ATUIOMOI 改 ロウきゅーぶ!編 (ウッチー39号)
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男バス対女バス編
ロウきゅーぶ!の世界


にじファンで投稿していたATUI OMOIのロウきゅーぶ!編のリメイクです
前話はATUI OMOI改のキャプテン編の21話です。
そちらの方を見て頂けると分りやすいと思うので見て頂けたら幸いです


side 智花

 

 

 

「(今日は男バス対女バスの試合。今日の試合で負けたら。バスケ部が無くなっちゃう。絶対に負けられない。昴さんがいい作戦を考えてくれたんだから大丈夫。ん?人が倒れてる?」

 

 

慧心学園の校門の前に人が倒れていた。

 

 

 

「ど、ど、どうしよう?」

 

 

 

アタフタしている智花であった

 

 

 

sideout

 

 

 

side隆志

 

 

 

「(ん?ここは?とごだ?)」

 

 

 

隆志は見慣れていない場所にいた

 

 

 

「学校の校門?慧心学園?そう言えばロウきゅうぶの世界に転生したんだっけ・・・・・・・」

悲しくなってくる。自分はまだキャプテンの世界にいたかったのにみんなと戦いたかったのに

 

 

「あ、あのぉ〜」

急に声をかけられたので振り返った隆志

 

 

「と、智花」

 

 

 

「へ?ふぁい」

智花は驚いている。

いきなり人が倒れてると思ったら起きてきていきなり自分の名前を呼ぶのだから

 

 

「(しまった。声に出てたみたいだ。ついつい本物の智花がいたから思わず声に出してしまった!!)」

 

 

隆志は生前ロウきゅうぶを全巻持っていた。そして、智花の大ファンだったのだ。どれくらいかというと遊◯王のカードスリーブに智花のスリーブを使うほどだ。

 

 

 

「すみません。以前あったことありましたか?私が覚えてなかったら申し訳ないんですが」

 

 

 

「大丈夫。初対面だよ。ごめんね!!!エナメルバックに名前書いてたから呼んじゃった。僕は斎藤 隆志。小学六年だよ」

 

 

 

「湊 智花 小学六年生です。よろしくお願いします」

 

 

 

「(本物だよ。すごくきれいな声だな)」

 

 

 

「今日はうちの野球部と練習試合ですか?」

 

 

 

「え?なんで?」

気にしている野球のことを言われてドキッとする

 

 

「だってそんな格好してますし」

 

 

 

隆志が自分の格好をみていると墨谷二中のユニフォームを着ていた。

 

 

 

「これは、その、寝ぼけちゃって。それより敬語はいいよ。同じ六年生何だから。湊さんは今日は部活か何かなの。見る限りバスケ部だね」

「・・・・」

 

 

 

「まずいこと聞いちゃったかな?」

 

 

 

「そんなことないよ。今日は女バスと男バスの女バスの存続をかけた試合があるんだ。今の女バスのメンバーがいてくれなかったら私はバスケを続けることが出来なかった。だから私はこの場所を守りたいの。でも、男バスは強いの県大会に出場するくらいなんだ」

 

 

 

「(今、最初の頃なんだな)湊さん勝利の女神は諦めない人が好きらしいよ」

 

 

 

「勝利の女神?」

 

 

 

「最後まで諦めるな。ボールを懸命に追いかけろ。じゃあね。頑張って」

 

 

 

隆志は去っていった。

 

 

 

「そうだね頑張らないと」

 

 

 

「(バスケか。ちょっとだけ試合を見にいこうかな)」

 

 

 

隆志は体育館の隅っこで見学することにした。

 

 

 

隆志が体育館に行く頃にはちょうどジャンプボールが始まっていた。

 

 

「ちょっと原作を思い出してみよう」

 

 

 

長谷川 昴

女バスのコーチ。卓越した戦術眼と類稀なゲームメイクのPG(ポイントガード)

 

 

湊 智花

全てをこなせるオールラウンダー

昴の作戦は最初はPGで様子見。後半でF(フォワード)として点をとる。

だったよな

 

 

 

袴田 ひなた

身長が五人のなかで一番低い女の子。

昴の作戦は男バスのエースでキャプテンの竹中のひなたへの好意を利用してわざと倒れさせ。オフェンスファールを誘う作戦。

 

 

 

永塚 紗季

冷静沈着な判断力とおもいきりの良さがある。

昴の作戦は左45度からのシュート

 

 

 

三沢 真帆

運動神経抜群で何でも器用にこなす。

持久力には定評がある

昴の作戦は右45度からのシュート

 

 

 

香椎 愛莉

女バスの中で一番背が高い。

身長の詳細は分からないが174cmの昴と身長があまり変わらないことから170以上はあると推測できる

身長にかなりのコンプレックスを抱えている

昴の作戦はSF(スモールフォワード)と偽ってC(センター)の仕事をさせる

 

 

 

篁美星

昴の叔母で昴を無理やり女バスのコーチにした。かなりの童顔で身長も低いため小学生と間違えられることも

 

 

 

竹中 夏陽

男バスのエースでキャプテン。部員からの信頼があつい。

 

 

 

男バス監督

生徒達からはカマキリと呼ばれているが、男バス生徒達からは尊敬されている

篁 美星とは犬猿のなか

 

 

 

「と、まぁ〜こんな感じだったかな」

 

 

 

隆志が試合に視線を戻す

 

 

 

どうやら智花がジャンプボールに勝ったようだ。

 

 

 

ボールを真帆が拾い上げ、智花に渡す。

 

 

 

智花がボールを受けとると竹中がマッチアップ(マークにつくこと)する

 

 

 

「行かせないぜ湊」

男バスのエース竹中が立ちはだかる

 

 

「愛莉」

智花がゴール下に走り込んだ愛莉にパスをだす

 

 

 

「はい」

愛莉がボールを受けとりそのままシュート

 

 

 

女バスの先制

 

 

 

男バスが攻撃に入る

竹中がボールを受けとる

 

 

 

「焦るな。ゆっくり返していくぞ」

竹中が劇を入れる

竹中からPGの背番号五番の戸嶋へ

 

 

 

「一本」

戸嶋からSGの背番号六番深田へ

 

 

 

深田からCの七番和久井へ

 

 

和久井が九番PF田嶌へロングパス

 

 

 

田嶌がシュートを放つがリングに嫌われ、愛莉がリバウンドをとって智花へ

 

 

 

「愛莉走って」

 

 

 

智花から愛莉へリードパス(人を導くパス)

 

 

 

愛莉が受けとりシュート。しかし、外れた。愛莉がリバウンドを自分でとってもう一回シュート

 

 

 

今度は決まった

 

 

 

「ナイスシュート愛莉。(ここまでは予定通りだ。さぁどう動く)」

女バスコーチ長谷川 昴は冷静にゲームを観察している

 

 

 

男バスはGの戸田にボールを預ける。

 

 

 

智花が竹中にマッチアップし、

 

 

 

愛莉がゴール下に一人で立ち

 

 

 

紗季、真帆、ひなたで三角形を作る

 

 

 

「ゾーン(自分の決められた場所を守る)なのか?」

男バス監督カマキリは少し混乱している

 

 

 

「はっきり言ってこんなのでたらめさ。でも効果はあるはすだ」

 

 

 

「変形型1ー3ー1か」

隆志はただ、ぼーっと試合を見ているその姿はまさしく抜け殻のようだ

 

 

 

このディフェンスにあせったのかPGの戸嶋は混乱している

 

 

 

和久井がパスを受け取りシュート。

 

 

 

「これは外れたな」

昴はそう判断した

 

 

 

ポス

なんと入ってしまった。

 

 

 

「切り替えろ」

 

 

 

智花がボールを運ぶ

 

 

 

「和久井、田嶌。香椎にタブルチーム(二人でつくこと)だ」

カマキリも指示を出す

 

 

 

「予想通り」

昴は笑った

 

 

 

「真帆」

 

 

 

「待ちくたびれたぜもっかん」

真帆が練習した右45度からのシュート

 

 

 

スパン

綺麗に決まった。

 

 

 

男バスはSGの深田がシュートを決め返し6ー4

 

 

 

女バスの攻撃。

 

 

 

「深田、三沢につけ。今のシュートはまぐれじゃないぞ」

 

 

 

「紗季」

 

 

 

「任せて」

紗季が左45度からのシュートを放つ

 

 

 

スパン

これも見事に決まった。

 

 

 

「一本いくぞ」

竹中からPGの戸嶋へ

 

 

 

「(今)」

智花が竹中のマークを外し、一瞬で戸嶋のところにいき、ボールをスティールし、そのままレイアップ(バスケの基本的なシュートでボールをリング置いてくるような感じで放つシュート。別名ランニングシュートと呼ばれていて決定率が一番高いシュート)を決めた。

 

 

 

10ー4

女バスのリード

 

 

 

「(ここまではいい感じだな。けど最後までスタミナが持つのか?まあ、オレには関係ないけど)」

隆志は外に出ていった

 

 

 

体育館の裏に行くと野球のボールとバットが落ちていた

隆志はそのバットを拾い上げ、素振りをする

 

 

 

ブンッ

ブンッ

ブンッ

ブンッ

「(谷口キャプテン、五十嵐)」

ブンッ

ブンッ

ブンッ

ブンッ

ブンッ

「(皆。ごめんなさい。一緒に青葉を倒すって約束したのに、ごめんなさい。ごめんなさい。)」

 

どんどん強く、鋭くなっていくスイング

そして、体から落ちていく液体

それは汗ではなく、涙・・・・・

 

 

 

そこに・・・・・・・

「やっと見つけたで」

 



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第一話 参戦

「やっと見つけたで。隆志」

 

 

 

隆志は名前を呼ばれたので振り返って見ると一人の少女が立っていた。

 

 

 

「ホンマに探すの手こずったで」

 

 

 

「ま、ここならええかな」

 

 

ぴかぁ〜

 

 

 

いきなり光が少女を包む。

 

 

光がなくなった。少女は背が高くなり顔も大人らしくなった。

 

 

 

「マリナ・・・・・」

隆志は小さく呟いた

 

 

 

「どアホ!!マリナが関西弁をしゃべるかい」

 

 

 

ビシッ

手刀を隆志の頭に打ち込んだ

 

 

 

「・・・・・」

 

 

 

「ウチはマリナの双子の妹のマリカや」

 

 

 

「マリカさんですか?(顔はマリナにかなりそっくりだけど中身は真逆だな)」

 

 

 

ビシッ

マリカがまたもや手刀を隆志の頭に打ち込んだ

 

 

 

「今、ウチとマリナは正反対や思うたやろ」

 

 

 

「(心を読めるのか?)マリカさん痛いです」

 

 

 

「ちょっとやり過ぎたかな。ウチのことはマリカって呼んでや。タメ口でかまへんよ。マリナに変わってこの世界であんたの世話をすることになったんや。改めてよろしくな」

 

 

 

「そう。よろしく・・・・・」

 

「なんや、自分暗いな。元気出していこうや」

 

 

 

「あんなことがあって元気でいられるわけがないだろ!!」

隆志はとうとう溜まってたものをはきだしてしまった

 

 

無理もない。無理やり転生させられたのだから

やっと念願が叶ってできた野球だったのだから

最高の仲間に出会えたのだから

 

 

「さようか。まぁええわ」

 

 

「さっそくやけど、あんたの入学手続きは終わらしといたからな。明日から慧心学園にかようやで。ウチといっしょにな。ウチも小学生の姿に変わって学校にいくから」

 

 

 

「分かった・・・・」

 

 

 

「ま、後はあんたの背が小学生サイズになったてことくらいやな」

 

 

 

隆志は自分の体を見た

隆志はキャプテンの世界にいた時よりも背が小さくなっていた。

 

 

 

「152cmってとこやな。とりあえずこの世界では何をやっても自由やからな。ロウきゅーぶ!の世界やし、もちろんバスケするんやろうけど」

 

 

 

「やらない。オレはここでも野球をする。オレ、バスケあまり好きじゃないから。(オレがバスケして何になる。また前みたいに試合の大事なところでミスをして負けるんだ。中学校でハンドしてる時もそうだった。高校でバスケやったときだってオレがいない方がいいんだ。それに今は野球がオレの生きがいなんだ)」

 

 

 

「そうなん?ま、ウチはどうでもええけどな。それより、女バスがピンチやで。今、2Qで28ー18」

 

 

 

「そう・・・・・」

隆志は興味なさそうだ

 

 

 

 

「ええの?見らんで」

 

 

 

「・・・・・・・」

 

隆志は急いで体育館に戻った。

 

 

 

隆志が体育館に戻ると38ー18になっていた

 

 

 

「(原作通りいってないぞ。女バスはみんな肩で息をしている。智花以外が全く機能してない。その智花もオールコートダブルチームでやられてるんだ)」

 

 

竹中と深田が智花にタブルチームをしている

 

 

 

竹中が智花からボールをスティールしてそのままレイアップを決めた。

 

 

 

「(何だよこの試合。智花以外のやつらは目が死んでる。諦めてるじゃないか。あの時と同じだ。オレが死んだ時の試合と。こんなのだめだ。諦めちゃだめなんだ)」

隆志は拳を握りしめる

 

 

 

 

智花がタブルチームを突破しようとするが抜けない。

 

 

「ひなた」

智花がひなたにパスを出す

 

 

「おー」

しかし、ひなたはキャッチミス

 

 

 

これをGの戸嶋が拾ってそのままレイアップにいこうとする

 

 

 

「(がんばらなくちゃ。智花ちゃん一人でやってる。一番きついのは智花ちゃんなのに。私がもっと頑張っていれば。もっと上手ければ智花ちゃんがこんなにきつくなることは無かったのに。こわいけど跳んでみよう)」

愛莉がブロックにとんだ。

 

 

 

愛莉が戸嶋をブロックした。

 

 

 

ボールが男バスベンチの近くへ。

 

 

 

「絶対にとる」

何と愛莉は男バスベンチに飛び込もうとしている。

 

 

 

「やめろ愛莉。怪我するぞ」

 

 

 

昴が止めようとしたが、愛莉は男バスベンチに飛び込んでいった。

ボールはとったものの愛莉は男バスベンチの椅子に激突して倒れている

 

 

 

「レフェリータイム」

 

 

 

昴が愛莉をベンチまで運んだ

 

 

 

「凄い。ナイスガッツだ。感動した。でも、あれじゃもう、試合は出られないだろ。変わりに出たい。でも、この野球の格好じゃ」

隆志が更に拳を握りしめる

 

隆志とて、少し前まではあつい気持ちでみんなを引っ張ってきたキャプテン

たとえ、どんな事があったとしても、どんなにつらくても

今のあついプレーを見て何も感じないはずがない

あんなに頑張ってケガをして、チームに一人人数が足りなくなって困ってるチームを見捨てるようなことは絶対にしない

いや、絶対できない

 

 

トントン

隆志が肩を叩かれたので後ろを振り返って見るとマリカがバスケの練習着とバッシュを持っていた

 

 

 

「それはオレのバスケの練習着とバッシュ。オレの黒のゲルフープのバッシュだ」

 

 

 

「こうなるやろうと思って持ってきたんや。これはあんたが生前使ってたものと同じものや。あんた嘘つくの下手やわ。あんたのバスケを見る目真剣そのものやったで。いてかましたれ」

 

 

 

「ありがとう。それとさっきはごめん」

 

 

 

「ええって。気にしてへんよ。あんなことがあったんやもん。しゃーないわ」

隆志は素早く着替えて女バスのベンチに向かった。

 

 

 

「これは、軽い捻挫だなこの試合は無理だ」

 

 

 

「おー愛莉、ごめん。ひなのせいで」

ひなたは今にも泣きそうである

 

 

 

「ひなちゃんのせいじゃないよ。私がトロいからいけないんだよ。智花ちゃんごめんね。何の役にもたてなくて」

 

 

 

「そんなことない。愛莉は頑張ってるよ。私がいけないの」

 

 

 

「智のせいじゃないわよ。私がもっとシュートを決めていれば」

 

 

 

「私がもっと決めていれば」

 

 

 

「まだ2Qだ時間もある。まだ大丈夫だ。やれるよみんな(すまない。みんな今こう言ってやることしかできない)」

 

 

 

「どうかね?続けられそうかね?」

審判が尋ねる

 

 

「ちょっと厳しいです」

 

 

「変わりがいないなら、このままうちの勝ちだな」

カマキリがドヤ顔している

 

 

「変わりならここにいます」

 

 

 

「誰だ?」

 

 

 

「今度、この学校に転校してきた斎藤 隆志です。今から、女バスチームに入ります」

 

 

 

2Q残り30秒

二十二点差

現在40ー18男バスリード

 



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第二話 SUBSTITUTE

「今度この学校に転校してきた斎藤 隆志です。女バスチームに入ります」

 

 

「そんなことが認められるか。だいたい、お前は男だろ。女バスは女子しか入れないんだよ」

 

 

 

「御言葉ですが、これは公式戦ではありません。それに小学生のバスケでは男女平等。男女の混合チームだってあるじゃないですか」

 

 

 

「それとこれとは問題が別だ」

 

 

 

「県大会まで出場した男バスじゃ男たった一人入ったぐらいじゃかわらないでしょ」

 

 

 

「生意気な。こっちは構わないが、女バスの許可が降りてないだろ」

 

 

 

「にゃははは。いいに決まってるだろ」

 

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

「いいっていいって。その代わり、勝たせろよ」

 

 

「ぜ、善処します」

 

 

 

「頼んだよ」

 

 

 

「そういうことなので皆さんよろしく。斎藤 隆志です」

 

 

 

「こ、こちらこそ」

 

 

 

「しょうがねぇな仲間に入れてやるよ。私は三沢 真帆」

 

 

 

「こら真帆。失礼でしょ。私は永塚 紗季。よろしく」

 

 

 

「おーひなはひなた。袴田 ひなた」

 

 

 

「わ、私は香椎 愛莉です。よろしく」

 

 

 

「オレは長谷川 昴。女バスのコーチをしている。君は経験者かな?」

 

 

 

「少しかじった程度です(ブランクがあるからな)」

 

 

 

「それでポジションだけど」

 

 

 

「私の変わりだからSF?」

 

 

 

「(まずい。経験者なら愛莉がやってるのがSFではなくて、Cだって分かってるからな。ばれたらまずいよ)」

 

 

 

「SFに入ればいいんですね」

 

 

 

「ああ・・・・・・・」

 

 

 

「そろそろ始めるよ」

 

 

「みんな、頑張って」

 

 

 

みんながコートにいく。

 

 

 

「長谷川さん」

 

 

 

「なんだい?」

 

 

 

隆志は愛莉に聞こえないように小声でいった。

 

 

 

「僕はCをすればいいんですよね」

 

 

 

「ああ。(気が利く子だな)」

 

 

 

「分かりました。頑張ります」

 

 

 

「香椎さん」

 

 

 

「ひ、ひゃい」

 

 

 

「ナイスファイト。後はオレに任せて。君の気持ちを受け継いで頑張るから」

 

隆志はそう言うとコートに行った。

 

 

 

「愛莉、顔が赤いよ大丈夫か?熱でもあるのか?」

 

 

 

「この鈍感やろー」

美星が昴にアイアンクローをかます

 

 

 

「ミホ姉痛い。何するんだ?」

 

 

 

相変わらず鈍感な昴である。

 

 

 

「隆志、ビブスだ受けとれ」

 

 

 

美星がビブスを一枚投げた。

 

 

 

「こ、これは」

隆志がつかんだビブスは

『四番』だった。

 

 

本来なら智花がつけるべき番号だが、智花が遠慮して五番を着たのだ

 

 

「(四番。キャプテンだけが着れる番号。

生前オレが着けてた背番号。とても重かったこの背番号。でも、そのプレッシャーが気持ち良かった。体育館のコートの匂い。バッシュの音。オレは帰ってきたんだな」

 

 

「(いろいろと想うことはあるけど、今はバスケに集中する。女バスを勝たせる。大好きなものができなくなる気持ちを味会うのはおれだけでいい。これ以上いらない!!)」

 

 

隆志がゆっくりとゆっくりとコートに入っていた。

 



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第三話 不思議な力

原作では3Pはないですが、この作品ではあります。ご了承下さい


side 隆志

 

 

 

 

男バスボールからスタート

 

 

オレは1ー3ー1の一番後ろに立つ。

 

 

 

「ディフェンス。さあ、頑張って止めよう」

オレは大きな声を出す

 

 

 

ボールは竹中に渡った。

 

 

 

竹中が鋭いドライブで智花をかわす

 

 

 

「しまった」

 

 

 

竹中がそのままレイアップに行こうとする

 

 

 

オレがカバーに入って竹中のコースをふさぐ。

 

 

 

竹中はシュートにいくと見せかけて和久井にパスを出す。

 

 

 

「読み通り」

 

 

 

オレは右手でそのボールをカットした。

 

 

 

オレはそのままドリブルでゴールを目指す

「(久しぶりのドリブルだな。オレはCだからドリブルはあまり得意じゃないんだよな。どうかミスりませんように)」

 

 

「(あ!!)」

ドリブルでついたボールが隆志のつま先に当たる

 

しかし、どうやら審判は気がつかなかったようだ

 

 

竹中がオレに追い付こうと横を追っかけてくる。

 

 

 

「(竹中のやつむきになってるな。これはチャンス)」

 

 

「いかせるか」

オレがレイアップの動作に入ろうとする時に竹中がブロックに跳んだ。

 

 

 

オレも跳び、空中で体を竹中に預けながら、バンクショット(リングの壁を利用して放つシュート)を放つそしてボールはゴールに入った。

 

 

 

「カウント。青四番プッシング。ワンショト」

 

 

 

オレはバスカン(バスケットカウント)に成功した。

 

 

「ナイスシュート」

智花が誉めてくれた。

 

 

 

「(憧れの智花に誉められるのはとても嬉しい。嬉しいが)」

 

 

 

オレは智花を睨み付ける

「勝つ気がないならコートから出ていけ!!」

 

 

 

「え」

智花が固まってしまった

 

 

 

「おい、お前、もっかんになんてこ・・・」

 

 

 

「待って真帆」

紗季が真帆の口をふさぐ

 

 

 

「今、湊さんが竹中君に抜かれたのは仕方ない。湊さんはリバウンドからボール運び、シュートまで一人でやってたんだから。当然疲れで体が動かなくなって当たり前。でも、今の抜かれたのだって追おうと思ったら追い付けたんじゃないか?ただてさえ勝てるものがないのに気持ちでも負けるの?

湊さんは間違いなくこのチームのエースだ。この中で一番上手い。湊さんがシュートを決めないで誰がゴールを決めるの?皆が疲れてるからって自分に負担をかけるのはかってだけど、本当にみんなのことを思うならシュートを多く決めることだよ。パスを出す方もシュートを決めてくれたら疲れが吹っ飛ぶよ。それがエースなら尚更ね。みんなとこの居場所をまもるんでしょ」

 

 

 

「君、早くしたまえ」

 

 

「すみません」

 

 

 

バチン

智花が自分の頬を叩いていた。

 

 

 

「斎藤君ありがとう。私はこの場所を守る」

智花の目が輝いた

 

 

 

隆志がフリースローラインにたつ

 

 

 

「(フリースローは苦手だけど絶対決める)みんな、戻って休んで」

 

 

 

隆志はみんなを戻させた。少しでもみんなを休ませるために

 

 

「(決める)」

隆志は大きく深呼吸した。そして右手でボールを三回つき、縫い目に手をおいてシュートを放った

 

 

 

「ひっでぇフォーム」

竹中が言うのも無理はない。

 

 

 

隆志のフォームはお世辞にも綺麗とは言えない。

 

 

 

ポスッ

しかし、ボールはリングに吸い込まれるように入った。

 

 

 

隆志が一番後ろに立つ

「残り15秒。ディフェンス。ここ守ろう」

 

 

 

隆志が声を張り上げる

 

 

 

「みんな頑張ろう」

 

 

 

「湊さんディフェンス1ー3ー1だ。思いっきり煽って」

 

 

 

「うん」

ボールは竹中が持つ

 

 

 

「(湊のやつ。やっぱ疲れてるんだ。左ががら空きだぜ)」

 

 

 

竹中はいったん右にフェイクを入れて左へ抜きにいった。

 

 

 

「永塚さん、サイドステップで三歩左に」

 

 

 

「分かったわ」

 

 

 

「三沢さん五歩前」

 

 

 

「しかたないなぁ、了解」

 

 

 

「袴田さん、左斜め上に三歩前」

 

 

 

「おー分かった」

 

 

 

隆志が指示を出す

 

 

 

「何をやっても無駄だぜ。湊さえ抜ければ、ん?」

 

 

 

竹中が抜いた先には紗季が立っていた

 

 

 

「今だ。湊さん。上からかぶれ」

 

 

 

智花が竹中を覆うようにかぶった。

 

 

 

そう。智花はわざと抜かせたんだ。本当の狙いはダブルチーム

 

 

 

竹中は囲まれた。パスコースを探す

 

 

 

「(戸嶋)」

竹中が近くの戸嶋を見るが完全に真帆がパスコースをふさいでいる。

 

 

 

「(田嶌は?だめだひなたにコースをふさがれている)」

 

 

 

「(和久井は?アイツにふさがれているか。ん?深田がフリーだ。よし)」

 

 

竹中が深田にロングパスを送る

 

 

 

「これを待ってたんだ」

 

 

 

隆志はいつのまにか深田の近くまで来ていた。

 

 

 

隆志が空中でボールをつかみ、そのまま大きくパスをだした。

 

 

 

「(このパスはオレから君への挑戦状だ。湊さんこれに追い付いて見ろ)」

 

 

 

しかし、智花はこの挑戦状を難なくキャッチ。そのままレイアップにいくと思ったら何とスリーポイントラインで止まりスリーポイントシュートを放った。

 

 

 

 

 

 

 

隆志とは対照的な綺麗で無駄のないシュートフォーム。

 

 

 

スパン

 

 

 

ボールは綺麗にゴールに突き刺さった。

 

 

 

「(全く今のパスはレイアップに行かせるためのパスだったのに、難なくキャッチしてスリーポイント。敵わないな)ナイスシュート」

 

 

 

オレは右手をだす

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

パンッ

 

 

 

オレと智花はハイタッチしていた。

 

 

 

「湊さん。フロントコートまでのボール運びとゲームメイクはオレがやるから、シュートとディフェンス頑張って」

 

 

 

「うん」

 

 

 

「昴。どうしたんだよ?」

 

 

 

「みんな、智花のスリーポイントに目がいきがちだが、本当にすごいのは今のパスをカットした隆志だ。ドリブルもシュートも身体能力も素人とそんなに変わらないのに、あのボールを。まるでボールが隆志に吸い込まれるように、ボールが隆志を求めるように」

 

 

 

「昴。私はバスケのことはよくわからないけど、バスケって身体能力だけじゃないでしょ?私は隆志のバスケへの熱い想いがあのパスを捕らせたんだと思うよ」

 

 

 

「そうかもしれないな。味方で良かった」

 

 

 

「これが高校からバスケ部でキャプテンに成りさえはしたけど、プレイヤーとしては全く期待されてなかった状態からシックスマンまできた男の力か。やるやないか。おもろーなってきたで」

 

 

 

ここで第2Qが終わった

 

 

 

現在40ー24

女バス逆転なるか?

 



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第四話 インターバル

第2Qが終わり2分のインターバルへ

 

 

 

 

「(智花のスリーポイントで流れがこっちに来ている。いい感じだ)」

 

 

 

 

 

 

「(これで、みんな少しは休める)」

 

 

 

それぞれ各々のベンチに戻っていった

 

 

 

「智花、ナイスシュート」

 

 

 

「ありがとうございます」

智花は笑顔でこたえる

 

 

 

「もっかんナイスシュート」

 

 

 

「スリーポイント見たのは初めてだわ」

 

 

 

「おー。智花すごい」

 

 

 

みんな智花を誉める

 

 

 

「おそらく、男バスは何らかの作戦をたててくるはずだ。みんな油断するなよ」

 

 

 

「「はい」」

 

 

 

「これからの作戦何だが、隆志、君がたててくれないかな?」

 

 

 

「僕ですか?」

 

 

 

「オレには君の力がどれくらいなのか分からないから作戦がたてられないんだ」

 

 

「いいんですか?僕なんかがやっても」

 

 

 

「さ、斎藤君なら出来るよ」

 

 

 

「湊さん」

 

 

 

「しゃーないな。ど〜んな作戦でもどんとこい。私に任せろ」

 

 

「三沢さん」

 

 

 

「さっきの指示も的確だったし、大丈夫よ」

 

 

 

「永塚さん」

 

 

 

「おー、隆志なら大丈夫。ひな、信じる」

 

 

 

「袴田さん(下の名前で呼び捨て。でも可愛いから許す!!!)」

 

 

 

隆志もまた、ひなたのイノセントチャームのえじきに

 

 

「べ、ベンチから見てたけど、斎藤君の動きすごかったよ。だから、大丈夫だよ」

 

 

 

「香椎さんのガッツあふれるプレイを引き継いだからね。下手なプレイは見せられないよ。上手くいっているのは香椎さんのおかげだよ」

 

 

 

「・・・そんな」

愛莉はリンゴのように真っ赤になっている

 

 

 

「?」

「?」

 

 

 

隆志も、昴もなぜ、愛莉が赤くなっているのか分からなかった

 

 

 

「にゃはは。隆志、お前、昴にそっくりだよ(その鈍感なところ)私はバスケのことはよく分からないがお前が入ってから流れがきてるよ。お前のたてた作戦が仮に間違っていたとしても、誰も文句はないよ」

 

 

「篁先生」

 

 

 

「みんなありがとうございます(みんな、こんなオレ何かを信じてくれてる。信頼してくれる人には信頼でこたえる)」

 

 

 

「それでは、作戦なんですが。湊さんにはさっき言いましたが、フロントコートまでのボール運びとゲームメイクは僕がやります。湊さんはディフェンスを頑張って、シュートを決めることに集中して」

 

 

 

「うん」

 

 

 

隆志は一通り作戦を説明した。

 

 

 

インターバルが終わり、コートに集まる。

 

 

 

 

男バスが余裕そうにしているが

 

 

 

「おい。1―3ー1はここまでだ」

竹中が余裕そうに言う

 

 

そして

第3Qが始まる

 



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第五話 Cへの想い

インターバルが終わり男バスボールで第3Qがスタートする

 

 

 

「(何をしかけてくるかな?)」

隆志が冷静に様子を窺う

 

 

 

「(何だ?男バスの余裕そうな顔は?そんなに1ー3ー1を崩す自信があるのか?1ー3ー1何か使ってくるチームなんてめったにないはずだが、みんな油断するなよ)」

昴も冷静に窺う

 

 

 

Cの和久井がエンドラインからPGの戸嶋へ。

 

 

 

ここまではいつもと何も変わらない

 

 

 

「竹、頼んだぞ」

 

 

 

「任せとけ」

 

 

 

戸嶋から竹中へパス

 

 

 

「さぁ一本いくぞ」

 

 

 

「竹中がPG?」

 

 

 

「(どういうことだ?竹中はエースだろ)」

 

 

 

竹中はゆっくりとドリブルをつき前へ進む。

 

 

 

智花が竹中と対面する

 

 

 

「いくぜ湊」

シュ

 

 

 

何と竹中のスリーポイント

 

 

そして、シュートを打ったと同時にダッシュ

 

 

 

「そうか、やつらの狙いはオフェンスリバウンドか」

昴が焦る

 

 

 

しかし、

 

 

 

真帆が田嶌を、紗季が深田をフロントボックス(前を見ながらスクリーンアウト)する

 

 

 

スクリーンアウト(体を使って相手を跳ばさないようにすること)

 

 

 

オレがCの和久井にふだんの後ろ向きでボックスする

 

 

「任せろ。オレがいく」

 

 

 

「ぶーいかさない」

 

 

 

竹中が突っ込んでいくが竹中には、ひなたがフロントボックスする

 

 

 

「(愛莉が抜けて、平均身長では男バスに分がある。だからまともにボックスしたって勝てない。だから、リバウンドをとりそうな田嶌、深田を真帆、紗季にフロントボックスさせる。竹中には好意を寄せているひなたにフロントボックスをさせる。ひなたに惚れてるうえに、こんな、かわいいこが自分をずっとみてるんだ、いくら竹中でも気が散るだろ。それに男なら女との接触は避けるだろう。だから、どうしてもタイミングが遅れるんだ。みんなにはボールはみなくていいから、自分のマークする相手だけを見るようにしているんだ。後は、オレが和久井との一対一のリバウンド争いに勝つだけだ」

 

 

 

オレと和久井の身長差は10cm以上あるまともにやったんじゃ勝てない

 

 

 

オレは腰を落として、下半身の力で和久井を押しさる。

 

 

 

「(なんてパワーだ)」

 

 

 

「(身長が低い。だからなんだ、オレは、そんな理由だけでCを諦めるのは馬鹿げてると思う。確かに身長差はきつい。オレの適性はCじゃないかもしれない。でも、高校からバスケ始めて、パスもシュートもドリブルも下手くそなおれが死に物狂いで練習して、やっととれたポジションなんだ。他のチームから見ればただの下手くそで穴かも知れねぇけど、それでも、何と言われようとも、オレはセンターだ!!ここであきらめたら、オレには何も残らないんだぁ〜ーーー)」

 

 

バスケにおいてPGに必要なのはドリブル力とキープ力にパスセンス等々

SGにはPGの代わりのゲームメイクとシュート力。繊細なシュートタッチなどが求められる

高校からバスケを始めた隆志にとってそれらは厳しかったのだ

しかし、背は低いとはいえ、隆志はガタイがよかった。当たり負けしない体なのだ

だからこそ、隆志はセンターになったのだ

 

 

オレは和久井にベストジャンプをさせずにボールをとり、一人敵陣へと走り込んでる智花にパスを送った。

 

 

「湊さん。(オレがとると信じて、走ってたのか。オレの仕事はここまでだ。たのんだぜ、エース)」

 

 

男バスはPGの戸嶋を残したまま、リバウンド争いに参加したので、男バスゴール前には、戸嶋しか残ってない。

 

 

 

戸嶋もそこそこのディフェンスをするのだが、相手が悪い。

 

 

 

智花はチェンジオブペース(ドリブルに緩急をつける)で戸嶋を抜き去り、誰もいないゴールへレイアップを確実に決めた。

 

 

 

26ー40

少しずつだが点差を縮めてきている。

 

 

 

「(隆志やつ。リバウンド狙いを読んで、フロントボックスの指示まで出していたのか。本当に小学生なのか?高校生が考えそうな作戦だぜ)」

 

 

 

智花達四人が盛り上がってる。

 

 

 

「(向こうの作戦は分かる。リバウンド争いなら向こうに分があるからな。だから、スリーポイント狙いも頷ける。でも、どうして、竹中なんだ?確かに竹中はエースでシュート率も一番高いだろう。でも、スリーポイントシュートの決定率ならSGの深田の方が高いはずだ。もともとスリーはSGの十八番だろ。だからSGはシューター、狙撃手って呼ばれるんだ。男バスの連中はカウンターをくらったのに誰もどうようしていない。まだ、何かあるのか?」

 

 

一人だけ、不安感を抱く隆志だった

 



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第六話 1-3-1崩壊?

