東方漂流伝~the lost of reality~ (ブラスト・プリズム)
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全ての始まり―――白と黒

新生漂流伝、開始です。


キーンコーンカーンコーン………

 

 

「おわ………ったぁ………」

 

 

終業のチャイムと共に、僕は大きく両手を左右に伸ばした。少しの解放感に浸っていると、不意に後頭部に鋭い痛みを感じた。

 

 

「いたぁっ!?」

 

 

「どうだ、目が覚めたか?」

 

 

痛みと共に聞こえた声に反応して後ろを振り向くと、ブレザーの制服に身を包み、髪の毛が某金髪剣士のようにツンツンの我が親友がチョップを放った体勢で立っていた。

 

 

「いったいな………そんなことされなくても起きてるよ、涼(りょう)!」

 

 

「未奈斗(みなと)なら寝かねないからな。仕方ないさ。」

 

 

こいつの名前は彩花 涼(さいか りょう)。僕の昔からの親友だ。

 

 

「失礼な………あれ、他の三人は?」

 

 

「ああ、碧菜(へきな)は部活、紫幻(しげん)は塾、早苗(さなえ)はあの二人の世話しに帰ったよ。」

 

 

「世話、って………」

 

 

この三人に関しては、また後日にしよう。そこまで聞いた僕は、手提げの鞄に教科書とかを詰め込み、立ち上がった。

 

 

「さ、帰ろっか。」

 

 

「おう、未奈斗、今日もやるぞ!」

 

 

「え、また来るの?花映塚、もう五日連続で負け越してるじゃん………」

 

 

「うるせ!」

 

 

そう言いながら、僕と涼は学校を出て、僕の家へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかってねーな、未奈斗。妹様は子供っぽいだけでしっかり遊んでいたら問題ないって。」

 

 

「その遊びが死人が出るものでしょ………」

 

 

僕と涼はいつも通り、東方projectの話に花を咲かせていた。

 

 

「そだ、明日終業式だろ?鞄の中身入れ換えなくていいし、未奈斗ん家に泊まらせてくれよー。」

 

 

「いきなりだなぁ………まあ、親帰ってこないしいいけどさぁ。」

 

 

僕は溜め息をつきながらそう答えた。ちなみに、溜め息の対象は………

 

 

「そういや、お前の両親今どこいんの?」

 

 

「………シンガポールに旅行中………」

 

 

………親に対してである。

 

 

「そ、そうか………ん、未奈斗。あれなんだ?」

 

 

「へ?」

 

 

涼が指差す先には、糸で結ばれた二対のリボンが歩道に落ちていた。

 

 

「誰かの落とし物なんじゃないの?」

 

 

「まあ、そうだろうなー。」

 

 

そう言って、気にかけずにその上を通ろうとした瞬間―――

 

 

―――失礼ですが、お二人には'こちら'に来てもらいますわ―――

 

 

「なっ―――!?」

「うわぁーーっ!?」

 

 

そのリボンの間に出来た隙間に、僕達は吸い込まれ―――

 

 

―――さて、残るは―――

 

 

ここから、消えた。




作「初期の頃を見返したら………ひでぇ、今もひでぇがそれ以上にひでぇ。」

未「ほんと。僕のキャラもしっかり固まってなかったしねー。」

作「まあ、なんというか………」

未「これから、この東方漂流伝。よろしくお願いします!」

作「ちょ、俺の台詞ーッ!」


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全ての始まり―――白と人形

幻想への片道切符。それを手にした者達の結末は如何に―――


Side.Minato―――




いきなり何かが聞こえたと思ったら、僕は暗闇の中を紐なしバンジーしていた。

 

 

「えぇぇぇぇぇぇっ!?なんで僕落ちてるの!?涼ーっ!?」

 

 

親友の名前を呼ぶが、近くにいないのか、帰ってくる言葉は無かった。

 

 

「いやぁぁぁぁーーーっ!?」

 

 

そして、暗闇はいきなり終わりを告げた。

 

 

「まぶしっ!………うわぁ………」

 

 

光に目が眩んだが、その次の瞬間に、僕達の世界にはあり得ない、広大な自然が眼下に広がっていた。

 

 

「こんな場所があったなんて………って、あれ?こんなに"森全体"を見回せるほど僕の身長って高かったっけ………?」

 

 

そして僕は気付く。"空中に自分が止まっている"ことに。

 

 

「う、わぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

僕の体はまた重力に従って下降し、森の木々にぶつかりながら墜落し、意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ………ここは?」

 

 

僕が目を開くと、知らない天井が目に入った。

 

 

「あら、気がついた?」

 

 

