地球防衛軍4.1 -巨人達の戦場- (Skyjack02)
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地球防衛軍4.1 -巨人達の戦場-
書きなぐったといっても過言じゃありません
「何?エルギヌスが?」
日本におかれたEDF日本支部。その地方派遣軍の司令部で、指揮官の男は唸った。
「はい。20体のエルギヌスが確認されました」
「本当か……」
エルギヌスは、突然出現した巨大な怪獣だった。その生命力は高く、アサルトライフルで銃撃しても瞬く間に傷を修復してしまうほどだった。
「バラムは何機用意できている?」
「10機が最終調整に入っています……申し訳ありません。私が指示しました」
指揮官は、戦術士官である彼女の顔を見つめた。
「いや、謝罪は必要ない……バラムチームを集めろ!ブリーフィングを始める。ストームチームも呼べ!」
「分かりました」
出ていった戦術士官を見送り、男……坂本は手元のタブレットを操作した。
歩行要塞バラム。決戦要塞X4を小型化し、人型に改良した歩行兵器であり、移動基地として運用されるはずだったものだった。だが、ダメージを受けてもすぐに回復する怪生物エルギヌスの登場により急遽格闘戦用に武装がロックされ、戦場に投入された。
エルギヌスを撃破することに成功したバラムは、そのデータをもとに改良が施され、複数が建造施設で出撃を待っていた。
操縦席へと続く渡しを歩き、中に入る。回り込むようにシートに腰かけると、ハッチがしまった。
カメラからの映像、機体の損傷状態などが表示された。頭部保護用のヘルメットをかぶり、各部の点検を行っていく。
「機器チェック開始……各部油圧、チェック。ジェネレーター、作動正常、フレーム、損害なし。バラスト、容量正常。動力部出力正常。攻撃システム、機体バランサー正常、バラムオールグリーン!」
その報告を受けたオペレーターは、次の手順の指示をした。
「ランドマスターよりバラム1、ヒドラA-1からヒドラA-4が上空に展開しました!グランドハッチ開放!」
「こちらバラム1。ヒドラ各機へ。よろしく頼む」
「了解!接続作業開始」
命綱を付けた要員が群がり、ヒドラから垂らされているワイヤーを接続していった。
「こちらランドマスター。バラム1、離陸を許可。グッドラック!」
「ヒドラA-1からアルファ隊へ。上昇するぞ!パワーマキシマム!」
吊り下げられたバラムが上昇していく。頭、胸、腰……巨大な各部が山奥から姿を表した。
「バラム2、離陸!続いて3、4も離陸を許可!幸運を祈ります!」
ヒドラ4機によって、次々とバラムが山から現れる。
「ランドマスターより全機。幸運を祈ります!」
「了解!」
そしてバラムとヒドラは、戦場となる地へ向かっていった。
「ポーターズ9よりストームチーム。イプシロン装甲レールガン輸送完了。離脱します!」
イプシロンに乗り込む。
ストームチームのリーダーである彼は、バラムチームより先に到着し、戦闘の準備を整えていた。
「こちらヒドラA-1。まもなく作戦区域に突入!」
イプシロンの頭上を、10機のバラムが通過していく。
廃墟の向こうには、エルギヌスが闊歩していた。その数、15。
1体なら彼だけでも対処できるが、15なんて数を一度に相手したことはなかった。
空は見事な夕焼けを見せていた。ここが廃墟でなければ、いつまでも見ていたいほどに美しかった。
だが、ここは破壊し尽くされた廃墟だった。エルギヌスによって蹂躙された街は数えきれない。そのひとつが、ここであった。
「ヒドラ1からバラム各機!衝撃に備えろ!……切り離せ!」
「これより、『タイタンブレイク作戦』を開始する!」
ワイヤー結合が解除される。ワイヤーはヒドラのウィンチで巻き取られ、回収される。
バラムは重力に引かれ、土煙を上げながら着地した。それに気づいたエルギヌスが一斉にこちらを向く。
ヒドラが離脱し、直後先頭にいたバラム1が、拳と拳を打ち付けた。
「全機、バトルオペレーション!砲塔をロックし、対衝撃モードへ。各機、敵に接近。近接戦闘!バラム全機による打撃攻撃で一気に勝負をつける!」
バラムには、一応武装が搭載されている。だが、殴った方がダメージが大きく、使われてはいなかった。
「了解!」