竹中がドリブルをつき前へ進む

 

 

 

再び竹中のスリーポイント

 

 

ガシッ

 

 

 

そして、再びシュートが外れる

 

 

 

オレはリバウンドをとり、智花へパスを送った

 

 

 

まるでさっきのリプレイをしているかのように智花はまたチェンジオブペースで戸嶋を抜き去り、レイアップを決めた。

 

 

 

28ー40

 

 

12点差にまで追いついた

 

 

 

 

「竹、そろそろ決めていこうぜ」

 

 

 

戸嶋がボールを受け竹中に渡す

 

 

 

「任せろ」

 

 

 

竹中がドリブルでかけあがる。

 

 

 

三度、スリーポイントシュート

 

 

 

「馬鹿か夏陽。お前のスリーなんて入らねぇよ」

真帆が挑発する

 

 

 

「ふん」

 

 

 

スパン

 

 

 

今度は決めた。

 

 

 

43ー28

15点差に開いた。

 

 

 

「お前らを油断させるためにわざとはずしてやってたんだよ。次からは決めるぜ」

 

 

 

「(わざと本当にそうなのか?)」

 

 

 

「斎藤君」

 

 

 

紗季がエンドラインからパスを出した。

 

 

 

「OK。任せて」

 

 

 

隆志がパスを受けた。

 

 

 

「(さあ~てどうするかな?」

 

 

 

オレには、さっきのお返しと言わんばかりに和久井がオレにぴったりついている

 

 

 

「(ボール運びも楽じゃないな)」

 

 

 

オレはボールをつきながら周囲の状況を確認した。

 

 

 

智花にはオールコートダブルチーム。

 

 

 

紗季と真帆に一人ずつ。

 

 

 

ひなたはフリー

 

 

 

しかし、ひなたはシュートが打てない。

 

 

 

届かないからな

 

 

 

「(スリー決められたからスリーで返したいとこだが、オレ達の中でそれが出来るのは智花くらいだからな。)」

 

 

 

オレは左肩を入れてボールをとられないように右に一歩ずつ進んだ。

 

 

 

「(ディフェンスに比べて、オフェンスはおとなしいな)」

和久井がプレッシャーをかけてくる

 

 

 

「(智花にスリーを撃たせる方法が一つだけある。智花)」

 

 

 

オレは智花に視線を送る

 

 

 

智花は笑って首を縦に振った。

 

 

 

「(分かったのか?智花、いくぞ)」

 

 

 

オレは視線を右にやる

 

 

 

和久井が右を見たその一瞬

 

 

オレは素早くクロスオーバーで和久井をかわし、左に進む。

 

 

 

智花もオレに合わせて左から右に走り込んでくる。

 

 

 

そして、その後ろを竹中、戸嶋、和久井が追う。

 

 

 

そして、オレと智花が中央でクロスする。

 

 

 

三人は呆気にとられている間に、

 

 

 

オレは智花にボールをトスして、智花がそのままスリーポイントシュートを決めた。

 

 

 

「湊さん、ナイスシュート」

 

 

 

「斎藤君の作戦がよかったんだよ」

 

 

 

「あれに反応できた湊さんの方がすごいよ」

 

 

 

「やっぱりた、斎藤君が(やっぱり下で呼ぶのははやいよね)」

 

 

 

「イチャイチャしてないで、ディフェンスよ」

 

 

 

 

 

 

 

紗季の声で我に返る

 

 

 

「もうっ。イチャイチャなんかしてないよ」

 

 

 

智花は少し真っ赤になって答えるとすぐにディフェンスに返る

 

 

 

「竹、そろそろ」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

竹中がドリブルでボール運ぶ

 

 

 

スリーポイントラインの手前にくる

 

 

 

「(また、スリーポイントくるかも)」

 

 

 

智花がスリーを警戒する

 

 

 

「(湊のやつ、かなりスリーを警戒してるな)今だ」

 

 

 

竹中が叫ぶと同時に戸嶋と深田が寄ってくる

 

 

 

「(何をするきだ)」

昴が注目する

 

 

 

戸嶋が右から、深田が左から智花にダブルスクリーンをかける

 

 

 

「湊さん、両方からスクリーン」

 

 

 

スクリーン(自分の体を使って相手の進路方向を塞ぐ)

 

 

 

これには流石の智花と隆志も驚く。

 

 

 

「(スクリーンなんて、一人でやるもんだろ。二人でやるなんて、)」

 

 

 

竹中が右から智花を抜き去った

 

 

 

「(まずい)永塚さん、袴田さん、間をふさいで」

 

 

オレはすぐ指示を出した。

 

 

「遅い」

竹中はスピードを活かして紗季とひなたの間を抜いていった

 

 

 

残るは隆志だけ。

 

 

 

竹中を中心に田嶌と和久井が三角形を作っている。

 

 

 

竹中がオレの目の前でジャンプした。

 

 

 

「(竹中がこの角度から外す確率はきわめて低い。二人をフリーにするのはきついが仕方ない)」

 

 

 

オレは竹中をブロックに跳んだ

 

 

 

「これを待ってたんだよ」

 

 

 

竹中は空中で和久井にパス

 

 

和久井はフリーでゴール下シュートを確実に決めた。

 



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第七話 男バスの本気

1ー3ー1を竹中に難なく突破され、和久井にシュートを決められた

 

 

 

「(やられた。そういうことだったのか。この1ー3ー1は智花の素早い動きがあって、初めて完成する。おそらく、普通のスクリーンだったら、智花なら難なく対処するだろう。だからダブルスクリーンでどっちからいくかをギリギリまで悩ませたんだ。そして、スピードのある竹中をPGにすることによって智花が悩んだその一瞬をつくことができる。更にスリーポイントシュートを必要以上に撃つことによって智花を意識的に前に動かす。智花と紗季達の間があけばあくほど男バスが攻めやすくなる。かといって智花が下がったら竹中のスリーの餌食だ。いくら確率がそこそこでも、この点差でスリーポイントを決められたらかなり精神的にくるぞ)」

 

 

 

「(湊と斎藤以外は斎藤の指示を待っている状態だ。だから、どうしてもワンテンポ遅れるし、自分の判断ができないから攻めやすい。この試合貰ったぜ)」

 

 

 

「切り替えて一本いこう(さあて、どうする?智花にはオールコートダブルチームだし、ここは紗季にいったん預けるか)」

 

 

 

「永塚さん」

 

 

 

隆志からパスを送る

 

 

 

「しまった」

 

 

 

疲れからか、キャッチミスしてしまった。

 

 

 

そのボールを竹中が拾ってドリブルをつく

 

 

 

オレたちは1ー3ー1を作る

 

 

また、智花にダブルスクリーンをしてくる

 

 

 

竹中がドリブルで左に抜く、

 

 

 

「永塚さん、三沢さん、竹中を挟んで」

 

 

 

竹中が抜いた瞬間に紗季と真帆がダブルチームをしかける

 

 

 

「(よし、後ろの二人はオレがカバーするぞ)」

 

 

「お前らが何人来ようが関係ねぇよ、オレを止められる可能性があるとしたら斎藤と湊くらいだ。お前らのプレッシャーなんか何ともかんじないんだよ」

 

 

 

竹中はそのままジャンプしてシュートを放った

 

 

 

スパッ

 

 

 

これが綺麗に決まった。

 

 

 

「(竹中、上手いな)

永塚さん、三沢さん、次から竹中が湊さんを抜いた瞬間に後ろに下がって田嶌と和久井について」

 

 

 

「分かったわ」

 

 

 

「おう」

 

 

 

オレがボールを運ぶ

 

 

 

「(紗季はさっきのミスをひきずってるといけないしな。)三沢さん」

 

 

 

「おうよ」

真帆がボールをキャッチ。

 

 

しかし、竹中が智花のマークを離れて真帆のところに

 

 

「隙だらけなんだよバカ真帆」

 

 

竹中が真帆からボールをスティールする

 

 

 

「まだまだ点とるぞ」

 

 

「「おー」」

 

 

 

竹中が攻め上がり、ダブルスクリーンを使って智花を抜く。

紗季と真帆を後ろに下げ、オレが前に出る

 

 

 

竹中がジャンプシュートの体勢に入ったので

オレもブロックに跳んだ

 

 

 

「確かにこのままじゃブロックされる。でもな」

 

 

 

「え?」

 

 

 

竹中は隆志の脇の間から和久井にパスを出した

 

 

 

和久井には紗季がついているが、パワーの差は歴然。和久井はパワードリブルで紗季を弾きとばし、シュートを決めた。

 

 

 

「(すごい。完璧な作戦だ。紗季と真帆のダブルチームがきたら、竹中が自分でシュートで、オレが前に出たら和久井か田嶌を使って攻める)」

 

 

 

「これが県大会出場チームのちからか」

 

 

 

得点は49ー31

 

 

 

男バス18点リード

そして第3Qが終了した

 



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第八話 あきらめない

インターバルは2分

 

この試合はなぜか第4Q は8分らしい

1,2,3Qは5分と通常の試合通りだが

これは女バスにとっては大きなチャンスになる

 

 

 

「みんな、今は休むことに集中して」

オレが指示を出す

 

 

 

「長谷川さん何か方法はありませんか?」

 

 

「今まで通りでいこう(はっきりいって、これを破る方法はまだない。でも。みんなを不安がらせないいためにはこういうしかない)さあ、頑張ってこい」

 

 

「「はい」」

 

 

 

第4Qが始まった

オレはボールを受けて、ボールを運ぶ

 

 

 

「(どうしようかな?見た感じ、紗季、真帆、ひなたはかなり疲れてるな、智花はオールコートダブルチームだし、一人でシュートまで持っていく、力はオレにはないし、でも、どうこう言ってられない。いくぞ」

 

 

 

その時

 

 

 

「斎藤君」

 

 

 

なんと智花がこっちに走り込んできた

 

 

 

「(智花)」

オレは智花にボールを手渡しした。

 

 

 

智花はボールを受けとるとシュートフェイクで竹中を抜き去り、今までのお返しと言わんばかりに、ドライブ&ジャンプシュートを決めた

 

 

 

「湊さん、ナイスシュート」

 

 

 

「勝利の女神はあきらめない人が好きなんでしょ」

 

 

 

そう言って智花がウインクしてくる

 

 

 

「(かわいすぎるだろ。反則だ)」

 

 

 

「(どうしたのかな?斎藤君ボーッとして。)まだまだ大丈夫だよね?」

 

 

 

「うん」

 

 

 

「私は、もうどんなことがあってもあきらめないよ」

 

 

 

「(本当に強い子だな)よしディフェンスだ」

 

 

 

1ー3ー1をセットする

 

 

 

竹中がドリブルで智花を抜く。

 

 

 

「永塚さん、三沢さん」

 

 

 

二人に指示を出す

 

 

 

二人が竹中にダブルチームをしかける

 

 

 

「何度も言ってるだろ。お前らが何人来ようが関係ない」

 

 

 

がジャンプシュートを放った

 

 

 

「あきらめない」

 

 

 

智花が竹中の真横に回り込みブロックした

 

 

 

そのボールはラインを割りそうだ

 

 

 

「『あきらめない』(か、光さん、君も同じことをいうのかな?)」

 

 

 

隆志はかつて想いを寄せていた女の子の顔が浮かんできた

 

 

 

「あきらめるかよ。あきらめるのは一瞬あればできるんだから」隆志は全力で走った。ボールをとり、空中でボールを前に出す

 

 

 

「誰かお願い」

 

 

 

そのボールにいち早くとびついたのは智花で、そのままレイアップを決めた。

 

 

 

隆志はそのままベンチに突っ込み倒れてしまった

 



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第九話 IN THE PAST

「斎藤君」

 

 

 

誰かが隆志のことを呼んでいる

 

 

 

「う〜ん。この声はまさか?いや、そんなはずはない。君がここにいるはずがない。でも、この声がまた聞けるなんてね。夢でも嬉しいよ。光さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隆志は高校一年のころから光と同じクラスだった。

 

 

光の髪型はポニーテールで身長は150後半くらいだった。

 

 

 

「かわいい」

それが隆志の第一印象だった。

 

 

 

隆志だけじゃなく、クラス、学校の男子達が光のかわいさにもうアタックしていた。

 

 

 

隆志はそんな彼らを見ていたらどうも積極的になれないでいた。

 

 

 

しかし、席替えがあり隆志は光のとなりになった。

 

 

 

隆志は頭はそこそこだが、きちんと予習をするので授業で困ることはほとんどなかった。

 

 

 

逆に光の方は学年一位でありながら、授業で苦戦しているようだった。

 

 

 

そんな、ある日の数学の授業でのこと

 

 

 

「斎藤君」

 

 

 

「え、オレ?(あの光さんがオレに話しかけてる!?)」

 

 

 

「?他に斎藤君っていたっけ?」

 

 

 

 

「(何て天然な返し方だよ)いないね。何か用?」

 

 

 

「ここの問題教えてくれない?」

 

 

 

隆志は意外だった。この問題そんなに難しくない問題だ。学年一位の光なら尚更だ。

 

 

 

「ここは、この公式を使えばいいんだよ」

 

 

 

「何それ?」

 

 

 

「だからこの公式」

 

 

 

「それどうやるの?」

 

 

「はぁ〜?(おいおい。そんなに難しい公式じゃないだろ。普通のやつが分からないならともかく、学年一位だろ)」

 

 

 

「ご、ごめんなさい」

 

 

光はオレの声にびっくりしたのか、いつもより、オドオドしている

 

 

 

クラスの男子達がこっちを睨んでくる

 

 

 

「ごめん、ごめん。この公式はこうなってるからここをこうして・・・・」

 

 

隆志は分かりやすく丁寧に教えた。

 

 

 

光も分かったのか。すらすらと解いていく。

 

 

 

「できた。出来たよ隆志君」

無邪気な笑顔だ

 

 

「(学年一位ならこのくらい解けて当たり前のような気がするが)よかったね」

 

 

 

「ありがとうね」

ニコッ

 

 

 

「(かわいい)どういたしまして」

 

 

 

「私、トロイからなかなか授業についていけないんだよね。入学テストなんか160位だったし」

 

 

 

「うそ〜(160位って下から数えた方がはやいじゃん。オレは9位だったけど)」

 

 

 

「本当だよ。ほら」

 

 

 

光が隆志に成績表を見せた

 

 

 

「(マジかよ。そっから横は全部一位だし。どんな努力したんだよ?)テスト前はどれくらい勉強してるの?」

 

 

 

 

「平日は8時間。休日は14時間くらいかな」

 

 

 

「(え)すごいね。オレなんか長く勉強しても2時間くらいだよ」

 

 

 

「斎藤君は頭いいからそれでいいかも知れないけど、私は頭悪いから」

 

 

 

「(オレ頭よくないけどな。てか、なんて、すごい子なんだ。ここまで努力できるなんてすごい)他に分からないことがあったらきいてね」

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

「(かわいいな)」

 

 

 

それから、隆志は光と話す機会が増えていき、どんどん仲良くなっていった。

 

 

仲がよすぎて、付き合ってるのと言われることも少なくなかった。

 

 

 

ただ、男子達がその話になると、すごい形相でこちらを睨んでくるが

 

 

 

隆志の奥手な性格のせいで友達から発達することはなかった。

 

 

 

隆志はだんだん光のことが分かるようになってきた。

 

 

 

「(確かにかわいい。見ているだけで目の保養になる。でも、光さんのすごいところはどんなことにも全力で取り組む姿勢。目標のためならどんな努力も惜しまない。)」

 

 

 

本当にすごい子だよ。

 

 

 

しかし、隆志がもっと驚いたのは遠行だった。

 

 

 

隆志達の学校は毎年遠行で40㎞を走る。

 

 

 

隆志はバスケ部で鍛えていたのでさほど問題はないが

 

 

逆に光は文化系で運動神経はあまりよくない。

 

 

 

ぞくに言う運動音痴

とまではいかないかもしれないが

平均よりちょっと下

 

 

 

これが隆志の評価だった。

 

 

いい例がそうじ時間のことだった。

 

 

 

そうじ時間光が雑巾で床をふいていた。

 

 

 

しかし、よくみると、床が水浸しになっていた。

 

 

 

「ちゃんと雑巾しぼったの?」

 

 

 

「うん」

 

 

 

「(うんって)ちょっと貸して」

 

 

 

隆志が雑巾を取り上げた

 

 

 

「全然しぼれてないじゃん」

隆志が水道までいって絞る

 

 

水がたくさんでてきた。

 

 

 

「斎藤君すごいね」

 

 

「(こんなの普通なんだけどな)光さん握力は?」

 

 

 

「9だったと思うけど」

 

 

 

「そうなんだ(力がないとは思ってたけどそこまでとはな。これで遠行大丈夫なのか?どうみても持久力無さそうだし。華奢な体だし)」

 

 

 

そして、夜のことだった。

 

 

隆志は10㎞のランニングを終えて家に帰ってきて携帯を開いたとこだった

 

 

 

「光さんからメールだ」

 

 

 

 

 

件名 お疲れ

 

 

 

 

本文

斎藤君っていつもどのくらい走ってるの?

 

 

 

end

 

 

 

 

REお疲れ

 

 

 

 

本文

最近は10㎞くらいかな

 

 

 

end

 

 

 

「(ちょっと刺激が強すぎたかな。正直10㎞はかなりきついしな)」

 

 

 

返信がきた。

 

 

 

本文

10㎞?

 

 

 

まぁ斎藤君ならそれくらいの量で足りるかもね

 

 

 

end

 

 

 

「(はぁ?10㎞で少ない?)」

 

 

 

隆志はすぐさま返信した。

 

 

本文

光さんは何㎞走ってるの

 

 

 

end

 

 

 

「メールだよ」

携帯がなった

 

 

本文

20㎞だよ!!

 

 

 

土日は30㎞!!

 

 

 

end

 

 

 

「(言葉がでない)」

 

 

 

そして遠行が始まった

 

 

 

隆志は頑張って十一位になった

 

 

 

隆志は女子の方を見る

 

 

 

一位、二位はバレーボール部の三年。

 

 

 

三位の人が走ってくる。よく見ると光だった。

 

 

 

もう少しでゴールだがふらついている

 

 

 

「諦めない」

 

 

 

光はゴールした

 

 

 

「光さん」

 

 

 

「斎藤君。諦めなかったよ」

 

 

 

「すごいよ。本当にすごい。(勉強で一位とるのは分かる。言い方は悪いが勉強何て誰でも頑張れば一位は取れる。でも、運動には適性がある。光さんはどうみても適性があるとは思えない。すごい根性だ)」

 

 

 

「斎藤君のお陰だよ」

 

 

「え?」

 

 

 

「斎藤君に抜かれたときに斎藤君の背中をみて、すごいな。私も頑張ろうと思ったんだ」

 

 

 

「光さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「斎藤君、斎藤君」

 

 

 

「湊さん」

 

 

 

「昴さん。斎藤君が目を覚ましました」

 

 

 

「大丈夫か?」

 

 

 

「はい。それより何分間くらい気を失ってました?」

 

 

 

「15分くらいだ」

 

 

 

「よし。審判さん」

 

 

 

「君、大丈夫かな?」

 

 

「はい。でも、まだ痛みがあるので、テーピングの時間をいただけませんか?」

 

 

 

「分かった」

 

 

 

「長谷川さん。お願いします」

 

 

 

「分かった」

 

 

 

「斎藤君大丈夫?」

 

 

 

「平気。平気だよ湊さん」

 

 

 

「隆志。君はわざと突っ込んだのか?」

 

 

 

「はい。ルーズボールに飛び込むのは同然ですから。後、みんながかなり疲れていたので、怪我したふりをしてレフリータイムで休んでもらうつもりでしたから。気を失ったのは予定外でしたけど」

 

 

 

「それでケガしてバスケができなくなったらどうするんだ!!」

 

 

 

昴が真面目な顔をしている

 

 

みんなビックリしている

 

 

 

「(昴がこんな顔をするなんて)」

 

 

 

「確かに長谷川さんの言う通りです。すみませんでした。でも、一バスケットボール選手として、将来のことより、今の一試合を大切にするべきではないでしょうか」

 

 

 

「斎藤君」

智花は感動している

 

 

「私たちのことをそこまで考えてくれるなんて」

と、紗季

 

 

「ありがとう」

と、真帆

 

 

「おー隆志すごい」

と、ひなた

 

 

「斎藤君」

愛梨も感動している

 

 

「どうしたの?みんなで居場所を守るんだろ」

 

 

 

「分かった。オレもいいすぎた。確かにお陰でみんなが休めたがそれは男バスも一緒だ」

 

 

 

「分かっています。それでも、みんなを休めた方が勝つ可能性が高いと思ったんです」

 

 

 

「1ー3ー1崩しはどうやって対処する?」

 

 

 

「そ、それはまだです。長谷川さん。何かありませんか?」

 

 

 

「う〜ん。なかなか完璧な作戦だしな」

 

 

 

キュ、キュ

 

 

 

「ちょっと真帆、何してるの?」

 

 

 

「いや〜バッシュのキュ、キュって音が面白くて」

 

 

 

「!!」

 

 

 

「隆志」

 

 

 

「長谷川さん」

 

 

 

「どうやらお互いに気づいたようだね」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「これは君にかかる負担が大きいよ」

 

 

 

「大丈夫です」

 

 

 

「何々?どうしたの」

 

 

「ありがとう。三沢さんのお陰でいい作戦が思い付いたんだ。みんな、聞いて」

 

 

 

隆志が作戦を説明する

 

 

 

「テーピングはまだかね」

 

 

 

「すみません。今、いきます」

 

 

 

「ちょっと、隆志っち」

 

 

 

「何?」

 

 

 

「私のお陰で作戦思いついたんだから。お礼がまだなんだけど

 

 

 

 

「?。お礼はさっき言ったけど」

 

 

 

「お礼を言っただけじゃだめだよ。誠意をみせたまえ隆志っち」

 

 

 

「じゃあどうすれば?」

 

 

 

「私の頭をなでなでして」

 

 

 

なでなで

隆志は真帆の頭をなでた

 

 

 

「ようし。頑張っていくぞー」

 

 

 

「おう」

 

 

 

真帆の顔が少し赤かったようなきがするが

 

 

 

「湊さん頑張っていこうね」

 

 

 

「うん」

プイッ

 

 

 

「(どうしたんだ?)」

 

 

「袴田さん頑張ろう」

 

 

「ぶー」

プイッ

 

 

 

「長塚さん」

 

 

 

「全くみんな子供ね。でも、チームワークはだいじよね」

プイッ

 

 

 

「みんなどうして?」

 

 

「なぁミホ姉、真帆以外どうしたんだ。隆志に冷たくないか?隆志も心当たりなさそうだし」

 

 

 

「試合に集中しろ。このウルトラ鈍感コンビ」

 

 

 

「はい?」

 

 

 

「(どうしたんだ?真帆以外の女バスのみんなからオーラがでてるぞ)みんな気を引き締めていくぞ」

 

 

「おう」

 

 

 

51ー37

男バス14点リード

 

 

 

逆転なるか?

 



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第十話 男バス混乱

男バスボールで試合が再開されようとしている

 

 

 

「(とりあえず作戦を成功させるためにもここらで流れを持ち込まないと。チャンスは一度)湊さん、後ろを任せた」

 

 

 

「え?」

 

 

 

隆志はエンドスローを行おうとしている和久井の前に立ちコースをふさぐ

 

 

 

「(右か左か?竹中が右にいる。右だ)」

 

 

 

「え?」

 

 

 

パシッ

 

 

 

オレがボールをカットし、そのままシュートを決めた

 

 

51ー39

点差を再び12点差に縮めた

 

 

 

「(よし、これで流れがくるぞ)」

 

 

 

「ナイスシュート」

 

 

 

「?(湊さんさっきまで機嫌が悪かったのに)ありがとう」

 

 

 

「どんまい、どんまい。一本いくぞ」

 

 

 

竹中がボールを運んでくる

 

 

「(1ー3ー1はもう使えない。さっきみたいなミスはしない。確実に崩していく)」

 

 

 

竹中がダブルスクリーンを使って智花をかわした。

 

 

 

「三沢さん、長塚さん」

 

 

 

紗季が田嶌に真帆が和久井につく

 

 

 

そして、隆志が竹中のマッチアップにつく

 

 

 

「(こりてねぇな)和久井」

 

 

 

和久井がパスを受け、紗季をかわしてシュート

 

 

 

しかし、

そこに手がでてきた。

 

 

 

バシッ

 

 

 

「(何で斎藤が間に合うんだ?)」

 

 

 

「竹、早く戻れ」

 

 

 

「おう。みんなディフェンスだ」

 

 

 

「(流石に何本も速攻はさせてくれないか。見てろよ。オレはゲームメイクは向いてないかもしれないけど、光さんが諦めずにやってみせたようにオレだって。

やってやる。一本いくぞ」

 

 

オレの大きな声が響きわたる

 

 

 

智花にはオールコートダブルチームでつかれてるからパスは出せない。

 

 

 

オレは前を見る。

 

 

 

オレには和久井がマッチアップしてくる

 

 

 

紗季には深田が、真帆には田嶌がついている。

 

 

 

ひなたがフリー

 

 

 

ひなたがシュートが入らなくても、状況は4対3。

 

 

 

オレはゆっくりゆっくりついてたボールの速度を一気に上げた。一瞬和久井の反応が遅れた。その瞬間を見逃さず、一歩めのドリブルで和久井に並び、二歩目で抜き去った。

 

 

 

オレはただリングだけを目指し

ドリブルした。

 

 

 

オレはゴールに近づきレイアップを選択した。

 

 

 

田嶌がカバーに入る。

 

 

 

「(怖くない、怖くない。恐れない。いくんだ!!)」

自らにそう言い聞かせ

 

 

 

隆志が跳んだ。

 

 

 

田嶌もブロックに跳ぶ

 

 

 

「(まだ、撃たないのか?このままじゃぶつかる)」

 

 

 

ドン

 

 

 

空中でぶつかった。

 

 

 

「(今だ)」

隆志は右手を高くあげ、田嶌の脇の間を抜き、シュートを放つ

 

 

 

スポッ

 

 

 

「バスケットカウントワンスロー」

 

 

 

 

「よし。(オレには智花みたいに3Pは打てないからな。オレが3点とるにはこれしかない)」

隆志はフリースローを確実に決め、点差を九点差にした。

 

 

 

男バスみんなが混乱している。

 

 

 

無理もない。

監督が考えた完璧な作戦。

 

自分たちも崩せるはずがないと思った

 

 

竹中のラストパスに追いつけるはずがない。

 

 

 

「どうなってるんだ?」

 

 

隆志のプレーは男バスに十分なショックを与えた。

 

 

 

51ー42

9点差

 

 

残り3分

 



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第十一話 頼れる仲間

side竹中

 

 

 

「(くそ。さっきまでは20点差あったのに)」

 

 

 

オレは一人の男を見た

 

 

斎藤

 

 

あいつは何者なんだ。たいして、上手くはない。オレらのチームだったらせいぜいベンチ入りがやっとくらいなのに、あいつが流れを作ってる。女バスの中心にはあいつがいる。

 

 

 

このままじゃ

 

 

 

キャプテンのオレがしっかりしなきゃ

 

 

 

押されてるのはオレが不甲斐ないからか

 

 

 

 

「竹」

 

 

 

「おっと」

オレは危なくもキャッチした。

 

 

 

「竹悩むな」

と、戸嶋

 

 

「オレに任せろ」

と、深田

 

 

「頼むぜキャプテン」

と、田嶌

 

「エースが下なんて向いてんじゃねぇぞ」

と、和久井

 

 

 

「キャプテン、竹中、竹中先輩」

ベンチからも声が聞こえる

 

 

 

 

「お前に任せたぞ竹中」

 

 

 

「先生。みんな」

バカだなオレ、一人で焦ってよ。オレにはこんなに頼りになる仲間がいるじゃないか

 

 

 

「いくぜー湊」

 

 

 

智花にダブルスクリーンをかける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思いきや深田が智花から離れる

 

 

 

「頼んだぜ深田」

 

 

 

オレは深田にパスを出した

 

 

深田がフリーでシュート

 

 

 

ガツ

 

 

しかし、リングに嫌われた。

 

 

 

リバウンド

 

 

 

「いつもいつもやられるか」

 

 

 

和久井と斎藤がリバウンド争い。

 

 

 

ここは和久井に軍配が上がった

 

 

 

しかし、

 

 

 

「袴田さん」

 

 

 

「おー」

 

 

 

ひなたが和久井と着地と同時に手を伸ばし、ボールをスティールする

 

 

 

「(斎藤のやつ、ひなたに指示を出さないと思ったらこのためだったのか)」

 

 

 

「みんな戻れ」

 

 

 

男バスがいっせいに戻る

 

 

 

 

「「悪い竹中」」

和久井と深田が謝る

 

 

 

「どんまい。どんまい」

 

 

 

 

「みんな。点差はあるんだ。しっかり守っていこうぜ!!」

 

 

 

「「おー」」

 

 

 

「オラ、ベンチ、お前らも声出してけ」

 

 

 

「ディーフェンス、ディーフェンス」

 

 

 

「(竹中のやつ、一皮向けたな)」

教え子の成長を喜ぶカマキリ

 

 

 

「さあこい!!!!!!」

気合いが入った敵のエース竹中

 

 

これからどうなる?

 



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第十二話 スターター

「ディフェンス!!!」

 

 

 

「(男バス、気合い入ってるな)みんな、一本ずつ返していこう」

 

 

 

「「おー」」

 

 

 

「(智花にオールコートダブルチームしてるならまだまだ付け入る隙はある)

 

 

 

隆志はチラッと智花を見た

 

 

男バスが智花へのパスを警戒しようとする刹那、隆志はトップスピードで突き進んだ。

 

 

 

これで状況は四対三。

 

 

 

和久井がオレのマークにつく。

 

 

 

オレは右にいくと見せかけて左に、和久井も反応しようとするが

 

 

 

「おー」

 

 

 

ひなたが和久井にスクリーンをかけていた

 

 

 

隆志が和久井を簡単に抜き去り、ジャンプシュートを撃とうとする。

 

 

 

しかし、深田がブロックに跳ぶ

 

 

 

「(これを待ってたんだよ)三沢さん」

 

 

 

隆志は跳んだのではなく、跳んだフリで真帆にパスを出した

 

 

 

真帆がゴール下でゴールを狙う

 

 

 

「落ち着いて、版をよく使って」

隆志が叫んだ

 

 

 

真帆はプレッシャーに強い子だ。

 

 

 

難なく、初めてやるバンクショットを決めた。

隆志や智花のシュートを見て覚えたのだろう

 

 

 

「ナイスシュート」

 

 

 

「任せとけって」

 

 

 

「袴田さんもナイスアシスト」

 

 

 

「おー。ひなも役に立った?」

 

 

 

「シュートまで行けたのは袴田さんのおかげだよ」

 

 

 

「おー。ひな、嬉しい。ありがとう隆志」

 

 

 

 

 

 

 

ひなたが右手を出してきた。

オレも右手を出し、ハイタッチする。

 

 

 

「永塚さん」

 

 

 

「何?」

 

 

 

「三沢さんに対抗しようとしなくていいからね。焦らないでね。シュート外してもリバウンドとるから」

 

 

 

「私は別に真帆に対抗しようとなんかしてないもん・・・・・・・バカ 」

 

 

「いくぞーみんな」

 

 

 

竹中が攻め込んでくる。

 

 

「(オレの推測が正しければ、やつは重心をめいいっぱい後ろにして、追い付いてるはずだ。だから、オレのジャンプシュートには対応出来ないはずだ)」

 

 

竹中がジャンプシュートを放つ。

 

 

 

「!!っ」

 

 

 

隆志は思いっきりジャンプしたが

 

 

 

チッ

 

 

 

何とか指先にかすってシュートが外れた。

 

 

 

「(しまったリバウンドに間に合わない。和久井にベストポジションを取られた)」

 

 

 

「私に任せて」

 

 

 

隆志その瞬間に直感した。真帆がリバウンドをとってくれると、ならば自分の仕事はシュートまでの確実なルートを探すことだと。

 

 

 

「永塚さん、走れ」

 

 

 

オレが指示を出すより前に紗季は走っていた。

 

 

 

「(何てすごいんだ。お互いを信じてなければ出来ないはずだ)」

 

 

 

真帆と和久井と田嶌がリバウンドを争う。

 

 

 

ボールは真帆と和久井の方に跳んだ。

 

 

 

真帆と和久井。身長さは10cm以上あるが、

 

 

 

真帆は和久井に全体重をかけ、和久井に体を預ける。和久井にベストジャンプをさせないようにして、ボールをとるのではなく、オレの方へティプ(はじく)してきた。

 

 

 

「(一瞬の閃きかもしれないけど、これはかなりの高等技術だ。だったらオレは)」

 

 

 

オレは真帆からティプされてきたボールをバレーボールのトスのようにタップパスで前線にあげる

 

 

 

先ほどから走っていた紗季がこれを何と、教えてもいないはずのレイアップで決めた。

 

 

 

「ナイスシュート」

 

 

 

隆志は紗季の前に右手を出した。

 

 

 

「ありがとう。でも、ハイタッチなんてそんな、子どもみたいなこと、でも、チームワークを乱してはいけないわね」

 

 

 

パンッ

 

 

 

「心の中ではものすごく喜んでる紗季であった」

 

 

「真帆」

 

 

 

「さあ、ディフェンスだよ。」

 

 

 

隆志はあることに気づいた。みんなの動きが鈍くなっていることに

 

 

 

その証拠に智花までもがあっさり抜かれてしまった

 

 

 

「(この距離なら)」

 

 

 

 

竹中がいつもより遠くからジャンプシュートに入る

 

 

 

隆志が前に出る。

 

 

 

キュキュキュキュ

 

 

 

竹中が和久井にパスを出した。和久井は真帆をターンでかわして、シュート

 

 

 

ドン

 

 

 

何と、隆志が先にコースに入っていた。

 

 

ピー

笛が鳴る

「オフェンスファール」

 

 

 

「(何で追い付けるんだよ。ん?)」

 

 

 

竹中が倒れていた隆志を見た。

 

 

 

「(パッシュの底がすれてる。それにさっきのキュキュキュキュって音と何か関係が?)」

 

 

 

「竹中、スターターだ。やつはスターターを使っているんだ」

カマキリが叫ぶ

 

 

 

「スターター?確か雑誌でよんだことがある」

 

 

 

「ねぇ昴、スターターって」

 

 

 

「スターターって言うのは、どう説明すればいいかな?スターターっていうのは、つま先で通常の何倍も小刻みにステップを踏むことだよ。今、見たいにキュキュキュキュって音がするんだ。

 

 

 

「へぇ。難しいのか?」

 

 

 

「やるのはそんなに難しいことじゃない。高校生にもなれば大抵のやつは使う。でも、足にかかる負担がかなり大きくなる。隆志はそれをさっきからずっとやってるんだ」

 

 

 

「にゃはは。じゃあ隆志のやつすごい根性だな」

 

 

「でも、さっきから音はしませんでしたよね」

愛梨が不思議そうに尋ねる

 

 

 

「それは、隆志が相手にばれないように上手くやってたんだよ。隆志のバッシュはかなり底がすれてる。だから、音がなりずらいんだ。それを利用して、隆志自身も意識して音を消していたんだ。でも、今のは竹中が上手かった。音を出さざる終えなかった」

 

 

 

「(ばれたか。もうちょっとだけ、遅かったら良かったのに)」

 

 

 

「湊さん、エンドスローお願い」

 

 

 

「分かった」

 

 

 

「竹中、斎藤につけ、お前の力で男バスに勝利をもぎとれ」

 

 

 

「おす」

 

 

 

隆志が智花からボールを受けた。

 

 

 

「(痛。足にきたか)」

 

 

隆志の前に立ちはだかるのは竹中

 

 

 

side隆志

オレはボールを受け、周りをみる。

やはり、みんな疲れてる。さっき、休んでも、疲労があるからな。

オレはドリブルをつこうとしたが、やめた。

 

目の前からものすごいオーラを感じたからだ。

 

 

 

竹中がよく腰を落として獲物を狙う野獣のような眼だ

 

 

隙が全くない

 

 

 

これが竹中の覚悟か、静電気のようにビリビリ伝わってくる。

 

キャプテンとして、エースとしての覚悟

 

 

立派だよ。尊敬するよ

 

 

sideout

 

 

 

side竹中

監督が、みんなが、オレを信じてる。斎藤を止めてやる。

勝つのはオレ達だ!!!!!!!

