コードギアス反逆のルルーシュ 道化師は魔王の為に (悪逆皇帝)
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プロローグ
更新も遅いと思いますが出来れば読んでください!!
皇暦2010年8月10日、この日、日本は世界の3分の1を領有する神聖ブリタニア帝国の侵略を受けた。
圧倒的な物量を誇り、人型自在戦闘装甲騎「ナイトメア」を始めとする新型兵器を多数投入したブリタニア軍の前に、日本軍の防衛ラインは瞬く間に崩壊した。
最終局面では徹底抗戦を唱えていた枢木ゲンブ首相が自決、自らの命でもって強硬派を抑え、日本は開戦後わずか一ヶ月たらずでブリタニア帝国に降伏した。
そして、極東随一の経済大国を謳われた国は地図上から消滅する。
その後、日本の名が消えたその地図の上にはブリタニア帝国の11番目の属領の名が載ることになった。
<エリア11>
11番目の植民地エリア
を意味する言葉、それ以後、日本人はこの数字で呼ばれることになる。
国も、名前も、権利も、自由も奪われ、代わりに差別と迫害、搾取と理不尽が彼らの上を覆った。
希望も、誇りも、そこにはなかった。
そして、そんな悲劇的な戦争から7年後。
――――物語が、始まりを告げる。
◆ ◆ ◆
――アオモリゲットー
ブリタニア統治下にあるエリア11の元日本人――イレヴンと呼ばれる日本人が住む街の1つである。
そのアオモリゲットーの地下の闘技場にて少女が少年と訓練していた。
緑色の瞳の黒髪の少年――枢木ビャッコは相手の赤目の黒の長髪――霧ヶ峰榛名によって一方的にやられてボロボロになっていた。
「今日の訓練はこれで終わりね」
「あ、ありがとうございました………」
肩で息をしているビャッコに比べ、榛名は涼しい顔をしていた。
『相変わらず強いな榛名は』
声が聞こえた方を見るとそこには白いマントを羽織っている白い仮面の男がいた。
「クラウン」
仮面の男――クラウンに気付いた榛名はその場から一瞬にしてクラウンの隣に移動した。
クラウンは榛名の頭を撫でると榛名は笑顔を浮かべていた。
『準備が出来た。二人も準備が出来次第集合しろ』
クラウンは榛名とビャッコの方を見てそう言った。
「わかりました」
ビャッコの返事を聞くとクラウンは来た道を戻っていき、榛名とビャッコはそれについていった。
◆ ◆ ◆
アオモリゲットーには地下施設を利用して造られたクラウンの組織――白銀の方舟のアジトが存在し、メンバーの中には榛名やビャッコのような日本人だけでなくブリタニアのやり方に納得が出来ないブリタニア人もこの組織に入っている。
『ではこれより作戦内容の説明を始める』
クラウンが白銀の方舟のメンバーを見渡しながら作戦内容の説明を始めた。
団員は白い制服を着ている。
だが、榛名やビャッコといった幹部13名は右目の下部分にそれぞれ黄道十二星座の印が描かれている白い仮面をもっていた。
因みに榛名のには天秤座。ビャッコは水瓶座の印がある。
『私の独自のルートの情報によると三日後のシンジュクゲットーにて虐殺が行われるという情報が手にはいった』
クラウンの言葉に団員達に緊張が走った。
団員の多くは日本人で、虐殺から逃れた者も少なくはなく、その恐ろしさを理解しているからだ
「その情報は確かなんですか?」
そんな中、幹部の一人の仮面に蠍座の印がついている男――海塚神羅がクラウンに質問した。
『あぁ、信頼しても大丈夫だ。私が保証する』
「それならいいです」
クラウンの言葉を聞いて納得できた神羅はそれ以上なにも言わず後ろに下がった。
『出撃部隊は霧ヶ峰、枢木、海塚、ヴァインベルグそして私だ。幹部は各自の専用機でゆき、団員たちは武頼で行く。また、残りの幹部と団員はアジトで待機だ』
『『『了解!!』』』
クラウンの指示を聞いた幹部と団員たちはシンジュクゲットーに向かうものはナイトメアやそれを運ぶためのトレーラーの準備を、残るものたちはそれぞれの仕事に戻った。
「殿下、少しよろしいでしょうか?」
クラウンが自分のナイトメアの準備をしようとしたら後ろから声がかけられ振り向くとそこには幹部の一人の長い金髪のブリタニア人の女性――モニカ・クルシェフスキーが立っていた。
モニカの仮面には射手座の印がついている。
『どうしたモニカ』
クラウンはモニカを見るが、何故かモニカは厳しい顔つきをしていた。
「殿下、何故ジノは出撃で、私は待機なのですか」
モニカはクラウンを睨むように見た。その睨みは見たものを凍らせるほどの鋭さがあった。
しかしクラウンはその睨みをものともせずにモニカをじっと見ていた。
『私の代わりに団員に的確な指示を出せるのは君だけだ。それにジノは前線に向いてるからな』
クラウンの言うことが正論であるためモニカは押し黙り、クラウンの言葉に納得した。
「……わかりました。ですが気を付けてくださいね」
クラウンはモニカの言葉を聞くと仮面の下で不適な笑みを浮かべた。
『心配することなどない。私を誰だと思っている?』
その言葉を聞くとモニカはニコリと笑いクラウンを見た。
「そうですね。貴方を心配する必要なんかないですよね」
モニカはクラウンに一度頭を下げると自身の仕事をしようとその場を去った。
それを見届けるとクラウンは自室に戻ろうとマントを翻しその場を去った。
―――魔王と道化師の出会いまで、あと少し
祝、初投稿です!!
今までメモに書くだけで終わっていましたが、今回勇気を出して投稿しました!!
至らぬ点は多いと思いますが皆さん何とぞヨロシクお願いします!!
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トウキョウ租界
シンジュクゲットーへ向けての準備が完了し、団員たちはナイトメアを収納している数台の大型トレーラーに乗って元は地下鉄が通っていた線路を通って二日程たった。
シンジュクに近づくにつれ、団員たちはナイトメアの整備を始めており、幹部の四人はトレーラーの中のとある一室である人を待っていた。
「………暇だな」
ふと、幹部の一人である金髪の長身のブリタニア人――ジノ・ヴァインベルグが椅子に寄りかかりながらそう呟いた。
そしてジノの仮面には獅子座の印がついている。
「シンジュクまであと少しなんだから我慢してください」
神羅は本の方に目を向けながらもジノにそう言った。
「神羅はさっきから何の本を読んでるんだ?」
ビャッコは先程から疑問に思っていたことを神羅に聞いた。
因みにビャッコの隣に座っている榛名は日本刀の手入れに集中していて、先程からのジノたちの会話は聞いていない。
「これ?今度ナイトメアに加える新しいシステムについてのいくつかの案が書かれてる本だよ」
読む?と神羅は聞いたがビャッコとジノは丁重にお断りした。
二人とも本を読むのはあまり好きではないようだ。
そして全員が話すこともなくなると静かになった。
『遅れてすまない。ナイトメアの確認に時間がかかってしまった』
そしてドアが開くとクラウンが中に入ってきた。
クラウンに気付いた四人は今やっていたことを止め、その場に立ちクラウンの方へ体を向けた。
『そう畏まらなくていい。ここには我々しかいないのだからな』
クラウンはそう言いながら右手を仮面の方に伸ばすとその白い仮面を顔から外した。
仮面の下にあったのは艶のある黒髪にアメジストとルビーのオッドアイのブリタニアの少年の顔であった。
―――リオン・クライス
それが今の少年の名前である。
「全員、ちゃんとナイトメアの確認はしてきたのか」
リオンは榛名たちを見ながら空いている席に座った。
「ちゃんといつでも行けるように武頼改、グロースター、夜天、スレイプニールのそれぞれのナイトメアのメンテナンスは完璧にしてあります」
手元に持っていた本を机の上に置きながら神羅はリオンに言った。
「そうか。それならいいんだ」
リオンは神羅からそのことを聞き終わった直後、リオンの通信機にクラウンへの連絡が届いた。
リオンは変声機を通信機につけてから通信に出た。
『こちら第一特務隊隊長五十嵐。只今シンジュクゲットーに到着しました』
『そうか。なら他の部隊がつき次第、どこか安全な場所で私の指示が出るまで待機だ』
『了解!!』
通信が終わるとリオンは通信機をテーブルの上に置くと榛名たちに指示をし始めた。
「榛名たちはこのまま他の部隊とともにシンジュクゲットーで待機していろ。俺とジノはトウキョウ租界で情報を集めてくる」
俺がそう言うと榛名は文句を言いたそうな顔をしているがイレブンと呼ばれる彼女が行っても悪目立ちするだけなので連れていくことはできない。
「すまないな榛名。俺はお前が傷付くのを見たくはないんだ」
リオンは榛名の頭を撫でながらそう言うと榛名は顔を伏せているがその頬は赤く染まっていた。
その様子をジノは顔をニヤニヤしながら見ており、ビャッコと神羅は特に興味がないようであった。
「ジノ、準備が終わり次第すぐに行くぞ」
「仰せのままに、殿下」
ジノはリオンに軽く頭を下げ、リオンはトウキョウ租界へ向かうための準備をするために自室へと向かった。
◆ ◆ ◆
準備が終わったリオンとジノは榛名たちに団員を任せた後、情報を集めるためにトウキョウ租界を歩き回った。
――トウキョウ租界――
エリア11におけるブリタニア支配の中枢、総督府の所在地である租界。
租界の建造物の多くはブリタニア本国を意識して造られている。
今リオンとジノは租界のゲットー側にある裏路地にいた。
そこには賭博や賭けなどをやる店しかなく、ブリタニア人がスリルや金などといったものを求めてやってくる場所で、一部の店では裏ルートから手に入ったの軍やテロリストたちの情報を買うことができる。
「ブリタニア軍の情報を売ってくれだぁ?」
リオンとジノがいる店は主に貴族が賭けチェスをやっており、二人はその店の店長から情報を買いに来た。
だが、店長らしき男に情報を求めると怪訝そうな顔でこちらを見てきた。
因みにジノは話に参加する気がなく、店の中を見ていた。
「えぇ、有るなら売って貰えませんか?『コウモリ』さん?」
男はリオンの言った名前を聞くと眉をピクッと動かした。
――『コウモリ』
それはブリタニア人でありながら反ブリタニアとしてブリタニア軍の機密情報をテロリストたちに情報提供している男としてテロリストたちの中では有名な名だった。
「……何故、その名を知っている?」
男はリオンを睨みつけながらそう質問してきた。
「さぁ、何ででしょうね?」
リオンは笑みを浮かべながらそう答えた。
男はしばらくの間リオンを睨みつけていたが観念したらしく答えてくれた。
「酒に酔ったブリタニア軍人から聞いた話しだがなんでも毒ガスを作っているそうだ」
「毒ガス?なんでそんなものを?」
「さあな、そこまでは知らないな」
男の情報を聞いたリオンは少し何故ブリタニアが毒ガスを造っているのかを疑問に感じたが
「情報提供ありがとうございました。これはそのお礼です」
分からないことを考え続けても意味がないのでリオンは金を払い、店の中を見ていたジノの首根っこを掴んで店から出た。
◆ ◆ ◆
店を出た二人はその後も他の店から情報を集めようとしたが、特にこれといった有力な情報を手に入れることは出来ず、日は落ち人通りが少なくなっていた。
「殿下、もう暗くなり始めましたし今日は」
「そうだな………」
リオンもジノと同じらしく、今日の情報収集は終わりにすることにした。
「それで?今日のところはゲットーの榛名たちと合流して明日のことを話し合いますか?」
「いや、ブリタニアがどう動くのか分かるように今日はレオンハルトの家に泊めてもらおう」
レオンハルトとは白銀の方舟のジノの部隊の副隊長であり、軍の情報を集めるために租界に滞在している。
「暗くなってきたし、とっとといこう」
「そうですね」
リオンとジノはレオンハルトの家へと向かい始めた。
リオンは今日手に入れた軍とは関係ないがリオンにとって衝撃だった情報のことを思い出していた。
―――そういえばこの間君と瓜二つの子が貴族と賭けチェスをやりにきてたよ。
店の男は他にも何か色々と言っていたがリオンはよく聞いていなかった。
リオンは自身と顔が似ているものなどこの世でただ一人しか知らない。
「生きているのですね。兄さん………」
リオンはそう言いながらトウキョウ租界の夜空を見ていた。
や、やっと投稿出来ました……
小説を書くのがこんな難しいとは思っていませんでしたが頑張っていこうと思うので皆さんなにか不明な点があったら教えてください。
それではまた次回!!
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騒動前夜
情報収集が終わったリオンとジノの二人はレオンハルトの家へと向かっていた。
レオンハルトは元はシュナィダー家というブリタニアの貴族の息子だったがレオンハルトが親と勘当したために今は租界の一般住宅街にすんでいる。
ジノとリオンは多少の寄り道をしながら向かったためりは両手にたくさんの紙袋を持っていた。
「………買いすぎた」
「本当、殿下は珍しい物が好きですよね」
ジノは笑いながら片手に持っている先程買ったアイスを食べていた。
――しかたないんだ。あんな興味が引かれるようなものを置いている店が悪いんだ。俺は悪くない
リオンが買ったものは租界の中ではそこそこ有名な菓子『ブリタニアンクッキー』。見た目は普通のクッキーなのだが名前のインパクトが強かったのでつい買ってしまい、他にも色々と目移りした結果がこの紙袋たちである。
買った後に気付いたが欲しくないものまで買ってしまったと後悔した。
「レオンハルトに押し付けるしかないな」
リオンはお土産と称してこの菓子たちを渡すことにした
ようだ。
「いいんじゃないですか。それで」
ジノも特に異論は無いようで、そのままレオンハルトの家へと向かおうとしたら後ろから声をかけられた。
「あれ?殿下にジノさんじゃないですか?」
声をかけてきた方を見るとそこには短い茶髪の少女が立っていた。
少女の名はマリーカ・ソルシィエ。
トウキョウ租界に滞在しているリオンの直轄部隊の内の一員である。
「久し振りだなマリーカ。元気にしてたか?」
「はい!私はいつも元気に過ごしています!」
リオンの言葉にマリーカは元気よく答えた。
「ところで、マリーカはこんな夜中になにしてたんだ?」
ジノはマリーカにそう聞くと何故かマリーカは気まずそうに顔をそらした。
「実は兄さんがお弁当を忘れたので届けにいったらその後、ジェレミアさんに言われてナイトメアの操縦訓練をすることになって………」
「気づいたらこんな時間になっていたと」
「はい………」
マリーカは顔を赤くしながら頷いた。
マリーカの兄はリオンの命令であることを調べるためにブリタニア軍の純血派と呼ばれるブリタニア人のみで編成されているメンバーにいる。
因みにジェレミアとはその純血派のリーダーであり、以前マリーカのナイトメアの操縦を見て、それ以降、たまにナイトメアの操縦訓練に参加させている。
「ところで二人はどうしてここにいるんですか?」
マリーカは俺たちがここに来たことを他の奴らから聞いていなかったようで首を傾げながら聞いてきた。
流石にここは人通りが多いため話すことは出来ない。なので……
「その話しはここじゃ出来ないからレオンハルトの家でしよう」
リオンがそう言うとマリーカも何となく分かったのか素直に頷いた。
「それじゃレオンハルトの家にいきましょうか」
ジノがそう言うと三人はレオンハルトの家へと再度向かい始めた。
◆ ◆ ◆
リオン達三人はレオンハルトの家につき、家にあがらせて貰い、お茶を貰った。
家の中にはレオンハルトの他に数名の男女がいた。
レオンハルトたちもマリーカと同じでリオン達が来た理由を知らなかったので話すことになった。
「シンジュクゲットーで虐殺ですか……」
「にわかには信じられませんが、本当のことなら大変ですよね」
赤髪の少年――レオンハルト・シュナイダーとマリーカは手に持っていたお茶を机の上に置きながら言った。
「でもさ、その情報提供者はどうやってその情報を手に入れることができたんだ?」
「そうね。私たちの情報網でも手に入らなかった情報を手に入れるなんて凄い人ですね」
頭にゴーグルをつけている緑色の瞳に緑色の髪の少年――ラバック・デュランと銀髪の青い瞳の少女――チェイン・スノウが疑問に思ったことを言った。
二人は租界の情報収集部隊の隊長であり、租界の情報なら大抵知ることが出来る。
その情報提供者は白銀の方舟の情報部隊以上の情報網を持っていることが分かる。
「そんなに凄い情報網を持っているならなんで仲間にいれないんですか?」
ジノが疑問に思ったことをリオンに聞いてきた。
そんな凄い情報網を持っている人なら仲間に入れるべきだと思うのはジノだけではなく他の者も思ったことだろう。
だがリオンは何故か凄い嫌そうな顔をした。
「すまん。その事についてはまたいつか話そう。今日のとこは寝させてくれ」
リオンはそう言うと部屋から出ていった。
因みにリオンが部屋から出た後ジノ達は情報提供者がどんな人物なのか話し合い始めた。
◆ ◆ ◆
「はぁ、今日はつかれたな……」
リオンは客間にある部屋でベッドに倒れこむように仰向けになっていた。
「いよいよ明日か………」
リオンはそう呟くと布団から起き上がると自身の荷物から一枚のボロボロの紙を取り出した。
その紙には『皇歴2017年9月9日シンジュクゲットーにてブリタニア軍によるイレブンの虐殺が行われる』
これがリオンが貰った情報である。しかし貰ったのは最近ではなく、五年ほど前に魔女と呼ばれる女から貰ったのである。
「約束は守ってやるさ。そのために俺は力を手にいれたんだ」
リオンがそう言うとリオンの紫色の瞳が赤くなり、その瞳には赤い鳥のような印が浮かび上がっていた。
小説投稿おくれてしまってすみませんでした。
出来るだけ投稿を早く出来るように頑張りたいです。
また、小説の中でおかしな点がありましたら教えてください。
これからも宜しくお願いします。
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魔王誕生
レオンハルトの家に泊めて貰い一晩たち、朝になるとリオンはレオンハルトからバイクを借りると租界の中を走り回っていた。
「特に変わったことはないみたいだな」
リオンはバイクを止めると辺りを見回した。
因みにジノには榛名たちに租界で手に入れた情報を伝えるためにゲットーへと行かせた。
「やっぱり租界に詳しい奴で
も一緒に連れていったほうが良かったかもな」
最初はレオンハルトかマリーカと一緒に行こうと思ったのだが、レオンハルトはラバックたち情報部隊と一緒に租界の情報収集を、マリーカは白銀の方舟に提出するための情報をまとめているので二人を連れていくことは出来なかった。
そう思いながらリオンはまたバイクで租界を走ろうとバイクに乗ろうとした時、遠くの方で爆発のような音が聞こえてきた。
リオンは爆発音が聞こえた方を見ると遠くで煙が上がっているのが見え、周りの人々も煙の上がっている方を見た。
『おい、聞いたか?今純血派がテロリストを追い詰めてるってよ』
『マジかよ!純血派が出るってなにしたんだよ。そのテロリスト』
『何でもブリタニア軍が開発してた物が盗まれたんだとよ』
近くにいた男性たちがそんなことを話しているのが聞こえたリオンは頭の中で情報整理を始めた。
――エリア11のブリタニア軍のなかでも優秀な純血派が出るほど重要な物を盗んだテロリストが、もしこのままゲットーに逃げ込んだとしたら……
「あの女の言ってたことが本当になっちまう!!」
リオンは急いでバイクを発進させた。
目指す場所は榛名たちがおり、そしてテロリストの本拠地があるであろうシンジュクゲットー。
◆ ◆ ◆
男性たちの話しを聞いたリオンは榛名たちと合流するために、榛名たちがいるシンジュクゲットーへと向かうためにバイクで地下鉄の道を走っている。
「くそっ!なんでこんな時に通信機を持ってこないのかな俺は!」
二人が一つずつ通信機を持つ必要がないと思ったリオンはジノだけに通信機を持たせた。
だが今はジノはいないので榛名たちに連絡することが出来ないのである。
「これ以上先はバイクじゃいけないな……」
ある程度バイクで進むことが出来たが段々と道が粗くなっていき、とてもバイクで進めそうにない。
「仕方ない。ここからは歩いていくしかないか……」
リオンはバイクから降り、鍵をかけて先に進もうと歩き始めた。
「――動くな」
「っ!?」
鍵を持った直後、背後から声が聞こえ、振り向こうとしたが軍服を着た男が頭に銃を突き付けられてしまい、振り向くことが出来なかった。
「テロリストが地下を通って逃げていると聞いたがまさかこうも簡単に遭遇するとはな。さぁ手に持っているものを地面に落とし、両手を上に上げろ」
男の指示を聞いたリオンは持っていた鍵を地面に落とした。
「まさかこうも簡単に見つけることができるとはな。運がいいぜ」
男はテロリストを捕まえることが出来ることに優越感を感じているのか笑みを浮かべていた。
普通ならこのまま大人しく従うのが正しいのかもしれない。
だが……
「そう上手くいくかよっ!!」
リオンはそう言うと地面に落としていたバイクの鍵を踏んで壊した。
直後男の背後にあるリオンのバイクが爆発した。
「ぐはっ!?」
リオンは爆発した瞬間に前に転がることで爆発の影響を受けることはなかったが、男は爆発の衝撃をもろに受けたために壁に叩きつけられ、そのまま気絶した。
レオンハルトから借りたバイクには、いざという時のために小型の爆弾が詰められており、バイクの鍵を壊すことでバイクの中にある爆弾が機能して爆発するように白銀の方舟の技術開発部が作ったものである。
「とりあえずコイツをどこかに隠さなきゃな……」
リオンは気絶した男の肩を抱えるとその場を去るために移動し始めた。
◆ ◆ ◆
「さて、はやく榛名たちと合流しなきゃな」
リオンは男の軍服を奪い、近くに落ちていた少しボロいロープで軍服を脱がして裸にした男を縛ると、あまり人が通らないとはいえ、人の目がつかないよう瓦礫の間に隠した。
「さっきの男が言ってたことが本当ならテロリストは地下を通って逃げているってことだよな……」
そう判断したリオンはブリタニア軍人に遭遇したとしても大丈夫なように軍服に着替えると、周りに注意しながら地下を進んでいき、地上に上がるための階段についたその瞬間……
タァン!タァン!タァン!
