遊戯王ZEXAL ~単なる日常から強制転移~ (妖牙=飴んぼ)
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プロローグ いきなりの事故

俺はただのデュエリスト「火村 堕紅(かむら だく)」。

 

俺はこの世界で普通の学生生活を送っていた。別に変わったこともない、単なる普通の日常を過ごしていた。たぶんその先は普通の社会人になって、時の流れに身を任せるのだろう。

 

 

 

まあ、死んだ俺には関係ないだろうがな。

 

 

 

夏を迎えた学校の帰り道、あの時は熱中症だろうか激しい頭痛とめまいがしていて、一刻も早く家に帰ろうとしていた。涼しい部屋の中、俺と同じく遊戯王をやっている友達と楽しくデュエルしている光景を思い浮かべていた。

 

後少し、目の前の道路を渡れば家に着く。

 

早く、早く、乾ききった喉を潤し、暑苦しい部屋を換気し、テレビでも見ながら自分のデッキを組んでいよう、そう思っていた。

 

信号が青と見えた俺はその先の家めがけてダッシュした。

 

 

それがまさか見間違いだったとはな。

 

 

その先は説明しなくても察しがつくだろう。

 

簡単に言えば、大型トラックに跳ねられた。

 

死、それを迎えるのがこんなに早いなんて、信じたくないし信じることもできない。

 

今日は学校で狂気に落ちるほど難しいテストがあって、早く帰って最近はまったアニメを見たいとか思ってはいた。帰るは帰るだけど、誰も土に還るとか言ってないし、もう本当に信じられない。

 

 

堕紅(信じたくない、信じたくn・・・あれ?)

 

 

堕紅がハッと我に返ったとき、自分が真っ暗な場所にいることに気づいた。

 

 

堕紅「え・・俺死んだんじゃ、」

 

 

?「お前は死んではいない。」

 

 

堕紅「!!」

 

 

驚いて後ろを振り返ると、そこには悪魔のような顔を持った扉がたたずんでいた。

 

扉は十メートルはありそうなくらい巨大で、鎖で固く閉じられている。扉の側面にはこちらを睨むように黄色く光る目と、恐怖を感じさせる無数の歯が彫られている。

 

 

堕紅「誰だ!どこにいる!?」

 

 

?「お前の前にいる。」

 

 

どうやら今、堕紅の目の前にある門がしゃべっているらしい。もちろんのこと、門の口が動くことはない、テレパシーかなにかで語りかけているのだろう。

 

 

堕紅(こいつ何いってやがr・・・あれ、この状況、何かに・・!)

 

 

アニメ遊戯王そのままだ。シリーズでいうとZEXAL(ゼアル)だ。たしかエクシーズが主軸のもので、遊馬とかアストラルとかがいたはずだ。この扉が一期の序盤で出てきて、何者だろうと期待していたらまさかの罠カードという、予想の斜め上を行ったキャラであった。

 

ただZEXALはもう終わって、アークファイブが始まったところにある。今更旧作のキャラが何の用だろう。

 

 

門「お前には、あの二人を手伝ってもらいたい。」

 

 

堕紅(え?二人って・・遊馬とアストラルのことか!?)

 

 

信じられなかった。二次元の世界にいきなり飛び込むなんて、赤の他人に言ったら中二病扱いされるレベルのことだし、普通過ぎた日常がこの門の一言で一気に変わった気がした。

 

 

堕紅「ちょ、ちょっと待て!いきなりそんなこと言われても、まだ準備出来てないし!」

 

 

門「我がこちらに住居を作っておいた。お前のデッキと大量のカードも置いてある。」

 

 

堕紅「準備早すぎます、というか俺が言ってんのは心の準備だから!!」

 

 

門「心配しなくてもいい、我を信じろ、そして二人と世界を守ってくれ・・・。」

 

 

門の奥から光が溢れだし堕紅を飲み込んでいく。これがその世界への転送なのだろう。

 

 

堕紅「わかった・・・って!何で世界まで!話広がってないかあああぁぁぁぁ・・・・」

 

 

・・・話がつかないまま、その世界に連れてかれてしまった。




どうもうぷ主です。

最初の投稿なので、だいぶ少なくなってしまいました。

次回からは大幅に増やすつもりです。

では、これからもゆっくりしていってね!


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第一話 まさかの途中参加

 

 

堕紅「・・・ん?」

 

 

手触りの良いカーペット、横から差し込む光、嗅いだことのない匂い。堕紅はいつのまにか、まったく知らない部屋の隅で倒れていた。

 

 

堕紅「うん?ううん・・・ん!?どこだここ!」

 

 

驚いて立ち上がって部屋全体を見渡すと、見たことのない光景が広がっていた。

 

広々としたリビングには生活に必要な家具が全て(テレビとかエアコンとか)揃っている。奥にはキッチンがあり冷蔵庫の前にはカップヌードルが積み上がっている(もっと他になかったのか)。部屋はこの他にもいくつかあるみたいで何カ所かにドアが付いている。

 

 

堕紅「うわあ・・すげぇ。」

 

 

他の部屋も気になったので、堕紅が倒れていた真後ろのドアを開けてみた。

 

そこは寝室のようになっていた。一人にも関わらずダブルベッドで、寝ながらデッキをいじれそうな広い机もある。奥にあるでかい窓の外には、堕紅も見たことのある遊馬たちが集う学園が見えている。

 

ここまで愕然とさせる環境を用意した門が、神に思えて仕方がない状況であるが、本当に驚いたのはその部屋の壁全体だ。

 

カードだ、何百何千何万とあるカードで壁の表面が見えないほどに埋めつくされている。それでも置けなかったカードは部屋の端の段ボールに積まれている。

 

 

堕紅「・・・。」

 

 

正直夢でも見ているのかと思った。現実でこの光景を再現するためにどれだけの金銭を必要とするだろう。一カ月千円の小遣いをもらう堕紅にとっては満足を通り越して怖いとでも思う環境である。

 

 

堕紅「・・・あ、そういえば俺のデッキ・・あ、あった。」

 

 

堕紅がよく見てなかっただけでベッドにくっついている台のようなスペースにデッキが三つとメモが一枚あった。堕紅はそのメモを手にとり中身を読み始めた。

 

 

新世界で生きる者へ

 

我が空いていた土地に家を作ってみたのだがどうだろうか、これを読んでいるという ことは寝室も見ているだろう。その部屋にあるカードは全て使って良い、この先バリアン世界の奴らが攻めてくるだろう、遊馬とアストラルを守るため全力でデッキを組むが良い。だが一つ大事なことを言わせてもらうが、お前の世界で手に入れたNo.(ナンバーズ)は、一応入れてあるがこの世界ではNo.は基本一枚だけが普通だ。怪しまれないよう、気をつけてくれ。

それと明日からお前には、あの二人のいる学園に転校生のような形で入学してもらう。二人と直接関わっても良いが、お前が別次元の人間ということも、我に頼まれたということも秘密にしてもらいたい。宜しく頼む。

                                       」

 

 

 

堕紅「なるほどな、トロンやフェイカーとの関わりはなしか。」

 

 

どうやら飛ばされたのはZEXALⅡ辺りのようで、トロンやフェイカーの事件は解決した後のようだ。

 

 

堕紅「で、やっぱNo.持ってると色々と厄介になるか。」

 

 

No.はアストラルがドン・サウザントとの戦いの際、アストラルの記憶が五十枚のNo.となり各地に飛び散った。その後、遊馬とぶつかって余計No.が飛び散ったはず、そのNo.を集めるのとヌメロンコード使うことがアストラルの最終目的だった。

 

全てのNo.を集めたアストラルが最終回でヌメロンコードを使い、結果としてはハッピーエンドでこれからも続く展開に終わったが、この話に堕紅が入ったらどこまで変わってしまうのだろう。堕紅にとってそれが一番の心配事だった。

 

 

堕紅「・・・き、気にしてもしょうがねえか!とりあえずカードも大量にあることだし、ゆっくりデッキ編集するか。」

 

 

無理やり前向きにした堕紅は、机の上にあるデッキケースの一つを手にとりデッキを取り出した。

 

 

堕紅「俺が作ったデッキの一つがこれで良かった、最初ら辺はエクシーズが良いし一応シンクロも融合も入ってるから驚かすぐらいなら出来るしな。というわけでよろしく、陽炎獣。」

 

 

?「うん、私のことも忘れないでよね。」

 

 

堕紅「分かった分かった、忘れn・・・!?」

 

 

聞き覚えのない声に驚いた堕紅がふと後ろを振り返ってみると、そこにはどこかで見たことある女の子と赤い狐が立っていた。

 

 

堕紅「えっ!?えっと!?だ、誰っすか?」

 

 

ヒータ「何言ってるの!あんたのデッキでいつも頑張ってるヒータだよ!」

 

 

・・そう、堕紅の陽炎獣デッキにある一枚のカード、「燃え盛るヒータ」が目の前にいるのであった。

 

 

堕紅(あっれ?ZEXALってカードの精霊っていたっけ。GXなら結構いたけど?)

 

 

ヒータ「ともかく!遊馬たちを助けるんでしょ!だったらデッキ改良しないと!ほらほら!」

 

 

堕紅「急かすなって!・・・はぁ、なんでいきなり、」

 

 

ヒータ「愚痴言うなら燃やすよ。(悪意のある笑顔)」

 

 

堕紅「・・・ふい。」

 

 

いきなり出てきた上に、いちいち急かしながら脅迫するヒータに少し恐怖と不安を覚えながらも、堕紅はデッキの改良を始めるのであった。

 



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第二話 初登校、からのデュエル!

どうもうぷ主です。


今回、というかこれからもそうなるかもしれませんが、妙に会話文が多くなってしまいました。


場面を考えながら見てくれるとうれしいです。


それではゆっくりしていってね!


堕紅「やっべええええええっ!寝過ごしたあああああ!!」

 

 

 

 

 

[午前七時三十分 登校路]

 

 

 

 

 

別に遅刻するっていう時刻じゃないんだけど、学校に遅れていくってのが堕紅にとって割に合わないこともあり、カップ麺の中身をむさぼりながら学校に向かって走っていた。(ほら、あの、遅刻して教室入るときの周りの目とか気になるじゃん。)

 

 

ヒータ「ったく、まさか朝までデッキ調整するとは思わなかったわ。」

 

 

堕紅「るっせえええ!!そもそもお前が「これはこうでしょ」とか「そうじゃなくて」とか言って、深夜になってから「やっぱ最初のデッキでデュエルした方が良いんじゃないの」って開き直ってええええ!!」

 

 

ヒータ「分かった、ごんめごんめ。」

 

 

堕紅「それを言うならめんごだああああああああ!!」

 

 

 

 

 

[学校]

 

 

 

 

 

家から学校までは以外と遠くなく、正直慌てて来る必要はなかった。

 

今は担任である北野先生に連れられて教室に向かっている。この先生が堕紅の担任ということは遊馬と同じクラスになる。

 

 

先生「心配しなくても良いぞ、皆も君が来るのを楽しみにしているから気楽になりなさい。」

 

 

堕紅「は、はい・・はあ(門、あいつどうやって連絡つけたんだろう。)・・疲れたー。」

 

 

ヒータ「まだ何もしてないくせに。」

 

 

堕紅「(小声)黙っててくれ、そういやお前結局着いてきたけど大丈夫なのか?」

 

 

ヒータ「良いじゃん、別に私が見える人はいなさそうだし、きつね火は家で待機させておいたし・・・何より私が暇だから。」

 

 

まあそうだろう。独り暮らしにはあまりにも広すぎる一軒家の中で、学校が終わるのをひたすら待つのはつまらない。ヒータの場合は精霊であることを活かして、こう勝手に着いて来ることができる。

 

 

堕紅「(小声)っ仕方ねえな、今回だけだぞ。」

 

 

ヒータ「なに、アストラルやユベルみたいなポジションにいてもいいじゃん!」

 

 

堕紅「(小声)・・・なにが言いt[ヒータ]「勝手に着いていかせてもらいます。よろしく(笑)。」

 

 

堕紅「はぁ・・。」

 

 

こんな奴が隣にいたらうるさくて勉強に集中するのは辛いかもしれない。デュエル中はそうなるか、それはまだ分からないが堕紅は既にデュエルディスクがある。

 

最初は気づかなかったけど、朝家を出るとき玄関に置いてあった。

 

 

 

 

 

[教室]

 

 

 

 

 

遊馬「なあアストラル、今日新入生が来るんだってさ!」

 

 

アストラル「ふうん、どういうデュエリストか楽しみだな。」

 

 

遊馬「だろっ!俺もう胸がもうバクバk」

 

 

ガラッ(教室のドアを開ける音)

 

 

先生「皆、席に着いてくれ。昨日言っていた通り、今日は仲間が増えるぞ!」

 

 

遊馬「お!来たかっ!」

 

 

生徒A「やったー!」

 

 

生徒B「先生!早くう!」

 

 

先生「分かった、じゃあ入ってきてくれ。」

 

 

堕紅とヒータは初めて見る光景に戸惑いながらも、たくさんの生徒の前で軽く自己紹介をすることになっていたため気を引き締めることにした。

 

 

堕紅「・・ふう、(緊張してきた・・よしっ!)今日からここの生徒となる火村堕紅だ!デュエルとかの誘いは大歓迎だから存分に楽しもうぜ!」

 

 

皆「ヒュー!(歓声)」

 

 

遊馬「よろしくな!堕紅・・・!」

 

 

遊馬(あれ?)

 

 

遊馬とアストラルの目線の先には、普通見えないはずのヒータの姿があった。

 

 

アストラル(彼女は・・・?)

 

 

 

 

 

[昼休み 教室]

 

 

 

 

 

だいたいの授業が終わった後、堕紅は教室の机で寝そべっている。ヒータもその隣で同じような格好をしていた。

 

ちなみに授業中のヒータは堕紅の隣でぐっすり寝ていた。堕紅は誰かさんに睡眠時間を取られたため、気持ちよさそうに寝ていたヒータがもしも実体化していたら殴ってやりたかった。

 

 

堕紅「あっ・・っくう。」

 

 

ヒータ「いきなりどうしたの?」

 

 

堕紅「いやー・・疲れたわ、本当っに疲れた。」

 

 

ヒータ「そのセリフ、今日だけで何度目よ。」

 

 

堕紅「十三回だ(キリッ)。」

 

 

ヒータ「うざっ![堕紅]「ひどくない!」ひどくない。」

 

 

そう話しているとき、背後に人がいることを感じ取り驚いて振り返った。そこにはこの世界の主人公が立っていた。

 

 

遊馬「よう!俺は遊馬。よろしくな!」

 

 

笑顔あふれる表情から手が差し出される。

 

 

堕紅「ん!?お、おう!よろしく!」

 

 

堕紅はその手を強く握って熱い握手をした。一見普通のコミュニケーションのように見えるが、遊馬と堕紅の目には別の光景が広がっていた。

 

今二人の頭上では睨み合いをしているアストラルとヒータの姿がある、当然周りにはどちらの姿も見えていない。

 

 

ヒータ「・・あなたたち、私の姿が見えているようね。」

 

 

アストラル「君たちも私が見えているようじゃないか、どういうことだ。」

 

 

遊馬「堕紅、お前アストラルが見えているのか!?それにその子誰なんだ!?」

 

 

堕紅「・・・まあ、ここで言うのもあれだ。場所を移そう。」

 

 

遊馬「あ、ああ。」

 

 

 

 

 

[屋上]

 

 

 

 

 

真っ青な空、ふわふわ浮かぶ雲、アニメを見ている側はそんな景色に目をくれることはまずないが、このとき堕紅はいつも見ていたのとあまり変わらない空を見つめていた。

 

 

堕紅(・・さて、どうごまかすか。)

 

 

手紙にも書いてあったように堕紅が別の世界から来たこと、そして遊馬も知っている門に頼まれてこの世界に来たこと、どちらも知られるとこの世界がアニメとはまったく別の方向に動いてしまうかもしれない。

 

 

遊馬「なあ堕紅、お前も、その子も、一体なんなんだよ!」

 

 

遊馬に真実を伝えてはいけない。そもそも今の堕紅の目的は「普通の決闘者として過ごすこと」だ。

 

 

堕紅「とりあえずヒータのことだけ説明しとこう。」

 

 

遊馬「ひ、ヒーター?」

 

 

アストラル「遊馬、ヒーターじゃない、ヒータだ。恐らく彼女の名前だろう。」

 

 

堕紅「そう、ヒータはカードの精霊であり、アストラル、お前のように皆にはヒータの姿は見えない。」

 

 

アストラル(そうか。だからあのとき、誰もヒータを指摘しなかった。)

 

 

堕紅「俺にもよく分からないが、アストラルとヒータ、どちらも特定の人物にしか見えていない。どちらか一人見えていたら、もう一人も見えるはずだ。」

 

 

遊馬「じゃあ小鳥も!」

 

 

ヒータ「たぶんその子にも見えるかも、私のこと。」

 

 

遊馬「・・・そうか、ぷっ。」

 

 

堕紅&ヒータ「へ?」

 

 

遊馬「ぷっはははは!」

 

 

ヒータ「・・・堕紅、遊馬ってこんな感じだっけ。」

 

 

堕紅「さあ?いきなりどうした遊馬?」

 

 

遊馬「っく、いっやー面白いな!堕紅もヒータも!」

 

 

堕紅「・・遊馬。」

 

 

遊馬「堕紅!お前言ったよな!いつでもデュエル大歓迎だって!」

 

 

遊馬はデュエルディスクを構え、Dゲイザーをつけて始めた。

 

 

ヒータ「堕紅、どうする?」

 

 

堕紅「決まってるさ、望むところだ!」

 

 

そう言って堕紅もデュエルディスクを構える。このとき知ったのだが、なぜか堕紅にはDゲイザーは不要みたいで、いつものデュエル前の演出が目の前でぞくぞくと展開されていく。

 

 

堕紅(これが、ここでの初デュエル!)

 

 

堕紅「全力で勝ちに行くぜ!遊馬!」

 

 

遊馬「それはこっちのセリフだ!堕紅」

 

 

堕紅&遊馬「デュエル!」

 

 

アストラルとヒータが見守る中、堕紅にとって初めてのデュエルが今始まった。

 



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第三話 堕紅VS遊馬

 

遊馬&堕紅「デュエル!!」

 

 

いつもの掛け声と共にデュエルが始まった。いつもなら軽くシャッフルしたデッキを地べたに置いて寝ころびながらデュエルしていたが、今そんな余裕はない。堕紅自身がデュエルディスクを付け、立ってデュエルしている。たったこれだけ変わるだけで雰囲気がまったく変わる。

 

 

堕紅「先行はもらう!ドロー!」

 

 

正直後攻の方が有利なのは分かるが、ちょっと手札に「陽炎柱(ヘイスピラー)」が来てないためサーチがしたい。

 

 

堕紅(さすがにワンキルはないだろうし、とりあえず。)

 

 

堕紅「俺は手札の「陽炎獣 サーベラス」の効果により、リリースなしで召喚する。ただし、この効果で召喚したサーベラスの元々の攻撃力は1000となる。」

 

 

 

「陽炎獣 サーベラス」 星6 炎属性・獣族 

ATK1000 DEF200 攻撃表示

 

 

 

堕紅「ターンエンド。」

 

 

ヒータ「様子見ってことかしら?」

 

 

堕紅「ああ、どうせ遊馬なら必ず・・あいつを。」

 

 

遊馬とアストラルの力の結晶とも言えるカード、名は「希望皇ホープ」。

 

 

遊馬「行くぜ堕紅!俺のターン!ドロー!」

 

 

アニメでは普通の大げさなドローの仕方。さっきもそうだったが、堕紅はそのドローには慣れておらず普通に引いていた。そしてZEXALではよく見る光景、アストラルの完全サポートが始まる。

 

 

アストラル「遊馬!ゴブリンドバーグだ!」

 

 

遊馬「おう!俺はゴブリンドバーグを召喚!」

 

 

 

「ゴブリンドバーグ」 星4 地属性・戦士族

ATK1400 DEF0 攻撃表示

 

 

 

遊馬「ゴブリンドバーグの効果発動!このモンスターが召喚に成功したとき、手札からレベル4以下のモンスター一体を特殊召喚できる!俺はゴゴゴゴーレムを特殊召喚!」

 

 

 

「ゴゴゴゴーレム」 星4 地属性・岩石族

ATK1800 DEF1500 攻撃表示

 

 

 

ヒータ「レベル4が二体、来るわよ!」

 

 

遊馬「俺はレベル4、ゴブリンドバーグとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ「希望皇ホープ」!」

 

 

 

「希望皇ホープ」 黒星4 光属性・戦士族

ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 

 

堕紅「来たか!ホープ!」

 

 

アストラル(!?・・なぜ彼がホープのことを知っている?)

