fate/break (胡狼)
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1話

素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!

 

 

 

 

「私」は、死んでいた。

正確には覚えていない。

ニュードという資源戦争に、巻き込まれて、いや、望んでそこにいたのだ。

さまざまあって電脳の亡霊と化した私は現実世界では死という概念のうちに入ったのだ。

ボーダーブレイク。

現実世界では娯楽でしか無いものではあったがなんの因果か私はそこに転生した。

現存するすべての装備を瞬時に変えられるという特性を持って。

 

はてさてどうにも説明的な独白になってしまったがそれもそのはず。

一つの作戦が終わり自室で床に着いたはずなのだが、私はかつて生きていた現実世界のような場所にいる。

目が覚めたら、知らない天井であったのだ。

ブラストも無いただの生身である私は、もしかしたら夢の中で夢を見ていたのかもな、とひとりごちる。

 

鏡は無いのだろうか。私の顔が現実世界のものかボダ世界のものかで対応が変わる。

そもそもここはどこなのだろうか?

見渡すと、家電製品が廃棄されている。何かの蔵だろうか?

そんなことを考えていたら、何か赤い、鋭いものが私の肩を貫く。

 

「なっ!?」

 

その悲鳴は若い男の悲鳴だった。

 

「坊主、お前が8人目だったとはな・・・」

「人を刺しておいてそれかよ。」

 

眼前には青い鎧のような、タイツのような、そんな衣装を纏った男が槍を構え直していた。

私は刺され、飛ばされたはずだが、重症ではなかった。

状況を把握する。体を起こす。

眠るまえに履いていたブーツは、なぜかそのままだったので改めて足を入れる。

コツコツと音が鳴る。

嗚呼、此処は。

fateの世界なのだ。多分。

 

「問おう。貴方が私のマスターか?」

 

お決まりの台詞である。

聖杯とやらから情報が送られてくるが、ニュードによって遮断される。

が、大筋は理解しているので問題無い。生前は日本人だったということもある。

 

「お前は・・・一体・・・」

 

赤毛の少年はこちらを訝しむように見てくる。

 

「細けえこたぁいいんだよ! さてクーフーリンの兄貴」

「・・・」

「マスターの命令で思うように動けないのでしょ? ここは撤退してもらえないだろうか? 仕切り直しというスキルもあるだろうし、そちらにとっても悪い話ではないと思いますが?」

「ケッ、いいだろう。得体の知れない貴様とは、いや・・・考えすぎか。マスターも戻れと言っているしな。この場は引いてやろう。」

 

御都合主義なのかそういってランサーは撤退していった。その背中を見送りながら、アーチャーの到着を待つ。

おそらく来るはず。

私というイレギュラーな存在によりどうなるかはわからないが、原作を遵守していきたい所存である。

どのみち私は死んでいるのだから。

 

「名乗るのが遅れた。私はエクストラクラスのボーダーで召喚された、ええと名前が思い出せないんだが、ボーダーとでも呼んでくれ。」

「お、俺は士郎。衛宮士郎だ。」

「衛宮君。とりあえず何もわからないだろうけども、しばらく待っていたら説明してくれる親切な人が来ると思うから私からは説明を省かせてもらうぞ」

 

私はそういって屋敷に上がり込み自分の顔を見る。

アバターの顔だった。声からしてそんな気はしたのだが。

そして自分の能力を確認する。落ち着けたので

全ての武器とパーツを瞬時に切り替え、使用が可能なスキルだけだった。

あとはリスポーンというスキルが追加されていた。

どうやら不死身ではないが蘇生が瞬時に可能らしい。マスターの魔力が減るみたいだが。

そして、聖杯からなのかはわからないが頭の中に強烈な警告が鳴り響いた。

みだりにニュード武器を使ってはならない、と。

そんな確認をしていると、アーチャーと遠坂凛が現れ士郎と話し合っていた。

アーチャーは不機嫌そうな顔をしている。

私も自己紹介をする。

 