「!?今の銃声は!?」
階段の上の方から銃声が聞こえ、リオンは足音をたてないようにしつつ、走って地上が見える場所に移動した。
「っ!?これは」
リオンが見たのはブリタニア軍によって銃で撃ち殺されたイレブンたちと頭に銃を向けていることから自害したと思われるブリタニア軍人たちの死体が辺りに転がっていた。
その死体が転がっている中でただ一人学生服を着た少年が立っていた。
リオンはその死体の山を見るよりもその少年を見て、驚きを隠せないでいた。
「何故、あなたがここにいるのですか
その少年は両目が紫色であること以外はリオンと瓜二つの姿をしていた。
彼の名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア
リオン・クライスの――否、リオン・ヴィ・ブリタニアの双子の兄である。
――魔王と道化師。
復讐を心に誓った二人によって世界は大きく変貌することになるとは、まだ誰も知らないことであった……
ルルーシュ登場!!
と言ってもまだリオンとは関わらせるわけにはいかないのでまだ再会はしません。
次かその次の話辺りからナイトメアの戦闘を始めようと思っております。
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道化師と魔女
ルルーシュを見たリオンは見つからないように地下に戻り、地下につくとその場に座り込んだ。
あそこにいた人物はリオンにとって衝撃を与えるには充分な人だったからだ。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア
神聖ブリタニア帝国第98代皇帝シャルル・ジ・ブリタニアと騎士候であるマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアの間に生まれたリオンの双子の兄である。
八年前アリエスの悲劇と呼ばれる事件によりマリアンヌと護衛の人間が数人殺され、妹のナナリー・ヴィ・ブリタニアも足を撃たれ、そのショックにより目も見えなくなってしまった。
その後、ルルーシュたち3人は日本に留学生とは名ばかりの人質として日本に送られた。
ルルーシュとナナリーは枢木ゲンブのいる枢木家にいったが、リオンはキョウト六家の代表である桐原泰三に預けられた。
最初はルルーシュとリオンは反抗したが、3人は人質であったため反抗は無意味に終わった。
それ以来リオンはルルーシュたちに会ったことがない。
その後のニュースでルルーシュとナナリーが日本人に殺されたと聞き、ブリタニアが日本に宣戦布告をし、そのまま戦争になった。
リオンも日本人らしい男に殺されそうになったが、かつてアリエスの離宮の警備兵の一人だったキューエル・ソレイシィによって助けられ、桐原に頼みリオン・ヴィ・ブリタニアを表向きには死んだことにしてもらった。
その後ルルーシュたちと再開することはなく、ルルーシュたちは死んだと思ったリオンは探すことは止め、ブリタニアを壊すために自身の組織――『白銀の方舟』を造り上げたのだ。
「……いや、いまはそんなことを考えてる場合じゃないよな」
リオンはルルーシュのことに関して色々考えようとしたが本人に直接聞けばよいと思ったのでルルーシュのいる地上に戻ることにした。
―――ちなみに地上に戻ったころにはすでにルルーシュがいなかったのにリオンはショックを受けた。
◆ ◆ ◆
ルルーシュが去った後、リオンはルルーシュが立っていた場所にいた。
リオンの足元には一人の緑色の髪の美少女が倒れていた。
その少女は他の死体とは違い、拘束着を着ており、額から血が流れているのに奇妙なことに額には傷らしきものがついていなかった。
「おい、いつまで寝てるつもりだ。はやく起きろ」
リオンがそう言うと先程まで倒れていた少女が立ち上がり、拘束着の裾で額の血を拭くとリオンの方を見た。
「まったく、来るのが遅いじゃないか」
「知るか、俺はあんたに会いに来たわけじゃないんでね」
少女のきつい言葉をリオンに対して言ってきたがリオンはそれに対して軽口で返した。
少女もリオンの言葉を聞くと小さな笑みを浮かべていた。
「ひとつ聞かせて貰いたいことがある」
「なんだ」
「何故お前は私の情報を信じた?」
少女はそう言いながらリオンを見た。
そう、リオンに今日の情報を教えたのはこの少女――否、C.C.と言う名の魔女から貰った情報だった。
普通なら五年前に貰ったこんな情報を素直に信じ、こんなところまで来るなんてあり得ないことだ。
だがリオンはC.C.の情報を信じ、虐殺を防ぐために仲間まで連れてきたのだ。
それを聞いたリオンは特に顔色を変えることなく答えた。
「お前とは契約したからな。
それぐらいのことは信じるさ」
リオンはそう言うとC.C.から顔を反らした。
C.C.は一瞬ポカンとしたがすぐに微笑を浮かべていた。
「やはりお前とルルーシュは似ている兄弟だな」
「?何を当たり前なことを言っているんだ」
リオンはC.C.が何を言っているのか分からなかったので聞くが、C.C.はその質問に答えることはなかった。
「それで、お前はこれからどうするだ?まさかこのままルルーシュやゲットーの奴らを見捨て、私だけを連れてにげるか?」
C.C.の言葉を聞いたリオンはC.C.を睨んだ。
「魔女も冗談を言うのだな。俺がブリタニアから逃げるわけがないだろ」
しかし今のリオンにはブリタニア軍と戦うための武器を持っておらず、ジノたちと連絡をとる手段がないのでリオンのナイトメアをこちらに持ってくるように指示することもできなかった。
「(さて、どうしようかな)」
リオンがどうしようか考え始めたとき、倉庫の壁がいきなり壊れ、そこから破壊されたサザーランドが倒れこんできた。
そのサザーランドを見下ろす形でショットランサーを持った白い装甲のグロースターがたっていた。
「あ、殿下。やっと見つかりましたね」
グロースターのコックピットから現れたのは榛名たちの元へと向かわせたジノであった。
さらにその後ろにはビャッコが全員の専用機を運んだ一台のトラックに乗ってやって来た。
「ジノか、どうやって俺の居場所がわかったんだ?」
「殿下にはもしもの時ように発信器がつけられてるんですよ」
「マジか!」
リオンは自分に発信器をつけられてたことに驚いた。
『リオン。トラックの中にクラウンの衣装とアドラメレクが用意されています』
「そうかわかった。ならすぐに乗る。榛名たちはどうしてる?」
『榛名と神羅はナイトメア部隊を連れて敵ナイトメアと交戦中。五十嵐率いる他の部隊は民間人の避難をしています』
「そうかなら心配することはないな」
リオンはビャッコからそう聞くと自身の専用機のあるトラックへと移動し始めた。
「おい、私はどうすればいいんだ」
「おとなしくトラックの中にいろ。勝手にどこかへ行かれてブリタニア軍に捕まえられても困るからな」
リオンはそう言うとC.C.も素直に従ってくれ、一緒にトラックへと移動した。
「ジノ、ビャッコ。止めるぞ。この虐殺を」
『「了解!!」』
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シンジュク事変
シンジュクゲットーではブリタニア軍がテロリストに奪われた毒ガスのカプセルを取り返すためにエリア11総督クロヴィス・ラ・ブリタニアの命によりイレブンの虐殺が行われた。
テロリストたちの武器ではブリタニア軍のナイトメアに敵うわけもなく、テロリストたちやイレブンは逃げ回るだけであった。
―――しかし何者かの手によってその状況はひっくり返された。
突然ブリタニア軍のナイトメア――サザーランドが数機何者かに強奪され、テロリストたちはその人物によって強奪されたサザーランドを受け取り、その指示に従いブリタニア軍を圧倒した。
たかがテロリストと侮っていたブリタニア軍だったが、今彼らは狩る存在から狩られる存在へとなっていた。
ブリタニア軍の本陣G1ベースの作戦指令部ではブリタニア軍の参謀たちが慌てふためていた。
それをクロヴィスは他のものに見られないよう右手で顔を隠していた。
「(なんだ……一体何が起こっているというのだ……たかがテロリストに我軍がこうも簡単にやられるなど……)」
ブリタニア軍とて決して無能ではない。いや、それ以上に多くの戦場を経験してきた有能なもので揃っている。
それがまるで相手の手のひらの上で踊らされてるようにこちらの策をすべて見抜かれており、あまつさえその策を逆に利用されたのだ。
そして追い打ちをかけるように警告音が鳴り響いた。
『こちらガレリア隊!至急、増援を請う!正体不明のナイトメアが――』
その言葉を最後にガレリア隊からの通信がきれた。
「ま、まさかイレブンどもが新型を……」
「バカな!!イレブンがナイトメアを造る技術を持っているワケがなかろう!!」
「し、しかしこれは……」
指令部に沈黙した。
もしガレリア隊の通信が本当ならば敵にはナイトメアを造る技術を持ったものがおり、そのナイトメアの性能は未知数ではあるが、恐らくサザーランドと同等か、あるいはそれ以上の性能を持っている可能性があるのだからだ。
「………バトレー、特派に繋げろ」
クロヴィスの言った言葉に参謀たちは驚きを隠せなかった。
特派とは、ブリタニア軍特別嚮導技術部の略称であり、第2皇子シュナイゼル・エル・ブリタニアの部隊の1つであるが、今は形としてエリア11統治軍の統率下に置かれている。
特派には一機の新型のナイトメアがある。
さらにそのナイトメアは第五世代ナイトメア『サザーランド』を遥かに上回る性能を誇るといわれている第七世代と呼ばれるナイトメアだ。
「しかし殿下!それではシュナイゼル殿下に恩を売ることに……」
クロヴィスにそう言ってきたのは幼い頃からクロヴィスに使えているバトレー将軍だった。
シュナイゼルは最も皇帝に近いと言われる男で、あまり借りは作らないほうが良いとバトレーは考えた。
「今はそれどころではない!!まずテロリストどもを殲滅することを優先する!!」
無論、クロヴィスとてシュナイゼルの配下である特派の力を借りるのはあまり機が進まない。
だが、このままテロリストたちを野放しにすればクロヴィスの総督としての地位どころか皇位を剥奪されてしまうかもしれないのだ。
「直ちに特派にテロリストどもを殲滅するように命令せよ」
『イエスユアマジェスティ!!』
クロヴィスの命令を受けた参謀たちはすぐに特派に連絡をいれた。
◆ ◆ ◆
クロヴィスが部下たちに指示を出していたときシンジュクゲットーの市街地でブリタニア軍はテロリストに押されていた。
だが相手は強奪されたサザーランドではなく見たこともないような黒いナイトメアだった。
そのナイトメアは騎士を元に造られたサザーランドなどとは違い、そのナイトメアは武士を元に造られたナイトメアで、背中には8個のバインダーがついており、両腕には黒い日本刀のような刀を持っていた。
『くそ!何なんだあのナイトメアは!?』
サザーランドに乗っているブリタニア兵がそう言いながらアサルトライフルを撃った。
しかしそのナイトメアはその銃弾をかわし、サザーランドを真っ二つに切り裂いた。
『イレブンがぁぁぁ!!』
近くにいたサザーランドが仲間がやられたことに怒り、右腕のスタントンファを振りかぶったが、振りかぶりきる前にコックピットを貫かれ、爆発した。
「イレブンじゃない……日本人だよ」
黒いナイトメアからそう言ったのは榛名だった。
この黒いナイトメアの名は『夜天』
白銀の方舟の技術開発部隊によって造られたオリジナルの一体である。
『ライブラ殿、ゲットーの住民の避難を完了いたしました』
コックピットの通信画面から聞こえてきたのは歩兵部隊の隊長である五十嵐蘭丸である。
五十嵐は元は日本解放戦線のメンバーであったが、ブリタニア軍との戦いによって彼のいた部隊が全滅したところをリオンたちが助け、それ以降白銀の方舟に恩義を感じ、彼らに使えている。
「そう、なら各自武器を持って指定された場所に移動してください」
『了解!!』
五十嵐からの通信が終わると榛名は少し落ち着こうと息を吐いた。
『榛名、そっちはどうなってる』
通信から聞こえてきたのはここから少し離れて日本がグラスゴーを改良して造ったナイトメア『武頼』の部隊を率いている同じ幹部の神羅だった。
「こっちはさっきサザーランドを四機目を倒したところ」
『そう、こっちも順調なんだけど……』
神羅は何か言いにくそうな顔をしていた。
榛名は神羅が何を言おうとしてるのかわかり、榛名も神妙な顔になった。
「まだ強奪したテロリストはわからないの?」
榛名が聞いたのは先程からブリタニア軍のナイトメアを強奪し、テロリストたちにそれを与え、指示を出してブリタニア軍を圧倒している人物のことだ。
その人物がまだ敵なのか味方なのかは分からない。だが、1つはっきりとしていることがあった。
『その人物はぼくたちと同じブリタニアの敵だってことだね』
「うん、だけどまだ私たちの味方とは限らないよ」
そう、いくら同じブリタニアを倒そうと思っているものでも必ずしも味方とは限らない。
現に今までにもテロリストととの交戦はあったのだから
『とにかく何か分かったらそっちにも情報を渡すから』
「わかった」
そう言うと神羅からの通信はきれた。
榛名は戦う時にはいつも御守りとして首につけているリオンから貰ったリングのついた首飾りを見た。
「リオンの敵は私がすべて倒す。それが今私の出来る唯一のこと……」
榛名はそう言うとブリタニア軍を倒すために夜天を起動した。
◆ ◆ ◆
榛名が神羅と通信をしていたころ、リオンたちもブリタニア軍と戦闘していた。
C.C.はトラックをゲットーの地下に移動させ、その場から動かないように言ってある。
『しかし殿下、あの拘束着の女性は誰ですか?』
ショットランサーとアサルトライフルを装備している青い二本の角をもつサザーランドの改良機『グロースター』に乗っているジノが通信でそう聞いてきた
「後でその事に関しては全員に話すから今は戦闘に集中しろ」
リオンは自身の専用機『アドラメレク』のコックピットからジノにそう言った。
アドラメレクもまた白銀の方舟の技術開発部によって造られたオリジナルナイトメアである。
アドラメレクは竜を元に造られており、装甲は赤く塗られており、右目のカメラアイには傷のような亀裂が刻まれていた。
『リオンさん』
「ビャッコか、どうした」
次に通信が入ってきたのは武頼の頭部に二本の虫のような触角がついている武頼の改良機『武頼改』に乗っているビャッコからだった。
『何か来ます』
ビャッコがそう言ったのと同時にリオンたちの頭上から一機のナイトメアが現れた。
そのナイトメアは純白の装甲でサザーランドよりも騎士らしい人型であった。
リオンたちは突如現れた謎のナイトメアに驚いたが、すぐに対処できるように武器を構えた。
『先手必勝だ!!』
ジノはグロースターのランドスピナーを動かすと、アサルトライフルを連射しながら相手に近づき、ショットランサーで貫こうとした。
大抵の相手ならこれで倒すことが可能である。
しかしこのナイトメアは普通の相手ではなかった。
『なにっ!?』
その攻撃は届くことはなかった。
なぜならその攻撃は謎のナイトメアの右腕から発せられた盾の形をした緑色のエネルギーによって防がれたからだ。
「下がれ、ジノ!!」
謎のナイトメアがジノに向かってMVSを降り下ろそうとしたので、
リオンはそう言いながらアドラメレクの装備している大剣で、ビャッコは武頼改の廻転刃刀で挟み込むように斬りかかった。
しかしその攻撃もリオンの攻撃はジノと同じように盾で、ビャッコの攻撃は赤い剣で防がれた。
「チッ」
リオンとビャッコは追撃をくらうのを恐れ、後ろへ下がった。
『殿下、どうします?あのシールドやっかいですよ』
『恐らくこのナイトメアが例のブリタニア軍の新型だと思われます』
数ヶ月前、ラバックたち情報部隊からブリタニア軍が新型のナイトメアを造ったことを聞いた。
そのナイトメアの名は『ランスロット』世界初の第七世代ナイトメアである。
そのランスロットの性能は第五世代のサザーランドやグロースターなどとは比べ物にならない性能を持つ。
さらにランスロットの武装は特派が新たに造りあげたエナジーシールドとMVS(メイザーバイブレーションソード)と呼ばれるものである。
性能も武装もリオンたちのものより上である。
「さて、どうしたもんかな……」
榛名と神羅の部隊はここからはかなり離れているので応援を呼ぶことは無理である。
かといって三人がかりとはいえこの中で最も性能が高いリオンのアドラメレクでも第六世代相当であるためランスロットとは性能に劣る。だが……
『性能の差なんてパイロットの技術でなんとかできますよ』
『同感ですね』
二人の言葉を聞いてリオンはフッと笑った。
――何を不安がることがあったのだろうか
「そうだな。俺にはお前たちがいるな」
今リオンには背中を任せるほどに信頼できる仲間がいる。
「さぁいくぞお前ら!!」
『『了解!!』』
リオンは操縦桿をうごかすとアドラメレクのランドスピナーがうねりをあげ、ランスロットに迫った。
ジノとビャッコもそれに続き、ランスロットとの距離を縮める。
アドラメレクと武頼改が大剣と廻転刃刀をランスロットに向かって降り下ろした。
その攻撃はランスロットの両腕から発せられたエナジーシールドによって防がれた。
しかしそのことは想定通りだった。だから……
「やれ、ジノ!!」
『イエス・ユア・ハイネス!!』
ランスロットを二人がかりで押さえている間に、ジノのグロースターがランスロットの背後をとるとショットランサーを突いた。
ランスロットは斬撃を反らしグロースターの攻撃をかわそうとしたがかわしきることができず、右腕の付け根部分を貫通した。
それによってランスロットはバランスを崩した。その瞬間をリオンは見逃さず、ショットランサーが貫いた部分に大剣を降り下ろし、右腕を斬り落とした。
「よし!このまま……」
リオンは右腕を斬り落とした大剣をそのまま頭部に降りおろそうとした。
しかしリオンが大剣を降り下ろしてるときにアサルトライフルの弾丸がとんできたため降り下ろしていた大剣を止め、弾丸を防ぐ盾にしながらランドスピナーを逆回転させながら後ろに下がった。
『リオンさん!援軍が来てしまったみたいです!!』
「クソ、あと少しだってのに……」
弾丸がとんできた方を見るとそこには十数機のサザーランドがアサルトライフルを構えていた。
この状況ははっきり言ってよくない
こちらはエナジーフィラーの残りが少ない三機のナイトメア。
相手は右腕を無くした第七世代のナイトメア一機と十数機のサザーランド。
どちらが不利なのかは誰にでもすぐわかることだ。
『どうします殿下、このまま戦いますか?』
ジノがそう聞いてきた。
だが、リオンはどうするかなど考えるまでもなかった。
リオンが下した判断それは………
「戦略的撤退だ!!」
これは逃げるのではない。
未来への道を切り開くため、今はこの場から去るのである。
と、ジノは心の中で言い訳していた。
『了解!!』
『了解しました』
ジノとビャッコもリオンの意見に賛成のようで、ジノが斬り落とされたランスロットの右腕を回収し、ビャッコが武頼改のスラッシュハーケンを飛サザーランドたちの近くのビルの上に向かって飛ばしてビルを壊した。
それによってサザーランドの頭上に瓦礫が雨霰のように降り注ぎ、足止めすることができた。
ランスロットが追いかけてくるかと思ったが何故かランスロットはリオンたちとは逆方向へと向かっていった。
不思議には思ったがこちらにとっては好都合だったので特に気にせずその場からなんとか逃走した。
投稿したときに気づきましたが5000文字かいていました。
驚きました。
次からもっと早くかけるようにしたいです
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シンジュク事変終了後
後、コードギアスの内容が上手く書けないので他の作品を書こうと考えております。
その時はその作品も読んでいただくとありがたいです。
シンジュクゲットーにブリタニア軍のGー1ベースの司令部に二人の男がいた。
一人はこのエリア11の総督であるクロヴィス。
もう一人は兵士の服装をしている少年で、右手には銃を持っており銃口はクロヴィスに向かれていた。
「やめろ!実の兄だぞ!?」
クロヴィスは体を恐怖で震わせながら少年に言った。
しかし少年はクロヴィスの言葉を聞いても銃口はおろさないどころか引き金を引こうとしていた。
「綺麗事だけじゃ何も変えられない」
少年は顔色を変えずそのままクロヴィスを撃った。
少年の名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア
ブリタニアに捨てられたクロヴィスの異母弟であり、先程までテロリストに指示をだしブリタニア軍を追い詰めていた張本人である。
◆ ◆ ◆
ここはシンジュクゲットーの端の方にある倉庫の1つでそこにリオンと白銀の方舟のメンバーがいた。
先程までここにいた彼らが助けたシンジュクゲットーの住民たちは今ここにはいない。
その理由はクロヴィスが突然の停戦を部下たちに命令し、さらにあろうことか傷ついたイレブンたちの怪我の治療まで行うと言ったのだ。
総督の命令を逆らうことができるはずもなくブリタニア軍は大人しくその場を退き、イレブンたちも怪我を治してもらうためにいった。
リオンは白銀の方舟のメンバーに今回の戦闘で破壊されたあるいはコックピットがないサザーランドの回収とナイトメアが故障していないかの確認をするよう指示を出すと自身は行きに使ったトラックにある自身の部屋に向かった。
部屋の扉を開け、中を見るとそこにはまるで嵐のあとのように散らかったリオンの部屋とそんな中で平気で仮眠用ベッドでごろついているC.C.がいた。
リオンは無言のまま部屋に入るとまずC.C.をベッドから落とした。
「いきなり何をするんだお前は」
「やかましい。あんたが俺の部屋をこんな散らかすのが悪いんだよ」
C.C.がジトッとリオンを睨みながらそう言ったが、リオンは関係ないと言わんばかりに部屋の片付けを始めた。
「で、どうだった?ブリタニア軍の最新式ナイトメアと戦って?」
C.C.が枕を抱えながら聞いてきた。
「……最初は三人だけどもなんとかなると思ってた。だけど……」
リオンは手を固く握っていた。
もしあの時敵の増援ががこないで戦闘を続けていたら三人のうち誰かが殺られていたかもしれない。
そう考えただけでもリオンは悔しかった。
「それで?これからお前はどうするつもりだ」
C.C.がそう言ってきた。リオンはC.C.の方を見ないで机の上に置いていたノートパソコンを開くと何か打ち始めた。
「何をしてるんだ?」
「今回の戦闘で手に入れたサザーランドの残骸とランスロットの右腕を俺たちの基地があるカナガワに運ぶように指示を出すのと今回の戦闘データを技術部隊に転送しているんだ」
C.C.が聞いてきたのでリオンは素直に答えたがそれ以降は会話をすることもなくC.C.はベッドに寝転がり、リオンはパソコンを打ち始めた。
「(あ、そう言えば榛名たちにC.C.のこと話してなかったや)」
リオンはふと、そんなことを思い出して手を止めたがまぁなんとかなるだろうと思ってすぐに作業に戻った。
◆ ◆ ◆
シンジュクゲットーの虐殺から次の日の夜。
ゲットーには至るところに先日の戦闘の跡が残っており、ゲットーにいる住民たちも目が死んでいるものばかりだ。
あの後、基地にいる技術部隊にランスロットとの戦闘データを送り、神羅と部隊の半分にサザーランドのパーツの山とランスロットの右腕を届けにいってもらうため昨日のうちにカナガワへと向かった。
ちなみにC.C.は朝起きたら勝手にどっか消えていた。
色々聞きたいことがあったがあったがまた会えるだろうと思い、特に気には止めなかった。
むしろ今はそれよりも―――
「――で、誰だったんですか?あの女は」
―――背中に阿修羅のオーラを纏っている榛名を何とかしなくてはっ!!
