しょしたい! (ヨイヤサ・リングマスター)
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プロローグ:始まりが始まる

 はじめましての人ははじめまして。
 久し振りの人はお久しぶりです。

 はい、またもや始まるヨイヤサ劇場。ギャグこそ至高だと考えるヨイヤサです。

 真面目な話もありますがあまりシリアスな展開は期待しないでくださいね。あと独自解釈もありますし人死にがないハッピーエンドにするつもりです。

 とりあえずはじまりはじまり~♪


 ……それは、ひどい吹雪の夜だった。

 

 大陸の最北端に位置する『雪山』と称される狩り場。フラヒヤ山脈。

 

 雪の降らない日の方が珍しい、一年を通して寒い土地。この山に一人の男が訪れていた。

 

 さらに男は変わり者なことに、地元の人間すら入るのを躊躇う程の猛吹雪の日に山に入ったのだ。

 

 一歩踏み出す度に吹き荒ぶ氷雪が顔に張り付くのを鬱陶しそうに払い落とす男。

 

 

「この吹雪……本当に龍の怒りなのかもな。

 地図すら読めないが方角はたぶん、こっちであっているだろう」

 

 

 取り出してみたものの、吹雪と夜の闇で広げられない地図を懐にしまう。

 

 すでに勘で山道を進んでいる訳だが、この吹雪の中を突き進む理由が男にはある。

 

 この世界で目撃例が極端に低い<古龍>が現れたという噂を耳にしたからだ。

 

 それだけが男の探求心に火をつけた。

 

 だがこの吹雪。周りの者たちは雪山に踏み入るのは危険だと止めたのだが、それを聞かずにこうして山の頂を一人で目指していたのだ。

 

 

「……ここを登れば頂上だな」

 

 

 吹雪だけでなく、夜ということもあり視界も悪いが迷うことなく進んで行く。どうやら地図は見れなくとも邦楽は合っていたようだ。

 

 そこで男は、ふと思い出したように腰に付けられた鞄から小さな小瓶を取り出し、中身を一気に飲み干した。

 

 砂漠の夜や雪山といった寒冷地で活動するための必須アイテムであるホットドリンクは体を芯から暖めてくれる。

 

 もちろん、それで肌を刺すような冷たい吹雪が平気になるわけではないが寒さを少しは緩和してくれる。飲まなければ数分もしないうちに凍死するだろう。

 

 

「この先に……、この先に私が求めるものがあるかもしれないんだ」

 

 

 男を支えるのは自分の生き方を肯定するための根性なのか、それとも学者としての使命感なのか、誰にも分からないが吹雪の雪山、それも夜の雪山に無理をしてまで登る価値が男にはあるのだろう。

 

 少なくとも男にとって古龍の噂は何を置いても突き進む価値があるのだ。

 

 そして雪山の頂上まで上りつめた男はついに見た。

 

 銀色に輝く美しい鱗を持つ古龍、クシャルダオラを。

 

 

「美しい……」

 

 

 男の口から出たのはその一言だけだった。

 

 だがその一言しか考えられなかった。

 

 男はそのあまりの美しさに…………恋に落ちたのだ。

 

 自然の雄大さ。人間というちっぽけで脆弱な生物とは比べものにならない古龍の存在感。畏怖、恐怖、そして……恋。

 

 だが、その感情は男だけではなかった。

 

 目の前の古龍クシャルダオラも男と目があった瞬間に全く同じことを思った。

 

 

『なんて素敵な殿方……』

 

 

 クシャルダオラも男を見てそう感じた。

 

 永い時を群れることも番(つが)いを作ることもせず生きてきたクシャルダオラにとってそれは、初めての恋だった。

 

 

「『惚れた!』」

 

 

 両者は会話をするでもなく、目を見て互いの気持ちに気づき、そうして他の人間もモンスターすらいない夜の雪山で一人と一頭は愛を営んだ

 

 当初の探求心という目的など男には無く、人間という存在をただの弱者としてしか見てこなかったクシャルダオラにも敵意はなく、あるのは愛だけだった。

 

 これは男、王立古生物書士隊隊長ジョン・アーサーにとって生まれて初めての恋だった。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 その後、朝になって吹雪が止んだことで山の中腹に位置するポッケ村からジョン・アーサーの捜索のためにハンターが訪れたが、ジョンの足跡は見つけられなかった。

 

 しばらくして王立古生物書士隊の人間やギルドナイトまでも動き出す騒動になったのだが、それでもジョンを見つけられず、完全に死んだことになってしまった。

 

 王立古生物書士隊では多くの隊員が隊長であるジョンの死を悼み、学者としてだけでなくハンターとしても自らが狩り場に赴くやり方を取っていたジョンに憧れる者たちにより東と西、両シュレイド王国全体を巻き込んだ国葬が行われた。

 

 それだけ王立古生物書士隊隊長は誰からも慕われる人物だったそうだ。

 

 

 ……だが。

 

 物語はここから始まる。

 

 ジョンが消えてから15年。

 

 ジョン・アーサーの教えを引き継いだ当時学者の卵だった者たちも立派な学者へと成長していった。

 

 そしてその中で、ジョンの教えだけでなく、血を受け継いだ者がいた。

 

 ジョンが消えてからどれだけの時間が過ぎようと彼女にとっては関係ない。

 

 何故なら彼女にとってジョン・アーサーという男は、世に言う英雄などではなく、実の父親なのだから。

 

 そうして少女、シャルラ・アーサーは今日、ドンドルマにある学者の育成機関『王立学術院』の戸を叩いた。




 結構設定は都合のいいようにいじってます。

 シュレイド王国はミラボレアスが原因で、かつてのシュレイド城を境に西と東に分かれて2つの国になったという設定があります。

 ジョン・アーサーは確か無印の頃から出てますから無印やGで出たミナガルデの街は西シュレイド王国領ですがMH2から出てきたドンドルマの街(東シュレイド領)をこの作品の舞台にしたかったので国境無き学者って感じで書いています。両国の仲も悪くないみたいですし。

 MHP2Gのトレジャーアイテムでジョン・アーサーの最後の日誌みたいなのが火山で見つかっているのでゲームの方ではジョンは火山で死んだのでは? ともとれますがこの作品では雪山で行方不明となったという設定でもあります。そして生きています。

 とりあえずプロローグは主人公の女の子シャルラの両親が出会って恋に落ちるまでの話ですね。


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第一話:学者の卵誕生!

 この作品を書くきっかけとして、原作キャラで特に好きなキャラがいるのですよ。

 あと最初のうちは三人称で書いています。

 もうしばらくして一人称に代わるのでその時印象が大きく変わるように、と思いましてw

 そしてそれは失敗だったかも? と、完結後に思うようになった序盤でしたので、少し修正しての移転となります。



 ハンターの街として人口も多いドンドルマの街。

 

 ハンターがたくさん居ると言う事は、それだけハンターを助ける仕事や助けられる人が多いと言うことでもある。

 

 そうなれば街のどこを見渡しても騒がしい街なのだが、その中でもハンターズギルドと同じくらいに騒がしい場所がある。

 

 

 王立学術院――学者を志す若者が集う学院だ。

 

 

 新種のモンスターの情報が上から下から横からと飛び交う王立学術院は今日も今日とて賑やかな場所だった。

 

 

「今日の授業はここまでっ!」

 

「いやっふぅぅぅ~♪」

 

「うおー、腹減ったー!」

 

「お前ら騒ぎすぎだぁぁぁ~!」

 

 

 とまぁ、モンスターの生態について研究をする学者が集まる場所としては些か賑やか過ぎるかもしれない(馬鹿っぽい?)が、賑やかなのは悪いことではない。

 

 事実、その門を見上げる小柄な少女もどことなく楽しげに笑みを浮かべていた。

 

 

「はふぅ、ここがお父さんの言っていた学院ですか……騒がしいところですね」

 

 

 特に誰に聞かせるためでもない独り言だが、その見目麗しい容姿は、声の大きさに関係なく存在感を放った。

 

 周囲の人々も、その近づき難い雰囲気に半ば気押されながらも、少女が旅装であることから入学希望者の類と推測をつけ、一人の男が付いて声を掛けてきた。

 

 

「お譲さん、どうしたんだい?」

 

 

 褐色の肌をした一度会ったら忘れないだろう濃い顔立ち。

 

 それに妙に目立つ特徴的なカールをした立派な髭を生やした男が自慢なのか、髭を片手でくるくるといじりながら話しかけてきた。

 

 背中に太刀を背負っているところから見るに、学院に所属するハンターでもあるのだろう。

 

 

「ええ、ちょっと今日からこちらで入学しようと思っていたんですが、予想以上に大きなところで驚いてしまいました。

 父から推薦状をもらっているんですけど誰に渡せばいいんでしょうか?」

 

 

 男は最初、単なる学者志望で田舎から出てきたのだろうと思っていたが、推薦されて来たのなら、と目の前の少女を自然な動作で中に招き入れる。

 

 

「ふぅむ、そうかそうか。

 とりあえず立ち話も何だから中にお入りなさい」

 

 

 男は顔に似合わず(失礼ながら)とても紳士的な立ち振る舞いで少女の手を取り中に招き入れる。

 

 その動きはあまりにも自然で、顔に似合わず気品を感じるほどだった。

 

 と、少女自身も失礼を自覚したうえで考えていたりする。

 

「はい、よろしくお願いします(……この髭面の濃い顔の人は、推測するにギャグ要員のようですね)」

 

 

「うむ、よろしく」

 

 

 挨拶もそこそこに、とりあえず中に入ることにする。

 

 男は後ろを振り返り、学院受付に座っていた女性に声をかける。

 

 

「おぉーい、クラーマ。

 奥の部屋使わせてもらうぞー。

 新入生のようだ」

 

 

「はいはい聞こえてるから声がでかいよあんた。……ってハリーったらそんな可愛い女の子どこで捕まえたのよ。

 別に奥の部屋使うのは構わないけど、変なことしちゃダメよ」

 

 

「もう少し我輩を信頼してくれてもよいのだが……

 おっとお待たせお嬢さん。ではこちらへ」

 

 

 クラーマと呼ばれた女性から鍵を受け取ると建物の奥へと歩きだした。

 

 少女は慌てて男について行き、一番奥の部屋に入ると来客用のソファーを勧められ、腰掛ける。

 

 

「さぁて、自己紹介をしようかお譲さん。

 吾輩はトレジャーハンターのハリー↑。

 専門はトレジャーハンターだが、ハンターと王立学術院の教師もしている。

 あぁ、よければお菓子でもどうだい?」

 

 

 ハリーと名乗った男は戸棚から菓子を取り出すと机の上に置いて少女の正面の席に座る。

 

 

「はじめましてハリーさん。私はシャルラと申します。

 今日は父の薦めで来ました。

 あ、これが紹介状です……」

 

 

 手荷物から一通の封筒を取り出すシャルラ。

 

 推薦状というのは、それを書く人物がそれなりに高位の役職に就いているか、もしくは発言力の大きい金持ちの貴族でもなければその意味を為さない。

 

 そのためここに訪れる学者志望の若者は、大半が推薦状を必要としないようなずば抜けた天才か、家を継げない貴族次男坊や三男坊の推薦入学と相場が決まっている。

 

 なのでハリーは、一体どこの誰が紹介状を書いたのかを調べるために推薦者の名前をまず一番に探した。

 

 が、それはまったく予想だにしていなかったとんでもない大物であったことに驚き、思わずハリーは推薦状を落としてしまった。

 

 突然立ち上がりシャルラの肩を掴んだ。

 

 

「もしや君のお父さんはあのジョン・アーサーさんなのかい!?」

 

 

「はい? もしかしてお父さんを知ってるんですか?」

 

 

 突然肩を掴まれたことに少女シャルラは若干驚いたものの、ハリーが自分の父親のことを知っていることの方が驚きだったようだ。

 

 

「知ってるも何もこの業界で生活する人間でジョン・アーサーを知らない者はいないさ」

 

 

 そうしてシャルラの肩から手をどかすとどこか遠くを見るようなハリー。

 

 

「吾輩とジョンは、王立学術院に生徒として通っていた時のクラスメートでね。

 狩り場にも何度も一緒に出かけたことがあるのだよ。

 自慢ではないが私はかなり腕のいいハンターでもあるのだが、それでもジョンは私が足元にも及ばない凄腕のハンターであり、また有能な学者であり、友だった」

 

 

「それは凄いですねぇ~。

 私にとってはただの親馬鹿なおっさんとしか印象がない父なんですけどね。

 というかそんな凄い人が私の父親ってことを信じてくれるんですか?」

 

 

 シャルラも父の偉業は本人から聞いてはいたが、普段の父を知るシャルラにとってはそこまで父が凄い人間とは思えなかったのだ。

 

 ハリーのジョン・アーサーに対する言葉を聞いていると、もしかしたらその有名人のジョン・アーサーと父は同姓同名なだけの別人ではないかとさえ思えてくるのだろう。

 

 まぁその辺の出来事はまた機会を改めて語るとして。

 

 

「確かにジョンは不真面目で、十五年前に死んだことになっているが君を疑うつもりはない。

 何故なら、君はジョンにそっくりだからだ!」

 

 

「はぁ……(なるほど、お父さんの言っていた自慢話は本当でしたか。上手い事立ち回らないと要らない敵を増やしそうですね)」

 

 

 父以外に人と接した経験がほぼ皆無のシャルラは、ここまで自分を信用してくれるハリーを学院のお笑い担当から、信頼出来そうなお笑い担当に脳内評価を上げていた。

 

 

「……なんだかハリーさんって面白い人ですね♪」

 

 

「お、やっと笑ったな。

 君は笑顔が可愛いんだからもっと笑っていなきゃいかんぞぉぉ~!」

 

 

「すいません。人と接するのがあまり得意ではなくて(笑顔一発でコロリだなんてちょろい先生ですね)」

 

 

 ハリーの百面相のような面白い顔に付き合うように笑うシャルラ。

 

 

「それでお父さんのことなんですけど、その前に私の耳を見てもらえますか?」

 

 

 シャルラは自分の髪を掻きあげて隠れていた耳をハリーに見せる。

 

 ハリーの反応から、もう少し自分のことを詳しく教えるべきと判断したのだ。

 

 

「……ふむ、少し長いな。

 もしや君は竜人族なのかな?」

 

 

「はい、でも少し違いますね。

 私のお母さんは古龍クシャルダオラですから、半龍半人と言った方が正確なのでしょうけど」

 

 

 確かにシャルラの耳は竜人族とも形が微妙に違った。

 

 

「なるほどなるほどぉ~ぅ!」

 

 

「お父さんは今も生きてはいるんですが、お母さんと色んな場所を旅しているので居場所は分かりません。

 それで私がここに来た理由なんですが、私は王立古生物書士隊で働いてみたかったからなんですよ」

 

 

「おぉう、父親であるジョンの跡を、可愛らしい少女が継ぐ決意をしているとは! 吾輩、感服ぅぅぅー!

 ここから先はァ~、 このトレジャーハンターのハリーにぃ、任せるがいいぃぃ~!↑

 必ずや君がここで立派な学者になれるよう協力をしよう!」

 

 

 言うが早いかハリーはシャルラを置いたまま部屋を飛び出してしまった。

 

 どうにもテンションが高いハリーに反応しきれない。

 

 

「街って不思議な所ですねぇ~」

 

 

 ハリーの高すぎるテンションも、鬱陶しさすら感じさせる暑苦しい行動も、この一言で済ませられるシャルラは将来有能な学者になるだろう。

 

 はてさて、そんな彼女の巻き起こす。もとい巻き込まれる物語のはじまりはじまり~♪




  この物語はギャグです。シリアスな描写はおまけですし、モンハンが原作でありながら狩り場に出ても狩り自体は一切ないです。

 主に原作キャラとの絡みと学園物っぽい話で構成されます。(原作キャラの少ないゲームなのでオリキャラも多数でますが)

 恋愛描写に関しては女の子同士でにゃんにゃんしているのが書きたいと考えていますが、この作品は私が一番最初に書いた百合小説なので百合描写はかなり薄いです。

 我ながら奥ゆかしいこの小説でよくも百合小説を語ったものだとあきれるくらいですので、百合描写のみを期待されても応えられないと思います。

 あと自作とのコラボは名前や設定が少し出る程度ですの出ないも同然です。知らない人も気にせず読んでください。

 のんびりした雰囲気が好きなので進みがストーリーはものすごいゆっくり進めていくつもりです。

 移転も少しペースを落としていこうと思います。


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第二話:初めてのお友達

 キーンコーンカーンコーン

 

 王立学術院は、本来は学者か、高ランクのハンターしか入ることの出来ない場所なのだが、例外的存在もいる。

 

 学者を志す者――つまり学者の卵たちの学校生徒たちだ。

 

 ここを卒業した生徒は大半が学者やハンター、またはそれに関係した職に就く者ばかりだ。

 

 そのため安定した生活を求めて、もしくは富ではなく名声を求めたり知識欲を満たすことを第一に考えたような優秀な人々が集まるわけなので、入学するのにもずば抜けた知識か多額の寄付金やコネが必要となってくる。

 

 そしてこの物語の主人公シャルラは、この王立学術院の創設当時から深く関わりのある王立古生物書士隊の初代隊長ジョン・アーサーの娘というどんな道理でさえも押しのける無茶を出来る人脈を生まれながらにして持っているわけだった。

 

 

「ではここで新入生の紹介だぁー! 

