ジョジョの奇妙な殺し屋稼業 (OMOSIKANI)
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第一章 ~転生、そして生まれ変わる~
設定集 ~ネタバレ注意~


どうも、OMOSIKANIです。
改めて確認してみて、かなりの駄文だったので改訂しました。
今度は大丈夫だと思います。
それではどうぞ。


主人公 西城錠助

 

容姿 第3部のDIOの服装で、身長はタツミより少し高い。

 

性格 少し適当だが、正義感がありやるときにはやる男(第2部のジョセフ·ジョースターのよ   うな感じ)。また、冷徹な面を見せることもある(第4部の吉良吉影のような感じ)。

 

趣味 絵を描くこと(主に女性の手)、鍛練、人間観察(人間では無いため、ナイトレイドのメン   バーのやり取りが面白いため)

 

スタンド ザ・ワールド

 

種族 吸血鬼、究極生物

 

特技 家事全般(料理の腕はアーチャーと同じレベル)、変身(究極生物のため)、スペースリ    バースティンギーアイズ、気化冷凍法、吸血(指からも)

 

持ち物 石仮面、エイジャの赤石(スーパーエイジャ)、スタンドの矢、鉄球、猫草、ナイフの    帝具(投げると数が無限に増え、何処までも追いかける)

 

神によって「アカメが斬る」の世界へ転生させてもらった。転生する時、憧れだったDIOの姿にしてもらい思わず叫んでしまった。転生特典でザ・ワールドを使えるようにしてもらい、さらにチート能力を貰った。実は神もジョジョ好きで、サービスとして原作のアイテムを貰った。究極生物になったおかげで波紋(ジョナサンの数千倍)が使えるようになり、鉄球の技術(黄金回転まで)も習得した。戦いになると口調がDIOの様になり、興奮状態になる。ちなみに、ナイフの帝具は神のサービスの一つ。そして、脚フェチであり手フェチ。

 

 

 

ザ・ワールド

 

パワー S ,スピード S ,精密動作 S ,射程距離 無限 ,持続力 S ,成長性 S

 

能力 1,速度操作

    ・あらゆる物の速さを操る。錠助本人の速さも操ることができる(応用で、ザ・ワー     ルド、キング・クリムゾン、メイド・イン・ヘブンの能力が使える)。

 

   2,クレイジー・ダイヤモンドの能力

    ・原作通り。ただし、本人の怪我も直せる。

 

   3,キラークイーンの能力

    ・原作通り。速度操作と組み合わせると、キング・クリムゾンの能力が使える。

 

   4,ザ・ハンドの能力

    ・原作通り。あらゆる物を削り取る事ができる。

 

   5,スティッキー・フィンガーズの能力

    ・取り付けたジッパー同士が繋がっている(イメージは東方の八雲紫)。

 

   

 

神によってチート化されたスタンド。すべての能力が強化されているため、倒す事はほぼ不可能になっている。また、能力の強化で自我が生まれ、単独行動が可能になった。会話も出来るのでナイトレイドのメンバーの話し相手になっている。錠助の意思で姿を見えたり見えなくしたり出来るので、その存在を確かめることは可能。

 




こんなかんじです。
次もよろしくお願いします。


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第1話 転生

どうも。
すいません、かなり遅れました。
テストがね・・・

次からこのスペースに、ジョジョの名言を載せたいと思っています。
それでは。



目が覚めると、色がなかった。

 

いや、正確には辺り一面真っ白だった。

 

おかしい、普通は自分の部屋の天井が見えるはず。

 

立ち上がった彼は、状況を確認し、納得したかのように頷くと.......二度寝した。

 

「いや、その反応はおかしい!?」

 

否、後ろから声が聞こえ、寝れなかった。

 

彼は不機嫌そうに起き上がると、声を掛けてきた人物に文句を言った。

 

「うるさいよ...こっちは眠いんだからさぁ...」

 