昨夜、自分の仕事を終わらせた榛名はリオンと少し話したいと思い、リオンの部屋にいったのだが、部屋の中にいたのは拘束着を着た女が一人いただけだった。
最初はブリタニア軍が潜入したかと思った榛名はC.C.を捕まえようとしたが、C.C.がその後言ったことが問題だった。
『私はあいつの契約者だぞ?』
と、C.C.が怪しい笑顔で言ったそうだ。それを聞いた榛名はどう言うことなのか聞きに来たそうだ。
あの魔女が……余計なこと言いやがって
「で?契約者って何?答えによっては………」
榛名はリオンの首もとに日本刀を当てながら言った。
「今はまだ言えない。だけど榛名が考えるような関係じゃない」
榛名のことは信頼している。だけどまだC.C.のことを教えるわけにはいかない。
榛名はリオンの首もとに当てていた日本刀を鞘に戻した。
「いつかちゃんと話してくれるなら私はそれを待つよ」
榛名はにっこりと微笑みながら言った。
その右手に刀を持っていなかったらよかったのに………
「あ、殿下たち話は終わりましたか?」
「そうですね」
いつの間にかジノとビャッコが扉のそばに立っていた。
「ジノにビャッコか。なにかようか?」
「まぁ、これを見てくださいよ。トウキョウにいるレオンハルトたちの情報です」
リオンはジノから渡された情報を読んだ。
『クロヴィス総督の死亡。犯人は名誉ブリタニア人枢木スザク。明日、軍法会議が行われる予定』
「この情報は確かなんだよな」
「はい。ブリタニア軍から公式に発表されたので間違いないと思います。それに枢木スザクの輸送現場がTVでも放送されたそうですよ」
クロヴィスが殺されたことにはリオンは余り驚かなかった。
むしろ何故停戦命令が出たのかがわかった。
恐らくだがあのテロリストたちを指示していた人物が何らかの手段を用いてクロヴィスの元に侵入し、クロヴィスを脅し停戦命令を出させ、その後に殺したのだろう。
問題があるとすれば……
「枢木スザクか……」
「リオンさん。それでお願いがあります」
「………一応聞いてやるがなんだ」
リオンがそう言うとビャッコは頭を下げた。
「お願いします。俺にあの男を――裏切り者の枢木スザクの暗殺の許可をください」
ビャッコは真剣な目をしながらそう言った。
枢木スザク。ビャッコの異母兄であり、ビャッコが最も殺したいと思っている男である。
次回例の仮面の男を出す予定です。
また、原作とは違う展開を書くつもりなのでよろしくお願いします。
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黒き仮面の男との出逢い
久しぶりの投稿です。
最近テスト勉強やなんやらで忙しかったのと他作品の小説も書き始めて投稿するのが遅れました。
そこそこ内容が貯まってるので次の投稿は早いと思います。
それでは本編をどうぞ!!
そこは、妙に空気が華やいでいる建物だった。
木々や芝生が広がる解放的で広大な敷地、洋風な校舎や関連施設、明るく大らかな校風を表しているかのように朝の太陽の輝きが降り注ぐ場所。
私立アッシュフォード学園、エリア11の中心であるトーキョー租界に所在する学校である。
エリア11のブリタニア人の子女が通う全寮制の名門校であり、中等部と高等部の一貫教育校であるが、その制度や校風以上に大らかな(一部、大らか過ぎるとも)生徒会長の存在が有名だった。
またブリタニア人が優遇される世情を表しているのか、その施設は全てが一流の水準に達している。
お手洗い一つとっても大理石調の床に木目調の個室と、随分と資金がかけられていることが窺える。
「……ふふ……」
そして学園に無数にあるトイレの一つ、教室が集中する校舎とは別の棟にある場所。
早朝のその時間にはほとんど誰も来ないそんな場所に、1人の少年がいた。
彼は温度感知で自動で水を流す水道の前、やはり大理石調のそこに手をついて水が流れていくのをただ見つめている。
金ラインに詰襟の黒い制服は、その少年が学園の生徒であることを示している。
「……我ながら、細い神経だな……」
その少年はシンジュクゲットーでテロリストに指示をだし、ブリタニア軍を後一歩のとこまで追い詰め、クロヴィスを殺したルルーシュ・ヴィ・ブリタニアであった。
「……だが、俺の目的のためには必要なことだ。そして、この世界を」
ルルーシュが顔を上げる、そこには鏡がある。
精巧な意匠を施された木製の枠に納められたそこには、やや青白い少年の顔が映し出されている。
ルルーシュがそっと左手を伸ばし、自分の顔の右半分を隠す。
するとどうだろう、細められたルルーシュの左の瞳。
瞳の中で、赤の光彩が散ったような気がした。
人間の瞳が輝くなど通常はあり得ないことだが、ルルーシュそれに対して小さく笑みを浮かべた。
「この、鳥籠のような世界を――――」
◆ ◆ ◆
ここはトウキョウ政庁のとある一室。
そこには椅子に座りながら指の爪を磨いている男とその男の前に立っている二人の軍服を着た男がいた。
爪を磨いている男は先日亡くなったクロヴィス総督の騎士であるトリルラン興で、そのトリルラン興の前に立っているのが純血派のリーダーであるジェレミア・ゴッドバルトとその副リーダーであるキューエル・ソレイシィである。
「どういうことですかトリルラン興!!」
「何のことかね。ジェレミア興?」
「とぼけないで頂きたい。これのことですよ」
キューエルが机の上に置いたのは『枢木スザクの軍事裁判』と書かれた新聞である。
「何故枢木が犯人なのですか!!殿下が
殺されたとき奴はランスロットに乗っていたのですよ!?」
そう、あの第七世代ナイトメアランスロットを操っていたのは名誉ブリタニア人である枢木スザクであった。
何故名誉ブリタニア人がナイトメアに乗れたのかというと、ランスロットのシュミレーターでブリタニア人も含め、枢木スザクの数値が最も高かったためランスロットの開発者が枢木スザクをのせることにしたのだった。
「テロリストと戦っていた枢木が殿下を殺すことが不可能なのは貴公も知っておろう!!」
ジェレミアがそう力説しながら机を思い切り叩いた。
しかしトリルランはそれでも涼しい顔をしており爪を磨くのを止め、ジェレミアのほうに体を向けた。
「無論私とてそのことは知っておる。だがこれは必要なことなのだよ」
「必要なこと、ですか……」
キューエルがそう言うとトリルランはニヤリと笑みを浮かべた。
「あの厳重な警備を突破したことから犯人はブリタニア軍内部にいると判断している。だが我が誇り高きブリタニア軍から罪人を出すわけにはいかない。そこで
……」
「名誉ブリタニア人である枢木スザクを代わりに罪人にすると」
「そのとおりだ」
キューエルの答えにトリルランはそう答えた。
「それに、彼は色々と危険だ。だからここで消すべきなのだよ」
トリルランの言うことにジェレミアは何も言えなかった。
あのランスロットの操縦技術に元日本最後の首相であった枢木ゲンブの実子なのだから。
もし枢木スザクがブリタニア軍を裏切ったときそのナイトメアの操縦技術に日本人の象徴の誕生により、ブリタニアにとって脅威となり得るかも知れないのだ。
それならばいっそ今のうちに殺した方がよいだろう。
「それに我が誇り高きブリタニア軍にナンバーズ等と言うドブネズミなど必要ないのだよ」
トリルランはそう本音を言うと椅子から立ち上がった。
「……分かりました。それではこれで失礼いたします」
「キューエル!?貴様何を言っているんだ!?」
キューエルの言葉が信じらないと言わんかのようにジェレミアは驚きを隠せなかった。
しかし、キューエルはジェレミアの言葉など気にせずジェレミアを連れてその部屋から退出した。
「(殿下は一体どうするおつもりなのだろうか……)」
キューエルは心の中で自身が忠誠を誓ったリオンのことを考えながら部屋を出た。
◆ ◆ ◆
「さて、これからどうしたものか」
キューエルがトリルランと話していたときリオンもまた枢木スザクのことで悩んでいた。
「まさかこうも綺麗に意見が別れるとはな……」
今このシンジュクゲットーにいる白銀の方舟のメンバーに枢木スザクをどうするかについて話したのだが意見が別れてしまった。
1つは枢木スザクの暗殺。ブリタニアに利用され自分達が不利になるのなら殺されるぐらいなら自身の手で殺したいと言うビャッコの意見。
もう1つは枢木スザクの救出。
枢木スザクの護送途中を襲い、枢木を助けだしその後は日本人の旗印として扱おうというジノの意見。
リオンはこの両方の意見を余りよく思っていない。
まず、ビャッコの意見だが居場所は租界にいる純血派の副リーダーであるキューエルの権限を使えばすぐに分かるだろうが、枢木スザクを殺してもこちらにはメリットなどはない。
かといってジノの意見が良いかというとそうでもない。
今のこちらの戦力はナイトメア四機、歩兵十七人、偵察員九人、整備士十二人といったところだ。
正直、この戦力だけでは心許ないだろう。
「この件は無視した方が良いだろう」
例え俺たちが動かなかったとしても枢木スザクをもっと必要としてそうな『日本解放戦線』が動くだろう。
その結果がどうなろうとリオンにとってどうでもいいことだ。
リオンは枢木スザクのことはこれで終わりにすることにした。
しかし………
コンコン
扉をノックする音が聞こえたのでクラウンの衣装に着替えてから扉を開けるとそこには租界にいるはずのマリーカが立っていた。
『マリーカどうしてここに来たんだ』
マリーカには租界にてブリタニア軍の動きを報せるよう指示を出していた。
もしサボっているというのなら……
「そ、その大変なことが分かりまして、それを報せるためにこれを届けにきました」
そう言ってマリーカは手に持っていた封筒をリオンに渡した。
そこには宛名も住所も書かれていないが1つだけ書かれていることがあった。
『シンジュクゲットーのテロリストの指揮者』
そう書かれていた。シンジュクゲットーでテロリストの指揮者と言えば一人しかいない。
『例のブリタニア軍からサザーランドをテロリストに提供していたものか』
しかし一体そんな人物が何の用なのだろうか。
リオンは封筒を破り、中に入っている手紙を読むとそこにはこう書かれていた。
『本日は頼みがあってこの手紙を送らせて頂いた。
まず、クロヴィスを殺したのは枢木スザクではなくこの私だ。
無実の罪で殺されてしまう枢木を助けるために力を貸して頂きたい。
もし力を貸して頂けるのならばこの指定された場所に来ていただきたい。
無論護衛として数人連れてきても宜しいです。では、よい返事を待とう』
「なんか偉そうな言い方ですね」
横から見ていたマリーカがそう呟く。
確かにそう思えるような文章である。だがリオンはこの文章の書き方が気になっていた。
『(何でだろう。この書き方兄さんに似ているような気がする)』
「どうかしましたか殿下?」
マリーカが手紙を持ったまま固まっていたリオンを心配したのか声をかけた。
『ッ、あぁ大丈夫だ。取り合えずこの手紙を送った人物を知るために榛名たちを連れて指定された場所に行こうと思う。一応マリーカはレオンハルトたちに報せて遠くから見張ってくれ』
「分かりました。それでは皆さんに伝えてきますね」
マリーカはそう言うと榛名たちに報せにいった。
『さて、見させて貰おうか。この人物が本当に力を持っているのかを』
リオンは持っていた手紙を再度見てそう言った。
◆ ◆ ◆
マリーカか榛名たちを呼んだ後、リオンは幹部の証である仮面を付けさせ、榛名たちを連れて指定された場所に向かって移動した。
リオンたちがついた場所はシンジュクゲットーにある廃棄場であった。
榛名とジノ、ビャッコはリオンを守るようにリオンの回りを囲み、レオンハルトたちはリオンの姿が確認出来る場所でたいきしていた。
「しかし本当にいるんですかね。その手紙を出した人が」
「居なかったらそれはそれでいいんじゃないんですか」
ジノとビャッコがそんなことを言いながら歩いた。
二人に話したときは反対するかと思ったが二人もシンジュクの指導者が気になっていたようで反対せず付いてきてくれた。
榛名は元からリオンが決めたことならそれに従うと言って付いてきた。
「二人ともそろそろお喋りは止めて、もうすぐで指定された場所につくよ」
榛名がそう言うと二人も話すのを止め、辺りに注意を向けた。
『ここが指定された場所だな』
指定された場所につくとリオンがそう言った。
指定された場所はゲットーと租界の間にある高台のようなところであった。
まるで今の現状を此方に言うようであった。
『よく来てくれたな。待っていたぞ』
「「「『!?』」」」
頭上の方からそんな声が聞こえ、声が聞こえた方を見るとそこには黒い仮面を付け、体を黒いマントで覆っているひとがいた。
『はじめまして。我が名はゼロ。力あるものに対する反逆者だ』
黒い仮面の人――ゼロがマントを翻しながら自身の名を名乗った。
――これが後にブリタニアを脅かす存在となるゼロとの始めての出会いだった。
やっとゼロを出すことが出来ました。
原作ではクロヴィスの騎士がいなかったのでアルドノア・ゼロのキノコ頭ことトリルラン卿を騎士にしました。
これからもアルドノア・ゼロキャラは出ると思うので皆さんよろしくお願いします。
それではまた次回をお楽しみに。
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我が名はゼロ!!
次の投稿は少し遅れると思いますが、読んでください
あの後ゼロと共に枢木スザクを助けることが決まり、ゼロから作戦内容を聞いて、リオンたちはナイトメアに乗ることになった。
リオンたちは時間になるまで待機しており、リオンは自室でクラウンの仮面を手に持って立っていた。
ゼロとの契約することに春人には反対されたが何故かリオンはゼロのことを信頼していた。
リオン自身も何故ゼロのことを信頼出来るのかは分からない。
だが一度契約したのだからその契約はちゃんと守る。そうリオンは誓っているのだ。だから――
「せいぜい失望させないでくれよ。ゼロ」
リオンは仮面を顔に付け、クラウンの衣装に着替えると自室を出て、自分のナイトメアがある格納庫へと向かった。
――――枢木スザクを奪還するために
◆ ◆ ◆
『間もなくです。間もなく時間となります。
ご覧下さい。沿道を埋め尽くしたこの人だかりを!
皆、待っているのです!クロヴィス殿下を殺した大罪人が処刑されることを!
