暗殺教室 暗殺中学生日記 (オコーネル)
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番外編
コラボ小説 鬼束櫂真の暗殺教室×暗殺教室 暗殺中学生日記


この度、クライスラーさんの小説とコラボすることになりました。

話はクライスラーさんsideの後日談となってますのでそちらから読むことを推奨します。


 

俺は、夏休みの終盤に彼女の矢田桃花と買い物に来ていた矢先、謎の閃光と共に、別の世界に行ってしまった。そこで出会ったのは鬼束櫂真、向こうの世界の桃花だった。

 

 

「それにしても何だったんだろうなぁ、あの光は……」

 

「謎だらけで終わっちゃったね」

 

「短い間だったが、世話になったのにお礼の一つも出来なかったなぁ」

 

「あのよく分かんない銃でこっちの世界に来たりしてね♪」

 

「いや、まさかそんな都合よくは……」

 

 

 

「あるんだなぁ……これが♪」

 

「「!?」」

 

聞き覚えのある声が後ろからした。ビックリして振り返ると、そこには櫂真、桃花、隆元の姿があった。

 

 

「お前ら、どうやって……?」

 

「俺の銃を更に改良して、自由に平行世界を行き来出来るようにしたんだ」

 

最早ムチャクチャだな……

 

「そうだ、せっかく来てくれたんだし。この間のお礼しようよ」

 

「そうだな、これ以上ないタイミングで来てくれたんだし。取り敢えず家に案内するよ」

 

 

 

 

家に案内すると、ちょうど烏間さんが外出しようとしていた。桃花が二人いることに気づいた烏間さんは、面倒事だけは起こさないでくれと念を押して出掛けていった。

 

 

 

「ちょうど昼時だし、俺が飯を作らせてもらうよ」

 

「私も手伝うよ、葵君♪」

 

桃花も手伝ってくれるようだ。

 

 

 

おもてなしの中華コースを用意した俺たちは、席につく。

 

「うめぇ!!龍聖、お前メチャクチャ料理上手いな!?」

 

「ああ、俺も色々食べてきたがこれ程のモノは中々ないぞ」

 

あんまり人を誉めることをしない隆元も絶賛するほど好評だった。

 

食事を一通り終え、飲茶と点心で卓を囲む。

 

 

「折角だし、お互いの馴れ初めとか聞いてみたいな」

 

「あ、それいいね」

 

「まずは俺たちかな」

 

口を開いたのは櫂真だった。

 

「俺と桃花の初めての出会いは雨の中だったな」

 

「雨に打たれて、気絶しちゃった櫂真を膝枕してた私の一目惚れなんだ♪」

 

「そうだったな。あの時の桃花の雨に濡れた格好はメチャクチャ刺激的だったなぁ」

 

「やだぁ、櫂真ったら。思い出さないでよ、エッチ♪」

 

「照れてる桃花も可愛いな♪」

 

何だろう、この桃色空間は……

 

「隆元、いつもこんな感じなのか?」

 

「日常茶飯事だな、ブラックコーヒーの消費量が半端ない」

 

そりゃそうなるわな……

 

「じゃあ次は俺から。俺は途中から転入してきて、席替えの時に桃花の隣になったんだ」

 

「何!?羨ましすぎるぞ!!」

 

「お前は黙って聞いてろ」

 

隆元に睨まれて黙る櫂真。

 

「それから事あるごとに桃花と一緒に行動することが多くなってな。気づいたらお互いに好きになってた」

 

「なんか、改めてみると恥ずかしいね」

 

「いや、その純情さは忘れない方がいい。どっかの誰かに見習わせてやりたいくらいだな」

 

優雅に茶を飲む隆元からアドバイスを受けた。

 

「ん?何か言ったか?」

 

櫂真はマイペースに点心を頬張っていた。

 

 

 

「いや、食った食った♪」

 

「素晴らしい食事を堪能させてもらった」

 

「また機会があれば遊びに来るね♪」

 

俺たちは手を振ってアイツらを見送った。

 

「今日は楽しかったね♪」

 

「ああ、有意義な時間だったな」

 

「私、向こうの私に負けないくらい頑張るから。葵君に相応しい女の子になるために♪」

 

「ありがとう。これからもよろしくな」

 

「うん♪」

 

 

 

夏休みの終盤に起きた俺たちの不思議な体験。この体験を糧に、俺は隣の愛する少女を守り続けると再度誓うのだった。

 

 

 

 

 

 

 




初のコラボ、こんな拙い文で申し訳ないですm(__)m

ですが、桃花好きに悪いやつはいない
(`Д´)ノ!!!

そんな心の叫びが今回のコラボを実現したのかもしれません。クライスラーさん、ありがとうございますm(__)m


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番外編 神戸の時間 前編

今回は番外編です。作者の地元である神戸に遊びに来てもらいました。

かなり長くなりそうなので前編後編に分けます。

なお、冒頭で暗殺成功と言ってますが、殺せんせーは生きてます。捏造エンドですのであしからずご了承ください。ではどうぞ。


-side 龍聖-

 

 

殺せんせーの暗殺に成功し、殺せんせーを無害化した俺・桃花・駿・神崎・千葉・速水の6名は、卒業旅行と称して神戸に日帰りで遊びに行くことになった。新幹線で東京から約2時間半、6人は新神戸駅に到着した。

 

「きれいな街並みだな~」

 

「いろんなところ回りたいね♪」

 

すると、殺せんせー並みの速さでこちらに来る人影が。

 

「いやぁ、お待たせしました」

 

「いや、誰だよ!?」

 

「作者のオコーネルですよ」

 

「いや、威張んなよ。前書きぐらいしか出てないだろうに。で、何しに来たんだよ?」

 

「今日は私が旅のガイドを務めますよ♪」

 

「大丈夫なのか?」

 

「任せてください。こう見えて神戸出身ですから」

 

行きましょう、とノリノリで歩き出す作者。

 

「何か、性格が殺せんせーそっくりだな……」

 

「兄弟とかじゃないよね……」

 

そう考えると何か急に不安になってきたな……

 

「では、まずは新神戸駅から歩いて10分ほどの北野異人館街に行きましょうか♪」

 

 

 

 

-北野異人館街 風見鶏(かざみどり)の館-

 

 

「まずは異人館で1番有名なこの風見鶏の館ですね。明治42年(1910)、ドイツ人貿易商ゴッドフリート・トーマス氏が自邸として建てた建物で、北野・山本地区に現存する異人館の中で、レンガの外壁の建物としては唯一のものなんですよ。色鮮やかなレンガの外壁と尖塔の風見鶏は北野異人館のシンボルとして欠かせない存在になっていますね。国指定重要文化財にもなってますよ」

 

「何か本格的なガイドだな」

 

「カンペです」

 

「カンペかよ!?」

 

「神戸の人間ですから逆に地元の観光地って進んでいくことないでしょ?地元民からすれば常にあるものですから珍しくも何ともないもんですから」

 

「言われてみれば……」

 

「さあ、北野坂でのお土産は今のうちに買ってしまいましょうか♪」

 

北野坂ではお菓子とアクセサリーをメインに購入した。

 

「神戸プリンか。茅野とか買い占めそうだな……」

 

 

 

-ポートアイランド UCC珈琲(コーヒー)博物館-

 

 

「さて、次はちょっと大人の時間を。コーヒーの焙煎体験をしてもらいたいと思います♪」

 

「コーヒー?どこでも売ってるんじゃないのか?」

 

「日本で最初に缶コーヒーを売り出したのがこのUCCと言われています。この珈琲博物館では、実際にコーヒーの焙煎を体験することができます。要予約ですので、予め予約を入れておきました♪」

 

「準備いいな、おい……」

 

「焙煎の後はテイスティングと行きましょう。世界トップクラスの腕前のコーヒーアドバイザーが最高のコーヒーを入れてくれますよ」

 

「何っ!?このブルーマウンテン1杯1000円もするのか!?」

 

「ちなみに作者のおすすめはこのハワイコナです。南国の果実と呼ばれる優しい酸味の豊かな味わいが好きですね。ですが、今日は特別にこれを用意してもらいました!!」

 

「「「「「「い、1杯2500円!?」」」」」」

 

「ブルボンポワントゥと呼ばれる幻のコーヒーです。この博物館でも1年に1度しか販売しない超激レアコーヒーです」

 

「でも、何でそんな貴重なものがここに?」

 

「このコーヒーは、フランス・ルイ王朝時代に始まったと言われる歴史あるものです。しかし、水害や干ばつなど、天候の影響で1860年代に1度歴史の表舞台から姿を消しました。その名前を聞き、復活させたいと願ったのが、このUCC、そして原産のフランスの人々、原産地のレユニオン島の人々なんです。試行錯誤を経て7年、ようやく復活し、再び歴史の表舞台に名を刻むことができました。人々の情熱と努力の結晶が集まった珠玉の1杯、一度味わってほしいと思い、お願いして用意してもらいました」

 

俺たちは、作者や博物館の人たちに感謝の意を込めてコーヒーを口にする。

 

「!?」

 

「口当たりが軽い……」

 

「コーヒー独特の渋味がほとんど感じない……」

 

「香りもすごい♪」

 

「ブルボンポワントゥは香りのブーケとも称され、野花を摘んだようなフルーティーなアロマが特徴です。渋味が少ないのは、普段飲んでいるアラビカ種の約半分と言われるカフェインの低さなんですよ」

 

コーヒーの歴史と人々のたゆまぬ努力の力に感動しつつ、俺たちは博物館を後にした。

 

 

 

 




いかがでしたか?

色々調べましたよ、マジで(汗)

後編も今日中には書き上げたいですが、間に合わなかったらすみません。

感想・評価あればよろしくお願いしますm(__)m


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番外編 神戸の時間 後編

お待たせしました。神戸の時間、後編です♪

敢えて何も言いません(爆)

それではどうぞ。


-side 桃花-

 

 

コーヒー博物館を出た私たちは次に南京町に向かっていた。

 

「でも作者さん。ブルボンポワントゥまで買ってもらってありがたいんだけど、お金大丈夫なの?」

 

「ご心配なく。殺せんせーから予算の方はいただいてますから」

 

「あの、殺せんせーとどういう関係なんですか?」

 

「依然、神戸の観光に来たときに道を聞かれて、それから意気投合したんですよ」

 

「ある意味すごい繋がりだな……」

 

「さあ、南京町に着きましたよ♪」

 

私たちの前には南京町の入口の象徴・長安門(ちょうあんもん)がそびえ立っていた。

 

「お昼はここで好きなものを買って食べ歩きしながら観光をしましょう♪」

 

私たちは各々色んなものを買おうとしたが、色々ありすぎて迷ってしまう。

 

「作者さん、何かおすすめはある?」

 

「それならいい店がありますよ。中央にある南京町広場まで行きましょうか♪」

 

作者さんに連れられて南京町広場に到着すると、何かすごい行列が並ぶ店があった。

 

「ここは?」

 

「ここは老詳記(ろうしょうき)という、日本の豚まん発祥のお店といわれてます。日本全国からこの味を求めてくるほどです。一口サイズで食べやすいので普通に何個もいけちゃいますよ♪」

 

私たちは行列に並び、30分後にようやく豚まんにありつけた。

 

「うん、待った甲斐あったね。すごい美味しい♪」

 

「ああ、しかも全部大きさが均等だ。機械使ってる様子はなかったし、人の手で統一するなんてすげえな」

 

すると、行列から大量の手提げを持った作者が現れた。

 

「いやぁ、たくさん買いましたね~」

 

「一体何個買ったんですか?」

 

「330個です」

 

「「「「「「買いすぎだろ!?」」」」」」

 

「100個は頼まれてた殺せんせーの分、残り230個は今日来てない残りの生徒の皆さんへのお土産にどうぞ」

 

「あ、何かすみません」

 

コーヒーまで買ってもらって、何か悪いなぁ……

 

「では、お願いといったら変ですが女子3人に着てもらいたいものがあります。彼氏さんも喜びますよ♪」

 

そう言って私と神崎さん・凛香ちゃんが連れてこられたのは好好(ハオハオ)という中国雑貨のお店だった。

 

「作者さん、私たちに着てもらいたいっていうのは?」

 

「フフフフフ、よくぞ聞いてくれました。それはこれです!!」

 

作者さんが手に取ったものは……

 

「「「ち、チャイナドレス!?」」」

 

「はい。このお店はオーダーメイドでチャイナドレスを作ってもらえるんです。皆さん、おキレイですからきっと似合います♪」

 

よく見ると、脚の部分は大胆なスリットが入っている。ギリギリ見えそうで見えないくらいだ。

 

「作者の趣味?」

 

「いやいや、そんなことはないですよ。これを見た男子の反応とか色々見たくないですか?」

 

「確かに……」

 

「ちょっと見てみたい、かも……」

 

「せっかくだし、着ちゃおっか♪」

 

何か納得させられたような感はあるけど、私たちは店員さんを呼んで採寸をしてもらうことにした。

 

 

 

-side 龍聖-

 

 

さて、作者が桃花たちを連れて行ってから、しばらく中華食材や買い食いをしていた。すると作者から電話がかかってきた。

 

「もしもし」

 

「準備が整いましたから、再び南京町広場に来てもらえますか?」

 

「了解。今から行くよ」

 

「お待ちしてます。フフフフフ……」

 

何だ、最後の笑いは……とりあえず南京町広場に行ってみることにした。

 

 

広場に到着したはいいものの、作者しかいない。

 

「あれ、桃花たちは?」

 

「さあ、心の準備はできましたか、皆さん?」

 

「いや、何の!?」

 

「じゃあお三方、どうぞ~♪」

 

すると、確かに広場の建物の後ろから3人が出てきたのだが、

 

「「「なっ!?」」」

 

その姿に絶句した。

 

「どう、似合うかな?」

 

「どう、龍之介……?」

 

「どうですか、駿くん。似合ってますか?」

 

3人ともチャイナドレスに着替えていた。桃花は名前通りの桃色、速水は髪の色に合った赤、神崎は黒のチャイナだった。しかも、大胆にスリットが入っていて生足が眩しい。

 

「いやぁ、着てもらった甲斐がありましたね♪」

 

「つーか脚の露出多すぎるだろ!?まだ中学生だぞ!?」

 

「龍聖、似合ってない?」

 

桃花が上目遣いで俺に刷りよってくる。

 

「いや、めちゃくちゃ似合ってる……」

 

「よかった~♪」

 

胸を押し付けて、足まで絡めてきたらうんとしか言えない……

 

千葉と駿も、目のやりどころに困りながらも嬉しそうだった。

 

「さて、折角ですから写真もとりましょうか♪」

 

作者が桃花たちやツーショットの写真を撮りまくる。

 

「現像した写真は後日送らせていただきます。さあ、日も傾いてきましたし、夕飯と行きましょうか♪」

 

男衆は、腕に抱きつく彼女を連れて、作者の後に続くのだった。

 

「さあ、着きましたよ。夕飯はここでコース料理をいただきましょう」

 

「ステーキハウス?」

 

そこにはステーキハウス神戸館と書かれた店があった。

 

「さて、ここで問題です。皆さんが神戸に着てから食べてないものがありますね。何だと思いますか?」

 

「神戸に着て、ステーキ……まさか!?」

 

「さあ、答えは?」

 

「「「「「「神戸牛!!」」」」」」

 

「正解♪さあ、中に入りますよ。めくるめく肉の世界へとご案内しましょう」

 

店の中はモダンな雰囲気の木彫をベースにした落ち着きがあった。神戸牛のステーキセットを頼み、シェフのパフォーマンスを見ながら目の前で焼き上がるステーキは圧巻だった。

 

「美味しい~♪」

 

「口の中で溶けるってこういうことなんだな」

 

〆に男子はガーリックライス、女子はデザートを頼み、大満足の夕飯だった。

 

 

 

夜も深くなり、俺たちは神戸の夜景をバックに新神戸駅に到着した。

 

「作者さん、今日は本当にありがとうございました」

 

「お土産もいっぱい買ってもらったし」

 

すると、女子3人が作者の前に立つ。

 

「作者さん、これは私たちからのお礼です♪」

 

チュッ♪×3

 

作者はキョトンとしていた。

 

「彼氏さんがいるのにいいんですか?」

 

「あれだけ世話になったし、それくらいの褒美があってもいいだろ?」

 

「何だかいい歳して照れますね~♪」

 

「また機会があったら遊びに来るよ」

 

「ええ、殺せんせーにもよろしくお願いします♪」

 

俺たちはまたここに来ようというという思いを胸いっぱいにして、新幹線で東京に戻った。

 

 

 

 

後日、チャイナドレスの写真が届き、岡島が3人にチャイナドレスの着用をしつこくせがんで、女子にボコボコにされていた。

 

 




いかがでしたか?

最後にご褒美もいただきました(笑)

ちなみに今回名前を出した場所は全て実在のお店です。興味のある方はググってみてください。

感想・評価あればよろしくお願いしますm(__)m


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一学期
HR 登場人物紹介の時間


まずは登場人物の紹介からです。

かなり俺TUEEEEになりそうですが、暖かく見守ってやってください。


主人公

 

 

(あおい) 龍聖(りゅうせい)

 

身長 176cm

 

体重 68kg

 

生年月日 8/1

 

血液型 A型

 

得意教科 五教科全般

 

苦手科目 美術

 

特技 料理(保護者の烏間が料理が出来ないため、やっているうちにプロ並みに)

 

 

戦闘スタイル

 

2本の小太刀をメインとした近接、徒手空拳の中国拳法、2丁拳銃(サブなので余り使用しない)、邪眼(GB御堂 蛮と同じもの)

 

 

 

烏間先生の評価

 

 

幼少に俺が保護してから早6年、これ程暗殺に()けた人物になるとは想定していなかった。射撃はまだまだ甘いが、近接では俺ですら勝てるかどうか……

クラスメイトとの関係も良好であるため、彼の力はヤツの暗殺に必要不可欠になるだろうな。

 

E組→龍聖

 

カルマ:怒ると怖い

磯貝:頼りになる、飯を作ってもらってる

岡島:心もイケメン

岡野:体術の先生

奥田:カッコいい

片岡:大人びている

茅野:ホントに同い年?

