あの日から俺の人生は狂ってしまった。 (完結) (ちゃるもん)
しおりを挟む

番外編 もう一つの未来
可能性の世界


投稿です!!

番外編です!!

どうしてこうなったし……

ともかく、どうぞ!!


いつもと変わらない日常。

 

いつもと変わらない学校生活。

 

いつもと変わらない帰り道。

 

そして、いつもと変わらないハズの(・・・)家族。

 

「ただいま~」

「お帰りなさい、軽様」

 

俺を出迎えてくれたのは紫色のドレスを着た女性。

 

「……だれ?」

「そんな!!私の事を忘れてしまったのですか?!」

『おいおい軽、お前の婚約者の八雲紫さんだろ?』

『相変わらず美人さんよねぇ~』

 

あとの二人は分かる。俺の父さんと母さんだ。

だが、八雲紫?そんな名前聞いた事もな…………

 

アア、ソウイエバセンゲツカライッショニスンデイルジャナイカ。

 

「ごめんごめん。冗談だって」

「酷いですわ軽様。これは今度一緒にデートをして貰うしか……」

 

手で顔を覆い隠しているが明様に指の隙間からこっちの様子を伺っている。

俺は両手を上げ、降参のポーズを取る。

 

「分かった。今週の日曜空けとくからその日で良いか?」

 

そう言うとパアァと顔を明るくした。

 

それが、俺と紫の出会いだった。

 

 

あれから、2年の年月が過ぎた。

最初こそ戸惑ってはいたものの今は紫の事が好きなっている。

 

そんなある日の事だった。

自室に入ろうとドアノブに手を掛けた、その時だった。

 

『藍、そっちの結界に異常は出ていないかしら?』

『問題ありません紫様』

『そう、なら引き続きよろしくね』

『御意に』

 

結界?藍?一体なんのことだ?

 

俺は、会話が終ったのを見計らい堂々と部屋に入った。

紫は一瞬驚いた顔をするもすぐに扇子で口を隠した。

 

「軽様、女の子の秘密を隠し見るのは「なあ紫、今の誰だ?」ッ!」

 

紫がここまで動揺するのは珍しい。それだけ隠したい事なのだろう。

 

「なあ、誰なんだ?」

「…………」

「ダンマリか」

「(知られたら軽様に嫌われてしまう……ならいっそ……コロシテシマエバ……)」

 

ドンッ 紫に押し倒される。その目は鬼気迫るものだった。

 

「紫……教えてくれ。お前は何者なんだ?」

「それを教えたら、軽様は私を嫌ってしまうでしょう。なら、軽様をコロシましょう。安心シて下さい私もスグに追いマスから……」

「それで、あの世でもお前と一緒にいられる保障が有るんなら俺は死んでもかまわない。ただな、俺はお前が、紫が好きだ、大好きだ、一人の女として愛してる」

「な///なにを///!!」

「紫が化け物だろがなんだろうが、俺のこの思いは絶対に覆す気はない!!だから、教えてくれないか?俺は紫の全部が……知りたい」

「本当……嘘じゃないんですわよね……?」

「ああ、本当だ」

 

紫は大きく深呼吸をし、

 

「私は……私の正体は……妖怪……ですわ……」

 

「…………」

「気持ち悪い……ですわよね……」

 

と言うことは俺の婚約者でもないのだろう。

だが、それがどうした?

この馬鹿に教えてやろう。俺は―――

 

「いや、だからなに?そんな事で俺が紫の事を嫌いになるとでも思ったのか?」

 

俺は紫の体を引き寄せ、

 

「え?あ……」

 

「これからも、よろしくな。俺の紫」

「裏切ったらユルしませんカラね?」

 

―――八雲紫を愛しているんだと。

 

紫にキスをした。

 

 

 

 

これは、別の世界での可能性の物語……




御読みいただき有難うございます!!

如何だったでしょうか?ヤンデレ成分がほとんどないですね。
ほんと、どうしてこうなった……

番外編はこれからもチマチマと書いていくつもりです。

ではさようなら~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

愛しています

投稿です。

番外編です。優しい女性と悲しい少女まで読んでからお読み頂くことをお勧めします。

多分と言うか、絶対、賛否両論が酷いと思います。

それでも良い方は読んで行ってください。

では、どうぞ。



「予想外だったな……美鈴……」

 

私の懐へと踏み込んでいた美鈴の一撃によって―――

 

―――私の右腕は吹き飛ぶのだった……

 

 

 

 

紅魔館を無事脱出することが出来た。

 

必死に走り今は小さな洞穴で休憩していた。

 

その時、小さな声が洞穴の中を響き渡った。

 

『あんが、い……わた……し、の……グフッ……かんも……たより、に……なるね……』

 

途切れ途切れの声の主。

俺の良く知っている人物。

 

「……何しに来た……フランドール……俺を殺しにでも来たのか」

 

そして、彼女を初めて見る。

 

「っ!!?」

 

右腕、右足、左翼、左脇腹、左胸

 

この全部が存在していなかった(・・・・・・・)

 

殺されるかもしれない。

捕まってまた引き戻されるかもしれない。

 

そんな思いを全て忘れフランドールに駆け寄った。

 

「おい!大丈夫なのか!?」

「……これ、は……たぶん……い、や……かく、じつに……しぬね……さすがに……おねえ、さま……たちぜ、んいん……はむりが、あったかな……」

 

フランドールの体がどんどん冷たくなっていく。

吸血鬼がどれだけの再生能力を持っているかは俺も見たことがある。

だが、フランドールの体が再生するそぶりは見えない。

 

「ねぇ……お兄さん……ううん……軽……わた、し……きづいた……んだ……」

 

「私……ね……軽の……こと……が」

 

「好き……だ……よ……」

 

「軽……あいし……て……………――――――」

 

そうして、フランドールは静かに息を引き取った……

俺は、何も、言えなかった……

 

 

あれから三日。

 

俺はある決意をした。

 

レミリアにフランドールのことを伝える。

そして、一発殴り飛ばす。

 

ごめんな、フランドール……俺に力を貸してくれ……

 

俺一人じゃ、レミリアに会えるかも怪しい……本当に……ごめんな……

 

 

俺は、少しずつ腐敗してきたフランドールの体に歯を立てた。

 

 

頬を一筋の涙が伝った

 

 

 

 

「よく来たわね。軽。それで?私に話がるのでしょう?」

「……フランドールが、死んだ」

「……そのようね……」

「……オイ……それだけなのかよ!……オイッ!!」

 

背中の宝石がシャランと音を鳴らす。

レミリアはなにも答えない。ただ、分かる事がある……レミリアは実の妹の死に対して『何も』思っていない。

 

なぜなら、狂った笑みを浮かべ笑っているのだから……

 

「殺すッ!!」

 

左手を握り、ひら……こうとはしなかった。否。できなかった。

 

「なんで……姉には死んで欲しくないのか……でも、一発殴るぐらいならいいよな」

 

右手を開き、握る。

 

そして、ゆっくりと近付き、全力で殴り飛ばした。

 

 

 

 

ある崖の上。

 

そこには、簡易的な木の十字架と、

背中に七色の宝石が付いた翼を持つ一人の男が静かに眠っていた……

 

その顔は

 

酷く

 

酷く

 

 

 

幸せそうな顔だった……

 

 

 

 

  フランドール。ごめん……少し遅くなった。

 

  そんなに待ってないよ軽。

 

  むこうじゃ言えなかったから、今言うぞ。

 

  うん。

 

  俺はフランドールのことを―――――

 

 

    BAD   END?

 

    HAPPY END?

 

    貴方の事を―――

 

 




御読みいただき有難うございました。

不満がある方もいると思いますが、今回は見逃してください。

これが、本当に幸せなのか……私には分かりません。

なので、それは読者の皆様でお決めになっていただけると幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

生命の声

投稿です!!

人気投票モドキで決定した、犬走椛(これ かば って読むんですね。知らなかった)の番外編となります。

『平和な日々は崩れ去る』までお読み頂くことをお勧めします。
時間軸は、軽くんが椛に別れ話?をするところからの別ルートからとなっております。

では、どうぞ!!


「椛、今まで世話になった」

 

カラン と音がする。椛が箸を落とした音だ。

 

「さすがにこれ以上椛に迷惑を……って、椛?聞いてるのか?」

 

「……ドウシテ……ドウシテ……」

 

「椛?」

 

なにかブツブツと呟いている椛に近寄る。

 

「ドウシテ!!」

「うわ!」

 

ドンッ!!と椛に押し倒された。

 

「イテテッ……椛、急にどうし――――!!」

 

た、とは続かなかった。なぜなら

 

「お前……泣いてるのか?」

 

椛の瞳から止めどめなく涙が溢れていたからだ。

 

「どうして……私、軽に嫌われるようなことしましたか……?嫌です……私は軽と一緒に居たいんです!!」

 

「離れたくない……はなれたくないハナレ―――」

 

俺は無意識に椛の体を抱き締めていた。

 

「ごめん……椛。別にお前のことが嫌いになったからとかじゃないから、取り敢えず安心してくれ」

「……なら……どうして……」

 

抱き締めていた椛を離し、きちんと話せるようにする。

 

「さっきも言っただろ?椛に迷惑をかけたくないって」

「私は迷惑だなんて思っていません!!」

「そう言ってくれると嬉しいな。でもな」

 

俺はこの妖怪の山において完全なイレギュラーだ。

 

そんなイレギュラーを庇っている椛が、他の天狗達から迫害されてもおかしくはない。

 

下手したら死刑もあり得る。現に椛は天狗たちから嫌がらせを受けているらしい。

 

他にも俺の決心を固める為の情報は沢山ある。

 

「どこで……知ったのですか」

「射命丸が教えてくれたよ」

「あいつが……アイツのせいで……」

「椛の事を守って欲しいって」

 

へ?と間の抜けた声が響いた。

 

「だから、俺が離れれば椛が助かると思った。それにあの女、博麗からの標的にもされない」

 

でも、それだけでは駄目なようだ。

 

「なあ、本当に我儘な事を言っていいか?」

 

何も言わない椛を肯定と取り、言葉を紡ぐ。

 

「俺と一緒に逃げてくれないか?」

 

「この山の上には守矢神社って神社が有るんだろう?そこに頼んでさ、二人で住める小さな家を建てさせて貰おう。多分布教の手伝いとかしないと行けないと思う―――」

  

巻くしたてるように言葉を紡ぐ。

 

 

そして、不思議思う。

 

どうしてこんなに一生懸命に椛を説得しているのだろうかと。俺が逃げれば済む話しではないかと。

 

そして、漸く気付く。

 

 

 

 

  好き   俺は、椛が好きなんだ。だからこんなにも、必死なんだ。

 

 

 

 

「……ごめん。違うわ、俺が言いたいのはこんな事じゃない。俺は―――――」

 

 

 

椛の瞳から温かい涙が流れ落ちた。

 

 

 

 

 

「もーみじ。お腹の方は大丈夫?」

「諏訪子様。はい、大丈夫ですよ。ところで……さっきオヤツ『ごめん!私用事あるから!!』あ!逃げた!!」

 

俺の耳に騒がしい声が聞こえる。

 

あの日俺と椛はこの守矢神社へと移ることを決心した。

 

最初は話しを聞いてくれたものの断られたが、何度も行き、頭を下げこの場所に住むことを許してもらえた。

 

それだけではない。博麗霊夢との話し合い場も用意してくれた。

 

博麗は最初こそ、俺を殺してでも奪い取ろうとしていたが今では大分落ち着いた。

まあ、それでも(性的に)襲ってくることがあるのだが……

 

でも、今の幸せがあるのは守矢神社の皆がいたからだ。本当に頭が上がらない。

 

「神奈子様ー天井張り替え終わりましたよ―!」

 

『軽!!早く!早くこっちに来てくれ!!』

 

神奈子様の切羽詰まった声が聞こえる。

急いで天井から降り声の聞こえた方へと向かった。

 

そこには、お腹を抑え蹲る椛と、それを心配そうに見守る神奈子様と早苗さんの姿があった。

 

「け、軽……う、うま産まれ、る?」

「今、諏訪子様がお医者さんを連れてきています!軽君は手伝って下さい!!」

「あ、ああ!!」

 

 

 

 

 

 

『おんぎゃぁぁあ!!』 

 

 

 

夕方、妖怪の山からは生命を告げる声が大きく、大きく響き渡った。

 

 

 

 

  HAPPY END

       生命の声 END

 

 




お読みいただき有難うございます!!

実はこの話自体は考えていました。ここから椛ルートに入れるんならーみたいな感じで。
でも、こうして書いていると結構変わりますね。書く前は椛の家でキスして終了でしたもの。

軽くん、椛。おめでとう。末永くお幸せに。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。

二人に永遠の幸せが訪れることを祈っています。

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幸せの形

投稿です!!

いやはや……二日ぶりですな!!

今回は感想でのちょっとしたお願いを2つ取り入れた番外編です。
※ボーイズラブ注意!!

でば、どうぞ!!


「霖之助ーこの壺はこっちでいいのかー?」

「ああ、そこでいいよ。ありがとう」

 

寺子屋から逃げ出し森の中をさ迷っていた。

ずっとさ迷い続け、体力も限界。

 

どうせ何処かで死のうと思っていたし……

 

なんて考えて、その場に倒れこんだ。

手の上を何かが這い上ってきたり、服の隙間から虫が入る感触は今でも覚えている。

 

何もかもがどうでもよくなって、もう二度と目を覚ますことがないように。

と、変な事を祈りながら目を閉じた。

 

だが、その祈りは届かなかったようで俺は目を覚す事となった。

目の前には知らない男性が。

 

なんだか無性に嬉しくなった。

多分だが、男、同姓者。と言う事実が嬉しかったのかもしれない。

今まで会ってきたのは全員女性だったから、その気持ちはよりいっそう強かった。

 

俺はその男性『森近 霖之助』に事の経緯を話した。

すると、森近さんは此処に住んでいい。と言ってくれ今に至る。

 

何度か博麗さんも来たようだが、隠れ済ませたり。

八雲紫さんに霖之助がお願いしてくれて話し合いも出来、まあ苦手ではあるが今は少し話を出来る程度にはなっている。

 

 

なあ、霖之助……お前は俺の事をどう思っているんだ?

 

めんどくさい相手だって、思っているんじゃないか?

 

 

気付けば俺は霖之助に依存していた。

だって、しょうがないじゃないか。

 

俺を優しく介抱してくれて。

俺のために地面に頭を擦り付ける姿はかっこよかった。

 

 

壺を地面に置いたとき、カタッと手に何か固いものが当たり、カランと音をたて倒れた。

それは金属バットだった。こんなものが流れ付いていてることなんて早々ないのだが……

 

まあ、ちょうどいいか……

 

俺は金属バットを拾い上げ……

霖之助に気付かれないように後ろに回る。

そして……

 

「ッ!!」

「霖之助が……霖之助が悪いんだ……俺に優しくするから……」

「なに……をいって…………」

 

そう言って霖之助は意識を失った。息はあるし、脈もある。

大丈夫生きている。

それを確認して店の裏へと入る。

 

 

そうだ……好きになった相手が男なだけだ……

 

俺だって人生がめちゃくちゃにされたんだ……このくらい許される……

 

 

霖之助を運び終え、縄やチェーンを持ってきて霖之助を拘束した。

 

「ん……ここ……は?え、う、動けない!?」

「さすが半妖……起きるのが早いね」

「軽!君はいったい何を!!止めろ!服を脱がすんじゃない!!」

 

霖之助の言葉を無視して服を脱がしていく。

縄のせいもあり、半脱ぎになってしまったがしょうがない。

 

肌に舌を這わせ、手で霖之助の髪を弄る。

 

左手を下に持っていき、口と口を重ねる。

 

舌を中に入れ、無理矢理口内を犯す。

 

口を離すと、透明の粘液が糸を引いた。

 

 

さあ、これからもっと……愛シ合オう?

 

 

 

 

「まったく君は…………はぁ男同士だが責任をとった方が良いのか分からんぞ……」

「ご、ごめんなさい……」

「まあ、いい。君には女になってもらうって形で納得しているんだ。明日八意先生に頼みにいこう」

「はい。えっと……その、よろしくお願いします」

「はぁ……こちらこそ、よろしく頼むよ。軽」

 

一歩間違えれば、いや実際いは霖之助が優しすぎるだけなのだろうが……まあ、それでも……

 

これはこれで、一つの幸せなのだろう。

 

これからは言葉遣いも気を付けないと。

 

 

俺は……いや、私はそっと霖之助さんの手の平に自分の手の平を重ねた―――

 

 

 

 

 HAPPY  END

        幸せの形  END

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

主人公闇堕ち+ホモ化(霖之助限定) 誰得だよww
そして、バットエンドだと思った人!!残念……ハッピーエンドだ……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

新作『弱いから誰かを守ってはいけないんですか?』
を投稿中です。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邪魔されない世界で

投稿です!!

ねえねえ後日談の続きかと思った?
残念。番外編だ。

※番外編『違う』の続編となっております。

では、どうぞ!!


フランドールにパーティーのマナーを教えてもらったのだが……

 

「要は、楽しめれば良いんだよ!!分かったお兄さん?」

「あ、うん……了解」

 

最初の方は身だしなみがどうとか、歩き方はどうとか言っていたのだ。

しかし、途中でめんどくさくなったのだろう結果がさっきの台詞である。

 

まあ、小難しいマナーや話よりも分かりやすくて助かるのだが。

 

 

レミリア様や紅さん、パチュリーさんに小悪魔さん。

 

小悪魔さんとは色々あったが、考えを改めてくれたようだった。

ただ、だからと言って抱きつくのは勘弁願いたい。

 

皆と笑いあい、何時かのあの頃に戻れたようでとても楽しくて……嬉しかった。

 

俺が霊夢と付き合う事にした事を言うと、皆俺に詰めよって何かあれば呼んでくれと。俺の事を心配してくれた。

そして、同時に俺を祝福してくれた。

 

そんな幸せな時間が過ぎ去っていく。そして、パーティーが終わりを迎えても十六夜咲夜は姿を現さなかった。

 

 

夜、俺は紅魔館に泊まることとなった。

 

理由としては、外が既に暗いからである。予め霊夢には多分泊まる事になるとはいっているが…………明日は朝一で帰ることにしよう。

 

そうして眠ろうとベットに入ったとき コンッコンッ とノックの音が響く。

 

こんな夜中に誰だろうか?

 

そう思いドアを開く。

そして、息を呑む。

 

何故なら、そこにいたのは……

 

 

『お久しぶり……です……けいk、逃特様』

 

 

……十六夜咲夜だったから。

 

 

テーブルを挟み向かい合う。

 

一体彼女が何を話に来たのか……そして、もしかしたら……

そんな甘い考えが頭を過ったから。

 

「……申し訳ございませんでした」

 

十六夜さんが頭を下げ謝罪の言葉を述べる。

 

「私は奴隷でした。徹底的に暗殺術を教えられ時に性欲の捌け口、気に食わなければ理不尽な拷問にこの身を晒されてきました」

 

十六夜さんは頭を下げたまま語り始める。

 

「私は逃特様と似た痛みを知っていたのに……自分で自分を御する事も出来ずに貴方様を傷付けてしまいました。許してほしい等と烏滸がましい事は望みません。ただただ、申し訳ございませんでした」

 

俺は許そうと思った。

自分が甘い人間なのも理解しているし、十六夜さんと仲直り出来るのなら……と。

 

 

―――そんな事を抱いたからこそ。俺は許してしまった。

―――この先に待つ、地獄の門を開けてしまった事にも気付かずに……

 

 

「分かりました。俺は許します。だから何時ものように呼んでください十六夜さん」

「本当ですか!?ありがとうございます!!軽くん!!」

 

 

 

『ヤッぱり……私を受け入レてくれタンデすね』

 

 

 

気付けば俺は知らない部屋の中にいた。

まるで博物館の様なその場所。

 

ショーケースの中には色んな種類の武器。

壁には鎧なんかも飾られている。

 

一体ここは何処なのだろう?

さては、十六夜さんが俺を怖がらせる為に何かしたのかな?

 

なんて思いながら前へと進む。

目の前の現実から目を反らすように。

 

そして、一つの扉の前へと着いた。

他に扉も無かったから、ここが出口なのだろうか?

扉の取っ手に手をかけゆっくりと開く。

 

「あ、十六夜……さ、ん……」

 

扉の先には十六夜さんの姿があった。

 

 

 

 

 

『あの頃と同じ笑みを浮かべた十六夜咲夜の姿があった』

 

 

 

 

 

逃げる。何も考えず逃げる。

だが、出口なんてなく近くの剣を拾って応戦しようとするも、そもそも剣を持つことすら出来ない。

 

何処からか現れたナイフが俺の足へと突き刺さった。

 

「あがぁあああ!!」

『ふふ……ふふひフひヒヒフひ!!ここなラ誰にも邪魔さレナイ』

 

ニンマリと三日月のような不気味な笑顔を浮かべた十六夜咲夜が近付いてくる。

 

「イヤだ……イヤだ……イヤだ…………出して……出してくれ……イヤだぁああ!!」

 

足を何度も動かしても、ナイフを手で抜こうとしても……微動だにしない……

 

そして……

 

『行きマショう?軽クン』

 

俺は扉の奥へ引きずり込まれるのだった……

 

 

 

BAD END

   邪魔されない世界で

            END




お読みいただき有難うございます!!

軽くん……良い人生を(白目)

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

『崩廻録』と『弱いから』の最新話を投稿します。
よろしければそちらもどうぞ。

咲夜さんの世界は、自分も呑まれる可能性がある代わりに絶対的世界を作れる。
紫様の逆で、止まっているかいないか、どっちが優位で不不利なのか。白と黒しかない世界。
咲夜さんの能力の解釈の一つを使わせていただきました。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

調教

投稿です!!

帰省はネタが出なかった(~_~;)
なので番外編。

では、どうぞ!!


仄かな光が部屋の一角を照らす。

 

そこには一つの人影。

 

膝を抱え踞る姿は、何かに怯える子供のよう。

 

ガチャン

 

何かを締める金属音。

 

その音がした瞬間、人影は飛び起き、その顔には歓喜の色が見えた。

 

背はそこそこ高く、筋肉もつきがっしりとした男。

 

そんな男が今では小さい子供のように見えた。

 

カツンカツン

 

靴の音が近づくにつれ、男の顔は明るくなっていく。

 

『ごめんな。一人にして』

 

その声は女の物だった。

 

男は、女に駆け寄り、抱き付いた。

 

そう、まるで子供のように。

 

『おいおい……』

 

女は困ったように呟くが、どこか嬉しそうであった。

 

『ヤるのは、向こうでな?』

 

そして、女は男を抱えあげ洞窟のような部屋の奥の扉を開ける。

 

むわっ となんとも言えない匂い。

 

その部屋で、二人は愛を確かめ会うのだ。

 

 

何時からだったか。私は一人の男に興味を持った。

何で興味を持ったのかも思い出せない。しかし、私はその男に興味が湧いたのだ。

しかし、男は壊れてしまった。いや、元々壊れていたようだからなんと言えば良いのだろうか?まあ、長くはなるが説明すると、

彼は出会った当初から壊れていて、正気に戻ったと思っていたらそれは記憶喪失になっただけ。そして、地上から男を奪いに来た所でもう一度壊れ、私の友人も焦って男に迫り、また男が壊れた。

 

……長いな。

まあ、分かりづらいだろうこんな感じである。

そして、その壊れた男を引き取ったのが私なのだ。

これ以上男を放っておくわけにもいかない。けれど、その場にいる誰もが引き取れない。ならば、私が監視と言う名目で引き取ることにしたのだ。

他の皆も場所を知っている。私は嘘を一つもついていない。

 

此処には定期的に誰かが男の様子を見に来る。

そして、元気な男を見て安堵する。

私は男の相手をする。

 

誰もが自分の理に叶った条件で私の元に預けているのだ。

そう……私は監視役。でも、監視役が男と恋仲になろうがなるまいが自由だろ?

ゆっくりとゆっくりと……そりゃあ時間は掛かったさ。

けど、私は諦めが悪い。体を支配していって、心も支配する。

 

 

お前には私しかいない。

 

 

なあ、そうだろ?

 

 

 

 

 

 

「うッ……眩しい」

「まあ、あれだけ長く地下にいたんだ。それぐらいしょうがないさ」

「うん……そうだね」

 

久しぶり外に出た。外は眩しくて、あたたかくて、怖かった。

けれど、不思議と歩く力が湧いてくる。

 

「行こうか。軽」

 

それは、一重に隣に佇む僕のお嫁さん……ちょっと恥ずかしいけど……星熊勇儀が居るからだろう。

 

「はい」

「ハハハ、あんまり緊張しなくてもいいさ。私がついてるから」

「……うん」

 

僕はぎこちなながらも、微笑み返した。

 

『すまないね、パルスィには悪いけど……』

 

僕には彼女がなにを言っているのか理解できなかった。

 

 

 

HAPPY? END

      調教

        END




お読みいただき有難うございます!!

ハッピーなのかバットなのかよくわからない。そんなENDです。
まあ、強いて言うのなら……軽くんまだぶっ壊れてますね。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

今週は『弱者』の投稿はお休みです。
風邪引いてるから三つは辛い……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

共に……

皆様、お久しぶりです。

バレンタインですね。
イベントには投稿しないとな。の精神のもと書き上げました。
お見苦しい点も御座いますでしょうが、読んでいただければ幸いです。




 私は暗い部屋のなかに独り座っていた。

 外になんて出たくない。もう、このまま誰にも会わず、独りで朽ち果てていけばいい。

 

 そう、私は私を呪った。

 

 だって、そうすれば……もう、誰も私を裏切らない。裏切れないから。

 そうすれば、私は、もう、誰も傷つけなくてすむから……

 もう……私は誰も傷つけたくないから……

 

「……ははっ」

 

 渇いた声が部屋のなかに響く。

 それでも、温もりを求めてしまおうとする自分がいるから。

 結局、私はどうすれば良いのだろう。

 結局、私はどうすれば良かったのだろう。

 

 

 いまはただ、この無駄な命を憎むばかりだ……。

 

 

 

 

 コンコンッ

 

 控えめのノックの音。恐らく勇儀でも来たのだろう。

 私は膝を抱えた。

 勇儀は、数日に何度か私の家を訪れる。

 彼女からすれば善意なのは分かるが、私からすれば悪意以上のなにものでもない。

 まるで、耳元を飛び回る五月蝿い羽虫。

 

 そういえば、一度だけ怒鳴ったこともあったけ。

 

「…………、以外と元気なんだな、私……」

 

 私の心と体は、予想以上に私の願望を邪魔しているようだ。

 本当に……いい加減にしてほしい。

 膝にナニかがこぼれ落ちる。

 

「ッ!!」

 

 それは、もう既に枯れ果てたものだったはずのもの。

 私は、何も見ていない。

 私は固く目を閉じた。

 けれど、流れるそれは一向にやむ気配はなかった。

 

 コンコンッ

 

 私の心情とは裏腹に、しつこく飛び回る羽虫。

 私はもう、誰とも会う権利なんてないんだから……。

 

 ほっといてよ(たすけてよ)

 

「ッ!!」

 

 言葉の裏にある、叶えられらない願い。

 そんな自分にヘドが出る。

 私はより一層目を固く閉じた。

 しかし、その目は意図も容易く見開かれる。

 何故か?

 

『パルスィさん?居るの?逃特軽だけど』

 

「ッ!!」

 

 愛しいあの人が、もう、会わないと誓ったあの人が……。

 

 ギリッ!!

 

 二の腕を掴む腕に力を込める。

 

 動くな。動いてくれるなッ!!私はもう、傷付けたくない!!だから、お願いだからッ!!

 

 ギリギリッ!!

 

 手の平にヌメッとした感触が伝わってくる。

 そして、鼻をつくツンッとした血の臭いが脳を刺激する。

 

『パルスィさん?話したいことが有るんだけど……』

 

 彼が帰る気配はない。

 

 どうする!?どうすれば彼を傷つけないですむ!?

 

 そうだ……。嫌われればいいんだ……。

 

「帰ってッ!!!!」

 

『パルスィさん……。お願いだから、俺の話を……』

 

「貴方みたいな覚悟も無いような奴とは顔も会わせたくないのよ!!分からないの!?早くどっか行って!!私を一人にして!!」

 

『ごめん……なさい。また、来ます』

 

「もう来ないで!!」

 

 ……………………………………。

 

 ああ……、ああ……ごめんなさい。ごめんなさい……。

 

 私に、こんな私に会いに来てくれたのに……。でも、それでいいの。時間があれば、貴方はまだ進み直せるから。道を正せるから……。

 

 こんな、こんな……最低な存在の事なんか忘れて…………。

 

 明るい未来を、歩いてくだ、さい……。

 

 

 

 

 あれから、何度か彼は訪れた。その度私は追い返した。

 無視を決め込み、怒鳴り散らした。

 そして、その都度、既に乾ききったものが流れる。

 

 そんな生活が続くこと早一年。

 この一年、飲まず食わずの生活だったと言うのにこの体は朽ち果てない。

 

 もう、動きたくすらない。早く死にたい。

 

 そして、それから彼は家を訪れなかった。

 

 

 

 

 全く同じ生活を続け……何れくらいが経っただろうか?

 

 もう、時間の感覚さえ曖昧で、目もボヤけ、音も殆ど聞こえない。口はカラカラ、腕を上げるのも、足を動かすことすら出来ない。

 

 ああ、ようやく……ようやく死ねるのか……。

 

 私は、私自身の寿命がもう残り少ない事を悟った。

 

 

 

 

 視界にはぼんやりと川が映っていた。

 

 三途の川と言うやつだろうか。

 

 いや、違う……。

 

 此処は……、この場所は…………。

 

 ああ、本当に私は執念深い女なんだな。と、改めて実感した。

 

 そして、さっきまで動いたであろう足からふっと力が抜ける。

 

 ごめんなさい

 

 ごめんなさい

 

 ごめん……なさい…………

 

 そして私は、迫り来る死へと身を委ねた。

 

 

 

 

 目が覚める。 眩しい光が一気に飛び込んできて目を細めてしまう。

 

 これが死後の世界なのだろうか?

 

 いや……違う……。

 

 だんだんと目が光に慣れ、視界には木張りの天井の姿。

 私はどうやら布団に寝かされていたようだ。

 

 助けられた……。

 

 私は死に損ねた……のか……。

 

「あ、パルスィさん。目が覚めたんだね。良かった」

 

 声が出なかった。

 

 なんて出来すぎた話かと。

 

 なんて世界は残酷なんだと。

 

 なんて、私は軽薄なのかと。

 

 あれだけの事をして、私は何故喜んでしまうのかと。

 

「橋のしたで倒れてたんだよ?それもかなり危ない状態で」

 

 それもそうだ。私は死にたかったのだから。

 

「取り敢えずお水。俺の事が嫌いなのは知ってるけど。今だけは安静にして、体力回復に努めてね」

 

「ぁ……ちが……」

 

 咄嗟に否定しようとした。しかし、何が違うのか。事実以外の何物でもないではないか。

 私は彼を突き放した。何度も、何度も手を伸ばしてくれたのに、私は怖いからと突き放した。

 私には、彼に助けてもらう権利なんて有る筈もないのに。

 私は起きた。既に限界が近かった体に鞭を打ち起き上がった。

 私は此処にいるべきではない。

 彼を押し退け、部屋から出る。

 

「あ、まだ動いたらダメだって!!」

 

 しかし、彼は私の腕を掴んで引き止めた。

 

 私は言った。お願いだから離して。私はもう生きていたくないの。

 

 と。しかし、彼は離さない。そして、私は彼の放った言葉に動けなくなる。

 

「だったら、俺も一緒に死ぬ。迷惑かもしれないけど、今のパルスィさんを一人になんて出来ない。ごめんな?今まで一人にしちゃってて」

 

「…………なんで……」

 

 私は、それ以上何も言えなかった。

 

 彼は頬を赤く染め、頭を掻きながら言葉を紡ぐ。

 

「命の恩人だから。とかも関係あるけど。ただ、好きな相手が辛そうにしてるなら、せめてその重荷を少しでも背負えたらなって」

 

「あの日さ、覚悟もないような奴って言われて、自分なりに考えたんだ。俺はパルスィさんたちと比べたら寿命も短し、身体能力も劣る。本当に安直な考えなんだけど、俺は寿命を伸ばすことにした。人の道から外れる事で。一時の間、パルスィさんの家に行けなかったのはそれが原因だ。それに、俺は此方のお金なんて持ってない。パルスィさんを養えるだけのお金も今稼いでいる。って、言ってもこの腕だからあんまり働けるところも無いんだけどね」

 

 そう言って、彼はヒラヒラと漂う裾を見せた。

 

「片腕が無くて、覚悟もない奴が一緒に死ぬなんて、本当に迷惑かもしれないけどさ。最期くらい、お供させてくれないかな?」

 

 私には答えられなかった。

 

 腕が無いことも驚いた。

 

 覚悟を決め、妖怪になる決心をしてくれた。

 

 こんな私と一緒に死んでくれる。

 

 こんな私を好きでいてくれる。

 

 こんな私を嫌わないでくれている。

 

 何も答えられない。ただ、私はそのボヤけた視界のなかで彼を見詰めることしか出来ない。

 

 どうして、そんなにも私を揺さぶらせるの?

 

 こんなんじゃ、死ぬなんて出来ないじゃない……!!

 

 伝えなきゃ……。何かは、分からないけど、兎に角、伝えなきゃ……!!

 

「せき……せきに、ん……とって…………もらうんだから……!!大好きッ!!」

 

 彼の唇に私の唇を押し当てる。

 

 彼は狼狽えていたけれど、私を受け入れ、抱き締めてくれた。

 

 私は初めて、愛と言うものを実感した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地底の都入り口。

 そこには一本の橋が架かっている。

 そして、その橋の上には三人で橋を守る、仲睦まじい家族の姿を見ることが出来るだろう。

 貴方も、一度行ってみてはどうかな?

 

 

 

 

 

 

 

HAPPY END

      共に……

             END




お読みいただき有難うございます。

今回はパルスィの番外編でした。
いかかでしたでしょうか?パルスィENDは絶対ハッピーエンドで終わらせるつもりでいましたので、ヤンデレやバッドエンド等を期待していた方にはごめんなさい。
でも、書き直すつもりはありませんのであしからず。

誤字脱字、感想があれば、よろしくお願いします。

一応次に考えているのは妖夢のその後or妖夢エンドor幽々子エンドのどれかです。

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話
写真


投稿です!!

今回は閑話となります。
以前要望にありました、椛と軽が一緒に暮らしていた頃のお話です。
時間軸は別れ話をする3、4日前ぐらいです。

※番外編は、別ルート
 閑話は、飛ばされた日常など ← 今回はこれ
 後日談は、霊夢と付き合い始めた後の話

では、どうぞ!!


「椛、どうしたんだそのカメラ?」

 

両手で大事そうにカメラを抱えている、いかにも、私ご機嫌です!!状態の椛に声を掛ける。

 

「これですか?えへへ~にとりに作ってもらったんですよ」

「へえ~にとりってこんなのも作れるんだな。そとのデジカメにそっくりだ」

「以前にも文様のカメラも作っていましたから。今回もこコロよク作ってれましタよ」

「ふーん。今度俺も何か頼んでみようk「ダメです」

 

椛に凄い形相で睨まれた。

まあ、友達を利用されるって言われて機嫌が悪くなるのもしょうがないよな。

俺は無理矢理それで納得した。

 

 

今日は椛に連れられ色んな所を歩き回っている。

 

なんでも写真が撮りたいそうだ。

とは言っても、行くのは美しい景色の所ばかり。てっきり山の上に建っている神社に行くと思っていたのだが……なんとなく写真は建物や友人と一緒なのを撮るイメージがある。

まあ、楽しそうだしいいか。

 

 

滝の写真を撮っているとにとりが魚を捕まえていた。

 

「よ、にとり」

「ん?ああ、軽か。どうしたんだい?」

 

俺は椛がにとりに作って貰ったカメラで写真を撮りに来ている事を説明した。

 

「ああ……あのカメラか……」

「カメラがどうかしたのか?」

「いや、随分と必死に言い寄られたからさ」

 

うん?椛は快く作ってくれたと言っていたのだが……まあ、多少の食い違いはあるか。

 

「軽?一体ナニをしてイるのですか?」

 

一瞬だけ、その声に固まってしまった。

背中を嫌な汗が流れる。

 

後ろを振り向くと、そこには何時もと変わらぬ優しい笑みを浮かべる椛がいた。

 

「椛……か。写真は撮り終わったのか?」

「ハい!!早く次に行きマしょう!!」

「あ、ああ。そうだな」

 

何故かは分からない……ただ、逆らってはいけない。そう思った。

 

 

こんな夜まで外に出ていたのは初めてかもしれない。

 

冷たい風が頬を撫でる。

空には中途半端に欠けた月と、小さいながらも自身の輝きを強く主張する星々。

 

木々の合間からではあるが、その美しさは目を疑うものだった。

 

「なあ、椛……この辺に開けた場所ってないのか?」

「在ることにはありますが……休憩を挟んでいたとはいえ軽の足が……」

 

多少ヒリヒリするものの痛くはない。

 

足を回しながらそう答える。

 

「ダメです」

 

何度か弁明を試みるも駄目の一点張り。

俺はまた機会が来る。と、諦める事となった。

 

 

よくよく考えれば、ここもそこそこ開けた場所だったな……

 

家へと帰ってきて思ったことがそれだった。

俺がこの家で目を覚ました時部屋の窓から大きなお月様が見えたのも今更思い出した。

 

そして、風呂にも入り、飯も食い終わった俺は縁側に出て満天の星空を眺めながらお茶を啜っていた。

お酒ではない。

 

「あ、あの~……軽、お願いが……」

 

突然後ろから声が掛かる。

湯飲みを置き後ろを振り返ると、カメラで口元を隠した椛の姿が。

 

「どうした?」

「一緒に写真を撮ってくれませんか?」

 

椛がお願いがあるとか言うからどんなお願いが来るのかと身構えていたが……まあその程度お安いご用だ。

 

「そのくらい全然いいぞ」

「ほ、本当ですか!?」

 

むしろ断られるのかと思っていたのか……俺の人物像が気になるところだ。

 

「え、えっと……それじゃあ」

 

夜空をバックにパシャリと音がする。

これで、二人の写真がデータとして残っているはずだ。

 

「あ、ありがとうございました!!では、私はやる事が出来たので!!」

 

そう言って椛はドタバタと家の奥へと消えていった。

 

……まあ、椛が喜んでいたので良しとしよう。

 

俺はお茶を一口啜った。

 

 

 

 

ハァハァ……ンッ

 

軽……大好きぃ……ンッ……

 

 

クチュリクチュリと何かを弄る音が響く。

 

部屋の中は暗く、壁には一人の男の写真がビッシリと張り付いていた。

だが、女はそんなのどうでもいい、それが当然なのだ。と言うように手を休めることはない。

 

 

早く……私をはらま…………せて、ハァハァ……けいぃ……

 

 

女の股の下。

そこには、満天の星空のした。

笑顔で映る男と女の姿があった。

 

 

 

そして、男の顔の上に一筋の透明な粘液が

 

ポチョリ

 

と滴り落ちた。

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

もうお前ら結婚しろよ……ハッ!!つい本音が……
てか、軽くんと椛のあの頃の口調ってこんな感じだったけ?思い出せん……(-_-;)

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

次回は番外編の紅魔館のパーティー回を書こうかなって考えています。

新作『弱いから誰かを守ってはいけないんですか?』
を、連載中です。よろしければそちらも。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

後日談
違う


投稿です!!

ヤンデレ成分ないけど、結構なシリアス回になったと思う。

では、どうぞ!!

※ 次回作の『赤ずきん』への伏線が張ってあります。
  苦手な方はご注意下さい。


「そして赤ずきんは~」

 

俺は今紅魔館のフランドールの部屋にいる。

それは何故か。レミリア様の言っていたパーティーを開催するからだ。

とは言っても紅魔館の人達と俺だけの小さなパーティーなのだが。

 

では、何故フランの部屋にいるのか……まあ、パーティーは夜からなのを忘れて昼間に来た俺が悪い。

そこで図書館で暇を潰してたらフランドールが来て部屋に連行された。

で、今はフランに赤ずきんの絵本を読み聞かせしている。

 

「めでたしめでたし……どうだったフランドール」

「う~ん……違う」

「違う?」

 

違うとは一体何なんだろうか?外界の赤ずきんはこんなモノだったはず……

原作を読んだ事があって、それと話の内容が違う。そう言う意味だろうか?

 

「そうじゃなくて……何て言えばいいのか分からないけど……なんかモヤモヤして……」

 

どうやら違っていたらしい。

でも、そうなるとより一層分からなくなる。

 

赤ずきんは童話だから古い話で、フランドールも俺からしたら何百年も年上だろう。

だったら本人が実在してて、その本人に会った事がある。とかか?いや。ないだろうそれは。

 

コンコンッ

 

「失礼します」

「紅さん。準備は出来たんですか?」

「はい。ですので大広間まで案内いたしますね」

 

俺とフランドールは立ち上がり、部屋を後にする。

ふと、部屋を出るときに後ろを振り返ると、何時かのボロボロの人形が目に留まった。

 

あんな人形あったか?

 

ボロボロの人形の両隣。片方は真っ赤のローブを着た人形。もう片方は真っ白のローブを着た人形。

 

隣にいるフランドールに聞こうにも、未だに頭を抱えているため聞くことが出来なかった。

何でだろうか……無性に引っ掛かる。

 

俺は胸の中に疑問を残しながらも紅さんの後を足早に追うのだった。

 

 

 

 

お兄さんに絵本を読んでもらった。

タイトルは『赤ずきん』

 

そのタイトルに私は『懐かしさ』を覚えたが、それ以上にお兄さんが私のために絵本を読んでくれる。それが無性に嬉しかった。

 

『めでたしめでたし……どうだったフランドール』

 

どうだった。そう聞いてくるお兄さん。

それにたいしての私の答えは『違う』

 

なにが違うのか、何でそんな疑問を覚えたのか……私には分からない。

 

ただ、断言できるのは……

何かが『違う』と言う事だけ。

 

原作?違う……そんな訳がない。だって私はこの部屋に閉じ込められて…………なんで閉じ込められていた?

違う。外に出ていた。少なくとも二百年程前からは出ていたはず……なら、それ以前は?

 

きょうき……狂気?狂気とはなんだ?

狂気とは私だ。

違う。彼女だ。

 

ん?彼女とは誰だ?

貴女は誰?貴女は誰なの?

 

 

『……あハ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?ここ……」

 

目の前には、長いテーブルに沢山の料理が並んでいた。

今回のパーティー会場である大広間だ。

 

「ほら、フランドールぼさっとしてないで、楽しもう?俺は様式とか分からないけど……」

「……うん!!お兄さん!フランが教えてあげる!!」

 

私はお兄さんの手をとり、テーブルへと近づいた。

 

 

 

 

あの疑問など既に頭の、心の中から消え去っていた。

 

 

 

 

『…………』

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

いや、ね?ちょっとした出来心だったんだよ?『あの狂る』を読んでて……「フラン一度も狂気になってねぇ!!」って思ってね?本当に出来心だったんだよ?

ま、まあ兎に角……

フランドールの忘れている事とは一体!?
次回……パーティー

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

『崩廻録』と『弱いから』の最新話を投稿しました。
よろしければそちらもどうぞ。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

帰省 結婚しました

投稿です!!

以前から来ていた帰省後の話となります。
大体三話で終わるかな?

※ヤンデレ成分皆無のほのぼのになっております。

では、どうぞ!!


『『は?』』

「いや、えっと、その……俺の嫁さんと子供たち」

 

目の前の父さんと母さんはあんぐりと口を開き、突如として現れた俺たちに困惑していた。

 

まあ、当然か。

彼女か?なんて弄ってきたのに嫁と子供って……しかも子供が既に五歳……驚くなと言う方が無理な話だ。

 

『『……』』

「あの……なんか喋って下さい……もしくは表情を出してください……」

 

困惑した表情から一変してその顔に無を示す二人。

それに軽い恐怖を覚え、口調が可笑しくなってしまう。

 

『取り敢えず、家に上がりなさい』

 

声を出したのは父さんだった。

俺たちはその言葉に従い家の中へと上がる。

 

椅子へと腰を掛け、テーブルを挟んだは良いのだが……隣に座る霊夢はカチコチに固まり使えない。

子供たちは見たこともない道具に興味津々。そもそも子供に頼るなんて事はしないが……

 

『霊夢ちゃん……と、言ったか……』

「は、はい!そうです」

『軽と結婚したと言うのは本当なのかい?』

「えっと……本当です」

 

霊夢がそう言うと、父さんと母さんは対照的な行動を取った。

父さんは溜め息を吐き、母さんは両手を合わせ目をキラキラと輝かせていた。

 

『はぁー……軽……せめて結婚式に呼ぶ、は無理にしても、手紙を出すことぐらい出来たんじゃないのか?』

『まあまあまあ!!可愛い子じゃない!!いつの間にか孫が出来ていたのは驚きだけど……よくやったわ軽』

 

父さんに「ゴメン」と小さく答え、親指を立てよくやったと意思表示してくる母さんに苦笑いを浮かべる。

出会った切っ掛けが切っ掛けなのだ。察してほしい。教えれないけど。

 

『今日はお赤飯ね!!あ、でもお買い物にも行かないと!!』

 

『軽。今回も三時間しか居られないのか?』

「いや、今回は三日間はこっちに居られるよ」

 

 

「御母様」

『そんな堅苦しく呼ばないで、母さんか、お母さんって呼びなさい』

「えっと……お母さん。私も手伝います」

『……本当によくやったわ軽』

 

 

「あ、お母さん……僕も……付いていっていい?」

「良いわよ軽保」

「霊華はどうする?買い物行く?」

「うーん……いいや。父さんと一緒いる。軽保が代わりに楽しんできて」

 

 

『そうか。だったら親子水入らず。酒でも交わすか』

「毎度毎度墓参りとかで潰れてるからね……分かった」

『そう言えば霊夢ちゃんのご両親に挨拶をしたいんだが、御両親は来ていないのか?』

「それなんだけどさ……ちょっと訳ありで……」

「軽。お母さんと買い物行ってくるわね」

「気を付けてな。軽保もいい子にするんだぞ?」

「分かった」

「行ってらしゃい」

 

軽く手を振って母さん、霊夢、軽保の三人を見送る。

家に残ったのは俺と、父さん、霊華の三人だ。

 

『それじゃあ、こっちはこっちで簡単に準備をしておくか』

「「おー!!」」

 

 




お読みいただき有難うございます!!

霊華ちゃんは人見知り。
軽保くんは積極的。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

服装は皆現代の服です。
脇巫女じゃないです。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

帰省 奇跡の結晶

投稿です!!

ヤベェ……二週間書いてないだけでここまで文章力が下がるとは……

では、どうぞ!!


『ほら、出来たわよー』

 

美味しそうな匂いと共に母さんの声が聞こえてくた。

子供たちと一緒に食卓へと戻り食器を並べる。テーブルの上には色とりどりの料理が並び食欲をそそられる。

 

皆で手を合わせ

 

「いただきます」

 

 

『ハッハッハ!!そりゃまた、随分な生活だったな!!』

「笑い事じゃないっつーの。こちとら何度死にかけたか……腕が無くなったのがマシなレベルだぞ?」

『生きてりゃ問題ないし、それに……そのお掛けであんな可愛いい嫁さんを捕まえられたんだろ?良いじゃないか』

「霊夢がことの発端何だけどな」

 

ご飯を食べ終えた後、俺と父さんは縁側で酒を飲んでいた。

 

『でもまあ、結婚して更に子供が二人……しかもあんなに大きい孫が二人……』

「いや……その、それは悪かった。直ぐにでも会わせてやりたかったんだけど……ちょっと事情が」

『最初、驚きはしたが怒ってすらない。むしろ嬉しいよ。ハアーこうやって孫が出来ると俺も年なんだなって思ってしまうな』

 

父さんが溜め息を小さく吐き、呟く。

 

「なに言ってんだか。父さんまだ五五にもなってないだろ」

『それでも五十には届いてるんだよな……』

 

世の五十代はこんなにも面倒臭いのだろうか……

なんて、隣に座る自分の親に少々げんなりしていると、服をクイクイッと引っ張られる。

後ろを振り返ると軽保がいるのだが……霊華、お前は何故軽保の腰に抱きついている……

 

「お父さん」

「ん?どうした軽保」

「霊華お姉ちゃんが……重い」

 

だろうな。

 

「ほら、霊華。こっちおいで」

「はーい」

 

胡座をかき膝をポンポンと軽く叩いて霊華を呼ぶ。

すると霊華は軽保の腰に抱きついたまま下半身を持ち上げ軽保の肩に足を掛ける。そして今度は上半身を持ち上げ肩車の状態になり、軽保の頭に両手を付き逆立ち状態へ移行。そして腕を曲げ一気に跳躍。クルクルに空中で二回転してポスッと俺の膝の上に収まった。

 

『おおー!!』

 

父さんの拍手に照れる霊華。

これは霊華も凄いけど……霊華の体重を微動だにせず支えた軽保も凄いな……

 

「ほら、軽保もこっち来な」

 

空いている方の膝を叩き軽保を呼ぶ。

軽保はトコトコと歩いて俺の膝の上に収まった。

 

「ふっふっふ……どうだ父さん。俺の自慢の子達は凄いだろ?」

『いや……凄すぎて拍手意外の反応の仕方がわからん。軽保くんも出来るのかい?』

「うん……あのぐらいなら」

「でも運動神経なら私の方が上だけどね」

「勉強できないくせに……」

「何を!?」

 

そのまま二人は俺の膝の上でまるで猫のように言い合いを始めてしまう。

こんなことは日常茶飯事なので特に気にしてはいない。

 

『いやはや……お前が行方不明になっての三年間はこんな景色が見れるなんて思いもしなかったんだがな。奇跡ってのは存外信じられるのかもしれん』

 

不意に父さんがそんな事を呟く。

まったく……一体何を言っているんだこの父親は……

 

「奇跡ってのは信じて起きるんじゃなくて、覚悟と行動の結果なんだ。どうだ?俺の奇跡の結晶は」

『……ああ。とても……とても綺麗だ』

 

父さんの目から一筋の涙が流れ落ちた。

 




お読みいただき有難うございます!!

まあ、お見苦しい所も多々有りましたが次回で帰省編は終了となります。
…………絶望をよこせぇえええ!!!!
失礼。ちょっと欲望が……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

子供いないからどんな風に家族だんらんを書けば良いのか分からん……

新作『東方赤ずきん』も投稿しています。
よろしければそちらもどうぞ。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

寝て過ごす幻想郷 part1

投稿です!!

ジングルベールジングルベール鈴ならず~♪
今年のクリスマスは中止です ヘイッ♪

と言うわけで、軽くんにはクリスマスを寝て過ごして貰いましょう。

注意 いちゃラブ キャラ崩壊 あり!!それでも良い方のみお進みください!

では、どうぞ!!


「誰もいない……なんだか久し振りの感覚だな」

 

十二月二十四日

外界ではクリスマスイブ真っ盛りのこの日、俺は妖怪退治と修行で家を留守にしている家族を思いながらそう呟いた。

 

「ここのところはずっと周りが騒がしかったし……久し振りに昼寝でもしようかな」

 

炬燵に入ったまま横になり、座布団を枕がわりにして俺は自分の欲望に身を委ねた。

 

 

 

 

博麗神社を最初に訪れたのは一匹の吸血鬼、レミリア・スカーレットであった。

 

「……今日はいるはずなんだけど……一体どこかしら」

 

つい来てしまった博麗神社。咲夜には言ってるしなんなら今日は帰らないで霊華と軽保と遊んであげるのも良いわね。

……もう、いっそのことお姉さん的な立場に固定しちゃおうかしら……

 

「にしても……また随分とぐっすり寝てるわね……」

 

取り敢えず客間に向かってみると、まあ、もう炬燵の中に入ったまま爆睡している軽の姿が。

 

「…………」プニプニ

 

そして、取り敢えず頬っぺたをプニプニしておいた。

そのせいか、軽の体が一度ブルッと震える。起きてしまったか?と、思ったがどうやら違うようで襖を開けっぱなしにしたせいで冷えてしまったらしい。

 

「……暖めるためだから……暖めるためだから……」

 

何時しか、私はそんな事を呟きながら炬燵の中、軽の腕の中に潜り込み、襲いかかって来た睡魔と暖かい微睡みに身を委ねることにした。

 

 

それから一刻ほどして、神社から顔を真っ赤にした少女が飛び立ったと言う。

 

 

 

 

次に現れたのは獣耳尻尾少女こと犬走椛である。

 

「軽?いますか?可笑しいですね……何時もなら境内の掃除か野菜を売りにいく準備をしている筈なのですが……」

 

事前に言っておくと彼女はストーカーではない。良く遊びに来るせいか軽の行動を覚えってしまっているだけだ。

 

「ふむ……匂いはこっちから……居間にいるようですね」

 

元狼だから嗅覚が強いだけである。

 

「これは……炬燵で寝ていたら風邪を引いてしまいますよ……って、寝ている人に言っても無駄ですか。う~ん……ここまで熟睡していると起こすのが可愛そうですね……しょうがない、布団を敷いて寝かせましょう」

 

犬走椛の足取りに迷いはなく、寝室から布団を持ってくると、炬燵をずらし空いたスペースに布団を敷いた。

何でここまで手際が良いのかは……犬走椛はもう兄に溺愛する妹みたいに軽の後を付いて回る。軽も最初こそは怒ったりしていたが、もう諦めていた。結果がこれである。

 

「よし、後は……」

 

犬走椛は布団に軽を寝かせると、自身もさも当然と言うふうに布団の中に潜り込んだ。

 

「お休みなさい……軽……」

 

そして、人の温もりに身を委ね深い眠りへと落ちていった。

 

 

それから一刻ほどして、神社から妙に元気な犬耳尻尾少女が出ていった。

 




お読みいただき有難うございます!!

寝ていても女を引き寄せる軽くん……さすがっす!!
起きないのは仕様です。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

久しぶりの投稿でしたがいかかでしたでしょう?
次回も何時投稿するかは分かりませんが、まあ、1月初めあたりだと思ってください。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

寝て過ごす幻想郷 part2

投稿です!!

皆様!!明けましておめでとうごまいます。
本年もよろしくお願いいたします。

では、どうぞ!!


クリスマスは炬燵で寝ていたのにいつの間にか布団に寝ていたなぁ~

 

ぼんやりとそんな事を考えながら今日、十二月三一日。年末だ。

そして、今日も今日とて霊夢も子供達もいない。境内の掃除も済ませたし、畑の雑草抜きも終わった。家事類は殆ど昨日終わらせたので本格的にやることがない。

 

ならば……

 

「寝るか」

 

俺は炬燵の温もりに身を委ね瞼を閉じた。

 

 

 

 

最初に訪れたのは何とも意外、上白沢慧音である。

 

和解したのは三年前。今では一緒に酒を飲む仲である。

そんな彼女が神社に来たのは博麗の巫女、博麗霊夢に会うためなのだが……

 

「ううむ……どうやら留守の、ん?」

 

神社を四分の、三ほど回ったところで、居間の扉が開いたままなのに気付いた。

それも外側のである。

 

「……まったく……軽、コラッ軽!!風邪を引くぞ!!」

 

そして、更にはそんな状況で炬燵に入ったまま寝ている軽の姿。

これでは風邪を引いてしまうと、軽を起こそうとするも、一向に起きる気配がない。

かといって、このまま寝かせるわけにもいかず体を揺さぶってみるもダメ。はぁと慧音の口からため息が漏れた。

 

「布団の場所……いや、さすがに家捜しはダメだろう。だが、だとすれば……」

 

少しばかり顔が赤くなった慧音。

彼女は戸を閉め、無言で軽の寄り添った。

 

 

それから一刻ほどして、顔を真っ赤にした半泣き状態の慧音が神社から飛び出していった。

 

 

 

 

「ただいまー……あれ?軽?」

 

何時もなら返事を返ってくるのだが……一体どうしたのだろうと家の中を探す。

夫の部屋を見て、居間を見てと直ぐに見つかったのだが。

 

「……ふふふ」

『『ただいまー』』

 

と、どうやら子供たちも帰ってきたようだ。

直ぐ様玄関に戻り、口に指を立てシーッと静かにするようにジェスチャーで表す。

 

子供たちは一体何なのか。と、首を傾げた。

そんな子供たちを手招きし、夫の姿を見せる。すると、子供たちも納得したように頷いた。

 

子供たちは足音を殺し、寝室から布団を一式持ってくる。

そして、そこに夫を寝かせ布団を被せた。

 

「起こさないようにね」

 

小さく呟き、それに、分かったと子供たちが頷いた。

そして、ゆっくりと静かに布団の中へと潜り込んだ。

 

 

 

 

「……ん、ん~~~!!よく寝た」

 

外は既に暗く、空には満月、そして満天の星空が浮かんでいた。

 

「にしても……これは一体どういう状況なんだ?」

 

炬燵で寝ていたはずなのに布団で寝ていて、更には妻の霊夢、娘の霊華、息子の軽保がスヤスヤと布団のなかで寝ている。

 

「ううむ……起こすのも可愛そうだしな……年越しソバでも作ってくるか」

 

布団から抜け出て、台所に立つ。

丁度ソバが出来た頃には皆起きていることだろう。

 

そしたら、こう言うのだ。

 

明けましておめでとうごまいます。

今年もよろしくお願いします。

 

と。

 

 




お読みいただき有難うございます!!

いやぁ、今年も無事終わり新しい年となりましたね。
軽くん達もこれから先のんびりと暮らしてほしいものです。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

それでは、本年もよろしくお願いいたします。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

自己中心的

投稿です!!

えー、皆様、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

今回は要望の多かったさとり様のその後となります。正月と言うことで、正月をテーマにした内容となっております。

では、どうぞ!!