「あ、ごめん、じゃあ静かにしてる......って、ちげーよ!」

 

うっかり乗せられそうになった人物は、ため息をすると、寝ている彼を起こしにかかった。

 

「ホレ、さっさと起きろ。こっちも色々都合があるんだよ。」

 

起こされた彼は、若干ふらつきながらも意識を覚醒させていった。

 

そしてようやく、自分と話していた人物を視界にいれた。

 

「.....誰?」

 

「その反応は、最初に聞きたかった...」

 

 

  ■ ■ ■

 

 

改めて対面した彼は、自分の前にいる人物にいくつかの質問をした。

 

「で、お前誰?」

 

質問を掛けられた人物は、なんか威厳があるような姿勢で答えた。

 

「俺はゼウス、いわゆる神様だ。」

 

「........は?」

 

答えられた内容を理解できなかった彼は、混乱しながらも、状況を把握しようとさらに質問をした。

 

「え? どういうこと? 何で神様が目の前に?」

 

「...あー、言っちゃっていいか?」

 

少し言葉を濁らせたゼウスを見て、不思議に思いながらも、了承した。

 

「お前は死んだんだよ。」

 

「...え、死んだって...」

 

死んだ、そう彼に告げたゼウスは、その場で彼に謝罪した。

 

「すまん...俺のミスなんだ。俺があの時、コーヒーを溢さなければ...」

 

「.........ん?」

 

今何か、聞き捨てならないことを聞いた気がした。

 

「...なあ」

 

「この詫びは、お前を転生させて....ん?」

 

「俺、どうやって死んだって?」

 

「え? いや、俺が仕事中に飲んでたコーヒーがお前の寿命である蝋燭にかかって....」

 

「...俺の死因はコーヒーかぁぁぁああぁぁ!!!!」

 

怒りのままに絶叫した彼は、片手でゼウスのこめかみのあたりを締め付けた。

 

俗に言う、アイアンクローである。

 

「ギャアアァァァアァ!!! すまんマジですいませんはなしてくださいほねがミシミシ言ってるぅぅぅ!!!」

 

「...ハァ」

 

彼が手を離すと、ゼウスはふらつきながらも立ち上がった。

 

「いつつつ...神にダメージ与えられるって...」

 

「自業自得だろ」

 

「それより、本当にすまなかったな。」

 

「もういいよ、それよりさっきの話は? 転生がどうとか。」

 

先程のゼウスの言った言葉に興味をもった彼は、ゼウスに訊ねた。

 

「ああ、お前のミスで死んじまったから、詫びとして転生させてやろうと思ってな。」

 

それを聞いた彼は、目を輝かせ、少し興奮気味に訊ねた。

 

「それって、アニメの世界でも行けるのか?」

 

「もちろん、好きな世界に行けるぜ。」

 

「だったら俺、行きたい世界があるんだけど。」

 

彼が興奮していたのには理由がある。彼は前世、無類のオタクだったのだ。

 

一番好きなアニメは、『アカメが斬る!』。

 

「『アカメが斬る!』の世界で頼む。」

 

「分かった。じゃあ特典はどうする?」

 

「特典?」

 

「世界が世界だからな。役に立つ道具とか能力だよ。」

 

確かに、と彼は思う。これから行こうとしているのは、ただの一般人が行けるほど生温い世界ではない。『殺し』という概念が溢れる、そんな世界なのだ。

 

故に彼は考える。あの世界にいる、圧倒的強者に対抗し得る能力を。

 

そこでふと、思い付く。

 

『あの能力』ならば対抗できる。否、逆にこちらが圧倒出来るのではないかと。

 

その能力とは、彼が『アカメが斬る!』と同じくらい好きなアニメ

 

『ジョジョの奇妙な冒険』の能力であった。

 

 

「『ジョジョの奇妙な冒険』の全部の能力をくれ。そして...」

 

彼が『ジョジョの奇妙な冒険』の中で、一番強く、圧倒的だと感じたキャラクター

 

