横須賀海斗は気に食わない (しょかつかく)
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横須賀海斗は気に食わない

初めて投稿します。頑張ります!
!!原作のタグ付け間違えたので、もういっかいちょっと修正して投稿します!!


 

「おっす」

「やっはろ〜海斗くん!」

「相変わらず、結衣の挨拶はアホっぽいな(笑)」

「対応がひどい!?」

変わらない挨拶、変わらない日常。最も愛すべきものだ。しかも俺の属するスクールカーストは最上位。つまり、周りはみんなリア充(と思われる)特に、女子は可愛い。3人とも美人だ。言うことないな、マジで。

「ヒッキー、やっはろ〜」

「おぉう…てかいきなり話しかけてくんな、ビッチが!」

「ビッチって言うなし!」

…なんか仲よさげだな…

「ヒキオ、結衣のこと傷つけたら、あーし許さないけど」

「ヒキタニくんはウケなの?タチなの?」

「脈絡がなさすぎる!??」

優美子も言葉の棘とは裏腹に楽しそうだし、姫奈に至っては意味がわからないが楽しそうだ。それは、今までにない光景、許容できない風景だった。

「隼人、あいつだれ?あんなやつクラスにいたっけ?」

俺は、不自然に大きな声で隼人に話しかける。

「何言ってるんだよ海斗、ヒキタニくんだよ。知らないのか?」

「海斗く〜ん。ヒキタニくん知らないとか、マジパないっしょ!」

 

ドヤ顔で戸部も話に入ってくる。てか、お前も知ってるとは知らなかったわ。マジで。スマンな戸部。

「ヒキタニくんだな」

「ヒキタニくんでしょ」

大和と大岡が頷きながら答える。

スクールカースト最上位の中でのモブキャラ2人も知ってるとは…”あいつ”以外に有名人なんか?ますます気にくわねぇ〜

「あ〜そんな奴もいたかもな。全然注意したことなかったわ〜。彼、いっつも突っ伏して、イヤホンして寝てるから顔わかんなかったわ(笑)気づくわけないやん(笑)」

悪意の混じった俺の冗談を、隼人は怪訝な顔をして聞いている。なんだよ。そんな顔すんなよ。俺ら同じ”グループ”の友達だろ?親友だろ?お前は友達を大切にするやつじゃんか。

「じゃ〜認識記念として挨拶いってくるわ〜」

彼に近づいていく。なんかわからんが、空気がピリピリしているが気にしない。特に、2つの大きなスイカの持ち主は、若干苛立っているように見えるが気にしない。

「俺、横須賀海斗ってんだ。よろしくなぁ〜ヒキタニくん」

俺は能面のような笑顔を引っさげて、右手を差し出す

「あぁ、よろしくな…」

怪訝な顔をするこいつ。なんだよ、スクールカースト最上位が話してやったんだから、もうちょいいい反応しろよ。

 

これが俺こと横須賀海斗と比企谷八幡の初めての会話だった。これから、なんやかんや、こいつと絡んでいくことになるなんて…

この頃の横須賀海斗は、知る由もなかった

 




いかがでしょうか?
まぁまだ内容なんてないのですが…
頑張ります!


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横須賀海斗は気づけない

連投です。
よろしければどうぞ。


ふぅ…今日も終わったか…

やっと授業が終わる。教師たちも、毎日毎日同じようなことをよくもまぁやってられるよな。俺には絶対無理だ。

「隼人、今日部活か?なかったらカラオケでもいこ〜ぜ〜」

「すまない。今日は用事があるんだ」

隼人に断られる。なんだ?珍しいな。今日部活じゃないだろ。

「まじか、じゃあ戸部、いこうぜ!」

「あ、ごっめ〜ん。おれ、まじ今日は忙しいんだわ〜なぁ、隼人く〜ん」

戸部が隼人に目配せする。っていうか、それもうウインクだから!キモいから!マジで!

「ははっ。そうだな。そろそろ行こうか、戸部。海斗ごめんな。また誘ってくれ」

そう言うと、隼人は戸部と2人で歩き出す。なんだぁ〜この気持ち。モヤモヤする(断じて恋ではない)ちなみに、ちょっと優美子は寂しそうで、姫奈はわからない。てか、感情ない顔してる。海老名さん怖い。

「ちょっと後つけてみるか」

隼人と戸部の後をつけると、特別棟の教室に入っていった。

ここは普段あまり使われてない場所で、ひとが入っていくのは珍しい。

「なにしてんだ、隼人は」

その教室を少し扉を開けて覗くと、意外な光景が広がっていた。

隼人、戸部はいいとして、結衣もいる。そして、一際目を引いたのは…

「おいおいまじか、雪ノ下さんがいるじゃねーか!」

雪ノ下雪乃。この学校のNo.1美女。容姿端麗、成績優秀、品行方正。実家はとてつもないお金持ちで、父親は県議会議員らしい。まさに、生まれ持ってのお姫様、雲の上の人だ。ちなみに、俺がひそかに狙っている人でもある。接点ないけど。

とか考えていたら、やなものを見てしまった。

「うわぁ、”あいつ”もいんのか…」

比企谷八幡。こいつはなんなんだ。結衣たちと仲よさげに話したり、隼人に認識されてる。クソッ、イライラするな

とか考えていたら、 中の話を聞くのを忘れていた。いけねぇいけねぇ。目的は隼人たちが何をしているのか探ることだった…

 

ガラッ

 

「えっ?」

 

「あなた、ここで何をしているのかしら?盗撮、盗聴は立派な犯罪よ。いくら私や由比ヶ浜さんが可愛いからってそういうのはやめてもらえるかしら?下衆ね」

とてつもなく冷ややかな目で語ってくる雪ノ下さん。なんか…いい。と思ってしまった。

「あれ?海斗くんじゃーん。やっはろ〜」

「かっ海斗く〜ん??なにしてんの?まじパないわー」

「戸部、焦ってるからって意味がわからないぞ(笑)でも海斗、どうしたんだ?」

「あら?この男のことを知っているの?なら早く警察を呼んでちょうだい」

「いやいや、警察って(笑)というか雪ノ下さんひどくね!?」

「まあまあ。雪ノ下さん、落ち着いて。海斗、ここにいる訳を説明してくれないか?」

「いやぁ〜なんつーか隼人と戸部がなんか訳ありげに出て行ったから気になってさぁ〜すまん!この通り」

2秒で土下座。このくらいしないと、雪ノ下さんに殺されちゃうよ〜目で。

「戸部、海斗にも話そうか。力になってくれるかも知れないし」

「隼人くんが言うならそうするべ〜」

それから、隼人が戸部の相談について説明してくれた。要は、戸部は姫奈に恋をしていて、上手くいくいい案がないか相談していたらしい。っていうかマジか。姫奈のこと好きだったのか戸部!てっきり優美子とか、もしくはいろはのことが好きなのかと思ってた…俺は何も知らなかったんだな。ちょっぴり悲しい。