 

 

 

残り一分半

 

 

51ー46

男バスの5点リード

 



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第十三話 力の解放

「(全く隙がないな、てかこれが小学生のプレッシャーかよ)」

 

 

 

「(そこだ)」

 

 

 

竹中が隆志からあっさりボールをスティールして、レイアップを決めた

 

 

 

「(オレのせいでまた負ける。オレがいなければいやだ。もうチームの足を引っ張るのは。オレがでしゃばらなかったら)」

過去の失敗がこみ上げてくる

 

 

ばちーん

 

 

 

誰かが隆志の頬をたたく

 

 

 

「しっかりしてよ」

 

 

 

「湊さん」

 

 

 

「隆志君が言ったんじゃない。勝利の女神は諦めない人が好きだって。何も勝てないのに気持ちでも、負けるのって。この居場所をみんなで守る。隆志君が守ってくれるんでしょ」

 

 

 

「智の言う通りよ。私達は智に頼ってばっかりだった。でも、斎藤君の作戦のおかげで、こんな私でもチームに貢献できてるの」

 

 

「そうだよ。隆志っちが考えた作戦は効いてるよ。夏陽のバカ面を見ていれば分かるよ」

 

 

 

「何だとバカ真帆。でも、お前とならもっと熱い勝負ができるはずたぜ。全力で来い。斎藤いや隆志!!」

 

 

「おー。隆志は頑張ってる。ひなはもっと頑張らなきゃ。隆志。ひな、まだ頑張れるから」

 

 

 

「みんな。(竹中。敵に塩をおくるなんて)オレにみんなの運命を預けてくれ」

 

 

 

「うん」

 

 

 

智花がエンドスローで隆志にボールを渡す

 

 

 

「(今こそ、あのちからを使う。成功するかは分からないけど

みんなのために使う

バスケで使うのは初めてだけど。いくぜ。集中。集中。集中!!!!!!)」

 

 

 

有名なホームランバッターほど口をそろえて言う

「ボールが止まって見えた」

っと

「相手ピッチャ―の握りが見える」

っと

 

隆志はそれは極限まで高めた集中力だと判断した

だから、隆志は有名な天井に10円玉をぶらさげて、それを毎日30分見る

という集中力を高める練習をしていた。

 

 

結果として、その力は身についていないが、1分だけなら自身の力を最大限まで

引き出せる集中力を身に付けた

 

しかし、野球なら1分は短すぎる。一打席持たない。

だが、バスケなら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

シュ

 

 

 

智花にバックパス

 

 

 

「・・・」

 

 

 

「(隆志。どうして何も言わないんだろ。でも、あの背中はパスをくれって言ってるみたい)隆志君」

 

 

 

智花は隆志に縦パスを送った。

 

 

 

隆志はボールも見ずに腕をあげてキャッチする

 

 

 

「こい」

竹中はやる気満々で構えている」

 

 

「いく」

 

 

 

隆志足を使って右に左にフェイクを入れる

 

 

 

「(右)」

竹中が反応するが、

 

 

 

「(動いてないだと)」

 

 

隆志は左に進む

 

 

 

和久井と田嶌がカバーに入る。

 

 

 

普段の隆志なら相手をひきつけてパスを出すが

 

 

 

「・・・」

 

 

 

隆志はシュートモーションに入る

 

 

 

和久井と田嶌がとぶ

 

 

 

「・・・」

 

 

 

ドン

 

 

隆志が空中で二人を弾きとばしてシュートを決めた。

隆志にはゴールしか見えていないようなそんな動きだった

 

 

「バスケットカウントワンスロー」

 

 

 

「ナイスシュート」

 

 

 

「ナイスシュート」

 

 

 

「やるじゃん」

 

 

 

「おーナイスシュート」

 

 

 

「・・・戻ってて」

 

 

 

「?うん。みんな戻るよ」

 

 

 

隆志のフリースロー

今のところ全部シュートを決めている

 

 

 

シュ

 

 

「フォームが変わった」

 

 

 

それは下投げのアンダースローショット

 

 

 

「(それで入るのか?)」

 

 

 

ガッ

 

 

 

リングに嫌われ大きく右に外れる

 

 

 

ボールは誰もいないところへ

 

 

 

パシッ

 

 

 

何とそこへ隆志が移動してた

 

 

 

そこはスリーポイントラインの外側

 

 

 

一はやく深田が気づきブロックにいく

 

 

 

「罠だ。いくな」

竹中が止めるが時すでに遅し

 

 

 

隆志はシュートフェイクで一度ボールを下げて、深田がぶつかってからシュートを決めた。

 

 

 

審判「バスケットカウントワンスロー」

 

 

 

隆志は今度はきちんと決め一点差にまで追いついた

 

 

「・・・みんな、残り三十秒ここ守って逆転」

 

 

 

「「おー」」

 

 

「(隆志君どうしたんだろう?何か感じがちがうような)」

 

 

 

隆志の声がいつもの感じと違い、独り言のような呟きに感じられた

 



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第十四話 決着

一点差

 

 

 

「(隆志のやつ、動きが変わった。って言うよりも人が変わった?ような気がする)」

 

 

 

「竹、最後の作戦だ」

 

 

時間がないので手短に話す

 

 

「戸嶋」

竹中が呼ぶ

次に点を取った方にこのゲームの主導権が一気に傾く

そう感じてか竹中もここ一番の気合いを出す

 

 

 

 

「頼んだぜエース」

PG小嶋はエースに託すことにした

 

 

 

「おう(戸嶋のやつ、すごいこと考え付く。さすがチームの司令塔だな)」

 

 

 

ボールは戸嶋から竹中へ

 

 

 

後ろに四人を残し、隆志が竹中に近づく。

 

 

 

「勝負だ隆志!!」

竹中が叫ぶ

この試合を見ている誰もが感じているだろう

文字通り最後の一騎打ちだと

 

 

 

「・・・」

 

 

 

竹中がいくつものフェイクを入れる。

 

 

目線と体を右に、そして、左に

鋭いクロスオーバー

 

 

「(よし、抜いた。)」

竹中がパスを出そうとするが、

 

 

 

「(ボールがない)」

 

 

 

何と隆志がボールを奪っていた

 

 

 

「(いつの間に?抜いたはずなのに)」

 

 

 

隆志がレイアップを決めて逆転した。

 

 

 

53ー54

 

 

 

20点以上あった差が

今、逆転した。

 

 

「「「やった!!!」」」

女バスはみんな喜んでいる

 

 

 

そのとき

「今だ」

小嶋が叫ぶ

 

 

 

深田がボールが地面に落ちる前に素早くエンドラインに入り、戸嶋が深田にボールをはじき、深田がボールをすぐさま戸嶋にパスした

 

 

素早くリスタートしたのだ。

 

 

そして、素早く相手陣内に走りこんでいた竹中にパスをだした

 

 

 

「まさか!!これはLMUか。まさか小学生が?」

 

 

 

昴は驚いて、カマキリを見る

 

 

 

カマキリも驚いているようだが、心底嬉しそうだ

 

 

 

「昴LMUって?」

 

 

 

「オレも詳しいことは分からないけど、確かどこかの大学で作られたもので、得点された後に、素早く攻撃をしかけるフォーメーションだ」

 

 

 

「それってまずくないか。隆志はまだ、戻ってないし、逆転して、安心したところをつかれたら」

 

 

 

「ああ。確かにまずい。しかし、この土壇場でこんな作戦をとるなんて、全く小学生は最高だぜ!!」

 

 

 

「昴、この試合が終わったら連れていきたい場所がある」

 

 

 

「どこへ?」

 

 

 

「警察だ」

 

 

 

「そういう意味じゃねぇよ」

 

 

 

昴たちがバカなことを話している間に、竹中が攻めこんでいた。

 

 

 

「いくぜ、湊」

 

 

 

 

 

 

竹中は最後の力を振り絞り最高のロールターンで智花を抜き去った。

 

 

 

そして、シュートに入ろうとする。

 

 

 

「負けたくない」

智花が懸命に手を伸ばすが

 

 

「ッ・」

今までの疲れがきたようで途中でバランスを崩した。

 

 

「そんな」

 

 

 

しかし、誰かが跳んでいた

 

 

隆志だった。

 

 

 

今までで、一番高く跳んでいた。

 

 

 

「隆志君。お願い。止めて」

智花が叫ぶ

 

 

 

「いつも、いつも。負けてられないんだよ。勝つのは俺達だ!!!」

 

 

 

「・・・」

 

 

 

竹中は体を斜めにして、フェイダーウェーイシュートを放つ

 

 

 

隆志は手を伸ばして、シュートを手にかすめた

 

 

 

「やった」

智花だけじゃなく、女バスみんながそう思っただろう。

 

 

 

しかし

 

 

ポスッ

 

 

何と入ってしまった

 

 

 

「よっしゃーーー」

 

 

 

竹中が叫んだ

 

 

 

隆志がすぐさまボールを拾って

 

 

 

 

智花にパスを出す。

 

 

 

残り7秒

 

 

 

「湊にトリプルチーム、斎藤にダブルチームだ」

カマキリが大声で指示を出す

 

 

 

男バスが仕掛けてくる

 

 

 

さすがの智花もトリプルチームを抜く力は残ってない

 

 

「残念だったな湊」

竹中は勝ちを確信しているような言い方だ

 

 

 

「私が負けるなんて些細なこと。だって、今はみんな一緒だもん」

 

 

 

智花がジャンプしてシュートを放った

 

 

 

しかし、ボールは大きく右にそれた。

 

 

 

「任せろもっかん」

 

 

 

何と真帆へのパスだった。

 

 

そして、真帆がブザービートを決めた。

 

 

 

「55ー56で女バスチームの勝ち。礼」

 

 

 

「ありがとうございました」

 

 

 

「やったぜ」

 

 

 

「接戦だったわね」

 

 

 

「おー。ひなたち勝った」

 

 

 

「みんなすごかったよ」

愛梨も泣きながらみんなのもとにかけよった

 

 

 

「やった、やった。勝ったよ。これでみんなとバスケができる。ありがとう隆志君」

 

 

 

「・・・」

 

 

 

「隆志君?」

 

 

 

「おい、何か言えよ隆志っち」

 

 

「・・・」

 

 

「みんなちょっと待ってんか」

 

 

「あなたは?」

 

 

「私は隆志と一緒に転校してきたマリカやよろしゅうな。さっそくやけどこいつ力を使い果たして立ったまま気絶しとるで」

 

 

 

「私達のためにそこまで」

 

 

 

「けっこう根性あるじゃん隆志っち」

 

 

 

「すごいわね」

 

 

 

「おー隆志すごい」

 

 

 

 

「今日はこれで隆志を連れて帰るから。また明日な」

 

 

「この後に昴の家で祝勝会やるからよかったら隆志と一緒に来いよ」

 

 

「分かりました。目が覚ましたら行きます。場所はどこですか?」

 

 

「連絡をくれたら迎えにいくから連絡先教えてくれ」

 

 

連絡先を交換し、マリカは隆志を家に連れて帰った

 

 

 

「ここは?」

 

 

「気いついたか?」

 

 

「マリナ」

 

 

ビシッ

「ドアほう。マリカやゆうとるやろ」

 

 

 

マリカの伝家の宝刀をくらってしまった

 

 

「マリカか。ごめん。所で試合は?」

 

 

 

「勝ったで」

 

 

「よかった」

 

 

「にしてもあんた、不思議な力つこうてるな。急にしゃべらなくなったからびっくりしたで」

 

 

 

「はは・・・・(これがもし野球で使えたら)」

 

 

「これがもし野球で使えたらいいのに」

 

 

「え?」

 

 

「そう顔に書いてあんで」

 

 

 

「・・・・ごめん。一人にさせてくれ」

 

 

 

「分かった。30分だけやで、そのあとは長谷川さんとこで祝勝会らしいからいくで」

 

 

 

「分かった」

 

 

 

 

 

マリカが出ていった後、隆志は一人で考えてた。

 

 

 

 

「今日の試合で分かったことがある。オレはなんだかんだ言ってもバスケも好きなんだ。でも、野球のことも好きなんだ。小さいころから憧れたスポーツ。やっと夢がかなったのにいきなりの転生。オレはどうすればいいんだ?今頃、墨谷のみんなは何をしているのか?もう、青葉と試合しているのか?本当にオレはどうすればいいんだ」

 

 

 

 

 

 

隆志は迷っていた。

 

 

 

若い頃はみんな悩んで成長していくものである

 

 

 

隆志の今後の行方は

 

 

野球?バスケ?それとも・・・・・・・・・



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球技大会編
第十五話 祝勝会


 

隆志が悩んでから三十分

 

 

「隆志三十分たったでぇ~祝勝会いくでぇ~」

 

 

「うん」

 

 

「(まだ暗いなぁ~。まぁ当たり前やけど、相当悩んでるみたいやしな。ここは)なぁ、隆志」

 

 

「何?」

 

 

「あんた、マリナのこと、どう思っとるん?」

 

 

「?いい人だと思うよ」

 

 

「そうゆう意味とちゃうわ!!女として好きか嫌いかきいとんねん」

ビシッ

マリカの伝家の宝刀の手刀をくらう

 

 

「そんなこと考えたことないよ」

そう言いながらも顔を真っ赤にしている隆志

 

 

キラリ

マリカの目が一瞬光った

マリカが携帯を取り出し

「もしもし、マリナ、ウチやけど、隆志がアンタのことすk・・・・・」

 

 

隆志が素早く携帯をスティールした。しかし、電話はかかってなかった。

 

 

マリカが一人で腹をかかえて笑っている

「ウソやウソ。ジョークにきまっとるがな」

 

 

「こっちはすごく焦ったんだからな」

隆志が若干不機嫌になった

 

 

 

「すまん、すまん。あんたの慌ててるのが、おもしろくてな。せやけど、焦ったてことは満更でもないんとちゃうん?」

 

 

「なっ」

更に隆志の顔が真っ赤になる

 

 

「なぁ、ウチじゃダメなん?」

 

 

「その手にはのらないよ」

 

 

「アンタのバスケしてるとこみてたら惚れてもうたんや」

マリカが顔を近ずけてくる

 

 

「近い、近いって」

隆志はかなり取り乱している

 

 

 

「アンタ、ホンマにうぶやな」

マリカがまた爆笑している

 

 

「じゃあ今のも」

 

 

「冗談にきまってるやろ」

 

 

「いい加減にしろよ」

流石に隆志もキレる

 

 

 

「ちゃんと喜怒哀楽できるやないか。確かに今のアンタの状況は大変や。不安になったり、悩むのも分かる。でも、黙ってたって何にもならへん。だったらもっと笑ったり、怒ったりした方がすっきりするやろ」

 

 

 

「そこまで考えてくれてたんだ。ありがとう」

 

 

「ええって、ええって。ウチに出来るのは話し聞くくらいやし。そろそろ、美星先生が来るころや。先にいっとるで~」

 

 

「分かった。オレもすぐ行くよ」

 

 

「隆志」

 

 

「ん?」

 

 

「バスケしてる時のアナタは輝いてて本当にかっこよかったよ」

いつもの関西弁じゃないことに違和感があったが本心だということは分かった

 

 

隆志もすぐに行き、美星の車で長谷川家に行った

 

 

長谷川家に着き、昴の母に挨拶して、みんなのところに行った。すると、愛梨が泣いていた

 

 

 

「どうしたんですか?この状況?」

 

 

「あ、隆志君実は・・・・」

 

 

智花が説明する。

 

どうやら昴が偽SF作戦のことを話したらしく愛梨はCをやってたことにショックを受けていた

 

 

 

「私はやっぱりC何だ。ビックマンなんだ」

愛梨が呟いている

 

 

「愛梨」

昴が声をかける

 

 

「オレ、愛梨のことすごく大切に想ってるから。愛梨はオレにとって大切な存在だから」

昴なりに愛梨を励まそうとしたのだろうがこれでは愛の告白である

 

 

「おお!!すばるんがアイリーンに告白した」

 

 

「ここにきて愛梨が一歩リードね」

 

 

「ふぇぇぇ昴さん」

智花は悲しそうな顔をしている

 

 

 

「お兄ちゃん、ひなはひなのことも大切?」

 

 

案の定みんなに突っ込まれている

 

 

愛梨は愛梨でまるで告白されたと勘違いしてるような顔だ

 

 

「香椎さん」

隆志が助け舟を出そうとしたのか愛梨に話しかけた

 

 

「斎藤君」

 

 

「香椎さんはCが嫌いなの?」

 

 

「ううん。そういうわけではないけど、CはBIGMANって呼ばれてるんでしょ。私、大きいって言葉が嫌いなの」

 

 

「そっか。じゃあさ女バスのみんなのことは?」

 

 

「もちろん大好きだよ」

 

 

「確かにCはBIGMANって呼ばれるポジションだけどCはみんなを守ってあげられるポジションなんだよ」

 

 

「どういうこと?」

 

 

「Cは最後の要なんだよ。リバウンドをとったり、シュートをブロックしたり、時には後ろから大きな声でみんなを支えたりね。だから香椎さんがリバウンドをとったり、シュートをブロックしたりすればするほど大好きなみんなを守ってることになるんだ。Cっていいポジションだと思わない?これは香椎さんにしか出来ないことだよ」

 

 

 

「私しか出来ない・・・ありがとう斎藤君。私C頑張ってみる」

 

 

「うん。それにCやってる香椎さんかっこよかったよ」

 

 

「斎藤君」

愛梨は真っ赤になった

 

 

「おおっと、隆志っちもアイリーンに告白か?」

 

 

「智、智もCやった方がいいんじゃない?」

紗季がニヤニヤしながら智花を見ている

 

「わたしはいいよ(今度やってみようかな。攻めのパターンが広がりそうだし、隆志君に教えてもらえるし)」

 

「ひなもCやる」

 

 

「(隆志は気づいてへんけど、キャプテン向きやなやっぱり)」

 

 

「みんな、ご飯出来たわよ」

いいタイミングで昴の母が出てきてくれた

 

 

みんなお腹がすいていたのかすぐにご飯をたべた。そしていろいろな話をしていた。マリカも持ち前の明るさで、すぐにみんなと打ち解けた。

 

 

「ねぇ隆志っち。隆志っちは男バスに入るの?」

突然真帆が聞いてきた

 

 

「いや、今のところそのつもりはないよ」

 

 

「じゃあさ、じゃあさウチらと一緒にバスケしない」

 

 

「ごめんね。せっかくだけど少し考えさせてね」

隆志がそういうとしぶしぶ納得して、もとの雑談に戻った

 

 

しばらくして隆志は昴の庭のバスケットリングに行った

 

「バスケするかい?」

昴が声をかけた

 

 

「長谷川さん」

 

 

 

「何か悩んでるようだね」

 

 

「ええ。まぁ」

 

 

「この前までのオレにそっくりだ。そうだ、この本をあげよう」

昴が一冊の本を隆志に渡した

 

 

「オレもこの本には助けられたんだ。まぁ一番助けになったのは智花だけど」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「機会があったらバスケしよう。君と1ON1するのもおもしろそうだ」

 

 

「はい。では、また今度」

 

 

美星に送ってもらい隆志とマリカは帰っていった

 

 

隆志は昴からもらった本を読むことにした

 

 

それは隆志が好きな君は何かができるの詩がかいてあった

それは隆志を奮いたたせるには最高のものだった

 

 

そして最後には

『COME TO BECOME』

っと書いてあった

 

 

「(COME TO BECOME、「成るように成る」か。そうだな、オレがどんなに悩んだってキャプテンの世界に帰れるわけじゃないし、そもそも、悩むくらいなら体を動かすのがオレだ)」

隆志はフッ切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




真帆の隆志とマリカへのニックネームを募集しています。ご意見をいただけたら幸いです


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第十六話 学校初日

交換日記(SMS)

 

 

『みんな集まったかね。これより、すばるん&隆志っち奪還会議を開始する』まほまほ

 

 

『何で真帆が仕切ってるのよ』紗季

 

 

『いいじゃん。別に』まほまほ

 

 

『昴さんの方は何とかなると思う』湊 智花

 

 

『ホントに智?』紗季

 

 

『智花ちゃんすごい』愛梨

 

 

『おー智花すごい』ひなた

 

 

『すばるんにおっぱい揉ませたのかもっかん』まほまほ

 

 

『そ、そんなことしてないよ。詳しいことは明日話すね』湊 智花

 

 

『それで斎藤君の方はどうするの?』愛梨

 

 

『やっぱり男バスに入るのかしら』紗季

 

 

『おーひな、隆志とまた、バスケしたい』ひなた

 

 

『私もCのこととか教えてもらいたい』愛梨

 

 

『アイリーンのおっぱいを揉ましてやればいいじゃん』まほまほ

 

 

『そんな』愛梨

 

 

『おーひなのならいいよ』

 

 

『こら真帆!!愛梨も本気にしない。ひなもそんなこと人前で言っちゃだめ』紗季

 

 

『マリカちゃんに協力してもらうのはどうかな』湊 智花

 

 

『いい考えねトモ』紗季

 

 

『よーし、じゃあ明日、マリマリに話しに行こう。それじゃあ、解散』まほまほ

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

朝5時

隆志は墨谷二中のユニフォームを着てランニングをしていた

隆志は決めた

 

 

 

毎日墨谷二中のユニフォームを着て毎朝野球の練習をすると

一緒に戦うことはできないが気持ちは一つだと、みんなと繋がっていることを信じて

みんなに届くように素振りをするとボールを投げると

 

決して届くことはないが

隆志は毎日続けることにした

 

ランニングの途中にバスケットリングを発見した

見ると一人の少女が黙々とシュート練習をしている。それは女バスのエース湊智花だった

 

 

SIDE 智花

フリースロー連続50本ゲット

それが出来たら、昴さんがまた、コーチを引き受けてくれる

 

やっぱり難しいよ

でも、みんなのためにも、頑張らなきゃ

 

ここまで36本連続ゲット

37本目のシュートを外した

 

 

ボールがリングに当たり、大きく飛んでいく

それを男の子が拾ってくれた隆志君だ

 

SIDE OUT

 

 

「おはよう湊さん。はいボール」

 

 

「隆志君ありがとう」

 

 

「こんな朝早くから練習?えらいね」

 

 

「実は・・・」

智花は隆志にフリースロー50本のことを話した

 

 

 

「なるほど。それはきついね」

 

 

「うん。でも、私たちには昴さんが必要なの」

 

 

「やっぱり、コーチは必要だよね。分かった。オレでよければ練習に協力するよ。何時までするの?」

 

 

「6時まで、それから昴さんの所にいって挑戦するの」

 

 

「分かった。じゃあ球拾いはオレに任せて。湊さんはシュートをうつことだけに集中して」

 

 

「ありがとう隆志君。でもいいの?」

 

 

「いいって、いいってオレがそうしたいからするんだよ」

 

 

「隆志君、こんな時に図々しいんだけど、隆志君も私たちと一緒にバスケやってくれないかな?」

 

 

 

「気持ちはうれしいんだけど」

 

 

「野球をするの?」

 

 

「まだ、分からない。それより、練習しよう」

それから智花と練習して家に帰り、朝食を食べ、学校に登校する

 

 

「隆志、ウチらが転入するクラスはE組やで」

 

 

「そうなんだ」

 

 

「E組はちょっと特殊なクラスなんや」

 

 

「特殊?」

 

 

「E組は一年生の頃から英語に力を入れてるクラスなんや、別名国際学級や、せやから、クラス替えもないんや」

 

 

「何でそんなクラスに?」

 

 

「おもしろそうやからウチがそうした」

 

 

「まぁ、別に英語が嫌いなわけじゃないからいいけど」

 

 

「あ、隆志っち、マリマリおはよう」

 

 

校門に着くと女バスメンバーがいた

 

 

「おはよう三沢さん」

 

 

「おはようさん真帆」

 

 

「おはよう二人とも、マリカ、ちょっと放課後いいかしら?」

紗季が尋ねる

 

「特になんもないしええよ」

 

 

「二人ともクラスはどうなってるの?」

愛梨が尋ねる

 

「ウチらはE組やで」

 

 

 

「ぶー残念、ひなたちはC組」

 

 

「二人ともそっちに入ったんだね。また、放課後にね」

智花は元気がなさそうだ

 

おそらく失敗したのだろう

 

 

軽く挨拶をすませ、E組へ

ちょうど朝の会が始まるとこだった

 

 

 

「今日は転校生を紹介する。二人とも自己紹介して」

 

 

「斎藤 隆志ですよろしく」

 

「峠坂 マリカやよろしゅうな~。ちなみに隆志とは従兄や」

 

 

「斎藤は廊下側、峠坂はベランダ側の空いている席に座ってくれ」

 

 

「(まずは友達を作らないとな)」

隆志の席の隣はメガネをかけた男の子

 

 

何というか、見た目完全にオタク、某野球ゲームの主人公の親友のような顔である

 

 

「オイラ、瀬川 安芸(せがわ あんけい)だべ、よろしく」

 

 

「うん。よろしく(だべって、それに引き出しの中女の子のフィギュアばっかりだし、この年でオタク?)」

 

 

そして、授業に入った

隆志達には余裕だった

当たり前だが、

 

そして休み時間に隆志の所に二人の女の子が来た

一人はショートカットの女の子

もう一人は、ツインテールの女の子

 

 

「やっほ~」

ショートカットの女の子が話しかけてきた

「私は安田 緑(やすだ みどり)よろしく。緑って呼んでね。テンションあげていこう」

 

 

「うん(元気な子だな)」

 

今度はツインテールの女の子が話す

「ウチは田辺 恵(たなべ めぐみ)よろしく」

 

 

 

「あ、うん。よろしく」

 

 

「わたし達昨日の試合見てたんだ。」

 

 

「ウチもバスケやってるけど昨日の斎藤君の指示とか気迫あふれるプレーとかすごかったよ。ウチと今度勝負してね」

 

 

 

「田辺さん女バスなの?」

 

 

「ううん。ウチはクラブチームだよ」

 

 

「そうなんだ。」

 

 

「じゃあ、またね」

 

 

「私はバレー部だけど、バスケも得意だから、今度、私とも勝負ね。ばいばい」

二人とも戻っていった

 

 

「うらやましいべ。隆志もてもてだべ」

 

 

「(いきなり呼び捨て)そんなことないよ。それよりそのキーホルダー阪神好きなの?」

 

 

 

「阪神ファンだべ。隆志も野球すきだべか?」

 

 

 

「うん。オレも阪神ファンだよ」

 

 

「そうと決まれば昼休みにキャッチボールするべ

 

 

「いいけど、オレ、グローブ持ってきてないよ」

 

 

「大丈夫だべ、オイラが二つ持ってるべ」

 

 

 

「分かった」

 

 

 

そして

昼休み

隆志と瀬川はさっさと弁当を食べてグラウンドにいった

 

「隆志いくべ」

シュッ

 

 

パシッ

「(お、けっこういい球)」

シュッ

 

 

パシッ

シュッ

 

シュッ

「瀬川君って野球部なの?(見た目からは想像つかないけどフォームとかとり方とかすごくきれいだし。何より、野球部のやつとキャッチボールをしたらわかるけどボールが浮く)」

 

 

パシッ

「オイラはバド部だべ」

シュッ

 

 

パシッ

「え?ボールがこんなに浮いてるのに?」

 

 

「ああ。そのことだべか。野球部とキャッチボールしたときにそれを感じてオイラなりに研究したんだべ

バックスピンのかかりぐわいが肝だべ」

 

 

「(自分でここまでたどり着くなんてすごい)」

 

 

「隆志、座ってくれだべ、ピッチングしたいべ」

 

 

「分かった」

 

 

瀬川が構える

それは阪神の剛腕ストッパーを彷彿させるフォームだ

 

しかし、球速自体はそんなに速くない

 

 

「(低めのいいコースだ。コントロールがいいな)え?」

急に伸びてきた

 

 

パシッ

隆志はなんとか捕った

 

 

「隆志すごいべ。初見でオイラの球を捕るなんて」

 

 

「今の、どうやったの?」

 

 

「オイラ、球はそんなに速くないべ。だから伸びだけにこだわったストレートを作ったべ」

 

 

「すごいよ瀬川君」

 

 

「オイラこのストレートで中学野球に入ってエースをめざすべ。隆志、これからも一緒に練習してほしいべ」

 

 

「うん。いいよ」

キーンコーンカーンコーン

 

 

「やばいべ、五時間目始まるべ」

 

 

「次の授業何だっけ?」

 

 

「体育だべ、急ぐべ」

 

 

 

「今日の体育はバスケットを行う」

 

 

隆志はとりあえず、試合を見ることにした

 

 

隆志を入れてこのクラスの男子は8人

隆志が見学なので、代わりにマリカ、緑、恵が入っている

 

 

チーム分けは

赤が

マリカ、瀬川、古田、山下、浜崎

白が

川原、桐原、光山、緑、恵

である

 

 

試合が始まること5分

白が圧倒している

 

 

20対4で白のリード

 

「おらおら、どうした、どうした。全然相手にならねぞ」

川原があきらかに調子にのっている

ここまでの得点は川原と緑でとっている

 

緑は言うだけあっていい動きだ

 

 

しかし、川原の方はからっきしダメ

ド下手くそである

 

 

「(何であんなに調子に乗れるのかな?あの下手くそなプレイで。どう考えても白の方が強い。川原はボールをもらったら自分で切り込んでシュート。見る限り、一応経験者だろう。パスを出してもそれは、自分がが困った時だけ、シュートを決められるのは田辺さんのパスがいいからなのに。それに赤を見下している態度。許せない)」

 

隆志は腹を立てていた

「マリカ、オレと交代!!」

 

「ええで~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第十七話 仲間を生かす

隆志が交代で入る

 

 

「隆志、頑張るべ」

 

 

「うん。瀬川君、山下君ちょっといい」

隆志が二人に指示を出す

 

 

 

赤組ボールでスタート

隆志がボールを受け、ドリブルで前に進む

 

 

「来いよ転校生」

川原が挑発してくる

 

 

「(隙だらけ、竹中の方が100倍上手い)」

なんのひねりもないただのクロスオーバーで抜き去る

 

 

 

そのまま、進む

桐原が来る。

 

 

桐原は身長は160を超えている

165CMだ

 

 

隆志が一瞬止まる。

 

 

桐原が前につめてくる

隆志はそれに合わせて桐原をかわす

 

 

「いかせない」

恵が立ちふさがる

 

 

「瀬川君」

隆志が瀬川にパスをだした

 

 

隆志がみんなを引き付けたおかげでフリーだ

隆志はさっきの5分で確信した

 

瀬川は無意識だが、いいポジショニングをしてることを

隆志の指示はこうだ

 

 

『板をつかえ』

瀬川がシュートするが外れる

 

 

ボールは隆志と桐原のところに

桐原はしっかりと隆志に体を当てている

 

 

「(なかなかいいボックスだな、パワーもなかなかあるし)でも、あまいな」

隆志は一度目のジャンプでボールを自分の方にはじき

 

 

二度目のジャンプでキャッチした

「瀬川君、おしいよ。山下君も見てて、板を上手く使うんだ」

 

 

隆志はそのままシュートを放った。シュートは板に当たりそのまま、ゴールに入った

 

 

「ゴールの小さい四角を使うと入りやすいんだ」

 

 

「分かったべ」

「分かった」

 

 

「古田君、古田は一瞬の動きはすごく速い。もっと自信を持っていいよ」

 

 

 

 

「浜崎君もどんどんシュートを撃っていいよ。外れてもオレがとるから」

 

 

 

隆志が全員に声をかける

 

 

 

「(ちっ転校生が調子に乗りやがって)」

川原がドリブルする

一人で切り込んできた

 

 

 

 

 

「古田君、ディフェンスいって」

 

 

「(古田ごときにおれが止められるかよ)」

川原が右に進む

古田もそれに反応する

 

 

古田の方が先に進路を塞ぎ川原の動きが止まる。

 

 

その一瞬で隆志が簡単にボールを奪い取った

 

 

「浜崎君」

隆志はコートの端っこにいた浜崎にパスを出した

 

 

浜崎は相手ゴールの誰もいないところにボールを投げた

 

 

しかし、そこに隆志が走りこんでいた

 

 

これにはみんな驚く

いまパスを出した隆志がゴール前にいるのだから

 

 

 

「ナイスパス浜崎君(思った通り。浜崎君はかなり視野が広い)」

隆志はそのままボールをキャッチしてレイアップのステップでレイアップを決めた

まるで教科書のようなレイアップ

 

 

「これがレイアップっていうシュートだよ。簡単だからみんなもやってみてね」

 

 

「古田君ナイスディフェンスだよ。古田君が川原の動きを止めてくれたからできたんだよ」

 

 

「オレ、もっとディフェンス頑張るよ」

 

 

「うん。期待してるよ。浜崎君もナイスパス」

 

 

「ナイスシュート」

浜崎もにっこり笑って隆志のシュートをほめる

 

 

 

「(隆志のやつええ感じでみんなをまとめてるやないか、赤の雰囲気がようなってきたで)」

 

 

 

「一本いくよ」

恵がドリブルで進む

 

 

「緑」

 

 

「オッケイ」

恵が緑にパスを出して緑がシュートを撃った

 

 

これが見事に決まる

 

 

「ドンマイ、ドンマイ。一本決めていこう」

隆志がドリブルする

 

 

「いかせないよ」

恵が隆志をマークする

 

 

隆志はボールをキープして、右に視線をやる

 

 

「(右)」

恵がパスカットをしようと右にパスを出す

 

 

しかし、隆志は右を見ただけで、ゴール前に走りこんでいた瀬川へのノールックパスだった

 

 

瀬川はそのままシュートを決めた

 

 

「ボールをよこせ」

川原がまたも一人で突っ込んでくる

 

 

隆志が対峙する

 

 

「オレの必殺技」

川原がロールターンで隆志を抜きシュートを放つ

 

 

バシッ

隆志がブロックした

「(そんな大きすぎるターンじゃ抜いてもすぐに追いつけるし、何よりシュートの打点が低すぎる)」

 

 

 

ブロックしたボールを隆志が拾い、山下にパスを出す

 

 

「「撃たせない」」

桐原と緑がマークにつく

 

 

 

「山下君構わないそのまま撃て」

 

隆志の指示通り山下がシュートを撃った

 

 

桐原と緑が跳ぶがブロック出来ず、そのままリングに入る

 

 

「(山下君は背はそんなに高くはないけど、シュート打点が高いんだ。それにシュートにいくまでのモーションがとにかく早い。だからブロックされずらいんだ)」

 

 

完全に試合の流れが変わった

白が圧倒的だったのに

今は、赤が圧倒的だ

とにかく、赤はみんなが楽しそうにしている

 

 

結局42対22と圧倒的差で赤が勝った

 

 

「戦力的には白が圧倒的有利。隆志が入ったとしても総合力じゃ白が上。勝負を分けたのは隆志と川原の差。自分が決めることしか考えていない川原とは違い、全員の個性を把握し全員で勝ちにいった隆志。バスケはチームスポーツ。そない簡単に一人で出来るスポーツとちゃう」

 

 

「隆志、バスケも楽しいべな」

 

 

「うん」

 

 

「隆志、君のおかげでやりやすかったよ、上手く言えないけど、君がいると安心する」

 

 

「古田君もいい動きしてたよ。お疲れ」

 

 

「もう疲れたよ。隆志君相当走らせるんだもん」

 

 

「浜崎君、お疲れ。」

 

 

「ねえねえ、隆志、どうなってるの?オレ、こんなにシュート決めたの初めてだよ」

 

 

「山下君の実力だよ」

 

赤組はいい雰囲気だ

 

 

川原が来た

 

「おい、隆志、放課後ちょっと残れ」

 

 

 

 

 

 

 



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第一八話 球技大会

放課後・・・・屋上

 

 

 

「用って何なの?」

 

 

 

「来たか、斎藤」

 

 

「うん」

 

 

「お前は転校生だから知らないだろうが、3ヶ月後に球技大会があるんだ」

 

 

「球技大会?」

 

「ああ。サッカーやバレーにバスケがある」

 

 

「そうなんだ(話が見えないな球技大会のことだったら別に放課後じゃなくてもいいはずなのに)」

 

 

 

「オレたちのクラスは毎年バスケに出ているんだ」

 

 

「そうなんだ、それで今年も?」

 

 

 

「ああ。だが、毎年オレたちのクラスは一回戦で負けてしまってな。いくらオレが強くてもあいつらが足を引っ張ってるからな。クラス替えがないから戦力UPは期待できないないしな。だが、斎藤はそこそこやるようだしな」

 

 

 

「ありがとう(この自信はどこからくるのかな?こいつはもう呼び捨てでいいな)」

 

 

 

「でも、お前のシュートフォーム汚いな」

 

 

「ははは(君のカエルが跳ぶみたいなシュートも人のこといえないけどね)」

 

 

 

「それよりも、オレが驚いたのはあいつ等がお前の指示で別人のようになったことだ」

 

 

「あれはオレの力じゃないよ。もともとみんなに力があったんだよ。オレはちょっと手をかしただけだよ」

 

 

 

「じゃああいつ等はお前に任せた、本番までにはマシにしとけよ」

 

 

 

「川原を追い抜くくらいになるかもよ」

 

 

 

「ありえないこといってんじゃねえよ。じゃあ後は任せた。当日のキャプテンもな。エースはオレに任せとけ」

 

 

 

「(実際、最高で1週間、最低でも2週間で抜けるな)」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一方マリカは

 

 

「お願いマリマリ。隆志っちがウチらのバスケ部に入るように協力して」

 

 

「ウチに言われてもな~決めるのは隆志なんやし」

 

 

「何かいい方法はないかしらね」

 

 

「ひなも隆志とまたバスケやりたい」

 

 

「私もCについていろいろ教えてほしい」

 

 

「でも、無理に誘うのは隆志君に悪いんじゃ」

 

 

「そんな弱気じゃダメだぞもっかん。強気でいかなきゃ」

 

 

「それや」

 

 

「「「「???」」」」

 

 

