技術史な使い魔 (ddds)
しおりを挟む

プロローグ

にじファンより移転してきました。

キャラクターのみで攻殻機動隊なども影響しています

また、他サイトに投稿している『虚無と大戦』と
大筋の話が同じであるため、『虚無と大戦』が進むまでは更新予定がありません。
よろしければ、『虚無と大戦』も読んでいただけると幸いです

このSSとは雰囲気も大きく違いますので注意してください。



地理などの面は現実と同じものを使用します(勿論修正あります)
そのため原作崩壊要素が多数存在します

にじファンの頃の数話を一つにつなげているため、
多少違和感があるかもしれません。


まあ適当に見てくださいな


人類は限界だった

 

何が限界だったか

単純に地球での繁栄が限界だった

 

神の子を名乗る男が現れてから数千年

人類はエネルギー不足に悩んでいた

 

核融合炉でのエネルギー生産では追いつかなくなり

人類はついに一部ではあるがダイソン球に手を出した

ダイソン球というのは

太陽のエネルギー全部回収すればエネルギー使い放題じゃね?

的発想から生まれた太陽を包む殻である

 

そしてその工事の第一段階 ひとつめのリングが完成していた

 

同時に食料の不足にも悩んでいた

人類は地球の循環システムに影響を与えない最大限の農地を開拓し、

先進国が莫大な資金を使い、砂漠を緑化し、足りない分は工場で作り、

土を食べる研究をもし、ついに糞尿にすら手を出しても

人類には食料が足りそうになかった

 

地球の総人口170億人

核融合炉用のヘリウム3の採掘施設を中心とする月面都市の総計が

2000万人

テラフォーミングの最終段階にある火星の人口が

4億人

金星の高高度で飛びながら金星のテラフォーミングを行う浮遊都市

というより飛行都市連合が

4000万人

木星の衛星系や土星、その他の惑星の衛星軌道上で資源回収をしている前哨基地が

120万人

 

だがそれは恒星外移民を始めるまでの話だ

人類はついに超光速航行技術を手に入れたのだ

惑星外移民を始めてからは更に恒星外に幾つかの居住可能惑星や

テラフォーミング可能な惑星が発見され

移民開始から100年

人類はオリオン腕全体に広がり

太陽系外人口だけで50億人になる

 

 

そしてきっかり100年目になる今日

日本国第22次移民船団「瑞鶴」は未だ未知である銀河の中心方向へ向けて

旅立とうとしていた・・・

 

福島県は双葉市

かなり昔の話となるが、「原子力発電所」なる原始的発電所の事故により

人が住めなくなった

 

しかしその後ナノマシン技術の進歩により放射性物質の回収が容易になるも、

元の住人はすでに大半が死亡していたため、結局無人地帯に

そこに宇宙港が建設されたのだ

周囲30キロは無人だったため騒音被害も発生せず、

それまでの宇宙港だった種子島に比べて首都圏にも近いため、

世界一の宇宙港として大いに発展した

 

 

移民の開始からは複数の大規模ドックやその付随工場が建設され

人口は300万にも達する都市になった

 

 

「これより出港式を行います」

総理大臣の男が言う

今までに何十回か送られた移民船団だが、毎回の出港式がお決まりになっていた

「本日 世界初の移民船団「大和」の出港から100年となります」

「この「翔鶴」が向かう先は未だ誰も行ったことのない銀河の中心方面」

「我々、人類は孤独ではありません 人類は常に全てが共にあるのです」

 

その他色々割愛

そして無事出港

 

超大型居住艦1

大型居住艦2

大型製造艦2

環境艦6

小型製造艦4

娯楽艦8

戦闘艦12

多目的艦2

からなるこの船団は

日本国の名を掲げてはいるものの

実態は独立国家であり、法律も行政も日本とは全くの別物であった

大統領制だし、物資統制はかかることもあるし、

船団内総動員法、人口制限法すら存在するのだ

人口は300万人 2000万人まで対応できるようになっている

全ての艦で環境システムが共有されていて、

最低でも環境艦が2隻ないと環境システムは崩壊してしまう

全長50キロにも及ぶ船団は、

 

2時間かけて大気圏を離脱

 

その後月軌道を通過し超光速航行へ移る

未知のエリアは短い距離をジャンプするのを繰り返すのだが、

地球周辺はすでに星図があるため長距離ジャンプができるのだ

だがこの時は誰も予想が出来なかった

あんな理解不能な事態になるとは・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事超光速航行に移行できたと思っていた移民船団「翔鶴」一行であったが・・・・

 

 

超光速航行に入って主観でわずか一時間後のことである

 

「何があったんだ たたき起こしたからには何かあるんだろうな」

大統領になった男が中央管理室に現れた

どうも寝ていたらしく、髪はボサボサでしかも寝間着だった

それほど重要なことだということだ

だがそれは普通に見ればマヌケなのだが

 

「実は・・・・」

画面を監視していた男が何かを言いかける

 

「なんだ 正直に言ってくれ」

 

「突然空間が歪んだんです」

 

「当たり前だ 歪んで飛んでいるんだろう」

 

超光速航行というのは

物体が存在すると空間が歪むのなら、

空間を歪めれば物体がなくても何かしらの形で質量が発生し得ないか

という無茶苦茶な理論の元作られたものだ

 

無茶苦茶のはずができてしまったのだ

詳細な説明は複雑なので割愛するが

人工重力にも応用できるし、兵器としても有効であるかもしれない

 

「歪んでいるというどころじゃないですね 空間に穴が開いているんです」

 

「なん・・・だと・・・」

 

空間に穴がある

この現象は特殊な状態でしか発生しない

ブラックホールである

非常に強力な重力により空間が無限に落ち込んでいるので離脱できない。

「球状の穴」である

 

「そんな馬鹿な 地球から50光年も離れていないんだぞ」

 

「ブラックホールではないようです。引力がないですから。ですがもう手遅れのようですね・・・・」

 

「何・・・?」

 

大統領が周りを見ると

超光速航行で周りは真っ黒だったはずが星が見えるようになっていた

 

「というか俺を呼び出す必要はあったのか? 電話のほうがいいじゃないか」

「いいえ 穴が発生したときには既に手遅れでした」

 

 

しかし空間の穴に入り込むなどということは前代未聞であり、

何が起こるのかわからない状態だった

ブラックホールならすぐにバラバラになるのだから

 

だが彼らはすぐに理解した

「ここは故郷から遠く離れた地」であると

 

 

 

 

 

 

「状況を報告しろ」

大統領が緊急閣議とドアに書かれた会議室に入り各大臣に報告を要求する

 

最初に天文大臣と書かれた席の男が手元の資料を読んで説明し始める

 

「現在 無人・有人探査機を全て使って星図の制作を全力で行っておりますが、半径10光年の恒星系の星図が完成しました

これがその資料です」

 

「これは・・・・」

「どういうことだ・・」

 

会議室が騒がしくなる

 

「ええ。間違いありません。太陽系です。」

天文大臣は続けて言う

 

「我々のよく知る太陽系のように水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星。

それぞれによく似た星が確認されています」

 

「だが我々の太陽系ではない」

 

「その通りです。いかなる電波も宇宙船も確認されていません」

 

「で、我々が一番知るべきなのは・・・」

 

「勿論地球です。次の資料をご覧ください」

 

その時 また会議室が騒がしくなった

 

「この恒星系の第三惑星 仮に地球と呼称しますが、

地球にはご覧のように適度な大気と青い海が確認されています」

それは無人探査機の撮影した画像だった

青い大気に包まれて茶色と緑の陸地を囲むような青い海

間違いなく地球だった

 

「ここまで似ているのに・・・」

 

「ええ、月が2つなんです」

天文大臣は続けて言う

「この二つの月は二重連星のようで、微妙なバランスを保っています」

 

「普通なら地球に落ちるのでは?」

 

「その通りです。が、説明不明な力が働いています」

 

「その力の検討は付いているのかね?」

 

「いえ、全く想定できません

今後はこの恒星系第三惑星の観測を強化すべきかと」

 

「それで問題ないしそれ以外思いつかないな」

 

 

次に外務大臣が話す

 

「まずこの状況から言って、

地球との連絡はほぼつかないと考えていいでしょう。

また、他の移民船団などとも連絡が付きそうにありません。」

 

「すべての周波数帯を監視するほかないな」

「それが懸命かと」

 

が、それは日常の任務なので特に代わり映えはない

 

次に環境大臣が話しだす

「船団全域において循環システムは良好。食料備蓄も36ヶ月分はあります。」

 

「つまり異状なしということだな」

 

その他の大臣の報告も終わり、本題に入っていた

 

「あの星をどうするかだな・・・」

 

「とりあえず距離が2光年はあるので火星軌道あたりまで入って近くから観測ですかね」

 

「それ以外考えられないな」

なんせ何年も旅をした先で見つけるつもりだった移住候補の惑星が今自分たちの目の前にあるのだから

移住を主目的としている以上、それしか考えられなかった

 

2光年は目の前と言えないかもしれないが

数十分で行けるならそれは十分目の前と言える

 

 

 

「あと市民に伝えるかどうかだな・・・」

下手に発表して混乱してもらっては困る

強硬派が出てきて

『今すぐ地球に降りるんだ!』などと言われてはたまらないからだ

 

「とりあえず今は隠蔽ということで」

 

「まあ明日までには嫌でもバレるだろうな」

 

幾つかの光学望遠鏡は民間のものが存在しているからだ

趣味に使っている人もいるし仕事で使っている人もいる

超光速航行中止については『機関の故障』にしておいた

出発早々故障していては不安がられるかもしれないがパニックになるよりはマシだった

 

 

だが、開始早々の閣僚会議に不信感を持つ人も少なくなかった

 

 

 

次の日

 

 

緊急の大統領府発表となり、事態を説明することになった大統領は混乱しつつあった

単純に『どう説明するんだよこれ・・・・』ということである

 

 

 

『えー・・・結論から申しますと』

『地球との通信が途絶しました』

その時 

 

時間が凍結した

街全体の時間が止まったように見えたのだ

 

 

ありえないことだが、人間の主観で止まったように見えるならそれは止まっているも同然である

 

 

次の瞬間

記者の質問攻めになった

 

『どういうことです?説明してください』

『地球に何が起きたんでしょうか』

というよりパニックだった

 

電話網はパンクし、ネットもサーバーダウン

 

危惧していたことそのものだった

当然だ。宇宙広しといえど安心して帰れる星はひとつしかないのだから

 

「とりあえず話を聞いてください」

 

 

続けて今置かれている状況、

そして今後の予定などを説明した

 

 

ある記者が言う

「我々は地球に帰れるんでしょうか?」

「分かりません。ですが、なくても帰れる場所を作る必要があります」

 

「つまり将来的に第三惑星への揚陸を行うと。」

「そういうことになります

ですが今後の調査内容によってはそれが大幅に遅れたり、

最悪降りれない可能性もあります」

 

 

それを最後に記者からの質問は終わった

 

 

早速超光速航行で火星軌道まで移動することとなり

わずか30分のワープを行った

 

 

 

その先にあったのは

間違いなく地球だった

肉眼でもわかる。自分たちの知っている地球だと

 

某日カップ麺のアニメみたいに赤かったりしない。

星戦争のコルサントようにビルで埋もれているわけでもない

 

間違いなく青い星がそこにはあった

 

 

その日のうちに地球低軌道に向けて多数の人工衛星が放たれ、その日の行動は終了

 

 

 

大統領は寝床でこう思った

 

「ああ・・・・めんどくせぇことになったなぁ・・・・」

 

探索と移動を繰り返しているうちはたいしたことないと思っていたのに

初日からあの状態じゃあ体力が持たないし、

今後も仕事が山積みだと思うとかるく憂鬱になる

 

明日は昼まで寝よう。いっそ明日全部寝過ごしちゃおう

子供のような発想にまで至ってしまう

それほど先が見えないのであった

 

 

 

 

 

 

閣僚会議と書かれたドアを開けて定位置につく

既に自分以外の全員が揃っていた

「さて、今日も現状を報告してもらおうか」

 

全員の視線が一人に集まる

 

 

まず全員が見つめる先には「天文大臣」

「えーとですね・・・更に理解し難い事態に陥っています」

「どういうことだ」

 

「手元の資料に詳細が・・・・」

 

その時、会議室が騒がしくなるどころか一瞬で凍りついた

 

理解できなかったのだ。自分たちの目の前にあるものが

 

そして数十秒の沈黙の後

一人が口を開いた

 

 

 

「地球だ」

「間違いない。これは地球だ」

例の第三惑星の地理情報であった

 

ユーラシア大陸があり、その南にアフリカ大陸、大西洋を挟んで北と南に両アメリカ大陸

間違いなく自分たちの知る地球であった

 

「偶然にしては異常です。ですが、少々おかしい点も存在します」

「というと?」

「次のページを御覧ください」

 

今度は会議室が少しざわめいた

 

「ええ、よく似ているようでなにかが違うんです」

それはヨーロッパによく似た地形図であったが

何かが違う

 

 

「スペインに当たる部分の陸地がないんです」

 

ピレネー山脈にあたる部分からスペイン寄りに陸地がないのだ

 

ジブラルタル海峡に当たる海岸線は急な崖になっていることが予想される

 

「また、北欧のスウェーデンとノルウェーに当たる部分も存在しません」

北海が非常に広いのだ

 

「イギリスの位置がおかしくないか?」

「ええ、土地全体が標高1000mになります」

 

イギリスの位置がおかしかったが、詳細は不明らしい

 

 

「それよりも驚くべきことは・・・」

 

天文大臣は続ける

 

 

 

「人間が居ます」

 

 

 

 

会議室が完全に凍りついた

凍りつくのレベルではない

完全に時間が止まった

そして数分たった頃だろうか

その場の全員が驚愕した顔で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「なっ・・・なんだってえええええええええええええええええええええええ」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう驚くのは当然だ

人類は既に地球外生命体を発見していたが、どれもが細菌や植物の類で、

動物も少数存在するが地球では考えられない形状を指定たりしていた

『人間』のような知的生命体も可能性がなかったわけではないが、

人類と同じような形状をしている可能性はほぼゼロで、それこそプレデターだのタコ型だの

なんでもありえたのだ

 

『人間』がいる

それは外見上であるが、自分たちと同じ見た目をしているということだ

ありえないことが次々と現実となる

これから起こることが全く読めず、全員の頭は壊れかけていた

 

 

 

天文大臣は続ける

 

 

「また、文明もあるようです」

 

 

 

 

 

ΩΩΩΩ<な、なんだってー

 

本当はもっと衝撃的なのだが

マンネリ化を防ぐために変更す

 

 

「文明があるということは我々に気付いている可能性も・・・」

全長50キロの物体が火星(仮)付近に存在しているのだ

宇宙に出れなかったとしてもフォボスやダイモスを1800年代には発見されている以上、

見られている可能性があった

が、それは非常にまずい

『宇宙人の侵略だ』などと騒がれてはたまらない

 

 

 

「いえ、文明のレベルは中世末期程度、天文学があるかどうかすら怪しいです」

 

「そうか・・・で、どーすんのよこれ」

大統領がその役職らしからぬ言い回しをし始めると

 

 

「文明の存在は確認できましたが、不明な点が多いんです

現在まとめている不審点は」

 

 船が陸上にある

 イギリスが海に面していない

 というか浮いている

 文明はヨーロッパ周辺にしか存在していない

 中東周辺の砂漠がトルコあたりまで進行している

 その他の地域に人間が居るかどうかは不明

 

「以上になります」

 

「文明が存在している以上、まず相手のことを知らなければならないな・・・」

「我々の故郷にもなりうるわけですからね」

天文大臣は続けて言う

「東アジアの島国には文明も存在せず、人間も存在しないと予想されます」

「つまり・・・日本のことか」

「その通りです」

 

「つまり降りれと。」

「とりあえずはそうするべきでしょうな」

 

 

「とりあえず今後の方針も決めなければならない

勿論我々だけでは無理だ 専門家や学者も呼ばないとお話にならない」

「そうですな では明日また招集をかけてまた明日決めるというとでよろしいでしょうか」

「それしかできそうにないな」

 

他の報告は聞かずにお開きになった

大統領はつかれていた

というか他の大臣も疲れていた

理由は簡単だ

 

 

『リアクションに疲れた』のである

文明が存在していて、人間も存在している

非常に面倒になる内容であった

現地に人間を派遣する必要もあるし、

最悪

というか当然なのだが言葉も通じないかもしれない

非常に面倒である

 

しかもそれが変な宗教でまとめられてたらもう大変

その力を利用して団結したり、

意思疎通ができても宗教的な禁止事項に触れて何が起こるのかわからないし

複数の宗教が存在していたり、

精霊崇拝のような原始的宗教ならいいのですが・・・

 

