リリカルなのはー聖王と魔弾の射手ー (ハマトラ)
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序章 魔弾の少年
第1話 魔弾の射手①


さて、それじゃ始めます


───────ミッドチルダ、某マフィアアジト

 

ミッドチルダのとある建物、そこは裏社会でも名のあるマフィアがアジトにしている所である。

 

その建物が騒がしい、理由はマフィアのボスが射殺されたからだ。

 

建物の最上階、そこの一室でボスだった男は見るからに高そうな机を自分の血で濡らし息絶えていた。

 

しかし、その死体には不自然な所がある。

その死体の銃創は脳を破壊し、顎を貫通していた。

つまり、男を死に至らしめた銃弾は男の頭上から撃たれたことになる。

しかし、天井裏は存在せず、天井を貫通させた痕跡もなかった。

 

「だ、だから嫌だったんだ!表に浸出しようなんて!!」

 

「こ、こんな殺しが出来るのは……………この裏で一人しかいねえ……」

 

マフィアだった男達は恐怖に打ち震えながら、その名を呟いた。

 

「………………『魔弾の射手』」

 

 

その建物から離れたビルにて少年はロングコートのようなバリアジャケットを解除してその場を離れる。

彼の右中指にある指輪が光り、額に宝石が埋め込まれている鷹の様な生物が現れた。

 

???『穹(ソラ)、新しい仕事が入っている』

 

穹「へぇ、今度は『運び』か?また『殺し』か?」

 

???『文章からすると、盗まれたロストロギアの奪い返しだな』

 

穹「『盗奪』か………厄介なことこの上ないな、どうする?」

 

???『それを決めるのは私ではない、穹自身だ。」

 

ビルの外階段を降りると、すぐ目に入ったのは違法ドラッグに手を出して廃人同然となり果てた人や裏でしか生きれず飢えに苦しむ人の姿だった。

しかし、それは穹にとっては見慣れた光景だった。

穹に両親はいない、物心ついた頃から裏社会の一角にいた。

飢えを凌ぐ為に、裏社会のゴロツキを相手に盗みを働いたし泥水飲むこともあった。

穹がまだ5歳の頃である、そんな彼に転機が訪れたのは6歳の時だった。

彼は路地裏の隅に転がる殺し屋の死体を漁っている時にこの指輪型デバイスと出会った。

最初こそ、指輪から出てきた鷹に驚いていたが今では穹にとって大切な家族も同然だった。

 

穹「わかった、受けるよ。依頼主は?」

 

???『明日の夕方、文章で送るらしい』

 

穹「なら、アジトに戻ったら夕方まで寝るから来たら起こしてくれ。『ホルク』」

 

ホルク『心得た』

 

 

 

 

────翌日昼頃、ミッドチルダ、次元港

 

この日管理局の局員数名と一人の執務官が輸送されたある物を護送していた。

金髪の執務官の女性はそのある物の資料を読みながら歩いていた。

 

???「やぁ、フェイトちゃん♪」

 

その時、自分に迫る手に気付き右ストレートが手の主に突き刺さった。

 

???「あ、相変わらず健康的なパンチだ………」

 

フェイト「ユウさん……………いい加減にしないと本当に訴えますよ!」

 

金髪の女性、フェイト・T・ハラウオンの右ストレートを受けて倒れる男性、ユウ・キリサキ。

これでも、一等陸士でありフェイトとも顔見知りだった。

 

ユウ「まぁ、そう言わず…………それが護送中のロストロギア?」

 

ユウの視線の先には箱に厳重に保管された何かがあった。

 

フェイト「はい、封印済みですから手続き後、今日の夜には当局に運べそうです。」

 

ユウ「………………フェイトちゃん、ちょっと護衛増やした方がいいかもしれないな。あと、護送中に多分一人の子供に会う。そいつを必ず拘束した方がいい」

 

フェイト「子供?なんで護送中に子供と?」

 

ユウ「俺のレアスキルがそう言ってる」

 

フェイトはそれを聞くと、すぐに理解した。

そして当局と連絡を取って護衛の増員を依頼した。

どうやら匿名で似たような通報があったらしく、すんなり了承を得た。

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウ「さて、この先はどうなるかな?」

 

 




予告通り始めました

タグの通りワールドトリガーのネタを使います
オリキャラも出しますが、そんな多くは出さないつもりです。

ネプテューヌ二次も更新するので両方の話作るので遅れるかもですが、完結するように頑張ります!


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第2話 魔弾の射手②

件名 依頼内容について

はじめまして、『魔弾の射手』さん
今回はあなたに取り返して欲しいものがあります。
それは私のコレクションの一つ、ロストロギア
それがある次元犯罪者集団に盗まれてしまったのですよ。
これが表のことなら管理局に任せるのですが、あれは非合法に入手した品でしてね。
裏に片足を突っ込んでる身としても秘密裏に事を済ませたいのですよ。
情報では今日の夜、輸送車が添付したポイントを通ります。
それでは、あなたのご健闘をお祈りしますよ



裏社会最強の狙撃手さん


その日の夜、穹は添付されていたポイントに来ていた。

狙撃に適しており、すぐに辺りを確認した。

 

穹「狙うなら、この辺だな」

 

ホルク『何を使う?』

 

穹「掟もあるから殺せない、『アイビス』じゃ威力が強すぎるし『イーグレット』を非殺傷設定してやるか」

 

ホルク『心得た、そろそろ輸送車が通過する頃だな』

 

すると、道路の奥から複数の護衛が乗っているだろう車に囲まれる様に一台の輸送車が現れた。

 

穹「来いホルク、セットアップ!」

 

ホルク『set up』

 

ホルクが指輪型デバイスに溶け込むように消えると指輪が光り、穹は黒気味の茶色いロングコートのようなバリアジャケットに身を包んだ。

 

穹「『イーグレット』」

 

ホルク『eaglet』

 

穹の手が光り、スナイパーライフルが現れた。

穹はライフルを構えて、スコープを覗き込んだ。

 

穹(次元犯罪者集団の割には随分と物々しいというか、堂々としてるな。ま、いつも通り仕事をこなすだけだ。)

 

その時、背後に誰かが立つ気配を感じ即座に振り向くがその瞬間後ろから誰かに押さえつけられてしまった。

 

フェイト「時空管理局です、君を拘束させてもらうよ!」

 

穹(管理局の金色の死神!?どういうことだ!なんで犯罪者集団を………)

 

その時、穹は全てを悟った。

顔バレを避ける依頼主がメールで指示を送ってくることはあった為、完全に油断していた。

 

穹「クソ!まんまとハメられたってわけか、ホルク!」

 

ホルク『すまない、私のミスだ。』

 

ホルクが指輪から出ようとした時、穹の首筋に黒い柄に緑色の刀のような光剣が当てられた。

 

ユウ「悪いね、君にもそのデバイスにもここはおとなしくしてもらいたいんだ。」

 

穹(こいつ!いつの間に!?)

 

フェイト「ユウさん!」

 

ユウ「悪いね、フェイトちゃん。ちょっとだけ助太刀させてもらったよ」

 

茶髪に青に黒いラインの入ったバリアジャケットを着た男が光剣の刃を当てた状態でフェイトに敬礼した。

 

フェイト「いえ、大丈夫ですけど……………この子がユウさんの言ってた?」

 

穹は必死に拘束を解こうとするが、大人と子供では力の差があり抜け出せない。

 

ユウ「落ち着けよ。お前、ここで捕まって正解だったと思うぜ。ま、悪いようにはしないからさ」

 

フェイトは穹の手足にバインドをかけると、動けない穹を抱えた。

 

ユウ「護衛班?こちら実力派エリート、ユウ・キリサキ一等陸士だ。もう危険は無いから、あとは本局まで安全運転で運んでおいてくれ。」

 

穹「クソ!離せよ!!」

 

フェイト「私は本局の保護施設に行きますけど、ユウさんは?」

 

ユウ「あ~そうしたいけど、この後の取り調べで君の親友のエース様が来るじゃん?今行ったら間違いなく、俺は消し炭だろうからさ~」

 

フェイト「なのはにも手を出したんですか?」

 

フェイトが呆れてため息をつく、ユウはどこからかぼんち揚げを取り出して袋を開けた。

 

ユウ「そんな顔するなよ、折角の美人が台無しだよ~♪ぼんち揚げ食う?」

 

フェイト「そうさせてるのはユウさんでしょ!?それに私両手塞がってますから!!」

 

穹はこうして管理局に拘束され、保護施設に施錠付きで収容されてしまった。




もうお気付きでしょうが、ユウは完全に黒セクハラエリートでおなじみの迅さんです
一応、この先も出番はあります
迅さんと違う所と言ったら、母親が殺されていないことと黒トリガーは存在しないので師匠も生きてます
ちなみに穹のバリアジャケットのイメージは太刀川隊の隊服にエンブレムが無いやつです


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第3話 高町なのは

ワールドトリガー風のあだ名考えてみました

なのは エース・オブ・悪魔

フェイト 初登場(この作品で)が右ストレート

ユウ 悪魔(なのは)の天敵


────時空管理局、本局内保護施設

 

保護施設の奥には重要参考人を隔離する為、施錠付きの部屋が用意されている。

その部屋の一室に穹は入れられていた。

 

穹[ホルク、どうだ?]

 

ホルク[ふむ、我々の動きはカメラで監視されているな。死角は全く無い、少しでも妙な動きをすればこの部屋に仕掛けられているAMFが起動するようになっているな]

 

穹[AMF、ね…………4年前に捕まったってどこかの変態科学者の十八番じゃないか]

 

ホルク[しかし、我々の名前を教えて良かったのか?]

 

穹[どうせ、表のデータベース漁った所で俺達のことがわかるわけ無いからな。それ以上のことは答えなきゃいい。それよりも、俺をハメた奴にどう報復したものかな]

 

その頃、カメラで穹を監視している部屋ではフェイトがカメラごしに少年を見ていた。

まだ小学生くらいの男の子、それが何故あの場所にいて、何故デバイスを所持し、ロストロギアの輸送車を狙っていたのか、全てが謎だった。

その時、監視室の扉が開いて二人の女性が入ってきた。

一人は高町なのは、言わずと知れたエース・オブ・エース。

そして、もう一人が八神はやて、夜天の書最後の主、歩くロストロギアとも呼ばれる海上警備部捜査指令。

 

はやて「この子が輸送車襲おうとしてたって?笑えん冗談やな。」

 

フェイト「けど、殺気の消し方も銃の構え方もとても素人には見えなかったよ。なのは、そっちは?」

 

なのは「ダメ、ミッドチルダ全域、管理世界のデータベースまで探したけど、戸籍も素性も謎、わかってるのは穹って名前とホルクって名前のデバイスだけ」

 

なのはは映像モニターの近くにあるマイクのスイッチを入れた。

 

なのは『ねぇ君、もう少しお話聞かせてくれないかな?私は高町なのは、よろしくね』 

 

穹「高町なのは?これは驚いたな、まさか金色の死神の次は管理局の白い悪魔が来るとはな」

 

なのは『ちょっと待って!?何それ!!なんで悪魔!!?』

 

穹「その筋じゃ有名だぞ、管理局最強の悪魔、見かけたらすぐ逃げろなんて暗黙の了解もあったっけな」

 

なのは『なんで私そこまで恐れられてるの!?』

 

はやて『いや、なのはちゃん………あの砲撃見たら誰でも同じ感想だと思うんやけど……』

 

フェイト『私なんて死神って…………あんな小さい子に死神って………』

 

はやて『ああもう!話進まんやろ!!君、私は海上警備部捜査指令の八神はやてや!色々聞かせてくれへん?なんで輸送車襲おうとしたのかとか───』

 

穹「断る、答える義理はない。」

 

率直で素っ気ない答えにはやてはフリーズして、なのはとフェイトはショックからか、監視室の隅で体育座りしている。

それから、はやては何度も質問したが穹は黙秘を続けていた。

結局、この日の取り調べはろくなことが聞けずに終わってしまった。

 

なのは「結局全然答えてくれなかったね」

 

はやて「質問しとったのは殆ど私やけどね…」

 

フェイト「…………私達じゃ完全に警戒してるみたいだよね」

 

はやて「…………せやったら、お話相手探して徐々に警戒解いてもらうしかないんやないかな?」

 

 

────その頃、保護施設

 

穹[さて、どう抜け出すかな]

 

ホルク[あまり、急ぐことでも無いだろう?我々がやらずとも、『奴ら』が報復するだろう?]

 

穹[この前、連中から報復の殺し依頼されただろ?それなのに無駄な仕事増やしてどうする]

 

裏社会にも秩序があり、掟がある。

 

一つ、表を侵すべからず

表に対して侵略などを行うこと

 

一つ、表の者を無益に殺すべからず

報復などちゃんとした理由も無く表の住人を殺してはならない、殺しを依頼することも許されない 

 

一つ、裏を欺く者を許すべからず

裏の住人を欺く者には無条件で殺しが許可される

 

この他、いくつかの掟によって裏社会の秩序は保たれている。

掟に背いたものには、惨たらしい死が待つと言われ、裏の住人は掟を遵守している。

そしてそれは、穹も例外ではない。

穹は掟を守り、掟に従って裏で生き延びていた。

裏の住人は知っている、掟を破った者が誰によって裁かれるのかを……。

 

 

穹[───『鴉』。俺がやった方がいいだろう?連中にやられたら、どんなことになるか。想像もしたくない]




オリキャラの声優イメージですが
穹 内山昂輝

ホルク 子安武人

ユウ・キリサキ 中村悠一

ユウは元になったキャラと同じにしてみました


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第4話 高町ヴィヴィオ

原作主人公登場回です


───翌日

 

穹が暇を持て余していた時、スピーカーからはやての声が聞こえてきた。

 

はやて『おはようさん、よう眠れた?』

 

穹「…………あぁ、少なくとも留置場の牢の中よりは居心地いいんじゃないか?知らないけど」

 

はやて『そら良かったわ、ってかそろそろ話してくれへん?ただ話聞きたいだけなんよ?』

 

穹「断る、それにそういうのは昨日の死神や悪魔にやらせればいいだろ?」

 

ちなみにその二人、高町なのはとフェイト・T・ハラウオンは自分の仕事があるのも理由だが、何より小学生くらいの子にそう呼ばれたのが堪えたらしくしばらく立ち直れそうになかったらしい。

 

 

 

────その頃のなのは

 

なのは「…………ヴィータちゃん、私砲撃封印する……」

 

ヴィータ「落ち着けなのは!目死んでるぞ!?何があった!!?」

 

 

────その頃のフェイト

 

フェイト「…………ティアナ、私って死神なのかな?確かにバルディッシュは鎌になるけど死神って……」

 

ティアナ(あのフェイトさんがなんか気の毒なくらい落ち込んでる!?)

 

 

はやてはそんな心折れた二人の姿を想像して心の中で合掌した。

 

はやて『今日はなのはちゃんに頼んでお話相手呼んできたで。丁度春休みやし』

 

穹「………なるほど、同年代を使って情報聞き出そうと?」

 

はやて『なんでそうなるんよ!?じゃあヴィヴィオ、お願いするわ』

 

扉が開いて、入ってきたのは穹と同い年くらいの金髪にオッドアイの少女だった。

 

ヴィヴィオ「なのはママと八神指令にお話相手になってあげてって頼まれたの。私高町ヴィヴィオ、よろしくね♪」

 

穹「…………穹、俺の名前」

 

そして穹の指輪が光って、現れたのは額に宝石のついた鷹だった。

 

ホルク『一応、そこにいる八神指令にも自己紹介しておこう。私はホルク、穹のお目付役だ』

 

はやて『お目付役?フェイトちゃんとこのアルフみたいな使い魔みたいなもんか?』

 

ヴィヴィオ「えっと、よろしくお願いします!」

 

穹「ホルクは俺の唯一の家族だ。それ以外の何者でもない」

 

唯一の家族、その言葉にはやてはすぐに反応した。

 

はやて『ちょっと待って、唯一の家族って………ご両親おるやろ?』

 

穹「知るか、俺は物心ついた時から一人だよ。ホルクに会うまではな」

 

はやて『それって……』

 

ホルク『我々はそれ以上の回答を拒否する』

 

それからはやてが何を質問しても本当に何も答えてくれなかった。

 

ヴィヴィオ「穹君はデバイス持ってていいなぁ~」

 

穹「?持ってないのか?あのエースの娘だろ?」

 

ヴィヴィオ「えっと………なのはママが、『基礎を勉強し終えるまでデバイスとか必要ありません♪』って」

 

穹「厳しいな、お前の母親」

 

白い悪魔、もとい高町なのはのイメージから過保護な感じだと思っていた穹は意外な一面に驚いた。

 

 




特別企画
高町なのはに検挙された犯罪者に話を聞いてみた

case1.銀行強盗して偶然近くにいたなのはによって検挙された犯罪者

「た、助けてくれ!!!白い悪魔が…………桜色の光が来る!!?やめろ!やめてくれぇえ!!!!!!」

高町なのはの名前を聞いた途端に発狂して怯え始めた。


case2.クラナガンのメインストリートでバイクで暴走行為をして仕事帰りだったなのはによって補導された青年

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!もう調子乗りません法定速度守ります皆さんにご迷惑おかけしません許して下さい!!!!」


高町なのはの名前を聞いた途端譫言のように同じ台詞を言い続けている


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第5話 高町ヴィヴィオ②

ワールドトリガー風のあだ名考えてみました

八神はやて 夜天の腹黒狸

高町ヴィヴィオ 笑顔で殴る天然


──────その日の夜

 

管理局の指令、八神はやては自分の部屋で穹のことを考えていた。

 

『知るか、俺は物心ついた時からずっと一人だよ』

 

はやて(あんな小さい子が、親の愛情も知らずに育ったなんて……)

 

はやてはかつての自分を思い出していた。

今の家族と出会う前、早くに両親を亡くし寂しい思いをした。

穹は物心つく前から両親のいない孤独な人生を送っていた。

あのホルクというデバイスと出会うまでどれほど辛い思いをしたのだろうか………

はやては自然と穹に何かしてあげられないかと考えるようになっていた。

 

はやて(……………やっぱり、多少強引やけど『これ』がええかな)

 

 

 

 

──────翌日、管理局保護施設

 

穹の収容されている部屋の扉が開いて昨日の少女、高町ヴィヴィオが入ってきた。

 

ヴィヴィオ「おはよう、穹君♪」

 

穹「よぅ、昨日に続いて今日も来たのか?暇な奴だな」

 

ヴィヴィオ「春休みですから♪今日は穹君に私の友達紹介するね♪」

 

ヴィヴィオは端末を出すと、いくつかの画像を展開した。

どれにもヴィヴィオが友人だろう少女達と笑いあって映っていた。

 

ヴィヴィオ「こっちの子がコロナで、こっちの子がリオっていうの!リオはもうデバイス持っててね、それで……」

 

穹「お前、よく喋るな。こんな管理局に捕まるような奴に………」

 

ヴィヴィオ「ん~穹君悪い子に見えないから?」

 

穹「疑問符の使い方おかしいぞ……」

 

そんな部屋での会話を監視室でフェイトは聞きながらはやてと通信を繋げていた。

 

フェイト「……うん、でも本気?彼、絶対嫌がると思うけど」

 

はやて『その時はその時や!ってかなのはちゃんどうしたん?一緒にそっち行ったんやないの?』

 

フェイト「それが……………来る途中でユウさんを遠目に見つけたみたいで、レイジングハート片手に追いかけて行っちゃった……」

 

はやて『…………あ~ユウさん、とうとう年貢の納め時みたいやな』

 

画面越しにはやてが合掌するのを見てフェイトは苦笑を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

なのは「ユウさん~、ちょっと『お話』しましょうよ~」

 

『axel shooter』

 

シューターが乱れ舞い逃げるユウに襲いかかる。

ユウはそれを軽く避けながら笑顔で愛機片手に追いかけるなのはから逃げていた。

 

ユウ「ハッハッハ、お話したいならまずシューターと得物納めようか~?」

 

管理局の一角はある意味戦場と化していた。

そして(一方的)戦争が終わる頃には訓練区画の一部が跡形もなくなり、ユウは逃げおおせたらしい。

 

 

──────同日、夕方

 

フェイト『ヴィヴィオ、そろそろ帰りなさい。なのはが迎えに来てくれるよ』

 

フェイトの声がスピーカーから聞こえると、部屋の扉が開いた。

 

穹[……ホルク]

 

ホルク[心得た]

 

ヴィヴィオ「それじゃあ穹君、またね♪」

 

穹「いや、もうさよならだ」

 

ホルク『転印(テレポート』

 

フェイトが異変に気づいてAMFを起動させようとした時には穹は部屋から消えて扉の前の廊下に立っていた。

 

穹「悪いな、これは視線の先数十メートルに飛べるが障害物は透過出来ないんだ。だから、また扉が開く機会を窺ってたんだ。今朝でも良かったけど、お前の話は聞いてて楽しかったよ」

 

フェイト『待って!どこに行くの!?』

 

穹「決まってるだろ?俺をハメた奴を始末する。ホルク、セットアップ」

 

ホルク『心得た、set up』

 

ホルクは指輪に戻り、穹は黒気味の茶色のロングコートを身に纏った。

そして廊下を駆け抜けて、ヴィヴィオの視界から一瞬で消え去った。

 

ヴィヴィオ「え………ええ!?」

 

フェイト『ヴィヴィオはそこにいて!あとで迎え寄越すから!!』

 

フェイトは監視室から飛び出し、なのはに通信を繋げた。

 

フェイト「なのは!?ごめん、穹君に逃げられた!……うん、じゃあ出口の所で!!」

 

フェイトは通信を切ると自分の愛機を取りだした。

 

フェイト「行くよ、バルディッシュ!セットアップ!!」

 

『set up』

 

瞬間、廊下を金色の閃光が駆け抜けた




特別企画

第3話のくだりをはやてにやってみました


take1

穹「これは驚いた。管理局が誇る腹黒狸が来るとはな」

はやて『誰が狸や!!!!!誰やねん!子供にんなこと教えたのは!!』

なのは『腹黒って所否定しないんだ……』




take2

穹「これは驚いた。管理局の似非関西人が来るとはな」

はやて『よし表出ろや!!!今の発言はウチへの宣戦布告とみた!!!!』

フェイト『はやて落ち着いて!!ちょっとキャラおかしくなってるよ!?』


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第6話 フェイト・T・ハラウオン

転印(テレポート)

目線の先数十メートルに瞬間移動出来るホルクの補助魔法
ただし障害物の透過は出来ない


ワールドトリガーの空閑の黒トリガーの印をベースに補助トリガーのテレポーターを作ってみました


穹は目前の監視カメラを破壊しながら廊下を走っていた。

 

ホルク『…………穹、何かが凄い速さでこちらに向かっている』

 

穹「大方、金色の死神辺りだろう。バリアジャケットを解除するわけにもいかない。ホルク、バッグワーム」

 

ホルク『心得た、バッグワーム起動』

 

穹のバリアジャケットに緑がかったマントが現れた、そしてその影響はすぐに追跡しているフェイトに現れた。

 

『target lost』

 

フェイト「え!?」

 

視覚化されたレーダーから穹の魔力反応が消えてしまった。

 

穹「今頃、慌ててる頃だろうな」

 

ホルク『だが、バッグワームは微量だが魔力を消費し続ける。あまり長時間は無理だ』

 

穹「わかってる、なるべく早く………!!!!」

 

何かが迫る気配に気付いた穹は咄嗟に急停止して屈むとバッグワームの端を切り裂いて黄色い刃が通り過ぎた。

 

穹「…………レーダーからは俺の反応消えたはずなんだけど?」

 

フェイト「そうね、だから反応の消えた地点から君が通る可能性のあるルートを虱潰しに探したの!」

 

視線の先には、金色の死神……もとい金色の閃光、フェイト・T・ハラウオンが愛機片手に立ちふさがっていた。

 

ホルク『穹、厄介なことに彼女の塞いでいるルートが出口に通じているらしい』

 

穹「おいおい、冗談だろ?」

 

フェイト「さてそれじゃあ穹君、お話聞かせてもらえるかな?」

 

穹「悪いけど、こっちは話すことないんでね。あまり柄じゃないが、強行突破させてもらう!」

 

穹の手にオートライフルが現れると構えて、フェイトに向けて火を噴いた。

フェイトは冷静に防護魔法で防ぐ。

 

フェイト(一昨日はスナイパーライフルを使っていたけど、銃系統全般が使えるのかな?けど、防げない威力じゃないし隙を見て懐に入れば………)

 

穹「……と、思うだろ?」

 

穹が銃身のスイッチを切り替えると今度は撃った魔力弾が防護魔法を避けるように軌道を変えてフェイトに襲いかかった。

 

フェイト「(!!!曲がる魔力弾!?)ザンバーフォーム!!」

 

フェイトのバリアジャケットが変化し、襲い来る魔力弾を全て切り落とした。

しかし、目の前には穹の姿はなかった。

穹は曲がる魔力弾を囮に使い、フェイトが対応している隙にフェイトの脇を通り抜けていた。

 

 

 

 

 

穹はうまくフェイトの追跡を振り切って出口に向かっていた。

 

ホルク『穹、そこの角を曲がれば出口のエントランスだ』

 

穹「了解、もう見え………」

 

穹の言葉が途切れる、そして視線が出口に向かう。

出口の手前に人影があった、白いバリアジャケット、赤い宝石の付いた杖、特徴的な茶髪、穹の頬を自然と汗が伝う。

 

なのは「フェイトちゃんから逃げ延びたんだね、でももうここまでだよ。」

 

管理局が誇るエース・オブ・エース、高町なのはが出口の手前に陣取っていた。

 

穹「勘弁してくれよ、死神の次は白い悪魔かよ……」

 

 




実はオリキャラ、ワールドトリガーキャラから作ろうと思うんですが候補が多くて決まらないんですよね~
空閑と迅さん以外で次誰出そうかな……


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第7話 高町なのは②

バッグワーム

起動中、レーダーに映らなくなるが魔力を少しずつ消費し続ける


穹はエントランスの真ん中で足を止めた。

目の前にいるのは管理局のエース、白い悪魔とも言われ恐れられる高町なのはだった。

 

なのは「さて穹君、君には色々聞きたいことがあるけど。まず、君は何者なのかな?」

 

穹「…………」

 

なのは「君のことを調べたけど、このミッドチルダにも他のどの管理世界のデータベースにも名前がなかった。こんなこと今までなかったよ」

 

穹「答える義理は無い!」

 

穹の両手にハンドガンが現れ、銃口をなのはに向ける。

閃光と共にいくつもの魔力弾がなのはに襲いかかった。

 

なのは「義理は無くても、義務はあるよ!!」

 

『axel shooter』

 

なのはの周囲に桜色の魔力弾が現れ、襲い来る魔力弾を相殺し、更に余った魔力弾が穹に襲いかかった。

 

穹「チッ……ホルク!!」

 

ホルク『心得た、盾印二重(シールド・ダブル)』

 

穹の前に中央に盾と書かれた印が現れ、襲い来る魔力弾を防ぐが衝撃で穹は後方に飛ばされてしまった。

 

ホルク『盾印を二重で張ってもこの威力、やはり管理局のエースと呼ばれるだけはあるな』

 

穹「関心してる場合じゃない、ここを抜けないと………!!!!」

 

穹は気配に気付いて振り向くと鎌のように変形した愛機を振りかざすフェイトの姿があった。

 

穹「もう追いついたのかよ!ホルク!!」

 

ホルク『心得た、弾印(バウンド)』

 

穹の横にまた違う印が現れ、穹がそれを踏むと鎌が振り下ろされるより早く空中で軌道を変えて回避した。

 

フェイト「ごめん、なのは!遅れた。」

 

なのは「大丈夫、あの子結構機動力あるよ。それにハンドガンか、ティアナ思い出すな~」

 

フェイト「そういうのは後!なら速さで勝負しようかな、ソニックフォーム!」

 

フェイトのバリアジャケットが再び変化し、その手には杖でも鎌でもなく二本の剣が握られていた。

穹はフェイトが仕掛けてくると予期して応戦体勢に入った。

しかし、すぐにそれが間違いだと気付かされる。

フェイトの姿が一瞬で消えた、そして背後をとられ剣が穹に迫る。

 

ホルク『転印(テレポート)』

 

そこで穹は再び消えて、フェイトの後ろにテレポートした。

 

穹「悪いなホルク、助かった。しかし、凄い速さだ。あれで追いかけてきたんだな。」

 

ホルク『しかし、どうする?彼女達二人が相手だと元々低い勝率が更に低くなるぞ』

 

穹「……………ホルク、『あれ』をやるぞ」

 

ホルク『大丈夫か?非殺傷設定でやったことないだろう?』

 

穹「『連中』にせっかく作った借りこんなところで返されたくないからな」

 

ホルク『…………心得た、銃座の準備は?』

 

穹「もうあちこちに作ったよ」

 

ホルク『よし、始めよう。門印(ゲート)起動』

 

なのはとフェイトは穹の雰囲気が変わったことに気付いて身構えた。

 

穹「もう、あんた達は俺の銃弾からは逃げられない。」

 

穹がハンドガンの引き金を引く、しかし銃口から魔力弾は出なかった。

しかし直後、なのはは背後から衝撃を受けて前のめりに倒れ込んだ。

 

なのは「…………え」

 

フェイト「なのは!!」

 

更に穹は引き金を引く、今度はフェイトが横からの衝撃に吹き飛ばされた。

 

フェイト「クッ!一体何が!?」

 

その時、フェイトの脳裏に義兄、クロノ・ハラウオンとの会話が思い浮かんだ。

 

フェイト『裏社会の殺し屋?』

 

クロノ『あぁ、と言っても裏には裏のルールがあるらしいから、対立することは無いだろうが、念のため頭に入れておいてくれ。私も噂でしか聞いたことがないのだが、裏社会に恐ろしい腕の狙撃手がいるらしい。何でも例え建物の中に隠れても密閉された空間にいてもそいつの銃弾からは逃げられない。故にそいつはこう呼ばれているらしい────』

 

 

 

 

 

 

フェイト「魔弾の………射手」




ホルクの補助

ホルクはデバイスの一部であるが、完全自立型で指輪の中にいても自身に内蔵された補助魔法を使える

今まで出てきた転印、盾印、弾印、あと特殊例で門印もホルクに内蔵された補助魔法である


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第8話 魔弾の射手③

感想の方にいくつか希望有りましたのでそれ含めて以下のワールドトリガーキャラモデルで作ってみます

烏丸京谷(予定、嘱託魔導師)

出水公平(予定、インターミドル選手兼嘱託魔導師)

太刀川慶(予定、管理局陸尉)

米屋陽介(予定、インターミドル選手)




フェイトは義兄から聞いていた殺し屋の通り名を口にした。

─────『魔弾の射手』

今の謎の攻撃を受けて、思い浮かんだ。

しかし、その正体がこんなヴィヴィオと同い年くらいの少年とは到底思えなかった。

 

穹「…………ああ、そう呼ばれてたな。まさか管理局の人間が知ってるとは思わなかったけど」

 

フェイト「!!!………じゃあ本当に!?」

 

なのは「殺し屋?こんな小さい子が?」

 

なのはにとってはショックが大きかった。

娘と同じくらいの年の少年が血に汚れた人生を歩んでいる。

それがなのはには信じられなかったが、あちこちのデータベースで検索してもわからなかった理由が説明出来る。

 

なのは「どうして!どうして君みたいな子がそんなことしてるの!?」

 

穹「…………どうして?生きる為だ!!」

 

穹は両手のハンドガンの引き金を引く、また二人の死角から衝撃がはしる。

 

穹「あんた達には一生わからないだろうな!ゴロツキ相手に盗み、時には泥水を啜って、いつ死ぬかもわからない!それが俺の生きてきた世界だ!!」

 

次々と死角から襲う衝撃に二人は対応しきれず出口近くに降りた。

 

穹「そんな世界の人間を騙したんだ。死の報復を受けても文句無いだろう……だから邪魔するな!!」

 

フェイト「なのは!!」

 

なのは「うん!」

 

『protection』

 

二人は背中合わせになって同時に防護魔法を発動させた。

直後、防護魔法は二人を苦しめた衝撃を防ぎきった。

 

穹「!!!」

 

なのは「確かに人を騙すのはよくないと思うよ、でも……………だからって殺そうとするのはもっとよくないよ!」

 

フェイト「今ので、君の攻撃の正体が分かったよ。これは一種の転移魔法の応用だね。あらかじめいくつかのポイントを転移座標に設定、あとは銃口にわかりにくいように転移用の魔法を使って撃った弾を指定した座標に転移させる。これが魔弾の射手の正体だね!」

 

穹(ほんの少し見せただけで!?いや、それよりもなんだこの対応の速さは!!)

 

穹は動揺しながらも死角からの攻撃を続けるが、ことごとく避けられ、防がれてしまった。

 

フェイト「それと転移が効くのはあくまで使用している銃の射程内、それも転移させる座標に銃口を向ける必要があるから種さえわかっていれば避けることも防ぐことも簡単だよ!」

 

なのは「早すぎる仕掛けはね、相手を精神的ショックから立ち直らせる時間を与えてしまうんだよ!!」

 

穹(いや、普通にすぐ対応出来るようなものじゃないだろ!?)

 

フェイトが斬りかかり、なのはは砲撃体勢に入った。

穹は必死に抵抗するが撃った弾は全て弾かれて、フェイトの剣を避けることで精一杯だった。

直後、フェイトの撃ったシューターを受けた穹は仕込まれていたバインドに拘束されてしまった。

 

なのは「聞き分けの無い子にはお仕置きだよ!ディバイン────」

 

穹「なっ!」

 

ホルク『盾印七重(シールド・セプタ)』

 

なのは「バスター!!!!!!!!」

 

ホルクが七重に盾印を張るがなのはの桜色の砲撃はそれすら撃ち抜き、穹は桜色の光に飲まれていった。




特別企画
その頃の高町ヴィヴィオ

はやて「ヴィヴィオ、お待たせ♪」

ヴィヴィオ「八神指令!すみません、わざわざお迎えに来てもらって……」

はやて「ええんよ~緊急事態やしね」

ヴィヴィオ「穹君、大丈夫かな?」

はやて「どうやろね~あの二人相手じゃどんな凶悪犯罪者も裸足で逃げ出すやろうし………」



直後、ディバインバスター発射
施設全体が大きく揺れ出す

ヴィヴィオ「……………大丈夫でしょうか?」

はやて「…………生きてはおると思うよ……多分」


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第9話 八神はやて

今回はシリアス多め回です
……………出来てるといいけど


少年は夢を見る、かつて魔弾の射手と恐れられる以前の裏社会のゴロツキ相手に盗みを働いていた時を……

 

 

『どこ行った!あのガキ!!!』

 

男はハンドガン型のデバイスを構えて、怒りをあらわにして自分の食料を盗んだ子供を探していた。

少年はすぐ近くの物陰で息を潜めていた。

今にも泣き出しそうな自分をこらえて、口を無理やり塞いでただ男が去っていくのを待っていた。

 

『チッ!今日の所は退いてやる、だが次俺の視界に入ったらその小さい面に風穴空けてやるから覚悟しておけ!!!』

 

男が脅しに撃った弾は少年の隠れていた木箱を貫通して頬を掠めた。

男が去ったのを確認した少年は盗んだ食料にがっついた。

久しぶりのまともな食料だからだ。

少年は涙を流しながら、食料を口にした。

何故自分はこんな目に合っているのだろうか、両親はいるのか、そればかりが頭に浮かんだ。

だが、答えはわかっている。自分に親はいない、周りが言うように自分は独りだ。

そう理解して、少年は密かに泣いていた。

 

 

 

 

─────少年、穹は目を覚ました。

自分の収容されていた部屋のベッドの上だった。

ふと、すぐ隣を見ると茶髪の女性、八神はやてが座っていた。

 

はやて「お、目覚めたんやね。ごめんなぁ~なのはちゃん加減知らんもんやから~」

 

穹は自分の記憶を探ってみた、そしてすぐ思い出した。

自分をハメた人物を始末するために脱走を試みた結果追ってきた死神ことフェイト・T・ハラウオンとエース、高町なのはによって返り討ちにあい、砲撃魔法を受けて意識を失っていたことに。

 

はやて「君のデバイスが咄嗟に何重に防護魔法使ってくれんかったらこんなもんじゃ済まなかったやろうな~」

 

穹「ホルク……………?」

 

穹は自分の指に何か違和感を覚えた。

見てみるとホルクの本体である指輪がなくなっていた。

穹は激昂してはやてにつかみかかった。

 

穹「ホルクはどこだ!あいつに何かしてみろ、管理局全体を敵に回してでも殺す!!」

 

はやて「お、落ち着き!あのデバイスかなりガタ来とったから知り合いにメンテしてもらってるところや」

 

穹の瞳は静かにはやての目を見つめる。

 

穹「……………『嘘』は、言ってないようだな」

 

はやて「君は本当にあのデバイス、ホルクのこと大切にしとるんやね」

 

穹「当たり前だ。ホルクは、あいつは俺の唯一の家族だ!」

 

穹は俯き、顔を隠す。

しかし、涙は重力に従って床に落ちる。

 

穹「あいつがいなくなったら、俺はまた独りになる…………それだけは嫌だ!」

 

穹はこの時、初めて年相応の表情を見せた。

家族を求め、泣いている穹をはやては優しく抱きしめた。

 

穹「……………あ」

 

はやて「家族失うんは、ホンマに辛いよなぁ。私も君くらいの頃に両親亡くしたんよ。独りは辛いよなぁ、私は周り心配かけんと我慢しとった。けど、君は我慢せんでもええんよ?辛い時は、寂しい時は泣いてええんや」

 

穹はこの時、初めて人の暖かさを知った。

気付けば、穹ははやての腕の中で今までの寂しさを吐き出すように初めて泣き叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はやて「落ち着いた?」

 

穹は無言で頷いた。今の顔を見られたくないのか、またずっと下を向いている。

 

穹「情けないな、殺し屋が涙を見せるなんて……」

 

はやて「んなことあらへんよ。とりあえず君、明日には出せるけどこれからどうするん?」

 

穹「またアジトに戻って、いつも通りかな。って管理局に捕まるなんてヘマしたんだ、ほとぼりが冷めるまで大人しくするか」

 

はやては懐から一枚の紙を取り出して、穹に渡した。

 

はやて「君が良かったら、なんやけどな。君、私の子にならん?」

 

穹「養子縁組み手続き!?」

 

それは穹を養子として迎え入れる為の手続き書類だった。

 

穹「あんた正気か!?俺は殺し屋で管理局の輸送車襲おうとした上にさっきもあれだけ騒ぎ起こしたんだぞ!!」

 

はやて「輸送車襲撃未遂?ああ、んなことあったなぁ~。けど、襲撃犯は『逃走』したってフェイトちゃんから聞いたけどな~」

 

穹「…………は?」

 

直後、スピーカーからノイズが流れて、フェイトの声が聞こえてきた。

 

フェイト『確かにロストロギアを積んだ輸送車の襲撃未遂はあったけど、事前に備えていた局員によって襲撃は失敗、襲撃犯は逃走したよ』

 

なのは『あと、エントランスでの騒ぎはね。セクハラしてくる先輩にお仕置きしようとやったんだよねぇ、結局逃げられたけど』

 

穹は文字通り、目を丸くして驚いた。

事実がねじ曲げられ、自分が起こした襲撃や騒ぎが殆ど無かったことになっていた。

 

穹「どうして?」

 

はやて「さっきも言ったやろ?私も君くらいの頃に両親亡くしてるんよ。君の心に負った傷は、私なんかと比べ物にならんやろうけど」

 

はやては優しく穹の頭を撫でる。

 

はやて「せめて、君の心の傷を癒やしてあげたいんよ」

 

穹「……………明日まで、考えさせてくれ」

 

こうして、長い1日が終わりを告げた。




裏話 

とある掲示板にこのような書き込みがあった。

Ohara23:殺し屋に偽情報流して管理局に突き出してやったざまぁw

掲示板は俗に言う引きこもり達がネット上でこんなイタズラをした。
こんな嫌がらせをしたなど、あまりに幼稚なことが書き込まれていた

kill13:Oharaさんナイスw殺し屋ざまぁw

York59:俺達に出来ないことを平然とやってのけるw

drunk7:そこに痺れる憧れるw

そんな書き込みを見て、青年は暗い部屋で一人笑っていた。
部屋には美少女モノのフィギュアなどマニアックなものが乱雑していた。
そんな部屋に一つの足音が聞こえる。

??「うわ、気持ち悪!こんな部屋1秒も居たくないなぁ」

青年が振り向くと、そこには黒いマントを羽織る一人の青年が立っていた。

??「早く戻らないといけないし、魔弾には一つ貸しだな」

青年は驚きと恐怖から足が竦んで動けなくなっていた。

??「お前は『こっち側』に喧嘩売ったんだ。死んでも文句ないだろ?」

直後、青年は机の上に置いていた、ネット通販で秘密裏に入手していた拳銃型デバイスを発砲する。
しかし、弾が命中した箇所の穴が塞ぎ、黒いマントの青年は何事も無かったように平然としていた。

??「危ないだろうが、俺が『泥の王(ボルボロス)』使ってなかったらどうするんだ?」

次の瞬間、青年の四方八方から黒い棘が現れて青年はその全てに貫かれ悲鳴をあげる間も無く絶命した。
そして、青年が立ち去ったその部屋のPCディスプレイの画面にはエラー表示と共にこう表示されていた。


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第10話 高町ヴィヴィオ③

気付けばお気に入り登録数がもう90越え……
本当に感謝です!


───翌日早朝、管理局保護施設

 

目が覚めた穹はふと右手を見るとホルクの本体の指輪が無いことに気付いて、昨夜のことを思い出した。

 

『私の子にならん?』

 

穹「………………すみません、誰かいますか?」

 

穹の呼びかけの直後、スピーカーからノイズがはしりなのはの声が聞こえてきた。

 

なのは『はぁい、いるよ~どうしたの?』

 

穹「ホルクに会いたいんですけど」

 

なのは『あ~うん、ちょっと待ってね』

 

なのはの声の後、少しの間を置いて部屋の扉が開いて扉の前になのはが立っていた。

 

なのは「流石に迷子になっちゃうと思うから、私が案内するね」

 

穹はなのはの後についていった。

 

なのは「……ところで穹君、なんでいきなり敬語に?」

 

穹「事情はどうあれ、世話になった人には礼儀をってホルクによく言われたもので……」

 

なのは「ははは、本当にお父さん?みたいだね」

 

なのははホルクが大分穹の親代わりをしていたのだと思い苦笑を浮かべた。

 

なのは「そういえば穹君、はやてちゃんのお話どうするの?」

 

穹「…………正直、迷ってます。別に嫌ってわけじゃなく、俺なんかがいいのかなと…………俺、殺し屋ですから……」

 

穹は裏社会の人間であり殺し屋、裏の人間とはいえ多くの人間に銃口を向け殺してきた。

だからこそ、はやてから養子の話を聞いた時、嬉しい反面負い目を感じていた。

 

なのは「はやてちゃんは、そういうの気にしないと思うけどなぁ~」

 

なのはは『デバイスルーム』と表示された扉の前で立ち止まった。

 

なのは「今は誰もいないけど、さっきここの責任者の人から許可はもらってるよ。私は外で待ってるから」

 

扉が開いて穹が入ると、整備台の上に置かれた指輪を見つけた。

 

穹「ホルク、起きてるか?」

 

穹の呼びかけに指輪が光り、額に宝石のついた鷹が出てきた。

 

ホルク『穹、すまない。心配させたな』

 

穹「いいさ、お前にも大分負担をかけたな。」

 

ホルク『整備士の話では今日中にはメンテナンスが終わるらしい、お前はどうだ?』

 

穹「俺は大丈夫だ。ただ……」

 

穹は昨夜のことを話した。

目覚めて、初めて人の暖かさを知り、初めて大声で泣き叫び、そして八神はやてから養子にならないかと誘われたことを……

 

穹「俺、どうしたらいいのかわからない。あんな風に優しく接してきたのはあの人が初めてだ。どうすればいいかな?」

 

ホルク『それを決めるのは私ではない、穹自身だ。』

 

予想通りの返答に穹は肩を竦める、常に重要なことはいつも自分自身に決めさせていた。

今回もそうじゃないかと薄々わかっていた。

 

穹「もう少し考えてみるよ、また後でな」

 

デバイスルームから出ると、なのはと知った顔があった。

 

ヴィヴィオ「あ、穹君!」

 

穹「ヴィヴィオ?なんでこんな早く……」

 

ヴィヴィオ「なのはママの着替え持ってきたの、結局昨夜は徹夜だったみたいだから」

 

穹「え…………まさか昨夜ずっと?」

 

よく見るとなのはの目元に少しクマが出来ていた。

はやては各方面への根回し、フェイトは(改竄した)報告書の提出があった為、なのはが穹を見ていることになっていた。

 

なのは「あ~大丈夫、ちょっと眠いだけだから………ヴィヴィオ、私ちょっと着替えてくるから穹君とお話でもして待ってて~」

 

なのはは覚束ない足取りで廊下の奥に消えて、穹とヴィヴィオだけが残された。

 

穹「…………なんか申し訳ないな、色々世話になりっぱなしで……」

 

ヴィヴィオ「色々?」

 

穹「……輸送車襲撃未遂もエントランスでの騒ぎも俺が関わってることが無かったことにされたんだ。それと、八神って指令が俺に養子に来ないかって」

 

ヴィヴィオ「そうなの!?」

 

穹「いや、まだ受けるって決めては……」

 

迷っている、穹の顔を見てヴィヴィオは穹が養子の話に戸惑っていると感じた。

 

穹「俺は殺し屋だからさ、今まで多くの人を手にかけてきた。俺の手は殺してきた人間の血で染まってる。受け入れきれず、あとで後悔させるくらいなら………」

 

ヴィヴィオ「……………私ね、なのはママの本当の子供じゃないの」

 

穹「!!」

 

ヴィヴィオ「私はクローン、古代ベルカのレリック『聖王のゆりかご』を起動させる為だけに作られた……聖王オリヴィエのクローンなの」

 

『聖王のゆりかご』、その単語を聞いて穹は一つの事件を思い出していた。

 

穹「………『JS事件』、お前はあの事件の関係者だったのか」

 

ヴィヴィオ「穹君も知ってたんだ」

 

穹「……ジェイル・スカリエッティは、裏にも色々介入していたからな。」(奴があの事件を起こした時粛清対象になったが、確か奴らが動き出した時には奴は管理局に逮捕されていたんだったな)

 

ヴィヴィオ「なのはママはそんな私も受け入れてくれた、傷だらけになっても私を救ってくれた。あの時教えられたんだ、自分がどうしたいのか、自分の素直な気持ちを伝えることの大切さを。穹君はどうしたい?」

 

穹「俺は………」

 

『それを決めるのは私ではない、穹自身だ』

 

穹は先程も、そして今までホルクが重要なことを自分に決めさせていた理由に気づいた。

穹の中で答えは決まっていた。

 

 

 

程なくして、なのはが着替えを済ませ戻ってきた。

ヴィヴィオは用事がある為帰り、穹もなのはについて元の部屋に戻った。

そして昼頃、再び扉が開いてはやてが入ってきた。

 

はやて「ごめんなぁ~色々やっとったら遅れてしもた。それで話ってのは?」

 

数秒の沈黙のあと穹は深呼吸をして、意を決した。

 

穹「…………………俺は殺し屋、人殺しだ。この手は幾人もの人間の血で染まってる。俺の罪は一生かかっても消えることはない、そんな血と罪で汚れた手をあなたはとってくれるのか?」

 

穹が差し出した手を、はやては迷うことなく握りしめた。

 

はやて「当たり前や……………それに、罪を背負うのには慣れとるんよ。私の家族は皆」

 

 

 

この日、養子手続き書類が提出された。

『八神穹』、それが穹の新しい名前となった。




裏話

なのはは着替えを済ませ、穹達の元へ向かった。
ロッカールームは少し離れた所にあった為、すぐに戻ることが出来た。
穹達の姿が見えた辺りで後ろから肩を掴まれ、引き戻された。

ユウ「なのはちゃん、ちょっとストップ」

なのは「ユウさん!?」

なのはがレイジングハートを構えようとするのをユウは制止して穹達の方を指差した。
丁度、ヴィヴィオが穹に自分のことを話している時だった。

ユウ「もう大丈夫だ、あいつが『向こう』に戻ることは無い。俺のレアスキルがそう言ってる」

ユウはどこからかぼんち揚げを出して、袋を開けた。

ユウ「あいつ、これから楽しみが増えるだろうな。」

ユウはどこか楽しそうな表情を浮かべながら去っていった。








なのは「…………………あ、また逃げられた!!」


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第1章 新しい家族、新しい出会い
第11話 八神穹


今回は八神家登場回です
次回から原作開始予定しております


─────穹が八神家の養子となってから1週間が経った。

新しい家族に戸惑いながらも穹は平穏に暮らしていた。

 

 

早朝、穹は家の近くの浜辺で一人、複数の的に向かっていた。

深く一回深呼吸して、両手のハンドガンの引き金を引く。

放たれた魔力弾は次々と的を撃ち落としていった。

養子となり殺し屋を辞めてからの日課のようなものになっていた。

自己鍛錬、そして殺し以外の戦い方を模索する為であるが、裏社会の時から使っていた銃系統になるとどうしても癖が出てしまっていた。

 

??「穹君~朝ご飯ですよ~」

 

呼ばれた声に反応した際振り向いた時に偶然引き金を引いてしまい、魔力弾が声の主のすぐ横を通り過ぎた。

 

??「ひゃああ!!!!!」

 

穹「あ………えっと………ごめん、リイン姉さん」

 

リイン「穹君…………いくら熱を入れていても声かけた人撃つのはヒドいです……」

 

穹が慌てて駆け寄った先に尻餅をついた少女?がいた。

リインフォース・ツヴァイ、八神はやてのユニゾンデバイスで若干子供っぽい言動が特徴的、普段は少女くらいの大きさだが妖精と見間違う程小さくなれるらしい。

 

穹「…………ごめん、もう皆起きてるの?」

 

リイン「今日非番のヴィータちゃん以外はもう起きてるですよ。」

 

穹はリインを助け起こすと、一緒に家に戻った。

リビングに行くとすでに朝食の準備が出来ていて、金髪の女性がキッチンにいるはやての手伝いをしている。

 

??「あ、穹君おはよう。」

 

穹「おはよう、シャマル姉さん」

 

??「また早くから鍛錬か?言ってくれれば私が相手になったのだが……」

 

穹「いや………シグナム姉さんの相手はシャレにならないから………この前だって撃った弾全部切り落としてたし……」

 

桃色の髪のポニーテールの女性、シグナムの問いに穹は苦笑を浮かべた。

 

シャマル「危うく穹君に本気で斬りかかるところだったものねぇ。ザフィーラが止めなかったら……」

 

穹「…………想像したくない、そのザフィーラ兄さんは?」

 

シャマル「まだ寝てるわ、昨日遅くまで教え子達の練習メニュー組んでたみたいだから起こさないであげてね。」

 

穹がソファーの近くに目を向けると、青い毛並みの狼が丸くなって眠っていた。

 

シグナム「鍛錬とはいえ手を抜くのは、どうも気が乗らないのだ。」

 

穹「だからってアギト姉さんのユニゾン使うのはどうかと思うけど…………あれ防ぐには盾印いくつ重ねても足りないと思う。」

 

アギト「まぁ、防ぎ切れるものじゃないけどな!」

 

シグナムの隣に座る赤髪の少女、アギトが自慢気にそう言うと後ろから手刀が下ろされた。

 

はやて「少しは反省せいよ、シグナムも」

 

シグナム「む………善処致します」

 

シグナム達の主で穹の母、八神はやてがキッチンから出てきた。

 

穹「おはよう………………母さん」

 

はやて「おはよう穹、先シャワー浴びておいで。汗ベタつくやろ?」

 

穹は頷いて、シャワールームに向かった。

穹がはやてを母と呼ぶようになったのはつい最近である。

やはり慣れないらしく、母と呼ぶことに抵抗があったようだ。

そんなこともあり、初めて母と呼ばれた時ははやては泣いて喜んだ。

 

穹「ホルク、今日のトレーニングデータ取れたか?」

 

ホルク『今やっている。だが、昨日同様といったところだな』

 

穹はシャワーを浴びながら、ホルクのまとめたトレーニングデータを確認していた。

 

ホルク『やはり、はやての言った通り新しいフォームを作るしかなさそうだな』

 

現在、ホルクには2つのフォームがある。一つがスナイパーフォーム、狙撃用のフォームで射程は短いが威力の高い『アイビス』、スタンダードな『イーグレット』、威力は無いが弾速の速い『ライトニング』の3つを使い分ける。

もう一つがガンナーフォーム、スナイパーフォームと違って中距離、近距離射撃に特化したフォームでハンドガン、サブマシンガン、ショットガン等を使い分けている。

 

穹「…………正直、母さんの知り合いでも知らない人にお前を預けるのは不安だな」

 

ホルク『話を聞く限りでも信用は出来るだろう、聞く所によるとヴィヴィオのデバイスもその人物が作っているらしい』

 

穹「………ふぅん」

 

穹はシャワーを止めて、タオルで濡れた身体を拭き着替えてリビングに戻った。

丁度、シグナム、シャマル、アギトが先に出かける頃だった。

 

シグナム「では主はやて、私達は先に」

 

穹「あ、行ってらっしゃい。シグナム姉さん、シャマル姉さん、アギト姉さん」

 

三人を見送ると、穹ははやて、リインと朝食をとっていた。

 

はやて「あ、そうだ。穹、学校やけどな」

 

穹「あぁ、一昨日言ってた」

 

リイン「昨日編入手続きが終わったですよ~」

 

リインに渡されたパンフレットに朝食片手に目を通した。

 

穹「…………st.ヒルデ魔法学院?」

 

はやて「聖王教会系列の学校でな、教会には知り合いおるしヴィヴィオもそこに通っとるんよ。一人でも知り合いおった方が穹も気が楽やろ?」

 

穹「まぁ、そうだね。勉強ついていけるか不安だけど」

 

はやて「シャマルが教えてくれとるんやし、大丈夫やろ」

 

穹「たまにシャマル姉さん、勉強中にぶつぶつと『穹君とザフィーラで……いや、もっとネタが……』って意味の分からないこと言ってたけど?」

 

はやて「穹、世の中には…………知らん方がええこともあるんよ。シャマルはちょっとお説教やな」

 

穹「………?」

 

その日の夜、穹の勉強をヴィータが見てシャマルは別室ではやてに説教を受けていたらしい。

 




裏話 八神家との出会い(ヴィータ、リイン編)

はやて「この子が今日から私の子になる穹や!仲良くしたってな」

ヴィータ「こいつがね、ヴィータだ。よろしく」

リイン「リインフォース・ツヴァイです!リインでいいですよ~」

はやて「ほら、穹も挨拶し」

穹「えっと…………八神穹、です。これからよろしく、ヴィータ姉さん、リイン姉さん」

二人「!!!!!!!」

その時、二人に電流がはしった

ヴィータ「姉さん…………悪くないな」

リイン「姉さん……………初めてお姉さんって言われた気がするです~」




穹「………?」

はやて「あぁ、気にせんといて………姉さんってのがこの二人には新鮮やったんやろ」



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第12話 八神穹②

予告通り原作開始です!
気付けばお気に入り数100突破………正直予想以上で感謝してもしきれません!