「ふぅ……」

 

今日は一月一日、元旦である。

そしてここ、博麗軽が住む場所は博麗神社。そう、神社なのである。つまり、初詣に来る人が居るわけだ。それを子供、博麗霊華と博麗軽歩の二人。妻、博麗霊夢一人。そして、博麗軽の四人で捌ききらなければならない。

とは言っても、幻想郷の人口がそもそも少ないため、朝日の出から五時間もすれば何時もの静かな博麗神社へと戻るのだが。

 

「二年前は楽だったんだかな〜」

 

気疲れした声が虚しく部屋に響く。

軽の口から漏れた通り、二年前は閑古鳥が鳴くを体現していたほど人が寄り付かなかった博麗神社。しかし、二年前、霧雨魔理沙が言った言葉によりこんな事になったのである。

 

『この道を安全に行き来出来るようにすれば賽銭ガッポガッポじゃないのか?』

 

これに反応したのが霊夢である。もとよりお金に裕福ではなく、子供達に簪や蹴鞠の一つも買って上げられない節約の日々。それを解消出来るのであればと、霊夢の母性本能が遺憾無く発揮された。そした、それに軽も巻き込まれる。

しかし、軽は結界など張れず、出来ることと言えば簡単な護符を作る事ぐらい。霊夢も妖怪を追い返すことこそ出来るが、ここは幻想郷。人間と親しい妖怪も神社には来るのだ。

そこに現れたのが隙間妖怪の八雲紫。悪意と善意やらなんやらを操り、見事に安全な道を生み出したのである。それなら最初からしておけよ。と、思うところではあるが、管理者としてそこまで深入りは出来なかったとのこと。それなら俺の存在はどうなるんですか?と軽は言いたかったようだが、そこは喜ぶ家族を見てグッと堪えていた。

 

「っと、ここでずっと寝てるわけにもいかんな。準備しないと」

 

軽は起き上がり巫の服を脱ぎ、何時もの作務衣に着替える。そして、手にはお菓子が入った紙袋が二つ。

 

「さてと……それじゃあ霊夢、行ってくる」

「はーい。気を付けて、行ってらっしゃい」

 

外で上白沢さんと話している霊夢が、軽に返事を返した。それを聞いた軽は、フラン達と話している霊華と軽歩に手を振り森へと入っていった。

 

「なあ博麗霊夢」

「どうかした?」

「毎年思うのだが……本来元旦は家族と一緒に過ごすもので、友人宅などに訪問しに行くのは無礼に値するのではないのか?」

「うーん……まあ、基本的にはね。場所によって過ごし方なんて変わってくるし、軽にとってはアッチも家族。向こうもそう言ってるから別に気にしなくても良いんじゃないかしら?」

「変わったな、本当に」

「それに、ちゃんと夜には帰ってくるしね。ゾロゾロたっくさん引き付けて。どうせアンタも来るんでしょう?それこそ無礼になるんじゃないの?」

「ここは幻想郷だろう?そんなの当てはまるわけがないだろうに」

「よく言うわ」

 

 

■□■□

 

 

「来ましたね……」

「すいません、待たせてしまいましたか?」

「いえ、私も先ほど来たところです。ところで……」

 

軽が何の迷いもなく森を突き抜け、行き着いた先には、巨大な穴と、桃色の髪の女性。仙人である茨木華扇だ。

彼女がここに居るのには訳がある。この穴の先には既に機能を停止した旧地獄が広がっており、そこには凶悪な妖怪達が蔓延っているのだ。そこに、ちょっと結界術を齧った程度で、出来ることと言えば、簡単な護符を作る事のみ。そんな人間を妖怪達の巣窟に入れればどうなるか……想像に難くない。

つまり、彼女は軽を止めに来たのである。

 

「私は何時貴方と約束をしていたのでしょう?」

「あれ?していませんでしたっけ?」

「していません!!はぁ……この先は危険だと何回言えば分かっていただけるのでしょうか?いいですか?」

「あの、遮って申し訳ないんですけど……これ、茨木さん好きでしたよね?」

 

ピクリと華扇の動きが止まった。

そして、お菓子に簡単に釣られそうになっている自分が恥ずかしいのか、その顔は見る見るうちに赤く染まっていく。

そして、数分の沈黙の後、ゆっくりとその手が伸びて行き……

 

「ありがとう……ございます……ッ!!」

 

紙袋を掴んだ。

軽はそれを確認し、それじゃあ、お願いします。と会釈。

これでは軽が性悪男に見えるかも知れないが、これが彼らの日常なのだ。

 

「はぁ……しょうがないですね。受け取ってしまったものは致し方ありません」

 

彼女の中での仙人と言う括りがどう言う物なのかは分からない。しかし、甘味に目がないと言うのは、彼女の中で他人には知られたくない物なのだろう(とは言っても、人里の甘味屋には知れ渡っているのだが)。

最初、軽は華扇に対し普通にお菓子を渡したことがある。しかし、華扇はそれを断りそそくさと帰っていった。既に盛り付けられた物であれば彼女も喜んで食べて帰るのだが、贈物となると断固拒否される。で、あれば、と考えたのが、元旦の帰省(?)時に必ずしも現れる彼女に対して、交換条件で押し付ければ良いのでは?と考え、成功。それが、今でも続いているのである。

 

脇に抱えられ、大きな穴をゆっくりと降下していく。その間にも彼女の説教は続く。しかし、軽はそれを軽く受け流していく。

そんな、よく分からないやり取りを続け、大穴の一番底へと到着した。

 

「助かりました。ありがとうございます。良いお年を」

「はい、良いお年を」

 

華扇はみじかくそう言い残し、その場を去っていった。その顔には笑顔が浮かんでおり、なんだかんだで、彼女もこのような何でもない、たまに会って話しをしてと言った関係が気に入っているのかも知れない。

 

「さてと……行きますか」

 

 

■□■□

 

 

「おっす軽。あけましておめでとうだな。一ヶ月ぶりくらいかねえ?」

「ああ、あけましておめでとう。そんなもんか?なんだなんだで勇儀はよく地上に出てくるからなぁ」

「私らは自由だからねぇ。地上には行ってはならないなんて制約、あって無いようなもんだよ」

 

洞窟を抜け、旧地獄へと辿り着いた軽を待っていたのは長身の女性。名を星熊勇儀。鬼の四天王の一角を担う、鬼の大将である。

 

「先に地霊殿に行くんだろう?私達は先に行ってるから、ゆっくり挨拶してきな」

「お言葉に甘えてゆっくりしてくるよ」

 

勇儀と別れ、軽は旧地獄の奥へと進んで行く。向かう先は地霊殿、覚妖怪が住む屋敷である。

 

 

□■□■

 

 

「お兄さんじゃないか。久し振りだねぇ。今日もさとり様に会いに来てくれたんだろう?」

「ええ、ただいまですお燐さん」

「おかえり。相変わらず硬いねぇ……もう少し砕けたらどうだい?」

「初対面の相手に警戒心を抱かせるような行動をした、お燐さんの負けですよ」

 

にゃハハハと愉快そうに笑う猫又、火焔猫燐。ぶっちゃけると、軽は別段彼女を嫌ってるわけではない。ただ、なんとなくでこの関係を続けているだけだ。

 

「それを言われたら、私からは何を言えないよ……」

 

少し悲しげなトーンだが、その表情は笑顔である。

 

「さて、さとり様は何時もの部屋さね。どうせここはお兄さんのもう一つの家みたいなもんだから、遠慮せず寛いでいきな」

「一応挨拶はして置かないとね。あけましておめでとうございます」

「まったく……あけましておめでとう。ほら、さっさっと行ってやんな」

 

燐とも別れ、地霊殿の中へと入っていく。

外の賑やかさとは裏腹に、地霊殿内部はとても静かで、軽の足音だけが音を発していた。

そして、一つの扉の前で軽の動きは止まる。

 

コンコンコンっ

 

ノックの音が響き、扉越しに「開いていますよ、どうぞ」と声が聞こえてきた。

 

「失礼します。さとりさん」

「おかえりなさい。軽くん」

 

車椅子に座り、キコキコと音を鳴らしながら軽の側に寄ってきた少女。ガリガリの腕、辛うじて表情が読み取れるやつれた顔。妹である古明地こいしの第三の眼に似た、光を宿さない第三の眼。昔とは別人の様に変わってしまってはいるが、紛れも無く彼女は古明地さとりである。

 

「具合はどうですか?」

「そうですね……以前よりは多く食べられる様になりましたよ。コッチは、相変わらずですが」

 

自身の胸元にある第三の眼を優しく撫でる。

彼女の精神はこの数年の間にかなり回復した。以前は身内ですら、長時間一緒にいれば発狂する程であった。が、今では、親しい者が一緒にいる状態であれば、見知らぬ相手とも言葉を交わせる。

しかし、その反動なのか、今度はその体に異常が現れ始めた。軽のいた世界でも、広く認知されている症状。拒食症である。最初は永遠亭へと通いつめ、今では固形物は無理だが、ゲル状の物なら問題なく食べられる。かなり柔らかくした物も、少量であれば食べられるようになった。

しかし、精神は安定した。が、心はまだ直りきっていない。その証拠が、光を映さない第三の眼である。彼女の最大の特徴である相手の心を読む。今、彼女は相手の心が読めない。

 

「本当、去年もそうでしたが、神社の元旦は忙しいです」

「お仕事はみんなそんなものですよ。それに、この後もお仕事が残っているでしょう?」

「……思い出させないで下さい」

「ふふふっ。その程度で音を上げたらいけませんよ?」

 

 

■□■□

 

 

「っと、話していたらもうこんな時間ですか」

 

壁に掛けられた時計は十七時を指していた。

 

「楽しい時間は早く過ぎていくものですからね。それじゃあ、お願いします」

「分かりました」

 

軽はさとりの車椅子の取っ手を持ち、移動を開始する。

地霊殿を出て、賑やかな旧地獄の大通りを通る。まだ、軽と会っていないころの彼女であれば、聞こえて来る嫌味の数は、一つや二つでは済まなかっただろう。

しかし、今では彼女を悪く言う声は聞こえない。むしろ、好意的な声の方が多いのだ。それは、勇儀がさとりと良くつるんでいるのも一つの要因であるが、彼女が、心の声が聞こえなくなってから、他人の声を聞くようになったのも大きな要因である。やはり、言葉を交わしてこそ、通じ合える物なのだろう。

 

「よ、遅かったじゃねえか」

「勇儀はどんどん言葉が雑になっていってるわよね」

「うるせえぞパルシィ」

「お待たせしました。行きましょうか」

「お姉ちゃんは私が運んであげるね」

「ええ、お願いこいし」

「行きましょうかさとり様。ほら、お空も」

「はーい」

「いやぁ、賑やかだねぇ。ほれ、軽は私が運んでやろうじゃないか」

「任せるけど……あんまり速く」

「はいはいわーってるよ。ゆっくり飛べばいいんだろう?」

「分かってれば良いんだけどグエッ」

「ハッハッー!!」

「元気ねーアイツら」

 

既に大穴の底で待っていた勇儀達と合流し、地上を目指す。一人は楽しそうに笑いながら。一人はその脇に担がれる気絶しかけている。一人は、そんな二人に呆れてため息を吐き。そして、三人はその何時もの光景に笑顔を零す。そして、一人は、笑っていた。その三つ目の瞳に微かなひかりを宿しながら。

 

 

■□■□

 

 

「た、ただぃま……」

「勇儀……あんたねぇ……」

「いやはや、テンションが上がっちまってね?まあ、許してくれや」

 

勇儀は笑いながら両手を合わせ謝っている。

それに対し、霊夢は額に手を当て溜め息を付いている。

そんな二人の間に割ってはいる慧音。

 

「まあまあ、良いじゃないか。今日は一年に一回……てっ、訳でもないが、折角の宴会なんだ。楽しくいこうじゃないか」

 

そんな彼女達の後ろには既に酒瓶を開け始めている者達の姿。ある者は優雅にワインを楽しみ。またある者は豪快に瓢箪を傾ける。それぞれが勝手に宴会を始めていた。

 

「はぁ……もう……ほら、行くわよ」

 

勇儀はその言葉を待ってましたと言わんばかりに宴会の中に混じって行った。

 

「ここは……何時も賑やかですね」

「ええ。それがコイツ等の取得みたいなものだからね」

 

その言葉にヤジが飛んで来る。

 

『うるさいうるさい!!なんだかんだで一番酔っ払った後が面倒なくせに!!』

 

小さな鬼が

 

『まあ、実際そうだけど。貴女に言う資格は無いわよねぇ』

 

隙間妖怪が

 

『霊夢はあれでしょ、旦那の前でいい格好したいんでしょ妬ましい……』

 

嫉妬深い女性が

 

『本当に、以前は戦争みたいな感じだったのにね〜』

 

茶化すように吸血鬼が

 

「ええい!!うるさい!!実際そうでしょうが!!あと、吸血鬼は後で私が水風呂に入れてあげるわ。勿論背中も流して上げる!!」

「私も、早く治して……」

「別に急がなくても良いわよ」

「え?」

 

さとりの小さな呟きに霊夢が反応した。

 

「だって、ここにいるヤツら皆自己中心的な奴ばっかじゃない?私も含めて。だから、アンタも自分やりやすい様に進んでいけばいいのよ。何だったらほかの奴らも巻き込んじゃさいな」

 

そう言って、霊夢もまた、その輪に混ざっていく。取り敢えずは、軽に迫っている吸血鬼(姉)をぶっ飛ばす為に。

 

「そう、なのかも知れませんね」

 

第三の眼には、その宴会の光景が映る。少しの光を宿して。

彼女の症状が良くなるのはまだまださきになるだろう。けれど、その心が直るのは、そう遠くない未来かもしれない。

 




お読みいただき有難うございます!!

えー、お久しぶり(?)
まあ、言い訳をさせて欲しい。
どうしてもな?さとり様が死んでまうんや。何度書いてもな?死んでまうんや。それが嫌でな?いつの間にかこんな事になってしもうたんや。許してくや。

はい。見苦しい言い訳ですね。遅くなってすいませんでした。
妖夢は……ぶっちゃけるとですね?どのような罰を与えるべきなのかが分からないのと、作者の心が折れそうになるのでまだ先になると思います。

では、また次回お会いしましょう!!
良いお年を〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本編
始まり


この作品は不定期更新です。
間違って別の作品丸ごと削除してしてしまうような人が書いています。
ヤンデレです。
良心ありです。
グロ表現ありです。

それでも良い方は

どうぞ!


『貴方は……私の物よ……ウフフ』

 

紫色の空間の中でアカイ巫女は狂ったように笑みを浮かべた。

 

 

「ごめんね?手伝わせちゃって」

 

委員会の仕事をしていた彼女を手伝った日の帰り道のことだった。

 

「いいって。気にすんな。俺が好きで手伝ったんだからな」

「そう?ありがと。やっぱり優しいね」

 

その笑顔にすこしドキッとしたことを覚えている。

 

「じゃあ、ここでお別れだね。また明日」

「ああ。また明日な。気を付けて帰れよ?」

「ふふ。お父さんみたい。じゃあね」

 

彼女は大きく手を振りながら帰っていった。

 

次の日、彼女は学校に来なかった。

 

何日経っても、何ヶ月経っても彼女が学校に来ることは無かった。

 

 

いつもと変わらない帰り道。彼女と別れた十字路。俺は何となく彼女の帰り道が気になった。

ここを行ったら彼女に……などと、警察が調べつくしているはずなのに……

 

 

もし、ここで俺がその迷い事を振り払っていれば未来は変わっていたのかも知れない。狂わずに済んだかもしれない。でも、もう遅かった。

 

 

何度か行ったことのある彼女の家を目的地とし、歩いていく。

道の途中、ゾワリと不思議な感じに囚われた。

 

俺の本能が、まだ引き返せる、戻るんだ。と訴え掛けてくるも、俺はその不思議な感じの正体がしりたくて辺りを探索した。

 

彼女の家に遊びに行った時と変わらない風景。人の居ない公園がある住宅街。

 

なんだ?どこなんだ?どこにこの感じの正体がある?!

 

辺りをより注意深く探る……すると

 

「あった……」

 

それは、人の居ない公園の中にあった。

木々の間にある薄暗く、しかし一番奥が見ることの出来ない深い闇。

 

「……(ゴクッ)」

 

近寄り覗き込む。その先に見える筈であろうフェンスもフェンス越しの道路も見ることが出来ない。だが、道は続いているようだ。

背中をツゥーと汗が垂れる。本能が更に強く警告してくる。行くな!行くな!と。

だが、俺は深い闇に一歩踏み出した。踏み出して……しまった。

深い闇をゆっくりと歩いていくと、裏路地のような所に出た。まだ道は続いているようで更に奥に進む。

 

一分ほど歩き続けると、少し開けた場所に出た。

 

「うッ……!!」

 

そこは、水風船が割れたかのように赤い液体が地面にびっちゃりと付着しており、肉の塊のようなものがその中心にあった。

 

一歩、踏み出す。ぐっちゃっと足に嫌な感触が行き渡る。どうやら、足元にあった肉を踏んでしまったようだ。

ピチャリピチャリと血の池を歩きながら肉の塊に近づいていく。近づくにつれ悪臭が鼻を突き抜ける。

そこで、俺は見てしまった。

 

血の池の中に、肉の塊の下に埋もれるようにチラリと見えた生徒手帳が……

 

彼女の写真が証明している、生徒手帳が。

 

『ウフフ……』

 

何処からとも無く声が聞こえてくる。

道の奥から一人の少女が出てきた。

巫女服のようだが、脇が露出しており、頭には大きな赤いリボン。顔は怖いほどに整っており正に美少女と言えるだろう。

俺が、少女の事を凝視していると、彼女は顔に手をやり恍惚の表情を浮かべた。

 

『やっと。やっと会えた』

 

そう言って、一歩、一歩と近づいてくる。

ただ、それだけなのにとてつもない恐怖を覚えた。

ゆっくりと、少女が口を開いた。

 

『私は、貴方の事を何でも知ってるの。貴方を愛しているから。貴方のことなら何でも知ってるのよ?でも、この女と来たら……貴方に近づいて貴方を誘惑し始めた』

「じゃ、じゃあ、きき、君が?」

 

口が上手く回らない。

彼女は俺の頬に手をやり、狂った笑顔を浮かべこう言った。

 

『そうよ。私があの女から貴方を―――』

 

『守ったの』

 

と。

 

『ねえ。ねえ。貴方も私の事を愛しているわよね?もちろんそうよね?だって私達は運命の赤い糸で結ばれてるんだから。ううん。もっと固いもので結ばれているんだわ!そうよ!私達の運命がそんな糸みたいな細いものなわけがないわ!ねえ?貴方もそう思うわよね?』

 

俺は恐怖で頷くこともできなかった。が、それを肯定ととったのか少女は自身の頬に持っていき顔を赤らめた。

いまなら逃げられる!!

恐怖で動かない足を無理やり動かしその場から離れる。狭い路地裏のような場所に入ろうとしたところで、後ろから声が掛かった。

 

『なニヲしてイるのカシら?』

「ひ!」

 

恐怖で竦んだ足を必死に動かし出口に向かって走る。

だが、いつの間にか少女は目の前にいた。

 

『紫のやつに頼みたくはなかったんだけど。頼むわね』

「な、なにを」

 

次の瞬間、俺は紫色の空間の中にいた。




お読みいただき有難う御座います!

この投稿日に、もう一つの作品を全て削除してしまったちゃるもんです。
よろしければ其方も読んでやって下さい。

この『あの日から俺の人生は狂ってしまった』は、他の作者さまの作品を読み、
ヤンデレものを書きたい!衝動に駆られ書いてしまいました。
不定期更新なので気長に待ってやってください。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあればよろしくお願いします。

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

監禁

昨日の今日で投稿だ!

千文字ちょっと……短い……
投稿ペースを考えないといけませんね。



あれから一体どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。

数日?数ヶ月?ただ分かるのは一年は経っていないだろうということぐらいか。

 

ガラッと扉が開く音がした。

 

ああ、また始まるのか……

どこからともなく現れた札で出来た鎖が俺の両手両足を縛りつける。

 

月明かりとは違う青色の光が俺をこんな目に合わせている張本人の姿を照らしている。

彼女は『博麗の巫女』

 

『うふふ……良い子にしてたかしら?』

 

右手に包丁を持つ彼女は、『博麗霊夢』

俺の人生を狂わせる原因となった二人目だ。

 

『それじゃあ、今日も愛しあいましょう?』

 

包丁の先端が俺の体に近づく、そして、また、誰にも聞こえること無い絶叫が……

 

「ぎゃぁああぁぁ!!」

 

響き渡るのだった……

 

 

時は一ヶ月ほど前に遡る。

紫色の空間を大量の眼球に見守られ落ちていく。紫色の空間から投げ出され付いた場所はどこかの倉庫のような場所だった。

 

「アイテテ……ココは……何処だ?」

 

キョロキョロしていると、不意にゾクリと嫌な感覚が体を駆け巡った。知らないはずなのに、初めてなはずなのに、知っている嫌な感覚。

 

ギィイィっと扉が開いた。そこに居たのは彼女を殺したあの女。

右手に包丁を持った、あの女。

女は凄い形相で走り寄って来た。

頬に手をやり血走って目で俺の体を確認し始めた。

 

『大丈夫だった!?なにもされてない!?』

 

掛けられた言葉は予想外にも優しい物だった。

 

あれ?意外に良い奴だったのか?

 

そう、思った矢先、落とされた。

 

『良かった……なにもされてないようね。まあ、私のモノなんだけど紫がなにもしないって確証は無いしね。大丈夫よ貴方は誰にも渡さないから。ああ、それと外は危ないから出ないようにシテネ?』

 

そう言って、俺の両足に金属で出来た足かせを付けた。だが、重くは無い。

 

『念のためよ』

 

それだけ言って、地面に置いていた包丁を持ち上げ、俺の背後に回る。

 

『ああ、アア』

 

ネットリとしたものが背中を這う。

ネットリとしたものが離れた瞬間、背中を鋭い物が突き刺さった。

 

「ぎゃああぁぁあ!!」

 

数十秒なのだろうが、数十分と思えるような時間が経ち背中から刺さっていた物が抜かれた。

前面に回ってきた女が俺に見せ付けるように、手に持っていた包丁を見せ付けてきた。

包丁には赤い液体、血が付着しており、先端からつばにかけて血が滴り落ちた。

女はその血をねっとりと舐め取る。くちゃくちゃと音を立て、美味しそうに、味わうように……

 

ゴクリッ

 

『おいしい……今日は疲れてるだろうから、また、明日』

 

『アイしあいマショう?』

 

飲み込み、そう言った……

 

どうして、こんな事になってしまったのだろうか……

ただ、ただ、今は過去の自分を怨むばかりであった。




お読みいただき有難う御座います!!

ヤンデレ……テンションが分からなくて難しいよ……
もっと精進します……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあればよろしくお願いします。

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

待ち行くは希望か、それとも絶望か

今回は日記風にしてみました。

ヤンデレ成分少なめです。

それでは、どうぞ。


監禁 一日目

 

監禁されているこの場所を探索する。すると古い紙を見つけた。

鉛筆は常備しているので、今日から日記を書こうと思う。

一日目と書いているが、実際にはもっと長い時間が経っていることだろう。

今日で何日目なのだろうか。俺は一体いつになればこの場所から出られるのだろう。

ああ……早く外に出て太陽の光を命一杯浴びたい。

 

紙の量は少ないから明日からもっと短く書くとしよう。

 

監禁 二日目

 

今日は、あの女の名前を聞いた。最初は呼ぶつもりは無かったがあの女の機嫌を良くするために呼ぶしかないようだ。

 

『博麗霊夢』

 

あの忌まわしき名前を。

 

監禁 三日目

 

にしても、俺も慣れたものだな。

あの女の持ってくる飯はどこか鉄臭い。最初こそは食べられなかったが今は逃げるためにも貪り食っている。

 

監禁 五日目

 

昨日のあの女は機嫌が悪かった。

なんでも、人里と言う場所でまりナントカとか言うやつがあの女を馬鹿にしたらしい。

おかげで、身体の傷が倍近くに増えた。

昨日書けなかったのも手が震えすぎて鉛筆を持てなかったからだ。

まりナントカにあったときには、俺がされたことを鮮明に教えてやることにしよう。

 

監禁 六日目

 

今日、あの女に結婚の話をされた。

俺のいた世界での法律では女性は十六歳にならないと結婚できない。

そこで、"俺に無理やり結婚したら俺が気に食わないだろうから来年までの待ってね"と言っていた。

そんな事に気を使えるのなら外に出して、俺を自由にして欲しい。

 

そういえば、この場所は幻想郷と言うらしい。

なんでも、妖怪、妖精、神などの忘れられた存在の楽園らしい。

 

監禁 七日目

 

逃げるために筋肉トレーニングをしていたが、あの女に感づかれた。

なんとか、その場はやり過ごすことが出来たが少し考えなければならない。

 

 

日記はそこで途切れている。

 

 

今日はあの女が人里にでたと言う妖怪の退治に行った。

なんでも、隠れるのが上手い妖怪らしく少し時間が掛かるだろうと言っていた。

そして今日も逃げらそうな場所を探す。

監禁された俺の数少ない一つの日課だ。

 

立ち上がり探索を始めようとしたとき

 

ガチャ

 

鍵の開く音が響く。が、扉が開く気配は無い。

 

「?」

 

ゆっくりと扉に近づき、扉に耳を引っ付け外の様子を伺う。

音は無く、誰かが居るような気配も無い。

 

おそるおそる取っ手に手を近づける。

震える手で取っ手を掴んだ。

 

ギィィ

 

扉が……開いた。

 

言葉に言い現せないほどの嬉しさが押し寄せてくる。

涙が次から次へと溢れ出してくるが、じっとしてはいられない。

早く逃げなければ。

 

太陽の光が燦燦と降り注いでいる外に足を踏み出した――

 

―――瞬間、足がとてつもなく重くなる。

 

理由はあの鎖すらも付いていなく、ついさっきまで軽かった重石だ。

だが、歩けないほどじゃない。

そのうち血だらけになるかもしれないが、それでも歩ける。

 

逃げれるんだ。

 

俺は重くなった足を持ち上げ、引き摺りながら森の中へと入っていく。

 

目的地なんて無い。

ただ、今はその場所から離れたい一心にその歩を進めた。

 

 

その希望と言う名の絶望が、さらに俺の人生を狂わせる結果になるとも知らずに……

 

 

彼が監禁されていた地面に落ちていた、千切れた金色の髪は風に煽られ天高く飛んでいった。




お読みいただき有難う御座います!

なんとか逃げ出すことに成功?した主人公君。

さてさて、次彼を待つのは希望なのか絶望なのか。

どちらにせよ、狂って行くことは確定ですがね(*⌒△⌒*)

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

ではまた次回~



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

逃げ出した先には

三話で……UA数1,900……お気に入り件数19……だと!?

嬉しいッ……!!

『東方 崩廻録』も読んでくれると嬉しいなー |ω・`)チラ

今回はヤンデレ成分少な目です。

どうぞ!


「はぁ……はぁ……み、みず……」

 

額からだらだらと大量の汗が吹き出て視界を塞ぐ。

あれから、かれこれ三時間は歩いただろうか?

空には雲ひとつ無く太陽の光が俺から体力を奪っていく。

逃げた先が森の中だったから良かったものの、これが整備された道などだったらすでに倒れていたことだろう。

 

それとは別に二つ要因がある。

一つは俺の歩を遅めているこの重石だ。何十キロ有るのだろうか。

 

もう一つは靴だ。最初こそは良かったものの、今では靴底は磨り減りもはや靴の役目を果たしていない。

血がだらだらと流れ一歩踏み出すたびに激痛が襲ってくる。

おかげで何度も倒れてしまった。今は上着を足に巻きつけ移動している状態だ。

こうでもしないと歩くことすらままならない。

 

ただ、良かったこともある。

いまだに、一匹も妖怪とやらに遭遇していないのだ。

誰かが裏で手引きしているのか……兎に角逃げる分には有り難い事だ。ここは便乗させてもらうとしよう。

 

 

さらに三十分ほど歩いたところで、耳に音が聞こえてきた。

 

しゃーしゃー

 

顔をガバッと上げる。

 

「みず……!!」

 

ゆっくりと確実に音に近づいていく。

森を抜けるとそこには。

大きな川があった。

 

足が痛いのも忘れ、力強く川へと近づき顔を水の中に突っ込んだ。

そのまま、犬のようにがぶがぶと水を飲む。

 

「ぷはぁ!はぁはぁ………助かった。ようやく逃げ出せたのに死ぬ羽目に合うとはな」

 

水も飲み終わり立ち上がる。

立ち上がった瞬間足に激痛が走り前のめりに倒れてしまい バシャン と川の中に倒れてしまう結果となった。

その時になってようやく自分が足が血まみれになっていることを思い出した。

 

「……洗うしか……ないか」

 

腕の力だけでなんとか起き上がり川岸に腰を下ろす。

足に巻いていた布を外し口に咥える。

そして、ゆっくりと足を水の中に付け―――

 

「んんんんッッッ!!!」

 

―――た瞬間、足からに掛けて全身を鋭い痛みが駆け抜けた。

目からは痛みによってとめどなく涙が溢れてくる。

 

それから、十秒ほど叫び続けていると感覚が麻痺したのか足から痛みが遠のいていった。

川から足を上げる。痛みは有るものの先程よりは大分マシにはなった。

 

足にもう一度布を巻きつけゆっくりと立ち上がる。

向かうところも決まってないので取り敢えずは川を上流に向かって歩いていこうと思う。

 

それから、三十分ほど歩いたところで大きな滝を見つけた。

滝の裏に洞穴でもないかと期待したのだが現実はそう甘くはなかった。

小さくため息を付き崖を上れるような場所がないのか探そうと後ろを振り向く。

目の前に剣先が突きつけられていた。

 

「……へ?」

『人間……ここは天狗の領地だ。即刻立ち去れ。さもなくば殺す』

 

剣を持つのは、頭に犬耳、腰には白い尾を持つ女だった。

胸の奥から暑い物がこみ上てくる。

気づくと目から涙が零れ落ちていた。さっきとは違う嬉し涙だ。

 

『泣いて同情でも引こうとしても無駄だ。即刻立ち去れ』

 

天狗……と言ったか。この女天狗は俺が同情を引く為に泣いていると思っているようだ。

だが、我慢しようとしても涙は次から次へと溢れ出してくる。

俺は、泣き止むのを諦め目を擦りながら声を絞り出した。

 

「……うれ、しくて……」

 

だめだ、声が震えている。上手く聞こえているのだろうか?

 

「まともに……話せて、嬉しくて……」

 

漸く、涙が止まり始めた。

 

「少しの間で……いいんだ……洞穴でも、牢獄でも、何処でもいい。あの女から……」

 

その時、女天狗の右眼が黒色から赤色に変わった。

女天狗は額に手をやり小さくため息を吐いた。

 

『まったく……あの巫女はまた勝手に入ってきて』

 

巫女と言う言葉にビクッと身体が硬直するのが分かった。

硬直した身体を何とか動かし女天狗の肩を掴む。

 

「そ、ソイツの……その巫女の容姿を……教えてくれ……」

 

肩を掴まれた女天狗はびっくりしていたが、律儀に教えてくれた。

 

『容姿も何も、幻想郷には二人しか巫女がいませんから知っているはずでは?』

 

女天狗の口から出た名前を俺は良く知っている。

 

『博麗ですよ』

 

それもそうだ。毎日毎日その名を呼ばせられていたのだから。

 

『博麗 霊夢です』

 

その、忌々しい名前を。

 

ああ……また、俺はあの暗く狭い部屋で―――

 

そこで、俺の意識は現実から引き離された。

 

 

 




お読みいただき有難う御座います。

疲れがピークだったのか気絶してしまった主人公君。
完璧に名前を出すタイミングを逃した……(´・ω・`)どうしよ……

まあ、そんなことはクズカゴにでも放り込んでおいて。
枯れの運命やいかに!!?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

希望から始まる絶望への扉

……UA数が1,900だったのに2,700?
800も増えてる?!

今回は主人公視点ではなく女天狗視点です。

どうぞ!


「ちょ!どうしたんですか!?」

 

男の体から力が抜け膝から力が抜け倒れてしまった。

霊夢さんの名前を出した瞬間に倒れてしまったと言うことは霊夢さんと関係がありそうですが……良い関係とは思えませんね。

 

私の管轄内で死なれても後味が悪いですし、一先ず家へと連れて行くとしましょう。

 

男の体を持ち上げる。が、

 

「お、おもいッ……!!」

 

明らかに人間の重さじゃない!!

これじゃあ家に連れて帰る前に霊夢さんに見つかるかもしれない。

何故だか見つかってはいけない気がするのだ。

 

そう言えば霊夢さんはどこに行ったのだろうか?ふと気になって千里眼で見てみる。

霊夢さんは大きな穴の前にいた。今から地底に向かうようだ。

大方、逃げた妖怪を追っているのだろう。

これで、少し余裕が出来た。

 

もう一度男を持ち上げる。

やはり重い。持てない事もないが妖怪の私が重いと思うほどの重さだ。

人間からしたら相当な重さだろう。

 

「一体なにが……あ」

 

男の足に鎖も付いていない重石……これがこの男の重さ秘密だったのですか。

よく見てみると重さのせいかなのか、足からは覆われている布を越えダラダラと血が流れ出している。

 

よくもまあ此処まで歩けたものだ。

霊夢さんと関係があるのなら、この男は博麗神社から歩いてきた。と考えるのが妥当だろう。

ここから博麗神社までは整地された道を通ってくれば大体五時間程度掛かる。

整地されていない道を通っても二時間近くは掛かるはずだ。更には、妖怪に襲われる危険性も高い。

 

普通人間が何十キロもある重石を持って来るような場所では決してない。

それに、そんな重さを背負ってきたとしても途中で力尽き妖怪に喰われるのが落ちだ。

 

それが、どうだ?この男は何十キロもある重石を足首に巻きつけ、足が血まみドロになりながらもこの場所に付いているではないか。

 

 

―――この時から、私はこの得体の知れない男に惹かれていたのかも知れない―――

 

 

兎に角、この重石を外さなければ。

重石を外そうとするが鍵が掛かっているらしく外す事が出来ない。

なら、剣で。

と思ったが、『彼』の足に当たるようなことにでもなればと思うとどうしても出来なかった。

 

私は時間が掛かっても、彼を安全に家に連れて帰ることにした。

 

 

目が覚める。

知らない天井だ。

だが、あの場所の天井とは違う。

 

助かったのか?

 

どうやら俺は布団に寝かされているらしい。

あの場所にも布団はあったが綿はほとんど入っていなかった。

 

ああ、布団ってこんなに柔らかかったんだな。

布団の柔らかさに感激していると ガラッ と襖が開いた。

条件反射のように体がビクッとなる。

 

『お。起きたんですね。良かったです』

 

そこにいたのは、俺に出て行けと言っていた天狗の女だった。

俺が怯えているのを察してかあの女がどこにいるのかを教えてくれた。

 

『霊夢さんなら地底……分かりませんか。まあ、もう少しの間なら帰ってこないと思いますよ』

 

……助かった……のか?

 

「……俺は……助かった……のか?」

 

自然と涙が出てくる。

ああ、俺も涙もろくなったものだ。

 

誰かが俺を抱きしめた。

 

『もう、大丈夫ですよ』

 

女天狗だ。

俺は彼女に抱きしめられながら―――

 

「うわぁああああ!!!」

 

―――大きく、大きく泣いたのだ。

 

 

その時の彼女『犬走 椛』を知っている者なら口を揃えてこう言っていたことだろう。

その笑顔を見て、こう言っていたことだろう。

 

 

『狂っている』

 

 

―――と。

 




お読みいただき有難う御座います!!

椛さんが落ちました。

次回はヤンデレ成分少なめになるか……なぁ?
まだ、分かりませんがそうなる可能性が大です。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします

『東方 崩廻録』 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、今後ともよろしくお願います。

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

自覚する者

2,700から3,500……
450……もう何も言うまい。

嬉しいからね ニヤ(・∀・)ニヤ おっといけない嬉しさでニヤケてしまった……

今回は予想通りヤンデレ成分少なめとなりました。

それでも良い方は
どうぞ!


「すまん……助けられた身なのに」

 

頭を下げる。

 

「だから、いいでっすて」

「でも……」

 

俺の目線の先は彼女の腹部に注がれていた。

涙と鼻水でグチャグチャになった服……

 

「……本当にすまなかった……」

 

深々と頭を下げる。

 

「……もう……分かりました。許してあげますから今後は気をつけてくださいね?」

「ああ。分かった」

「それでは私は着替えてきますね」

 

そう言って彼女は部屋から出て行った。

 

「あ……名前聞くの忘れてた」

 

まあ、後ででもいいか。

 

 

 

 

風呂場に移動し汚れてしまった服を脱ぐ。

服は彼の涙と鼻水でぐちゃぐちゃとなってしまっている。

息が荒くなっているのが分かる。

 

おもむろに汚れてしまった服を鼻に近づけにおいをかぐ。

 

彼の涙におい、

彼の鼻水のにおい、

彼の汗のにおい、

彼の血のにおい、

 

彼のにおいが鼻を突きぬけ脳へと届く。

なんとも言えない快感が身を襲った。

股の間がむず痒く、鏡には透明な液が糸を引いて地面へと滴り落ちているのが分かった。

それを見た瞬間、心の中にドス黒い物が湧き出てきた。

 

その時になってようやく気づくことができた。

この気持ちは独占欲なんだと。

この気持ちが―――

 

―――愛なんだと。

 

私はゆっくりと液の滴り落ちる股の間に手を持っていった。

 

 

 

 

……にしても遅い。暇だ。

彼女が出て行ってから十分は経っているのだが、一向に帰ってくる気配がない。

女の子は着替えるのにも時間が掛かる物なのだろう。

 

にしても暇だ。

重石があるから動くことも出来ないし、大体外れていても人の家だから勝手に歩き回れないし……

チラッと目を向けた先にあった小さな窓からは外の景色を見ることが出来た。

 

「そういえば、逃げるのに必死で景色なんて楽しむ暇もなかったな」

 

小さな窓からぼーっと外を眺める。

外には月明かりに照らされる綺麗な植物達の姿があった。

 

「今は夜だったのか」

 

景色を楽しみ、それから大体十分ほど位で彼女が戻ってきた。

心なしか頬が赤くなっている気がする。息も少し荒いようだ。

 

「お待たせしました。すいません。着替えに手間取りました」

「そうでしたか。遅かったので心配しました」

 

そう言って微笑むが彼女は苦い顔をする。

 

「え?えっとなにかしたでしょうか?」

「もっと崩してもらってもいいんですよ?口調。むしろ崩してクダサイ」

 

 ゾクリッ

 

逆らってはいけない。

何故だか分からないがそう思ってしまった。

逆らったら……そんなまさか、ね?

 

「えっと、これで良いのか?」

「はい♪」

 

今度は打って変わって可愛い笑顔を浮かべた。

 

「まだ何も食べていないんですよね?今日は、疲れているでしょうからお粥でいいですか?」

「ああ。悪いが頼む。固形物を食べたら戻す自信がある」

「一体どんな自信ですか、ふふ。それじゃあ作ってきますね」

 

その日、久しぶりにまともな食事をした。

 

ああ、米ってこんなにも甘くて美味しかったんだな。

レンゲで一気に口の中に運んでいく。

口に入れすぎてむせてしまった俺に彼女は、

 

「大丈夫ですよ。逃げたりしませんからゆっくり食べてください」

 

と優しく声を掛けてくれた。

その時も泣いてしまった。

ああ、彼女には恥ずかしい姿を何度も見られてしまったな……

 

 

誰もが寝静まった夜。

 

男の部屋を覗く金色の髪の女がいたそうな。

 

 




お読みいただき有難う御座います!

椛ちゃんが恋を通り越し愛に目覚めました。
椛ちゃんはどんなヤンデレキャラにしようかな~

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

をよろしくお願いします!
あざとすぎるな(^▽^;)

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

彼はまだ知らない

投稿です!

またまたヤンデレ成分少な目となります。

それでも良い方はどうぞ!!


窓から漏れる太陽の光で目が覚める。

太陽の光で目を覚ますなんて何時振りだろうか。

 

その時、まるで見計らったかのように女天狗の彼女が少し赤らんだ笑顔で入ってきた。

 

「おはようございます。起きていらしたんですね」

「おはよう。ついさっき起きたところだ。ところで、顔が赤いけど風呂にでも入っていたのか?」

「はい。少し汗をかいてしまったので」

 

風呂……風呂かぁ……そういえば監禁されてからずっと入ってないな。

そう思うと無性に入りたくなってきた。

 

「その……風呂に入ることって出来ないのか?」

 

失礼と思いながらも聞いてみると。彼女は顔を徐々に赤くした。

 

「え?いやその……」

「やっぱりだめだよな……」

「いえ、別に入るのは構わないのですが……そ!そうです。足枷が付いたままですし入るのは厳しいのでは!?」

 

焦ったようにと言うよりも何かを隠すように断った気がするが……まあ気のせいだろう。

もしくは、あの日なのだろう。

 

「たしかにこれじゃあ入り辛いな」

「そうでしょう!?今日私の知り合いにその重石を外して貰えるよう頼んでみますから家から出ないで下さいね?他の天狗に見つかると厄介ですので。たとえ他の天狗に見つかってもこの場所なら相当な事がない限り手は出してこないと思いますので。では、私は行って来ますね!!」

 

そう言って部屋から慌てて出て行こうとする。

ちょちょちょ!?聞きたいことがあるんだけど!?

 

「ま、待って!!」

 

声を掛けた瞬間襖の角に小指をぶつけ、うずくまってしまった。

地面を這いずりうずくまる彼女に近寄る。

 

「だ!大丈夫か!?」

 

彼女は涙眼の顔で俺の方を向いた。

 

「だ、大丈夫ですぅ……そ、それで、どうしたんですか?」

「いや、名前を聞いてなかったな、って思って」

「そういえばそうでしたね」

 

そう言って此方に向き直り、正座をし深々と頭を下げる。

なぜか三つ指で……

 

「私は『犬走 椛』です。末永くお願いしますね」

「……なんかプロポーズみたいになってるけど、冗談だよな?」

 

椛は笑みを浮かべ否定した。

 

「あはは、なにを言ってるんですか」

「そうだよな。俺は―――」

 

俺が名前を教えると椛は出て行った。

 

彼の耳には届かなかった。

 

『ワタシノモノ』

 

犬走椛の小さな呟きは誰にも聞かれることなく消えていった。

 

 

彼の名前を呟きながら白狼天狗は友人の家へと向かう。

 

『貴方は私だけのもの……貴方は私を愛してくれてるよね?……ああ、早く貴方の子を授かりたい……』

 

『でも、貴方から言ってくるまで私我慢するからね?』

 

『マッてるカラネ?……ワタしダけの』

 

逃特 軽(とうとく けい)ぃ』

 

狂った笑みを浮かべその名を呼ぶのだった。

 

 

 

 

犬走椛の家の風呂場は風呂場とは思えないほどの汗のにおい、それと、透明でネッチョリした液体が衣服の上に大量に掛けてあった。

まるで『自分の物だ!』と主張するように。

 

そこに逃特軽がいたらもしかしたら分かっていたかもしれない。

衣服。それも、腹部についている少量の血で分かっていたかもしれなかった。

 

その衣服が、昨日のモノと一緒だということが。

 

彼はまだ知らない。知ることが出来ない……




お読みいただき有難うございます!

やっと主人公の名前が出てきましたね。
逃 の文字を入れたがために無理やり感がやばいですね ヽ(`・ω・´)ノ イェイ!!

いや ヽ(`・ω・´)ノ イェイ!! じゃねえよ。もっと考えろよ。

無理でしたOrz

誤字脱字報告、感想、アドバアイスがあれば、よろしくお願いします。

それではこれからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします!
あざとくてもやめない!

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

溢れ出る気持ち、気づかない彼

祝!UA数5,000突破!!
大変嬉しく思います!!

それではどうぞ!!



椛(犬走って呼んだら笑顔で怒られた)の連れて来たのは青色の髪と青色の瞳。背中には自身より大きいリュックを背負った女の子。

リュックでか過ぎやしませんかね?

 

『盟友が椛の言っていた逃特軽かい?』

「あ、はい。逃特軽です。今回はよろしくお願いします」

 

そう言って頭を下げる。

 

『あはは。そんなにかしこまらなくてもいいよ。私は河童の河城にとり。にとりでいいからね。よろしく軽』

 

河童?想像と大分違うな……こう、もっと緑くて化け物みたいなのと思ってた。

それを言ったら椛もか。

 

「分かった。よろしく頼むにとり」

「で?鍵を開けて欲しいってのはどれだい?出してみな」

 

そう言いながらリュックを漁り始めたにとり。

その間に椛に手伝ってもらいながら布団から布団から抜け出す。

 

「手伝わなくてもコレくらいなら一人で出来るぞ?」

「でも、手伝ってもらった方が楽でしょう?」

 

確かにそうなのだが……椛の手をわずわらせるのは気が引ける。

 

「今『気が引ける』って思いましたね」

 

心を読まれた!?

 

「そりゃあ分かりますよ。貴方なら……フフフ」

 

むぅ……表情に出やすいのだろうか。

 

「おーい、そろそろ始めて良いかい?」

「あ、はい!よろしくお願いします!!」

 

にとりの手にはピッキングツールが握られていた。

目にゴーグルを掛け鍵穴を覗く。

数秒覗いた後顔を上げた。

 

「安心しな!この程度ならすぐに開けれるよ」

 

そう言って今度はピッキングツールを鍵穴に差し込みかちゃかちゃし始めた。

数秒後 ガチャ と言う音と共に右足にあった重みが無くなった。

 

そして、もう一度ガチャっと音がする。

左足からも重みが無くなった。

 

足を見る。

そこには今まで俺の行動を制限していた忌々しい重石の姿はなく、俺の足首が見える。

試しに立ち上がり軽く歩いてみた。

まだ痛みが残るが……

 

「歩ける……歩ける……なあ椛、俺、歩けてる、よな?」

「はい。歩けてますよ軽」

「にとり。ありがとう。本当に……ありがとう……」

 

深々と頭を下げてお礼を言う。

 

「私は頼まれたことをしただけだよ。ほら、泣くんじゃない男だろ?」

 

さっきから視界がぼやけていると思ったらどうやら俺は泣いていたらしい。

ゴシゴシと目を擦りもう一度お礼を言おうとするが唇に指を押し付けられ言うことが出来なかった。

 

「私よりもお礼を言うやつがいるだろ?」

 

それが色っぽくドキッとしてしまったのは秘密だ。

にとりはそう言って俺の唇から指を離した。

 

「それじゃあ私はもう帰るからね。ばいばい」

 

目の前からにとりの姿が消えた。

その場に残ったのは俺と椛。

俺が何か言う前に椛が口を開いた。

 

「よかったですね軽」

 

笑顔で祝福してくれる椛。だが、

 

「痛いのですが椛さん?」

 

頬を抓ってきた。

俺が一体何をしたって言うんだ……

 

「にとりに見とれていたでしょう……」

 

ギクッ!

 

「ばれてた?」

「ばれてます」

 

そんなに表情に出やすいのだろうか……気おつけねば……

 

自分の友人に色目を使われたのだ。怒るのも当然である。

取り合えず謝り頬から手を離して貰おう。

 

「悪かった。出来るだけ色目は使わないようにする。だから手を離してもらえないか?」

「なら今度からそう言うのは私にして下さい」

「へ?」

「して下さい。いいですね?」

「は、はい!」

 

あまりの迫力に返事してしまう。

友達のために自分を犠牲にするのか。

友達思いだな。椛のやつ。

 

「ふう、これで本題に入れるな。椛」

 

「お前がいなければ俺は今頃妖怪に喰われるか、あの女、博麗霊夢に捕まっていただろう。少なくとも良い方向には進んでなかったと思う」

 

「でも、椛にあえたから、こうして助かった。更には重石を外すこともできた。全部椛がいたから出来たんだ」

 

深々と頭を下げ

 

「だから、本当に有難う椛。それと、ずうずうしいんだが少しの間一緒に住まわせてくれないか?椛意外に頼れる相手がいないんだ」

 

「椛が必要なんだ」

 

ガタッと立ち上がる音がする。

さすがに怒ったかなと思いおそるおそる顔を上げる。

見上げると顔を真っ赤にした椛がいた。

 

「そ、そう思うのなら早く怪我を治してください」

 

そう言って急いで部屋から出て行った。

 

「……あれはどっちの意味で取ればいいんだ?」

 

 

「はぁはぁ……」

 

危なかった……あのままだと襲ってしまうところだった。

 

「椛が必要……ふ、フフフ」

 

「私も軽が必要なんだよ……だから……」

 

「早く、はやく、ハヤク」

 

「私を孕ませて……ネ?」

 

犬走椛は風呂場へと向かうのだった。

 

 

 

 

久しぶりに風呂に入った逃特軽は風呂場にあったネチョリとした液に最後まで気づくことは無かった。

 




御読みいただき有難うございます!!

今回は少し(?)分かり辛かったと思います。

要約すると

 軽くん 椛が(霊夢から逃れるために)必要と言った。つもり。
 椛 (結婚的な意味で)お前が必要と言われたと勘違い。いつでもウェルカム!!

……分かるわけねぇ!!
精進します……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、お待ちしております。

ではこれからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

をよろしくお願いします。
それでも続けるのが ちゃるもん クオリティ!!

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

平和な日々は崩れ去る

お気に入り件数が50突破しました!!
皆様有難うございます!!

では、どうぞ!!


「――――ッ!!」

 

全身を鋭い痛みが駆け抜ける。

ほどなくして痛みがなくなりその間に息を整える。

 

「ハァハァ……クソッ!!」

「まだ、終ってませんよ?」

「ま、まって――――ァァッ!!」

 

椛の声と共に先程と同じ痛みが襲い掛かってきた。

そしてまた痛みが治まり、つかの間の休息。

 

なんでこんな事に……そう小さく呟いた。

そして、椛から目を逸らす事の出来ない現実を突きつけられた。

 

「筋肉痛になるからです」

「むしろ、あれで筋肉痛になるないって方が難しいと思うんだが?」

「そこは頑張ってとしか」

「そうだよなぁ……イタタタ!!!」

 

平和な絶叫と共に、また平和な一日が終わりを告げるのだった。

 

 

 

 

椛に助けられすでに一週間が経とうとしていた。

外は太陽が沈み真っ暗だ。

 

椛と俺は机を挟み晩御飯を食べている。

椛は今日の仕事中に文様がちょっかいをかけてきたと愚痴を零している。

さっきから一向に喋らずにいる俺のことを不思議に思ったのか声を掛けてきた。

 

「軽、どうかしましたか?もしかして、ご飯美味しくなかったですか……?」

 

心配そうな表情を浮かべ、俺のことを真っ直ぐと見ている椛を見てこの一週間のことを思い出す。

 

椛とにとりの他にも友人と呼べる存在が出来た。

椛の上司に当たる射命丸文と言う鴉天狗だ。彼女のおかげで霊力も少しだが操ることが出来るようになった。

もしかしたら俺には能力が有るかもしれないことが分かった。

どれもこれも、椛がいなければどれ一つとして叶うことが無かっただろう。

 

だからこそ、もう迷惑を掛けたくないのだ。

だから、俺は深々と頭を下げた。

 

「椛、今まで世話になった」

 

 カラン と音がする。椛が箸を落とした音だ。

 

「さすがにこれ以上椛に迷惑を……って椛?聞いてるのか?」

 

「……ドウシテ……ドウシテ……」

 

「椛?」

 

なにかブツブツと呟いている椛に近寄る。

 

「ドウシテ!!」

「うわ!」

 

 ドンッ!!と椛に押し倒された。

 

「イテテッ……椛、急にどうし―――!!」

 

た、とは続かなかった。なぜなら

 

「お前……泣いてるのか?」

 

椛の瞳から止めどめなく涙が溢れていたからだ。

 

「どうして……私、軽に嫌われようなことしましたか……?嫌です……私は軽と一緒に居たいんです!!」

 

「離れたくない……はなれたくないハナレタクナイ……」

 

だんだんと椛の目から生気が失われていく。

 

「そうデスよ……既成事実を作ってシマえばいいんダ……」

「椛……一体なにを―――ンッ!!」

 

唇が重なる。

 

「んっ……れろ……」

 

椛の舌が俺の舌を絡めとる。

 

「!!??」

 

 ドンッ!! いきなりの事に驚き椛を突き飛ばしてしまう。

椛を俺の体の上から押しのけ、俺は距離を取るように後ずさった。

 

「どうして?ねえ、ドウシテなの?私はこんなに軽の事を愛してるのにッ!!私は貴方がいないとモウ……」

 

椛はおもむろに履いていたズボンを下ろした。

股の間からネチョリとした液が滴っている。

 

「ホラ……こんなことにナチャッテル……」

 

椛からしたら俺を誘っているのだろうが生気のない目がより一層俺を恐怖させた。

 

「う、うわぁああああ!!!」

 

俺はその場から逃げ出した。

靴も履かずに外に出て森の中を駆け抜ける。

 

俺には逃げることしか出来なかった……

 

こうして、平和だった日々は終わりをむかえたのだった―――

 

 

 

 

逃特軽が逃げ出したあと犬走椛は

 

「嫌われ……タ?いや……いやぁあああ!!」

 

家の中で一人

 

「軽はワタシが必要……」

 

「そウヨ……ハズカシがっているダけ……」

 

狂っていった。

 

「軽。ワタシがムカえにいくカラ」

 

大好きな彼を

 

『マッてて……ネ?』

 

愛したいが為に……

 




御読みいただき有難うございます!!

椛ちゃんが狂いました。
依存系を目指して書いたのですが、いかがでしょうか?

次はどっちに行かせようかな……上か下か……

それと、バットエンドやハッピーエンドなどの別ルートって書いたほうがいいんですかね?

誤字脱字報告、感想、アドバイスなどがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

をよろしくお願いします!!
あ!止めて石を投げないで!!

ではまた次回~



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

逃げた先には

投稿です!!

次に行く場所……

軽くんは生きて行けるのでしょうか……


「はぁはぁ……!!」

 

逃特軽は山の中を走っていた。

 

どこを目指しているわけでもなく、とにかく走る走る走る。

辺りは暗くいつ妖怪に襲われてもおかしくない状態。

だが逃特軽はがむしゃらに走り続けた。

 

がむしゃらに走り暗い上に前もきちんと確認せずに走り続けた結果……

逃特軽が崖から落ちるのは当然だろう。

 

落ちたのは逃特軽が椛と始めた出合ったあの滝。

外の世界でも大きい部類に入る滝から落ちた逃特軽だったが、運がいいことにまだ生きてはいた。

滝の流れにもみくちゃにされながら沈んでいく。

 

「(ああ……体に力が入らねぇ……もう…………生きられないのか……でも、せめて最後まで……足掻きたい……ッ!!)」

 

逃特軽は唯一動く右足を何とか動かし滝から離れる。

滝の流れに沿うように右足を動かし浅瀬を目指す。

 

「(後……ちょ……と………………)」

 

逃特軽は浅瀬に着く前に力尽きてしまった。

だが、逃特軽は運が良かった。

 

力尽きた彼を川の中から引きずりだす存在がいた。

 

『やれやれ……』

 

その存在は逃特軽を持ち上げると最初から目的地は決まっていたかのように飛び上がった。

飛び上がった瞬間、彼女の金色の髪が月明かりを反射し幻想的な美しさとなっていた。

 

彼女の向かう先は紅い館。

過去に、赤い霧でこの幻想郷を包み込む紅魔異変を起こした張本人が住んでいる紅い館。

 

その館の名は紅魔館。

吸血鬼が住む館だ。

 

 

 

 

逃特軽のにおいを追い犬走椛は彼の落ちた滝まで来ていた。

 

だが、すでにそこには彼の姿はなく

 

におい(・・・・)もなかった。

 

犬走椛は狂ったように冷静だった。

もし、彼を見つけても帰る場所がなければ意味がない。

彼女はその場を後にした。

 

彼との愛の巣を守るために家へと戻るのだった。

 

生気のない目で、狂った笑顔で、彼の名を呼びながら………

 

『軽ぃ……スグに助けテあげるカラ、マッテてね?』

 

彼女の家には絶対に入ってはいけない一室が存在する。

 

 

 

 

紅美鈴は朝の修行を終えた帰り道、彼女は湖畔に落ちている物体に目が留まった。

 

それは、傷だらけの人間だった。

ぱっと見特別な修行をしている体つきでもなく、妖怪に襲われた形跡もない。

 

「(重体なのには変わりないですね。とりあえず治療はしてあげましょう)」

 

彼女は人間を担ぎその場を去って行った。

 

 

暗い……暗い……

嫌だ……死にたくない……!!

俺は……

 

「いやだぁあああ!!!」

『きゃ!!』

「はぁ……はぁ……?」

 

今の俺の現状を確認する。

どうやら俺はベットの上に寝かされていたらしい。

 

だが、明らかにおかしい。

確か俺は滝から落ちて……下が湖で何とか助かっ……た?

でも……確か俺は岸に付く前に溺れたはずじゃ?

 

誰かが助けてくれたのか?

 

でも一体誰が……考えられるとしたらにとりか文のどっちかだけど……あの時間に起きてるものなのか?

 

『あの~あんまり動かないほうが……』

 

その言葉が耳に届いた瞬間、体を激痛が走った。

 

 

 

 

『ようやく帰って来れた……待っててね』

 

『ワタシの軽』

 

アカイ巫女は笑みを浮かべた。




御読みいただき有難うございます!!

アノ人が帰ってきましたね。

紅魔館を選んだ理由としては美鈴を出したかったからです。
後悔も反省もしていない(`・ω・´)キリッ

誤字脱字報告、感想、アドバイス、このキャラを出して欲しいなどがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

をよろしくお願いします。
でも感じちゃう(ビクンビクン)

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

途切れた

投稿です!!

誰を出そうかな~

どうぞ!!


ガララッ

 

扉を開け中へと入っていく。

だが、そこに有るべきものはなかった。

 

 

 

 

『まったく……言ったじゃないですか。ほら、大人しくしてください』

 

そう言って俺に包帯を巻いていく。

どうやら包帯を巻いている途中だったようだ。

 

包帯を巻いてくれている彼女はチャイナ服のような服を着ている。

 

「誰か知らないけどありがとう」

『どういたしまして。私は紅美鈴と申します』

 

そういって微笑んだ。

紅さんが包帯を巻いてくれている間に自分の置かれている状況を確認する。

 

まず、俺は彼女紅美鈴に助けられこの場所に連れてこられてきた。

と考えるのが妥当か。

 

次に室内。

室内は床も壁も天井も全てが赤く色塗られ、椛の和風の部屋とは真逆に洋風の部屋だ。

そして、今気づいたが俺が寝かされているのはベット。しかも、天蓋付だ。

 

そして、窓から見える外の景色。

 

最初に映りこんできたのは大きな湖。

湖はきらきらと太陽の光を反射させ、とても美しく輝いている。

 

もう少し手前に視線を移すと室内の色と同じ城壁のような物が見える。

この事から、この建物が相当な大きさを誇っている建物と言うことが分かる。

 

そして、城壁の更に内側には大きな庭。

噴水なんかも有るがそれよりも目を惹かれるのが花壇だ。

ここからでも分かるほどに良く手入れされている。

 

そんな景色に見とれていると紅さんから声を掛けられた。

 

「終りましたよ」

 

自分の体を確認する。

 

右足以外はグルグル巻き。本当にそんな感じだ。

むしろここまでなってどうして生きているのかが分からない。

 

「にしても、一体なにがあったんですか?右腕、左腕、左足の骨を骨折。あばら骨三本に加え、殺傷痕、頭部を含め打撲痕が多数。極め付けには右脇腹に刺さった枝」

……骨折と傷跡は分かる。ただ右脇腹に刺さった枝は気が付かなかった。いつの間に刺さったのだろう。てか、良く生きてたな俺。

 

「そういえば……ここって何処なんですか?」

「紅魔館ですよ」

 

紅魔館……文の奴がなにか言ってたような……だめだ……思い出せない。

 

「紅魔館?」

「あれ?知らないんですか?」

「すいません……」

 

疑問を疑問で返されるほどに有名な場所なようだ。

 

「あ!もしかして外来人の方ですか?」

 

外来人?文字的には外から来た人の事を指すのだろう。

それなら俺も外来人に部類されるのだろう。

 

「多分……そうだと思います」

「そうだったのですか……元の世界に帰りたいですか?」

 

その言葉は俺に衝撃を与えた。

体の痛みも忘れ紅さんに詰め寄る。

 

「どうすれば帰れるんだ?!」

「え?」

 

紅さんは目をパチクリさせ驚いている。

 

「す、すいません……」

「い、いえ。兎に角元の世界に帰りたいで良いんですね?」

「ああ!」

「元の世界に返してくれる人が丁度良く来ていられるんですよ。名前、知ってますかね?」

 

なぜだろう。

体が強張っている。

今から聞くのは俺を助けてくれる人の名前だ。

それなのに……からだが、強張る。

 

紅さんの口が開く。

その口から発せられた名前は―――

 

『博麗』

 

もう、分かってしまった。

分かるなと言うほうが無理な話だ。

 

『霊夢さんですよ』

 

ああ……俺はもう元の世界には帰ることが出来ないようだ…………

 




御読みいただき有難うございます!!

レミリア辺りが出てくると思った貴方……残念ずっと美鈴サイドだ……
次回は少しぐらい出るかも……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

をよろしくお願いします。
あ!そんな冷めた目で見ないで!!

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

予感

投稿です!!

ようやく美鈴以外のキャラが出ますよ!

では、どうぞ!!


帰れる。その可能性は低いとは思っていた。

 

だけど、それにすがり付き逃げてきた。

そうでもしないと、心が、壊れそうだったから。

 

もう……嫌だ……なんで……なんで……

 

 

 

 

私が霊夢さんの名前を口に出した瞬間、彼の体から力が抜け今は頭を抱え震えている。

 

一体なにがあったのか、私にはわからない。

名前を聞いただけでここまで怯える物なのだろうか?

ただ、霊夢さんに会わせるのだけはよしておこう。

 

安心させるために、私は彼の頭を優しく撫でた。

 

 

 

 

誰かが頭を撫でてくれている。

たったそれだけの事なのにとても安心できた。

 

「安心してください。霊夢さんは呼びませんから」

 

俺は声を押し殺し何度も頷く事しか出来なかった。

 

 

途中から寝てしまったらしい。

 

痛む体を無理やり起こす。

あれから長い時間寝ていたらしく、夕焼けが部屋の中を赤く照らしている。

場所はさっきと変わらず、あの紅い部屋だ。

 

「お、もう大丈夫ですか?」

 

そう言って微笑んだのは紅さんだ。

 

「紅さん。あの女は?」

「あの女?ああ、霊夢さんの事ですね。一時間ほど前に帰られましたよ」

 

強張っていた体から力が抜ける。

良かった、本当に良かった……!

 

「あ、それでですね」

「なにか……あったの、ですか?」

 

まさか、あの女がなにか……と思ったがどうやら違うらしい。

 

「いえですね。お嬢様、この家の主が君に会ってみたいと言ってまして……怪我人相手に申し訳ないのですが会って頂けますか?」

 

そう言って深々と頭を下げお願いしてくる紅さん。

 

「もちろんです。と言いたい所なんですけど……さすがに右足だけで歩くのは……」

「移動できれば会って頂けるんですね?」

「え、あっはい。でもどうやって?」

 

紅さんはおもむろに俺を持ち上げる。おんぶではない。いわゆるお姫様だっこと言うやつだ。

まさか、する側でなくされる側、しかも、女性にされる事になるとは。

てか、重くないのだろうか?

 

「重くないですよ?」

「ち、力持ちですね……」

「まあ、妖怪ですから」

 

妖怪……なるほど。なら、納得だ。

 

「それじゃあ、動きますよ」

 

紅さんの動きは早いのに俺の体への負担は一切なかった。

 

 

紅に連れられ着いたのは大きな扉の前。

紅さんは背中で扉を開き中へと入った。

 

部屋の中は暗く、一部だけ月明かりが差し込んでいる。その月明かりの元にあるのは一つの長いテーブル。

 

「連れてまいりましたお嬢様」

「……(なんでお姫様だっこのままなのかしら)」

「お嬢様?」

 

お嬢様と呼ばれている彼女の背には蝙蝠のような羽が生えている。

薄紫のナイトキャップを被り、薄紫のドレスを着ている。羽はどうやって生えているのだろうか。

 

「その男ね」

 

そういって、俺を品定めするかのようにじっと見つめる。

 

「ふふ、面白い人間もいたものね。まさか自らの運命を変えるためでもなく逃げ続けているだけだとはね」

「逃げ続けている?一体どうゆう」

「人間、行く宛てもないのでしょう?」

「え?確かにそうですけど……」

 

無視された。

 

「それなら、この館に住みなさい。貴方の運命に興味が出たわ」

「ほ!本当ですか!?」

「ええ。私は紅魔館の主レミリア・スカーレット。吸血鬼よ」

 

そう言って翼を大きく広げた。

なんか、こう威厳?みたいなものが凄いが、正直小さい子が意地張ってるみたいで可愛い。

 

「有難うございます!!俺は逃特軽です!!」

 

こっちはこっちでずっとお姫様抱っこだから格好が付かないな。

 

 

 

 

美鈴と逃特軽が部屋を出て行った後、私は一人物思いに耽っていた。

 

「私が……そんなまさか……ね」

 

 




御読みいただき有難うございます!!

霊夢にはもう少し後に出番がありますのでご心配なく。
そして、レミリア様が視た運命とは……!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

をよろしくお願いします。
感じてしまいます(ビクンビクン)

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お粥は始まりの味

祝!UA10,000人突破!!
本当に有難うございますo(T□T)o

お気に入り件数ももう少しで100人を突破します!!

まさかここまで行くとは思っていますんでした!!
本当に有難うございます!!

では、どうぞ!!


紅魔館に住む事が許された一日目。

目が覚めると、覗き込むようにして俺の顔を見ている女の子の姿が。

あと少しでキスが出来るぐらい近い。

 

「……でれ!?」

「驚きすぎです。私は紅魔館のメイド長をしています 十六夜 咲夜 と申します」

 

そう言って完璧なお辞儀を見せてくる。

正直なにがなんだか……メイド長の十六夜さんが俺の部屋を訪れる理由が分からない。

 

「朝食をお持ちしました。起きられますか?」

「……ああなるほど。はい、なんとか」

 

肘を上手く使い起き上がる。

 

「意外と大丈夫そうですね」

 

どこからだしたのか、手には小さな鍋が持たれていた。

ベットの近くにある椅子に座り、鍋の蓋を開けレンゲでお粥をすくう。そして、そのレンゲをこっちに向け、

 

「あーん」

「……いや、あの……自分で食べ「あーん」あ、あーん」

 

十六夜さんの鬼の形相に負け口を開ける。

十六夜さんの手からお粥を食べた。

 

「し、シンプルだけど美味しい……!!」

 

こんな時上手く表現できない自分が憎い。

あっという間に食べ終わってしまった。あーんは恥ずかしかったけど……

 

「ご馳走様でした。とても美味しかったです」

「お粗末さまでした。その調子でしたらお粥意外でも大丈夫そうですね。では、私は仕事が残っていますので失礼させていただきます」

 

十六夜さんは食器を持ち目の前から消えた。

 

「消えた!?」

 

え?え?どうなってるの?

 

 

 

 

今日から紅魔館に住むと言う人間、逃特軽の部屋にお粥を持っていくことになった。

 

コンコン…………ノックをしてみるも反応はない。まだ寝ているのだろうか?

 

扉に手を掛ける。どうやら鍵は掛かっていないらしい。扉をゆっくりと開く。

そこには想像通りベットで寝ている逃特軽の姿があった。

 

お嬢様が吸血鬼なのは知っているはずなのに図太い人間だ。

 

顔は……まあまあね。

なんでかしら……彼の顔を見ているととても―――

 

―――虐めたくなるのは……

 

「―――でれ!?」

 

近づきすぎたか逃特軽が起きてしまった。

誤魔化さないと。

 

「驚きすぎです。私は紅魔館のメイド長をしています十六夜咲夜と申します。朝食をお持ちしました。起きられますか?」

 

あくまで冷静を装い、朝食を持って来たと言う。

彼は特に言及もせず、むしろ納得して、器用に肘を使い起き上がった。

 

すこし苛めちゃいましょうか……

 

私はベットの近くの椅子に座り

 

「あーん」

 

案の定彼は慌てふためいた。が、少し私が強く言ったら素直に言う事を聞いた。

ゾクゾクしたものが体中を掛け巡った。

 

ああ、昼が楽しみだ……

 

 

 

 

にしても暇だ……暇すぎる……

せめて本か何かがあればいいのに。

 

その時だった、部屋の扉をぶち破り金髪の少女が入ってきたのは

 

 




御読みいただき有難うございます!!

咲夜さんが『辱める』のスキルを覚えた!!
そして最後に出てきたのは……もうお気づきですよね?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします!!
「早くこの変態どうにかしないと」

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

普通の魔法使い

祝!お気に入り件数……100人突破!!

嬉しさのあまり逝きそうです!!

では、どうぞ!