 

 

このとき堕紅が発したセリフによって、アストラルに堕紅がNo.を知っているという情報を伝えてしまった。ただ気づいたのはアストラルだけで、遊馬はデュエルに夢中で堕紅の発言に気がつきはしなかった。

 

 

遊馬「バトルだ!俺はホープでサーベラスに攻撃!ホープ剣・スラッシュ!」

 

 

ホープの剣がサーベラスに振り下ろされ、謎爆発と共に消滅していく。

 

 

 

堕紅 LP4000 → LP2500

 

 

 

堕紅「くっ!破壊されたサーベラスの効果発動!デッキからヘイズと名のついたカードを手札に加える!俺は「陽炎柱」を手札に加える!」

 

 

遊馬「よし!俺はこれでターンエンド!」

 

 

一ターン目からホープ、いつも通りの展開だ。このままアストラルの方程式とチートドローに押されること間違いなしだが、堕紅はもう次のターンで決められると確信していた。

 

 

堕紅「よし。見せてやるぞ遊馬、アストラル!」

 

 

ヒータ「私たちの勝利は確定してるから!」

 

 

このとき堕紅たちのセリフに続くように、青かった空が赤く染まっていく。

 

 

堕紅&ヒータ「ドロー!」

 

 

堕紅「俺は永続魔法「陽炎柱」を発動!」

 

 

そう言って発動したとき堕紅の後ろから巨大な火柱がわき出てきた。遊馬たちの目線では照りつけていた太陽が火柱に飲み込まれていくようにも見えた。

 

 

堕紅「「陽炎柱」がフィールドに存在するとき、俺は陽炎獣の生贄を減らすことができる!」

 

 

アストラル「ほう、なるほど。」

 

 

堕紅「俺は「陽炎柱」の効果でリリースなしで「陽炎獣 ペリュトン」を攻撃表示で召喚!」

 

 

火柱の中から一体のモンスターが飛び出してきた。

 

 

「陽炎獣 ペリュトン」 星6 炎属性・炎族

ATK1600 DEF1700 攻撃表示

 

 

 

堕紅「ペリュトンの効果発動!手札の炎属性モンスターとペリュトン自身をリリースして、デッキから二体の陽炎獣を特殊召喚する!俺は手札の「陽炎獣 サーベラス」と場のペリュトンをリリース!」

 

 

手札のサーベラスの幻影とペリュトンが陽炎柱の炎に飛び込んでいく。

 

 

堕紅「デッキより、「陽炎獣 メコレオス」を二体特殊召喚!」

 

 

 

「陽炎獣 メコレオス」×2 星6 炎族・鳥獣族

ATK2200 DEF300 攻撃表示

 

 

 

アストラル「レベル6が二体・・来るぞ遊馬!」

 

 

堕紅「俺は二体のメコレオスでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 

 

場のメコレオスが光になったと思いきや、フィールドの上空に星々が渦を巻くブラックホールのような穴が開く。そこにメコレオスたちが入っていき、大きな爆発を起こした。

 

 

堕紅「紅蓮の炎まといし鳳凰よ!今一度その姿現し、この地の全てを焼き払え!エクシーズ召喚!舞え!「陽炎獣 バジリコック」!」

 

 

 

「陽炎獣 バジリコック」 黒星6 炎属性・炎族

ATK2500 DEF1800 攻撃表示

 

 

 

アストラル「これが、君のエクシーズか。」

 

 

遊馬「おおおっ、かっけえな!」

 

 

堕紅(・・・言えた。バジリコックの口上なかったから、昔考えたやつとっさに言ったけど・・うまく言えて良かった、満足満足。)

 

 

堕紅「俺はバジリコックの効果発動!一ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使い、相手のフィールドか墓地のモンスター一体を除外する!業火の火種!(効果技名)」

 

 

アストラル「何だと!」

 

 

ヒータ「もちろん対象はホープよね。」

 

 

バジリコックのオーバーレイユニットが巨大な炎に変わりホープの全身を飲み込んでいく。

 

 

アストラル「まずいぞ遊馬!」

 

 

堕紅「バトル!俺はバジリコックで遊馬にダイレクトアタック!ヘイズウィンド!」

 

 

遊馬「ぐっ!はああっ!!」

 

 

 

遊馬 LP4000 → LP1500

 

 

 

今の攻撃で遊馬の体が宙を舞い、後ろの方へ飛んで行った。でも慣れているせいか、すぐに体制を立て直してきれいに着地した。

 

 

ヒータ「うん、良い調子ね・・って、ねえ・・私の出番って・・。」

 

 

堕紅「心配すんな、召喚はできないけど演出手伝ってくれ。」

 

 

ヒータ「え・・あ、なるほどOK分かった。」

 

 

堕紅「よし、カードを一枚伏せターンエンド。」

 

 

アストラル「くっ、まさか初めてのデュエルでホープを突破するとは・・。」

 

 

遊馬「すげえな堕紅!俺も負けてはいられないぜ!ドロー!」

 

 

遊馬がドローした瞬間、堕紅の場に伏せられたカードが発動する。

 

 

アストラル「なにっ!このタイミングでだと!?」

 

 

堕紅「遊馬。」

 

 

ヒータ「アストラル。」

 

 

堕紅「この勝負、俺の、俺たちの勝ちだ!いくぞヒータ!」

 

 

ヒータ「ええ!」

 

 

そう言ってヒータが波動でも撃つかのように構えると、目の前のバジリコックの原型が消え大きな炎となる。

 

 

堕紅「このカードが発動したとき!」

 

 

ヒータ「自分フィールドの炎属性モンスターをリリースすることで!」

 

 

堕紅&ヒータ「そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!」

 

 

堕紅「俺はバジリコックをリリース!行けヒータ!」

 

 

ヒータ「うん・・ありがとう堕紅!火霊術・・紅!!」

 

 

ヒータの手から飛び出した炎が大空を飛ぶ鳳凰のような形になり遊馬とアストラルに突っ込んでいった。

 

 

遊馬&アストラル「う!うわああああ!!」

 

 

 

遊馬LP1500 → LP0

 

 

 

 

 

 

堕紅 WIN

 

 

 

ポーーン(デュエル終了のブザー)

 

いつもテレビのスピーカーから聞く音がすぐ近くで鳴った。ここに来ての初デュエルは堕紅の勝利で終わることができた。負けてその場に倒れた遊馬たちは寝ころんだまま笑っている。

 

 

遊馬「っはは、やっぱすげえな。堕紅もヒータも。」

 

 

アストラル「見事だ、確かに君たちはおもしろい。」

 

 

ヒータ「あなたたちもね。」

 

 

キーン コーン カーン コーン(下校チャイム)

 

 

堕紅「あれ?もう下校時刻か。」

 

 

遊馬とのデュエルは短いようで結構長かったようだ。

 

 

小鳥「遊馬ー!早く帰ろー!」

 

 

遊馬「お、おう!待ってろ小鳥!じゃあ俺先行くな、これからよろしくな。堕紅、ヒータ。」

 

 

堕紅「ああ、よろしく。遊馬、アストラル。」

 

 

そう言って遊馬は小鳥の所へと走って行った。

 

 

ヒータ「初デュエルは完璧だったわね。」

 

 

堕紅「・・ああ。」

 

 

ヒータ「?どうしたの堕紅?」

 

 

堕紅「いや、何か変な風が吹いてきたというか・・なんだろ、嫌な予感がする。ちょっと行くぞ!」

 

 

 

 

 

[海辺の空き地]

 

 

 

 

 

ブオオン!  ブオオン!(バイクのエンジン音)

 

ここには溢れ返るほどのDQNがたまっている。もちろん一般人らはそこを恐れ、立ち入る者はいない。

 

そこのボスだろうか、たくさんの不良を文字通り見下し、悪そうな女性二人の間の椅子に鎮座しているのは。

 

そのときだった。部下たちの後ろに突然穴が開いたかと思いきや、その中から小さい羽の生えた大男が出てきた。もちろん想定外の出来事にDQNたちの目は全て、その大男の方へと向いた。

 

 

大男「ん?なんだか汚ねえところだな、空気も悪いしゴミゴミしてやがる。虫けらが住むにはちょうど良さそうだがな。」

 

 

DQNボス「いきなり現れて何言いだすかと思えば、お前らやっちまえ!」

 

 

ボスの命令で大量のDQNが金属バットや鉄パイプを持って大男に殴るかかる。しかし大男はその見た目とは裏腹に、目が追いつかない速さでDQNをかわしてボスの前に立ちふさがった。

 

 

DQNボス「っく!この野郎!」

 

 

ボス自身が大男の顔面めがけて拳を当てるが反応はなく痛みもないようで、そのままボスの顔を掴み空中に上げてしまった。

 

 

大男「お前たち、力がほしいんだろ。だったらお前たちに力を分けてやる。ちんけな力じゃねえ、もっとでかい力だ!」

 

 

大男が取り出したカードを上げると共に、そのカードが紫色の光を放つ。

 

 

大男「全ては、バリアン世界のために!!」

 



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第四話 DQN襲来

太陽に黒い雲が被さり、明るかった町も暗くなり始めた。今堕紅はある事が気になり、ヒータととある場所へと向かっている。

 

ヒータ「ねえ、いきなりどうしたの?」

 

 

何も言わずに飛び出してきた堕紅にヒータは困惑していた。おかしかったことなんてまったくなかったはずなのに。

 

 

堕紅「思い出したんだよ。たしか真月が来る前に、一体カオスエクシーズがいたのを。」

 

 

そう、RUM(ランクアップマジック)が初めて使われ、カオスエクシーズと化したモンスターが登場したそのとき、今のように黒雲が町を覆い被さっていた。

 

黒雲が出現したのは遊馬が小鳥との下校した後、海の近くで不自然に雲が発生していたため気になっていたのだが、今思えばバリアン出現の合図なのかもしれない、そう思っている。

 

 

ヒータ「でもそのモンスターも遊馬が倒したんでしょ、だったら私たちが行かなくても。」

 

 

堕紅「いや、俺たちの出番がある。アニメで映っていた場面以外で何かできる。」

 

 

ヒータ「まったく、何でそんなに事件に巻き込まれたいの?」

 

 

堕紅「答えは簡単、ただ決闘(デュエル)したいだけだよ。」

 

 

ブオオン ブオンブオン ブオオオオオン(バイクのエンジン音)

 

 

ヒータ「ま、いっか・・・今度は私、出b[堕紅]「エンジン音だ!あっちだな!」

 

 

ヒータ(・・・(#^ω^))

 

 

いつか煮てやろうかと思うヒータであった。

 

 

 

 

 

[町のどこか]

 

 

 

 

 

ブオン ブオン(バイクのエンジン音)

 

 

DQN A「はあ・・ここどこだよ。」

 

 

DQN B「どうすんだよ!俺らボスの命令でそこらの邪魔者を排除しろっつわれてんのに!」

 

 

DQN A「うっせえな!お互いこの町に来たのはつい最近だろ、まだ町の構造とか知らねえっての!」

 

 

バイクを走らせながらお互いに愚痴を言い合ってる。この光景を近くの物陰から見ていた影があった。もちろんそれは若干興奮気味の堕紅と若干切れ気味のヒータであった。

 

 

堕紅「さっそく獲物がいるが、さてどうボコボコにしてやろうか。」

 

 

ヒータ「私をデュエルで出さなかったら、あなたはボコボコのボーボーだからね。」

 

 

堕紅「何だボーボーって?」

 

 

ヒータ「知りたい?(手から火の玉を出す)」

 

 

堕紅「・・やめておく、じゃあ行k[DQN A]「おい!そこのお前!」

 

 

物陰にばっちり隠れていたのは良かったが、ヒータとの会話の声が大きすぎたみたいだ。DQNの二人は完全に堕紅に気づき、既にデュエルディスクを構えている。

 

 

堕紅「あ?ああ、OK、OK、デュエル!!」

 

 

DQN A「俺からだ!俺は魔法カード「火あぶりの形」発動!てめえに600のダメージを与える!」

 

 

堕紅の足元から炎が波のように溢れ出て下半身を焼き付ける。

 

 

 

堕紅 LP4000 → LP3400

 

 

 

DQN A「まだだ!俺は「火あぶりの刑」をもう一枚発動!」

 

 

堕紅「くっ、地味なダメージは嫌いだ!」

 

 

先程の炎がまたもや痛みを与える。

 

 

 

堕紅 LP3400 → LP2800

 

 

 

DQN A「さらに俺は「ディスクライダー」を召喚!」

 

 

 

「ディスクライダー」 星4 風属性・悪魔族

ATK1700 DEF1500 攻撃表示

 

 

 

DQN A「ターンエンド、てめえのターンだ。」

 

 

堕紅「俺のターン、手札より「陽炎柱」を発動!このカードがあるとき、陽炎獣のリリースを減らす事ができる。よって俺は「陽炎獣 サーベラス」を召喚!」

 

 

 

「陽炎獣 サーベラス」 星6 炎属性・獣族 

ATK2000 DEF200 攻撃表示

 

 

 

堕紅「ターンエンド。」

 

 

ヒータ「ねえ私の出番は?」

 

 

堕紅「もうちょい待ってくれ。」

 

 

ヒータ「ブー。」

 

 

ヒータが頬を膨らまして、嫌そうな顔を見せる。

 

 

ヒータ(ふふっ。女の子が嫌そうな顔してるんだもの、これで「悪かった!次必ずヒータを出すよ。」って言ってくれるでしょ。)

 

 

堕紅「・・・ターンエンド。」

 

 

ヒータ「スルー!?ちゃんと次出しなさいよ!」

 

 

堕紅「分かったよ、しっかり見せ場作ってやるよ。」

 

 

DQN B「独り言はそのへんにしとけ!俺のターン!」

 

 

わがままなヒータと絡んでいるうちに相手がカードをドローする。

 

 

DQN B「俺は「カオスライダー グスタフ」を召喚!」

 

 

 

「カオスライダー グスタフ」 星4 風属性・戦士族

ATK1400 DEF1500 攻撃表示

 

 

 

DQN B「グスタフの効果発動!言っておくが、このデュエルは仲間のLPもフィールドも墓地も共有、よってAの墓地より魔法カード二枚を除外する!「火あぶりの刑」を二枚とも除外だ!」

 

 

堕紅「ナ、ナンダッテー(棒)」

 

 

DQN B「そしてグスタフの攻撃力を除外した魔法カード一枚につき、ターン終了時まで300アップさせる。」

 

 

 

「カオスライダー グスタフ」

ATK1400 → ATK2000

 

 

 

DQN B「これでお前のモンスターは破壊できる。」

 

 

堕紅「でもそれじゃ相討ちで終わるが良いのか?」

 

 

DQN B「いやまだだ!俺は手札より、「スカルライダーの復活」を発動するぜ!」

 

 

堕紅「はあっ!?儀式だと!?」

 

 

DQN B「こいつと俺の手札の「ライライダー」二体を墓地に送り、来い!スカルライダー!」

 

 

 

「スカルライダー」 星6 闇属性・アンデット族

ATK1900 DEF1850 攻撃表示

 

 

 

DQN A「どうだ!俺たち二人の最強モンスター「スカルライダー」は!」

 

 

堕紅&ヒータ「・・・」

 

 

ヒータ「・・・えっと。」

 

 

堕紅「・・・あの、・・その。」

 

 

DQN B「なんだ!驚いて声も出ないか!」

 

 

堕紅もヒータも驚いている、攻撃力1900の効果なしモンスターが切り札ということに。

 

 

ヒータ「いや、どんな下っぱでもこれは・・。」

 

 

堕紅「お前らよっぽどこき使われてるだろ、可哀想に。」

 

 

DQN A「う、うるせえ!ここでお前みたいな邪魔者を消せば、ボスも俺らを認めてくれるはずだ!」

 

 

DQN B「そうだ!全てはバリアン世界のために!行け、お前ら!」

 

 

ブオンブオンとエンジン音が鳴り三体のモンスターが突撃してきた。

 

先頭のカオスライダーがサーベラスに激突し大破、爆発し砂煙が巻き起こる。その奥よりディスクライダーが堕紅を突き倒し、その上をスカルライダーが通過していく。

 

何十キロあるのか分からないバイクが堕紅の上に乗り体全体に刺激を与える。例えソリッドビジョンでも痛いものは痛い。

 

 

 

堕紅 LP4000 → LP400

 

 

 

堕紅「ぐはああっ!っぐ、サーベラスの効果でデッキから「陽炎獣 グリプス」を手札に加える。」

 

 

DQN A「どうだ!俺たちを小馬鹿にした罰だ!」

 

 

DQN B「ライフは残ったが、もうどうすることもできまい!ターンエンド!」

 

 

堕紅(痛っ・・ライフ400、ここはエクシーズするべきか。)

 

 

ヒータ「おいこら!」

 

 

堕紅「?」

 

 

ヒータ「堕紅ってば!あたしを出さない上に、こーんな雑魚に負ける気?馬鹿なの?」

 

 

堕紅「いやそんなつもりは・・でもな。」

 

 

今の手札には逆転できるような物はない。言ってしまえば、さっき加えたグリプス以外陽炎獣がいない。

 

手札は、グリプス、火霊術-紅、、和睦、陽炎柱、業火の結界像、そしてヒータ。この手札ではどうすることもできない。

 

 

ヒータ「これじゃあな、お前がいてもどうしようm[ヒータ]「堕紅の馬鹿!!」

 

 

ヒータの声が町中に響く。実際ヒータの声が聞こえるのは堕紅か遊馬たちぐらいだから、目の前のDQNらは突然の怒鳴り声に驚いた堕紅の姿しか見えていない。

 

 

ヒータ「私は!・・あんたの!・・堕紅のために・・。」

 

 

堕紅「・・・」

 

 

ヒータ「堕紅と一緒に・・・勝ちたい・・・一緒に勝ちたいのよ、・・ぐずっ、」

 

 

堕紅「・・・・ヒータ、ごめん。」

 

 

ヒータ「・・・?」

 

 

堕紅「俺ずっと勘違いしてた、お前が単純にフィールドに出たがってるって思ってたけど・・・違う、お前は俺を本気で心配してくれていた。」

 

 

ヒータ「・・・堕紅、私にとってあなたは主人公そのもの。どんなときも必ず勝たなきゃいけない。そのために私は堕紅と一緒に頑張るって決めたの!!」

 

 

堕紅「ああ、そうだな!!共に行くぞヒータ!!」

 

 

DQN A&B「!?」

 

 

DQNはきづく、堕紅がいきなり元気を取り戻したと思った瞬間からフィールドが熱くなり始める。堕紅の背後からは、熱風がただただ流れ込んでくる。

 

 

ヒータ「堕紅は主人公補正って知ってる?私が十分に活躍できるように、一枚だけカードを入れさせてもらったわ。それを引けばOKなんだから!」

 

 

堕紅「勝手なことを、まあいい。行くぞ!」

 

 

堕紅の指がデッキトップに触れ、その上からヒータの指が重なる。

 

 

堕紅&ヒータ「異世界の者と大いなる精霊の思い重なるとき、全ての絶望を焼き尽くす力を掴む!フレアニングドロー!」

 

 

堕紅とヒータがシンクロするようにカードをドローする。そのドローしたカードはまるで本当に燃えているように見えた。

 

 

堕紅「手札の「陽炎獣 グリプス」の効果により、相手の場にモンスターがいて自分の場と墓地に炎属性以外のモンスターが存在しないとき、このカードを特殊召喚する!」

 

 

 

「陽炎獣 グリプス」星6 炎属性・鳥獣族

ATK200 DEF2100 守備表示

 

 

 

DQN A「へっ、守りを固める戦術かよ。」

 

 

堕紅「黙ってろ!俺は「燃え盛るヒータ」を召喚!頼むぞ!」

 

 

ヒータ「おっけー!!」

 

 

 

「燃え盛るヒータ」星4 炎属性・魔法使い族

ATK800 DEF1500 攻撃表示

 

 

 

堕紅「ヒータの効果発動!フィールドの炎属性モンスターを墓地に送り、手札の炎属性モンスターを特殊召喚する!グリプスを生贄に捧げる!」

 

 

ヒータが手の杖を真上に上げるとと共に、グリプスが炎と化し杖の先に吸い込まれる。そこから大きな炎が出てきて巨大な鳥の形となる。

 

 

堕紅&ヒータ「来い!「炎王神獣 ガルドニクス」!」

 

 

 

「炎王神獣 ガルドニクス」炎属性・鳥獣族

ATK2700 DEF1700 攻撃表示

 

 

 

 

DQN A「なななんだと!?」

 

 

DQN B「攻撃力2700!?」

 

 

堕紅「召喚されたガルドニクスはあくまで偽の体、ヒータがいなくなるとガルドニクスも消えてしまう。」

 

 

そう、ガルドニクスはカードに描かれているカードイラストとは違い、その形をとどめた巨大な炎となっている。

 

 

堕紅「バトル!ガルドニクスでスカルライダーを攻撃!爆炎転生波!」

 

 

キュオオオオオオ!!(ガルドニクスの鳴き声)

 

 

巨大な炎が体のあちこちから噴出し、それがスカルライダーに引き寄せられていく。一つ一つの炎がスカルライダーを飲み込み焼いてしまった。

 

 

DQN B「くっ!スカルライダー!」

 

 

 

DQN(二人で4000) LP4000 → LP2100

 

 

 

堕紅「カードを二枚伏せ、ターンエンド。ありがとうな、ヒータ。」

 

 

ヒータ「こちらこそありがとう、堕紅!」

 

 

DQN A「何をごちゃごちゃ言ってんだ!俺のターンドロー!」

 

 

だいぶ焦っているのか、力任せにドローしている。呼吸も荒い、もうそろそろ限界のようだ。

 

 

堕紅「分かってるなヒータ?」

 

 

ヒータ「うん!」

 

 

DQN A「あ?今は俺のターンだぞ。」

 

 

堕紅「分かってる、罠カード発動!「火霊術-紅」をヒータを対象に発動!」

 

 

DQN 「はあ!?」

 

 

ヒータが遊馬とのデュエルの時のようにポーズをとる、そしてヒータ自身が炎となりDQNの腹めがけ突っ込んだ。

 

 

DQN A「ぐふっ!」

 

 

 

DQN LP2100 → LP1300

 

 

 

飛んで行ったヒータは場から消え、また堕紅の隣に戻ってくる。

 

 

ヒータ「ふう、満足満足。」

 

 

DQN A「くっ!お前は馬鹿のようだな!そいつがフィールドから消えたことで、その鳥も消えるんだぜ。」

 

 

その通り、場からヒータがいなくなったことで、その効果によりガルドニクスは破壊、巨大な炎は徐々に消えていってしまった。

 

実際ガルドニクスを対象にすれば勝ちなのだが、それだと遊馬の時と変わらない。どうせならヒータの入れたガルドニクスで勝とうと少し調子こいている。

 

 

DQN A「これで壁モンスターはいなくなったな、いけお前ら!」

 

 

堕紅「攻撃は通さない!罠カード「和睦の使者」!このターンはもう戦闘ダメージを受けない!」

 

 

DQN A「ちっ!ターンエンド!」

 

 

ヒータ「・・・さて、勝利の計算式はできたみたいね。」

 

 

堕紅「ああ、やっと終わる。一時はどうなることかと思ったぜ。」

 

 

DQN A「ちょ、ちょっと待て!お前のフィールドには、もうモンスターはいないんだぞ!」

 

 

堕紅「いや、そんなことはないぜ。俺のターン、ドロー。」

 

 

堕紅がカードをドローし、ドローフェイズからスタンバイフェイズに移行したとき、突如として地面が揺れだし、本物の地面が割れていく。

 

 

DQN B「何だ!?何が起こって!?」

 

 

堕紅「・・一人の魔法使いによって目を覚ました者よ。今こそ本当の姿を見せ、我らの力となれ!炎王神獣 ガルドニクス!!」

 

 

割れた地面から巨大な鳳凰が出現したと同時に、その奥から大量の溶岩が吹き出してきた。DQNらはその迫力に声も出なくなってしまい、腰を抜かしてしまった。吹き出した溶岩はディスクライダーとカオスライダーを飲み込み破壊してしまう。

 

 

DQN A「ひっ熱っ!!ほ、本物!?」

 

 

DQN B「これは本当にやばい、逃げろ、逃げろおお!!」

 

 

DQNはあまりの恐怖でデュエルを放棄しバイクに乗り込むが、あまりの熱でオーバーヒートしていたため逃げることができない。

 

 

堕紅「バトル!行けガルドニクス!爆炎転生波!」

 

 

DQN A&B「うぎゃあああ!!」

 

 

ドッガーーーン!!!(バイクが爆発する音)

 

 

 

DQN LP1300 → LP0

 

 

 

 

 

 

堕紅 win

 

 

 

デュエル終了ブザーが鳴ったはずだが、今の攻撃で爆発したバイクと近くで溢れ出る溶岩の音で聞こえない。DQNは爆発の衝撃でバイクの破片と共に宙を舞い、コンクリートに背中を強く打ちつけ気絶してしまった。

 

 

ヒータ「勝った・・のね。」

 

 

堕紅「・・・やりすぎたみたいだな。」

 

 

周りのビルのガラスは割れ、バイクから黒い煙が立ち上る。ソリッドビジョンかと思っていた溶岩は、デュエルが終わっても消えていない。

 

 

堕紅「こんな状況で他の奴に見つかったらまずい、一度状況整理しないと・・戻るぞヒータ。」

 

 

ヒータ「あ、うん。」

 

 

DQN騒動で町中には人がいなかったため見つかることはなかった。

 

 

ヒータ(・・・ありがとう。)

 

 

 

 

 

[海辺の空き地]

 

 

 

 

 

一方その時間、遊馬はDQNボスの「CX 機装魔人 エンジェネラル」を撃破、ボスが呼ぼうとした下っぱ達もシャークとカイトによって制圧されたのであった。

 

見事に敵を倒し仲間と喜びを交わす遊馬とアストラル、そして隣の建物からデュエルを見ていた大男は負けたことも気にせず、顔には笑みを浮かべていた。

 

 

大男「いきなりやられちまうなんてな。でも、楽しみはこれからだ。九十九遊馬、天城カイト、神代凌牙。」

 

 

そう呟いてその場から立ち去ろうとしたとき、

 

 

 

 

 

ドッガーーーン!!!(爆発音)

 

 

 

 

 

ずっと遠くの町中で大きな爆音と爆発が起き、黒い煙が立ち上る。堕紅とのデュエルで起こった爆発は町全体にその音を響かせた。

 

 

遊馬「うおっ!?いきなりなんだ!?」

 

 

アストラル「もしや、またバリアンか!?」

 

 

デュエルが無事終わって平和だった場がガラッと変わる出来事だった。これには遊馬たちだけでなく見下ろしていた大男も驚愕した。

 

そして高い位置にいた大男だけが、黒い煙の中に巨大な鳥のモンスターが見えた。そして、そのモンスターを使ってデュエルしていた堕紅とヒータの姿をそいつの目はとらえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大男「何だ・・ありゃあ?」

 



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第五話 ヒータ、デュエル!