 ちょっとした家庭の事情で入学式から少し遅れて入学することになったシャルラちゃんだ。

 みんな、よろしく頼むぞぉぉぉぉ~!」

 

 

『うおぉぉぉーっす!』

 

 

 妙にテンションの高い教室でここの教師もしているハリーの紹介によりシャルラの学者への道が始まるのだった。

 

 さすがは一流の学者を目指す者たちの集う場所だけに、生徒の数も半端なく。

 

 空いている席を探して教室の奥へ奥へと進んでいくシャルラ。

 

 

「おぉーい、新入生ちゃん。

 席ならこっちに来なさいよ」

 

 

 声をかけてくれたのはシャルラと同じくらいの年の少女。

 

 癖のある茶色の髪を三つ編みにまとめた、そばかすの可愛らしい子だった。

 

 

「ハリー先生をあんなに物凄いテンション上げ上げ状態にした君とは是非とも話がしたかったのよ」

 

 

「えっと、はじめまして。シャルラ・アーサーと言います」

 

 

 これまで母がモンスターであるためにあまり人里に訪れた経験の少ないシャルラだったが目の前のクラスメイトが何の打算も感じさせない純粋な笑顔を向けてきたことで自然と自分も笑顔になるのを楽しく感じていた。

 

 

「うん♪ 私はノレッジ・フォール。

 未来の天才学者になる予定だからよろしくね♪」

 

 

「うん。こちらこそよろしくお願いします♪」

 

 

 最初は人間観察をしていたのだが、思った以上にノレッジが親しみやすかったものだからシャルラは入学した初日から担任であるハリーの授業を無視した。

 

 そしてさも当然のように、席が隣同士のノレッジと雑談をしてしまい、教壇に立つハリーからチョークミサイルを飛ばされたりもしたそうな。

 

 ノレッジの方は額に命中したものの、シャルラはそれを難なく避けて逆にハリーを驚かせたほどであった。

 

 流石はクシャルダオラの母親と元・書士隊隊長の子どもだけあって無駄に洗練された無駄のない無駄な動きは伊達ではないようだ。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

「むっ、よぉぉーし! 今日の授業はこれにて終了だぁぁ!↑」

 

 

 授業の方は雑談で怒られてからは筆談をしていたのでシャルラは初日から授業をまるで聞いていなかったりする。

 

 が、父であるジョン・アーサーも若い頃は友人と遊び、酒と女が側にいるような生活をしながら学年トップの成績を収めていたといのでその辺も遺伝なのかもしれない。

 

 授業が終わったあと後ろの方の席に座っていたシャルラに近寄って来たハリーは呆れたように言ってきた。

 

 

「まったく。君もお父さんの悪い部分までになくともよいと言うのに」

 

 

「……でもハリーさん。

 私が怒られるだけで済むなら別に何をしてもいいじゃないですか。

 今日はこのドンドルマの街で初めてのお友達が出来たんですから大目に見てくださいよ♪」

 

 

 そう言って隣のノレッジに腕を絡ませるシャルラ。見た目が同年代よりも少しばかり幼く見えるシャルラの笑顔を見てはハリーもあまり強く言うことも出来ない。

 

 そしてそれは計算された笑顔なのだが、シャルラの心を見抜けるようならハリーはもっと出生しているだろう。

 

 

「ちーっす、ハリー先生。

 今日からシャルラちゃんのお友達のノレッジ・フォールでーっす。

 よろしくお願いしますね♪」

 

 

「いや、ノレッジは前から吾輩を知っているだろう……」

 

 

 ノレッジはノレッジで、絡まれたシャルラの腕に自分も絡め返してべたべたとくっつく。

 

 どうにも魂のレベルで共感出来るものがあったようだ。

 

 

「……まぁ、吾輩の授業の時はテストや実技の成績さえよければぁ~↑ 授業態度や出席日数などあまり問題とはしないのだが書士隊長のロンの授業だけは隙を作らんほうがいいぞぉ~う。

 あいつは君の父ジョンのことを疎んでいたからなぁ↑」

 

 

「えーと、シャルラちゃん。

 私もまだ会ったこと無いけど、ロン先生ってのは陰険で先代の王立古生物書士隊隊長のジョン・アーサー氏とは対照的に、狩り場に自ら赴くことはせず、他の書士官が集めた情報をまとめるだけの人だね。

 国内で最も深い知識を持つとか言われてるけど」

 

 

 ノレッジが補足してくれたが、それ以前にシャルラは書士隊長のロン――ギュスターブ・ロンという男をよく知っていた。

 

 しかしこのロン教諭。本来は書士隊の隊長ということもあり、教壇に立つことはまずないのだが間違いなくシャルラと出会うことになるだろう。

 

 まぁ、王立古生物書士隊隊長ギュスターブ・ロンとの騒動が起こる事は目に見えているので、ここではこれ以上の詳しい説明を省こう。

 

 

「とりあえず今日はぁぁ~!

 吾輩が選び抜いた最高の借家に案内しよぉぉ~う!

 なぁに遠慮することはないシャルラ。

 君の父ジョンへの恩返しとでも思って受け取ってくれぇぇぇ~い↑」

 

 

「あ、そのことなんですがハリー先生。

 彼女シャルラちゃんですが、住むところが決まってないなら学生寮の私の部屋に泊めてもいいですか? 二人部屋なのに一人きりだったからさみしかったんですよ~」

 

 

「な、なぁにぃ!?

 し、しかしそれはシャルラの意見を聞いてみる必要がぁ~、あるんじゃないのかなぁぁぁー?」

 

 

「……私も、出来ればノレッジさんと一緒の部屋になりたいです」

 

 

 実はハリーの考えとしては友人のジョン・アーサーへの恩返し以外にも、シャルラ個人が可愛いから遊びに行く口実が作り易い個人の借家に住んでほしかったという理由があったのだ。

 

 が、さすがに大した理由もなく女子寮に男性教諭が毎度のように遊びに行くことは出来まい。

 

 

「むぅ……シャルラがそういうならば仕方がない。

 手続きなどは吾輩が全て済ませておくことにしよう」

 

 

 とまぁ、こう言うしかなかった。

 

 ノレッジがハリーの思惑を読んでいたのかは定かではないが、これからのシャルラの日常は賑やかなものになりそうである。

 

 

「それじゃシャルラちゃん。王立学術院にようこそ♪」

 

 

 都会のドンドルマの街に来て早くも人に恵まれたシャルラ。

 

 良い人との出会いに恵まれるというのも一つの才能なのだろう。

 




 原作キャラのノレッジ・フォールですが、名前しか出てないので彼女の外見は私の想像なんですよね。
 たぶん、茶髪の三つ編みで、そばかすのあるスレンダーな少女なのだと思います。

 妙に軽いですが彼女の性格なんかが結構気に入ったのでシャルラのお友達として出しちゃいました♪

 この先彼女は割と有能な学者になるのでしょうかね。

 外見デザインのない原作キャラは私の想像で描写します。

 あと最初のうちだけ毎日更新を予定していますがしばらくしたら少し更新をゆっくりにします。二日か三日に一度の投稿予定です。


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第三話:同級生

 この物語は最初のうちは三人称で書いていますが次話から一人称メインに変わります。

 ぶっちゃけ、ノリです。



 授業も終わり教室には帰宅時間まで駄弁り続ける生徒が何人かいたが、シャルラとノレッジはお互いに示し合わせたように荷物をまとめるとすぐに教室をあとにした。

 

 いや、実際に示し合わせていたのだが。

 

 

「今日はシャルラちゃんの歓迎パーティーを開こうと思うからいっぱい御馳走作らなきゃね。

 こう見えて私は料理が上手いんだよ♪」

 

 

「そこまで気を使っていただかなくともいいんですよ?」

 

 

「なぁに言ってんのそんな小さいのに遠慮する必要ないわよ」

 

 

 半ば強引に引っ張るノレッジだが、嫌と思わせない自然なしぐさにシャルラは好感度をさらに上方修正。

 

 小ぶりながらもシャルラの腕に触れるノレッジの柔らかさに興奮してしまったノリともとれるが。

 

 そしてノレッジはノレッジで、シャルラの年の割に青天井の成長を見せる双丘に癒されていたりする。

 

 似た者同士の二人だ。

 

 

「ほぉら、見てごらんシャルラちゃん。

 この街の夕方は買い物客で賑わうから、早いとこ買い物済ませないといい物はすぐに売り切れちゃうからね」

 

 

 シャルラはともかく、そういう行動に慣れているからノレッジは自然な様子を演出したまま絡めた腕とその先の手の動きを言動で逸らす。

 

 ドンドルマほどの大都市の通行人たちも、特に何を思うでもなく自然なまでに街中で百合の花を咲かせる二人を背景として流している。

 

 流石と言うべきか、何と言うべきか。

 

 父親がシャルラの学者修行の地をこのドンドルマの街を選んだのはこういった風景を見せるためでもあったのだろうが、シャルラに小指と小指に赤い糸が結ばれたような友人を探させるためだったのかもしれない。

 

 その相手が女の子であることは、父であるジョン・アーサーも思いもしなかっただろうが。

 

 

「おばちゃーん、この樽に入ってるシモフリトマト傷がついてるから1ゼニーで売ってくれない?

 もちろん1個ではなく一樽を1ゼニーで」

 

 

 そんな風にシャルラが考えていると、遊びは寮に帰ってからとばかりに買い物パワーを発揮するノレッジ。

 

 

「1ゼニー負けろならともかく1ゼニーに負けろはやりすぎだよノレッジ。

 高級食品なんだから」

 

 

「じゃあほら。この樽、ゴキブリが入ってるし1ゼニーを受け取る代わりに私に処分を任せると思ってさ♪」

 

 

「ほらって、今あんたが入れたんじゃないのさ!」

 

 

 食材屋のおばちゃんとも顔見知りらしく、慣れた様子で値引き交渉をするノレッジ。

 

 その間手持無沙汰なシャルラは何もかもが見慣れない街の景色を眺める。

 

 見たこともない素材で作られた防具を身に纏ったハンターや、見たこともないモンスターが籠に詰められて運ばれていく光景。

 

 これだけの人が生活をするこの街で、自分がこの景色の一部になったということが嬉しくてたまらないのだ。

 

 が、もちろん人が多いと騒動も起こるわけで、

 

 

「あ……」

 

 

 シャルラは背後からの突然の衝撃を感じ前のめりに転んでしまい、持っていた鞄の中身をぶちまけてしまった。

 

 

「いきなり俺にぶつかってくるなんていい度胸してるじゃねぇか!」

 

 

 見れば身長2mを越えるような大柄のハンターが立っていた。

 

 

「こりゃ慰謝料として嬢ちゃんの有り金縁部いただくけど文句ないよなぁ!?」

 

 

「……(見るからにチンピラですね。でも下手に倒したら引っ越し早々“血祭り少女”だなんて言われるかも)」

 

 

 もっとも良い解決策は人に頼ることだが、チンピラの口調に苛立ったシャルラは、自分が倒しても問題ないのでは? と考えていた。

 

 チンピラはこの手のことの常習犯なのだろう。

 

 一番残虐かつ手を汚さない解決策を模索していたシャルラをよそに、慣れた手つきで地面にばら撒かれたシャルラの財布を拾うと勝手に中身を抜き取ってしまう。

 

 周りは人の流れが激しく、チンピラの腰巾着が上手く影になるように立っているのでこの騒動に気づいてる者はいない。

 

 ノレッジも食材屋との交渉に熱中しているようですぐ後ろでこんな騒ぎが起きていることに気づきもしない。

 

 

「ん? しかし嬢ちゃんよく見りゃかなり可愛いじゃねえか。

 財布返してやる代わりにちょっと付き合えよ」

 

 

 チンピラの腕が、シャルラを掴もうとしたところでよく響く声がそれを止めた。

 

 正確には、シャルラがチンピラの全身の骨を粉砕するのを止めたことになるのだが、傍から見れば少女と暴漢なので声の主は勘違いをしたことになるのだろうが。

 

 

「やめろ屑が!」

 

 

 見れば人混みの中から黒い革製の学ランを着こみ、頭をゲリョスソウルの髪型で固めた青年が歩いてきた。

 

 

 

「……おい、てめぇ。今のは俺に言ったのか!?」

 

 

「だったらどうしたってんだ!?」

 

 

 巨漢のチンピラは、突然現れた青年の胸倉を掴むとそのまま殴りかかる。

 

 

「……(ふむ、困った時に助けてくれるヒーローがいるだなんて、私には主人公補正でもあるんでしょうね」

 

 

 この手の正義感の強い者は、弱い印象を持っていたシャルラは、自分を助けてくれようとした青年が殴られ、吹き飛ばされる光景を思い浮かべてしまったが、そうはならなかった。

 

 

「ぼっぱぁ!」

 

 

 吹き飛んだのは掴みかかったチンピラの方だった。

 

 相手よりも青年の方が素早くその顔面に拳を叩きこんでいた。

 

 

「何人たりとも俺の目の前で女の子に手を挙げる奴ぁ許さねぇ!」

 

 

 青年は吐き捨てるように言うとシャルラに向かう。

 

 

「大変だったな嬢ちゃん。

 雰囲気的に田舎から出てきたばかりなんだろうけど街にはああいったゲスが居っから気をつけろよ」

 

 

「そうですね。ありがとうございました」

 

 

 危うく自分が手を出すことでチンピラに絡まれる以上に面倒なことになるところだったのだ。

 

 冷静さを取り戻したシャルラは、素直に青年に礼を言った。

 

 

「いいってことよ。俺はこれでも紳士を目指してるんでな。

 困ってる女の子を放っておけなかったのさ。

 それより嬢ちゃんも王立学術院に通う学生だろ?

 俺もこう見えて学術院に通ってっから、また学校であったらよろしくな」

 

 

 そう言って青年は爽やかに立ち去っていく。

 

 

「やはり美少女に生まれて正解といいますか、この街での初日としては悪くないですね」

 

 

 この時からすでに百合の気があったシャルラだが、青年の紳士的な振る舞いには好感触であった。

 

 

「ぷっひゃ~♪ おまたせシャルラちゃん……って何かあったの?」

 

 

「……何でもないですよ」 

 

 

 面倒になったシャルラは考えるのをやめた。

 

 とりあえず、今日はこのままノレッジと一緒に学生寮に向かうだけ。

 

 ドンドルマの街に引っ越してきた初日から色々と騒がしいのだと思うシャルラなのであった。

 




最初はシャルラとノレッジの二人だけがメインで百合の話にしてもいいかとも思いましたがメインキャラに男が一人もいないのは暴走させずらいので出したのです。

 でも男女の恋愛描写なんて普通ですしメインキャラにさせるつもりは今のところないんですけどね。

 あとシャルラは三人称だと普通に大人しい子に見えるかもしれませんが次回から一人称で書くのでけっこう印象が変わると思います。


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第四話:放課後のお茶会

 今回から久し振りの一人称主人公視点で書いてみましたがいきなり暴走しそうでした。



 今日から久し振りの作者の一人称暴走モードのスタートです。

 

 これまでの話は全てギャップを生むためだけのものですので実質この話からが第一話みたいなものですね。

 

 とりあえず気楽に読んでみてください。

 あと語り部たる一人称の主は勿論この私、シャルラ・アーサーですので。

 

 

 

 

「ふぅ~、たくさん買っちゃったわねぇ」

 

 

「えぇ、ちょっと買い過ぎなくらいですね」

 

 

 両手に買い物袋を抱えたノレッジちゃんは、それだけでも重そうなのに背中にも大荷物を背負っています。

 

 こんなに買っても食べきれないでしょうにどうするんでしょう?

 

 あ、それと彼女の呼び方ですが、聞いてみたらノレッジちゃんと私は同い年だそうなので『さん』付けで呼ぶのを禁止されました。

 

 なので、シャルラ&ノレッジのコンビは今日から親友なのです。

 

 

「あ、見えてきたわよ。

 あれが私が住んでる学生寮でこれからシャルラちゃんが住むことになるところでもあるのよ。

 といってもまぁ、私も学術院に入学したばかりだしこの辺りで知らない場所も多いんだけどね」

 

 

 ノレッジちゃんが指差す方向を見てみれば他の建物よりもひと際高い建物がありました。

 

 ドンドルマの街は山を利用して造られた街ですから地形的に学生寮よりも低い位置にある建物の日当たりが悪くなったりしないんでしょうかね。

 

 とりあえず生まれは別の村というノレッジちゃんですが慣れた様子で入口の戸を開き入っていくので私も遅れないようにすぐ後ろについていきます。

 

 するとノレッジちゃんは入口付近で箒をもって掃き掃除をしていた女性に声を掛けました。

 

 

「はぁ~い、クラーマさん。今日も綺麗ね」

 

 

「ふふん♪ ノレッジちゃんも若さ溢れるその肌艶が羨ましいわね。本当に羨ましいわ♪

 ……って、ん? 後ろにいるのはいま話題の新入生ちゃんだね」

 

 

「ええ、新入生のシャルラです。

 お姉さんは、確か私が学院に最初に来た時に受付にいた人ですよね?」

 

 

 この人、学術院の受付にいたからてっきり事務員でもやっているのかと思いましたが、ここの寮長もやっている、とかの流れですかね?

 

 

「ふふん♪ 君の考えてる通り私は王立学術院美人受付事務員兼学生寮美人寮長のクラーマ・ネーデシュアーレって言うんだけど…………むっきゃぁー♪ あなた本当に可愛いわねぇ!!

 もう抱き締めちゃいたいくらい!!!」

 

 

「って、え!? ちょ、ちょっとクラーマさ~ん」

 

 

「むっはぁ、シャルラちゃんて抱き心地最高じゃない♪

 それにこの耳! 竜人族みたいだし若い時期が長いっていいわねぇ~。

 ほら! ノレッジちゃんも一緒にどう?」

 

 

「あぁ、耳をはみはみしないでくださぁ~い……」

 

はみはみっ

 

はみはみはみはみはみはみはみはみっ

 

 

 はぅぅ、ファーストキスよりも先にファーストタッチを奪われるなんて……

 

 それにノレッジちゃんまで一緒になって耳を齧(かじ)ってくるし……

 

 

「とまぁ、冗談はさておき。はい、ノレッジちゃん。

 部屋の鍵よ」

 

 

「ありがとねクラーマさん。

 そのノリがいいところ、愛してるわ」

 

 

 似た者同士なんでしょうねこの二人。

 

 

「ほらシャルラちゃんも泣きやんだ?

 あんなの軽いジョークじゃないの」

 

 

「うぅぅ……ノレッジちゃんまで一緒になってはみはみするなんてひどいですぅ~

 こんなことする人だとは思いませんでした」

 

 

「あはは。まぁ、そこはおいおい学習していきましょ。

 とりあえず私の……っと、今日からは『私達の』部屋に向かいましょうか」

 

 

 部屋に向かう間に聞いてみるとこの学生寮では家政婦ネコが生徒が学院に通っている間に部屋の掃除をするために毎朝出る前に鍵を預けるんだそうです。

 

 一応どこかの天才鍛冶屋が作った絶対に合い鍵を作れない鍵を使っているらしいです。

 

 泥棒が鍵なしで入室するのは不可能なんですけど、その性質上マスターキーが作れないから鍵を無くしたら二度とその部屋に入れなくなっちゃうみたいですからね。

 

 それを防ぐために外で落とすことのないようにするのは意外と重要なことかもしれません。

 

 

「はい、着いた~♪

 今日は珍しいお茶の葉を見つけたんだけどね。

 『二十茶(トゥエンティー)』っていう飲むと服を脱ぎたくなるお茶と『甘茶(アマーティー)』っていう飲むと傍にいる人に誠実な愛を申し込んじゃう茶葉があるけどどっちにする?」

 

 

「……えーと、普通のをください」

 

 

「シャルラちゃんったら面白くないわね~。

 こうなったら両方混ぜちゃえ。えいっ♪」

 

 

「あぁ、そんなの駄目ですよ!

 おいしくないです」

 

 

 とか言いつつも興味はあります。

 

 なので好奇心から飲んでみたのですが……そこから先どうなったんでしたっけ?

 

 翌朝目を覚ました私たちはお互いに裸で抱き合って床で寝てしまったようですから朝方まで騒いでいたのかもしれません。

 

 お酒みたいな効果のあるお茶ですねコレ。

 

 ……ってそんな事よりも、もしかして私ってば勢いで女の子同士なのに誠実な愛を申し込んじゃったの!?

