ラブライブ!×ガンダムビルドファイターズ (ませな)
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μ's編1期 出会い、そして地区大会
#1『ガンプラを始めよう!』


自分の好きなキャラが、自分の好きな別のアニメの世界で活躍する…
そんな思いを抱き、書きはじめたのがきっかけです。
ラブライブ!とガンダム、好き嫌いの別れる組み合わせではあると思いますが、両方のファンの方には楽しんで読んでいただけるかと思います。
片方のファンの方は、もう片方に触れるきっかけにして頂ければ幸いです。


 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

#1 ガンプラを始めよう!

 

 

ガンプラバトル…

 

ガンダムのプラモデル、ガンプラを使った、かつてない体感的バトル。

その人気は今や世界に広がり、世界大会が開かれるほどだ。

 

自ら作ったガンプラを駆り、戦場で戦う臨場感、勝利を掴んだときの爽快感、負けたときの悔しさ…

 

全てが詰まったこの''遊び''は、男女問わずに楽しまれていた。

 

そしてここにも、ガンプラバトルと初めて出会った少女がひとり。

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「海未ちゃん!ことりちゃん!!」

 

海未「なんですか穂乃果、いつにも増して大きな声を出して…」

 

ことり「なにかいいことでもあったの?」

 

穂乃果「私ね!

すっっっごいもの見つけちゃった!!」

 

穂乃果は喋りながら片手間にカバンから冊子を取りだし、二人に見せた。

 

二人は少し戸惑いつつも冊子を手に取り、パラパラと捲ってみる。

 

 

海未「ガンプラ…」

 

ことり「バトル?」

 

穂乃果「そう!この前アキバのエドバシでたまたま見かけたんだけどね、すっごいの!

どかーんっばーんっ!って感じ!!」

 

穂乃果の相変わらずの語彙の無さに二人は呆れつつも、苦笑いと共にこう返した。

 

海未「興味ありません」

 

ことり「私もこういうのはちょっと…」

 

穂乃果「ふふふ…!」

 

海未「えっ?」

 

てっきり穂乃果がえぇーー!?と残念がるかと思っていた海未は、予想との差に驚く。

 

穂乃果「お二人さんのそういう意見はお見通しだよ!

これ、見てみて!」

 

穂乃果の差し出したスマホには、μ'sの衣装の塗装がなされたガンプラの画像が表示されていた。

 

海未「これ…μ'sの?」

 

ことり「こんなのも売ってるの?なんだか恥ずかしい…」

 

穂乃果「ううん!ファンの人が作ったやつみたいなんだ!」

 

驚く二人を自慢げに見つめながら穂乃果は続ける。

 

穂乃果「どう?作ってみたくなったでしょ!」

 

海未「しかし練習もありますし…」

 

ことり「うーん…」

 

穂乃果「練習の時間は犠牲にできないのわかってるよ!

だから暇なときにでもゆっくりやってみよーよぉ!!」

 

海未、ことり「…」

 

 

 

 

 

ー放課後ー

 

海未「結局こうなるのですね…」

 

ことり「仕方ないよ、見るだけでもいいって言ってたしちょっと付き合ってあげよう…?」

 

少し困り顔の二人の先を、るんるんと軽い足取りで穂乃果が歩いていく。

行き先はエドバシカメラであることは明確だった。

 

 

 

ーエドバシカメラ 6Fー

 

穂乃果「すっごぉーい!!」

 

ショーケースに並んだ塗装・改造がなされたガンプラの数々を見て、穂乃果が少年のような声を上げる。

 

海未「…まず、ガンプラ?ってなんなのですか?」

 

ことり「ガンダムのプラモデル…のことだよね?穂乃果ちゃん」

 

穂乃果「…」

 

穂乃果は今度は静かになって見入っている。

 

ことり「…あはは…

 

私が知ってる限りでは、その事しか知らないなぁ…」

 

海未「ガン…ダム…

ガンダムって…何ですか?」

 

ことり「海未ちゃんあんまりアニメとか見ないから知らないかぁ…

ガンダム、っていうのはね、アニメに出てくる架空のロボットのこと。

私も詳しくはないけど、アキバ歩いてるとお店とかによく置いてあるの見かけるよ。」

 

海未「穂乃果…あなたはまたそんなものに…ってあれ!?」

 

さっきまでショーケースをかじりつくように見ていた穂乃果が、知らぬ間に二人の前から消えていた。

 

ことり「穂乃果ちゃん、またどっかいっちゃった…」

 

すると、奥のプラモデルコーナーから穂乃果の声がした。

 

穂乃果「おーい!二人ともぉー!!」

 

 

海未「全く…穂乃果ったら…」

 

 

二人が穂乃果のところへたどり着くと、穂乃果は既にいくつか物を手に取っていた。

 

ことり「穂乃果ちゃん、その持ってるのはなに?」

 

穂乃果「あぁこれね!

お店の人に聞いて、必要なもの集めてみたんだ!」

 

穂乃果はニッパーと紙ヤスリ、デザインナイフとトップコートを早くも手元に揃えていた。

 

海未「刃物にヤスリ…

ガンプラ、ってこんなに物騒なものなんですか?」

 

穂乃果「ううん、違うよ海未ちゃん!

これね、ガンプラを作る上で絶対に必要な道具なんだって!」

 

ことり「私、ガンプラって箱ばっかりで中を見たことなかったけど…こんな板みたいのが入ってるんだ!」

 

近くにあった【ガンプラ入門】と書いてある特集展示を見て、ことりが感心する。

 

穂乃果「どうどう!?やってみたくなった!?」

 

海未「私は…特に…」

 

ことり「少し気になるかも…!」

 

海未「ことり!?」

 

ことり「私、服飾やってるから細かい作業好きだし…

ためしに作ってみたい!」

 

穂乃果「こっとりちゃあああああああああん!!!!!!」

 

ことりも穂乃果と同じ道具を手元に揃え、二人はガンプラ選びに移るのだった。

 

海未「…」

 

一方で、海未はまだ迷っていた。

 

穂乃果「海未ちゃん、迷ってるなら道具は貸してあげるよ!

だからガンプラだけ選んで一緒に組んでみようよ!!」

 

ことり「私もおんなじこと言おうとしてた!

海未ちゃん、やってみよ!」

 

海未「しかし…」

 

と、言いかけたところで海未は気づく。

自分が少しずつ、興味を持ち始めていることに。

 

海未「…わかりました、でも私も道具から揃えます!」

 

 

結局三人それぞれ赤、緑、青のグリップ色のニッパーを持ち、揃ってガンプラを選び始めた。

 

しかしここからは穂乃果もよく知らない世界である。

冊子をパラパラ捲りながら、ルールに目をやると…

 

穂乃果「1/144、っていうサイズ限定…なんだってさ、バトルのルール!」

 

ことり「1/144…

ちょうどこの辺にあるやつだよ!ほら!」

 

並んだガンプラの箱を凝視したことりが、指を指して言う。

 

海未「しかし…こんなものもあるのですね…」

 

HGUCズゴックを手に取り、海未が呟く。

 

海未「弱そう…です…」

 

穂乃果「よし!わかんないや!

お店の人に聞こぉーう!!

すいませぇーん!!」

 

穂乃果はまたバカでかい声で店員を呼び止めると、今度は店員が三人のところまで来てくれたのだった。

 

 

 

店員「ガンプラバトルを始めたい、ということでよろしいですか?」

 

三人「はい!」

 

店員「なるほど…では皆様にひとつずつおすすめをご紹介しますよ」

 

 

徐にあるきだし、少し進んだところの棚からガンプラの箱をひとつ取り出すと、店員は海未に言った。

 

店員「まず青髪のあなたにはこちらがおすすめですね」

 

海未「ぐ…ふ…」

 

店員「HGUC グフカスタム。

とてもかっこいいキットですよ」

 

海未「…カタカナ苦手です」

 

店員「名前はあとで自然に覚えられると思いますよ、愛着もわきますからね」

 

海未「う、うーん…」

 

海未にグフカスタムを手渡すと、店員はまた少し進み、棚からガンプラを取り出した。

 

店員「次は緑の髪飾りのあなた、あなたにはこれをお勧めしますよ」

 

ことり「わぁ、ガンダムだ!」

 

店員「これはバスターガンダムといって、砲撃を目的とした機体です。

主に補佐役としての役割が多いかもしれませんね」

 

ことり「ありがとうございます!」

 

店員は満足そうに笑うと、最後に穂乃果のガンプラを見繕い始めた。

 

穂乃果「ねぇ!穂乃果のはどんなのなの?!」

 

店員「…正直、迷いますね…

あなたは心の強さを持ってるように思えますので」

 

穂乃果「心の…強さ?」

 

店員「逆に、あなたの気持ちで選んでみてもいいかもしれません。

気になってる機体、ありませんか?」

 

穂乃果「…これ。」

 

穂乃果が棚から取り出したのは。

 

 

海未「ゴッド…」

 

ことり「ガンダム…?」

 

穂乃果「ゴッド、って神様のことだよね?

だから強そうだなって思ったの!」

 

店員「ぴったりな機体だと思いますよ!

 

では組み立ててみましょうか!」

 

 

この店はガンプラ製作コーナーとバトルコーナーを完備しており、子どもから大人まで多くの人たちが日夜集まることでコーナーそのものも大きな規模を誇っていた。

また、ガンプラ専門の店員もおり、初心者には分かりやすくガンプラの組み立てについて教えてくれるサービスもあった。

 

運よく先程声をかけた店員もガンプラ専門で、道具とプラモを買い揃えた穂乃果たちは製作コーナーへと案内された。

 

 

 

穂乃果「すごい!!この人たちみんなガンプラ作ってるんだね!!」

 

ことり「小学生くらいの男の子も、すごく真面目に作ってるね…!」

 

海未「本当に人気なんですね、ガンプラというものは…」

 

 

店員は三人を空席に案内すると、説明を始めた。

 

店員「ガンプラはまず、その機体のことを知ることが重要です。

ましてやバトルで使用するのであればなおさらです。

 

説明書に書いてある機体解説を、ゆっくり読み込んでみてください」

 

3人「…」

 

時間にして1分ほどであろうか。

 

店員「そろそろ読めましたか?」

 

穂乃果「…ネオジャパンって」

 

ことで「…ザフトって」

 

海未「…ジオンって」

 

3人「何ですか?」

 

そう、3人はガンプラを作るといってもガンダムに関しては全くの素人。

自分の使う機体名もさっき知ったような3人が、到底組織名など知っている訳はない。

 

店員「それぞれ組織の名前ですよ、ネオジャパンは国名ですが…

 

その辺りに興味がおありなら、ガンダムのアニメをお勧めします」

 

穂乃果「組織かぁ…

まあ関係ないよね!穂乃果のゴッドガンダムだし!」

 

ことり「ことりもそう思う!自分で作るんだもん、自分のだよね!」

 

海未「…」

 

穂乃果「海未…ちゃん?」

 

海未「……

 

はっ、なんでもありません!」

 

ことり「も~、海未ちゃんたまに天然なんだからぁ!」

 

海未「すいません…

 

(グフカスタム…とても、格好いいです…)」

 

店員「それでは組み立てていきましょうか!

 

基本的にHGのガンプラは腕か胴体・頭部から作る説明書になっているものが多いので、今回は腕から組みましょう!

ちなみに順番通りでなくとも、部位毎にちゃんと組めていれば最終的には問題ないのでご安心ください」

 

 

穂乃果「最初はこのパーツから…

 

ニッパーで切って、組み立てて…」

 

店員「ランナーは2回切るのが基本ですよ!

 

まずパーツそのものから余裕をもって棒部分の端を残す形で切り取り、2回目に棒部分を切り取ると綺麗にはずすことが出来ます。

 

2回切った後で気になるようなら、デザインナイフでこそぎとるようにランナー部分を削るといいでしょう」

 

穂乃果「そうなんだ!

めんどくさいけど…頑張らないと綺麗にできないもんね…」

 

 

腕の作成も終盤に差し掛かった頃。

 

ことり「あれ…?

合ってるはずなのに…差し込めない?」

 

店員「ポリキャップの入れ忘れではないですか?

説明書だとPCと表記されているパーツです」

 

ことり「…あ!そうみたいです!

でも…パーツくっつけちゃった…」

 

店員「ご安心ください、こんなときもデザインナイフがあれば…」

 

店員はゆっくりとデザインナイフの刃先をパーツの隙間に差し込むと、てこの原理でパーツに負荷をかけずにはずして見せた。

 

ことり「デザインナイフってこんな風にも使えるんですね!」

 

店員「そうです、ナイフだからといって切るだけの道具ではありませんよ!

プラモ作りではニッパーに次いで大切な道具と言えますね」

 

 

 

「…できた!」

 

穂乃果、ことり「え!?」

 

海未「…完成しました、私のグフカスタムが!」

 

海未が座っていた作業用デスクの中心には、習ったことに忠実に、そして初心者とは思えないほどの完成度で組み上げられたグフカスタムが堂々と立っていた。

 

海未「説明書を読んだとき、私はこのグフカスタムを完成させたいと強く思いました…

すると作っていくうちに、私はどんどんのめり込んでいき…

気づいたら完成していました。」

 

 

店員「…初めてとは思えない完成度ですね…」

 

穂乃果「すごい!!海未ちゃんすごすぎるよ!!!」

 

ことり「私なんてまだ両腕が組み終わっただけなのに…

海未ちゃんにこんな才能があったなんて…!」

 

店員「残りのお二方も、負けずにかっこよく仕上げましょう!

次は胴体ですよ!」

 

 

 

海未がグフカスタムを完成させて1時間ほど。

残りの2人も店員にアドバイスされながら無事に自分のプラモを完成させ、達成感に浸っていた。

 

穂乃果「これが…ゴッドガンダム…!

かっこいい!」

 

ことり「私のバスターガンダムだって負けてないよ!」

 

海未「私のグフカスタム…

浮き足立つのはよからぬことですが、我ながら綺麗に仕上げられたと思います」

 

店員「皆様お疲れ様でした!

 

 

それではお待ちかねの、バトルの方に移りましょうか!」

 

穂乃果「ついに…!!

ついにバトルだぁぁぁ!!!!」

 

ことり「穂乃果ちゃん落ち着いてよ、まだ私たち初心者なんだからぁ…」

 

海未「グフカスタムには剣が1振りに楯と一体化した機銃…

これらを活かして戦うには…」

 

穂乃果「海未ちゃん!?

作戦立ててるの!?」

 

海未「…は、はい、つい癖で…

勝負とは真剣なものです、こちらも真剣にならないと勝てるものも勝てませんから」

 

ことり「海未ちゃんの言う通りかもね!

でも最初は、動かし方から覚えないと…」

 

海未「そうでした…私の早とちりでしたね」

 

 

店員「さあ、こちらです!」

 

 

 

ついにバトルシステムの前に立った3人。

 

店員「このGPベースをおいて…

今回はレンタルという形にしておきます、もちろん勝敗の結果などは残りませんので操作になれてきたら3人で戦ってみるといいでしょう」

 

3人「はい!」

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

穂乃果「高坂穂乃果!ゴッドガンダム!」

 

ことり「南ことり!バスターガンダム!」

 

海未「園田海未!グフカスタム!」

 

3人「出ます!」

 

 

 

 

3人はガンプラバトルの第一歩を今、踏み出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ…穂乃果ちゃんにことりちゃんに海未ちゃんまで…

 

面白くなりそうやね♪」

 

 

 

 

 

 

 

次回につづく!




第1回、いかがでしたでしょうか。
書き貯めている分は近いうちに投稿していきたいと考えていますので、長い目で待っていただけると嬉しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。


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#2『初めてのバトル』

ラ!×ガンダムBF、2話目です。
8話までは早めに投稿していきます。


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

穂乃果「ひょんなことからガンプラに興味を持った私たち。

なにがなんだかわからないままに始めたら、そこには無限に広がる夢のバトルシステムが広がっていて…??」

 

 

#2 初めてのバトル

 

 

3人『出ます!!』

 

 

Field・1

ground

 

 

穂乃果達がフィールドに入って最初に目に飛び込んできたのは、まるでその場に存在しているかのようなリアルな荒野の風景だった。

 

 

穂乃果「すごいよこれ!!本物みたい!!」

 

ことり「空も木も、砂まで…まるでその場所に来たみたい!」

 

海未「2人とも浮かれないでください!

練習しますよ!」

 

 

海未が声をかけると、店員が口を開いた。

 

店員「皆さんの両手近くにに黄色い球体が浮かんでいますよね?

それでガンプラを操縦します!」

 

3人が各々目を向けると、確かにバスケットボールより少し大きいくらいの球体が浮かんでいる。

 

 

穂乃果「んしょっと…」

 

球体に手をのせた穂乃果が右手を前に動かすと、ゴッドガンダムがおぼつかない動きで歩き始めた。

 

穂乃果「歩いた!」

 

店員「その調子です!

両方の球体の動きでガンプラそのものを動かす、これは全ての機体に通ずることです。

自作したガンプラも、動けないようでは宝の持ち腐れですからね」

 

ことり「わぁ!私のも動いたよ!」

 

海未「私のも問題ないようです…

さすが私のグフカスタム!」

 

 

 

意外なことに3人とも吸収が早く、しばらく経つと全員が走れるまでになっていた。

 

 

穂乃果「フッフッフ…

私を捕まえてみろぉ!!」

 

ことり「穂乃果ちゃん早いよぉ~…」

 

海未「負けません!!」

 

 

こんな調子で操作に慣れてくると、店員は次の説明を始めた。

 

店員「両手を捻るとそれぞれの武器などが表示されます。

今のままでは持っているだけの状態なので、実際選択して使ってみましょう!」

 

 

海未「やはりグフカスタムはヒート・サーベルという剣とガトリング・シールドが主な装備のようですね…」

 

ことり「バスターガンダムは2種類銃を背負ってるみたい、合体させて1本にもできるんだ!」

 

穂乃果「…」

 

 

海未とことりは順当に習得したが、穂乃果は黙ったままだ。

 

ことり「穂乃果ちゃん?

どうしたの?」

 

穂乃果「…私のがない!!」

 

海未「ない…?」

 

穂乃果「私のゴッドガンダム…ビームサーベル1種類しかないよ!!」

 

どうやら穂乃果は自分の装備が少ないことに怒っているらしい。

 

すると店員がまた口を開いた。

 

店員「逆の手も確認してみるといいですよ!」

 

 

穂乃果「逆…あっ!」

 

展開されたスロットルには格闘やゴッドシャドウに加え、SPと書かれた武装もあった。

 

穂乃果「あったけど…このSPってやつなんだろ?」

 

海未「私のにはないみたいです…」

 

ことり「わたしのもないや…」

 

店員「その装備については後程説明しますよ。

 

では実践といきましょう!

 

 

店員がバトルシステムを操作すると、CPU専用MS「モック」が数体現れ、走る、ホバーで移動する、飛び回るなどの方法で動きまわり始めた。

 

店員「これはモックと言って、コンピューターが操作するMSです。

今は攻撃してこない設定なので、思い思いに戦ってみてください!」

 

3人「はい!」

 

 

 

 

上空を飛ぶモックをバスターのライフルで狙うことり。

ことり「…思ったより当たらない…

こっちなら!」

 

通常のビームライフルでは命中させるのが難しいと悟ったことりは、すぐさまスロットルを展開し実弾ライフルに散弾を装備、広い範囲を一挙に撃つことで撃墜に成功する。

 

ことり「やった!」

 

初の撃破に年相応の笑顔を見せるが、初戦とは思えない 手捌きであったのは誰の目にも確かだった。

 

 

 

 

海未「…そこですっ!」

 

次の瞬間、グフカスタムのモノアイがぎらりと光ったと思うと、目の前にいたモックは左右真っ二つに切られていた。

 

間髪いれずに中距離に見えた次のモックを、今度はガトリング・シールドで撃破する。

 

海未「…まだ少し動きに無駄がありますね。

鍛練あるのみです。」

 

海未は弓道で鍛えた揺るがない集中力を活かして、敵を連続で撃破した。

 

 

穂乃果「…えいっ!」

 

ゴッドガンダムの得意分野、格闘で殴りかかる穂乃果。

しかし思うようにヒットせず、空振りが続く。

 

穂乃果「当たらない…

そうだ!」

 

穂乃果はスロットルを開くと、ビームサーベルを選択して腰から2本取り出した。

 

穂乃果「…これなら!!」

 

するとどうだろう、まるでダンスするかのような足取りで次々モックを撃破していく。

 

海未「穂乃果…!?」

 

ことり「穂乃果ちゃん…すごい!」

 

穂乃果「日々の練習のお陰だよ!

これで最後だぁ!!!」

 

最後のモックをX字に切り裂くと、新たにモックが現れる。

 

 

店員「次は敵が攻撃してきます!

注意して戦ってください!」

 

 

 

そう店員が言い終わった直後のことだった。

 

新たに現れたモックが一瞬で爆発四散し、燃え上がった炎の中にモックとは違うシルエットの機体が浮かび上がった。

 

 

穂乃果「なに!?穂乃果なにもしてないよ!?」

 

海未「私だって動いてすらいません…!」

 

ことり「あの新しい機体の仕業なの…?」

 

 

炎の中で光る紅い双眸。

体の各部に丸みを帯びた特徴的なフォルム。

周辺にぴたりと纏うファンネル。

 

 

店員「皆さん…乱入者です。

 

設定から外していた筈なのに…

 

ともかくあの機体はキュベレイMk-Ⅱ。ファンネルでのオールレンジ攻撃を得意とします。

幸いダメージレベルはC…あまりに早いですが、実戦です。」

 

炎が引いてきたフィールドで、漸く敵の姿が露になる。

 

妖しい、艶やかな紫を纏ったキュベレイが、右手をかざした瞬間、キュベレイの回りを浮遊していたファンネルが急速で穂乃果たちを襲った。

 

 

海未「…はぁっ!!」

 

居合斬りの要領で、海未の目の前に飛来したファンネルを斬り伏せる海未。

しかしファンネルはひとつではない。

グフカスタムの両足、膝関節ギリギリまで接近したファンネルが発射されると、海未のグフカスタムは成す術なく仰向けに倒れ込んだ。

 

海未「関節をっ…!?

…これでは動けない!!

 

あ!ことり!後ろです!!」

 

ことり「えっ!?」

 

海未の声にことりが気づいたときにはすでに遅く、バスターの肝である二本のランチャーに加え肘の関節もファンネルの集中放火を食らって溶けてしまう。

 

ことり「これじゃあ何もできないよ…!」

 

穂乃果「…私に任せて、海未ちゃん、ことりちゃん。」

 

 

海未「穂乃果!?」

 

ことり「穂乃果ちゃん…?」

 

 

穂乃果「私、自信なんてないけどさ…

やっぱりきっと、やらなきゃ後悔すると思うんだ。」

 

サーベルを納刀し、再び拳を握りしめたゴッドガンダムが、次第に金色の光を発してゆく。

 

 

穂乃果「私たち、まだガンプラ始めたばっかりだけど…

でもせっかくの初めての戦いだもん。

 

初めてのライブのときもそうだった。

あのとき…諦めないで歌ったから、今の私たちがあるって、私はそう思う。

 

だから私、戦うよ。」

 

海未「…そうですね。

穂乃果の判断はいつも…

後悔しないための選択でした。」

 

ことり「穂乃果ちゃんの言う通りだね。

…頑張って!穂乃果ちゃん!」

 

残された足でファンネルをひとつ蹴飛ばしたことり。

 

海未は倒れながらもガトリング・シールドでファンネルを数機撃破した。

 

海未「私たちにできるのはここまでです、頼みましたよ、穂乃果。」

 

ことり「行って、穂乃果ちゃん!」

 

 

穂乃果「ありがとう、二人とも!」

 

2人の声を受け、ゴッドガンダムの全身がついに金色の光に包まれる。

同時に背中のバインダーが開き、日輪のごとき光輪が生じたかと思うと、次の瞬間ゴッドガンダムはキュベレイに向かって駆け出していた。

 

穂乃果「いけっ!」

 

ゴッドガンダムが右手を勢いよく振りかざすと、拳の形をした衝撃波が発射された。

 

「…!?」

 

敵は一瞬たじろぎを見せたが難なくそれを避けて見せる。

 

穂乃果「まだっ!!」

 

敵のスピードを遥かに上回るスピードで穂乃果のゴッドガンダムがキュベレイに肉薄したかと思うと、ゴッドガンダムの右手がオレンジ色に輝いてゆく。

 

穂乃果「いけぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

右手が真っ直ぐキュベレイに伸びる。

あと少し…

 

届け…!!!

 

 

 

 

 

しかしそれは届かず、別角度からの攻撃を受けたゴッドガンダムは地面に投げ出された。

 

 

別の機体が邪魔をしたのだ。

 

穂乃果「…勝てるって、思ったのに…」

 

ファンネルかとも考えたが、地面から上を見上げた時に穂乃果は間違いだと気づく。

 

海未「新手だなんて…!」

 

ことり「あの1機でも勝てるかわからないのに…!」

 

 

新手の機体は、背中に翼のようなバックパックを装備し、目が青く輝くガンダムタイプであった。

なにより機体色は金色で、システム内の日光を浴びてきらびやかに光っている姿は敵ながらに美しさを感じさせる。

 

穂乃果「…勝てないの…?

もう動けないの…?」

 

 

 

 

 

 

「…今回は私たちの負けかしらね。」

 

「そやね。ふふ」

 

不意に3人の通信に敵の通信が聞こえた。

それも聞き覚えのある、知っている声が。

 

 

「穂乃果、海未、ことり。

貴方たちはよくやったわ…

初陣にも関わらずこっちが押されるなんてね。

私が出る気はなかったのだけど」

 

「ウチのキュベレイどーやった?

なかなか格好いい登場の仕方やと思ったんやけどなぁ…」

 

 

3人「…え?」

 

 

 

 

「気づくのが遅いわね、このアカツキに乗ってるのは私、絵里よ」

 

「こっちのキュベレイはウチ、東條希やで♪」

 

3人「うぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

希「____と、言うわけでな」

 

絵里「貴方たちがガンプラに興味を持ったって聞いて、急いで店員さんにお願いしたのよ?」

 

店員「お二人はよくうちの店に来てくれるんですよ。

こちらも常連さんの頼みは聞き入れたいですしね!」

 

海未「希と…」

 

ことり「絵里ちゃんが…」

 

 

穂乃果「ガンプラ好きだったなんて…!!」

 

驚きを隠せない3人に、希が付け足す。

 

希「ただ好きなわけやないで?

作って戦う…ビルドファイター、やな!」

 

絵里「3人とも、μ'sの練習の合間にガンプラもみっちり仕込んであげるから覚悟しなさいよ!」

 

海未「は、はい…」

 

ことり「はぁい…」

 

穂乃果「はい!!!」

 

 

 

 

こうして私たち5人の「ビルドファイター」を極める戦いは始まった。

 

 

 

 

「μ'sは9人…忘れたらダメ、ですよ」

 

「私たちも混ざればよかったにゃぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回「#3 強襲!?」

につづく!




今回はいかがでしたでしょうか!
どんな形にせよ感想を持っていただければ幸いです。
次回以降はバトル描写が増えていきます!


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#3『急襲!?』

ラ!×ガンダムBF第3話、今回はバトル中心となっております!
お楽しみいただけたら幸いです!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

穂乃果「初めてのバトルで興奮する私たち。

そんなとき知らない相手が乱入してきた!

必死に戦った私たちを認めてくれた相手はなんと希ちゃんと絵里ちゃんだった!!」

 

 

#3 「急襲!?」

 

 

穂乃果たちが希たちと戦った次の日。

 

 

穂乃果「よーし学校終わり!練習だぁ~!!!」

 

ことり「屋上行かなきゃね!」

 

海未「二人とも待ってください!

着替えがまだですよ!!」

 

ガンプラと出会い、バトルを始めたとはいえ、穂乃果たちのなかでμ'sの優先順位が変わるなんてことは全くなく、放課後は屋上でれん練習するといういつも通りの…

 

 

ダッダッダッダッ

 

 

いつも通りの…

 

 

 

 

ダッダッダッダッダッ

 

 

 

 

いつも通りの…

 

 

 

 

 

ガチャッ

バタンッ!

 

 

 

3人「!?」

 

部室で着替えていた3人の目の前に現れたのは、にこ、凛、花陽の3人であった。

 

 

穂乃果「にこちゃんに凛ちゃん、花陽ちゃんまで…

走ってくるなんてやる気満々だね!」

 

にこ「ええ…」

 

凛「やる気…」

 

花陽「満々…です!」

 

 

3人はそれぞれガンプラを手に持っていた。

 

海未「3人とも、それは…ガンプラですか!?」

 

にこ「そうよ…

穂乃果!海未!ことり!

あんたたちに勝負を申し込むわ!!」

 

ことり「で、でも練習があるんだよ…?

終わってからにしようよ…!」

 

凛「これを見るにゃ!!」

 

 

凛は1枚の紙を3人に見せた。

 

穂乃果「降水確率…80%!?

でも降水確率なんて確率だよ!!」

 

部屋のカーテンに駆け寄った穂乃果は、カーテンを開けて絶句した。

さっきまでは曇りで、雲間から日光も差していたのに…

空は黒い雲で覆われ、しとしとと雨が降っている。

 

凛「凛はもうバカじゃないにゃ!

雨の屋上で踊ったりしないにゃ~♪」

 

穂乃果「凛ちゃんめぇ…!!

海未ちゃん、ことりちゃん」

 

海未「穂乃果?」

 

ことり「穂乃果ちゃん??」

 

穂乃果「バトル、しよう!

雨じゃ練習できないし!」

 

海未「しかし…」

 

ことり「いいんじゃないかな!

雨なら仕方ないよ!」

 

 

花陽「…決まり、ですね!」

 

 

 

 

 

 

ー数十分後ー

 

穂乃果「…あれ?

ここ真姫ちゃんの家だよね?」

 

海未「そうですね…

表札にも西木野とありましたし…」

 

ことり「なんで真姫ちゃんの家に…?」

 

ピーンポーン

 

にこが迷わずインターホンを押すと、程なくして真姫が出た。

 

真姫「またきたのね?

鍵は開いてるわよ」

 

にこ「ありがと」

 

それだけ言葉を交わすと、にこ、凛、花陽は無言のまま進んでいく。

 

穂乃果たちは意味もわからずついていくと、真姫の家の一室のドアににこが手をかけた。

 

花陽「入ってください!」

 

花陽に促され、穂乃果たちが入室するとそこにはなんと…

 

穂乃果「バトルシステム!?

どうして真姫ちゃんの家に!?」

 

にこ「真姫のお父さん、数年前までは名の知れたガンプラビルダーだったんだそうよ。

その時の名残ってわけ」

 

花陽「真姫ちゃんはガンプラに全く興味ないんですけどね…」

 

 

海未「なるほど…

納得がいきました」

 

凛「話はこれくらいにして~」

 

ことり「始めようか!」

 

 

 

 

 

穂乃果たち3人は希たちとのバトル後にGPベースを購入したので、正式な戦いとしてはこれが初陣となる。

 

対してにこりんぱなの3人は、ガンプラの経験はそれなりにありそうだった。

 

海未「3人はどんなガンプラを使うんですか?」

 

凛「凛はこれにゃ!

ガイアガンダム~!!」

 

凛のガイアは粗削りではあったが、綺麗なオレンジに塗装されていた。

といっても3人は原色を知らないため気づかない。

 

ことり「花陽ちゃんは?」

 

花陽「私は…これです。」

 

花陽が取り出したのは、綺麗な素組みをされたガナーザクウォーリアであった。

 

海未「私のグフカスタムと似てますね」

 

にこ「ハァ!?なーにいってんのよ!

グフカスタムは白兵戦用の装備ばっかでしょ!

ガナザクは射撃系の機体だし、まずシリーズが違うわ!

グフカスタムは08小隊、ガナザクはSeed Destinyでしょうが!!」

 

ことり「…にこちゃん?

何いってるの…?」

 

穂乃果「しーど…ですちにー…ってなに?」

 

にこは呆れ顔をしている。

 

凛「にこちゃんはガンダム本編も大好きなんだよ!」

 

凛のフォローで海未だけは察する。

 

海未「なるほど、設定に沿った機体の差を今の一瞬で…

ガンプラを知るならアニメをみることもまた重要なのですね!」

 

にこ「ふん!海未しかわかってないじゃない!

 

私の機体はこれよ!」

 

にこが取り出したのは、ユニコーンガンダムであった。

 

にこ「どぉよ?私のユ【にこ】ーンガンダムは!」

 

 

一同「…」

 

あまりのくだらなさに穂乃果たちだけでなく凛と花陽まで黙ってしまう。

 

にこ「なーによその態度はぁ!」

 

凛「ほらやっぱ寒いにゃ…

言わんこっちゃないにゃ…」

 

にこ「うっさいわねぇ!!

バトルでわからせてあげるわ!!」

 

にこが乱暴にスイッチを押すと、システムが起動する。

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

穂乃果「頑張ろう、海未ちゃん!

ことりちゃん!」

 

海未「ええ!」

 

ことり「援護は任せて!」

 

 

Field・3

forest

 

 

にこ「森ステージ…

 

私はとりあえず中距離を意識して立ち回るわ!花陽は下がって援護、凛はMA形態で敵を撹乱して!」

 

凛・花陽「了解!」

 

手慣れた様子で二人に指示を出すにこ。

 

対する穂乃果たちも、海未の作戦に耳を傾ける。

 

海未「私たちはあちらの機体を知らない以上、迂闊に動けません。

しかし穂乃果のゴッドガンダムも私のグフカスタムも、走行のスピードは早い部類に入ると思われます」

 

穂乃果「二人で走ってって先手必勝!ってわけだね!」

 

海未「それでは花陽のザクの巨大なランチャーの餌食になるとみて間違いありません…

 

よって私たち二人は中距離まで接近、こちらで牽制をしながら相手を誘導します」

 

ことり「…わかった!

あとは私が隠れておいて、来たところを撃てば!」

 

海未「そういうことです。

恐らく向こうも花陽を下げる編成…

作戦が崩れてしまったら合図しますので、その場合はことりも援護を頼みます!」

 

ことり「わかった!

二人とも頑張って!」

 

穂乃果「任せなさいっ!」

 

海未「行きますよ!穂乃果!」

 

穂乃果「うんっ!」

 

 

幸いなことに辺りには屈んだMSが身を隠せるサイズの岩も多く、ことりはその一つに身を隠す。

 

穂乃果たちが駆け出すと、センサーが敵機接近のアラートを鳴らす。

 

海未「敵接近、凛です!」

 

穂乃果「了解!」

 

 

立ち止まった二人は辺りを見渡すが、MSのシルエットは見当たらない。

 

穂乃果「いない…?」

 

 

凛「…甘いにゃ!」

 

突如として木々が揺れたかと思うと、MA形態に変形したガイアが穂乃果のゴッドガンダムを襲う。

 

海未「穂乃果!!」

 

穂乃果「!!」

 

咄嗟に両手をかざし、ガードの体勢を取る穂乃果。

 

凛「ガードなんてこうだにゃ!!!」

 

飛び込んできたガイアがくるりと回転したかと思うと、両足で思い切りゴッドガンダムの両手を蹴飛ばす。

 

踏ん張りきれなかったゴッドガンダムが後ろに吹き飛び、ガイアが着地すると地面を蹴って海未のグフカスタムに向かって飛び出す。

 

海未「穂乃果!大丈夫ですか!

しかし今はこちらが先決…!」

 

翼部のビームサーベルを発振したガイアが正面から来る。

このことから海未が次の動きを予測するのは容易かった。

 

海未「…こうですっ!」

 

グフカスタムが地面を蹴ってジャンプすると、スピードに乗ったガイアはその下を通りすぎる。

 

空中でガイアに狙いを定めた海未は、着地の瞬間を狙いアンカーを射出する。

 

ガキンッ、と金属音が鳴り響き、凛のガイアの片足がアンカーで拘束される。

 

凛「にゃ!?」

 

腰に差したヒートサーベルを引き抜き、アンカーを巻き取りながら駆け寄るグフカスタム。

 

凛「そんな安直な手は食わないにゃ!」

 

ガイアが体勢を立て直し、再びビームサーベルを発振させる。

 

海未「…甘い!」

 

するとグフカスタムが急に立ち止まり、最大まで巻き取られたアンカーがピンと張る。

 

海未「ふんっ!!」

 

グフが力一杯腕を左に振ると、ガイアは体勢を崩して成す術なく森に投げ込まれた。

 

 

海未「穂乃果!立てますか!?」

 

穂乃果「うん、大丈夫!」

 

海未「あとは手はず通りです!下がりましょう!」

 

穂乃果「わかった!」

 

 

にこ「なーにいってんのよ。

私がここを通すと思う?」

 

穂乃果「…にこちゃんっ…」

 

にこ「あんたらの作戦は大体わかったわよ。

引っ掛かってあげてもいいわ。

…にこを倒せたらね!!」

 

 

にこが叫んだ途端、ユニコーンの体の各部に亀裂が走り、赤い光が放出され始める。

 

足から順に、亀裂が展開していき、顔まで開くと、アンテナがV字に別れ、ユニコーン''ガンダム''が姿を現す。

 

にこ「これがにこのユにこーンの真の姿…デストロイモードよ!」

 

海未「…勝てるのでしょうか…」

 

穂乃果「……だって

可能性、感じたんだ」

 

海未「穂乃果…?」

 

穂乃果「そうだ、進め!」

 

海未「ふふふ、穂乃果らしいですね。

 

後悔したくない、目の前に」

 

穂乃果「僕らの道がある!!

 

行くよ!海未ちゃん!」

 

海未「はい!

 

…私は凛の相手を、隙をみて援護はします!」

 

穂乃果「あ、忘れてた!

頼んだよっ!!」

 

海未「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃。

 

ことり「穂乃果ちゃんたち大丈夫かな…

 

まだ合図もないし大丈夫なんだろうけど…」

 

一人待機することり。

それは花陽も一緒だった。

 

花陽「うぅ…

二人とも大丈夫かなぁ…

いくらなんでも心配だよぉ…」

 

そして二人は決断した。

自分たちも動こうと。

 

ことり「…恐らく前衛を張ってる二人は射程の長い装備を持ってないはず…

ならバスターの連結射撃で狙い撃てるよね!」

 

花陽「前に出すぎないように…4人に近づきます!」

 

 

 

 

 

 

場所は戻って、バトル真っ最中の4人。

 

海未「凛!貴方の相手は私です!」

 

凛「にゃっ!負けられないにゃ!!」

 

MS形態に戻ったガイアが、ビームサーベルを引き抜きグフカスタムに迫る。

 

海未「単調な剣筋…見切った!」

 

屈んだ体勢からヒートサーベルを横に振りかぶると、ガイアの右手が二の腕の辺りから切り落とされる。

 

凛「にゃっ…!?」

 

海未「ここまでです!」

 

右手に持ったヒートサーベルを逆手持ちすると、グフカスタムは勢いよくガイアの胸にヒートサーベルを突き刺した。

 

凛「にゃ…

凛の負けだにゃあ…」

 

海未「詰めが甘いですね…」

 

 

凛を倒した海未を、一息つく暇もなく穂乃果の声が包んだ。

 

 

穂乃果「うわぁぁっ!!」

 

海未「穂乃果っ!?」

 

にこ「フンッ!口ほどにもないわねぇ!」

 

 

穂乃果「えへへ…にこちゃん口だけじゃなくて本当に強いや…」

 

にこ「ようやくわかったのね!

全く…」

 

海未「穂乃果、私も援護を!」

 

穂乃果「ううん、海未ちゃん。

私、一人で戦うよ。

 

自分の力でにこちゃんに勝ちたいって、そう思ったから!」

 

言い終わった穂乃果は、スロットルをSPに合わせて叫ぶ。

 

穂乃果「スーパーモォォォォド!!」

 

 

穂乃果が叫ぶと、ゴッドガンダムの身体がみるみる金色に包まれていく。

 

にこ「へぇ…隠し玉って訳ね!」

 

ビームトンファーを振りかざして突っ込んでくるユニコーン。

 

しかしゴッドガンダムはジャンプで右にずれると、ユニコーンに蹴りを入れた。

 

穂乃果「本番はここからだよっ!」

 

にこ「やるじゃないの…

受けてたつわ!」

 

 

その瞬間だった。

 

にこと穂乃果の横を、巨大なビームが焼き払った。

 

 

海未「んなっ…!?」

 

海未のグフカスタムは右手を被弾し、面食らったように立ち尽くしている。

 

花陽「当たった!もう一撃…!」

 

にこ「花陽あんた…前に出たらダメよ!」

 

花陽「でも…いくらにこちゃんでも2対1じゃキツいと思って…」

 

にこ「うぐっ…

 

え、援護頼むわよ!」

 

花陽「う、うん!」

 

海未は残った左手のガトリング・シールドを花陽に向けると、ことりに合図を送る。

 

海未「ことり!前へ!」

 

ことり「了解!」

 

返事があった次の瞬間、今度はユニコーンをビームが襲った。

 

にこ「何!?」

 

バックパックに被弾したユニコーンが、ビームの方向をビームマグナムで狙撃する。

 

にこ「…分が悪いわね、花陽!

並んで弾幕を張るわ!」

 

花陽「了解です!」

 

ユニコーンはガナーザクウォーリアの隣に立つと、3人の方へマグナムとバズーカを乱射する。

ガナーザクウォーリアも負けじと火線を走らせ、辺りを爆煙が包む。

 

 

花陽「…やった…の?」

 

にこ「まだよ。

敵機反応が生きてるわ」

 

穂乃果「…くねつ!」

 

花陽「えっ…!」

 

にこ「花陽っ!!」

 

 

穂乃果「ゴッドフィンガアアアアアアア!!!!」

 

 

 

 

ガキィン

 

 

 

 

花陽「そんな…にこちゃ…なんで…」

 

にこ「バカね。

メンバーを守るのがリーダーの仕事でしょうが。」

 

穂乃果の放ったゴッドフィンガーは、花陽を庇ったにこに命中、ユニコーンは戦闘不能になった。

 

 

花陽「私が油断したばかりに…にこちゃんが…」

 

 

花陽は自分のせいだと戦意を失い、結果として戦闘は終了した。

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

花陽「にこちゃん…ごめんね。

私のせいで…」

 

にこ「花陽のせいじゃないわよ。

むしろ援護にきてくれて助かったわ!」

 

凛「凛だったらずっと待ってることしかできないにゃ!」

 

花陽「でもっ…」

 

にこ「この話は終わりよ!

 

んで穂乃果、あんたたちの勝ち!」

 

穂乃果「なんだか不完全燃焼だなあ…」

 

 

希「終わったみたいやね」

 

絵里「どうだった?初めての3vs3のバトルは」

 

海未「希に絵里…どうしてここへ?」

 

いつきたのかは分からないが、希と絵里もバトルを観戦していたらしい。

 

希「穂乃果ちゃんたちがガンプラ始める前から、ウチらは真姫ちゃんちでバトルしとったんよ」

 

絵里「今日は雨だし部室にもいないってなったらここかなって思ってね。」

 

ことり「そうだったんだ!」

 

絵里「ここまできたら真姫もガンプラのこと知りたがるんじゃないかしら?」

 

希「…さーて、どうやろなぁ?真姫ちゃん♪」

 

真姫「ヴェェ!?

…なんでいるってわかったのよ!」

 

ドアの外で盗み聞きをしていた真姫が姿を見せる。

 

希「カードがウチにそう告げるんや♪」

 

にこ「この際あんたも始めなさいよ!ガンプラ!」

 

 

真姫「わ…私は…」

 

絵里「もう興味ないなんて言えないわよね?」

 

意地悪な笑みを浮かべる絵里。

 

真姫「あぁーもう!やるわよ!!やるーー!!!」

 

 

こうしてμ's9人全員の、別の戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

「へぇ…スクールアイドルだけじゃなくてこっちでもいいライバルになりそうね。」

 

「まだ素組みのガンプラを作ったにすぎないわよ?」

 

「彼女たちの底力は、舐めてかかったらいけないわよ。」

 

 

 

 

 

 

次回「#4 紅の真姫」

 

に続く!

 




今回はいかがでしたでしょうか!
いくつかフラグも散りばめてあるので、後々の展開にご期待下さい!


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#4『紅の真姫』

ラ!×ガンダムBF、4話です。
今回でμ'sがついに全員出揃います!
それではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

海未「にこ、凛、花陽の3人につれられて真姫の家に行くと、なんとそこにあったのはバトルシステム!

お互いに取り出したガンプラでバトルすることになり、私たちは初めて3vs3の真剣な戦いの空気を体感、もっともっと精進していかなければと痛感しました…!

 

そして、真姫が…?」

 

 

#4 紅の真姫

 

 

真姫の家でバトルが行われた次の日。

 

真姫は秋葉原で待ち合わせをしていた。

 

真姫「…そろそろかしらね」

 

一人駅前で待っていると、少し経ってやって来たのは希、絵里、にこの3年生だった。

 

 

 

 

 

なぜこのようなあまり見ない4人組になったかというと、ガンプラの経験が深い希、絵里の二人と、ガンダムについて詳しいにこが真姫のガンプラ選びに選出されたからだ。

 

希「ごめんな真姫ちゃん、授業が長引いたんよ~…」

 

真姫「気にしないでいいわ。早くいきましょ!」

 

にこ「あーら、やけに乗り気じゃないの、やっぱ今まで天の邪鬼だったのねぇ」

 

にこが小馬鹿にするような口調で真姫をおちょくる。

 

真姫「べ、別にそんなんじゃないわよ!」

 

顔を赤らめて取り繕う真姫をにこはにやつきながら見つめる。

 

絵里「こぉらにこ、あんまり真姫をいじめないの。」

 

にこ「にこは別にいじめてるつもりなんかないけどぉ~?」

 

真姫「…もう!先いくから!」

 

希「あっ!真姫ちゃん待ってぇ~!」

 

しかし怒っても帰ろうとはしない真姫を見て3人はすこし安心したのだった。

 

 

 

 

 

ーエドバシカメラ 6Fー

 

 

にこ「さ、ついたわよ~。

相変わらずいい空気が漂ってるわ!」

 

希「にこっち、オタク全開やね…」

 

にこ「うっさいわねぇ!!

この空気、この肌触りこそガンプラ売場なのよ!」

 

相変わらずのテンションで売場に向かうにこと希を、真姫は数歩下がって見ていた。

 

真姫「…ガンプラって、こんなに熱くなれるものなのかしら。」

 

絵里「なれるわよ。」

 

不意に口を挟んだのは絵里だった。

 

真姫「エリー…

貴方がそう言うのならあながち間違いでもなさそうだけど…」

 

絵里「スクールアイドルとして歌って踊るのもすごく楽しいし、大切なことだと思うわ。

でもね、ガンプラは…

ガンプラは、それとは違った熱さがある。

臨場感、緊迫感、ピンチにチャンス…

自分が戦場に立って戦うからこそわかる、楽しさもね」

 

真姫「ふふ、エリーがそこまで言うなら信じてみてもいいかもしれないわね。」

 

こうして4人はガンプラ売場へ到着したのだった。

 

 

 

真姫「ガンプラって…こんなに種類があるの?

お父さんのを見たことあるからすこしは知ってる気でいたけど…」

 

HGにMG、RGにPG…並んだガンプラを見つめて真姫が呆気に取られたようにつぶやく。

 

にこ「この中の全部がバトルで使えるわけじゃないわ、使えるのは1/144サイズのHGシリーズだけよ。

まあ基本的に、MGやPGで出ているのはHGにもあるけど」

 

真姫「えいちじー…とか、えむじー…ってなんのことなのよ?」

 

希「おっと、説明不足やったなぁ。

にこっちはせっかちやから」

 

にこ「なによ!すこし知ってるって言うから…!」

 

にこの反論を制すように希が口を開く。

 

希「HGやMGゆーんは、大雑把に言えばガンプラの大きさやな。

バトルで使えるHG、ハイグレードのガンプラは1/144の大きさ。

バトルでは使えないけどサイズが1/100でHGより大きく、ディテール、ギミックが詰まっとるんがMG、マスターグレードってゆーんよ」

 

絵里が付け足すように話し始める。

 

絵里「RG、リアルグレードっていうシリーズは特殊な内部フレームを使用して可動域やディテールを1/144のサイズに詰め込んだ最新のシリーズね。

左側に機体の顔が大きく描かれたパッケージが目印よ。

そしてPG…パーフェクトグレードっていうのは」

 

にこ「PGはガンプラの完成形…サイズもさることながら、完成度は他とは段違いの出来上がりになるわ。

ただ、その大きいサイズに詰め込まれるパーツは100を超える…ビルダーの腕と根気も試されるキットよ」

 

我慢できなくなったにこが熱弁し終わる頃には、真姫の頭はパンク寸前になっていた。

 

真姫「まだ…ガンプラの種類の話しかしてないのよね…」

 

希「そーや♪」

 

絵里「これ以上話すと真姫も疲れちゃいそうね…ガンプラ選びに移りましょうか」

 

にこ「また今度、ゆっくりにこが教えてあげるわ!」

 

かくしてようやく、真姫のガンプラ選びがスタートしたのだった。

 

 

 

真姫「私…なににしたらいいかわからないんだけど…

教えてもらえないかしら?」

 

希「それじゃあ、ウチらがとりあえず1機ずつおすすめの機体を紹介するってのはどーや?」

 

絵里「いいかもしれないわね。

真姫、しばらく待ってて!」

 

にこ「あ、あんたたち待ちなさいよ!!」

 

 

真姫「…待つしかないわね」

 

 

 

ー10分後ー

 

希「みんな来たみたいやんな!」

 

絵里「そうね。それじゃあにこからどうぞ?」

 

にこ「えぇ!?

し、しょうがないわねぇ…」

 

 

にこが持ってきたのは、HG SEEDのジャスティスガンダムだった。

 

にこ「ZGMF-X09A ジャスティス。

機動戦士ガンダムSEEDの最終局面で活躍した機体よ。

 

二振り装備したラケルタビームサーベル、肩に装備されたビームブーメラン、ルプスビームライフルで各距離の戦闘に対応、背中に背負ったファトゥム-00-はフォルティスビーム砲を初めとした火器の使用の他に、上に乗っての移動や単独での撹乱、攻撃にも役立つ用途の広い装備ね」

 

真姫「…また暗号みたいなカタカナばかりだけど、要するにバランスがいいのね。」

 

にこ「まあ簡単に言えばそうね。

カラーリングもあんたに合ってるんじゃない?」

 

真姫「確かに…」

 

にこ「じゃ、私からは以上!

次は絵里ね」

 

絵里「私はこれよ!」

 

絵里が持ってきたのはHGUC ガーベラ・テトラだった。

 

絵里「正直ジャスティスのあとじゃ押しが弱いかもしれないけど…

この機体はビームと実弾両方のマシンガンに加えてビームサーベルも装備しているの。

さらに高出力のバーニアを背部に装備しているわ」

 

真姫「なるほどね…

武器のバリエーションは少し減るけど、扱いやすそうなイメージだわ」

 

絵里「伝わったようで嬉しいわ。

じゃあ次、希!」

 

希「まーってましたぁ!

 

ウチが自信をもっておすすめするのはこれや!!」

 

希がふんっと力をいれると、棚から巨大な箱が姿を現した。

 

希「HGUC ネオ・ジオング。

通常のMSより大きいシナンジュをすっぽり包んじゃうその大きさと圧倒的火力、素敵やとおもわん?」

 

絵里「希…」

 

にこ「あんたねぇ…バカじゃないの!?」

 

 

希「えへへ…嘘や♪

 

ウチがおすすめするのはネオ・ジオングの中身!

MSN-06S シナンジュやん!」

 

ネオ・ジオングを棚に戻し、別の棚からシナンジュを取り出す希。

 

希「シナンジュも武器がいっぱいあるんよ。ビームサーベルにビームアックス、ビームライフルにバズーカもあるんや!」

 

真姫「さすがにあのばかでかいのは無理だと思ったけど…

確かにカッコいいわね。」

 

希「どーや、真姫ちゃん。

決まった~?」

 

絵里「この3機で無理強いはしないけど…参考になれば嬉しいわ」

 

にこ「ま、にこのジャスティスが有力じゃないの~?

ガンダムだしっ!」

 

 

真姫「…3人ともありがとう。

でも…私、これといってピンと来るのがなかったわ。」

 

絵里「そう…

じゃあ日を改めましょうか、遅くなっちゃいそうだし」

 

希「そーやねぇ。

ゆっくり決めたらええんや♪」

 

にこ「決めるまで付き合ってあげるわ!」

 

真姫「ごめんね…協力してくれたのに。」

 

申し訳なさそうにする真姫を3人はなだめ、帰路についた。

 

しかし…

 

 

 

真姫「!?」

 

真姫は程無くして足を止めた。

 

にこ「どーしたのよ?真姫」

 

真姫「…この機体って、なにかしら」

 

真姫の視線の先にあったのは、真姫の鮮やかな赤髪を彷彿とさせるカラーリングの機体…

HGCE ストライクルージュだった。

 

希「ストライクルージュかぁ…

確かに真姫ちゃんっぽいカラーリングやし、初心者にも組みやすいキットやんな?えりち」

 

絵里「そうね…比較的新しいキットだから無改造でも可動は申し分ないし」

 

 

真姫「…私これにするわ。

ストライクルージュ。」

 

 

にこ「自分が気に入ったならそれが一番よ。

ね?二人とも?」

 

希「そやね!」

 

絵里「その通りね。」

 

そして真姫はそのままストライクルージュを購入したのだった。

 

 

 

 

 

にこ「今日はもういい時間だし解散かしらね」

 

希「そやね、明日はμ'sの練習もあるし」

 

 

 

真姫「…だけど」

 

絵里「ん?どうしたの真姫?」

 

真姫「私…組みたいんだけど

!」

 

真姫のまさかの発言に場は一瞬静寂に包まれる。

 

にこ「…なーによ!最初からそう言いなさいよ!」

 

希「にこっち…家は大丈夫なん?」

 

にこ「今日はママがいるから大丈夫よ!

絵里はどう?」

 

絵里「家には連絡するわ…

さ、真姫、やりましょ!」

 

真姫「…みんな、ありがとう」

 

希「かしこまっちゃって、真姫ちゃんらしくないなぁ。」

 

真姫「私だってお礼くらいちゃんと言うわよ!」

 

 

こうして、真姫のガンプラ初挑戦が始まった。

 

 

 

と、思われたのだが。

 

希「真姫ちゃん…組むの早ない?」

 

絵里「まるでプラモ知ってたかのように組んでくわね…

PCなんてほぼ確認してないし」

 

にこ「もう上半身できてるじゃない…しかも綺麗に」

 

 

小一時間ほど経ったとき、既にそこには完成したストライクルージュが立っていた。

 

にこ「ちょっとあんた…なんでこんなに早く組めるの!

しかも綺麗に…」

 

真姫「…お父さんと一緒に、作ってたのよ。

昔…小学校のころ」

 

絵里「道理で…

びっくりしたわ…」

 

希「海未ちゃんの製作技術も目を見張るものがあったけど…真姫ちゃんは叩き上げのスキルってわけやね」

 

真姫「とはいっても塗装とかは全く知らないわ。

道具も触ったことないしね」

 

想像以上に早く組み上がったので、まだ閉店まで時間がある…

それを何気なく確認した希は真姫に提案する。

 

 

希「じゃあ真姫ちゃん…バトル、しよか♪」

 

真姫「言うと思ったわ…やりましょ!」

 

 

想像以上に乗り気の真姫が意外だった3人は笑いながらも、準備を始める。

 

真姫「笑わないで!!」

 

また顔を赤らめて怒る真姫を横目に、準備は完了した。

 

絵里「今日は時間がないし、私とにこは観戦するわ。」

 

にこ「希のキュベレイは強いわよ…

少なくとも私のユにこーンよりは」

 

希「まあまあ、機体の性能の差が戦況を分かつ絶対条件じゃないって誰かがゆーとったやん?

真姫ちゃんのルージュもなかなかの出来やし」

 

真姫「時間ないんでしょ…

始めましょ!」

 

絵里「あら、さっきまでの態度はどこいったのかしらね」

 

希「えりち、そんくらいにしとき。

 

さー真姫ちゃん、容赦せんよ!」

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

希「東條希!キュベレイMk-Ⅱ!」

 

真姫「西木野真姫!ストライクルージュ!」

 

二人「出ます!」

 

 

 

 

 

 

field・2 space

 

 

希「オーソドックスな宇宙ステージ…小惑星帯って感じやね」

 

真姫「…ぼーっとしてると当たるわよ!!」

 

小惑星をエールストライカーのバーニアを吹かして避けながら近づき、ビームライフルを撃つ真姫のルージュ。

 

希はそれを余裕綽々と避けながら、相手の弾道を読むかのように切り込む。

 

希「キュベレイにできるのはオールレンジ攻撃だけじゃないで!」

 

掌からビームサーベルを発振したキュベレイがサーベルを振り上げると、真姫はエールストライカーのバーニアの向きを変え、思い切り吹かした。

 

勢いのついたルージュが、オーバーヘッドキックのような体勢で一回転すると、キュベレイの腕は蹴りあげられていた。

 

希「…!?

…ごめんな真姫ちゃん、ウチ真姫ちゃんのことなめとったかもしれんわ」

 

真姫「たまたまよ…思い付いたからやってみたらうまくいっただけ」

 

確かにたまたまかもしれないが、普通はこんな戦法思い付くことすらないだろう。

希は少し焦っていた。

 

希(今ので右手は動かなくなっとるな…

左手を守ってファンネルで…!)

 

希「いけ!ファンネルっ!!

 

希の声に呼応するように、キュベレイの両翼から多数のファンネルが射出され、真姫のルージュを囲う。

 

真姫「…これがファンネルってやつね」

 

希「ウチも思ったより余裕なくってな。

全力でいくで!」

 

ファンネルが一斉にルージュに向けてビームを放つ。

 

ビームは確かに命中した。

 

 

 

 

希「…当たりはしたみたいやけど、とどめを刺せたかどうか…」

 

真姫「…もらった!!」

 

希「!?」

 

 

囲まれたルージュはビームサーベルを抜いてエールストライカーをパージ、致命傷を免れビームの格子を抜け出していた。

 

希「…まだや!」

 

咄嗟にキュベレイが残った左手のビームサーベルを発振し、ルージュの左手を切り裂く。

 

真姫「っ…!」

 

ビームサーベルを失ったルージュは一瞬たじろぐ。

 

希「…そこ!」

 

キュベレイが手をかざし、再びファンネルに指示を出すと、ルージュにファンネルが向かってゆく。

 

真姫「武器…これだけ…!」

 

ストライクルージュの右側のサイドアーマーが開き、中からナイフのような短剣、アーマーシュナイダーが取り出されると、真姫はそれを前に突きだし目の前のキュベレイに向かって突進した。

 

 

コンマ数秒の差であろうか。

希のキュベレイのファンネルが真姫のルージュを焼いた。

 

 

希「…ふう。」

 

真姫「…さすがに勝てないわね。」

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

 

にこ「ちょっと真姫…あんたプラモ作れてバトルも強いなんてどういうことよ!」

 

絵里「穂乃果たちも強かったけど…

単独の力なら圧倒的じゃないかしら…」

 

希「真姫ちゃん…

初めてやないやろ?

 

戦っててわかったで?」

 

真姫「そりゃ作ってたらバトルもしたことはあったわ…

お父さんとしかやったことなかったから、通用するなんて思わなかったけどね。」

 

真姫の発言に、絵里とにこが絶句する。

 

希だけはニヤリと笑った。

 

 

 

希「前々からおもっとったけど…

いや、今はええな。

 

明日、みんなに話そうや、えりち、にこっち」

 

我に帰った二人が応答する。

 

絵里「え、ええ、そうね。

話すだけ話してみましょう」

 

にこ「こんなもん見せられたら可能性も感じるわよ…

 

真姫、あんた…あの動き、どこで習ったのよ?」

 

真姫「言ったでしょ?私はお父さんとしかガンプラしたことないわ。」

 

にこ「…なに?真姫のお父さんはシャアなの?」

 

絵里「そんなわけはないでしょ!」

 

本気トーンで呟いたにこに絵里がつっこむ。

 

希「…''紅の流星''。

西木野真姫…」

 

真姫「なによその呼び方!恥ずかしいからやめなさいよ!!」

 

希「ええやん、貶してるわけやないし~♪」

 

 

 

 

 

 

 

こうしてμ's9人がついにガンプラを手にし、それぞれの戦いを駆け抜けてゆく。

 

そして次回、その道は重なって…?

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 #5 9人での新たな一歩

 

に、続く!!




読んでいただきありがとうございました!
真姫がルージュを選んだ理由…それも後々明らかにしていきたいと考えています!
今後もよろしくお願いします!


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#5『9人の新たな一歩』

第5話です。
今回はバトルは控え目となっております。

ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

希「真姫ちゃんのガンプラ選びに付き合うことになったウチら3年生は、真姫ちゃんの予想以上の才能に驚かされることになった。

 

そして提案することになった前々から考えていたウチらの夢…

μ'sなら、もうひとつ目指せるかもわからんね!」

 

 

 

 

 

#5 9人の新たな一歩

 

 

真姫が思わぬ才能を見せた翌日からのこと。

μ'sはそれぞれ、ガンプラバトルをするようになっていた。

真姫の家はもちろん、時にはエドバシカメラに向かうこともあった。

そして各々がレベルアップしていった。

 

 

 

 

 

そして1週間が経った頃。

 

普段通りμ'sの練習を終えた9人は、部室で帰り支度をしていた。

 

穂乃果「今日も疲れたなぁ…

パン食べようかな!」

 

海未「穂乃果!また太りますよ!」

 

穂乃果「えぇ~いいじゃん~海未ちゃんのケチぃ!」

 

海未「…ドムみたいになりますよ」

 

穂乃果「…!

 

やめておこう…」

 

各々がガンダムに興味を持ったようで、会話でガンダムの用語が飛び交うことが増えたのだった。

 

そんな中、3年生3人がこそこそと打ち合わせをしている。

 

希(とりあえずウチらの思いを伝えるしかないやんな)

 

絵里(そうね、言いましょ)

 

にこ(にこが先導するから合わせて。いいわね?)

 

2人(了解)

 

意見がまとまると、にこがばっと部室の真ん中に躍り出る。

 

にこ「みんな!聞いてほしいことがあるの!!」

 

3年生以外の6人は中心に立ったにこに注目する。

 

にこ「私たち3年生の話…聞いて、どう思ったか教えて!」

 

6人はきょとんとした顔でにこを見つめる。

 

 

緊張からか手をぎゅっと握ったにこは、意を決したように言った。

 

にこ「私たちμ's…

9人で、ガンプラバトルの大会、でない?」

 

 

つかの間の静寂。

 

 

最初に口を開いたのは絵里だった。

 

絵里「私だって大変なのはわかってる…μ'sの活動に勉強、3年は進路だって決めなきゃいけないわ。

でもね…やりたいの。」

 

付け足すように希が言う。

 

希「ウチらはな、趣味を押し付けたりはしたくないんよ。

でもな、そんなことしなくてもまた、μ's結成のときと同じように、みんなそれぞれガンプラと出会って…

そんでみんな、楽しんでるって思ったんや」

 

 

3年生が思いを打ち明けると、再び部屋は静まり返った。

 

 

「…でも」

 

静寂を破ったのは花陽の呟きだった。

 

 

花陽「どれも疎かにしてはいけないことだと思うんです…

今も手一杯な感じのある私たちが、これ以上別のことを始めてしまったら…」

 

海未が続く。

 

海未「私も花陽と同感です。

確かにガンプラは楽しいし…大会に出たいかどうかと聞かれれば出てみたいです。

しかし私たちはまず、スクールアイドルという肩書きを背負っています。」

 

真姫「海未の言うとおりよ。

ガンプラやって歌もダンスもクオリティが下がるなんて本末転倒だわ。」

 

真姫が締めるように言葉を発すると、3年生はすこし悲しそうな顔をしたが、すぐに作り笑いをした。

 

にこ「そう…よね。

3人が正しいわよね…。」

 

 

 

「凛は賛成にゃ!!」

 

不意に凛が半分叫ぶように立ち上がって言った。

 

凛「凛はガンプラもバトルも、歌もダンスもぜぇんぶ大好きにゃ!

だからやれるにゃ!

好きなことはやりたいにゃ!!」

 

凛の熱弁に押されるように、ことりも強めの口調で話し始めた。

 

ことり「私はμ'sみんなの衣装を作ってるからわかるんだけど…

ガンプラってそれと似てるんだ。

衣装のデザインを考えて、描いてみて、材料を買って、仕上げて、ライブが成功する。

それってガンプラも一緒じゃないかな!」

 

珍しいことりの発言に、全員が一瞬驚く。

そして議論の行方は最後の一人。

 

μ'sのリーダー、高坂穂乃果に託されようとしていた。

 

 

 

 

穂乃果「私は…やりたい。

こんなに楽しいことなんてなかなかない。

みんながいて、自分のガンプラがあって、いくらでも膨らむアイデアと技術…

ほんとに、こんな楽しめることはないよ」

 

ここで言葉を詰まらせた穂乃果は、一瞬顔をしかめてからこう続けた。

 

穂乃果「でも…海未ちゃんたちが言うこともその通りだって思う。

どっちかなんて絞りたくないし、絞れない。

かといって、両方やってクオリティが下がるのも嫌だよ。

 

 

 

 

…だから、強制はしない。

μ'sの練習もこれまでどおりやるし、やりたい。

 

でも、自分の時間…

それか暇な時間の合うときに、ガンプラをやるのは悪いことじゃないって思う。

 

 

私はこれからもガンプラバトルをしたい。

だから…やる!」

 

 

穂乃果が言い終わると、反対していた3人は眉をひそめながらもどこか安心した表情を浮かべた。

 

海未「穂乃果ならそういうと思いましたよ。

 

リーダーの意向じゃ…仕方ないですね」

 

 

思えばいつもそうだった。

穂乃果は無茶な選択をすることも多いが、それに対して手を抜くこともしない。

 

μ'sがここまでこれたのは、みんなを引っ張ってきた穂乃果の選択があってこそだと、メンバーの誰もがわかっていた。

 

 

真姫「…やるからには本気なんだからね!」

 

真姫も満更ではなさそうだ。

 

 

 

 

 

(私は…どうしたらいいんだろう…)

 

一人悩ましい表情を浮かべていた花陽だったが、それに気づくメンバーはいなかった。

 

 

 

 

 

 

そして2週間後の大会に向けての特訓が始まった。

 

 

μ'sは今まで以上にハードな予定で、ライブとバトル両方の練習を重ねていた。

 

バトルだけでなく、自分のガンプラの細部をチューンしたり、何となくではあるが改造について考え始めたメンバーもいた。

 

 

 

 

 

そして地区大会前日…。

 

 

 

μ'sは真姫の家に集合していた。

 

 

 

 

にこ「…いい?今回の大会のルールを確認するわよ」

 

大会の要項をプリントしてきたにこが全員にそれを配る。

 

にこ「まずエントリーから。

バトルのルールは3vs3だけど、エントリーするメンバーに特に上限は設定されてないわ。

学校単位でエントリーするところもあれば、選りすぐりの3人でエントリーするところもあるわけね」

 

 

穂乃果「じゃあ私たちは3人ずつ3組でエントリーするってこと…?」

 

にこ「それも考えたけど、μ's同士で戦うのはなんだか嫌だしもったいないから9人でのエントリーにしたわ。

戦術に幅も出るしね」

 

それを聞くと穂乃果はほっとしたように息をついた。

 

にこ「大会はトーナメント形式になると思うわ。

それと事前に発表された情報として、16チームがエントリーしてる。

つまりは4試合勝てば優勝ってワケ」

 

海未「思ったより少ないのですね…。

もっといるものかと」

 

にこ「地区大会なんてこんなもんよ。

このあとに控えてるのは都内他地区の優勝者とのバトル。

そして…全国」

 

 

 

全員が息を飲んだ。

 

 

にこ「やるからには本気…

ここにきて引き下がるのは許さないわよ!」

 

一人一人が静かに頷いた。

 

 

 

 

 

そして大会当日の朝。

会場に走るμ'sの姿があった。

 

 

穂乃果「みんな急いで急いで!」

 

海未「あなたが寝ていたのでしょう!」

 

ことり「間に合うかなぁ…」

 

凛「先いくにゃー!」

 

花陽「あ、凛ちゃん待って!」

 

真姫「ちょっと!二人とも急ぎすぎよ!」

 

絵里「にこ…あなた大丈夫なの?」

 

にこ「ちょっと寝る時間削ってガンプラ弄ってただけにこぉ~…」

 

希「にこっちも時間ギリギリやったし…初日からこれで大丈夫なんかなぁ」

 

 

口々に叫び、呟きながら、開かれた会場に足を踏み入れると、すでに開会式が始まっていた。

 

サングラスの男「それではこれより!東京地区8の地区大会を開催する!!」

 

ワァァァァァーーーーーーッ!!!!!