TVアナウンサー「次のニュースです。昨日の夕方ごろ、突如として動き出した暴走族により人民に避難勧告が出されました。騒ぎはしばらくして治まりましたが、ハートランドシティ中央区では謎の爆発と地割れが起こり周辺の建物が半壊するなどの事故がありました。この爆発に巻き込まれたのか、近くで暴走族の二人組らしき人物が倒れていたもようです。この二人は今も意識不明の重t」

 

 

プチッ(テレビの電源を落とす音)

 

 

電源を落とした堕紅はベッドに寝ころび首をかしげる。

 

 

堕紅「結局何だったんだ、昨日は。」

 

 

ヒータ「さあ?まさかガルドニクスが実体化するなんて。」

 

 

昨日、ガルドニクスを特殊召喚したときも、DQNたちにダイレクトアタックしたときも、派手な演出が起こっただけだと思っていた。だがデュエルが終わっても割れた地面や壊れたビルが直りはしなかった。

 

 

堕紅「ガルドニクスが急に実体化してDQNにリアルダメージを与えた、でも何でいきなり?」

 

 

ヒータ「・・ううっ。」

 

 

考え込んでいたヒータは頭を抱えながら堕紅の隣に倒れるように寝ころぶ。

 

 

堕紅「どうした?」

 

 

ヒータ「・・っんもう!考えてもつまんない!今は何も分かんないし、そのこと考えるのは後にしよう。」

 

 

堕紅「ったく。結構大事なことなのに。まったくヒータは短k・・・・・?」

 

 

堕紅がふいにヒータを見たとき、今目の前で起こっている変化をすぐに察することができた。

 

ヒータがベッドに倒れ込んでいる、それは分かる。問題はベッドに直接触れているという点だ。

 

 

堕紅「・・・ヒータ?お前、何でベッドに触れているんだ?」

 

 

ヒータ「へ?どゆこと?」

 

 

そうしてヒータが起き上がるとそれまで寝ていたベッドにはくっきりとヒータの体の跡が残っている。間違いない、今、ヒータ自身が実体化している。

 

 

ヒータ「え、嘘、何で!?」

 

 

堕紅「ヒ、ヒータ?おま・・どうやった?」

 

 

ヒータ「知らない知らない!私は何もやってないよ!」

 

 

たしかにヒータが何かをやったようには見えなかった。今はただベッドに寝そべって考えることを否定していただけなのに。

 

堕紅「何でだ・・今さっきまで物体に触れるどころか壁すり抜けるレベルだったのに。」

 

 

同様する堕紅を見てヒータもまた同様する。そのとき、「まさかっ?」みたいな表情を浮かべたヒータがベッドから飛び下りてみると、ドンッと足音を立ててカーペットに足を付ける。

 

 

ヒータ「・・・本当に実体化してる。」

 

 

堕紅「まじかよ。」

 

 

あまりにも突然すぎる、デュエル中でもないのにこんな現象が起きるなどまったくもって理解できない。

 

 

ヒータ「一体どうして・・[?]「その理由教えてあげよっか?」

 

 

聞いたことのない声がする方に二人が目を向けると、そこには青い髪の少女と青いトカゲが立っていた。

 

 

ヒータ「エリア!?いつのまに!?」

 

 

エリア「やっほ。」

 

 

堕紅「え?エリアって水霊使いの!?」

 

 

水霊使いエリア、霊使いモンスターの一枚であり水属性というだけで、効果はヒータとあまり変わりはしない。そもそも霊使い全体が属性が違うだけでステータスが変わるわけじゃない。ちなみにエリアのカードは堕紅のデッキの一つに入っている。

 

 

エリア「ねえ、ヒータってもしや精霊が自分で実体化できること知らなかったりして?」

 

 

ヒータ「ふぇっ!?」

 

 

ガガギゴ「俺たちは今さっき気づいたけど、ここなら俺たち精霊は自分で実体化できるみたいなんだよ。」

 

 

エリア「カードの中でずっと見てたけど、あの鳥(ガルドニクス)だってデュエル中に気づいたんだろうなー、自分が実体化できることに。」

 

 

ヒータ「(プルプル)・・・私が実体化したのは?」

 

 

エリア「しょうがないから私が、頑張って実体化させてあげたの。感謝してね!(ニヤッ)」

 

 

ヒータは自分がそのことに気づかないことが恥ずかしくなり、頬が赤く染まる。そして同時に目の前で「どやあ」って顔をしているエリアにいらだちを覚え始める。

 

 

ヒータ「上等じゃん・・その水分たっぷりのかわいい顔、燃やしてあげよっか?」

 

 

エリア「おやおや~?ヒータちゃん、激おこぷんぷん丸かな~?」

 

 

余裕を見せているエリアに対してヒータの怒りゲージはMAXぎりぎり、噴火寸前状態である。

 

 

堕紅「お前らおちつけ・・・じゃああれだ、やっぱデュエルで決着つけろ!」

 

 

ヒータ「!?」

 

 

エリア「よっしゃ!いいよいいよ!エリアがんばっちゃうからね。ヒータちゃんもいいよね?」

 

 

ヒータ「べ、別に構わないよ!デュエルくらい、か、簡単なんだから!」

 

 

堕紅「決まりだな。デッキの調整もあるだろうし、明日でもするか。」

 

 

エリア「OK!じゃあ私はカードの中に戻るわ!ヒータちゃんの戦略は聞かないようにしておくから、お互いがんばろうね!」

 

 

ヒータ「う、うん。絶対に負けないから!」

 

 

エリア「楽しみにしてるよ!」

 

 

そう言い残してエリアとガガギゴはカードの中に戻って行った。さっきまでうるさかった部屋は静寂に包まれ、外の小鳥の声が聞こえてくる。

 

 

ヒータ「・・・ああ、どうしよ。」

 

 

堕紅「?どうしたヒータ?」

 

 

ヒータ「・・・実は・・さ、・・あの、」

 

 

堕紅「どうしたんだよ、ただデュエルするだけだろ。別に勝ち負け気にすることはねえよ。」

 

 

ヒータ「わ、私!」

 

 

堕紅「何だよ!?」

 

 

ヒータ「やっぱいいや。」

 

 

堕紅「何だったんだよ!?」

 

 

引っ張ったかと思ったらヒータは話を切った。今のヒータには足りない物がある。そのことを堕紅に伝えたかったのだが、こんなことを言うことに抵抗してしまった。その大事な話というのは・・・

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

 

 

 

今日も良い天気だ、青く澄みきった空に浮かぶ雲を見ていると眠気が堕紅を襲う。

 

今回堕紅は家からさほど遠くない公園に二人を連れてきた。今日は学校が休みのためこうして午前中からゆっくりしていられた。

 

 

ゆっくり・・・寝ていたかった。

 

 

公園のベンチに座っている堕紅の目に映る二人の少女がこれからデュエルを始めるが、さっきからヒータの額から汗が流れ落ちている。たかが一回デュエルするぐらいで緊張しないと思うが、本人がどういう状況に立たされているか、堕紅は理解しなかった。

 

 

堕紅(昨日もおかしかったが今日もおかしい。もしかして、デュエルに負けるところを俺にみられるのが嫌だとか?いやいや、別に俺そんなん気にしないし、このデュエル風景見れるのは俺と遊馬と小鳥とアストラルぐらいだし・・。)

 

 

一方ヒータは足が震えて立っているのが一苦労と言ったところだ。さて、ヒータがなぜここまで緊張しているかは、もちろん訳がある。

 

 

 

 

 

ヒータ(えー・・。私・・・デッキ作るの超下手なのに・・。)

 

 

 

 

 

今回二人が使うデッキは本人がそれぞれ組んできたオリジナルデッキだ。エリアは良いデッキが完成したであろうが、ヒータの場合、本当に勝てるかどうか分からないところだ。

 

だが、もうそんなことは考えていられなかった。

 

 

エリア「ヒータちゃん!初めてのデュエルだけど手加減はなしだよ!」

 

 

ヒータ「わ、分かってるわよ!(手加減してー!)」

 

 

 

エリア&ヒータ「デュエル!!」

 

 

 

エリア「私のターン!手札から「ガガギゴ」を召喚!おねがい!」

 

 

 

「ガガギゴ」 星4 水属性・爬虫類族

ATK1850 DEF1000 攻撃表示

 

 

 

堕紅「エリアらしい、やっぱ嫁・・いや、夫モンスターか。」

 

 

エリア「ターンエンドっと。」

 

 

堕紅(あれ、伏せなし?まあ、1850あればたぶん大丈夫かもしれないけど。)

 

 

ヒータ「わわっ、私のターン!ドロー!」

 

 

脇ががら空きのドローをかまし、汗だらけの手でカードを選ぶ。これにはエリアもさすがに気づいた。

 

 

エリア「あ、どうしたの?汗だらだらだよ。」

 

 

ヒータ「ただ暑いだけよ、私は手札の「神獣王 バルバロス」の効果により、元々の攻撃力を1900にして、リリースなしで召喚!」

 

 

 

「神獣王 バルバロス」 星8 地属性・獣戦士族

ATK3000 → 1900 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

ヒータ「バトル!バルバロスでガガギゴを攻撃!バルバランス!」

 

バルバロスが持つ槍がガガギゴの胸を貫く。

 

 

 

エリア LP4000 → LP3950

 

 

 

エリア「あっ!ガガギゴ!」

 

 

ヒータ「そんなモンスターで私に太刀打ちできると思った?ターンエンドよ。」

 

 

堕紅(攻撃力800が何を言うか・・。)

 

 

1900というアレキサンドで殺せるモンスターだが、今のヒータにとっては救世主だった。

 

さっき言った通り、ヒータはデッキを作るのが超下手だ。だから今の手札がブルーアイズとかリボルバー・ドラゴンとかいう上級ばかりで詰んでいた。場に伏せるカードが手札に来るわけもなく、意地張ってターンを終了した。

 

 

ヒータ「ふふっ。その程度だったの?エ・リ・ア・ちゃん?」

 

 

エリア「そう言っていられるのも今の内だからね!ドロー!」

 

 

エリアの渾身のドローが風を切る。そうして引いたカードはヒータも、ベンチでだらけている堕紅の予想の斜め上を行った物だった。

 

 

エリア「このモンスターを特殊召喚する場合、墓地のモンスターを全てデッキに戻す!」

 

 

ヒータ「デッキに?なあに、ガガギゴがいなくて恋しくなっちゃったの?」

 

 

堕紅(あれ?なんか嫌な予感が・・?)

 

 

 

 

その予感は的中した。

 

 

 

 

エリア「仲間の魂と思いを胸に、自らの力で勝利を掴め!!現れろ!「究極封印神 エクゾディオス」!」

 

 

 

「究極封印神 エクゾディオス」 星10 闇属性・魔法使い族

ATK? DEF0 攻撃表示

 

 

 

堕紅「は!?」

 

 

眠りかけていた堕紅の目がはっきり覚めるほどの出来事だった。

 

ガガギゴが出てきて破壊されて、エリアが少し怒ったと思ったら究極封印神がでてきたのだから。

 

 

堕紅(どういうデッキだ?やはり特殊勝利狙い・・いや、まさか。)

 

 

ヒータ「へえ、強そうなモンスターじゃん(怖い)、でも攻撃力が0じゃなあ。」

 

 

エリア「エクゾディオスは私の墓地の通常モンスター一体につき、1000ポイント攻撃力が上がるの!」

 

 

ヒータ「どっちにせよ、あなたの墓地には何もいない。残念だったわね(はあ、助かった)。」

 

 

エリア「・・・だーくー!ヒータちゃんにフォローしてあげて!!」

 

 

堕紅「・・・ヒータ、次の攻撃は絶対避けろ。」

 

 

ヒータ「え?」

 

 

エリア「手札からガガギゴを墓地に送り、「スネーク・レイン」発動!デッキから爬虫類族モンスターを四体墓地に送るよ。」

 

 

ヒータ「墓地に四体も?・・・あ。」

 

 

エリア「私は墓地に送るのは、「ギゴバイト」、「ガガギゴ」、「ギガ・ガガギゴ」、「ゴギガ・ガガギゴ」。」

 

 

手札コストのガガギゴも合わせて五体の通常モンスターが墓地に行った。そしてその数につき、場のエクゾディオスの筋肉が倍増する。

 

 

 

「究極封印神 エクゾディオス」

ATK? → ATK5000

 

 

 

ヒータ「うえええ!?」

 

 

エリア「さあ。ここからが本番だよ。ヒ・イ・タ・ちゃん。」

 



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第六話 エリアの底力

強い日差しが照りつける中、穏やかだった公園はエリアのエクゾディオスの存在で少し騒がしい。

 

そこらを通り掛かった住民や学生が普段見ない大型モンスターを見ようとして、いつのまにか公園は人だらけになっていた。

 

ちなみにヒータとエリアの姿は一般の人々には見えないため、中には「これ誰と誰がデュエルしてるの?」と最初から一人でいたように見えていた堕紅に問いかけた人もいたが、「今、新しいソリッドビジョンの実験をしてるんですよ。」と言ってごまかしていた。

 

 

ヒータ「うええ・・ご、5000。」

 

 

エリア「ヒータちゃんどうしたの?顔色悪いよ?」

 

 

バルバロスの攻撃力は1900、エクゾディオスの攻撃力は5000、エクゾディオスがバルバロスを殴ればダメージは3100だからギリギリ生き残れる・・・などと甘い考えはできなかった。

 

 

エリア「バトル!エクゾディオスでバルバロスを攻撃!そしてエクゾディオスの効果発動!」

 

 

ヒータ「今度は何!?」

 

 

堕紅(まずい!エクゾディオスは相手を殴る時、デッキからモンスターを一体墓地に送る効果がある。これで通常モンスターを送って攻撃力が6000になったら!)

 

 

エリア「私は「封印されしエクゾディア」を墓地に送り、バトルする!エクゾードフレイム!」

 

 

堕紅&ヒータ「え!?」

 

 

エクゾディオスの手から放たれた火球がバルバロスを直撃、その熱風がヒータを襲う。

 

 

 

ヒータ LP4000 → LP900

 

 

 

堕紅「何でそこで封印された頭送んの!?バニラ送れば勝ってたのに!」

 

 

エリア「いやあ、現状さ。見物人も多くなってきたじゃん、だからもうちょっと引き延ばしてみようかなってね。」

 

 

今のエリアには余裕がある。そりゃ真剣勝負だったら既にヒータを熱されているはずだ。

 

 

ヒータ「甘く見てるの!?私はまともにやってるのに!」

 

 

エリア「いやヒータちゃん、もうやられそうじゃん。今はどう勝つか考えた方が良いよ。ターンエンド。」

 

 

ヒータ(うう、これじゃ負ける・・どうしよう[堕紅]「あきらめんなよ!」!!)

 

 

堕紅「お前これ初デュエルだろ!もうちょっと希望持て!」

 

 

ヒータ「え、いやでも・・。」

 

 

堕紅「ここは別世界!デッキを信じれば答えてくれる!そんなもんだろ!」

 

 

見物客が「あいつ何言ってんだ?」とざわめくが、そんなこと堕紅は気にしない。

 

 

ヒータ「・・わかったわよ!ドロー!!」

 

 

エリア「でもこれで勝てるのかな?ヒータちゃん。」

 

 

ヒータ「見てなさい!「手札抹殺」発動!お互いの手札全てを捨て、その分カードをドローする!」

 

 

手札が悪ければリセットすればいい、成功法だと思う。

 

 

ヒータ「よし!相手にだけモンスターがいるとき、「聖刻龍-トフェニドラゴン」を特殊召喚!そして、このトフェニを除外して「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」を特殊召喚!」

 

 

 

「聖刻龍-トフェニドラゴン」 星6 光属性・ドラゴン族

ATK2100 DEF1400

 

 

 

「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」星10 闇属性・ドラゴン族

ATK2800 DEF2400 攻撃表示

 

 

 

堕紅「おお!レダメか!」

 

 

ヒータ「レダメの効果、手札からドラゴン族モンスターを特殊召喚できる!来て! 青眼の白龍!」

 

 

 

「青眼の白龍」星8 光属性・ドラゴン族

ATK3000 DEF2500 攻撃表示

 

 

 

ヒータ「そして私は手札より魔法カード発動!このカードは自分の場にブルーアイズがいるとき、このターンのブルーアイズの攻撃を放棄して、相手モンスターを一掃する!行って、ブルーアイズ!「滅びのバーストストリーム(魔法)」!」

 

 

ブルーアイズの口から青い光線が放射されエクゾディオスを包み込み、光と共に消えてしまった。

 

 

エリア「っく、エクゾディオスは破壊された時除外されちゃう・・・、調子に乗りすぎちゃったみたいね。」

 

 

ヒータ「そう、私を甘くみた罰だから。バトル!レダメであんたにダイレクトアタック!ダークネス・メタルフレイム!」

 

 

 

エリア LP3950 → LP1150

 

 

 

エリア「いっ、痛っ!ぐぬぬ・・自分の場にカードがなくて、相手のカードによるダメージが発生したとき「冥府の使者ゴーズ」を手札から特殊召喚する!そして受けたダメージと同じ分の攻撃力・守備力を持った「冥府の使者カイエントークン」を特殊召喚!」

 

 

 

「冥府の使者ゴーズ」星7 闇属性・悪魔族

ATK2700 DEF2500 守備表示

 

 

 

「冥府の使者カイエントークン」星7 光属性・天使族

ATK2800 DEF2800 攻撃表示

 

 

 

エリア「ひとまずセーフってとこかな?」

 

 

ヒータ「固っ!?でもいいや、カードを一枚伏せターンエンド!」

 

 

 

 

 

 

 

 

エリア「・・ごめんね。」

 

 

ヒータ「え?」

 

 

エリア「調子に乗りすぎちゃって・・意外とヒータちゃんって強いんだね。」

 

 

ヒータ「(意外って・・。)ま、まあ、これぐらいなら・・ね。でもまだうまくいってる方だし、普通ならこんな回るデッキじゃないし・・。」

 

 

堕紅「おい、ヒータ。」

 

 

エリア「ならこうしようよ。私に勝てたらデッキ構築いっしょにしよう!」

 

 

ヒータ「え?いいの?」

 

 

堕紅「ヒータ、人の話をk[エリア]「だってデッキが完璧じゃないとしたら、本当の力を出せないってことでしょ?そんなのつまんないじゃん。」

 

 

ヒータ「エリア・・・ありがとう!」

 

 

堕紅「h[エリア]「うん!でも簡単には勝たせないからね!」

 

 

堕紅「・・・(放心状態)」

 

 

観客A「あ、あの、大丈夫ですか?」

 

 

堕紅「・・・僕は大丈夫なんで、ほっといてください。」

 

 

観客A「は、はあ・・。」

 

 

見物客のグループ内の一人がはぶられっぱなしの堕紅を気遣い声をかけてくれたが、その見物客には堕紅がなぜ放心状態でいる理由は分からない。今の堕紅の視界には仲直りした霊使い達が互いを認め合い、仲良くしている姿が見て取れる。この時堕紅は自分の言葉があっちの二人の耳に入らず、ただ見ているしかなかった。

 

 

エリア「よーしっ!行くよ、ドロー!私は手札から「レスキューラビット」を召喚!」

 

 

 

「レスキューラビット」星4 地属性・獣族

ATK300 DEF100 攻撃表示

 

 

 

エリア「レスキューラビットの効果発動、この子を除外してデッキから同名の通常星4以下のモンスターを二体特殊召喚する!来て!「古代のトカゲ戦士」達!」

 

 

 

「古代のトカゲ戦士」星4 地属性・爬虫類族

ATK1400 DEF1100 攻撃表示 ×2体

 

 

 

堕紅「レベル4が二体か。とすると、来るぞヒータ!」

 

 

ヒータ「うん!」

 

 

堕紅(あ、ここは反応s[エリア]「私は、二体のトカゲ戦士でオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!その眩き光で墜ちた者達を地上へと導け、「ダイガスタ・エメラル」!」

 

 

 

「ダイガスタ・エメラル」黒星4 風属性・岩石族

ATK1800 DEF800 攻撃表示

 

 

 

何の前触れもなく新しいモンスターが登場したことに観客らの歓声が響く、もはやここはデュエル場か何かと言わんばかりの盛り上がりを見せ始めた。間に入れなかった堕紅も、この歓声と二人の笑顔に心が揺れ始めていた。

 

 

堕紅「・・あいつら。」

 

 

お互いのライフは1000ポイント以下、一発通れば勝ちが決まる大事な所だ。でも今、この場にいる全員に見える光景は全ての人々を楽しませるデュエルであり、またやってる本人達も楽しみあっている。これほど一つのデュエルに多くの人々が熱中できる環境があるなんて、堕紅も良いところに送られたと初めて心から門に感謝した。

 

 

エリア「エメラルの効果発動!素材を一つ墓地に送り、墓地から通常モンスターを一体特殊召喚する!」

 

 

ヒータ「ってことは来るのね!」

 

 

エリア「わかってるようね。さて、待たせてごめんね。今、あなたの力を底上げするから、私にも力を貸して!「ゴギガ・ガガギゴ」!」

 

 

 

「ゴギガ・ガガギゴ」星8 水属性・爬虫類族

ATK2950 DEF2800 攻撃表示

 

 

 

ガガギゴ「ふう、ようやく出てこられたぜ。んで、今どんな感じだ?」

 

 

エリア「ライフが私もヒータも1000以下で、ちょっと間違ったら負けそうな感じ。行ける?」

 

 

ガガギゴ「お前が行けないって思ってたら、そもそも出させないだろ。」

 

 

エリア「あははっ、わかってるね。」

 

 

 

 

 

・・・ありがとう、ガガギゴ

 

 

 

 

 

エリア「・・行くよ!私はガガギゴに「団結の力」を装備するよ!攻撃力は・・」

 

 

 

「ゴギガ・ガガギゴ」

ATK2950 → ATK6150

 

 

 

エリア「行って、ガガギゴ!グォルズクロー!!」

 

 

ゴギガ・ガガギゴの爪がブルーアイズに向けられ、鋭い爪がギラッと光る。

 

観客と堕紅、エリアとヒータが息を飲んだ、その瞬間にガガギゴが走り出しブルーアイズに急接近し、その体に爪が触れ    ない!!