俺は雪ノ下さんを見る。どうやら、喋らせてくれるようだ。モヤモヤを抑えながら、”あいつ”を見ながら口を開く。

「でもさ〜なんでヒキタニくんなん?ヒキタニくんって俺らと絡みあんまないし、相談とかまじ無理っぽくね?いっつも1人で寝てるしさ。むしろ俺に言ってくれればよかったやーん。むしろ、俺と隼人と雪ノ下さんと結衣で話聞くって!」

ヘラヘラと笑いながら言う俺を、雪ノ下さんは凍てつく目で、結衣は怒気を孕んだ目で、隼人と戸部は困った目で見てくる。あれ?なんだよ?なんか俺悪いこといったか?

すると、”あいつ”が立ちあがる

「確かにそうだな…すまんが雪ノ下、話が終わったら呼んでくれ。外にいるから」

そう言って”あいつ”は出て行こうとする。ざまぁみろ。お前なんかお呼びじゃねーんだよ。

「待ちなさい!出て行くのはあなたではないわ。この、失礼で、軽薄な犯罪者よ!」

「海斗くん、その言い方ってちょっとひどくない?ヒッキーはそんなバカにされるような人じゃないし、ハブられなきゃいけない人じゃないよ」

結衣が怖い。なんでこんな奴のこと守るんだよ。意味わからん。

「でもさぁ、ヒキタニくん。正直嫌われてるっしょ?文化祭の時も相模に酷いこと言ったんでしょ?信用できなくない?」

その刹那、信じられないことが起こった。

 

パーン!!

 

炸裂音が鳴り響く、なんだ?頬がいてぇ。なにされた?

全く状況を理解できなかった。5秒後、やっと理解する。雪ノ下さんと結衣が、左右両方から平手打ちしてきたのだ。

「あなた、不愉快だわ。早くどこかに行ってくれないかしら?本当に、知能の足りない猿の相手をするのは癪なのだけれど、これはしつけよ」

「海斗くん、言っていいことと悪いことあるよ?ヒッキーは海斗くんが思ってるような人じゃ絶対ないから!」

なんで?なんだなんだ?なんでみんなこいつのことを守るんだよ。意味わかんねーよ!

「海斗…外に出よう。比企谷、本当にすまなかった。厚かましいのはわかってるんだが、戸部の話は聞いてやってくれないか?」

隼人が頭を下げる。俺のために。少し嬉しく思う自分に驚いた。

「あぁ…わかったよ。雪ノ下も由比ヶ浜も、もういいから席に戻れ。戸部の話聞こうぜ」

腐った目をチラリと向けてくる”あいつ”は、何故だが少し、悲しそうだった。

 

部室を後にした隼人が、鋭い目で俺を見ながら話しかけてきた

「なんであんなこと言ったんだ?誰でもあそこまで言われれば、ああなるのは当たり前じゃないか」

「別に、訳なんてないっしょ。ヒキタニくんのありのままを伝えただけなんだけど、結衣も雪ノ下さんも、怒りすぎだろ(笑)」

「それでも彼は、比企谷は君に何もしてこなかった。でも、雪ノ下さんと結衣は怒って君をはたいた。それが何を意味するのか、わからないのか?」

「わかんないな〜ってか隼人、君とかひどくね?海斗って呼んでくれよ」

「そうか…俺はもう帰るよ。また明日」

隼人はそう言って帰った。方向が同じなのだから、一緒に帰ることも出来たし、普段ならそうしていた。しかし、隼人の背中がそれを許さないと言っている気がした…

 

横須賀海斗は気づけない。彼が、彼女たちの想い、そして本当の”あいつ”を知るまで、横須賀海斗は自問する。




ここまでです〜
これからどうしていくか、考え中です。
それにしても、横須賀海斗は、バカな酷いやつですね(笑)
でも、根っからの悪人ではないような?気がします
至らぬ点、多々あると思いますのでご指導いただけると嬉しいです。


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横須賀海斗は自問する

ハーメルン初心者すぎてよくわかりません…
とりあえずどうぞ!


あれから数日が経った。

未だに頬の感覚が忘れられない。

結衣はあんまり話してくれないし、隼人も表面上は普通に接してくるが、なんかいつもと違う。おかしい。俺の高校生活は、こんなんじゃなかったはずだ。スクールカースト最上位、ちなみに今まで言ってこなかったが、顔もかなりいい方だ(実際と自分で思っている)そんな俺が、こんなハブられ寸前みたいなことになってる。

それもこれも”あいつ”が悪い…

比企谷八幡。スクールカースト最底辺で、相模曰く「うちのことをいじめたサイテー野郎」らしい。それは相模以外からも、例えばゆっこや遥からも聞く。

でも…と、この間のことを思い出す。ー”あいつ”を守るのにあんなに真剣になっていた2人の少女。親友だと思っていた男の、自分への冷たい目ー

何が本当で、何が本当じゃないのか。どれが本物のー比企谷八幡なのかー

「ちょっと、色々聞いて回ってみるかな」

この間、退場させられたので確信は持てないが、おそらく戸部は修学旅行で姫奈に告白するつもりだろう。ってことは、そこで攻めるわけだ。そしてその時の助けとして、比企谷八幡を選んだのだ。班決めで俺は大和と大岡と一緒だ。ってことは隼人と戸部そして比企谷八幡は一緒なのだ。クソッ、ちょっと悔しいじゃねぇか。でも、告白なんて大事なことを成功させるために戸部は比企谷八幡に依頼した。葉山隼人は戸部を比企谷八幡の元に導いた。もしかしたら、今までの仲良しグループが終わっちまうかもしれないのに。そして、由比ヶ浜結衣と雪ノ下雪乃は、比企谷八幡のために俺をはたいた。

「ぼく、気になります!」

独り言をつぶやき、ちょっと顔を赤らめながら職員室へ向かった。

 

職員室に入ると、その人は優雅にスモーキングタイムだった

 