 

 

会場はサングラスの男の声にもり立てられるかのように過熱していた。

 

穂乃果「…誰?」

 

 

にこ「…めめめ…」

 

穂乃果「にこちゃん?」

 

にこ「メイジン・カワグチじゃないのおお!?」

 

にこが興奮ぎみに叫ぶ。

 

希「メイジンがおるのはすごいことやけど…なんでわざわざこんな地区大会に来たんやろなぁ?」

 

絵里「…なにか理由があるようにしか思えないわね」

 

 

二人の勘はまもなく当たることになる。

 

メイジン「では、この地区の前回代表にして…

 

ラブライブ前回優勝グループ!」

 

 

μ's一同「えぇっ!!!!!?????」

 

 

 

メイジン「A-RISEにマイクを渡そう!!」

 

 

 

 

μ's一同「えぇぇぇええぇっぇぇぇぇぇえぇぇぇ!!!!!!!!???????」

 

 

 

 

 

あんじゅ「ありがと、お兄様。

はい!というわけで!私たちA-RISE!」

 

英玲奈「今年も!」

 

ツバサ「優勝、いただきます!!」

 

見紛うことなく、その場には全国的に大人気のスクールアイドル、A-RISEが3人とも立っていた。

 

 

 

μ's一同「…」

 

一度に色々なことが起こりすぎて、μ'sの頭はパンク寸前だったが、直後にトーナメント表の発表がされるとなると、次第に落ち着きを取り戻していった。

 

 

ツバサ「それでは私たちA-RISEが、トーナメント表の発表をさせていただきます!」

 

 

 

ルーレットのような演出で続々と決まってゆく組合わせ。

 

 

μ'sは3試合目であった。

 

 

 

ことり「3試合目だね!」

 

花陽「緊張します…!!」

 

 

真姫「ちょ、ちょっとあれ見なさいよ!」

 

真姫が焦り気味に指差す先には、トーナメント表の最後に収まったA-RISEの文字があった。

 

 

海未「…またしても、A-RISEが立ちはだかるのですね…」

 

絵里「前回の地区優勝は彼女達みたいだし…

強敵になることは必至ね」

 

凛「ダンスも歌もガンプラも…頑張って追い付くしかないにゃ!」

 

希「それも大事やけど…ウチらの試合のこと先に考えた方がええんとちゃう?」

 

一同が虚を突かれたような表情を浮かべる。

 

にこ「さあ!作戦立てるわよぉ!!」

 

話を元に戻すかのように手を叩きながら歩き出すにこ。

 

 

μ'sは控え室へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

あんじゅ「来たわね、μ's。」

 

英玲奈「私たちの敵になるようには思えないが…」

 

ツバサ「甘いわね。

彼女たちは圧倒的なスピードで成長してくるわよ。

 

人数はこっちの3倍、つまりは戦術も3倍、伸びしろも3倍…

 

いや、戦術や伸びしろなんて数字で表せるものじゃないしね」

 

あんじゅ「タツヤお兄様も注目してたわ。

 

この組み合わせでいくと彼女たちと戦うのは決勝ね」

 

英玲奈「それまでに負けるようなら…その程度だったということか」

 

ツバサ「そして決勝で戦うことになっても…

全力で戦うのみね。」

 

 

 

 

 

 

控え室に到着した9人は、1回戦で戦うメンバーの選出にかかった。

 

 

にこ「私の意見としては、真姫、絵里を中心に据えて補佐としてことりを置く編成を押したいわ。

意見はある?」

 

希「穂乃果ちゃんや凛ちゃん、海未ちゃんじゃダメなん?」

 

にこ「1回戦で確実に勝って波に乗りたいのよ。

それ故のキャスティングってワケ」

 

穂乃果「私はいいと思うな!

頑張って、3人とも!」

 

絵里「戦術としてはいいと思うわ、ね、真姫、ことり?」

 

真姫「私も異論はないわ。

エリーのアカツキなら防御面も安心だし、ことりのバスターも頼れるし」

 

ことり「重要な1回戦だから、頑張らなきゃね!」

 

 

 

にこ「…決まりみたいね」

 

凛「3人とも頑張ってにゃ!」

 

海未「頼みましたよ!」

 

 

 

 

 

花陽「…私、出場してもいいのかな…」

 

海未「花陽…?」

 

花陽の呟きに気づいたのは海未一人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 #6 地区大会・初陣!

に、つづく!




今回は次話への橋渡し的な回です!
次回以降、次なる展開が待ち構えております…!
読んでいただけると幸いです!
では!


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#6『地区大会・初陣!』

第6話です!
ついに地区大会の幕が開きます!

9人を最初に待ち受ける相手、そして試合の行方とは…?
ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

にこ「大会出場を提案した私たちだけど、一時は反対されて諦めかけた。

でも穂乃果の一声で、またμ'sは新しい一歩に向かって歩み始めた!

地区大会で立ちはだかるのはA-RISE!

いざ、1回戦…いくわよ!」

 

 

 

 

#6 地区大会・初陣!

 

 

メイジン「では今から!1回戦第3試合!

音ノ木坂学園・チームμ's対、制炎学園・チームラピッドファイア!

この2チームの戦いを開始する!!

 

選手はシステムへ!」

 

 

 

 

 

 

 

にこ「制炎ねぇ…

奴等、重火力の機体で来るわ」

 

真姫「なんでわかるのよ?」

 

にこ「前々回までの数年間の映像を見てきたの。

前回のはなかったから、A-RISEの実力は測れなかったけどね」

 

絵里「情報ありがとう、にこ。

さ、真姫、ことり、いくわよ!」

 

ことり「緊張するなぁ…!」

 

真姫「こうなったらやる他ないわね…」

 

 

 

ついにμ'sの公式試合の初陣が、幕を上げようとしていた。

 

 

please set your GP Base…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

穂乃果「3人とも頑張れぇー!」

 

海未「託しましたよ!!」

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

凛「いっくにゃーー!!」

 

希「カードは勝てるって言うとるよ!」

 

 

 

3人の準備が完了する。

 

絵里「二人とも、動きは指示するつもりだけど…

万が一の場合は、考えて行動して。

信じてるわよ」

 

真姫「当たり前じゃない。」

 

ことり「みんなで勝とうね!」

 

絵里「じゃあ行くわよ!

 

絢瀬絵里!シラヌイアカツキ!」

 

真姫「西木野真姫!ストライクルージュ!」

 

ことり「南ことり!バスターガンダム!」

 

3人『出ます!!!』

 

 

 

 

 

BATTLE START

 

 

Field・1 space

 

 

 

 

 

絵里「宇宙ならシラヌイの使用も制限がないわね。少しは戦いが楽になるかしら」

 

真姫「敵は…どこ?」

 

ことり「見当たらないけど…

まず、どんなのに乗ってるんだろ?」

 

周囲を警戒する3人を、ミサイルの雨が襲った。

 

絵里「!?

まずい!離れて!」

 

 

感付いた絵里により、なんとか躱す3人。

 

しかし敵は依然として姿を見せない。

 

 

真姫「…じれったい戦いかたね!」

 

真姫のストライクルージュが、直上して敵の注意を引く。

 

程なくして、その作戦は功を成した。

 

 

真姫に向けてビームが放たれたのだ。

 

それを巧みに避けた真姫は、すかさずその方向にビームライフルを放つ。

 

 

すると、遠方で爆発した廃コロニーの欠片の影から、3機の敵が姿を現した。

 

 

 

ことり「出てきたね…!」

 

真姫「エリー、奴等の機体は?」

 

絵里「ガンダムヘビーアームズにガンダムヴァーチェ、それに…あれは!」

 

敵のうちの1機が、背中に装備したシステムを起動させると、開いたパネルがX字に展開し、青白い光を放つ。

 

絵里「ガンダムX…!

 

まずいわ!距離をとって!

サテライトキャノンが…!」

 

真姫「そんなこと急に言われても…!」

 

ことり「来たっ…!」

 

遠方からでもはっきりわかる極太のビームが、3人に向かって直進してくる。

 

絵里「…っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

間も無く、3人にサテライトキャノンが直撃した。

誰もがμ'sの敗北を覚悟しただろう。

 

 

 

しかしサテライトキャノンは、絵里のシラヌイアカツキのドラグーンによるバリアと、ヤタノカガミの併用により完全に防がれていた。

 

 

ことり「…止まった…!?」

 

絵里「本当なら、もっと奥の手なんだけどね」

 

やれやれといった口調で絵里が呟く。

 

 

真姫「2機が来るわ!

エリー、下がって!」

 

一息つかせる暇もなく、ヘビーアームズとヴァーチェが仕掛けてくる。

 

 

立ち止まった2機から、大量の弾とビームが発射される。

 

ヘビーアームズの放ったミサイルとマシンガンに、ヴァーチェが断続的に発射するGNバズーカも加わり、あらゆる射撃兵器の弾幕が3人へ向かってくる。

 

動いたのはことりだった。

 

 

ことり「バスターの拡散弾でミサイルを落とすから、絵里ちゃんは撃ち漏らしを!

真姫ちゃんは別角度から攻撃を!」

 

絵里「…!

了解よ、ことり!」

 

真姫「わかったわ!」

 

 

バスターが前に出ると、拡散弾を弾幕に向けて連射する。

 

ビームにぶつかったり、弾同士がぶつかったりと、広がって行く誘爆により、あらかたの弾幕を落とすと、今度は絵里のシラヌイアカツキが前に出て、ヤタノカガミを展開した。

 

ビーム兵器を防ぐため、フェイズシフトとは別の機構をもつヤタノカガミ…

それはプラフスキー粒子下でも同じであった。

 

第7回世界大会にてイオリ・セイが初めて使用した、敵のビーム兵器の粒子を吸収、機体に搭載したシステムのエネルギーに転化するアブゾーブシステム。

 

それと同様の効果を持ったシステムを、絵里はアカツキのヤタノカガミを活かして搭載していたのだ。

 

 

絵里「ことり!真姫!

避けてね…!!」

 

絵里のアカツキが双刃のビームサーベルを取り出すと、アブゾーブシステムのエネルギーが追加されたサーベルは何倍にも伸びた。

 

両手でそれを構え、前方に降り下ろすと、サーベルの先端はヘビーアームズの左腕を捉えていた。

 

絵里「とった…!!」

 

左腕を失ったヘビーアームズが黒煙を吹きながらふらふらと落下していくのを逃さず、急旋回して突っ込んだ真姫のルージュが斬り伏せる。

 

 

真姫「1機撃破よ!」

 

絵里「よし!ことり!

拡散弾でヴァーチェを撹乱して!」

 

ことり「了解!」

 

バスターがすかさず残ったヴァーチェを狙う。

 

しかし、バスターのガンランチャーは構えた瞬間に砲身を真っ二つに切り裂かれてしまう。

 

ことり「…!?

なんで!?」

 

真姫「上よ!」

 

真姫の声に反応して上を見上げたことりの視界に入ったのは、青白く輝いたラジエーターパネルを展開したままに両手にビームサーベルを構えたガンダムXの姿だった。

 

ことり「2機に気をとられてる隙に…!」

 

絵里「ことり!下がって!!」

 

絵里が叫ぶと、アカツキがバスターと2機の間に割って入り、ドラグーンで牽制をする。

 

一旦距離を開かせる2機。

 

絵里「バスターの被害状況は?」

 

ことり「両ランチャーに損傷…射撃は無理みたい。」

 

真姫「ことり…あんた、これ持っときなさい」

 

真姫のルージュがことりのバスターに、アーマーシュナイダーを手渡す。

 

真姫「ろくに使えないかもしれないけど…ないよりいいでしょ」

 

ことり「真姫ちゃん…!」

 

絵里「私たちでフォローはするわ!ことりは下がって戦況の把握をお願い!」

 

ことり「わかったよ、絵里ちゃん!」

 

ことりのバスターが後退し、2対2となった戦場に最初に走った閃光の主は…

 

ヴァーチェだった。

 

 

ヴァーチェの機体が紅に染まり、GN粒子の放出量が増加する。

 

 

 

 

その頃メンバーたちの控え室では。

 

にこ「ちょっと!この期に及んでトランザムなんて!!」

 

穂乃果「トランザム…ってなに?にこちゃん」

 

にこ「GNドライブのリミッターを解除、一定時間だけ出力を3倍にする…

要するにめちゃくちゃ強くなってんのよ!」

 

海未「穂乃果のゴッドガンダムのスーパーモードのようなもの、ということでしょうか?」

 

希「そやね。

 

ただ、トランザムには弱点があるんや。

 

 

時間切れまで持ち込めば…」

 

にこ「出力が格段に下がる…。

 

気張りなさい!絵里!真姫!ことり!」

 

凛「頑張るにゃ!!」

 

 

 

舞台は再び戦場にて。

 

 

絵里「トランザム…ここまで取っておくなんて…!」

 

真姫「Xの方ももう一発、サテライト撃つ気みたいよ…

 

今から最大出力で飛ばしてもたぶん阻止できないわ…。

 

エリー、さっきの吸収は?」

 

絵里「さすがにトランザムしたヴァーチェのビームが加わったサテライトキャノンは吸収しきれないわ…

 

発射のタイミングに合わせて直上、相手の背後に回り込んで一撃離脱ってとこかしら、真姫はどう思う?」

 

真姫「…無謀だと思うけど、やるしかないわね」

 

ガンダムXのサテライトキャノンと、ヴァーチェのGNバズーカの砲身にビームがチャージされていく。

 

発射のタイミングを見計らい、身構える二人。

 

その瞬間はまもなく訪れた。

 

 

絵里「真姫!!」

 

真姫「わかってるわよ!」

 

 

バーニアを最大出力で吹かし、まずビームを避けた2機。

 

しかしその想像以上のビームの威力に伴った爆風で、攻撃はおろか近づくことすらままならない。

 

 

真姫「寄れないじゃない…!」

 

絵里「トランザム終了まで賭けに出たかしら…

このままビームの射線がこっちに向いたら確実に…」

 

じりじりと2機に迫る ビーム。

 

絵里「…仕方ないわね!

ダメ元だけど…」

 

アカツキがドラグーンでシールドを展開し、ヤタノカガミを起動する。

 

しかしビームは減衰することなく、ドラグーンのシールドも間もなく破られてしまう。

 

真姫「…万事休す、かしら」

 

 

 

 

 

 

その瞬間、ビームの威力が急に減衰し、ヴァーチェの放つピンクのビームの火線だけが虚空を疾った。

 

 

絵里「サテライトが切れた…!?」

 

 

ガンダムXの方を見やると、サテライトキャノンに損傷を受けたようだった。

 

 

ことり「うまくいったみたい!」

 

真姫「ことり!?

あなた…あれを刺したの!?」

 

 

Xのサテライトキャノンに直角に突き刺さっていたのは、真姫がことりに渡したアーマーシュナイダーだった。

 

 

ことり「ランチャー、弾が撃てなくても、発射機構は生きてるみたいだったから…

無理矢理だったけど、射出してみたの!」

 

絵里「助かったわことり!!

 

真姫!いくわよ!」

 

真姫「任せて!!」

 

 

ルージュが両手にビームサーベルを持ち、アカツキも腰から両刃のビームサーベルを取り出して、サテライトキャノンを失ったXとトランザムの切れたヴァーチェに急接近する。

 

 

 

ことり「いけーっ!真姫ちゃん!絵里ちゃん!」

 

真姫「私たちの!!」

 

絵里「勝ちよっ!!!!」

 

 

ルージュとアカツキが駆け抜けた直後、相手の2機は激しく爆散したのだった。

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

メイジン「1回戦第3試合勝者は!

音ノ木坂学園・μ'sだっ!!!!!」

 

 

ワーーーーッ!!!!!!

 

 

 

絵里「やったわ…やったわよ二人とも!!」

 

ことり「うん…うん!!

勝てたね!!」

 

真姫「当然じゃない…

っていうには程遠い試合だったけどね」

 

 

試合を終えた3人を、他のメンバーが出迎えた。

 

 

にこ「あ…あんたたぢ…がったのね…!!うぅ…!」

 

希「にこっち泣くのは早いで!まだ1回戦なんやから!

 

お疲れさまやん♪」

 

穂乃果「すごかったねぇ!アツかったねぇ!!

ことりちゃんかっこよかったよ!!」

 

海未「臨機応変な戦略…ことりを主軸に据えた試合もできるやもしれません」

 

凛「真姫ちゃん相変わらず強いにゃぁ!

始めたばかりとは思えないにゃ!

絵里ちゃんもさすがだったにゃ!」

 

しかしここで絵里が気づく。

 

絵里「…花陽はどこに?」

 

凛「そういえば…かよちんがいないにゃ?」

 

花陽がいなくなる…

 

その理由に察しがついたのは、海未だった。

 

 

 

海未「…思い当たる節があります。

 

私が当たってみます、みんなは3人のガンプラの補修を」

 

一瞬、静まる場。

 

口を開いたのは穂乃果だった。

 

穂乃果「うん、わかった。

お願いね、海未ちゃん。

 

みんな!ダメージレベルBでもガンプラ直さなきゃ!頑張ろ!」

 

 

後ろ髪を引かれるような顔で部屋に戻る7人を見送った海未は、一人走り始めた。

 

 

海未「花陽…あなたは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 #7 『決別の2回戦』

 

へ、続く!

 




一回戦、いかがでしたでしょうか!
今回はバトル描写に力をいれたつもりです!

次回は''あのキャラ''がついに…?

乞うご期待、です!


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#7『決意の2回戦』

7話です。
2回戦が幕を開けますが、その前に問題が発生!?
ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

ことり「初陣の一回戦、私たち三人は苦戦しながらもなんとか勝利をもぎ取れた!

 

戦いは始まったばかりだけど…頑張らなくちゃね!

 

でも、花陽ちゃんが…?」

 

 

 

#7 決意の2回戦

 

海未「ここでもない…!」

 

走って花陽のいそうな場所を探す海未。

 

しかし花陽はすぐには見つからなかった。

 

 

 

 

 

海未「はぁっ…はぁっ…」

 

 

そして海未は、さんざん探し回った挙げ句、会場の最上階にある、唯一まだ見ていないテラスへと走っていた。

 

花陽は自分たちとのバトルで、ミスにより自らが招いた敗北を振り切れないでいる…

だからこそ一人、いつも困り顔で考え込むような顔をしていたのだ、と考えていた。

 

そして一回戦の前に聞いた、花陽の呟きでそれを確信した。

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

テラスのドアが開く。

 

 

海未「ここでしたか…花陽」

 

花陽「…バレちゃったか。

海未ちゃん、さすがだね」

 

別段悪びれる様子も見せず、俯いたまま海未に返事をする花陽。

 

海未「あなた無しでは大会で勝ち上がることはできません。

さあ、花陽。みんな待っています」

 

海未が手を差しのべるが、花陽はそれを掴もうとはしなかった。

 

花陽「…さっきの試合、すごかったよね」

 

そのまま花陽が呟くように話し始める。

 

花陽「私、この前のバトルで後方支援したよね。

 

それもうまくできなかったけど。

 

でも、ことりちゃんはどう?

 

 

後方支援もしっかりできて、回りを見て機転も効くし、指示する力だってある。

 

 

私なんて…バトルには必要ないよ」

 

 

バシッ

 

 

花陽「痛っ…!」

 

 

海未は無言で花陽の頬をはたいた。

 

海未「花陽…

 

あなたは一体なんのためにμ'sに入ったのですか。

 

歌って踊る、ただそれのために入ったのなら、私たちはここまで来れていないでしょう。

 

あなただって、この会場に近づくことすらしなかったはずです」

 

強めの口調で言い放った海未が一息ついて、落ち着いた口調で言う。

 

海未「もう一度、心に問いかけて下さい。

あなたがガンプラバトルをしたいかどうか。

 

 

したいというのなら、些細なミスを気に病む必要なんてありません。

ミスなんて当たり前のことです。

 

もしやりたくないというのなら、ここで一人過ごすのも悪いことでありません。

 

 

でも私は、待っていますよ、花陽」

 

 

海未は言い残すと、それ以上なにもせずにその場を去った。

 

 

花陽「私の…気持ち…

 

私の…バトル」

 

取り出したガナーザクウォーリアを見つめ、花陽はまた一人になったテラスで自分の心と向き合った。

 

 

 

 

 

 

一方で、μ's控え室。

 

にこ「花陽の行方がわからない以上、現状で組めるメンバーでいくしかないわね。

 

司令塔を希として、穂乃果と凛が前に出る編成とかどうかしら?」

 

希「にこっちはなんで出たがらないん?

遠慮せんでもええんよ?」

 

にこ「戦力のバランスを考えただけよ。

 

にこが出るなら…花陽が欲しいわ。」

 

言い終えた瞬間、足音が近づいてくる。

 

 

ガチャッ

 

 

控え室のドアを開けたのは海未だった。

 

ドアを開けるやいなや、海未は開口一番に言う。

 

海未「2回戦、私と花陽に出場させて頂けませんか」

 

メンバーたちは唐突なことに困惑を隠せずいた。

 

絵里「するかしないかはともかく、花陽本人がいないじゃない…?」

 

戸惑いながら絵里が呟くと、食いぎみに海未が言い放った。

 

海未「花陽は来ます!

 

来なかったら…責任は私が。」

 

一瞬静まった場を、にこが取り次ぐ。

 

にこ「いいわ。

私が出る。

 

海未、やるわよ」

 

絵里「ちょっとにこ、いいの?」

 

にこ「やるったらやるのよ!

登録、してくるわ」

 

にこが一人、部屋を出て選手登録へ向かうと、海未に穂乃果が静かに問う。

 

穂乃果「花陽ちゃん、いたの?」

 

海未「ええ。話してきました。

彼女はきっと彼女なりの結論に行き着いて、試合に臨むはずです」

 

穂乃果は安心した顔をすると、小声で呟くように言った。

 

穂乃果「…ありがとう、海未ちゃん」

 

海未「なにか言いましたか?」

 

穂乃果「ううん。なんでもないよ。

 

応援するね!」

 

海未「はい!」

 

 

 

ー数十分後ー

 

 

メイジン「ではこれから!

地区大会第2回戦!

音ノ木坂学園・μ's vs 楼斗高専・チームサイコビットの勝負を開始する!

 

選手はシステムへ!!」

 

 

 

にこ「海未、…花陽、来てないけど」

 

海未「来ます。

 

行きましょう、にこ」

 

 

二人でシステムまで歩き出すと、後ろから走ってくる足音が聞こえる。

 

 

 

 

希「…そろったみたいやね」

 

ことり「花陽ちゃん…よかった。」

 

凛「かよちーーーん!!!頑張るにゃあああ!!!!」

 

 

 

 

二人に追い付いた花陽がにこの左に並び、選手が揃うと、海未が口を開いた。

 

海未「花陽、にこ…

このバトル、楽しみましょう!」

 

にこ「言われなくてもわかってるわよ!」

 

花陽「…はいっ…!!」

 

 

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

Please set your GUNPLA…

 

 

海未「園田海未!グフカスタム!」

 

にこ「矢澤にこ!ユにこーンガンダム!」

 

花陽「小泉花陽!ガナーザクウォーリア!」

 

 

海未「出ます!」

にこ「出るわよ!」

花陽「出ます…!」

 

 

Field・3

 

DESSERT

 

 

BATTLE START

 

 

 

 

海未「砂漠ですか…初の地形ですね。

しかも夜だから見通しも悪いです」

 

にこ「あっちの機体ファンネル持ちのはずだけど、大型のビット系装備は大気圏内では飛ばせないわ。

有利かもしれないわね」

 

すると遠方から、複数本のビームが迸った。

 

幸い三人にはヒットせず、砂を大きく巻き上げただけに収まったが、その火力に驚かされる結果となった。

 

花陽「なんて火力…!!」

 

にこ「怖じ気づかないで!

攻めるわよ二人とも!

 

 

花陽、あんた…信じてるからね」

 

 

そう言い残すと、にこのユニコーンが飛び上がって敵の方向へと向かう。

 

 

花陽「に、にこちゃん…

私…」

 

海未「花陽。

 

あなたはあなたなりに、本気でやればいいんですよ。」

 

花陽のガナーザクウォーリアの横に並び立った海未のグフカスタムが、腰からヒートサーベルを引き抜きながら言う。

 

海未「私も信じています、花陽。

 

 

私たちの背中、任せましたよ!」

 

海未はそう言い切ると、不安定な足場に気を付けつつも敵の方へと走った。

 

 

花陽「海未ちゃん…にこちゃん…」

 

花陽はまだ、その場所から一歩踏み出すのを躊躇っていた。

 

 

 

 

敵方向へ向かったにこが最初に捉えたのは、深紅に塗装されたジオングだった。

 

にこ「さっきのビームはあいつの有線サイコミュね…!」

 

腰からビームマグナムを取り出し、トリガーに手をかけようとしたにこを、第2の敵が襲った。

 

にこ「何っ!?」

 

後退して敵影を探したにこの上空から、ビームサーベルが降り下ろされる。

 

にこ「…っ!!

 

ドレッドノート…!!」

 

なんとかビームトンファーで応戦したにこの目に映った敵は、背中に赤い、蜘蛛を思わせるような有線のドラグーンを備えた機体、ドレッドノートガンダムだった。

機体本体のカラーも合わせて赤く塗られている。

 

 

にこ「なるほど…有線なら地上でも弊害は少ないかもしれないわ」

 

 

にこはなんとかドレッドノートを振り払い、まずは3機目の敵を探そうとする。

 

しかしジオングとドレッドノートのオールレンジ攻撃がユニコーンを断続的に襲う影響で、満足に索敵をすることすらままならない。

 

にこ「キツいわね…!」

 

 

海未「にこ!大丈夫ですか!!」

 

海未の声が響いたと思うと、ジオングの左腕がグフカスタムの斬撃で爆発四散する。

 

にこ「海未!

助かったわ!」

 

ビームの格子に隙間が生まれ、抜け出したにこが索敵をし、反応のあった方向へビームマグナムを放つ。

 

にこ「そこ!」

 

 

にこの放ったマグナムは確かに命中した。

 

 

しかしそれは相手に届くことはなかった。

 

 

ビームで形成されたシールドが、敵の目前に展開されたためだった。

 

 

にこ「予測はしてたけど…

 

やはり来たわね」

 

海未「あれは…」

私も見たことがあります」

 

にこ「Hi-νガンダム…!」

 

 

にこの放ったビームの爆風が去ったあとに佇んでいたのは、まるで鮮血のように鮮やかな赤で塗装されたHi-νガンダムであった。

 

にこ「これで敵さんは揃い踏みね。

 

海未、あのHi-νはヤバイわ。

私に任せて、花陽と二人であとの奴らを」

 

海未「了解しました…気をつけて。

 

 

花陽、聞こえますか?」

 

花陽「…うん」

 

海未「ジオングとあの蜘蛛を背負ったようなガンダムは私たちでやります、補佐を頼みます!」

 

花陽「…わかった!

向かうね!」

 

 

にこ「さぁて、一気に決めて戦況を有利にしたいところだけど…」

 

Hi-νが静かにビームサーベルを引き抜く。

 

にこ「行くわよ!ユにこーン!!」

 

 

にこがSPのスロットを展開すると、ユニコーンの装甲が展開し、あのときと同じ赤いサイコフレームの光が漏れ出すように溢れる。

 

敵はたじろぐ様子も見せずに、デストロイモードとなったユニコーンに突っ込んだが、ユニコーンにはある機能が備えられていた。

 

 

にこ「なにも考えずに突進なんて愚の骨頂ね…!」

 

右手を突き出して握ると、敵機の周辺に飛び回っていたファンネルが動きを止めた。

 

にこ「うまくいったわね。

 

いきなさい!フィンファンネル!!」

 

 

にこが叫ぶと、止まったファンネルはHi-νを狙って射撃を始めた。

 

 

サイコミュ・ジャック…

敵機のファンネルやビットなどのオールレンジ兵器をサイコフレームの力を介してユニコーンが掌握、実質的に奪い取る…

そんな機能がユニコーンにはあった。

 

にこ「もらったわ!」

 

ファンネルを自機前面に展開し、中心にビームマグナムを構えたユニコーンが一斉射撃を放った。

 

 

 

一方その頃海未と花陽は…

 

 

海未「っ…!

足場が定まりません…!!」

 

ドレッドノートとジオング、片方は手負いとはいえ、縦横無尽に飛び交う敵のビームを避けるのは海未でも困難なようだった。

 

海未「んなっ…!?」

 

背後を取られたグフカスタムが、体勢を崩しながらもシールドでビームをガードすると、反動で持っていたヒートサーベルが吹っ飛んでしまう。

 

海未「…花陽!」

 

花陽「うん!」

 

膝立ちになりながら海未が叫ぶと、花陽のガナーザクウォーリアがオルトロスを構えてドレッドノートを狙い撃つ。

 

海未を押して気を抜いていたドレッドノートが我に帰り回避行動をとるが、放たれたビームは4機あるドラグーンのうちの2機を焼き払う。

 

花陽「やった…!」

 

海未「その調子です!」

 

 

しかし依然として遠方から発射されるジオングの放つビームを避けつつドレッドノートを相手取るのは、厳しい状況であることにかわりなかった。

 

なんとかヒートサーベルを拾った海未のグフカスタムが、ドレッドノートにアンカーを射出すると、アンカーは脚部に絡まった。

 

海未「よし…!!」

 

ドレッドノートを地面に叩きつけ、飛び上がったグフカスタムが、急降下しながらヒートサーベルを逆手持ちしてドレッドノートを突き刺した。

 

 

しかしその直前、海未のグフカスタムは左腕にドラグーンの射撃を食らい、左腕は使い物にならなくなっていた。

 

海未「一機撃破…ですが、損傷を許してしまいました」

 

花陽「ごめん海未ちゃん、もっと花陽が援護できてれば…」

 

海未「花陽はよくやってくれました、十分ですよ」

 

 

左腕に装備していたシールドを腕ごとパージし、右手にサーベルを握った状態になった海未のグフカスタムを、仲間を撃破されて急接近したジオングのビームが襲った。

 

花陽「海未ちゃん危ないっ!」

 

海未「!?」

 

花陽の声に反応した海未だったが、グフカスタムは右足に損傷を受けてしまう。

 

 

海未「…少し遅かったようですね…」

 

片膝をつく格好になってしまったグフカスタムに、ジオングの右腕が迫った。

 

海未「…くっ…!」

 

花陽「海未ちゃん!!」

 

海未「花陽!?」

 

海未が向き直ったときには、ジオングの腕は既に黒煙を上げていた。

 

近づいてきた花陽のガナーザクウォーリアが、海未に迫ったジオングの右腕にビームトマホークを投擲して見事に当てて見せたのだ。

 

海未「助かりました、花陽!」

 

花陽「うまくいってよかった…!」

 

 

しかしジオングは腕を破壊されただけであり、肝心の本体はまだ撃破されていなかった。

 

二人はそれを忘れていた。

 

 

 

 

砂丘を活かして視界に入らず近づいたジオングが、花陽のガナーザクウォーリアに向けて腰部のメガ粒子砲を放つと、周辺の砂が大きく巻き上げられた。

 

二人が気づいたのは発射直後であった。

 

花陽「…え…!!」

 

突然のことで呆気に取られる花陽のザクを、サーベルを支えにして立ち上がった海未のグフカスタムが庇った。

 

海未「花陽…!!

早く奴を仕留めてください!!」

 

花陽「海未ちゃん…!

わかった…!!」

 

オルトロスを構え、最大火力で放つと、そのビームはエネルギーを使いきったかのように立ち尽くすジオングの全身を焼き払った。

 

 

 

 

 

にこ「海未がやられた!?」

 

海未のセンサーの反応が消えたのをみて、にこが一人呟く。

 

 

そして、にこがまだ合流できないのには理由があった。

 

にこ「敵機の反応が生きてる…

あれだけの火力を出してもこれだなんて…」

 

 

舞い上がった砂煙のなかで、仕留めたと確信したHi-νの反応が生きていたのだ。

 

 

そして間もなく、その理由が明らかとなった。

 

 

再び現れたHi-νは、両手を前に突き出して射撃をガードしていた。

 

その掌には…

 

 

にこ「うそ…あれって…

 

パルマフィオキーナ…!?」

 

Hi-νガンダムには本来装備されていない、デスティニーガンダムのパルマフィオキーナが、確かに装備されていた。

たしかにこれなら、掌からのビームで防ぐまではいかないまでも威力の減衰はできるであろう。

 

驚きのあまり動けないにこの回りのファンネルを、Hi-νが自らのビームライフルで破壊すると、ライフルを投げ捨てたHi-νがにこのユニコーンに突貫してきた。

 

にこ「はっ!?」

 

我に帰ったにこは咄嗟にシールドを構えるが、パルマフィオキーナで掴まれたシールドは間もなく破壊されてしまう。

 

 

にこ「まずいわね…!!」

 

反動で地表に落下したにこの目の前に、Hi-νの拳が迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

花陽「海未ちゃん…

ごめんなさい、わたしのせいで…」

 

撃破されたグフカスタムの前で立ち尽くすザク。

 

海未「気にすることはありません、花陽は花陽なりに充分やってくれました。

それにこちらの2機は無事に倒せましたしね。」

 

海未は優しい口調で言った。

 

花陽「私、決めたの…

私は私だから、こんな戦いかたしかできないけど…

ガンプラは大好きだから、続けるって。」

 

海未「それを聞いて安心しました、花陽。

 

では早く、にこの援護に!」

 

花陽「うん!」

 

あ、と思い出したように海未が花陽を呼び止める。

 

海未「私の…

グフカスタムのヒートサーベル、持っていってください。

 

花陽の近接武器は先程投擲してしまったようですから」

 

地面に突き刺さったままのヒートサーベルに歩み寄った花陽は、それを引き抜いた。

 

花陽「…ありがとう、海未ちゃん」

 

 

花陽はにこの元へ急いだ。

 

 

 

 

 

 

にこ「腕だけでも…!動かせれば…!!」

 

マウントポジションを取られたユニコーンは、最早なす術なくHi-νの拳を見つめることしかできなかった。

 

 

Hi-νの右手に光が生じ、高く掲げたかと思うと、その手は一直線にユニコーンの顔面につかみかかった。

 

にこ「…!!」

 

 

ガキィン…

 

 

 

 

 

 

 

ユニコーンの顔面に、Hi-νのパルマフィオキーナが届くことはなかった。

 

 

花陽「にこちゃん!」

 

にこ「花陽…!

あんた…!」

 

花陽「守られてるだけじゃ…ダメだって気づいたから。」

 

 

寸でのところで、ザクのヒートサーベルがパルマフィオキーナを止めた。

 

 

チャンスを見逃さず体勢を崩したHi-νを蹴り飛ばしたユニコーンが、すかさずマグナムを構える。

 

ヒートサーベルを投げ、ユニコーンに並び立つ形となったガナーザクウォーリアも、オルトロスにチャージを開始する。

 

 

にこ「花陽、あんた…

 

変わったわね」

 

花陽「私は私らしく…ガンプラをやろうって決めただけだよ、にこちゃん」

 

にこ「それが一番、大事なことよ。

 

さ、決めるわよ!」

 

花陽「はいっ!」

 

 

ユニコーンのマグナムとガナーザクウォーリアのオルトロスが同時に火を吹き、辺り一面を光の海に包んだ。

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

メイジン「2回戦第2試合…勝者は!

音ノ木坂学園・μ'sだっっ!!!!」

 

ワァァァァァァーーーッ!!!!!!!

 

 

 

にこ「やっっっったわ!!!!!!」

 

海未「申し分のない、熱い戦いでしたね」

 

花陽「やった…!

私…勝てた…っ!」

 

 

花陽が目に涙を浮かべ、気が抜けたように膝から崩れ落ちそうになるのを、海未とにこが支えた。

 

 

海未「大丈夫ですか?花陽。

あなたの活躍…しかと目に焼き付けましたよ!」

 

にこ「あんた…ちゃんとやれるんだから、もっと自信持ちなさいよ!」

 

花陽「にこちゃん…海未ちゃん…!」

 

 

μ'sのメンバーたちが駆け寄る。

 

凛「かよちーーん!!!かっこよかったにゃああ!!!」

 

真姫「花陽、思ったよりやれるんじゃない。

心配して損したわ。」

 

花陽「えへへ…」

 

希「にこっち、さすがやんな♪」

 

絵里「サイコミュジャックなんていつ仕込んだのよ?

素組みじゃあんな機能は…」

 

にこ「…希に勝つために仕込んで、隠してたのよ。

もうバレたけどね」

 

穂乃果「海未ちゃん、やったね!」

 

ことり「海未ちゃんのグフ、みんなで直そう!」

 

海未「穂乃果、ことり、ありがとうございます。

幸いダメージレベルはB。この程度なら自力でも修復できますよ」

 

 

 

 

 

和気藹々と勝利の余韻に浸るμ'sを影から見つめる次の対戦相手を、まだ9人は知ることはなかった。

 

「…スクールアイドルとなめてかかったら、我が学園に傷をつけるやもしれんな…」

 

「俺たちは天下のバンガード学園だぞ?

スクールアイドルになんて負けられないな」

 

「やってやりましょう、先輩!」

 

 

 

 

 

次回

#8 『ならば、アイドルらしく。』

 

に、続く!

 




いかがでしたでしょうか!

次回はなんとガンダムの世界からあのキャラが乱入?

ご期待下さい!


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#8『ならば、アイドルらしく。』

8話です。
今までで一番アツい展開に仕上げたつもりです!
ガンダムキャラが登場しますが、もしファンの方でキャラの扱いに不満を感じたら申し訳ありません。
決してそのキャラが嫌いなわけではありません!

ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

花陽「前の試合の失敗を引きずる私の目の前に、海未ちゃんが現れた。

いつまでも燻っていた私の気持ち…

海未ちゃんが来てくれたお陰で、私はその気持ちを表に出すことができた!

 

結果、2回戦には勝利!

ついに準決勝の幕が開きますっ!」

 

 

 

 

 

 

#8 ならば、アイドルらしく。

 

 

 

 

 

にこ「いーい!?

次の試合に勝てば決勝よ決勝!

あのA-RISEももちろん勝ち上がってるわ!

 

これ以上の舞台があるぅ!?」

 

にこが机を叩きつつ言う。

 

穂乃果「ないっ!!!」

 

凛「ないにゃ!!!!」

 

希「…ウチら、スクールアイドルなんやけどなぁ」

 

希の真っ当なつっこみににこは少したじろぐ。

 

にこ「…細かいことはいいのよ!!

 

 

 

で、次の試合の相手。

どうやら今回が初出場らしいわ」

 

トーナメント表を広げつつにこが言う。

 

海未「バンガード…学園?」

 

絵里「聞いたことないわね、どこの学校かしら?」

 

真姫「知ってるわ、バンガード学園。

 

学園とは名ばかり、不良高校だって聞いたことがあるの」

 

意外な真姫の一言に、メンバーたちは驚く。

 

真姫「なんでも、自分達を海賊だって名乗る奴らがいるらしいわ。

 

噂にすぎないし、それ以上は知らないけど」

 

ことり「海賊…なんか物騒だね」

 

にこ「とにかく!!

 

今回の編成は、前回の試合の仮候補だった希、穂乃果、凛の3人で行くわ!」

 

にこが言い放つ。

 

穂乃果「ついに試合だあああーーーっ!!!!!!」

 

凛「にゃあーーーーっ!!!!!」

 

希「…二人とも、ちゃんと作戦通り動くんよ?」

 

二人の想像通りの反応に、希が呆れ気味に確認する。

 

穂乃果「うん!わかってる!!!」

 

凛「もちろんにゃ!!!!」

 

希「(心配やんなぁ…)」

 

 

 

 

すると不意に、μ'sの控え室のドアが叩かれた。

 

 

にこ「ノック?誰かしら。

どうぞ?」

 

 

ガチャッ

 

開かれたドアの前に立っていたのは、青髪の精悍な顔立ちの青年と、長い金髪を携え眼帯をした青年、そして二人に比べ少し幼い印象を受ける茶髪の少年の3人だった。

 

 

「君たちがμ'sだな?」

 

青髪の青年が言う。

 

穂乃果「そうです!

あなたたちは?」

 

すかさず穂乃果が問うと、青年は少し申し訳なさそうな顔をして答えた。

 

青髪の青年「先に尋ねてしまう無礼は済まなかった。

俺たちは君たちμ'sの次の対戦相手、バンガード学園のチーム・クロスボーンバンガード。

その選手の3人だ。」

 

μ'sが各々驚いた反応を見せる。

 

青髪の青年「驚くのも無理はないか、こんな格好をしているからな。

 

俺はキンケドゥ。キンケドゥ・ナウだ。

よろしく」

 

金髪の青年「ザビーネ・シャル…

よろしく頼む」

 

茶髪の少年「トビア・アロナクスです!よろしく!」

 

 

自己紹介を終えた3人だが、μ'sは呆気に取られて返事ができない。

 

バンガード学園の制服…なのだろうか。

3人の服装は、軍人のような…言葉では表しにくい、特異なものだった。

 

 

穂乃果「かっこいい制服…!!

 

私、次の試合に出場する高坂穂乃果っていいます!

 

よろしくね!キンケドゥさん!」

 

 

目を輝かせた穂乃果が不意にキンケドゥに向けて手を差しのべる。

 

キンケドゥは一瞬驚いた顔をして、ふっと笑うと穂乃果の手を強く握り、二人は握手を交わした。

 

希「ウチらも握手しよか。

ウチ、東條希!

よろしく頼むで♪」

 

ザビーネ「フン…」

 

希の差し出した手を、そっぽを向きながら握り返すザビーネ。

 

凛「トビア…くん?

よろしくにゃ!

星空凛だにゃ!」

 

トビア「あっ、は、はい…!」

 

少し恥ずかしがりながら凛と握手するトビア。

 

 

挨拶と自己紹介を終えた3人は、数十分後に迫った試合のために自室に帰っていった。

 

キンケドゥ「君たちとならいいバトルができそうだ!

 

バトル、楽しみにしているぞ!」

 

 

 

にこ「…ま、まさかね、本物なわけないわよね…」

 

 

一人、ガンダムに詳しいにこだけが焦るのであった。

 

 

 

 

 

 

メイジン「ではこれより!地区大会準決勝っ!!!

 

音ノ木坂学園、μ's対!

バンガード学園、チーム・クロスボーンバンガードの試合を開始する!

 

 

選手はシステムへ!」

 

希「この試合、穂乃果ちゃんと凛ちゃんの機体がある以上、地上戦じゃないとキツいやんな。

宇宙やったら足場を確保することから始めなあかん!」

 

穂乃果「そうだね、特に穂乃果のゴッドガンダムは…」

 

凛「頑張るしかないにゃ!

やるにゃ!」

 

 

 

 

 

キンケドゥ「ザビーネ、トビア。

ABCシールドの用意はいいか?」

 

ザビーネ「完了している。」

 

トビア「問題ないです、キンケドゥさん!」

 

キンケドゥ「了解だ!

 

よし…行くぞ!」

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

 

希「いくで二人とも!

東條希!キュベレイMk-Ⅱ!」

 

穂乃果「うん!希ちゃん!

高坂穂乃果!ゴッドガンダム!!」

 

凛「いくにゃあ!

星空凛!ガイアガンダム!!」

 

3人『出ます!!』

 

 

 

 

 

 

キンケドゥ「クロスボーンガンダム・X1カスタム!キンケドゥ・ナウ!

出るぞ!!」

 

ザビーネ「クロスボーンガンダム・X2…

ザビーネ・シャル、出る!」

 

トビア「クロスボーン・ガンダム・X3!

トビア・アロナクス、出ます!」

 

 

BATTLE START

 

 

Field・5

Jungle

 

 

希「ジャングル…!

凛ちゃんに有利な地形やね!」

 

凛「やってやるにゃ!」

 

穂乃果「希ちゃん、作戦は?」

 

希「そのことなんやけどな…

今回は分断を目的に、適宜動いてもらおうと思うんや。

 

ウチの予想が正しければ、あの3人…各々が手練れやから」

 

希が珍しく緊張した面持ちで言う。

 

凛「了解だにゃ!

 

いっくにゃー!!」

 

穂乃果「任せて!

 

みんなで通信は欠かさずしよう!

ファイトだよっ!」

 

希「凛ちゃん…穂乃果ちゃん…

 

そーやね、ウチらが頑張らんと誰が頑張るんや!

 

二人とも、いっくでぇ!」

 

言い終わると、3機は散開して敵を探索し始めた。

 

 

 

 

 

 

キンケドゥ「いつも通り、指示するつもりはない。

自分の判断で動いてもらって構わない。

 

危険になったら通信を怠るなよ!」

 

ザビーネ「了解…」

 

トビア「了解です!」

 

キンケドゥ「よし!クロスボーン・バンガード、進軍する!」

 

 

 

 

 

 

 

凛「この辺は木が多いにゃ…」

 

ガササッ

 

凛「!?

 

そこだにゃ!」

 

 

音を聴き逃さなかった凛が、音のした方向にビームライフルを放つ。

 

しかしそれはバサバサと宙を舞うマントを焼いただけだった。

 

凛「にゃ… ?

マント…?」

 

 

トビア「そこだっ!

ムラマサ・ブラスターッ!!!!」

 

上空に舞い上がっていたトビアのX3が凛のガイアに向けて、ムラマサ・ブラスターの先端からビームを放った。

 

凛「にゃっ!?」

 

虚を突かれた凛は驚きながらも焦らず、変形しつつそれをかわす。

 

 

トビア「予想通り…できる人だ!」

 

ムラマサ・ブラスターを降り下ろしながら着地したX3の一瞬の隙を逃がさず、凛はMA形態のガイアで足元を狙った。

 

凛「そこだにゃっ!!」

 

バインダー部に発振したビームサーベルを、突進しながらX3に向けると、X3は左手に装備したシールドを振りかざした。

 

左右非対称の形をしたそのシールドは、強固な防御力を誇っていた。

 

凛「にゃっ!?」

 

勢い余ってシールドに突進した凛のガイアが撥ね飛ばされてしまう。

 

トビア「そうやすやすとは…やらせないっ!」

 

 

 

 

 

 

ザビーネ「フッ、キュベレイめ…

そこ!」

 

上空から敵を探索していた希のキュベレイを、突如複数本のビームが襲った。

 

希「!?

 

敵さん、持ってるのはただのライフルやないみたいやね!」

 

ひらりと一回転してそれを回避したキュベレイが、右手を前に伸ばす。

 

希「ファンネル!!」

 

希が叫ぶと、キュベレイの周囲を浮遊していたファンネルが独自の軌道を描きながらビームの方向へ飛んで行く。

 

 

ザビーネ「さすがに手が早いか…

開けた場所へ出ねば、森林では分が悪い」

 

バーニアを吹かして、ファンネルを避けつつX2が木を縫って進み、近くを流れていた大きな川に立ち止まると、その手に持ったまるでボウガンのようにも見える特殊なビームライフルからビームを発射してファンネルを撃墜する。

 

 

希「なるほどなぁ…

謎が解けたわぁ。

 

ピーコック・スマッシャーだったんやね」

 

X2の装備していた大型のビームライフルは、名の通り羽を広げた孔雀のような様相を呈する大火力兵器、ピーコック・スマッシャーだった。

 

希「そうとわかればまずあれを!」

 

ファンネルを飛ばしつつビームサーベルを構えて突っ込むキュベレイに、X2はショットランサーで応戦する。

 

ザビーネ「東條希…!

やるではないか!」

 

希「そっちだって、思った以上やからウチ驚いたわぁ…!」

 

激しく鍔迫り合いを展開する2機だったが、希のファンネルがX2のピーコック・スマッシャーを狙おうと肉薄する。

 

 

ザビーネ「小癪な…!!」

 

半ば無理矢理鍔迫り合いを解き、キュベレイを蹴り飛ばしたX2は、右手に装備したX3と同型のシールドでファンネルを殴り飛ばした。

 

希「あのシールド…なかなかの強度なんやね」

 

 

 

 

 

一方その頃、μ's控え室。

 

 

にこ「…怪しい」

 

にこは考えを巡らせていた。

 

にこ「クロスボーンは基本的にABCマントとビームシールドの2つで防御を行うはず…

 

となるとあの2機のシールドの意味は…」

 

うーん、と画面を見つめたにこが、その形状からある結論を導きだす。

 

 

にこ「まさか…!?

いや、そうとしか…!」

 

 

 

 

 

 

 

キンケドゥ「ここは開けているな…

草原か?」

 

木々を抜け、目の前に広がった青々とした大地を眺めながら、キンケドゥが呟く。

 

 

穂乃果「…爆熱!!」

 

キンケドゥ「!?」

 

不意に飛び出して、奇襲を仕掛けてきた穂乃果を見て、キンケドゥは一瞬焦ったが、落ち着いて両手でブランド・マーカーを取り出して穂乃果のゴッドフィンガーを受け止める。

 

キンケドゥ「奇襲とは、なかなか策士じゃないか!

どうやら一筋縄では行きそうにないな!」

 

穂乃果「そっちこそ!

さすがだって思っちゃったよ!」

 

お互いにぶつかり合った手を振りほどき、体勢を立て直した瞬間に、穂乃果は大地を蹴って飛び出し、キンケドゥはビームザンバーをさながら海賊の剣のように取り出して発振させた。

 

穂乃果「そっちがその気なら!」

 

駆け出した穂乃果のゴッドガンダムが腰に手をかけ、ゴッドスラッシュを取り出したかと思うと、次の瞬間にまた二人は鍔迫り合いの体勢に入る。

 

 

穂乃果「うおおおおっ!!!」

 

強引にパワーでクロスボーンを押しきった穂乃果のゴッドガンダムが、両手にもったゴッドスラッシュをクロスボーンに降り下ろす。

 

ギィン…ジジジ…

 

 

穂乃果の斬撃は、惜しくもクロスボーンのビームシールドによってガードされていた。

 

 

キンケドゥ「この大会…俺にシールドを使わせたのは、君が最初だ!」

 

そう叫ぶと、クロスボーンは翳した左手でゴッドガンダムを押し退け、右手のビームザンバーでゴッドガンダムに切りかかる。

 

穂乃果「…!!

 

もう!なるようになれぇ!!」

 

すると穂乃果のゴッドガンダムが、左足でクロスボーンの右手を蹴り上げた。

 

キンケドゥ「何っ!?」

 

予想外の方法で体勢を崩されたキンケドゥが焦りながら後退する。

 

キンケドゥ「高坂穂乃果…楽しませてくれる!」

 

穂乃果「へへーんっ!どうだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

凛「っ…!!早いにゃ…!」

 

敵に照準を向けるものの、僅かな被弾すら許さない回避をするX3相手に凛は苦戦していた。

 

トビア「…今だ!

セーフティー解除ッ!!」

 

トビアが叫ぶと、ムラマサ・ブラスターの剣部分の刀身から、短剣のようなビームが剣山のように発生した。

 

凛「にゃ!?

あれはなんにゃっ!?」

 

凛は驚きながらもビームを発射し、牽制を忘れない。

 

そしてそのうち一発が、X3にヒットした。

 

凛「当たった…にゃ…!」

 

爆風で周辺の花や木の葉が舞い上がり、舞い散る花吹雪のような景色が辺りに広がった。

 

 

しかし、その爆風のなかにまだ、X3は佇んでいた。

 

 

 

トビア「Iフィールド…ハンド!」

 

左手を前面に突き出したX3の手のひらから、ビームを防御するIフィールドが発生していた。

 

凛「え…!

当たったのに…!!」

 

トビア「いくぞっ!!」

 

思いきりバーニアを吹かせ、ムラマサ・ブラスターで切りかかるX3に、ガイアはたじろぎながら変形をし、回避を試みた。

 

 

するとどうだろう、変形のため宙に浮いた一瞬で、ムラマサ・ブラスターはガイアの下を潜り抜けた。

 

トビア「何…!」

 

凛「いっただっきにゃぁ!!」

 

MS形態に変形を終えたガイアのビームサーベルがX3の腹部を焼いた。

 

X3のパワーがダウンし、ガクッと崩れ落ちる。

 

 

 

凛「こちら凛、一機撃破!」

 

凛は興奮ぎみに通信を入れた。

 

 

 

 

 

トビア「…託しましたよ、キンケドゥさん、ザビーネさん!」

 

X3の手元には、まだムラマサ・ブラスターとシールドが残されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザビーネ「トビアがやられたか…仕方あるまい」

 

希との白兵戦をこなしつつ、冷静に戦況を把握するザビーネ。

 

希「あなたの相手は!」

 

両手にビームサーベルを発振したキュベレイがX2に肉薄する。

 

希「ウチやでっ!!」

 

降り下ろされたビームサーベルが、投げられたABCマントを焼いた。

 

本体は大きく後ろに下がり、あろうことか希とは全くの別方向、森の奥に向けて最大出力でピーコック・スマッシャーを放った。

 

希「何をして…

 

凛ちゃん!避けるんや!!」

 

センサーで仲間の位置を確認し、焦った希が叫ぶ。

 

 

しかしそれは届くことなく、無情にもその火力により樹木もろとも凛のガイアは被弾、戦闘不能になってしまった。

 

 

 

凛「ごめんにゃ…

倒したからって調子にのってたから…」

 

希「しゃあない、気にしてもええことないやん?

 

ウチが気づくのも遅かったしな…。」

 

凛「うん…ありがとう希ちゃん。

 

あとは頼むにゃ!」

 

希「任せ―――」

 

 

ザシュッ

 

ザビーネ「踏み込みが甘いな、東條希」

 

希「あ…あかん…ウチ…通信に夢中で…」

 

 

キュベレイに間近まで接近したX2のショットランサーが、キュベレイの脇腹を突き刺した。

 

 

 

希「…まだや。

 

まだやれる…!」

 

なけなしの粒子でビームサーベルを発振したキュベレイが、X2の胸を突き刺す。

 

ザビーネ「何ッ…!

 

クッ!」

 

 

何かを悟ったかのように、X2がピーコック・スマッシャーと右腕のシールドを投げ捨て、ショットランサーに込める力をさらに強める。

 

希「…ファンネルっ!!!」

 

強く叫んだ希の声に呼応し、残された少ないファンネルがX2の機体を焼いた。

 

 

ザビーネ「これまでか…

 

舞台は整えた、キンケドゥ、あとは貴様次第だ…」

 

次第に部分爆発を起こし始めるX2とキュベレイ。

 

希「穂乃果ちゃん、凛ちゃん…本当にごめんな。

ウチが…ウチが司令塔なのに…気を抜かなきゃ…」

 

凛「希ちゃんのせいじゃないよ!」

 

穂乃果「そうだよ!

それに穂乃果とキンケドゥさん、1対1で思いきりバトルができるし…!!」

 

希「二人とも…」

 

希は二人の優しさに涙を浮かべたが、流さないように拭った。

 

希「せやな…。

気負ってもしゃーないんや。

 

穂乃果ちゃん!頑張り!」

 

凛「いっくにゃーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

二人が穂乃果を応援すると、穂乃果は嬉しそうに、にやりと笑みを浮かべた。

 

穂乃果「よぉーし…!

行くよ!ハイパーモォーーード!!!!!」

 

ゴッドガンダムの背中のウイングが展開し、紅に輝く日輪のようなリングが現れたかと思うと、穂乃果が思いきり叫んだ。

 

穂乃果「これが!一週間の特訓の成果!

 

石破っ!天驚けぇぇぇん!!!!!!!」

 

 

ゴッドガンダムが右手の下に左手を添えると、中心の空間に粒子のエネルギーが集約されていく。

 

 

キンケドゥ「これはまずいな…

 

仕方ないがあれをするしかあるまい。」

 

キンケドゥがウェポンのスロットルをSPに合わせると、クロスボーンの顔面の亀裂から閃光が迸り、フィールドから何かが飛来した。

 

 

 

 

 

にこ「予想通り…最悪の展開と言わざるを得ないわね」

 

控え室でにこが呟く。

 

花陽「た…大変ですっ!!」

 

花陽も察したらしく、顔には焦りが見てとれた。

 

海未「なんだと言うのでしょう…?」

 

真姫「私に聞かれてもワカンナイわよ…」

 

ことり「穂乃果ちゃん…大丈夫かな…」

 

3人はまだことの重大さをわかりきってはいないようだった。

 

 

一人飲み物を買いにいった絵里が、衝撃のあまり買った飲み物を足元に落として呟いた。

 

 

絵里「…フル…クロス…!?」

 

 

 

 

 

 

フィールドからX1カスタムのもとに飛来したのは、X2、そしてX3の2機が装備していたシールドと武器だった。

 

X1の肩のドクロの目が輝いたかと思うと、シールドだと思われていたものはX1の全身をおおう形で装着され、左手にはムラマサ・ブラスター、右手にはピーコック・スマッシャーを握りしめた、今までとは別物とも呼べる機体がその全貌を現した。

 

 

クロスボーンガンダム・X1フルクロス…

そう呼称していいのかはわからないが、外見はまさにフルクロスのそれであった。

違う点と言えば、X2とX3から受け取った武器やマントのカラーリングが通常のフルクロスと異なり、紫や青を基調としたカラーリングになっているということだろうか。

 

 

キンケドゥ「セーフティー解除、最大出力で耐えきる!

 

行くぞ!クロスボーン・ガンダム!」

 

 

発射された穂乃果の石破天驚拳を、限界にまでフル稼働させたムラマサ・ブラスターで真っ正面から叩き切ろうとするフルクロス。

 

キンケドゥ「流石に並大抵の力では押しきれないか…!

Iフィールド展開!例え無理矢理にでも…耐えきれなければ勝利はない!」

 

 

なんとか石破天驚拳を受けきったフルクロスの足元で、地面で爆発した石破天驚拳の爆風が巻き起こる。

 

その刹那、激しい爆光が周辺を飲み込んだ。

 

 

 

 

にこ「穂乃果!?」

絵里「穂乃果…?」

ことり「穂乃果ちゃん…!お願いっ…!」

海未「穂乃果…!大丈夫なのですか…!」

花陽「穂乃果ちゃん…」

真姫「穂乃果…」

 

希「穂乃果ちゃん!!大丈夫なら返事してや!!」

 

凛「穂乃果ちゃぁん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周辺が焼け焦げ、ただの荒れ地となってしまったジャングルの真ん中に、2機はまだ残っていた。

 

 

 

 

穂乃果「…私は負けないよ…

まだみんなとガンプラしたいもん…」

 

機体各部に損傷を受けてはいるものの、ゴッドガンダムはたしかにまだその足で立っていた。

 

 

キンケドゥ「ムラマサ・ブラスター半壊、Iフィールドジェネレーター損壊…

 

まだやれる!」

 

互いに相手を見遣り、数秒の沈黙の後。

 

 

穂乃果「…キンケドゥさん、一気に決めるよ!

スーパーモォーーーーード!!!」

 

キンケドゥ「望むところだ……!」

 

 

穂乃果の声で、最後の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

穂乃果のゴッドガンダムが金色の光に包まれてゆく。

 

 

 

 

キンケドゥ「この戦いの勝利…

海賊らしく、頂く!!」

 

片側の刀身を損傷したムラマサ・ブラスターのもう片方のビームを再び発振させ、ピーコック・スマッシャーにチャージを開始する。

 

穂乃果「なら私たちは、私たちらしく…

 

μ'sらしく、勝ってみせる!

 

ばぁくねつ!!!」

 

右手にエネルギーを集約したゴッドガンダムが、その右手を振りかぶってクロスボーンに突撃する。

 

 

キンケドゥ「喰らえ!」

 

チャージされたピーコック・スマッシャーが、至近距離まで近づいた穂乃果のゴッドに向けられた。

 

しかしビーム発射寸前、先に届いた穂乃果のゴッドフィンガーが、ピーコック・スマッシャーを暴発させる。

 

キンケドゥ「…チィッ…!!」

 

爆発するピーコック・スマッシャーを投げ捨てつつ後退し、ムラマサ・ブラスターを握り直したキンケドゥは、今度は大地を蹴って飛び出した。

 

キンケドゥ「うぉぉぉぉぉぉぉおぉぉお!!!!!」

 

力一杯叫んで、穂乃果のゴッドフィンガーと正面衝突したムラマサ・ブラスターをさらに押し込むキンケドゥ。

 

 

穂乃果「さすがキンケドゥさんだ…

 

今まで戦った人たちとは、違う!」

 

震える右手に再び力を込めた穂乃果は、ムラマサ・ブラスターの先端を、ゴッドフィンガーで握りつぶした。

 

キンケドゥ「…フッ!

ブランド・マーカー!!」

 

ひん曲がってしまったムラマサ・ブラスターを手放して、左手に持ったブランド・マーカーで突き刺すと、ムラマサ・ブラスターが激しく爆発する。

 

穂乃果「…!

対応が早い…!」

 

キンケドゥの素早い判断により、ゴッドフィンガーを放っていたゴッドガンダムの右手が、爆発に巻き込まれて使い物にならなくなってしまった。

 

キンケドゥ「右腕はダメか…畜生!」

 

しかしそれは、至近距離で自ら爆発を起こしたキンケドゥも同じだった。

 

 

 

 

 

 

こんな逆境でも、穂乃果は汗だくで笑っていた。

 

穂乃果「楽しいね…!」

 

心の底から、楽しいと思っているんだと感じられる声だった。

 

キンケドゥ「ああ…

楽しいさ!!」

 

それはキンケドゥも同じだった。

 

 

穂乃果「勝っても負けても、後悔はないけど…

 

でも、私たちは9人で戦ってる。

みんなの思いが…穂乃果のゴッドガンダムに乗せられてる!

だから…ここでは負けられない!

 

決めるよ!」

 

高く掲げられた、残された左手が、金色を越えて深紅に包まれた。

 

穂乃果「μ's9人、一人一人の思いを…

この一撃に懸ける!!」

 

 

 

 

 

 

 

キンケドゥ「残された武装はもう、このブランド・マーカーだけか…」

 

 

トビア「キンケドゥさん!

諦めないで!」

 

キンケドゥ「トビア…!?」

 

ザビーネ「負け腰の貴様など、貴様らしくあるまい」

 

キンケドゥ「ザビーネ…」

 

2人からの通信で、失いかけていた自信を取り戻したキンケドゥは、残された粒子をブランド・マーカーに集約した。

 

 

キンケドゥ「俺たちが乗っているのはクロスボーン・ガンダムなんだ。

 

負けられるものかぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

2機が同時に地面を蹴り、駆け出した瞬間、システムから漏れ出すほどの激しい光が会場を照らした。

 

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 #9『決着、そして』

 

に、続く。




いかがでしたでしょうか!
勝敗の行方、そして更なる展開は次話で明らかにしたいと思います!

では!


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#9『決着、そして』

9話です。
書き溜めがなくなったのでこれからはスローペースになるかと思いますが、お待ちいただけると幸いです。

今回も展開がガラッと変わります!
ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

凛「地区大会もついに準決勝!

穂乃果ちゃん、希ちゃん、凛の3人で挑む相手は、海賊みたいなガンダムを使うバンガード学園!

 

一騎討ちの末、残った穂乃果ちゃんとキンケドゥさんが、ついに勝負をつけるにゃ!」

 

 

 

 

 

#9 決着、そして

 

 

穂乃果「勝っても負けても、後悔はないけど…

 

でも、私たちは9人で戦ってる。

みんなの思いが…穂乃果のゴッドガンダムに乗せられてる!

だから…ここでは負けられない!

 

決めるよ!」

 

高く掲げられた、残された左手が、金色を越えて深紅に包まれた。

 

穂乃果「μ's9人、一人一人の思いを…

この一撃に懸ける!!」

 

 

 

 

 

 

 

キンケドゥ「残された武装はもう、このブランド・マーカーだけか…」

 

 

トビア「キンケドゥさん!

諦めないで!」

 

キンケドゥ「トビア…!?」

 

ザビーネ「負け腰の貴様など、貴様らしくあるまい」

 

キンケドゥ「ザビーネ…」

 

2人からの通信で、失いかけていた自信を取り戻したキンケドゥは、残された粒子をブランド・マーカーに集約した。

 

 

キンケドゥ「俺たちが乗っているのはクロスボーン・ガンダムなんだ。

 

負けられるものかぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

2機が同時に地面を蹴り、駆け出した瞬間、システムから漏れ出すほどの激しい光が会場を照らした。

 

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

 

十秒ほど、爆光が会場を照らしたが、次第に光が引いていくと、その試合の行方がフィールドに広がっていた。

 

 

 

 

 

穂乃果「…」

 

キンケドゥ「…」

 

 

フィールドをその脚で踏みしめ、立っていたのは…

 

 

 

穂乃果のゴッドガンダムだった。

 

 

キンケドゥ「俺たち3人でも…君たち9人の想いには敵わなかったか。

 

見事だ、高坂穂乃果」

 

穂乃果「ううん…キンケドゥさんたちの想いも、力も、全部わかったよ。

きっと装備が万全だったら勝ててなかったと思う。」

 

 

 

メイジン「地区大会準決勝第1試合、勝者は…

音乃木坂学園・μ'sだッ!!!!」

 

 

ワァァァァーーーーーーーッ!!!!!!!

 

 

穂乃果「えへへ…やった…」

 

試合終了のアナウンスと共に、汗だくになった穂乃果がくたっとその場に座り込んだ。

 

希「穂乃果ちゃん!!お疲れ様や…!ようやってくれたわぁ…!!」

 

凛「穂乃果ちゃん!大丈夫にゃ!?しっかりするにゃ!」

 

穂乃果「大丈夫…大丈夫だよ二人とも…」

 

そう言い残すと、穂乃果は眠ってしまった。

 

 

控え室から出てきた他のメンバーも穂乃果を見て驚く。

 

海未「穂乃果!?大丈夫なのですか!?」

 

ことり「穂乃果ちゃぁん…!」

 

絵里「穂乃果は私たちで運ぶわ。花陽、真姫、手伝って」

 

花陽「は、はいっ!」

 

真姫「汗だくじゃない…熱でもあったのかしら?」

 

にこ「希、凛、あんたらはバンガード学園に挨拶しときなさい。

礼儀は重要よ」

 

 

 

 

 

 

キンケドゥ「…フッ、この感情…いつ以来だろうな。

 

負けたが…清々しいことこの上ない」

 

ザビーネ「これは敗北と呼べる敗北ではない、な」

 

トビア「あ、μ'sの方々が来ましたよ」

 

希と凛がバンガード学園に駆け寄る。

 

希「穂乃果ちゃんが疲れちゃったみたいで…二人だけでごめんなさい」

 

凛「ごめんなさい、にゃ…」

 

キンケドゥ「気にすること無いさ。

 

彼女、もしかすると…」

 

希「?」

 

キンケドゥ「いや、なんでもない。忘れてくれ」

 

凛「わ、わかったにゃ。

 

ありがとうございました!」

 

希「ありがとうございました!」

 

キンケドゥ「こちらこそだ!