非常に面倒なのでいっそ焼き払いたくなりますが、

それはできない

「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」

略して宇宙条約が1967年に国連で採択され、

2031年に改正案が採択された

この頃になると月面を含める太陽系内の惑星、衛星への植民が本格的な段階となり、

国家間でそれに関する条約が制定された

 

そして月面植民が始まった2061年

「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動及び企業活動に関する条約」

が制定された

略して「新宇宙条約」である

これは民間での宇宙空間活動も記載されたものである

この頃になると民間でも宇宙ステーションを打ち上げるようになる

いや、「打ち上げる」は古い表現となった

スペースプレーンが実用化されたからだ

 

 

そしてつい最近

150年ほど前

初めての外宇宙移民船団が造船段階に入った頃に採択されたのが

「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動及び企業活動に関する条約」

改正案が採択された

これは今まで国家プロジェクトであったスペースコロニーや

惑星移民などの計画を民間でも行えるようにするための改正案だ

 

これには新しい内容である

「地球外生命体が存在する星においての条項」が存在する

この内容は

 

地球外生命体(以下生命体とする)の存在する星において、

植民を行う場合、生態系を破壊してはならない

または、破壊を最低限にしなければならない

よって人間の居住エリアと生態系を保護するエリアで完全に隔離することを推奨する

人間の居住エリアは生命があまり居ないところにするべきである

 

知的生命体が存在していた場合、

彼らと意思疎通が可能であれば話し合いを持ち、

意思疎通が不可能であれば何も言わずその場を立ち去れ

なるべく干渉してはならない

ただし正当防衛は認められる

 

また、知的生命体が宇宙での活動が可能な場合、とりあえずは意思疎通を図りつつ

地球での国連会議が終了するまで動いてはならない

 

ここでの知的生命体の規準は同じ種族同士で同じ情報を共有できる

を規準とする

 

 

 

などと記載されている

つまり殺生は禁止ということだ

だが今回は場合が場合だ

事実上の国際法だとはいえ、

地球とも連絡が取れず、

また、他の移民船団や植民星にも連絡がつかない

 

しかもそこにあるのは地球によく似た星、

更に人間ときた

 

もう例外的な動きしてもいいのではないかと思うくらいだった

考えるのすらだるい

寝よう

早く寝よう

 

彼らは日が暮れないうちに寝てしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして遭難?4日目の朝

未だ商店街も開店しない様な時間に各専門家や学者がひとつの部屋に集まった

 

場所は大統領府である

 

総勢120人

これでも代表だけを集めたのである

 

移民船団というのは20万人の専門家とそれを支えるその他480万人で構成されている

人類文明の全てを継承するためのシステム

 

仮に地球が滅びてしまっても消えた文化や歴史が存在しないようにということである

よって地球上のあらゆる学問の専門家が集まっている

 

また、この会議は移民船団はもとより第三惑星の行く末を決める大事な会議である

よって全艦に生放送である

 

「とりあえず天文大臣。今日報告すべきことはあるかね」

 

「また面倒なことになるのですが・・・」

 

「おいまたか・・・勘弁してくれよ・・・で何なんだ」

 

「由来不明のエネルギーです」

「つまり具体的にはどういうことだ」

「第三惑星の地表面から由来不明の強力な電磁波が検出されています」

 

「それのどこがおかしいんだ」

 

「エネルギーの由来が不明なんです」

「それは今後の調査でわかるだろう 他になにかないか」

 

「地球のエネルギー収支が不釣合であることが判明しました

「詳細を」

 

「我々のよく知っている地球は太陽から約1億4000万キロ離れていますが、

この第三惑星は太陽からの距離が約1億2000万キロなんです」

「つまり、太陽から受けるエネルギー総量が多いということですな」

学者の一人が言った

「そうなんですがおかしい点が複数存在します

まず、地球と同じように温帯域の気温が15-30度で安定しています

また、その他のエリアも地球とほぼ同じ気温です」

「もっと暑くなるはずなのに気温が低くて、

だがその反射や放出したエネルギーはそれほど多くない」

「その通りです。

地球上でエネルギーがどこかへ消えてるんです」

 

場が騒然となった

 

「エネルギーが消える」

ありえないことだった

地球上でも利用可能なエネルギーは使用した後大抵、熱に変わって空気中に拡散する

利用不能になってもエネルギーは不滅だった

エネルギー保存の法則を破壊してしまったのだ

 

 

「じゃあ先程の電磁波になったのでは?」

「我々はそう考えています」

 

「だが太陽光から電磁波に至るまでの間が説明できない

想定もできないしな」

「とりあえず今後の調査で調べるということで」

 

 

 

大統領が正面を向きなおして言う

「さて、本題である第三惑星上の文明への対処だが・・・」

 

ある学者が言った

「社会学から言わせてもらえば相手を知らないと何も出来ないでしょう

こんなありえない話が色々湧いて出てくるこの状況じゃ

より詳細な情報がないと話しにならん」

 

 

場に意義を唱えるものは居なかった

 

大統領は続ける

「とりあえずは情報収集だが、どうやってやるかが問題だ。

突然空から数十キロもあろうかという鉄の塊が降ってきたらパニックどころじゃあないでしょう」

 

地政学者が言う

「文明はヨーロッパ周辺にしか無いというのであれば、

降下地点の東アジアから来たということにすればいいのでは?」

 

考古学者が

「だがそれでも文明度の差が大きいと何が起こるかわからん

この頃は未だ現象の科学的な見方というのがないはずですから

中世末期頃は未だ錬金術をしていたはずです」

 

化学者が言う

「確かに迷信が多い状況では冷静に物事を捉えられる人も少ないでしょうし

そもそも産業革命以降の人たちでもオーバーテクノロジーの塊が突然来れば

パニックになるでしょうな」

 

歴史家が言う

「そもそもこの頃は大航海時代になるあたりだ

外に出て行かないということは何かあるんでしょう」

 

大統領がそれを聞いて

「つまり我々もヨーロッパにたどり着くのに時間がかかったということにすればいいんですな」

 

「そういうことですが、技術水準をどの程度にするかが問題です」

 

「確かに・・・航空機を知らない人が航空機を見たとき『怪鳥だ!』などと言ったそうですし、

航空機がないので航空機よりも前・・・・」

 

「中世末期頃とほぼ同じなのでそのすぐ後の産業革命前後の技術ではどうでしょうか」

 

「となるとどのあたりになる?」

「蒸気機関、鋼鉄、憲法、共通規格あたりかと」

 

「つまり『黒船来航』をやればいいんだね」

 

「ちょうどそのあたりになりますね」

 

「その他の『設定』はどうしようか」

「国名は日本国でいいでしょう。

ヨーロッパに来れなかった理由は喜望峰の未発見及び中東の砂漠に阻まれた

その他の内容は専門家の方々に考えてもらいましょう」

 

どうせ大した内容はない

宗教制度や経済体型、政治制度くらいのものだ

大して時間はかからないだろう

 

かくして、第三惑星の未来の大筋を決める会議の第一回は30分足らずで終わってしまった

 

そのあと大統領府では来週中に第三惑星への揚陸を行うと発表

移住都市一つ目の計画である「新東京市計画」も同時に発表された

 

 

移民船団の人間はまだ知らなかった

この星にとんでもない技術体系が存在することを

 

 

 

 

 

 

遭難?から2週間目

 

ついに揚陸の日となった

それまでにあったことといえば

黒船船団用の船16隻の製造開始くらいだ

受注した造船所曰く「今更こんな古代の船を作るとは夢にも思わなかったよ」

だそうだ

連中は木造艦ばかりみたいなので鉄甲艦ならまあそれなりに驚くだろう

 

我々にとって連中の文明レベルはもはや化石レベルである

しかしいくら文明度が低いからと言って

どう動こうにしろ情報がない

情報がないと動きようが無い

 

とりあえず揚陸してから考える

これからするべきことが多すぎて憂鬱だ

どうせ移住する惑星も見つからず一生が終わるだろうと思っていたのに・・・

 

まったくもってなんてこった

大統領になんぞなるんじゃなかった

地上で普通に官僚やってりゃよかった

そう思うここ数日の大統領である

 

まず揚陸前の第一段階

静止軌道への侵入は既に終えている

惑星の裏側にヨーロッパがあるので見つからないだろうし、

見つかったとしても大した騒ぎにはならないだろう

第二段階低軌道侵入を二時間前に終え、

ついに大気圏突入へのカウントダウンに入っていた

 

大気圏突入するからって大したことはしない

船自体が巨大なのでそれほど揺れないのだ

人工重力もあるのであまり関係ない

寝ていたらいつの間にか地上もありえるのだ

 

大気圏に突入を開始

すこし浮いているような気分になるが、それも30分ほどで終わるのだ

 

こうして船団のすべてが東京湾に着水

揚陸作業と地質調査の船が出ていった

その他にも大量の航空機や資材の揚陸船が出ていく

 

今は暇だが今後が地獄だった

ヨーロッパの方の情報を手に入れたらすぐに対策会議を建てなきゃならんのだ

 

その後数時間たって

幾つかの戦闘艦が喜望峰に向けて飛んでった

 

その後ろを追いかけるように16隻の黒船船団が東京湾を出ていった

その乗員や貨物の内容などは

人間が62人、あとの1000人以上の乗員はすべてアンドロイドだ

効率良く情報を収集するためと、諜報機関から割ける最大人数であり、

他の調査機関なども人手が足りなかった

よってアンドロイドを投入することになったが、

連中にバレることはまず無いだろう

 

既に「電脳化」というのが衰退しつつある現在、

過去に義体化などの技術も高度化しており、

更に人間と同じような感情を持つ思考チップとプログラムも存在していた

どこの誰が書いたのかはわからないが、突然ネットにぶちあげられた代物らしい

そんなのを信用したくないが、幾度も書き換えられつつ、基本は今も変わっていないらしい

体の造形技術も2010年頃には既に高度化しつつあったので義体もすぐに違和感なく作ることができるようになった

 

そんなテクノロジーの塊を理解できる人間があの文明レベルで居るわけがないし、

居たとしても詳細な構造や理論はわからないだろう

 

『行き過ぎた科学は魔法に見える』

誰が言った言葉かは知らんが

全くそのとおりだね

 

船の方はたいしたことはない

1800年代末期の蒸気機関とスクリュー式の推進

前時代の遺物そのものだ

 

あるゲームに例えれば

地図なくして戦争はできないし、スタックもないうちに戦争などできない

未知の技術を持っているなら尚更だ

とりあえずは諜報ポイントに資金を割いてスパイ経済国家を目指すこととしよう

本当に未知の技術を持っているならばの話だが

 

 

3日後

 

黒船船団はマラッカ海峡を通過したと報告があった

戦闘艦は喜望峰に到着

補給拠点の建設を開始したそうだ

 

予定なのでどうでもいいとして今度は物理学や化学や生態学のほうが騒がしい

「未知の物質を発見した」だの

「地球の生物によく似ているが色々とおかしい生物を発見」だの

「遺伝子含める基礎生態系が地球とほぼ一致していることを確認」だの

「人間によく似た生物を発見するも襲って来たので射殺 サンプルとして回収」だの

大量の発見があったようだ

 

いちいち俺に言う必要あんのかよそれ

学会内だけにしてろ

 

だが間違いなく彼らの瞳は新しい玩具をもらった子供のような

好奇心に満ちあふれた目をしている

ここ2日寝ていないそうだが疲れ知らずのようだ

これから毎日何かしらの発見があるんだろうな・・・・

 

だが俺には関係ない

まず諜報部隊がヨーロッパにつくまでは待機

12時前に寝てしまうのだ

 

 

 




このSSはにじファン向けに特化していたため、
ハーメルンに移転させました。
読めない程酷いという人は『虚無と大戦』も読んでいただけると
満足できるかもしれません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

前章 1

本編前のナニカです。
ノリと勢いで書いていたので見苦しいかもしれませんが・・・

プロローグに続き、
にじファンの物を無理やりつなげて長くしているので、
違和感などがあるかもしれません。


2012/7/26 6:32
そういえばまだ章のシステム入ってないんですね


「見えてきたな」

 

東京より一ヶ月とちょっと

というより

喜望峰までは空輸だったので

 

喜望峰、もといケープタウンより3ヶ月

ずいぶんかかったものだ

これだから旧世代の船は・・・

飛行機なら一日とかからないだろうに・・・

 

ついに第一村人発見!

 

でなくて第一都市を発見

地球で言えばモロッコの南側

北アフリカの農業名可能な地帯の南端である

 

大型船が接岸する場所がないようなので

ボートを出して揚陸する

 

ボートの駆動機関はグローエンジン

いわゆるポンポン船である

 

 

 

陸地に近づくとすでに人でごったがえしていた

どうみても野次馬だ

 

やはり大型船、しかも鉄工船となると珍しいのだろうか

 

接岸してすぐに一人の老人から声をかけられる

だが日本語ではなかった。

当然の事なのだが

電脳の言語識別処理でフランス語、またはそれによく似た言語だと判明したので

全自動翻訳をフランス語に変更する

 

「すいません、もう一度言ってもらえませんか」

日本語と同じ感覚で言う。

だが口から出てくるのは日本語ではない言語だ

 

「あまり見かけん船と顔じゃが・・・おぬしらどこから来た?」

老人が言った言葉も日本語と同じように捉えられる

「我々ははるか東方、日本国より着ました」

「ほう。japonとな」

 

しまった

「nihon」や「nippon」ではなくフランス語では

「japon」だったのだ

くそう・・・誰だよ東にある黄金の国「ジーペンクオ」とかいった奴

 

自動翻訳の罠であるが、

面倒なのでこのまま話を続ける

 

「ええ、我々はこの陸地よりはるかに東 japonより来ました」

「それで、ここに何の用かの」

あまり警戒されていないようだ

なぜだかわからないがありがたい

「交易の相談とご挨拶に参りました」

とりあえず表面上の名目を上げておく

「その船に乗せられている積荷の中身は何かの」

「一応うちの特産で保存性が高い香辛料や茶などを載せておりますが・・・」

とりあえず最初なので妙なものは乗せていない

重要機密は人間の中に入っている

ここの人達がそんなことに気づくことはなかろう

地球では人間とロボットにほとんど差がないことで

色々問題が起きたことすらあるのだ

 

「申し遅れました。私、鈴木一郎と申します」

日本人の典型的な名前なのかは定かではないが

日本にはそれなりに人数がいる名前だ

ただしこれは偽名だが

ちなみに顔も偽造である

本来の顔を持っている義体は日本においてきた

あくまで私の役割はスパイなので

変装は当然する

 

スパイ活動はしやすくなったが

お陰で犯罪者が捕まらなかったり

ゴースト解析システムなるものすら誕生した

人の頭の中を覗くのはやめていただきたいものだ

「ススキ・イチローとな 変わった名前じゃのう

まあ立ち話もなんだからうちで話をしよう」

 

 

 

ということで老人宅へ

どうもこの町の長老であるらしく、

応接室も存在していた

 

その間に電脳通信で他のアンドロイドにも調査活動をしておくように言っておく

 

「で、もう一度聞くがこんな辺境に何の用かの」

「ご挨拶と交易の相談に・・・」

「つまりどういうことじゃ?」

「我々の国はここはら非常に遠く、船で半年もかかってしまいます

なのでここで補給を行いたいと思っています」

「それは今回限りかね?」

「いえ、今後も定期的に船が中継地点として訪れることとなります」

「それはいい。この辺境が栄えるにはそれぐらいしか道はなかろう」

貿易拠点として栄えた場所といえば

シンガポールがある

それしかない国だが、それでも立派に先進国だ

 

「それで、大型船が接岸できる港の建設の許可と労働者の雇用の許可を頂きたく存じます」

「よかろう。食料を作ること以外とくにやることもないんじゃ。存分に使ってやってくれ」

「ありがとうございます」

 

後にこの町は数十万まで人口が大きくなる

最大クラスの貿易拠点になるのはまた別の話だ

 

「で、積荷のことじゃが・・・」

「商談成立の祝いなので無料で構いませんよ」

「それはありがたい。この町は本当に偏狭なのでな、嗜好品の類など入ってこないのじゃ」

「つまり中央から切り離されていると?」

「左様。」

 

老人はこの地域に関するいろいろな話をしてくれた

自分たちは『ハルケギニア』の南部に位置する『ガリア』なる国から逃げてきたものとその末裔だと

よってここに国家はなく都市が幾つか存在するだけなそうな

ガリアへの船もないわけではないが一ヶ月に数回のみ

 

場合によっては来ない月もあるそうだ

「知っているかもしれんが、ここより南は砂漠でのう

これ以上人口が増えると食料が足りなくなる可能性もある」

「それについては心配ないです。自分たちが責任をもって運んできましょう」

西暦1900年以降において遠方から食料を運ぶのは常識となった

これにより食糧不足など発生することは「金がない国以外」ありえなかった

鮮度が重要なものは冷蔵技術が出てくるまで難しかったのだが。

 

「あと、この地域の歴史を教えてもらえるとありがたいのですが・・・」

「ワシはよく知らんのでの。教会へ行きなされ。」

宗教と関わるのは御免だったが、情報収集に必要なので行くしかなかった

 

 

というわけで街の中心部にある教会へ

そこには50代手前くらいの神父か牧師らしき男がいた

「ようこそアガディールの教会へ。

朝から騒がしかったのはあなた方の船だったようですね。」

アジア系の顔が珍しいのだろうか。すぐに見抜かれた。

この町の名前アガディールは地球のモロッコに存在するリゾート地である

「ええと、長老から歴史を知りたいなら教会へ行けと言われて着たのですが・・・」

「そうでしたか。では・・・」

男は本を取り出し、説明を始める

 

 

「そもそもこの土地、ハルケギニアには先住魔法というものが存在していました」

驚愕した。脳の温度が40度を超えつつある。電脳のオーバーヒートだ

理解できなかったのだ。

この星の存在も理解できなかったが

それをはるかに超える事態が発生していた

 

「魔法!?魔法が存在するんですか?」

私は諜報員として致命的なミスを犯した

感情を出すなど裏が見られてしまう可能性があるのだ

 

 

「あなた方の土地には先住魔法もないんですね・・・不思議なこともあるものですね」

 

 

不思議に思うのはこっちだ

魔法だ?科学で世界のほぼすべてのことは説明できるはずだ

魔法なんで17世紀まであった迷信の一つ

それこそファンタジーの世界にしか存在しない代物だ

エネルギーが無いところから発生するはずがないのだ

世界の法則をねじ曲げることなどできるはずがない

そんな迷信ですら古代の化石と化したものが存在している?