簡易プロフィール

八神穹(10)cv.イメージ 内山昂輝

デバイス名:ホルク(インテリジェントデバイス)

術式:ミッド式(ベルカ混合)

フォーム:スナイパー
    ガンナー

レアスキル:????

髪の色:白

髪型:参考(閃の軌跡の主人公、リィン)

目:参考(ワールドトリガーの空閑)

魔法:『魔弾の射手』(穹命名)転送系攻撃魔法

   


st.ヒルデ魔法学院、聖王教会系列の学校で多くの騎士、魔導士を輩出してきた由緒ある学校である。

そして、その学校に今………………

 

穹「…………」

 

ヴィータ「……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑がかったマントにフードを被って木の影に潜む不審者…………もとい穹がいた。

 

ヴィータ「あぁ~穹?今まで来たこと無いところで警戒するのもわかるが……………今日からお前が通う学校だろ、バッグワーム取れ、バリアジャケット解除しろ。どう見ても不審者だぞ」

 

穹「わ、わかっているけど……………つい」

 

穹はバッグワームとバリアジャケットを解除する。

学院の制服を着るのは初めてで違和感を覚えていた。

 

穹「ごめん、ヴィータ姉さん。姉さんも仕事あったのに付き添いに来てもらって………」

 

ヴィータ「いいって、はやてが一番悔しがってたからな。『息子の門出を見れんなんて最悪や~!!!』って今朝も発狂してたし……」

 

ホルク『確か、片付けねばならない次元犯罪案件が出来たのだったな』

 

ヴィータ「今頃、その次元犯罪者に八つ当たりしてる頃だろうな。今回ばかりは同情するよ」

 

ヴィータははやての収束魔法や砲撃魔法でオーバーキルされている次元犯罪者を想像して合掌した。

 

ヴィータ「さて、まずは学院長に挨拶だな。」

 

ヴィータに連れられて、穹は学院の中に入っていった。

 

 

 

ヴィヴィオ「………………ん?」

 

??「ヴィヴィオ、どうしたの?」

 

ヴィヴィオ「…………ううん、なんでも無い」(さっき、穹君がいたような……)

 

 

 

 

 

そして穹は学院長に挨拶を済ませ、ヴィータと別れて今教室の前に立っている。

 

穹「…………大丈夫、だよな?」

 

ホルク『あぁ、あとは落ち着くことだ。』

 

穹「まさか、俺が学校に通う時が来るとはな」

 

 

 

 

その頃、教室内では全員が席につき、担任が教壇に上がっていた。

 

「この後すぐ、講堂にて始業式が行われます。その前に、今日から皆さんと共に学ぶ転入生を紹介しましょう。」

 

新しい仲間が増える、教室中がざわついた。

もちろん、このクラスの高町ヴィヴィオとその友人、コロナ・ティミルとリオ・ウェズリーも例外ではない。

 

リオ「転入生か……どんな子かな~」

 

コロナ「楽しみだねぇ」

 

ヴィヴィオ「お友達になれたらいいなぁ~」

 

「それでは入って来て下さい。」

 

教室が静かになり、扉が開かれて入ってきたのは雪のように白い髪の少年だった。

 

ヴィヴィオ「…………………え?」

 

入ってきた見知った顔にヴィヴィオは目を丸くした。

 

 

 

 

穹「……………八神穹です。よろしくお願いします」

 

ヴィヴィオ「そ…………穹君!!!!!?」

 

穹「……あ、ヴィヴィオ」

 

驚きのあまり、ヴィヴィオは立ち上がって思わず声を挙げてしまった。

担任の咳払いで我に返り、恥ずかしさから顔を真っ赤にして座った。

 

「それでは皆さん、八神さんから色々聞きたいようですが、そろそろ時間ですので講堂に向かいましょう。」

 

担任についてクラスの生徒が次々と教室を出た。

そして講堂にて始業式を終えると授業も無く、穹は学院を散策していたが……………

 

穹「ここ………どこだ?」

 

道に迷っていた、辺りを見回すと制服の違う自分より年上の生徒ばかりだった。

 

??「あなた、初等科の生徒ですね?ここは中等部ですよ?」

 

声をかけられ振り向くと瞳が青と紫のオッドアイの女子生徒がいた。

 

穹「えっと…………すみません。俺今日転入したばかりで道に迷ってしまいまして……」

 

??「そうでしたか、初等科に戻るのでしたらそちらの渡り廊下を真っ直ぐ行けば戻れますよ」

 

穹「あ、ありがとうございます!」

 

穹は足早にその場を去った。

 

??「あの子、動きに全く無駄がなかった。何者なのでしょうか……」

 

穹は渡り廊下を渡って初等科に戻ると近くの壁に寄りかかった。

 

穹「……………ホルク、気付いたか?」

 

ホルク『あぁ、彼女はただ者ではなさそうだ。我々同様裏の出身か?』

 

穹「………さぁな」

 

穹が歩き出そうとした時、突然後ろから肩を掴まれた。

振り返ると、今度は見知ったオッドアイが息を切らせていた。

 

ヴィヴィオ「や、やっと…………見つけた……」

 

穹「………ヴィヴィオ、どうしたの?ってか大丈夫?」

 

ヴィヴィオ「ごめん、大丈夫。穹君中々見つからないから……」

 

穹「中等部に………迷い込んでた」

 

ヴィヴィオ「……………どうりで見つからないと思ったよ」

 

穹は息を切らせるヴィヴィオを宥める。

 

穹「それで、何か用?」

 

ヴィヴィオ「そうだ!これから私と私の友達とで図書館行くから行こう!リオとコロナに紹介したいの」

 

穹「いや、明日でも……」

 

ヴィヴィオ「じゃあ行こう!」

 

穹「人の話聞けよ!」

 

穹はヴィヴィオに図書館へと強制連行されていった。




裏話 八神無双

穹が教室に入ったまさにその頃────
ミッドチルダの倉庫区画、そこは今地獄と化していた。
燃え広がる炎、死屍累々たる次元犯罪者達、粉々に砕かれた違法デバイスと兵器。

そして───────


その中心に立つ黒い翼に杖を構える修羅が一人


「ひ、怯むな!あの伝説の部隊長でも相手はたった一人だぞ!!数で押し切れ!」

迫り来る次元犯罪者達、しかし修羅こと八神はやては静かに怒りを燃やし杖を構えた。

はやて「よくもまぁ、こんだけ人数揃えたもんやなぁ。ブラッディ・ダガー!」

無数の血色のダガーが現れ、迫り来る次元犯罪者達を無慈悲に切り刻み─────

はやて「雑種共がぁ!!!!よくも穹の門出見送るん邪魔しよったな!天誅下したる!!!なのはちゃん、ちょっと借りるで♪スターライトブレイカー!!!!!!」

白い悪魔の代名詞の無慈悲な収束魔法が倉庫区画の一部諸共、次元犯罪者達を飲み込んでいった。

その様子を見ていた友人二人は………………

フェイト「ねぇなのは?」

なのは「なぁに、フェイトちゃん?」

フェイト「私、今のはやてが魔王に見えて仕方ないよ」

なのは「魔王?私には金ピカの英雄王さんに見えたよ」

無論、この後はやてには始末書地獄が待っていたのは言うまでもない。


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第13話 八神穹③

ホルクの説明

本体はあくまで穹が身に着けている指輪(外見はワールドトリガーの空閑の黒トリガー)の為、本体から離れて行動する際は小型ビットの役割の分身体(チビホルク)を飛ばす。
ユニゾンデバイスではなく、デバイスに内蔵されたマスター(穹)をサポートする魔法生物(使い魔のようなもの)。
穹の『魔弾の射手』はホルクの補助魔法『門印(ゲート)を用いたもので他に『強印(ブースト)』『弾印(バウンド)』『鎖印(チェイン)』『転印(テレポート)』が存在し、これらはホルクに内蔵された補助魔法である為、ホルクからの承認がなければ使えない。


穹はヴィヴィオに引っ張られながら図書館に来ていた。

ヴィヴィオが向かう先の机には黒髪の少女と銀髪の少女が座っていた。

 

ヴィヴィオ「二人共ごめん!じゃあ改めて、春休みに知り合ったお友達の穹君♪」

 

穹「…………えっと、八神穹だ。黒髪の方がリオで銀髪の方がコロナ、であってるかな?」

 

リオ「うん!改めて、リオ・ウェズリー!よろしく!!」

 

コロナ「コロナ・ティミル、コロナでいいよ。よろしくね、穹君」

 

穹は同年代と話すの機会は滅多になかった為、内心不安だったが二人は友好的でホッとしていた。

 

穹「そうだ、それと………」

 

穹が右手を出すと指輪が光り、額に宝石のついた鷹が現れた。

突然の登場にすでに知っているヴィヴィオはともかく、リオとコロナは驚いていた。

 

ホルク『驚かせてすまない。私はホルク、穹のお目付役だ。』

 

リオ「すごい!穹もデバイス持ちなんだね。私のはこの子。名前はソルフェージュ、愛称はソル!」

 

『はじめまして』

 

コロナ「穹君はどこでヴィヴィオと知り合ったの?」

 

この質問には穹もヴィヴィオも口を濁してしまった。

実は元裏社会の殺し屋で管理局に捕まっていたなど口が裂けても言えないからだ。

 

穹「…………俺はある次元犯罪に巻き込まれて、管理局に保護される前の記憶が無いんだ。覚えてるのが名前とホルクのことだけでな、その時話し相手で連れてこられたのがヴィヴィオだったんだよ。」

 

穹は八神家に引き取られた時の文面上の自分の立場を思い出し、書かれていたことをそのまま口にした。

 

コロナ「えっと……その………」

 

穹「謝ることはない。両親はその時亡くなったみたいだけど、引き取ってくれた八神家の人達にはよくしてもらってるしな」

 

リオ「さっきから気になってたけど、八神って………」

 

その時、穹のデバイスに通信が入ってきた。

通信を開くとすぐ目に入ったのが書類の山、そして半泣き状態で画面にしがみつくはやての姿だった。

 

リイン『はやてちゃん!まだ始末書片付いてないですよ!!!』

 

はやて『ええやん!せめて画面越しでも息子の顔見たい思うやろ!!』

 

その場の全員が突然のことに呆然としていた。

 

穹「…………えっと、リイン姉さん?これは一体……」

 

リイン『はやてちゃん、今朝の事件で次元犯罪者達諸共倉庫区画の一部を吹き飛ばしちゃったですよ。それでさっきまでナカジマ三佐とクロノ提督のお説教受けて、大量の始末書に埋め尽くされてるところなのです。』

 

今朝の発狂具合からして、次元犯罪者がただではすまないことは八神家の全員が想像していたが予想を遥かに上回った被害を被っていた。

 

はやて『せやからってこの始末書の量はないやろ~!これじゃ今日家帰れへんわ!』

 

穹「………母さん、自業自得。わかったよ、姉さん達に相談して夕食はこっちでなんとかする。」

 

リイン『お願いするです~』 

 

はやて『待って、リインお願いやからもうちょっと待って!?後生やから───』

 

通信はそこで遮断された、おそらくリインが強引に通信を切ったのだろう。

 

穹「……………悪いけど、さっきの見なかったことにしてくれるか?」

 

三人は無言で頷いて母の情けない姿に穹は頭を抱え、ため息をついた。

 

穹「折角呼ばれて悪いけど、早めに帰らせてもらうよ。リオ、コロナ、ヴィヴィオ、また学校でな」

 

三人に別れを告げて、穹は早めに帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ホルク『どうだ?初めて学校に行った感想は?』

 

穹「正直、不安しかなかったな。けど、知った顔もいるしリオとコロナも信用出来そうだし、なんとかなるだろ」

 

ホルク『…………だが』

 

穹「その先は言うなよ、まだ大丈夫だろう?『連中』は関わってる案件で第30管理世界に行っている。その案件もかなり時間を要するって話だ。まだ時間はある、その間に出来るだけ思い出を残しておきたいんだ。後悔が無いように」

 

ホルク『後悔、か。そうだな』

 

穹「俺、八神家に引き取られて良かったって思ってる。母さんもリイン姉さんもヴィータ姉さんもシグナム姉さんもシャマル姉さんもアギト姉さんもザフィーラ兄さんも、そしてホルクも俺の大切な家族だ。だから、せめて最後まで黙っておきたいんだ。……………粛清で俺が殺されることになってもな」

 

穹は自分では気付いていないだろうが、その手は震えていた。

自分で選んだ道、だからその選択に後悔はない。

しかし、死の未来が過ぎるとその時をつい想像してしまう。

元裏社会の殺し屋といえど、まだ10才の少年である。死に対して恐怖を抱かない筈がなかった。

 

ユウ「悩んでるな、少年!」

 

穹「!!!!!」

 

突然後ろから声をかけられて慌てて振り向くと、あの日自分が拘束された時に見た男、ユウ・キリサキがぼんち揚げ片手に立っていた。

 

 




魔法『魔弾の射手』

穹がホルクの門印を用いて使う転送系攻撃魔法。
あらかじめいくつかの位置を指定、そこを転送座標に設定して銃座にする。
あとは銃口に分かりにくいように門印を張り、銃座に向けて引き金を引くことで弾は門印を通って銃座から射出される。
有効範囲はその銃の射程内に限られている。
高度な空間演算能力と空間把握能力が必要となり、穹は3年間で今の精度まで引き上げている。


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第14話 ユウ・キリサキ

簡易プロフィール

ユウ・キリサキ(23)cv.イメージ 中村悠一

所属:時空管理局

階級:一等陸士(陸尉クラスだが面倒だからと昇進していないが?)

レアスキル:未来視
自分や自分の知る人間の未来を見ることが出来る。
ただし、自分の知らない人間の未来までは見えない。

魔導士ランク:陸戦Sランク

魔力:SSS

デバイス:??




最初の出会いが拘束された時ということもあり、穹はバリアジャケットを展開して警戒する。

 

穹「あんた…………確か自称実力派エリートのユウ・キリサキ一等陸士、だったか?」

 

ユウ「いや~そうだったんだけど、ゲンヤさんに『いい加減昇進しろ、上官命令だ』なんて理不尽被ってね。今は三等陸尉だ。ってそろそろ警戒解いてくれる?」

 

穹が渋々バリアジャケットを解除すると、ユウは近くのベンチに座った。

 

ユウ「ぼんち揚げ食う?」

 

穹「………夕飯前、なので」

 

ユウ「はやてちゃんの教育行き届いてるね~……………死ぬのはやっぱり怖いか?」

 

穹は自分の考えを見透かされているような不気味な感覚に襲われた、自然と冷や汗が流れ左足が後ろに下がる。

 

ユウ「なんでって顔してるな、まあ半分予想半分はったりだよ。けど、安心しなよ。少なくともまだ死なないから」

 

穹「なんで解るんだよ。」

 

ユウ「俺にはお前の未来が見える。そういうレアスキルさ、カリムさんの予言と違って知ってる奴の未来しか見えない限定的なものだけどな……………あ、やべ」

 

直後、ユウがベンチから飛び退くとそこを見知った剣が通り過ぎる。

 

シグナム「こんな所で会うとは奇遇だな、ユウ一等………いや、今は三等陸尉だったな」

 

穹「シグナム姉さん!?」

 

ユウ「あ~どうも、シグナムさん。じゃあ実力派エリートユウ・キリサキ三等陸尉は急用を思い出したので失礼します!」

 

ユウは一目散に逃走すると、シグナムはそれを猛スピードで追いかけていった。

 

シグナム「待てユウ!お前と今一度剣を交えたいだけだ!!」

 

ユウ「あ~シグナムさんと出くわすなんて読み逃したな~」

 

穹は嵐が通り過ぎた後のようにその場にポツンと取り残され呆然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

ヴィータ「あ~、ユウの奴追いかけていったならシグナム帰り遅いだろうな~」

 

シャマル「先々週の時は夜中まで追いかけてたんだったわね~」

 

もはや日常茶飯事と言わんばかりに平然としている姉達に穹も流石に驚いた。

いつもユウはシグナムに追いかけてられている。

よく生きてられたなとむしろ感心してしまった。

 

穹「あのユウって人、シグナム姉さんに何したの?」

 

ヴィータ「2年くらい前にユウの噂を聞いたシグナムがあいつに模擬戦挑んだんだよ。そんで、ユウがシグナム返り討ちにした」

 

穹「シグナム姉さんが負けた!?」

 

穹は八神家に来てまだ日が浅いとはいえ、シグナムの強さは十分理解していた。

その分シグナムが負けたことがまだ信じられずにいた。

 

シャマル「それから、シグナムはユウ君を見かける度には模擬戦を申し込むからその次の週にはシグナムに会わないように上手く逃げてくれてたんだけど……」

 

ヴィータ「今回は運が悪かったなぁ、シグナムから逃げるのはあいつの未来視のレアスキルあっても至難の業だし」

 

シグナムを負かす程の実力、未来視のレアスキル、穹は自然とユウの強さを知りたくなった。

 

穹「ちなみに、だけどさ。あのユウって人、母さんより強いの?」

 

シャマル「多分互角くらいかな?あとなのはちゃんとフェイトちゃん、それにナカジマ三佐の懐刀のシノブ一尉とその弟子のケイさんもかな?」

 

後半二人は知らないが、なのはとフェイトは穹は自分の身でその強さを知っている為、ユウの実力がすぐ理解出来た。

 

ヴィータ「けど、すぐセクハラしてくるのがな。なのはや、確かティアナもやられたんだっけ?」

 

シャマル「なのはちゃんに関してはそれでユウ君追いかけるからその度何か騒動起こるのよね~」

 

ヴィータ「この前は訓練区画の一部ぶっ飛ばしたんだったな」

 

穹「俺…………絶対あの人怒らせない」

 

穹の中でなのはは悪魔、魔王というより恐怖の権化か何かに思えていた。

 

穹「って未来見えるならシグナム姉さんから逃げること出来るんじゃ……」

 

ヴィータ「無駄だよ、シグナムは強い奴を感知するセンサー的なのあるみたいだ。シグナムに常識や未来視は通じないってことだ。」

 

シグナムの戦闘狂ぶりととんでもなさすぎる常識破りにむしろ感心しながら穹は静かに合掌した。




裏話 その頃のはやて

はやてが自分のやらかしたことで始末書地獄の刑を受けていると突然開けていた窓から何かが凄い勢いで飛び込んできた。

シグナム「主はやて、窓から失礼致します」

はやて「し、シグナム?やたらダイナミックな入り方やね~」

シグナム「ここにユウは来てますか?」

はやて「ユウさん?見てへんよ」

シグナム「ふむ、ここに逃げ込んで潜んでる気配がしたが…………主はやて、仕事中に失礼致しました。」

シグナムが今度はドアから出て行くのを確認してはやてはため息をついた。

はやて「ユウさん~?もう出てきて大丈夫みたいですよ~」

窓側の死角から人心地ついた様子のユウが出てきた。

ユウ「や~助かったよはやてちゃん、あの人理屈とか常識とか通じないからなぁ…………じゃこれで」

ユウは今度は窓から飛び出して行った。
直後、シグナムがドアを勢いよく開けて入ってきた。

シグナム「重ね重ね失礼致します!ユウが実は窓側の死角に潜んでいるような気がして戻って参りました」

はやて(この鬼ごっこ、いつまで続くんやろなぁ)


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第15話 ノーヴェ・ナカジマ

ワールドトリガー風のあだ名考えてみました。

シグナム 戦闘狂いのターミネーター

ヴィータ エターナルロリータ

シャマル ドクター腐女子


穹がシャワーを浴びて戻ると、ザフィーラが録画映像を見ていた。

 

穹「ザフィーラ兄さん、何見てるの?」

 

ザフィーラ「穹か、教え子に見せる為に用意したものだ。」

 

映像はリングの上で魔法と武器と拳をぶつけ合っていた。

 

穹「魔法競技?」

 

ザフィーラ「D.S.A.A、公式魔法戦競技会。インターミドル・チャンピオンシップの試合映像だ。」

 

穹「インター……………ミドル。」

 

そこには穹の知らない、血に汚れた自分の知る魔法戦とは全く異なる世界が広がっていた。

自分の培ってきた技術を競い合い、互いの魔法をぶつけ合う。

穹は気付けば試合映像を食い入るように見ていた。

 

ザフィーラ「………………見るのは構わんが、あまり夜更かしするなよ。」

 

ザフィーラが自室に戻った後も穹は試合映像を見続けていた。

傍らでは、ホルクが指輪から出て穹の肩に乗っていた。

 

ホルク『!…………穹、通信が入ったぞ』

 

穹「?母さんかな、今いい所なんだけど……」

 

穹が映像を止めて通信を開くと、知り合いと同じオッドアイの金髪の女性が映った。

 

穹「……………誰?」

 

??『え?………あ、ごめん!ちょっと待って!!クリス、変身解除(モードリリース)』

 

女性が光に包まれると、今度はよく知るオッドアイに変わった。

 

穹「ヴィヴィオ!?って………」

 

穹の目線が自然とその一点に向かう、ヴィヴィオの隣に兎のぬいぐるみが浮いていた。

 

穹「隣のそれ………何?」

 

ヴィヴィオ『この子は私のデバイス、名前はセイクリッドハート。愛称はクリス!』

 

ヴィヴィオのデバイス、クリスは挨拶するようにぺこりとお辞儀した。

 

穹「それで、自分のデバイス紹介する為に連絡寄越したのか?」

 

ヴィヴィオ『そうだ!穹君、明日空いてる?』

 

穹「明日?まぁ予定は無いけど?」

 

ヴィヴィオ『明日中央第4区の公民館でストライクアーツの練習あるんだけど、穹君も来ない?見学でいいから』

 

穹「えっと………」

 

ヴィータ「行ってこいよ、穹」

 

ヴィータが丁度風呂場から戻ってきた。

 

ヴィータ「お前は少し、同年代と過ごすことを覚えた方がいいからな」

 

穹「ヴィータ姉さん…………わかった、見学させてもらうよ」

 

ヴィヴィオ『じゃあ明日、ミッドチルダの中央市街地に集合ね。多分リオとコロナがいると思うから』

 

穹「わかった、ところでヴィヴィオ…………俺お前に通信番号教えた覚え無いんだけど」

 

なのは『私がはやてちゃんから聞いたんだよ~』

 

ヴィヴィオの隣からなのはが顔を出した。

先程、訓練区画の一部を吹き飛ばした事を聞いた後なので若干顔が強張った。

 

なのは『はやてちゃんがヴィヴィオにこれからも穹君のお話相手になってほしいって私に通信番号教えてくれたんだ。』

 

穹「母さん………」

 

自分の預かり知らぬ所で暗躍する母の用意周到さに穹は呆れ通り越して感心してしまっていた。

 

穹「まぁいい。じゃあヴィヴィオ、明日な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────翌日、ミッドチルダ中央市街地

 

穹は朝送られてきた時間に指定された所に行くと丁度来た所らしいリオとコロナがいた。

 

リオ「あ、穹~こっちこっち~」

 

穹「元気いいな、全く」

 

コロナ「こんにちは、穹君」

 

穹「ヴィヴィオは?」

 

リオ「用事済ませてから来るって、多分そろそろ………」

 

すると、階段を下りてこちらに向かうヴィヴィオとその後ろに知らない女性二人が見えた。

 

ヴィヴィオ「リオ!コロナ!穹君!お待たせ~」

 

穹は自然と警戒していたが、コロナは面識があるらしくすぐに警戒を解いた。

 

ヴィヴィオ「穹君とリオは二人と初対面だよね?」

 

リオ「うん、はじめまして!去年の学期末にヴィヴィオさんとお友達になりました。リオ・ウェズリーです!」

 

穹「……………少し前にヴィヴィオと知り合った、八神穹………です。」

 

ノーヴェ「ああ、ノーヴェ・ナカジマと……」

 

ウェンディ「その妹のウェンディッス♪」

 

穹はこの二人から少し自分に似た何かを感じ取っていた。

強い、身体的にも精神的にも自分より強いと感じていた。

 

コロナ「ウェンディさんはヴィヴィオのお友達で、ノーヴェさんは私達の先生!」

 

ウェンディ「よ♪お師匠様!」

 

ウェンディに茶化され否定するノーヴェだったが、三人の先生口撃に言い返せなかった。

 

 

 

 

体操着に着替えた三人はノーヴェの指導の元、ストライクアーツの練習を始めた。

穹はウェンディとノーヴェの隣で邪魔にならないように練習する三人を見ていた。

専門的なことはわからないが、ヴィヴィオ達がどれだけ練習を積んできたかはなんとなくわかった。

 

ノーヴェ「ところで穹、一つ聞いていいか?」

 

穹「………?」

 

ノーヴェ「お前、カタギの人間じゃないだろ?」

 

ウェンディ「あ~やっぱりッスか?さっき最初に会った時隠してたみたいだけど殺気飛ばしてたッスからね~」

 

穹の思考が一瞬止まる。

どう答えるべきなのか、様々な考えが浮かんでは消えていた。

 

ノーヴェ「安心しなよ、どうもしないから。私らも似たようなもんだしな」

 

ウェンディ「それに、ヴィヴィオからもいい子だって聞いてるッスからね~」

 

穹「………………似てなんか………俺はまだ……」

 

ノーヴェ「………………迷ってる、か。穹、ちょっと手合わせいいか?」

 

穹「いや、俺ストライクアーツは……」

 

ノーヴェ「いや、ちょっとした模擬戦だよ。ジェットエッジ!」

 

『start up』

 

ノーヴェがデバイスを取り出すとバリアジャケットを装着した。

 

ノーヴェ「来な、お前の抱えてる悩み。私が見定めてやる。」

 

 




裏話 その頃のはやて

穹がストライクアーツを見学しているその頃

はやて「終わった~」

はやての机を席巻していた始末書の山は全て片付いていた。
始末書との格闘からはやてはなんとか生き残った…………筈だった。

リイン「あの…………はやてちゃん?解放されたと喜んでいるところで残酷なこと言うことになるですが………」

リインが更に積み上げたのは、新たな始末書の山だった。
それを見たはやては、まるでメデューサに睨まれたように石化してしまった。

リイン「………………シグナムが、ユウさんを追い回した時にあちこち斬ったり壊しちゃったようで……………これはその始末書、です」

瞬間、はやてから恐ろしい程どす黒いオーラが放たれた。
リインは恐ろしさのあまり机の影に隠れてプルプル震えていた。

はやて「…………ちょっと、シグナムにO☆SI☆O☆KIしてくるわ。」

はやては騎士甲冑を身に纏い、夜天の書と杖を携えて恐ろしい笑顔で部屋を出て行った。
その数分後、局内でシグナムの悲鳴が数時間響いていたのは言うまでも無い。


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第16話 ノーヴェ・ナカジマ②

近頃あとがきがその頃のはやて書いてりゃいいかとか思ってる自分がいます………
………………はい、流石にバリエーション増やしたいです
何か要望ありましたら教えて下さい


ノーヴェがコートを借りる交渉をしている時、穹を心配してヴィヴィオ達が集まっていた。

 

コロナ「穹君本気!?ノーヴェさんストライクアーツの有段者だよ!!?」

 

穹「………勝てないまでも、一撃くらいは食らわすさ。ホルク、わかってるな?」

 

ホルク『心得た。だが、アレを使わずにどうこう出来る相手では無いと思うが?』

 

穹がホルクに出した制限、それはあの転移式攻撃魔法で『魔弾の射手』と穹が名付けたものを使わないことだった。

ノーヴェがどれ程強いかはわからない、しかし『魔弾の射手』抜きで勝てるとは思えないのは穹も同じだった。

それでも封じ手にしたのは、穹にとって『魔弾の射手』は標的を殺す為の魔法と認識しているからだ。

殺し屋を辞め、穹はこの魔法を封印することを裏から縁を切る為の戒めとしていた。

 

穹「行くぞ、ホルク。セットアップ!」

 

ホルク『心得た、set up』

 

ホルクが指輪に戻り、穹はバリアジャケットを身に纏うと交渉を終えたノーヴェが戻ってきた。

 

ノーヴェ「準備はいいな?使うのはこのコートの中だけだ。公式同様ライフポイントを設定するぞ、軽くだし均等に5000でいいか」

 

穹の右手の甲にライフポイントが表示され、それを確認すると両手にハンドガンを構えた。

 

ノーヴェ(射撃型か、ならこっちに分があるな。とりあえず、一気に距離詰めてリボルバースパイクで出だしを潰す)

 

ウェンディ「んじゃ、行くッスよ~!始め!!!!」

 

ウェンディの合図と同時にノーヴェは穹に突っ込む、一気に距離を詰めて攻撃体勢に入った。

脚を振りモーションに入った時、穹はゆっくりと右手のハンドガンを構え、銃口はノーヴェの額を捉えていた。

その時、ノーヴェは穹と目が合った。

とても昏い、そして冷たい殺し屋の目になっていた。

底知れぬ寒気に襲われ、モーションを強引に中断して距離を取った。

穹は突然距離を取るノーヴェに疑問を覚える、そして原因を理解して訝しんだ。

無意識の内に殺し屋の時の自分に戻っていたからだ。

そんな自分を振り払うように、穹は引き金を引き魔力弾がノーヴェを襲う。

ノーヴェは次々と襲い来る魔力弾をかわし、弾き、防いで距離を徐々に詰めていく。

それに気付いた時にはノーヴェはすでに自分の間合いに入っていた。

 

ノーヴェ「リボルバースパイク!」

 

ノーヴェの魔力付加の蹴りは穹の腹を的確に捉えて、そのまま穹をコート外まで吹き飛ばした。

 

ノーヴェ「お前が何抱え込んでるのかはわかった、とりあえず寝とけ」

 

 

 

 

 

穹が目を覚ました時、すでにヴィヴィオ達の練習は終わっていた。

バリアジャケットはいつの間にか解除されていた。

 

穹(……………………そうか、文字通り瞬殺されたんだったな)

 

ノーヴェ「起きたか?悪い、加減したつもりだったんだがな」

 

辺りを見回すと、人が少なくなっていた。

ヴィヴィオ達がいないのは着替えに行っているからだろう。

 

ノーヴェ「あの時、お前の目からとても冷たい殺気を感じて私は思わず距離を取った。その時のお前、自分を許せないって顔してた。」

 

穹「……………染み付いてるんですよ、殺しの感覚が………銃を握れば、目の前にいるのは標的、冷静にただ頭か心臓に銃口を向けて撃つ。裏での殺しの感覚が頭から離れないんです。それじゃ駄目なのはわかってるんです、だから新しい戦い方を探しているんです!あの頃の自分を消して、新しい自分のやり方を見つけないと俺は…………いつまで経っても殺し屋『魔弾の射手』のままだ!だから────」

 

その先の言葉が続くより早く、ノーヴェの手刀が穹の頭を捉えた。

痛みに悶えていると、ノーヴェは穹の頭を優しく撫でた。

 

ノーヴェ「お前は難しく考えすぎだ、一度染み付いた戦い方を変えるなんて無理に等しいに決まってるだろ?殺しの感覚が消えないのは、お前がまだ自分を殺し屋と思ってるからだろ?殺し屋から足洗ったんだろ、今のお前は…………誰だ?」

 

ノーヴェの金色の瞳は真っ直ぐ穹の目を見据える。

簡単なことだった、要は気持ちの持ちようだった。

穹は心のどこかで、まだ自分を殺し屋と思っていたようだ。

今の自分が何者か、真っ先に浮かんだのは個性豊かでいつも自分を優しく見守ってくれている母と家族の姿だった。

 

穹「俺は……………八神穹。海上警備部捜査指令、八神はやての息子、です。」

 

ノーヴェ「そういうことだ、戦い方は無理に変える必要は無い。それはお前自身の力だ、どう使うかもお前次第だ。」

 

優しく諭すノーヴェに穹は頷いた。

殺し屋として身に付けてきた業と技術、それとどう向き合いどう使うか、それを今後の課題とした。

 

ノーヴェ「さて、チビ共も着替え終わった頃だろうし、そろそろ帰るか」

 

穹はノーヴェについてヴィヴィオ達のいるだろう公民館の出入り口に向かった。

 

穹「そういえば、俺が八神指令の息子ってこと驚かないんですね」

 

ノーヴェ「そりゃこの前八神指令に延々とお前の息子自慢聞かされたからな」

 

穹「…………………なんかすみません」

 

 




裏話 活動日誌

本日、聖王教会の騎士カリムの要望により、教会の騎士団との合同訓練を実施。
互いに良い刺激になったと思われる。

尚、その後本局に帰還途中に帰宅途中だったであろうシグナム二等陸尉と不注意から遭遇、追い回されるも日付変わって午前3時、やっとの思いで振り切り遅い報告と後始末を行った。

損害報告 

公共ベンチ破壊1つ

管理局内植木斬り倒し10本

管理局内窓ガラス破壊50枚

教導隊管轄訓練用ビット破壊78機

航空武装隊管轄倉庫破壊1棟

執務官オフィス使用不能1室(尚利用していたランスター執務官にはしばらく別室を用意)

尚、上記の始末書は八神指令の下に届いた模様
以上を以て報告とします。

時空管理局108部隊所属
ユウ・キリサキ三等陸尉


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第17話 ハイディ・E・S・イングヴァルト

通り魔覇王登場回です

あとがきについてご意見いただいたので以下のネタに決定しました!

・八神家メンバーの話

・NGシーン

・ユウの日常

活動報告に要望箱を作りますので、この回のNGが見たい。この時の八神家メンバーの話を見たい。この時ユウが何してたのか見たい等がありましたらそちらに投稿お願いします。




ヴィヴィオ達と合流した穹は途中まで一緒に帰路についていた。

ノーヴェは救助隊の用事で途中で別れていた。

 

穹「……………通り魔?」

 

ウェンディ「そうッス、自称覇王イングヴァルトを名乗る奴が格闘系の実力者を中心に街頭試合を申し込んではフルボッコにしてるらしいんスよね~」

 

穹「古代ベルカの王の名前を名乗るとは妙な通り魔だ。じゃ今頃管理局も動いてるんですね」

 

ウェンディ「被害届出てないから事件になってないらしいッス」

 

ホルク『…………確かに、ニュースにもなっていないな』

 

穹「まぁ、ザフィーラ兄さんならむしろ返り討ちだろうな。ってノーヴェさんも狙われるんじゃ……」

 

穹が格闘系の実力者で思い浮かべたのは、寡黙だが優しく面倒見のいい義兄と先程瞬殺されたストライクアーツの有段者だった。

 

ウェンディ「ノーヴェ自身は逆ボッコにしてやるとか言ってたし、そう簡単にやられるとは思えないッスね」

 

ヴィヴィオ「穹君、ウェンディと何話してるの?」

 

不意に正面から声をかけられ向き直るとすぐそこにヴィヴィオの顔があった。

突然の不意打ちに穹は慌てて飛び退いた。

 

リオ「お、中々素早い反応……」

 

ウェンディ「穹って何気初心ッスね~」

 

穹「っ!!……………俺帰りこっちなんで失礼します。ヴィヴィオ、コロナ、リオ、また学校で。」

 

穹は話を逸らすようにヴィヴィオ達から別れて自宅への帰路についた。

 

ヴィヴィオ「もぉ、ウェンディ!穹君からかっちゃ駄目だよ~」

 

ウェンディ「いや~つい♪」

 

穹は帰宅途中でヴィータから送られてきた『シャマルが料理作っている。逃げろ』というメッセージを見てゆっくりと自宅に向かっている途中、ホルクが何かに気付いて突然体の向きを変えた。

 

穹「ホルク?」

 

ホルク『穹、魔力反応だ。恐らく戦闘している、数は二人、一人はノーヴェの魔力反応だ。』

 

穹はついさっきウェンディから聞いた話を思い出していた。

 

穹「通り魔か?」

 

ホルク『恐らく……』

 

穹「どうする?」

 

ホルク『それを決めるのは私では無い、穹自身だ』

 

穹「言うと思ったよ。来いホルク、セットアップ!」

 

ホルク『心得た、set up』

 

ホルクが指輪に戻り、穹はバリアジャケットを装着した。

 

穹「ホルク、その反応のある近くのビルの屋上使うぞ」

 

ホルク『心得た、弾印四重(バウンド・クアトラ)』

 

穹の足元に『弾』と書かれた大きめの印が現れ、それを踏みつけると穹は凄まじい勢いで飛び上がり、近くのビルの屋上に降り立った。

 

ホルク『ここからビルを四つ程飛んだ先だ』

 

穹「了解、その都度弾印頼む!後念の為にバッグワームも使っておこう。」

 

ホルク『心得た、バッグワーム起動』

 

穹は緑がかったマントを纏い、弾印を使ってビルを飛び越えていく。

目的のビルの屋上から下を見るとグラウンドになっていた。

そこに二人の人影が見える。

一人はバリアジャケットを着たノーヴェ、もう一人は銀髪の女性だった。

拳を打ち合いながら何かの話声が聞こえたと思ったら、ノーヴェが叫び足元から帯状のものが出現した。

 

穹「………………ホルク、アイビス。念の為に援護出来るようにする。」

 

ホルク『心得た、aebis』

 

穹の手にスタンドのついた大きめのライフルが出現すると、スタンドを屋上の低めの柵にセットしてスコープを覗いて標準を合わせた。

スコープの向こうで通り魔にバインドがかけられ、ノーヴェは帯の上を駆け抜ける。

 

ノーヴェ「ベルカの戦乱も聖王戦争もっ!ベルカって国そのものも!!もうとっくに終わってんだよッ!!リボルバースパイク!!!!!」

 

帯の先の通り魔に穹を一撃で沈めた蹴りが炸裂した。

 

穹「決まった!」

 

ホルク『…………いや』

 

よく見ると、ノーヴェの蹴りは通り魔に受け止められて更にバインドがかけられていた。

 

??「終わってないんです」

 

ノーヴェ(カウンターバインド!?どうかしてる………防御を捨てて反撃準備を……ッ)

 

穹「マズい!」

 

穹は非殺傷設定にしたアイビスを構え、標準を通り魔に合わせて引き金を引いた。

 

??「私にとってはまだ何も…………覇王断空……!!!!」

 

バインドで捕らえたノーヴェにトドメを刺そうとした直後、横目に一点の光を捉えた。

攻撃を中断し、迫り来る魔力弾を弾くも威力が強く反動で吹き飛ばされてしまう。

 

ノーヴェ「な、何が起こったんだ?」

 

直後、ノーヴェの目の前に大きめのライフルを構えた緑がかったマントのフードをかぶった人物が降り立った。

ノーヴェは慌てて臨戦態勢を取るが、フードを取ったその顔を見て驚くもすぐに警戒を解いた。

 

ノーヴェ「穹!?なんでここに?」

 

穹「帰る途中でホルクが魔力反応を感知して、もしかしたらと思いまして…………」

 

ノーヴェ「じゃあ、さっきのはお前が?」

 

穹「ヤバそうだったので不躾ながら援護しました。余計でしたか?」

 

ノーヴェ「いや、おかげで助かったよ。あとはあいつを………?」

 

ふと通り魔の方を見ると、そこにはもう人の姿はなかった。

 

 

穹「逃げられた!」

 

ノーヴェ「あ~大丈夫だ。蹴りのついでにセンサー付けてやったから、ウチの姉にでも頼むさ。流石に今動くのキツい……あとはこっちでやっておくから、お前はもう帰れ。」

 

穹「あ……………そ、そうします。」(とりあえず、シャマル姉さんのロシアンルーレット料理を回避する手立て考えないと……)

 

 

 

 

 

 

ノーヴェが襲撃を受けたグラウンドから大分離れた所の貸しロッカーに狙撃を弾いた手を抑え、ふらつく通り魔の姿があった。

 

??(………彼女の一撃、凄い打撃だった。危なかった…………この体は、間違いなく強いのに………私の心が弱いから……………それにあの、多分狙撃…………『彼』からただ者ではない何かを感じてはいたけど、あの時気配を全然感じられなかった。弾を視認出来なかったら確実に頭に命中していた。あそこまで精密で完璧な狙撃は継承した記憶にもない)

 

通り魔が去り際に見たのは、相手であるノーヴェの前に現れた緑がかったマントを纏った狙撃手、そしてその素顔だった。

 

??「武装形態…………解除……」

 

通り魔が光に包まれると、体型が変わり少女に姿を変わった。

 

??(帰って少しだけ休もう………目が覚めたらまた……)

 

ロッカーの鍵を取り出そうとしたその時、通り魔の少女は先程の戦闘で受けた痛みで倒れ込んだ。

 

??(駄目………こんな所で倒れたら……)

 

必死に起き上がろうとするが、立ち上がることも出来ず少女は意識を手放した。




裏話 穹のトラウマ(シャマルの料理)

穹がまだ八神家に来て間もない頃───

シャマル「穹君、お菓子焼いたんだけど食べる?」

穹、シャマル以外全員「!!!!!!!!!!!」(ま、マズい!!!)

穹「へぇ、シャマル姉さんも料理するんだ。じゃあ一つだけ……」

ヴィータ「ま、待て穹!それは───」

ヴィータが止めるも間に合わず、穹はシャマルの焼いたお菓子を口にした。
すると穹の顔色が赤、青、緑と変色し、穹は白目をむいて倒れた。

はやて「穹ぁ!!!!!!」

ヴィータ「シャマル!てめぇ弟毒殺する気か!!!!!」

シグナム「大丈夫だ、まだ息はある!」

シャマル「ええ!?ちゃんと作ったつもりなのに~」

ザフィーラ「シャマル………主がいない時はキッチンに立つなと言った筈だが……」

アギト「穹!死ぬな、穹ぁ!!!!」

リイン「い、急いで処置するです!これ以上シャマルのお料理で犠牲者を出すわけにはいかないです!!」

その後リインの適切な処置により、穹は大事には至らなかったがシャマルの作った料理を口にすることはそれ以降なかった。


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第18話 アインハルト・ストラトス

穹ブチキレ回です




翌日の朝、八神家は家主と家主のユニゾンデバイスがいないことを除いていつもの朝………………の筈だった。

 

穹「……………………zzz」

 

ヴィータ「……………」

 

穹はインターミドルの試合映像をかけっぱなしにして、ソファの上で寝息をたてていた。

 

ザフィーラ「…………この前資料用のを見せてから、どうもインターミドルに興味を持ったようだ。」

 

シャマル「穹君にとって、新鮮だったのかもしれないわね。殺し合いとは違う、競い合う戦いは」

 

シグナム「穹にとっては良い刺激となってることだろう。その内参加したいと言い出すかもしれんぞ」

 

ヴィータ「ったく、ホルクも起こせよ」

 

ホルク『これでも、何度か部屋で寝るように言ったのだが……』

 

ヴィータ「ほら穹、起きろ~。遅刻するぞ~」

 

幾度かのヴィータが肩を揺すると、眠気眼で穹が起き上がった。

 

穹「…………………あれ、ヴィータ姉さん?ハリー選手とヴィクトーリア選手の試合は?」

 

ヴィータ「いつまで寝ぼけてるんだ?ほら、顔洗って来い」

 

ヴィータに背中を押されて、穹は洗面台に向かった。

その様子を見てシャマル達はつい顔を緩ませていた。

 

シャマル「ヴィータちゃん、すっかりお姉ちゃんね~」

 

シグナム「あぁ、ヴィータはなんだかんだで面倒見が良いからな。」

 

直後、ガタンと音がしたと思ったら階段を駆け上がる音とそのすぐ後に着地するような音が聞こえた。

 

穹「完全に寝過ごした!」

 

ホルク『だから、あそこで止めておけと言ったのだが?』

 

穹「ハリー選手のレッドホーク見てたらつい止められなくなったんだよ!行ってきます!!!」

 

穹はテーブルの上のトーストを一枚取ると勢いよく飛び出していった。

 

穹「仕方ない!ホルク!!」

 

ホルク『やむを得ないか、弾印七重(バウンド・セプタ)』

 

穹はトーストをかじりながら、大きな印を踏むと昨夜とは比較出来ない勢いで街を跳んでいった。

無論、校門で教師に見つかって注意を受けたのは言うまでもない。

 

 

 

放課後、穹が帰り支度を済ませているとはやてからメッセージが届いた。

『今日やっと帰れるから、学校のこと色々聞かせたってな~』

穹は思わず笑みを浮かべながら、『もちろん、色々話たいことがあるから楽しみにしてて』と送った。

そこにいつもの三人組がやってきた。

 

ヴィヴィオ「穹君、放課後ちょっといい?」

 

コロナ「ノーヴェさんが紹介したい人いるから、特に穹君は来るようにだって」

 

穹「あぁ、ちょっと遅れるけどいいかな?今朝のあれの反省文提出するように言われてるんだ。」

 

リオ「今朝凄かったもんね~、門閉まる寸前で遥か空からダイナミックスライディング!あれはなかなががががががが!!!!!!!」

 

穹「一言多い悪い口はこの八重歯か?」

 

穹はリオの両方の頬をつねり、これでもかという程引っ張った。

解放された時、リオの頬は赤く若干腫れていたらしい。

 

 

 

そして、反省文を提出し終えた穹は急いで事前に伝えられていた区民センターに向かった。

 

穹「今頃、ヴィヴィオかリオがそいつと一手やってるんだろうな。とりあえず早く帰って今度はチャンピオンの試合見てみたい。」

 

ホルク『はやても帰って来るのだ、程々にしておけ』

 

穹「わかってる、とりあえず帰ったら真っ先に抱きつかれそうだな……………」

 

穹は帰宅後の光景を予測して苦笑を浮かべながら、スポーツコートに向かった。

丁度、ヴィヴィオと誰かがコートで手合わせしてるようだが、様子がおかしかった。

 

ノーヴェ「お、穹。来たか」

 

穹「ノーヴェさん、あの人……」

 

ノーヴェ「あぁ、昨日の通り魔。本名アインハルト・ストラトス。お前達の通ってる学院の中等部だったんだよ。」

 

ホルク[穹、彼女は……]

 

穹[あぁ、転入初日に中等部に迷い込んだ時道教えてくれた人だな]

 

ノーヴェ「それで、同じ格闘系同士ってことで手合わせさせてみたんだが……」

 

通り魔だった少女、アインハルトは悲しげな表情を見せてヴィヴィオに背を向けた。

 

ヴィヴィオ「私、弱すぎましたか?」

 

アインハルト「いえ、趣味と遊びの範囲内でしたら充分すぎるほどに」

 

その言葉に穹は眉をひそめ、コートに入った。

 

ヴィヴィオ「あ、穹君」

 

アインハルト「!!あなたは……」

 

穹「昨日ぶりだな、通り魔さん。随分な物言いだな、趣味と遊びとは。ヴィヴィオに恨みでもあるのか?」

 

アインハルト「いいえ、ただ私の戦うべき王ではないと判断したまでです。私が戦いたいのは、列強の王達ですから」

 

穹「列強の王達、か。時代錯誤もいいところだ、大昔の戦争をまた始めるつもりか」

 

アインハルト「弱さは罪です。弱い拳では、何も守れないから………ノーヴェさんにも言いましたが、私の生きる目的は『表舞台』にはないのです。私は今よりもっと強くならなくてはいけないのです。」

 

穹「表舞台にはない、ね」

 

それを聞いた穹はコート中に響く程の声で笑っていた。

 

??「ねぇティア?あの子ってもしかして……」

 

??「八神指令の言ってた子?でも聞いてた話とは………」

 

他の面子もただ笑い声をあげる穹に呆然としていたが直後、背筋が凍りついた。

 

穹「………………笑わせるなよ、通り魔風情が」

 

穹の表情が突然変貌した。

研ぎ澄まされた刃のような鋭い目つき、大人すら竦ませる様な昏い瞳、それを見たアインハルトは首筋に刃物を突きつけられたような感覚に襲われ、リオとコロナとヴィヴィオは完全に腰を抜かし、青い髪の女性とオレンジ色の長髪の女性は思わずデバイスを構え、ノーヴェとウェンディを含む残りが止めに入ろうとした時には遅かった。

 

 

穹「来いホルク、セットアップ」

 

ホルクは無言で指輪に戻り、バリアジャケットを装着した。

そして穹は両手にハンドガンを出して、アインハルトに銃口を向ける。

牙を剥く魔力弾、アインハルトは底知れぬ恐怖から反応が遅れるがギリギリで回避した。

 

穹「どうした?趣味や遊びじゃない『裏』の勝負がしたいんだろう?望み通り俺が………」

 

ノーヴェ「穹ストップだ!落ち着け!!」

 

ヴィヴィオ「穹君!」

 

ノーヴェとヴィヴィオの呼びかけに反応して我に返った穹が見たのはデバイスを構えるヴィヴィオの知り合い達、怯えて畏怖の眼差しを向けるリオとコロナ、腰を抜かして体を震えさせているアインハルト、そして心配そうな目でこちらを見るヴィヴィオとノーヴェだった。

 

穹「あ…………あぁ………俺は……」

 

 

 

穹はヴィヴィオが声をかけるより速く区民センターを飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

そして、その次の日から穹は学院を休んだ。




本日のNGシーン

第7話 高町なのは②より


穹「もう、あんた達は俺の銃弾からは逃げられにゃい…………」

なのは「……………………」←噛んだことに突っ込もうか悩んでる人

フェイト「…………………」←噛んだことに突っ込もうと思ったが可哀想で言い出せない人

穹「……………………」←噛んだことに気付いて恥ずかしくて赤面し徐々に涙目になっていく子


なのは「わああああ!!!穹君大丈夫だよ!もう1テイク頑張ってみよう?ね?」

フェイト「早くはやて呼んで!監督~少し待っててもらっていいですか~?穹君が泣いちゃった!」

その後、テイク3で成功したらしい?