神崎:笑顔が可愛い

木村:超人、足の早さなら互角かも?

倉橋:生物好き仲間

渚:大人だ……

菅谷:絵を教えてる

杉野:イケメン

竹林:メイド喫茶に連れていきたい

千葉:射撃の弟子

寺坂:怒らせたくないヤツ

中村:隙がない

狭間:影が有りそう

速水:射撃の弟子

原:料理の先生

不破:漫画を貸してあげてる

前原:モテて羨ましい

三村:イケメンだが漢

村松:料理の先生、怒ると怖い

矢田:体術の先生、守ってくれる人

吉田:怒らせたくないヤツ

律:甘いもの好き、カッコいい

 

 

 

龍聖→E組

 

 

カルマ:イタズラ好き

磯貝:イケメンだが貧乏、飯を作ってあげてる

岡島:KING of エロ

岡野:体の柔軟性がすごい

奥田:化学者

片岡:女子のリーダー

茅野:プリン大好き

神崎:可愛いと言うより美人

木村:俊足

倉橋:生き物好きのゆるふわ女子

渚:女装したら間違える

菅谷:絵の先生

杉野:野球少年

竹林:メイド好きのオタク

千葉:目を見てみたい、射撃の先生

寺坂:ヤンキー

中村:中身がオヤジ

狭間:黒魔術?

速水:ツンデレ、射撃の先生

原:お母さんみたい

不破:漫画っ子

前原:女たらし

三村:映像編集のプロ

村松:ラーメンが上手い

矢田:守りたい人、体術の弟子

吉田:独特な髪型

律:情報戦で頼りになる

 

 

 

肩より少し長いくらいの髪をゴムでくくった短いポニーテールの顔立ちの整った少年。幼少期に両親に捨てられて、人体実験の被験者にされていたところを烏間の精鋭部隊に助けられ、防衛省直属の諜報員となる。烏間の家に居候させてもらっている。人体実験の影響で、人を越えた驚異的な身体能力と邪眼を備えており、龍聖に勝てる人物は烏間ぐらいの強さを誇る。両親に捨てられた影響で、仲間を大切にすることが何よりも大事に思っており、仲間を傷つけられると、自分でも抑えが利かないくらい激怒する。殺気だけで殆どの人間は足が動かなくなり、気絶させるほど強力である。世界中を飛び回って活動していたため、一通りの言語は話すことが可能で、頭はよいが絵の才能が皆無である。菅谷に教わっているが、全く成長の兆しが見えない。

隣の席の矢田に好意を寄せられていることは気づいているが、人を殺めた自分には相応しくないのではないかと思っている。

何故かわからないが、龍聖の周りには動物の群れが出来るほど動物に好かれやすい体質で、猛獣すら手懐ける。

甘いものに目がなく、食べているときはデフォルメされることも……

 

 

 

 

服部(はっとり) 駿(しゅん)

 

 

 

身長 170cm

 

体重 62kg

 

生年月日 5/26

 

血液型 A型

 

得意教科 五教科全般

 

苦手科目 家庭科

 

特技 人にものを教えること

 

 

戦闘スタイル

 

数々の飛び道具と一振りの日本刀を主体とした近接メイン。伊賀流忍術を使いこなし、あらゆる格闘術をマスターしている。火薬の扱いにも長けている。

 

 

 

烏間先生の評価

 

 

伊賀忍者の末裔なだけあって、気配の消し方が実に上手い。近接も遠距離も多彩な攻撃が可能だ。更に、龍聖とコンビを組めば無双の強さを誇る。敵に回すのが恐ろしい人物だ。

 

駿→E組

 

カルマ:頭のキレる悪ガキ

磯貝:イケメン貧乏

岡島:エロ神

岡野:現代版くの一

奥田:マッド

片岡:イケメン女子

茅野:プリン魔神

神崎:愛する人

木村:瞬動の免許皆伝

倉橋:ゆるふわ

渚:男の娘

菅谷:画家

杉野:野球少年

竹林:メイドオタク、火薬の弟子

千葉:目あるのか?

寺坂:ヤンキー

中村:セクハラギャル

狭間:魔女

速水:ツンデレ

原:お母さんみたい

不破:漫画っ子

前原:女たらし

三村:ディレクター

村松:ラーメンが上手い

矢田:龍聖の彼女

吉田:バイク好き

律:二次元美少女

 

 

 

E組→駿

 

カルマ:リアル忍者

磯貝:リアル忍者

岡島:リアル忍者

岡野:リアル忍者

奥田:リアル忍者

片岡:リアル忍者

茅野:リアル忍者

神崎:大好きな人

木村:リアル忍者

倉橋:リアル忍者

渚:リアル忍者

菅谷:リアル忍者

杉野:リアル忍者

竹林:リアル忍者、火薬の先生

千葉:リアル忍者

寺坂:リアル忍者

中村:リアル忍者

狭間:リアル忍者

速水:リアル忍者

原:リアル忍者

不破:リアル忍者

前原:リアル忍者

三村:リアル忍者

村松:リアル忍者

矢田:リアル忍者、龍聖の親友

吉田:リアル忍者

律:ソニックニンジャ♪

 

 

伊賀忍者の頭領・服部半蔵の末裔であり、又の名を第17代目・服部半蔵という。髪は短髪で、闇のような黒。性格は純粋で喜怒哀楽がはっきりしている。龍聖とは防衛省の同期にして親友。よくコンビを組むほどの仲。龍聖の過去を知る数少ない人物。脚力が異常に高く、10階位の高さのビルなら地表から屋上まで飛び乗れる。

 

 

 

 




変更があれば随時更新していきたいと思います。


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第1話 転入の時間

更新はめちゃめちゃ遅いですが、暖かく見守ってやってください。



-side 龍聖-

 

 

 

俺は今日から通う椚ヶ丘中学の理事長室に、保護者の烏間さんとその部下の人と来ていた。

 

「今日から私も、E組の副担任としてこの学校に勤務させていただきます。生徒たちには、技術面・精神面でのサポートが必要です。教員免許は持ってますのでご安心を」

 

「ご自由に、生徒の学業と安全を第一に」

 

烏間さんの言葉に、こちらに背を向けて理事長・浅野(あさの) 学峯(がくほう)が答える。正直に言うと、俺はこの人がどうも好きになれない。

 

「それと、彼も今日からこのE組に転入してもらいます。龍聖(りゅうせい)

 

(あおい) 龍聖(りゅうせい)です。よろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしく」

 

首を少しだけひねり、挨拶をする理事長。やっぱり気に入らない、特に目が。

 

「それでは、失礼します」

 

俺は烏間さんの後に続き、理事長室を退室した。

 

 

 

部下の人とは退室後に別れ、俺と烏間さんの二人は裏山の別校舎に向かっていた。

 

「それにしても、かなり酷い差別ですね」

 

「ああ。この極秘任務にはうってつけなのは確かだが、切り離されたエンドたちは堪ったものじゃないだろうな」

 

先程すれ違ったメガネとニキビ面の生徒の会話を聞きながら、そんな話をしているうちにE組の別校舎に到着した。入り口には何やら棒を複数本持った女子生徒がいた。

 

「あ、烏間さんこんにちは」

 

「こんにちは、明日から俺もこのE組の教師として働くことになった。よろしく頼む」

 

「そっかぁ、じゃあこれからは烏間先生だ♪」

 

楽しそうに話す女子生徒はこちらに気づいたようで、

 

「烏間先生、隣の子は?」

 

と訊ねられた。

 

「ああ、明日からE組に転入してもらう生徒だ」

 

「葵 龍聖です。よろしくね」

 

「私は茅野(かやの) カエデ。よろしくね葵君!!」

 

にこやかに茅野が返事を返してくれた。

 

「ところで、ヤツはどこだ?」

 

「それが、殺せんせークラスの花壇荒らしちゃってね。そのお詫びとして、ハンディキャップ暗殺大会を開催してるの」

 

茅野が指を差した方には、木にロープで宙吊りにされた黄色いタコが中学生の攻撃を超スピードで避けまくっていた。

 

「渚、どう?」

 

「うん、完全に舐められてる……」

 

茅野がメモを取っていた男子(?)に話しかけていた。少しだけ覗いてみると、

 

 

殺せんせーの弱点①

 

カッコつけるとボロが出る

 

 

「なんだ、これ?」

 

「くっ、これはもはや暗殺と呼べるのか……」

 

隣では、烏間さんがこの状況を分析していた。それと、もう暗殺じゃなくなってるから……

 

「っていうか、ナイフでロープ切った方が良さそうだな……」

 

俺は胸元に忍ばせていたナイフをロープの根元に投げてみた。

 

「無駄ですねぇE組の諸君。このハンデをものともしないスピードの差、この調子じゃあ先生を殺すのは、夢のまた(ザシュッ)あっ……」

 

タコが地面に落下し、校庭に妙な静寂が広がる。そして……

 

「「「「今だ殺れー!!」」」」

 

「にゅやー!?し、しまったあぁぁぁ!?」

 

生徒が総攻撃を仕掛けた。

 

「ちょっ、待っ、縄と触手が絡まってにゅや!?」

 

殺せんせーの弱点②

 

意外とすぐテンパる

 

間一髪で攻撃を避けたタコが、校舎の屋根まで跳躍して離脱する。

 

「明日出す宿題を2倍にします」

 

「「「「小せえ!?」」」」

 

 

殺せんせーの弱点③

 

器が小さい

 

 

 

そして、タコが飛び去っていった。

 

「規格外にも程がありますね……」

 

だけど、みんなの顔は生き生きしてる。俺は、少しだけこのクラスで過ごすことを、暗殺者としてではなく一中学生として楽しみにしていた。

 

しばらくして、黄色いタコが帰ってきたので職員室に挨拶に行った。

 

「ヌルフフフ、初めまして葵 龍聖君。私がE組担任の殺せんせーです。気軽に殺せんせーと呼んでください」

 

「殺せんせー、これからよろしくお願いいたします」

 

「烏間先生からは諜報員と聞いていましたが、思いの外中学生も満喫しているようで何よりです」

 

「烏間さんから、成人になるまでは学業にも普通に取り組んでほしいという教育理念の賜物です」

 

「素晴らしいですね。さあ、教室に行きましょう。皆さんに自己紹介をしなければ」

 

俺は殺せんせーの後に付いていく。まあ、背後からナイフを振っても避けられるだろうから無駄なことは止めておこう。

 

「さあ、皆さん。HRの時間ですよ、席に着いてください」

 

俺は殺せんせーと一緒に教壇に立つ。うわぁ、めっちゃ見られてる。

 

「今日からこのクラスに転入することになった葵 龍聖君です。それでは一言どうぞ」

 

「葵 龍聖です。今日から俺もこの暗殺任務に携わる事になりました。よろしくお願いします」

 

「龍聖君は防衛省直属の諜報員としても活躍してましたので、君達の心強い味方になってくれることでしょう♪」

 

諜報員と聞いてざわつく教室。まあ、普通はそうなるよなぁ……

 

「さあ、折角なんでそのまま席替えに移りましょうか。親睦を深めるまたとない機会ですので」

 

それからくじ引きで席替えを行い、俺の左には腰にまで届くほどの長髪の金髪少女・中村 莉桜、右にはポニーテールの女子・矢田 桃花となった。

 

「よろしくね、葵君」

 

「よろしく、矢田さん」

 

矢田さんから声を掛けられる。何だか同じ髪型で親近感が湧く。

 

これが俺の暗殺教室初日であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニメ見ながら構想を練ってますので下手かもしれません。
本来の席順である三村君には別の席に移動していただきました。

誤字・脱字、感想・評価等あればよろしくお願いしますm(__)m



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第2話 体育の時間

アニメであった体育の授業のところです。それでは本編をどうぞ。


-side 龍聖-

 

 

翌朝、俺は早起きして2人分の朝食と弁当を作っていた。食卓に配膳し終わると、ちょうどいいタイミングで烏間さんが着替えてリビングにやって来た。

 

「いつもすまないな」

 

「人には得手不得手がありますから。こうやって食事にありつけるのも烏間さんのおかげです。では……」

 

「「いただきます」」

 

今日は白ご飯に白菜の浅漬け、アジの開きにワカメの味噌汁。ありふれた日本の朝食と言ったところか。

 

「今日から体育教師ですね」

 

「まあな、まさか興味本意で取った教員免許がこんな形で役に立つとは……」

 

「まあ、授業内容はナイフ捌きの基礎動作とか、普通の体育じゃないですからね。手が空けば俺も手伝いますよ」

 

「そうしてもらえると助かるな。人手はある方がいい」

 

俺の言葉に満足そうに味噌汁をすする烏間さん。手早く食事を終えると登校の支度を整える。

 

「俺は後から出るんで。食器は片付けときますよ」

 

「何から何まですまないな。では、先に行くぞ」

 

弁当を渡して烏間さんが出た後、食器を片付けた俺は簡単な夕食の仕込みをしてから家を出た。

 

 

 

 

昼休み、特に何事もなく4限まで終了した。1つわかったことは、殺せんせーの授業はかなり分かりやすい。このE組の生徒にも受けは良いようだ。

 

教科書をしまい、おもむろに弁当を広げる。

 

「あれ、葵君弁当なんだね。」

 

俺が弁当なのが意外だったのか、隣の矢田さんと渚がジーっと中を見ている。

 

「ああ、朝早起きして作った。烏間さんの分もまとめてな」

 

「そういや、保護者って烏間先生だったね」

 

「ねえねえ、何か1つ味見してもいいかな?」

 

欲しいおかずがあったのか、矢田さんが聞いてきた。

 

「いいよ。今日は少し作りすぎたかなって思ってたし」

 

矢田さんは俺の言葉を受けて、唐揚げを1つ取って食べる。

 

「!? すごい美味しい!!今まで食べた唐揚げの中で一番かも」

 

そんな大袈裟な……

 

そう思っていた俺だが、渚も釣られて唐揚げを食べたら同じ反応をしていた。何故か今度、家で料理を食べさせてあげる約束をすることになり、5時限目の体育の授業を迎えるとことなった。

 

 

 

 

-side 桃花-

 

 

 

あ、皆さん初めまして。私は矢田 桃花。椚ヶ丘中学3年E組の生徒です。

 

「今日から体育の授業は俺が受け持つことになった。授業は暗殺の実践に必要な知識と技術を磨いてもらう予定だ」

 

今日から体育の授業は烏間先生が担当になりました。まあ、この間の殺せんせーのマッハの反復横跳びを見たらそうなっちゃうよね……

 

「それから、俺一人ではカバーしきれないところは、葵君にも見てもらうので彼のアドバイスも是非参考にしてもらいたい」

 

えっ?葵君も教える側に回るんだ。それにしても、さっきの唐揚げ美味しかったなぁ♪週末のお食事会も楽しみだな~。

 

「まずは、ナイフの8方向の素振りからだ。葵君に手本をしてもらうので、彼の動きをよく見るように」

 

葵君が前に立ち、8方向の素振りをやって見せた。教室の時の優しい顔立ちは今はなく、真剣な凛々しい顔でカッコよかった。何より素人の私が見てもわかるほど、彼の素振りは綺麗だった。

 

「では、今から一人一人動作の確認をしていく。葵君、すまないが女子の方を見てもらえるか?」

 

「あ、はい。わかりました」

 

男女別で動作確認をすることになって、葵君がこっちにやって来た。

 

「えっと、じゃあ岡野さんから出席番号順に見ていくね。呼ばれるまで各自個々に練習をしててください」

 

私は最後なので、少しの間陽菜乃ちゃんたちと話ながら素振りをしていた。

 

「おまたせ、最後に矢田さんだね」

 

私は、彼の先程の動きを頭に浮かべながら、今の全力を出してみた。

 

「うん、形としてはいい感じだね。ただ、ちょっと力み過ぎかな?もう少し肩の力抜いて、ね。後1つ挙げるとしたら、左腕を有効に使ってみようか。ちょっとごめんね」

 

突然、彼が私の後ろに回って、左腕に触れた。

 

「ひゃっ!?」

 

「ご、ごめん。大丈夫?」

 

「う、うん、大丈夫。ちょっとビックリしちゃっただけだから」

 

その後も、葵君に後ろから支えられるような密着した体勢で指導を受けた。正直に言うと、ドキドキしっぱなしであんまり集中出来なかった。

 

授業を終えると、陽菜乃ちゃんと速水さんが私のところに来た。

 

「桃花ちゃん。何だか顔が赤いよ~?」

 

「風邪?」

 

「う、ううん。大丈夫大丈夫!!」

 

葵君にドキドキしてたなんて言えない……

 

「それにしても、烏間先生と葵君カッコよかったね」

 

「これからあの二人にナイフを当てれるようにならないと、だもんね」

 

「当たったら、よしよしして褒めてくれるかな?」

 

「さあ、どうだろうね」

 

まあ、少なくとも褒めてはくれるだろうなぁ……

 

そんな淡い期待を持ちつつ、私たちは教室に戻るのだった。

 

 

 

 

 

この後の一騒動が起きるとも知らずに……

 

 

 

 

 




女の子の純情な気持ちはちゃんと描けているんでしょうか?そこだけが心配です(汗)

次話は、ついにカルマ君の登場です。


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第3話 カルマの時間

カルマ君登場の回です。前回より若干長くなってると思います。




-side 龍聖-

 

 

体育の授業を終えて校舎に目を向けると土手の上に人影が見えた。渚と話しているようだ。その人物、赤髪の少年は、殺せんせーの方へとてくてく歩いていく。

 