わけがわからないよ

 

科学と魔法の類を同時に存在させていたフィクションもあったのだが、

それは最初から理論が崩壊していた

超能力だ?笑わせんな。

 

あとはもう魔法少女の類だがもうあれは子供と大きいお友達以外相手にしないし

アニメ文化の転換点として有名な「魔法少女まどか☆マギカ」は

理不尽さでバランスをとっていた

 

とにかく拒絶反応しか起きなかった

 

「じゃあどうやって亜人を駆除していたのですか?非常に興味があります」

 

亜人。

 

日本付近でも確認されていた霊長類の派生型とも言える人間に近い「何か」

知能が低いものしかいないが、

それこそ人間の知的障害者みたいにパワーだけは無駄にある

 

学者たちが「これは人間を襲う傾向にあるようだが、ヨーロッパの連中はどうやって駆除していたのだろう」

ということを言っていた

まさか魔法があるとは思わんかったわ

 

「我々には古くから伝わる言い伝えがありまして、その領域内には亜人が入ってこれないんですよ」

とりあえず言い訳をした

自分の精一杯だった

 

第三惑星上の日本に例えれば新東京外環壁といったところか

 

「そういうのもあるんですね・・・ああ。話がそれてしまいました。」

そういって男は話を続ける

 

その男から聞いた情報はとてつもないものだった

 

始祖ブリミルなる人間が火.水.土.風からなる4系統の魔法を伝え、

その息子と弟子がハルケギニアに4つの国を作った

その国々は魔法を使って栄え、

6000年間特に大きい戦争もなくそのまま継続している

先の先住魔法は「自然の力を利用する」のに対し四系統魔法は

「自然の力をねじ曲げる」という理由で

先住魔法を使う人達と4系統魔法を使う人達は仲が悪いらしい

その中で顕著なのが中東周辺の砂漠に住むエルフ達で、

聖戦なるものを数千年の間繰り返していたらしい

 

社会制度についても聞いた

社会制度は所謂封建制であるが、

身分がはっきり分かれているといっても過言ではない。

 

王族、貴族、平民の順だ

貴族と王族は魔法が使えるらしく、

逆に平民は使えない。

どうも魔法の使える使えないは遺伝が影響しているようだ

 

遺伝子サンプルを持ち帰って解析する必要があるかもしれない

 

国家の傾向も典型的な封建制国家だ。

貴族が領地を持ち、運営し、税金の一部を王族に献上する

貴族の領地での権限は強く、高い税金をかけているところもあれば

そうでないところも存在したり、

その広さもまちまち

貴族にとって領地と家系で順序が決まるようで、

平民のような生活を送っている貴族もいるそうだ

 

やはり基本的な文化は後進国だったようだ

『貴様らがいる場所は我々が数千年前に通過した場所だ!』

魔法は才能と遺伝で決まるということで少し安心した

 

いくら固体火力が高かろうと現代戦においては大した価値はない

これは一次大戦の塹壕戦の頃からの話だ

 

魔法使いは大した脅威にならないと判断した。

 

「あなた方は魔法が使えないようなので、あちらに行ったら『下等民族』などと言われるでしょうね」

 

それは構わん。

下だと思ってくれれば圧倒したときの効果が大きい

 

だが未知の技術体系は大いなる脅威だ

早く解析を急がないと・・・・

 

この情報はリアルタイムで日本に送られる。

日本では今何が起きているのか

予想がつくようなつかないような

 

 

 

こうして、ここに日本の対魔法戦略が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本国の会議室は騒然としていた

 

 

 

諜報派遣の黒船船団が回収した情報に

誰も理解が追いつかなかったのだ

 

 

「魔法・・・だと?」

「そんなバカな。物理法則は書き換わってないぞ!?」

 

学者は口々に言う

 

 

鈴木一郎(偽)が教会で話を聞いてから一時間後

会議室で録音された音声データが再生された直後である

 

近頃驚きっぱなしだったので

さして驚かなくなっていた学者達ですら

この有様だ

 

学者は何も言うことが出来なかった

数千年前に「迷信」で終わったつくり話が実在している

理解できなかったし信用しようがなかった

 

だが地球によく似た・・・どころかほぼそのままの星がある時点でおかしいのだ

 

ある一人の学者が言った

「だがこれで今までの幾つかの未知の現象は説明できる」

「亜人のことだな。」

 

それは誰もが理解していた。

だが他にも未知の現象は存在していた。

魔法があるならそれに関連することなのだろうが、誰も説明できなかった。

今の時点では。

 

大統領と書かれた席の男は言う

「だが未知の現象や未知の技術系である以上、解析や研究は不可欠

ここに『魔法省』の設立を宣言します」

 

学者の眼の奥が光り始めた

地球では研究する内容があまりなくなりつつあったが、

ここには未知の現象がいくつも存在する

 

わからないなら解明する必要がある 

理屈にする必要がある

それが科学なのだ

 

彼らは研究意欲に燃えていた

わからないことを見つけるとすぐ飛びつく

それが科学者なのだ

 

そうして未知の技術体系「魔法」を研究する省庁、「魔法省」が設立された

生物や地質は国土地理院や環境局があったので別として、

人間が扱う「魔法」に関する研究が始まった日である

そしてこの日。早速ある論文が学会に上がった

 

未知の現象である電磁波に規則性を発見したというものだ

詳細は未だ研究中であるが、魔法に関連している可能性は高いと主張する。

その規則性というものは

デジタル電波のように正確に分類可能で、それは25種類程度の分類にできるという。

 

これは後に日本にとって大きな成果となるのだが

現状で詳細は研究中である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モロッコ(仮)南部アガディールに揚陸した3日後

俺(鈴木一郎(偽))は町の宿屋で寝ていた

宿屋といっても4つしか部屋がない小規模なもので

農家の副業といったところか

日本的に言えば(本来の意味での)民宿が正しいだろう

 

船に戻っても良かったのだが

もう少しこの地域の生活レベルや経済状況などを見ておきたかった

 

このアガディールの経済状況はかなり緊迫している

というか物々交換レベルなので

あまり経済に意味はないのだが

 

まず通貨に関してだが

未だに金貨や銀貨、銅貨が流通しており、

金本位制にすら到達していないようだ

まあ辺境だからこそかも知れんが。

 

金貨1で100銀貨または10000銅貨

銀貨1で銅貨100という

なんともわかりやすい通貨制度だ

だが正直自分から言わせれば「馬鹿じゃねぇの」としか言い用がない

 

金と銀の法定比価が100倍だとか笑わせるわ

流通量の差が100倍もあるわけがないし、

それこそ個人で鋳造が認められているなら

すぐにそれは崩れるはずだ

 

金山がひとつ見つかっただけで崩壊しそうだな

 

つーかよくこんな通貨制度導入できたよな

謎だらけだぜ。

 

 

とにかく流通量調査をして、それを利用して経済破壊も起こせるかもしれない。

カードの枚数は多いほうがいい。

 

また工業は予想通りだが手工業程度のようだ

 

農業に関してだが、腐葉土などの自然肥料くらいしかない

食糧生産量に対する消費量はかなり緊迫しており、

早めにリン鉱山を見つけて化学肥料を作る必要があるかもな

 

今教えることができる処置は糞尿を用いた肥料くらいだな

 

 

漁業は現代も昔もあまり変わらないし、

外洋漁業がないくらいだ

 

ちなみにこの町には魔法使いは居ない。

なんせ辺境なもんで。

 

とりあえず腹がへったので外へ出てみる

 

 

市場には今朝上がったらしい魚が売られていた

見たことある魚もかなりある。

鯖とアジ、鯛を見つけたので

地金3gで購入

売ってたおっさんは小躍りしてた。そんなに大金なのだろうか

そういえば地球では天然物の魚って食ったことなかったな・・・

 

 

ということで

宿屋の調理場を借りて刺身にすることにした

都合よく醤油は持参していた

 

仕事の都合上、一人暮らしも長いので料理は得意だ。

結婚するような年齢かもしれないが、日本では

「遺伝子欠損の防止」という名目で一夫多妻制および一婦多夫制になっている

あくまで可能であるだけなのでしない人も勿論いるが、

国から補助金が出る上、役割分担で子育てができると楽だという理由で

日本の婚姻の3割は重婚である

もちろん離婚件数も増えたし喧嘩も絶えないのだろうが

 

まあそれはいいとして

 

 

宿の人は「あの・・・生で食べるんですか?お腹壊しますよ?」

と言っていたが

「うちの国では生で食べるんですよ」

というと

「そうなんですか・・・?」

 

 

で、現状は一緒に食べている状況である

「生で食べるのは抵抗がありましたけど、調理した魚よりおいしいですね。」

「海が近いところだから出来る芸当さ。その日のうちに揚がったものでないと腹壊すから注意してくれよ。」

「うちの両親にも食べさせたかったなぁ・・・」

「そういえば君一人でやっているようだけど・・・」

 

話を聞けば

数ヶ月前、親が南の砂漠へ行ったきり戻ってこないという

こんな可愛い子を放置してどこ行きやがるんだそいつ

 

が、性欲は持て余さない。任務に支障が出るので性欲の抑制くらいはできないといけないのだ。

 

何か理由があって置いていったんだろうが深く聞くこともなかった

 

 

 

数カ月後に訪れた時には寿司屋になっていたのはまた別の話

 

 

 

 

 

今日の仕事は

港の工事の手配である

土木技術師、もといドロイドを数人置いていくが一応確認して上に報告しなければならない

かかった費用も勿論政府持ちなのだ

 

「ずいぶん集まりましたね」

技術師のドロイドが言う

「そりゃあ普通に畑耕したりするよりもはるかに割がいいからな」

 

町で労働者の募集をかけたら300人近く集まった

この町の総人口は数千人も居ないだろうから

かなりの数だ

普通なら面接をして振り分けるのだろうが、

今は急いで作らねばならん

食料輸送船が来るまでには完成させなければならない

 

それまでは黒船船団の缶詰を解放する

本当は30秒で完成するレーションもあるのだが、

それですらオーバーテクノロジーなのでとりあえず初歩として缶詰である

自分たちは飽きたどころか拒否反応を起こす缶詰であるが

この町の人間には好評だ。

 

 

工事が始まったのを見届けたら町の外の農園地帯をもう一度確認しに行く

水が少ないのでコメは作れそうにない。

 

他の産業をしようにもやはりどれも適していない。

近代化したら陶磁器工場でも立てるしか無いのか

 

あと期待できるのは石油くらいかなぁ・・・

 

地球ではサハラ砂漠は既に緑化されていたが、

ここにはそれだけの資金力も資材も技術もない

かなり後で食糧不足が顕著にならないとできないなこりゃ

採算に合わん

 

昼飯時なのでレーションをその場で展開

食う。

数十秒で冷えた水と暖かい食べ物ができるのはありがたい

 

遠く乾燥地帯の山々を見ながら将来どんなことになるのか想像していた

 

石油コンビナートができるのか、

それとも永遠にさばくなのか・・・

まあ知った事ではないが

 

今夜出港して北へ向かうので早々に街に戻るとする

 

日本で魔法とやらの解析は継続中らしいが

自分たちが魔法使いに接触しないとどうにもならない

早めにヨーロッパへ渡るとしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

アガディールを出発してから2日

日本から連絡が入った

 

どうも大統領のおふざけか何かは知らないが

俺は法務省の公安調査庁(PSIA)に所属しているのだが、

 

対ハルケギニア工作専門機関をつくるのだそうだ

(National INtelligence of JApan)日本国家情報局 略してNINJAだそうだ

で、俺はそこに転属されたわけ。

 

 

主な業務はハルケギニアを含める日本国外においての日本国に関する情報を出さないようにすること

国外においての情報収集、および工作

となっている

 

NINJAはネタとして長年存在していたが、まさか採用される日が来るとは思わんかったわ

完全にノリでやってるだろ

 

よって俺の役職は日本国家情報局ハルケギニア情報工作部隊隊長となるわけだ

ずいぶん長くなるなおい

 

二日目よりモロッコ北部へ2隻を向かわせ

14隻でガリアを目指す

 

スペインが存在しない分、ジブラルタル海峡が非常に広いのだ

ここを六分儀もGPSもなしで渡るのは至難の業だろう

この船にはGPSはついていないが、ドロイドの全てに搭載されている。

 

アガディールで地図を入手したが、

ひどいものだった

衛星を使って作った地図と比べると精度とかいうレベルじゃない

 

よくガリアから渡ってこれたものだ

 

 

 

そしてアガディールから4日目

ついにユーラシア大陸が見えてきた

 

やはりピレネー山脈より南側が水没しているらしく、

海からすぐ山になり、そこにリアス式海岸が広がっている

 

ピレネー山脈を右に見る位置から見える港町

地球においてはビアリッツと呼ばれる町

だが放置。スルーする。

 

目指すはガリアの首都と見られている

地球ではパリと呼ばれた

フランスの首都である

 

都市の配置なども同じようだ。

偶然だと思うが、地政学的に言えば必然なんだそうだ

 

早々に揚陸して陸路で目指すのもいいのだが、早めに他の国にも行きたいし、

車が使えないことは非常に困るのだ

一応解禁技術には入っているのだが、

サスペンションがないと乗り心地が壊滅的なのでやめておくことにする。

 

 

よってセーヌ川河口付近まで行ってそこから小型船で遡上するという算段だ

 

 

 

と思っていたが

「方位250 正体不明の飛行体を発見!数2!」

物見のドロイドが言う

「距離は」

「約4キロです」

よくそもまあそんな距離で見れるもんだ・・・

だが・・・航空機の類はないはずだから別の何かか?

例の空飛ぶ船か?

 

「対空火器を準備!攻撃してきても許可あるまで発砲はするな!」

「了解!」

 

詳細を把握するために物見にもう一度聞く

「敵飛行体の速度は?」

「どちらも170です」

船や航空機においても時速キロメートルを使っている

「予想外に早いな。」

「接敵まで5分!」

 

自分も望遠鏡を持って陸の方を見る

電脳の効果もあって

通常の光学式でも120倍くらいにはなる

「あれは・・・鳥か?人が載ってるように見えるが」

「どちらかというとドラゴン・・・では?」

「もう驚かないが空想上の生物だぞ・・・」

 

だが近づいてくるにつれその形がはっきりしてきた

間違いない。ドラゴンだ。

もはや驚きはしないが

あれを飼い慣らして利用するということもできるんだな・・・

 

「どうします?アレ。」

「攻撃するわけにもいくまい」

 

 

 

 

 

近づいてきた2匹のドラゴンが船と並走し始め、

そのドラゴンに乗っていた男が

「貴様らここで何をしている!所属と目的を言え!」

やはり国境警備か何かだったか

というかよく目前に新世代の装備と機関を備えた艦艇14隻を目前にして平然としていられるものだ

それともそれを理解していないのか?