 

 

ヒータ「っよし!これ賭けだったけど、本当に良かった!」

 

 

エリア「えっ?」

 

 

ヒータ「罠発動、「光子化」!相手モンスターの攻撃を無効にし、その相手モンスターの攻撃力分だけ自分の光属性モンスター一体の攻撃力を次の自分のエンドフェイズまで上げる!」

 

 

ガガギゴの爪は光子化による光の壁ができブルーアイズの体に当たらなかった。その後、ガガギゴの爪の輝きが一つの光の玉になりブルーアイズに吸い込まれていった。

 

 

 

「青眼の白龍」

ATK3000 → ATK9150

 

 

 

エリア「ああ・・ガガギゴ、お疲れ。」

 

 

ガガギゴ「ふん、仕方ないな。」

 

 

エリア「ええ。ヒータ、ありがとう!デッキづくり、一緒に頑張ろうね!ターンエンド!」

 

 

ヒータ「エリア・・・うん!」

 

 

ヒータの頬に一筋の涙が垂れた。もちろんそれは悲しみの涙じゃない、喜びの涙だ。

 

 

ヒータ「ドロー・・、ブルーアイズでゴギガ・ガガギゴを攻撃!滅びのバーストストリーム!!」

 

 

ブルーアイズの喉の奥から青い光が漏れだして見えた、と、その瞬間に巨大な光線がガガギゴを飲み込んでいく。それは魔法で出したバーストストリームとは比にならないほどの威力であり、ガガギゴを突き抜けて飛び出してきた光線をエリアはギリギリの所で横に回避した。

 

 

 

 

 

エリア LP1150 → LP0

 

 

 

 

 

 

 

ヒータ WIN

 

 

 

 

 

 

 

ポーン(終了ブザー)

 

 

 

ブザーが鳴りフィールドのモンスター達は消えていき、熱くなっていた観客も散り散りになっていった。堕紅は人がだいぶ減ってからヒータ達に近づいた。

 

 

 

堕紅「お疲れ、ヒータ。良いデュエルだっt[ヒータ]「エリア!」

 

エリア「痛てて、いやあ負けちゃった。やっぱ強かったんだね。」

 

 

堕紅「あの[ヒータ]「へへ、でもまだデッキが微妙だから、お願いね。」

 

 

堕紅「・・・ガガギゴ。」

 

 

堕紅に呼ばれて同じく話に入れていないガガギゴがエリアの横から出てきた。

 

 

ガガギゴ「なんだ?」

 

 

堕紅「・・先、家帰ってるっつっといてくれ。」

 

 

ガガギゴ「あ、ああ。分かった。」

 

 

堕紅には分かった。今は二人きりにしといた方が良いと(ガガギゴを除いて)。

 

 

エリア「ふふっ、じゃあデッキづくりのコツを教えるから、しっかり聞いてね、ヒータ。」

 

 

ヒータ「うん!よろしくね、エリア!」

 

 

精霊同士が意気投合した昼下がり、昨日とはまったく違う姿を見せた二人であった。

 



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第七話 光道をかける少女

エリア「・・・それでここはこうで、」

 

 

ヒータ「ふんふん。」

 

 

エリア「んで、これをこんな感じで、」

 

 

ヒータ「あー!なるほどね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の寝室はヒータとエリアのデッキ改築場になっている。堕紅も中に混ざって居たかったが、エリアが「霊使い同士でやっていたい」と言って、堕紅とガガギゴはリビングで待たされていた。

 

 

堕紅「・・・」

 

 

ガガギゴ「どうされた。」

 

 

堕紅「いや、あいつらずっとやってるなって。」

 

 

ガガギゴ「エリアはヒータの事を思ってデッキ作りに励んでいる事だし、そっとしといた方が良い。」

 

 

堕紅「そういうもんか・・・。」

 

 

そうは言われてもなんか寂しい。エリアとヒータの対決が済んで約束のデッキ作りに取りかかっているのだが、そもそもヒータのデュエルに関する知識が偏っていたため、今はずっとエリアの講義を受けながらデッキを整えているが、リビングのソファーに腰掛けて自分のデッキをいじっていたが、

 

 

 

 

 

 

現在時刻、AM五時半・・・

 

 

 

 

 

 

もう朝だぞ!後、数時間したら学校いかにゃならんというのに、エリアのマシンガントークがいつまでも聞こえてくる。

 

 

堕紅「あれ、いつ終わると思う?」

 

 

ガガギゴ「・・恐らく終わらない可能性がある。」

 

 

堕紅「はあ、仕方ない・・・あ、そうだ。」

 

 

ガガギゴ「ん?どうした。」

 

 

堕紅「一つやってみたい事があるんだが、試してみても良いか?」

 

 

ガガギゴ「?」

 

 

 

 

 

堕紅は少し前から思っていた。数々のモンスターがカードの中から自分の意思で出ることができるのは分かるが、GXやZEXALでも少しあったデュエリストがモンスターを実体化させる方法、あれができるのかだけ聞いておきたかった。

 

 

ガガギゴ「それは分からない。俺はモンスター側だからデュエリストが実体化をさせる事ができるなんて知ってはいない。」

 

 

堕紅「まあ、そうか。思えば最初に会った時、「さっき気づいた」とか言ってたけど、それって普通に気がつくものなのか?」

 

 

ガガギゴ「俺が実体化できることに気がついたのは、カードの中で堕紅とヒータのやりとりを見ていたとき、なぜだか分からないがカードの中に歪みができたのだ。」

 

 

堕紅「歪み?」

 

 

ガガギゴ「まさかと思ってその歪みを潜ってきたら、こちらに出れたという事になる。今も歪みは開いたままだ。」

 

 

堕紅「ん~?そしたらガルドニクスはどうなる?あいつはデュエル中に自分が実体化できるなんて思う出来事あったか?そもそもあの場で実体化する理由もないし。」

 

 

ガガギゴ「確かにそうだな。とりあえずそれは考えておくとして、さっきのやってみたい事とやら、本当にするのか?」

 

 

堕紅「(小声)ドッキリみたいでおもしろそうじゃん。俺はその間にでも散歩に行ってくるよ。」

 

 

ガガギゴ「ならば俺も行く。なんだか巻き込まれそうで恐ろしいからな。」

 

 

そうして堕紅はサンダルを履いてデュエルディスクをつけ、ガガギゴと共に外への扉を開ける。そして扉を閉める前に部屋の中へ二枚のカードを向けてささやいた。

 

 

 

 

 

堕紅「(小声)・・・と・・・を召喚・・・・・よし、行こう。」

 

 

 

 

 

堕紅が扉を閉めてガガギゴと散歩に出たときから、玄関には無数の何かが飛び回っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこでも朝と夜は快適そのものだ。ほとんど人がいない道や公園でゆっくりしていられるほど、のんびりした時間は他にない。堕紅達が歩いている間にも、川岸などで朝からデュエルしている人を見かけた。

 

 

堕紅「ここの住人は朝からデュエルやっても疲れないのか、すげえな。」

 

 

そうぼやいていると、正面から見たことのあるジャージを着て、金髪のポニーテールを弾ませながら走ってくる女子が目に入った。

 

 

堕紅「あれ?もしかして学校の生徒ですかね?」

 

 

?「ん?そうよ?あなた、朝からこんな所にいるなんて、あなたもランニングデュエルの練習かしら?」

 

 

彼女が堕紅を学校の生徒だと分かったのは、たまたま散歩に行く前に着てきたのが学校用のジャージで、彼女と同じものだったからである。

 

 

堕紅「え?なんですかそれ?」

 

 

?「違うんだw(焦)、今度部活の方で恒例のランニングしながらデュエルをするっていうのがあるのよ。私はそのために走り込んでるの。」

 

 

堕紅「ああ、そうなんですかw(うええ、走りながらデュエルとか、それならバイクに乗ってすれば良いものを。)」

 

 

?「あ、そうだ。ねえ、時間あるなら私とデュエルしてくれない?」

 

 

堕紅「え!?ランニング含める!?」

 

 

?「いやいや、しないしない。普通のデュエルお願いできる?」

 

 

普通のデュエルなら問題ない。ガガギゴは近くで二人のデュエルを見守りながら休み始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水季「それじゃ始めるわよ!私は三年の霧島水季よ!」

 

 

堕紅「お、俺は一年の火村堕紅!いざ!」

 

 

堕紅&水季「デュエル!」

 

 

 

 

 

堕紅(・・・二つ上の先輩だったw)

 

 

水季「私のターン!手札から「ソーラーエクスチェンジ」を「ライトロード・シーフ ライニャン」をコストとして墓地へ送り発動!デッキからカードを二枚ドローして、その後にデッキの上から二枚のカードを墓地へ送るよ。」

 

 

そうして墓地に落ちたのは「ライトロード・モンク エイリン」と「ライトロード・ビースト ウォルフ」であった。

 

 

水季「よし!「ライトロード・ビースト ウォルフ」の効果で、このカードがデッキから墓地に落ちたとき、このカードを特殊召喚する!」

 

 

 

「ライトロード・ビースト ウォルフ」星4 光属性・獣戦士族

ATK2100 DEF300 攻撃表示

 

 

 

堕紅「うおっ、ライトロードか、厄介だな。」

 

 

ライトロードは自分のデッキを効果によって削る代償が多くあるが、送られたときに効果を発動するものがいたり、墓地を肥やして大型のモンスターを出したりするなど、メリットもデメリットもあるデッキと堕紅は考えている。

 

 

水季「そして私は、ウォルフをリリースして「ライトロード・ドラゴン グラゴニス」をアドバンス召喚!」

 

 

 

「ライトロード・ドラゴン グラゴニス」星6 光属性・ドラゴン族

ATK2000 DEF1600 攻撃表示

 

 

 

水季「グラゴニスの攻撃力は墓地にいるライトロードモンスターの種類一つにつき300ポイントアップする!」

 

 

 

「ライトロード・ドラゴン グラゴニス」

ATK2000 → ATK2900

 

 

 

水季「そしてカードを一枚伏せ、エンドフェイズに移行。そしてグラゴニスの効果により私のデッキから三枚カードを送るよ!」

 

 

そうして墓地に送られたのは「ライト・バニッシュ」「ライトロード・プリースト ジェニス」「ライトロード・アーチャー フェリス」の三枚。

 

 

水季「「ライトロード・アーチャー フェリス」の効果を発動するよ!このカードがモンスターの効果で墓地に送られたとき、墓地から特殊召喚される。そして、「ライトロード・プリースト ジェニス」が墓地に送られた事で、グラゴニスの攻撃力はまた上がる!」

 

 

 

「ライトロード・アーチャー フェリス」星4 光属性・獣戦士族

ATK1100 DEF2000 守備表示

 

 

 

「ライトロード・ドラゴン グラゴニス」

ATK2900 → ATK3200

 

 

 

水季「ふう・・長くなっちゃったね。私はこれでターンエンド。」

 

 

これくらいなら慣れっこだが、この世界に来てからこれぐらいの強さのデッキは初めてだろう。

 

 

堕紅(相手の場には攻撃力3200のグラゴニスと守備力2000のフェリスがいるし、普通に回した方が良いな、これは。)

 

 

堕紅「俺のターン、ドロー!俺は「陽炎柱」を発動し、陽炎獣のリリースを一つ少なくする事が可能となります。ということで、手札より「陽炎獣 ペリュトン」を召喚!」

 

 

 

「陽炎獣 ペリュトン」星6 炎属性・炎族

ATK1600 DEF1700 攻撃表示

 

 

 

堕紅「ペリュトンの効果発動!手札の「フレムベル・ヘルドッグ」とペリュトン自身をりりーすして、デッキから陽炎獣を二体特殊召喚する!来いっ、サーベラス!スピンクス!」

 

 

 

「陽炎獣 サーベラス」星6 炎属性・獣族

ATK2000 DEF200 攻撃表示

 

 

 

「陽炎獣 スピンクス」星6 炎属性・獣戦士族

ATK1900 DEF1900 攻撃表示

 

 

 

堕紅「スピンクスの効果発動!デッキの一番上のカードの種類を宣言する!」

 

 

水季「モンスター、魔法、トラップのどれかってこと?」

 

 

堕紅「そうです。そしてそのカードをめくって墓地に送り、当たっていれば手札また墓地から炎属性モンスターを特殊召喚できる。」

 

 

水季「へえ、運に身を任せるのね。そういうの、嫌いじゃないよ。」

 

 

堕紅「俺はモンスターを宣言。ではいきますよ!デッキトップ、オープン!!」

 

 

堕紅のめくったカードは「超電磁タートル」。モンスターカードだ。

 

 

堕紅「よし!俺は「超電磁タートル」を墓地に送り、墓地から「フレムベル・ヘルドッグ」を特殊召喚!」

 

 

 

「フレムベル・ヘルドッグ」星4 炎属性・獣族

ATK1900 DEF200 攻撃表示

 

 

 

堕紅「そして、俺は場のサーベラスとスピンクスをオーバーレイ!紅蓮の炎まといし鳳凰よ!今一度その姿現し、この地の全てを焼き払え!エクシーズ召喚!舞え!「陽炎獣 バジリコック」!」

 

 

 

「陽炎獣 バジリコック」黒星6 炎属性・炎族

ATK2500 DEF1800 攻撃表示

 

 

 

水季「これがあなたのエクシーズね、なんか朝なのに暑苦しいデュエル。」

 

 

堕紅「それでも楽しければ良いのです!バジリコックの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、霧島先輩のグラゴニスを除外します!業火の火種!」

 

 

バジリコックの放った火球がグラゴニスに当たった後、散った火がグラゴニスを包み込んで炎となり、フィールドから姿を消した。

 

 

堕紅「バトル!俺はバジリコックでフェリスに攻撃!陽炎風(ヘイズウインド)!」

 

 

バジリコックが羽ばたくと共に熱風がフェリスの全身を焼き尽くし、破壊。

 

 

堕紅「そして、霧島先輩にフレムベル・ヘルドッグでダイレクトアタック!爆炎牙!」

 

 

 

水季 LP4000 → LP2100

 

 

 

水季「っくうう!きっついわね!」

 

 

堕紅「俺はカードを一枚伏せ、ターンエ[水季]「今!速攻魔法発動!、サイクロン!」

 

 

堕紅「!?」

 

 

伏せたばかりの火霊術―「紅」がサイクロンによって破壊される。厄介な相手だから遊馬の時のように紅エンドしようと思ったが、まさかサイクロンをタイミングを見計らって撃ってくるとは、堕紅には予想できなかった。

 

 

堕紅「うええ、凄いですね・・。てっきり何らかのトラップだと思ってましたよ。」

 

 

水季「えへへ、そりゃ「生徒会長」が簡単にやられてたら生徒達からなめられちゃうでしょ。」

 

 

堕紅「まあ、そうですよねw・・・・・え?待ってください、え、生徒会長なんですか?」

 

 

水季「あれ?知らなかったの?」

 

 

堕紅「いや、俺もまだこっちに越してきたばかりなんで。」

 

 

水季「あ、そうだったんだ。」

 

 

堕紅「ええw・・・(っやっべえ!生徒会長って事は、それなりの実力はあるって事だろ!?つまり今俺は、ガチのライトロードデッキ使いとデュエルしている事になるんだよな!?)

 

 

ガチデュエリストと戦う事は元の世界ではよくあった。でもZEXALの世界に来てから周りのデュエルをみていても、さほど凄いと思えるデュエルはしていなかった。だからこの学校なら学年トップの成績もらえるんじゃねと甘い考えをちょっと持っていた(デュエルに関する知識だけ)

 

でも、この生徒会長がいる時点で、その考えはもうどこかへ飛んで行ってしまった。

 

 

水季「じゃあこれからも学校で会う事があるかもね、堕紅。そしてこれから学校のトップの力、みせてあげるわ!ドロー!」

 



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第八話 生徒会長の実力



妖牙「なぜだ!?なぜ、なぜチェインが禁止にならなければならないのだ!?」


ヒータ「色々とお世話になった分強すぎたこともあったからね。仕方ないっちゃ、仕方ないよね。」


妖牙「あれだ!元々チェインはラヴァルの物だったから、召喚条件に炎属性二体でどうだ!(妖牙は普段、兎からのバトルフットボーラー二体エクシーズ)」


ヒータ「あんたは結局変わらないじゃないの」


太陽は雲に隠れて涼しくなり、さわやかな風が吹いてきた。

 

エンドサイクというプロのような技を使われたのは、この次元に来てから初めてのことだった。堕紅の伏せを破壊して生徒会長もスッキリしたようだ。そして、堕紅の場にバジリコックとヘルドッグがいて、伏せは何もないまま水季のターンに移行した。

 

 

水季「私のターン、ってこれは!・・・私は手札から「増援」を発動し、デッキから「ライトロード・パラディン ジェイン」をサーチするよ!」

 

 

堕紅「ってことは、ヘルドッグはこれで破壊されるのは確定か。」

 

 

水季「いいえ、バジリコックもよ。」

 

 

堕紅「え?」

 

 

水季「私の墓地には、ライニャン・エイリン・ウォルフ・ジェニス・フェリスのライトロードモンスターが五種類いるんだよね。」

 

 

堕紅「五種類・・・いやあれは四。」

 

 

水季「そう、四種類でいいんだけど結果的に超えちゃったんだよね。というわけなので墓地にライトロードが四種類以上存在している時、手札の「裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)」を特殊召喚!」

 

 

 

「裁きの龍」星8 光属性・ドラゴン族

ATK3000 DEF2600 攻撃表示

 

 

 

堕紅「ゲッ!ジャッジメントですか!」

 

 

水季「ジャッジメントですの! 1000ポイントのライフを払い、自身以外のカード全てを破壊するわ!ジャッジメント・ライト!!」

 

 

 

水季 LP2100 → LP1100

 

 

 

裁きの龍の真上、空高くの雲に穴が開き太陽の光が地上に降り注ぐ。ただ暖かな日光が当たったのは人々だけ(あと爬虫類の傍観者も)、バジリコックとヘルドッグには神々しい光のレーザーがぶち当たった。

 

 

堕紅「っく!」

 

 

水季「そして「ライトロード・パラディン ジェイン」を召喚!」

 

 

 

「ライトロード・パラディン ジェイン」星4 光属性・戦士族

ATK1800 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

水季「フィールドのジェインとジャッジメント・ドラグーンの総攻撃力は4800、これが私の実力・・いやまだ序の口だけどね。」

 

 

堕紅「さ、さすが生徒会長ですね。でも、俺はまだ諦めはしませんよ!霧島先輩!」

 

 

水季「うん、その意気だけどこれで終わり。バトル!」

 

 

堕紅「させません!墓地の「超電磁タートル」の効果発動!自身を除外してバトルを終わらせる!」

 

 

水季(あっ・・さっきたまたまスピンクスのコストで送られたんだっけね。)

 

 

堕紅「そう簡単にやられたりしませんよ!霧島先輩!」

 

 

水季(・・・デュエルの戦略もしっかりしている上に、運まで味方にしている。「火村堕紅」意外と見どころがありそうね。)

 

 

水季「あなたすごいわね!私はこれでターンエンド、そしてジャッジメント・ドラグーンとジェインの効果により、デッキから合計6枚のカードを墓地に送る。」

 

 

送られたカードは「ライトロード・ハンター ライコウ」「オネスト」「ブレイクスルー・スキル」「光の援軍」「ライトロードの裁き」「ライトロード・マジシャン ライラ」というラインナップだ。

 

 

水季「お!モンスターの効果によって送られた「ライトロードの裁き」の効果発動!デッキから二体目の「裁きの龍」を手札に加える。これで次のターン、何があってもまたジャッジメント・ドラグーンが出てこられるけど・・・、まだ諦めちゃいないよね。」

 

 

堕紅「もちろんです。そう簡単にやられては決闘者としていられません!」

 

 

水季「そうだよね。それじゃ、あなたの全力見せて!」

 

 

 

 

 

ガガギゴ(・・・・?)

 

 

 

 

 

堕紅「いきます!ドロー!(ってこれは・・よし!)俺の手札の「陽炎獣 グリプス」は、相手のフィールドにモンスターが居て、自分のフィールドと墓地に炎属性以外のモンスターが存在しない時、特殊召喚ができる!」

 

 

 

「陽炎獣 グリプス」星6 炎属性・鳥獣族

ATK200 DEF2100 守備表示

 

 

 

堕紅「さらに、手札から「陽炎獣 サーベラス」を「陽炎柱」の効果でリリースなしで召喚する!」

 

 

 

「陽炎獣 サーベラス」星6 炎属性・獣族

ATK2000 DEF200 攻撃表示

 

 

 

水季「レベル6が二体、ということは。」

 

 

堕紅「いきますよ!俺はグリプスとサーベラスでオーバーレイ!紅蓮まといし鳳凰よ!今再びその姿現し、この地の全てを焼き払え!エクシーズ召喚!舞え!「陽炎獣 バジリコック」!」

 

 

 

「陽炎獣 バジリコック」黒星6 炎属性・炎族

ATK2500 DEF1800 攻撃表示

 

 

 

水季「またそのモンスターね。ということは、ちょっとまずいかも。」

 

 

堕紅「バジリコックの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、ジャッジメント・ドラグーンを除外!業火の火種!」

 

 

前のターンのグラゴニスのように、バジリコックの放った火球がジャッジメント・ドラグーンを包み込み、陽炎のごとく姿を消した。

 

 

水季「ジャッジメント・ドラグーンが!いやでも、この戦闘で私が受けるダメージは700。まだ耐えられる!」

 

 

堕紅「いえ、この攻撃で終わらせます!フィールド魔法発動!「バーニングブラッド」!」

 

 

水季「ええっ!?まさかのフィールド魔法!?」

 

 

自分たちの立っている場所を中心にゴツゴツとした岩肌が広がっていく。そして堕紅の後ろ側の地面が山のように膨れ上がり、頂点から赤い溶岩が溢れてかけている。それは爆発寸前の火山のようだ。

 

 

堕紅「バーニングブラッドが発動している時、フィールドの炎属性モンスターの攻撃力を500上げ、守備力を400下げる。」

 

 

 

「陽炎獣 バジリコック」

ATK2500 → ATK3000

DEF1800 → DEF1400

 

 

 

水季「あっ、やば。」

 

 

堕紅「バトル!バジリコックでジェインに攻撃!」

 

 

火山の頂点から爆発音と共に溶岩が火柱のように噴き上がる。その溶岩の熱気が陽炎をうみだし、バジリコックはその中で姿を消す。

 

 

水季「消えた!?」

 

 

堕紅「いや!」

 

 

陽炎の中心が赤く燃え上がると思ったそのとき、体全体から火の粉をまき散らせながらうずくまっているのが見える。そしてバジリコックが頭を上げ、全身の炎を一つに集中させる。

 

 

堕紅「燃えろ!陽炎爆裂(ヘイズ・エクスプロージョン)!」

 

 

それは一瞬の出来事だった。集中させた炎がジェインの足元に極細レーザーのごとく発射された。だがすぐに足元の岩は大きな爆発を起こしジェインを巻き込んでいく。もちろん、ダメージとして水季の足元の岩も爆発する。

 

 

水季「きゃーーーー!!」

 

 

 

 

 

水季 LP1100 → LP0

 

 

 

 

 

 

 

堕紅 win

 

 

 

 

 

 

 

ポーン(終了ブザー)

 

 

 

 

 

水季「かああっ!負けたああ!w」

 

 

地面に倒れ込んだ水季が笑いながら起き上がる。

 

 

水季「もうっ。ランニングで汗かきながらデュエルでも暑苦しくて、もっと汗かいちゃったw。いやいや暑い暑いw」

 

 

堕紅「これが俺の実力ですよ、先輩。」

 

 

水季は立ち上がり堕紅に微笑んだ。

 

 

水季「あなたみたいな実力を持ったデュエリストと戦ったのは、本当に久しぶりね。実際学校にもあんまり強い人いないから。」

 

 

堕紅「そうなんですか、やっぱ生徒会長たるとも、他の人たちとは強さが違う・・・。」

 

 

水季「え?」

 

 

堕紅「・・・違・・う?・・・こ・・れは?」

 

 

水季「ちょちょちょ!?どうしちゃったの堕紅!?しっかりして!!」

 

 

堕紅「あっああ、大丈夫、大丈夫です。気にしないでください。」

 

 

水季「えっ、そう?本当に大丈夫?」

 

 

堕紅「大丈夫ですって、それじゃそろそろ、僕行きますんで!」

 

 

水季「そう?気をつけてね!学校で会いましょう!」

 

 

堕紅「はい!それでは!」

 

 

そう言い残して堕紅は家へと帰って行った・・・ガガギゴのことを忘れながら。

 

 

ガガギゴ「うおおいっ!?俺もいるんだぞ!忘れるな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっとしてガガギゴのことを思い出した堕紅は、さっきの場所に迎えに行こうと思ったが、ガガギゴはいつのまにか堕紅の後ろについていた。やけに息が荒かった。

 

 

ガガギゴ「ハアッ、ハアッ、ったく、忘れてるんじゃねーよ。」

 

 

堕紅「悪い悪いw、すっかり霧島先輩とのデュエルに夢中になっちゃって・・・・うん。」

 

 

ガガギゴ「どうした?」

 

 

堕紅「いや、霧島先輩って生徒会長って言ってたじゃん。俺や遊馬たちの通う学校の。」

 

 

ガガギゴ「そうだな。それがどうした?」

 

 

堕紅「ZEXALの最初あたりはギラグが色んな奴を洗脳して、遊馬たちに挑んでくるんだけど・・・その中に、生徒会長が洗脳される回があるんだよ。」

 

 

ガガギゴ「それがさっきの奴なのか。」

 

 

 

 

 

堕紅「違う、霧島先輩はZEXALに出てきたことはない。」

 

 

 

 

 

ガガギゴ「何!?だとすると!」

 

 

そう、原作と違う。実際なら「神宮寺 守(じんぐうじ まもる)」という男が、学校の生徒会長であるはず。でも水季は自分から生徒会長だと言った。

 

 

堕紅「この先、原作シナリオに沿って進むかどうか、怪しくなってきた。気を引き締めないと。」

 

 

ガガギゴ「そうだな・・・・ところで一つ良いか?」

 

 

堕紅「何だ?もしかして何かに気づいたとか!?」

 

 

ガガギゴ「いや、そうじゃない。この後について何だが、「あれ」忘れてないか?」

 

 

堕紅「「あれ」?・・・・(汗)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、別場所で遊馬とある奴が接触していた。

 

 

真月「あっあなたは!九十九遊馬君じゃないですか!」

 

 

真月 零(しんげつ れい)、ZEXALのストーリーに大きく関わる重要人物だ。今は遊馬と同じく学校に遅刻しかけの状況だが、この積極性の高いタイプなら自分と同じ状況にある遊馬を放っておく訳にはいかない。