かつてジョースターの一族を苦しめた、悪の帝王

 

「DIOの容姿と、スタンド『世界』をくれ。」

 

ディオ・ブランドーの能力を望んだのだった。

 

 

 ■ ■ ■

 

 

「...成る程、やっぱり良いよな。スタンドは。」

 

ゼウスが呟いた言葉に興味をもった彼は、少し聞いてみることにした。

 

「何で知ってるんだ?」

 

「なんでって、俺も好きだからだ。『ジョジョの奇妙な冒険』」

 

それを聞いた彼は、どれくらい好きなのか、質問をしてみることにした。

 

「第三部主人公、空条承太郎のスタンド『スタープラチナ』のラッシュ声は?」

 

「オラオラ」

 

「第四部主人公、東方仗助のスタンド『クレイジー・ダイヤモンド』は!」

 

「ドラララ!」

 

「そして、DIOのスタンド『ザ・ワールド』は!!」

 

「無駄無駄無駄ァァァ!!」

 

「「YEAAAH!!!」」ピシガシグッグッ

 

ゼウスと彼は、これ以上無いほどテンションが上がった。

 

「イヤー、最高だ。気分が良いから、ちょっとだけサービスしてやるよ。」

 

そう言うとゼウスは、手の上に小さな金の指輪を出した。

 

「これは指にはめて念じると、『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくる色々なアイテムが現れる便利な指輪だ。特典と一緒にやるよ。」

 

「マジで!? ありがとう!」

 

「どーってことねーよ。あと、スタンドは最強に能力とステータスにしといてやる。」

 

「分かった。」

 

思いもよらぬサプライズにかなりテンションがあがっている彼は、ゼウスの言葉で我に返った。

 

「これくらいだな。あ、柱の男達の流法はDIOが使えないから、究極生物にしておくぞ。」

 

「ああ...って究極生物のDIO....チートだな。」

 

「鉄球の技術は黄金回転まで完璧に。波紋はジョナサンの倍だ。」

 

「うわぁ...チートだぁ」

 

一通りの説明をし終えたゼウスは、転生のための用意をし始めた。

 

「じゃあそろそろ転生させるぞ。準備はいいか?」

 

「ああ。」

 

彼がそう言ったとたん、彼は光に包まれた。

 

「最後に一つ。お前の名前を教えてくれ。」

 

ゼウスの言葉を聞いた彼は、答えた。

 

「俺の名前は西城錠助。『ジョジョ』の名を受け継ぐ者だ。」

 

そう答えたとたん、彼は消えた。

 




ディ・モールト 良し!


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第2話 人助け

~001 第4巻 黒騎士の呪縛の巻~

 ふるえるぞハート! 燃え尽きるほどヒート!! おおおおおっ 刻むぞ血液のビート!

 山吹き色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)!!

                              ジョナサン・ジョースター


サラサラと、草の音が聞こえてくる。木特有の匂いもする。先程までは感じなかった感覚。

 

そんな、自然豊かな森で、一人の男が目を覚ました。

 

その男は体を動かそうとして、ふと、自分の体に違和感を覚える。

 

だが、決して調子が悪いわけではない。むしろ良すぎて、あらゆる感覚が研ぎ澄まされているような、そんな感じがするのだ。

 

「どういうことだ....!?」

 

声を発して、さらに驚いた。自分の声が、変わっている。だが、聞き覚えのあるような気もした。

 

彼は、近くにあった水溜まりで自分の姿を確認しようとした。しかし、そこに写ったのは見覚えのある自分の顔ではなかった。

 

「こ、この顔は...」

 

ここでようやく、彼の正体が判明する。

 

「まんまディオ・ブランドーじゃあないか!」

 

そう、彼はほんの数分前に神、ゼウスによって転生した主人公。

 

西城錠助である。

 

 

 ■ ■ ■

 

 

~錠助side~

 