 

 首筋にはキスマークみたいなのまで付いてるし。

 

 うーあー、今日の授業はお休みしてこのまま寝ちゃいましょう! そうしましょう!

 

 あー、恥ずかしっ!!

 




ノ「それともそれともぉ。
   この私、ノレッジ・フォール特製のノレ茶なんてどう? どう? どう!?
   とあるギャング団が新入りを歓迎する時に淹れるお茶なんだけど!!
 その淹れ方ってのがねぇ~……」


 シ「……聞くからに恐ろしいので遠慮しときます」

 本文に混ぜても良かったですね。

 かつては百合表現を控える意味で省いていたみたいですが、段々と濃い百合小説も書くようになってきてますし。

 キャラ崩壊は意図して行っていきますが、主人公のシャルラには、『今日から俺は』の三橋くらい可愛げのある腹黒さを出していきたいと思っています。

 性格は良いけど意地が悪い子。


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第五話:班決め

 どうもシャルラ・アーサーです。

 

 前回の話から私のキャラが変わりすぎと思った人、いませんか?

 

 私はほんのちょっと恥ずかしがり屋なだけで元からこんなキャラなのです。

 

 では第一話から私が可愛いだけの女の子だと思って油断していた人たちをあっと言わせる展開を描いていくでしょうこの物語は今日も元気に始まります♪

 

 頑張る私!

 

 

 

__________________________________________________________________________________

 

 

 

 

「シャルラちゃん早く起きて!

 遅刻しちゃうわよっ!」

 

 

「うーん……あと気分」

 

 

 結局昨日の私の歓迎パーティーは夜通し行われた(覚えてないですが)ようで、体はだるいし二度寝をしてサボる気満々だったのですがノレッジちゃんによって叩き起されてしまいました。

 

 こう言っちゃなんですけどノレッジちゃんって真面目な人なんですね。

 

 

「いやいやいや、シャルラちゃん。

 今日は学院で最も重要なイベントがある日なのよ。

 これからの学生生活で共に行動する班を決める日なんだから」

 

 

「班決め?」

 

 

 というかそもそも私は学院のことをあまり知らないんですよね。

 

 

「そう! 数学や物理といった学問を研究する学者と違って学術院の学生は基本的にモンスターの生態や狩り場の自然環境といったものを調査する実質ハンターと変わらない学者になるんだから研究をするためにはチームワークも重要視されるのよ。

 で、実際に狩り場に出る時のチームを作るのが今日。

 分かったらさっさと行くわよっ!」

 

 

「あぁ~、待ってくださいよぉ~。

 まだ服着てないんですからぁ~」

 

 

 ノレッジちゃんに手を引きずられながらも、それでもやっぱり休もうかな、と思っていた私は、我ながらサボり魔なのかもしれませんね。

 

 結果的には遅刻はしてしまいましたが学院に向かうことになってしまいました。

 

 お父さんから出席簿の保管場所と改竄の方法を聞いていますけど反りの合わない人と卒業までずっと一緒のチームってのも嫌ですしね。

 そこは仕方がないと思って真面目にしましょう。

 

 昨日と同じく学院の受付にはクラーマさんがいましたが遅刻してやってきた私たちにも笑顔で挨拶をしてくれました。

 

 

「それにしても良かったわねあなた達。

 ハリーだったらまだ来てないわよ。

 彼も遅刻みたいね♪」

 

 

 

 

 

「イェイ! さすがは幸運の女神に愛されてる私だわ♪

 よかったねシャルラちゃん」

 

 

「はい、でも私たちが遅刻したことがバレなければもっと良かったんですけどね」

 

 

「え? それってどういう……」

 

 

 そう、私たちはハリー先生よりも早く学院に来たのはいいのですがそれが紙一重だったとしたら……

 

 

「お前らぁぁ~。

 吾輩よりも早く来たからと言って遅刻が帳消しになると思っているるるぅのかなぁ~?↑」

 

 

「ひゃ! 一体どこから湧いてきたんですかハリー先生。

 びっくりしちゃったじゃないですか」

 

 

 

「人を虫のように言うなノレッジ!

 はぁ~……シャルラをお前と一緒の部屋にしたのは失敗だったかもしれんなぁ。

 入学初日で授業を真面目に聞かず、次の日は遅刻してくるなど言語道断!」

 

 

 ふむぅ、やっぱりハリー先生怒ってるみたいですね。

 

 お父さんからはこういう時は袖の下を渡すもんだ、と教わってますがハリー先生には逆効果のような気がしますね。

 

 

「だが! そのある意味前向きともとれる開き直り方。

 吾輩は嫌いじゃないぞぉ↑」

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 と、見事なまでの作り笑顔で感謝の言葉を言うノレッジちゃん。

 

 ハリー先生はどうにも熱血な人みたいですね。

 ある程度は融通が利く、と私の脳内フォルダの情報を更新しておきましょう。

 

 

「ほらノレッジちゃん。

 ハリー先生が許してくれたんですしやっぱり今日はこのまま授業をサボターって遊びに行きましょうよ」

 

 

「だからと言って堂々とそんな事を言うのは許さんぞシャルラよ。

 いくらジョンの娘だとしても吾輩にも限度というものがある!

 それと『サボタージュ』を中途半端に略すのはいかん」

 

 

 ……突っ込まれちゃいました。

 

 まぁいいでしょう。今日はこのまま出席して授業を受けちゃいましょうか。

 

 それに昨日市場で私を助けてくれた人にも会いたいですし。

 

 そこからは再び興奮してうるさかったハリー先生には私の上目遣いと涙のコンボによって受付から様子を見ていたクラーマさんを味方につけてハリー先生の方が悪いということで落ち着きました。

 

 傍から見るとハリー先生が私をいじめてるみたいに見えたんでしょうね(ニヤリ)。

 

 やっぱり私は年の割に小柄ですし涙や笑顔が老若男女問わず味方にするスキルとして使えるならこういう時に使うのが正しい使い方ですよね。

 

 それじゃあ、クラーマさんに叱られてしょぼくれてるハリー先生を元気づけたらさっさと教室に向かいましょうか。

 

 

……

 

…………

 

 

「よぉぉぉ~っし!

 それじゃあ今日はこれから課外授業に行く時の班決めを行うぞぉぉー!」

 

 

『うぉぉぉぉーっす!』

 

 

 先生元気になるの早っ!

 

 そしてクラスのみんなもテンション高っ!

 

 

「まだ入学して間もないからクラスメートのことをよく知らないだろうが~、それなら今から5分で知れ!

 そして組め! もしも5分経っても班が組めてない奴は迅速な行動が出来ないものとして通信簿の成績を全部オール0にするぞぉ!」

 

 

 0ってハリー先生……5段階評価にしても10段階評価にしても最低は1でしょうに。

 

 とりあえず嘘か本当かはわかりませんが先生の言葉によって誰かれ構わず声を掛けまくる生徒で溢れ、私とノレッジちゃんも勧誘されまくりでした。

 

 とりあえずある程度落ち着くまで教室の隅で良さそうな人を遠目に探すことにしましょうか。

 

 

「うーん、いい人誰かいないかなぁ?」

 

 

「あ、ノレッジちゃん。あの人誘ってもいいですか?」

 

 

「え? どの人?」

 

 

 教室の端に目をやると、昨日チンピラに絡まれていた時に出会った人が私たちと同じように机の上に座りながらでボケーっとしているのが見えました。

 

 どうやら私たちと同じで騒ぎから離れたかったのかもしれませんが、仲間探している風には見えませんね。

 とりあえず声を掛けてみましょう。

 

 

「あのぉ、ちょっといいですか?」

 

 

「あん? 昨日の嬢ちゃんじゃないか。

 同じクラスだったんだな。何か用か?」

 

 

 昨日と変わらず気さくな態度ですね。

 班を作ろうとしてなかったのは機嫌が悪いから、とか何か理由があったのではなく単純に面倒だったから、とかなんでしょうかね。

 

 

「えと、もしよろしければ私たちと班を組みませんか?」

 

 

「俺を誘ってくれてんのか?

 そいつぁ~ありがたい、助かるぜ。

 実は俺もよー、最初は面倒だが真面目に班の仲間を探そうと思ったんだよ。

 けどよく考えたら仲間作らなくても通信簿をオール0にされるだけなら一人でもいいんじゃね? と思ってボケーっとしてたんだよ。

 そして誘ってもらえたなら勿論受けよう。嬢ちゃんとならいいぜ」

 

 

「ありがとうございます♪

 それとあっちにいるのが私と学生寮で同室で、もう一人の班員でもあるノレッジちゃんです」

 

 

 ノレッジちゃんもこっちに近づいてくる。

 

 

「はぁい。あなたがシャルラちゃんを助けてくれた男の子ね。

 私はノレッジ。天才学者になる予定だからよろしくね」

 

 

「あぁ、こっちこそよろしくなノレッジ。

 それにシャルラちゃんだっけ?

 俺はダイヤージってんだ。

 将来の夢は学者ではなく医者だ。よろしくな!」

 

 

「へー、ダイヤージ君って医者志望なんですね。

 あ、申し遅れました私はシャルラって言います。夢は書士隊のトップの座です(書士隊長を蹴落として)」

 

 

 そう言えばまだ自己紹介してませんでしたね。

 

 男手があるといざという時に使えますからね。

 

 とにかくこれで三人。あと一人加えることはできますが別に三人でも班を名乗れるしもういいかな?

 

 

「よし、時間だ!

 班決め終了ぅ……っと、一人余った奴がいるな」

 

 

 100人ほどいた生徒の中でたった一人だけ余るなんてダイヤージ君みたいに考えてた人なんですかね?

 

 ただ一人余っていたのも男の子のようですがまるでその事を当然のように考えている風にも見えますね

 

 

「あぁ、ハリー先生ですか。

 ちょっと人生に対する僕の美しさの利用方法について考察をしていたら、いつの間にか一人ぼっちだったんですよ。

 僕は悪くないですね」

 

 

 金髪を肩まで伸ばしたかなり整った顔立ちながら、どこか残念な雰囲気の漂う人。

 

 きっと将来的には「ライクだけどラブじゃない」って言われて振られて一生恋愛が出来ないタイプですね。

 

 それにしてもハリー先生がこちらを見ているのが気になりますね。

 

 

「ふぅむ……よし分かった。

 ノレッジ、お前のところにこいつを入れてやれ。

 お前ら以外は全員四人班を作ってるしな」

 

 

 言われたノレッジちゃんは振り返って私とダイヤージ君を見ます。

 

 とりあえずOKということで。

 

 

「了解~。

 それじゃ可哀想な余った君。こっちにいらっしゃいな」

 

 

 楽しげに肯くノレッジちゃん。

 

 まだ出会って二日目ですがノレッジちゃんのあの目は面白そうな玩具(おもちゃ)を見つけたときの目ですね。

 

 

「よろしくお願いしますノレッジさん。

 僕の名はフィズ。

 またの名を『必中』のフィズです!」

 

 

「まさか二つ名持ち!?

 ハンターでも数えるくらいしかいないのに何で学術院の新入生で二つ名持ってるの!?(笑)」

 

 

「どうせギャグだろ。

 もしくは蔑称としてつけられたんじゃね?」

 

 

「(あぁ、この人はああいうタイプの人なんだ……)」

 

 

 ノレッジちゃんは単純に面白がって聞いてるだけ。驚いた演技までしてるし。

 

 ダイヤージ君も悪ノリしてる。

 

 

「よく分かったな、ダイヤージとやら!

 この絶世の美男子たる僕にも苦手なものがあってね。

 ハンターも兼業しているのだが『必ず命中させない』という因果律を捻じ曲げたかのような下手すぎる射撃の腕前に対してつけられた皮肉の二つ名なのさ。

 だけど僕はいずれ本来の意味の『必ず命中させる』と言われるようになるためにあえて自分からこの名を名乗っているのさ」

 

 

「自身満々に言ってもカッコ悪いわよ♪」

 

 

 予想通り。わざわざ突っ込んであげるノレッジちゃんはお人好しです。

 

 ダイヤージ君も呆れているみたいだし。

 

 とにかくこれで後に学術院の歴史に名を残すチームが誕生したわけです!

 

 ……ところで班長(リーダー)は誰になるのでしょうか?




 新キャラ二人にはちゃんと名字もあります。

 ただフィズの方はどうか分かりませんがダイヤージの苗字は出したら元ネタがすぐに分かってしまうと思いますのでここではまだ秘密にしておきます。

 伏線とかではなく単純にクイズみたいなこの状況を私が楽しんでいるだけですので。キャラ設定でも投稿する時に紹介したいと思います。

 あと書士隊のトップは『隊長』と『筆頭』という二つの名称が資料を見てもごちゃまぜで記されているので、隊長=筆頭ですし基本的に『書士隊隊長』という名称を使うつもりです。


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第六話:課外授業

 この作品のタイトルですが、これまで私の作品のタイトルは毎度『○○の○○』と言った風で、マンネリに感じていたんですよね。

 かと言ってアルファベットのみの英語のタイトルとかだと検索する時に打ち込むのが面倒だったりスペルを忘れたりする。

 結構考えた末にこれまで使っていなかった割とポピュラーな平仮名のタイトルに決まったのですよ。説明する必要が全く無い製作秘話ですけど。



「ではこれより課外授業を行う!!!」

 

 

『おぉぉぉぉー!』

 

 

 ハリー先生の大きな声が狩り場に響き渡る。

 

 はい、班決めも終わりいきなりの展開ですが狩り場に出向くこととなった私たちシャルラ班(なぜか多数決で私が班長になりました)。

 

 現在『孤島』と呼ばれる狩り場に来ています。

 

 事前にハンターズギルドの調査で危険な大型モンスターはいないとのことですが各班にはそれぞれG級ハンターの護衛が一人ずつ付いていますので万が一が起きても大丈夫でしょう。

 

 ハンターが五人で活動するのは問題でしょうが私たちは将来を期待されている学者としてこの場に来ているので問題ないですし。

 

 

「それにしてもわざわざ学生の授業のためにG級ハンターを雇ってくれるなんて学院の上層部も太っ腹ね」

 

 

「それは僕のような超絶素敵な美男子が万が一にも死ぬようなことがあっては世界の損失だからだね」

 

 

「けどよー、俺達の班の護衛担当が担任のハリー先生っつーのは普段と変わり映えしねえから面白くねぇけどな」

 

 

「皆さん! 確かにハリー先生が護衛だなんて面白くないかもしれませんがもっと気合を入れてください。

 狩り場では一瞬でも気を抜いたら死んでしまうのですよっ」

 

 

 一応リーダーらしいことを言っておきます。

 

 もし何かあった時に『なぜ事前に注意を促さなかった!?』とか言われても困りますからね。

 

 リーダーたる者もしも何かあった時に責任逃れをするための言い訳の一つや二つ用意しておかないといけませんからね。

 

 

「お前たちぃぃぃ~↑

 ちょぉぉ~っと気を抜きすぎなんじゃないのかぁ!?」

 

 

「ハリー先生ももっと言ってあげてください。

 私は真面目に注意してるんですけどねぇ(チラッ)」

 

 

「シャルラ~。吾輩の前でそんなに真面目ぶらなくともお前の考えはお見通しだ。てやんでぃ!」

 

 

 ちっ、さすがはお父さんの友人のハリー先生だわ。

 

 みんなが気を抜いていることを利用して自分だけは真面目っぽく振る舞うことで『私の評価を相対的に上げよう作戦』をあっさり見抜くなんて。

 

 

「そんな事よりぃもっ!

 今日の目的である学者の基本その一、アイテムの採取&調合をさっさとこなすのだ。

 あと余った時間は課題でもある狩り場の絵を描いたり、持ってきた図鑑の挿絵と実物を見比べて図鑑がなくとも薬や食用になる植物などをなるべく多く覚えるのだぞ」

 

 

「はい先生♪」

 

 

 とりあえず笑顔で肯いておく。

 

 ハリー先生には効果は薄いけど私の笑顔は大抵の人には効果抜群なのよね。

 

 

「おーいハリー先生。質問があるんだけどよ~」

 

 

「なんだねダイヤージ」

 

 

 むっ、早速行動を始めたダイヤージ君。

 

 私も何かしないといけないですね。

 

 とりあえずその辺に落ちている石ころでも採取してスケッチでもしときましょうか。

 

 狩り場の風景をスケッチするのも学院を卒業して学者に実際になって狩り場に出向くことの多い書士隊に配属されたりなんかしたら絵の技術はいりますからね。

 

 対象をよく見て、描く! そして完成私の絵!!

 

 

 題:『地面』。

 

 

「うん、よく描けたわ。さすがは私。

 我ながら地面を歩く虫や石ころの様子が上手く描けてる♪」

 

 

「いやいや、地面の絵を描いたところであとで提出する時に手抜きって言われるんじゃないの?」

 

 

「む、そういうノレッジちゃんはどういう絵を描いたんですか?」

 

 

「私? 私が描いた絵はこれよ♪」

 

 

 ノレッジちゃんの紙には空が描いていました。

 

 題:『空』

 

 色は紙一面青一色。雲も太陽も書かれていません。

 

 

「って、私よりも手抜きじゃないですかぁー!

 そんなので、よくも私の絵を馬鹿に出来たものですねー!」

 

 

「私の絵は芸術的センスにあふれているのよ。

 具体的には感性、みたいな? とにかくそういうセンスが凄いのよ。

 というかそれでごり押しするからいいのよ」

 

 

 何とも大胆な考え方。

 

 しかしこれをごり押しするってどうやればハリー先生に認められるんでしょうか?

 

 

「ダイヤージ君はどう?」

 

 

「俺は紳士として手を抜くことはしねぇよ。

 見ろ! この『イビル・ジョー』の絵を!

 やっぱ本物を目の前にして描くとよー、すっげぇリアルに描けるんだよな」

 

 

「え? 本物を見ながら?」

 

 

 ノレッジちゃんと私の視線が交差する。

 

 

『グォォォォォォォー!』

 

 

「イビル・ジョーがいるぅぅ-!?

 いやそんな訳がない! これは幻よ!」

 

 

「そうですね。これは幻です……ってなんでですかー。

 ノレッジちゃんしっかり現実を見ないと駄目ですよ」

 

 

 しかしこれほどの超危険モンスターがいるのならば付添いのG級ハンターに任せて学生の私達は逃げるのが無難なんでしょうね。

 

 でも私たちの班の担当って……

 

 

「はーっはっはっはぁー!

 この古龍キリンの討伐を成し遂げた経験豊富な吾輩、トレジャーハンターのハリーがこいつを押さえつける。

 シャルラ! 班員を連れて今すぐベースキャンプまで退避。

 それと同時にベースキャンプにいるほかのハンターにも救援要請を出すのだ!」

 

 

「ハリー先生! 俺も手伝うぜ。

 ここで女子を逃がすために足止めに専念する俺ってよぉ、最高にグレートじゃね?」

 

 

「うむ、実にグレートだぞダイヤージ!