『まったく……酷い目にあったのぜ……ん?』

 

扉をぶち破って入ってきた魔女のような格好をした少女と目が合った。

 

『…………見ない顔だな……一体誰なんだぜ?』

 

まるで、扉をぶち破った覚えなんてありません。と言う感じで話しかけてきた。

俺はこの人に名前を教えてもいいものなのか……

 

『おっと、相手に名前を聞くときはまず自分から、だったな。私は普通の魔法使い 霧雨 魔理沙だぜ』

 

むう、逃げ道を作る前に潰されてしまった。

これで俺だけが答えないのは失礼だし、紅魔館の評判を悪くするかもしれない。おこがましくは有るがこの館に住む者として、それは絶対に避けなければならない。

 

肘で上半身だけを起こす。

 

「俺は逃特軽だ。よろしく霧雨さん」

「魔理沙でいいのぜ!よろしくな軽!」

 

手を差し出してきたので、指だけだが握手をする。

そして、思い出す。

 

…………ああ、お前か(・・・)

 

「にしても酷い怪我だな。妖怪にでも襲われたのか?いや、でも紅魔館に住んでるって事は普通の人間じゃないのか?」

「いや、俺は普通の人間だよ。まあ、能力が有るかもしれないけどな。ところで魔理沙、ちょっと体の包帯を解いてくれないか?」

 

魔理沙は首を傾げ不思議そうな顔をするが、包帯を解いてくれた。

包帯が解かれ胸周りや、腹にある打撲痕をみて魔理沙が顔を歪ませた。

 

「こりゃ酷いのぜ……これを見せたかったのか?」

「いや、違う。魔理沙さ、一週間ちょっと前に……博麗をからかっただろ?なんてからかったんだ?」

 

魔理沙は顎に手を当て考え始めた。ぽつぽつと話し始めた。

 

「確か……霊夢の奴には恋人なんて見つかんないって言って……見つかったとしてもひょろひょろの奴だって言ったら、怒って帰っていたな」

 

やっぱりか。

俺はおもむろに魔理沙に背中を向けた。

 

「ッ!!うぷッ……!!」

 

魔理沙はドタバタと備え付けのトイレに入っていった。

それもそうだ。紅さんの殺傷痕のほとんどがあの女に付けられた物なのだから。

 

妖怪の紅さんが酷すぎると言うほどなのだ。

耐性がない人が見たらああなるだろう。

実際俺も、吐くほどではないが気持ち悪くなり、自分体なのかと疑ってしまった。

 

一通り吐いて多少はマシになったのか魔理沙が戻ってきた。

 

「この背中の半分は魔理沙のせいで出来た傷だ」

「…………私は軽とは初対面のはずだぜ?」

 

まだ気持ち悪いのか元気がない。

 

「俺は一週間ぐらい前まで博麗のところに監禁されていた。そんなある日あの女が不機嫌そうにやって来たんだ。その時魔理沙にからかわれたって言ってた。本当その日は死ぬかと思った……体に力は入らないし、耳はまともに聞こえない、目は霞む、息ができない……」

 

思い出したくない。だが、恐怖ゆえか鮮明に、そのときの光景が、その時の痛みがぶり返してくる。

 

「すまなかった……のぜ……知らなかったとは言え……でも霊夢がそんな事を……」

「信じるか信じないかはお前次第だ。魔理沙とあの女の関係がどんな物かは知らない。実際に良い奴なんだろうさ。俺以外から見たらな」

「私は……」

「無理に信じなくてもいいさ。言っただろ?信じるか信じないかはお前次第だ、て。ただ、俺がここにいる事は……博麗には黙っておいてくれ」

 

『……分かった……すまん』

 

魔理沙はそう最後に言い残し、走って部屋を出て行った。

 

 

 

 

「私は…………」

 

普通の魔法使いは混乱する。

自分の発言一つで一人の人間に消せない傷が何十、何百と残してしまったのか……と。

 

そして……辿りついた結論は……

 

「私は…………軽を―――」

 




御読みいただき有難うございます!!

普通の魔法使い事、魔理ちゃんの登場です!!
そして、初対面と言う事は……

彼女が辿りついた結果とは!?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
リアル友人に真顔で言われました……

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

沢山の訪問者

投稿です!

では、どうぞ!


魔理沙が帰ってから入れ替わるように紅さんが部屋に入ってきた。

 

「なにかあったのですか?」

「いや……なにも……」

「……包帯巻きなおしますね」

 

紅さんはなにも聞かずに包帯を巻きなおしてくれた。

 

「終りましたよ」

「……なあ、聞かないのか」

 

入れ替わりで入ってきたのだ。

魔理沙が走って出て行ったのも見ていたはず。

 

「話し辛い事なんですよね?なら、無理に聞くなんて事はしませんよ」

「……すいません……」

「では、私は仕事が有りますので失礼しますね」

 

そう言って出て行こうとする紅さんを呼び止める。

 

「あ、待って!」

「ん?どうかなさいましたか?」

「えっと、ありがとうございました」

「どういたしまして」

 

紅さんはそう言って背を向け去って行った。

 

 

次の訪問者は十六夜さん。

昼食を持ってきてくれたようだ。

 

オムレツなどの、固形物だが食べやすい物を持ってきてくれたようだ。

そしてまた、

 

「あーん」

「いや、だから自分で「あーん」いや、あのだ「あーん」……あ、あーん」

 

朝食のときよりも粘ったが、結局折れてしまった。

 

昼食を食べ終わり、最後の一品となったのだが……餅のような……違うような……

その視線に気づいたのか十六夜さんが解説してくれた。

 

「これは芋もちと言いまして、その名の通り芋で作った餅のことですね。餅とは違って伸びたりもしませんので病人でも食べられるんですよ」

「へー「あーん」やっぱりそうなるんですね……あーん」

 

もちゃもちゃ 確かに餅とは違う食感。食べやすく美味しい。

おやつとしては持って来いだな。

 

「どうですか?」

「とっても美味しいです。すいませんこんな事しか言えなくて……」

「いえいえ、感想を言って貰えるだけで此方としては嬉しい限りですわ。では、私は仕事に戻らせていただきますね」

 

そう言って目の前から消えた。

顔がどんどん熱を帯びていく。

 

「……恥ずかしいィ~!!」

 

十六夜さん美人だし、優しいし……そんな人にあーんをされて恥ずかしくないわけがない。

 

 

 

 

逃特軽が恥ずかしがっているのを涎を垂らし、恍惚な表情で彼女、十六夜咲夜は見ていた。

 

 

 

 

次の来訪者はこの館の主であるレミリア様だ。

来訪者多すぎやしませんかね?

 

「怪我の調子はどうかしら?軽」

「さすがに、そんなに早くは治りませんよ。レミリア様」

「そう…………そうだ!軽、貴方チェスは出来るのかしら?」

「チェスですか……した事ないですね」

「そう……」

 

なんだろう……さっきからレミリア様の感情の上下が激しすぎる……!

現に今、両手を握り締めて俯いている。

さすがに放っておくわけにも行かず……

 

「レミリア様、俺にチェスを教えてくれませんか?」

「え?」

「ダメですか?」

 

レミリア様の顔がパァアと明るくなった。

 

「しょ、しょうがないわね……いいわ教えてあげる」

 

顔を赤らめせっせと準備をしている姿は微笑ましい。

さて、ドコまで耐え忍ぶ事ができるか。

 

案の定ぼっこぼっこにされました。

 

 

 

 

ああ、試しに行ってみた私が馬鹿だった。

 

彼の顔を見ているだけで嬉しくなる。

 

彼の声を聞くだけで心が落ち着く。

 

彼の怪我を見るだけで悲しくなる。

 

運命だと高をくくっていた。でも、それだけでは済ませれない感情。

運命なんて関係ない。

 

私、レミリア・スカーレットは……

 

「……軽が好き……なんだ」

 

 

 




御読みいただき有難うございます!!

レミリア様の路線が決まらない……良心キャラにするか?やっぱりヤンデレ?
次は、図書館にでも行かせますかね?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
それを聞いていた別のリアル友人からは、

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

夜の声

投稿です!!

早めの投稿です!!

では、どうぞ!!


そんなこんなで夜になりました。外の満月が綺麗です。

にしてもたった一日で色々あったものだ。

 

魔理沙のこと、紅さんのこと、十六夜さんのこと、レミリア様のこと。

 

そんな思いに耽っていると部屋に入る直前で立ち止まっている人影。十六夜さんだ。

 

「……この扉どうしましょうか……」

「どうしましょうかと言われましても……」

 

直して欲しいところだが、居候としてこの館に住まわして貰っているので何も言えない。

 

「美鈴に頼んで直させましょう。軽様、夜食を持ってきましたよ」

「あの、様付けはちょっと……」

「なら、軽君、なんてどうですか?」

「それなら……」

 

正直それも恥ずかしいのだが、様付けよりはマシか。

十六夜さんが椅子に座り、料理を箸で掴み……

今回は負けない!!

 

「あーん」

「一人でた「あーん」ひと「あーん」いや、話を「あーん」……あーん」

 

負けました。もう勝てる気がしない……いや、勝ち負けなんてないけどさ……

 

「はい、どうぞ。美味しいですか?」

 

口に入っているため声を出せないから、コクコクと頷く。

 

晩御飯も無事食べ終わり、十六夜さんが出て行く……事はなかった。

 

「どうかしたんですか?」

「いえ、お風呂に入りたくないですか?」

 

いきなりどうしたのだろうか?

まあ、入りたくないと言えば嘘になる。でも、さすがにこの格好じゃ入るのは無理だろう。

 

「確かに、その格好では無理ですね。なら、体を拭きましょう」

 

そう言う十六夜さんの手には濡れたタオルがあった。

本当にどこから出したのだろうか?

 

「でも、迷惑じゃあ……」

「なら、メイド長から居候に命令です。体を拭かせなさい」

 

十六夜さんは黒い笑顔でそう言った。

なんか、よく分からない脅し文句だが俺の為にやってくれると言っているのだ。無碍にする方が失礼と言う物だろう。

 

「じゃあ、お願いしてもいいですか?」

 

十六夜さんは慣れた手つきで包帯を外し、タオルで汚れを落としていった。

吸血鬼の住む館に住んでいるからか背中の傷に関してはなにも聞いてこなかった。

 

不意に背中にツーと這う物が。

 

「ひゃわ!!」

「ふふふ、敏感なんですね」

 

どうやら十六夜さんが指で―――

 

「ひぅん!!十六夜さんいい加減に……ひゃ!!」

「ふふふフフ」

 

十六夜さんは楽しそうに笑いながら一向にやめる気配がなく、それから十分程弄ばれた……疲れた……

今は、きちんと包帯を巻きなおしてくれている。

 

「はぁはぁはぁ……十六夜さん……さすがに……疲れました」

「終りましたよ。では、私は仕事に戻らせていただきますね」

 

疲れた……今日はもう寝よう。

 

 

 

 

ああ、彼が嫌がる顔を見るだけで体中をゾクゾクした物が駆け巡る。

 

昼間ではあーんだけでどうにかなっていたのに、それだけではもう耐えられなくなってしまった。

 

 

ああ、もっと彼の困った顔が見たい。

 

ああ、もっと彼の可愛い顔が見たい。

 

ああ、もっと彼の―――

 

―――苦痛に歪んだ顔が見たい……

 

 

十六夜咲夜はいつもと変わらず淡々としかし、いつも以上の速さで仕事を終わらせるのだった。

 

 

「すぐにおわラせルカラね?」

 




御読みいただき有難うございます!!

十六夜咲夜はスキル『喘ぎ声を出させる』を覚えた!!
割と可愛い声を出す軽くんでした。

それと、現在番外編(紫)を書いています。ハッピーエンドになる予定です。
そのため、ヤンデレ成分が少なくなると思います。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
「もう、全てが遅いんだ……」

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私の計画

投稿です!!

では、どうぞ!!

P‚S 
番外編も投稿しましたのでよろしければ。


俺が紅魔館に居候の身としてもうすぐ二週間と言う頃。

 

「もう大丈夫そうですね」

 

紅さんからそう言われた。紅さんは俺に巻かれている包帯を外していく。

 

「随分と早いんですね」

「まあ、夜の間はずっと気を流して回復速度を速めていましたから。今日から無理をしなければ運動してもいいですよ」

「ありがとうございました」

「では、私はこれで失礼しますね」

 

その日から俺は落ちた筋肉を付け直すため必死に筋トレを始めた。

 

さらに一週間後。

 

いつものように咲夜さんにからかわれ、レミリア様と他愛の無い雑談をし、紅さんに効率のよい筋トレの方法を聞いて実際にやってみる。

いつもと変わらないはずの毎日。俺の中には言葉に出来ない充実感が溢れていた。

 

俺はベットに潜り込み、今有る幸せを噛み締めながら眠りに付くのだった。

 

 

「起きて下さい。軽君」

 

十六夜さんの声がする……なにか用事でも有るのだろうか?

俺はまだ重い瞼を何とか開き十六夜さんの顔を見た。

 

そして、違和感に気づく。

 

腕と足を拘束されてる。

 

 どうして? なぜ? そんな考えが頭の中を埋め尽くした。

 

そう言えば、この部屋も見たことがない。どこかあの場所を彷彿とさせる部屋。まるで拷問部屋(・・・・)のような……

その瞬間パシーンッ!!と背中を鈍い痛みが襲った。

 

「ッァあ!!十六夜さん……なに……を……?」

 

十六夜さんは恍惚とした表情で俺を見つめ両の手で俺の顔を包み込んだ。

 

「軽君は一目惚れ、と言うのを信じますか?私は信じますよ。だって貴方がこんなに愛おシイ……んっ」

 

唇と唇が触れ合い、次の瞬間には十六夜さんの舌が俺の舌を絡め取っていた。

椛のときとは違い、枷もあって押しのける事も逃げる事も出来ない。

 

そんな思考の中でもお構い無しに十六夜さんの舌が俺の口の中を駆け巡る。

頭が真っ白になる。なにが起こっているのかわからない。

 

そんな時間がどれくらい続いたのだろうか……不意に十六夜さんが離れて行った。

 

唇が離れた今も頭がぽーっとしている。

だが、そんな時間もすぐに終わった。

 

「ぎぅ!!グァ!!」

 

彼女の腕が振るわれるたび鈍い痛みが体中を駆け巡る。

あの女の鋭い痛みとは違う、鈍く長く骨の芯まで伝わってくる鈍い痛み。

 

「痛い!痛い!いたいイタイイタイ!!」

「私に貴方ノ表情を見セて!!もっとモっとタクさん!!貴方のカワいいとコろをもっと私にミセて!!」

 

パシンッパシンッパシンッ!!

なんども、なんども、打たれ続ける。彼女の持つ鞭には血がこびり付いていた。

 

涙がこぼれる。どうしてこうなってしまったのだろう……と

体から力が抜けていくのが分かる。

もう……いやだ……誰か……

 

「たヒュ……けテ……」

 

どががぁあんっ!!

 

扉をぶち破り誰かが入ってきた。

 

それは、この館の主である吸血鬼

 

涙が留め止めなく溢れてくる。必死に拘束された手を伸ばす。

 

「……レミャ……さま……タシュけ……ちぇ……くだシャイ……」

 

そこで、俺の視意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

私は軽が気絶したのを確認し、咲夜に目配せをした。

 

「私はお嬢様の従者でございます……ですが……」

「分かっているわ咲夜。大丈夫、安心なさい、軽は私の伴侶になる男、そんな器が小さい分けないし、私も貴方なら許す。どう?これで不安要素でも有るのかしら?」

「では、計画通りに」

 

私は軽についている枷を解き軽を私の寝室へと運んだ。

後は……

 

「貴方が、私の事を求めてくれれば―――」

 

「―――ネ?私の旦那サマ?」

 




御読みいただき有難うございます!!

咲夜さん闇堕ち。
レミリア様……まだ確定不可

彼女達の計画とは?!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これかれも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
諦めた顔で言われました。なんでや……

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

少女は微笑む

投稿です!!

では、どうぞ!!

P.S
番外編のサブタイトルを身勝手ながら変更いたしました。
内容は一緒ですのでご安心ください。


気が付くと俺はベットの上で寝ていた。

 

一体ここは何処なのだろう?

俺は何をしていてこの部屋に来たのだろうか。

……だめだ……思い出せない。いつも通り、筋トレをして寝た……そのあと……

 

「なにか、何かがあったはずなんだ……」

 

思い出そうとするが、モヤのようなものが掛かっており思い出すことが出来ない。

 

兎に角この場所が何処なのか確認しよう。

内装的にまだ紅魔館のはず。

確認するべく起き上がる。その時、鈍い痛みが体中を駆け巡った。

 

「グッッ!!」

 

思い出だした。昨日の夜の……ことを。

あの鈍い痛みは十六夜さんの鞭打ちによるもの。

それなりの時間が経っているのか我慢できないほどの痛みではない。

 

なら、することは一つ。

 

「逃げる」

 

理由としては、必ずしもこの部屋がレミリア様の部屋だと断言できないからだ。

もし、それでこの部屋が十六夜さんの部屋だったら…………やめておこう……気分が悪くなってきた……

 

痛む体を無理やり動かし、ドアの前まで移動する。

そして、ドアノブに手を掛け、ゆっくり押した。

 

ギィイイ……

 

ドアはあっさりと開いた。

隙間から少しだけ顔を出し、右、左と誰も居ないのを確認する。

左側は別の扉が有るから気お付けとかなければ。

 

よし、誰も居ない。これなら……

一歩、踏み出す。

 

ギィイイ

 

聞こえてきたのは扉が開く音。

俺は足を踏み出しただけ……なら、おのずと答えは見えてくる。

 

誰だ……誰だ……!?

 

息が切れる。手汗がネッチョリとして気持ち悪い。

額から鼻にかけてつぅーと汗が流れ、地面へと落ちた。

その時だった。

 

ガッ!!と何者かが俺の手を壁越しに掴んだのだ。

 

「うわぁああ!!嫌だ!!離して離してくれぇ!!」

 

振り払おうとするも掴んでいる手は銅像かと言うくらいビクともしない。

 

「くそっくそっクソッ!!」

 

自分の手首から先が青くなっているが、腕一本ぐらいで逃げられるのなら安いもんだと、より一層強く引っ張る。

その時掴んでいた手がぱっと手を離した。

 

そのせいで、俺は地面に転げてしまう結果となった。

 

まずいマズイ!!このままじゃ捕まる!!

 

引けた腰を引きずりながらその場から逃げようとするも、肩を掴まれてしまった。

体が恐怖で硬直し言う事を聞かない。

逃げたいのに……逃げられない。

後から後から涙が溢れてくる。

 

そして、肩を掴んでいる人物から声を掛けられた。

 

「軽!大丈夫!?悪戯が過ぎたわね……ごめんなさい……」

 

その声は俺を助けてくれた、レミリア様のものだった。

おそるおそる振り返るとしょんぼりとした表情のレミリア様がいた。

 

気が付けば俺はレミリア様に泣き付いていた。

 

「きゃ そんなに怖かったのね……ごめんなさい……」

 

レミリア様は俺に謝ってくれるが、俺の口からは嗚咽ばかりが出てくるだけ。

俺は必死に首を振り、気持ちを伝えようとした。

 

ごめんなさい、ありがとう。と

 

まず、わかるはずがない。首を横に振った後に縦に振っただけなのだから。

それなのにレミリア様は、

 

「ごめんなさい、ありがとう。かしら、何に対しては落ち着いてから話しましょう。ほら、部屋に入って」

 

と言った。

だが、その時の俺にはそんなことに気を配る事なんてできなかった。

 

頷き、レミリア様に手を引かれ部屋へと入った。

 

 

 

 

計画通り……

 

二人の少女は美しく、狂ったように微笑むのだった。




御読みいただき有難うございます!!

もうすぐ、良心キャラとアノ人が出てきます(予定)。お楽しみに!!
そして、二人の少女の微笑み……一体誰なのか……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これかも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ちゃるもんはおかしくないですよね?

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

イヤシ

投稿です!!

では、どうぞ!!


俺が泣き止み、さっきの『ありがとう、ごめんなさい』の意味、助けてくれて有難う、逃げるような真似してごめんなさい。と言う意味だと言うと、

 

『私のほうこそ、怖がらせるような真似してごめんなさい』と言って優しく頭を撫でてくれた。

 

そして、レミリア様が頭を撫でるのを止め口を開いた。

 

「ねえ軽、咲夜に会ってあげてくれないかしら?あの子も今回の事は反省しているようだし、私も一緒にいるわ。だから……」

 

正直、会いたくない。

でも、レミリア様が一緒にいてくれるらしいし……少しぐらいなら……

 

「分かり……ました……」

 

そう言うと、レミリア様は優しく微笑んで

 

「ありがとう」

 

と言った。

 

レミリア様はテーブルの上に置いてある鈴をチリリーンと鳴らした。

それから五秒ほど経った今ドアからコンコンとノックの音が響いた。

 

「入りなさい」

 

ドアを開き入ってきたのは十六夜さん。

 

体が小刻みに震えるのが分かる。

あの時の痛みがじわじわとぶり返してきた。

 

十六夜さんが一歩、また一歩と近づいてきて……深々と頭を下げた。

 

「ごめんなさい!!」

 

それは、いつも敬語で話している彼女からは考えられない言葉だった。

 

「気の迷いだったとはいえ軽君にあんな事を……本当にごめんなさい!!」

 

十六夜さんは一向に顔を上げる気配がなく、それだけ、考えてくれたのだろう。

震える口を何とか動かし、返事を返す。

 

「か、顔をあげて、ください。俺は……ゆ、許しますから……」

 

とっさに言葉が出てこなく上から目線のようになってしまった。

十六夜さんは顔を上げ、それは涙でグチャグチャとなった顔だった。

 

「……よかった……です……ッ!……許してくれないと……思ってたから……」

 

十六夜さんの目からは涙は止まる事はなく滝のように流れている。

 

そして、十六夜さんは勢い良く飛び込んできた。

結果として俺が胸に埋まる形となったが……今だけは……

 

 

 

だから見えなかった……聞こえなかった……

 

十六夜咲夜が狂った笑みを浮かべていた事に……

 

レミリア・スカーレットが小さく『ケイカクドオリ……』と言っていたことに……

 

 

 

 

十六夜さんが抱きつくのを止めレミリア様と一緒に部屋から出て行った。

 

静かな一人の時間。

部屋の中を月明かりが照らしている。

そんな静かな時間……

 

考えているのは十六夜さんのこと。

 

正直、今でも怖い。

次ぎ会うとき、立っていられる自信もないほどには。

 

でも、十六夜さんは近づいてきてくれる。レミリア様は後押しをしてくれた。

なら、俺も自分から歩み寄っていこうと思う。

 

俺は……十六夜さんに、レミリア様に、紅さんに、皆がいる紅魔館に、イヤシ(・・・)……みたいなものを感じているから……

 

 

―――でも、思わないじゃないか―――

 

―――ここまで、信用してたのに―――

 

 

 

――――――……なんて―――




御読みいただき有難うございます!!

と言うわけでイヤシが出てきました。
誰が想像しただろうか!!咲夜さんまでイヤシの中に入っているなんて!!
ちゃるもんも驚きました(←オイ!)
次回、未定……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった』

を、よろしくお願いします。
と言ったところ……

ではまた次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

束の間の幸せ

投稿です!!

では、どうぞ!!


目の前には大きな扉。

その扉を開き中へと入る。

 

「スゲェ……」

 

右、左、上と見渡す限りの

 

 本 本 本!

 

学校の図書室を圧倒的に上回る本棚。正面と頭上を除けば先が見えないほどに長い。

本棚も俺の数十倍の大きさだ。

 

少し読んでみたいところだが、その気持ちをグッと押さえ先へと進む。

 

進んだ先には長い紫色の髪の少女が分厚い本を読んでいた。

紫色の髪の少女が俺に気づいたのか、本から顔を上げ俺を見た。

 

「……だれ?」

「あ、俺は逃特軽と言います」

「そう……貴方がレミィや咲夜の言っていた男ね。で、何か用?」

「その、本を読ませて欲しいと思って……」

「勝手に持ち出さないなら良いわよ」

「ありがとうございます!!」

 

お辞儀をして目的の本を探す事にした。

探す事にしたの……だが……

 

「どこから手をつければいいかわかんねぇ……」

 

棚と棚の間を行ったり来たりしている俺に声が掛けられた。

 

『お兄さん、なにしてるの?』

「ん?」

 

振り返る。そこにいたのは金色の髪の毛の少女。背中には枝のような羽に宝石のようなものがぶら下がってる。

 

「えっと、きみは?」

「わたし?わたしはフラン、フランドール・スカーレットだよ」

 

フランドールはにぱっと笑った。

 

「それで、お兄さんはだれなの?」

「軽だ。逃特軽」

「ふーん……おもしろいね……私の能力でも壊すのが難しそう(・・・・)ふふ」

「?」

 

一体何のことだろうか?

はて?と考えているとフランドールに手を引かれた。

 

「うわ!ちょ、どこに行くの?」

「フランのお部屋!」

「ちょ!ちょっと待って!」

 

声を掛けフランドールを静止させる。

振り返ったフランドールは悲しそうな声を上げた。

 

「フランのお部屋に行くの、いや、なの?」

「そう言うわけじゃないんだけどさ、お兄さんは少し調べ物があるんだ。ごめんね」

「そっか、じゃあフランも一緒に探し物する!」

「……じゃあ、お願いしようかな?」

 

フランドールは満面の笑みを見せてくれた。

 

 

フランドールの手伝いもあり、目的の本を見つけることが出来た。

俺が探していたのは『霊力』に関する本で、せっかく射命丸さんに霊力の基礎を教えてもらったのにまったく練習をしていなかったからだ。

そう言えば、射命丸さん達は元気にしているだろうか……正直、椛に関してはもう少しどうにかなったと思う……もう遅いけど……な……

 

そんな事を考えながら霊力の使い方を練習していく。

元々、射命丸さんに教えてもらっていたのと、フランドールの助言のおかげもあり体を霊力で覆うぐらいの事は出来た。

 

「お兄さんは多分だけどこっち、強化型の方が合ってると思うよ。美鈴がもっと詳しいと思う。体を覆うことが出来れば後は才能と努力だね!」

 

そう言って、笑顔を向けるフランドール。

 

「ありがとう。フランドールがいなかったらこんなに上手くはいかなったと思う」

「えへへ~どういたしまして~」

 

 

 

―――俺の幸せな時間は続く―――

 

―――永遠には続かない幸せは、本当に幸せと呼べるのだろうか―――

 

―――それとも―――

 

―――その、序章が始まる―――

 

 

紅い巫女が、再び紅魔館へと飛び立った。




御読みいただき有難うございます!

パチュリー、フランドール登場。君の一票が彼女達の運命を決める!!    カモ(ボソ
そして、紅い悪魔が動き出しましたね……軽くんの運命やいかに!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします!!

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
哀れみの目で

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

知らない

投稿です!!

今更なのですが、前回で二十話(番外編抜き)でなってました。
いやぁ、時が流れるのは早いですね~

では、どうぞ!!


フランドールと別れパチュリーさん(さっき名前を聞いた)にお礼を言って大図書館を後にした。

 

部屋に戻る最中、俺は会ってしまった。

背中をじっとりと嫌な汗が這う。足が震える。歯が噛み合わずカチカチと音を鳴らす。

俺の視線の先には……

 

三日月のような狂った笑みを浮かべるあの女がいた。

 

震える足に鞭を打ち足を動かす。

 

「はぁ……はぁ……くそっ!!どうしてアイツが!!」

『なんで逃げるの?ねぇねぇネェ!!あア、そうカ、大丈夫よ?はズカしガラナくてモ……』

 

『私いがイかンガえられなイようにシテアゲるからァ……ウフフフフ』

 

ひたすらに走る、走る、走る。

 

そんな時だった……

 

「うわっ!!」

 

足が縺れ、地面に倒れてしまった。

なんとか体勢を立て直そうとしているとき がしっ と何者かが俺の右足を持ち上げた。

 

そのせいで、体勢を立て直す事も出来なくなってしまった。

 

『スグにつレてかえッテあげるカらネ?』

 

その言葉と共にズルズルと引き摺られる。

爪を立て少しでも抵抗するが、女とは思えないほどの力で引き摺られ意味を成さなかった。

それどころか……

 

バキッと音を立て右の薬指の爪が根元から抜け、燃えるような痛みが襲った。

 

「ぎゃぁあああ!!!」

 

そんな俺の絶叫なんて興味がないのか、変わらずズルズルと引き摺られる。

 

クソッ!!クソッ!!こんな事で俺の幸せが奪われるのかよ……!!

 

留め止めなく涙が溢れてくる。失いたくない。もう、無くしたくない。

あの人は、呼んだらまた助けに来てくれるのだろうか……あの時みたいに……助けに来てくれるのだろうか……

 

 

「たす……助け……て……レミリア……様……」

 

 

その時、ピタッと女が引き摺るのを止めた。

右足を握っている手から力が抜け、足が自由になった。

 

 

気づいたら、十六夜さんが俺の指に包帯を巻いていた。

そして、目の前にはレミリア様があの女の手首を握っている。

 

二人の会話が俺の耳にも入ってきた。

 

「博麗霊夢……なにをしているのか、用件を聞こうじゃないか」

「……私のアイスル旦那を引き取りに来ただけよ」

「ハッ!寝言は寝て言いなさい。彼は私達の家族。それに、こんなに怖がっているのに愛する旦那?笑わせるわね」

 

家族……その言葉が不思議と俺を落ち着かせてくれた。

それに便乗するように十六夜さんが口を開く。

 

「大丈夫ですよ。軽くんは私達が絶対に守りますから。そうですよね?レミリアお嬢様?」

「良く分かってるじゃない咲夜。そう言うワケだからさっさと帰ることをお勧めするわよ。それがいやなら……殺し合いでもしましょうか」

 

殺し合い……俺の為にそんな事までしなくていいと思い、同時に、俺のことをこんなにも大事にしてくれているんだとも思った。

女は苦い顔をしてレミリア様の手を振り払った。

そして、俺を見てこう言い放つ。

 

「貴方はダマサているだけ。スグに助けテあげルカら……」

 

十六夜さんが俺を守るように間に入った。

 

『マっテてネェ』

 

そう言い残し女はその場からいなくなっていた。

緊張が途切れ体から力が抜ける。

そんな俺を、レミリア様と十六夜さんは優しく抱きしめてくれた。

 

その温もりに、俺は大声をあげて泣いた。

 

 

 

 

彼は知らない

 

何も知らない

 

それでも、時間は動き続ける

 

運命に従い

 

動き続ける




御読みいただき有難うございます!!

霊夢は弾幕ごっこに関しては最強クラスですが、殺し合い、本気の戦闘だとさすがに大妖怪には勝てません(中級の上の方までは余裕)。
仮に勝てたとしても五体満足ではないでしょう。だから、レミリア様と咲夜さんの二人を相手には勝てないと踏んだんでしょうね。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
そっと肩に手を置かれました。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一目惚れ

投稿です!!

ヤンデレ成分皆無のほんわか日常になります!!(ガチで)

それでも良い方は、

どうぞ!!


あの女との一件があり、レミリア様の部屋で寝泊りをすることになりました。

なんでも、

 

『いつ、また襲ってくるのか分からないから出来るだけ一緒にいましょう』

 

『それと、館内を移動するときは妖精メイドを連れて行きなさい。少しはマシでしょうから』

 

とのこと。

本当に、紅魔館の人たちには頭が上がらない。

 

そして、自分の無力さもよく分かった。勝てないにしろ、せめて一人で逃げられるようにぐらいにはならなければ。

 

と言うわけで大図書館に向かいましょう!!

 

 

……フランドールに捕まりました(´・ω・`)

 

 

 

 

ど、どどどどうして私は隠れてしまったのでしょうか!?

 

図書館の整理をしている途中、私こと小悪魔はそんな心情に襲われるのでした。

ことの発端は私が隠れている本棚の先、膝の上に妹様を乗せている殿方……名前は知りません。

 

私は、悪魔の中でサキュバスと言う淫魔の悪魔です。小、が付きますが……

なのでこの気持ちが何なのかはすぐに分かりました。

 

顔が熱い

 

鼓動が早くなっていく

 

膝の上に座っている妹様が羨ましい

 

数えだしたらキリがない、感情の証明。

 

 

ああ、私は彼に一目惚れしたのか。私は彼が好きなんだ。

 

 

私は一人の人間に恋をしたのでした。

 

 

 

 

大図書館に入った途端鳩尾に鈍い痛みが走った。

 

「ゴフッ!!ふ、フランドール……抱きついてくるのは……いいけど……もう少し……優しく……ね?」

「エヘヘ~ はーい!」

 

その後、昨日と同じように霊力について調べ……ようとしたとき、フランドールが膝の上に座った。

あんな純真無垢な笑顔を見せられたら……ねぇ?

まあ、解説してくれるしありがたいんだけど。

 

『あ、あにょ!!』

「「………」」

 

フランドールに解説してもらいながら霊力について学んでいるときだ。

レミリア様と似ている翼を頭と背中に生えている大人の雰囲気な女性。この女性も吸血鬼なのだろうか?噛んでるけど……

 

『……あ、あの!紅茶をお持ちしました!』

「あ、ありがとうございます」

 

……うん、突っ込まないでおこう。

そう心に決め、紅茶を受け取る……が、残念なお知らせがある。

 

俺は紅茶が苦手なのだ!!

 

別に飲めないわけではない。ただ、口に入れた瞬間、鳥肌が立ち体が拒絶反応を起こすのだ。

例外は有るものの、基本的になんとかティーなど、洋風なお茶がダメだと思ってくれればいい。

 

「すいません……俺紅茶ダメなんです……」

 

そう言って、深々と頭を下げる。もちろんフランドールに当たらないように配慮している。

 

『へ……?……そ、そうとは知らず……ご、ごめんなさい!!すぎにとりきゃへましゅ!!』(すぐに取り替えます!!)

「いや、そんなに焦らなくても……」

 

少し涙目になりながら頭を勢い良く下げた。

大人な雰囲気はどこえやら……どちらかと言うと……

 

「可愛い部類だな……」

『へ?』

 

今更になって考えが口から出ていたことに気づいた。

女性の顔が見る見るうちに赤くなっていく。

 

『し、失礼します!!』

 

脱兎のごとく走り去ってしまった。

 

彼女が持ってきてくれた紅茶を一口。

ブルルっ と体が震え鳥肌が立つ。

 

「お兄さん、紅茶ダメなんじゃないの?」

「ダメだけど、せっかく入れてもらったから全部飲まないと、紅茶にも入れてくれた人にも失礼だからね」

 

 

 

 

「可愛いって、可愛いって……」

 

小悪魔は彼の使ったカップを大切に持ちながら、だらしなく笑うのだった。

 




御読みいただき有難うございます!!

ヤンデレ成分が皆無!!では、書いてる自分は楽しかった!!
小悪魔の路線は決まってません。一応ヤンデレにも良心にもできるようにしています。

それと、これから数話の間はこのようなほのぼのになります。
上げて上げて上げて、上げたその後は………ネ?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
なんで!?

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

汗のにおい

投稿です!

軽くんの平和な日常はツヅク……

それと、UA数 二万突破しました!!厳密には20,737です!!
皆様、ありがとうございます!!

では、どうぞ!!


今日は紅さんに霊力の扱いについて教えてもらおうと思う。

そんなこんなで玄関を出て、門を目指す。

 

紅さんはフランドールと十六夜さんと話しているようだ。

その時、フランドールと目が合った。

 

嫌な予感がする……

 

フランドールが走って来る。

止まる気配はないく、そのまま……俺の鳩尾へとダイレクトアタックをかました。

 

「ゴフッ!!」

「お兄さん!こんな所でどうしたの?」

「と、取り合えず……グリグリするのを……止めようか……」

「妹様、軽くんが困っています」

 

十六夜さんがフランドールを持ち上げ、俺から引き剥がした。

 

「ありがとうございます。十六夜さん」

「いえ、当然のことをしたまでです。それで、軽くんはどうしてここに?」

「紅さんの時間が空いていれば、良ければ霊力の扱いについて教えて欲しいと思いまして」

「私にですか?」

 

紅さんは驚いたのか自分の事を指差している。

 

「私はどちらかと言うと、気を操っているので勝手が違いますよ」

「そうですか……」

「でも、どうして霊力を操りたいのですか?」

「俺はこの前の件で自分の無力さが良く分かりました。だから、せめて一人で逃げ切れるようになりたいんです」

 

俺がそう言うと、紅さんは優しく微笑んだ。

 

「分かりました。そう言うことでしたら微力ながらもご助力しましょう」

「本当ですか!!ありがとうございます!!」

「逃げる……と言うことは肉体強化で良いんですよね?」

「はい!」

「でしたら、私の得意分野ですしそれなりにお教えできることがあると思います。お任せください」

 

そうして、俺の特訓が始まった。

 

 

フランドールと十六夜さん、それにいつの間にか来ていた紅茶の子に見守られながら。

 

 

紅さんに教えてもらいながら腕一本までだったら強化できるようになった。

十六夜さん曰く、この短時間でここまで出来れば上出来な方らしい。むしろ才能が有るとまで言われた。

十六夜さんは仕事が残っていると言って消えました。

 

特訓が終わり汗だくの俺に声が掛けられた。

手にタオルと水筒を持っている紅茶の人がいた。

 

「お疲れ様です。よろしければどうぞ」

「ありがとうございます。えっと……」

「小悪魔です。軽様」

「小悪魔さん。改めてありがとうございます。ところで、どうして俺の名前を?」

 

タオルで汗を拭いながらどういして俺の名前を知っているのかを聞いてみた。

 

「妹様と咲夜さんがそう呼んでいたので……迷惑でしたか?」

「いや!そんなことありませんよ!!」

「そうですか!!よかった~」

 

水筒のキャップを開け中液体を一口飲む。

中に入っているのは……

 

「フルーツジュース……ですか?」

「はい!私のお手製なんですよ?」

「すごいですね……とっても美味しいです。小悪魔さんはいいお嫁さんになれそうですよね。……子悪魔さん?」

「そ……そそそそれではは、私は仕事に戻らせていただきますね!!」

 

タオルと、水筒を取り上げられ昨日のように脱兎の如く走り去ってしまった。

 

「お兄さんって意外と……まあ、いいや面白いのも見れたし。ばいばいお兄さん」

「あ、うん。じゃあねフランドール」

 

そうして、今日も俺の平和な一日は過ぎていくのだった。

 

 

 

 

すーはすーはー

逃特軽の汗が染み付いたタオルを、小悪魔は鼻に当て、空いている手を股の間に持っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

―――ああ、戻れる事なら戻りたい―――

 

―――あの平和な日々に―――

 

―――何も知らなかったあの頃に―――

 

―――戻りたい―――




御読みいただき有難うございます!!

と言うわけで軽くん強化編でした。こうでもしないと先の展開で死ぬ可能性が……
そして、小悪魔は堕ちてしまうのか!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
大丈夫だ……俺が良い精神科を知ってる

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

演技と嘘

投稿です!

では、どうぞ!!


ダラダラと額から汗が流れる……

 

目の前にいる少女はニヤニヤと笑みを浮かべ、俺に鉄槌を下そうとしている。

 

ここは、逃げの一手を……打つ!!

 

「はい、チェックメイト」

 

俺が駒を動かした瞬間、レミリア様が駒を動かし終戦の合図を上げた(チェックメイト)

 

俺は今、レミリア様とチェスと言う名の一方的虐殺をされています。

 

原因としては、

夜中目が覚め、隣を見るとテーブルの上の駒を黙々と一人で動かすレミリア様がいた。

 

そして、俺もしていいですか? といったのが運の付き。始めてから三十二回惨敗中だ。

チェックすら取らせてくれない。

 

「どうする?まだ続ける?」

「……もう一回お願いします!!」

 

それでも懲りずに挑戦する。せめてチェックを取る。

盤上に駒を並べていく。

 

コトッコトッ 駒を進めていく音が部屋に響いていく。

 

ふと、レミリア様が声を漏らした。

 

「……ねぇ、軽。貴方は今の生活が……好き?」

 

「……好きですよ。

元気一杯な妖精メイドたち。

あんまり喋ってないけど本が大好きな、パチュリー様。

不思議な子だけど気遣いの出来る小悪魔さん。

優しいお姉さんみたいな紅さん。

優しいけど悪戯好きな十六夜さん。

妹みたいで可愛いフランドール。

そして、俺を守ってくれた、俺に居場所をくれた、心優しい吸血鬼レミリア様。

俺は皆がいるこの紅魔館が……大好きです」

 

レミリア様の顔が真っ赤に染まった。

 

「そ、そう。それなら良かったわ」

「ところで、どうしてそんな事を聞いてきたのですか?」

 

そう聞くと、レミリア様は赤くなった顔を背け、小さな声でボソボソと言い始めた。

 

「……だって、私を含めて妖怪か妖精しか居ないじゃない、この館。人間は咲夜だけだし……」

「だからですか……意外と信用ないですか?俺」

「そんなことない!!」

「なら良かったです。ところでレミリア様」

「……なにかしら?」

 

今の俺は、酷い笑みを浮かべている事だろう。

俺は、そんな笑みのままレミリア様に宣言した。

 

「チェック。です」

「………へーふーんほーう。分かったわ軽。そこまで死にたいのなら……」

 

そのとき、俺は悟った。

 

これアカンやつや……と。

 

そこからは、怒涛の連撃だった。朝日が昇るまでずっと負け。その敗北数は優に五百回は超える。

チェックを取れた勝負もあの一回だけだ。

 

 

 

 

 

 

紅さんとの特訓から帰ってきた俺を待っていたのは、扉越しに聞こえる声だった。

 

『咲夜、そろそろ良いんだと思うんだけど……貴方はどう思う?』

『私もそう思います』

『ああ、長かった!長かった!!やっと……やっとやっとやっと軽をワタシノモノに出来る!!わざわざ博麗の巫女の運命を操ったんだ。お前も私のことをアイシテイルダロウ?なあ軽』

『レミィにも困ったものだわ。まさか、私まで貴女の計画に巻き込まれるなんてね。まあ、あの子は礼儀が良いし分からないでもないけど』

『私も我慢してきたのです。ああ!早くはやくはやくハヤク軽くんの苦痛にユガんだかオヲ見たい!!』

『咲夜さん!私の分も残しておいて下さいね?ヤクソクですよ?』

 

どう言う事だ……運命?操る?計画?

 

 

……ああ、そう言う事か……

 

 

俺が騙されていただけの事か……

 

 

十六夜さんから助けてくれたのも……

 

十六夜さんが反省していたと言っていた事も……

 

あの女がこの場所に来て、レミリア様が助けてくれたのも……

 

妖精メイドたちも、パチュリー様も、小悪魔さんも、紅さんも、フランドールも……

 

あの楽しかった日常も……!

 

全部!全部全部全部!!!

 

「演技だったのか………嘘だったのかよ!!!!」

 

 

その場から走り去る。非常な現実から逃げるために……美しかった記憶を汚したくがないために……

 

 

 

 

彼が逃げた後、そこには―――

 

―――彼を追おうとしていた四人と―――

 

―――彼の逃げた先を守るかのように佇む一人の少女の姿があった……

 

 

 

 




御読みいただき有難うございます!!

いやぁ、紅魔館……堕ちましたね!!
最後に出て来た少女は一体?!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも、

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
なんでだよ!?自分は正常だよ!?

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

友達

投稿です!!

では、どうぞ!!


少女は彼の後姿が見えなくなったのを確認して、蝙蝠の姿から元に戻り正面を向いた。

 

「なんのつもりかしら……」

「ねえ、私さ、よく友達をいっぱい作れるといいねって、言われてたよね?」

 

正面には、四人の姿。皆私の大切な家族で……

 

たった今、私から異変解決者のような力を持った者でも、妖怪でもない……

 

力のない人間なのに、私を怖がらないでくれた………

力のない人間なのに、私を甘やかしてくれた………

力のない人間なのに、不思議で普通な人間だった………

 

私の……私のごくごく普通な友達………私の、普通が故に………とっても、大切な友達………

 

「……だった……のに……!!」

 

本当は声を掛けたかった!!

本当は抱きしめたかった!!

本当は―――

 

「一緒にいたかった!!でも、お前らが奪った!!私の大切な友達を!!」

 

でも、だから……

 

「私は守るよ……たとえお兄さんが一生私を信頼してくれなくても、私を友達と思っていなくても……私はお兄さんの……逃特軽の友達だから!!」

 

咲夜が時計に触れようとした瞬間、咲夜の腕を黄金の鎖が襲う。

咲夜は間一髪で直撃を避けることに成功し鎖はかする程度となった。そして、この瞬間私と戦わないで軽を追える者はいなくなった。

 

咲夜に触れた鎖がリング状になり咲夜の手首に巻きつく。

 

咲夜は違和感に気づいたのか苦い顔をした。

 

「……私の能力を封じましたか。妹様」

 

それを聞いたお姉様が小さく舌打を鳴らす。

 

「フォーオブアカインド」

「……どうして、邪魔をするのかしらフラン?」

「聞いてなかったの?」

「お姉様達が私の友達を奪ったから」

「お姉様が私の友達を悲しませたから」

「これ以上の理由が必要?」

「私はフランの友達を奪ってないし、悲しませてもないわ。軽は恥ずかしがってるだけよ。安心しなさいスグに帰ってくるわ」

 

本当にそんなことを信じているのだろうか?

 

「………なら、なんで追いかけようとしているの?スグに帰ってくるんでしょ?」

「私が、私達が軽と一秒でも長く一緒にいたいからよ」

 

その、のうのうとした顔を見ているとイライラが募っていく。

 

……だったら、だったら……!

 

「なんで軽は泣いてたのよッ!!」

「なんで軽はあんな辛そうな顔をしてたのッ!!」

「答えてよ!!」

「私の友達を……」

 

 

 

『『『『返してよ!!』』』』

 

 

 

紅魔館の最大戦力達と友達を守るために立ち上がった一人の少女が激突した。

 

 

 

 

はぁはぁはぁ!!

玄関を押し開き外に出る。月は雲に隠れあたり一面を暗闇が包んでいた。

 

玄関から門までは一直線上にある。

俺は門に向かって走り出した。

 

……門に近づくに連れて淡い光がハッキリしてくる。

 

炎のように揺らめく虹色の美しい光……

 

そんな美しい色も、今の俺にとっては絶望そのものだった。

 

だが、すんなりと門の外に出ることが出来た。

 

『お嬢様にも困ったものですね……』

 

そんな声が聞こえた瞬間……

 

俺の体は宙を舞っていた。




御読みいただき有難うございます!!

良心はいた!!でも、軽くんは知らない……
そして、紅魔館のラスボス登場!!まさかの美鈴(三面ボス)です!!
ちなみに本作での美鈴は超強いです。近接限定で鬼の四天王に匹敵します。

誤字脱字報告、感想、アドバスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
大丈夫だってなにも怖くないから。な?

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

優しい女性と悲しい少女

投稿です!!

関係ないですが自転車の籠が壊れました……

では、どうぞ!!


何度も地面をバウンドしやっと勢いが止まった。

 

右の手首がおかしな方向に曲がり、左手の指の爪が数枚剝がれている。

右足は動かず、頭からは血が垂れ流れ視界を邪魔している。

体のいたるところに激痛が走り逆に意識がハッキリとした。

 

左手で右腕の袖を千切り口に咥える。

いままで我慢していた痛みを一気に吐き出す。

 

「――――――――――ッ!!!!」

 

何も見えなかったが大方紅さんの拳か蹴りだろう。

だが、幸運なことに相当吹き飛ばされたようで紅魔館が小さく見える。

 

口に布を噛み締め左足を引き摺りながらその場から逃げよう―――

 

『やっと気づきましたか。待ちくたびれましたよ』

 

俺の真正面、雲の隙間から漏れた月明かりに照らされその姿が明らかとなる。

なんで気づかなかったのか……もっと周りの事を確認しとくべきだったと後悔するが、もう遅い。

 

一歩、また一歩と紅さんが近づいてくる。

後ずさり、反対側へ逃げようとすると、そこには紅さんがいた。

 

『私としてはあまり手荒なことはしたくないんですが……まあ、息さえしていれば大丈夫と言っていましたし……しょうがないですかね。とは言ってもさっきのやつでボロボロですね……まあ大丈夫でしょう』

 

回し蹴り!!

 

いきなり飛んできた回し蹴りを右腕で受け止める。

 

ボキャ

 

とても、人間の体からでる音とは思えない音が右腕から聞こえた。

右腕を確認するとブラーンと力なくぶら下がっている。折れた。そう理解した瞬間激痛が右腕を襲う。

目の前がチカチカし頭がフラフラする。

 

腕を押さえるため下を向いた瞬間―――

 

―――目が合った。

 

鳩尾の部分を鈍い痛みが襲う。

さっきと同じように数キロ先まで吹き飛ばされた。

 

血と一緒に色んな物を吐き戻してしまう。

まだ動く部分を捩じらせなんとか逃げようと試みる。

 

『まだ逃げるつもりですか…………にしても、やりすぎてしまいましたかね……それに、ここで騒ぎを起こしても面倒になりそうですし、一回戻るしかなさそうですね……』

 

紅さんが遠くなっていく……なんだか知らないが助かったようだ……

 

それから、数分の時間をかけて一つの家へと着いた。

唯一少しだけ動く左足と壁を使ってなんとか立ち上がり、窓から家の中に入る。

 

入った瞬間体勢を崩してしまい転んでしまう。

痛みが一斉に襲ってきて声にすらならない絶叫が静かに響く。

 

 

そこには、血の海の真ん中で微かに息をする一人の男の姿しかなかった。

 

 

 

 

紅美鈴は優しく微笑んでいた。

 

「あそこなら――――――から近いですし、回復が早くなるようにもしておきましたから大丈夫ですよね」

 

「ただ、まあ……それでもやり過ぎてしまいましたが……」

 

 

 

 

「はぁはぁ……まったく……手こずらせないで頂戴。フラン」

 

レミリアの視線の先には廊下を仁王立ちで塞ぐ一人の少女の姿があった。

 

レミリアとその少女からは血が流れ、地面には血溜まりが出来ている。

 

レミリアの後方には、三人倒れているが血は流れていないことから気絶しているだけなのが伺える。

 

その光景は少女の本来の強さを知っている者なら、どれほど少女が手加減をしていたのが良く分かるだろう。

 

レミリアは手刀の形にした手を少女に向ける。が、少女は動くことはなく項垂れたままだ。

 

「………フラン?」

 

声を掛ける。だが、少女は動かない。

 

不信に思ったレミリアが近づき確認する。

 

「立ったまま気絶してる……」

 

そして緊張が途切れたのかレミリアが血溜まりの中に倒れてしまった。

 

 

 

逃特軽を逃がすこと、家族を殺さない事の出来たフランドール・スカーレットの勝利で決着がついた。




御読みいただき有難うございます!!

やり過ぎだけど実は優しかった美鈴。やり過ぎだけど……
紅魔館の中でも相当な実力者のフランでも、相手を殺さず全員を相手するのは無理だったようです……でも目的は達成したのでフランの勝利です!!
そして、軽くんの逃げついた先とは!!?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
な? じゃねえよ!!ロリコンども!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

二人の出会い

投稿です!!

現在、フランの番外編 『愛しています』投稿させていただきました。
そちらも読んで頂ければ幸いです。

では、どうぞ!!


「んーー!!」

 

大きく伸びをする。

 

「今日も良い天気だな」

 

そう呟き、着替え始める。

 

朝食も食べ終わり部屋を移動する。

 

そこで私はありえない光景と出会うことになった。

 

「…………は?」

 

部屋の一角を赤黒い液体が埋め尽くし、その赤黒い液体の中に一人の男性が倒れている。

体が硬直し、何が起こっているのかが分からなかった。

 

数秒の硬直……そして、ようやく赤黒い液体の正体が分かった。

 

血だ。

 

そう理解した頃にやっと体が動くようになった。

 

「お、おい!!大丈夫か!?」

 

血の中を進み、男性へと近づく。

男性の体はボロボロで息をしているのが不思議なぐらいだ。

 

急いで応急手当をし、出血を止める。

男性の体を背負い私は寺子屋を飛び出した。

 

 

 

 

気が付けば知らない天井……

ここは、何処なのだろうか……

 

動くのは……左手と左足か……

左手で体を支え左足で立とうとするが、体勢を崩し壁に激突してしまう。

 

「あぎゃ!!」

 

痛みを我慢し、壁を伝い窓を目指す。

 

どうせ裏切られるのなら、誰にも近付かなければいいんだ……そうすれば……

 

あと少しで窓に手が届く。

窓に手が届く。鍵を外し、窓を開く。

 

窓の冊子によじ登り外に転がり落ちる。

 

「ぐぎゃ!!」

 

歯を食いしばり、這いずりながらその場を離れる。

四十分近くの時間を使い、ようやく近くの草むらの手前まで着いた。

 

 

『やはり逃げ出していたか……その根性は褒めてやるが怪我人なんだ。無理をするのはよくないぞ』

 

そして、体を抱き上げられる。

 

この人は俺を助けてくれようとしてくれているのだろうか?

 

そうだとしても……俺には到底信じることは出来なかった……

 

否、信じたくなかった……

 

裏切られるのが……怖かったから……

 

 

 

 

「まったく……」

 

半場呆れながらも、彼の意識を取り戻した事に安堵する。

 

あの後永遠亭の八意医師に彼を診せた。

八意医師があそこまで厳しい顔をしたのは始めてみた。

それだけ酷い状況だったのだ。素人目から見ても分かるほどに。

 

意外なことに治療はスグに終った。

外傷ほど酷いものだが、おかしな事に内臓へのダメージが殆ど無かったらしい。

 

そして外傷の中でも一番目立っていた箇所。

右腕だ。手首と腕の骨が綺麗に折れている。こちらは綺麗に折れていたので引っ付くのは時間の問題……それが手首だけの問題だったのならば、だが……

手首から関節にかけて骨が砕けていた。これでは引っ付くことはない。

 

そして、八意医師が出した方法が、妖怪用の試験管。

その部分の骨の成分であるカルシウムをかき集め、無理やり再生させる。

 

結果としては、成功だった……だが、あんな残酷な光景は二度と見たくないと思った……

今まで、色んな体験をしてきたがその中でもずば抜けて気持ち悪く、残酷な光景だった……

 

血については増血剤でどうになるとは言っていたもののいつ目を覚ますかは分からない事。

 

そして、三日後の夕方頃。つまり今日の夕方。

彼を寝かしている部屋を覗くと姿が無かった。

 

布団の中はもぬけの殻。

開け放たれた窓。

地面を這いながら移動する彼の姿。

 

そして、今に至る。

 

 

 

これが、私

 

上白沢慧音と逃特軽の出会いだった。




御読みいただき有難うございました!

はい、今回のフィールドは人里となります。
そして、最初に出て来たのはけーね先生ですね。
ちなみにですが……珍しいことにけーね先生の路線は(予定ですが)決まっております!!お楽しみに!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
イエス!ロリータ!ノウ!タッチ!!それに俺のロリコンは二次元限定だ!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

下手糞な料理

投稿です!!

では、どうぞ!!


「私は日頃必要最低限の食事しかしなくてな、料理なんて殆どしないのだが……まあ、不細工だが握り飯だ。腹が空いたら食べてくれ」

 

一切の手をつけられていない握り飯があった。

 

「さすがに握り飯だけでは味気が無かったな。貰い物だが筍の煮つけを貰った。一緒に置いておくからな?」

 

一切手をつけられていないご飯と煮付けがあった。

 

「今回は自分で作ってみたぞ。とは言ってもただの野菜炒めだがな」

 

冷め切ったご飯と野菜炒めがあった。

 

 

 

 

この家は学校のようで、朝から子供たちが楽しそうに学校に来る。昼の三時ごろになると笑顔でワイワイと学校から去っていく。

 

なんだか、無性に殺したくなった。

本来ならば俺も元の世界で朝友達と一緒に学校に行き、授業を受け、帰る。

 

大体なんで俺なんだ…………やめよう……考えたって無駄だ。

 

不意に声が聞こえた。

 

『起きているか?ご飯を持って来たぞ。私は日頃必要最低限の食事しかしなくてな、料理なんて殆どしないのだが……まあ、不細工だが握り飯だ。腹が空いたら食べてくれ』

 

扉をそっと開き、楕円形のオニギリが出てきた。

 

 

次の日

 

逃げ出そうとしたところを捕まった。

さすがに、怪我をしたままで逃げようとしたのは無理があった。

 

『さすがに握り飯だけでは味気が無かったな。貰い物だが筍の煮つけを持って来た。一緒に置いておくからな?』

 

昨日と同じように扉が開き、茶碗に盛られたご飯と筍の煮付けが乗ったお盆が出て来た。

 

 

次の日

 

まだ、完治したわけではないが右足が動くようになった。

今から、慣らしていかなければ。

 

『今回は自分で作ってみたぞ。とは言ってもただの野菜炒めだがな』

 

扉が開く……

 

 

 

 

私は上機嫌に、人里に買い物をしに来ていた。

 

理由は単純、彼がほんの少しだが私の料理を食べてくれたのだ!

 

今日は一体なにを作ろうか?

 

 

 

 

無意識だった。

 

気が付けば出されていた料理を口に運んでいた。

 

一気に後ろに逃げる。

 

正直、マズイ。

味が無い。

火が通っていない。

 

数え挙げればキリが無い。

 

だが、俺の目からは涙が流れていた。

 

 

 

 

あれから、彼の食べる量は少しずつ増えていった。

完食までにはいたっていないがそれでも最初の頃に比べると見間違えるほどの変化だ。

 

最近は妹紅に料理を教えてもらっている。

 

さて、今日はなにを作ろうか。

 

私は台所に立ち、今日はどのくらい食べてくれるのだろう?全部食べてくれるだろうか?

 

そんな事を考えながら私は―――

 

ただまあ、脱走するのは止めて欲しいものだ……

 

―――外に見えた彼を捕まえに向かうのだった……

 

 

 




御読みいただき有難うございます。

実は料理が出来ないけーね先生であった。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします
ロリコンで何が悪い!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

優しい枷

投稿です!!

では、どうぞ!!


今日も逃げる事に失敗した。

 

ただ違ったのは、先生と呼ばれていた女性が出て行かずに今だに部屋にいることか。

 

「まったく……君は怪我人なんだ。もう少し大人しくは出来ないのか?」

「貴女こそ、見ず知らずの他人。しかも、逃げ出そうとしている奴をなんで助けようとするんですか……」

「怪我している人を助ける。それに理由が必要か?」

「必要です」

 

俺はそうきっぱりと言い切った。

 

 

 

 

「必要です」

 

むぅ……キッパリ言い切られるとは……

 

これは予想していなかった……大体こういう時は相手がうろたえて了解する物ではないのか?

 

まあ、ここは適当にでっち上げとけばいいか。

 

「では、怪我完治したら私の仕事を手伝ってもらおう。少なくとも君の治療費を稼ぐまでは逃がさんぞ」

 

これで納得してもらえるだろうか……少し不安だ。

 

 

 

 

言われたものは至極全うなものだった。

 

治療費を払え。

 

「……分かりました。治療費を払い終えるまでよろしくお願いします」

「納得してもらえたようで何よりだ。ところでなんだが、名前を教えてもらっても構わないか?」

 

教えたくない。

少しでもこの女に情報を渡したくない。

 

これが俺の率直な思いだ。

 

「………………」

「……まあ、私は気長に待つ事にするよ。それまでは君呼ばわりになるが、まあそこは勘弁してくれ」

 

無言でいたら逃れることが出来た。

 

「私は上白沢慧音だ。よろしく頼む……君には早くその怪我を治してもらわないとな」

 

ご飯の準備をしてくると言って部屋を出て行った。

どうせ、逃げ出してもまた捕まるのがオチだ。なら、大人しく怪我を治し、治療費を返してここから出て行くのがいいだろう。

 

紅さんに習った事を思い出しながら、完治までの時間を逆算する。

 

右足……殆ど動かない、だが、痛みが無いことから治るまでに大体一ヶ月も掛からないはず。

 

一番酷い右腕……確か紅さんのでぐちゃぐちゃになっていたハズだが、なぜだかもう動くようになっている。少しでも動かせば激痛が襲ってくるがそれでも相当な回復スピードだ。

そして、動くということはすでに骨は繋がっているということ。こちらも一ヶ月もあれば治ると思う。

一体どんな治療をすればグチャグチャになった腕を三、四日で治す事が出来るのだろうか……

 

食べ物を食べられることから内臓へのダメージも少ないのだろう。

少なくとも胃へののダメージは皆無だった。

 

「君、ご飯を持って来たぞ」

 

そんな声と共に上白沢が入ってきた。

 

三人分の料理を持って。

 

そして、上白沢の後ろには真っ白の髪を持った少女の姿があった。

 

『コイツが慧音の言ってたやつか?』

 

白髪の少女は部屋に入ってきてズイと俺を覗き込んだ。

 

「この人は誰ですか、上白沢さん」

「私の友人でな、藤原妹紅だ」

「妹紅って呼んでくれ。苗字で呼ばれるのは嫌いなんだ……」

 

過去に嫌なことでもあったのだろう。顔を見れば分かる。

 

「さっき筍を持ってきてくれたんでな、一緒に食べようという事になったんだ」

「てか、コイツ食べれるのか?」

 

左手で箸を握る。

元々右利きなので箸を握る形がグーだが、まあ、食べられるので問題ない。

 

妹紅さんがため息を付き俺から箸を奪った。

 

「ほら、口開けろ」

「え?」

「食べさせてやる」

 

その光景は以前にも見たことがあった。

 

あの時の、平和で、何も知らない、美しい記憶。

 

一体どこで間違えてしまったのか……

 

 

自然と涙が零れていた。

 

 




御読みいただき有難うございます!!

妹紅は面倒見がいい。以上!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
開き直りやがった!!?

だは、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

近付く絶望

投稿です!!

では、どうぞ!!


犬走椛は消耗品を買うために人里へと向かっていた。

 

不意に鼻をくすぶる懐かしいにおい。

 

人里に近付いていくに連れてそのにおいは強くなっていく。

 

変な雌の臭いも引っ付いているようだが……これは彼のにおいだ。

 

愛しいいとしいイトオシイ

 

「軽のニオイだアぁ」

 

 

 

 

博麗霊夢は軽を取り戻すための算段を練るため人里の甘味屋へと来ていた。

 

口の中に餡蜜を運ぶ。餡蜜の甘さが疲れた脳を癒してくれる感じがする……感じがするだけだ。

美味しいから問題ない。

 

あの泥棒蝙蝠からどうやって軽を取り戻すか……

 

その時、家と家の間に入る人影が見えた。

 

ああ、やはり私と軽は……

 

「ミツケタ……」

 

 

 

 

十六夜咲夜は美鈴の情報を頼りに人里へと向かっていた。

 

軽くんがいなくなってからお嬢様の元気がなくなってしまった。

 

私としても軽くんには帰ってきて欲しいですし頑張りましょう。

 

人里から少し離れた場所から叫び声が聞こえた。

 

叫び声は私のアイスル彼、軽くんの声だった。

 

ああ、彼の声だ、私の大好きな声だ。

 

「イマイクカラネ?」

 

 

一人は嬉しそうに―――

 

一人は至極当然だというように―――

 

一人は快楽に顔を朱に染めながら―――

 

 

 

―――狂った笑顔を浮かべていた。

 

 

これは、逃特軽の少し先の未来である―――

 

 

 

 

目の前にウサ耳セーラーの少女。

 

意味が分からない。

 

「君の体調を確認しに来たそうだ」

 

俺のことを察してか上白沢さんが話してくれた。

 

「鈴仙・優曇華院・イナバです。今回はよろしくお願いしますね。気軽に鈴仙でも、ウドンゲでも呼びやすいように呼んでください」

「よろしくお願いします。鈴仙さん」

「……えっと、名前は?」

 

…………

……………

………………

 

「……えっと、そ、それじゃあ怪我の状況を見ていきますね」

 

鈴仙さんが慣れた手つきで包帯を外していく。

 

腕を持って痛いかどうか、動かしたら痛いのか。

足も同じようなことをされた。

 

後は、聴診器や血圧など割と普通な検査を受けた。

 

 

結果としては順調に治って行っているとの事。

もう少しして痛みを感じなくなったら包帯は外していいと言われた。

 

「それじゃあ、お大事に~」

 

そう言って鈴仙さんは帰っていった。

 

 

入れ替わるように妹紅さんが来た。

筍をおすそ分けに来たようだ。

 

上白沢さんと一緒に料理をしに部屋を出て行った。

 

料理が完成し上白沢さんと妹紅さんが料理を持って部屋へと入ってきた。

 

妹紅さんが料理を掴み俺の方に向けてきた。

 

「ほれ、口開けろ」

「自分で食べる」

 

そう言って妹紅の所にある使われていない箸を取る。

 

握る形がおかしいが食べられるんだ、問題ない。

 

俺はご飯を口の中に運んでいった。

 

 

 

 

なんなんだコイツは、昨日は泣いてたのに今日は拒否された。

 

コイツを見ているとまるで昔の自分を見ているようだ。

 

誰にも頼らず、誰も信じられず、どうせ裏切られると思っていたあの頃の自分。

 

私は慧音に助けられた。

今度は私の番だ、私がコイツを救うんだ。

 

私はそう誓いコイツの箸を奪い、口に咥えた。

 

あれ?そういえばもう使ってたような…………気のせいだよな!うん!!