どうも、錠助です。目覚めたら知らない森の中だし、姿はまんまディオだし、驚いてばかりだよ。まあ、嬉しいけどね。

 

なんて考えていると、指にはめている指輪から電子音が聞こえてきた。

 

「なんだ?」

 

指輪に触れたとたん、電話のコール音のような音声に切り替わり、3コール目で錠助がよく知る声が聞こえてきた。

 

『よお、気づいたみたいだな。』

 

「その声、ゼウスか?」

 

錠助は、知っている声に若干安心感を抱きながらも、その感情は声に出さなかった。

 

『ああ。どうやら無事に転生できたみたいだな。』

 

どうやら確認のためらしい、そう理解した錠助は、自分の姿について尋ねた。

 

「この姿はどういうことだ?」

 

『ああ、その姿はお前の望み通りだぜ。ちなみに声もな。』

 

ようやく納得できた。声が格好よくなっていたのも、調子の良さも、すべてディオの体になったためだったのだ。

 

『姿はディオだが、種族はしっかり究極生物だぜ。』

 

「分かった。ちなみにスタンドは...」

 

錠助は一番気になることがあった。自分のスタンドの事である。

 

彼は転生するときにゼウスが言っていた、『チート能力とステータス』が知りたかった。

 

『フッフッフ、聞いて驚け。お前のスタンド『ザ・ワールド』のステータスは、オールSだ!』

 

「.....は?」

 

錠助は耳を疑った。この体だけでもチートと呼べるのに、さらにスタンドまでチートになるという事実に若干引いた。だが、むしろこれだけで済んでよかったという考えも、あるにはある。

 

『さらに! 能力は速度操作、クレイジー・ダイヤモンド、ザ・ハンド、キラークイーン、スティッキー・フィンガーズの能力をプラスゥゥゥウウゥゥ!!!』

 

「......」

 

訂正、まだあった。

 

『さらにさらに! 速度操作は応用すると、キング・クリムゾン、メイド・イン・ヘブンの能力が使えるぜェ!!!!! イエェェエエェェ!!!!』

 

「」

 

テンションが上がり続けているゼウスとは違い、静かすぎる錠助。

 

増えるチートに現実逃避し始めていた彼は、最終的に.......燃え尽きた。

 

~錠助side out~

 

 

 ■ ■ ■

 

 

数分後、意識が戻った錠助は、折角なので能力を試してみることにした。

 

「姿がディオだから口調もディオっぽくした方がいいな.....これで良いだろう。」

 

錠助もといディオは腰を落とし、目の前にある木に向かって自分の目から圧力をかけた体液を発射した。

 

「空裂眼刺驚(スペースリバー・スティンギーアイズ)!!」

 

ディオの目から発射された体液は、まるでレーザー光線のように木を貫いた後、そのままの勢いで真っ直ぐ飛んで行った。

 

「やはり強力だな、この技は。さて次は.....!」

 

次の技を試そうとしていたディオの、究極生物となり強化された耳に悲鳴のような声が入ってきた。

 

「この声量は女か? 少し遠いな.....良し。」

 

誰に聞かせる訳でもなく、そう呟いたディオは、自分の両腕を鳥の翼へと変えた。そして大きく羽ばたくと、悲鳴が聞こえた方角へ飛び立っていった。

 

 

 ■ ■ ■

 

 

場所は変わり、ここはとある街道。そこを一つの馬車が走っていた。

 

「それにしても、お前さんも災難だったなぁ。道中で盗賊に襲われるなんてよ。」

 

気の良さそうな男が、荷台に乗っている二人のうち、どことなく田舎臭い雰囲気の少年に話し掛けた。少年はため息をつくと、愚痴を漏らし始めた。

 

「全くだぜ...。おかげで一緒に旅してた仲間とはぐれるわ、道に迷うわ.....ハァ」

 

「だ、大丈夫よ! はぐれた仲間にも、きっと再会できるわよ!」

 

