SLASH、ILLUSIONの三枚、そして他と違い黄色く縁どられたディケイドのエンブレムのカード。

「こっちの三枚は技を出すためのカードなんじゃないか?それでこの特別っぽいのは必殺技だと思う」

「そうなんだ」

説明を聞き咲が納得する。

 

「それにしても世界をつなぐっていったい何をすればいいんだろう?」

これからしなければならないであろうことを思い、咲は頭を悩ます。

「全く見当もつかないけど」

「なるようになるしかないんじゃないか」

「それはそうなんだけど」

「とりあえずこいつがカギだとは思うけど」

そういって京太郎がとりだしたのは先ほど目についたと言って購入した新聞

その一面には四号、第二十四号を撃破と書かれている。

二人はこの新聞を見て、京太郎がインターネットで調べることで、この世界の大体のことは理解していた。

それによれば二月ごろに遺跡からよみがえった化け物を未確認生命体として、それが人を無差別に殺してまわっていること。

その中で二号、四号だけが人間を守りほかの未確認と戦っているということ。

警察は未確認生命体合同対策本部を設立して戦っていることなどがわかった。

「それにしてもこれって京ちゃんの変身したクウガだよね」

「たぶんこっちが本物なんだろうな」

「本物?」

「ああ、なんとなくだけど俺が変身したのは借り物って気がする」

咲の疑問に京太郎が答える。

「とりあえずまずはこいつと接触したいな」

「どうやって?」

「普通に考えりゃこの未確認が出たときに現場に行きゃ会えるんじゃないのか?」

「そうだけど、どうやって未確認の現場を探すの?」

「それは……」

「それは…?」

「なるようになるしかないだろ」

「京ちゃんの考えなし」

「そういうなって」

 

 

 

「未確認生命体ですか……」

和は新子憧の話を聞いた感想を漏らす。

その外見は和たちの知るものではなく成人した大人のものである。

当初そのあまりにも非常識な出来事に和は話すのを渋っていたが、あっさりと優希がこちらのことを話してしまったために、憧には大体の事態の説明をし終えてしまった。

話を聞いた憧は、

「とりあえずちょっと確認したいことがあるから電話させて」

そういって電話をかけ、

「あ、優希、今どうしてる?」

『―――――』

「別にそういうことじゃないけど」

『――――――』

「そうそうあんたが一年の時のインターハイで世界が破滅するとか言われたことない」

『―――――――、――――――――――――――』

「分かったわ、妙なこと聞いて悪かったわね」

この世界の優希に確認をとるということがあっ。、

「こちらの世界の優希とずいぶん仲がいいんですね」

という和の質問には、

「まあね、十年ぐらいあればいろいろあるのよ」

とこたえた

 

その後、憧はこの世界の事情について話した。

すなわち三か月前に九郎ヶ岳遺跡からよみがえった未確認生命体。

それらに対抗するために組織された、未確認生命体合同捜査本部。

その中でも人間に味方する未確認生命体第四号。

自分の現職、古代文明の研究についてのこと。

 

未確認について和は、

「そんなオカルトありえません」

と否定したが、

「こっちの和も最初に聞いたときはそういっていたわ」

と言って笑った。

「でも別の世界から来た和が言っても説得力ないわね」

と言われ、ぐうの音も出なくなっていた。

 

古代文明の研究についても和は驚いたが、

「まあね。大学時代にいろいろあったのよ」

と答えた。

ちなみに、優希はその間部屋に飾られた様々なお面を眺めていた。

 

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

 

喫茶店を出た咲と京太郎は町をバイクで回っていた。

「しっかし少し先の時代だけあっていろいろ進んでるな」

「そうだね。なんか私たちの世界より高いビルが多い気がするね」

彼らは購入した新聞の年号が自分たちの世界から十年以上後なのでそういうことなのだろうと納得していた。

そんな話をしながら京太郎はバイクを走らせる。

「それにしても本当に運転しちゃってよかったのかな?」

「大丈夫ってことだと思うけどな」

京太郎は自動二輪免許を持っていないのだが、通帳と一緒におかれていたのである。

そして危なげなく運転できることや有効そうな免許証から大丈夫と判断していた。

楽しげにツーリングをしていた二人だったが、その時間は唐突に終わることになる。

目の前に警察官が投げ飛ばされてきたからだ。

「バギング・ドググド」

トラのような怪人がそこには立っていた。

「きょ、京ちゃん……」

「見るな」

そこには警察官の亡骸が多数あった。

京太郎は咲にそれを見せないように彼女の前に立つ。

「咲、隠れてろ」

そして咲が隠れるのを確認した彼はバックルを取り出す。

「変身」

≪KAMEN RIDE DECADE≫

京太郎はディケイドとなり目の前の怪人を見据える。

 

 

 