 むしろパーフェクトと言っても過言ではないな。

 我ら二人の力をあのイビル・ジョーに見せてやろうではないか!」

 

 

 まったくなんて事でしょう。安全なはずの課外授業がいきなり危険極まりない生か死かのバトル展開に突入だなんて……

 

 それにダイヤージ君は武器も持っていないのに素手で戦うのでしょうか?

 

 この物語は狩り要素のない安全、楽しい、ハッピーエンドな展開が売りなのにこれじゃあいけませんね。

 

 

「なぁに、吾輩のことなら心配するな。

 シャルラだけでなく吾輩にとって生徒とは命を賭しても守りたい愛すべき存在なのだからこれくらい当然だ!

 それに今週末にキリン娘愛好社より発売の『週刊キリン娘』の最新号をまだ読んでいないのだ。

 最新号はかつてのキリン娘愛好会の初代会長ハターン・モンスータ氏のコメントが掲載されるそうだから絶対に死ねないのだ!」

 

 

 いやいや、カッコいい笑顔で言ってもカッコ良くないですよ?

 

 前半の内容が後半のセリフで台無しになっちゃってるじゃないですか。

 

 

「シャルラちゃんとりあえずここはハリー先生に任せて私たちは避難しましょ!

 あわあわあわあわ!!」

 

 

「はぁ~。ノレッジちゃん落ち着いてください。

 ほら、私の水筒あげますからシャル茶でもどうぞ」

 

 

「ありがとう……って名前からしてそんな怪しげなお茶飲めるかぁー!

 わざわざ持って来たんかいっ!?」

 

 

「いえ冗談です。

 水筒の中身はお茶ではなく『すいとん』ですので。

 まぁ、冗談はさて置いといて。とりあえず私あの子と話をつけてきますね」

 

 

 実はモンスターと人間のハーフの私は人語もモンスター語も両方仕えるバイリンガル美少女だったのです。

 

 なのであのイビル・ジョーも説得すれば帰ってもらえるのでは? という作戦なわけです。

 

 見たところジョーにしては体も小さいしまだ子どもなのでしょう。

 

 

『ハローハロー、私の言うこと分かりますかー?』

 

 

 モンスター語で会話を試みてみる。

 

 

『ん? 君は人間……ではなくハーフなんだね』

 

 

『よかった通じるみたいですね。

 で、ちょっと君に頼みがあるんだけどここでいま暴れるのはやめてくれませんか?

 私たちここで色々とすることがあるから今君みたいな大型モンスターに狩り場に出てこられると困るんですよ』

 

 

「おい、シャルラ。何を言ってるんだ?」

 

 

「ハリー先生は黙っていてください。

 私の固有スキルでイビル・ジョーには戦わずに帰ってもらおうと説得してるところなんですから」

 

 

 ちなみにモンスター語は人間には聞きなれない言語なはずです。

 

 

『邪魔が入りましたが私の要件はこれだけです。

 すぐにどこかに行ってもらえないでしょうか?』

 

 

『うん、それはいいんだけどさ。

 イビル・ジョーって種族は生まれつき体温が高くないと生きていけないんだけど僕お腹が空いちゃってるんだ。

 早い所何か食べないと死んじゃうんから人気のない場所には移動するけどこの狩り場自体からはしばらく移動出来ないよ』

 

 

 そういえばイビル・ジョーは高い体温を維持するために常に何かを食べ続けてないといけないんでしたね。

 

 私はお母さんの影響から『冷やす』のはある程度できますが温度を上げるというのは難しいですからね。

 

 ……でも待って。

 

 もしかしたらこの子、アレに利用できるかもしれませんね(ニヤリ)

 

 

『ちょっと提案なんだけどさ。

 あなたの体温ってあとどれくらいの時間食べなかったら死んじゃうの?』

 

 

『うーん、正確には分からないけどあと3時間以内に何でもいいから口に入れないと体温が下がって死んじゃうと思う。

 すでに自食作用(オートファジー)が発動しちゃってるし』

 

 

 これはチャンスね。あと3時間もあれば十分だわ。

 

 

『ならばあなた。私の友達にならない?』

 

 

 ちょうど街で暮らすのにモンスターの友達(・・)が欲しかったのよね。

 

 課外授業もこれからも何度かあるでしょうし、狩り場への足代わりになる大型モンスターというのもいいですね。

 

 

『私の友達になったらドンドルマの街でお腹いっぱいご飯を食べられるよ。

 おまけに無駄に人間から命を狙われる心配もいらないけど。

 どう? 私の友達にならない?』

 

 

『食べるのに困らないならこちらからお願いしたいくらいだよ♪

 ここに来る前も人間たちからモンスターというだけで襲われたし君がいるなら人間を襲わなくて済むもんね』

 

 

 あら、どうやらこの子けっこう大人しい性格のようですね。

 

 イビル・ジョーは総じて好戦的で食事こそ至上の喜びとし、その副次的効果として戦闘行為自体も楽しんでいる節があると考えてきたのですがこの事を調べていけばモンスター生態学に新たな発見があるかもしれませんね。

 

 

『分かったわ。それじゃあこれからよろしくね。

 ……えーと、あなた名前ってある?』

 

 

 

『僕の名前はリッキーっていうんだ。

 ママがつけてくれた立派な名前だよ♪』

 

 

 なかなかに素直で可愛らしい子じゃない。

 

 この子となら仲良くやっていけそうな気がするです。

 

 

「あー、ハリー先生。

 見ての通り説得は終了しました。この子はもう襲ってきませんので私の友達として連れて帰りたいと思うのですがいいですか?」

 

 

 あら? 先生ったら顎を大きく開いて固まっちゃってますね。

 

 モンスターと会話したくらいでそんなに驚くことかしら。

 

 とにかくこれで私は野望へとまた一歩近づいた気がするです。(野望については今はまだ秘密ですよ♪)

 

 初めての課外授業はこんな感じで幕を閉じたのでした。チャンチャン♪



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第七話:リッキーくんの生態

 今回はシャルラが拾ったイビル・ジョーのリッキーくんについてのお話。

 それと「この物語はギャグである」と、改めて言っておきますので。

 ではどうぞお楽しみください。



 リッキーside

 

 

 えーと、このたびシャルラさんのもとで暮らすことになったリッキーって言います。

 

 本当に僕なんかのために一話丸々使うことになんて恐縮ですが今回は僕のことについて語ってみようと思います。

 

 でもこんな弱気なことじゃ“恐暴竜”としては失格ですよね。なんか僕みたいなのがイビル・ジョーですいません。

 

 あ、こういうところが馬鹿にされる要因なんですよね。とにかく話を進めていきたいと思います。

 

 

 

 まず最初ですが、ハンターたち人間にはイビル・ジョーって種は群れることがないように思われてますけど人里離れた場所に僕らイビル・ジョーの里ってのを作って暮らしてるんです。

 

 僕はそこでパパとママと一緒に静かに暮らしていたんですけど、僕ってば鈍くさくていじめられっ子だったんです。

 

 身体も小さいしブレスもまともに出せないから馬鹿にされて、そのくせ人一倍大喰らいなもんだからパパやママからも呆れられてたし。

 

 でもそんなことじゃ駄目だと思って僕は一人で人間が狩り場と定めている場所に足を踏み入れたんです!

 

 最初は凍土に行って初めてポポを自分一人の力で狩って食べてたんですよ。

 

 これまではパパやママに狩ってきてもらったお肉しか食べたこと無かったんだけど、僕も自分一人で狩りが出来るんだぞって証明したくて。

 

 一人前になったようで誇らしかったのをよく覚えています。

 

 だけどそこからが大変でした。

 

 別に他のイビル・ジョーみたいに無意味に暴れて無駄に殺したりはしてないし、人間の領域を荒らすなんて怖くてしたこともなかったのに食後の散歩をしてただけで突然襲われたんです。

 

 大剣使いの背の高い男の人とライトボウガン使いの小さい女の子。それに太刀を背負っているのに物凄い痛いパンチを繰り出す女の人に体中からありえあない量の沢山の武器を出してくる怖い笑顔の女の人に襲われたんです。

 

 僕もイビル・ジョーらしく怒ってみたんですが今まで戦いというものを経験したことのない僕は、怒ったところで里の仲間達と違って古傷が赤く浮かび上がるようなことは一切ないんです。

 

 だからそれを見たハンター達の中の一番小さな女の子が「あ、このイビル・ジョー古傷もないつるつるの卵肌だなんてまだ幼いみたいですねぇ♪」なんて言いながら喜々としてボウガンを乱射してくるものだからパニックになっちゃって。

 

 どれも一撃必殺と言ってもいいような攻撃ばかりしてくるから僕は必死で逃げたんですよ。

 あの時弾が一発も当たらなかったのは向こうが遊んでいたからなのかもしれません。

 

 僕って周りからもいじめたくなる顔してるってよく言われますし。

 もう死ぬかと思いました。

 

 そしたら途中で足を踏み外して崖から転がり落ちて、川に流され気がついたら孤島にいたんです。

 

 おかげで凍土でのハンターたちからは逃げ切れましたが体中をすりむいちゃいました。

 

 まぁ、とにかくそこからはご存じの通りまたお腹が空いたので流れ着いた孤島にてご飯を食べようとしてたらまた人間達に遭遇し、シャルラさんに出会ったんです。

 

 それで僕は彼女に食うに困らないように面倒を見てあげると言われて仲間? になったんですが……

 

 なぜこんなことになったのでしょう?

 

……

 

…………

 

………………

 

「さぁ、今日のメインイベントはあの“恐暴竜”イビル・ジョーです!!

 捕まえたのは王立学術院の新入生シャルラ・アーサーさんという方らしいのですが、まさかイビル・ジョーのような特に危険なモンスターが馴致(じゅんち)可能だったなんて知りませんでしたよっ!!」

 

 

ワーワーワー

 

 

 ここはドンドルマっていう街にある娯楽施設『アリーナ』。

 

 なぜか僕はここにいるのです。

 

 

「リッキー! 勝ち負け関係なくファイトマネーでお腹いっぱいご飯をあげるけど君が勝ったら私のお小遣いが倍々に増えていくからちゃんと勝つのよー!」

 

 

 僕の友達(?)のシャルラさんはノリノリのようです。

 

 よく分かりませんがとりあえず頑張ってみようと思います!

 

 

「それではメインイベントぉ~! イビル・ジョーの対戦相手はイャンクックだぁー!!!」

 

 

 ほっ、イャンクックなら僕でも勝てるかも。

 

 シャルラさんはこの試合で僕にお金賭けてるみたいだしいいところみせなくちゃ。

 

 ですがこの時の僕の思いはものの見事に裏切られてしまいました。

 

 

ズズゥゥーン

 

 

 そんな音とともに空から降り立ったのは対戦相手のイャンクック。

 

 え? 何その音。『ズズゥゥーン』?

 

 

「今回イビル・ジョーと時を同じくして過去最大サイズ。全長20mのイャンクックが捕獲されたのです!

 いやぁ、これならイビル・ジョーとはいえ苦戦しそうですがどうなるんでしょうねぇー!」

 

 

 司会の人が面白そうにそんな事を言う。

 

 ちょ、ちょっと待ってよ! 僕まだ戦い方すら知らないのに!!

 

 目の前のイャンクックさん、体中傷だらけで見るからに歴千の強者ですし!

 僕のことを完全に敵認定しちゃって好戦的だし!

 

 

『小僧。ワシはイャンクックという種族の中で最強を目指しちょる。

 今回はたまたま異常に強いハンターたちに捕まってしまったからここに捕えられてしもうたがこうなったらこの場所で最強を目指そうと思うちょるんじゃ!

 まず最初の生贄は貴様になってもらおうかのぅ!』

 

 

『どっひぇ~! ぼ、ぼぼ僕弱いですから勘弁してくださいよぉ~!!』

 

 

 こうして激戦の火ぶたは切って落とされた。

 

 ……ごめん。やっぱり落されなかった。だって僕弱いんだもん。

 

 

「おぉーっと、これはどうしたことかぁー!?

 モンスターの中でも最強の呼び声高いイビル・ジョーがモンスターの中でも特に弱いはずのイャンクックを相手に追いかけられて逃げ回っているぞぉー!

 さぁこの戦いいったいどうなる!?」

 

 

 いやいやいや司会の人、勘弁してくださいよぉ~。僕まだ子どもなんですよ!?

 

 あんな歴戦の強者って雰囲気漂う体格差が倍以上もある人に勝てるわけないじゃないですかぁ~。

 

 なんだかこの試合、賭けも行われているらしく壁にかかっているプレートの僕のオッズがどんどん更新されていってる。

 まぁ逃げ回ってばかりじゃ仕方ないよなぁ~。

 

 

 ん? なんかシャルラさんが言ってるな。

 

 

『勝・て・な・きゃ・殺・す♪』

 

 

 ヒィィィー! なんかモンスター語で怖いこと言ってるぅぅぅー!

 

 

『がはははは! まさか人間でモンスター語が分かる奴がおるとは思わんかったのぅ。

 じゃがワシはここで最強として名を挙げるけぇ、小僧。ここで死んでくれや』

 

 

 目の前のイャンクックさんも怖いしどうすんのコレ!? どうすんの僕!?

 

 

『えぇーい、こうなったら破れかぶれだ!』

 

 

 僕は適当に噛みついてみることにした。

 

 イャンクックという種は地面を掘り起こして出てきた虫を主食にしているから牙はないし、爪だって純然たる肉食モンスターの僕の方が断然鋭いんだから。

 

 それにイビル・ジョーという種族の唾液は強い酸性を持っている。

 

 小さくとも少しづつ傷をつけていけば最終的には僕の勝ちだ!

 

 ……体力で負けなければいいけど。

 

 

『うぉぉぉぉぉー!』

 

 

 僕ってば実は最強なんだ! やればできる子なんです! だからイャンクックごときに後れをとるなんてありえないのです!

 

 ……はい、嘘です。僕には勝てそうにありません。

 

 

『なんで僕の唾液で甲殻が溶けないんだよ!

 僕の攻撃も全部まともに食らってるのにダメージ0なのさっ!?』

 

 

『小僧程度の唾液でワシの甲殻が溶けるはずなかろうが。

 ワシの甲殻はマグマや毒の沼にも一切影響を受けぬ最強の甲殻なんじゃい。

 貴様のような小僧の攻撃なんぞ端っから避ける気すらないわッ!』

 

 

 なんということでしょう。このイャンクックさんには僕の攻撃は通用しないのでしょうか。

 

 

『リッキー分かってんのー!?

 負けたら死ぬのよー! 私が物理的に地獄に落としちゃうわよー!

 死にたくなかったらあの必殺技使いなさいよ!』

 

 

 ちょっと恐いシャルラさんの声援。

 

 そういえば彼女から必殺技を教わっていたんだった。

 

 

『小僧ぉ~。なんじゃまだ隠し技があったんかい?

 じゃがその前にワシが貴様を潰す。

 その技が何かよく分からんが喰らえッ!』

 

 

 チャンス! どうも僕の攻撃を避ける気もなさそうなイャンクックさんは普通に突進をしてくれたっ!

 

 僕の全力の必殺技を試すチャンスだ!

 

 

『じゃあ行くとするよ。

 シャルラさんから習った48の殺人技の一つ、イビィィィール・バスタァァァァー!!!』

 

 

 突進してくるイャンクックさんを僕の肩(?)で持ち上げ、その両脚をしっかりと両手で掴んで空高く跳びあがる。

 

 

『何ぃ! 小僧、その短い手でどうやってワシの脚を掴んどるんじゃぁー!?』

 

 

『この物語は小説であり、マンガと違って絵の描写は必要ないのを忘れてますよ、イャンクックのおじさん!

 つまりどんな無茶なことをしても絵にする必要がないのだから何でも出来る!』

 

 

 そう、シャルラさんが見てくれているんだから今の僕なら何でも出来る!

 

 

ズッシィィィィーン!

 

 

 跳びあがったあとに落ちてきた僕の体重+イャンクックさんの体重、それにトンデモなく高く跳びあがったことで高さによって威力も倍々だ。

 

 

『グッホォォォー!』

 

 

「おぉ! ついにこの試合に決着が着きました!

 勝者は絶対に負けるだろうと思われていた大穴のイビル・ジョーです!」

 

 

 ウォォォォォォォォォォォォー!

 

 

 今日一番の歓声が響き僕の耳に心地いい快感を与えてくれる。

 

 やった。僕は勝ったんだ。

 

 もう誰にも僕を弱虫扱いさせないぞ!