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第19話 コウヤ・イズノヤ

弾バカモデルキャラ登場回です

コウヤ・イズノヤ(17)cv.イメージ石川界人

所属:市立学校高等科3年

兼任 時空管理局嘱託魔導士

スタイル:特殊魔導射撃戦

スキル:管理局試作型シューター

術式:ミッドチルダ

インターミドル参加履歴:4回

最高戦績:都市本戦 7位入賞


穹が学校を休んでから3日、穹は部屋に入って出てこない。

ヴィータ達も心配しているが、部屋からは何かを呟く声が聞こえるものの返事は返ってこなかった。

 

ヴィータ「…………はやて、本当にやる気か?」

 

はやて「私も出来るなら強硬手段は取りたくないんよ、けどもう堪えられへん!このままじゃ穹がおかしくなってまうわ。」

 

その時、玄関が開いてリインと金髪の制服を着た学生が入ってきた。

 

リイン「はやてちゃん、連れてきたですよ!」

 

??「お邪魔します、八神指令」

 

はやて「コウ君!ごめんな、急に呼び出して」

 

ヴィータ「よう、コウヤ。久しぶりだな」

 

コウヤ「どうも、ヴィータさん。それで、話に出てた引きこもりは上ですか?」

 

はやてが頷くと、コウヤははやてと二階に移動した。

そして、はやてに案内された扉の前に立つとバリアジャケットを装着した。

扉には鍵がかかっており、無理矢理開けようとすると穹が仕掛けた罠が作動するようになっていた。

 

コウヤ「八神指令、扉壊しちゃいますけど?」

 

はやて「穹の為や!許す!!」

 

コウヤの右手の平に発光するキューブが出現、それは分裂し8つのキューブになった。

 

コウヤ「アステロイド!」

 

キューブは扉を撃ち抜き、罠ごとバラバラに破壊した。

その先、ベッドの上で穹はバリアジャケットを装着したまま座り込んでいた。

 

はやて「穹!!!」

 

傍らに寄り添っていたホルクがはやて達に気付いて顔を向けた。

 

ホルク『はやて、随分と手荒な方法を取ったようだな。』

 

はやて「ホルク、穹は?」

 

ホルク『相当ショックを受けている。この3日、何も食べずに私の声も聞こえていないようだ。』

 

はやて「話はヴィヴィオちゃんから聞いた。穹、ごめんな………辛かったやろうに」

 

穹が顔を上げると、そこには自分の過去も全て受け入れて母になってくれた人がいた。

3日溜め込んだ辛さからか穹ははやてを見ると、涙を流した。

 

穹「…………母さん、俺……」

 

はやて「無理に話さんでええよ。大体の事情は聞いたからな」

 

今にも消えそうなかすれた声にはやてを宥めるように抱きしめた。

 

はやて「なのはちゃんが言うとった、世の中はこんな筈じゃなかったことばかりやて。実はな、穹に新しいフォームプレゼントしよう思てな。師匠になる人連れてきたんよ」

 

コウヤ「時空管理局嘱託魔導士、コウヤ・イズノヤだ。お前のことは八神指令から(嫌というほど)聞いてるよ」

 

穹「………………………え、コウヤ選手?」

 

はやて「そや、コウ君はインターミドルの選手でもあるんよ。穹がインターミドルに興味持っとるてシャマルから聞いてな、少しでも元気出して欲しくて呼んだんよ」

 

コウヤ「まぁ、俺もあの槍バカとのスパーばかりじゃつまらないと思ってたしな。ほら、まずシャワー浴びて来い。その後外でお前に教えるものを見せてやる」

 

コウヤはそれだけ言うと先に下に下りていった。

 

はやて「穹、実はな。ヴィヴィオちゃんがお友達二人と来てるんよ。」

 

穹「!!」

 

はやて「ちゃんとお話、聞いてあげなあかんよ。」

 

穹はバリアジャケットを解いてはやてに連れられて3日ぶりに部屋から出てきた。

シャワーを浴びてリビングに行くとヴィータ達がいてずっと心配していたようで穹の顔を見ると安堵の表情を浮かべた。

そして、ソファに座っていたヴィヴィオとリオとコロナが心配そうにこちらを見ていた。

 

ヴィヴィオ「穹君………」

 

穹「…………………俺が、怖いか?」

 

コロナ「…………怖くないよ」

 

穹「コロナ、お前つまんない嘘つくね」

 

コロナ「!!!」

 

穹「『虚言探知』、それが俺のレアスキルだ。簡単に言えば嘘を見抜くレアスキルだ。俺に嘘は通用しないよ」

 

見抜かれたコロナは押し黙ってしまった。

その穹の目の瞳の中心、黒く変わった目がじっとコロナを見据えていた。

 

リオ「……………確かに怖いよ。けど、ただ怖がるだけじゃ駄目だって思ったから!」

 

ヴィヴィオ「穹君に謝らなきゃいけないことがあるの。私、穹君の本当のこと二人に話しちゃった。」

 

穹「!!!」

 

ヴィヴィオ「だって、穹君のことちゃんと伝えないと本当の意味で友達になれないと思ったから……」

 

穹の心は絶望で押し潰されそうになっていた。

自分が殺し屋であることが、リオとコロナにもバレてしまった。

もう、友達ではいられないと思っていた。

 

リオ「最初聞いた時は、確かに驚いたよ。けど、穹は本当は優しいんだってわかったから」

 

コロナ「あの時、穹君はヴィヴィオのストライクアーツが馬鹿にされたと思って怒ったんだよね?友達の為に怒るのは当たり前のことだよ。今回は、やり過ぎただけだよ。怖がってごめんね、穹君………そして───」

 

リオ・コロナ「「私達と、もう一度友達になってください!」」

 

ヴィヴィオ「今度は、二人共嘘はついてないでしょ?」

 

穹は思ってもいなかった言葉に目を丸くした。

人殺しと罵られるとばかり思っていた。

しかし、二人は穹のことを知ってもう一度友達になって欲しいと言った。

今度は、嘘はついてなかった。

穹は涙を必死に隠そうと三人に背を向けた。

 

穹「……………まったく、お前達は本当に物好きだよ。こんな俺と友達になりたいなんて……」

 

はやて「そんなこと言って~泣きながら照れとる穹可愛いな~」

 

穹「ちょっ…………別に照れてなんかないからっ!!」

 

リオ「そんなこと言って、穹ってツンデレだねぇ~」

 

コロナ「あはは、穹君可愛い」

 

穹を抱き寄せるはやて、その様子を和みながら見るヴィータとシャマル、そして照れながらもどこか嬉しそうな表情の穹、それを楽しそうに見るリオとコロナとヴィヴィオ。

穹は周りの優しさと暖かさに心から感謝した。

 

はやて「それじゃあ穹、コウ君待っとるよ。早く行ってき」

 

穹は頷いて、なかなか離れない当のはやてを振りほどいて玄関に向かった。

 

穹[ホルク……]

 

ホルク[…………どうした?]

 

穹[俺…………恵まれてるな]

 

ホルク[………そうだな]

 

穹[俺、変わるよ。殺す為じゃなくて守る為に引き金を引けるように……]

 

ホルク[………そうか、なら私はその為に全力を尽くそう]

 

穹は玄関を開いて、久しぶりに外へと踏み出した。




裏話 死神と悪魔は心折られたそうですよ?

戦技教導隊オフィス

ヴィータ「えっと…………なのは?」

なのは「………………あ、ヴィータちゃんおはよー」

管理局のエース、高町なのはは生気の無い表情をしていた。

なのは「ヴィータちゃん、私砲撃魔法封印する……」

ヴィータ「落ち着けなのは!目死んでるぞ!?何があった!!?」

なのは「ヴィヴィオくらいの歳の子にね………白い悪魔って……私悪魔じゃないもん、砲撃も収束も封印するもん……」

ヴィータ「落ち着け!素数でも数えて落ち着け!!そう言ってるのは一部のやつだから!」

その後、その悪魔と言った少年がヴィータの弟となることになるとは知るよしもなかった。


管理局内カフェ
 
フェイト「ティアナ、私って死神なのかな?確かにバルディッシュは鎌になるけど死神って……」

執務官フェイトはテーブルに突っ伏して完全に落ち込んでいた。

ティアナ(あのフェイトさんがなんか気の毒なくらい落ち込んでる!?いつものクールでかっこいいフェイトさんはどこに!!?)

フェイト「もういっそ、ザンバーとソニックだけにしようかな~………ふふふ」

ティアナ「フェイトさん!気を確かに!!ほら、ソウジ執務官なんて補佐の人とステルス戦闘得意だからアサシンなんて言われてますし……」

フェイト「ソウジ君か…………小さくて可愛いよね………ふふふ」

ティアナ(駄目だ、フォローしたつもりなのに全然聞いてない!?)


ソウジ「………………ゾクッ!!」

??「どうしたんですか?ソウジさん」

ソウジ「いや……………一瞬寒気が」

???「執務官がそんなんでどうするんですか?しっかりしてくださいよ~」

??「だからなんでお前執務官補佐なのに偉そうなんだよ………」


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第20話 コウヤ・イズノヤ②

レアスキル『虚言探知』

穹の持つレアスキル。
相手の嘘を見抜くことが出来る
どれだけ綿密に細工した嘘も見抜ける為、穹に嘘をつくことは出来ない。
ただしあくまで虚言、つまり言葉の嘘を見抜くレアスキルである為フェイントは見抜けない


穹が外に出ると浜辺でコウヤが待っていた。

 

コウヤ「やっと来たか……………………何後ろのチビ達」

 

穹「……………?」

 

穹が振り向くと目をキラキラ輝かせるヴィヴィオとリオとコロナがいた。

 

リオ「すごい……………やっぱり本物のコウヤ選手だ」

 

穹「俺の………その………友達、です」

 

コウヤ「なんだぎこちないな、別に女子の友達いたって笑わねえって」

 

穹「そうじゃなくて…………こいつらが……初めての…友達、だから」

 

コウヤははやてから事前に穹の事情は聞いていた為、初めての友達ということにはあまり驚かなかった。

しかし、穹があまりにぎこちなく若干イライラしていた。

 

コウヤ「あ~………とりあえず、友達くらい胸張って紹介しろ!そんな恥ずかしいことでも無いだろ、むしろその歳からボッチだって方がおかしいんだよ」

 

穹「は、はい……………………俺の友達で金髪のがヴィヴィオ、銀髪がコロナ、黒髪のがリオ、です。」

 

コウヤ「………………まぁ、頑張った方か。知ってるみたいだけど改めて、俺はコウヤ・イズノヤ。時空管理局嘱託魔導士だ、インターミドルにも出てるけどな」

 

ヴィヴィオ「穹君の友達の高町ヴィヴィオです!」

 

コロナ「同じくコロナ・ティミルです!」

 

リオ「更に同じくリオ・ウェズリーです!」

 

コウヤ「…………ちょっと待て、高町てまさかなのはさんの娘!?お前すげぇ友達もったな。っと、それじゃあ始めるか。バリアジャケット準備しろ」

 

穹「あ、はい!行くぞホルク、セットアップ!!」

 

ホルク『心得た、set up』

 

穹はバリアジャケットを装着すると、両手にハンドガンを構える。

 

コウヤ「射撃型か、じゃあまずお前の好きなようにやってみな」

 

穹「はい、ホルク!」

 

ホルク『心得た、転印(テレポート)』

 

穹は転印でコウヤの背後に回ってハンドガンの引き金を引いた。

 

コウヤ「まずは通常弾、『アステロイド』」

 

コウヤは振り向くと両手に掌大のキューブが出現、それはいくつにも分裂して小さなキューブとなって穹目掛けて飛んでいった。

キューブは穹の弾を相殺、更に余った弾で追撃を仕掛けた。

 

コウヤ「特別な効果はないが、その分威力は高い。休んでる暇ねぇぞ。次は炸裂弾、『メテオラ』!」

 

コウヤは再びキューブを出現させ、8つに分裂させて穹目掛けて撃ち出した。

穹はアステロイドを撃ち落としてギリギリで避ける、すると足元に当たった弾が爆発した。

 

コウヤ「爆発で広い範囲を攻撃出来る特殊弾だ。そして変化弾、『バイパー』!」

 

コウヤが出現させたキューブは細かく分裂してバラバラになりながら射出、様々な方向に曲がりながら穹を襲った。

先程の爆発で対応が送れたが、寸前が回避し撃ち落としていく。

 

コウヤ「いい対応力だ。こいつは弾道を設定して好きなコース飛ばせるんだ。リアルタイムで設定することも出来るけど、お前が出来るようになるのはまだ先だな。最後に誘導弾、『ハウンド』」

 

コウヤは再びキューブを出現、キューブは分裂し射出された。

穹は避けられるものは回避し、回避が間に合わないものは撃ち落としていく。

しかし、直後に回避した弾が突然軌道を変えて穹に襲いかかった。

 

穹(!さっきのバイパー?いや、これは追尾弾か!!)

 

穹は避けるのは悪手と判断して再び襲いかかった弾を全て撃ち落とした。

 

コウヤ「相手を追尾する特殊弾な。この4種類にオプションを組み合わせて戦う管理局で最近考案された試作シューターだ。使ってるのが俺ともう一人いるけど、それはまた今度な。」

 

穹(すごい、これなら様々な戦況に対応出来る。)

 

コウヤ「このシューターの特長は弾丸の性能を細かくいじれることだ。威力、射程、弾速、この3つを毎回の攻撃で自由に調節出来る、小さく割ってバラまくのも一個丸ごとぶっ放すのも自由だ。その分、攻撃に手間がかかるのと命中精度がやや粗いのが欠点だ。使いこなすにはセンスが必要だが、そこのところは問題なさそうだな。ざっと動き見たが、立ち回りもいい感じだし」

 

一通りの概要を伝えるとコウヤはバリアジャケットを解除した。

 

コウヤ「今日にでも、デバイス預けとけ。マリーさんなら1日2日で仕上げてくれる。それから本格的に教えてやるから覚悟しとけよ」

 

穹「はい!よろしくお願いします!!」

 

穹がバリアジャケットを解除すると、遠目から見学していたヴィヴィオ達と途中から見ていたはやてが駆け寄ってきた。

 

ヴィヴィオ「穹君すごいよ!あのコウヤ選手に弟子入り出来るなんて」

 

穹「正直、ちょっと実感が湧かない、かも。」

 

はやて「人生何が起こるかわからんもんやで~」

 

リオ「なんか、八神指令が言うと妙な説得力が……」

 

穹は指輪を外して、はやてに手渡した。

 

穹「それじゃあ、ホルクを預けるよ」

 

はやて「任しとき!」

 

ホルク『穹、しばらくの別れだ。』

 

穹「あぁ、俺もお前がいなくてもちゃんとやれるように頑張るよ」

 

こうして穹はホルクのいない時間を1日2日過ごすことになった。

ちなみにコウヤはパシりの後輩が何かやったらしく、急いで帰っていったとか………




NGシーン
第14話 ユウ・キリサキより

ユウ「俺にはお前の未来が見える。そういうレアスキルさ、カリムさんの予言と違って知ってる奴の未来しか見えない限定的なものだけどな……………あ、y──」

突如穹の見知った剣がベンチを破壊して、ユウをぶっ飛ばした。
吹っ飛ばされたユウはジャイロ回転しながら50m程の所で2、3回跳ねて止まった。

穹「ユウさん!?ってシグナム姉さん出るの早い!まだユウさん台詞途中だったから!!」

シグナム「む………しまった、私としたことが…………監督、もう1テイクお願いします」

アシ1「ストップ!ユウさんなんかあちこち複雑骨折してるぞ!?」

アシ2「ヤバい、虫の息だ!誰か救急車呼べ!!」

その後、ユウは全治3カ月と診断され白黒ツートンカラーの顔に傷がある医者から治療を受けて意識が戻ったのは三日後のことだった。

はやて「良かったなぁユウさん、ジャ○キーより軽いみたいで」

なのは「けど心の傷はジャ○キーさんよりヒドいと思うの……」

※ジャ○キー・チ○ンはNGシーンで本当に重傷を負いました


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第21話 アインハルト・ストラトス②

覇王再登場回になります

ワールドトリガースマッシュボーダーズにてガチャを引いた時の作者の反応

迅さん(スコーピオン)→迅さんktkr!!けど風刃の迅さん欲しかったorz

三雲(レイガスト)→あ、修出た。まぁ一応いい方か

新3馬鹿1号→いらねwww(即座に)


翌日、穹はベッドから降りてふと右手に目を向けた。

そこには今まで何度も助けられてきた家族、ホルクの本体の指輪はなかった。

違和感と既視感を覚えながら穹はクローゼットから制服を取り出して着替え、リビングに降りた。

リビングに入ると朝食の良い匂いと話し声が聞こえてきた。

 

ヴィータ「お、穹おはよ」

 

穹「おはよう、ヴィータ姉さん。シグナム姉さんは?昨夜今日は非番だって言ってたけど」

 

アギト「シグナムなら外でザフィーラと軽く朝飯前の運動してる」

 

その時、外と方から凄まじい音と共に家が軽く揺れ出した。

 

穹「………………軽く?」

 

ヴィータ「って言ってたけど、シグナムが歯止め効かなくなってガチになってるのかもな」

 

穹「それ止めないと近所迷惑どころの騒ぎじゃなくなってるよ!?」

 

はやて「それならリインが止めてくれるやろし、問題ないと思うで~」

 

キッチンからはやてが朝食を持って顔を出した。

よく見ると、シャマルが何かしようとしたのかバインドをかけられていた。

 

穹「おはよう、母さん。…………シャマル姉さん、何したの?」

 

アギト「はやての目を盗んで勝手に料理しようとしたんだよ。…………なんとか未遂に終わったけどな」

 

はやて「危なかったわ、気付くのが少し遅れとったら……」

 

はやての顔から若干血の気が引いた。

実際穹は被害にあっている為、それを想像した途端に全身が固まってしまう。

復活した穹ははやて達と朝食をとった。

 

はやて「そういや穹、明日から試験やてヴィヴィオちゃんから聞いたけど大丈夫なん?」

 

穹「ヴィヴィオから試験範囲教えてもらったし、休んでる時の授業内容の写しももらったし、昨日ヴィータ姉さんにそれふまえて勉強教えてもらった。」

 

はやて「そか~ヴィータもすっかりお姉ちゃんやな~」

 

ヴィータ「弟の面倒見るのは当たり前だ!」

 

はやてに頭を撫でられ、自慢気に胸を張る。

端から見たら、子供が親に褒められているようにしか見えない。

朝食を済ませた穹は自室で鞄を取って中身を確認してから玄関に向かった。

 

穹「じゃあ行ってきます!」

 

はやて「気つけてな~」

 

ヴィータ「あいつ、少しだけ明るくなったな」

 

はやて「そやね、やっぱ子供はああでないと」

 

穹は時間に余裕を持ってゆっくりと登校していた。

そして丁度学院のすぐ傍まで来た時…………

 

穹「あ………」

 

アインハルト「………………あ」

 

以前危うく殺しそうになった自称覇王、アインハルト・ストラトスとばったり会ってしまった。

穹は気まずくなって別の道を行こうと背を向けた時………

 

アインハルト「あの……」

 

アインハルトに肩を掴まれ引き止められてしまった。

 

アインハルト「その………ヴィヴィオさん、あなたのご友人について気に障ることを言ってしまい……すみませんでした。」

 

穹「いえ、謝るのは俺です。あのままやっていたら確実にあなたを殺していた。」

 

アインハルト「いえ、それでも……」

 

その時、人目のつきづらい路地から声が聞こえてきた。

制服から初等科の生徒3人が同じ初等科の気の弱そうな女子生徒を取り囲んでいた。

穹はため息をついて、その4人の所へ向かおうとするとアインハルトが腕を掴み制止する。

 

アインハルト「待って下さい、彼らはあなたとは無関係な赤の他人です。何故あなたが助けに入る必要があるんですか?」

 

穹「…………………俺がそうするべきだと思ったからです」

 

穹はアインハルトの制止を振り切り、囲まれた生徒と囲んでいる生徒の間に割って入った。

 

「な、なんだお前?」

 

「正義の味方ですってか?ウケるわ~」

 

「おら、邪魔だからどけよ」

 

穹「一人相手に寄ってたかって……………見てて気分いいものじゃないな」

 

「なんだお前、俺たちとやろうっての?」

 

「ふっ無知とは罪だな。俺たちは入学した時から管理局入りを期待されている超エリートだぞ!」

 

「怪我したくなけりゃ──」

 

そこから先の言葉は続かなかった、穹の黒く変わった瞳が3人をじっと見据えていた。

 

穹「お前ら………………つまんない嘘つくね。そんなに遊びたいなら俺が遊んでやろうか?えっと…………名前知らないし3馬鹿でいいか」

 

3馬鹿2号(リーダーどうする?あいつヤバいって!!)

 

3馬鹿3号(いや、数の利はこっちにある!)

 

3馬鹿1号(落ち着け、大局を見て冷静に対処するのが一流だ。ここは………)

 

3馬鹿が何かを仕掛けようとしているのを予想した穹が構えようとした時…………

 

3馬鹿1号「戦術的撤退ぃ!!!!!」

 

3馬鹿は背を向けて一目散に逃げ出した。

穹は一瞬追おうか迷ったが、それでは3馬鹿と同類になると思いやめて学院に向かった。

 

アインハルト「追わないんですね」

 

路地の角でアインハルトは律儀に待っていた。

 

穹「別に追い討ちするのは簡単ですけど、それじゃあ連中と同類になってしまいますのでね。」

 

アインハルト「あの子、あのままでいいんですか?」

 

アインハルトに言われ振り向くと先程3馬鹿に絡まれていた女子生徒は呆然となっている。

 

穹「まぁ大丈夫でしょう。まだ時間に余裕はありますから遅刻はしないと思いますし」

 

穹は向き直って学院に向かった。

因みに3馬鹿は穹が教師にいつの間にか送っていた証拠写真と動画と告発文により反省文3000文字以上と一週間中庭の草むしりなどの処分を受けたことは言うまでもない。




裏話 

はやての始末書地獄が佳境をむかえていた時

ケイ「邪魔するぜ、八神!」

管理局でも腕利きの陸戦魔導士、ケイ・タチカゼが血相をかいて入ってきた。

はやて「ケイさん?随分と慌てとるようですけど、どないしたんです?」

ケイ「どうしたもこうしたもねぇよ!シグナムニ尉がユウ狙ってあちこち暴れるせいで俺のデバイスまでぶっ壊れたんだぞ!!なんとかしろ!さっきなんか嘱託のレイがシューター訓練中に吹っ飛ばされたぞ!?」

はやて「あ………あの子身体弱いんやったね……………しゃあない、ウチが止めるんで堪忍したって下さい」

ケイ「いや、止めるってどうやって……」

丁度窓の外でシグナムがユウを追いかけているのを見てはやては騎士甲冑を装着して杖を構えた。

はやて「フェイトちゃん、ちょっと借りるで!フォトンランサー・ファランクスシフト!!!!」

魔力弾の雨がシグナムとユウ(巻き添え)を襲い、収まった時には二人仲良く地に伏していた。

はやて「ふぅ………………………悪は滅びた!」

ケイ「いや一番の悪お前だろ!?」

はやて「んな失礼な!一番威力ある収束魔法使わんかったことくらい褒めてくれてもええやないですか!?」

ケイ「使う気あったのかよ!!」

はやて「ん~6割程使う気ありました♪」

ケイ「6割もあったのかよ!!ってか俺普段はツッコミされる側なんだけど!?」

はやて「ケイさん、ボケだけやのうてツッコミのキレもありますな」

ケイ「殆どお前のせいだよ!!」


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第22話 八神穹④

作者のB級部隊隊長の印象

荒船隊 荒船 夢はターミネーター?量産計画

諏訪隊 諏訪 いつもなんか気の毒な人

那須隊 那須 裏の顔ドSっぽい?

鈴鳴第一 来馬 ミスター迫真の演技

東隊 東 学校の先生とか向いてそう

影浦隊 影浦 狂犬というより地獄の猟犬

二宮隊 二宮 解説やらせたら酷評しか言わなそう


穹がホルクを預けて2日が経った。 

右手の違和感も消えかけてはいるもののまだホルクがいないことに慣れることが出来なかったが、それも今日までである。

はやてからホルクが今日の夕方戻ってくると聞いたからだ。

 

リオ「………ていうか~…………今日も試験だよ~!大変だよ~!」

 

ヴィヴィオ「そうなんだよね~~!!」

 

穹「リオ、ヴィヴィオ、泣き言言っても仕方ないだろ?」

 

そんな中、穹達は一学期前期試験の真っ最中だった。

リオとヴィヴィオが泣き言を言っている中、穹は黙々と試験勉強していた。

普段と変わらないようで穹にも変化があった。

最近では最初の友達であるヴィヴィオ、リオ、コロナと過ごしている時間が楽しいと感じられるようになってきていた。

 

リオ「でも試験が終われば土日とあわせて四日間の試験休み!」

 

コロナ「うん!楽しい旅行が待ってるよ~」

 

ヴィヴィオ「宿泊先も遊び場ももう準備万端だって!」

 

リオ&コロナ「おお~」

 

穹「ふむ……」

 

そして穹が今気になっているのは、昨日ヴィヴィオに誘われた異世界旅行だった。

穹の師匠になるコウヤも来るらしく、シューターについて色々教えてもらえそうだった。

 

リオ「よーし!じゃあ楽しい試験休みを笑顔で迎えるためにッ!」

 

コロナ「目指せ100点満点!」

 

リオ&ヴィヴィオ「お~っ!」

 

ヴィヴィオ「ほら穹君も!お~っ!」

 

穹「お、お~………」

 

最近の悩みはヴィヴィオ達のテンションについていくことが中々出来ないことだったりしていた。

放課後、穹は真っ直ぐ帰宅した。

帰った穹を出迎えたのは意外にもコウヤだった、その次に後ろからリインがひょっこり顔を出した。

 

リイン「穹君おかえりです~♪」

 

穹「ただいま、リイン姉さん。でなんで師匠も?」

 

コウヤ「今日の内に基礎をちょっとだけ教えてやろうと思ってな……ってか師匠?」

 

穹「母さんがこれから色々教えてもらうんだから『師匠』って呼ばないと駄目だって……」

 

コウヤ「あの人はまったく………………まあいい、早く上がってこい。『待ってる』ぞ」

 

穹は急いで玄関を上がり、リビングに向かった。

そこには自分の愛機である指輪と、大切な家族がいた。

 

ホルク『久しいな、穹。といっても2日程しか経ってないがな』

 

穹「…………あぁ、おかえり。ホルク」

 

リイン「穹君、ホルクいなくて寂しがってたですよ~」

 

穹「なっ!!べ、別に寂しがってなんかないからっ!!」

 

コウヤ「穹、ツンデレ乙」

 

穹「師匠まで!?」

 

そんなやり取りの後、穹はコウヤに連れられて外に出て早速指輪を右手中指にはめ込んだ。

 

穹「ホルク、新しいはフォームを組み込まれて気分はどうだ?」

 

ホルク『フォーム追加以外にも、私の機能の改善も行われた。今なら多少指輪から離れても行動出来そうだ。』

 

穹「そうか、じゃあ早速行くぞホルク!セットアップ!!」

 

ホルク『心得た、set up』

 

ホルクが指輪に戻り、穹はバリアジャケットを装着した。

しかし、その手に銃は握られていなかった。

 

穹「シューターフォームか、早速……」

 

コウヤ「待てバカ!」

 

コウヤは早速シューターフォームを試そうとした穹に手刀を浴びせた。

脳天に受けた穹は痛みから悶えうずくまった。

 

コウヤ「いくつか注意事項がある。まず、最初の一週間は俺の許可なくシューターフォームは使うな。それとそのフォームにはリミッターがかけてある。今そのフォームで撃てるのはアステロイド(通常弾)だけだ。」

 

穹「え、なんで!?」

 

コウヤ「特殊弾は扱いが難しくなってくる、俺が大丈夫だと判断したら一つずつ解除してやる。まずはアステロイドでシューターに慣れろ」

 

穹「…………はい」

 

コウヤ「お前ならそう苦労はしないだろう。さて、じゃあ触りだけだが教えていくぞ!」

 

穹「はい!」

 

コウヤはバリアジャケットを装着して、手からキューブ状の魔力弾を生成し穹への最初の指導が始まった。

 

 

その頃時空管理局次元航行部第3オフィス、小柄な執務官の制服を着た男性がモニターに向かっていた。

 

??「あれ、ソウジ執務官?」

 

ソウジ「ん?ああ、ランスターか。随分慌ただしいな」

 

ソウジと呼ばれた執務官が振り向くと、オレンジ色の髪の女性執務官が資料片手に入ってきた。

ティアナ・ランスター執務官、かつてミッドチルダを襲った驚異に立ち向かった伝説の部隊に所属していた経歴を持ち小柄な執務官、ソウジ・カゼハヤにとっては2つ年下の後輩に当たる。

 

ティアナ「はい、近い内休みもらって友人や恩師の人達とオフトレがあるんですが、片づけなきゃいけない仕事が山積みで……」

 

ソウジ「そうか、恩師というと高町一尉か。せいぜいしごかれてこい。」

 

ティアナ「はい!そういえば、補佐の2人は?」

 

ソウジ「今は資料整理に行かせている。丁度、担当していた案件が片付いたところでな。」

 

ティアナ「流石ですね。そういえば聞きました?八神指令の………」

 

ソウジ「……………延々と二時間は聞かされた。養子とはいえ子供が出来たことが嬉しいのは分かるが………」

 

はやての名前が出た途端にどこか遠い目をするソウジにティアナは苦笑を浮かべた。

ちなみにティアナは三時間聞かされていたらしい。




簡易プロフィール

ケイ・タチカゼ(24)cv.イメージ 浪川大輔

所属 時空管理局108部隊

階級 三等陸尉

デバイス 汎用光剣型アームドデバイス『弧月』

スタイル 弧月二刀流

魔導師ランク 陸戦Sランク

魔力 SSS


モデル ワールドトリガーより太刀川慶


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第23話 ソウジ・カゼハヤ

風間さんモデルキャラ本編登場回です

ソウジ・カゼハヤ(22)cv.イメージ 緑川光

所属:時空管理局次元航行部隊

役職:執務官

デバイス:汎用光剣型アームドデバイス『スコーピオン』

スタイル:隠密型補助魔法併用ステルス戦闘

魔導師ランク:陸戦Sランク

魔力:S

悩み:よく学生(中学生くらい)と間違われること
フェイトにたまに子供扱いされること

モデル:ワールドトリガーより風間蒼也


執務官のオフィスから一人の執務官が出てきた。

この黒い短髪の少年と見間違う身長の男性の名はソウジ・カゼハヤ。

時空管理局の中でも指折りの実力者である彼の真骨頂は隠密型補助魔法『カメレオン』によるステルス戦闘である。

彼はこの『カメレオン』を用いることで、諜報、潜入は元より多くの凶悪な次元犯罪者達を捕まえてきた。

そんな彼の立ち回りを見てかいつしかソウジと彼が『カメレオン』によるステルス戦闘を教えた二人の執務官補佐は『アサシン』と呼ばれるようになっていた。

 

はやて「あ、ソウ君今帰り?」

 

後ろから呼ばれて振り向くと、同年代ですでに指令となった知人八神はやてがいた。

 

ソウジ「八神?ああ、担当していた案件も片付いたからな。それでどうした?先に言っておくが、息子自慢なら聞かんぞ」

 

はやて「ちゃうよ~!久しぶりに家で夕飯食べへん?フェイトちゃんが心配しとったよ、ソウ君この頃まともなの食べてへんてな。自分じゃ警戒されるからて私が頼まれたんよ」

 

ソウジ「ハラウオンか、警戒されるようなことするからだ。会う度に頭を撫でてきたり、抱きかかえようとしたり、俺は子供か」

 

はやて「だからて『カメレオン』使って逃げるのはどうかと思うで?」

 

ソウジにとってフェイトは天敵としか言えなかった。

普通に逃げても彼女のスピードからは逃げられない、そこでソウジはフェイトが近づく度に『カメレオン』を使って視界から消えて逃げていた。

 

ソウジ「それを言ったらお前の所の騎士はどうだ?この前もユウを追いかけてオフィス破壊したらしいじゃないか、そこを使っていたランスターがおかげで仕事が遅れたと俺に泣きついてきたぞ。」

 

はやて「…………ホンマにすみません!」

 

ソウジ「丁度、資料整理していた所だから良かったがな。食事だが、そうだな。役職柄、体調を崩すわけにもいかん。ありがたくいただこう。」

 

ソウジははやてについて八神家に向かった。

八神家の近くに来たところで浜辺に2つの影が見えた。

高校生くらいの青年と小学生くらいの少年が管理局でも試作段階のシューターを撃ち合っていた。

 

ソウジ「あいつは確か………嘱託で試作シューターのテスターの一人だったな。イズノヤと言ったか、もう一人のは………」

 

はやて「あの子が穹、私の息子や。コウ君は穹の師匠なんよ」

 

 

 

コウヤ「ほら、まだ行くぜ!メテオラ!!」

 

穹「メテオラの対処は…………なるべく遠目から落とすこと!アステロイド!!」

 

穹の両手からキューブ状の魔力弾が生成され、キューブは細かく分裂し、コウヤのメテオラを撃ち抜く。

メテオラは穹を巻き込むことなく爆発するが、爆煙を目隠しに穹の死角からコウヤのバイパーが襲いかかった。

穹は気付くのが遅れ、数発被弾してしまった。

 

コウヤ「両攻撃(フルアタック)の時は無防備になるから、最初の内は仕掛け警戒していつでも防げるようにしておけ。常に考えることを止めるなよ、もう一度来い!」

 

穹「はい!」

 

 

 

家の前で車が止まり、ソウジは穹の訓練を見ていた。

 

ソウジ「お前の息子には見えない程、真っ直ぐな感じだな。」

 

はやて「ソウ君、今のちょっと私傷ついたで」

 

ソウジ「だが、筋はいい。将来はやはり管理局か?」

 

はやて「それを決めるのは穹自身や、けど執務官はやめてほしいな。あの子は、もう危険なことせんでええんや」

 

そうしていると、穹とコウヤが訓練を終えてこちらに向かっていた。

 

穹「あ、母さんおかえり。その人は?」

 

ソウジ「俺はソウジ、執務官だ。夕食に誘われてな。お前のことは八神から(嫌という程)聞いている。」

 

穹「八神穹、です。よろしくお願いします」

 

はやて「それじゃ、私は準備するから穹はシャワー浴びておいで。コウ君もどうや?」

 

コウヤ「そうしたいんですけど、この後知り合いの槍バカとスパーの約束あるんでまた今度で」

 

はやて「そうか?ならしゃあないか」

 

穹「師匠、今日はありがとうございました!」

 

コウヤ「おう、試験赤点取ったらメテオラぶち込んでやるから覚悟しとけよ~」

 

コウヤはそんな冗談を言って、知り合いの所へ向かった。

はやてもコウヤを見送ると夕食の準備の為に家に入っていった。

 

ソウジ「……穹」

 

穹「………?」

 

ソウジ「お前が八神に引き取られるまで、どんな生活をしていたかは敢えて問うまい。だが、これだけは言える。………………………良い親と、家族と会えたな。」

 

穹「…………はい、母さんにも、姉さん達にも、友達にも、感謝しきれない程沢山のものを貰いました。母さんに引き取られて、本当に良かったって思います。」

 

穹とソウジは家に入る。

ソウジはどうやらヴィータと主に抱える悩みについてで話が合うらしくリビングで色々と語り合っていたのは言うまでもない。




ワールドトリガーキャラモデルですが、スバルの先輩でレイジさんモデルキャラ追加予定しています。

ちなみに風間さんモデルキャラを執務官にしたのは、風間隊=エリート部隊=執務官って思ったからです。
その内、ソウジとフェイトの絡みも書いてみたいですね~


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第24話 ノーヴェ・ナカジマ③

色んな人からユウの評価を聞いてみた

なのは→抹殺対象

フェイト→頼れるけど信用しきれない

はやて→ウチのシグナムが毎度すみません

ケイ→ライバル

ソウジ→信頼しているが気に食わない

穹→強いのはわかったが胡散臭い

シグナム→私と戦え!今すぐに!!


そして試験が終わり出発当日、八神家にはコウヤと非番のヴィータとザフィーラがリビングに集まっていた。

 

コウヤ「さて、それじゃ結果見せてもらおうか?」

 

穹「はい、えっと………」

 

穹は鞄から試験の成績表を取り出した。

 

physical S(4/236)

 

Main subject

100・98・95・89・92

 

コウヤ「お~学校一時期休んでた割にはすげぇな」

 

ヴィータ「穹は元々物覚えも早いし記憶力もいいからな、流石私の弟だ!」

 

ホルク『穹の「魔弾の射手」は高度な空間演算能力、空間把握能力、更に銃座を置いた座標を正確に把握する記憶力を必要とする。長年使っていたのだ、学習能力もそれなりに高いはずだ。』

 

穹「…………けど、全科目90点台逃した。」

 

ヴィータ「まぁまぁ、次狙えばいいだろ?」

 

ヴィータは目標だった全科目90点台を逃したことに拗ねる穹の頭を撫でて宥める。

撫でられた穹は気恥ずかしくするが、すぐ猫のように気持ちよさそうに目を細める。

 

ザフィーラ「だが、実際なかなかの成績だ。ミウラもこれくらいの成績を見せてほしいものだ。」

 

コウヤ「…………あぁ、ザフィーラさんの教え子の女の子ですよね?たまにヴィータさんやシグナムさんにも鍛えてもらってる」

 

穹「俺もザフィーラ兄さんから聞いただけですが、頭が壊滅的に悪いらしいですよ」

 

ヴィータ「毎回、赤点回避に必死だからな~」

 

穹「それじゃあ、そろそろ行って来る」

 

コウヤ「もうそんな時間か。高町教導官には嘱託魔導師の合同訓練で何度も世話になったな~」

 

ヴィータ「そうか、気をつけてな」

 

穹は荷物をまとめてコウヤと家を出ると、ヴィータもひと息ついた。

 

ヴィータ「いや~良かった。穹が赤点取ったらどうしようかと思った」

 

ザフィーラ「お前やシャマルがあれだけ教えたんだ。ミウラよりひどくない限り、赤点は取らんだろう?」

 

 

 

 

穹とコウヤが高町家を訪れると家の前で知った顔があった。

ヴィヴィオ達のコーチのノーヴェと元通り魔の先輩、アインハルトだった。

 

アインハルト「穹さん……………と、もしかしてコウヤ選手でしょうか?」

 

ノーヴェ「よ!心配したぞ、もう大丈夫そうだな」

 

穹「はい、お陰様で。それで引率のノーヴェさんはともかく、なんでアインハルト先輩まで?」

 

ノーヴェ「あぁ、こいつも誘ったんだ。面子はあとなのはさんとフェイトさん、それと私の姉とその友人も入れて9人だ」

 

ノーヴェがインターホンを鳴らすとヴィヴィオが出てきた。

アインハルトが参加すると聞いた時の喜びようは尻尾があったら回転しそうな勢いだった。

リビングに入ると、リオとコロナもいた。成績は全員優等生レベルだった。

そしてなのはに促され、穹は成績表を見せた。

 

リオ「なんでそんな頭いいの!?」

 

穹「コロナには負ける、全科目100点とか………それにリオには身体能力で負けてるし」

 

コロナ「二人は身体能力高いものね」

 

穹「まあ、狙撃にしても一発ごとに武器抱えて狙撃地点移動するし、動く標的に正確に当てる瞬発力とか必要になるからな」

 

アインハルト「実際彼の狙撃はかなりの精度でした。」

 

ヴィヴィオ「アインハルトさんがそこまで言うほど………見てみたいかも」

 

穹「向こうで機会があったらな」

 

ヴィヴィオ達と楽しそうに話す穹を見て、なのはとフェイトとノーヴェ、それとコウヤは笑みを浮かべた。

 

なのは「穹君、大分明るくなったね」

 

フェイト「うん、最初に会った時の鋭い目つきが嘘みたい」

 

ノーヴェ「一皮むけたってことでしょうね。あいつはもう大丈夫でしょう」

 

コウヤ「最近じゃ、あいつ笑うこと増えましたからね。」

 

ノーヴェ「よしコウヤ、ちょっと弟子借りるぞ。穹、ちょっと今のお前見てみたいから出発前にヴィヴィオと軽く模擬戦やらないか?まだ少し時間あるからな」

 

ノーヴェの提案に穹は驚き、ヴィヴィオは目を輝かせた。

結局色々言いくるめられ、近くの広い公園で模擬戦が行われた。

 

穹「ヴィヴィオ、ノーヴェさんって結構押しが強いんだな」

 

ヴィヴィオ「そこがノーヴェのいいところでもあるんだよね」

 

二人は苦笑を浮かべながら、互いにデバイスを構えた。

 

ヴィヴィオ「行くよクリス!セットアップ!!」

 

穹「来いホルク、セットアップ!!」

 

ヴィヴィオがバリアジャケットを展開すると、容姿が大人になり、同じくバリアジャケットを展開した穹も驚いていた。

 

ヴィヴィオ「すごいでしょ?大人モードって言うの!」

 

穹「けど、中身はヴィヴィオのままだな」

 

ホルク『だが気を抜かない方がいいだろう。彼女のストライクアーツはなかなかの練度だ」

 

穹「わかってる、自分の間合いで戦えば大丈夫だろ」

 

穹は右手にキューブ状の魔力弾を展開して戦闘体勢を取る。

ヴィヴィオも拳を構えて、いつでも迎え撃つ体勢に入っていた。

 

ノーヴェ「それじゃあ行くぞ………………始め!!!」

 

ノーヴェの合図で二人は同時に動いた。

穹は右手の魔力弾を細かく分割して自分の周りに散りばめる。

 

穹「アステロイド!」

 

散りばめた魔力弾は一斉にヴィヴィオに襲いかかる。

ヴィヴィオは距離を詰めていきながら、避けられるものは回避して時に拳で打ち落としながら自分の間合いに入っていく。

穹は魔力弾を仕込みながら魔力弾で動きを制限してヴィヴィオを上手く誘導する。

そしてヴィヴィオを『そこ』に誘導する、周りは穹の仕込んだアステロイドで包囲されていた。

 

穹「悪いな、時間もあるだろうから一番早いやり方を取らせてもらった。」

 

ヴィヴィオ「ははは………これは流石に避けきれないかな」

 

コウヤ「勝負あったな」

 

ノーヴェ「なるほど、なかなか様になってるな」

 

穹はアステロイドを消してバリアジャケットを解除した。

ヴィヴィオも元の子供の姿に戻ってバリアジャケットは解除された。

 

コウヤ「大分慣れてきたな、この分なら合宿中の成果によっては特殊弾一つ解放してやれるかもな」

 

穹「本当ですか!?」

 

なのは「はいはい、その話はあとにして丁度いい時間だしそろそろ行こうか?」

 

なのはに促され、全員荷物を準備するとフェイトの持ってきた車に乗って次元港に向かった。




裏話 その頃の特別救助隊オフィス

青い髪の防災士長、スバル・ナカジマは訓練休暇を上司に伝えて隊舎を出た。
そこで覚えのある赤い短髪に筋肉質の男性、レイジ・キサラギが目に入った。

スバル「あ、レイジ先輩!お疲れ様です!!」

レイジ「ん?スバルか、今日から訓練休暇だったな」

スバル「はい!これからティアと次元港に向かう所です」

レイジ「そうか…………それと、そろそろその先輩は外さないか?俺もお前も同じ防災士長だろう?」

スバル「いえ、私にとって先輩は先輩ですから!」

レイジ「お前のその真っ直ぐな所は長所ではあるが………早く行かなくていいのか?お前の友人、まだかと言いたげに睨んでいるぞ」

レイジの後ろで親友のティアナが、こちらを睨んでいることに気付いた。

スバル「あ!ごめんティア!!!それじゃ先輩!行ってきます!!」

スバルは笑顔で敬礼すると、すぐ友人の元に向かった。
遠目にスバルが怒られているのを見てレイジはため息をついた。

レイジ「やれやれ、相変わらず騒がしい奴だな」


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第2章 合宿ー無人世界のアルピーノ親子ー
第25話 ルーテシア・アルピーノ


もしこの作品にOP、EDをつけるとしたら

OP
ソナーポケット GIRIGIRI

ED
AAA アシタノヒカリ

因みに作者的に気に入っているのはアシタノヒカリ


次元港を発って3時間、途中合流したノーヴェの姉、スバルと執務官ティアナに警戒される穹だったが、ヴィヴィオ達のおかげで打ち解けることが出来た。

そして臨時次元船の中、ヴィヴィオ達やフェイトは眠ってしまったが穹は周りに迷惑にならないようにイヤホンをつけてザフィーラから借りてきたインターミドルの試合映像を見ていた。

 

スバル「穹、何見てるの?」 

 

前の席に座っていたスバルがひょっこり顔を出した。

穹も映像に夢中になっていた為、いきなり声をかけられてびっくりした。

 

穹「え、えっと…………ザフィーラ兄さんから借りてきたインターミドルの試合映像、です。」

 

ティアナ「へぇ、君インターミドルに興味あるの?」

 

今度はスバルの隣に座っていたティアナも話しが聞こえて後ろを向いていた。

 

穹「はい!すごいんですよ、ハリー選手が突っ込んできた所をミカヤ選手が天瞳流抜刀術で瞬殺!文字通り何もさせずに倒したんですよ!!あ、でもハリー選手も凄いんです!去年の師匠との試合、迫るバイパーをレッドホークで全部打ち返して一気に…………」

 

コウヤ「穹?目輝かせながら俺の負け試合語るのやめてくんない?結構クるわ…………ただでさえ後輩に負けてすっげえ恥ずかしかったんだから……」

 

目を輝かせ見ていた試合の内容を嬉々と語っていると隣に座っていたコウヤが涙目になって止めるように懇願していた。

 

コウヤ「あいつ無茶苦茶なんだよ、「避けきれないなら弾けばいい!」とか死角からのバイパーも全部弾くとかあり得ねえ」

 

沈んだ表情で落ち込むコウヤを見て穹は気の毒に思い試合映像を止めてモニターを閉じた。

 

スバル「じゃあ穹も今年のインターミドル出るの?」

 

穹「出るかはまだ決まってません、師匠や母さんから許しが出れば出たいですが」

 

その時アナウンスが流れ、程なく目的の無人世界「カルナージ」に到着した。

荷物を持って次元船を降りて、なのは達の案内で連れて来られた場所に穹は驚いた。

 

穹「ここ……………本当に無人世界?リゾート開発進んでるんじゃ……」

 

穹の目の前には無人世界とは思えない立派なロッジ、更に遠目に大規模なアスレチックや演習などに使われるレイヤー建造物も確認出来た。

 

スバル「前回来た時よりグレードアップしてるね~」

 

ヴィヴィオ「ルールーならやりそうですけどね~」

 

するとロッジの方から紫色の長髪の女性と少女が出てきた。

 

??「みんな、いらっしゃい♪」

 

なのは「こんにちはー」

 

フェイト「お世話になりまーすっ」

 

アインハルトとリオと穹以外面識があるようだった。

穹もはやてから話だけは聞いていた。

特に少女、ルーテシア・アルピーノははやてからいくつか魔法を教わっていたらしい。

そしてルーテシアの母、メガーヌもかつては腕の立つ魔導士だったらしい。

ルーテシアはリオとアインハルトに挨拶すると穹に目を向けた。

 

ルーテシア「君が穹だよね?八神司令から聞いてるよ、私はルーテシア・アルピーノ。よろしくね」

 

穹「……八神穹です、ルーテシアさんのことも母さんから聞いてます。よろしくお願いします」

 

程なくして、今度は薪を持った赤髪の少年と桃色の髪の少女と小さい竜が現れた。

 

フェイト「穹、アインハルト、紹介するね。二人共私の家族で……」

 

エリオ「エリオ・モンディアルです」

 

キャロ「キャロ・ル・ルシエと飛竜のフリードです」

 

ルーテシア「一人ちびっ子がいるけど三人で同い年」

 

キャロ「なんですと!?1.5cm伸びたよ!」

 

悪戯っぽい笑みでキャロを身長でからかうルーテシア、それを涙目で反論するキャロ。

穹はふと疑問に思いキャロの前に立つと自分との背を比べてみる。

自分よりちょっとだけ高めではあったが、穹は特に悪意無くトドメを刺した。

 

穹「ルーテシアさん、この子本当に14才?小学生じゃないの?」

 

キャロ「うわぁあん!!!!エリオ君!なんか初対面の年下の子にまで言われた~!!」

 

エリオ「あ~よしよし」

 

キャロは受けたショックが大きくエリオに泣きつき、エリオも気の毒に思いキャロを宥めた。

その時、後ろから何かが近づく気配を感じアインハルトと穹が振り向くと人型の異形が立っていた。

思わず身構えるアインハルトとその真似をするクリス、穹もいつでもバリアジャケットを展開出来るようにしていた。

それを見たヴィヴィオ達は慌てて止めに入った。

 