 

ほうけているコイツの口にご飯を詰め込むのだった。

 

……今の私は顔が真っ赤になっていることだろう……

 

 

 

『…………』




御読みいただき有難うございます!!

ヤンデレ成分が少ないとの事でしたので少し出してみました。
……未来の話ですが……
ヤンデレはもう少し待って貰えれば……必ず!必ずやご覧に見せましょう!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ここまでの会話……リアルでありました……周りの視線が痛かった……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三と参

投稿です!!

では、どうぞ!!


俺は今、人里へと買出しに来ている。

 

つい数日前に完治したというのに人使いが荒いものだ。

 

「あとは……葱、玉葱、人参、トマト、鳥の胸肉……後二箇所で済むかな」

 

甘味屋の前を通り八百屋を目指す。

地図によると……

 

「八百屋はひとつ隣の通りか」

 

裏路地を抜け八百屋で買い物をする。すぐ近くに肉屋があったので鳥の胸肉も買っておいた。

後は帰るだけだ。

 

と、意気込んだのはいいものの……俺は動けずにいた。

 

寺子屋は人里の端の方にあるのだが、その道の途中、俺は出会ってしまった。

 

白い髪、真っ白な尻尾と耳。

目は赤く腫れ大粒の涙を流している。

 

「もみ……じ……?」

「!……はい!!」

 

椛が抱きついてきた。

 

俺の心情は嬉しそうな椛と違い複雑な物だった。

椛は俺の事を好いている、それなのに俺はそれを過剰に拒絶してしまった。

 

「軽さんのニオイ……」

 

だが、友人に会えたのは嬉しいものだ。

 

ただ、首筋をにおうのは止めていただきたい……

 

 

 ゾクッ

 

 

背中をツーと汗が流れる。

 

アノ声が聞こえる……

 

『駄犬……ナニをシテイるのかしラ?』

 

椛が俺の体を離しあの女に対峙した。

 

「何か用ですか?霊夢さん?」

「私の軽に、ナニをしているのかを教えて欲しいのこの駄犬がッ!!」

「私がナニをしていようと私の勝手です」

「ええ、そうね。でも、軽は私の物よ。ネ?ケイ?」

 

歪んだ笑顔を俺に向けてくる。

あの暗い場所で起きた悪夢が頭の中を埋め尽くした。

 

以前はまだ、助けてくれる存在がいた。だが、今回は椛だけ。しかも椛が仲間とも限らない。

 

俺の心が壊れるのも時間の問題だった。

 

 

「アアァアァァァアア!!!イヤダイヤダイヤダァアア!!」

 

 

アタマガイタイ セナカガイタイ アシガイタイ イタイイタイイタイイタイィィィィ!!!

 

プツリッ

 

 

 

 

絶叫を聞こえた場所まで来た私を待っていたのは

 

涙を流し

鼻水を流し

涎を垂らし

泡を吐いて倒れている

 

軽くんの姿だった。

 

 

体が震える……

 

ああ、ああ!ああ!!やっぱりカワイイ!!

早く連れ帰って彼のこの姿をミツヅケテイタイ!!

 

でも、ソノマエニ……このジャマモノをハイジョしないト……

 

 

 

 

軽くんが泡を吹いて倒れてしまった。

やはり博麗霊夢は危険だ。

 

それに、紅魔館の召使いまでも来ている。

 

紅魔館の召使いが味方とも限らない……

 

私が軽くんを守らないと!!

 

アア、カレニたよられてイル!!

 

 

 

 

軽が泡を吹いて倒れてしまった。

 

私との再会が嬉しすぎたのだろう。

それと、この駄犬に酷い事をされたのだろう。

 

だから、外は危険だと言ったのだ。

 

私ほど、軽を大事に思っている存在なんていないというのに……

 

でも、もう大丈夫よ

 

ワタシガイマ、タスケテアゲルカラネ?

 

 

三人が激突しようとした瞬間、一筋の光が彼女達の間を過ぎ去った。

 

その光の先には三人の姿が

 

『何をしてるんだ?オイッ!!』

『なにをしてるんだぜ?なあ?』

『その人は私の患者なの。分かってくれるわよね?』

 

 




御読みいただき有難うございます!!

正直、前回盛りすぎました(^▽^;)
最後に現れた参人は一体?!

前回で30話突破してましたね。(番外編抜き)
それと、UA数が3万突破いたしました!!(実はまだ行っていないとは言えない!!でも、29,981だから別に良いよね!!うん大丈夫だ!!)
皆様いつもこんな作品を御読みいただき有難うございます!!これからも頑張っていきますので、

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします!!
さすがに感じませんでしたよ……暖かい目で見守られていたんですもの……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハクレイレイム

投稿です!!

では、どうぞ!!


圧倒的だった。

 

霧雨魔理沙と藤原妹紅による中・近距離戦。

まだ、この二人までならどうにかなった。

 

最後の一人の存在。

その一人の存在だけで手も足もでない。

 

霧雨魔理沙、藤原妹紅、そして……

 

五大老と呼ばれ幻想郷の最強格の一人として名高く、幻想郷一の医学の持ち主

 

八意永琳

 

その人だ。

 

霧雨魔理沙は中距離を得意とし、藤原妹紅は近距離を特意とする。

そんな二人に最強のバックアップ、遠距離を得意とする八意永琳、しかも彼女自身に接近できたとしても体術で押し返される。

 

……ころす……ころすころすころすコロスコロスコロスコロスコロス!!!!

 

私と軽の邪魔をスルやつハ全部コロス!!

 

「夢想天生」

 

 

 

 

なに?あの黒いのは……

 

博麗霊夢が急に黒く禍々しいオーラを出し始めた。

 

ヒュン 

 

無意識に両腕をクロスの形にする。

 

「?!!!」

 

見えなかった……腕がビリビリと痺れる。ヒビが右五箇所、左が三箇所やられた。

 

一体何が起こったのか……

 

博麗霊夢を見る。彼女は拳を前に突き出している。

 

どう考えても五十メートル以上は離れている私に届くはずはない。

 

ならなぜ?

 

答えは簡単。

 

風力だ。

 

拳を打ち出した時に生じた風が私を打ちつけたのだろう。

 

そして、何よりも驚いたことは……

 

「(さっきの一瞬で私以外の四人を倒したの!?)」

 

そう、私と博麗霊夢以外の者が地に倒れているのである。

 

「くっ!!」

 

弓の弦を引き絞り博麗霊夢に向けて放つ。が、博麗霊夢は両手で受け止めてしまった。

 

その間に、肉体強化の薬を飲む。

 

矢を受け止めている博麗霊夢の背中に移動し足の関節を全力で蹴る。

博麗霊夢は体勢を崩し、矢が顔面へと直撃した。

 

「…………まだ、ね」

 

私の前には何事も無かったかのように佇む博麗霊夢の姿があった。

 

まだ、時間を稼がなければ!!

 

博麗霊夢の顔面に掌底を打ち込み、肩の間節に親指を捻り込み、外側に引っ張る。

ガコンッ そんな音を鳴らし博麗霊夢の肩が外れた。

 

そして、今度は反対側を―――

 

ビュオン!!

 

関節が外れた腕を鞭のように扱い殴りかかってきた。

 

「!!」

 

それを何とかガードし直撃を避ることに成功するが吹き飛ばされた。

 

その時、ボフッ!!と言う音と共に、辺り一面を土煙が覆った。

 

 

 

 

博麗霊夢は八意永琳がいた所に弾幕を放った。

 

ドドドドドッ!!

 

弾幕が連続で何かにぶつかる音がする。

確かな手ごたえ。

 

土煙が晴れていく。

 

そこには、地に伏した八意永琳の姿があった。

 

私は夢想天生を解除する。

 

「うッ!!」

 

吐瀉物と共に大量の血を吐き出す。

霊力が枯渇している。

 

とても危険な状況だがこれで軽を連れて帰れる、そう思うと霊力の枯渇などどうでもよくなった。

 

私は、軽の姿を探した。

 

ケイはすぐに見つかった。

 

私はケイに近付きケイの体を持ち上げた。

 

「……違う……ちがうチガウチガウ!!軽じゃない!!」

 

それは、軽によく似た土の塊。

 

まさか……まさかまさかマサカマサカマサカ!!!

 

藤原妹紅、八意永琳、霧雨魔理沙。

この三人が土の塊だった。

 

そして、こんな藤原妹紅がこんな器用な真似ができるはずが無い。

八意永琳は私と戦っていた。

軽が私から逃げるはずが無い。

 

なら……

 

「よくも……よくもヨクモ……やってクレたワネ……」

 

 

 

「まりサあぁぁアアアァァあああぁ!!!!」

 

 

 




御読みいただき有難うございます!!

レイム強い……
妹紅と魔理沙の描写まで書くと長くなるのでカットです。
要望があれば書くかも?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
温かい目で見守るぐらいなら俺を罵れ!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

壊れかけの心

投稿です!!

そして、お気に入り件数が200件を突破しました!!
皆様本当に有難うございます!!

では、どうぞ!!


妹紅の家に逃げ込んだ私達。

 

私は驚いていた。

 

まさか、夢想天生を使ってくるとは思っていなかった。

 

「皆、無事か?!」

「少し気持ち悪いが大丈夫だ」

「大丈夫よ……それで、一体あれは何かしら。博麗霊夢とよく一緒にいる貴女なら何か知っているのではないのかしら?」

「………知っているとも言えるし、知っていないとも言えるんだぜ………」

 

永琳がジロリッと睨み付けて来る。

 

「どう言う事かしら」

「……私は一度だけ夢想天生を見たことが有る……でも、あんな禍々しいものじゃなかったのぜ……もっと綺麗で、温かくて、優しかったんだぜ……」

「なあ、その夢想天生ってのに弱点はないのか?」

 

弱点……霊夢から聞いた話によると『あの技に弱点なんてない。いや、あってはならない』と言っていた。

 

その話を聞いた私は夢想天生について詳しく調べてみた。

 

夢想天生、初代博麗の巫女の奥義、現在では博麗の最終奥義となっている。

この技は、博麗の巫女が代を重ねるたび強化されていく。

扱える者は博麗の巫女だけであり、二代目の時点で鬼にも勝ると言われた(真偽は定かではない)

 

調べられたとしてもこの程度。

ただ、これだけは言える。

 

「夢想天生に弱点はない」

 

始めて見た時、それは八雲紫との戦闘シーンだった。

 

「あの紫が手も足も出らず一方的にやられていた……私はその戦闘を見たことが有る……」

「じゃあ、私達はあれで手加減をされてたって言うのか!?」

「さっきも言けどな、私が見たのはあんな物じゃない……だから、分からないのぜ……」

「でも、それだけの大技ならリスクが有るものじゃないのかしら?」

「確かに有るちゃ有るんだぜ。でも、それが同じなのかまでは分からないのぜ」

 

永琳は「いいから話なさい」と私を急かした。

 

「夢想天生は霊力が枯渇するまで使い続けないといけない。あの時は一週間は起きなかったのぜ」

「なら、少しの間は大丈夫そうね。博麗霊夢は霊力をあの黒いオーラに喰らい潰しさせてあの黒いオーラの力を増幅させていた感じだったわ」

「あの状況でそんなにわかったのか!?」

 

妹紅が永琳のやっていた事に驚きの声を上げた。

 

だが、私はそれよりも気になることがあった。

軽の口が動いたのだ。

 

『うッ…………あ、れ……』

 

「!起きたのか軽!!」

 

軽の顔を覗き込む。

 

私と目が合った―――瞬間

 

「ひッ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ―――」

 

頭を抱え、体を震えさせ唯ひたすらに謝り始めた。

 

私はどう対処していいか分からずオロオロと動揺するしかなかった。

 

「え?え?ど、どうしたんだ軽?」

 

動揺し軽の肩に手を置こうとする私の手を、永琳が止めた。

 

「今はなにをしても無駄よ。少し時間を置きましょう。まだ、完全に壊れたわけじゃない。まだ間に合うから、ゆっくりと確実に治して行きましょう」

「永琳はともかく魔理沙は少しの間泊まっといたほうがいい。霊夢がお前の家に行くかもしれないからな」

 

私は、妹紅の家に泊めてもらう事となった。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい―――」

 

私には、私達にはただ、見守ることしか出来なかった……




御読みいただき有難うございます!!

軽くんの心が壊れましたね。
さて、あとは………

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
そんな思いは捨てちまえ!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

要望 光VS闇

投稿です!!

戦闘シーンの要望がありましたので書かせていただきました。
視点は妹紅となっています。

では、どうぞ!!


ナイフが飛んでくる。

 

私はそのナイフを手の平(・・・)で受け止める。

 

ナイフが手の平に刺さるがそんなこと知ったことではない。

 

ナイフが刺さった手を地面に叩きつける。

メイドに向かって地面から何本もの炎の柱が襲い掛かる。その光景は地面を炎の蛇が這っているようだ。

 

メイドの攻撃方法は、『時間停止』と『ナイフ』が主体だと魔理沙が言っていた。

 

なら、私は相性がいい。

 

いつの間にか私の手の平に刺さっていたナイフは無くなっていた。

 

なにをしたのかって?

簡単な事だ

 

『蒸発させた』

 

それだけだ。

 

銀の蒸発温度は約千度。

それに比べ私が出せる最高温度は約二千五百度。

 

炎の柱から逃げ延びたメイドの姿を確に―――

 

―――んした。私の周りには大量のナイフが私を取り囲んでいた。

 

「とっ、これは凄いな。でも、私には利かないぞ?」

 

さすがに、すぐには対応は出来ない。

 

ナイフが動き始め、私の体に容赦なく突き刺さる。

 

肉が裂け、血が噴出し、臓物が切れた肉の隙間から飛び出てくる。

 

もし、これが私ではなく唯の人間だったらメイドの勝利で終わっていただろう。

 

だが、残念なことに私はただの人間ではない。

 

私の体を炎が包み込む。

 

傷が癒え、私の体は元通りとなった。服以外は……

 

もちろん、私に刺さっていたナイフも全て蒸発している。

 

「さて、そろそろ終らせるか。天狗が戦闘に参加せず軽を守ってるから霊夢に二人当てれるとはいえ、安全策は取っておいて損はないだろ?」

 

私は両手に炎を出しパンッ!と、手の平同士を打ち付ける。

 

メイドがいた所を炎の壁が襲った。

 

「ありゃ、逃げられたか。霊夢の側に行ったか」

 

手を覆っている炎を巨大化させ霊夢に近付く。

 

そこからは一方的だった。

 

前線の私が相手の視界を奪う。

その間に魔理沙が罠を設置し行動を阻害する。

そして、私達がなにか下手しても永琳が手助けをしてくれる。

 

それに対して霊夢側はむしろ自分達の行動を阻害しあっている。

 

これで負けるほうがおかしい。

 

そう慢心した瞬間、霊夢が黒いオーラを纏い始め―――

 

―――私は地に突っ伏していた。

 

は?

 

体中が痛い。が、血が流れていない。

 

それに、気持ち悪い……

 

なにをしたのか分からないが、内蔵の位置をグチャグチャにされたのだろう。目に見える範囲で状況を確認する。

 

立っているのは永琳だけ。

一番遠くにいた天狗すらも地に伏していた。

 

永琳が薬を飲み接近戦を試みる。

傍から見れば永琳が勝っている様に見えるだろう。私だってそうだった。

 

だが、その考えも直ぐに覆された。

 

私は霊夢を視野の中に入れた。

そこにあった光景を私は絶句した。

 

あの、四季のフラワーマスターこと風見幽香のマスタースパークを真正面から相殺できる永琳の矢を受け止めていたのだ。

それどころか、直撃しても何事も無く立っていた。

 

永琳が霊夢の肩を外し追撃を仕掛ける。それは、肩の外れた腕を鞭のように扱い止められてしまった。

それを受け止めた永琳は軽の近くまで吹き飛ばされた。

 

そして、ボフッという音と共に砂煙が視界を覆った。

誰かが私の体を持ち上げる。魔理沙だ。

 

私は魔理沙に担がれ逃げることとなった。

 

軽は永琳が助けたそうだ。

 




御読みいただき有難うございます!!

妹紅の操れる温度設定は気にしないでいただけると有り難いです。(炭作ってるらしいから少なくとも1,000℃は超えてるはず……)
次回は本編を進ませます。
…………読み返してみると、妹紅が相当なチート性能になってる……

あと、わかる人にはわかると思うのですが、最初の炎の柱はダークソウルネタです。
もっと広がれダークソウルの輪!!(1の方の人口が少なくて寂しいのです(T_T))

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
嫌だね!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

気持ち

投稿です!!

感想が100突破しました!!
ありがとうございます!!

では、どうぞ!!


部屋の隅、そこには膝を抱え震えているアイツの姿があった。

 

「そういえば、魔理沙はアイツの名前を知ってるんだな」

「ん?妹紅は知らないのかぜ?」

「なんか、教えてくれなかった」

 

今思うとどうして教えてもらえなかったのだろう。

 

魔理沙には教えているようだし……

 

「教えてもらう……」

 

チラッとアイツを見る。

 

相変わらず膝を抱え震えているアイツの姿。

 

「……のは無理そうだしなぁ」

「教えようかだぜ?」

「いや、いい。コイツにもなにか事情があったんだろ。コイツが教えてくれるのを待つよ」

 

それから、数分ぐらい経ったころに永琳が帰ってきた。

 

「どうかしら、彼の調子は」

「調子もなにも一向に変化が無いのぜ」

 

永琳はアイツへと近づき、優しい声色で話し掛けた。

 

「どう?少し落ち着いたかしら?」

 

アイツは一瞬ビクッとなるが、それ以上の反応を見せなかった。

 

「ご飯を持って来たのだけれど、食べられるかしら?」

「…………ご……はん……?」

 

アイツはご飯という単語に反応した。

 

「そう、ご飯。食べられる?」

「………ご……はん……」

 

 

「……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、ぜんぶたべるから、のこさずたべるから、いたくしないでくださいごめんなさいごめんなさい―――」

 

「軽!?」

「…………酷だけど今のところはこれで行くしかないわね」

「なんでわざと軽を追い詰めるような事しないといけないのかだぜ!?」

 

永琳は「場所を移すわよ」と言って私達を外へと連れだした。

 

日は沈み、月明かりが外の闇を照らしていた。

 

「彼、軽っていうのかしら?私達の中で軽君の事を詳しく知っている者はいるのかしら?」

 

魔理沙が黙り込む。

 

「いないでしょ?今、彼が一番反応すると思われる単語は、博麗霊夢、真っ白な狼の娘、メイド、十六夜咲夜だったかしら?そしてさっきのご飯。まず博麗は却下。次に狼さんとメイドだけど……これはなんとも言えないわね。後々反応を見ていきましょう。で、最後に残るのがご飯。私たちはね軽君の事をなにも知らないのよ。親しい者だったらもう少しどうにかできるのでしょうけどね」

 

確かに、私はアイツの事をまったく知らない。

 

寺子屋で何度か一緒に飯を食べたりはしたが、それだけだ。

 

その時、慧音が息を切らせて走ってきているのが見えた。

 

「妹紅!!彼が帰ってきていないんだ!!何か知らないか!?」

 

慧音は凄い形相で私の胸ぐらを掴み問い詰めてくる。

 

「慧音落ち着け!!アイツなら一応無事だ!!」

「一応?どういう事だ!!なにがあった!!」

「それも後で教えるから!!この手を離してくれ!!息苦しい!!」

「す、すまない……」

 

慧音が手を離す。

 

そういえば……慧音はアイツの事をどう思っているのだろうか……

 

「取り合えず中に入ろう。説明も中でするから」

 

慧音を家の中へと促す。

 

慧音はアイツの姿を確認した瞬間、目に涙を溜めアイツへと抱きついた。

 

「君……!!心配したんだぞ?」

 

私は、今のアイツだったら、慧音の事を拒絶すると思っていた。

 

だが、その予想は裏切られる形となる。

 

アイツは、慧音を拒絶することなく、受け入れていた。

 

私の中をもやもやとした物が覆い尽くした。

 

 

―――慧音は私達の希望となった―――

 

 

―――唯のすれ違いだった―――

 

 

―――だが、そのすれ違いが―――

 

 

―――軽に絶望を与えることなる―――

 

 

―――ほんの小さなすれ違いで―――

 

 

―――私が、お酒なんかを進めたが為に―――




御読みいただき有難うございます!!

いやぁ、無理やり感が酷いですね。
最初の方のまとめ方が思いつかなかったや……

前回のもみじが触れられなかったのがちょっと悲しかったり……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
俺は罵られたいんだ!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

気付いた気持ち

投稿です!!

では、どうぞ!!


……落ち着く……心の中がポカポカする……

 

……暗いのに……温かい……

 

……嫌だ……一人にしないで……

 

―――大丈夫だ……どこにも行かないから、もう、君を一人になんてしない―――

 

 

 

 

「……寝てしまったようだな」

 

私の腕の中には安心しきった顔で寝ている彼の姿があった。

 

「それで、一体なにがあったんだ」

「信じられないと思うけど……」

 

博麗霊夢、博麗の巫女が私情のためだけに夢想天生を使った……

 

「にわかには信じられないが……妹紅が言うのならそうなのだろう」

「簡単に信じるんだな」

「こんな所でいがみ合っても意味が無いからな」

 

私は彼の頭を撫で、こう言った。

 

「さあ、ご飯にしようか」

「気楽だな」

「まあ、いいんじゃないかしら?」

「腹が減ってはなんとやら、だぜ!」

 

私はもう一度、彼の頭を撫でた。

 

 

 

 

いやだ……くる……アイツが……

 

いやだ……くるな……くるな……

 

 

走る、走る、何も無い真っ暗な世界を

 

逃げる、逃げる、あの暗闇から

 

走る、走る、見えない光を探して

 

逃げる、逃げる、あの温かい光を探して

 

ただ、がむしゃらに

 

 

『……ニガサナイヨ?』

 

 

後ろから声がする。

 

いやだ、もう俺はあんなところには居たくない!!

 

そんな悲痛な叫びも……

 

 

『ツゥカマァエタァー』

 

 

意味を……成さなかった……

 

 

 

 

「大丈夫か!!君!!君!!」

 

私達が晩御飯の準備を終らせ部屋に戻ってくると、そこには顔を青くし布団の中で苦しそうに身を捩っている彼の姿があった。

 

彼の口から小さく声が漏れた。

 

「………クライ……イヤダ、ヒトリハイヤダ………」

「大丈夫だぞ!!私はここにいる!!」

 

彼の手を握り声を掛ける。

 

頼む……!!帰ってきてくれ……!!

 

だが、現実はそんなに甘い物ではなかった。

 

「お願いだ……戻ってきてくれ……」

 

 

 

 

あの暗い部屋で、ガチャリと音がした。

 

外に出る。そこは、暗い、暗い、闇の中。

 

闇の中を一人で歩く。

 

 

寒くて、冷たい。

 

心細くて、寂しい。

 

頼るものが無くて、

 

助けてくれる者が……

 

 

 

……居た。

 

 

 

見えないけど、分かる。

 

分からないけど、感じられる。

 

あの時に感じた、あの温もり……

 

手を伸ばす……手を伸ばす……手を伸ばす……

 

 

すがり付くように、手を伸ばす。

 

 

 そこには――――――

 

 

俺の手を握り締め眠っている女性の姿。

 

その寝顔にそっと手を伸ばし、彼女の頬に触れる。

 

 

手に感じられるその温もりが、嬉しかった

 

手に感じられる自分の生が、嬉しかった

 

手に感じられる彼女の生が、嬉しかった

 

 

心臓の脈が速くなりバクバクと音を鳴らす。

 

だが、どこか心地の良い音。

 

そして、気付いた。

 

俺は、『恋』をしたのだと。

 

上白沢慧音に『恋』をしたのだと。

 

その日、俺は―――

 

―――人生で最初の恋、『初恋』をした―――




御読みいただき有難うございます!!

はい、というわけでけーね先生のポジションは軽の初恋の相手でした!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
お前らは、いい加減にしろ!!(ゲンコツ×3)

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

END 1 行き過ぎた考え

投稿です。

では、どうぞ。


あの日、俺は恋をした。

 

あれから、六日。

 

平和な日々だった。

 

妹紅の話によるとあの女が次来る可能性があるのは明日らしい。

 

だから今日、俺は、上白沢さんに告白する!!

 

 

 

 

「……ん」

 

バッと上白沢の顔から手を離す。

 

目が合う。

 

「……起きたのか。君」

 

上白沢は「少し待っておけ」と言って部屋を出て行った。

 

少しして上白沢が部屋へと戻ってきた。

 

「お腹空いただろう?ほら、握り飯だ」

 

上白沢が持って来たのは綺麗な形をしたおにぎりだった。

 

一つを受け取り口へと運ぶ。

 

二つ、三つ、四つ

 

気が付けば全部食べてしまっていた。

 

 

次の日、俺と上白沢さんは寺子屋へと帰ってきた。

 

俺は上白沢さんにお願いし、仕事を手伝わせてもらった。

 

とは言っても資料の整理を手伝っただけだが……

 

それでも、好きな人の笑顔が見られただけで俺は満足だった。

 

 

「……なあ君、そろそろ名前を教えてくれてもいいのではないか?」

 

俺達が寺子屋に帰ってきてから四日目のことだった。

 

上白沢さんが唐突にそう言ってきた。

 

「え?」

「いやなに、一ヶ月も一緒に住んでいると言うのに君の名前を知らないと思ってな」

「……えっと、もう少し待って貰ってもいいですか」

 

上白沢さん「そうか」と言って悲しそうな笑顔を浮かべた。

 

うぐぉーー!!胸が痛い!!

 

 

そして、今日。

 

妹紅が持って来た山菜と肉で鍋を作り、つつきあっている。

 

「ちょっとお手洗いに行ってきますね」

 

俺は二人に言い残し、部屋を出た。

 

行く先は上白沢さんの部屋。

 

直接言う勇気が無い俺は、手紙、ラブレターを書き上白沢さんの部屋に置いておこうと思う。

 

 

一緒に住んでいるのだから口で言えばいいじゃないか。と、笑うのだろうか。それとも呆れられるのだろうか。

 

 

だが、これだけは分かる。

 

俺は、振られるだろうと。

 

 

 

 

アイツが出て行ったあと、私は慧音にアイツについて質問していた。

 

「そう言えば、今日上等な酒を貰ってたんだった。一緒に飲まないか?」

 

だが、慧音は宴会でもない限り酒を口にすることは無い。

 

だから、私は酒の入った私の湯飲みと慧音の湯飲みを入れ替えた。

 

慧音は酒を飲むと本心を大きくして言うようになる。

それを知ってなお無理やり酒を飲ませた。

 

下手したら私は嫌われるかもしれない。

 

それだけのことをして、知りたいことがあったから。

 

「私は水かお茶で大丈夫だ」

 

そう言って、すりかえられた湯飲みの中身を一気に飲み干す。

 

慧音の頬が赤くなる。

 

飲ませた酒は、鬼すらも酔ってしまうと言われる鬼殺し。

 

「……なあ、慧音?」

「なんだぁ?」

 

心臓の音が大きくなっていく。

 

「お、お前はアイツのことをどう「あんなやつの話しなんかするな妹紅!!」へ?」

「今は私と二人っきりなんだあんな屑の話なんかするな!!大体なんなんだアイツは―――」

 

慧音の動き始めた口は留まることを知らずアイツへの罵詈雑言が並べ立てられた。

 

「あんな奴さえいなければ!!私があんな奴を助けなければ!!全部狂わずにすんだんだ!!アイツをあそこで見殺しにしておけばよかったんだ!!」

 

ばしゃ!

 

湯飲みに入っていた水を慧音の顔にかける。

 

「落ち着いたか?」

「…………スマン……だが、妹紅、後で説教だ」

 

 

 

 

『―――助けなければ!!全部狂わずにすんだんだ!!アイツをあそこで見殺しにしておけばよかったんだ!!』

 

熱い物が頬をなぞる。

 

分かってはいた。上白沢さんが好きなのは俺ではない。

 

 

妹紅なのだと。

 

 

分かっていたのだ……

 

でも、ここまで嫌われていたとは思っていなかった……

 

扉から後ずさり、玄関へと向かう。

 

 

 

 

彼の心はズタボロだった。

 

友人の死

信頼していた者への疑心暗鬼

家族からの裏切り

 

そして、アノ女への恐怖心

 

 

一度崩れかけたのが戻ったのは一種の奇跡だった。

 

でも、完全に戻ったわけではない。

 

穴が空いているのを少しずつ埋めて行っている状態だった。

 

 

彼は人里の端に有る廃墟の中に居た。

 

 

「……俺が……俺が……狂わせ……た?」

 

 

そこで、彼は思いつく。

 

自分も、周りも、もう誰もが狂わずにすむ間違った方法を……

 

 

「……そうか……そうだ、そうだよ……」

 

 

手に持っているのは、ガラスの破片。小さいが鋭く人の肉ぐらいなら簡単に切り裂けそうなガラスの破片。

 

それを、首筋まで持って行き―――

 

 

「俺が死ねばいいだけじゃないか」

 

 

首から噴水のように血が噴出す。

 

 

 

彼を狂わせた。最後の要因は……

 

 

……愛する者からの裏切り……

 

 

 

 

彼が帰ってくるのが遅く、二人は家の中を探した。

玄関は開かれており、外行ったのはすぐに分かった。

 

そして、彼女たちは見ることとなった。

 

 

血溜まりの中で死に絶えた彼の姿を。

 

 

 

『上白沢 慧音 様

 

  えっと、こういうのを書くの始めてなのでさっそく本題に入ります。

  俺、逃特軽は上白沢慧音のことが好きです。

  お返事待っています。

 

                             逃特 軽』

  

後日、この事は幻想郷全体に知れ渡る事となった。

彼に好意を寄せていた者がどうなったかは、ご想像にお任せしよう。

 

 

  BAD END 1

 

   聞けない返事 END




御読みいただき有難うございます。

大分はっしょってしまいました。
と言うわけで、軽くんが死にました。
次回からEND2に向けて書いていこうと思います。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

後日談 妖怪の山 紅魔館 編

投稿です!!

では、どうぞ!!


今から逃特軽の死んだ後の話をしていこう。いわゆる後日談というものだ。

 

まずは、妖怪の山でも見ていこうか。

 

ちなみにだが、今回の件を広めたのは射命丸文と河城にとりの二人だ。

 

彼女達は、逃特軽との関係は薄いものだ。

特に射命丸文としてはいつもと変わらぬ一つのスクープだったのだろう。

 

それでも、顔見知りともあってその新聞への力の入り具合は一目瞭然だった。

 

現に、その新聞は今までの新聞より圧倒的に売れた部数が多かったそうだ。

 

 

次に、逃特軽に思いを馳せていた一人、犬走椛に触れていこうと思う。

 

上記二人にくらべ、犬走椛の変化は酷いものだった。

 

それこそ、上から精神の安定を図れるまで仕事を休むのを強要されるほどには。

 

「いや、いやぁあアア!!軽!軽ィィイイイイ!!」

 

ほら、始まった。

 

今犬走椛は家の中を駆けずり回り目に付く物を片っ端から壊していっている。

 

お、射命丸文に捕まったな。

 

犬走椛を止めに来た射命丸文に牙を立てる犬走椛。

 

よく見ると、射命丸文の体には沢山の傷跡が有る。

はてさて、一体なにが原因なのやら……

 

さて、次の場所にむかうとしよう。

 

「もう、もうやめて……いつもの貴女に戻ってよ……椛……」

 

 

次は、今のところ、と言うより殆ど回復しきっている紅魔館だ。

 

薄情者共め!!と言いながら全力で潰したい所だが……これでは、彼女達の怒りを無下にしてしまうから自重するとしよう。

 

彼女達とは誰かだって?逃特軽を助けた二人、と言えば伝わるだろうか?

 

そう、フランドール・スカーレットと紅美鈴の二人だ。

 

フランドールが泣きじゃくりそれを見た紅美鈴が怒り狂った。

 

その頃はまだレミリア・スカーレット、パチュリー・ノーレッジ、小悪魔、十六夜咲夜、共に絶望のどん底に落ちていた。パチュリーだけはあんまり気にしていない様子だったが。

 

小悪魔は部屋に篭り、唯ひたすらに逃特軽の名前を呼んでいた。

 

十六夜咲夜は自殺しようとしたのを何度も妖精メイドに止められていた。そして止めた妖精メイドは理不尽にも半殺し、もしくは本当に……といった状態だった。

 

レミリアは重度の幻覚に陥っていた。生命体だろうと、無機物だろうと、それが逃特軽に見えているようだった。そして、逃特軽ではないと気がついた瞬間にそれを壊していたな。

 

そして、ある日フランドールが紅美鈴に泣きついたのだ。

 

それに、怒り狂った紅美鈴がレミリア達を半殺しまで追い込んだのだ。まあ、あれだ、人里の寺子屋に着く直前の逃特軽を思い出してもらえば分かりやすいだろう。

 

それ以来、紅魔館の住人達は多少暴れることはあれど、まあ、ましにはなったであろう。

 

 

 

「守れなくてごめんね……お兄さん……ごめんね……大好きだよ……今……そっちに行くからね……」

「私も一緒についていきますよ、妹様。後の事はお嬢様にも言っているので事後処理はやってくれるはずです」

 

 

 

今、二人いなくなってしまったが………まあ、意味が無いとだけ言っておこう。

 

 




御読みいただき有難うございます!!

描写が少ない気もしますが……許してください。いや、ほんと……安っぽくしないために頑張ったんですよ?結果がこれですが……

次回は、原因となった上白沢慧音他数名と博麗霊夢の話となります。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
キャー先輩のエッチー!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

後日談 寺子屋 顛末 編

投稿です!!

後日談はこれで完結となります。
これ以上やったら本編に影響が出てくるんや……

では、どうぞ!!


さて、紅魔館のお次は…………寺子屋でも見ていこうか。

 

間が空いたのはさっきまで永遠亭を除いていたのだが……なんにも変わっていなかった……

言っていた言葉によると『医者がそんなことでいちいち落ち込んでいたら救える命も救えなくなる』だそうだ。

 

まあ、それは置いといて、寺子屋を見ていこう。

 

……おおう、これは酷いな。

 

今寺子屋を覗いているのだが、上白沢慧音が一切の抵抗をせず霊夢に蹂躙されてるな。

 

まあ、唯一の救いは生徒が既に帰っていることぐらいか。

 

にしても……上白沢慧音はなぜ抵抗をしないのか。

彼女の実力ならば倒すことは出来ずとも、追い返すことぐらいできるだろうに。

 

まあ、答えは彼女が呟いているのだが……

 

「軽が受けた苦しみは……こんなものじゃ……」

 

まったく……虫酸が走る……!!そんな綺麗事を並べて私は善人とでも言いたいのか!?

私もそこに加わってお前を殺してやろうか!!?

 

……すまない。すこし取り乱した。

 

さて、さっき殺してやろうか、と言ったがどうやら私が出る幕はなかったようだ。

 

「死ね」

 

これは、まあ見事に貫通しているな。

しかも、ご丁寧?に心臓を抉りとっている。

 

上白沢慧音が絶命したのを知らない藤原妹紅の家に行ってみよう。

 

霊夢は放っておいても良いのかって?

大丈夫だ。霊夢も此方側の存在だからな。

 

 

さて、藤原妹紅宅へと着いた。

 

……普通に落ち込んでいるだけだな。

今までの奴らがあれだったから感覚がおかしくなっている気がするぞ……

 

おっと、藤原妹紅が家を出た。方角てきに……寺子屋か……これはまた、面白くなってきたな……

 

もちろん後を着けることにする。

 

 

「え?は?なんの冗談だよ?なあ、慧音?」

 

どうやら親友の死を受け入れられないようだ。

 

「え?うそ……だよな?慧音、起きろよまだ寝るには早いぞ?なあ、慧音!!!」

 

まったく……一目見れば解るだろうに……

 

胸に穴が開いて心臓を抉りとられているんだぞ?お前のように不老不死でもない限り死なないわけがないだろう?

 

まあ、聞こえていないから意味がないのだがな。

 

「いや、いやいやイヤイヤイヤァアアアア!!!!!!」

 

ふむ……わりと早くに壊れてしまったな……

 

少なくとも一千年は生きているはずだからもう少しは持つと持ったのだが……

 

「帰ったわよ」

「おお、お帰りだ霊夢」

 

霊夢は私の後ろにある物を見て睨んできた。

 

「覗き見?趣味悪いわね」

「いや、なに記憶がないとはいえ、ことの顛末を見せてやろうとな」

「ふーん。まあ、いいわ。私はあの屑を殺せてスッキリしたし、魔理沙も此方側に入ってくれたし」

 

霊夢はイイ笑顔でそう答えた。

 

「それはそうと、お腹減った」

「ふふ、機嫌が良いし……今日だけだぞ?ほら、魔理沙達も呼んでこい」

「はーい」

「それじゃあ、一緒に作るとするか。なあーーー」

 

『軽』

 

 

『はい!』

 

『藍様!!』

 

 




お読みいただき有難うございます!!

八雲一家、主人公組の勝利!!

それと、諸事情によりしばらくの間投稿が出来ません。7月と8月はまだマシですが、それ以降は本格的に投稿できなくなると思います。活動報告にも書いております。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ハイハイ黙ろうな~

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

落ちた先に待つものは

投稿です!!

時間軸は、軽くんが寺子屋から出て、廃墟で死ねずにその廃墟を出たところです。

では、どうぞ!!


死のうとした……だが、死ねなかった……死ぬのが怖い……

 

トボトボと歩を進める。

 

何処に向かっているのか……自分でもわからない。

 

ただ、あの場所から離れたい。その一心で歩き続けた。

 

もういっその事妖怪に食べられたほうが楽なのかもしれない。

 

気が付けば森の中を歩いていた。

 

一体人里からどのくらい離れているのだろうか……

 

もう、戻れない、戻るつもりもない場所に思いを馳せながら歩を進める。

 

歩を進めた先には、月明かりが降り注ぐ開けた場所があった。

 

そして、底の見ることが出来ない大きな穴があった。

 

死ぬには……ちょうどいいか……な……

 

足が震え、歩を進めるのを拒む。

 

あとは、足の力を抜けば死ねる……でも、その簡単な一工程が出来ずにいた。

 

その時、肩を掴まれ凄い力で後ろに引っ張られた。

 

咳き込む俺の前にいたのは一人の女性だった。

 

怪我でもしているのか、右腕全体を包帯で巻いている。

 

『何をしているのですか!!この先は人間が行って良いような場所ではありません!!今すぐ引き返しなさい!!』

「………帰る場所?……んなもんありゃとっくに帰ってるわ!!てめぇになにが分かる!!分かるはずがねえよなぁ!?あんたは善意で俺にそんなことを言ってるのかもしれないがな……それで追い詰められる奴が居るのも考えやがれ!!」

 

肩で息をしているのが分かる。

 

ああ、最低だな俺……全く関係もない人にキレるなんて……こんな奴嫌われて当然だ……

 

「……すまん……言い過ぎた……関係のないあんたに言っても……意味……ないよな……」

『い、いえ。私も考えなしに発言してしまいましたね。すいませんでした』

 

だが、おかげで考えがまとまった。いや、諦めた。のほうが正しいか。

 

俺は立ち上がり大きな穴の縁にへと立った。

 

「お姉さん……見ず知らずの俺の願いを一つだけ聞いてくれないか?」

『突き落とせ。意外なら常識の範囲で聞いてあげますよ。だから、そこから離れなさい』

「ありがとう。だったら、俺を応援、してくれないか?」

『応援?えっと、頑張ってくださ、い?』

 

お姉さんはぎこちなく首を傾げながらも俺を応援してくれた。

 

それは、心もなにも篭っていない、ただ言っただけの言葉。

 

だが、俺にはそれで十ニ分すぎた。

 

「ありがとうお姉さん」

 

不思議と震えは止まっていた。

 

だが、この恐怖心が無くなった訳ではない。

 

両手を伸ばす。

 

「ごめんなさい」

 

足から力を抜き、穴へと落下していく。

 

どうか……せめて痛みが無いまま死にたいものだ……

 

 

 

 

『ごめんなさい』

 

その言葉と共に男は穴へと身を投げた。

 

手を伸ばすも彼の足を掴む事も叶わなかった。

 

その代わり私の手に握られていた物。

 

「……謝る位なら、泣かないで欲しいものです……」

 

私は、手に残る湿った物を握り締め、その場を去った。

 

 

 

 

逃特軽が身を投げた先。

そこは、忌み嫌われた者たちが集う場所。

 

『地底』

 

逃特軽は深い深い穴の中を落ちていく―――

 

―――狂い、狂わせるために堕ちていく―――

 

―――彼が願わずとも、彼と周りは堕ちていく―――




御読みいただき有難うございます!!

出てきたのはあの人です。今後出るかどうかは分かりません。
そして、ついに地底へと突入です!!
軽くんは生きていられるのか!?

活動報告にてEND1の後日談についてのアンケートを取っています。よろしければコメントお願いします。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
そして、先輩にゲンコツを貰いちゃるもんの日常1は終わりを迎えたのだった(リアルであるから困る)

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゆっくりと 着実に

投稿です!!

PS Vita で今書いているのですが案外行けるものですね♪

ただ、誤字脱字が酷いですが……

では、どうぞ!!


『いやぁ、さっきのには驚いたね~』

 

暗い洞窟の中で女は一人呟いた。

 

女の手には一本の糸が持たれている。

 

『まさか、落ちている人間に糸を引っ掛けようとしたら溶けちゃうとは……』

 

女は溶けた糸に先を見ながら肩を落とした。

 

『まさか、博麗の巫女でもないのにあんな濃度の濃い力を持っているとはねぇ……まあ、気にしてもしょうがないか。仕事いこ』

 

女まだ知らない。

 

その人間が自分達の住みかを狂わせることを―――

 

―――自分がその人間を―――

 

 

 

 

「グギャ!!」

 

逃特軽は奇跡的に(・・・・)助かっていた。

 

だが、無傷とまではいかず。着地したさいに左腕が折れてしまったようだ。

 

「……もう……自分でも死ねないのかよ……」

 

彼は折れた左腕を見ながら小さく呟いた。

 

そこに籠められているのは、怒りか、はたまた哀しみか……

 

 

何はともあれ行動を起こさないとな。

 

死ぬために行動するってのも可笑しな話だけど。

 

近くにある川を目印に歩いていく。

 

数十分歩いたところで賑やかな声が聞こえてきた。

 

声のする方へと歩を進める。その先には大きな町があった。

 

「こんな地下にも町ってあるんだな」

 

とにかく、どこか独りなれるとこはないのかと、辺りを見回す。

 

周りはいわゆる荒野というやつで水分もこの川しかない。

 

なら、この辺りで水だけ口にしていたら勝手に死ぬだろう。

 

死ぬのが怖い、けれど死にたい……そんな俺が取れた行動はそれだけだった。

 

 

 

―――ここで、俺が潔く死んでいればあんな事にはならなかったのに―――

 

 

 

『人間?一体こんなところで何をしているのかしら?』

 

不意に声がかかった。

 

声を掛けてきたのは耳が尖った女性。一目で妖怪だと分かった。

 

「ただの死に損ないだ……気にしないでくれ……その内勝手に屍になってるだろうさ……」

『助かった命を無駄にするなんて……妬ましいわね……!!』

「なんならアンタが俺を殺してくれよ……なあ……殺してくれよ!!もう疲れたんだよ……!」

『ふーん ならお望み通り殺してあげる』

 

鈍い一撃が入った。

 

 

 

 

人間の体が宙に浮き轟音と共に岩に激突した。

 

今更だけど自分の願いが叶ったのよね?まったく、妬ましい!!

 

手に付いた血を舐めとる。

 

どこにでもいる、懐かしい人間の味。最後に食べたは何時だったか。

 

これが私以外の妖怪なら嬉々としてその肉体へと牙を立てるのだろうが、生憎と私はあまり人間の味が好きではない。

 

まあ、どちらにせよすでに死んでいるのだし気にすることでもないか。

 

 

次の日、私は驚くこととなった。

あの人間が、ボロボロのまま生きている姿を見ることとなるから。

 

 

そして、その姿を見たときに、昔の自分と照らし合わせてしまった故に―――

 

―――私は彼に思いを寄せる事となった―――

 

 

 

 

 

 

―――こうして狂っていく―――

 

―――上も下も―――

 

―――ゆっくりと、着実に―――

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

パルパルが落ちました。
ヤマメが出ると思ったあなた。残念トリックだよ。(使い方合ってるのかな?)

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いしましす。
流された!?うう、先輩も強くなって……わたしゃあ嬉しいよ!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

横取り

投稿です!!

三日に一話とはなんだったのか(~_~;)
でも、書けるからいいよね!!日課になってるし!!

では、どうぞ!!


一日が過ぎ、二日が過ぎ、一週間、そして今日彼がここに来て二週間と三日が過ぎた。

 

その姿はあまりにも酷く、痩せ細り少しぶつかっただけで壊れてしまいそうなほどだ。

それこそ、気味悪がって他の妖怪が近付かないほどに。

 

私とて惚れた相手が苦しんでいるのになにもしなかったわけじゃない。

 

ご飯を持ってきた。

布団を用意した。

外は危ないからと家に連れていった。

その他にも彼の為だと思っていろんな事をした。

 

でも、彼はなにも喋らず、起こす行動と言えば水を犬のように飲むだけ。

家に連れていっても、次の日にはあの川の近くで座っている。

 

一体、彼の身に何があったのか……

 

私には知ることも出来ない。

 

でも、せめて、彼の近くにいよう。

裏切られた者の辛さは、裏切られた者にしか分からない。

 

私が彼の理解者になろう。

 

『コイツがその人間ねぇ、随分と弱りきってるじゃないか』

 

 

 

 

何時もは聞き流す噂。

 

でも、その噂のなかに私の興味を引くものがあった。

 

曰く、死なない人間だと

曰く、死にたがりの人間だと

曰く、妖力を持つ人間だと

   曰く、曰く、曰く…………

 

人間……昔、私たちをその知恵で倒して見せた人間。

不意討ちや毒殺、一対多。今思えば至極当然な対応の仕方だ。まあ、それは置いといて。

 

今はその人間だ。一体どんな方法でその身を治しているのか。

 

それに、その人間にパルスィの奴がずっと付きまとってる?

 

それはそれは……弄りがいがある話じゃないか。

 

私は早速その噂となっている人間の元へと向かった。

 

 

「コイツがその人間ねぇ、随分と弱りきってるじゃないか」

 

体は痩せ細り、ほとんどが皮と骨。

 

こいつは人間の子供でも簡単に折れるんじゃないか?

 

「な、なんで勇儀が……!?貴女も彼を殺しに来たの!?」

 

パルスィが人間を守るように抱きしめる。

 

どうやら本当に惚れているらしい。

 

「安心しな。別に何にもしないよ」

「……嘘だったら首だけになってもその喉笛を噛み千切るから覚悟しときなさい」

「何もしないって言ってるだろうに……」

 

にしても、だ。

 

この人間あと少しで死ぬだろうが、パルシィは何か策でも取っているのだろうか?

 

まあ、この様子だと取っていないんだろうな……

 

まったく、友人のために一肌脱ぐとしますかね。

 

私は人間とパルスィの体を持ち上げた。

 

見れば見るほど、触れれば触れるほど人間臭いねぇ。

 

「え!?ちょと勇儀!?」

「私の家を貸してやる。逃がさないように頑張れよ?じゃないと私が横取りするかもな」

 

私の言った意味が分かったのか、パルスィの顔が赤くなった。

 

「な、ななななに言ってるのよ貴女は!!!彼は私のものなんだから!!」

「おーおー大胆な発言だねぇ」

「うるさいー!!!」

 

あっはっはと笑い飛ばす。

 

 

 

―――でも、まさか本当に、ねぇ?―――

 

―――パルスィには悪いけどさ―――

 

 

 




お読みいただき有り難うございます!!

時間が飛びすぎ?何時もの事じゃあないですかーナニヲイマサラ(-_-)
勇義フラグが立ったよ!!ヤッタネ!!心労が増えるよ!!ヤッタネ!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
お前は俺の母親か!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

分からない

投稿です!!

有りそうで無かったサブタイトル。
自分で決めてるのにね……気付かなかったよ……

では、どうぞ!!


『うッ……!!』

 

こんな状態なのは久しぶりに視た。

 

手で口を塞ぎ、戻ってきたものを押し戻す。

 

私が視たものはなにも無い世界で、死への恐怖と死への願望が垂れ流れてくる。

 

 『()』  

 

の、世界だった。

 

 

 

 

あの人間が家に来てまだ三日。

 

そりに反し逃げ出した回数は両手の指じゃあ足りなくなってしまった。

 

逃げ出す度に連れ戻す。それの繰り返し。

 

今では、私とパルスィでずっと監視する始末。

 

にしても、パルスィはこんな奴の何処が気に入ったのだろうか?

 

見た目は……多分普通。

背中の傷は酷いものだったが、強者なら背中に傷なんぞ付けない。

……分からん……

 

そんな物思いに耽っていると、パルスィが思いもよらない言葉を口にした。

 

「ねえ、勇儀。貴女確か地霊殿に顔利いたわよね?」

「まあ、利くけど。いきなりどうした?」

「なら、頼みが有るんだけど……地霊殿の主に彼の心を覗いて貰えるように頼んでくれないかしら」

 

地霊殿の主は覚妖怪。生物の心を読む事が出来る妖怪だ。

心が読める。すなわち、意図せずして相手の弱味に漬け込むことが出来る。それ故に意味嫌われ地底へとやって来た妖怪。

そして、地底でも嫌われている妖怪である。

 

「私は構わんが……良いのか?」

 

パルスィが言っているのは、人間の心を勝手に読んで手駒にでもしてください。と言っているようなもである。

まあ、この人間がそこまでの弱味を持っていたららの話だが。

 

「嫌われてもいい。この身を売り捌かれてもいい。彼を助けられるのなら」

 

まあ、折角助けたのに死なれても後味が悪いし。空回りしている友人のためにも動きますかね。

 

私は重たい腰を持ち上げ、地霊殿へと向かった。

 

 

『まったく、それでこの奥にいるのですか?そのようですね。では、行ってきますので』

 

そう言って、覚妖怪は部屋の奥へと入っていった。

 

 

 

 

まったく……なぜ私が……

 

部屋の奥へと進んでいく。そこには、虚ろな目で天井を見上げている人間がいた。

 

さっさと終わらせて帰りましょう。

 

胸元に有る三つ目の眼を人間へと向ける。

 

人間の記憶が私の脳へと入ってくる。

 

外界でに親しい者の死。

博麗神社での監禁。

妖怪の山での後ろめたさ。

紅魔館での裏切り。

寺子屋での失恋。

 

そして、合間合間に入ってくる痛みや感情。

 

そして、心の奥底には 『()』 があった。

 

頭の中には死から来る恐怖と死への願望がぐちゃぐちゃと混ざりあっている。

 

「うッ……!!」

 

口を塞ぎ喉の奥から戻ってくるものを押し戻す。

 

なんなんだ、この人間は……

 

そんな思考がグルグルと頭の中を支配する。

 

なんで、こんな状況で心が壊れていない。

 

九回 この人間が精神的に壊れそうになった回数。

六回 この人間が肉体的に壊れそうになった回数。

 

なんで、これで生きていられるのか……

なんで、これほどまでに生にすがり付くのか……

 

私には分からなかった……

 

私には―――

 

 

―――ワカラナイ―――

 

 

彼の事をもっと知りたい。

 

もっともっとモットモットモット――――

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

さとりん参戦!!
本当ね……よくここまで生き抜いてくれたよ……軽くん……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
は?なに言ってるんですか先輩?頭大丈夫ですか?

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

助けて

投稿です!!

ちょっと説明回みたいになってます。

では、どうぞ!!


あの日以来、覚妖怪が出入りするようになった。

 

最初はあんなに嫌がっていたってのに、一体なにがあったのか……

 

「にしても、私の背中に乗っているやつはなにがしたいのかね?なあ、お嬢さんや?」

「んー?さあ?」

「さあ?って自分の事だろうに……お姉ちゃんの様子でも見に来たのか?」

「そうだよー最近お姉ちゃんが外に出るようになったから、なにが原因なのかなーって」

 

私の背中に乗っているのは、覚妖怪、古明地さとりの妹古明地こいしだ。

 

「でも、着いてきて失敗だったかなー」

「ん?そりゃまたなんで?」

「だって、お姉ちゃんがまた勘違いしてるみたいだからね」

 

勘違い?一体なにを勘違いしているのだろうか。

 

「鬼のお姉さんは私の能力の事知ってるよね?」

「あー無意識を操るんだったか?」

「そ。無意識を操る程度の能力」

 

無意識を操る程度の能力。その名の通り、無意識を操る事が出来る力だ。

確か、心を閉じたが故に発生した能力で、自身も無意識に行動しているんだったか。

 

「それがどうかしたのか?」

「なら、無意識ってなんだと思う?」

 

無意識が何か?考えるのはあんまり得意じゃないんだが……

 

要は意識をせずいつの間にか体が動いていた……?

こんな所か?

 

そう、古明地こいしに言った。

 

「半分正解……かな」

「半分か……」

「無意識ってのはね、意識しているのと同じなの」

 

意識している状態と同じ?

 

「そ。例えば、水を飲みたいから、水を飲む。これは意識して水を飲んでるよね?」

「ああ」

「でも、お姉さんが言ってるのは、いつの間にか水を飲んでいた。これって何かの意味があるのかな?」

「意味が無いから無意識なんじゃないのか?」

「ううん。無意識ってのは、水を飲みたい。いつの間にか水を飲んでいた。~をしたい。いつの間にかそうなっていた。これが本当の無意識。私が実際経験してるから本当だよ?」

 

まあ、無意識を操る程度の能力を持っているやつがそう言うならそうなんだろうが……

 

「その話と、お前のお姉ちゃんと勘違いになんの関係が?」

「お姉ちゃんは今、どうしてこんなに強くあれるのか、どうして生きようとするのか。そんな事を考えてるんじゃないかな?でも、世界から目をそらしたものは強い訳じゃない、生きようとしている訳じゃない。ただ、怯えて、恐れて、逃げ続けてるだけなんだよ」

 

古明地こいしは悲しそうな声で呟いた。

 

「お姉ちゃんはね、私が心を閉ざしたとき、私から離れていった。自分に負い目を感じてたんだろうけど……ね。だから、私は一人になった。独りに……そして、今お姉ちゃんがしようとしてるのはその逆」

 

逆……

 

「私は、お姉ちゃんが私のようになってほしくない。だから、力を貸して……間に合わなくなる前に……お姉ちゃんも、お兄さんも壊れてしまう前に……お願い……」

 

私は涙声になって、私の肩に顔を埋めている古明地こいしの頭を撫でた。

 

そして、こう言った。

 

「まかせな」

 

と。

 

 

 

―――そして、逃特軽は壊れることなく元に戻る事となる―――

 

―――古明地さとりも壊れることはなかった―――

 

―――でも、それはもう少し先のお話―――

 

 

 

―――だが、その時には全てが遅すぎた―――

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

本編での無意識への考えは作者が勝手に作ったものですので、気にしないでくださいm(__)m
個人的に勇儀とこいしを絡ませたかった後悔も反省もしていない!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
相変わらずだなお前!?もう少し先輩として扱ってはくれんのか!?

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

食事

投稿です!!

腹が痛いなりぃ……(T_T)

では、どうぞ!!


さて、古明地さとりの奴を助けるっつてもどうすりゃいいのかね?

 

「それはそうと、そろそろ降りてくれ」

「えーヤダ」

「ヤダってアンタね」

「無意識だからしょうがない!!」

 

その、無意識ってのを教えてくれたのはアンタなんだがねぇ……

 

まあ、別にいいか。

 

「で、本当にどうするよ?」

「多分だけどお兄さんは考える時間が必要なはず……だから、適当に理由を付けて引き剥がすか、一日の面会時間を決めた方がいいと思う」

「……今更な事なんだが、お前本当に古明地こいしか?」

「むっ私は本物だよ!どうせ、無意識に行動してポワワンしてるのを想像してるかもそれないけど、自分の能力を制御出来ないほどバカじゃないもん」

 

古明地こいしは頬をぷくッと膨らませた。

 

「悪い悪い」

「む~」

 

『ただいま』

 

「おっと、パルスィが帰ってきたな。じゃあ飯の準備でもするか」

「はい勇儀、食材買ってきたわよ」

 

買い出しから帰ってきたパルスィから、食材を受けとる。

 

「鬼のお姉さん料理出来るの!?」

「まあ、これでも一人暮らしの女だしな。それなりには出来る」

「じゃあ私は彼にご飯食べさせてくるから」

「おう、頼んだ」

 

 

 

 

彼に食べさせる分の料理を持ち、私は彼の元へと向かった。

 

にしても、なんで勇儀は女の子をおんぶしていたのだろうか?まあ、考えるだけ無駄か。

 

「入るわよ」

 

声をかけ部屋へと入る。

 

部屋のなかには、いつもと変わらずボーッとしている彼の姿。

 

それと

 

「この時間帯に会うのは始めてかしらね?古明地さとり」

 

そんな彼から目を離そうとしない古明地さとりの姿があった。

 

まあ、古明地さとりがいてもいなくても関係はないけどね。

 

私は彼の体を起こし、壁に持たれかけさせた。

 

そして、持ってきていた料理を自分の口に含み、良く噛む。

良く噛み終えたところで、彼と唇を重ねた。

 

いわゆる口移しと言うやつだ。

 

彼が料理を飲み込んだのを確認し、唇をはなす。

 

唇を離したところで、後ろから慌てた声が聞こえた。

 

「な、なな何をしているのですか!?」

「食事。それ以外になにかある?」

「な、なんでわざわざその様な形で食事をさせてるのかと聞いているのです!!」

 

呆れ、怒り。私が抱いた感情はそれだった。

 

「こんな状況で彼がまともに食べられると思う?それともあれかしら、彼にご飯を食べるなって言いたいのかしら?どちらにせよ最低ね」

「そ、そこまで言っていないでしょう!?」

「でも、さっきの言い方、そう言うことなんでしょう?取り敢えず気が散るから出ていってくれないかしら?」

 

古明地さとりは部屋から出ていった。

その時聞こえた舌打ちは聞き間違いではあるまい。

 

まあ、そんな事を気にしていても仕方がない。

 

私は彼の食事を再開させた。

 

 

早く、元気になってね……私の旦那様……

 

 




お読みいただき有難うございます!!

軽くんのご飯の食べ方はなんと……口移しでした!!(これに嫉妬したら負け)
さとり様があの面子で、口で負けると誰が想像しただろうか!!
ちゃるもんがした!!(`・ω・´)キリッ

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ハイハイ先輩スゴイナー(棒)

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

逃げる

投稿です!!

投票者が5人になって平均が出るようになったよ!!やったね!!

では、どうぞ!!


小さな光がその瞳に宿った。

 

ほんの僅かな変化。

 

親しい人でも分かるか分からないほどの小さな変化。

 

彼は、考え始める。

 

 

 

 

何時ものように、彼にご飯を食べさせている時だった。

 

彼の口が僅かに、ほんの僅かに動いたのだ。

 

ここまで来るのに一ヶ月と八日。

 

とても嬉しかった……なんと表現すればいいか分からないが、ただ、ただ嬉しかった。

 

 

 

 

しんだ……ちがう……いきてる……

 

どうして?

 

たすけられた?だれに?

 

ご……はん……?

 

おなか……すいた?

 

たべる……

 

 

 

 

パルスィから話を聞いた私は驚きを隠せないでいた。

 

一ヶ月とちょっとで直り始めるとは思っていなかった……

あの古明地こいしですらも、下手したら一年以上そのままかもしれないと言っていたにも関わらず、だ。

 

ありえない。どれだけ精神が強ければそんな芸当が出来ると言うのか……

 

「パルスィには悪いけど……少し興味が出てきたねぇ……」

 

 

 

 

そうだ……おれは……きらわれていたんだ……くるわせたんだ……

 

そして死のうとした……でも死ねなかった……

 

どうすればいい?

 

 

そうだ、逃げればいいんだ……あの記憶から……

 

 

そうすれば……もう……

 

 

……苦しまなくても……良いんだよね……?

 

 

 

 

お兄さんが光を取り戻し始めたらしい。

 

どんな心を持っていればこんなに早く回復するかが分からない。

 

「まあ、回復したんだから良いことだよね♪今度ペット達も連れていってあげようかな」

 

私が独りぼっちの頃から一緒にいてくれた……大切な、大切なペット達。

 

彼女達なら、お兄さんの力になってくれるはずだ。

 

 

 

 

あの人間が正気を取り戻し始めた。

 

やっと、あの人から色々話を聞ける。

 

いっそのことあの人を奪ってしまおうか……

 

「フフ……フフフフ……」

 

 

 

 

逃げる……あの残酷な記憶から……

 

逃げる……あの残酷な感情から……

 

逃げる……あの残酷な思いから……

 

 

逃げる……あの残酷な世界から……

 

 

逃げる……逃げる……逃げる……

 

 

後に残るのは、この世界に来る前の美しい記憶。

 

後に残るのは、狂ってしまう前の美しい記憶。

 

 

 

 

―――彼は逃げる―――

 

―――傷付いた心を守るために―――

 

 

―――彼は逃げる―――

 

―――自分が狂わせてしまった償いに―――

 

 

―――彼は逃げる―――

 

―――もう、戻るまいと―――

 

 

 

 

逃特軽が正気に戻ったのは、それから更に一ヶ月後の事だった。

 

彼は、泣きじゃくり自分を抱き締める女性に戸惑った。

 

額に一本の角が生えた女性に戸惑った。

 

三つ目の眼を持つ少女に戸惑った。

 

 

 

それは、今までの彼が歩んできた人生(みち)を正しく理解している者なら異常に見えることだろう。

 

 

なぜなら彼は―――――

 

 

 

 

―――――優しい笑みを浮かべ、抱きついている女性の頭を撫でていたのだから―――――

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

ハッピーエンドだと思った!?残念続くんだよ!!
いや、もう、話を繋げてハッピーエンドに出来ますねこの話……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
リアルで かっこ開き 棒 かっこ閉じ 言うやつは初めてやわ!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新しく古い世界

投稿です!!

UA数が5万を突破しました!!なんか凄い勢いで増えてるけど……なんや一日に2500人って!?いままで1000ちょっとだったのに!?やべぇテンションがおかしくなってる!!
お気に入りもあと少しで300となります!!
皆様ありがとうございます!!

では、どうぞ!!