「バギバグバ・クウガ。ゴラゲバ・バンザ」

「何言ってんのかわかんねえけどさっさとおまえを倒す」

そしてディケイドと虎種怪人メ・ガドラ・ダはそのままぶつかり合った。

お互いの武器、剣と鎖が火花を散らす。

ガドラはチェーンを振り回しての強力な攻撃を仕掛ける。

ディケイドはライドブッカ―のソードモードで対応する。

幾度も武器をぶつけあい、お互いに決定打を与えぬまま時間がった。

戦況が動いたのはディケイドの集中が切れてきた時だった。

ガドラの放った鎖を防ぎ損ね、それが首に巻き付いた。

「がっ?!」

首を締め上げられディケイドはうめき声を上げる。

「ボボラバ・ギベ」

ギリギリと音を上げ締め付ける鎖にディケイドの意識が遠のいていく。

「ちっくしょう」

ディケイドは苦しまぎれにも一枚のカードをベルトに入れる。

≪ATTACK RIDE ILLUSION≫

カードの発動により、京太郎の両隣りにそれぞれ分身が現れた。

その分身の攻撃によってディケイドはガドラから解放される。

「ズゲダ?!ゾグギグ・ボドザ?!」

「はぁ……、やばかった。けど、今度はこっちの番だ」

そして三人がかりでガドラにかわるがわる切りかかる。

三対一を強いられるガドラは次第に劣勢になっていく。

≪ATTACK RIDE BLAST≫

隙を見てカードを使った分身の一体の連続射撃がガドラの動きを止める。

≪ATTACK RIDE SLASH≫

さらにもう一体の分身もカードを使い痛烈な一撃を加える。

「これでとどめだ」

≪FINAL ATTACKRIDE DE DE DECADE!≫

カードのようなオーラを潜り抜けたディケイドの蹴りが炸裂した。

その一撃を受けガドラは爆散した。

 

 

 

 

 

 

「なんとかなったか……」

戦いを終えたディケイドは一息ついていた。

 

「変身!」

 

いきなり聞こえたその声に振り向くとそこには赤い戦士クウガが立っていた。

 

 

 

そして二人の視線が交錯した。

 




次回の京-Kyo- 仮面ライダーディケイドは

       「やっぱり京太郎のタコスは最高だじぇ」

       「ちょっとこいつの体検査してください」

       「ちょっと頼みたいことがあるんや」

       「とりあえずこいつ交通ルール叩き込んだほうがよくない?」

       『MITY』

    第三話『解明』 十四の世界を巡り全てをつなげ


Q&Aあるいは小ネタ
 
 Q、この世界の咲さんは何をしていますか?
 A、麻雀プロとして日々テルテルやあわあわと戦っています。

 Q、この世界ののどっちは何をしていますか?
 A、弁護士としてバリバリ働いています。

 Q、クウガの世界の時間軸
 A、咲原作の大体十一年後、つまりアコチャーは二十六歳。

サブタイトル『空我』
仮面ライダークウガ第48話サブタイトルに同じ。
原作では最終回の一話前、クウガとダグバの最終決戦、あの有名な人間の姿での殴り合いがあった回。


次回までの宿題的なもの みんなで考えよう。

問一、クウガは誰か?
問二、第四号を助ける刑事は誰か?
問三、科警研の研究者は誰か?
問四、仮面ライダーの主治医は誰か?


後書き:グロンギ語は調べれば出るのでありがたいですね。
    ちゃんとキャラがあってるか心配ですが、違和感があれば理由をつけて指摘し
    てくださるとありがたいです。
    あと、参考にしたいので感想とかは書いていただけると嬉しいです。


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第三話 解明

ディケイドとはなんなのか?


「クウガか」

その姿を確認したディケイドが呟く。

「未確認……」

「へ?」

それに対してクウガは強く拳を握りしめる。

「ちょっと待て俺は未確認じゃないぞ?!」

「しゃべった?!」

その様子に慌ててディケイドは弁明する。

対してクウガは普通に言葉を返したことに驚いた。

「だから未確認じゃないって言ってるだろ、ほら」

そういってやむなしといった体でディケイドは変身を解除する。

「なっ?!」

「俺は須賀京太郎、できれば話を聞いてもらえると助かる」

驚くクウガに京太郎は自分の名前を名乗る。

それに対して無言でクウガも変身を解いた。

「………はぁ?!」

その姿を見た京太郎は驚愕した。

その姿は京太郎よりも高い長身に金髪の男だった。

そして、その顔立ちは非常によく似ていた。

「俺も須賀京太郎なんだけど」

「え?そんな馬鹿な……」

「同姓同名って偶然なわけじゃないよな。いったいなんなんだ?」

彼を見ながらクウガの『京太郎』は考える。

しかしその手が持つベルトを見て、クウガや未確認とは違う何かなのかと考える。

「別の世界ってこういうことか……」

目の前に自分が現れたことに驚きながらもディケイドの京太郎は、これが別の世界ってことなのかと納得していた。

「きょ、京ちゃんが二人………」

その言葉に二人がそちらを見ると物陰に隠れていた咲が出てきていた。

「ああ、もう大丈夫だぞ」

そう京太郎は声をかける。

「ちっこい咲がいる………」

一方『京太郎』はいよいよ頭がこんがらがってきていた。

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

『ちょっと妙なことになってるんで助けてもらえませんか?』

開口一番にその言葉を聞かせられた未確認生命体合同捜査本部所属の江口セーラは一体どうしたと思った。

「妙なことってどういうことや?未確認は倒せたんか?」

『倒されてたんです……』

その答えに驚きながらセーラは聞き返す。

「お前以外が未確認を倒せたっちゅうことか?」

『ええ』

「いったいどんな奴なんや?」

『それが今一緒にいるんですけど、かなりおかしな状況なんでいつものとこに来てもらえません?』

「今言えんってことか?」

その言葉に疑問を持ちながらセーラは聞く。

『目で見ないと信じられないようなことってことです』

 

 

 

 

 