また勝負、させてくれ!」

 

ザビーネ「バンガード学園の名に懸けて…次は我々が勝利するぞ」

 

トビア「僕も、精進します!」

 

 

 

 

穂乃果をベッドのある医務室に運び、落ち着いたのを見届けると、μ'sのメンバーたちはひとまず控え室に戻り、傷ついたガンプラの整備に入った。

 

 

 

 

しばらくして、眠る穂乃果の部屋に訪れる男女の姿があった。

 

 

 

 

 

ツバサ「…先程の試合をみるに、きっと彼女は…」

 

メイジン「ああ、君の思う通りだろう。

まだ外傷の出るレベルではないが…」

 

穂乃果の腕や顔を見ながらメイジンが呟いた。

 

ツバサ「いよいよ、A-RISEを脅かす存在として現実味を帯びてきたってわけ…

 

フフ、面白くなってきたっ」

 

 

ツバサが部屋を出ると、外にいたあんじゅと恵令奈にツバサが言い放った。

 

ツバサ「準決勝、アレを出すわ。

魅せ方でμ'sに負けていられないもの」

 

あんじゅ「言うと思ったわ…

調整は100%ではないけど、出せるわよ」

 

恵令奈「もしもの時に備えて、私たちも自分の持ち機体で出よう。」

 

ツバサ「ええ…

 

魅せてあげましょ、私たちの戦いで」

 

 

遅れて部屋を出たメイジンが、立ち去るA-RISEを眺めて呟く。

 

 

メイジン「好敵手…か」

 

 

 

 

 

 

 

 

にこ「A-RISEが機体の登録変更をしたぁ!?」

 

海未「はい、そう発表がありました。

今まで派手な動きを見せなかったA-RISE…

先程の準決勝で刺激を受けたのでしょうか」

 

希「わざわざ知らせるなんて…

よっぽど自信があるんやなぁ」

 

絵里「穂乃果が心配ね…

 

海未、ことり、貴方たちは穂乃果の側にいて、無事を確認したら会場へ。

 

他のみんな、敵情視察にいくわよ!」

 

ことり「わかった、お願いね、絵里ちゃん!」

 

海未とことりを残し、6人は会場へ走った。

 

 

 

 

 

会場は超満員、完全にフルハウスであった。

 

6人が立ち見でスペースを確保すると、準決勝開始のアナウンスが入った。

 

 

 

 

 

メイジン「只今より!準決勝第2試合!

UTX学園・A-RISE対!

PS高専・チームストライカーズの試合を開始する!

 

選手はシステムへ!」

 

 

μ'sがごくりと息を飲む。

 

 

 

にこ「…ついに来るのね」

 

真姫「どれほどのものか…見せてもらおうじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

ツバサ「あんじゅ、恵令奈、いくわよ」

 

あんじゅ「りょーかい♪」

 

恵令奈「準備はできている」

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

ツバサ「綺羅ツバサ…ダブルオーガンダムライズ。

出るわ!」

 

あんじゅ「優木あんじゅ、フリーダムガンダムショック…

出ます♪」

 

恵令奈「統堂恵令奈…

トールギスウォーズ、出る!」

 

BATTLE START

 

 

 

 

Field・1

Space

 

 

 

 

ツバサ「宇宙ステージ…

もらったわね」

 

恵令奈「ツバサ、指示を」

 

ツバサ「あんじゅ、索敵して3機の居場所を掴んで。

 

恵令奈、狙撃のチャージを」

 

二人「了解!」

 

 

あんじゅのフリーダムが羽を開きながら宙域を舞い、見つけた敵機の座標をツバサと恵令奈に転送する。

 

あんじゅ「恵令奈!手近なソードストライクを誘き出すから狙撃頼むわ!」

 

恵令奈「了解した。」

 

 

宙で一回転して止まったフリーダムが、ビームサーベルを引き抜いてソードストライクに突っ込む。

 

 

遠方から来るフリーダムに気づいたソードストライクがシュベルトゲベールを抜き、構える。

しかしストライクの直前まで突っ込んだフリーダムは目の前で方向転換し、真上に飛び去った。

 

拍子抜けしたかのように立ち尽くすソードストライクを、斜め下から押し寄せた火線が焼き払った。

 

 

あんじゅ「作戦成功♪」

 

恵令奈「まず1機…」

 

爆発を眺めるフリーダムを、トールギスではない別のビームが襲った。

 

あんじゅ「あらあら、せっかちな人ね。

今行くから待ってて♪」

 

ビームの主は、隕石の陰からアグニを放つランチャーストライクだった。

 

 

あんじゅ「随分重そうなのを背負ってるのね…

軽くしてあげる♪」

 

狙撃とも取れるような遠距離から、フリーダムはビームライフルを一射した。

 

 

するとそのビームは、ランチャーストライクのアグニを撃ち抜いてみせた。

 

アグニが爆発し、たじろぐストライクの前に、次の瞬間フリーダムの影が迫った。

 

 

あんじゅ「随分軽くなったんじゃなぁい?

 

じゃあね♪」

 

あんじゅが言い残すと、次の瞬間フリーダムの羽から展開されたビーム砲がストライクを焼いた。

 

 

バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲…

発射時以外はフリーダムの羽の様相を呈するウイングに格納されているこのビーム砲は、フリーダムガンダムの武装では1番の火力を誇るであろう装備だった。

両肩に担ぐような体勢で発射される2本のビームは、直撃すれば損傷は免れない威力を携えていた。

 

 

至近距離でそのバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲を食らった2機目のストライクは、あえなくその場に散っていった。

 

 

あんじゅ「おまたせ♪ツバサ」

 

恵令奈「あとは任せていいのだろう?」

 

 

試合開始から一歩たりとも動いていないダブルオーの両脇に、離れていた2機が控えると、ダブルオーがまるで目覚めたかのように紅の瞳を光らせた。

 

 

ツバサ「ええ…お疲れ様。

あとはやるわ。」

 

 

腰に携えた2本のGNソードⅡを手に持つと、ツバサは一言だけ、静かに呟いた。

 

 

『トランザム』

 

 

その瞬間、紫とピンクを基調とした機体が深紅に染まり、紅の瞳がさらに強く煌めいた。

 

 

ダブルオーの機体が染まってから、時計の秒針が秒を刻む頃、トールギスとフリーダムの間にダブルオーの姿はなかった。

 

 

 

 

 

不意に、遠方で金属音がしたと思うと、動く度紅い残像を残し何体にも増えて見えるダブルオーがエールストライクを蹴り飛ばしていた。

 

不意を突かれる、という言葉では不相応なほどのスピードで一撃を食らったストライクは、反撃の隙すらなく二撃、三撃と捉えきれない敵の攻撃を食らい成す術もなく崩れてゆく。

 

両手にGNソードを持って、飛び回りながら幾重にも敵を斬りつけるその姿は、暗夜に羽ばたく妖艶な蝶のように美しかった。

 

 

ツバサ「…さよなら」

 

 

ダブルオーは最後に縦に回転し、両方のGNソードで思いきり敵を切る…という表現では違う、まるで引き裂くかのように凶刃を突き立てた。

 

すると最後のストライクも爆発四散し、あっけないほどすぐに勝負に決着がついたのだった。

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

メイジン「準決勝第2試合!勝者は!

UTX学園・A-RISEだぁ!!」

 

 

会場はあまりの衝撃に、歓声や拍手ひとつ起こることはなかった。

 

 

 

 

穂乃果「ちょっとぉ!なんで穂乃果を置いてくの…」

 

眠りから目覚め、元気になって走ってきた穂乃果も、モニターに映された映像を見て絶句する。

それは海未やことり、そして他のμ'sメンバーも同じだった。

 

 

 

にこ「嘘…でしょ」

 

希「圧倒的…なんて言葉じゃ足りひんわぁ…」

 

絵里「怪物…と呼んでも差し支えないかしらね…」

 

花陽「だ、誰か助けてっ…」

 

凛「凛達じゃ勝てるはずない…にゃ…」

 

真姫「な、なによこの強さ…

意味わかんないっ…!!」

 

 

 

穂乃果「すっごぉーーーーい!!」

 

海未「穂乃果!?」

 

ことり「穂乃果ちゃん!?」

 

一人、歓声を上げたのは穂乃果だった。

 

穂乃果「やっぱりA-RISEってすごいねぇ!強いねぇ!

想像以上だったよ!

 

でも…今私たちはA-RISEと同じ場所に立ってる」

 

真剣な面持ちを取り戻した穂乃果が、会場に響き渡るくらい大きな声で言う。

 

穂乃果「腕は対等じゃないかもしれない…

でも、私たちには私たちの、9人の強さがある!

 

精一杯、ぶつけよう!戦おう!」

 

 

それを聞いたツバサがくすりと笑って言った。

 

ツバサ「高坂穂乃果さん…

いや、μ'sの皆さん。

 

私から提案があります。」

 

突然の名指し発言に戸惑いを隠せないμ'sを見やったまま、ツバサは続けた。

 

ツバサ「このあと予定されている決勝戦…

会場を変えて、1週間後に万全の状態で勝負しない?」

 

穂乃果「会場を…変える?」

 

答えたのは穂乃果だった。

 

ツバサ「ええ。

我がUTX学園の屋上、私たちA-RISEのステージに特設バトルステージを用意するわ…

もちろん観客はなし、カメラと私たち以外は誰もいないフェアな状態でね」

 

穂乃果「…わかりました。」

 

にこ「穂乃果!?

勝手に決めていいのぉ!?」

 

穂乃果「今この状態で、にこちゃんは勝てると思う?

試合、見てたでしょ?」

 

にこ「うっ…」

 

穂乃果「それに1週間あればガンプラの改修も、更なる練習もできる…

A-RISEはそれを望んでるんだと思う」

 

絵里「穂乃果…」

 

 

 

穂乃果「その申し込み、受けました!

 

1週間後、私たちの全てで貴方たちに勝って見せます!!」

 

 

 

 

 

穂乃果が言い放って、しばしの沈黙の後。

 

観客の各所から拍手と歓声が起こった。

 

ワァァァーーーーーッ!!!!!!

パチパチパチパチパチ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日。

 

 

にこ「よぉーし!合宿よ!合宿ぅ!!」

 

8人「えぇーーー!?合宿ぅぅ!?」

 

 

 

1週間後に迫った決勝に向け、μ'sの合宿の幕が開いたのだった。

 

 

 

 

 

次回 #10 『決勝までは何時間?』

に、続く!




ついに決勝…となる前に、ワンクッション挟んで次回はバトルなしにしようかと考えております!

ガンダムのネタもできるだけ盛り込んでいこうと思います!

ではまた次回!


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#10『決勝までは何時間?』

今回はバトルは抜きで、ガンダムネタを詰め込んだネタ合宿回となっております!
お楽しみいただけると嬉しいです♪

ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

希「バンガード学園になんとか勝利し、ついに決勝に駒を進めたμ'sに立ちはだかるのはA-RISE!

A-RISEの提案で決勝の舞台を変え、一週間の時間を手にしたウチらは、何としても優勝を勝ち取るために合宿を始めるで!

 

ガンプラ合宿…レディ・ゴー♪」

 

 

 

#10 決勝までは何時間?

 

 

 

 

8人「合宿ぅ!?」

 

にこ「そうよ…合宿!」

 

驚く8人をよそに、にこは嬉々として続ける。

 

にこ「A-RISEのダブルオー、フリーダム、トールギスについて詳しく説明できるのは、3年生と花陽だけよね?」

 

穂乃果「え…」

 

海未「確かに…敵のことは知っておいて損はないでしょう…」

 

にこ「根本的にガンダムの知識量が足らないのよ、あんたたちは。

だから編成にも3年を入れざるを得なかったの」

 

ことり「そうかもしれないね…」

 

にこ「だから学びましょ!

学んだ上で決勝の編成を決定、純粋な腕だけじゃなく連携も考えてガンプラを強化、改造する…

 

そしたらあとは練習あるのみよ!」

 

凛「こうなったらにこちゃんは止まらないにゃ…」

 

真姫「…もしかして、うち、来るつもり…?」

 

 

 

 

 

 

翌日。

真姫の家の前に集まるμ'sの姿があった。

 

真姫「やっぱりね…」

 

ため息をつく真姫。

 

花陽「学校はあるし…結局真姫ちゃんの家になっちゃったね」

 

にこ「システムはあるしなんの問題もないわよ。

さ、まずは敵の3機について教えるわよ!」

 

対照的に意気揚々と話を進めるにこ。

 

 

 

 

 

 

絵里「OZ-00MS、トールギス。

恵令奈さんが乗ってる唯一のガンダムタイプじゃないMSね」

 

ガンダムWのトールギスの映像を流しつつ絵里が説明する。

 

絵里「武装にはビームサーベルなどのオーソドックスなものから、準決勝で狙撃を見せたドーバーガンまで、多様な戦況に対応できるものを持っているわ。」

 

穂乃果「あのモヒカンが飛ぶのかな…!?」

 

絵里「ふふっ、モヒカンは飛ばないわよ、特徴的ではあるけどね。

中でも注意しなければいけないのは、背中に背負うような形で装着されているスーパーバーニア。

作中ではパイロットのゼクスが''殺人的な加速''と言い表すほどピーキーながら爆発的な加速力を内包しているわ。

パイロットがGを受けないガンプラバトルでは、操縦技術さえあれば恐ろしいほどの強みになる」

 

海未「…分かりやすく、私たちにわかる例えはありませんか?」

 

海未の疑問に一考し、しばらくして口を開いた絵里は言った。

 

絵里「平地で変形した凛のガイアと競争したら楽に向こうが勝つでしょうね」

 

凛「にゃ…!?」

 

花陽「トールギスは高性能過ぎたゆえに使われなかったと言われるMS…

侮ったら貴方、死にますよ!

遊びでやってるんじゃないんです!」

 

不意にいきり立った花陽を見て凛が困惑する。

 

凛「かよちんが…壊れたにゃ…」

 

にこ「ガノタってのはこういうもんなの。

 

絵里、続けて」

 

絵里「え、ええ…

対抗策としてはこちらもスピードで対抗…と言いたいところだけど、重装甲での防御固め戦法もアリだと思うわ。

 

例えばだけど…真姫のルージュなんかは改造しやすいんじゃないかしら」

 

真姫「ヴェェエ!?私!?」

 

絵里「あくまで提案にすぎないし、それは後で話し合いましょ。

 

じゃあ希、次頼むわ」

 

 

トールギスの説明を終えた絵里が疲れた様子で席につくと、交代で希が席を立ち、前に出た。

 

 

希「はーい♪

うちが説明するのは、ZGMF-X10A フリーダムガンダムや!」

 

映像がガンダムSEEDのものに切り替わり、アークエンジェルの艦橋に迫ったジンの銃を撃ち落とすフリーダムが映された。

 

ことり「かっこいい~…!」

 

希「このフリーダムガンダムはな、細身なフォルムの中にいっぱい武器を仕込んどるんや。

一番威力が大きいのは、準決勝でも使っとったバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲やんな。」

 

赤と白の特徴的なカラーリングのビームを発射するフリーダムが画面に映された。

 

希「そしてもうひとつ…

使っとらんかったけどウチらが懸念してるのがこれやん。」

 

バラエーナにクスィフィアス、ビームライフルに至るまでの武装を全展開し、敵軍に向けて一斉射撃を行うフリーダムの映像が流れる。

 

花陽「ハイマット・フルバースト…!

背中のウイングを展開、高空機動戦モードになったフリーダムが全火器を展開して敵軍を一掃する、作中でも絶大な威力を誇った攻撃です!」

 

また不意に花陽が興奮ぎみに言う。

 

真姫「花陽…あんたキャラ変わってるわよ」

 

花陽「何言ってるの真姫ちゃん!ガンダム好きならみんなこうだよ!

俺がガンダムだ…!だよ!」

 

凛「…凛、このかよちんは苦手にゃ…」

 

 

苦笑いしたメンバーたちを尻目に、希が続けた。

 

希「花陽ちゃんの説明の通り、フルバーストは食らったら大ダメージは免れない。

注意やね。」

 

海未「できたらこちらも対抗策を…」

 

焦る海未を諌めながら、希は続けた。

 

希「わかっとるって海未ちゃん。

もし発射されるのがビームだけなら、えりちのアカツキのヤタノカガミでもええんやけど…

レールガンは防げんから、避けの技術が必要になるんや。

一歩下がって戦うのもアリやんな。

 

または…前に出れば撃つ隙を与えずに済む。

 

ウチの意見に過ぎないけど、にこっちのユにこーンが一番両方できると思うで!」

 

急に名前を出されたにこがたじろぎ、急いで取り繕う。

 

にこ「あったり前でしょぉ!

にこにお任せ♪って感じ?」

 

 

 

しばしの沈黙が場を包んだのは言うまでもない。

 

 

凛「…やっぱりちょっと寒くないかにゃ?」

 

花陽「にこちゃん…ガンダムの台詞を使えないなんて貴女はまだ…未熟!」

 

にこ「うっさいわねぇ!!

ハナベル・ガトーは黙ってなさいよ!!」

 

花陽「さすがにこちゃん♪

つっこみは完璧だね!」

 

にこ「''は''ってなによ''は''って!!!

 

 

 

ったく、ようやく私の出番ね」

 

 

呆れ気味に席を立ったにこが希と交代して、映像をガンダムOOのものに切り替える。

 

にこ「GN-0000 ダブルオーガンダム。

この前の試合でも見たでしょうけど、GNドライヴ2つの接続、ツインドライヴシステムにより高い出力を誇るわ。

 

1回戦で戦ったヴァーチェもGNドライヴの搭載機だけど、別物と言っても過言ではない性能差よ。」

 

穂乃果「あれ?

でも止まってる…?」

 

映像を見ていた穂乃果が、システムダウンして海に落下するダブルオーを見て言う。

 

にこ「本編で作られたダブルオーは、実はギリギリまで使える状態ではなかったの。

GNドライヴを2つ、1機の機体に搭載する…

それは予想以上に難しい作業だったの」

 

 

ことり「あ、この前の!」

 

トランザムでドライヴの同調率を安定ラインまで引き上げて出撃するダブルオーのシーンが流れる。

 

にこ「こんな風に序盤は、トランザムを利用しないと動きすらしないことがあった…

さっきの行動停止もそれが原因ね。

 

 

でも、これを見て」

 

切り替わった映像に、ダブルオーとオーライザーが合体するシーンが映し出された。

 

 

海未「これは…合体…?」

 

 

にこ「ドライヴの安定に確実性を持たせるために、開発中だった支援機のGNR-010 オーライザーにその機能を付加することで、ダブルオーの真の力を発揮させることに成功したの。」

 

花陽「完璧なる姿となったダブルオーガンダムは、''ダブルオーライザー''と呼称され、既に高水準だった性能を限界まで引き上げることに成功しました…

 

劇中では『ガンダムを越えたガンダム』とすら呼ばれていたんです!

 

目覚めてくれダブルオー…ここにはOガンダムとエクシアと…俺がいる!」

 

 

凛「かよちん…帰ってくるにゃぁ…」

 

相変わらずのテンションの花陽に凛は珍しく疲れぎみだ。

 

 

にこ「準決勝で見せたトランザムも、ダブルオーライザーになることで比にならない出力を発揮するわ。

 

…懸念すべきは、相手がライザーを装着してくること」

 

全員が口を閉ざす。

 

しばらくすると、一人一人が口々に呟き始めた。

 

海未「ダブルオーガンダムの状態で、私たちが黙ってしまうほど強かったのに…」

 

ことり「更に強くなるなんて…」

 

真姫「…あれを越える方法…」

 

凛「どうすればいいにゃ…」

 

 

 

花陽「…人間だけが、神をもつ」

 

 

 

 

花陽の一言で、場が一瞬静まる。

 

海未「花陽…?」

 

花陽「可能性という名の、内なる神を…

 

 

 

 

ね、にこちゃん」

 

にこ「ええ…にこのユにこーンは可能性の獣…

 

負けるつもりで行ったら負けるわ!その為にここまで来たのかしら!?」

 

声を大にして叫ぶにこ。

 

絵里「まさか、それならもう今頃こんなところにいないわよ

 

ね?希」

 

希「えりちの言う通りや♪

 

ウチらは負けるために戦ってきたんやない!」

 

 

穂乃果「…そうだね。

 

うん…そうだよ!」

 

穂乃果が言い聞かせるかのように呟く。

 

 

穂乃果「だって、可能性感じたんだ」

 

海未「…そうだ、進め」

 

ことり「後悔したくない、目の前に」

 

 

全員『僕らの道がある…!!』

 

 

 

 

 

にこ「よーっし!相手の性能がわかったら次は編成よーっ!!」

 

 

決意も新たに9人は、今度は円卓に座って会議を始めた。

 

 

 

にこ「まず各員のガンプラとこなせる立場の確認からよ!

 

前衛向きなのは穂乃果のゴッドガンダム、海未のグフカスタム、凛のガイアってとこかしら。

後衛向きなのはことりのバスターと花陽のガナーザクウォーリア。

両方こなせそうなのは3年のユにこーン、アカツキ、キュベレイMk-Ⅱ、そして真姫のルージュね」

 

絵里「敵の個々の能力の高さがわかった以上、こっちはチームワークでのカバーが必至…

各所から1人ずつの選定としたいわね」

 

希「みんなに意見聞いてみよか?」

 

穂乃果「はいはい!!意見あります!!」

 

意気揚々と手をあげた穂乃果がそのまま喋り始めた。

 

穂乃果「さっき名前の上がった真姫ちゃんとにこちゃんがどう思ってるのか知りたいなって!」

 

海未「確かにそうですね、聞いておいて損はないでしょう」

 

穂乃果の意見に海未も賛成の様子だ。

 

花陽「真姫ちゃん!にこちゃん!どうなの!?」

 

真姫「ヴェェェ!?

…ま、まあ私はやってもいいけど…

まだまだ、バトルには自信ないし…」

 

ことり「にこちゃんは?」

 

にこ「私ももちろんやる気はあるわよ。

ただ…真姫と立場が被るわ」

 

 

 

花陽「その事なんだけど…

これでなんとかならないかな?」

 

花陽が取り出したのは、HGCE ストライクルージュには付属していないはずのオオトリバックパックだった。

 

凛「悔しいけど真姫ちゃん、1年生じゃ一番操縦上手いから…

頑張ってかよちんと作ってみたにゃ」

 

真姫「花陽…凛…。」

 

 

 

希「にこっちも、はいっ」

 

にこ「な、なによこれ…!」

 

続いて希も、バズーカと白いタンクが目立つ武器を取り出す。

 

希「ユニコーンのフルアーマー装備やん。

大丈夫、にこっちのユにこーンには無改造で取り付けられるようにしてあるで!」

 

絵里「さすがに骨のおれる作業だったわ…

クオリティは申し分ないはずよ」

 

希「にこっち、気張り!」

 

 

にこ「あ、あんたたち…!

 

真姫!」

 

真姫「ええ!やるしかないわ!

やってやるわよ!」

 

 

自信のなさげだった二人は 、絵里と希に、そして花陽と凛に背中を押され、にこと真姫は出場を決意する。

 

絵里「作った甲斐があるわね…」

 

凛「かよちんに教えてもらいながらやったけど、難しかったにゃ…」

 

 

両方とも大会に備え、自分達のガンプラも整備し、バトルの練習もした上に作ったとは思えないクオリティの出来映えだった。

 

ことり「となると最後の一人は…」

 

海未「やはり…」

 

 

二人の言葉を皮切りに、全員が一人を見つめた。

 

 

 

 

 

穂乃果「えっ、わ、私!?」

 

 

たじろぐ穂乃果の目を見つめ、海未が言う。

 

海未「穂乃果。あなたは確かに強いとは言えないでしょう。

操縦は真姫の方が上手いでしょうし、ガンプラの製作技術なんてただ組める程度のものです。

 

でも…あなたは言葉では言い表せない可能性を見せてくれる」

 

ことり「ガンプラに出会えたのも、スクールアイドルに出会えたのも、穂乃果ちゃんのおかげだったよね。

 

なら、このまま私たちを導いて!

 

…はい、これ。

私たちの未熟な技術じゃ、こんなものしか作れなかったけど。」

 

ことりが手渡したのは、ゴッドガンダムのサイドアーマーに装備できるよう改造されたVガンダムの扇形ビームサーベルだった。

 

海未「私とことりで、作ってみました。

展開すると右のものは紫、桃色、水色」

 

ことり「左のは赤、黄色、黄緑のビーム光が展開されるようになってるの。」

 

穂乃果「それって…!」

 

 

感づいた穂乃果の言葉を遮るように、希が口を開いた。

 

希「あれぇ?えりち~。

もう一個作ったのどこやっけぇ?」

 

続いて花陽も。

 

花陽「あれぇ…?

入れてきたよね…?」

 

 

 

 

程なくして、二人が取り出したのは、それぞれ青、白に塗装が施されたゴッドガンダムの腕甲だった。

 

 

希「μ'sが揃わないなんて…寂しいやん?」

 

花陽「実は一番気を付けて作業したんだよ?

ふふっ」

 

海未とことりが目に涙を浮かべる。

 

海未「…私たちは心だけ連れていって貰えればと思っていましたが…」

 

ことり「お見通しだったって訳だね…!!」

 

渡され、取り付けられたパーツで、穂乃果のゴッドガンダムにμ's9人の思いが乗せられた。

 

穂乃果「…よぉーーーーーーーしっ!!!!!!」

 

穂乃果が気合いをいれて言う。

 

 

穂乃果「みんなの思い…伝わった!!

私のゴッドガンダム…私の手に、みんなの思いが乗せられてるってわかった!

 

やろう!真姫ちゃん!にこちゃんも!」

 

真姫「…決まりね」

 

 

にこ「メンバーは決まったし…練習あるのみよ!」

 

にこだけが泣きそうな顔をしていたのは秘密だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして1週間があっという間に過ぎ去った。

 

 

9人はUTX学園の下に集まっていた。

 

 

花陽「ついに決勝です…!」

 

凛「凛も緊張するにゃ…!

 

海未「…本当に、決勝まで来れたのですね。」

 

ことり「未だに信じられないね…!」

 

絵里「頑張るのよ、3人とも!」

 

希「ウチらも気持ちは一緒やで!」

 

 

 

真姫「二人とも、心の準備は?」

 

にこ「やることはやってきたわ。

あとは怖じ気付いたらダメ。」

 

穂乃果「楽しもう!みんなで!」

 

 

 

 

 

 

 

ツバサ「…来たわね」

 

エレベーターが開き、UTXの屋上にμ'sとA-RISEが集う。

 

 

恵令奈「…ついにか。

μ's、よろしく頼む」

 

真姫「ええ。こちらこそ」

 

あんじゅ「私たち、楽しみにしてたのよ。

タツヤお兄様もね」

 

にこ「お兄様って…

 

め、メイジンのことぉ!?」

 

あんじゅ「実際はいとこだけどね…

ふふっ」

 

 

 

ツバサ「高坂穂乃果さん…

この決勝にたどり着くまでの時間を、どう感じたかしら?」

 

穂乃果「…楽しかったよ。

あっという間だった…。

 

μ'sの9人、みんなで来れたから」

 

ふっと穂乃果が笑顔をこぼす。

 

応じるかのようにツバサもふっと笑った。

 

 

ツバサ「お互い、悔いのない勝負をしましょう。

 

勝っても負けても、決勝なんだから」

 

穂乃果「…うんっ!」

 

 

 

 

 

 

予告通り、メイジンもいない屋上ステージは静まり返っていた。

 

UTXの下から聞こえる歓声も、今は遥か遠くから響いているように感じる。

 

3人と3人が、ステージを挟んで向かい合った。

 

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

メイジン「サイは投げられた…

 

勝利の女神はどちらに微笑むかな」

 

UTXの教室でLIVE映像を眺めるメイジンが呟いた。

 

 

Please set your GUNPLA…

 

 

恵令奈「統堂恵令奈、トールギスウォーズ」

 

真姫「西木野真姫!オオトリストライクルージュ!」

 

あんじゅ「優木あんじゅ、フリーダムガンダムショック」

 

にこ「矢澤にこ!フルアーマーユ【にこ】ーンガンダム!」

 

ツバサ「綺羅ツバサ、ダブルオーガンダムライズ」

 

穂乃果「高坂穂乃果!ゴッドガンダム!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

6人『出ます!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

次回

#11 勝と負の狭間で

に、続く…!

 




いかがでしたでしょうか!

物語もついに佳境…果たして決勝の勝敗は!?

できるだけ早く仕上げたいと思っております!

では!


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#11『勝と負の狭間で』

ついに決勝戦の幕が開きます!

新たな力を手に立ち向かうμ'sと、圧倒的実力で立ちはだかるA-RISE…
両チームのバトルの行く末は…?

今回はバトルたっぷりでお届けします!

ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレレッテッテッテッテー

 

 

 

真姫「にこちゃんの提案で、合宿をすることになったμ's。

わかってはいたけど…私の家に集まったみんな。

そんなみんなから、にこちゃんと私、そして穂乃果の3人は、ガンプラのパーツと共に乗せられた思いを託された。

 

舞台は整ったわ…いざ、決勝よ!」

 

 

 

 

 

 

#11 勝と負の狭間で

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

メイジン「サイは投げられた…

 

勝利の女神はどちらに微笑むかな」

 

UTXの教室でLIVE映像を眺めるメイジンが呟いた。

 

 

Please set your GUNPLA…

 

 

恵令奈「統堂恵令奈、トールギスウォーズ」

 

真姫「西木野真姫!オオトリストライクルージュ!」

 

あんじゅ「優木あんじゅ、フリーダムガンダムショック」

 

にこ「矢澤にこ!フルアーマーユ【にこ】ーンガンダム!」

 

ツバサ「綺羅ツバサ、ダブルオーガンダムライズ」

 

穂乃果「高坂穂乃果!ゴッドガンダム!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

6人『出ます!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

Field・6

city

 

 

 

 

出撃した穂乃果たちの視界に広がったのは、日の光が照らす海の反射が眩しい港湾地区のマップだった。

 

 

 

にこ「各機着陸!

敵機の状況を把握して!」

 

寸分の景色を見る暇すらなく、にこが叫ぶ。

 

真姫・穂乃果「了解!」

 

 

 

タンクの関係上着陸不可能なにこのフルアーマーユニコーンは上空で、他の2機は地上で、慎重に相手の出方を伺う。

 

 

 

 

 

ツバサ「恵令奈…

穂乃果さんに掠める程度に狙撃を。

あくまで牽制よ。

 

あんじゅ、直上して3機の気を引いて」

 

恵令奈「了解した、撃つ」

 

あんじゅ「りょーかいっ♪」

 

囁くように、港のコンテナの陰で通信を交わしたA-RISE。

 

 

あんじゅのフリーダムが直上すると、真姫のルージュが感づいたようにビームランチャーを向け、一射する。

 

真姫「来たわよ!」

 

にこ「ええ!わかって…

 

 

まずいわ!穂乃果!右にずれて!!」

 

穂乃果「えっ…!?」

 

 

にこの呼び掛けで、戸惑いつつも右にステップを踏んだ穂乃果のゴッドの前を、トールギスの放ったビームが焼いた。

 

 

穂乃果「…!

ありがとう!にこちゃん!」

 

にこ「ボーッとしてるとやられるわよ!」

 

 

あんじゅ「貴女の言う通りね、矢澤にこさん♪」

 

 

直上して3機の意識を引いたあんじゅが、そのままにこの方へ向かっているのを、ビームに気をとられていた3人は気づかずにいた。

 

にこ「…そうね!」

 

互いに同じタイミングでビームサーベルを引き抜いたフリーダムとユニコーンが、上空で激しくつばぜり合う。

 

あんじゅ「片腕が…がら空きよ!」

 

もう片方のビームサーベルを引き抜いたフリーダムが、ユニコーンに再度刃を向ける。 

 

にこ「甘いわっ!」

 

切りかかられた左腕のシールドでIフィールドを展開し、受け止めたにこは、右足で膝蹴りを食らわせながら至近距離で脚の側面に装備されたミサイルを撃ち込む。

 

あんじゅ「…っ…!

 

ツバサっ!」

 

ツバサ「今行くわ…!」

 

 

紅く光る双眸をぎらりと光らせたダブルオーの手には、以前の一双のGNソードⅡはなく、代わりに刀身が紅く輝くGNソードⅢが握られていた。

GNソードⅡも腰に装備されている。

 

 

ツバサ「トランザ―――」

 

真姫「させないわよ!!」

 

得意の操縦で地面すれすれの高さを飛び、直前までA-RISEに感づかせなかった真姫が、ここぞとばかりにオオトリに装備された対艦刀でダブルオーに切りかかる。

 

真姫「気がかりだったライザーってやつにはなってない…!

やれるわ!」

 

ツバサ「さすが…ね!」

 

刃がダブルオーに届きかけたその時。

 

 

ガギィン …

 

 

スーパーバーニアを最大出力で吹かし、接近した恵令奈のトールギスが、ルージュにタックルし、吹き飛ばす。

 

恵令奈「ツバサ、早くあんじゅを」

 

ツバサ「ありがと、恵令奈。」

 

 

真姫「…穂乃果!」

 

 

穂乃果「…行けるよ!

 

石破っ!!」

 

ツバサ「!?」

 

一人、ビームを避けて着地位置から動かなかった穂乃果が、石破天驚拳のチャージをしていたのに、眼前のにこと真姫に気をとられていたA-RISEは気づかなかった。

 

にこ「ぶっぱなしなさい!!」

 

真姫「頼むわ!」

 

穂乃果「天!驚!けぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!!」

 

 

 

発射されたエネルギーの塊が、ツバサに向かって直進する。

 

 

あんじゅ「ツバサっ!?」

 

恵令奈「ツバサ…!」

 

にこ「あんたらの相手は!」

 

真姫「こっちでしょう!」

 

 

ツバサのフォローに行かすまいと、にこと真姫が2人を足止めする。

 

 

ツバサ「…トランザム」

 

 

 

 

直後、辺りを激しい光が包んだ。

 

 

 

 

穂乃果「…な…な、んで…」

 

 

穂乃果の放った石破天驚拳は、直後に真正面から真っ二つに切られていた。

 

故に着弾することなく即座に爆発を起こしたのだ。

 

 

ツバサ「いい作戦ね、穂乃果さん。

 

でもこれは、予想外だったかしら?」

 

 

トランザムを発動したダブルオーの右手に握られたGNソードⅢが、巨大なビームサーベルのようにビームを纏い降り下ろされていたのだ。

 

 

にこ「ダブルオーライザーじゃないのに…ライザーソードですって!?」

 

ツバサ「このダブルオーはまだまだ発展途上でね…

オーライザーを搭載すると、粒子展開量が多すぎてエラーを起こしてしまうの」

 

真姫「それって…

オーバースペックってことじゃないの…!」

 

驚きを隠せない3人に、追い討ちをかけるようにあんじゅが言う。

 

 

あんじゅ「ついでに言うと私たちの2機もまだまだ完成にはほど遠いわ…

ね?恵令奈?」

 

恵令奈「ああ…」

 

 

穂乃果「…そうなんだ」

 

穂乃果が呟く。

 

 

にこ「なら…私たちのガンプラは!」

 

真姫「9人の思いを受けて!」

 

 

 

穂乃果「いくらでも進化する!!」

 

 

フリーダムを止めていたユニコーンが、つばぜり合いを解いて至近距離でバズーカを撃ち込み、タンクをダブルオーに向けて射出する。

 

にこ「真姫!」

 

真姫「任せて!」

 

真姫もトールギスを押し込み、一瞬の隙をついてにこの射出したタンク目掛けてビームランチャーを発射する。

 

 

ほどなくして、大質量の爆発がダブルオーを包んだ。

 

 

にこ「穂乃果!フリーダムを!」

 

1度目の落下で高度の下がっていたフリーダムが、再び爆風に飛ばされて地面に叩きつけられるのを見越したにこが、素早く穂乃果に指示を出す。

 

穂乃果「わかった!」

 

駆け出したゴッドガンダムの背中のウイングが展開され、赤いリングが発生し、ハイパーモードが起動する。

 

 

あんじゅ「…させないっ!」

 

落下寸前、体制を立て直したあんじゅが、武器を展開する。

 

穂乃果「あれはっ…!」

 

あんじゅ「食らいなさいっ!」

 

あんじゅのフリーダムが、全火器を展開、前面に突き出すと、次の瞬間に一斉射撃が発射された。

 

穂乃果「フルバースト!?」

 

走りを止めた穂乃果が、ガードの体制を取る。

 

 

すると、穂乃果の目の前になにかが落下した。

 

ズゴンという大きな着地音と共に砂埃が舞い上がり、それにより穂乃果に当たるはずであったビームは遮られる。

 

 

穂乃果「なに…?

赤い…?」

 

砂埃の収まり始めた視界に最初に見えたのは、滾るような赤い光だった。

 

 

にこ「…パージ!」

 

にこの声が響いたかと思うと、穂乃果の目の前の塊はみるみる小さくなり、見覚えのあるシルエットになった。

 

 

穂乃果「にこちゃん…!」

 

にこ「ったく、なんもせずに突っ込むんだから。」

 

タンクをパージしたにこのユニコーンが、急降下して穂乃果とあんじゅの間に割って入り、Iフィールドを展開して危機一髪穂乃果を守ったのだった。

 

にこ「レールガンが気がかりだったけど…被弾したのがバズーカでよかったわ。

本体は無傷よ。」

 

 

ツバサ「…これならどうかしら?」

 

にこ「なぁっ…!?」

 

タンクの爆発に巻き込まれたであろうツバサのダブルオーが、にこの目の前でライザーソードを振りかぶる。

 

 

穂乃果「にこちゃん!」

 

穂乃果のゴッドがにこのユニコーンを押し飛ばすと、前に出たゴッドガンダムの両手がオレンジに輝く。

 

にこ「穂乃果!?

あんた何を…!」

 

穂乃果「ばぁくねつ!ゴッド…!」

 

 

降り下ろされたライザーソードを、穂乃果は両手のゴッドフィンガーで白刃取りしてみせた。

 

 

ツバサ「な…!?」

 

予想外の展開に、ツバサですら驚きを隠せずにいた。

 

穂乃果「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

穂乃果が両手を押し込むと、ライザーソードに集約されていた粒子が徐々に崩れ始め、割れるかのようにライザーソードがその姿を消した。

 

ツバサ「本当に…やってのけるなんて…!」

 

 

トランザムが解け、紫のカラーリングに戻ったダブルオーに、ゴッドが迫る。

 

 

穂乃果「もらったっ!」

 

ツバサ「っ!」

 

後退すらできなかったツバサは、なんとかGNソードで応戦する。

 

 

ツバサ「さすがよ…穂乃果さん。

 

でもね…!」

 

ダブルオーの眼が、再び妖しく輝いた。

 

 

 

 

 

 

穂乃果たちが組み合っているすぐ近くで、体勢を立て直したにことあんじゅが向かい合う。

 

 

あんじゅ「…ついに本気って訳ね、矢澤にこさん♪」

 

にこ「ええ、そっちも準備完了みたいね。」

 

 

互いにライフルを向け、にらみあう二人。

 

 

 

その戦いの火蓋は、2機のライフルが同時に火を吹いたと同時に切って落とされた。

 

 

ビームが激突して爆ぜ、激しい閃光が辺りを包み、収まる頃には、既にユニコーンとフリーダムが紙一重の立ち位置でサーベルを交わらせている。

 

にこ「出力的にはほぼ互角…ならあとはウデね!」

 

組み合った右手を構えたまま、左手のビームトンファーを発振させたユニコーンが、フリーダムのクスィフィアスを狙って腕を振ると、フリーダムは寸でのところで2本目のビームサーベルを取り出して応戦する。

 

あんじゅ「させっ…ないわ!」

 

にこ「甘いわぁ!」

 

 

装備と一緒にパージされたユニコーンのシールドが、サイコフレームの輝きを取り戻すと、ビームガトリングガンを装備したシールドが浮遊し始め、さながらファンネルのような軌道を描いてあんじゅに迫った。

 

 

にこ「シールドファンネル!

ここまでは想定できなかったはずよぉ!!」

 

3つのシールドに装備されたビームガトリングガン計6丁、24個の銃口が全てあんじゅに向けられた。

 

 

あんじゅ「…!!」

 

 

恵令奈「あんじゅ!!」

 

恵令奈が叫ぶと、遠距離から不意に、巨大なビームの波がにこめがけて発射された。

 

トールギスの狙撃…

それは予想以上の精度を誇っていた。

 

 

にこ「…ふんっ!!

行きなさい!」

 

しかしにこは欠片もたじろがず、シールドファンネルを動かして3枚を三角形に組み合わせ、防御して見せた。

 

あんじゅ「っっく…!」

 

にこ「食らいなさい!」

 

右腕を押し上げ、ビームトンファーの出力を上げたにこが、フリーダム目掛け思いきりビームサーベルを降り下ろすと、その一撃はフリーダムの中心を貫いた。

 

 

 

あんじゅ「この勝負は、私の負けみたいね…

でもね、矢澤にこさん。

まだ、A-RISEは負けてないの…!」 

 

余裕綽々とした序盤の態度とは裏腹に、呟くように言い残したあんじゅのフリーダムが、動力部を貫かれた衝撃で大爆発を起こした。

 

 

 

にこ「まずい…!

してやられたっ…!!!」

 

 

 

 

 

 

その爆発を横目に、狙撃したトールギスが立ち尽くすのを、真姫は見逃さなかった。

 

 

真姫「…そこっ!」

 

ビームランチャーとレールガン、ミサイルに至るまで全装備を展開し、疑似フルバーストを放つと、気づくのに遅れたトールギスがミサイルに被弾した。

 

 

恵令奈「わ、私としたことがっ…!」

 

真姫「当たりなさいよっ…!」

 

真姫は焦って距離を詰めることなく、中距離からランチャーとライフルを連射してじわりじわりと近づく。

 

恵令奈「押されるなどっ…!」

 

回避行動に集中し、真姫を見切れなかった恵令奈に、真姫は容赦なく斬りかかった。

 

 

真姫「とった!!」

 

 

恵令奈「仕方ないっ!」

 

 

スロットルを展開、SPのウェポンを発動した恵令奈が、ドーバーガンの銃口にビームサーベルを接続する。

 

 

恵令奈「エネルギー充填…

チャージビームサーベル、展開!!」

 

 

恵令奈が叫ぶと、ドーバーガンの銃口から極太のビームサーベルが発振された。

 

真姫「!?」

 

防御できない…

 

そう察した真姫は、踵を返して退こうとするが、その大きさとスピードから逃げようと思う心情が、すぐに逃げきれるものではないという確信に変わる。

 

その刹那、何かが真姫の横を通りすぎた。

 

 

真姫「なに!?」

 

にこ「真姫!避けなさい!」

 

にこの声に驚き、真姫が迫るビームサーベルに目をやると、シールドファンネルがビームサーベルを抑えていた。

 

 

フリーダムの爆発に巻き込まれたにこのユにこーンは、機体を半壊させながらも離れた場所で防御していた故に残ったシールドファンネルで真姫をフォローしたのだった。

 

恵令奈「矢澤にこ…!

あんじゅの犠牲をもってしても…!」

 

にこ「私たちのガンプラはまだ未熟で、性能はそっちに遠く及ばないかもしれないけど…

A-RISEに勝ちたいって、優勝したいって気持ちは絶対に負けてない…

絶対…負けない!」

 

大質量のビームに焼ききれそうになったシールドファンネルを見やった真姫は、再び機体を反転させ、トールギスに向かって突進した。

 

にこ「真姫!?」

 

真姫「間に合う!

…間に合って…!!」

 

 

 

バーニアを吹かし、トールギスに接近したルージュを、シールドファンネルを溶かしきったビームサーベルが焼き払った。

 

 

 

にこ「…っ!」

 

恵令奈「西木野真姫、手強かったが…

 

残るは矢澤にこ、高坂穂乃果、君たち二人だ」

 

 

それを聞き終わるか終わらないかのタイミングで、にこがにやりと笑うと、撃墜されたルージュの爆煙の中から何かが飛び出した。

 

真姫「3人よっ!!!」

 

ルージュ本体は損傷、撃墜されたものの、からがら抜け出したオオトリバックパック単体での攻撃を、真姫は一か八かにかけて仕掛けたのだった。

 

トールギスの上空まで上昇し、急降下に合わせてビームランチャーを発射すると、あまりの出来事に呆気に取られる恵令奈のトールギスを見事捉えたのだった。

 

 

 

恵令奈「っぐぅ…!

抜かった…!」

 

真姫「これで…落ちなさい!」

 

極めつけにもう一撃、ビームランチャーを放ったオオトリを、トールギスが追撃することはなく、程無くしてトールギスは爆発四散したのだった。

 

 

 

 

 

にこ「残るはダブルオーね…」

 

真姫「手負いとは言えこっちはまだ3人、勝機は――――――――」

 

 

 

 

ザシュッ

 

 

 

 

 

 

にこ「え…?」

 

 

 

 

 

 

ズシャァ

 

 

 

 

 

 

真姫「なっ…!?」

 

 

 

 

 

 

ツバサ「…間に合わなかったけど…

これで互角ね…!」

 

 

 

真姫とにこが振り返ると、そこには、トランザムで粒子を使いきったはずのダブルオーライズが、再び深紅にその身を包んで佇んでいた。

 

 

 

 

 

ツバサ「…どうやら、本気でいかなきゃダメみたいね。」

 

 

 

 

 

 

 

次回 #12

願いと想い

に、続く。




いかがでしたでしょうか?

ダブルオーが再度トランザムを発動できた理由とは…
そして、決着は、優勝の栄光はどちらの手がつかむのでしょうか?

次回もお楽しみに!


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#12『願いと想い』

決勝戦もついに後半、戦いが佳境を迎えます!
μ'sとA-RISE、その激闘に終止符は打たれるのか!?
そして穂乃果は…!?


ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

にこ「ついに幕を開けたA-RISEとの決勝戦。

腕の違いに驚きながら、私たちμ'sはなんとか奮戦、残すはリーダーのツバサだけになった…と思った。

その瞬間だけは…」

 

 

 

 

 

 

#12 願いと想い

 

 

 

 

 

にこ「残るはダブルオーね…」

 

真姫「手負いとは言えこっちはまだ3人、勝機は――――――――」

 

 

 

 

ザシュッ

 

 

 

 

 

 

にこ「え…?」

 

 

 

 

 

 

ズシャァ

 

 

 

 

 

 

真姫「なっ…!?」

 

 

 

 

 

 

ツバサ「…間に合わなかったけど…

これで互角ね…!」

 

 

 

真姫とにこが振り返ると、そこには、トランザムで粒子を使いきったはずのダブルオーライズが、再び深紅にその身を包んで佇んでいた。

 

 

 

 

 

ツバサ「…どうやら、本気でいかなきゃダメみたいね。」

 

 

 

 

トランザムシステム…

それは基本的に、1度解除されると通常稼働ですら支障が出るレベルのシステムダウンが伴う。

言うなれば諸刃の剣…

そんなトランザムを、使いきったはずのダブルオーが再び直後に使用するなんてことができるのだろうか。

 

 

にこ「なんで…なんでトランザムが…!?」

 

突然の出来事に驚きを隠すことができないにこに、ツバサが答えた。

 

 

ツバサ「A-LIVEシステム…

 

アブゾーブシステムにより機体周囲のプラフスキー粒子を吸収、粒子残量を回復するダブルオーライズの基盤となるシステムよ。

実質トランザムは無限に使用できる…といっても過言ではないわね」

 

ツバサが言い終わると、真姫のオオトリとにこのユにこコーンは爆発することなくシステムダウンを起こした。

 

 

にこ「っ!!

動きなさいよっ…!ユにこーンっ…!!!」

 

真姫「どんな動きをしたのか全く見えなかった…どうして…何が起きたのよ…!?」

 

 

2人の声は空しく、システムダウンで暗くなったバトルシステムのコクピットに響いた。

 

 

 

 

 

ツバサ「さあ穂乃果さん…

 

 

これで1対1、思いきり戦えるわね」

 

ツバサが少し嬉しそうに言い放った。

 

 

 

穂乃果「…ううん。

1対1なんかじゃない…

 

 

9対3だよ!

私たちμ'sと、A-RISEの3人…

みんながこの場所で戦ってる!」

 

穂乃果が言い返すと、ゴッドガンダムが腰に手をやった。

 

取り出したのは、バトルの前に託された扇形ビームサーベルだった。

 

 

穂乃果「このビームサーベルには…

このゴッドガンダムには、私だけじゃない、μ'sみんなの気持ちが集められてる!

だから…

 

私は一人じゃない!」

 

 

 

ビームサーベルの展開と同時に、再び背中のウイングを展開し、腕甲がせり上がると、ゴッドガンダムの機体が黄金に、ビームサーベルはμ'sそれぞれのカラーに輝き始めた。

 

 

穂乃果「行くよ…

 

凛ちゃん。

花陽ちゃん。

真姫ちゃん。

絵里ちゃん。

希ちゃん。

にこちゃん。

 

ことりちゃん。

海未ちゃん。

 

 

みんなで…みんなで叶えるんだ!」

 

 

 

ツバサ「隠し玉はなしってわけね…。

いいわ。」

 

別段驚く様子も見せず、GNソードⅢを地面に突き刺し、腰のGNソードⅡを手にしたダブルオーは、トランザムを三度発動し、GNソードⅡに紫色のビームの刃を展開した。

 

 

ツバサ「一気にいくわ!穂乃果さん!」

 

 

ツバサが叫ぶと、ダブルオーは穂乃果の視界から姿を消した。

 

 

正確に言うと、姿を消した訳ではない。

速すぎて見えなかったのだ。

 

 

ガァンッ!

 

一瞬の間の後、衝撃音が疾ったかと思うと、穂乃果のゴッドガンダムは見事にダブルオーを捉え、つばぜり合いに持ち込んでいた。

 

ツバサ「ダブルオーが…見えるの…!?」

 

穂乃果「私たちだって…練習したんだっ!」

 

鮮やかに煌めく光の尾を引きながら降り下ろされるビームサーベルを受けて応戦、押される状況にいたのはツバサだった。

 

 

ツバサ「…予想以上、期待未満…って感じかしらね」

 

 

ツバサが呟きながら、トランザムの隣に並んだSPのスロットルにカーソルを合わせ、発動する。

 

 

 

穂乃果「!?

 

消えた…の…?」

 

 

気づくと、トランザムで紅くなっていた機体を一瞬緑色に染めたダブルオーが視界から今度こそ消えていた。

 

 

ツバサ「これを使った以上…負けるわけにはいかないわ!!」

 

キラキラと光る粒子で半身が再構成されたダブルオーが、ゴッドガンダムを背後から襲撃する。

 

穂乃果「うしろっ!?」

 

 

量子化、または粒子化と呼ばれるこのシステムは、あらゆる攻撃の無効化…

というよりは、自分が消えることで敵の攻撃を避けるという、相手側からすると対策のしようがない厄介なシステムだった。

 

 

 

 

 

 

絵里「ライザーではないのに粒子化まで…」

 

希「性能は通常のライザーを超えとるとみて間違いなさそうやんな…」

 

花陽「…万事休す、なんでしょうか…」

 

控え室のメンバーたちもさすがに動揺が抑えられず、口々に呟く。

 

 

 

 

 

ツバサ「行くわよ!穂乃果さん!」

 

よろけたゴッドガンダムの隙を逃さず、2撃、3撃と、紅い残像を残しながら連続してゴッドガンダムを切りつけるダブルオー。

 

 

穂乃果「っ…

 

ま、負けちゃう…の…?」

 

 

顔に焦りを浮かべる穂乃果が、捉えきれないダブルオーを必死で追い続ける。

 

 

 

 

 

 

 

『私たちμ's…

9人で、ガンプラバトルの大会、でない?』

 

 

 

そういえば、始まりはにこちゃんの言葉だったっけな…

 

ごめんねにこちゃん、みんな。

 

きっともう…私は…

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁにぼさっとしてんのよ穂乃果ぁ!」

 

不意に響いたにこの声に、穂乃果ははっと目を見開く。

 

 

穂乃果「にこ…ちゃん…?」

 

にこ「バカなんじゃないの!?穂乃果!

あんた、何のために戦ってきたのよ!

負けるためじゃないでしょ!諦めるためじゃないでしょ!!

 

 

みんなで勝つためでしょ…っ!!!」

 

 

真姫「そうよ穂乃果!

あなたが諦めたら…誰が戦うのよ!

戦って!それで負けてもいい!

諦めずに…戦って…!!」

 

 

穂乃果「真姫…ちゃん…」

 

 

 

 

攻撃を食らいつつも、穂乃果は少し離れたところに目をやる。

そこにあるのはもう動かない、ユにこーンとオオトリの2機。

でもその2機に乗っている2人は、まだ諦めてなんかいなかった。

 

穂乃果なら。

 

そう思っていたから。

 

 

 

穂乃果「そうだよね…

ここで諦めるなんて、もったいない。

 

まだ…

まだっ…!」

 

 

すると、ゴッドガンダムのウイングに展開された紅いリングの形状が変化し、9本の炎が迸った。

 

その見た目はさながら太陽のようにも見える。

 

そして両手は、バンガード学園戦の時に見せたような深紅に染まっていた。

 

 

 

 

ツバサ「…!?

 

こ…れは…!?」

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「ついにその極地まで達したか…

 

アシムレイトの覚醒…」

 

別室で見ていたメイジンがふっと笑いつつ言った。

 

 

 

 

 

 

穂乃果「もう私は諦めない!

みんなのため…私は戦う!」

 

 

ビームサーベルを腰に戻したゴッドガンダムが、両手を前に突き出す。

 

 

 

穂乃果「この右手にみんなの願い!

左手にはみんなの想いを乗せて…!」

 

深紅を越え燃え上がった両手を握り、両腕を腰の横に引くと、燃えるような闘志に気圧されたツバサのダブルオーがその動きを止めた。

 

ツバサ「さっきとはまるで別の機体…

何倍も、何十倍も、性能なんて言葉じゃ表せないくらいに何かが変わってる…!」

 

 

動きを止めたダブルオーの腹部に、ゴッドガンダムのパンチが突き刺さるかのようなスピードで打ち込まれる。

 

飛ばされたツバサは、あまりの出来事に驚きを隠せずにいた。

 

 

ツバサ「これが…メイジンの言っていたアシムレイト…!

想定を超えてる…!」

 

 

一旦トランザムを解き、A-LIVEシステムを起動して粒子量を回復させようとしたダブルオーの後ろに、ゴッドフィールド・ダッシュでゴッドガンダムが迫った。

 

 

穂乃果「はぁっ!!」

 

 

拳を振るうと、その手からは拳型の石破天驚拳が放たれた。

 

 

ツバサ「…間に合わない!

トランザム!」

 

 

 

ワンセコンドトランザムでからがら粒子化し、GNソードⅢのある場所に戻ったツバサは、腰にGNソードⅡを戻し、Ⅲを引き抜いた。

 

 

ツバサ「急いで、A-LIVEシステム…!

このままでは…!」

 

 

あんじゅ「なに焦ってるのよツバサ…

貴女らしくないわよ♪」

 

ツバサ「!?

あんじゅ… 」

 

不意のあんじゅからの通信に、ツバサは驚いた。

 

 

恵令奈「私のトールギスのところへ!

ドーバーガンに手をかざしてシステムを使えば…残留粒子が残っているはずだ!」

 

ツバサ「恵令奈…!」

 

続いた恵令奈からの通信で、ツバサは笑顔を取り戻した。

 

 

ツバサ「そうよ…穂乃果さんの言う通り。

9対3の戦い…

だったわね!」

 

トランザムを使わない状態でのドライブの最大出力で、撃墜されたトールギスのもとへ向かったダブルオーは、両手をドーバーガンに翳した。

 

ほどなくして、ダブルオーの機体はまた、次第に深紅に染まって行く。

 

 

 

 

ツバサ「ありがとう…あんじゅ、恵令奈。

 

トランザムっ!!!」

 

 

 

ダブルオーの双眸が今までで一番強く、そして緑色に輝くと、ダブルオーの機体も緑色に染まった。

 

 

 

 

 

穂乃果「相手にとって不足なし…!

 

みんな!

行こうっ!!!」

 

 

 

 

 

上空に飛び上がり、GNソードⅢを天に向けて掲げたダブルオーの周辺に、粒子が波を起こすように集約されていく。

 

 

かたや地面に仁王立ちしたゴッドガンダムの両手は未だ燃え盛り、周囲の粒子は白くキラキラと輝いていた。

 

 

 

 

 

ツバサ「穂乃果さん!

 

泣いても笑っても…きっとこれで勝負が決まる。

 

準備はいいかしら!」

 

序盤に見せたものとは比べ物にならない大きさのライザーソードを掲げたツバサが言った。

 

穂乃果「もちろん!」

 

穂乃果はただ、不敵な笑みと共に返事だけをした。

額には汗が光っている。

 

 

 

 

 

 

会場を、静寂が包んでいた。

 

μ'sも、A-RISEも、無言だった。

自分達のリーダーを信じていたから。

 

 

響いていた歓声も、今は収まり、UTXのモニターを見つめる観客はただただモニターを凝視していた。

 

 

 

 

 

静寂を破ったのは、ツバサの声だった。

 

 

ツバサ「…はぁあぁぁあぁぁぁぁぁあああぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 

声を張り上げ、思いきりライザーソードを振り下ろす。

 

 

穂乃果「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

穂乃果はそれを両手で受け止め、押し返そうとする。

 

 

バリバリと、雷のような音が、システム外にまで響き渡った。

 

 

エネルギーの質量に押され、ゴッドガンダムが少しずつ地面にめり込んでいく。

 

 

 

穂乃果「んぐっ…!

う…でが…!!」

 

本人も気づかず、アシムレイトを発動している穂乃果にかかる負担は相当なものだった。

 

それでも、穂乃果は腕を離さなかった。

 

 

穂乃果「…ゴッド!

フィンガぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

ただでさえバカにならない負担の状態でゴッドフィンガーを使えば…

 

穂乃果の腕には激痛が走ることが目に見えていた。

 

 

穂乃果「う…っぐ…!!」

 

 

 

 

しかし少しずつ、確かにライザーソードにヒビが走り始めていた。

 

 

ツバサ「さすが穂乃果さん…!

負けられない!!」

 

 

 

 

穂乃果「怖がる癖は捨てちゃえ…

 

とびきりの…笑顔でっ…!」

 

表情を歪めていた穂乃果が、自分に言い聞かせるように歌い、再び笑みを取り戻す。

 

 

穂乃果「飛んで、飛んで、高く…!」

 

 

 

 

ライザーソードに、バシッと大きく1本のヒビが走った。

 

 

 

穂乃果「僕らは今の―――――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、ライザーソードは崩壊し、ダブルオーはトランザムが解けて落下、膝立ちの状態でゴッドの方向を見つめた。

 

 

 

ツバサ「…やっ…たの?」

 

 

 

爆風の引いた後、ゴッドガンダムはまだ立っていた。

 

 

穂乃果「…」バタッ

 

 

 

 

穂乃果が倒れるまでは…。

 

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

 

次回 #13

明日へ

 

に、続く。

 




いかがでしたでしょうか!

大方の予想を裏切る展開となったのではないかと自分では思っております!

そして次回、#13で、このssは一区切りを終えます…!
次回以降もよろしくお願いいたします!


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#13『明日へ』

予想外の結末で幕を閉じた決勝戦。

μ'sが、A-RISEが…
これから歩む道とは…?


1期最終話、お楽しみいただけたら幸いです。


#13 明日へ

 

 

 

 

 

ツバサ「…やっ…たの?」

 

 

 

爆風の引いた後、ゴッドガンダムはまだ立っていた。

 

 

穂乃果「…」バタッ

 

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

誰も、何も言わなかった。

言えなかった。

 

静寂を破ったのは、海未とことりの叫びだった。

 

海未「穂乃果!!」

 

ことり「穂乃果ちゃん!!!」

 

二人が駆け寄ると、穂乃果の腕は傷だらけで、顔は汗だくだった。

 

 

メイジン「μ's諸君!

彼女を医務室へ!

 

結果発表はそれからだ!」

 

 

屋上へ来たメイジンの指示で、穂乃果を抱き上げ、μ'sは医務室へと向かった。

 

 

 

 

 

あんじゅ「ツバサ…

私たち…勝ったのよね?」

 

ツバサ「ええ…勝つには勝ったわ。」

 

恵令奈「…納得、いかないか」

 

ツバサ「行くわけないでしょ…。」

 

 

 

μ'sを倒したとはいえ、最後にはライザーソードを破られ、耐えきられたという事実がツバサに悔いを生んでいた。

 

そして、穂乃果が倒れてしまうという釈然としない勝敗も。

 

 

くっと、下唇を噛みしめ、ツバサは遅れて医務室へ向かった。

 

あんじゅと恵令奈も、ツバサに続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「端的に、高坂くんに起こったことを説明しよう。

 

これはアシムレイトと呼ばれる現象でな。

プラシーボ効果により、自分の肉体とガンプラをリンクさせ、ガンプラの性能を上げる…

つまりは、意識がガンプラとひとつになる現象のことだ。

腕の傷はそれ由来のものだろう」

 

メイジンが穂乃果を見やりながら言う。

 

 

希「アシムレイト…

聞いたことはあったけど、穂乃果ちゃんがなぁ」

 

にこ「確かに、急に押し返したときがあったわね…

ゴッドガンダムのリングの形状も変わってたし」

 

絵里「それほど本気だったのね…」

 

不安そうな顔でメンバーが穂乃果を見つめていると、穂乃果はゆっくりと目を開いた。

 

 

穂乃果「う…ん…」

 

 

海未「穂乃果っ!?」

 

穂乃果「うみ…ちゃん…

みんな…」

 

ことり「穂乃果ちゃん!!

よかったぁ…」

 

 

穂乃果「バトルは…

 

私、途中で意識が…」

 

 

穂乃果がその話題に触れたところで、A-RISEの3人が入室してきた。

 

 

ツバサ「メイジン、どうか決勝のやり直しを…!」

 

 

それがA-RISE側の判断だった。

 

 

真姫「…そんなこと言っても、もう勝敗はついちゃったんじゃ…」

 

凛「穂乃果ちゃんが倒れちゃったっていうのは、病気とかじゃなくて、理由もはっきりしたし…」

 

花陽「私たちとしては嬉しくても、応援してた人たちってどう思うのかな…」

 

口々に、難色を示すμ's。

 

 

メイジン「それはならん。

 

もう、決勝の勝敗はついた…。

 

双方、納得のいかないところはあれど、これもまた運命だったとしか言えん」

 

 

 

 

穂乃果「そっかぁ…やっぱ私…負け…ちゃってっ…」

 

穂乃果が横になったまま、眼からぼろぼろと涙を溢す。

 

穂乃果「ごめんねみんな…

みんなに託された想い、届けられなかった…

 

わ…たし…」

 

 

にこ「バカね。

 

あんたは…あんたはよくやったわよ…!

穂乃果だけじゃない…みんなが頑張ってここまできたんじゃない!

 

手探りで始めたガンプラバトルで、無我夢中で決勝戦まできて、A-RISEを追い込んだ…!

それだけで勲章じゃない!」

 

溢れる涙を拭わずに、にこは言い放った。

 

 

みんなが泣いていた。

悔しかった。

納得いかないところだってあった。

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「…なら」

 

海未「穂乃果…?」

 

穂乃果「ならまず、決勝の勝敗をみんなに知らせなきゃ。

 

きっと、見ててくれた人たちは待ってるよ。」

 

ことり「で、でも体は…?」

 

 

穂乃果「私はもう大丈夫だよ…

頭も痛くないし、腕だってほら!」

 

穂乃果が腕を見せると、幾分傷は減ったように見えた。

 

穂乃果「そして、A-RISEの皆さん…

お願いがあります。」

 

ツバサ「なにかしら…?」

 

不意に話を振られたツバサが戸惑いながら返事する。

 

 

穂乃果「いつか、また再戦を…。

 

その時は負けません!」

 

ツバサ「…もちろんよ。」

 

 

穂乃果「よし!じゃあみんな屋上にもどって結果発表を聞こう!」

 

穂乃果は跳ね起きると、さっきまで寝ていたのが嘘のように駆け出して屋上へ向かった。

 

μ'sのメンバーも躊躇いながらそれを追う。

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「再戦の時…か。

 

そうは遠くないかもしれないな、君たちなら」

 

ツバサ「え?」

 

 

メイジンの呟きに耳を傾けたツバサが、軽く聞き返す。

 

 

メイジン「すぐにわかるさ…

 

 

 

さあ諸君、結果発表だ!」

 

A-RISEとメイジンも、次いで屋上へ向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「諸君!大変長らくお待たせした!!

 

 

ただいまより!決勝の結果発表を行うっ!!!」

 

登場したメイジンに、静まっていた観客が沸く。

 

 

メイジン「地区大会決勝勝者、すなわち優勝は…!!

 

 

 

 

UTX学院・A-RISEだ!!!」

 

 

 

 

 

ウワァァァァァァァァーーーーーーーーーッッ!!!!!!!!!

 

 

今までになかったレベルで観客が沸き立つのが、屋上まで聞こえてきた。

 

 

μ'sはなんとも言えない気持ちで、屋上にいた。

 

ただ舞台に立つ、A-RISEを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

ツバサ「皆さん…!

 

形式上…私たちの勝利となってしまったこの試合ですが…

どちらが勝っても、どちらが全国に行っても、おかしくない試合だったと私は思います!

 

どうか、μ'sにも…

 

私たちのライバルにも、熱い拍手を!!!」

 

 

ツバサが言うと、会場が今度はμ'sコールと拍手に包まれた。

 

 

μ's!

μ's!

μ's!

μ's!…

 

 

 

 

 

 

にこ「全国…

高い壁だったわね。」

 

 

涙を流さず、にこは闘志に満ちた目で空を見上げた。

 

 

絵里「ええ…

でも、あと一歩だったんじゃないかしら。」

 

 

ふっと穏やかに笑顔をこぼし、絵里は目を閉じてμ'sコールに耳を向ける。

 

 

希「ウチらμ's、9人。

みんなの力でここまで来れたこと…

それが奇跡なんやなって、今まで何で気づかんかったんやろね。」

 

 

目を少し閉じ、希は絵里とにこの手を握った。

 

 

 

 

 

 

 

凛「みんながμ'sって…

私たちのこと、呼んでくれてるね…」

 

少し寂しそうに、凛は言った。

 

 

真姫「…続ければいいのよ。」

 

当初誰より乗り気じゃなかった真姫は、誰よりその気だった。

 

 

花陽「まだ始まったばかりだもんね…

今の敗けを悲しんで、泣いてる場合じゃない。」

 

 

心の強さをもらった花陽も、続けると心に誓った。

 

 

 

 

 

 

メイジン「ツバサくんの言うとおり、全国出場チームはA-RISEに決まった!」

 

マイクを再び取ったメイジンが言う。

 

 

メイジン「しかしA-RISEは昨年、全国大会に出場している…

 

そして、東京の全国出場枠は3枠!」

 

 

μ's『えぇっ!?』

 

 

 

メイジン「よってμ's!