泣きじゃくりながら俺を抱き締めていた人は、疲れたのか寝てしまった。

 

「それで、あの……ここは一体……確か俺は学校から帰っている途中だったハズなんですが」

「私たちもお前さんの事を詳しく知っている訳じゃねえんだわ。すまん……」

 

額に一本の角を生やした女性が申し訳なさそうに謝った。

 

「謝らなくて良いですよ。むしろ詳しく知っていた方が怖いですから。それで、ここは何処なんですか?」

「ここは地底さね」

「地底?」

 

自分の住んでいる近くにそんな名前の地区は無かったハズだが……

 

「あーアンタ外来人か。なら分からなくて当然だ。ここは幻想郷て言って、アンタらの世界で忘れられた存在が流れ着く場所だ。私たちで言うのなら妖怪だね。ちなみに私は鬼さ」

「……俺も……忘れられたのですか?」

「いや、それはまず無いと考えていいと思うぞ。どうせ八雲が寝ぼけてたか何かで連れてこられたんだろ」

 

八雲……その人物が俺を連れてきた……

 

「俺は帰れるんでしょうか?」

「ソイツは私にも分からないねぇ。アンタとおんなじように外から来たやつも地上にはいるみたいだが、幾人かはそのまま残って生活をしているみたいだしねぇ」

「要は、自分しだい。と言う事ですね」

「まあ、そう言うことだ。それはそうと、二ヶ月も寝っぱなしだったんだもう少し休んどけ」

「お気遣い有難うございます」

 

鬼のお姉さんは「良いってことよ」と笑いながら答え、部屋から出ていった。

 

一人の時間。厳密にはもう一人いるのだが、寝ているし気にしないでおこう。

 

さて、情報を整理しよう。

 

まず、ここは幻想郷と言う忘れられた存在が流れ着く場所。その幻想郷にある地底と言う場所。

八雲と言う人物によって連れてこられた可能性が高い。

俺はここに来て二ヶ月ずっと寝ていた。

 

こんなところか。

 

まあ、今難しい事を考えても無駄だしもう少しこの世界を楽しんでみるか。

 

にしても、筋肉が落ちたな……鍛え直しだなこれは。

 

 

 

私は一つの確信を得ていた。

 

あの人間は記憶がない。

 

古明地こいしから可能性の話として聞いていたが、まさか本当に記憶がないとは……

 

だが、まああの様子だと自分の名前くらいは覚えているだろ。

 

と言うことは、あの人間が幻想郷に来て、地底に来るまでの間に何かが有ったと考えるのが妥当か。

 

それに、どこかの誰かさんが手を貸してくれた様子だしな。しばらくは大丈夫だろう。

 

 

 

 

ここまですれば半年は持つか。

 

へぇ、貴女がここまでするなんて……よっぽどお気に入りなのね。

 

あそこまで心が折れないのも珍しいですから。

 

ふーん。まあ、そう言うことにしといてあげるわ。さあ、帰りましょう。

 

 

ね?『藍』

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

さて、記憶を封じた軽くん。そして、なぜか彼を助けようとする藍。
次回!!

未定

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
嬉しい?

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

変わる時

投稿です!!

お気に入りが300を突破しました!!
皆様有難うございます!!

あの人の正体が!?

では、どうぞ!!


私と彼は出会ったことはない。

 

私が一方的に知っているだけだ。

 

それは、ある計画の為だけに偶々選ばれた一人の男。

 

私は紫色の世界で静かにその男の事を見ていた。

 

 

私はその男を監視しておくように言われた。

 

容姿は平々凡々。霊力の質は今の時代ではそこそこだが量が少ない。

 

明日、お披露目するとの事らしい。

 

 

いやはや、食い付きが凄かった。

 

無言の圧力。

 

この一言につきる。もっと詳しく教えろと脅される始末。

 

あそこまで感情的になったの見たのは久しぶりだった。

 

いやはや、一目惚れと言うものは本当に存在するらしい。

 

 

今日、あの男を幻想郷へと連れてきたのだが……

 

何故か監禁されている……

 

飯は自身の血が入った物を出し、自身は男の血を飲んだ……

 

さて、何時まで持つか見物だな♪

 

 

いやはや、凄いの一言に尽きる。

 

監禁され、早三ヶ月と十三日。男の目からは光が失われていなかった。

 

いつか、この場所から逃げ出してやる。そんな思いがひしひしと伝わってきた。

 

少し、この男の行く末を見たくなった。

 

私は、彼の監禁されている倉の鍵を開けた。

 

 

片足七十五キロ。計百五十キロ。

 

更には、小宿化され、足に掛かる重量は酷いものだろう。

 

私は、男の通る道の近くにいた妖怪、妖精の類いを遠ざけた。

 

さて、後はどこまで行けるかだな。

 

 

こいつ本当に人間か?能力でも発動しているのだろうか?

 

男は博麗神社から妖怪の山まで、百五十キロもの重石を持ちながらも踏破してみせた。

 

まあ、その後白狼天狗に保護されてたが……

 

まあ、無事保護されたからこれからも退屈しないですむ。

 

 

白狼天狗が男を誘惑し、男が困惑。

 

男が逃げ出し、滝へと落ちた。

 

まったく……しょうがない……助けてやるか……

 

にしても、なんの変てつもないただの人間な……やはり能力か。

 

さて、追われても面倒だ。臭いを消してさっさと逃げるか。

 

 

紅魔館へと男を運んだ。

 

案の定、中国の妖怪に助けられ紅魔館へと住むことになった。

 

そして、早くも紅魔館の主が落ちた。あの男にはそんな魅惑があるのだろうか?だが、私にはなんともないしなぁ……

 

まあ、少しの間は傍観するか。

 

 

紅魔館の住人が男を手駒にするための計画とやらを企てているようだ。

 

だがこんなところで終わられても面白味に欠ける。

 

なら、少しあの子に手を貸してやるか。能力封じの呪術のメモが有れば十分だろう。

 

さて、地下室の何処に置いておけば良いか……

 

 

少しの間忙しくて男の事をを見れなかったが……これは流石に……酷いな。

 

三度……同じ体験をした事がある……三度とも自殺しようとした……まあ、結局私は死なないで封印される結果となったが。

 

だが、男は弱かった(強かった)

 

彼は死ぬことは出来ず、地底へと続く穴へと身を投げた。

 

彼には酷かもしれないが、彼に生きる意思が有る限りは死なないように手助けをしよう。

 

時間が掛かるが地底に誰も出入り出来ないように結界を張ろう。全力で。

 

 

この時、私のなかで彼は、玩具から大切な物へと変わった。

 

 

 

 

「ここまですれば半年は持つか」

 

「へぇ、貴女がここまでするなんて……よっぽどお気に入りなのね」

 

「あそこまで心が壊れないのも珍しいですから」

 

「ふーん。まあ、そう言うことにしといてあげるわ。さあ、帰りましょう。ね?藍」

 

「はい。紫様」

 

 

もしあの男、逃特軽が本当の意味で壊れたら、死んでしまったら私が愛してやるか。

 

 

―――彼女の美しい金色の髪は風に靡き月の光を反射した―――

 

―――その姿はとても幻想的な美しさだった。

 

 




お読みいただき有難うございます!!

金髪の人物は藍しゃまでした!!
ある意味一番軽くんを苦しめ、助けている存在ですね。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
嬉しいと思う?
(そろそろ一話分〈千文字〉行ってるんじゃね?これ)

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タイムリミット

投稿です!!

最近、タグに『訓練されたコメント』のタグを無性に付けたくなっている自分がいる。
個人的には大好物です!!見てて楽しい!!

では、どうぞ!!


……いつの間にか寝てしまっていたようだ。

 

隣で寝ていた女性は既に起きたのか、隣にはいなかった。

 

「異世界……か……」

 

正直、まだ実感が湧かない。

 

鬼などの妖怪、神や妖精が住む世界。

 

兎に角、これからどうするかを考えなければいけない。

 

こんな子供を雇ってくれる所があれば良いのだが……

 

そんなことを考えていると、扉越しに声が掛けられた。

 

『起きてる?』

「はい。起きてますよ」

 

そう返事すると、扉を開き泣きじゃくっていた女性が入ってきた。

 

「おはよう」

「おはようございます」

 

彼女の手にはお盆に乗った鍋が一つ。

 

「寝起きだろうけど食べられる?」

「はい。えっと、その前にお名前を教えてもらっても良いですか?」

「そっか、そう言えばずっと寝ている貴方を看病してるだけだったから知らないのも当然か。私は水橋パルスィよ」

「俺は逃特軽です。水橋さん、この度は助けていただき有難うございます」

「気にしないで。後、上の名前じゃなくて下の名前で呼んで頂戴?」

 

……二ヶ月もの間看病してもらっていたとは言え、こちらとしては初対面も同然。

そんな相手を呼び捨てにするのは気が引ける。後、美人だし……

 

チラッと水橋さんを見る。すっごい待ってる……

 

「パル……スィ、さん」

 

ヤベェ……絶対今顔赤い……

 

「赤くなちゃって、可愛い……それじゃあ、ご飯にしましょか」

 

 

パルスィさんが「あーん」で食べさせようとしたが、丁重に遠慮させてもらった。

どことなく懐かしい気がしたが……まあ、気にしても無駄だろう。

 

まあそんなことは置いといて、だ。目の前に別の女の子がいる。

 

なんか、じっとこっちを見ているのだが一体何だろうか?

 

「えっと……何か用ですか?」

「おお、喋った」

 

何だろう、本当に……

 

「えっと」

「私はね霊鳥路空。お空って呼んでね」

 

アッハイ。何だろうか……見た目は大人なのに物凄い子供っぽく見える……

 

「それで、お空ちゃんは何をしに来たのかな?」

「……何だっけ?」

 

可愛らしく首を傾げるお空ちゃん。

 

「そうだ!お兄さんの名前を教えてよ!」

「え?逃特軽だけど」

「これからよろしくねお兄さん!!」

「えっと、よろしく。お空ちゃん」

 

……なんかよく分からない内にお友だちが増えました。

 

 

「そう言えばお前さんの名前聞いてなかったな」

「そう言えばそうですね。逃特軽です。よろしくお願いします」

「アタシは星熊勇儀だ。堅苦しいのは嫌いなんでね勇儀って呼んでくれ。後、もう少し砕けてくれたら良いんだけどねぇ」

 

砕けてって口調とか態度だよな?

 

「えっと、これで良いか?勇儀」

「文句なしさね!!なんだい、やれば出来るじゃないか。地底じゃ知らない奴にも下手に出たらいけないよ」

 

要は舐められたらいけない。と、言うことだろうか?

 

「分かった。ありがとな、勇儀」

「お礼される程の事をした訳じゃないんだがねぇ」

「俺がお礼したいからする。これで良いんだよ」

「そう言うもんかね」

「そう言うもんだ」

 

こうして、また一日が過ぎていく。

 

それが、なんだかとても幸せに感じた。

 

 

 

 

―――勘づかれるのは、時間の問題―――

 

―――タイムリミットは上と下で進んでいた……

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

多少壊れてもいい!!自己紹介を終わらせるんだ!!
はい、自己紹介をさせるシーンが一番苦手です。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
うん。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

続く幸せ

投稿です!!

では、どうぞ!!


くそっくそっクソッ!!

 

何度も何度も空に向かってその剣を振るう。

だが、全て見えない壁に阻まれてしまった。

 

この先なのに!なんでなんで邪魔するの!!?

 

それでもなお、彼女は剣を振るう。

愛しいあの人に会うために。

愛しいあの人に謝るために。

 

守れなくて、ごめんなさい……

 

その、心を伝えたいがために。

 

 

 

 

「体の調子はどうだい?」

 

勇儀がそう聞いてきた。

手をグーパーしながら確認する。

 

うん。大丈夫そうだ。

 

「全然大丈夫!!」

「そりゃ良かった。でだ、私も付いていくから外に出てみないかい?ずっと部屋んなかに籠ってても詰まらないだろう?」

 

確かに、話相手も勇儀かパルスィさんかお空、後、この前来てくれた古明地さとりさんとこいしちゃん。

 

部屋に籠っていてここまで友人が増えれば上出来なのだろうが、それでも暇なものは暇なのである。

 

「良いのか?」

「そんな遠慮しなさんな。アタシも暇なんだよ」

「それじゃあ、お願いしようかな」

 

身支度をませる。まあ、持っていく物自体がないのだが……

 

「なら、軽の日用品でも買いにいくとするか。金は出しといてやるよ」

「さ、さすがにそれは……」

「いいっていいって。むしろ無駄に余っちまってるだ。こう言うところで使わないと貯まっていく一方なんだ」

 

まあ、あの豪邸に住んでいるんだ。相当なお金持ちなのだろう。

 

にしても、あんな豪邸を見たのは初めてだ。アニメなんかに出てきそうだな……

 

「それと……一銭も持っていないような奴がどうやって商品を得るのか……私は気になるねぇ」

 

ニヤニヤと擬音が付いてきそうな顔で俺の顔を覗く。

 

「分かった。大人しく奢られます」

 

両手を上げ降参のポーズをとる。

 

……本来ならば奢る側がするのだろうが金持ち相手だと逆になるようだ。

 

 

勇儀と一緒に買い物をしているとパルスィさんに出会った。

 

そう言えば買い出しに出てたんだっけ。

 

パルスィさんがこちらに気付いたようだ。

 

「勇儀と軽じゃない。体は大丈夫なの?」

「はい。この通り。ここまで早く直ったのもパルスィさんのお陰です」

「そう面と向かれてお礼されると恥ずかしいわね」

「私も頑張ったんだがな~」

「はいはい。勇儀もありがとねー」

 

背伸びして勇儀の頭を撫でる。

 

「背伸びしなきゃいけないんなら止めなさいよ……」

「うん。さっきのは無理があった」

「にしても、頭を撫でられるなんて何百年ぶりかねぇ。いやぁ懐かしい」

 

そのあと、着せ替え人形とされたが、まあ楽しかった。

 

それと余談だが。次の日勇儀とは別の鬼に兄貴と呼ばれた。なんで?

 

 

 

 

一人頑張る彼女の肩に手がおかれる。

 

ねえ、犬のお姉さん。一人でやるより二人、三人でやる方が効率良いと思わない?

 

そこには―――

 

 

 

―――悪魔がいた―――

 

 




お読みいただき有難うございます!!

地底では幸せが動き
地上では思惑が動く

この先に待つものは……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
そうか。だったら良い精神科を紹介しよう。安心しろ俺は付いていかないから。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私は、戦う

投稿です!!

活動報告において人気投票モドキをしています。
良ければ投票よろしくお願いします。

では、どうぞ!!


あの結界は私達だけじゃ壊すことはできない。

 

じゃあどうしたら良いんですか!!?

 

だから、待つ。あの結界の効力が切れるまで。他の奴らが入れないようにもね。

 

 

少女の答えに納得が出来なかった。でも、彼を狙うもの、しかも害になる存在がいる。この事は前の戦闘でよく分かった。

でも、私が耐えられる自信がない。

 

 

なら、―――に会えるのはいつになるの?明日?一週間?一ヶ月?半年?一年?

 

それは私にも分からない。でも、彼に影響を与えるよりは……『影響』?

 

 

少女は何かを思い付いたのか、その顔に笑顔を浮かべた。

 

 

そう、影響を与えなければ良いんだ!魔理沙が言っていたあの人なら可能性がある!!

 

本当に……―――に会えるの?

 

まだ、可能性でしかないし協力を得られるかも分からない。でも、食らい付かないわけには行かないでしょ?

 

そうね。

 

 

私は愛用の剣と盾を持つ。あの時、私は彼を守れなかった。

でも、次こそは……

ただの自己満足なのは分かってる。

 

でも、愛する人を護りたい。一緒にいたい。

 

だから、私は――――

 

――――戦う。

 

 

 

 

「勇儀。愛してる」

「……信じても……良いんだよな……?」

「当たり前だ!俺はせか『橋の上でイチャコラしてんじゃぁねぇ!!』おおぅ本当だった」

 

俺たちがいるのは、とある橋の上。

 

なんで、この橋の上に来ているかと言うと、勇儀さん曰く『この橋の上で逢い引きとかしていると、パルスィがキレる』と言って、それを実践していた。

 

俺はそんなの信じていなかったが、まさか本当とは……

 

「フッーフッー……」

「なんか犬みたいになってるけど……大丈夫なのあれ?」

「大丈夫大丈夫。おーいパルスィ私だぞー」

 

そう言いながら勇儀がパルスィさんへと近づく。

 

勇儀がパルスィさんの肩に手を置いた。パルスィさんは肩に置かれた手の手首を掴み、とてもイイ笑顔で―――

 

「軽。少し待っててね?」

「は、はひ」

 

―――路地裏へと連れていった。

 

その場に一人取り残された俺がボーッとしていると、ピンク色の髪をした女の子が近づいてきた。古明地さとりさんだ。

 

「奇遇ですね。軽さん。こんなところでどうされたのですか?」

「まあ、ちょっと悪戯を……アハハ」

「悪戯ですか。あんまりそう言う事はしては行けませんよ?」

「肝に命じておきます……」

 

その後、勇儀達が帰ってくるまで一緒に喋っていた。

 

さとりさんは生物の心を読めるらしいが、日常的に使っているわけではないし、なぜ嫌われているのかが分からない人だ。

 

 

 

 

(普段冷静で優しいパルスィさんがあんな事で怒るなんて……ちょっと可愛かったな)

 

(勇儀は勇儀であんな提案してくるなんて……案外子供っぽいんだな)

 

憎い憎い憎いにくいにくいニクイニクイ!!!!

 

あの人の心には私だけでイイのに!!あの人の心に入ってくるアイツラが

 

 

憎い!!!!

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

地上では何かを閃いたようですね。
それと、要望がありましたのでパルスィいるの橋の上で悪戯をしてみました。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
先輩センパイ、それさっきやったよ?

活動報告において人気投票モドキをしています。
良ければ投票よろしくお願いします。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

動き出す者達

投稿です!!

先に謝ります。すいませんでしたー!!
理由は読んでいけばわかるはずです!!

-追記-
ご本人様からの承諾を得られました。やったぜ!!

では、どうぞ!!


―――なるほど……話は分かった。ところでだが、結界の方は大丈夫なのか?霊夢が解かないとも限らないんじゃないか?

 

それだったら、一応保険はかけてあるよ。まあ、あった。て方が正しいんだけどね。それに加えてあの結界自体も相当な技術で作られていた。だって、私の能力が効かないんだから。

 

お前の能力がか!?

 

ッ!!何者かが結界へと近づいています!!

 

容姿は!?

 

遠すぎて分かりません!影は……二つあります!!

 

二つ……あの二人?確かに今は夜だけど……でもそんな早く感づかれるなんて……

 

お嬢様。私が行きましょうか?

 

いや、今はアッチに任せましょう。私達は一秒でも早く下へ行く。

 

……一体……殺られました……

 

あれは、分身よ。本体が大丈夫な限りはまだ大丈夫。本当に感謝しないとね。彼には。

 

よし、私の準備は終わった。行こうぜ。

 

 

 

 

チッ!!メンドクサイわね!!良いから……そこをドケェエエエ!!

 

逃げ場なんて有りませんよ。

 

 

二人が相対している男の周りに大量のナイフが出現する。

 

それを、全身に受けながらも耐え抜けた。

 

追い討ちだと、赤い槍が男の腹を貫いた。

 

 

まったく……手こずらせて……でも、これで軽に会える。今行くからねぇ軽ぃ

 

お嬢様!!?

 

なに――――ッ!!

 

 

腹を貫かれても、全身串刺しにされてもなお、男は立った。

 

それだけではない。男はそんな状態で一人の少女に攻撃を与えたのだ。

 

少女はその紅い瞳で男を睨む。少女の首筋には噛まれた痕が残っていた。

 

 

やってくれるじゃない……

 

 

少女は男の顔を掴み、何度も何度も何度も、地面へと叩きつけた。

 

 

お前なんかが邪魔するな!!邪魔だ邪魔だジャマダァアアア!!!

 

 

男の体からは血が吹き出し、骨が飛び出ている。明らかに絶命しているにも関わらず男の表情は、してやったり。そんな表情に見えた。

 

 

――――ッ!!

 

 グシャ!

 

 

そんな音と共に男の頭が潰れた。

 

 

クソガッ!! ふら

 

 

不意に少女の体から力が抜け、地面へとへたりこんだ。

 

 

お嬢様!?大丈夫ですか!?

 

へ?あ、だ、大丈夫、よ。このくらい……なんてことないわ。

 

 

何とか立ち上がって見せるも足が震え今にも倒れそうだ。

 

少女が穴へと近づく。が、見えない壁にがあり前へと進むことが出来なかった。

 

そこで、少女は糸が切れた人形の様に倒れてしまった。

 

 

お嬢様!?

 

 

そんな少女を持ち上げる女性。

 

女性は穴へと視線を移す。よく目を凝らすとうっすらと陽炎の様なものが見えた。

 

試しにナイフを取りだし穴へと放つ女性。だがナイフは見えない壁に阻まれ弾かれてしまった。

 

 

兎に角、お嬢様をお屋敷に……その後この結界への対処。ですわね。

 

 

女性は少女を連れ空へと飛んだ。

 

 

 

―――着実に進む思惑―――

 

―――地上ではなにを考え―――

 

―――地下では何を待つのか―――

 

―――ただ、言えることは―――

 

 

 

―――もう、余り時間は残されていないだろう―――

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

えっと、分からなかった人に一応説明を。壱さん(仮名)の感想でのネタを『勝手』に使わせて頂きました。本当に申し訳ありません!!
壱さんにつきましては、不愉快に思われたら感想でもメッセージでもお知らせください。速攻で今回の話を削除させていただきます。

-追記-
前書きにも書きましたが、ご本人様からの承諾を得られました。やったぜ!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあればよろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
知るか!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

準備された狼煙

投稿です!!

では、どうぞ!!


ここの所何かの夢を見る。

 

何か。という時点で分かる全く覚えていないのだ。多分悪夢の類いなのだろうが憶測止まりだ。

 

別に夢を覚えていないのは普通と思っていたのだが、それが何度も何度も続けば違和感ぐらいには気が付くものだ。

 

朝起きたら、多かれ少なかれ嫌な汗をかき胸の中をモヤモヤとしたものが覆い尽くす。

 

その事自体は別に構わない。ただ、とてつもなく嫌な予感がするのだ。

 

それが何故なのか……俺には分からない。ただ、これが杞憂であってほしいと願うのみだ……

 

 

 

 

「「おにーさーん!!」」

 

外を出歩いていると最近では聞きなれた声が二つ聞こえる。

 

「こんにちは。こいしちゃんにお空ちゃん。と、最後のは……」

「あたいは火焔描燐だよ。お燐って呼んでね。ふぅんーあんたが……ねぇ……一体どんな魔法を使ったんだろうねぇ」

「何の話だ?」

「気にしないでおくれよ。ところで名前を聞いてもいいかい?」

 

何だろう……この猫は苦手だ……

 

「……逃特軽だ」

「へぇーいい名前だねぇ」

 

燐が俺の横を通りすぎる。その時

 

『警戒してるのが丸分かりだよ』

 

「こいし様ー甘味屋行きましょう甘味屋!!お兄さんも一緒に、ね?」

 

その笑顔はとても可愛らしいものだったが、俺にはとても不気味な……死神のように見えた。

 

 

 

 

「さとり様ー行ってきましたよー」

「ご苦労様お燐。そう……楽しかったのね。貴女には悪いけどこれからもよろしくね」

「さとり様の為なら全然へちゃらですよー」

 

彼女に頼んだ事は、彼の敵になってもらうこと。

 

これでどっちに転んでも彼は私の手に……

 

 

―――これで確定……かな―――

 

 

 

 

「はぁ……なんかいつも以上に疲れた……」

「軽?そんな深く溜め息なんて……私で良ければ相談に乗るけど?」

「あーうん……なら少しだけ」

 

パルスィさんに今日の事を話した。

 

「ふーん。そんな事があったのね」

「あの……なんで爪噛んでるの?」

「妬ましいからよ。誰しも大切な人に別の女が近づいたら嫉妬するもんでしょ?」

「……あ、う。も、もう少し考えて発言したひょうがいいきゃひょ」

「照れちゃって……可愛いわね」

 

クスクスと笑われる。

 

くそッ顔が熱い!!

 

「まあ、これからもそんな事があったら遠慮なく頼りなさい」

「……ありがとう」

「よろしい。じゃあ私は晩御飯の準備をしてくるわね」

 

そう言ってパルスィさんは部屋から出ていった。

 

 

 

 

「聞いてたでしょ勇儀」

「ああ。とうとう本格的に動き始めたか」

「みたいね」

「普通に考えれば戦力も此方が上。だが戦場では何が起こるか分からない。気をつけろよ」

「分かった」

 

 

 

 

―――始まりの狼煙が準備された―――

 

―――後は開幕を待つばかり―――

 

―――それぞれの選択―――

 

 

―――それが、全て行く末を決める事となる―――

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

時間は残り少ない。
この先どうなるか、彼は何を望むのか。
それが、全ての結末へと導くだろう。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
そうですよねー。あと、そろそろ時間じゃないですか?

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

協力者

投稿です!!

今回も感想欄からキャラをお借りしてきました!!
ご本人からの許可取ってあります!!やったぜ!!

では、どうぞ!!


「で、誰だぜ?」

「ども。新聞記者のドンちゃんです!少しお話をお伺いしたいのですが宜しいでしょうか?」

「私たちは急いでるの。邪魔しないでくれるかな」

 

フランちゃん御一行は早足に先を急ごうとする。

 

だが、僕とて諦めるわけには行かないのだ。新聞記者(おお嘘)の名に懸けて!!

……まあ、本音はあれなんだけどね……地上でマトモに話してくれそうな人が他にいないんだけどね……

 

ん?何があったのかって?そうだねぇ……霊夢さんに殺されかけて……BB……綺麗なお姉さん事紫様に拉致されたと思ったら妖怪の巣窟に落とされたり。アノときはなんとか逃げ出したけどね……能力様様ですわアハハハ……はぁ……

 

で、その後妖怪の山にいる犬走椛の友人こと文ちゃんに会いに行こうとして白狼天狗に追い回され

 

あと、書いてはないけど寺子屋組と紅魔館にも行ったなぁー

紅魔館は門前払いされたけど……

 

寺子屋組は凄かった。うん。色んな意味で凄かった。

慧音先生は軽くんの名前を出したら青くなって倒れるし、妹紅は生気のない目で、慣れたものだよ。って言ってて怖かった……一時は寺子屋には近づかないでおこう……うん。そうしよう。

 

さて、交渉の再開だな。

 

「まあまあ、少し落ち着いて下さいな何も一方的にと言うわけではないですから」

「……」

「君たちは地底へと行きたいんだよね?そして、結界が張られていた。でも無理矢理破壊するわけにも行かないし、そもそも破壊することも出来ない。だから青娥さんのの能力に頼ることにした。でも、協力を得られるかが分からない。ここまでは有ってる?」

 

魔理沙が振り替える。

 

「結局何が言いたいんだぜ」

「簡単なこと。取材に協力してくれたら僕が地底に連れていってあげる。どう?悪い話じゃないでしょ?」

「……信用出来ないぜ」

「なら結構。じゃあ僕は君達の敵になろうかな。一番手っ取り早そうなのは紅魔勢かな?」

 

彼女たちには時間がない。これで食いついてくるはず……

 

「まって」

 

きた!!良かった~これで読違ってたら恥ずかしいってレベルじゃなかったよ。

 

「いいわ貴方の取材に協力してあげる。でも、さっきの話が嘘だったら殺すから」

「ご協力感謝します」

「良いのかぜ!?」

「魔理沙。私たちには時間がない。それに、青娥さんも突破出来るか分からないしそもそも協力してくれるかも怪しい。ならどっちを取っても差ほど代わりはない」

「でも!」

「安心してくださいな。貴女達は僕が責任もって地底へと送り届けましょう」

 

魔理沙の盛大な舌打ちと共に僕達の協力関係が完成した。

 

「で、早速取材に入りたいんだけど逃特軽とはどこで会ってどういう関係なのま教えて貰えるかな?」

 

メモ帳とペンを取りだし取材を始めた。

 

 

いやはや……軽くんは愛されてるねぇ……

 

さて、きっちり答えて貰った所で……行きますか。

 

能力を行使する。イメージはカギ。

 

『解錠開始………………………………解錠完了』

 

だー!!キッツ!!頭がガンガンする!!

 

結界が解除される。

 

「皆早く」

 

全員が入ったのを確認し、もう一度能力を行使する。

 

『施錠開始………………施錠完了』

 

結界が再び張られた。

 

「それじゃあ、行ってらっしゃーい」

 

さてっと……僕は僕で動くとしようかな。

 

メモ帳に目をやり取材の記録を読む。

 

魔理沙 『軽と会ったのは紅魔館だぜ。その時、私は知ったんだ……何をかは詳しく言えないが……あれは私のせいなんだ。でも、今はそれだけじゃない。ちょ!ニヤニヤすんなだぜ!!と、とにかく軽は大切な奴なんだぜ!!』

 

顔を朱に染めながら

 

美鈴  『私が軽君と会ったのは霧の湖ですね。大怪我でしたから焦りましたよ……関係ですか?そうですねぇ……弟子……でしょか?師匠が弟子の安全を望むのは当然でしょう?』

 

優しい笑みを浮かべながら

 

フラン 『私も紅魔館だよ。もう少し詳しく言うんならその図書館。お兄さんは大切な私の友達。今度こそ……私は軽を守りきってみせる』

 

確かな思いを胸に抱きながら

 

椛   『妖怪の山の滝の所です。足に何十キロもの重石を付けたまま博麗神社から歩いてきたみたいです。関係は……なんでしょうかね……裏切り者……でしょうか?』

 

悲しい笑顔を浮かべながら

 

 

彼女達はそう言った。

 

 

 

本当に君は愛されているね……まったく羨ましい事で。

 

 

だからこそ、僕は……君の敵になろう。

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

今回お借りしたドンさん(仮名)本当に有難うございます!!おかげでフラグを立てやすくなりました!!
そして、フラン達が地底へと突入しましたね。え?青娥さんの出番?し、知らないなぁ~

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった』

を、よろしくお願いします。
マジか!?あーもう!!また後でな!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ごめんね

投稿です!!

なんか、今回ぐちゃぐちゃです。詰め込み過ぎた……

では、どうぞ!!


目の前にいるのは……鳥?男版ハーピーか何かかな?

 

「結構やられちゃてるもいたいだねー。永……いや、壱さんの方が正しいかな?」

「……ドンちゃんか。こんなの超合金記憶変状野菜の私だったら数時間もすれば直る」

「さっすが壱さん!!」

 

のそり 壱さんが立ち上がる。片足がなく左翼も半分程からへし折れている。が、その体の大きさは僕の優に二倍を越えている。

 

僕の身長は大体百六十センチメートル前後。体長が倍以上ある相手、しかも人外。まず勝てる道理はないだろう。

 

「まあまあ、落ち着いてよ。今ここで僕を襲っても後悔するだけだと思うよ?」

「……どういう意味だ」

「博麗霊夢が近づいてきている」

 

壱さんはその顔に焦りの表情を浮かべた。

 

「……それが本当かどうか信用が出来ないな」

「じゃあ、なんでそんなに焦ってるのかな?」

「焦ってなどいない」

「嘘はいいから。僕は昔からそう言うのに鋭いからね。君が表情がないロボットでもない限り誤魔化せるなんて思わないことだよ。まあそういうことだから、先にいかせて貰うね」

 

僕は壱さんの隣を『ゆっくり』と通り抜けた。

 

「それじゃあ、また後で」

 

壱さんには悪いけど……僕にも意地があるからね。

 

どんな方法を使っても僕の目的は達成させてもらうよ。

 

 

 

―――解錠―――

 

 

 

 

私達の目の前には彼の姿があった。

 

笑顔を浮かべた彼の姿があった。

 

それだけで涙が溢れてくる。

 

 

会いたい。彼の声をもっと近くで聞きたい。

 

そんな思いとは裏腹に、会いたくないと言う自分もいた。

 

 

でも、そんな拮抗は直ぐに崩れ去る。

 

気が付けば私は走り出していた。

その名を呼び、涙を隠しもせずに。彼めがけて走り出していた。

 

「けい!!軽!!軽ぃいいぃぃ!!」

 

その胸に顔を埋めて、泣き叫ぶ。

 

そして、彼の声が聞こえた。それは私が一番聞きたかった声で、一番聞きたくなかった言葉。

 

「えっと……誰ですか?」

 

固まった。体の動きも溢れ出る涙も……全てが……固まった……

 

頭の片隅に、その考えはあった……

 

「やっぱり……ですか」

「どういうこと、美鈴」

「軽君は記憶喪失。もしくは自身で閉ざしたのでしょう」

「じゃあ、軽は私達のことを覚えていないのぜ!!?」

「そう言うことです……ね」

 

その時、別の女の声がした。

 

『軽?どうした?』

「えっと……俺にもなにがなんだか」

『……あんたら。ちょっと付いてきな』

 

その女に従い後に付いていく。

 

『あんたら、軽の知り合いだろ?まず確認したい。あんたらは……敵か?』

 

その言葉には明らかな殺意が混じっていた。

 

「違うよ。私達は軽の味方。敵は別にいる」

『……分かった。一先ずは信じておこう。さっき分かったと思うが軽は記憶を閉ざしている。お前たちには悪いがあんまりその事に触れてやらないでほしい』

「やっぱりですか。分かりました」

 

………………

 

「結構キツいな……こうして真実を突き付けられると……」

「そうだね……でもする事は変わらない」

 

………………

 

「そう……ですよね……辛いのは軽なんだ。私が挫けてどうする!!」

 

私は……弱くなんかない!!

 

今度こそ、私は軽を―――

 

「いいねぇ……アンタの目。天狗にもそんな奴がいるんだねぇ。私は星熊勇儀だ。よろしく頼むよ。もちろんあんたらも」

 

―――守って見せる。

 

 

 

 

「一体何だったんだ?なんか俺を知ってるみたいだったけど……」

「ねえねえ、お兄さん……知りたくない?」

 

目の前に男がいた。

 

「何をだ?」

「さっきの娘達も含めて……全部を、さ」

「そりゃ、まあ知りたいけど……」

「だったら教えてあげよう。思い出させてあげようじゃないか。動くなよ?」

 

男の手が俺の胸へと押し付けられる。

 

「僕の名前はドンちゃん。まあ、頭の片隅にでも入れておいてくれると嬉しいかな?それじゃあ始めよう」

 

 

 

心の解錠(アンロック)

 

 

 

ドンちゃんと名乗った男がその言葉を発した瞬間……

 

 

「……ァァ……ァァァ……ぁあぁああぁあぁああぁっぁぁlpw#&eN♯nsy!!!??!?!???!」

 

 

 

『ごめんね』

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

戦闘を楽しみにしていた人はもう少し待ってくださいね。
さて、記憶を強制的に取り戻した軽くん……これから先どうなってしまうのか……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
こう、書いてみると結構面白いな……ボイスレコーダー様様ですな。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

END 2 壊れた心

投稿です!!

タイトルから察せれると思います。

では、どうぞ!!


あれ?なんで寝てるんだ?確か今日は勇儀と一緒に買い物をしていたはずだけど……

 

いや……違う……それだけじゃないはずだ……なにがあった……思い出せ、思い出すんだ……

 

思いだそうと頭の中を駆け回る。

 

そして、答えは簡単に見つかった。

 

「ぁ、あぁあ『ドガァアアン!!』ぁ?」

 

扉をぶち破り何かが部屋の中を通りすぎていった。

 

そのお陰か俺はその記憶達をすんなりと受け入れられた。

 

床には赤黒いモノが引き摺られた跡のように長く伸びていた。

 

その先にあったのは……

 

金色の髪。地底で最も長い付き合いの嫉妬深く優しい女性。

 

水橋パルスィだった。

 

『アア……やっトあえタワね愛しい愛シイ……私ノ軽……』

 

後ろからの声。俺はこの声を知っている。俺はこの声を覚えている。

 

『さアお家に帰りまショウ?』

「い、いやいやだ。おお前なななんかに」

 

チラリとパルスィを見る。

 

下手したら自分もああなってしまうのか、と。

 

『アア、コイつカ。コイつが軽を狂わセたのか。大丈夫だヨ軽。私が今……タスケテアゲル』

 

俺の横を通りすぎパルスィへと近づく。足を上げパルスィを蹴る。

 

だが、パルスィが苦痛の声を上げることはなかった。

 

咄嗟の行動。

 

俺は博麗の足にしがみついていた。

 

『軽、ダメじゃない。コれじゃあコノくソヲ殺せなイわよ?』

 

考えろ。パルスィを救う方法を……

 

俺が博麗を愛していると言ってら……ダメだ、こいつはいらないとか言って殺すはず。もっと確実なほうほ……

 

……ゴメン。パルスィ……でも、これしかないんだ……

 

歯を強く食い縛り言葉を紡ぐ。

 

「もう。大丈夫だ。後はお、俺が……やる……」

 

そう言うと、博麗の顔は不気味な笑顔で埋め尽くされた。

 

博麗は足を下ろし俺へと道を譲った。

 

「け……い……ごめん……なさい……」

 

そこには、苦しそうに息をするパルスィの姿。

 

足がすくむ……助けるためだ。と言い聞かせ足を上げる。

 

そして、パルスィの腹を蹴った。

 

パルスィは少しだけ浮き地面へと落ちた。

 

「……………」

 

パルスィは……動かなかった。

 

苦しそうに息をするわけでもなく、『動かなくなった』

 

『さあ、帰りまショウ軽』

 

博麗に引かれ外へと出る。

 

鼻を生臭い臭いと鉄の臭いが襲った。

 

「博麗……軽を……連れていくな」

『煩い』

 

バキュ

 

勇儀だったモノが俺の目の前に出来上がる。

 

博麗はその肉の塊を足でずらした。その後を目で追う。

 

そこには―――

 

―――死体の山が有った。

 

椛やレミリア、美鈴などの見知った顔から知らない顔まで。

 

顔すら分からない程にぐちゃぐちゃにされたものまであった。

 

 

その光景を見たとき、俺の中のナニかが

 

 

ポキッ

 

 

と、音を立てた。

 

 

 

 

『軽。ご飯よ』

 

 

『………霊夢……アイシテル……キヒ……』

 

 

『ええ。私もよ』

 

 

『霊夢。アイシテル』

 

 

『もう。恥ずかしいじゃない。でも嬉しい……』

 

 

『霊夢アイシテル』

 

 

『うん。私もよ。じゃあご飯にしましょうか。ね?』

 

 

 

『軽』

 

 

 

『霊夢アイシテル』

 

 

 

 

 

   BAD END 2

壊れた心 END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『悪く思わないでくれよ。俺だってお前に狂わされた一人なんだから』

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

まず、軽くんが目を覚ます前の話は別ルートで書かせていただきます。そこで、謎も解けていく予定です。
壊れた心、ひたすら同じことを繰り返す。それは、彼にとっても、彼女にとっても幸せとは言い難いものである。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあればよろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
拡散性MA 楽しいです。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

開戦の狼煙

投稿です!!

ここの所、内容がごちゃごちゃしてるな……頑張ろう……

時間軸は軽くんが記憶を取り戻して発狂した後です。

では、どうぞ!!


『―――――――!!』

 

その場にいた全員が振り返った。

 

「今の声……クソッ!!」

 

まさかこんなに早く動き出すなんて!!

 

結界は張り直していたはず。あの強力過ぎる結界を突破出来るやつなんているわけが……

 

いや、いた……元に私は、私達は目の前で見たばかりではないか。

 

でも、そうなると一体何故?

 

……だめだ、考えれば考えるほど訳がわからなる!!

 

兎に角、今は軽の身の安全を確認しないと!!

 

路地を抜け、さっき軽がいたところへと走る。

 

 

 

結果的に言えば、軽は無事だった。

 

 

 

ただ、他の妖怪に取り押さえられている事を除けば。

 

近くには壊れた椅子が有るだけ。妖怪の方も軽を襲う気配がない。

 

私達は取り押さえている妖怪へと事情を聞いた。

 

「一体何があったんだ」

『勇儀姐さん。実は兄貴が『来るな』って言いながら急に暴れはじめまして……そこの椅子で俺の頭を殴って来たんです。今は気絶してますが念のためこのままに』

「そうか……悪かった」

『姐さんが謝る事はねえですよ!!別にたいした傷でもありやせんし』

「そう言ってくれると助かるよ。後は私達に任せてくれ」

 

そう勇儀さんが言うと、妖怪は軽を解放する。

 

気絶している軽を持ち上げる。

 

「取り敢えず私の家に連れていこう」

「分かった」

 

 

 

 

まさか……本当に来るとはな。

 

だが、俺としてもここを通すわけにはいかないだ。

 

全力でお相手してもらおうか?

 

 

「なあ?博麗霊夢」

 

 

 

地底への入り口。

 

そこで、二つの影が激突した。

 

 

 

 

「確認してきたのぜ。あそこにさとりはいなかったらしい。その代わりに軽に接触していた男がいたらしいぜ」

「ありがとう魔理紗。これで確信が持てた」

「どういう事だ?」

 

勇儀さんから疑問の声が上がった。

 

「まず、地底への入り口に結界が張られていたのは知ってる?」

 

勇儀さんは知っている。と頷いた。

 

「でも、私達にはそれを突破する方法が無かったの。まあ、少し省かせて貰うけど、この結界を突破するために一人の男の協力を得たんだ」

「まさか……」

「うん。まだ予想でしかないけど間違いないと思う。軽の記憶を蘇らせたのは私達の協力者」

 

 

『ドン』

 

 

そして、ドンが地底へと来ている……更にはあの結界を突破する程の力の持ち主……

 

「結界は破壊されていると。そう考えていいでしょう。少し見てみます」

 

椛の眼が紅く染まる。

 

「やはり……今、博麗とあの人が戦闘中です。そして、近づいて来ている影が……四」

 

四……あいつらか……

 

「勇儀さん。今から戦闘が始まる」

「ああ。覚悟は出来てるよ。むしろ、血が騒ぐねぇ。それと、古明地こいし、いるんだろ?出てきな」

「ありゃりゃ。ばれちゃってたか~」

 

何も無いところからフッと一人の少女が姿を表した。

 

「大丈夫。お姉ちゃんの事は任せて」

「頼んだ」

 

勇儀さんは一言、そう告げた。

 

 

 

 

 

 

 

―――開戦の狼煙は上がった―――

 

―――奪うものと、護るもの―――

 

―――今、この二つの存在が激突する―――

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

さて、やってまいりました別ルート!!
……複数人になると一気に難しくなりますね……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ニムエちゃん可愛いよニムエちゃん!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

奪う者 護る者

投稿です!!

では、どうぞ!!


来ない……一向に来ない……

 

「……いや……そんなまさか……」

 

頭の中を最悪の可能性が横切った。

 

頭で、そんな事はあり得ないと自分を抑制しようとするも、意味をなす事はなく、足は動き続けた。

 

「は、はは、ははは……は?」

 

僕が向かった先、そこにはニヤリと笑みを浮かべていた―――

 

「第二ラウンドといこうじゃないか。なあ―――」

「な、なんで」

 

『―――ドンちゃん』

 

―――壱さんの姿があった。

 

 

 

 

「こいし。今すぐそこを退きなさい」

「嫌だねーだ!!」

 

ここで退いたらお姉ちゃんは本当に戻れなくなる。

 

「そもそも、お姉ちゃんが私に勝てるの?止めといたほうが良いと思うけどな~」

「お願いこいし……彼を手に入れればこいしの心を開かせる方法もきっと……」

「そんなの……もう遅いんだよ!!」

 

ああ、まったくこの姉は……

 

「いいよ、分かった」

「分かってくれたのね!」

「うん。よく分かったよ」

 

『私がお姉ちゃんの目を覚まして上げる!!』

 

 

 

 

「まあ、しょうがないんじゃないかな。自分たちの主人同士が戦うって言ってるんだから」

「……うん」

「にしても……まさか、こんな事になってるとはねぇ。さあ、構えなよ。主人に従えている者として、さ」

「……うん」

 

小さく頷いた彼女は、右手の得物を相手に向けた。

 

「……ねぇ、お燐」

「なんだい?お空」

「これが終わったら、さ。また皆で笑っていられるよね?」

「……そうさねぇ。お空が頑張るなら私も頑張ろうかね」

「本当!?」

「本当さ。だから―――」

 

『―――こんな茶番劇はさっさと終わらせようじゃないか』

 

 

 

 

「まったく……私はどうだって良いのに……なんでこんな事に……」

「さあ!!パチュリー様!!頑張りますよー!!」

「よりのもよって、前衛二人ですか」

「いいじゃないか!!さて、私も今回ばかりは負けるわけには行かないんでね―――」

 

『―――本気を出させてもらうよ』

『サポートは任せて下さい』

 

鬼は盃を持たず

 

狼の眼は血に染まった

 

 

 

 

「咲夜さんですか」

「美鈴……」

「まあ、今回は敵ですし手加減は致しませんので」

「―――ッ!!」

 

両手に七色の力を纏わせ

 

『死なないで下さいね?』

 

 

 

 

「フラン……何処まで私の邪魔をすれば気が済むのかしら?」

「お姉様が軽を諦める、もしくは自分の非を認めて反省するまで」

「まず前者は無理ね。大体私達は相思相愛なのよ?諦める道理が無いわ。そして後者。ちゃんと反省してるわよ?さすがにフランに手を上げたのわね」

 

ああ、やっぱり駄目なのか……まあいい。死なない程度に凝らしめて―――

 

『―――説教してあげるから。覚悟してね、お姉様』

 

二匹の悪魔がその翼を広げた。

 

 

 

 

「霊夢……お前に一体何があったんだ?」

「……何が言いたいのか分からないわね。それよりも魔理沙?私は怒ってるの。分かってるわよね?私の軽に触れるなんて舐めた真似してくれるじゃない。流石に殺しはしないけどそれ相応の報いを受けるのは―――」

 

 

『―――カクゴシナサイ』

 

 

「まさかこんな形で決着をつける事になるなんてな……いいぜ霊夢……今日は私のとっておきを―――」

 

 

『―――見せてやる』

 

 

 

 

 

 

 

 

『皆……頑張って……』

 

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

戦いのカードは出揃った。
後は結末を見届けるだけだ。

どのバトルから見たいかのアンケートを活動報告でアンケートしています。
良ければ投票をよろしくお願いします。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ニムエちゃんに踏まれたい(ハァハァ

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む



投稿です!!

今回はフラドール vs レミリア 戦です
いやぁ……戦闘シーンってなんであんなに難しいんでしょうかね?(遠い目)

では、どうぞ!!


私の世界には『色』がなかった。

 

やっと外に出られても『色』が私の目に写る事はなかった。

 

そんな世界に、色がない男が現れた。

 

最初はウンザリだった。でも、その男は他のモノとは明らかに違う点があった。

 

だから話しかけた。でも、感じられるのはちっぽけな力だけ。

 

どうせ怖がって逃げられる。そう思って話かけた。

 

『わざと気持ち悪がれるような言動で』

 

でも、彼は……

 

『……じゃあ、お願いしようかな?』

 

と、ぎこちなく温かい笑みで私にそう言った。

 

その時からだったか、私の目に―――

 

―――『色』が写り始めたのは―――

 

 

 

 

「ぐぅうううッ!!」

 

脇腹に刺さっている姉の腕を掴み全力で握り潰す。

 

「ガ!!アアア!!!」

 

だが、握り潰しきる事は出来ず体ごと回転し、振りほどかれた。

 

「カゴメカゴメ!!」

「チッ!!」

 

逃げた場所を取り囲む形で弾幕を展開する。

勿論、当たれば唯ではすまない。

 

だが、やはり強い。

 

姉は、グングニールを取りだし弾幕を受け流しながら、強引に突破してきた。

 

「クッ!!」

 

咄嗟の事になんとか反応し、妖力で強化した爪で防ぐ。

 

だが、それだけで止められるハズもなく、爪は砕け、私は何十メートルと吹き飛ばされた。

 

空中で体を一回転させ地面へと着地し―――

 

「!!?ガハッ!!?!!」

 

―――た、と同時に腹に鈍い痛みが襲い掛かった。

 

だが、今回は吹き飛ぶ事はなく足を掴まれそのまま地面に叩き付けられた。

 

叩き付けられた衝撃で地面にクレーターが出来上がる。

 

痛む体に鞭を打ち、掴んでいる手に足を絡ませもう片方の足で顔面を蹴りつけた。

 

流石にこの状況からの反撃は予想していなかったのか、ガードされる事もなく私の足はクリーンヒットした。

 

横に吹き飛んだ姉を空中に蹴りあげ、自分も一緒に飛び上がり踵落としで地面へと叩き付けた。

 

 ドガァアアアンッ!!!

 

辺りを音が支配する。

 

砂煙が視界を邪魔する。

 

「こほっ、―――ッ!!」

 

砂煙が口に入り小さく噎せた瞬間、私の顔は小さな手に握られていた。

 

そして、何度も、何度も地面へと叩きつけられる。

 

何度、叩き付けられただろうか……もう、意識もハッキリとはしない……

 

ああ、やっぱりお姉様は……強いや……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからって、私も負けるつもりはないんだよ!!

 

 ギリッ

 

口を噛みしめ立ち上がる。ボヤけた視界に驚いた顔をしているお姉様の顔が写る。

 

妖力を右の拳に集中する。

 

 

 

 

 

 

―――どうして、私はお姉様と戦っているのだろうか……

 

―――ああ、そうか……私が臆病者だからか……

 

―――あの時、私が軽とお姉様逹を繋ぐ『色』になれたら、なっていたら……

 

―――あの幸せな時間が続いてたんだ……

 

 

 

 

 

 

暖かいものと共に、その拳がレミリアの胸へと、強く、深く突き刺さった(刻み込まれた)

 

 

 

 

ああ、私は何て事をしてしまったのだろうか……

 

大切な妹に殺されかけるまでわからないなんて……姉失格だな……

 

今までフランを護る為に色んな努力をしてきた。

 

近接戦闘だって頭を下げてまで美鈴に教えてもらった。

 

魔法を少しでも使えるようになりたいと親友に頭を下げた。

 

どれもこれも、たった一人の妹のために。

 

もう、フランを悲しませない……独りにしないと誓ったのに……

 

腹に穴が空いたまま、フランの元へと急ぐ。

 

そこには、地に倒れ気を失いながらも涙を流す彼女の姿があった。

 

「ごめんなさい。そして、ありがとうフラン。お陰で目が覚めたわ」

 

「もう、貴女を悲しませない」

 

「あ!でも、軽は逃さないわよ?ドストレートに私の想いを伝えて虜にしてあげるんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そしたら、皆でご飯を食べましょうか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランドール・スカーレット 敗北

 

レミリア・スカーレット  戦意喪失

 

 




お読みいただき有難うございます!!

後悔もしてないし、反省もしていない!!姉妹とは兄弟とは仲良くなければならないのだ!!
と言うわけで、レミリア改心です。
良かったね……フランちゃん……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ミリオンアーサーのガチャを三回→全部☆4のダブり……

次回はドンちゃん vs 壱さん です。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

イレギュラー

投稿です!!

UA数七万突破!!有難うございます!!

今回は
  ドンちゃん vs 壱さん です。

では、どうぞ!!


「霊夢さんはどうしたの?」

「案の定ボコボコにされたさ。ただ、一撃は入れさせて貰った」

「あーなら僕の計画はおじゃんになちゃったか。本当なら僕の能力で霊夢さんの思いを無理矢理開けるつもりだったんだけど……そしたら軽くん含めて皆殺しに出来たのに。夢想天生ってあるでしょ?あれって、その人の想いの大きさによって力の大きさが変わるんだよね。それが限界まで行ったら……もう誰にも止められない。でも失敗したから僕は諦めようかな」

 

これで、諦めてくれれば……

 

『諦めるつもりもないのによくそんなスラスラと言葉が出てくるな。感心するよ』

 

まあ、普通に考えたら無理だよね!!

 

「どうしたドンちゃん!!俺でも分かるほどに焦っているようだが!?」

 

そう言いながらも、その太い足が僕を真っ二つにしようと迫ってくる。

 

(へい)!!」

 

壱さんの足が見えない壁にぶつかった瞬間 パリンッ と音を立てながら何かが割れる。

 

壱さんが足を振りかぶった隙をつき接近する。

壱さんの体に少しだけ触れ能力を発動する。

 

(かい)!!」

 

壱さんの体から力が抜ける。

ただ、それも一瞬の事だった。

 

崩れかけていた壱さんが態勢を立て直した。

 

「ほんと……どんな化け物だよ壱さん」

「安心しろ。俺より化け物な奴なんていくらでもいる。にしても空間を操るタイプか……厄介だな」

「正確には『開閉を操る程度の能力』だけどね。無理矢理開けるのは簡単なんだけどね……あの結界はキツかったな~」

 

少しでも時間を稼がないと……!!

 

「なら、俺の能力を教えておこう。俺の能力は『付属効果を与える程度の能力』だ。例えば……相手に遅効性の毒を与えたり、な!!」

 

頭を狙った蹴りをしゃがんで回避する。

 

「やっぱりか。ドンちゃんの能力は連続しては使えない。もしくはそれ相応のデメリット存在する。そして、俺の回路を閉じて殺しているようだが、俺は死ぬ事はない。相性が悪かったなドンちゃん」

「ああ、全くだよ!!」

 

掛かった!!

 

「シッ!!」

 

右ストレート    ロック 右の拳が俺の顔スレスレを通りすぎる。

左足のローキック  ロック 少し後ろにズレ回避する。

右足の回し蹴り   ロック しゃがんで回避する。

左手の肘打ち    ロック 前に転がり壱さんの股から後ろに抜ける。

 

だが、やはり身体能力はあっちの方が圧倒的に上。僕は後ろから羽交い締めにされてしまった。

 

「もうこれで逃げられないだろう?このまま締めて行けばどうなるかな?」

「さあ?どうなるかな?教えてくれる? 『ロック』 」

 

壱さんの動きが止まった。

 

「な……!!」

「まず一つ。僕の能力にはデメリットがあるけど、使いようによってはほとんどの回避出来る。

   二つ。僕は壱さんを霊夢さんにぶつける為に生かしておいただけ

   三つ。僕は壱さんを『殺せる』そして、それに対するデメリットは殆どない」

「そうか……ご丁寧に説明を有難う」

 

壱さんの声のトーンが下がった。

壱さんの絶望に歪んだ顔を見てやろう。そう思って首を動かした。

 

 

  ニヤリ

 

 

 ゾワッ なんだ……なんで笑っていられる!?

どうしてこんな状況で……おい……そんなまさか……あってたまるかそ、そんなアニメみたいな……

 

 

『サヨナラだ』

 

 

ドォォオオオン!!!

 

 

僕たちを中心に巨大な爆発が起きた。

 

 

「コホッコホッ……あー。クソッなんで本当に爆発すんだよ。あの時咄嗟に閉め出したけど……右腕が吹き飛んだか……やってくれたね壱さん……」

 

残っている上着を使い止血をする。

 

クッソ!!頭が割れそうに痛いわ、右腕は痛いわ踏んだり蹴ったりだよ!!

 

「でも、この洞窟の強度はスゴいな……あの爆発でも崩れないとは……」

 

「まあ、取り敢えず」

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕の勝ちだね。壱さん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まったく……派手にやられてるねぇ―――』

 

『―――壱』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壱  死亡により敗北

 

ドン 勝利

 

 




お読みいただき有難うございます!!

と言うわけで、悲しいですが壱さん死亡?です。
壱さん……今までありがとう……

それと、ヤンデレ成分をそろそろ補給したい……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった』

を、よろしくお願いします。
ダークソウル……キアランコス難しい……

次回は 咲夜 vs 美鈴 です。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暗殺者

投稿です!!

では、どうぞ!!


「ほら、咲夜さんどこからでも掛かって来てください」

 

美鈴が挑発してくるが私は動く事が出来なかった。

 

一見すれば、挑発に乗らず冷静に対象しているのだろうが、それは違う。

 

 

よりにもよって相手が美鈴?ふざけてるの!!?勝てるはずがないじゃない!

私は『一度』も美鈴に勝てたことがないのよ!?

 

 

純粋な戦いに置いて紅魔館最強。お嬢様と妹様を手玉に取るほどの実力者。

 

無意識に愛用の銀の時計に触れる。

 

「はぁ……来ないなら此方から行きますよ」

「―――ッ!!」

 

目の前に美鈴が迫っていた。

 

あと少しでも時を止めるのが遅かったら、私に触れている十の指が私にめり込み内蔵を喰らっていただろう。

 

私を殺さんとするその開かれた両手は毒蛇を連想させた。

 

安全な場所なのに、私の中を支配したのは恐怖だった。

 

私は美鈴から距離を取り物陰に隠れ能力を解除させた。

 

「ありゃ?逃げられましたか。今の一撃で終わらせるつもりだったのですが……」

 

遠くから美鈴の声が聞こえる。

 

ふぅ、と小さくため息をついた。

 

長期戦にしたら私が圧倒的に不利……一撃に全てを掛ける。

 

美鈴がいる方を覗く。だが、そこに美鈴の姿はなかった。

 

 

どこに……―――ッ!?

 

 

咄嗟に物陰から飛び出し バアァァァアアンッ!!! 後ろを振り返る。

 

ソコには腕を振り降ろした美鈴の姿があった。

 

「隠れたからと言って油断するのは感心しませんよ?」

 

ナイフを構え迎撃体制を取る。

 

 

思い出せ、あの頃の自分を

思い出せ、無慈悲な自分を

思い出せ、這いずり回ったあの頃を

 

 

今の自分では勝てない……思い出すんだ……!!

 

美鈴の姿がブレる。相変わらず目で追うことすら出来ない。

 

私は一歩右に動いた。そして、間髪入れず滑らかにナイフを振る。

 

ナイフには赤い液体が付着していた。

 

                  カチッ

 

「結構容赦ないですね咲夜さん」

「貴女がそれを言うかしら?美鈴。ねぇいい加減にそこを退いてくれないかしら?私は軽くんに会わないと行けないの。貴女も分かっているわよね?」

「そうですねぇ……咲夜さん、どうして軽君に会わないと行けないのですか?」

「愛し合うためよ」

「一方的な愛で軽君が喜ぶとでも?私には到底そうは見えませんが?」

「他人に分かるものではないわ。私たちは相思相愛。それを邪魔してる美鈴達の方が不粋じゃないかしら?だから退きなさい。これは一人の友人としての『お願い』よ」

「お断りします」

「そう……」

 

私は、いつも通りの笑みを浮かべ美鈴へと近づく。

 

そう、いつも通りに、優しい笑みを浮かべ美鈴を包み込む。

 

 

 

ここは、私の世界だ。

 

 

私の本来の職業……『暗殺者』の領域だ。

 

 

 

美鈴に抱きついた私は、手に持ったナイフを美鈴の首に当て優しく引いた。

 

美鈴の首から綺麗な血が吹き出し、私の腹には鈍い痛みが襲った。

 

「かはッ!?」

「まったく……最後の最後まで油断をするなと言っているでしょうに……」

 

からだ、が……うごか、ない……!?

 

「せめて、首くらいは撥ね飛ばさないと」

 

その言葉はまるで本当にやられた事があるかのような、そんな口調だった。

 

「『気』を乱したので暫くは動けませんよ。では、暫くは寝ていてください」

 

もう一度腹部に衝撃が走り、私は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『帰ったら、説教ですかね?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十六夜 咲夜 敗北

 

紅 美鈴   勝利

 

 




お読みいただき有難うございます!!

美鈴が異常に強いのは突っ込んだらいけない。ちゃるもんとのお約束だぞ!
咲夜さんはバンパイアハンター?え?暗殺者でしょ?(無表情)

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ハルバード……こんなに強かったんだ……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

向き合う想い

投稿です!!

せん……とう?

それと、こいしと、さとりの能力は作者の自己解釈ですのでご理解のほどをm(__)m

では、どうぞ!!


避けて、受け流し、攻撃。そしてまた避ける。

 

周りで大きな音が重なり合っている中、私たちの所はとても静かなものだった。

 

それもそうだ、本来の私たちの戦闘方法は、相手の心を読み、トラウマを呼び起こし、相手の心を殺すのだから。

 

そして、お姉ちゃんは勘違いしているようだが、お姉ちゃんの天敵は私であるが、同時に私の天敵はお姉ちゃんであるのだ。

 

心を読むと言うことは、別の思考を読む。

それを強制されていると言うことは、自分の目的をひたすら意識しなければならない。

そうしなければ、何をしなければならないのかが、直ぐに刷り変わってしまうのだ。

 

故に、私の能力はお姉ちゃんには殆ど効果がない。

そして、同時にお姉ちゃんの能力は私には『効きづらい』。

 

妖力を纏った拳が私の腹を穿つ。

お返しと言わんばかりに、私はお姉ちゃんに頭突きをおみまいした。

 

能力を発動し姿を眩ます。

 

お姉ちゃんの真下に移動し、お姉ちゃんの両足を全力で蹴り飛ばす。

 

 

 グキャ と言う音と共に両の足がへし折れた。

 

 ゴキャ と言う音と共に私の体は横に吹き飛んだ。

 

 

酒樽がガラガラと音を立てながら私の上へと落ちてくる。

 

それを妖力で弾き飛ばし難を逃れる。

 

樽が壊れたのか、辺りには酒のツンとした臭いが漂っていた。

 

 

お姉ちゃんは……倒れてるね……能力の事がバレてたら負けてたかも……

 

 

そう思いながらお姉ちゃんへと近づく。

 

「こいし……!!私は貴女のためにッ!なのになんで!!」

 

お姉ちゃんは私を睨み付けていた。

 

「ねえ、お姉ちゃんは私を助けるって言ってるけどさ、私はそんな事をお願いしたかな?」

「え?いや、でも……え?あれ?」

「私はね、お姉ちゃんがいればそれで良かったの。私が瞳を閉じたときもね」

 

お姉ちゃんは口をパクパクさせながら私の事を見ていた。

 

「お姉ちゃんはさ、どうしたっかたの?私はお姉ちゃんに助けて欲しいなんて言ってないし、本当はお兄さんの事を気に入ってたりするんじゃないの?ねえ、お姉ちゃんの心は今、どうなってるのかな?」

「私はこいしを助けるために……でも、こいしは助けなくてよくて……私は軽を気に入ってて、こいしは関係なくて、でもこいしを助けたくて、けいにちかづいて……でもこいしは―――けいは―――でもこいしの―――こいしは―――だからけいに―――あれ?アレ?アレあれアレアレあれあれあれアれレレれレレレ????????」

 

お姉ちゃんは頭を抱え子供のように震えだした。

 

今、お姉ちゃんは自身と向き合っていることだろう。

 

これで、お姉ちゃんが自身を受け入れ、想いを受け入れば。

 

答えなんて、それだけで出てくるものだし。

 

 

 

まあ、それまでは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――私が支えて上げるからね。お姉ちゃん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古明地 さとり 発狂により敗北

 

古明地 こいし 勝利

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうよ……これは軽を護るためなんだから……』

 

 

 

生気のない目で……彼女はそう、呟いた……

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

こいしとさとりの戦闘なんて思いつかなかったんや……弾幕ごっこ?なにそれ美味しいの?
さとり様発狂。そこから向き合い、初めて彼女は過去を受け入れられるだろう。
そこで初めて、孤独の辛さが分かるだろう。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
伝導者の三又槍が取れない……(ダークソウルわかる人にしか分からん話ばかりだな……)

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

弱者 強者 誓い 約束 家族 友達

投稿です!!

タイトルの意味が分からない?

一応本編で分かるようには書いたつもりです。

では、どうぞ!!