ヴィヴィオ「あー!!アインハルトさん、穹君ごめんなさい!大丈夫です!」

 

コロナ「あの子は……」

 

ルーテシア「私の召喚獣で大事な家族、ガリューっていうの」

 

ガリューと呼ばれた異形は挨拶するように礼儀正しく一礼した。

 

アインハルト「し、失礼しました」

 

コロナ「私も最初はびっくりしましたー」

 

穹(この小さい竜、可愛いな)

 

アインハルトは慌てて謝罪する中、穹はフリードと戯れていた。

 

メガーヌ「さて、お昼前に大人達はトレーニングでしょ、子供達はどこに遊びに行く?」

 

ノーヴェ「やっぱりまずは川遊びかと、お嬢も来るだろ?」

 

ルーテシア「うん!」

 

ノーヴェ「アインハルトもこっち来いな」

 

アインハルト「はい………」

 

そしてトレーニング組のなのは、フェイト、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、そしてコウヤは着替えてアスレチック前に、子供組は水着に着替えてロッジ裏に集合となった。

 

ノーヴェ「………………で穹、どこ行く気だ?」

 

穹はこっそり抜け出そうとするがノーヴェに見つかり、ビクリと肩を震わせた。

 

穹「いや……………師匠達のトレーニング見学しようかと……」

 

ノーヴェ「お前もこっち、早く行くぞ」

 

穹「いや…………ほら、水着持ってきてませんし……」

 

ルーテシア「八神指令から預かってるけど?」

 

穹「………いや、あの………男俺だけですから……」

 

その時、ルーテシアの目が妖しく光った。

その目は例えるなら新しいオモチャを見つけた子供のような目だった。

 

ルーテシア「あなた達、やっておしまいなさい♪」

 

ヴィヴィオ・リオ・コロナ「は~い♪」

 

ルーテシアが指を鳴らし、ヴィヴィオとリオとコロナは元気良く返事をすると、ヴィヴィオがバインドで穹を捕らえ、三人で神輿のように穹を担いだ。

 

ノーヴェ「さて、それじゃあ穹着替えさせて行くぞ~」

 

穹「離して~!!!!!!」

 

穹の叫びも虚しく、川遊び組に強制参加させられてしまった。




本日のNGシーン

第23話 ソウジ・カゼハヤより

穹「メテオラの対処は…………なるべく遠目で落とすこと!アステロイド!!」

穹のアステロイドがメテオラを撃ち抜こうとした時、メテオラは突然曲がって側面から穹に着弾した。

コウヤ「メテオラと見せかけて実は炸裂変化弾(トマホーク)だったりもする♪」

監督「カット!!勝手に合成弾使わない!」

コウヤ「すみません、ついびばっ!!」

コウヤの脇腹にドロップキックが炸裂、そこにいたのは………

はやて「コウ君、ウチの穹に何しとるんかな、かなぁ」

黒いオーラを放つはやてが騎士甲冑を纏い、杖を構えていた。

コウヤ「すみません!ってか撮影なんだs」

はやて「ラグナロク・ブレイカー!!!」

真っ白にフェードアウト

はやて「君はウチを怒らせた」

監督「よし、コウヤ回復し次第テイク2行ってみよう」

ソウジ「…………生きてるか?」

コウヤ「…………なんとか」


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第26話 八神穹⑤

ワールドトリガー風のあだ名考えてみました

スバル・ナカジマ 元祖元気っ娘防災士

ティアナ・ランスター 元祖ツンデレ執務官

ノーヴェ・ナカジマ 現役ツンデレファイター




結局更衣室に連れていかれ、脱出する手段もなく穹は着替えてロッジ裏の川に来ていた。

 

穹「元気だな……あいつら」

 

川では先程自分を捕らえた4人が元気に遊んでいた。

アインハルトも戸惑っているが、ノーヴェに説得される形で川に入っていった。

 

ノーヴェ「ほら、穹も行ってこい」

 

穹「はぁ…………仕方ない。ホルク、頼んだ」

 

ホルク『心得た』

 

ホルクが指輪から現れると、翼から一枚の羽が抜けた。

羽が弾けると小鳥サイズのホルクが現れた。

 

ノーヴェ「な、なんだそれ?」

 

穹「チビホルクです。ホルクは本体である指輪からある程度しか離れることが出来ません。けど、こうして小型の分身体を作って飛ばすことが出来ます。頼んだ」

 

ホルク『心得た』

 

チビホルクは大人組のいるアスレチックの方向に向かった。

 

ヴィヴィオ「穹君~?」

 

穹「ああ、今行くよ」

 

遠目にヴィヴィオが呼ぶ声に気付いて穹は川に入っていった。

その時、ノーヴェは近くをクリスがフヨフヨ浮遊していることに気付いた。

 

ノーヴェ「ん?いいぞ、お前も行ってきて」

 

するとクリスは喋れない為、ジェスチャーで必死に何かを訴えかけていた。

 

ノーヴェ「何『外装がぬいぐるみなので濡れると飛べなくなります』?………大変だな、お前も」

 

その頃穹達は、コロナ発案で水泳競走をしていた。

しかし、そこで穹は違和感を覚えた。身体能力には自信があったにもかかわらず、ヴィヴィオ達に追いつけなかった。

アインハルトもまた、穹と同じ違和感を覚えていた。

それからヴィヴィオ達と川遊びをしていたが、穹とアインハルトは疲れて岸に上がって休んだ。

 

ノーヴェ「やっぱり、水の中はあまり経験ないか」

 

アインハルト「体力には、少しは自信があったのですが………」

 

穹「同じく……身体能力にはそれほど差はないはずなのに……」

 

ノーヴェ「あたしも救助隊の訓練で知ったんだけど、水中で瞬発力出すのはまた違った力の運用がいるんだよな」

 

ヴィヴィオとリオとコロナとルーテシアは今も元気に遊んでいた。

 

穹「じゃあヴィヴィオ達は?」

 

ノーヴェ「なんだかんだで週2くらいか?プールで遊びながらトレーニングしてるからな、柔らかくて持久力のある筋肉が自然に出来てんだ。」

 

穹が殺し屋時代に身に付けたのは敵を効率的に殺す技術、そしてそれを実現する為に必要な基礎身体能力の向上だった。

しかしそれも水中ではあまり意味がないことに気付かされた。

 

ノーヴェ「んじゃせっかくだから面白いもん見せてやろう。ヴィヴィオ、リオ、コロナ!ちょっと『水斬り』やってみせてくれよ!」

 

ヴィヴィオ・リオ・コロナ「はぁ~い!!」

 

アインハルト「水斬り?」

 

ノーヴェ「ちょっとしたお遊びさ、おまけで打撃のチェックも出来るんだけどな」

 

ヴィヴィオとリオとコロナは水中で同じように構えて拳を打ち出すと、大小は異なるが川の水を斬りながら水柱を立てた。

 

ルーテシア「アインハルトも格闘技強いんでしょ?試しにやってみる?」

 

アインハルト「────はい」

 

アインハルトは川に入ってヴィヴィオ達と同じように構えた。

そして拳を打ち出すが、巨大な水柱を立てるだけで終わった。

 

リオ「あはは…!すごい天然シャワー!」

 

ヴィヴィオ「水柱5mくらい上がりましたよ!」

 

アインハルト「…………あれ?」

 

ヴィヴィオ達とは違う結果になり、どうしてなのか解らずアインハルトはキョトンとなっていた。

 

ノーヴェ「お前のはちょいと初速が速過ぎるんだな。初めはゆるっと脱力して途中はゆっくり……インパクトに向けて鋭く加速、これを素早くパワーを入れてやると………」

 

ノーヴェはコツを教えながら構えて、拳ではなく蹴りを打ち出すと、川の底が見えるまで川が割れて水柱が立った。

 

ノーヴェ「……こうなる」

 

アインハルトはノーヴェに教えてもらった通りに拳を打ち出すと今度は先程より水柱が前に進んだ。

 

ノーヴェ「穹もやってみるか?」

 

穹「俺ですか?…………川に穴くらいなら空けられるかな」

 

ノーヴェ「……………は?」

 

穹「ホルク」

 

ホルク『心得た、弾印(バウンド)』

 

穹の足元に弾印が現れ、それを踏むと穹は空高く上昇した。

 

ホルク『強印・二重(ブースト・ダブル)』

 

次に穹かざした左手に『強』と書かれた印が浮かびそれは川に配置され、穹は勢いよく印を殴りつけた。

すると凄まじい勢いで水柱が立ち、川の真ん中に大穴を作り出した。

当然、見ていた全員が唖然となったのは言うまでもない。

 

穹「………まぁ、こんなものか」

 

ノーヴェ「それ水斬りじゃねぇよ!!すごいけど!」

 

ルーテシア「それが八神指令から聞いてたホルクに内蔵されてる補助魔法か………」

 

アインハルト「…………」

 

ノーヴェ「アインハルト?変な対抗意識持たなくていいからな!」

 

川に向かって覇王流の構えをしようとするアインハルトをノーヴェは慌てて止めた。

それから穹はノーヴェに説教を受けて、ヴィヴィオとアインハルトは延々と水斬りを続けていた。

 

 

なのは「アインハルトちゃん楽しんでくれてるかな?」

 

スバル「ヴィヴィオ達が一緒ですし、きっと大丈夫です」

 

なのは「ノーヴェ師匠もついててくれるしね」

 

スバル「ありがとうございます」

 

なのは「ところでみんなは大丈夫~?休憩時間伸ばそうか~?」

 

なのはがひょこっと顔を出した崖の下では、フェイト、ティアナ、エリオにキャロとコウヤが完全に疲労困憊していた。

 

ティアナ「だ…………大丈夫で~す!!」

 

フェイト「バ………バテてなんか……いないよ……?」

 

コウヤ「なのはさん………………相変わらずの超絶スパルタ……ってかなんであの二人あんな涼しい顔してんだ………」

 

大人組はなのはとスバルを除いて完全にバテていた。

デスクワークの多い執務官の二人はともかくインターミドル上位選手や密猟者達を相手にする自然保護部隊の二人までもが動くこともままならない状態となり、何故か平然としているなのはとスバルに疑問を抱いていた。

 




裏話 この二人、腹黒につき

管理局108部隊オフィスにて、休憩時間を使って遊びにきた八神はやて、書類整理が一段落して休憩していたギンガ・ナカジマ、デバイスがまだ直らず暇なケイ・タチカゼ、そして何故か巻き込まれた嘱託魔導士、レイ・ナスネが卓を囲んでいた。
理由ははやて企画で負けたら言うことを聞く罰ゲームと景品(食堂の食券)付きのポーカーを行うからだ。

ケイ「景品より罰ゲームの方が楽しみだぜ」

はやて「ふぇっふぇっふぇ~何をお願いしようかにゃ~」

ケイとはやては黒い笑みを浮かべながら、様々なエグい罰ゲームを考えていた。

レイ「ギンガさん、私この二人だけは勝たせてはいけない気がするのですが……」

ギンガ「うん、私もそう思った……」

しかし、巧妙なイカサマを仕掛けてくるケイとはやてになすすべもなく、ギンガははやて企画の罰ゲームで1日メイド服で業務を行うことになり、レイはケイ企画の罰ゲームを受けそうになるが体調が優れず罰ゲームから逃れることが出来たらしい


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第27話 高町なのは③

現在の穹のステータス

スナイパーフォーム 当真レベル

ガンナーフォーム 烏丸レベル

シューターフォーム 少し未来の修(資質なら穹が上)


大人組が訓練を切り上げた頃合を見て、全員集まって昼食をとっていた。

 

コウヤ「……………で、そこの二人はどうした?」

 

ノーヴェ「水斬りのやりすぎでああなったんだ」

 

穹「程度を考えればいいのに」

 

ノーヴェ「……川に大穴あけた奴が言うことか?」

 

コウヤが指差す先で、ヴィヴィオとアインハルトが全身痙攣させていた。

理由はあの後、昼食であがるまで二人で延々と水斬りの練習をしていたからだ。

 

アインハルト「け、結局…………上手く出来ません…でした。」

 

ヴィヴィオ「そ、それでも………コツを掴むの………早いです。」

 

穹「だからってそうなるまでやるのはどうかと思うのは俺だけでしょうか?」

 

コウヤ「いや、それが普通の反応だ」

 

スバル「あれ穹、あんまり食べないの?」

 

そこには、皿一杯に色々盛っているスバルがいた。

その細身のどこにそれだけ入るのかと疑問に思うほどだった。

 

スバル「ちゃんと食べないと大きくなれないよ~」

 

穹「流石にスバルさんのそれは……それにそれはキャロさんに言うべきことだと……」

 

キャロ「ちっちゃくないよっ!!!」

 

ルーテシア「ねぇホルク、あなたに内蔵されてる補助魔法について色々聞きたいんだけど?」

 

ホルク『心得た』

 

なのは「ねぇ穹君、お願いがあるんだけど」

 

大量の料理を盛り付けたスバルをキャロに押し付けていた時、なのはに声をかけられ振り向く。

 

なのは「午後の訓練だけど、後半穹君に手伝ってもらおうかなと思うの。君の狙撃のことアインハルトちゃんが凄いって言ってたから、その腕を見込んで『狙撃対策訓練』でスナイパーをやってもらいたいんだけど、どうかな?」

 

穹「俺で良ければやりますけど、射程に制限は?」

 

なのは「無いけどレイヤー設備の外には出ないで欲しいかな」

 

ティアナ「ちなみを聞きたいんだけど、穹の狙撃の最大射程は?」

 

穹「正確に計ったことはありませんが………………今までやった中での最大射程は『600m』でした。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして昼食を終えて、自分の食器を片付けた穹は一人バリアジャケットを装着してスタンダードなスナイパーライフル『イーグレット』を構えた。

そして、穹の立っている所からかなり離れた所にある岩の上にはエリオから貰った薪が一本置かれていた。

穹はスコープで標準を合わせ、引き金を引く。

放たれた弾は寸分の狂い無く薪の中心を捉え、薪の真ん中に風穴を穿った。

 

ホルク『調子はいいようだな』

 

穹「あぁ、制限が無いなら状況に応じて他の2つと使い分けるか」

 

穹はバリアジャケットを解除してロッジに向かおうとした時、丁度近くを散歩していたヴィヴィオとアインハルトを見かけた。

ヴィヴィオはどこか浮かない表情でアインハルトはそんなヴィヴィオを見て気まずそうにしていた。

 

穹[大方、アインハルト先輩が自分のことを話してそれで気まずい雰囲気を作ってしまって何かヴィヴィオが喜びそうな話が無いか考えたが何も思い浮かばず困っているって所か?]

 

ホルク[ヴィヴィオは思いやりのある優しい子だ。彼女から古代ベルカの戦乱について聞いたのだろうな]

 

穹[仕方ない、助け舟出すか]

 

穹は木の影から様子をうかがっていたが、アインハルトが気の毒に思え、少し離れた所の茂みから出て二人の下に走った。

 

穹「ヴィヴィオ、アインハルト先輩、少し早いですが、なのはさん達の訓練見学しようと思うんですが行きませんか?今丁度模擬戦やってるみたいです」

 

ホルク『私の分身体が今その訓練をみているのだ』

 

ヴィヴィオ「アインハルトさんも見に行きませんか?」

 

アインハルト「…………はい」(ああ良かった、笑ってくれた)

 

アインハルトは心の中で穹に感謝して、ノーヴェと合流し演習場に向かった。

 

アインハルト「え?ヴィヴィオさんのお母様方も模擬戦に………?」

 

ヴィヴィオ「はい!ガンガンやってますよ~!」

 

アインハルト「お二人共、家庭的でほのぼのとしたお母様で素敵だと思ったんですが、模擬戦にも参加されてるなんて少し驚きました」

 

それを聞いたノーヴェと穹は、当然なのはとフェイトのことを身をもって知っている為後ろで必死に笑いをこらえていた。

 

ヴィヴィオ「えと、参加というかですね

 

 

 

 

 

 

ウチのママ航空武装隊の戦技教導官なんです」

 

 

途中で合流したリオ、コロナ、ルーテシアと演習場に行くとなのはがスバルとティアナのタッグを相手に凄まじい魔法戦を繰り広げていた。

その迫力にアインハルトも目を輝かせていた。

そして近付く翼が羽ばたく音の方向を見るとバリアジャケットを装置したフェイトと大きくなったフリードに乗ったエリオとキャロが飛んできた。

 

アインハルト「あれはアルザスの飛竜…………!?」

 

コロナ「キャロさん竜召喚士なんです」

 

リオ「エリオさんは竜騎士!」

 

ヴィヴィオ「で、フェイトママは空戦魔導士で執務官をやってます」

 

穹「竜騎士って…………………あの青い竜の鎧を着て異世界のどこかにあるイシュガルドって名前の山の都をドラゴンから守っている?」

 

ルーテシア「それは………………絶対竜騎士違いだと思う」

 

ノーヴェ「ってか誰からそんなこと……」

 

穹「え?シャマル姉さん…………ですが……」

 

ノーヴェ(あの人多趣味なのか?ってか確か地球のオンラインゲームだったような………一体どうやって………)

 

 

 

ヴィータ「シャマル、それ確か地球のオンラインゲームだろ?どうやって手に入れたんだ?」

 

シャマル「ふふん、私の独自のコミュニティーを使ってよ♪」

 

シャマルのPCには『腐った果実の会』というサークル名とホーム画面の美男子と薔薇が表示されていた。

 

ヴィータ「そ、そうか……」

 

ヴィータは静かに部屋の扉を閉めて深く深呼吸をした。

 

ヴィータ「…………………見なかったことにしよう。ヴィータはクールに去るぜ」




シャマルさんは腐女子、しかしそれを知る者は少ない(はやてとヴィータを除く)

なおあとがきですがネタが尽きてしまいましたので今回は無しにします。
あとがきのご要望等がありましたら、活動報告にある要望受付までお願いします!


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第28話 ティアナ・ランスター

ワールドトリガー風のあだ名考えてみました

コロナ・ティミル 文系腐女子

ルーテシア・アルピーノ 2代目腹黒狸

キャロ・ル・ルシエ 竜使いの14才児


なのはの手元のタイマーが0になり、実戦訓練が終了した。

穹はなのはに呼ばれ、レイヤー演習場に降りた。

 

なのは「それじゃあこれから穹君の協力の元、元スターズと元ライトニングに別れての狙撃対応訓練を始めるよ。ルールは簡単、穹君にはこのレイヤー演習場内を使って狙撃をしてもらうよ。それをかいくぐって穹君を捕まえればクリア。実戦を想定して一発でも当たったら駄目にしようと思ったけど、ノーヴェから聞いた限りクリア難しくなっちゃうから被弾数は5発、穹君には被弾したら被弾箇所にマーカーが付く弾を撃ってもらうよ。2組が終わったら、私とフェイトちゃんで最後ね」

 

穹「あの二人に当てるのは至難の業だと思う……」

 

フェイト「それじゃあ、準備お願いね」

 

穹「はい!来いホルク、セットアップ!!」

 

ホルク『心得た、set up』

 

ホルクが指輪に戻り、穹はバリアジャケットを装着した。

そしてその手にはスタンダードなライフル『イーグレット』が握られていた。

そして穹はバッグワームを起動してレイヤー演習場の建物の奥に消えていった。

 

 

穹『なのはさん、準備出来ました。いつでも初めて下さい。』

 

なのは「うん、最初は元スターズから、準備はいい?」

 

スバルとティアナはそれぞれバリアジャケットを装着し武器を構えた。

そしてホロ画面のカウントダウンが始まり、カウント0と同時に二人は飛び出した。

 

ティアナ「スバル、『ウイングロード』は使わないで。的になるようなものよ」

 

スバル「了解、それでどうやって穹を見つける?」

 

ティアナ「とりあえず、狙撃の対策は射線の通らない建物の中や物陰を移動するの。あとは一つずつ狙撃ポイントを…………」

 

その時、ティアナの右の側頭部に一筋の光が当たった。

ティアナは慌てて弾の来た方向を見ると、現在地から狙撃された場所までの距離が表示された。

 

ティアナ「ろ………690m!?」

 

 

 

 

その頃、ティアナを狙撃したポイントでは穹がバッグワームのフードを被り、スコープごしにスバルとティアナを見ていた。

 

ホルク『当たった。まず被弾1だな』

 

穹「けど、狙撃が通りづらい箇所を移動されていると厄介だな。ホルク、二人の正確な位置を教えてくれ」

 

 

 

ティアナ「完全に油断していたわ、まさかあの距離から撃ってくるなんて!スバル、建物の中から行くわよ!!」

 

スバル「了解!」

 

二人は狙撃を警戒しながら近くの建物の中に入っていった。

そして窓から飛び移りながら建物の中を移動していた。

しかし、ここで予想外の出来事が起こった。

突然壁が撃ち抜かれ、魔力弾がスバルの肩に命中した。

 

ティアナ「壁越しの相手を狙撃!?そんなことまで出来るの!!?」

 

 

 

ホルク『上手くいったようだな、アイビスの威力があって出来ることではあるが』

 

穹「あぁ、だけどこれは命中精度かなり下がるからこれ一回きりだが、ティアナさんはこれで建物の中も安全じゃないと判断するだろ。」

 

 

 

 

 

 

スバル「ティアどうする?建物の中も駄目なら………」

 

ティアナ「いえ、あれは牽制ね。壁抜きなんてそう何度も出来る程命中精度は高くない筈よ、だったら…………」

 

 

 

ホルク『…………穹、二人に動きがあった。』

 

穹「よし、計算通り」

 

穹はスコープを覗き込む、ティアナとスバルが窓から飛び出し壁伝いに走り出した。 

警戒は怠っていない、狙撃が予想される前方、後方、左方に注意を向ける。

しかし、常にその全てを警戒出来るわけではない。

警戒する方向は人の目では一方向、必ず警戒が少なからず緩む箇所がある。

穹はその隙を見逃さず、弾速の速いライトニングに持ち替える。

近未来的外見の銃口から魔力弾が高速で撃ち出される。

弾は一直線にスバルの頭に向かい命中…………………する筈だった。

魔力弾がスバルの頭に当たった瞬間、スバルはまるで陽炎のように揺らいで消えた。

 

ティアナ「見つけた!クロスミラージュ!!」

 

『了解、マーキング完了』

 

穹「しまった、釣られた!?」

 

穹が急いでポイントを変えようとしたその時、突然視界が暗くなった。

上を見上げると、青い帯に乗ったスバルが拳を構えて飛び込んできた。

 

スバル「見つけた~!!!」

 

穹「…………仕方ないか」

 

穹のライトニングが黒く変色し、その標準をスバルに向ける。

スバルは防護魔法を展開するが、撃ち出された弾は防護魔法をすり抜けてスバルの腕に命中すると命中した箇所に六角形の杭のようなものに変化、スバルは突然急速落下した。

 

スバル「何これ!?重……!!!」

 

突然重石のようなものを撃ち込まれたスバルは慌てて穹を探すが、すでに逃げた後だった。

穹はスバルを行動不能にして建物から飛び降り、次の狙撃ポイントに向かおうとしていた。

しかし、移動しようとした直後後頭部に銃口が向けられた。

 

穹「…………よく分かりましたね」

 

ティアナ「わかってたわけじゃないよ、ユウさんと違って未来見えるわけじゃないし。ただスバルが何かの仕込みにやられた時、私はすぐフォロー出来るようにこの建物の下で待機してただけ」

 

まずティアナは、壁抜きを受けた直後に幻覚魔法でスバルのダミーを作り、スバルの本物は穹の死角を通って上空にはしらせた青い帯『ウイングロード』に乗って演習場の上空で待機した。

そして、ティアナはダミーのスバルと建物から飛び出し、警戒する素振りを見せながらもわざと隙を作っていた。

そして狙い通り、穹は撃ってきた。

あとはマーキング情報をスバルに送り、スバルは穹を急襲する。

そして、ティアナはスバルが何かのトラップなどにやられた時を想定して穹のいる建物の下で待機していた。

 

穹「狙撃手は居場所を知られたら負け…………まさにそうですね。俺も随分狙撃の腕が落ちたみたいです」

 

穹はなのはに連絡し、元スターズの狙撃対応訓練は終了した。

 

被弾数

 

ティアナ 1

 

スバル 2

 

クリアタイム  40分59秒




今回はあとがきではなく、ちょっとした告知をさせていただきます

実は聖王と魔弾の射手が落ち着きましたらリリなの二次でシリーズ系を展開しようと計画しております。
詳しくは活動報告に載せています。
予告は近い内に無印から出す予定です


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第29話 高町なのは④

リリなのシリーズもの、無印編予告出来ましたので活動報告に載せてみました
まず、こっち進めないといけないのです………

尚、今回は魔王本領発揮につき短く終わるかもしれません


元スターズの次、元ライトニングのエリオ、キャロの狙撃対応訓練がすぐに行われた。

しかし、密猟者と違い対人の狙撃は似て非なるもので二人は四苦八苦するも2時間かけてようやく終わった。

 

スバル「ふ、二人共…………おつ、お疲れ……」

 

ティアナ「ちょっとスバル、笑っちゃ可愛そうでしょ………」

 

キャロ「?……………どうしたんですか?」

 

キャロを見るなり必死に笑いをこらえるスバルとティアナにキャロは頭に?を付けて首を傾げた。

 

エリオ「えっと…………キャロ?凄く言いにくいんだけど……」

 

エリオはキャロに鏡で今の自分を見せた。

丁度、両方の頬に赤い丸の被弾マーカーが付けられていた。

 

キャロ「な、何これぇ!!!!!!」

 

スバル「アハハハ!!!!!お父さんが昔見せてくれたアニメにあんなのいた!!」

 

ティアナ「お腹痛い!!穹、あれ絶対確信犯よね!?」

 

穹「キャロさんが、あまりに隙だらけだったもので………つい」

 

腹を抱えて爆笑する二人に穹はしれっとわざとやったことを白状した。

その顔からは反省の色が全く見られない。

 

キャロ「エリオ君~穹君がいじめる~!!!」

 

エリオ「あ~よしよし……」

 

泣きつくキャロをエリオが宥めた。

その光景はいじめられて兄に泣きつく妹にしか見えなかった。

 

その光景を見ていたギャラリーのヴィヴィオ達は…………

 

ヴィヴィオ・ノーヴェ(……兄妹にしか見えない)

 

リオ・アインハルト・コウヤ(………兄妹?)

 

ルーテシア(いいの撮れた♪これでまたいじるネタが増えた♪)

 

コロナ(兄妹…………禁断の恋…………エリオ(兄)×キャロ(妹)…………それはそれで………)

 

約1名完全に妄想に浸っているが半数が似たことを思ってたのは言うまでもない。

 

なのは「じゃあ、あとは私とフェイトちゃんだね」

 

穹「本当にやるんですか?…………必要ないと思いますけど……」

 

フェイト「そんなことないよ、私達だってちゃんと訓練しないと勘が鈍っちゃうからね」

 

穹は渋々了承して演習場内に消えていった。

それを見送ったなのはとフェイトは所定の位置につき、表示されたカウントが0になると同時に文字通り飛び出した。

 

なのは「さて、穹君はどう出るかな?」

 

フェイト「ティアナの時みたいに超遠距離から狙撃してくるかもしれないね」

 

なのは「それならそれで対処のしようがあるんだけどね~」

 

しかし、そんな二人の予想と違い穹は隠れることを優先していた。

生半可な狙撃ではあの二人にはかすりもしないと判断したからである。

当たりもしないのに撃てばそれは自分の居場所を教えるようなもの、そこで穹は遠距離にいると予想する二人の裏をかいた。

穹がいるのは二人がまもなく通過する通路のすぐ隣にある建物の屋上だった。

そして低空飛行する二人の姿を捉えると、イーグレットを2つ用意して構える。

そしてギリギリまで物陰に身を隠して、二人が通過した瞬間に2つのイーグレットを構えて狙いを定め、引き金を引いた。

頭とはいかなかったが、なのはとフェイトの背中に被弾マーカーが表示されたことを確認した穹は二人と目が合った途端一目散に逃げ去った。

 

穹「は、ははは………やってやったよ、ツインスナイプ!あのエース二人に被弾させてやったよ!!!」

 

穹の中にあの管理局のエースを出し抜いたという愉悦があったがそれもすぐに恐怖に変わった。

遠目から、なのはが杖に魔力を収束させていることに気付いたからだ。

 

なのは「穹君見つけた…………随分遠くまで逃げたね、逃がさないけど…………スターライト──」

 

穹は必死に遠くへ逃げるが頭の中ではわかっていた、逃げても無駄だということに………

 

なのは「ブレイカー!!!!!!!」

 

そして穹は迫り来る光に為すすべもなく飲み込まれていった。

 

クリアタイム 5分

 

被弾数 

なのは 1

 

フェイト 1




裏話 小さき者達の苦悩

ヴィータ「この前さ、嘱託魔導師の教導やったんだけどさ、そしたらなんて言われたと思う?『教導官さんは子供なのに凄いですね!!』だとよ……普通ならアイゼンで埋まるまで叩きのめすんだが、純粋な目して言うんだよ!!殴れるか~!!!!」

ソウジ「確かに辛いな………俺は知り合いの付き合いで飲みに行った時、酒を注文したら店の奴に『未成年にお酒は出せません』と言われた…………執務官の身分証を見せた時など偽装だと疑われた……」

ヴィータ「ソウジ、お前も辛い人生送ってるんだな…」

ソウジ「なに、お前程では無い……こんな身近に同じ悩みを抱えている奴がいるとはな……」

ヴィータ「あぁ……………もう少し、早くに語り合いたかったぜ」

ソウジ「…………同感だ」

この日、見た目子供な二人の間に妙な友情が芽生えた。



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第30話 コウヤ・イズノヤ③

ふと思いましたがボーダーのオペレーター女性陣レベル高いですよね~

近い内企画として人気投票でもやってみようかな~なんて思ってたりします


狙撃対応訓練が終了し、全員バリアジャケットを解除して集合したわけだが・・・・・・・・・・

 

穹「なのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖い」

 

穹は最後になのはからうけた収束魔法が余程トラウマになってしまったらしく建物の影にうずくまってうわごとのように同じことを呟いていた。

 

なのは「そ、穹君?その・・・・・ごめんね、そこまで怖がられるなんて思わなかったから―――」

 

穹「ヒッ!!」

 

穹はなのはの顔を見るなり尋常ではない程怯えて建物の中の物陰に隠れてしまった。

 

ティアナ「えっと・・・・・なのはさん?多分『これ』が原因かと・・・」

 

ティアナは先程の訓練映像を再生してみせた、穹に向けて魔力を収束していた際のなのはの目からはハイライトが消えて・・・・・・・・・・・笑っていたのだ。

 

なのは「え!?私こんな顔してたの!!」

 

エリオ「あ~・・・・・これは確かに怖いですよね・・・」

 

スバル「なのはさんたまに子供っぽいとこありますからね~」

 

キャロ「でもだからってこれはやりすぎですよね~・・・」

 

なのは「あうぅ~フェイトちゃん~周りに味方がいない~」

 

フェイト「あ~・・・・よしよし」

 

元教え子達の容赦ない口撃になのははフェイトに泣きつき、フェイトもやれやれという表情でなのはを宥めた。

それを見たギャラリーの反応は・・・・・・

 

コロナ以外全員(なんかデジャヴ・・・・・・)

 

コロナ(フェイ×なのktkr!!あとでネタをまとめないと!)

 

約1名を除いて先程のエリオとキャロの光景と被って見えたことはいうまでもない。

 

 

 

 

 

その日の夜、なのはとフェイトとメガーヌ以外の女性陣は温泉に入り、恐怖から立ち直り復活した穹とコウヤはロッジの近くでトレーニングをしていた。

 

コウヤ「ハウンド!!」

 

コウヤの右手にキューブ状の魔力弾が出現し、8つに分裂すると上空に撃ち上がり、放物線を描き穹に迫った。

穹は冷静に弾道を見極め、確実に避けていく。

コウヤは左手に新たなキューブが形成され、今度は細かく分裂して周囲に散りばめていく。

 

コウヤ「ならこれはどう避ける?バイパー!!」

 

無数の魔力弾が不規則な弾道を描きながら穹に襲いかかる。

穹は迫りくるバイパーをギリギリで避けながらキューブ状の魔力弾を形成していく。

 

穹「アステロイド・低速散弾!!」

 

穹のキューブから小さな粒子がスローで発している。

この粒子は極小のアステロイドで穹は性能を弾速0,1、射程29,9、威力70の魔力配分に調節して自分の周囲を弾幕で埋め尽くし四方八方から襲い来るバイパーを相殺した。

 

コウヤ「ほお、いい発想じゃねえの。ならこれで———」

 

穹「?・・・・・師匠、温泉のほうが騒がしくないですか?」

 

穹に言われコウヤが聞き耳をたてると、確かになにやら騒がしかった。

その時、指輪が発光してホルクが出現した。

 

ホルク『穹、温泉の方から魔力反応だ。これはリオのものだな』

 

穹「リオの?一体何が———」

 

リオ「やあああああああああ!!!!絶招炎雷炮!!!!!!」

 

次の瞬間、温泉の方向に凄まじい雷が迸り、轟音と共に何かが遥か上空に打ち上がった。

 

穹「不審者か?」

 

コウヤ「かもな・・・・・穹、前教えた『あれ』できるよな?」

 

穹「出来ますけど、まさか・・・」

 

コウヤ「そのまさかだ」

 

コウヤは口角を吊り上げると、両手にキューブを形成した

 

コウヤ「メテオラ+バイパー」

 

穹はため息交じりにコウヤ同様両手にキューブを形成した。

 

穹「アステロイド+アステロイド」

 

二人の両手のキューブが交わり、一つのキューブとなり、8つに分裂した。

 

コウヤ「トマホーク(変化炸裂弾)!!」

 

穹「ギムレット(徹甲弾)!!」

 

穹の8つの魔力弾が直線上に不審者?に襲い掛かると同時にコウヤの魔力弾がバイパーのように不規則な弾道迫った。

 

??「え!?ちょ・・・・・ま・・・・」

 

そしてほぼ同時に着弾して花火のように大爆発を起こして不審者は温泉の中に落ちていった。

 

穹「師匠容赦ないですね、吹っ飛ばされた不審者に合成弾はやりすぎですよ」

 

コウヤ「まあ、生きてはいるだろ・・・・・・・・・・・多分。にしても、ひいき目なしに上達したな。明日の朝にでも特殊弾ひとつ解放してやるよ」

 

穹「ありがとうございます、あの不審者気になりますし一度戻ってみましょう。」

 

コウヤ「そうだな、今頃なのはさん達が確保してる頃だろうけどな」

 

穹とコウヤはバリアジャケットを解除するとロッジに戻っていった。




本日NGシーン
第26話八神穹⑤より

ノーヴェ「穹もやってみるか?」

穹「俺ですか?…………川に穴くらいなら空けられるかな」

ノーヴェ「……………は?」

穹「ホルク」

ホルク『心得た、弾印(バウンド)』

穹の足元に弾印が現れ、それを踏むと穹は空高く上昇した。

ホルク『強印・二重(ブースト・ダブル)』

次に穹かざした左手に『強』と書かれた印が浮かびそれは川に配置され、穹は勢いよく印を殴りつけた。
しかし、勢いがつきすぎて川に大穴を空けて川底に拳をぶつけてしまった。
当然穹は泣き出してしまった。

リオ「うわ~痛そう~」

するとどこからかサイレンがなってアナウンスのようなものが流れてきた

『門(ゲート)発生!門(ゲート)発生!』

突然黒い穴のようなものが川の真上に現れて「何か」が勢いよく穹に向けて飛び出した。

はやて「穹!大丈夫か?痛かったな~よしよし」

監督「カットオオオオオオ!!!!!!ちょ!あんた何勝手に出てんの!?」

はやて「息子心配するんは当然やろ?」

監督「いやいやいや!色々おかしいからな!!ってか何あの門(ゲート)!!なんであそこから出てきた!?」

はやて「穹が泣いてる気配がして転移したら『ロドクルーン』ってとこの船の中でな。玄海(ミデン)がどうのとかわけわからんこと言うとったからボコボコにしてここに来れるようにさせたんよ」

はやてはどや顔でそう言った。

監督「原作で『ロドクルーン』不参加なのお前の仕業かあああああ!!!!!」

*詳しくはジャンプにて人気連載中の「ワールドトリガー」にて


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第31話 八神穹⑥

近々特別編を予定しています
内容は・・・・・・・秘密ってことにしますね、その方が面白そうですので


コウヤと穹がロッジに戻ると、すぐ目に入ったのは温泉から上がった女性陣とその中にいる見知らぬパンチパーマのような髪型のシスターだった。

 

ヴィヴィオ「あ、穹君にコウヤ選手」

 

穹「・・・・・ヴィヴィオ、そのすごくパンチの効いたシスターは?見たところ聖王教会の人みたいだけど」

 

ノーヴェ「こいつはセイン、私らの知り合いで聖王教会のシスターだ。あの髪は・・・・・・さっき温泉で悪ふざけがすぎた時に吹っ飛ばされて突然の爆発でやられた」

 

それを聞いた穹はすぐに理解した、先程合成弾で追い打ちした不審者がセインであることに。

 

コウヤ「それ、俺たちですね。そこの八重歯の子の悲鳴と一緒に撃ち上がってたんで不審者かと」

 

ルーテシア「実際、やってたことは不審者と変わらないけどね~」

 

セイン「けどあれはヒドイんじゃないかな!?」

 

穹・コウヤ「不審者は撃退するべきだと」

 

穹もコウヤもセインを吹き飛ばしたことに対してなんの反省も後悔も罪悪感もない表情で言った。

 

セイン「誰が不審者か!!」

 

ティアナ「アンタ以外誰がいるのよ・・・」

 

スバル「ま、まあまあ、セインも反省してるんだしその辺にしてあげよ?」

 

スバルの助け舟によってなんとか場が収まり、コウヤは穹となのはに渡されたドリンクを飲みながら様々なシューターの戦い方を教わっていた。

コウヤや穹の使うこのシューターはいわば考えながら戦うスタイルといってもいい。

自分の持っているもの、相手の持っているもの、お互いの狙い、戦場の条件、仲間の位置、あらゆる要素を使って相手の動きをコントロールする事を目的とし、様々な状況にすぐさま対応出来る最新鋭のセンターガードを育成する目的で考案されたのだ。

コウヤやもう一人のテスターも高校生ながらこのシューターで嘱託魔導士として様々な管理局の要請を受け、目覚ましい実績をあげており卒業後は管理局入りを嘱望されている。

 

スバル「そういえば穹、訓練の時私に撃ったあれは何なの?」

 

スバルはふとした疑問を穹にぶつけた。それは午後の狙撃対応訓練の際、急襲を仕掛けたスバルに穹が撃った重石のようなものを付ける弾のことだった。

 

穹「あ~・・・・・・『鉛弾(レッドバレット)』、重石で相手を動けなくする俺が唯一使えるバインドです。防護魔法をすり抜けるので防ぐことはできません。」

 

フェイト「それは強力だね。でも、なんであの時使わなかったの?」

 

フェイトが言うあの時とは、以前保護施設を脱走しようとしてなのはとフェイトと対峙した時のことだった。

確かにあの時使っていれば、穹は二人を無力化することもできたはずだった。

 

穹「そう都合のいものでもありません。一つの欠点は俺のバッグワームや封じ手『魔弾の射手』と同時には使えません、鉛弾はどのタイプの銃でも使えますがあくまで俺のバッグワームと『魔弾の射手』と同じ補助魔法の類で、同時に使うことは出来ないんです。」

 

ティアナ「『魔弾の射手』?」

 

なのは「穹君の使う転移式の攻撃魔法だよ、結構強力だけどタネが解ると避けられやすいんだよ」

 

穹「(それはなのはさんとフェイトさんが化け物じみてるからだと・・・・・)もう一つの欠点は弾速の問題です。鉛弾は重くする効果に魔力をごっそり使っているので射程と弾速がかなり落ちます。俺の狙撃用兵装なら銃本体の構造で射程は保証できますが、それでも弾速が遅いので当たりません。その例外が、あの時使っていた「ライトニング」という狙撃用兵装です。あれは弾速特化で使用者の魔力によって弾速が速くなるので弾速が落ちても実戦で使える弾速で撃てます、あの時これを使わなかったのは思いついてなかったからです。この組み合わせを考えてくれたのは、母さんとヴィータ姉さんです。」

 

なのは「はやてちゃんとヴィータちゃんが?」

 

穹「一時期、人を傷つけず無力化する方法として鉛弾を使おうと考えていた時に母さんとヴィータ姉さんが一緒に考えてくれたんです。」

 

穹はいつも面倒を見てくれる姉と心配性なところがあるが自分を受け入れてくれた心優しい母との思い出に笑みを浮かべながら話した。

 

 

 

その夜、なのはとフェイトは明日の模擬戦の組み合わせを決めて、ヴィヴィオ達は部屋で明日の模擬戦についてを楽しそうに語っていた。

そんな時、ヴィヴィオは窓の外で誰かが外に出ているのを見てそれを追うように外に出る。

外に出て人影を追ってアスレチックに行くと月明りに照らされた白髪と肩に乗る鷹ですぐ誰なのかがわかった。

 

ヴィヴィオ「穹君?」

 

穹「ん?ああ、ヴィヴィオか」

 

穹は座っていたアスレチックの柱の上からヴィヴィオのすぐ目の前に降り立った。

 

ヴィヴィオ「どうしたの?」

 

穹「まあ、考え事・・・かな。ついこの間までの俺は想像もできなかっただろうな、こうして友達や家族と笑いあったり、互いに競い合ったり、とかさ。」

 

穹は星を見上げながら、以前の自分を思い出していた。

裏社会の廃屋にアジトを作り、仕事の依頼を受けて標的を殺し稀に危険な物を運ぶ事もあった。

そんな自分が帰る家と帰りを待つ家族、そして仲のいい友人を作ることになるとはかつての自分には想像もできなかった。

 

ヴィヴィオ「後悔、してる?」

 

穹「まさか、こうして母さんや姉さん達、それにヴィヴィオやリオにコロナ、皆と会えたのに後悔なんてするかよ」

 

ヴィヴィオ「なら穹君、これからもきっと楽しいこといっぱいあるよ!」

 

穹とヴィヴィオは笑いあい、ホルクに言われロッジに戻っていった。

————そして、模擬戦の日を迎える

 




裏話
とある陸尉達と執務官の談話(フリートーク)

アサシンの異名を持つ執務官ソウジがラウンジでくつろいでいると見知った
二人が来た。

ケイ「ようソウジ、隣いいか?」

ユウ「ぼんち揚げ食う?」

ソウジ「珍しいな、特にユウはいつもなら八神のとこの騎士に追い回されている頃ではなかったか?」

ケイとソウジはユウが持つ袋からぼんち揚げを一つずつ取りかじる。

ユウ「俺そんな毎日追い回されてるイメージある?」

ケイ「昨日も一昨日も局中走り回ってたじゃねえか」

ユウ「いや~今日は運よくシグナムさんオフだからいないんだよね~・・・・・・・・・平和って素晴らしい」

ソウジ「・・・・・・・そうだな」

ケイ「・・・・・・何事も平和が一番だよな」

そう言いながら二人はユウから距離を置いた

ユウ「・・・・・・・えっとお二人さん、俺今すごく後ろ振り向きたくない」

ソウジ「ユウ・・・・・・・・お前とは長い付き合いだったな」

ケイ「骨は・・・・・・拾ってやるよ」

直後、ユウは勢いよく飛び上がり迫りくる剣はユウの座っていた椅子のみを切り裂いた。

シグナム「ほお、今のを避けるか。さすがは私の見込んだ男だ」

ユウ「シグナムさん程の美人に言われるのは光栄だけど・・・・・・今日オフじゃなかった?」

シグナム「お前が油断してラウンジでくつろいでいる気配がして来たが、正解だったようだな!!」

シグナムの剣がユウに次々と襲い掛かり、ユウは未来視のレアスキルで避け続ける。
そして、シグナムはレヴァンティンを鞭剣にしてユウに斬りかかりユウは一目散に逃げ去った。

シグナム「待てユウ!今日こそは私と戦え!!」

嵐が去った後のラウンジではソウジとケイを含め休憩していた局員達も呆然としていたが、見慣れた光景なのか中にはユウが捕まるかを賭けている局員もいた。

ケイ「・・・・ソウジ、お前どっちに賭ける?」

ソウジ「賭け事は好かん」



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第32話 模擬チーム戦

穹「随分更新遅れたな、言いたい事はあるか?」

・・・・・・ニコ動で、東方の幻想入りシリーズ見てまして・・・・面白いのを次々と見つけて一気見していたら・・・・・・・

穹「他に言い残すことはあるか?」

・・・・・・リリなのシリーズの他にエブリスタで書いてて強制非公開されていた幻想入りモノこっちで書こうかな、なんて

穹「・・・・・・アステロイド+アステロイド」

すみませんでしたあああああああああ!!