君たちには東京代表決定戦への出場権が与えられる!!!」

 

 

 

 

μ's『えぇぇぇぇぇぇぇぇええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!?!?!?』

 

 

 

ツバサ「わかるって…このこと…」

 

あんじゅ「今ならわかる…

 

来るわよね、彼女たちなら」

 

恵令奈「もう駆け出しじゃない、そんな言葉じゃ表せない可能性の塊…。」

 

 

ツバサ「ええ…

次こそは、私たちの完全なガンプラで戦いましょう!」

 

 

A-RISEの顔に、笑顔が戻る。

 

 

海未「穂乃果!」

 

ことり「やったね!!!」

 

 

穂乃果「うん…うん!

まだみんなで…この9人で戦えるんだ!」

 

 

 

 

μ's!

μ's!

μ's!

μ's!…

 

 

 

 

 

 

止まらないμ'sコールに、穂乃果は堪えきれなくなり、満面の笑みでツバサに駆け寄った。

 

 

 

 

穂乃果「あの…A-RISEの皆さん!

 

 

 

 

ステージ…貸していただけませんか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凛「急すぎるにゃあ!」

 

絵里「まあ…穂乃果らしいわね」

 

ことり「私もそう思うな!」

 

にこ「やるからにはこっちだって本気よ!いい!?」

 

真姫「分かってるわよ!」

 

海未「もちろんです!」

 

花陽「緊張するね…!!」

 

希「よーし!穂乃果ちゃん!

 

いつもの行こ!」

 

 

 

穂乃果「うん!

いくよみんな…!

 

 

ガンプライブ!

全力で飛ばしていこうっっ!!!!!!」

 

 

チョキの指を円陣の中心に全員で重ね、そして…

 

 

 

 

穂乃果「1!」

 

海未「2!」

 

ことり「3!」

 

真姫「4!」

 

凛「5!」

 

花陽「6!」

 

にこ「7!」

 

希「8!」

 

絵里「9!」

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「ミューーーズ!!」

 

9人「ミュージック…

スタートっ!!!!!!!」

 

 

 

μ'sの、明日への希望に満ちた歌声が、会場と観客を包んだ。

 

 

 

『私は…やりたい。

こんなに楽しいことなんてなかなかない。

みんながいて、自分のガンプラがあって、いくらでも膨らむアイデアと技術…

ほんとに、こんな楽しめることはないよ』

 

『でも…海未ちゃんたちが言うこともその通りだって思う。

どっちかなんて絞りたくないし、絞れない。

かといって、両方やってクオリティが下がるのも嫌だよ。

 

 

 

 

…だから、強制はしない。

μ'sの練習もこれまでどおりやるし、やりたい。

 

でも、自分の時間…

それか暇な時間の合うときに、ガンプラをやるのは悪いことじゃないって思う。

 

 

私はこれからもガンプラバトルをしたい。

だから…やる!』

 

 

 

あのときから…

 

μ'sみんなが、そう思っていた。

 

 

 

 

 

ステージを終え、晴れ晴れとした表情になったμ's。

そして穂乃果が言う。

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「いこう!みんな!

 

更なる先、この大会を越えて…

 

全国へ…!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1期 完結

 




いかがでしたでしょうか?

ラブライブ!のアニメ1期を彷彿とさせるベタな展開だったとは思いますが、自分では一区切りをつけられたと感じているので満足です。
また、読んでくれていた皆様のお陰で、1期終了まで辿り着けました。
この場を借りてお礼致します。

さて、終わってしまうようなムードですが…
次回から、このssは新たな展開を迎えます!

μ'sの新たなガンプラ、新たな敵、立ちはだかる全国の壁…

これからもお付き合いいただけると幸いです!

それでは次回、2期1話で!

(2016/6/17 凍結の為歌詞を削除&改訂)


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#13.5 『もう一組の優勝者』

2期への橋渡しとなる回となります。

激闘の末決着となったμ'sとA-RISE、その2組のライバルとなる可能性を秘めた他地区の優勝者…

そんな中から一組の試合を、すこしだけお見せします。

ではどうぞ!


#13.5 もう一組の優勝者

 

 

 

 

 

 

 

「それでは地区大会、決勝に移らせていただきます!

 

両チーム、準備はよろしいでしょうか!」

 

 

 

これはμ'sとA-RISEが激闘を繰り広げた地区大会決勝戦のほんの少しあと。

東京の他地区で行われた決勝戦の戦いである。

 

この決勝で勝ったチームもまた、μ'sと共に全国を目指すライバルとなるのだ。

 

 

 

 

 

「先輩!やってやりましょう!」

 

「そうだね!」

 

「今までの僕たちの力をぶつければ…

勝てます!きっと!」

 

 

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

Please set your Gunpla…

 

 

 

 

BATTLE START

 

 

Field・1

space

 

 

 

 

 

先にフィールドにガンダム、プロトタイプガンダム、G-3ガンダムの3機が進宙すると、前方から敵が迫る。

 

 

1機は赤と白を基調とし、各部に青のクリアパーツを備えたガンダムタイプ。

 

続く2機は変形したウェイブライダー形態で飛行する濃紺の機体と、黄色いカラーが眩しいSDのガンダムタイプ。

 

 

 

 

 

「うぉおおおおぉぉおお!!」

 

赤いガンダムに乗っている少年が叫ぶと、青かったクリアパーツが紅に変化した。

 

 

「食らえぇっ!」

 

先行してきた赤いガンダムがG-3ガンダムを捉え、その機体をしなやかに動かして蹴りを入れると、吹き飛ばされたG-3ガンダムが隕石に激突する。

 

 

「先輩!」

 

「任せて!」

 

 

 

少年の呼び掛けに、SDに乗った少女が応えると、黄色いSDはその見た目からは想像しがたいパワーでビームライフルに装備したブレードを使い見事にガンダムとつばぜりあう。

 

 

 

G-3ガンダムの援護に向かおうとしたプロトタイプガンダムを、突如ミサイルの雨が襲った。

 

「お前の相手はこの僕だぁ!」

 

 

眼鏡の少年が叫び、機体を突撃させると、変形を解き、Zガンダムを思わせるガンダムタイプのシルエットのMSが姿を表す。

 

「そこだっ!!」

 

 

そのまま濃紺の機体がビームライフルを一射すると、プロトタイプガンダムはガードの衝撃で吹き飛ばされる。

 

 

 

ガキィン!

 

 

SDがガンダムを押しきり、プロトタイプガンダムが吹き飛んだ方向に向かって至近距離でライフルを放ち、がガンダムを同方向に吹き飛ばす。

 

 

 

「――ウくん!」

 

「了解です!」

 

 

 

SDの機体が分解、パーツがバラバラになると、その一部が濃紺の機体のライフルにドッキングした。

 

 

 

「撃って!」

 

「いけます!!」

 

 

 

 

ドッキングしたライフルから大火力のビームが発射され、ガンダムとプロトタイプガンダムの2機を焼いた。

 

 

 

「――カイ!!」

 

「行くぜぇ!!!!」

 

 

 

 

今度は赤いガンダムの拳にSDのパーツが合体、巨大な拳となる。

 

 

「食らえ!

ウイニング…ナックルっ!!!!!!」

 

 

打ち付けられたG-3が、成す術もなく迫り来る拳を受けると、バトル終了の合図が流れた。

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

『やったぁ!!!!』

 

3人が口々に叫ぶ。

 

「これで…これで夢の全国への切符が目の前に…!」

 

「まだ…

まだこれからですよ、先輩」

 

「まぁーだつええやつと闘えんのか…!

やってやるぜ!!」

 

 

 

 

「ただ今の決勝戦、勝者は…

 

 

 

聖鳳学園・チーム・トライファイターズです!!!」

 

 

 

 

「セカイくん、ユウくん、本番はここから!

東京代表の切符を懸けて…

勝つわよ!」

 

「はい!先輩!」

 

「足を引っ張るんじゃないぞセカイ!」

 

「それはこっちのセリフだぜ!ユウマ!!」

 

 

 

すると、奥から小太りの中年の男が走ってくる。

 

 

「君たち…特にコウサカくん!

聞いてほしいことがある…」

 

「ラルさん!

どうしたんですか?」

 

 

「君たちと同じ、東京代表決定戦の出場者に…

音乃木坂学園・μ'sの出場が決定した!」

 

 

その発言に、ユウマだけは驚きを隠せずにいた。

 

 

「μ's…!

 

それって…穂乃果さんのいる…!」

 

「ユウくん、どうしたの?」

 

「い、いえ、なんでも…

 

じき、わかることです」

 

「つええやつがいるなら倒すだけだ…

やってやるぜ!」

 

 

 

「そうね…セカイくんの言う通り。

 

 

じゃああれ、やりましょ!」

 

「はい!」

 

「了解です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『チーム・トライファイターズ!

 

ゴー…

ファイッッッ!!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

2期へと続く




2期に期待を持てる展開にしたいと思った結果、結局はここに行き着きました。

A-RISEと、μ'sと、相まみえる時は来るのか?


次回以降、2期の展開をお待ちください!


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μ's編2期 駆け抜ける全国大会の風
2期#1『もう一度ガンプラバトル!?』


時間がかかってしまいました、ついに2期、スタートとなります!

A-RISEとの戦いから一週間、9人の戦いは新たな展開を迎え、激動の全国へと進んでいきます!


ではどうぞ!


 

 

2期 #1

もう一度ガンプラバトル!?

 

 

 

 

 

 

 

 

μ'sとA-RISEの激闘から1週間が経とうとしている頃。

 

 

μ'sはガンプラの整備を終え、翌日に備えた東京代表決定戦に向けて作戦会議をしていた。

 

 

 

 

にこ「さ、明日の代表決定戦だけど…

A-RISEは出場が決まっている以上、取り合われる枠は2つ。

私たちの地区も含めて東京は東西南北4地区に別れてるから、あと3地区からの参戦ね。

 

つまりは、1回勝てば全国行きは決定って訳!」

 

 

にこがいつものように意気揚々と説明すると、メンバーはいよいよといった具合に盛り上がった。

 

穂乃果「私たちはA-RISEと戦えた…

決して代表戦を甘く見てる訳じゃない…けど、これは大きな自信になる!」

 

ことり「そうだね!」

 

海未「はい!その通りです!」

 

ガヤガヤと盛り上がるメンバーたちを制すように、希が口を開いた。

 

希「メンバー、どうしよか?」

 

するとすこし遅れて、花陽が呟く。

 

花陽「私…前から気になってたんだけど…

 

3年生のみんなって3人で戦ってるの見たことないなぁって…」

 

凛「凛も凛も!みーんな強いから、どうなっちゃうか気になるにゃ!!」

 

凛も続く。

 

 

真姫「…で、やるの?やらないの?」

 

相変わらずのトーンで真姫が訪ねると、絵里が不敵に笑った。

 

 

絵里「そういうことならやるしかないわね…!」

 

にこ「いいわ、私たち3年生の経験ってもんをみせてやるわよ!」

 

希「そんじゃ、ウチも久々に本気だすでぇ!」

 

 

3年生も誰も異論はないようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日…。

 

 

 

 

 

 

会場には代表の4チームが出揃っていた。

 

 

 

 

 

メイジン『諸君!よくぞ集まってくれた!

 

これより、既に全国出場が昨年の結果で決まっているA-RISEを除いた東京代表決定戦を開始する!

 

この試合のダメージレベルはAに設定されている!選手諸君は注意を頼む!

 

 

 

では、4チームの代表は前へ!』

 

 

μ's以外の3チームはすぐに代表が出揃ったが、μ'sは何やらもめている。

 

 

穂乃果「こういうときはにこちゃんでしょ!」

 

にこ「たまにはあんたに…!」

 

希「試合に出るのはにこっちなんやし…」

 

絵里「にこが行けばいいじゃないの…」

 

 

にこ「…

 

 

わかった!わかったわよぉ!」

 

 

 

 

にこが意を決して前に出ると、運命のくじ引きが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

この東京代表決定戦は、μ'sの所属する音乃木坂の他に聖鳳学園、翼昇学院、瞬閃高の3校が出場しており、総当たりではなくくじ引きで決まった組み合わせで戦う。

勝利した2組晴れて全国行きとなる、ということである。

 

よって、この組み合わせはとても重要なもの…なのだが。

 

 

 

 

 

メイジン『第1試合!音乃木坂学園・μ's!

対するは、翼昇学院・チームスカイマスター!

 

2組はステージへ!』

 

 

 

μ'sが組み合わせで当たったのは、全国出場経験もある翼昇学院だった。

 

 

 

凛「やっぱりにこちゃんくじ運ないにゃぁ…」

 

真姫「強豪みたいね…」

 

花陽「穂乃果ちゃんの言う通りだったね…」

 

苦い顔をしながら見つめるメンバーを、にこが大声で制した。

 

にこ「うっさいわねぇ!!!!

やってやるわぁ!!!

 

行くわよ!希!絵里!」

 

呆れ気味の二人がはっと我に帰り、前に出ていくにこに続いた。

 

 

ことり「大丈夫…かな?」

 

海未「…やるときはやる、そう信じましょう…」

 

 

 

 

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

にこ「いい!二人とも!

 

…勝つわよ!」

 

絵里「もちろん!」

 

希「当たり前やん♪」

 

 

Please set your GUNPLA…

 

 

 

 

にこ「矢澤にこ!フルアーマーユ【にこ】ーンガンダム!!」

 

希「東條希!ローゼン・ズール!!」

 

絵里「絢瀬絵里!百式!!」

 

3人『出ます!!!』

 

 

 

 

 

 

 

Field・8

Hanging Garden

 

 

 

 

 

にこ「空中庭園…!

全国いくにはおあつらえ向きのステージね!」

 

希「ウチは下がって援護を、そのためのローゼンや!」

 

にこ「絵里!敵を炙り出すわ!

あれを!」

 

絵里「もちろん、既にチャージ開始してるわ!

 

 

二人とも離れて…

 

 

 

 

 

 

 

 

メガバズーカランチャー!食らいなさいっ!!!!!」

 

 

 

希と絵里がそれぞれ自分の持ち機体であるキュベレイとアカツキに乗らないのは、作戦行動を意識しての機体選択故だったからだ、と、μ'sのメンバーはここで気づく。

 

 

 

 

 

絵里の放ったメガバズーカランチャーが空中庭園をひとつ焼き払い、2つを貫くと、その影から敵が1機出現した。

 

 

 

 

 

にこ「希!敵機体を判定!」

 

希「…!

来たっ!

 

…!?」

 

 

絵里「希!?

どうしたの!?」

 

応答のなくなった希に、絵里が焦りぎみに呼び掛ける。

 

 

希「…敵さん、予想外や…

 

本体は…雲のなかに隠れとる!」

 

少し震えたような声で、希が通信を返す。

 

にこ「どういうこと!?

さっき確かに1機見えて…

 

…!!」

 

絵里「あ…れって…」

 

 

 

 

凄まじい轟音を上げながら、雲を切り裂いて晴れ空に飛び出したのは他でもなく、ガンダム試作3号機・デンドロビウムだった。

 

 

ガンダム試作3号機…

 

ガンダムと呼ぶに相応しくないその見た目と巨大な体躯は、最早動く巨大火薬庫と呼んでも過言ではない。

コアユニットであるMS、ステイメンが、アームドユニットのオーキスに''乗り込む''ことで、デンドロビウムが完成する。

右側に装備されたメガ・ビーム砲は、すらりと細く伸びており、巨大なデンドロビウムの中でも抜きん出た長さ、そして強大な威力を誇る。

他にもミサイルの弾幕を一瞬で形成できるような量を一斉発射できるミサイルポッドや、機体下部に装備されたビームサーベル…と、装備には枚挙にいとまが無い。

おまけにその巨体に装備されるバーニアももちろん大きな出力を誇り、スピードですら弱点はない…。

 

そして特筆すべきは、Iフィールドが装備されていることだ。

Iフィールドはビーム装備を完全に無効、バッテリーが切れるまでそれを発動させ続けるビーム防御装備の最高峰のものである。

 

 

 

希「あんな化け物みたいなん…!

このガンプラで…戦えるんやろか…!」

 

にこ「MAの可能性を想定していなかった…!!

やるしかないわ!二人とも!!」

 

絵里「メガバズーカランチャーのチャージを…終了まで耐えてIフィールドを捲るわ!」

 

 

にこ・希「了解!」

 

 

素早い判断で3方向に散った3人は、絵里の方を向かせないようにと各々行動を始める。

 

にこ「こっちよ!!」

 

にこの牽制するような動きに、敵のデンドロビウムが反応すると、ユニコーンが振り向いてフルアーマー装備を展開、バズーカとミサイルの弾幕を形成した

 

Iフィールドはビーム装備を無効化する装備。

実弾であれば有効打でなくとも敵に当てて爆風で視界を奪う程度のことならできる…

 

そう考えたにこの思考は一瞬で裏切られることになる。

 

 

ビッと、ピンク色の閃光が疾ったと思うと、にこの発射したバズーカとミサイルがデンドロビウムに届くことなく爆発する。

 

にこ「なんでっ…!?」

 

希「にこっち危ないっ!」

 

 

希の呼び掛けで機体を翻し、後退しようとしたにこのユニコーンのプロペラントタンクを、先程と同じピンクの閃光が焼いた。

 

にこ「何なの…!

早すぎて見えないっ…!」

 

希「ビームサーベルや!

通常の倍くらいはありそうな長さ…

出力がバカみたいに上がっとる!」

 

一歩下がって見ていた希が、にこに叫ぶように伝える。

 

にこ「…予想を遥かに越えてきてる…

でもまだ…まだまだよ!」

 

 

タンクの爆発が引き始めると、NT-Dが発動し、赤い粒子を振り撒くユニコーンがビームトンファーを両手に振り出し、シールドファンネルを纏わせて突進する。

 

にこ「Iフィールド発生装置は…

そこ!」

 

一瞬の出来事にさすがのデンドロビウムも対応できず、ユニコーンの懐への侵入を許してしまう。

 

にこ「観念しなさい…ここまで潜り込めば!」

 

バチバチと、Iフィールドにビームサーベルがぶつかる音が大きく戦場に響く。

 

しかしその音は長くは続かなかった。

いや、正確には…

途切れたあとに、対象が変わったというべきであろうか。

 

 

デンドロビウムのIフィールドが消え、その巨大な機体が落下し始めたと思うと、不意に現れたコアユニットであるステイメンがユニコーンを蹴り飛ばした。

 

にこ「このスピードに装備…

ステイメンなのにフルバーニアンのバーニアを背負ってる…!?」

 

通常、ステイメンは腰部から伸びるような形のスラスターを装備しているが、それに加えてこのステイメンはガンダム試作1号機・フルバーニアンのバーニアを背中に装備していた。

 

 

不意を突かれ蹴り飛ばされたにこを尻目に、オーキスに舞い戻ったステイメンが、再びデンドロビウムとなって襲い来る。

 

 

希は焦りつつも作戦を思案していた。

 

 

希「えりち!メガバズーカランチャーのチャージは!?」

 

絵里「あと1分…!

それで確実にIフィールドは捲れるはず…!!」

 

希「1分…」

 

 

その1分は、今までのいつよりも長く感じた。

 

迷っている暇なんてない。

記憶を。仲間の装備を総動員してここを乗りきらなきゃ…!

 

 

そして希の頭に浮かんだのは、0083本編に描かれていた、Iフィールドでビームを無効化しても、衝撃は受けるというものだった。

 

 

希「…!

にこっち!マグナムを!」

 

にこ「何言ってるのよ希!

相手はIフィールドを…」

 

希「いいから早く!!」

 

にこ「…わかったわよ!」

 

困惑ぎみにデンドロビウムにマグナムを発射するにこ。

 

するとデンドロビウムの機体は、ビーム無効化の反動で大きく揺れた。

 

希「やっぱりや…

いくらIフィールドと言えど、衝撃までは殺せない!」

 

予想通りの展開に、希はニヤリと笑う。

 

希「にこっち!

ウチらのありったけのビーム装備をデンドロビウムに向けて撃つんや!

足止めに加えてIフィールドの減衰も狙える…!」

 

にこ「…!」

 

にこも思い出したらしく、マグナムとシールドファンネルのガトリングをデンドロビウムに向ける。

 

 

希のローゼン・ズールも、シールドを前面に向けて片腕のインコムを放出、あらゆる角度からデンドロビウムを狙う。

 

 

 

絵里の隠れている浮遊大陸の上に立ち、2機のビーム兵器が一斉に火を吹くと、デンドロビウムは爆風に飲み込まれた。

 

 

 

 

にこ「絵里!あと何秒!?」

 

絵里「20秒を切ったわ!」

 

にこ「いける…!」

 

 

希「にこっち!!あれ!」

 

にこ「何よ…

…っ!?」

 

 

 

爆風が引き始め、再び見えはじめた青空に、オレンジ色のメガ粒子の閃光が疾った。

 

 

 

穂乃果「…」

 

海未「あの3人が…?」

 

ことり「負け…ちゃう…の?」

 

穂乃果「…ううん。

まだ…まだ負けてなんてないよ…!」

 

 

 

デンドロビウムのメガ・ビーム砲が発射され、希たちを捉えた…ように見えた。

 

しかしそれは客席側からの視点にすぎなかった。

 

 

 

希「…!

に…こっち!?」

 

にこ「…」

 

 

 

浮遊大陸上空、大陸がメガ粒子の波に飲まれる直前に、にこはシールドファンネルを三角形に組み合わせ、Iフィールドを展開して防御した。

 

 

そして…

 

にこのユにこーンが、緑色に輝いていた。

 

 

希「にこっち…

サイコフレームの色が…!?」

 

 

ドシュゥ…

 

メガ・ビーム砲の射撃終わると、にこのユにこーンが赤い色を取り戻す。

 

 

絵里「いけるわ!!二人とも離れて!!!」

 

希「にこっち!」

 

にこ「わかってるわ!」

 

 

絵里の百式が大陸の下から姿を現し、メガバズーカランチャーを最大出力で照射する。

 

黄色いビームがデンドロビウムを包み込むように突き進み、そしてそのビームの威力でIフィールドのジェネレータのバッテリーが落ちる。

 

 

そしてジェネレータが爆発し、黒煙を吹き出しながらよろけたデンドロビウムを、にこと希の波状攻撃が襲った。

 

 

瞬間、大爆発が周囲を包んだ。

 

発射されていなかったミサイルに誘爆、そして連鎖していくようにオーキスの機体が爆発四散していく。

 

 

 

にこ「フンッ!

にこたちにかかればこんな…!」

 

 

にこの背後に機影が迫る。

 

にこ「ってえぇっ!?」

 

 

ザシュッ…

 

 

希「油断は禁物…やよ?」

 

にこの背後に迫ったのはステイメンだった。

そして希のローゼン・ズールのクローが、ステイメンを貫いたのだった。

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「東京代表決定戦!初戦の勝者は!!

 

 

音ノ木坂学園・μ'sだああああああ!!!!!」

 

 

ワアアーーーーーーーーーーッ!!!!

 

 

メイジンのアナウンスに、歓声が沸き上がる。

 

 

μ'sの面々も喜びながら駆け寄る。

 

穂乃果「やったぁ!!」

 

海未「一時はどうなることかと…!」

 

ことり「やっぱり3年生ってすごいね!!」

 

凛「思った通りにゃ!!」

 

花陽「さすがです…!」

 

真姫「…やるじゃない!」

 

 

 

にこ「あったりまえでしょぉ!

この宇宙No.1アイドル、矢澤にこにかかればこんなの朝飯前よぉ!」

 

絵里「あれ~?

デンドロビウムが出てきて誰より焦ってたのは…」

 

希「誰やったっけねぇ?ふふ」

 

にこ「うっさいわねぇ!!!終わったことは――――」

 

 

 

にこの声を遮るように、少年の叫びが会場に響いた。

 

 

『次元覇王流!!

 

せぇぇぇぇけん突きぃぃっぃぃぃぃぃ!!!!!!』

 

 

 

 

どうやら隣で行われていた第2試合の決着も、少年の叫びと共についたらしい。

 

 

メイジン「東京代表決定戦、第2試合の勝者は!!

 

聖鳳学園!チーム・トライファイターズだぁ!!!!」

 

 

ワァァアアアアーーーーーーッ!!!!!

 

 

 

 

穂乃果「聖鳳学園…」

 

希「チーム・トライファイターズ…?」

 

にこ「聞いたことな…

 

 

 

 

え…?

聖鳳学園ってあの…イオリ・セイのいた…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったなセカイ!」

 

「セカイくん!」

 

「これで全国ですね!先輩!ユウマも!」

 

 

 

 

 

 

 

μ'sはトライファイターズを見つめていた。

この3人もまた、μ'sのライバル…

そう考えて。

 

 

 

 

 

穂乃果「ユウマ…くん?」

 

 

 

 

 

 

 

次回、2期 #2

2組の東京代表

に、続く!




時間がかかってしまい本当に申し訳ありませんでした!
次回以降、1~2週に1話のペースで進めていきたいと考えております!

そして改めて、完結までどうぞよろしくお願い致します!


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2期#2『2組の東京代表』

2期2話です。
東京の代表として全国出場が決まった穂乃果たち。
果たしてその次に待ち受けるものとは…?


ではどうぞ!


 

 

2期 #2

2組の東京代表

 

 

 

 

テーテーテーテーテッテレー

 

ジャンッ♪

 

穂乃果「なんとμ'sが~♪

東京代表に~♪

 

みんなの力で

なっ

ちゃっ

た!

 

3年生に~誘われて~

大会でたはいい~けれど~

 

これまではぁ~大変でぇ~

敗退になりかけたぁ~あぁ~~~

 

プラモと出会い!

バトルと出会い!

私たちはここまでやってきた!

 

優勝目指し!

明日へ進むよ!

少しずつ未来がまわ~~~~り~~~~だぁすぅ~~~~~うぅ~~~~~~」

 

ジャンッ

 

『ヘェイッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「ユウマ…くん?」

 

 

青い髪の眼鏡をかけた少年をみて、穂乃果が呟く。

 

海未「穂乃果…?

知り合いなのですか?」

 

呟きに気づいた海未が穂乃果に聞き返す。

 

穂乃果「うん、いとこなんだ!」

 

にこ「穂乃果といいあんじゅといい…なんでスクールアイドルのいとこはみんなガンプラに精通してるのよ…

 

記憶が間違ってなければ、彼…

コウサカ・ユウマって、アーティスティックガンプラ選手権の優勝者よね?」

 

にこが驚きを越えて呆れたような表情で言った。

 

希「そうやね…」

 

絵里「全国で強大な敵になるのは確実でしょうね…」

 

 

ここでメイジンが再びマイクを取った。

 

 

メイジン「諸君!!たった今、全国大会に出場する2組が決定した!!

 

音ノ木坂学園・μ's!

聖鳳学園・チームトライファイターズ!

2組の代表は前へ!」

 

 

今度はにこではなく、穂乃果が壇上に登ると、トライファイターズからは赤髪の少年が登壇した。

 

 

メイジン「今から君たち2人には、決意表明…

 

そして、リーダーによる1対1のエキシビションマッチをしていただく!」

 

 

 

ことり「えっ…!?」

 

真姫「聞いてないわよそんなの…!」

 

 

メイジン「心配ご無用!

ダメージレベルはCに設定する!

そして制限時間も15分ではなく5分とする!

 

ではまずμ's、決意表明を!」

 

 

ざわつく会場の注目を一点に集めるステージ、その中心に、穂乃果が進み立つ。

 

花陽「穂乃果ちゃん大丈夫かなあ…」

 

凛「穂乃果ちゃん!頑張るにゃあ!!」

 

 

 

 

 

マイクの前に立った穂乃果は、スタンドからマイクを取り外し、笑顔で話し始めた。

 

穂乃果「皆さん、こんにちは!

音ノ木坂学園・μ'sの、高坂穂乃果です!!

 

私たちのことを、スクールアイドルとして知ってくれている人もいると思います。

 

でも!

ガンプラに…バトルに向き合っているとき、私たちはあくまでビルダーであり、ファイターです!

そしてビルダーとして、ファイターとして、全国での優勝…

その頂まで、9人で登って行きたいと考えています!

 

 

μ'sからは以上です!

ありがとうございました!!」

 

 

ワァァァァァァァァーーーーッ!!!!!

 

 

穂乃果の決意表明が終わると同時に、会場は歓声に包まれた。

 

 

メイジン「続いてトライファイターズ!

前へ!」

 

メイジンのアナウンスで、赤髪の少年が穂乃果からマイクを受けとる。

 

 

「聖鳳学園・チームトライファイターズ!

カミキ・セカイです!

 

目標は強いやつと戦うこと、そして強くなること!

 

ガンプラ学園を…倒して見せます!」

 

 

 

 

赤髪の少年…カミキ・セカイが言い終えた直後、穂乃果のときとは違うざわめきが客席で起こった。

 

 

 

にこ「あの子…

とんでもないこと言ったわよ…!?」

 

海未「ガンプラ学園…って、そんなにすごいものなんですか?」

 

海未が問うと、にこは血相を変えて言う。

 

にこ「強いなんてもんじゃないわ…

この前のA-RISEがかわいく見えるくらいに…」

 

ことり「そんなチームが…まだ全国にはいるんだね…」

 

花陽「ガンプラ学園は優勝最有力といっても過言ではないほどの実力を誇っています…

今年度の代表であるキジマ・ウィルフリッドは、次期メイジンとの呼び声も高いと聞きました…。」

 

真姫「そんな化物に、あのチームは正面から啖呵切ったのね…

 

余程の自信家か、それとも」

 

希「そう言えるだけの根拠があるんやろか…」

 

絵里「始まるわよ…

二人のバトルが。」

 

 

 

 

 

メイジン「双方、準備ができたようだ…」

 

ステージ中央のバトルシステムに2人が歩み寄り、ガンプラをセットする。

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

 

穂乃果「高坂穂乃果!ゴッドガンダム!」

 

セカイ「カミキ・セカイ!トライバーニングガンダム!」

 

 

 

 

メイジン「いくぞ!

ガンプラバトル…レディィィィィィィッ!!!ゴォォオォォオォッッッ!!!!!」

 

 

2人「出ます!!」

 

 

 

 

 

Field・1

ground

 

 

 

 

 

穂乃果「なにもない荒野…

小細工なしってことだね…!」

 

セカイ「おいアンタ!

アンタも拳法使いなのか?」

 

セカイが不意に問うと、穂乃果は驚きつつ答えた。

 

穂乃果「えっ…ううん、私はこのゴッドガンダムが好きなだけだよ!」

 

 

 

セカイ「(あの機体…どこかトライバーニングと似てる…)」

 

穂乃果「…いくよ!」

 

腰のビームサーベルを抜きつつ駆け出したゴッドガンダムを見て、トライバーニングも構える。

 

 

穂乃果「はぁっ!!」

 

飛び上がった穂乃果が、上空からトライバーニングに切りかかると、トライバーニングは右手を引き込んだ。

 

 

セカイ「次元覇王流!せぇぇぇぇぇ拳突きぃぃぃぃ!!!!!」

 

トライバーニングの右手がセカイの掛け声と共に勢いよく突き出され、その拳がゴッドガンダムのビームサーベルとぶつかり合って激しく閃光が疾った。

 

 

互いが反動で軽く撥ね飛ばされると、体勢を立て直した2機が静かに睨みあう。

 

 

穂乃果「…へへっ」

 

セカイ「アンタ…強いな!」

 

穂乃果「そっちだって!」

 

 

ビームサーベルを腰に戻し、ゴッドガンダムもまた、拳を構える。

 

穂乃果「一気に攻めるよ!

ばぁくねつ!!」

 

ゴッドガンダムが右手を顔の前に翳して構えると、その右手がオレンジに染まっていく。

 

 

穂乃果「ゴッド…フィンガぁぁぁぁあぁぁ!!!!!!」

 

 

 

セカイ「次元覇王流!

りゅぅぅぅせぇぇぇぇ螺旋けぇぇぇぇぇん!!!!!」

 

トライバーニングも負けじと再度右手を引き込み、マニュピレーターを回転させながら思いきり突きを繰り出した。

 

 

先程の光とは比にならない大きさの閃光が辺りを包み、衝撃でゴッドガンダムとトライバーニングを中心に大地にヒビが走っていく。

 

 

 

穂乃果「エキシビションだからって…手は抜けない!」

 

セカイ「本気でいく!!」

 

 

ゴッドガンダムの機体が金色に染まっていくのと同時に、トライバーニングの青いクリアパーツがみるみるうちに燃え上がる炎のようなオレンジに変わって行く。

 

 

穂乃果「スーパー…!」

 

セカイ「バーニングッ!!!」

 

メイジン「そこまでっ!!!!」

 

 

 

over the timelimit…

 

BATTLE END

 

 

 

 

メイジンの叫びと共に、制限時間の5分が経過し、強制的にバトルが終了する。

 

2人は額に汗をかいていた。

 

 

 

穂乃果「カミキ・セカイくん…!」

 

セカイ「高坂…穂乃果さん…!」

 

お互いを見たあと、フィールドの横へと2人が歩み寄り、がっちりと握手をした。

 

 

 

ワァァァァーーーーーッ!!!!!!

 

 

その瞬間、観衆からは歓声が沸き上がった。

 

 

『がんばれμ'sー!!』

 

『アツいぜ!カミキ・セカイっ!!!』

 

『楽しみにしてるぞーーーっ!!!!』

 

 

 

 

 

すると、トライファイターズの一人、青い髪の眼鏡をかけた少年が穂乃果に近寄る。

 

 

「…穂乃果、さん?」

 

「ユウマくん…?」

 

名前を呼ばれた瞬間、少年は驚いた顔をし、そして笑った。

 

 

ユウマ「お久しぶりです!

いつぶりでしょうか…!」

 

穂乃果「やっぱりユウマくんだ!

私が小学生だったとき以来だよ!!」

 

 

事前に話を聞いていたμ'sはとにかく、トライファイターズの2人は面食らったような顔をしている。

 

セカイ「知り合いなのか…?ユウマ…。」

 

セカイが半信半疑で問う。

 

ユウマ「ああ、いとこなんだ。

スクールアイドルとして活躍しているって聞いてたけど…まさかこんなところで巡り会えるとは思っていなかった」

 

穂乃果「私もだよ!

 

全国…頑張ろうね!」

 

ユウマ「はい!お互いに!」

 

 

残されたトライファイターズ最後の一人、ホシノ・フミナは、ステージの下でその場を見つめていた。

 

「(いとこ…

でもあのセカイくんと互角、もしかしたらそれ以上の実力があるなんて…

 

スクールアイドルだけど、バカにはできない…!)」

 

 

 

 

 

 

メイジン「ではこれにて、東京代表決定戦を終了する!

 

諸君!次回は全国大会で会おう!!!」

 

 

 

メイジン仕切りを以て、新たな戦いを予感させる東京代表決定戦は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、A-RISEはμ'sの全国出場を見届けていた。

 

 

ツバサ「来たわね…やっぱり。」

 

あんじゅ「私たちもうかうかしてたら…去年みたいになるわよ」

 

英玲奈「ガンプラ学園…

 

 

キジマ・ウィルフリッド。」

 

 

 

 

 

 

 

次回

2期 #3

創造する新しい力

 

に、続く!




いかがでしたでしょうか!

次回、サブタイからもわかるように、μ'sの新しい力が…!?


ではまた!


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2期#3『創造する新しい力』

2期3話、お待たせしました!

ついにμ'sの新しいガンプラが…?

ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

 

穂乃果「東京代表として全国に挑戦することが決まった私たち。

 

そして同じく東京代表となったチーム・トライファイターズとのエキシビジョンマッチを経て、互いに全国への決意を改めて再確認した!

そして…?」

 

 

 

2期 #3

創造する新しい力

 

 

 

 

 

にこ「…足りない」

 

穂乃果「へ?」

 

にこ「足りない…っ」

 

凛「にゃ?」

 

にこ「足りないって言ってんのよぉ!!!!」

 

 

 

代表決定の翌日、9人は部室で今後について話し合っていた。

 

そして不意ににこが、足りないと言い始めたのである。

 

 

希「にこっち、何を急に言い出したん?

腕は確かに足らんかもしれんけど…それはみんなで練習すればええやん?」

 

希が首をかしげながら訊ねると、にこはキッと希を睨んだ。

 

希「に…にこっち…?」

 

にこ「ガンプラよ!!!!

ガンプラの性能!!!!」

 

にこ以外の8人が、あっと思い出したような顔をする。

 

絵里「確かに…

私たち3年生はある程度経験もあるし、自分で作ったチューンしてあるガンプラもある…

でも他のみんなのは、ほぼ素組みのようなものよね…」

 

絵里が眉をひそめる。

 

海未「敵は全国…

この前のA-RISEも強大でしたが、そんなA-RISEも昨年度は入賞すら果たしていないことを考えると、確かに今のままでは…」

 

海未もすこし不安げな表情を浮かべる。

 

 

すると穂乃果が立ち上がった。

 

 

穂乃果「よし、作ろう!ガンプラ!

みんなで!!!」

 

穂乃果がいつものように大きな声で言うと、メンバーに徐々に笑顔が戻る。

 

 

花陽「私、考えたんだ。

後方支援ができて、もしもの時は前衛もできるMS…

作れるかな…?」

 

凛「かよちんならできるにゃ!

凛ももっともーーーっと強いMS探すにゃ!!」

 

嬉しそうに話す2人を見て、メンバー全員が続々とアイデアを話し始めた。

 

 

ことり「真姫ちゃんはなにか思い付いた?」

 

真姫「私は…別に…

ことりはどうなのよ?」

 

ことり「うっふふ~…

ひ・み・つ♪」

 

真姫「その顔は自信ありげね…楽しみにしてるわ!」

 

 

 

 

 

にこ「よかったわ…みんなやる気になってくれて」

 

ほっとしたように表情を緩めるにこ。

 

 

絵里「ねぇ…にこ」

 

希「あれ…使うときとちゃう?」

 

 

にこ「…代表決定戦で見せたような真似はできないわよね、もう」

 

 

3年生がそんな画策をしている頃、2年生は。

 

 

穂乃果「ゴッドガンダムを…改造する…」

 

海未「私のグフカスタムも、このままでは局地での戦闘に対応できません…

地区大会では砂漠での戦闘だったため、多少は対応できましたが」

 

ことり「私は…バスターガンダムから乗り換えようかなって思ってる。

花陽ちゃんも言ってたけど…

バスターガンダムじゃ、もしものときに丸腰の戦いしか出来なくなっちゃうから。」

 

海未「ことり…」

 

穂乃果「…よし!みんなで作ろう!

夜はうちに集合ね!」

 

 

そして、1年生。

 

凛「凛実は、考えてるのがあって…

 

あ、これにゃ!」

 

花陽「えぇっ!?凛ちゃんこれホボフルスクラッチダヨォ!?!?」

 

真姫「やりがいあるじゃない!

 

作りましょ、3人で…」

 

凛「やってやるにゃぁ!!」

 

 

かくして9人の、''ビルダー''としての全国大会もまた、第一歩を踏み出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

そして1週間が過ぎた。

 

9人は、歌と踊りの練習も欠かさなかったが、練習後はそそくさと家に帰ってガンプラにかじりついていた。

 

 

 

「…できた!!」

 

声をあげたのは穂乃果だった。

 

「私もなんとか…形にすることができました」

 

「わたしも~…」

 

すっかり疲れきった様子の海未とことりを横目に、穂乃果は嬉しそうに跳ね回っている。

 

穂乃果「ついに…

ついにできたんだね…!

 

トライゴッドガンダム…!!」

 

 

見た目は、青い部分をオレンジに塗装された以外なんの変哲もないゴッドガンダムなのだが、腰には地区大会決勝でも使用した扇形ビームサーベルを装備している。

また、素組みであったHGゴッドガンダムに、もう1機同じゴッドガンダムのパーツを追加、損傷・磨耗箇所の修復を行っている。

結果的に上達した製作スキルも相まって、改修前とは比べ物にならない性能を誇る…はずである。

''トライ''の意味は、''3''つの学年が''3''人組で''挑戦''していくというトリプルミーニング。

トライバーニングの名前を彷彿とさせるのは、知らず知らずのうちにライバルとしての意識を持っているからかもしれない。

 

 

海未「これが私の新しいグフカスタム…

ブラストグフカスタムです!」

 

名のとおり、背中にブラストインパルスの装備である''ケルベロス''を装備し、脚部はリック・ドムのものに変更することで、ホバー移動による機動性とビーム兵器による火力を両立した機体となったグフカスタム。

アンカーは重くなった重量を活かして、自分が近づくよりも敵を引き込むのに使用するほか、ヒート・サーベルをオミットし、代わりに両肩のアーマーの装備したヒートダガーで近接戦闘もこなせる万能機に仕上がっている。

また、上達した海未の製作技術により、間接部やバックパックにもバーニアが増設されており、姿勢制御やスピードの増加、近接武器の威力増強に活用することができる。

 

ことり「みんなに見せたらびっくりするだろうなぁ…

私のウイングゼロ・フォーゲル♪」

 

ウイングガンダムゼロカスタムを素体とし、ことりが自分のイメージでカラーリングを施したため、改造らしい改造は加えられていないが、仕上がりの美しさは穂乃果、海未に比べ数段上のものになっている。

白を基調としたカラーリングながら、細部には穂乃果と海未を意識した橙、青の塗装も施されている。

また、フォーゲルは''鳥''の意で、全国に羽ばたくμ'sを意識したことりのネーミングにより決定した。

 

 

2年生が疲れはてている頃、1年生もまた、真姫の家で自分のプラモの完成のときを迎えていた。

 

 

真姫「結局凛のに一番時間がかかっちゃったわね…」

 

花陽「まあまあ…

きっといいものに仕上がったはずだよ♪」

 

凛「2人のだってかっこいいにゃ…!」

 

 

花陽「私のDX…

これで私は、自分で決めた戦いができるって思ったんだ。」

 

花陽が前々から考えていた機体は、ガンダムDXであった。

あくまで基本に忠実に、そしてシールを使用しない全塗装を施し、綺麗に仕上げた''ガンプラの見本''と呼んでも過言ではない仕上がりとなっている。

 

また、サテライトシステムのパネルが金色ではなく銀色に、DX本体以外の武装は薄緑に塗装することで、花陽のカラーである緑、そして白米の色である白を彷彿とさせるカラーリングに仕上げている。

 

 

 

真姫「私のは、二人のに比べたら時間かからなかったわね…

当たり前かしら。

 

…パーフェクトストライクルージュ、って呼べばいいのかしらね」

 

 

真姫は穂乃果と同じく、もうひとつ同じキットを購入し、損傷箇所の改修と、基本的な完成度の上昇をするとともに、HG SEEDのパーフェクトストライクガンダムのバックパックを使用することで、高次元でバランスのとれた機体を作り上げた。

また、両肩に装備されるマイダスメッサーやミサイルを取り付けず、ゲイルストライクを参考として改造自作した追加バーニアを代わりに装備し、装備を減らしつつバーニアを増設することで背中のバックパックによる機動性の低下を防いでいる。

 

 

凛「…」zzz

 

誰より疲れ果てた凛はすでに寝てしまっていた。

 

 

インパルスガンダム…

機動戦士ガンダムSEED Destinyに登場した機体で、本編ではフォース、ソード、そして海未のグフカスタムにも使用されているブラストと、3つのシルエットシステムを駆使して、終盤まで活躍したガンダムタイプの機体である。

しかしインパルスには、本編には登場しなかったシルエットがいくつか存在する。

 

そのうちの1つが、凛の作ったインパルスガンダムに装備された《ガイアシルエット》である。

名前の通り、インパルスにガイアガンダムに似た犬のようなMA形態への変形機構を搭載できるシルエットで、バックパックを前脚部、レッグフライヤーを後脚部とする特殊な変形を可能とする。

 

しかし設定とデザインのみ存在する機体のため現在までキット化されたことはなかった。

 

それを今回、凛のガイアを素体とし、大幅な改造を加えることで、ガイアシルエットを凛なりにアレンジした《ニャイアシルエット》を作成、変形後の姿で猫のようなトリッキーな動きができるようになるまで改良を加え完成した。

 

また、シルエットなしでも通常のインパルスとしての装備はもちろん搭載されているため、MS形態での戦闘も可能である。

 

 

 

真姫「寝ちゃったわ…よっぽど疲れてたのね」

 

花陽「誰より頑張ってたもんね、凛ちゃん。

 

真姫ちゃんもお疲れさま…ゆっくりしよう?」

 

真姫「ええ…明日が楽しみね。」

 

机に突っ伏して寝た凛に毛布をかけ、2人もまた眠りについたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

にこ「…これを、使うときが来たのね」

 

希「バトルに出会って、ウチら3人、μ'sとして集まる前に作った初めてのガンプラ…。」

 

絵里「まさかこうして、バトルに使う時が来るなんてね…」

 

 

 

にこ、希、絵里。

この3人が、ガンプラを切っ掛けに出会い、そして作ったガンプラがあった。

 

にこだけは、そのガンプラに拘り、そして使い続けてきた。

 

しかし2人は、ガンプラを作り、バトルすることを楽しんでいたために、その機体だけに拘ることなく色々な機体を使ってきた。

 

 

 

にこ「ユにこーン…」

 

希「バンシィ…」

 

絵里「フェネクス…」

 

3人の手には、それぞれカラーリングの違うユニコーンガンダムが握られていた。

 

 

 

 

にこ「にこのユにこーンは装備も万全。

改修も済んでるわ。

 

だから今回は改造せず、ビームジャベリンだけを追加装備として採用したの」

 

にこのユにこーンの右手に、ユニコーンの大きさと同程度の長さを誇るハイパー・ビーム・ジャベリンが握られていた。

数々のバトルで少々痛みが見られた機体も、綺麗に改修が済んでいる。

 

希「ウチのバンシィは素組みやったから…

綺麗に仕上げ直したあと、アームドアーマーを全部のせしてみたんや。

ウチにしては工夫がない普通の改造やけど…バンシィなら、これが一番輝けると思う。」

 

希のバンシィには、ビームマグナム+リボルビング・ランチャーの他に、両手に装備されたアームド・アーマーVN、BS、そして大型のシールド兼ビームキャノンを備えたアームド・アーマーDE、そして背部にはNT-Dの発動を促すアームド・アーマーXCを装備し、またサイコフレームのパーツは紫色に塗装が施されていた。

 

 

絵里「私のフェネクスも素組みだったから…

私なりにアレンジを加えてみたわ。」

 

通常、フェネクスは、背中からのジョイントにより2つのアームド・アーマーDEを背負うような形で装備している。

 

そのジョイントを改造し、、両腕にDEを移動、代わりにアカツキのシラヌイに装備されていたドラグーンをさながら羽のように半円形に装備することで、Iフィールドとドラグーンのバリアという2つの防御装備に重きを置いた機体を作り上げたのだった。

もちろんドラグーンはオールレンジ攻撃も可能とする上、ユニコーン本来の装備も残しているため、例え単機であっても戦い抜ける性能、といっても過言ではないほどバランスのいい装備となっている。

 

 

にこ「…勝つわよ、これで」

 

希「せやね…ウチらの思い出のガンプラで」

 

絵里「全国へ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「よーーーっし!!!

 

やっるぞぉぉぉぉぉぉぉーー!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

次回

2期 #4

開幕、全国大会!

に、続く!




いかがでしたでしょうか!

急転直下な展開ですが、次回はついに全国へμ'sが踏み出します!

次回以降、さらに盛り上げていくつもりですので、お待ちください!

では!


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2期#4『開幕、全国大会!』

2期#4、お待たせしました!

ついに全国大会の幕が開きます!

ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

希「全国大会に向けて、ガンプラを改修、厳しい戦いを勝ち抜くために各々が思い思いの改造を施し、そしてついにその戦いが幕を開ける!

 

みんな、いくで!」

 

 

 

 

2期 #4

開幕!全国大会!

 

 

 

 

 

 

晴れた空に浮かぶ太陽が、会場を照らし出していた。

 

 

ガンプラの聖地、静岡に建設されたヤジマスタジアム。

全国大会の舞台にはこれ以上にない、おあつらえ向きのステージと言える。

 

 

 

そこに、全国各地から集められた代表チームが着々と集合し、ステージの前に整列していく。

 

そのなかにはもちろん、μ'sにA-RISE、聖鳳学園の姿もある。

 

 

 

そして、ステージの中心を、スポットライトが照らした。

 

 

 

 

 

 

メイジン「諸君!!!!たいっへん長らくお待たせした!!!!

 

今ここに、ガンプラバトル全国大会、高校生以下の部の開会を宣言する!!!!」

 

 

マイクを持ったメイジンが高々と叫ぶと、観客のボルテージは最高潮に達し、歓声が上がった。

 

 

 

穂乃果「いよいよだね…!!」

 

海未「さすがに…緊張しないと言えば嘘になりますね…」

 

ことり「地区大会とは比べ物にならないくらい大きな会場…!」

 

真姫「燃えてくるわね…!」

 

花陽「今日までやることはやってきたもんね!」

 

凛「練習もガンプラも、いーっぱいしたにゃ!」

 

絵里「あとはその成果をここで活かすだけ…」

 

希「そやね…

ウチも最初から本気でいくつもりやん!」

 

 

にこ「…」

 

にこは一人、ただただ全国の舞台に立てたことに感動して泣いていた。

 

 

 

 

 

メイジン「ではまず最初に!

今回の大会のメインパーソナリティを紹介しよう!」

 

メイジンが言うと、舞台袖から、真姫よりいくらか薄い色の、赤髪の女性が出てきた。

その美貌に、女性である穂乃果たちですら黙ってしまう。

 

 

「本大会のパーソナリティを務めさせて頂きます、カミキ・ミライと申します!

よろしくお願いします♪」

 

語尾に合わせて見せた微笑みは、会場中の男性の心を見事に狙い撃ちにした。

 

ミライは続けて口を開く。

 

 

ミライ「さて、今回の大会の組み合わせを発表する前に、スクールアイドルμ's、そしてA-RISEによるスペシャルステージを行います!!」

 

 

 

海未「スペシャル…」

 

ことり「ステージ…!?」

 

穂乃果「よし!みんな準備し」

 

にこ「ちょおおおっと待ちなさいよぉ!!!!!

穂乃果!!!何であんただけ知った風なのよ!!!!!」

 

困惑するμ'sの意見を穂乃果にぶつけたのはにこだった。

 

穂乃果「ここ最近、ガンプラ作らなきゃいけないのに練習を欠かさなかったでしょ?

それはこのため!

 

私は知らされて、知ってたけど…

みんなのプレッシャーになって、プラモやバトルに影響が出るのが嫌で…」

 

 

真姫「穂乃果なりの考えだったのね。」

 

絵里「…そういうことなら仕方ないわ、ガンプラだけじゃなくて、スクールアイドルとして!

 

練習の成果、見せてやりましょ!」

 

花陽「はいっ!」

 

凛「やるにゃあ!」

 

希「ウチも負けないよ♪」

 

 

 

 

 

地区大会のときとはまた違う、μ'sらしい明るいライブの空気が会場一杯に広がった。

 

 

 

 

 

穂乃果「ガンプラバトル全国大会!

μ'sも精一杯、駆け抜けたいと思います!!」

 

 

ワァァァァァァァァーーーーッ!!!!!!

 

 

会場は再び歓声と声援に包まれた。

 

『μ'sがんばれー!!』

 

『応援してるぞーっ!!』

 

 

会場の各所からそんな声が響いてきた。

 

 

穂乃果「よーっしみんな!

この勢いでバトルも頑張ろう!

 

μ's!

ガンプラバトル…

スタートッ!」

 

 

 

 

 

程なくして、ステージに再登場したミライがアナウンスする。

 

 

 

ミライ「μ'sの皆さん、とってもかわいいステージ、ありがとうございました!

 

では続いて、A-RISEの皆さん、よろしくお願いします♪」

 

 

一瞬、μ'sの表情がこわばる。

 

 

花陽「こんなところでA-RISEのステージを見ることになるなんて、思いもしなかった…」

 

凛「かよちん!怖じ気づいちゃだめにゃ!

…凛たちは、μ'sはもう、ライバルだにゃ!!」

 

 

 

 

しばらくして、ステージ上に、着替えを終えて衣装に身を包んだA-RISEが現れた。

 

 

 

A-RISE本気のステージ。

それをこんな形でμ'sが目の当たりにするとは誰も思っていなかった。

 

 

 

ワァァァァァァァァーーーーッ!!!!!!!

 

A-RISEがパフォーマンスを終えると、μ'sと同じかそれ以上の大きさの歓声が会場を包んだ。

 

 

ツバサ「私たちA-RISEは、昨年も全国大会に出場しました!

しかし…結果は満足のいくものではありませんでした。

今回こそは、全国の頂を目指し、戦って行きたいと考えています!

応援、よろしくお願いします!」

 

 

ステージで堂々と観客に呼び掛けたツバサの視線が、一瞬だけ、穂乃果の視線と交わった。

 

 

 

穂乃果はふっと笑い、そして視線を戻す。

 

 

A-RISEが退場すると、再びミライが登場し、同時に大きな機械が運び込まれてきた。

 

 

ミライ「A-RISEの皆さん、ありがとうございました!

 

 

 

それでは、これよりルールの説明と、皆様お待ちかねの組み合わせ抽選に移らせて頂きます!!

 

今回の大会のルールにつきましては、メイジン・カワグチさんから説明していただきます!

メイジン、よろしくお願いします!」

 

ミライがメイジンにマイクを手渡すと、メイジンがステージの中央に進み出た。

 

 

メイジン「諸君!ではこれからルールの説明をさせていただくっ!

 

 

この大会はルールが特殊だ、注意していただきたい!

 

 

まず、昨年度の優勝チームであるガンプラ学園を除いた全48チームで、15チームとなるまで戦って頂く!

 

これは全チームによるバトルロワイヤルではなく、組み合わせ抽選により3~4チームを1組とし、その中で1チームあたり3人を選出、総勢9人または12人で競ってもらうことになる!

 

個々の能力を重視するもよし、連携を重視するもよし…

例え1機であれ、最後まで勝ち残ったチームが、ガンプラ学園を加えた総勢16チームで争われるトーナメントに出場できるというわけだ!」

 

 

真姫「つまりは…最初は大人数でのバトルってことね」

 

にこ「メンバー選定が重要になるわね…」

 

 

ミライ「メイジン、ありがとうございました!

 

それでは早速、組み合わせ抽選を始めたいと思います!

 

ガンプラバトル!レディー…?」

 

『ゴーッ!!!!!』

 

ミライに合わせて観客が叫ぶと、全国代表の名前が次々と表に収まっていく。

 

 

 

絵里「μ'sは…どこかしら?」

 

希「あそこや!」

 

希が指差した先に、確かにμ'sの名前があった。

 

 

海未「どうやら、A-RISEや聖鳳学園とは違う組のようですね。

これも運命…なのでしょうか」

 

ことり「A-RISEと聖鳳学園も一緒じゃないみたいだね…

 

私たちが勝てれば、きっとあの2組と本戦で戦えると思う…!」

 

全チームが組み合わせ発表に注目しているなか、メイジンが口を開いた。

 

メイジン「最後にひとつ警告だ!

 

全国大会は、ガンプラのダメージレベルがAとなる!

つまり、バトル中にガンプラが食らってしまったダメージは、そのまま現実のものとなってしまう!

このことに十分注意した上でバトルに臨んでいただきたい!!

 

私からは以上だ!

諸君の健闘を祈る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

μ'sの予選の出番は最後に近かった。

 

このことで、μ'sはよくも悪くも全国のレベルの高さを体感することとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

セカイ「次元覇王流!

竜巻旋風蹴りぃぃぃぃ!!!!」

 

片足を振りだして機体を回転させ、竜巻を起こしながらトライバーニングが次々と他チームの機体を蹴り飛ばしていく。

 

ユウマ「フミちゃん!」

 

フミナ「わかってる!」

 

セカイの蹴りを避けた機体をユウマが、蹴りで吹き飛ばされた機体をフミナが追い、着実に仕留め、トライファイターズは危なげなく本線への切符を手にした。

 

フミナ「やったわ!」

 

セカイ「この調子で行きましょう!」

 

ユウマ「(穂乃果さんたちは…まだ決まってないのか)」

 

 

 

 

 

にこ「彼ら…

確実に、腕上げてるわね」

 

海未「そのようですね…

特にあの赤いガンダム、技のキレが穂乃果と戦ったときに比べてまるで別物です」

 

真姫「そんな手に取るようにわかるの?」

 

海未「武道を嗜んでいる身として、そのくらいはわかります。

あのチームもまた…練習を重ねたのでしょう」

 

すると花陽が焦って駆け寄ってきた。

 

花陽「A-RISEが出てきました!」

 

絵里「なんですって!?

みんな!」

 

絵里の呼び掛けで、全員が観戦に向かう。

 

 

 

 

 

 

μ'sがA-RISEのバトル会場近くまでたどり着く頃、バトル終了の合図が鳴り響いた。

 

 

ことり「えっ…!?」

 

海未「そんな…」

 

穂乃果「もう…終わったの…!?」

 

 

バトルはものの数秒間であった。

 

モニターに映されたバトルのLIVE映像には、回りの爆発に照らされた、A-RISEの機体が並んでいる。

 

明らかに前とは違う機体だということが、黒一色のシルエットからでも伝わってきた。

 

 

絵里「なにがなんだか見えなかった…

なんだったの…?」

 

にこ「あの粒子量…

作り上げてきたみたいね」

 

希「あとの二人も、前と比べ物にならないくらい、腕も、ガンプラの性能も上がっとるんやろな…。」

 

 

穂乃果「楽しみだね…!

A-RISEに聖鳳学園…それだけじゃない、強いチームばっかりだもん!

私たちだって負けられないよ!」

 

一瞬暗いムードに包まれても、いつものように穂乃果が心の底から笑うと、強ばっていたμ'sの表情も少し緩んだのだった。

 

 

凛「あれ…?

 

そういえば、μ'sの試合って…?」

 

8人「あっ!!!!!!」

 

 

 

ふと我に帰ったμ's全員が、叫ぶと同時に駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未「重要な初陣です…二人とも、ガンプラの調整は万全ですよね?」

 

花陽「もちろん!」

 

絵里「任せて!」

 

 

あまり見ないこの3人の組み合わせになったのには、大人数戦ゆえの作戦という理由があった。

 

 

海未「ステージは宇宙で固定のようです…あとは手筈通りに!」

 

花陽「はいっ!」

 

絵里「了解!」

 

 

 

 

メイジン「それでは本線戦出場決定戦最終試合を開始する!!

 

東京代表、音ノ木坂学園・μ's!

北海道代表、北地学園・チームホワイトクロウ!

千葉代表、チームジオニスター!

3チームはシステムへ!」

 

メイジンがアナウンスすると、3チームが集う。

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

 

海未「園田海未!ブラストグフカスタム!」

 

花陽「小泉花陽!ガンダムDX!」

 

絵里「絢瀬絵里!フェネクス・シラヌイ!」

 

3人「出ます!!」

 

 

 

程なくして、バトルは開始された。

 

 

 

 

 

Field・0

Space

 

 

海未「花陽!絵里!

行きますよ!」

 

2人「了解!」

 

 

海未が合図をすると、花陽は真下へバーニアを吹かして飛び去り、海未と絵里が直進して敵の方向へ向かう。

 

 

しばらくすると、μ's以外の2チームが戦闘を開始した。

 

絵里「狙い通りね…!」

 

海未「絵里!展開を!」

 

絵里「もうしてるわ!」

 

2チームの戦闘空域を、フェネクスのシラヌイのビームシールドが大きく包んだ。

 

海未「威力を抑えれば…

いけるはずです!」

 

そして海未のブラストグフカスタムが、ケルベロスを構え、照射せずにその空域に小刻みに乱射した。

 

 

すると、絵里の絶妙なコントロールにより空けられた隙間からケルベロスが空域に到達、ビームシールドにより反射して、ビームの飛び交う檻が生成される。

 

敵は予想外の出来事に慌てふためき、そのビームの檻のなかで回避に徹し始めた。

 

 

絵里「作戦通りね!」

 

海未「はい!

 

さあ、花陽!」

 

花陽「うん!!

 

 

サテライトシステム、展開!

ツインサテライトキャノン、チャージ開始…!」

 

戦闘空域の遥か遠くに、銀色の輝きが生じた。

 

 

 

花陽「チャージ、完了!

絵里ちゃん!」

 

絵里「了解よ!」

 

絵里がシールドを解除すると、敵は安心したかのように体勢を立て直し始めた。

 

 

花陽「ツインサテライトキャノン!撃ちますっ!!!」

 

花陽の叫びに合わせて、DXの両肩に背負うような形で装備されたツインサテライトキャノンに集約された光が、溢れ出すように射出された。

 

 

戦場を照らすほどのサイズのビームが敵チームを捉え、ビームが途切れる頃には、敵は跡形も残らず撃破されていた。

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

時間にして数分、完全にμ'sの作戦勝ちであった。

 

 

花陽「やった…やれた!」

 

絵里「完璧、ね!」

 

海未「今回は作戦が功を奏しましたね…

 

これで、本戦出場です!」

 

 

バトルの様子を見ていたメンバーが駆け寄ってくる。

 

凛「かよちんのDX、すっごいにゃあ!

凛もあんなの撃ってみたいにゃあ…」

 

真姫「見事な作戦だったわね!

見てて気持ちよかったわ♪」

 

ことり「うんうん!3人は作戦立てるセンスあるよね♪」

 

穂乃果「さすがだよ海未ちゃん!

絵里ちゃんと花陽ちゃんの新しい機体もすごかった!」

 

希「本戦もこの調子でいけばええんやけど…ね。」

 

にこ「気は抜けないわよ…

ここからが本番なんだから!」

 

やっぱりにこの声は震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

そしてライバルたちもまた、μ'sの本戦出場を見届けていた。

 

セカイ「っへへ、ユウマのいとこ、勝ち残ったな!」

 

ユウマ「…ああ…」

 

ユウマは浮かない表情をしていた。

 

セカイ「ん?どうしたんだ?」

 

ユウマ「想像を…越えてきてるんだ。

腕こそガンプラ学園には及ばないが…1週間前とは別次元の実力になってる。」

 

フミナ「私も感じた。

 

あのときセカイくんと渡り合った穂乃果さんもきっと…」

 

セカイ「なら、俺がもっと強くなるだけです!」

 

セカイが遮るように言った。

 

セカイ「俺が1で相手も1なら、相手が修行して10になっても100になっても勝てるようにする…

それも次元覇王流の教えのひとつです!」

 

ユウマ「セカイ…

そうだな、こんなところで怯えてられない!」

 

フミナ「練習しよう!

今の実力が限界なんて、私も思わない!」

 

セカイ「はいっ!」

 

3人は揃って笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

ところかわって、控え室に戻るμ'sだったが、その前にA-RISEが現れた。

 

 

ツバサ「久しぶりね、μ'sの皆さん。

大会決勝以来かしら。」

 

 

にこ「A-RISE…!」

 

真姫「怯んじゃダメ、今はもうライバルなのよ?」

 

 

あんじゅ「西木野さん、貴女の言う通りよ♪

 

地区大会での優勝なんて関係ない…

今、私たちは同じラインに立っている。

いや、立った…と言うべきかしら」

 

飄々としたイメージのあるあんじゅとは正反対の真面目な口調に、μ'sは思わず黙ってしまう。

 

英玲奈「本戦で会おう。

 

君たちといつ戦うか…楽しみにしている」

 

ツバサ「それじゃ…」

 

 

穂乃果「本戦でじゃない、決勝で…」

 

ツバサ「え?」

 

穂乃果の突然の発言に、ツバサは思わず聞き返す。

 

穂乃果「…決勝で、戦いましょう!」

 

 

 

 

それを聞き届けたツバサは、フッと笑って踵を返した。

 

ツバサ「お互い、倒さねばならない敵もいる…

 

それを越えた先に待つ決勝。

ドラマチックね。

 

 

 

それでいて…

これ以上に熱くなれる展開もないでしょうね…!」

 

 

顔を逆に向けたまま、ツバサらしくない口調で言い残したあと、A-RISEは去っていった。

 

 

 

希「''お互いに''…かぁ…

 

きっと、μ'sのその敵っていうのは聖鳳学園のことなんやろな」

 

ことり「A-RISEの敵…

それもきっと、決勝まで進めばわかることだよね。」

 

凛「…燃えてきたにゃ!

にゃあああああーーーーっ!!!!」

 

凛が急に駆け出した。

 

花陽「あ、ま、まってよ凛ちゃぁーん!!!」

 

真姫「ちょ、ちょっと凛!何で引っ張るのよ!!」

 

 

凛「テンション上がるにゃぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

そんなμ'sを見つめる影が2つ。

 

 

 

 

「音ノ木坂学園、μ's…

なかなか面白いチームじゃないか。」

 

「今年はお兄さまの目に留まる出場者が多いのね?」

 

「ああ…そうだな。

カミキ・セカイ、綺羅ツバサ…

 

そして、高坂穂乃果…」

 

 

 

 

 

 

 

次回 2期#5

地を踏みしめる衝動

に、続く!




いかがでしたでしょうか!

次回から、物語は少しずつクライマックスへの道を歩み始めます…

最後までよろしくお願いします!

(2016/6/17 凍結の為歌詞を削除し改訂)


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2期#5『地を踏みしめる衝動』

全国大会本戦、1回戦が幕を開けます!
今回はバトル回となっております!

ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

凛「ついに幕を開けた全国大会!

本戦への出場権を賭けた試合、μ'sは海未ちゃん、絵里ちゃん、かよちんの3人で見事勝利!

 

本戦1回戦…いっくにゃぁー!!!」

 

 

 

 

 

 

2期#5 地を踏みしめる衝動

 

 

 

 

 

組み合わせ発表と本戦出場決定戦が終了し、μ'sは一息ついていた。

 

本戦は翌日からのスタートとなる。

 

 

 

 

花陽「ついに明日からは全国の本戦…

私たちは勝ち残れるんでしょうか…」

 

花陽が少し不安そうにしていると、凛が駆け寄ってきた。

 

凛「かーよちん♪大丈夫にゃ!

凛も真姫ちゃんもついてるにゃ!」

 

花陽「凛ちゃん…

 

そうだよね、みんなでガンプラも作ったし、きっと勝てるよね!」

 

凛「そうにゃーっ!!」

 

 

 

 

 

 

全国に向けたガンプラを、学年毎に作ったのには理由があった。

 

共に作り、改造する…

それによりメンバーの機体特性を知ることができる。

さらにそれを知ることにより、連携や作戦の幅が広くなるのだ。

 

そして、学年毎であれば一番気心の知れた仲。

試合でも100%の力が発揮できるとそれぞれが考えたのだった。

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

選抜された15チームにガンプラ学園を加え、今度は本戦のトーナメント抽選が行われるのであった。

 

 

 

 

 

 

ミライ「ここに立っている16チームの皆様、本戦出場おめでとうございます!