寝かされていたソファーの横から、女性の声が聞こえたので、からだを起こしてそちらを見ると、僕は思わず口に出した。

 

 

「七色の魔法使い、アリス・マーガトロイド………!」

 

 

「私の名前を知っているの?服装からして、外来人みたいだけど。」

 

 

金髪に赤いカチューシャをつけた、アリス・マーガトロイドがこちらを訝しげに見ていた。

 

 

「ああ、ごめんなさい。僕は未奈斗。日向 未奈斗(ひゅうが みなと)です。一応、来たばかりの外来人………になると思います。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なるほど、大体の事情は分かったわ。」

 

 

「一応聞きますけど、ここって……幻想郷、ですか?」

 

 

「………ええ、ここの名前は幻想郷。現実から忘れられたものが辿り着く場所よ。」

 

 

アリスはそう言って、額に手を当てた。

 

 

「………でも、あなたの場合は確実にあいつの仕業だけどね。」

 

 

「あいつ………って、まさか、八雲 紫ですか?」

 

 

「紫のことまで知っているのね………そうよ。紫が原因よ。いつもの通り、ただの神隠しだろうし、頼めば元の世界に戻してもらえると思うけど?」

 

 

アリスのこの言葉に、僕は少しだけ考えて、言った。

 

 

「いいえ、戻りません。」

 

 

「早いわね、決断。親とかいるんでしょ?」

 

 

「僕の親、僕を置いてよく旅行に行きますし………それに、」

 

 

僕は一息置いて、アリスの目をみて言った。

 

 

「変わらない日常に、飽きてたんですよ。ここは危険だって分かってるけど、何か刺激がほしかったんです。」

 

 

「ほんと、変わってるわねあなた………」

 

 

「よく言われます………」

 

 

頭を掻きながら、アリスの言葉を待った。

 

 

「仕方ないわね。行く当てなんて無いんでしょう?」

 

 

「ゔっ。」

 

 

「いいわよ、幸い部屋が一つ空いてるから、そこ使って。」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

「ただし。」

 

 

アリスは僕を指差してこう言った。

 

 

「敬語禁止。家事の手伝い。魔法の研究の手伝い。これだけを守ってくれたら、ここに住んでもいいし、幻想郷で生きていく術を教えてあげるわ。」

 

 

その言葉に僕は、笑顔で返した。

 

 

「うん、分かったよ。よろしく、アリス。」

 

 

これが、僕達の物語の始まりだった。

 

 

このとき、僕は、あんなことになるなんて、思いもしなかったんだ………




作「遅れましたー、第二話です。」

未「今回は僕なんだね。えーっと、アリスの家に運び込まれたのかな?」

作「そうですね。一応、移転前と同じ展開にはしますが、描写をもっと上手く書いていくつもりです。」

未「じゃあ、次もしっかり書きなよ?次はバトルシーンなんだから。」

作「が、頑張ります………」


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全ての始まり―――黒と悪魔

悪魔と合間見えた人間は二つの道のどちらかを歩む。しかし、彼は―――

Side.Ryo―――


いきなり浮遊感を感じた俺は、とっさに隣にいた親友の名前を呼んだが、

 

 

「未奈斗っ!」

 

 

その時には俺の視界は暗闇に包まれており、未奈斗がいるかどうかどころか、自分の姿も見えず、ただ、落ちていく感覚しか感じられなかった。

 

 

「どうする?このまま落ちると確実にミンチだ。でも………」

 

 

為す術がない。四面楚歌、八方塞がり。絶望的な言葉しか思い付かない。そんな状態でいると、いきなり暗闇が途切れ、

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

体に衝撃が走った。さっきまで俺を襲っていた浮遊感は感じられず、地上に落ちたことだけは分かっている。

 

なぜ意識があるのか、そして、顔を上げたときに気付いた、自分が知らない場所。この二つのことに気をとられていた。

 

 

「どこだよ、ここ………にしても………どっかの屋敷か?絵画や、蝋燭もあるし………」

 

 

ここに留まっていてもなにも始まらないと踏んだ俺は、十分警戒しつつ、この屋敷らしき場所を探索することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい………どこのファンタジーよ、ここ。」

 

 

通路の曲がり角で、某傭兵ばりに壁に引っ付き、先を覗き込んでいると、見回りなのだろうか、羽が生えた少女達が箒をもちながら浮遊していた。

 

 

「こんなところ、見つかったら確実にお縄だろ。早く出口を探さないと………」

 

 

そう呟き、後ろを振り返ると、逆方向の曲がり角から、同じ格好をした少女がこちらに来ることを視認する。

 

 

「やべぇっ」

 

 