「先生!ちょっといいですか?」

「なんだ〜?横須賀か。お前から訪ねてくるとは、珍しいな。何かあったか?」

あれ?この人俺が来るのわかってたのかな…って勘違いするくらい珍しいって思ってなさそうだけど…まぁいい

「先生は奉仕部の顧問なんですよね?奉仕部ってなにするところなんですか?」

「ん〜説明は難しいが、簡単に言えば人の手助け、ようはお手伝いをする部活だ」

「なんかあんまよくわからないですね…まぁそこはいいや。比企谷八幡ってどんな奴なんですか?」

「ほ〜う。君からそんなことを聞くとは意外だな。君は、彼と接点があったのかね?」

だからこの先生…顔がもう接点あったんだろ?って言っちゃってるよ…この間のこと、やっぱ知ってんのか…

「いやまぁ、あれです。興味をもったんですよ。はい。比企谷君って、あんまり目立たない感じなのに…」

そこまで言って俺は言うのをやめた。これを言ってしまえば、俺は完全敗北だ。”あいつ”に

そんな俺を見ながら、平塚先生は熱を帯びた目で俺を見ながら口を開いた。

「…色々言われてるのは知っている。教師としてな。それが全て間違いだとは言わない。実際、あいつのやったことは間違っていた面もある。でも…」

視線を一度落とし、トントンと灰皿に灰を落としながら先生は

「比企谷は…優しい男だよ。理解している人間は少数だがな。あいつは臆病だしな。でも、それでも理解してくれる人がいる。これは大事なことだ。人が一番欲するものは、根源的にそれだからな」

だから…と先生は言葉を続ける”あいつ”のことを話す先生は、ハッとするくらい美しい。なんでこれで結婚できないのか?世の男性陣、見る目ないぞ!

「だから、横須賀。お前にもそのような人ができるよう、願っているぞ。教師としてな。私から話せるのは以上だ。あとは自分でもがき、苦しみ考えることだ。それがお前の成長につながるはずだからな」

「ありがとうございました。こんなに生徒想いな先生だと思わなかったですよ…ぼく」

「嬉しいこと言ってくれるなぁ。君は」

「だから早く結婚できるといいですね」

時が止まった。職員室全体の。となりの数学教師はガタガタ震えている。あれ?俺なんか変なこと言ったか?と思ってると

「抹殺の〜ラストブリットおおおおお!!!!!」

 

先生と話したのち、放課後になった。俺は帰宅部なので、なにもなければさっさと帰る主義なのだが、今日は違う。それにしても腹が痛すぎる。内面的な腹痛じゃなくて、外的要因で。みぞおちにパンチ食らうと腹痛くなるの法則、あるよね!?

 

「戸塚くん、ちょっといいかな?」

と一見すれば女の子にしか見えないれっきとした男の子に声をかける。

「え?ぼく?横須賀くんが話しかけてくるなんて珍しいね。どうしたの?」

「ちょっと聞きたいことあるんだ。時間取れない?」

「うーん。いいよ。僕も君に、聞きたいことあるからね」

あれ?天使が笑ってないよ。むしろ怒ってるよ。堕天使になってるよ。あっれー戸塚くんは”あいつ”とよく話してるから、何か聞けると思ったけど、地雷だったかなーーー

 

ところ変わって駅前のサイゼ。やっぱ高校生はサイゼでしょ。ちなみに、俺がいつも頼むのは若鶏のグリル(ディアボラ風)ね。行くたびに二つづつ頼んでるわ俺。でも今日はドリンクバーのみ。なんせそんな雰囲気じゃないからね!⭐️

 

「で、話って何?横須賀くん?」

戸塚彩加が聞いてくる。ちなみに、普段は見せないその鋭い視線も効いてきます。主にハートに。

「いやぁ、戸塚くんはさ、比企谷と仲いいでしょ?彼ってあんまり喋らないからどんな人なのか聞いてみたいなーってさ」

「横須賀くんは八幡のことどう思ってるの?」

痛いとこ突いてくるなー。可愛い顔して。

「いやだから俺はわからないんだよ〜だから聞いてるんじゃないか〜」

焦りながら答える。やべっ、なんの答えにもなってねーわこの回答

「ふーん…あんなに酷いこと八幡に言ったのにね…まぁいいや。八幡のこと話してあげるよ。話したら、もう関わらないであげてね」

辛辣な言葉を浴びせてくるな。この男の娘。ぐっとこらえながら俺は彼の言葉を待つ。

「八幡はさ、例えて言うなら赤鬼と青鬼に出てくる青鬼にだね。あのお話の中では、赤鬼が友達だから青鬼には自分を犠牲にしたけど、八幡は違う。友達じゃなくても助けちゃうんだ。自分と引き換えにね。それが、どれくらい辛いことかわかる?横須賀くんに。自分の立ち位置を気にしてーいいや、それしか気にしない君にー自分を諦めることが出来る?出来ないよね?ぼくにも出来ないよ。でも、八幡はやっちゃうんだ。だからひとを助けられる。でもー彼の周りの気づいてる人はーそれを見てるのが辛いんだよね」

戸塚くんは真剣に話す。今まで見たことないくらい真剣に。それほどまでに、”あいつ”は戸塚くんに、いや、平塚先生にも、そしてあの2人の女の子にも、好かれているのか。正直、戸塚くんの話していることは抽象的でよくわからない。でも、彼が真剣に”あいつ”を見ようとしている。クラスの誰も気にかけていないと俺が思っていた”あいつ”を、実は見ていた人がいたのだ。もう、この場に居たくない…そう思った俺は、お金だけ置いて、走り去っていた。

 

横須賀海斗は人生で一番の、大きなうねりの時期を迎えていた。しかし、彼はまだそれをわからない。むしろ、逃げてしまった。

横須賀海斗は逃げまどう。比企谷八幡からそして、自分から。

 

 

 




いかがでしたでしょうか?横須賀海斗、逃げてしまいました。
ご批評などいただけたら嬉しいです。


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横須賀海斗は逃げまどう

小説書くのって難しい。
よろしければどーぞ!