バラムとエルギヌスの距離が縮まる。
「横隊で敵に突撃。出し惜しみはなしだ。バラム全機の最大打撃力を敵に叩き込む!ぶち当たれ!損傷は気にするな!」
十分に近付いたところで、バラム1が上半身を捻る。そのまま、パンチをエルギヌスに叩き込んだ。
「バラム1、交戦!」
連続でパンチをエルギヌスの首に当てていく。
だが、エルギヌスも対抗してくる。体当たりをして、バラムの姿勢を崩す。
「うおっ!」
パイロットはベルトによってシートに押し付けられて耐える。次々とバラムとエルギヌスが肉薄し、交戦していった。
すると、エルギヌスの背鰭が光り始めた。
「エルギヌスの怪光線が来るぞ!」
本部からの指示が飛ぶ。
「かわすんだ!」
エルギヌスの正面からバラムが動いていく。かなりゆっくりとした動きで、横へスライドしていった。
怪光線が放たれる。雷のように重なりあって前に飛んでいった光線は、周りが暗くなるほどに明るかった。
「バラム10、機体にダメージ。システムの再チェック。戦闘再開!」
被弾したバラム10が再び動き出した。しかし、他1体のエルギヌスから攻撃を受けた。
ぐらりと傾くが、耐えてパンチを連続で繰り出す。2体のエルギヌスが一歩引く。そして、同時に突進を繰り出した。
反撃として出したアッパーが片方に命中したが、もう片方の突進があたった。
「くっ……」
バランスを崩したバラム10が、地面に倒れ伏す。そこへ、エルギヌスの怪光線が襲いかかった。
「うわぁ!」
「バラム10、大丈夫か?」
バラム10へ怪光線を放ったエルギヌスを他のバラムが殴った。
「こちらバラム5、システムが不安定。機体から異音!」
女性パイロットの声が聞こえた。
「ストームチーム。バラムチームを支援しろ!」
その通信を受けて、後ろで待機していたイプシロンが動き出した。
「ストームチーム?あのエルギヌス殺しか?」
「なるほど……こりゃいい!」
バラムとエルギヌスの集団の側面に出た。そこから、援護射撃を加え始める。
しかし、数において不利だったバラムチームは、少しずつ押されていた。
「こちらバラム8!かなりヤバいぞ!」
奥で戦っていたバラム8が煙を吹いていた。
「バラム1、フレーム損害軽微。戦闘続行可能!」
アッパーで、エルギヌスをダウンさせたバラム4が、追撃の姿勢をとる。連続で拳を叩き込んでいくと、エルギヌスの背鰭の色が暗くなった。
しかし、それとは別の1体の背鰭が点滅を繰り返し出した。
「怪光線が来るぞ!」
「かわすんだ!バラムチーム!!」
直撃を受けたバラム4が、大きく姿勢を傾かせた。大きく揺れ、火花が散るコックピットのなかで、パイロットは必死に耐えていた。
「くぅぅっ……!」
起き上がったバラムを再び操作し、攻撃を始める。だが、また別のバラムが引っ掻きを受けていた。
「バラム4、大丈夫なのか?」
「こちらバラム4。マニュアル通りやれています!」
負けじと、右で2連発、左で1発。そして、右でアッパーを決める。そこにイプシロンからの砲弾が着弾し、エルギヌスが倒れた。
「よっしゃあ!」
「エルギヌス1体の撃破を確認しました……しかし、巨大生物が接近しています」
「格闘戦用に武装をロックしている。巨大生物とは戦えないぞ」
イプシロンが離脱し、巨大生物の迎撃にかかる。
「こちらバラム6!機体破損!マズイ!!」
1機のバラムが吹き飛び、体を強く打ち付けた。そこに、怪光線が襲いかかる。
「こちらバラム1!フレーム損害拡大!だがいける!」
「こちらバラム9!大破した!」
バラムがまた煙を噴く。各部から火花が散り、かなりダメージを受けていることが見てとれた。
だが、容赦なくエルギヌスの攻撃は襲いかかった。
「くぅぅぅ!」
エルギヌス3匹からの攻撃を受けたバラム9で爆発がおき、大きく吹き飛んだ。
「バラム9!脱出しろ!」
「だ、ダメだ!レバーが動か……うわぁぁぁぁぁぁ!」
無線が端末魔の声を伝えてきた。
「こちらバラム2!もう持ちそうにない!」
「バラム4、損傷甚大!左右砲塔コントロール不能!」
「こちらバラム3!出力低下!攻撃システムがダウン寸前だ!」
煙に包まれながらも、バラム3が拳を繰り出す。エルギヌスが崩れ落ち、そのまま動かなくなった。
「よし!エルギヌス2体目を撃破!」
だが、バラムチームはすでにかなりの損傷を負っていた。
