例えばこんな、デュエルの話を。 (天枷美春)
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伝説の武将
後、切り札が存在しなくても戦えるデッキには、切り札は存在していないのが基本的的なお話と言う形でどうか。
――――――――――――――デュエルエナジー理論。
それは、デュエルを行うと、生成されると言われているエネルギー理論。
この理論は、デュエルモンスターズの発展と共に研究されてきた。
全ての始まりは、古代エジプトの石碑に描かれた魔物を、ペガサス・J・クロフォードがカードゲームとしてデザインした事である。
このときのペガサスは知る由も無かったが、後の研究で、古代エジプトではバー(魂)とカー(精霊)が人の体には存在し、ソレを石版へと封じ込めた物であると発表される。
余りにもオカルティズム溢れる話であるが、海馬コーポレーションが、少年少女の想いを詰め込んだカードを宇宙に打ち上げ、エネルギーを受けて新たなカードを作り出す取り組みを行っている。
そして同時に、その頃にはモーメントと呼ばれるエネルギー発生器官が生み出され、シンクロ・エクシーズと言った特別な召喚方法を使ってのデュエルを行う事で、そのエネルギー生産が更に加速するとの研究発表があった。
そして、時代はツバインシュタイン博士のデュエル量子力学研究により、異世界にすら手が届き始めている。
そんな中、更なる可能性を目指して、絶海の孤島に、デュエルアカデミアが建造されたのであった。
彼女の、七瀬和の物語は其処で造られる。
「――――――――――『抹殺虹閃ヘルズレイ』ぃい!! モンスターを全て破壊!」
「ッ!」
六武衆使い、ツァン・ディレのモンスターが全て破壊される。対戦相手は七瀬和。このデュエルアカデミアにおいて、主体とするデッキを決めておらず、数多くのデッキを扱い他の生徒とデュエルを行っている。今日のデッキは暗黒界の様子である。
「くすくす、危なかったですよ。レインを召喚できなければ、私は貴女に負けて居ました……では総攻撃、と言ってもレインとレンジだけですけどね」
「くっ……!」
残りライフ800
和のフィールドには、暗黒界の門が張ってあり、攻撃力300の底上げが行われている。微々たる数値では在るが、攻撃力2800となった暗黒界の魔神レインは、中々突破出来る数値ではない。
「まあ、当然残りますが、手札1枚で何か出来るほど優しいデッキではないでしょう。私は、メインフェイズ2への移行を宣言――――――」
「じゃあ、発動させてもらうよ。罠カード発動! 究極・背水の陣!!」
「ライフを100に成るように支払い、墓地から六武衆と名の付いたモンスターを特殊召喚ですね? ただし、フィールド上に存在する同名カードは不可能と」
「ご解説どうも。他人のデッキのカードを把握しているとか、さすが和だよね。まあ、とりあえず召喚するけど…………侍従、御霊代、師範、エニシ、ミズホの5体」
「私、カードゲーム大好きですから。では、エンドフィズ移行時に私は罠カード死のデッキ破壊ウィルスを発動します。コストは、暗黒界の番兵レンジで」
「!?」
状況は、最悪となった。攻撃力1500以上のモンスターは、問答無用で破壊される。フィールドに残るカードは侍従と御霊代のみ。そして――――
「手札のカードは、大将軍紫炎。くすくす、危ない危ない」
「くっ…………手札0、モンスター2体、魔法・罠なし、極めついては自業自得のライフ100、絶対隊絶命だね」
「発動するタイミングが悪かったのですよ。自分のターンでしておけば、少なくとも特殊召喚後のカードは破壊されませんからね。どうします、私はターンエンドですが、サレンダーします?」
残りライフ 200
「――――――――冗談! ボクの、ターン!!」
そう、こんな絶望的な状況下においても、ツァンは諦めなかった。だからこそ、デッキは、答える。答えてくれる。
「確認しました。モンスターは、チューナーモンスター、六武衆の影武者。条件は満たしていません、どうぞ手札に加えてください」