私は一匹の黒猫だった。

 

 私は一羽の地獄烏だった。

 

その姿故に、何者にも受け入れられず、何度も死にかけた。

 

 その中でも私は異常な程に力を持ち、仲間はずれにされていた。

 

私は、自身の知恵を振り絞り、何時しか一匹の妖怪となっていた。

 

 私は、その力故に周りから使われ、そして捨てられた。

 

妖怪になった私は、それでも尚弱者であった。

 

 独りになった私はその力故に強者であった。

 

そして、私は一人の恩人と出会った。

 

 独りになった私の前に、恩人の姿が現れた。

 

そして、弱者の私に桃色の髪の彼女はこう言った。

 

 そして、独りの私に緑色の髪の少女はこう言った。

 

 『私の家族(友達)にならない?』

 

それは、今考えると、とてもふざけていて……とても、暖かくて……

 

 可笑しくて、馬鹿らしくて……とても、眩しくて……

 

 『気が付けば、頷き、涙を流していた』

 

だから、私は誓う。

 

 だから、私は約束した。

 

 『貴女を家族(友達)として、護る……と』

 

 

 

 

私の周りを黒い影が飛び回る。

 

目で追える。気配も感じられる。

 

その先を予想し、制御棒を横に振る。

 

だが、代わりに届くのは私への鋭い痛みだった。

 

「どうしたんだいお空。ほら、当ててごらんよ!!」

 

一撃でも当てれば私が勝てるだろう。

 

でも、それは当たればの話だ。

 

戦闘が始まる前、お燐はこう私に言った。

 

『潜ってきた修羅場の数が違うんだ。強い力を初めから持っている甘ちゃんには負けないよ』

 

最初はただの挑発だと思っていた。いや、事実そうだったのだろう。

少しでも私の攻撃を単調にし、避けやすくするために。

 

それに、能力を使おうにも溜めている間に攻撃され、妖力弾一つ射つことさえ出来ない。

 

このままではジリ貧で負けるのは目に見えている……

 

その時だった。

 

足から力が抜け、私は崩れ落ちた。

 

足の健が切られた。それを理解するのにそう時間は掛からなかった。

 

目の前に、細長い足が見える。お燐のものだ。

 

「ゴメンね。それで……降参してくれると嬉しいんだけど?」

 

私はお燐を睨み付けた。

 

お燐が足を振り上げる。私は咄嗟に両手で顔を覆い、歯を噛み締めた。

 

……?いつまでたっても衝撃が来ない。恐る恐る両手を退かし―――!!?

 

「まったく……大人しく降参したらいいのに……」

 

襲ってきたのは、顔面への蹴り。その衝撃で私は数十メートルと吹き飛ばされた。

 

鼻が折れたのか、鼻で酸素を取り込めず、右目が見えない。歯も何本か折れたようだ。

 

そして、無用心にお燐が近付いてくる。

 

「どう?降参する気になった?」

 

私は、小さく頷いた……

 

「そう……それは良かっ―――た!?」

 

そして、全力で制御棒で殴ってやった。

 

だが、大して力が入っていなかったのだろう……制御棒はお燐に受け止められていた。

 

お燐は、血を吐き出しながら、私を睨み付ける。

 

「ああ……本当に諦めが悪いねぇ……おやすみ、お空」

 

ああ、負けちゃった……ごめんなさい……こいし……ごめんなさい……みんな……

 

次の瞬間、私の体は宙を舞っていた。

 

 

 

 

「よっと」

 

落ちてきたお空を抱き止める。

 

内臓がそれだけで悲鳴をあげているが、そんなの大切な家族のためだ。気にしてなどいられない。

 

「まったく……なんでこんなに頑固なのかねぇ……一体誰に似たのやら」

 

おやすみ、お空。次に眼を覚ました時は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――全部終わって、何時もの笑顔溢れる日常があるから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

火焔猫 燐 勝利

 

霊烏路 空 敗北

 

 




お読みいただき有難うございます。

お燐、お空……本来なら戦わなくていいのに……それでも、自身の家族(友人)との誓い(約束)の為に戦う……書いてて胸が痛くなりました……
ある意味では、一番の被害者かもしれませんね……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。

次回は、パチュリー&小悪魔 vs 勇儀&椛 です。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

矛と盾

投稿です!!

多分今までで一番内容が薄っぺらいです……
さあ、小悪魔の強さやいかに!!

では、どうぞ!!


「それじゃあ小悪魔。前衛は任せるわね」

「お任せください!!」

 

小悪魔は大きな剣を構えて、私にそう言った。

 

……正直私は軽にそこまで思い入れはなく、巻き込まれたのだが……

 

「まあ、全力で実験が出来るから許しましょう」

 

 

 

 

「デカイ得物を使うんだねぇ。扱いきれるのかい?」

「ご心配なく。これでも魔界で有名だったんですよ?要塞なんて二つ名で呼ばれましたが……」

「へぇ~そりゃあ楽しみ、だッ!!」

 

鬼女の拳を剣の腹で受け止める。

 

その一撃は余りにも重いモノだったが……

 

「これなら大丈夫そうですね。クソ蝿王の方が重かったですし」

「やるじゃないか……でも、後ろががら空きだよ?」

「気付いていますが?」

 

私は剣を振り回すように、後ろへ剣を振った。

 

 ビュオォ バキャ ォン!!

 

私の後ろ、パチュリー様を狙っていた狼ちゃんが剣の腹で叩き付けられ、遠くへと吹き飛ばされた。

 

遠くで大きな衝突音がする。

 

「小悪魔。退きなさい」

 

パチュリー様の小さな声がする。どうやら準備が整ったらしい。

 

『モール・クリフ』

 

その言葉が発せられた瞬間、地響きが鳴り響く。

 

そして、地面が竜の顎のような形に変わり、鬼女に襲いかかる。

 

「はッ!しゃらくさい!!」

 

だが、鬼女が放った拳で粉々になる。

 

モール・クリフ 直訳すれば土竜の崖。

 

「ああ、もう!!鬱陶しいね!!」

 

先程と同じような竜の顎が何十、何百と吊り重なりその光景はまさに崖のようだった。

 

「いい加減にしな!!」

 

そんな崖も、鬼女の拳一つで砂煙と共に崩れ去ってしまった。

 

「―――ッ!?」

 

私の前に鬼女が迫っていた。

 

「油断大敵だよ。お前さん」

 

その瞬間、鬼女の拳が私に迫る。

咄嗟に剣で受け止めたものの、上手く力を受け流せず足が地面へとめり込んだ。

 

「小悪魔!!?」

「大丈夫です!!パチュリー様は詠唱を―――!?」

「お喋りとは余裕じゃないか」

 

大振りの一撃。

 

地面を抉り、私の足からは血が流れ、噛み締めた口からは鉄の味がした。

 

「オラオラ!!さっきまでの威勢はどうした!!」

 

クッ!!何処かで攻撃に移らないと、このままじゃ負ける!!

 

ヤケクソ。少しでも時間が稼げればいい。そんな思いで剣を持ち上げた。

 

「うらぁああ!!」

「全然だね」

 

全力で下ろした剣。

妹様や美鈴さんですら重いと持つのがやっと、私も魔力と剣の効果である筋力強化を使ってやっと扱える代物を、この女は―――

 

「意外と軽いんだねぇ」

 

―――右腕一本で軽々と受け止めた。

 

『テンペス「やらせません」かはっ』

「パチュリー様!?」

「お前さんも寝ておきな」

 

私が最後に見たのは、額から血を流し折れた剣を持つ、一匹の美しい白い狼だった……

 

 

 

 

「お疲れさん」

「お疲れ様です」

 

それ以上の言葉はなく、二人は拳を上げ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――コツン と小さな音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パチュリー・ノーレッジ 

     & 小悪魔 敗北

 

 星熊 勇儀

     & 犬走 椛 勝利

 

 




お読みいただき有難うございます!!

小悪魔が強すぎる?知らんな!!ちなみに小悪魔が使っていた武器の見た目は、ダークソウル2の『煙の特大剣』を想像してください。
知らない人は検索検索ぅ!!そして、ダクソプレイヤーとなるのだ!!〔本編と関係ないな〕

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
問題児が異世界(ry のアジダカーハを増幅させたら面白そう……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私の人生

投稿です!!

キャラ崩壊注意です!!
前回よりは深い内容になった……ハズ!!

では、どうぞ!!


ポケットから小さな瓶を取り出し、蓋を開け霊夢に投げつける。

 

だが、そんな安直なモノが当たるはずもなく軽々と避けられてしまった。

 

瓶は地面にぶつかり パリンッ と音を上げくだけ散る。

そして、地面に緑色の液体が広がっていた。

 

「ねぇ魔理沙……私怒ってるの……でも、親友だから許して上げる……ね?だから退いてくれないかしら?」

「それは無理な話だぜ」

「そう……なら大人しく……シネ」

「くそ!!」

 

霊夢の追撃が来る前に箒に股がり空へと逃げる。

 

私は後ろに八卦炉を向け弾幕を打ち出す。

 

それは、弾幕ごっことはかけ離れた美しくも何ともない弾幕だった。

 

「……よし」

 

私は、さっき投げた瓶と同じものを取り出し、霊夢に向けて投げた。

 

瓶は避けられ、地面に当たりくだけ散る。

 

 

「マスタースパーク!!」

 

虹色の光線が霊夢に向けて放たれる。

 

だが、霊夢は冷静に軌道上から退き、動けない私に近づき腹を蹴り上げた。

 

「……カハッ!」

「アハハ不格好ね魔理沙ぁ……私と軽の邪魔をしてるんですものねぇ当然のいたみよねぇ!!」

 

何とか受け身を取ることに成功した私は、ポケットから最後の瓶を取り出し蓋を開け投げつけた。

 

高笑いしている霊夢に小瓶が当たり、中の青い液体がその顔を汚す。

 

「ああ、そう……そんなに死にたいのね……」

 

箒を掴み地面すれすれ、それこそ靴が地面を擦る程の低さを飛びながら霊夢の攻撃を避ける。

 

「ダメじゃない魔理沙……逃げたら貴女を殺せないじゃない……アヒッ」

 

ひたすら、逃げに徹する。

 

そして、足に激痛が走る。

 

「―――痛ッ!!」

 

どうやら、靴の爪先部分が擦り減っていたようだ。

 

私は、痛みを堪えるために箒を強く持った。

 

そして、我慢の限界と共に箒から勢い良く転がり落ちる。

 

「鬼ごっこはもうおしまい?」

 

私は霊夢を睨み付けた。

 

「ああ、やっぱり貴女は生かしてあげる。最近ね式が欲しいなぁ~って思ってたの。私と軽の時間を長くするためにね?」

「生憎だが、私は霊夢の式になるつもりはない」

 

霊夢は驚いた顔をして、私の顔を踏みつけた。

 

「どうしてよ!!?なんで!?なんで断るの!!?貴女は私の親友なんでしょ!?魔理沙の為に!こんな良い待遇を用意したのよ!!?なんで拒絶するの!!?」

 

私は、霊夢の叫んだ言葉をゆっくりと噛み砕き―――

 

「……拒絶するに決まってんだろうがぁ!!良い待遇!?私が霊夢の物になりたいとでも言ったのか!?私の人生は私のもんだ!!テメェなんかが勝手に決めてんじゃねえぇ!!」

 

―――地面に掌を叩き付けた。

 

瞬間、辺りを緑色の光が覆い尽くす。

 

「なに!?きゃ!!」

 

霊夢の足を払い除け、予め用意していた安全地帯へ逃げる。

 

「私は努力家だ……コツコツ準備する事には誰にも負けない。あの瓶を対処しなかったお前の負けだぜ」

 

「これで終いだ……」

「え?なんで体が動か―――」

 

『スター・プロミス』

 

 

 

音が消え、光が世界を支配した。

 

 

 

 

ドサッ

 

ああ……疲れた……寒いなぁ……眠い…………な、ぁ…………

 

 

 

 

凄いわね、正直見くびってたわ。

 

霊夢も死にかけてるし……はぁ、仕事が増えるわね……

 

霊夢の手当ては任せたわよ。

 

 

 

 

 霧雨 魔理沙 勝利

 

 博麗 霊夢  敗北

 

 

 

 

『何なんだよお前は……来るな……来るなぁああ!!』

 

 




お読みいただき有難うございます!!

魔理沙は火力火力って言ってるけど、こんな火力でも良いと思うんだ。
さて、バトルは終わった……後は……分かるな(ニヤリ)

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
柿の種(ワサビ味)が地味に旨い……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ウラギラレタ

投稿です!!

寝落ちしたぜ!!

では、どうぞ!!


薄暗い部屋に、寝ている男と、男の手を握り締める女の姿があった。

 

部屋の外からは轟音が鳴り響き部屋のなかまでもを震わせる。

 

女は考える。今、私に出来ることは何か……と。

 

目の前には、愛しい人がいる。

 

女は裏切られてきた者の嫉妬心によって生まれた存在。そして、彼女自身裏切られた事もある。

 

そして、そんな女の前には直ぐにでも既成事実が作れる状況……

 

だが、女はその気持ちを抑え、耐え続けた。

 

そして、ふと思う―――

 

―――既成事実を作れば彼を護れて、私も幸せになれるのではないのか……?と。

 

そんな美味しい餌が目の前に……女の理性は目映い光と共に崩れ去った。

 

 

男の唇に自身の唇を重ね、自分の色に染め上げるかのように、満遍なく堪能する。

 

そして、唇は離さずゆっくりと自身の服を脱いでいく。

 

自身の服を脱ぎ終わった女は、遂に男の服に手を伸ばした。

 

上半身のボタンを外し、そのさらけ出された胸板に舌を這わせる。

 

その時、小さな声が聞こえる。

 

それは、小さなうめき声のようだったが、女の耳に届く事はなかった。

 

 

 

 

過去の記憶……

 

それは、とても受け入れがたいモノであった。

 

だが、俺の中にあったのは何も悪い記憶だけではなかった。

 

それは、この地底での出会い……俺を襲うわけでもなく一人の友人として接してくれる友人……

 

それが、それだけが俺を支え、守ってくれていた。

 

 

ん……

 

重い瞼を持ち上げる。

 

俺の目に映ったのは、見馴れた天井、そして……俺の胸板を舐めている友の姿だった。

 

ああ……

 

「あら。軽おはよう」

 

ああ……またか……

 

「体が痛んだりしないかしら?」

 

またなのか……

 

「ちょっと待っててね?今、軽をたスケるから……ネ?」

 

またおれは……ウラギラレタノカ……

 

 

俺の上に股がってたのはパルスィではなかった。

 

ソイツの口がニンマリと笑みを浮かべた。

 

ゾワリと底知れない恐怖が俺を襲う。

 

「な……なんだよ……見るな……俺を見るなぁあああ!!!」

 

上に股がっているソイツを払い除け、ソイツの上に股がり

 

「死ね!死ね!死ねしねシネシネェ!!」

 

何度も

何度も

何度も

 

自身の拳が血に染まるまでひたすら殴り続けた。

 

 

「はぁ……はぁ……キヒ……キヒヒヒ」

 

 

もはや声ではない声が部屋のなかをこだまする。

 

「軽!?」

 

扉が勢いよく開き数人が部屋の中へと入ってくる。

 

 

その顔は―――

 

―――全て―――

 

―――ソイツの顔だった―――

 

 

 

 

暴れる軽を押さえ付け、今後の事について考える。

 

端的に言えば、地底に軽を置いておくの彼の精神的にも危ない。

 

なら、何処かに移動させるのが妥当なのだろうが……彼の事を考えるとそれはそれで危険か気もする。

 

 

まず、人数が少ないといけない。

 

そして、その少ない人数が強者でなければいけない。

 

そして、あいつらにバレにくい場所でないといけいない。

 

 

そして、幻想郷にはそれにピッタリ当てはまる場所が存在した……

 

 

 

そこは美しい桜が咲き乱れ、そんな場所には美しい幽霊の姫がいるらしい。

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

軽くん発狂。パルスィは無事です。
ソイツに自身が一番恐いと思う顔をはっつけてください。因みにちゃるもんは霊夢の顔を真っ黒に塗り潰して、半月のような赤い目と口のやつを想像しながら書いてました。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩壊録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ねむ……zzZ

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一人の女

投稿です!!

では、どうぞ!!


「妖夢。お客様が来たみたい。お願いできるかしら?」

「お任せ下さい幽々子様」

 

私は二本の刀を手に取り、侵入者の元へと向かった。

 

 

「えっと……これは一体……」

 

私の前には頭を地に付け、土下座している白狼天狗と、その傍らで気絶している男がいた。

 

「お願いします!軽を……彼をここに住まわせてあげて下さい!!」

 

お願いしますお願いします。と、天狗は頭を上げる事はなくひたすらに頭を地面に擦り付けた。

 

「と、兎に角、頭を上げて下さい!!それに私に言われても困ります!!」

 

よく見れば、天狗の衣類は破けている箇所や、血のシミのようなモノが数多く見られた。

 

「そ、その……お体の方は大丈夫ですか?随分と怪我をなされているようですが……」

「私は大丈夫です……それよりも彼の方が……」

 

そう言って、天狗は男の手を握った。

 

私も男の体を見るも……

 

「怪我をしているようには見えないのですが?」

「……心の傷は……目には見えないモノですから……」

「はあ、そうですか……取り敢えず、主人の元へと案内しますので付いてきてください」

 

私はしょうがない、と思いながら幽々子様の所へと二人を案内するのだった。

 

 

「幽々子様」

「良いわよ妖夢」

 

私は襖を開き中へと入る。次いで男を背負った天狗――名を犬走椛と言うらしい。男は逃特軽と言うそうだ――が入ってきた。

 

「こんにちは。それで?何の用かしら?」

「この男、逃特軽をこの白玉楼に住まわせてあげて下さい」

 

そう言いながら犬走椛は土下座をした。

 

「あらあら~天狗が一人の男の為に頭を下げるだなんてね。何か裏でもあるのかしら~」

「今の私は天狗ではありません」

「なら、なんなのかしら?」

「一人の女、一匹の雌として」

 

いや、まあ狼ですが……人前で雌って言うのはやめた方が……

 

「フフフ……良いわよ。少し意地悪しちゃったかしら?」

「いえ。心遣い感謝します」

「あ、一つだけ条件があるわ」

「何でしょうか」

「彼の顔を知ってる者。もちろん貴女を含めた者が定期的に来なさい」

 

幽々子様がそんな事を言うとは……珍しい事もあるものですね。

 

「……了解しました」

「欲を言えば、お土産に美味しい物を持ってきてくれると嬉しいわ~地底のお菓子とか~」

 

あ、多分こっちが本音だ。

 

 

かくして、白玉楼に新しい人間の住人が増えた。

 

椛さんは一度妖怪の山に戻り、報告をしなければならないとの事で帰っていった。

 

どうやら有給休暇?とやらを取っていたが少し期間を過ぎてしまっているらしい。

 

しっかり者に見えたのだが……少し抜けているようだ。私が言えた義理でもないのだが……

 

男の体を持ち上げ、部屋まで連れていく。

 

布団を準備し、その上に男を寝かせた。

 

 

どうしてだろうか……

 

男を見ていると―――

 

 

 

 

「あれが紫の言ってた子ね~特に何も感じはしないのだけど……」

 

「良くもまぁ~あれだけ好かれるものね~」

 

 

 

 

―――黒い感情が沸いてくるのは

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

今回より白玉楼となります。
そして朗報?です。白玉楼が最後の場所となります。これ以上の新天地への移動はありません。
みょんには頑張ってもらいますかね……(黒い笑み)

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
大分暑さが和らいできましたね。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

その感情は……

投稿です!!

では、どうぞ!!


逃特軽が目を覚ましたのはあれから二日経った夜の事でした。

 

夜、私はお手洗いに向かっていた時、目の前の襖が開き逃特軽が出てきました。

 

逃特軽には私が見えなかったのか、私の前を通りすぎ靴も履かず庭へと出ていきました。

 

私は気になって後を追いかけました。

 

私は、その時の光景を生涯忘れることはないでしょう……なぜなら―――

 

 

―――幽霊達が逃特軽を取り囲むように集まってきたのですから……

 

 

幽霊達は彼を哀れみ、励ますかのように彼の近くに寄り添う……それは一本の桜のようでした。

 

 

 

―――そして、私は後悔する事となる……ここで彼を―――

 

 

 

 

「ふあぁ~……寝不足ですね……」

 

昨日の事で頭が一杯になり、あのあと寝ることが出来なかった。

 

「兎に角、幽々子様の朝食を作らなければ」

 

幽々子様は人一倍ご飯をお食べになる。

 

 

朝は五人前と食後のデザート。

 

昼は十人前と食後のデザート。

 

夜は七人前と食後のデザート。

 

 

それに加え自分と、新しく住人となった逃特軽の分も用意しなければならない。

 

自身の稽古に時間を使いたい所だが……幽々子様の笑顔を見るのが好きなのもあり、何だかんだ楽しんでいる私もいるのだ。

 

そう言えばだが……逃特軽は居間の場所を知っているのだろうか?

 

しょうがない……作り終えた後に向かえに行こう。

 

 

朝食の準備も終わり、後は運ぶだけ。

 

幽々子様も、もうそろそろ起きてくる頃だ。

 

男手と言うことで逃特軽を起こしに行くとしよう。

 

 

「幽々子様?一体何をなされているのですか?」

「んー?居間の場所が分からないだろうと思ってね~向かえに来たのよー」

「いえ、私が聞きたいのはそう言う事ではなく……」

 

私の視線の先には、二人の組まれた腕に注がれていた。

 

「ああ~これ?嫌がらないからつい、ね?」

「嫌がらないからって何でもして良いわけでは……」

 

私は、逃特軽の顔を見た。

 

確かに嫌がっていない。かといって嬉しがっている様子でもなく……

……興味がない。この表現が一番しっくり来る。

 

その瞳には、光が宿っておらずここではない何処かを見つめているようにも見えた。

 

 

―――そして、そんな二人を見ていると……もやもやとしたものが私の胸を侵食していった―――

 

 

「それより妖夢?今日の朝ごはんなにー?」

「え?あ、はい。今日は―――」

 

 

居間で食事をしている時、幽々子様は逃特軽にひっきりなしに話し掛けていた。

 

それは、たわいもない話で、何が好きか、何が嫌いか。とかの、簡単なもの。

 

その質問に逃特軽は短く答えていた。

 

他にも、幽々子様は楽しんでいいるのか、逃特軽に食べさせていたりした。

 

 

 

そんな二人を見ていると、さっきと同じ感情が噴水のように沸き上がってくる。

 

その感情は誰しも一度は抱くものである感情……

 

そう、この感情は――――――だ。私は彼に――――――を抱いているのか。

 

 

 

 

 

 

―――そして彼女は後悔する―――

 

―――あそこで彼を―――

 

―――殺していれば……と―――

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

さて、みょん(俺の嫁)に黒い影が見えてきましたね。
幽々子様のイメージは好奇心の塊。割と面倒見が良いイメージ。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
ドーナツ食べたい今日この頃……エンゼルリングが好きです。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

儚きオモイ

投稿です!!

では、どうぞ!!


あれから、約二ヶ月。

 

大体、三日置きに逃特軽の友人を名乗る者達が訪ねてきた。

 

どんな生活を過ごしてくればあんな関係を築けるのか……

 

天狗、鬼、吸血鬼……他にも覚妖怪。

 

全部が全部、幻想郷で名を馳せた実力者だ。

 

だが、彼女達を見ていると、哀れみを覚えた。

 

彼女達は喜々として逃特軽に話掛けるが、逃特軽は『はい』や、長くても『そうですね』ぐらいしか喋らない。

 

それでも、なお彼女達は話掛ける。

 

哀れみなどの感情を抱くな、と言う方が無理な話である。

 

 

逃特軽は何故か幽霊たちに好かれている。

 

私か幽々子様が一緒にいない時、必ずと言っていいほど幽霊が一緒にいるのだ。

 

もしかしたら、幽々子様も……いや、そんな筈がない……そんな筈はないのだ……

 

 

最近幽々子様の笑顔が嫌いだ。

 

いや、幽々子様が逃特軽に向ける笑顔が嫌いだ。

 

幽々子様が何を考えているのか、私には分からない。

でも、少なからず逃特軽に好意を向けているのは確かだろう。

 

 

今日は桜の下でご飯を食べたい。と、幽々子様がおっしゃった。

 

私は乗る気ではなかった。

 

仕事の量が増える。

準備から後片付けまで……今は男手があるのが唯一の救いではあるが……二人ののろけを何時も以上に見るはめになるのか……と、思うと気持ちで一杯だった。

 

だが、自分の主の命に逆らうことも、私は出来なかった。

 

 

桜の下にシートを広げ、料理を並べる。

 

準備が出来ることには幽々子様と逃特軽は来ていた。

 

そこから、小さな宴会が始まる。

 

開幕早々、幽々子様が逃特軽に近づいていた。

 

その後も、酔ってしまったなどと言い服をはだけさせたり、胸を押し付けていたりしたが……

逃特軽は何の反応も起こさず黙々と食事をしていた。

 

イライラ、もやもや……言葉に出来ない感情が私を襲った。

 

予め箸の替えを持ってきていて正解だった。

 

 

分かっている……分かっているのだ……

 

主にこんな感情を抱くのは間違っている、と。

 

客人に対してこんな感情を抱くのは間違っている、と。

 

それでも……一度抱いたこの想い……気付いてしまったこの想いを抑えよう。忘れ去ろう。

そんな事は一切出来なかった。いや、しようとしなかった。

 

今のまま……これ以上の事さえなければ……

 

 

私の想いに気付いて下さいマスヨネ?

 

 

そして、今日も私はオモイと想いを隠しながら生きていく……

 

 

 

 

 

―――少女は、そう信じ日々を過ごす―――

 

―――それが……数日後には完全に裏切られるとは思いもしないで―――

 

―――儚きオモイを、その胸に抱き今日も笑顔で過ごすのである―――

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

だんだん雲行きが怪しくなって来ましたね~
今回でヒロインが分かるかな?そうです。あのお方です。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
過去の感想欄を読んでいるとEND1の後日談にて『魔理紗洗脳されたの?』等の感想がありました。
そう言えば前、後書きでヒント書いてなかったな~
と、今更ながらに気付きましたのでヒントを書きます。
『私の人生』 に、答えが載っています。以上!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一つの言葉

投稿です!!

では、どうぞ!!


ズサッ

 

そんな音と共に胸に長い物が刺さる。

 

『アナタが悪いんですよ?』

 

彼女の顔には赤い液体がベッタリと張り付いていた。

 

そして、俺は……

 

『ありがとう』

 

と、小さく呟いた。

 

 

 

 

逃特軽が連れてこられた理由……それは、博麗の巫女の子供を作るため。

 

博麗の巫女は血の繋がりが無く、その強さの高低差が激しいのだ。

 

それに加え、外界の人間の霊力が徐々に弱くなっている傾向にある。

 

現に、先代、先々代と二十にも満たずに妖怪に喰われるはめとなった。

 

そして、今代博麗の巫女、博麗霊夢は本来十五歳頃に博麗の巫女として働き始める所を、五歳と言う若さで十二代目博麗として動く事を余儀なくされた。

 

唯一の救いは、彼女が霊力の量も質も良く、結界術に長け、頭の切れも人一倍良かった事。

そして、早めに霊夢が私によって保護された事くらいか……

 

 

霊夢は外界の、いわゆる捨て子であった。

 

段ボールに押し詰められた一、二歳程度の幼子……その、大きくもバランスの取れた霊力の量と質。

 

私が霊夢を拾わない理由はなかった。

 

拾って、約三年と半年。第十一代目博麗が風見幽香の花畑に戦闘中に落とされてしまい、そのまま殺された。

 

その一週間後に五歳になった霊夢を、十二代目博麗の巫女とした。

 

彼女は自身を強く持ち、弱いことを自覚していた。

 

勝ち目がないと踏んだ勝負は極力避け、勝てると見込んだ勝負はどんな事をしても勝った。

 

ある意味では、博麗の巫女最強だろう。

 

その気高きプライドと、そのプライドを捨て誰かを守ろうとする姿勢……

 

誰にでも真似できる事ではない。

 

そして私は思う―――

 

 

―――今の時代、こんな原石は二度と手に入らない。

 

 

そして、私は博麗の巫女を残す事とした。

 

さすがに私でも、一方的に子供を作ることは出来ない。

 

かといって、人里の男を私的理由のために使ったら今後に響く可能性がある……

 

子種さえあれば良いのだ……

 

 

―――その日の私は本当に馬鹿だった……

 

 

私は隙間の前を偶々通った男を子種として選んだ。

 

 

「ねえ紫?あの男の子の事見逃してくれないかしら?」

「どうしてか、聞いてもよろしくて?」

「う~ん……年甲斐もなく、恋しちゃったから。じゃ……だめかしら?」

「……私もねぇ……霊夢があそこまであの子に想いを寄せてなければねぇ~」

 

本当に……あの時の自分はなんであんな方法で選んだのか……

 

「私としては子種さえあれば良いんだけどね」

「したことないくせに~」

「…………」

 

どうしようか……一週間くらい何も口に出来ないようにでもしてやればいいのかしら……

 

「それは止めて!!私死んじゃう!!」

 

必死に止めに入る親友を見て溜め息を一つ。

 

「はぁ……」

「あ!なら、私が子種を取るから……」

「貴女……何を言ってるのか分かってるの?」

「言ったじゃない。年甲斐もなく恋をしたって」

 

マジか……

 

「まあ、私はそれでも構わないけど……あの子大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫~」

「霊夢や、他の子はどうするのよ」

「きっと大丈夫よ~」

 

まったく……この親友は……

 

「まあ、好きにしなさいな」

 

 

 

 

ゴンッ!ゴンッ!

 

壁を殴る音が部屋の中を響き渡る。

 

一人は暗く

 

一人は涙を流し

 

『なんで……アイツがいなければ……』

 

『また、俺は狂わせたのか……』

 

 

彼、彼女らを動かす切っ掛けとなったのは……たった一つの言葉……

 

 

『恋』

 

 

 

 

―――そして、歯車は最後の物語を刻む―――

 

―――その先にあるものは……―――

 

―――絶望の闇か―――

 

―――希望の光か―――

 

 

 




お読みいただき有難うござました!!

軽くんが連れてこられた理由……Hをするため……
うらやまし……くないな。うん。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
やめて!!その優しさが軽くん追い詰めてるのよ!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

土砂降りの雨

投稿です!!

では、どうぞ!!


『恋』

 

俺の意識が覚醒したのは、その言葉が原因だった。

 

そして、覚醒した俺の心を支配したのは―――

 

「ああ……俺はまた、狂わせたのか……」

 

―――恐怖だった。

 

 

あの日以来、俺は幽々子様を避け続けていた。

 

狂わせるくらいなら……そんな思いで、ただひたすらに避け続けた。

 

これで誰かが狂わなければ、それでいい。

 

でも、そんな俺の思いも簡単に水の泡となる。

 

 

『今日の夜、私の部屋に来なさい。館の主としての命令よ』

 

 

と言う一つの命令によって……

 

 

夜。俺は幽々子様の元へと来ていた。

 

幽々子様は部屋の外の縁側に座っていた。

 

「あら?来てくれたのね。軽」

「館の主としての命令と言われましたから……」

「それだと、私個人のお願いは聞いてくれないって、聞こえるのだけど?」

「…………それより、何用ですか?」

「少し酌をしてもらおうと思ってね?」

 

そんなの妖夢さんに任せれば良いのでは?

 

そんな思いを噛み殺し、幽々子様の隣に腰を下ろした。

 

「何時からだったかしら?貴方、最近よく喋るようになったわね」

 

それは、自分でも分かっている。全部……覚えているのだから……

 

「別にそれが悪いって訳じゃ無いんだけどね?どうせ、全部聞いてたんでしょ?貴方が連れてこられた理由から、私がどう想ってるのかも」

 

知っているとも……聞いていたとも……だからこそ、貴女から逃げていたのだから……

 

「無言は肯定と同じよ?大丈夫。全部吐き出しちゃいなさい」

 

 

 

その言葉が、引き金となった。

 

 

 

 

「……俺は……どうすれば良かったんですかね?……逃げて、狂わせて、また逃げて……そして狂わせる……」

 

「俺だって……こんな事にしたくなかった……でも、俺が望もうが望まないが勝手に狂っていく!!どうすれば良かったんですか!!?俺が自分の人生なんて諦めて、あの暗い場所に居続けてれば!あんな事には……!!あんな事にはならなかったんですか!?」

 

「そもそも!!なんで俺なんだよ!!他にも絶対いただろうが!!そんな簡単に大切な事決めんじゃねぇよ!!」

 

「そんなに俺が苦しむのが好きなのか!?そんなに俺が壊れる様を見るのが楽しいのかよ!!?」

 

「本当だったら俺は平和な日常の中にいたはずなのに!!全部壊れた!!全部壊された!!」

 

「あんな下らない理由で―――」

 

 

「―――あの日から俺の人生は狂ってしまった!!」

 

 

 

 

 

俺の握り締められた手を、冷たいものが包み込む。

 

「私には軽が耐えてきた痛みは分からないものだわ」

 

「辛かった。痛かった。悲しかった。他にも一杯あるでしょう。でも、もう一人で背負い込まなくていい。これからは―――」

 

 

 

「―――私も一緒に背負うから。もう我慢なんてしちゃ駄目よ?」

 

 

 

―――二人の重ねられた手の上に、土砂降りの雨が降っていた。

 

 

 

 

 

『クソガックソガックソガッ!!ころす殺すコロス!殺してヤる!!』

 

『相手が―――だろうと!絶対に許さない!!殺してヤる!!』

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます。

もし、自分がこんな状況で、傍らにいていてほしい人。を、考えた結果、『自分の重みを一緒に背負ってくれる人』かな。と、思いましてこうなりました。
ここまで誰かにぶちまけるのって案外初めてじゃないですかね?
地底に行く前の謎の人物の時は内容が違いましたしね。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
夏休み、既に終わった所と、もうすぐ終わるくらいでしょうか?
ちゃるもんの学校は今日から学校でした。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

逃げるとは諦める事と同義であり、立ち向かう事と同義である。

投稿です!!

駆け足になってしまった……

感想ありがとうございました。


「すいません……お見苦しいところを……」

「良いのよ。言ったでしょ?私も一緒に背負うって」

 

確かにそう言っていた。でも……どうせまた狂ってしまうに決まってる……

 

今までも……そうだったのだから……無理に決まってる……

 

「また、そうやって逃げて、諦めるのかしら?」

「…………」

「勝手に無理だって決めつけて、目を背けて、逃げて、そして、諦める。

 私はね。逃げる事自体は悪いことじゃないと思うの。

 だって肝心なのは、逃げた先で何をするのか。

 逃げると言うことは、諦めると同義であり

 逃げると言うことは、立ち向かう事と同義なのだから。

 ねえ?貴方は悔しくないの?

 こんな理不尽を押し付けられて、逃げても逃げても狂わせて……

 責めることすらしなかった……

 そんな自分のせいで全部が壊れていって……

 貴方は悔しくないの?」

「……そりゃ、悔しいですよ……椛の時も、レミリア様の時も、上白沢さんの時も、パルスィの時も、それこそ博麗霊夢の時だって……俺がもっと冷静に状況を整理して、話し合いでもすれば……」

 

そうだよ……やっぱり全部俺が……

 

「貴方は甘過ぎるのよ。責任を押し付けもせず全部自分が悪いって言って、貴方はもっと我儘になってもいいの」

「今さら変えられませんよ……さっき、幽々子様も言っていたじゃないですか。俺は逃げて、諦めた臆病者ですよ……」

「諦めたらもう一度立ち上がればいい。貴方はその足で立っているのだから。

 貴方はその手で何も掴んでいないのだから。

 貴方はその瞳で結末を見ないといけないのだから。

 貴方は……生きているのだから」

 

その言葉は、少年漫画に出てきそうな台詞だった……

 

ああ、実際に聞いてみれば良く分かる。

 

主人公達がどれだけ強かったのかが……

 

どれだけの人に支えられ強くあれたのか……

 

「貴方の能力は『逃げる程度の能力』軽が望むのであればいくらでも力を貸すでしょう。そして、それは逃げるときだけではないわ。

 逃げるとは、諦めることと同義であり、立ち向かう事と同義である。

 後は、自身で決めなさい」

 

諦める……立ち向かう……

 

誰かから出された、初めての選択肢。

 

今までのように諦めたら……俺は楽になれるのだろう……

 

でも、それで良いのか?

 

本当にそれで?

 

良いわけなんてない……それは俺が一番良く知っているハズだ……

 

なら、立ち向かう?

 

そんなの無理に決まっている。俺は甘過ぎるのだから。

 

 

 

……だったら、選択肢など一つではないか。

 

 

 

そして、言わなくてはならない。

 

 

俺を受け止めてくれた人達に、俺を支えてくれた皆と目の前の女性に……

 

「ありがとう」

 

と。

 

 

 

 

俺は甘ちゃんだ。

 

だからどうした。

 

こんな理不尽な人生なんだ。

 

今回は俺の我儘に付き合ってもらうぞ。

 

 

 

 

 

 

―――さあ、逃げに逃げてやろうじゃないか―――

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

軽くんの能力発覚!!ね?シンプルだったでしょ?
さて、残すエンドは後二つ……最大のフラグを回収するべく、物語は進んでいく……

今更ですが、キャラクター紹介とかしたほうがいいですかね?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方、崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
妖夢ちゃん……君はそれで……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最初の目的地

投稿です!!

いやぁ……詰め込みすぎて意味わからん!!

なにがしたかったんや……

では、どうぞ!!


俺は今、大きな鳥の背に乗って大空を駆けていた。

 

俺が白玉楼をでる時に、入り口に立っていた壱と名乗る青年がこの鳥に変身したのだ。

 

 

そして、今とある場所に向かっている。

 

 

幽々子様の言っている事は、誰かに責任を押し付けて切り捨ててもいい。

 

実際には違うのかも知れないが、少なくとも俺にはそう聞こえた。

 

確かに、俺は理不尽にこの世界に連れてこられ、理不尽に痛め付けられた。

 

そして、俺自身も関係のない人達を理不尽に狂わせた。

 

 

それだけの事をしておいて諦める?立ち向かう(切り捨てる)

 

ふざけるな。だったら、結末なんて見なくていい訪れなくていい。

 

そんな事なら、全員と真正面から話して、逃げて(和解して)やろうじゃないか。

 

 

俺が望むのは、あの漫画の主人公達が望むような平和。

 

 

甘過ぎる?何とでも言え。

 

俺は臆病者で、社会の辛さも知らないような甘えてるだけの餓鬼だ。

 

だからこそ、もがき、這いずり、足掻くんだ。

 

それが、良い方向に傾くとは限らない。

 

そもそも話を聞いてくれるかも分からない。

 

でも、諦めてなにもしないよりは、俺から動いて歩み寄った方が良い方向に傾くハズだ。

 

 

また、裏切られるかもしれない?

 

ああ、確かにそうだろう。でも、裏切られないかもしれない。

 

結局は、俺がネガティブ過ぎただけの話なのだから。

 

 

それで本当に後悔しないのか?

 

するかもしれないし、しないかもしれない。

 

でも、そんな事今考えても意味がないだろう?

 

だって、未来の事なんて誰にも分からないのだから。

 

 

相手が受け入れてくれるとも限らない。

 

でも、行動を起こさなければ、可能性は0のままだ。

 

受け入れてもらえなかったら、その時はその時だ。

 

 

お前は強い。

 

いいや、弱いさ。

 

だって、誰かの力を借りなきゃ行動も起こせないんだからな。

 

 

それも、一つの力だ。

 

確かに。そうなんだろうな。

 

 

本当に……良いんだな?

 

当たり前だ。

 

 

死ぬかもしれないぞ?

 

死なねえよ。だって―――

 

 

―――俺の帰りを待ってくれてる人がいるからな。

 

 

 

 

 

「軽くん?さっきから黙って……大丈夫か?」

「大丈夫です。少し自問自答してただけだから」

「そうか。どうだった?」

「どうだったんでしょうね?」

「なんだそれは……」

 

ハハハ と、二人分の笑い声が耳を燻る。

 

「さあ、もうすぐ到着だ」

「ああ……」

 

あの時は言えなかった言葉を、今度こそ伝えよう。

 

「雲を抜けるぞ!」

 

瞬間、目の前が暗くなる。

 

肌には水滴がぶつかり、ヒンヤリと体が冷えていく。

 

雲を抜け、見えてきたのは……

 

「久しぶりだな……妖怪の山に来るのも……」

 

 

最初の目的地。それは―――

 

 




お読みいただき有難うございます!!

次回は妖怪の山のあの方です!!
そして、サラッと出てきていた壱さんであった。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあればよろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
次回はもっとキチンとまとめよう……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

親友

投稿です!!

お気に入り登録が400人を突破しました!!
沢山のご愛読有難うございます!!

では、どうぞ!!


妖怪の山に佇む、一軒のとある家。

 

俺はその家の扉を コンコンッ とノックした。

 

『はーいどちら様でしょう……か?』

 

「久しぶり。椛」

 

 

久しぶりの椛の家。

 

壱さんには悪いが、外で待ってもらい今は椛と二人っきりだ。

 

「まず、すまなかった」

「いえ、謝るのは私の方です……護ると約束したのに……貴方を護れなかった……」

 

ん?約束?そんなのしたっけ?

 

「本当にごめんなさい……」

「なあ椛?そんな約束したっけ?」

「え?しました……よ?」

「なんで疑問系なんだよ……」

 

やはり、していなかったらしい。

 

「まあ、いいや。それでだな、もうひとつ言っておかないといけない事があるんだ」

 

「今まで俺を護ってくれてありがとう。話は俺が壊れてる時に皆から聞かされてる。本当にありがとう」

 

そう言って深く頭を下げる。

 

「そんな事……結局私は貴方を護りきることは出来ませんでした……慰めなんていりません……」

「…………俺はさ、椛から逃げたことを後悔してる……あそこで俺が受け入れられるだけの度量があったら椛はこんなに苦しまなくて済んだんだからな」

「あれは、私が強引に迫ったから……!軽は悪くなんか……!」

「慰めならいらないぞ。お前も言ってただろ?結局は自分を攻めたいだけなんだよ。俺もお前も」

 

自分と、彼女を指差しそう言った。

 

「なあ、椛さえ良ければだけど、さ。昔の事は水に流さないか?」

「…………付いてきてください……」

 

椛は苦虫を潰したような表情の後、決意したような悲しげな顔でそう言い部屋から出ていった。

 

俺はその後を慌てて追いかける。

 

着いたのは、二階のある部屋の前。

 

二階には来たことがないので、まるで別の家かのように新鮮に感じる。

 

椛は鍵を取り出し ガチャリ と音がする。

 

そして、その扉が開けられた瞬間俺は絶句することとなった。

 

何故なら―――

 

 

 

 

 

―――辺り一面に俺のアップ写真が貼り付けられていたのだから。

 

 

 

 

 

 

「気持ち悪いでしょう?こんな女……正気に戻った今でも……一枚も剥がすことすら出来ないんですよ?」

「……確かに……ちょっとこれはキツイ……ん?」

 

目に写ったのは机の上にあるアルバム。

本棚立てには、同じ物が四冊並んでいる。

 

アルバムを手に取りパラパラと中を見る。

 

 

 

俺が射命丸に修行をつけてもらっている写真。

 

にとりに川の中に突き落とされてる写真。

 

 

そして、椛と俺のツーショット。

 

 

写真を見ていると、色とりどりの思い出たちが顔を覗かせる。

 

そう言えば……にとりの奴にカメラを作って貰ったとはしゃいでた時があったな。

と、今更になって思い出した。

 

 

笑顔の写真から、怒った写真。くしゃみをしている写真まである。

 

 

皆と一緒に写ってる写真。悪戯されてる写真。そして、椛と一緒に写った写真。

 

 

その何れもが温かく、その何れもが優しかった。

 

俺はアルバムを手に持ったまま、後ろをむく。

 

そこには、うつむいたまま涙を流す椛がいた。

 

「まあ、確かに驚いた。今でも気持ち悪いと思う」

 

「だから、流石にさ全部とは言わないから剥がしてくれると有難い」

 

「でだ、前回の事は水に流してさ、また友達になってくれないか?」

「…………どうしてですか……?」

「どうしてって言われてもな……だめなのか?」

「ダメじゃないです!でも……貴方はこんな女が気持ち悪くないんですかッ……!!」

「ああ、確かにこの部屋は気持ち悪い。けど、だからなんだ?」

「だからなんだで済ましていい問題じゃ……!!」

「済ましていいんだよ。本人がそう言ってんだから」

 

監禁されてた頃のせいで感覚が麻痺してるのもあるがな……!!

 

「俺は椛と寄りを戻したいと思ってる。椛が望むような関係になれるか分からないし、今まで迷惑をかけ続けた俺の一方的な我儘だ。でも、それでも、俺は椛と良き友人……し、親友になれればな……って思ってる」

「……本当に……私なんかが……」

「椛だからだ」

「ぁ……ぉね……ぉねがぃしましゅ……!」

 

 

俺は、椛が泣き止むまで、彼女を抱き締めていた。

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

まず、一言……甘い!!
あれ?これヤンデレ系の小説だったよね?あれー?
ま、まあ椛説得成功です!!

次回 ロリッ娘

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
椛もみもみ!尻尾モフりてぇ……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

小さな心の叫び

投稿です!!

軽くんの簡単な容姿を。
身長 最初の頃168cm~今の頃172cm
体重 72キロ
黒目 体に傷あり(服の中に隠してる) 服装 さむえ
黒髪 肩に掛からないぐらい。今は幽々子に貰った髪留めで留めている。

イラストを一度でいいから貰ってみたい今日この頃。
別に自身を軽くんに置き換えても良いよ!!

では、どうぞ!!


椛に別れを告げ、壱さんに聞かれていたと知り、赤面しながらも到着したのは大きな館。

 

そう、紅魔館である。

 

紅さんに軽く会釈をして、紅魔館の中へと入る。

 

目的の部屋の扉をノックする。

壱さんは図書館に行くように言いました。

 

『どうぞ』

 

扉の向こう側から返事が返ってきたので、扉を開き部屋の中へと足を進めた。

 

「お久しぶりです。レミリア様」

「もう様は付けなくて良いわよ。久しぶりね軽」

「もうこれで慣れてますから」

「そう……で、何か話があって来たのでしょう?」

「はい」

 

 

部屋の中をコトッコトッと言う音が静かに響く。

 

「チェックメイト。相変わらず弱いわね」

「レミリア様が強すぎるんですよ」

 

レミリア様はクスクスと笑い、俺は顔を反らした。

 

そして、また駒達を元の位置に戻し、コトッコトッと言う音が部屋の中を静かに響かせる。

 

「貴方が初めてこの屋敷を訪れたとき」

「はい?」

「私は運命を見たの。そこに見えた運命は私、咲夜、フラン、小悪魔、パチュリー、美鈴……そして、軽」

 

レミリア様は俺を指差した。

 

「皆が笑顔で、貴方は私を抱き抱えてた。最初の頃はそんな筈はない……って思ってたんだけどね」

 

俺が駒を動かす。

レミリア様が駒を動かす。

 

「あの見えた運命が頭にチラついて……何時しか貴方を意識し始めるようになってた。貴方と会うたび、貴方と話すたび……貴方が欲しくなった」

 

俺の長考。

レミリア様の行動。

 

「あの頃からでしょうね。運命が変わったのは……いや、私が変えたのか……それも、悪い方向に」

 

駒を動かす。

駒を取られる。

 

「しかも、実の妹に殺されかけないとそんなことに気付きも……いや、考えもしなかった」

 

駒を取る。

駒を動かす。

 

「正直、今でも私は貴方が欲しい。だから率直に言わせて頂戴」

 

駒を動かす手が……止まる。

 

「私は貴方の事を愛しています」

 

コトリッ

 

 

レミリア様に魅力が無いわけではない。

むしろ俺には勿体ないくらいの美少女だ。

背も低いとは言え百四十センチはあるはずで、そこまで不自然にも感じない。

前の事も反省して、こうしてストレートに告白してくれてる。

断る理由は無い。

 

 

でも……あの人の姿がどうしても頭にチラついてしまのだ……

 

月明かりに照らされた……あの美しい姿が……

 

 

「ごめんなさい」

「そう……そうよね……」

 

盤上に数滴の水がこぼれ落ちた。

 

レミリアは笑顔を見繕い俺の方を向いた。

 

「今度ね?パーティーを開くの。軽も出てくれないかしら?皆が……喜ぶから……」

「勿論です」

「そう!ありがとう」

 

そう言いながら、濡れた盤上の駒を動かす。

 

俺の前には、剣を持った一人の美しいクイーン(吸血鬼)がいた。

 

「チェックメイト……よ。話が終わったのなら……出て……いきなさい……」

「……レミリア……ありがとう」

 

そう言い残し部屋から出た。

 

部屋の扉を閉めた瞬間―――

 

 

―――小さな心の叫びが聞こえた。

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます。

レミリア……事前に決めてたのに……結構来ますね……

次回 ロリッ娘か魔女

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
前書きで書きましたのは気にしないでください。
でも、イラスト募集中です。
(Twitterとかしないと貰えないとかないよね?僕Twitterもラインもしてないよ?)

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

止められなかった私

投稿です!!

最後の方は無理矢理詰めただけなにで酷いです(断言)

では、どうぞ!!


咲夜さんが見当たらないので大図書館に来ました。

 

パチュリーさんに挨拶をしに行く。

壱さんはなんか本読んでたので放置してきました。

 

まあ、それは置いといて大図書館の奥へと歩を進める。

 

そこには、分厚い本を読み進めているパチュリーさんの姿があった。

 

「お久しぶりです。パチュリーさん」

 

俺が挨拶をすると、パチュリーさんは本から顔を上げ初めて俺の顔を見た。

 

「あら、貴方だったの。久しぶりね」

「はい。お久しぶりです」

 

パチュリーさんは本を置き、手を軽く横に振った。

 

するとどうだろう。

どこからともなく一脚の椅子。そしてテーブルの上には珈琲と砂糖とミルク。

 

パチュリーさんに促され椅子へと座る。

 

「本当は咲夜か小悪魔に入れて欲しい所なんだけど……生憎二人ともまだ仕事が出来るほど回復していないのよ」

「そんなにひどい怪我を?」

「ええ。咲夜の方は美鈴が手加減してたから大丈夫なんだけどそれでも怪我が酷くてね、今は少しずつ体を慣らしてる所よ。

 小悪魔の方は、私が気絶してたから小悪魔に回復する分の魔力の供給が行われていなくてね……今は起きてるんだけど動けるほどじゃないわ」

 

うーん……後で行こうと思ってたんだが……これは行かない方が良いのか?

 

「それでなんだけど……後で二人に会ってくれないかしら?」

「え?でも無理させない方が……」

「小悪魔は話をするぶんには大丈夫よ。咲夜は怪我をしてるのに働きすぎ。見てるこっちがハラハラするわ。二人のためにも会って欲しいのよ」

「……なら、後でお伺いしておきますね」

「ええ。よろしく頼むわね」

 

 

……

………

…………

 

 

無言……いや、まあパチュリーさんは元々あまり話すようなタイプじゃないけど……ないけどさ!!

 

こっちはこっちで声を掛け辛い……!!

 

「……悪かったわね……」

「え?」

「私がレミィを止めてたら貴方は被害者にならなくて済んだんだもの」

「それを言ったら俺にだって非はありますよ。俺が逃げ出さずに話し合っていれば、こんな事にはならなくて済んだんですから」

「そう」

「そうです」

 

そして、また訪れる静寂の時。

 

そこには珈琲を啜る音のみが聞こえた。

 

そして、響き渡る ドガァアアン!! 轟音

 

「な、何事ですか!?」

「はぁ……貴方も多分知ってるでしょう?泥棒をしなくなったのは良いんだけど……毎度毎度扉を壊して入ってくるのはやめて欲しいわね」

「軽くん大丈夫か!?」

「大丈夫です。てか、気付いてたんですね」

「当たり前だ。私を誰だと思っている」

 

 

『パチュリー!!本を返しに来たのぜー!』

 

 

「もう少し静かに入ってくれば完璧なんだけどね……魔理紗」

「それは無理な話だぜ」

「はぁ……」

「あれ?こんな所にきゃく……か?」

 

 

「ああ……確かに知ってる人だったわ。久しぶり魔理紗」

 

 

轟音の正体……それは……霧雨魔理紗。その人だった。

 




お読みいただき有難うございました!!

途中……途中までは出てきたんや……でも文字数が足りんかったのや……結果がこれだよ!!
あと、一話二話はヤンデレ成分は出てこない予定です。

次回 普通の魔法使い

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあればよろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった』

を、よろしくお願いします。
次回は……もっと頑張ろう……でも、全然考えてないんだよな~

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大切なもの

投稿です!!

ヤンデレは今回一切出ません!!

では、どうぞ!!


霧雨魔理沙。

 

紅魔館で出会った普通の魔法使い。

 

正直あまり面識はなく、俺と彼女を繋いでいるモノと言えば……俺の背中の傷ぐらいか。

 

「……こうやって正気の状態で話すのは久しぶりだな」

「そうだな。まともに話したのは初めて会った時以来、人里じゃあの日以来会ってないしな」

「それは許してほしいのぜ。新しい魔法を早く完成させないといけなかったんだ」

「へぇ。今度見せてくれよ」

「あー。魔力が枯渇するからあんまりやりたくないんだが……小規模なら大丈夫か」

 

そんな他愛もない話を交わす。

それは、一重に彼女が接しやすいからだろう。

男友達……とまでは行かないが、それでも話しやすいのには代わりない。

 

「魔理沙は良くここに来るのか?しかもさっきのパチュリーさんの口調から察するに……盗んでたの?」

「あーまあうん……死ぬまで借りようとしてただけだぜ!!」

「それを世間では『盗む』と言う」

「そうなんだよなー。まあ今はそんな事してないんだが」

「そりゃ良かった」

 

二人して笑いあう。

 

「何の本なんだ?」

「ちょっと毒に関してな……その、霊夢がな、私の使った毒なのかは分からないんだが……目を覚ましてても動けなくてな……軽から見たらそんな事するなよって思うかもしれないが、あれでも私の親友なんだ。分かってくれ」

「ああ、分かった。無くしたら絶対に帰ってこないんだ。絶対に離すなよ?」

「……変わったな。当たり前だぜ」

「変わってないよ。逃げてるだけだ」

 

そう。俺はただ逃げてるだけ。

諦めることもせず、誰かを切り捨てることもできない。

 

そんな優柔不断で臆病な男なのだ。

 

「軽がそう言っても、周りは変わったて言うぞ」

「だろうな」

「やっぱり変わったぜ」

「変わってないよ」

 

そんなやり取りを繰り返す。

元の世界では割りと良くある光景。

 

それが今ではとても懐かしいものだった。

 

壱さんとパチュリーさんは空気を読んでか、既にそこには居なくなっていた。

 

「私は、さ……軽に……返せたのかな?」

「何を?」

「その背中の傷を見たときにな、私は責任を取るって誓ったんだ」

「ああ……その事か」

 

確かに見せられた側としては、そんな風に考えるのが当然だろう。

 

「なあ、魔理沙……俺はお前にとって『友人』なのか?」

 

俺がそう言うと、魔理沙は俺の目をしっかりと捉え。

 

「当たり前だぜ」

 

と、言い放った。

 

「そっか。そっか……」

 

俺はその言葉を噛みしめた。

 

じんわりと胸の奥が暖かくなっていく。

 

「俺はこの背中の傷よりも大事なものを貰った。今、この傷は俺の誇りにもなった。

 魔理沙……俺に大切なものをくれて―――」

 

 

 

 

『―――ありがとう』

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

魔理沙は友人ポジ。異論は認める。でも本編で軽の事が好きだとか言っていないんですよね。言ってたとしても、大切な人まで。

次回 良心と言えば?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
因みに……霊夢が動けないのは壱さんのせいです。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

孤独の人形

投稿です!!

活動報告に次回作についての説明及びアンケートを行っています。
よろしければ、アンケートへの返答をよろしくお願いします。

では、どうぞ!!


「それじゃあ私はまだやらないといけない事があるから」

「ああ。また今度な」

「おう!またな!」

 

魔理沙は数冊の本を持ち、箒に股がり バゴオォオオン!! 大きな破壊音と共に大図書館を後にした。

 

「さて……次は小悪魔さんの所にでも行こうかな」

 

さっきのパチュリーさんの口調から察するに自分の部屋で寝ているのだろう。

 

そして、一歩踏み出したその時……

 

『お兄さんー!!』

 

これは……み―――ぎ!?

 

「カハッ!」

「久しぶり久しぶり!!会いたかったよお兄さん!!」

 

分かった!分かったから鳩尾を頭でグリグリするのをやめてぇ!!

 

そんな思いを込め、フランドールの背中をタップする。

 

すると、不思議そうな表情を浮かべ鳩尾から頭を退かした。

 

「?どうしたのお兄さん?」

「い、いや。僕も会えて嬉しいよフランドール」

 

さて、抱きついてるフランドールを優しく引き剥がす。

 

「あ!お兄さん!!私の部屋に来てよ!!」

「え?あ、ちょ!」

 

今度は腕を取られ、引っ張られる。

 

本当は小悪魔さんの所に行くつもりだったのだが……まあいいか。

 

 

フランドールに連れてこられたのは、大図書館の奥から行くことの出来る地下室。

 

そこが、フランドールの部屋となっているらしい。

 

「ほら!入ってはいって」

「こら、そんなに押すなって」

 

フランドールに押され、部屋の中へと入る。

 

部屋の中は家具類が必要最低限しかなく、代わりに部屋のあっちこっちにいろんな種類の人形が置かれていた。

 

部屋の中は明るく、床の黒を除くと、全部が薄紅色で目に優しく、いかにも女の子の部屋のと言った感じだ。

 

「お兄さんのおかげなんだよ」

「え?何が?」

「私の部屋はね……元々こんなんじゃないんだ。家具も人形も壊れてて……血や肉はそのまんま。吸血鬼だから何のかは分かるでしょ?」

 

……人間か。

 

「でも、私には全部それが同じに見えた。白黒の物体。それ以上でもそれ以下でもない。でもお兄さんが私に色をくれたの」

「俺は何もしてないぞ?」

「そうかもしれない。でもね、そのなにもしない普通の対応が私には特別だった。ここに連れてきたのは……私の変化を実感したかったから」

「実感?」

「そう。今の私には赤や青、黒に白、ピンクに黄色……沢山の色が見える。この目に映る……」

 

フランドールは目を瞑り呟いた。

 

「それは紛れもなく軽のおかげ。ねえ、軽……私の部屋……どうかな?」

 

もう一度、部屋を見回す。

 

可愛らしい家具類、部屋の色使いも明るく可愛らしい。

 

そして、人形達……

 

「……可愛くて、優して、そして、暖かい」

「そっか……そっか……」

 

フランドールは顔を上げ、満面の笑みで

 

『お兄さん。ありがとう』

 

 

 

 

 

―――孤独だった人形―――

 

―――その人形は今―――

 

―――多くの仲間に囲まれ幸せそうに笑っている―――

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

フラン……良かったね……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。

前書きでも書きましたが、
活動報告に次回作についての説明及びアンケートを行っています。
よろしければ、アンケートへの返答をよろしくお願いします。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

また来ます

投稿です!!

最近ヤンデレを書いていなかったから表現が……

では、どうぞ!!


フランと別れ、小悪魔さん部屋の前まで来ていた。

 

コンッコンッ ノックをする。

 

「逃特軽です。起きてますか?」

「へ?軽くん……軽くんですか!?あ、はい!!どうぞ!!」

 

扉を開き部屋の中へと入り、小悪魔さんの寝ているベットへと近づく。

 

「お久しぶりです」

「お久しぶりです」

 

両者共に同じ事を口にする。

 

「怪我の方は大丈夫ですか?」

「全然大丈夫!!って言いたい所なんですけどね……放置していた時間が長くて、動かしただけで激痛が走りますね」

「そんなに酷い怪我だったんっですか……」

「あ、すいません。少し起こして貰っても構いませんか?」

「大丈夫なんですか?」

「別に足を動かすわけではないですから。少しぐらいなら大丈夫ですよ」

「まあ、そう言うのなら……」

 

小悪魔さんの腰に手を回し入れ起こすのを手伝―――う!?

 

「い……た……こ、あくま……さん……く、るし……い」

 

小悪魔さんに抱き付かれ ギシギシ と、体から嫌な音が聞こえる。

 

「ずっと待ってたんですヨ?貴方が来るのを……ずっとズット!!」

 

首筋を生暖かいモノが下から上へと這い上って来る。

 

そして、

 

「つぅ―――!!?」

 

鋭い痛みが脳を刺激する。

 

そのせいか、小悪魔さんの腕から力が抜け少しだけだが身動ぎを起こせる程度にはなった。

 

そして、今度は胸からと下へ下へとまさぐりながら手のひらが移動する感触。

 

「小悪魔さんいい加減にしてください!!」

 

と言うが、小悪魔さんは目の前の事に夢中で聞こえていないのか、反応がなかった。

 

何か……何か……どうにかして止めないと……!!

 

でも、動くのは足だけで……足……?……これなら……

 

俺が取った行動。それは前に小悪魔さんごと倒れる。

 

すると……

 

「あぁああ!!!」

 

小悪魔さんの拘束が緩み、解放される結果となった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

足に力が入らず立つことさえ出来ずに、尻餅をついてしまう。

 

「どうひひぇ!?」

 

足かかる痛みのせいか小悪魔さんは上手く喋ることが出来ていない。

 

「どうひゅてこんなこちょするの!?」

「それは……こっちの台詞ですよ!!」

「わ、わわた私は貴方を愛そうと……」

「俺がいい加減にしてくれって言ったのにか!?俺が痛いって、苦しいって言ってたのに愛そうとしていた!?ふざけるんじゃねぇぞ!!」

 

小悪魔さんは口をパクパクさせ、その目に涙を浮かべ俺の事を見ていた。

 

俺はそんな小悪魔さんを放っておいて、続けた。

 

「またそのうち来ますから。それまで自身が今したことをきちんと考えてください。それでは」

「あ……」

 

俺は、小悪魔さんの部屋を後にした。

 

 

 

 

――― 一つの部屋にどしゃ降りの雨が降る―――

 

――― それは悲しみの雨なのか……―――

 

――― また会える嬉しさ故の雨なのか……―――

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

考えれる時間があるだけ幸せなのでしょうか?
人生は……一度失えば一生手に入らないモノなんて一杯ありますからね……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
次回は PAD

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聞かせて?

投稿です!!

皆……準備は良いか?

では、どうぞ!


壁を伝いながら、次の目的地へと向かう。

 

本当なら、帰ってしまいたい。そんな思いを捨て、部屋の扉をノックした。

 

「十六夜さん。居ます――――――か?あれ?ここは……」

 

扉の前にいたはずなのに、いつの間にか部屋の中にいた。

 

それに……十六夜さんの部屋じゃ……ない?

 

…………そうだ……ここは……この場所は……

 

俺が……十六夜さんに監禁された……場所だ……

 

『軽くん』

 

背筋が凍る。

じっとりとした汗が体を這いずりまわり気持ち悪い。

 

後ろから顔の顔を二つの手のひらが包み込む。

 

『やっぱり来てくれたのね……美鈴ったら酷いのよ?よりにもよって私と軽くんは相思相愛じゃないって、私の一方的なモノだって言うのよ?酷いと思わない?でも、美鈴もバカよねぇ……現に私を心配して来てくれている軽くんが私の事を愛してくれてるイイ証拠なのにね?ああ……そうか、美鈴は嫉妬してたのね。私と軽くんの事を。それなら全部納得だわ』

 

十六夜さんは俺の耳元でひたすらにのろけ話を話続ける。

 

『ずっとこの時を待ってたの……さあ、貴方の声を聞かせて?』

 

ドスッ と言う音と共に、足に鋭い激痛が走る。

 

「ギャァアアアア!!」

『ああ……ああ……いい……イイ!イイわよ軽くん!!スッ……ゴク!!カワイイわ!!!さあ!もっとその姿を私に見せて!!聞かせて頂戴!』

 

足に刺さっているであろうナイフが、俺の肉を抉り、掻き回す。

 

俺は、声を上げまいと必死に口を塞ぎ、十六夜さんを睨み付けた。

 

「ン―――――――――!!!!」

『ねぇ……どうして聞かせてくれないの?ねえどうしてドウシテ!?答エロ!!』

 

一度引き抜かれ、そして―――

 

「ァ―――――――――!!?!?!」

 

―――勢い良く……降り下ろされた。

 

全身を駆け巡る痛みが、叫ぶことすら許してはくれなかった。

 

足がガクガクご震え、地に倒れてしまう。

 

足から流れ出る血が手を、腕を、胸を、体全体を赤く染め上げていくのが分かった。

 

『ウフフ……アハハハハハh!!!』

 

十六夜さんが後ろから俺の目の前と移動してきた。

 

そして、その血に染まった手で俺の頬を撫でる。

 

涙が頬を伝い、もはや睨む力すら残っていない。

 

『良いわ……今の貴方の表情……ウフフ……』

 

十六夜さんの顔が近づき、俺の唇と重なる。

 

十六夜さんの舌は、俺の口内を余すことなく練り回し、唇が離れたときには透明の糸が線を引いていた。

 

『もう離れない……愛シ合う者達が一緒ニいるコトは当然の事ですモのね?お休ミ前に貴方の声を聞カセて頂戴?』

 

腹に来た鈍い痛みと共に、俺の意識は途切れてしまった……

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

咲夜さんコワ……
因みにですが、あの部屋を知っているのは咲夜、レミリアを除いてあと一人しかいません。
壱さんでも見つけられないんだぜ!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。

今日か明日、友人がハーメルンにて投稿させていただきます。
名前『もぬもんもん』タイトルは『東方災生伝』
完全な身内贔屓ですが、ぜひ読んでやって下さい。
よろしくお願いします。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

静かな怒り

投稿です!!