「隆志は押しには滅法弱いんや」

 

 

「よっしゃー。みんな、今日は私の家で作戦会議だ」

 

 

「「「「おー」」」」

 

 

 

「何であんたが仕切るのよ・・・・分かったわよ」

 

 

 

「ほな、ウチはこれで」

 

 

 

マリカは教室に戻って行った

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

隆志が教室に戻ると川原以外の男子が待っていた

「待ってたべ、隆志」

 

 

「どうしたの?みんなで集まって?」

 

 

「みんなで話してたんだべが隆志ならオイラたちを強くしてくれるんじゃないだべか?」

 

 

 

「強く?球技大会のこと?」

 

 

「知ってるなら話が早い。オレたちは毎年一回戦で負けて、一勝もしたことがないんだ。オレたちはオレたちなりに練習しているんだけどな。やっぱり経験者には勝てなくてな。でも、今年が最後なんだ。今年こそ勝ちたいんだ」

桐原が拳を握りしめている

 

 

「悔しかったんだね。分かるよ桐原君」

 

 

「桐原君なんて呼ぶなよ力也でいいぜオレも隆志って呼ぶからよ」

 

 

「分かった力也」

 

 

「それならオレは光(みつ)ってよんでくれ」

 

 

「分かったよ光」

 

 

「オレと光は今日、隆志達と試合して他のみんなの動きが変わっていくことが分かった。隆志がみんなの力を引き出したんだ」

 

 

「だからお願いだオレたちを強くしてくれ」

 

 

「「オレも」」

 

 

みんな次々と隆志に頭を下げてくる

 

 

「みんな頭をあげてよ。分かった。オレの出来る限りのことをさせてもらう」

 

 

「ありがとう。オレはどうすればいいんだ」

 

 

「オレは」

 

「オレは

「僕は」

「オイラは」

 

 

「ちょっとみんな落ち着いてね。それじゃあ今日見てて気づいたことを言うね。まず、瀬川君」

 

 

「だべ」

 

 

「瀬川君はポジショニングがいいんだ。だからパスが出しやすいんだ」

 

 

「分かったべ」

 

 

「次に浜崎君。浜崎君は視野がすごく広いんだ。それにパスセンスがある」

 

 

「そうなんだ。自分じゃ分からなかったな」

 

 

 

「次に古田君。古田君は一瞬の動きがすごく速い」

 

「オレが?」

 

 

「次に山下君」

 

「ほいほい~」

 

 

「山下君はシュート打点が高いんだ」

 

 

「シュート打点?」

 

 

「つまり、ブロックされずらいんだ」

 

 

「それで今日シュートがいっぱい入ったのか」

 

 

「次に力也」

 

 

 

「おう」

 

 

「力也にはパワーがある。バスケにおいてパワーは大切だからね」

 

 

「おう。パワーなら自信があるぜ」

 

 

「次に光」

 

 

「待ってました」

 

「光は足が早い」

 

 

「まぁ50mは7秒で走るからな」

 

 

「みんな自分の武器を持っているんだ。それを磨いていけば強くなる。後はみんなで練習できればいいんだけど」

 

 

「それならウチに任せとき」

 

 

「マリカ」

 

 

「ウチがいい場所しっとんねん」

 

 

「今からいくで~」

 

「「「おー」」」

 

 

「今日は遅いかr・・・・ってみんな早いって」

 

 

 

「隆志~はよ来いや」

 

 

「おいおい。まぁいいか。すぐ行く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第十九話 Let's make a ground

「着いたで、ここや」

 

 

 

そこはとても広い空き地だった。バスケットリングもちゃんとあるし、学校からそんなに遠くない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、

草がぼうぼうに生えてとてもじゃないが使えない

 

 

 

「これじゃ練習出来ないべ」

 

 

「そうだな」

 

 

「マリカどうするんだ?」

 

 

「決まってるやろ。みんなで練習グラウンドを作るんや」

 

 

 

 

「ちょっと待てマリカこれを整備するのには相当時間がかかるぞ。それにこのリング大人用じゃないか」

 

 

 

 

「隆志、心配あらへんよ。このリモコンで高さを調整出来るから。それにそろそろ」

 

 

 

 

「おーいマリカ手伝いに来たよ」

緑と恵を筆頭にE組の川原を除く全員が来ていた

 

 

 

「志保、手伝いにきてくれたのか?」

力也が顔を赤くしている

 

 

 

「うん。力也に私も協力したいと思って」

 

 

「志保」

 

 

「おーい、そこのバカップル。緑たちのこと忘れてないか」

 

 

「瀬川君、力也って彼女いたんだね」

 

 

「あの二人小4の頃からずっとつきあってるべ。リア充は爆発しろだべ」

 

 

「(最近の小学生は進んでるな)」

 

 

 

「話をもどすよ。緑達はマリカから男子達がグラウンドを作るって聞いたから協力しにきたの」

 

 

 

「いいの?」

 

 

 

 

「ウチらだって男子には頑張ってもらいたいと思ってるんだから。それにここならウチらのドッジボールの練習も出来るしね」

 

 

 

「私達みんなE組でしょ」

 

 

「みずくさいよ男子達」

 

 

「6年間同じ時間を過ごしてきた仲間でしょ」

 

 

「私らはドッジボールでV3達成。男子は初優勝でしょ」

 

 

「そうよそうよ」

 

 

「あたりまえじゃない」

 

 

「みんなで頑張ろう」

 

 

「困ったときはお互い様」

 

 

「それがクラスメートでしょ」

 

 

「ウチらのチームワークはナンバーワンでしょ」

 

 

「それじゃみんなで作るぞ~~~~~~~~~~~」

緑が指揮をとる

「「「「「おーーーーーーーー」」」」」

 

 

 

「カマはここにあるで~。使う時気をつけてな」

どこから準備したのかマリカが人数分のカマを用意してた

 

 

「それから男子達はこれつけてやるんやで」

マリカが大きなタイヤを7人分持ってきていた

 

 

「何でそんなもんをつけるだべか?」

 

 

「草むしりかて立派なトレーニングや」

 

 

「そうはいわれてもな~」

 

 

「それでバスケが上手くなんの?」

 

 

「筋トレになりそうだしパワーがつきそうだからオレはやる」

 

 

 

「相変わらず力也はパワーバカだな~」

 

 

「みんな、騙されたと思ってやってみて絶対に効果があるから」

 

 

「隆志がいうんなら間違いないべ」

 

「だな」

 

「よーしやるか」

 

 

そして2時間草むしりをして今日は終わった。

 

 

「みんなお疲れ。明日も頑張ろうね。来れない人は無理しなくていいで~」

 

 

みんなが帰った後

 

 

「隆志。ウチらはもう少し残ってやるで~」

 

 

「そうだな」

 

 

「ありがとなマリカ」

 

 

「何が?」

 

 

「オレ、このクラスに入ってよかったよ。みんな最高だな」

 

 

「そうやね。ウチもそう思う。バスケで優勝させたいな」

 

 

「頑張らなきゃな」

 

 

「アンタが勝利のカギをにぎってるってことを忘れたらあかんで」

 

 

「ああ」

隆志も分かっているのだ。このチームを生かすも殺すも隆志にかかっていると

隆志は彼らを勝たせてあげたいと強くおもった

 

 

 

 

 

 



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第二十話 隆志VS竹中

「さあ来い隆志」

 

 

やる気満々。気合い充分。今にも噛みついてきそうな勢いで隆志と対面する竹中

 

 

 

「(どうしてこうなった)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、いつも通りに起きて野球のトレーニングして、智花の練習に付き合い、マリカとグラウンドの草むしりをして、朝食を食べ、学校に行き授業を受け、給食を食べ、昼休みに瀬川君とキャッチボールをする予定だったのに。

 

 

 

 

「隆志いるか?体育館シューズ持て」

いきなり教室に入ってきた竹中に強引に体育館シューズを持たされ、つれていかれた

 

 

「どこに行くんだ竹中?」

 

 

「1ON1やろうぜ」

 

 

 

「は?」

 

 

 

そして現在に至る

 

 

 

断ろうと思ったが目の前の男が真剣な眼差しでこちらを見てくる

 

「(仕方ない。やるか)」

スゥ~

 

一呼吸ついた隆志はもう一度竹中を見る

 

 

 

そしてドリブルを開始する。

じっくり、ゆっくり。そして急にテンポを早め、低いドリブル

 

 

チェンジ・オブ・ペース

 

 

智花ほどの緩急ではないにしろ

 

 

隆志だってそれなりには・・・・・・・・・・出来なかった

 

 

竹中もまた隆志のスピードに上手く右手を合わせボールをスティールした。

 

 

 

「甘いぜ、隆志。この前の試合から思ってたけど、お前ドリブル苦手だろ」

 

 

「(やっぱり見破られてる)」

 

 

「そんな苦手分野でオレに挑んでくるんじゃねぇ!!なめるな。お前の得意分野でかかってこい」

 

 

「おう(その気迫みせられたらな)」

 

 

「行くぜオレはお前のそのディフェンスと勝負したいんだ」

 

竹中が右手で右にしかけてくる

 

 

 

隆志もそれにピタリとついていく

 

 

 

右手から左手へクロスオーバー

 

 

「(前より早い。キレが違う。でも、追いつける)」

隆志も負けじとついていく

 

 

少しのズレが出来たが、まだついていける距離だ

 

 

「(想定内だよ)」

竹中が左手でボールを背中から右手へ。そして右に切り返す

 

 

 

「(ビハインド・ザ・バック。お前ホントに小学生かよ)」

隆志は左を意識していたため右に切り返せない

 

 

 

完全に隆志を抜き去り、シュートを放つ

 

 

 

「まだだ」

隆志が跳ぶ

「(間に合え)」

 

チィ

 

 

隆志の指先が少しだけふれた

 

 

ガッ

 

 

そしてシュートが外れる

 

 

「くそう」

竹中が悔しがる

 

 

「竹中。オレの得意分野はディフェンスじゃない」

 

 

「何だと?(前の試合でこいつが目立ってたのはディフェンスだった)」

 

隆志はことごとく男バスの攻撃を止めた。それ以外では普通だったはず

隆志の得意分野とは??

 

 

 

 

 



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第二一話 センタープレイ

SIDE 竹中

 

「オレの得意分野はディフェンスじゃない」

だと

 

 

前の試合アイツは54点中16点とってる

確かに16点はいい方だがとてもオフェンスが得意という結果じゃない。

 

コイツが試合に出てからウチのチームは13点しかとれていない

結果だけ見ればコイツはディフェンス専門の選手といっても過言ではない

 

 

コイツのオフェンスの技術は低い

いいとこ中の下だ

 

 

いったいコイツの得意分野は何なんだ?

 

SIDEOUT

 

 

「いくぞ竹中」

 

 

「おう。来い隆志」

 

 

さっきよりも慎重なドリブル

竹中との間に左肩を入れ、右手でドリブルでつく

 

これは抜きにくるドリブルではない。キープするためのドリブル

 

 

「(とりにいくのは簡単だが、お前の誘いにのってやる)」

 

 

一歩ずつ一歩ずつゴールへ近ずく

 

 

そして背中を向ける

 

 

「(リングに背を向けた?これはもしかしてセンタープレイ)」

 

 

ドンッ

 

 

さきほどまでのドリブルとは違い、力強いパワードリブル。

 

 

「うっ」

 

思わず声を出してしまう竹中

 

 

竹中をはじきとばしシュート決める隆志

 

 

「これがオレの得意分野だ。この前の試合では機会があまりなかったからな」

 

 

 

「なるほど。お前が和久井についてたのは和久井がでかいからだけじゃなく和久井がセンターだからか」

 

 

 

「それもある」

 

 

「次はオレの番だ」

 

 

 

 

 



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第二十二話 理由

「いくぜ」

 

 

 

さっきよりもキレのあるクロスオーバーからのロール

 

 

 

川原が見せたものとは全然違う、教科書のようなロール

 

 

隆志も反応出来ずそのままレイアップを決められてしまった。

 

 

 

「どうだ」

竹中が吠える

 

 

「まだまだ。次、いくぞ」

 

 

そこから隆志が決めれば竹中も決めかえす一進一退の攻防がくりひろげられた

体が温まってきたのか

竹中はスピードとキレが増し

隆志はパワーが増していった

 

 

竹中を柔とするなら隆志は豪

柔と豪の対決だ

 

 

 

 

隆志のオフェンス

 

 

Side竹中

 

隆志のパワーにも慣れてきた。次はとめる。

今までのプレーから隆志は生粋のパワーセンターだ

次も真っ向から来るはず

絶対とめる

 

 

Sideout

 

 

竹中の予想通り隆志は真っ向からきた

そして、隆志がパワードリブルをしかける

 

 

「(今だ)」

腰を落として隆志のパワーを受ける

 

 

多少とばされたが受けきった

 

 

隆志のシュートに合わせ竹中がブロックに跳ぶ

 

 

「(しまった。フェイクか)」

隆志のシュートフェイクに見事に引っかかった竹中。

 

 

隆志はそのままシュートを決めた

 

「(そんな簡単に止められては困る。曲がりなりにも三年間やって来て必死に身につけたセンタープレーだ。智花にだってとめさせない)」

 

 

竹中もまた決め返した

 

 

「竹中、そろそろ終わらないか?」

 

 

「そうだな」

 

二人ともその場に倒れこんだ

 

 

「疲れた」

竹中はスッキリした顔をしている

 

 

 

「そうだな」

 

 

 

「なぁ隆志」

 

「ん?」

 

 

「何でお前女バスに力を貸したんだ?」

 

 

「香椎さんのプレーに心を打たれたのもあるけど、体が勝手に動いたんだ。女バスが負けたら解散だったんだろ?」

 

 

「ああ。負けたからもう何も言う気はないが、オレら男バスはな去年地区優勝して県大会に出場したんだが一回戦負けで。今年こそはって思ったんだ。だから練習時間を増えしてほしいと頼んだんだけど、女バスが練習するからダメって言われてな。アイツらが真面目にやるんだったらオレだって仕方ないと思ったんだ。でも、アイツらは遊んでるだけ。だから試合で決着をつけることになったんだ」

 

「竹中達には遊んでるだけに見えたかも知れないけど、彼女達は真面目やってたのかもよ」

 

 

「ああ。オレも今はそう思う。お前のお陰で考えを改められた。でも、何であそこまで頑張れるんだよ。女バスが解散してもお前には関係ないだろ」

 

 

「好きなものを失う気持ちを味会うのはオレだけでいい」

低く、暗い声

 

 

 

竹中はそれ以上は聞けなかった。聞くことが出来なかった

それほど隆志の表情にはオーラが出ていた

 

それから沈黙が続いた

 

 

沈黙を破ったのは竹中の言葉だった

 

 

 

「隆志。バスケ部に入ってオレ達と全国を目指さないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第二十三話 迷い

「オレたちと一緒に全国をめざさないか?」

 

 

隆志は迷った

バスケは嫌いではない。むしろ好きだ

頭は高校生でも、今の身体は小学生

身体能力も小学生のもの

経験も3年弱

そこらへんの小学生と変わらない

条件は同じ

バスケ部に入っても問題はない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、

ここでバスケをしてしまったら

キャプテンの世界のみんなを裏切ってしまうのではないか

それにまだ野球への未練が無くなったわけではない

 

 

いくらフッ切れたといっても

そうそう決められることではない

 

 

 

 

竹中もまだかまだかと返事を待っている

 

 

 

そこへ

 

「ちょっと待ったぁ~~~~~」

 

 

 

そこに来たのは真帆たち女バスメンバーとマリカ

 

 

 

「何だよバカ真帆。お前には関係ないだろ。なんでここにいるんだよ?」

 

 

 

「掃除時間になっても来ないから探しに来たんだよ。後、隆志っちはウチらと一緒にバスケするんだ」

 

 

「何言ってんだよバカ真帆。女子の試合に男子は出られないんだよ」

 

 

「そんなのは関係ない。隆志っちはウチらとやるんだ」

 

 

 

「「隆志(っち)はどっちとバスケするんだ(の)」」

 

 

「斎藤君。私は斎藤君にセンターのすごさを教えてくれた。これからも教えてほしい」

 

 

「無理を言うつもりは無いわ。一週間に一度でも、暇な時でもいいから私達と一緒に練習してほしい」

 

 

 

「隆志はヒナ達と一緒にバスケしたくないの?」

ヒナタが甘えるように言う

 

 

竹中が羨ましそうにこちらを覗いている

 

 

「隆志君。無理を言ってるのは分かってる。でも、私達は隆志君とバスケをしたい」

 

 

 

「隆志。今日、お前ととことんやりあって改めて思った。オレはお前と一緒にバスケがしたい。お前とならきっと上を目指せる。楽しいバスケが出来るはずだ」

 

 

 

「竹中、湊さん、三沢さん、袴田さん、香椎さん、永塚さん。みんなありがとう。そう言ってもらえてすごく嬉しい。でも、オレは今はバスケ部には入る気にはなれないんだ。ごめん」

 

 

 

「隆志っち。流石に一筋縄ではいかないか。じゃあさじゃあさ。今度の球技大会でウチらが優勝したらウチらと男バス率いるD組が優勝したら男バスにっていうのはどう?」

 

 

「いや、それはちょt・・・・・」

 

 

 

「決まり決まり。絶対決まり。よっしゃ!そうと決まればみんな帰るよ」

有無を言わさずみんなを連れて帰っていった。

 

 

 

「大変やなぁ~。どないすんの?」

 

 

「オレは」

 

 

「アンタがバスケしても裏切りにはならへんよ」

 

 

「え?」

悩んでたことを言われ固まる

 

 

 

「あの子らは本気や。だからあないに強引にでもバスケをさせようとしとんねん。それだけはわかったってや」

 

 

 

「分かってるよ。でも、」

 

 

 

「それならまずは全力でぶつかってみぃや。アンタはE組を勝たせるんやなかったんか?今のままでは優勝なんて夢のまた夢やで。アンタが本気でバスケと向き合わなかったらかてへんで。辛いのは分かるけど全力でぶつからなあかんよ」

 

 

「もう少し考えさせてくれ」

 

 

「ええ答えを期待しとるで。ほな、後でな」

 

 

 

 

いったいオレはどうすればいいのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第二十四話 ダメなの?

オレはどうすればいいのだろうか?

 

 

何回このことに悩むのだろう

 

 

フッ切れたはずなのに

 

 

オレはリングを見た

リングの下にはボールが転がっていた

竹中が強引に引っ張られていったので忘れてたようだ

 

 

 

気がつくと隆志はボールを拾っていた

 

 

ダムダム

軽く三回ほどドリブルをつき

 

 

シュッ

 

 

カッ

スポッ

 

 

リングの壁を利用したバンクシュートが決まった

 

 

ボールが転がっていく

 

 

 

ツインテールの女の子がボールを拾ってくれた

 

 

「すごいね!!よーし、私もえいっ」

ドタッ

 

 

盛大に転んだ

 

ボールはリングにかすることなく落ちた

 

 

 

「(エアーボール。っていうか石もない平面の体育館でシュート打つときに転ぶか普通?しかもこの距離をエアーボールって。誰だっけ?見たことある気がするけど)ええっと?」

 

 

 

 

「私?私は同じクラスの松川 明里(まつかわ あかり)だよ」

 

 

「そうだったんだ(そういえばグラウンド作りの時にいたようないなかったような)」

 

 

「ひどい隆志君。グラウンド作りも一緒にしてるし、席だって右斜めにいるのに」

グスッ

 

 

いかにもわざとらしい泣きまねをする明里

 

 

「ちょ、ちょっと待ってよ転校してきたばかりだしそんなに周りを見る余裕なんてなかったから」

 

 

クスクス

明里が笑う

「冗談だよ。転校してきたばっかりじゃ無理ないもんね。やっと隆志君らしい顔になったね」

 

 

「え?」

 

 

「ここに入って来るときすごく険しい顔してたよ」

 

 

「ごめん。ちょっと悩んでて」

 

 

「オレは野球とバスケどっちをすればいいんだろう?でしょ」

 

 

「え?どうして?」

隆志は驚いた。今、自分が考えていることを当てられてしまったからだ

 

 

 

「だって隆志君、昼休みに瀬川君と野球やってる時、笑っててとてもたのしそうだった。何ていうか純粋な笑顔って感じ。体育で見せたバスケしてる姿は野球と比べて真剣そのものだった。ゆとりがない感じ。でも楽しんでるようだった。どっちも好きなんだなぁって思ったの」

 

 

 

「すごいね松川さん」

 

 

「悩んでることがあったら私で良ければ話聞くよ。力になれるか分からないけど」

 

 

「実はこの学校は三校目なんだ。オレは前の学校では野球をしてたんだ。でも、前の前の学校ではバスケをしていたんだ。でも、オレは本当は野球がしたかった。野球が大好きで小さいころから憧れていたんだ。転校して野球をすることになった時は本当に嬉しかった。ずっとやりたかったことだから。最高のチームメートと一緒に優勝を目指して頑張っていた。でも、決勝を前に転校することになったんだ。それがこの学校。ふとしたきっかけでここのバスケの試合に出たんだ。そのときオレはバスケも好きだって改めて思った。最初は気乗りしないで始めたバスケだったけど。ここのバスケ部をはじめ、クラスのみんなが期待してくれている。でも、今ここでバスケを始めたら、前の学校のみんなを裏切っちゃうんじゃないかって思えてくるんだ。確かにバスケは好きだけど、野球はもっと好きなんだ(転生のことは話せないからな)」

 

 

隆志は転生のことを除いてなるべく真実に近く話した。

 

 

 

「大変だったんだね。でも、それならどっちもじゃダメなの?」

 

 

 

「え?」

 

 

「無理に一つにしないで両方やればいいじゃん。二つとも好きなんでしょ?」

 

 

 

「はははははははははははっははっは」

隆志は笑った

 

 

 

「私なんかおかしいこと言った?」

 

 

「そんなことないよ。(こんなに心から笑ったのはいつ以来だろう?こんなに簡単なことだったんだ。両方すればいいんだよ。両方やってはいけないなんて決まってない)ありがとう松川さん」

 

 

 

「はーい。私のことは明里って呼んでね」

 

 

「分かったよ明里。じゃあまた後で」

 

 

「またね」

 

 

隆志が体育館を出るとマリカがいた

 

 

「顔がすっきりしとる。決心がついたようやね」

 

 

 

「うん。まずはこの球技大会で優勝する」

 

 

「よっしゃ!!こうなったら授業サボっていくで~」

 

 

「おう」

 

 

 

良い子は真似しないでね!!

 

 



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第二十五話 完成&達成

今日は金曜日。いつも通り隆志と智花が朝練している

 

 

 

シュッ

 

 

ポスッ

 

 

シュッ

 

ポスッ

 

 

シュッ

 

 

ガン

 

 

 

 

「ドンマイ湊さん」

 

 

「あと少しなのに」

 

 

シュッ

 

ポスッ

 

 

!!!!!

 

「湊さんもう一回打って」

 

 

隆志がボールを渡す

「うん」

 

シュッ

 

ポスっ

 

 

「やっぱり」

 

 

「え?」

 

 

「湊さんのフリースローは普通のシュートと一緒なんだ」

 

 

 

「普通のシュートと一緒じゃだめなの?」

 

 

 

「ダメってことはないけど、フリースローと普通のシュートの違いが分かる?」

 

 

「誰にも邪魔されないってこと」

 

 

 

「正解。だからもっと一球一球ゆとりを持っていいのさ。湊さん少し打ち急ぎすぎてるよ」

 

 

隆志がフリースローラインに立つ

 

 

「これはオレや一般選手の例だけどまず右手で三回ドリブルをつきリズムを作る」

ダムダム

 

 

「大事なのは次だよ。手をボールの三本線にそえる。湊さんにはこれがないんだ。これは意外と大事だったりするよ」

 

 

「そうだったんだ」

 

 

「そして打つ」

シュッ

 

 

ポスッ

 

 

「すごい隆志君」

 

 

「たまたまだよ」

 

 

隆志は智花にパスする

 

 

「やってみて」

 

 

「うん」

 

 

シュッ

 

ポスッ

 

 

「!!打ちやすいししっくりくるよ」

 

 

「良かった」

 

 

「ありがとう隆志君」

 

 

「はやく気づいてあげられなくてごめんね」

 

 

 

「いいの。今日こそ成功させてみせる」

 

 

「頑張れ」

 

 

「うん。じゃあ学校で」

 

その後、隆志はグラウンドへ

 

 

クラスのみんなも朝から手伝いに来てくれるようになったこともあり今日の朝には完成しそうだ

 

 

「男子達、後はタイヤでグラウンド整備して完成や。さぁ走った走った」

 

 

 

三十分後グラウンドは完成した

 

 

「やった」

 

 

みんな喜んでいる

 

 

「みんなでエンジン組まない?」

 

 

「いいね」

 

 

 

全員でエンジンを作る

緑が指揮をとる

「せーの」

 

 

「「「「「「「完成」」」」」」」

みんなの声が響き渡る

 

 

 

ここに今、バスケットコートが完成した

そして、となりにドッジボールコートも出来た

 

 

「隆志何か言ってよ」

緑が言う

 

 

 

「オレ?」

 

「隆志がキャプテンでしょ」

 

 

「隆志しかいないべ」

 

 

「ああ」

 

 

「隆志。隆志。隆志。隆志。」

みんなで隆志コール

 

 

 

「まずはみんなありがとう。みんなが手伝ってくれたおかげでこんなにはやくグラウンドが完成した」

 

 

 

「気にしないで」

 

 

「クラスメートでしょ」

 

等など温かい言葉がおくられる

 

 

 

「(みんな)オレはこのクラスに入れて良かったと思う。このクラスは最高だ。みんなで勝ちに行こう」

 

 

 

「もう一回エンジン組もうよ」

緑が仕切る

 

 

「E組優勝するぞ」

 

 

「「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」」あうんど」

みんなで仲良く登校した

 

 

教室に行くと川原がいた

 

 

「川原君熱は大丈夫なの?」

みんな心配していた

 

川原だけ一度も顔を出さなかった

 

 

「大丈夫大丈夫。ありがとう」

川原は口が上手いためクラスの人気者である

 

 

川原が放課後熱があると言ってグラウンド作りに顔を出さなかったがそれは仮病だ

 

 

「よう。隆志。やっとグラウンドが出来たらしいな。放課後練習しにいこうぜ。グラウンドが出来たみたいだし行ってやるよ」

 

 

隆志にしか聞こえない声で言う

 

 

「オレ上手いからな。グラウンド作りに参加したって意味ないしな」

 

 

「一週間後だ」

 

 

「は?」

 

「一週間後にグラウンドに来い。クラスの男子みんながお前を抜けるようになる」

 

 

「おもしろい。やってみろよ」

 

 

隆志が教室を出ていく

 

 

「隆志君」

 

 

 

「湊さんどうしたの?」

 

 

「フリースロー五〇本決めたよ。昴さんがコーチしてくれるって」

 

 

「良かったね。おめでとう」

 

 

「うん。ありがとう。隆志君のおかげだよ」

 

 

「湊さんが頑張ったからだよ」

 

 

「隆志君、球技大会負けないからね」

 

 

「オレだって負けない。お互い頑張ろう!!」



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第二十六話 GAME

「隆志、今日の放課後はどんな練習するだべか?」

 

 

5時間目の休み時間に瀬川が聞いてくる

 

 

他の男子達も気になったようで隆志の周りに集まる

 

 

「今日は初日だからゲーム中心でいこう」

 

 

「ゲームってなんだべか?」

 

 

「試合中心ってことだよ」

 

 

「やったべ」

と、瀬川

 

 

「リバウンドはオレに任せろ」

と、力也

 

 

「走りならオレに」

と、光

 

 

「疲れそうだね~」

と浜崎

 

 

「頑張ろうっと」

古田

 

 

「わーい楽しみ」

っと山下

 

 

「ちゅうか隆志」

 

 

「何?山下君」

 

 

 

「名字に君付けって他人行儀だよ。下の名前で呼び合おうぜ」

 

 

「分かった。ええ~と」

 

 

「それじゃ改めて自己紹介ね。オレは山下 和樹(やました かずき)」

 

 

 

「オイラは瀬川 安芸(せがわ あんけい)だべ」

 

「オレは光山 信吾(みつやま しんご)でも光でいいよ」

 

 

「オレは古田 孝輔(ふるた こうすけ)」

 

 

「オレは桐原 力也(きりはら りきや)」

 

 

「オレは浜崎 淳也(はまさき じゅんや)」

 

 

「分かったこれからもよろしく和樹、安芸、孝輔、力也、淳也、光」

 

 

 

「ねぇねぇ今日の練習はゲームなの?」

緑たちが入ってくる

 

 

「そのつもりだよ。安田さんと田辺さんも入ってもらっていいかな」

 

 

「もちろんОKだよ」

 

「ウチもいいよ」

 

 

 

「ありがとう。じゃあチーム分けはこっちで考えとくから」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後

 

 

「行くべ行くべ」

 

 

「走ることなら負けない」

 

 

みんな張り切って走って移動する

 

 

「グラウンドは逃げないんだからもう少しゆっくりでもいいのに」

 

 

「隆志ウチらもいくで~」

 

 

「分かったよ(みんな元気だな)」

 

 

 

みんなが走ったおかげで5分もしないうちにグラウンドについた

 

 

「よーし。ウォーミングアップはすんだね。じゃあさっそくゲームしようか最初は4対4の5分ゲーム。審判はオレとマリカ。田辺さん、力也、和樹、孝輔はこのビブスを着て。両チームから一人代表を選んでセンターサークルに入って」

 

 

 

力也と安芸がセンターサークルに入る

 

 

「それじゃあ始めます」

隆志がボールをトスする

 

 

バシッ

身長差もあり勝ったのは力也

 

「「(いつもより高く飛んでる)」」

安芸と力也はそう感じた

 

 

力也がはじいたボールを恵が拾いドリブルで進む

 

 

「和樹走って」

ビッ

 

 

まだディフェンスの準備が出来ていないうちに恵が隙をついたパス

 

 

「了解(あれれ~何か身体が軽いな)」

 

 

和樹がそのままキャッチしてシュート

 

 

ドッ

ポスッ

 

 

見事なバンクシュートが決まった

「いぇ~い」

 

 

 

「和樹ナイスシュート」

パンッ

 

 

恵と和樹がハイタッチ

 

 

「いっくよ」

緑が安芸からのパスを受け取りドリブルで攻め上がる

 

 

「浜崎」

ボールを淳也に

 

 

ビッ

浜崎も相手の守備の裏をかく鋭いパス

「(いつもよりパスが簡単に出来る)」

 

 

 

しかしパスコースには誰もいない

 

 

「オレに任せろ」

光が走りこんでいる

 

 

光がキャッチしてそのままシュート

「(いつもより風を感じる)」

 

 

しかし勢いに乗りすぎて全然違うところにとんでいく

 

 

リバウンドを力也が捕る

 

 

 

「力也」

 

 

「任せた恵」

 

 

恵が再びドリブル

 

 

「古田君」

 

 

古田にパスを出す

 

 

「そのまま前にいる和樹につないで」

 

 

孝輔から和樹に

 

 

恵→孝輔→和樹とスムーズにパスがつながる

 

和樹の独特シュートフォームからのシュート

 

 

 

ガンッ

 

 

シュートが外れる

 

 

リバウンドに安芸と緑と力也が跳ぶ

 

 

力也がボールをつかむ

「和樹、もう一丁」

 

 

力也がすぐさまパスを出す

 

 

今度は和樹が落ち着いて決める

 

 

「やられたらやりかえそう」

緑がみんなを励ます

 

 

安芸から光へ

 

 

 

「光、こっち」

 

 

光から緑へ

緑がドリブルで攻め上がる

 

 

緑から淳也へ

 

 

「こっち」

 

 

パスを出した緑が再びダッシュ

 

 

淳也が緑へリターンパス

 

 

緑がキャッチする

しかし緑には孝輔がつく

 

 

緑がドリブルで抜きにかかる

 

 

しかし孝輔が抜かせない

 

「(今までは簡単に抜けてたのに)」

 

 

 

「(いつもより動ける)」

緑が強引にシュートするが外れる

 

 

リバウンドはやはり力也が制す。

 

 

試合は進行していった

 

ビブスチームは

力也のリバウンドを中心に恵が上手くボールさばき力也&和樹のコンビプレーで得点を重ねる

守りでも孝輔が相手の動きを封じ

 

力也のブロックなどで得点を許さなかった

 

 

残り10秒

緑がドリブルでハーフラインまでボールを運んで淳也に渡す

 

 

緑と光が右サイドと左サイドを走る

緑には孝輔が、光には力也がマークについた

 

 

ビッ

淳也がパスを出したのは中央

安芸だ

 

二人をおとりに使った淳也のナイスパス

これを安芸が決めて試合終了

 

 

20対2でビブスチームが勝った

 

 

「それじゃ5分休憩したらまた再会ね今度は5対5。マリカがビブスチームでオレがビブスなしに入るスコアはそのままね」

 

 

隆志&マリカ参戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第二十七話 反撃

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5分後

 

 

「それじゃあオレたちのボールから始めるよ」

 

 

 

安芸からのパスを隆志が受ける

 

 

「一本とるよ」

オレはボールを運ぶ

 

 

オレには田辺がマークについた

「この前みたいにはやられないよ。次やるのを楽しみにしてたんだから」

この前よりも隙のない構え

 

 

「(いいディフェンスだな。隙あらば捕るって感じだ)」

オレはボールをキープしつつ周りを見る

 

 

「(よーし準備はできたみたいだな)スタート」

掛け声と同時に淳也にパスを出す。オレは左へと走る

 

 

他のみんなは右に走る

相手もそれにつられて右へ

 

 

「きいつけて恵ちゃん。アイソレーションや」

 

 

 

「望むところだよ任せて」

 

 

アイソレーション

アイソレーションとは、オフェンス4人がヘルプサイドに寄って、残りのプレイヤーに1on1をさせる戦術のこと。

 

 

 

淳也からのリターンパスが来る

 

 

隆志と田辺の1ON1

 

隆志がパスを受ける前に左へ身体のフェイクをいれる

 

恵が一瞬つられる

 

 

その瞬間来るパスを自分から右に進みパスを受けそのままドリブル

 

 

「しまった」

 

 

恵は追いつけない

 

 

隆志がそのままレイアップを決めた

 

 

「ナイスシュートだべ隆志」

 

「ナイスシュート」

 

みんなが声をかける

 

 

「先ずは作戦通りだね。光、安田さん頼んだよ」

 

 

「おう」

 

「任せて」

 

 

「よっしゃ。一本決めたるで」

マリカがボールを運ぶ

 

 

ダムダム

 

 

「(マリカドリブル上手いな。オレも見習わないとな)みんなしっかりマークについて」

 

 

「「おう」」

 

 

マリカに緑

恵に隆志

力也に安芸

孝輔に光

和樹に淳也がつく

 

 

「(これでいい。さっきまではボールしか追ってなかったから簡単に入れられたんだ)」

 

 

「恵ちゃんやり返したれ」

 

 

恵にボールが渡る

恵のクロスオーバー

 

 

右から左へ

 

「(ここだ)」

 

右手から左手へボールが渡る瞬間を狙いボールをスティールする

 

 

緑と光が走る

 

 

「速攻」

ボールを緑の前方に出す

 

 

「ナイスパス」

緑が楽にレイアップを決める

 

 

反撃開始!!