「シンクロ…………」
ツァンが呟く、この状況を打破できるカードは。きっとシンクロモンスターしか居ない。フィールドに存在するカードは星3のモンスターが2枚、つまり、レベル5か8である。
「ボクは、六武衆の影武者を召喚」
「……………………何を、呼ぶと言うのです?」
和は、レベル8のシンクロがくると確信していた。この状況下で、2800の攻撃力を超えるカード、もしくはレインを除去できるカードは全て頭に入っている。故に、まだフィールドに残っている1枚の伏せカードで対処できると考えている。
「此処で、レベル8のカードを呼んでも、勝てない気がする」
「…………それで?」
「この、勘に近い何かは、ボクにレベル5をシンクロ召喚しろって訴えてくるんだ」
「…………それは」
聞いた事がある。そう、和には聞いた事があった。デュエルエナジー理論において、全く以ってソレがオカルティズム全開と呼ばれる所以。デュエルエナジーが極限まで高まる時、その現象は起きる。
「何が何だか解らないんだけど、でも、和に絶対勝てる気がする」
「……………………曰く、最強のデュエリストは、カードすらも想いのままに」
「?」
「くすくす。いいえ、古い諺(コトワザ)ですよ。ソレは、正しい。ツァンさん、想いを込めて、全力で、カードの名前を、叫んであげて下さい」
「了解――――――――レベル3の『六武衆の侍従』に、レベル2『六武衆の影武者』をチューニング! シンクロ召喚! 真六武衆-シエン!!」
「真六武衆……!!」
ツァンも、和も知らないカード。ただ言える事は一つある。真六武衆の、幻とまで言われた6番目のカードが、今此処に誕生したのだ。
「しょ、召喚時! 罠カード発動! 『奈落の落とし穴』!」
コレならば、たとえどの様な攻撃力のカードが来ようとも。負けるはずが無いと確信して伏せておいたそのカードも――――――――
「無駄無駄無駄ァ! シエンの効果は、1ターンに1回、魔法・罠の効果を無効にして破壊する事ができる!!」
「……何と!」
「そして、ボクは御霊代を、シエンにユニオン! 攻撃力は、3000!」
「お見事…………!」
迫り来るシエンの一撃を受け、レインの破壊と共に、和はライフが0になり倒れこむ。しかし、面白いものが見れたと、和は悔しさより楽しさが溢れている様子であった。
…………コレは、カードを信じ、カードの新たなる可能性を目指す者達が集る、デュエルアカデミアでの物語である。
TAKE2
「くっ…………手札0、モンスター2体、魔法・罠なし、極めついては自業自得のライフ100、絶対隊絶命だね」
「発動するタイミングが悪かったのですよ。自分のターンでしておけば、少なくとも特殊召喚後のカードは破壊されませんからね。どうします、私はターンエンドですが、サレンダーします?」
残りライフ 200
「――――――――冗談! ボクの、ターン!!」
そう、こんな絶望的な状況下においても、ツァンは諦めなかった。だからこそ、デッキは、答える。答えてくれる。
「確認しました。モンスターは、六武衆-ヤリザ、条件は満たしていません、手札に……あれ?」
「やりぃ! デステニードローって奴だね。ボクはヤリザを召喚、他に六武衆と名の付いたモンスターが居るから、ダイレクトアタックが出来る」
「ええ、そうですね。ええ…………ええー」
勿論、セットしてある奈落の落とし穴には引っかからない。和は、映像の癖に見た感じ意気揚々としながら槍を突き立ててくるヤリザの攻撃に倒れる。だがしかし、ヤリザが活躍できるなどとは想いもしなかった、面白いものが見れたと、悔しさ、楽しさ、ネタと丁度三分の一ずつ分かれた感情を抱きながら暫く寝転んでいるのであった。
…………コレは、きっと、ヤリザを信じ続けた、ツァン・ディレの一つの奇跡である。0
くぅ~疲れましt(ry
…………だって、切り札は作り出したほうが、展開的に燃えるですよね?
TAKE2はほら、誰もがこの状況だと考えますよね。
【挿絵表示】
挿絵機能来たぜオイ!!