名誉ブリタニア人の枢木スザクが通るのを!元イレブンを!今か、今かと待ち構えているのです!』
TV局『HiTV』が独占放映権を得て、『枢木スザク護送』を実況生中継する報道特別番組。それは全て仕組まれた大嘘だった。
確かにクロヴィス殿下は殺されたが、犯人はまだわかっておらず、ブリタニア軍の中から犯人を出すわけにはいかないので、名誉ブリタニア人であるスザクを犯人にしたてあげようと、エリア11総督のクロヴィスの騎士であるトリルランはこの見せしめのショーを実行したのだ。
『人でなし!』
『神の呪いを受けよ!』
『人の皮を被った悪魔め!』
『下衆が!』
『クロヴィス殿下を返して!』
スザクが沿道に差し掛かる度、罵声が浴びせられ、生卵や石などが投げられる。
クロヴィスの追悼番組でその能力を示したテレビ局ディレクター、ディートハルトによって熱狂的な愛国者を集めたのだ。
ただでさえ集団心理で感情を表しやすいこの状況下、すべてはブリタニア軍の描いたシナリオのまま終わるはずだった。
―――しかし、ここでイレギュラーが発生した。
◆ ◆ ◆
「トリルラン興、前方から車とナイトメアが4機やって来ますがいかがいたしますか?」
キューエルが今きた情報を彼の上司であるトリルランに伝えた。
キューエルとジェレミアたち純血派は純血派使用のサザーランドに乗り、トリルランは特別に改造されたグロースターのコックピットで爪を削っていた。
「構わん。そのまま通せ」
「はっ!」
見せしめにピッタリだと思ったトリルランはそのまま通すことにした。
やって来たのは皇族の御料車とそれを囲むように配備されている4機のナイトメアだった。
車とナイトメアはスザクが乗せられている護送車の前で停止した。
「どこのネズミだか知らないが姿を表して貰おうか!!」
トリルランはコックピットから体を出しながらそう言った。
その直後、その声に応じるように張りぼての壁が焼け落ちそこから黒い仮面を着けた人が現れた。
『我が名はゼロ!!力あるものに対する反逆者だ!!』
◆ ◆ ◆
その人物の姿を見た時、人々は純粋にこう思った。
――――何だ、あの趣味の悪い奴は。
随分と酷い感想だが、しかしその場にいる誰もが似たようなことを考えただろう。
180センチに届くか届かないかくらいの背丈で、少々貴族趣味な衣装。
黒のマント、黒の靴と手袋、ここまででも相当だが、まぁしかしここまでならファッションセンスだと言われても納得するだろう、何とか。
しかし、一点だけ。
「か、仮面……?」
そう、その人物は黒い仮面で自分の顔を覆っていた。
アップで映像を映せば、黒いトゲや金のラインで装飾されているらしいことがわかる。
いや問題はデザインではなく、何故あんな仮面で顔を隠しているのかと言う点だ。
まぁ、普通に考えれば顔を見られたくないのだろうが。
『枢木スザクを貰い受けたい、コイツと交換でな』
ゼロの言葉に沿道にいる人々とブリタニア軍は動揺を隠せなかった。
ブリタニア軍に対したった4機のナイトメアだけでここに現れただけでなくクロヴィス殿下を殺した枢木スザクを寄越せと言っているのだ。
「バカなことを言うな!!此奴はクロヴィス殿下を殺害した大罪人だぞ!?」
コックピットから顔を出していたジェレミアがゼロに向かってそう怒鳴るように言った。
無論ジェレミアはスザクが犯人ではないことをわかっている。
だが、今この場ではそう言うしかないのだ。
『違うな。間違っているぞジェレミア興。クロヴィス殿下を殺したのは
この私だ!!』
ゼロのその宣言にその場にいた人々だけでなくテレビの画面越しに見ていた者全てが驚いた。
「き、貴様が殿下をぉぉおおおお!!」
最も早く立ち直りが早かったジェレミアがサザーランドを動かし、ゼロに向かって飛びかかる。
「大した忠義だ、だが…」
ジェレミアのサザーランドを遮るようにアドラメレク現れ、大剣でサザーランドの腕を切り落とし、バランスが崩れて倒れたサザーランドにスラッシュハーケンの射出口を向ける。
他の純血派たちもジェレミアを助けるために動きたいが、アドラメレクの他にも残り3機のナイトメアがいるため迂闊に動けないでいた。
「その男とあれを交換だ」
ゼロがそう言うと、御料車の残りの装飾が燃え、直径2メートルほどのカプセルが現れた。
トリルラン達にとってあれは毒ガス。
この場に集うすべてが人質。しかも人質にはそれを気づかせないようにしている。その上相手は逆上していたとはいえ純血派のリーダーであるジェレミアを押さえ込んだ。
「……いいだろう。枢木スザクを渡そう」
「トリルラン興!?正気ですか!?テロリストの要求を飲むなど!!」
純血派の一人であるヴィレッタがトリルランにそう言うが、ここは従うしかないと純血派の人間は思っていた。
スザクは拘束具をつけられたままゼロの元へと歩かされた。
その間スザクは沿道の人々から罵声などが飛ばされた。
『(おかしい。何故トリルランはこうも簡単に枢木スザクを引き渡したんだ?)』
ブリタニアは基本人質を取られたとしてもそんなのは関係なしと言わんばかりにそのまま攻撃する。
それで人質が死んだとしてもそれは人質が弱かったのがいけなかった。と言う。
それがブリタニアという国だ。
「(まさか!!)ゼロ!!その場から早く離れろ!!」
「もう遅いぞ!!ドブネズミが!!」
ゼロがクラウンの言葉に反応し、頭上を見上げるとトリルランのグロースターがハンマーを降り下ろそうとしていた。
『(クソッ!!まんまと騙されてしまった!!)』
ゼロは仮面の下でそう悪づいた。
トリルランは元からスザクを逃がす気などなかったのだ。
一度は解放してゼロを油断させ、その瞬間二人まとめて殺そうとしたのだ。
『レグルス!!』
『わかってますよ!!』
しかし、すんでのところでジノがグロースターを動かし、トリルランの攻撃をショットランサーを横にして両腕で支えるように受け止めた。
『チィッ!!ドブネズミが余計な真似を!!』
トリルランがそう言った直後、カプセルから煙が溢れだし、沿道にいた人々はそれに驚いてパニックになっていた。
その隙にゼロはスザクと御料車を運転していた女は橋から飛び降り、下に待機していたもう一人の仲間によって回収された。
リオンたちもスラッシュハーケンを利用して橋から下へと下りた。
『奴らを逃がすな。追え!!』
トリルランがそう言うと純血派のメンバーがサザーランドを動かし、アサルトを撃ちながらリオンたちを追ってきたが、クラウンたちはランドスピナーの回転を止め、サザーランドたちに向くと振り向きながら大剣をサザーランドを横から真っ二つに切り裂いた。
ジノたちも同じように降りてきたサザーランドを倒しおえると榛名とビャッコは夜天と武頼改からチャフスモークを展開し、ジノが敵の援軍のサザーランドに向かってアサルトライフルを撃ち、ランドスピナーを壊して追ってこれないようにした。
その隙にクラウンたちはその場を離脱した。
―――――こうして、枢木スザクの奪還は成功し、世界にゼロという反逆者の存在が知れ渡るのであった。
すいません。本当ならもっと戦闘シーンを書きたかったんですが先の内容が思い付かなかったので少し最後の方さが少し雑になってしまいました。
次でスザクの奪還編は終わりです。
できるだけ早く投稿出来るよう善良いたします
こんな駄作ですがよろしくお願いいたします。
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無と道化と魔女
これでシンジュクの話は終わりです。
それでは皆さんよろしくお願いします!!
ここはシンジュクゲットーの廃ビル。
そこでは今ビルの奥にある部屋でゼロが枢木スザクを仲間にしようと説得をしていた。
クラウンはそれが終わるのを榛名たちと共に待っていた。
「クラウン。ゼロは枢木スザクを仲間にできると思いますか?」
榛名は待つことが退屈だと思い始めたらしくクラウンにそう聞いてきた。
『高い可能性で枢木はゼロの仲間にはならないだろう』
「何故ですか?枢木スザクだって日本人ですよ。日本を解放するためならゼロの力はとても心強いじゃないですか」
ジノの言うとおり、今回のことでゼロの能力の高さがよくわかった。
ゼロの力なら自らの軍隊を作り上げることもでき、その能力を最大限に引き出せたらブリタニアを倒すことは不可能とは言えないものだ。
「アイツはブリタニアを中から変えるって言ってる奴だ。テロなどといった手段には否定的な奴だ。そんな奴が今更仲間になるわけないさ」
ジノの問いに代わりに答えたのはビャッコだった。
スザクはブリタニア軍に入る前に、枢木家を含むキョウト六家にブリタニアの中から変えると宣言をしたそうだ。
当然、キョウト六家はこれを取り入れるわけもなく、枢木スザクは枢木家に勘当された。
ビャッコもその場にいたのでそのことはよく分かっているようだ。
「では何故ここに残っているんですか?既に報酬も受け取っているんですからこの場を去ってもいいのでは?」
榛名はそう言いながら手に持っているトランクケースをクラウンに見せた。
そのトランクケースの中には今回の手伝いの報酬として貰ったあるナイトメアのデータの資料があった。
前々からナイトメアの強化や製造の為にそのデータを手に入れたかったのだが、中々見つけることが出来ずに困っていたのだが、ゼロがそのデータを持っていたので今回は手伝ったのだ。
『ただ、少し話すだけさ。時間はそんなにかけないつもりだ』
クラウンはそう言うと、それ以上なにも話すことはないというかのように黙った。
榛名たちもこれ以上深く詮索する気はないのか黙ってゼロが出てくるのを静かに待った。
◆ ◆ ◆ ◆
しばらく待っているとゼロがやって来た。
予想通り。スザクは仲間にならなかったようで、どことなくゼロがイライラしているのが感じ取れた。
「やぁゼロ、気分はどうだい?」
『………何のようだ。約束のものは既に渡したはずだが』
「なに。少し君に提案があるんだよ」
『提案だと?』
「ゼロ。私と同盟を結ばないか?」
クラウンのその言葉にゼロだけではなく、彼の後ろにいた榛名たちも驚いた。
『………理由を聞かせてもらおうか』
ゼロは怪しいと思っているのか少し警戒しながらそう聞いてきた。
それはそうだろう。数回しかあったがない人間が同盟を申し込んできたのだ。
警戒するのは当たり前だ。むしろ、警戒しないような奴だったならこんなことは言わない。
「簡単なことだ。私はあなたの力が欲しい。
ブリタニア軍からナイトメアを強奪し、あまつさえその強奪したナイトメアとその場にいたテロリストだけでブリタニア軍を壊滅まであと少しのところまで追い詰めたあの戦略。
是非とも欲しいと思ってな」
俺は嘘偽りのないようちゃんと言った。
これから本格的にブリタニアと戦うなら少しでも戦力は欲しいのだ。
それが強力なものなら尚更だ。
『………1つだけ聞いてもいいか?』
「答えられる範囲でならいいぞ」
『では聞こう。お前たちは何故ブリタニアと戦うんだ?』
ゼロがそう質問してきた。
何故、か………理由なんて俺たちは全員バラバラだ。
ジノやモニカは俺の騎士として忠誠を誓ったから
ビャッコは己の大切なものを奪ったものたち全てに復讐するため
榛名は俺に助けられた恩とブリタニアを倒すため
神羅や他の日本人は奪われた祖国を取り返すため
その他にも色々な人が色々な理由を持っている。
でも、俺の戦う理由なんてとっくに決まっている。
「……私がブリタニアと戦うのは私にとって大切な人を殺された復讐。そしてこんな私と共に戦ってくれるものたちの為に世界を平和にするためだ」
『………そうか』
ゼロはクラウンの言葉を聞くと後ろに振り向き、その場を去ろうとした。
『同盟に関してだが互いにまだ完全に信頼できることが出来ないからまたにしてくれないか?』
「いいさ、ブリタニアと戦うのならまた会うことがあるだろうしな」
そのままゼロはビルの外に出た。
クラウンもまた榛名たちを連れ、反対側へと歩きだした。
◆ ◆ ◆
「魔王と道化師が出会ったか」
ゼロとクラウンがいたビルよりも高い位置にあるビルの屋上からC.C.が見ていた。
「だがこれはまだ始まりに過ぎない。クラウン――いや、リオンには頑張ってもらうしかないな」
C.C.は妖艶な笑みを浮かべながらその場から離れた。
「―――あぁ、早く会いたいものだな。私の愛しい魔王―――ルルーシュに」
――――これは未来に魔王と呼ばれるルルーシュと道化師と呼ばれるリオンによるブリタニアへの復讐。そしてブリタニアに隠された陰謀との戦いの物語である。
いかがでしたか?
ちなみに最後のC.C.の言葉は後々明かされる予定なので楽しみにしてください。
多分ギアスは今年はこれが最後の投稿だと思います。
それでは皆さんまた見てギアス!!
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キャラ設定
原作キャラも色々と原作とは違うので暖かい目で見てください
オリキャラ
リオン・ヴィ・ブリタニア(偽名リオン・クライス)
容姿 ルルーシュの右目を赤くしただけで残りは瓜二つ
年齢 17才
今作の主人公。
ルルーシュの双子の弟で、白銀の方舟の総帥をしている。
自分達を捨てた父親に復讐するのと仲間が平和に暮らせる世界を創るためにブリタニアと戦っている。
幼い頃にビスマルクに剣を習ったため体力はある。
幼い頃にC.C.からギアスを貰っている。
KMFの操縦はアリエスの離宮にいた頃からマリアンヌのガニメデで何度も練習したことがあるので操縦はかなりうまい
霧ヶ峰榛名
容姿 アカメが斬る!!のアカメ
年齢 17才
今作のヒロインの一人。
元日本解放戦線の暗殺部隊の人間。
ある日ブリタニアの貴族を暗殺するために屋敷に侵入したが見つかってしまい、拷問されそうになったところをリオンに助けてもらって以来、リオンのことが好きになったのと、助けてもらった恩を返すために白銀の方舟に入った。
KMFの操縦は最初は慣れていないためうまくなかったが僅か一年で幹部に上がるほどの成長を見せた。
幹部の中では序列六位の『ライブラ』
枢木ビャッコ
容姿 終わりのセラフの百夜優一朗
年齢 16才
枢木スザクの異母弟で、現枢木家の代表である。
本来なら彼の姉である枢木キリンが代表になる筈だったが、彼女はスザクを含む名誉ブリタニア人たちによって重傷を負い、いまだ意識が戻っていない。
それからビャッコは枢木スザクを殺すことを心に決め、そのための力を手に入れるために白銀の方舟に入った。
KMFの操縦はカレンと同じくらい。
剣術の勝負で榛名に勝ったことはまだない。
幹部の序列は九位の『アクエリアス』
海塚神羅
容姿 アルドノア・ゼロの 界塚 伊奈帆
年齢 16才
祖国である日本をブリタニアに奪われ、ブリタニア軍によって父と母が殺されてからは姉の海塚刹那と暮らしていたが、住んでいたゲットーでブリタニア軍の貴族によるハンティングゲームによって殺されそうになったがそこをリオンが率いる白銀の方舟が救った。
神羅は姉を守り、日本を取り戻すために白銀の方舟に入ることを決めた。
KMFの操縦は上手いが、それ以上に頭の回転が早いため、作戦参謀長として重宝されている。
幹部の序列は四位の『スコーピオン』
ラバック・デュラン
容姿 アカメが斬る!!のラバック
年齢 16才
トウキョウ祖界にて情報収拾部隊の隊長である。
普段は祖界で本屋を経営し、色んな客から情報を貰ったりする。
また、よく本を買いに来るブリタニア貴族や軍人などもいるため、そこから色々とコネを手に入れ、一般では入れないようなところに普通に入ることが出来る。
女性が好きなためかよくナンパしようとするが、その前にチェインに捕まり、O☆HA☆NA☆SIをされる。
チェイン・スノウ
容姿 ハイスクールD×Dのロスヴァイセ
年齢 15才
情報収拾部隊の隊長である。
主にハッキングを行い、祖界のあらゆる情報を集めることが出来る。
しかし軍の最重要機密などの代物はセキュリティが厳しすぎるため、まだハッキングできていない。
ラバックのことが好きなのだが、まだ告白するほどの勇気はなく、最近はラバックがナンパしているのを見るとついO☆HA☆NA☆SIしてしまうことで悩んでいる。
枢木キリン
容姿 艦これの大和
年齢 23才
ビャッコの姉で、幼い頃はスザクとビャッコの世話をよくしていた。
スザクがブリタニア軍に入ったときも、彼女と彼女の部下だけはいつかスザクが戻ってくるのを信じていた。
ある日彼女たちはスザクに話をしたいと呼ばれた。
しかし彼女たちが呼ばれた場所にいくとそこにはブリタニア軍が待機していた。
彼女たちは騙されたことに気づいたのと裏切られたことに絶望した。
彼女を庇い部下は全員死に、彼女自身も重傷を負い、未だに意識を取り戻せないでいる。
海塚刹那
容姿 アルドノア・ゼロの界塚ユキ
年齢 22才
祖国である日本がブリタニアに侵略され、両親が死んでからは弟の神羅を守るために頑張っていた。
しかしある時住んでいたゲットーがブリタニア軍の貴族によるハンティングゲームによって殺されそうになったがそこをリオンが率いる白銀の方舟によって助けられた。
最初は神羅が戦うことに反対したが、結局は根負けした。
今は白銀の方舟の医療部隊に所属しており、いつも神羅が無事に帰ってくることを願っている。
五十嵐蘭丸
容姿 終わりのセラフの五士典人
年齢 25才
以前は日本解放戦線にいたが、彼がいた部隊がブリタニア軍によって全滅されたときリオンによって彼の部下を含め、助けてもらって以来、白銀の方舟の第2部隊に配属された。
よくキセルを吸ってるのを見かけられる。
原作キャラ
ジノ・ヴァインベルグ
原作ではナイトオブラウンズのナイトオブスリーであったが、今作ではリオンの騎士となっている。
KMFの操縦がもっともうまいため主に前線を任されることが多い。
幹部の序列は一位の『レグルス』
モニカ・クルシェフスキー
今作の二人目のヒロイン。
原作ではナイトオブラウンズのナイトオブトゥエルブであったが、今作ではリオンに一目惚れをし、それからはリオンの騎士となっている。
KMFの操縦は上手いが主に後方で指揮を任されている。
普段は白銀の方舟の副司令としてリオンの代わりに団員たちに指示を出すことが多い。
幹部の序列は二位の『サジタリウス』
キューエル・ソレイシィ
純血派の副リーダーを勤めているが、本来の仕事はブリタニア軍の動きを白銀の方舟に知らせることである。
かつてマリアンヌの警備隊の一人であったが、マリアンヌが暗殺されてしまったうえにルルーシュとナナリーが日本で亡くなったと聞いて不甲斐なく思い、せめてリオンだけでも守ろうとリオンがいるエリア11に志願した。
リオンがブリタニアからの暗殺者に殺されそうになったのを助け、それからはリオンに忠義を尽くすことを約束した。
マリーカ・ソレイシィ
今作の三人目のヒロイン。
トウキョウ祖界の学生として暮らしているが、本来の仕事は祖界で怪しいところはないのかをしらべてもらうことである。
リオンのことはモニカと同じく一目惚れで、リオンの役に立つことは何でもやろうと頑張っている。
最近は純血派のジェレミアに気に入られ、ナイトメアの操縦の訓練をしてもらうことがある。
レオンハルト・シュタイナー
マリーカと同じようにトウキョウ祖界の学生として暮らしているが、本来の仕事はブリタニアに反抗する人員集めである。
マリーカのことが好きであったが、リオンに惚れているとわかってからは、二人の仲を応援している。
KMFの操縦技術は皇族騎士の少し下ぐらい
不明点、誤字、脱字、変なところがあったら教えてください。
すぐにでも修正しますので。
少し話の進め方で悩んでるので更新少し遅れると思いますが、よろしくお願いします。
出来れば感想をくれると作者も頑張れるのでお待ちしてます
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機体設定
パイロット
リオン・ヴィ・ブリタニア
アドラメレク
武装
スラッシュハーケン
大剣
ハンドガン
推進機関
ランドスピナー
体長五メートル
機体カラー赤
元はブリタニアが第6世代の実験機として造られていたナイトメアだが、開発は失敗し、廃棄されていたのを当時リオンと結成されたばかりの白銀の方舟が発見したのを回収し、修理したものだ。
イメージとしては色は赤く、グロースターの頭部を龍の形にして、右側の目には傷がついている。
機体の右側の目の傷は修復することができなかったのでそのままにされているが、特に問題はない。
前線で戦うことを目的としたため通常のナイトメアよりも頑丈に造られている。
パイロット
霧ヶ峰榛名
夜天
武装
マシンガン
黒雷
飛燕爪牙(スラッシュハーケン)
推進機関
ランドスピナー
体長四.五メートル
機体カラー黒
アドラメレクの実戦データやブリタニアから強奪したナイトメアの情報を元に造られた白銀の方舟初の専用機である。
当時は機体の操縦の困難さに乗れるものがあまりいなかった。
ジノやモニカは適合率が高かったので、最初はどちらかの専用機にする予定だったのだが、二人とも自分には合わないということで辞退された。
それでどうしようか話しているときに調度訓練を終えた榛名が居たため、試しに適合率を計ってみると、その数値は二人と遜色ないため、彼女の専用機になった。
イメージとしては機体カラーは黒で、ランスロットの装甲を日本鎧のようにしており、背中には黒雷という黒い刃の刀が二本ずつ収納されているバインダーが八個付いている。
パイロット
海塚神羅
スレイプニール
武装
マシンガン
ハンドガン
グレネードランチャー
ライフル
格闘用ナイフ
小型ミサイル
大型ライフル
推進機関
滑空用大型安定翼
元は量産機を造るためのデータ集めようとして造られたが、実戦で使っても問題はないということで本人の意思により、神羅の専用機になった。
機体カラーオレンジ
体長四.六五メートル。
射撃重視の機体で、銃で戦うが複武装として格闘用ナイフがある。
脚部の滑空用の大型安定翼は短時間ながら低高度を飛行することが出来る。
パイロット
枢木ビャッコ
武頼改
武装
廻転刃刀
ハンドガン
飛燕爪牙(スラッシュハーケン)
推進機関
ランドスピナー
日本製ナイトメア武頼の改良型で、キョウトから譲り受けた機体である。
幹部の殆どの専用機が完成していないため今あるナイトメアの中で性能の高いもの1つである。
日本人の幹部と部隊長が優先的に使っている。
また、武装は 廻転刃刀とハンドガンのほかにもそれぞれ自分にあったものとしてバズーカなどに代えたり、廻転刃刀を二本持って二刀流にするものもいる。
ジノ・ヴァインベルグ
グロースター
武装
ショットランサー
マシンガン
スラッシュハーケン
推進機関
ランドスピナー
ブリタニア製のナイトメア、サザーランドの発展機である。
ブリタニアから強奪したものを白銀の方舟の技術開発部が改良したためブリタニアのものよりは性能が高い。
また作戦内容によっては ザッテルヴァッフェ(ミサイルランチャー)、携行火器として大型キャノンなどの武装をつけることがある。
文字数がいつもより少ないです………
また新しいナイトメアが出るたびにまとめて出します。
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灰色の騎士との出会い
砂漠が地平線の彼方まで広がる、砂の大地。陸と空、自然にあるのはその二つだけの黄土と青の世界。
色彩に乏しいその土地で、くすんだ鉄の戦車――バミデスが何台も爆発しては燃えていた。
戦場に立っているのはブリタニア軍のグロースターのみで、遠くでは敵国の本陣が燃え上がっていた。
―――こうして、ブリタニアに18番目の植民地ができた。
◆ ◆ ◆ ◆
シンジュクゲットーに隠されているトレーラーの自室でリオンは今後のことについて考えていた。
その手元にはキューエルから貰った次の総督についての資料があった。
「次にやって来る総督はコーネリアか………」
コーネリア・リ・ブリタニア
第二皇女としても名高いが、彼女はそれ以上に反ブリタニア勢力にとって警戒すべき人物の一人である。
『ブリタニアの魔女』
それがコーネリアの戦場での名だ。
今までも数多くの戦場で多くの武勲を手にし、その実力はとても見過ごせるものではない。
先日もコーネリアの軍隊によってエリア18が誕生した。
正直、彼女がこのエリア11に来るとは思ってもいなかった。
ブリタニアはそれほどゼロが脅威となると思ったのか、それともただテロが多いこのエリアをコーネリアが適任だとおもったのだろうか?