「にっこにっこにー! 貴方のハートに何時もニュード! 名前が思い出せない・・・電脳の亡霊と呼ばれていたニコー!!」

「なんか随分と中途半端ね・・・貴女も記憶喪失なの?ええと・・・ボーダー」

「いいや、名前だけだ。元々傭兵だったから擦り切れてしまったのかもな。そにしても、貴女も、とは?」

「コイツも記憶喪失なのよ。」

 

そう言ってアーチャーを親指でクイッと指す。アーチャーは肩を竦めて溜息をついている。

 

「得体の知れない相手にそこまでの情報を提供するのは頂けないのではないかな、凛」

「それもそうだけどね。大した情報ではないでしょ」

「遠坂。そもそもこの聖杯戦争ってのはともかく、サーヴァントってのはどういうものなんだ?」

「平たく言えば英雄よ。尤もこの場にいる二人はどんな逸話があるかもわからないけれど」

「フッ・・・アーチャーよ。我々は無銘らしいな。無名なだけに」

「・・・」

 

アーチャーは冷徹にこちらに視線を刺す。

私は悪びれずに肩を竦めて溜息をつく。

 

そうすると凛が私のステータスを見たのか変な声を上げた。

自分では見れないので教えて貰う。

 

筋力 E〜EX

魔力 E〜EX

耐久 E〜EX

幸運 E〜EX

敏捷 E〜EX

宝具 EX

 

全てのステータスが EからEXのどれか、という変動の激しいものだった。

アセン次第ってことだろう。士郎もアーチャーも怪訝な顔をしていた。

宝具はきっとニュード武器が世界を侵食してしまうから対界宝具とでもカテゴライズされたのだろうか?

もちろんそんなモノを使うつもりは無い。

試しに、宝具を出そうと意識してみる。

 

「来いッ! ティアダウナー!!」

 

すると私の手に刃渡り6メートルはあろうか大剣が顕れる。

マウンターが無いからしまう時はどうするんだろう?

 

「安心してくれ。私も召喚されたばかりで自分の能力がわかっていないのさ・・・やりあうつもりはないからね。」

「その剣・・・随分と曰くがあるようだが?」

「別に悪龍を滅ぼしたわけでもないし主神オーディンの系譜でも無い。鉄の塊さね」

「貴様がそう言うのならばそうなのだろう、貴様の中では、な」

 

そんな風に盛り上がっていると凛が教会へと赴き聖杯戦争に参加するか否かの意思表明をしようという話になった。

当然私は付いていく。

原作を遵守と言ったな。

 

アレは嘘だ。




サーヴァントステータス

真名
ジャッカル・ツヴァイ
身長 167㎝
体重 50Kg
性別 女性
ボーダーのクラススキル
リスポーン
マスターの魔力を消費し、マスターの近くあるいは拠点とする場所より全快した状態で復帰。
マスターの士郎がへっぽこな為62回ほどのリスポーン回数。

カスタマイズフリー
ボーダーブレイク世界の武器、或いは防具として機体パーツを瞬時に切り替え可能。ほうぐの扱いになる。
ステータスに変動あり。超過した場合は敏捷が下がる、など。

ニュード耐性
ニュード汚染地域でも活動が出来る。しかしこのスキルは無意味な模様

ニュード汚染
あらゆる精神攻撃を無力化する。支援効果のある魔術もニュードにより遮断される。

ニュードディフェクター
ニュードのオーラにより外部からの物理的攻撃を一定量肩代わりする。時間経過で回復。
NDEFと略される。一定量を超えた場合貫通する。

ニュードとは。
エネルギー資源と成り得る増殖する有機生命体。
デビルガンダム細胞のようなもの。
マスター含む人間が浴びると耐性のない者は、最悪死に至る。



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2話

原作を遵守すると言ったな。アレは嘘だ。

と言ったな。アレは嘘だ。

どのみち私という存在が影響できる範囲など限られているだろうし、これはこれで一つのルートとなってしまうだろう。

原作をブレイクすることは出来ても、原作そのものを破滅させるような展開には出来ないということだ。ニュード武器を撒き散らしてこの世界そのものを一旦終わらせることで聖杯戦争そのものをなかったことにすると事も可能だというのに、それをしていないしするつもりも起きない、というのがなにかしらの抑止力が働いているのだろう。守護者は、召喚されているだろうが。