「ふぅ〜疲れた疲れた。やっぱ家はいーねー」

誰もいない部屋で、一人呟く。そして、俺は今日あったことを思い出していた。

「あぁ…逃げちまったんだな、俺」

平塚静、戸塚彩加の言葉を思い出すー「比企谷は、優しいやつだ」ー「八幡は、自分を諦めることが出来る」ー

すげぇな。”あいつ”俺なんかよりもよっぽどすげぇや。正直、見下してた。ダメなやつだと思ってた。文化祭の後からは嫌いな奴になった。

でもー本当にダメなやつだったのはー

「おれなんだ…」

水滴がポタポタと頬を伝う。あれ?おれ泣いてんのか。両親が二人とも海外に行くってなった時も泣かなかった。飼い猫が死んだ時も泣かなかった。のに、今俺は泣いている…

「明日、”あいつ”に会いにいこう」

 

横須賀海斗は逃げまどう。しかし、明日の横須賀海斗は…?

 

ー次の日ー

 

修学旅行の前日の今日は、教室全体のテンションが違った。いつもよりも2倍マシくらいの熱気を感じる。もともと、なんやかんやまとまれるクラスであるだけに、今日の一体感?的なものはマジでやばい。ちょーやばい。

「戸塚くん、昨日は途中で帰ってごめん」

まず俺は、戸塚彩加に謝った。

「いいよ、別に。それよりも、今日はなんだか晴れ晴れとした顔をしてるけど、どうしたの?」

「いやべつに、なんでもないよ。ただ、ケリをつけにいこうと思ってさ」

「そうなんだ…いい結果が出るといいね!海斗!」

「戸塚くん…」

はじのほうで、なんか聞こえる…

「かいさい、キマシタワー!!!ブフゥ」

「姫菜、擬態しろし。はい、チーンしなチーンって」

優美子、いい奴だなぁ、そして姫菜お前はどーした。

ここまでの結論,「戸塚くんは天使」

 

「きてしまった…」

時は放課後、場所は奉仕部前。俺こと横須賀海斗は、一世一代の大勝負をかけるつもりである。これまでのこと、この間のこと、そして、この先のことを。

 

コンコン

 

「どうぞ」

雪ノ下さんのビューティフルボイスが聞こえてくる。あぁ俺がこの扉を開けた瞬間、そんな声も聞こえなくなるのだろう…

「失礼します」

おれを見たときの顔は、三者三様だった。雪ノ下さんは、相変わらず凍てつくような目で、結衣は困ったような目で、そして”あいつ”いや、比企谷は、興味なさそうな目で俺を見つめる。

 

「あら、あなた。何をしにきたのかしら?この腐れ外道犯罪者さん?」

「海斗くん…どうしたの?」

結衣、頼むから雪ノ下さんを止めてくれ。マジで。というか、止めてくれないところを見ると、お前も相当怒ってるんだな(泣)

「今日は…謝りにきたんだ。この間はみんな、本当にすみませんでした。調子に乗りすぎてた。本当にゴメン」

俺は今までの人生で1度もなかったくらいの深々さで頭を下げる。下げ続ける。

「猿でも謝ることは出来るのね。でも、あなたのしたことは許されることじゃないと思うわ」

「海斗くん、酷いこといっぱい言ってたよね。それが、謝るだけで終わるとか、なんか…おかしい…」

クッと唇を噛みしめる。自分のしたことの大きさ、罪深さを思い知る。しばしの沈黙…心が痛い。

「なぁ…もうそこらへんにしておかないか?」

口を開いたのは、比企谷だった

「俺はもう気にしていないし、頭を上げてくれ。あーっと、横須賀?だっけか?」

頭をポリポリと書きながら、少し恥ずかしそうに言う。

「比企谷くん、いいの?」

「ヒッキー、怒ってないの?」

2人の美少女が、心配そうに、心底心配そうに確認している。やっぱ羨ましいな。比企谷。

「いいも何も、俺は怒ってないし、気にしてない。あんなことでいちいち怒ってたら、中学時代の俺は1時間、いや30分に1回キレてるまである(笑)」

.なんて強い男なんだ…土台、ハナっから薄っぺらい俺が敵う相手じゃなかったのな…

「比企谷、本当にすまなかった。俺は自分よりも立場が低そうな人間を下にみて、笑い者にしているだけの、どうしようもないやつだった」

でも…と真っ直ぐ比企谷をみながら、横須賀海斗は話続ける

「俺も、君たちみたいになりたいと思った。相手のことを本気で思いやれる君たちみたいに…」

言葉に熱が帯びる。キャラじゃない。今まで、こんなに真剣に他人のことを考えたことなんてなかった。そして、自分のことも…

「海斗くん…」

結衣が心配そうな顔でこちらをみる。雪ノ下さんも口を開きはしないが、こちらをじっと見つめている。

「はっ(笑)俺らはそんなんじゃねーよ。そこの目つきが鋭い猫好きの女には友達になるの断られたしな…あれ?自分でトラウマ抉っちゃったよ…」

「ひっひきがにゃくん!そんなこと、人に言うことではないと思うわ。恥を知りなさい」

雪ノ下さんが恥ずかしそうにかみまくっている。かわいいな。

「ヒッ、ヒッキー!私は…友達になってもいいよ?」

結衣がモジモジしながら言う。あれ?俺の存在みんな忘れちゃってるよね?あっれー?俺が熱い話してるところなんだけどなぁ〜

俺はいたたまれなくなって口を開く

「あっのー?まとめるとさ、比企谷は俺のこと許してくるってことでいいんだよな?」

「許すも何もないが…まぁ、それでいいや…」

じゃあさ、と俺は口を開く。彼らのような関係、ー本物がー欲しいから。ここなら、いや、比企谷と一緒にいれば、手に入れられそうだから。

「俺、奉仕部に入部します!」

 

そう高らかに宣言した彼の顔は、晴れ渡った空のように、爽やかだった。

横須賀海斗は逃げまどった。しかし、向き合った。比企谷八幡という憧れが出来たから。横須賀海斗は生まれ変わったのだ。

ー奉仕部の行く末が激変する修学旅行まで、あと1日ー

 




次回から奉仕部編です!
彼が入ることにより、奉仕部はどうなるのでしょうか?
僕もわかりません(笑)
では


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横須賀海斗は入部する

行間が空いてなくて見づらかったので、開けてみました。

よろしければどうぞ!