「赤羽 (カルマ)君ですね。今日から停学明けと聞いていましたが、初日から遅刻とは行けませんね」

 

顔を紫に変えて×を浮かべる殺せんせー。

 

「あ、あはは、生活のリズム戻らなくてさ。気安く下の名前で呼んでよ。よろしく、殺せんせー」

 

苦笑しながら右手を出す赤羽。あの手、まさか……

 

「(対先生ナイフを貼り付けてる!?)」

 

握手を交わした殺せんせーの触手は案の定破壊され、赤羽が左腕を振るい、ナイフを当てに行くが避けられる。

 

「へぇ、ホントに速いや。それにこのナイフ、細かく切って貼り付けてみたけど、ホントに効くんだ。そんなに距離取っちゃって、先生実はチョロい人?」

 

舐めた感じで下から顔を覗きこむ赤羽。殺せんせーの顔は真っ赤になって怒っていた。

 

「楽しみだよ、殺せんせー。せんせーは俺の手で殺してあげるよ」

 

そう言い残し、赤羽は右手で対先生ナイフを弄びながら校舎へと歩いていった。

 

「さて、これからどうなるかな?」

 

俺は、対先生ナイフを片付けながら教室に戻るのだった。

 

 

 

ブニョン、ブニョン……

 

「何だ?さっきから鳴ってるこの音……」

 

6限目の小テストが始まるや否や、謎の音が教室に響く。テスト中だから余計に気になる……

 

「つーか、殺せんせー何やってんだ?」

 

「さっきカルマに散々おちょくられたろ?」

 

「それで壁パンかよ……」

 

「跳ね返されてんじゃねえかよ……」

 

 

殺せんせーの弱点④

 

パンチがヤワい

 

 

 

「あー、もう!?ブニョンブニョンうるさいよ殺せんせー!!小テスト中でしょ!?」

 

「こ、これは失礼……」

 

ついに痺れを切らしたのか岡野さんがキレた。

 

「よお、カルマ。あのタコ怒らせて大丈夫かぁ?」

 

「そりゃあ殺されかけたら誰だって怒るよ。誰かさんみたいにチビったりしないけどね」

 

「なっ!?ちびってねえよ!!テメェケンカ売ってんのか!!」

 

「うるせえよ、お前ら」

 

そろそろ我慢の限界を迎えてしまった俺は、振り返り様に五月蝿い連中に軽めの殺気を放つ。殺気を受けた寺坂、吉田、村松、赤羽は顔を真っ青にしていた。

 

「わ、悪かったよ……」

 

「あ、葵君もその辺で……」

 

あまりの殺気に寺坂たちは足が震えて謝るばかりで、殺せんせーにまで止められてしまった。赤羽は、冷や汗をかきながらもこちらを睨んでいた。

 

「殺せんせー、出来たらどうしましょうか?」

 

「あ、はい、先生が貰いましょう。もう少しだけ待っててもらえますか?」

 

俺は、殺せんせーにテストを渡した。殺気を放ってからは、誰もが喋らなくなり、少しだけ気まずかった。

 

 

 

-side 渚-

 

 

授業を終えて帰宅中、元クラスメイトに絡まれたところをカルマ君が追い払ったり、カルマ君に殺せんせーの情報を少しだけ提供したりしたんだけど……

 

「あー、あとさぁ。転入してきた彼、名前何だったっけ?」

 

「転入?ああ、葵君のこと?」

 

「彼ってさ、何者?」

 

カルマ君は何故か葵君のことを聞いてきた。

 

「葵君のことはそこまで詳しくないけど、防衛省直属の諜報員だっていうのは聞いてるよ?」

 

「諜報員?スパイとかの?」

 

「そう。ただ、それをあんまり感じさせないくらいクラスのみんなとは仲良くやってるよ」

 

「渚くん、俺さ……殺せんせー殺すのも興味あるんだけど、彼のことも少し興味が出てきた」

 

そう話すカルマ君は少しだけ、狂気を目に宿していた。明日、何も起きなければいいけど……

 

 

 

 

 

-side 殺せんせー-

 

 

ようやく私の話し手の番がやって来たようですねぇ。ヌルフフフ♪さあ、今から小一時間この状態で喋り倒し……

 

「先生、地の文で喋り倒さないでよー」

 

「ニュヤ!?不破さん、メタ発言はダメですよ!!」

 

不破さんはホントに油断も隙もないですねぇ。放っておくと好き勝手発言しそうで、先生正直怖いです……

 

それはさておき、今日はカルマ君をどう手入れしましょうかねぇと言いたいところですが、カルマ君どうやら私以外に龍聖君にも妙な対抗心を燃やしているようですね。

 

私に対する暗殺は手入れをしましょうか。ただ、龍聖君に対するものはどうしましょうか?まあ、彼なら実力的にも大丈夫でしょう。万が一の場合は介入でもしますかね。

 

その後、たこ焼きを食べさせたり、爪にネイルアートをしたり、可愛いエプロンをつけてあげたり、髪の手入れをしたり、たくさん手入れしてあげましたね。さあ、まだまだ手入れの道具はありますよ、ヌルフフフ♪

 

-長くなりそうなので割愛(笑)-

 

 

ニュヤァァァ~!?作者さんひどいですよ!?

 

 

 

時は移り放課後、カルマ君と渚君、そして龍聖君が校舎裏の崖のところに居ました。

 

「ねぇ、葵君ってさぁ……人を殺したことってある?」

 

カルマ君が龍聖君にかなりきわどい質問をぶつけている。

 

「ああ、諜報員って言う仕事柄もあるからな」

 

やはり、龍聖君はそれなりの修羅場をくぐっていましたか……、あの強力な殺気も頷けますね。

 

「是非とも、俺に人を殺すってどういうことか教えてくれないかな~?」

 

「……ああ、構わない。俺にそのナイフを当ててみなよ。それで全てが分かるさ」

 

カルマ君は龍聖君から渡された対先生ナイフを受け取り、龍聖君の胸に刺した。

 

 

 

ん?刺した?

 

「カルマ君!?何やってんの!?血が出てるよ!?」

 

な、カルマ君の手にしていたナイフが本物のナイフに刷り変わっている!?そのまま仰向けに倒れる龍聖君。

血の流しすぎで、見るからに致命傷だ。

 

「何があったんですか、渚君、カルマ君!!」

 

私も流石に危険だと感じ、二人の前に姿を見せる。

 

「殺せんせー、葵君が……!!」

 

「あ、アハハハハ……何だよこれ、俺が、殺した……?こんなのありかよ……!!先生、俺どうすれば……」

 

返り血でほとんど全身真っ赤のカルマ君が壊れたように笑っていた。

 

「しっかりしなさい、カルマ君!!あなたが今しっかりしなくては、彼の命が危ないんですよ!!」

 

私がカルマ君を叱咤(しった)したその時、

 

 

 

「ジャスト1分だ」

 

 

龍聖君の澄んだ声が響き、視界がホワイトアウトした。

 

 

 

視界が開けると、そこには、

 

 

悪夢(ゆめ)は、()めたかな?」

 

 

 

対先生ナイフをくるくる回しながら微笑む、無傷の龍聖君が立っていた。

 

 

 

 

-side 龍聖-

 

 

「葵君、どういうこと?何で無傷で、そもそも悪夢ってどういうこと?」

 

「えっと、それじゃあまずは俺の眼のことから説明しよっか」

 

俺は、この邪眼のことを3人に話した。

 

「しかし、龍聖君。何故その様な眼を携えてしまったんですか?」

 

「実は、小さい頃に両親に捨てられて人体実験の被験者にさせられたんです」

 

「「「なっ!?」」」

 

「その影響で、この眼と人を越えた身体能力を得たんです」

 

「そのあと、烏間先生に保護されて今に至る、と」

 

「はい、烏間さんには一生かけても返せない恩がありますから。それに今は、殺せんせーや渚、赤羽、3―Eの皆がいますから」

 

「葵君……」

 

「カルマ」

 

すると、今まで大人しく話を聞いていた赤羽が口を開いた。

 

「俺のことは下の名前で気安く呼んでくれていいよ。それに、葵君が人を殺すことの重さを教えてくれなければ、俺は戻れないところまで壊れてたかもしれない……」

 

「わかったよ。改めてよろしく、カルマ」

 

俺とカルマはがっちり握手を交わした。

 

「ヌルフフフ♪もう心配いらないようですね。男同士の友情、絵になりますね」

 

「殺せんせー、明日からまた暗殺再開だ」

 

「殺すよ、明日にでも」

 

俺とカルマは殺せんせーに首を斬る構えをした。

 

「健康的で爽やかな殺意。カルマ君にもう手入れは必要ありませんね」

 

殺せんせーのこの言葉を皮切りに、俺たちは解散した。明日からまた騒がしくなるだろうな~。

 

 

 

 




遅くなりすみません。m(__)m

夜勤明けの寝ぼけ眼で書くのは辛いですね。

次回はビッチ先生とあと、お食事会まで行けたらいいなと思ってます。

感想・評価あればよろしくお願いいたしますm(__)m


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第4話 食事会の時間

お待たせしました。今回は前の話に出てきた食事会のお話です。それではどうぞ。




-side 龍聖-

 

 

この前、弁当のおかずから食事会の約束をしたのを覚えてるだろうか?その事を烏間さんに話したら、

 

「わかった。その日は予定を入れて家を空けるようにしておこう」

 

と、変に気を使わせてしまった。今度のお弁当は少し豪勢にしよう。

 

そして、今回招待したのは、寺坂、吉田、村松、狭間以外の3-E全員だ。何か大事になってきたな……

 

 

 

 

当日、昼前から下準備をしようとしたら、俺の携帯が鳴った。着信の相手は……

 

「矢田さん?」

 

何故彼女から?という考えをとりあえずしまい、電話に出る。

 

「もしもし」

 

「あ、葵君、今暇かな?」

 

「ああ、これから食事会の食材の買い出しに行こうと思ってたところだよ」

 

「ちょうどよかった♪私とあと数人で手伝いに行ってもいいかな?人数が人数だし大変だと思うから」

 

「助かるよ。今から地図を送るからそこに来てもらってもいい?」

 

「わかったよ♪」

 

地図を送信してから5分後、家にやって来たのは矢田さんと倉橋さん、速水さんに原さんだ。

 

「いらっしゃい」

 

「へぇ~。烏間先生こんな綺麗な家に住んでるんだね」

 

「さすが防衛省の現役官僚」

 

「じゃあ、早速だけど買い出しにいこうか」

 

みんなで近くのスーパーに買い出しに行く。今日は中華のビュッフェ形式でいこうかと思っている。

 

「みんなは好き嫌いとかはある?」

 

「私は大丈夫だよ♪」

 

「私も~♪」

 

「特にない」

 

「私も大丈夫よ」

 

「男子はお肉一杯食べるんじゃないかな?」

 

「まあ、そうだろうね」

 

チャーシューは多めに作っておこう。

 

買い出しから帰り、一旦冷蔵庫に食材をしまってもらい、俺の料理の腕前を昼飯がてら確認してもらおう。

 

 

「取り敢えずお昼作るよ。簡単に丼ものでいいかな?」

 

「うん♪」

 

「大丈夫だよ♪」

 

「問題ない」

 

「大丈夫よ」

 

問題無さそうなので親子丼で行ってみるか。鶏肉は火を通しすぎると固くなってしまう。自家製つゆで玉ねぎと鶏肉を絶妙の火加減で煮込み、卵でとじる。もちろん、半熟で止めるのは言うまでもない。最後に、買い出し前に炊いておいた白ご飯に盛り付け、三つ葉を散らせば完成だ。

 

「お待たせ♪」

 

「うわぁ、美味しそう!!」

 

「見た目もすごいきれい~♪」

 

「……美味しそう」

 

「もう食べていいかな?」

 

「それじゃあ、食べようか」

 

「「「「「いただきます!!」」」」」

 

みんな幸せそうな顔で食べている。こういう嬉しいことがあるから料理は止められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいしかった~♪」

 

「この腕なら、夜の食事会も楽しみだね♪」

 

「楽しみ……♪」

 

「是非とも弟子入りしたいわ」

 

そんな大袈裟な……この発言を機に、このメンバーの料理の弟子入りが決まった。後々女子全員が弟子入りすることになるとはまだ知らない……

 

 

 

食器を片付けたあと、俺たちは仕込みに入った。

 

俺→五目炒飯、八宝菜、海老チリ、青椒肉絲(チンジャオロースー)、麻婆豆腐、

 

倉橋→桃まん、小籠包、海老蒸し餃子、

 

速水→杏仁豆腐、マンゴープリン、棒々鶏(バンバンジー)

 

矢田→油淋鶏(ユーリンチー)、胡麻団子

 

原→直火焼チャーシュー、海鮮サラダ、

 

の担当になった。俺が渡したレシピを見ただけで作ってしまう辺り、女子はホントに手先が器用だなと改めて実感した。原さんがチャーシューを炙りながらよだれを垂らしていたのは見なかったことにしよう……

 

そして夕方になり、準備を終えてお茶をしていたら呼び鈴が鳴った。

 

「あ、みんな来たみたいだね」

 

玄関を開けると、今日来れなかった4人以外と、

 

「いや、何で居るんだよ殺せんせー」

 

「いやぁ、日本にいながらにして本格的な料理が食べれると聞きまして」

 

赤い中華服を身に纏った殺せんせーがいた。

 

「嘘つけよ、殺せんせー。給料日で金が無いってさっき言ってたじゃねえか」

 

「ニュヤッ!?前原君、それは言わない約束ですよ!?」

 

タダ飯たかりに来たわけか……

 

「まあ、殺せんせーも上がっていきなよ」

 

みんなをリビングに案内する。そこには、レストラン顔負けの中華バイキングスペースが広がっていた。

 

「これ、みんな葵が作ったのか!?」

 

「半分はね。さすがに量が量だから手伝ってもらったよ」

 

はーいと手を上げる手伝い組4人。

 

「昼間から女子4人と!?羨ましすぎるぞ、葵!?」

 

「いや、料理に関心を持てよ岡島」

 

よくわからん血の涙を流す岡島とそれに突っ込む三村。

 

「じゃあ、早速食べようか!!」

 

俺の言葉を皮切りに、みんなが一斉に食事に手をつける。

 

「うめぇ!?レストランにひけを取らないぞ!!」

 

「麻婆豆腐も辛いだけじゃなくて、旨味もすごいよ!!」

 

「チャーハンもスゲーパラパラ♪」

 

「熱い!?カルマ君、先生の口の中に蒸したての小籠包入れないでください!!」

 

 

殺せんせーの弱点⑤

 

猫舌

 

 

 

2時間後、あれだけの料理はほとんどみんなの胃袋の中に消えていった。残った料理はタッパで持ち帰り(8割磯貝)となった。今度、磯貝の家に飯を作りに行く約束をし、今日手伝ってくれた4人とお茶をすることになった。

 

 

-side 桃花-

 

今日料理を担当した私たちは、葵君を誘い、食後のお茶とデザートを堪能していた。

 

「みんな喜んでくれてよかったね♪」

 

「こんな本格的な形は初めてだったけどね~」

 

「疲れたけど、楽しかったわ」

 

「チャーシューお持ち帰り出来てよかったわ~」

 

原さん、調理段階で目の色変えてたもんね……

 

「いやー、このマンゴープリン美味しいな~♪」

 

葵君がゆるキャラみたいな垂れた状態でマンゴープリンを食べていた。

 

「なんか、普段とのギャップがすごいね」

 

「可愛い……」

 

「訓練の時とは大違いだね」

 

ちょっと触ってみたくなったので、ぬいぐるみみたいに抱き締めてみた。

 

「はう~、癒される~♪」

 

「桃花ちゃん、私も♪」

 

その後も、女子にとっかえひっかえ抱っこされる葵君。男子は嫉妬と羨望の眼差しを葵君に送っていた。カルマ君だけが悪どい笑みを浮かべながら写メを取りまくっていた。

 

こうして、第1回の食事会は幕を閉じたのだった。またやりたいなぁ~♪

 

 

 

 

 




龍聖の垂れた状態はGB(ゲットバッカーズ)の天野銀次のタレ銀次と同じものだと思ってください。

次回はビッチ先生の回の予定です。

感想・評価よろしくお願いいたしますm(__)m



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第5話 大人の時間

お待たせしました。ビッチ先生登場回です。


-side 龍聖-

 

 

「イリーナ・イェラビッチと申します♪」

 

俺は、教壇で自己紹介するこの女を快く思っていなかった。

 

「本格的な英会話に触れさせたいとの学校の意向だ。英語の授業の半分は彼女の受け持ちで構わないな?」

 

「仕方ありませんねぇ」

 

そう言う殺せんせーは普通にデレデレしていた。目線はイリーナ・イェラビッチの胸元をガン見である。

 

殺せんせーの弱点⑥

 

おっぱい

 

 

 

 

昼休み、食事会以降女子に弁当の出来映えを採点するように頼まれるようになり、一人一人細かくチェックしている。昼飯を終えた後は、烏間さん考案の暗殺バトミントンでみんなと遊ぶ。最近の日課になっていた。たまに暗殺を織り混ぜたサッカーを殺せんせーとやるときもある。今日はサッカーの方だ。

 

すると、

 

「殺せんせー♪」

 

校舎の方からあの女が走ってきた。

 

「烏間先生に聞きました。すごく足がお速いんですって?」

 

「いやぁ、それほどでも♪」

 

今日はあの緩んだ顔を何回見たか……

 

「一度本場のベトナムコーヒーを飲んでみたかったんです。午後の授業の合間に買ってきてくださらないかしら」

 

「御安いご用です。ベトナムにいい店を知っていますから」

 

殺せんせーはあっという間にベトナムへ飛び立っていった。

 

「あのイリーナ……先生、チャイムなりましたし、教室戻ります?」

 

「ああ、ガキどもは各自自習でもしてなさい」

 

殺せんせーが飛び立った直後、態度を豹変させるイリーナ。

 

「あのタコの前以外では教師を演じるつもりはないし、気安くファーストネームで呼ぶんじゃないわよ。イェラビッチお姉様とでも呼びなさい」

 

あまりの変わりように、みんなが戸惑い黙ってしまう。そんな中、

 

「で、どうすんの~ビッチ姉さん?」

 

「略すな!!」

 

カルマは通常運転だった。

 

「あんた殺し屋なんでしょ?俺ら全員でも殺れないのに一人で殺れると思ってんの?」

 

「ホントにガキね。大人には大人のやり方があるのよ。潮田渚ってあんたね?」

 

イリーナが渚に近づいたと思ったらいきなりディープキスされる。みんなが唖然とする中、骨抜きにされた渚は殺せんせーの情報を寄越すように迫られていた。

 

「他にも、有力な情報を持ってたら私のところに来なさい!!いいことして上げるわ。女子には男だって貸して上げるわよ。あと、私の暗殺の邪魔したら……殺すわよ」

 

最後にドスを聞かせて言い放つイリーナ。所詮は小物か、こっちも軽く威圧しとくか。

 

Who do you think hears that you say?(誰があんたの言うこと聞くとおもってんだ?)