「これはどういうことや?」

その喫茶店についたセーラは驚愕していた。

「どうもこうもありません、見たまんまです」

「高校時代いろんなオカルトと戦いはしたけどこれはさすがにありえやんやろ」

「そんなこと言ったら未確認もそんなもんでしょ」

「そうやったなあ」

そう返されセーラはうなずく。

その前にいたのは彼女の知る『須賀京太郎』より幾分小さい金髪の男、そして幾分若い宮永咲だった。

「こいつらは別の世界から来たって言ってます」

「別の世界、なあ」

とにかくセーラも二人の事情を聴いた。

「話聞いてもええか」

「はい、ですけどその………」

「なんや?」

「千里山の江口選手ですよね?」

恐る恐る京太郎は聞く。

「よう知ってんやな」

「いちおう牌譜とか調べるのは俺の仕事だったんで」

「なるほどな、でも今は一警察官や気にせんといてくれ」

「はい」

その後京太郎の話を一通り聞き終えた彼女は口を開いた。

「とりあえず、おれに考えがある」

「どうするんですか」

「こいつ病院に連れて行こう」

セーラは『京太郎』の質問にそう答えた。

 

 

 

 

 

関東医大病院

 

「健康診断?」

「そうや」

「俺はてっきり精神科にでも連れて行かれるのかと」

「私もてっきり」

「まあ、嘘いうてる風には見えんかったし正気に見えるしな。それにあまりにも京太郎やから信じようってな」

「それにしてもなんで健康診断なんですか?」

「あれ使ってなんか体に影響あるかもしれんしな」

と、理由をセーラは語る。

「あ、憩さん!」

「須賀くんやん、どうしたん?」

そこで先頭の『京太郎』が目当ての人物を見付けた。

「あの人って二年連続全国二位の……」

「そういや面識あんのか」

咲の言葉にセーラは答える。

京太郎も咲の言葉で気付いた。

「憩、おれもおんねんけど」

「ああ、すみません江口さん」

セーラの言葉に荒川憩は謝る。

「それで須賀君、体調べさせてくれる気になったん?」

「いやそういうわけではなく、ちょっとこいつの体検査してください」

そういって『京太郎』は京太郎を盾のようにする。

「なんなんこの子、弟?それにこの子も咲ちゃんによう似てるわ。妹?」

「ちょいとわけありなんや」

憩の質問にセーラが答える。

「とりあえずこいつに京太郎にいつもやっとんの以上にじっくり検査を頼む」

「分かりました~」

「それとちっこい京太郎」

「はい?」

「ベルトちょっと調べてもらってくるから貸してくれへん?」

「…………お願いします」

少し迷った京太郎だったが、最後にはベルトを渡した。

 

 

 

「で、どんなわけあり何です~?」

検査機械に京太郎が吸い込まれていくのを見ながら憩はセーラに聞いた。

「第二十五号が出たんは知ってんやろ?」

「なかなかの速さで倒されたってな。須賀君頑張ったんやな」

「違うんです」

その言葉を京太郎は否定する。

「なにが?」

「第二十五号を倒したのはあいつです」

「たぶんそのうち発表される。ついでにあいつは二十六号ってことになると思う」

「いったい何者なんあの子?」

「別の世界の京太郎って話や。そのへんはこっちの京太郎に聞いてくれ。俺は今から科警研行ってくるから」

 

 

 

 

 

憧の研究室

 

「まさに小さなわたしだじぇ」

「おっきな私だじぇ」

そこには片岡優希が二人いた。

片方はちまっこい中学生のような外見、しかしもう一方はすらっとしてかっこいい女性だった。

「優希、そいつはわたしがさっき電話した理由」

「これはどういうことだじぇ?」

「別の世界から来たそうよ」

『優希』の疑問に憧が答える。

「優希がこんな高身長に………」

「私の身長にはまだまだ伸びがあるみたいじぇ」

和は驚き、優希はよろこんでいた。

「ちっさなのどちゃんもいるんだじぇ」

「聞いたところによると、あとちっさい京太郎と宮永咲もいるらしいわよ」

「すごいことが起こったんだじぇ」

「そういうあんたは何でこっちに来たのよ?」

「そうそう、セーラ先輩から伝言だじぇ、なんでも話したいことがあるからここを貸してほしいって言ってるじぇ」

「江口さんが?」

その時に和の電話が鳴った。

「あっ、はい」

『……………………』

「分かりました」

「和、どうかしたの?」

 

 

 

 

 

科警研

 

京太郎からディケイドライバーを預かったセーラはそこに来ていた。

「フナQおるか?」

「船久保さんなら奥にいますよ」

「あんがとな」

職員に声をかけ高校時代の後輩のもとに向かう。

「フナQちょっと頼みたいことがあるんやけど」

「なんですか先輩?」

セーラの呼びかけに船久保浩子は応じた。

「ちょいと調べてもらいたい物があるんや」

「未確認ですか?」

「ちょいとちゃうな、これや」

白衣を着た後輩にベルトを見せる。

「なんですかこれ?子供のおもちゃ?」

「ちゃうちゃう二十六号がらみや」

「二十五号を倒したっていう?」

「そいつに借りてきた」

「二十六号は味方ってことですか?」

「そうやと思うよ」

浩子の質問にセーラが答える。

「とりあえず何でできてんのか。どんな構造しとんのか三時間で調べられるだけ調べてくれや。分解とかせんとな」

「そんなもんちょちょいのちょいやと思いますけど?」

「たぶんそう簡単にはいかへん」

「いうてくれますやん」

「そんなに時間があるわけでもないんや、ちゃっちゃと頼む」

「まあ、期待しといてください」

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

憧の研究室

 