 



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第二十八話 楽しい

「(良かった)」

隆志は安堵した

 

 

 

本来の隆志の実力ならセンタープレーに徹して点をとりにいけば点差をひっくり返すことは可能だ

しかしそれでは何の意味もない

 

 

あの日以来隆志はE組を本気で勝たせると誓った。

再びバスケと真剣に向き合うと

 

 

隆志は考えた

自分がチームのために何ができるのか

 

 

 

それはセンタープレーをすることではなく

PGとなってゲームを作ることだ

みんなを生かすこと

 

PG次第で試合が変わる

 

 

その意味が

バスケ経験者ならよく分かるだろう

 

 

本来隆志はミスの少ない堅実なプレイヤーだった

だからこそ高校からバスケを始めたにも関わらずシックスマンにもなれたのだろう

 

 

 

しかし、逆にいえばいいところのない消極的なプレイヤーなのだ

 

 

試合中ドリブルなんてあまりつかないし、ここぞという時にはパスを出す

隆志が二桁得点をあげるなんてことはめったにない

 

 

それは隆志が自分のドリブルとシュート力を信じられないからだ

 

 

 

もちろんミスが少ないのはいいことだ

 

 

しかし、それは隆志の芽を潰している

失敗を恐れず積極的に挑戦していかなければならないのだ

 

 

「よし、みんなディフェンス頑張ろう。自分のマークをしっかり」

 

 

 

「「「「おう」」」」

 

 

 

 

 

 

 

相手チームがパスをまわす

 

 

マリカが入ったことで更にパスまわしが早く正確になる

ボールは今日の得点王和樹へ

 

 

「淳也」

隆志が叫ぶ

 

 

 

「OK」

淳也が和樹に近ずき、手をあげプレッシャーをかける

 

 

 

「(そう。それでいいんだ。和樹はシュート打点が高いし、モーションも速い。下手にブロックに行くんじゃなくて手をあげてプレッシャーをかけるだけでいい。安芸ここからは君の仕事だ)」

 

 

 

ガッ

シュートが外れる

 

 

「リバウンド」

 

 

安芸が身体を使って力也を押さえる・・・・スクリーンアウト

 

 

 

「甘い」

力也が持ち前のパワーでぐいぐい押していく

 

 

「安芸踏ん張れ」

 

 

安芸もしっかり腰を落とす

 

 

しかし、力也に跳ばれる

 

 

しかし、競り勝ったのは緑

 

 

「よっしゃーーー」

緑が叫ぶ

 

 

 

「(よし、よくやった安芸。最初からパワーで劣る力也に競り勝つのは難しい。ベストジャンプさえさせなければそれでいい。バスケは一人でやるんじゃない。みんなでカバーしあえばいい)」

 

 

 

「安田さん」

 

 

緑からパスを受け取る

「(得点へのルートが見えた)走れ光~」

相手のリング近くまで大きなロングパス

 

 

 

「よっしゃまかせろ~」

光がパスキャッチしてそのままレイアップ

 

 

ドカッ

しかしこれは外れる

 

 

 

「まだだよ」

緑が走りこんでリバウンドをとる

 

 

シュートにいこうとしたが力也がついているため打てない

 

 

「こっち」

 

 

「まかせたよ」

 

 

緑から隆志へバックパス

 

 

「やらせないよ」

 

恵がつく

 

 

隆志はパスをキャッチせず斜め前にタップパスを出す

 

 

そこには安芸がいた

 

「ナイスパスだべ」

 

安芸が落ち着いてバンクショットを決めた

 

 

「ナイスシュート」

 

 

「ナイスパスだべ隆志」

 

 

「安田さんもナイスリバウンド」

 

 

「隆志もナイスパス。今度は緑にパスちょうだい」

 

 

「光、惜しかったね。でも、ナイスラン」

 

 

「おう。まかせとけ」

 

 

「淳也ナイスディフェンス」

 

 

「隆志もナイスパス」

 

 

「(チームが一つに繋がった。オレのゲームメイクが決まった。楽しい。パズルのピースが一つ一つ繋がるようなそんな感覚だ。こんなに楽しいと思ったことは今までない)」

 

 

隆志のチームが相手より勝っているのは機動力

 

 

五十メートルを七秒台で走る

光、緑コンビ

 

そして機動力はそこそこだが、絶妙なポジショニングのできる安芸

 

 

光、緑の俊足コンビを先に走らせレイアップ

 

 

二人に注意がいったら後から走って来る安芸にパス

 

 

この三人を中心に速攻を組み立てる

 

 

淳也には判断力とかなりの視野の広さがある。おまけに身長もある。だからパスカットされにくいしオレとは違った景色からみんなが見える

 

 

この個性を組み立てることで最高のオフェンスができる

 

 

ディフェンスはとにかくリバウンドをとる

 

 

『守って速攻』

 

 

この作戦効いて残り10秒で二十四対二十四の同点に追い付いた

 

 

 

「(これが最後の攻撃だ)速攻」

 

 

ボールは隆志から緑にそこから光に

 

しかし相手も速攻に慣れてきたのか、警戒していたのか全員がもどっている

 

 

「(外が空いてる)」

隆志が外が空いてることに気づいた

 

 

光も二人にマークされている

 

 

「光ボールを上にあげろ」

なんと淳也が声を出して中に切り込んできた

 

 

光は真上にボールを上げた

 

 

「来る!!」

隆志は直感した

 

 

 

淳也が空中でボールをキャッチし隆志へラストパス

 

 

 

このとき隆志の頭にあるイメージが浮かんだ

前の世界でのバスケ部の監督がみせたシュート

力を使わない無駄のないシュート

 

一瞬でフラッシュバックしてきた

 

 

気が付いたら隆志は跳んでいた

「(イメージ通り。外れるなんてありえない)」

 

 

スッ

 

 

綺麗にボールが吸い込まれていった

 

 

 

逆転のシュートが決まった

「「「「よっしゃ」」」」」

みんな喜ぶ

 

 

「隆志ナイスシュート」

緑が一番に隆志のところに行き隆志に抱きついた

 

 

それに続き安芸、淳也、光も跳びこんでくる

 

 

みんな本当に嬉しそうだ

 

 

 

「負けちゃたね」

恵は悔しそうだ

 

「おしかったな~」

マリカは結果が分かってたようだった

 

 

「オレがもっとリバウンドがとれていたら」

 

 

「オレもシュートたくさん外したしな」

 

 

「オレももっとディフェンス頑張れば良かった」

 

 

「隆志、お取り込み中のとこ悪いねんけど、後一回ゲームやるんやろ」

 

 

「そうだった。今度はオレとマリカが交代してもう一回やるよ」

 

 

「「「やった~~」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

結果は三十六対十二で隆志のチームが勝った

 

 

さっきの悔しさを果たした

恵と隆志の二人のゲームメイク

恵と隆志のコンビプレー

隆志と力也のリバウンド

孝輔のディフェンス

和樹のシュート

 

圧勝した

「(よっしこっちのチームも上手くゲームメイク出来た)」

 

 

「隆志君」

 

 

「田辺さんお疲れ」

 

 

「ウチら案外いいコンビになれるかもね」

 

 

「なかなかいい感じだったね」

 

「隆志、やっぱりお前が入ると違うな。あのおとなしい淳也があんなに声出すところは初めてみたぜ。アイツとは三歳からの付き合いなのにな」

 

 

「オレもビックリしたよ。力也もナイスリバウンドだったね」

 

 

「おう。まかしとけ」

 

「オレは?オレは?」

 

 

「和樹も良かったよ。もちろん孝輔も」

 

 

 

「隆志の指示がいいからだよおもいっきり守れる」

 

 

「ありがとう。みんな集合して」

 

 

 

全員が集まる

「みんな今日はお疲れ。みんな今日はいつもより動けたんじゃない?」

 

 

「「「「うんうん」」」」

みんなうなずいている

 

 

 

「タイヤの成果が出てきたのさ。みんなの基礎体力は上がったはずだよ。後は何をすればいいと思う?今日のゲームで何を感じた?」

 

 

「やっぱりシュートが入らないといけないべ」

 

 

「そうだね」

 

 

「やっぱりリバウンドだろ」

 

 

「そうだね力也。みんなも分かったと思うけどリバウンドはとても大事なんだリバウンドを制する者はゲームを制すって言われている」

 

 

 

「ディフェンスも頑張らなくちゃね」

孝輔が言う

 

 

 

「それらもふまえてまた明日、練習しよう。今日は解散」

 

 

みんな帰って行った

 

 

「マリカ?」

 

 

「何?」

 

 

「ありがとう」

 

 

「何のことや?」

 

 

「オレがゲームメイクしやすいように見えないところで色々してくれてたでしょ」

 

 

 

「なんやきいついっとったんか。それが分かってんだったらアンタはまだまだ伸びるで~。これから練習やな。まだドリブルも甘いしパスも雑やで」

 

 

「分かってる」

 

 

「ほな帰ろうか?」

 

 

「うん(絶対このクラスを勝たせる。でも、今日は本当に楽しかったな)」

 

 

 

バスケをしている時が楽しい

点が入るともっと楽しい

試合に勝つともっと楽しい

楽しさが自分を成長させる

楽しいから辛い練習も頑張れる

 

 

隆志は本当のバスケットの楽しさに触れたのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第二十九話 ボールは友達

久しぶりの更新。最近忙しくて更新おそくなるかもしれませんが頑張って更新するので今後もよろしくお願いします


「よし準備運動終わり。それじゃあ練習始めるよ」

 

 

 

「今日はどんな練習するべか?」

 

 

 

「先ずは一人ずつボールを持って」

 

 

一人ずつボールを持たせる

 

 

「先ずはボールになれることだよ。ボールは友達だよ。これからみんなにはボールをさわる機会を増やしてもらう。登下校や家にいる時間はなるべくボールにさわってほしい。授業中は流石にだめだけどね。今から三十分ドリブル練習開始」

 

 

みんながドリブルを開始する

みんな上手くいかずあちこちにボールがいっている

オレも最初はああだったんだよな

 

「(まぁまだまだ金曜まで時間があるし何とかなるでしょ)」

 

 

「よ~し、次はゴール下のシュート練習だ。右と左を五本ずつね、先ずは安芸からやってみて」

 

 

 

「いくべ~」

 

 

 

シュッ スポッ

シュッ スポッ

シュッ スポッ

 

 

安芸はバンクショットを確実に覚えてきつつあり、しっかりと壁を使えていた

 

 

安芸は十本中七本決めた

 

 

和樹も七本

 

淳也が五本

 

力也と光は力が入りすぎて三本

 

 

孝輔はボールが届かなくて一本

明らかに落ち込んでいる

 

 

「孝輔、大丈夫だよ。オレも最初は出来なかったんだ。練習すれば入るようになるよ」

 

 

「隆志、ありがとう」

 

 

「みんなも聞いて上手く壁を使おうとしてたみたいだけど、ただぶつければいいってもんじゃないよ。やさしく当ててあげるんだ見てて」

 

 

シュッ ガッ スパン

シュッ ガッ スパン

 

 

隆志は十本中十本決めた

 

 

「「「すげぇ!!やっぱ隆志はすごいよ」」」

 

みんなが褒めたたえる

 

 

「そんなに難しいことじゃないよ。みんなも出来るようになるよ。次はレイアップだよ。レイアップは1、2、3のリズムだよ

マリカパス出して」

 

 

「了解や。いくでぇ~」

スッ

 

 

「まず、右手で打つ場合は右足を前にしてボールを受けるこれが1。次に左足を前に持ってくるこれが2。3で腕を上げてシュート。この時ボールはリングに置いてくる感じだよ」

 

 

「左で打つ場合はこれの逆だよやってみて」

 

 

 

 

「オイラからいくべ」

「1、2、3あれ?上手くいかないべ」

 

 

「よっしゃ次はオレが行く」

今度は光が行く

 

 

「おりゃ」

勢いはいいが上手くいかず

「三歩歩いちゃった」

 

 

 

「次はオレだ」

力也が豪快にいく

しかし豪快に行きすぎてボールは強く跳ね返る

 

 

「じゃあいくか」

淳也はゆっくりステップを踏みシュート

 

 

しかしリングに当たらない

 

 

孝輔も和樹も三歩以上歩いてしまう。

 

 

「よーし今日はここまでにしよう」

 

 

「まだだべ隆志オイラはまだやるべ」

 

 

「オレもだ」

 

 

「オレの足にレイアップは必要なんだろう?だったらまだまだ。何本だって打ってやるさ」

 

 

「疲れるのは嫌だけどやるか」

 

 

「オレが一番下手くそなのにこのままじゃだめだ」

 

「みんながやるんならオレもやるか」

 

 

「みんな」

 

 

「「「「「隆志、マリカ。もっとオレたちに教えてくれ」」」」」

 

 

「しゃーないないつまででも付き合うわ」

 

 

「分かった(みんな頑張ってる。見とけよ川原)」

 

 

 

次回VS川原

 

 

 

 

 

 



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第三十話 VS川原

今日は約束の日

 

 

 

「おーい隆志来てやったぜ」

 

 

「おう」

 

 

「川原君だべ」

 

 

「お前何で今まで練習に来なかったんだよ?」

 

 

「悪い悪い力也」

 

 

「オレが頼んだんだよ。みんなの成長を驚いてもらいたくてね。みんな今日は川原と一対一だ」

 

 

 

「川原アップしてくれ」

 

 

「いらねぇよ。それよりさっさと始めようぜ」

ポンっ

 

と隆志の肩に手を置いて耳元でポツリとつぶやいた

「あいつ等相手にアップなんていらないさ」

 

 

「(余裕かましていられるのも今のうちだ。見てろよ成長したみんなの力を)」

 

隆志がそういうのも無理はない

子どもの吸収力は半端ない。一週間だけでみんな隆志の想像以上に成長したのだ

 

 

「それじゃあルールを説明する。ルールはお互いオフェンスとディフェンスを行いどちらかが先にシュートを決め、止めた方の勝ち。例えば川原が先にシュート決めても次に相手にシュートを決められたら最初から」

 

 

「つまり一本シュートを決めてその後のディフェンスで止めれば勝ちということだべか?」

 

 

「そういうこと。それでいいか川原?お前はみんなと相手してもらうからきついかもしれないが」

 

 

「OK。早くやろうオレはディフェンスからでいいぜ。最初は誰だ?」

 

 

「オレが行く」

力也が手をあげる

 

 

「よし、それじゃあ最初は川原対力也。始め!!」

 

 

力也がドリブルをつきだす

 

 

川原が構える

 

 

力也が右にドリブルで進む。

 

 

しかし川原がボールをスティールした

 

 

「(川原のやつスティールだけは得意なんだよな。本人は派手好きだからあんまりやりたがらないけど。スティールって大事なんだけどな)どうした力也?ドリブルが弱いぞ」

 

 

「おう」

 

 

「(生かせよ力也。自分の持ち味を)」

 

川原のオフェンス

川原がドリブルで力也を抜きシュートするが外れる

リバウンド勝負は力也が競り勝った

 

 

 

力也にリバウンド勝負で勝てるのはそうはいない

 

 

力也のオフェンス

「(強く)」

力也の強いパワードリブル

 

 

川原が弾き飛ばされる

 

誰もいなくなったゴールに向かいシュート

 

ガッ

外れる

 

リバウンドをとり力也が再びシュート

 

スパッ

 

今度は決まる

 

川原のオフェンス

川原がドリブルで力也を抜きシュートするが外れる

 

川原がリバウンドをきっちりとり力也の勝ち

 

 

「次はオレが行く」

光が出る

 

 

川原のディフェンス

 

光が一気にドリブルで左に抜きにかかる

川原が抜かれ

 

光がレイアップするが外れる

 

そこからはお互いシュートを外し合うが光がレイアップを決め光が勝った

 

 

「(川原が負けるのは予想通りだけどシュートが全然入らないな。川原のやつシュートがもっときまればな)」

 

 

結局川原は全員に負けた

 

孝輔はディフェンスの成長をみせ川原をとめ

 

和樹は打点の高いシュートでシュートを決め

 

淳也はロングシュートを決め

 

みんな成長を見せつけた

 

「どうだ川原?」

 

 

「あいつ等もがんばったなまだまだオレにはおよばないが」

 

 

「(どこをどう勘違いしたらその結論にいたるんだ)」

 

 

「いける。これなら優勝を狙えるぜ。おーいみんな明日からがんばるぞ。オレも明日から練習にくるからよ」

 

 

「(まあ川原に勝ったことでみんな自信を持ったみたいだしまあいいか。来週の体育はD組と合同だし練習試合してみるか。実践でどこまで動けるかかな)」

 

次回VSD組

 



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第三十一話 VSD組

みんなに負けてから悔しかったのか川原の動きがあきらかに変わってきた。

ドリブルも少しは見られるようになってきたし、ゴール下のシュートとレイアップの決定率も上がってきた

 

 

だが、

 

 

「いくぜ川原」

光がドリブルで川原を抜く

 

 

シュートに行く前に孝輔がコースを塞ぐ。

 

 

「安芸」

光がすかさず安芸にパス

 

 

 

安芸が落ち着いてシュートを決めた

 

 

川原も頑張ってはいるがまだまだみんなにはおいつけてはいない。

サボってたツケがまわってきたのだ

 

逆にみんなはこの前の川原との勝負に勝って自信がついたらしい。自信を持つのはいいのだが、

 

 

「みたかぁオレの高速ドリブル。バスケ部にも通用するぜ」

 

 

「オイラのシュートも安定してきたべ」

 

 

「今のは自信を持たせるためにわざと抜かせたんだよ」

 

 

「今ならバスケ部でもとめられる気がするよ」

 

 

「早く試合したいぜ。オレがリバウンド王になってやる」

 

 

「力也~リバウンドとったらオレにパスちょうだいね~」

 

 

「おう。決めろよ和樹」

 

 

この通り自分達の力を過信しすぎている。川原=バスケ部と思っているのだ

正直オレも川原も下の下。

県大会出場の男バス。

いくらエースでキャプテンの竹中がいないといっても今のままじゃ勝てるはずもない

いくらオレが口で言っても聞かないだろう

 

 

「みんなちょっと集合」

全員が集まって来る

 

「今日の体育の時間はD組と一緒に合同で体育館を使うことになってるよね。それだったらコートは半分しか使えないよね。だから昨日戸嶋と相談してゲーム形式の練習試合をすることになった」

 

 

 

「「「「やった~~~~~~~~~~~」」」」

 

 

みんな喜んでいる

「(さて、試合が終わってからみんなどうなるかな)じゃあ今日の朝練は終わり」

 

 

 

みんなが帰った後、オレは一人残った

 

 

みんなが帰った後に一人でドリブル練習。これは日課になっていた

 

 

右から左にクロスオーバー、クロスオーバーからのレッグスルー、そこからロールからのシュート

 

 

まだまだ洗練されたものではないが形にはなってきた

 

 

「けっこうドリブル上手くなってきとるやん」

 

 

「マリカの教え方が上手いんだよ。ありがとう」

 

 

「それはアンタが頑張ったからや。ウチはなにもしてへん。そろそろ学校に行く時間やで」

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「隆志。二分後にスタートな」

 

 

「分かった。よろしく」

竹中の影響から男バスみんながオレを下の名前で呼ぶようになった。

 

 

 

 

「とりあえず最初は光、川原、力也、安芸、オレでいく。状況次第でどんどん交代していくから三人とも準備しといて」

 

「「「分かった」」」

 

 

センターサークルに力也と和久井が立つ

 

 

ボールが上がる

 

バシッ

 

勝負は力也に軍配があがり、ボールは隆志の方へ

 

 

「(ここだ)光走れ~」

ビッ

 

 

隆志がゴール前の空いたスペースにパスを出す

 

 

光と戸嶋が競り合う

 

 

「(純粋なスピード勝負なら光の方が上。行け!!光)」

 

 

「よっしゃ~。スピードなら負けね~」

光が先にボールをキャッチしレイアップを決めた。

 

 

男バス軍団も一瞬驚いた表情をみせたが、すぐに表情を戻した

 

 

「いくぞ」

戸嶋がボールを運ぶ

 

 

ディフェンスのマッチアップは

戸嶋に川原、深田に光、和久井にオレ、田嶌に力也、そして竹中の代わりの田中に安芸。

 

 

 

戸嶋から深田へ深田から中に陣取っている和久井へ

「勝負だ隆志」

 

和久井が身体をぶつけてくる。

隆志が腰を落としてこらえる。

 

そこから和久井がシュートフェイクを二回入れてシュートへ

 

 

隆志がブロックに跳ぶが身長差もあり、指先をかすめただけだった

 

 

「力也リバウンド」

 

 

「おう」

 

 

力也がリバウンドをとると同時に隆志が左に開く

 

 

「こっち」

力也から隆志へ

 

 

「隆志もう一丁」

光が走っている。が、今度は戸嶋が前にいる

 

 

「(体感しろ光。バスケ部のディフェンスを)」

 

 

隆志から光へ

 

光がドリブルで戸嶋を抜きにいく

 

 

スッと戸嶋がいとも簡単にボールをスティールする

「速攻」

戸嶋が素早いドリブルで切り込んでくる

 

川原がディフェンスにいくが簡単に抜かれる

 

 

「オレが行く。力也後ろは任せた」

 

 

オレが前に出た瞬間にフリーになった和久井へ

力也がブロックにいくが和久井が力也を弾き飛ばしてシュートを決めた

 

 

「(力也、これがバスケットの当たりなんだ)よーしいくよ」

隆志がドリブルで運ぶ

 

 

「川原」

右四十五度にいる川原へパス

 

 

川原がそれを受けいきなりロールへ

深田が川原がまわりきる前にボールをスティールしそのまま一人で決めた

 

 

「(そのロールじゃこれから先ずっとそうなるぞ川原)」

 

 

 

再び隆志がボールを運ぶ

 

安芸が和久井にスクリーンをかける

 

 

隆志が右に行く瞬間に安芸がゴール下へ

隆志から安芸へパス

 

 

「スイッチ」

田中が叫ぶ

 

 

安芸がシュートに入った瞬間後ろから和久井がブロック

 

 

「(ただ、スペースでボールを待ってるだけじゃだめだ安芸)」

 

 

 

それから光が最初に点を決めた得点だけで十分が過ぎた

 

十分間D組にいいようにやられていた

 

 

 

「(おかしい。この得点差は予想通りだが隆志がおとなしすぎる。!!!そうかそういうことか)おい和久井」

 

 

 

「ん?」

 

 

「隆志とのマッチアップ代わってくれ。オレがつく」

 

 

「分かった」

 

 

「(隆志、お前の思い通りにはさせないぜ)」

 

 

 



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第三十二話 暴走??

練習試合も残り五分。点差は40対2でD組の圧勝ペース。

しかしここで戸嶋と和久井のマッチアップの変更

 

 

「(なんでこのタイミングでマッチアップの変更?まぁ残り時間は少ないし、みんなの目も覚めたみたいだし。このまま流すか)」

隆志もこのタイミングのマッチアップの変更に疑問を持ったがたいして気にしなかった

 

 

 

「(おそらく隆志の狙いはオレたちの偵察と実戦で他の奴らがどこまでやれるかの確認だろう。さっきからこまめにメンバーを代えているしな。今出ているメンバーは最初と同じ。つまり当日のスタメンはこの五人だろう。そんなことは今はどうでもいいが。隆志、お前だけ手の内を見せないのはなしだぜ)みんなオールコートマンツーだ」

 

 

戸嶋が指示を出す

 

全員がピタリとはりつく

 

 

「さぁどうする隆志?パスコースはないぜ。お前の選択肢はオレとの一対一だけだ」

 

 

「一人で攻めても意味がない。バスケはチームスポーツだ。みんな走れ。マークを外すんだ」

 

 

みんな必死にマークを外そうとするが

流石にそこは県大会出場の男バス

簡単には振り切れない

 

 

「(しかたない)」

 

 

 

隆志が右から左へクロスオーバーをしかける

しかし、戸嶋がついてくる

更にクロスオーバーで切り返し戸嶋を抜き去りそのままレイアップを決める

「(オールでつくならオレが戸嶋を抜けば問題ない)」

 

 

男バスが戸嶋の息のあったパスワークで得点を重ねれば、隆志が戸嶋を抜き得点する

 

 

男バスが珍しくシュートを外し、隆志がリバウンド取り、ワンマン速攻をしかける

田中が隆志のコースを塞ぐ

隆志が横にボール送る

 

そこに安芸が走りこんでくる

 

 

隆志はこれを待っていた

他のマークマンが自分につくのを

 

 

だが、

「(届かないべ)」

安芸が追いつけずラインを割り、相手ボール

 

 

 

「(そんな普段の安芸なら追いつけていたのに)」

 

 

相手ボールからスタート

戸嶋から和久井への上を通そうとしたパス

 

 

「(させるか)」

隆志がジャンプし、ボールをカット

「(よし)」

隆志がその場でドリブルをつき

 

 

「みんなぁ落ち着け」

みんなを落ち着かせ流れを持ってこようとする

 

 

「お前が落ち着けバカが」

川原が叫ぶ

 

 

「何だと?(オレはみんなのために動いてるんだぞ)」

プツンッ

 

 

隆志の中で何かが切れた

 

 

隆志がトップスピードで一人つっこむ

 

今までは必ずパスコースを作るために動いていたが、今はゴールしか見えていない

クロスオーバーで戸嶋を抜き

ロールで深田を抜き

田中と田嶌がダブルチームに行くがバックステップで二人の体制をくずし、右から抜いた

 

 

和久井にもクロスオーバーをしかける

 

 

しかし

いとも簡単に和久井にスティールされる

平面のディフェンスが苦手な和久井に

 

冷静さを失った隆志からボールを奪うのは難しくなかった

 

 

「速攻」

和久井から前線の戸嶋へ

 

 

戸嶋のレイアップ

 

 

バシッ

 

 

後ろから懸命に走った隆志がブロック

そして再びワンマン速攻

 

 

四人がゴール下で待ち構えている

 

 

隆志がフリースローラインから跳ぶ

 

 

 

フリースローラインから跳んでリングまで届くのはNBA選手でも難しい

隆志が届くはずもなく失速し

シュートがリングに届くことなく

 

 

そして、試合も終わった

 



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第三十三話 みんなで

E組の教室はシーンとしていた。最悪の雰囲気だ

 

 

女子達も男子の雰囲気のわるさを悟ってか誰も話さない

 

 

隆志も黙って黙々と着替えている

 

 

 

沈黙を破ったのは川原の一言だ

「あーあ、負けた、負けた誰かさんが一人で暴走して勝手に負けた~つまらないな」

嫌みったらしく言い放つ

 

 

「(何を言われたってしょうがない)」

 

 

 

バッチーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

誰かが川原にビンタした

教室中に音が振動する

 

 

川原を叩いたのはマリカだった

 

 

「何すんだよ」

普段女子には優しい川原だがあまりの痛みからか乱暴な言葉遣いだ

 

 

「本当に隆志一人のせいで負けたと思うとんのか?アンタは一点も決めてへんやないか。ボールを受けたらパスは出さへんで勝負に行って苦し紛れのパスで流れを崩す。アンタ経験者やろ。せやったら何で隆志が一人でボール運びに苦戦しとるのにフォローに行ってやらないんや。あんなパスコースもない状態やったら一人で行くのは当たり前やん。隆志は一人で行きながらも最後までアンタ達にパスをだそうと必死だったんやで」

 

 

「そんなのガードなんだから当たり前だろ。オレの仕事はシュートを決めることだ。ボール運びはにがてだし、そっちの方が得意なんだ」

 

 

「どアホ!!そういうことはたくさん点をとってからいえやボケェ。ボールを運ぶのが苦手?そんなん隆志だって一緒や。隆志の本職はセンターなんや。それもテクもなんもないゴツゴツのパワー型や。せやけど、このクラスを勝たせたいために朝早くから夜までずっとドリブルの練習してきたんや。最初はドリブルもまともにつけないレベルだったんや」

 

 

「本当か隆志?ほんとにセンターだったのか?」

 

 

「ああ」

 

 

「なぁ、さっきからガードとかセンターとか何のこと言ってるんだ?おれたちにも教えてくれよ」

力也が入って来る

 

「バスケのポジションのことや。簡単にいうとセンターは最前列でガードは最後列ってとこや。役割が全く違うポジションなんや。ガードはとっても難しいポジションなんや」

 

 

 

「じゃあ隆志はオイラたちのためにそのポジションをやってくれてたんだべか」

 

 

「なぁ隆志。一人で練習するなんてそんなにオレたちが信用できないのか?」

 

 

「そんなことないよ力也。みんなは確実に上手くなってる。後はオレが」

 

 

「そんなに一人で抱え込むなよ。隆志はオレたちが見えてないものが見えてるのかもしれないけどオレたちにも話してくれよ。オレたち今まで以上に頑張るからみんなで強くなろう」

 

 

「そうだべ」

 

 

「隆志」

「隆志」

「隆志」

 

みんなが隆志の名前を呼ぶ

 

 

「みんな、オレが間違ってたみんなで強くなろう(仲間っていいもんだな)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第三十四話 ポジション

「隆志まずオイラたちにポジションについて教えてほしいべ」

 

 

 

「なんで隆志はオレたちにポジションを教えてくれなかったんだ?」

力也が不思議そうに問う

 

 

 

「みんなにはポジションにとらわれないで自由に動いてほしかったんだ」

 

 

 

「隆志に気持ちも分からないでもないけどさ、知ってて損はないんじゃないかな?役割が決まってた方が動きやすい場合もあるし、何よりオレは体力がないからね。役割が分かった方がいいかな」

 

 

「淳也、そうだね。じゃあ説明していくね」

みんなが隆志の周りに集まる

 

 

「まず、バスケには五つのポジションがあるんだ。PG(ポイントガード)SG(シューティングガード)SF(スモールフォワード)PF(パワーフォワード)C(センター)」

 

 

「PGはコート上の監督でドリブルでボールを運んだりしてゲームを作るんだ。試合中に最もボールに触る機会が多いポジションなんだ。広い視野にドリブル技術、パスセンス、冷静な判断力が必要でPGで試合が決まると言っても過言ではないんだ。」

 

 

いくらいいエースやセンターがいても、PGが弱ければ試合には勝てない。フリーになった選手の動きを一瞬で見つけ、そこにすかさずパスを送ったり、エースへボールが渡るようなゲームメイクしたりするなど本当に重要なポジションなのだ。この前の試合、男バスエースの竹中が点をとることだけに集中できたのもPGの戸嶋がいたからなのである。

 

「SGは広いシュートレンジが必要なんだ。3Pをバンバン決める姿からシューターともスナイパーとも呼ばれていて今のバスケでは花形ポジションなんだ。3Pを決めるのは難しいからね繊細なシュートタッチが求められるんだ。もちろんシュートだけじゃなく、G(ガード)文字通りPGの補佐でボール運びを手伝ったり、時にはボールを運ぶからPGほどじゃないにしろ、ドリブルやパスの技術も必要になってくる」

 

SGはSFも兼任することもある

 

 

「SFはチーム内でエースと呼ばれる選手が多いポジションで点取り屋。ドライブ良し、外のシュート良し、速攻やリバウンドにも参加できるオールラウンドな能力と高い得点能力が求められる」

 

オールラウンドな能力からSGと同様SGを兼任することもしばしば

 

 

「PFはSG、SFほどのシュートレンジはいらないが、センターと共にリバウンドを制し、ゴール下で力強いプレーを見せるなど、パワーとジャンプ力が必要になる。また、中からの中継役を担うこともあるから判断力も必要なんだ」

 

 

「Cは大黒柱的な存在でゴールに最も近い位置でプレーする。ゴール下のシュートやリバウンドが必要になってきて相手に当たり負けしないパワーがいるんだ。まぁこんなところかな」

 

 

「PGとCって全くといっていいほど真逆だべ、隆志の話を聞いて、PGの大変さが分かったべ」

 

 

「隆志、オレはレイアップを覚えただけで調子に乗ってた。オレのスピードならバスケ部にも勝てると勘違いしてた」

 

 

 

「オレも体力がないからって隆志に甘えてた」

 

 

 

 

「オイラもゴール下のシュートが入るようになったからって調子に乗ってたべ」

 

 

「オレもだ」

 

 

「オレも今の自分のパワーに満足してた」

 

 

「オレも攻撃ではなんの役にも立てなかった」

 

 

「…」

川原は黙っている

 

 

「あくまでポジションの役割と言っても例だから、例は例だよ。みんなには引き続き自分のポジションを磨いてほしいな」

 

 

「おい、隆志、それからみんなも聞いてくれ」

川原が口を開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ポジションについては間違っているところもあるかもです。そこはご了承ください。


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第三十五話 決意

川原がかつて見せたことのないない顔になる

 

 

 

「みんな今まですまなかった」

川原が頭を下げる

 

 

 

「本当は分かってたんだ。オレが下手くそだってこと。でも、認めたくなかった。オレはこれでも転校生で前の学校ではバスケ部のエースだったんだ」

 

よく見ると川原の目から涙が出てきている

 

 

「そういえば川原が転校してきたのは四年の時だったもんな」

力也が呟く

 

 

「前の学校ではすべてオレが一番だった。誰もオレを止められないし、誰もオレを抜けない。だからこの学校でもバスケ部に入ってエースになるつもりだった。でも、ここのバスケ部はオレのすべてが通じなかった。オレは分かってしまったんだ自分が井の中の蛙だって。悔しくて練習してみたけどダメだった。そして、オレはバスケ部を辞めたんだ」

 

 

「そうだったのか。気持ちは分からなくはない。尤もオレはエースだったわけじゃないからその辺はわからないけどね」

 

 

高校からバスケを始めた隆志にとって周りとの技術の差は火を見るより明らかなのだ。しかし川原と違うのは隆志はあきらめなかったからだろう。隆志はいまだにバスケの技術は低い。下手をしたら川原よりも下かもしれない。隆志は自分でもそれを一番理解していた。だから隆志は当たり前のことを当たり前にこなした。心折れることなく何度抜かれようともガムシャラに立ち向かっていったのである。

 

 

「隆志、オレは上手くなりたいんだ。ここのバスケ部に通用するくらいに。頼む、教えてくれ、オレはどうすればいいんだ。安芸達を強くしたようにオレも強くしてくれ。オレはエースになりたいんだ」

川原が必死に頼む

 

 

「そんな簡単に上手くなるなら誰も苦労しない。今のお前じゃエース何て無理だ。地道な基礎を何度も何度も繰り返してるから今の男バスのメンバーは強いんだ。途中であきらめたお前じゃどう足掻いたって勝てるはずないだろ」

隆志が冷たくいいはなつ

 

 

ガクッ

川原の膝から崩れ落ちる

 

 

「「「「「そんな言い方しなくたっていいだろ」」」」」

男子達が声をそろえて言った

 

 

「最後まで聞けよ、今はって言っただろ。確かにエースは誰でも憧れるしカッコいいのは分かる。けど、エースが活躍できるのは陰で支えてくれてる仲間がいるからなんだ。川原先ずは陰になれ。悔しいと思うがプライドを捨てろ。先ずは自分が出来ることを確実にこなすんだ。お前が本当に陰に徹することが出来るようになった時に新たな自分が見える。それが見えるようになった時がお前の成長する時でエースに近ずく時だ。陰を知らずエースにはなれない」

 

「そうすれば男バスに勝てるのか?」

 

 

 

「必ずしも上手い=活躍できるってわけではない。技術はなくても必死にボールを追う、必死に攻める、守る。どんなに相手が上手くても食らいついていく。ただ上手いよりもこういった選手の方がこわいんだ。観客からは分からないかもしれない。でも、中の選手たちには分るんだ。自分達より上の男バスに勝つにはこうするしかないんだ」

 

 

「分かったよ隆志。オレやるよ」

 

 

「川原」

 

 

「隆志、伸二(しんじ)って呼んでくれ」

 

 

「伸二、お前のスティールに入るスピードとドライブの一歩目の速さは武器だ。これからそれを中心に鍛えていくんだ」

 

 

「分かった」

 

 

「オイラ達のチームは上手くないけどやりずらいそんなチームを目指すべ」

 

 

「「「「おー」」」」

みんなが同意する

 

 

「(チームカラーが決まったな。うん。悪くない)じゃあポジションを発表するよ」

 

 

「その前に隆志」

 

 

「何だ伸二?」

 

 

「お前Cやれよ。オレも頑張ってガードの練習するから。お前がガンガン点取っていった方がいい場面もあるだろうし」

 

 

 

「そうかもしれないな。でも、基本的にはオレがガードをするよ伸二にはSGとSFを任せたいんだ」

 

 

「分かった。もう一人のガードは誰がするんだ?」

 

 

「孝輔、君にまかせるよ」

 

 

「オレが?オレなんかにできるのかな?」

孝輔は不安そうな顔をしている

 

 

 

「今から練習すれば大丈夫。孝輔には冷静さがあるから」

 

 

 

「やってみるよ」

 

 

「安芸、君にはSG、SF、PFを状況次第でやってもらうよ」

 

 

「分かったべ」

 

 

「光はSFだ」

 

 

「おっしゃー。」

 

 

「淳也にはSGを頼む」

 

 

「分かったよ」

 

 

「和樹にはSF、PFを任せる」

 

 

「ほいほい」

 

 

 

「力也、PF、Cは任せたぞ」

 

 

「おう」

 

 

「今日は負けたけど、いい経験になった。あしたからまた頑張ろう」

 

 

 

 

「「「「おー」」」」

チームとして一回り成長したE組であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第三十六話 三つのディフェンス

昨日のことがあった翌朝、みんなやる気が出ているのか昨日までとは目の色が違っていた

 

 

「みんなおはよう。さっそく朝練をはじめるよ。今日は昨日言ってたやりずらいっていうのを考えてみよう。どうすればいいかな?」

 

 