和さんはこんな感じの人
友人に描いて貰ったデス。
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ドキッ!詰め込みレベルな入学デュエル!~三沢も居るよ~
遊戯王のssって読んでないから、オリカとか使わない人のデュエル構成とかぶらないか怖い怖い。
タイトル、嘘は言ってない、嘘はな。
「…………良いデュエルじゃないですか。アレで成績が悪いと言うのが、中々ですがね」
七瀬和が見ている先には、デュエルアカデミアの実技最高責任者のクロノス・デ・メディチが敗北している姿であった。
しかも、筆記の最低レベルの成績の人間にである。
クロノスのデッキが事故を起こした訳ではない、互いに力を出し合い負けたのだ。
「それは良いんですけどねー……私の入試は一体どうなって居るのやら?」
受験者番号No.1とバッジを渡されている。
筆記試験における一位は三沢大地と言う人物であり、和が彼を上回ったのは
つまり、主席入学は和の物である。
そんな主席は入試のデュエルを免除されると言う話は、参加している和本人も聞かされておらず、また入試案内にも書かれてはいなかった事である。
因みに、先ほどクロノスと戦った相手、遊城十代は、上述の通り落第寸前の合格生である。
しかも、この試験に遅刻してきたという素晴らしい精神の持ち主であり、それ故にデュエルは一番最後と公式でアナウンスされている。
話を繋げてみると和は
『コレにて、入試デュエルを終了いたします。受験票の提出は――――』
「あらら、本当に私の出番なしですか?」
アナウンスも流れ、受験生それぞれがが帰る用意をし始める。
和も、何も無かったと自分のデッキを片付け始めるのだが――――
『呼び出しをします。受験番号1番、七瀬和。受験番号1番、七瀬和。自身のデッキを用意してデュエル場まで来て下さい。コレより、デュエルを行います』
「あら、出番ですか………………」
帰ろうと準備して居たのを止め、和はデッキを持ってデュエル場へと向かう。
他の生徒は試験も終わったのに何があるのだろうかと、不思議に思っているのであった。
・・・・・・
「待ち草臥れました。一体何が始まるのでしょう……?」
『貴女は、筆記試験こそ一位で通過ではありませんでしたが、我々試験管をも唸らせるカードへの知識、理論の組み立てを鑑みての首席合格です。よって実技は免除とし、また新入生代表としてのデュエルを行って頂きたく思います』
「あら、サプライズですね」
実技を免除となる事もあったようである。
他の生徒は和を見て感心したり、驚いたりしている。
「成程、学生代表挨拶ですか。解りましたが、私の相手は――――」
「私ナノーネ!」
対戦相手の場所に入ってきたのは、先ほどの戦いで負けたクロノスであった。
「確かクロノス先生でしたか。よろしくお願いしますね?」
「シニョール和、私は先程ドロップアウトボーイに負けましたーが、アレが私の実力だとは思ったら駄目ナノーネ…………ドロップアウトボーイを完膚なきまでに叩きのめして、余裕を見せつけ、そして最優秀生徒をも倒して尊敬の眼差しを手に入れる計画が行き成り挫かれたノーネ」
「まだ本気では無かったと言うのですか、お強い方なのですねぇ」
『両者準備良し! ソレでは、デュエル開始!!』
クロノスが最後の方に何を言っているかは聞こえなかった和であるが、さほど気にする事でもないだろうと、デュエルを始めるのであった。
「私のターン、ドロー!」
和 手札6枚 ライフ4000
「あら、困りました、カードが…………私は≪暗黒界の番兵 レンジ≫を、守備表示で召喚します。そして、カードを2枚セットしてターンエンド!」
暗黒界の番兵 レンジ 攻守100/2100
和 手札3枚 ライフ4000
「主席のデッキは……暗黒界! 随分と癖の強いデッキに仕上げているな! 現状では其処までシナジーを持たないレンジを入れているとは!」
どうやら
「私のターン、ドローナノーネ……
「…………カードを2枚セット……先ほどコンボですか? まさか、二回続けて行われるなんて、俄かには信じられませんね」
「デュエルアカデミアの実技最高責任者の実力は、引きの力も一流ナノーネ!」