「どちらにしろ。コーネリアが来ることには変わりはないか」
問題はこちらの戦力だ。
ナイトメアの数はそこそこ増えてきてはいるがまだ十分だとは言えない。
量産機も主に武頼でサザーランドの数は少なく、幹部全員の専用機もまだ完成していないのだ。
最近手にいれたランスロットとの戦闘データとゼロから貰ったデータのおかげでナイトメアの強化と新型の開発は出来るが、全て完成させるにはしばらく時間がかかると技術開発部から言われてしまった。
「拠点も変えた方がいいかもしれないな」
白銀の方舟のアジトがあるアオモリゲットーの周りには多くのレジスタンスの拠点がある。
隠れ蓑として使えると思って今まで使ってきたが、コーネリアが来るというのならあの場所に居続けるのは危険だ。
コーネリアならゼロを炙り出すためにレジスタンスのある本拠地をしらみ潰しに探すだろう。
「となると。キョウトに連絡をいれるしかないか」
まぁそれはビャッコとかに任せればいいか。
そう結論づけたリオンは眠気が襲ってきたので少し寝ようと決めて自室に置かれている簡易ベッドに横でなった。
◆ ◆ ◆ ◆
ここはトウキョウ祖界にある学園の一つ。アッシュフォード学園。
そのクラブハウスの一室に二人のひとがいた。
一人はこの部屋の主である学生服を着たルルーシュ。
これからのことを考えて色々なパターンをパソコンにまとめていた。
もう一人はベッドの上で寝そべりながらピザを貪っている拘束着を着たC.C.。
ルルーシュがゼロとしてクラウンと話したあと、妹のナナリーが待っているクラブハウスに戻ると何故かあのシンジュクの時に頭を撃たれ、ルルーシュに力を与えたC.C.がいた。
その上C.C.はナナリーに『ルルーシュとは将来を誓いあった仲だ』と言ったので、ナナリーは勘違いをしている。
それからはC.C.は軍に見つかっては不味いという理由で、ルルーシュの部屋に勝手に居候をしている。
「それで?何かブリタニアと戦うのにいい案でも浮かんだか?ルルーシュ」
C.C.の言葉に反応したルルーシュはパソコンを打つのやめ、C.C.の方に体を向けた。その顔はとても苛ついているのがよくわかる。
「人の質問に答えないくせに人に質問するんだな」
「答えたくないなら答えなければいい。私はそうしてる」
チッ、とルルーシュは舌打ちした。
この数日間、ルルーシュはC.C.に色々と質問をした。
ギアスのこと、C.C.自身のこと、そして契約についてのことなど色々とだ。
しかしC.C.はそれらの質問に対して一度も答えたことはない。
そのことに対してルルーシュは苛ついている。
「当面の目標は俺だけの軍隊を造ることだ。ギアスだけでは限界がある」
――――ギアス
それはルルーシュがC.C.と契約したことによって得た、ルルーシュの力である。
ルルーシュのギアスは『絶対遵守のギアス』。
発動の際には左目に紋様が浮かび上がる。特殊な光情報により、相手はいかなる命令にも従わせることができる。
「これから先もブリタニア軍と戦うことは決まっている。その時、俺の指示通りに動く駒が必要だ」
例えば、ただのテロリストたちを使ったとしても、奴等は状況が不利になったら逃げるだろう。
そのようなものはルルーシュにとって役にたつものとは言えない。
「ギアスを使って無理矢理従わせるのか?」
C.C.は今食べ終わったピザの箱をゴミ箱に捨て、新しい箱に手を出しながらルルーシュに聞いた。
「そんなことはしない。この力を乱用すればいつか怪しまれてしまうからな。自分の手でなんとかするつもりだ」
ギアスは確かに便利な力だ。
だが、その力に頼ってばかりではいつか誰かが怪しんでしまう可能性もある。
だからこの力は切り札としてギリギリのところでのみ使うつもりだ。
「しかし出来るのかお前に?自分だけの軍隊を造ることが」
C.C.はピザを食べながら、ルルーシュに聞いた。
ルルーシュには裏の顔――ゼロがあるが、正体を隠す仮面の男など怪しさしかない。それで正体をばらしたとしたら、ブリタニア人であるルルーシュは殺される可能性が高いだろう。
「問題ない。既に考えは纏まってきている」
ルルーシュはパソコンを閉じるとそのまま座っていた椅子から立ち上がる。
「俺は少し出掛けてくる。いいか?勝手に部屋から出るなよ」
ルルーシュはC.C.にそう言ってから扉を開け、外に出ていった。
◆ ◆ ◆ ◆
クラブハウスから出たルルーシュは今祖界にある公園のベンチに座りながら考え事をしていた。
部屋で考えるのが一番なのだが、部屋にはC.C.がいるためあまり考え事に集中できないのでこうした静かな場所に来ているのだ。
「(今俺がやるべきことは人員集めだ。それはこの前のテロリストたちをまず仲間にすればいい。だが、それではただのテロリストになってしまうかもしれない。それだけは絶対に阻止しなければいけない)」
ルルーシュにとってテロという手段は悪である。
この間のシンジュクでもブリタニア軍によってレジスタンスとは関係ない多くの民間人が殺されてしまった。
ルルーシュはそのような関係ないものの犠牲を出すことは許せないのである。
やるとするならば民間人の支持を得られるようなものがいいだろう。例えば………
「正義の味方とかかな?」
「っ!?」
背後から聞こえた声に反応したルルーシュはベンチから離れ、背後にいる存在に目を向けた。
ベンチの後ろにいたのはルルーシュと同じくらいの歳の少年だった。
灰色のような銀髪の碧眼といった特に変わっているところはないブリタニア人である。だが、ルルーシュは警戒を解くことはない。
「お前は何者だ。何故俺の考えが分かった」
「……………」
ルルーシュの言葉に相手は何も答えない。
「黙りか。なら、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。我が問に答えよ!!」
ルルーシュの右目に赤い鳥が飛び立つような奇妙な印が浮かび上がると、銀髪の少年の瞳へと赤い鳥が飛び込んだ。
これにより銀髪の少年はルルーシュの必ず答えることになった。
しかし……
「残念だけど僕にギアスは聞かないよ」
「なっ!?」
ルルーシュは銀髪の少年の少年にギアスが効かないとこだけではなく、ギアスの存在を知っていることに驚きを隠せなかった。
「何故ギアスのことを知っている」
「……………」
「答えろ!答えなければ『ごめん』ガハッ!?」
ルルーシュの言葉は最後まで続かず、銀髪の少年に腹を殴られ、鞄から取り出そうとした銃を落としてそのまま気絶した。
「ごめんねルルーシュ。まだ教えるわけにはいかないんだ。でも安心してほしい」
――――――僕はきみの味方だよ。
今回でたは少年は多分分かった方も多いでしょうが、その招待は次の話で明かします
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魔王、灰色の騎士と契約する
「っ!ここは………」
銀髪の少年に殴られて気絶したルルーシュが目覚めた場所は廃れたホテルのとある一室だった。
部屋のボロさから見てここは租界の中ではなく、ゲットーであることがわかる。
だが、何故自分がここに連れてこられたのかがわからない。
「(奴は俺がギアスを持っていることを知っていた。なら目的はなんだ?それに何故ヤツにはギアスが効かなかったんだ?)」
ルルーシュは先程あった少年のことを考えていた。
ルルーシュの正体を知ったブリタニアが送ってきた刺客だと思ったが、それならこんな所に連れずに殺すか、本国送りにするはずだ。
「いや、今はそんなことを考えるよりもここから脱出を―――」
「させないよ」
ルルーシュが脱出しようと考えていたら、後ろの方から銀髪の少年の声が聞こえたので、振り向くと銀髪の少年は両手にカップを持っていた。
「少し話がしたいんだけどいいかな?」
銀髪の少年はニコリと笑いながらそう言った。
◆ ◆ ◆
「先ずは自己紹介だな。僕の名前はライ・アルトリス。よろしく」
カップを渡した後、銀髪の少年――ライが自己紹介を始めた。
ルルーシュは最初はなんとか逃げようとしたがすぐに取り押さえられたので逃げることは不可能だと言うことがわかった。
ならコイツから得られる限りの情報を得るだけだ。
「お前の目的はなんだ。何故俺のことを、ギアスのことを知っている」
ルルーシュの質問を聞いたライは持っていたカップをテーブルの上に置くと、真剣な表情でルルーシュの方に向き直った。
「ルルーシュ。僕と契約しないか?」
「契約だと?」
「そう。僕は君に答えられる限りのことを教える代わりに僕をきみの仲間にして欲しいんだ」
ライの提案にルルーシュは少し考えた。
ギアスのことを聞けるのはとても魅力的なことだが、相手の正体が何なのかも分からないのに仲間にするのは危険ではないのか?
「もし、君が僕は危険な存在だと思ったら僕を殺せばいい」
そう言ったライの目は真剣そのものだった。
その目をルルーシュは今まで見たことがあった。
ルルーシュの親友スザクと今は亡きルルーシュの双子の弟リオンが試合をしたときの目と似ていた。
その目を見ているとルルーシュはライのことを敵だとは思えなくなっていた。
「お前が答えられる情報を先に教えろ。内容次第でお前を仲間にするかどうかを考える」
だからルルーシュは信じるかどうかを決めるためにライから先に情報を教えてもらおうとした。
「ありがとうルルーシュ。はなしを聞いてくれる気になってくれて」
ライは微笑みながらそう言って、ルルーシュにいくつかのことを話した。
◆ ◆ ◆ ◆
「ギアスの暴走にそれを抑えるためのコンタクトレンズか」
ライがルルーシュに話してくれたのはギアスを使い続けると暴走し、制御ができなくなり発動しっぱなしになること。
そしてそれを抑えるためのコンタクトレンズはつけているときはギアスを封じることができ、それをつけていたおかげで、ルルーシュのギアスが効かなかったと言う。
そして……
「やはりお前もギアスを持っているんだな」
「うん僕が持っているのはルルーシュと同じ絶対順守のギアスだけど僕のはルルーシュの視覚系じゃなくて聴覚系だけとね」
「俺のものよりは使いやすそうだな」
ルルーシュのは相手の目を見る必要があり、効果範囲も制限されている。
それに比べ、ライのは命令内容が聞こえていればいいのだ。
どちらがいいかと言えば後者だろう。
「とりあえずこれはルルーシュにも渡しておくよ。ギアスが暴走したときのためにも必要だと思うから」
ライはコンタクトレンズの入っているケースを机の上におき、ルルーシュはそれをとると ズボンのポケットの中にいれた。
「ありがたくいただこう。だが、その前に聞かせてもらいたいことがある」
「なんだい?」
「お前は何者だ?何故俺に協力する?」
ルルーシュはずっと気になっていたことをライに聞いた。
「今はまだ教えることはできない。だけどいつかちゃんと話すよ」
「ふん、貴様もあの魔女と同じか」
当然、答えることはないと思っていたがこうもC.C.と同じように言われたのでルルーシュは少し腹が立った。
「それで?僕との契約はどうするの?」
ライはそうルルーシュに尋ねた。
無論。ルルーシュの中では答えは決まっていた。
「いいだろう。結ぶぞ!その契約!」
「そうか。ありがとう」
ルーシィが契約を結ぶことにライは嬉しく思ったのか笑顔を浮かべた。
そしてルルーシュとライは契約成立ということで握手した。
「それじゃさっそく始めようか」
「は?何をだ?」
ライはルルーシュの肩を掴むとニッコリと笑った。
ルルーシュはライが何を言っているのかわからず、困惑した。
「何って決まってるでしょ。特訓だよ。いざという時のためにね」
「はぁ!?」
「それじゃさっそくランニングから始めよっか!」
「ちょっとま―――」
ルルーシュは反論も無視され、ライによって無理矢理連れていき、五キロほど走らされ、その後軍から奪ったらしいシュミレーターを使ったナイトメアの訓練を終えたところで気を失った。
気を失う途中、ルルーシュは契約したことに対し、少し後悔したのであった。
だが、その顔には少しだけ笑みを浮かべていたのを本人は気づいていなかった。
―――――これが、魔王と灰色の騎士の出会いだった。
とういわけで、LOSTCOLORSからゲーム版主人公のライを黒の騎士団側に入れました。
ついでに体力ないルルーシュを鍛えてもらいましょう。
ただ、ライの機体を月下先行試作機にするかランスロットクラブにするかで少し迷っています
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榛名の墓参り
榛名は一人、シンジュクゲットーにある墓の前に立っていた。
その墓の回りには花等がおかれており、榛名も花束を置くと、死者に対して祈りを捧げた。
彼女はこの間の虐殺によって殺された日本人たちの墓参りとしてきたのだ。
一応ビャッコも誘おうとしたが、この間の枢木スザクの一件でまだ心が落ち着いてないので、しばらく一人になりたいと言われ断られた。
次に誘ったジノはシュミレーターで訓練するからパスと言われた。
最後にリオンを誘って二人きりでデートみたいなことをしようと考えたが、リオンの部屋を覗くとリオンが簡易ベッドで寝ていたので起こすのも悪いのでそっと扉を閉めて一人ゲットーに出た。
「酷い有り様」
それがシンジュクゲットーを見た榛名の感想だった。
今までも拠点のあるアオモリゲットーや物資を手に入れるために他のゲットーを見てきた。
そのどれもが荒れ果てていたが、シンジュクゲットーはその比ではなかった。
壊れた建物
至るところにある日本人の死体
死んだ目をしている日本人
辺りに漂う硝煙と血の臭い
それが、つい最近虐殺がおこなわれていて、自分が守りきれなかったことを思い出させる。
無論。全てを救えるなどという傲慢な考えを持っていたわけではない。
ただ、ここで死んでいった者たちの分まで生きようと榛名は心にそう思いながら祈った。
「帰ろう……」
既に墓参りも終えたのでここにいる理由はないので戻ることにした。
「出てけよ!ブリキ野郎が!!」
その声に反応して榛名は足を止めた。
声のした方を見ると日本人らしき青年男性が三人と学生らしきブリタニア人が二人いた。
学生の足元にあるカメラから推測するに、あの二人先日のシンジュク事変の有り様を面白半分で取りに来たのだろう。
それをみた日本人の男の三人の内一人がカメラを壊しながらいったのだろう。
「な、何すんだよ!イレブンの癖に!!」
「日本人だ!イレブンなんて言うな!!」
「何言ってんだ!ウチに負けたんだろ!!敗戦国の犬が!!」
最後の学生の言葉に頭に血が上った。
―――フザケルナ。あんなの戦いじゃない。一方的に私たちを虐殺しただけじゃないかっ!!