穹「もう遅い、ギムレット」

———戦闘体活動限界、緊急脱出(ベイルアウト)


翌日の早朝、穹はコウヤに特殊弾を一つ解放してもらうためラウンジで待ち合わせていた。

 

コウヤ「最初に解放してやるのは『ハウンド(誘導弾)』だ。『バイパー(変化弾)』はもう少し錬度上がってからのがいいだろうし、『メテオラ(炸裂弾)』は爆発する分使いどころ考える必要あるからな」

 

コウヤはホルクの本体の指輪を小型の専用機器に入れてロック解除の操作を行った。

そして、ハウンドのアンロックが完了し、コウヤは取り出したホルクを投げ渡した。

 

コウヤ「んじゃ、外で朝飯前にハウンド試し撃ちさせるぞ。ハウンドの追尾には誘導半径ってのがあって、相手目がけて曲がるのは一度だけでもし一度誘導半径を見切られるとあっさり接近許しちまうんだ。ま、試しに撃てばわかるか」

 

穹はコウヤについて外に出て、バリアジャケットを展開した。

 

コウヤ「そんじゃ、早速撃ってきな」

 

穹「はい、ハウンド(誘導弾)!!」

 

穹の右手にキューブが出現し、8つに分裂して上空に撃ちあがる、そしてハウンドは軌道を変えてコウヤに向けて迫ってきた。

コウヤは弾道を見極めて、昨夜の穹の様に一つずつ確実に避けた。

 

コウヤ「穹も昨夜の時点で気づいただろうが、ハウンドの追尾はあくまで名前の通り誘導するのが主だ。避けやすいが確実に相手の機動性を削ぐ事が出来る、相手の機動性がなくなれば・・・・」

 

穹「・・・・・・そうか、仲間が攻めやすくなる」

 

コウヤ「そういうことだ、相手を倒すだけが戦い方じゃない。特にチーム戦じゃ優秀な支援があれば仲間の負担が減る。お前には今まで縁がないことだろうが、中々合ってると思うぜ」

 

穹の中で様々な戦闘シュミレートが浮かび、今までとは違う新しい戦い方が見いだされて穹は内心ワクワクしていた。

 

コロナ「あれ、穹君とコウヤ選手?」

 

声のした方向を向くと、ルーテシアとコロナがいた。

 

穹「おはよう、コロナ、ルーテシアさん。二人ともどうしたの?随分早いみたいだけど」

 

コロナ「ルーちゃんに、私のデバイス作ってもらったの!」

 

コロナの手には綺麗な装飾のされたデバイスが握られていた。

 

穹「綺麗なデバイスだな、ルーテシアさんって結構芸術家肌?」

 

コロナ「そうかもね、ここの施設設計したのもルーちゃんだし」

 

穹・コウヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 

穹もコウヤも耳を疑った、ここにある施設はとても素人が手掛けたとは思えないほどの物ばかりで、てっきり業者に手配したものだと思っていた。

 

コウヤ「いやいやいや、ティミルちゃんよ。いくらなんでも冗談が過ぎるだろ、それにそんな嘘、穹のレアスキルがある限り騙され・・・・」

 

穹「嘘・・・・・・ついてません。」

 

コウヤ「・・・・・・・・・」

 

ルーテシア「ま、ここの温泉もロッジの改築もお遊びレベルなんだけどね~」

 

そう言いながらルーテシアはロッジや温泉、その他様々な事細かな設計図を展開した。

 

穹「ルーテシアさん、それ遊びの範疇超えすぎてます」

 

コウヤ「これ、普通に金とれるレベルだぞ・・・・・・」

 

ルーテシアの意外な才能に二人は驚きながらも、騒がしく朝は過ぎていった。

そして、チーム別に分かれてミーティングが行われ、1回目の模擬戦開始時間近づいていた。

なのはの合図と同時に全員がバリアジャケットを展開して準備が完了した。

 

構成は以下の通り

赤組

CGティアナ FBキャロ GWフェイト WBコロナ、コウヤ FAノーヴェ、アインハルト

 

青組

CGなのは FBルーテシア GWエリオ、リオ WB穹 FAヴィヴィオ、スバル

 

ティアナ「序盤は多分同ポジション同士の1on1、均衡が崩れるまで自分のマッチアップ相手に集中ね」

 

「おー!」

 

なのは「向こうは中盤に突破力の高い子が揃ってる序盤は守備を固めて向こうの足を止めていこう」

 

「はいっ!」

 

なのは「それじゃあ穹君、ミーティングの通りにお願いね」

 

穹「了解」

 

直後、ホロ画面にメガーヌとフリードとガリュー、そしてどうやって入手したのか銅鑼が映し出された。

 

メガーヌ「それではみんな元気に・・・・・・・試合開始~!」

 

ガリューが銅鑼を鳴らして試合開始が宣言され、最初の模擬戦が始まった。

 




裏話 とある腐女子達の密会

模擬戦前夜、密かに部屋を出て誰もいない空き部屋で通信を行う影が一つあった。
自他ともに認める腐女子、コロナ・ティミルである

コロナ「こんばんわ、師匠。二つ程ネタがあがりましたから送りましたのでご報告させていただきます」

ホロウィンドウの向こうの人物は送られたデータに目を通した。

??「流石ね、エリオ×キャロは素晴らしいわ。けど、もう一つは残念だけどボツね」

コロナ「・・・・・何がダメだったのでしょうか・・」

??「もはやフェイ×なのは、テンプレ、ありきたり過ぎてしまっているからよ!」

画面の向こうの人物の言葉にコロナは全身に電流が流れた感覚に見舞われた。

コロナ「しかし、そうなるとエリオ×キャロも同じなのでは?」

??「そうね、けどこちらは禁断の恋要素を更に取り入れれば・・・・・」

コロナ「さ、流石師匠!!これは凄い!」

そしてその画面の向こうの人物とは・・・・・・













シャマル「さあ、これからよ。これはきっと素晴らしい薄い本になると思うわ!」

当然、穹の姉、シャマルであることはいうまでもない。


エリオ・キャロ(・・・・・なんか今、凄い寒気が・・・)


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第33話 模擬チーム戦②

模擬戦Round1
LIFE
ティアナ2500 フェイト2800 キャロ2200 コロナ2500
コウヤ2700 ノーヴェ3000 アインハルト3000

なのは2500 ルーテシア2200 穹2600 リオ2800
エリオ2800 スバル3000 ヴィヴィオ3000


試合開始と同時にスバルとノーヴェによって二色の帯状の足場が展開されて、ヴィヴィオとリオ、そしてアインハルトとコロナが帯の上を駆け上がる。

その上空を飛行するフェイトにはエリオが待ち構えていた。

あちこちで戦闘が行われている中、そこに穹がいないことにティアナは警戒していた。彼の狙撃と隠蔽のレベルの高さは実際に昨日身をもって体感した、それだけに警戒を強める必要があった。

 

ティアナ「皆、穹の姿が見えない。レーダーにも映ってないからあのマント使ってると思う、全員狙撃に警戒・・・・・・・・っ!!」

 

次の瞬間、ティアナの側面から一筋の魔力光がはしり、ギリギリで反応が間に合った為に回避出来た。

 

 

 

 

 

ホルク『・・・・・・外した、流石に次元犯罪を取り締まる執務官は危機察知能力が高いな』

 

穹「関心するのはあとだ、次の狙撃地点に移動するぞ」

 

穹がなのはから伝えられた指示は一つ、相手側のかく乱である。穹にはレーダーから姿を消す『バッグワーム』があり、さらに3種のライフルを用いて状況に応じた狙撃が出来る。『アイビス』を使って周囲の建物を破壊して移動を制限、『ライトニング』の弾速を利用して相手を混乱させ、『イーグレット』で相手自体を狙うことで注意をこちらに向ける。

穹にとって狙撃は超遠距離から標的を殺す為のものだった、しかし狙撃にはこういう戦い方もあった。

相手に当てる必要はなく、注意を自分に向けることで味方の負担はかなり減る。

あちこちで狙撃によるかく乱を行った穹はビルの屋上からイーグレットに持ち替えて次の標的に標準を合わせた。

 

穹「キャロさん隙だらけだな・・・・・・・遠慮なく頭を・・・・・っ!!」

 

直後、屋上の縁から四つの魔力弾が飛び出した。魔力弾は穹の真上で放物線を描いて穹に迫った。

穹はイーグレットを格納して回避行動に移る、魔力弾は屋上の床に着弾して穴をあけていた。

 

穹「ハウンド(誘導弾)・・・・・・・・・ってことは!」

 

 

 

 

 

 

 

コウヤ「んなとこでこそこそ何してんだ?・・・・・・・・・降りてこいバカ弟子~このビルごと吹っ飛ばすぞ~?」

 

ビルの下を覗き込むとそこにいたのはシューターの師匠にしてインターミドルの上位選手、コウヤ・イズノヤだった。

その周りにはすでにメテオラ(炸裂弾)とおぼしきキューブ状の魔力弾が展開されていた。

 

穹「し、師匠・・・・・・・・・・・・すみません、なのはさん。捕まりました、もう狙撃によるかく乱は出来そうにありません」

 

なのは『了解、こっちは大丈夫。ヴィヴィオがやられちゃって今回復してるの、その間コウヤ君の足止めお願い出来る?』

 

穹「・・・・・・とりあえず、リタイア第1号にならないように頑張ります。ホルク、フォームチェンジ」

 

ホルク『心得た、Foamchange、ShooterFoam』

 

穹の手からライフルが格納され、バッグワームが解除されると右手にキューブ状の魔力弾を形成した。

 

穹「師匠、しばらく俺と遊んでもらいますよ」

 

コウヤ「いいぜ~ただし、リタイア第1号になってもしらねえぞ。メテオラ(炸裂弾)!!」

 

コウヤは展開していたキューブ状の魔力弾を一斉に射出する、着弾と同時に爆発が発生し穹の移動範囲はかなり狭められた。

穹は正面からの撃ち合いは不利と判断し、路地に逃げ込む。しかし、コウヤが追ってくる気配はなかった。

 

ホルク『・・・・・穹、高町殿がアインハルトと交戦しているようだ』

 

穹「状況は?」

 

ホルク『アインハルトが捕縛盾に捕まっているな』

 

穹「とりあえず、上に行こう。」

 

ホルク『心得た、弾印(バウンド)』

 

穹が弾印で近くの建物の屋上の降り立った瞬間、シューターから放たれるレーザーと砲撃が一角を吹き飛ばした。

 

穹「今のえげつない砲撃って・・・・・・・」

 

ホルク『高町殿だな、アインハルトは捕縛盾から抜け出して攻撃に転じたがすぐに反撃されたようだ』

 

穹「あれ・・・・・・・白い悪魔ってより・・・・・・魔王だな」

 

その時穹の視線がある方向に向けられた、無数の魔力弾を展開するティアナといつの間にかその後ろに立つコウヤが見えた。

 

穹「あれはマズイ、ホルク!!」

 

ホルク『心得た、盾印四重(シールド・クアトラ)』

 

 

 

 

ティアナ「コウヤ、準備はいい?」

 

コウヤ「いつでも行けますよ!」

 

ティアナ「これが赤組勝利の篝火、クロスファイア・フルバーストっっ!!」

 

コウヤ「全方位展開型バイパー(変化弾)、『鳥籠』!!」

 

ティアナの一斉掃射と360°に展開される広範囲のバイパーが一斉に青組に襲い掛かり、ほぼ全員がこれでライフを削られた。

 

穹「師匠・・・・・追ってこないと思ったらあんなの準備してたのか」

 

ルーテシア『穹、エリオと合流して、少し早いけど仕掛けるわよ!」

 

穹「了解、ホルク!」

 

ホルク『心得た、弾印七重(バウンド・セプタ)』

 

穹はルーテシアからの指示を受けて、大きめの弾印を展開してエリオの元に向けて飛び上がった。

模擬戦の初戦は佳境を迎えつつあった。

 




裏話 試作型シューター誕生秘話

case1アステロイド

シャーリー「それじゃあ実験開始、シューター展開!」

「了解、アステロイド!!」

眼鏡をした局員の被験者(cv.イメージ梶裕貴)がキューブ状の弾を形成すると・・・・・・

「ブホっ!!!!」

何故か被験者の顔面に向けて射出され、命中し眼鏡は粉々に砕け散った


case2ハウンド

シャーリー「き、気を取り直して次行こう!」

「り、了解・・・・・ハウンド!!」

先程の被験者に予備眼鏡を渡して、ハウンドを撃ってもらった
今度は曲がりすぎて、横にいた計測班が吹っ飛んだ

「ぎゃああああああああああああああ!!」



case3バイパー

シャーリー「計測班の犠牲は無駄にはしないわ!次!!」

「は、はあ・・・・・・バイパー!!」

計測班が担架で運ばれ、今度はバイパーを撃ってもらった。突然コントロールを失いモニターしていたシャーリーに命中した

シャーリー「嘘ォ!!」



case4メテオラ

シャーリー(全身包帯)「まだよ、まだ終わらないわ!」

「わ、わかりました・・・・・・・メテオラ!!」

メテオラを展開する、射出前に爆発を起こした

「ぎゃああああああああああ!!手が!手がぁ!!」

この被験者となった局員は顔面強打、鼻骨骨折、手全体の粉砕骨折により数か月入院することになったのは言うまでもない








はやて「ってなわけでそのシューターにはシャーリー含む技術班の血と汗と努力がつぎ込まれとるんや!」

穹「いや、血どころかかなりの犠牲者出てるけど・・・・・」




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第34話 模擬チーム戦③

穹「作者、なんで特別篇消したんだ?」

流石にやりすぎた感が半端なくて・・・・・・・葦原先生ごめんなさい!

穹「謝るくらいならやるなよ・・・・」




演習場の上空で二つの閃光が飛び交い、火花を散らせる。1人は敏腕執務官のフェイト、そしてもう1人は槍を構える竜騎士のエリオ、二人は各々の得物を手に幾度となく衝突した。

 

フェイト「エリオ、本当に強くなったね。」

 

エリオ「フェイトさん、今度こそ倒させてもらいます!行くよ、ストラーダ!!」

 

『了解、マスター』

 

エリオは槍を構えてフェイトに突撃する、フェイトはそれを迎え撃った。

 

フェイト「ザンバーフォーム!!」

 

フェイトはバルディッシュを剣に変化させてエリオの槍を受け止める、エリオは一度距離を取って構えなおそうとした時・・・・・

 

穹「アステロイド!!」

 

エリオの後方から複数の魔力弾がフェイトに向けて飛んで行った。振り向くと、そこには分裂させたキューブを待機させている穹がいた。

 

穹「割って入ってすみません、エリオさん。親子対決は終わりです。通信の通り、攻勢に出ます。」

 

フェイト「穹!?」

 

コロナ『2対1!?』

 

他の場所では、ノーヴェの元にスバルとヴィヴィオ、キャロと回復を受けているアインハルトの元にはリオとルーテシアが包囲していた。

そしてコウヤの元には・・・・・・・

 

コウヤ「・・・・・・・・俺これ死亡フラグじゃね?」

 

管理局が誇るエース、高町なのはが立ち塞がっていた。

 

なのは「それじゃコウヤ君、お手柔らかにね」

 

コウヤ「・・・・・・・勝てる気が全然しねえ」

 

 

 

 

 

ティアナ「・・・・・・アンタ随分舐めた真似してくれるじゃないの」

 

ルーテシア「女は度胸ってね♪」

 

 

 

 

 

穹「エリオさん、俺は後方からの支援に徹します。逃げ道制限するので合わせてください」

 

エリオ「了解!」

 

エリオがフェイトに突撃して、穹は展開していた魔力弾を射出した。

 

穹「ハウンド!!」

 

左右に飛んだ魔力弾は半円を描くように曲がってフェイトを挟み撃ちにした。

フェイトが更に上空へ逃げると、それを待っていたかの様にエリオの槍が迫る。剣でそれをギリギリ受け止めると、横から再びハウンドが襲いかかる。

フェイトは槍を弾いて横に避けるとフォームを変えた。

 

フェイト「ソニックフォーム!!」

 

バリアジャケットが変化して剣が2本に増える、続けて降り注ぐ様に襲い掛かるアステロイドを高速で回避して待ち伏せしていたエリオの槍を捌きつつ不意を突いてくるハウンドを撃ち落とした。

 

穹「流石に早いな、だったら・・・・」

 

穹は両手にキューブを形成して、それを一つに融合させる。丁度フェイトがエリオに気を取られている。

 

穹「アステロイド+アステロイド」

 

穹の意図を理解したエリオは槍に力を込めて弾くと距離を取った。

 

穹「ギムレット(徹甲弾)!!」

 

振り向いた時、穹の放った魔力弾がすぐそこに迫っていた。咄嗟に剣で受けると先程以上の衝撃に硬直してしまう。

エリオはその隙を逃がさず2連撃を放ち、フェイトのバリアジャケットを裂いた。

 

穹「うわ!ちょ・・・・・」

 

エリオ「ん?穹、どうかした?」

 

穹「いや、えっと・・・・その・・・・・」

 

穹はバリアジャケットの裂かれたフェイトに目のやり場に困り背を向けた。すると丁度ゴーレムのロケットパンチがリオとルーテシアを吹っ飛ばした。

 

穹「な、なんだあれ!」

 

ホルク『あれはコロナのモノだな、彼女はゴーレムの創生魔法を扱えるようだ』

 

穹「なるほど、あれはあれで手ごわいな・・・・・・ん?」

 

直後、作戦がうまくいって喜んでいるキャロにシューターが飛んできて、コロナにバインドがかけられた。

 

なのは「はい、キャロ撃墜、コロナちゃん捕獲」

 

コロナ「なのはさん!?確かコウヤ選手の相手してた筈じゃ・・・」

 

ふと、穹がすぐ隣の貯水タンクを見ると撃墜されたコウヤがタンクにめり込んで目を回していた。

 

穹「師匠・・・・・・ご愁傷さま・・・・です?」

 

穹が視線を移すと、なのはとティアナがほぼ同時に魔力の収束にかかっていた。

 

穹「マズイ・・・・・・あれはマズイ!!エリオさん、俺の後ろに!!」

 

エリオ「え?」

 

穹「ホルク!!」

 

ホルク『心得た、強印(ブースト)+盾印・七重(シールド・セプタ)』

 

 

穹が手を翳すと、強印で強化された大きな盾印が展開された、そしてそれと同時に二つの収束魔法が放たれた。

 

なのは・ティアナ「スターライト・ブレイカー!!!!」

 

二つの収束魔法はぶつかり合い、魔力の奔流となって演習場全体を覆い尽くした。そんな最終戦争な光景と1秒も持たず盾印が破壊される光景を最後に穹は意識を手放した。

この後、ティアナとヴィヴィオ、アインハルトが生き残るが、最後にはヴィヴィオとアインハルトの一騎打ちとなり最後は両者ダウンで引き分けという形で1回目の模擬チーム戦は終了した。

 

 

 




裏話 インターミドル上位選手の健闘

コウヤ「バイパー!!」

コウヤのバイパーがなのはを包囲するように曲がり、全方位から襲い掛かった。

『axel shooter』

しかし、全方向に展開したシューターに相殺されるが、それは予想済み、その間にコウヤはとっておきの一手を打った。

コウヤ「メテオラ+バイパー・・・・・・トマホーク!!」

全方位からバイパーに紛れて襲い掛かったトマホークが一斉に爆発した

コウヤ「よし!今のうちに・・・・・・・っ!!」

気付いた時には遅かった、すでになのはが爆煙の向こうで砲撃の準備を完了していた。

なのは「ディバイン――――」

コウヤ「ちょ・・・・・まっ!!」

なのは「バスター!!!」

桜色の砲撃がコウヤの視界を塗りつぶし、コウヤはふっ飛ばされ貯水タンクにめり込んだ。

なのは「危なかった~この子が管理局入りしたらきっと更に伸びるだろうな~。さて、油断してるみたいだしキャロとコロナちゃん片付けちゃお」

なのはは何事もなかったかのように次の標的の元に飛んでいった。


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第35話 インターミドル・チャンピオンシップ

更新速度が予想以上に遅くなってしまいました・・・・・・・
3つ同時は流石に欲張りすぎた・・・・・


模擬戦第1回戦は引き分けに終わり、その後休憩を挟んで入れ替わりながら模擬戦が行われた。

穹はこの連戦でシューター、スナイパーによる後方支援戦闘を身に付けて更にシューターによる効率的な戦い方を実戦を通して理解していった。

そして、全ての試合が終了して全員各々が休息をとっていた。そんな中、ヴィヴィオ、リオ、コロナ、アインハルトは全開戦闘を立て続けに行ったツケが回り、ベッドから動けずにいた。

 

リオ「うう・・・・・・う、腕があがらない・・・」

 

コロナ「起きられない~・・・・」

 

アインハルト「・・・・・・・動けません・・・・」

 

ヴィヴィオ「ほ、ほんとに・・・・」

 

穹「馬鹿だな・・・・・・全試合フルタイム全力全開戦闘なんてしたらそうなるだろ」

 

魔導士としてのキャリア上ペース配分の理解しているルーテシア、現役魔法競技選手で常日頃から鍛えているコウヤに混じって穹が呆れながら全試合内容の分析を行っていた。

 

ヴィヴィオ「な、なんで穹君は平気なの~?」

 

穹「鍛えてるし、自分の限界を弁えた上で予めペース考えてるし、何より俺のスタイル上激しい動きが少ないからな」

 

アインハルト「あの重石の弾・・・・・・まさか旋衝破で返せないとは・・・」

 

模擬戦の2戦目、アインハルトは序盤で穹とマッチングしたが、穹が黒いハンドガンから撃った鉛弾(レッドバレット)を覇王流のシューターを受け止めて投げ返す技『旋衝破』で受け止めようとしたが、着弾と同時に両手に重石が着けられてしまい序盤にしてすぐ下がる羽目になってしまっていた。

 

穹「鉛弾(レッドバレッド)は『着弾と同時に弾を重石に変える』ですからね、受け止めるなんて無理ですよ。シューターをバレッドシェル壊さず受け止めてる時点で無茶苦茶ですけど」

 

ホルク『ログを解析しても従来の魔法技術とは根本的な部分から異なる、おそらく古代ベルカの・・・・・・・覇王の血統に伝わる秘技なのだろう』

 

ルーテシアがアインハルトにインターミドルの説明をしている頃、穹は模擬戦のログを見ていた。

試合中は自分の役目に集中していた為、他の皆がどの様な戦いをしていたのかは見ていないからだ。

 

穹[リオのこの魔法戦技・・・・・・噂に聞くルーフェンの体術か。それに雷と火、二つの変換資質まで持ってるとはな]

 

ホルク『コロナの創生魔法もこの歳でかなりの錬度だ、おそらく元々得意な魔法体系なのだろうな』

 

穹[こうして見ると、皆凄いな。なのはさん達現役で活躍している管理局の魔導士もルーテシアさんや師匠みたいな嘱託魔導士も、それにヴィヴィオ達も皆日に日に強くなってるんだな。俺も負けてられないな]

 

ふと視線を上げた時、すぐ目の前にヴィヴィオの顔があった。当然びっくりした穹は座っていた椅子からひっくり返ってしまった。

 

ヴィヴィオ「そ、穹君大丈夫!?」

 

ルーテシア「まさかここまでビックリするとはね~♪」

 

穹「る、ルーテシアさん!」

 

リオ「話聞いてない穹が悪いんだよ~!」

 

穹は丁度苦笑を浮かべるなのはから持ってきたドリンクを一つ受け取ると立ち上がって倒れた椅子を元に戻した。

 

穹「それで何?」

 

ヴィヴィオ「穹君も、今年のインターミドル出てみない?」

 

穹「え?」

 

穹は確かにインターミドルに興味を持って、よく試合映像を見たりしている。出てみたいと思う気持ちはあるが、まだどうしようか迷ってる段階だった。

 

コウヤ「いいんじゃねえの?出てみろよ」

 

穹「し、師匠・・・」

 

コウヤ「錬度も十分だし、出てもすぐ負けはねえだろう。八神指令なら快く許可してくれるだろ」

 

メガーヌ「私も昔はあの舞台で少女らしい青春時代を熱い戦いに燃やしたものよ」

 

穹「メガーヌさん、それ少女らしいからかけ離れてますよ・・・・・・なんですか、そのイメージ映像」

 

メガーヌは現役時代の思い出に耽っているが、それはリング上での魔法のぶつかり合いであり、少女らしいという表現とは全くの逆方向だった。

アインハルトは出場を決めているが、ここで一つの問題が浮上した。インターミドルでは安全の為、CLASS3以上のデバイスを所有し装備する事が原則となっていたが、アインハルトは覇王流を使うモノのデバイスを所持していなかった。

 

アインハルト「その・・・・でも、真正古代ベルカのデバイスは作るのが難しいと・・・・」

 

穹「ふむ・・・・・じゃあ、母さんに頼んでみますか?」

 

ルーテシア「お、私も同じ事考えてたんだ。なんたってバリッバリに真正古代ベルカな大家族!八神家の皆さんに頼めばきっとノリノリで組んでくれるよ!」

 

そして翌日、相変わらずのリオとスバルの胃袋に驚かされながらも朝食を済ませた穹はルーテシア、アインハルトと部屋で自宅に通信を繋げた。

何故か穹の頭の上にはクリスが乗っているが穹はあえて気にしないようにしていた。

 

穹「先輩、固くならなくていいですよ、母さんノリ軽いので」

 

通信が繋がると、すぐにアギトが出て来た。

 

アギト『お、穹じゃん!それにルールーオーっス!』

 

ルーテシア「おいーす、アギト」

 

穹「アギト姉さん、母さん今大丈夫?」

 

アギト『あ、デバイスの件か?ちょっと待ってて」

 

アギトが画面の奥に消えて、次に飛び込んできたのは、狸の面だった。

 

穹「はあ・・・・・母さん、悪ふざけはその辺で」

 

面が外され、穹の母にして管理局の指令、八神はやてが顔を出した。互いに紹介が済み、リインとアギトを加えて早速デバイスについての話に入った。

 

アインハルト「えと・・・・・その、格闘戦技だけで戦いたいので武器型ではない方が・・・・」

 

はやて『そーかー、格闘家さんやもんねー。ほんなら体の動きを阻害する様な装着型もよくないかなー・・・・・・・スバルのナックルやキャリバーもあれ、なんだかんだでめっちゃ重いしなー』

 

リイン『そーなんですよねぇー』

 

はやてとリインは一度だけスバルの装着型のナックルとキャリバーを持たせてもらった事があった。

しかし、どういうわけか持ち上がらず、スバルの筋力が疑われた程だった。

アインハルトはしばらく考えて、穹の頭に乗っているクリスを手に取った。

 

アインハルト「ですから、その・・・・この子のような補助・制御型がいいなと」

 

はやて『なるほどなー、ほんならクリスの性能を参考に真正古代ベルカのシステムで組むのがええな』

 

方針が決まり、こうしてアインハルトのデバイス作成が決まった。そして頃合いを見て、今まで黙ってた穹が口を開いた。

 

穹「・・・・・・母さん」

 

はやて『?どうしたん?』

 

穹「俺さ・・・・・・昨日ヴィヴィオにインターミドル出てみないかって誘われたんだ。それで昨夜考えたんだけど・・・・」

 

穹は昨夜、眠りながらインターミドルに出るべきか考えた。ホルクの言葉を借りると、それを決めるのは穹自身だからだった。

何の為に出場するのか、理由を求められると答えは浮かばない。しかし、それでも出てみたいという気持ちだけがどんどん強くなっていた。

 

穹「俺・・・・・・今年のインターミドル出てみたいんだ、いいかな?」

 

はやては少し驚いたが、すぐいつもの母親の顔になって優しく告げた。

 

はやて『ええも何も、穹が決めたんやろ?なら反対せんよ、頑張りや!ほんなら、土産話楽しみにしてるで~』

 

そこで通信は切れた。穹は相変わらずな母に笑みをこぼしながら、初めての魔法競技大会に心躍らせていた。

予選開始まで2か月、穹の今までの血生臭い殺し合いとは全く違う新たな戦いが始まろうとしていた。

 




裏話 狂信者の影

一人の少女が裏社会の一角を歩いていた

「『魔弾の射手』?ヘマやらかして管理局に捕まったらしいぜ。ざまあね――」

男の言葉が終わるより早く、少女の持つ戦斧が男を真っ二つにする

「アジト?知ってはいるけど、蛻の空だぜ?」

少女はとある廃墟の一室に入る、最低限の家具と食料、そして『裏』の地図、ここはかつて裏社会最強の狙撃手、『魔弾の射手』が使っていたアジトである。
しかし、今は誰も使っていない、主のいないこのアジトを少女は勝手に使っていた。

??「ああ・・・・・・・本当だったのね・・・・・・貴方は・・・・・本当に『裏抜け』してしまったのね・・・・・」

少女は懐から3枚の写真を取り出した。

??「許さない・・・・・・・彼を誑かした『夜天の主』も・・・・・・彼に愛想振りまくこいつも・・・・!!」

手元の斧は双剣となり、2枚の写真に突き刺さり壁に刺さる。1枚は管理局の指令、八神はやて、もう1人は穹の最初の友人ヴィヴィオだった。

??「ふふふ・・・・・私が必ず、貴方の目を覚まさせてあげる。待っててね、私の『魔弾』」

少女が恍惚な表情で眺める写真には、殺し屋時代の目つきの鋭かった頃の穹が映っていた。



新章突入、「魔弾の狂信者編」


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第三章 魔弾の狂信者
第36話 八神穹⑦


ーーーーー新章突入

そしてvivid lifeネタ投入


無人世界での合宿を終え、穹達は各々インターミドルに向けてのトレーニングを重ねながら平穏な学校生活を送っていた。

 

「今日の魔導実技はゴーレム創成実習で~す」

 

眼鏡をかけた女性教師が簡単にゴーレム創成について説明を始めた。

ゴーレム創成とは、自然界の物質を素材として魔力で動く自動人形を創成する魔法技術でコロナが合宿で使っていた「ゴライアス」もこれに分類される。

しかし、人型のゴーレムを作るには繊細な技術が必要になり本来ならば中等部で習うものである。

故に、クラスで人型に挑戦しようというものは一人もいない。

ただ一人を除いて…………

 

ヴィヴィオ「コロナが縮んじゃった!」

 

思わず近くの席のリオと穹もヴィヴィオの方を向く、するとヴィヴィオの手の平に人形サイズのコロナが立っていた。

 

「お~流石ティミルさん、ゴーレム創成はお手の物だね~」

 

教師から賞賛を受ける中、丁度離れた席に以前穹の裏工作(自業自得)で罰を受けた三馬鹿が座っていた。

 

三馬鹿一号「愚かだな、人型など安直過ぎるものをチョイスするとは…………見よ、これこそ我が究極にして至高のゴーレム!その名も『夜叉丸ゴールド』!!」

 

三馬鹿二号「流石リーダー!ゴーレムを金色にするとは誰も考えない発想!!」

 

三馬鹿三号「まさに究極にして至高のゴーレム!」

 

などと言っているが、教師は華麗にスルーして周りの作品を見ていた。

 

「高町さんは、これは自分のデバイスかな?」

 

ヴィヴィオ「他に思い浮かばなくて……」

 

「ウェズリーさんのは…………………何これ?」

 

リオ「人型に挑戦した末路です………察してください……」

 

「あはは…………何事も挑戦することはいいことだよ!八神君のは…………これは?」

 

穹の机には核と何かの部品のようなものが所狭しと並べられていた。

 

穹「これから仕上げるところです」

 

そう言うと、穹は手慣れた手付きで部品を組み立てていく。

それはやがて、銃の形状になり仕上げにマガジンを装填して銃身をスライドさせた。

 

「や、八神君?一応聞くけど………それ何かな~?」

 

穹「何って………………イスラエル製ハンドガン、デザートイーグル50AEですよ?」

 

「いや名称聞いてるんじゃなくて!何故銃!!なんでこんなの知ってるの!?」

 

穹「昨日シグナム姉さんが、母さんの故郷の地球って管理外世界の色んな武器載ってる本見せてくれましたので……」

 

(お姉さん子供に何見せてるの!?)

 

穹「ちなみに魔力を込めると魔力弾を撃てる仕様に……」

 

穹が引き金を引くと、銃口から魔力弾が飛び出して三馬鹿の作った金色のゴーレムを一撃で粉々に粉砕した。

 

 

三馬鹿一号「夜叉丸ゴールドぉおおおおお!!!!!!!!!!」

 

「しなくていいから!危ないから!!」

 

結局、作ったゴーレム銃は没収された為、穹はヴィヴィオがクリスをモデルに作ったようにホルクをモデルに作ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、管理局のはやての執務室では伝説の部隊長とも言われる指令、八神はやてがお茶を啜りながら仕事の合間の一時を寛いでいた。

 

はやて「やっぱり平和が一番やね~。リイン、例のデバイスどうなっとる?」

 

リイン「はい!術式の構成は終わったので来週には完成するです!!」

 

リインは元気よく笑顔で答える、その様子がとても微笑ましくはやてはリインの頭を撫でる。

 

はやて(近頃リインが管理局の数少ない癒やし要員とか陸部隊に舞い降りた天使とか言われる理由がようわかるわ~)

 

そう思いながら癒やされていると、ノックする音がして我に返った。

 

ユウ「ども~八神指令、実力派エリートユウ・キリサキ三等陸尉入りま~す」

 

ノックの後で入ってきたのは、実力派エリートを自称する陸戦魔導士、ユウ・キリサキだった。

 

リイン「ユウさん!お久しぶりです!」

 

ユウ「やぁリインちゃん、相変わらずちっちゃいな~」

 

リイン「ちっちゃくないです~!」

 

リインは反論してユウの腹を何度も叩くが、全く効いておらずユウはそんなリインを微笑ましそうに見ている。

 

はやて「…………で、私を『八神指令』と呼ぶってことは…………結構真面目な話なんやろ?」

 

はやてに向き直ったユウの表情からいつものふざけたようなものが消え、真剣な表情に変わった。

 

ユウ「この一週間、穹からなるべく目を離さないようにした方がいい。俺のレアスキルがそう言ってる」

 

はやて「!………何を視たんです?」

 

ユウ「穹の未来は、あいつが君の申し出を受けた時点でもう『裏』に戻る未来は見えなくなった……………筈だった。」

 

はやて「!!……………まさか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウ「そう……………………昨日になって突然…………穹が『裏』に戻る未来が見えるようになってきた。」




裏話 108部隊のとある1日

この日、108部隊を指揮する部隊長、ゲンヤ・ナカジマは困惑していた。
その理由は………………

ゲンヤ「………………ギンガ、なんでそんなヒラヒラしたの着てるんだ?」

自分の娘で部下のギンガ・ナカジマがメイド服で仕事をしていたからだ。

ギンガ「えっと……………八神指令とケイさんにポーカーで負けた罰ゲームで……」

ゲンヤ(何やってるんだ、あのアホ共は…………八神は説教、ケイの野郎は減給だな)

ちなみにそんなギンガの姿を見ようと、他の部隊の隊員まで108部隊の隊舎に来ていた。

「美しい………」

「女神だ………」

「俺…………ギンガさんのメイド姿見れたから明日死んでも悔いは無い」

「俺…………今の任務終わったらギンガさんに告白するんだ……」

あまりにも目立ってしまい、恥じらう姿が更に彼等を発狂させてしまう為、すぐいつもの隊服に戻ったことは言うまでも無い。



そしてはやては………

はやて「すみませんでした………」

ゲンヤの拳骨+説教2時間を受けて…………



ケイ「え……………俺減給!?しかも2ヶ月!!?」

ケイは2ヶ月にわたり、給料を半分に減らされたらしい………


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第37話 ユウ・キリサキ②

気付けばなんと………………お気に入り数が300になっていました!

なんと言いますか…………うん、感無量ですねハイ
ということで、そうですね~



うん、特別企画としてこの作品のキャッチコピーを募集したいと思います
募集期間は今週の日曜日23:00まで、投票箱は活動報告に作ります



ユウから告げられた一言にはやての表情が曇り、リインも心配そうにはやてに目を向けた。

 

はやて「その未来は………………確定ですか?」

 

ユウ「いや、そうさせない為に来たんだ。今が丁度、未来の分かれ道っぽくてね。『最善』から『最悪』まで不確定な未来がいくつも見える」

 

はやて「つまり、その『最悪の未来』で穹が元の殺し屋『魔弾の射手』に戻ってしまう言うことですか?」

 

ユウ「それだけじゃない、最も最悪な未来は……………………八神家の皆となのはちゃんとこのヴィヴィオちゃん、それにヴィヴィオちゃんの友達も殺されている」

 

はやて「!!!!」

 

ユウ「だけど、まだこの未来は回避出来る。ソウジの補佐官に頼んで今穹の周りの警戒に当たってもらってる。それとしばらく、八神家の皆には単独行動は避けてもらいたい。念のため、ゲンヤさんに無理言って108部隊から護衛を二人頼んだ。」

 

はやて「護衛?一人はユウさんやろ?もう一人は………」

 

再び扉が開き、入ってきたのは108部隊のゲンヤ・ナカジマの懐刀と言われるシノブ・キリシマ一等陸尉の弟子ではやてにとっては先輩でもある陸戦魔導士、ケイ・タチカゼだった。

 

ケイ「よぉ八神、厄介事らしいな」

 

はやて「ケイさん!?」

 

ユウ「ソウジも今担当の案件が片付いたら来るらしいよ、後は………」

 

ユウはそこで何かを感じ、メール画面を開いてある人物にメールを送った。

 

ユウ「未来が…………………動いた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、穹はいつもの面子といつもの帰り道を歩いていた。

 

穹「にしても、チビリオ強かったな。クラスのゴーレムを全員一撃だもんな」

 

リオ「うん、私も結構驚いてる……」

 

アインハルト「まさか、私のゴーレムをも一撃とは……」

 

アインハルトはある理由から丁度ゴーレム創成の授業の後、穹達の教室に行って成り行きでリオのゴーレムと対戦するも一撃で倒されてしまっていた。

 

穹「先輩、だからって始業まで粘るのは…………」

 

ヴィヴィオ「あの後大丈夫でしたか?」

 

アインハルト「案の定、授業に遅れて怒られてしまいました」

 

いつもと変わらない何気ない帰り道、しかし今日は違っていた。

穹は後ろから尾行している気配が2つあることに気付いた。

ホルクに解析させたところ、一人は管理局の魔導士であることは確認している。

そしてもう一人の気配には穹も覚えがあった。

 

穹「………………皆ごめん、ちょっと用事思い出したから先行ってて」

 

穹は踵を返して走り出した。すれ違い様、アインハルトが念話を飛ばしてきた。

どうやら尾行に気付いていたようだ。

 

アインハルト[………一人で大丈夫ですか?]

 

穹[大丈夫です、一人は管理局の人ですし、もう一人は知り合いですから]

 

走り去る穹を4人が見送り、穹は人気の無い路地に入った。

 

穹「……………そろそろ姿見せろよ、『鶺鴒(セキレイ)』」

 

穹が視線を投げかけた物影から、一人の男が出てきた。白のパーカーのフードを被り、その素顔は見えない。

 

鶺鴒「よぉ魔弾の、しばらく見ない内に随分年相応になったもんだな」

 

穹「…………悪いか?」

 

鶺鴒「いんや、俺としてもガキが血生臭い生活送ってるのは見るに耐えなかったからいいさ」

 

穹「そうか………………それで、裏社会の情報屋が今更何の用だ?」

 

情報屋『鶺鴒』、その本名も素性も知るものはいないが裏社会でも多くの顧客を持つ情報屋で穹もかつてはその一人で、殺し屋『魔弾の射手』の素顔を知る人物でもある。

 

鶺鴒「かつての友人兼常連の顔を見るついでに警告に来たんだ。」

 

穹「……………警告?」

 

鶺鴒「あぁ、お前さん『壊姫(カイヒメ)』って知ってるかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィヴィオ達はいつもの通り、ノーヴェにコーチしてもらう為に待ち合わせの公園に向かっていた。

 

ヴィヴィオ「それにしても、穹君いきなりどうしたのかな?」

 

リオ「用事ってコウヤ選手の所かな?」

 

アインハルト「……………知り合いでも見つけたので………ッ!?」

 

コロナ「アインハルトさん?」

 

公園のすぐ近くに来た時、アインハルトの表情が険しくなった。

アインハルトが武装形態を展開するのと同時に公園から凄まじい轟音が鳴り響いた。

4人が急いで駆けつけると、そこにはバリアジャケットを展開してすでにボロボロのノーヴェと、ノーヴェに相対するように立っている両手に双剣を握ったヴィヴィオ達と変わらない少女がいた。

 

ヴィヴィオ「ノーヴェ!!」

 

ノーヴェ「!!来るなお前ら!」

 

ノーヴェの声が響き、その時ヴィヴィオと少女の目があった。

 

??「ふふふ…………見つけたわよ。高町ヴィヴィオ……………私の『魔弾』に愛想振りまく淫魔が!!!」

 

少女は双剣を握る手に血が出る程の力を込めてヴィヴィオに斬りかかった。

 

ノーヴェ「お前の相手は………………私だろ!!」

 

ノーヴェは少女とヴィヴィオの間に割って入り、右足に魔力を込めた。

 

??「邪魔をするなぁ!!!!!!!双月、『接続器(コネクター)ON』!!!!!!!」

 

少女は双剣の柄を合わせると、双剣は一つになって柄の長い戦斧に姿を変えると少女はそれを軽々しく振り回し、ノーヴェを容易く吹き飛ばした。

 

??「なんか色々いるけど……………まあいいか。全員殺せば」

 

ハイライトの消えた濁った黒い瞳から発せられたのは、ドロドロとした禍々しい殺気だった。

 




執務官、ソウジ・カゼハヤの補佐官シロウ・オトナシは陰鬱そうな表情でステルス魔法『カメレオン』を起動させながらヴィヴィオ達を追っていた。

シロウ(面倒くさいなぁ…………なんで僕があんなガキの周り見張ってなきゃいけないんだ……)

その時、ヴィヴィオ達の目的地の公園の方角から凄まじい轟音が聞こえてきた。

シロウ(はぁ……………これ特別手当出るかな~)

シロウはため息をつきながら、急ぎ足で音のした公園の方に向かっていった。


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第38話 壊姫

ーーーーー彼は私の運命を変えてくれた。

身寄りが無く、裏の娼館に拉致されて汚されそうになった私を救ったのはどこからか飛んできた一発の魔力弾だった。
別の部屋からさっきまで聞こえていたものとは別物の悲鳴が聞こえる。
直後、鍵がかかっていた筈の扉が開いた
廊下が騒がしい、外へ出るとそこには逃げ惑う私同様ここに拉致されていた女の人達、そして額に風穴を空けて絶命する男達、おかしいことにすぐ気づいた。
銃声は聞こえてこなかった。
必死に逃げる私は他の人達とはぐれて建物の中をさまよっていると声が聞こえてきた。

「ま、『魔弾の射手』!!た、助けてくれ!もう裏の掟には逆らわないと誓う、だから…………」

穹「もう遅い、俺が『鴉』から受けた仕事はこの娼館に捕らわれた表の人達の解放と、お前達への報復だからな」

一人の、私と歳の変わらない男の子は拳銃を男に向ける。
男は怯えながら近くの扉の中に入って鍵をかけた。
男の子は迷うこと無く引き金を引く。直後、扉の向こうから短い悲鳴が聞こえて、扉の隙間から血が流れてきた。

穹「これで全部だな………俺は連中の専属じゃないんだが……」

男の子と目が合った、私も殺されてしまうと思った。

穹「………………すぐそこの扉を出て最初の角を右に曲がれ、後は真っ直ぐ行けば出口だ。ここを出たら左側を道なりに行けばクラナガンの表通りに出られる。早く行け、ここは君のいるべき場所じゃない」

私は立ち去る男の子を見送り言われた通りに進むと、娼館から出ることが出来た。
道の左側に目を向ける、ここを真っ直ぐ行けば…………しかし、私の心はすでにさっきの男の子のことでいっぱいになっていた。
ふと、彼が男に呼ばれた異名を口にした。

「魔弾の………射手………」

まるで正義の味方の様に現れて、お伽話の王子様の様に私を救ってくれた………
そう、彼は王子様……………私だけの王子様…………私だけの『魔弾の射手』



ーーーー壊姫の日記より抜粋


穹「『壊姫』………………確か俺が裏抜けする一月前から名前を聞くようになった殺し屋だったか」

 

鶺鴒「そう、邪魔する者は皆殺し、建物に隠るなら建物ごと殺す。そんでついた異名が『壊姫』ってわけだ」

 

鶺鴒は『壊姫』の行った仕事の跡の画像を穹に見せる。四肢をバラバラにされた男達、完全に倒壊して人を下敷きにする建物、あまりにも凄惨な光景だった。

 

穹「(ヴィヴィオ達が一緒じゃなくて良かった。)だが、俺は会ったことも無い奴だぞ。なんで俺が狙われるんだ?」

 

鶺鴒「……………壊姫はどうもお前さんにご執心らしくてな。俺からもお前さんのアジトの場所や趣向等の情報を無理やり持っていった。まぁ、その頃にはお前さんはもう裏抜けしていたから大したデメリットは無かったはず………だった」

 

穹「……………何があった?」

 

鶺鴒「阿呆な同業者が、お前さんの裏抜け後の身辺情報をそいつに売りやがったんだよ。シメて吐かせたら、こいつが出てきた。」

 

鶺鴒が手渡した資料、それは穹の現在の戸籍を含めた個人情報、そして、穹の母、八神はやてとヴィヴィオの写真だった。

 

鶺鴒「俺からお前さんの情報を聞き出した時もそうだが、あいつはヤバい。とてもじゃないがまともな神経を持ってるとは思えない、お前も気をつけろ」

 

ホルク『!!!!………………穹、複数の魔力反応だ。未確認が一つ、それとノーヴェとヴィヴィオ、それとリオにコロナとアインハルトのものだ』

 

穹「………まさか!!!」

 

鶺鴒「行け魔弾の、お友達がヤバいかも知れねえんだろ?」

 

穹「あぁ、忠告ありがとう。来いホルク、セットアップ!!」

 

ホルク『心得た、set up』

 

ホルクは指輪に戻り、穹はバリアジャケットを展開した。

 

ホルク『弾印・七重(バウンド・セプタ)』

 

穹は足元に展開された巨大な弾印を踏み、凄まじい勢いで飛び上がり、ヴィヴィオ達の元へ急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヴィヴィオ達はバリアジャケットを展開して襲いかかってくる少女に応戦していた。

 

コロナ「叩いて砕け!『ゴライアス』!!!」

 

コロナが指示を送ると、コロナのゴーレム『ゴライアス』はその巨大な拳を少女に繰り出した。

 

??「フン!!」

 

少女は身の丈程の戦斧を振り下ろすと、ゴライアスの拳が打ち砕かれた。

 

??「脆い土人形ね……」

 

リオ「コロナ下がって!雷光縄!!!」

 

リオが地面を踏むと少女の周りに電気を帯びたロープが展開されて少女を拘束する。

しかし少女は戦斧を双剣に変えてロープを斬り、間合いを詰めてリオに斬りかかる。

 

アインハルト「させません!!!」

 

咄嗟に割って入ったアインハルトが勢いの乗った拳を少女に打ちつける。

まともに受けた少女は後方に吹き飛ばされてしまった。

 

アインハルト(この殺気、継承した記憶にも存在しない……………けど彼らとはまた違う、まとわりつくようなドロドロとした殺意、彼女は一体……)

 

ヴィヴィオ「ノーヴェ、大丈夫?」

 

ノーヴェ「あぁ……………なんなんだ、あいつ」

 

その時、少女は飛び上がるように起き上がってヴィヴィオに向かって突っ込んでいった。

 

ヴィヴィオ(!!!早い!!)

 

ヴィヴィオがカウンターに入るより速く、少女の凶刃がヴィヴィオに迫った。

 

??「…………やれやれ、仕方ないな」

 

その時、ヴィヴィオが何かに突き飛ばされて、少女の凶刃は光剣によって弾かれた。

そこにいたのは赤みがかった茶髪に気だるそうな目つきのバリアジャケットを展開した青年だった。

 

ノーヴェ「あ、アンタは確かソウジさんとこの………」

 

シロウ「時空管理局執務官補佐、シロウ・オトナシ。まったく、こいつらの周り警戒するだけでいいって言ってたのに……………後で108部隊に特別手当請求しないと」

 

??「邪魔をするなぁっ!!!!」

 

激昂した少女は一気に距離を詰めてシロウに斬りかかる。

 

シロウ「芸が無いなぁ……………ステルス、起動(オン)」

 

少女の刃が迫る中、シロウの姿が周囲の景色に同調するように消えた。

これが、管理局で考案された補助魔法『カメレオン』、魔力を消費し続ける代わりに姿を消すことの出来る魔法だ。

欠点は魔力を消費し続ける為、魔力の少ない者には使えないことと、起動中は攻撃が出来ないことだ。

だが、使い方次第で強力な武器になる。

それを証明したのが、執務官ソウジ・カゼハヤである。

彼はその特性を生かして、危険な密売組織への潜入捜査を行い、時に背後に回って奇襲を仕掛け見事に功績を上げていった。

そして、シロウともう一人の補佐にもそのノウハウは教えられ、いつしか彼らは『アサシン』と呼ばれるようになっていた。

 

シロウは『カメレオン』で透明になると刃を避けて、背後に回り込んだ。

 

シロウ「『スコーピオン』」

 

シロウの両手に魔力で形成された光剣が出現した。これが近接型汎用光剣型アームドデバイス、『スコーピオン』だ。

耐久性こそ少ないが、いつでも自由にブレードを出し入れ出来、重量は殆どゼロで手以外の所からもブレードを出すことが可能。

更に魔力調節によってブレードの形と長さを変えられるスピードタイプのアームドデバイスだ。

 

シロウは非殺傷設定のスコーピオンで少女の背中を斬りつけて再びカメレオンで姿を消す。

そして、再び出来た隙をついてスコーピオンで斬りつけて再びカメレオンで姿を消す。

少女は双剣を戦斧に変えて地面に叩きつけて土埃で周囲の視界を遮断した。

 

??(いくら姿を消していようと、私の姿が見えなければ意味が無いだろう!!)

 

シロウ「……………原始レベルだね」

 

しかし、シロウは的確に少女の居場所を捉えてスコーピオンで斬りつけた。

斬りつけられた少女は、訳も分からないまま地に伏した。

『強化聴覚』、それがシロウの持つレアスキルだ。一言で言えば『耳がいい』、ただそれだけのレアスキルだ。

レアスキルのランクの中では最も低い分類で、実際その性能は常人の5~6倍、『1km先の針が落ちる音が聞こえる』というような超人的なものでは無かった。

シロウ本人もレアスキルと診断されるまで気付かず、本人も地味過ぎる能力だと嫌っていた。

しかし、彼のレアスキルの真の力は、その『聞き分け』の精密さにある。

子供の頃から無自覚に強化聴覚を使っていたシロウは『音』から材質・質量・状態など様々な情報を得ることが出来た。

彼にとって、目眩ましなどあって無いようなものだった。例え土埃で視界を塞いでも、その足音と舞い上がる土埃の擦れる音を聞き分けられる耳を塞ぐことは出来ないのだから。

 

シロウ「さて、殺人未遂及び殺傷設定の違法解除で拘束、と」

 

シロウはバインドで少女を拘束してスコーピオンを消した。

 




シロウ・オトナシ(20) cv.イメージ 菅沼久義

所属 時空管理局

階級 執務官補佐

デバイス 汎用光剣型アームドデバイス『スコーピオン』

レアスキル 強化聴覚


キャラモデル ワールドトリガーより『菊地原士郎』


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特別編 2月14日

本編盛り上がってきたところですが、ここでバレンタイン特別編をお送りします!
色んなオリキャラ視点でそれぞれのバレンタインを見てみましょう!

注意 今後本格的に登場予定のワールドトリガーキャラモデルのオリキャラも出ます




コウヤの場合

 

「イズノヤ君…………こ、これ!」

 

クラスの女子生徒が緊張した面持ちでコウヤに可愛らしいラッピングのされた包みを渡すとすぐ教室から出て行った。

 

ヨウスケ「お~モテるな~弾バカ」

 

コウヤ「うるせーよ、槍バカ」

 

コウヤの鞄にはすでにいくつもの包みや箱が入れられていた。

 

ヨウスケ「羨ましいな~おい、まさか弟子の方もモテてるなんてオチねぇだろうな?」

 

コウヤ「んなこと………………」

 

穹も容姿はそれなりに悪くは無い、女子に色々貰ってる所が容易に想像出来た時……………

 

ハリー「キョウヤぁあああああ!!!!!!!」

 

下の階から砲撃番長の叫びが聞こえてきた。

 

コウヤ「また普通にバレバレな嘘に引っかかったか?」

 

ヨウスケ「今日も平和だなぁ~」

 

 

ケイの場合

 

ギンガ「ケイさん、いつもお疲れ様です」

 

ケイ「おう、ありがとさん」

 

108部隊は至って平和である。ただし、ギンガから貰ったか否かで闇討ちをするものも出てくるのが毎年恒例である。

 

「タチカゼ三尉がギンガさんからチョコ貰ったぞ!者共、かかれ!!!」

 

何やら統率のとれた一団が一斉にケイに襲いかかるが……………

 

ケイ「旋空弧月」

 

ケイの持つ弧月の二閃で一掃されたのは言うまでもない。

 

 

ソウジの場合

 

シロウ「ソウジさん、なんですか?それ」

 

ソウジ「あぁ、今朝貰った。八神とハラウオン、それとこれはランスターからだな」

 

「そういえば、今朝なのはさんがユウさんに『絶望を贈ります♪』とか言って収束魔法撃ってるの見ました。その後シグナムさんが『最高の闘争を贈ろう!』と言ってひたすら剣振り回しながら追いかけてました。」

 

白い悪魔の代名詞の収束魔法を受けて、しかもあの管理局でも言わずと知れた戦闘狂に追い回される。

ソウジは静かにユウに黙祷した。

 

ソウジ「………………明日、奴が生きてることを祈ろう」

 

 

 

 

穹の場合

 

 

リオ「穹、これあげる♪ってすごい量!」

 

リオが見た穹の机の上には様々な包みが置かれていた。 

意外かもしれないが、穹はクラスの女子からの人気は高い。

普段のクールな性格にたまに見せるツンデレ、さらによく猫と戯れる姿が目撃され、その時の愛らしさが普段とのギャップを生み、結果穹の知らぬ内今ではクラスでもかなりの人気が高くなっていた。

 

穹「正直、俺も困惑してる。どうしよ、姉さん達や壊姫からも貰ってるのに………」

 

壊姫、その名を聞いてリオもすぐ固まった。

 

リオ「………………大丈夫?変なの入れられてない?」

 

穹「とりあえず……………シャマル姉さんに詳しい成分を分析してもらってる」

 

穹はため息をついて頭を抱えた。あの自分に執着する壊姫のことだ、何を仕込んでいてもおかしくない。

因みに案の定、媚薬成分や催眠魔法が検出されたのは言うまでもない。

 

コロナ「穹君、私からも!」

 

コロナからもお菓子の入った包みを貰ったが、一人どうしても渡せずにいる少女がいた。

上級生からも人気が高く、一部から天使など呼ばれている少女、高町ヴィヴィオだ。

だが、同年代の男子にバレンタインに何かを渡すようなことは今まで無かった為、中々渡すタイミングがわからずにいた。

友達感覚で渡している二人が凄いと思ったのは、おそらく初めてかもしれない。

そんな様子を見たリオが図らずも助け舟を出した。

 

リオ「穹~ヴィヴィオも何か渡したいみたいだよ~」

 

ヴィヴィオ「ふぇっ!?」

 

穹「?……………どうした?」

 

穹がすぐヴィヴィオの近くに来る。ヴィヴィオの思考が混乱し、顔を真っ赤にしながら目を回す。

 

ヴィヴィオ「えっと……………あの…………こ、これ!!!!」

 

ヴィヴィオが勢いよく包みを持った両手を突き出す。しかしそれはボディブローとなって穹に突き刺さった。

 

穹「グハッ…………!!!!」

 

 

腹部にまともに受けた穹は教室の壁に勢いよく叩きつけられた。

 

コロナ「穹君!?」

 

リオ「どうしてこうなった………」

 

ヴィヴィオ「不幸な……………事故……」

 

その後、なんとか持ち直した穹はヴィヴィオから改めて包みを受け取った。

 

穹「とりあえずありがとう」

 

コロナ「ちょっとしたアクシデントあったけどね……」

 

リオ「で、クラス一番人気のヴィヴィオから貰った感想は?」

 

リオが悪戯っぽい笑みを浮かべて聞くと、穹はしばらく考えて…………

 

穹「一撃で……………耐久値の限界まで持っていかれた……………流石ヴィヴィオ」

 

リオ「それ打撃の感想!!!」

 

 

 

 

 

 

今日もミッドチルダは平和であった




ということでミッドチルダの平和なバレンタインデーをお送りしました!

え?約1名死にかけてる?
……………………彼は犠牲になったのです

では、次回からの本編もどうぞよろしくお願いします!


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第39話 壊姫②

ぉおお………………

コウヤ「作者どうした?」

穹「Windows10に更新したら艦これのデータ消えたらしいですよ、アカ間違えただけでしょうけど」

鈴谷がぁ…………………多磨がぁ………………時雨がぁ…………

穹「別にまた取り直すかすればいいだろ……」

うわぁあああん!!!!!!

コウヤ「……………メテオラ(炸裂弾)」

ウボォアア!!!!