そうして、魔法カード≪大嵐≫が発動される。
コレによって互いのフィールドの魔法・罠カードはがら空きとなり、また和が危惧していた通り黄金の邪神像2枚が破壊され、トークンが場に出現するのであった。
「いやな予感は的中ですか。ああ、それにしても私の《サイクロン》に《暗黒の瘴気》が…………しかし、先程発動するだけでしたフィールド魔法は何だったのですか?」
「私が発動したフィールドは≪
「攻撃力3000が2体……! クロノス教諭の切り札とも呼べるカードが2枚もだと!!」
外野で叫んでいる三沢は元より、対峙している和には絶望的とも言える攻撃力が並ぶのであった。
「古代の機械巨人でレンジに攻撃。そして、古代の機械巨竜でダイレクトアタックナノーネ!」
「痛ぁ!」
和 ライフ100
最新科学で再現されたエフェクトは、凄まじいほどの衝撃を和に与えてくるのであった。
既に古代の機械巨人の能力は見ていたと言えど、実際にコンボでライフを一気に減らされると、矢張り凄まじい制圧力を持つデッキであると再確認に至る。
「手札に≪リミッター解除≫があれば、ゲームエンドだったノーネ。命拾いしたノーネ」
「…………そんなカード発動されてたら、泣いてましたよ。警察を呼ばれるくらいに」
「勝負は時の運ナノーネ、そんな事で泣いて居たら身が持たないノーネ……ターンエンド」
クロノス 手札0 ライフ4000
「私のターン、ドロー……成程、勝負は時の運と言う訳ですか。クロノス先生、勝たせてもらいますよ!」
和 手札4枚
「ヌゥ!?」
「私のターン、私はモンスターカードをセット。そして、魔法カード≪強制転位≫を発動させてもらいます……送るカードは、この伏せカード!」
「ぐぬぬぬ……わ、私は、古代の機械巨竜を送るノーネ…………」
「上手い! これでクロノス教諭のモンスターを相打ちへと持ち込める……だが、何故だ。攻撃表示で召喚を行えば、その後の追撃も視野に入って居たと言うのに!」
「
「このカードは――――≪メタモルポット≫!?」
リバースされたモンスター効果により、互いの手札は全て墓地へと送られる。
クロノスは無し、そして和は2枚、そしてその後互いに5枚ドローの処理が入る。
「だがしか~し、コレでバトルフェイズは終了ナノーネ! 次のターン、補充された手札で、倒してあげ……る…………ノー、ネ?」
そしてクロノスは目を疑った。古代の機械巨竜の横には、それぞれ金と銀の鎧を着けたモンスターが存在したからだ。
「墓地へと棄てられた≪暗黒界の武神 ゴルド≫、≪暗黒界の軍神 シルバ≫の効果が発動。このカードがカードの効果によって手札より棄てられた場合、墓地から特殊召喚する。それが彼らの共通能力」
ゴルド、シルバ、共に攻守2300/1400
「し、しか~し、攻撃力が足りてないノーネ! 古代の機械巨人は倒せないノーネ!」
「――――尚、このカードには相手の効果で棄てられたとき、と続きます」
「相手の効果……そうナノーネ、メタモルポットはシニョール和のカード。しかし、効果を発動したのは送りつけられた私のフィールド。それで、効果とは何ナノーネ?」
「シルバの効果、相手のカードの効果によって棄てられた場合、相手は自分の手札を2枚選択して好きな順番でデッキの一番下へ戻す」
「2枚……コレと、コレにするノーネ。それで、もったいぶらずにゴールドの方の効果も言うノーネ」
「では遠慮なく。ゴルドの効果は相手フィールドのカードを2枚まで破壊、私が破壊するのは勿論!」
「――――――ゲラッチョ!?」
ゴルドの一撃で、古代の機械巨人が崩れて行く。
之でクロノスのフィールドはがら空きである。
「それでは、2体でダイレクトアタック!!」
「マンマミ~アッ!?」
『勝者七瀬和! 鮮やかな逆転勝利でした!!』
2300の攻撃力のモンスターに、2回連続でダイレクトアタックを喰らい、クロノスは敗北す。
2回戦連続でクロノスが負けた事もあるが、生徒たちは大興奮で和へと拍手を送るのであった。
TAKE2
「私が発動したフィールドは≪
「攻撃力3000が2体……! クロノス教諭の切り札とも呼べるカードが2枚もだと!!」
外野で叫んでいる三沢は元より、対峙している和には絶望的とも言える攻撃力が並ぶのであった。