そう言って近くにあった階段を見つからないうちに上がり、上の階層へと上がってしまう。

 

 

「ちっ、こうなりゃどっかの窓から飛び出るしか―――」

 

 

そう思った矢先、俺の目の前に大きな扉があることに気付いた。

 

 

「これは、もしかすると屋敷のエントランスへ繋がる扉か………?」

 

 

そう言い、大きな扉を開けると、開けたときに外から入った光しか光源がない、真っ暗な大きい部屋が現れた。

 

 

「ここ、は………」

 

 

そう呟いた瞬間、俺の横にあった燭台の上にあった蝋燭がいきなり火を灯した。

 

 

「うわっ!?」

 

 

「ふふふ………私の館に無断で足を踏み入れたあげく、私の部屋も土足で上がってくるとは………大した度胸ね。」

 

 

部屋の奥から響いてきたどこか幼げで、しかし威厳を感じられる声に俺は反応した。

 

 

「誰だっ!?」

 

 

「本当、マナーを知らない侵入者さんね………まあいいわ。教えてあげるわ。」

 

 

次の瞬間、すべての燭台に火が灯り、声の主の姿が完全に視認できた。

 

 

「は、はは………どこのファンタジーだってーの………」

 

 

「私の名は、レミリア・スカーレット。さあ、招かれざる客は私を楽しませてくれるのかしら?」

 

 

その言葉が終わると、レミリアの右手に赤い槍が形成され、俺目掛けて放たれる。 俺は野生の本能か、咄嗟に右に転がると、俺がさっきまでいた場所に赤い槍が突き刺さった。

 

 

「へぇ?よくかわせたものね。」

 

 

「ただの人間が『スピア・ザ・グングニル』を受けて耐えられるとは思えねぇからな………」

 

 

「あら。この槍を知っているのね?」

 

 

「………………」

 

 

俺は無言を返す。あんなことを言ったが、ただの虚勢だ。次避けれるとは思わないし、あわよくばここで交渉できたらと思っている。

 

 

「だんまりは良くないわよ?まあ、これで終わりなんでしょうけどね。」

 

 

「くっ………」

 

 

レミリアの手には、新たなグングニルが形成されており、俺には交渉の余地もないことがわかる。

 

 

「じゃ………サヨウナラ。」

 

 

無情にもそれは、先程以上の速さで放たれ、俺を貫かんとする。

 

 

(俺………死ぬのか………?)

 

 

だが、死ぬ前に映ると言う走馬灯が流れてくる気配はない。

 

 

(まだ、死ねねぇ………何か………この場面を挽回できる方法が………!)

 

 

その瞬間、俺の頭に流れてくる言葉があった。それは………

 

 

「『コピー・アレンジする程度の能力』………っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったわね。」

 

 

私が投げたグングニルは、侵入者をしっかり捉え、床を少し破壊した。そのせいで土埃がたっているが、仕留められただろう。侵入者がここに来るとは思わなかったけれど、私からは逃げられなかったようね。

 

 

「さて、さく―――」

 

 

咲夜、と呼ぼうとしたときだった。土埃の中から、ものすごい魔力が溢れだした。

 

 

「なっ―――」

 

 

「お返しだ、レミリア・スカーレット!『バレット・ザ・グングニル』ッ!」

 

 

土埃のなかから、あり得ない程の槍―――小さめのだが、グングニル―――が

私の方へと放たれていた。

 

 

「ッ!『不夜城レッド』!」

 

 

即座に紅い十字架のオーラを放ち、放たれたグングニルを全て弾き落とす。

 

 

「く………そっ………」

 

 

土埃の中から、声が漏れたと思うと、そこには、倒れ込んでいる侵入者があった。

 

 

「まさか、私が人間ごときに"防御"をさせられるとは………」

 

 

そう思うと、何故か笑いが込み上げてくる。抑えることもせず、私は大声で笑いだした。

 

 

「アッハハハハ!いいわ、面白いわ貴方!咲夜!この面白い侵入者に極上のおもてなしをしてあげなさい!」

 

 

私は、こんな軽い気持ちで彼を殺さずに生かした。

 

 

それが、私達にとって、良くも悪くも、多大な影響を与えるなんて、この時は思いもしなかったわ………




作「なんだかのってたんで一日で投稿!ベースがあると早い早い。」

涼「リメイク前のは本当に酷かったからな。かなり改善はしてある………はず。」

作「したよ!したからね!」

涼「さて、次回は未奈斗のパートか。」

作「はい。涼君が能力発現したので、次は未奈斗君です。」

涼「リメイク前は収集つかなくなってしまったところだな。」

作「そーですねー………」

涼「では、また次回!」


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