「あーっと、横須賀?悪いことは言わない。やめとけ」

 

比企谷は頭を搔きながら言う。

 

「頼む!頼みます!俺を入部させてください!俺はー変わりたいんだ!」

 

またしても土下座。マジで俺の土下座って軽いのな。まぁいまは何振り構ってられないからいいか

 

「あなたのような腐れ外道はお断りしたいところなのだけど…困ってる人を助けるのが奉仕部なのよね…」

 

あれ?なんか雪ノ下さん好感触じゃね?いや、多分俺のことはすごく嫌いという気持ちと、部の理念を通さないといけないっていう気持ちが交錯してる感じかな… ちょっぴり複雑だよ…

 

「ま、まぁさ、海斗君も反省してるみたいだし、入りたいみたいだしいいんじゃない?ねーゆきのん、ヒッキー」

 

結衣が助け舟を出してくれる。よかった…ほんとこいついい奴や…

 

「でもね海斗くん。次ヒッキーのこと悪く言ったら…あたしにとって海斗くんは…いい人じゃなくなるよ?そして、絶対許さないから…」

 

こわい、こわいよ結衣!っていうかそれって某駆逐系漫画のセリフでは…ゴフッゴフッ、なんでもない

 

「あぁ、わかってる。2度とそんなことしないよ」

 

僕はキメ顔でそう言った。

 

「なんでキメ顔なのかわからねぇが…まぁいいや。俺に決める権利ねぇし。雪ノ下、お前が決めてくれ」

 

比企谷が面倒くさそうに雪ノ下さんに振る。その気だるい感じ、やっぱり、きずつくよ(泣)

 

「そうね…まぁ、いるだけなら無害だろうし…いいわ。入部を許可します」

 

「あ、ありがとうございます!比企谷、雪ノ下さん、結衣!」

 

「良かったね!海斗くん!」

 

結衣がその豊満な何かを揺らしながら喜んでくれる。ありがとう!人類の神秘、ありがとう!

 

「では私と横須賀くんはこのことを平塚先生に報告しに行ってくるわ。由比ヶ浜さん、この男に変なことをされたらすぐに呼びに来なさい。一個師団連れてこの男を排除しにくるわ」

 

「俺が犯罪者なの前提?ってばっかお前、一個師団連れてきたら俺どころか由比ヶ浜も無事じゃねーだろ…」

 

「あら、もちろん標的はあなただけよ。師団のみなさんも、ゴミ掃除は大変そうね」

 

なんか楽しそうだなぁ〜 これが、いつもの奉仕部の風景なのか。いいなぁ。よく考えたら、こんな軽口が叩けるような友達、いたかな…やっぱりわかったてけど俺って、世間で言うキョロ充なんだろうな…だっさいなぁ〜

 

「ゆきのん大丈夫!ヒッキーはそんなことする度胸ないから!」

満面の笑みで言う結衣。ちょっと、比企谷かわいそうだな

 

ー職員室ー

 

その御仁は、いつもと変わらず優雅にスモーキングタイムだった。っていうかさ、職員室でガッツリタバコ吸っていいの?最近、結構そういうのうるさいんじゃないの?

 

「何か言いたげだなぁ〜横須賀」

 

「いっいえっ、なんでもありません!」

 

っぶねー…この先生怒らせたらまた”あれ”飛んでくるわ…

 

「ふむ。まぁいい。用件はなんだね?雪ノ下」

 

「はい。この腐れ外道、いえ横須賀くんが奉仕部への入部を希望してきたので、私たちは許可を出しました。あとは先生の許可を頂ければいいのですが」

 

あれ?今さらっと腐れ外道っていったよこの美少女。こわいよ〜助けて〜あぁそうだ!こんな時に助けてくれる友達なんていないんだった…

 

「横須賀…少し、君は変わったようだな。前よりもいい顔をしているぞ。よかろう!入部を認める!」

 

「あっ、ありがとうございます!先生。先生ってなんかお母さんみたいな包容力ありますよね!」

 

空気が…震えている?なんで雪ノ下さん離れていくの?おっとぉーそこの数学教師もなんで離れていくんだい?

 

「横須賀ぁ〜いい度胸をしているなぁ〜こんな若くてスタイルのいい美人を捕まえて、おかあさん、とはなぁ…覚悟はできたか!この糞ガキ! 抹殺の〜ラストブリットおおおおお!」

 

「ぐへぇえええ」

 

なにはともあれ、横須賀海斗は入部した。彼の入部により、彼と彼女らは変革の時を迎える

ー奉仕部の運命を変える修学旅行まで、あと少しー

 




いかがでしたか?
次回はついに、修学旅行編です。
まだどうなるかわかりませんが、感想やご批判など頂けると幸いです。


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横須賀海斗は傷つけられる

修学旅行の電車内です。
原作の由比ヶ浜の位置に、横須賀くんを持ってきました。
改変って結構難しいですね。
よろしければどうぞ!


ー修学旅行当日ー

 

「っべーわぁ〜 めっちゃ緊張するっしょ〜 隼人く〜ん、おれどうしたらいいん?」

 

戸部が異様にテンションが高い。そりゃそうか、なんてったってこの修学旅行で勝負決めるつもりなんだもんな

 

「まあまあ、落ち着けよ。とりあえず、座席は姫菜の正面って感じにするからさ。なんとか俺も頑張ってみるから、戸部は肩の力抜け(笑)」

 

「はやとく〜ん(泣)」

 

戸部がうざい。

 

ちなみに俺は、結衣の代わりに結衣のいるはずだった席に座る予定。それを聞いた優美子が「はぁ?なんで結衣じゃなくて海斗なんだし!」

とかいって怒っていたが、気にしない気にしない。これも奉仕部のお仕事のためなんだ。でもやっぱり、きずつくけどね!(泣)

 

ー少し時間は戻って昨日の奉仕部ー

 

「で、具体的に戸部と姫菜くっつけるためにどーするん?」

 

なんやかんや入部が認められた俺は、比企谷の正面の席に陣取っていた。

なんでかって?そりゃ男としては雪ノ下さんとか結衣の近くに行きたいが、なんかこの2人怖いんだよな〜 さっき結衣の近くに行こうとしたら結衣には逃げられ、雪ノ下さんからは「あら、腐れ外道は遂に強姦魔になるのかしら?」とか言われたしな。

 

「そうねぇ…申し訳ないのだけれど、私はこういう話に疎いから…由比ヶ浜さんどうかしら?」

 

「ゆきのんにたよられた!う〜ん、でもあたしもそういうの経験ないしな〜 ヒッキーは?」

結衣って経験ないのか…意外だな。まぁ、クラスの男子からの誘いをバッタバッタと断っているのは見てたから、なんとなくそんな気はしていたが…でも、比企谷にはそんな素振り見せないよな…(むしろ積極的なような…比企谷羨ましいぜ(泣)

あ、ちなみに俺は結衣に手を出したりしていない。それは勿論、グループが崩れるのが嫌だからに尽きる。結衣は魅力的な女の子だが、それがグループを凌駕することは絶対にない。だから、今回の戸部の告白は、関係を崩しかねない爆弾みたいなもんだ。ってことに、戸部は気づいてないんだろうか?