 

 

真月「急がないと遅刻しますよ!こっちです!」

 

 

遊馬「う、うわあああああっ!」

 

 

真月に無理やり引きずられ学校に向かう遊馬、恐らくこの時余計なお世話だと思っていただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅たちが駆け足で帰ったときはもう登校時刻だった。

 

帰って来る前、空には朝だというのにとんでもない数のカラスが飛んでいて、登校中の生徒がざわついていたが無視した。

 

家に入ってさっさと支度しないと間に合わないし、なにより気になることがあった。

 

 

堕紅「・・・心の準備は大丈夫だな、開けるぞ。」

 

 

ガガギゴ「ああ、気をつけろ。」

 

 

なぜ自分の家に入るのに、こんなにも警戒して入らなければならないのか。

 

それは、散歩に行く前に軽いドッキリとして堕紅がモンスターを二体呼び出していたこと。それでもし、キレかけの二人が玄関で待ち構えてたら、そう思いながらドアを開けた。

 

そこには誰もいなかったが、リビングの方から羽音のようなものが聞こえる。

 

 

堕紅「この音・・あれ?やけに大きすぎないか?」

 

 

リビングから聞こえてくる羽音は確かに堕紅の呼び出したモンスターの物だろうが、出したときよりも数が多すぎる。

 

 

堕紅「一体何が!?・・・ヒータとエリアは大丈夫なのか!?」

 

 

突如心配になった堕紅は玄関に靴を放り投げ、リビングのドアに手をかけ力任せに開いた。

 

 

堕紅「ヒータ!エリア!だいじょb[ヒータ]「これでどうだあああああ!!!」

 

 

ヒータが発動したカードによって堕紅、ヒータ、エリアはリバース効果を発動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人「おろろろろろろろろろろろろろろr

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真月「たっだいまお連れしました!今日からこのクラスに転校してきました。真月零です。皆さん、よろしくお願いします!」

 

 

ボロボロになった遊馬を抱き抱えた真月がクラス全体に自己紹介をした。ちなみにクラスでは授業の真っ最中、結局二人とも遅刻していた。

 

 

先生「あー、とりあえず二人とも席に着きなさ「ピロリロリーン(電話)」ん?」

 

 

先生の携帯に電話がかかってきた。

 

 

先生「あっと。みんなちょっと待っててな。あー、もしもし、うん、うん、だっ大丈夫か!?あ、ああ、分かった。気をつけろよ。じゃあ。」

 

 

小鳥「先生、どうかしたんですか?」

 

 

先生「ああ、堕紅君から欠席の連絡が来てな。なんだか気持ちが悪いそうだ。」

 

 

遊馬「ええっ!堕紅が!?[真月]「遊馬君のお友達ですか!?それは大変です!!帰りにお見舞いに行きましょう!」

 

 

遊馬「あっ。ああ、そうだな真月・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「うげっ、げええ・・・。」

 

 

エリア「・・・・」

 

 

ヒータ「・・・・・あとで火あぶりの形ね。」

 

 

堕紅「げえ・・そ、そんな。」

 

 

ヒータ「当ったり前でしょ・・、軽いドッキリなら中級モンスター一匹だしとけば良いでしょ・・。なんで「増殖するG」と「イナゴの軍勢」をリビングに放ったまま出かけたの、おかしいでしょ・・・。」

 

 

堕紅「それは悪かった・・・悪かったけど、お前もそれでパニくって、近くのダンボールのカードで対抗したんだろ、狙ったように「スカラベの大群」と「カラスの巨群」出して、挙げ句の果てに「地獄の暴走召喚」って・・・。」

 

 

ヒータ「本当にたまたまだったんだって・・・。」

 

 

ガガギゴ「・・・・ダンボールの中から引き出したカードに手札もデッキもないからな。」

 

 

エリア「・・・そう、・・・だからそこらのダンボールに入ってた同名モンスターが、三枚どころか五枚ずつぐらい大量召喚されて・・・あの有り様ってこと・・・。」

 

 

こうやってベッドで横になってる間もガムテープでガチガチに閉じた扉の先には、TVで速報になりかねない数の虫野郎どもがわさわさいる。

 

堕紅の脳には元のカーペットの面影を見せないくらいの黒光りした別のカーペットが、一斉に飛んだ瞬間が既にトラウマになっている。

 

G・イナゴ・スカラベはリビングに、今いるとこのTVでも報道されているが、カラスの巨群が思ってた以上にやばい光景を生み出している。

 

 

堕紅「今日は休む・・・もう駄目だ・・・。」

 

 

ヒータ「私も・・・。」

 

 

エリア「おろろろろろ」

 

 

ガガギゴ「まあ、休め。俺も寝る。」

 

 

皆、現実逃避をするようにすぐさま眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真月「ここですね!堕紅君の家は!」

 

 

学校終わりに心配になった真月に遊馬・アストラル・小鳥。会いたいと言って来た、鉄男・孝・徳之助・キャッシーの合計八人が堕紅の家に来ていた。家の場所は先生に教えてもらっていた。

 

 

鉄男「それにしてもこのカラスの数は何だ?」

 

 

徳之助「異常ウラ。」

 

 

孝「とどのつまり、大量発生というところですかね?」

 

 

キャッシー「そんなことは良いわ。今は堕紅君の方が優先でしょ!」

 

 

小鳥「そうよ、大丈夫かしら?」

 

 

遊馬「心配すんなって!堕紅ぐらいなら気持ち悪さなんてすぐに直っちまってるって!」

 

 

小鳥「だといいんだけど・・。」

 

 

そのとき真月が家の扉が開いていることに気づいた。実はさっき堕紅は二人のことを優先していたため鍵かけることを忘れていたのだった。

 

 

真月「皆さん!開いてますよ!」

 

 

キャッシー「え!ニャンで!?」

 

 

徳之助「まさか、泥棒ウラ!?」

 

 

アストラル「なんだかいやな予感がする・・。」

 

 

遊馬「とにかく行くぞ皆!」

 

 

小鳥「あ、ちょっと遊馬!一応いるか確認しないと!」

 

 

遊馬「あいつが本当にヤバい状況だったらマズいだろ!入るぞ!」

 

 

遊馬に続いて皆が続々と入っていく、そして先程の堕紅と同じようにリビングの扉を開いた・・・・・言っておくが、現在モンスターはただ呼び出したわけではなく、実体化している状態だ。

 

その場の八人はランク4くらいの地獄を目の当たりにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八人「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!」

 



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第九話 江戸の武士

アナウンサー「えー、ただいま情報が入ってきました。早朝から空を埋めつくすようにいたカラスの巨群が、先程姿を消した模様です。理由はまだ分かっておりませんが、ソリッドビジョンの不具合によるものとして捜査されておりm」

 

 

プチッ(テレビの電源を落とす音)

 

 

キャッシー「じゃあ、あのカラスはソリッドビジョンの不具合で出ていたのね。」

 

 

堕紅(コクリ)

 

 

鉄男「それで、堕紅のところでは、別のモンスターがいるように見えていたってことか。」

 

 

堕紅(コクリ)

 

 

徳之助「にしてもびっくりしたウラ。ソリッドビジョンには見えないほどリアルに見えた気がしたウラ。」

 

 

堕紅「イヤーホントビックリシタヨー。ソレミテハキケオコシチャッタノダヨー。」

 

 

堕紅はそうごまかしながら「トゲトゲ神の殺虫剤」をポケットにしまった。

 

 

遊馬「とにかくお前が元気で良かったぜ!いきなり欠席なんてどうしちまったと思ったからな!」

 

 

堕紅「ははっ、心配かけたな。んで、そちらは誰だ?」

 

 

堕紅が首を向けた方には教室では見なかった生徒がいた。

 

 

真月「ああっ、申し遅れました。今日転校してきました、真月零です。よろしくお願いします!」

 

 

堕紅「律儀な奴だな、もうちょっとゆっくりしていいんだぞ。」

 

 

真月「いえいえ、僕は大丈夫です。」

 

 

堕紅「そ、そうか、ならいいが・・・」

 

 

真月零。見た感じは明るくて、中学ならクラスの人気者にでもなれそうな雰囲気だ。

 

でも、こいつの本当の名は真月零じゃない。バリアン世界の住人であり、遊戯王シリーズでは俺の知る限り五本の指に入るほどのゲスさを持つデュエリスト、ベクター。

 

最初に見たときから何らか裏があるとは思っていたが、あんな濃いキャラになるとは思わなかった。

 

 

ヒータ(・・・)

 

 

堕紅(・・・)

 

 

真月(・・・・・)

 

 

ヒータ「堕紅、見られてる。」

 

 

堕紅「・・・(小声)見られてるな。」

 

 

今、真月の視線はヒータに向けられている。真月自身は何も見えないように話しかけてくるが、演技なのは間違いないだろう。

 

あと、この場でヒータが見えているのは遊馬、アストラル、小鳥、真月のみだろうか。実際小鳥の方もちらちらヒータを見ている。ヒータがちょっと小鳥に手を振って答えるとびくっと震えて苦笑いをした。

 

 

真月「ところで遊馬君から聞いたのですけど、堕紅君ってデュエル強いそうですね。」

 

 

堕紅「ああ、自信はあるけど。」

 

 

鉄男「お!じゃあ俺と勝負しようぜ!お前の実力確かめてやるよ!」

 

 

キャッシー「ちょっと!まだ堕紅君も病み上がりなんだから無理にさせちゃ駄目でしょ。」

 

 

別に風引いてるわけじゃないからデュエルくらい問題ない。相手が虫野郎じゃゃなければ胃液が出ることはまずない。

 

 

堕紅「おっけ、外でやろうぜ鉄男。」

 

 

鉄男「よっしゃ!」

 

 

そうして皆は外へ駆けだしていった。一足遅れて小鳥が部屋から出て行く時、彼女はふと思った。

 

 

小鳥(あれ?鉄男君、いつ堕紅君に名前教えたんだろう?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅&鉄男「デュエル!」

 

 

いつものようにデュエルフィールドが展開されていく。

 

 

鉄男「っておい!お前Dゲイザーはどうした!?」

 

 

堕紅「ああ、俺Dゲイザーなくても見えるから。」

 

 

鉄男「カイトみたいなやつか、まあいい。俺のターン!俺は「UFOタートル」を攻撃表示で召喚!」

 

 

 

「UFOタートル」星4 炎属性・機械族

ATK1400 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

鉄男「ターンエンド。さあ、どれだけ強いのか見てやるぜ!」

 

 

小鳥「もう、調子に乗っちゃって。」

 

 

徳之助「そういえば堕紅はどんなデュエルをするウラ?」

 

 

俺のデュエルはいつも通り、自然にエクシーズして苦戦する感じをして、強いがごく普通のデュエリストを維持する。いきなり融合やシンクロをすると怪しまれるからだ。

 

 

堕紅「いいだろう、ドロー・・・!?」

 

 

この時堕紅は気づいた。隣にいたヒータも気づいた。どのタイミングで間違えたのだろう、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デッキが違う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドローカードは「真六武衆-キザン」だった。

 

 

堕紅「・・・(小声)やっちまった。」

 

 

ヒータ「・・・・」

 

 

このデッキはこちらに来てから作ったデッキであり、元から持っていたデッキではない。あの門から大量のカードをもらったわけだから気になっていた六武のデッキを作り、部屋の角に置いていた。

 

 

ヒータ「ま、まあ、シンクロさえしなければバレナイバレナイ(汗)」

 

 

堕紅「・・・ま、いいか(あ、ワンキルできるけど、あまり早すぎてもなあ・・)・・俺は魔法カード「紫炎の狼煙」の効果でデッキからレベル3以下の「六武衆」モンスターを手札に加える。俺は「六武衆のご隠居」を手札に加え、相手のフィールドのみにモンスターが存在するからご隠居を特殊召喚する。」

 

 

 

「六武衆のご隠居」星3 地属性・戦士族

ATK400 DEF0 守備表示

 

 

 

遊馬「え、おい堕紅!?六武衆ってなんだよ!?」

 

 

小鳥「遊馬はあのデッキと戦ったんじゃないの?」

 

 

遊馬「違うんだって!俺はもっと燃えてるモンスターとデュエルしたんだよ!」

 

 

鉄男「ほお、遊馬も相手してないデッキか。なら俺が遊馬とデュエルする前に勝ってやろうじゃん!」

 

 

遊馬「鉄男~(泣)」

 

 

堕紅「続いて俺は「真六武衆-カゲキ」を召喚、カゲキの効果で手札から「真六武衆-エニシ」を特殊召喚。」

 

 

 

「真六武衆-カゲキ」星3 風属性・戦士族

ATK200 DEF2000 攻撃表示

 

 

 

「真六武衆-エニシ」星4 光属性・戦士族

ATK1700 DEF700 攻撃表示

 

 

 

鉄男「一気にモンスターが三体だと!?」

 

 

孝「とどのつまり、すごい展開力です!」

 

 

アストラル「・・レベル3のモンスターが二体、来るか?」

 

 

堕紅「俺はレベル3のご隠居とカゲキでオーバーレイネットワークを構築!古代の獰猛な獣よ、その熱き牙で敵を喰え!エクシーズ召喚!現れよ!「グレンザウルス」!」

 

 

 

「グレンザウルス」黒星3 炎属性・恐竜族

ATK2000 DEF1900 攻撃表示

 

 

 

アストラル「ナンバーズじゃなかったか。」

 

 

鉄男「攻撃力2000のエクシーズ!」

 

 

堕紅「バトル!グレンザウルスでUFOタートルを攻撃!グレンファング!」

 

 

 

鉄男 LP4000 → LP3400

 

 

 

鉄男「っく!これくらい大丈夫だぜ!」

 

 

堕紅「相手モンスターを破壊したときグレンザウルスの効果発動。オーバーレイユニットを一つ使い、相手に1000のダメージを与える!ほらもっと熱くなれよおおおお!!」

 

 

 

鉄男 LP3400 → LP2400

 

 

 

鉄男「ぐああっ!ゆ、UFOタートルが戦闘で破壊されたとき、デッキから攻撃力1500以下の炎属性モンスターを特殊召喚できる。俺はまたUFOタートルを召喚!」

 

 

 

「UFOタートル」星4 炎属性・機械族

ATK1400 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

遊馬「鉄男!攻撃表示で出したら、またダメージ受けちまうだろ!」

 

 

アストラル「遊馬。UFOタートルで特殊召喚したモンスターは必ず攻撃表示になるんだ。」

 

 

遊馬「あ、そうなんだ(汗)。」

 

 

堕紅「(遊馬、そんなことも知らないのか・・・)よし!二体目のUFOタートルにエニシで攻撃!斬り払え!」

 

 

 

鉄男LP2400 → LP2100

 

 

 

鉄男「っくう!・・UFOタートルの効果で三体目のUFOタートルを特殊召喚。」

 

 

 

「UFOタートル」星4 炎属性・機械族

ATK1400 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

キャッシー「何であそこまでUFOタートルを出そうとするの?」

 

 

真月「さあ・・どうなのでしょうか。」

 

 

堕紅「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド。」

 

 

鉄男「・・・たった1ターンで俺のライフを半分まで削るなんてな。遊馬の言う通りなかなか手強い奴だったな。」

 

 

ほめてくれるのはとてもありがたいが、手札にある「六武の門」と「六武衆の結束」が発動してたらこう優しくはいかなかっただろう。

 

 

鉄男「でもそう簡単に俺を倒せると思うな!俺のターン!」

 

 

渾身のドロー、鉄男の声がその場に響きわたる。

 

 

遊馬「鉄男はどうやって巻き返すつもりなんだ?」

 

 

鉄男「俺は「ブリキンギョ」を召喚!」

 

 

 

「ブリキンギョ」星4 水属性・機械族

ATK800 DEF2000 攻撃表示

 

 

 

鉄男「ブリキンギョの効果発動!手札のレベル4モンスター、「アイアイアン」を特殊召喚する。」

 

 

 

「アイアイアン」星4 地属性・機械族

ATK1600 DEF1800 攻撃表示

 

 

 

アストラル「レベル4が三体・・来るか。」

 

 

鉄男「俺はレベル4のUFOタートル、ブリキンギョ、アイアイアンの三体でオーバーレイ!ブリキの王よ、いまここに来い!エクシーズ召喚!「ブリキの大公」!」

 

 

 

「ブリキの大公」黒星4 地属性・機械族

ATK2200 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

鉄男「バトル!ブリキの大公でグレンザウルスを攻撃!大公の一撃!」

 

 

 

堕紅 LP4000 → LP3800

 

 

 

堕紅「くっ!グレンザウルスが!」

 

 

鉄男「よし!カードを一枚伏せ、ターンエンド!」

 

 

ブリキの大公は堕紅のモンスターの表示形式を変更することができる。しかもその効果は相手ターンにも使うことが可能であるため、実質攻撃を一回防がれると考えておいた方が身のためかもしれない。

 

 

堕紅「俺のターン、ドロー・・・勝った!」

 

 

鉄男「なに!?」

 

 

堕紅「俺は手札の「六武の門」を発動!そして、「真六武衆-ミズホ」を召喚!」

 

 

 

「真六武衆-ミズホ」星3 炎属性・戦士族

ATK1600 DEF1000 攻撃表示

 

 

 

堕紅「そして「六部衆」モンスターが召喚、特殊召喚されたときに門に武士道カウンターを2個乗せる。」

 

 

 

「六部の門」武士道カウンター 0 → 2

 

 

 

堕紅「ミズホの効果発動!フィールドのエニシをリリースすることでカードを一枚破壊する!」

 

 

鉄男「なんだと!?」

 

 

堕紅「対象はブリキの大公!闇討ち!」

 

 

ブリキの大公はミズホの刀により横から腹を切られ倒れてしまう。

 

 

鉄男「っく、(俺の伏せは突進・・もう使えないが攻撃力1600ならなんとか耐えきれる!)。」

 

 

堕紅「・・・鉄男、お前結構強いじゃん。」

 

 

鉄男「へへっ、お前もな。堕紅。俺はここで耐えて、次のターンで巻き返してやるぜ。」

 

 

堕紅「ああ、だが悪いな。俺はここで勝つ!門の武士道カウンターを任意の数取り除き効果を発動させる!俺は武士道カウンターを2個取り除き、ミズホの攻撃力を500上げる!」

 

 

 

「六武の門」武士道カウンター 2 → 0

 

 

 

「真六武衆-ミズホ」

ATK1600 → ATK2100

 

 

 

鉄男「攻撃力2100だと!?」

 

 

堕紅「バトル!ミズホで鉄男にダイレクトアタック!追い打ち!」

 

 

鉄男「っぐ、ぐわああああああ!!」

 

 

 

鉄男 LP2100 → LP0

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅 win

 

 

 

 

 

 

 

ポーン(終了ブザー)

 

 

 

 

 

鉄男「なんだよ、お前すっげえ強いじゃん。」

 

 

鉄男は寝ころびながら呟いた。

 

 

堕紅「いやいや、まだ序の口ってところだよ。またやろうぜ。」

 

 

堕紅は寝ころんだ鉄男に手を差し出した。

 

 

堕紅「良いデュエルだった。」

 

 

鉄男「・・・ああ。」

 

 

鉄男は堕紅の手をしっかり握った。

 

 

真月「いやー、堕紅君強いですね。驚いちゃいましたよ!」

 

 

堕紅「そっか!そんなに驚いてくれたか、いやあ満足満足w」

 

 

敵とはいえ、こうやって驚いてくれるのはとてもうれしい。やっぱ「魔法の筒」で終わらせなくて良かったと思う堕紅であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は堕紅がもう大丈夫だと分かり、日も落ち欠けてきたことだし、今日はもう帰ることになった。

 

 

遊馬「んじゃ!明日は学校来いよ!待ってるからな!」

 

 

堕紅「ああ、必ず行くよ!じゃあな!」

 

 

そうして皆はそれぞれの家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「さてと、話をしよう、真月。」

 

 

全員が帰った中、真月だけがその場に残っていた。

 

 

真月「どうしたの堕紅君?僕に聞きたいことって?」

 

 

堕紅「いやあ、そのね・・・

 

 

 

 

 

 

 

・・・見えるんだろ?」

 

 

真月(・・・・・・・ほう。)

 

 

 

 

 

真月の顔に薄気味悪い笑みが浮かんだ。

 



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第十話 動き出す光と影

日が沈み、すっかり暗くなった。遊馬と仲間たちは既に帰ったが、まだ堕紅は真月を帰らせてはいない。

 

 

真月「え?見えてるって、何のことですか?」

 

 

堕紅「いやあ、お前の目線が気になってたんだよ。ちらちらと何もないところに目を向けたりして、見えてるなら言えってw・・」

 

 

真月(・・・こいつ、)

 

 

堕紅(乗ってくる、・・こいつなら・・)

 

 

 

真月「・・・はい!実は見えてました。彼女のことは。」

 

 

ヒータ「うわあ!やっぱり!?もうっ、隠さなくて良いのにw」

 

 

真月「周りの皆には見えてそうになかったから、あえて触れてないで置きました。」

 

 

堕紅「いや、そんなことないぞ。遊馬や小鳥にはヒータの姿は見えてるからな。」

 

 

真月「・・・・そうだったんですか!良かったです!自分だけ幻でも見ているのかなって心配してしまいました。」

 

 

微笑みながら朗らかに話す真月が場の雰囲気を和ましている・・・周りからはそう見えるかもしれない。だが堕紅とヒータ、恐らく真月も、互いの信頼を掴むために必死の読みあいをしているのは本人以外分からないだろう。

 

 

真月(こいつもこの精霊とやらも、やっぱアストラルのような存在なのか?だとしたら、こいつらも敵・・となるか。デュエルも中々の物だしな・・・・)

 

 

堕紅(多分真g・・ベクターは、俺とヒータを見た上で何らかは考えているんだろうな。とにかくこいつには、俺は精霊の見えるだけの普通のデュエリストってことにしとかないと・・)

 

 

ヒータ「・・・・堕紅。」

 

 

堕紅「どうした、ヒータ?」

 

 

真月「・・・(この精霊からも何かしらの情報を探っておかないとなあ・・・)」

 

 

 

 

ヒータ「お腹すいた。」

 

 

 

 

堕紅&真月「え?」

 

 

ヒータ「もう良い時間じゃん。早くなんか食べようよ、できればどっか外食でも!」

 

 

堕紅「え。ま、まあ・・・いっか。じゃあ今日はもういいわ。止めて悪かったな。」

 

 

真月「ん、ええ。僕は大丈夫ですよ。それでは!」

 

 

堕紅「おう、じゃあな!」

 

 

真月「またねー・・・・」

 

 

そう言って真月はどこかに帰っていった。

 

 

堕紅「そういや思ったけど、学校終わった後って、あいつ何処に帰ってるんだ。やっぱりバリアン世界か、それともギラグみたく何処かに寝泊まりしているのかな。」

 

 

ヒータ「そんなことはいいから・・・・どっか食べ行こ。」

 

 

堕紅「ヒータ、というかモンスターの場合って、ファミレス行っても他人から見えないから、口に運ぶ時、何もないところに吸い込まれるように見えちゃうけど?」

 

 

ヒータ「・・・・」

 

 

堕紅「・・・・」

 

 

堕紅「・・・あの・・ヒータ・・」

 

 

ヒータ「・・・コンビニ行ってきて(泣)」

 

 

堕紅「・・うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[路地裏]

 

 

男「はあ・・はあ・・」

 

 

ここは町中の路地裏。真夜中だから人の気配はないが、そんな場所を息を切らしながら走っていく男性がいた。

 

 

男「はあ・・はあ・・っく!」

 

 

その彼の後ろから誰かが着いてくる。

 

 

男「っく、来るなっ!」

 

 

彼は化け物でもみたようにひどく怯えていた。そんな彼も何者かからの逃げ場を失っってしまったようだ。

 

 

男「っ!?い、行き止まり・・。」

 

 

たまたま彼が逃げ込んだ場所が大通りまで抜けているわけではなかった。そして怯え、慌てる男性のもとに小さな足音が近づいてくる。

 

 

男「っひい!?」

 

 

それは小さな子供、見た目七・八歳ぐらいの女の子だ。息が切れかけている男性の目線はなぜかその女の子に向けられている。見た感じ怖いとか恐ろしいとか、そんな感情はその女の子を見ただけでは感じ取れない。ただ、今の男性は彼女とある事をしている最中だ。

 

 

女の子「・・私のターン、ドロー。」

 

 

そして男性には見えている。モンスターも伏せカードもない彼のフィールドの先、小さな女の子の後ろに赤く光るオーバーレイユニットが回るモンスターが居すわっている。紫色の細長い体、辺りを弾け飛ぶ電撃、不気味な雰囲気を漂わせるモンスターの姿は彼は今まで見たことがなかった。

 

 

女の子「・・・攻撃、かな?」

 

 

キュエエエエエエエエエエッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[家]

 

 

ヒータ「ああああっ!!お弁当おいしいなあああ!!このとろとろのクリームがかかったパスタ最高だなあああっ!!」

 

 

堕紅「そ、そうだな・・・(今度、ヒータが実体化したときように、ヒータの私服でも買ってあげよう・・・)」

 

 

ヒータ「あああっ!!最高!こんな食事が毎日できるなんて、私は恵まれてるよねええ!!(涙)」

 

 

堕紅(うん、買ってあげよう。そうしよう。流石に一年中弁当や出前を食べさせてられないわ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、今日も学校のため食パンにジャムを塗って食べながらニュースを見ていた。堕紅がぼーっとテレビ画面を見ていると気になるニュースが流れてきた。

 

 

ヒータ「んーーっ、おはよぉ、ってニュース見てるの?」

 

 

堕紅「あ、おはよヒータ。なんか昨日の夜、感電事件があったらしいんだ。」

 

 

ヒータ「感電事件?」

 

 

堕紅「街の路地裏で電撃くらった焼死体が見つかったんだと。雷が落ちたわけでもないし、近くに電気系統の機械があるわけじゃないから、誰かがこいつを襲ったっていう結論になったらしいな。」

 

 

ヒータ「感電ね・・、ちょっと怖いわね。」

 

 

堕紅「この世界でもデュエル以外で死ぬことってあるんだな。気をつけないと。」

 

 

堕紅(・・・あれ、デュエルで人って死ぬっけ?・・・慣れって怖い。)

 

 

そう思いながらふと壁の時計に目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

AM:8:23

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「・・・・やっば!じかっ時間!!」

 

 

ヒータ「急ぐのは良いけど下着姿で出るのはどうかと思うわよ。」

 

 

堕紅「了解了解了解了解(焦)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[学校 教室]

 

 

先生「よーし、時間だ。出席取るぞ。」

 

 

小鳥「先生。堕紅君がいませんが、またお休みなんですか?」

 

 

先生「何?欠席の連絡は届いてないg[堕紅]「遅れましたーー!!」

 

 

焦る堕紅が教室のドアに肩をぶつけながら教室に入ってきた。

 

 

先生「何だ、遅刻か?今回は良いが遊馬みたいにはならないようにな。」

 

 

そういえば教室の中に遊馬の姿がない。

 

 

堕紅(あー・・遅刻か。いつも通りなんだろうな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間が刻々と過ぎた一時限目の授業中、眠そうな目を擦りながらやっと遊馬がやってきた。その後ろで冷静な顔をしたアストラルもいる。

 

 

皆「ww」

 

 

遊馬「あー、遅れた遅れたw、昨日のデッキ調整で疲れちまったww」

 

 

先生「遊馬君!何度目の遅刻ですか!!」

 

 

遊馬「す、すいません。」

 

 

皆「www」

 

 

堕紅(・・いつもこんな感じなのか?)