 

「我々は遙か東の地、日本よりやってきた。」

「japonなどという国は聞いたことない やはり貴様ら海賊か何かだろう」

だめだこいつ 未知の領域を知ろうとしねぇ

「我々は砂漠のさらに東から来た。ガリア王に合うために首都へ向かっている」

「ますます信用できん。貴様らエルフの回し者だろう」

 

めんどうだから撃ち殺そうかなこいつ・・・

「こらやめておけ 相手の戦力も未知数なのに」

もう一人の男がこちらに聞こえないように言う

が、聞こえているのはやはり電脳の力だろう

 

「現在国王陛下はボルドーに来ている。最寄りの港まで誘導するので付いて来てくれ」

「了解した。そちらの指示に従おう。」

 

こうしてボルドー付近の港町アルカションへ接岸することとなったが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国境警備隊かなにかは知らんがそいつらに誘導されて2時間

 

港町アルカションに近づくと

既に野次馬でごった返していた

 

120m級の鉄工船

最大射程8km回転砲座駐退機つきの12インチ主砲を前後4門

その他の砲が複数存在する

しかも帆船ではなく蒸気機関で煙突が存在する

 

彼らから見ればオーバーテクノロジーの巡洋艦

それが14隻

 

そりゃあ見たくもなると思う

 

まあ見たところで動作原理は理解出来ないだろうが

 

なぜここに来るか知られたのかは分からなかったが

 

大型船が接岸できる場所が今回も無かったのでボートで揚陸

 

陸について護岸の上に昇ると

青い髪の男

「よく来られたお客人。私がガリア王ルイ3世だ」

突然なので驚いた

いや、驚いたのはありえない髪の色にだ

「国王陛下直々に出迎えとは光栄です」

 

どういう国なんだよここ・・・

髪染めるのが流行ってるのか?

 

「ここに来た目的を聞きたいところだが・・・その前にあの船を見せてくれないか」

「ええ・・・構いませんが・・・」

なんと物好きな人だ

得体のしれない人間に直接会いに来たと思ったら

未知の技術の塊を見せてくれって?

どうかしてるよ

「陛下!危険です」

家臣らしき人物が言う

「心配ない。ジョゼフ、シャルル。付いて来なさい」

国王の後ろには彼の息子らしき人物が二人

二十代くらいだろうか

なんともまあ王族3人で見物とは・・・

 

まったく理解できん

「陛下!我々もお伴します!」

「私がいらんと言っているのだ」

その後その男は一言も喋らなかった

 

もう一度思う

この国は大丈夫なのか?

 

 

 

 

「なぜ我々を信用するんです?」

戻りのボートで聞いた

「君らからは魔力が感じられない。君らに私を殺すことはできないと思ったまでさ」

残念だったな。俺はその気になればてめぇの脳天に電流流して停止させることもできるんだ

全身義体でないとできないがね

 

「でもそれでも普通 得体のしれない船に乗り込むなんてしないんじゃあないですかね?」

「一番の理由は・・・」

国王は後ろを向きかけて小声で言った

「上の息子があれを見たそうにしていてね。ボルドーの行政庁でその話を聞いた時から顔が明らかにいつもと違うんだ」

 

「そんなもんですかね?」

 

「上の方は魔法が使えなくてね。いつも部屋で引きこもりがちなんだ。

部屋で一人でチェスや魔法人形で戦争ごっこをしていたり・・・

今の息子の顔はまるで新しいおもちゃをもらった子供みたいに見えるよ」

ああ・・・こんな奴にcivlizationやらせたら飯も食わずにやるんだろうな・・・

だがいつかやらせてみたくもある。

最強の戦略人格データ 通称「スパ帝」に勝てるコンピュータですらここ1000年存在していない

もしかしたら・・・ね

 

「そういえば君の名前を聞いてなかったね」

確かに言ってなかった

「私は日本国より来ました鈴木一郎です」

 

「japon...君たちの国の名前かね?」

「ええ。遙か東の島国です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず1万字投入。
鯖への負担を減らすためにも、分割投入はしない!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

前章 2

移転してから新たに読者がつくと思わなくてちょっとびっくり。
ネタバレにならない程度には更新してみようかな

7/27 21:39
ここってタイトルつけなくても投下できるのね・・・



日本では次々に魔法に関する研究が蓄積されていた

喜望峰経由で輸送・回収されてきたマジックアイテムの解析が始まっていたのだ

 

新東京市 魔法省研究所

学者らしき人物とその助手らしき人物が画面を見ながら会話していた

「やはり魔法に関連するものからは規則的な電磁波が出ているようですね・・・何なんでしょうか」

「数学者曰く26種類に分類することができる。つまり・・・」

「25とか26ってなると・・・アルファベットですね。」

「その可能性も否定できん。とりあえず直観コンピュータの結果待ちだ」

 

直観コンピュータ

あらゆる情報を解析、そしてそれに規則性や何か不審な点を発見するとすぐに報告、

場合によっては理論を組み上げるコンピュータ。

研究向けなので一般には出回らない

 

「魔法使いの遺伝子サンプルも集まりつつあるな」

「まだまだ足りませんけどね」

モロッコ北部より回収された魔法使いの遺伝子データは40ほどあるが、

魔法に関連する遺伝子を見出すには数万の遺伝子データが必要になる

 

「さっき送られてきたデータなんですが・・・」

「うおっなんじゃこれっ」

ガリア王とその息子の外観身体データだった

「この髪の色は・・・・地なのか?」

「報告によればそうらしいです」

 

その後、始祖の血を引くものは髪の色がおかしくなる可能性が高い

という仮説すらたってしまうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり近くで見ると大きいですな」

「うちでもかなり大きいほうの船ですよ」

もちろん嘘である。

本当は全長20キロにもなる宇宙船があるのだが

そんなことは勿論いえない。

 

 

 

 

 

 

「巡洋艦扶桑へようこそ。国王陛下。」

「うむ。少し見せてもらうぞ」

国王のほうは堂々としているが、

一番怪しいのは『上の息子』のほうだ

周りをきょろきょろ見てまるで子供みたい

 

「あの・・・父上・・・」

「ああ、そうだったな。鈴木殿、少し艦内を見せてもらえないかね?」

 

「ええ。ではこちらへ」

そういって前方回転砲座の前に来た

 

 

「これがこの船の主砲、8インチライフル砲です。」

「戦列艦に比べて砲が少ないですね」

今まで黙っていた『上の息子』もといジョセフが言った・・・

 

 

「戦列艦では横に対しての攻撃力はそこそこですが、

射角が狭く、また今までの砲に比べ長距離飛ぶようになったので、

いかに長距離から正確に敵を叩くかが重要になってきます」

「つまりこれが配備されれば今までの戦列艦はお役御免と?」

父親と弟は聞き流しているが兄はすぐに質問を詰めてくる

「その通りです。うちでは既に戦列艦はなくなっております」

 

戦列艦どころか反物質機関を積んだ軌道戦闘艦が主力だがな

 

 

そこへ父親が入ってきた。国防で重要な情報になるからだろうか

「既存の戦列艦でこれに勝ち目はないということですかな?」

「ええ。模擬戦で負けたことはないですね」

「ちなみにこれは飛びますかね?金属で作るとなると重くて飛びそうにない」

「飛ぶ・・?どういうことですかね?」

情報としては空飛ぶ船の話は聞いていたが現物を見たことはない。

 

「japonでは船は空を飛ばないんですか」

「空飛ぶ機械はありますが船とは歩と遠いですね

「風石なる石がありましてな。それを利用して空を飛ぶのですよ」

風石・・・ねぇ

とりあえず報告しておくか

 

「それよりも」

兄は相変わらず子供のようだ

 

「この主砲を撃ってもらえませんか」

「いいでしょう。でも何を撃つんです?」

 

兄は顔をニヤケさせながら・・・かはしらないが外洋の方を指して

 

「あれです」

 

見ると赤い旗が立った木造船が浮いている。

距離は3キロほどだろうか

 

「いつの間にあんなものを!」

父親が怒り気味に言う

「行く途中で手配しておいた」

「こういう時だけ手際がいいんだから・・・」

 

父親は呆れたような顔をして

「申し訳ないですが鈴木殿、あれを撃ってもらえますか」

「分かりました。砲撃準備!」

そう言うと船員のドロイドが砲のところに来て準備を開始する

「砲の中を確認!」

砲の底蓋を開ける

「異物なし」

「弾を装填!」

後方から弾を二人がかりでもってきて

「装填確認」

「炸薬を装填!」

後ろから一人が長い筒を持ってきた

「炸薬確認」

「底蓋閉鎖!」

「閉鎖確認」

 

「目標 方位220 無人船」

 

 

「撃ちますので下がってください。」

「そんなに威力があるのか?」

「ええ、あと鼓膜が破れるかもしれないので耳を塞いでください」

 

「撃て」

轟音と共に駐退機が後退

1秒ほどして水柱ができた

 

「命中」

 

 

「これはすごい・・・この距離で当てるとは」

正直言えばこれで凄いと言えるならやっぱり・・・

地球にはとある場所から15分以内にどこでも砲撃するシステムすら存在したのだ

しかもそれは数百年以上前のこと

 

「この砲は売ってもらえますかね?」

やはり国防に使うのか?

「製造法は教えられませんが、現品ならかまいませんよ」

製造法を教えたところで理解できるわけ無いだろうけど

 

 

数カ月後に20程送ったのだが

そのうち3つがジョセフの玩具になったという・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は大西洋に浮かんでいた。

 

修正 船団は大西洋を北上していた

 

 

あの後、砲の取引の話をした後、

本命の交易と首都での大使館の設置、その付属となる学校の設置を提案したら

「断る理由などない。喜んで受けよう」

とのことだ

 

結局次の日には大使と建設要員などを置いて出港したが。

 

 

ガリアに輸出する物は当面砲弾と嗜好品になりそうだ

 

そう夜の大西洋・・・元北海を見ながら考えていた

 

 

「なんだアレは」

物見が何か見つけたようだ

「どうした?」

 

「方位12 上空に巨大なアンノウン 距離は・・・・30万」

「水平線の向こうじゃないか。どういうことだ」

 

私は船の前方を見た

が、見えない。真っ暗だ。

赤外線なら巨大な何かが存在しているのはわかる

「例のフライングブリテンでしょうか?」

艦長が隣に来て言う。

「だろうな。でもなぜ飛んでいるんだ?」

 

「本国の学者は原因不明、特定周波数の電磁波を感知しているそうですが」

「それだけでは説明にならんな」

「我々にはどうでもいいことですがね。」

「全くだ。本国の連中にはこれ以上ない研究材料なんだろうが・・・」

あいにく自分は学者ではない。自分の任務を遂行するのみ

 

物見がまた何か見つけたようで

「方位255 電磁波にノイズを確認」

 

この惑星では地中から特定の周波数の電磁波が出ている。

フライングブリテンほどではないがかなり強力なものだ

それはパターンがあり、変わることはあまりないのだが・・・

 

「何?」

進行方向右側を見た次の瞬間

「方位同じく 大きな熱エネルギー反応を確認」

「熱源は探知できるか?」

「熱源は不明、何かが燃えているようですが燃焼物が分かりません」

 

「おかしいな・・・行って見るか 艦長、ジェットパックの準備を」

「分かりました」

本当はなるべく使わないよう言われているのだが、どうせ夜間だからいいか

 

 

 

 

 

現地上空に到着してとんでもない光景を見てしまった

 

焼死体焼死体焼死体焼死体焼死体焼死体

焼死体焼死体焼死体焼死体焼死体焼死体焼死体

焼死体焼死体焼死体焼死体焼死体焼死体焼死体焼死体

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

町が燃えていた

 

そして死体・・・いや

人が生きたまま燃えていた

 

生身の人間の焼ける・・・非常に臭い・・・

耐え切れず、すべての感覚器官を切る

 

一つの火だるまが動いたと思えば、それは人形で、

数秒もしないうちに目の前で死んでいった

 

 

 

 

 

「人がゴミのようだ・・・・」

 

 

まだ町は燃えているが生命らしき物体なし。

単なる虐殺だ。

だが戦時でもないのになぜ?

 

 

「賊か何かの襲撃・・・にしては皆殺しはおかしいな」

女に手を出す程度は常識なのだが・・・

金品の略奪をする暇もなく引いているようだ

何があった

 

 

ふと町の外を見ると人がいた。

子供を背負って歩いている

 

 

「そこで何をしているんだ」

空から降りてきたので驚いたのだろうか・・・

子供が泣き出した

 

「いや・・・これは・・・」

「とりあえず話を聞かせてもらおうか」

 

船団にボートを要求して来るまでの間に話を聞くことにする

その間に子供は寝てしまったようだ

 

 

その男の話では

やはり賊に襲撃され、そのまま火を放たれ

その中で生き残っていた子供と脱出したと・・・

 

「嘘だな」

 

地球には嘘発見器も存在していた。

が、軍事以外での使用は禁止されている。

電脳にも実装可能だが、オンラインで使用するとすぐに公安からウイルスを送り込まれる

そうでなくても無駄な負荷が電脳にかかるのだ

 

「なっ!」

「君は顔に出やすいのかもしれないな。君は・・・村の人間ではないだろう?」

「なぜ・・・」

何故かと言われれば

『君から電磁波が発生していて、それは魔法使いに共通する事項だからだ』

魔法使いがこんな辺境にいる確立は低い、というところだが

・・・・言っても信じてくれないだろう

 

とりあえずは無視しておく

「君はメイジ・・・そうだろう?」

 

「ええ・・・ここを焼いたのは・・・自分です」

「そうか・・・」

 

男は改めて経緯を話し始めた

彼は魔法研究所実験小隊の小隊長だそうで、

命令により疫病の他地域へ蔓延を防ぐ為という名目でこの村を焼いたそうだが

疫病の痕跡がないことを部下から指摘され、

実態は異教徒虐殺であったことを悟ったらしい

命令違反をして生き残っていた子供を背負って町を出た

 

ということらしいのだ

「異教徒狩りねぇ・・・これだから坊主は隔離しておかないと死人が出るんだよ」

 

「あなたは始祖ブリミルを信じないのですか」

どうしてそこに至る・・・

 

「始祖だかなんだか知らないけど干渉して来ない存在など空気も同然だね。

それで儲けようとするゴミは民衆に殺されちまったよ」

 

本来機密であるはずの情報を喋ってしまった

まあこの世界で信じられる奴はそういないだろう・・・

 

「あなた方の国は宗教は存在しないんですね・・・」

ガリアから早々にウワサが広まったのか

それとも顔つきから判断したのか知らないが

異国の人間とバレてしまった

 

「それどころか神を信じられなくなるような力すら持っちまってな、

それを手に入れるのに神は手を貸してくれなかった。

もう神なんてバカのすがる場所でしかなくなったよ。

ここみたいに魔法も与えてくれなかった」

 

ついペラペラ喋っちまった

後で擬似記憶に書きかえておくかな・・・

 

「魔法が・・・ないんですか?」

 

・・・そういえばどうせジェットパックも見られているし

もうこうなればどうにでもなればいいや

 

「ああ。神も誰も手を貸さなかった。だけど今となっては空の向こう、

太陽よりも果てしなく遠いところまでいけるようになった。

神に頼ると堕落するんだろうね・・・」

「うらやましい限りです・・・

あの・・・頼みがあるんですが」

「何かね?」

「私を・・・連れて行ってもらえませんか?」

 

なんて事を言い出すんだこいつ・・・

 

「もうここまで言ってしまった以上そうするしかないけど・・・

その子はどうするの?」

「この子も一緒に。どうせ行く場所もありませんし、もうあんな仕事は二度としたくない」

 

「いいけども君には色々やってもらうことがあるからな」

本国で連中の実験体とかな

 

「分かりました。私の出来ることなら何でもやりましょう。」

 

 

 

こうしてこのコルベールというメイジは

ハルケギニアより行方不明となるのであった

 

 

 

 

 

数日後、

コルベールは喜望峰経由で日本に向かった。

連れていた子供は精神医療のためケープタウンで治療中である。

 

 

 

 

 

更に数日後

 

 

 

ダングルテールから更に大西洋を北上

 

 

トリステインの海の唯一大型船が接岸できる港町

アントウェルペンに向かっていた

 

陸の港は多いようだが海側の港はあまりないようである。

 

 

 

この港は海に面しておらず、スヘルデ川を少し上ったところにある

 

地球ではベルギー最大の港湾都市で、石油備蓄基地も存在していた

が、もちろん第三惑星ではそんなものあるわけがない

 

 

今回もすぐに何か飛んできたりするかと思っていたが

案外スルーされていた

 