「古代の機械巨人でレンジに攻撃。そして、古代の機械巨竜でダイレクトアタックナノーネ!」
「う、うぐぐ……リ、リミッター解除とか使われたら、警察を呼ばれるレベルで泣き叫ぶ所でした!」
「………………シニョール和、この残りの手札1枚使わせて貰うノーネ」
速攻魔法発動の掛け声と共に、バトルに突入している古代の機械巨人と古代の機械巨竜が熱暴走をした様に赤く染まる。
発動されたカードはリミッター解除であった。
「………………ふぇぇ」
攻撃力6000のダイレクトとか、下手したら死ぬんじゃないかと、和は本当に泣きたくなる気分なのであった。
TAKE2は、まあどこが違ってるかは見れば解る話。
尚、今回の和さん初期手札は
強制転移、サイクロン、暗黒の瘴気、金さん、銀さん。
ドローでレンジ。
はい、事故一歩手前でした。
2T目でメタモルポットを引いたことによりコンボ発動☆
メタモルポットはそろそろ、《暗黒界の開運の壺 メタモルポット》とかいう名前になってもおかしくないね、それくらい活躍するし。
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運命のカードと出会う!~山本さん(仮)~
アメーバ
効果モンスター
星1/水属性/水族/攻 300/守 350
フィールド上に表側表示で存在するこのカードのコントロールが相手に移った時、
相手は2000ポイントダメージを受ける。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。
(遊戯王カードwikiより引用)
5000枚超のカードが参戦!!
(仮)が取れたとき、貴方は本当の山本さんと出会う!!
山本さん(仮)は、アメーバ(上記カード)を!!
検索検索ゥ!!
尚、このss内には運命のカードとアメーバは登場しません。
「おいおい、Meの相手は
七瀬和vsレジー・マッケンジーで行われた転入生歓迎デュエルは、七瀬和の勝利と言う結果で終わりを告げていた。
続けてデイビット・ラブとの試合になるのかと思われたのだが、出てきた相手は七瀬和ではないのであった。
「あいつ……山本さん(仮)をDisってやがる!」
「何て事を。いや、ヤツは転校生だ…………山本さん(仮)の実力を知らないから言えるんだろうさ」
「ホウ……周りのヤジからすると、Youはそれなりの
「それなり……か。いや、解らないな。私のデッキには結構なムラがあるからね――――ただ、交換留学生君の相手くらいなら、出来ると思うがね?」
ヤジに反応したデイビットが山本さん(仮)を挑発するが、軽くいなされ、そして逆に挑発を返される。
両者の間に、決闘者らしく熱い火花が飛び散るのであった。
「こっちのデュエルは熱くなりそうナノーネ。両者、準備は良いノーネ?」
「Yes」
「はい」
「では、ジャッジは私、クロノスが務めるノーネ! オベリスクブルーの山本さん(仮)vs交換留学生デイビット・ラブのデュエルを始めるノーネ!!」
「ふっ…………先攻か、ドロー!」
山本さん(仮) LP4000、手札6枚
ゲームは山本さん(仮)の先攻で始まった。
その瞬間、会場の空気が一変した。
「や、山本さん(仮)が先攻をとった!」
「終わったな、あの交換留学生」
「(…………何だ? あのMr.山本さん(仮)に、先攻を取らせることが何か問題でもあると言うのか?)」
「私の勝ちだ、とはまだ言い切れないな。私は《豊穣のアルテミス》を攻撃表示で召喚」
「…………Youのデッキは天使族か。レジーのデッキで十分に慣れているが」
「――――――そして、手札を全て魔法・罠ゾーンへセット」
山本さん(仮) 手札なし
「なっ!?」
「で、でた! 山本さん(仮)のハンドレススタート!」
「これは決まったか……いや、解らない。解らないが、其れこそが山本さん(仮)の思うが儘」
「まさか……! Youのデッキは、パーミッションなのか!?」
「ふむ、良く解ったな。そう、私のデッキはパーミッション・コントロール。伏せられたカードは相手を欺くブラフかも知れないし、真であり罠かも知れない。ただし、言える事が一つある。君が選択肢を誤れば、仕掛けられた爆弾は爆発する…………さあ、君はこの地雷原を乗り越える勇気を、実力を持っているかな?」