日本人の男も学生の言葉に頭に血が上ったようで、学生を殴ろうとしていた。
「やめてください!暴力は!!」
突然サングラスをかけた男が五人のところに走ってくると殴ろうとしてた男の腕を掴んだが、日本人の男が腕を振り払ったために男のサングラスに当たるとサングラスは中を舞い、地面に落下した。
サングラスがなくなったお陰で、男の顔がはっきりとした。
「お前…枢木スザクか?」
サングラスをつけていた男は先日ゼロと私たちによって救われた枢木スザクだった。
◆ ◆ ◆ ◆
スザクがこの現場を見たのは偶然だった。
軍事裁判で証拠不十分ということで無罪放免されて、裁判所を出たとき空から少女が落ちてきた。
少女の名はユフィ。スザクは彼女の頼みで最初は租界を案内していたのがその途中ユフィが突然シンジュクゲットーに行きたいと言ったのだ。
その目は真剣そのものだったのでスザクもゲットーへつれてきたのだ。
そこでスザクとユフィは写真を撮っているブリタニアの学生二人と日本人三人が言い争っているのを見た。
そして日本人の一人が殴ろうとしたので止めにかかったがそれによってサングラスがとび、顔がバレてしまったのだ。
「けっ、名誉がなんでこんなとこにいるんだよ」
先程ブリタニアの学生を殴ろうとしてた日本人――玉城は最初は驚いていたが、スザクに対して悪態づいた。
「暴力ではなにも解決しません。これ以上の行動は許されません」
スザクの坦々とした言葉に玉城は怒りを感じた。
「ふざけんな!プライドも仲間も捨ててブリタニアの犬になった奴が偉そうに言うな!!この裏切り者が!!」
「っ!違う、僕は!」
「違わねぇんだよ!このブリタニアの犬が!!」
玉城はそう言いながらスザクに殴りかかったがスザクによって投げ飛ばされてしまった。
「自分は訓練を受けています。これ以上同じ仲間で……」
「何が仲間だ!!」
「おい。もう行くぞ」
これ以上は不毛争いだと思った玉城の仲間の南と吉田は玉城を止め、この場所から離れるようにした。
「けっ!この裏切り者が」
玉城は去り際にそうスザクにいった。
スザクは何も言い返せずそのままその場に立ち尽くした。
―――その姿をユフィは悲しそうにただ、見つめるだけだった。
◆ ◆ ◆ ◆
榛名は物陰に隠れながらスザクたちの様子を見ていた。
気になったからだ。ゲットーに住んでいる日本人にとって枢木スザクとはどういう存在なのかを。
結果は他の名誉ブリタニア人と同じ裏切り者という扱いだった。
「なんであいつは私たち日本人と仲間だとおもっているんだろう。虫酸が走る……」
スザクが玉城に言った『同じ仲間』という言葉に榛名はそう感じた。
同じ仲間と言うのなら何故ブリタニア軍に属し、仲間である日本人を殺すというのか。
その矛盾をあの男はわかっていない。
「でも私には関係ない。私は私のやることをするだけ」
榛名はそう言うとその場を離れ、リオンたちのいるトレーラーへと戻った。
彼女は祖国を取り戻すため、そしてリオンに恩返しをするために戦い続けることを再度誓った。
その進む道が茨の道でそのためにたくさんの血を流すことを承知の上でだ。
―――その時、彼女は気づかなかった。
スザクの隣にいたユフィが、以前リオンに教えてもらったコーネリアの妹の第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアであることを。
前から思ってたんですけどスザクって日本人に対して何もやってなくね?と思って日本人から見たスザクを書いてみました
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黒の騎士団誕生
第二皇女コーネリア・リ・ブリタニアがエリア11の総督になってから二週間が過ぎた。
コーネリアはその軍事力によって数多くのエリア11のレジスタンスが壊滅された。
白銀の方舟のアジトがあったアオモリゲットーにもコーネリアの部隊がやって来たが、事前にコーネリアがやって来ることはわかっていたので、コーネリアが来た頃には既にアジトの移動は完了しており、今はヨコハマゲットーの地下を新たな拠点として使うため色々と設備の整理をしている。
そして書類整理をしていたリオンにモニカがあることを話した。
「蒼い亡霊?」
「えぇ今租界とゲットーで話題になっているらしいですよ」
―――蒼い亡霊
その存在が確認されたのはコーネリアが総督に着任してから数日後だった。
それは蒼く塗装された無頼。しかしその戦闘能力は無頼だからと言って侮ってはいけないものである。
これは噂であるがその機体はたった一機でサザーランド四機を無傷で倒したらしい。
性能で格段に劣る無頼で、しかも四機を相手に無傷というのはとても信じられるものではない。だがその噂をゲットーに住んでいる日本人の人々は信じている。
何故なら――
「その無頼はゼロと共に行動し、今までにエナジーフィラーとナイトメアの強奪、そして法で裁けないものを断罪しているそうです」
――――ゼロ
それはあの枢木スザク奪還事件によって注目を浴びている人物である。
ブリタニアからは『犯罪者』
レジスタンスからは『奇跡を起こす者』
それ以外の人々からは『謎の仮面』
印象はそれぞれ異なるが、ゼロという存在は決して無視できるような存在ではなかった。
クロヴィスの暗殺に枢木スザクの奪還。
ブリタニアを相手にこんなことをできた者は今までに一人としていない。
日本解放戦線にいる『奇跡の藤堂』でもこんなことはできないだろう。
故にコーネリアもゼロを炙り出すためにレジスタンスをかたっぱなしに壊滅させているのだ。
「それから、ゼロとその蒼い武頼のほかにも黒い服にバイザーをつけたレジスタンスの姿もあったそうですが恐らく………」
「あぁゼロの部下になった奴らだろう。恐らくはシンジュクゲットーの扇グループだと思うが」
エリア11のレジスタンスのグループについては以前からある程度調べあげていたので、あのシンジュク事変で戦ったレジスタンスがどこのものかについてはわかっていた。
だからあのゼロの指揮を認め、部下になったのだろうとリオンは思った。
「彼らは多くの人々から支持を持ち始めています。なにせやっていることは他のレジスタンスと違い民間人を巻き込んだりはしません。その上罪をおかしたものは日本人だろうとブリタニア人だろうと差別することなく断罪してます」
「フッ、まるで正義の味方のような存在だな」
まさか自らの軍隊をこんな短期間で造るとは恐れ入ったよ。ゼロ
「まぁ今はゼロのことは置いておこう。それよりもアジトの様子はどうなっている」
ゼロのことは今考えたところでしょうがないので今は自分たちのことを考えるのが先だと思い、モニカに訪ねた。
「アジトの完成率は79%で、ナイトメアの方も幹部の『タウラス』『カプリコーン』『キャンサー』の専用機が三機と量産機としてアレイオンと青嵐が完成しました。量産機の方はまだ数が揃いませんが順調に進んでるそうです」
「そうか。なら『ジェミニ』にはそのままナイトメアの開発を優先し、幹部全員のナイトメアが完成したら例のものを作るように言っといてくれ」
「わかりました」
モニカはそう言うと部屋から出ようと扉を開けようとしたが、その前に扉が開くとそこにはジノが立っていた。
「ジノ?何故あなたがここにいるの?あなたには仕事を頼んでいたはずですが?」
モニカはジノに笑顔でそう聞いた。しかしその目は決して笑っていないことに気づいたジノは慌てながらもちゃんと答えた。
「し、仕事の方はちゃんと終わらたぜ。ただ殿下に呼ばれて……」
「殿下に?」
モニカはリオンの方に顔を向けるとリオンはコクりと頷いたので、どうやら嘘ではないようだ。
「実は――――」
◆ ◆ ◆ ◆
「―――――では予定通りに動いてくれ」
シンジュクゲットーのとあるビルの一室にてそんな怪しい会話があった。
その部屋には四人の人がいた。
ゼロという仮面を持つルルーシュ。
ルルーシュの共犯者C.C.
ルルーシュと契約を結んだライ
そして――
「ルルーシュ。扇さんは何て?」
「既に準備は済んでいるだそうだ」
カレン・シュタットフェルトまたの名を紅月カレン。
シンジュク事変にてグラスゴーで戦っていたレジスタンスのパイロットである。
何故彼女がルルーシュがゼロであることを知っているのかと言うと、ルルーシュとライがブリタニアの汚職政治家を断罪したときのことだった。
ライが武頼でその政治家のボディーガードとして雇われていたサザーランド四機を
陽動している間にルルーシュがその汚職政治家の汚職の証拠を集めていた。
しかし、運の悪いことに護衛の人間に見つかってしまい、証拠は全て手に入ったが逃げる途中に銃弾が当たり、 ゲットーで気絶してしまったところをカレンに見つかってしまったのだ。
最初はライにカレンに『ゼロの正体を忘れろ』とギアスをかけてもらうつもりだったのだが、ライとC.C.に『カレンには正体を教えておこう』と言われてしまったのだ。
ルルーシュは色々と文句を言ったが、ライがギアスを使わないと頑なに言うので、仕方なくカレンに教えることになった。
「いよいよだね」
「ああ、これが日本解放の第一歩になるだろう」
「そしてブリタニアを倒すための第一歩でもあるか………」
「そうだ」
ルルーシュはC.C.にそう言うとゼロの仮面を取った。
ライとカレンもそれぞれ手に持っているバイザーをつけた。
「さぁ、正義の味方をしようじゃないか」
ルルーシュはとても正義の味方には見えないような笑みを浮かべながらそう言ってライとカレンと共に部屋を出た。
C.C.はルルーシュたちが部屋から出ていくのを確認すると笑みを浮かべながら壁にもたれ掛かった。
「ルルーシュを守る騎士が二人揃ったか。何心配するな、あいつらならルルーシュを裏切ることはないさ」
C.C.はまるで誰かと話してるかのようにそう言ったが、それは誰の耳にも入ることはなかった。
その日、カナガワゲットーの港区にある麻薬――リフレインの製造工場が破壊され、リフレインを製造していたパルス公爵が拘束されていて、ブリタニア軍に捕まった。
そしてパルス公爵の部下の一人があることを言った。
自分たちの前に現れたのはゼロと蒼い亡霊と黒い服をきた集団だった。
そして彼らはこう言った。
――――我々の名は『黒の騎士団』!!
オレンジ事件、サイタマゲットー、河口湖事件といった重要な話を何故消してしまったのだろうか………
これもすべて作者の能力がないのが悪いのですね………
早い段階でカレンにゼロの正体ばらしました。これが物語にどう影響するか、お楽しみにしてください
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キョウト六家
それからコードギアス十周年おめでとうございます!!
エリア11では今、ある組織の話題で持ちきりだった。
―――――黒の騎士団―――――
それがゼロが率いる軍隊の名だった。
ゼロの直属の部下と噂されている『蒼い亡霊』とシンジュクのレジスタンスたちで構成されていたが、最近は他のゲットーのレジスタンスや名誉ブリタニア人までもが傘下になっているらしい。
黒の騎士団は他のレジスタンスとは全く異なる存在だった。
彼らは民間人を巻き込むような戦いは決してせず、例え日本人だろうがブリタニア人だろうと、悪を許さない。
それはまるで正義の味方のような存在だと多くの人々はそう称賛している。
◆ ◆ ◆
キョウト六家
旧財閥系家門であり、皇神楽耶を頭首に、桐原泰三・刑部辰紀・公方院秀信・宗像唐斎・吉野ヒロシの5名が重鎮となり組織された、エリア11の秘密結社。ブリタニアへ武力による抵抗活動を行っているエリア11の複数の武装勢力へ、兵器などの支援を行っている。
その中には日本の最大レジスタンス『日本解放戦線』もあり、最近では黒の騎士団にも支援を送るようになっており、噂では初の純日本製ナイトメア『紅蓮弐式』を与えることを考えているそうだ。
そのキョウト六家代表の一人である桐原泰三とリオンがフジサン内部のとある一室で向かい合っていた。
部屋の外には桐原のSP数名とジノ、モニカ、榛名、ビャッコが待機していた。
「―――それではまだ黒の騎士団に紅蓮を与えるかは決まっていないと?」
「うむ。儂と皇の娘は与えてもよいと思っておるが他の者たちが渋っておってのう……」
桐原は溜め息を吐きながらそう言った。
キョウト六家の大半はまだ黒の騎士団のことを認めていないようで、ゼロと紅蓮弐式のことで話し合っているそうだ。
「それで?お主の見たゼロとはどのような男であった?」
桐原はリオンにそう尋ねると、リオンは少し考えたがちゃんと答えた。
「ゼロのことを一言で言うのなら、恐ろしい。ですかね」
「恐ろしい。か……」
「はい。ブリタニア軍を圧倒するだけの指揮官としての力、人々を引き寄せるカリスマ性どれをとっても敵にはまわしたくないものです」
もちろんリオンも自分には指揮官としての力も、カリスマ性も持っているとは思う。それは周囲の人々も認めていることである。
だが、ゼロのそれと比べると明らかに劣っていると感じざるを得なかった。
もし、彼がブリタニア側にいたとしたら、世界はとっくにブリタニアに支配されていたかもしれない。
そう思えるだけの力をリオンはゼロから感じたのだ。
「お主がそこまで言うほどの男か………ますます興味深いのう」
桐原は顎鬚を撫でながら、愉快そうに笑みを浮かべた。
「……それではこれで失礼します」
話を終えたのでリオンは帰ろうとクラウンの仮面を取りながら立ち上がった。
「ゆくか?修羅の道を」
「それが私の目指すものを手に入れるのならば」
リオンはそう言うとクラウンの仮面を付け、部屋を出た。
それを桐原はただ眺めていた。
◆ ◆ ◆ ◆
「話は終わりましたか?殿下」
「あぁ、すまなかったなこんなところまでついてきてもらって」
本来ならジノとビャッコだけに来てもらうつもりだったのだが、ジノの隣で話を聞いたモニカとビャッコから話を聞いた榛名がついてくると言ったので連れてきたのだ。
「いえ、私が自分からついていくので気にしないでください」
モニカは顔を逸らしながらリオンにそう答えた。
モニカがついてきたのはただ最近リオンと一緒にいることが少ないから少しでも傍にいたいという思いだからだ。
「殿下~せっかくキョウトに来たんですし、どこかいきませんか?」
ジノが欠伸しながら、リオンにそう尋ねる。
護衛の間何もやることがなく暇だったので、キョウトの外を見てみたいと言ったのだ。
『それもそうだな。アジトのみんなにも何かねぎらいの品を買っておこうか』
一瞬、リオン以外の四人が仮面をつけた男が部下たちにお菓子を与える姿を妄想して、少し笑った。
「クラウン殿、少しよろしいですか?」
リオンたちが歩いていると、キョウト六家のSPの一人であるらしい男が声をかけてきた。
『何か私に用でも?』
桐原との会話は既に終えたのだから話すことはないはずだ。
桐原以外の六家とは関わりはないから話しかけることもない。
「はい。実は先日そちらから送られた意識不明だったテロリストが目覚めたので、そちらで保護してほしいと神楽耶様が………」
そのSPの男の言葉にリオンは思い出した。
それはリオンたちがシンジュクゲットーにいくよりも少し前のことだった。
あれはキョウトに武頼改と武頼を受け取りに行く途中のことだった。
山奥を移動しているとき、道端で倒れているのをたまたま見つけたのだ。
まだ息があったので、医療機関が揃っているキョウトに預けたのだった。
『わかった。なら今からそちらにいこう』
「ではこちらへ」
リオンはSPの男に案内され、テロリストのいる医務室へと向かった。
◆ ◆ ◆ ◆
リオンがSPの男に案内され医務室に行くとき、ジノとモニカと榛名にはキョウトの土産を買いにいってもらうために別れた。
ビャッコの方も姉の見舞いをしたいということで、別の病室にいった。
「それではこちらになります」
『感謝する』
SPの男はリオンを医務室前まで案内すると、その場から離れていった。
リオンが医務室の中に入ると、そこにはパンダナをつけた赤い髪の青年が患者服を着て座っていた。
『始めまして、私の名はクラウン。君の名前は』
「………紅月ナオトだ」
『では紅月、君は何故あそこに倒れていたんだ?』
ナオトに説明によるとこうらしい。
――ナオトはシンジュクゲットーのレジスタンスのリーダーをしていたらしいのだが、キョウトから物資を受ける途中にブリタニア軍に見つかってしまい、彼と共にいた仲間は全員殺され、ナオトだけが逃げきれたが、途中で気絶して倒れてしまったそうだ。
『なるほど。では君がシンジュクの扇グループの元リーダーというわけか』
「扇たちを知ってるのか!?」
ナオトはリオンが扇たちのことを知っているとわかると、体を乗り出して聞いてきた。
だからリオンも扇グループが毒ガスの強奪に失敗し、シンジュクゲットーで虐殺が行われたこと、ゼロと協力して枢木スザクを奪還したこと、そして今は黒の騎士団としてゼロと共に活動していることなど知っていることは全て話した。
「そうか、扇たちは無事なのか……」
ナオトの顔には安堵の表情が見られた。
それは仲間が無事だったことに安心したからだろう。
『では本題に入ろうか、紅月ナオト。私の部下になるきはないか?』
「俺があんたの部下に?」
『そうだ。我々『白銀の方舟』もまたある目的のために戦力を集めている』
「そのある目的ってのはいったい……」
ナオトはリオンがどのような目的を持っているのか気になりそう聞いてくる。
だからリオンはナオトに己の理想であり仲間たちともに目指すものを話すことにした。
『私たちの目的。それは戦争や人種差別などがなくなる平和な世界だ』
ナオトはリオンの目的に驚きを隠せなかった。
そんな夢物語のようなことを目指しているとは思わなかったようだ。
『無論。この目的を目指すことは生半可なことではないと分かっている。だが、それでも私はそんな世界を創りあげたいのだ』
ナオトはリオンが仮面をつけているため表情は分からない。それでもリオンが平和な世界を本気で創ろうとしているのを感じた。
『もう一度聞こう紅月ナオト。私の仲間になれ』
リオンはナオトに手を伸ばしながら言った。
ナオトは少し躊躇ったがその手を掴んだ。
「あんたについて行く。だけど俺はまだ完全にあんたを信用した訳じゃない」
『いいさ。信頼は築いてくものだ』
こうして白銀の方舟に紅月ナオトが仲間に入ったのだった。
◆ ◆ ◆ ◆
リオンと離れたビャッコは別の病室にいた。
そこには一人の女性が医療用ベッドで寝ていた。
女性の名は枢木キリン。
三ヶ月前、枢木スザクを含む名誉ブリタニア人の部隊によって重傷を負い、いまだ意識が戻っていない。
「一応傷はちゃんと治したんだけどね~まだ意識は戻らないのよ」
「そうですか……いつもありがとうございますラクシャータ先生」
ビャッコがそう金髪の褐色肌の女性に礼を言った。
彼女の名はラクシャータ・チャウラー
かつめ医療サイバネティックの権威として名を馳せていたが今はキョウトでナイトメアの開発をしており、紅蓮弐式も彼女が造ったものだ。
「それじゃ姉さんのことをよろしく頼みます。それと例のものは……」
「あと少しで完成するわよ。あのプリン伯爵の造ったナイトメアのデータが手に入ったおかげで思ったより速くなったわ~」
プリン伯爵というのはブリタニア軍特別派遣共同開発部の責任者ロイド・アスプルドのことである。
ロイドとは大学の頃からの知り合いで、よく研究について口論していたそうだ。
ビャッコの専用機は白銀の方舟の開発部ではなく、ラクシャータに頼んだのだ。
「では完成したら取りに行きます」
ビャッコはそう言うと部屋から出ようとしたが、ラクシャータに声をかけられた。
「あんたさ~。まだあの枢木スザクってのを殺したいと思ってるの?」
ラクシャータの言葉にビャッコは足を止めると、ラクシャータの方を振り向き言った。
「当たり前です。あの男は姉さんたちを騙し、殺した裏切り者です。だからアイツだけは俺の手で必ず殺します」
そのビャッコの瞳のなかには憎悪と怒りが宿っていた。
その瞳を見たラクシャータは何も言わなかった。
これ以上話すことはないというかのようにビャッコは前を向くと、部屋から出ていった。
原作では出番のなかったナオトを出しました。
次回からはナリタ攻防戦を始めます。
原作とは一回りも二回りも違う話を書くつもりなので、よろしくお願いします。
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ナリタ攻防戦・一~乱戦
ナリタ編はいくつの話に分けて投稿するのでよろしくお願いします
では、本編をどうぞ
黒の騎士団が現れてから数ヵ月がたち、季節は冬になった。
黒の騎士団は着々と力をつけており、キョウトも紅蓮弐式を与えることを決めたそうだ。
そしてブリタニア軍の方でもいよいよ本格的に行動を始めていた。
ナリタ連山
そこには日本最大の反ブリタニア勢力『日本解放戦線』の本拠地がある。
日本解放戦線はナリタ連山を要載荷しており、砲台やナイトメア射出口などが造られていた。
そしてそのナリタ連山ではコーネリア率いるブリタニア軍と日本解放戦線の戦いの火蓋が切って落とされたのだった。
◆ ◆ ◆ ◆
ブリタニア軍と日本解放戦線の戦いは日本解放戦線が押されていた。
ブリタニア軍の奇襲というのもあるが、元々の戦力に歴然とした差があったのだ。
日本解放戦線の戦力は戦車や固定砲台などといった古い武器。そしてブリタニアから横流した第四世代量産機ナイトメアグラスゴーを改良した無頼だ。
対するコーネリア率いるブリタニア軍の戦力は最新鋭の第五世代量産機ナイトメアのサザーランドとコーネリア率いる親衛隊のグロースター、さらに第七世代ナイトメアランスロットが拠点のGー1ベース付近で待機しているのだ。