 

「!?」

 

いきなり聞こえてきた俺の英会話に、驚いてこちらを見るイリーナ。みんなも俺を見ている。

 

When I bother, do you kill really?(邪魔したらホントに殺すわよ?)

 

If I can kill, kill, cowardly.(殺れるもんなら殺ってみろ、腰抜け)

 

イリーナがデリンジャーを抜いたと同時に、瞬動で急接近し、引き金に指をかける前に寸止めを顔面に叩き込む。イリーナはヘナヘナと座り込んでしまった。

 

「あんまり、俺たちを舐めんなよ」

 

俺は、そう吐き捨てて校舎に歩みを進めた。

 

 

 

 

-side 桃花-

 

 

「今、何が起きたの……?」

 

一瞬、葵君が消えたと思ったら、いきなり女の人の目の前に現れて寸止めのパンチを繰り出していた。

 

「カッコいい……」

 

「桃花、どうしたの?」

 

隣にいたひなたちゃんが顔を覗き込んでいた。

 

「へっ?な、何でもないよ?」

 

「桃花ちゃん、この間の訓練の時と同じ顔してるよ?」

 

陽菜乃にまで指摘されてしまった。

 

「桃花、葵のこと好きなんでしょ?」

 

凛香ちゃんが優しく聞いてくる。

 

「……うん、訓練の時からずっと気になってて、キリッとした顔を見てたら胸がキュンってなるんだ……」

 

私は観念して今の気持ちを話した。

 

「私は、桃花のこと応援するよ!!」

 

「みんな、ありがとう♪」

 

みんな優しくて、ホロリと涙が出る。

 

「あのね、さっきの葵君の動きを見て決めたんだ。葵君から護身術を教えてもらおうと思ってるの。桃花も一緒に行かない?」

 

すると、ひなたちゃんが私に嬉しい提案をしてくれた。

 

「うん、一緒に頑張ろうね♪」

 

断る理由もなく、私はその提案を受けた。すぐさま、葵君に許可をもらいに行く。

 

「葵君!!」

 

「ん?矢田さんと岡野さん、どうしたの?」

 

「私たちに、護身術や葵君の拳法を教えてほしいの」

 

「えっ?」

 

「私たち、暗殺のこと少し甘く見てたの。ただ、今日あの女の人とかを見てて、プロの人たちが出てきたら何も出来なくなっちゃうのが怖いんだ。だから少しでも強くなりたいの」

 

「……二人の気持ちはよくわかったよ。1つだけテストをしてもいいかな?」

 

テスト?と考えてる最中に、葵君が目を閉じる。そして、目を開いた次の瞬間……

 

「えっ……?」

 

葵君から発せられる言い知れぬ謎の恐怖が襲ってきた。ひなたちゃんも足を震わせて怯えている。

 

「これが、テスト……?」

 

もしそうなら、ここで引いちゃいけない!!

 

私はすくむ足に喝を入れ、葵君の目をしっかりと見据える。ひなたちゃんも少し立ち直ったようだ。

 

「……驚いた。まさか正気を保ってられるとは思わなかったよ」

 

葵君が口を開くと、さっきの恐怖が嘘のように霧散した。緊張の糸が切れたのか私は立ってられなくなり、葵君に抱きついてしまった。

 

「や、矢田さん!?」

 

「うえぇぇぇん!!怖かったよ~!!」

 

ホッとしたことで涙が止まらなかった。

 

「……ごめんね、怖がらせちゃって。岡野さんも大丈夫?」

 

私を抱き締めながら優しく髪を撫でる葵君。

 

「私はもう大丈夫だよ。それよりも……」

 

軽く涙目ながらもしっかりと足を地につけて立っているひなたちゃん。そして、改めて今の私の状況に気づいた。

 

「ご、ごめん//」

 

「う、うん。大丈夫//」

 

私も葵君も顔が真っ赤だ。

 

「んん、さて。テストの結果だけど文句なし合格だよ」

 

「やったね、桃花♪」

 

「ありがとう、ひなたちゃん♪」

 

こうして、今週末から私の修行が始まることが決定したのです。

 

 

-side 龍聖-

 

 

翌朝、俺は朝飯を作りながら烏間さんと話をしていた。

 

「全く、君は無茶をする」

 

「それについては否定はしません。ただ、俺たちを見下すあの目が気に入らなかったんです」

 

「確かに、彼女にも否はある。だが、1日で全ての準備を整える辺りは、流石はプロだと俺は思う」

 

「そうですね。ですが、失敗して逆上した状態で生徒に突っかかって学級崩壊寸前……っていうシナリオが見えそうです」

 

「えらく具体的だな……それが的中しなければいいが」

 

その予想が的中することをこの時点で俺たちは知らない……

 

「それはそうと、岡野さんと矢田さんを弟子に取ったそうだな」

 

それを聞いた瞬間、矢田さんを抱き締めた感覚が蘇ってきた。いい匂いしたし、柔らかい二つの感触も……ダメだ、思い出すな!!彼女に失礼だ!!

 

「え、ええ。二人に頼まれまして。ただ、驚きましたよ。俺の殺気を耐え抜いたんです」

 

「何?」

 

「メンタルの強さがずば抜けていますね」

 

「まあ、君が決めたことだから何も言うまい。無茶だけはしないようにな」

 

「心得てます」

 

俺と烏間さんは食事を終えて、登校の準備をするのだった。

 

 

 

 

「おはよう、葵君」

 

登校途中で、弟子にとった二人に遭遇した。

 

「昨日はごめんね」

 

「ううん、大丈夫だよ。それに昨日はいいものも見れたしね」

 

ニヤニヤしながら、俺と矢田さんを見る岡野さん。昨日のことを思いだして、赤面する。

 

「もう付き合っちゃえば?」

 

「ねえ、葵君……」

 

矢田さんが俺の方を見る。その眼差しは真剣だ。

 

「私と、お付き合いしてほしいの!!もちろん、葵君がOKならの話だけど」

 

俺は一瞬迷った。彼女をこの血に染め上げた手で触れていいものかと……。だけど、俺は決心した。血塗られたこの手でも彼女を守ることはできる。この子のためなら修羅にでも何でもなろう、と……

 

「……ありがとう、矢田さん。その話、喜んで受けさせてください」

 

「ありがとう、葵君!!」

 

笑顔で俺に抱きつく矢田さん。ああ、また柔らかい二つの感触が……

 

「これからは桃花って呼んでね、龍聖」

 

「わかったよ、桃花」

 

「ほーら、いちゃついてないで。早くしないと遅刻するよ~!!」

 

俺たちは、照れ笑いしながら登校した。

 

 

 

そして、一部の生徒から嫉妬の眼差しをひしひしと受けながら、5限の訓練の射撃練習を受けていた。

 

「おい、殺せんせーと倉庫にしけこんでくぜ」

 

「なんかがっかりだなぁ。あんな見え見えの罠に引っ掛かって……」

 

「まあ、気持ちはわからなくもないけど、これだけ早く準備を整える手際は正しくプロだな」

 

「烏間先生、私たちあの人のこと好きになれません」

 

「すまない、上から当人に任せろとの命令でな」

 

烏間さんもホントに申し訳なさそうだった。すると、突如として銃声が鳴り響き、その後にあの女の悲鳴とヌルヌル音、さらには喘ぎ声まで聞こえてきた。

 

「めっちゃ執拗にヌルヌルされてるぞ!?」

 

「行ってみようぜ!!」

 

数人で倉庫に向かう。そして、倉庫からつぎはぎだらけのアカデミックドレスを着た殺せんせーが出てきた。顔はやたらにやけている。

 

「いや~、もう少し楽しみたかったですが、君たちとの授業の方が楽しいですからね」

 

そう言う殺せんせーの言葉の後に、倉庫から何故かブルマ姿のイリーナが出てきた。そして何かぶつぶつ言いながら崩れ落ちた。

 

「何したの、殺せんせー?」

 

「さあね、大人には大人の手入れがありますから」

 

薄い真顔で渚の質問に答える殺せんせー。悪い顔してんな……

 

殺せんせーはみんなを引き連れて教室に向かっていった。

 

5限の英語の授業、黒板に書かれた自習の文字。女はイライラしながらタブレットを操作していた。

 

「あーもう!!なんでWi-Fi入んないのよこのボロ校舎!!」

 

「あの、先生……授業してくれないなら殺せんせーと変わってくれませんか?」

 

この状況を見かねた磯貝がイリーナに進言する。

 

「あんたたち、あのタコに教わりたいの?それに聞けば、あんたたち落ちこぼれらしいじゃない。なら、私の暗殺の手伝いでもしなさい。そうすれば、1人500万上げるわ。だから協力……」

 

コツン……

 

「言いたいことは終わったか……?」

 

俺は、いつも通りの威圧をする。その後に、誰かが投げた消しゴムがイリーナの顔のすぐ横を通る。

 

それと同時に野次と罵声と色んなモノが飛び交う。イリーナはたまらず教室を出ていった。

 

 

 

放課後、烏間さんに晩御飯の要望を聞こうと思い、教員室に向かった。そこでは、烏間さんがイリーナに説教していた。

 

「私は教師なんてやったことないのよ!?暗殺だけに集中させてよ!!」

 

Only that's called, and don't you understand yet?(あれだけ言われてまだ分かんねえか?)

 

「……何しに来たのよ」

 

「保護者に晩飯の要望聞きに来ただけだ」

 

「カラスマ、そういえばこいつの保護者だったわね」

 

「ああ、いつもすまないな。今日は簡単なもので構わない」

 

「わかりました。あと、烏間さんの言葉の意味をちゃんと理解しておくことだ」

 

そう言い残し、俺は教員室を後にした。

 

 

 

翌日、始業のベルと同時に少し顔つきの変わったイリーナが入ってきた。

 

「You are incredible in bed. Repeat!」

 

突然、黒板にこの文章を書き、読めと言ってきた。みんな渋々読む。つーか、中学生にこんな文章読ますな!!

 

「私が教えてあげられるのは、実践的な会話術だけ。これさえ身に付ければ、外国人に会ったときに必ず役に立つわ。受験で必要な英語は、あのタコに教わりなさい。あと……色々悪かったわよ」

 

そう言うと、クラスに笑い声が響いた。それから、呼び方がビッチ先生になり、その呼び方で呼ばれまくってヒスったのを見て、俺も自然と笑みがこぼれた。

 

こうして、新たにクラスに心強い協力者が増えた。

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?早々に二人くっつけちゃいました(爆)
一応、弟子にとった二人は魔改造予定です。さらに増えるかもしれないです。

次回は全校集会&修行の予定です。

感想・評価あればよろしくお願いいたしますm(__)m


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第6話 集会の時間

お待たせしました、全校集会の回です。
そして、修業開始いたします。




-side 桃花-

 

 

ビッチ先生がクラスに馴染んで早一週間、私はひなたちゃんと、つい最近龍聖のテストを受けて合格したという凛香ちゃんと、クラス委員の片岡さんと一緒に烏間先生の家に来ていた。

 

「どんな稽古つけてくれるんだろうね?」

 

「着替えを持ってくるようには言われたけど……」

 

そう、龍聖からは着替えは必ず持ってきてほしいと言われていた。何でもかなり汗をかくらしい。そんなに過酷なのだろうか?とりあえずセパレートタイプのスポーツウェアに着替えて待機していた。しばらくして、

 

「お待たせ、準備が出来たからスタジオに入って」

 

半袖Tシャツにジャージのズボン、リストバンドをつけた龍聖が呼びに来たので、地下のスタジオに入る。

 

入った瞬間、蒸し暑い熱気が襲ってきた。

 

「暑っ!?」

 

「驚いたでしょ?この部屋の気温は30℃、湿度80%に設定してるんだ」

 

まるでサウナのような状態だ。

 

「みんな体の動作に重要な体幹はしっかりしてるから、型から練習していこうか。俺の使う中国拳法は八極拳。超近接型の一撃に特化した拳法だよ」

 

それから私たちは2時間みっちりと、型の練習を見てもらった。汗だくなのは言うまでもない。

 

「普段使わない筋肉を使ったから、筋肉痛になる可能性があるから、シャワー浴びたらマッサージの施術をするよ」

 

4人まとめてシャワーを浴び、汗を流す。

 

「それにしても、葵君の型きれいだったね」

 

「様になってた」

 

みんなの言葉で、ホントに自慢の彼氏だと感じた。

 

シャワーから上がり、龍聖のマッサージの時間が始まった。

 

「すんごい、気持ちいい……」

 

ふくらはぎをほぐしてもらってるとすごく眠たくなる。っていうか上手すぎ……

 

「部屋の環境や、ゆったりとした動作をホットヨガから取り入れたりしてみたんだ。体幹トレーニングを平行して型の練習も行う。女の子だから女性らしいボディラインを保ちつつ、内側の筋肉を重点的に鍛える方向にしたんだ」

 

筋肉を目立たせたくない女の子の気持ちまで考えてるなんてすごいなぁ……

 

4人のマッサージが終わり、帰る支度をする。

 

「これで、筋肉痛にはならないと思うよ。型が慣れてきたら、本格的に実践的な練習に変えていくから」

 

今後の方針をまとめて、今日は解散となった。帰って、弟に美味しいご飯をつくってあげなくちゃ♪

 

 

 

 

 

-side 龍聖-

 

 

桃花たちに稽古をつけて2週間、筋がいいのかスポンジが水を吸うかの如く、技術を身に付けている。ひたすら鍛錬で習得した俺からすれば羨ましい才能だ。

 

そんな俺たちは今日、月1の全校集会に出るために、山奥の旧校舎から本校舎までの長い道のりを移動しなければならない。転入してから初めて参加する俺はどれ程のものか知らない。

 

磯貝、岡野さん、俺、片岡さん、桃花、前原は、森の中を歩いていた。

 

「今度遅れたら、どんな嫌がらせ受けるかわからないぞ」

 

「そんなに大変なのか?」

 

「この間は本校舎の花壇の清掃。広すぎるから大変だったよ」

 

急ぎながら、話を聞いていると、茂みの中から何か気配がした。

 

「何かいるぞ」

 

茂みが揺れると、そこから熊が出てきた。

 

「!?」

 

「マジかよ!?」

 

ただ、何か様子がおかしい。すると、熊は俺の方に歩み寄り、手をペロペロと舐め出した。

 

「何かなつかれてんな……」

 

「もしかして、お前あの小熊の親か?」

 

実は、転入2日目位に怪我をした小熊を助けてやったことがある。どうやらその小熊の親のようだ。その後、さらに熊が増えて、俺たちと同じ数だけになった。そして、身を屈めて、背中をこちらに向ける。

 

「乗れってことなのか?」

 

俺の言葉に頷くような動作をする熊たち。どうやら本校舎まで乗せてくれるらしい。

 

「ありがとな♪」

 

今度旨い餌でも持ってきてあげよう。この熊たちのお陰で、疲れることもなく本校舎に辿り着くことが出来た。

 

「熊って人になつくんだね~」

 

「最初に出くわしたときは焦ったぜ」

 

「さあ、そろそろみんなも着く頃だ。整列しとこう」

 

俺たちは、アウェー感満載の体育館に入った。

 

 

 

 

体育館の中は、俺たちE組に対する侮蔑の視線しかなかった。よくもこれだけの視線を何も言わずに耐え抜いてたものだ。そして、この全校集会でやることが1つ決まった。校長の嫌味ったらしい挨拶のあと、生徒会からの案内があり、最後に転入生である俺が挨拶することになっている。E組を笑うための見せしめだろうが、俺がそれをぶち壊す。俺は壇上に上がり、挨拶を始めた。

 

「えー、ただいまご紹介に預かりました葵 龍聖です。これから1年よろしくお願いします。正直に言います。E組に対する皆さんの態度が気に入らないです」

 

俺の言葉に静まり返る体育館。

 

「何もしないのならこちらからは何もしません。ただ、何か俺の目につくようなことがあれば……」

 

目を閉じて一旦区切り……

 

「死ぬよりも恐ろしい恐怖を見せてあげますので、覚悟しておいてください」

 

E組以外に殺気を撒き散らし、悪どい笑みを浮かべて壇上から降りる。ほとんどの生徒は青ざめた顔をしており、一部の生徒は失神していた。こうして、全校集会は終了した。

 

「龍聖、やりすぎだ」

 

終了後、俺は烏間さんに軽く説教を受けていた。

 

「確かに、この学校のE組の対応には俺も不満はある。かといって逆に刺激を与えて悪化するかもしれないぞ」

 

「すみません、以後気を付けます」

 

帰ろうとしたとき、自販機の近くで渚がD組の二人に絡まれていた。

 

「全くこの学校は……!!」

 

「烏間さん、止めてきます」

 

「まあ、待ちなさい」

 

止めに入ろうとしたところを、変装中の殺せんせーに止められる。

 

「問題ありませんよ。私を殺そうとする生徒たちは殺る気が違いますから」

 

どういうことだと思った次の瞬間、渚から殺気が放たれていた。渚に絡んだ生徒はたじろいで渚を避けていた。

 

「ほらね」

 

「渚、アイツ……」

 

渚には暗殺者としての類い稀な才能があることがわかった。そして、その才能が今後色んな場面で露見することになる。

 

 

 

 




今回は少し短めでした。

ふと思い立ったんですが、龍聖のイメージCVのアンケートを取りたいと思います。この人だと思う人を感想に投稿してください。
感想・評価あればよろしくお願いいたしますm(__)m

次回は中間テスト。 明かされる龍聖の学力やいかに?