そう言い、山本さん(仮)はターンエンドを宣言する。
Turn2になりデイビットの手番となるのだが、そのデイビットは言い表しようのないプレッシャーにその身を縛られる事になっていた。
「Meのターン、ドロー!」
デイビット・ラブ LP4000、手札6枚
「(これは、Meが引いたカードは、《大嵐》! おいおい……これじゃMeの勝ちじゃ無いか!)」
「――――――――――だ」
「何…………?」
「ふむ、聞こえなかったか。もう一度宣言しよう、《強烈な叩き落とし》を発動だ、その手札を捨てて貰おうか」
「何……だと…………!」
デイビット・ラブ 手札5枚
「捨てられたカードは……おお、怖い怖い、《大嵐》じゃないか。矢張り良いカードをドローしていたようだな。顔に出ていたぞ?」
「Meの表情からの推察だと……!?」
「おっと、話しているのも良いが、私は《豊穣のアルテミス》の効果でドローさせてもらうよ。君との長話で、効果を忘れる所だった」
山本さん(仮) 手札1枚
「くっ…………(まだだ、まだMeのターンは始まったばかりだ。次は召喚を……いや魔法を…………?)」
最初の一歩から躓かされたデイビットは、次の一手に戸惑ってしまう。
デュエルは始まったばかり、手札も潤沢に存在していると言うのにである。
これは、デイビットのドローが勝利を確信させる《大嵐》であった事にも起因するであろう。
勝利と言う考えに全て持っていかれ、それが一瞬にして突き崩される事で心理的に大きく揺らぐ事となったのだ。
「交換留学生の奴、動揺してやがる。無理もねえ、山本さん(仮)の戦術にあそこまで見事に引っかかったんだからよ!」
「そうだ、アレが山本さん(仮)だ」
「カ、カイザー亮!? 見に来ていたのか!!?」
「ああ、優秀な新入生のデュエルを見るついでにな…………ふ、変わらないな、山本さん(仮)の戦法は。初めの《強烈な叩き落とし》と言うよりは、その後に続いた言葉が効いて居るようだな。ピンポイントで良いカードを狙われたとでも思っているのだろう。正に、
「じゃ、じゃあ、山本さん(仮)のあの言葉はブラフ……?」
「………………さあな。若しかしたらブラフかも知れんし、そうでは無いかも知れない。重要なのは相手にそう思わせる事だ。言うだろう、沈黙は金、雄弁は銀と。銀は金より良いと書く。今の時代は金の方が価値があるかも知れんが、それでも金よりも良い物を取り行く。そういう男だ、山本さん(仮)と言うデュエリストはな」
未だに何を行おうとしているか迷うデイビットを見ながら亮は言う。
「悩んでいるな、俺も苦労させられた」
「カイザーが……! 山本さん(仮)との勝敗はどうだったのです?」
「ふ………………ライフ4000ルールに助けられたよ。万能なカウンターは、支払うべきコストも重いからな。だが――――――」
「決めたぞ! Meはパンドラを攻撃表示で召喚する!」
「《キックバック》を発動させてもらう。帰れ」
山本さん(仮) 手札2枚
「ぐぅっ……!」
「だが、どうやら十分な程にデッキが答えたようだ。ピンポイントでデイビットを罠へと絡め取っている。このままでは流れは変わらんな」
「《パーツ補充》を発動。何も無いか、ならばMeは手札を1枚捨て、デッキからレベル4機械族を手札に加える。Meは《クオリティー》を手札に加える」
デイビット・ラブ 手札4枚
「《強烈な叩き落とし》だ。捨てて貰おうか」
山本さん(仮) 手札3枚
「……………………カードを2枚セット、ターンエンドだ」
デイビット・ラブ 手札1枚
結局、何もする事が出来ないまま、手番を終了させる。
誰もが山本さん(仮)の勝利を確信する中、デュエルを行って居る当人達はそう思っては居ない様である。
「私のターン……ドローの後、3枚のカードをセットさせて貰おうか」
山本さん(仮) 手札1枚
「良く回るパーミッションだ」
「ふっ、今日はカードの巡りが良い……バトルフェイズ! 《豊穣のアルテミス》でダイレクトアタック!」
「させん! Meは罠カード《リビングデッドの呼び声》を発動する、蘇生するカードは《クオリティー》だ!」
「攻撃を続行する!」