「巨大生物はストームチームがやってくれてるのか……ありがたいな」
「エルギヌス3体目、撃破した!」
エルギヌスを倒したかどうかの確認は、身体中のトゲが発光しているかいないかで見ることになる。
そして、バラム3とともに倒したエルギヌスから別のエルギヌスに狙いを定め振り向こうとしたバラム7は、2体のエルギヌスの体当たりをモロに受け止めることになった。
「こ、こちらバラム7!冷却システム出力低下!」
味方のバラムと衝突し、大きく傾く。やはりそこに、エルギヌスからの追撃が襲った。
「ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!」
バラム4で爆発が起こり、部品が弾け飛ぶ。
「バラム4が!」
「こちらバラム10!出力低下!援護してくれ!」
拳を受けたエルギヌスがバランスを崩し、反撃を受けたバラムが一歩下がり……と、バラムチームは奮戦していた。
4体目、5体目と撃破することに成功する。
「うぉああああああああ!」
「バラム10!」
しかし、バラムはじりじりと削られていた。そこに、悪夢とも言うべき報せが届いた。
「良くない情報です。すべてのエルギヌスがこのエリアに向かっているようです」
「6体……か」
6体目を倒したバラム1が呟く。バラムAチームの残りは7。そして、損傷を負っていないバラムは居なかった。
「エルギヌス、作戦エリアに到達!」
戦術士官が叫ぶ。それに答えるように、フォーリナーの研究者のオハラが呻いた。
「エルギヌス……なんて恐ろしい生物だ。宇宙のどこかに、エルギヌスが生態系に君臨している惑星がある。 他の生物にとって地獄の星だ。強すぎる支配者……。フォーリナーはよくそんな生物を捕獲できたものだ。 待てよ……?あのエルギヌスがまだ成長しきっていないとしたら……」
バラム1は「冗談じゃない……」と頭を抱えそうになった。この強さでまだ幼体だというのか?冗談じゃない!ということだった。
「こちらバラム5!バラスト破損!出力大幅に低下!!」
新たに現れたな5体のエルギヌスが戦列に加わった。それによりバラムチームは目に見えて押され始めた。
「こちらバラム1!援軍を!!」
バラム1が応戦しつつ叫ぶ。
「援軍を手配する。それまで持ちこたえろ!」
「こちらバラム3!被害……うがぁぁぁぁぁあぁっ!」
殴ってエルギヌスを怯ませる。しかし体制を建て直すと迷わず突進をかましてきた。
「こちらバラム1!ダメージが大きい。援護してくれ!」
「エルギヌスが多すぎる!」
残りエルギヌスは9体、そしてバラムは6機だった。
「くそぉおおおおおおお!」
「バラム8が!」
「バラムチーム、被害甚大。半数以上が破壊されました」
「エルギヌスめ……こちらも全戦力を投入する覚悟はできているぞ!」
バラム7が戦闘不能に陥る。パイロットは脱出できたようだった。
だが、崩れ落ちるバラム7に、バラム5が巻き込まれる。
「きゃあっ!!」
なんとかバラム5は立った。
「バラムチーム、まもなく援軍が到着する。踏ん張れ!」
「こちらバラム1!助かった!」
ヒドラ4機に吊り下げられたバラムが5機。
「歩行要塞バラム、チームBが到着しました」
「チームB、ただちに戦闘を開始せよ!」
切り離された無傷のバラムが着地する。
「チームB、了解!」
「各機、バトルオペレーション。戦闘を開始する」
「バラムB-2、了解!」
煙を噴き上げるバラムに混じり、あたらしい歩行要塞が戦闘を開始した。
「怪光線だぞ!」
「かわすんだ!」
怪光線が2体のエルギヌスから放たれる。体の前面でこれを受け、バラムが姿勢を崩す。
「バラムB-3、機器チェック、正常!」
「バラムB-4、戦闘続行可能!」
上半身を振り、体全体を使ってパンチを叩き込む。そのエルギヌスは、紫色の血液を飛び散らせながら倒れた。
「あと8か」
半分ほどに減ったのだから、喜んでもよいはずである。だが、バラムチームはかなり苦戦していた。
喜べるはずがないのだった。
エルギヌスの突進を避けようと、バラムB-2のパイロットは無茶苦茶に操縦棹を動かした。
「かわした!」
勢い余って転んだエルギヌスに、バラムの打撃が入っていく。
右、右、左、右、左からの右での連続フック、フック、フック!