 

 観客席のシャルラさんも笑顔で手を振ってくれてるしこれで良かったんだよね。

 

 なんだか今日一日で僕はずいぶんと成長した気がするよ。

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

 うん、やっぱりあの子素質がありますね。

 

 お母さんとお父さんから習った格闘技を仕込んでおきましたがここまで強くなるなんて予想以上でした。

 

 このまま鍛えていけばこのアリーナにおけるチャンピオンの座も夢じゃないはず。

 

 アリーナにはあまりに強すぎて試合には出てこなくなった伝説のチャンピオンがいるという噂を聞いてますしそのモンスターを引っ張りだすのはこの子になるはずよ。

 

 とにかく今日は私も大儲けさせてもらって助かったわ。お父さんの貯金がまだ残っているとはいえ、私自身が自由に使えるお金としてお小遣いが欲しかったから試合に出させたけど予想以上に儲かりましたね。

 

 あの子本当は強いのに雰囲気的に小さくて弱そうだからオッズが20倍になってたんだから。

 

 さて、今日はもう帰りましょう。

 

 夕飯はノレッジちゃんと外で美味しいものでも食べようかしら♪

 




 イビル・ジョーが筋肉バスターを仕掛ける映像なんて想像できないですがそこに突っ込んではいけません。

 「疑問に思ったら負けだ!」です。モンハンの世界には実に都合のいい言葉がありますね♪

 あと全長20mといえば確かモノブロスの平均がそれ位の大きさだったと思います。

 そうなると今回出てきたイャンクックは大きいですね。『銀牙_流れ星 銀_』のアカカブトみたいに脳に銃弾でも撃ち込まれて成長ホルモンが異常分泌されたということにでもしてくださいw

 それと、ハーメルンへの移転ついでに、こっちの予約投稿機能を使ってみましたが、投稿予定日を間違えた場合、あとから修正出来ないようなので次話から普通に投稿します。

 丸三日、一時間おきに更新って面白いと思ったんですけどねぇ~……。この物語は全63話です。


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シャルラちゃんとゆかいな仲間たち

 今日はキャラ設定の回ですね。

 そういえばモンスターファーム2でドラゴン種のモンスター<ムー>を育てていた時、ムーの好きなものが『お花』だったんですよね。

 いえ、特に関係はありませんが。



 シャルラ・アーサー

 

 

 本作の主人公。最初にこの物語を考えた時は主人公はアーサー繋がりでFateのセイバーみたいな一本の剣のように筋の通った凛々しい女性にしようと考え。

 

 「筋が通った」といえば金剛番長だろ、と思って背が高くてカッコいい系の女性をイメージしたのですが……なぜか腹黒さのある小さくて可愛いらしい子に行きついてしまいましたw

 

 自分でも何でこんなに黒くなったのか不思議でなりませんが私の深層心理の好みなのかもしれませんね。

 

 それと小さいといっても年の割に背が低いだけでロリっ子をイメージしている訳ではありません。身長は150センチに少し足りないくらいです。「少し」の解釈は読者の皆様にお任せしますが。

 ちょっぴり恥ずかしがり屋という初期設定はすでに記憶の彼方です。

 

 父親は王立古生物書士隊の筆頭書士官ジョン・アーサー隊長で母親はクシャルダオラという最強の血を引いている女の子。

 

 母親の影響でモンスターの言語も話せる。

 身体の方も並みの竜人族以上の身体能力を持っているので素手でもモンスターよりも強い。ただし狩り描写は書かないつもりです。

 

 父親譲り(私のジョンに対する個人的イメージですが)の豪放磊落さも若干受け継ぎ基本的にお祭り騒ぎのような騒がしいことは好き。

 

 学者になりたいという思いは本物で、親馬鹿で自分に甘い父に頼みこんで王立学術院への推薦状をもらい、偶然を装って父の知己であるハリーがいる時に学院に行ったことで上手い事入学することに成功。

 入学が少し遅れたのは入学を決めた時に住んでいた場所がドンドルマから離れた場所だったため。

 

 夢は学者になって書士隊トップの座を現隊長のギュスターブ・ロンから奪い取ること。ついでにその後の事もけっこう考えている。

 

 人里には父に連れられて何度か来たこともあるが基本的に大自然でモンスターの友達に囲まれて育った野生児。

 

 なお父のジョンは人間だがシャルラの母であるクシャルダオラとは愛し合っているので愛パワーによりモンスターの言葉はわからないが心で会話が出来る。

 他にも生まれつきモンスターの気持ちが理解できる人間なども世界には少なからず存在している。

 

 15歳(シャルラの同級生は記述がないものは全員同い年ということで)、身長は低め。ただし背が低い割には出るところと引っ込むところはかなりのもの。

 

 

 

 

 ノレッジ・フォール

 

 

 原作キャラ。外見イメージは私の趣味で想像しましたが、スレンダーな体型で茶髪の三つ編みにそばかす少女だと思います!(断言)

 

 視力が良いという設定があるので眼鏡はかけてないということで。

 

 将来の夢は書士隊に抜擢されること。モンハンの設定資料の『ハンター大全』では「鋭い観察眼を持ち、将来を期待されているが文章力について叱られる毎日」という記述があったので表現力や経験といったものはないのだと思います。

 

 しかしゲームでの設定として視力がいいという理由でオオナズチの調査隊抜擢されて、実際に狩り場でオオナズチが口から吐くドロッとしたものを小瓶でキャッチするなど運はいい模様。

 

 この作品ではまだ学術院の生徒だがこれからどのような成長を遂げるのかは友人のシャルラ次第とも言える。

 

 そしてこの作品では若干百合っ気があるシャルラ大好きっ娘。

 

 

 

 

 ハリー

 

 

 本業はトレジャーハンターで広くその名を知られてはいるが学術院にて教師などもしている。

 

 書士隊員も掛け持ちしているので書士隊との関係も深く、アルバイト感覚で色々と仕事を手伝うことも多々ある。

 

 今は人員不足のために新しい教職員を雇い入れるまで、という条件で本業よりも学院の教師としての仕事を優先している。

 

 古龍の生態、特にキリンについて詳しい。著書も多く執筆している。

 

 ジョン・アーサーとは学生時代同級生だった。

 

 熱い性格と暑苦しい口調が私の好みなのでこのキャラを出したいがためにこの作品を思いついたと言っても過言ではない。

 

 この作品はギャグ要素が多めなので彼もキリン装備の女性ハンターが大好きな変態として描写される場面もありますが、それが私のやり方です。

 

 太刀使い。原作キャラ。

 

 

 

 

 クラーマ・ネーデシュアーレ

 

 

 シャルラ達の通う王立学術院の受付事務員と学生寮の寮長を兼務している女性。

 

 可愛いものが大好きでシャルラは大のお気に入り。人間ではあるが実年齢よりもずっと若々しく見えるため、その本当の年を知る者はいない。

 

 ハリーやジョンとは学生時代は同級生で当時は保健体育の授業だけはジョン・アーサーよりも成績が良かった。(他の成績もそれなりには良かった)

 

 ノレッジとは彼女が学院に入ってから知り合ったのだが、通じるもの(可愛いものが大好き、というか百合)を感じて仲良くしている。

 

 性に開放的で『食に通じる道理が性に通じないはずがない』をモットーとしているので料理の腕もなかなかのもの。

 

 また上記のモットーから、「ならば三大欲求のもう一つ、睡眠欲というのは寝ている女の子ににゃんにゃんすることじゃね!?」などと一人で妄想する姿もしばしば学院の生徒たちに目撃されている。

 

 学院での役職は教師ではないが女子寮寮長兼学院受付事務員として学院の生徒たちを守るためなら例え上からの命令でもぶっ潰してやるという強い信念も持っており、人の弱みを見抜く才能もある。

 

 そのため弱みを握られている学者も多く、意外と王立学術院における発言力は高い。

 

 興奮すると一人称が「あたし」になったりもする。

 

 『ぷぎゅる』の保健医を見て思いついたオリキャラ。

 

 

 

 

 

 

 ダイヤージ・クレイモンド

 

 

 モンハンの世界って医者の需要が多そうだな~、と思って考えだされたオリキャラ。

 

 というか『スーパードクターK』を久し振りに読んで最高のマンガだぜッ! と思わず熱くなって思いついたキャラ。しかし名前の元ネタが混じり過ぎていく気がする。

 

 髪型をゲリョスソウルでバシッと決めている。

 あまり口数が多い方ではないが熱い信念を持っている内心熱いキャラ。

 紳士であろうと心掛けている。

 

 服装の描写は作中にはありませんでしたが学ランということで。

 ガブラスの皮とかで作れば学ランでも防御力もありそうですし。

 長ランと短ランを交互に着ている。

 

 怒りに燃えた時は拳に龍殺しの属性が自然に付与される特異体質のために故郷の村では喧嘩最強の不良だった。

 

 ある事件がきっかけで医者を目指すようになりドンドルマの王立学術院に入学した。

 

 両親は農民だが王室御用達の高級食材を数多く作っているためにそれなりに儲かっている。

 

 誰でもどんな症状でも治せるような万能の医者になりたいと思っている。

 

 

 

 

 フィズ・リーザ

 

 

 単純に三人パーティよりもモンハンなら四人だろ。というだけの考えで登場させたオリキャラ。

 

 女性よりも女性らしい艶やかで美しい金髪を肩まで伸ばし、顔は10人中10人が振り向くほど整っているイケメン。

 

 ただし十人中十人の女性からは絶対に恋人としては付き合いたくないタイプと言われる残念な雰囲気をまとう男。

 

 とにかく軽い性格。何事にも熱くならないが、どんな事でも楽しめるお気楽なキャラ。

 

 本人の夢はハンターになる事だが両親がドンドルマの大老殿で事務員として働いているのでハンターとしてよりも学者、またはそれに準ずるような仕事に就くことを期待されている。

 しかしこの辺の話は本編とは関係ないので淹れるかどうか迷っているのでこの先出ないかもしれない。

 

 学院に入学したのも親の推薦であり、本人はハンターになりたいことを言い出せずに普段の明るい仮面の下で悩んでいたりする。

 

 また遠距離武器が好きだが因果律を捻じ曲げているとしか思えないほど絶対に標的に当てることのできない射撃の腕前を持ち、それを馬鹿にされて『必中』(必ず命中しない)という二つ名で呼ばれる。

 

 だがボウガンや弓が大好きなのでいつかは百発百中のガンナーを夢見て努力はしている。

 

 イメージ的には『ベルセルク』のグリフィスと『涼宮ハルヒの憂鬱』の谷口を混ぜたら面白いかもなぁ~と考えたことで生まれたキャラでもある。

 

 追記すると名前の元は私の好きなゲームの四人のキャラ名を混ぜたものなので他のキャラと違って元ネタを知っている人でも気づけないはず! という自負がありますw

 

 

 

 

 リッキー

 

 

 種族はイビル・ジョーだが気が弱く、イビル・ジョーの里にいた時もいじめられっ子だった。

 

 イビル・ジョーは群れないという認識をされているがこの物語では実は人間の知らない場所に里を築き、意外と仲良く暮らしているという設定。

 

 体は小さいが人一倍食いしん坊なのでよく食べる。

 

 シャルラとは一応友達であり主従の関係にも近い。

 アリーナにてモンスター同士の戦いに参戦させられることもあるが現状に別段不満はない。

 

 後々強くなるとは思うが気が弱いので戦うことはあまり好きではない。

 

 というかすでにシャルラの教育によりかなり強くなっている。

 

 穏やかな心を持ちながら激しい怒りでスーパーな戦士に目覚めることもあるかもしれない……

 

 好きなもの:『お花』

 嫌いなもの:『血』

 




 オリキャラの名前は全て元ネタがあります。

 元ネタが分からない、知りたいという感想が来ましたらそのつど書いていこうとは思いますが、クイズみたいな感じを『私』が楽しんでいるので聞かれない限り書かないと思います。

 まぁ、けっこう簡単ですし分かる人には分かりそうですが。一人だけ絶対に分からないだろうという思いでつけた名前もありますが。

 とりあえずリッキーには減量はさせませんのでご安心をw

 お腹いっぱい食べさせて、あの力は人のために使わせるよ!

 感想評価お待ちしています。


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第八話:水着は裸よりもエロく見せてこそ至上!

「全部見せるのではない。ほんの少しばかり隠すことで見る者の想像力を刺激するからこそ輝くのだ!」

 今回はそんな感じのお話です。



「明日はみんなで海に行こうと思います!」

 

 

 唐突にそう言ったのはノレッジちゃんでした。

 

 

「明日はみんなで海に行こうと思います!」

 

 

「いや、二回言わなくても聞こえてますって」

 

 

 明日は私が王立学術院に入学して初めての休日。

 

 そんな休日をどう過ごそうかと放課後の教室で掃除当番をしながら班のみんなで話していた時にノレッジちゃんがよく分からないテンションで言ったのでした。

 

 

「まぁ、ノレッジちゃんのテンションが高いのはいつものことですよね。

 それで明日は海に行くんですか」

 

 

「そうよシャルラちゃん!

 明日は学校が休みだから今日の内にみんなで水着を買って明日は朝から海に行きましょう!

 『海に行く』という私たちの最大級の重要イベントを実行に移すには水着がいるのよ」

 

 

 そりゃまぁ、海に行って裸で泳ぐわけにもいきませんしね。

 

 言ってることは正しいですが、物語が始まったばかりのこの時期にいきなりの水着でキャッキャウフフの展開ですか。

 

 もう少しストーリー本編を進めたり学院での授業風景やグダグダトークを終えてからそういうお色気イベントに行きたかったのですがノレッジちゃんがその気なら私も一緒に行くのに吝(やぶさ)かではありません。

 

 もうノレッジちゃんの中では水着で泳ぐことは決定事項なのですね。理解しました。

 

 ところで男子二人はどうなんでしょう?

 

 

「俺も別に構わねぇよ。

 ただ海水浴なんざガキの頃以来だし俺も水着を新調する必要はあっけどな」

 

 

「女性の水着! それもノレッジさんとシャルラさんのようなお美しい女性の買い物に付き合えるとあらば僕は何をおいてでもついていきますよ!!

 あと僕は毎年特注の水着を職人に注文してるからいつでも海に行けますよッ!」

 

 

「あ、私はシャルラちゃんの水着姿が見たいだけだから。

 買い物は私とシャルラちゃんチームで済ますからフィズはダイヤージの水着買うのに付き添いなさい」

 

 

「ノォォォォォォー!」

 

 

「おいおい、そんなに買い物に付き合えないのがショックかよフィズ。

 どうせ実際に泳ぎに行く時見れるんだからそのワクワク感を抱いたまま過ごしておけよ」

 

 

 ようするに自称:紳士のダイヤージ君も私たちの水着姿が見たいんですね。

 

 

「うぅぅ……僕は、僕は試着室から出てきて『こんなのどうですかね?』『もっと大胆にしなきゃ駄目よ』なんて言い合うシャルラさんとノレッジさんの嬉し恥ずかしトークに混ざり、『それならこっちの方が似合いますよ!』とか言って露出の多いきわどい水着を勧めたり、それを顔を赤らめながら拒否する二人の姿が見たかったんだけなんだ……」

 

 

 馬鹿ばっかですね。妙に具体的なところがさらに変態性まで上げていますし。

 

 まぁ、フィズ君はこんなキャラみたいですし仕方がないと思うべきでしょうね。

 

 でも私が可愛らしい仕草などを計算して行っているのには気づかれていないようですし、私の演技力もなかなかのものと言えるでしょう。

 あまり隠しているつもりはないんですけどね。

 

 特にフィズ君は女性に甘いですし段々と無理難題を押し付けられることを当たり前のように捉えられるように体に教えておかなければいけませんね。

 

 それよりも最近はノレッジちゃんの言動の方に本気で貞操の危機を覚えるのですが大丈夫なんでしょうか?

 

 ダイヤージ君もフィズ君も女性には優しいですし、というかノレッジちゃんの尻に敷かれてるみたいでチームの中での立場は弱いですが。

 

 まぁ、そんな事を考えている私自身が一番尻に敷く予定満々なんですけど。

 

 

「ふっ、まあいいさ。

 前回の課外授業の時みたいに僕の魅力を見せつければ必ずやふ二人も僕の素晴らしさがわかるでしょう!」

 

 

「え? 課外授業の時ってフィズ君いたんですか?」

 

 

「そういえばあの時はシャルラちゃんがイビル・ジョーをペットにしたことで盛り上がったけどフィズの姿を見た覚えがないような……」

 

 

「あの時フィズなら最初は俺らと一緒に行動してたけどよー、すぐに他の班の女子をナンパしに行ってたぜ。

 俺は俺でイビル・ジョーを最高にカッコよく倒してやろうと思ってこの拳に力が入ってたって時に一人だけ余所に行ってたなんて紳士じゃねーよなぁ~」

 

 

 なるほど。フィズ君ってば他の班に行っちゃうなんて節操のない人ですね。

 

 私とノレッジちゃんだけでは物足りないと言うのでしょうか。

 

 

「僕は夢を追い求めて生きているのさ。

 だからついつい女性という名の宝(トレジャー)を見つけたらたとえ何があろうとも行動してしまう。こんな自分が大好きなんだから誰も僕を止められないのは自然の摂理と言っても過言ではないとさえ思っている!」

 

 

 長くて無駄な説明をどうも。

 

 ようするに女の子が大好きで、すでにゲットしたも同然と思っている私たちよりも新しい出会いを求めてうろちょろしている、と解釈してもいいのでしょう。

 

 

「そんな事よりも、早く掃除を終わらせて明日の準備をしましょう。

 あと女の子と出歩くときは男がお金を出すのが基本設定なんだからダイヤージとフィズは多めに持ってきなさいよ」

 

 

「勿論構わないよノレッジさん。

 僕が出したお金で君たち二人の水着が買えるというのなら本望さ」

 

 

「いや、帰りに夕飯とか奢ってもらうだけで水着は自分で買うわよ」

 

 

「ノォォォォォォォォー!」

 

 

 ぷっ、それにしてもフィズ君は顔はいいのにこの残念な雰囲気がギャップとして魅力的に思えるのがいいですね。

 

 勿論異性としては頼りないことこの上ないですけど。

 

 とりあえず掃除を終えたら今日は水着屋さんに直行となりそうです。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 そして水着屋さん。

 

 

「おぉう! こんなにも刺激的な女性用水着を陳列しているだなんて僕の股間の紳士が爆発しそうだよ!

 

「あぁ!? おいフィズ!

 お前もしかして一流の紳士であるこの俺と紳士勝負しようってのか!?」

 

 

 けっこう下品なフィズ君に、見当違いの対抗心を燃やすダイヤージ君。

 

 この二人は本当に見ていて面白いですねぇ♪

 

 

「ほらほら。あんな男共のことなんか放っといてシャルラちゃんも早く水着を選んだ選んだ♪」

 

 

「はいはい。でも私ってば背は低いですけど身長の割には体つきは立派ですしノレッジちゃんの自信を砕いちぃそうですけど」

 

 

「む、言ったわね♪

 でも今の私はシャルラちゃんの水着姿を見るためならそんな挑発は興奮剤にしかならないのよ!」

 

 

 堂々と真顔で何を宣言してんだかこの人は。

 

 ならここはその覚悟を真っ向から打ち砕く水着をチョイスしましょう。

 

 店の中を散策し、水着を選んで更衣室に入る。

 

 ふふふ♪ そして私が選んだのは……

 

 

「じゃん! 私が今回選んだのはこの水着!

 ブラジル水着です!」

 

 

 そこ! モンハンの世界なのに『ブラジル』水着という名称にツッコミを入れてはいけませんよ!

 

 名称がブラジル水着なのはその方が伝わりやすいからですので疑問に思ったら負けです!

 

 この世界のどこかにブラジルという名前の国や人が絶対に存在しないとは言い切れないんですからこの名称で通します。

 

 デザインについて知らない人に簡単に説明するならムチン、プリン♪ が強調された水着とでも理解しておいてください。

 それか携帯かパソコンがあるなら詳しくは画像検索してください。

 

 ちなみに色は大人っぽく黒です。私ってけっこう発育いいんですから。

 

 

「むっほぉぉぉー♪ ヤバい! 可愛すぎる! シャルラちゃんの水着姿だけでご飯三杯はいける!

 というか失血死して永眠しそう!!♪」

 

 

 うわぁ~、更衣室から顔だけ覗かしているノレッジちゃんは鼻血をだくだく流して失血のしすぎで青ざめてる。

 

 私の水着姿を凝視する目だけはまるでナルガクルガのように爛爛(らんらん)と輝いて恐ろしさも感じますけど。

 

 

「そういうノレッジちゃんはどんな水着なんですか?

 まさか私の水着姿だけ見て自分のは見せないなんて卑怯な真似をしたりはしませんよね?」

 

 

「ふっ、この私に卑怯だなんて言葉は最も似合わないわ。

 見なさいシャルラちゃん! これが私のカッコ良さとエロさを兼ね備えた究極の水着よ!」

 

 

 そう言って更衣室から飛び出してきたノレッジちゃんの水着は……

 

 

「……ふんどしですか」

 

 

「そう! ふんどしよ!