シロウ「さて、こいつはこっちで連行するとして……………そっちは大丈夫?やたらボロボロだけど」

 

ノーヴェ「あぁ、おかげで助かったよ」

 

シロウ「君確かナカジマ三佐の娘さんだよね?礼はいいから特別手当出すよう………!!!!」

 

その時、シロウが身を屈めると先程まで首のあった所を斧の刃が通過した。

 

シロウ「……………まさかバインドを力ずくで解くとはね」

 

距離をとったシロウの視線の先には斧を構える少女がいた。

 

??「公僕がぁ…………………私の邪魔を……」

 

シロウ「悪いけど、それが仕事だからね。なんでこいつら狙ってるか知らないけど、諦めた方が身のためだよ」

 

??「うるさい!゙彼゛はこちら側にいるべき人なんだ!!それを………………彼を誑かし陥れ言いくるめ誘惑しそちらに引き込んだのは夜天とそこの淫魔だ!!!!」

 

少女の殺気の籠もったハイライトの消えた虚ろな瞳は真っ直ぐにヴィヴィオを捉えていた。

 

??「周りの雑魚はどうでもいい!がお前は逃がさないぞ!!」

 

少女は一気に距離を詰めてヴィヴィオに斬りかかった。シロウとノーヴェはそれを止めようと間に入るが、少女はデタラメに斧を振り回し読めない動きに対応しきれず容易く吹き飛ばされてしまった。 

 

 

 

ヴィヴィオは次々と迫る斧を見極めて避ける、ヴィヴィオのスタイルはカウンターヒッター、その為回避行動は巧かった。

だが、あまりに真っ直ぐすぎた。大振りで振るわれた斧を屈めて回避した瞬間、ヴィヴィオは側頭部に衝撃を受けた。

少女は斧を振った時の勢いを殺さずにそのまま柄をヴィヴィオにぶつけていた。

衝撃で脳を揺らされたヴィヴィオは視界が歪み、まともに立つことも出来なくなっていた。

 

リオ「ヴィヴィオ!!!」

 

アインハルト「させません!!」 

 

??「邪魔だ!!」

 

リオとアインハルトが割って入る、しかし少女の一振りはアインハルトにカウンターバインドをかける余裕も与えず、リオごと吹き飛ばした。

 

コロナ「ゴライアス!ヴィヴィオを守って!!!」

 

コロナのゴライアスがヴィヴィオを守るように覆い被さった。

 

??「土人形風情が!!」

 

少女の斧は容易くゴライアスを打ち砕き、跡形も残さなかった。

乗っていたコロナも巻き込まれてゴライアスの残骸に埋もれてしまった。

 

ヴィヴィオ「リオ……………コロナ……………アインハルトさん…………」

 

未だ視界の回復しないヴィヴィオは強引に立ち上がろうとするが、直後すぐに再び頭部に衝撃を受けて倒れる。

もはや、視界どころか意識すら混濁して立っているのか倒れているのかもわからない。

 

??「ただじゃ殺さないわ…………私の魔弾を誑かしたんだもの…………なぶり殺しにしてあげる!」

 

少女は容赦なくヴィヴィオの腹を蹴り上げる。もはや防護魔法を使うことの出来ないサンドバッグ状態のヴィヴィオにさらに少女は殴り蹴り斧の柄を打ち付ける。

 

??「ふふふ………………いい格好ね………もっと痛めつけてあげたいけど、また公僕に邪魔されたくないし…………………もう死になさい、哀れな人間擬き」

 

少女は完全に意識を失っているヴィヴィオの首に狙いを定めて斧を振り上げた。

 

??「たかがクローンの分際で私の魔弾を誑かした罪、その首で贖え!!!」

 

少女の凶刃が振り下ろされる刹那、側面からの衝撃に狂気を孕んだ表情が歪んだ。

その衝撃の正体は4つの鉄球のようなものだった。

 

「…………………折角のオフだから色々買い物してたってのにユウから急いでここに向かえとかメール来るから何事かと思えば…………………おいテメェ」

 

少女は声のする方に顔を向ける。赤いどこか愛らしさのあるデザインのバリアジャケット、赤みがかった三つ編み、そして何より目を引くのはその手に握られた鉄槌だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィータ「私の弟の友達に、何してやがる………」

 

航空戦技教導隊5番隊2班副班長にして夜天の主、八神はやてを守護する守護騎士の一人、鉄槌の騎士ヴィータが愛機グラーフ・アイゼンを手に怒りと闘志に満ちた目で少女を睨みつけていた。

 




裏話 ユウの暗躍

はやて「ユウさん、他にするべきことは?」

ユウ「……………とりあえず、穹と八神家のみんなにヴィヴィオちゃんとその友達、それとナカジマ三佐のとこのノーヴェちゃんも今夜だけ一所にいた方がいい。そうだな、なのはちゃんの家がいいだろう」

はやて「わかった。なのはちゃんにはウチから言っておく」

ユウ「それとケイさん、ちょっといい?」

ケイ「……………?」

ユウはケイに手招きすると、ケイを連れて部屋の外に出て行った。

リイン「ユウさん、どうしたんでしょう?」

はやて「ユウさんのことだから、何か考えがあるんやろ?なんたって、ユウさんの趣味は暗躍やからね」


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第40話 ヴィータ

以前募集したキャッチコピーですが、この場を借りて発表したいと思います


『刹那を駆け抜け掴み取れ』


考えていただいたL'ike despairingさん本当にありがとうございました!



威風堂々、まさにその通りだった。穹の姉、ヴィータは愛機を手に少女の前に悠然と降り立った。

 

ヴィータ「シャマル、結界頼む。それとこいつら治療も」

 

シャマル「わかったわ………気をつけて」

 

ヴィータの後ろから現れたシャマルが術式を展開すると、公園を中心に半径5kmが結界に覆われた。

 

ヴィータ「さて、随分派手にやってくれたじゃねぇか」

 

??「…………何アンタ?邪魔だから消えて」

 

少女は一気に距離を詰めるとヴィヴィオに向けた凶刃がヴィータに迫る。

ヴィータはアイゼンで受け止めて顔色一つ変えずに防ぎきった。

 

??「!!!!!!!」

 

ヴィータ「意外に重いな、その歳で中々のもんだ」

 

少女は斧を持つ手に力を込める、しかしヴィータは全く微動だにしなかった。

少女は斧を引いてデタラメに振り回す、ヴィータはそれを全て防ぎ片手で全て弾き返していた。

 

ヴィータ「………………なるほど、超攻撃特化の短期決戦型アームドデバイスか。通りで一撃一撃が重いわけだ、けど………………」

 

少女は斧を地面に叩きつけて再び土煙を発生させる。シロウのように探知する術を持たないヴィータの視界は一瞬で土煙に覆われた。

少女はヴィータの背後に回り、その斧をヴィータの頭に目掛けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィータ「甘ぇよ、小娘」

 

ヴィータはそれを読んでいたかのようにアイゼンを構えて振り向きながら背後の少女に向けてアイゼンを叩き込んだ。

ガードもされていない脇腹にアイゼンは突き刺さり、ミシミシと音をたてた。

 

??「ガッ……………ハ………」

 

ヴィータはそのままアイゼンを振り抜いて、少女は為す術もなく吹き飛ばされて近くのビルに激突した。

ヴィータは少女を追ってビルの中に入る、少女は斧を杖のようについてなんとか立ち上がっていた。

 

ヴィータ「死なねえ程度には加減してやった、大人しくした方が身のためだ」

 

??「……………黙れ、私には"彼"を忌々しい夜天と外に転がってる死に損ないの淫魔から救い出すという使命がある!」

 

ヴィータ「…………」

 

夜天、少女の口から飛び出した言葉にヴィータは眉をひそめた。

 

??「奴らを始末して、"彼"の……………『魔弾の射手』の目を覚まさせてあげるの!そして私は彼の憎むべき仇として彼の手で殺されるの………………ふふふ、その時こそが魔弾の射手のーーー」

 

ヴィータ「お前………………もう喋るな」

 

あまりにも妄執じみた言動、恍惚とした表情、ハイライトの消えたドロドロに濁った瞳、そして自分の家族を壊そうという発言、ヴィータの怒りが完全に頂点に達するには充分すぎた。

 

ヴィータ「アイゼン、カートリッジロード!!!」

 

アイゼンの先端部がスライドし、薬莢が飛び出してアイゼンはその姿を変えた。

 

ヴィータ「ヴィヴィオを殺す?それはなのはに喧嘩売ってんのか!!はやてを殺す?んなこと誰がさせるか!!!!穹を殺し屋に戻す?やっと暗闇から抜け出したあいつを……………私の大切な弟をそこに戻すわけねぇだろうが!!!!!!」

 

??「馬鹿が!!彼に姉などいない!彼は孤独な殺し屋なのだから!!」

 

ヴィータ「違う!あいつは……………私達の大事な家族だ!!!!!ギガント・シュラーク!!!!!!!!!!!」

 

ヴィータの放った一撃は少女諸共ビルを粉々に粉砕し、少女は真っ向から受けるが1分も保たずに押し負けた。

 

ヴィータは倒壊したビルを一瞥した後、すぐに治療を行っているシャマルの元に戻った。

 

シャマル「おかえりなさい、ビルはすぐ修復するわ。」

 

ヴィータ「チビ達は?」

 

シャマル「ヴィヴィオちゃんが一番酷いけどすぐ治せないわけじゃないわ」

 

ヴィータ「そうか……………良かっ……ッ!!!」

 

背後にまとわりつくような悪寒にも似た殺気、振り向くとビルごと粉砕した筈の少女があらぬ方向に曲がった片足と斧を引きずりながら現れた。

それはまるで壊れかけの人形のようでもあり、恐怖を覚えるものがあった。

 

??「ああ…………魔弾に捧げる筈だったこの身がこんなに…………許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!!!!!!!!!」

 

 

少女は片足を引きずりながらも凄まじい速さで距離を詰めて斧を横薙する。

咄嗟の判断の遅れたヴィータは防御が遅れて防ぐものの今度は吹き飛ばされてしまった。

少女はぐるりと視線を移して治療が終わり、元の姿に戻っているヴィヴィオに目を向けた。

シャマルは自身の愛機、クラール・ヴィントを構えようとする。

しかし、本来戦闘向きの騎士では無い彼女では少女に太刀打ちすることなど出来るわけも無く、防護魔法で防ぐもののそのダメージはかなり大きかった。

 

??「さぁ…………………今度こそ壊れなさい!!!!」

 

少女がその凶刃を振り上げようとした時、意識が覚醒し目を開きかけたヴィヴィオの瞳が何かを捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『弾印・六重(バウンド・セクスタ)』

 

それはまるで隕石のように凄まじい勢いで少女目掛けて落ちた。

その時に受けた蹴りで少女は吹き飛ぶ。

 

ヴィヴィオ「………………穹君?」

 

意識の覚醒しきって無いヴィヴィオの瞳が捉えたのはいつもの黒いロングコートのバリアジャケットを纏った穹の姿だった。

 

 

 

 




先週ワールドトリガーのオフィシャルデータブック発売しましたね!



草壁隊の隊長オペ子って新事実にびっくり

唯我総合能力修より低いてwww

佐鳥能力高いのに影薄いwww

二宮と加古さんと三輪は旧東隊メンバーのチームメイトだった!?

まだ出ていない3種の合成弾が!?

レイガスト開発の裏側も!?

堤の目が開いたら………!?

隊長候補ランキング単数、複数共に東さんダントツwwあ、当たり前か

迅さん主人公のワールドトリガーの元になった読み切りも面白かったです!


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第41話 八神穹⑧

ホワイトデー特別編はあとがきにて

さて、そろそろフラグ頃合かな


壊姫は思わず目を見開いた。そこにいたのは、黒いロングコートのバリアジャケットを纏った穹、魔弾の射手だった。

 

??「ああ……………まさかこのような所であなたに出会えるとは………これはもはや運命としかーー」

 

完全に自分の世界に酔いしれる壊姫を無視して、穹は周りの状況を確認した。

 

リオ、コロナ、アインハルト、ノーヴェ、シロウは治療が完了しており、ヴィヴィオは微かにだが意識を取り戻していた。

ヴィータは吹き飛ばされはしたが大したダメージは負っておらず、シャマルも手を負傷したがすぐに完治させた。

 

穹「……………ごめん、みんなを巻き込んで……」

 

ヴィヴィオ「穹君の…………せいじゃない、よ」

 

ヴィータ「ヴィヴィオの言う通りだ。お前は何も悪くねぇ、だからそんな顔するな」

 

穹「……………うん。ヴィヴィオ、ヴィータ姉さん、シャマル姉さん、少し休んでて………………すぐ片付ける」

 

穹は両手にキューブ状の魔力弾を展開して細かく分割して自分の周囲に散りばめた。

 

穹「確認しておく。お前が壊姫か?」

 

壊姫「はい、私は壊姫。元の名は捨てました、こうしてあなたに出会える日ずっと……………………………ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっ待っていました。さぁ、帰りましょう。あなたが真にいるべきあの暗き場所へ」

 

壊姫は変わらずハイライトの消えた濁った瞳で穹を見ていた。

手を差し伸べるその瞳から感じるのは、穹への狂信的な崇拝、そしてドロドロとしたまとわりつくような歪んだ愛だった。

 

穹は右手の人差し指と中指を立てて銃の形にすると、それを壊姫に向けた。

 

 

穹「これが答えだ………………『アステロイド(通常弾)』!!!」

 

散りばめていた魔力弾が一斉に壊姫に襲いかかる。壊姫は斧を双剣に変えて襲いかかる魔力弾を慌てて切り落とす。

 

穹「まだだ。『ハウンド(追尾弾)』!!」

 

今度は穹の飛んできた方角から無数の魔力弾が曲がりながら壊姫に襲いかかった。

穹は弾印でここに蹴り込みで飛ぶ瞬間、この事態を想定してハウンドを展開して待機させていた。

壊姫はなんとか避けるが周囲に弾幕を作られて視界が遮られてしまった。

 

穹「ホルク!」

 

ホルク『心得た。鎖印(チェイン)』

 

直後壊姫の足元に複数の「鎖」と描かれた印が浮かび、印から魔力の鎖が飛び出して壊姫の首に絡みついた。

 

壊姫(さっきの射撃で仕込みを!?)

 

ホルク『転印(テレポート)』

 

ホルクの音声が弾幕の中で響く。壊姫は双剣を斧に変えて、鎖を一つ一つ切り裂く。

全て切り落としたと同時に弾幕が晴れるが、そこに見たのは自分を包囲するように配置された複数のキューブ状の魔力弾だった。

 

穹「多方向同時ハウンド、『追尾弾嵐(ハウンドストーム)』!!!!」

 

配置されたハウンドは一斉に襲いかかり、射出と同時に壊姫に軌道修正し牙を剥く。

あらゆる隙間を潰しながらハウンドは吸い込まれる様に壊姫に全弾命中した。

 

穹「お前は俺の友達と家族に刃を向けた。その報いを受けろ。」

 

穹はバリアジャケットを解除すると、ヴィータ達の元に向かった。

 

ヴィータ「お疲れさん、シューター大分様になったな」

 

穹「師匠にはまだ負けます。ヴィヴィオ、大丈夫か?」

 

沈んだ表情で俯いたままのヴィヴィオに心配して声をかける。

 

ヴィヴィオ「穹君…………私って生きてていいのかな?」

 

穹「お前、何言い出すんだよ!」

 

ヴィヴィオは俯いたまま、涙を流していた。

 

ヴィヴィオ「さっき……………意識が朦朧としてる時言われたの……………『哀れな人間擬き』って………『たかがクローンの分際で』って……………なのはママや皆に支えられて生きてきたけど、結局私は………………聖王のクローンでしかないんだ!私はーーーー」

 

ヴィヴィオの言葉が続くより早く、穹はヴィヴィオの頭を優しく撫でた。

 

ヴィヴィオ「穹君?」

 

穹「確かに、お前は聖王のクローンかもしれない。けど、だからって生きてちゃいけない理由にはならない。お前は古代ベルカの聖王オリヴィエなんかじゃない。あの管理局のエース、高町なのはの娘で俺の最初の友達、高町ヴィヴィオだ。誰がなんと言おうとそれは変わらない。もし、まだそんなこと言う奴がいるなら……………俺が守ってやる」

 

顔を上げたヴィヴィオの目の前には、最初に会った時とは大違いな真っ直ぐな瞳でこちらを見る穹がいた。

 

穹「だからそんな顔するなよ。お前には笑顔が似合ってる」

 

その時、ヴィヴィオは電流が流れるような感覚に見舞われて顔が熱くなり穹と目が合わせられなくなった。

 

穹「?……………大丈夫か?」

 

ヴィヴィオ「だ、大丈夫…………………その……………ありがとう」

 

穹「気にするな。さて、壊姫は………」

 

穹は弾幕が晴れた壊姫の方に目を向ける。しかし、多少の血痕が残るのみで、壊姫は姿を消していた。

 

穹「……………………あの重傷でまだ動けたのか」

 

ヴィータ「は、いいからその手、早く退けてやった方がいいぞ」

 

穹「………?」

 

ヴィヴィオは真っ赤になった顔を隠して俯いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある暗い路地裏、そこに複数の男達がたむろっていた。

男の内、年長の男が近づく気配に身構える。

 

壊姫「そんなに警戒しないでちょうだい。」

 

「こいつ、壊姫!!」

 

「君みたいな名うての殺し屋が何の用かな」

 

男の一人が問うと、壊姫は壊れたような笑みを浮かべながら、未だにあらぬ方向に曲がっている片足を引きずりながら男達に近づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊姫「……………あなた達に仕事を頼みたいのよ。」

 

 




あとがき 
ホワイトデー特別編『ヴィヴィオにお返しをする穹をヴィヴィオ視点で見てみよう』

cv.イメージの内山昂輝ボイス想像してお楽しみください

穹「今日はバレンタインにくれた子にお返しする日だって聞いたからさ。ヴィヴィオにはこれな…………可愛い包み?言うなよ、買うの恥ずかしかったんだからな!まぁ、喜んでくれたならそれでいいけど……」






コロナ「こ、これは……………」(鼻血

シャマル「す、すぐに板に投稿せねば!!」

はやて「作者は?」

ヴィータ「穹に裏へ連れてかれた」





ま、待て!!!ハナセバワカル!!!!

穹「地獄で悔い改めろ!!!!!」







ーーーーーあまりに過激過ぎる為お見せ出来ませんーーーー


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第42話 高町なのは⑤

前回のあとがきの周囲の反応

ヴィヴィオ 顔を真っ赤にして卒倒

リオ ツンデレ乙

コロナ 出血多量(鼻血で)で昇天

アインハルト 不覚にも可愛らしいと思ってしまった


「仕事だ?」

 

壊姫「そう、仕事………………私の代わりにこいつら消してきてほしいの」

 

壊姫は懐からヴィヴィオとはやての写真を取り出してリーダー格の前に放り投げた。

 

「この女の子は知らないが、こっちのは管理局の八神はやてじゃないか?」

 

「ちょっと待て!『表』に手出すのは御法度だろ!!なんで俺らがそんな危ない橋ーーーー」

 

その先の言葉は続くことはなかった。反対する青年の首に壊姫の斧が突き付けられていた。

 

壊姫「ああ、頼み方が悪かったわね。あなた達に拒否権は無いの、ここで皆殺しにされるか受けるかすぐに決めなさい」

 

壊姫の淀んだ昏い瞳に青年もリーダー格を含む4人も寒気を覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日も大分沈んだ頃、穹は運び込まれて意識を取り戻したリオ、コロナ、アインハルト、ノーヴェ、そしてヴィヴィオと高町家に厄介になっていた。

 

穹「なのはさん、ヴィヴィオを俺のゴタゴタに巻き込んですみませんでした」

 

なのは「気にしないで、こうして皆無事なんだから。そういえばシロウ君は?」

 

ノーヴェ「ヴィータさんが担いで行きました。なんか別の用があるって」

 

リオ「ねぇ穹、あの女の子って……………」

 

穹「………………察しの通りだ。通称『壊姫』、裏社会の殺し屋だ」

 

穹はホルクに保存していた鶺鴒からもらったものを見せた。

そこには穹の現在の戸籍からヴィヴィオの生い立ちまで詳しく載っていた。

 

穹「裏の欲に目が眩んだ情報屋がこれを奴に売ったらしい。ごめん、皆まで………」

 

コロナ「それは気にしないで」

 

アインハルト「そうです、穹さんもこの事態までは予想出来ないでしょうから」

 

なのは「でも、その子はなんでそこまで穹君にこだわるの?初対面なんでしょ?」

 

穹「それです。どうも気になったので少し記憶を探ってみました。」

 

穹は鶺鴒からもらった情報を閉じると、別の資料を開いた。

それは1年前の失踪事件の記事だった。

 

ノーヴェ「これ確か…………………身寄りの無い孤児や家出した学生、そういった訳ありの女子が行方不明になったって奴だろう?」

 

なのは「でも、その子達皆ボロボロだったけど見つかったんだよね?」

 

穹「1年前、表からそういった女の人を拉致して娼館を作った連中がいました。その失踪事件の真相はそいつらが裏に拉致したんです。ある組織からそこを潰すように依頼された俺は捕らわれていた人達を解放して娼館を潰しました。その時、偶然俺を見た女の子がいました。『帰り道』は教えた筈ですが………まさか殺し屋になっていたとは」

 

ノーヴェ「なるほど、自分を助けただろう穹がさしずめ白馬に乗った王子様にでも見えたってことか」

 

アインハルト「ノーヴェさん、例えが乙女ですね」

 

ノーヴェ「そこ突っ込むなよ!結構恥ずかしいんだからな!!」

 

アインハルトの突っ込みに顔を真っ赤にするノーヴェ、だが事態が事態故にすぐ真面目な表情に戻った。

 

ノーヴェ「とにかく、あいつは色んな意味でも危ないな。今度はどんな手段を使っているか…………」

 

穹「関係ないですよ。またヴィヴィオを狙ってくるなら、俺が全力でヴィヴィオを守る。それだけです」

 

ヴィヴィオは顔を真っ赤にして俯いたまま、穹を直視することが出来なくなっていた。

そんなヴィヴィオに思わず穹以外の全員が和んでしまったのは言うまでも無い。

 

ヴィヴィオ(うぅ…………………どうしちゃったんだろ………顔が熱くて胸が凄くドキドキしてる……)

 

今まで感じたことの無い感覚にヴィヴィオは戸惑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、暗い路地裏に5人の人影があった。

 

「マジでやるのかよ、まぁ命は惜しいけど」

 

「『処刑人』の決定だ。リーダーの決定には従うしかない」

 

「………………リーダー、『人形』は準備出来てます」

 

処刑人「よし、『舞踏者』は俺と来い。『人形師』は手持ちの人形を二つに分けて両方対応、残りは八神はやてをやれ」

 

人形師「了解、『アイドラ』起動します」

 

小柄な少年が路地裏の一角にある倉庫を開けてコントローラーのようなものを操作すると、中から人型の機動兵器が大量に現れた。

 

処刑人「カモフラージュを忘れるな、行動開始!」

 

リーダーの合図と共に人形兵器を伴った二組は路地裏を抜けて一方は海沿いの方へ、もう一方は住宅街の方は走り出した。

 

海沿いに向かった一団は、砂浜を駆け抜けて八神家のすぐそこに来ていた。

その時、何かを感じた二人は咄嗟に身を屈めると、隣にいた人形『アイドラ』が切り裂かれた。

 

シロウ「はぁ、妙な子供の次は人形連れた怪しい一団か」

 

リョウ「装甲は平均程度ですね」

 

ソウジ「さて、時空管理局執務官、ソウジ・カゼハヤだ。悪いがここから先は通行止めだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じくして、住宅街に向かった一団はすぐに異変に気付いた。

人の気配が全くしない、それが認識出来ないような高度な結界だと気付いた時、目の前に一人の人影が現れた。

 

「や~悪いねユーノ君、今度地球の日本料理奢るよ」

 

青に黒いラインの入ったバリアジャケット、に黒い柄を携えた青年がそこに立っていた。

 

ユウ「どうも、裏社会の皆さん。俺は実力派エリートのユウ・キリサキ、悪いけどこっからは俺が相手をさせてもらうよ」

 

処刑人「『舞踏者』、戦闘準備」

 

二人が臨戦態勢に入ろうとした時、それは突然起こった。

 

 

 

 

 

 

「『旋空弧月』」

 

二閃の剣閃が共に、アイドラ数体が斬られた。

 

ユウ「おっと間違えた。"俺達"二人だったな」

 

時空管理局陸士108部隊の陸戦魔導師のツートップ、ユウ・キリサキとケイ・タチカゼが立ちふさがった。




はい、襲撃者はガロプラの面々にしてみました

アフト勢は予定していますが、まだ先ですね
尚シリアスパートですのでNGや笑い系の裏話はしばらくお休みにします


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第43話 ケイ・タチカゼ

ーーーー今日、闇市からデバイスを盗んだ。
双剣型で連結することで斧にもなるらしい、早速適当なゴロツキを使って試しに斬ってみた。
初めて人を殺した…………………この手で人の命を絶つあの感覚………………………あの人はいつもあの感触も味わってるのね
堪らない……………………命を壊すこの感触…………………とても堪らない……………もっと……………もっと壊したい……………もっと壊して……………………壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して………………………………[文字が汚れ掠れてこの先は読めない]




ーーー壊姫の日記より抜粋


ユウは柄を抜き、柄から緑色の光剣が伸びる。それと同時にケイは跳躍し一息にユウの隣に降り立った。

 

ケイ「見たことねぇ型の人形兵器だな。シャーリー辺りに土産にしたら興奮して一回転しそうだな」

 

ユウ「あ~それいいですね~一体くらい無傷で確保してみます?」

 

 

呑気な会話をする二人、しかし全く隙を見せない。

人形兵器の先頭に立つ二人の殺し屋、『処刑人(エクスキューター)』と呼ばれた中年の男と『舞踏者(ダンサー)』と呼ばれた若い青年は警戒を強めた。

 

処刑人[もう少し下がれ舞踏者。こいつら、かなりの手練れだ。]

 

舞踏者[了解]

 

処刑人[人形師(パペッター)はアイドラで波状攻撃、足止めに徹しろ。その隙に我々は結界から脱出し、標的を始末する]

 

人形師[了解]

 

念話で的確に指示を与える処刑人、普通の相手ならば通用していただろう。しかしーーーー

 

ユウ「『エスクード』」

 

ユウの足元から後方に光の線が伸びて、ユウとケイの背後にバリケート型の盾が地面からいくつも出現した。

 

ケイ「ギンガ、頼んだ」

 

ギンガ『了解、各員エスクード起動!!』

 

ギンガの合図と同時にあちこちにバリケートが張られ、退路を完全に絶たれてしまった。

 

ユウ「もうアンタ達はなのはちゃん家にはたどり着けないよ。俺のレアスキルがそう言ってる」

 

舞踏者「こいつら!!」

 

処刑人[人形師、八神はやての元へ向かった別働隊は?]

 

人形師[管理局の執務官の待ち伏せを受けて今交戦中です]

 

処刑人[わかった、向こうの戦況を見ながらこちらを援護しろ]

 

人形師[了解]

 

人形師は手元のコントローラーを操作してアイドラは一斉にユウとケイに襲いかかった。

ケイは二本の光剣型アームドデバイス『弧月』を構えて目の前の人形兵器に斬りかかった。

アイドラは三人一組となり腕を構えると防護魔法が三重に張られ弧月の刃を受け止める。 

 

ケイ(こいつら………人形兵器なのに連携して強固な防護魔法を)

 

ケイは一度距離を取って一本を鞘に納め、居合いのように構えた。

 

ケイ「『旋空弧月』」

 

そこから放たれた二閃の剣閃は今度に反応する間も無く、アイドラを斬り裂いた。

これが弧月に内蔵されている補助魔法『旋空』だ。

魔力を消費することで斬撃を拡大させることが出来る。

 

ユウ「お~流石ケイさん」

 

ユウはのらりくらりと襲い来る攻撃をレアスキルを駆使して避けると、出来た隙を光剣で一体一体斬り裂く。

 

処刑人[予想以上だな……………人形師]

 

人形師[了解、僕も"入り"ます]

 

直後、アイドラの内の一体の雰囲気が豹変した。

 

ユウ「!………………そう来たか」

 

そして、豹変したアイドラがケイに襲いかかる。腕のブレードと弧月が火花を散らせる。

 

ケイ「ユウ!動きの変わった奴がいるぞ!!」

 

ユウ「こっちにも一体、これはちょっとマズいな」

 

しかし、それだけでは終わらなかった。

 

舞踏者「『デスピニス(踊り手)』」

 

処刑人「『バシリッサ(処刑者)』」

 

処刑人の背中から四つの先端に爪状ブレードのついたアームのようなものが出現し、舞踏者の周囲に輪状の魔力刃が展開された。

 

処刑人「崩れた、押し切るぞ」

 

舞踏者「了解」

 

舞踏者が手を翳すと魔力刃は一斉に襲いかかった。四方八方から迫り来る魔力刃を避けていると、すぐそこに処刑人の爪が迫っていた。

あらかじめ予知したユウはギリギリで受けとめ、ケイはユウの動きを見て咄嗟に後方に飛び退いた。

 

処刑人「お前達は確かに強い。だが、弱肉強食の裏社会を生き延びてきた我々とでは戦闘経験が違うのだ。」

 

ケイはこの男と同じ程の実力者を思い出していた。自分の剣の師匠でナカジマ三佐の懐刀とも呼ばれる管理局最強の陸戦魔導師、シノブ一尉だ。

 

ケイ「ここでやられたら…………シノブさんにどやされそうだな」

 

ケイは鞘に納めていたもう一本の弧月を抜いて、処刑人に斬り込んでいった。

ユウは舞踏者の魔力刃を捌きながら、動きの変わったアイドラの相手をしていた。

 

ユウ「やっぱり一対二はキツいな~」

 

舞踏者「そういう割りに、随分と余裕だな(人形師が"入って"いることを知っている?いや、そんな筈は………)」

 

ユウ「そうでも無いさ、これほどの連携を即座にやれる奴はそうはいない。だから……………………………こちらも全力を出すさ」

 

 

 

 

 

 

『ロック解除認証、「風刃」起動します』

 

 

無機質な音声が聞こえた瞬間、ユウの光剣の刀身からいくつもの光の帯が現れた。

それは一瞬の出来事だった、ユウが光剣を振り下ろした瞬間に、舞踏者の隣にいた人形師が"入って"いたアイドラが真っ二つにされた。

 

 

舞踏者「!!!!!」

 

 

 

 

 

 

ユウ「アンタ達にも事情があるんだろう、けど申し訳ないが……………………………アンタ達にはここできっちり負けて帰ってもらう」

 

 

 




穹の現ステータスをBBF風にしてみた
(トリオンは魔力に変更)

パラメータ(ホルクの支援有り)

魔力 30

攻撃 7

防御・援護 4

機動 7

技術 6

射程 10

指揮 5

特殊戦術 6

トータル 75


トリガーセット風(スナイパー)

メイン

イーグレット

ライトニング

アイビス

free


サブ

バッグワーム

鉛弾(レッドバレッド)

free

free


ガンナー(アステロイド等の表示無し)

メイン

突撃銃

拳銃

散弾銃

free


サブ

バッグワーム

拳銃

鉛弾(レッドバレッド)

スタアメーカー


シューター

メイン

アステロイド

ハウンド

free

free


サブ

アステロイド

ハウンド

バッグワーム

鉛弾(レッドバレッド)



なのはさん達だったら普通にパラメータトータル100越えしてるんでしょうね~




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第44話 ユウ・キリサキ③

5年前、管理局の技術者達によってクロスレンジの魔導師用のアームドデバイス開発が計画された。
その先駆けとなったのが万能型の『弧月』である。
これにより、管理局の魔導師の近接戦闘能力は飛躍的に上昇した。
後に、当時デバイスマイスターの資格を取得したユウ・キリサキ二等陸士(現三等陸尉)が管理局のエンジニアと共同開発したスピード型の『スコーピオン』、更にある元陸士のエンジニアが考案し、現在湾岸警備隊、救助隊の正式武装に採用されている防御型の『レイガスト』が加わることで近接戦闘型の魔導師の能力が向上した。

ーーーーーー管理局技術開発局の記録より抜粋


ユウ達が戦闘を開始した同時刻、リオとコロナとアインハルト、そしてノーヴェは各々家族に連絡を入れて、ヴィヴィオは風呂に入り、穹はなのはから戦術の教えを受け、盤状のシュミレーターで様々な戦術を対戦形式で教わっていた。

 

なのは「さぁ、この状況はどうする?」

 

シュミレーター上でなのはの陣営は遠距離型の魔導師が穹側の陣営を全員狙える位置からプレッシャーをかけて、スコーピオン使いの近接魔導師と弧月使いの近接魔導師が穹側の陣営に攻撃を仕掛けている。

 

穹「(遠距離からの援護がある以上そちらにも意識を割く必要がある。となると不安要素を取り除けば)…………よし、こうです。」

 

穹が選んだ戦術は『カメレオン』を使用したスコーピオン使いの近接魔導師を遠距離型の方へ向かわせ、相手の近接魔導師をレイガスト使いの近接魔導師と弧月使いの近接魔導師で足止めさせてその隙に遠距離型を倒す。

そして遠距離の援護を潰した上で残る近接型を倒すというものだった。

 

なのは「正解、遠距離型より近接型を倒すことを選んだ場合、援護射撃で不利になるからね。」

 

穹「ただそこにいるだけで相手にプレッシャーをかける。こんなやり方もあったんですね」

 

なのは「けど、それもそれなりに経験や知識がいるし、相手のレベルも考えなきゃいけないよ。教導隊でお世話になっている先輩の言葉を借りるなら『戦術で勝負する時は敵の戦術のレベルを計算に入れる』だね」

 

穹「なるほど…………………相手がどれくらいやれるかも計算に入れる必要があるってことか」

 

穹はシュミレーターのユニットが持つ弧月を見て、ふとある疑問が浮かんだ。

 

穹「あれ、なのはさん。弧月って外見をアレンジ出来ますか?」

 

なのは「ん?まぁ鍔着けたり色アレンジするくらいは出来るけど?」

 

穹「じゃあ、ユウさんみたいなアレンジも出来るんですか?」

 

穹は弧月を見て、ふと初めてユウと会った時に見たユウのアームドデバイスを思い出した。

しかし、ブレードの色や柄の形状が微妙に違うことに気付いた。

 

なのは「ああ、ユウさんのあれは弧月じゃないよ。全距離対応型アームドデバイス『風刃』、ユウさんが昔お世話になった人が作ってくれたユウさん専用のアームドデバイスだよ」

 

穹「見た目は弧月に似てますけど、やっぱり性能は違うんですか?」

 

なのは「うん、性能は弧月以上だよ。加えて風刃には固有魔法が内蔵されているの。『物体に斬撃を伝播させて、目の届く範囲どこにでも攻撃出来る』。攻撃に特化している分対応力に欠けるし一度に撃てる斬撃も限られてるから再装填の間に隙が出来るけど、それを差し引いても強力だよ。…………………………………何せ、4年前のJS事件で襲ってきた戦闘機人3人とガジェット数体をたった一人で倒したくらいだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、再び結界内、何が起こったのか解らず思考の止まった舞踏者にユウは風刃を振り下ろした。

ギリギリのところで我に返り、避けると自分の後ろにいたアイドラが再び真っ二つに切り裂かれた。

 

舞踏者(遠隔斬撃!?こんな隠し玉を!!)

 

処刑人「舞踏者下がれ!」

 

処刑人はケイを弾き飛ばし、再び距離を取った。

 

ケイ「久しぶりに風刃使ったな。まぁ出し惜しみしてられる相手じゃねぇか」

 

ユウ「次は人形兵器がケイさん足止めして、向こうの二人がこっち来そうだな」

 

ケイ「おいユウ、独り占めは良くねぇぞ」

 

ユウ「それ、敵さんに言ってくれます?……………そろそろ来るか」

 

二人が相手に視線を戻した直後、アイドラが一斉にケイに襲いかかり、ユウの目の前には舞踏者と処刑人が各々の武器を構えていた。

 

 

ケイ「結局予知通りかよ!おいユウ、こっち片付くまでにそっち終わってなかったら俺も混ぜろよ!!」

 

ケイは二本の弧月を構えて、襲いかかってくるアイドラに斬りかかっていった。

 

それと同時に処刑人はその爪をユウに向けてくる。ユウは爪を受け流して、更に死角から迫る魔力刃をレアスキルを使って回避する。

 

処刑人「この動き……………俺達の攻撃が"視えて"いるのか?」

 

ユウ「生憎、そういうレアスキルでね」

 

ユウと処刑人と舞踏者は刃を交えながら、結界内を飛び回る。

しかし、単純な力では処刑人の方が上だった。弾き飛ばされ、ユウはガレージの中に追い込まれてしまう。

 

処刑人「その若さで大したものだが、年季が違うのだ!もう逃げ場は無い!!」

 

処刑人は4本の爪を一斉にユウに向ける。しかし、ユウは自分の背後に刃を振るう。

斬撃は壁を伝わって天井を通り、処刑人の肩を切り裂いた。

 

処刑人「!!!!!」

 

ユウ「逃げ場が無いのはそっちだよ。少し熱くなりすぎたね」

 

ユウは再び風刃を振るう。壁と天井から斬撃が縦横無尽に襲いかかり処刑人を切り裂いた。

その時、その処刑人の後ろから3つの魔力刃がユウに襲いかかってくる。

 

舞踏者(こいつが遠隔斬撃を繰り出す毎に、刀身の光の帯が消えている。つまりあの光の帯が遠隔斬撃の残弾、ならば残り一本使わせれば!!)

 

舞踏者は魔力刃を4つ重ね、一つの大きな魔力刃にすると飛ばした3つの魔力刃を操って牽制しつつ大魔力刃をユウに飛ばした。

その隙に背後に回って至近距離から魔力刃を飛ばそうとする。

無論、ユウはこれを予知して背後の舞踏者に遠隔斬撃をぶつける。

しかし、それで良かった。これで次の遠隔斬撃は無いと確信したから。

肉を切らせて骨を断つ、光の帯はなくなって好機と見た処刑人は再び爪をユウに向けた時、舞踏者は違和感を覚えた。

 

舞踏者(待てよ、光の帯は最初は10本だった筈だ。アイドラに2発、処刑人に6発、俺に1発……………もう1発はどこに使った!?)

 

その答えはすぐに知ることとなった。処刑人のすぐ横の壁から足元にかけて1本の線が入っていて、そこを最後の1発の斬撃が通り、処刑人が気付いた時、4本の爪が切り裂かれた。

 

舞踏者(我々の動きを予知して、すでに斬撃をガレージの壁に仕込んでいたのか!?)

 

 

 

 

 

ユウ「あんた達は強い。管理局の精鋭、更にはエース・オブ・エースに勝ってもおかしくないけど………風刃と俺のレアスキルは相性が良すぎるんだ。悪いな」




デバイス設定

名称:風刃

使用者:ユウ・キリサキ

タイプ:アームドデバイス

術式:ベルカ式

ユウの持つ専用のデバイス、物体に斬撃を伝播させて目に見える範囲どこにでも攻撃出来る遠隔斬撃の固有魔法を内蔵している。
一度に撃てる斬撃は限られており、使用者の魔力量によって変化する。(ユウの場合、10発)


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第45話 ケイ・タチカゼ②

原作ランク戦面白くなってきましたね~
香取隊相手に修はどこまで食らいついていけるのか……………の前にどれくらい持ちこたえられますかね~


結界内にて闇夜に光剣が軌跡を描き、目の前の人形兵器を真っ二つに切り裂いた。

人形兵器はその数を既に9/10が道路上で残骸と化している。

 

 

人形師(流石108部隊が誇るトップクラスの陸戦魔導師、とはいえ生身に人間である以上疲弊すれば動きも鈍る。アイドラの数ももう僅か、次の波状攻撃で片を付ける。)

 

人形師は手に持つコントローラーを操作する。2体のアイドラが2方向からケイを崩しにかかった。

ケイは腰に納めたもう1本の弧月を抜刀して対応すると、残っている全てのアイドラが一斉に襲いかかってきた。

腕部分から伸びる黒いブレードが次々とケイに襲いかかり、気付けばユウの配置したエスクードのすぐ直前まで追い込まれていた。

 

ケイ「ったく、少しは加減しろよ…………」

 

息が上がり、疲労が見えるケイに一斉にアイドラのブレードが迫った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイ「『旋空弧月』」

 

次の瞬間、光の軌跡と共に2体のアイドラを残して全て切り裂かれた。

 

ケイ「あ~ぁ、やっぱり無傷では無理だったか~。折角加減して無傷確保狙ってたんだけどな~」

 

ギンガ『ケイさん、真面目にやって下さい!』

 

ケイ「いや~遊び心も大事かなぁってーー」

 

その時、残った2体のアイドラがそのブレードを突き立ててきた。

ケイは弧月二刀流でブレードを弾き、文字通りバラバラにした。

 

ケイ「思ったんだよ。折角面白い上に腕立つ奴が出てきたわけだからな~」

 

ギンガ『はぁ…………(流石シグナムさんと同じ戦闘狂………)』

 

 

 

 

 

 

 

人形師[舞踏者、住宅街方面のアイドラが全滅。そちらの状況は?]

 

舞踏者[処刑人がやられた、『踊り手(デスピニス)』も完全に見切られている。流石に管理局のトップクラス魔導師を相手にしたのは悪手だった]

 

人形師[沿岸部、八神はやての方に向かったコロとレギィも旗色悪いようだよ。]

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーユウ、ケイの戦闘開始とほぼ同時期

 

 

??「なんで管理局の執務官が出張ってきてんだよ!!」

 

??「落ち着いてレギィ、どうやらリーダー達の方にも邪魔が入ったらしい。こちらの襲撃はバレていたみたいだ」

 

レギィ「冗談じゃねぇぞ!だからこんな仕事受けなきゃ良かったんだよ!!」

 

??「……………仕方ないさ。仲間の命がかかっているんだ」

 

彼らにはもう一人仲間がいた。しかし壊姫によって捕らわれている。

壊姫は言った。

 

 

『例え死んでも始末して来なさい。明日の朝になっても戻らないならこの女の首切り落としてこのアジトの前に飾るから』

 

 

デバイスを奪われ、無抵抗の状態で痛めつけられ、人質となった仲間を見捨てることは出来なかった。

 

レギィ「クソ!あのガキ………コロ、とっとと片付けるぞ。『剣竜(テュガテール)』!!」

 

コロ「………………『黒の壁(ニコキラ)』」

 

レギィの利き手に尾を模したブレードが出現し、コロの腕にジェル状の盾とブレードが現れた。

 

シロウ「ソウジさん、こいつら生かしたまま無力化でしたっけ?」

 

ソウジ「ユウからの指示だ。理由までは解らないようだったが」

 

リョウ「まず周りの人形兵器から片付けましょう。」

 

ソウジ「そうだな……………ユーノ、そちらは準備出来ているか?」

 

 

その頃、八神宅のリビングでは無限書庫の司書長、ユーノ・スクライアが結界内を映す複数のモニターを確認しながら端末のキーボードを操作していた。

 

 

ユーノ「うん、向こうはケイさんとユウさんがいれば援護は必要無いだろうからね。そちらの補助に集中出来るよ。」

 

ソウジ「よし、こちらも始めるぞ」

 

ユーノ「了解、『スイッチボックス』起動!」

 

ユーノがキーボードを操作すると同時に3人は一斉に『カメレオン』を起動し、人形兵器『アイドラ』が動き始めた。

アイドラが歩を進めていた時、アイドラの足元に陣が展開され、地面からブレードが伸びてアイドラを串刺しにした。

別の所では陣から鎖が伸びてアイドラを拘束する。

その瞬間ソウジ達が姿を現して拘束したアイドラを多方向から斬り刻み、再び姿を消した。

 

レギィ「こいつら!」

 

コロ「レギィ、迂闊に動かない方がいい。恐らく一面罠だらけだ。」

 

 

更に、姿を消したソウジがユーノの指示したポイントに降り立つと陣が出現してソウジが消えた。

そして、レギィの背後に出現すると両手に持つスコーピオンを振り下ろす。

割って入ってきたアイドラが代わりに斬られ、レギィは剣竜を振るう。

今度はソウジの横にバリケード『エスクード』が出現して斬撃を防ぎ、その隙にソウジは再び姿を消した。

 

コロ(罠だけじゃない?となると何者かがどこかから援護しているのか)

 

ユーノが使用している『スイッチボックス』は特殊工作を目的としたパソコン端末型のデバイスで指定した範囲にトラップを複数設置を可能にし、使用者の任意のタイミングで起動出来る。

発動効果は攻撃用から移動用など様々だが、使うものは比較的少ない。

ユーノは『スイッチボックス』開発時、テスターとして使っていたものをそのまま使っている。

元々支援が得意なこともあり、無限書庫司書長でありながら執務官、局員のサポートとして活躍している。

 

ユーノ「リョウ、そこの岩の上にテレポーターを設置したよ。シロウ、東4m先でバインド発動を確認、処理お願い」

 

 

はやて「ユーノ君、めっちゃ活き活きしとるな~」

 

シャマル「無限書庫に置いておくのはもったいないって声があがるくらいだものね」

 

アギト「陸戦部隊や次元航行部隊からもスカウトされたって聞いたからな~」

 

八神家の面々が見守る中、ユーノはキーボードを操作して、戦局を巧みに操っていた。




裏話
とある八神家の昼下がり

今回の非番メンバーはヴィータ、はやて、シャマル、リイン



ヴィータ「穹~ゲームでも………………お?」







はやて「ヴィータ~穹~リイン~、夕飯何食べたい~?……………ん?」

シャマル「はやてちゃん、どうしたの?」

はやて「し~」

はやてが指差す方を見ると、獣の姿になって眠るザフィーラと、そのザフィーラを枕のようにして眠るヴィータ、リイン、穹の姿があった。

シャマル「なんか微笑ましい光景ね」

はやて「昼下がりの陽気にやられたんやね~」


とある昼下がり、微笑ましい姉弟の寝顔に2人は癒やされていた。


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第46話 ソウジ・カゼハヤ②

ワールドトリガー的プロフィール

八神穹

10歳(小学生)

7月9日生まれ(ホルク曰く)

つるぎ座 A型

好きなもの 家族、母の手料理、友達





月の無い闇夜に無数の光剣の軌跡が描かれる。そしてその軌道上の人形兵器『アイドラ』が斬り刻まれる。

姿を消し、ユーノの補助を受けたソウジ達は息の合った連携でアイドラをほぼ全てを排除していた。

 

コロ(なるほど、アサシンの呼び名は伊達じゃないか)

 

シロウ「隙だらけだよ、ナメてるの?」

 

『カメレオン』を解いたシロウがコロの背後を取り、両手に展開したスコーピオンを振り下ろした。

しかし、突如シロウとコロを遮るようにジェル状の壁が現れスコーピオンを防ぐ。さらにジェルはスコーピオンのブレードを覆うように纏わり付く。

 

シロウ「?」

 

その時、残存していたアイドラの1体がシロウに襲い掛かる。シロウは迎撃態勢になりスコーピオンを振るう。

しかし、そこで思わぬ事態が起こった。纏わり付いていたジェルによって阻まれブレードが斬れなくなっていた。

思考が停止した刹那、アイドラの拳が直撃してシロウは容易く吹き飛ばされた。

 

ユーノ『シロウ、無事!?』

 

シロウ「無事に見えます?あ~痛い、防護魔法で威力殺したけど」

 

ソウジ「・・・・・・・・・ユーノ、今のはなんだ?」

 

ユーノ『わからない・・・・・けど、あれは相手に不利な魔力効果を与える盾みたいだね。武器を無力化出来るだけには思えないよ』

 

その時、竜の尾のブレードを振るうレギィがソウジに襲い掛かる。そこにもう一人の執務官補佐、リョウ・リーバーが割って入りブレードを捌き押し戻す。

 

ソウジ「リョウ、シロウと連携してそっちを片付けろ。俺はこの盾持ちを相手する」

 

リョウ・シロウ「了解」

 

シロウはジェルに覆われたスコーピオンを一度消して再びスコーピオンを展開した。そしてリョウとほぼ同時に『カメレオン』を起動して姿をくらました。

 

コロ「やれやれ、執務官がこちらに来たか」

 

ソウジ「一応聞いておこうか、何故高町の娘と八神を狙う?」

 

コロ「それを教えたら、この場を退いてくれるかな?」

 

残っていたアイドラが一斉に襲い掛かる。ソウジは左手のスコーピオンを逆手に持ち替えると独楽のように回転しながら飛び上がり、挟撃を仕掛けるアイドラの首を斬り落とした。

そしてスコーピオンを一度消すと着地点にいるアイドラの頭部を踏み付ける際に足の裏に展開したスコーピオンで頭部を穿つ。

さらにそのアイドラを踏み台に再び跳躍すると同時に『カメレオン』で闇夜に溶け込む。直後、右手にスコーピオンを展開したソウジがアイドラの背後に現れ真っ二つにすると後方の拳を振り下ろそうとしているアイドラにスコーピオンのブレード付きの蹴りでその腕を切り落とすと右手にのスコーピオンを顔面に突き立てる。

そして最後の1体が口部分の目からエネルギー弾を撃つとソウジはこれを冷静に見切り、徐々にに距離を詰めていく。

接近するソウジに黒いブレード付きの腕を振り下ろすと、問題なく避けてその腕を切り落とす。さらにもう一方の腕を切り落とすと再びエネルギー弾の標準がソウジに向けられる。

迫るエネルギー弾を防護魔法で防ぐと、右手のスコーピオンを首に突き立てる。

 

ソウジ「悪いがあいつらは友人でな。手出しはさせん」

 

コロ「やっぱりこうなるか・・・・・・・・」

 

コロの周囲を『黒の壁(ニコキラ)』と呼ばれたジェルが使い手を守るように現れた。ソウジは両手にスコーピオンを展開して『カメレオン』を起動する。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、高町家ーーーーーーー

 

時刻は午後23:30、既にリオ、コロナ、アインハルト、ノーヴェ、穹は用意された客室で眠りにつき、リビングでは管理局のエース、高町なのはが明日の教導メニューを作成していた。

そんな時、リビングの扉が開いて娘のヴィヴィオが入ってきた。

 

なのは「眠れないの?」

 

ヴィヴィオ「うん・・・・・・・・(なんであんな夢を・・・・・・・)」

 

なのは「悩み事?」

 

ヴィヴィオ「えっとね、夕方から私変なんだ。ずっと穹君のことが頭から離れなくて・・・・・・目が合うと顔が熱くなっちゃうの。どうしたんだろ?」

 

なのははそれを聞いてすぐに察した。ヴィヴィオはソレが何なのか解っていない様子だった。いつか"そういう人"がヴィヴィオにも出来るというのはなのはも解っていたことだった。

それでも親としてはかなり複雑な心境に陥っていた。近頃、友人のはやてが親バカになったと聞いてはいたが自分も人のこと言えたものでは無いなと自虐する。

 

なのは「ヴィヴィオ、それはね・・・・・・・・・・自分で気づかないといけないの。けど、その気持ちはとても大切なものだから、絶対に無くしちゃダメだよ?」

 

ヴィヴィオは頷くと眠気が襲ってきたらしく、目を擦りながら自室に戻っていった。

 

 

 

 

 




ワールドトリガーの表紙カバー裏的紹介文

クール系ツンネコ 八神穹

殺し屋から普通の小学生にランクダウンしたクールなツンネコ。
クラスで浮くかと思われたが意外と馴染み(3馬鹿は例外)結構仲良くやってる様子。
たまに中庭にて猫と戯れている姿が確認されていて随分懐かれているらしい、その内本人にも猫耳が生えてくるのではと噂され、一部の生徒の間で今も議論されている。


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七夕特別編 7月7日

穹「おい作者、随分と更新止まったな」

ちょっと・・・・・・・スランプ気味で・・・・・・・

穹「新しく作った作品は随分更新していたみたいだな」

そ、それは・・・・・・・・・

穹「・・・・・・・・・メテオラ」

すんませんでしたぁああああああああ!!!!