「やっぱり京太郎のタコスは最高だじぇ」

「優希のタコス好きは変わらないんですね」

満足気に『京太郎』の作ったタコスを食べる『優希』を見て和は言う。

「身長はかなり伸びてるけど、中身は変わってないんじゃないのか?」

「今の優希ちゃんがそのまま大きくなったって感じがするよね」

「これでも公的な場ではちゃんとした言葉で話せるんだぜ?」

咲と京太郎が話し合っていると『京太郎』が話に入ってきた。

「想像もつきません」

「全くだな」

京太郎と和が同意する。

 

現在憧の研究室には検査を終えた京太郎と咲、そして道案内をしていた『京太郎』、元からいた憧、二人の優希、和、そして科警研から直接こちらに来たセーラがいた。

 

「それにしても」

そういって和が京太郎を見る。

「よるところができたから遅くなると連絡をもらったのに………」

「よるところがここだとか想像してねえよ」

「まあ、そうでしょうけど」

和も京太郎の言葉に応える。

「ちなみに咲の迷子はなくなってなかったりするんだ」

「えぇー」

咲と『京太郎』の会話はまだ続いていた。

 

「とりあえず大事な話をやるから雑談終わりな」

話が一段落したところで、セーラが声をかける。

そうして会議が始まった。

 

 

 

会議の結果いろいろなことが分かった。

まず京太郎の体だが、全くの人間そのもの、この事実にこの世界の『京太郎』たちは驚いた。

この世界の『京太郎』、つまりクウガは古代の遺物が腹の中にあるためにいずれ戦うためだけの生物兵器になると危惧されていた。

だから同じように何らかの変化があると考えられたがそれがなかったためだ。

次にディケイドライバーだがあらゆる解析機器を受け付けなかった。

セーラが浩子に調べさせても、これが特殊な加工を受けた金属だったが構造はまるで分らなかったと話した。

もちろん浩子はめちゃくちゃ悔しがった。

それに対し京太郎たちも自分たちに起こったことを話した。

大人たちは憧の研究室の隣が清澄の部室となっていることに驚いた。

『京太郎』と『優希』はその懐かしさに顔をほころばせていた。

セーラたちは別の世界から来たというのを信じるしかなかった。

そしてこの世界にいる間の協力を約束することになった。

 

 

 

「じゃあ、話し合いはこんなところでええな」

最後にセーラがそう〆ることで話し合いは終わった。

「ちょっといい?」

そこで憧が口を挟んだ。

「とりあえずこいつ交通ルール叩き込んだほうがよくない?」

「え゛?!」

いきなり話を振られた京太郎は戸惑う。

「そうやな、その偽造免許は警察としては認めたくないしな」

「無免許運転も同然だじぇ」

「確かにそれはそうですけども」

「それに交通違反でつくまりたくないじぇ?」

「本来ならバイクに乗ってることそのものがアウトやけどな。どうしても必要やから見逃しちゃるけど」

「はい」

「そんなこと言って、セーラ先輩もTRCSの横領に近いことやったんだじぇ」

「やめぇ、その話持ち出すんは反則やろ!」

「TRCS?」

「俺が戦うために使ってるバイク。セーラさんがちょっと強引な手を使って譲ってくれたんだよ」

京太郎の疑問に『京太郎』が答える。

「とにかく交通ルールは俺が教えよう」

「あんたが?」

「ほぼ同一人物だぜ?教えやすいだろ」

「それもそうね」

『京太郎』の言葉に憧が納得する。

「今日一日中に叩き込むんだじぇ」

「ほなオレは憩とフナQに分かったことを伝えてくるわ」

「ご苦労様だじぇ」

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

「………疲れた」

翌朝部室には疲れ切った京太郎の姿があった。

一晩で、交通ルールをたたき込まれたのである。

「お疲れ様」

「ありがとう」

咲の入れたお茶を飲み京太郎は礼を言う。

「京太郎、ドライブに連れてってほしいじぇ」

「こっちゃ疲れ切ってるんだぞ」

そんな京太郎に優希が要望を出した。

「いいからいくじぇ」

「はい、はい、分かりましたよ」

しぶしぶながら京太郎は了承する。

「そんな状態で運転して大丈夫なんですか?」

「あのスパルタ授業を受ければばっちりだよ」

そう答え出かけていくのだった。

 

 

 

バイクに乗った二人は一般道を走っていた。

「なあ、優希」

「なんだじぇ京太郎?」

「この世界にいつまでいりゃいいんだろな?」

「そりゃなるようになるしかないじぇ」

「そうだよな」

自身が持っていた希望的観測と同じ意見を優希が出したため少し明るい気持ちになりながら京太郎は運転を続ける。

「あ、京太郎、あの神社行ってみようじぇ」

「分かった」

 

 

「あんま人気のない神社だな」

「でもこういうのもいいじぇ」

「そうだな」

優希の意見に京太郎も同意する

「本当に静かだな」

しかしその静けさはすぐに打ち破られることになった。

「おいおい………」

銀色のカーテンが現れた。

「マジかよ。下がってろ優希」

そういってベルトを構え京太郎が前に出る。

「なに?」

しかしそこから現れたのは怪人ではなかった。

黄色いAをかたどった顔。

体の各部の鎧も同様にAをかたどっている。

そして右腰に剣をさげていた。

見たところライダーのように感じられた。

「あんたなんなんだ」

向き合う相手に率直に疑問をぶつける。

「仮面ライダーグレイブ」

そうつぶやくと剣を構え、京太郎めがけふるった。。

「優希、隠れてろ!」

「変身!」

≪KAMENRIDE DECADE≫

そしてディケイドは戦い始めた。

 

 

 