 この股間がキュッとなって身体と気持ちの双方を引き締めるだけでなくそう簡単に脱げないところが貞操を守りつつ色気を醸し出すのには最適なのよ!

 シャルラちゃんになら私の操を捧げる覚悟があるから我慢できなくなったらいつでも言ってね♪

 どっちかって言うと攻めの方が好きなんだけどね」

 

 

 ちなみに付け加えるなら上はサラシを巻いています。色は燃えるような赤。

 

 らしいと言えばらしいですが私もそういうことに関しては攻めよりも受けなので無理矢理されるってシチュも嫌いではないと言っておきましょうか。

 私も若いんだから身体を持て余したりしますよ。

 

 

「あぁんもう明日の海が待ち遠しいわ♪

 シャルラちゃんがその水着で海に入って濡れ濡れになる姿を想像するだけでご飯五杯はいけそうよ」

 

 

 増えてますね。杯数。

 

 む? どうやら男子二人も買う水着が決まったようですね。

 

 

「おぉーいノレッジ、シャルラ。水着選びはは済んだか~……ってなんだよそいつぁ~!

 紳士であるはずの俺までも抑えがたい熱情が心の奥底から湧いてくるぜ」

 

 

「ぼ、ぼぼぼぼぼぼぼぼ僕くくくくははは、女体のししししし神秘を見たたたたたんだ……な…………」

 

 

 うふ♪ 効果有り。とでも見ればいいんでしょうね。

 

 フィズ君はともかく自称:紳士のダイヤージ君まで興奮させるなんてさすがは私たちですね。

 

 明日は海での濡れ濡れ効果も期待できますしもし襲ってきたらそれを理由に一生下僕としてあげますから覚悟してなさいよ二人とも。

 

 お母さんの血を色濃く受け継いだ私は筋肉や骨の構造自体人間とは比べものにならないほど強靭なんですから殴られたら痛いじゃ済まないですよ。

 

 

「それじゃ買い物も終わったし、今日はこれで解散。

 明日の集合は朝、私が心の中で念じるからテレパシーが届いたらすぐに学生寮の前に集まりなさいよ」

 

 

「ノレッジちゃんテレパシー使えるんですか?」

 

 

「うん。ぶっちゃけ私に出来ないことなんて何もない……といいなぁと思っているわ」

 

 

 なるほど。要するにテレパシーが使えるかどうかは関係なく、男子たちが明日私たちを待たせるようなことがあればそれを理由に難癖つけて絡むってわけですね。

 

 それを繰り返してダイヤージ君とフィズ君に私たちに対する精神的な枷をはめる。みたいな作戦だと理解したです。

 

 完璧じゃないですかノレッジちゃん。

 それじゃあとりあえず今日はこのまま解散して明日に備えましょう。

 




 ごはんはすごいよ なんでも合うよ ホカホカ♪

 ……冗談はさておき、私は水着はその人に似合えばどんなのでもいいと思います。安易に露出が多ければエロいのではなく、どんな水着でも見せ方で変わるものです。

 そして勿論私の好みは胸の小さい女性! これは絶対!

 それとモンハンの世界のご飯で有名な『ココット米』はけっこうな高級食材みたいですが、もう一つのお米の『ジャリライス』って物凄い不味そうですよね。

 戦時中は米に砂を混ぜて炊くことで量を誤魔化していたそうですが、
 そんな過去を繰り返さないようにする意味もあってカプコンのスタッフはジャリライスなどというものを作ったのかもしれませんね。


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第九話:アバンチュールとはいかせない

 

 

 はい♪ やってまいりました海水浴!

 

 いやぁまさか学園物のこの物語で二回目のイベントが友人たちとの日帰り海水浴になるだなんて思いもしませんでしたよ。

 

 初めての休日なんだし別に普通に寮の自室でだらだら過ごすのも悪くないんですけどねぇ。

 

 しかしノレッジちゃんったら物凄い乗り気ですし、断りづらいというか……

 

 本当に私の水着が見たかったのですね。

 

 

「うーみ海海うーみー♪」

 

 

「あんまり騒いでると落っこちちゃいますよノレッジちゃん」

 

 

「けどこの天気だぜ? シャルラ。

 ノレッジのはしゃぎたくなる気持ちもよ~っく分かるってもんさ」

 

 

「僕も同感ですね。

 なんせ海というのは水着の女子を見るための場所でありそれ以上でもそれ以下でもないのですからはしゃぐのは当然でしょう!(断言)」

 

 

 はふぅ、ダイヤージ君は単純に熱血モードに。フィズ君はエロモードに。

 

 そして超エロエロモードになっているノレッジちゃん。

 

 こんなメンバーをリーダーをして指揮するなんて本当に私に出来るんでしょうか。

 

 あ、ちなみに今は海に向かう大型の竜車に乗せてもらっているところです。

 

 朝、ノレッジちゃんがテレパシーで集合の合図を男子二人に送ったら本当にメッセージが届いていたみたいで遅刻する人も居らず、全員揃っての海水浴です。

 

 

「テンションだって高くなるわよシャルラちゃん。

 だってシャルラちゃんの水着姿が見れるよ!?

 背低いのに出るところが出てて露出多いだなんて、もうそれだけで最ッ高に可愛いあなたが海で濡れ濡れの姿がもうじき見れるのよ!?

 私はそれが楽しみで楽しみで仕方ないの!」

 

 

「実にいい趣味をしているじゃないですかノレッジさん。

 そう! シャルラさんの水着はまさに同じ重さの金よりも高価なものです。

 どーんーなー、悪魔でも裸で逃げ惑う~、悪魔的な可愛らしさと愛マニアの天使すら敵わない清楚な美しさがあるのです!」

 

 

 エロトークで盛り上がる二人は私を無視してエロ談義に花を咲かせ始めました。

 

 というか愛マニアの天使ってあまり清楚なイメージがないんですけど。

 

 

「シャルラよぉ~。

 お前の水着マジでエロカッコ良かったしあいつらが盛り上がんのも仕方ねぇと思っとけよ。

 疲れるだけだぜ」

 

 

「まともなのはダイヤージ君だけですか。

 ところでその手に持っているのはなんですか?」

 

 

 ダイヤージ君の手には風呂敷に包まれた箱状のもの。

 

 

「これは弁当だ。

 ノレッジは意外なところで抜けてっから弁当なんて用意してねぇだろーと思ってよ。

 俺の手作りだが味は保証するぜ」

 

 

「そうでしたか。

 確かに私もお弁当のことは失念していましたね。

 ありがとうございます」

 

 

 ノレッジちゃんは『海』に『行って』、『私の水着姿』を『見るためだけ』に今回の海水浴を計画していたようですから忘れていたのでしょうね。

 

 そうこうしているうちに竜車は海に着いたようです。

 

 

「お客さん海に着いたよ。

 気が変わってこの先に行きたいならもう100ゼニー払ってもらわにゃいかんよ」

 

 

「誰がこれ以上先に行くかー!」

 

 

「僕たちは可愛らしい女の子の水着を見るためだけに来たんじゃー!」

 

 

 ドゴン、という鈍い音を立てながら竜車の御者さんを殴り飛ばしてしまった二人。

 

 あ~あ~、まったく殺気だっちゃって。

 子どもか!? って突っ込んでも無駄なんでしょうね。

 

 

「さぁ、海に着いたわよ! それぞれに更衣室に直行!

 海に飛び出すわよ!」

 

 

「了解ノレッジさん!

 僕はすでに水着はズボンの下に履いてきてますので拠点となるベースキャンプを設営しておきます!」

 

 

「ノレッジちゃんもフィズ君も熱くなりすぎですよ~。

 プライベートビーチじゃあるまいし精々ビーチパラソル程度にしておかないと他のお客さんから苦情が来ますよ~」

 

 

「「ヒーハー!」」

 

 

 聞いてないし……

 

 ノリがいいのも良し悪しですね。

 

 テンションが高すぎて付いていけないです。

 

 ダイヤージ君はすでに諦めているようでやれやれ、と言った表情ですし。

 

 とりあえず着替えを済ませますか、と思って更衣室に入ったのですが何故か一緒に同じ個室に入ってきたノレッジちゃんは物凄い形相で私をガン見してきます。

 

 というか個別に鍵が掛けられる一人用の更衣室に二人一緒に入るってのはどうなんでしょう?

 

 両隣の更衣室はどちらも空いていたのに私の選んだ更衣室に何のためらいもなく一緒に入ってくるあたりはさすがといいますか、呆れるばかりですね。

 

 

「えーと、ノレッジちゃん……

 恥ずかしいからあまりじろじろ見ないでほしいんですけど」

 

 

「大丈夫!

 何もしないから!

 見るだけだから!!」

 

 

「いえ、そう言う人こそ信用できないのが世の常と言いますか……」

 

 

 仕方がないですね。

 これはノレッジちゃんのせいなのですからこの後どうなっても恨まないでくださいよ。

 

 閃光玉使用!

 

カッ

 

 

「うわぁ! 目がァ~、目がァ~!!」

 

 

 モンスターの眼をくらませることが出来る閃光って人間の眼球なら完全に潰れたりしそうですけど大丈夫なんですかね?

 

 でも自業自得とも言える状況ですし、その隙に着替えを済ませるとしましょうか。

 

 

「……もういいですよノレッジちゃん。着替えは終わりました」

 

 

「……くっ、終わっちゃったか……って、何よシャルラちゃんその水着!?」

 

 

 心の底から驚いた顔で愕然となっているノレッジちゃん。

 

 

「ふふふっ、水着を買う時に最初に店で試着したエロい水着を見せたからってあの水着を今日も着るとは限らないでしょう?」

 

 

 そう、私がいま着ているのは昨日水着屋さんで試着したブラジル水着ではなく、スキューバダイビングで使うような全身を覆ったウェットスーツ。

 

 ふふっ、ノレッジちゃんったら驚いていますね♪

 

 

「す、すすすす……凄い可愛い♪」

 

 

 へっ?

 

 

「もうシャルラちゃんったら可愛すぎ♪

 昨日あんなにその綺麗な肌を惜しげもなく見せつけといて今日はそんな全身を隠すかのような水着を着るなんてギャップ萌えよ! いや、ウェットスーツ萌えなのよ!!」

 

 

 ようするに私の水着姿ならなんでもいいというわけですか。

 

 それにしてもウェットスーツ萌えとは随分と変わった趣味ですね。

 

 

「私の水着は昨日の店で試着した赤いふんどしとサラシだけどシャルラちゃんのためなら幾らでも脱ぐから私が欲しい時は言ってね♪」

 

 

「いえ、私は同性同士というのは別に嫌いじゃありませんが展開としていきなりすぎるのでは?」

 

 

「いやいやいやいやいや!

 肉欲に縛られた異性同士の恋愛ってのは本物の恋でも愛でもないの!

 同性こそ至上の極みなのよ!」

 

 

「いやいやいやいやいや!

 例えそうだとしてもそんな事じゃあらゆる生き物は滅んでしまうじゃないですかっ!」

 

 

「まぁいいわ。

 とりあえず外で場所取りしているフィズとダイヤージにも見せてあげましょう。

 シャルラちゃんはガッカリさせるつもりで水着をウェットスーツに変更したんでしょうけど彼らもウェットスーツ萌えなはずよ。

 というかこの世の男は全てウェットスーツ萌えなの!」

 

 

 はぁ、つまり私の意見は求めてないと。

 

 それにそんなに断言しなくても……

 

 まぁ、フィズ君はともかく、ダイヤージ君は紳士であろうと心掛けているからそう簡単に落とせないとは思いますが二人をからかってみるというのは悪くないでしょう。

 




 ダイヤージは意外と家庭的なので料理なども得意です。

 今後活かされる機会があるかはわかりませんが。

 あと私もウェットスーツってけっこう好きだったりします。あの露出がこれでもかッ! ってくらいに少ないのが逆に想像力を刺激する感じが。

 でもまぁ、水族館のショーとかではイルカやシャチといった動物にしか視線がいかない程度の『好き』なんですよねw

 私は超・動物好きです!


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第十話:ただの海水浴に落ちなんていらないでしょ

 夏になると私が育てているサボテンが毎年綺麗な花を咲かせてくれるんですよね。

 名前は『サボッチ』と『ジョン』。ジョンの方はジョン・アーサーからつけていたりします。


 

「死ぬか生きるかお前が選べよ」

 

 

「くそぅ! だが僕のノレッジさんとシャルラさんの水着を見ると言う決意はこの程度では決して揺るがないぞっ!」

 

 

 ……何これ?

 

 私とノレッジちゃんは着替えも済ませたのでビーチにやってきたのですが、すでに砂浜にベースキャンプを設営したダイヤージ君とフィズ君ですが何やら揉めているようです。

 

 というか四人用のベースキャンプなんて他の人の迷惑を考えない人たちですね。

 

 

「ん? ようシャルラにノレッジ。

 着替え済んだんだな……ってシャルラの水着昨日店で試着したのと違うけどウェットスーツか?」

 

 

「何!? 水着姿のシャルラさんとノレッジさんだとぅお!?」

 

 

 海に向って砂浜に埋められたフィズ君が必至にこっちを振り向こうと顔をひねりますが首から下が埋まっている状態ではさすがに振りむけないようです。

 

 またダイヤージ君を怒らせたとかですかね?

 

 

「……あぁ、フィズのことか。

 こいつ俺が持ってきた弁当を『海に来たら食事は海の家でするのが常識でしょう』とか言って全部一人で食っちまったんだよ。

 で、埋めた」

 

 

「ふん! 海に来て海の家で食事をする! これが僕のルゥゥ~ルでっす!

 それに僕はこう見えて大食いだから4人分の弁当くらい一瞬で食べられるのさ。

 あと砂に埋まって後ろを振りむけないのでノレッジさんとシャルラさんにはこちらに回ってきて水着姿を見せてもらえると嬉しいのですが」

 

 

 ふむぅ、フィズ君の海の家でご飯を食べるという考えが間違っているとは思えませんがダイヤージ君のお弁当を一人で食べちゃうなんて食いしん坊ですね。

 

 

「そんな事よりも早く女子二人の水着姿を見せてください!

 さあ海はこれからだ!! お楽しみはこれからだ!! ハリー! ハリーハリー! ハリーハリーハリー!」

 

 

「てめぇはもちっと反省しろぃ!(ゴズッ)」

 

 

「ぐふっ」

 

 

 痛そうなダイヤージ君の拳骨で完全に砂に埋もれてしまったフィズ君。

 息出来るんでしょうか?

 

 あとこの作品では『ハリー』先生がいるので、そのセリフは元ネタを知ってる人にも伝わりにくい気もしますよ。

 

 

「さて、それじゃ早速泳ごうぜ。

 それともビーチバレーにすっか?」

 

 

「ちょっとダイヤージ!

 シャルラちゃんの水着になんの反応もないの!?」

 

 

「ノレッジちゃんそこ重要?」

 

 

 正直自称:紳士なダイヤージ君をからかえれば面白いかも、とは思いましたが思ったよりもずっと紳士なダイヤージ君は私の水着姿くらいじゃ揺るがないみたいなんですよね。

 

 なのでわざわざ からかわずとも、ここは学生らしく健全に海で泳いだりするだけでいいと思うんですけど。

 

 

「駄目よシャルラちゃん! 男は狼なのよ!

 シャルラちゃんの水着姿で虜にして襲ってきたところをフルボッコにしてその事を弱みとして握り、一生下僕とするためにはここで襲わせなければ駄目なのよ!!」

 

 

「俺が紳士でなかったとしても、そんなことを聞いてまで今更襲いかかったりするわけねぇだろ」

 

 

「その考え! 人格が紳士に取りつかれている!

 こうなったらもう襲わざるを得ない状況を作ってやるんだから」

 

 

「え? ちょ、ノレッジちゃん!?」

 

 

 ノレッジちゃんは勢いよく飛びあがるとダイヤージ君ではなく私に飛び付いてきました。

 

 殺気などはありませんが背筋に凍るような悪寒を感じ素早く避けようとしたのですがノレッジちゃんは古龍と人間のハーフである私以上の身体能力で瞬時に私の避ける方向に軌道修正をして拘束してきしました。

 

 え? 本当に人間?

 

 

「はぁはぁ、愛は身体的ポテンシャルを凌駕するのよ。

 こうなったらシャルラちゃんのウェットスーツ脱がしちゃってもいいかな?

 これはもう脱がすしかないよね?」

 

 

「だ、だめですよぉ……ノ、ノレッジちゃぁ……んっ」

 

 

 駄目です駄目ですノレッジちゃん!

 

 女の子同士でこんなのなんて……

 

 

「お、おい、ノレッジ。

 シャルラ嫌がってんじゃねぇのか?」

 

 

「甘い! ダイヤージ。

 偉い人はこんな言葉を残しています『嫌よ嫌よも好きのうち』と」

 

 

「それは名言なんかじゃねえ!

 それにその言葉通りだとしてもその結果がお前を好きになるとは限らねぇだろうが。

 ……ってシャルラ。ウェットスーツの下には昨日の水着着てたんだな」

 

 

「うわっ、本当だ♪

 シャルラちゃんったらブラジル水着も一緒に買っててくれたんだ! 嬉しいな♪

 それにしてもシャルラちゃんおっぱい大きいね~♪ これは揉んでもいいかな? 揉んでもいいよね? じゃあ遠慮なく。

 あらゆる生命に感謝をして、いっただきまーす♪」

 

 

「キャーキャーキャー」

 

 

「むっ、動いたら吸えないでしょうが」

 

 

「ギャー」

 

 

 正直ノレッジちゃんを舐めていた。

 

 フィズ君よりもダイヤージ君よりもずっとエッチで危険な人でした。

 

 あぁ、お父さんお母さん。シャルラは今日大人になってしまいます……

 

……

 

…………

 

………………

 

 とはいかせませんでした。

 

 

「……シャルラ。お前遠慮ねぇな」

 

 

「ふふっ、ダイヤージ君。

 女の子が貞操を守るためなら何をしても許されるってのは世界の常識なのですよ」

 

 

 ネンチャク草よりも粘着質に絡みついてきたノレッジちゃんに私がしたこととは!?

 

 意外ッ! それはプロレス技!