「走って、走って、走りまくる。とにかく足でかき回す」

光が自慢げに言う

 

 

「正解。走るチームっていうのはやりづらいんだ」

 

 

「ねえ隆志、ディフェンスはどうすればいいの?」

最近ディフェンスに興味を持ち始めてる孝輔が積極的に質問する

 

 

「まぁ待って孝輔。今、光が言ったように走るバスケにするにはどうすればいい?」

 

 

「ラン&ガン」

 

 

「お、力也、勉強してるね。それをするにはどうすればいい?」

 

 

「パスをつなぐことだべ」

 

 

「そう。パスをつなぐためにみんなで走ってパスコースを作るんだ。先ずは縦に一人、横に一人誰かがいることが大事なんだ。それも後から練習しよう。次にディフェンスだけど、体感した方が早いね。孝輔、光、和樹。今からオレがディフェンスするから。パスを受けたらシュートまでいって。

マリカパス出しお願い」

 

 

「まかせとき」

 

 

最初は孝輔が出る。マリカと孝輔の間に手を入れパスコースを塞ぐ。孝輔の動きに合わせ隆志も動く

 

 

マリカが隆志の届かないところにパスを出すが孝輔がキャッチしたのは背中向けだった。その後、簡単に弾かれてしまった

 

 

「次」

 

 

「おう」

今度は光がいく

 

 

隆志は孝輔にしたような激しいプレッシャーはかけない

 

光がボールをキャッチしドリブルに入る

 

 

光は隆志の右を抜きレイアップに行く。しかしバランスがとれずに決まらない

 

 

「次」

 

 

「いっくよ」

和樹だ

 

 

隆志は今度はかなり距離をとる

 

和樹はボールをキャッチしてすぐシュート。しかし外れる

 

 

「淳也。今の三人の動きを見てどう思った?」

 

 

「孝輔には、いい体勢でボールをとらせないようにしてた。光にはわざと右から抜かせてた。和樹には技とシュートを打たせてた」

 

 

「流石淳也。正解」

 

 

「今のが答えだよ。まず、孝輔にやったのは楽にボールをキャッチさせないこと。相手が上手いなら上手いほどね。抜かれるのは仕方ないことだよ。だから相手の体勢を少しでもくずすこと。後ろ向きにとらせたら百点かな。光にやったのは外側にぬかせること。外側にぬかせることで微妙に変わってくるんだ。現に光はふくらみすぎてレイアップに行きずらかっただろ?」

 

 

 

「おう。めっちゃやりずらかった」

 

 

「最後に和樹にやったのは距離をあえて離すことで心理的プレッシャーを与えたんだ。どんな一流選手でもシュートだけは絶対入るなんてありえない。この三つがいやらしいディフェンスなんだ」

 

 

「これらを踏まえて今から実戦形式に入る」

みんな顔が笑っていた。

このディフェンスを身につけたらきっとすごいものとなる。

声には出さなくても一人一人がそう実感したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第三十七話 バッシュ(智花編)

最近原作キャラとの関わりが全然なかったのでこの辺で入れたいと思います


球技大会まで残り1ヶ月となった。

 

 

みんな確実に成長してきた。伸二も隆志の言いつけを守り、頼れる仲間へと成長してきた。

最近は練習ばっかりだったので日曜ぐらいはと今日は練習を休みにしたのだ。

 

 

隆志はというと今、智花とデパートにいるのだ。

 

 

というのも金曜の放課後

 

 

「隆志君」

 

 

「湊さんどうしたの?」

 

 

「に、日曜日って時間あるかな?」

ちょっとオドオドしながら話かける智花

 

 

 

「(かわいいなぁ~)何もないよ。どうしたの?」

 

 

 

「今日の練習でバッシュが壊れちゃって。もしよかったらいっしょにデパートに行ってくれないかな?」

 

「オレなんかで良かったらいいよ(でも、どうしてオレなんだろう?女バスのメンバーや長谷川さんがいるのに)」

 

 

「ありがとう。じゃあ日曜日の10時にデパートの前で待ち合わせね。バイバイ。」

智花がニコッと笑う

 

 

「うん」

 

 

智花は機嫌良く帰っていった

 

 

「なんやデートかいな。うらやましいな~」

 

 

「マリカ、違うよ。バッシュを買いにきたんだよ」

 

 

「ちょうどええやん。アンタのバッシュもそろそろ寿命がきてるんやし。ええ機会やからアンタも新しいの買いや。ホイ、お金」

 

 

マリカが隆志に2万円渡す

 

 

「こんなに?バッシュにこんなにいらないだろ」

 

 

「どアホ!!女の子をエスコートするのが男の役目やろ。しっかりリードしてこんかい」

 

 

 

 

と、いうことで現在

隆志は9時半に待ち合わせ場所にきている

 

 

5分くらいしてから智花が来た

 

 

「おはよう湊さん」

 

 

「おはよう隆志君。ごめん待たせちゃったね」

 

 

「オレも今きたとこだよ。予定よりも早いんだし。それより行こうか」

 

 

「うん」

 

 

隆志達は3Fのスポーツコーナーへ

流石はデパートスポーツ店バッシュがたくさんある

 

 

「うぁ~いっぱいあるね隆志君」

智花がはしゃぐ

 

 

「そうだね(試合の凜とした表情とは別のようだ。今日だってピンクのきれいなワンピースを着てるし。バスケは男子並みでも、やっぱり女の子なんだな)」

 

 

「どれにしようか迷うな~」

 

 

「湊さんはメーカーはどれ使ってるの?」

 

 

「前のはNI●Eのバッシュだったんだけど。隆志君は?」

 

 

「オレはAS●CSしか足が受けつけないんだ」

 

 

「受けつけないって?」

 

 

「前NI●Eにバッシュを履いてたことがあったんだけど練習後ものすごく足が痛くなるんだ。下手に合わないのを履くとかえって怪我するよ」

 

 

隆志の足はあまり大きくないが横幅が半端なく広い

だからほとんどのバッシュは合わないのである。いろいろ試した結果、隆志に一番合うのはAS●CSのバッシュだった

バッシュ選びというのは試合で最高のパフォーマンスをするための第一関門と言いっても過言ではない

 

 

「そうなんだ。AS●CSのバッシュを見てみようかな。え~と。あったあった。あっちにあるよ」

一番右へ

 

 

「隆志君何かおススメはある?」

 

 

 

「個人的にはゲル●―プシリーズかなあそこにあるゲル●―プV6かな」

 

 

 

「じゃあそれにしようかな。でも、どの色にしようかな?」

 

 

 

「あのピンクのやつなんか湊さんに似合うんじゃないかな」

 

 

「そうかな。せっかくだし履いてみようかな」

智花が履いてみる

 

 

「どうかな?」

 

 

今日の智花はピンクを主体とするコーディネートのためかより一層引き立っている

「(似合いすぎてヤバい)」

隆志は見惚れてしまっていた。

 

 

「隆志君?似合ってない?」

 

 

「そんなことないよ。とってもよく似合ってるよ」

 

 

「良かった。これにするね。隆志君はこの黄緑のバッシュが合いそうだね。」

 

 

「同じバッシュか。うん。いいかもね。じゃあ湊さん先に買ってて」

 

 

「うん。じゃあ先にいくね」

智花がレジに向かう

 

 

隆志はレジとは逆の方向に

なぜならさっき見かけたピンクのリストバンドを買うためだ

 

 

隆志も智花も会計を終わらせた。

 

 

 

「お昼どうしようか?湊さん何か食べたいのある?」

 

 

 

「私は何でもいいよ。隆志君は?」

 

 

「2Fにバスケ好きのおじさんが開いてるオムライスの専門店があるらしい。そこに行こうか」

 

 

 

「うん」

エレベーターを使い2Fへ

 

 

そして、オムライス専門店へ店の名前は『籠球部』ぱっと見何のお店かわからない

 

 

中に入ると

NBA選手のサインやポスターや月バスなどのバスケ雑誌がいっぱいある

 

 

「いらっしゃい。2名様?」

いかにもスポーツをやってましたと言わんばかりのガタイのいいおじさんが

 

 

「はい」

 

 

「どこでも好きな席にどうぞ」

隆志達は窓側に座った。

 

 

メニューを見る

「オレはこのバスケットボール型のオムライスにする」

 

 

「じゃあ私も」

 

 

「すみません、バスケットボール型オムライス2つ」

 

 

 

「あいよ。少々お待ちを」

 

 

 

 

「女バスの方はどう?」

 

 

 

 

「みんなすごいよ。どんどん上手くなってる。昴さんの指導も本当に分かりやすくて丁寧だし」

 

 

「長谷川さんはすごいんだね」

 

 

「うん。昴さんはすごいよ。でも、昴さんだけじゃない。隆志君もすごいよ」

 

 

「オレが?」

 

 

「うん。隆志君と昴さんがいたから。今もこうして私はバスケが続けられる。本当にありがとう。私の大事な居場所を守ってくれて」

 

 

「オレこそありがとうだよ。湊さん達がいなかったらオレは再びバスケをやることはなかったかもしれないし。何よりオレはバスケが好きだって分かったから。湊さんはオレにとって恩人だよ」

 

 

「私こそ隆志君にはとっても感謝してる」

 

 

「「ハハハハ」」

 

 

二人とも顔を見合って笑っている

 

 

「恩人と恩人だね」

 

 

「うん。隆志君、これ、よかったら使って」

智花が黄緑のリストバンドをわたす

 

 

「さっき買ったの」

 

 

「まさか同じことを考えてたなんてね。はいこれ」

隆志は智花にピンクのリストバンドをわたす

 

 

「もしかして今日オレをよんだのって」

 

 

「うん。」

 

 

 

「「ハハハ」」

お互いまた笑い出す

 

 

「昴さんには何かプレゼントをしようと思ったんだけどなかなか決まらなくて」

 

 

「確かにね。難しいね」

 

 

「ヘイ、おまち。バスケットボール型オムライス二つ。なぁアンタ達。今日5Fの体育館で2ON2の大会があるんだ。出てみたらどうだい。優勝賞品は何とジョーダンのサイン入りボールとバッシュだ。バスケファンならこれを喜ばないやつはいないはずだぜ」

 

 

「本当ですか?でも、湊さん今日ワンピースだし」

 

 

「実は練習着持ってきたんだ。新しいバッシュをはやく試したくて」

 

 

「よし。じゃあ決まりだね」

 

 

「うん」

隆志と智花

恩人×恩人コンビ結成!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第三十八話 エール

隆志と智花は5Fへと向かった。そこには

 

 

「おーいもっかん、隆志っち」

 

 

「「真帆(三沢さん)」」

真帆だけではなく、女バスメンバーもいた

 

 

「みんなどうしてここに?」

 

 

「トモにもメール送ったんだけどね。まさかデートしてるなんて」

紗季のメガネがキラリと光る

 

 

「隆志っちとすばるんともっかんの三角関係か」

真帆は二ヒヒと笑みを浮かべている

 

 

「おー隆志と智花デート。仲良しさん」

のほほ~んとひなた

 

 

「智花ちゃん達いつのまにそんな仲に」

オロオロとしている愛梨

 

 

 

「ち、ち、違うもん。そんなんじゃないもん。メールも携帯を見てなかっただけだもん」

智花が真っ赤になっている

 

 

「おーい隆志」

なんとE組メンバーもいた

 

 

「みんなどうしてここに」

 

 

「「「「「腕試し」」」」」

ニッとみんな自信満々の笑みを浮かべる

 

 

「にしても隆志も彼女をつれてくるとはやるな」

と、和樹

 

 

「リア充は爆発しろだべ」

と、安芸

 

 

「隆志、当たったら全力で勝負だ」

と、力也

 

 

「女にうつつを抜かすとはな」

と、伸二

 

 

「いいなぁ」

と、孝輔

 

 

「隆志も大変だな」

と、淳也

 

 

「進化したオレのスピードにおどろくなよ」

と、光

 

 

「デートじゃないし、彼女じゃない。バッシュを一緒に買いに行くためだよ」

隆志もまた、智花同様責められている

 

 

するとそこに

「おーい隆志」

竹中と戸嶋が現れた

 

 

「何だ隆志?お前湊と組むのか?おもしろい。勝負だ隆志」

 

 

 

「13歳以下の部。登録はこちらです」

 

 

「そういえばオレがいなくてE組は7人だけど大丈夫なの?」

 

 

「心配ないよ。オレは恵と組むからもう少ししたらくるさ」

 

 

みんな次々にエントリーしていく

 

 

<エントリー表>

隆志&智花

真帆&紗季

ひなた&愛梨

竹中&戸嶋

安芸&孝輔

力也&淳也

伸二&光

和樹&恵

これに後32組

合計40組の出場となっている

 

 

「ルールを説明します。予選は1ブロック5チーム5点先取の総当たり戦。先攻チーム5点入れた時の次の攻撃で後攻チームも5点入れた場合はサドンデスになります。それではこれより抽選に入ります。これよりA~Hブロックまで分れてもらいます。こちらでランダムに選びます

 

 

抽選結果

Aブロック ひなた&愛梨、和樹&恵

Bブロック 隆志&智花

Cブロック 竹中&戸嶋、伸二&光

Dブロック 真帆&紗季

Eブロック 力也&淳也

Fブロック 安芸&孝輔

Gブロック ーーーーー

Hブロック -----

 

人数的にはばらばらのブロックになってもよかったのだが運命はそう甘くはなかった

 

 

「隆志君頑張ろう」

 

 

「うん。その前にAブロックからだ」

Aブロックの予選が始まった

 

ひなた&愛梨は

ひなたの俊敏な動きと愛梨の安定したゴール下のシュートで3勝

 

一方和樹&恵コンビも恵の安定したパスを和樹が確実に決め3勝

この全勝同士の二チームとの試合になった

 

先攻はひなた&愛梨チーム

ボールはひなたが保持

 

ひなたには和樹が、愛梨には恵がマッチアップ

 

「おー愛梨」

ビッ

 

 

ゴール前にひなたが高いパスを出す

 

 

恵が跳んでカットしようとするが届かない

 

 

「えい」

愛梨がパスを受け取りそのままシュート

 

これが決まり1-0

 

続いて和樹&恵チーム

ボールは恵が保持

 

「おー。いかせない」

 

 

「C組の袴田さんだよね。悪いけど抜かせてもらうよ。これに勝って隆志と勝負したいしね」

恵がクロスオーバーでひなたを抜く

愛梨がカバーに入る前にスピードにのりレイアップを決めた

 

 

1-1

 

再びひなた保持でスタート

愛梨にボールが渡る

 

恵がしっかり愛梨の後ろについている

 

恵は何もしない

ただ手をあげるだけ

 

愛梨はシュートに行くが外れる

 

 

「愛梨、ひなた」

智花が心配そうにコートを見る

 

 

「湊さん(こういう形で仲間をみるのは初めてだから辛いだろうな。ここは田辺さんの経験勝ちだな)」

 

隆志の予想通り恵のゲームコントロールで4-1とあっという間にリーチに

 

 

「練習はウソをつかない。次で待つ」

隆志が叫ぶ

 

隆志は立場上どっちの応援もできない。だからあえてどちらにとっても応援に聞こえるようにこう言ったのだ

 

 

「どう受け取るかは本人達次第」

 

 

「「(おー隆志(君))」」

二人は隆志のエールが理解できたようだ

 

 

「(隆志、最後のシュートはオレが決めろってことだね)」

と、和樹

 

「(隆志君、ウチと勝負したいってことね。よーしのった)」

と、恵

 

 

隆志のエールは全員に届いた

恵がドライブでしかける

 

ひなたも食らいつくが恵を止められない

 

1本目と同じように恵のレイアップ

 

 

しかし

 

「えい」

愛梨がブロック

レイアップをはたき落とした

 

 

こぼれ球を和樹が拾う

「よっしゃ」

 

 

「ぶー行かさない」

和樹がとったボールをひなたがスティールする

 

 

しかし不運にもそのボールは恵の方へ

 

 

恵がシュート体勢に入る

愛梨がブロックに跳ぶ

 

 

しかし恵は氷のような冷静さでボールを横に流す

 

和樹がこのボールをしっかり決め勝利をおさめた

 

 

和樹&恵Aブロック予選突破

 

 

「湊さん。悔しいと思うけど次だ」

 

 

「ううん。隆志君。愛梨とひなたの成長が見れて嬉しかった。次だね頑張ろう」

 

 

「ああ」

 

 

 

次回隆志&智花 大爆発??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第三十九話 激戦Bブロック

Aブロックの人たちがコートから出て、Bブロックの人たちが入ってくる

 

 

「愛梨、ひなた、お疲れさま」

智花が声をかける

 

 

「おー智花。ひな達の分も頑張って」

 

「智花ちゃん頑張って」

 

 

「うん」 

 

 

「隆志最後のシュート決めたぜ」

 

 

「勝って本戦で勝負だよ」

 

「もちろん」

 

 

「おい、湊、隆志」

竹中が声をかける

 

 

「お前らのブロックは各小学校のエースたちばかりだぞ。そしてあの坊主頭の二人は中学生の期待のルーキーと呼ばれているPGの岩崎とCの森だ気をつけろよ」

 

 

「うん」

「ああ」

 

隆志達がコートに向かう

隆志達の相手は女の子の二人組だ

一人はポニーテール。一人はおかっぱだ

 

先攻は隆志チーム

 

 

隆志がボールを保持

ポニーテールが隆志にプレッシャーをかけ、おかっぱが智花へのパスコースを消している

 

 

「(いいDFだ。竹中が言うだけのことはあるな。けど気合いが入りすぎで、前に出すぎだ)」

ビッ

 

 

隆志が誰もいないゴール下へパス

智花が相手のマークを振り切りそのままレイアップ

これが決まり1-0

 

「ナイスパス」

「ナイスシュート(ウラのスペースがガラ空きだったからな)」

 

 

攻守交代

ポニーテールがボールを保持し隆志がつく、おかっぱには智花がつく

ポニーテールがドリブルを開始する

ダムダム

 

 

左に視線を向ける

隆志がそれにつられる

 

 

右に進もうとしたその時

ビシッ

 

 

智花が出れきてボールをスティールする

智花は一瞬で見抜いたのだ

 

 

隆志がわざと右に抜かせるスタンスをとっていたことに

 

 

「やっぱり湊さんはすごいね。一瞬でオレの狙いに気づくなんて」

 

 

「えへへ」

智花がハニカム

 

 

隆志達のOF

 

 

おかっぱはさっきのことからやや距離をとって智花についている

 

 

 

「(修正が早いところはさすがだな。でも、さっきのスティールで智花はかなりのってきたはずだ。今の智花を止めるのは難しいよ。そっちがエースなら智花は大エースさ)湊さん行け」

ビッ

 

隆志から智花へパス

 

 

パスを受け取った智花はすばやいドライブであっという間におかっぱを抜き去りレイアップを決める

これで2-0

 

「ナイスパス」

「ナイスシュート」

 

パチッ

 

再びハイタッチ

 

 

隆志達のDF

 

ボールはおかっぱからポニーテールへ

パスが渡った瞬間隆志が一気にポニーテールにつめよる。そうダブルチームだ

 

 

ポニーテールが慌てる

ビシッ

 

智花がスティールする

 

 

3回目のOF

隆志がボールを保持

 

 

「はい」

智花が隆志にパスを要求

ポニーテールも先ほどの智花の活躍から智花に視線がいく

 

 

「(今だ)」

隆志はその一瞬を見逃さなかった

パスフェイクを入れ、そこからドライブ、そしてレイアップ

これで3-0

 

 

3度目のDF

今度は隆志はおかっぱとの距離を開け、少しポニーテールよりに

 

 

「なめるな」

そこからジャンプシュート

 

しかし

ガンッ

 

 

シュートは外れた

 

リバウンドは隆志がとる

 

 

「(成功。E組のみんな見てるか)」

そう、隆志は今、打たせたのだ

 

 

4回目のOF

先ほどとは目が違うDF2人

 

 

「「来い」」

 

「(なるほどねエースの意地ってやつか)」

隆志がシュートモーションに入る

 

しかしポニーテールはつられない

「(冷静だな)」

ビッ

 

 

隆志はパス&ランでゴール下へ

ポニーテールも一瞬遅れたがついていく

隆志はゴール下付近で陣取る

 

 

そう、隆志本来のセンタープレー

 

すぐさま智花からのリターンパス&ラン

 

 

隆志はボールを受け、フリーになった智花へパス

 

 

パスを受けた智花はその美しいフォームからのジャンプシュート

 

スパッ

 

綺麗に決まった

4-0

 

 

4度目のDF

おかっぱがエースたる所以をみせた

「負けない」

 

鋭いクロスオーバーから右に

しかし智花がしっかりとついていく

更にロールで逆方向へ

智花もまだついていく

そこから更にロールで切り返す

智花を抜きそのままレイアップへ

 

 

「させないよ」

隆志がカバーに入りブロックして、ボールを保持

 

 

5度目のOF

おかっぱが必死に智花につく

 

 

「(さっきよりもタイトについてる分ウラがガラ空きだ。ここにパスを通すのは簡単だけど)」

隆志は0度の所までドリブルで行く

ポニーテールがついていく

 

 

トップに上がった智花にパス

そう。アイソレーションだ

 

 

「優しいね。わざわざ1ON1の場所を作ってあげるなんて。ウラに通せば一発なのに」

ポニーテールが話かけてくる

 

「君の相方と一緒でこっちもやる気になってるみたいだからね」

 

 

「あかねフォローにはいかないからね」

 

 

「湊さんパスはいらない。勝ちを決めて来い」

二人は相方に勝敗を託した

 

 

 

「恵まれてるね。私達」

 

「うん」

 

 

「さあ来い」

 

 

「行きます」

短い会話をすませ勝負に

 

智花も先ほどのあかねと同じクロスオーバーからのダブルロール

しかし、あかねは振り切れない

 

智花は横に身体を滑らせシュート

 

「ウソ??」

あかねも驚いている。

 

智花の超スーパープレーで幕が閉じたのだ。

 

 

「負けたよすごいね君。私はあかね。すみれ小6年」

 

 

「私は智花。慧心小の6年だよ」

 

 

「私もすみれ小6ねんのさやかだよよろしくね」

 

 

「オレも慧心小6年の隆志」

 

 

「二人のコンビネーションやばかったね。今度は公式戦で戦いたいな」

と、あかね

 

「私達の分も頑張って」

と、さやか

 

「うん」

 

互いにたたえ合った。

 

次の試合はうわさの中学生コンビ

PGの岩崎の華麗なドリブルとC森のパワーで圧勝した

 

 

「すごいコンビだね隆志君」

 

 

「そうだね。森さんに二人ついたら岩崎さんが外から射抜き、中の1ON1では森さんのパワーでねじ込む。強敵だよ。おそらく全勝同士の対決になるだろうね」

 

 

隆志の読み通り全勝対決となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第四十話  真っ向勝負

冬休み最後の更新です。



先に3勝をあげた隆志達は次あたる中学生コンビの対策を考えていた

 

 

「隆志君もうすぐだね」

 

 

 

「うん。湊さんあの二人にどう戦うつもり?」

 

 

 

「全力でぶつかろうって考えてるけど」

 

 

 

「あの二人にも弱点があるとしたら」

 

 

 

「弱点なんてあるのかな?二人ともすごく上手いけど」

 

 

 

「確かにあの二人は強い。得意分野ではね」

 

 

 

「あ!そうか」

隆志の一言で理解した智花

 

 

「そう。岩崎さんはパワープレーに弱いし、森さんは横の動きに弱い。二人ともPGとCだから当たり前といったら当たり前なんだけどね。オレと湊さんがDFを頑張ってとめて、OFのマッチアップを交代すれば勝てる」

 

 

「そうだね」

少し智花の表情が曇る。それを隆志は見逃さなかった

 

 

「でも、それはしない。真っ向勝負だ」

 

 

「うん」

智花が嬉しそうな表情になる

 

 

「(やっぱりね。自分より強い奴と小細工なしで戦いたいって顔してたからね)」

隆志は一瞬の表情の変化からよみとった

 

 

 

「二チームともコートに入って下さい」

「行こう。隆志君」

 

 

「うん」

 

 

先攻は森&岩崎チームに決まった

 

 

ピィー

 

 

笛の合図とともに、岩崎がボールを保持。

対するは智花

 

 

森につく隆志

 

岩崎155cm、森166cmに対し智花142cm、隆志152cm

相手が10cm以上でかい

 

 

森がインサイドに侵入しようとするが隆志が体でとめる

両者初のファーストコンタクト

 

「(やっぱ当たり強いな)」

隆志も腰を落とし踏ん張るがじわじわと押されてゴール下付近へ

 

 

ダムダム

岩崎がドリブルを開始する。警戒する智花

 

 

 

右に移動。智花もついていく

 

 

岩崎がジャンプし、上から森にパス

 

 

「(こい)」

隆志が気合いを入れる

 

 

森が一気にパワードリブル

ドリブルでゴール下まで押しこみターンしてシュート

これが決まり1-0

 

 

「(ギリギリだったな。このチビ、意外とやるな。思ったより苦戦した)」

 

 

 

攻守交代

智花がボールを保持

 

 

今度は隆志がインサイドに侵入し

 

 

 

「くれ」

隆志がボールを要求

 

 

智花から隆志へ

 

 

背中越しに森を見る。そしてパワードリブルで押しこむ。そしてターンシュート

 

 

「甘いぜ」

上から森がブロックし、そのままボールをひろう

 

 

「中々パワーはあるみたいだが身長差を考えるんだな」

 

 

「どうも」

 

攻守交代

岩崎がボールを保持

 

 

隆志が森にポジションを取らせないように踏ん張る。さっきより高い位置だがボールを入れる

 

 

先ほどと同じパワードリブルからのターンシュートを決める

2-0

 

 

再び攻守交代

ボールは智花が保持

 

 

隆志はインサイドに侵入せず0度へ。これに森もついていく。1ON1のスペースができる

智花がしかける

 

クロスオーバーで左へそこからのビハインドで切り返す

 

しかし岩崎もついていく

 

 

智花が一瞬の隙をつきジャンプシュート

しかし、身長差で岩崎にブロックされてしまう

 

3度目のDF

岩崎が二ヤリとする

 

 

智花と全く同じ動きからのジャンプシュート

 

 

スパッ

 

これが決まり3-0

 

 

やはり小学生では中学生には勝てない。

周りからはそういわんばかりの雰囲気だ

 

 

しかし、隆志も智花もあきらめていない。お互いに目を合わせる。

どちらもあきらめるなんて考えてない

 

「湊さん。次はオレにボールをくれ。絶対に決める」

 

 

「うん。信じてるよ隆志君。私も負けない!!」

二人の闘志が更に燃え上がる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第四十一話 負けられない理由

SIDE竹中

 

 

今、隆志達が試合している。相手は中学生コンビで今のところ3-0で負けていて

周りからは好き勝手に言われている

くそっ

お前達に隆志達の何が分かるってんだ

しっかりしろよ隆志、湊

オレはお前達と戦いたいんだ

あの試合の後、オレはずっとお前達2人にリベンジしたかった

個人で勝負は出来ても、あの二人が組むことはほぼない

そう思ってたけど、ここにきてそれが叶った

隆志、湊

絶対まけんじゃねえぞ!!

 

SIDE OUT

 

 

現在、隆志達のオフェンス。

智花がボールを保持し

隆志は森に体をぶつけポジション争いをしている

 

 

「当たりは中々いいけど、それじゃオレからは点は取れねえぜ」

森が話しかける

 

「あなたはCを始めてどれくらい経つんですか?」

 

「二年だな」

 

 

「そうですか。ありがとうございます。なら尚更負けるわけには行きませんね」

隆志がフッと笑うとすぐに智花にボールを要求する

「湊さん」

 

 

ビッ

 

智花からボールが渡る

 

 

ボールをキャッチすると同時に隆志はパワードリブルを始め、じわじわ中に追い込む

先ほどと同じようにターンする

 

 

「だからそれは通用しねぇって」

森がコースに回り込んでブロックに跳ぶ

 

 

しかし、隆志はシュートを打たない

森の左足よりも内側に自分の左足を入れ込み、跳ぶ。空中で森に体をぶつけ、弾き飛ばしながらも強引にシュートを決めた

 

隆志は着地と同時に森を見つめる。まるで自分の方が上だといわんばかりに

 

「何だよ」

森は隆志の視線が気に入らないようで睨みつける

 

 

「オレは三年です」

隆志は静かに呟くとディフェンスの準備に戻る

 

 

「隆志君ナイスシュート」

智花が駆け寄ってくる

 

 

「湊さんもナイスパス。さぁここから反撃だ」

 

 

「うん」

 

 

「ちっ」

 

 

「気にするな、まぐれだまぐれ。それにパワーはお前の方が上だからな。ボール入れるからやりかえせよ」

 

 

「おう」

 

 

攻守交代

 

 

ボールを岩崎が保持し、中に構えている森にパスを出す

 

 

ボールを受けた森はぐいぐい隆志を押しこむ

そしてターンしてシュートに入ろうとする

 

 

「(今だ)」

隆志の目が光る

一気に森との距離をつめる

数センチというところまで体を密着させる

 

「くそ」

無理やり森がねじ込むが外れる。

 

リバウンドは隆志が取る。

 

 

中学生チームは初めての攻撃失敗

 

 

勢いにのる隆志達

今度は隆志がボールを保持

 

 

「今度は外で勝負ってか」

 

 

「いいえ」

 

 

隆志は右四十五度の位置にいる智花にパスを出す

 

 

智花がボールを受け岩崎と1ON1の体勢

 

 

岩崎が構える

 

 

智花の高速ドライブ

一瞬で岩崎を抜き去りレイアップを決める

 

 

 

「(さっきまでとスピードが全然違う。さっきも決して遅くはなく動きは悪くなかったが今のは予想外だ)」

 

 

智花の美しいシュートに騙されがちだが、本来智花は生粋の点取り屋なのだ。体が温まってきたことと、先ほど自分のプレーを真似されたことで闘志に火が付いたのだ

 

 

「背が高くて上手いPGとだったら毎日勝負してます」

ニコッと智花が笑う。

先ほどとは別人のようだ

 

 

「ふ~ん。これは気合いを入れなおさないといけないな。なぁ森」

 

 

「おう」

中学生コンビの目の色が変わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第四十二話 失ったもの

一年前

 

ボールを持った岩崎が鋭いドライブをしかける

 

「すごいドリブルだあのPG」

 

 

「いけ森」

 

 

「おう」

パスを受けた森が力でねじ伏せシュートを決める

 

 

「すごいパワーだあのC」

 

「黄金コンビだ」

観客を沸かせる二人

 

岩崎 竜、森 健人

 

次世代を代表する二人として期待された二人

 

 

 

しかし、中学に上がった現在

 

 

「またスティールされたぞ。どうした岩崎」

 

 

「またブロックされた森」

 

 

「どうした!!それでも黄金コンビか」

 

 

中学に入学した二人は中学バスケの壁にぶつかっていた

 

 

高くなるリングに体つきの違う先輩達

 

 

二人はみるみるスランプに陥っていった

 

 

最初はそれでもと歯を喰いしばって頑張った二人

 

 

だが、時間が経つにつれ過去の栄光を振り返ってしまう二人

 

 

「あの頃はよかったよな岩崎」

 

 

「ああ」

 

二人はぶらぶら歩いてる時にある広告を見つけた

 

 

『13歳以下2ON2大会』

 

 

「13歳以下か出てみようぜ岩崎」

 

 

「ああ森」

 

二人は何となく出ることにした

流石に小学校でならした二人はあっという間に勝ち進んでいったが今、二人の小学生コンビに苦戦している

 

 

現在3ー2でリードしているものの二人に反撃されつつある

 

 

ボールは岩崎が保持

「(逆転のムードを断ち切る)」

 

 

体を使ったフェイクからクロスオーバー、レッグスルーで智花を崩しにかかる

 

 

「くっ」

智花の体勢がかすかだがくずれる

 

 

「(ここだ)」

ダム

 

 

その一瞬を見逃さずすかさずドライブで智花を抜く

 

 

そのままスピードにのりレイアップ

 

 

隆志がブロックにいく

 

 

「ここだ」

スッと森にパスを出す

 

 

そこに一本の手が伸びてきた

それは森のものではなかった。隆志だった

 

 

 

「(何だと。オレのパスを見破っただと)」

 

隆志はブロックにいくように見せかけすかさず森とのパスコースに入ったのだ

 

 

「ナイスカット隆志君。ありがとう助かったよ」

 

 

「うん。湊さん。次を決めて追いつこう」

 

 

「うん」

 

 

攻守交代

智花がボールを保持

 

 

岩崎がしっかりと腰を落とす。先ほどのようにはいけないだろう

 

 

 

隆志がハイポストに陣をとり智花にサインを送る

「(上)」

 

 

ビッ

智花はドライブにいくフェイクを混ぜ上を通して隆志にパスを送る

 

 

岩崎は先ほどの智花のドライブを警戒していたためこれに対処できない

 

 

 

「(ハイポストでも何か出来るのかコイツ)」

森が警戒する

 

 

隆志は右足を前に出してボールを受け取ると

右足を軸にして斜め後ろに跳ぶ

 

 

「(フェーダーウェーだと!!この距離から)」

 

スパッ

 

 

ボールは森の手を遠ざけリングへ入る

 

 

「追いついた。あの二人とうとう追いついたぞ」

観客が沸き上がる

 

 

「すごい!!すごいよ隆志君」

 

 

「湊さん次も止めよう」

 

 

「うん」

 

 

「切り替えるぞ森」

 

「おう」

 

再び攻守交代

ボールは岩崎が保持

 

ビュー

ワンドリブルをついて素早くゴール下の森へ矢のようなパス

 

 

「(これがオレの全力だ)」

森のフルパワーのパワードリブル

 

 

「くっ」

 

 

隆志が弾き飛ばされる

 

 

森はここから冷静にシュート

 

 

「あきらめるか~~」

隆志はすぐさま起き上がりブロックに跳ぶ

 

 

「届くはずがないあの身長差だぞ」

 

 

「いえ、隆志君ならやってくれます」

 

 

智花はリバウンドに備える

 

 

隆志の指先がわずかに触れるか触れないかの微妙な距離

 

 

シュートはガンッ

 

外れた

 

 

リバウンドは智花がとった

 

 

 

再び攻守交代

 

 

智花がボールを保持し一度ハイポストの隆志にボールを入れ、リターンパスを受けるとすぐさま加速しドライブ

 

 

「甘いぜ」

 

岩崎がコースに入り、智花とぶつかる

 

シュッ

 

智花はぶつかりながらもシュートを放つ

 

ポスッ

 

ボールはリングに吸い込まれるように入った

 

「(オレにぶつかりながらもゴールから目を離さなかった)」

 

 

攻守交代

岩崎がトリプルスレット(ドリブル、パス、シュートどれにでもいける体制)に入る一瞬。智花の右手がボールをスティールした

 

 

「よしっ」

智花が吠える

 

 

「(これだ。この気迫。熱い想い。一年前のオレたちが持ってて失ったものは強い相手と戦いわくわくする感覚。あの頃は技術より気持ちで勝負してたっけ)」

 

 

 

攻守交代

智花からのパスを受け取った隆志が絶妙なフェイクで森をかわしシュートを放つ

 

 

バシッ

 

後ろから跳びこんできた岩崎がブロック

 

「しゃ~~~~」

岩崎が吠える

 

 

 

「岩崎、お前。そうかそうだったんだな。オレたちが失ったものはこれか」

 

 

そこから岩崎達がシュートを決め、隆志達をブロックし4-4からゲームが動かなくなった

 

 

 

そしてそこから10回目の隆志たちのオフェンス

 

 

智花がドライブをしかける

 

 

「キレがないぜ」

岩崎の右手がボールに触れようとした瞬間にボールを背中に通すビハインドパス

 

 

「オレがさっきみせた技」

 

ボールは一直線に隆志へ

 

 

「(ここで決める)」

隆志が今までより高い打点でシュートを放とうとする

 

 

「させるか」

身長差を生かし森が追いつく、森の右手がボールを捕らえる

 

 

 

「決めるんだ」

隆志は両手を突き上げ森の右手をはねのけシュートする

 

 

ドンッ

力強い音をたてバックボードに当たりリングを通過する

 

 

「負けたよ。お前いいCだな」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「君達とやれてよかったありがとう。優勝してくれな」

 

「は、はい」

「あ、ありがとうございます」

緊張が見える二人

 

握手する二チーム

 

「(不思議だよなこうしてるとオレたちの方が絶対強そうなのにな。オレも森も大切なことを思い出せてよかった)」

 