これより、本戦トーナメントの組み合わせ抽選を開始いたします!」

 

 

昨日に引き続き、再びミライがステージに立って組み合わせ抽選が始まった。

 

 

 

 

 

 

にこ「ほら、誰か行きなさいよ!」

 

にこはまた躊躇っている。

 

穂乃果「にこちゃん!」

 

穂乃果はにやっと笑って親指を立てる。

 

他のメンバーも同意見なのか、くすくす笑ったり、頷いたりしながらにこを見つめていた。

 

 

 

にこ「…わぁかったわよぉ!!!!!」

 

 

 

例によってにこが引くことになったのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

真姫「やってくれたわね…」

 

希「さすがにこっちやんなぁ…」

 

凛「逆にすごいにゃ…」

 

ことり「責任重大だね…」

 

絵里「どうだこうだ言っても仕方ないのはわかってるけど…」

 

花陽「一番最初の試合って…」

 

 

にこ「うるさいわねぇ!!!!だぁからにこは譲るって言ったのよ!!!にこのせいじゃないし!!!」

 

 

さっきまでのメンバーの微笑ましい雰囲気は一瞬で逆転したのだった。

 

 

 

穂乃果「まあまあ、悪いことばっかりじゃないみたいよ?

ほら、見て?」

 

 

 

穂乃果はトーナメント表を指差しながら言った。

 

 

 

 

全8試合ある1回戦のうち、μ'sは言うまでもなく第1試合、聖鳳学園は第4試合、ガンプラ学園は第6試合、A-RISEは第8試合であった。

 

 

 

穂乃果「私たちとA-RISE…

勝ち残れば、戦うのは決勝でしょ?

それに準決勝には聖鳳学園もいる…。

これ以上にない、いい組み合わせだって穂乃果は思うな!」

 

穂乃果の先を見据えた意見に、メンバーは少し落ち着きを取り戻したようだった。

 

 

 

海未「穂乃果の言う通りです。

さあ、重要な1回戦ですよ!」

 

 

 

海未の掛け声で、メンバーたちは控え室へと戻ってそれぞれ作業を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

数時間後。

 

1回戦開始10分前のアナウンスが流れた。

 

 

 

1回戦のメンバーは1年生であった。

 

 

 

 

凛「かよちん、真姫ちゃん、頑張ろう!」

 

真姫「ええ、やってやりましょ!」

 

花陽「今回は私が指揮役だけど…

焦ってどうしようもなくなっちゃうかもしれない…

 

そうしたら…」

 

 

凛「かよちん!!」

 

 

自信なさげな花陽を、凛が一喝する。

 

 

凛「みんなで作ったガンプラも、みんなで立てた作戦もある…

 

大丈夫にゃ!!」

 

真姫「花陽、指揮頼むわよ!」

 

花陽「二人とも…

 

 

うん、頑張ろう!」

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「只今より!ガンプラバトル全国大会、高校生以下の部の全国大会本戦を開始する!!!」

 

ワァァァァーーーーッ!!!!

 

 

メイジンの登場で一気に沸いた観衆が、会場の熱気を上げていく。

 

 

 

メイジン「では早速1回戦第1試合!

 

東京代表、音ノ木坂学園・μ's対!

神奈川代表、本牧学園・チームグレートKのバトルを開始する!!

 

 

選手はシステムへ!」

 

 

 

 

 

 

「っくっふふ…

初っぱなで俺に当たるたぁ不運だなぁ、スクールアイドルさんよぉ?」

 

不適な笑みを浮かべて歩いてくるのは、傘下のような男を二人引き連れ、すこし長めのウェーブのかかった髪を携えた男だった。

 

 

「この俺、カリマ・ケイ様の機体にかかりゃ…

お遊びのガンプラなんざぁ粉々にしてやるぜ!」

 

 

 

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

花陽「凛ちゃん、真姫ちゃん、くれぐれも焦らずに…

 

そして、諦めないで!」

 

凛「了解にゃ!」

 

真姫「あったり前でしょぉ!」

 

 

Please set your GUNPLA…

 

 

 

 

花陽「小泉花陽、ガンダムDX!」

 

凛「星空凛、ニャイアインパルスガンダム!」

 

真姫「西木野真姫、パーフェクトストライクルージュ!」

 

3人「出ます!」

 

 

カリマ「チーム・グレートK、出るぜぇ!」

 

 

BATTLE START

 

 

 

 

 

 

Field・10

city

 

 

 

真姫「街ステージね…

可もなく不可もなく、ってところかしら」

 

花陽「…ここは…

 

ホンコン・シティ…?」

 

凛「にゃ?」

 

花陽「ホンコン・シティは機動戦士Zガンダムに登場した街で…

この街では…!」

 

 

花陽が説明を始めた瞬間、地響きが3人を襲った。

 

 

真姫「な、なによ…!?

地震!?」

 

 

花陽「…おあつらえ向きのステージ、だったみたいですね…」

 

 

 

花陽がいち早く地響きの元、振動の伝わってきた方向を見やると、そこには3人の機体の倍ほどの大きさもあるガンダムが立っていた。

 

 

カリマ「こいつが俺の…!

フルバースト・サイコ・ガンダムだぁ!!!」

 

 

 

 

 

フルバースト・サイコ・ガンダム…

本編には登場せず、もしも…という設定でのみ存在する機体ではあるものの、強力な装備を備えたサイコ・ガンダムに、ハロ型のファンネルと大型のビームキャノンを携えたその姿は、その巨大な体躯も相まって、ガンプラに乗り込んでいるのにさらにこちらを上から見下ろす黒き巨人のようにも見える。

 

 

花陽「サイコ・ガンダム…

フルバーストに改造済みでカラーリングまで変更してあるとは…

 

敵は手練れみたい…!」

 

凛「かよちん、相変わらず意味わからないこと言うにゃ…」

 

ガンダムについてほぼ知らない凛は相変わらず頭の上に?マークを浮かべている。

 

 

 

 

カリマ「ぼさっとしてんじゃねぇ!!いけぇ!!!サイコ・ハロ・ファンネルぅ!!!!」

 

 

本来は緑色のカラーリングであるハロ・ファンネルが黒に赤い目の光るサイコ・ハロカラーに塗装されていた。

 

そして大量に射出されたファンネルが、3人を囲むように迫る。

 

 

 

凛「へっへへ~…

 

 

変形にゃぁ!」

 

凛がにやりと笑いながら変形操作を行うと、インパルスの下半身がバックパックと連動し変形、さながら上半身を後部に移動させたケンタウルスのような様相となった。

 

 

凛「ニャイアインパルス奥義!

凛タウルス!!」

 

 

 

 

 

当人は大いに真面目なのだが、インパルスの中途半端な見た目と重なりなんともいえない空気が会場に広がる。

 

 

 

凛「にゃぁぁぁぁーーーーーっ!!!!」

 

凛はそんなこと知るよしもなく、両手にヴァジュラビームサーベルを握り、ハロ・ファンネルを飛び回りながら次々と撃破していく。

 

 

カリマ「…!

思ったよりできるじゃぁねぇか!!

おもしれぇ、避けてみやがれ!」

 

カリマは焦りの欠片すら見せずに笑い、サイコ・ガンダムの両手を前に突きだした。

 

カリマ「バーストォ!!」

 

カリマが叫ぶと、サイコ・ガンダムの指先と胸から腰にかけて装備されているメガ粒子砲が凛を狙った。

 

 

凛「にゃっ!?」

 

気づいた凛が得意の反射神経で華麗に避けて見せる。

 

 

凛「甘いにゃっ!」

 

カリマ「…どっちがぁ!

 

フル・バーストォ!!!!」

 

カリマが再び叫ぶと、先程のメガ粒子砲に加え肩のキャノンが発射された。

 

凛「…!?

当たるっ…!?」

 

 

花陽「凛ちゃん!

下がって!」

 

凛「かよちん!?」

 

花陽「ツインサテライトキャノンっ!

撃ちますっ!!!!」

 

目には目を、とでも言うのだろうか。

先を見越してサテライトキャノンのチャージをしていた花陽がビームキャノンのビームとサテライトキャノンを拮抗させる。

 

花陽「真姫ちゃん!」

 

真姫「了解よ!」

 

ビームを迂回してサイコ・ガンダムの背後に回り込んだ真姫が、シュベルトゲベールを構えて突っ込む。

 

真姫「食らいなさい!」

 

バーニアを吹かして肉薄したルージュを、何かが狙撃した。

 

 

カリマ「サイコ・ハロ・ファンネルの物量を甘く見るなぁ!!」

 

 

狙撃の主は、三角に陣形を組んだサイコ・ハロ・ファンネルだった。

 

真姫「っ…!

予想外だったっ…!」

 

カリマ「残念だったなぁ!!食らいな!!」

 

追加でサイコ・ガンダムのバックパックから放出されたファンネルが、ルージュのバックパックを損傷させた。

 

 

片方のバーニアに被弾しルージュはバランスを失い、半分転げながら地面に落下する。

 

凛「真姫ちゃんっ!?」

 

凛が心配げに呼び掛ける。

 

真姫「バックパックがやられたけど…

機体はまだ大丈夫。

最後にこれだけでもっ…!」

 

黒煙を上げるバックパックに手を伸ばし、アグニを掴んだルージュが、前方に砲口を向けてチャージを開始する。

 

 

真姫「行きなさいっ!!」

 

チャージされたアグニから、サイコ・ガンダムのバックパックに向けてビームが放たれた。

 

 

そして、見事に命中したように見えた…のだが。

 

 

 

花陽「真姫ちゃん、サイコ・ガンダムにビームはっ…」

 

 

 

 

カリマ「ご名答!

こいつにゃぁIフィールドが搭載されてんだよぉ!!」

 

 

無傷のままのサイコ・ガンダムが、煙の引いた戦場に佇んでいた。

 

真姫「う…そ…

 

きゃぁっ!」

 

アグニに負担をかけた影響で、真姫のバックパックが爆発し、ルージュの手元にはシュベルトゲベールだけが残された。

 

 

花陽「出力がっ…!」

 

ビームキャノンと拮抗していた花陽のサテライトキャノンも、徐々に威力が弱まっていく。

 

 

カリマ「ケッ!

やれる奴らかと一瞬思ったが…

所詮はお遊び集団かぁ!」

 

 

凛「…今、なんか言ったかにゃ?」

 

カリマ「スクールアイドルだなんだいってるお前らなんざ敵じゃねぇっつったんだよ!

精々ここまでこれたことを思い出にでもしなぁ!!」

 

凛「…許さない…

 

そうやって凛たちを、μ'sをバカにするなんて…

 

許さないにゃぁ!!!!」

 

凛が感情を露にして、ビームサーベル両手にサイコ・ガンダムに突っ込んでいく。

 

真姫「凛!

何やってるのよ!!」

 

花陽「凛ちゃん!!」

 

 

カリマ「おめぇみたいなのが一番バカなんだよ!

わざわざやられにきてんのかぁ!?」

 

 

カリマは弱まったサテライトキャノンと拮抗していたビームキャノンを一旦止め、射線を凛に向ける。

 

 

 

凛「凛はバカだよ…

 

でも、μ'sのみんなを…

大切な仲間を、バカにするなんて許せない!

 

にゃぁぁあぁああああっ!!!!!!」

 

 

 

四肢で地面を蹴り、大地に踏み込んだ衝動を亀裂として残したインパルスが、正面に向けられたビームキャノンに向けてビームサーベルを逆手で突き刺した。

 

 

凛「これが凛の…μ'sの想いにゃ!!」

 

 

カリマ「チッ…!

スピードだけはありやがる…!」

 

長時間の使用でビームキャノンのチャージが遅れていたのも幸いし、フルバースト・サイコ・ガンダムの肩のキャノンが爆発する。

 

 

凛「真姫ちゃん!

動けるにゃ!?」

 

真姫「いけるわ!」

 

凛「それを!」

 

真姫「…!

わかったわ!」

 

 

ビームキャノンを突き刺し、そのままサイコ・ガンダムの肩を踏み越えた凛のガイアインパルスが、真姫のルージュに迫っていた。

 

真姫「…託したわよ、リーダー」

 

凛「…!

 

 

…わかったにゃ!」

 

 

ルージュからシュベルトゲベールを受け取り、片方にビームサーベルを連結させたガイアインパルスは、今度はサイコ・ガンダムの股下を潜りながら両膝を損傷させた。

 

 

カリマ「捉えきれねぇっ…!?

さっきとはまるでちげぇぞ!?」

 

 

 

凛「これでっ!!」

 

 

シュベルトゲベールを突きだし、凛が突っ込もうとした瞬間のことだった。

 

 

 

 

カリマ「フッ…!

 

それ以上動いてみろ!

こいつらが消えることになるぜ!!」

 

凛「にゃっ…!?」

 

 

 

サテライトキャノンで粒子を使い尽くし、膝立ちになっている凛のDXと、背部の損傷でまともな武装の残っていない真姫のルージュを、サイコ・ハロ・ファンネルが囲んでいた。

 

 

 

カリマ「お仲間が惜しいなら変形を解きなぁ!」

 

凛「卑怯にゃ…!!」

 

凛は渋々変形を解き、インパルスの姿に戻る。

 

花陽「凛ちゃん!私はいいから!」

 

真姫「凛!勝てるのよ!今なら!」

 

 

凛「それじゃダメにゃ!!!」

 

 

凛が力強く叫んだ。

 

 

凛「かよちんも、真姫ちゃんも…

一緒に勝たなきゃっ…!」

 

 

カリマ「おーおー、美しい友情だなぁ!

 

…消えちまえ!!」

 

 

 

サイコ・ハロ・ファンネルと、サイコ・ガンダム本体のメガ粒子砲が一斉に発射された。

 

 

 

 

花陽「凛ちゃん…!

真姫ちゃ―――」

 

凛「!

 

かよち―――――――」

 

真姫「花陽――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

戦場を、爆発と黒煙が包み込んだ。

 

 

エネルギーをほぼ使いきり、膝から崩れたサイコ・ガンダムの目は、まだ光っていた。

 

 

 

 

カリマ「ハッハッハッハッハッハ!!!!!!

バカな連中だったぜ!

お陰で助かったがなぁ!!!」

 

 

真姫「…誰が!」

 

花陽「バカ…なんて…!」

 

 

 

カリマ「何っ!?」

 

 

真姫のルージュが両手にアーマーシュナイダーを持ち、ハロ・ファンネルを

串刺しにしていた。

 

花陽にDXは、倒れてはいるもののバックパックそのもの

を失っている。

 

 

 

凛「…っへっへーん、凛も撃てるもんね!」

 

カリマ「…なん…だって…!?」

 

 

 

片腕とガイアシルエットを失った凛のインパルスが、花陽のツインサテライトキャノンを背中に装備し、チャージを開始していた。

 

 

凛「かよちんの咄嗟の通信と作戦のお陰で…

凛たちの勝ちにゃ!!」

 

カリマ「くっ…!!!」

 

 

花陽「凛ちゃん!!!」

 

真姫「決めなさいよ!!」

 

 

凛「チャージ完了!

 

 

かよちん、真姫ちゃん!

いくよ…

 

 

ツインサテライトキャノンっ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

凛のインパルスの発射したサテライトキャノンは橙色に輝き、サイコ・ガンダムの膝から上を焼き払ったのだった。

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

次回 2期#6

3本の角、9人の戦い

に、続く!




いかがでしたでしょうか!

大会が進むにつれて、物語は少しずつ終わりへと向かっていきます。
次回もよろしくお願いします!


では!


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2期#6『3本の角、9人の戦い』

今回はバトル少なめですが、色々な部分で話が動く回となっております!

また、以前登場したあのキャラも…?

お楽しみいただければ幸いです!
ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

真姫「本戦1回戦、私たちの相手はフルバースト・サイコ・ガンダムを操るカリマ・ケイ!

相手に敬意を払わないカリマの態度に凛が怒り、善戦するも姑息な手で追い詰められた私たちを救ったのは花陽の作戦だった!」

 

 

 

 

 

 

2期#6 3本の角、9人の戦い

 

 

 

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

メイジン「ガンプラバトル全国大会、1回戦第1試合の勝者は…!

 

 

音ノ木坂学園・μ'sだ!!!!」

 

 

ワァァァァァーーーーーーーッ!!!!!!!

 

 

勝者の発表と共に、観客席から大きな拍手と歓声が3人に向けられた。

 

 

 

 

カリマ「ま、負けたっ…

この俺が…カリマ・ケイ様がッ…!!!」

 

 

凛「相手を見下したりするからいけないんだにゃ!」

 

 

カリマ「!?」

 

 

拳をシステムに叩きつけたカリマに、凛が声をかけた。

 

 

凛「折角手強くて、いい勝負ができそうだって思ってても…

見下したりバカにされたりしたら、楽しめなくなっちゃうにゃ…」

 

 

真姫と花陽が凛の横に駆け寄って宥める。

 

 

カリマ「…悪かったよ。

見た目で判断した俺の間違いだ…。

 

こいつで満足か?」

 

 

カリマ自身は精一杯憎たらしい口調で言ったつもりなのだろうが、震える声からは悔しさが滲み出ていた。

 

 

凛「…うん。

 

じゃあ、はい!」

 

 

凛はカリマに歩み寄って右手を差し出した。

 

 

カリマ「手…?」

 

凛「勝負のあとの握手、だにゃ!」

 

カリマ「…握…手…」

 

戸惑いながら差し出されたカリマの手を、凛が握った。

 

 

凛「…また、バトルするにゃ!」

 

カリマ「…俺は強いやつとしか戦いたくねぇんだ…

 

 

勝ち進めよ!」

 

凛「もちろんにゃぁ!」

 

 

お互いに固く握った握手をしばらくして解き、2チームが退場を始めると、会場は再び歓声に包まれたのだった。

 

 

 

 

 

 

カリマ「(星空凛…

あの娘、スクールアイドルなだけあって可愛かったなあ…

 

μ's…悪くねぇかもしれねぇ)」

 

退場後ににやつくカリマをみたものは誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

にこ「やったわね!」

 

すっかり監督のような立場についてしまったにこも、さすがに表情を和らげて喜んでいる。

 

絵里「さて…次は私たちの番かしら!」

 

海未「にこ、絵里、気張るのはいいことですが…

 

聖鳳学園にガンプラ学園、なによりA-RISEの敵情視察も忘れてはなりません。

 

3組とも未知数の力量です、軽くみてかかれば潰されてしまうでしょう」

 

沸き立つメンバーたちに今するべきことを伝えたのは海未だった。

 

 

希「海未ちゃんのゆーとおりやん。

えりち、にこっち、ガンプラの調整は終わっとるんやし、焦らずにまずは他の試合を見るべきだと思わん?」

 

 

重ねるような希の言葉で、メンバーは落ち着きを取り戻したのだった。

 

 

穂乃果「海未ちゃんと希ちゃんの言う通りだよ!

 

聖鳳学園の試合、もう少しで始まるみたいだし、見に行かなきゃ!」

 

 

穂乃果はまた誰よりも早く駆け出した。

 

 

ことり「穂乃果ちゃぁん!待ってよぉ!!」

 

海未「穂乃果!!」

 

真姫「ちょ、ま、待ちなさいよ!」

 

にこ「急がないとアナウンス始まったわよ!」

 

凛「凛もいっくにゃー!」

 

花陽「みんな早いよぉ!!」

 

 

 

 

 

 

7人が会場に走っていくなか、希は少し立ち止まって俯き、ゆっくり歩き始めた。

 

少し進んだところで気づいた絵里が振り返り、希に近寄る。

 

 

 

 

絵里「希?

試合、始まるわよ?」

 

希「わかっとる。

わかっとるよ。

 

えりち、先いってて」

 

不器用な作り笑いを浮かべた希の表情を、絵里は見逃さなかった。

 

 

絵里「希…どうしたの?

 

貴女らしくないわ…」

 

すると、俯いたまま希が口を開いた。

 

 

希「…ウチら9人、今日ここまで…

 

スクールアイドルとして、ビルダーとして、ファイターとして…

 

笑って泣いて、勝って負けて進んできた。

 

舞台は全国。

ウチも夢にまでみた全国…。

 

 

でも、次の試合で、ウチの手に責任がかかるって思うとな…

自信も、気力も…

出てこないんよ…。」

 

 

絵里「希…」

 

 

希「地区大会の試合、覚えとる?

 

キンケドゥさんたち、バンガード学園との戦い。

 

 

凛ちゃんはまぐれとはいってもちゃんと敵を倒しとったし、穂乃果ちゃんは腕で差のある相手に気迫でかじりついて勝ちをもぎ取ってた。

 

でもウチは…

指令役っていう役割をまるでこなせてなかったし、敵もなんとか同時に撃破しただけやった。」

 

希は今度は斜め上を見上げるように言った。

 

希「花陽ちゃんも地区大会のときは自身なさげだったけど、答えに行き着いたら変わったやん。

 

 

でもウチは、どうしたらいいかなんて見当もつかへん。

何をどうしたら、前みたいな戦いに、気持ちに戻れるのかわからへん…」

 

目に涙を浮かべ、今にもこぼれそうになった希に、絵里が言った。

 

 

 

 

絵里「なら、一人になって考えてみたらどうかしら。

 

会場の外、海辺は心地いいわよ。

 

 

任せて、敵情視察はしておくから。」

 

 

希「えりち…

 

でも…」

 

 

絵里「勝てるの?」

 

希「え…?」

 

強めの口調になった絵里に、希は少したじろいだ。

 

 

絵里「今のままじゃ…私たち3人で積み重ねたことも、μ's9人で積み重ねたことも…

全部、希のせいで崩しちゃうことになるわよ。

 

もう一度聞くわ。

勝てるの?」

 

 

 

 

希「今のウチじゃ…

みんなに迷惑かけるだけ…やんね…」

 

 

 

ついにこらえきれなくなった希は涙をこぼし、会場の外へ駆け出してしまったのだった。

 

 

 

 

 

絵里「…はい、お願いします。」

 

直後、絵里は誰かと連絡を取った後に、7人が先に向かった会場へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

希「ウチが…

ウチが、今どうするべきで、どうしたいのか…」

 

 

 

海辺のベンチに腰を下ろし、少し落ち着いた希は、海を眺めながら答えを模索していた。

 

 

 

希「勝ちたい。

勝って、A-RISEと戦って…」

 

 

 

希が言いかけたとき、希の視界の端に、見覚えのある金髪が見えた。

 

 

 

希「え…りち?

 

なんでこんなところに…」

 

 

希が気づくと、絵里は一瞥もくれずに会場へと走っていく。

 

 

希「ウチを一人にするって言って…

結局、嘘やったんやね」

 

 

少し腹を立てた希は、絵里を怒ろうと立ち上がって追いかけ始めた。

 

 

感づいた絵里の後ろ姿は、速度を早めたらしく、少しずつ小さくなっていく。

 

 

希「…からかっとるん…?」

 

 

追いかけた先にあったのは、フリーバトルコーナーだった。

 

 

 

絵里はそこで立ち止まっていた。

 

 

希「えりち!

ウチを一人にして答えを出せって…

敵情視察に行ったんやないの?」

 

絵里「…」

 

 

後ろを向いたまま振り向かない絵里の肩に手をおき、無理矢理顔をこっちに向ける。

 

しかしそこで希は予想外の出来事に驚かされることとなる。

 

 

 

 

 

「フン、その調子じゃ答えは見つかってないようだな…

東條希よ」

 

希「…え…!?

なんで…なんで、ここにおるん…?」

 

 

 

束ねた金髪に手をやり、結んでいたゴムをほどくと、そこには絵里ではない、しかし見覚えのある人物が立っていた。

 

 

 

希「ザビーネ…さん…」

 

ザビーネ「絢瀬絵里の依頼でな。

 

不本意だがこのような形で手伝わせていただいた」

 

少しだけ恥ずかしそうにするザビーネをみて、希は少し笑いそうになるのを堪えた。

 

 

 

希「でもなんでわざわざ…」

 

 

ザビーネ「なに、お前のことを一番知っているのは絢瀬絵里なのだろう。

そして彼女の意見を聞いて…私が賛成したまでだ」

 

希「えりちの…意見…」

 

ザビーネ「つまりはこういうことだ。」

 

 

 

システムが起動し、あの時の試合と同じジャングルがフィールドとして展開される。

 

ザビーネ「ガンプラは持っているな…?」

 

希「…」

 

希はバンシィ・ノルンを取り出す。

 

ザビーネ「安心しろ、ダメージ度はCに設定する。

 

あとは問答無用…行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

有無を言わさず始まったバトルに希は戸惑いつつ、戦いは始まった。

 

 

 

 

 

 

希「本当に、あのときと同じ…」

 

 

 

 

見渡す限り全ての景色が、希のあの試合の記憶と一致する。

 

違うのは呆然と立ち尽くす希の機体だけであった。

 

 

 

 

 

ザビーネ「…ランダム・シュート!」

 

希「!?」

 

 

上空に舞った影から、ビームの雨が降り注ぐ。

 

アームド・アーマーDEをかざし、Iフィールドを展開して耐えきった希の視界に飛び込んできたのは、赤く双眸を輝かせた紫色のフルクロスだった。

 

 

希「フル…クロス…っ!」

 

ザビーネ「そうだ!

これが私のX2フルクロス!」

 

セーフティが解除されたムラマサ・ブラスターを振りかぶったX2が目前に迫り、避けきれないと察した希は両手のビーム・トンファーを展開し、2本のトンファーでムラマサ・ブラスターの斬撃を受け止める。

 

ザビーネ「腕は衰えていないようだな…

 

しかし!」

 

一層力が加えられたムラマサ・ブラスターが、希のバンシィの体勢を徐々に崩していく。

 

 

希「…こんなときにバトルしたって、あの時みたいに楽しくなんか…

 

 

はっ…?」

 

 

 

 

あの時みたいに、''楽しく''…

 

 

希はそう思った自分に驚いた。

 

しかしあのときは確かに楽しかった。

まだ未熟で、今ほどμ'sは纏まっていなかったかもしれない。

 

それでも、がむしゃらに、自分の思うように。

戦ってきた戦いが、いくつもあった。

 

その戦いは全て、楽しんでいられたはずだ。

 

そして希は気づいた。

 

 

一番大事にしていた楽しむ心が、いつの間にか責任に押し潰されて、消えてしまっていたことに。

 

 

みんなでなにより大切にしてきたはずのものが、自分一人のプレッシャーに負けかけていたことに。

 

 

 

希「知らぬ間に…忘れてた…

 

勝つことにばっかり責任を感じて…

 

楽しんで…戦うことを!」

 

 

にっと希が笑うと、押しきられそうになっていたバンシィの機体から、紫色の光がこぼれ出すように放出され始めた。

 

 

希「そうやんね…

これが一番、大事やもんね…!

 

えりち、答え見つかったで!

ありがとう!」

 

 

ザビーネ「…フッ、ようやくか…」

 

 

 

バンシィがついにフルクロスを押し返したかと思うと、フルクロスは押し返された勢いそのままに宙返りをしてピーコックスマッシャーをバンシィに向けて発射した。

 

しかしそれはバンシィに当たることなく、球にぶつかったかのように進路を逸らした。

 

 

 

同時に、バンシィの脚のサイコフレームが露出し、そして少しずつ上に向かって機体全体が展開していく。

 

 

希「これでもう…迷わずに、戦える!」

 

 

一本角だったバンシィのアンテナが中心から2つに割れると、希のバンシィがついに真の姿を現した。

 

 

ザビーネ「…もう迷うことはあるまい…

行くぞ!」

 

希「負けへんでぇ!

バンシィっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里「上手く、行ってるかしら…」

 

どこか上の空で、他の出場者の試合に集中できない絵里。

 

にこ「希、どうしたのよ」

 

絵里「…え?」

 

そんな絵里ににこが囁くように言った。

 

にこ「来てないじゃない…

何かあったの?」

 

絵里「…ええ、ちょっとね。

大丈夫、絶対帰ってくるわ」

 

にこ「…絵里がそう言うなら、そう信じるしかないわね」

 

 

にこが会場に向き直ると、試合はついにA-RISEの出場する第8試合にまで進んでいた。

 

 

 

メイジン「では次の試合に移ろう!

 

1回戦最終試合!

東京代表、UTX学園・A-RISE対!

鹿児島代表、我梅学院・チームホワイトウルフの試合を開始する!

 

両チーム、選手はシステムへ!」

 

 

不敵に笑う我梅学院の面々と対照的に、A-RISEの面持ちは気迫のこもった真面目な表情だった。

 

 

 

 

にこ「ついに出てきたわね…A-RISE」

 

花陽「我梅学院は4年連続で全国に出場している強豪…

言い方は良くないですが、A-RISEの実力を測るにはうってつけのチームと言えるでしょう」

 

相変わらずマニア2人がぶつくさ言っているのを半分呆れつつも横目で見るメンバー。

 

 

真姫「私たちだって強くなったもの…

比較にならないレベルで腕を上げていない限りは、対策のしようもあるんじゃないかしら」

 

海未「物事をポジティブに捉えるのは大切ですからね。

例え相手が圧倒的でも、考えることをやめてしまっては可能性すらなくなってしまいます」

 

 

真面目な2人が、地区大会の時とは違う眼差しでA-RISEの試合に注目する。

 

 

かくして、今後を大きく左右する1回戦の最終試合が幕を開けたのであった。

 

 

 

 

 

ツバサ「いい?2人とも。

重要な1回戦よ、気を抜いてかかってはダメ」

 

あんじゅ「もちろんよ♪」

 

英玲奈「理解している」

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

Please set your GUNPLA…

 

 

 

 

 

ツバサ「綺羅ツバサ、ダブルオーA-RISER!」

 

あんじゅ「優木あんじゅ、ストライクフリーダムヴィヴィッド!」

 

英玲奈「統道英玲奈、ガンダムエピオンヴァイオレット…」

 

3人「出ます!」

 

 

 

 

 

 

一方で、鹿児島代表、チームホワイトウルフは。

 

 

マツナガ「コシバ、ウズキ!

敵は全国出場経験もあるチームだ…

本気でかかるぞ!」

 

コシバ・ウズキ「了解!」

 

 

 

マツナガ「マツナガ・ケンショウ!

ザク・マーナガルム!」

 

コシバ「コシバ・ミノル!

ザク・アルヴァルディ!」

 

ウズキ「ウズキ・ヨシキ!

ザク・クラーケン!」

 

 

マツナガ「チームホワイトウルフ、目標を噛み砕く!」

 

 

 

 

 

 

BATTLE START

 

 

Field・6

Space colony

 

 

 

 

 

 

ツバサ「コロニー内部…

宇宙フィールドにも出られるわね」

 

あんじゅ「敵さんはどう来るかしら?」

 

英玲奈「私が変形して先行する、2人は周辺を警戒しつつ後から着いてきてくれ」

 

ツバサ「…了解よ。

そのままコロニーを突っ切って宇宙に出るわ!」

 

 

英玲奈のエピオンヴァイオレットが変形し、コロニー内を超速で飛行する。

 

程なくして、エピオンの目の前に赤いファンネルが飛来し、エピオンに攻撃を開始した。

 

 

ウズキ「いけぇ!ファンネル!!」

 

 

ウズキの声に合わせてファンネルが一斉にエピオンに向けてビームを発射する。

 

英玲奈「…!」

 

気づいた英玲奈が一瞬で変形を解いたが、周囲に爆煙が生じ、エピオンの被弾を示した。

 

 

ウズキ「へっ!口ほどにもね…

 

え…?」

 

 

 

爆煙が引いたあと、ウズキのザク・クラーケンの前には、エピオンが立ち塞がっていた。

 

英玲奈「止まって見えた…と、言わせてもらおう」

 

右手に握ったビームソードを紫に輝かせ、エピオンが目にも見えないスピードで一太刀を食らわせると、ザク・クラーケンは真っ二つに切断され、爆発する。

 

ウズキ「ファンネルまで全部…嘘…だろっ!!」

 

 

あえなく撃破されたウズキを見て、残った2人は気を引き締める。

 

 

コシバ「へっ、こんなんじゃ押されねえぜ…!」

 

あんじゅ「押されなくても…

もう押せないんじゃない?」

 

コシバ「んなっ…!?」

 

背後に知らぬ間に接近したあんじゅのストライクフリーダムヴィヴィッドが、まだビームの展開されていないビームサーベルをザク・アルヴァルディの背に押し付けた。

 

あんじゅ「じゃあね…!」

 

 

反撃の隙を与えず、あんじゅはビームサーベルを展開、ザク・アルヴァルディの背を貫き、降り下ろして切断する。

 

コシバ「ッ…!?

なんでだ…?全く気づかなかった…!

 

マツナガ!後ろだ!」

 

 

マツナガ「何っ!?」

 

 

ツバサ「…トランザム!」

 

 

ツバサの呟きに合わせてダブルオーA-RISERの機体が紅く染まると、両腕に装備されたGNソードⅢ・ライフルモードがあらゆる角度から撃ち込まれ、ザク・マーナガルムの機体に次々と穴が開けられていく。

 

マツナガ「一矢報いることすら…!」

 

 

ザクから一気に離れ、そして再び急接近して、両腕のGNソードをソードモードにしたダブルオーが、その勢いのままザクに突っ込み、X字に切り裂いた。

 

 

マツナガ「でき…なかった…ッ…!」

 

 

マツナガのザクが爆発四散し、爆光がA-RISEの3機を照らした。

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

メイジン「全国大会本戦、1回戦最終試合の勝者は!

UTX学院・A-RISEだ!!!!」

 

 

 

 

『…』

 

 

 

 

あまりの出来事に、会場は静寂に包まれた。

 

 

 

同じだった。

 

 

地区大会の時、初めてA-RISEの戦いっぷりを見せつけられた時と。

 

 

 

違った。

 

 

想定していたレベルと。

圧倒的、完膚なきまでに相手を叩き潰す、それほどのことができてしまうそのレベルに、まだμ'sはいない。

 

 

また、黙ってしまった。

 

また、見せつけられてしまった…

 

 

 

 

 

「みんな、気張り!

ウチらの目標は、ここでA-RISEの戦いを指くわえて見てることとちゃうやん!」

 

不意に、聞こえた声。

 

 

絵里「の…ぞみ…」

 

希「えりち…ありがとうな。

ウチ、一番大切なこと忘れとったわ。

 

 

 

でもそれは、今のみんなも一緒やった」

 

 

あくまで真面目に、希は言った。

 

 

希「きっとみんな、勝てないって思ったんやと思う。

 

でもウチらのバトルの本質って…

勝つこととは違うはずやん?

 

楽しいバトルをする…

これが一番、大切なこと。

違う?」

 

 

 

 

穂乃果「希ちゃんの、言う通りだね。

 

一番大切なこと、穂乃果たちは忘れちゃってた…」

 

 

ことり「やりたくてやってることのはずなのに…

知らぬ間に、こんな風に思うなんて…」

 

 

不安げな顔をするメンバーたちを見て、希がふっと笑った。

 

 

希「ウチも、さっきまではそうやった。

プレッシャーに押し潰されて、不安になって…

 

 

 

でも、えりちが。

 

それを思い出させてくれた。」

 

 

にこ「…なんとなく、事態がつかめてきたわ…」

 

 

 

希「次の2回戦、ウチら3年生は…

絶対に楽しんでバトルする。

だからみんなも…

何があっても絶対に、この心を…

楽しむ心を、忘れないようにしようや。」

 

 

 

花陽「…μ'sとして、それを忘れたらダメですね…!」

 

凛「凛もそう思うにゃ!」

 

 

 

 

 

希の呼び掛けで、μ'sはA-RISEに真っ向から戦いを挑む覚悟が決まったようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのダブルオーライザー…

昨年のエクシアの…?」

 

「間違いねぇだろうな…

あのときのお遊び半分とは違う、まともなツラになったじゃねぇか」

 

「兄さん、昨年って…?」

 

「そうか、お前はまだ知らないのか、シア…」

 

「話してやれよ、キジマ」

 

 

キジマ「アドウ…

 

今の3人組、A-RISEは、昨年の全国大会でも我々と勝負した。

結果は我々の圧勝…

ガンプラに向かう意識の差が、一番の決定打だった」

 

アドウ「お遊び半分でやってたのに負けたのはいっちょまえに悔しがってな…

 

『どうしたら勝てますか』なんて、アホみてぇに聞いてきたんだよ」

 

キジマ「私はただ『ガンプラと向き合うことだ』と伝えた。

 

それがここまで昇華するとは…」

 

 

シア「それであそこまでの機体と腕を…?」

 

キジマ「だからこそ私も驚きを隠せない…

 

シア、アドウ…

この大会、荒れるぞ」

 

アドウ「ケッ!上等だぜ!」

 

シア「私たちは、するべきことをするだけ…」

 

 

A-RISEのあまりの腕に、ガンプラ学園ですら驚きを感じる…

この事はガンプラ学園にとっても、A-RISEにとっても予想外であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

2回戦に臨むμ'sの姿があった。

 

 

にこ「昨日の希の言葉…胸に染みたわ。

ありがとう。」

 

希「ええんや。

ウチがそれに気づけたのは、えりちと…」

 

客席にザビーネを探したが、さすがに見つけることはできなかった。

 

にこ「希?」

 

希「ううん、なんでもない。

2人とも、楽しもうな!」

 

絵里「…ええ!」

 

にこ「もっちろんよぉ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ザビーネ「フン、世話の焼けるやつだ…」

 

キンケドゥ「お前がこういう役を引き受けるとは思わなかったよ、珍しいな」

 

バンガード学園の2人が、会場の上方で立って会場を眺めていた。

 

 

ザビーネ「1度は剣を交え、認めあった仲だ…

このくらいのことをしても、悪いことはあるまい」

 

キンケドゥ「そういうことにしておくさ…

 

 

さあ、試合が始まるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『矢澤にこ!フルアーマーユにこーンガンダム!』

 

 

『絢瀬絵里!フェネクス・シラヌイ!』

 

『東條希!バンシィ・ノルン!』

 

 

『出ます!』

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 2期#7

可能性を超えて

 

に、続く!

 




いかがでしたでしょうか!

次回、心持ちも新たに戦いに臨む3年生の活躍を、できる限り頑張って書いていきたいと考えています!

よろしくお願いします!

では!


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2期#7『可能性を超えて』

大変ながらくお待たせしました!
多忙だったためなかなか作業が進まず、更新が大幅に遅れてしまいました…
申し訳ないです…


徐々に以前のペースに戻していきたいと考えておりますので、気長にお待ちください。

ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

 

希「全国の高い壁を見て、自信を失ったウチ…

そんなウチに、大切なものを思い出させてくれたのは、えりちとザビーネさんやった!

 

μ'sみんなが、楽しむ心の大切さを再確認して、いざ、2回戦のスタートやん!」

 

 

 

 

 

 

 

2期#7 可能性を超えて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希たち3年生の試合が始まる少し前、μ'sの2回戦の相手であるグラナダ学園・チーム・フォンヴラウンが、選手の登録を変更したとの一報が、ガンプラ学園にもたらされた。

 

 

そしてその情報は、ガンプラ学園に、A-RISEに重ねがけに衝撃を与える結果となった。

 

 

 

 

キジマ「…ついに、出てくるのか」

 

アドウ「いいじゃねぇかぁ!

いずれ勝ち進めば戦うんだ、敵の出方ぁ見ても損はねぇよ」

 

シア「兄さんやアドウさんが一目おく留学生…

どんな腕だと言うの…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スリガ「君はガンプラ学園と戦うまで温存しておきたかったのだがな…

 

ルーカス・ネメシス」

 

監督であるスリガが、金髪を携えた青年に声をかける。

 

ルーカス「ガンプラ学園と聖鳳学園には元から注目していましたが…

μ'sやA-RISEといった、思わぬ強者の出現に、つい抑えられなくなってしまって」

 

ルーカスと呼ばれたその青年は、にっこり笑いながら言った。

 

 

 

ルーカス「大丈夫ですよ。

 

絶対に…負けませんから」

 

 

一変、真剣な顔で正面を見つめたルーカスの目線の先には、ガンプラがあった。

 

 

ルーカス「音ノ木坂学園…

 

μ's…」

 

 

ルーカスが立ち上がってガンプラを手に取ると、また笑みを溢す。

 

 

ルーカス「試合までに、作戦を考えないとね」

 

 

 

 

時間の差し迫った時計は、試合まで残り1時間を指していた。

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「諸君!

それでは今から、ついに全国大会2回戦を開始するぞ!!」

 

 

 

ワァァアアアアーーーーーーーッ!!!!!

 

 

観客たちのボルテージは相変わらずである。

 

 

メイジン「まずは第1試合!

 

音ノ木坂学園・μ's対!

グラナダ学園・チーム・フォンヴラウンとの試合を開始する!!

 

選手はシステムへ!!」

 

 

 

 

 

希たち3人は、不敵に笑いながら入場していく。

 

希「ウチらにできることを…楽しく!」

 

絵里「そして全力で!」

 

にこ「諦めずに!!

 

…やるわよ!」

 

希「りょーかい♪」

 

絵里「ええ!」

 

 

 

 

対するグラナダ学園は、ルーカスに学生2人を加えた編成である。

 

 

 

 

 

ルーカス「アイバくん、トミタくん、作戦通りにお願いしますよ!」

 

アイバ「任せろよ!」

 

トミタ「やってやるぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

Please set your GUNPLA…

 

 

 

希「東條希、バンシィ・ノルン!」

 

絵里「絢瀬絵里!フェネクス・シラヌイ!」

 

にこ「矢澤にこ!フルアーマーユにこーンガンダム!」

 

 

『出ます!!』

 

 

 

ルーカス「ルーカス・ネメシス、Ex-Sガンダム…」

 

アイバ「アイバ・タイキ!ガンダムシュピーゲル!」

 

トミタ「トミタ・ルイ!セラヴィーガンダム!」

 

 

ルーカス「チームフォン・ヴラウン、状況を開始する…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

BATTLE START

 

 

 

Field・7

Space

 

 

 

 

 

 

 

フィールドに出て視界に広がったのは、青く輝く地球と、それに近づきつつある十字の小惑星だった。

 

 

にこ「アクシズ…!

こんなステージもあるのね…」

 

絵里「にこ、希、索敵を!」

 

希「やっとるで!

 

 

…にこっち、後ろ!」

 

にこ「なによっ!?」

 

 

 

遠方で青白いビームが光ったと思うと、何かに反射してビームが跳ね返り、角度を変えて進んできたビームがにこの背後を捉えていた。

 

にこ「っ…!」

 

 

からがら前に向き直り、シールドでIフィールドを展開したにこが、ビームの角度を変えていた'' 何か''を視認する。

 

 

にこ「リフレクター・ビット…!?

それもあんなに大量に!?」

 

ビームの軌道を考慮すると、通常より確実に多い量のビットを使用したことがわかった。

 

 

ルーカス「8機ありますよ…

僕の機体のビットはね!」

 

 

先ほどのビームの方向でバーニア光が煌めいたと思うと、その光が考えられないスピードで急速接近してくる。

 

 

希「…!」

 

みるみるうちに、という表現では足らないほどのスピードで、機体が接近する。

 

 

一瞬、掠めるように3人の近くを通り抜けたのは…

 

 

にこ「Ex-Sガンダム…!」

 

Z計画の結晶、Ex-Sガンダムだった。

 

 

 

 

ルーカス「僕のEx-S…

そこらのものと同じにしてもらっては困るっ!!」

 

 

通りすぎたEx-Sが踵を返し、超スピードでサーベルを抜きつつ吶喊をかける。

 

 

にこ「あのサーベル…ZZのものね!」

 

一方でμ'sは、振り抜かれたサーベルの大きさと形状から、にこが即座に判断しつつ3機が距離をとる。

 

 

ルーカス「…ご名答!」

 

にっと笑ったルーカスが、手近だった絵里に進路を向ける。

 

 

絵里「にこ!希!」

 

2人『了解!』

 

ルーカス「なんだっ!?」

 

 

寸分も焦る様子を見せず、まるで1機での斬り込みを想定していたかのような動きをしてみせるμ'sの3人に、ルーカスは驚きを隠せずにいた。

 

 

ルーカス「まだこちらのメンバーはわかりきっていないはずなのに…

よほど状況判断が巧いみたいだ!」

 

ルーカスが絵里のフェネクスに斬りかかりながら、リフレクタービットを展開し、背後からの攻撃を狙う。

 

 

絵里「甘いわよ!」

 

 

それを見逃さなかった絵里がシラヌイを展開し、背後からの射撃に即座に対応した。

 

ルーカス「さすがにできるっ…!

これならどうだ!」

 

勢いよく降り下ろされたビームサーベルを、今度は両腕のアームド・アーマーDEをかざして防御したフェネクスの機体から、青い光が発せられる。

 

 

ルーカス「…NT-Dか!」

 

絵里「その通りよ!」

 

 

アームド・アーマーから発せられたIフィールドとビームがぶつかり生じた光も相まって、金色の天使のようにも見える絵里のフェネクスが、その姿をガンダムに変えて行く。

 

 

ルーカス「…押されている…?」

 

 

にこ「こっちも忘れるんじゃないわよ!!」

 

ルーカス「!!

意識していなかったっ!!」

 

 

ルーカスの後ろに回り込んだにこのユにこーンが、フルアーマー装備を全展開してEx-Sに向けて発射する。

 

 

ルーカス「…想定より早いが、作戦を変えるしか無さそうだ…!」

 

バックパックに戻したビームサーベルを、体勢を傾けて前に向けると、ビームキャノンとなったサーベルの持ち手からビームが発射される。

 

 

 

ルーカス「アイバくん!トミタくん!

定位置から指示した行動に移ってください!」

 

2人「了解!」

 

 

 

 

ビームキャノンが着弾したユにこーンのミサイルが爆発し、爆発と煙が辺りを包む。

 

 

 

絵里「深手ではないかもだけど…損傷はさせられたかしら?」

 

にこ「微妙ね…無傷の可能性もあると見たほうがいいわ」

 

 

爆風から一歩引いて様子を見ていた3機を、他方向からのミサイルが襲った。

 

 

希「2人とも後ろ!」

 

バンシィのアームド・アーマーBSを瞬時に展開し、迫ったミサイルの撃墜を試みるが…

 

 

被弾したミサイルは爆発せず、辺りを煙に包んだ。

 

 

希「スモーク…!?」

 

絵里「…きゃぁっ!?」

 

にこ「絵里!?

どうしたの…うわぁっ!」

 

希「2人とも何があったん!?

 

…このスモーク、緑色の粒子を見るにGNミサイルによるもの…

通信も絶たれたってことやんね…」

 

 

視界いっぱいに広がる煙が、所々緑色に光る粒子が混じるのはそのせいだった。

 

 

 

希「この煙の中でも動ける敵さんがいる…

なら、誘い出せばこっちのもんや!」

 

希のバンシィがNT-Dを発動すると、バンシィの黄色い光ではなく、紫の光がバンシィの機体から生じる。

 

 

アイバ「…へっ、煙のなかでわざわざ光ってくれるとはな!」

 

 

絵里とにこを攻撃したのは、アイバの乗るシュピーゲルであった。

 

 

アイバ「そこだぁっ!!」

 

 

希「…来た!」

 

 

 

 

ガキィン…

 

 

 

 

 

 

腕を振り上げたシュピーゲルを、一手速く希のバンシィのアームド・アーマーVNが捉えていた。

 

 

アイバ「何っ…!?」

 

希「仕留めた…!」

 

 

 

止めを刺そうとした希の背後を、青白いビーム光が横切ったのを、希は見逃さなかった。

 

 

希「手が早いやんね…!」

 

咄嗟の出来事に気をとられた希の隙を突き、シュピーゲルが巧みにアームド・アーマーから抜け出してその姿を煙に巻く。

 

 

ルーカス「アイバくん!十分です!

一旦離脱を!」

 

アイバ「了解だ!」

 

ルーカスの指示に従って周辺の小惑星に身を隠したシュピーゲルと入れ替わるように、今度はスモークの飛来した方向から大質量のビームが依然煙に包まれた3機のいる宙域に向けて発射される。

 

 

ルーカス「トミタくん!そのまま牽制を!

リフレクタービットで狙い撃ちます!」

 

トミタ「任せろ!」

 

ビームの主は、トミタの操るセラヴィーガンダムだった。

肩に懸架した2本のGNバズーカが断続的に発射され続ける。

 

 

 

 

ルーカス「(押しきれる…!)」

 

そう感じたルーカスが、リフレクタービットを全展開してユニコーンを狙う。

 

 

 

 

 

しかしGN粒子の影響は互いに受けるものである。

ルーカスは決め手となる一撃を放てずにいた。

 

 

ルーカス「目で見えていても…照準は定まらないっ…!」

 

 

 

 

ようやく煙が引き始め、照準が絵里のフェネクスを捉えると、ルーカスがふっと不敵に笑ってリフレクタービットに向かってビーム・スマートガンを発射した。

 

ルーカス「まず1機…!」

 

 

 

にこ「絵里!希!」

 

絵里「ええ!」

 

希「行けるわ!」

 

 

絵里に向かって放たれたビームが、シラヌイのシールドによってかき消された瞬間、シラヌイのシールドを解いてEx-Sに突進するフェネクス。

 

 

ルーカス「…ふっ、策を捨てたか!」

 

絵里「それは…どうかしらね!」

 

シラヌイとアームド・アーマーDEの全ての砲口からビームを一斉射し、Ex-Sの目前に迫った絵里のフェネクスに、ルーカスのEx-Sは焦りもせずにビームを避け、応戦する。

 

ルーカス「考えなしに僕は倒せない!」

 

絵里「そんなことわかってるわ…

でもね…

 

チームは3人なの!」

 

 

 

 

アイバ「!?」

 

アイバのシュピーゲルが隠れた小惑星に向け、にこがビーム・マグナムを連射する。

 

アイバ「ちぃっ…!!」

 

やむを得ず姿を表したシュピーゲルを、希のバンシィのアームド・アーマーBSが狙う。

 

アイバ「2機を…俺一人ぶつけるだと…!?」

 

腹部に被弾し、重そうな動きをするシュピーゲルに、バンシィが迫った。

 

 

希「今度こそ…もらった!」

 

 

バンシィが振り上げたアームド・アーマーVNが、シュピーゲルを捉え、引き裂く。

 

アイバ「なんてこった…!

ここまで…かよ…!」

 

 

希「…1機、撃墜やん!」

 

 

機体を大きく抉られたシュピーゲルが爆発を起こし、警報と共にその宙域に散った。

 

 

 

 

 

 

ルーカス「アイバくん!

 

…これが狙いか!」

 

絵里「私たちが煙のなかにいる間、希がビームの方向などから咄嗟にそっちの位置を割り出したのよ!

 

それにシュピーゲルは近接機体、''セラヴィー''に比べてすぐに見つかったわ!」

 

ルーカス「あの距離で…機体すらも…!?」

 

 

 

 

 

ルーカスの異変を察したトミタが、援護射撃に向かおうとした瞬間のことだった。

 

トミタ「…ルーカス!」

 

ルーカス「トミタくん!

こちらへ!早く!」

 

トミタ「なんだって…

 

ぐぁっ!?」

 

 

 

ルーカス「トミタくん!!」

 

ルーカスがカメラを切り替えると、NT-Dを発動したユにこーンがセラヴィーを切り伏せていた。

 

 

絵里「これで、あとは貴方だけ…!」

 

今度は絵里が不敵に笑った。

 

 

 

 

 

ルーカス「これで状況は1対3…

しかし、絶望するには…

まだ早すぎる!」

 

 

SPのスロットルにカーソルを合わせ、発動した瞬間、Ex-Sの双眸が赤く輝いた。

 

 

 

 

 

にこ「!

不味いわ!絵里!そこにいては―――――」

 

 

 

 

ルーカス「そこにいては…

何です?」

 

にこ「嘘…でしょ…っ?」

 

セラヴィーを撃破したにこと希は、絵里とルーカスの戦闘が肉眼で確認できるかどうかの距離にいた。

 

 

正確に言えば、いたはずだった。

 

 

しかし現にEx-Sは、にこの目の前に佇んでいる。

 

 

ルーカス「もらったぁ!!」

 

 

両手でビームサーベルを取りだし、振り下ろしたEx-Sは、にこのユにこーンのシールドを物ともせずに押し切り、ユにこーンの両腕を切断して腹部を蹴り飛ばした。

 

 

吹き飛ばされたユにこーンが小惑星に激突し、そのまま力なく項垂れる。

 

 

にこ「単なるALICEシステムじゃない…

性能がバカみたいに上昇して…?」

 

通信でそれだけ言い残すと、にこのユにこーンとの通信が途切れた。

 

希「にこっち!?」

 

絵里「にこ!?」

 

 

焦りと驚きが、残された2人を包んだ。

 

 

ルーカス「…あと…二人っ…!!」

 

今度は変形して、戦場を駆け回りながらビームで2機を追い詰めていく。

 

 

絵里「希、アームド・アーマーBSは…?」

 

希「無理や…速すぎて捉えきれん…!」

 

絵里「…ここまで来たのに!」

 

 

ついに背中合わせになるまで追い込まれた二人が、ビームを放ちながら飛び回るEx-Sを視線で追い続ける。

 

 

ルーカス「ここで決めさせてもらう!!」

 

高ぶった感情を表すかのように、叫ぶように言い放つルーカス。

 

すると変形を解いて、MS形態に戻ったEx-Sが、リフレクタービットを全展開し、2人の周囲を囲った。

 

 

ルーカス「…食らえ!!」

 

 

 

 

超速でビーム・スマートガンをビットに向けて連射し、ビームの格子が形作られる。

 

 

一方で絵里のシラヌイと2人のアームド・アーマーDEをもってしても、防戦を強いられる希と絵里。

 

 

 

ルーカス「…終わらせよう」

 

先程までの強い言い方とは真逆に、落ち着いた声でルーカスが呟くと、最大出力までチャージされたビーム・スマートガンが2機に向けて放たれた。

 

 

 

 

 

希「…避けられへん…!」

 

絵里「希っ!」

 

立ち尽くす希の前に、絵里のフェネクスが立ちはだかった。

 

希「えりち…!?」

 

シラヌイのシールドとアームド・アーマーDEのIフィールドを展開し、なんとか堪えている。

 

絵里「私が残ったところで…私の装備じゃあのスピードは追いきれない。

それなら希、あなたに懸けてみてもいいかなってね」

 

希「そんな…

だからって!」

 

絵里「希!」

 

希の発言を遮って、絵里が言う。

 

絵里「また、忘れてたでしょ。

 

ガンプラバトルに大切なもの…」

 

希「…」

 

絵里「図星だったみたいね。

 

大丈夫よ、希。

貴女なら…任せられる。」

 

欠け始めたシールドから漏れるビームに、次第に絵里のフェネクスが崩れていく。

 

絵里「さあ、希。

私とにこの分まで…

 

 

楽しんで!」

 

 

 

 

 

 

 

希「…そやね!」

 

いつもの意地悪な笑顔を浮かべた希が、背中に装備していたアームド・アーマーDEを左手に移して構え、バーニアを最大出力で吹かしてルーカスに突撃する。

 

 

 

フェネクスの停止を確認したルーカスもまた、ビーム照射を中断してビームサーベルを抜き、バンシィに向けてバーニアを吹かした。

 

 

希「ウチの本気…

見せたるでぇ!」

 

ルーカス「動きが変わった…!」

 

ビームトンファーを右手で振り抜き、Ex-Sと拮抗するバンシィ。

 

その機体を包む光が、紫から緑へと変貌していく。

 

 

ルーカス「これは…

サイコフレームの共振現象…?

 

こんなギミック、ガンプラバトルで再現できるのか!?」

 

希「ギミックでも再現でもない…

 

これが、ウチとえりちとにこっちの、想いの形!

 

望みの…形!」

 

 

パワーで負けていなかったルーカスのEx-Sが初めて押し返され、ルーカスは距離を取ってスマートガンを構えた。

 

 

ルーカス「こんなことがあるのか…!

 

…μ's、魅せてくれるっ!」

 

 

汗だくの顔に笑顔を浮かべ、ルーカスはバンシィに再び砲口を向けた。

 

 

 

 

 

希「楽しむ…

 

なんでウチ、すぐに忘れてしまうんやろね…。

 

 

でも、今はすごく楽しい。

ありがとう…えりち。」

 

 

 

 

 

 

 

緑の光を発しながら佇むバンシィに、ビームスマートガンを向けるEx-S。

 

 

 

 

2機を、そして2人を、静寂が包んでいた。

 

 

 

 

 

ルーカス「…」

 

希「…」

 

 

 

 

 

 

 

花陽「制限時間あと1分だよ…!」

 

凛「希ちゃん…!」

 

真姫「時間切れになったら延長よね…」

 

ことり「戦えるのかな…」

 

海未「あの状態では…」

 

 

穂乃果「信じよう、みんな」

 

不安そうなメンバーをよそに、穂乃果だけは微笑んでLIVE映像を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

試合の残り時間を知らせるタイマーが30秒を切った。

 

 

 

 

にこ「希!何してるのよ!」

 

絵里「希…!」

 

 

 

 

 

 

希「…これで!」

 

ルーカス「…すべてが決まる…!」

 

残り時間が10秒を切った瞬間、2機が同時に動いた。

 

 

 

 

ルーカスがありったけのエネルギーでスマートガンを連射する。

 

アームド・アーマーDEを構え突っ込んだバンシィが被弾し、アームド・アーマーDEを、BSを、そして左腕を破壊される。

 

 

 

 

ルーカス「あとは右腕を…!」

 

希「させへん!」

 

 

狙われた右腕を引き、頭部バルカンを放ちながらなおも突進するバンシィに、ルーカスの照準が容赦なく向けられた。

 

 

 

 

 

ルーカス「これで!!!!!」

 

 

 

 

 

 

カチッ

 

 

 

 

 

ルーカス「…残弾、ゼロ…か…!」

 

 

 

ビーム・スマートガンを構えたままのEx-Sを、希のバンシィのアームド・アーマーVNが掴んだ。

 

 

 

 

 

希「ウチの、μ'sの望んだもの…

 

 

ウチの右手で、掴めたよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回  2期#8

めぐりあい、今

に、続く!




いかがでしたでしょうか?

次回はついに、あの組み合わせで試合が…?

いつになるかまだ未定ですが、気合いを入れて仕上げていきたいと思います!


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2期#8『めぐりあい、今』

お待たせいたしました!

ついに、クライマックスに向けた準備回となっております!!


では、どうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

絵里「全国大会2回戦、立ちはだかるのはルーカス・ネメシス率いるグラナダ学園!

強大な相手の実力と作戦に押されながらも…楽しむ心で私たちはなんとか勝利を勝ち取ることができた!

 

そしてついに…」

 

 

 

 

 

2期#8 めぐりあい、今

 

 

 

 

ルーカス「これで!!!!!」

 

 

 

 

 

 

カチッ

 

 

 

 

 

ルーカス「…残弾、ゼロ…か…!」

 

 

 

ビーム・スマートガンを構えたままのEx-Sを、希のバンシィのアームド・アーマーVNが掴んだ。

 

 

 

 

 

希「ウチの、μ'sの望んだもの…

 

 

ウチの右手で、掴めたよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

メイジン「全国大会第2回戦…

勝者、音ノ木坂学院・μ's!!!!」

 

 

ワァァァァァァーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!

 

 

ありったけの歓声が、会場を包んでいた。

 

 

 

 

無言でただ勝利を噛み締める3人に、ルーカスが歩み寄る。

 

 

ルーカス「…μ's…

 

ありがとう、とても楽しいバトルでした!」

 

差し出されたルーカスの手を、希が掴んだ。

 

希「ウチもや!

次も負けへんよ…!」

 

ルーカス「はいっ!

 

皆さんの試合、最後まで見届けますね!」

 

絵里「ありがとう!」

 

 

 

 

 

にこ「(今調べたら…

あのルーカスって選手、化け物じゃない…!

事前に知っていたら逆に気圧されていたかも…よかったわ)」

 

にこは一人胸を撫で下ろすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

キジマ「…!

なんという…」

 

予想外の試合結果に、出場者には衝撃が走った。

 

 

アドウ「チャンプが所詮名前だけだったのか…

はたまた、あのμ'sって輩が本当に出来るやつらなのか」

 

シア「アドウさん…

今更になってまだそんな」

 

アドウ「わーってるよ!

 

…久々に面白そうな奴等が出てきたじゃねぇか!」

 

キジマ「全く、息つく暇もないほど目まぐるしい大会だな…

 

恐らく、これで準決勝に残る4チームは決まっただろう」

 

 

キジマは不敵に笑うと、その場から踵を返して歩き始めた。

 

シア「兄さん!?

どこへ…?」

 

キジマ「このままおめおめと試合を観ていられるほど、余裕がないと思ってな。

 

トランジェントの最終調整に入る」

 

 

そう言ったキジマの瞳は、物怖じなどせず、むしろ闘志に満ちていた。

 

 

 

 

 

 

セカイ「っし!!

μ's、勝ったみたいだぞユウマ!」

 

ユウマ「何…?

ルーカス・ネメシスを下したのか…!?」

 

LIVE映像を見て、それが事実であることを知ったユウマは言葉を失った。

 

 

フミナ「…きっと、私たちの相手は穂乃果さんたち2年生ね。

 

幸か不幸かわからないけど、この試合からは彼女たち自身のレベルは掴みきれない」

 

映像を見ていたフミナも、緊張の面持ちで言った。

 

 

 

ユウマ「…ふっ、全くなんて人たちだ…」

 

セカイ「ユウマ?」

 

ユウマ「セカイ、フミちゃん!

作戦を立てましょう!

決勝で…ガンプラ学園と戦うために!」

 

 

 

 

 

 

 

ツバサ「μ's…

やっぱり面白いわね…!」

 

英玲奈「私も同感だ…」

 

あんじゅ「決勝まで、来るかしらね?ツバサ」

 

ツバサ「来るわよ…

 

そのために、私たちも負けられない。」

 

 

 

試合会場の上から試合を見ていたA-RISEも決意を新たに準決勝を見据えた。

 

 

 

 

 

 

ザビーネ「…フン、悪くないな」

 

キンケドゥ「素直に誉めればいいじゃあないか?」

 

ザビーネ「まだ私と同程度だと感じただけだ」

 

キンケドゥ「彼女は…

 

いや、彼女たちは、きっと俺たちよりずっと強くなるさ…

 

お前だってわかっているだろう?」

 

 

 

トビア「キンケドゥさぁーん!!!

できましたよぉ!!!」

 

キンケドゥ「…よし!

俺たちも行こう!」

 

 

 

キンケドゥたちバンガード学園も、腕を高めるべく修練に励んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

試合は進んでいったが、μ'sほどの激戦を繰り広げたチームは無く、順当に準決勝に残るベスト4のチームが出揃った。

 

 

 

そして程なくして、再び舞台上に勝ち残ったチームが集い、メイジンがマイクをとって話し始めた。

 

メイジン「それではここで!改めて準決勝まで駒を進めた4チームを紹介しようッ!!

 

まずは1.2回戦共にアツい試合を展開した音ノ木坂学院・μ'sだ!!!!!」

 

ワァァーーーーーーーッ!!!!!

 

 

穂乃果「私たちμ's9人…

心をひとつに、ここまで歩んできました!

このあとも頑張っていきたいと思います!」

 

 

 

メイジン「続いて聖鳳学園、チーム・トライファイターズ!」

 

セカイ「目指すは頂点…

俺の次元覇王流で、そしてこのチームで、勝ち抜きたいと思います!」

 

 

 

メイジン「続いてUTX学園・A-RISE!」

 

ツバサ「昨年のような失態は繰り返しません。

強敵揃いなのはわかっていますが、優勝はA-RISEが頂きます!」

 

 

 

メイジン「そして最後に!

ガンプラ学園、チーム・ソレスタルスフィア!!」

 

 

キジマ「…我々は挑戦者だ。

王者ではない…

そしてその立場をわかった上で、こう言わせていただく。

 

王者の座は渡さん!」

 

 

 

 

キジマが言い終わるのに合わせて会場が最高潮に沸き上がり、ついに優勝争いの開始を感じさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花陽「本当にここまで来たんだね…!」

 

真姫「不思議ね…

最初はあんなだったのに」

 

凛「みんな、もっともっとガンプラが好きになったんじゃないかにゃ?」

 

絵里「それだけじゃないわ。

今この場に立つこと…

それをきっと望んでたのよ。」

 

希「んでも、ウチらの望みはまだ先にある。」

 

にこ「本当に見えてきたわね…

優勝という名前の、ラブライブとは違う栄誉が」

 

ことり「次に試合をするのは私たちだけど…

そんなこと関係なく、みんなきっと同じ思いを秘めてるんじゃないかな。」

 

海未「ええ。前はああだった私がそう思うんです、きっとみんながそう思っているはずですよ。

 

ね、穂乃果?」

 

 

 

 

 

穂乃果「…うん!

 

みんな…優勝、しようね!

 

 

えいっえいっ…」

 

9人「おーっ!!!!」

 

 

 

 

拳を掲げた9人を、窓から差し込んだ陽が照らしたのだった。

 

 

 

 

 

 

そしてその少しあと。

控え室に戻らずに残ったメンバーが小声で話し合っていた。

 

海未「希、絵里、にこ…

 

例の機体は…?」

 

にこ「安心して、本体はほぼほぼ出来上がってるわ。

あとはファンネルだけ。」

 

希「こればっかりは、みんなに手伝ってもらわんとねぇ…」

 

絵里「素体は出来てる。

あとは見つからないように…」

 

海未「わかりました。

伝えておきます!」

 

 

 

 

 

 

穂乃果「っくしゅん!

 

…もう、明日は準決勝なのに…

風邪じゃないよね?」

 

海未たちの話し合いの主軸に据えられていることなぞ知らない穂乃果が、ひとつくしゃみをすると、机上に置かれていたトライゴッドガンダムが倒れた。

 

 

穂乃果「あぁっ!?

 

っとぉ、セーフセーフ…

 

 

もしかして、最近トライゴッドも動き足らないのかな?」

 

 

ガンプラの無事を確認した穂乃果は、そのまま立ち上がって思い付いたようにフリーバトルのコーナーへ向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

穂乃果「誰もいないみたい…

まあいいか、動きの調節でも―――」

 

「俺が相手しますよ!!」

 

穂乃果「誰!?」

 

 

 

急に後ろから聞こえた声に、穂乃果が振り向くと、そこに立っていたのはチーム・トライファイターズのカミキ・セカイだった。

 

 

 

セカイ「明日の試合の前に…

一発勝負しませんか?」

 

穂乃果「いいねぇ!

じゃお願いしても…」

 

 

バキッ

 

穂乃果が言い終わる直前、セカイの頭を誰かが叩いた。

 

 

セカイ「ってぇ!

何すんだ!」

 

ユウマ「バカかお前は…

試合前の選手同士の事前バトルは禁止されている、お前がやったら俺たちだけじゃなくてμ'sまで失格になってしまうぞ。

 

すいません、穂乃果さん」

 

 

セカイに手を出した主は、気になってついてきたユウマだった。

 

穂乃果「そ、そうだったんだ!!危ない危ない!!」

 

セカイ「んだよ、ちょっとくらいいいじゃねぇか!」

 

ユウマに反論しながらセカイが振り向くと、そこには別の人影が立っていた。

 

 

 

 

「俺との勝負なら、問題ないだろ?」

 

 

穂乃果「あなたは…!

 

 

…誰だっけ」

 

セカイ「さぁ…」

 

ユウマ「覚えてない…っていうか知りませんね」

 

 

カリマ「おい!!!俺だよ!!!本牧学園のカリマ・ケイ!!!

1回戦でμ'sと戦ったろ!!!!」

 

人影の主はカリマだった。

相変わらずの扱いに怒っている。

 

カリマ「ったく、この俺が相手してやるって言ってんのによ…」

 

穂乃果「あぁ!あのセコい戦いかたした人だ!!」

 

カリマ「セコいってなんだセコいって!!

 

もういい、てめぇら二人いっぺんにかかってきやがれ!!