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第7話 テストの時間

お待たせしました。いよいよ中間テストです。龍聖の学力やいかに?あと、少しうるっとくるかもしれません(個人差があります)

それではどうぞ。


-side 龍聖-

 

 

「さあ、始めましょうか!!」

 

「いや殺せんせー、主語を抜かさないで。何を始めんの?」

 

マッハで動く残像だらけの殺せんせーに突っ込む。

 

「中間テストが近づいてきましたね。皆さんのこれまでの勉強の成果を見る限り、ジャンプアップはかなり期待できそうです」

 

殺せんせーの分身が1人ずつマンツーマンで指導していく。ハチマキにはそれぞれの苦手科目が書いてあるのだが……

 

「何で俺だけナルトなんだよ!?」

 

寺坂だけハチマキがナルトだった。

 

「寺坂君は苦手科目が複数ありますから」

 

いや、ナルト関係ないだろ!?ただ、殺せんせーの高速強化対策勉強は俺たちには心強い。

 

「ここまでは大丈夫ですか、龍聖君?」

 

「ええ、まあ高校の範囲も入っちゃってますけどね」

 

「この様子なら、学年トップも狙えますね」

 

学年トップか……まあ、それくらいなら行けるだろうな。大学入試レベルまでなら楽勝だし。

 

 

 

 

昼休み、烏間さんに今日の晩御飯の要望を聞きに行こうと教員室を訪れると、渚が教員室を覗いていた。

 

「渚、何やって……」

 

「しっ!?今、理事長がいるんだ……」

 

何しに来たんだ……?渚と一緒に中を覗いてみる。

 

「簡潔に申し上げます。E組はエンドのままで居てもらわなくては困るのです、私の教育にはね」

 

「あなたの教育論はわかりました。確かに、実に合理的だ」

 

「以後、生徒には厳しく伝えるようにお願いします。ああ、殺せんせー。これを一秒以内に解いてください」

 

理事長が殺せんせーに何かを投げつけた。知恵の輪……?

 

「あ、え、いいきなり~!?○★%&◇▼▲△&◆〓★◎」

 

触手が絡まってよくわからない状況になっていた。

 

 

殺せんせーの弱点⑦

 

知恵の輪でテンパる

 

 

 

「確かにすごいスピードだ。ですが、スピードで解決できないこともあるんですよ」

 

そう言い、理事長が教員室から出てきた。

 

「やあ、中間テスト期待しているよ。頑張りなさい」

 

理事長は俺たちに一言だけ話すと、旧校舎を後にした。よくもまあ、あんな乾いた頑張りなさいが言えるものだ。おそらく、何かしらの妨害があるとみていいだろう。

 

「おもしれぇ、目にものを見せてやる。理事長、あんたの思い通りにはならんぞ」

 

 

 

放課後、いつもの修業のあとに弟子である4人に聞いてみた。

 

「みんな、1つ聞いていいかな?」

 

「どうしたの、急に?」

 

「もし、暗殺が明日終わったらどうする?」

 

「えっ……?」

 

突然の質問に、みんな戸惑っている。

 

「今まで頑張ってきたことが全部無駄になる、よね」

 

最初に口を開いたのは、片岡さんだった。

 

「そう。下手をすれば、烏間先生やビッチ先生、そして俺にも撤収の指令が下るかもしれない」

 

俺の一言で、みんなが驚きの表情を見せる。桃花に関しては今にも泣きそうだ。

 

「だから、今度の中間テスト……俺は学年トップを狙いに行く。だから、みんなも暗殺があるからテストはいいや、なんて考えを持たないでほしいんだ。みんなは俺よりも才能がある。これからもっと伸びる。今まで稽古を見てきた俺が保証する」

 

そして、稽古が終わり解散したあと、桃花が俺のところに来た。

 

「龍聖、暗殺が終わったらいなくなっちゃうの……?」

 

「上からは状況が終了次第、撤収しろと言われるだろうね」

 

「いや!!」

 

桃花が抱きついてきた。表情は伏せていて見えない。

 

「せっかく好きになって、こうして恋人になれて、これからもっともっと一緒にいたいのに……」

 

「桃花……」

 

「お願い、行かないで!!」

 

俺は、今まで感情を殺して任務に徹してきた。けど、俺はこの腕の中で泣いているこの子の手を離すことはできるのだろうか……

 

「いや、無理だな……」

 

俺はこの子を死ぬまで守り続けると決めたんだ……!!

彼女を抱き締める力を少し強める。

 

「龍聖……?」

 

「桃花、俺決めた。この任務が終わったら諜報員辞める」

 

「えっ……?」

 

「桃花と一緒に今後の人生歩んでいきたい。ダメかな?」

 

「ううん……ダメじゃないよ!!」

 

泣き顔から一転、眩しいばかりの笑顔で答えてくれる桃花。この子に出会えたことを本当に感謝したい。

 

 

 

 

翌日、殺せんせーの分身がさらに増えていた。何か別キャラも混じってるような気がするが……

 

「何で、ここまでするかなぁ」

 

「すべては君たちのテストの点をあげるためです。そうすれば……ヌルフフフ♪」

 

ピンクのだらしない顔になった。大方、噂を聞きつけた近所の巨乳の女子大生が寄ってくるとか考えてんだろうな……

 

「いや、俺たちは暗殺があるしな……」

 

「そうそう、100億入ったら人生バラ色だしね~」

 

やはり、悪い予感は的中した。みんなは暗殺がなくなる状況を理解できてない。

 

「わかりました、君たちの中に暗殺の資格があるものはたった5人しかいません。みなさん、烏間先生とイリーナ先生を連れてきてください。そして、全員グラウンドに出なさい」

 

そういって、殺せんせーは外に出ていった。

 

グラウンドに出ると、朝礼台を移動させている殺せんせーがいた。

 

「イリーナ先生、あなたにプロの殺し屋として伺います。暗殺を行う際、用意するプランは1つだけですか?」

 

「……いいえ。本命のプラン通りに行くことの方が少ないわ。だからいくつものプランを用意して暗殺に臨むわ」

 

「次に烏間先生、ナイフ術を教える際、もっとも重要なのは第一撃だけですか?」

 

「いや、第一撃も重要だが強者が相手の場合避けられる可能性が非常に高い。だからそのあとに続く第二撃、第三撃も重要になる」

 

「最後に龍聖君、岡野さん、片岡さん、速水さん、矢田さん、あなた方から見たこのE組はどう映っていますか?」

 

「差別を受けても仕方ない」

 

「暗殺に頼りすぎね」

 

「劣等感しか残らない」

 

「エンドと言われても仕方ない」

 

「暗殺の後の事を考えてないと思います」

 

「流石です。そう、皆さんは暗殺があるから勉強はそれなりでいいと目を背けています。しかし、暗殺がなくなったら、E組の劣等感しか残らない、かなり危うい状況にいます」

 

すると、殺せんせーが高速で回転し、竜巻が起こる。

 

「そんな君たちに、先生からのアドバイスです」

 

 

-第二の刃を持たざるものは、暗殺者の資格なし-

 

 

 

竜巻が収まると、そこには本校舎のものとさほど謙遜ない丁寧に整備されたグラウンドが広がっていた。

 

「先生は月をも破壊する力を持っていますからね。グラウンドを整地するなど容易いこと。そして、君たちに指令を与えます。明日の中間テスト、全員50位以内を目指しなさい」

 

殺せんせーの言葉に唖然とするみんな。しかも、全員が50位以内にならないと学校を去るという。

 

「第二の刃はもう先生が与えています。その刃を存分に振るってきなさい」

 

 

 

 

テスト当日、俺の下準備も手が回らずに弟子である4人しか対策を練ってない。その結果、俺たち5人とカルマ以外が、見えない問題に殴り殺されていった。

 

 

 

 

「先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見ていました。君たちに顔向けできません」

 

テスト2日前の出題範囲の大幅変更。理事長が仕掛けた小細工はものの見事にE組を直撃した。

 

「ちょっと待った。殺せんせー」

 

俺は殺せんせーを引き止める策を講じることにした。同時にカルマも立ち上がる。俺を見て他の4人も殺せんせーの前に立つ。

 

「……何ですか、龍聖君」

 

「これ見てもホントに出ていくつもり?」

 

俺たちは返された答案用紙を広げた。

 

赤羽 業 491点 総合5位

 

岡野 ひなた 453点 総合37位

 

片岡 メグ 474点 総合14位

 

速水 凛香 462点 総合29位

 

矢田 桃花 446点 総合41位

 

葵 龍聖 499点 総合1位

 

俺たちの広げた答案用紙に驚くみんな。

 

「先生、私たちはちゃんと約束守ったよ?」

 

「それでも出ていっちゃうの?」

 

「そんなこと言って、ホントは殺されるの怖いだけなんじゃないの?」

 

次々に殺せんせーを煽っていく。

 

「にゅやーーー!?ビビってなんかいませんよ!!わかりました、期末でアイツらにリベンジしてやります!!」

 

中間テストで、E組は壁にぶち当たったがこれを糧にさらにパワーアップするだろう。

 

 

 




いかがでしたか?まさかの引退宣言までしましたがまだ未定です。期末では龍聖vs学秀やりますよ。

次回は修学旅行!!京都に参ります♪

感想・評価あればよろしくお願いいたしますm(__)m

龍聖のイメージCVアンケートも随時募集してます。
(作者の個人的なイメージ 櫻井孝宏さん)


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第8話 修学旅行の時間

お待たせしました。修学旅行編入ります。

一応新キャラ登場させます。あと、あの人とあの子がついに……

では始まります。




-side 桃花-

 

 

「龍聖、来週いよいよ修学旅行だね♪」

 

「京都は俺も初めてだから楽しみだよ」

 

放課後、私と龍聖は帰る支度をしながら来週に控えた修学旅行について考えていた。

 

「それにしても、悪かったな磯貝。急遽班に入れてくれて」

 

「構わないさ、龍聖にはいつもお世話になってるし。それに二人を離すのは何か気が引けるしさ」

 

たまに磯貝くんの家にご飯作りに行ってあげてるもんね。

 

「なんか照れちゃうなぁ」

 

私たちはほぼクラス公認のカップルとなっていた。

 

「それにしても、最近皆キレイになったよね~♪」

 

陽菜乃が私たちを見てそんなことを言う。

 

「稽古の成果が出てるのかな?」

 

「稽古?何かやってんの?」

 

稽古の事を知らない前原が聞いてきた。

 

「最近、葵君に八極拳習ってるんだ」

 

「龍聖って何でも出来るんだな」

 

「絵以外はな……」

 

菅谷くんに教わってるらしいけど全然進歩ないみたいだね……

 

「私なんかこの稽古のお陰で体型キープしたまま体重3㎏減ったんだよ♪」

 

今のブラのサイズがキツくなってきちゃったけどね~♪

 

「何!?それは確かめなくちゃね♪」

 

いきなり後ろから誰かに胸を鷲掴みにされた。

 

「きゃっ!?誰!?って莉桜(りお)!!いっつもやめてって言ってるでしょ!?」

 

犯人は女子のセクハラ魔、中村 莉桜だった。

 

「だってそんな立派なおっぱい、触らずにはいられないでしょ~♪しかもこの感じ、Fはあるわね」

 

しかも、ブラのサイズを公表しやがりました!!

 

そんなことを思っていたら、莉櫻の体が宙に浮いた。

 

「中村、お前は人の彼女に何セクハラ噛ましてるんだ?」

 

龍聖が莉櫻の首根っこを持ち上げていました。何か猫みたい……

 

「いや、これはもう私の性分だから、あはははは……」

 

「そうだな、じゃあ中村も稽古つけてやろうか。もちろん皆の倍のメニューでな」

 

「それだけはご勘弁を!!」

 

「まあ、それは冗談として。そろそろ訓練も基礎がしっかりしてきたし、個人に合った応用を教えないといけないなと烏間さんとも話してたところだ。修学旅行から帰ってきたらやるつもりだ。今度は男子もな」

 

龍聖の一言で、みんなにも新たな技術が身に付くことが決定した。色んな意味で、修学旅行も修学旅行後も楽しみになってきた。

 

 

 

 

-side 龍聖-

 

 

今日の稽古が終わり、皆がシャワーを浴びている頃、突然携帯が鳴り出した。

 

「もしもし」

 

「龍聖、久しぶりだな♪」

 

「服部か、久しぶりだな」

 

電話の相手は防衛省の同い年の同期、服部(はっとり) 駿(しゅん)だ。

 

「どうだい、暗殺の方は?」

 

「まあ進展はなし。ただ、楽しい学園生活は送らせてもらってるよ」

 

「何か彼女もできたらしいな♪」

 

「なっ!?誰から聞いたそれ!?」

 

「烏間さんだよ。お前が最近よく笑うようになったって、だいぶ喜んでたしな」

 

「……まあな、烏間さんにはホント感謝してるよ。それに、あの子は俺が一生守り続けると誓ったからな」

 

「熱いねぇ~。今度俺にも紹介してくれよ。っと、話が逸れたな。実は今度、俺にも辞令が回ってきてな、お前のいる椚ヶ丘中の修学旅行の暗殺の件が回ってきたんだ。あともう一人、お前もよく知る狙撃の名手も来るぞ」

 

「ああ、レッドアイさんか。しばらく会ってないな……」

 

「つー訳だから、直接会うことはないかもしれんがよろしく頼むよ」

 

「了解、じゃあな」

 

「龍聖、誰から?」

 

電話を切ると、シャワー上がりの桃花がいた。うん、Tシャツ短パンでシャワー上がりの桃花は色々とすごいことになってるな……最初は刺激が強すぎて目を合わせられなかったのに、慣れって怖いな。

 

「ああ、修学旅行の暗殺の件で同期から電話。陰ながら同伴するだってさ」

 

「どんな人なの?」

 

「まあ、一言で言えば忍者だな」

 

「忍者?」

 

「ああ、影に溶け込むのが恐ろしく上手いんだ。なんせ、アイツの別名は……」

 

 

 

-第17代目 服部 半蔵-

 

 

「伊賀忍者の頭領、服部半蔵の末裔なんだ」

 

「そんなすごい人なんだね」

 

「ただ、アイツも殺せんせー相手だとキツいかもな……」

 

「殺せんせー、何でもアリだしね~」

 

まあ、色々と楽しくなりそうな修学旅行だ。

 

 

 

当日、E組以外はグリーン車という素敵な差別で東京駅を出発した俺たち。席についたら、ビッチ先生がいじけていた。

 

「なんだ、あれ?」

 

「ビッチ先生、ハリウッドセレブみたいな格好で来たから烏間先生に引率の教員らしからぬってことで脱がされたみたいだよ」

 

「全く、どっちが引率なんだか……」

 

その後、駅ナカスイーツを買って乗り遅れた殺せんせーが窓に貼り付いていたりと色々あり、夕方頃旅館についた。しかし、殺せんせーは枕を忘れたらしく一旦東京に戻っていった。

 

殺せんせーの弱点⑧

 

枕が変わると眠れない

 

 

夜、風呂に行こうと前原、磯貝、千葉、岡島と大浴場に来ていた。

 

「どうやら、奥に露天風呂もあるらしいぞ」

 

「2つあって1つは混浴だってさ」

 

テンションが上がった岡島がカメラを出そうとしていたので、

 

「岡島、桃花や俺の弟子たち写真に撮ったら……切り落とすぞ?」

 

軽く脅した。

 

「ひいぃぃぃ~!?わかりました~!!」

 

殺気に当てられた岡島は即座にカメラをしまった。

 

「相変わらずだな、岡島は」

 

「龍聖もだな。矢田、愛されてるねぇ」

 

他愛ない話をしながら、服を脱ぎ捨てる。

 

「龍聖、お前だいぶ筋肉質だな」

 

「それにその傷……」

 

「今までの任務やらでついた傷さ。あんまり気にしないでくれ」

 

風呂は予想以上に広くきれいだった。体を洗い、風呂に浸かる。

 

「明日は、いよいよ暗殺だな」

 

「まあ、可能な限りやろう」

 

その後、俺は露天風呂も堪能したくなり、一緒に行くことになった千葉と外に出る。途中で道が二手に別れていた。質の悪いことにどっちがどっちか書いてない。

 

「片方が混浴って言ってたな」

 

さすがに女子のいるこの時間に行くのは不味いよな……

 

「まあ、なるようになるか」

 

俺は右に進んだ。後にこの判断がまさかあんなことになるとは……

 

 

 

 

-side 桃花-

 

 

私たちは今、旅館の大浴場にいます。

 

「結構広いね」

 

「露天風呂もあるみたいだよ♪」

 

「あとで行ってみようよ」

 

一緒に来た稽古組の皆+茅野さんと神崎さんでわいわい話していると、茅野さんの目が私の胸に向いていた。

 

「えっと、何かな……?」

 

「巨乳……敵!!でもクラスメイトだし……」

 

「茅野っちのその巨乳に対する憎悪は何なの!?」

 

なんか敵視されてる!?