「ちっこい優希か、どうした?」

『大変なんだじぇ』

「ど、どうしたんだ?」

『京太郎が、京太郎が、』

「えっとお前が京太郎っていうことはディケイドのことだよな」

『そうだじぇ、とにかく大変なんだじぇ』

「未確認か?」

『未確認じゃない感じだけど変なのに襲われてるんだじゃ』

「わかった、すぐ行く、場所は?」

それだけ聞いて、『京太郎』はバイクのエンジンをふかした。

 

 

 

『MITY』

「ガァッ」

またしても強烈な一撃が分身をとらえた。

攻撃を受けて分身が消え、残るはディケイド本体のみだった。

優希がクウガの『京太郎』に助けを求めるほどに、早々にディケイドは追い詰められていた。

戦い慣れしていないディケイドは、グレイブ相手に防戦一方となっていた。

すでにディケイドは苦し紛れのアタックライド・イリュージョンでの集団攻撃を行っていた。

しかしグレイブはその発動と同時に自身のカードを発動、分身の一体を一瞬で始末した。

そして今最後の分身が始末されたところであった。

ゆっくりとディケイドにとどめを刺さんと近づいてくるグレイブ。

「いったいあんたは何が狙いなんだよ?!なんで俺を襲うんだよ?!」

制止する京太郎の声も聞かずグレイブはゆっくりと距離を詰める。

そしてその剣をかまえ――――

 

「オリャアッ!」

横合いからとびかかった戦士に突き飛ばされた。

「青いクウガ……?」

「大丈夫かディケイド?!」

先日とは色が違い、青色のクウガ、その手には杖が握られている。

「こいつは何なんだ?」

「分かんねえけど、敵だと思う。何一つしゃべらない」

「分かった。俺が隙を作るから決めろ」

水流の杖がグレイブを打ち据えるがあまり効果はない。

「超変身!」

クウガの体が紫へと変わり、その刃を生態鎧で受け止める。

『MITY』

必殺のエネルギーをまとったグレイブラウザーをタイタンソードで受け止める。

ヒビが入るも、力を込めたその一撃はグレイブラウザーに古代文字を浮かび上がらせた。

「今だディケイド!」

≪FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DECADE!≫

その必殺の一撃がグレイブをとらえ、跳ね飛ばした。

 

 

 

吹き飛んだグレイブを覆うように銀色のカーテンが現れた。

「なんなんだあれは?」

「あれをくぐってあの日怪人たちは現れた」

「あれが昨日の話の………」

クウガの疑問にディケイドが答える。

 

「それにしてもあいつは何が目的だったんだ………」

 




次回の京-Kyo- 仮面ライダーディケイドは
      
       「未確認生命体第二十七号が現れました」

       「京太郎!こんなのあかんぞ!しっかりせえや!」

       「クウガがやられたんですか?」

        ≪ATTACK RIDE BLAST≫
 
       「ゴラゲ・ロボソギデ・ガゲスレ」

    第四話『危機』 十四の世界を巡り全てをつなげ

この世界の人々
・『須賀京太郎』;仮面ライダークウガ。冒険家。二十六歳
         自称世界の広さを見て回る男。
         五代雄介のポジション。
         城南大学卒業生。

・『新子憧』:沢渡桜子のポジション。二十六歳
       城南大学で古代文字の研究を行っている。
       ちなみに京太郎と大学時代はかなり一緒にいることが多かった。
       この配役は某スレの影響などあり。
       頭脳派ということでのどっちも候補に挙がった。
 
・『江口セーラ』:一条薫のポジション。二十九歳。
         仕事一筋。麻雀は趣味。女子に持てるかっこいい人。
         この世界線では父親が刑事なんです。
         刑事のセーラさんというのは某スレの影響あり。

         続きは次回で


Q&Aあるいは小ネタ、感想に下さった質問なども応える予定。
 
 Q、なぜ京太郎がクウガなのか?
 A、平行世界の自分を最初にやろうと思ったから。

 Q、優希と京太郎が現在二人出てくるが?
 A、ほかの世界に行けば当然かぶります。クウガとディケイドの『京太郎』と京太郎
   のように当然ライダーにも被りが出る予定です。

 Q、この世界は原作より十一年後の時間軸ですが、逆に中学生京太郎が出てくる世界
   線はありますか?
 A、高1以下で戦う世界線はありません。

サブタイトル『解明』
仮面ライダークウガ第28話サブタイトルに同じ。
原作ではライジングドラゴンが初登場した回。
ゴ・ベミウ・ギの殺人ルールを解明した。


後書き:遅れてしまって申し訳ございません。
    次回投稿は二週間以内の予定です。
    ご意見ご感想ご質問お待ちしております。


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第四話 危機

いかにして彼は斃れたのか?


※今回は優希がお仕事モードなので敬語です。
違和感についてはご了承ください。


東京のどこか裏路地

未確認生命体と呼ばれる者、グロンギがあらたに行動を開始していた。

 