 

とか考えていると、比企谷が口を開いた

 

「ばっかお前、そんなもん俺に聞いてわかるわけないだろうが。俺なら前日からドキドキしてシュチュエーション練って告白して振られて小町に慰められるまで見えるわ!」

 

「振られちゃうんだ〜」

 

「振られてしまうのね」

 

雪ノ下さんと結衣が頭を抱える。

 

「そもそも、戸部の告白はうまくいきそうなのか?俺が教室で見る限り、とてもうまくいきそうには見えなかったが…」

 

おぉ〜い。比企谷さん?それ核心ついちゃってますよ?それは一応近くにいる俺も思ってることですよ?

 

「どうなの?由比ヶ浜さん、横須賀くん?」

 

「えっ!?あ〜えっーとぉ…いい人?だとは思ってると思うけどぉ…」

 

「由比ヶ浜、もうそれ答え出てるよな? いっそのこと、戸部を楽にしてやったらどうだ?」

 

比企谷が突っ込む。ちなみに、戸部とは友達って手前、人に戸部の恋路がデスロードなんて言うつもりはないのだ!

 

「なるほど…可能性は限りなく低いという訳ね」

 

いっちゃったよ〜雪ノ下さんいっちゃったよ〜

 

「まぁ、なんだ、あれだ。とりあえず、電車の中で近くに座ってもらうってことでどうだ?なんかしらきっかけが掴めるかもしれんし」

 

比企谷が真っ当なことをいう

 

「あら?あなたにしては正論ね」

 

雪ノ下さん、棘ぱないな…多分、比企谷が正解を言ったのがちょっと癪に障ったんだな…雪ノ下さんって負けず嫌いなのか…

 

ー時はもどり、少し進んで電車内ー

 

……なんでこんなことに?……

 

状況がよくわからない君たちに説明しよう!なんと、戸部は隣にいる川崎さん?にビビりすぎて、さっきから一言も発していないのである!おいおい、なんてこったよ…それに、隼人の隣を陣取っている優美子はそっちしか見てないし、挙げ句の果てに姫菜は「はやはち!はやはち!」とかいって川崎さん?の介護を受けている。戸部ェ…

 

「な、なぁ?姫菜は京都に行ったら何見たいんだ?」

 

苦し紛れの質問。我ながらふつうすぎるっ!

 

「うーんとねぇ、やっぱ男と男のまぐあいが見たいかな〜」

 

何言ってるのこの娘?だめだよ。僕ノーマルなんだよ?ほら?川崎さん?も引いちゃってるよ?

 

「じゃ、じゃあさ。川崎さん?はさ、なんか行きたいとことかあるの?俺的には金閣とか言ってみたいかな〜」

 

我ながら天才だと思った。戸部が川崎さん?が怖くて話せないのなら、川崎さん?の注意をこちらに向けてしまえばいいのだ。さすれば、戸部は姫菜と話すことができる!

 

「みたいとこ?特にない。っていうか、あんたあたしの名前ちゃんと言えないの?ぶつよ?」

 

怖いよ。この人。助けて、ヒキエモーん!

しかし負けじと話しかける。今俺がここで諦めたら、戸部は全く話せなくなってしまう。それだけは避けなければ…

 

「ご、ごめんね。ほら俺ってさ、人の名前覚えるの苦手じゃん?でも、もう覚えた!美人で可愛い川崎さんね」

 

「あんたが人の名前覚えるの苦手とか知らないし、あと褒めてもなんもでないよ?むしろ気持ち悪いからやめてほしいんだけど」

 

あっれー?今この人なんて言った?気持ち悪いとか言われたよ?今日はじめて話したのに…怖い怖い怖い怖い…

でも、負けられない戦いが、そこにはある!

 

「あはははは。川崎さん、なかなかユーモラスなこと言うね(笑)それよりも向こうに着いたらさ、俺とどっか回らない?みたいとこ特にないなら、いいよね?」

 

そうだ、俺にはこのミッションがあるんや…この電車内の感じが続けば、残念ながら戸部に未来はない。ので、俺が人柱になってやるうううう。

 

「は?なんであたしがあんたと回らなきゃいけないの?あんたはこいつと回りなよ、お似合いだから(冷笑)」

 

戸部を指差しながら、「ふっ」とアイロニーに笑う川崎さん。ちょっと可愛いけど、怖すぎるよぉ〜さっきから精神攻撃ばっかり受けてるよ〜。結衣か比企谷、かわってくれよぉ〜

 

しかし、俺が人身御供になったお陰か、戸部は姫菜とぎこちないながらも会話ができていた。あぁ、とりあえず良かった…第1段階は突破したんやな、俺は。

 

その後、ちょっと席を立って比企谷と結衣の席に行った時、

 

「ヒッキー!富士山だよ!富士山!」

 

結衣は比企谷の肩に手を置いて身を乗り出す。

 

「ばっかお前、重いっつーの!」

 

「重いとかいうなし!」

 

はぁ〜こいつらマジなにイチャイチャしてんだよ……ぬっ◯してやろうか!

と一瞬思ったのは、別の話

 

横須賀海斗は傷つけられた。しかし、この旅で本当に傷つく者はー?

 

ー運命の告白まで、あと数日ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
横須賀くん、傷つきまくりです。(笑)
ただ、ヘタレの彼にしては頑張ったかなぁ…とおもいます
感想やご意見などございましたら、是非お願いいたします!


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横須賀海斗はわからない

修学旅行、難しいです。
よろしければどうぞ!