 

 

遊馬「お!来たのか堕紅、吐き気は無くなったか?」

 

 

堕紅「ああ、もう大丈夫だ。」

 

 

遊馬「そうか、それじゃ!今日は堕紅もいることだし寝ないでしっかり授業受けるとするか!」

 

 

真月「さすが遊馬君!遅刻した代わりに授業を受けようとする心!」

 

 

堕紅(それが普通のはずなんだけどな・・)

 

 

クラスの皆がそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十分後

 

 

「Zzz」

 

 

堕紅&ヒータ(うん、知ってた)

 

 

孝「皆さん、聞いてください。今回も学級委員長を決める時期がやってきました。」

 

 

堕紅(おっ、そうなんだ・・あれ、学級委員って・・・)

 

 

その勘は割と早く当たった。

 

 

孝「誰も立候補や推薦がいなければ今回も僕g[真月]「僕は遊馬君が学級委員長が良いと思います!」

 

 

 

孝&堕紅&ヒータ「・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「・・・おい、起きろ遊馬。」

 

 

遊馬「Zzz」

 

 

堕紅「・・・・仕方ない、ヒータ、頼む。」

 

 

ヒータ「はあ、魔法発動。「火の粉」」

 

 

遊馬の額に小さな炎弾が直撃した。

 

 

遊馬「うおわあっ!あちちちっ!!何だよいきなり!」

 

 

堕紅「遊馬・・、お前が寝てる間に面倒なことになったぞ。」

 

 

遊馬「え?」

 

 

遊馬が顔を上げ教室のモニターを確認する、そこには等々力孝と九十九遊馬の名前が映っていた。それぞれの名前の上にはゲージがあり、遊馬の方のゲージは孝のを上回っていた。

 

 

遊馬「何だこれ?」

 

 

堕紅「あれは・・」

 

 

 

 

孝「・・・・次の委員長は、九十九遊馬君に・・決定しました。」

 

 

 

 

遊馬「・・・はあああっ!?!?」

 

 

堕紅はクラスのことも考えて孝に入れたが、最近の出来事もあり遊馬の票が孝を大きく上回ってしまった。

 

 

 

小鳥「遊馬が多数決で等々力君に勝っちゃったの。」

 

 

真月「僕が遊馬君を推薦しておいたんです。」

 

 

アストラル「遊馬、私には君が集団のリーダーとなる資質はない・・。」

 

 

ヒータ「同感。」

 

 

クラスの角で色々話す中、モニターの前の孝は少々落ち込んでいた。

 

 

孝(僕が委員長で無くなった今、僕は一体・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[生徒会室]

 

 

神宮寺「九十九遊馬。度重なる遅刻、臆面もない早弁、不可解な独り言、校内の風紀を乱しているあいつが委員長だと!?」

 

 

ギラグ「そうだ、あり得ねえ!」

 

 

神宮寺「ギラグ様。」

 

 

ギラグ「おう、副生徒会長。」

 

 

神宮寺(キング・オブ・生徒会長と呼ばれてきた、この神宮寺 守。今は副生徒会長の身ではあるが、九十九遊馬なんぞ、私が)

 

 

神宮寺「ギラグ様より授かったこのカードを使って必ず・・。」

 

 

生徒会役員達「バリアン世界のために!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[休み時間 屋上]

 

 

堕紅「あ」

 

 

太陽に照らされながら横になっていた堕紅は、ふとあることを思い出した。

 

 

ヒータ「どうしたの堕紅?」

 

 

ヒータは今、購買で堕紅に買わせた焼きそばパンを横で食べている。ただパンを持つ、食べることができるのは実体化しないとできない、だから人のいない屋上なら大丈夫だろうと思ってここに来ていた。

 

 

堕紅「いや、さっき委員長が遊馬に決まっちゃったじゃん。あの場面はアニメでもあって、生徒会がギラグに洗脳されるってのがあるんだ。」

 

 

ヒータ「へえ、そしたら洗脳された生徒たちが襲いに来たりとかするの?」

 

 

堕紅「そうじゃない、委員長の役目がなくなった孝も含めて、風紀コマンダーとかいう奴になったんだ。」

 

 

ヒータ「何それ?」

 

 

堕紅「要は校則をやけに気にする風紀委員みたいな。」

 

 

ヒータ「うわあ、めんどそう。」

 

 

堕紅「俺としては、ヒータが見つからなければ何の被害もないと思うがな。」

 

 

ヒータ「確かに。」

 

 

ヒータは持っていたパンをまるごと口に放り込んだ。

 

 

ヒータ「ほうふぁ、ふぁふぁうひっふぁふぉうふぉ(それじゃ、はやくいっちゃおうよ)。」

 

 

堕紅「まず全部飲み込んでから話そう。あっ、よく噛めよ。」

 

 

ヒータ「ふぉおふぇー(おっけー)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[生徒会室]

 

 

遊馬「ったく!なんでもかんでも違反違反って冗談じゃねえ!」

 

 

神宮寺「だが九十九遊馬、君が校則に従えば良いんじゃないか。それになぜ君がそんなことを言えるのかい?」

 

 

遊馬「なぜって・・、い、委員長だからだっ!!」

 

 

孝(・・!)

 

 

神宮寺「よし、分かった。生徒会長に代わって、生徒会副会長、神宮寺 守が君とのデュエルに勝利したら、君は退学です。では、特命風紀コマンダー。デュエル中の校則違反のチェックを。」

 

 

孝「・・・はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[室内プール]

 

 

 

神宮寺&遊馬「デュエル!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[生徒会室前]

 

堕紅は神宮寺が生徒会長なのかを確認するため生徒会室前まで来ていた。

 

 

ガチャ(扉を開ける音)

 

 

堕紅「失礼します・・・あれ?」

 

 

生徒会室には今、誰もいない。恐らくは風紀コマンダーとして校舎を巡回してるのだろうが、生徒会長や副会長はあまりいなくなる事はないはずだ。堕紅が生徒会室の壁を見ると、生徒会のメンバー表が張ってあった。

 

 

ヒータ「神宮寺 守・・・この人、副会長って書いてあるけど?」

 

 

堕紅「・・・今の生徒会長は、違うっぽい。」

 

 

ヒータ「え?でも、アニメではこの人が生徒会長なんでしょ?」

 

 

堕紅「そのはずなんだけど・・・、やっぱもう一度会って確かめないといけないかもな。」

 

 

 

生徒会長 霧島 水季

 

 

 

ヒータ「霧島・・って誰?」

 

 

堕紅「どうやら、ここの生徒会長らしいね。アニメと違って。」

 

 

ヒータ「ふうん、どんな人なのかしらね。」

 

 

堕紅「・・・あ、そういや昨日、ヒータは家に居たんだっけ。色々ありすぎてて忘れてた。」

 

 

ヒータ「何のこと?私がエリアとデッキ構築してる間に何かあったの?」

 

 

堕紅は昨日会った霧島先輩について話した。と言っても、話したことは少なく、彼女自身が生徒会長であることを自白したこと、ライトロードデッキでこの世界では強い方のデュエリストであること、そのくらいだ。最も堕紅が知ってる彼女の情報がそのくらいしかない。

 

 

ヒータ「じゃあ、霧島さんは生徒会の中で神宮寺より上の立場であり、デュエルの腕も中々のデュエリスト、そしてアニメにはいなかったキャラクターってこと?」

 

 

堕紅「そうなるな。」

 

 

ヒータ「へえー。」

 

 

堕紅「うん。」

 

 

ヒータ「・・・」

 

 

堕紅「・・・」

 

 

話すことが無くなった。

 

 

堕紅「とりあえずそろそろ遊馬と神宮寺がデュエル始めてるだろうし、そっち行ってみるか。」

 

 

ヒータ「ええ、そうね。」

 

 

そうして堕紅とヒータは生徒会室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室の机の裏、そこには汗だくになった女子の姿があった。

 

 

水季「・・・見つかってない・・よね?」

 

 

水季(いきなり誰か入ってきたから、誰かと思って隠れたけど・・今の声って、堕紅君だよね。)

 

 

水季「でも隣に居た子って、誰なんだろ?」

 

 

 

 

 

?「たぶん、僕と同じ「精霊」なんじゃないかな?」

 

 

水季「ああ、なるほど、・・てことは、まさか!?」

 

 

?「まさか!?・・・なに?」

 

 

水季「まさかあの子も・・・堕紅君もなの!?」

 



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第十一話 謎の驚異「-No.」

孝「遊馬君、見てて下さい!これが等々力 孝の・・・とどろビングですっ!!」

 

 

孝は来ていた風紀コマンダーの服を投げ捨て、制服のまま飛び込み台からプールへと飛び込んだ。

 

 

孝「このデュエルに校則はもう関係ありません!とどのつまり、存分にやっつけちゃってください!!」

 

 

一時は自分が学級委員になれなかったことを理由に、自ら風紀コマンダーになってしまった。

 

だが遊馬の説得により、孝は自分自身の希望を掴むことができたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒータ「とどろビングって?」

 

 

堕紅「ああ!ともかくこれで迷惑な召喚制限もなくなったようだな。」

 

 

ヒータ「んで、どうする?これから。」

 

 

今、堕紅とヒータは温室プールの入り口まで来たが、その手前で風紀コマンダーが数人ほど守護兵のように立ちはだかっていた。

 

 

ヒータ「このデュエル、結局遊馬が勝つんでしょ。あの警備を突破しなくても良いんじゃない?」

 

 

堕紅「そうだな、ここは遊馬に任せt」

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ

 

 

 

 

 

 

 

 

学校の外、高層ビルの中心辺りに雷鳴を轟かせ、この世のものとは思えない真っ赤な落雷が落ちてきた。

 

 

堕紅「!?」

 

 

ヒータ「え!?ちょちょ!!」

 

 

天気は快晴、雲一つない青空、それなのに落雷が落ちてくるなどあり得ないことだ。

 

 

ヒータ「どうする!?どうする!?」

 

 

堕紅「校則・・・いや、もう校則とか言っていられん!!行くぞヒータ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ざわ  ざわ  (人々のざわめき)

 

 

現場には既に警察が駆けつけていた。幸い、一人を除いて負傷者は誰もいなかったようだ。

 

 

そこには雷で焦げついたコンクリート、そしてその真ん中に真っ黒になったデュエルディスクと焼死体が転がっている。

 

 

 

ヒータ「これってさ・・ニュースで言ってたのと、関係・・あるのかな?」

 

 

堕紅「わからないけど・・・ん?」

 

 

周囲の人々が死体に群がっている中、その集団からそっと出てきた女の子が目に止まった。身長は中学生くらい、銀髪のショートカットの子だ。

 

皆が焼死体に夢中になる中、彼女だけはそれに興味を一切示すことなく、ビルの隙間から暗い路地裏に入っていった。

 

 

ヒータ「ねえ、堕紅。今の子、怪しい気がする。」

 

 

堕紅「俺もだ、ちょっとついてってみよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「あの子はこんなところに何の用できたんだ?」

 

 

ヒータ「さあ、でも雷が落ちた現場の近くにいたし、何かしらの情報は聞けるかもね。」

 

 

堕紅「そうだな・・・・・」

 

 

ヒータ「・・・・堕紅?」

 

 

堕紅「・・・・・」

 

 

ヒータ「だ、堕紅ったら!どうしたの!?」

 

 

堕紅とヒータはビルの間を真っ直ぐ来ただけだ。途中に別れ道は一本もなかった。それなのに堕紅の目線の先には別のビルで塞がれており行き止まりとなっていた。

 

 

ヒータ「あれ!?女の子がいない!?」

 

 

堕紅「何処に消えた?」

 

 

 

 

?「私はここだよ。」

 

 

堕紅&ヒータ「っ!?」

 

 

二人は気がつかなかった。さっきまで追跡していた女の子に逆に追跡されていたようだ。

 

 

堕紅「いつのまに後ろに!?」

 

 

堕紅はとっさにデュエルディスクを構える。

 

 

女の子「・・あなたもデュエリストなんだ。」

 

 

堕紅「ああ、俺はごく普通のデュエリストだ。そんな俺から一つ質問させてもらっても良いか?」

 

 

女の子「別にいいけど、条件があるんだよね。」

 

 

堕紅「条件?」

 

 

 

 

 

女の子「うん、

 

 

 

 わ た し に 焼 か れ て か ら 」

 

 

 

 

 

そう言うと彼女もデュエルディスクを構えてきた。

 

 

堕紅&ヒータ「!!」

 

 

堕紅「ヒータ!気を引き締めていくぞ!」

 

 

堕紅&女の子「デュエル!!」

 

 

女の子「私のターン、私はモンスターをセットし、カードを一枚セット。ターンエンド。」

 

 

堕紅「俺のターン、ドロー!俺は手札から「陽炎柱」を発動!これで俺は「陽炎獣」の召喚のためのリリースは必要なくなった!俺はサーベラスを召喚!」

 

 

 

「陽炎獣 サーベラス」星6 炎属性・獣族

ATK2000 DEF200 攻撃表示

 

 

 

堕紅「バトル!サーベラスでセットモンスターを攻撃!」

 

 

女の子「引っかかったよ!破壊されたのは「シャインエンジェル」!このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られたとき、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスターを攻撃表示で特殊召喚できる!」

 

 

 

「シャインエンジェル」星4 光属性・天使族

ATK1400 DEF800 守備表示

 

 

 

ヒータ「リクルーターね、出てくるのは?」

 

 

女の子「お父さん・・「Otoサンダー」を特殊召喚!」

 

 

 

「Otoサンダー」星4 光属性・雷族

ATK1300 DEF600 攻撃表示

 

 

 

ヒータ「・・・お父さん?」

 

 

堕紅「(何でモンスターをお父さんなんて・・)俺はカードを一枚セットしターンエンド。」

 

 

女の子「私のターン、ドロー!私は「Otoサンダー」の効果を発動!手札の雷族・光属性・レベル4モンスターを召喚する!・・・お母さんっ!「Okaサンダー」を召喚!」

 

 

 

「Okaサンダー」星4 光属性・雷族

ATK1400 DEF700 攻撃表示

 

 

 

堕紅「今度はお母さんって・・。」

 

 

ヒータ「・・・もしかして、あの子・・・。」

 

 

女の子「「Okaサンダー」の効果発動!手札から雷族・光属性・レベル4モンスターを召喚・・・お姉ちゃん、「Oneサンダー」を召喚。」

 

 

 

「Oneサンダー」星4 光属性・雷族

ATK900 DEF400 攻撃表示

 

 

 

ヒータ「お姉ちゃん・・・。」

 

 

堕紅「・・・レベル4が三体ってことは、エクシーズが来る!ヒータ、とにかくこのデュエルに勝って、あの子を。」

 

 

ヒータ「・・うん。」

 

 

堕紅「それと、もし彼女が雷の原因なら、多分彼女の中にもNo.が入ってるのかもしれない、早く彼女の中から引っ張りだそう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女の子「ふふっ」

 

 

堕紅「・・?」

 

 

女の子「ふふふふふふふ」

 

 

ヒータ「・・・堕紅。」

 

 

女の子「あはははははははははははははははははははははははは」

 

 

ヒータ「早く助けてあげよう。」

 

 

女の子「私は「Otoサンダー」「Okaサンダー」「Oneサンダー」の三体のモンスターでオーバーレイ!」

 

 

堕紅「来るか!(もし俺の推測が正しければ、出てくるのは「No.91 サンダー・スパーク・ドラゴン」のはず、さっさと片づけないと!)」

 

 

 

 

 

 

 

女の子「現れろ、-No.91(マイナスナンバーズ91)!!」

 

 

 

 

 

 

 

堕紅&ヒータ「え!?」

 

 

女の子「愛しき人々を飲み込み、寂しき雷を地に降らせ!エクシーズ召喚!サンダー・デッド・ドラゴン!!」

 

 

 

「-No.91 サンダー・デッド・ドラゴン」黒星4 光属性・ドラゴン族

ATK2400 DEF2000 攻撃表示

 

 

 

ヒータ「なに・・これ・・」

 

 

堕紅「マイナスナンバーズ・・・だと!?」

 

 

突如現れたその龍は堕紅の知っている「No.91 サンダー・スパーク・ドラゴン」の姿に似てはいるが、紫色の体と辺りを弾けとぶ赤い電撃、そしてサンダー・デッド・ドラゴンの頭には、本来のNo.にも似たように「-No.91」と書かれている。

 

 

女の子「サンダー・デッド・ドラゴンの効果発動!墓地のレベル4以下の光属性モンスターを対象とし、そのモンスターの攻撃力を相手ターン終了時まで自らの攻撃力に加える!私は「シャインエンジェル」を対象とし、サンダー・デッド・ドラゴンにその攻撃力を加える!」

 

 

 

「-No.91サンダー・デッド・ドラゴン」

ATK2400 → ATK3800

 

 

 

堕紅「攻撃力3800!?」

 

 

女の子「バトル!サンダー・デッド・ドラゴンでサーベラスに攻撃!デス・サンダー!!」

 

 

 

堕紅LP4000 → LP2200

 

 

 

堕紅「っく!サーベラスが破壊されたとき、デッキから「ヘイズ」カードを手札に加える、俺は「陽炎獣 ペリュトン」を手札に・・・。」

 

 

女の子「ターンエンド。」

 

 

堕紅(-No.(マイナスナンバーズ)か・・・、原作にはいなかったこのカードは、一体何なんだ・・。)

 

 

ヒータ「迷っててもしょうがないわよ、あなたはいつものようにデュエルすれば大丈夫。」

 

 

堕紅「・・そうだな、俺のターン、ドロー!俺は手札から「陽炎獣 ペリュトン」を召喚!」

 

 

 

「陽炎獣 ペリュトン」星6 炎属性・炎族

ATK1600 DEF1700 攻撃表示

 

 

 

堕紅「ペリュトンのモンスター効果発動!ペリュトン自身と手札の炎属性モンスター「陽炎獣 スピンクス」を墓地に送り、デッキから二体の陽炎獣を特殊召喚する!現れろ、スピンクス!ヒュドラー!」

 

 

 

「陽炎獣 スピンクス」星6 炎属性・獣戦士族

ATK1900 DEF1900 攻撃表示

 

 

 

「陽炎獣 ヒュドラー」星6 炎属性・恐竜族

ATK2300 DEF200 攻撃表示

 

 

 

女の子「レベル6のモンスターが二体ね・・。」

 

 

堕紅「行くぞ、俺はスピンクスとヒュドラーでオーバーレイ!紅蓮の炎まといし鳳凰よ!今一度その姿現し、この地の全てを焼き払え!エクシーズ召喚!舞え!「陽炎獣 バジリコック」!」

 

 

 

「陽炎獣 バジリコック」黒星6 炎属性・炎族

ATK2500 DEF1800 攻撃表示

 

 

 

堕紅「素材となったヒュドラーの効果により、墓地のサーベラスをバジリコックのオーバーレイユニットとする。」

 

 

女の子「別に構わないわ、それで?あなたのモンスターの攻撃力はサンダー・デッド・ドラゴンの攻撃力に届いてないけど?」

 

 

堕紅「問題ないのさ!バジリコックの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、相手フィールドか墓地のモンスター一体を除外する!もちろん俺は、サンダー・デッド・ドラゴンを、[女の子]「させないよ!サンダー・デッド・ドラゴンの効果発動!このカードが相手モンスターの戦闘対象及び効果対象になったとき、エクシーズ素材を全て取り除いて相手フィールドの効果全てを無効とし、モンスターは全て除外する!」

 

 

堕紅「何だと!?」

 

 

 

 

女の子「 全 部 消 え ちゃ え ! ディスぺアサンダー!!」

 

 

 

 

サンダー・デッド・ドラゴンのオーバーレイユニットが本来のモンスター達の姿形になり、辺りの赤い電撃と共にバジリコックと三人のサンダーモンスター達が飲み込まれていく。

 

 

堕紅「バジリコックが・・・。」

 

 

ヒータ「次の攻撃を受けたら・・・。」

 

 

女の子「終わったようね。やっぱり皆諦めるよね。」

 

 

 

 

 

 

堕紅「・・・いやまだライフはある。諦めなんかしない!俺はターンエンド!」

 

 

 

 

 

 

「-No.91 サンダー・デッド・ドラゴン」

ATK3800 → ATK2400

 

 

 

女の子「・・・正気なの?サンダー・デッド・ドラゴンの攻撃力は元に戻るけど、また墓地のモンスターを選んで攻撃力が上がるんだよ?」

 

 

堕紅「まだ命がある限り諦める理由なんかない、必ず一筋くらい希望はある!」

 

 

女の子(・・・そんなこと、)

 

 

ヒータ「そう、私たちは負けてなんかいない。それにまだやるべきことがある!」

 

 

女の子(・・?)