その男は女性的な服装をしていた。

一言でいえばオカマだった。

その反対側から近づいていくのは一人のOLのような服装をした女性。

そしてオカマは向かい合ったOLに近づき、抱き寄せた。

あまりに急なことだったのでその女性は戸惑う。

オカマはそのまま女性に接吻をした。

室外機の機械音だけが裏路地に響いていた。

そしてOLは倒れた。

「バギング・ドググ・ビング」

そういい、男は腕のそろばんのようなものを動かす。

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

「しっかしあんたたちもいつまでそうしてれば、いいのかしらね?」

「さあ、わかりません」

「世界を繋ぐっていったいどうすればいいんでしょう?」

京太郎たちがこの世界に来てからすでに数日が立っていた。

今京太郎と咲と和は憧の研究室でのんびりしていた。

ちなみに優希は買い物である。

「そういや今日は大人の京ちゃんはどうしたんですか?」

疑問に思った咲が聞く。彼女たちの印象ではこの世界の『京太郎』はここに入り浸っている人だった。

「あいつ今日はバイトよ。冒険してないときはいつもバイトしてる店があんのよ」

「へえ、どんなところですか?」

「カレーとコーヒーのおいしい喫茶店よ」

「長野には帰ってないんですかね?」

ふと疑問に思ったことを京太郎は尋ねる。

「ちゃんと日本に帰ってくるたびに一度は帰省してるみたいよ」

「そうなんですか」

「あとバイト先の近所の子供になつかれてるのよ」

「へー」「こっちの京ちゃんも面倒見がいいんですね」

「そういうことよ、おっと電話ね」

そこで電話が鳴ったので憧は受話器を取る。

「もしもし」

『うちや、セーラや』

「京太郎なら今いないわよ?」

『そうやない。今ちょっと時間あるか?』

憧の言葉にセーラは答える。

「あるけど、何?」

『例の飛行体について聞きたいんや』

「ああ、あれね」

『フナQの解析もうまく言ってないみたいでなあ」

「こっちでもあれに関しての新しい情報なんてないわよ?名前がわかったくらいよ」

『名前?』

「ゴウラムっていうみたいよ」

『ゴウラム?』

「それだけね」

『そうか、またなんかわかったら連絡頼むわ』

そういってセーラは電話を切った。

「ゴウラムって?」

「最近現れた飛行体よ」

そういって憧はパソコンの画像を出す。

「これがゴウラムですか」

「そう。京太郎のバイクと合体したのよ。古代文字によると馬の鎧らしいわ」

「馬?」

「要するに乗り物ってことだと思うわよ」

そういって合体した画像を出す。

「でもこれどうなるんですか?」

「重たくなりそうですね」

「案外、速くなるとか?」

三人は自由に意見を言う。

「京太郎はこれで第二十四号を倒しているのよ」

「え?」「どうやって?」「引いたとか?」

「二十四号はトラックに乗って人をおそっってたのよ」

「怪人がトラックに……」

「で、それにぶち当たってトラックごと倒したのよ」

「めちゃくちゃですね」

「まあそんなこともあったのよ」

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

東京都内 どこかの公園

子供たちを前にして、『京太郎』はドラム缶などをたたいていた。

「どうだ!」

一曲『京太郎』が演奏し終えると子供たちが湧く。

「これがストンプだ」

「すごーいきょうたろう!」「もっともっと!」

『京太郎』は日本でバイトしているときはこの公園の近くの喫茶店に働いており、良くこの公園で遊んでいる子供の相手もしているのでここで遊ぶ子供にはなつかれていた。

「そうかすごいかー」

日々未確認と戦っている京太郎にはこれは一つの癒しでもあった。

そんな『京太郎』の耳に機械音が届いた。

「ちょっと待っててくれ電話だ」

そう断りを入れ京太郎は電話に出る。

「はい、もしもし須賀です」

『京太郎、未確認生命体第二十七号が新宿四谷に現れた。』

「……そうですか、分かりましたすぐ向かいます」

そう答え京太郎は電話を切る。

「悪いな、急用ができちゃった」

「ええー、きょータローやってよ」「えー」「もう行っちゃうのー?」「そんなー」

京太郎の言葉に不満を言う子供たちだった。

「また今度な」

「やくそくだよー」「絶対だよー」「はやくねー」

「おう!それと未確認が出たらしいって、さっさと帰るんだぞ」

「「「「「はーい」」」」」

その返事を聞き取り、『京太郎』はバイクに乗った。

 

 

 

 

 

新宿区 どこかの路地

裏路地に接した道路でメガネをかけたサラリーマンが電話をかけていた。

「それでは納品のほうは明日ということで、」

「よろしくお願いします」

商談がまとまり、男性はホクホク顔だった。

「こちらこそよろしく」

そんなサラリーマンにオカマのような男が近づいてきた。

そしてサラリーマンの男をいきなり抱き寄せようとする。

「な、なんなんだ君は?!」

慌ててサラリーマンは抵抗する、当然だ、男にそんなことをされても気持ち悪いだけだ。

「なにするんだ?!」

しかし抵抗むなしくサラリーマンはオカマに接吻されてしまった。

「あああああああああああああああ!」

 

その悲鳴を聞いたものがいた。

『須賀京太郎』だ。

彼はあわててバイクを止めるとサラリーマンが一人倒れているのを見つけた。

「大丈夫ですか?!」

かけよるもすでに息絶えていた。

「くそっ!」

間に合わなかったと悔しがる『京太郎』に後ろからオカマが迫る。

『京太郎』に近づき、抱き寄せようとした。

しかし直前で気付いた京太郎に投げ飛ばされた。

そしてその際に怪人の正体を現した。

「未確認?!」

「ゴラゲゼ・バギング・ドググ・ドドグ・ビンレザ」

「変身!」

「クウガ?!」

その変身に怪人メ・ギノガ・デはひるむ

ひるんだギノガにクウガは拳をふるう。

続けて蹴りを決める。

その連続攻撃にさらにギノガはひるむ。

ひるんだギノガをさらにクウガが攻撃し続ける。

そのまま果敢な攻撃でギノガ・デを追い詰めていく。

クウガの攻撃にギノガは防戦一方だった。

手ごたえがないなと感じながらもクウガは攻撃の手を緩めない。

 

しかし敗北したのはクウガだった。

 