そう言えばセイバーは何処に行ったのだろう。この後で凛に聞いてみよう。

そんな感じで言峰教会に辿り着く。

確かに何か禍々しい。夜の教会というシチュエーションも相まっていて異質な雰囲気を醸し出している。

アーチャーは教会には入らないようで、私は霊体化もせずに士郎と並び入る。

 

「ようこそ。歓迎しよう・・・盛大にな」

 

言峰綺礼・・・神父である。

疑問符が付くほどには神父らしくない。

どちらかと言うと生臭坊主ではないのかと、原作からの印象だったが、実際に見てみても同じ感想だった。

士郎と綺礼がやり取りしているのを見る。

ここでの決定には違いは無いだろう。

士郎は、衛宮士郎が衛宮士郎たる理由と存在定義である大火災の話を綺礼より聞かされて、この戦争に参加する決意を宣言する。

 

「喜べ少年。君の願いは、ようやく叶う・・・」

 

士郎の去り際に綺礼が一言だけ付け加える。

士郎が振り返らずに教会の扉を閉めるのを見て、私は教会に残り、綺礼に問う。

 

「セイバーは召喚されているのか? アサシンのマスターよ」

「人違い、でもないのだが。まあ良い。サーヴァントは揃った。そうでもなければ、この聖杯戦争は始まらないのだ」

 

綺礼はランサーを偵察に当たらせている。アルトリアペンドラゴンが召喚されているかどうか、試しに聞いてみる事にした。

 

「アーサー王がか? それはこの中立の立場ある私には答えられない、としか言えぬ。そしてそれを知るのは、存外に早いのではないのかな? イレギュラーよ」

「聖杯戦争が始まったから戦いになればわかると申すか。クク、全く神父の言葉とは思えないわ」

「聖杯戦争を監督する役目を負っているだけだ。私は至極真っ当な聖職者だが?」

「どの口がそれを言うのだろうか、聖堂教会の扉を叩いているのだから真っ当なということはないだろう」

「そんな知識まで聖杯は与えるのだから、聖杯にかける望みはおおよそどのようなものでも叶うのだろう。励むと良い。」

「そんなものは無い。喜べ、言峰綺礼。貴様の願いは、ようやく叶う・・・」

「フン。願いなど私には無い」

「英雄王にその辺り説教というか小言を言われてなかったか? 10年ほど前に。」

「・・・最早語るべき言は無い。早々に立ち去るが良い。」

「愉悦を感じようとして、愉悦を感じないか。そういう意味では、言峰綺礼。貴様が一番、哀れだな。嗚呼、憐れだ。伽藍の堂にも結果的に中身はあったと言うのにな・・・」

 

私は意味深な台詞を連発して教会を出る。ランサーが、後ろから狙っていたかも知れないが言いたいことの殆どを綺礼に叩きつけてどや顔で扉を閉めていたら士郎と凛に変な顔をされた。

 

「今日のところはこれで解散ね。」

「わかった。ありがとう、遠坂」

「明日からは敵同士よ。お礼なんて要らないわ」

 

そんなやり取りをする2人を見ながら思案する。

バーサーカーが来てアレコレなるはずなんだろうがどうなるのだろうか。

セイバーも気になるし、学校に結界も張られるだろうし、明日は忙しくなりそうだ・・・




みじかいですが更新頻度あげつた推敲出来るようにしたいと思います。すみません。


ボーダーの兵装。

強襲兵装
スピード重視。機動性を重視しするが汎用性に富む。火力もある武器が多い。
重火力兵装
拠点進行や拠点防衛、一対多の状況などで高火力の武器でもって敵の無力化を行なう兵装。鈍重な傾向がある。
狙撃兵装
遠距離からの一方的な攻撃、跳躍地雷やセントリーガン、光学迷彩で以って引っ掻き回したりする。奇襲や支援火力を送る。
支援兵装
ショットガンや爆弾で武装する。名前通り偵察や修理などのサポートが主な役割。
要請兵器
真名を開帳すると使える。
バラム重機砲、爆撃通信機、偵察要請兵器が運用可能。


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3話

言峰教会をどや顔で辞した私達は、イリヤスフィールに遭遇した。

言葉にすると至極簡単なのだが、原作ではバーサーカーのクラスで顕現したヘラクレスを連れていた。

それだけの情報でも厄介なのだが、イレギュラーによりもっと厄介な事になっていた。

 

「やっちゃえ! セイバー!」

「了解しました。イリヤ。」

 

セイバー!