「ぐっ…………フィールド上の《クオリティ》が破壊されたとき、墓地にある《クオンティティ》を可能な限り特殊召喚する。特殊召喚できる枚数は1枚だ」
デイビット・ラブ LP3600
「ほう。《パーツ補充》で捨てたカードとのコンボか。見事に後に繋いだな、矢張り後先考えずに捨てさせるのは考え物だな。ターンエンドだ」
「Meのターン、ドロー…………(引いたカードは《The big SATURN》!)」
デイビット・ラブ 手札2枚
「(ふむ。良いカードを引いたようだな、矢張りあの時《クオリティ》にカードを発動したのは間違いだったか)」
山本さん(仮)は、ブラフでも何でもなく相手の表情観察に長けている。
寧ろ、パーミッションの使い手であるならば必然的に表情から相手の引いたカードを想像し、そして口八丁手八丁で場をコントロールする力が身に着く。
そんな彼が、今に引かれたカードはデイビットにとっての起死回生足りえるカードである事を確信し、されど妨害する手段が無い事に自身の読みの浅さを嘆くのであった。
「カードオープン! 《アイアンコール》! 墓地の《クオリティ》を特殊召喚させてもらうぞ、そして《クオンティティ》《クオリティー》の2体を生贄に捧げ――――現れよ《The big SATURN》!!」
「――――――でかい!」
巨躯を誇る機械の星がフィールドに姿を現す。
正に、切り札足りえるその姿であった。
「何とか通ったか。Meの《The big SATURN》は、相手によって破壊されると、互いに攻撃力分のダメージを受ける事となる。そして、もう一つ、手札を捨て、ライフを1000払う事で…………《The big SATURN》! SATURN FINALモード!!」
デイビット・ラブ LP2600
「ふむ………………攻撃力が、更に1000上昇か」
「《The big SATURN》! そのちっぽけな天使を踏み潰してしまえ! end of COSMOS!」
「良かった、安心した。まだ私の話術と、戦術の効果は続いていたようだ」
「何っ!」
雄々しき巨躯の一撃がアルテミスへと向かう。
下級モンスターには酷な一撃だ、耐えきるには戦闘破壊耐性以外には他あるまい。
されどアルテミスには攻撃は届いていなかった。
「此処まで放置すれば、攻撃が通ると思ったか? 罠カード発動、《攻撃の無力化》……その攻撃を無効にし、そしてバトルフェイズを終了させて貰う」
「くっ……Meのターンを終了させてもらう!!」
SATURNの一撃は、渦へと吸い込まれて消える。
そしてデイビットは力なくターンエンドを宣言するのだが――――――
「待て、まだメインフェイズ2が残って居るだろう。君になくとも、私にはある」
「何……?」
「私がカウンター罠の発動に成功した時、自身のフィールド上のモンスターを全て生贄に捧げる事で特殊召喚が出来る……そう、《裁きを下す者-ボルテニス》だ」
「……! Youも、攻撃力2800か!」
「そして、そして《裁きを下す者-ボルテニス》の効果。生贄に捧げた天使族の数まで、相手フィールド上のカードを破壊することが出来る…………破壊するカードは当然!」
「《The big SATURN》……!」
「私がソレを破壊した時、互いに攻撃力分のダメージを受けるんだったよな?」
山本さん(仮) LP1200
「うわああああああああ!!」
デイビット・ラブ LP0
機械の星が大爆発を起こし、互いのライフに大ダメージを与える。
煙が晴れたのち、立って居たのは其れまで一度も攻撃を喰らわなかった山本さん(仮)なのであった。
「勝者! 山本さん(仮)ナノーネ!!」
「見事だ、Mr.山本さん(仮)……Youには完敗だった」
「ふ、君がもっと冷静であれば、結果はまた変わっていた。そうだな、例えばSATURNの効果を使わず、そして不用意に戦闘を行わなければ、まだまだデュエルは長引いて居た」
「結果論だ、慰めは止してくれ」
「結果論だ、だが物事は、結果を積み上げて進んでいく。結果から、何を学ぶかだな」
「………………Youは、かつての結果から、一体何を学んだ?」
「ふ…………ライフ管理さ」
観客席から見ていた、嘗て負けた相手、丸藤亮に向かい『ガッチャ』とポーズをとる。
苦笑し、亮も同じくポーズを返してくるのであった。