7月7日、この日穹達八神家と高町家は夏休みを利用して八神はやて、高町なのはの故郷である管理外世界『地球』に来ていた。

なのはは連れてきたヴィヴィオと実家で、八神家ははやての友人の月村すずかの屋敷でそれぞれ七夕を楽しんでいた。

 

すずか「まさかなのはちゃんに続いてはやてちゃんまで子供連れて来るなんてね、すっかり先越されちゃったな~、アリサちゃんも最近若い時の征服王さん似の素敵な彼氏出来たみたいだし」

 

はやて「すずかちゃんやてその気になればいい人すぐ見つかるやろ?」

 

二人が仲良く話している時、穹は猫と戯れながらヴィータに七夕について聞いていた。

 

穹「願い事をこの札に書いてこの笹って木吊すか・・・・・・・・」

 

ホルク『願掛けの儀式と考えればいいだろうな』

 

ヴィータ「まあ似た様なものだな、穹は何願うんだ?」

 

穹「そうだな・・・・・・・・・・『皆が何事も無く平穏無事でいられます様に』、かな」

 

ヴィータ「・・・・・・・・・ザフィーラ・・・・・・・・私今マジで心から泣きそうになった」

 

穹の純粋で健気な願いにヴィータは涙し、そして戦闘狂と腐女子は弟の純粋さに自分の心が汚れてる気がして心に刺さるものを感じがっくりうなだれていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、地元で行われる七夕祭に来ていた。穹は普段着ている黒い猫耳パーカーで付き添いで来ていたヴィータとはやては浴衣姿ですれ違う男性の視線を釘付けにしていた。

そしてもう一方にも視線が集まる。その先には同じく浴衣姿のなのはとヴィヴィオがいた。

 

ヴィヴィオ「あ、穹君!」

 

穹「ああ、浴衣似合ってるな」

 

ヴィヴィオ「そ、そう?」

 

臆面無く女子が言ってほしいことを言う穹にヴィヴィオも思わず顔を赤くし、遠目から見ている三人はその様子を見てニヤニヤしている。

 

ヴィータ「初々しいな~」

 

はやて「あれで付き合って無いとか全男子敵に回しそうやね~」

 

なのは「にゃはは」

 

無論、この状況をはやてが楽しまないわけも無く一瞬狸耳の幻影が見えた気がした。

 

はやて「じゃあヴィータとなのはちゃん連れて行きたいとこあるから二人は楽しんで来てええよ~」

 

なのは「そういうことだから~」

 

ヴィータ「ヴィヴィオ、頑張れ」

 

はやての意図をすぐに察知した二人は流れに乗り人混みの中に消えて、その場には穹とヴィヴィオだけが残った。

 

ヴィヴィオ「え、えっと・・・・・・・・どうしようか?」

 

穹「母さん達もああ言ってるし、折角だから色々見て回るか」

 

ヴィヴィオ「そうだね」

 

穹「そういえば、こうして二人でってのはなんだかんだで初めてだな」

 

ヴィヴィオ「そ、そそそそそそうだね(よく考えたら穹君と二人っきり!?)」

 

ちなみに親二人と姉一人は遠すぎず近すぎずの距離で二人を尾行していた。

 

はやて「見てみ、ヴィヴィオあんな顔真っ赤にしとるで」

 

なのは「もういちいち反応が可愛いな~」

 

ヴィータ「なのはもはやてに負けず劣らずの親バカだよな~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穹とヴィヴィオは祭で賑わう中を歩いていた。人混みの中、何度か逸れそうになるが穹には見つけるのは容易かった。

穹が殺し屋時代に身につけたスキルの一つで殺しの際、狙撃を主としていた穹は標的を追跡する時人混みに紛れて逃げようとする標的を追う為人混みの中でも特定の人物をある程度なら見つけられた。

それにより少し逸れる程度なら簡単に見つけられた。

 

穹「人多いな」

 

ヴィヴィオ「そうだね・・・・・・・(どうしよう、全然落ち着かないし色んなことが頭の中ぐるぐるしてる!)」

 

ヴィヴィオの方は穹と二人っきりの状況に対して戸惑い、思考がうまく働かない状態になっていた。

ヴィヴィオは未だ自分の抱く想いがどういうものなのか知らない為、尚更混乱していた。

そんな時、ヴィヴィオが我に返ると穹がヴィヴィオの手を握っていた。

 

穹「これで、もう逸れることも無いだろ?」

 

ヴィヴィオ「そ、穹君?」

 

穹「別に深い意味は無いからな!ただ本格的に逸れると探すのに手間がかかるからだ」

 

ヴィヴィオは穹に手を引かれながら真っ赤になった顔を隠そうと俯いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いてると大きな竹が置いてあり、短冊が吊されていた。周りには子供連れの親やカップルで賑わっていた。

 

穹「へえ・・・・・・ヴィヴィオ、俺達も何か願い事書いてみるか?」

 

ヴィヴィオ「へ!?あ、うん」

 

大分落ち着いてきたヴィヴィオは穹と係の人から短冊をもらい、それぞれ願い事を書く。穹はすぐに書くがヴィヴィオがいくつも思い浮かび中々書けずにいた。

そんな時、真っ先に浮かんで来たのは、辛い過去を持ちながら前へ進もうとしている頭から離れない隣にいる少年のことだった。

 

 

 

 

 

願い事を書き終えた二人はそれぞれの短冊を笹の葉に吊していく。

 

ヴィヴィオ「穹君はなんてお願いしたの?」

 

穹「ん?『皆と平穏無事に過ごせる様に』かな、そういうヴィヴィオは?」

 

ヴィヴィオ「内緒♪」

 

穹「おいおい、俺だけ教えるのはフェアじゃ無いだろ?」

 

ヴィヴィオ「内緒なものは内緒なの!なのはママ達探そ?」

 

穹「あ、おいヴィヴィオ!」

 

今度はヴィヴィオに手を引かれて穹は尾行している(穹は気付いていた)三人を探しに行った。

ちなみになのは達も短冊を書いていて、なのはが『ヴィヴィオが自分の気持ちに気付きますように』、はやてが『穹が健やかに育ってくれますように』、ヴィータが『家族が皆笑って暮らせますように』だった。

 

そして穹の短冊のすぐ近くに吊されているヴィヴィオの短冊には、『穹君とこれからも仲良く出来ますように』と書かれていた。

 

 

 

 




近い内にこちらと東方二次の連載も再開したいです・・・・・・・

そしてfate/goで空の境界コラボガチャ復刻してほしいです、切実に


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第47話 ソウジ・カゼハヤ③

とりあえず、今回から更新する順序決めてやることにしました

聖王と魔弾の射手
 ↓
無限の軌跡
 ↓
幻妖録

とりあえずはこの順序でやることにしました


夜闇を光剣の軌跡がはしる、ソウジは迫るジェルを避けて再び斬りつける。ジェルが光剣スコーピオンに触れて覆われるとすぐに消して再び作り出す。

 

コロ("黒の壁(ニコキラ)"にもう対応し始めたか。アイドラはもう無い、囮も使えないか)

 

ソウジの足元に陣が出現し、コロの背後に回りスコーピオンを振り下ろす。コロは腕部ブレードで防ぐがそこで違和感を覚える。

ソウジの手にスコーピオンは1本しか無かった。

 

ソウジ「"枝刃(ブランチブレード)"」

 

スコーピオンを持つ手の肘からブレードが伸びてコロに襲い掛かる。コロは防護魔法で防ぐ。

そしてジェルを操りソウジを背後から急襲する、ソウジはカメレオンで姿を隠してその場を離脱する。

そして再び姿を現しスコーピオンを片手に構えて接近する。先程と同じ仕込みを警戒していると、今度は自分の足元からブレードが伸びて襲い掛かった。虚を突かれブレードを避けて慌てて後退、岩場の近くに追い込まれていた。

 

 

ソウジ(勘がいいな、"もぐら爪(モールクロー)"をあの一瞬で察知したか)

 

これがスコーピオンの利点である、体のどこからでも様々な形状で出せる。つまり、二つ繋げてブレードが増えた様に見せることも足の裏から出して地面の下から奇襲を仕掛けることも可能なのだ。

耐久性の低さを差し引いても応用性、機動性、手数は弧月を上回り魔法競技においても近接魔導師に幅広く使われている。

 

コロ「流石は名うての執務官、一筋縄ではいかないか」

 

 

 

ソウジ「・・・・・・・・・さて、"人質"はどこにいる?」

 

コロ「!!」

 

ソウジはただ攻めるだけでは無く、シロウがレアスキルで聞き取った情報をユーノ経由で聞いていた。

 

ソウジ「今なら未遂で終わる、人質は我々でも救出可能だ。必要なら別の次元世界へ渡航する手続きもしよう。そちらとしても悪い話では無いはずだ」

 

コロ「・・・・・・・・・・」

 

 

コロは沈黙を続ける、自分達の現状まで把握されているとは思ってもいなかったからだ。

 

だが、それだけであり信用することはできなかった。次の瞬間、ソウジが反応するよりも早く岩の隙間からジェルが飛び出し、ソウジの片足と片腕を覆う。

足が踏ん張れず、覆われた腕からスコーピオンを出しても掴むことができなかった。

 

コロ「確かに悪い話じゃ無い、けど信用する要素無い。それと一つ忠告しておすよ、執務官さん。戦いの最中におしゃべりはよくない」

 

ソウジ「『戦いの最中』?馬鹿を言うな・・・・・・・・・・・・・・お前をそこに"誘導"した時点でもう勝負はついてる」

 

コロ「・・・・・・・・!?」

 

コロが反応した時にはすでに遅く、一発の魔力弾がコロの腹部に命中した。

 

 

 

 

 

 

戦闘区域の沿岸から500m離れたビルの屋上にて、オレンジの長髪を靡かせる女性執務官が狙撃型の武装を構えていた。

 

ティアナ「当たった!」

 

ソウジ『ティアナ、ご苦労だった』

 

ティアナ「いえ、これくらいでしたら・・・・・」

 

ソウジ『後はこちらでなんとかする。お前はその場で待機だ』

 

ティアナ「了解!」

 

 

 

 

 

 

コロ(スタンバレット・・・・・・・・・攻撃しつつ狙撃地点に誘導し、狙撃手を狙わせる為に提案を出して時間を稼いでいたのか)

 

ソウジ「・・・・・・・・・・先程連絡が入った。市街の方とお前の相方も片付いたらしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂浜の中心でレギィは設置式バインドでがんじがらめにされていた。

 

レギィ「この!離せ!!」

 

 

 

 

 

一方、市街の方の結界内部では二人の殺し屋がバインドで確保されていた。

 

ユウ「彼らは仲間人質にされて強引に従わされているだけだ。その仲間を救出してミッド・チルダから逃がせば大丈夫だ」

 

ケイ「じゃ次救出作戦か?」

 

ユウ「いや、そっちも手は打ってある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある路地裏の廃屋、壊姫は人質にした女性を気絶させて拘束して身の丈程の長い柄の大斧を片手で弄んでいた。

 

壊姫「遅いわね、もう待てないしもう殺しちゃお。光栄に思いなさい、あんたの首も魔弾の為の贄なのだから!」

 

壊れた様な笑みを浮かべながら壊姫は折れてあらぬ方向へ曲がった足を引きずり、手に持つ大斧を振り上げる。

しかしその瞬間、廃屋の壁が勢いよく破壊され、筋肉質な体型の男性が入ってきた。レイジ・キサラギ、救助隊防災士長でユウとは管理局で付き合いの長い仲だった。

 

レイジ「要救助者一名確認」

 

突然の乱入者に壊姫は片足を引きずりながら飛び、大斧を振り下ろす。

 

レイジ「レイガスト、シールドモード」

 

レイジの持つグリップから魔力の盾が形成され、斧の一撃をなんとか受け止める。そしてもう一方の手に持つグリップを握りしめ、加速した拳の重い一撃が壊姫の腹部を捉えた。

その威力は凄まじく、壊姫は壁をぶち抜き今度こそ完全に気絶した。

 

レイジ「ユウが言っていたのは彼女か?・・・・・・・・・息はある、脈拍も異常無し、気絶しただけか。とりあえず、指定の場所で保護するか」

 

レイジは人質となっていた女性を抱えると朝日が昇る中、ユウが指定した場所へと向かった。




ワールドトリガー単行本表紙裏的紹介文②

エースオブ悪魔 高町なのは

説明不要、言わずと知れた管理局が誇るエースの中のエース、エースの中の魔王、彼女の主人公バリの鈍さで撃沈した男性局員はとうとう20を越えたとのもっぱらの噂、流石エース。
彼女が教える新人達はなぜか砲撃や収束を見ると発狂するらしい、流石悪魔。
彼女が捕まえた次元犯罪者は皆投獄後精神障害区間に入れられる程壊れているらしい、流石魔王。
娘に手を出そうというロリコンがいようものならどこまでも追いかけて身も心も粉砕するらしい、流石親バカ。



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第48話 八神穹⑨

IS二次やらで時間かかってしまった・・・・・・・・・・・
そしてアーチャー☆4以上の出現率の低さが本当にひどい・・・・・・


翌日、ミッドチルダの次元港にてユウとケイとソウジはある無人世界への臨時便を見送っていた。その便には昨夜の襲撃者達を乗せている。

人質を救出した後、彼らを念入りに変装させて逃がす事にした。

 

ケイ「それで、俺らの出番終わり?」

 

ユウ「ですね~、この先に俺らが関わる未来は見えませんし」

 

ソウジ「やれやれ、許可をとったとは言えこれから報告書を書かなくてはな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃穹達はいつも通り登校することになり、いつもと変わらぬ通学路を歩いていた。

 

コロナ「穹君、さっきから何してるの?」

 

穹「ああ、バリアジャケットを変えてる」

 

リオ「へえー、そんな事出来るんだ」

 

アインハルト「しかし、何故いきなり?」

 

穹「前から考えていた事ですよ。俺のバリアジャケットはあっちで殺し屋をしていた時のモノ、インターミドルに出る前にバリアジャケットを変更して心機一転したかったんですよ」

 

学院に着くと、アインハルトと別れて自分達の教室入る。クラスメートと挨拶を交わし、雑談して授業を受ける。

穹の得意科目は射撃系統の魔法の授業で行われると必ず注目を浴びる。

 

「なあ八神、今度コツ教えてくれよ!」

 

「あ、八神君!私も!!」

 

「ちょっと抜け駆け禁止!」

 

クラスメートの男子生徒の一言を皮切りに女子も寄って来る。穹の同学年での人気は相当なもので、その上男子からも評判は上々だった。

女子に囲まれ困惑する穹を見て、ヴィヴィオは穹の方を見てジト目で頬を膨らませていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後、いつも通りアインハルトを待って下校する。この後、ノーヴェの所でトレーニングすることになっているが、途中穹が突然立ち止まった。

 

ヴィヴィオ「穹君?」

 

穹「・・・・・・・・悪い、ちょっと用事があるんだ。」

 

ヴィヴィオ「・・・・・・・・・・行くの?あの子の所に」

 

穹「い、いや・・・・・・・・母さんの用事で」

 

ヴィヴィオ「穹君、つまんない嘘つくね」

 

穹「!・・・・・・はぁ、大丈夫だよ。戻るつもりも無い、謀らずもあいつを引き込んだのは俺だ。だから、その責任を果たして来る」

 

お株を取られた気分になった穹は正直に白状する。本当は何も言わず決着を付けに行くはずだった。大切な友達を巻き込むわけにはいかなかったからだ。

 

コロナ「なら、私達に言える事は一つ、だね」

 

アインハルト「ええ、穹さん、今のあなたは八神指令の息子で、私達のかけがえのない友人です。それを忘れないで下さい」

 

リオ「穹がこれからするのは試合なんかじゃない本当の意味で命懸けの戦いでしょ?なら多分、私達が行っても悔しいけど足手まといになっちゃうよね」

 

ヴィヴィオ「穹君は絶対戻って来るって信じてるから・・・・・・・・・・だから、また明日、ね」

 

穹「・・・・・・・・・ああ、また明日な」

 

穹はきびすを返し、まずは袋小路に入っていく。すると、物影から情報屋の鶺鴒が出てきた。

 

穹「鶺鴒、そっちは?」

 

鶺鴒「ああ、"許可"は取れた。あいつには連中も手を焼いていたから、消えてくれるなら掟さえ守れば問題無いそうだ。元々あいつは"表側"の人間だしな」

 

それを聞いた穹は袋小路を出て真っ直ぐクラナガンの大通りを走る。途中、メールが届きホルクが姿を現す。

 

ホルク『穹、コウヤからだ。"メテオラ"の解除コードが添付されている』

 

穹「解除は任せる。そろそろだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊姫は闇医者に怪我を治療させて始末すると、アームドデバイス"双月"を持って今度こそヴィヴィオとはやてを殺そうとクラナガンの表通りに出ようとする。

すると、大通りの入り口に誰かが立っているのが見えた。長い金髪にst.ヒルデの制服、そして見間違うはずの無いオッドアイ、壊姫にとって殺しても殺し足りない憎き抹殺対象、高町ヴィヴィオがそこに立っていた。

 

ヴィヴィオ「・・・・・・・・・」

 

壊姫「わざわざ殺されに来たかぁああああああああ!!!!!!」

 

壊姫の濁った瞳がヴィヴィオを捉えると、双月を構えて突撃する。ヴィヴィオは振り下ろされる双月を避けてパイプや窓の冊子を足場に屋上へ上がって屋上の上を走り去る。

壊姫が逃がすわけも無く、屋上へ上がって追いかける。ビルが途切れた所で道路に出て尚走るヴィヴィオを壊姫はひたすら追い回す。

やがて海岸沿いの何も無い場所に出るとその真ん中でヴィヴィオは立ち止まった。

 

壊姫「ようやく観念したか?私の魔弾をたぶらかした罪をここで購え!!」

 

ヴィヴィオ?「そいつは無理だな」

 

ヴィヴィオが指を鳴らすと、何もなかった開けた場所は一転して市街地に姿を変えた。

 

ヴィヴィオ?「ここは管理局が保有している訓練シュミレーターだよ。母さんに頼んで今夜だけ使わせてもらってる」

 

壊姫は突然景色が変わり、さらに男の声のヴィヴィオに驚く。そして、その声が自分の知ってる声である事に気付いてたじろいだ。

それと同時にヴィヴィオの姿がぼやけていく。そしてーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穹「こんな簡単に引っ掛かってくれるとは思わなかったよ」

 

ヴィヴィオの姿が消えてそこに立っていたのは、穹だった。穹はティアナの元を訪ねてある事を頼んでいた。それは幻覚魔法でヴィヴィオの姿にして欲しいとの事だった。

壊姫はヴィヴィオとはやてを狙って来る、そしてその時の壊姫は他の事に目を向けようとしない。ならばそこを狙って被害の無い場所におびき出せばいい。

そして、壊姫はまんまと穹の思惑通り訓練シュミレーターに誘い込まれた。

 

壊姫「ま、魔弾・・・・・・・・一体これは・・・・・・・」

 

穹「その名はもう捨てた。ここにいるのは時空管理局海上警備部捜査指令、八神はやての息子ーーーーーー」

 

穹は右手翳すとホルクが舞い降りて、右手の指輪型デバイスの中に溶ける様に消える。

 

 

 

 

穹「八神穹だ!ホルク、セットオン!!!!」

 

ホルク『心得た、set on』

 

光に包まれ、穹は黒いハイネックなミリタリージャケットにカーゴパンツとブーツの新たなバリアジャケットを身に纏い、2丁のハンドガンを取り出して構えた。

 

穹「さて、やるか」

 

穹は右手のハンドガンを器用に回して、その銃口を壊姫に向けた。

 

 




穹の新しいバリアジャケットは影浦隊の隊服がイメージです



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第49話 壊姫③

ジャンプで長年連載していたこち亀が最新号にて40周年という快挙を成し遂げてその歴史幕を下ろしました
秋本先生本当にお疲れ様でした!


壊姫は呆然と立ち尽くし、ただ曇った瞳で穹を見ていた。穹は右手の黒いハンドガンの引き金を引き、魔力弾が襲い掛かる。

壊姫は我に返り、双月を双剣状態で振るい魔力弾を切り落とす。

 

壊姫「何故ですか!?貴方の居場所はこちらにしかない!何故それが解らないのですか!!」

 

穹「そんなのはお前の妄想だ。俺は俺の意思でここにいる!ホルク、フォームチェンジ」

 

ホルク『心得た、shooter form』

 

穹の両手からハンドガンが消えて、翳した右手からキューブ状の魔力弾が出現して分割され穹の周りを漂う。

 

穹「ハウンド(誘導弾)!!」

 

キューブは一斉に撃ち出され、視線誘導に従い放物線を描きながら壊姫に迫る、避けた所を別の誘導弾が襲い、それを双月で切り落とす。

対処し終えた時には、穹は既に別のキューブを生成していた。

 

穹「メテオラ(炸裂弾)!!」

 

8つに分割されたキューブは一直線に壊姫に向かう。壊姫は再び切り落とそうとするが予想外の出来事が起こった。

斬った魔力弾が刃が触れた瞬間爆発して、壊姫は吹き飛ばされた。

爆煙が立ち込めて、穹は警戒を怠らずに両手にキューブを生成すると爆煙の向こうから人影が見えてきた。

 

 

 

 

 

 

壊姫「決めた・・・・・・・・・・貴方の四肢を切り落とす。そして、貴方のアジトでずっとずっとずっとずっとずっと一緒にいるの・・・・・・・・・・・・ふふふ、安心して・・・・・・例え殺しが出来なくなっても貴方への愛は変わらない。永遠に愛してあげる」

 

双月を斧に変えて、ハイライトの消えた濁った瞳で恍惚とした表情を浮かべる壊姫に穹は今までに無い悪寒を覚える。

そして、両手のキューブを合わせ、一つのキューブにする。

 

穹「メテオラ+ハウンド!サラマンダー(誘導炸裂弾)!!」

 

穹はキューブを8つに分割して撃ち出すと、放物線を描きながら壊姫に迫りその周囲に着弾して爆発する。

爆煙が晴れると、既に穹は消えており、壊姫だけが立っていた。

 

壊姫「あらあら・・・・・・・どこに行ったのかしら?・・・・・・・ああ、探してほしいのですね?ふふふ・・・・・・恥ずかしがり屋ですね」

 

壊姫は昏い笑みを浮かべながら、双月(斧)を片手にゆっくりと歩き出す。その頃穹は、バックワームを着用してシュミレーターの中心にあるビルの屋上に座り込み、言い得ぬ恐怖を抑えようとした。

自分の行いがあの様な者を生み出してしまった、それだけが頭の中にあった。

 

穹「・・・・・・・・・よし、ホルク、フォームチェンジ」

 

ホルク『心得た、sniper form』

 

穹はイーグレットを取り出してレーダーの座標にスコープを向けると、壊姫を発見した瞬間スコープ越し壊姫と目が合う。

壊姫は穹を狂信し狂愛している、つまり穹がどこにいるかは容易に予想出来るのだ。

穹の居所を確信した壊姫は壊れた笑みを浮かべながら穹のいるビルに向けて走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

穹「・・・・・・・・・なのはさん曰く、『戦術で勝負する時は敵の戦術レベルを計算に入れる』。使うのは初めてだが、上手く行くものだな」

 

しかし、穹の表情はいつも通りに戻っており、焦燥の色も見せていなかった。そして直後、壊姫の足の大腿部に何かが引っ掛かり壊姫はバランスを崩して倒れ込む。

その瞬間を逃さず、穹はイーグレットの引き金を引く。非殺傷設定された魔力弾が壊姫の腹部を捉える。

 

壊姫「ぐっ・・・・・・何が!」

 

壊姫には見えていないが闇夜に紛れて壊姫の周囲にいくつものワイヤーが張られていた。

"スパイダー"、管理局が開発した補助魔法でその効果はただワイヤーを張るというだけのものだが、色を自由に変える事が出来て、周囲の景色に溶け込ませる事も可能だ。

また視覚補助が組み込まれており、味方にだけ見える様にする事も出来る為、人気は無いもののセンターガードの魔導師がよく使う。

穹はティアナの元を訪れた時、ティアナからもしもの為にとインストールされ、簡単な使い方を教えてもらっていた。

そして、戦線を離脱した直後、壊姫が通るポイントをいくつか予想してスパイダーでワイヤーを張っていた。

そしてまんまと罠に嵌まった。穹は自分の立てた戦術が上手くいった事に達成感を抱きながらシューターにフォームチェンジすると、右手にキューブを生成する。

 

穹「ハウンド(誘導弾)!!」

 

キューブは無数に分割され放物線を描きながら、壊姫の周囲に雨の様に降り注ぐ。壊姫が防護魔法を張っている内に穹は最短ルートで降りて壊姫のすぐ近くに行く。

そして壊姫のすぐ近くに行くと再びキューブを生成して撃ち出す。魔力弾は放物線を描いて壊姫に迫る。

しかし、壊姫は誘導弾の誘導半径を見極めて一直線に突っ込み、穹のすぐ近くに来たが穹の周囲のキューブ気付いて誘導させられた事に気付いた時には遅かった。

穹はゆっくりと壊姫に銃の様にした右手の人差し指を向ける。

 

穹「頼むから・・・・・・・・・・・俺から、日常(いま)を奪わないでくれ」

 

周囲に待機させていたメテオラを一斉に撃ち出され、壊姫に次々と着弾して連続的な爆発がシュミレーターの一角で起こった。

 

 




静謐のハサンの霊基再臨見ましたけど・・・・・・・めっちゃ可愛いですね・・・・・・・
アサシン素材この子に全振りしようかな・・・・・・・

プリヤコラボイリヤ出ましたしついでにナーサリー出てくれてクロも入手出来ましたしキャスター陣営もアーチャー陣営も充実してくれました・・・・・・・やっと

大分戦力も充実してきたし既存英霊の霊基再臨重点的に行こうかな


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第50話 キリエ・グラシア

魔弾の狂信者編終了なのです!




メテオラをまともに受けて地に伏す壊姫に穹は背を向けて立ち去ろうとすると、壊姫が突如起き上がり、穹に飛び掛かってきた。

しかし、穹には想定内の出来事だった。

 

穹「ハウンド(追尾弾)」

 

穹は向き直る事無く、頭上に大きな黒いキューブを出現させる。キューブは無数に分割して上下左右から放物線を描きながら襲い掛かる。

そして、全身に当たり、着弾した箇所に六角柱の重石が付けられた。"鉛弾(レッドバレット)"、穹の持つバインドで重石で相手の動きを封じるもの。

穹は鉛弾をシューターに応用する術を模索して、この鉛弾追尾弾(レッドバレットハウンド)を編み出した。

実践で使うのは初めてだったが結果は目の前で全身に重石を付けられて動けず地面に伏しながらもがく壊姫見る限り成功だったようだ。

 

壊姫「ぐっ!」

 

穹「これ以上傷付けさせないでくれ。これからもっと酷い事をするんだから」

 

その時、穹のすぐ後ろに誰かが降り立った。黒い翼に白いバリアジャケット、そして杖と本を持った女性だった。

壊姫は女性を見るなり殺意を込めて睨みつける、その女性こそ壊姫がヴィヴィオの次に殺したかった女性、八神はやてだったからだ。

 

はやて「穹、この子が?」

 

穹「ああ、頼んだよ。母さん」

 

壊姫「な、何を・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

穹「今から・・・・・・・お前の記憶を抹消する」

 

壊姫「っ!!!!!!!!!!!!!!」

 

穹「母さんの忘却魔法で、お前があの娼館に連れて行かれる前までの記憶を消す。お前は普通の女の子に戻れる」

 

壊姫「イヤ!!!!貴方との出会いを!貴方との運命的出会いを忘れるくらいなら死んだ方がいい!!私を殺して魔弾!!貴方にならこの命捧げてもいい!!!!」

 

穹「俺はもう殺し屋じゃない。そしてお前も、本当は"そっち"にいるべきじゃない。さぁ、日常に帰るんだ」

 

壊姫「イヤ!!やめーーーーーーー」

 

はやて「忘却の意、其は流れ落ちる雫の様に!"メモリーリーク"」

 

壊姫の頭の中で雫が滴り落ちて波紋が浮かぶ。やがて壊姫は崩れる様に眠りについた。

 

ホルク『壊姫のバイタルは安定している。拘束を解いても問題ないだろう』

 

穹「さて、母さん、こいつの事任せていいの?」

 

はやて「心配せんで、引取先に心当たりあるしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「・・・・・・・・・・ん」

 

朝日が目に入り、壊姫だった少女は目を覚ます。うっすらと見えて来たのは、白い天井と朝日が差し込む窓、そして傍らに座る女性の姿だった。

 

???「目が覚めましたか?」

 

???「ここは・・・・・・・・・私は一体・・・・・・」

 

???「貴女はご両親を失ったショックで1年程眠っていたのですよ。身寄りも無いと聞きましたので、私が引き取りました。貴女のお名前は?」

 

キリエ「・・・・・・・・・キリエ」

 

カリム「キリエですか、私はカリム。カリム・グラシアと申します。この聖王教会の教会騎士団に属しています。戸籍上は、貴女の親代わりということになりますね」

 

キリエ「親、代わり?」

 

カリム「ええ、"キリエ・グラシア"。それが今日からの貴女の名前になります」

 

キリエは呆然となりながら、窓の外を見る。差し込む朝日の中どこからか教会の鐘が響き、聖歌を歌う声が聞こえて来る。

 

キリエ「・・・・・・お父さんとお母さん、本当に死んじゃったんですね」

 

それは少女を襲った突然の悲劇だった。休日を利用してクラナガンの大型ショッピングモールに家族で買い物に出掛けた時だった。

何気ない帰り道、信号無視をしたトレーラーが横断歩道を歩く通行人を撥ねた。少女は咄嗟に父が突き飛ばしたおかげで軽傷で済んだ。

しかし両親はトレーラーに撥ねられて、数m先で血溜まりを作って死んでいた。即死だった。

それは当時9歳の少女には受け入れ難い事だろう。

トレーラーの運転手は逮捕されたが少女に残ったのは大量の損害賠償と両親の遺した貯金、そして、からっぽになった家だけだった。

常に孤独に押し潰され続けた少女の心は壊れてしまった。カリムはキリエの病んでしまった心を理解して、彼女の小さな手をとった。

 

カリム「貴女の心を完全に理解しようなんて思い上がりはありません。けど、貴女の傍に寄り添う事は出来ます。だから、今は我慢せず、泣いていいんですよ」

 

キリエ「・・・・・・・私はもう涙を流す事は無いって思っていました。なのに・・・・・・・・もう、涙も枯れたと思ってたのに、涙が・・・・・」

 

カリムの暖かい温もりを受けて、少女は涙を流す。カリムは泣くキリエを優しく抱きしめて、宥めた。

こうして、裏で破壊の限りを尽くし、魔弾の射手を狂信し狂愛した破壊の姫は、新たな家族に優しく迎え入れられて日常に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてここにも、日常に戻った少年が一人ーーーーーーー

 

 

 

 

穹「行ってきます!!」

 

はやて「いってらっしゃい!」

 

シャマル「気をつけてね~」

 

非番の母と姉に見送られ、穹はいつもの様に登校した。

 

穹「ホルク、インターミドルまで後どれくらいだっけ?」

 

ホルク『後一ヶ月と24日といったところだな』

 

ホルクからインターミドルまでの期間を聞いた穹がいつもの通学路を歩いていると、いつもの4人が待っていた。

 

リオ「あ、ヤッホー穹!」

 

アインハルト「穹さん、おはようございます」

 

コロナ「穹君、おはよう!」

 

ヴィヴィオ「おはよう!穹君!!」

 

いつもの何気ない日常、取り戻してそれがどれ程かけがえのないものなのかを実感した穹は笑みを浮かべながら4人の元へ歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

穹「おはよう、皆」

 

近づく初の舞台に心躍らせながら、少年はまた日常に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー魔弾の狂信者編、END

 

 

 

 

 




次回からインターミドル編に入って行きます!



って事でfate/go的予告を
内山昂輝ボイスをイメージしてお楽しみ下さい!




新章、開幕!

幾多の苦難を乗り越えて、少年は初の魔法競技へ

友との対決の約束を胸に、少年は舞台で引き金を引く!

リリカルなのはー聖王と魔弾の射手ー、新章「インターミドルチャンピオンシップ」


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第四章 インターミドルチャンピオンシップ
第51話 八神穹⑩


新 章 開 幕!!



早朝、海岸沿いを一人の少年が走っている。八神穹、時空管理局の司令、八神はやての息子で元殺し屋でもある。

春先まで裏社会の冷酷な殺し屋と畏れられた少年は、過去を感じさせぬ真っすぐな瞳をしていた。

 

 

 

 

日課のジョギングを済ませた穹がいつも通り帰宅すると、朝食のいい匂いが漂って来る。リビングに行くと、母、八神はやてが朝食の準備をしていた。

傍らで簀巻きにされ逆さ吊りにされている姉のシャマルを見て苦笑するとはやてがフライパン片手に顔を出した。

 

穹「おはよう、母さん」

 

はやて「おはよう穹、もうすぐ朝ごはん出来るからシャワー浴びといで~」

 

はやてに促されて浴室でシャワーを浴びていると、右手中指の指輪が光り、額に宝石の着いた鷹、ホルクが現れる。

 

ホルク『穹、今日は放課後特に予定も無いがどうする?』

 

穹「そうだな、書店でも寄ってみるか。課題の近接戦闘のヒントが見つかるかもしれないし」

 

穹のスタイルは全距離対応型射撃術(ガンスリンガー)、ハンドガンからスナイパーライフルまで多種多様な銃器を巧みに操りその実力は同年代でも群を抜いていた。

だが、そんな穹にも弱点がある。近距離(クロスレンジ)、特に近接格闘に持ち込まれると圧倒的に不利になる事だ。

今までは距離を詰められる前に終わらせていたので問題無かったが、インターミドルとなるとそうはいかなくなる。

ノーヴェの様な生粋のインファイターと当たってしまえば容易く距離を詰められてしまうだろう。

 

穹「訓練はいつも通り、そこに近接格闘への対処、間に合うかはともかく、せめてまともに戦えるレベルにはしたいな」

 

 

 

 

浴室を出て、自室で着替えてリビングに戻り、いつも通り朝食を取る。非番のヴィータと夜勤明けのシグナムとアギトは今も寝ており、ザフィーラは門下生の朝食片手に訓練メニューのチェックを行っている。

 

はやて「そうだ穹、アインハルトちゃんにデバイス明日には出来上がるからって伝えといてくれる?」

 

穹「解った。先輩のデバイスか、どんな感じに仕上がったの?」

 

はやて「それは秘密や♪」

 

遊び心全開の笑みに若干の不安過ぎる。

 

穹「そういえば、リイン姉さんは?」

 

はやて「今日は早めに終わらせる業務があるからもう出掛けたで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「曹長、この書類の確認お願いします!」

 

リイン「は、はいです!」

 

「曹長、クラナガンの防犯協会からの要請ですが・・・・・」

 

リイン「それは警邏隊に頼んであります!」

 

「曹長!青髭と名乗るヒステリックな男性からまた犯行声明が・・・・・・・」

 

リイン「またですか!?近隣住民に避難勧告の後オルレアン小隊に事態の収拾を・・・・」

 

 

 

「わたわたしてる曹長、可愛いな~」

 

「あんな小さな体で頑張ってる姿は癒されるよな~」

 

曹長、リインフォース・ツヴァイは、局員から和まれながらも次々舞い込む案件と格闘していた。

 

 

 

 

 

 

 

穹は朝食を済ませて、いつもの通学路を歩いていた。

学院の近くに来たところでいつもの面子と合流する。ルーフェン伝来の春光拳と二つの変換資質を持つリオ・ウェズリー、ゴーレム創成を得意としクラストップの知性を持つコロナ・ティミル、覇王の末裔で古代ベルカから受け継がれて来た覇王流の使い手のアインハルト・ストラトス、そして聖王のクローンでいつも明るく上級生からも人気の高い穹の最初の友人、高町ヴィヴィオだ。

軽い挨拶を交わして一緒に登校する。雑談を交えながらいつもの通学路を歩いて行く。穹にとって今では当たり前のようでかけがえのない日常だった。

途中で中等部のアインハルトと別れて自分の教室に入るとクラスメイトと軽い挨拶を交わして席に着く。

クラスでの評判は良く、特に女子からはとても人気が高い。

 

「八神君、昨日シューターのコツ教えてくれてありがとう!」

 

穹「ああ、大した事は教えられなかったけど、役に立ったならよかった」

 

「八神~ノート貸してくれ~昨日出された課題が~」

 

穹「そういうのはやり忘れたお前が悪いんだろう・・・・・・・・仕方ないな、今回だけだからな!」

 

整った顔立ちで気配りが出来て、文武両道、後たまにみせるツンデレに射抜かれた女子は多い。ちなみに穹自身はその事に全く気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、穹は行きつけの書店に寄っていた。周りには高校生が多いが、特に気後れする事なく武術関連の本を探す。

 

穹「色々あるな、『ルーフェン流派全集』、『近代術式ストライクアーツ指南書』、『誰でも出来るニの打ち要らず』、『聖女監修!!正しい竜の殴り方』、『物理的御仏の加護の全て』・・・・・・・物理的ってなんだよ・・・・・」

 

??「おや、その制服はst.ヒルデの・・・・・・・・」

 

変なタイトルにツッコミを入れていると、後ろから小柄な眼鏡をかけた女子高生が声をかけて来た。

穹はその女子高生に見覚えがあった。最も画面越しでしか見た事は無いので本人との面識は無い。

 

穹「もしかして・・・・・・・・エルス・タスミン選手!?インターミドル上位選手の!!」

 

インターミドル上位選手で屈指のバインドの使い手として知られているエルス・タスミンが穹の目の前に立っていた。




裏話 穹の私服選び

まだ穹が八神家に来て間もない頃、一つの問題が発生していた。



穹の私服が、今着ているボロボロのコートとシャツとズボンだけということだった。
そしてそこから色々案が飛び交い、穹をベースにしたコーディネート対決にまで発展してしまった。



no.1八神はやて

はやてのお下がりのパーカー(A'sで着ていた)+黒のジーパン

穹「結構いいかも」

はやて「丁度昔の服残ってて良かったわ~」


no.2シグナム&アギト

ウェイト付き胴着上下

アギト「大丈夫か?」

穹「シグナム姉さん?これ結構重いんだけど・・・・・」

シグナム「安心しろ、その内慣れる。その時には・・・・・・」

はやて「アウト!」

アギト「だから止めとけって言ったのに・・・」


no.3シャマル

はやての着ていた小学生時代の制服

某天草の衣装

某円卓の妖弦使いの衣装

穹「シャマル姉さん?なんで三つも!?しかもこれ女物だし!!」

シャマル「大丈夫よ!穹君似合ってるから・・・・・ハァハァ」

はやて「シャマル、ちょっと裏行こうか?」



バートリハロウィンエルジェーベト!! ギャアアアアアアアア!ミミガ、ミミガァアアアアアア!!



ザフィーラは門下生指導の為不参加

no.4ヴィータ&リイン

黒の猫耳パーカー+白シャツ+灰色のジーパン

ヴィータ「私のはリインと選んで来たぜ!」

リイン「苦労したです~」

穹「ん、いい感じだけどなんで猫耳?」

リイン「穹君猫さんみたいだからです~」





結果
採用
はやてコーディネート
ヴィータ&リインコーディネート

不採用
シグナム&アギトコーディネート

論外
シャマル


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ハロウィン特別編 10月31日

トリックオアトリートは「おもてなししないと悪戯するぞ」って意味らしいですよ?


ハロウィン

毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭のこと。もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事であったが、現代では特にアメリカ合衆国で民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなっている。カボチャの中身をくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」を作って飾ったり、子どもたちが魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする風習などがある。

このハロウィンはミッドチルダでも定着している。地球出身者が広めた様で、ハロウィンパーティーをしたり仮装して市街地を歩く子供達の姿があちこちで見られる。

そしてこの日、八神家でもハロウィンパーティーが開かれ、ヴィヴィオ達も招かれ仮装大会の準備をしている。

 

リオ「じゃーん!」

 

コロナ「お待たせしました~」

 

アインハルト「こ、これでいいのでしょうか?」

 

リオはチャイナ服に額に札を貼ったキョンシー、コロナは典型的な魔女、アインハルトは猫耳に尻尾を着けて何故かメイド服を着ていた。

 

はやて「皆可愛いな~・・・・・・でアインハルトちゃんは何故メイド服?」

 

アインハルト「あの・・・・・・シャマルさんがこれを着る様にと」

 

はやて「シャマルは・・・・・・・・あれ?ヴィヴィオは?」

 

未だ出てきていないヴィヴィオを探すとすぐそこの物影に隠れていた。何やら恥ずかしそうにしており、全員首を傾げるがその理由がすぐ解った。

意を決してヴィヴィオが影から出てきて、その格好に全員目を丸くしてザフィーラは口に含んでいたコーヒーを吹き出してしまった。

ヴィヴィオの仮装は、一応獣の様だが問題はその格好だった。露出度が高く流石のヴィヴィオも顔を真っ赤にしていた。(イメージはfate/goのハロウィン礼装"デンジャラス・ビースト")

 

ヴィヴィオ「が、がおー」

 

はやて「ヴィヴィオ、無理せんでええんやで。誰にこれ着ろ言われたか教えてくれる?」

 

ヴィヴィオ「その・・・・・・・シャマル先生に・・・・・」

 

はやて「・・・・・・解った、ちょい待っててな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はやて「これが憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮!『吼え立てよ、我が憤怒』!!」

 

シャマル「ァイヤアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

粗大ごみ(シャマル)を始末し、ヴィヴィオははやてが用意した悪魔コスに着替え、残すは穹のみとなった。

買ってきたハロウィン限定スイーツを用意していると、階段を下りる音が聞こえてきた。

 

穹「む・・・・・・・・こういうの着慣れないから変じゃないか?」

 

ホルク『いや、存外そうでも無いと思うが?』

 

そこにいたのは貴族風の衣装に着脱タイプの八重歯を着けた吸血鬼の仮装をした穹だった。

 

はやて「お~似合っとるな~」

 

リオ「普段の雰囲気も相まってハマってるね~」

 

穹「そうか?」

 

ヴィヴィオは穹の吸血鬼姿に無意識に見とれて呆然となっていた。それを見たコロナは悪い笑みを浮かべてヴィヴィオの耳元で囁いた。

 

コロナ「ヴィヴィオ、トリックオアトリートを今の穹君が言ったらどうなると思う?」

 

コロナの言葉にヴィヴィオの思考がイメージの方に移る。吸血鬼姿の穹のトリックオアトリート、ヴィヴィオの中で無意識且つ脚色の付いた妄想が繰り広げられる。

 

 

 

 

 

※以下ヴィヴィオ脳内イメージ

 

 

穹「ヴィヴィオ、お菓子くれないなら・・・・・・・・君の血をくれ」

 

 

強制終了

 

穹に後ろから抱きしめられその口がヴィヴィオを首筋に触れた瞬間、脳内イメージは思考回路のショートで強制終了された。

ヴィヴィオの顔が真っ赤に染まり、頭から煙が出てる様に見えた。

 

ヴィヴィオ(待って待って待って待って待って待って!!いくらなんでもこんな・・・・・・・・あ、でも・・・・・・・・・いやいやそれでも!)

 

ヴィヴィオは悶々としながら頭の中で自問自答をし続けた。

 

穹「コロナ、ヴィヴィオに何言ったんだ?」

 

コロナ「内緒♪」

 

ヴィヴィオの思考が回復したところで再開され、ハロウィン限定スイーツを満喫しながら楽しい時間が過ぎていった。

ちなみに穹のこの吸血鬼姿の画像はクラス内で裏取引されて主に文芸部の女子の手に渡ったが穹にばれて画像は全て削除されたのは言うまでも無い。

そして管理局にてトリックオアトリートと叫びながらユウをに斬りかかるシグナムの姿が目撃され、翌日ユウがミイラ男の姿で通勤してるところが目撃された。




シグナムさんの中でトリックオアトリートは「戦ってくれないと斬り捨てるぞ」となっている様です


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第52話 エルス・タスミン

ハロウィンガチャ10連泣きの1回でクレオパトラ来てくれました・・・・・これでアサシン陣営はしばらく安定します・・・・・・
ってかあんな派手な攻撃してアサシンて・・・・・・クラス間違えていませんかね?


穹は思わず声を上げてしまい、気恥ずかしくなり咳ばらいをしていつものテンションに戻る。穹の目の前にいる女子高生、インターミドル上位選手でもあるエルス・タスミンと偶然にも行きつけの書店で会えるとは思ってもみなかったからだ。

 

エルス「おや、どっかの不良娘はともかく私を知ってくれてるとは嬉しいですね」

 

穹「確かにハリー選手の人気はすごいですけど、エルス選手も十分すごいと思いますよ!特に卓越したバインドの扱いはいつも多くの上位選手を苦戦させてますよね!」

 

エルス「あなた、中々話せますね」

 

不良娘の単語だけでハリーと理解して尚且つ自分の得意分野であるバインドを賞賛されて気分のいいエルスはいい話し相手が出来た事に喜んだ。

 

エルス「そこまで詳しいとなると、あなたも今年出場を?」

 

穹「はい!友達に誘われまして」

 

エルス「それは楽しみです、お互い頑張りましょう。しかし、随分持って行きますね・・・・・しかもタイトルが・・・・・」

 

穹が先程目に付けたタイトルを手元に置いていて軽く山になっていた。

 

穹「あ・・・・・・俺射撃型なんですけど、インファイター対策に格闘技とか知っておこうと思いまして」

 

エルス「ただがむしゃらに読むのでは意味がありませんよ。自分のスタイルに合ったものを選ばないと、ここで知り合ったのも縁ですしお手伝いしますよ」

 

穹「いいんですか!?」

 

エルス「ええ、まずはあなたのスタイルを教えてくれますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穹は自分のスタイルをなるべく的確に伝える。以前なら手の内を晒す事はしなかっただろうが、もう生死をかけた殺し合いをするわけではない。

かつての自分が見たらさぞ不愉快に思っただろうと心の中で嘲笑した。

 

エルス「ガンスリンガー、全距離対応型射撃術ですか・・・・・・・・なるほど、銃が基本武装なら、これがいいかもしれませんね」

 

エルスが棚から取り出したのは銃撃格闘術の本だった。

 

エルス「ガン=カタと言われる銃撃に体術を織り交ぜた複合格闘技です。銃を持った状態を想定した体術なので合ってるかもしれませんね」

 

穹は本を受け取って軽く序盤を読んでみる。簡単な基礎から書かれていて読みやすく実践指南も挿し絵付きで載っていた。

 

穹「これなら・・・・・・・・ありがとうございます!」

 

エルス「いえいえ、そういえばまだ名前聞いてませんでしたね」

 

穹「あ、穹です。八神穹」

 

エルス「穹さんですか、それでは大会の日に。エリートクラスでお待ちしてますよ」

 

そして穹はガン=カタの本を買って帰路につき、エルスは目当ての本を探し始めた。

 

エルス「・・・・・・・あれ?八神って・・・・・・・・まさかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穹は帰宅すると、ザフィーラにガン=カタの事を話し、実践してみる事にした。

 

ザフィーラ「いいか、手に銃を持っている以上攻撃は足技がメインになってくる。お前場合防御で使う事がメインになってくるだろう、常に反撃のイメージを頭に叩き込める様にする事だ」

 

穹「はい!」

 

ザフィーラは拳を構えて一気に距離を詰める。穹は飛んで来る正拳突きをぎりぎりで避けてそのまま見様見真似の回し蹴りを打ち込む。

ザフィーラは腕でガードすると腕を若干ずらして隙を作って鋭い回し蹴りを叩き込んだ。

 

穹「ぐっ!」

 

ザフィーラ「ガードされたから終わりじゃない。そこからどう攻撃を繋げるかを考えろ!」

 

穹「はい!」

 

穹は再びザフィーラに向かって行く。そして返り討ちに遭うを繰り返していた。

 

 

 

 

 

 

 

その夜、穹は生傷を治療しながらガン=カタの本を読んでいた。

 

ヴィータ「また随分やられたもんだな」

 

穹「ははは、ザフィーラ兄さんも門下の人達やミウラさんのトレーニング見た後で疲れてるところごめん」

 

ザフィーラ「気にするな、弟の頼みだからな。それに飲み込みの速さはお前の長所だ、普段のトレーニングと併用して続ければ大会前には実戦で使える程度にはなるだろう」

 

ヴィータ「明日からは私も稽古つけてやるよ、武器持ち相手にも慣れた方がいいだろ?」

 

穹「ありがとう、ヴィータ姉さん」

 

ホルク『穹、コウヤから添付データ付きのメールだ。』

 

穹「師匠から?開いてくれ」

 

 

 

 

 

〔穹、明日から大会向けて本格的にトレーニングに入るから見てやれなくなりそうだ

詳しいトレーニング方法はノーヴェさんに伝えてあるから心配するな、バイパーの解除コードを送っておくから、後はノーヴェさんの指示に従ってくれ!