アルトリア・ペンドラゴンがアインツベルンにより召喚されていたのだ。

ある意味最強の組み合わせなのではないか?

バーサーカーは何処行ったという話なのだが。

 

凛はすぐさま戦闘態勢に入っており、下がりながらもアーチャーに指示を出している。

アーチャーは双剣を出して、引きの構えである。

ガン、ガンと耳に痛いほどの剣戟が鳴り響く。

よくあんな剛剣をあんな小さな剣で捌けるものだと感心する。

セイバーは騎士道に則っているのか正々堂々と真正面から超高速で接近、上から叩き付ける剣圧でコンクリートの数層を砕いていく。

その姿、まさに竜。

ステータスは凛によるとオールEX(評価規格外)だそうだ。

魔力放出だけで周囲が歪むほどの威を滾らせる。

 

「大変な事になってしまったな・・・」

「そう言うならば加勢してくれないか? アレは手に負えるものではない」

「だそうだ。良いか、衛宮君。」

「やるしかないっていうのか・・・」

「せやな。 戦場に男も女も老若男女も歳も関係ないのさ。二束三文でブチ殺されて、ブチ殺して、ブチ殺される。まあそうならないようには努力するけど・・・な!」

 

私はティアダウナーを手に、近接強化、近接適性のソフトウェアをセットし、セイバーに斬りかかる。

私は生前日本人だったのでこのような経験など無く、斬る様に操縦していたことはあったが、生身に斬りかかるなど、到底出来なかった。

その様な甘さが通じる相手ではないのは重々理解していたが、臥雲、と轟音を立てて剣と剣が交差した。

銀レイアに、骨武器で殴ったかのような弾かれ方をしたが、ダウナーの超重量のおかげか私はそこまで吹き飛ばされなかった。

 

「横から失礼します。この様な場所での戦闘行為は周囲の一般人並びに神秘の隠匿という面で多大な迷惑となります。撤退を要求します。」

 

私はしれっとそう言ってみる。しかしイリヤもこれに返す。

 

「その点なら心配ないよ? 人払いは済ませてあるし、何よりこれからあなた達は死ぬのだから、そんな心配はいらないわ」

「それは無理な注文です・・・アーチャー、私も後衛に回るぞ。」

「・・・わかった。それで良いか、凛」

「勝てるならなんでもいいわよ!!」

「という訳だ、セイバー」

「卑怯とは言うまいね?」

 

私とアーチャーで皮肉と軽口のマシンガンを浴びせたのち、アーチャーは弓を。私はガトリングガンを顕現させる。

GAX-エレファント。通称象さんと言われる黎明期から愛され続けるガトリングで、破壊力と装弾数を重視されている。反動が半端ないが。

弾数を見ると無限の様だ。おまけに熱も溜まりにくい。チート極まる。

それでも、勝てるとは思えないが。

私とアーチャーは跳躍し、アーチャーがセイバーの背面上空に、私は正面側に位置取りをする。

お互い無言だったが掃射はほぼ同時だった。

アーチャーは魔力による弓を乱射し、それはフェイントで本命を数本放つ。

私は正面から撃つ。牛乳瓶よりも大きい弾が毎分1200発程度の速度で吐き出される。

ゲームの性能より上がっている。反動をねじ伏せながら、アーチャーの弓をセイバーが合わせて回避出来ないように制圧射撃を行う。

しかし最優のサーヴァントどころか臨海突破しているアルトリアには問題が無かったようだ。

セイバーは駒の様に廻りアーチャーの魔力弓を身を捻り、小手で叩き落とし、或いは剣先でいなし、ガトリングガンの弾を剣を地面に突き立て地表を起こし、それを楯にして受け切れないものを剣先を斜めにすることによって弾く!