 

俺のGNアーマー・タイプKが相手だ!!」

 

カリマが抱えていたのは、コアユニットにケルディムガンダムを搭載し、主に火器の面に大きく改造が加えられたGNアーマーだった。

 

 

セカイ「…ユウマ、共闘は問題ないのか?」

 

ユウマ「共闘なら恐らく…

 

ただし、ダメージレベルはCに設定しろ、ここで機体を壊してはもとも子もない」

 

セカイの問いに答えつつ、ユウマがカリマに伝える。

 

カリマ「わかってるよ。

俺もこんなとこで機体を壊されちゃたまらんしな!

 

 

 

ぼさっとすんな!始めるぞ!」

 

 

 

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

 

穂乃果「セカイくん…

よろしくね!」

 

セカイ「急にこんなことになっちゃいましたけど…

よろしくお願いします!」

 

Please set your GUNPLA…

 

 

穂乃果「高坂穂乃果!トライゴッドガンダム!」

 

セカイ「カミキ・セカイ!トライバーニングガンダム!」

 

二人『出ます!』

 

カリマ「カリマ・ケイ、GNアーマー・タイプK、出るぜ!!」

 

 

 

 

 

Field・5

city

 

 

 

 

 

セカイ「街ステージか…

見通しが効かないと不利だ…」

 

穂乃果「セカイくん!来るよ!」

 

 

カリマ「突っ立ってると消し炭だぞ!!

喰らいやがれ!!」

 

セカイ「…!」

 

 

いち早く上空に飛び上がったカリマのGNアーマーが、両肩と両腕に装備したGNキャノンを一斉射する。

 

 

セカイ「そこかっ!!」

 

穂乃果「たぁっ!!」

 

セカイが後方に避けたのを確認し、穂乃果が前に出てゴッドスラッシュでの牽制をする…

これだけの動きを、二人は通信を交わさずにやってのけた。

 

 

穂乃果「セカイくん!」

 

セカイ「了解です!!」

 

瞬間、セカイがビルの上までジャンプしてGNアーマーを捉えると、ビルが崩壊するような勢いで踏み込んで急接近した。

 

 

セカイ「次元覇王流!!!

 

せぇぇぇぇけん突きぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」

 

 

クリアパーツを紅に染めたトライバーニングが、GNアーマーに肉薄する。

 

しかしカリマは焦っていなかった。

 

 

カリマ「そううまくいくと思うなよ!

ソードビット、展開!」

 

セカイ「何っ!?」

 

GNアーマーの後部、スラスターの上下に3基ずつ、合計12ものソードビットが装備されていることに、まだ二人は気づいていなかった。

 

放たれたビットは瞬く間にセカイを囲い、突きを繰り出している無防備なトライバーニングに炸裂した…

 

ように思われた。

 

 

 

 

トライバーニングを、その機体から放出された炎が包み込むまでは。

 

 

 

 

カリマ「何…だと…!?」

 

弾かれるように撥ね飛ばされたビットが四散し、地面に突き刺さる。

 

 

セカイ「これが…

バーニングバーストだ!!」

 

 

カリマ「秘策って訳かい!

それならこっちだって…!

 

 

トランザムッ!!!!」

 

GNアーマーの機体が光沢を持ったピンク色に染まると、これまでとは格段に違うスピードで残像を残しながらステージを駆け巡り始めた。

 

 

セカイ「そっちもか…!!」

 

 

穂乃果「任せて!セカイくん!!

 

スーパーモードっ!!!」

 

今度は穂乃果のトライゴッドガンダムが黄金にその身を包むと、その拳を灼熱のたぎるような橙に染め、両手にビームサーベルをもって駆け出した。

 

 

穂乃果「爆熱!!

ゴッドスラーーーッシュ!!!」

 

飛び上がったゴッドガンダムが、穂乃果の声に合わせてコマのように回転すると、ビームサーベルの形をした衝撃波がいくつもカリマに向けて放たれた。

 

カリマ「ッチ…!

小回りの利く野郎共だ…!」

 

 

距離をおこうとしていたカリマが向き直り、全火器を前面に展開する。

カリマ「こいつで決まりだぁ!

トランザム・ハイパーバーストォ!!!!」

 

 

 

GNアーマーの全火器に加え、ケルディムのライフルビットやライフルの連射も加わり、街を飲み込まんとするビームの波が2機に迫った。

 

 

 

穂乃果「石破…!

 

天・驚・けぇぇぇん!!!!!」

 

敵のビーム発射に合わせるかのようにチャージを始めた穂乃果の石破天驚拳が発射され、ビームを抑えるが、チャージする時間のなさからか、その勢いが徐々に弱まって行く。

 

 

穂乃果「うっ…!

さすがに…抑えきれないっ…!!」

 

セカイ「俺がいきます!」

 

穂乃果「セカイくん!?」

 

 

穂乃果の横に並び立ったセカイが、トライバーニングの右腕を振りかぶり前に勢いよく振りだすと、トライバーニングの腕から生じた炎がさながら鳳凰のような姿になってビームに突撃する。

 

 

 

セカイ「どうだ!?」

 

 

カリマ「ッククク…

まだまだだぁ!!」

 

 

カリマの照射するビームは依然衰えずに発射され続けている。

 

 

穂乃果「…こうなったら。

 

行くよ!セカイくん!」

 

セカイ「穂乃果さんならそういうと思いましたよ!」

 

 

 

2人が言い終わった途端、2機を炎が包み込んだ。

 

 

 

 

セカイ「俺のこの手が!」

 

穂乃果「真っ赤に燃える!」

 

セカイ「勝利を掴めと!」

 

穂乃果「轟き叫ぶ!」

 

セカイ「次元覇王流!!!」

 

穂乃果「ばぁぁぁぁくねつ!

ゴッドォ!!!!」

 

 

セカイ「りゅぅぅぅぅぅせぇぇぇぇぇ螺旋けぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!」

 

穂乃果「フィンガぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

2機が右手を突き出してビームに突進すると、まるでビームを縦に切り裂くかのように、その波を突き進んでいく。

 

 

カリマ「おい…なんだってんだよこれは…!」

 

 

 

2人「行けぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

『そこまでだ。』

 

 

 

 

フィールドに一言、何者かの声が響いた。

 

 

次の瞬間。

 

穂乃果のトライゴッドとセカイのトライバーニングはフィールドに投げ出され、フィールドに一際強い光が差し込んだ。

 

 

 

 

 

 

メイジン「なんという熱い勝負…

 

 

私も、見ていて抑えられなくなってしまった!!」

 

 

3人「メイジン・カワグチ!?」

 

 

 

天空から地面へと舞い降りる間に、目にも止まらぬスピードで穂乃果たちに一撃を食らわせ、そして行動を止めた主。

 

それはメイジン・カワグチ、そして彼の機体、アメイジングレッドウォーリアだった。

 

後光のようにも見える陽射しが、確かな威厳、そしてそのガンプラのクオリティをさらに高尚なものに昇華させている。

 

 

メイジン「君たちの勝負は素晴らしかった。

よって、今回は目をつぶろう…

 

 

しかし本来、試合前の選手同士が同じシステムにてバトルを行うことは禁止されいる。

それが例え、ダメージレベルCの共闘であってもな」

 

 

一変、真面目な口調でメイジンが伝えると、バトル強制終了の表示と共にバトルが終了された。

 

 

 

 

メイジン「準決勝、楽しみにしているよ。

君たちのどちらかと…

 

そして、もう片方のどちらかが雌雄を決する決勝もな。」

 

メイジンは多くは語らず、その場を後にしたのだった。

 

 

 

 

穂乃果「メイジンの動き…全く見えなかった…」

 

セカイ「なんてこった…

俺もなにも見えなかった…」

 

 

穂乃果とセカイはただ、自分の遥か上の存在を知って、ただただ驚いていた。

 

 

しかしその顔は、喜びに溢れた笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

カリマ「俺は放置か!!おい!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって。

 

 

 

 

 

 

キンケドゥ「くっ…!!

俺たち3人が…1機に手も足も出ないとは…ッ!!」

 

ツバサ「…もう、負けられないの。私たちは。」

 

 

 

 

 

壊し尽くされたクロスボーン3機の残骸の上に、両手にGNソードを広げたダブルオーA-RISERが降り立つ。

 

 

ツバサ「去年とは違うのよ…

 

 

ガンプラも、私たちの腕も、…

そして、戦う理由もね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日。

 

 

ついに、準決勝が幕を開けるのだった。

 

 

 

 

 

 

次回 2期#9

握りしめたその手、込められたその拳

に、続く!




いかがでしたでしょうか!

次回はついに、μ'sと聖鳳学園がその拳を交えます!

完結まであと少し、頑張って完走したいと思います!!


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2期#9『握りしめたその手、込められたその拳』

更新の大幅な遅れ、申し訳ないです。
お待たせいたしました!


ついに、準決勝が始まります!!
ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレッテッテッテッテー

 

穂乃果「ついに出揃った準決勝出場チーム。

運命なのかはわからないけど…私たちの準決勝の相手は聖鳳学園!

 

セカイくんと共闘してお互いの腕を確かめあった私たちは、お互い万全な状態で準決勝の朝を迎えた!

 

さあ…いこう!」

 

 

 

 

2期#9

握りしめたその手、込められたその拳

 

 

 

 

 

 

時刻は少し遡り、穂乃果がカリマと戦っていた頃。

 

 

バンガード学園はA-RISEとの勝負に臨んでいた。

 

 

 

 

キンケドゥ「ザビーネ、トビア!

敵は1機だが、油断するなよ!」

 

2人「了解!」

 

 

 

 

 

準決勝を前にし、最終調整を終えたツバサがダブルオーA-RISERの調子を確かめようと考えていたところに、バンガード学園もまた新しいガンプラを完成させていたとなれば、勝負しない手はない…

 

お互いがそう考えていた。

 

 

 

ただひとつ、1対3という目に余るほどの差がある試合になったことに、バンガード学園は戸惑っていた。

 

 

 

トビア「A-RISEはなぜ一人だけで…

他の2人もそれを焦りもせず納得するなんて…」

 

ザビーネ「考えても仕方あるまい、行くぞ」

 

トビア「…はい!」

 

 

バンガード学園は、クロスボーンを改修し、フルクロスとなったX1、分割・合体できるよう改造したピーコックスマッシャーを両手に装備して火力重視となったX2、アンカーと2振りのムラマサ・ブラスターを装備し前線で戦うスタイルのX3と、チーム中で役割の分担をはっきりさせ、チーム戦を意識した改造を各々が加えていた。

 

 

 

 

トビア「!

 

キンケドゥさん 、ザビーネさん!

発見しました、先行するので援護を!」

 

いち早く遠方にダブルオーを視認したトビアが、腰部左右に装備されたムラマサ・ブラスターに手をかけながら吶喊をかけた。

 

トビア「セーフティ解除っ!!」

 

トビアが叫ぶと、抜き放たれたムラマサ・ブラスターの刀身にビームの刃が幾重にも重なって出現する。

 

 

トビア「もらったぁーッ!」

 

 

 

 

 

 

ムラマサ・ブラスターが切り裂いたのは、ダブルオーではなく地面だった。

 

 

 

ザビーネ「上だっ!!」

 

 

突如響いたザビーネの声に、X3の機体を空に向けて翻したトビアの目に映ったのは…

 

 

 

 

太陽よりも紅く染まった、ダブルオーA-RISERだった。

 

 

トビア「なぁっ…!?」

 

ツバサ「…そこよ!」

 

 

 

 

両腕に装備されたGNソードⅢが、地面に膝立ちになっているX3目掛けてビームの火線をいくつも走らせる。

 

 

程なくして、爆煙と巻き起こった砂煙が辺りを包んだ。

 

 

ツバサ「あと2機…」

 

 

「そいつはどうかな?

 

セーフティ解除ッ!

全力でいかせてもらうっ!!」

 

ツバサ「何っ!?」

 

まだ引かない煙のなかに、3つの尾を引くビームが見えたと思うと、それは2つと1つに別れてダブルオー目掛けて突撃した。

 

 

キンケドゥ「間一髪だった…

あの出力のビームなら、ABCマントで!」

 

トビア「ありがとうございます!キンケドゥさん!」

 

 

ツバサ「さすがはバンガード学園、手先の技だけじゃ勝てないわね…!」

 

 

ツバサが不敵に笑うと、右方から多数のビームが迫ってきた。

 

 

ツバサ「X2…!

いい連携ねっ!!」

 

宙返りをしてそれを避けたツバサが、両腕のGNソードをソードモードにして、迫った2機の斬撃を受け止める。

 

ツバサ「さすがに押し負けるっ…!」

 

キンケドゥ「こいつを…くれてやる!!」

 

キンケドゥが一瞬、つばぜり合いを解いて右手を引き込むと、いつの間にその手にはスカルヘッド・ナックルガードが装備されていた。

 

キンケドゥ「うぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

フルクロスの放った一撃は、空を切っていた。

 

キンケドゥ「仕留め損ねた!?どうして…!」

 

 

 

ザビーネ「何ッ!?」

 

 

ザビーネの背後に、不意にダブルオーが現れる。

 

 

トビア「粒子化か…!」

 

つばぜり合いの勢いを失って同じく空を切り裂いたトビアも、一瞬の出来事を把握するのがやっとだった。

 

ツバサ「もらったッ!!」

 

X2の背面から、2本のGNソードⅢが振り下ろされると、手足を両断されたX2が地表に落下する。

 

キンケドゥ「ザビーネッ!!

くそぉっ!!」

 

バーニアを全展開し、吶喊をかけるフルクロスを、ツバサは再び粒子化して受け流した。

 

 

ツバサ「次…!」

 

今度はX3の背後に迫ったダブルオーが、中心からその機体を突き刺す。

 

トビア「見えなかっ…た…!」

 

力なく地表に落ちていくX3を見ながら、キンケドゥはあまりの圧倒的な性能と腕に気圧されていた。

 

キンケドゥ「…この俺が、震えて…?」

 

 

ツバサ「キンケドゥさん!

覚悟はいいかしら!」

 

キンケドゥ「!?

いつの間に…」

 

 

自分の目の前に急に迫ったダブルオーに、キンケドゥは焦りを覚える時間すらなかった。

 

ダブルオーA-RAISERの両腕のGNソードが、刃を紅く染めていく。

 

ツバサ「これで…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一矢報いることすらできず、バンガード学園はツバサに敗れた。 

 

 

キンケドゥ「くっ…!!

俺たち3人が…1機に手も足も出ないとは…ッ!!」

 

ツバサ「…もう、負けられないの。私たちは。」

 

 

 

 

 

壊し尽くされたクロスボーン3機の残骸の上に、両手にGNソードを広げたダブルオーA-RISERが降り立つ。

 

 

ツバサ「去年とは違うのよ…

 

 

ガンプラも、私たちの腕も、…

そして、戦う理由もね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

μ'sとA-RISE、互いに何があったとは知らず、準決勝はその幕を開けつつあった。

 

前日の紹介があったからか、改めた入場のようなものはなく、メイジンがルールについて説明する。

 

 

 

メイジン「諸君!本日はついにガンプラバトル全国大会・高校生以下の部、決勝大会のクライマックスとなる!!!

まずは出場チームの紹介だ!!」

 

 

画面に映し出されるμ'sをはじめとした4チーム。

メイジンの説明をよそに、にこはその画面を見つめてまた涙ぐんでいた。

 

 

にこ「海未、ことり、穂乃果…

 

気張んなさいよ!!」

 

 

 

 

 

程なくしてμ'sの控え室に9人が揃い、緊張の面持ち…ではなく、いつも通りの様子で今日の試合についての話を進めていた。

 

 

花陽「相手はあの聖鳳学園、チーム・トライファイターズ…

ついに、って感じだね」

 

絵里「でも…心配するだけ無駄じゃないかしら」

 

凛「凛もそう思うな!

きっと、3人なら勝てるって…なんかわからないけど、そう思える!」 

 

真姫「同感ね。

ここまで来たら…もう進むしかないわ!」

 

希「頼んだで、3人とも!」

 

 

 

 

 

 

声をかけられた3人が、無言で頷いたあと、各々のガンプラを手に取る。

 

 

 

 

 

海未「行きましょう、穂乃果。」

 

ことり「きっと、私たちが勝てばA-RISEと…」

 

 

穂乃果「…うん、やろう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「では今から!準決勝第1試合!

音ノ木坂学院・μ's対!

聖鳳学園・チームトライファイターズの試合を開始する!

選手はシステムへ!」

 

 

 

 

 

会場中央、バトルステージに向かって、両方の入場口から3人が歩み出ていく。

 

無言でシステムの前に並び立つと、セカイが口を開いた。

 

 

セカイ「穂乃果さん!!」

 

穂乃果はにっと笑い、次は二人同時に言う。

 

『負けませんよ!

 負けないよ!』

 

 

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

フミナ「いくよ、セカイくん、ユウくん!」

 

ユウマ「はいっ!」

 

セカイ「行きましょう!!」

 

『チーム・トライファイターズ…

ゴーッ・ファイッ!!!』

 

 

 

 

海未「さあ、私たちも行きましょう!」

 

ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃん…

頑張ろう!」

 

穂乃果「…不思議だね、今の気持ち。

空から降ってきたみたい…」

 

海未「穂乃果…?」

 

穂乃果「みんなとこうやってガンプラ始めたのって、ついこの前の筈なのに。

こんなに必死になれて、ドキドキして、ワクワクするなんて…って、少し思っただけだよ。」

 

ことり「私も…

ここまでになるなんて思わなかったなぁ…」

 

海未「そうですね…私もです…

 

きっと、これから進んでいくにつれて薄れてしまう今だけの大切な気持ちだと思いますよ 。」

 

穂乃果「よぉーーーーしっ…!

 

2人とも、行こうっ!!」

 

海未「はい!」

 

ことり「うんっ♪」

 

 

 

 

 

 

Field・9

 

space

 

 

 

 

 

 

海未「これはっ…!

ガンダム本編に登場した、ソロモン宙域のマップ…!」

 

ことり「海未ちゃんと穂乃果ちゃんはソロモンの要塞内部に向かって!

私は敵を牽制しながら2人のいるところまで誘導する!」

 

穂乃果「わかった!

行こう、海未ちゃん!」

 

海未「そううまくは…行かないようです!」

 

 

 

飛来したガンビットにいち早く気づいた海未が、バーニアで攻撃を避けつつケルベロスを向けて発射する。

 

海未「ガンビットの飛来方向は…

あっちです、ことり!」

 

即座にガンビットの軌道を計算、角度を割り出した海未がことりに座標を転送する。

 

 

ことり「わかった!」

 

ことりのウイングゼロが、バスターライフルを連結させてその座標に向けロックオンした。

 

ことり「ツインバスターライフル…

行けぇぇ!!!」

 

 

その一撃はソロモンの一部を直撃し、狙った位置を見事に捉えていた。

 

 

 

 

ユウマ「もらったぁ!!!」

 

ツインバスターライフルの反動で動きのにぶったウイングゼロの背後から、ユウマのライトニングガンダムフルバーニアンが変形を解いてビームサーベルで突撃するのを、穂乃果は見逃さなかった。

 

 

穂乃果「あっちに意識を向けさせて背後をとる作戦…

でも!」

 

ゴッドフィールド・ダッシュを駆使して、ライトニングに接近し穂乃果のゴッドガンダムが、腰のビームサーベルを抜いて斬り込んだ。

 

ユウマ「さすが穂乃果さんだ…

早いっ!」

 

踵を返してゴッドと組み合ったライトニングの後ろから、セカイのトライバーニングが後を追ってやってくる。

 

セカイ「次元!覇王流!!

せぇぇぇぇけん突きぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

 

穂乃果「2人は抑えきれないっ…!」

 

海未「させません!ことり!」

 

ことり「うんっ!」

 

迫るセカイに、ウイングゼロとグフカスタムがそれぞれの武器を向け、放つ。

 

しかしそれは、割り込んだ何かによって防がれた。

 

 

フミナ「セカイくん大丈夫!?」

 

セカイ「大丈夫です!!」

 

ビームを止めた主は、フミナのスターウイニングのビットであった。

 

互いのチーム全員が、その宙域に揃っていた。

 

 

 

ユウマ「ガンプラのクオリティでは負けていないはずなのに…

むしろ押し返される…!?」

 

穂乃果「いけぇ!!」

 

パワーでライトニングを押しきった穂乃果のゴッドが、続けざまに蹴りを入れると、ライトニングは成す術なく吹き飛ばされた。

 

 

 

ユウマ「ここまでとは…!」

 

想像以上の実力に、驚きを隠せないユウマ。

 

海未「もらいました!!」

 

先回りしていた海未が、ヒートダガーを両手に持ってライトニングに突き刺すが、間一髪でそれを避けたユウマは、ライフルを前面に突きだして連射する。

 

海未「…作戦、成功です!」

 

海未が珍しく不敵に笑うと、ライトニングのバックパックの左側のバーニアがその動きを止めた。

 

ユウマ「ダガー!?…

あのとき投擲していたのかっ!」

 

確かに、バックパックには海未のグフカスタムに装備されているヒートダガーが突き立てられていた。

 

海未「さあ…!

行きますよ!」

 

アンカーを放ち、動かなくなったライトニングのバーニアを捉えた海未が、ジリジリと逃げようとするライトニングに迫る。

 

ユウマ「…ッ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

かたや、穂乃果たちは。

 

 

穂乃果「そこだぁ!!」

 

フミナ「くっ…!」

 

ビームサーベルを取り出して、スターウイニングにつばぜり合いを仕掛ける穂乃果の背後を、ことりのウイングゼロがカバーしていた。

 

 

 

セカイ「穂乃果さんだけじゃない…

μ's、やっぱりすげぇ…!!」

 

ことり「セカイくんの拳…

見切るのがやっと…!」

 

純白の翼を羽ばたかせながらセカイを撹乱することり。

 

しかし、ウイニングのビットの不穏な動きを見た穂乃果が、ウイニングとのつばぜり合いを解いて一旦ことりと背中を合わせる。

 

穂乃果「ことりちゃん…

敵のビットが消えた…」

 

ことり「え…!?」

 

セカイ「いくぜっ!!」

 

 

一瞬の隙を付かれ、突撃してきたトライバーニングへの応戦が遅れたことりを庇うように穂乃果のトライゴッドが割って入り、右手を突きだして拳を拮抗させる。

 

穂乃果「ことりちゃん!

そっちはお願い!」

 

ことり「わかった!穂乃果ちゃん!!」

 

ビームサーベルを抜き、ウイニングにゼロが切りかかると、ウイニングは小さな体躯ながらも応戦する。

 

 

フミナ「頼んだわよ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

海未「…なかなかしぶといですね…!」

 

ユウマ「当たり前だ…

諦めてたまるか…!!」

 

 

ユウマの粘りによりアンカーをつけたままでお互いに消耗していた2機のもとに、何かが飛来した。

 

 

ユウマ「…!

さすがフミちゃん…

これならっ!」

 

 

気づいたユウマが、アンカーのかかったバーニアをパージしてライフルを構えると、その砲口の前に飛来した何かが四方を向いて並んだ。

 

海未「あれは…?」

 

ユウマ「プラフスキー・パワーゲート!!

展開っ!!!」

 

ユウマの掛け声に合わせるように、ビットが少し空間を空けたと思うと、その中心に円形の青いフィールドが出現した。

 

海未「位置から見るに…ビームの威力を増大させるもの…!?

これでは…!」

 

海未が射線上から離れると同時に、穂乃果とことりに通信を入れた。

 

海未「穂乃果、ことり、まずいです!

避けて―――――――」

 

 

 

海未が言い終える前に、威力の増大されたライトニングのライフルが火を吹いた。

 

 

 

 

 

 

フミナ「セカイくん!

ユウくんの射撃が来る、避けて!」

 

セカイ「わかりましたっ!」

 

 

タイミングを見計らって、組み合いから脱したトライファイターズの2機が、射線から離脱する頃には、海未の通信も虚しく、穂乃果たちには避けきれない位置までビームが迫っていた。

 

 

ことり「穂乃果ちゃん!!どいて!!」

 

穂乃果「ことりちゃん!?」

 

ことり「間に合わなくなっちゃう…!

早く!!」

 

穂乃果「…!

わかった!!」

 

穂乃果がことりの後ろに下がったのを見届け、ことりが突きだしたツインバスターライフルをユウマの放ったビームにぶつけた。

 

 

ことり「こんなところで…穂乃果ちゃんはやらせない…!!」

 

互いのライフルから流れ出るように放出されるビームが、戦場を照らした。

 

 

ことり「…!!」

 

ウイングゼロのツインバスターライフルが、断続的にかかる負担で少しずつその形を歪めつつあった。

 

しかしそれはユウマのライトニングも同じであった。

 

ユウマ「…限界か!」

 

 

ユウマが離脱しようとした瞬間、背後に何かが接近していることに気づく。

 

ユウマ「敵か!?

 

…!」

 

 

 

 

 

その直後、ユウマが放っていたビームが消え、ことりのツインバスターライフルが宇宙を疾った。

 

 

ことり「やった…?」

 

フミナ「まだよ!!」

 

 

穂乃果「いつの間に向こうまで…!?」

 

響いたのは、ユウマの声ではなく、さっきまで穂乃果たちと戦っていたはずのフミナの声だった。

 

 

 

フミナ「ビームを避けた隙を突かせてもらったわ!

 

ウイニング…

ビィィィィィィィムッッ!!!!!」

 

 

ビットを媒体とし、リアル等身に変形したスターウイニングの頭部から、Wの形をしたビームが先程のライトニングのビームに勝るとも劣らない出力で発射された。

 

 

ことり「もう…ライフルは…」

 

穂乃果「ありがとう、ことりちゃん。

後は任せて!」

 

ツインバスターライフルの反動で宙を漂うことりのウイングゼロの前に立ちはだかった穂乃果が、トライゴッドガンダムの両手を深紅に染めていく。

 

ことり「穂乃果ちゃん…?

無茶だよ!」

 

穂乃果「でも!」

 

 

強い口調で言った穂乃果はそれ以上なにも言わず、ビームの来る方向をみつめた。

 

 

 

 

 

次の瞬間、システム外にも響くような轟音がフィールドを包んだ。

 

 

穂乃果「うおおおおおおおお!!!!!!!」

 

両手を広げ、ビームを受け止める穂乃果。

 

 

海未「穂乃果!!」

 

ことり「穂乃果ちゃぁん!!!」

 

 

 

 

 

 

そしてビームが徐々に収まり、消えたあと。

 

 

 

そこに穂乃果の姿はなかった。

 

 

 

 

 

フミナ「よし、あと2機―――――――」

 

セカイ「まだです!!!先輩!!!!!」

 

フミナ「え…!?」

 

 

 

 

 

 

ウイニングの頭上、輝いていた星のひとつが超速でウイニングに迫る。

 

 

 

穂乃果「ばぁくねつ!!!!!

ゴッド…

フィンガあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

降り注ぐ流星の如く、スーパーモードを発動した穂乃果がフミナに迫るのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 2期#10

限界のその先へ

に、続く!




いかがでしたでしょうか?

次話も早い段階で投稿したいとは思っておりますが、いつになるかはわからないので気長にお待ちください…( ´_ゝ`)


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2期#10『限界の向こう側へ』

vsトライファイターズ、クライマックスとなっております!
早めの投稿ですがすこし短めかもしれません…

しかし手は抜いておりません!




ではどうぞ!


2期#10 限界の向こう側へ

 

 

 

 

 

フミナ「よし、あと2機―――――――」

 

セカイ「まだです!!!先輩!!!!!」

 

フミナ「え…!?」

 

 

 

 

 

 

ウイニングの頭上、輝いていた星のひとつが超速でウイニングに迫る。

 

 

 

穂乃果「ばぁくねつ!!!!!

ゴッド…

フィンガあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

降り注ぐ流星の如く、スーパーモードを発動した穂乃果が、ウイニングの頭部を掴んでそのままの勢いで小惑星に叩き付ける。

 

 

フミナ「なんてスピードなの…!?」

 

穂乃果「もらったぁ!!!」

 

 

 

 

穂乃果の声と共に、激しい爆発が周囲を包んだ。

 

 

 

 

 

穂乃果「これで…え!?」

 

確かな手応えを感じていた穂乃果は、煙のなかに光る緑の双眸に焦りを隠せずにいた。

 

フミナ「まだ…まだここでは負けられない…!!」

 

 

ウイニングはリアルモードを解いてSDの頭身に戻り、リアル頭身時のソードを盾がわりにして攻撃を耐えきったのだった。

 

フミナ「セカイくん!!」

 

セカイ「了解です!!」

 

海未「はっ!?

いけない!ことり!!」

 

 

 

 

ウイニングから分離、再び飛び出したガンビットが、セカイのトライバーニングに近づく。

 

 

ユウマ「行かせないッ!!」

 

海未「っ…!!

このスピード…お互いに手負いでは此方が不利…!!」

 

気迫で海未を止めたユウマと穂乃果を抑えるフミナの視線の先で、セカイの拳をプラフスキー・パワーゲートが包む。

 

 

 

セカイ「食らえええぇええええええええええええええ!!!!!!」

 

光に包まれた拳が、今だ動けないことりのウイングゼロに向けられる。

 

 

ことり「どうして…

動いて…!

このままじゃ負けちゃうから!

海未ちゃんと穂乃果ちゃんと…

μ'sみんなでここまで来たのに!

ここで終わりたくない!!」

 

 

 

 

ことりの魂の叫びが届いたのか、ウイングゼロ・フォーゲルの瞳に光が宿る。

 

 

 

セカイ「うおおおおおおおお!!!!!!!」

 

 

トライバーニングが突っ込んでくるのとほぼ同じタイミングでその羽を羽ばたかせ、間一髪セカイの一撃を避けたウイングゼロが、ひしゃげたツインバスターライフルをその手に掴んだ。

 

 

ことり「穂乃果ちゃん…

海未ちゃん!

 

あとはお願い!!!!」

 

 

 

辛うじて動く右手で、定まらない照準を合わせ、残された粒子を全て使った一撃が、セカイではなく、穂乃果と組み合っているウイニングに向けられた。

 

フミナ「セカイくんじゃなくて私を狙うなんて…

 

でも!」

 

穂乃果「させないっ!

 

ヒィィィィィトォォ…エンドッ!!!!」

 

 

掴んでいたソードの爆発により、ウイニングがさらに小惑星にめり込む。

 

 

フミナ「…!」

 

 

 

 

 

 

ビームの波が、小惑星もろともスターウイニングを包んだ。

 

 

 

 

 

ユウマ「フミちゃん!」

セカイ「先輩!!」

 

海未「ことり!?」

穂乃果「ことりちゃん!!!」

 

 

 

 

 

辛うじて残されたウイニングのガンビットが、セカイのトライバーニングの背中に装着される。

 

 

 

フミナ「抜かったわ…!

でも、向こうも…」

 

 

 

 

フミナの視線の先には、最後の力を振り絞ったことりのウイングゼロ・フォーゲルが、力なく浮遊していた。

 

ことり「ごめんね、2人とも…

信じてるから…!!」

 

 

 

 

2人は返事をしなかった。

ただ、無言で頷いた。

 

 

 

 

 

ユウマ「押しきれる!!」

 

つばぜり合いの隙をついたユウマが、海未のブラストグフカスタムの懐まで踏み込むが、上体を低くしていたライトニングの顔面にグフはオーバーヘッドキックを決め、吹き飛んだライトニングをケルベロスで追撃する。

 

 

ユウマ「蹴り…だと!?」

 

海未「武器がなくなれば戦えないなど…

言い訳です!!」

 

 

片方が損傷させられ、もう片方しか発射できないケルベロスをライトニングに向け、海未は目をつぶった。

 

 

 

海未「放てる矢は一撃のみ…。

ここで決めて見せます!!」

 

 

ブラストグフカスタムのモノアイが強く光った。

 

 

海未「ラブアロー・シュートッ!!!!!!!」

 

 

 

弓道を嗜んでいた経験が、その狙撃を一直線に目標へと向かわせる。

 

 

 

ユウマ「こんなところで…!」

 

飛ばされた勢いそのままに、無理矢理宙返りをしたユウマのライトニングが、海未の一撃をバックパックだけの被弾に抑えることに成功する。

 

海未「外れた!?」

 

ユウマ「うおおおおお!!!!!!」

 

宙返りして小惑星に着地したユウマが、ありったけの勢いで小惑星を蹴って海未に迫った。

 

海未「…!!」

 

 

 

 

 

 

 

かたや、ソロモンの要塞上では。

 

ついに両チームのエースが、その顔を合わせていた。

 

 

穂乃果「ついに…だね」

 

セカイ「はいっ!」

 

 

 

互いにニッと笑うと、一度元に戻っていた穂乃果のトライゴッドガンダムがバックパックを展開しつつ金色に染まって行く。

一方でセカイのトライバーニングガンダムは、青く輝いていたクリアパーツが灼熱の炎に包まれながら橙色に染まると同時に一部の装甲が剥離する。

 

 

 

 

バガァァァァァンッ…

 

 

 

 

2機の姿が消えたと思うと、次の瞬間次の瞬間ソロモンの一部で衝撃波が起こった。

 

1度だけではない、次々と。

金と橙の閃光と化した2機が、ところ狭しと各所でぶつかり合う。

 

 

次に2機を目視できたのは、ソロモンの外部で両腕を組み合った時だった。

 

擦れたような傷が両機の激闘を物語る。

 

穂乃果「これが…セカイくんの本気っ…!!」

 

顔に擦り傷を作った穂乃果が、以前笑みを浮かべながら言う。

 

それはセカイも同じだった。

 

セカイ「エキシビジョンの時とは話が違う…!

強いっ…!」

 

 

互いが組み合った腕を解いて距離を置くと、その右手を両機が高く掲げた。

 

 

穂乃果「ばぁぁくねつっ!!!!!」

 

セカイ「次元覇王流!!!!!」

 

 

突っ込んで右手を振りかぶりながら、2機が技と技を交錯させる。

 

 

穂乃果「ゴッドフィンガああああああああああ!!!!!!!」

 

セカイ「りゅぅぅぅせぇぇぇ螺旋けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウマ「とった!!」

 

 

海未のグフカスタムを、ユウマのライトニングのビームサーベルが貫いていた。

 

海未「私としたことが…!」

 

ユウマ「これで援護に…

 

何!?」

 

ユウマが何かに気づいて確認すると、ライトニングの背部に射出式のアンカーが気づかぬうちに差し込まれていた。

 

海未「行かせません…

なんとしても…!」

 

腹部にビームサーベルを突き立てたまま、グフカスタムが回収していたアンカーを刺された瞬間に射出したのだった。

 

 

ユウマ「くっ…!」

 

残されたもう片方のビームサーベルでアンカーの切断を試みるユウマだが、ビームサーベルを持った左のマニュピレータにグフカスタムの投げたヒートダガーが突き刺さり、アンカーから逃げるすべを失った。

 

 

海未「穂乃果の邪魔は…絶対にさせません!!」

 

グフが、機体全身に残されたまだ動くバーニアを全力で吹かすと、バックパックを失ったライトニングは対抗できずにアンカーに振り回されてゆく。

 

 

ユウマ「まだこんなパワーが…!?」

 

 

 

小惑星に叩きつけられ、動けなくなったライトニングを、海未のグフカスタムが両手に持ったヒートダガーで仕留めにかかった。

 

 

海未「これで…!」

 

ユウマ「させない!!」

 

 

迫るグフカスタムの腹部に残ったビームサーベルめがけ、ライトニングが左腕のビームガンを放つと、そのエネルギーでビームサーベルが爆発する。

 

 

海未「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ユウマ「うぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

 

 

 

 

突撃した海未とビームガンを連射するユウマ、最後には互いの機体が激突して激しく爆ぜた。

 

 

 

 

 

爆発が引き、2機が露になると、そこには大破した2機が浮遊していた。

 

ユウマ「セカイ…頼んだぞ…!」

 

海未「穂乃果…!任せましたよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セカイ「ユウマ!?」

穂乃果「海未ちゃんっ!?」

 

仲間の撃破に気づいた2人が一瞬、表情を変えるが、互いが撃破された以上、今は目の前の戦いに集中せねば…

 

穂乃果もセカイも気づいたのだろう、顔を背けることはせず、ぶつかり合う右手に意識を集中する。

 

 

 

穂乃果「っぐ…」

 

軋む音を上げるゴッドの右手。

それは穂乃果の右腕にも伝わっていた。

 

しかし同じアシムレイトのセカイも限界だったのだろう、ぶつかり合う右手を引きながら一旦後退した。

 

 

セカイ「想像以上です…!」

 

セカイがにっと笑って言うが、額には汗が光っていた。

 

穂乃果「セカイくんも…!」

 

穂乃果の額にも汗が流れている。

 

 

 

 

Time:2:00

 

 

 

残り時間が2分を告げた途端、2機の様子が変わった。

 

 

 

 

穂乃果「…決める!」

 

地区大会・A-RISE戦で見せたアシムレイトの覚醒状態を再び起こした穂乃果が、トライゴッドガンダムの両手を深紅に包み、背部の光輪に9本の炎を迸らせ、周囲の粒子を輝かせる。

 

 

セカイ「…行きましょう!先輩!ユウマ!」

 

セカイのトライバーニングがその輝きを増したかと思うと、スターウイニングから託されたビットとファンネルがユウマのときと同じように展開し、フィールドを生成する。

 

 

 

 

次の瞬間、2機は超速でその距離を積め、見つめあうような距離にいた。

 

 

 

 

 

穂乃果「石破っ!!!!!」

 

セカイ「プラフスキーパワーゲートっ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

穂乃果「天驚けぇぇぇぇぇぇん!!!!!!!」

 

セカイ「次元覇王流!!!!!

せぇぇぇぇぇけん突きぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

穂乃果の撃ち出した石破天驚拳とセカイの両拳がぶつかり、交わりあう炎が周囲を照らす。

 

穂乃果「ここで…ここまできて…

みんなできて…!

負けられない!!」

 

セカイ「それはこっちだって!!

 

3人で…3人で勝ってみせる!!!!」

 

 

 

 

 

 

石破天驚拳を破ったセカイが、穂乃果に突っ込む。

 

セカイ「いけええ!!!」

 

穂乃果「まだぁぁぁ!!!、」

 

 

 

 

 

両手と両手をぶつけ合い、1つの火の玉のように燃え上がって拮抗する2機。

 

やがて互いの右手が相手の左手を押し込んでゆく。

 

 

 

 

 

 

穂乃果「ぐぅぅっ…!!」

 

セカイ「なっ…!?」

 

 

互いの右手が相手の左手を押しきり、殴り合う格好になった2機。

 

穂乃果「…でも!」

 

穂乃果のゴッドガンダムの右手が、トライバーニングの顔面を握りしめた。

 

 

 

 

セカイ「諦めない!

諦めて…たまるかあああああああ!!!!!!」

 

 

ふらふらになった左腕の横、空いたゴッドガンダムの脇腹めがけて拳を突き出すセカイ。

 

 

穂乃果「んぐっ…!」

 

アシムレイトの効果で、穂乃果を激しい痛みが襲う。

 

 

穂乃果「これで…

これでぇっ!!!!」

 

 

それを乗り越えた穂乃果のトライゴッドガンダムの右手の深紅が、その熱を押さえ込んだかのようなオレンジへと輝きを変えた。

 

 

 

 

 

 

穂乃果「ヒィィィィィィトォォォォ…!

 

エンドッ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイムリミット直前、秒が0:02と0:03を交互に表示している。

 

 

 

静まり返った戦場、燃え上がる炎とその煙の中に。

 

 

 

 

背中に9本の炎を迸らせた、赤い拳のガンダムが佇んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回

2期#11

「覚悟の理由」

 

 

に、続く。




いかがでしたでしょうか!

次回、もうひとつの戦いがその幕を開けます!

そして決勝へ向かって、この物語も間もなく終わりの扉に手をかけようとしております。




これまで応援してくださった皆様、新しく読んでくれた皆様、ほんとうにありがとうございます。
絶対に完走して見せるので、しばしお付き合いいただければ幸いです。


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2期#11『決意の理由』

お待たせしました!

今回からはもうひとつの戦いが幕を開けます!

そして、新たな"なにか"も…?

ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

海未「全国大会準決勝…私たちは互いに2機を撃破し、残すは両チームのリーダーのみ!」

 

ことり「時間は過ぎて、制限時間を過ぎる直前…

穂乃果ちゃんが…?」

 

 

 

 

 

 

2期#11 覚悟の理由

 

 

 

 

 

観客も、メイジンも、全員が息を飲んでステージを見つめた。

 

 

爆煙の引いた戦場に、燃え上がる炎が見える。

 

 

 

 

 

穂乃果「私の…勝ち…だ…!」

 

穂乃果が力なく言うと、ゴッドガンダムは膝立ちになって炎は引いてゆく。

激しく消耗したのだろう、穂乃果は汗だくでくたくたになっていた。

 

 

セカイ「…さすが、です」

 

トライバーニングを包んでいた灼熱の炎が消え、その瞳が輝きを失うと、メイジンの声が響いた。

 

 

メイジン「勝負あり!!!!

 

この勝負…

音ノ木坂学院・μ'sの勝利だっ!!!!!!」

 

 

 

…ワァァァァァァァァーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!

 

 

μ'sが今まで聞いた歓声よりも一際大きな歓声が、会場を包んだ。

 

 

穂乃果「やっ…た…」

 

気を失いそうになる穂乃果を、海未とことりが肩を貸して支える。

 

海未「穂乃果…よくやってくれました…!」

 

ことり「信じてたよ!穂乃果ちゃんっ!」

 

穂乃果「えへへ…ありがとう…」

 

 

 

 

ユウマ「セカイ!!」

 

かたやトライファイターズも、気の抜けたように倒れ込みそうになったセカイを受け止め、声をかけ続ける。

 

セカイ「先輩…ごめんなさい…

俺はまだまだ…未熟で…」

 

フミナ「セカイくん!

よく戦ってくれたわよ…!なにも謝ることなんてないわ!」

 

ユウマ「そうだ!

あと少し…

なにかが及ばなかったんだ、きっと…っ!」

 

セカイ「ユウマ…俺…

穂乃果さんと戦って…わかったんだ。

 

このままじゃ…穂乃果さんたちは…決勝で…」

 

 

ここまで言い残し、セカイは気を失ってしまった。

 

ユウマ「セカイ!!」

 

フミナ「セカイくん!?」

 

 

 

 

 

そして両方のチームに救護班が出向き、残された4人が歩み寄った。

 

 

海未「ありがとうございました。

とても…心から熱くなれる勝負でした。」

 

ユウマ「お礼を言うのはこっちです。

 

それと…試合中の無礼な言葉遣い、申し訳ありません…」

 

海未「気にしないで大丈夫ですよ。

気持ちは私もわかりますからね」

 

微笑んだ海未に、ユウマは少しどぎまぎする。

 

 

 

フミナ「最後の一撃、見事でした…

感服です!」

 

ことり「私はあんなに的確な判断できないから…

だから、フミナちゃんもすごいと思ったな♪」

 

フミナ「ありがとうございます!」

 

フミナとことりは笑顔で握手を交わした。

 

 

 

 

それを見ると、一旦は落ち着いていた会場の各所から再び歓声が上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

ツバサ「…まさかね。

 

これも天の悪戯…にしては出来すぎかしら。」

 

あんじゅ「これを誰より望んでいたのはツバサじゃないの?

 

このまま、私たちも…」

 

英玲奈「そうなりたいのではなく、そうするために戦おう。

答えはきっと、戦ってるうちに見つかる」

 

ツバサ「そうよね。

 

もう…

もう、あんな風には…」

 

 

 

 

 

 

ー遡ること1年前、前回の全国大会にてー

 

 

 

 

ツバサ「あんじゅ!?英玲奈っ!?」

 

キジマのトランジェントガンダムが、GNパルチザンをツバサの乗るエクシアに向ける。

 

キジマ「ひとつ聞こう。

君たちはなんのために戦っている?

 

アイドルとしての売名の為に戦っているのであれば…そんな輩に我々は負けない」

 

ツバサ「…えぇ、あなたの言うとおり…

売名の為に戦ってきました…今までは…」

 

キジマ「今"まで"?」

 

ツバサのエクシアがキジマのトランジェントを見つめる。

 

ツバサ「売名の為に戦っていた…はずなのに。

 

何より悔しくて…あっけなさ過ぎて自分に腹が立って…

適当に始めたガンプラだから…適当でいいやって、そう思っていたのに…」

 

ツバサの目に、次第に涙が浮かぶ。

 

ツバサ「だから…!

私も、質問させてください…!!

 

強く…

強くなるには、どうしたらいいですか…」

 

キジマは一瞬ぎょっとした顔をし、答えた。

 

 

キジマ「ガンプラと…向き合うことだ」

 

 

 

 

A-RISEの3人の手に、それぞれのガンプラが握られていた。

 

ツバサ「これが…私たちの結果…」

 

 

 

『いいガンプラだな』

 

 

不意に響いた声に、ツバサは辺りを見渡す。

声の主は背後、とはいっても少し遠くにいた。

 

 

ツバサ「キジマ・ウィルフリッド…!」

 

キジマ「1年ぶりだな。

 

予選も含め君たちの試合、見せてもらった。

ガンプラの完成度、そしてファイターの腕…

両方素晴らしいな」

 

ツバサ「どういうつもり…?」

 

キジマ「そう気負う必要はないさ。

 

ただひとつ、私たちと試合する前に伝えておきたいことがある。」

 

ツバサ「伝えておきたいこと…」

 

 

キジマ「そうだ。

 

 

今の君たちには大切なものが足りていない。

それでは我々とはまともに戦うことすらままならないだろう。」

 

あんじゅ「足りない…」

 

英玲奈「もの…?」

 

キジマ「しかし、腕では君たちより一枚下かもしれないが、それを忘れずに戦っているからこそ勝利を掴みとったチームがある。」

 

含みを持たせるようにキジマが言うと、ツバサが答えるかのように言った。

 

ツバサ「…音ノ木坂学院、μ's」

 

キジマ「その通りだ。

 

彼女たちにあって君たちにないもの…

試合まであまり時間もないが、どうか探してみてほしい。

 

そして、いい試合をしよう」

 

そう言い残すと、キジマは去っていった。

 

 

 

 

 

少しあと。

穂乃果の休む部屋のドアを叩く音があった。

 

穂乃果「どうぞ!」

 

すっかり回復した穂乃果が答えると、ドアの向こうから現れたのはツバサだった。

 

穂乃果「ツバサさん!!」

 

ツバサ「穂乃果さん…

まずは決勝進出おめでとう。」

 

穂乃果「ありがとうございます!

 

…なにかあったんですか?」

 

ツバサの不安げな表情からなにか感じたのか、穂乃果が少し心配そうに言う。

 

ツバサ「変なことを聞くけど…

 

ガンプラバトルにおいて、穂乃果さんたちμ'sにあって、私たちA-RISEにないものってなんだと思う?」

 

穂乃果は眉をひそめ、しばらく考えている様子だったが

 

穂乃果「すいません、わからないです…」

 

と、申し訳なさそうに呟いた。

 

ツバサ「そう…

確かに明確な答えを貴女たちがわかっていたら、キジマ・ウィルフリッドもあんな言い方をしないかもしれない…」

 

穂乃果「ガンプラ学園になにか言われたんですか?」

 

聞き逃さなかった穂乃果の問いに、ツバサはさっきあったことを説明した。

 

 

穂乃果「そんなことが…」

 

ツバサ「えぇ。

 

時間もないわ。穂乃果さん、ひとつだけ聞かせて?」

 

時計を見たツバサが、早口ぎみに言う。

 

ツバサ「貴女たちの…

μ'sの、勝つ秘訣って何?

戦いへの向き合いかた、技術…なんでもいいから、ヒントがほしいの。

 

ガンプラ学園に…勝ちたい。」

 

視線を斜め下にずらしたツバサの耳に、意外な言葉が向けられた。

 

穂乃果「勝ち負けじゃないんです。

私たちのバトルは、私たちらしく、楽しんでやることが大事で。

 

勝ちたいって思う気持ちも大事です。でもきっと、それだけじゃガンプラバトルを楽しめないんじゃないかなって…

 

そう…思います」

 

 

 

それを聞くと、半分閉じられたツバサの目が、はっと気づいたかのように見開かれた。

 

ツバサ「自分らしく、楽しむ…

なるほどね…

 

ありがとう穂乃果さん。

 

決勝で、会いましょ」

 

いつもの余裕に満ちた笑みを浮かべ、ツバサは穂乃果の部屋を後にしたのだった。

 

 

 

 

穂乃果「私、ツバサさんにあんなこと言っておいて…

みんなに何て言えばいいんだろう…

 

自信より、プレッシャーの方が多いなんて…」

 

準決勝で打ち砕かれた、穂乃果の自信。

それはまるで、半壊以上の損傷を受けたトラゴッドガンダムに照らし合わせるかのようだった。

 

穂乃果「知らぬ間に、私はできるって思ってたのかな。

まだまだどうしようもない、始めたばっかりの身なのに…」

 

崩れかけたトライゴッドガンダムを握りしめ、穂乃果は静かに涙を流したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「ではこれより!準決勝第2試合を開始する!!」

 

 

ツバサが穂乃果の部屋を後にして約30分。

メイジンのアナウンスが会場に響き、決勝進出を決める運命の準決勝がその幕を開けようとしていた。

 

 

にこ「来るのね…ついに」

 

ことり「どう転んでも決勝は強敵だね…!」

 

穂乃果以外のμ'sメンバーも、今回ばかりはかじりつくようにLIVEモニターを見つめている。

 

花陽「双方ともかなりの腕の持ち主…

この試合、荒れますよ!」

 

希「ウチらまで緊張してまうなぁ…!」

 

絵里「きっと、ガンプラ学園が、A-RISEの言う倒すべき相手なんでしょうね…」

 

真姫「どっちが勝っても、私たちは私たちでベストを尽くしましょ。」

 

 

 

メイジン「ではまず!

UTX学園、A-RISEの入場だ!」

 

メイジンのアナウンスに合わせA-RISEが登場するが、その衣装はライブのときのものだった。

 

 

ツバサ「(穂乃果さん…

これが、私たちらしさよ!)」

 

自信に満ちた顔で、システムに歩み寄る。

 

メイジン「続いて!

ガンプラ学園・チームソレスタルスフィアの登場だ!!」

 

 

反対側からガンプラ学園の面々が登場し、ツバサたちの衣装をみてキジマだけはニヤリと笑った。

 

キジマ「アドウ、シア…

この試合、楽しめそうだ!」

 

 

 

メイジン「では勝負に移ろう!」

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

ツバサ「さあ二人とも、準備はいい?

 

ここはステージ…

私たちらしく、輝くわよ!」

 

あんじゅ「はーい♪」

 

英玲奈「ああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして海未は一人、部屋にこもって作業をしていた。

 

海未「…!

 

これで、完成しました!」

 

 

 

海未の目の前に、鮮明な橙を携えたガンプラが立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

次回

2期#12

1年という刻

に、続く!




いかがでしたでしょうか!
短めですいませんが内容は詰めたつもりです!

次話も早めに投稿しようと思っていますのでお待ちください!


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2期#12『1年という刻』

お待たせいたしました!
準決勝・第2試合です!

果たして1年という時間はA-RISEに何を与えたのか?
ガンプラ学園と、どのような勝負を繰り広げるのか?

そして前回、海未が作り上げたものとは…?


ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

花陽「勝負の末、ついに決勝への切符を勝ち取った私たち!」

 

凛「そして準決勝第2試合…

A-RISEとガンプラ学園の戦いが始まるにゃぁ!」

 

 

 

 

2期#12 1年という刻

 

『キジマ・シア、Gポータント!』

 

『統堂英玲奈、ガンダムエピオンヴァイオレット!』

 

『アドウ・サガ!ガンダム・ジ・エンド!』

 

『優木あんじゅ、ストライクフリーダムヴィヴィッド!』

 

『キジマ・ウィルフリッド、トランジェントガンダム!』

 

『綺羅ツバサ、ダブルオーA-RISER!』

 

6人『出ます!!』

 

 

Field:2

 

city

 

 

 

開戦直後、ツバサたちの目には、今も記憶に焼き付く、1年前と同じビル郡が飛び込んできた。

 

 

ツバサ「これは…あの時と」

 

あんじゅ「おんなじね…」

 

英玲奈「二人とも、感傷に浸る暇はなさそうだぞ」

 

英玲奈の見遣った方向に、煌めくGN粒子が視認できた。

 

 

 

キジマ「先手はとらせていただく!!」

 

トランジェントのGNパルチザンの先端が展開、そこから大出力のビームがツバサたち目掛けて発射された。

 

ツバサ「英玲奈!」

 

英玲奈「任せておけ…!」

 

ゼロシステムを発動させ、その身をさらに深い紫に包んだエピオンが、ビームの中心に立ちはだかる。

 

英玲奈「…はぁぁぁっ!!!」

 

英玲奈の声に反応するかのように、エピオンの右手に装備されていたビームソードがその出力を上げ、ビームを真っ二つに切り裂いていく。

 

キジマ「何…?

あのビームを切り裂いているのか!?」

 

英玲奈「それだけではないぞ!」

 

ビームを受けきったエピオンの手に握られたビームソードが、その大きさを増大させているのが遠方からでもはっきりわかった。

 

英玲奈「A-LIVEシステムの応用…

このエピオンの剣は、ビームを吸収してその強靭さを増す!」

 

英玲奈が振りかぶって放った一撃が、大地に切れ込みを刻んだ。

 

シア「なんて技術と威力なの…?」

 

アドウ「おもしれぇ!いくぜ!ファングゥ!!!」

 

アドウが急速で接近し、ジエンドの巨大な腕の指先からファングを射出する。

 

ツバサ「あんじゅ!」

 

あんじゅ「わかってるわ!」

 

ツバサのダブルオーがオーライザー部分を前面に向けGNミサイルを発射するのと同時に、あんじゅのストライクフリーダムが飛び出し、上空からドラグーンとビームライフルでビームの雨を降らせる。

 

するとビームにミサイルが誘爆し、その爆発にファングが巻き込まれて行く。

 

アドウ「届かねぇか…なら!」

 

キジマ「待てアドウ!

 

敵のミサイル…

どうやらセンサーの類を撹乱するタイプのGNミサイルのようだ…

迂闊に動けば撃たれるぞ!」

 

アドウ「構うかぁ!」

 

キジマの忠告を無視して、自分の勘だけで行動したアドウの目の前に、シアのGポータントが割って入った。

その瞬間、前方からのビームがポータントを捉える。

 

シア「アドウさん…

これはチーム戦よ。

リーダーは兄さん。

 

相手は強敵なんだから…

行動を乱さないで」

 

 

粒子変容フィールドを展開してビームを抑えたシアが、アドウに真剣な声で言う。

 

アドウ「…チッ、わーったよ」

 

アドウが後退し、キジマのトランジェントにジエンドが並ぶ。

 

束の間の膠着状態を破ったのは、ツバサのダブルオーだった。

 

 

ツバサ「…トランザム!」

 

 

トランザムが発動され、その機体を紅に染めたダブルオーA-RISERが、ミサイルによってばらまかれた粒子を吹き飛ばしながら両腕のGNソードⅢをソードモードに展開して突っ込んだ。

 

キジマ「来たか!」

 

キジマが察して急上昇をかけると、気づいたツバサもアドウとシアを突っ切ってキジマを追う。

 

シア「そんな…?

今…なにも…見えなかった…

 

アドウ「へっ、想像以上だな…!」

 

通りすぎた後に吹きすさぶ風が、そのスピードを物語っていた。

 

 

あんじゅ「さ、英玲奈!」

 

英玲奈「ああ、我々も行こう」

 

変形してアドウとシアに突撃した英玲奈のエピオンの後方から、あんじゅのストライクフリーダムが絶妙な援護を加える。

 

英玲奈「そこだっ!!」

 

アドウ「…ッ!」

 

防戦を強いられる2機に、英玲奈がその剣を振るった。

 

アドウ「思い上がるんじゃねぇ!!

デッドエンド・フィンガーッ!!!!」

 

クロークを展開したジエンドの巨大な腕が禍々しいオーラに包まれたかと思うと、降り下ろされた腕が英玲奈のエピオンのビームソードとぶつかり合った。

 

英玲奈「この出力は…!?」

 

アドウ「こっちだってなぁ、ぼーっと1年間待ってたわけじゃねぇんだよっ!!!!」

 

バチバチと、激しくぶつかり合う音を立て、2機は互いに距離をとった。

 

あんじゅ「そこっ!」

 

隙をみたあんじゅが、連結させたビームライフルをジエンドに発射するのとほぼ同時に、ジエンドの腹部が開いた。

 

アドウ「あめぇぞ!!」

 

さながら大口を開いた悪魔の顔、とでも言うべきだろうか。

その口で、ジエンドはビームを"食った"。

 

アドウ「そんなビームじゃ、俺のジエンドは焼けねぇ!!」

 

あんじゅ「…なん…なの…?」

 

呆気に取られるあんじゅをシアのGポータントが背後から狙うが、いち早く気づいた英玲奈があんじゅを蹴飛ばしてビームサーベルを受け止めた。

 

英玲奈「あんじゅ!ぼさっとするな!

迷ってる時間は…ない!」

 

あんじゅ「英玲奈…!」

 

再び、ジエンドを見つめたあんじゅは、今度はクスィフィアスⅢ レール砲を展開し、ジエンドに向けて発射する。

 

あんじゅ「これなら受けられないはずよ!」

 

アドウ「考えたじゃねえか…でもなぁ!!!」

 

ジエンドが巨大な両手を握り、機体の前に翳すと、シールドがわりになったそれはクスィフィアスを受け流して見せた。

 

あんじゅ「な…!」

 

アドウ「まずてめぇからだぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、ツバサとキジマは。

 

キジマ「速い…追い付かれるか!」

 

迎撃の体勢を取ろうとしたトランジェントに、超速の蹴りが突き刺さった。

 

キジマ「蹴り…?

今のが剣であれば負けていたと…

そう言いたいのか…!」

 

吹き飛ばされながらなんとか体勢を直そうとするが、スピードが緩む前にダブルオーが背後に回ってはトランジェントに蹴りをいれ続ける。

 

ツバサ「もらった!!」

 

GNソードⅢをX字に翳し、吹き飛ぶトランジェントに追撃をかけるダブルオー。

 

 

キジマ「…私も…

なめられたものだ!!」

 

トランジェントが両手に持っていたパルチザンを手放すと、それは4つのビットとなってダブルオーに迫った。

 

ツバサ「これは…!?」

 

あらぬ方向からの攻撃で緩んだ追撃の手を、まるでそのままやり返すかのように、今度はキジマのトランジェントがダブルオーをその右手で殴り付けた。

 

ツバサ「仕返しというわけ…!」

 

四方八方から襲い来るビットに意識をとられ、トランジェント本体の動きまで見切るのはツバサであろうと困難な様子だった。

 

キジマ「ランスビット…

思ったより早く使わされてしまったが、ああも踏みにじられては仕方がない」

 

そう言いながらもキジマは、薄く笑みを浮かべた。

 

 

ツバサ「ぐっ…」

 

序盤から一転、防戦を強いられるツバサは、徐々に上空からその高度を落としていた。

 

ツバサ「これでは…落ちてしまうッ…!」

 

トランザムの解除も相まって、踏ん張りの利かない空中を舞うダブルオー。

 

キジマ「さっきまでの勢いはどうした!

見せてみろ…その本気を!」

 

ツバサ「なら…

お望み通りに本気で相手させてもらうわ!」

 

地表にまで落下したダブルオーが膝立ちの姿勢で着地し、あんじゅたちの戦っている方向へと進路を向けた。

 

キジマ「何!?

尻尾を巻いて逃げるか!」

 

ツバサ「何寝言を言ってるのかしら!

これは3対3のチーム戦…

なにも1対1で戦う必要なんてない!

危ないときに頼れるのが…チームでありメンバーなのよ!!」

 

A-LIVEシステムで粒子を回復させたダブルオーが加速し、再びトランザムを発動させてあんじゅと英玲奈の元へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

アドウ「まずはてめぇからだぁ!!!!」

 

接近したジエンドが、腹部の口で今にもストライクフリーダムに噛みつかんとしていた。

 

その時だった。

 

 

ツバサ「はぁっ!!」

 

ジエンドの巨大な腕、その片方が空を舞い、爆発する。

 

トランザムで急行したツバサの一撃が、背後からジエンドに決まった。

 

アドウ「な…?

確かにさっきキジマの野郎のほうにッ…」

 

驚きを隠せないアドウに、あんじゅが言う。

 

あんじゅ「目の前の敵を見すぎたわね。いただきよ!」

 

腹部の口、つまりは機体の真ん中に開いた穴に、あんじゅがビームライフルを差し込む。

 

アドウ「させねえ…

させねええええ!!!!!」

 

しかしアドウが叫んだ直後、金属音を発しながら、腹部に差し込んだストライクフリーダムのビームライフルが破壊された。

 

あんじゅ「なに!?

あれだけの大きさなら口は閉じられないはず…」

 

アドウ「口んなかにはなぁ…

コイツがいるんだよぉ!!」

 

ジエンドの腹部から、にょきっと白いなにかが現れた。

 

ツバサ「あれは…MSなの…?」

 

アドウ「こいつぁイッカクだ!

本来なら秘密兵器だが…

貴様らが気にくわないから使わせてもらった!」

 

ぐるぐると回転したイッカクがストライクフリーダムに突っ込んでくるのを、あんじゅは咄嗟に右手で抑えた。

 

あんじゅ「っぐっ…

止められないっ…!」

 

アドウ「コイツで終いだ!!

 

デッドエンドォ…

フィンガァァァァァ!!!!」

 

 

ツバサ「あんじゅ!」

 

キジマ「させぬ!」

 

あんじゅの助けに入ろうと試みたツバサに、追い付いたキジマが割って入った。

 

 

あんじゅ「…こうなったら、一か八か…!」

 

あんじゅは迫る巨大な腕の先腕の先、掌に見えたガンダムヘッドの口に、左手でビームサーベルを突っ込んで、右手を犠牲にアドウに密着した。

 

あんじゅ「これなら…!」

 

ストライクフリーダムの腹部ビーム砲・カリドゥスが輝き、ドラグーンを一斉射出したかと思うと、その砲口はあらゆる方向からジエンドに向けられていた。

 

アドウ「チィィッ!!」

 

あんじゅ「フルバースト…当たれぇぇぇぇぇ!!!!」

 

あんじゅが叫びと共にストライクフリーダムの全武装がジエンドに向けて発射される。

 

アドウ「クソッ…

 

クソがぁぁあぁあぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

さすがのジエンドといえど、至近距離での射撃の前では成す術なくその機体を燃やすことしかできなかった。

 

 

あんじゅ「これで1機!」

 

動かなくなったジエンドを蹴り飛ばし、あんじゅはなんとか踏みとどまった。

 

 

キジマ「アドウが…!?

…フッ、楽しませてくれる!」

 

ツバサ「余所見をする余裕なんて!」

 

パルチザンを両手に戻し、ダブルオーのGNソードとつばぜり合いに持ち込んだキジマが、武器スロットをSPに合わせて叫んだ。

 

キジマ「トランジェント…バーストォ!!!!」

 

その瞬間、トランジェントの出力が爆発的に上昇し、トランザムを発動していたツバサのダブルオーが押し返された。

 

ツバサ「ついに本気というわけ…!」

 

キジマ「そうだ!やらせてもらうっ!!!」

 

フッと、つばぜり合いが解けたかと思うと、次の瞬間ツバサのダブルオーは斬撃の最中にいた。

 

 

キジマ「必殺をする!」

 

 

トランジェントの両手に握られたパルチザンの先端が展開したかと思うと、今度はビームではなく青白い光の刃が形成された。

 

キジマ「喰らうがいい!!」

 

その刃が稲妻に包まれ、容赦なくツバサに降り下ろされた。

 

 

ツバサ「…まだ!」

 

 

届いたかと思われたキジマの刃は、空を切った。

もちろんダブルオーもそこにはいない。

 

キジマ「グッ…

使われる前に勝負を決めたかったが…!」

 

ツバサ「危なかったわ…!」

 

ダブルオーは粒子化で、キジマのとどめを避けたのだった。

 

ツバサ「そこ!!」

 

振りかぶった隙を突き、ツバサはトランジェントの左腕を斬り落とした。

 

キジマ「私としたことが…!

しかし、これ以上は!」

 

 

だが、追撃をかけようとするツバサを、キジマのものではないビームが襲った。

 

ツバサ「あと少しのところで…!」

 

シア「兄さんはやらせないわ!!」

 

その主は、シアのGポータントだった。

英玲奈「済まないツバサ、エピオンで仕留めきることができなかったっ…

一度見失ったと思っていたら、ここに現れるとは」

 

ツバサ「無事で何より、あんじゅは1機仕留めて3対2の状況よ」

 

英玲奈「3対2…?

 

おかしい、表記は3対3のままだが…」

 

 

『あと一歩足りなかったなぁ!!』

 

ツバサ「!?」

 

あんじゅ「そんな…

なぜ…私が倒したはず…!」

 

 

戦場に、アドウのジエンドが再び現れた。

 

 

シア「私が修理したわ。

このGポータントにはガンプラの応急処置に使用できる道具を搭載したカレルが装備されてるの」

 

当たり前のように言うシアに、A-RISEは驚きを隠せずにいた。

 

アドウ「俺にとどめを刺しきらなかった自分達を呪え!」

 

アドウは真っ先に、自由の利かなくなったあんじゅを狙った。

 

アドウ「さっきはやってくれたな…

こいつぁお返しだ!」

 

ジエンドの指先からビームサーベルが出現し、あんじゅのストライクフリーダムの首にずいと寄せられる。

 

アドウ「くたばれ!!」

 

英玲奈「させんっ!!」

 

変形してアドウに突っ込んだエピオンが、そのままあんじゅからジエンドを遠ざける。

 

英玲奈「動けない相手をいたぶるようなその戦いかた…

気に入らん!!」

 

アドウ「邪魔すんじゃねぇ!!」

 

ビームサーベルの矛先をエピオンに変えたジエンドが、その刃をエピオンに突き立てた。

 

 

あんじゅ「英玲奈!!」

 

ツバサ「英玲奈がやられた…?」

 

 

激しい爆発が、英玲奈たちの方向で起こる。

 

 

 

 

煙が引き、周辺が露になると、爆発の理由は明らかだった。

 

 

 

アドウ「てん…めぇ…!!」

 

英玲奈「今度こそ私の手で仕留めさせてもらうぞ!」

 

 

ビームソードを頭上に掲げたエピオンが、そのままの体勢で回転し、ジエンドの機体を縦に真っ二つに切り裂いた。

 

 

爆発はそれに伴って起こったものだった。

 

ガンダム学園の残機数が、今度こそ3から2に減ったのだった。

 

 

 

シア「アドウさんがやられた…!」

 

キジマ「シア、狼狽えるな。

私は諦めん!」

 

シア「兄さん…

 

それならまずあのストライクフリーダムを!」

 

 

英玲奈「くっ…!距離を離しすぎたか…!

ここからでは間に合わない…」

 

あんじゅにとどめを刺さんと突撃するGポータント。

 

それを受け止めたのはツバサだった。

 

ツバサ「…させない…

私たちは…私たちは、3人で、勝つ!」

 

左肩をビームサーベルで貫かれながらも、残された右手のGNソードでシアのGポータントに刃を突き立てるダブルオー。

 

シア「手負いの仲間を守って…!