ちょっと詰め込みすぎたかな?

では、どうぞ!!


その部屋は、とある存在を拷問する為の場所。

 

その場所には流水や、十字架など特定の存在を拷問する器具が揃っている。

 

そしてこの場所は、館の主と特定の従者のみ場所を知っている場所……

 

そんな部屋に、足を引き摺る男がいた。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……あと……少し……ウグッ……」

 

この部屋にある拷問器具で痛め付けられた。三角木馬や水攻め……挙げ句は焼きごて……

もう……思い出したくない……

 

十六夜さんが部屋を出て十分程経った。

 

両手両足は固定され、動くこともままならない状態。

 

抉られた足や、背中、股の間にも激痛が走るが何とか身を捩り、扉の前まで移動する事が出来た。

 

歯で取っ手を噛み、扉を開ける。

 

「やった……」

 

扉の先に続いていたものは、先が見えない廊下。

 

その廊下を身を捩り、芋虫のように進んでいく。

 

 

一体何れくらいの時間が経っただろうか……

 

ついに、光を見つけた……

 

その光が無性に嬉しくて……嬉しくて……

 

俺は必死に身を捩りそして―――

 

 

―――光を手にした。

 

 

 

後ろを振り向くと、そこにはあの長く俺を苦しませた廊下は無く、紅い壁が広がっていた。

 

だが、あの場所から逃げれたとしても見つかってしまえば全て水の泡となる。

 

誰か……誰かの所に行かないと!!

 

そんな思いが心の中に溢れ帰り、焦って上手く前に進めない。

 

 

その時だった―――

 

 

―――俺の背中を誰かが踏みつけたのは……

 

 

『駄目じゃない……勝手に出てきたら』

 

それは、今一番聞きたくない声……必死に手を伸ばし逃げようとするが……

 

 ギリギリギリッ!!

 

逃げようとするだけ、背中を襲う痛みが増していく。

 

踏まれているのは丁度肺の上辺りで、上手く呼吸することさえ出来ない。

 

「かひゅー!!たひゅへぇ」

『いい子は部屋に戻りましょう……ね!』

 

背中をより一層強い衝撃が襲うと同時に、俺の意識は世界から切り離された……

 

 

 

 

「少し刺ささった……」

 

悲しそうな声とは裏腹に、ハイヒールから滴る血を見て、笑顔を浮かべている。

 

「さ、行きましょうか?軽くん♪」

 

軽を持ち上げ、意気揚々と歩を進めるが、不意にその足が止まる。

 

『っと。まだ、慣れてないから不安定だな』

「…………」

 

彼女の目の前に現れたのは、やせ形の白い髪の男。

 

『まあまあ、落ち着いてくださいな。そんなに睨まれても何かしますって。

 単刀直入に言いますわ……軽くんを渡してくれませんかねぇ?

 あ、あと能力はロックしましたから、俺が一定距離離れるか解除するまで使えませんのであしからず。

 あと、実力行使は止めといた方がいいですよ?

 今の俺、ただの人間じゃないから。まあ、その代わり寿命が後二、三年程度で消えるんすけどね。

 で、どうします?』

 

十六夜は腕の中で眠る男を強く抱き締めた。

 

『……んじゃ、軽くんは貰っていきますね~』

 

いつの間にか、十六夜の腕にいたはずの男は、白髪の男の腕に収まっていた。

 

『それじゃあ失礼しました』

 

男は、一度お辞儀をしその場から去っていった。

 

 

『このへんに置いとけば気づくでしょ』

 

『もっと頑張って壊れてね?』

 

 

―――僕の人生を壊したように。

 

 

 

 

廊下に血を流しながら倒れている男を見て、一人の女が怒りを露にした。

 

静かな怒りを彼女―――

 

 

 

―――紅美鈴はその髪をなびかせ怒りを露にした……

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

ハイヒールが突き刺さるって……普通しんで……いや、軽くんだから大丈夫!!大丈夫なんだ!!
次回 怒れる龍

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
もしかしたら、30いや……40話越えるかも……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

運命

投稿です!!

これも主人公補正なのだろうか……

では、どうぞ!!


一つの部屋に、五人。

 

一人は壁にもたれ掛かり

一人はカツカツと足音をせわしなく鳴らし

一人は男の手を握りしめ

一人はベットの上で顔色を悪くし

 

 

一人は……その顔に憤怒を浮かべた。

 

 

そして、男が目を覚ます、と同時に扉がキィと音を鳴らし開いた。

 

扉の先に佇んでいたのは……一人のメイド。

 

メイドはさも当然と言う風に部屋の中に入り、ベットで横になっている男へ近付いた。

 

 

 プツンッ

 

 

そんな音が聞こえた気がした。

 

動いたのは、チャイナドレスを着た女。

 

その足取りはゆっくりで、その一歩踏み出すたび七つの色が美しく揺らめき、彼女の感情を現すかのように激しさを増していった。

 

メイドはその姿を不思議そうに見つめ、不思議そうに顔を傾げた。

 

そして、メイドの顔に驚愕が生まれる。

 

チャイナドレスの女が握った拳を後ろに引き、メイドの顔に向けて放ったのだから。

 

 

 バアァンッ!!

 

 

そんな、音と共に拳は動きを止めた。

 

拳はメイドの鼻先まで迫っており、少しでも止まるのが遅ければその拳はメイドの顔を抉っていたことだろう。

 

だが、止めたのは彼女の意思ではなかった。

 

彼女の手首と腕を掴む二つの手。

一人は、背中に一対の蝙蝠の翼を持ち、一人は身の丈二メートルはありそうな大男だった。

 

チャイナドレスの女は二人を睨み付ける。

 

だが、それに臆することもなく反論したのは大男だった。

 

大男は首を振り、それでは意味がない。と女に告げた。

 

女は歯を噛み締めながら、しぶしぶといった感じでその腕を下ろした。

 

男は、今だに目を白黒させ戸惑っているメイドに、ベットで寝ている男を指差し、話せば分かる。と、告げた。

 

メイドは、その言葉の通り自身の愛しき人を見た。

 

チャイナドレスの女は、私の代わりに頼みます。と言って、窓際へと移動した。

 

窓から見える空には、美しい星ぼしと、一際光を放ちその圧倒的な存在感を示す美しい三日月があった。

 

 

そして、そんな美しい夜に一人の男の感情が刃となった。

 

 

最初は意地悪をしてくる優しい人。

もし、姉がいたらこんな感じだったのかもしれない。

 

本当に家族のように思ってた……あの時も貴女が反省したと言っていたから信じた。

 

あの計画も、自身の事を愛してくれていた証拠なんだと思う。

 

だから、自身からも歩み寄ろうと……もう一度あの関係に戻れるかも知れないから……

 

でも、今では貴女が怖い。

 

俺は止めてって言ったのに……助けてって言ったのに……

 

それでも貴女は俺の体を自分の所有物かのように扱った。

 

水で俺から酸素を奪い、木馬に乗せ俺の悲鳴を楽しみ、焼きごてで俺に消えない印を押し、ナイフで俺の体を貪った。

 

貴女は俺と相思相愛とかほざいてたけどな……そんな一方的なモノが愛だと言うのか?

 

ふざけるな……!!

 

相手の気持ちも考えずに愛だ愛だって言って……

 

なあ?俺の気持ちを考えた事が一度でもあったのか?

 

俺は、あんたの事を何度も考えたぞ?

 

なあ?考えた事があるのか?

 

ないんだろ?

 

なら、教えてやるよ……

 

俺は、今の十六夜咲夜が―――

 

 

 

『嫌いだ』

 

 

 

 

メイドは、その言葉を聞きフラフラと自分の部屋へと戻っていた。

 

彼女の頭のなかには、彼の言葉が何度も何度も繰り返されていた。

 

 

『俺の気持ちを考えた事があるのか?』

 

『そんな一方的なモノが愛だと言うのか?』

 

『十六夜咲夜が嫌いだ』

 

 

女は部屋の中で崩れ落ちた。

 

 

雪の中で死を待っていた、あの頃と同じ。

 

誰にも必要とされない……

 

もう……全部終わってしまったのだ……

 

あの時は……お嬢様が拾ってくれたのだったか……

 

 

でも、奇跡は起こらない。

 

 

 

何故なら、それは―――

 

 

 

『咲夜』

「おじょう……さま」

「なんて顔をしているの。折角の美人が台無しよ」

「私は……取り返しのつかない事を……」

「ええ、そうね。私も、貴女も失敗したわ」

「……はい」

「確かに、私達は彼と望む形にはなれないでしょう。現に私は振られちゃったわ。でもね、彼はまた、来てくれるって言った。彼は何度も折られてきたのでしょう。そんな彼がまた来てくれる。歩み寄って来てくれる。

 彼は『今の』貴女は嫌いって言ったわ。貴女は変わる勇気もない臆病者だったかしら?

 まだ、戻れる可能性があるのに立てもしないのかしら?」

「私……は……」

 

立とうとする……でも……足に、体に力が入らない。

 

「まったく……ほら。私の手を掴みなさい」

 

その差し出された手は、あの時と同じで、私に光をくれるものだった……

 

 

 

 

 

―――奇跡などではなく『運命』だったのだから

 

 

 

 

 

いつか、見れるかもしれない。

 

三人が、いや、この館全員が笑い会える……あの運命のような光景が……

 

 




お読みいただき有難うございます!!

こうやって、互いが繋がっていくののかもしれませんね。
もしかしたら……あの運命は……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
……この、先に待つ光景だったのかもしれませんね。

次回、地底か人里 どっちがいいか……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

言えるわけない

投稿です!!

いや~ほとんどの接点がないからキツイ!!

では、どうぞ!!


怪我は、途中からきた軍隊風の男性と左半身が無い男性が直ぐに治してくれた。

直してくれたの方が正しいか?

 

二人は壱さんに挨拶をして(じゃれあって?)その場から消えた。

 

その後、紅魔館に療養目的で数日泊まっていたのだが、十六夜咲夜には会う事はなかった。

 

そして、今は人里に来ている。

魔理沙の話が本当なら、今は安全なはず……なのだが、正直ここには二度と来たくはなかった……

 

目の前には、美しい白い髪と赤眼を持つ女性の姿。

その目には涙を溜め、口を手で覆っている。

 

「少し席を外そう」

 

壱さんは近くのお店へと入っていった。

 

 

人里から少し離れた川の畔に俺と、妹紅は腰を下ろしていた。

 

先に口を開いたのは妹紅だった。

 

「驚いたぞ。あんな所でオマエと会えるなんてな」

「まあ、いきなり居なくなった奴がひょっこり現れたわけだからな」

「あ、ああ」

 

歯切れの悪い妹紅の声。

 

「どうかしたのか?」

「い、いやなんでも……ない……」

 

どんどんその声は小さくなっていく。

 

そして、頭を抱え話始めた。

 

「あ、あのな?その」

 

妹紅は、頭を抱えたまま深く息を吐き、ガバッ と勢い良く顔を上げた。

 

「慧音のあれは私が酒を飲ませたからなんだ!!でも、まさか、あんな事になるとは思ってなくて……とにかく、その……すまなかった!!」

 

…………

 

「そう……だったのか……はは、やっぱり俺が冷静に行動してれば良かったんだな」

「……責めないのか?私はオマエを迫害したのと同じことをしたんだぞ?」

「責めても意味がないだろ?あでも、これだけは答えてもらうぞ?なんで上白沢さんにお酒を飲ませたんだ?」

「そ、それは……」

 

妹紅は、俯いてしまった。

 

「オマエは……私の種族を知ってるか?」

「種族?人間じゃないのか?」

「違うんだ……まあ、元々は私も人間だったんだけどな……」

 

だったら……一体……

 

その後も、何個か種族を答えたが全部違うようだ。

 

「まあ、分からないよな……私は蓬莱人。不老不死だよ」

「不老不死?」

「そう……例えどんな事、心臓が無くなっても、全身の血肉が無くなろうとも決して死ぬことがない。それが私だ」

「ふーん」

 

不老不死って存在したんだな……いや、吸血鬼やら鬼やらがいる時点でおかしいか。

 

「ふーんってオマエな……はあ……なんか馬鹿馬鹿しくなってきた」

「え?」

「もういいよ……で、慧音に酒を飲ませた理由だっけか。まあ、そのなんだ……ほろ酔い状態にして、慧音の本音を引き出そうとしたんだよ」

「本音?」

 

俺が妹紅の顔を覗き込むと、その顔は一瞬にして真っ赤になった。

 

「う、うるさい!どうせ今から慧音の所に行くんだろ!?送ってやるから!さっさと行くぞ!!」

「あ、おい引っ張るなよ!!」

 

 

 

 

―――『言えるわけないだろ』―――

 

 

 

 

―――好きだなんて―――

 

 

―――気付いているなんて―――

 

 

 

 

 

―――でも、今はこのままで―――

 

 

―――だから、今は彼女の好きなように―――

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

軽くんは鈍感じゃないです。
あんな環境にいたんですから……嫌でも鋭くなりますよ……慧音先生はーって本編でも言っていますしね……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
オーバーロード面白い。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

分かりきった事

投稿です!!

文字数が足りんかった……
最後の方は無理矢理なんだぜぇい!!
ごめんなさい(-_-;)

では、どうぞ。


妹紅に手を引かれ寺子屋までやって来た。

 

「んじゃ、まあその……またな!!」

「おう。またな」

 

そして、妹紅は脱兎の如く走り去ってしまった。

 

さて、人里で俺が一番来たくなかった場所に来てしまったわけだが……

 

まあどっちにしろ来るつもりだったんだ。覚悟を決めないとな。

 

スゥーはぁ~

 

一度大きく深呼吸をして、俺は寺子屋の中へと入った。

 

「すいませーん」

『はーい』

 

上白沢さんの声が聞こえ、こっちへと歩いてくる足音が大きくなる。

 

そして、その姿が俺の視界へと入り込んだ。

 

『ァ…………』

「お、お久しぶりです上白沢さん」

「帰ってくれ……」

「え?」

 

「帰ってくれ!!」

 

え?え?なんで……?なんで…………

 

甦るあの時の記憶

『助けなければ!!』『狂わずにすんだんだ!!』『見殺しにしておけばよかったんだ!!』

 

妹紅のあの言葉

『本音を引き出そうとしたんだよ』

 

結局は……全部本当だったのか……

 

「上白沢さん……」

「帰れと言っているだろう!!」

「……貴女は……俺の事が……好きですか?」

 

 

『分かりきった事を聞くな!!』

 

 

目の前が滲む……その、大好きな人の姿も見ることができない……見たくない……

 

 

 

 

「すまない……すまない……」

 

扉が開け放たれた玄関で、一人の女は涙を流していた。

 

「君はこんな所にいるべきではないんだ……」

 

女は膝から崩れ落ち、誰にも届かない言葉を紡ぐ。

 

「私の所にいたら……君を傷付けてしまう……だから、もう……」

 

「私の元に……来ないでくれ……」

 

ああ、せめて……君を名前で呼びたかった……

 

 

 

 

「一度聞いたじゃないか……」

 

男は、涙を流し木にもたれ掛かっている。

 

「振られるのも……分かってた……覚悟もしていた……」

 

その声は、酷く弱々しいものだった。

 

「なのに……なんで……」

 

「こんなにも……苦しんだよ……!!」

 

あぁ……名前も呼んでもらえなかったな……

 

 

男の押し殺された声は静かに空へと上っていった。

 

 

 

 

男は気付かない。

 

『分かりきった事を聞くな!!』

 

嫌いと言っていないことに。

 

 

女は気付かない。

 

『帰ってくれ!!』

 

自身が男を拒絶していなことに。

 

 

二人は気付かない。

 

その言葉の裏に隠された、本当の想いを。

 

 

 

男は後悔した。

 

『俺がいなけれ。俺が冷静に対処出来ていれば』と。

 

 

女は後悔する。

 

『私は彼の想いをまた踏みにじったのだ』と。

 

 

 

それは、正しい事でも間違ってもいる考え。思い。

 

だが、今更そんなことに気付いても全てが遅い。遅すぎた。

 

 

 

そして、彼は決心する。

 

 

『『もう、会うことはない』』

 

 

『『今まで、ありがとう』』

 

 

と。

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

それは、たんなるすれ違い。
確かに、軽くんの望む関係にはなれなかったでしょう。
でも、それでも……やり直せる事は……可能……だったんですよ……?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
大切なモノは、失って初めて『大切』だと気がつきます。
皆様も、大切にしてくださいね。

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

笑顔

投稿です!!

祝……10万UA突破ぁあああ!!!
皆様有難うございます!!
これからも皆様の期待にご期待出来るよう精進していきます所存であります!!

今回も結構やっつけですけどねw

では、どうぞ!!


散々泣いたあと、俺は壱さんと合流していた。

 

「…………まだ、続けるのか?」

「……自分で撒いた種ですから……地底にお願いします」

「そうか……」

 

鳥の姿へとなった壱さんの背中に乗り、地底へと続く大穴へと向かった。

 

 

大穴を壱さんに乗ったまま抜け、久しぶりの地底へと足を下ろす。

 

少し歩けば……地底にある街、旧地獄が見えて来るはずだ。

 

壱さんと一緒に一歩、また一歩と歩を進めていく。

 

歩を進める度に聞こえるのはあの賑やかな声と、工事をしているのか カーンカーン と言った音が聞こえ来る。

 

だが、幸いにも入り口の橋は壊れていなかった。

 

 

……いない……

 

家も、橋の周りも、街中にも……一体どこに……

 

考え込む俺の肩を誰かが叩いた。

 

「はい?」

「久しぶりだな、軽」

「久しぶり~お兄さん」

 

後ろにいたのは、勇儀と勇儀の背中に乗っているこいしちゃんがいた。

 

「お久しぶり勇儀にこいしちゃん」

「まさか、お前さんがこんなにも早く戻ってくるとはね」

「まあ、ちょっと色々ありって……ところでパルスィさん知りませんか?」

「パルスィかい?家じゃないのか?」

「それが……」

 

俺は、家、橋、街中を探しても見つからなかった事を話した。

 

「ふーん……それじゃあお兄さん暇なんだ」

「暇ってわけじゃないけど……まあ、そうなるのかな?」

「だったら私の家来る?お姉ちゃんも会いたいだろうし」

「うーん……橋の方は壱さんに任せてるし、さとりさんにも会うつもりだったし……お呼ばれされようかな」

「それじゃあ決まりだね!!さあさあレッツゴー!!」

 

こいしちゃんは、勇儀の体をスルスルと登り肩車状態となった。

地味に凄いな……

 

そして、勇儀は慣れたものなのか平然と歩き出した。

 

「そう言えばだけど……この惨状は何があったんだ?」

「まあ、ちょっとした戦争がね。お兄さんは寝てたから知らないのも当然だけど」

「地上の奴等がお前を返せとか言って攻めこんで来たんだ。それを迎撃した名残さね」

 

……このバカデカイ大きさのクレーターや、抉れた地面なんかも俺が原因の戦闘で出来たんですか?

 

こうやって傷痕を見てみると……たった一人の人間に何してんだよ。とも思ったが、同時に少し嬉しい気もした。

 

「私も戦ってたんだよ~」

「もちろん私もな」

 

二人は、俺の事を見て ニッ と眩しい笑顔を向けた。

 

その笑顔を見て、その言葉を聞いて、目頭が熱くなるがなんとか堪える。

 

そして、二人が見せた笑顔よりも、グシャグシャでカッコ悪い笑顔。だが、二人の輝きにも負けない眩しい笑顔を二人へと向けた。

 

 

 

 

『ありがとう』

 

 

 

 

ただ、そう伝えるために……

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

地底のアイドルは安定のスルー
謎の女性(仙人様)は出そうか迷ったけど、結局出さない方向で。
勇儀とこいしは絡ませたかっただけ。

うん……何時も通りだな。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
まだまだアンケートは実施中です!
よろしければ、アンケートへの投票よろしくお願いします!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最悪の予想

投稿です!!

タグに
『感想欄に伏線を張っていくスタイル』
                 を増やしました。

では、どうぞ!!


勇儀とこいしちゃんに連れられやって来たのは、地霊殿と言う大きな館。

 

そして、何故か敷地内にある大きな穴……

 

「こいしちゃん……なんで敷地内に穴が開いてるのかな?」

「えっとねー確か……核ゆう…………を、制御して電気を作ったり、この奥にある灼熱地獄を管理してるんだって」

 

なんかサラッとヤバイこと言ってないこの子!?

 

核って!?核って!?字面からしてヤバイじゃないですかね!!?

 

……そういえば……なんで俺生きてるんだ?

放射線とかヤバくないのか?

 

「幻想郷だからね。仕方がないよ」

「それで納得してしまう自分が怖いよ……」

「それよりも軽、危ないぞ?」

「え?」

 

勇儀が俺一歩前の前へと出る。

 

そして ドォオオン と、大きな衝突音と共に砂煙が立ち上った。

 

「ケホ……何が……」

 

段々と砂煙がはれ、勇儀が掴んでいるものが露になる。

 

「…………お空ちゃん?」

 

勇儀が掴んでいたものは、お空ちゃんだった。

 

「むぎゅぅ~いたい……」

「全く……自身の主もいるのに突っ込んでくるとはね~」

「勇儀さん……もうそろそろ離してあげても……」

「軽が言うんなら離してやろうじゃないか。ありがたく思いなよ?」

 

勇儀はお空ちゃんから手を離し、お空ちゃんは地面へと落ちた。

 

「お兄さん!!遊ぼ!!」

「待て!話が飛びすぎて意味が分からん!!」

「多分、お燐と一緒に特訓してたんじゃないかな?最近頑張ってるみたいだよ?」

「へー。偉いぞお空ちゃん」

 

そう言ってお空ちゃんの頭を撫でる。

 

気持ちいいのか目を細めるお空ちゃん…………うん、子供だ。

 

「にしても……お燐……か」

 

なんか苦手なんだよね……

 

「お呼びかな?」

「ひゃわ!!?」

 

首筋を生暖かいモノが ネットリ と這っていった。

 

「久しぶりだね~ね?お兄さん」

「久しぶり……燐さん……」

「そんな堅苦しい呼び方じゃなくてちゃんを付けても良いんだよ?」

 

ケラケラと燐さんは笑った。

 

「まあ、すまなかったね。主人の命令とはいえ気味悪かっただろう?まあ、お兄さんの反応は面白いし止めるつもりも無いけどね」

「何が言いたい」

「初めて会った時も、今の私も演技で、本性でもあるって事だよ。こうでもしないと生きては行けなかったからね~」

 

……ますます持って意味が分からない。

 

「分からないんならいいさね。ところでお二方は一体なにようで?」

「私はこいしに付いてきただけだ。いや、お前らの特訓が気になるな……それを見に来たことにしといてくれ」

「あいよ。で?お兄さんは?」

「さとりさんに会いに来た」

 

俺がそう言うと、お空と燐さんの顔に影が差した。

 

「?」

「お兄さん、お姉ちゃんに会ってあげて。お姉ちゃんも喜ぶだろうから」

 

…………まさか……ね……

 

 

 

脳裏を過る最悪の予想。

 

その考えを振りほどき、俺は地霊殿へと足を踏み入れた。

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

さとり様に不穏な影が……
お燐は猫だからしょうがないんだよ!!首筋を舐めてもしょうがないんだよ!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
オーバーロード……買っちゃた……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

流れる涙

投稿です!!

…………これは……キツいかな…………

では、どうぞ。


小さい妖精、ゾンビフェアリーと言うらしい。に案内されさとりさんの部屋の前へと到着した。

ゾンビフェアリーは自分の仕事が終わり、可愛らしく一礼して去っていった。

 

俺は扉に向き直り新しい記憶に手をつける。

 

お空ちゃんと燐さんに出たあの影。

こいしちゃんのあの言葉。

 

さとりさんに何かあったのは明白だった。

 

今はただ、あの予想が当たっていないことを祈るだけだ。

 

俺は一度深呼吸をして、扉をノックした。

 

 

結果的に言うのであれば……最悪の予想、既に存在しない。と言う予想は外れた。

 

だが、扉の先にあったものはそれでもなお俺を驚かせるには十分だった。

 

それもそうだ。ガリガリに痩せた体で、ベットに腰掛けボーッとしているさとりさんがいたのだから。

 

以前のような細くも健康的な腕は痩せ細り、赤子ですらポッキリ折ってしまえそうなほど細い。

髪はボサボサになり、顔もやつれ、変わっていないのは胸元にある三つ目の瞳のみだった。

 

「あぁ……あなた……でしたか……いらっしゃいませ……いま、おちゃをおだししますね?」

 

ベットから降り、スタスタと歩き、お茶を入れ、近くにある机の上に置いた。

 

と、思っているのだろう。

彼女の手には何も握られていなく、机の上にはお茶どころか何も置かれていない。

 

さとりさんは、お茶を入れてもいないし、歩いてもいない。そして、ベットから立ってすらないのだ。

 

「あれ……?さっきおちゃを……すいません……ここのところものわすれがひどく……」

 

そして、俺の目を捕らえることもせず……宙に喋り続けているのだ……

 

「さとり……さん」

 

無意識にその名前を呼んでいた。

 

「そうなんですよ……わたしはなにがしたかったのでしょうか……?こいしをたすけたかったのでしょうか……?それとも……けいが……ほしかったのでしょうか……?それが……わからないんです」

「さとり……さん」

 

なんで相談してくれなかったのか……

 

いや、相談出来なかったのかもしれない……

 

「わたしじゃないからわからない?……たしかにそうですよね……すいません」

「謝らなくていいんです……誰しも……失敗するものですから……」

 

その声に答える。

そうしないと、本当に彼女が独りになってしまう気がしたのだ。

 

「きにしなくていい?……ありがとうございます……でも、これがわからないとこいしもけいにもあえませんから……」

「そんな事……ないですよ……」

 

届かないと分かっていても……

響かないと分かっていても……

 

「そうですか……そうですよね……こんなわたしだったらふたりも……あいたくないですよね……」

「そんな分けない!俺は知っていますよ!!全部!全部!さとりさんがこいしちゃんの心を開くために近づいてきた来たことも!全部……全部……知ってるんですから……気にしてないですから……戻ってきてくださいよ……」

 

 

 

 

そして、奇跡は起こる……

 

それを奇跡と呼んでも良いのか分からないが、それは軽にとって奇跡であった。

 

 

 

 

その瞳から、一筋の涙が滴り落ちた……

 

 

 

 

 

『やっぱり……私でも十分程度なのに……お兄さんに頼んで正解だったよ。ありがとうね』

 

 

 

 

 

―――その部屋からは、二つの噛み合わない会話が響いていた……

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます。

さとり様は精神崩壊を起こしたままです。
こいし達がその部屋に居なかったのは、長居をすると発狂する恐れがあるからです。


誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
軽くん……強くなったね……

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大好きだって

投稿です!!

あの方のターンですよ!!

では、どうぞ!!


さとりさんが寝るまで話続けた。

お陰で喉が少し痛くなってしまった。

 

会話の途中に自分で入れたお茶を飲み干した後、部屋から出ていく。

 

ゾンビフェアリーに案内された道を反対方向、出口へと歩を進める。

 

その途中に、こいしちゃんが廊下で一人佇んでいた。

 

その顔は、嬉しそうでもあり、悲しそうでもあり……そして、嫉妬しているようだった。

 

「こいし……ちゃん?どうしたの?」

「……ああ、お兄さんか」

 

その声は低く、怒っているようにも聞こえた。

 

こいしちゃんが小走りに近づいてくる。

 

その音は、喜んでいるように聞こえた。

 

「流石はお兄さんだね。あんなに長くお姉ちゃんと話せるなんて思ってなかったよ!!」

「あ、うん……ありがとう」

 

嬉しそうな元気な声を上げ、称賛の言葉をくれるこいしちゃん。

 

「一体どうやってお姉ちゃんあんなに長く話をできたのか気になるけど……まあ、見てたから何もしてないのは分かってるんだけどね~」

「そ、そうなんだ……」

 

こいしちゃんの呑気そうな声に何とか反応を残す。

 

「じゃあそろそろいこ『こいしちゃん?』……なにかな?お兄さん」

 

こいしちゃんの言葉を遮り、ずっと疑問に持っていた事を問う。

 

「何で……そんなに怒ってるの?」

「え?いやだなぁー怒ってなんていないよー」

「でも……」

「うるさい……うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!」

 

 

その何とも言えない表情で、俺の目を見ていた。

 

 

「わかんないよ……何でお姉ちゃんは私じゃなくてお兄さんを選んだの!?どうして!?お姉ちゃんは私のことなんて本当にどうでも良かったの!?私はいらない子なの!?」

 

声が廊下を響き渡る。

 

手は握り締められ血が垂れ流れ、その目には涙が溜まっていた。

 

ただ、一つだけ否定しなければならない。

 

「俺は選ばれた訳じゃないと思うよ」

「嘘!!」

「嘘じゃない。こいしちゃんは俺とさとりさんの会話の内容知ってるかい?」

 

こいしちゃんは俺の目をしっかりと見ながら、首を横に振った。

 

「さとりさんと俺が話してたのはね?こいしちゃんにどう許してもらうか、家族にどう謝るかだったよ?」

 

こいしちゃんの目は未だに俺の目を真っ直ぐに見ていた。

 

だから、俺もこいしちゃんの目を見つめ返す。

 

「確かに、俺の名前も出てたけどさ。それでも、話の殆どはこいしちゃんやお空ちゃん、燐さんの事ばかりだった。自慢話や悲しい話、嬉しい話……無表情だったけどさ、どことなく嬉しそうだったよ。

 声を掛けたとき、さとりさんは涙を流したんだ……でも、その時は悲しそうだった……

 こいしちゃん達が話すときにさ、さとりさんがどうなるのかは俺は知らない。けど、一つ断言させてもらうよ」

 

揺らいでいる瞳を見つめ

 

「さとりさんは、こいしちゃんの事が大好きなんだ。

 さとりさんは、こいしちゃんの事が心配なんだ。

 さとりさんは、こいしちゃんの事が大切なんだ。」

 

涙を流すその顔に流れる涙を、彼女の代わりに拭い

 

 

 

『君は、いらない子なんかじゃない』

 

 

 

 

彼女の姉の代わりに、その言葉を告げた。

 

 

「今度さとりさんと話すことがあるなら、きちんと向き合ってあげてね」

 

「そして、俺の口からじゃなくてさとりさん……君のお姉さんの口から直接聞くんだよ」

 

「そして言ってやるんだ―――」

 

 

 

 

 

―――大好きだって。

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございました。

こいしちゃんのターンは終わっていなかったのさ!!ユウギアネサンハオワッテルケトド (ボソッ
次回は……橋

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
もうすぐ……終わりか……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

悲痛な叫び声

投稿です!!

多分、後20話いかないくらいで終わるかな?

では、どうぞ!!


こいしちゃんは、そのままさとりさんの部屋へと走っていった。

その後ろ姿を見送り、また出口へと足を向ける。

 

一分程歩き、出口を発見する。

大きな扉を押し開き、外へと出た。

 

そして、そこには―――

 

『離して!!私はもう軽に合わせる顔なんてないのよ!!』

「暴れるな!少しは大人しくしろ!!こちとら手加減は苦手なんだよ!!」

 

―――勇義さんに羽交い締めにあっているパルスィさんの姿があった。

 

その光景に唖然となっていると、パルスィさんと目が合った。

 

「パルスィさん……」

『来ないで!!私は……貴方に会う資格なんてないの!!』

「……そんな事、勝手に決めないでください」

『違うの……お願いだから……』

 

パルスィさんは、その悲しげな声とは真逆により一層暴れ始めた。

 

「……どうして、ですか」

『………………お願いだから……来ないで……』

「どうしてなんですか?」

 

一歩……近付く。

 

「俺はパルスィさんに、この命を救って貰いました」

『来ちゃダメ』

 

また、一歩。

 

「パルスィさんは、俺のために多くの事をしてくれました」

『お願いだから……軽……』

 

二人の距離は近づいていく。

 

「俺は……貴方にだったら殺されても良いとさえ思ったこともありました」

『……お願い……だから……』

 

その手は必死に伸ばされ―――

 

「パルスィさんが俺を守るために、やってくれた事も知りました……だから、言わせて下さい」

『……これ以上は……』

 

―――その両の腕が―――

 

『抑え……きれないからぁ……』

 

―――俺の体を締め上げた。

 

「カハッ……!!」

 

カヒューカヒュー と、掠れた音が呼吸をする度に漏れる。

ビシビシッ    と、骨の悲鳴をあげる音が頭に流れる。

 

「パルスィ……!!いい加減に!!」

「だい……じょ、う……ハァハァ……カヒュー……です、から……」

『だから……来ないでって言ったのに……何で……何で……私の体は……軽が欲しいって……必死に止めてたのに……どうして貴方は……!!』

 

耳の真横から、涙声と共に聞こえてくる言葉。

 

「だから……で、……すよ……そんなかな……ヒューヒュー……しい、かおされて……それに……ツゥ!」

 

口の端と、鼻からドロリとしたモノが流れ出る。

鉄の臭いがするから血が流れているのだろう。

 

まあ、だからどうしたってッ話なのだが。

 

「大丈夫か軽!?」

「だい……じょうぶ!!」

 

痛みを我慢し目の前の勇義にニッと笑いかける。

 

『お願いだから……もう、私から離れて……』

「それは…………パルスィ……さん、がッ……はなし……て、くれ……カヒューカヒュー……ないと、ですね」

 

目の前が真っ赤だ……クラクラ……する……

 

でも、その前に……言わない……と……

 

「パル……スィさ、ん……俺を、……助け、て…………ハァハァ……ありが、とう……」

 

まだ……あと一言……頑張れ……

 

 

 

 

 

 

 

『殴って…………ごめんなさ (ボキッ!)―――

 

 

 

 

 

 

―――後に残るのは……―――

 

 

―――悲痛な叫び声のみ―――

 

 




お読みいただき有難うございます。

パルスィ……今まで彼女は裏切られ続けた……
そんな彼女の前に、愛する人が出てきたら……理性よりも体が動く……と思いますね……
裏切られた数だけで言えば……軽くんよりも多い筈ですから……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩壊廻』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった』

を、よろしくお願いします。





この先は読まなくてもいいです。ですが、作者は多くの人に読んで欲しいです。

私は、とある九州の農業高校に通っています。
そして、日頃テレビを見ないのですが、親と一緒にお菓子を食べながら今日偶々見たんですよね。
ニュースだったんですけど……福岡のおじいさんのミカン畑が無理矢理開拓されて道路工事されていたんですよ。
それで、とても有名なニュースですし、今更知ったところで何ですが、気になって色々調べたんですよ……16年程前からその会社?県?揉めているそうなんですよね。
まあ、どっちが悪いとかってのが言いたいわけではないんですよ。
だって、おじいさんは父と一緒ん育ててきた畑を守りたい。
工事をしている側は、汗水流して作ってきた道路工事を無駄にしたくない。
そして、両者のどちらともに当てはまる事は、使用者、消費者の笑顔が見たい事なんだと思うんですよね。
でも、どうしても農業高校に通っているわけですから、どうしても思うことがあるんですよね。

トンネル掘れば良いのでは?と思いましたが、まあ、地盤とかの関係も有るのでしょうが、ミカンは実がなるのに約5~6年かかり、出来ても最初は5個程度で、そこからドンドン増えていくんですよ。
言わば、農家の方から見れば自身の子供と同じ様なものなんですよね。
私で言えば……この小説ですかね。
もし、家庭の事情なんか抜きで、年をも重ねていたら、どんなに大金を積まれても売ることは絶対にしたくはないです。
皆さんも、大切なモノ、家族、友人、恋人、子供、親、恋人の形見……etc
誰しも絶対の手放したくないモノはあると思います。

工事をしている人達も、自分の家族を養うために。子供と家族と旅行に行きたいから。
いろんな思いで工事に取り組んでいる事でしょう。
色んな案を出しあって、トンネルを作る、ルートを変える。でも、地盤が緩い、使用者の安全が守られない。
まあ、実際には違うのかも知れませんが色々な葛藤があったんだと思います。

遠回りになりましたが、一つお願いしたいことが有ります。

知らないかたはこのニュースを調べてみてください。
『ミカン畑 道路工事』 で、出ると思います。

そして、頭の片隅にでも良いので……どうか……このおじいさんの畑を、大きなミカンの畑が有ったのだと覚えていて下さい。

法律も分からないような子供の言葉ですが。
それだけでも……おじいさんは救われると思います。


長々と失礼いたしました。


では、また次回。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

舌打ち

投稿です!!

感想欄を読まないと分からないことがたくさんあります!!
感想欄を読んでない人は……感想欄までGO!!

では、どうぞ!!


目の前に血の花が咲いた。

 

口から吐き出された血飛沫は宙を舞い、ポタポタ と、私の体を赤く染め上げていく。

 

そして、目の前には……

 

「あ……あ…………いや、イヤァアアアアアア!!!」

 

口から、鼻から、眼から血を流れている。

体からは力が抜け、動く気配がない。

 

それは……何時も奪われ、裏切られて来た私が、性懲りもなく恋した愛しい人であり……

こんな最低な私に……もう一度会いに来てくれた優しい人であり……

 

たった今……私が、私の腕でその生を奪われた……私の……

 

「軽ぃいいい!!!うわあぁあああああ!!!!」

 

……大好きな人だった。

 

 

 

 

「アサさん!!てっちゃん!!」

 

『『分かってる(ます)!!』』

 

「契約……!!クソッ!!」

「付属!治癒強化!!」

「……持っても二分だ!!急げアサルト!!」

「今……やってます!!」

 

壱が声を出すと同時に現れた二人は、事前に打ち合わせでもしていたのかと疑うほどに手早く治療を開始した。

 

テリヤキは、『契約する程度の能力』で軽の魂と契約をして無理矢理現世に繋ぎ止め、

壱は、軽の体がこれ以上悪くならないように押し止めていた。

そして、この中では最も医療が得意とするアサルトも『行動と作業と動作をこなす程度の能力』を駆使して治癒にあったていた。

 

だが、テリヤキの力も壱の力も時間稼ぎでしかなく、更にはアサルトも人体、医療に関しての専門的な知識を持っていなかった。

 

刻一刻と死が近付く。

 

そして―――

 

 

 

―――一匹の黄金の狐が姿を現せた。

 

 

 

『退いていろ。後は私がやる』

 

狐は圧倒的な力を放出し、勇義以外の全員がその言葉に逆らうことさえ許されなかった。

 

そこからは、一瞬だった。

 

数本の毛が軽の口から体に侵入し、三十秒と満たないうちに……

 

『ゴボッ!!………………………スゥスゥ』

 

息を吹き替えした。

 

その腹は、上下し生きていると強く訴えかけているかのようだった。

 

『これで大丈夫なはずだ。ただ……これ以上同じような事があれば……もう手がつけられない……体が持たないだろうからな。では、私はこれで失礼させてもらう』

 

そう言って狐は、いつの間にか存在していた紫色の不気味な隙間の中に入っていった。

 

そして、隙間が閉じると同時に大きなため息がこぼれ落ちた。

 

「まさか……八雲が一人の人間にここまでするとはねぇ」

「あれが……大妖怪の……力」

「なーに言ってんだい。少し妖気に当てられただけじゃないか」

「あれで……少しなのかよ……まだ手が震えてやがるぜ……」

「それよりもだ、アサさん、てっちゃん。軽くんを運ぼう。お空さん、燐さん案内よろしくお願いします」

「ほらパルスィ、あんたも行くよ」

 

和気あいあい……とまでは行かなくも、軽が生きていることに安堵しさっきまでの雰囲気よりは幾分も明るくなっていた。

 

そして、そんな中誰にも聞こえないほど小さな―――

 

「お燐?何か言った?」

「……アタイは何も言ってないよ」

「あれー?」

 

 

 

―――チッ

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

久方ぶりのあの方の参戦。口調が分からなくなった……
アサさん、てっちゃん、壱さん……書いた後に分かったけどさ……籃しゃまに飲まれてる……
あれー?どうしてこうなった?

あと、今回の内容が分からない方は8月31日くらいからの感想をお読みください。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
後二話後位で……神社いけるかな?

また、次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最後の……

投稿です!!

最終回じゃないよ!!

では、どうぞ!!


………………ああ、そう言えばパルスィさんに背骨を折られたんだっけ?

包帯が巻かれているし十中八九そうだろう。

 

まあ、十六夜咲夜や博麗霊夢みたく故意的なモノでも無かったようだし特に気にしていない。

……そう言うのに関して感覚が麻痺してきている気がするが……まあ、気にしてもしょうがない……か?

 

まあ、兎に角……何時もと同じ体の調子を確認しないとな。

 

上半身か下半身か……はたまた半身のどちらか。もしくはそれ以上か……何にせよ覚悟を決めなければ。

 

 

結論……多少の痛みは伴うものの行動に支障なし。

 

…………意味がわからない。

昔、興味本意で背骨について調べてみたことがある。

 

背骨とはいわゆる脊髄。そして、脊髄が折れるとどうなるかだが……確か、神経が切れ、良くて体の一部が動かなくなるとかそんな感じだった筈だ。まあ、奇跡的に助かった事例もあるのだが……

だが、今回もそんな奇跡が起こるはずがない……でも現に起こっている……

 

「だぁー!!」

 

これはあれか?本当に俺は人間じゃないとかなのか?

 

仮に、本当に奇跡が起こって神経は切れずに済んだとしていても、だ。

何故、背骨が折れていないのか?

 

あの時、確かにこの耳で聞いた、この頭で理解した。

なら、あれは幻覚?なら何故包帯を巻いているのかが分からない。

 

………………こんな状況でも冷静に考えられる……毒されすぎだろ俺……

いや、まあ……前にみたいに発狂するよりはマシなんだんだろうけどさ……素直に喜べない……

 

 

そんな事を考えていると コンコンッ とノックの音がした。

 

そして、俺が返事をする前に ガチャリ と扉を開き誰かが入ってくる。

 

「勇義?」

「おや?たった三日で目を覚ますとはねぇ。いよいよ持って化け物の仲間入りかい?」

「やめてくれ……冗談に聞こえないから……にしても……三日。三日かぁ~」

「それがどうかしたのかい?」

 

これで、長い時間気を失い、その間に骨折した箇所が回復した線も無くなるわけだ。

 

「いや…………なあ、あの後どうなったんだ?」

「あの後か?あのでかいやつと別の男二人がお前を助けようとして決定打を打てないでいた。

 そこに、八雲の式が来てな?数本の毛を使ってお前さんを助けたんだよ。

 ありゃあ、毛に妖力を練り込ませた奴だね。まあ、字面じゃあれだが……あの状態から回復したんだ。良いことじゃないか!!

 ああ、でも今後は無理するなよ?これ以上は体が持たないって言ってたからな」

 

毛……大方それが俺の神経を肩代わりしてくれているのだろう……

 

無理だろ!?とも思うが……妖怪が普通に存在する世界。しかも神様までいるらしいこの世界そんなモノは通用そんなもの通用しないという事だろう。

 

「その、八雲の式について教えてくれないか?いつかお礼がしたい」

「八雲の式か?まあ、一番の特徴は九本の尾だな。アイツは九尾だ軽も聞いたことくらいあるだろう?」

「九尾……玉藻の前とかか」

「そうだ。後は……美人だな」

「これまた抽象的な……」

「我が儘だな……そうだな……ああ、これだったら一目見れば分かるぞ―――」

 

勇義は一拍置き……

 

 

 

『―――黄金の狐』

 

 

 

 

その後は、勇義と雑談をし、後から来たこいしちゃんの相談に乗ったりして、一日を平和に過ごした。

 

パルスィさんには、落ち着いたらまた伺います。と、勇義に言って貰うように頼んでおいた。

 

 

 

 

 

 

 

―――あ……あ……イヤだ……死ぬ……

 

 

 

 

 

―――俺がこの先……どうなるのかも知らずに……

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

さあ……クライマックスだよ軽くん……

次回 始まりの場所で待つ者

誤字脱字報告、感想アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
軽くん……もうすぐ『さいご』だよ……

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

歪んだ想い

投稿です!!

さあ、あの方ですよ。
まあ、軽くんはメインで出ませんが……

では、どうぞ!!


私が逃特軽を知ったのは一年と三ヶ月、二十四日、三時間三十四分五十八秒前の事だ。

 

その日、紫が神社に訪れた。

 

要件は私に見せたい者があると言い、私を隙間の中へと落とした。

 

そこには、籃を控えさせ私の睨みにも一切の不愉快さすら見せることのない紫の姿があった。

 

私の力だけではこの場所から逃げられないのも分かっていたので、私は紫の要件とやらをさっさと済ませる事としよう。

 

紫は新しい隙間を開き、私に中を見ろと催促する二人。

 

大人しく私は隙間の中を覗いた。

 

 

止まった

 

 世界も

 

 時間も

 

 思考さえも

 

全てが―――

 

 

 

 

―――止まった。

 

 

 

私はこの感覚が何か、魔理沙の持ってきていた本で知っていた。

 

どうせこんな事有るわけがないと思っていたが……まさか、当事者になるとは思っていなかった……

 

 

私は、その先にいた男―――

 

 

 

―――逃特軽に恋をした。

 

 

 

一目惚れだ。

 

私は紫と籃に、もっと情報をよこせと無言のまま目線も男から外さずに圧力を掛けた。

 

 

名前、年齢、好きなもの嫌いなもの、友人関係、平均睡眠時間、お風呂に入るタイミング、一日に何回スルのか……etcetc

 

 

知れば知るほど……見れば見るほど……私の想いは重くなっていった。

 

でも、それでも、彼は受け止めてくれるはずだ。

いや、絶対に受け止めてくれる。

今まで誰にも興味を示さなかった私が愛した相手だ。私だけをみてクれル……

 

 

 

 

憎い憎いにくいにくい……

 

軽に近づきやがって……私の軽に近づきやがって……殺す……私の軽に近づくな……ころす……そんな汚い声で軽の耳を汚すな……コロス……その汚い視線で軽の体を見るな……殺すコロス……

 

そんな汚ならしい顔で軽に近づくな!!

 

殺すコロスころすコロス殺すコロスころすころす殺すコロス!!!!!!

 

『殺しテヤる』

 

『軽は私ガマモらなキャ……』

 

 

そして……目の前にあの醜い豚がいた。

 

『な……なに?』

『…………アハッ♪』

『イタッ!』

 

醜い豚を押し倒す。

 

その口から漏れた声は、想像通り汚ならしいモノダッた。

 

『ちょっと……何がもk『バキュ』―――!?』

 

声が五月蝿かったから顎を砕いた。

 

『―――ァアアァァァ!!!??!』

『五月蝿い』

 

『ゴリュ』

 

それでも五月蝿かったから、喉を潰した。

 

『カヒューカヒュー!!!』

 

這いずりながら逃げようとしたから足を針で刺した。

 

『――――――!?!!!!?!??!!』

 

悶え苦しむ様が気持ち悪いから壁に張り付けた。

 

『――――――(フルフル)……!!』

 

スカートから漏れた水が私の足を汚したから、腹を蹴った。

 

その目に涙を溜めていたから、両目を潰した。

 

私の声と軽の声が届いているのかと思い、その耳を切り落とした。

 

その鼻が私と軽の匂いを知っているのかと思い、その鼻をネジ切った。

 

 

 

そもそも、存在が許せなかった。

 

だから、なぶり続けた。

 

彼が来るまでの一ヶ月と二日十六時間四十一分二十五秒の間。

 

ただ、ひたすらになぶり続けた。

 

 

 

 

 

 

そして―――

 

 

 

 

 

『ウフフ……やっと。やっと会えた』

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

と言うわけで……霊夢の回想編でした!!
虐殺シーンが……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします!!

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
次回 ハクレイ

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ひとごろし

投稿です!!

結構ごっちゃになった……
今回も感想欄を読んでた方が分かりやすい……かも?

では、どうぞ。


ここに来るのは何時ぶりだろうか?

 

実際には一年経っていない位なのだろうが、何十年と来ていない感じがする。

 

まあ、それもそうか。

最初はこの場所から逃げたくてしょうがなかったんだから。

まあ、だからと言ってもう一度監禁されたくなんてないのだが……

 

博麗神社

 

俺がこの世界で一番最初に訪れた場所。

 

俺の…………狂った人生が、始まった場所。

 

 

階段を登り、神社の境内へと足を踏み入れた。

 

『やあ。遅かったじゃないか軽くん』

「貴方は……確かドンちゃん」

『覚えていてくれたのかい?いやはや無駄な努力を有難う。それと、後ろから狙ってきてるのもバレてるよ?

 てっちゃんにアサルトさん……だったかな?大丈夫だって。僕は軽くんに手は出さない。約束しよう。

 何だったらそこで監視しておけばいい。どうせ軽くんも霊夢さんと一体一で話したいだろうしね』

 

壱さんが押し黙り、てっちゃんとアサルトさんが茂みから姿を現した。

 

「軽くん。博麗霊夢の衰弱化は既に解いてある。行きなさい。それと……気を付けるんだぞ」

 

 

神社の中へと入る。

 

中には必要最低限の家具しか置かれていない。

 

『アハッ……やっぱり……軽だぁ……』

 

後ろからの声が聞こえ、ゆっくりと振り返る。

 

そこには、地面に這いつくばりながら俺に手を伸ばす博麗霊夢の姿があった。

 

「ひ――――――久し振りだな……博麗霊夢」

 

咄嗟に出た悲鳴を押し込め、何とか普通の対応を取る。

 

「今日はお前に話があって来た」

『なぁあニぃ?』

「落ち着いて聞けよ?……俺はお前が嫌いだ」

『?』

 

博麗霊夢はその言葉が理解できなかったのか、首を傾げる。

 

そして、ゆっくりとその場に座り込んだ。

 

「もう一度言う……俺は、博麗霊夢が、嫌いだ」

『…………』

「だがn『イヤ……嫌いヤいヤイや!!!聞きタクなイ!!』

 

この展開は大方予想できた……

 

「頼む……聞いてくれ」

『イヤ!!』

 

博麗霊夢はヨレヨレと箪笥に近づき、そこから一本の小刀を取り出した。

 

……俺を殺して、自分も死ぬ……そんなところか?

 

何時でも抵抗できるように警戒する。

 

だがそれはこの場において―――

 

「お、おま!!止めろ!!」

 

―――完全な悪手として働いた。

 

博麗霊夢が何の躊躇もなく、その小刀を自身の首に持っていったのだ。

 

とっさのことに驚きはしたものの、手を伸ばすことが出来た。

間一髪、その首を完全に切る前に止めることに成功し、安堵する。

 

博麗霊夢の手から小刀を奪おうと、力を込めたときだった。

 

博麗霊夢から、力が抜けた。

 

そして、力を込めようとしていた自分も態勢を崩し覆い被さるように倒れた。

 

 

 

絶句

 

 

 

ブシャァアア!!

 

噴水のように沸き上がる赤い液体が俺の顔を直撃する。

 

咄嗟に博麗霊夢から飛び退き、状況を確認した。

 

 

 

赤赤

赤赤赤赤赤赤赤あかあかあかアカアカアカアカアカ

 

 

 

鼻をツンッとした刺激臭が襲う。

口の中に鉄の味が染み渡る。

手の平、体全体が赤く染まる。

 

 

「あ……あ……」

 

 

目の前にあったのは……首の動脈を切り裂いた。否、俺が殺した……博麗霊夢の姿があった……

 

どれだけ血を止めたくても……体が動かない……

理解しているのだ……俺が……殺したと……

もう、死んでいるのだ……と……

 

「あ……あ……いやだ……死ぬ……」

 

「……俺が……殺した……?」

 

『そうだよ?君が殺したんだ。どうだった?殺したときの感触は……その口の中に広がる味は。

 君が関わってきた、君が説得してきた人達も一体何人死んだのかねぇ?俺は少なくとも二人知ってるぞ?逃特軽に関わり死んだやつを。まあ、忘れてる……そもそも覚えてないかもしれないが……』

 

「ころ……ころし……ころしした?」

 

『君が生まれてこなかった方が良かったんだよ。殺人鬼がッ!』

 

 

 

 

さつじん……き?……ひと……ごろし……?

 

 

 

 

 

「いや……いやぁああjdjdヴ#,%skんぞんd,?;%+jか!!!??!?!?!!?!?!」

 

 

『アハハ!!アハハハ!!!

 これが見たかった!ああ、安心するといい。俺は別に君を殺すつもりはない。

 ただ、俺じゃない誰かに殺されるかも知れないけどね!!

 アハハハハ!!愉快だよ!ほんっとうに最高の気分だ!!』

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

軽くん発狂……そうですね……リアルの冗談抜きでSAN値が0になったと思ってください。
それと、八雲が動かなかったのは、大結界を維持していた為です。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
次回 アノ人

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

END 3 アリガトウ

投稿です。

タイトル通り、今回のルートはこれで終了です。

それと、壱さんと妖夢は少し話した程度の他人です。
壱さんは、妖夢の黒い部分は知りません。

では、どうぞ。


部屋の中は赤く染まっている。

 

その部屋の中には二つの人影。

 

一人は膝から崩れ落ち、口は半開き、目からは生気が抜け落ちてしまっている。

 

もう一人は地面に仰向けに寝転がり、その首には深々と短刀が突き刺さっている。

 

 

…………急げ……急げ!!これをヤったのは恐らくドンが関わっているハズだ!!俺は軽くんを安全な場所に連れていく!!

 

 

怒鳴り声に鎧を着た男と、軍服を着た男は直ぐ様行動開始した。

 

 

クソッ……!!なんでこんな事に……!!

 

 

最後に残った男は軽と呼んだ男を担ぎ上げ、その場から飛び上がり安全な場所を目指し飛び去った。

 

 

 

 

「すいません。後の事をよろしくしても宜しいでしょうか?」

「はい。大丈夫ですよ。任せてください」

 

少女は快く承諾し、男を受けとる。

 

「すいません……よろしくお願いします」

 

そう言って、男を連れてきた彼はその場から急いで走り去っていった。

 

 

 

 

『はい……マカサれマシた……』

 

 

 

 

少女の呟きに気付くこともなく……

 

 

 

 

その日の夜の事だ。

 

「逃特軽が帰ってきた……」

 

そんな事を呟きながら少女は男の、逃特軽の眠る部屋の襖を開いた。

 

少女は逃特軽が寝ているものと考えていたようだが、その予想は外れ逃特軽は起きていた。

 

「………ぁ…………妖夢、さん……俺……人を……博麗霊夢を殺して……」

 

ポツポツと呟くように話す男を静かに見守る。

 

「……そうですか……だったら私が楽にしてあげますよ」

「え?」

「全部、全部貴方が悪い。それでヨイではないですか」

「ああ……そう言う事ですか……」

 

男は小さく笑い、悲しげな笑みを浮かべた。

 

「お願いしても良いですか?」

「ええモチろン」

 

 

 

スチャ 刀が抜かれる。

 

ズサッ その刃が男の胸を貫く。

 

 

 

 

『アナタが悪いんですよ?』

 

「ありがとう」

 

 

 

そして、男は静かに息を引き取った。

 

 

『くく……ククッ……アハハハハッ!!!死ね死ねしねしネシネシネぇエエエ!!アハハハハッ!!!』

 

 

少女は急に笑いだし、何度も、何度も目の前の男に刀を突き刺した。

 

そして、少女は知っていった……死は―――

 

 

 

 

―――『絶対的』に『生』よりも『苦しい』ものだと―――

 

 

 

 

 

 

逃特軽。貴方は多くの苦難を乗り越えてきました。

 

確かに貴方は被害者です。

ですが、同時に加害者でもあります。

 

貴方は気が付いてましたね?

 

それでも尚、自身を被害者として向き合うこともせず逃げてきた。

 

多くの女性の心を乱し、その想いに答えず踏みにじった。

その罪は重いものです。

 

ですが、最後にはキチンと関わってきた女性たちと向き合ったのはとても素晴らしいことです。

 

よって貴方は 『衆合地獄』 に落ち三十兆七千五百億年の間罪を償いなさい。

 

 

 

 

 

 

―――妖夢……

 

 

―――幽々子様!!ヤりましたよ!!私達の日常を壊した外道を殺しました!!

 

 

―――ええ……

 

 

―――褒めてください幽々子様!!

 

 

―――……良く…………がんばった、わね……

 

 

亡霊の姫は優しく少女を抱き締める。

 

その瞳からは涙が滴り落ちる。

 

こうなってしまったのは私のせいだ。と、自身の弱さに悔しながら……静かに泣き続ける。

 

 

 

―――『ハイ!頑張りました!!』―――

 

 

 

そんな事にも気付かずに、『じゅうしゃ』は笑顔で喜んだ。

 

 

 

 

BAD END

END3 アリガトウ 

             END

 

 




お読みいただき有難うございます。

地獄って……どんなに善行を積もうがほぼ絶対に行かなければならない見たいです……お陰で用意していたENDがよりエグくなった……知りたい方は『地獄 種類』で検索してください。
軽くんが出てこれるのは……約30兆年後か……これでも大分譲歩してるんですよ……?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
妖夢は礼儀が正しいですからね……信用も厚そうですし……疑って掛かる方が失礼に思うレベルだし……壱さんが軽くんを任せるのも当然と言えば当然なんですよね……

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

猫と寄り道

投稿です!!

『最後の……』からの別ルートとなります。
皆で雑談をした後、地上に戻るところです。

文字を稼ごうとした結果がこれだよ!!

では、どうぞ!!


地霊殿の皆に挨拶を済ませ、地霊殿を後にする。

 

結局パルスィさんとキチンと話す事は出来なかったが、また来れば良いだけの話しか。

 

地霊殿を出て、市街を通り、橋を渡り、地底への入り口へと着いた。

 

そして、首筋に ネットリ としたモノが這う。

 

「ひゃう!?」

『おや?以外にいい声で鳴くんだねぇ……こりゃぁ楽しみが増えた』

 

バッと後ろを振り返るとそこには、ニタニタと笑いながら舌舐めずりをしてこちらを見ている燐さんの姿があった。

 

「どうして燐さんがここに」

「アタイは猫だよ?どこにいても可笑しくないさね」

「首筋を舐めたのは?」

「想像以上に可愛い声で鳴くんだねぇ。いやぁいい情報を手に入れられたよ」

 

一切の反省の影なし。

 

はぁ 大きく溜め息を一つ。

やっぱり……この猫は苦手だ……

 

「地霊殿の方は良いのか?」

「こいし様からは許可を頂いたし、私の仕事は基本外でやることが多いから大丈夫だよ」

 

はぁ……もう一度大きく溜め息を吐く。

 

「お兄さん、あんまり溜め息ばかり吐いてたら幸せが逃げちゃうよ?」

「一体誰のせいだ、誰の」

 

ケラケラと燐さんは、俺の声を吹き飛ばした。

 

「まあ良いじゃないか。アタイはお兄さんの邪魔をしないからさ。それなら良いだろう?」

「どうせ言っても付いてくる気なんだろ……勝手にしてください……」

「お兄さんをかい?」

「んなわけあるか」

「連れないねぇ……」

 

俺は、既に鳥状態で待機していた壱さんの背に跨がる。

 

「話は付いたのか?軽くん」

「はい。何か燐さんも付いてくる事になりました……」

「そうか……彼女には気を付けるんだ……良いね?」

「?」

 

確かに燐さんは苦手だ。でも、別に気を付ける程の存在でもない気がする……

 

「えっと、壱さんがそう言うのなら気を付けておきます」

「ありがとう軽くん。では、行くぞ!!しっかり掴まっているんだ!!」

 

壱さんの翼が開き、耳には風を切る音が聞こえ、飛行機に乗ったときのようなGが体を圧迫する。

 

体を低くし、必死に壱さんの体にしがみつく。

 

そして、十数秒が経ち体にかかるGがスッと消えた。

 

「もう大丈夫だぞ」

 

ゆっくりと目を開く。

最近は見慣れてきたものだが、それでもこの美しい景色には舌を巻く。

 

「で?目的地はどこなんだい?」

 

少し遅れて来た燐さんが、そう俺に聞いてきた。

 

てか、知らないで付いてきたのか……

 

「今から行くのは……博麗神社です……ん?」

「博麗神社か、わりと近場だね」

「…………」

「どうかしたのかい?」

「いや、あの開けた場所なにかなーって」

 

俺の視線の先には、街道近くにある森に少し入った所だろうか。

 

そこの一角が、不自然に開けているのだ。

 

「壱さん……あそこに行って貰ってもいいですか?」

「了解した」

「アタイも付いてくよー」

 

 

 

―――ここを訪れるのも久し振りだな―――

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

お燐参戦 寄り道 たったこの2つの違いだけが……運命を変える……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
そして……動くことのなかった歯車がまた一つ……動き始めた……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

もうどうでもいいや

投稿です!!

ドンちゃんの過去……
ドンちゃん以外は殆ど喋りません……

※感想欄を読んでいた方が分かりやすいです。

では、どうぞ。


開けた場所、そこには一つの小さめの岩が突き刺さり、枯れた花が添えられていた。

 

その光景はまさに……

 

『みすぼらしい墓だろ?この場所を訪れるのも久し振りだな……前はほぼ毎日来てたんだが』

 

作り方なんて分からなかったからな……

乾いた笑いと、優しい笑みを浮かべながら岩を、否。墓を優しく撫でる。

 

「でも、まさか君が来ているとはね……一応素人なりに結界を張ってたんだけど、時間と一緒に消えてしまったか」

「軽くん……私の後ろに」

 

壱さんが、俺を庇うように前に出る。

 

「軽、折角この場所に来たんだ。少し昔話をしてあげよう」

「昔話?」

 

ああ。昔話だ。

そう言って、彼は話はじめた。

 

「俺が幻想郷に来たのは君が来る一年程前だ。

 君が覚えているかは分からないが……中学生の卒業式に一人の女の子に告白されなかったかい?短めの黒髪で、生真面目な娘……

 ……その様子だと覚えているんだな。その子はね?俺の妹なんだ。

 俺達は家庭の都合、まあ端的に言えば借金だよ。で、自分達の家を売ることになった。

 でもそれが、妹の卒業式前でな、まあそりゃあ嫌がってたよ。で、両親も流石に気の毒に思ったんだろう。引っ越しは妹の卒業式が終わって二日後になったんだ。

 卒業式前日の夜だったかな?妹が俺の部屋に来たんだ。用件は好きな男、お前にどう告白すれば良いのかだった。

 まあ、俺はシンプルにドストレートに伝えてこい。って言ったんだ。まあ、結局後悔する事になったんだがね……

 妹がどうなったのかって?高校に上がって一週間行かないぐらいだったかな?