殴られている最中でもエルギヌスは、果敢に方向を転換していた。
しかし、そこへ大きく引かれた体勢からの左ストレートが入り、エルギヌスは倒れ伏した。
「倒した!」
「エルギヌス、残りは7……いや、6です」
戦術士官は、少しだけ弾ませた声でいった。バラム1からの攻撃によって、エルギヌスは倒された。
「こちらバラム1。ダメージ変わらず……フレーム損害かなり大きい」
「こちらバラム6。パンチの威力が減少している……」
エルギヌスの尻尾の一撃が、パンチを繰り出していたバラムに入る。ダメージを受けながらも振り抜かれた尻尾によって、バラムの腕が外れ、飛ばされた。
「右腕がもがれた!バランサーで補正できない!!」
バラム6は、左右のバランスを取ることができなくなってしまった。ぐらりと傾いたところで、次はエルギヌスの爪が入った。
「うああああああっ!」
「チクショウめ!」
また仲間が減った。その怒りに、バラム1は燃えていた。しかし、闇雲に攻撃をかけてはこちらがやられてしまう。
「バラムB-3!機体に穴が空いた!もう持たない!」
先程投入されたばかりのバラムが、瀕死の状態に陥っていた。
エルギヌスの攻撃は苛烈だった。
遠距離攻撃である怪光線と、強力な体を使った近接技。それに、バラムは刈り取られていった。
「こちらバラムB-4!助けてくれーっ!」
「ぬおぉぉぉぉぉぉぉ!」
バラムB-3が、怪光線の集中砲火を浴びてダウンする。1体のエルギヌスに夢中になっている間に他の2体から怪光線を浴びてしまったのだった。
「バラムチームの戦力が……」
「最後の1機を投下しろ!」
「パイロットが……」
「構わん!ストームチームにかける!」
「わ、わかりました」
状況はとても良くなかった。バラムは援軍をに減らされている。そして、最後のバラムのパイロットは乗っていたヘリが落とされて行方不明だった。
「エルギヌスめ!」
怒りのパンチを喰らったエルギヌスは、そのまま足をおった。
「ざまあみろ!」
「エルギヌス、残りは4です」
押されているとはいえ、数で有利に立てたあめに、新たに現れたエルギヌスにも戦力を割けているようであった。
「こちらバラムB-5!機体バランサーに異常!大きな不具合はなし!」
2機のバラムによってエルギヌスが集中砲火を受ける。
「こちらヒドラC-1!バラムを輸送中!ストームチーム、聞こえるか!!」
「ヒドラ隊、投下しろ!」
本部からの命令にしたがって、バラムが投下された。
「いいか、持ちこたえろ!」
バラム1は叫んだ。コックピットは、警報で満たされている。その警報を切りながら、エルギヌスへパンチを繰り出していた。
「ストームチーム、バラムに搭乗!」
「バラム1よりストームチーム。頼んだぞ!」
エルギヌスを倒す。倒れきる前に横にスライドし、振り向き様にエルギヌスを殴る。
「くっ……こちらバラムB-2!動力部に損傷!もう駄目!!」
「諦めるな!」
連続でパンチがめり込んだエルギヌスが咆哮をあげる。構わず叩き込まれるパンチから仲間を守るように、他のエルギヌスから怪光線が放たれた。
「ぐぅ……」
ストームリーダーが操るバラムが戦列に加わる。バラムとエルギヌスの熾烈な肉弾戦は、すでに20分以上繰り広げられていた。
バラムのパイロットも消耗していたが、エルギヌスも消耗しているはずだった。それだけを希望に、バラムは戦闘を続けていた。
ストームリーダーが参戦してから、5分。残っていたエルギヌスは倒されていた。
「よし!バラムチーム、よくやった……なんだ?」
「エルギヌス、さらに接近……反応が異なります。巨大な個体のようです」
「なんだと?」
すると、夕焼け空の向こうに巨大なエルギヌスが現れた。
「総員、大型のエルギヌスを攻撃せよ!気を付けろ。手強いぞ!」
その大型のエルギヌスが、大きく咆哮した。
「あのエルギヌスを見ろ!赤いぞ」
そのエルギヌスは、体が赤みがかかっていた。
「赤いやつは強いに決まってる!」
「このままじゃ、みんなやられるぞ!」
これまで戦ってきたエルギヌスより、そのエルギヌスは大きかった。