日本解放戦線はナイトメアの性能も数も劣っており、『厳島の奇跡』と呼ばれた藤堂鏡志郎とその部下である『四聖剣』たちも今はキョウトにナイトメアを取りに行っていて、ハッキリ言えば戦力が圧倒的に足りないのだ。
現に今もコーネリアの親衛隊によって日本解放戦線は少しずつだが追い詰められていた。
だからコーネリアたちブリタニア軍は勝利を確信していた。
――――――しかし、この戦いにイレギュラーがは起こった。
突如巨大な山崩れが起こり、ブリタニア軍と日本解放戦線を襲った。
◆ ◆ ◆ ◆
「いやー。派手になったもんだな。黒の騎士団も」
「えぇ。まさかこんな策があるなんて……」
ここはナリタ連山から少し離れたところの森のなか。
ジノとモニカは双眼鏡でナリタ連山の山頂にいる黒の騎士団を眺めながらそういった。
―――そう。先程の山崩れは黒の騎士団が人為的によって起こしたものだったのだ。
黒の騎士団がキョウトから貰った純日本製ナイトメア『紅蓮弐式』には 右腕に内蔵された、「輻射波動機構」と呼ばれるマイクロ波誘導加熱ハイブリッドシステム。このシステムは右掌から高周波を短いサイクルで対象物に直接照射することで、膨大な熱量を発生させて爆発・膨張等を引き起こし破壊するというものがあるらしいので、それを利用したのだろう。
その証拠に山頂にいる武頼とは全く異なる姿の赤いナイトメアが地中に刺さっている何かを巨大な銀の爪が備え付けられた右腕で掴んでいるのが見えたのだ。
『いくら黒の騎士団に戦力が集まってきているといっても所詮は元レジスタンスたち。コーネリア率いる正規軍と正面から戦って勝てるはずがない』
「だからゼロはこのような奇策を使ったと言うことですか?」
『そういうことだ。』
リオンはそう言いながら自身のナイトメアの最終チェックをおこなっていた。
「でも念のために民間人の避難をしておいてよかったですね。あれ、町の方までいってましたし」
ジノの言う通り、山崩れは戦場だけでは収まらず、近くの町全体を飲み込んだ。
リオンは事前に何が起こるかわからないということで、神羅たちにまだ町に残っていた住民たちを避難させといたのだ。
『さて、無駄話はここまでだ。各自、持ち場についてるか』
リオンは変声機越しでそれぞれ離れた位置にいる幹部たちに確認をとった。
『こちらタウラス。予定通りビスケスと共に第三、第十部隊は後五分ほどでコーネリアの親衛隊に遭遇する』
『こちらスコーピオン。カプリコーンとバルゴ、及び第四、第五、第十二部隊はコーネリアたちと別れた部隊の制圧を始めます』
『こちらジェミニ。住民たちを安全な場所まで避難したよ。既にアリエスとキャンサーたちを援護に向かわせたよ』
『各自準備は整っているようだな。では再度作戦内容を確認する!狙いはブリタニア第二皇女コーネリアと日本解放戦線の片瀬少将の捕縛だ!!この戦いで我々の存在を世界に知らせるのだ!』
『『『『『了解!!』』』』』
こうしてブリタニア軍と日本解放戦線の戦場に黒の騎士団と白銀の方舟が参戦した。
◆ ◆ ◆ ◆
ナリタ連山の中腹地点で一機のナイトメアが暴れていた。
そのナイトメアが通った道の後には数機のサザーランドの残骸があった。
そのナイトメアは翡翠色の装甲に頭部には一本の角が生えていた。
武装は薙刀のような柄が長く、先端にはランスロットのMVSと同じようにサクラダイトで造られた刃がついていた。
―――華武兜(かぶと)それがこのナイトメアの名である。
『ばかめ!後ろががら空きだ!!』
一機のサザーランドがそう言いながら華武兜の背後からショットランサーで華武兜のコックピットを貫こうとしたがその前にそのサザーランドのコックピットを水色に塗装されているグロースターがショットランサーで貫いた。
その水色のグロースターは両肩にはザッテル・ヴァッフェ、左腕にはバズーカをつけていて、右手にショットランサーを構えていた。
その後ろには十五機の無頼がいた。
『先攻しすぎですよタウラス。もし幹部の貴方が殺られたらどうするつもりですか』
『すまん』
グロースターのパイロットである『ビスケス』――クロア・バロンは華武兜のパイロットの『タウラス』――山本武蔵にそう注意した。
『分かってくれたならいいですよ。それよりも……』
『あぁ、親衛隊のお出ましのようだな。各自、戦闘体勢をとれ!』
『『『『『承知!』』』』』
武蔵の言葉を聞いた無頼のパイロットたちはアサルトライフルを構えた。
そして武蔵たちの前に二十機のサザーランド。そしてコーネリアの親衛隊の証であるグロースターが二機現れた。
『テロリストが!このブラドのグロースターの剣の錆びにしてくれる!!』
そう言うと一機のグロースターがヒートブーレードを降り下ろしながら突撃してきたのを華武兜の薙刀で防ぐ。
それにより他のナイトメアも戦闘を開始した。
◆ ◆ ◆ ◆
武蔵たちと離れた場所でも戦闘は行われていた。
しかし戦況は白銀の方舟の方が押していた。
―――量産型ナイトメア『青嵐』
両肩にはキャノン砲がついており、右腕がガトリングガンとなっていて、左腕にはアサルトライフルを持っている藍色に塗装されたナイトメアである。砲撃と銃撃に特化したナイトメアで、ブリタニア軍のナイトメアは近づくことは愚か、回避した場所に的確に攻撃されてしまい、徐々にブリタニア軍のナイトメアは数が減っていた。
青嵐の後ろで神羅がスレイプニールのコックピットの中で指示を出していた。
『第四、第五部隊はそのまま牽制を続けてください。第十二部隊は飛び出してきたナイトメアに砲撃をしてください』
『『『了解!!』』』
『カプリコーンとバルゴは前衛として出てください。援護はこちらで行います』
『了解。任しとけ』
『かしこまりました。援護お願いします』
スレイプニールの横にいた廻転刃刀を構えている武頼改とガトリングランスを構えている灰色のナイトメア――ニーズヘッグが攻撃するためにランドスピナーを回転させ、突撃した。
『さぁ、楽しもうぜ!!』
『あなたたちに許しは乞いません』
グレイドのパイロット――ラルフ・アーノインは愉快そうに、武頼改のパイロット――神無月志穂は坦々とした様子で突撃した。
『迎え撃て!我が眷属たちよ!』
『『『『『イエス、マイ・ロード!!』』』』』
コーネリア親衛隊の証であるグロースターのパイロット――の声を切っ掛けに、サザーランド部隊も突撃した。
◆ ◆ ◆ ◆
そしてブリタニア軍と戦っているのは白銀の方舟だけでなく黒の騎士団もである。
そこには一機の青い無頼がいた。
その無頼は廻転刃刀でサザーランドを切り裂いていく。
『なんだこの青いナイトメアは!?』
『怯むな!!相手はたった一機なんだ!一斉に攻撃しろ!』
隊長らしき男がそう言うと、五機のサザーランドがアサルトライフルの弾丸を放つ。
しかしその無頼はすべての弾丸をかわし、更にスラッシュハーケンを放ち、一機のサザーランドのコックピット部分に当たり、爆発した。
『ば、馬鹿な!?あの弾丸をすべてかわしただと!?』
相手の機体が特派の第七世代ナイトメアランスロットのら納得できただろう。
しかし、あの青いナイトメアはブリタニアから横流したグラスゴーを改良したしただけの機体のはずだ。
こんな芸当が出来るわけがない。
『接近戦で方を付けるぞ!こいつは危険だ!!』
『『『イエス、マイ・ロード!!』』』
隊長の指示に従い、全員がスタントンファを構え、青い無頼に突撃してきた。
青い無頼は廻転刃刀を構え直し、こちらも突撃した。
―――それは一瞬の出来事だった。
一機目を上から真っ二つに切り裂き、返す刀で二機目を斬る。
三機目と四機目は三機目のスタントンファを青い武頼も同じようにスタントンファで受け止め、二機を一気に廻転刃刀で胴体を貫いた。
すべての攻撃を終えた青い無頼の武頼の後ろでは爆発したサザーランドが燃えていた。
「ふぅ、これでここにいるサザーランドは全部倒したか……」
無頼のコックピットの中でライは一息ついた。
数にして十七機。それがライが一人で倒したサザーランドの数である。
ライはゼロ=ルルーシュに指示されて、部隊を引き連れずに一人でここに来たのだ。
無論、黒の騎士団からは何人かに危険すぎると言われたが、ライの操縦技術なら問題ないとゼロに言われ、ライ自身も問題ないと宣言したので、黒の騎士団も認めたのである。
「さて、ルルーシュたちの援護にでもいくか」
そう言うとライは無頼を動かし、ルルーシュたちのいる方向へと向かおうとした。
―――しかし、その直後にコックピットの画面にUnknownとついたナイトメアが四機やって来るのが分かった。
ライはその方向に向き直り、警戒した。
『こちら白銀の方舟の総帥クラウンだ。そちらは黒の騎士団のメンバーか?』
――――これが、ライとクラウンのはじめての出会いだった。
ナイトメアの名前を考えるのが難しいです………
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ナリタ攻防戦・二~不穏
今回もオリジナルナイトメアが出ます
ルルーシュは予想以上に上手くいっているこの状況に笑いを隠せないでいた。
紅蓮弐式の輻射波動による土砂崩れによってブリタニア軍に大打撃を与えることに成功し、奇襲も成功した。
そのうえ藤堂と四聖剣の参戦。
更にはクラウン率いる謎の勢力。
これによって親衛隊やそれ以外の部隊が足止めされ、コーネリアの孤立が成功しそうなのだ。
クラウンが何を目的としてここに来たのかわからないが、これはまたとない好奇だ。
「待っていろコーネリア。貴様は必ず捕まえてやる」
ルルーシュはそう言うと笑みを浮かべながら、無頼を動かした。
◆ ◆ ◆ ◆
武蔵は攻めきれていなかった。
機体性能はこちらが勝っていたが、相手の方が場数を踏んでいるようで、互いに倒しきることができなかった。
「あぁ畜生!!いい加減くたばれよ!!」
華武兜は薙刀を降り下ろすがグロースターのヒートブレードで防がれてしまった。
華武兜はランドスピナーを逆回転させてグロースターから一旦離れると、入れ替わるようにクロアのグロースターがザッテル・バッフェを放つ。
しかし相手のグロースターはスラッシュハーケンを利用し、器用に交わした。
「中々手強い相手ですね」
それがクロアの相手に対する評価だった。
そして同時にこの状況は不味いと思った。
今の戦況は、こちらは既に無頼が四機ほどになり、華武兜とグロースターのエナジーの残量も危険なところだ。
対する相手はグロースターを一機倒されているが、まだサザーランドは十二機残っていた。
『中々粘ったようだが、終わりだな』
ブラドはヒートブレードを華武兜に向けながらそう言った。
だが武蔵はコックピットの中でフッと笑った。
「冗談言うなよ。まだ終わるわけないだろう」
『そうか、ならここで死ぬがいい!!』
グロースターがランドスピナーを回転させ、ヒートブレードを降り下ろしてきたが、華武兜の薙刀で防ぐ。
しかし、華武兜の方がエナジーの残量が少ないようでグロースターの方が押していた。
『これで終わりだ!!』
「―――ああ。てめぇがな」
『何を―――――』
ブラドは武蔵が何を言ったのか分からず聞き返そうとしたが、その前にグロースターのコックピットが破壊され、ブラドは絶命した。
コックピットが破壊され、倒れたグロースターの後ろには両腕が蟹の大鋏のような形をした黒く塗装されたナイトメアが立っていた。
『――――悪ぃな武蔵。テメェの獲物を奪っちまってよ』
黒いナイトメア『ギラファ』からそんな挑発的な声が聞こえてきた。
「別に気にしてねぇよ大和。何せ敵はまだまだいるんだからよ」
ギラファに乗っているのは白銀の方舟の幹部の一人である『キャンサー』の柳原大和である。
援護としてやってきたようで、その後ろには十七機の無頼がいた。
『クロア、後ろの部隊には予備のエナジーフィラーを運ばせてある。すぐにニューパッケージと取り替えろ』
『分かりました。ありがとうございます』
そう言うと武蔵とクロア、そして残っていた四機の無頼は後ろに下がり、エナジーフィラーの交換を行い、大和は親衛隊の一人であるブラドが殺られたことで動揺しているブリタニア軍の殲滅を始めた。
『さぁ、俺を楽しませてくれよな!!』
大和はギラファを動かし、サザーランドの胴体を大鋏で切り裂いた。
◆ ◆ ◆ ◆
『どうやら順調にことは進んでるようだな』
リオンは戦況の様子を見てそう言った。
武蔵たちは親衛隊の一つ、神羅たちは三つ壊滅した。
黒の騎士団と日本解放戦線もブリタニア軍を押さえていた。
「クラウン、そろそろブリタニアの魔女とのご対面ですよ」
ジノがそう言ってきた。その声には強敵と戦えることへの喜びがあった。
「しかし本当に良かったのですか?黒の騎士団を信じても………」
モニカはリオンに心配そうに聞いてきた。
リオンは先程あった蒼い無頼に榛名とビャッコを託し、挟み撃ちにするように攻撃することを提案したのだ。
相手も少し考えていたが、最終的には納得した。
『黒の騎士団もブリタニアを倒すために動いているんだ。互いに利用し会うのがいいだろう』
「しかし………」
モニカはまだ不安なのか食い下がる。
「なんだ?モニカは殿下のことが信じられないのか?」
「そんなわけないでしょ!」
「なら、信じれば良いじゃないか。それにもし黒の騎士団がこっちを敵としても戦力はこっちの方が上なんだから問題ないって」
ジノの言葉に納得したのか、モニカはそれ以上なにも言わなくなった。
『お喋りは終わりだ。いくぞ』
「「イエス、ユア・ハイネス!!」」
リオンたちはナイトメアのランドスピナーを回転させ、移動した。
―――――目指すは、コーネリアただ一人
◆ ◆ ◆ ◆
ルルーシュの狙いは元からコーネリアただ一人だった。
これには戦略的な理由もあるが、彼自身の目的のためというものがある。
クロヴィスより得た情報によると"母"の真相を知るものの一人が、コーネリア。
だからこそ彼には何としてもコーネリアを生きたまま捕らえる必要があった。
死人にくちなしとは言ったもので、コーネリアが死んでしまっては情報を吐き出させることは出来ない。
その為の下準備として、手始めにコーネリアの親衛隊に攻撃を仕掛けた。
ここで予想外だったのは、日本解放戦線とクラウンたちの襲来だろう。
無頼改に騎乗する藤堂と四聖剣、さらに何種もの新型や量産機を一つの軍隊として連れたクラウンたちが親衛隊を抑えたためだ。
それにより予定よりも早くコーネリアを、ある場所に誘き寄せることが可能となった。
そして今、
『コーネリア総督。
貴方には色々と聞きたいことがあるので、大人しく投降して貰いましょうか』
「くっ…!!」
ルルーシュによってコーネリアはこの渓谷に追い詰められ、コーネリアのグロースターも紅蓮によって両腕を失い、満身創痍になっていた。
そして背後には紅蓮。前方には三機の無頼がアサルトライフルの銃口を向けていた。
『さぁ。大人しく降伏して我が軍門に下るか、それとも………』
ルルーシュは無頼のアサルトライフルの銃口をグロースターのコックピットに会わせた。
『私はテロリストなどに屈せぬ!皇女として最後まで戦うのみ!!』
コーネリアは操縦桿を握り、紅蓮に突撃を始めた。
それをルルーシュは愚かな行為と見ていた。
今のコーネリアならルルーシュでも殺せるだろう。だが、ルルーシュはコーネリアから母の死の真実を聞き出すためにはコーネリアを殺すわけにはいかないのだから
『カレン。グロースターの足を破壊し、完全に動きを止めろ』
「了解!!」
カレンもまたナイトメアの操縦桿を握り、紅蓮を突撃させようとしたが、突如渓谷の一部が壊され、砂ぼこりが宙に舞った。
砂ぼこりが晴れるとそこにはあの忌々しい白兜――ランスロットがいた。
◆ ◆ ◆ ◆
「うわぁ………」
特派のヘッドトレーラーで状況を示す戦略パネルを見ていたセシルが、呆れたような、感嘆したようなつぶやきを洩らす。
「いや~。まさかヴァリスで障害を吹き飛ばしちゃうなんて流石だね彼は」
セシルの横から戦略パネルを見ているロイドは愉快そうに笑っていた。
「しかし良かったですよね。ランスロットの修理が間に合ってくれて」
セシルがそう言うとロイドは不機嫌そうに顔をそらした。
――ゼロが現れたあのシンジュク事変。
ランスロットはある三機のナイトメアによって右腕を切り落とされたのだ。
相手は無頼を改良した無頼改とコーネリア軍の主戦力であるグロースター。そして謎の赤いナイトメアだった。
その三機の性能はランスロットに及ぶものではなかったが、パイロットの腕とコンビネーションによってカバーされ、ランスロットは右腕を失った。
ランスロットの呼びパーツが無かったためロイドたち特派一からランスロットの右腕を造ったため、ランスロットの修理が終わったのは最近である。
「でも、一体あのナイトメアたちはどこの組織のものなのでしょうね?」
セシルは戦略パネルをみながら、疑問に思っていたことをロイドに言った。
ランスロットの右腕を切り落とした三機だけでなく、今戦場では大量の謎のナイトメアが存在していた。
しかもその性能はこちらのナイトメアを上回っているのだ。
「まぁ確かに色々と気になるけど大丈夫だよ。なんせ僕のランスロットには最高のパーツがついているんだしね~。それにさぁ」
ロイドは眼鏡の位置を直しながらセシルにいった。
「今この戦場にあの人たちがやって来てきるらしいんだ」
「あの人たちって、まさか!?」
セシルはロイドの言っていることが分かったのか驚きながらロイドに訪ねた。
ロイドは変わらず笑みを浮かべながら答えた。
「そう。皇帝に使える最強の十二人の騎士――ナイトオブ・ラウンズ。その二人が向かってきてるんだよ」
ナリタの戦場は更に混沌と化すのであった。
ブリタニア側にラウンズだしました。
一人はゲームに出てるあの人で、もう一人はオリジナルでやるつもりです
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ナリタ攻防戦・三~ナイトオブラウンズ
ラウンズの機体は一機はオリジナルで、もう一機はゲームにも出たあのナイトメアです。
ナイトオブラウンズ
皇帝直属の12騎士――
皇帝勅任の指揮権限と独自のKMF研究機関を持つ独自の帝国騎士の象徴である。
ナイトオブワン ビスマルク・ヴァルトシュタインは最も皇帝陛下に忠誠を誓う帝国の最強の騎士と呼ばれる男
ナイトオブシックス アーニャ・アールストレイムは最年少でナイトオブラウンズに入った少女
ナイトオブテ ルキアーノ・ブラッドリーはEU戦で今、最も活躍しており『ブリタニアの吸血鬼』と呼ばれ、恐れられている男
――そして今ナリタへと向かっているのはラウンズの中でもナイトメアの操縦技術と指揮能力が高い二人。
ナイトオブナイン ノネット・エニアグラム
ナイトオブイレブン クリス・ベオウルフ
ナリタの戦いは更に荒れようとしていた。
◆ ◆ ◆ ◆
コーネリアをあと少しで捕縛出来そうになったところに突如現れたランスロット。ルルーシュは苛立ちを隠せず、操縦桿を強く握った。
「(また、邪魔をするというのか!このイレギュラーは!?)」
前回、シンジュクゲットーで、あと少しで完璧な勝利を得ることができた。
しかし、このランスロットによって強奪したサザーランドはすべて破壊され、危うくルルーシュ自身も殺されそうになったのだ。
「(だが、これは同時にチャンスでもあるな。あの忌々しい白兜を葬る)」
ルルーシュは一旦冷静になろうとこれからどうするかを考えた。
敵はランスロットのみ、だが今ここにはカレンの乗っている紅蓮がおり、別行動していたライもあと少しで合流する頃だろう。
黒の騎士団最強の二人が揃えばランスロットを倒すことは十分に可能であるはずだろう。
「カレン!白兜を破壊しろ!こいつの突破力は邪魔だ!」
『はいっ!』
一声応じたカレンと紅蓮が、ランスロットに襲いかかった。
しかし、このときのルルーシュは知らなかった。
ライがこの場に来れなくなることを
そして戦況が黒の騎士団にとって最悪なものへと変わっていくことを
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
リオンたちはコーネリアの元へといけないでいた。
何故なら彼らの前に六機のサザーランドと二機のグロースターがいるからだ。
恐らくコーネリアの救援としてやって来ていたのだろう。
『テロリストが。大人しくゲットーに引きこもっておればいいものを』
『我ら誇り高きブリタニア人が』
『貴様らに裁きを与えてやろう』
「って言ってますけどどうしますか殿下?」
「決まっているだろう」
リオンはアドラメレクの大剣を構えながら一機のサザーランドに突撃し、大剣を上から降り下ろし、サザーランドを真っ二つに切り裂いた。
「――邪魔をするなら倒すまでのことだ」
「了解」
「モニカは後方から援護を頼む」
「わかりました」
ジノがショットランサーを構えながら突撃し、モニカは両肩のザッテルバッフェからミサイルを放ちながらアサルトライフルの弾丸を放った。
ジノのグロースターのショットランサーが二機のサザーランドの胴体を貫き、モニタのグロースターが放ったミサイルとアサルトライフルの弾丸が三機のサザーランドを破壊した。
『ぐぁぁぁぁぁぁっ!?』
『ブラウン!?』
『テロリストがぁぁぁぁぁ!!』
仲間がやられて怒ったグロースターのパイロットたちがショットランサーを構えて突撃してきた。
サザーランドとグロースターが一機ずつジノにもう一機のグロースターがリオンに襲ってきた。
「よっと」
ジノはその二機の攻撃を片方はショットランサーで防ぎ、もう片方の攻撃をスタントンファで防いだ。
それをモニカがコックピットに向かって
アサルトライフルを撃ち、コックピットを破壊した。
「フンッ!」
リオンはアドラメレクの大剣でショットランサーの突きを受け流し頭部のファクトスフィアを破壊し、そのまま背後に移動し、大剣をコックピットに向けて突き刺した。
グロースターは力が抜けたように地面に屈した。
