時忘れのエーヴィヒカイト (掵桐)
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プロローグ

初めて小説書きました
ダメなてんご指摘ください
拙い作品ですが読んでくれると嬉しいです


大地は燃え、空は黒く焦げ付いている。

その光景はまさに地獄だった。

 

人々は皆生き延びようと必死にもがく。

振り返ることなくひたすら逃げるもの。自らが生き残るために他者を蹴落とし、命を奪うもの。

諦め、天に祈るもの。

戦場を恐れ、死を拒み、醜く生き延びようとする。

だが最後はみな、誰ともつかぬ醜い焦げ付いた肉塊となる。

数え切れぬ死体が転がっているここは街の広場だった。

つい先日まで人々が賑わっていた場所。

しかしそんな場所であろうが関係なく戦火は襲ってくる。

火に飲まれた理由は単純、ここが敵国の領土だから、ただそれだけだ。

戦争とはそういうもの。ここでは弱者も強者もない。

奪うものと奪われるものしか存在しない。

それが人が生きる世界。

私は彼らのことを忘れはしない。

自らが奪ってしまった奪われた人たちのことを

 

ーー1945年 5月10日

 

「我々はまだ負けてなどない。」

「我々は奪われた人々の為により多く奪わなければならないっ!!」

戦場であった広場で男は叫んでいた。

男の左手は負傷したのかドス黒い血が滴っている。

「我々が奪った命を無責任に捨てていいはずがない、奪った責任果たすべきなんだ。」

男の周りを同じ軍服を着た兵士が取り囲んでいる。

指揮官らしき兵士は男の前に立つと、銃を男に向けた。

「もう戦争は終わったんだよ、エヴライン。」

「私はまだ負けてなどいない!!」

「私が奪うんだぁぁーーーーー!!」

パァンッ

乾いた発砲音が鳴り響く。

指揮官が引き金を引いた。

弾は男の額に命中し、男の命を奪った。

この日、最後まで戦っていた一人の愛国者(パトリオート)が死んだ。

最後まで彼は奪ってしまった者達のために戦い抜こうとした。

そしてわずか数ヶ月の後、戦争は終わりを迎えことになる。

無情にも男は英雄ではなく世紀の虐殺犯としてその名を闇へと消され

全てを背負おうとした男は背負ったものに押しつぶされ殺された。

最後まで戦火にその身を焼かれながら・・・

 

 

2012年 10月14日

 

日本 東京

 

「あぁーくせぇ、なんだこの匂いこれが日本かよ」

鼻をつまみながらそう喋る男。

「ったくこんな平和臭い国になんで来ないといけないんだよ」

「うるさいよ、これも仕事なんだ我慢しろ」

隣にいた少年が男にそう注意した。

「へーへー気をつけますよ」

そう適当に変死をする男。

男の身長は180センチはあると思われる。

真っ白なコート、血走った眼、何よりその真っ赤な髪が目を引く。

そして隣にいる小柄な少年。

男とは対照的な真っ黒なジャッケトを着ており、帽子からはみ出る髪は綺麗な青色をしている。

「それより知ってか?」

男は暇なのか少年に話しかける。

「なんのことだ?」

少年は聞かれたためまっとうな返事を男に返した。

「二ヶ月後には世界が滅ぶらしいぜ」

「あと二ヶ月でどうっやって滅ぶってんだよ」

そう言ってクククと笑う男。

「ほんと人間のおつむってのはおめでたいもんだよなぁ、くく」

「くだらないことを言ってないで行くぞ。早くしないと始まってしまう。」

「そう急かすなよ、始まんのはクリスマスだ、まだ余裕じゃねぇか」

いかにも遊びたそうな顔の男、せっかく来たのに早く済ますのはもったいないっと言いたげな表情をしている。

少年はため息をつきながらも男の方を見る。

「遊ぶのは構わないけど、目立つことはするなよってもういない・・・」

男は少年の忠告を聞くことなくどこかへ行ってしまったようだ。

「全くあの男は」

少年は呆れながら街を回ってみることにした。

「まぁいいさ・・・」

「永遠(エーヴィヒカイト)はすぐそこだ」

誰に言うでもなくそう呟いた。

 

 

 

ーーー

 

 

それは昔の記憶だった

 

時刻は夜の2時を回っていた。

玄関が開く音がした。

うちはアパートだったから玄関が開けば、狭い部屋で誰かが来たのだと幼かった僕でも理解できた。

そしてこんな夜遅くに玄関を開けるのは一人しかいなかった。

それは酔っているとおぼしき父親だった。

父は帰るなり母を殴った。

しかも一発二発ではない、顔が晴れるほど殴りつけた。

僕は驚くことも泣くこともなかった。

それが物心着いた頃から、当たり前の光景だったのだから。

そして母を散々殴りつけた後、次に父は僕の方にやってきた。

これもいつも通りのことなので怯えることはなかった。

父は母と同じように僕の顔を殴るとそのまま僕のお腹を思い切り蹴った。

こればかりはいくら受けてもなれない、苦しそうにうずくまるぼくが見たのは

自らがもう殴られないことに安堵している母の姿。

そして笑いながらぼくを蹴る父の姿だった。

母はいつも言っていた。

あなたは幸せなのだと、父からの暴力は愛なのだと

僕はその言葉に頷くしかなかった。

いつもなら夢はここで終わり、僕は目を覚ます。

はずだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

「君は永遠を望むかい」

 

 

声が聞こえた。

 

「流れる時に抗い、自らの望むままに生きる。」

 

声のするほうを見ると、そこには少女がいた。

 

「それこそが正しい。それこそが人の欲望だよ」

 

少女の顔はよく見えない。

何かもやがかかっているているように見える。

 

「だから君に力を上げよう。」

 

少女はそう言って笑った。

 

「時に抗う、醜い力を」

 

目を閉じて

今の世界から目を背けるんだ

次にここで目を開けるとき、君が醜き獣から知恵を持つ賢者になっていることを

願っているよ・・・

 

私に優美な舞踏会を見せておくれ・・・

 

目を閉じている僕にはもう少女の姿は見ることができなかった

 

ーーー時が止まるーーー

 




設定を考えながら書いてます。

あと文章能力が・・・・

まだまだ頑張っていくのでよろしくお願いします。


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