 

その横では、普段の凛々しい顔つきの凛香ちゃんが緩んだ表情でお風呂を満喫していた。

 

「凛香ちゃん、お風呂好きなの?」

 

「うん、一番リラックスできる」

 

「じゃあ、一緒に露天風呂行ってみない?」

 

「いいよ」

 

私たちは、露天風呂に行くことを告げて、凛香ちゃんと二人で外の道を進む。まだ5月だから少し肌寒い。

 

「何か二手に別れてるね」

 

「とりあえずこっち行ってみない?」

 

「うん」

 

私たちは左の道を進んだ。そして、道を抜けるとそこには京都の夜景を堪能できる露天風呂があった。湯けむりがそれを更に幻想的に彩っている。肩までゆったりと浸かる。

 

「いい湯加減だね~」

 

「夜景もきれい」

 

すると、誰かが露天風呂にやって来た。湯けむりの向こうから現れたのは……

 

「と、桃花!?」

 

「龍聖!?」

 

なんと、龍聖と千葉くんでした。

 

 

 

-side 龍聖-

 

 

な、何でここに桃花がいるんだ!?

 

「まさか、混浴の方に来ちまったのか!?」

 

「どうやらそのようだな」

 

千葉、冷静に分析してる場合じゃない。ここで声をあげられたら……

 

「湯冷めしちゃうから一緒に入ろうよ♪」

 

俺の人生、終わ……え?

 

「い、いいのか?」

 

「岡島君とかだったらずっといやらしい目で見られそうだけど、龍聖なら大丈夫だと思うし。それに、恋人同士で温泉って何か素敵じゃない?凛香ちゃんもいいよね?」

 

「……問題ない」

 

俯いて話す速水。時折千葉の方をチラチラと見ている。せっかくの好意だし湯船に浸からせてもらう。それにしても、髪を下ろしてる桃花ってなんか新鮮だな。

 

「桃花、速水ってもしかして……」

 

「うん、最近二人で仲良く話してるのをよく見かけるんだ。射撃の事でよく気が合うみたいだし」

 

桃花がこっちに寄ってきて、俺の肩に頭を預けてきた。

 

「と、桃花……?」

 

「体、傷だらけだね」

 

「……ああ」

 

「これからも増えるのかな?」

 

「かもしれない」

 

「わたし、もっと強くなりたい。龍聖だけに頼ってばかりじゃダメだと思うんだ」

 

ホントに優しくて、心が強いな……

 

「ありがとう、桃花。これからも一緒にいてくれる?」

 

「うん、龍聖の背中は私が守ってあげる」

 

誓いを新たに、俺と桃花は肩を寄せ合って京都の夜景と夜空を堪能するのだった。

 

 

 

-side 凛香-

 

 

私の目の前には、葵と桃花の微笑ましい光景があった。

 

「ホントに仲いいな、アイツら」

 

千葉が二人の様子を見て話す。私もあんな風になりたいな……

 

「千葉、私にも肩貸して……」

 

「は、速水……?」

 

トンっと見た目よりもしっかりした千葉の肩に頭を預ける。

 

「少しだけ、このままでいてもいい?」

 

「俺なんかでよければ……」

 

「凛香」

 

「ん?」

 

「凛香でいい」

 

「……わかったよ、凛香」

 

名前を呼ばれて、心が暖かくなった。

 

「あなたが好きよ、龍之介」

 

私は彼の頬に軽くキスをした。

 

 

 

これが私と龍之介の恋の始まりだった。

 

明日の2日目からが、急に楽しみになってきた。

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

新キャラの駿は、今後また出てきます。
そして、千葉くんと凛香ちゃんくっつけました。

次回は修学旅行2日目。あのシーンですね。しおりの時間ですよ、皆さんしおりの準備はよろしいですか?

感想・評価あればよろしくお願いします。



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第9話 修学旅行の時間 2時間目

お待たせしました。修学旅行後編です。
皆さん、予告通りしおりの準備はできてますか?
それではどうぞ。


-side 龍聖-

 

 

桃花との混浴のあった日の翌朝、俺たち1班は嵐山に向かっていた。

 

「俺たちの暗殺ポイントは嵯峨野トロッコ列車の保津川渓谷の鉄橋だっけ?」

 

嵯峨嵐山駅から亀岡駅までの道のりの途中にある保津川渓谷の鉄橋の上で、川下りを見学するために一旦停車する場所がある。そこをレッドアイさんに狙撃してもらう、というプランだ。

 

プランの確認中に電話がなる。

 

「もしもし」

 

「リューセイ、久しぶりだな」

 

「レッドアイさん?」

 

「烏間さんから聞いてはいると思うが、リューセイの班は俺が受け持つことになったからよろしく頼むな」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。ああ、烏間さんから聞いてるとは思いますが、常識外れのターゲットなんで、仮に失敗したとしてもヘコまないでください」

 

「……リューセイが言うと、妙に説得力があるな。わかった。気楽にやってみるさ。君は修学旅行を堪能してりゃいいさ」

 

「はい」

 

電話を切ると同時に、嵐山の名所・渡月橋に到着した。

 

「とりあえず、写真撮ろうか」

 

皆で写真を撮ったあと、俺たちの写真を撮ってくれると言うので、お言葉に甘える。渡月橋を背景に桃花と並んで立つと、桃花が腕に抱きついてきた。俺の腕が桃花の2つの大きな膨らみに挟まれる。やっぱりこれだけは慣れない……

 

「桃花、その、当たってるし……皆見てるよ」

 

「いいの、龍聖は気にしなくて」

 

小悪魔的な笑みを浮かべる桃花。最近ビッチ先生から交渉術・接待術も学んでるらしく立ち回りがやたらと上手い。将来ああならないか少し心配だ……

 

「何でかな、二人を見てると羨ましいって言うよりあんな風になりたいって思うんだよね」

 

「二人の付き合い方や心の在り方が大人だからじゃないかな?」

 

片岡さんと岡野さんが俺たちを見てそんなことを言う。

 

「確かに、所構わずいちゃついてるって感じじゃないよな」

 

「バカップルではないのは確かだな」

 

木村と磯貝もそれに相槌をうつ。

 

「クラス1のプロポーションを誇る矢田に抱きつかれるなんて、羨ましすぎるぞ、龍聖!!」

 

……前原一人だけがゲスい考えだった。

 

すると、一陣の風と共に殺せんせーが現れる。

 

「1班の皆さん、お待たせしました。1班は嵯峨野トロッコ列車と保津川渓谷川下りコースでしたね?」

 

「はいもうすぐトロッコの出発なんで行きましょうか」

 

「トロッコなんて初めて乗りますから、先生楽しみです」

 

超ウキウキの殺せんせー。俺たちは、先頭車両の窓のないリッチ席に乗車した。保津峡に差し掛かったところで列車が一旦停車する。そこに響き渡る一発の銃声。だが……

 

 

 

銃弾は、殺せんせーの持っていた八つ橋に止められた。

 

 

 

「マジかよ……」

 

前以て言ってたとはいえ、さすがにこれはレッドアイさんもヘコむんじゃないか?

 

「さて、次の2班は映画村でしたね。川下りも楽しみたいところですが、それは皆さんで楽しんでください」

 

ヌルフフフとフェードアウト気味に飛んでいった殺せんせー。

 

「……俺たちも修学旅行続けよっか」

 

皆、頷くしかなかった。

 

 

 

その後は、八坂神社や金閣寺、本能寺跡に寺田屋跡をまわり、お土産を買いに向かおうとしたとき、携帯が鳴り響く。烏間さんだ。

 

「どうしました?」

 

「4班が暗殺前に他所の高校生とトラブったようだ。ヤツが処理に向かってるが、龍聖も念のため向かってくれるか?」

 

「わかりました、GPSで居場所を探知して向かいます」

 

電話を切ると、今度は駿から電話が掛かってきた。

 

「駿、話は聞いたか?」

 

「ああ、4班の女子2人が拉致られた。俺たちは2人の救出だ」

 

「お前と組むのも久しぶりだな」

 

「頼むぜ、相棒!!」

 

電話を切り、一応持ってきておいた仕事着のスーツに着替えて、得物の小太刀を腰に差す。

 

「なんか、仕事人って感じだな……」

 

「龍聖、素敵♪」

 

「すまないけど、行ってくるよ」

 

桃花からキスを受けた俺は、瞬動を駆使して最高速で現場に向かった。

 

 

 

-side 駿-

 

 

どうやら、龍聖よりも早く着いてしまったみたいだな。

 

「中には女子2人に……6人程か」

 

気配と足音で人数を把握し、物陰を利用して接近する。

 

「もうすぐ、うちの撮影スタッフも来る頃だ。一緒に楽しもーぜ、台無しをよ!!」

 

リーダー格らしき男がゲスい笑みを浮かべている。あんなクズを見てると、ホントに虫酸が走る。

 

だが、しばらくして現れたのは、ボコボコにやられた高校生と、4班の生徒たちだった。

 

「ほう、やるじゃん。つーかなんだあの赤い辞書みたいなの……しおりかよ!?」

 

誰だよ、あんなしおり作ったやつ……

 

「あれ作ったの私です」

 

「は?」

 

後ろから声がしたので振り返ると、黒子みたいな格好のやたらでかい黄色いタコのような生き物と、龍聖がいた。

 

 

 

殺せんせーの弱点⑨

 

世間体を気にする

 

 

 

「初めまして、今代の服部半蔵さん。私が殺せんせーです」

 

「……あんたが」

 

「すみませんね、折角暗殺されるのを楽しみにしていましたのに……」

 

暗殺されるのが楽しみって……

 

自己紹介が終わり、作戦が決まった。殺せんせーと龍聖が高校生と立ち回り、俺がその隙に女子2人を救出。その後は、4班が高校生たちを成敗。

 

俺は、奴らの背後に周り、人質に近づく。

 

「大丈夫か?」

 

「えっと、貴方は?」

 

黒髪ロングの女の子が尋ねてくる。めちゃくちゃ可愛いな、この子。大和撫子を体現したような美しさがあった。

 

「龍聖の同期、といえばわかるかな?今、縄をほどくからな」

 

脇差しで2人の縄を切る。

 

「ありがとうございます」

 

「お礼は後だ。皆と合流だ」

 

彼女たちの手を引き、合流させる。

 

「なっ、いつの間に人質を……!?ふざけやがって!!」

 

「ふざけるな?それはこちらの台詞です」

 

凶器をもって襲いかかってきた高校生たちに、殺せんせーが触手で高校生たちの顎を打つ。俺ですらギリギリ視認出来るか……

 

「ハエが止まるようなスピードと汚い手で私の生徒に触るなど、ふざけるんじゃない!!」

 

その後は、殺せんせーの無双状態だった。

 

「私の教え子たちは、貴方達のように他人を水の底に引っ張るような真似はしません。ドブ川に住もうが清流に住もうが、魚は前に泳げば美しく育つのです」

 

見た目は違えど、しっかりした先生なんだな。何て言うか、心に響く言葉だ。

 

「さて、私の生徒たちよ。彼らを手入れしてあげましょう」

 

立ち上がろうとしていた高校生たちの背後に回った生徒たちが鈍器(しおり)を頭に降り下ろす。躊躇いがねえな、恐ろしい……

 

 

 

「いや~、助かりました。貴方のお陰で迅速に行動できました」

 

状況を終えた俺は、殺せんせーからお礼を受けていた。

 

「仕事って言えばそれまでだけど、あんたに会えたのは有意義な時間だったさ」

 

「それはよかったです。何なら、修学旅行の後、転入してきても構いませんよ?」

 

転入か……それも悪くないかもな。何より、龍聖が楽しいって言ってるんだし。

 

「あ、あの!!」

 

「ん?」

 

俺の後ろにはさっきの人質の子がいた。

 

「さっきはありがとうございました」

 

「気にしないでくれ、これも仕事なんでね」

 

「それでもお礼が言いたかったんです♪」

 

にこやかに話す少女。ヤバイな、マジで惚れちまったかもしれねぇ……

 

「服部 駿だ。君は?」

 

「神崎 有希子です。また、会えますか?」

 

「ああ、きっと会えるさ」

 

決めた。転入しよ……

 

生徒たちと別れた俺は、防衛省に直談判の電話を入れるのだった。

 

 

 

 

-side 桃花-

 

 

渚たちの班が無事に帰ってきたその夜、私は甘いものを食べて垂れていた状態の龍聖を連れて女子の大部屋にいた。

 

「えっと、何で連れてこられたのかな……?」

 

「ちょっとマッサージお願いしたいなって」

 

キョトンとしてる龍聖。

 

「女子全員してくれ、と?」

 

「すごい上手いって聞いたからねぇ」

 

「はあ、わかったよ。で、誰から?」

 

結局、出席番号順にやっていくことに。

 

「そういや、みんな気になる男子とかいないの?」

 

マッサージの半ばから、莉桜の一言でガールズトークが始まった。

 

「はーい、私は烏間先生♪」

 

「いや、先生は普通除外でしょ……」

 

「確かにかっこいいけどさ」

 

「まだましなのは、前原と磯貝、葵君ぐらい?」

 

「前原は女たらしじゃん」

 

「磯貝はその点アリだよね」

 

「顔だけならカルマ君もカッコいいよね」

 

「素行さえよけりゃね」

 

ひなたちゃんの言葉に頷くみんな。

 

「やっぱり1番は龍聖だよね」

 

「頭脳明晰、容姿端麗、運動神経も抜群。言うことないよね」

 

「でもねぇ、もう相手いるしね~」

 

みんなが私を見る。当の本人はマッサージを終えて私の膝の上で八つ橋を堪能しながら垂れていた。

 

その後、ビッチ先生の大人の話を聞こうとしたり、殺せんせーが乱入したり、暗殺したりと盛り沢山で私たちの修学旅行は終わりを迎えた。

 

 

 

 

翌週、烏間先生からの一斉メールで新たに転校生が2人来ることが知らされた。

 

 

 




いかがでしたか?駿くん再登場&転入決定です。
まあ、読んでいれば相手も分かるでしょうが……

次回は転校生の回です。我らが律さん登場ですね。

感想・評価有ればよろしくお願いしますm(__)m


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第10話 転校生の時間

大変お待たせしました。

律ともう一人の転校生の回でございます。

時間掛けた割には駄文です。それではどうぞ。


-side 龍聖-

 

 

「桃花、昨日のメール見た?」

 

「うん、転校生の件でしょ?」

 

修学旅行が終わって次の週、俺と桃花は登校しながら、昨日の一斉メールの話で盛り上がっていた。

 

「まさか、本気で転入してくるとはな……」

 

「同期の同い年の人だよね?」

 

「ああ、あと一人は俺もよく知らないけどな」

 

少し前方では岡島が例の転校生を待ち受けにしており、女子にドン引きされていた。

 

「アイツもバカだよなぁ……」

 

「カメラの腕は確かなのにね……」

 

すべてがエロに繋がってしまう残念なヤツになっている。

 

 

 

教室に入ると、原さんの後ろの席にやたらでかい液晶付きの黒い箱があった。

 

「なんだこれ?」

 

すると突然電源が入り、

 

「おはようございます、みなさん」

 

画面に岡島の携帯の待受になっていた少女が映った。

 

「そうきたか……」

 

「もう、何でもありだね……」

 

クラス全員が思ったに違いない。

 

 

 

-side 神崎-

 

 

「えー、ノルウェーから来た、自立思考固定砲台さんだ」

 

烏間先生がひきつった顔で紹介をしている。その横で殺せんせーがクスクス笑っていた。

 

「あと、もう1人紹介しよう。駿」

 

すると、殺せんせーの横からボンっと白煙が上がった。

 

「ニュヤッ!?何ですか急に!?」

 

「只今、参上……なんてね♪」

 

すると、白煙の中から人影が、えっ……?