銃弾を、切るという芸当を目の当たりにしたことは一度あるのだがガトリングでそれを行うのは神業としか言いようがない。

引き起こされた地表を砕くもセイバーには弓も弾も届かなかったのだ!!

 

「ええい!連邦のモビルスーツは化け物か!?」

「圧倒的じゃないか! 私のサーヴァントは!」

 

イリヤが思いの外ノリノリであった。

 

「ボーダー! ぼやぼやするな!くるぞ!」

 

アーチャーに怒鳴られ、私ははっとしてその場を離れる。

騎士王から剣による特大の風圧が飛ばされる。

風王鉄槌・・・ストライクエア。しまったな、失念していた。それは私の直ぐ近くを、破壊でもって通り抜ける。

それは周囲をなぎ倒し、かつてのエクスカリバーの通った跡を思い起こさせる。

当たっていたら、即死どころかヘラクレスでも60回は殺されていただろう。

 

「ふむ。何故貴女が私の技を知っているかは分かりませんが、これはストライクエアではない。ただの・・・剣圧だ。」

「なん・・・だと・・・」

 

ネタなのか本気なのかわからないが、アーチャーも驚愕している。

 

「あーもうこりゃ駄目だわ。態勢を整えるぞ、アーチャー、遠坂さん、衛宮君。分の悪い賭けは嫌いじゃないのだが、これはどうにもならない。英雄王連れてこい英雄王。それに赤の陣営全部と黒の陣営全部と、ムーンセルの連中。これちょっと洒落にならんしょ」

「貴様がどういう繋がりがあるかはわからないが、逃すと思うか?」

「そうせざるを得ないだろうね。ほら、セイバー、貴公のマスターに異変が起こっているよ?」

「・・・!?」

「ほえ? 私なんともないけど」

「な、しまった!」

 

私達はほうほうのていで撤退した。

ここは衛宮邸である。拠点として、ここを登録していたのだ。

 

セイバーにあっち向いてホイをしている間に、とあるスキルを持って離脱。

代償として士郎が疲労困憊になるのだが。

 

「ボーダー、アンタ今なにをやったの? 」

「説明しよう!」

 

スキル、回線切れ。

ゲームでは故意にはまず不可能な事象だが、ネットワークから店舗が切断され、その試合は無効の扱いになる。立て続けに起こった場合は、降格が見えてくるのだが。

そこにはコンピューターと自分しか存在しない。

つまり試合にならないのだ。

言葉通りセイバーと我々では試合の土俵に立っていた感じは全くしないのだが。

そうすることにより誰にも気づかれず戦域を離脱する。

回線が切れたとわかるのはプレイヤーだけなのだ。マメにスコア押す人は別だが。

 

「そんなんありな訳・・・?滅茶苦茶じゃない。」

「他にも敵味方の区別を無くしてそれぞれの自由を尊重するカオスタイムというのもあるでよ。まあ今は使えないが」

「ボーダー、貴様は一体何者だ?」

「ただの傭兵でしかない。」

 

 

私は士郎を肩に担いで、これからどうするか考えあぐねていると、凛から衛宮亭で作戦会議という提案がなされた。

二人だけの同盟では、セイバーには勝てないだろう。

その場合間違いなくセイバーは聖杯を手にする。

あの穢れた聖杯を。

そしてイリヤも、聖杯としての機能に移るだろう。

それは死だ。

 

ハッピーエンドに持っていけないだろうか?

戦うことしかできない私に。

 

何かをしようとしても結局何にもならず、ただ夜は更けていく。




セイバー強くし過ぎた感。


スキル
回避切れ
オンラインがオフラインになる。
スキル、仕切り直し に近い特性を持つ。

固有結界

「混沌たる自由を」
カオスタイム。
深夜3時頃のゲーセンでボーダーブレイクをプレイしていた人が知る世界。
勝敗の判定がなくなり、試合終了後の査定も無関係になるため、二束三文の報酬を手に入れるために愚凸したり、銃弾で壁に絵を描いてみたり、味方同士でペナルティのない撃ち合いをしたり、カオスな時間だった。
今では再現不可能。クラン演習にてそれは受け継がれる。


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