自分の不幸を思いだし、落ち込み始めた少年を、荷台に乗っているもう一人である若い女性が励ました。そんな彼女の言葉に、少年は立ち上がった。

 

「そ、そうだよな! 世の中悪いことばかりじゃねえ! 」

 

元気が戻った少年を見て、彼女は優しく微笑んだ。そんな様子を見ていた男もまた、無意識のうちに笑っていたのだった。

 

そんな楽しい雰囲気のまま進む一行を、突如、地響きが襲った。

 

「ッ! 何だ!?」

 

男がそう叫んだとたん、地中から一匹の土竜がけたたましい咆哮とともに姿を現した。

 

『ヴオォォオォォオオォォォ!!!!』

 

土竜はその視界に馬車を捉えると、真っ直ぐその方向へ突っ込んでいった。

 

「土...土竜だぁぁぁぁ!!!」

 

土竜の迫力に恐怖した男は、叫び声を上げるだけでなにもすることはできない。そしてそれは、荷台に乗った女性も同じだった。

 

「あ...ああ..」

 

そんな彼らに、土竜は一切の慈悲もなく、本能のままに蹂躙するはずだった。しかし...

 

「はあッ!」

 

一つの掛け声とともに、一瞬にして土竜の触角が切り落とされた。と同時に、触角を斬られた痛みからか、或いは斬られたことに対する怒りなのか、土竜が咆哮を上げる。

 

『ガァァアアァァァ!!!!』

 

その咆哮を聞いて、土竜の触角を切り落とした人物、いや少年は笑みを深める。

 

「一級危険種 土竜か...相手に不足はないな...」

 

少年がそう呟いたとたん、土竜が咆哮とともに向かって来る。そのまま腕を振り上げ、少年に叩き付けた。

 

「怒ったな...でも、終わりだ!」

 

否、少年はその攻撃を土竜の腕に乗ることで回避していた。そしてそのまま腕の上を走り、土竜との距離を詰め、目にもとまらぬスピードで土竜の体を切り裂いた。

 

綺麗に着地した少年は、男達の無事を確認するべく馬車に駆け寄った。

 

「大丈夫か、おっさん。」

 

男はいまだに状況が掴めず、少しの間呆けていたが、少年に声を掛けられはっと我に返った。

 

「あ、ああ...。大丈夫だ。しかし、お前さん、あんなに強かったのか。」

 

少年は男の言葉を聞くと、若干テンションを上げて話し始めた。

 

「当ったり前だろー、俺にかかればあんな奴楽勝だって!!」

 

少年が話していると、荷台にいた女性も少年を褒め始めた。少年は完全に天狗になり、自画自賛を始めた。

 

だから少年は気づかなかった。土竜にまだ息があったことに。

 

『グ...ガァァアアァァァ!!!』

 

最後の力を振り絞り起き上がった土竜は、一番近くにいた女性へ襲いかかった。

 

「ひっ...キャァァアアァァ!!!」

 

反応が遅れた少年は女性を助けようとするも、若干の距離があり、とても間に合うものではなかった。少年の脳裏に最悪の結末が浮かんだ時、その声は響いた。

 

 

 

 

 

 

 

「『世界』時よ止まれッ!」

 

 

 

 

 ■ ■ ■

 

 

 

~ディオside~

 

悲鳴が聞こえた方角へ、音速に近い速度でディオは飛んでいた。

 

ただ翼を使い飛ぶだけでは、こんなに速いスピードは出る筈がない。ならば何故か。その秘密はディオの能力の一つ、速度操作にある。ディオはこの能力を使い、自分自身の時間の流れを早めていた。つまりは、メイド・イン・ヘブンである。

 

そんなディオの視界に、たった今、巨大な怪物に襲われそうになっている女性が写った。しかしこの距離では、どうやっても間に合いそうにない。速度操作の能力にはまだ慣れていないのだ。

 

「一か八かだ、やるしかない。」

 