川を20kmほど溯って見えてきた港町

あまり発展していないようだが

やっぱり野次馬が集まっている

どうやって知ったんだろう・・・

 

 

「なんか砲を向けてるぞ連中」

「・・・やりあう気なんでしょうか?」

隣の艦長が返答する

 

その次の瞬間

艦よりそこまで遠くない所に水柱ができた

「撃って来やがったぞあのバカ共」

「下関戦争を彷彿とさせますね」

「こっちが勝つのも決まってるがな」

「方位240 砲撃用意!」

「待て!市民を巻き込んでしまう」

 

「ではどうしましょうか」

 

 

「どうせあんな丸砲弾なぞ当たっても痛くも痒くもない。そうだろうお前ら」

「まあ・・・体の交換なんていくらでもできますし第一当たっても無傷でしょうし・・・」

 

最近では軍用の高性能義体には携行無反動砲程度は防御できるほどの性能があった。

ただしHEATはカンベンな

 

丸砲弾なんて防御どころか受け取って投げて敵が被害を被るだろう

 

「ではどうしましょうか?」

「とりあえず引き上げて今夜のうちに特殊作戦群を陸に上げて情報を集めさせて

攻撃を指示したやつを捕獲するか

抵抗すれば抹殺だな」

 

 

 

 

「相変わらずエゲつないですねぇ」

「所属不明だからと砲撃する奴が悪い。

そしてそいつは我々の今後の動きに非常に邪魔になるだろう」

「早めに排除しておくんですね。分かります」

「とりあえず俺も揚陸準備しておくか」

「揚陸はどうやってするんです?」

「郊外からゴムボートでいいだろう。どうせ夜間な上、熱光学迷彩は当然つけるだろうし」

「了解。手配しておきます」

「頼んだぞ」

 

 

こうして

後の歴史書に「アントウェルペン事件」と言われる

第三惑星初の近代戦闘が行われるのでした・・・




んー マツオバショウ
今更見なおしてみると相当投げやりに暴走気味に書いていたことが手に取らなくても分かる・・・

まあ、読んでもらえるならなんでもいいですが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

前章 3

対戦車ミサイルの選定とか、T-90の安さの秘訣とか、
地雷の製造と歴史とか、魔法で現代歩兵を殺す方法とか
調べてる間に鯖への攻撃も一段落したようなので、
投稿を再開します



アルトウェルペン襲撃戦

戦闘勢力

日本 6人

トリステイン 不明

 

交戦形式 奇襲

開始時間 1900

 

 

 

 

河口からゴムボートで10分程

ベルギーはアルトウェルペン郊外に上陸

 

アルトウェルペンまでは本来徒歩で20分程度だが

軍用の高性能義体なら時速60km/hは出るので2分で到着するのだが

 

「全員、熱光学迷彩と銃を確認しろ」

自分は船に居るが、リモートで確認をする

 

手元のサブマシンガン(SMG)にマガジンを装着

コッキングして弾が入ったことを確認する

 

「問題ありません」

「そうか じゃあ行こうか」

 

アルトウェルペンまで全力でダッシュ

 

数分で町のはずれまだ来た

最初の民家を発見

 

以下、電脳通信です

 

「民家を発見した なるべく音を立てないように通過」

「了解」

 

 

「とりあえず川沿いの砲台へ向かう」

「了解」

 

 

 

「敵の砲兵、12を発見」

「とりあえず確保。殺さずに情報を聞き出す」

「了解」

 

二人がはぐれてどこかへ向かう。

どうやら交代のようだ

 

足音を立てないように接近

見られたところで分からないだろうが

 

背後から首に手を回し口を塞ぎ

ナイフを取り出して首につきつける

「な・・・!?」

理解出来ない顔をしている

見えない人間に脅されたらそりゃあ理解できんが

しかも夜間なので到底見えない

 

「昼間の砲撃を指示したのは誰だ」

「フィ・・・・領主のフィリップ様だ」

 

「そうか」

そう言って腹を全力で殴る。

10kg近い金属の塊がぶつかる鈍い音

もちろん気絶する

 

ある機械を取り出す

U字型のコンピュータだ

 

電脳化に抵抗がある人も結構存在しており、

そのために手術なしで電脳化と同じ機能が使えるような端末が存在している。

 

電脳に劣る部分も多々あるが、日常使う分にはこれで問題ない

 

そのコンピュータを相手につけて

自分も有線で接続する

 

自分の電脳から記憶野の初期化を実行

相手の記憶は全て吹き飛び廃人となる

 

可哀想な気もするがまあゆるしてくれたまえ

記憶をチマチマ削除できないのだよ。電脳じゃないから。

 

 

「こちらも排除完了しました」

と言われたのでそちらを見ると

既に脳髄が垂れ流しになっていた

 

「無駄に殺すなよ・・・まあいいけど」

「そっちも殺すのとあまり変りないじゃないですか」

「どうせ野垂れ死にだろうな」

 

 

 

「奴の脳からフィリップ邸の記憶を回収した」

「どうやってそんな・・・」

「記憶をできるだけ回収して不要なものを削除しただけだ」

「ひでー・・・」

 

 

 

既に町は静まっている

やはり電気がないと夜そこまで動けないのか

それとも港町の朝が早いからなのか・・・

 

お陰で誰にも見られずにフィリップ邸に到着

 

門番が二人

それ以外に外側の警備は見当たらない

 

とりあえず門番の目の前まで行ってみる

「今日は冷えるなぁ・・・」

「だから厚着しろって・・・」

 

全く気づいていない。

「我々から見れば笑える光景ですね」

 

即座に口を塞いで

首を引いてやる

「こいつを放っておいてくれ 死ぬほど疲れてる」

「死んでるじゃないですか」

「気にするな」

 

もう一人も死ぬほど疲れていた

放置して中に入る

 

 

 

門を開けると気づかれてしまうので塀を飛び越えることにする

 

 

 

 

 

 

 

「庭に侵入」

「気づかれている可能性はほぼないがな」

 

視界モードを赤外線にする

 

「宅内には・・・十数人いるな」

「結構多いですね」

「大貴族なんだろう。行くぞ」

 

 

「全員拡散。宅内の人間をなるべく生きたまま確保しろ

抵抗するようなら殺して構わん」

「「「「了解」」」」」

 

 

自分は一階の左側の窓に貼り付く

 

 

「いやあ全く昼間の船団には笑わされますな」

「全くだ。魔法も使えん連中が我々と対等に取引をするなど片腹痛い」

どうもガリアからの情報は案外早く渡っていたようだ

 

 

「・・・そこに居るのは誰だ!?」

なっ!?なぜバレた!

 

 

 

『こちらも発見されました!どうしたら?』

『・・・・とりあえず何もせずに待機。恐らく見てもわからんだろう』

 

 

「曲者だ!出会え出会え!」

いつの時代だよ・・・翻訳の方のミスか?

 

衛兵か何かが数人、外に出てきた

こちらを見るが・・・

「誰もいませんが・・・」

当たり前だ 京セラ製の熱光学迷彩は人間の目で判断できねーよ

 

「そんな馬鹿な!? メイジが居る筈だ!」

「透明になる魔法なんて聞いたこと」

その次の瞬間 そいつの顎から上が吹っ飛んだ

 

「な!?何が起きた!?」

その次の瞬間には、一番偉そうな奴以外皆死ぬほど疲れていた

 

「さて、降参してもらいましょうかね」

熱光学迷彩を切って言う

「貴様ら!?どんな魔法を使ったんだ!?それともマジックアイテムか!?」

そう言い奴は杖を構えるが

今度は杖を持っていた腕が吹き飛んだ

 

文字で説明できないような悲鳴が起きる

「こいつは魔法じゃあない。科学だ」

 

その後そいつはあまりの痛さに気絶した

 

 

『全員聞け。第一目標を確保。朝までこの場で待機』

『『『『『了解』』』』』

 

 

 

 

 




とりあえずおまけもあったので転載。


フィリップ邸 襲撃その2


「こっちが風下だ 透明でも近づけばわかる」
「どうやってです?臭いを嗅げとでも?」
「ああそうだ」


その3

「謝罪してもらおう」
「まあ落ち着け 銃を突きつけられてはビビって話もできやしない
とりあえず謝罪はしよう 少なくとも今のところはな
この先どうするかはあんたら次第だ
謝罪して欲しければ 技術をよこせ。OK?」
「OK!」(ズドン)


これも勢いで書いちゃったんでしょうねぇ・・・

前回や前々回に比べてかなり短いですが、
キリがいいので今日はココらへんで。


もっと時間が立って安定してきたらココに虚無と大戦もいどうさせようカナ・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

前章 4

とりあえず前章は終了。
しっかし、書いた自分が言うのもなんだけどかなり酷いなぁ・・・
文章の下手さを隠す方法を考えるべきか・・・


フィリップ邸襲撃の翌朝

 

 

「隊長、もとい司令官。尋問完了しました」

自分の立場は一応司令官。ペリーの位置にいる。

 

「どうせ大した情報もないだろう」

「ええ。ありません。」

「ハッキリ言うなおい・・・」

今後どうすればいいの考えてなかったが・・・

 

「当初の目的通りトリスタニアに向かうべきでは?」

「向かうにしても何時間かかる?」

「30分あれば」

「そんなに早く行けるかよ」

第三惑星でのトリスタニアの位置はブリュッセルと同じだ。

道なりで40km 馬でも2.3時間はかかる位置だ

 

「どうせアレ使うつもりだったんでしょう?」

「自動車だな」

 

初期的な内燃機関

エンジン

の技術は後に公開予定だったので

使用が許可されていた

 

船から降ろされた自動車の前まで行く

「でもモデルは・・・」

「三菱ジープ」

 

「あんた絶対見た目に対しての乗り心地で選んだだろ」

 

「当たり前だ。不整地なんて走りにくいことこの上ない

なら比較的新しくても見た目が古いやつのがいいだろ」

 

「どうせ特注なんだからどれも変わらねぇ」

部下からタメ口というのもダメな人間に見えるかもしれないが

もはや気にするレベルではない

 

「フィリップを拘束したまま荷台に載せとけ」

「道交法違反だ」

「気にするな」

 

こうしてハルケギニア初の自動車三台はトリスタニアに向けて走っていった・・・

 

 

 

 

 

時間と場所が飛んでトリスタニア城下の市場である

 

あの後国王と合って

フィリップの罪状を通報。結果アイツは処刑されることに・・・

 

領地は全て没収され、王国直轄地になるそうだが、「お詫び」ということで

アルトウェルペンとそこから海側の土地は日本の租借地となった。

トリスタニアに大使館と学校の建設の許可をもらう

以上だ。

 

途中で「先住魔法すら使えない下等民族」などと聞こえたが

 

自分に言わせてもらえば

『神に頼って堕落したゴミ民族』

『自分で道を切り開けない最低の連中』

『6000年かけて何の進歩もないバカ』

 

 

それはいいとして

アルトウェルペンのあたり土地が低すぎて水害でダメになるような土地しかないし・・・

どう使うかは本国で決めてもらうとして、自分は情報収集をしようと市場に来た。

というところで現在に至る

 

 

「さてと・・・まあ適当に見て回るか」

「他の人員やドロイドからの報告もかなりありますね」

今隣にいるのは特殊作戦群の本来の隊長だ。

自分はあくまで臨時でしかない

 

収集された情報はすべて自分のところに来る。

その内容は一応確認しているが

大した物はない

地図、貴族の配置、規模

それぞれの都市の規模、経済状況その他もろもろ

最低限必要な情報くらいだ

 

と思っていた時

電脳通信が入った ドロイドからだ

『司令官!醤油と味噌を発見しました!』

とりあえず想定外のものを発見したら

通報するよう伝えておいたが、

まさか調味料が引っかかるとは・・・

『何っ!?場所はどこだ』

『これです』

 

脳内にトリスタニアの地図とその場所が表示される

市場の一番端か・・・

 

『すぐ行く。そこで待機』

『了解』

電脳通信を終了し、

「聞いたな?」

「ええ・・・ですが醤油なんて何故あるんでしょう?」

「分からん。行くしかないだろう」

 

 

数分後 現地到着

やはり市場のはじっこ。人はあまりいない

ドロイドを見つけた

目の前には瓶に入った黒い液体、

それと自分のよく知っている茶色い物体が入った箱が大量にあった

 

「何かおかしいと思ったら人を呼んでたのか

どんな魔法を使ったのか興味あるが・・・

お客さんたち見かけない顔だね、どこから来たんだい」

 

やっぱりアジア系の顔は目立つのか?

 

「ああ・・・少し東の方からな」

「エルフ!?・・・じゃあねぇよな その耳だと」

「それより店主よ。このソースはどこで手に入れた?」

 

正確には味噌もだが、どう表現すべきかわからなかった

 

「こいつはかなり貴重でな、とある村でしか製造していないんだよ」

「で、その場所は?」

「お客さん。俺も商売人だ。言いたいこと、わかるだろ?」

 

店主は手の人差し指と親指で円を作った。

異世界でもマネーは変わらずですか・・・

 

「しゃあない。これでどうだ」

 

俺は金を延べ棒のまま出した。純金で100g

金貨は今のところ持ち合わせていない。

本国から持ってきたインゴットしかない

そして日本では金に大した価値はない。

かつて核融合炉で大量生産されるまでに至り、価値がガタ落ちしたことがある

 

「金貨じゃあないが・・・どうでもいいか」

 

金貨でなくとも金は効果を発揮するようだ

よくわからん通貨制度だから仕方ないが

 

「で、場所はどこなんだ」

「タルブ村さ、ガリア国境近くにある」

 

『すぐ出るぞ ジープを一台回せ』

『了解』

ジープのところに待機させていたドロイドに

電脳通信で指令を出し、車を出させる

 

他の二台には先行してゲルマニアのヴィンドボナに向かってもらう

どうせ自分が交渉しなくても別に問題ないだろうし、

最悪ドロイドにやらせても何ら問題ないからだ

第一遠いし

 

 

 

 

 

数十分後

俺は検問を破壊していた

手持ちのグレネードランチャーで。

 

「何やってるんですか!?」

隊長が言う

「知るかよ。関税とか知ったことではない

このテクノロジーの塊を鹵獲されるわけにはいかないのだ」

 

 

この後そこの領主には兵士のバラバラ死体が届いたそうな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えてきましたな」

「ああ」

 

 

トリスタニアより車で16時間

テントで一夜を明かし、

次の日も午後に差し掛かった頃

 

ガリア国境近くの村、タルブが見えてきた

やはり舗装道路でないから遅いの何の

あとこの地図の精度のヒドさったら・・・

GPSなかったら遭難してるぞ

 

村の中心に教会があり、その周りに三角屋根の家が立っている

典型的なヨーロッパの村だ

その外側は畑・・・いや水田があるぞ?