「これこそエルギヌスの完全体に違いない!恐らく地球上で成長したのだ……!フォーリナーですら完全体のエルギヌスを捕獲することはできないのだ!まさに究極の生物だ……」
オハラは絞り出すように言った。1発で、絶望にうち震えているような声だった。
「囲んでやるしか無さそうだな……」
バラムが、赤いエルギヌスにたいして横隊を組む。
「怪光線だ!」
背鰭が点滅し、まがまがしく光だす。吐き出された電撃のような光線は、バラムB-5の左腕をかすると向こうに飛んでいった。
「左腕フレーム破損!不調を起こしました!!」
お互いの距離が縮まる。
「最後のエルギヌスを倒せ!」
バラム1が最初の1発を入れる。次々と、バラムがエルギヌスにとりつき、パンチを入れていった。
左、右、左、右。そして、振りかぶって左で1発。その直後、右での叩き付け。
「効いてるぞ!」
エルギヌスが一歩下がり怯んだ。そこをバラムが追撃する。
「気を付けろよ!」
殴られているエルギヌスがバラムB-4へ飛びかかった。エルギヌスはバラムB-4を押し倒すと、その胸に爪を突き立てた。
「うぅ、うぁ、うぁ、うぁあああああ!」
爆発したバラムの残骸を、エルギヌスは遠くに放った。これで、9機もやられてしまった。
「強すぎる!なんて怪物なんだ!」
「倒せないはずはない!」
怒りに燃える6機からの攻撃を喰らい、エルギヌスはたちまち怯んでしまう。それに負けないように、エルギヌスは怪光線をはなった。
ストームリーダーのバラムがそれを受け、倒れてしまう。
しかし、拳を打ち付けるポーズをしながら立ち上がった。
「大丈夫か?」
極めて短時間で復帰したストームリーダーを、バラム1は頼もしく思った。
横に回り込みながら、攻撃を続ける。
右フック、右フック、左で1発、右、左、右での叩き付けを一回、左フックのあと、右ストレートを叩き込む。
「ああ!」
しかし、バラムは限界だった。バラム1の左腕から大きな異音がして、左腕が垂れ下がる。
「くそ!こちらバラム1!左腕から異音!動かない!……だが攻撃し続けるぞ!!」
エルギヌスの飛びかかりを避け、反撃。
尻尾の一撃を受け止め、他のバラムの攻撃の時間を稼ぐ。
引っ掻きのかわし、バランスを崩させる。
バラムは、それぞれ自分のできることを精一杯やっていた。
しかし、攻撃を受け止めるということは自分もダメージをうけることになる。
「こちらバラムB-5!火災発生!」
フレームから煙が上がっている。ストームリーダーも、打撃を叩き込んでいた。
エルギヌスが倒れる。そこにバラム全機の打撃攻撃がふりかかった。
「よし!行くぞ!」
立ち上がっても、打撃は止めなかった。
エルギヌスが一歩踏み出す。身構えたバラム達だったが、エルギヌスはそのまま横に倒れた。
背鰭の輝きが急速に失われていく。
「やった、のか……?」
「ああ!」
バラムが、喜びの決めポーズをする。
「EDF!EDF!EDF!EDF!!」
通信には、喜びの歓声が飽和していた。
バラム1は、ケーブルが垂れ下がり、警報の響くコックピットの中で、大きくガッツポーズをした。
すっかり日の沈んだ廃墟に、ヒドラの編隊がやってきていた。
「結合作業を始める!機器チェックを頼む!」
「了解……損傷していないフレームは無いな」
チェック画面を呼び出し、診断ソフトを走らせる。
「右腕部フレーム、損傷甚大、左腕フレーム、損傷アリ、各部油圧、低下なれど帰還に問題なし。ジェネレーター、動作低下だが問題なし。バラスト、容量低下。動力部出力25%。攻撃システム、機体バランサー損傷、バラム輸送に問題なし」
「大変だったんだな。バラムチーム……よし、結合するぞ」
ヒドラから垂らされたワイヤーがバラムの4ヵ所にセットされた。かるい衝撃がして、ワイヤーがピンと張られた。
「上昇する……気を付けろ!分解したらシャレにならないからな!」
ヒドラが上昇し、バラムを吊り下げさせる。ゆっくり方向転換し、施設へと進路をとる。
そして、「
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