 

 何話か前にイビル・ジョーのリッキー君のお話をやった時に説明があったかもしれませんがリッキー君に48の殺人技を教えたのは私なのですから当然私自身も使えるのです。

 

 ほら、私ってば背が低いですがクシャルダオラのお母さんと一流のハンター並みに強い、王立古生物書士隊の元隊長のお父さんとの間に生まれた子なんですから身体能力は人間の比ではないのです。

 

 その力と技の融合である『シャルラドライバー』を食らったノレッジちゃんはただ今海に頭から突っ込みドッグゴッド家の一族ごっこの真っ最中。

 

 ようするに両足だけ海から飛び出しています。

 

 

「それじゃ海に来たんですし泳ぎましょう」

 

 

「それが最後のセリフでした……とかにするなよ。

 俺は疲れたから少し寝るからよ。飯時にでも起こしてくれよ」

 

 

 むっ、本当に私の体に興味がないようですね。

 

 さすがにウェットスーツ萌えという特殊な属性はないにしてもダイヤージ君はブラジル水着にも反応しないだなんてもしかして……

 

 いえ、考えるのはやめましょう。今日は泳ぎに来たんですから。

 

 もう着ている必要のないウェットスーツも完全に脱いで勢いよく海に飛び込みます。

 

 こうして水飛沫が日の光で煌めく様は海水浴日和ですし気持ちいいですね~♪

 

 その後は回復したノレッジちゃんとフィズ君も加えた4人で泳いだり海の家で食事をしたり、ビーチバレーもしたりしました。

 

 ポロリもあったけどそれはあえて語りません。

 

 これが私の学院での最初の休日でした。チャンチャン♪

 

 

 

 ……でも水着も今日一日使っておしまいというのも勿体ないですし、寝巻きにでも使いましょうかね?

 

 同室のノレッジちゃんがモンモンする様を思い浮かべただけでわくわくするです♪

 

 

 

 

おまけ(語り部:ダイヤージ)

 

 

「おいダイヤージ。海といったら水着を着るもんだ!」

 

 

「そりゃまぁ服着たまま海に飛び込んだら泳ぎにきィしな」

 

 

 シャルラ達が更衣室に着替えに向かってすぐにフィズが言ったのはいつもの意味のない発言だと俺は思った。

 

 

「女子二人は着替えのために更衣室に向かったと言うことは服の下に着てきたわけではないはず。

 ならばここは男らしく覗きに行くのがこの世の絶対ルゥゥゥ~ルだと思うのだが一緒にどうだね?」

 

 

 いつも以上に馬鹿な発言だった。

 

 

「んなことやって後でどうなるか分かんねぇわけ訳じゃねえだろ。

 それに俺は紳士としてやんねぇよ」

 

 

 てゆーかやる奴がいたら俺が殺す。

 

 

「相変わらず固いよダイヤージ。

 女子の裸、それも着替えを覗くためなら命を掛ける人間がいる。

 そう、それこそが僕さ!」

 

 

「自身満々に言ってるお前に言うのもなんだがそりゃ無理だ。

 なんせ俺は紳士だからな本人の承諾なしに女子の裸を拝むなんざ紳士として間違ってる!」

 

 

「いいだろう。ならばここは男同士拳で勝負と行こうか」

 

 

「いいだろう。ただしその頃にはてめぇは八つ裂きになってるだろうけどなッ!」

 

 

 ぶつかる拳。燃え上がる闘志。交差する信念。

 

 戦いの火豚が切って落とされた。

 ……そういやプーギーって食えんのか?

 

……

 

…………

 

 

 

 てな熱いバトルがシャルラ達の着替えをしている間にあったわけだよ。

 

 フィズの野郎はとんでもなく体力的に弱かったもんだから俺の圧勝だったが俺に勝てないと分かるや否や、腹いせか知んねぇけど俺の用意してきた弁当を勝手に食いやがったからな。

 

 女子二人のために俺が用意した愛情たっぷり弁当を何が悲しくて男に食われなきゃなんねぇんだよ!

 

 あれにはマジでド頭(たま)に来たぜ!

 

 やっぱよぉ、弁当の話は置いといて男なら女の方から惚れさせるくれぇの魅力ってやつを内面から湧き上がらせるくれぇしねぇと駄目だよな。

 

 俺が思うにシャルラは隠れ巨乳であり、ノレッジはちっぱいながらも引き締まった肉体は美しさがあるはずだ。

 

 いつかあの二人が自分から脱いでくれるくれぇ立派な男になってやるぜ!




 いやぁ、海で水着でイチャイチャってのが書きたくて書いただけなのですよw

 本編のストーリー進める前にここらで趣味に走るのも悪くないと思って書きましたが今回のエピソードはもう少しあとの方が良かったかもしれませんね。

 あとダイヤージも漢だったというわけです。

 ちなみにこの作品はプロットを作って書き始めた小説ですが、全体の3分の2は思いつきやノリで書き足した本編とは関係のない話だったりします。


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第十一話:女の子同士の夜

 どうでもいい話を面白く書こうと思ってノリノリで書いてみたら暴走気味になってしまいました。

 一応四コマ漫画みたいな軽いものをイメージしてるんですけどねぇ~。
 まぁ、これ位なら問題ないでしょう(いつもの根拠のない自信)



 

 

 

「お前達ぃ~、竜車での帰りにかかる時間を忘れてたんだろ?」

 

 

「いえいえハリー先生そんなことはありませんよ。

 もちろん覚えていましたとも。ええ、覚えていました。

 ただ時間を忘れていたのではなく理性を何処かに置き忘れて遊びまくっていただけです」

 

 

 はい、この物語の主人公にして絶対神のシャルラ・アーサーと愉快な仲間たちです。

 

 その私達ですが現在進行形で学院の前にてハリー先生に怒られていたりします。

 

 時刻はすでに夜中の十一時。

 

 やっぱり海で遊びに夢中になって寮の門限なんて知ったことか! ってな不良的な考えとノリでごり押ししようとしたのがまずかったのでしょうかね?

 

 ごり押しできないです。

 

 

「はぁ~、もういい。

 吾輩も学生時代はジョンやクラーマと一緒になって遊びまくっていたからな。

 ジョンは面白い昔話なんかが好きでよく日帰りで学院からココット村みたいに遠くの村々に伝説のハンターや古龍なんかの情報を集めに行ったりして担任とはよく揉めていたしなぁ↑」

 

 

「さすがはハリー先生ですね。

 私たちの理想の先生です」

 

 

「よっよっ。ハリー先生よっ!」

 

 

「よいしょよいしょハリー先生!」

 

 

「なら俺らも先生を見習ってもいいんすよねぇ?」

 

 

「お前ら吾輩をよいしょするな!

 ……おっと、そういえば門限についてはもういいがお前たち明日の授業の準備はできているのか?」

 

 

 はっ? 準備?

 

 

「なんだ、用意していないのか。

 明日は学院の一年生は全員で書士官として狩り場に出た時のために絵の授業をするから絵を描く道具を一式用意するように言っておいただろう?

 前回の課外授業では最初だからということで道具の貸出もしていたが今回はもう学院も貸し出しはせんぞ」

 

 

「……えー、そのような事は聞き覚えがありません。

 なのでその事についてはハリー先生に一任しようと思います」

 

 

「そうよハリー先生! シャルラちゃんったら今日は私たちにとっても可愛い水着姿見せるのに忙しかったから準備なんて面倒な作業は先生に任せちゃいます」

 

 

「シャルラさんの可愛さについてなら僕も同意しましょう。

 ダイヤージのせいで海ではほとんど砂浜に埋められてあまり見れなかったとはいえ、僅かに見たシャルラさんの水着姿はまるで神のごとき美しさでしたからね」

 

 

「ははっ、まぁそういうこった先生。

 明日は俺らいつも通りに知らぬ存ぜぬで通すから準備とか全部任せたわ」

 

 

 そういって示し合わせたかのように私たちはそれぞれにバラけてその場から逃走しました。

 

 さすがは同じ班の仲間。以心伝心ですね。

 

 ハリー先生も追ってこようとしてましたが四人全員バラけて逃げたので追いかけることが出来なかったのでしょう。

 

 私とノレッジちゃんは最終的には寮の同じ部屋に戻ることになりますがハリー先生も教師だからこそ、女子生徒の部屋に夜中に行こうものなら寮長のクラーマさんにフルボッコにされるのは目に見えてますし。

 

 

「あらあらあら。

 シャルラちゃんにノレッジちゃんも今夜は遅くまでお楽しみだったみたいね♪」

 

 

 寮に入ると玄関にて酒瓶を片手に一人で飲んでいるクラーマさんがで出迎えてくれました。

 

 事務机の上には沢山の書類の山が出来てますけどもしかして今日は珍しく仕事でもしてたんですかね?

 

 

「聞いてよクラーマさん。今日は日帰りで海に行って来たんだけどね。

 シャルラちゃんったらとっても可愛かったんだから」

 

 

「マジでか!? あたしも付いて行きゃよかったー……

 今日は珍しく研究者としての仕事が溜まってたもんだから寮の玄関で一日中酒を片手に座りっぱなしでもう体中ガッチガッチなのよねー。

 あぁ、私も海行きたかったわ。よよよ……」

 

 

 わざとらしい泣き崩れる演技。フィズ君ですら騙せませんよそんな三文芝居。

 顔がお酒で真っ赤になってるじゃないですか。手には杯持ったままですし。

 

 

「シャルラちゃんノリ悪~い」

 

 

 知りませんよそんなこと。

 

 床には他にもたくさんの酒瓶だけでなく酒樽などもありますが今日一日で一体どれだけ飲んだんでしょうね?

 

 でも仕方がないので私が癒しになってあげましょうか。

 

 

「まぁまぁ、元気出してくださいよクラーマさん。

 私の水着で良ければ幾らでも見せてあげますから」

 

 

 そう言って海で着替えたあと荷物袋に仕舞っていた水着を渡してあげました。

 海で使用後湿ったまま入れたのでまだ乾いていないものを。

 

 

「そ、それはぁ!?」

 

 

 ふふふ♪ クラーマさんからしたら私が着ている姿の方が好きなんでしょうが、ただの水着でも使用後なら十分に楽しめそうですからね。それでいい夢見てください。

 

 これからもお世話になりますし苦労掛ける予定アリアリですから。

 

 

「おおぅ♪ シャルラちゃんの匂い♪

 くんかっかーくんかくんか!」

 

 

「あー、クラーマさんズルイ。

 シャルラちゃんの水着は私も夜のオトモにでもしようかと思って楽しみにしていたのに」

 

 

 私の水着をくんかくんかするクラーマさん。

 

 これにノレッジちゃんまで加わったいま、この二人は最強と言えるでしょう。

 

 近づきにくいオーラが出ている、という意味でですが。

 

 

「はぁ…おぉ…あぁ…うっ…ふぅ……ああ、ありがとう。水着堪能させてもらったわ。

 それと出来れば明日まで貸してちょうだい。ちゃんと洗って返すから」

 

 

「いえいえ、お気になさらず楽しんじゃってください。

 それよりもこれからも夜遊びが過ぎるかもしれませんが学院の方には私たちは門限通りに帰宅し、何の問題もないと報告しておいてください。

 親が心配しますからね」

 

 

 ま、うちの親なら『うちの娘が守れないような時間を門限にする学院の方が悪い』とか言うかもしれませんが。

 それはさすがにいま話題のモンスターペアレントみたいで私が恥ずかしいですからね。

 

 というか事実として私のお母さんは古龍(モンスター)ですし。

 

 

「よっしゃ任せときなさいシャルラちゃん!

 私はこれでも学院の表にも裏にも顔が利くからね。

 もう君の可愛さを堪能するためだったらハリーの奴だってぶっ飛ばしちゃうから遠慮なく言ってよ♪」

 

 

「ありがとうございます。

 クラーマさん、大好きです♪」 

 

 

 満面の笑みで感謝を言う。するとぷるぷると震えだし、すぐに身悶えしだすクラーマさん。

 

 

「はにゃ~ん、もうシャルラちゃん可愛いィー!

 君のためなら何だってするお!!

 書士隊長なんかも殴っちゃうお」

 

 

 ふっ、ちょろいですね。

 

 

「それじゃ部屋に戻りますね。おやすみなさいクラーマさん。

 ほら、ノレッジちゃんも早く戻るよ」

 

 

 ノレッジちゃんは『もうちょっとだけ水着を嗅がせて~』と言いながら私の水着をくんかくんかしてましたが引っぺがして部屋に向かいます。

 

 まったく本人がすぐ傍にいるのに水着ばかり嗅いでるなんてどういうつもりなんですか。

 

 まったく、ノレッジちゃんはまったく。

 

 

「ふふん、いろいろありがとねシャルラちゃん。

 安き眠りを、御両人……」

 

 

 クラーマさんは一人残って私の水着を堪能しながら酒瓶を煽っていました。

 

 なんとも頼りになる人ですね。

 

 さぁ! 明日は絵の授業があるそうですがようやくハリー先生以外の先生が出てくるのかな?

 

 それでは今夜はおやすみなさい。

 

 

「そうはいかないわよ♪」

 

 

「え? ってキャー!

 ノレッジちゃんいきなり指ををどこに入れてるんですかぁー!?」

 

 

「指ってのは入れるためのものなのよシャルラちゃん。

 それにこれは私が入れているのではなくシャルラちゃんの体の方が私に吸いついてきているだけで不可抗力なの」

 

 

「そんな戯言はいいですから早く抜いてくださ、ってアッー……」

 

 

「年齢で言えば私たちはまだ熟していない青い果実なんでしょうが大丈夫!

 私何でもおいしく食べれるからっ!」

 

 

 はぁ…おぉ…あぁ…うっ…ふぅ……ああ、もうノレッジちゃんったら大胆なんだから♪

 

 それなら今夜は女の子同士で楽しい一夜を明かしちゃいましょう。

 

 私がヤられるだけのか弱い女の子だと思ったら大間違いですよ!




 はい、ノレッジはもう完全にレズですねこれ。
 シャルラもそれほど嫌がってはいませんしOKということで。

 これまでの私の作品では恋愛やエロなんておまけ程度でノーマルなものしかなかったので自分で書きながら勉強にはなりますね。
 次回作にも活かせればと思います。


 活かした結果が私の11作目と14作目だったりします。

 『小説家になろう』の方でも「ヨイヤサ・リングマスター」の名で書いていますのでよろしくお願いします♪


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第十二話:遅刻の言い訳

 モンハンで『るろ剣』の蒼紫の二刀小太刀みたいに長刀に見せかけた双剣があればな~と考えてみました。

 一本の鞘の上下に二本の剣を仕舞い、見た目は太刀に見えないが実は双剣でした! っての最高にカッコいいと思うんですよ。

 狩り要素を入れるつもりはないこの作品では出し方が分かりませんけど。
 いっそ学院の授業に「鍛冶」の項目を入れるかな……



 昨日は海水浴で疲れていたからか寮に戻ってからベッドに入るとすぐに女二人で眠りの世界へ!

 

 そして朝まで少しも起きることなく楽しい夢の時間を満喫していたのですが、それが災いしてしまったようです。

 

 今朝もノレッジちゃんと二人揃って遅刻するだなんて学院に来てから遅刻しなかった日はないですね。

 まぁ、美少女は遅刻するのがデフォでしょう。

 

 まぁ、

 

 

「目覚まし時計が壊れてたんです!

 鳴らなかったんですっ!!」

 

 

 とでも言い訳すれば大丈夫でしょう。

 

 

「うん、完璧よシャルラちゃん♪

 その言い訳ならきっとハリー先生でも上手く誤魔化せるはずよ」

 

 

「ですね。私達の部屋に元々目覚まし時計なんてないですけどこういった理由なら遅刻も大目に見てもらえるでしょう。

 クラーマさんが担任の先生ならもう少し楽なんでしょうけどねぇ……」

 

 

 そう、言い訳を計画している段階のこのセリフさえ聞かれなければきっと大目に見てもらえたはずなんです。

 

 

「んなわけあるか! シャルラ、ノレッジ。

 この世界では時計のような精巧なものがそうそうある訳でもないし、朝の起床の合図としてドンドルマの街では鐘が鳴らされているだろぅが!」

 

 

 とまぁ、いつものようにハリー先生は隠密スキルでもついているかの如く私たちの背後から突然前触れもなく現れたのでした。

 

 

「う……ハリー先生。おはようございます」

 

 

「せんせーおはよーございまーす♪」

 

 

 一応朝の挨拶から始めましょう。

 

 ここから上手く誤魔化さなければ!

 

 ……それにしてもノレッジちゃん軽いですね。

 

 

「あぁ、おはよう私の可愛い生徒たちよ。

 それで何か遅刻の言い訳でもあるのかなぁ?↑」

 

 

「えーっと……

 目覚まし時計が壊れてたんです!

 鳴らなかったんですっ!!」

 

 

「……先ほどの会話を全て聞かれていたというのに敢えてその言い訳を使う勇気に免じて今回は許してやろう。

 だが勘違いするな。今回だけだからな!」

 

 

 さすがはハリー先生。本当にこの言い訳で誤魔化せるだなんてやっぱちょろいですね。

 

 

 

「ありがとうございます。

 次回遅刻した時もよろしくお願いしますね♪」

 

 

「遅刻を前提に考えるでない!

 まったくジョンの奴は一体どんな教育をしてきたのか……」

 

 

「あ、お父さんでしたら『シャルラが笑ってそこに居てくれさえすればいい』と言って物凄い親馬鹿でしたよ。

 生きるための知識や上手く公的機関を誤魔化す方法などは教えてくれましたがそれ以外ではほとんど自由にさせてくれたましたし。

 だから私はこうして自由奔放に育ったのだと思っています」

 

 

「さすがシャルラちゃん! 王立古生物書士隊元筆頭のジョン・アーサーさんをそこまで惑わすなんて反則的な可愛さ!」

 

 

「いやですよぅ、ノレッジちゃ~ん。

 私ってばそこまで可愛くないですよぉ~(この答えは嘘。私は自分を可愛いと思っている)」

 

 

「吾輩のクラスは問題児が集まり易いのか……」

 

 

 もうハリー先生ったら、疑問に思ったら負けですよ。

 

 それにしても私以外にも問題児っているんですね。

 

 会ってみたいものです。(これも嘘。私自身は自分に忠実な生き方をしているので問題児の自覚はありますが敢えてそんな人に会おうとは思いません)

 

 

「ハリー先生。

 シャルラちゃんの一番恐ろしいところはですね、半龍半人の人間離れした筋力でも、モンスターと会話出来ることでも、お父さんがジョン・アーサーさんということでもなく可愛いことなんです!

 もっともっと単純にして究極の理由、『可愛い』というところなんです」

 

 

 ノレッジちゃんたら私の可愛さを軽んじているような節のあるハリー先生に突っかかってますね。

 

 別にそこまで言わなくともいずれ落とすだけの魅力を私は持っていると思うのですが。

 

 

「ノレッジ。それを今、語る理由があるか?」

 

 

「ありますともハリー先生。

 シャルラちゃんはその可愛さを自覚しているんですからあんまり先生の反応が薄かったら傷ついちゃうじゃないですか!

 心の慰謝料は目に見えない分とんでもない金額が請求されてしまいますよ!」

 

 

「ノレッジちゃん。私の可愛さは昇ることはあっても傷ついたり価値が下がることはないんですからいまここで説明しなくてもその内ハリー先生も陥落しますよ」

 

 

 勿論私はその程度で慰謝料を請求するほど心が狭いつもりはありませんよ。

 

 出るところに出ればがっぽり搾り取れるかもしれませんが。

 

 

「熱く語っているところ悪いがお前ら遅刻したという自覚の方を持ってくれないかな?