麦畑よりは狭い領域だが水田が見える

「水田があるということは・・・」

「まさか・・・ねぇ」

 

 

 

村の一番外側、石畳の舗装が始まるあたりで車を降りて、

例のブツについて聞いてみることしようとしたが・・・

 

「誰もいませんね」

「ああ。誰もいないな」

と思って村の中心、井戸のほうへ歩いてみたが・・・

 

 

 

「おおお!?こ・・・これは!?」

後ろのほうから声がする

男・・・老人の声だが・・・

 

これは日本語?翻訳が作動していない

そう思いつつ後ろを振り返ると

 

 

 

白髪の爺さんがいた。

 

 

「あの・・・おじいさん少しい「これは君達のか!?」

「ええ・・・まあ」

今度は翻訳が作動した

どういうことだ

 

「ついにこの世界でも自動車が作れるようになったか・・・」

今度は翻訳が作動しない

わけわからん

「あの・・・お爺さん、日本人・・・ですか?」

「何!?日本だと!?お前らどこから来た!」

「日本国は東京市から」

 

 

少し時間が飛んで

老人宅

 

 

「そうか・・・日本は負けたか・・・」

彼の名前は佐々木武雄

大日本帝国海軍少尉、パイロットなんだそうだ

彼は南方から撤退する途中でこちらに飛ばされ、

不時着したのがこのタルブの村だったというわけ

 

で、その後終戦までの話をした所だ

「一応玉音放送はありますが・・・聞きますか?」

「ああ、頼む」

 

ポケットから携帯端末を出し、

それに衛星経由で落とした玉音放送の音声データを入れる

『朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現トニ・・・』

 

豆知識なのだが、

天皇陛下が不特定多数にメッセージを自ら発信したことは皇紀数千年と言えど、

 

大東亜戦争終戦「玉音放送」

東日本大震災「震災に関する陛下のおことば」

第一移民船団出港「天皇陛下のおことば」

以上の三回のみである

 

 

「陛下・・・祖国に武器を帰さなきゃならんな・・・」

「そういえば偵察中に飛ばされたと聞きましたが、つまり航空機があると?」

「ああ・・・こっちだ 着いてきたまえ」

 

村の裏側にある丘のところに四角い穴、そこに扉がついている

戦時中はよく見られた光景だ

 

「こいつだ」

扉は開けられた

そこにあったのはありえない代物だった

 

「震電・・・?」

「そう、大日本帝国海軍局地戦闘機震電、その改二型だ」

九州飛行機によって試作された

B-29に対応するための局地戦闘機「震電」

それが自分の知っている震電、だが目の前にあるのは違う

 

プロペラが見られない。何らかの理由で離脱したのかと思ったが

『震電改二型』

彼はそう言った

 

「こいつは噴式、いわゆるジェット推進だ」

「俺の知っている震電は試作しかされていない。量産前に終戦したはずだ」

「何?」

 

震電が早期に量産されたら戦争はもう少し長くなるはずだ

 

 

 

どうも自分たちには微妙なズレがあるのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのあと佐々木氏に戦争に至るまでの経緯と

戦歴を聞いた

 

ミッドウェーで負けているが、その直後震電が開発され、

南方から来たB-29がかなりの数落とされているそうだ

「どうやら我々はよく似ているけど別の世界から来たのかもしれませんね・・・」

「まあそれを今更知ったところで大した意味もなかろう」

「そうですね・・・」

 

 

その時、外から悲鳴がした

 

 

 

タルブ村襲撃

戦闘勢力

日本 2

所属不明 不明

 

戦闘形式 防衛戦闘(築城なし)

戦闘開始時刻 1530

 

 

 

「何だ!?」

慌てて外に出ると

 

「あれは・・・フネ?」

この世界の主要移動手段の一つ、空中船が村の外に止まっている

それなりのサイズ、戦列艦サイズだが砲門が見えない

 

「とりあえず行きましょう」

佐々木氏を放置して自分たちは全速力で村へ向かう

 

 

「おったまげた 陸上選手か何かか?」

 

 

 

 

 

 

「しまったな・・・SMGは車に置いたままだ」

「光学迷彩も使えませんしね」

普段着に光学迷彩を実装しているわけがない

手元にあるのは拳銃だけ

「火力支援を・・・無理だよな・・・」

ヘリコプターも飛ばせないし榴弾砲が設置してあったりしない

 

「というかあいつら何なんだ?」

 

 

 

村の全員を拘束し、男の首を締めていた 

尋問だろうか

「もう一度聞くぞ。異教徒はどこだ」

宗教関連の回し者?

なぜここに来たとバレたんだ

というか異端と思われるようなことしたか?

「知らな「動くな蛆虫共!」」

 

俺はいつの間にか

拳銃を連中に向けていた

 

 

「司令!?うかつに動かないほうが」

「俺たちが負けると思うか?」

「それもそうですね・・・では自分も」

『隊長』はそう言うと自分のと同じ拳銃を取り出す

 

 

「貴様らがそうか」

一番偉そうな奴が一番偉そうな口を聞く

「異端審問でもしにきたのか?

残念ながらそれは無理だ。お前は俺に勝てない」

「たかが銃でメイジに勝てると」

脳天をぶち抜いた

15mはあるが、電脳補正、そして5.7mm弾をのため気にするレベルでもない

ストッピングパワーは抜群だ

「貴様!?聖堂騎士隊にたてついて生きて帰れると思うなよ!?」

「上等だ かかってこいよゴミ」

次の瞬間

そいつは死んだ

 

「銃が連続で撃てるわけ」

そう言って杖を構えた奴が

俺に対して魔法で攻撃しようとする

 

別に避ける必要はない

軍用義体はそんなにヤワじゃない

 

 

俺の周りの気温が1200度

だが大したことはない

たかが表皮が焼けるだけだ

 

 

「お、おっmmまえなぜ生きkている」

 

 

「残念ながら俺、人間じゃあ無いんだよね」

表皮が焼けてズル剥け、機械の顔と体になっていた

まるで表面加工前のロボットみたいだ

 

 

「残念だったな お前らの時代は終わりだ」

全力で蹴り込む

 

もちろん気絶する。

「バ・・・バケモンだぁあああああ!!?」

「助けてくれえええ!!!!」

よく聞いたら住民もそう言っている

しまった。見られちまったか

まあスルーでいいだろう・・・が

 

「お前らに見られてしまった以上、生きて帰すわけには行かないな・・・」

隊長は何もしていない

どうも呆れているようだ

まあ・・・仕方ないかな

 

「一番苦痛があるように殺してやるよ」

「やめてくれ 殺さないでくれ」

「どこの所属だ」

「ロマリアの「そうか、死ね」

後でバラバラ死体をお届けするとしよう

 

後はフネの方だが・・・

既に離陸準備をしている

その前に死体をお届けしよう

 

目の前にある死体をバラバラにしてひとつづつフネに放り込む

悲鳴が聞こえてきたがどうでもよろしい

 

その後スタコラサッサと逃げていった

逃げ足だけは早いな・・・

 

 

でこれどうすんだ

「どうすりゃいいんだ?」

「どうするもこうするも・・・迎えが来るまで待つか、荷台にでも乗っててください」

 

 

そんな話をしていると佐々木氏が来た

「何があったんです?」

「簡潔に言うとロマリアのパラディンです」

「異端審問に来たのか・・・」

そういやこのツラでも驚かれないな

 

「その顔では外に居られないでしょう、うちに戻りましょう」

「そうだな、隊長、住民の開放は頼んだぞ」

「了解しました」

 

 

その後

震電をどうするかという話になり、

佐々木氏は

「あれは国、祖国の物です。国に返還しようと思います」

ただ、新東京市に来るかと聞くと

「自分にはもうここに家族が、孫もひ孫もいます。

もう戻ることはないでしょう」

 

 

 

 

 

 

その晩までに震電を分解して

夜にヘリコプターで輸送し、そのついでに帰ることになった

 

「そういえば、醤油の話聞いてなかった・・・」

「どうでもいいじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

遭難?から数ヶ月たとうとしていたこの日

新東京市中に衝撃が走った

毎日のように新発見があったのだが

これはかなりとんでもない発見だった

 

 

「魔道具(マジックアイテム)の一部を推論に基づいて

とある作業を行ったところ、働きが全く別のものになった」

 

マジックアイテムを作動させるためには基本的に低圧、低電流の電気を流せばいいことは判明していた。

その電圧をアイテムから発せられている25に分別される電磁波と同じように変動させる

するとそのアイテムの働きが変わってくる。

 

他のアイテムと同じような電圧をかければ同じような動きをして、

そのあと発生する電磁波も同じになる

 

これは「電磁波の分類はプログラムである可能性」を示していた

それを更に解釈しなおすと

「魔法は科学の監視下で運用できる可能性がある」ということだ

 

だが、その正確な区別や解析などはまだまだで、

あくまで「基礎研究上の発見」でしかない

科学というのは実用化にかなり時間がかかる

 

だが相当遠くない未来、人類は魔法をすべて理解し、

運用する日が来るのかも・・・しれない

 

 

 

その数日後の話になるのだが

今度は地質調査のためのボーリングをしていて正体不明のものが発見された

 

結構な量の放射線と電磁波を放つその緑色の結晶体は現在解析中

 

ヨーロッパからの報告にあった「風石」である可能性も指摘されている

 

 

以上の事を前提に、集まってきた情報を元にした会議

ハルケギニアの未来を決めるであろう会議が大統領府で行われていた

「で、今後のヨーロッパもといハルゲキニア対策だが・・・」

一番分かりやすい位置に大統領。

その左右を政治家、その反対側に学者といった感じだ

 

「彼らは神を信じきっている。では我々が神として君臨してみるという話もあるのだが・・・」

「魔法を取り上げない限り魔法に頼り切る」

「その通り。」

 

この会議の基本的な方向は大方決まりつつあった

 

『彼らには自力で神への依存から脱却してもらう

その手助けしか我々には出来ない』

地球人類は自力で研究し、開発し、そして

神の存在を否定できるようになった

 

宗教というのは

人の力を超越した自然の力やそれをも超える未知の力

それに対する神秘的見方などを中心とする概念である

絶対的超越存在 『神』との関わりが基本となる

 

 

神の子を名乗る男が現れてから数千年

人類は未知・自然の力を自力で解析し、

ほぼすべての現象について理解できるようになった

そして絶対的超越である『神』がいないことが分かった。

 

もちろんその過程で『神』は全く手を貸してくれなかった

 

 

人類は自ら『神』を創造し

そして自ら『神』を殺したのだ

 

 

もうひとつ

宗教には人類にとって最大の恐怖である

「『死』からの逃避」の役割がある

 

善人は自殺しない限り死ねば天国に行ける

基本はこんな感じだ。

宗教は害悪ばかりではない。

道徳と治安をもたらした。

 

だがそれを悪用する連中もいた

『宗教を考え付いた人間はもっとも賢い商売人である』

とあるように、一部の連中は集金装置として宗教を利用した

 

利用される方も悪いのだが、

それには「死からの逃避」が関係してくる

人間はどうしようもないとき最終手段として

超越的な力や奇跡なんてものにすがろうとする。

 

いや、すがらなければ生きていけないのだ

 

そしてその後数十年後

 

 

 

人類は「永遠」を手に入れた

 

 

 

電脳化の恩恵の一つ

「脳が死んでもデータのまま生きることができる」

人類の究極の夢、不老不死を手に入れたのだ

 

だが殆どの人は100年から200年ほどで自ら死を選ぶ

理由は簡単。「疲れる」「飽きた」

その他様々な理由があるが、通常の人間の精神にはそれが限界らしい

 

通常でない人間しか200年以上生きることはない

その通常でない人間の殆どは学者、研究者、技術者などである

彼らの探究心は一生かけても終わらない

人類の最大の原動力「好奇心」

それを最大限利用できる人間だけが長く生きている

 

勿論この場にいる学者のほとんどが300歳を超えている

 

こうして、「死の恐怖」から解放された

地球人類には「神」など必要ない

日本では宗教は文化として残り、あとは精霊崇拝や神道ばかりが残っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが彼ら、ハルケギニアは違う

神が実際に自分たちの前に現れ、力を授けた。

その力は強大で、今までとは全てが大きく変わった

その力を持つものは「貴族」となり

持たないものは「平民」となる

 

その力によって身分階級が出来上がり、

ひとつの国家で宗教がひとつにまとめられた

 

その力は宗教による結束力すらも与えた

 

だがそれは数千年経っても自立できない

魔法離れできないのだ

 

全く進歩しない社会と技術

全く変らない社会の実態

そして腐敗していく一方の貴族

 

神は良心でその力を与えたのだろうが、

それは彼らの進化の可能性をすべて奪うこととなった

進まない文明は滅びるのが関の山。

 

神はその力をさらに強力にすることも出来ず、

単に滅びの道を示しただけとなった

 

このままでは第三惑星の人類は滅びてしまう。

学者を含める日本の専門家の総意であった

 

 

 

「魔法に頼ったままでは滅びてしまう

だから我々が科学というもう一つの道を示す」

「そのためにはどうすればいいだろうか?」

 

「科学技術を自主的に研究させる必要があります。

科学技術が大幅に進歩するのはどういう時か、分かりますよね?」

「戦争・・・か」

「そうです。彼らに戦争をさせるのです

そしてそこで魔法の無力さを自覚させる必要があります」

「彼らにある程度の技術を渡すか

それとも我々が参戦するかだが・・・」

「どちらに転ぶかは今後の状況次第でしょうな」

「あまりしたくはないが・・・彼らのためと思ってするしか無いのか」

「目標は『神からの自立』です」

「まるで働けない子供みたいだな」

「全くもってその通りです」

 

 

こうして、ハルゲキニアに科学の優位性を示すための

戦争、そしてそのための準備が始まった

 

 

 

 

つづけ




とりあえずキリがいい感じで終わり。
続きは20年後の話になります。

さて、20年でハルケギニアはどう変わったんでしょうか・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

それぞれの20年

どういう形で載せるか迷いましたが、
それぞれの20年はすべて一つのページにまとめます


新東京

 

 

 

 

 

第22移民船団「瑞鶴」が遭難してから

20年が経とうとしていた

 

新東京市の人口は550万人となったが、

基本的に生活は変っていない

20万人の専門家

それを支える

530万の一般人、

それをサポートする1200万のドロイドとコンピュータ

 

 

今までと変らない、

 

 

ただ魔法省ではかなり変わりつつあった

ロボットにコモンマジックを実装することに成功したのだ

 

この地球上でエネルギーを貯め続ける「風石」「火石」「水石」「土石」

これらにある特定のパターンと周波数の電磁波を与えると、

そのエネルギーが人に伝わり地上に出てくる・・・といったものだ

 

これの正体は「反物質」であるらしいが、

正物質と高速でぶつけると対消滅でなくなぜか正物質とエネルギーが発生する

そのプロセスは未だ未知の領域であるそうだ

 

また、反物質であるが正物質と接触していても何ら問題なく、

ある特定のパターンと周波数の電磁波を与えるとエネルギーが発生する

 

この電磁波は魔法使いが存在すると発生するものもあり、

すでにそれを応用したメイジレーダーが完成している

その電磁波の強度は魔法使いの言う『魔力』というやつだ

 

魔法省では

現在オリジナルそして更に複雑な魔法の開発が進められている

 

なんともまあ

魔法省はよくも20年でここまで調べられたよ

 

また、新型の魔法兵器の研究、

魔法が使える遺伝子に関する研究も進められている

 

 

 

 

 

 

そしてそれを生み出した魔法省で、新たな研究の成果が出来上がろうとしていた

「コルベール君、やっと来たか」

 

新東京市郊外のとある研究施設の地下、100m近い場所

ここではとある遺伝子を利用した研究が行われている

 

「本当にこんなものを作って良いのでしょうか・・・?」

コルベールと呼ばれている男性

頭部がハゲてはいるがこれでも40代なのだそうな

 

「我々は好奇心だけで生きる それの成果を目で見ようとするのは当然だ

そして我々は彼らに見せつける必要がある」

 

コルベールが持ってきた「炎のルビー」

始祖ブリミルの血液から作られたという。

 

「まさかあの伝説が本当だとは思いませんでしたが、

これが完成したとき何が起こるんでしょうか?」

 

このルビーからブリミルのものと見られる遺伝子が発見され、

そのクローンの製造そしてその最終段階へと移ったところであった

 

「わからん。もしかしたら我々はとんでもないものを作ってしまったのかもしれないが・・・

何が起こるかは完全に未知数だ

どうせここでなにか起こっても魔法は使えんさ」

 

地中からのエネルギー流動は、鉛1m、コンクリート5mほどで止められることが分かっている

 

「存在し得ない『第五の虚無』の製造・・・」

 

虚無の魔法は魔法省では常識の一つとなっていた

なんせメイジレーダーで非常に大きな魔力、もとい電磁波を発生させている個体が存在しており、

その正体は魔法が使えないとされるジョセフだった。

 

本人は既に気づいていたが、その力を使おうとはしなかった

『私はまだ知識が足りない、力を行使するにはもっと知識が必要だ

だから国王などという時間のかかる役職に就かなかったのだよ』

 

もちろんハルケギニアでは伝説、つくり話などとされている。

ガリア王族ではかなり知られているようだが・・・

 

因みにジョセフの遺伝子からは親族からは検出されなかった

『由来不明の因子』が発見されており、

これが虚無の原因だと言われている

 

 

「第五の虚無、『ネオブリミル』」

コルベールがそう言い放った培養液の中には

小柄な金髪の青年が眠っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アントウェルペン

 

 

 

 

 

トリステイン王国最大の港町

アントウェルペン

 

今は日本の租借地で『川手市』という名前が付いている

名前の由来は

昔ここに居た巨人が、川を渡る人々に通行料を要求し、

それに応じなかった人の手を切り取って川に投げ入れた

 

そしてそれに憤慨したとある英雄が巨人を倒し、

その手を川に投げ入れたことに由来する

 

これは伝説であり、事実かどうかは定かではない

そしてそれを知る者も少ない

 

因みに租借期限は99年

なぜ99年かは・・・調べろ

 

殆ど人口も居ない上、港町としてもほとんど取引がないアントウェルペン

もとい川手市はトリステイン王国には不要だったようだ

 

一応トリステイン王国に属しているが

事実上の植民地である

違うのは年間『金5万』を支払っている点だ

 

最初はタダ同然だったのだが

いつの間にか増えてきたらしい

それでも大した額じゃないそうだ

 

川手市の人口は180万人

トリステインはもちろん、ハルケギニア最大の都市となっている

ただしそのうち70万人はドロイドである

住人たちは知らないが、いろんな所で必要になるのだ

 