 

 

 

 

ヒータ「あなたを助けること!だから諦めちゃ駄目なのよ!」

 

 

 

 

女の子(・・・・、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(もう駄目・・ごほっごほっ・・・火がすぐそこまで・・・・誰か・・・)

 

 

 

 

 

 

(「来菜っ!!」)

 

 

 

(お・・おね・・)

 

 

 

(「大丈夫!?早く逃げr・・・」)

 

 

 

 

(もう・・駄目だよ・・、お姉ちゃん・・私はいいから・・逃げ)

 

 

 

 

 

 

 

( 「諦めちゃ駄目!!」 )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜「わ、私のターン。(・・・駄目だってお姉ちゃん、助けに来なければ・・・)サンダー・デッド・ドラゴンの効果発動、墓地の「Okaサンダー」の攻撃力、1400を自らの攻撃力に加え・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(来菜、学校はどうだった?)

 

 

 

(うん!楽しかった!)

 

 

 

(そう、気に入ってくれて良かったわ。)

 

 

 

(お母さん聞いてよw、来菜ったら一番に手挙げて堂々と間違った答え言ったんだよw)

 

 

 

(お、お姉ちゃん!それは秘密って言ったじゃん!)

 

 

 

(あらあら、しょうがないわね。)

 

 

 

(まあ良いじゃないか、次頑張れば良いんだからな。)

 

 

 

(・・うん!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜「・・・・・・(私は・・、これから・・ずっとひとりぼっち・・なのかな・・・。)・・・・」

 

 

-No.に支配されている彼女は、不快に笑う顔に、

 

 

 

 

 

 

 

 

一筋の涙を流した

 

 

 

 

 

 

 

 

「-No.91サンダー・デッド・ドラゴン」

ATK2400 → ATK3800

 

 

 

来菜「バトル、サンダー・デッド・ドラゴンで攻撃!これでっ!これで全部終わりなんだあああああああああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「トラップ発動!攻撃の無力化!相手モンスターの攻撃を無効とし、バトルを強制的に終わらせる!」

 

 

来菜「っ・・・ターンエンド。」

 

 

堕紅「俺のターン、ドロー!」

 

 

来菜「・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(もう、私の日常はもどってこない。お父さんも、お母さんも、お姉ちゃんも・・・。

 

 

 

 

 

諦めるな・・か・・・

 

 

 

 

 

 

 

(「諦めちゃ駄目!!」)

 

 

 

 

 

 

 

(お、お姉ちゃん!?服が、服燃えてるよ!熱くないの!?)

 

 

 

(「熱いよ!とっても!背中がとっても痛いけど、そんなことはいいの!」)

 

 

 

(そこまでして・・何で私を・・)

 

 

(「大切な家族だから!当たり前じゃないっ!!私は諦めたくないの!!

 

 

だから

 

 

 

来菜も希望を捨てないでっ!!諦めないで!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜「・・・私は、諦めない。」

 

 

 

ヒータ「え・・?」

 

 

来菜「私・・火事でお家は焼けちゃった・・・お父さんも、お母さんも、気がついたときにはもういなかった・・・。もうすぐそこまで火が来たとき、もう駄目って思ったの。そんなとき、お姉ちゃんが助けに来た、お姉ちゃんだって・・熱くて・・苦しいはずなのに、私を助けて・・・・・・結局お姉ちゃんも大きな火傷で・・・。」

 

 

堕紅「・・・・」

 

 

来菜「これからどうしよっかって考えてたとき、何か真っ黒いものが現れて、いつの間にかこんなことばかりするようになった・・。」

 

 

堕紅「(・・・-Noは、そのときに入ったのか、この子の中に・・)」

 

 

来菜「・・・お姉ちゃんも言ってた。諦めないでって。もう、お姉ちゃんには会えないけど、お姉ちゃんがくれたカードと精一杯生きる!だから、お願い!私を助けて!」

 

 

 

 

 

堕紅「ああ!もちろんだ!必ずお前を助けてやる!俺は魔法カード「真炎の爆発」を発動!!墓地の守備力200以下の炎属性モンスターを可能な限り特殊召喚する!来いっ、サーベラス!ヒュドラー!」

 

 

 

「陽炎獣 サーベラス」星6 炎属性・獣族

ATK2000 DEF200攻撃表示

 

 

 

「陽炎獣 ヒュドラー」星6 炎属性・恐竜族

ATK2300 DEF200攻撃表示

 

 

 

堕紅「また行くぞ!俺はサーベラスとヒュドラーでオーバーレイ! 紅蓮の炎まといし鳳凰よ!もう一度その姿現し、赤き雷を焼き払え!エクシーズ召喚!舞え!「陽炎獣 バジリコック」!」

 

 

 

「陽炎獣 バジリコック」黒星6 炎属性・炎族

ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 

 

堕紅「バジリコックの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、サンダー・デッド・ドラゴンを除外する!彼女の心から離れろ!業火の火種!」

 

 

 

バジリコックの炎を受けてサンダー・デッド・ドラゴンは炎の中に消えていった。同時に彼女の表情は不敵な笑みから純粋な表情に戻った。

 

 

 

来菜「っはあ、はあ。」

 

 

ヒータ「大丈夫!?」

 

 

来菜「っうん。大丈夫、でもまだあのモンスターが生きてる気がする、早く私を倒して!」

 

 

堕紅「ああ、すぐに終わらせる!だから諦めるな!!俺は「死者蘇生」を発動!墓地のスピンクスを特殊召喚!」

 

 

 

「陽炎獣 スピンクス」星6 炎属性・獣戦士族

ATK1900 DEF 1900 攻撃表示

 

 

 

堕紅「バトル!スピンクスで彼女にダイレクトアタック!」

 

 

 

来菜LP4000 → LP2100

 

 

 

堕紅「これで終わりだっ!バジリコック、陽炎爆裂(ヘイズエクスプロージョン)!!」

 

 

 

来菜LP2100 → LP0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅 win

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜のライフが0になると共に、来菜の体から黒い煙が沸き上がってくる。それらは来菜の頭上で固まりあった後、カード化し堕紅の足元に落ちた。

 

堕紅は落ちてきたカード「-No.91 サンダー・デッド・ドラゴン」を懐にしまった。

 

 

ヒータ「ねえ!大丈夫!?ねえったら!!」

 

 

ヒータが倒れ込んだ彼女に必死に呼びかけているが目を開けない。堕紅はとっさに彼女の脈を確認する。

 

 

堕紅「・・・脈は動いてる。気絶しただけだ、とにかくこの子を運ぼう。」

 

 

ヒータ「家でいいよね?」

 

 

堕紅「ああ、行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「ところで、何で彼女はヒータのことが見えてるんだ?」

 

 

ヒータ「あっ」

 



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第十二話 この先

お久しぶりです、うぷ主こと妖牙です。

今回、一つお知らせが有ります。

最近新しいルールが発表され、リンクモンスターの登場やエクストラの召喚制限などが判明しました。

ですが、私はこれらの要素はこの物語にいれるつもりはありません。

マスタールール2で書いていこうと思っています。

これからもよろしくお願いします!




今、来菜は真っ暗な空間にぽつんと立っている。彼女自身、なぜここにいるのか覚えていない。

 

来菜が辺りを見回していると、彼女の視界に見覚えのある人物が映った。

 

 

来菜「お、お姉ちゃん?」

 

 

来菜の姉は後ろ姿のまま、真っ暗な闇の中へ歩きだす。

 

 

来菜「お姉ちゃん!待って!」

 

 

来菜は必死になって走り出した。少しでも姉に会いたい、姉の顔を見たい、たくさんの思いが来菜の足を動かしている。

 

だがなぜか姉には中々近づけない、それどころか遠ざかっていく。来菜がどれだけ姉に会いたいと願っても、姉は振り向くことなく深い闇に自ら踏み込んでいく。

 

 

来菜「お姉ちゃっ!?」

 

 

来菜は何かにつまずき転んでしまった。

 

足元を見ると紫と黒の混じった煙が足を掴み、来菜を爪先から闇に引き込んでいく。体が闇に包まれる中、その間から姉の後ろ姿が見える。

 

 

来菜「お姉ちゃん!!」

 

 

来菜の声が耳に届いたのか、姉は後ろを振り向こうとした。

 

だがその姉に巨大な黒い怪物が、姉に食らいついた。

 

 

来菜「う、うわあああああああああああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜「っはあ!・・・・はあ、はあ。」

 

 

ヒータ「あっ、起きた!大丈夫!?痛いとこない!?」

 

 

来菜「・・・うん。」

 

 

ヒータ「よ、良かった~。」

 

 

来菜「・・ここは何処?」

 

 

堕紅「俺たちの家だよ。」

 

 

ヒータ「あ、堕紅。」

 

 

堕紅「数時間で起きて良かった、良かった。」

 

 

来菜「・・皆さん、ありがとうございます。」

 

 

堕紅「お礼は大丈夫だよ、ただ聞きたいことがあるんだけど・・。」

 

 

来菜「なんでも聞いて良いですよ。」

 

 

堕紅「ありがとう・・(デュエルしてた時とのギャップが・・・)」

 

 

 

来菜に堕紅たちが聞いたことは三つほどだ。

 

 

まず一つ目は、彼女自身について。

 

佐藤来菜(14)、ハートランドに家族四人で住んでいたが、一年前に落雷で家族を失った。来菜がはっきりと覚えていたのは、家が焼け落ちる姿と、途方に暮れてた時に真っ黒な何かが包み込んだことだ。それが何なのかは検討もつかないらしかったが、それは彼女も堕紅とヒータも分かる気がする。

 

 

二つ目、今まで何をしていたか覚えているか。

 

彼女が覚えていたのは何人もの人とデュエルをしたこと。でもずっと体の自由が利かなくて、自分の意思では何もできなかったらしい。

 

 

三つ目、来菜が持っていた「-No.」について何か知っているか。

 

来菜のデッキ自体は元から使っていたものだが、-No.に関しては何も知らないと言った。

 

 

堕紅「大体分かったよ、でもこれからどうする?」

 

 

来菜「うーん・・・。」

 

 

来菜はふと窓の外を見る。

 

 

来菜「・・ここの近くにおばあちゃんの家があるの。そこに行ってみる。」

 

 

ヒータ「そう?私たちも着いて行った方がいい?」

 

 

来菜「大丈夫。・・・えーっと、名前なんでしたっけ?」

 

 

ヒータ「私はヒータ。」

 

 

堕紅「俺は堕紅。」

 

 

来菜「ヒータさん、堕紅さん、ありがとう。」

 

 

堕紅「礼には及ばないって。」

 

 

 

その話の最中に部屋のドアが開き、エリアが入ってきた。

 

 

エリア「堕紅っ、牢屋作って入れといたよ。」

 

 

堕紅「ごくろうさん、エリア。」

 

 

来菜「?その人は?」

 

 

エリア「あっ、起きたんだね。私はエリア。」

 

 

ヒータ「堕紅?牢屋って?」

 

 

牢屋というのは二重の金庫の事である。中にあるのは回収した「-No.91 サンダー・デッド・ドラゴン」が厳重に保管されている。

 

 

堕紅「また何かやらかす前に、こうして閉じ込めておいた方が良いと思ってな。」

 

 

エリア「凶悪な精霊でもあるから、金庫の中で「ゲート・ガーディアン」に見張ってもらってる。目には目を、精霊には精霊をってね。」

 

 

ヒータ「なるほど。」

 

 

堕紅「あ、そうだ来菜、これからのことなんだけど・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜「色々とありがとうございました。」

 

 

ヒータ「また来てね!」

 

 

堕紅「気をつけて行けよ。」

 

 

来菜「はい、それでは。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅たちの家を離れた来菜は、おばあちゃんの家の手前まで来ていた。

 

一年前から行方不明だった自分を見たら、おばあちゃんはどんな顔をするだろう。嬉しく思うのか、叱ってくるのか、それは来菜にはまだ分からない。

 

そんなことを考えていると、前から男二人が近づいてきた。

 

 

来菜「・・・なんですか。」

 

 

DQN A「別に難しいことじゃないんだがな・・・嬢ちゃんのカードがほしいんよ。」

 

 

来菜はすぐ理解した。前のおじさんたちは、あまり良い人ではないということを

 

 

DQN B「嬢ちゃんの持ってるカードをここに置いて行ってくれれば何もしないから・・・早く出しな。」

 

 

DQN B(ま、本当はこんな真似したくないんだが・・。)

 

 

DQN A(ボスに大目玉くらって、だいぶ下に落ちちまった俺たちは、もうカツアゲする他ないんだよ・・。)

 

 

DQN B(すまんね、嬢ちゃん・・。適当なカード出して帰んな。)

 

 

 

来菜「嫌です。」

 

 

 

DQNB「は?」

 

 

来菜「私の宝物を・・家族を渡すわけには行きません。」

 

 

DQN B「ちっ、仕方ねえ!嬢ちゃん、俺らも引くわけには行かねえんだ、デュエルしろ!」

 

 

DQN A「負けたらカード全部置いて、お家に帰りやがれ!」

 

 

来菜は真っ直ぐな目で男たちをにらみつける。

 

 

来菜「私は、負けません!」

 

 

DQNら&来菜「デュエル!」

 

 

DQN A「俺のターン!俺は「カオスライダー グスタフ」を攻撃表示で召喚!」

 

 

 

「カオスライダー グスタフ」 星4 風属性・戦士族

ATK1400 DEF1500 攻撃表示

 

 

 

DQN A「さらに俺は「デス・メテオ」と「ファイヤーボール」を発動!嬢ちゃんに1500ダメージを与える!」

 

 

来菜「っ、まだまだ!」

 

 

 

来菜LP4000 → LP2500

 

 

 

DQN A「カードを一枚セットし、ターンエンド!」

 

 

来菜「私のターン!私は「シャインエンジェル」を召喚!」

 

 

 

「シャインエンジェル」 星4 光属性・天使族

ATK1400 DEF800 攻撃表示

 

 

 

来菜「バトルです!「シャインエンジェル」でグスタフを攻撃!」

 

 

DQN A「相討ち狙いか?残念だったな、トラップ発動、「援軍」!グスタフの攻撃力を500あげるぜ!」

 

 

 

「カオスライダー グスタフ」

ATK1400 → ATK1900

 

 

 

来菜「うわ!」

 

 

 

来菜 LP2500 → LP2000

 

 

 

来菜「破壊された「シャインエンジェル」の効果発動!デッキから1500以下のモンスターを特殊召喚します!おかあ・・「Okaサンダー」を特殊召喚!」

 

 

 

「Okaサンダー」 星4 光属性・雷族

ATK1400 DEF700 攻撃表示

 

 

 

来菜「私は「Okaサンダー」の効果で雷族・光属性・レベル4のモンスターを召喚します!おと・・「Otoサンダー」を召喚!」

 

 

 

「Otoサンダー」 星4 光属性・雷族

ATK1300 DEF600 攻撃表示

 

 

 

来菜「さらに「Otoサンダー」の効果により、同じように手札からおねえちゃ・・お姉ちゃんを!「Oneサンダー」を召喚!」

 

 

 

「Oneサンダー」 星4 光属性・雷族

ATK900 DEF400 攻撃表示

 

 

 

来菜「これは全部私の宝物であって、家族!誰にも渡したりするもんか!」

 

 

DQN B「・・・そっちに都合があるように、俺たちにも都合がある。」

 

 

DQN A「嬢ちゃんには悪いが、カードは全部頂くぞ!」

 

 

来菜「そんなことさせない!私は「Okaサンダー」「Otoサンダー」「Oneサンダー」の三体でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

 

 

DQN A「何だと!三体でエクシーズ!?」

 

 

 

 

来菜「暗き道を明るく照らし、輝く未来を見つけ出せ!「サンダー・プリンセス」!」

 

 

 

 

「サンダー・プリンセス」 黒星4 光属性・雷族

ATK2200 DEF1800 攻撃表示

 

 

 

DQN A「攻撃力2200かい!やってくれるじゃねえか!」

 

 

来菜「これが私の新しいデッキっ・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜「デッキを再構築?」

 

 

堕紅「ああ、デッキをちょっと見させてもらったんだが、どうやら家族のカード以外はマイナスナンバーズをサポートするようになってたんだ。」

 

 

ヒータ「マイナスナンバーズを抜いたから、デッキもまた組み直した方が良いんじゃないって思ったの。」

 

 

来菜「でも、私は他にはあまり持ってないけど・・。」

 

 

堕紅「それなら俺の家のカードをあげるよ。」

 

 

来菜「え!?いいんですか!?」

 

 

堕紅「俺たちは来菜のことが心配だから、あと。」

 

 

 

ヒータ「私たちみんーな、来菜ちゃんの友達だからね!」

 

 

 

来菜「友達・・・友達!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜「(堕紅さんやヒータさん、エリアさんに頑張ってもらった。私を助けて、カードまでもらった。これからは、私が頑張る番だ!)「サンダープリンセス」のオーバーレイユニットを一つ使い効果発動!デッキからレベル4・光属性・雷族モンスター一体を通常召喚扱いで特殊召喚する!」

 

 

DQN A「デッキから!?」

 

 

DQN B「通常召喚扱いでだと!?」

 

 

来菜「私は「電池メン-単四型」を召喚!」

 

 

 

「電池メン-単四型」 星4 光属性・雷族

ATK0 DEF0 攻撃表示

 

 

 

来菜「「電池メン-単四型」の効果発動!このカードが召喚かリバースしたとき、手札の「電池メン-単四型」を特殊召喚できる!」

 

 

 

「電池メン-単四型」 星4 光属性・雷族

ATK0 DEF0 攻撃表示

 

 

 

DQN B「レベル4モンスターが二体かい・・。」

 

 

 

来菜「私は「電池メン-単四型」二体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!「セイクリッド・オメガ」!」

 

 

 

「セイクリッド・オメガ」 黒星4 光属性・獣戦士族

ATK2400 DEF500 攻撃表示

 

 

 

DQN A「2400・・」

 

 

来菜「まだあっ!私はオメガのオーバーレイネットワークを再構築!」

 

 

DQN A「何!?」

 

 

来菜「エクシーズ召喚、来て!「セイクリッド・トレミスM7」!」

 

 

 

「セイクリッド・トレミスM7」 黒星6 光属性・機械族

ATK2700 DEF2000 攻撃表示

 

 

 

来菜「そして、「サンダー・プリンセス」がフィールドに表側でいるとき、私の光属性モンスターの攻撃力は300ポイントあがる!これが私の全力!」

 

 

 

「サンダー・プリンセス」

ATK2200 → ATK2500

 

 

 

「セイクリッド・トレミスM7」

ATK2700 → ATK3000

 

 

 

DQN A「攻撃力が・・がが、」

 

 

DQN B(おいおい・・、これはやばいって・・)

 

 

来菜「ターンエンド。」

 

 

DQN B「俺のターン、俺は「スカルライダーの儀式」を発動!手札の「ライライダー」と「ドラゴン・ライダー」を墓地に送り、儀式召喚!「スカルライダー」!」

 

 

 

「スカルライダー」 星6 闇属性・アンデット族

ATK1900 DEF1850 攻撃表示

 

 

 

来菜「儀式・・」

 

 

DQN B「俺たちはここに上京したのは良かったが、結局どこにも受け入れてもらえずに族に入った。」

 

 

DQN A「だが田舎者の俺たちには、エクシーズ召喚なんてわからねえし、大事なときに変な奴に邪魔されたおかげで族からも追い出されそうなんだよ。」

 

 

来菜「おじさんたちも大変だったんだね・・。」

 

 

DQN A「・・「も」ってことは嬢ちゃん・・・。」

 

 

 

来菜「私は、前を見ることにしたの。苦しくなったり、悲しくなっても、家族を思い出せば乗り切れる。」

 

 

DQN B「・・・家族か。」

 

 

DQN A「・・・かあちゃん・・ひぐっ。」

 

 

DQN B「泣くのはよせ、嬢ちゃんだって泣いてないんだぞ。」

 

 

もう来菜は泣かない、今まで涙が枯れるまで泣いたから。

 

 

DQN B「俺は「ディスクライダー」を召喚!」

 

 

 

「ディスクライダー」 星4 風属性・悪魔族

ATK1700 DEF1500 攻撃表示

 

 

 

DQN B「「ディスクライダー」の効果発動!相方の墓地の「援軍」を除外し、このターン中だけ攻撃力を500上げるぜ!」

 

 

 

「ディスクライダー」

ATK1700 → ATK2200

 

 

 

来菜「まだ攻撃力は届かないはず!」

 

 

 

DQN B「いや、魔法カード「受け継がれる力」を発動!「ディスクライダー」を墓地に送り、その攻撃力を「スカルライダー」に加える!」

 

 

 

「スカルライダー」

ATK1900 → ATK4100

 

 

 

DQN B「さらにもう一枚「受け継がれる力」を発動し、「カオスライダー グスタフ」を墓地に送り、その攻撃力を加える!」

 

 

 

「スカルライダー」

ATK4100 → ATK5500

 

 

 

来菜「攻撃力5500!?」

 

 

DQN B「この攻撃で決まる!あばよ嬢ちゃん、「スカルライダー」で「サンダー・プリンセス」を攻撃!」

 

 

 

 

 

来菜「・・・私は諦めない!そう誓ったの!手札の「オネスト」の効果発動!光属性モンスターがバトルする時このカードを墓地に送って、バトルする相手モンスターの攻撃力を私のモンスターに加える!」

 

 

 

「サンダー・プリンセス」

ATK2500 → ATK8000

 

 

 

DQNら「攻撃力、は、はっせん!?」

 

 

 

来菜「行って「サンダー・プリンセス」!ホープサンダー!!」

 

 

 

DQNら(二人で4000)LP4000 → LP1500

 

 

 

DQN A「ぐはっ!」

 

 

DQN B「返り討ちだと・・、た、ターンエンド。」

 

 

来菜「私のターン!「サンダー・プリンセス」!おじさんたちにダイレクトアタック!」

 

 

DQNら「ぐはああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

DQNら LP1500 → LP0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜 win

 

 

 

 

 

来菜「・・・勝てた、勝てたよ。私一人で・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後すぐにDQNらは地元へと帰ることにした。これからは実家の農業を手伝いながら、ゆっくりエクシーズ召喚を学ぶらしい。

 

来菜は無事、祖母の家にたどり着いた。昔からよく遊びに来ることもあり、来菜のことを可愛がってくれていた。多分、家族がいなくなってから来菜が行方不明になってることは知っているだろう。

 

 

来菜(・・・)

 

 

来菜は少し心配している。一年もの間いなくなっていた自分の孫が突然帰って来たらおばあちゃんはどんな顔をするのか、ちょっぴり怖い気もする。

 

でも、多分大丈夫。来菜には他の人には分からない家族がいる・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「あ」

 

 

来菜「?どうしました?」

 

 

堕紅「来菜の家族さ、デッキとしては三枚ずつ入れといてやりたいけど、大事なカードの見分けがつくかどうか・・・。」

 

 

来菜「・・・ペン。」

 

 

堕紅「?」

 

 

来菜「貸してもらえます?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来菜は玄関のチャイムを片手で鳴らし、もう片方の手でカードに触れた。

 

「おとうさん」「おかあさん」「おねえちゃん」とイラストの下部分に小さく書かれたカードを見ながら、玄関の扉がゆっくり開かれた。

 

 

来菜「おばあちゃん、来菜だよ・・。」

 

 

 

おばあちゃん「・・・来ちゃん?」

 



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第十三話 天渦制する煌

「ねえ、妖牙。」

「ハイ、ナンデショウカ?」

「この物語を書き始めたのはいつ頃だったっけ?」

「ハイ、アークファイブが始まった頃です。」

「終わったんだけど。もうヴレインズ始まったんだけど。」

「メタファイズ組みたいのに、近くのカードショップからラグナロクの声が聞こえません(泣)」

「中の子に関しては、既に高校生の歳なんだけど。」

「ヨグ-ソt「クトゥルフネタやめい。」

「・・・このシリーズいつまで続くの?」

「・・・サー?「ブルーアイズ!滅びのバーストストリーム!!」


ウワアアアアアアア(ry==



あ、夏の間はなるべく書くようにします。

遅れてすいませんでした。 byヒータ


堕紅「あ、はい。はいはい。お願いします。失礼します。」

 

 

来菜のことで色々と疲れた堕紅は、腹を壊したという単純且つ嘘で休みを取っていた。

 

 

ヒータ「来菜ちゃん、無事に家に帰れたかな?」

 

 

ベッドで枕を抱いたヒータは、今でも少し来菜のことが心配である。

 

 

堕紅「例え不良か何かに襲われたとしても、来菜のプレイングとあのデッキがあるなら問題はないはずだよ。試しにやったイメトレでも、初めて回したようには感じさせないプレイだったし。」

 

 

ヒータ「・・そうだね。」

 

 

堕紅「それはそれとして。」

 

 

固定電話の前で話してた堕紅はヒータのベッドに飛び込んだ。

 

 

ヒータ「ふ、ふおおっ!?」

 

 

ヒータとしては堕紅が突然真横に飛び込んできたことに驚くしかない。

 

 

ヒータ「だ、堕紅?」

 

 

堕紅「・・・ツカレター。」

 

 

ヒータ「え?」

 

 

堕紅「すんごい疲れた・・、周りに気使って原作曲げないようにして知らない驚異と戦って・・。アニメ見てたときは思わなかったけど、何かを隠し通すことがどれだけ辛いかがよく分かるわ。」

 

 

ヒータ「あ、ああ・・、ここじゃ気軽に融合やシンクロしたらまずいもんね。」

 

 

堕紅「せめてエクストラ使わずに、好き勝手なデュエルしたいな・・・。」

 

 

堕紅のデッキはエクストラを使うことこそ多いが、あまり使わずにメインデッキだけで回すデッキも何個かある。アニメとは関係のない部分でそれらが使えれば良かった。そんなとき、ベッドルームのドアが開きエリアが入ってきた。

 

 

エリア「ねえ堕紅・・・・とヒータちゃんが同じベッドに・・。」

 

 

ヒータ「いや!違うからねっ!私は堕紅とは何もなっt[堕紅]「ん?エリアが持っているのは何だ?」

 

 

エリア「そうそう、これポストに入ってたんだけど。」

 

 

エリアが持ってきたのは今日の新聞と一枚のチラシだった。

 

そこにはなんと「デュエル大会開催!優勝賞品あり!今日の未の刻・中央公園にて!参加者募集中!」と書かれていた。

 

 

堕紅(・・・これだ!)