 自殺したよ。

 自分の部屋で首を吊ってね。

 そりゃあ酷いものだった。下の穴から腸やら何やらが垂れ流れて。あの時は逆に冷静だったなぁ~救急車を呼んで、妹を下ろして……ずっと手を握り続けてた……その手は冷たくてなぁ……これが死なんだって実感したよ。

 そして、妹に続くかのように両親が二日後に自殺。二人揃って飛び降りた。

 そして……俺も……だが、俺は死のうとしたときにこの世界に迷い混んだんだ。

 人里の外れにポツンって。

 その時に俺を受け入れてくれたのが、稗田家現当主の阿久ちゃんとこの……桜だった。

 家族の件は恨んでないのかって?あれは妹が、家族が選んだ道だからな。恨みが無いって言ったら嘘になるが、俺が口出しする事でもない。墓も……無いしな……

 でだ、俺がお前の存在を知ったのは、人里、お前が寺子屋に住んでいた時だった。

 そうだよ、長い黒髪の女性、その人が桜だ。何度か寺子屋に来てただろ?

 俺は桜が好きだった……告白もして、プロポーズもした。結婚も一週間後と間近だった。お前に祝福して欲しかったよ……俺の家族が生きていた証でもある、お前に。

 でも、その望みは全部……全部闇に沈んでいった。

 お前が人里から消えたあの日、人里ではな?慧音先生が頭を下げてお前を探してくれってお願いしてたんだ。

 慧音先生の信頼は厚いからな。人里総出でお前を探していた。もちろん俺も探した。夜は危ないから流石に探すことは出来なかったが……

 男三人と女一人のが帰ってこなかった。そうだよ。女は桜だ。

 男三人は、次の日の朝に軽い怪我をして帰って……来たんだったかな?確かそうだったと思う。

 でも、桜は帰ってこなかった。

 まあ、探したわ。朝から一睡もせずに数日間ひたすら走り続けた。

 ……どのへんだったかな?まあ、洞窟だよ。

 まあ、ここまで来たら大体察せれるんじゃないかな?

 破り捨てられた服、もげた腕、そして、桜の顔半分にかじりつく糞ヤロウの姿。

 確かこの時に能力が覚醒したんだよね。ここに生きて帰ってきてる、墓を作ってるって事はその妖怪は殺せたんじゃ無いかな?

 今、ここには桜の頭と腕が入ってる。

 いいか?一回目はまだしもな、二回目、桜の件は本人の意思じゃねぇんだよ……

 あーもう、お前の狂った姿とかどうでもいいや……お燐さんはコッチ側なんでしょ?俺は死体はいらないから」

 

燐さんが笑いながら、その男、ドンちゃんの後ろにつく。

 

「うん。それじゃあ死のうか?あ、でも邪魔されたらめんどくさいな……『僕に悪意を持つ存在の行動をロックする』有効射程……でいいのかな?は大体五百メートル、その中に生物がここにいるもの合わせて……四……それ以外の存在が……五十……エグいな……まあ、動けないからいいか……じゃあそろそろ……死のっか?」

 

一歩、一歩

そして―――

 

 

 

 

―――ズサッ―――

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます。

ドンちゃんの過去……家族を失い……立ち直り……そして、崩れ去る……
愛する人がいなくなってしまう……その辛さがどれ程もものなのか……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
どんちゃん……

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

汚れ仕事

投稿です。

100話なのに……なんか狙った感じでこの話に……

では、どうぞ。


―――ズサッ―――

 

一本の腕が、胸を貫く。

 

その手の中には心臓(・・・)が握られれていた。

心臓には今だ血管が繋がっており、ドクンドクン と力強い音がまだ生きていると主張していた。

 

ただし、それは、その心臓は俺のモノではない。

 

「は?いやいやいや……何で?可笑しいだろ!?」

「ん~どうかしたのかにゃ~?」

「どうしてだ……どうしてだ!!!どうして―――」

 

ゴフッ

 

口から吐き出された血が、俺の顔へと掛かる。

 

「どうしても何もアタイは元々こうするつもりだったしねぇ……」

「お前はコッチ側じゃ……」

「だから、その前提が間違ってるのに気付かない?確かに私はお兄さん、逃特軽の死体が欲しいよ?でもね、それよりも家族の事が……大事なんだ。お兄さんが居なくなったらお空もこいし様もさとり様も、私だって悲しいからね」

「クソッ!!……時間が……」

「この感じは、妖に神で反発、仙人の治癒術かね?痛みは少ないが……もう長くは持たないんだろう?だったら、どこで死のうが同じさね、生命力が高いってのも考えものだ」

「どうして動ける!?」

「感情を殺す、偽るなんて朝飯前さね」

 

目の前で起きている事に理解が追い付かない。

 

「潰したとして……まあ三分って所かな?も、生きられるんだから良いのかも知れないけどねぇ」

 

そして―――

 

 

グチャァ

 

 

―――音が、途切れた。

 

 

 

「「あ……」」

 

目の前で、人が、死んだ。

 

「どうでん……さん?」

 

目の前の光景に足がすくみ動けないでいると、後ろから声が聞こえた。

 

声の主は俺の直ぐ横をすり抜け、ドンちゃんの体を支えた。

その横には血に濡れた花束が。

彼女は墓参りに来たのか。と、無駄に冷静になっている頭がそう理解した。

 

「堂田さん!!」

「……ああ、阿久ちゃんか……ごめん、名前を教える約束守れそうにないや」

 

震える声で話し掛ける少女の顔には涙が流れている。

 

「何言ってるんですか……!!こんな所で死んだら……!!」

「本当に……ごめんなさい……」

「地獄まで……聞きに行きますからね?」

「これは……地獄での楽しみが……増えたな……」

 

そして……

 

「そうですよ……一杯話したいことがあるんですよ……」

 

「一緒に妖怪の山に滝を見に行きましょうよ……」

 

「一緒に太陽の畑のヒマワリを見に行きましょうよ……」

 

「全部……約束……したじゃなですか……」

 

「一緒に……また……い、っしょに……おはなし……しましょう……よ……」

 

 

 

 

うぁああああああ!!!

 

 

 

 

 

 

堂田さんを火葬して、目の前のお墓に手を合わせる。

 

 

 

「……皆さん、彼を、堂田さんを救っていただき有難うございました」

「…………」

 

答えられない……答えられるはずがない……

もし、ここに俺が来なかったら……!!

 

「……貴方が自身を攻めたい気持ちも分かります。ですが、私はもうすぐ死にますし、彼もどうせ長くは生きられなかったでしょう」

「それ、でも……!!」

 

自然と手に力が入る。

 

「でしたら、私と堂田さんの分、いや、どうせですから堂田さんの家族と桜さんの分まで生きて、幸せになってください。良いですね?」

「……分かりました」

 

その、半分命令となった言葉は、この気持ちを高めると同時に、深く理解させられるモノとなった。

 

「では、もう少し私はここに居ますのでいつかまた」

「……自殺だけは……しないで下さいね」

「出来ませんから安心してください」

 

背を向け足を一歩前に動かす。後からは、しゃくり声が何時までも、何時までも、耳に届き続けた。

 

彼女の最後の言葉……それは、出来るのなら死んでいる。と、理解しながら。

その、響き渡る声に耳を傾けた。

 

 

 

 

まったく……汚れ仕事ってのは何度やっても嫌なもんだんねぇ……

 

でも、こう言う仕事はとっくの昔に汚れちまってるアタイが適任。

 

アンタたちには汚れてほしく無いんだよ?

 

なあ?四人(・・・)とも。

 

 

 

 




お読みいただき有難うございました。

ドンちゃんは……死にました……
きっと、二年後には三人……いや、六人で笑いあっていることでしょう……
そして、お燐は軽くんを家族とまでは行かなくても、一人の友人として見ています。
舌打ちについてはお燐の本当の気持ちです。
軽くんを傷付けた『パルスィ』に対してのもの。誰しも、友人を傷付けられたら嫌でしょう?

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。

お燐は、軽くんの敵と自身を偽り、ドンちゃんに接近した。
ドンちゃんの能力に引っ掛からなかったのは、悪の感情を抱かないようにしただけ。
自分は人間と遊んでいる。こんな感じで。

それにドンちゃんの発言で
『僕に悪意を持つ存在の行動をロック』
『生物がこの中にいるのも合わせて……四……それ以外の存在が五十』

生物は壱さんを含め、 軽 壱 アサルト テリヤキ
それ以外が アサルトのロボット(ドンちゃんを殺そうとしたから) テリヤキの分身体

なら……お燐は?

最初から能力に作用されていなかった?

なら、後は、後から……

てなかんじ。

感想欄を見る限り、バレてないようでニヤニヤしてたりもしてた……

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ありがとう

投稿です!!

今度こそ本当の『ありがとう』

…………コーヒー……いる、かも?

では、どうぞ!!


博麗神社。

俺がこの世界で一番初めに来る事となった場所だ。

 

まあ、来ると言うよりは、連れてこられたの方が正しい。

それに加え、この場所に良い思いでは何一つとして存在はしていないのだが……

 

でも、こうやって見てみるとなかなか懐かしいものではある。

 

「博麗霊夢に掛けた能力は既に解いてある。後は君の仕事だ」

「アタイたちは外で待ってるから頑張りなよ」

 

二人に、否。四人に見守られ博麗神社へと足を踏み入れた。

 

 

「もう一度言う……俺は、博麗霊夢が、嫌いだ」

『…………』

「だがn『イヤ……嫌いヤいヤイや!!聞きタクなイ!!』」

 

この展開は大方予想は出来た……

 

「頼む……聞いてくれ」

『イヤ!!』

 

博麗霊夢は箪笥にヨレヨレと近づき、そこから一本の小刀を取り出した。

 

……俺を殺して、自分も死ぬ……そんな所か?

 

何時でも抵抗出来るように警戒する。

 

だが、その行動はこの場において―――

 

「お、おま!!止めろ!!」

 

―――完全な悪手として働いた。

 

博麗霊夢がなんの躊躇いもなく小刀を自身の首に当てたのだ。

 

とっさの事に驚きはしたものの、何とか体を動かし小刀が首に掛かる前に手を掴むことが出来た。

間一髪間に合った事に安堵する。

 

そして、博麗霊夢の手から小刀を奪おうとした時だった。

 

博麗霊夢の体から力が抜けたのだ。

 

目の前には、博麗霊夢の顔とその首を、命を刈り取らんとする小刀。

 

 

 

 ドスッ

 

 

 

左手に走る鋭い痛み。

ツンッ と鼻を刺激する血生臭い鉄の臭い。

 

そして、心を支配した怒り。

 

 

「ふざ……けんなッぁあ!!!!」

 

 

左手に刺さった小刀を抜き、畳の上に突き立てる。

 

「―――ツゥ!!」

 

抜いた瞬間意識が飛びそうになったが、そんなものは根性でどうとでもなる。

今まで俺を受けた痛みに比べれば、俺が背負った罪に比べればこんなものは簡単な事だ。

 

「ハァハァ…………そんな簡単に命を棄てんじゃねぇえよ……!!それにな……まだ、俺が喋ってんだろうが……」

 

良く見ると、博麗霊夢の首筋からは俺よりは酷くはないが血が流れていた。

本当に間一髪だった……と少し恐怖しながら、その部分を指で圧迫し止血する。

 

「俺はな……お前に感謝もしてるんだよ……

 お前のお陰で、俺は弱いって分かった。

 お前のお陰で、俺は家族の有り難みが分かった。

 お前のお陰で、大切なものが沢山出来た。

 お前のお陰で……俺は、自分の犯した罪を知ることが出来た」

 

逃げ続けたた日々。

裏切られたりもしたが、俺を受け入れてくれた。

変わらない俺を……変わろうとしない俺を……受け入れてくれた。

 

涙を流してくれた―――

 

ずっと支えてくれた―――

 

俺を愛してくれた―――

 

俺に、居場所をくれた―――

 

「お前がいなかったら俺は、この暖かさを知らずに過ごしていただろう。

 お前がいなかったら俺は、自分の罪に気付かずに悠々と過ごしていただろう。

 だから、俺はお前に感謝してるんだよ。

 俺に、温もりをくれたありがとう。

 俺の罪に気付かせてくれて、ありがとう」

 

 

 

 

本当に

 

 

 

 

 

 

『ありがとう。霊夢(・・・)

 

 

 

 

 

 

あ、ヤバい意識が……そういえば……止血…………わす……れ……てた……

 

 

 

 

手を伸ばす霊夢。

 

それが、俺が最後に見た光景だった。

 

 

 

 

―――私……どうすれば良かったのかな?―――

 

 

奪われるのが、無くなるのが怖かったんだろう?また一人になるのが。

 

だから、私のモノだって傷を付けた。

 

 

―――うん……―――

 

 

そこまで分かってるんなら直せるよ。

 

お前は強いんだ。このまま逃すのも嫌だろう?

 

 

―――でも……私はもう嫌われてるし……―――

 

 

だったら、こんな所まで会いに来ないでしょ。

 

あそこで見殺しにするかな~私だったら。

 

でも、しなかった。ならまだチャンスはあるはずじゃないのかい?

 

 

―――まだ、やり直せるかな?―――

 

 

君が望むのなら……やり直せる。

 

いくらでもやり直せる。人生は長いからのぉ。

 

 

―――そっか……なら、頑張ってみようかな―――

 

 

うん。そのいきだ。でも今度は……

 

 

―――分かってる。もう彼を傷付けないようにする―――

 

 

分かってるんならいいんだ。

私達は恋愛に関しては疎いが、君なら大丈夫だ。

 

なんたって―――

 

 

『『『私の自慢の娘なんだから』』』

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

あれ?主人公が主人公してる……?
霊夢は、失うのが怖かっただけです。まあ、だからと言って今までの行為が許されるわけではありまんが。今後の霊夢に期待です。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
最後に出てきたのは歴代の博麗の巫女達。

※崩廻録が今日中には出せない可能性大です!!
 出せたとして深夜になるかも……

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

黄金の狐

投稿です!!

ヤンデレ成分皆無です。
多分次回もヤンデレ成分無い……

では、どうぞ!!


…………またか……またこのパターンか……

 

 

…………知らない天井だ……

 

 

確か……ああ、自分で左手を刺したんだっけ?それで止血し忘れて……

で、ぶっ倒れたんだ。

 

頭痛とかはしないけど……左手の感覚が無い……いや、ピクピク動いてるか。

左手には包帯が巻かれているわけでもなく、小刀の刺さった後だけが存在していた。

 

布団から上半身を起こし、周りを確認する。

 

掛け軸と箪笥、それと布団を入れているのであろう襖。

襖の隣にある小さなスペースには、三種類の花が使われた生け花が鎮座していた。

花の種類までは分からないが、紫と青と橙色の花が元気よく生けられている。

 

閉じられている障子に目をやれば コンッ と、鹿威しの音が鮮明に響き渡った。

 

布団から抜け出し、障子を開き外へと出る。

 

そこは、白玉楼に似た庭が広がっていた。

 

小石が波を打っているかのように化け、鹿威しの流れる水の音と、静かな響がより一層想像を膨らませる。

 

ただ、白玉楼の庭とは決定的に違うものが二つ。

 

一つは、白玉楼では薄暗く、月の明かりと何故かぼんやりと光っていた桜が光源となっていたのに対し、此方は太陽の暖かい光が光源となっている。

そしてもう一つは、あの美しく咲き乱れていた桜が一本も無く、代わりに……

 

「……ミカン?」

 

そう、ミカンが実り、白い花を咲かせる木が大量にそこにあった。

 

縁側から下り、石の上を跳びミカンの木に近付く。

一歩ずつ近付くにつれ、柑橘類の独特な匂いが鼻を燻る。

 

「明らかに……よっと、博麗神社じゃないよな。とっとあぶな」

 

…………それにしても、本当にここは何処なんだろうか?

 

博麗神社でもない。

白玉楼でもない。

妖怪の山でもない。

 

この場所と似ている所は全部違う。

かと言って、紅魔館などの西洋の建物でもない。完全に東洋の建物。

 

本来ならば部屋で大人しくしておくのが一番何だろうが……今までの事もあからか、逃げやすい状況を作ろうとしてしまうのだ。

 

 

ただ……このくらいの贅沢は……許されてもいいだろう……

 

ゆっくりと、目を瞑る。

 

 

耳に聞こえる、 波 水 自然

鼻を燻る、 華やかな匂い 香り

肌を撫でる、 柔らかな風 暖かい光

 

 

……年寄り臭いな。

 

そんな事を思いながらも、目を開くことはしなかった。

 

 

『どうだい?』

 

不意に声が聞こえる。

もう少しだけ……このまま……

失礼とは思いながらも、目を閉じたまま返事を返す。

 

「凄いです……すいません……目を閉じたままで……もう少し感じていたいんです……」

『構わないさ。この庭は私が手入れしているんだ。やはり、自身が大切にしているものを褒められると嬉しいものだな』

「………………………」

 

一分、数分、いや数十分?もしかしたら数秒かもしれない。

 

今、目に写るのは暗闇だけ。

なのに、音が匂いが感触が、あの美しい庭の全てを想像させてくれる。

 

ゆっくりと目を開く。

 

『此方だよ』

 

再度聞こえた声は、後ろから聞こえた。

 

振り返る。

 

目を見開いた。

 

 

そこにいたのは美しい―――

 

 

 

 

 

 

 

―――黄金の狐だったのだから―――

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

容姿だけで言えば一番好きなキャラクター
らんしゃまぁぁあああ!!!!

でも嫁は妖夢ちゃん(`・ω・´)キリッ

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
実は……メインヒロイン決まってなかったり……アンケートするか……?

それと、書きたい小説が一つ増えた……でも、アンケートに今さら増やすのもな~

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

受け取って下さい

投稿です!!

…………なんかこんがらがってる……
もっと精進せねば!!

では、どうぞ!!


…………勇儀……本当に黄金の狐で分かったわ……

 

彼女の背中からは九本の尾が太陽の光を反射してキラキラと輝いている。

 

「こうして顔を合わせるのは初めてか。私は八雲藍」

「あ、えと、逃特軽……です」

「ここで話すのもあれだ、中へ行こうか」

 

八雲さんの後に続き元の部屋へと上がる。

 

「主人は少し空けていてな、もうすぐ帰ってくるとは思うがそれまでは私と雑談でもしていよう。その前に茶でも用意するか。少し待っていてくれ」

 

そう言うと、八雲さんは部屋から出ていった。

 

失礼ではあるが……なんか疲れた……

 

足を崩し、楽な姿勢をとる。

 

ニャーン

 

不意に猫の鳴き声が聞こえた。

部屋の中を見渡すと、縁側から一匹の猫が姿を現した。

 

「……なんか新鮮だ……」

 

そして、猫と言えば燐さんを思い浮かべてしまう俺は病気なのかもしれない……

 

「くるかな?」

 

手をゆっくりと伸ばし、あと少しで……と言うところで……

 

「待たせたな…………何をしているんだ?」

「……いえ、なんでも……」

「そうか?まあなんにせよお茶と、菓子だ」

「ありがとうございます八雲さん」

 

お菓子の皿に、煎餅と一緒にポテチやチョコレートが入っているのは突っ込んではいけないんだッ!!

 

「あの、八雲さん」

「主人も八雲だから私の事は藍と呼んでくれ」

「え?でも流石に初対面なのに呼び捨ては……」

「ならさん付けでも様付けでも良いぞ?実際人里では様付けて呼ばれているしな」

「なら、藍さんで。藍さん、俺の事を救っていただき有難うございました」

「…………フム、話しておいた方が良いか」

「?」

 

首を傾げる俺を無視して、藍さんは話はじめた。

 

 

…………俺はこの人と顔を合わせていて良いのだろうか?

 

話を聞いて一番に思った事はこれだった。

 

俺が逃げれていたのも、死んでいないのも全てこの藍さんのおかげ。

なのに、俺はその助けて貰った命を無下にしようとした。

 

顔を合わせる資格なんて……

 

「君は……私を恨んでいるかい?」

「え?」

「君は死にたがっていた……なのに、私の独断で君を助けていた。そのせいで君を傷付けた。君を追い詰めたのは私でもある。そんな私を、君が恨んでも無理はない」

 

捉えようによっては、そんな見かたも出来るのか。

 

確かに、以前の俺なら藍さんを恨んでも可笑しくはない。

でも、今は違う。

 

「藍さん。ありがとうございます。こんな俺を助けてくれて、本当にありがとうございます」

「私を恨まないのか?」

「以前の俺なら藍さんの事を恨んでいたでしょう。今も全く無いと言えば嘘になるんですが。それでも、俺はこうして生きて、多くの事に気付く事が出来た。それは貴女の、貴女方のおかげなんです」

 

霊夢と一緒。

誰か一人でもいなかったら、俺はここにこうして座ってはいなく、そもそもこの世界にすら来ていなかったかもしれない。

もしかしたら、何処かで自殺をしていたかもしれない。

何も知らず、自身の罪にも気付かず生きていたかもしれない。

 

それを止めていたのは、止めてくれていたのは紛れもなく彼女なのだ。

 

「だから、受け取って下さい。俺を助けてくれてありがとうございました」

「…………まったく、君と言う男は……分かった。受け取っておこう」

 

『話は纏まったかしら?』

 

 

さて……ここからどう転ぶのか……

 

 




お読みいただき有難うございます!!

黒☆幕★登場!!
藍しゃまってこんなんだっけ……てか、二人が仲良く話してるのが想像できんかった……

最初の方藍しゃまをマジで狐(軽くんの二倍くらいの大きさ)で出そうか悩んだのは秘密。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
メインヒロイン

霊夢 椛 魔理沙 小悪魔 フラン 咲夜 燐 空 さとり こいし 勇儀 パルスィ 幽々子 藍 

ざっと挙げただけでも……15!? 結構絞ったのに……

次回作は、新しく考えたのを先に書くかも。
だって精々10話行くか行かないかで終わるし。

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

墓参りぐらい行ってください

投稿です!!

う~む……これで良いのだろうか感がヤバイ。

では、どうぞ!!


紫色のドレスに身を包んだ美しい女性。

 

俺の人生を狂わせた張本人。

 

「八雲紫さん……ですよね?」

「あら、私の事をご存知で?」

「ええ、幽々子様や勇儀、魔理沙やレミリア様からもよく聞いてますから」

「あら、そうでしたの。………………ふざけるのも終わりにしましょうか」

 

そう言って八雲紫は膝を曲げ、地面に手を付こうとする。

 

…………まあ、当然と言えば当然か。

 

「八雲紫さん。いい加減にしてくれませんか?」

 

妖怪の賢者。

この幻想郷で最も偉い存在。

計算能力、頭の回転の速さは幻想郷で随一。

 

そんな方が分からない訳がない。

今自分が何をしようとしているのかを。

分からない訳がないのだ。

 

「…………私はふざけてなどおりませんが?」

「ああ、勇儀の言ってた『胡散臭い』ってのがよくわかりますね。確かにこれは胡散臭い。それにイラつきますわ。気付いているんでしょう?俺が何を言いたいかなんて」

「…………言っている意味が分かりませんわ」

 

八雲紫は中途半端に頭を下げた状態で、そう言った。

 

「……あーもう良いです。俺から言いますんで。謝らないでもらえませんか?そうやって逃げ道を無くそうとしても無駄ですし、そもそも俺は貴女を許すつもりなんてありませんから」

「そんなつもりはございません」

 

此方の顔も見ずに即答する八雲紫。

 

「どこがだよ。謝れば、頭を下げれば許してもらえる。それで謝られる側が断ればソイツが悪者にされる。仮にここであんたが謝って俺が断れば、何も知らない奴等の殆どは俺が悪って言うだろうな。

 それに、俺が断ってあんたが悪評を流す。それに伴って、自惚れすぎだが、紅魔館や地底の皆が黙ってはおかない。現に地底は半壊状態だ。

 これで、幻想郷が破綻して自分もろとも……馬鹿な俺でもここまで分かる。まあ、後者は本当になるかは分からんが」

「…………」

「まあ、そこまで分かっていても俺は八雲紫さんを許すつもりなんてさらさらないんですけどね。貴女が安直な思い付きで行動を起こさなければ、無くなるはずのなかった命が消えることもなかった。取り敢えず一発殴ってもいいですか?そろそろ我慢の限界です」

 

俺の足元の畳には大きな赤い染みが出来ていた。

 

さっきから無意識に手を強く握りこんでいたようだ。

 

「私は構わないけど……そんな事をしたら……」

「全部分かった上で言ってます」

「……分かったわ」

 

八雲紫は頭を上げ、立ち上がる。

その顔は恐ろしいほどに整っている。

背は……この中では一番低い。

 

「んじゃ、行きますよ?」

 

右手を握り締め、拳を霊力で強化し、全体重を乗せ振りかぶる―――

 

―――事は出来ず、まるで石でも殴ったかのような衝撃が右手を襲っていた。

 

手はひしゃげ、親指からは骨が突き出ている。

 

歯を噛み締め、喉元まで来ていた悲鳴を圧し殺す。

 

「――――――!!!」

 

逃げ場のない痛みが鮮明に脳まで届き、意識を切りはなそうとする。

だが、まざ倒れるわけにはいかない。その思いでなんとか意識を押し留める。

 

「と……りあえず…………今はこれで…………この罪……は、俺たち……がっ……背負う……べきもの……だから……」

 

「墓参り……ぐらい……行ってくだ、さい……」

 

 

 

 トサッ

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

妖怪は人間よりも圧倒的に頑丈だと思うの。大妖怪なら刃物すら弾き返すレベルで頑丈だと思うの(霊夢みたいな馬鹿げた霊力の量と質で強化している状態を除いて)。
まあ、ちょっと過剰な気もしますが見逃してください。

藍しゃまは傍観主義。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
さらに絞って

霊夢 咲夜 フラン さとり 勇儀 燐 幽々子 藍 よう……む?

9人……まだ多いな……でもハーレムにはしません(断言)

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お願い

投稿です!!

時間無かったから一時間未満で書き上げた……結果がこれだよ!! ( º□º)アッハハ!! ワラウシカネェ

では、どうぞ!!


…………はぁ…………ここまで天丼になってもねぇ……

 

…………知らない天井……でもないか。

 

目を開き、自身の状態を確認する。

布団に寝かされている。

右手は何かで覆われているようだ。まあ、包帯か何かだろう。

 

痛みはそこまではないが、親指の感覚がない。

他の指は問題もなく動かせるのだが、親指だけがウンともスンとも動かないのだ。

 

布団の中から右手を抜き、目の前に持ってくる。

 

「…………俺はどこまで自分の体を苛めれば気が済むのか……」

 

深いため息をひとつ。

 

ウンともスンとも動かないのではない。

そもそも『存在していない』のだ。

 

右手は包帯でぐるぐる巻きにされ、指一本一本が動かせれるようになっている。

だが、本来あるべきはずの親指だけが存在していなかった。

 

まさか指を無くすとは……しかも利き腕の……

 

「はぁ」

「そんな深い溜め息を吐いて、一体どうした?」

「ん?ああ、藍さんですか。いや、指なくして落ち込んでるなんて普通ですよ……」

 

指一体無いと言うのは想像以上にキツいものだ。

今までは折れていただけだが……回復の余地がないと言うのは中々に精神にくるものがある。

 

「治してやろうか?」

「…………え?出来るんですか?」

「お前も話は聞いているのだろう?お前の神経ごと脊髄を治したのは私だぞ?」

 

そう言えば……そうだったな……

 

「……お願いします」

「よろしい。それで、何だが……」

「?何ですか?」

「もう一度、紫様と話してはくれないだろうか?一度でいい。頼む。紫様は本当は心優しい方なんだ。あの謝罪も心からのモノなんだ…………此方の都合で烏滸がましいのは分かっている!頼む、せめて、せめてもう一度紫様と話してもらえないだろうか!!」

 

そう言って頭を下げる藍さん。

 

「…………分かりました。と言うよりも元々会うつもりでしたし。あの人とは話さなければ行けないことが沢山、たっくさん有りますからね」

「そうか……ありがとう」

「お礼を言われる筋合いはありませんよ。キチンと対価として」

 

既にない親指を振るように見せ

 

「貰うものは貰いますから」

 

……はぁ……漫画の主人公ってすげぇわ……何であんな簡単に励ましの言葉がスラスラと出てくるのか……

 

「そうか……そうだな。ありがとう」

 

ただ……まあ、今はこれで十分か……

 

 

「感覚に不具合は無いか?」

 

そう言われ手をグーパーグーパーと開いたり閉じたり。

 

「全然大丈夫です」

 

親指は何の違和感もなく滑らかに、いつも通りに動いてくれた。

 

「それで早速で悪いんだが……」

「分かりました。案内してもらってもいいですか?」

「勿論だ。それと、結構落ち込んでいるようなんでな……その……」

「はぁ……了解です」

「何から何まで……では、行くとしようか」

 

まあ、さっきよりは落ち着いて話が出来るかな?

 

なんて、呑気に考えながら歩を進めるのだった。

 

 

 

染まってるな~俺…………

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

あれ?……藍しゃまがヒロインしてる……?
そして、二度目の紫様と対話。一体どうなるのか!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 を 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。

もっともっと絞って……

霊夢 咲夜 フラン さとり 燐 幽々子 藍 

これで七人……フランは要るかな~?妖夢は作者のモチベーションがだだ下がりになるので強制退場。

では、また次回~ 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

元の世界に帰りたいですか?

投稿です!!

活動報告にてメインヒロインについてのアンケートを行っております。
思い入れが強すぎて選べんかったのや……
ま、まあそんな訳で皆様の投票お待ちしております!!

では、どうぞ!!


失礼します。

と、一言声を掛け、部屋の中へ踏みいる。

 

部屋の中には光がうっすらとしか差し込んでおらず、和風な蛍光灯も存在しているがその明かりは消えている。

……電気はどうしているのだろうか……

 

そんなことを考えながら、なんの躊躇いもなく電気を付ける。

 

部屋の隅で踞る人影が一つ。

美しい金色の長い髪がその存在感を強く主張していた。

 

「八雲紫さん。泣くのは勝手ですが、本当に泣きたいのが誰なのか、傷を付けられたのがどれだけいるのかを考えてください。少なくとも俺の前で泣くような真似はしないで下さい」

 

俺のその声に反応を返す声はなく、代わりに布で擦る音が部屋の中に響く。

 

スッ と立った八雲紫の目元は赤く腫れ、美しい女性の面影はなかった。

だが、その目には未知へと挑む、子供のようなナニカが宿っているようにも見える。

 

「ぁ……ん"。……では話を始めましょうか」

「はい」

 

か細い声を押し込めるように、咳をして、多少震えているもののその声には力強さを感じた。

 

「単刀直入に、聞きます。元の世界に帰りたいですか?」

 

 

まあ、聞かれるだろうな。

謝罪をさせてもらえない現状それ以外……いや、賢者としてなら霊夢の事もあるのか。

まあ、ひとまず霊夢の事は置いておいて。今は今の質問について考えなければ。

 

 

 

正直分からない。

 

確かに、元の世界に帰りたい俺もいる。

そして、ここに、幻想郷に残りたい俺もいるのだ。

 

家族の事や、友人。

俺は今、行方不明者として元の世界では取り上げられているのだろうか……それとも、皆俺の事を忘れてしまっているのだろうか……そうだとしても、家族や友人にもう一度会いたい。

 

だからと言って、幻想郷の皆も大切なのだ。

何度も命を救ってもらったのも、居場所をくれたのも、愛してくれたのも……こう言ってはなんだが、幻想郷の皆にはまだ恩を返せていないのだ。それに、俺自身皆を悲しませたくないのだ。

 

……

…………

………………

……………………あ

 

何をそんなに難しく考えているのだろうか。

そうだ、なんでこんなにも簡単な事に気付かなかったのだろうか。

 

俺は、『誰』によって連れてこられた?

俺は、今、『誰』によって帰るかどうかの選択を迫られている?

 

「八雲紫さん。貴方は俺の元いた世界を行き来出来るんですよね?」

「ええ」

「それは、ほぼ制限がない。と、捉えてもいいですか?」

「そうなるわね」

 

チョコレートや、この蛍光灯なんかもその力で手に入れた物だろう。

そして、今行き来が出来ると言った。

そして、それは制限が殆ど存在しない。

 

なら、答えなんて一卓だ。

 

どんな条件が来るかは分からないが、幻想郷に影響を与えることもなく、俺の世界に影響を与えもしない。

強いてあげるなら、俺が今後家族と会えるのが無くなる可能性があるくらいか……

 

いつの間にか、俺はこの世界が好きになってたんだな。

 

そんな、事を思いながら八雲紫の目を真っ直ぐと見て。

答えを、俺の思いを言う。

 

 

 

「俺は帰ります」

 

 

 

と。

 




お読みいただき有難うございます!!

軽くん、元の世界に帰ることを決意!!
なんか……頑張って延ばそうとしてる自分がいる……はぁ……もうすぐ……完結……かぁ……
次回まで八雲紫との対話予定。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。

前書きでも書きましたが、
活動報告にてメインヒロインのアンケートを行っております。
皆様の投票お待ちしております!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

誇らしい事

投稿です!!

軽くん……最近本当に主人公をしてるね……嬉しいよ……

では、どうぞ!!


「俺は帰ります」

「そうですか。分かりました。では早速……」

「の前に、少し条件を付けても良いですかね?」

「あまり無茶なものでなければ結構ですよ」

 

結構簡単に許すんだな。

まあ、こっちからしたら好都合なのだが。

 

「多分、そんなに無茶な話ではないと思います。俺を元の世界に帰すのに時間制限を付けても良いですか?」

「時間制限?どういう事でしょうか?」

「そのままの意味ですよ。一時間なら一時間後、二時間なら二時間後に幻想郷に戻れるようにして欲しい。

もう少し我儘を言うのなら一年か二年に同じ条件で良いので戻りたいですね。勿論、向こうの世界に幻想郷の事を漏らすような真似は絶対にしないと誓います。どうでしょうか?

ああ、それと条件を呑んで頂けるのなら博麗霊夢に子種を渡すことを約束します」

 

分かる範囲で逃げ道は潰した。

後は……これで妥協して貰えるかどうか……

 

顔は冷静に、焦りを出すな。

緊張を表に出すな……!!

 

そんな思いを込め、机の下で自身の足を強くつねる。

 

布が刷れる音、遠くの鹿威しの音までもが耳に聞こえた気がした。

 

そして、その口が開かれる。

 

「…………畏まりましたわ。その条件呑ませていただきましょう」

「有難うございます」

 

まだ気を抜いてはいけない。

相手は八雲紫なのだ。他に条件を付けられてもなんら可笑しくはないのだ。

 

「一つ……お聞きしても良いかしら?」

「なんでしょうか」

「貴方は、私のせいで人生を狂わされた。何度も裏切られ、傷つけられた。なのに、どうして帰ってくると言う選択を取れるのか……ここで、暴言を吐きながら帰っても可笑しくないのに……」

 

……どうして、か。

 

「一つは、皆に恩を返したいから。

 後は……忘れられないから……ですかね」

「忘れられない?」

「ええ……どうしても……頭から離れないんです」

「それは人里の賢者の事かしら?」

 

上白沢さん……か。

まあ、忘れられない……よな。

 

あんな別れ方をしたんだし忘れろって言われた方が難しい……そう言えば二回忘れたか……

 

でも今は……あの姿が……どうしても忘れられない……

上白沢さんとは違う……自分でもどう思っているのかが分からない……いや、好きなんだろうな……

 

――――――の事が……

 

「違いますね。上白沢さんは好きでした。でも、元々振られるのが分かっていましたし、涙も流しましたから」

「私には泣くなと言って、ご自身は泣かれているのですね」

「俺は、泣く意味を考えろ。俺の前では泣くなとしか言ってません。俺が居ないときならどれだけ泣こうと俺は口出ししませんし、出来ません」

「あれ、そうだったかしら」

 

そう言って、薄く微笑む八雲紫。

そこには、力強い絶対的な強者である、美しい女性の姿しかなかった。

 

「……何時か、私の謝罪を、妖怪の賢者としてじゃなく、一人の女の謝罪を受け取って貰えるかしら」

「それは一体いつになるんでしょうね」

「あら、連れない。そうだ、一つ条件を付けようかしら。ああ、謝罪とかは関係ないわよ」

 

良かった。もしこれで謝罪を受け取れだったら、また何処かの部位が無くなっていたかもしれない。

 

「そう言う事なら構いませんよ」

「なら、貴方の好きな方をお教えいただきましょうか?」

「――――――です」

「案外さっくり答えちゃうのね」

 

そりゃそうだ。

 

 

だって―――

 

 

 

 

 

 

 

『誰かを好きになるのも、愛するのも、当然の事で、誇らしい事ですから』

 

 

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

好きになる 愛する それは当然の事で とても 誇らしい事。
それが、人物でも動物でも物でも、既に存在していないとしても……
それは、とても誇らしい事なのだ。

紫様なら幻想郷がある。もっと大切に、もっと愛してあげてくださいね。

皆様には、有りますか?
無いのなら、家族に、友人に、何時も使っている道具に、既に亡くなってしまった人に……
ありがとう
言ってみてください。
恥ずかしいのなら、一人で呟くだけでもいいです。
その一歩が……大切なのですから。
その一歩が……何時か届きますから。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ただいま

投稿です!!

ただいま(生存報告)

ではどうぞ!!


紫色の空間を通り、目の前に広がる光景。

 

何時ぶりだろうか……我が家を目にするのは。

自然と溜まった涙を擦り、誤魔化す。

 

まあ、最低でも一年は過ぎているだろう。

 

家のドアの取手を握り、開こうとしたところでふと思った。

 

このまま家に入っても良いのだろうか?

 

自分の家ではあるが、一年以上もの間家に帰ってきていないのだ。

躊躇うのも当然である。

 

仕方なく取手から手を離し、チャイムの前まで移動する。

額に汗がにじみ、チャイムのボタンを押そうとする指が小刻みに震える。

心臓がバクバクと音を刻み、鼓膜を揺るがす。

 

だが、何時までもこのままでいるわけには行かないのだ。

八雲紫との契約で、三時間しかこの世界に留まることが出来ないのだ。

 

小刻みに震える指を握り、手を開く。

そして、その手のひらでチャイムのボタンを押した。

 

ピーンポーン

 

と、懐かしい響きが響く。

 

 

 

だが、チャイムからの応答はなかった。

代わりに、バンッ! と言う音と、少し窶れた女性……俺の母親が息を切らしながら姿を現した。

 

『軽!!軽なのね!!』

「うん。そうだよ。ただいま母さん。心配かけてゴメン」

『本当に……心配かけて……!!』

 

 

泣き崩れる母さんを宥め、家の中へと入る。

父さんに電話を掛けたら直ぐに帰ってくるそうだ。

 

その間に自分の部屋へと向かう。

部屋の中は綺麗に掃除され埃も溜まってはいなかった。

 

「掃除……してくれてたんだ…………」

 

兎に角、父さんの職場と家は近いから財布だけ持ってリビングに戻ろう。

 

机の上に置いてあった財布を手に取り、リビングへと向かう。

 

リビングに入ると同時に、車のエンジン音が聞こえる。

 

「父さん……スピード違反してないだろうな……」

 

自然と笑みがこぼれた。

 

そして、勢い良く玄関の扉が開かれる。

 

息を切らし、額には汗が。どれだけ急いで帰ってきたのかが分かる。

 

父さんが俺の姿を見て、その顔に怒りのような、笑顔のような良く分からない表情を浮かべた。

そして……

 

「このバカ息子が!!」

「イッテェ!!…………アハハ!!ただいま父さん!!」

 

と、拳骨を貰った。

 

 

「ゴメン。俺がどこに居たのか、何をしていたのかは話せないんだ」

「そう……でも、これからはまた一緒に暮らせるんでしょう?」

「ゴメン……三時間後には戻らないといけない。一応一年に一回は帰ってくるよ」

「そうか……よし!!飯でも食うか!!」

「相変わらず適当だね……父さん」

 

でも、母さんの手料理か……三年もいなかったんだよなぁ

 

「そうだ―――ってどこにあるか知ってる?」

「ああ、それなら車で三十分の所に有るぞ。それがどうかしたのか?」

「いや、キチンとお別れの言葉言えてなかったなって」

「そうか……飯を食べ終わったら連れていってやる。時間も余り残されていないんだろう?」

「……ありがとう」

 

 

 

久し振りに食べた、母さんの手料理は幻想郷で食べたどの料理よりも美味しくて暖かいものだった。

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

なんか事あるごとに飯を食べている気が……
母親の料理に勝るものは存在しない。
今は分からなくても……何時か分かるときが来る。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
軽くんの年齢……18~20の間くらい?

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

おやすみなさい

投稿です!!

今回で元の世界(外界)編は終了となります。

では、どうぞ!!


車で約三十分の所にある墓地。

 

その墓地にあるお墓の一つに手を合わせる。

 

 

 

ごめん。勝手に俺の問題に巻き込んで。

 

 

 

取り敢えず、今はこれでいい。

 

俺と仲良くしたがために、その命を落とすことになった。

それは紛れもない俺自身の罪のひとつで、目をそらすことは許されない。

 

ここに来る前、彼女の両親に挨拶をした。

俺が居なくなった後、彼女は直ぐに見つかったらしい。

あの、肉塊の姿で。

そこから色々な審査の後、彼女の死体だと分かったのだ。

 

それに対して、俺は生きている。

彼女の両親は俺が見つかった事に対してとても喜んでくれていたが、内にある感情は本当にそうだったのだろうか。

 

俺に相手の心を読む力なんて存在しない。

俺が気にしすぎなのかもそれない。

それでも、それでもなお、考えを止めることが出来ないのだ。

 

俺が居なければ、と。

俺が関わらなければ、と。

 

どうしても考えてしまう。

 

高校生活を楽しく過ごし、体育祭で優勝し仲間と涙を流していたことだろう。

文化祭で中の良い友人と一緒に色んなお店を回っていたことだろう。

卒業式には涙を流し、いままでの思い出に浸っていたことだろう。

それから、大学生になっていたかもしれないし、会社に勤めていたかもしれない。

 

そんな、輝かしい未来が……俺のせいで全て崩れさったのだ。

 

これは、俺だけが背負うべき罪なのだ。

これは、俺だけが償うべき罪なのだ。

 

 

本当に身勝手だな……背負う、償うって。

 

その時みたいに、幸せに生きろなんて言われてもないのに……それが彼女に対して一番の償いに刷り変わっている……本当に……身勝手だ……

 

「軽……泣くなら胸を張って泣け。それだけでも大分違うものだぞ?」

 

後ろから聞こえる父の声。

どうやら泣いてしまっていたらしい。

 

「お前に、お前たちに一体何があったのかは俺には分からん。でもな、この娘はきっとお前の笑顔が見たかったんじゃないのか?」

「でも、そんなの自分の考えを押し付けてるだけじゃないか」

「ああ。そうなんだろうな。だが、俺たちには死んでいる者の声は聞こえない。だから、勝手に思い込んで、押し付けるしかないんだ」

 

そっと、温かいモノが肩の上に置かれた。

 

「いい?軽。貴方がそんな事ばっかり思ってたら、彼女も、軽も、誰も前に進めないの」

 

前に……進めない……

 

「泣きたいときは泣いていいの。でも、その涙で自分も強くならないとね?」

 

「さあ、胸を張って泣いてこい。そしたら、自然と笑顔になる」

 

これはまた……凄い理論だ……

 

胸を張って、泣いて……そして、笑う……

 

 

 

今の俺には何も出来ないけど

君の分まで生きるから。

 

また、来年来るからね。

 

それじゃあ

おやすみなさい。

 

 

 

「父さん、母さん……少し後ろ向いてて」

 

二人は何も聞かずに後ろを向く。

 

 

 

『ありがとう。また来年来るからね』

 

 

 

「行った……か」

「今度は彼女を連れてきたりしたら嬉しいわね」

「そうだな……帰ろうか母さん」

「ええ。帰りましょうお父さん」

 

 

―――二つの影―――

 

―――本来であれば、もうひとつあるはずの影はない―――

 

―――だが、二人の笑顔はとても美しいものだった―――

 

 




お読みいただき有難うございます!!

泣きたいときは泣く。そうしたら、自然と笑みが出てくる。
凄い理論だけど、あながち間違いではないと思います。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
後……五話ぐらいで終わると思います。
メインヒロインのアンケート、投票お待ちしております。

次回は……あの場所です。

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

奇跡を起こすは、決死の覚悟

投稿です!!

ラストスパート
もうすぐだ……もうすぐ……この物語は……完結する……

では、どうぞ!!


紫色の空間を抜けた先。

 

淡く輝く桜たちがその花を揺らしている。

 

その桜並木を歩き、目的の場所へと向かう。

歩いていると、霊達がフワフワと近付いてきて周りをフワフワと飛んでまた何処かへと去っていく。

 

そんな中、一人の友人の姿を見つけた。

魂魄妖夢だ。

 

「妖夢さん。お久しぶりです。幽々子様はどこにいるか知っていますか?」

「幽々子様は現在、紫様にお話が有るそうでまだ帰ってきておりません」

 

ふむ……ならもう少し庭を探索してみるか……いや、でも妖夢さんのお手伝いをした方が良いのだろうか?

てか……八雲紫も教えてくれれば良いものを……まあ、俺が戻ってきてからだったら無理もないか。何時行ったなんて知らないが。

 

「ん?そう言えば妖夢さんは付いて行かなかったんですか?」

「当たり前じゃないですか……こんな美味しい状況……逃すと思いますか?」

 

チャキリ 妖夢さんが刀手を掛けスーゥと引き抜いた。

その刀身は俺の身長と同じくらい。

少なくとも、妖夢さんがその刀を使ったら地面に付いてまともに振ることすら出来ないだろう。

 

それは偶然だったのか、必然だったのか……

 

近くにいた霊が全部離れていった。

何だろう?と、一歩、霊の向かった方向へ踏み出す。

 

スッ

 

俺が立っていた位置を一本の剣線が襲った。

 

轟音が鳴り響く訳でもなく、紙を撫でるかのように地面の石畳を裂いていた。

 

ゾクッ

 

今までのとは違う。

今までの恐怖や悪寒とは違う……

俺のからだを、精神を襲ったのは―――

 

 

―――明確な『殺意』だった。

 

 

「なんで避けるんですか?」

 

まるで、当たるのが当然。義務のように冷たく言い放たれる。

 

それに、避けた訳じゃない。

他だの偶然……いや、助けてもらったのかもしれない。

 

「……クソッ!!」

 

硬直していた体に命令を下し、桜の森へと逃げ込む。

 

一本の桜の後ろに隠れ、息を潜める。

 

『貴方が悪いんですよぉ?私とぉ幽々子様との世界を壊すからぁ。貴方みたいなゲスで汚ならしい男が幽々子様にちかづくからぁ』

 

地面の土を踏む音がゆっくりと近付いてくる。

 

『早く出てきてくださいよぉ~』

 

先ほどまで聞こえていた歩く音は既に聞こえず、その声は直ぐ後ろで聞こえた。

 

『……さっさと出てきてくださいよぉ~……出てこいって言ってんだろうがぁあ!!』

 

逃げるために前へ踏み出す、と、同時に背中に針を刺したような痛みが襲う。

 

その痛みのせいで足がもつれ地面に倒れてしまった。

そのお陰か、刀の刃が俺に刺さることは無く、桜の木を突き刺すだけに収まった。

 

刀は直ぐに引き抜かれ、桜の影から妖夢さんが姿を現す。

 

体勢を立て直し、直ぐに逃げ出す。

 

だが、目の前には妖夢さんの姿。

 

後ろを振り向けば……そこには誰もいない。

単純に、俺の後ろに素早く移動したのだろう。

 

『鬼ごっこは好きじゃないの。さっさとシネ屑が』

 

これが走馬灯と言うやつなのだろうか。

すべの動きがゆっくりに見える。

 

刀が、俺の胸の中心を狙って動く。

真っ直ぐと、真っ直ぐと、俺の心臓を突き刺すために。

 

 

 

 

 

 

 

…………ああ、死ぬのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも……最後まで抗っても……最後くらい……『立ち向かって』も良いよな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそがぁああああああアアアアア!!!」

 

少しだけ右にずれ、左の拳を突き出す。

 

その拳は刀に突き刺さり、手のひらから、肘、肩へと貫通する。

 

そんなことは知ったことではないと、体を無理矢理動かし、魂魄妖夢の腹に全体重を乗せたタックルをかます。

 

刀が更に深々と突き刺さり、切れ味の凄まじい刀は主人の手から離れ重力に従い肉を、骨を断ちながら地面へと落ちる。

 

そして、動きがもとの速度に戻る―――

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

痛みの声をあげる暇もなく、一気に痛みが押し寄せる。

 

 

 

 

 

―――男が稼いだ少ない時間―――

 

―――その時間は奇跡を起こす事となる―――

 

 

 

 

 

『止めなさい。妖夢。紫、軽を早く』

 

赤く染まった泡を吹き、尿を漏らし、白眼を剥いているのも関わらず、その眼は赤い涙を流し続ける。

 

そんな状態の男を一人の女性が、何の躊躇もなしに持ち上げ紫色の空間の中へと消えた。

 

『少し、お話ししましょうか。ね?妖夢』

 

どこの世界でも、最も怒らせていけない存在はとは、何時も穏やかで怒ることが自体が全くと言っても過言ではない。

 

そんな人物、存在である。

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

紫様と幽々子様は、軽の今後について話していました。そして、ふと軽の事を見たら……あの惨劇が……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
メインヒロインアンケートは、明日の午後7時までとさせていただきます。
皆様の投票よろしくお願い致します。

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人生どうなるか分かったものじゃない

投稿です!!

次回、次次回あたり……最終回かな。

何か…一気にお気に入り増えて500を突破した……
嬉しいよりも『何があったし!?』ってなったちゃるもんは悪くない!!
皆様!後愛読!ありがとうございます!!

では、どうぞ!!


「ふぅーー……行きますか」

 

左の袖が風になびく。

 

まったく……どれだけ、俺の人生は狂ってしまえば気がすむのか……

 

自然と笑みが零れる。

今日は……一番俺の人生が狂う日であるだろう。

 

いやはや、人生どうなるか分かったものじゃない

 

 

 

 

「無理ね」

 

その医者は淡々と事実を述べた。

 

「脊髄、親指及び神経系を妖力で強制複合、それ以前に彼の体に九尾の妖気を無理矢理体に入れた……貴方達……揃いも揃って馬鹿なのかしら。

 確かに人間には妖栓……人間の負の感情で妖力を作る場所が存在するわ。

 でも、その妖力を扱うことは出来ない。それこそ半妖や特殊な方法を用いる事でしか開く事は出来ないわ。

 何でか分かるかしら?それは人間にとって妙薬であり猛毒でもあるからよ。開けたら体が持たないし、寿命も一気に縮まるわ。半妖を除いてね。

 だから脳が勝手に栓を閉め、今では自力で空けることはほぼ皆無。貴方の力と類似していたらこじ開けられるでしょうけど。

 妖力の強制的な肉体強化と、無茶な体の再生。要するに、彼の体はボロボロなのよ。自身の体の再生、回復を拒むレベルでね。

 まあ、彼を人の道から外すって言うのなら大丈夫でしょうけど。

 …………そう。分かったわ。患者をこっちに。鈴仙準備をしておいて」

 

「今から彼の左腕を切断するわ。

 このまま放っておいっても悪化するだけだしね。お金の話は手術が終わってからしましょう。

 少なくとも一ヶ月は入院してもらうことになるでしょうし」

 

 

 

 

…………いやー……もう無いかなーって思ってたんだけど……折角だし貫くか……

 

…………知らない天井だ……

 

お決まりをやったところで、現状を確認しよう。

 

まず腕がない。

 

一週回って冷静になりました。

まったく……妖夢さんもやってくれたものだ……

まあ、俺が無茶をしすぎたせいでもあるんだけどな。

 

利き腕じゃないだけよしとしよう。

 

そしてこの場所なのだが……病院か?

 

前の世界のよいな真っ白の部屋とは違い、和風の部屋ではあるがベットの配置何かを見るとそうなのだろう。

 

…………近くの間取りくらいは確認しとくか。

 

腕が折れる事は残念な事に多かった為起き上がったりするのは楽だったが……

 

「地味に……歩き辛いな……」

 

まさか平衡感覚が乏しくなるとは想像していなかった。

 

壁を伝い、部屋の襖を少しだけ開き誰もいないか確認する。

ここが病院だとしたら連れ戻される可能性が高いからだ。

 

右よーし 左よーし

 

右側からは誰かの話し声がする……なら左か……

 

音を出さないように気を付けて廊下を進む。

 

廊下を進んでいくと、外に出た。

白玉楼や藍さんが手入れをしている庭と比べると手入れされていないのだろうが……

 

「今は夜だったのか」

 

これはこれで良いものだと思う。

手入れされ、完成した庭ではない。

自然と共に生きる……と、言えばよいのだろか……

 

裸足のまま庭へと踏み出す。

足の裏に石や草の冷たさが伝わりくすぐったい。

 

空を見上げると、満天の星空。

 

近くにあった橋の手すりに腰を預け、星を、月を、自然を眺める。

 

頭の中には一人の影。

 

「ほんっと……人生どうなるか分かったものじゃない……」

 

彼女はまだ俺の事を受け入れてくれるのだろうか?

もう、愛想を尽かしてしまっているのだろうか?

 

そんな不安が胸の中を埋め尽くす。

 

「本当に……どうしてこうなってしまったのかねぇ……」

 

一人呟いた小さな言葉は、その夜空の中に溶けていった。

 

 




お読みいただき有難うございます!!

軽くんの腕はどうせ再生すると思った方……軽くんも人間なんだよ?(タブン
次回……メインヒロイン登場
  え?永遠亭の(入院中の)描写は無いのかだって?閑話で出すよ多分。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
アンケート結果は次回だよ!!

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

END あの日から俺の人生は狂ってしまった。

投稿です!!

最終エンドとなります。
…………悲しいような…………嬉しいような…………複雑な気持ちです……

では、どうぞ!!


恋愛感情……どちらかと言えば保護欲に近い気がする。

 

守ってあげたい。それも、自分よりも格上で強い相手を……だ。

弱者の戯れ言。もし彼女を知る者だったら、そんな必要はない。と言って笑われているだろう。

 

確かにそうなのかも知れない。

彼女は凡人よりも圧倒的に強い。俺が守る必要なんて無いほどに。

 

なら、何故保護欲が湧いてくるのか……自分でも分からない。

 

ただ……ただ、彼女を独りにしてはいけない気がする。

それだけだ。

 

俺の勝手な妄想に過ぎない。

俺を守ってくれた皆にも悪いとは思う。

 

でも……自分の人生くらいは……選ばせてくれるよな。

 

 

長い階段を登り終えた俺を見つめる女性。

 

こうやって改めて見ると以前のような少女ではなく大人の女性と言う感じだ。

 

俺はその女性に近付き……

 

「ただいま。霊夢」

 

と言った。

 

ポカンとした顔が面白かったのは言わないでおこう。

 

 

「左腕はどうしたのよ!! 私が言えた義理でもないけど……大丈夫なの?」

「多少生活に支障があるだけで特に問題はないから。取り敢えず涙拭け」

 

涙目で俺の腕を握る霊夢にそう言うと。霊夢の顔に影が射した。

 

「心配したら……だめ……なの? 私は軽に酷い事した……今ならそれがどれだけ取り返しの付かない事をしたのか分かる……心配するのも、図々しいのは分かるよ……でも、だからって……誰かの為に……好きな、人のため、に! 涙を流すのも……! だめッなの!?」

 

そんなつもりで言ったわけではないのだが……まだ気持ちの整理が付いていないのだろう。

 

だったら……誰かが一緒に居てやらないといけない。

支えてやる人が必要なのだ。

俺はその事を痛いほどに知っている。

 

だから俺は……

 

「馬鹿かお前は……」

「フギャ」

 

……霊夢の頭にチョップした。

 

涙溜めのまま頭を押さえる霊夢を抱き寄せる。

キャ みたいな声は一切聞こえない。聞こえないったら聞こえなかったんだ!!

あー顔が熱い……まだ夏には入ってないのになー

 

そんな現実逃避をしつつ霊夢に話し掛ける。

 

「いいか霊夢。誰かの為に涙を流せるってのは凄いことなんだ。泣きたいときは泣けば良い。ただ、ウジウジするんじゃない。胸を張って泣くんだ。そしたら自然と笑顔が出てくるから」

「そんなの……できない……私は博麗の巫女だもの……泣き顔は見せられない……」

「だったら、俺が全部受け止めてやるから。今までのぶんまで全部吐き出しちまえ」

 

……とは言ったものの……八雲紫の時は止めたんだよなぁー

今度謝ろう。

 

ただ今は……全部受け止めてやらないとな。

 

腕のなかにある、儚い温もりを壊さないように優しく抱き締めた。

 

 

霊夢が泣き止み、その目は赤く腫れている。

 

「どうだった?」

 

霊夢を離しながら聞いてみた。

 

「よく分からない……分からないけど……スッキリした」

 

自然と笑みがこぼれる。

だって、その顔に浮かんでいたものが―――

 

 

「笑えるじゃないか」

 

 

―――笑顔だったから。

 

 

「うん……ありがとう軽。お帰りなさい」

「ああ。ただいま。霊夢」

「なに?」

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

「ッ!! 私もよ! 軽!!」

 

 

 

あの日……友人を亡くし

あの日……この世界に来て

あの日……親友が出来て

あの日……家族ができて

あの日……初恋をし

あの日……仲間ができ

あの日……向き合うことができ

あの日……自分の罪を知ることができ

 

 

そして、今日……大切な人が出来た。

 

 

そう

 

あの日

 

あの日から―――

 

 

 

 

 

 

「けーい!!」

「あんまり引っ付くなよ霊夢……熱い……」

 

 

 

 

 

 

―――俺の人生は狂ってしまった。

 

 

 

 

 

HAPPY END

あの日から俺の人生は狂ってしまった。

                    END

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

アンケート結果発表!!って、一位はバレてますが(^_^;)
ま、まあそんな事は置いておいて……では5位から!!(途中投票してもらった方が一人居なりましたが、それも換算しております)

第5位  0票
十六夜咲夜 まさか一票も入らないとは……結構来ると思ったんだけどな~

第4位 一票 同率3人
古明地 さとり  さとり様は妥当かな~どちらかって言うと、家族の方が近い気がする。

火焔猫 燐  お燐は最後の最後ので巻き返したからもっと来ると思ったんだが……

ヒロインなんていりません うん……友情エンドも悪くはないと思う。

第3位 三票 同率2人
西行寺 幽々子 どちらかと言うと母親?かな。

八雲 藍 こっちも母親ポジだな~ 二人とも大人すぎたんや……

第2位 五票
水橋 パルスィ 当然!!一番ヒロインしてたもん。

第一位 七票
博麗 霊夢 やっぱり主人公は格が違った。むしろ一番来ないと思ってたんだけど……

メインヒロインにかんしてはパルスィと霊夢でもんのすごい悩んだ……
葛藤の末、メインヒロインは霊夢となりました。

全21票 沢山の投票有難う御座いました!!


誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

これからも

『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』

を、よろしくお願いします。
次回 最終回 (後日談)

では、また次回~


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終話 幸せ

投稿です!!

遂に最終話。
全(番外編込みで)112話。これを合わせ113話
合計文字数(これ抜きで) 144,316 文字

これを投稿したときのUA数 124712
お気に入り登録者数 516 人
総感想数 597 件

ここまで多くの方に読んでいただき本当に嬉しいです!!

そして……1日一話投稿!!投稿できないとは何だったのか……

最終話はほのぼの回となります。
中途半端なのは……多分無意識に終わらせたく無かったんだと思います……

では、どうぞ!!


『霊力を扱うには精神統一で一度感覚を覚えてしまうのが一番だ―――』

 

その後も淡々と説明する女性と、それを真剣な表情で聞く息子と娘を見守り掃除を再開する。

 

俺達が結婚して早六年。付き合い始めたのを合わせると八年と少し。

 

今日は快晴なり。

 

なんて、呑気な事を考えながら手際よく落ち葉を集めていく。

 

そして、もう一度チラリと息子たちの姿を見る。

 

「……いや……本題に入りましょうよ藍さん……」

 

二人は藍さんの長くて淡々とした話に飽きているのか、首がカクンカクンと船をこいでいる。

 

こんなとき霊夢がいたら修行を代わりに付けるのだが……生憎と家の嫁さんは妖怪退治へと出掛けているので不在。

俺も本来ならば人里で野菜や山菜を売りにいく所なのだが……流石に子供たちを置いていく訳にもいかず、霊夢が不在の時は代わりに神社の仕事をこなすようになった。

 

そして、この光景を見るようになったのだが……

 

藍さんや……そろそろ気付きませんかね……二人とも寝ちゃってるますよ?

 

 

 

…………はぁ……そろそろ助け船でも出すか……

 

 

 

「終わった~」

「霊華お姉ちゃん……だらしないよ?」

「なによ別に良いじゃない……ちょっとくらい」

 

修行が終わったようで縁側に寝そべる娘、霊華と、その弟である軽保。

 

二人とも霊夢似だ。少し寂しい……

 

 

子供たちが産まれるまでは大変だった。

 

何が大変だったかと言うと、まあ、俺を守ってくれていた皆の説得だ。

まあ、少し話せば皆納得してくれたのだが……パルスィと椛の反対がヤバかった。

 

まあ、当然と言えば当然だ。むしろここ二人の反応の方が正しい気もする。

 

本当に……大変だった……

 

ただ、まあ、今の幸せが有るのなら頑張ったかいがあると言うものだ。

 

昔の事に感慨深く浸っていると

 

「お父さん」

「ん?どうした軽保?」

「畑……いこ?」

「あ!ずるい!!私も行く!!」

 

ちなみにこのあと二人は午後の修行があるはずなのだが……あぁ……サボりたいだけか……

 

本当ならここで叱った方が良いのかも知れないが……三歳の頃から毎日修行をしている二人。

休みも一ヶ月に一回程度……

 

「そうだなぁ……今日だけだぞ?」

 

……甘やかしたい親心と言うやつだ。

 

ついでだし、今日の晩御飯用の野菜も幾らか取っていこう。

霊夢も疲れて帰ってくるはずだから。

 

「おとーさん!はやーく!!」

 

まったく……元気がいいねぇ……

 

 

空に浮かぶ月を肴に方を並べて、酒を飲む。

 

「へーそんな事がねぇ……お父さんは皆そうなのかしら?」

「さあ?でもまあ……幸せ、だよな」

「そうね……私がこうしていられるのも……幸せを感じていられるのも全部貴方のおかげ……ありがとう……一生このまま……」

 

その言葉に返事をせず……一口酒を煽る。

 

「……霊夢……」

「なに?」

「現実逃避をするな」

「ウグッ!!な、ななな、なにの事かしら~」

 

そう言いながら目をそらす霊夢の頭を掴む。

 

「明日俺の両親に会うからってそんなに緊張しなくても良いだろうに……確かに初対面だし結婚の話もしてないけどさ……まあ、大丈夫だって」

「緊張するなって言う方が無理なのよ……お父さんは紫や文に会ってるから緊張しなくて済んだかもしれないけど」

「まあ、そう言うなよ」

「じゃあ今ぐらいは現実から逃げさせて?」

「それとこれとは話が別だな」

「ええー!!」

「アハハハ!!」

 

 

 

少し怒った声

 

楽しそうに笑う声

 

眠そうな二つの声

 

謝る二つの声

 

二人の、いや、四人の幸せな声

 

 

俺は少しでも償えただろうか。

 

 

いや、そんな言葉を使ってはいけない。

 

 

だから―――

 

 

 

 

―――俺は今、とても幸せです―――

 

 

 

 




お読みいただき有難うございます!!

今!この物語『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』は完結となります!!
……うん……なんだか寂しいですね……
こう……胸の中に穴が空いたような……そんな感じです。

それはそうと、次回作の話と番外編について少し……
次回作は 『弱いから誰かを守ってはいけないんですか?』と言うタイトル名となります。
原作は東方プロジェクトです。大体十話と少しで完結します。
そして、そのあとに『赤ずきん』を書いていこうと思います。

それと、『あの狂る』の番外編や閑話、後日談はちまちま書いていくつもりです。

それでは、今後とも『ちゃるもん』の事をよろしくお願いします!!

では、また次回作でお会いしましょう!!

またね~ (・ω・)ノ=マタネー


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。