そう呟くと、ディオの側にあるヴィジョンが現れた。それはギリシャ彫刻のような美しさを持ちながらも圧倒的威圧感と怪しい色気を兼ね備えた最強のスタンド、ザ・ワールドのヴィジョンであった。

 

そしてディオは叫んだ。スタンド『ザ・ワールド』を最強と言わしめるその能力の名を。

 

 

 

 

「『世界』時よ止まれッ!」

 

 

 

 

そして世界から、色が消えた。

 

色の消えた、時が止まった世界で動ける者はディオただ一人。そしてディオは、女性に近付くと彼女を抱え、その場から離れた。

 

「このくらいか...。初めて時を止めたが、うまくいったようだ。」

 

馬車の側に来たディオは、荷台の上に女性を優しく下ろした。

 

「そろそろいいか。そして時は動き出す。」

 

ディオがそう言ったとたん、世界に色が戻り、時間が進み始めた。そして次の瞬間、さっきまで女性がいた場所に土竜の腕が降り下ろされた。

 

ふとディオが横を見ると、少年が沈痛そうな表情でその場を見ていた。

 

「おい、少年。」

 

「え? うおっ!?」

 

ディオが声を掛けると、少年はかなり驚いた様子でこちらを見た。

 

「あ、あんた、誰だ? いつからそこに?」

 

「...それよりもだ。女は助けた。心配するな。」

 

少年の問いを無視し、ディオは女性の無事を少年に伝えた。それを聞いて驚いた少年は、疑問を持ちながらも女性の無事にほっと胸を撫で下ろした。

 

「次からは、油断をしないようにな。」

 

「うっ...すいません...」

 

少年と会話をしていると、先程ディオが助けた女性がお礼を言ってきた。何かお礼をしたいと言った女性に対し、ディオはそれを断った。

 

「私は自分がしたいことをしたまでだ。お前が無事ならばそれでいいだろう。」

 

この後、この女性がお前呼ばわりされたことに対し、怒るどころか顔を真っ赤にしていたのを不思議そうに眺めているディオを見て、少年は、あ、この人ジゴロだと思ったのは秘密である。

 




アリー・ヴェデルチ!


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第3話 主人公......主人公!?

~002 第2巻 生ける死者(リビング・デッド)の襲撃の巻~

               貧弱! 貧弱ゥ!

                                 ディオ・ブランドー


~ディオ(錠助)side~

 

どーもー、ディオ・ブランドーこと西城錠助でーす。

 

なんか悲鳴が聞こえたんで来てみたら、人が襲われそうになってるじゃあないか!て言うか、究極生物ハンパないな!すぐ着いちゃったよ。まあ、能力も使ったけどね。

 

飛んできたはいいがとても間に合いそうになかったから、つい、スタンド使っちゃったよ。お陰で間に合ったし、ザ・ワールド格好いいから良いけど。むしろグッド!

 

怪物に襲われそうになっている女性を抱き抱えて、すぐにその場から離れた。そして馬車の荷台にそっと下ろしてあげた。その時彼女の手を見て少し興奮したのは秘密である。

 

彼女を下ろした時、ふとあることに気付いた。

 

「何秒間止められるんだ?」

 

思った疑問を口に出したら、自分の隣から声が聞こえた。その声が聞こえた方を見た。

 

ザ・ワールドがいた。

 

周りを見ても、自分以外に動いている生物はいない。どういうことかと首を傾げていると、また声が聞こえた。

 

『ディオ様』

 

今度ははっきり聞こえた。どことなく片言のようにも聞こえる凛々しい声。だが、見ても誰もいない。いるのはザ・ワールドのみ。

 

まさかと思いながらも、俺は自身のスタンドに声を掛けてみた。

 

「まさかと思うけど、しゃべったのお前か? なんてあるわけ『私デス。』.......は?」

 

あれー? 可笑しいなー。スタンドがしゃべるはずないのに。アハハハハ。

 

『イエ、シャベリマス。』

 

.................エェェエエェェェ!?!? ナンデナンデ!?スタンドってしゃべれるの!?マジで!?