 

 

隆志&智花予選突破!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第四十三話 予選終了

side伸二

隆志達が勝ったか。アイツは本当にすごいやつだな。中学生に勝つなんて。次はオレの番だ竹中達男バスがいる。やってやる

 

sideout

 

 

隆志と智花が帰って来る

割れんばかりの拍手がかえってくる

 

 

「隆志」「智花」

女バスメンバーとE組メンバーが集まる

みんなでわいわいやっている

 

 

「隆志、湊」

 

 

「よくやったな。次はオレたちの番だ、絶対お前達と勝負するからな」

 

 

「うん。頑張ってね竹中君」

 

 

「油断してると足元すくわれるぜ」

 

 

「ああ。任せろ。油断なんてしないさ」

 

 

「隆志、この前はお前に抜かれまくったからな。今度はオレがやり返させてもらうぜ」

 

 

「ああ。オレも負けない戸嶋」

竹中も戸嶋もコンディションは抜群のようだ

 

 

「オレたちもいってくるぜ。オレのスピードをみとけよ」

 

 

「光、伸二頑張れよ」

隆志が手を差し出す

 

 

バチッ

 

 

音が鳴り響く

 

 

Cブロックの試合が始まる

いきなり竹中&戸嶋コンビ対光&伸二コンビの試合となった

 

 

「先攻はお前達にやるよ」

戸嶋が提案する

 

 

「お前川原じゃないか。髪を丸めてたから気づかなかったぜ。今さら何しに来たんだ?」

 

伸二は隆志達に自分の過去を話した次の日に何と坊主にしてきたのだ。クラス一のおしゃれ男と呼ばれていた伸二が

 

 

 

 

「バスケをやりに来た。あの時のオレとは違う。先攻はありがたくもらう」

 

 

 

 

「さぁ見せてやれ伸二。自慢の髪を丸めてまで真剣に取り組んだお前の新しいバスケを。光、お前の磨きをかけたスピードを」

 

 

「隆志君はどっちが勝つと思う?」

 

 

「実力は圧倒的に竹中達だけどね。さてどうなるかな?」

 

 

「隆志っちなんでどうなるかなの?夏陽達の方が上手いんだったら夏陽達が勝つんじゃないの?」

不思議そうに真帆が尋ねてくる

 

 

「勝負の世界は何が起こるか分からないからね。その日の体調でも変わるし、少しの油断でも変わるからね。勝負には流れがある。流れをつかんだ方が勝つ確率が上がる」

 

 

「良く分からないよ隆志っち~話が難しすぎるよ」

 

 

「おー隆志大人~」

 

 

「何となくだけど少し分かったわ」

 

 

「紗季ちゃんすごい私は分らなかったよ智花ちゃんは?」

 

 

「私も何となくだけど、隆志君そんなこと考えながらやってたの?」

 

 

「まぁ理屈を並べただけだけでそこまでは考えてないけどね。ようは最後まで絶対にあきらめないってことさ」

 

 

「それなら分かる」

 

「ヒナも」

 

 

「私も」

 

 

「そろそろ始まるよ」

 

 

ボールは川原が保持

 

 

マッチアップは伸二に竹中、光に戸嶋

 

 

「来い」

竹中が気合いを入れる

 

 

「光」

ビッ

 

 

光にボールを出すと同時に光の方に走りだす

 

 

「戸嶋スクリーンだ」

 

 

竹中も戸嶋も予想外のことに反応が遅れる

 

 

「よっしゃー」

光が叫びともに川原の逆のほうへ一気にスピードをあげる

 

 

戸嶋が抜かれる

 

 

「任せろ」

竹中がカバーに入る

 

 

「遅い」

竹中がカバーに入る前にレイアップを決める

 

 

1-0

 

 

「竹、切り替えていこうぜ」

 

 

「おう」

 

 

攻守交替で戸嶋がボールを保持

 

 

「竹」

 

 

竹中がボールを受け取る

 

 

伸二が構える

「(まだまだ隙だらけだが前見たド下手な川原とは違う。隆志めどういう鍛え方したんだよ。まぁ抜けないことはないから関係ないんだけどさ)」

 

 

竹中がトリプルスレットに入る

 

 

その瞬間

 

バシッ

 

川原が狙いすましたかのようにスティールした。

 

 

「何だと」

竹中が驚く

 

 

竹中の動きは決して悪くなかった。今のは伸二が上手かったのだ

 

再び攻守交代

 

 

ボールを伸二が保持

先ほどと同じように光にパスを出しスクリーンをかける

 

 

ボールを持った光

 

 

 

先ほどのようにスピードにのる光。今度は伸二を上手く使い戸嶋を抜く。しかし今度は竹中が真正面に入る。

 

 

このまま行けば光のファールになってしまう

 

 

「伸二」

光が伸二にパスを出す

 

 

伸二も光の出しやすい位置を取る

 

 

ビッ

間髪入れずに伸二からのリターンパス

 

 

竹中をかわしたところでパスを受けレイアップ

これが決まり

 

2-0

 

「なあなあもっかん。川原のやつは何やってるんだ」

 

 

「あれはスクリーンっていって自分の体で壁を作って相手の動きをとめるものなの」

 

 

「ふ~んスクリームね」

 

 

 

「スクリーンよ真帆。智、あれはファールにならないの?」

 

 

「スクリーンをかける側スクリーナーは動かなければ大丈夫だよ」

 

 

「おー試合再開」

 

 

 

再び攻守交代

 

 

 

ボールは戸嶋が保持

 

 

光は竹中よりに立つ

 

 

「なめるな」

シュッ

 

 

戸嶋がシュート

 

しかし

ガンッ

 

 

ボールはリングに嫌われる

 

「くそっ」

 

 

悔しがる戸嶋

 

 

攻守交代

伸二がボールを保持

 

 

光にパスを出す

 

「何度もやらせるか」

 

戸嶋へのパスコースを消しにかかる

 

 

しかしフェイク

伸二はドライブへ

 

 

しかし

「よめてるぜ」

竹中がスティールする

 

 

「さっきのお返しだ」

 

 

「伸二どんまい」

 

 

「わりぃ光」

 

 

攻守交代

 

戸嶋から竹中へ

 

 

「認めるぜお前らのこと。でも、勝つのはオレたちだ」

 

伸二がスティールを狙う

 

「タイミングはもうつかんだぜ」

竹中が肘で手をはらう

 

 

竹中がドライブで伸二を抜き去る

 

 

「いかせない」

光がカバーに入るが華麗にロールでかわす

 

 

そしてジャンプシュート

 

 

スパッ

 

 

1-2

「よしっ(決まったが何か攻めづらいな)」

 

 

 

「レベルが違う」

光が今のプレーにレベルの差を感じていた

 

 

「あきらめるのか光?」

 

 

「まさか、オレにだってここまで練習してきた意地がある。みせてやるぜオレの意地」

 

 

「オレたちのだろっ」

 

 

「伸二。そうだな」

 

 

 

そこからは竹中達が県大会出場の力を見せる

圧倒的にレベルが違った

 

 

しかし、伸二達はあきらめなかった

最後まで意地を見せた

 

 

4-2とリーチをかけられた

 

 

竹中がドライブで抜くが伸二が後ろからバックチップで弾く

 

 

それを戸嶋が拾ってドライブをしかける

 

「(外に)」

外側に抜かせた

 

そこからシュート伸二も光もブロックにいくが届かない

 

 

シュートは決まり負けが決まる

 

 

だが、二人は最後まで意地を見せた

抜かせる時は外側へ、シュートには必ずチェックを入れる

 

 

『やりづらい』

二人は最後までこれを貫いた

 

「川原、お前いい動きするようになったな」

竹中が声をかける

 

「負けちゃったけどな」

 

 

「光山もこの前よりも早くなってたぜ」

 

 

「おう。サンキュ」

 

 

 

Cブロックは竹中&戸嶋コンビに決まった

 

 

「光、伸二お疲れ」

E組メンバーが集まる

 

 

「隆志、オレたちの分も頑張ってくれ」

 

 

「ああ。伸二任せろ」

 

 

Dブロックは紗季&真帆コンビが予選を突破した

「やった紗季、真帆」

 

「おーやった」

 

「二人ともすごい」

智花達も大喜びだ

 

 

 

「ちっ、相手に恵まれたな」

 

 

「まぁそういうなよ竹中(どうしてそんなに嫌そうなんだろ)」

 

 

Eブロックは何と力也&淳也コンビが予選を突破した

 

 

Fブロックは男二人

竹中の解説によると西小の荒川と岩田というらしい

二人とも身長は低いがスピードのあるコンビだった

 

 

Gブロックは女二人

竹中の解説によると竹葉小の智原と林というらしい

外から高確率のシュートを二人とも持っている

 

Hブロックは男女のペア

竹中の解説によると大城小の男女の双子村田

双子の阿吽の呼吸で抜群のコンビネーションを持っている

 

 

「(しかし、オレに、和樹、力也、淳也。こんなに本戦に残るとはな。やはり成果はでてきてるんだろうな)」

 

 

「隆志君。とうとう本戦だね」

 

 

「うん湊さん勝ちにいこう」

 

 

二人で拳を合わせる

 

 

 

 

 

 

本戦開始!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第四十四話 隆志VS恵

お気に入りがとうとう100を超えました。とてもうれしいです。お気に入りにしてくれた皆様ありがとうございます


予選が終わり30分の休憩があたえられる。

 

作戦会議をする者、シューティングする者、お互いの調子を確かめるために1ON1をする者、休息を取っている者。各々で調整している

 

 

 

隆志達はシューティングにはげんでいる

 

 

シュッ

智花がジャンプシュートを放つ

 

 

スパッ

 

「ナイスシュート。調子いいね湊さん」

 

 

「うん。このバッシュすごくいいよ」

 

 

「オレも結構このバッシュに慣れてきたよ」

 

二人とも調整は上手くいっている

 

 

 

「お~い隆志」

次の対戦相手の和樹と恵がやってくる

 

 

「おう和樹、田辺さん次はよろしく。お手柔らかに」

 

 

「二人とも次はよろしく」

 

 

「負けないぞ~隆志。それと隆志の彼女さん」

 

 

「ふぇ!!か、か、か彼女じゃないよ」

 

 

「違うよ和樹」

二人とも慌てている

 

 

「C組の湊さんだよね。ウチはE組の田辺 恵だよ。今日はよろしく」

 

 

「よろしく田辺さん」

 

 

「恵でいいよ」

 

 

「うん。恵ちゃん。恵ちゃんはバスケ経験者だよね」

 

 

「うん。そうだよ。クラブチーム」

 

 

「そうなんだ。今日はよろしくね」

 

 

「うん。よろしく。あ、隆志君。今日は隆志君ととことんやりあいたいな」

 

 

「それは作戦次第かな」

 

「じゃあ後でね」

 

 

 

「隆志君どうする?」

 

 

「正直、オレが和樹とマッチアップして湊さんが田辺さんとやりあった方が勝率が高いと思う」

 

 

「隆志君。恵ちゃんとやりたいんじゃないの?私に気を使わなくていいよ。恵ちゃんも隆志君とのマッチアップを望んでるよ。いつも隆志君は私がやりやすいようにサポートしてくれる。今度は私がサポートにまわるよ」

 

 

「ありがとう。湊さん」

 

 

「行こう隆志君」

 

 

休憩が終わり試合が始まる

 

 

 

 

先攻は和樹チーム

 

 

ボールは和樹が保持。恵は45度のポジションに

 

 

 

「恵」

 

和樹からパスが渡る

和樹は逆サイドに移動

 

 

すなわちアイソレーション

1ON1を意味する

 

 

「隆志君フォローにはいかないよ」

 

 

 

「いくよ隆志君」

ダム、ダム

 

恵が軽くドリブルをつき一気に加速

 

 

「(早い)」

 

 

スピードだけで隆志をかわしてシュートを決めた

1-0

 

 

 

「ドンマイだよ。隆志君」

 

 

「うん。湊さんパスちょうだい」

 

 

「もちろん」

 

 

攻守交代で智花がボールを保持

 

 

隆志も45度の位置へ

 

 

両チームとも完全に同じ作戦

 

 

隆志が智花からのパスを受ける

 

 

「(さてどうするか。インサイドに持ち込んで勝負するかそれともアウトサイドで勝負するのか。インサイドに持ち込めば負ける気はしないがここはアウトサイドから攻める)」

 

 

左へフェイクを入れ、右へドライブ

 

 

しかし恵はつられない。

 

 

隆志と全く同じタイミングで同じ方向へ進み、ボールをスティールする

 

 

「くっ」

 

 

「そのフェイクは何度も使ってるからね。もう何回もマッチアップしてるんだよ。簡単には抜かさない」

 

 

「やるね。次はオレが止める」

 

 

 

攻守交代

先ほどと全く同じアイソレーション

 

 

恵のドライブ。隆志もついていく

 

 

クロスオーバーで方向転換

 

隆志も負けじとついていく

 

 

「(よし。ここだ)」

隆志が右手でボールをスティールしようとする

 

恵がタイミングをあわせてロール

 

 

隆志を振り切りシュートを決める

 

 

「(完璧にタイミングまで読まれている)」

 

 

動揺している隆志にまともな攻めが出来るわけがなくずるずると崩れていく

 

 

次も恵に止められ、決められ、止められ

 

 

次を決めればリーチ

 

 

「(やっと落ち着いた。田辺さんにオレの動きが分るなら。その逆だって。次は左へドライブだ)」

 

 

隆志の読み通り左へドライブ・・・・・・ではなかった

 

 

「(ジャブステップ。体が間に合わない)」

 

 

左へ体が傾いた隆志をあざ笑うかのように恵はジャンプシュートを放つ

 

 

智花ほどの綺麗なフォームではないが練習で固めたフォーム

ボールはリングへ突き刺さり

敗北へと追い込む

 

 

「こんなもんじゃないでしょ隆志君は」

その声は味方の智花

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・ではなく恵だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第四十五話 本来の姿

「こんなものじゃないでしょ隆志君は」

そのエールとも思える声は味方の智花ではなく恵だった

 

「田辺さん?」

 

 

「がっかりさせないでよ。私は全力できてるんだから。隆志君も全力できてよ」

 

 

「全力でやってるよ」

 

 

「なら何でそんなに涼しそうな顔しているの。もっと本気でぶつかってきてよ」

 

 

「え?」

 

 

「隆志君」

智花がかけよる

 

「湊さん?」

 

「私もそう思う。確かに隆志君のドリブルやパスはこの前の試合よりも上手くなってると思う。上手く言えないけど隆志君は上手くなっているけど上手くないっていうか。えーとその隆志君のことを下手って言ってるわけじゃなくてえーとその」

 

 

「お前はお前ってことだよ」

観客側から声がする

 

 

 

竹中だ

 

 

「お前のことだどうせE組のやつらに見せるために力を無意識にセーブしてるんだ。それがお前の弱点なんだよ。アシストや地味な黒子に徹する。お前のバスケを見せてみろよ隆志」

 

 

「そうだべ隆志、オイラ達は隆志がすごいのは認めているべ。」

 

 

「お前はオレたちに気を使いすぎなんだよ。お前のパワーを見せてくれ」

 

 

「隆志、君はウチのクラスのリーダーだ。でも、それを重く感じすぎてる。君は君だ」

 

 

「本当はオレより速いんだろ隆志」

 

「隆志頑張れ」

 

「当日は黒子にはオレが接する。だからお前の思うようにやれ。お前がいったんじゃないか選手には活躍するべき時があるって。今がそうだろ」

 

 

竹中に続き

安芸、力也、淳也、孝輔、伸二が声をかける

 

「みんなありがとう。見ててくれオレのプレーを。田辺さんの言うとおりだよ。ごめん。今からが本当の勝負だ。湊さんどんどんパスくれ」

 

 

「そうこなくっちゃ」

 

「もちろん」

 

「君達早くしなさい」

審判に注意されセットアップする両チーム

 

 

 

 

攻守交代

先ほどと同じ動きで隆志と恵を1ON1に持っていく

 

 

 

パスを受け取った隆志

ボールを受けた隆志の目がギラリと光る。

 

 

恵も心なしか少し後ろに下がる

「(これだよこれ。これが本当の隆志君なんだ。でも、コースは分かる。このまま右にドライブがくる)」

 

 

ダム

 

 

先ほどとは音が違う。そしてドライブの一歩目のスピードも違う

 

 

しかし恵の読み通り隆志は右に

 

 

「(読まれたか流石だね。でも、関係ない!!)」

 

ガシッ

 

激しい接触

 

 

恵を弾き飛ばしシュートを決めた。

 

 

 

「(読まれてようと関係ない。もともとドリブルの苦手なオレだ相手を弾き飛ばして決める。なまじ技術が上がったからそれに頼りすぎてた。もともとオレに技術なんてなかった。あるのは気持ちだけ。それはどんなに上手くなろうとも技術がつこうとも関係ない。オレの一番の武器だから)」

 

 

心の持ちようによって人は変わる

スポーツにおいてメンタルは大きく左右する

迷いを無くし、暑い想いで燃え上がる隆志のメンタルは隆志を更なる成長をとげた

 

次のディフェンス

 

 

「ディフェンス」

大きな声とともに激しいプレッシャーをかける

 

 

パス、ドリブル、シュート

何もやらせないといわんばかりに腰を落として

攻めるようなディフェンス

 

「(おとなしくやるなんてディフェンスじゃない)」

 

 

「(すごいプレッシャー!!でも、私はまだドリブルを使ってない。ドリブルを使った後にこのプレッシャーをかけるのは分かるけど、こんなにつめてくるなら抜ける)」

左にフェイクを入れ、右へ

 

 

隆志がぴったりとつく

そのままスティールする

 

 

 

「まだまだこれからだよ」

 

 

「ダメだよ、次抜かれたら負けちゃうもん」

 

 

お互いニヤリとする

 

 

攻守交代

 

 

「今度は負けない」

さっきよりも腰を落とす恵

 

 

「甘いよ」

右ドライブからレッグスルーで急ストップからのクロスオーバーで抜いた

 

 

腰を落としすぎている恵には対応しきれない

 

 

 

「頭もちゃんと使うよ」

ニヤリと笑う隆志

 

 

隆志は成長した

もうパワーだけの選手ではない。アウトサイドのプレーも取り入れプレーの幅が広がったのだ

 

 

フッ切れた後の隆志達は恵達を完全に抑え込み

5-4で逆転勝利した。

 

 

パチン

智花と隆志がハイタッチ

「やったね」

笑顔の智花

 

 

「迷惑かけたね」

 

 

 

「やっぱり隆志君はすごいね」

 

 

「そんなことないよ。湊さんの方こそ」

 

 

「じゃあなバカップル」

和樹はそういうと帰っていった

 

 

「気にしないで、きっと負けたのが悔しいだけだよ。それより負けちゃったな。でもいいんだ。本気の隆志君とやりあえたし。球技大会じゃ戦えないもんね」

 

 

 

「田辺さん、ありがとう。田辺さんのおかげで強くなれたよ」

 

 

 

「なら良かった。智花ちゃん。頑張ってね」

 

 

「うん。ありがとう」

 

 

「ちょっと羨ましいな」

恵がポツリと呟く

 

 

「みんなありがとう」

隆志がみんなに頭を下げる

 

 

「別にお礼を言われる筋合いはねえよ。お前達と戦いたいだけだ」

竹中がそっぽを向く

 

 

「それは無理だ夏陽。お前たちは私達に負けるんだからな」

真帆が二ヒヒと笑みを浮かべる

 

 

 

「・・・・お前なんかじゃ勝てねぇよ」

 

後ろを向いたまま竹中が答える

 

 

 

それはいつもの竹中とは別人のような

低く、暗い声だった

 

 

次回竹中&戸嶋VS真帆&紗季

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第四十六話 圧倒的勝利

「そんじゃみんな行ってくるぜ~」

ブイとブイサインの真帆。あきらかにテンションが高い

 

 

「ちょっと真帆。少しは落ち着きなさいよまったくもう。みんな応援よろしくね」

紗季は真帆とは逆に落ち着いている

 

 

「真帆、紗季頑張って次で勝負しよう」

と、智花

 

 

「二人ともがんばって」

と、愛梨

 

 

「おー頑張れ」

と、ひなた

 

 

竹中達はとっくにコートに入り準備している

 

 

 

 

「(竹中のやつどうしたんだろう。表情がおかしい?どこか鬼気迫るような感じだ)」

 

 

 

 

「竹、負けることはまずないと思うが作戦はどうする」

 

 

「・・・・・・ボソッ」

 

 

 

「え?分かった(何かすごいムキになってないか?)」

 

 

 

両チームがコートに入り試合が始まる

 

 

先攻は真帆チーム

 

 

ボールは紗季が保持。

マークにつく戸嶋

 

 

「二ヒヒ、いくぞいくぞ」

真帆がトリッキーな動きで動き回る

 

 

予選を突破出来たのも、真帆の運動量の高さとシュート力。そこにピタリと息のあったパスを送る紗季の冷静な判断力に真帆にも劣らないシュート力にいく時はいく思い切りの良さ。幼なじみであることから二人はお互いの動きがよく分かっているのだ

 

 

 

「真帆」

紗季から真帆へ

 

 

真帆がボールを受ける

「いくぜ夏・・・陽」

 

真帆がボールを受け取った瞬間に竹中がボールをスティールした

 

 

 

「ちくしょう夏陽め」

 

 

「真帆ドンマイよ次いくわよ」

 

 

攻守交代

マッチアップは両チームとも同じ

 

 

 

ボールは戸嶋から竹中へ

 

 

「こいや夏陽」

 

 

「・・・ふん」

竹中のドライブ

 

 

真帆は一歩も動けない

 

 

そのままレイアップを決める

 

 

「悔しい。紗季今度は私がボールを持つ」

 

 

「分かったわ頼んだわよ」

 

 

「戸嶋」

 

 

「分かってる」

 

 

ボールは真帆が保持

 

 

「紗季?」

紗季には戸嶋がフェイスガード。これではパス出来ない

 

 

 

「夏陽に勝てばいいだけだ」

真帆がドライブをしかける

 

 

が、意図も簡単に竹中がボールをスティールする

 

 

 

「やっぱり竹中君は強いね。大丈夫かな真帆ちゃん達」

 

 

「うん」

 

 

「おー竹中達は強い、でも、今日の竹中どこか変」

コートサイドで心配する女バスメンバー

 

 

「(確かにおかしい。竹中は普段こんなプレーをするやつじゃない。まるで格の違いを見せつけるかのように。湊さんも分かってるからか表情がくらいか?竹中の実力をよく知ってるのは湊さんだ。その竹中がこんなプレーをするなんて。相手を叩きのめすようなのは湊さんは嫌だろうし)」

 

 

あっという間に4-0

 

竹中が完全に真帆を押さえている

 

 

「(どうにかしなきゃこのままじゃ。戸嶋のディフェンスが崩せない。あ!!それなら)真帆」

 

 

 

真帆の方に走っていく紗季。

真帆もドリブルをつこうとしていたがやめた。お互いに考えが以心伝心できたのだろう 

 

 

紗季の行動それは・・・・・・・・・スクリーン

 

 

 

竹中も予想外であった

これで一瞬だがスペースが出来た

真帆がスライドしてシュートモーションへ

 

「ナイス紗季。パーペキ」

 

 

「竹、スイッチ」

戸嶋が的確な指示

 

 

 

「いや、ファイトオーバーだ」

 

 

『スイッチ』

つまり戸嶋はマークマンをチェンジするように提案した

 

 

しかし竹中は

『ファイトオーバー』

そのままついていくことを提案

 

 

確かにスクリーンをかけられた時はファイトオーバーでついていくのがいい。

しかし、ここまでズレが生じたらスイッチの方が的確だ

 

 

竹中は強引に紗季のスクリーンを力でねじ伏せ

 

 

バシィィィィィィーーーー

 

 

ブロックショットを決めた

 

 

竹中の無情なまでのブロックショットの後は竹中のフルドライブ&ジャンプシュートをしずめ完封勝ちをおさめた

 

 

「真帆」

真帆が心配で声をかける紗季

 

 

「うえぇえん」

真帆は泣きながら走り去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第四十七話 本気になれるもの(真帆編)

更新が遅れてしまい申し訳ありません。


「真帆」

 

走り去っていく真帆を追おうとする紗季。

 

 

「永塚さん待って、ここはオレが行く」

 

 

「でも、」

 

 

「ここはオレに行かせてくれ」

真剣な隆志の表情

 

「ええ。任せたわ」

 

 

「隆志君真帆をお願い」

 

 

「斎藤君」

 

 

「おー隆志になら任せられる」

 

 

「みんなありがとう。行ってくる」

真帆を追う隆志。

 

 

 

竹中達も戻って来る。

 

「竹中君」

いつもより強めの智花の声

 

 

「な、なんだよ湊」

竹中も思うところがあるのかバツの悪そうな顔をしている

 

 

「何であんなプレーをしたの?」

おとなしい智花の声だが目は真剣だ

 

 

「・・・・何か問題でも?オレは全力でやっただけだ」

そっぽを向いて答える

 

 

「確かに全力だった。でも、いつもの竹中君じゃないよ」

 

背を向けていた竹中はクルリと反転し

「オレはお前らと戦いたいんだよ!!次勝ったらお前らと戦える。そう思ったら自分の気持ちが抑えられなくなったんだ。だからいい勝負にしようぜ」

 

 

「そうだったの。うん。いい勝負にしよう」

竹中から本当の気持ちを聞き納得した智花はいつもの表情に戻っていた

 

 

「(本当にそうなのか?)」

隣で聞いていた戸嶋は疑問に思う

 

 

一方場所は変わって・・・・・・・・・公園

 

 

 

 

ヒックヒック

真帆が泣いていた。

 

 

「三沢さん」

隆志が追いつき名前を呼ぶ

 

 

「隆志っち」

隆志の胸に顔をつける真帆。

隆志は優しく真帆の髪に手を置きそっとなでる。

「いいよ。思いっきり泣いて」

 

隆志の言葉がスイッチになったのか更に泣く。

 

 

それから数十分後、真帆が口を開く。

 

 

「今まで何をやっても、すぐ上手くなって、すぐに飽きるの繰り返しだった。でも、バスケってどんなに練習しても、シュートが全部決まるようにはならないし、ドリブルも思ったようにいかないし、キツイことだらけだけど、とっても楽しくて面白いんだ。」

 

 

「うんうん。バスケは面白いよね」

 

 

「夏陽には全然通じなかった。悔しいよ」

 

 

「竹中も三沢さんと同じくらいバスケが大好きでいっぱい努力してるからさ。追いつくのは時間がかかるよ。でも、悔しいって思えるってことは三沢さんは初めて本気になれるものを見つけたんだよ。それが分かっただけでもこれからもっと上手くなるよ」

 

 

「うん。もっともっとバスケが上手くなりたい」

 

 

「三沢さんバスケは好き?」

 

 

「うん!!大好き!!」

 

 

「その気持ちが一番大事だよ。みんなに心配かけるといけないからそろそろ戻ろうか」

 

 

「うん。隆志っちありがとう」

いつもの笑顔で元気に答える真帆

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「みんな心配かけたね。もう大丈夫」

戻った真帆はみんなに謝る

 

 

「まったく真帆は心配かけて」

紗季はやれやれといった感じであるがホッとした表情をしている

 

 

「おー真帆おかえり」

 

「おかえり真帆ちゃん」

ひなたと愛梨が笑顔で迎える

 

 

「真帆。良かった」

 

「えへへ。もっかん、隆志っち、私の分も頑張ってね」

 

「うん。真帆の分もがんばる」

 

「がんばるよ」

 

 

「おい、隆志、いよいよだな全力で勝負だ」

 

「竹中、オレたちは負けない」

火花が飛び散る

 

 

 

 

次回隆志&智花VS竹中&戸嶋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第四十八話 得意技

コートに4人が真剣な表情で入る。

 

 

隆志、智花と竹中、戸嶋だ。両者最高のコンディションといわんばかりにオーラが出ている。まるでその場所だけ別次元。

 

 

観客も予選を見て二チームの試合を楽しみにしている

 

 

先攻は竹中チーム

 

 

竹中がボールを保持。マッチアップは智花

「行くぜ!!隆志、湊!!」

 

竹中が掛け声と共にドリブルを開始する。

 

 

智花も腰を落とす。

 

 

その瞬間、竹中はストップし、ジャンプシュート

ドリブルからのストップ&シュート

その一連の動作はものすごく滑らかだ

まるで智花のような

 

スッ

 

 

リングに綺麗に決まる。

 

1-0

竹中チームの先制。

 

「よっしゃ」

 

 

「竹、ナイスシュート」

 

 

「ドンマイ湊さん。今のは仕方ないよ。それにオレたちはまだ攻めてない。0点なのは当たり前」

 

 

「うん。隆志君」

 

 

「分かってるよ(パス頂戴って顔に書いてあるからね。それにしても今の竹中の動きは智花みたいだった)」

 

 

攻守交代して隆志がボールを保持。

 

 

「(任せたよ)」

ビッ

 

 

右四十五度で待ち構える智花にパス

 

 

「来い湊」

竹中が腰を落とす

 

パスを受けすぐさまドライブ

 

 

「(湊得意のチェンジ・オブ・ペースじゃない?)くそ」

意表を突かれた竹中だが持ち前のフットワークでリング前まで回り込みシュートコースを塞ぐ

 

 

クルッ

 

素早いロールで切り返し、レイアップを決める。

1-1

 

隆志チームがすぐさま同点に追いつく。

 

 

「(今のは竹のドライブ&ロールのコンビネーション。どうやらお互いにお互いを意識してるみたいだな。次はオレの番だ)」

 

 

再び攻守が入れ替わる

戸嶋のボールでスタート

 

 

隆志がマッチアップする。

 

 

戸嶋から竹中へ

 

 

竹中がボールを受け、智花の様子をうかがう

 

先ほどのこともありシュートにも対応できるように調整してくる

 

 

「(流石は湊だな。修正が早い。ここは戻すか)」

ビッ

 

竹中がいったんボールを戸嶋に戻し、仕掛けやすいように動く。

 

 

戸嶋がドライブのフェイクを入れる。

 

 

この動きに隆志がつられる。

「(しまった)」

 

 

智花が素早いカバーリングでいつでもカバーに入れる位置をとる

 

「竹」

フリーになった竹中にパス

 

 

戸嶋は竹中にパスを出し、そのままゴール前に走る

 

 

「(一旦、切れて、逆サイドに展開か?)」

 

 

しかし、戸嶋はローポストに陣を取る

「(戸嶋がセンタープレー?まさか?)」

 

竹中からボールを受け取った戸嶋はターン

 

 

「(させるか)」

隆志が慌ててブロックに跳ぶ

 

戸嶋の動きはフェイク

 

隆志が着地する前に冷静にシュートを決める。

 

 

「どうだ隆志。」

 

 

「やられたよ。戸嶋がセンタープレーとはね」

 

 

「アシストを決めるだけがPGじゃないからな。お前のセンタープレーは盗んだぜ」

 

戸嶋は昨年の県大会出場時、竹中と共に五年生ながらレギュラーを務めた。

戸嶋は正当派PGだった。

 

 

高レベルのPGは自らも得点できる。

それを実感した戸嶋はドライブを磨いた。しかし、戸嶋は伸び悩んでいた。その時隆志と出会いセンタープレーのヒントを得た。

 

センタープレーが出来ればオフェンスの幅が広がる。

自分より小さなPGが出てきた時に中でのミスマッチが狙える。

中に意識がいけばPGの本来の仕事パスが通しやすくなる。

 

戸嶋はオールラウンドPGへ芽が出したのである

 

 

「オレもお返ししないとね」

隆志がドリブルを開始する。

 

レッグスルーで戸嶋の動きを見る。

 

レッグスルーからクロスオーバーで戸嶋を抜き去る。

 

 

 

竹中がカバーに入る

「行かすか」

竹中がカバーに入る

 

隆志は目線を左へ

 

 

「(左か)」

隆志はボールを持っていない

 

 

竹中が気づいた時には智花が宙に浮いていた。

 

 

スパッ

ジャンプシュートを決める。

 

「今のはオレの得意な目線フェイクからの逆方向へのパス」

 

 

「オレも盗んだぜ」

 

「やるな」

お互いに火花が散る

 

隆志、戸嶋、智花、竹中

お互いを認め合いそれぞれの技術を盗み、一試合ごと、否、ワンプレーごとにどんどん成長している。もはやこの前の男バスVS女バスの時とは四人とも別人である

 

 

「竹、もういいぜ。気はすんだからな」

 

 

「悪いな戸嶋。我儘言っちゃって」

 

「いいさ。オレは隆志とはいつでも勝負できるからな。二人と勝負したいんだろ」

 

 

「ああ」

 

「勝つぞ竹」

 

「当たり前だ。第二ラウンドだ隆志、湊」



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第四十九話 竹中VS隆志&智花

更新が遅れてしまい申し訳ないです。これからも更新が遅れることはあると思いますが途中で投げ出すことは絶対にしないのでこれからもよろしくお願いします


どんどん調子をあげていく4人

 

 

現在2-2で竹中チームのオフェンス

 

 

ボールは戸嶋が保持。対するは隆志

 

 

「(来い)」

腰を落とし戸嶋の動きを警戒する隆志

 

 

クイッ

 

 

戸嶋が視線を上げリングを見る

 

 

「(シュートか?)」

隆志が手を上げチェックする

 

 

ビッ

ノールックでパス

 

 

「ナイスパス」

竹中がボールを受けすぐさまドライブ。しかし智花がしかっりとついていく

 

 

 

智花が先にコースに入る

 

 

クルッ

綺麗にロールで智花をかわし、レイアップを決める。

3-2

 

 

「みたか湊」

竹中のガッツポーズ。まるでお前にはコピー出来ないこれはオレの技だといわんばかりに

 

 

「竹中に火が付いてきたね。ここにきてギアが上がってきた。もちろん湊さんもまだまだこれからだろ」

隆志がハッパをかける

 

 

「パス頂戴」

顔は笑っているがあきらかに燃えている

 

 

攻守交代

 

 

戸嶋と竹中が縦に陣をとる。戸嶋が前列。竹中が後列に待ち構える。

戸嶋が隆志と智花の間に立つ。

 

 

隆志がボールを保持。そして考える

「(これはゾーンなのか?これじゃ外は打ち放題じゃないか)」

 

 

様子見で隆志がシュートモーションに入る

 

 

しかし戸嶋はピクリとも動かない。

 

 

「お前にそこからシュートはないだろ。あっても単発だ。ここは空けていい」

 

 

「(お前といい竹中といい本当に小学生かよ)」

普通の小学生ならここで挑発に乗ってシュートを打つだろう。しかし隆志の精神年齢は小学生ではない。挑発に乗らず涼しい顔で智花にパスを出す

 

 

智花はシュートモーションに

 

「(湊はまずい)」

戸嶋がブロックに跳ぶ

 

 

智花はボールを下げ

ドリブルで発進

 

 

そして竹中に向かっていく

 

 

途中、隆志を見る

 

 

跳び終わりすぐさまに隆志にぴったりつく

 

 

隆志は作戦に気づく

「(戸嶋が中まで誘導して中の竹中と勝負させる気か)」

 

 

パスが無理と見るやグングン速度を上げる智花

 

 

竹中もついていき、タイミングよく右手を伸ばす

クルッ

 

竹中ばりのロールで切り返し、シュートを決める

 

 

3-3

 

 

更に攻守交替し戸嶋がボールを保持。

 

 

「竹中か??」

竹中へのパスコースをふさぐ

 

 

「なめるなよ隆志」

シュッ

 

真上に跳びジャンプシュートを放つ

ボールは綺麗にアーチを描きネットをゆらす。

 

「竹だけ警戒しとけばいいと思ったのか」

 

 

「そうだよなこれは2ON2なんだ。次からは油断しない」

そういうと隆志は智花にボールを渡し、中に陣を取る

 

 

「こい隆志」

竹中が中で構える。

 

 

「隆志君」

ボールを受けた隆志がパワープレーで竹中を圧倒する

 

 

 

「(せっかくボルテージが上がってきてるんだオレも遅れはとらない)」

隆志もここでギアを上げた

 

 

そこからお互いに点の取り合いになった。二チームともディフェンスで手を抜いてるわけではない。むしろ、ディフェンスも厳しくなってきている

お互いの矛が強すぎて盾が機能しないのだ

 

気づけば15-15

お互いに限界はきている。気力のみで戦っているのだ

 

 

「(このままでは埒があかない)湊さん役割分担だ。竹中はオレが止める。だから勝利を決める一点は君がとるんだ」

 