 

 

エリア「どうする?出る?」

 

 

堕紅「あったりまえ!こんなチャンスはあんまりないからな。さーて、どのデッキを使おうか。」

 

 

ヒータ「ていうか堕紅は今日腹壊して休むことになってるよね。もし誰かにばったりあったら・・。」

 

 

堕紅「あ、ああ・・・。」

 

 

エリア「それなら私に考えがある!」

 

 

堕紅「それは何だ!?教えてくれエリア様!」

 

 

エリア「ふっふっふ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[中央公園]

 

 

司会「それでは今より、デュエル大会を開催します!果たして栄光の勝利を掴むのはどのデュエリストでしょうか!」

 

 

今日は平日ということもあり、学生や社会人は来れないものであったため、観客も少しだろうと思っていた。

 

TVカメラがスタンバっている、学校や職場などに中継が流れているらしい。このまま顔出しすれば、明日堕紅は職員室に足を運ぶことになるであろう。

 

だが、今の堕紅の顔はエリアに無理やり着させられたコレで見られることはない。

 

 

司会「ではさっそく行きましょう!第一回戦、町の人気者、羽鳥広太君!(はとりこうた)」

 

 

広太「俺が優勝してみせるぜ!」

 

 

司会「彼は去年の小学生の部、デュエル大会で一位をなし遂げました。今年は中学生になりましたが、今日学校はないんですか?」

 

 

広太「このデュエル大会を遠くから見てるわけにはいかないので、今日は学校休みました(笑)」

 

 

堕紅(あ、俺以外にもいたわ)

 

 

司会「そして、こちらは謎のベールに包まれ、自らの名を「ダークソード」と呼ぶデュエリストだ!その不気味な仮面の下にはどんな人がいるのでしょうか!?」

 

 

堕紅(どんな人って、ただの中学生だよ。)

 

 

堕紅としては、とにかく自分が堕紅本人とばれなければ良い、そう思った。だからエリアは「メタルシルバー・アーマー」を装備させたのだが、この重装備のままデュエルすることが恥ずかしくてしょうがない。

 

 

エリア「ダークソードよ、今こそお前の力を解き放ち、世界に闇をモタラスノダー!」

 

 

普通の人っぽく着替えてきたヒータとエリアが観客に紛れて声援(?)を送っている。今現在は普通の人としてみせるため、以前買っておいた服を着て、実体のまま立っている。

 

堕紅としては中二病のような言動は人前で絶対しないと決めつけておいていたが、この見た目じゃやらざる終えない。

 

 

ダークソード(略してDS)(堕紅)「少年よ!我の僕を打ち倒し、前に進むがいい!」

 

 

広太「望むところだ!」

 

 

DS&広太「デュエル!」

 

 

広太「俺のターン!俺は「素早いマンタ」を召喚!」

 

 

 

「素早いマンタ」星2 水属性・魚族

ATK800 DEF100 攻撃表示

 

 

 

広太「俺は手札から「大波小波」を発動!場にいる「素早いマンタ」を破壊して、手札から「アクアアクトレス・グッピー」を特殊召喚する!」

 

 

 

「アクアアクトレス・グッピー」星2 水属性・水族

ATK600 DEF600 攻撃表示

 

 

 

広太「さらに「大波小波」の効果によって墓地に送られた「素早いマンタ」の効果によって、デッキから「素早いマンタ」二体を特殊召喚するぜ!」

 

 

 

「素早いマンタ」星2 水属性・魚族

ATK800 DEF100 攻撃表示

 

 

 

「素早いマンタ」星2 水属性・魚族

ATK800 DEF100 攻撃表示

 

 

 

広太「そして「アクアアクトレス・グッピー」の効果により、手札からもう一体の「アクアアクトレス・グッピー」を特殊召喚する!」

 

 

 

「アクアアクトレス・グッピー」星2 水属性・水族

ATK600 DEF600 攻撃表示

 

 

 

DS「ふん!多くモンスターを並べても、それぞれの攻撃力は1000にも満たない。これだけで我に勝てると思うな!」

 

 

広太「勝負はこれからだ!俺は二体のマンタでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、「アーマー・カッパー」!」

 

 

 

「アーマー・カッパー」黒星2 水属性・サイキック族

ATK400 DEF1000 攻撃表示

 

 

 

司会「で、出たー!!広太君のエクシーズモンスター!!」

 

 

広太のエクシーズが場に出ると、観客もヒートアップしていく。

 

 

DS「ふっ、中々やるな。だが、それだけでは我には勝てんぞ!」

 

 

広太「今日は調子が良いんだ、見ろ!俺は二体のグッピーでオーバーレイ!エクシーズ召喚!「餅カエル」!」

 

 

(うわあああああああああああ!!)

 

 

DS「な、なかなかだな。ほめてやる・・。」

 

 

一位を取ったといっても小学生、でてくるモンスターもいうほど強いのはいないと思っていたが、まさか餅とはおもってなかった。

 

 

広太「「アーマー・カッパー」の効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、このカードの攻撃力を1000ポイントアップする!」

 

 

 

「アーマー・カッパー」

ATK400 → ATK1400

 

 

 

広太「俺はターンエンド!さあ、ダークソードなど、この俺がやっつけてやる!」

 

 

DSいいだろう!我のターン!」

 

 

広太「相手のスタンバイフェイズに「餅カエル」の効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、デッキからカエルを一体特殊召喚する!俺は「魔知ガエル」を特殊召喚!」

 

 

 

「魔知ガエル」星2 水属性・水族

ATK100 DEF2000 守備表示

 

 

 

広太「「魔知ガエル」がいる限り、他のモンスターには攻撃できないぜ!」

 

 

DS「ああ、いいだろう!我は「ブラック・ホール」で、貴様のモンスターを全て破壊する!」

 

 

ヒータ(え、えげつねえ・・・)

 

 

広太「俺は「餅カエル」の効果発動!自分の水族モンスターをリリースし、「ブラック・ホール」の発動を無効にして、そのカードを俺のフィールドにセットする。俺は「餅カエル」をリリースして無効にするぜ!」

 

 

DS(うん、知ってた。)

 

 

広太「さらに「餅カエル」が墓地に送られたときも効果発動!墓地の水属性モンスターを手札に加えるが、俺は「餅カエル」自身をエクストラデッキに戻す!これが俺の餅カエループだ!」

 

 

DS「確かにお前のコンボは強い。だが我には到底及ばない!我は手札から「大熱波」を発動!次の我のドローフェイズまで、お互いに効果モンスターを召喚・特殊召喚することは不可能となった!」

 

 

広太「何い!?」

 

 

DS「そして我は、フィールド魔法「幻煌の都 パシフィス」を発動!」

 

 

二人のデュエリストと観客たちをソリッドビジョンの海に入りこませた。

 

 

観客達「こ、こんなカード、みたことないぞ!」

 

 

DS「我は「メガロスマッシャーX」を召喚!」

 

 

 

「メガロスマッシャーX」星4 水属性・恐竜族

ATK2000 DEF0 攻撃表示

 

 

 

DS「通常モンスターが召喚に成功したとき、「幻煌の都 パシフィス」の効果を発動!デッキから「幻煌龍」カードを一枚手札に加える!我は「幻煌龍の戦渦」を加え、手札から発動する!」

 

 

司会「なんですと!?罠カードを手札から発動ですか!?」

 

 

DS「そうだ。「幻煌龍の戦渦」は、フィールドに海があるときなら、手札からも発動できるのだ。」

 

 

司会「ま、まさかこのフィールドは!?」

 

 

DS「そうだ、パシフィスは海としても扱う!「幻煌龍の戦渦」は、自分フィールドのモンスターが通常モンスターのみの場合、相手のカード一枚を破壊する。我が破壊するのは「アーマー・カッパー」だ!」

 

 

堕紅がそう言い放った途端、どこからともなく一つの渦潮が現れ、場のアーマー・カッパーを飲み込んでしまった。

 

 

広太「俺のアーマー・カッパーが!?」

 

 

司会「おおっと!!広太選手のアーマー・カッパーが破壊され、残るは魔知ガエルのみとなってしまったあ!」

 

 

広太「いや、魔知ガエルの守備力はメガロスマッシャーXと同じ!破壊はされない!」

 

 

DS「それはどうかな?」

 

 

広太「何!?」

 

 

DS「我は装備魔法「幻煌龍の螺旋絞(スパイラルホールド)」をメガロスマッシャーXに装備する。このカードを装備したモンスターの攻撃力は500ポイント上昇するのだ!バトル!」

 

 

広太「っく!」

 

 

メガロスマッシャーXは絞めるにも手足がヒレのため、とりあえず魔知ガエルを挟み込むように口を開いたが、結局丸飲みとなってしまった。

 

 

DS「ここからが本番だ、少年!幻煌龍の螺旋絞を装備したモンスターが相手モンスターを破壊したとき、手札・デッキ・墓地から我が僕を特殊召喚する!」

 

 

広太「何だと!?」

 

 

二人の目の前の遺跡に大きな影が映る。それの正体は頭上から渦と共に迫っていた。

 

 

DS「戦渦を生き、古の光に触れた龍。今こそ、深き眠りから目覚めよ!「幻煌龍 スパイラル」!」

 

 

 

「幻煌龍 スパイラル」星8 水属性・幻竜族

ATK2900 DEF2900 攻撃表示

 

 

 

渦の中から現れたのは海竜のような見た目をした竜である。このモンスターこそがこのデッキの中心となる存在である。

 

 

DS「まだバトルフェイズは終了していない!スパイラルの直接攻撃、スパイラルウェーブ!!」

 

 

 

広太LP4000 → LP1100

 

 

 

広太「うわあああっ!!」

 

 

DS「我はカードを二枚伏せ、ターンを終了する。」

 

 

広太「くそっ!俺のターン、ドロー!」

 

 

司会「広太選手は現在「大熱波」により効果モンスターの召喚ができません!この状況を打開する策はあるのでしょうか!?」

 

 

広太「・・・あ、そうだ!餅カエルの効果でお前から奪ったブラックホールを発動!モンスターを全滅させるぜ!」

 

 

DS「甘い!トラップ発動!「スターライト・ロード」!我のフィールドのカードを二枚以上破壊する効果の発動を無効にし、破壊する!」

 

 

広太「何いっ!?・・・っく、モンスターをセットしてターンエンド。」

 

 

DS「我のターン、ドロー!我は「アレキサンドライドラゴン」を召喚!」

 

 

 

「アレキサンドライドラゴン」星4 光属性・ドラゴン族

ATK2000 DEF200 攻撃表示

 

 

 

DS「通常モンスターが召喚されたとき、パシフィスのサーチ効果が起動する。我は二枚目の「幻煌龍の戦渦」を加え、発動する!セットモンスターを破壊だ!」

 

 

渦に飲み込まれたカードから「魔知ガエル」の姿が見えたが、すぐさま消えてしまった。

 

 

広太「この、俺が、ま、負ける・・!」

 

 

DS「人は負けて強くなるのだ、少年よ!スパイラルの攻撃、スパイラルウェーブ!!」

 

 

広太「わああああああ!!」

 

 

 

LP1100 → LP0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダークソード(堕紅)win

 

 

 

堕紅(ざっとこんなもんか。でもこの小学生強かったな・・。)

 

 

広太「ううっ・・。俺が・・負けた・・?」

 

 

DS「少年、お前は我に負けた。」

 

 

広太「・・・」

 

 

DS「だが、お前の強さと自信は伝わった。」

 

 

広太「!」

 

 

DS「お前は胸を張って良い、良いデュエルだった。」

 

 

広太「・・・ああ、ありがとう。ダークソード。」

 

 

 

ウオオオッ(観客の盛り上がり声)

 

 

 

堕紅(・・・)

 

 

エリア「おめでとう!ダークソード!おめでとう!!」

 

 

 

堕紅(・・・・ダークソードは恥ずかしいって・・。)

 

 

 

司会「というわけで優勝商品はダークソードにお渡しします!」

 

 

堕紅(あ、そういえば賞品あるんだっけな。何もらえるんだろ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「それでもらったのが、ハートランドの公式大会の参加権だったなんてな。」

 

 

ヒータ「まあ、良かったじゃない。」

 

 

エリア「そうだよ。別に融合やシンクロ使わなくても、陽炎獣とか幻煌龍でいっぱい戦えば問題ないよ。」

 

 

堕紅「ま、そうだな。」

 

 

こうして俺は、数週間先にあるハートランド公式大会に参加することになったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央公園から帰って来た堕紅たちは、今家の扉を開け部屋に入る。

 

 

エリア「たっだいまー!」

 

 

なぜかエリアが誰もいないはずの空間で声をあげた。すると、

 

 

?「あ、おかえり。」

 

 

声が帰って来た。

 

 

ヒータ「・・・誰の?」

 

 

?「・・・わたしの。」

 

 

二人がその部屋をよく見ると、割れた窓に体を向けデュエルディスクを構えた緑髪の女の子の姿があった。

 

それは実体化した「風霊使い ウィン」であった。

 



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第十四話 第三の霊使い、ウィン

割れた窓ガラスが飛び散っているリビングには、ヒータやエリアと同じ霊使いである「風霊使い ウィン」が、デュエルディスクを構えて立っていた。

 

 

堕紅「え。な、何があった?」

 

 

ウィン「窓が割れて男が入ってきた。黒い煙を出していた。何だと思って見ていたら金庫の方へ近づいてきた。」

 

 

ヒータ&エリア「え!?」

 

 

ウィン「金庫の中身は私たちも話は聞いてたから、撃退しようとした。」

 

 

ヒータ「大丈夫だったの?」

 

 

ウィン「問題なかった。でもみんなが帰ってきたこと悟って逃げた。」

 

 

堕紅「それはごめん。」

 

 

ウィン「大丈夫。」

 

 

そう言ってウィンは玄関に向かう。

 

 

堕紅「え、まさか追いかけるのか?」

 

 

ウィン「あの男、その金庫の中の奴ぐらい危険な奴を持ってる。野放しにはしておかない。」

 

 

堕紅「分かったウィン、俺たちも行こう。その男は今どこに・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[堤防]

 

 

男「はあっ、はあっ、何であそこで邪魔が入るんだよ!せっかく油断したあいつをボッコボコに出来たってのに。」

 

 

ウィンから逃げ切った男は、物陰で息を切らしていた。見た目は普通のサラリーマンだが、体中から黒い煙が湧き出ている。

 

 

男「と、ともかくあの娘のことを報告すれば、あの力を俺も!!」

 

 

堕紅「因みにどんな力なんだ?」

 

 

男「そりゃあ、俺たちがずっと憧れている・・・ってうわあ!!」

 

 

ウィン「見つけた。今度は逃さない。」

 

 

男「お前はさっきの小娘!まだ諦めてなかったのか!」

 

 

ウィン「デュエルの決着はついてない。」

 

 

男「ふ、ふふ。ま、まあ良いだろう。さっきは部屋が狭すぎて本領が出せなかったからな。俺に再度挑んだことを後悔させてやる!」

 

 

ウィン&男「デュエル!」

 

 

男「俺のターン!俺は「電子光虫-ウェブソルダー」を召喚!」

 

 

「電子光虫-ウェブソルダー」星3 光属性・昆虫族

ATK500 DEF1500 攻撃表示

 

 

男「ウェブソルダーの効果発動!自身を守備表示にし、手札から「バチバチバチ」を特殊召喚!」

 

 

 

「電子光虫-ウェブソルダー」

攻撃表示 → 守備表示

 

 

 

「バチバチバチ」星3 光属性・昆虫族

ATK800 DEF800 守備表示

 

 

 

男「よ、よし!俺はウェブソルダーとバチバチバチでオーバーレイ!」

 

 

堕紅「来る!」

 

 

男「現れろ、-No.20!小さくても力は強大!相手の中身全てくらい尽くしてやれ!エクシーズ召喚!裏砥流(りとる)フレイアント!」

 

 

 

「-No.20 裏砥流 フレイアント」黒星3 炎属性・昆虫族

ATK0 DEF1000 攻撃表示

 

 

 

現れたのは手のひらに乗るくらいの大きさの蟻で、全身が真っ赤に染まっている。

 

 

男「ふはははは!!こいつが出たからにはもう負けそうになることはない!フレイアントの効果発動!エクシーズ素材を一つ取り除くことで、フレイアントが場にいる限り、お前のモンスターの攻撃力は1000ポイントダウンするのだ!」

 

ウィン「・・・それで?」

 

 

男「ああ!?それでってなんだ!!まだまだ足りないか!?俺は手札にある、3枚もの「火器付機甲鎧」をフレイアントに装備するぜ!」

 

 

 

「-No.20 裏砥流 フレイアント」

ATK0 → ATK2100

 

 

 

フレイアントの体にどでかい鎧が三つも付いた。確かに強そうだが、元々フレイアントが小さいこともあり、フレイアントの体は機械に隠れ、完全に見えなくなった。

 

 

ヒータ「・・・それ、攻撃できるの?」

 

 

男「良いところに気がついたな、赤髪の小娘。確かにフレイアントは、自身の体の大きさと武器の重量故に自ら攻撃することはできない。だが、このフレイアントの効果により、お前のモンスター共は必ず攻撃しなければならんのだ!」

 

 

ウィン「・・・。」

 

 

男「どうだ!怖気付いたか!」

 

 

ウィン「・・・長い。」

 

 

男「わっはははは・・・は?」

 

 

ウィン「早くターンエンドして。暇。」

 

 

男「あ?ああ!?何度も俺を小馬鹿にしやがって!!ターンエンド!お前はどちらにしろ自滅するんだよ!」

 

 

男が騒いでいるがウィンはそんなこと聞き入れない。

 

 

ウィン「ドロー。」

 

 

男「あっ!そうだ忘れてた(笑)!フレイアントの効果は相手ターンにも使えるんだった!」

 

 

ウィン「へえ。」

 

 

男「フレイアントの素材を使い効果発動!これでお前のモンスターは2000も攻撃力がダウンするぜ!」

 

 

ヒータ「まずいって!これじゃ守りを固めるしかないじゃない!」

 

 

堕紅「いや、奴はバチバチバチをエクシーズ素材に使った。だからフレイアントは守備モンスターを攻撃表示すると貫通ダメージが入る・・・あれ?フレイアントって、自ら攻撃できないんじゃ?」

 

 

「え?あ、いや、いやいや知ってたし!万が一効果を無効化されたときのための応急処置なんだよ。知ったかぶりするなよ小僧!」

 

 

堕紅「うわむかつく、やっちゃってくれウィン!」

 

 

ウィン「私は「ガスタの神裔 ピリカ」を召喚。」

 

 

 

「ガスタの神裔 ピリカ」星3 風属性・サイキック族

ATK1000 DEF 1500 攻撃表示

 

 

 

「ガスタの神裔 ピリカ」

ATK1000 → ATK 0

 

 

 

ウィン「手札から、「緊急テレポート」を発動。デッキから「幽鬼うさぎ」を特殊召喚。」

 

 

 

「幽鬼うさぎ」星3 光属性・サイキック族

ATK0 DEF1800 攻撃表示

 

 

 

堕紅「・・・え、エクシーズ。」

 

 

ウィン「こうしないと勝てない、周りに人もいないし許して。」

 

 

男「ほう、レベル3モンスターが二体か。お前もエクシーズをする気なのだろうが、このフレイアントに勝るモンスターなどいやしねえんだよ!」

 

 

ウィン「なら、そう吠えてれば。私はピリカに幽鬼うさぎをチューニング。」

 

 

 

男「何!?」

 

 

 

ウィン「シンクロ召喚!「ダイガスタ・スフィアード」!」

 

 

 

「ダイガスタ・スフィアード」星6 風属性・サイキック族

ATK2000 DEF1300 攻撃表示

 

 

 

「ダイガスタ・スフィアード」

ATK2000 → ATK0

 

 

 

堕紅「やっぱり決めてきたか。」

 

 

男「シンクロ・・召喚・・。」

 

 

ウィン「スフィアードの効果でピリカを回収できるけど、そこはせずに「死者蘇生」をピリカに発動。」

 

 

 

「ガスタの神裔 ピリカ」星3 風属性・サイキック族

ATK1000 → 0 DEF1500 攻撃表示

 

 

 

男「ふ、ふふはははは!!少し驚いたが、この強大なフレイアント様を目の前に攻撃力0が二体じゃないか!何だ?このまま特攻して終わりとは、情けないな!」

 

 

ウィン「バトル、スフィアードでフレイアントを攻撃。スフィアードは戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージを相手に受けさせる。」

 

 

男「何い!?」

 

 

 

男LP4000 → LP1900

 

 

 

男「ぐっ!!ま、まだ!」

 

 

ウィン「・・・あ、忘れてた。ダメージを受けさせる効果は、私のガスタ全てに付着するんだった。」

 

 

男「!?・・ちょ、ちょっと待て!!少し話をしよう、な!」

 

 

ウィン「話ならさっき出来たはず、あなたに時間はない。」

 

 

男「っがあ!!こんなところで、こんな小娘に!」

 

 

ウィン「おしまい。ピリカで攻撃。」

 

 

 

男LP1900 → LP0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウィン win

 

 

 

 

 

 

 

男「うわああああああっ!!!」

 

 

男は狂い叫んだ後、その場にバッタリと倒れ込んだ。そしてその男の体から黒い煙がすうっと出て空に舞い上がり、消えてしまった。

 

 

堕紅「あの男は無事なのか?」

 

 

ウィン「大丈夫。気絶しただけ。」

 

 

堕紅「そうか・・・でも、中身は。」

 

 

ウィン「うん、多分逃げた。」

 

 

ヒータ「まあ、被害がなければなんでも良しよ。」

 

 

堕紅は目の前に落ちていたマイナスナンバーズを拾い上げ、胸ポケットにしまった。

 

 

堕紅「これも保管しよう。金庫も別にして。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウィンが男と戦っている時、家では実体化した「ゲート・ガーディアン」が三体それぞれバラバラになって倒れていた。

 

 

「これは・・返してもらう。」



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