 

「服部 駿です。よろしくお願いします」

 

そこには、修学旅行の時に私を助けてくれた人がいました。

 

「彼も龍聖と同じ防衛省に所属する諜報員であり、伊賀忍者の頭領・服部半蔵の末裔でもある」

 

「別名は第17代目・服部半蔵です」

 

どよめくクラス内。でも、私はそれよりも再び会えたことが嬉しかった。あの時は、大したお礼も言えずに彼は去ってしまったから……

 

服部君は菅谷くんの後ろに座った。次の休み時間にお話ししたいな……

 

だけど、その願いはもう一人の転校生によって叶わなかった。

 

授業中にもかかわらず、銃器を複数展開して授業を中断させてしまう。私たちはその片付けに追われる始末

。すると、掃除の最中に、

 

「何か、話があるみたいだね。放課後、一緒に帰ろうか?」

 

と、彼の方から話しに来てくれた。

 

 

 

放課後、掃除を終えて教室を出ると彼がそこで待ってくれていた。

 

「駅前でお茶でもする?」

 

「あ、はい。おまかせします」

 

私は彼の案内で駅前の喫茶店でお茶をしながら話をすることに決めた。

 

追跡者がいるとも知らずに……

 

 

-side 渚-

 

 

「で、何で僕たちこんなことしてんの?」

 

「服部のヤツ、神崎さんと……」

 

何故か僕と杉野、中村さんと不破さん、茅野にカルマ君、殺せんせーは神崎さんと転校生の後を尾行していた。

 

「ヌルフフフ、神崎さんにもついに春がやって来ましたね。これでいい恋愛小説が書けそうですよ」

 

 

殺せんせーの弱点⑩

 

下世話(げせわ)

 

 

 

「しっかし、神崎さんと彼、妙に絵になるな……」

 

そう、何でか分からないけど2人が並ぶとものすごい絵になっているのだ。文章ではとても言い表せないくらいに(文才がなくてすみません……)。

 

何か作者の心の声が聞こえたような……

 

「あれ、葵君と矢田さんだよ?」

 

すると、3ーEのおしどり夫婦になりつつある2人が服部君と神崎さんに近づき、そのまま合流してしまった。下手に近付けないので、とりあえずはそのまま動向を見守ることになった。

 

 

 

 

-side 龍聖-

 

 

放課後、桃花とお茶でもしようと思っていたら駿と神崎さんがお茶しているのを偶然見かけたのでお邪魔させてもらうことにした。

 

「それにしても、意外だな。神崎さんの方からこいつを誘うなんて」

 

「修学旅行の時のお礼も言えずに去ってしまいましたから、是非ともと思って」

 

「駿、お前も隅に置けないな」

 

「茶化すなよ。それに俺は真剣だ。神崎さん」

 

「は、はい。」

 

「もしよければ、俺とお付き合いしてほしい。もちろん、修学旅行のお礼とかそういうのは抜きで考えてくれ」

 

駿のヤツ、俺たちの前で告りやがった。大胆なことするな……

 

「はい、私なんかでよければお願いいたします♪」

 

「ありがとう、神崎さん!!」

 

あまりの嬉しさに駿が神崎さんを抱き締める。

 

「あ、あの、みんな見てますし……」

 

大人しい神崎さんが今にも消えそうな声で駿に言う。

 

「あ、ごめん。嬉しくてつい……」

 

こいつはホントに純粋だなぁ……あとは、

 

「駿、めでたいとこ悪いが煙玉あるか?」

 

「ん?あるにはあるが……」

 

俺は駿から煙玉をもらうと、植え込みの方に投げ込む。ドンっと爆発した後、植え込みの影から数人の人影が出てきた。

 

「お前ら、もうちょい気配隠すとか無いのかよ?」

 

「何でわかんのよ?」

 

「だから気配駄々漏れだって」

 

しばらくして、殺せんせーは用事があると言ってそのまま去っていった。

 

「ああ、あとカルマ」

 

俺は、もう1人の問題児に釘を差すことにした。

 

「ん、何?」

 

「俺たちにイタズラはもう効かないからな。抱き合ってるとことかキスとか見られても、恥ずかしいとか思わないし」

 

「え~、つまんないなぁ。まあ、しばらくはもう1組でからかうから」

 

悪魔の笑みを浮かべるカルマ。

 

「別れるようなことになるような真似は絶対するなよ」

 

「そこまではしないさ」

 

じゃあね~と言ってカルマも帰っていった。全く、とぼやきつつ俺たちも今日は解散した。

 

 

 

翌日、いつもの如く桃花と登校すると、みんなが自立思考固定砲台の周りに集まっていた。

 

「どうしたんだ?」

 

よく見ると、何か体積が増している。すると、電源が入り、

 

「みなさん、おはようございます♪」

 

「「「「ええ~!?」」」」

 

明らかに昨日の無表情とは違う別キャラがいた。

 

「折角の転校生です。みなさんと仲良くなってもらいたいので性能アップを施してみました。お陰で先生の財布の残高5円です!!」

 

すると、5円玉を掲げた殺せんせーがやって来た。

 

「いや、知らねえよ」

 

「というわけで龍聖君。しばらくご馳走してください」

 

「教師が生徒に飯をたかんなよ!?」

 

何はともあれ、この性能アップのお陰でクラスの人気者(?)になったのは言うまでもない。みんなに律という名前まで付けてもらったようだ。

 

「あとの心配は……開発者の方か」

 

「たしかあのマッド、大量破壊兵器の開発の疑惑あったよな?」

 

「今夜、張ってみるか」

 

俺と駿は今夜この教室に待ち伏せすることにした。

 

 

 

「なんだこれは!?」

 

開発者の白衣の男が殺せんせーに改造された律を見て憤怒の声をあげる。

 

「すぐにオーバーホールだ!!こいつのシステムはイージス艦のミサイルにも使われる予定だ。将来的には核ミサイルにも搭載して戦争に役立たせるためだ。100億などはした金にすぎん、その後の収益の方が大事だ」

 

「戦争や核ミサイル目的となりゃ、俺たちが黙っちゃいないぞ」

 

「だ、誰だ!?」

 

俺と駿は技術スタッフたちの前に姿を現す。

 

「俺たちの顔、見忘れたとは言わねえよな?」

 

「なっ!?貴様ら諜報部の!?」

 

「オーバーホールまでなら見過ごしてたが、その手に持ってる自爆装置のプログラムまでは見過ごすわけには行かねえな」

 

「生徒に危害を加えるような行為、おまけに大量破壊兵器の疑惑、きっちり吐いてもらおうか」

 

「くそっ!?この二人を始末しろ!?」

 

スタッフたちが拳銃を抜くが、俺が小太刀で拳銃を真っ二つに斬る。スタッフたちが驚いている隙に駿が峰打ちで気絶させていく。

 

「言い残すことはあるか?」

 

刀の切っ先を開発者に向ける。

 

「くそ、私の夢が……」

 

「戦争の先に未来なんかあるか。あるのは絶望だけだ」

 

その後、烏間さんな連絡を入れ、開発者とスタッフたちは拘束された。後に厳正な処罰を与えられるということだ。

 

「律、大丈夫か?」

 

「はい、お2人のお陰で助かりました」

 

「俺たちはクラスメイトであり、暗殺の仲間だ。困ったときは言ってくれよ?」

 

「はい♪」

 

こうして、新たな仲間が3ーEに加わった。

 

 

 




いかがでしたか?こんな展開ですみません。

次回はロヴロ先生の回です。久々に修行の方も書きたいと思います。

感想・評価あればよろしくお願いしますm(__)m




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第11話 鍛練の時間

お待たせしました。今回は鍛練のみです。

ロヴロ先生の登場は次回に持ち越します。

それではどうぞ。




-side 龍聖-

 

今日は前にも言った、全員の鍛練の方法を考えるため、3ーE全員を家に呼んだ。

 

「まずは、今まで稽古をつけてきた4人に演舞をしてもらうから。演舞と言ってもかなり実践的なやつだけどね」

 

全員の前で、桃花と片岡・岡野・速水の4名の演舞が行われた。普通の演舞よりも激しい打ち合いにみんなは言葉を奪われていた。

 

「4人はこの2ヶ月で実戦に近い形で稽古をつけてきた。殺せんせーに言われた通り、第2の刃を身につけたと言ってもいいかな。だから俺からみんなに第2・第3の刃を提供したいと思ってる」

 

講師は俺と駿が務めることになった。

 

「まずは、みんな着替えてもう一度スタジオに集合してもらおうかな」

 

その間にスタジオを高温多湿の状態にしないとな。

 

 

 

-side 茅野-

 

 

演舞の後、更衣室で女子達が4人の周りに集まっていた。

 

「桃花ちゃんたち、すごいね!!」

 

「いつの間にあんな練習してたの?」

 

苦笑しながら対応する4人。すると、中村さんが……

 

「ていうかさ、4人とも胸大きくなってない?」

 

とても気になることを言っていた。

 

「えっと、実は……」

 

「龍聖君の稽古受けてから……」

 

「ブラのサイズが1つ上がった」

 

そして、衝撃の答えが帰ってきた。葵君の稽古を受けると胸が大きくなるの!?

 

「何か秘密でもあるのかな?」

 

「まさか、龍聖君に揉んでもらってるとか……」

 

「莉桜、何を変なこと言ってるのかな……?」

 

「ひっ!?」

 

中村さんの後ろには、何か闘気を纏った矢田さんが……

 

「龍聖がそんなことするわけないでしょ!!」

 

「ぱぼらっ!?」

 

矢田さんの体当たりと共に、中村さんが謎の断末魔を上げて吹っ飛ぶ。

 

「あ、この4人の中で桃花が1番強いから」

 

「すいませんでした!!」

 

ボロボロの中村さんが矢田さんに謝る。

 

「ほら、そろそろ準備も終わる頃だから早く着替えていこうよ」

 

私たちが着替えてスタジオに入ると、そこは灼熱の空間に変わっていた。

 

 

 

-side 龍聖-

 

 

みんなが着替えてスタジオに入ってきた。やはりこの空間の異常さに驚いているようだ。

 

「まずはみんなにも八極拳の型から入ってもらう。そこから、個々に合わせたスタイルを提案していくから」

 

初めの2時間は型の練習。

 

「ゆっくりの動きだから楽かと思って舐めてた……」

 

前原が汗だくになりながらも着実に型を習得していく。

 

「チッ、何で俺がこんなこと……」

 

寺坂も不満を言いながらも少しずつではあるが習得していく。

 

「女子たちのスポーツウェア、たまんねえな♪」

 

「岡島、お前はもうちょい集中しろ」

 

こいつだけ、別室にしようかな……

 

「一旦休憩にしようか。しっかりと水分を取ってまたここに集合で」

 

休憩後、それぞれのタイプに合うスタイルを提示していくことにした。

 

「まずは男子から。寺坂・吉田・村松、3人は空手をベースにする。磯貝・前原・木村・杉野・岡島はキックボクシング、カルマ・千葉・渚はムエタイ、菅谷・三村はテコンドー、竹林は合気道だ」

 

「続いて女子。原・片岡・茅野さんは空手。岡野・不破・速水さんはテコンドー。奥田・神崎・倉橋・狭間さんは合気道。中村さん、あと桃花はムエタイで。」

 

ようやく全員の振り分けが終わり、それぞれの個別稽古が始まった。まずは合気道班からだ。

 

「合気道は相手の動き、力、呼吸を合わせ、利用することで最大限の力を放つことができる。よく相手の動きを見極めること。観察眼の優れた君たちなら簡単さ」

 

次に空手班。

 

「空手は相手の急所に正確に攻撃を与える技量と一撃の力強さ。まずはそこから鍛えていこうか」

 

次にテコンドー班。

 

「テコンドーは知っての通り、足技が主体の格闘技だ。立ち技からの相手が予測できない多彩な蹴りで地に沈める。最初は体の柔軟性を高めることから始めよう」

 

最後にキックボクシング・ムエタイ班。

 

「この2つは一見似ているようで実は違う。キックボクシングは一撃も狙うが、長期戦にも多少は対応できる。ムエタイはあまり長期戦向きではない、常に一撃必殺を狙いにいくと思ってもらえるかな」

 

一通りレクチャーをしたところで、俺と駿の2人で1人1人全員の相手役を務めた。

 

2時間ほど組手やら型の練習をしてみんなは汗だくになっていた。

 

「これをあの4人は2ヶ月もやってたのか……」

 

「そりゃ痩せるし綺麗になるわね……」

 

みんなかなりへばっているが、

 

「今日は夜も遅いし、晩ご飯は食べていきなよ」

 

この一言でみんなが元気になった。こうなることを見込んであらかじめ3種類のカレーを用意していた。

 

「金沢カレー・シーフードカレー・札幌スープカレー。たくさん作ったからおかわりもしてね」

 

付け合わせのサラダと共に、カレーは綺麗に完食された。

 

「これから稽古は継続的にやっていく予定だからよろしく。予定があるときは早めに連絡してね」

 

みんなが解散したあと、俺と駿は稽古の内容を相談していた。

 

「そろそろハンデつけるのもキツくなってきたかな?」

 

「お前にそう言わせるE組のみんなはどんだけ才能秘めてんだよ……」

 

「特に渚は暗殺の才能がある。この前の集会の時に見せた殺気といい、自然すぎる体運び、組手をしている最中に感じた威圧感。本人は自覚してないがとんでもなく化けるぞ」

 

「化けるっつったらお前の彼女・桃花ちゃんも相当じゃん」

 

「ああ、本人は楽しくやってるみたいだがな。最近じゃこっちが合わせるだけで精一杯だ」

 

「全くだ」

 

他愛ない話をしながら、個別カリキュラムを作成し、駿は帰っていった。

 

「そういや、最近あんまり構ってやれてないな」

 

桃花との2人の時間が少ないな……

 

「今度2人で出掛けるかな」

 

俺はデートプランも考えながら明日の朝ご飯の仕込みをするのだった。

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

それにしても稽古受けたら胸が大きくなるって……

龍聖「俺はなにもしてないぞ?」

ですよね~。健康的な運動と食事がなせる技かもですね。

今回の格闘技の見解に関してですが、個人的な独断の見解ですので実際とは違うところがあると思います。予めご了承ください。

次回はロヴロ先生の回です(今度こそ)

感想・評価があればよろしくお願いしますm(__)m




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第12話 LRの時間

お待たせしました。ロヴロ先生の回ですがほとんど出番はありません。

桃花の弟くん初登場です。それではどうぞ。


-side 龍聖-

 

 

みんなに個別稽古をつけてから1週間、既に抜きん出た者も出てきた。

 

「おりゃ!!はっ!!」

 

意外にも寺坂がセンスがあるのには驚いた。元々喧嘩っ早い性格だと思っていたが、それを話したら、

 

「俺にだって人を見る目ぐらいはある。龍聖、お前なら教えを請う価値があると判断したまでだ」

 

と言われた。アイツから高評価をもらえたのは少し嬉しかったりする。

 

「あん?何ニヤついてんだよ」

 

「いや、何でもない。次は上段後ろ回し蹴りだな」

 

「おう、きっちり防がねえと怪我するぜ」

 

俺は寺坂の組手の相手をしながら、次のステップのメニューを考えていた。

 

 

 

-side 烏間-

 

 

放課後、校舎の見回りをしてから帰宅しようとしたところ、イリーナが見知らぬ男にワイヤーで釣られているのを見つけた。

 

「何者だ?女に仕掛けるトラップではないぞ」

 

「対処法ぐらい教えてある。私が何者かだったな。イリーナ・イェラビッチをこの国に紹介した人物、と言えばいいか」

 

「殺し屋・ロヴロ……!?」

 

なぜこの男がここに居る……!?

 

「イリーナ、今日限りで撤収しろ。お前にこの暗殺は不可能だ」

 

「やれます、必ずやってみせま……!?」

 

ロヴロがイリーナの背後に瞬時に回り、首筋に手を当てる。

 

「人には得手不得手がある。今この場が、お前が今日授業でやっていたLとRじゃないのか?」

 

「半分正解、半分不正解ですね」

 

すると、上海から帰ってきたヤツがロヴロとイリーナの顔を触手で押さえる。顔は赤と紫のツートンになっている。

 

「何しに来た、ウルトラクイズ」

 

「随分な呼び方ですね、烏間先生」

 

「あんたが……」

 

「初めまして、ロヴロさん。確かに、イリーナ先生は私から見れば暗殺者としては恐るるに足りません。クソです「誰がクソだ!!」ですが彼女という暗殺者こそこの教室に必要なのですよ」

 

しかもあのタコ、明日中に俺にナイフを当てるという何とも傍迷惑(はためいわく)なルールを付けやがった。

 

家に帰り、龍聖に事情を説明したら、

 

「何というか、烏間さんも殺せんせーにだいぶ振り回されてますね……」

 

「全くだ……。急で申し訳ないが、君たちに迷惑はかけないつもりだ。明日は外で食事は済ませてくる予定だから、久しぶりに矢田さんと出掛けてきたらどうだ?」

 

「……まさか烏間さんからそんな提案が来るなんて思いませんでしたよ。わかりました、明日はお言葉に甘えさせていただきます」

 

さて、明日はどう凌ごうか、そんなことばかり考えていた。

 

 

 

-side 龍聖-

 

 

「桃花、今日の放課後お茶でもして帰ろっか?」

 

「うん♪何か久しぶりだね~」

 

「ここんとこ忙しかったからな」

 

昼休みに桃花とお茶の約束をして、ふと外をみると、ビッチ先生が烏間さんにワイヤートラップを仕掛けて馬乗りになっていた。

 

「ほお、やるじゃないか」

 

そのあと、おねだり攻撃であきれた様子で烏間さんにナイフが当たった。その様子を見ていた生徒たちはビッチ先生の残留決定に喜んでいた。中でも1番喜んでいたのは交渉術を積極的に学んでいた桃花だ。

 

「よかったな、桃花」

 

「うん♪」

 

腕に抱きつく桃花は本当に嬉しそうだ。俺は烏間さんに歩み寄る。

 

「不意を突かれましたね♪」

 

「さすがにワイヤートラップには驚いた。あれは負けのカウントに入れたくないな」

 

「まあ、そうでしょうね。今日一日大変だった烏間さんに、外食とは言わずに今日食べたいものを決めさせてあげます」

 

「……旨い魚が食べたいな」

 

「わかりました」

 

「あ、烏間先生。私もお邪魔してもいいですか?弟

とかもいますけど」

 

「ああ、別に大丈夫だ」

 

折角なので、桃花と弟くんも呼ぶことにした。俺たちは、お茶をしたあと、買い物をしてから桃花の弟くんを迎えに行き、家に帰ってきた。

 

「ねえお姉ちゃん」

 

「なあに?」

 

「あのお兄ちゃんはお姉ちゃんの恋人なの?」

 

「そうだよ。お姉ちゃんの大好きな人なんだよ♪」

 

夕飯の準備をしている(かたわ)ら、桃花は弟に俺のことを説明していた。何か聞いてて恥ずかしいな……

 

「あの……」

 

「ん?」

 

すると、弟くんが俺に歩み寄って来た。

 

「矢田 桃李(とうり)って言います。よろしくお願いします」

 

ホントに良くできた子だな……

 

「俺は、葵 龍聖。よろしくな、桃李」

 

「あの……お兄ちゃんって呼んでもいいですか?」

 

俺は返答に困った。桃花の方を見ると、何か謝るようなサインを送ってきた。

 

「ああ、別に構わないよ。今日は美味しいご飯食べて元気になって帰ってくれな」

 

「はい♪」

 

やっぱり子供は笑顔だな……

 

さて、今日は(ぶり)づくしにしてみた。鰤の炙りカルパッチョ風、ぶり大根、鰤の冷しゃぶ、寒ブリの握りだ。

 

「美味しい♪」

 

「これはまた、美味いな……」

 

桃李も烏間さんも美味しそうに食べてくれている。

 

「それにしても、矢田さんも料理が上手いんだな」

 

「いえそんな、龍聖に比べたら私なんか……」

 

「2人の料理をしている姿はもはや新婚夫婦みたいだぞ」

 

「ぶっ!?」

 

「なっ!?」

 

なんつーことを言い出すんだよ、烏間さん!?桃花も顔真っ赤じゃねえかよ!?