一瞬の隙だった、それも隙ともいえないようなものだった。

その瞬間、ギノガはクウガに口づけを行った。

「グゥ………」

それを受けた瞬間クウガは不完全形態たる白の姿に変わった。

さらには変身が解除されてしまった。

「ドブン・バヂザ」

何事か言い捨てて、ギノガは逃げ去った。

あとは激痛にさいなまれる『京太郎』ばかりが残った。

「ガァッ?!グゥ、ガ、グガァ、アア、アア」

その激痛に『京太郎』はもだえ苦しみ、やがて意識を失った。

 

 

「京太郎!こんなのあかんぞ!しっかりせえや!」

数分後、セーラは現場で青い顔をして倒れている京太郎を発見し悲鳴を上げることになった。

 

 

 

 

『はい新子です』

「江口セーラや」

『江口さん?さっき電話したばっかりじゃ?』

追数時間前に電話したばかりのセーラからの電話に憧は驚く

「京太郎が倒れた」

『え?!あいつが?!』

衝撃の事態に憧は動揺を隠せない。

「今から関東医大の憩のとこに搬送させるから、報告せなあかんと思ってな。俺はこのまま現場の捜査をしないかんくってな」

『わかったわ』

「それと……」

 

受話器を取ってから真面目な感じになった憧を見て京太郎たちは心配していた

しばらくすると受話器を京太郎にさしだしてきた。

「ちょっとあんたに電話変わるようにって江口さんが」

「どうしたんですか?」

「京太郎が倒れたって……」

「クウガがやられたんですか?!」

事態に京太郎たちも驚く。

「詳しいことは江口さんに聞いて」

そういわれて京太郎は受話器を取った。

 

『第二十七号……』

「そうや」

この世界の自分を倒した相手。

『とりあえずあいつが復帰するまではお前しか未確認を倒せん』

そういわれて京太郎は自身も気付かぬうちに不安を感じた。

『高校生のお前にこんなこと言いたかないけど、頼んでええか?』

「ええ、やりますよ」

ギュッと拳を握りしめ京太郎が答える。

答えた後に京太郎は自分の肩が重くなったような感覚を覚えた。

 

 

 

 

京太郎と話した後、セーラはさらに別の人間に電話をかけていた。

『江口さんですかー?』

「憩、今どうしとる?!」

『今日は休みなんでショッピングですー』

「今すぐ病院に戻ってくれ」

『なんかあったんですか?』

「京太郎が倒れた!」

『京太郎君が?!』

「そうや、関東医大に搬送させたから頼むで」

 

 

 

 

 

京太郎はマシンディケイダーを走らせながら考えていた。

この世界の自分が死にかかっているということに。

ふとしたことで自分も死ぬかもしれぬということを。

京太郎はもとの世界での三度の戦い、未確認との戦い、謎のライダーとの戦い。

いずれも苦戦することはあれど命の危機に瀕したことはなかった。

故に今は考えていた。自分も死ぬかもしれないということを。

あの日見た未確認に襲われた人たちのように………

 

 

 

 

 

「遅れてすみませんセーラ先輩」

「来たか優希」

連絡を終え調査をしていたセーラのもとに優希がやってきた。

「これを科警研に持ってってもらえるか?」

「なんですか?」

そういって人にセーラが渡そうとしていたのはメガネだった。

「ごく細かい粒子か何かがついてるから、もしかしたらと思ってな」

「ならこれは私が持っていきます」

「ほな頼むで」

 

 

 

 

 

マシンディケイダーを駆り京太郎は第二十七号を探していた。

依然、足取りがつかめず、不幸にも京太郎も遭遇することはなかった。

そのころに焦りながらも心のどこかで安心している自分がいることに京太郎はきづいていなかった。

すでに事件発生から八時間余りが経とうとしていた。

 

 

 

 

 

科警研

「船久保さんいらっしゃいますか?」

「例のぶつやな」

『優希』が入ると、待っていた浩子がさっさと渡せとばかりに手を出す。

「よろしくお願いします」

「こないだは何もわからんかったけど今回はちゃちゃっと解析したるわ」

そういってさっそく解析に取り掛かった。

 

 

 

 

 

関東医大病院

「予断を許さない状況やけど希望はすてんといてな」

憧、和、優希に憩はそう話す。

「と、電話みたいや。失礼します」

 

「江口さんですかー、憩ですー」

『検査は終わったか?』

「ええ、二十七号の犠牲者の解剖結果を聞きましたか?」

『聞いとらんな』

「特定不明の毒素のせいで全員内臓が腐食してボロボロなんです。中には現場から運ぶ途中で死体が崩れた例もあります」

『まさか京太郎も?!』

その話を聞きセーラは血相を変える。

「いいえー。そこは多分例の石の力と思いますけど白血球の数が普通の二十倍にまで増えて毒素に対抗してます。やから体内の腐食は免れてますー。」

『そうか』

電話越しに系に聞こえたセーラの声には安堵の色があった。

「とはいってもおなかの中の石も相当消耗してるみたいです。今までもつかれてると変化することはあったけど、それが回復するようすは見えません」

『京太郎はたすかんのか?』

「楽観はできません。今うちに言えるのはそれだけですー」

『・・・・・・』

「どうしました?」

『京太郎に伝えといてくれ、おれは待っとるて』

そうセーラは憩に頼むのだった。

 