でも、片腕は使えない!」

 

そのままダブルオーの左腕を機能不全に持ち込んだシアだったが、腹部に突き刺さったGNソードによりもたらされた損傷は小さいものではなかった。

 

ツバサ「こっちもそっちも手痛い損傷ね…!」

 

シア「でも私にはこれがある!」

 

ポータントの左手に持っていたビームライフルを、引き込んでダブルオーの機体に密着させたシアが、もらったと笑みを浮かべた。

 

ツバサ「…頼んだわよ!」

 

ビームライフルの発射直前、粒子化でそれを逃れたツバサの背後からシアに迫る機影があった。

 

シア「なぜ…!

どうして貴女が…!」

 

 

あんじゅ「私だけ寝てるわけにもいかないじゃない。」

 

シア「舐められたものね…手負いの機体から逃げられないほど――――――」

 

そこでシアは、動かないポータントのバーニアに気づいた。

 

 

シア「さっきのGNソード…

ここまで届いていたなんて…!」

 

あんじゅ「さよならよ!」

 

あんじゅのストライクフリーダムのビームライフルが、シアのGポータントを捉え、そしてそのビームは機体を貫いたのだった。

 

 

 

 

シア「…せめて、せめて共倒れでもいい…

いくわ!」

 

背中に装備していたポータントフライヤーだけを分離したシアが、あんじゅだけでも仕留めようと、特攻をかけた。

 

 

 

 

英玲奈「忘れてもらっては困るな。」

 

シア「なぜエピオンが…!」

 

英玲奈「ツバサとやりあってくれたおかげで、なんとか間に合った。」

 

アドウを倒した英玲奈が踵を返して戻るのを、ツバサは計算していたのだった。

 

 

ガンプラ学園の残機が、2から1に減った。

 

 

キジマ「シアまでも…!

 

くっ!!」

 

残されたキジマは、手負いのトランジェントを限界まで加速させ、粒子化から戻ったツバサに切りかかる。

 

ツバサ「来る!」

 

キジマ「私は屈しない!

絶望的な状況であろうと…

その手を、止めることはしない!!」

 

トランジェントバーストが最大稼働に達したのか、トランジェントの背中から青白い粒子の翼が生じる。

 

ツバサ「なんて力…

 

でもね…

私たちは勝ちたい…

 

そしてそれ以上に…

負けられないの!!」

 

 

トランザムの出力が大幅に上昇し、その機体を緑色に染めたダブルオーA-RISERが、蒼き閃光となったトランジェントとぶつかり合う。

 

キジマ「そうだ…

私はこのように熱くなれる勝負を望んでいた…!

 

感謝するぞ、A-RISE!!」

 

ツバサ「お礼を言うのはこっちだって同じ…

ガンプラに、バトルに向き合うきっかけをくれたのは…

貴方たちガンプラ学園よ!」

 

 

互いの武器にひびが走り、刃が砕けるが、その勢いは止まることをしなかった。

 

キジマ「まだだ!

ランスビット!!」

 

斬り落とされた左腕のランスビットを呼び戻し、右手に握り直すと、ツバサは腰のGNソードⅡに手を伸ばした。

 

キジマ「負けられん…!

この戦いにだけは!」

 

ツバサ「これが…

これが、私たちA-RISEの力よ!」

 

A-LIVEシステムで粒子量を増大させたダブルオーが、トランジェントを次第に押し込んでいく。

 

キジマ「互いに手負いとはいえ、このトランジェントのバースト状態を押すなどっ…!?」

 

 

その瞬間、トランジェントの粒子の翼が消え、地面にその機体が力なく投げ出された。

 

 

キジマ「粒子が…切れたか!」

 

ツバサ「決めるわ!

 

私たちの一年の結晶…

 

その心に刻みなさい!」

 

GNソードⅡにビームの刃を展開して逆手持ちしたツバサのダブルオーA-RISERが、それを力の限りトランジェントに投擲した。

 

 

キジマ「見事…!!」

 

 

トランジェントの胸に、その刃が突き立てられたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、海未は穂乃果の元に向かっていた。

 

穂乃果の休んでいる部屋を開けると、穂乃果が泣いているのがわかった。

 

海未「穂乃果…?

どうしたのですか?」

 

穂乃果「海未ちゃん…

私…私ね…」

 

穂乃果は溢れそうな胸中を断片的に、海未に抱きついて伝えた。

 

穂乃果「ツバサさんが来て…

私たちらしさについて考えたの…

 

でも、それって今の私には全く合わないことで。

 

勝たなきゃ、っていう思いと、私なんかにできるかっていう不安しか感じないのに…。」

 

海未「大丈夫。

大丈夫ですよ。穂乃果。

みんながついてます」

 

穂乃果「でも…

決勝は明日なのに、私が倒れたせいでガンプラの補修だって…」

 

 

海未「補修は必要ありませんよ。

ほら。」

 

穂乃果「へ…?」

 

 

海未が持ってきた荷物の中から、穂乃果の知らないガンプラが姿を現した。

 

 

穂乃果「これっ…て…?」

 

 

鮮烈なオレンジ色の機体。

両肩に4つずつ懸架されたフィン・ファンネル。

そのカラーはそれぞれ、左肩に青、水色、ピンク、紫。

右肩に白、黄色、赤、黄色、黄緑。

 

そしてまだなにもつけられていない拳…

 

 

海未「さあ、肩のマウントにゴッドガンダムのビームサーベルを。

 

そして…拳にも。」

 

言われるがまま穂乃果は、ゴッドガンダムのビームサーベルと拳のパーツをその機体につけた。

 

今度こそ完全な状態となったその機体。

 

 

海未「これが…

私たちが私たちが穂乃果の為に作り上げた機体、νガンダム改め…

 

 

μガンダム、です!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、2期#13

決勝前夜

に、続く。




いかがでしたでしょうか!
長かったこのssも、終了が着々と近づいてきておりますが、多くの皆様に読んでいただけてとても嬉しいです!

完結までよろしくお願いします!!


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2期#13『決戦前夜』

お待たせしました!
ついに決勝…の前に、自信を砕かれた穂乃果のもとに渡った機体、そしてμ'sとA-RISEの決意を描いたつもりです!
ではどうぞ!


《前回のラブライブ!》デンッ!

テレテッテッテッテッテー

 

絵里「A-RISEにとって宿命の相手だったガンプラ学園との対決。その勝利に手を届かせたのは…?」

 

にこ「そしてついに穂乃果の手中で完成を迎えた、私たちの結晶。

穂乃果、頼むわよ!」

 

 

 

 

 

2期#13『決戦前夜』

 

 

キジマ「見事…!」

 

トランジェントの胸にGNソードⅡが突き刺さり、トランジェントの瞳が輝きを失うと、メイジンが叫んだ。

 

 

 

 

メイジン「勝負あり!!!

 

この勝負…

UTX学園・A-RISEの勝利だッ!!!!!!」

 

 

 

衝撃の結果に、客席はだんまりを決め込んでいたが、徐々に各所で拍手が起こり始めた。

 

次第にそれは大きくなり、会場をA-RISEコールがつつむのにさほど時間はかからなかった。

 

 

ツバサ「勝てたのね…本当に」

 

キジマ「ああ。間違いなく、君たちの勝利だ。」

 

いつの間に歩み寄ったキジマが、ツバサの背後から声をかける。

 

 

ツバサ「…ありがとうございました。

あのときのあの言葉がなければ、私は…」

 

キジマ「感謝するのはこちらだ。

自分達は強い、そう思い込んでいる節が我々にはあったのだろう…

 

そしてそれを、そうではないと否定してくれたのは君たちだ。」

 

キジマが手を差し出すと、ツバサもまた手を伸ばし、握手を交わした。

 

アドウ「ッ…

納得いかねぇが、奴らがここまで腕を上げているとはな…」

 

シア「やられたわね、アドウさん。

でもこれで…私たちは新たな目標に向かって戦うことが出来る」

 

新たに決意を固める2人に、あんじゅと英玲奈が駆け寄り、それぞれがその手を交わすと、会場はひときわ大きな歓声に包まれたのだった。

 

 

 

 

 

メイジン「再び、交わるか…

果たして、どちらがその運命を掴みとるかな」

 

メイジンが、握手を交わすA-RISEをみて呟いた。

 

 

 

 

 

 

そして、夜が来た。

 

試合終了直後から、μ's、そしてA-RISEの両名が、ガンプラ改修に尽力していた。

 

 

にこ「ちょっとぉ!アームド・アーマー欠けてるじゃない!!」

 

希「しゃあないやん、ああするしかなかったんや」

 

絵里「あなたたち、口を動かしてないで手を動かしなさいよ?」

 

にこ、希「は、はーい」

 

 

凛「真姫ちゃん、この時間からそんな改造…」

 

真姫「まるまる回収するより早いわよ。

花陽、ここお願い」

 

花陽「うん!

…真姫ちゃん、絶対完成させよう!」

 

 

μ'sの決勝のエントリーメンバーは、とっくに決まっていた。

 

まるで思いを託すかのように…

あの時、A-RISEと剣を交えたメンバーに、他のメンバーのパーツが集約されていく。

 

そしてその頃、2年生は。

 

回復した穂乃果に、機体の試運転を兼ねた練習試合を申し込んでいたのだった。

 

 

 

海未「穂乃果、私たちの身勝手かもしれませんが…」

 

ことり「決勝は、地区大会の決勝とおなじメンバーにしようって。

決めたんだ。」

 

穂乃果「…」

 

 

穂乃果は不安をぬぐえずにいた。

強敵との戦いで壊れてしまったトライゴッドガンダム…

勝利を掴んだとはいえ、穂乃果にとって特別な想いの込められたゴッドガンダムが壊れることは、自信の喪失に繋がった。

 

 

穂乃果「…私、いいよ。

きっと海未ちゃんとか、絵里ちゃんとか…

私よりバトルうまい人が…」

 

海未「穂乃…」

 

ことり「穂乃果ちゃん!」

 

弱気な穂乃果に、ことりが珍しく声を荒げる。

 

ことり「みんなではじめて作ったガンプラ、それが壊れちゃって辛いのはわかるよ。

でもそれは、海未ちゃんだって一緒。

 

それにね穂乃果ちゃん、海未ちゃんはそれよりも前から、にこちゃんたちと一緒にこのμガンダムを作ってきたんだよ?」

 

穂乃果は俯いたままだ。

 

海未「大変でした。

バトルの練習に私のグフカスタムの調整もあったのですから。

 

でも穂乃果、それはその苦労に見合う価値があると考えたから私自らが選んでやったことです。

 

私たちの知ってる穂乃果は、そんな暗い顔はしてませんよ?」

 

 

穂乃果が顔を上げ、海未とことりの顔を見つめたあと、バトルシステムに佇むμガンダムに視線を移す。

 

 

穂乃果「…いいの?

 

私、前みたいに戦えないかもしれないんだよ…?」

 

 

不安げな表情で2人に問う穂乃果に、海未とことりはにっこりと笑って頷く。

 

 

海未「穂乃果、あなたに自信を取り戻してほしくて…

とっておきの練習相手を用意しました。」

 

ことり「きっと、きっと穂乃果ちゃんならμガンダムを乗りこなせるって、信じてるから…!」

 

穂乃果「2人とも…」

 

 

穂乃果の顔に、少しだけ笑顔が戻る。

 

 

システムが起動し、μガンダムの瞳についに光が宿った。

 

 

 

 

穂乃果「あれって…?」

 

オーソドックスな宇宙ステージを、穂乃果に向かうように突っ切ってきたのは、極めて完成度の高いビギニングガンダムだった。

 

穂乃果「すごい出来…!

これが海未ちゃんたちの言ってた…」

 

ある程度の距離まで接近したビギニングが、ビームライフルを連射しながら、さらに距離を詰めてくる。

 

穂乃果「ビームライフル…

これ!」

 

μガンダムの腰にマウントされたビームライフルが右手に握られ、穂乃果が後退しつつも迫るビームを狙って

放つと、放たれた射撃は的確にビームに命中し、拮抗したエネルギーが爆ぜた。

 

海未「μガンダムのビームライフルは威力を調整して、連射したり一撃の威力を高めたりすることが出来ます!」

 

海未の説明を聞き、穂乃果がビームライフルのスロットを開くと、確かに出力の調整ができるメーターが展開された。

 

穂乃果「えいっ!!」

 

穂乃果が瞬時にメーターを振りきると、最大出力まで高められたビームライフルの一撃が、ビギニングの横を紙一重で通り抜けた。

 

穂乃果「すごい…!」

 

 

その威力に驚く穂乃果だったが、今度はビームサーベルを3本引き抜いて迫り来るビギニングに持ちなれた扇形ビームサーベルで応戦する。

 

穂乃果「こんな持ち方って…!」

 

しかしビギニングのビームサーベルは予想以上の出力を誇っていた。

 

穂乃果のかざしているビームサーベルが1本とはいえ、μガンダムもさることながら、相手取っているビギニングも相当の完成度であることを、その力で再確認する。

 

穂乃果「でもこの持ち方…どこかで…?」

 

戦っているうちに、穂乃果は何かを感じていた。

 

知らない相手のはずなのに、なぜか知っているような。

そんな気分に包まれながら、戦いは続く。

 

 

穂乃果「いっけぇ!

フィン・ファンネル!!」

 

穂乃果の声と共に、両肩に懸架されたフィン・ファンネルが外れてコの字型に展開し、ビギニングを包囲する。

 

穂乃果「すごい…

私の思い通りに…?」

 

海未「苦労しましたよ…

ファンネルは、穂乃果のクセに合わせて調整してあります!」

 

8基のファンネルが断続的にビームを放つと、さすがにビギニングも防戦を強いられることとなった。

 

 

海未「穂乃果、SPのウェポンを展開してください!

 

それがμガンダムの切り札…

 

私たちの想いが乗せられた、一番の装備です!」

 

 

穂乃果「スーパーモード…じゃない!?」

 

 

初めて見る表示に戸惑いながらその装備を発動させると、ファンネルがμガンダムの元へ舞い戻り、青と白のファンネル以外は背後へと格納された。

残された2基のファンネルが、コの字をすこし広げて六角形を作るように組み合わさると、その空間に水色のフィールドが生成されるのが見えた。

 

穂乃果「これは、聖鳳学園が使ってた…!」

 

海未「ホシノさんに協力してもらいました。

土壇場での作業でしたが…

その仕上がりにぬかりはありません!」

 

そのフィールドが広がると、穂乃果は迷わず右の拳をフィールドに突っ込んだ。

 

穂乃果「これが…みんなの力…」

 

海未「いえ。

穂乃果、それはまだ本当の力を発揮してません。

 

あなたのアシムレイトの力が発揮されたとき、きっとその装備も真の力を見せてくれる…はずです。」

 

穂乃果「海未ちゃん…」

 

 

 

そこで、それまで様子をうかがっていたビギニングが突撃をかけてくるのに気づいた穂乃果が、輝くμガンダムの右手を掲げてからビギニングのビームサーベルと真正面から激突させた。

 

 

穂乃果「…みんなの気持ち、伝わったよ。

私……やる。

 

やるったら、やる…!」

 

 

ビギニングのビームサーベルが押し切られ、μガンダムの拳がビギニングに届いたのだった。

 

 

 

 

こうしてバトルは終了したのだが、穂乃果には気になることがひとつあった。

もっともそれはバトル中に疑問が推測になり、穂乃果のなかでは確信に変わりつつあったのだが。

 

穂乃果「…」

 

海未「穂乃果?

どうしたのですか?」

 

穂乃果「今の相手って…もしかして…」

 

正面を見ると、もうそこには相手の姿はなかった。

 

 

穂乃果「!」

 

 

穂乃果が駆け出し、部屋の外に出ると、見慣れた背中が遠ざかっていくところだった。

 

 

 

穂乃果「お父さん!!」

 

 

そう、何を隠そう穂乃果と戦っていたのは穂乃果の父だったのだ。

 

自信を失った穂乃果を再び前に向かせたい。

しかし海未やことりでは、何かが足りない…

 

そこで2人が思い付いたのが 、穂乃果の父だった。

 

店のこともあるが、穂乃果のためにと海未とことりが無理を言ってお願いしたのだった。

 

穂乃果「お父さん…

ありがとう…!

 

私…私、絶対、楽しくバトルするね!

 

だから…見てて!」

 

 

穂乃果の声を聞き届けると、穂乃果の父は何も言わず、オレンジ色のサイリウムを掲げて歩いていった。

 

 

 

 

 

 

その頃。

μ'sの他のメンバーのガンプラも改修が終わりつつあった。

 

 

 

希「突貫工事にも程があるけど…

まさか、こんなことになるなんてなぁ」

 

絵里「私もこんな風になるとは思ってなかったわよ。」

 

にこ「何はともあれ、完成よ。

…アンタたち、ありがと。」

 

希「ええんや♪」

 

絵里「代わりに責任は重いわよ?」

 

にこ「わ、わかってるわよぉ!」

 

 

 

金、黒、そして白。

今まで足並みを揃えて進んできた3色が、重なってひとつのものを形作るとは、誰も思っていなかった。

 

にこ「フルアーマーユにこーン・プランB…

私のじゃなく、私たちの…」

 

 

損傷の少なかったユにこーンの頭部、そして上半身と下半身を使用し、補修した希のバンシィのアームド・アーマーを両腕ごと移植、背面には同じくバンシィのアームド・アーマーXCに加え、フェネクス本来の装備法に戻ったアームド・アーマーDEが2枚装備されている。

色こそ違えど、そこには確かにフルアーマー・ユニコーンプランBが出来上がっていた。

 

絵里「さ、塗装しましょうか」

 

希「このまま、って訳にはいかんしね…

急いでやらんと」

 

にこ「いいわ。

 

このままで…

いや、このままが、いい。」

 

にこのつぶやきに2人は驚いたが、すぐに穏やかな表情を浮かべてにこに抱きついた。

 

にこ「な、なぁーにすんのよぉっ!!!」

 

 

 

 

花陽「なんとかなった…よね」

 

凛「なんとかじゃないよ。

ちゃんと…できあがってるにゃ。」

 

真姫「こんな短時間で…

小改造とはいえ、アンタたちどれだけ製作スキル上がってるのよ…」

 

真姫のストライクルージュには、パーフェクトストライクのバックパックの代わりに花陽のDXのツインサテライトキャノンが装備され、腕にはインパルスの機動防盾が備えられていた。

 

花陽「幸い真姫ちゃんのルージュは、機体そのもののダメージは低いし…」

 

凛「それに、一番頑張ってたのはやっぱり真姫ちゃんだよ!」

 

真姫「…そりゃ、自分の機体だし…」

 

 

声をくぐもらせる真姫に、あっと思い出したように希が声をかける。

 

希「そういえば真姫ちゃんは機体を変えずに今まで戦ってきたけど…

なにか理由でもあるん?

ただ好きなだけなん?」

 

真姫のガンプラ選びについていったのは3年生の3人。

しかし3人のおすすめを断ってルージュを選び、共に全国まで歩み続けてきた。

 

自分が機体と共に成長していくかのように進んできた穂乃果や、出来上がりに一目惚れして今もグフカスタムで戦い続けている海未に比べ、真姫は幾分ルージュを使い続ける動機が少ないように思えた。

 

 

真姫「…あの時、ショップでルージュを見かけてね、思い出したの。

パパがガンプラやってた頃、いっつもストライクに乗ってたなって…。

 

まだ小さかった私でも名前を覚えてるくらい、パパはストライクを私に見せてくれて、いつもその時の顔は笑ってた…

 

だから、いつかまたパパとガンプラをする日が来るなら…

その時まで私はルージュに乗りたいって。

そう思って今までずっと乗ってたのよ。」

 

真姫が少し照れ臭そうに、しかしどこか寂しげに言うと、花陽とにこは目に涙を浮かべて話を聞いている。

 

 

希「そーだったんやね。

 

いつか、来るとええね。その日が」

 

真姫「えぇ。

パパは今忙しいけど…

私は大会が終わっても、ガンプラ続けるつもりよ。」

 

 

 

 

 

 

こうしてμ'sの決勝に出場する機体3機が出揃う頃。

 

 

A-RISEは大破したあんじゅのストライクフリーダムヴィヴィッドの改修を急いでいた。

 

あんじゅ「ツバサ、あなただけでもダブルオーの調整を…!」

 

ツバサ「チームメイトをほっといて、そんなことできないわよ」

 

英玲奈「私のエピオンも損傷は軽微だ。

 

あんじゅ、私たちを頼ってくれていい」

 

あんじゅ「ツバサ…英…玲奈…」

 

声を震わせながら言うあんじゅの肩に、ツバサが手を置く。

 

ツバサ「泣くのは…

まだ早いわよ。

 

明日、泣きましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

夜が更け、日付も変わる頃。

決戦の日を直前に、μ'sは全員、大部屋に雑魚寝をすることにしたのだった。

 

 

 

花陽「ついに明日だね…!」

 

絵里「いよいよ、なのね…」

 

海未「絵里、私たちが弱気になっては怒られてしまいますよ」

 

にこ「そうよ!

全くもう、戦う身にもなりなさいっての!」

 

凛「あれ~?にこちゃん手が震えてるにゃ?」

 

にこ「う、うっさいわね!

真姫だってそうよ!」

 

真姫「ヴェェェェ!?

わ、私は震えてなんかぁ…」

 

希「お二人さん、仲良く手でも繋いで寝たら~?ふふっ」

 

真姫「希っ!」

 

希「あーもう、怒らんといてやぁ

真姫ちゃんったら素直やんなあ♪」

 

ことり「穂乃果ちゃん、穂乃果ちゃんも緊張してる…?」

 

 

穂乃果「…」

 

 

ことり「穂乃果…ちゃん…?」

 

 

穂乃果「……ZZZ」

 

 

ことり「ふふ、穂乃果ちゃんらしい…かな♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、それぞれの決意を胸に。

 

 

決勝の開始を告げる朝日が、会場を照らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回

2期#14

『交錯する道』

 

 

μ'sは、そしてA-RISEは、その戦いの果てに何を掴むのか―――――――――




いかがでしたでしょうか!

次回、ついにラストバトルの火蓋が切って落とされます。

残す話数も少ないですが、よろしくお願いいたします!


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2期#14『交錯する道』

ついに、ついにこのss最後の勝負のときがやって参りました。

μ'sとA-RISE、双方の活躍、見届けてくださると幸いです。


2期#14

 

交錯する道

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早朝の会場を、朝日が包んでいく。

 

ついにその日が来たのだ。

 

 

ガンプラバトル全国大会、高校生以下の部、決勝。

 

この上ない至高の舞台で、μ'sとA-RISEの2組が再び相まみえる時が。

 

 

 

 

 

穂乃果「…さぁみんな、行こう!」

 

μ's『おーーっ!!!』

 

 

 

 

 

にこ「って、まだ6時じゃないの!

試合は14時からでしょ!!!」

 

 

全員示し合わせたように目覚めたμ'sだったが、試合まではまだまだ時間があるとわかっていてもそわそわせずにはいられないのだった。

 

 

 

 

 

そしてその時間はすぐに過ぎ去っていった。

 

会場には超満員の観客、入場前から響く歓声が会場全体を揺らす。

 

 

 

 

 

海未「いよいよ、ですね」

 

凛「あっという間だったにゃぁ…」

 

絵里「そうね…

スクールアイドルを始めたときもそうだったけど」

 

希「みんながガンプラを始めてから、もっと早く1日1日が過ぎていって。」

 

花陽「迷ってみんなに迷惑かけたこともあったよね…」

 

ことり「でもそれも、今じゃ思い出になっちゃって…

 

ガンプラ始めたの、この前のはずなのになぁ」

 

 

にこ「それだけ…

それだけアンタたちが熱中してたってことでしょ。

 

私も人のこと言えないけど…」

 

真姫「そうね。

 

ガンプラ…楽しいもの。」

 

 

穂乃果「みんな、まだだよ!

 

この決勝戦が、私たちのゴールじゃない!

 

ガンプラも、ライブも…

まだ、始まったばっかりだよ!」

 

 

穂乃果が満面の笑みで全員に言うと、全員があっと気づいたような表情のあとに、穂乃果と同じように笑った。

 

 

 

トントン

 

 

 

不意に、穂乃果たちの控え室のドアが叩かれた。

 

とはいっても、ノックの主は誰だかわかっていたのだが。

 

穂乃果「どうぞ!」

 

 

ツバサ「失礼するわ。」

 

あんじゅ「ハ~イ♪」

 

英玲奈「試合前の挨拶に来た。」

 

 

入ってきたのはA-RISEの面々だった。

 

しかし以前戦った時とは違い、μ'sの顔に焦りはない。

むしろ全員が不敵に笑っているようにすら見えた。

 

 

ツバサ「穂乃果さん、もう一度聞かせてもらうわ。

 

この決勝に来るまでの時間、あなたはどう感じたかしら?」

 

 

穂乃果「…長かった、です。

 

前とは違う、もっと大きなプレッシャーとか緊張に気圧されたり、私は自信を失ったりもしました。

 

 

でもそれは、退屈な、無駄な時間じゃなかった。

 

 

A-RISEの皆さんは、どうでしたか?」

 

まさかの返しに、ツバサは少し驚きながらも落ち着いた口調で語る。

 

ツバサ「私個人として感じた時間は短かったわ。

あっという間に日は過ぎた。

 

でも、A-RISEとして…

チームとしては、とても長かった。

 

去年の大会からずっと、もう一度ガンプラ学園と再戦したい気持ちもあった。

 

それに穂乃果さん…

貴女たちとの決着を、はっきりつけたかった」

 

 

まっすぐに穂乃果を見つめ、ツバサは言った。

 

穂乃果「…そう思ってもらえて、光栄です。

 

それは私たちμ'sも同じです。

 

 

試合、楽しみましょう!」

 

穂乃果が手を差し出すと、ツバサもその手をとり、強く握った。

 

ツバサ「えぇ…!

お互い、後悔のない試合をしましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『間もなく、ガンプラバトル全国大会、高校生以下の部、決勝を開始する!

 

選手、入場!!』

 

 

 

 

 

会場にメイジンのアナウンスが響き、観客の歓声が再び最高潮に達すると、入場口に向けて2チームが進んで行く。

 

 

 

 

にこ「さ、いくわよあんたたち!」

 

真姫「ええ!」

 

穂乃果「…うん、行こう!」

 

 

 

入場口の手前まで進むと、μ'sを支えてきた面々が目に入った。

 

通路に左右に、花道を作るかのように大勢の人が集まっている。

 

 

 

 

泣きそうな3人がその道を歩いていくと、応援のメッセージが耳に入った。

 

 

 

キンケドゥ「君たちが本当にここまでたどり着くとは思ってもいなかった。

悔いのない、そして熱い試合を期待している!」

 

ザビーネ「フン、貴様らに手向ける言葉などないと思っていたが。

 

私でも越えられない場所まで、お前たちは成長した。

その力、見せてみろ!」

 

トビア「皆さん!

僕たちだけじゃない、今まで戦ってきたみんながμ'sを応援してますから!!」

 

 

 

フミナ「ついに決勝ですね!

 

私たちの想いも…連れていってください!」

 

ユウマ「にこさん、真姫さん!

そして…穂乃果さん!

皆さんの決勝…しかと見せてもらいます!」

 

セカイ「穂乃果さん!

この試合が終わったら…また、バトルしましょう!」

 

 

 

雪穂「お姉ちゃん!

ずっと家でみてたけど、応援に来たよ!!

 

…私たちも、ガンプラ始めたから!」

 

亜里沙「μ'sの皆さんにはまだまだ及ばないけど…

雪穂と一緒に頑張ります!」

 

穂乃果の父は陰で涙を流していた。

 

 

 

 

 

 

 

その花道がステージの入口に近づくと、最後はμ'sのメンバーが両サイドで声を…

 

 

かけることはせず、ただ、右手でチョキを作っていた。

 

穂乃果「…!」

 

 

穂乃果と同時ににこと真姫も気づいたのだろう、自ずと9人が円を形作る。

 

 

 

 

穂乃果「決勝戦、全力で飛ばしていこうっ!!

 

 

 

ミューーーーーーーズ…!」

 

 

9人『ガンプラバトル、スタートォッ!!!!!!!』

 

 

 

 

 

そうして3人がステージにたどり着くと、A-RISEは既にシステムの近くに佇んでいた。

 

 

互いに言葉はない。

ただ、ステージ上の6人が笑みを浮かべていたのは確かだった。

 

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

 

「統堂英玲奈!ガンダムエピオンヴァイオレット!」

 

「西木野真姫!サテライトルージュ!」

 

「優木あんじゅ!ストライクフリーダムヴィヴィッド!」

 

「矢澤にこ!フルアーマーユ【にこ】ーンガンダム・プランB!」

 

「綺羅ツバサ、ダブルオーA-RISERセブンソード!」

 

「高坂穂乃果!μガンダム!!」

 

『出ます!!!』

 

 

 

 

 

Field:ex

 

Akihabara

 

 

 

 

 

決勝の舞台は、この決勝のためだけに作成された秋葉原のフィールドだった。

 

見慣れた景色とはいってもガンプラ目線でみるといつもと比べ高い位置から見下ろすような視点であるゆえに街のサイズ感も変わって見えるのだが。

 

穂乃果「アキバ…

私たちの街が、決勝の舞台…!」

 

ツバサ「面白いじゃない!」

 

 

 

 

穂乃果のμガンダムに対抗するかにように、A-RISEはダブルオーA-RISERを更に完成度を高めたセブンソードへと昇華させていた。

 

両腕のGNソードⅢ、腰部にマウントされたGNソードⅡとGNビームサーベル。

そして追加装備された手持ちタイプのGNソードⅤ。

1年前この舞台に散ったエクシアの魂を受け継ぐに相応しいセブンソードの完成度は、恐ろしさを感じるほどに高められていた。

 

一見取り回しの悪く見える武装の数だが、ツバサの腕が武装の多さを単なる長所に変えてしまう。

 

 

 

ツバサ「…トランザム!」

 

 

まだ散開していないμ'sの3機に急接近したツバサの一撃が、穂乃果のμガンダムを襲った。

 

 

 

 

 

様に見えたが、それは勘違いであった。

 

 

短い衝撃音の後、穂乃果に迫ったGNソードを何かが止めていたのだ。

 

 

 

にこ「ったく、目に悪いったらないわ」

 

 

穂乃果を救ったのは、NT-Dを発動したにこのユにこーンだった。

サイコフレームのパーツ色もばらばらなせいで、赤水色紫という何とも微妙なカラーリングになっている。

 

 

ツバサ「…この一撃を難なく止めるだなんて…!」

 

 

しかしその性能は、3年生3人の技術が集約されただけあって高い水準にあった。

 

にこ「食らいなさい!」

 

GNソードⅤを抑えつつも、NT-Dの発動とともに展開したハイパー・ビーム・ジャベリンがダブルオーに向かって突き出された。

 

ツバサ「っ!」

 

やむなく離脱の行動を取ろうとするツバサの前に、何かが割って入った。

 

 

英玲奈「させんっ!」

 

にこ「正面から…ジャベリンの突きを止めた!?」

 

ツバサの不利を見た英玲奈が、エピオンで突撃をかけたのだった。

 

 

にこ「…なんてね!

穂乃果っ!下がるわよ!」

 

穂乃果「うんっ!」

 

しかしジャベリンの一撃を止められた瞬間の表情とは一転、にやりと笑ったにこがエピオンの眼前からその姿を消すと、その背後、アキバのメインストリートの奥に、青白い光が見えた。

 

 

英玲奈「あれは…!」

 

真姫「いくわよ!!

 

ツインサテライトキャノンッ!!!!」

 

穂乃果とにこが囮となり、真姫のサテライトをチャージする作戦。

それに英玲奈はこの瞬間気づいた。

 

英玲奈「はめられたか…しかし!」

 

迫るサテライトキャノンを前に、エピオンは動じずにビームソードを構えてその場に佇んでいる。

 

英玲奈「これならば!!」

 

エピオンの機体が薄い紅色に染まると、ビームソードが出力を増して巨大化した。

 

そしてあろうことか、そのビームソードを迫る砲撃に向かって降り下ろしたのだった。

 

にこ「ふんっ!なめられたものね!」

 

間もなくビームの波がエピオンを包み込み、辺りを眩い光が照らした。

 

 

英玲奈「…もらった!」

 

 

しかしサーベルでビームを吸収しつつ切り裂いたエピオンが、その機体を変形させて真姫に突っ込む。

 

 

真姫「何らかの対策はしていると思っていたけど…!」

 

シュベルトゲベールで応戦する真姫だったが、ビームの吸収により出力の上がったエピオンのサーベルはそれを上回っていた。

 

英玲奈「西木野真姫!その程度か!」

 

真姫「ッ…!

違うわよ!」

 

押されつつも懸命に耐える真姫のルージュに、近づく機影があった。

 

 

あんじゅ「確実にやらせてもらうわ!!」

 

ルージュの背後に迫ったあんじゅのストライクフリーダムが、サーベルを降り下ろした。

 

 

にこ「させないわ!!」

 

アームド・アーマーDEをシールドファンネルのように飛ばして真姫を守ったにこが、急降下してあんじゅを狙った。

 

あんじゅ「さすが…

矢澤にこさんね!」

 

地面を踏んで飛んだストライクフリーダムが、降りてくるにこのユにこーンとサーベルを交わらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「捉えきれない…!」

 

μガンダムのライフルを連射モードにし、トランザムで駆けるツバサを追うも、そのスピードを目で追うのがやっとで、射撃は追い付かない。

 

ツバサ「行かせてもらうわ!」

 

穂乃果「…海未ちゃん!ことりちゃん!」

 

穂乃果が武装のスロットをSPに合わせつつ言うと、青と白のフィンファンネルが射出される。

 

練習試合のときと同じように、コの字を広げたような形で組み合わさった2基のフィンファンネルがフィールドを形作った。

 

穂乃果「…そこだ!」

 

μガンダムがフィンファンネルのフィールドに向かって、最大出力のビームライフルを放つと、フィールドに集約されたビームが青と白の弾丸の雨になってダブルオーに降り注いだ。

 

ツバサ「何っ!?」

 

突然の出来事に驚きを隠せないツバサだったが、寸でのところでビームを避けながら考えを巡らせる。

 

 

ツバサ「まさか…

プラフスキーパワーゲート!?」

 

穂乃果「すごい…!

こんな風になるなんて…!!」

 

フィンファンネルを再びマウントし、ビームサーベルを取り出してツバサとのつばぜり合いに持ち込んだ穂乃果は、空いた左手でダブルオーにパンチを叩き込んだ。

 

ツバサ「肉弾戦!?

拳はゴッドガンダムの…!」

 

穂乃果「今なら!

ばぁくねつ!!!!!」

 

 

 

打撃の衝撃で一瞬隙ができたダブルオーの頭部を、μガンダムの拳が掴んでいた。

 

 

ツバサ「…ッ!」

 

 

穂乃果「消えた!?

あのときと同じ…!」

 

 

さすがのダブルオーも、粒子化でからがら離脱せざるを得ない状況だった。

 

 

 

ツバサ「…穂乃果さん、まだ全力じゃないでしょ?」

 

穂乃果「そういうツバサさんだって…!」

 

 

2人が互いにニヤリと笑うと、ダブルオーのGNソードⅤの刀身とμガンダムの拳が紅く輝き始めた。

 

ツバサ「ここからが本番よ!」

 

穂乃果「行きますよ、ツバサさん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんじゅ「結局あなたと戦うのね…

矢澤にこさん…!」

 

にこ「不服かしら?」

 

あんじゅ「いえ、むしろ…

リベンジさせてもらうわ!」

 

にこ「望むところよ!」

 

あんじゅのストライクフリーダムの目が怪しく輝くと、バックパックからドラグーンが射出されてにこを囲んだ。

 

あんじゅ「もらった!」

 

にこ「させない!!」

 

つばぜり合いを解き、ユにこーンが右手を翳すと、ユにこーンに向かっていたドラグーンがストライクフリーダムに向き直った。

 

にこ「サイコミュジャック!

残念だったわね!」

 

あんじゅ「それは…

どうかしらね!」

 

言い終わるかどうかのタイミングで、あんじゅがにこに突撃し、ユにこーンはその地上に落下した。

 

あんじゅ「撃たれる前にそれより速いスピードで動けば…!」

 

にこ「さすがね…!

でもこれはどう!?」

 

あんじゅ「なっ!?」

 

 

にこに気をとられていたあんじゅの背後に、真姫を守ったアームド・アーマーDEがビームを放ちながら飛来し、ドラグーンを1基掠めて破壊する。

 

あんじゅ「やられた…!」

 

しかしあんじゅは焦らず宙返りし、追撃を避ける。

 

にこ「さすがの状況判断ね…!」

 

あんじゅ「そちらも…ね!」

 

 

 

 

 

英玲奈「もしもこれが限界だというのなら…

遠慮なくやらせてもらう…!」

 

真姫「…そんなワケ…

ないでしょ!」

 

サテライトシステムを再展開し、チャージされたエネルギーを、シュベルトゲベールの出力に転化すると、その出力はエピオンのビームソードと拮抗しうるものにまで上がった。

 

英玲奈「…!

やってくれる!」

 

真姫「こんなところで…退けない!」

 

 

 

 

 

 

 

バシィッ…

 

 

 

穂乃果の拳と、ツバサの剣が、正面から激突し、破裂音のような轟音が辺りに響いた。

 

 

穂乃果「…!」

 

ツバサ「…!」

 

 

 

互いに驚きを隠せなかった。

 

地区大会の時とは別次元になった実力を、互いに感じ取ったからなのだろう。

 

 

穂乃果「…よし、試してみよう!」

 

アシムレイトで更なる性能の発揮が期待できる…

海未は確かにそう言った。

 

 

穂乃果「フィン・ファンネル!!」

 

 

穂乃果がSPのスロットを再び展開すると、今度は左手側に黄緑、黄、赤の、右手側に紫、水色、ピンクのフィンファンネルが展開された。

 

3基がそれぞれ三角形を形作ると、中心にフィールドが生成された。

 

ここまでは同じだった。

 

しかし穂乃果は直感で感じていた。

 

 

穂乃果「そうか…

私の気持ちに応えてくれて…

 

それなら!」

 

ビームライフルやビームサーベルを持つことはせず、両手をそれぞれのフィールドに入れると、μガンダムの両手は今まで見たことのない、透き通ったように輝く白へと変貌を遂げた。

 

 

穂乃果「これが…μガンダムの本当の力…!」

 

ツバサ「いくらパワーゲートといっても、この一撃を手では!」

 

 

 

斬りかかったツバサのGNソードⅤを、どう動くのか全く見せずにμガンダムが掴んでいた。

 

 

ツバサ「何をしたの…!」

 

 

 

 

穂乃果「これが私たちの結晶…

 

μガンダムの、μ'sの力…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回

2期#15

9人の炎と3人の剣

 

に、続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『頑張れ、穂乃果ちゃん』




いかがでしたでしょうか?

幕を開けた決勝戦、その終結まで、ひいては物語の終わりまで、お付き合いいただければ幸いです。

(2016/6/17 凍結の為歌詞を削除し改訂)


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2期#15『9人の炎、3人の剣』

運命の決勝戦、バトルは進んでいきます。

多くは書きません、ではどうぞ!


穂乃果「これが私たちの結晶…

 

μガンダムの、μ'sの力…!!」

 

 

 

2期#15

9人の炎、3人の剣

 

 

 

 

 

 

ツバサ「その拳は…!?」

 

今までオレンジや赤に染まっていたゴッドガンダムの拳。

 

しかしそれがμガンダムという、μ'sの想いの結晶と重なり、そして穂乃果のアシムレイトが共鳴して、橙の機体に閃光が疾ったような白をたぎらせたのだった。

 

 

穂乃果「…!」

 

白い拳を一瞬見たもつかの間、μガンダムが緑のカメラアイを一際強く輝かせると、次の瞬間にダブルオーは頭部を掴まれ、成す術なく地面に叩きつけられていた。

 

 

ツバサ「なに…

なに…!」

 

驚きを隠せないツバサをよそに、周辺の地面もろともダブルオーA-RISERを壊さんとする勢いで掴んでいない方の拳で突きを繰り出すμガンダム。

 

ツバサ「…!」

 

 

粒子化して脱出したツバサだったが、頭部の損傷は決して小さいものではなかった。

 

 

穂乃果「やっと…

届いた!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんじゅ「ツバサ!?」

 

にこ「穂乃果…ついに!」

 

対峙していたにことあんじゅが、舞い上がった砂煙を見て一瞬互いのリーダーを見遣る。

 

 

あんじゅ「…心配は無用ね、私は私のすることを…!」

 

にこ「迷わず来るなんて…

前とは違うわね!」

 

 

ビームサーベルを両手に持ち、突撃をかけたストライクフリーダムをジャベリンで受け止めたユにこーンが、アームド・アーマーVNを展開して隙のできたストライクフリーダムを掴もうと腕を振りかぶるが、その機動性でストライクフリーダムは一瞬で組み合いを解き、避けて見せた。

 

あんじゅ「そう簡単な手にはかからないわよ!」

 

にこ「想定内っ!」

 

すかさずユにこーンが、離れたストライクフリーダムに向けて、アームド・アーマーBSを連射すると、ビームライフルに装備を持ち替えたストライクフリーダムが今度は精密な射撃でユにこーンを捉えた。

 

 

にこ「…!」

 

Iフィールドで耐えることができるとはいえ、反動で大きく飛ばされたにこは建物に激突し、辺りに砂煙が巻き上がった。

 

 

あんじゅ「もらったわ!!」

 

砂煙に向けてあんじゅがドラグーンを放つと、まもなくそのビームが何本も、ユにこーンがいるであろう空間を焼いた。

 

 

あんじゅ「仕留めた…!」

 

にこ「だぁれが…

 

こんなところで勝手に勝ったことにしないでもらえるかしらぁ!」

 

あんじゅ「なっ…!?」

 

 

そこであんじゅは気づいた。

自分の放ったドラグーンがまだ戻らないことに。

 

そして砂煙の引いてきたそのビルの方向を見ると、今までのカラフルな光はもう見えず、ただ一色、深い緑の光が輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

真姫「押され…っ!」

 

エピオンに押しきられたルージュが、その体勢を崩すと、ここぞとばかりに英玲奈が攻勢に出る。

 

英玲奈「決めさせてもらう!」

 

ビームソードの出力を上げたエピオンが、倒れたルージュを叩き斬ろうとソードを振り上げた。

 

 

真姫「花陽…凛…

にこちゃん…穂乃果…ごめん…」

 

真姫の顔に諦めの色が見えた。

 

その時。

 

 

エピオンの頭上から、ビームが降り注いだ。

 

英玲奈「なに!?

これは…あんじゅのドラグーンでは!?」

 

 

 

 

にこ「真姫!あんたなに諦めてんのよ!

バッカじゃないのぉ!!」

 

 

 

ビームを放ったのはにこだった。

ストライクフリーダムからサイコミュジャックで奪取したドラグーンを真姫に向かわせ、援護したのだった。

 

そしてユにこーンのサイコフレームは緑に輝きを変えていた。

 

 

にこ「なに泣きそうになってるのよ!

悔しいなら立ちなさいよ!

まだ負けてないでしょ…

まだ立てるでしょ!!」

 

真姫「にこちゃん…っ…!」

 

真姫は浮かんだ涙を堪え、再び機体を立て直した。

 

 

英玲奈「矢澤にこ…

またしても!」

 

あんじゅ「英玲奈…ごめん、私…」

 

英玲奈「あんじゅ、気にすることはない。

ここからだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ツバサ「(なんてこと…

ここまでのスピード、出力…

ダブルオーA-RISERより上…?)」

 

焦りを隠せないツバサに、地面を蹴って飛び出した穂乃果のμガンダムが迫る。

 

穂乃果「はあっ!!」

 

右手から繰り出された突きが、ダブルオーが咄嗟に翳したGNソードVを砕いた。

 

ツバサ「一撃で…砕かれた!?」

 

そのまま突き抜けた拳が、ダブルオーの腰を掠めると、右腰にマウントされていたGNソードⅡが折れて落下した。

 

ツバサ「…こうなったら!」

 

 

トランザムしていたダブルオーA-RISERから、突如大量の粒子が放たれると、その勢いに圧されてμガンダムが動きを止め、ガードの体勢を取った。

 

穂乃果「やっぱり…

まだガンプラ学園の時みたいな勢いを感じてなかった、これがツバサさんの本気!」

 

額から汗を流しながら、穂乃果は笑っていた。

 

機体を緑色に染めたダブルオーA-RISERが、両腕のGNソードⅢをソードモードに展開すると、その刀身もまた緑色に輝いて行く。

 

 

ツバサ「行くわ!」

 

 

次の瞬間、穂乃果の拳とツバサの剣が正面から衝突していた。

 

互いに全くひけをとらないその衝撃で、周囲の地面が抉れていく。

 

 

ツバサ「これでようやく同等…

穂乃果さん…いや、μ's、なんて力なの…!」

 

穂乃果「やっぱりツバサさんは、A-RISEはすごいや…!

さっきまではどうにかなるかもって思ってたけど、今は気を抜いた瞬間負けちゃいそう…!」

 

 

言葉とは裏腹に、2人は笑っていた。

 

アシムレイトの穂乃果の腕の痛みは尋常ではないはずである。

それでも、穂乃果は、笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にこ「真姫…

時間稼ぐから、サテライトのチャージを。

どれくらいかかる?」

 

真姫「1分。

1分あれば…」

 

にこ「1分…」

 

 

 

制限時間はまもなく残り2分を迎えようとしていた。

 

にこ「任せなさい!

 

…あんた、なんでそんな笑ってんのよ」

 

真姫「にこちゃんだって…」

 

にこ「…楽しいからよ、ガンプラバトル」

 

真姫「私も。

 

チャージ開始したわ、頼むわよ!」

 

にこ「ええ!」

 

 

玉砕するかもしれない。

それでも、その覚悟で。

心の底から楽しんで、笑顔で…

 

 

にこは真姫を信じ、1機で英玲奈たちに向かっていく。

 

 

英玲奈「1機で来るなどと!」

 

にこ「1機かもしれない…

でも、私たちは9人よ!!」

 

エピオンのビームソードとユニコーンのジャベリンが拮抗する。

 

あんじゅ「背中ががら空きよ!!」

 

にこ「絵里!」

 

絵里のフェネクスのアームド・アーマーDEが、Iフィールドを展開してビームからにこを守る。

 

英玲奈「我々だって1人ではない!

3人で戦っている!!」

 

ジャベリンを押されて押しきられそうになるにこ。

 

にこ「…っ!

希っ!!」

 

呼応するように今度は、希のバンシィのアームド・アーマーVNがビームソードを受け止める。

 

そしてエピオンの右腕を損傷に持ち込んだ。

 

 

あんじゅ「これならっ!」

 

ビームサーベルを取り出し、ユにこーンのアームド・アーマーDEを片方損傷させたあんじゅだったが、決定打を放つには至らない。

 

にこ「あと30秒…!」

 

英玲奈「西木野真姫がいない…

そういうことか!

くっ!」

 

にこの企みに気づいた英玲奈が、遠方に見えた真姫目掛けて進んで行く。

 

にこ「させないっ!」

 

離れる英玲奈に向けて、ジャベリンを飛ばすにこ。

 

しかしそれはあんじゅによって阻まれた。

 

あんじゅ「英玲奈の邪魔は…!」

 

ビームシールドを展開してジャベリンを受け止めた左腕を犠牲に、右手にビームサーベルを連結させたストライクフリーダムが、カリドゥスをチャージしながらにこに接近する。

 

にこ「真姫!」

 

 

制限時間は残り1分と10秒を指している。

 

あんじゅ「届いて…!」

 

にこに接近したあんじゅが、限界までチャージしたカリドゥスを放った。

 

残ったアームド・アーマーDEでガードするにこだったが、徐々にIフィールドが弱まっていく。

 

にこ「こうするしか…ない!」

 

見切りをつけたにこがアームド・アーマーDEを投げ、ビームサーベルを抜いてあんじゅに向けて投げると、それはストライクフリーダムの機体を貫いた。

 

あんじゅ「…!

さすがね!」

 

体勢を崩されたあんじゅだったが、右手にもったビームサーベルを突き出してユにこーンを貫く。

 

にこ「まだああああ!!!!」

 

にこが近づいたあんじゅにもう一撃、右手のビームトンファーを突き刺すと、ストライクフリーダムはその動きを止めた。

 

にこ「…今回は引き分け、かしらね」

 

あんじゅ「そのようね…」

 

 

あんじゅのストライクフリーダムヴィヴィッドの停止を見届けるかのように、にこのフルアーマーユにこーン・プランBもその目とサイコフレームの輝きを失った。

 

 

 

にこ「(真姫…穂乃果…!)」

 

 

 

 

 

 

英玲奈「西木野真姫!

サテライトの発射…2度は許さん!」

 

真姫「あと5秒…!」

 

 

眼前に英玲奈のエピオンが迫るが、真姫のサテライトキャノンのチャージは間もなく終了であった。

 

この距離で放てばエピオンと言えど、右腕の損傷も相まってさすがに耐えられないだろう。

 

しかしその一瞬、5秒という時間が、真姫はとてつもなく長く感じていた。

 

真姫「あと3びょ…」

 

英玲奈「食らうがいい!」

 

 

 

 

 

あと2秒。

その時間がこんなにもどかしく感じたことはなかった。

 

 

エピオンのビームソードが、真姫のルージュを貫いていた。

 

英玲奈「残念だったな西木野真姫、矢澤にこ。

一歩及ばなかったようだ」

 

 

真姫「誰がサテライトシステムはキャノンだけって言ったのかしら?」

 

英玲奈「何っ!?」

 

左手で差し込まれたビームソードの柄を掴み、逃げられないようにした真姫が、右手に握ったシュベルトゲベールにサテライトのエネルギーを再び集約した。

 

 

真姫「これで相討ちよ!」

 

英玲奈「くぅっ…!!!」

 

 

 

 

互いを貫く形となった真姫のサテライトルージュと英玲奈のエピオンヴァイオレットが、力なくその場に項垂れた。

 

 

 

残り時間はもう1分を切っている。

 

 

 

英玲奈「ツバサ…!」

 

あんじゅ「ツバサ!」

 

真姫「穂乃果!」

 

にこ「穂乃果ぁ!!」

 

 

 

 

 

 

勝敗は、リーダーの2人に委ねられた。

 

 

 

 

 

 

上空に舞い上がったツバサが、ダブルオーの両手を掲げると、巨大な粒子の剣が形成されていく。

 

かたや穂乃果は、地上で扇形ビームサーベルを抜き、再びフィン・ファンネルでフィールドを作り出していた。

 

穂乃果「みんな!

最後の力を!

このバトルを…

笑って、楽しんで終えるために!」

 

穂乃果の声に反応するかにように、左右に懸架されたフィン・ファンネルが4基ずつ、フィールドを形作った。

 

そしてそれに包まれたビームサーベルが大きく、そしてより一層輝きを増して穂乃果の、μガンダムの腕に握られた。

 

 

 

 

 

ツバサ「前と同じね、穂乃果さん。

地区大会の決勝…

あの時と。」

 

穂乃果「そうですね…

でも、あの時とは違う。

みんなの想い、声、期待。

全部を背負って、今の私の機体が、μガンダムがここに立ってる…!」

 

ツバサ「それは私も同じ。

 

 

A-RISEの力、思い知りなさい!!!」

 

 

ツバサが巨大なライザーソードを振り下ろすと、穂乃果はビームサーベルでそれを受け止めた。

 

 

穂乃果「やっぱり…前とは全然違う…

 

でもなんでだろう、こんなに楽しいや…!」

 

穂乃果がにっと笑うと、ビームサーベルが更に輝きを増す。

 

 

ツバサ「これを受け止め続けるだなんて…

さすが穂乃果さんね!」

 

ツバサのライザーソードもまた、その剣を更に大きく伸ばして行く。

 

 

 

 

 

穂乃果「怖がる癖は捨てちゃえ…

 

とびきりの…笑顔でっ…!」

 

前とは違い、笑顔で。

μ'sのみんなの声を乗せた歌を、穂乃果が呟くように歌う。

 

 

穂乃果「飛んで、飛んで、高く…!」

 

 

 

すると、強固で巨大なライザーソードに、バシッと大きく1本のヒビが走った。

 

 

 

穂乃果「僕らは今の―――――――――――」

 

 

 

 

ツバサ「…!」

 

 

 

 

 

 

 

あの時と同じだった。

 

 

ライザーソードが消え、ダブルオーA-RISERが落下する。

 

 

大きく凹み、抉れた地面の穴の真ん中に、μガンダムは佇んでいた。

 

 

 

 

 

しかし。

 

あの時とは違う、力強い立ち方で、穂乃果は、μガンダムは、地面を踏みしめていた。

 

 

 

穂乃果「…よぉーーーっし!」

 

 

 

ツバサ「あれを…耐えるだなんて…!」

 

 

 

 

落下したダブルオーに、μガンダムのビームサーベルが迫った。

 

 

 

穂乃果「これが…μ'sの想いの力だぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

Over the time limit…

Battle END…

 

 

 

しかし穂乃果が止めをさす直前、タイムアップを告げるアナウンスと共に、バトルは終了する。

 

 

 

 

 

メイジン「バトル終了だ!!

 

残った機体は互いに1…

 

よってこの試合、15分後にチームの代表による1対1の延長戦を行う!!」

 

 

 

 

 

 

これが運命なのか偶然なのか、それはわからない。

 

しかしかくしてμ'sとA-RISE、その勝負の行方は…

 

穂乃果とツバサ、2人のリーダーの手に託されることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回

ラブライブ!×ガンダムビルドファイターズ

 

最終回

 

『光輝く瞬間』

 

に、続く。

 




いかがでしたでしょうか。

次回ついに最終回、期待してお待ちいただければ幸いです。


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最終回『光輝く瞬間』

μ'sとA-RISEのガンプラバトル、ついにここに決着。



メイジン「バトル終了だ!!

 

残った機体は互いに1…

 

よってこの試合、15分後にチームの代表による1対1の延長戦を行う!!」

 

 

 

会場は静寂に包まれていた。

超満員の会場、しかしその中の誰一人としてなにも言わない。

 

 

 

穂乃果とツバサ、2人の荒い息づかいだけが、会場に響いた。

 

 

 

 

 

ラブライブ!×ガンダムビルドファイターズ

 

最終回

『光輝く瞬間』

 

 

 

 

 

 

メイジン「2組のメンバーはステージへ!

バトルに使用したガンプラのパーツのみを使った補修が可能だ!」

 

 

そしてステージに、μ's9人が揃った。

 

 

海未「穂乃果…身体は?」

 

穂乃果「大丈夫…

そんなことより、早くファンネルを」

 

穂乃果は自分の身体やμガンダムの機体より、何より先にフィン・ファンネルの補修をメンバーに頼んだ。

 

ことり「穂乃果ちゃん…なんで?」

 

穂乃果「みんなと一緒に…

戦いたいから!」

 

少し苦しそうだった表情は笑顔に戻り、そのまま穂乃果はμガンダムの応急処置に入った。

 

それを見届けたメンバーたちは、ただ穂乃果を信じて、各々の色のフィン・ファンネルを補修していく。

 

 

 

 

 

ツバサ「…負けてしまうところだった…」

 

頭部に腰、そしてGNソードⅤと、損傷激しいダブルオーA-RISERを見つめ、ツバサは悔しそうな表情を浮かべる。

 

あんじゅ「でも、まだ負けてないでしょ?」

 

英玲奈「我々の心も一緒に、連れていってくれ。ツバサ」

 

ツバサ「あんじゅ…英玲奈…」

 

 

無くなってしまったセブンソードの2本を補うように、片方の腰にはあんじゅのストライクフリーダムヴィヴィッドのビームサーベルとクスィフィアスレール砲が、そして手には英玲奈のエピオンヴァイオレットのビームソードが装備され、A-RISEの力をひとつに集めたもうひとつのセブンソードが完成する。

 

 

あんじゅ「少し不格好かもしれないけど…」

 

英玲奈「これもセブンソードだ。」

 

 

ツバサ「…!

二人とも…

 

ありがとう!」

 

 

いつもの自信に溢れた笑顔を取り戻したツバサが、一足早くシステムへと戻る。

 

 

 

 

 

 

かたやμ'sも、機体の補修を終えた。

 

絵里「…私たちは来るところまで来たのよね、きっと」

 

希「そうやね。

あとは手を伸ばすだけや」

 

にこ「その手を伸ばすのは穂乃果一人じゃない。」

 

凛「μ'sみんなの手で…」

 

花陽「気持ちを、想いをひとつに…」

 

真姫「それをμガンダムと、穂乃果に預けて」

 

海未「さあ、穂乃果」

 

ことり「精一杯…」

 

 

8人『楽しんで!』

 

 

誰も、焦っていなかった。

誰も、震えていなかった。

皆、笑っていた。

 

 

穂乃果「…うん、ありがとうみんな!」

 

 

 

浮かんだ涙をぬぐって、穂乃果もシステムへ戻った。

 

 

 

 

ツバサ「穂乃果さん!

 

こんな時におかしいかもしれないけれど…

 

私、すごくワクワクしてるわ!」

 

ツバサの言葉に穂乃果は一瞬驚き、そして笑顔で返す。

 

 

穂乃果「私もです!

 

悔いのない…楽しい試合をしましょう!!」

 

 

 

 

 

 

メイジン「用意は整ったな…!

 

ではガンプラバトル全国大会!高校生以下の部、決勝戦!!

 

音ノ木坂学院・μ's対!

UTX学院・A-RISE!

 

代表による延長戦…

 

開始だぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

ワァァアァァァーーーーーッ!!!!!

 

静かだった観客のボルテージが一気に上がり、再び熱狂的な空気が会場を覆った。

 

 

 

BATTLE START

 

 

 

ツバサ「あんじゅ、英玲奈、行くわよ!!」

 

穂乃果「みんな、いこうっ!!!」

 

機体を緑色に染めたダブルオーと、再びその拳を白く染めたμガンダムが激突した。

 

 

 

 

 

穂乃果「真姫ちゃん!凛ちゃん!花陽ちゃん!」

 

穂乃果の声に応えるように、赤、黄、緑のフィン・ファンネルが三角を形作り、フィールドが生成された。

 

穂乃果「いっけぇ!!」

 

μガンダムの再大出力での射撃をフィールドに放つと、増幅され3色に輝くビームがフィールドから放たれた。

 

 

 

 

 

ツバサ「英玲奈!

借りるわ!」

 

ビームを避けることはせず、エピオンのビームソードで受け止めたツバサ。

 

ツバサ「今度はこっちからいくわ!」

 

 

 

 

ビームを吸収して出力の上がったビームソードをかざし、ツバサが突貫をかける。

 

穂乃果「さすがツバサさん…でも!」

 

 

 

 

 

穂乃果「にこちゃん!希ちゃん!絵里ちゃん!」

 

今度はサーベルを抜き、ピンク、紫、水色で形成されたフィールドに差し込むと、サーベルがその大きさを増す。

 

ツバサ「さすがね!!」

 

ダブルオーのビームソードとμガンダムのビームサーベルが拮抗する。

 

ツバサ「あんじゅ!」

 

空いた片手であんじゅのストライクフリーダムのビームサーベルを抜き、ビームソードとビームサーベルの2本で穂乃果を押す。

 

 

 

 

穂乃果「ま…だぁ!」

 

穂乃果も負けじともう片方のビームサーベルを抜き、つばぜり合いを再び拮抗に持ち込んだ。

 

 

 

 

激しいつばぜり合いの末、互いの装備に負担がかかり、その爆発の反動で2機は一度距離を離す。

 

穂乃果「へへっ…!」

 

ツバサ「ふふっ…!」

 

ダブルオーがビームサーベルを抜いて突撃してきたのを見遣ると、穂乃果は白く輝く拳に燃えるような炎を纏わせる。

 

穂乃果「ばぁあくねぇぇぇつ!!!!

 

ゴッドフィンガァァァァァァァァァァァァアーーーーッ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

ツバサ「なんて力…!

っ!」

 

 

ビームサーベルの持ち手に届いたゴッドフィンガーに気づき、ダブルオーがビームサーベルを手放して離脱した直後、ビームサーベルは爆発する。

 

ツバサ「でも!」

 

そのまま背後に回ったツバサが、残っていたGNソードⅡを投げると、回避の遅れたμガンダムのビームライフルを突き刺して破壊した。

 

穂乃果「さすが…早い!」

 

 

 

 

 

穂乃果に残されたのはフィン・ファンネルとその拳。

 

ツバサに残されたのは腕に装備された2振りのGNソードⅢ。

 

 

一旦着地した二人は、互いを見つめそのまま動きを止める。

 

 

 

 

 

 

花陽「(みんなとガンプラを始めて)」

 

凛「(今までよりもっと早く時が過ぎて)」

 

真姫「(そんな忙しい毎日が…

かけがえもなく、大切で)」

 

 

 

 

 

希「(ウチらの気持ちはもっともっと大きくなって)」

 

絵里「(今こうして、全国の頂点に手をかけようとまでしている)」

 

にこ「(本当に他の誰でもない…

音ノ木坂学院・μ'sの9人で)」

 

 

 

 

あんじゅ「(ツバサ…

私たちはあなたにここまで、こんなところまで連れてきてもらった。)」

 

英玲奈「(今舞台に立っているのは、そこに立つことを誰より強く望んだツバサ自身だ。)」

 

 

 

 

8人『穂乃果…頑張って!』

 

2人『ツバサ…頑張れ!』

 

 

 

 

 

メンバーたちの声を聞き届けたかのように、立って向かい合う二人がニッと笑った。

 

互いが左手を引き込むと、粒子が左手に集まっていく。

 

 

 

 

 

穂乃果「いっけぇ!!」

 

先にその手を振り出した穂乃果の手から、石破天驚拳が放たれる。

 

ツバサ「それなら!!」

 

ツバサも、左手だけでありながら片手とは思えないサイズのライザーソードをぶつけて応戦する。

 

 

 

 

 

穂乃果「ぐっ…!

いっけぇぇえ!!」

 

ツバサ「させない…

させないわ!!!」

 

激突した粒子の塊が爆ぜ、ツバサの左手のライザーソードがGNソードⅢもろとも崩れるが、放った左手の負担から、穂乃果の左手も動かすのがやっとといった状態まで損傷させられてしまう。

 

 

 

 

穂乃果「うっ…手が…

それでもっ!」

 

ツバサ「左はもうダメね…

でもまだ、負けてない!」

 

 

 

 

 

互いに残された右手を、2人が…

いや、12人が掲げる。

 

 

 

 

 

ツバサ「この剣に、3人の想いを乗せて…」

 

穂乃果「この拳に、9人の想いを乗せて…!!」

 

 

 

 

 

 

ツバサ「これで決まる…!

いえ、決めるわ!!!」

 

右手に唯一残されたGNソードⅢに、ライザーソードが再び形作られていく。

 

 

 

 

 

穂乃果「みんなと出会って、ガンプラと出会って…

 

大変だったこともあったけど、それでもここまで来れたから!

 

これが最後じゃない…

またここから駆け出して、羽ばたくために!!

 

みんなの想い、届けるから!!」

 

穂乃果が叫ぶと、掲げられた右手の上に、8基のフィン・ファンネルがフィールドを作った。

 

そのフィールドは8基のうちのどの色でもない、鮮やかなオレンジ色。

 

 

 

 

 

ツバサ「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

ツバサが限界まで巨大化させたライザーソードを穂乃果向けて叩きつけるが、穂乃果は飛び上がってフィールドを抜け、その拳にμ's8人の想いを込め、片手でそのライザーソードと拮抗する。

 

 

 

ツバサ「片手なのになんて力なの…!」

 

穂乃果「片手かもしれない…

でも、これはμ'sの片手。

9本の…片手!」

 

 

 

 

ツバサ「それならこっちだって!!

A-RISEの…3人の剣よ!」

 

見たこともないような閃光で、戦っている穂乃果とツバサ以外はなにも見えていないであろう。

 

しかしμ'sとA-RISEは、その閃光が止むまでリーダーを信じていた。

 

 

 

 

 

穂乃果「うおぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉお!!!!!!!!!」

 

ツバサ「はぁあああぁぁああああぁああああ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

しばらく経って、閃光が収まりを見せると、バトルの行く末は自ずと明らかになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「優勝は!…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

音ノ木坂学院・アイドル研究部の部室に。

 

ボロボロに崩れかけたまま右手を掲げたμガンダムと。

 

『ガンプラバトル全国大会 高校生以下の部 優勝』

 

と書かれた旗と賞状が飾られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回

 

エピローグ

 

 

『μ's、ガンプラバトルスタート!』

 

 

ほのかな予感から始まったμ'sのガンプラバトルが、その幕を閉じる…?




いかがでしたでしょうか?
1年弱もの長期間、描き続けてきたこのssも、残すところエピローグのみとなってしまいました。
現状90を越えるお気に入り、投稿の度寄せられる感想…
どれもすべてが励みとなり、今までのモチベに繋がっています。
読んでくれた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

そしてエピローグも、ちかいうちに投稿したいと考えておりますので、その時は見届けていただければ嬉しいです。

2016.4.13


(2016/6/17 凍結の為歌詞を削除し改訂)


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エピローグ『μ's、ガンプラバトルスタート!』

更新が遅れてしまって申し訳ありませんでした!

ついにμ'sとガンプラの物語に完結のときがきました。
長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました。

ずらずらと述べるのはあとがきにしたいと思います、ではどうぞ!


『あの日から時は過ぎて。

 

μ'sは、3年生の卒業を以て解散すると決まった。

 

辛い、そうしたくないと思ったけれど。

 

みんながそう考えていた。

 

今も胸に手を当てると思い出す。

 

ラブライブとは違う、もうひとつの栄光を掴んだ、あの日のことを…。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイジン「ガンプラバトル全国大会、高校生以下の部!

優勝は!!

 

音ノ木坂学院・μ'sだ!!!!!!」

 

 

ワァァァァァーーーーーーーーッ!!!!!!!!

μ's!μ's!μ's!μ's!!

 

 

 

会場を揺るがす大声援、そしてμ'sコール。

 

 

メンバーは穂乃果に駆け寄り、そして言葉にならない想いを涙に乗せて流した。

 

アシムレイトの影響で無数に傷を作り、くたくたに疲れているはずの穂乃果でさえ、その顔は笑顔と涙で溢れていた。

 

 

 

 

 

ツバサ「…穂乃果さん」

 

μ'sに歩み寄ったツバサが、笑顔で穂乃果に手を差し出す。

 

ツバサ「あなたの勝ちよ。

おめでとう…」

 

しかしその声はすこし震えていた。

 

穂乃果「ツバサさん…

 

楽しいバトル、ありがとうございました!!」

 

穂乃果も負けじと笑顔でその差し出された手を握る。

 

ツバサ「次は、負けないわよ!」

 

穂乃果「望むところです!!」

 

 

 

 

 

 

 

結果発表と表彰式を終え、暮れそうな夕陽を横目に、μ'sは会場を後にするのだった。

 

 

にこ「ほんっとうに…

ほんっとうにやったのよね、私たち…」

 

にこが優勝旗を持って、また涙ぐみながら言う。

 

希「そうや。

みんなで叶えたんやで、にこっち」

 

絵里「まぁ、始めた当初はこんなことになるなんて思わなかったけど…

 

それはスクールアイドルも同じね」

 

そう言いながらにこを挟むように歩く希と絵里が、感慨深そうに旗を見る。

 

 

凛「まだ信じられないにゃぁ…

だって優勝だよ!優勝!」

 

花陽「でも…あっ!」

 

スマホを持った花陽が、ネットニュースの画面を見て固まっているのを見て、真姫がなにかと画面を覗くと。

 

真姫「私たちの優勝…ネットに出てるじゃない!」

 

花陽「夢じゃ…ないんだね…!」

 

 

 

ことり「穂乃果ちゃん、大丈夫?疲れてない?」

 

海未「無理は禁物ですよ?」

 

穂乃果「うん…大丈夫。」

 

すこし寂しそうな顔で歩く穂乃果の表情を、2人は見逃さなかった。

 

海未「穂乃果。

 

これで終わりじゃ、ないのですよ?」

 

ことり「穂乃果ちゃんが言ったんだよ?