それじゃ、上がって来いよ~師弟対決やってみてぇからな!! コウヤ〕

 

 

 

 

穹「そうか、師匠もシード枠なのか」

 

ホルク『バイパーの解除コードをダウンロードした。すぐにでも使えるぞ』

 

ザフィーラ「今日はもう休め、普段以上に体を使ったんだ。栄養価の高いものを食べて入浴後は念入りにストレッチで体を解さないと明日筋肉痛になるぞ」

 

穹「わ、解った」

 

穹は夕飯と入浴を済ませ、念入りにストレッチしてから床についた。大分疲れていた様で、ベッドに入ってすぐ熟睡した。

 

 




選手プロフィール

八神穹(10)

style ガンスリンガー(全距離対応型射撃術)

skill クイックドロウ、ガン=カタ

magic ベルカ&ミッドハイブリット

device ホルク(hybrid-intelligent)

インターミドル参加履歴 初参加


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第53話 アインハルト・ストラトス③

クリスマス復刻大当たり出なさ過ぎな気がするんですけど・・・・・

これ間に合うかな・・・・・・


翌日、穹が学校から帰ると非番のはやてとリインとアギトが来客の準備をしていた。以前頼まれたアインハルトのデバイスが完成した為、受け取りに来るらしい。

 

穹「それで、先輩のデバイスどうなったの?」

 

はやて「それは見てからお楽しみや♪」

 

デバイスの外装を作ったのはアギトである為、それ程心配はしていないが、デバイスが入っている箱から時折モソモソと何かが動いた様な音が聞こえて来てより一層気になって仕方がなかった。

 

程なくしてインターホンが鳴って出迎えるとアインハルトとノーヴェ、そして見知らぬ眼帯の小柄な女性がいた。

 

穹「先輩、ノーヴェさん、いらっしゃい。それと・・・・・」

 

チンク「ああ、こうして会うのは初めてだな。私はチンク・ナカジマ、お前の事は姉から聞いてる」

 

穹「八神穹です、立ち話もなんですしどうぞ。母さん達も待ってます」

 

リビングに通すと、三人の歓迎を受けてすぐデバイスの説明が行われた。リインがユニットベースを作り、はやてがAIシステムと事細かな微調整を行い、仕上げにアギトが外装を担当、まさに真正古代ベルカの特別機とも言うべき仕上がりになっていた。

 

アギト「あたしなりにモチーフやベースも考えてさ、ヴィヴィオやルールーに連絡してシュトゥラの歴史を調べて作ってみたんだ。」

 

はやて「そう、クラウス陛下って豹飼ってたって話を聞いてな」

 

アインハルト「あ・・・・・・はい、雪原豹はシュトゥラ地方では優秀な兵士でしたから、クラウス達も大切にしていました」

 

アギト「そんなわけでシュトゥラの雪原豹をモチーフに作ってみたんだ!」

 

ノーヴェ「え、動物型?」

 

チンク「あまり大きいと連れて歩くのが大変では・・・・・?」

 

ちなみに穹は箱のサイズと豹のイメージが合わずに首を傾げて、アインハルトは豹を従えてポーズを取る自分の姿をイメージして目を輝かせていた。

 

アギト「そのへんはノープロブレムだ!リインッ!」

 

リイン「はいです!」

 

リインはデバイスの入った箱を出してアインハルトの前に置く。自分のデバイスを得るという初めての感覚胸を躍らせながらアインハルトはゆっくりと蓋を開けるとそこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豹柄の子猫が丸くなって眠っていた。

 

穹・アインハルト・ノーヴェ・チンク((((ーーーーーーーー猫?(にゃ?))))

 

アギト「えええっ!なんだ今の四人の心の声!?」

 

リイン「もしかしてイメージと違ってましたか?」

 

ノーヴェ「いやいやいや!」

 

アインハルト「いえ、そんな」

 

はやて「いや、ぬいぐるみ外装はちょっとしたおちゃめやったんやけど、性能はちゃんと折り紙つきやでー?」

 

すると周りの騒ぎを感じてか、子猫が目を覚まして、愛らしい鳴き声をあげた。

 

はやて「触れたげて、アインハルト」

 

アインハルトが子猫を持ち上げると、相応の重みと生きてる様な温かさを感じた。

 

アインハルト「こんなかわいらしい子を私が頂いてよろしいんでしょうか?」

 

アギト「もちろん!」

 

リイン「アインハルトの為に生み出した子ですから!」

 

はやて「マスター認証がまだやから・・・・・・よかったら名前もつけたげてな」

 

アインハルト「はい」

 

リイン「認証は庭でやるですよー」

 

アインハルトは子猫を見て、継承したクラウスの記憶の一端を思い出していた。飼っていた雪原豹の中に聖王オリヴィエが特に気に入っていたつがいがいた。

気の早いオリヴィエはいつも子が生まれる前から名前を考えていた。

しかし、クラウスとオリヴィエの最後の年、生まれて来る事ができなかった子がいた。

彼女はその子豹に二人の好きだった物語の主人公の名前を贈ろうとしていた。勇気を胸に、諦めずに進む小さな英雄、アインハルトはこの子猫にその名前を与えようと思った。

 

アインハルト「個体名称登録ーーーーあなたの名前は"アスティオン"、愛称は"ティオ"。アスティオン、セットアップ」

 

アインハルトはアスティオンを起動、大人モードになっていつものバリアジャケットに身を包んだ。

 

ノーヴェ「あれ?髪型が変わってねーか?」

 

アインハルト「あ、そういえば」

 

リイン「アスティオンが調整してくれたんですよ、きっと」

 

アギト「そっちの方がいいよって」

 

アインハルト「そうなんですか?」

 

にゃ~

 

はやて「さて、ほんならちょこちょこっと調整とかしよか?」

 

アインハルト「お願いします」

 

アインハルトが調整を行っている間、穹はノーヴェとの話があってガン=カタのトレーニングを見てもらっていた。

 

ノーヴェ「この前、コウヤとも話したんだけど、お前現状未所属なんだよな」

 

穹の銃撃を避けて間合いを詰めるとラッシュを仕掛ける。穹はバックステップで後退しながら隙を見てハイキックで反撃する。

 

穹「そうですね、八神道場はまあ実家ってだけですからね」

 

穹の蹴りを右腕でガードして左ストレートを打ち込む。穹は打ち込んだ蹴りの勢いでノーヴェの上を取って踵落としを放つ、ノーヴェは両腕でガードして弾き体勢の崩れた瞬間を狙って宙に投げ出された穹の腕を掴んでそのまま背負い投げで砂浜にたたき付けた。

 

穹「いっつつ・・・・・・・」

 

ノーヴェ「さて、そこでなんだが、ヴィヴィオ達で作ったチームにお前も来ないか?」

 

穹「チーム?」

 

ノーヴェ「ああ、コウヤも言ってたけど、大会に出る以上セコンドとか最低限の環境を整える必要あるからな。それに、友達同士のチームなら気も楽だろ?」

 

穹「まあ・・・・・・そうですね。みんなと同じチームですし悪い話じゃありませんね」

 

ノーヴェ「じゃあ明日から本格的に始めるぞ!ガン=カタにバイパーの特訓もあるから覚悟しとけよ(それに同じチームならヴィヴィオにも色々"チャンス"巡って来そうだしな)」

 

その日、はやてにも事情を話し、親の了解も貰って穹は正式にチームナカジマに所属することになった。




もし穹に鯖クラスつけるなら・・・・・・・殺し屋時代がアサシンで現在がアーチャーですかね

cv.イメージ内山昂輝のアーチャー・・・・・・・・あれ、某悲しいさんしか思い浮かばn(フェイルノート


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第54話 チームナカジマ

邪ンヌサンタなんとか宝具レベルMAX・・・・・・・しかしバスター全体で全体バフ付与と何気に優秀でしたね~あ、ランサーレギュラーのカルナさん危ういかも

カルナ「解せぬ・・・・・・・」

そしてバスター全体アーチャー枠でイシュタルも来てくれて、ようやく充実して来たな~ウチのカルデア・・・・・・


その次の日より、早速チームナカジマのトレーニングが始まり、穹も参加することになった。

 

ノーヴェ「ってわけで、今日から穹も一緒にトレーニングすることになった!」

 

穹「まあ知らない仲じゃないけど、改めてよろしく」

 

ヴィヴィオ「よろしく、穹君!」

 

ノーヴェ「さて、今日から早速特訓開始だ。」

 

4人「はいっ!」

 

ノーヴェ「チームとはいえ、選手としてはお前ら同士もライバルだからな。特訓はそれぞれ個別でやる」

 

4人「はいっ!」

 

ノーヴェ「特訓の目的はただ一つ!『特技の徹底強化』だ!!で、リオとコロナ、そして特技の強化の他に近接戦の特訓もあるから穹にも専門のコーチを用意した」

 

コーチ陣として、ノーヴェの姉のチンク、そして聖王教会に所属するノーヴェの妹の双子、ディードとオットーが呼ばれていた。

 

ディード「コロナお嬢様には僭越ながらこの僕が」

 

コロナ「ありがとうございます!」

 

コロナ「リオお嬢様には私が」

 

リオ「よろしくお願いします!」

 

チンク「穹には私だ」

 

穹「お願いします」

 

ノーヴェ「で、お前は私だ」

 

ヴィヴィオ「はいっ!」

 

ノーヴェ「基礎トレと合同練習は今まで通りあたしが見るが、秘密特訓のコーチはこの4人が固定でつく」

 

オットー「特訓メニューはノーヴェ姉様から貰っています」

 

ディード「トレーナーとして、練習相手としてお役に立てるよう頑張ります」

 

チンク「残りの期間、徹底的に行くから覚悟するようにな」

 

4人「お願いします!」

 

こうして、それぞれの特訓が開始された。ちなみにアインハルトは格闘型の難敵である斬撃武器対策も兼ねてすでにスパーに出ていた。

 

 

 

 

 

チンクに連れられ、特訓場所として移動したのは自然公園の森林区画の川辺の近くだった。

 

チンク「さて、特訓を始める前に、これを着けてもらう」

 

穹「リストバンド?」

 

チンクに手渡されたリストバンドを両腕にはめると全身に重りが着いた様に体が重くなった。

 

穹「なっ!」

 

ホルク『これは・・・・・魔力負荷を意図的に起こす物か』

 

チンク「ああ、ハードな筋力負荷は体に負担がかかるが、魔力負荷なら話は別だ。特に、お前達位の年齢は魔力が一番成長する時期らしい。特訓とは別の基礎固めだそうだ」

 

穹「なるほど、これは中々・・・・・」

 

チンク「では、今日はガン=カタのトレーニングからだ。今から投げるトレーニング用の魔力を付与したゴムボールを素早く打撃で対処しろ」

 

チンクは両手にいくつもの小さなボールを持つと穹に向けて投げつける。ボールは散弾の様に襲い掛かり、穹は銃を両手に迫り来るボールを撃ち落とし、接近を許してしまったボールを避けて避けきれないものは蹴り飛ばす。

しかし、対処しきれなかったボールが当たった瞬間、ボールが突然破裂した。

 

チンク「言い忘れていたが少しでも対処を誤ればボールが破裂して軽く爆発するから気をつけろ。ちなみに爆発は爆風が来るだけの安心設定だ!」

 

穹「チンクさん、そこどや顔するところですか?」

 

チンク「ツッコむ余裕はあるようだな。続けるか?」

 

穹「お願いします!」

 

穹は両手の銃を構え直して、再び迫る破裂ボールに備えた。ちなみにこの日爆発を喰らった回数は20を超えていたらしい。

 

 

 

 

 

そして特訓を終えた穹は無事?帰宅してグループ通信でヴィヴィオ達とアインハルトに特訓内容を話していたが・・・・・・・・

 

 

 

 

 

ヴィータ「穹~生きてるか~?」

 

穹「な、なんとか・・・・・・」

 

ヴィヴィオ『そんなわけで特訓チームは大変でしたー』

 

リオ『そーなんですー』

 

アインハルト『こちらも大分ボロボロにされてしまいました』

 

にゃーん

 

コロナ『え?相手の方そんなに強いんですか?』

 

アインハルト『実戦だったら今日だけで20回は死んでます』

 

穹「俺も・・・・あれが本物の爆弾だったらそれくらい消し飛んでますね・・・・」

 

リオ『穹一体どんな特訓してたの・・・・・・・?そういえば、アインハルトさんもあのリストバンドしてるんですよね?』

 

アインハルト『はい・・・・中々大変です』

 

にゃーん

 

ヴィヴィオ『あのアインハルトさん?さっきから猫の声が・・・・』

 

アインハルト『ああ、その・・・・・・詳しくは明日の練習会で・・・ティオ、登っちゃだめです』

 

穹「・・・・・・・・・・くー」

 

ヴィヴィオ『あれ、穹君?』

 

ヴィータ「あ~悪い、穹寝ちゃったから抜けるぞ」

 

ヴィータは通信を切ると、穹の着けているリストバンドを取って背負った。

 

ヴィータ「はやて~穹寝ちゃったから部屋運んどく~」

 

はやて「余程疲れてるんやね~お願いな~」

 

ヴィータが穹を背負って運ぶところが仲の良い姉弟そのもので微笑ましい光景にはやては思わず頬を緩ませていた。




気まぐれにインターミドル編のOPとED考えてみました

OP 名前のない怪物(EGOIST)

ED サクラミツツキ(spyair)


余談ですがワールドトリガー休載続いてますね・・・・・・・芦原先生しっかり休んでまた連載再開する時をお待ちしています!


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クリスマス特別編 12月25日

クリスマスですね~・・・・・・・最終特異点やってますね~・・・・・・・・・第七特異点中盤でまだ参加出来ないぃいいいいいい!!


12月25日、クリスマス、これはどの次元世界でも共通の行事であり、この日は八神家にてクリスマスパーティーが行われていた。今回は穹とヴィヴィオ、リオ、コロナ、アインハルトのいつものメンバーにノーヴェとスバルとヴィータで、なのは達は年末休暇まで仕事を休めず特にはやてとなのはは半泣き状態だった。

本当はミウラも参加するはずだったが恐れていた事態(補習)で欠席らしい。

ちなみにシャマルはハロウィンでヴィヴィオにデンジャラスビーストをやらせた事もあり、聖王教会に一日幽閉されていた。

 

 

 

 

 

 

キリエ「シスターシャンテ・・・・・・・・中から呪詛に似た声が聞こえるのですが・・・・」

 

シャンテ「聞いちゃダメ!聞いたら同類にされる呪いかもよ?」

 

キリエ「ひぅっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてクリスマスを楽しむ為、女子は何故かミニスカサンタ(子供組(ヴィータ込み)は邪ンヌサンタコスでノーヴェ達はサンタオルタコス)で穹は普通のサンタコスに着替えていた。

 

穹「さて、シャンパン開けますか」

 

ノーヴェ「よし任せろ!」

 

ノーヴェはシャンパンの口の先をスバルに向けている。この時点で何をする気か皆さんお分かりだろう。

 

スバル「ちょっ!ノーヴェ銃口こっち向けちゃダメ!!」

 

ノーヴェ「いや~お約束はやらないとな~って♪」

 

スバル「お約束で眉間撃ち抜かれる方の身にもなって!?」

 

ノーヴェ「ちぇ~」

 

ノーヴェが銃口は上にずらした時、悲劇が起こった。開けかけていたコルクが射出され天井に着弾して跳弾がスバルの眉間にヒット、更に跳弾してノーヴェの眉間も撃ち抜いた。

 

ヴィヴィオ「ノーヴェ!?スバルさん!!?」

 

穹「コルクの性質的に跳弾しやすいからな、射角にいるとそうなるよな」

 

 

 

 

 

スバル「この時期ってケーキ屋さんとかある意味サンタより忙しそうですよね・・・・」

 

ヴィータ「なのはの実家の翠屋とか一家総出の戦争状態らしいぞ」

 

余談だがなのはが管理局に入ってからはバイトの爽やか系な姉の為に頑張る中学生やいくつものバイトを掛け持ちしている赤毛のハイスペック高校生の活躍で戦争を乗りきっているらしい。

 

ヴィヴィオ「サンタさんも大変そうですけどね・・・・」

 

リオ「クリスマスの夜は飛び回ってるのかな?」

 

穹「いたとしても次元世界全てを一人で配るのは無理だろうな」

 

アインハルト「もしそりで全世界の子供にプレゼントを配っているとしたら・・・・」

 

コロナ「たら?」

 

アインハルト「サンタを乗せたトナカイはマッハを超えた速度で世界を移動してる事に・・・・」

 

リオ「マッハ!?」

 

穹「サンタ死にますね、それ。ってか普通トナカイは飛びませんから」

 

リオ「トナカイだけ高速じゃ駄目って事だね!」

 

コロナ「乗り降り配り歩くのはサンタさんだもんね、つまりサンタさん自身も常人から掛け離れた速度と動きで・・・・・・・・・・・・物音一つ立てずに子供を探して徘徊してる事に・・・・・・・」

 

スバル「怖っ!!」

 

穹「もはや妖怪だな、サンタ」

 

クリスマスをよく知らない穹の中でのサンタ像がどんどん怪物になりはじめたが、後々はやて達のおかげで考えを改めさせられたとか

 

 

 

リオ「ねえ、みんなプレゼント何が欲しい?」

 

コロナ「私はフォウ君のぬいぐるみかな、凄く可愛いの!」

 

ノーヴェ(言えない・・・・・・・・偶然発売当日見つけてあまりの可愛さについ買ったなんて言えない!!)

 

ちなみにノーヴェの部屋には他にもティ○ピー、ピカチ○ウ等様々なぬいぐるみがあるが部屋を見たものはその内容を覚えていない。

 

穹「俺は・・・・・・旅行券かな」

 

ヴィヴィオ「なんで?」 

 

穹「いつも仕事頑張ってる母さん達にたまにはゆっくりしてほしいからさ」

 

スバル「ヴィータさん、凄い泣き顔ですよ!!?」

 

ヴィータ「今の台詞・・・・・・はやてにも聞かせてやりたかった・・・・・・」

 

穹の純粋で健気な願いにヴィータは感動で号泣していると、いつの間にか飾ってあるツリーの下にプレゼントの袋がいくつか置かれていた

袋にはそれぞれ名前が書かれて誰宛てか解る様になっていて、それぞれ自分の名前の袋を取ってその場で開けてみた。

 

ヴィヴィオ「新しいランニングシューズだ!」

 

アインハルト「私は新品のトレーニングウェアです・・・・・」

 

コロナ「フォウ君のぬいぐるみ!」

 

リオ「欲しかった『大怪獣決戦!ゴルゴーンvsジャガーマン!!』のDVDだ!!」

 

穹「俺は・・・・・・・・猫の着ぐるみ?パジャマか」

 

スバル「でもいつの間に・・・・・・・」

 

ヴィータ「さぁてな、どこかの暇なサンタじゃないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、少し離れたベンチでーーーーーーー

 

 

ユーノ「やれやれ、スイッチボックスの転移装置をこんな風に使われるとはね」

 

ユウ「プレゼントの費用出したの俺だけどね」

 

暇な悲しいサンタ二人は一仕事終えてコーヒー片手に一息ついていた。

 

 

 

プレゼントにそれぞれ喜びパーティーはお開きとなって、聖夜は少しずつ明けていった。ちなみにシャマルが解放されたのは三日後だったらしい




今回はあっちこっち原作コミック5巻のネタでお送りしました!

ごちうさの2期見放題やってたので見たんですが・・・・・・・あのエンディングのチマメ隊ヴィヴィオ、リオ、コロナで出来る様な・・・・・・・


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特別編 1月1日

皆さんあけましておめでとうございます!今回は八神家の正月をお送りします!!

ちなみに少し短めです


1月1日、新たな1年の始まり、どの次元世界も祝っていた。八神家もまた、地球に帰省して新年を祝っていた。

新しい年が明けた早朝、まだ日も出ていない時間に八神家の面々は初詣の為に、海鳴市の神社を訪れていた。神社は早朝にも関わらず、参拝客で賑わっていた。

 

穹「これが正月の参拝風景か」

 

シグナム「毎年こんなものだ。帰ったら期待しておけ、主の雑煮は美味だ」

 

穹「ところで、ザフィーラ兄さんなんでそっちの姿なの?」

 

ザフィーラは小型犬サイズの狼?の姿でヴィータの持つリードに繋がれていた。

 

ザフィーラ「こちらではこっちの姿の方が馴染みなのだ。人型になれるのは家と主のご友人宅くらいだな」

 

はやて「昔よくその姿でヴィータと散歩したりしとったもんね~」

 

昔の話をしながら境内を歩いていると、前の方で見覚えのある後ろ姿が見えた。そこには着物姿のなのはとヴィヴィオがいた。

 

なのは「あ、皆!あけましておめでとう!」

 

はやて「なのはちゃん、ヴィヴィオ、あけましておめでとう!」

 

ヴィヴィオ「穹君、あけましておめでとう!」

 

穹「ああ、今年もよろしく」

 

はやて「フェイトちゃんは一緒じゃないん?」

 

なのは「今日は家族皆揃うから来れないんだって」

 

 

 

 

 

 

 

 

クロノ「な、何故だ・・・・・・・・何故スタートに戻るのマスにばかり・・・・・・」

 

フェイト「ある意味凄いね・・・・・・・」

 

 

 

 

せっかくなので一緒に参拝することにして、穹とはやてとなのはとヴィヴィオ、そしてシャマルが同じ列ではやてから賽銭入れていった。

 

はやて「なのはちゃんの願いが叶いますように」

 

手を合わせそう願うはやてを見たなのはは賽銭を入れて同じ様に手を合わせる。

 

なのは「ヴィヴィオの願いが叶いますように」

 

ヴィヴィオ「にゃ!?」

 

そこでヴィヴィオの中で様々な妄想が飛び交う。やがてヴィヴィオは若干混乱気味に賽銭を投げた。

 

ヴィヴィオ「そ、穹君の願いが叶いますように!」

 

穹(ん?そういう趣向か?)

 

穹は賽銭を入れてシャマルを見ると数秒思考して手を合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穹「シャマル姉さんの願いは叶うまい」

 

シャマル「はやてちゃんの願いが・・・・・・・って何か違くなかった!?」

 

穹「シャマル姉さんの顔に人類悪並のドロドロとした何か悍ましい願いが見えたからつい」

 

ちなみにシャマルが考えていた願いは『今年はザフィーラ×穹が当たりますように』で後でばれたシャマルが某太陽の化身な女神並のパイルドライバーで庭に一晩刺さっていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

穹「ぼちぼち空も白んできたな」

 

ヴィヴィオ「そうだね」

 

ヴィータ「じゃあ初日の出見に行こうぜ!あれが毎年の楽しみなんだ」

 

参拝を終えてお守りなどを見ながら時間を潰していると、空も少しずつ明るくなり、皆で初日の出を見る為に高台に移動する。

山の向こうから新年最初の朝日が差し込んでいく。

 

ヴィヴィオ「綺麗~」

 

なのは「だね~」

 

シグナム「あの輝きを至近距離で拝みたくなるな」

 

穹「塵と化すよ、シグナム姉さんならやりかねないけど」

 

最後に皆で初日の出をバックに記念写真を撮って初詣は終わった。帰る時、穹は笑みを浮かべながら願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー本年も、楽しい年でありますように、と




元ネタは例によってあっちこっちですね、俺は第七特異点ぎりぎり年内に終わったのでソロモン攻略中に今年を迎えました。

そして福袋ガチャでついに念願叶って騎士王様来ました!!!!もうテンション上がりまくっています!このまま速攻ソロモン終わらせる予定です

では皆さん、魔弾の射手、幻妖録、無限の軌跡を今年もよろしくお願いします!!


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第55話 チームナカジマ②

監獄塔復刻来ましたね~・・・・・・・・空の境界コラボが先じゃね?

最近スランプ気味なのでしばらく短めになるかもです・・・・・・・・


翌日、穹達はトレーニングの疲れから眠気と格闘しながら授業を受けていた。

ちなみに授業は歴史だったが担任も事情を知っているのでそこまで怒られることは無かった。本人曰く、自分も魔法競技に出たことがあるので気持ちが解るとの事。

 

ホルク『穹、先程からパラメータが不安定だぞ?覚醒状態と睡眠状態を繰り返している』

 

穹「だ、大丈夫だ・・・・・・・問題ない・・・・・」

 

ブランゼル『マスター?寝ながらノートに幾何学模様を書いてますよ?』

 

コロナ「だ~いじょ~ぶ~」

 

リオ「にゃはは・・・・・・今日もバルバトス狩り~・・・・・♪」

 

ソルフェージュ『マスター、それはもう終わっていますよ?』

 

ヴィヴィオ「・・・・・・・・zzz」

 

クリス『!!・・・・・・・!!!!』(訳:起きて下さい~)

 

 

穹は気力で寝落ちながらも意識を保っているが、コロナはうとうとしながら英霊を召喚しそうな紋様を書いていて、ヴィヴィオとリオは完全に夢の中だった。

ちなみにこれを好機とみた三馬鹿が穹に襲い掛かるも寝ながらの警戒の術を心得ている穹に意味など無く、鉛弾付与の追尾弾で全身重石だらけにされて瞬く間に地に伏していた。

 

「それじゃあお疲れのところ可哀相ですが八神君、古代ベルカにおいて強大な力を秘め、後にレリック認定された古代のデバイスの名称は?」

 

穹「"ブラックデバイス"・・・・・・・レリック認定されるデバイスの殆どが、外装が黒い為そう呼ばれ・・・・・・他にもレリックデバイスなどいくつかの名称が・・・・・存在します。その構造・・・・性能・・・・・全てにおいてオーバーテクノロジーで・・・・・管理局の技術部が解析に尽力するも・・・・・未だ謎だらけのデバイス、です・・・・・」

 

「はい、眠気に負けずよく出来ました!現在、管理局でも3つのブラックデバイスを保管し多くの技術者が解析に乗り出していますが、先程八神君が言った通り、解析が進まず未だに謎だらけのデバイスですね。補足しますとーーーーー」

 

穹はそこまで覚えているものの、最終的に眠気に負けて起きた時には授業は終わっていた。

 

 

 

 

そして放課後、いつもの面子で集合して合同トレーニングを行うことになっていた。ちなみに集まった全員の目がアインハルトのデバイスのティオに向いている。

 

アインハルト「えっと・・・・・・・この子が、私のデバイスのティオです。正式名称はアスティオン」

 

にゃ~

 

ヴィヴィオ・リオ・コロナ「可愛い~!!」

 

ティオは当然愛らしい見た目から女子達には人気だった。一応豹のはずだが、女子達に撫でられているところはどう見ても子猫だった。

 

ノーヴェ「はいはい、モフるのは後にしろ~、練習始めるぞ~」

 

ノーヴェの号令で惜しみながら集合し、基礎練習に取り掛かった。

 

 

 

 

 

基礎練習の後、各自の個人トレーニングで解散となり、穹はチンクに連れられて自然公園の奥に来ていた。

 

チンク「さて、今日はバイパー(変化弾)のトレーニングだ。こいつの特徴は弾道を自由に設定出来ることだ」

 

チンクが手を翳すと、キューブが出現し、4つに分割してそれぞれ上下左右に曲がって穹のすぐ近くに着弾する。

穹は当てる気が無いのはわかっていたので避けることはしなかった。

 

チンク「これはさっきの様にあらかじめ弾道パターンを設定して撃てるが、イメージで弾道を設定して撃つことが出来る。つまり試合、戦闘の最中にリアルタイムで弾道を引くんだ。難易度は高いが、その分弾道不規則になり読まれにくくなる。私もまだ完璧では無いが・・・・」

 

チンクが再びキューブを出すと16分割して撃つ。弾は意思を持った様に不規則に動いて、穹の立つ位置から離れた木に着弾した。

 

チンク「やはりまだ粗いな。とりあえず、お前にはこの弾道を引くトレーニングを行ってもらう。課題は、そうだな・・・・・・・・この魔力でコーティングした空き缶、これにひたすらバイパーを当て続け、空中に10分滞空させること、これが最初の課題だ。出来たら少しずつ時間を延ばしていくぞ!」

 

穹「はい!」

 

穹はキューブを両手に出して細細かく分割すると、投げられた空き缶に向けてひたすらバイパーを撃ち続けた。

 

 

 

 

しかし、思っていた以上に難しく、この日穹は半分の5分滞空させることで精一杯だった。

 




裏話
シスター見習いのキリエ

カリム「今日から見習いでシスターになるキリエです。皆さん、仲良くしてあげて下さいね」

キリエ「き、キリエ・・・・・・・です」←元々が人見知りする性格でカリムの後ろに隠れてしまう


カリム「この子のお世話はシャンテに一任します。お願いしますね」

シャンテ「は~い♪よしキリエ!まずはバレにくいサボり方をだな・・・・・・」

キリエ「え・・・・・・・あ、あぅ・・・・・・・」

シャッハ「シャンテ、黒い旗と蛇、どちらがいいですか?」←黒い笑み

シャンテ「すんません冗談ですどちらも勘弁して下さいお願いします」



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夏特別編 学院七不思議①

ドーモ、ドクシャ=サン。サクシャ=デス

いやマジで更新空いてすみませんでした・・・・・・というのもネタが思い浮かばずISの方に更新偏りfate/goや艦これにFF14、PSO2と・・・・・・いやマジで更新しろよと自分に突っ込みましたね・・・・・・

ってわけでリハビリも兼ねて特別編です!やっぱり学校、夏と来たら・・・・・・あれですよね(愉悦)


ーーーーーーーst.ヒルデ魔法学院

 

一人の女子生徒が暗い廊下を不安そうに歩く、制服からして中等部だろう。部活で遅くなり、帰宅後学校に忘れ物があったことに気付いて慌てて戻った。

時間は夜22:45、いつもなら既に寝てる時間だなと思いながら、少女は暗闇に続く廊下を歩いて行った。

 

 

 

教室に入り、無事忘れ物を見つけて安堵したその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーークスクス

 

どこか笑い声が聞こえた。慌てて振り向くが教室には誰もいない。

 

 

ーーーーーーーーーークスクス

 

今度はすぐ後ろから聞こえて来た、急いで振り向くが見回しても誰もいない。恐怖を覚えた少女は逃げる様に教室から走り去って行った。

去り際、窓の開いてないはずの窓際のカーテンが不自然になびいた気がした。

 

 

 

少女は息を切らせながら廊下を走る。頭の中は真っ白になりかけていた。先程のあれは何だったのか、それだけが少女の頭を埋め尽くしていた。

 

その時、今度は後ろからキュルキュルとローラーの様な音が聞こえて来た。恐る恐る振り向くと廊下の暗闇の中から何かがゆっくりこちらに向かって来ていた。

それは緊急搬送用に学院に配備されているストレッチャーだった。誰もいない廊下で何に押されるでも無くこちらに向かうそれに恐怖を抱いた少女はただひたすらに廊下を走った。

後ろからは未だにローラーの音が聞こえて来る。

もはや何も考えることが出来なくなっていた。とにかく必死に廊下を走り階段を降りた。そして昇降口にたどり着き、靴を履き替える余裕も無く飛び出して昇降口の扉を閉める。

ローラーの音もいつの間にか聞こえなくなり、ただ夜の静寂だけがその場を支配した。

少女は安堵の表情を浮かべ先程までの出来事を思い浮かべながらふと昇降口の扉の窓を見た。

 

 

 

 

ーーーーーーいや、見て"しまった"。

 

その窓には生気の無い濁った瞳の女子生徒が張り付いており、こちらを見つめて口角を吊り上げていた。

 

「ィヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、登校する生徒で賑わう生徒達、その中にいつものグループがいた。

二つの魔力変換資質を持ち、ルーフェンに伝わる春光拳を使いこなす武闘家、リオ・ウェズリー

 

ゴーレム精製を得意とするクラス一の優等生、コロナ・ティミル

 

覇王の末裔で代々受け継がれて来た覇王流の使い手、アインハルト・ストラトス

 

聖王オリヴィエのクローンで管理局のエース、高町なのはの娘の高町ヴィヴィオ

 

そして、かつて裏社会で畏れられた殺し屋とまで言われていた少年、八神穹

 

同じチームの仲間として、互いに切磋琢磨し合っていた。

 

穹「リオ、次の練習日また相手頼めるか?まだインファイターの対処が甘い・・・・・・」

 

ヴィヴィオ「アインハルトさん!今度またお相手お願いします!」

 

アインハルト「私でよければ・・・・・・・」

 

いつも通りの会話、いつもの仲間、なのに何かが変だ。穹はどこか違和感を覚えていた。そしてそれはアインハルトも同じの様だ。

周囲を目立たない様に見回すと、生徒達がどこか落ち着かない様に思えた。

 

中等部のアインハルトと別れ、穹達は自分達の教室に入る。すると、クラスのみんながあちこちで集まって何かを話していた。

話の内容は聞き取れないがただならぬ感じだけは伝わっていた。

 

穹「おはよう、何かあったのか?」

 

「あ、八神君、そっか八神君は転入してきたから知らないか」

 

穹「・・・・・・・?」

 

「八神、この学院にはな・・・・・・・・学院七不思議ってのがあるんだ」

 

八神「七不思議?」

 

「ああ、『さまよう人体模型』、『プールの底に居る生徒』、『講堂の悪魔』、『嘆きの階段』、『夜中のキリコさん』、『夕暮れの演奏者』、そして『禁忌の言葉』、この学院にはこれらの怪奇現象が目撃され、それらを総じて"学院七不思議"って呼んでるんだ」

 

穹「ふぅん、よくありそうな話だな。それで、その七不思議がどうした?」

 

「出たらしいんだよ、その七不思議の一つ、『夜中のキリコさん』が・・・・・・」

 

「昨日の夜さ、中等部の先輩が忘れ物取りに行った時に出くわしたって、悲鳴聞いて駆けつけた警備員さんの話じゃその先輩、『キリコさんおかえり下さい』ってずっと連呼してたらしい・・・・・精神的にやばかったみたいで病院行ってるらしい」

 

穹「だからなんか他の人達様子おかしかったんだな・・・・・・・・・ところでヴィヴィオ」

 

ヴィヴィオ「ん?」

 

穹「なんでピッタリ俺の腕に引っ付いてるんだ?」

 

ヴィヴィオ「ふぇ?・・・・・・・・・・・・っ!!!?」

 

ヴィヴィオはいつの間にか穹の右腕にピッタリ引っ付いて制服の裾をギュッと掴んでいた。我に返り、慌てて放れる。しかしその顔は某皇帝の服並に赤かった。

 

 

ヴィヴィオ「ち、ちちちちちちち違うの!いや確かに怖かったけど、それだけで本当に他意は無いんだよ!?」

 

顔を真っ赤にして慌てふためくヴィヴィオに穹は首を傾げて、リオとコロナ、そして他の生徒達はその初々しい表情にニヤニヤしていた。

 




まさか短期イベントでりよぐだ子が出てこようとは・・・・・・・しかも手持ち鯖弱すぎるwwwせっかくの星5アルトリアがwww


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夏特別編 学院七不思議②

現状の夏イベ収穫
水着ネロ×2
水着フラン
水着ニトクリス
メイドオルタ
玉藻×2
ジャック

もうこれで打ち止めですね~欲しいのはあらかた来ましたんで~


穹がクラスメートから聞いた話はこうだ。この学院には七不思議なるものが存在し、実際体験した生徒も過去数名いる。

 

『さまよう人体模型』

かつてゴーレム創成魔法が得意だったある生徒が密かに科学室の人体模型をゴーレムに作り替えようとしていた。

しかしその実験が最終段階に入った直後、術式が暴走し生徒は術式に取り込まれてしまう。

この件は後日、生徒の行方不明事件として処理されたが、それからというもの、生徒が消えた午後23:45になると、その人体模型が何かを探しているかの様に校内をさまようとか

噂では、術式に取り込まれた生徒が、人体模型に閉じ込められて今もあるはずの無い自分の体を探しているとか

 

『プールの底に居る生徒』

昔、学内のプールで一つの水死体が見つかった。その生徒は足を底の排水溝に挟まれて身動き出来ず、魔法を使う事が出来ないほど死の恐怖でパニックに陥っていたらしい。

それから数年経ったある日、水泳部の生徒が一人居残りで練習していた時の事、「さあおいで、僕と遊ぼ」とどこからか声が聞こえて来た。

生徒は気にせず練習を続けていると何かに足を捕まれ引きずり込まれた。そこで生徒が見たのは、排水溝に足を挟まれた初等部の生徒が自分の足を掴んでいた。

生徒は必死にもがき振り払ってプールから逃げ出した。以来、そのプールの底には今もその死んだ生徒が居るらしい

 

『講堂の悪魔』

始業式などの集会で使われる講堂、そこで午前0時に「昏き人いますか?」と3回唱えると悪魔が現れて対価を払えば願いを一つ叶えてくれる。

しかし数十年前、その儀式を行い対価を払わなかった生徒がいた。悪魔は怒り、その生徒を探しましたが既に卒業した直後でした。

以来、悪魔は呼び出した人を襲い、魂を奪う様になった。

 

『嘆きの階段』

中等部の3階東の普段は誰も使わない階段、そこでは夕方になるとかつてそこで転落死した生徒の啜り泣く声が聞こえて来る。

その声が聞こえた時、その階段へ向かうとその転落死した生徒に階段から突き落とされるらしい

 

『夜中のキリコさん』

かつて学院である一人の魔力至上主義の生徒によって学院に知られない秘密裏に生徒の間に格付けが行われ、それによって気に入らないという理由で最底辺に貶られた女子生徒が、理由なきイジメと暴力に晒され絶望した果てに自分の教室で首を吊って自殺した

自殺した生徒は若くして命を断った無念と理不尽に青春を奪われた怒りと憎しみで悪霊となり、今も夜中になると憎しみの矛先を向けるべき相手の生徒を探して校内をうろついているらしい

 

※余談だがこの自殺によって格付けが学院側にばれて黒幕の生徒は退学処分になり、ニュースでも報道された為、二度と人目につく所を歩けなくなった。

 

『夕暮れの演奏者』

毎週金曜日、午後16時に学院の音楽室の前を通ると誰もいないはずの音楽室からピアノを弾く音聞こえて来る。

その演奏を3回聞くと、奏者に魂を奪われるわしい

 

『禁忌の言葉』

六つの七不思議を全て解き、初等部2階の今は使われていない開かずの空き教室である言葉を言うと扉が開かれる。

しかし、中を見た者は非業の最期を遂げると言われている。

 

 

 

 

 

 

穹達はそれを聞いた放課後、いつものトレーニングを終えた帰り、その事をノーヴェとウェンディに話した。

 

ウェンディ「へぇ~やっぱり歴史ある学校なだけにそういう話あるんスね~」

 

ノーヴェ「馬鹿馬鹿しい、幽霊なんてこの世にいてたまるかっての!いたとしたら私があの世まで殴り飛ばしてやる!」

 

穹「ノーヴェさん、勇ましい事言ってるところ申し訳ありませんが・・・・・・・・・・・・・震えてますよ?足・・・・・・・それに若干顔青いし」

 

ノーヴェは勇ましい事を言ってるが足は震えて顔面蒼白で全く勇ましさが無かった。そんな時、鞄を開けて中を漁っていたリオが突然足を止めた。

 

コロナ「?リオ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

リオ「どうしよ・・・・・・・・明日提出の宿題・・・・・・学院に置いて来ちゃった」




昔、学校の怪談のアニメがやっていました
当時トラウマアニメと呼ばれ、自分も断片的にしか見れませんでした
たまたまyoutubeで見れたので久しぶりに見ました。背筋ゾクっとしましたね・・・・


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夏特別編 学院七不思議③

夏も終わりが近いですね~
夏イベガチャでアサシン金来て水着ニトクリスかと思ったらなんとジャックが来てびっくりw


ーーーーーーーst.ヒルデ魔法学院、裏門

 

ノーヴェと別れた穹達はリオの忘れ物を取りに学院に来たが正門は厳重な施錠が施されていた為、裏門をホルクに開けさせて学院に入った。

 

ヴィヴィオ「なんか・・・・・・悪い事してる感じが・・・・・・」

 

穹「まあ忘れ物が忘れ物だから仕方ないさ、警備員に頼んでもあんな事があった後だし入れてもらえなかっただろうからな」

 

ホルク『穹、警備員の巡回経路を見つけた。そこから教室までのルートを表示する』

 

穹「あぁ、警備員が近付いて来たら教えてくれ」

 

コロナ「さ、流石元裏社会の殺し屋・・・・・・」

 

アインハルト「すごい手際の良さですね・・・・・・」

 

穹達はホルクのナビの下、表示されたルートから校内に侵入した。

明かりの無い校舎の階段を上がり終えたところで、コロナがある事に気付いた。

 

コロナ「ねぇ・・・・・・この階段ってもしかして『嘆きの階段』じゃ・・・・・」

 

リオ「確か・・・・・どこからか呻き声が・・・・・」

 

 

 

 

ーーーーーーーゥゥ

 

 

ヴィヴィオ「ひっ!何今の・・・・・」

 

呻き声の様なものが聞こえてヴィヴィオは穹の後ろに隠れる。

動揺する女子達、そんな中穹はただ冷静に呻き声らしき音の音源を探る。聴覚に神経を集中させて音のする方向を確認してその周辺を見回す。

すると、音源が階段の中腹の高めの位置にある窓にある事に気付いた。穹は窓の真下に立つとじっと窓に目を凝らす。

すると窓に微妙な隙間がある事に気付いた。

 

穹「これが『嘆きの階段』の正体か、窓が壊れて建て付けが悪くなってるんだな。ここからすき間風が入って風鳴りを起こしてたんだな。突き落とされるってのはこの音に動揺して足を踏み外したのを突き落とされたと錯覚したんだろう」

 

リオ「そ、穹って肝が据わってるね・・・・・・」

 

穹「心霊なんて信じないんでな」

 

怪談の正体に安堵した女子達は穹を先頭に教室に向かった。

 

 

 

 

警備員に見つかること無く教室に到着すると、穹が教室前を見張り、リオ達は忘れ物を探していた。

 

コロナ「じゃあ昼間噂になってた生徒ってアインハルトさんのクラスの人なんですか?」

 

アインハルト「はい、直接話した事はありませんが」

 

リオ「確かその人も私達みたいに忘れ物取りに来たんだよね?」

 

ヴィヴィオ「やめてよリオ~」

 

 

 

 

その時、窓際のカーテンがふわっとなびいた。

女子達は一斉にそこに目を向ける、無論窓が開いてるなどということは無い。

 

コロナ「えっと・・・・・・・私達以外にも忘れ物取りに来た子がいる・・・・・とか」

 

リオ「だったらホルクが教えてくれる、よね?」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーークスクス

 

女子達の背筋が凍り付いた。後ろに誰かいる、振り向いてはいけない。それだけは理解出来た。

 

穹「何やってるんだ?早くしないと・・・・・・・・」

 

穹は遅い女子達を心配して教室に入る。そして女子達の背後の"それ"を見てしまった。

穹は自分の理解を超えた何かに動揺を隠しきれない。

 

穹「リオ、忘れ物、持ったな?」

 

リオは残像が出来るほど何度も頷いた。

 

穹「なら・・・・・・・・・・走れ!!」

 

穹の合図で全員一斉に教室から逃げ出した。

 

リオ「穹!一体何を見たの!?いややっぱ言わなくていい!!」

 

コロナ「何!?一体何なの!!」

 

穹「俺から言えるのは・・・・・・・とにかくやばい、それだけだ」

 

階段を駆け降りて、廊下をただ駆け抜けた。

その時、ふと外を見ると、窓の外から中等部の制服を来た生気を感じられない生徒がこちらを覗き込んでいた。

 

穹「窓を見るな!どこかの教室に入るぞ!!」

 

穹の指示に従い、たまたま見かけた教室に入る。

視線を感じなくなったのを確認して安堵する。見渡すと、そこは音楽室だった。

 

ヴィヴィオ「ここって・・・・・・・」

 

そう、この音楽室は『夕暮れの演奏者』が現れる所だった。

 

穹「・・・・・・・・・正体分かったぞ」

 

いつの間にか穹がピアノの前にいて、ピアノの中から一つのオルゴールを取り出した。

 

穹「よくあるいたずらグッズだな、事前に時間と条件を入力して誰かがこっそり忍ばせたんだろ」

 

七不思議の一つが単なるいたずらだと解り、安堵していると、光源魔法の光が見えて教室の扉が開かれた。

慌てて振り向くと・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには人体模型があった

 

 

ヴィヴィオ「イャァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

穹「『さまよう人体模型』・・・・・」

 

ヴィヴィオは恐怖して穹に抱き着き、リオとコロナは腰を抜かして、アインハルトは何も見ていないと自己暗示をかけていた。

 

その時、人体模型は穹に近付いてじっと服装を見つめていた。

 

 

人体模型?『ーーーーーーー当学院の生徒と断定、身分証を提示して下さい』

 

穹「・・・・・・・は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー警備員室

 

警備員「いや~驚かせてすまないね。裏門が開いた形跡があったからまさかと思ってね」

 

穹「それで警備員さん、これは?」

 

穹の指差す先には先程の人体模型があった。

 

警備員「ああ、昔生徒がいたずらで人体模型をゴーレム化させてね。せっかくだから操作権限を譲渡してもらって警備ゴーレムとして再利用しているのさ」

 

アインハルト「『さまよう人体模型』の正体見たり、ですね」

 

穹「もしかして他の七不思議も全部?」

 

警備員「ああ、『夜中のキリコさん』は、当時の風紀委員が夜まで居残る生徒に腹を立てて夜生徒を感知して驚かせに来る幻覚魔法、しかもカーテンを靡かせたりと芸が細かくしかも解除方法もわからない厄介なものさ。それで生徒一人病院送りになってるしね」

 

コロナ「じゃあ『プールの底に居る生徒』や『講堂の悪魔』も?」

 

警備員「夜のプールほど危ないって事で例の死亡事故の後でそれとなく流したのが尾ひれが付いたんだ。『講堂の悪魔』は、ちょっと危険な召喚魔法の未遂事件の名残だな」

 

穹「七不思議も、蓋を開ければそんなものだろうな・・・・・・じゃあ『禁忌の言葉』は?」

 

警備員「それがわからないんだ、いつの間にかそんなものが流れてね」

 

穹「・・・・・・・・初等部2階の開かずの教室」

 

 

 

 

 

ーーーーーーー学院初等部2階

 

穹達は警備員に付き添ってもらい開かずの教室の前に来た。開けて見るが開く気配が無い。

 

穹「ホルク」

 

ホルク『厳重に閉ざされているが、術式は新しいな。・・・・・・解析完了、術式は解除したが鍵はかかったままだ』

 

穹「問題無い、ホルク」

 

ホルク『なるほど、心得た。『強印(ブースト)』』

 

穹の背中に強印が浮かぶと体を捻って回し蹴りで扉を蹴破った。扉が吹き飛び、中から小さい悲鳴が聞こえる。

中にいたのは初等部の穹達のクラスとは違うクラスの担任だった。

 

「な、なんだ君達は!」

 

穹「・・・・・・・・警備員さん以外入らない方がいい、なんだこれ」

 

部屋には壁一面に初等部女子生徒の盗撮写真が貼ってあった。その中にはヴィヴィオやリオ達もいる。

 

穹「なるほど、随分な趣味をお持ちで。これを隠す為の禁忌の言葉か・・・・・・・」

 

「くっ・・・・・・・だが子供一人で私を止められると思ってるのか!!」

 

教師はナイフ片手に穹に襲いかかる。警備員が急いで止めに入ろうとした。

 

穹「ホルク、セットオン」

 

ホルク『心得た。set on』

 

穹は動じず、バリアジャケットを身に纏い、ハンドガンを向けて発砲、教師は防護魔法を展開するが、魔力弾は防護魔法をすり抜けてナイフに着弾する。

するとナイフに六角の重石が打ち込まれ重くなりナイフごと手が床にめり込む。

そして悲鳴をあげるより早く、穹の踵落としが教師の頭を捉えて勢いのある一撃は教師の意識を刈り取った。

 

穹「七不思議最後の謎・・・・・・・それがこんなものとはな」

 

 

そして、その後教師は管理局に引き渡され、盗撮写真は全て焼却処分された。

なお、夜の学院に無断で入った穹達は親にきついお叱りを受けたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

そして知る事は無いだろう・・・・・・・・偽りの七不思議の裏に隠された"本物の七不思議"がある事は・・・・・・・

世の中には知らなくていい事もある。

 

 

 

 

ーーーーーーー講堂に存在する秘密の地下室、丑三つ時に微笑む肖像画、中庭を踊る人形、"真夜中"の奏者、図書室の亡霊、渡り廊下の足音、神を呪うシスター

 

 

学校は様々なものが集まる、生徒、教師、書物、そしてーーーーー

 




夏特別編はこれで終わりです

皆さんの通ってた学校にはどんな怪談がありましたか?

もしかしたらそれは・・・・・・


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第55話 八神穹⑪

長い事更新出来ずすみません!今日から再開します

そしてワールドトリガー連載再開!芦原先生おかえりなさい!


バイパー(変化弾)のトレーニングが開始三日目、魔力で構成されたキューブは不規則な軌跡を描きながら宙を舞う空き缶に次々と撃ち込まれていく。

命中した衝撃で上下左右に軌道を変えながら重力に引かれては打ち上げられる、しかし穹の集中力が一瞬ぶれた瞬間、魔力弾は空き缶を掠めて通過した。

イメージしていた"線"が崩れて空き缶が地面に落下して穹も集中力が切れて倒れ込む。普段ならなんとも無いはずだが、トレーニング用のリストバンドがより疲労感を感じさせていた。

 

穹「ぐ・・・・・・・また集中力が切れた・・・・・・まだ集中しきれてないのか」

 

チンク「何言ってる、三日目でバイパーを使いこなして最初のノルマをクリアしたんだ。むしろ早い方だろう(吸収力がずば抜けているな・・・・・・・大した学習能力だ)」

 

穹「リアルタイムで軌道を描く・・・・・・感覚は解りました・・・・」

 

チンク「無理に喋るな、少し休憩しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー穹曰く、軌道を描くのは言葉にするのは簡単だが実践するのは相当集中力を要するらしい。

端的に言って、「視界に光で線を描くイメージ」

魔力弾の数だけ視界に光の点を点す。それをイメージで動かして軌道を描く後は弾が勝手にその軌道に沿って飛んでくれるのだと言う。

 

 

チンク「なるほど、お前は意外と理論派じゃなく感覚派のようだな」

 

穹「頭でちゃんと理解していないといざやれと言われても無理ですが・・・・・」

 

こと実戦においては相手も動くし攻めて来る。軌道を描く為に足を止めてもいられない。この"的当て"はあくまで入門編だという事だ。

まだ動く相手に対して不規則な弾道を描きながら当てられるかといえば無理な話である。

 

穹(まだ相手への当て方の感覚は掴めない、相手の動きを予測する事も想定しないと・・・・・・)

 

休憩が終わり、空中に投げられた空き缶に意識を集中させてキューブを形成していく。

 

穹「バイパー!」

 

穹は視界に軌道を描く、軌跡に沿って魔力弾が不規則な弾道を描きながら空き缶に撃ち込まれていく。

 

穹(まだだ!もっと、もっと集中しろ!!)

 

穹はさらに集中力を深めて先程より深い所まで"潜って"いく。

次第に周り音も声も遠ざかり、描いていた軌道の数が徐々に増えていった。

 

穹(皆頑張ってる、魔法競技においては俺は一足遅れてる!俺だけ置いてかれる訳には・・・・・・)

 

チンクはすぐに異変に気付いた、呼びかけても応答が無く、魔力弾の数は増していた。いくら魔力量が多い人間でもこれ以上増えれば危険だと判断したチンクは近くの小石を拾い上げて魔力を込めて穹の目の前に投げ付ける。

小石は穹の目の前を通過する瞬間銃声音に似た短い破裂音を鳴らして破裂した。

音にびっくりして我に返った穹、それと同時に魔力弾は消えて空き缶が地面に落下する。穹は目眩と疲労感に襲われてその場に倒れた。

 

穹「あれ・・・・・・指一本動かせない・・・・・・」

 

チンク「集中し過ぎだ、何度呼んでも反応無かったんだぞ?」

 

穹「なんだろ・・・・・・・途中からよく覚えてなくて・・・・・・」

 

チンク「・・・・・・・・今日はここまでだ。今のお前のコンディションはよろしく無い」

 

トレーニングの中断を余儀なくされた穹は、チンクに連れられて帰宅する事になった。その日穹は極限の疲労で文字通り死んだ様に眠っていた。

そんな穹の自室に、悪戯好きな子供の様な表情の侵入者が入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

??「よう寝とるな・・・・・・・ホルク、"例のあれ"今のうちにダウンロードするで♪」

 

ホルクはやれやれと部屋入ってきた侵入者に持ち去られた。

しかし、翌日穹が目覚める時には元の指に戻されていた。




突然ですが


ムーンガンダムはいいぞ・・・・・・
2巻の終わりのシーンでドはまりしましたwww


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