憩がもとの部屋に戻ると憧、和、咲は帰る準備をしていた。

「いったいどうしたん?」

「私、研究室に戻ります。京太郎のおなかの石について碑文の中にヒントがあると思うんです。私にできることをやります」

憩の質問そう答えて憧は準備を終わらせる。

「そういえば京太郎君のポケットに手作りのお守りがあったんや」

「お守り?」

「そうそう」

憩は最後にと先ほど気が付いた話をする。

「たぶん仲のいい子供たちに作ってもらったっていうものですね……」

「子供の信頼を裏切るような子じゃないですよー京太郎君は」

「そうですね」

その言葉に憧は笑う。

「私たちももちろん手伝いますよ」「がんばります」

「和は助かるけど、咲はドジしないでね」

「し、しませんよ」

「どうだか」

「まあがんばってね」

「そちらもお願いします」

そういって憧たちは病院を出た。

 

 

 

 

憩との電話を終えたセーラには『優希』からの電話がかかっていた。

『メガネについていた粒子の解析結果出ました』

「どうやった?!」

『きわめて毒素の強い胞子です』

「胞子?」

意外な答えにセーラは首をかしげる

『敵はキノコの能力を持った未確認だと思います』

「そういうことか」

相手がキノコの化け物だということでセーラは納得する。

『浩子さんの話だとその胞子は35度から40度の間からしか生きられないそうです』

「35℃から40℃……」

そうつぶやくセーラはあるものが目に入った。

「分かったで」

『何がですか?』

「エアコンの換気扇や。二十六号は換気扇の近くでしか人を襲ってないんや」

『じゃあしらみつぶしに探せば・・・』

「そういうことや」

 

 

 

 ◆ ◆

 

 

 

翌朝

警察はしらみつぶしにギノガを追っていた。

「各自マスクの着用と、特殊ガス弾の装填を確認」

セーラの言葉に警官隊が従う。

「散開して第二十六号の追跡する」

「「「「了解!」」」」

その言葉に警官隊が行動を開始した。

 

どれだけ立っただろうか

裏路地を走り、警官隊は第二十七号を探していた。

その最後尾に『優希』はいた。最後尾故にギノガに狙われた。

曲がり角を最後に曲がった直後後ろから引っ張られた。

 

うめき声をあげようとする優希だったが口を手でふさがれ声が出ない。

その口にギノガが接吻しようとする。

その瞬間ギノガの背中に衝撃が入った。

「ガッ?!」

未確認を撃ったのはセーラだった。

「危なかったな」

「セーラ先輩!」

『優希』はあわてて未確認との距離をとる。

「で、助けもきたみたいや」

さらに激しい銃撃がギノガを襲った。

「大丈夫ですか」

ディケイドが現れた。

「二十六号?!ってことは!」

「そうやちっこい京太郎や」

助けが来たことに優希は安堵の表情を見せる。

「あいつに距離を詰められんな、毒を食らうぞ」

「はいっ!」

上ずった声で京太郎は応える。

そして指示に従い銃撃に徹する。

しかしその手が震えているのにセーラはきづいた。

そのせいで、銃弾があまり当たらずギノガは距離を詰めつつあった。

「来るなー!」

距離を埋められた京太郎はがむしゃらに銃を撃つ。

その一撃を受けてなお近づかんとするギノガに京太郎の恐怖は増大する。

「うわあああああああああああ!」

≪ATTACK RIDE BLAST≫

カードの力を得て、さらに激しくなった銃撃がギノガを弾き飛ばす。

「覚えていろ……」

「はあ、はあ……」

「大丈夫かちっこい京太郎?」

「ええ、まあ」

「なんやお前、震えとるやん」

「大丈夫ですよ……」

大きく息を吐いて不安を隠すように京太郎は言った。

「次こそは勝ちます」

 

 

 

未確認生命体第二十七号出現からすでに二十四時間がたとうとしていた。

 




次回の京-Kyo- 仮面ライダーディケイドは
      
       ≪ATTACK RIDE SLASH≫

       「ギノガは討たれるほど強くなる」

       「あいつはなんだかんだ言って大事なとこで人の期待を裏切ったことは
        ないわ」

       「もう俺しか戦えないんだぞ」
    
       「ディケイド、合わせろ」       

    第五話『復活』 十四の世界を巡り全てをつなげ



クウガの世界の人々2 
・『片岡優希』 警察官。亀山、杉田さん、桜井さんが混ざった感じのポジション。
        タコスを食べると頭の回転が速くなるタコス刑事(デカ)

・『荒川憩』  医師。椿さんのポジション。
        荒川病院を継ぐ前の修行として関東医大で働いてる。
       
・『船久保浩子』科警研所属。榎田さんのポジション。
        分析・情報集めが趣味で気が付いたら研究者になっていた人。
        叔母からは麻雀どうしたんやと言われる始末。


Q&Aあるいは小ネタ、感想に下さった質問なども応える予定。

Q.この世界はリイマジネーションじゃないのか?
A.原作仕様です。つまり龍騎やファイズは胃にきつめの世界です。

Q.この世界の京太郎は何で冒険家やっているの?
A.咲たちの麻雀で世界って広いなと思い。いろいろな世界の広さを見たいなと思って
  いた時に神崎先生ポジの人に勧められたから。

Q.2000の技はありますか?
A.2000ほどではありませんが結構な数の技があります。

サブタイトル『危機』
ゴ集団最強怪人、ゴ・ガドル・バが行動を開始した回のサブタイトル。
なおクウガ終盤の回ゆえほとんど戦闘はなかった。


後書き 二週間以内と言いながら一日遅れました。
    ご意見・ご感想・ご質問などお待ちしています。
    今後の参考になりますのでよろしくお願いします。
    まただれだれの出番はあるのかなどでもいいのでどうかよろしくお願いしま 
    す。


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