「成程……所で、そのポーズは何だ?」
「ん……? ああ、何か新入生の間で流行っているポーズだ、意外とミーハーでな」
そんな事を言いながら男2人は握手をする。
互いに、次のデュエルでも良い勝負をしようと言う意思の表れであり、デュエルによって作られた友情の証であった。
TAKE2
「(Meが引いたカードは《大嵐》! オイオイ、これじゃMeの勝ちじゃ無いか……!)」
「――――――――どうした、早くしろ」
「慌てるなよ。Meは魔法カード《大嵐》を発動!」
「えっ」
「どうした、何も無いのか?」
「何もないな。続いてだが、サレンダーを認めて貰って良いか?」
最早やれることは何もないと言う清々しい表情でデッキの上に手を置いている。
そんな物を見せられたデイビットとしても、サレンダーを受け入れるしか無いのであった。
「……………………ブラフだったか。いかにもと言う表情を見せておいて相手の動揺を誘う。それが山本さん(仮)と言う男だ。だが、今回ばかりはカードの引きに愛されなかった様だな」
「煩いぞ亮、常にカードの引きに愛されているお前が言うのは皮肉にも程がある。大体だ、人が《オーバーロード・フュージョン》の発動を《魔宮の賄賂》で阻止して、その後のドローが再び《オーバーロード・フュージョン》なんて引きをやったのは何処のどいつだ」
「ふっ…………俺だな」
観客席から見ていた、嘗て負けた相手、丸藤亮に向かい『ガッチャ』とポーズをとる。
苦笑し、亮も同じくポーズを返してくるのであった。
「良いデュエルだった。デイビット、またデュエルをしてもらえるか?」
「いや、良いデュエルだったのか…………? 序に、そのポーズは何だ?」
「ん……? ああ、何か新入生の間で流行っているポーズだ、意外とミーハーでな」
「何だそれは。まあ良い、Meは何時でも受けて立つ。所で、Meは不完全燃焼にも程があるんだがどうすれば良い」
「まてまて、そろそろ
「何?」
「彼女は、体があまり丈夫ではないそうだ。だから私が回復するまでのその場凌ぎを行ったと言う訳だ」
その場凌ぎも糞も無い速さでデュエルが終了したように見えるのは、きっと気のせいでは無いだろう。
しかし、本人が言う通り時間は稼げていたようで、山本さん(仮)が入ってきた入り口には、七瀬和が確りと居るのであった。
「ええと、之は一体、何だったのでしょうか?」
それは、コッチが聞きたいと、山本さん(仮)以外皆が思うのであった。
どっとはらい。
このデュエルに出て来る山本さん(仮)は私の友人を参考にしました。
ツッコミはいくらでも待つ。
TAKE2は何時もの如く別パターンです。
まあ、パーミで、全伏せして、大嵐防げなかったらもうそれは負けで良いだろうと、展開考えるのに飽きたので勘弁を。
実在する会社名出しちゃいけない約束ですが、実在するアメーバは綴り英語なので問題無い筈。
結構ギリギリな感じですがね。
その話は置いといて、実はTAKE2で切り札もっと別の出そうかと考えては居たんですが、テテュスとThe splendid VENUSはマッケンジーカード、ヴァンダルギオンは遊戯のカードと、もう使用者居るんですよねぇ、オネストも論外ですし。
だから、必然的に友人のデッキを考えると、之が一番スマートな文章になるんじゃないかと妄想。
以下返信
ヤリザの方は置いといて、サイクロンで破壊しておけば~の方。
いえ、全くその通りです気づいていませんでした。
………………何て言うと思ったのかハハハ!
之はいくら彼女が主席でも、まだまだ知らないカードが存在すると言うちゃんとした伏線なのだ!
………………よし、こう書いておけば、作者の知識不足もばれずに済むな!
いや実際、後に発覚したミスが、都合の良い解釈が出来てミスを利用したssが書ける時が間々あるので修正したりはしませんけどね、実際リフレインさんの感想見て納得できる場所多かったので! 特に会話の内容からしてカードを知らなかったとか! 私そんなこと全く考えていませんでしたよ!
都合がいいからこのままですけどね!
はい、ご指摘ありがとうございました。
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