ハルケギニア中から職と教育を求めてここまでの人間が集まった。

教育に関しては日本と同じ水準であり、

ハルケギニア唯一の大学も存在する

 

 

 

港湾部には

石油化学系の工場が立ち並び、

石油備蓄基地、コンテナターミナルすら存在する

 

だが石炭の備蓄、利用も行われており、

地球での1920年代と1980年代がごっちゃになっている

 

他にも製鉄、金属系、造船所、自動車工場など

様々な工業製品が日々生産され、日本、北アフリカ、中東へ輸出されている

 

高さ100mから200mクラスのビルが立ち並ぶ

都市中心部はハルケギニアの金融中心の一つでもある

20年前、未だ金本位制にすら至っていなかったハルケギニアにおいて、

初の近代銀行「東亜銀行」の本店が存在する

それまでの銀行は「預けると手数料がかかる」

有料貸し金庫みたいなものだったが、

東亜銀行では「預けると金が増える」というものだ

当時としては画期的だった。

株式も、国債も、そして投資という概念すら殆どなかったハルケギニアにおいては

その理由が不明で、最初は怪しまれもしたが、

日本の商人等がこぞって利用し始めると、現地人も利用し始めるようになり、

今ではハルケギニア最大の近代銀行として名を馳せている

最近は貴族の利用が多いようで、領地を担保として金を借りているようだ

 

 

ちなみにその他の近代銀行は

ガリア王国のジョセフが発案、そして最大出資を行っている

『リュティス銀行』等が存在する

 

また、川手市には証券取引所も存在する

ただし、取引量はリュティスやウィンドボナの取引所より小さい

理由は川手市内の企業の証券ばかりが取引されるという理由だ

 

ひとつの企業が大きい川手市と、

大量、そして複数の企業が登録している2つの取引所となると

後者の方が取引量は大きいのだ

 

 

 

都市部の道路網はすでに整備されており、

更にトリステイン、ウィンドボナ、リュティス、更に

ガリアで最大の生産額を誇る工業都市、ラ・アーヴルまでの道路網、そして鉄道網も整備されている

都市内のバス網や鉄道網も整備されており、

既に郊外からの通勤や、自動車通勤なども常識となりつつある

 

更にトリスタニア寄りには空港も存在し、

北アフリカ、日本への定期便が就航している

 

 

 

間違いないことはひとつ

ハルケギニアで最も異様な場所であることだ

他の工業都市等では『石炭火力発電』や『高炉による製鉄』

『製糸・織物製造業』『大規模鉱山』を主に行っているのに対し、

川手市においては

 

『アルミニウムの電気精錬』『化学工業』

『合成樹脂』『集積回路・半導体製造』

明らかに技術が50年ほど飛躍している

 

 

勿論この飛躍は学校、そして大学の存在によるところもあるが、

最大の理由は『日本であるから』かもしれない

 

技術を盗もうとしても理解出来ない。

何故なら数学が分からないから

 

この川手市において魔法は大した利点にはならなかった

多少有利になるかもしれない

だが一人で出来ることなんて高が知れている

 

魔法よりも数学ができる者が欲しかった

数学が出来なければ科学は理解出来ない

 

単なる数字と記号の羅列が

魔法に勝つ・・・そんな日が来るのかもしれない

 

 

 

川手市の郊外

 

日本海軍陸戦隊川手駐屯地

 

 

「おら!もっとキビキビ動かんか!

戦場では一秒の遅れが命取りになるぞ!」

「す、すいません」

ゴツい男数十人に対して怒鳴っている女性、

本人は小柄だが、男がビビっているところを見ると

相当強いのだろう

 

 

「アニエス中尉、ちょっと話が」

エリート集団である陸戦隊でも一番若くして中尉になった『女性』

アニエスは、両親がおらず、トリスタニアの日本領事館で育てられ、

その附属学校で学び、本人の志望で軍に入った

 

今では陸戦隊の外国人部隊『第六歩兵大隊』の一個小隊の長である

ちなみにアニエスは一応トリステイン国籍、なにか理由があるそうだが・・・

「実はトリステイン軍が新兵器を購入してね、当然ながら指導教官をつけなきゃいけない。

で、君が適任だと思った次第だ」

「でも私が抜けると小隊が・・・」

「気にすることではない。上は君をえらく気に入っていてね、

戻ってきたら大隊長にするそうだ。」

「は。ですが私に大隊長などという責任重大な職は・・・」

「まあ上の移行なんで、半強制だと思うよ」

「左様ですか」

「ということで来週からトリステイン軍の方へ行ってもらう。

問題ないか?」

「ええ、とりあえずは。」

「では宜しく頼むよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

ル・アーヴル

 

 

 

 

 

 

 

 

「japon」なる国家が現れて20年

この世界は大きく変わっていった

 

その存在は胡散臭く、いろいろ怪しい面もあったが

存在している以上認めざるを得なかった

 

15年前、

japonが『製鉄』なる技術を伝えた

だがその内容を理解したのはリュティス日本領事館付属の学校卒業者だけだった

我々には「原子・化合・分離」などの概念がなかった

 

そしてその設計図を理解できるのも彼らだけだった

 

彼らは『ガリア国営ル・アーヴル製鉄所』そして『ガリア国営ダンケルク製鉄所』

の技術主任となった

 

昔、鋼鉄を作るには連金の魔法を使っていた

だがメイジの数は限られている上、精度、純度が一定でない

一人が作れる量も限りがある

 

製鉄所は違う

設計、そして建設さえ出来れば

あとは平民の労働で鋼鉄が作れるのだ

 

私は魔法の弊害と限界を理解した

魔法が使えないからとからかわれ、

そしてそれを認めざるを得なかったかつての自分

 

だが魔法の絶対優位は崩れつつある

この技術と知識の集合体を彼らは「科学」と呼んでいる

 

他にもjaponはさまざまな技術を教えた

蚕なる虫から糸を大量に作る「製糸」

大量の木材を消費して紙を作る「製紙」

水蒸気を利用して動力を得る「蒸気機関」

石油なる燃える液体を使って動力を得る「エンジン」

これら全てに魔法を必要としない

 

建設時に魔法を使うことはあっても

それ以降は魔法を使う必要はない

 

まさに私のためにあるようなものだ

私はその知識が欲しかった

いや、日本に行きたかった

その知識で奴らを見返してやりたかった

だが王族であり、次期国王候補の私がそんなことはできない

 

日本領事館に図書館が出来たと聞いて、

それから毎日通った

 

そこにあったのは今までと完全に違う世界だった

全ての最小単位『原子』

雷としてしか知らないエネルギー『電気』

空の上の未知なる世界『宇宙』

あらゆる仮想を再現できる『コンピュータ』

その全てが魔法を必要としない

ただしその全てが数学を必要とする

 

結果を知ってもそれを発明、発見した道筋を理解するには

『数学』が必要だった

私は数学を学んだ。それに数年を要した

 

その間、父上に次期国王に指名されたが

『時間がかかる上つまらないことなどやりたくない

今の私は権力より知識が欲しいのだ』

と言い弟に譲ったが

『自分は政治が苦手なので参謀として助言して欲しい』

と言われたので

今は参謀として政治を見ている

 

あんなに憎んでいたはずの弟のことが

次第にどうでも良くなっていった

 

 

 

 

世界の全てがそれまでと違って見えるようになった

一番興味深かったのは「経済学」というやつだ

どうもこの国は遅れているらしく、

今後経済や労働力が増大すると通貨が不足し、

経済力が一定以上増えなくなるどころか、国が滅びる可能性すら出てくる

だが一番有利で、効率的な

『管理通貨制度』では国民が通貨を信用しない

だとすれば一時的に『金本位制』に移行すれば

金の量を増やさずに通貨の全体量を増やすことが出来る

 

 

参謀として国王に提案したら

「ただの紙に価値があるわけない」

などと言いおった

やはりこいつは馬鹿だ。

 

日本の植民地、『川手市』においては

すでに「管理通貨」である「日本円」が流通しているそうだ

この国でも日本円を使えるところが増えている

 

私は考えた

そしてひとつの答えが出た

「そうだ、民間企業で金本位制を導入すればいい」

無謀かもしれないが、やってみる価値はあった

だがそれを達成するためには「金と交換できる」という保障が必要になる

 

そんな時、日本の企業が私の領地の開発をしたいと言って来たのだ

どうも風石が埋まっているらしく、

その採掘権を売ってほしいというものだ

私はすぐに了承し、多額の金貨を手に入れた

 

 

 

そして日本の連中も思わなかったであろう

「民間銀行での金本位制の達成」を果たしたのだ

数年もしないうちに国が中央銀行を立てて、全てそちらへ移動したが

 

 

 

その金を更に利用して、

新しい工場を建設するべく

ル・アーヴルに用地視察に来ていた

 

 

 

「すばらしいな この景色は」

ル・アーヴルのセーヌ川を挟んで対岸に居る

目の前に広がるのは製鉄所の煙と

その周りに張り付くように作られている住居と工場

魔法など微塵も見られない景色

「うむ 思いついたぞ 発電所が必要だ」

「発電所・・・ですか」

「ただ、タービンが作れん。やはり日本に協力してもらうしかないようだな」

「発電所があっても何に使うんですか?」

「とある工場を作るために必要なのだ。楽しみにしていろ」

 

 

 

ジョセフは魔法のことなど完全に忘れ、

いつの間にか発明家となっていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァリエール

 

 

 

 

 

20年前

全てはそこから変わった

 

私の父親は早くしてなくなり

比較的若くして領主となった

 

だがそんなことはどうでもいい

 

japonなる国が現れてから全てが大きく変わった

 

japonは色んな物を安く、そして大量に持ち込んだ

材料を生産していた錬金術師が廃業に追い込まれ、

町ではいくつものギルドがなくなり、

多くの人間が職を失った

 

だがその後日本は考えられないことを始めた

無職のメイジを雇って『インフラ整備』なる事を始めたのだ

 

最初は『鉄道』だった

 

細長い2本の鉄の上に鉄で出来た馬を走らせるというものだ

私は「そんなことができるものか」

と笑って眺めていた

 

だが数ヵ月後には今までの馬車と比べ物にならない速度で『汽車』

なる鉄の馬は走り出した

『汽車』は多くの車を引いて大量の物を運んだ

今まで何十日もかかっていた移動が僅か二日で移動できる

竜を使わない限りは考えられないことだった

最初はアルトウェルペン、いや川手市とトリスタニアの間だけだったが

今ではリュティスからウィンドボナまで伸びている

 

 

次は道路だった

 

それまでも道路であった

だが馬車で通るにも非常に揺れて、大量のものを拘束に運ぶなどできやしなかった

日本はそれを変えた

『アスファルト』なる黒い石を道路に張り、

その上を樹脂の車輪の馬車が走り始めた

 

数年も立たないうちに馬車は「自動車」に変わった

馬の力を必要としないこの『鉄の馬』とも言うべき物は

『ガソリン』なる臭う液体を使い、

それを燃やして走る

魔法も使わない

 

日本は失業者に大量の仕事を与え、

そしてトリステイン、いやハルケギニア中から

多くの人間が川手市に仕事を求めて移り住んだ

 

私の領地でも人口がかなり減った

収入も大きく減り、他の貴族がやっているように

日本やガリア王国、もしかしたらゲルマニアの貴族や銀行から

金を借りる羽目になるかもしれない

 

下の娘は何も言わなかった

『今まで私のために色々してくれたのに

いまさら言えることなんてない』

上の娘は猛反対した

『トリステイン有数の大貴族がなぜ

魔法も使えない民族から金を借りなければならない』と

妻は何も言わなかった。

いや、本当に何も意見しなかったのだ

 

そんな時、日本からの『地質調査団』なる人物の長がこんな話を持ってきた

「あなたの領地にある山から良質の石炭が見つかった

ゲルマニアやガリアで大量に購入しているようなので

鉱山にしてはどうか」

私は悩んだ

三番目の娘もできて更に負担が増加しそうな状況

購入先がすでに存在していて、

さらに低利子で融資するという日本の銀行

 

だが上の娘の反対、

そして貴族としての誇り、

先祖が築いてきた歴史

 

どちらを優先すべきか迷っていた

 

だが私を動かしたのはある一言だった

『娘さんの病気を治せるかもしれない』

私は決断した

 

 

こうして私はトリステインで一番早く『貴族』をやめて

『企業の長』となった

 

もちろん気は進まなかったが

生き残るためにはこうするしかなかった

 

周りからは色々言われたが仕方がなかった

 

 

この後日本から鉱業の技術指導が入った後に

操業を開始した

 

最初は大した量じゃなかったが、

ガリアやゲルマニア、トリステイン内でも買い手がつき始めると

大量に生産するようになった

川での輸送に限界が来たので鉄道を引いた

莫大な金額になったが

それは一年の収入にも満たない額だった

今では炭鉱町の人口も数万人に増え、

収入も今まで考えられなかった額となっている

 

私は勝った

なにに勝ったかって?

貴族の生き残り競争に。

 

今後、方向転換に失敗した貴族は生き残れない

そう思うのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロンディニウム

 

 

 

 

 

駐英日本国大使館

アルビオン唯一の日本による施設・・・

 

アルビオンは日本の手がほぼ入っていない

企業もほぼ総スルー

来るのは学者ばかり

 

その理由は様々だが、

一番の問題はやはりこの国が空中に存在するところだろう

その点での利点は空中船製造技術が高い事くらいで

それ以外には何の利点もない

 

船もつけれない、材料搬入にコストがかかる

だからってそこに資源があるわけでもない

結局、エンジンや蒸気機関などの技術提供をしたものの、

最終的にはゲルマニアから購入している

 

そんなアルビオンの利点といえば

『清浄な空気』や『大気汚染し放題』くらいだが

そんなの某ロボゲーのACやクレイドルでもないのだから

どうでもいいことである

 

その利点を生かしていつかは、

液晶や半導体などの製造に生かせるかもしれない

単価が高いわりに小さいモノなら航空便でも利益が出るからだ

 

まあ、そこにたどり着くまでの技術と学力をどうやって補うのかが疑問だが

 

まともな平民向け学校はこの大使館の付属しかないし

大学も川手に行かないといけない

 

 

結局、ここでは今までと同じ

今までと変わらない生活が行われている

 

だが少し変わった点がある

人口が確実に減少していることだ

 

そもそも高度が高く、寒い上に、土地が痩せ細っているアルビオンにとって

多くの人口を抱えることは出来ない

 

そしてこの状況で大量の雇用を発生させ、

その食料を外部から供給する都市

『川手市』が発生した

 

都市のインフラは整っている上、

教育も無料。

そりゃあ皆借金してまでアルビオンから脱出するわけだ

 

 

多くの人間が住むことが出来る場所ではないのだ

 

最近のアルビオン王家の緊急の課題は

『あらゆるものの生産力が低いこの国において、なるべく多くの穀物生産力を確保すること』

もはや工業に関しては全く期待できない国であり、

農業力以外に他に残るものもない

 

ではその農業を改善できるか

という話だ

 

日本人もそれを聞いていたが、正直に言えば『不可能』である

少なくとも自力では

 

土地が痩せ細っているからこそ飯がマズい

やはりここもイギリスと事情は同じようだ

 

 

水田による稲作であれば、古代の技術を用いても穀物生産量は数倍になるし、

品種改良や遺伝子操作を用いた稲ならば

軽く20倍は期待出来るだろう

カロリーベースでもさほど変わらない

 

イモならばもっと凄まじい

品種改良なしのイモでも

カロリーベースで面積あたり40倍にもなる

品種改良以降のであれば100倍も余裕であろう

 

だがこの国の人たちの口に合うかは別だ

ウマい料理であれば米だろうが小麦だろうが歓迎だろうが

その料理とその調理具を各家庭に普及させれればの話だ

 

もちろんそれは難しい

 

そもそも水田が作れるほど水が豊富なわけではない

あの異常ともいえる米の生産力は大量の水が支えていたのだ

 

勿論イモも難しい

ジャガイモと水だけで戦争できる

ジャーマニーの方々ならいざ知らず、

この国では・・・どうだろうか

 

どっちにしろ当面は小麦の量を増やすのが先決だが・・・・

小麦の生産量を大きく変えたという

『農林10号』とよばれる革命児を用いるくらいしかない

だが生産量を増やすためには勿論作り方も徹底しなければならない

 

最終手段に『農業の機械化』と『化学肥料』という二つがあるが

未だリン鉱山には手をつけていないので

化学肥料も供給できない

つーか輸送のための費用が高くなりすぎる

現実的でない

 

唯一現実的で用いれそうな策は『糞尿肥料』くらいしかない

 

・・・この国はどうなるのだろうか

もう予想はつくけどね・・・

 