 

ハッ! 落ち着け! 落ち着くんだ俺ェ! そうだ、こういう時は素数を数えるんだ!2、3、5、7、11、13、15.......あれ? 15って素数だっけ?

 

どうにか落ち着いた俺は、とりあえずザ・ワールドと会話してみることにした。

 

「い、良い天気ですね?」

 

『ソウデスネ。』

 

「な、なんか良いことありそうだなー。」

 

『イエ、現在進行形デ災難デスガ。』

 

....自分のスタンドにツッこまれる。これいかに。

 

『チナミニ、私ノ能力ハ時止メデハナク速度操作ノ為幾ラデモ時間ヲ止メルコトガデキマス。』

 

....チート乙。

 

そんなやり取りを自分のスタンドさん(なんとなくさん付けのほうが良いような...)としていると、指輪からまたあの音が聞こえてきた。俺はすぐに指輪に触れ、ゼウスの声が聞こえたとたんに質問責めにした。

 

「おいゼウス! どういうことだ! 何でスタンドが、ザ・ワールドがしゃべるんだ!?」

 

俺の質問を聞いて、さも意外そうにゼウスは答えた。

 

『あれ、言ってなかったか? 能力付けた時に一緒に自我も与えたんだよ。ちょいちょいってな。』

 

「はぁ!?」

 

ザ・ワールドに自我がある...だと...。それって....

 

「ゼウス...」

 

『ん?』

 

「グッジョブ!!」

 

最高じゃあないか!!

 

『そうか。お前が良いと言うなら良かったぜ。じゃあ、なんかあったら連絡しろよ。指輪を3回叩けば俺に繋がるから。』

 

少し嬉しそうにしながら、ゼウスは通信を切った。

 

「良し。じゃあよろしくな。」

 

『ヨロコンデ。』

 

この敬語な所も良いんだよな。っと、そろそろ能力解除しないと。えーと...

 

「そして時は動き出す。」

 

 

 

この後、助けた女性に言ったセリフでその女性の顔が赤くなったのを見られ、少年に呆れられた目で見られた。解せぬ....

 

 

 

 ■ ■ ■

 

 

 

さて、ディオ(錠助)は今、助けた女性達と別れ、少年と二人で帝都へ向けて歩を進めていた。

 

歩いている最中、ディオは少年の名を聞いていないことを思いだし、早速聞いてみることにした。

 

「少年、名を聞いていなかったな。」

 

「あ、そういえば。」

 

声を掛けられた少年は、ディオの言葉に頷き、自己紹介を始めた。

 

「じゃあ改めて。俺はタツミ、辺境出身だ。」

 

少年の口から出た名前に、ディオは目を見開いて驚いた。何故なら...

 

「(おいおい...まさかの主人公かよ...。何で気づかなかったんだ、俺...。)」

 

そう、この少年、タツミは、この『アカメが斬る!』の世界の主人公なのである。だがディオは、タツミが主人公であること以外にも、あることに気が付いてしまっていた。

 

「(タツミがここにいるということは、今は原作一巻の第一話...。サヨとイエヤスはもう...)」

 

ディオ、錠助は原作を知っている。だからこそ、タツミの仲間である二人の状況も知っている。ディオは、二人に今起こっているであろう悲劇を思い出すと、顔を歪ませた。

 

「どうしたんだ?」

 

タツミは、そんなディオの様子を見て不思議そうに尋ねた。ディオは表情を戻すと、タツミに言った。

 

「いや、何でもない。 私はディオ・ブランドー。ただのしがない旅人だ。こちらこそよろしく頼む。」

 

タツミはディオの名を聞いて、明るく笑うと、また帝都への道を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

だがタツミは知るよしもない。ディオが考えていた事が自分の仲間の事であること、その悲劇を近い内に知ることになってしまうことを。

 

 

 

 

 

 

 




少し短いです。


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