「これで全員倒したな。ではコーネリアのもとに――」
「殿下!!上空より敵機の反応アリ!こちらに向かってきています!!」
モニカの声に反応したリオンとジノはファクトスフィアを展開し、上空を向いた。そこにはVーTOL機がナイトメアを運んできた。
そしてVーTOL機からそのナイトメアが落とされ、リオンたちの前に着地した。
――――そのナイトメアはランスロットと同じ姿をしていた。
しかしランスロットとは違い、頭部は悪魔のような残虐な形をしており、機体の色は黒く、所々銀色の装飾がされていて、MVSとヴァリスをこちらに向けながら赤いカメラアイがリオンたちを睨んでいた。
「殿下、アレは…………」
「恐らくブリタニアの新型だろう。二人とも、気を抜くな」
「了解しました」
リオンたちもそれぞれ武器を構えて牽制をした。
戦場のなかでここだけが時が止まったように静寂した。
そして先に動いたのは――――
「くるぞ!」
敵のランスロット擬きであった。
敵のランスロット擬きはヴァリスをアドラメレクに連射しながらMVSを振り下ろしてきた。
ヴァリスを交わすことには成功したが、MVSを防ぐことができず右腕を切り落とされた。
「殿下!?」
「大丈夫だ!!それより奴を倒せ!!」
リオンはアドラメレクの大剣を捨て、代わりに腰にある試作型として造ったMVSを抜きながら距離をとり、ジノと入れ替わった。
ジノはショットランサーを構えてランスロット擬きの胴体を貫こうとしたが、MVSで受け流された。
モニカも援護射撃としてアサルトライフルを放つが全て交わされた。
ランスロット擬きはジノのグロースターから離れるとモニカのグロースターに接近してきた。
「くっ!!」
モニカはアサルトライフルを捨て、ヒートブレードを構えて迎え撃ったが、単純な性能差では向こうの方が上のためかグロースターが押されていた。
そしてランスロット擬きはMVSでヒートブレードを弾き飛ばすと、がら空きになった胴体にヴァリスを放とうとした。
しかしアドラメレクが二機の間に割って入り、試作型MVSをランスロット擬きに向けて振るうがランスロット擬きはそれを後ろに向かって跳躍することでかわした。
「申し訳ありません殿下」
「気にするな。それより榛名にこちらの援護に来るように言ってくれ。今の白銀の方舟のナイトメアでこの機体のスピードの対応できるのは夜天だけだ」
リオンのアドラメレクは装甲を通常のナイトメアよりも厚くしているためスピードは他のナイトメアよりも遅く、ジノとモニカのグロースターもチェーンアップして通常のグロースターよりはスピードが出るが、このランスロット擬きのスピードに追い付くことは出来なかった。
「殿下!神羅たちからの伝達です!!ナイトオブラウンズが二人やって来たそうです!!さらにトウキョウ租界から援軍が来てます!!」
「ラウンズだと!?まさかこいつがっ!!」
「恐らくそうだと思います。それと榛名の方に通信を施しましたがどうやらあちらにもラウンズが現れたそうです」
「ちっ!!榛名の援軍は望めないと言うことか………」
つまりリオンたちは三人でこのランスロット擬きを倒さなくてはいけないということになったのだ。
例えこのランスロット擬きを倒すことに成功したとしてもトウキョウ租界からの援軍が迫ってきている状況は最悪だ。
「笑えないな。この状況は」
リオンはコックピットの中でそう呟いた。
―――戦況は明らかにブリタニア側に有利になろうとしていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
リオンたちがラウンズと戦っているとき榛名たちもコーネリアとゼロたちがいる場所から少し離れた岩場でラウンズと戦っていた。
『私はナイトオブナインのノネット・エニアグラム!我が機体、ランスロット・クラブが貴殿たちの相手をする!!』
榛名たちの前に現れたのは以前映像で見たランスロットと姿は似ていたがこのランスロットは金のところが青くなっており、一本角が付いていた。
「どうしますか榛名さん」
夜天の隣にいた黒い装甲に所々焔のように紅く染まっており、右手にメンチメイスを構えていて、左手には短刀が握られ右腕にハンドガンか付いていた。
―――そのナイトメアの名は『べリアル』
ビャッコの専用機となったナイトメアである。
「決まってます。この人は今ここで倒す。貴方にも手伝ってもらうわよ『蒼い亡霊』」
榛名は後ろにいる蒼く塗装された無頼に言った。
『こちらは特に問題はない』
「ならいきますよ!」
無頼と夜天がそれぞれの刀を構えながらクラブに突撃した。
それをクラブは無頼の攻撃を交わし、夜天の刀をランスで受け止めた。
「ビャッコ!!」
「わかってます!!」
夜天がクラブを押さえている隙をついてクラブの背後にメンチメイスを構えたべリアルが移動した。
『くっ!』
「くたばれブリタニア!!」
『させぬぞ!』
ビャッコはべリアルのメンチメイスをクラブの頭部に叩き込もうとしたが、横から現れた両肩が赤いサザーランドがスタントンファでメンチメイスを防がれ、バランスを崩したべリアルはそのまま地面に倒れ、サザーランドはアサルトライフルを放とうとしたが無頼が廻転刃刀を横薙ぎに斬りかかったおかげでそのサザーランドはその場から離れた。
クラブも突然現れたサザーランドに動揺して隙ができた夜天を突き放し、サザーランドのいる場所へ移動した。
『ご無事ですかエニアグラム卿!』
『すまない。助かったよ』
『もったいなきお言葉!!このジェレミア・ゴッドバルト!テロリストを殲滅します!!』
ジェレミアはサザーランドのスタントンファとアサルトライフルを、ノネットはクラブのランスを地面に突き刺し、背中にある二本のMVSを抜き出した。
さらにジェレミアを追ってきたらしい純血派のサザーランドが八機やって来た。
『この黒い奴は私が相手する!残りの二機はジェレミア卿を筆頭に倒せ!!』
『『『『イエス、マイロード』』』』
ノネットの言葉を合図にジェレミアと三機のサザーランドが無頼の前に、残りの五機のサザーランドが煉獄を囲み、夜天がクラブの相手をすることになった。
「はあっ!!」
夜天はスラッシュハーケンをクラブの背後にある岩場に飛ばし、引き戻す力を利用して二本の黒雷で斬りかかった。
『フンッ!』
クラブはそれをブレイズルミナスを展開することで防ぎ、上からMVSを叩き込んで黒雷を破壊しもう一本のMVSで胴体を切り裂こうとしたが夜天の背中についているバインダー防ぎ、他のバインダーから黒雷を抜き出しそのままクラブに斬りかかるが交わされた。
『予備の刀を持っているとはな。油断できないな』
そう言ってるがノネットには余裕が感じられた。
『さあ。このノネットさんを満足させてみな!!』
「負けない……」
そして彼女たちはナイトメアを動かし、それぞれの武器をぶつけ合った。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
榛名がノネットと離れているところでビャッコはべリアルに乗ってサザーランドと戦っていた。
最初は五機に囲まれていたが突撃してきた一機はメンチメイスを叩きつけられて粉砕し、二機目はスラッシュハーケンを飛ばして頭部のファクトスフィアを破壊し、短刀でコックピットを貫いた。
残りは三機になったが、一機を倒そうとすると他の二機がカバーに入るため中々倒せないでいた。
「いい加減くたばれやぁ!!」
イラついたビャッコは短刀でサザーランドのコックピットを貫くとそのまま背後にいたサザーランドに叩きつけ、ハンドガンを放った。
最後の一機もメンチメイスで掴んで岩壁に叩き付けて破壊した。
「これで俺の敵は倒した。俺も榛名さんの援護をっ!!」
そのとき、ビャッコはたまたま半壊しているコーネリアのグロースターを発見した。
ビャッコは敵であるブリタニアの皇女を目の前にして、捕縛するという命令を忘れ、ただ殺すことを考えた。
「コーネリアァァァァァァァァァァ!!」
『新手だと!?』
ビャッコはメンチメイスをコーネリアのグロースターに叩き込もうとランドスピナーを回転させて一気に接近した。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
べリアルの先端が開いたメンチメイスがグロースターをあと少しで掴めそうだった。
しかし煉獄の前にランスロットが現れ、ブレイズルミナスで防がれた。
「ちぃっ!?」
べリアルは後方に跳躍してランスロットから離れた。
『―――――――投降してください』
それがランスロットから聞こえた声だった。
『今、この戦場にはラウンズの二人にトウキョウ租界からの援軍が来ました。これ以上の抵抗は無駄です』
普通に聞けば、『コイツは何をふざけたことを言っているのだ』と怒り狂うだろう。
今まで多くの日本人たちが国を取り返すためにその命を捧げてきたこの戦いを『無駄』と言ってきたのだ。
だがビャッコにはその言葉の内容が頭に入っていなかった。
ただその声を聞いたビャッコはただ震えていた。
その震えは決して恐怖によるものではなかった。
「どうやってその機体に乗れようになったかは知らない。だがまさかこんなとこで会えるとはな。―――――枢木スザク!!」
―――その震えは、憎むべき相手と会えたことによる狂気的な喜びと怒りによるものだった。
戦闘描写難しい………
ノネットさんの機体は双眸のオズでクラブだったのでそれにしました。
もう一人のラウンズの機体は後にちゃんと名前を出す予定です。
ナリタ編はもう二、三話で終わらせる予定です。
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ナリタ攻防戦・四~終戦
三日月の戦いに興奮していると手が進みます
枢木ビャッコは元々は枢木家の分家の出身であった。
ビャッコと姉のキリン以外の家族が病死したために枢木ゲンブが養子として貰った。
二人は次期党首のスザクを助けるために政治などを学ばされたり、鍛えるためにスザクと共に藤堂に鍛えてもらっていた。
しかしブリタニアが日本を攻めてきたとき、ゲンブが自害してしまい、党首がいなくなった枢木家は実子であるスザクが党首になるはずだった。しかしスザクはあろうことか名誉ブリタニア人になりブリタニア軍へと入隊したため、枢木家の中で最も信頼を得ていたキリンが党首になった。
キリンが党首になった頃からレジスタンスや日本解放戦線がブリタニアにテロをおこなっていたために、ゲットーに住んでいる人たちが巻き込まれて多くの人たちが死んでいった。
それを見たキリンはテロではなく話し合いで日本を取り戻そうと呼び掛けていた。ほとんどの人はくだらない考えだと否定していて、ビャッコもこの考えには賛同できなかった。
だが、それでも賛同するものは少なからずおり、その行動は次第に日本人だけではなく一部のブリタニア人も認めようとしていたものだった。
しかし、彼女たちを認めなかったブリタニア軍は枢木スザクに枢木キリンとその仲間を指定した場所に来るように伝えろと命じた。
結果、スザクを信じたキリンたちは待ち伏せていたブリタニア軍によってキリン以外の仲間たちはキリンを庇って全員死んでしまい、キリンに止めが刺されたそうになったところを物資の搬入として通っていたリオンが無頼で助けたが、キョウト六家の医療班が治療を施しても傷を直すことには成功したが意識は戻ることはなかった。
それからだった。収まろうとしていたテロがさらに激化したのは。
そしてなし崩し的に残っていたビャッコが枢木の党首になるはずだったがビャッコは党首にならず、姉を助けてくれたリオンの『白銀の方舟』に入った。
そしてビャッコは専用機を手にいれるまでの力を手にいれた。
―――全ては枢木スザクを殺すために
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「バカな………あの白兜に乗っているのがスザクだと………」
ランスロットとの戦いで紅蓮弐式の輻射波動機構が壊れ、玉城と扇はカレンを助けに行き、ランスロットはルルーシュの無頼に狙いを定めようとした瞬間、コーネリアを襲う謎のナイトメアを見つけ、ランスロットはそれを庇うためにそのナイトメアの前に移動し、さらにはこれ以上の戦闘は無意味だと説得までしたのだ。
しかし、そのナイトメアのパイロットの言葉によりルルーシュはランスロットのパイロットがスザクだと知った。
「(バカな………なら、あのシンジュクゲットーのときもアイツが………)」
謎のナイトメアのパイロットの言葉にルルーシュの思考は完全に停止していた。
『ルルーシュ!!』
突如、モニターからライの声が聞こえ、ルルーシュはすぐに思考を切り替えた。
「ライか!そっちの状況はどうなってる!!」
『何とか敵を倒すことはできた。だけど無頼が使い物にならなくなった。これ以上の戦闘は無理だ』
「そうか……」
ルルーシュは悔しそうに唇を噛み締めた。
カレンもライもナイトメアが壊れたことで黒の騎士団の戦力は半減している。
さらに今この戦場には二人のラウンズとトウキョウ租界から援軍としてコーネリアの親衛隊であるグラストンナイツがやって来ていた。
これ以上戦闘を続ければ黒の騎士団側に無駄な犠牲が出るだけだ。
「全軍撤退せよ!これ以上の戦闘は無意味に被害を増やすだけだ!!各自、指定ポイントに集合せよ!!」
『了解!!』
「今回はしてやられたが次はこうならないぞコーネリア」
ルルーシュはそう言いながら無頼のランドスピナーを回転させ、その場から去った。
――――スザクに対しての心の整理がつかないまま
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「久しぶりだなスザク。お前が枢木家に勘当されて以来か?」
『ビャッコ…………』
ビャッコは嫌味ったらしく言うのにたいし、スザクは動揺していた。
だが、動揺していたのは一瞬ですぐに気を引き締めていた。
『ビャッコ、これ以上の戦闘は無意味だ。藤堂さんたちに降伏するように言ってくれ』
「無理だな。俺は日本解放戦線のメンバーじゃないから藤堂さんに何を言っても聞くわけないだろ」
『日本解放戦線のメンバーじゃない?なら、君は黒の騎士団に』
「てめぇには関係ねぇことだよ!!」
ビャッコはべリアルのランドスピナーを回転させ、メンチメイスを振りかぶりながらランスロットに近づき、頭部に向かって叩きつけた。スザクはそれをランスロットのブレイズルミナスで防ぐがメンチメイスの重量とべリアルのパワーによって強引に押されていた。
『っ!こんな戦いに何の意味があるんだ!!関係ない人々を巻き込んでまで戦うなんて!!』
「黙れ裏切り者!先に戦いを持ちかけてきたのはブリタニアだろうが!!この戦いも!日本を占領してきたあの時も!!」
ランスロットは右脚でべリアルの胴体を蹴り、べリアルのバランスが崩れたお陰で一瞬、力が緩んだのを見逃さず後ろに下がりながらヴァリスを放った。それをべリアルはメンチメイスで防いだ。
「ブリタニアのせいで今までどれ程の日本人が犠牲になったと思ってる!?奴隷のように扱われ!貴族ごときの気紛れで多くの人が殺された!そんな扱いに耐えろって言うのか!?」
『っ!?それは!君たちがテロなんて無意味なことをしてきたせいだからだろう!!テロなんてしなければもっと早くブリタニアに認められた筈だ!!』
それは、言ってはならない言葉だった。
何があっても、それだけは言ってはならない言葉だった。
お前たちの活動のせいで日本の独立が遅れているなど、日本解放を望んでいる者には言ってはならない言葉だ。
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ビャッコは完全に理性を失った。
ただ目の前にいる裏切り者を殺すことだけを考えていた。
べリアルのメンチメイスを構え直してランスロットに突撃した。
ランスロットもまた二本のMVSを抜き、同じ様に突撃した。
今、裏切りの騎士と反逆の堕天使の戦いが始まろうとした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ビャッコとスザクが戦っているとき、リオンたち三人もラウンズと戦っていた。
戦闘をはじめてからかなりの時間がたっており、互いのナイトメアは既に満身創痍となっていた。
ジノのグロースターは左腕と頭部のファクトスフィアを破壊されており、右腕にはショットランサーが握られていた。
モニカのグロースターもまた同じ様に左腕と頭部のファクトスフィア、両肩のザッテルバッフエが破壊され、右腕にはヒートブレードがあった。
そしてリオンのアドラメレクが最も損傷が酷かった。
頭部と両腕が完全に破壊されていて、残りの武装はスラッシュハーケンのみとなっていた。
相手のランスロット擬きはヴァリスとスラッシュハーケンが破壊され、右脚のランドスピナーも破壊されたため移動速度が半減していた。
相手のエナジーフィラーがどれ程残っているのかはわからないが、こちらのエナジーフィラーは十分な戦闘が出来るほどの量は残っていなかった。
『ここまでだな………』
既に目的の一人は捕まえたと連絡はきていた。コーネリアのことは口惜しいが、諦める他ないだろう。
『白銀の方舟のメンバーに告げる!直ちに撤退せよ!!』
『『『『了解!!』』』』
『これがラウンズの実力か。痛い出費をしたものだな』
「チャフスモークを展開します!!」
モニカとジノのグロースターからチャフスモークが流れ、ランスロット擬きの視界を遮った隙にリオンたちはその場から去った。
ランスロット擬きは右脚のランドスピナーが破壊されているため、うまくバランスがとれないようで、追いかけてくることはなかった。
チャフスモークが晴れた頃には既にリオンたちのアドラメレクの姿はなかった。
『………逃げられたか』
ランスロット擬き―――『マーリン』から聞こえてきたのは十代くらいの若い女性の声だった。
そして一機のグロースターがマーリンの近くにやって来た。
『手痛くやられたようですねベオウルフ卿』
『小言を言いたいならあとにしなさいクランク中佐』
『失礼いたしました』
そう言いながらクランクはグロースターを動かし、マーリンの肩を持ってGー1ベースへと帰艦した。
『やはり相手は噂の黒の騎士団でしたか?』
クランクは移動しているときに先程までクリスが戦っていた敵について尋ねた。
『多分黒の騎士団とは関係ないと思う。もし黒の騎士団の仲間ならあの機体をコーネリアの方に向かわせた筈だから』
ノネットからコーネリアを回収したと聞いたときにコーネリアを襲ったナイトメアのことを聞いたが、グラスゴー擬きの無頼が三機と新型が一機らしい。
もしさっきの敵が黒の騎士団ならグロースターの一機でもそちらにいく筈だ。
『では、第三の謎の組織と言うことですか?』
『恐らくね。しかもその組織はかなりの規模のものかもしれないわ』
ブリタニア製のナイトメアのグロースターやサザーランド。日本製の無頼や無頼改だけでなく謎のナイトメアたちが何機もいたことから有能な技術者が何人もいることがわかる。
そしてそのナイトメアたちを動かせるパイロットが十分な数がいる。
恐らく、組織としては黒の騎士団以上の存在だろう。
『エリア11。気を付けるのは黒の騎士団だけだと思ってたけど違うみたいね』
クリスはナリタ連山を見ながらそう言った。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
黒の騎士団と白銀の方舟のメンバーが撤退しているなか、ビャッコはまだスザクと戦っていた。
しかし戦いはスザクの方が圧倒的に有利だった。
怒りで理性を失ったリオンはひたすらメンチメイスでランスロットを叩き潰そうとしたために無駄な隙が出来てしまい、スザクはそれを見逃さずその隙をついて攻撃していた。
それによりビャッコのべリアルは装甲が所々欠けており、左手に握っていた短刀も折られ、ハンドガンの弾丸も尽き、膝をついていた。
『ビャッコ、投降するんだ。これ以上やっても無意味な行為だ』
「黙れッ!!貴様に投降するぐらいなら自害した方がましだ!!」
これはビャッコのただの強がりだった。
勝ち目は既に無くなっていたが裏切り者に投降し、ブリタニアに捕まるぐらいならここで死んだほうがましだと。
『なら、君はここで』
スザクは説得は無理だと思い、ランスロットのMVSをべリアルの胴体に向けた。
「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
『何っ!?』
突如崖の上から華武兜とギラファが落下しながらランスロットにそれぞれの武器で攻撃してきたが、ブレイズルミナスで軌道を変更させることで攻撃をいなした。
「大丈夫かビャッコ?」
「うわっ、ボロボロじゃねぇか。よく壊れてないな」
武蔵と大和は心配そうにビャッコに声をかけながらべリアルを立たせた。
「武蔵さんと大和さんですか。助けていただきありがとうございます」
「いいってことよ」
「それよりクラウンから撤退命令が出た。指定場所に向かうぞ」
「っ!?わかりました………」
ビャッコは目の前にいる仇を討てないことの悔しさに操縦桿を強く握りながら我慢した。クラウンの指示を無視して二人を危険にさらすことはあってはいけない筈だ。
「俺と大和てチャフスモークを展開する。その隙に逃げるぞ」
「了解…………」
『待てビャッコ!!』
スザクが何かを言ったようだが、それを無視して武蔵と大和はチャフスモークを展開した。
チャフスモークなのよって視界が遮られ、その隙にビャッコたちは逃走した。
「次あったときは必ず殺してやるスザク!!」
ビャッコはそう言いながら憎々しげに吐き捨てながらその場から逃げた。
今回でナイトメア戦は終わりですが、ナリタ編は次の話で終わりになります
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