 

 

この国には、周りが工業化、近代化していく中

永遠に江戸時代を彷徨って貰うしかない

そう直観で思った

 

 

 

 

今日もロンディニウムの大使館には多くの人間が集まる

多くの人が就労ビザの申請だ

 

この世界には未だ『パスポート』がなく

入国するには『ビザ』が必要になる

地続きのトリステイン国境には検問があり、

川手市行きの列車に乗る前に入国審査を受けなければならない

 

 

ただ、この世界には未だ「身分証明」というものがないため

誰を疑うわけにも行かず、

結局は全員に発行するしかない

 

 

今日も就労ビザを発行するだけの仕事が始まるお・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリスタニア

 

 

 

 

 

在蘭日本総領事館

 

大使館は川手市に置かれているため、トリスタニアには領事館が置かれている

 

 

 

トリスタニア

 

トリステインの首都として最も多くの人口を『抱えていた』町

現在は(租借地ではあるが)北40kmほどにある川手市のが遥かに栄えている

 

人口14万人(日本の調査)

どうもトリステインには国政調査どころか

地理の詳細な調査も行われていないようで、

 

日本が調査したことにより発見された金鉱や炭鉱、鉄鉱などが数多くある

トリステイン5カ国(+日本)のうち2カ国がすでに金本位制への移行を終えており、

その中間であるトリスタニアにおいてもその補助貨幣である

『銅貨』や『銀貨』さらには日本円まで流通し、

かつて存在していた5カ国共通の金貨は消えつつあった

 

この事態に頭を痛めていたのは

政府・・・いや王家と中央行政であった

 

現在、王国の事実上のトップはアンリエッタ王女である

王となるにはまだ若く、特に経済に関して疎いため

実際は『鳥の骨』ことマザリーニが様々な業務をこなし、

その多忙のために『鳥の骨』のような体になってしまったという

 

経済に関しては日本が現れたあたりからかなり複雑化しており、

通貨も金貨を基本とするとはいえ4つ存在している

トリスタニアは更に複雑だった

 

 

 

トリスタニアの『元』中心街

ブルドンネ街

現在は人もあまり集まらず、閑散としている

トリスタニア城下の町はどこも寂れつつある

 

 

現在のトリスタニアは二つのエリアに分けられる

旧来の王城のある丘の周りにある旧市街

旧市街の南側、鉄道駅の周辺にある新市街

 

旧市街は人口が減りつつあり、治安の悪化が問題となっている

 

新市街は鉄道駅周辺にできた街である

トリスタニア駅はリュティス-トリスタニア-ウィンドボナを結ぶ『本線』上の途中駅で、

ここから川手、アムステルダム、ハンブルグ方面へ至る通称『川手線』

ヴァリエール、クルデンホルフ、フランクフルト方面へ至る『クルデンホルフ線』が分岐している

 

この駅は旅客駅であると同時に貨物駅でもあり、

多くの物資と人間が溢れ返っている

中心近くまでバスやトラックも入ってくることが出来る

数十メートル級のビルも立っている(ただし日本企業)

 

そりゃあ旧市街は廃れるわけだ

 

 

王城ではそれについて議論が行われていた

 

 

 

「ですから、税収が増えるのは良いのではありませんか?」

「しかしですな姫様、その税の取り方があいまいになってきているのですよ」

今やロマリア、アルビオンでしか使われていない『旧金貨』で

税金を取ろうにもできもせず、

特に大貴族であるヴァリエール家では日本円、ゲルマニア金貨、ガリア金貨と

バラバラに納めている始末だった

「では新しく金貨と二国で使われている『紙幣』なるものを発行すればいいではないですか」

「いえ、ですからそれをするには莫大な費用と大量の金貨がですね・・・・」

「金貨がなくても通貨の流通量を増やすためのものなのに何故金貨が必要なのです?」

マザリーニは思った

この人には永遠に王座を任せられることは出来そうにない と

 

「つまり金貨と交換できるからこそ価値を持つのでして・・・」

「では金貨を集めればいいではないですか

今国庫にはいくらほどあるんです?」

「日本円が500億、ゲルマニア金貨が10万、ガリア金貨が15万

旧金貨が40万です」

「十分じゃないですか」

「この程度では足りません!日本円で地金を購入しても足りやしません!」

「ではどうすればいいのでしょうか?」

「日本のように国債を発行すればいいのですが・・・」

「では発行すれば「発行しても買い手がつかなければ意味がありません!」

マザリーニは続けた

「それこそ最後は国土を切り売りするしかなくなるやも知れません」

「それは出来ません。私たちの先祖が6000年守り抜いた土地です。渡すことは出来ません」

「そうですか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンブルグ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲルマニア最大の工業都市

ハンブルグ

 

この町は他の都市のように製鉄中心ではなく、

機械工業中心となっている

 

 

たとえば自動車

エンジン、トランスミッション

フレーム、サスペンション

一通りの部品がこの都市で生産され、一台に組み立てられる

 

もちろん個人が車を保有することなど到底出来ない

乗り心地がいい日本車に至っては

皇帝と一部の大商人が保有するのみであり、

 

大貴族と商人の一部がゲルマニア車を買う

 

 

庶民はどうかと言われると

もちろんバスや鉄道を利用するしかないのである

バスや鉄道車両の生産もこの都市では行っており、

 

造船他、様々な機械を扱っている

 

最近は航空機の開発も行われており、

未だ初飛行すらしていないが、今後が期待されている

 

 

 

 

 

現在この都市は

自動車製造2社、造船12社、車両製造2社

非鉄金属2社 製鉄1社

そしてその傘下企業700で成り立っている

 

この企業群はどれも

日本が技術提供した商人系貴族による企業で、

旧来の貴族は更に行き場を失っている

 

 

ただし非鉄金属業はそれぞれ三菱マテリアル、住友金属である

なぜかというと

アルミニウムやチタンの精錬方法は放出可能ではあるのだが、

それをやるには資金力、技術力共に不足だという理由だ

 

発電所から立てなければならないのだ

無理がありすぎる

 

 

造船業は旧来の造船所を引き継いだ形だが、

二つの傾向に分けられる

海上を行く『船』を製造するものと

空中を行く『フネ』を製造するものだ

 

船の方は主に金属で作られるようになり、

最近はゲルマニア海軍からの注文が多いようだ

 

フネの方は近頃生産がめっきり落ち込んでいる

アルビオンが最後の工業を終わらせまいと

国策にまでしているせいだ

 

 

自動車製造は至って良好

ハルケギニア中からバスやトラックの注文が入っており、

個人向けの特注自動車にかまっている暇はないようだ

 

ちなみにエンジンに関しては専門業が存在しており、

主にアルビオン向けのエンジン輸出を行っているようだ

 

鉄道車両製造は

未だ電車の製造には至っておらず、

機関車と貨車、客車の製造にとどまっている

 

電気系インフラが未発達という理由もあるのだが

 

残りの製鉄一社は国営で、それ以外に特に言うこともない

 

 

 

人口は20万人

ゲルマニアでも最大クラスの都市であり、

最大の生産拠点でもある

 

様々なものを製造し、外部へ輸出する

まさにゲルマニア近代化の象徴であった

 

 

 

現在も様々な工場が建設されつつある

この都市の未来は予想がつきそうもない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロマリア

 

 

 

 

 

ロマリア

 

いくつかの都市国家群の集まりであり、

周りが工業化しつつある中、唯一その気がない国

 

それもそのはず

工業化を進めようという人間が政府に全く居ないのだ

 

ガリアはかつて似たような状態であったが、

国王に直接話をつけることができるジョセフの存在は大きかった

 

だが腐敗する神権政治に対して不満がある民衆は

こぞって国を脱出

国民の流出が止まらなくなったロマリア教皇庁は国境沿いに警備隊と壁を建設

後に『ロマリアの壁』と呼ばれるものである

経緯、目的共にベルリンの壁と同じようなものになってしまった

 

山岳部には数キロおきに監視台と国境警備拠点

 

平地、海岸線沿いには完全なる壁

 

もはや要塞国家ロマリアとも言うべき姿となっていた

 

 

唯一日本と国交がなく、また領事館や大使館も置かれていない

 

農村部では神官による略奪だの搾取だのが行われ、

都市部でも同様のことが起きる

そして食料が足りなくなり

あらゆる面で悪い方へ悪い方へ

 

衛生、治安、税収

全てが悪化する

 

 

都市部では街中で死体が放置されるのが日常茶飯事となり

農村部では病気が多発する

 

 

人口が流出しなくても

人口は減っていくばかりだった

 

 

 

かつて『光の国』と呼ばれた国

そしてその首都とも言えるローマ

 

 

バチカンの丘の上、ロマリア宗教庁

 

そこでとある会議が行われていた

「つまり、日本を滅ぼすか、引き上げさせる必要があると」

「ええ、それを成さないとやりようがありません」

「ですが猊下、日本軍は非常に強く、我々で勝てるかどうか・・・」

「問題は他の4カ国です。

日本を異端者として聖戦とすれば圧倒的戦力になるのでしょうが・・・」

「あちらが参加しそうにない。」

「その通りです。彼らは既に異教に侵されています」

「ではなんらかの手段で混乱を発生されれれば・・・」

「それができれば苦労しません」

 

 

 

「いや、それ以前に・・・」

 

「予算がありませんよ」

 

 

 

どうしようもないようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リュティス

 

 

 

 

 

どうしてこうなった

 

何故私だけがこうも・・・・

 

 

 

全ては20年前に遡る

 

あの日、japonなどという国が現れた・・・・

 

その日から色々なものが変わっていった

 

あんなに魔法が使えず暗かった兄が

毎日購入した大砲をバラしてはメモをとり、

その次の月にはまた次の『玩具』を買って

 

またそれをバラして遊んでいた

 

だがその顔はそれまでの彼とは違う

活き活きとした、

そう、子供のような

好奇心に満ちあふれた顔をしていた

 

部屋からあまり出てこない事は数ヶ月ほど変わりなかったが、

ある日、日本大使館に図書室ができたと聞くと全速力で走っていった

 

その日から彼は毎日意気揚々と出かけては大量の本を持ち帰り、

夜遅くまでそれを読み更け、何かをメモしていた

 

それが数年続いた

自分はそれを横目に魔法の修行に明け暮れた

彼にはない力で彼に劣る部分を賄える

 

父上に認められることができれば自分が国王になれる

そう思っていた

 

あの日までは

父上から兄弟二人で呼び出され、

衝撃的な事を言われた

『次期国王はジョセフだ』

 

自分は理解できなかった

 

今までしてきた努力が全て水の泡

自分は父上が魔法が使えない国王を認めるとは思っていなかった

 

だがそこに1つだけ、気がかりがあった

『日本』の存在である

 

彼らは魔法を使えない。

それどころか先住魔法すらも使えず、

神の存在を否定している

 

だが、彼らには魔法を遥かに超えるモノがあった

彼らの言う『科学』だ

 

最初、大きな金属の船を見た時、少し驚いたが

そこまで技術的な差は大きくないと思っていた

 

だが次第に日本はいろんな『科学』を見せ始める

 

魔法を使わずに大きな物を運び、

魔法が使えない距離から攻撃し、

いかなる竜よりも遥かに早く飛び、

いとも容易く物を作る

 

全てが圧倒的だった

 

 

ここまで考えた時、ついに理解した

 

自分の兄はそんな未来まで見ていたのか

 

 

 

だがその兄からとんでもない言葉が出てきた

「私は今知識が欲しい。

それを学ぶには膨大な時間がかかるが

国王という職にそんな時間があるわけがない

よって私は国王を辞退し、

弟のシャルルに譲ります」

 

 

更に理解できなかった

 

国の最高権力を辞退するなど考えられない

彼はそこまでして知識が欲しいのか

それはそんなに価値があるのか

 

 

 

 

結局自分が国王となったものの、

退屈で、大したことも出来ず、色々と後悔していた

 

 

一方兄は巨額の資金を動かし、

自らの工場を立て、

更には製品の開発まで行うようになっていた

 

自分は兄が羨ましかった

自分が好きな事をし、

それを生かして世界を変えることが出来る

 

全て一人で決めることが出来るのだ

 

だが自分は違う

国民から認められてこその国王であって、

家臣や諸貴族、国民という鎖が自分を縛っていた

 

 

現在では何故国王になろうとしたのかさっぱり理解できない

 

 

そして今、更に後悔している

 

 

娘が暗殺されかけ、妻が精神を病んでしまったと聞かされた

 

あるパーティで

ある男が進めた飲み物に魔法薬が入っていたらしく、

娘が飲もうとしたところを妻が取って飲んでしまったそうだ

 

もちろんその男は捕まったが、

誰が指示したのかは結局わからずじまい

 

 

その魔法薬も未知のモノであり

 

おそらくエルフが作ったものだそうだが

その解除法は勿論分からず・・・・

 

暗殺と内乱を恐れた私は

娘をトリステインに疎開させることにした

 

 

こんなことを企むのは大方見当がつく

 

兄だ。

勿論兄にも聞いてみた。が・・・

『そんなことをして私が特をすることがあるのかね?

国王の座なぞ金を貰ってもいらんわ』

 

確かにその通りだ

魔法にも国王にも明らかに興味がない兄がそんなことをしても

何の意味もない

 

 

では他の国の人間か?

それなら国王である私を狙ったほうが国が混乱して

都合がいいはずだ

 

あとは何を考えているのか分からない日本政府くらいだが

同じく得する要素が見当たらない

 

何が目的なのか理解出来ない以上は未知数だが。

 

あとは国内の玉座を狙った犯行・・・・

 

 

とにかく見当もつかない。

 

私はどうすればいいのだ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルデンホルフ

 

 

 

 

 

この国はかつて滅びかけたことがある

 

これまでこの国が保っていられたのは

大公家の財力、そしてそれを利用した金貸し業だった

 

だが同業者が現れた

それも貴族でも、王家でもないのに巨大な財力を持つものが現れたのだ

その名は『株式会社』

 

個人などから金を集め、それを運用する『企業』というやつだ

 

そして彼らはとんでもない事をし始めた

 

貴族でもない平民に金を貸し始めたのだ

我々は驚愕した

返せるはずもない平民に金を貸すなど考えられなかったのだ

 

だがそれはその国の性質によって大きく覆されることになる

 

『株式会社』を広めた『日本』という国は

『すべての国民が高い学力を保有することで

すべての国民が一定以上の生活を送ることが出来る』

 

彼らは『国民総中流』と呼んでいた

高い学力により一人あたりの生産性を伸ばし、

それによって多くの物を流通させ、

 

国民が多くのものを購入、消費することで

全ての者がそれなりの生活を送ることが出来る

 

 

今までの『貴族が平民から搾取するだけ』とは大違いだ

誰もが夢を持ち、誰もが金持ちになれる

 

 

こんな国の平民なら金を貸しても返せる

 

勿論返済する見込みのない平民なら貸さない

 

高額な金をその対象の人物の資産を元に貸し出し、

返済できないようならそれを没収する

『担保』という制度も出てきた

 

 

 

 

我々は対応に追われた

 

そして彼らと同じ手法を取ることにした

企業という形を取り、

その最大株主をクルデンホルフ大公家とする

 

貸す相手が返済できるかどうかを調べ、

返済できないようなら貸さない

 

または『担保』がないと貸せないようにした

 

最初は貴族を主に相手にしていた

これまで金を借りていたトリステイン貴族だけではなく、

ガリア、ロマリア、ゲルマニアの貴族にも貸した

 

そして返済できないとなるとその領地を自らで運営する

もはや侵略にもなりつつあった

 

だがある日とあることに気がついた

『運用しようにもどうもしようがない』

食料を生産しようにも他の方が良質で安い

工業をしようにも技術がない

 

 

いつしかヴァリエール家やガリア王家のジョセフまでもが同じ事をし始めた

だがそちらは確実に金を稼いでいた

 

違いはひとつ

『日本から技術や知識の支援を受けているか』

我々は日本に技術指導を依頼した

 

彼らはすぐに引き受けてくれたが、

国土調査をした後・・・

 

『適した産業がありませんね

現在ある工業も陶磁器製造のみ・・・・

地質も特に特徴なし・・・

 

あとは鉄工ぐらいしかありません

今でも供給不足なようです

丁度ヴァリエールに近いですし、鉄鋼業に転向してみては?』

 

ヴァリエール家

炭鉱業を始め、様々な産業に手を出しつつある

金融業では敵でもある

 

だがそこから原材料を買わなければならない

自分が一番苦手な相手・・・・

 

だが所詮買うだけの話だ

たいしたことはなかろう

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず、ここまで。
この先書き換えようかどうか考えてるんです
さて、一体どうしたものか


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。