「うん。ゴールを決めるのは私に任せて」

 

隆志&智花勝負に出る!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第五十話 決着

スゥ~

深呼吸をし、腰を落とし集中する隆志。

 

 

そこに戸嶋からのパスが竹中にくる

 

 

 

ボールを受け、すぐさまドライブに入る。

「(速い)」

隆志があっという間に抜かれる。

 

 

16-15

竹中チームがリーチをかける

 

 

「(智花のやつ今までこんなやつと互角にやってたのか)」

改めて智花と竹中のすごさを実感した隆志

 

 

「ごめん。湊さん。あんな偉そうなこといったのに」

 

 

「大丈夫。パス頂戴」

 

 

隆志が智花にパスを出す

 

 

すぐさまジャンプシュートを放つ

 

 

スパッ

 

綺麗に決まる

 

 

「私は隆志君を信じてるよ。隆志君が止めるまで何度でもシュートを決めるよ」

 

 

「ありがとう。絶対止める」

 

 

再び向き合う隆志と竹中

 

 

「とことんやりあおうぜ隆志」

 

 

「さあこい」

睨みあう両者

 

 

竹中のクロスオーバーで右を抜きに行く

「行かせるか」

ついていく隆志

 

 

「まだまだ」

クルッ

 

この試合でもう何回目になるのか竹中の伝家の宝刀ロール。これには隆志も抜かれかける

 

 

「まだだ」

隆志が回り込む。簡単にゴールまでいかせない

 

 

「おっと」

ステップバックで距離を取る竹中

 

「(どうしてオレは下がっちまったんだ。このままだと隆志に取られそうな気がした。いつも思うがあいつは不気味だ。決して上手くはない。さっきだって簡単に抜けたのに)」

 

ディフェンスに最も必要なのは技術ではなく『気持ち』である

それを体現している隆志

 

 

 

時より気持ちの強さはとんでもないパフォーマンスを呼び込む。これは科学でも証明出来るものではない。

 

 

 

「(だからって勝てないとはいってないけどな)」

再びリングに向かいドライブ。今度はタッグイン。低く速い高速のタッグイン

 

 

隆志も抜かれはするが並走する

「(ロールが来る)」

隆志は直感する

 

 

竹中がロールに入る

隆志が全く同じタイミングで入る

 

 

「止め・・・・・・」

竹中更にロールからシュートモーション

 

 

隆志もやや遅れてブロックに跳ぶ

 

 

竹中はフェイダーウェイ

隆志の手を超えてリングに向かう

 

 

ガンッ

リングに当たり真上に跳ねる

 

「取る」

隆志がリバウンドに備える

 

 

「入れ~~~~~」

竹中が叫ぶ

 

 

真上に跳ねたボールはそのままリングを通過した。

 

 

「よっしゃ~~~~」

竹中が吠える

 

「竹ナイッシュー」

 

 

「おお」

バチン

 

ハイタッチする二人

 

 

「おしかったよ隆志君」

 

 

「ごめん湊さん」

 

 

「ううん。次も決めるから」

 

 

智花は言葉通り素早いドライブで戸嶋をかわしシュート。

しかし、いつもの綺麗なゴールではなく先ほどの竹中のように一度リングを跳ねてから入るものだった。

 

 

はぁはぁ

肩で息をしている智花

 

「(入りはしたけど智花も限界だ)」

 

 

 

「頑張れ隆志っち、もっかん」

「トモ、隆志」

「隆志」

女バスとE組のメンバーが応援する

 

 

「どっちもすごいぞ頑張れ」

「頑張れ」

観客から声援が巻き起こる

 

 

「(不思議だよな。もう体はきつくて限界なのに。どうして力が湧いてくるんだろう。応援ってすごいよな)よっしゃーこい竹中」

 

 

「おう」

笑顔で答える。竹中達もまた応援に力をもらっているのだろう

 

 

「竹」

戸嶋からのパスが来る

 

 

竹中がパスを受ける

 

隆志の構えが今までと違う

指先を地面につけリズムを図っている。

 

隆志は限界が来ていた。体を支えることが難しくなってきたのだ。だからこそ前のめりになり現在の構えにいたる。

 

 

しかし、この構えこそNBAのディフェンスの名手の構えなのだ。もちろん隆志はこのことをしるはずもない

 

 

竹中がレッグスルーから仕掛ける。

隆志もついていく

 

「くそ」

得意のロールに入る

 

隆志の手がボールに触れる。

 

 

「渡すか」

竹中がこぼれ球を拾い、加速する

 

竹中のレイアップ

 

 

「絶対止める」

隆志が跳ぶ

 

 

二人の空中戦

竹中が放ったボールを隆志がはたき落とす

 

 

そのボールを智花が拾った。

 

 

「竹、まだだ。次を止めればまだある」

 

 

「分かってる。止めるぞ」

 

 

「隆志君。やったね」

 

 

「後は任せたよ」

 

 

「うん」

 

隆志がインサイドで戸嶋を背負って陣を取る

そこへ智花からパスを受ける

 

 

「(隆志でくるのか)」

戸嶋がつく。

 

 

智花には竹中がきっちりマークにつく。

 

 

智花が右にカットイン。

 

 

竹中もついていきフリーにはさせない

 

 

隆志は誰もいない左へバウンドパス

 

 

竹中の視界から智花が消える

 

 

智花が急にUターンしボールの方向に

 

ボールに追いついた智花は迷わずジャンプシュート

 

 

「「(やられた)」」

竹中達が打たれた瞬間にそう思うほど完ぺきなシュート

 

 

 

スパッ

 

 

綺麗にリングをくぐる

 

 

「ナイスシュート湊さん」

 

「やった。決勝だよ隆志君」

 

「負けちまった。頑張れよ隆志、湊。オレたちに勝ったんだから優勝しろよな」

 

 

「隆志最後のパスは危なかったぞ。決勝ではもっと丁寧なパスにしろよ」

 

 

「気をつけるよ」

「竹中君達の分も頑張るね」

 

 

会場では二チームの戦いをたたえて大きな拍手が送られる

 

 

 

「最後のパスよく追いつけたね湊さん」

 

「隆志君ならここに出すような気がしたんだ」

 

 

「オレたちいいコンビかもね」

二人で笑う

 

 

隆志&智花決勝進出!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第五十一話 最強コンビ

隆志と智花を出迎える女バスメンバーとE組メンバー

 

 

「やったねもっかん。隆志っち」

「二人ともすごいわ」

「次も頑張って」

「おー二人なら優勝できる」

真帆、紗季、愛梨、ひなたが

 

「隆志絶対優勝だべ」

「隆志ならできるよ」

「おまえのスピードを見せてやれ」

「隆志頑張れ」

「ウチに勝ったんだから大丈夫」

安芸、孝輔、光、伸二、恵も声をかける

 

笑顔で答える二人

 

「隆志決勝までいくから待っとけよ」

「せっかくここまで来たんだし隆志とも戦ってみたいね」

力也と淳也が闘志を燃やしている。

 

何とこの二人も準決勝まで駒を進めていたのだ。

 

 

隆志が真帆を慰めていたので知らなかったが竹中が詳細を話してくれた

Fブロックを突破した西小の荒川と岩田コンビとの試合だった

最初は二人のスピードに翻弄された力也達だったが距離をとることでスピードに対応し、淳也のミドルシュートと力也のリバウンドとパワープレイで勝利をつかんだのだという。

 

 

 

「それはどうかな?」

「悪いけど決勝にいくのは私達よ」

 

 

 

力也達の次の対戦相手の大城小の男女の双子村田兄妹が来た

二人ともショートカットで中性的な顔立ちをしていてそっくりである

 

 

 

「斉藤君に湊さんだね。僕が兄の村田 翼(むらた つばさ)」

「私が妹の村田 花梨(むらた かりん)よ。よろしくね」

二人が手を出してくる

 

 

「「よろしく」」

二人も手を握り握手する。

 

 

「君達二人ともバスケ上手いね。1ON1だったら絶対勝てないよ」

と翼

 

 

「湊さんはともかくオレはそんなことないよ」

 

 

「私だってまだまだだよ」

 

 

「謙遜しなくていいよ。二人ともすごいよ。でもね、2ON2なら負けない。今からみせてあげる」

ウインクする花梨

 

 

「勝手に勝った気でいるんじゃねぇ」

力也が面白くなさそうにいう

 

 

「まあまあ力也落ち着いて」

力也を諭す淳也

 

「ごめんごめん。君達とやるのも楽しみだよ。それじゃ後でね」

 

「ばいば~い」

コートに入っていく村田兄妹

 

 

「力也、淳也。決勝でまってるぜ」

拳を出す隆志

 

「「ああ(うん)」」

拳を合わせコートに向かう力也と淳也

 

 

試合が始まる

先攻は力也達だ

 

ボールは淳也が保持

淳也には花梨が、力也には翼がマッチアップする

 

 

「こい淳也」

パスを要求する力也

 

 

ビッ

淳也から力也へ

 

 

「行くぜ」

力也がパワードリブルをしかける

 

 

ドンッ

翼を弾き飛ばす

 

「よし」

次に進もうとする力也だがボールがないことに気がつく。

 

 

「ボールはここだよ」

花梨がボールを持っている

 

 

「隆志君今のって」

今のプレーを隆志に尋ねる智花

 

「おそらく狙ってたんだろうね。翼君が力也のパワーを受け、止まった一瞬を狙って花梨さんがスティールする」

 

 

「そんなことができるものなの?」

紗季が疑問に思う

 

 

「タイミングが命だからかなり難しいと思う。相当コンビプレーを練習しているのと双子ならではの阿吽の呼吸ってやつだろうね。2ON2に自信があるのも納得だよ」

 

 

今度はオフェンスでも魅せる

 

花梨がボールを保持し、ドリブルを開始。翼が淳也の右側にスクリーンをかける

花梨が左右にスライドし、淳也を揺さぶり、翼を利用し、右側を抜きそのままシュートモーションに入る

 

 

「やらせない」

力也が前に出ると同時に翼がゴール下に走りこむ

 

 

ビィ

ボールはシュートモーションから力也をあざ笑うかのようにゴール下に

ボールを受けた翼が難なくシュートを決める。

 

 

攻守交代で力也が中に陣を取る

隆志に鍛えられ最近さまになってきたセンタープレー

グイグイ翼を押しこんでゴール下へ

 

花梨が淳也にプレッシャーをかける

 

淳也パスモーションに入る

 

 

花梨が跳ぶ

 

 

淳也パスモーションを止めバウンドパスを力也に送る

 

 

「(上手い。ナイス判断だ淳也)」

隆志は感心する。しかしそのボールが力也に渡ることはなかった

 

 

翼が反転し、ボールをカットしたのだ

 

 

「まさか今のもカットの時間を作るためにわざとバウンドパスに誘導したのか」

驚く隆志

 

 

オフェンスもディフェンスも完全に圧倒した村田兄妹はその自慢のコンビ―ネーションで早くも4-0に追い込む

 

 

「「1回は意地でも止める」」

淳也と力也は相手との距離を開け距離をとった

 

 

 

花梨がボールキープする

 

翼がリングへ走るが力也が中には入れさせない。翼は力也の裏から跳び出しハイポストに入る。そこから花梨がパスを出す

力也が翼に引き付けられ空いたスペースに花梨が走りこむ。そこに背中を向けたままノールックでぼーるを落とす翼

 

 

しかし、淳也がカバーに入る

 

花梨はボールをキャッチせずタップで真横に流す

 

 

そこにはハイポストから降りてきた翼がフリーでボールを受け難なく勝利を決めるシュートを決めた

 

「(ハイ&ローのコンビネーションからのタップパス。何ていうコンビネーションだよ。ハイ&ローを決めてだけでもすごいのに、それに対応した淳也達の行動も動揺せず冷静に対処した。すごすぎるこのコンビ)」

驚きもあるが早く戦いたいと思う隆志がいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第五十二話 決勝戦開幕

何年も放置して申し訳ありませんでした。
パソコンが壊れてしまい、パソコンを手にいれるのにここまでかかってしまいました。更新速度は相変わらず遅いですが、途中で投げ出したりは絶対しないのでこれからもよろしくお願いいたします


「そこ、ラインを張りなおして!!」

「そこは滑らないように念入りに!!」

 

コート内が整備され、いよいよ決勝戦が始まろうとしている。

決勝に進出する2チームは各々準備をしている

 

翼&花梨コンビは各々ストレッチをしている。

 

 

一方、隆志&智花コンビは二人を中心に女バス、E組、竹中、戸嶋で大きな円を作っている。

 

「それではこれより作戦会議を行う」

真帆が仕切る

 

 

「何であんたが仕切るのよバカ真帆」

すぐさま紗季が突っ込みをいれる

 

「斎藤君、智花ちゃん頑張って」

「おー隆志と智花ならきっと優勝できる。ヒナ信じてる」

愛梨とひなたもエールを送る。

 

「隆志、お前の、いや、E組のバスケを見せてやれ」

E組を代表して力也が言う。

 

「隆志、隆志達なら大丈夫だと思うけど気を付けて。あのコンビネーションはやっかいだよ」

準決勝を戦った淳也からのアドバイス

 

 

「隆志、湊、あのコンビネーションをどうにかするのがカギだぞ」

と、竹中

 

「あの二人を分離させるんだ一ON一ならお前たちに分があるぞ」

と、戸嶋

 

「みんなありがとう。精一杯頑張ってきます」

力強い笑顔を見せる智花

 

「あの二人は強い。けど勝つのは俺たちだ」

隆志もまた力強い笑顔を見せる

 

「決勝に出る選手はこちらに並んで下さい」

アナウンスが入る。

 

「行こう湊さん」

「うん」

 

「よし行ってくるべ」

安芸の音頭でみんなが一列に並びハイタッチをして隆志&智花コンビを送り出す。

 

 

隆志たちが集合場所に着くと既に翼&花梨コンビが待っていた

「いい試合にしよう」

「私たちのコンビネーションを見せてあげる」

翼と花梨も気合が入ってる様子

 

「こちらこそお願いします」

「いい試合にしよう」

互いに握手をかわす両チーム

 

 

「君たち、決勝戦にはMCが入るからね。それから入場してくれ」

選手係が説明する

 

「「「「え?」」」」

これにはみんな驚いた表情を見せる

「決勝戦は盛りあがるからねぇ~。素人でも楽しめるように決勝だけは毎年呼んでいるんだ」

 

 

「みんな盛り上がってるか?これより決勝戦を始めるぜ!!」

 

「イェ~イ」

いきなりのMCに驚いたが観客たちもノリノリだ

 

 

 

「先ずは決勝まで残ったチームの紹介だ。先ずは予選をほぼパーフェクトスコアで勝ち上がってきた優勝候補の大本命」

『最強のコンビネーション』翼&花梨コンビ

先に翼&花梨コンビが入場する

 

「この二人のコンビネーションは小学生とは思えない完成度だ。自慢のコンビネーションで優勝をつかみとれるか?」

 

「ワァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 

MCが入り会場のボルテージが更に上がる

「続いては接戦ながらここまで勝ち上がり、何とあの中学生コンビをも破ったこの二人」

『ザ・ミラクル』隆志&智花コンビ

 

「この二人のコンビネーション、個人技はどんどん良くなってきている。その恐ろしい成長スピードで翼&花梨コンビを飲み込めるか」

「ワァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

観客たちはまだかまだかと大騒ぎ

「隆志君ミラクルって恥ずかしいね」

智花は照れている

 

「大げさに言うのはMCの仕事だからね。行こう湊さん」

「うん」

 

隆志&智花コンビも入場し、コートに入る

 

 

「ルールは予選と同じ。それでははじめ」

 

「さぁ審判の合図で今、ティップオフ!!」

「先ずは隆志&智花コンビの先攻でスタートだ」

 

隆志は審判からボールを受け取り、翼にトス。それを翼が隆志に返し、試合開始

 

 

ダムッ

隆志がいきなりボールを受けると全力でドライブに向かう

 

「ウソ!?」

虚をつかれたのか翼の反応が遅れるが花梨が素早いポジショニングでカバーに備える

 

「(それを待ってたんだ)」

隆志は花梨がカバーに入るのと同時にドリブルで突き出したボールが跳ね上がってくるのをキャッチせず弾くように智花にクイックパス

 

ボールを受け取った智花は完全フリー

「(決める)」

 

いつもの美しいフォームからジャンプシュートが放たれる。

 

「させない」

花梨も懸命にブロックに跳ぶが、ポジショニングが悪いため間に合わない

 

誰もが決まったに思われたシュートは

ガンッ!!

 

リングに嫌われる

 

 

「ウソ!!もっかんが外すなんて」

真帆だけではなく他の女バスメンバーも驚いた表情を浮かべる

 

「確かに智のシュートが外れることはある。練習中でも外したことを見たことないわけではないわ。でも、大事な場面で外すところなんて信じられないわ」

紗季が丁寧に解説する

 

 

「シュート」

どんな一流選手でさえ調子の波があり、百発百中とはいかない。

しかし、各チームのエースと呼ばれる選手たちは必ずといっていいほど高確率で大事な場面でシュートを決める

だから観客やチームメートたちはその選手がいくら外そうがそのイメージよりクラッチシュートのイメージが頭に残り外すイメージが浮かばなくなる。

 

女バスメンバーにとって智花はまさにその存在なのだ

 

「ごめん、隆志君」

 

「大丈夫、次は決めていこう(とはいえ驚いたな、智花なら決めてくれると思ったのに)」

 

 

「竹、気づいたか?」

「ああ。湊の奴ジャンプシュートの時の肘の位置がいつもの高さまで上がってない。ここにきて疲れが出てきたんだ」

 

「隆志のやつも今の動きはおかしい。確かにクレバーな判断だ。だが、アイツらしくない。いつものパワープレー主体でたまにこういったクレバーなプレーをするが最初からなんて。どこか余裕のなさを感じる」

 

「アイツらはオレたちや中学生コンビとサドンデスでガス欠寸前なんだ」

 

流石は男バスのエースと司令塔といったところだろうか。冷静な分析である

 

 

「隆志、湊。オレたちに勝ったんだ、絶対負けんじゃねぇぞ!!」

ライバルであり、友でもある隆志たちに熱い視線を送る竹中だった。

 

 

 



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第五十三話 無敵のピック&ロール

「おしい!!隆志&智花コンビの素晴らしい速攻だったが決まらなかった。さぁ、ここで攻守交替。翼&花梨コンビはどのような攻撃を見せてくれるのか」

 

 

翼から隆志へトス。隆志が返してスタート。

ダムッダム

 

センター付近から2回ドリブルをつき、翼が右に発進

 

 

「(個人技で勝負?だが、間に合う)」

コンビプレーを予想していた隆志は少し反応が遅れるがこのドライブに対処する

 

 

「(う~ん流石に追いつくか、なら)」

右手から左手へフロントチェンジで逆に方向転換

 

 

「(確かに早いが竹中や智花の方が早い)」

これにも隆志は対応する

 

 

「やっぱりだめか強いね隆志君」

翼はレッグスルーで下がり、隆志と距離をとる。

 

 

「ちょっと翼、早くボールを戻しなさいよ」

花梨が少しイラついた表情をする

 

 

「ごめんごめん。でも、やっぱり勝負してみたいじゃないか」

左45度にボールを戻す翼

 

 

「勝てない相手にしかけてにどうするのよ!!(忘れたの、何で私たちがコンビプレーを鍛え上げたのか)」

 

ボールを受け取った花梨の前には智花が立つ

 

「(まだたいしたプレッシャーもかけてないのに何なのこの威圧感は?こんなの一人だったら何回やったって抜けないじゃない。でも、二人なら)」

 

 

「湊さんスクリーン」

 

 

隆志の掛け声より早くドライブ。翼が右側からスクリーンをかける。智花が翼のスクリーンにつかまる。

 

「湊さんここはオレが」

隆志が素早くスイッチ

 

隆志が花梨と対面する。

 

 

「早い対応ね。でも、勝つのは私たちよ」

ビッ

 

ゴール下にパスを出す花梨。

 

「オッケー」

ベストのタイミングで走り出す翼

 

翼は智花に右側からスクリーンをかけた。つまり、リングの内側に、よりゴールの近くにいるのは翼だ

 

翼は身体を上手く使って智花を自分より内側に入れずパスを受ける

 

 

「(決める)」

智花にブロックされないように身体を智花に預けながら智花とは逆側の手、左手でワンハンドシュートを放つ

 

ガッ

ポスッ

 

リングのボードを使った丁寧なバンクショットが決まり1ー0

 

 

「決まった!!鮮やかなピック&ロール!!先制は翼&花梨コンビ」

 

「ごめん、湊さん声掛けが遅かったよ」

 

「ううん。私もファイトオーバーできなかったし。」

 

「次は湊さんのフルドライブでいこう」

 

「うん」

 

ビッ!!

隆志はボールを受け取るとすぐにパスを出す

 

 

智花がパスを受けると同時に花梨が正面ではなく、ほぼ真横に立つ。

翼も隆志から離れて花梨に近寄る

 

 

「(智花を止められないと見て抜かせる方向を決めてきたかこのまま抜くとすぐ翼の高速ヘルプが待ってる)湊さん気をつけて」

 

 

「(行く)」

素早い一歩で一度誘導する方とは逆に仕掛ける

 

 

「いかさないよ(たしかにあなたは上手い。でも、意地でもこちらからは抜かさない)」

 

 

花梨の執念のディフェンスで智花も誘導させられる

 

 

「(花梨。あとは任せろ)」

翼が動きの鈍くなったところをスティールする

 

 

「素晴らしいディフェンスだ!!隆志&智花チームはこれを突破できるのか??」

 

 

「(あのMC好き放題言いやがって)まずはディフェンスだ止めよう湊さん」

 

「うん」

 

 

しかし、今度は隆志に花梨がスクリーンをかけ今度は先ほどとは逆のピック&ロールで

ゴール下で花梨がボールを受ける

 

「(ゴール下で好き勝手はさせない)」

センターとしての意地もあってか先ほどの翼のように身体を預けてくる花梨を強引にパワーで押しのけ、回り込みゴール下の1ON1に持ち込む

 

 

「(う~~~ん、ゴール下で楽にシュートを決めたかったけど。1ON1まで持ち込まれるとはね。このポジションじゃ分が悪いわね。ここは)」

背中を向けて隆志にドリブルでぶつかるが隆志はピクリとも動かない

 

 

「(ゴール下では負けない)」

隆志とてセンターとしての意地がある

 

 

「(分かってるよ。勝てないのは本当の狙いは)翼」

走りこんでくる翼にリターンし、そのまま背中で隆志を押さえる

 

 

「くそっ(これじゃブロックに跳べない)」

 

翼が智花を振り切りフリーでジャンプシュート

 

スパッ

きれいにゴールに入る

 

 

「決まった。正に無敵!!無敵のピック&ロールだ」

これで2-0

 

 

まだ2ゴールされただけだが隆志と智花にプレッシャーをかけるには充分だった

 



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第五十四話 あきらめようか

ギリギリ間に合った(笑)
皆さまよいお年をお迎えください。


「(強い。今まで戦ってきたどの選手たちよりも。スクリーンを効果的に使うとこんなにオフェンスの幅が広がるんだ。すごいな。でも、負けたくない)」

智花は素直に感動していた。

 

 

再び隆志と智花の攻撃。ボールは智花が保持しており、花梨が先ほどのように誘導するスタンスをとっている

 

「(誘導されてる。どうすれば?)」

智花は迷う。先ほどのスティールが頭によぎったからだ

 

 

「湊さん」

力強く隆志が呼ぶ。中で翼を背負いセンタープレーの構え

 

「(お願い)」

ビッ

 

花梨は今、智花のほぼ真横につくスタンスのためパスがきれいに通る

 

「(よし)」

ドンッ

 

力強くワンドリブルをつき、翼を弾きとばす。隆志と翼に一定の距離が生まれる

 

 

ググッ

隆志がシュートモーションに入る準備に入る

 

 

「隆志君後ろ」

智花の凛とした声がする

 

 

花梨が隆志に近づきスティールを狙っていた

 

「読んでるよ(淳也と力也がやられたプレー。一度見てるからオレたちには通じない)」

 

 

隆志の行動、それはシュートフェイクだった。花梨の手を避ける

 

 

「(よし。かわした。崩したぞ)」

隆志は心の中でガッツポーズをした

 

 

が、そこに翼の手が伸びてくる。

 

「(ウソッ。リカバリー早すぎだろ!!智花)」

 

 

隆志が智花にパスをさばこうとするが花梨がパスコースをふさいでいる。智花に出すことはできる

 

が、隆志にはパスセンスがない。簡単なコースが潰されている状況ではパスできない

パスコースを探すためにボールから意識を離したその一瞬

 

その一瞬で翼がスティールするには十分だった

 

 

「おーーーーーーーーーーーーーーーっとここで翼のスティールが決まった!!隆志&智花コンビいい形までもっていったがやはりこの翼&花梨コンビのコンビプレーは堅い。さぁここで攻守交替。次はどんなコンビプレーを見せてくれるのか」

 

 

翼がボールを持ち、ビッ

すぐさま花梨にパス

 

 

「オッケー」

花梨はボールを受け、レッグスルーからのクロスオーバーで崩しにかかる。

 

 

「(負けない)」

智花はこれに完璧に着いていく

 

 

「(隙がないわね)翼」

ビッ

 

翼にリターンと同時にスクリーンをかけにいく

 

 

「隆志君スクリーン!!」

智花の素早い掛け声

 

 

「オッケー、ナイスコーチング」

隆志は翼との距離を調整し、スクリーンにかかっても対応できるように備える

 

「こっちは任せて」

隆志と智花の迅速な対応。花梨のスクリーンと隆志とは逆方向へのドライブを智花が警戒し、隆志はスクリーンにかかりながらも翼のドライブに集中する

 

 

ボールを受けた翼が隆志と対面する。

チラッ

 

視線を一瞬智花に向け、ボールと身体を隆志の方に大きく振る

 

 

「(来るか?)」

隆志の身体が反応すると同時に翼は逆方向--智花の方にドライブ。隆志の方への大きなモーションはジャブステップだった。

 

 

 

キュキュッ

素早く智花が出て、隆志が花梨へのパスコースをふさぐ。

 

 

「(これは無理だね)」

ダムダム

 

翼がバックステップで下がる。智花もすぐに元のポジションに戻る

 

 

「(仕切り直しか)」

 

隆志と智花はそう思った

 

 

(フリーだ行ける!!)

二人の予想とは逆に翼はシュートモーションに入る

 

 

「やらせない」

隆志が慌てて跳ぶが間に合わない

 

 

シュッ

 

 

ボールはきれいな放物線を描き

ポスッ

 

リングに吸い込まれた

 

「決まった!!3-0。上手く隆志&智花コンビが対応したかに見えたがやはりこの二人はとめられな~い」

 

 

「(ふうっ、しんどいな)湊さん」

 

 

 

 

「何?隆志君」

 

 

【あきらめようか】

 

 

 

隆志から信じられない言葉がとびだす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第五十五話 突破口

放置しっぱなしで申し訳ありません
これからも更新ペースは遅いですが途中で投げ出したりはしないのでよろしくお願いいたします
お気に入りが増えていてとても驚きました


 

 

SIDE智花

「諦める?隆志君が?ウソだよね?」

頭が一瞬真っ白になる

 

 

「湊さん」

隆志君が私の名前を呼び、胸をトンットンッと叩く

 

「そうだよ!!隆志君はそんな簡単に諦めたりしない!!きっと何か意味があるんだ。信じよう隆志君を」

 

 

SIDEOUT

 

 

SIDE隆志

「伝わったかな?あの表情なら大丈夫だと思うけど。先ずはこの一本を止めないとな」

 

 

 

ボールを翼が持つ

 

 

隆志がいつもよりも距離を空ける。

 

 

「(何を狙っているんだ?少し様子を見るか)」

ダムダム

 

翼がドリブルで揺さぶりをかける

 

 

 

隆志もこの揺さぶりに距離を保ちついていく

 

 

「(距離は保ったままか。ここはスクリーンで崩すか。花梨)」

 

 

同じことを考えていたのかベストのタイミングでスクリーンをかける

 

 

「隆志君」

智花がスクリーンの声をかける

 

 

隆志はバックステップで花梨のスクリーンをかわす

 

 

「(隆志君?確かにこれならスクリーンをかわせるけど、翼君に距離が出来てシュートをうたれちゃう)」

 

 

 

 

 

「翼いけぇ~~」

 

 

「(この距離なら大丈夫)よしっ」

シュートモーションに入る

 

 

 

ビィッ

 

 

 

バシッーーーー

 

 

隆志の手がシュートをブロックする

 

 

 

「ウソ??何でとどくの????」

驚く花梨

 

 

 

 

「気づいたら目の前に隆志君がいた」

翼も驚きを隠せない

 

 

 

「すごいよ!!隆志君!!」

智花が賞賛する。

 

 

「湊さん、次、オレにパスをくれ」

力強い視線を智花をおくる

 

 

 

「(隆志君)うん。任せたよ」

 

 

【止めたぁああああ!!!!!隆志&智花チームがこの試合初めて翼&花梨チームを止めたぞ!!それにしても隆志君のすごいブロックでした。このまま流れを呼び込めるか

??それとも阻止するか?次の一本に注目です】

MCも興奮している

 

 

 

智花がボールを保持

 

 

「(突破口はオレが開く!!!)」

隆志が翼を背負ってインサイドに陣をとる

 

 

 

「(すごいパワーだ!!パワーが上がってないか?)」

 

 

「(簡単にインサイドにボールを入れさせない)」

花梨も隆志を警戒し腰を落とす

 

 

智花がパスモーションに入る

 

 

「(右下)」

花梨がカットを試みる

 

 

「(やっぱり読まれてる。でも、このパス絶対に隆志君に通す)」

パスモーションを中断し、ボールを上げ、オーバハンドで隆志に

 

 

バシッ

「(ナイスパス)」

ダンッ

 

 

隆志の力強いパワードリブルで翼を押し込む

 

 

 

「(耐えるんだ。耐えて花梨がスティールだ)」

腰を落とし必死にこらえる翼

 

スティールに向かう花梨

 

「隆志君行ったよ」

智花が叫ぶ

 

 

「(これは避けなれない。さすがに完璧な連携だ。スティールはさせる。でも、ゴール下は譲らない)」

 

こぼれ球が翼の方へ

 

 

「とる!!」

隆志がいち早くこぼれ球をキャッチ

 

 

「まだよ!!翼」

すぐさま隆志にダブルチームでシュートコースとパスコースを塞ぐ

 

 

「(ここはオレの譲れない場所だ!!ゴール下なら一人だろうが二人だろうが負けない)」

 

 

無理矢理二人の間に身体をねじ込む

 

 

「入れっっっっぇえ!!」

ビッ

ガッ

スポッ

 

 

ボードを使ったバンクショートでねじ込んだ

 

 

 

「よしっ!!」

拳を握る隆志

 

 

【遂に遂に遂に決めたっっぁああ~~~~!!!初得点は隆志君の泥臭いゴール下!!!見事に突破口を開いた!!これで試合は分からなくなてきた~~】

 

 

 

「上手くいった(どう頑張ったってこの二人のコンビネーションを止めるのは無理だ。だから距離をとって助走距離を確保しシュートだけを叩く。オフェンスはスティールされた後に泥臭く粘る。全部止めるのは諦めてやれることをやる)さぁ湊さんここからだよ」

 

 

 

 

「うん!!次は私が決める!!」

 

 

流れは隆志チームに!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第五十六話 キャプテンとしての経験

1年以上空いてしまいましたが、これからものんびりと更新していきたいと思います


 

SIDE智花

 

やっぱり隆志君はすごい。あのディフェンスを突破した。よ~し。私だってやってやる

 

 

SIDE out

 

隆志の泥臭くも決めた執念のシュートで、気合が入る智花

 

 

【さぁ念願の1点をとった。ザ・ミラクル隆志&智花コンビ。この調子で流れを掴めるか?それとも翼&花梨コンビの無敵のピック&ロールが炸裂するのか?】

 

 

 

「花梨切り替えていこう」

翼が声をかける

 

 

「分かってるわよ。1回まぐれで決まっただけじゃない。次決めるわよ」

花梨も返す

 

 

今度は花梨がボールを保持。対するは智花

 

 

花梨は智花の動きを確認する

 

 

「(心なしか、さっきよりも腰が落ちてる気がするわね。しっかりスクリーンをかけてよ翼)」

 

 

アイコンタクトを送る、一瞬

 

 

ポンッ

 

 

 

ボールをはたかれた

 

 

「よっし!!」

 

 

ガッツポーズをする智花

 

 

「ナイス湊さん」

隆志が駆け寄る

 

 

「うん。ボール頂戴。今度は私が決めて見せる」

 

 

「分かったよ。オレがボールをもったら」

短く指示を出す隆志

 

 

隆志がボールを保持

 

 

 

ダッ!!

 

「隆志君!!」

 

 

 

智花が隆志の方へ猛ダッシュ

 

 

隆志から智花へボールを手渡しすると、隆志はそのまま逆サイドに切れる

 

 

これによりスペースができる

 

 

「翼」

 

 

「分かってる」

 

 

翼は隆志を深追いしないでカバーできるポジションニングをとる

 

 

 

ササッ

 

花梨もすぐさま智花の横につきコースを限定させる

 

 

 

「(さっきは隆志君が泥臭く頑張って個の力で点をとった。今度は私が)」

 

クイッ

 

 

花梨の方へフェイクを入れる

 

 

「(私の方?私の方には抜かせない)」

 

普段よりも力が入ったため、フェイクに過剰に反応してしまう花梨

 

ダムダム

 

バックステップで距離をとった智花

 

 

「(この距離なら)」

ダムッ!!

 

 

智花の鋭いドライブで花梨の方を突破する

 

 

「(気を付けてたのに)」

 

 

「(クッ。間に合わない)」

 

翼もカバーに向かうが間に合わない

 

智花が一気にレイアップを決めた

 

 

「ナイスシュー湊さん」

 

 

「うん。このまま一気に逆転しよう」

 

 

【決まった!!流れが傾いてきたぞ!!このまま逆転までノンストップか?】

 

 

 

「花梨、切り替えよう。今のは相手が上手かった」

翼がフォローを入れるも

 

 

「分かってるわよ。一々、こっちに来ないでいい!!」

明らかに不機嫌な花梨

 

 

 

「湊さん」

 

 

「どうしたの隆志君?」

 

 

「次のディフェンスだけど。ここはチャンスだと思うんだ。ここで一気に畳みかけるためにも」

先ほどと同様に指示を出す隆志

 

 

 

花梨がボールを保持

 

 

 

「今だ」

 

 

隆志の指示と同時に花梨にダブルチームをかける

 

 

隆志と智花の激しいダブルチーム

 

 

「翼ががら空きじゃないの!!なめないでよね。そんな付け焼刃のダブルチームじゃ私は止められないわ!!そこっ」

 

 

隆志と智花の間にボールを入れる

 

 

 

翼へと向かうそのボールを

 

 

 

パシッ

 

 

隆志がカットした

 

 

 

「やった隆志君。作戦通りだね」

 

 

「上手くいったね」

 

 

 

 

先ほどから苛ついてる花梨の様子を隆志は見逃さなかった

否、隆志だからこそ見逃さなかったのだ

 

 

キャプテンとして、常にチームメイトに常に気を配っていた隆志。バスケット技術はない隆志にとってそれが唯一キャプテンとして出来たことだからだ。

プレーで引っ張ることは出来ない。だからこそあつい想いでみんなを鼓舞してチームを

引っ張て来た

 

その経験が今の隆志を助けている

 

 

先ほどの作戦はこうだ

「花梨さんにダブルチームをかけよう。わざとすきを作って。そこにパスを出させてカットする」

 

 

勢いに乗った隆志たちの

次のオフェンス

 

 

「止める!!」

花梨んがべったり智花につく

 

 

「花梨出すぎるな」

 

 

 

「湊さん」

隆志が翼を背負い陣取る

 

 

ビッ

 

 

パスを受け取った隆志

 

 

 

「中での1ON1ならオレは負けない」

ドンッドンッ

 

 

パワードリブルで翼を押し込みターンしてシュート

 

 

 

シンプルだが強い

 

 

ボールは

 

ガッ

 

ポス

 

 

バックボードに当たり決まる

 

3-3

 

 

「追いついた!!追いついた!!!追いついたぁ~~~~~~~~!!さすがはザ・ミラクルコンビだ。前半の劣勢が嘘のようにひっくり返った」

 

 

隆志のキャプテンとしての経験を活かし、同点に追いつく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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