 

「お兄ちゃん、お姉ちゃん、顔赤いけど大丈夫?」

 

桃李が顔を覗き込んでくる。

 

「だ、大丈夫だよ」

 

「う、うん……」

 

まだ顔の赤みが抜けないな……

 

その後も、顔の赤みはあまり引かず、烏間さんの一言が俺と桃花の間でずっと尾を引いていた。

 

夕飯後、すっかり日も暮れて俺は桃花と桃李を家まで送っていた。

 

「今日はありがとうね、龍聖」

 

「桃李も喜んでくれたみたいだしな」

 

その桃李といえば俺の背中でスヤスヤと眠っている。それにしても、

 

「新婚夫婦みたい、か……」

 

「龍聖!?」

 

思わず口にしてしまったようだ。何か気まずい……

 

「龍聖」

 

桃花が俺の顔を見上げるように視線をこちらに向ける。

 

「これからの将来、私たちってどうなってるのかな?」

 

「そうだな……殺せんせーの暗殺が成功したあと、先生の教えを胸に大人になっていくんだろうな。就職して、結婚して、子供が生まれて、子供に今までの経験を教えて、それの繰り返しなんだろうな」

 

「私たちもそうなのかな?」

 

「どうだろうね」

 

「私、龍聖となら結婚したいな」

 

顔を真っ赤にしながらも笑顔で答える桃花。

 

「俺もだよ」

 

そんな俺も顔は真っ赤なんだろうな……

 

そんなことを考えながら彼女の唇にキスをし、優しく髪を撫でる。目を細めて気持ち良さそうにする桃花を見ながら、彼女の家路を付き添うのだった。

 

 

 




いかがでしたか?文の繋がりが無さすぎてツラいです……

あと、弟の名前は桃李にしました。彼からみた龍聖はまさしくお義兄ちゃんなんでしょう(笑)

次回は転校生二人目!!イトナの回です。

感想・評価あればよろしくお願いしますm(__)m


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第13話 転校生の時間 2時間目

皆さん、ご無沙汰です。仕事の忙しさとそれに伴う体調の急変やらでなかなか執筆出来ずに居ました。何とか年明け前に投稿することができ、少しホッとしています。

では、本編をお楽しみください。




-side 龍聖-

 

 

前回、何か婚約じみたものをしてから1週間、季節は梅雨に入っていた。俺と桃花は相合い傘で登校していた。

 

「また転校生の殺し屋来るらしいな」

 

「うん、今回はみんな情報は詳しく知らないみたいだよ」

 

はてさて、どんなヤツが来るのやら……

 

 

 

「おはようございます」

 

挨拶をする殺せんせーだが、何か頭がでかくなっていた。

 

「何がどういう経緯でそうなったんだ……」

 

「湿気を吸ってしまいました。搾ればある程度元に戻ります」

 

殺せんせーの弱点⑪

 

しける

 

 

 

「さて、皆さん。今日から新たな転校生が来ることは、烏間先生の一斉メールでご存じですね」

 

「まあ、ぶっちゃけ殺し屋だろうな」

 

「律、何か知らないの?転校生の情報」

 

原さんが後ろの律に話を振る。

 

「詳しくはわかりませんが……本来、私ともう1人は同時に投入される予定でした。しかし、それは2つの理由で実行されませんでした」

 

何だろうか、同時投入できなかった理由って……

 

「1つは、彼の調整に時間がかかってしまったこと。そして、もう1つが……私が彼の暗殺のサポートに追い付けないからです」

 

律の語る話に静まる教室。殺せんせーは冷や汗をかいていた。すると、教室のドアが開き、白装束の顔を隠した人が立っていた。こちらに掌を向けて、拳を握る。ポン!!と音と共に掌に鳩が現れた。

 

「いや~、驚かせてすみません。ああ、私は転校生じゃないよ。転校生の保護者、まあ白いしシロとでも呼んでくれるかな」

 

ふと殺せんせーがいないことに気づいた俺は教室を見渡した。すると、天井の隅で液状化していた。

 

「殺せんせー、ビビりすぎだろ!?」

 

「いやぁ、律さんがおっかない話をするもんですから」

 

殺せんせーの弱点⑫

 

噂に踊らされる

 

 

シロは、教室全体を見渡して生徒の様子を見ている。ん?渚と茅野の方で視線が止まった……?

 

「いや、みんないい子そうでよかったです。これならあの子も馴染めそうだ。そろそろ紹介しようか。おーい、入っておいでイトナ!!」

 

すると、教室の壁の方から気配を感じた。突っ込んでくる!?

 

「カルマ・駿・菅谷、後ろの壁から離れろ!!」

 

俺の言葉に即座に離れる3人。その直後、壁を破壊して入ってくる人影が現れた。

 

「俺は勝った。この壁より強いことが証明された……」

 

いや、ドアから入れよ。それにしても、また変なのが来たな……

 

「堀部イトナだ。みんな仲良くしてあげてくれ」

 

表情が読み取れない、厄介なヤツなのは確かだな……

 

「ねえ、イトナくん。1つ聞きたいんだけど」

 

すると、カルマがイトナに話しかけた。

 

「イトナくん、今外から入ってきたよね?だけどなんで濡れてないのかな?」

 

確かに、転校生の体は雨の滴すら付着していなかった。どういうことだ?

 

「安心しろ。俺は俺より強いヤツしか殺さない。俺はお前より強い。だからお前は殺さない」

 

だが、イトナはカルマの言葉を無視して羊羮(ようかん)を食べる殺せんせーの前に立つ。

 

「俺より強いのはあんただけだ、殺せんせー」

 

「強い弱いとはケンカのことですか、イトナくん?それでは先生と同じ土俵には立てませんよ?」

 

「立てるさ。何故なら、俺と先生は血を分けた兄弟なんだから」

 

「「「「「「「きょ、兄弟!?」」」」」」」

 

そんな馬鹿な!?全然違うじゃねえか!?

 

「放課後、どちらが強いか決着をつけよう、兄さん」

 

そう言い残して、イトナとシロは教室から退出した。

 

「殺せんせー、どういうことだよ!?」

 

「兄弟いるなんて聞いてないよ!?」

 

その直後、殺せんせーに対する質問、もとい尋問が繰り広げられた。

 

「先生全く身に覚えがありませんよ!?」

 

「桃花、ちょっと教員室に行ってくる」

 

「うん」

 

俺は教室を出た後、同じく出てきた駿を連れて教員室に向かった。

 

「烏間さん」

 

「どうした?」

 

「あの男、何者ですか?」

 

「それに、イトナの情報も全く入ってこないって……」

 

「それについては、俺も聞かされてないんだ。全て付添人のシロに一任するように、としかな……」

 

「……わかりました。万が一、不穏な動きを見せるようなことがあれば、俺たちも動きます」

 

「ああ、頼んだぞ」

 

「失礼します」

 

それから、たいした動きもないまま放課後を迎えた。

 

 

 

 

放課後、教室には机で囲まれたリングが形成された。

 

「このリングの外に足が着いたら死亡、それで構わないね、殺せんせー?」

 

「なんだそれ?そんなの勝手に決めて「いや、有効だよ杉野」えっ?」

 

杉野がいちゃもんをつけようとしたところをカルマに止められる。

 

「みんながいる前で決めたルールだ。守らないと先生としての威厳が落ちる。こういう手、意外と効くんだよね、殺せんせーには……」

 

「いいでしょう、受けてたちます。ただし、観衆である生徒たちに危害を加えた場合も負けですよ?」

 

カルマの言う通り、殺せんせーはイトナ側の条件を承諾した。

 

「では、暗殺……開始!!」

 

開始の合図と共に弾け飛ぶ殺せんせーの触手。だが、俺たちの視線は別のところにあった。

 

イトナの髪から触手が生えていた。

 

「……こだ……」

 

すると、殺せんせーが何かぶつぶつと言い始めた。声色は地を這うようなドスの聞いた声だ。

 

「どこで手にいれた……その触手を!!」

 

今まで見てきた中でも1番怒っている顔だ。

 

「教えないよ、死ぬからね」

 

シロが話すと同時に、袖口から謎の光線が発射され、殺せんせーの動きが固まる。その隙に、イトナが触手を振るい、殺せんせーの触手を破壊する。だが、そのときの衝撃で床の木材が飛散し、

 

 

 

桃花に迫っていた。

 

 

 

 

「危ない!?」

 

俺は無意識に体が動いていた。桃花を抱き寄せ、木材から庇った。その結果、

 

 

俺の背中に2本の木材が突き刺さった。

 

 

 

-side 桃花-

 

 

「えっ……?」

 

私は今起きたことが理解出来ていなかった。

 

「桃花、大丈夫……か?」

 

飛散した木材から私を庇ったせいで血を流して私の腕の中で崩れる龍聖。周りからは悲鳴も上がっている。

 

「イトナ君、中止です!!彼の治療をしなくては!!」

 

殺せんせーが叫ぶが、イトナ君は止まらない。

 

「イトナ、止まりなさい」

 

シロさんの言葉にも耳を貸さず、ひたすらに殺せんせーに触手を振るい攻撃を続けるイトナ君。

 

すると、突如として教室の空気が凍りついた感覚に襲われた。しかも、私のすぐ近くから。

 

「止マレ……」

 

その正体は龍聖だった。しかし、髪の色が黒だった筈が、真っ白に染まっていた。

 

「まずい!?暴走しかかっている!!」

 

「烏間先生、それって一体……」

 

どういうことかと聞こうとした矢先、私の体から龍聖が離れる。そして、虚ろな瞳でイトナ君を視界に捉える。イトナ君も何か底知れぬモノを感じたのか、龍聖に向けて飛び掛かった。

 

 

ドスン!?

 

 

次の瞬間、イトナ君は教室の床にめり込んで倒れていた。

 

「な、何が起きたんだ!?」

 

みんなは驚愕と困惑の表情で固まっていたが、私にははっきり見えた。

 

目視ギリギリの速さで接近し、強烈な右の拳を振り下ろした龍聖の姿を……

 

そのあと、龍聖も一緒に倒れてしまい、私は烏間先生と一緒に救急車に乗り込み、防衛省直轄の病院に移動した。

 

すぐさま緊急の手当てがなされ、龍聖の命に別状はなかった。

 

「矢田さん、あまり無理はしないようにな」

 

「ありがとうございます」

 

私は烏間先生と両親の許可を得て、病室に泊まることにした。龍聖は規則正しい寝息をたてている。私も、ベッドからはみ出していた左腕を抱きしめて、深い眠りに着いた。

 

 

 

 

-Side 龍聖-

 

 

「ん……」

 

陽射しの眩しさで目を覚ます。確か……

 

「また、俺は暴走したのか……」

 

痛む背中を庇いながら体を起こそうとするが、左腕に違和感を感じた。

 

「あれ……桃花?」

 

左腕に桃花が抱きついて眠っていた。いつものことながら、また柔らかい感触が……

 

「う、ん……」

 

すると、起こしてしまったのか桃花が目を覚ました。

 

「おはよう、桃花」

 

優しく髪を撫でる。

 

「よかった、無事で……」

 

目尻に涙を溜めた桃花が絞るように声を出す。俺は桃花の髪を右手で優しく撫でる。

 

「心配かけてごめんな」

 

「ううん、私のせいで怪我負わせちゃって……」

 

俺はなかなか折れない桃花の唇をキスで塞いだ。不意打ちを喰らった桃花は目を見開いて顔を赤く染めている。

 

「おぅおぅ、朝っぱらからお熱いなぁ~www」

 

「「!?」」

 

急に声をかけられ、ビクッとなる。声がした方を見ると病室の入口でニヤニヤした駿と、顔を朱に染めながら微笑ましい表情の神崎さん。頭を押さえながらため息をつく烏間さんとこれまたニヤニヤしたビッチ先生。

 

「龍聖、ダメだとは言わんが場所を(わきま)えなさい」

 

「す、すみません」

 

気まずい空気になったので、話を変える。

 

「怪我の具合はどうなんですか?」

 

「ああ、しばらくは安静だそうだが、日常生活に問題はないそうだ」

 

「そうですか。よかった」

 

「しばらくは鍛練は自粛しておいた方がいいだろうな」

 

「わかりました」

 

「あと、今回の件、そろそろ話した方がいいと思うが、どう思う?」

 

俺は、一瞬迷ったが……

 

「退院後、みんなに話すことにします」

 

不安そうに見つめる桃花の髪を撫でながら烏間さんに話した。

 

「今日はゆっくり休んでおいた方がいい。学校への連絡もこちらからしておこう」

 

みんなが部屋を出たあと、俺は自分の中に眠る呪われた血の話をどう話そうか、言葉を選ぶことにした。

 

そして翌日、放課後に俺はみんなに俺の過去を打ち明けることにした。

 

 

 




いかがでしたか?龍聖の言う呪われた血の話とは一体何なのか、次回明かされる予定です。




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第14話 身の上話の時間

ご無沙汰してます。仕事が忙しくて執筆のモチベーションが上がらずに遅くなってしまいました。短いですが、どうぞ。


-side 渚-

 

 

イトナ君の決闘染みた暗殺から2日後、龍聖君が退院して学校にやって来た。そして、みんなに気になることを告げた。

 

「放課後に、話がある。俺の過去の話をしようと思う」

 

人体実験を受けていたって言うあの話なのかな?僕も少し気になりながら放課後を迎えた。みんな席につき、殺せんせー、烏間先生、ビッチ先生も横に待機していた。

 

「まずは、みんなに心配をかけてしまったことを謝罪します」

 

話の冒頭で、深々と礼をする龍聖君。

 

「まず、一部の人には話したけど、俺は幼少期に古代生物の復活を目的とした人体実験の被験者にされていたんだ。いろんな薬を投与されてボロボロになっていたところを烏間さんの所属していた精鋭部隊に保護されたんだ」

 

「あの時は既に息も絶え絶えでかなり危険な状況だった」

 

僕とカルマ君以外は予想もしなかった龍聖君の過去に驚きを隠せないでいた。

 

「俺は、過去の怪物の力に関する研究の対象にされていた。体の中には、人工的ではあるけど八股大蛇(やまたのおろち)の血が流れてる。その影響で、人智を越えた身体能力と“邪眼”と呼ぶ、目があった対象に一分間の幻影を見せる魔眼を携えることになったんだ。」

 

「しかも、実験を行っていた人物は……龍聖の実の父親だ」

 

更に語られた事実に皆は言葉を失う。普通なら、父親からも愛情を受けて子供は育つものだ。龍聖君は、それすらも与えられていなかったのだ。

 

(いにしえ)の力を復活させたいという龍聖の父親の願いだったらしいが、何故そのような願いをもったのかは今のところ不明だ」

 

「烏間さんに助けられたあとは、防衛省で治療と訓練を受けながら今まで過ごしてきた。そして、春から君達に出会った」

 

「任務で人を殺めた以外は、君たちと何も変わらない普通の青年であってほしい。俺の、いや俺たちの部隊の願いだ」

 

「これが、俺の過ごしてきた過去だ」

 

女子たちには辛すぎる内容だっただろうか、大半が涙を流していた。男子も苦虫を潰したような顔をしていた。

 

「っていうかさ、みんななんて顔してんの?」

 

そんな中、声を上げたのはカルマだった。

 

「どういうこと、カルマ君?」

 

「龍聖はみんなに哀れんでほしいからこの事を話したんじゃないでしょ?みんなに覚悟を聞いてるんだよ。こんな俺でも仲間でいてくれますか?ってさ」

 

「ああ、カルマの言うとおりだ。得体の知れないモノがあったら気になるし、害を成すのなら遠ざけるのが賢明だからな」

 

「そんなことは……」

 

「言い切れないだろ?」

 

ない、そう続けたかった僕の言葉は龍聖くんに遮られた。

 

「それに、俺だって怖いさ。また暴走して、今度は皆のことを傷つけてしまうかもしれない」

 

「安心しろよ」

 

後ろから声がした。意外にも寺坂くんだった。

 

「確かに、オメェの暴走は脅威かも知れねぇ。けどよ、俺たちはオメェのことを本気で仲間だと思って信用してんだよ。なのに、オメェが俺たち信用しねぇでどうすんだよ!」

 

寺坂くんの言葉は、僕たちの心に深く響いた。きっと龍聖くんにも……

 

「……ああ、そうだったな。俺もすっかり皆のことを勘違いしていた。皆の役に立てるように俺も頑張るよ」

 

そう言って笑顔を見せた龍聖くんはとても晴れやかな表情だった。

 

 

 

 

-side 龍聖-

 

 

「龍聖、いいんだな?」

 

「はい、このまま任務を続行させてください」

 

「わかった」

 

放課後、烏間さんに呼ばれた俺はこの暗殺任務の継続の是非を聞かれていた。

 

返答をした後、職員室を出たところに桃花が待っていた。

 

「龍聖、烏間先生何て?」

 

「このまま任務を続けるかどうか、だってさ。もちろん、続けるさ」

 

「よかった♪」

 

満面の笑みを浮かべながら桃花が抱きついてきた。最近スキンシップがだんだん激しくなっているのは気のせいだろうか……俺の理性がだんだん削られていく。

 

「帰りにお茶でもして帰ろうか?」

 

「何だか久しぶりだね、こんな感じでデートするのも♪」

 

「そうだな」

 

こんな幸せがずっと続くといいなと願いながら、放課後のデートを楽しんでいた。

 

 

 

 




いかがでしたか?龍聖の力に隠された過去は今後更に明らかになっていきます。
それでは次回もお楽しみに。
久々ですが、感想もお待ちしてます。


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