ー京都府内ー

 

「ヒッキー!こっちこっち!」

 

「あぁ…ってか服ひっぱんな、破れちゃうだろうが!」

 

なんか聞いたことあるセリフだな…なにとは言わないけど。ってかみんな普通に楽しんじゃってますね。はい。優美子は隼人と、一番大事な戸部もなんだかんだ姫菜と楽しくやってるみたいだ。ただ、姫菜の目があんまり笑ってないような気がするけど気のせいかな〜

 

…ってかみんな、ちょっと俺のことも気にしようよ。うん。

 

「ちょっとあんた早く来なよ、おいてくよ。ったく…なんであたしがこんなのと一緒に回らなきゃいけないのか…(本当は比企谷と回りたいのに…)」

 

「えっ?川崎さんなんかいった?」

 

「なんも言ってない!早く来ないなら先行くからね」

 

「ちょっとまって!おいてかないでよ川崎さーん」

 

俺は難聴系主人公ではないので、もちろん聞こえていた。川崎さんも比企谷なのか…結衣といい雪ノ下さんといい川崎さんといい、なんでなんや…でもまぁ、なんとなくはわかる気がするんだけどね

 

ー修学旅行の夜ー

 

「っはぁ〜やっぱり温泉ってさっぱりするわぁ〜まじ自然の神秘だわぁ〜」

 

戸部がウザイ。明日には告白するからわかるんだけどね。うん。ちょっとウザイよ戸部くん。

 

ガララ

 

「あっ八幡!どこいってたの?ちょっと遅かったね?」

 

「あぁ、まぁアレがアレでちょっとアレだったんだ…」

 

何一つわからないんだけど…

 

「あー横須賀?ちょっといいか?」

 

比企谷が外に出ろとのジェスチャーをする。なんだ?姫菜がいたら喜びそうなシュチュエーションだな

 

「おぉう…とりま外出るか」

 

外に出るとき、隼人が諦めにも似た表情をしていたのが気になった

 

「横須賀、お前戸部の告白うまくいくと思うか?」

 

「いやー五分五分くらいじゃないかなーあははー」

 

ごまかす俺。結果なんて言わずもがな見えてるに決まってる

 

「いやまぁ、ここまできたら誤魔化さなくてもいいんだが…おまえの本心を聞きたい。改めて聞くが、戸部の告白はうまくいくと本気で思ってるか?」

 

「正直…可能性はゼロだと思う…どう考えても姫菜は戸部のことを特別に思ってるとは思えないな…」

 

心が抉られる。まがりなりにも友達なのだ。その友達が振られて傷つく様なんて見たくないに決まってる

 

「だろうな…」

 

比企谷の表情からは、何も読み取れない。

 

「比企谷、お前はどうするつもりなんだ?戸部が告白に失敗したら…確実にグループは崩壊すると思うんだよ…」

 

俺は卑怯だ。一応自分の所属してるグループのことなのに、何の関係もない比企谷に責任を押し付けている…

 

「まぁ…全てが上手くいく方法があることにはある、けどな…」

 

苦虫を噛み締めたような顔をしないでくれ…お前の解決方法って、なんなんだ?文化祭の時の真相は、結衣から聞いた。こいつは自分を犠牲にして他人を救う優しいやつだ。今回も自分を犠牲にするんだろ?なぁ?比企谷…

 

「そっ、そうか。そこで俺は、何ができる?」

 

思ってることが口にできない。口にしてしまったら、俺は…もうあのグループにはいられなくなる気がした。

 

「いや、今の所お前にできることはないな。急に呼び出して悪かった。部屋に戻ろうぜ」

 

そう言う比企谷の背中は、とてつもなく寂しそうで、そして何かの決意を秘めているような…そんな感じにみえた。

 

「なんか寝付けないな…飲み物でも買いに行くか…」

 

下に降りると、雪ノ下さんがコーヒーを飲んでいた。うわぁ、コーヒー飲んでるのも様になってる!やっぱり美少女は違うね!

 

「あら?腐れ外道犯罪者さんじゃない。どうかしたの?」

 

「雪ノ下さん、相変わらずひどいね!」

 

クスクス笑う雪ノ下さん。前に比べたら、若干優しくなっている、ということにしておこう。

とか考えていたら、雪ノ下さんが不意に口を開く

 

「ねぇ?戸部くんの告白、上手くいくと思う?」

 

またか…俺はもう、誤魔化さないことにした

 

「いや、多分無理だな。どう考えても姫菜が断る未来しか見えない」

 

「やはりそうよね…私は何をしたらいいのかしら?なんだか、とてもやな予感がするの。また、彼が傷ついてしまうんじゃないかと思って…」

 

顔を赤らめながら、それでいて儚い顔をする雪ノ下さんは、とても綺麗だった。

 

「比企谷は方法はあるといってたよ。俺は、比企谷がいたから変われた。だから、今はあいつを信じたい」

 

クソッ…なんで俺はこんなことしか…もっとあるだろ?なんであいつに押し付けることしか考えられないんだよ…

 

「そうね。彼は今まで、私たちが思いつきもしないような方法で色んなことを解決してきたわ。だから、私も彼を信じてみようかしら?」

 

「それがいいよ!まぁ、なんかヤバそうになったら俺もなんかアクション起こしてみるからさ!雪ノ下さんは、ドーンと構えててよ!」

 

「あなたに言われると、なんだか不安ね(笑)」

 

「ちょっとひどくない!?」

 

雪ノ下さんは、部屋に戻っていった。まぁ明日は早いからな。

 

1人になって色々考えた。戸部のこと、姫菜のこと、俺たちグループのこと、そして…奉仕部のことを…

俺は、俺にはなにが出来るだろうか。全てを助けるには何が…なにをどうしたらいいんだ。教えてくれ、比企谷…

 

横須賀海斗はわからない。わからないからこそ、もがき苦しむ。

ー運命の告白まで、もう少し、彼ら彼女らはどうなるのであろうかー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんな感じになりました。
やっぱり、自分のグループを守りたい!っていう思いが強いと、思考は葉山的になるんですかね…
さて?これから彼ら彼女らはどうなるのか?書いてて若干楽しみな自分がいます。


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横須賀海斗は苦悩する

いよいよ運命の告白!
どうなるのでしょうか?


「雪ノ下さん、結衣、比企谷、俺を置いていかないでよ〜」

 

絶賛置いていきぼりの俺である。

 

「あら?あなたいたの?視界に入らなかったから気づかなかったわ」

 

いやいや、視界にいたよ?雪ノ下さんの視界にいたよ?それってもはや視界に入らないんじゃなくて入れたくないんじゃないですかね…

 

「あ、海斗くんごめんね。なんか3人の世界に入ってた!」

 

にっこりと満面の笑みで言う結衣。ダメダメ、人間っていうのは、そう言う純真な人の本音に一番えぐられるんだよ?