『これが最後じゃない…

またここから駆け出して、羽ばたくために!!』

って。」

 

 

穂乃果「わかってる。

 

わかってるよ、でも…」

 

夕陽に照らされていても肌寒く感じる、冬の風がメンバーを包む。

 

 

 

穂乃果「μ's9人で、大会に出られるのはきっと…もう」

 

 

 

穂乃果の呟きが、μ'sの歩みを止める。

 

 

全員わかっていたはずだった。

3年生の卒業。

それはなにをしても避けようのない事実であることを。

 

しかし言わなかった。

言えなかった。

 

今まで歩んできた9人の足取りを、崩したくなかったから。

 

 

 

にこ「続けなさいよ。

ガンプラも…スクールアイドルも」

 

にこがうつむいたまま言うと、横にいた希と絵里がにこを見る。

 

にこ「これからもμ'sとして…

アンタたちには、続けていってほしい。」

 

 

穂乃果「…それって、私は違うと思うな」

 

にこ「え?」

 

穂乃果の予想外の返答に、にこも含め全員が一番前を歩いていた穂乃果の背中に視線を移した。

 

 

穂乃果「わたしはこの9人だからμ'sなんだって、そう思ってる。

 

ガンプラだってスクールアイドルだって大好きだし、これからも続けたいよ。

 

でも…このグループは。

μ'sは、私達9人の思い出にしたい。」

 

 

声を震わせながら言い切った穂乃果に、にこが飛びかからんとする勢いで飛び出したのを、真姫が抑える。

 

 

にこ「続けなさいよ…

 

μ'sの名前は…

そんなものでなくなるものなの…?

そんなグループだったの…!?」

 

次第に声を大にして叫ぶにこに、穂乃果は向き直らず、そのまま言った。

 

 

穂乃果「私達は9人でひとつだって、そう思うんだ。

 

μ'sがひとつの光になって今まで駆け抜けてきたけど、そこからひとつでも欠片が欠けてしまったら、もう前みたいには輝けないと思う。

 

それはμ'sじゃないし、名乗る資格だってないよ。」

 

 

にこ「だからって…

だからってやめるの!?

ねえ!アンタたちは何も思わないの!?なんで泣いてるのよ!!ねぇ!!」

 

メンバーは皆泣いていた。

 

 

真姫「にこちゃん…

なんでわかんないのよ…

 

私決勝の前に言ったじゃない!

ガンプラ続けるって!

スクールアイドルだってそう!

私だけじゃない、皆そう思ってるはず…!

わかるでしょ!?

 

そのはずなのに…なんでそういう言い方するのよ!!

にこちゃんが一番…

μ'sのこと大好きなのは、みんなわかってるからっ…

 

だから…にこちゃんもわかって…

私たちなりの、μ'sへの向き合いかたなのっ…!」

 

流れる涙もぬぐわずに真姫がにこに言い放つと、にこは涙を流すまいと耐えるように真姫を振り払い、先陣を切って歩き始めたのだった。

 

 

 

 

帰宅中、誰も口を開こうとしなかった。

大会の優勝という栄誉をつかんだはずなのに、晴れない気分で電車に揺られていた。

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

μ'sは部室に集まって、昨日終わらなかったμ'sの今後についての話し合いをする予定だった。

 

 

 

一通のメールが届くまでは…

 

 

 

 

 

 

 

『μ's諸君

 

突然の連絡すまない。

この度の優勝、おめでとうという言葉を送らせてもらおう。

本当に素晴らしいバトルであった…

 

そしてそんな君たちに、折り入って頼みがある。

 

お台場に、「Gミューズ」というガンプラの聖地と呼んでも過言ではないスポットが存在するのは知っているかな?

近くには等身大のガンダムもそびえ立つ、ガンプラファンであれば誰もが笑顔になれる場所だ。

 

そんなGミューズ、もといガンダムの前で、今回のファイナリストである君たちとA-RISEに、ガンプラとスクールアイドル双方の発展を願って、スペシャルライブを演じていただけないかと考えている。

Gミューズという名前も、君たちμ'sとなにか運命めいたものを感じずにはいられないからな。

 

とはいえプロジェクトは君たちの了承を得て初めてスタートする、期日については春頃になってしまうかもしれない…

 

それでもよければ、是非協力願えないだろうか。よい返事を期待している。

 

 

 

3代目メイジン・カワグチ』

 

 

 

 

 

9人「…えぇぇぇぇぇぇぇぇええええええぇぇえぇ!?!?!?」

 

 

すこし険悪だったムードが一瞬で解け、各々が目を輝かせるμ'sの面々。

 

 

にこ「メイジンが…私たちに…直々に…?」

 

希「昨日も今日も…嘘みたいやなぁ…」

 

絵里「し、信じられないわぁ…」

 

花陽「大変です…!!」

 

凛「すごいことになってきたにゃあ…!」

 

真姫「期日はラブライブ決勝大会の後…」

 

ことり「それならできるよね!きっと!」

 

海未「ええ!

それに…3年生の門出を祝うにはこれ以上ない舞台です!」

 

穂乃果「…」

 

穂乃果は無言でにっと笑った。

 

穂乃果「よし…

ラブライブが終わったら、μ'sとA-RISE…

それだけじゃない、スクールアイドルとガンプラが好きな人みんなが笑えるステージをしよう!

 

それが…きっと私たちにできる一番のことだよ!」

 

 

 

 

 

3年生の卒業とμ'sの解散。

それが決まっても、結局結局μ'sは変わらなかった。

これまでと同じだった。

それが一番だと、全員が思っていた。

 

 

真姫「海未、決勝で歌う新曲の歌詞のアイデアある?」

 

海未「えぇ。

私たちが、みんなで始めたガンプラで頂点まで上り詰めた、そんな今までの想いを込めて、綴ってみました。

ラブライブの頂点を目指すには、もってこいの歌詞に仕上がっていると思いますよ」

 

 

 

部室に輝くガンプラバトル全国大会の優勝トロフィーと、穂乃果と共に戦い抜いたμガンダムを横目に、メンバーはラブライブ決勝に向けた練習を続けた。

 

 

そして、ラブライブ決勝当日。

 

μ'sは、今度はスクールアイドルとして全国の舞台に立っていた。

 

 

 

 

 

 

海未が綴った歌詞と、真姫が奏でたメロディー。

それに9人の想いが乗せられ、これまでμ'sが歩んできた道を辿るかのような、キラキラ輝く1曲の歌を作り上げた。

その歌は全国へと響き…

 

 

 

 

アンコール!

 

アンコール!

 

アンコール!!

 

 

 

止まないアンコールの中に、再びμ'sは飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激動のうちに日々は流れ、第2回ラブライブが終わり。

 

ガンプラバトル全国大会の優勝トロフィーの近くに置かれた優勝旗の横に、ラブライブ制覇の優勝旗が増えた部室で。

 

卒業式を間近に控えた3年生も含めた9人が、真剣な面持ちで集まっていた。

 

 

ついに、メイジンの言っていたスペシャルライブへ向けて準備を始めようとしていたのだ。

 

すると、部室のドアが不意に叩かれた。

 

9人がドアのほうを向き、何事かとノックの主の入室を待つと、入ってきたのは…

 

ツバサ「久しぶりね、μ'sの皆さん。」

 

あんじゅ「決勝以来かしら?」

 

英玲奈「メイジンからの話、聞いているな。

君たちと話し合って決めなければならないことがたくさんある。」

 

ツバサ「急で申し訳ないけど…お邪魔するわね」

 

英玲奈「これ、お土産だ」

 

 

 

μ's『A-RISE!?』

 

入ってきたのは、紛れもないA-RISEの3人だった。

 

にこ「なんでA-RISEがわざわざ音ノ木坂に!?」

 

あんじゅ「貴女たちの学校に来てみたかった…っていうのと、あなたたちのホームでの意見を聞きたかったからよ。」

 

英玲奈「μ'sの感じたままの意見がほしい。

今回のライブをどうしたいか…

何を歌って、どんな風に踊るか。」

 

ツバサ「そして、私たちがガンプラとスクールアイドルの架け橋になって、なにを伝えていくか。」

 

A-RISEの言葉に、μ'sは言葉をつまらせる。

 

穂乃果「なにを…伝える…」

 

 

穂乃果はスクールアイドルとガンプラを始めてから今までのことを思い返し、そして言った。

 

 

穂乃果「曲を…

 

曲を、作りましょう!」

 

すると今度はA-RISEがぎょっとした顔をする。

 

ツバサ「曲を…今から?」

 

穂乃果「はい!

メロディーも歌詞も振り付けも…誰かに任せるんじゃなくて、みんなでアイデアを出せば、スクールアイドルとガンプラ、両方やってる私たちにしか作り出せない歌が出来上がるんじゃないかなって!」

 

ツバサ「…穂乃果さんらしいわね。

私は賛成よ!」

 

ツバサが不敵に笑うと、呆気にとられていた他のメンバーもその表情を笑顔に変えてゆく。

 

かくして、お台場スペシャルライブで披露する曲の作曲と作詞が始まった。

 

 

 

 

 

歌詞に入れたい単語をそれぞれ出し、それをまとめる海未と英玲奈。

 

 

海未「夢、笑顔、輝き、喜び…」

 

英玲奈「次へともう一歩踏み出すような明るい曲…か。」

 

 

 

曲のイメージが固まったところで、今度は真姫とツバサがピアノにその指を走らせて、旋律を奏でてゆく。

 

ツバサ「…いいんじゃないかしら。

素晴らしいメロディーだと思うわ。」

 

真姫「ありがとう…」

 

ツバサ「でも、ここをこうしたら…」

 

真姫「…!」

 

にこ「」ポカーン

 

 

 

メロディーが完成し、歌詞を乗せる過程で、曲名が決まっていないことに気づいた12人は、しばし曲名を思案した。

 

 

希「明るくて元気になるような…」

 

絵里「人を笑顔にできるような、そんな曲名…」

 

あんじゅ「すぐ近くにいいヒントがあるじゃない。」

 

ことり「まるでみんなを照らす太陽みたいに、私たちを引っ張ってくれたリーダーがいる…

これってヒントにならないかな?」

 

 

 

 

歌が出来上がり、振り付けに移る頃には、ライブまで2週間を切っていた。

 

 

凛「…かよちん、凛ね、今楽しいにゃ。

すごく…」

 

花陽「凛ちゃん…」

 

 

刻一刻と迫る3年生の卒業。

目を背けたくても、そんなことはできないくらい目の前に、それは迫っていた。

 

μ's9人でいられるのは、もうあとすこし。

考えたくなくても、考えてしまう度に涙が流れそうになるのを堪えながら、ライブの練習を続けた。

 

 

 

 

そしてライブ当日。

 

お台場・実物大ガンダム立像の前に。

 

ラブライブ決勝の規模に、勝るとも劣らないサイズの大きなステージ設置されていた。

 

 

 

しかし誰ひとりとして物怖じしなかった。

今日のために積み重ねてきたこと。

それはμ'sが、スクールアイドルとしても、ビルドファイターとしても、ここでその幕を下ろすという、大事なライブだったから。

 

 

 

春風が会場を包み、晴れ空に雲はなく。

 

集まった観客は静かに、ステージを見つめていた。

メイジンもその視線をステージに向けている。

 

 

 

幕が開き、μ'sとA-RISEの登場と共に歓声が上がるが、12人はただ目を閉じてその声を聞いていた。

 

歓声が収まり、再び静かになった会場。

 

 

そこで目を開いた穂乃果とツバサが、前へと歩み出る。

 

 

 

ツバサ「皆さん、今日は私たち12人のライブに集まってくださりありがとうございます!

 

今日披露する曲は、スクールアイドルとガンプラを愛する人たちの心に届けたいと思い、μ'sとA-RISEで作り上げた曲です!」

 

穂乃果「そして、皆さんに大事な話があります。

 

私たち、μ'sは…」

 

 

徐々に穂乃果の声が震えを帯びて行く。

 

 

穂乃果「…私たち、μ'sは…

 

今日のスペシャルライブをもって、活動を終了します…!」

 

 

突然の発言に、どよめきたつ会場。

 

穂乃果「これはみんなで決めたことです。

 

私たちの最後のステージ…

見ていってください!」

 

涙を堪えて言い切った穂乃果が、笑顔に戻ると 、穂乃果とツバサ以外も歩み出て、12人が一列に並んだ。

 

 

穂乃果「これが、私たちの気持ち、私たちの想いを乗せた歌です!

 

聞いてください!」

 

 

12人『SUNNY DAY SONG』

 

 

 

 

舞台にたった12人が、今までのどのステージよりも輝いて、生き生きしていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

歌い終わった12人を包んでいたのは、歓声と拍手の海だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ついこの前までは9人一緒だったのに。

 

あれで終わりだなんて信じたくなかったのに。

 

それでも私たちは、解散を選んだ。

 

それが正しかったのかは、分からない。

 

でも私は、それでよかったと思ってる。

 

最後のステージ。あれで終わりだと思っていたけど

 

本当の最後に、今度はスクールアイドルとラブライブの発展のために歌って、私たちは…』

 

 

「穂乃果、さあ」

 

「みんな待ってるよ!」

 

「これが本当に最後なんだから」

 

「悔いのないようにやるにゃ!」

 

「緊張するけど…それよりワクワクするね!」

 

「にこのスクールアイドル最後の晴れ姿、見せてやるわ!」

 

「ウチだって!負けへんよ~?」

 

「もう…みんな最後までこれね」

 

 

「…みんな。」

 

 

 

みんな笑っていた。

いつもと同じように。

 

 

そして右手でチョキを作り、円陣の中心に差し出す。

 

 

 

『…μ'sファイナルライブ、全力で飛ばしていこう!

 

1!』

 

『2!』

『3!』

『4!』

『5!』

『6!』

『7!』

『8!』

『9!』

 

『ミューーーーーズ!!』

 

『μ'sic…START!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

μ's9人、本当の最後のステージ。

その歌の歌詞にも、メンバーの心にも、同じ言葉が綴られ、そして刻まれていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてμ'sは、スクールアイドルとしてもガンプラビルダーとしても伝説的な功績を残し、解散を迎えた。

 

その影響は大きく、スクールアイドルとガンプラビルダーがさらに増えたのはμ'sのお陰と言っても過言ではないかもしれない。

 

 

 

 

 

 

そして、ガンプラの聖地・静岡県の海沿いに佇むある高校にも、μ'sの影響を受けてスクールアイドルを始めた一人の女子高生がいた。

 

 

 

 

『私たちもいつか…

 

μ'sみたいになれるかな!』

 

 

 

 

 

 

 

ラブライブ!×ガンダムビルドファイターズ

~side:μ's~

 

 




いかがでしたでしょうか!
曲てんこ盛りで少々無理矢理な展開だったかと思いますが、自分では満足のいく終わりかたをすることができてよかったです。

μ'sがガンプラをしているだけでなく、スクールアイドルであることを忘れない、そんなことを意識して書いたつもりですが、全体的に見るとバトルに傾きぎみだったかなと思っております。


次回からはとりあえず1.2.3年生の学年ごとの話を外伝短編という形で投稿していきたいと考えています。


そして、エピローグの最後…
μ'sではない、『もうひとつのラブライブ!』の企画も、進行していきたいと考えています!

μ'sの話としては一応の完結を迎えるこのssですが、今後とも更新をどんどん続けていくつもりですのでよろしくお願いします!


そしてここまで読み進めて下さった皆様、本当にありがとうございました!
これからも精進しますので、どうぞよろしくお願い致します!!

2016.5.17



(2016/6/17 凍結の為歌詞を削除し改訂)


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μ's編外伝 『もしもの明日と語られる過去』
外伝 2年生編Ⅰ 『伝説との邂逅』


久々の更新になります!

心持ちも新たに外伝編、スタートです!

当初は学年別の話にしようかと思っていたのですが、どうしてもメンバーごとに活躍の差が生まれてしまうため、1学年あたり3話ずつ、各メンバーを主軸に据えたストーリーを作っていこうと思います!

それでは外伝最初の1話、ご覧下さい!


μ'sの全国行きが決まって程なくして。

 

穂乃果たちは全国大会用のガンプラを作り上げ、疲れはてて眠りについていた。

 

 

 

 

 

「うーん…」

 

目覚めると、見慣れた部屋の風景。

 

しかし、そこにガンプラを作っていた形跡もなければ、海未やことりもいない。

 

 

なにかがおかしい…

 

なんとなく違和感を感じながら、穂乃果が玄関から外に出ると、海未とことりもそこにいた。

 

 

穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん…

ここにいたんだね」

 

海未「はい…

でもなにか変ではありませんか?」

 

ことり「なんだか…懐かしいというか…」

 

 

3人とも、生まれたときから3人が住んできたアキバの街並みが、空気が、少し今とは違う気がしていた。

 

 

なにかを探ろうと歩き回り、UTXの目の前についてモニターを見た3人は、ようやくその違和感の理由に気づいた。

 

 

『7年前…!?』

 

 

流れていたアニメのDVDのCMを見ると、それの発売日が穂乃果たちの過ごしていた時の7年前だとたしかに表示されていた。

 

 

穂乃果「私たち…タイムスリップしちゃったの…?」

 

 

 

 

 

 

ラブライブ!×ガンダムビルドファイターズ 外伝

 

2年生編Ⅰ

 

『伝説との邂逅』

 

 

 

 

 

 

7年前に来てしまい、戻る方法も見つからない穂乃果たちは、なにかヒントを求め、現在穂乃果たちが打ち込んでいることのひとつであるガンプラに目星をつけた。

 

過去にやっておらず、現在やっていること。

そこに触れればなにか事態は動くのではないかと考えたからだった。

 

 

はじめてガンプラに触れたエドバシカメラに足を運んだ穂乃果たちの目に留まったのは、でかでかとした広告だった。

 

 

海未「世界チャンピオンとバトルしよう…?」

 

ことり「ガンプラバトル世界チャンピオン、イオリ・セイとバトル…?」

 

 

イオリ・セイ。

その名前にはどこかで聞き覚えがあった。

 

 

海未「…この名前、確か…」

 

 

話はμ'sの全国行きが決まったときまで遡る。

 

μ'sでもA-RISEでもない、もう一組の全国出場が決まったとき、にこは確かに言っていた。

 

「え…?

聖鳳学園ってあの…イオリ・セイのいた…?」

 

 

いち早く思い出したのは海未だった。

 

 

海未「!

聖鳳学園…

チーム・トライファイターズのいる学校に、過去にいた人物だとにこが言っていたはずです!」

 

ことり「まさか…世界チャンピオンだったなんて…」

 

 

穂乃果「よぉーーーっし!

戦おうっ!!」

 

相変わらず誰より先に、無鉄砲に言い出したのは穂乃果だった。

 

 

穂乃果「だって他にすることも見つからないし…

これってまたとない機会だと思わない!?」

 

目を輝かせて言う穂乃果。

そして言っていることは確かに間違ってはいなかった。

 

海未「…確かに、タイミング的にも聖鳳学園が関係しているというのは気になりますね…」

 

ことり「いいんじゃないかな!

行ってみよう♪」

 

 

かくして3人は、エドバシカメラ6Fのバトルコーナーに向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

そこには想像以上の静寂が広がっていた。

 

大人数の人。しかしその一人一人が口を開こうとしない。

 

LIVE画面に写っているのは青い粒子に包まれたガンプラと、それによる攻撃で破壊されたと思われる大破したガンプラのみ。

 

ようやく纏っていた粒子が消えたガンプラの手には、日本刀のような刀が握られ、その刀身と拳は蒼く輝いていた。

 

 

バトルを見ていなかった穂乃果たちは、周囲の張り詰めた空気からそのバトルの経過を察したのであった。

 

 

店員「第11試合…

イオリ・セイ選手の勝利です!」

 

店員の視線の先には、恐らく中学生だろうか、小柄で青い髪の少年が立っていた。

 

 

セイ「ふう…ありがとうございました!」

 

対戦相手は呆然と立ち尽くしている。

 

 

店員「さあ、他に挑戦者はいませんか?」

 

店員が問いかけても、誰も手を挙げなかった。

 

一人を除いては。

 

 

穂乃果「はいっ!!」

 

 

穂乃果が勢いよく手を挙げると、観衆の視線が穂乃果に集まり、次第にざわつき始めた。

 

当時は存在すらしていなかったμ's…

穂乃果たちのいる現在でこそその存在が認知されていても、7年前となれば全く無名の無謀な女子高生がバトルを挑んだようにしか見えないのは至極全うなことであった。

 

 

店員「他にいないようですね…

ではこちらへどうぞ!」

 

店員の誘導で、システムまで歩み寄った穂乃果が、ついにセイとシステムを挟んでその顔を合わせたのだった。

 

 

セイ「よろしくお願いします!」

 

穂乃果「こちらこそ!!」

 

 

笑顔で挨拶するセイに、穂乃果もまた笑顔で返す。

 

しかし穂乃果がガンプラを取り出した途端、セイの表情が一変した。

 

 

セイ「…このガンプラ、あなたが作ったんですか?」

 

穂乃果「うんっ!

トライゴッドガンダムって言うんだ!!」

 

セイ「塗装と精密な組み上げ…それにビームサーベルの小改造も…

 

それにこの機体は…」

 

そう言いつつセイがガンプラを取り出すと、そのガンプラもまたゴッドガンダムの要素を色濃く継いだ機体であることが見てとれた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

穂乃果「ゴッドガンダムそっくり…?」

 

セイ「ビルドゴッドガンダム…

 

あなたとならいい勝負ができそうです!」

 

穂乃果「…うん!

穂乃果もそう思う!」

 

 

 

Beginning plavsky particul dispersal…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

店員「それではスペシャルマッチ、開戦といきましょう!

 

バトル…スタートっ!!!」

 

 

 

 

Field・1

Ground

 

 

セイ「(このフィールドは…)」

 

穂乃果「桜が舞ってる…

綺麗…」

 

 

広がったフィールドは、セイが唯一無二の"相棒"に出会う前に初めて自分の作り上げた機体を動かし、そして再びそこに立ったときその"相棒"と約束を交わした、セイにとって特別なフィールドだった。

 

 

穂乃果「出来上がってすぐだけど…

いくよっ!」

 

桜を舞わせながら地面を蹴り飛び出したトライゴッドガンダムが、立ち尽くすビルドゴッドガンダムにその拳を届かせんと肉薄する。

 

セイ「させないっ!」

 

腰に差した刀でトライゴッドの拳を受け止めたビルドゴッドが、今度はその力を拮抗させて逆に押し込んでゆく。

 

穂乃果「押されるの!?」

 

驚きを隠せない穂乃果が一度拳を引いて離れると、今度はしっかりと構えたビルドゴッドがその刀を振り上げてジャンプし、トライゴッドに向けて飛びかかる。

 

その姿は日光に照らされ、さながら流星のようにも見えた。

 

穂乃果「早いっ!」

 

避けられないと判断した穂乃果は、右の拳をゴッドフィンガーで橙に染め、刀を受け止めた。

 

セイ「避けない上にゴッドフィンガーで受け止めるなんて…!

さすがだ!」

 

ゴッドフィンガーで刀が破壊されるのを危惧したセイが、刀に負担をかけまいとすぐさま穂乃果から離れる。

 

 

まずは小手調べ…といった具合に、一撃ずつ交わらせた2機が再び膠着状態に戻ると、戦場には桜吹雪が駆け抜けた。

 

 

セイ「(なにかのきっかけ…なのか?

あの機体にこのフィールド…

偶然にしては出来すぎている…気がする)」

 

 

セイは一人考えを巡らせる。

 

そこで穂乃果がビームサーベルを腰から抜いて向かって来るのを見て、セイは知らず知らずのうちに重ねていた。

 

セイ「…似て…いる。」

 

 

確実に腕は劣るだろう。

確実に動きに精細を欠いているだろう。

もしかしたらたまたまかもしれない。

 

それでも。

 

初めて出会った相手のはずなのに、相棒の姿を垣間見たセイは、その拳を、そして刀を握りしめ、上空へと飛び上がった。

 

 

セイ「…全力でいかせてもらいます!

 

ディスチャージシステム・起動!

プラフスキーパワーゲート、展開っ!!!」

 

 

穂乃果「!?

あれは…?」

 

ビルドゴッドガンダムの腰回りに装備された緑のクリアパーツから、矢印のような形をした光が放たれ、その矢印が円を形作ってフィールドが発生する。

 

そしてセイが刀を前に突き出すと、刀身をフィールドが包み込み、刀身が青く輝いた。

 

 

セイ「いきますよ!」

 

突きの姿勢をとったビルドゴッドが、穂乃果に向かって突撃をかけると、穂乃果はハイパーモードを発動してさらに加速をかけた。

 

 

ビシィッ…

 

 

2機の激突で、大地にヒビが走る。

 

 

爆煙が辺りを包んだが、その煙から程なくしてトライゴッドのビームサーベルと、ビルドゴッドの刀が投げ出された。

 

 

次第に煙が引き、戦場が露になると、激突の行方が見えてきた。

 

 

 

穂乃果「…!」

 

セイ「…」

 

 

そこには、互いに武器を失ってから一瞬で拳を紙一重に交わした2機がいた。

 

互いの拳が互いを捉える寸前で止まっている。

 

 

 

穂乃果「危なかった…!」

 

セイ「ディスチャージの一撃で相討ちなんて…

想像以上だ!」

 

拳を引き、一旦間を取った2機が、決着をつけんと再び構えを取った。

 

 

穂乃果「スーパーモードっ!!」

 

いち早く声をあげた穂乃果の声に反応するかのように、トライゴッドガンダムの機体が黄金に染まっていく。

 

セイ「スーパーモードまで…!

 

仕方ない、こうなったら!」

 

セイがSPのスロットを展開すると、ディスチャージとは違うビルドゴッドの第2のシステムが起動した。

 

セイ「RGシステム・起動っ!!」

 

ビルドゴッドの間接部とクリアパーツ、そして拳に蒼い粒子の輝きが宿って行く。

 

かつて世界大会でも見せた、セイの造り出したシステムの起動に、観客がどよめいた。

 

 

 

ことり「すごい…綺麗…」

 

海未「…!

あの輝き…粒子を機体の内部に凝縮して出力に転化している…?」

 

 

 

 

セイ「行きますよっ!!」

 

穂乃果「うんっ!!」

 

 

 

 

セイと穂乃果が互いに右手を引き込むと、大地を蹴って2機が飛び出した。

 

 

 

 

セイ「ビルドォォォォォォ!!!!!!」

 

穂乃果「ばぁくねつ!!

 

ゴッドォォォォォ!!!!!」

 

 

 

 

 

『セイ。』

 

 

 

 

 

セイ「…!」

 

 

 

 

 

『ナックルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!』

 

 

穂乃果「フィンガァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「…うーん」

 

目覚めた穂乃果の目の前に、トライゴッドガンダムが立っていた。

近くには海未やことりのガンプラもあり、二人はまだ眠っている。

 

 

穂乃果「…夢?」

 

 

今まで起こっていたことが夢だったと理解するのに、周りを見るとそう時間はかからなかった。

 

 

穂乃果「イオリ…セイくん…

強かったな…」

 

妙にリアルに、穂乃果の手元に残った感覚が、夢から覚めても無くならなかった。

 

 

穂乃果「もし、また会えた時に、負けないように…

 

よーしっ!また練習だぁ!!」

 

 

 

 

 

そして全国大会・開幕当日。

 

会場へと急ぐμ'sとすれ違う、人影がひとつ。

 

 

 

「あの人は、確か7年前に…

 

いや、そんなはずはないか。」

 

 

 

 

振り返って、走っていく穂乃果たちを、青い髪の青年が見つめた。

 

 

 

青年「…いや、もしかしたらそうかもしれない。

 

 

…君もそう思うだろ、レイジ」

 

 

晴れ空を見上げ、青年が呟いたのだった。

 

 

 

 

 

外伝

2年生編Ⅰ

 




いかがでしたでしょうか!

この話については続編を書きたいと思っておりますので、その時にまた深く触れたいと思います!


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外伝 3年生編Ⅰ 『出逢い』

大変期間が空いてしまい申し訳ないです!
兼ねてから声をいただいていた、3年生の過去の話です!
ではどうぞ!


『ガンプラ…すごい…』

 

 

 

そう。

始まりはすべてあの時。

 

 

 

『私も…ガンプラやってみたい!』

 

 

 

 

にこ「もう2年以上たつのね…」

 

 

 

ラブライブ!×ガンダムビルドファイターズ

外伝 3年生編Ⅰ

 

出逢い

 

 

 

 

 

 

 

『2年と少し前の春。

 

私たち3年生は、この音ノ木坂に入学した。

 

 

 

はじめは、金髪でキリッとした絵里とか、いつも笑っているような希とか、気に入らないな、なんて思ってたけど。

 

 

それでよかった。

 

私には趣味があったから。

 

 

 

アイドルについてはもちろん大好きだったし、もうひとつ。

 

 

ガンプラが、あったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

私がガンプラと出会ったのは、小学生の頃。

 

他の女の子たちは見向きもしなかったガンプラ…

でも私は、その魅力にとらわれてしまった。

 

 

初めて買ってもらったのは、HGUCのシャア専用ザク。

何度も手をかけて、塗装をしては落として…

 

形が歪んでしまうほど、シャアザクをいじっていた。

 

 

地元のおもちゃ屋では名前を知られるくらい、バトルもしていた。

 

 

 

 

そして、高校に入学して間もなく。

 

エドバシカメラに大量のバトルシステムが設置されていると聞き、私は学校帰りに走って向かっていた。』

 

 

にこ「ついた…!」

 

 

今まで見たこともないような量のバトルシステム。

それのすべてで手に汗握るバトルが繰り広げられ、バトルを見る人々の目は老若男女問わず輝いている。

 

にこ「…くぅ~っ!

これよ!!」

 

 

沸き上がる感情を抑え、シャアザクを握りしめたにこの目の前のシステムで勝負がおわり、負けた少年がガンプラを手に去ると、向かいに立っていたのは…

 

 

にこ「あれ?アンタ、音ノ木坂の…」

 

希「矢澤さん…だっけ?

あなたもガンプラを?」

 

他でもない、まだにこと話したことのない希だった。

 

にこ「ええ、まあね…

どう?一戦やってみる?」

 

希「いいよ。」

 

 

どこか他人行儀な希ににこは少し壁を感じながら、バトルが開始された。

 

 

 

 

 

 

Field:7

Canion

 

 

にこ「渓谷ステージ…

高低差が激しいけど、シャアザクなら!」

 

 

にこのシャアザクが開始直後からバーニアを全開で吹かし、岩影に補足した希の機体向けて奇襲をかける。

 

にこ「そこ!」

 

シャアザクが岩影の横を高速で通りすぎながらバズーカを数発放つと、轟音と共に岩が崩れた。

 

 

にこ「…やれてない!?」

 

敵機接近の反応に焦るにこの足元を、クナイのような短剣が掠めた。

 

 

にこ「この装備…

イフリート・シュナイド!」

 

希「へぇ…ガンダム詳しいんだね!」

 

岩が巻き上げた煙から飛び出た希のイフリートが、にこのシャアザクとついに対面した。

 

 

にこ(機体特性だけで考えればイフリートは近距離型…

一旦離れてマシンガンで牽制を!)

 

手近な岩を蹴ってイフリートから離れたシャアザクが、マシンガンを放ちつつその距離を離していく。

 

希「なかなかの戦況判断…でも!」

 

にこ「あれは!?」

 

希がにこを追って飛び出しつつ腰から取り出したのは、ストライクノワールのビームライフルショーティーだった。

 

にこ「ビーム兵器…!

対策はバッチリってわけね!」

 

希「さぁて…どうくるかなぁ?」

 

 

次第に笑顔になりつつある希が、ビームを放ちながらにこのシャアザクに詰め寄る。

 

にこ「…!」

 

 

知らぬ間に迫っていた谷の行き止まりに気づいたにこは、一瞬迷ったような表情を浮かべてからザクを急旋回させた。

 

にこ「一か八か…!」

 

 

そのまま崖を蹴って機体を翻し、ヒート・ホークを抜きながらシャアザクがイフリートに飛び込んだ。

 

希「!?」

 

咄嗟にヒート・サーベルを取り出して応戦する希だったが、シャアザクの勢いは止まらなかった。

 

意を決して超スピードで飛び込んでくる様は正に、赤い彗星を想起させる。

 

にこ「これでぇっ!」

 

勢いのままに押し込み、シャアザクが蹴りをいれようと右足を引き込む。

 

 

希「…ふふ、あれを使うしかないみたいやね…!」

 

すっかり素のままにバトルを楽しんでいる希が、にっと笑って言った。

 

 

次の瞬間、シャアザクの繰り出した蹴りは空を切っていた。

 

にこ「…!

空振り…!?」

 

希「EXAMシステム・起動!」

 

 

 

EXAMを発動したイフリートが、シャアザクの背後を一瞬でとっていた。

 

にこ「嘘っ…!?」

 

希「もらったぁ!」

 

にこ「…っ!」

 

 

モノアイの色を赤く染めたイフリート・シュナイドのヒートサーベルが、シャアザクに一撃を叩き込んだ。

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

にこ「…強い…

これほどだなんて…」

 

希「ウチの勝ちやね♪」

 

バトル開始前とはうってかわって、嬉しそうな声で希が言う。

 

 

にこ「やねって…

アンタ関西弁だったの?」

 

希「あっ…」

 

ちょっと前の表情が嘘のように、やってしまったと言いたげな顔で希が固まる。

 

にこ「ま、いいけど。

 

いいウデしてるじゃない、今度から一緒に来ましょうよ?」

 

希「え…

 

ウチで、いいの…?」

 

にこ「ウチで、って、アンタとしかバトルした覚えないわよ。

 

そういえば名前、聞いてなかったわね。

私は矢澤にこ。アンタは?」

 

希「ウチは…希。

東條、希…!」

 

 

 

 

こうして、にこと希が出会い。

 

学校おわりにエドバシカメラに集まってはバトルする日々を過ごして少し経った頃。

 

希がもうひとり、音ノ木坂の生徒を連れてきたのだった。

 

 

 

希「にこっち、ウチの友達のーーーーー」

 

にこ「絢瀬絵里、ね。」

 

絵里「なんで私のことを…?」

 

 

にこと絵里、学校ですれ違うことはあっても、面と向かって話すのは初めてだったはずである。

 

なのににこは絵里を知っていた。

 

にこ「希から聞かせてもらったわよ。えりちっていう友達がガンプラバトル強いんだ、こんなガンプラ作ってて、ってね。」

 

絵里「全く、希ったら…」

 

 

にこ「で、やるんでしょ?」

 

絵里「えぇ、そのために来たんだもの。」

 

 

これ以上は語るまいと、二人がシステムにつき、バトルが開始された。

 

 

 

 

 

絵里「ジャブローのマップ…木で見通しが悪いわね」

 

絵里の操る百式が、木々の隙間から漏れる日光に日光に照らされきらりと輝く。

 

にこ「そこよっ!」

 

絵里「!?」

 

出方を伺っていた絵里に、ジャブロー周辺の林のマップを今までのバトルで体が覚えているにこが、先手をとって百式に突撃をかける。

 

ザクの眼光がピンクの軌道を描いて百式へと迫った。

 

にこ「でぇぃっ!」

 

にこのザクがそのスピードに任せて空中で1回転を決め、その勢いにのせて蹴りを放つと、百式はそれを腹部に思い切り食らった。

 

 

ように見えたが。

 

 

にこ「!?

感覚が…ない!?」

 

絵里「危なかったわ…!」

 

瞬時にバーニアを吹かして蹴りのパワーをいなした百式は未だ健在であった。

 

にこ「さすが…希が言うだけのことはあるわね!!」

 

絵里「なめてもらっちゃ困るわ…!」

 

 

ザクの眼差しに対抗するかのように、暗かった百式の双眸が赤く光ると、仕返しとばかりに百式の蹴りがシャアザクを捉えた。

 

絵里「スピードの乗った今の状態では、蹴りの威力だって…

 

え!?」

 

突如として爆発した右足に驚きながら百式が後退をかけると、爆発の煙の中から左手を失ったシャアザクが飛び出した。

 

絵里「今の一瞬で…何を…」

 

にこ「左手とヒートホークはやられたけど…!」

 

蹴りをいなすのは不可能だと判断したにこは、相殺覚悟でヒートホークを取りだし、蹴り込まれた百式の脚に思い切り一撃を叩き込んだのだった。

 

にこ「しっかし片腕じゃバズーカはおろかマシンガンも…

辛いところね…」

 

絵里「でも幸い相手はもう丸腰…いかせてもらうわ!」

 

ビームサーベルを抜き、迷わぬ機動でザクににじりよった百式の斬撃が、シャアザクを掠める。

 

にこ「…今ぁ!!」

 

しかしにこは、サーベルを振り下ろした後の一瞬の隙を狙っていた。

 

肉を切らせて骨を断つ…とでもいうのだろうか。

にこはシャアザクの残った右手で百式からビームサーベルを奪い取った。

 

絵里「…!

なんて作戦なの…!」

 

にこ「決めるわ!」

 

紙一重のところでもう1本のビームサーベルを抜き、応戦した百式だったが、肩アーマーに損傷を受けてしまう。

 

にこ「外れた…!

つぎは!」

 

絵里「…こうなったら!」

 

組み合いを解き、突きの姿勢で再度突っ込んできたシャアザクのサーベルが、百式の頭部を捉えた。

 

にこ「やっ…

 

えっ!?」

 

絵里「…私の勝ちよ!」

 

 

絵里はただ食らったように見せかけ、ビームライフルを小脇に構え、密着したザクの腹部に一射を放ったのであった。

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

 

にこ「(接戦だったとはいえ…同じ学校のしかも女子に、2連敗だなんて…)」

 

 

にこは悔しいという感覚をガンプラバトルで初めて感じた。

 

自分が甘えていたわけではない。

ただ、運だったにしろ負けてしまったという事実が、にこに降りかかった。

 

 

 

 

絵里「ふぅ、危なかったわ…

 

強いのね、矢澤さん。

私…勝手に想像してたけど、想像よりずっと強かった…」

 

にこ「そんな言葉ほしくなんか…!」

 

 

そこまで言って、にこは言葉を詰まらせた。

 

 

汗。

 

絵里の額に光る汗が、にこの目に入ったからだった。

 

生徒会長で堅物、そんなイメージしかなかった絵里が、自分とのバトルでこんなに本気で、素顔を見せた。

 

それに気づくと、途端に勝敗にこだわっていた自分が恥ずかしくなった。

 

 

にこ「…いや、なんでもないわ。

バトル、ありがとね」

 

 

 

 

知らぬ間に、求めていたのかもしれない。

 

一緒にガンプラバトルができる仲間を。

 

そして、にこは2人と本気でバトルして、負けて。

初めてそれが希であり、絵里であることに気づいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1ヶ月。

にこたちは、エドバシカメラの店舗大会に3人でエントリーしていた。

 

 

3人の手に握られていたのは、それぞれ白、黒、金、3色のユニコーン。

 

 

この大会のために、そして奇しくも音ノ木坂というひとつの場所に集ったガンプラ好き3人の、共に作った初めてのガンプラとして、想いを込められたその機体。

 

 

 

 

 

しかしそれらは、それ以降、戦場に立つことはなかった。

 

 

 

 

 

負けてしまったのだ。

 

それも手酷く。

 

 

 

 

 

3人の知識、製作テク。

 

それはたしかに、並以上のものであった。

 

しかし、大会に出揃った選手もまた、並以上…

 

その選手たち各々が磨いてきたテクニック、オリジナリティが、3人には欠けていた。

 

 

 

そして知らぬ間に、その3機を使うことは3人の中でタブーになりつつあった。

 

 

ただ1人、にこだけは、そのユニコーンを今日、今まで使い続けてきた。

 

例え出来は普通でも、それはにこが初めて仲間と作ったガンプラだったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にこ「…まさか、こんなことになるなんてね」

 

にこの視線の先では、白、黒、金がつぎはぎに入り交じった、1機のユニコーンが組み上がっていた。

 

 

にこ「あれから2年…

 

私たち、全国大会の決勝まで、本当に…」

 

何度も思い返しては、やはり信じられないとばかりに視線をそらした。

 

 

希「にこっち」

 

にこ「希…」

 

1人ガンプラと向き合っていたにこの近くに、希が歩み寄った。

 

希「にこっちは覚えてる?2年前のこと…」

 

にこ「当たり前でしょ…」

 

希「やっぱ忘れられないかぁ…」

 

少し困ったような笑顔で、希は言った。

 

 

絵里「でも、そのおかげで今、ここにいるんじゃないかしら。」

 

にこ「絵里…」

 

希に続いて絵里も、にこの元へやってきたのだった。

 

絵里「2年前のこと…

忘れろなんて言わないし、言えないけど…

 

でも、もう気にならない。

今はもっともっと、楽しいし…

 

なにより、こうやって3機が揃ったのが、一番の証拠でしょ。」

 

 

 

3人はユニコーンを見つめた。

 

それ以上はなにも言わなかった。

言わなくたって、にこには伝わっていた。

 

 

絵里「さ、行きましょ。

少し遅めだけど…明日のためにご飯食べなきゃ。」

 

希「そやね。

 

にこっち?行かへんの?」

 

 

にこ「…先、行ってて。

用意してすぐ行くから。」

 

 

 

 

 

1人部屋に残ったにこは、静かに涙を流した。

 

色々なことが積み重なり、心がいっぱいいっぱいになっていたのだった。

 

 

 

しかし気分は晴れていた。

 

 

にこ「…うん。

さ、私もいかなきゃね」

 

 

 

すこししかめていた表情がいつも通りに戻ったにこが部屋を出ようとすると。

 

 

にこ「えっ…?

 

気のせい…よね」

 

 

 

 

ユニコーンのサイコフレームのパーツが、一瞬キラリと緑色に光ったように見えた

 

 

 

 

 

外伝

3年生編Ⅰ




いかがでしたでしょうか!
本編決勝前あたりに繋げるつもりで書きましたが、伝われば幸いです。


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外伝 1年生編Ⅰ『父へ伸ばす手』

今回の外伝は真姫が主役です!

本編で少しだけ語られた、真姫の過去とは…


「これはストライクガンダムっていってな。

パパの大好きなガンダムなんだ」

 

「かっこいいね!」

 

「そうだろう?

パパが手間暇かけて作った、渾身のガンプラさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラブライブ!×ガンダムビルドファイターズ

外伝 1年生編Ⅰ

『父へ伸ばす手』

 

 

 

 

 

ちっちゃい頃から、ガンダムは私の身近にあった。

 

大好きだったパパはガンダムをよく見ていたし、ガンプラだってたくさん飾ってあった。

ママは少し呆れてるみたいだったけど…

 

 

そんな中でも、パパが一際大事にしていたガンプラ。

それが、ストライクだった。

 

 

「パパ、なにしてるの?」

 

「ちょっと今のお前には難しいかもしれないが、筋彫りって作業をしてるんだ」

 

机に向かうパパの背中を眺めているのが、私は好きだった。

 

今でこそ1/144のガンプラに筋彫りをするのがいかに難しいか、私にもわかる。

 

当時はなんにもわからず覗き込んだりしてたけど。

 

 

そうやってパパのストライクは少しずつ、でも確実に完成に近づいていった。

 

 

 

「ついに完成したぞ…!」

 

「うわー!かっこいい!!」

 

私が3年生になる頃には、長い間作っていたパパのストライクもついに完成して。

うちにバトルシステムが置かれたのもこの頃だった。

 

パパのストライクは見た目のディテールやスタイルはもちろん、今になってわかるその性能は折り紙つき。

 

そんなパパと、私は初めてガンプラに触れた。

 

 

「パパ、これは?」

 

「ガンダムアストレイ レッドフレームだよ。

ストライクが主役のガンダムSEEDの外伝、アストレイの主人公、ロウ・ギュールが乗るガンダムさ。

色もぴったりだろ?」

 

「うん!

これ、作る!」

 

私の作ったレッドフレームは、パパのストライクには遠く及ばない性能だった。

当たり前だって言われたらそれまでだけど…

 

でも、楽しかった。

パパと一緒にガンプラを動かす、ただそれだけで。

 

 

 

「ねぇパパ、ガンプラしないの…?」

 

「…最近忙しくてな。

ごめんな」

 

私が5年生になった頃だったっけ。

パパがガンプラを触らなくなったのは。

 

私は無理矢理自分を納得させた。

パパが忙しいのは仕方のないこと……

そう自分に思い込ませた。

 

反面、ガンプラを触りたい、システムを使いたいという欲は止まらなかった。

レッドフレームを小改造しては一人システムに向き合って動かしてみた。

 

やはり、足りない。

 

一人では…

 

 

 

 

そう思ってからついこの間まで、私はバトルはもちろん、ガンプラも触っていなかったのに。

 

μ'sのみんなと、9人で足並みを揃えてガンプラをしていると…

なんだかあの頃に戻れたかのような、それでいて新しい不思議な感覚に包まれて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真姫は一人、静かにそんなことを考えて物思いに耽っていた。

 

そんなとき、ケータイが鳴る。

 

着信の主はにこだった。

 

 

 

にこ『今フリーバトルルームにいるんだけど…

1試合、やらない?』

 

真姫は

『やる』

とだけ返信し、ガンプラをもってフリーバトルルームへ向かった。

 

 

 

 

 

ルームに到着すると、確かににこは待っていた。

しかしその手にはユにこーンではなく、別の機体が握られていた。

 

 

真姫「…」

 

にこ「なによ、面食らったような顔して」

 

にこが持っていたのはシャア専用ザクだった。

 

にこ「機体のこと?

それならアンタもいつもと違うみたいだけど?」

 

真姫「えっ…?」

 

ルージュが改修中なのを忘れ、カバンからいつも通りガンプラを取り出した真姫が持っていたのは…

 

あの時のレッドフレームだった。

 

真姫「こ、これは…!」

 

にこ「逆にいいじゃない?これなら。

試合を気にしないで、お互い思いっきりやれるわよ」

 

真姫「…確かに、そうかもしれないけど」

 

 

真姫はなんとなく昔の思い出に傷をつけるような気がして。

すこし躊躇った。

 

 

にこ「真姫、アンタこれを使いたくないんでしょ?」

 

真姫「そ、そんなこと…」

 

にこ「嘘言わないで。

明らかに躊躇ってたもの」

 

真姫「…そうよ。

思い出のガンプラだから…」

 

にこはやれやれとため息をつき、そして言った。

 

 

にこ「思い出のガンプラだから、使ってあげなきゃなんでしょ。

ガンプラは傷ついたり壊れたりするかもしれない。

でもそれは直せる。

 

それに、思い出は壊れたりしない…

ずっと心にある限り、その思い出はガンプラにも積もっていく。」

 

真姫「にこちゃん…」

 

にこ「さ、どうするの、真姫。」

 

真姫「私は…私はっ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦場には、シャアザクとレッドフレーム、2機の赤い機体が佇んでいた。

 

にこ「いくわよっ!」

 

真姫「来なさいよっ!!」

 

 

ザクが振りかざしたヒート・ホークを、レッドフレームのガーベラ・ストレートが受け止める。

 

 

普段とは違う、実体のある武器同士のつばぜり合い。

ギリギリと刃が擦れる音が暫し響き、一度離れた時、真姫は妙な満足感に包まれていた。

 

 

真姫「…誘ってくれてありがとう、にこちゃん」

 

にこ「なによ急に…」

 

真姫「なんだか…

言葉にしにくいけど、一歩踏み出したような気分」

 

にこ「意味わかんない…」

 

にこはふざけて、わざと真姫を煽る。

 

真姫「こっちは真面目なのにぃ…!」

 

 

でも、2人は笑顔だった。

 

刃を重ねる度、その機体にかすり傷がつく度、どんどんバトルにのめり込んでいく。

 

 

 

そして…

 

 

 

にこ「取った!」

 

紙一重の隙を突き懐に入り込んだザクが、レッドフレームの腹部にヒート・ホークを力一杯振るう。

 

真姫「どっちが!!」

 

対するレッドフレームは、近づいたザクの脳天めがけ、ガーベラ・ストレートを逆手で突き刺す。

 

 

 

 

両者、システムダウン。

いつもと違うバトルは、引き分けでその幕を下ろした。

 

 

 

 

 

にこ「引き分け…」

 

真姫「だなんて…」

 

 

 

 

ふぅ、と一息つく真姫に、にこはお茶のペットボトルを投げた。

 

真姫「…ありがと。」

 

にこ「気にしないで。

 

…楽しかったわね。」

 

真姫「…ええ。ほんとに…」

 

脳裏によみがえる、バトルの瞬間の記憶。

 

にこ「たまにはいいでしょ?

思い出に浸るのも」

 

真姫「え?

にこちゃん、まさかわざと…」

 

にこ「あったり前でしょ!

にこを誰だと思ってるのぉ?」

 

 

これが真姫にかかるプレッシャー、そして昔の思い出を振り切るためのバトルだったことに真姫が気づいたのは、バトルがおわってからだった。

 

 

 

 

 

思い出は大切だ。

でも、思い出ばかりを見ていたら。

今、この瞬間しか見ることができない大事な一瞬を、見逃してしまうかもしれない。

思い出と同じくらい、もしkしたらそれ以上に大事な一瞬を。

 

 

 

真姫「…見てて、パパ。

私……

頑張る、から。」

 

 

 

思い出の詰まったレッドフレームを見ながら、真姫は今度こそストライクルージュを手に、試合へ向かったのだった。

 

 

 

 

 

外伝

1年生編Ⅰ

 




いかがでしたでしょうか!
少々短いですが、書きたいものは詰め込んだので個人的に満足です。


次回予定は3年生編Ⅱ、絵里にメロメロなあるファイターの出現に、希が闘志を燃やす…?


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Aqours編1期 輝きを追って
#0  プロローグ 『輝きたい!!』


お待たせしました。
新章、始動です。

今回からは皆様お察しの通り、もうひとつの9人が活躍する話となっております。

ガンガン更新していきたいと思っているので、よろしくお願いします!


これはあの日から、すこしだけ前の話。

まだ、彼女たちが全力で駆け抜けている最中の話。

 

彼女たちのバトルは、多くの人に。

感動を。

興奮を。

そしてなにより。

ガンプラに触れるきっかけを作った。

 

そんな彼女たちを見て、数奇な巡り合わせに引き込まれた女の子がここにも一人。

 

まだ何も知らない、一歩を踏み出したばかりの彼女。

そんな彼女が、いや、彼女たちが、その足で辿るのは…

伝説となった9人の足跡か、それとも…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青い海、そよぐ風、広い空…

 

アキバとは何もかもが違う、自然豊かな…

 

悪く言えば田舎に、ある学校があった。

 

 

 

 

 

 

『浦の星女学院』…。

通称『浦女』。

 

海際から丘を登った上に佇むそれは、いつも海風の吹く、心地よい雰囲気に包まれた高校だった。

 

 

 

 

 

 

そしてそこに通うことになる…つまりはそこにはまだ入学していない、ある女の子がいた。

 

 

 

 

 

「暇だなぁ……」

 

今日は学校がたまたま休日であるが故、何をするでもなく、ただだらけながら呟く。

その言葉は、誰に向けられたものでもなかった。

 

 

「海は寒いし…

みーんな予定合わないし…

なーにしよっかなー」

 

 

語気からは到底何かする意思は感じられない。

 

 

「…沼津の方にでも行ってみようかなぁ」

 

 

何をするでもなく、ただなんとなく。

遠出とは言えないいつものお出かけ…

になるはずだった。

 

 

彼女が、このあと。

あの『スクールアイドル』に出逢わなければ―――――――――

 

 

 

 

 

ラブライブ!×ガンダムビルドファイターズ

Aqours編1期

プロローグ

 

『輝きたい!!』

 

 

 

 

 

 

 

『沼津駅前、停車いたします』

 

 

バスが無事停車すると、彼女はバスを降り、特に目的もなく周囲を歩く。

 

 

「ここまで来たはいいけど…

なーにしよっかなぁ…」

 

 

沼津駅前とはいえ平日の昼間である。

ひとっこひとりいない…とまではいかないものの、人が少ないのは明白だった。

 

 

「曜ちゃん家にでもいってみようかな…

でも確かいないんだっけ」

 

駅の近くに住んでいる友達のところに行こうにも、その友達に前以て今日は家にいないと言われたことすら忘れていた。

 

 

「はぁ…こっちまで来ても暇だな…って曜ちゃん!?」

 

 

目に飛び込んできたのは、確かに友人の姿だ。

しかしその姿は路面に向けられた売り物のテレビに写し出されている。

 

「なんでテレビに…ってなんだろう、この番組」

 

気になって番組名を探すと、右上にうっすらとタイトルが表示されていた。

 

 

「…ガンプラバトル全国大会高校生以下の部…準決勝?」

 

 

そんなことを確認しているうちに場面は切り替わり、客席を映していた画面が選手に切り替わる。

 

「誰だろう、これ…

音ノ木坂学院…u's?」

 

名前を呟きながら、おぼろ気な記憶と照らし合わせる。

 

「u's…

聞いたことない…」

 

それもそのはずである。

彼女は名前を読めてすらいないのだから。

 

 

 

 

「そういえば曜ちゃん、ガンプラがなんちゃらって言ってたっけ…」

 

と、思い返しているうち、試合が開始された。

 

 

 

この試合は他でもない、μ'sと聖鳳学園の雌雄を決するあの試合だった。

 

 

激しく展開されるバトル、進むカウント。

 

最後に残ったのは、拳を振るう2機のガンダム。

 

ボロボロになりながら、それでも勝利を掴むために、互いの拳をぶつけ合い、倒れ、起き上がる。

 

 

そんな戦いに、画面の前の彼女は知らぬ間に釘付けになっていた。

 

「…すごい、なぁ」

 

息を飲む、とはこういうことかと、彼女は初めて体感する。

 

 

 

 

 

この9人のことなんて知らなかった。

 

ガンプラなんて知らなかった。

 

それでも、すごいと分かった。

手のひらサイズのガンプラが、ステージ狭しとぶつかり合う熱い舞台が、そこには広がっていた。

 

 

 

「頑張れっ…!」

 

 

心から湧き出たのは、その言葉だった。

どちらを応援するでもない、双方に向けられた言葉。

 

 

そして勝敗が決したとき。

彼女は拳を握りしめていた。

汗をかくほどに。

 

 

「はっ、私…

ずっと見ちゃってた」

 

試合時間は延長を含んでも30分程度だ。

しかしその内容の濃さに、彼女は圧倒されていた。

 

「ガンプラバトル…すごいな。

u'sって人たちも……」

 

 

彼女がこの間違いに気づくのは、少し先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから彼女は、μ'sについて、そしてガンプラについて、色々と調べ始めた。

 

 

「おとのきざかがくいん…ゆーず……っと」

 

検索エンジンはすぐに結果を表示した。

 

【もしかして:音ノ木坂学院 μ's】

 

「あれ?ゆーずじゃない…?

 

みゅー…ず」

 

 

彼女はそこから、μ'sの活動を知った。

彼女たちが、廃校を止めるためにスクールアイドルを始めたこと。

その活動が功を奏し、廃校を止めたこと。

そして彼女たちが…

 

ガンプラバトルで活躍しているということを。

 

 

 

 

「μ'sって…すごいな…」

 

自分とは正反対の、遠い世界にいる彼女たち。

 

「私も、こんな風になりたい…!」

 

 

でもそれを、自分とは違う世界にいるから…と見上げるだけじゃない。

そうなりたいと思った。

 

彼女たちのように、輝ける存在に…

 

 

 

 

 

その後、彼女はガンプラに打ち込むようになった。

 

試合を見に行っていた友達や、幼馴染を巻き込んで、一緒に。

 

同時に、彼女には目標ができていた。

 

μ'sのリーダー、高坂穂乃果。

彼女と同じ高校2年生になったら。

 

「スクールアイドルをやりたい…

 

輝きたい…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその運命的な出逢いから、4年あまりが過ぎた。

 

季節は春。

 

桜の花が校門を綺麗に彩り、海風は心地よく吹いている。

 

海際から丘を登り、そこに佇む高校。

『浦の星女学院』の校門に、2人の女生徒の姿があった。

 

「私たち、ついになったんだね。

 

高校2年生に…!」

 

「そうだね。

 

ずっと、ずっと言ってたもんね。

 

 

頑張ろうね、千歌ちゃん!」

 

 

「うん!!

 

私たち…

 

 

 

輝きたいっ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

彼女たちはまだ、自分たちの辿る道を知らない。

 

 

どんな仲間を得て、どんな戦いをして、勝って、負けて。

 

 

何度笑って、何度涙を流すのかも。

 

 

これからなのだ。何もかも。全部が。

 

しかしそれでいい。

 

まだ見たことのない、夢の軌道を、追いかけていくのだから……

 

 

 

 

 

 

 

次回 #1

『赤い転校生』

に、続く!




今回はプロローグのため、短めとなっておりますが、次回以降は本編になるためしっかり書き込んでいこうと思います!

また、プロローグで含みを持たせてある部分は、後々触れていく部分になるので、その時までおたのしみに…!



新たな形で再始動となりましたが、頑張っていきますので何とぞよろしくお願いします!!


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#1 『赤い転校生』

さてついに本編第1話です!

この後、アニメとは違う世界線を進んでいくAqoursはどう結成されるのか、きっかけはなんなのか?

楽しみにしていただけるとうれしいです!
ではどうぞ!


#1 『赤い転校生』

 

 

 

 

 

 

春風が吹き抜ける、浦女の校門。

 

そこに佇む2つの影があった。

 

オレンジ色の髪をした少女と、茶とも銀ともとれる髪を携えた少女。

 

彼女たちはこの春、この浦女で2年生に昇級した女生徒。

 

 

高海千歌と、渡辺曜の2人だった。

 

 

 

「行こう、曜ちゃん!」

 

「そーだね!」

 

 

 

伝説となった9人に出逢ったあの日から。

千歌には目標があった。

 

高校2年生になったら、μ'sみたいなスクールアイドルをやりたい―

 

スクールアイドルとして、そしてガンプラビルダーとして。

μ'sのように、輝ける存在になりたい。

 

そう思っていた。

 

そしてそれを、昔から仲がよくなおかつガンプラの知識も持ち合わせていた曜と、もう一人の幼馴染は応援し、協力していた。

 

 

 

「千歌ちゃん、メンバーって他にいるの?」

 

「うーん…まだ!」

 

相変わらずの千歌に曜があはは…と少し呆れ笑いを浮かべつつ教室に向かう。

 

その途中のことだった。

 

「…あれ、誰だろ」

 

「へ?」

 

曜が歩みを止める。

千歌も目線を曜と同じ方向に向けると、そこには、赤い長髪の見慣れない女生徒がいた。

 

「千歌ちゃん、知ってる?」

 

「いや、初めて見るよ…?」

 

1年も経てば、決して多いとは言えない自分の学校の生徒にも見覚えのある顔がだいぶ増えているはずである。

ましてやあんな目立つ特徴の生徒であれば…

しかし2人とも知らないとなると―

 

 

「もしかして、転校生?」

 

 

千歌の大きな独り言が、相手の耳に聞こえるのは明白だった。

 

「…私?」

 

赤髪の生徒は、千歌たちの方を向いてどこか不安そうに訪ねる。

 

「あ、うん!

ごめんね急に…あはは」

 

曜が千歌がまたやった…というような表情で女生徒に話しかける。

 

「…そうです。

この春、東京の秋葉原から引っ越してきた、桜内梨子っていいます。

2年生なんですけど…

 

あ、リボンの色が一緒ってことは、あなたたちも?」

 

少し声が穏やかになった転校生―梨子は、2年生。

つまりは1クラスしかない千歌たちのクラスの転校生だった。

 

 

「…もしかして、秋葉原からって…

音ノ木坂学院からだったり…しないかぁ」

 

「音ノ木坂を知ってるの?

私、音ノ木坂から転校してきたの」

 

「…!」

 

 

 

千歌の中で、何かが弾けた。

 

 

 

「奇跡だよ!!」

 

 

 

口をついて出た言葉はそれだった。

 

自分たちがスクールアイドルを始めようとしているその時に、まさか音ノ木坂から転校生が来るなんて。

 

そんな奇跡があるなんて…。

 

そして次に千歌はこう尋ねた。

 

 

 

「梨子ちゃん…だよね?

 

私たちと…

 

スクールアイドル、やってみない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ〜…

断られちゃったぁ」

 

「まあ初対面の相手にあんなこと言われてはい!って言える人なんてほぼほぼいないよ…」

 

結果は惨敗。

 

きっぱりと断られてしまったのだった。

 

 

そんなことをしている内に、2年生登校初日はさっさと過ぎ去ってしまったのだった。

 

 

「千歌ちゃん、今日はいくの?」

 

「もっちろん!

スクールアイドルだって大事だけど、ガンプラもねっ!」

 

 

学校を出て沼津方面までバスに乗ると、周辺では唯一と言っていいガンプラバトルシステムが設置してあるおもちゃ屋がある。

ガンプラは世間一般の趣味として受け入れられているため、沼津周辺のビルダーはそこに集まってはバトルしたり、談笑したりしていた。

そのため少し寂れた外観ながら店内は活気に満ちていて、いつもガンプラファンたちの笑い声が絶えない店だった。

 

なにを隠そう千歌や曜もその内の一人である。

 

 

しかし今日は何かが違っていた。

 

「今日、お店静かじゃない?」

 

「うん…

いつもこのくらいの時間は、子供たちの声とかするのにね」

 

千歌たちが店のドアを開けると、店内の人たちの視線は、ひとつのバトルシステムに集められていた。

 

 

 

 

バトルしているのは、片方は千歌たちも見たことのある地元では有名な中学生。

そしてもう片方は…

 

 

「…梨子ちゃん…?」

 

 

中学生の対面、こちらには背を向けているものの、確かに昼間見た赤い長髪が揺れている。

 

 

とはいえ相手の中学生は、なかなかの実力者であることは千歌と曜もわかっていた。

 

「あの子と戦えるって…」

 

曜が驚きつつ呟く。

 

そして二人も、バトルに目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおっ!!!」

 

中学生のソードインパルスが、梨子のガンプラ…

 

イージスガンダムに、2本のエクスカリバーで切りかかる。

 

「…!」

 

しかしそれを絶妙な角度で受け流した梨子は、そのままソードインパルスの懐に突っ込む。

 

シールドを翳してタックル決めたイージスが、吹っ飛んだソードインパルスに変形しつつ突撃をかけた。

 

4本の脚をもつ異形の生命体のようなMA形態へと姿を変え、エネルギー砲『スキュラ』をチャージしつつソードインパルスに掴みかかる。

 

「…!」

 

万事休すか、と思われたが、インパルスは合体を解いてイージスの魔の手からからがら脱出する。

 

 

 

「今の一瞬だけでもすごいバトルだね…」

 

「うん…

梨子ちゃん、相当なウデの持ち主みたい」

 

千歌と曜も周りと同じく空気に圧されながら試合を見ている。

 

 

 

脱出されたイージスは即座にMS形態へと戻り、分離したインパルスにビームサーベルを発振しながら肉薄する。

 

「…とった!」

 

梨子が小声で囁くように言うが、インパルスは分離で宙に舞ったソードシルエットを遮蔽物に上手く距離を離し、再びMSに合体した。

 

「できる人…

でもっ!」

 

ソードシルエットを斬り裂き、残ったエクスカリバーを右手に握ったイージスが、今度はそれを翳してインパルスへの距離を詰める。

 

一方のインパルスは、残されたビームライフルを連射して応戦するが、イージスの勢いを殺すまでには至らず、次第に2機の距離は近づいていく。

 

 

「これはもうダメね…

まだ…まだ!」

 

 

イージスの翳したエクスカリバーが爆発し、イージスは爆風に包まれるも、依然として今度はシールドを翳し突撃する梨子。

 

さすがにインパルスを操縦する中学生も焦ったのだろう、ライフルを連射しつつ腰のマウントからフォールディングレイザー対装甲ナイフを取り出して、突撃への反撃を伺う。

 

 

2機の距離はさらに縮まり、もうあと少しでイージスの一撃が決まるという距離までイージスが近づく。

 

しかしそこでついに、イージスのシールドが限界を迎え、イージスはビームを被弾。

今度こそ爆発、バトルは決まってしまった…

 

 

 

 

 

 

かに思われた。

 

 

 

 

 

「まだやれる…

やれる…!」

 

 

次の瞬間だった。

爆煙の中に光が見えたかと思うと、インパルスの機体をビームが包んだ。

 

 

 

 

シールドが限界を迎えたのに気づいた梨子は左腕をパージしつつあえて爆発に巻き込まれ、煙のなかで変形することで相手に警戒されることなくスキュラの発射体勢に移行し、油断したインパルスを狙い撃ちにしたのだった。

 

 

 

 

 

BATTLE END

 

 

 

「ふう…勝てた」

 

バトル終了の合図が響くと、店内は見たことのない女子高生の登場にどよめいた。

負けた中学生も、悔しそうにするわけでもなく呆気にとられている。

 

 

 

 

「すっごぉい!!!!!」

 

 

そして、重ねるように店内に響く声。

 

声の主は千歌だった。

 

 

 

 

「高海…千歌ちゃん?」

 

昼の記憶と照らし合わせ、梨子が自信なさげな反応を見せる。

 

「梨子ちゃんガンプラやってたんだね!!

想像もしてなかったよ!

 

それにあぁーんなに強いなんて!!!!」

 

「あぁ…あり、がとう…」

 

千歌の発言に、バツの悪そうな、少し照れ臭そうな顔をして、梨子は視線を逸らした。

 

「となったら…やるしかないよね?

ガンプラバトル!!」

 

「え、そ、そんな急な…

それに他の人たちだってシステム使いたそうに待ってるし」

 

しかし周囲は、梨子と千歌のバトルに期待を寄せているようで。

口々に試合をしろだとか、見たい見たいだとか呟いている。

 

 

「みんなもこう言ってるし…

 

どうかな?

ここで会えたのもきっと縁だと思うんだ。」

 

少し困り顔の梨子に、今度は曜も問う。

 

「…わかった。」

 

曜にも言われて渋々…という感じではなく、納得して梨子は返す。

 

 

「それじゃあいくよ、梨子ちゃん!」

 

「…うん!」

 

広くはない店内にありったけの歓声。

 

そして千歌はふと思う。

 

 

 

 

『もしμ'sみたいになれたら、もっともっといっぱい歓声を聞けるのかな…

 

 

 

あの時の、決勝戦みたいな』

 

 

 

 

 

2人がシステムに対面で立ち、ガンプラを置く。

 

するとアナウンスが始まった。

 

 

 

Beginning Plavsky particul dispersal……

 

Please set your GP BASE…

 

Please set your GUNPLA…

 

 

 

そしてシステムに、プラフスキー粒子が満たされていく。

 

 

 

 

 

 

『高海千歌!!

デスティニーガンダム!!!』

 

『…桜内梨子、イージスガンダム!』

 

2人『いきます!!!』

 

 

 

 

 

こうして、この後起こることの全ての始まり。

 

記念すべき最初の一戦が、幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、第2話

『溶け行く心』

 

に、続く!




いかがでしたでしょうか?

彼女たちのガンプラでの邂逅は、どんな変化をもたらすのか?
今後にご期待ください!


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