 

「すまんな横須賀(合掌)」

 

「みんなおれにたいしてつめたい!?俺のこと嫌いなら言ってよ?言っていいんだよ?」

 

「あなたに対して感じることなんて特にないわ」

 

「海斗君はいいひとだよ?」

 

「俺は特に何とも思ってないな」

 

はい!3人ともやり直して!特に結衣!「いい人」っていうのはどうでもいい人ってことだよね?それ一番きついんだよ!俺みたいなキョロ充にはさ…

 

3人で肉まん?の食べあいとかしやがってよ〜クッソクッソクッソー!

でもまぁ、これがこの3人の距離感なのかな?なんかすげー心地いいわ。俺、はぶられてるけど。見てるだけでも癒されるっていうかなんていうか…「本物」って感じがする。

 

ー告白前の宿ー

 

「あ〜もうめっちゃやばいわぁ〜まじこのやばさないわぁ〜でもやりきるわぁ〜」

 

ここまで来てもうざい戸部。もはや戸部がうざいのは構造。

 

「大丈夫だって」

 

「戸部も彼女持ちかぁ〜俺らと遊んでくれなくなるんだろうな〜」

 

「そんなことね〜って〜」

 

大和、大岡お前ら適当だな。というか戸部、お前考え直せよ。

 

すると、隼人が口を開く

 

「戸部…いや、なんでもない。お前の顔見てたら、言う気が失せたよ(笑)」

 

「ひどくね!?」

 

隼人は去っていった。比企谷は隼人のことがきになるらしく、彼を追っていった。彼らが何を話すのか、知る由も無い。

 

ー運命の時ー

 

鬱蒼と繁った竹やぶ、一際告白に向いていそうなロケーション。ロケーションだけはバッチリだなぁおいおい。さっき結衣がモジモジしながら比企谷に「告られるなら…ここがいいよ!」って言ってたが、夜になるとさらにおあつらえ向きだな。ていうか結衣ちゃん?なんで受動態なの?そこ普通能動態でしょ?

 

比企谷が緊張してガッチガチの戸部に話しかける。なんか戸部を応援しているみたいだ。雪ノ下さんが「あの男にもあんなことが出来るのね…」とボソッと言っていたが、それひどくね!?

 

姫菜が向かってくる。あぁ、戸部は振られちまうんだな…俺らのグループもこれで終わりか…なかなかに楽しかったな…とかボケーっと思っていた時だった。

 

「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」

 

おぉう戸部、お前にしてはなかなか様になってるじゃないか。セリフはいいぞ、セリフは。

いや…違う。あれは…比企…谷?お前、なにしてんだ

 

「今は誰とも付き合う気がないよ。ごめんね。話し終わりなら私、もういくね」

 

姫菜が去る。戸部と比企谷が話しているところに隼人が向かい、慰めている。そしてー本当に小さな声で、苦虫を噛み潰したような顔でー

 

「すまないっ…君はそういうやり方しか知らないことを知っていたのに…」

 

隼人と友達になってはじめて、こいつのことが心底憎いと思った。ずるいと思った。こいつは、比企谷に全部押し付けて置いてそんなことを…こいつは、初めからわかってたのか。比企谷が偽告白をするって。そして、比企谷が傷つくってことが…

 

「あなたのやり方、嫌いだわ」

 

戻ってきた比企谷に雪ノ下さんがいう。その目は、今まで見たことのないくらい冷たくて、哀しくて、そして…怒ってて。

 

雪ノ下さんが去ったあと、結衣が笑いながら比企谷に近づいていった。その笑いは、結衣が優美子に自分の意見をしっかり言えるようになる前の渇いた笑い、表面上の笑顔だった。

 

「人の気持ち…もっと考えてよ!!なんで色んなことがわかるのに、それがわからないの!?」

 

結衣の哀しき咆哮だった。魂の叫びだった。比企谷には、とどいているんだろうか?

結衣が泣きながら去る。そこに残ったのは、傷つき傷つけた男と何も出来なかった無力な男だった…

 

「なぁ比企谷。はじめからこうするつもりだったのか?」

 

比企谷に問う

 

「まぁな…葉山隼人と海老名姫菜は”いま”を変えたくなかった。その中で、俺ができる範囲で最善のものを選んだつもりだ」

 

本当に…本当にそう思ってんのか?ならお前はなんでそんなに悲しそうなんだよ!

 

「比企谷…全てを押し付けて、ごめんな…」

無力だな俺は。こんな薄っぺらいことしか言えないんだ…

 

「おまえに謝られる義理はねーよ。俺が自分で選んでしたことだ。後悔はない」

 

「ありがとうな。俺たちのグループを、壊さないでくれて…」

俺は何を言っている?そのために、何が犠牲にされた?比企谷の事を大切に思っていた二人の少女の気持ちはどうなるんだ!?

 

「いっそそう言ってもらえた方が楽だわな。横須賀、俺の選択は間違えていたか?」

初めて見る。この男のこんな目は、こんな表情は。なんて顔してんだよ…

 

「お前のしたことは結果だけ見れば正しいよ。依頼者全員の願いを叶えてくれた。でも…さ、俺ももう奉仕部だから…さ、雪ノ下さんも結衣もそうだと思うけどお前が傷つくの、見たくなかったなぁ…」

涙は落ちる。そんな自分に驚いた。それほどまでに俺にとって奉仕部はーこの男はー大切だったのだろうか。

 

「そうか…ありがとな。横須賀。少し気持ち楽になったから、俺もう戻るわ」

 

そう言って去っていく。その瞳に、一厘の涙を携えて。俺の知る中で最も強くそして最も哀しき男が去っていく。

 

自分にできることはなかったのだろうか。思えば、昨日比企谷と話した時に、「方法は…ある」と言った時に気づくべきだった。いや、本当は気づいていたのかもしれない。でも、俺は止めなかった。止められなかった。仲間だと思っている人たちがバラバラになるのが怖かった。そして責任をすべて比企谷に押し付けたのだ。

 

「俺は本当に…何してんだろうな。これじゃあ隼人にキレる資格なんて…」

 

横須賀海斗は苦悩する。何も出来ずに苦悩する。彼の一番近くにいる男は自分だったのに…

 

ー奉仕部はこれからどうなるのだろうか?ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんな感じで締めてみました。
やっぱり、海斗君にとってはいつものグループも大事なんです。だから、彼は動けなかった。
まぁさすがに偽告白までちゃんと見通せたかどうかは少し疑問ですが(笑)
ご意見やご批判など頂けると幸いです。


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