 朝のホームルームはすでに終わっているが、一時間目は昨日話した通り絵の授業だ。

 教室に忘れた生徒用の絵筆などの最低限の道具を置いてあるから準備をしたら早く移動しろ」

 

 

 若干ムキになっている様子のノレッジちゃんを宥(なだ)めて教室へと向かいます。

 

 ハリー先生もそれ以上は言ってきませんでしたが一瞬だけ私を生徒としてではなく女として見ていた目を忘れませんよ。

 

 こうしてハリー先生を落とすのは後回しにして教室に向かうと教室では同じ班のダイヤージ君とフィズ君が待ってくれていました。

 

 

「おぅ、おはよーシャルラにノレッジ。

 今日も朝から二人揃って遅刻だなんて相変わらず仲良いな」

 

 

「おはようございますシャルラさん、ノレッジさん。

 今日も僕はあなた方と同じ教室で授業が受けれる毎日があることを神様に感謝したいくらいですよ」

 

 

「でも感謝するのは実際に可愛い私たちであって神様への感謝はついでにすぎないんでしょ?」

 

 

「正解ですノレッジさん!

 僕は二人の可愛さに男として以前に生物魂のレベルで惚れているのですからッ!」

 

 

 うーん、朝から鬱陶しい人ですね。

 

 それに比べるとダイヤージ君の方が特に何もしていないのに魅力的に見えます。

 

 きっとフィズ君はどんなにカッコつけても周りを引き立てることしか出来ないからモテないんでしょうね。

 

 

「あー、まーフィズの馬鹿は放っとくとして次の授業はサー・ベイヌ先生の絵の授業だしさっさと教室移動しないと遅刻すっぜ。

 ほら、お前らの分の道具はすでに1セットずつ分けて取って用意しといたから行こうぜ」

 

 

 ほら、この気配り。

 

 ダイヤージ君の魅力はフィズ君と一緒にいると特に輝いて見えますね。

 

 自分のことを語るよりも気配りの出来る男はモテるということを理解しない限りフィズ君には一生春は来ないでしょう。

 

 

「ところでサー・ベイヌ先生、でしたっけ?

 まだ会ったことありませんね」

 

 

 会ったことはありませんがある程度の情報は私の夢のために調べてありますので名前くらいは知っています。

 

 絵の授業と言うからには絵が上手い人なんでしょうけど性格とかの情報はあまり詳しくないんですよね。

 

 

「あー……まぁ行きゃ分かっからよぉ。

 あんま気にせず移動しようぜ」

 

 

「そうですよシャルラさん。

 サー先生のことなんてすぐに会えるのですからここはあまり気にしない方がいいと思います」

 

 

「私はけっこうサー先生って好きだけどね。

 変わってて面白いし、カッコいいし♪

 シャルラちゃんの可愛さには敵わないけど」

 

 

 ふむぅ、ダイヤージ君は苦手としているのかな?

 

 フィズ君は嫌っているようですらありますし、ノレッジちゃんは好印象?

 

 いったいどんな人なんでしょうか。

 

 まぁ、会えば分かりますよね。とにかく遅れないようにさっさと教室移動しますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ(男子二人とシャルラの三人での会話)

 

「そういやシャルラとノレッジってよー、無茶苦茶仲良いじゃん。

 もしかして付き合ってんのか?」

 

 

「女性同士というのも最近は珍しくはないですし僕としてはその光景を思い浮かべるだけでご飯10杯はイケますからいいんですけど。

 もしもノレッジさんが一方的に構っているだけなら僕から注意してもいいのですよ」

 

 

 にゃる? もしかして私ってば身体が小さいから傍から見てると無理矢理手ごめにされているとか思われているんですかね?

 

 

 「ノレッジちゃんは私の嫌がることはしませんよ。

 不当な扱いなら私自身抵抗しますし人間とモンスターのハーフの血を活かした筋力で投げ飛ばしたりも出来ますけど、なんかノレッジちゃんは来たばかりの私に優しくしてくれたし好きなんですよね。

 もう私がいないと駄目なんだなぁ~ってところとかが♪」

 

 

 そう言うと二人は納得したかのように肯き、さすがはノレッジだ、みたいなことを言っています。

 

 ふふ、ノレッジちゃん。気付いているか分かりませんが私もあなたのことを愛していますよ。

 

 ですが調子にのられては面白くないのであまり口にはしません。

 

 一方通行に感じるかもしれませんがこれが私からの愛の返し方です。

 

 その後静かに微笑む私を教室に戻ってきたノレッジさんが目ざとく発見してこちらに駆け寄ってきたことで今回のお話は終了。

 

 ノレッジちゃんったら本当に可愛いんですから♪




 モンハンの世界って時計はあるんでしょうかね?

 チェーンソーやドリルがあるくらいですし存在していない方がおかしいかもしれませんが作中で見たことないのでこの作品では朝や昼の合図は鐘を鳴らしているってことで。

 もう異世界トリップしてきたチートオリ主が広めたってことで文明の利器でも出そうか真剣に考えたりしています♪

 モンハンの世界でPSPのモンハンを遊ぶハンターってのもなかなかシュールな光景ですね。

 ……最終的に出しちゃいます。


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第十三話:美の教師

 原作キャラのサー・ベイヌのキャラはこれまた適当に私の想像で書いています。

 設定としては貴族の爵位持ちで絵が上手いってことくらいしかありませんしモンハンが原作なのですから自由に書いても問題はないでしょう。




 

 前回までのあらすじぃ~。

 

 ホームルームに遅刻はしたものの、一時間目には間に合った私たち“チーム・シャルラ”はハリー先生に無理言って用意してもらった画材を手に図画教室へと移動を開始しました。

 

 この部屋の主にして書士官でもあるサー・ベイヌ先生という人は一体どんな人なのでしょうか……

 

 

「シャルラちゃん何言ってるの?」

 

 

「あ、ノレッジさん。

 これは前回の話を簡単にまとめてこの物語の読者さんにこれからの展開へ期待してもらえるように説明をしていたのです」

 

 

「つーかよお、んな事言ってっとただでさえモンハン要素の少ないこの作品からさらにモンハン要素が消えちまうんじゃねえのか?」

 

 

「そういうダイヤージも作品のリアリティを損ねていることに気づいた方がいいんじゃないかい?」

 

 

 私たちはいつでもこんなノリになるのでダイヤージ君やフィズ君の忠告も今更ですね。

 

 では、これからものんびりモンハンらしからぬ話の連続ですがどうぞお楽しみください。

 

 

 

 

 

 一般教養など、ほとんどの教科は担任のハリー先生が教えてくれますが今回の科目『絵』などの専門分野を持った先生方もこの学院には多くいるようです。

 

 そしてそう言った担任をしていない専門分野の先生方は自分が教える科目のための部屋を自分の趣味で改造するのが通例であり、今回絵を習うサー・ベイヌ先生もその例に洩れず図画教室をとても個性的に自分の好みで改築している先生だったのでした。

 

 

「ふわぁ、ここって本当に学院の中なんでしょうか?」

 

 

 図画教室には他のクラスメート以外に担当のサー先生と思しき姿はありませんでした。

 

 ですがその事より先に目に着いたのはこの部屋の壁一面が金色に輝いていることでした。

 

 近づいて調べてみるとどうやら黄金石を加工して作られた壁のようです。趣味悪いです。

 

 

「シャルラちゃん。言っておくけどサー先生って美しいものが大好きだからこれも先生の趣味なの。

 趣味わる~い、とか言っちゃだめよ。

 先生自体はかなりイケメンだし美しくないものは死んで良しッ! って人だから怒らせるとハリー先生よりも厄介だし」

 

 

「出来れば嫌われず、かつ気に入られずに過ごせれば最良なんだが俺ら三人は入学してすぐに一度会ってっけどそん時気に入られちまったからな~」

 

 

「僕はあの美しさ至上主義のサー先生の在り方は好感が持てますけどね。

 というかシャルラさんも可愛らしさと美しさを兼ね備えたパーフェクトレディーですし気に入られるんじゃないかな」

 

 

「「ありうる」」

 

 

 うーん、できればこんな悪趣味な部屋が趣味の人とはかかわりたくないですけど私の夢のためにこの学院内で味方を増やすのは今後の学生生活に重要ですしとりあえず会ってから考えますか。

 

 

 

バタァーン

 

 勢いよく開けられた戸。

 

 そして物凄い存在感が現れました。

 

 

「グッモーニン我が愛しの生徒たちよ。

 え? 私がハンサムだって? さすがは我が生徒たちは審美眼がある!

 そう! この世で最も美しい私の名前をぜひとも称えてくれたまえっ!」

 

 

『サー・ベイヌっ!』

 

 

「エックセレェ~ント♪ 私は美しい! だからこそ、この美しい私に教えを乞う君たちも最高に美しいッ!

 私はこれほどまでに美しい自分の天才的な授業を絶世の美男美女たる君たちに伝えていけることが最高に幸せだ。

 そう、美しい私の授業は美しい君たちを内面からさらに美しく磨き上げていくだろう!」

 

 

 うわ、なんというかかなり暑苦しい人ですね……

 

 クラスのみんなもご丁寧に返事してますし。

 

 確かに顔はなかなかにいいですけどここまで自分に自信を持っているなんてフィズ君以上にナルシストですね。

 

 でも私たち生徒を個人の美的感覚で蔑(ないがし)ろにするような悪い人ではなさそうですし、これから学院にいる間は仲良くしておいた方がいいですかね?

 

 

「おや? 君がハリーさんが言っていた新入生だね。

 私はこの最高に美しい図画教室にて書士官として必要な絵の技術を君たちに教えるサー・ベイヌだ。

 これからよろしく頼むよ。ジョン・アーサーさんの娘さん」

 

 

「始めまして。シャルラ・アーサーです。

 お父さんのこと知ってるんですか?」

 

 

 混乱を避けるためにお父さんのことは私から話したチームの三人以外ではハリー先生くらいしか知らないはずなんですけどね?

 

 

「ふっ、君のその美しい顔。ジョンさんにそっくりだよ。

 私は学生時代に君のお父さんのジョンさんに色々と教わって尊敬しているし死亡説が流れていた時も死んだなんて思ってもいなかった!

 まぁ、君が入学してすぐに僕みたいにジョンさんを今でも尊敬する書士官達には内密に伝えられているのだけれどね」

 

 

 なるほど、お父さんと面識があったんですね。

 

 ハリーさんも私は父に似ていると言ってましたし、父と面識のある他の教員の方にも話さずとも気付かれているかもしれませんね。

 

 

「私はこれでも学生時代から美しさの他に画力にも自信があってね。

 ジョンさんのように自ら狩り場に赴いて、野生の美しいモンスターを美しいこの私の画力を活かしてジョンさんのサポートをすることを夢見て努力を続けていたおかげで、今では絵に関しては書士隊一の座に就いている。

 ジョンさんは生きているにしてももう書士隊には戻ってこないようだし、それならばいずれ書士隊筆頭の座に就くだろう君のサポートをするために今日という日を待ち望んでいたのさ。

 美しい未来の私の上司シャルラ・アーサーさん」

 

 

 ……この人は実に使い易い人のようですね。

 

 私の夢、それは書士隊筆頭の座を現隊長のギュスターブ・ロン氏から奪い、書士隊のトップに就くことですし書士隊の中でもそれなりの地位を持っているであろうサー先生は私の味方として申し分ないですね。

 

 

「確かに私は父の後を継いで書士隊長の座を目指しています。

 ですが会って間もない私にそんなに頭を下げる必要はないですよ。

 私はまだただの学院の一生徒に過ぎませんしサー先生は教師ですし」

 

 

「ノンノンノン。

 私はジョンさんの後釜として居座っているあの臆病者が大嫌いなのです!

 実に美しくないやり方だ。

 もしジョンさんが死んでいて、シャルラさんが学院に来なかったとしてもジョンさんを尊敬する仲間の内の誰かを新しく書士隊の隊長に推薦してロンを追い落としていたでしょう。

 学院内ではジョン派と呼ばれる派閥が根強くロンを追い落とそうとすでに行動を開始していますからね。

 シャルラさんが学院に来たとなれば旗印として申し分ない」

 

 

 ふむぅ、私が来たこと自体はお父さんを尊敬する人たちには伝わっているようですがその人たちがどういう人たちか、という情報を私自身が集める必要がありますね。

 

 とりあえずサー先生は悪い人ではないようですしこの先どうなるかはわかりませんが味方は少しでも多い方がいいですからね。

 

 私が書士隊のトップに上り詰めるためには。

 

 

「サー先生。先生以外の人も全員が信用できるかはわかりません。

 ですが私には夢があります。

 その夢を実現させるためにあなたが協力をしてくれるというのであれば私もあなたの夢を実現するのに協力しましょう。

 書士隊の現隊長ギュスターブ・ロン氏を書士隊より追い出し私がその座につくことをお約束しましょう」

 

 

「本当ですか!?

 他のジョン派の連中もシャルラさんが次期隊長となるのでしたら喜んで協力するはずです。

 不肖このサー・ベイヌ。あなたのためにこの美しさのすべてを掛けて助力をしていく次第です!」

 

 

 ふふふ。どうやら私の学院生活は平穏無事とはいかないようですね。

 

 もちろん望むところではありますが、まだ学生の身分である私が幾ら書士隊に味方がいるにしてもギュスターブ・ロンを追い落とすことは難しいでしょうが将来的に私がトップに立つための足固めが進んでいるというのはいいことですね。

 

 サー先生がここまで協力的なら今後のことも他にも私に協力的な人も交えてゆっくりと話し合っていく必要がありますね。楽しみです。

 

 

 

 ……そういえば授業そっちのけで話しこんでしまいましたね。 

 

 まぁいいです。待っていなさいギュスターブ・ロン! あなたの命運は私が潰させてもらいます!




 この作品ではサー・ベイヌは美しいものが大好き、ではありますが自分の教え子たちはみんな美しく輝いている愛すべき生徒! という信念の元に教師をしているので外見の醜美で人を判断したりする人ではないのです。

 そしてジョン・アーサーの一人娘シャルラはジョン派の人間からは期待されていたりします。

 まぁ、サーだけでなく大半のジョン派の人間からは「ジョンの娘だから」期待されている節がありますがそこはシャルラ自身がこれから自分の実力で認めさせていく部分ですね。

 シャルラ自身もその事に気づいていますので親の地位にふんぞり返るなんて馬鹿なことはせず自分の力でのし上がる予定です。

 次回にでもシャルラの行動理念と言いますか、夢について説明するような話を入れようと思います。
 それにしても今回はサー・ベイヌの登場がメインなのでギャグとしては物足りないかも……もっとギャグをッ! もっとありえない展開をッ!


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第十四話:私には夢がある

「ジョジョの奇妙な冒険」第五部に出てくるブチャラティですが、
 もしも五部の舞台が日本で、ブチャラティが日本人だったならば、彼の決め台詞は「アリアリアリアリアリーヴェデルチ!」ではなく「さよさよさよさよさよならだ!」ってなってたんですかね?

 「さよさよラッシュ」……。ありえない想像ですがスゴ味でもごまかせないくらいにカッコ悪いかもしれません。



 

 私がお父さんの仕事のことを知ったのは5歳くらいの時だったでしょうか。

 

 お父さんは人間ですがお母さんはモンスター。

 それも古龍クシャルダオラと呼ばれる自然界でも上から数えた方が早いくらいに上位に位置するモンスター。

 

 そんなお母さんと一緒に暮らすには人間のお父さんが合わせなければなりませんでしたがお父さんはその事を何とも思っていなかったようです。

 

 あっさりと仕事を辞めて(辞表を出したりした訳ではないので世間では行方不明者扱いですが)私たちを鬱陶しいくらいに愛してくれていましたし、お母さんの背中に二人して乗ってあっちこっちを飛びまわり住処を季節ごとに変える生活もむしろ楽しんでいた節があります。

 

 そんなお父さんを見ていた私は王立古生物書士隊の元隊長という立場はものすごく強くなければなれないのだと思い、そこで働いていたお父さんを尊敬していました。

 

 口に出すと調子に乗りますし親馬鹿がエスカレートするでしょうから口には出しませんでしたが……

 

 

 それで5歳くらいの時にお母さんと結婚する前の仕事についてお父さんに聞いたのですがその時お父さんは言っていました。

 

 

『私は愛する家族が側にいれば他には何もいらない。

 だが唯一心配の種を書士隊に放置したままだったことが気になる』と。

 

 

 お父さんの心配事が何なのかは幾ら聞いても教えてはもらえませんでした。

 

 そのあとに『シャルラと母さんを愛しているからどうでもよくなっちまったよ♪』と言ってうやむやになってしまったので。本当に鬱陶しい。

 

 私が学院に入学するまでお父さんに抱きしめられなかった日はありませんね。

 お父さんにとって私は抱き枕みたいなものだったのでしょうか?

 

 まぁ、そんなある日お父さんに連れられて街に行ったことがあるんです(お母さんは留守番です)。

 

 いつも傍にいて鬱陶しいお父さんの目を盗んで一人で街の探索に出かけたのですがその時に王立学術院や書士隊についての話をお父さん以外の人から聞くことができました。

 

 そうして聞いた話ではではお父さんの後釜として書士隊長の座に就いたギュスターブ・ロンという人はお父さんとは対照的に自らが狩り場に出ないやり方を推し進め、実際に狩り場に出る書士官を軽んじているというものでした。

 

 自分は学術院に籠り、部下に危険な役目を押し付けて集めた情報を自分の名前で本としてまとめて売り出す。

 

 王家や貴族、国の中枢にいる人たちはモンスターの被害を減らすための方法や、モンスターを殺すのに効率のいい方法を記した本を幾つも書き上げたロン新隊長を褒め称え、お父さんを尊敬する人たちは冷遇される。

 

 そうして得たお金も全てロン新隊長個人の懐に入る。

 

 それだけでも私は腹立たしかったというのにまだ私は許せない話を聞いた。

 

 

『モンスターは知能のない生物であり、人間が快適な生活をするためなら絶滅させても構わない』というロン新隊長の言葉です。

 

 私はこれほどまでに怒りに臓腑(はらわた)が煮えくりかえったのはこの時が初めてでした。

 

 お母さんがモンスターで、私自身モンスターと会話をすることが出来るからでしょう。

 

 人里離れた山奥で暮らす私は人間の友達がいない代わりにモンスターの友達が幼い頃から常に傍にいました。

 

 彼らは決して悪ではなく、知能を持たない生物などでは断じてありません!

 

 それぞれにその日生きるための糧を殺し、喰い、そして精一杯に生きている。

 

 肉食モンスターと草食モンスター同士、食うか食われるかの危険が常に身の回りにある自然界ではたとえ自分が自分よりも強いモンスターに食うために襲われても決して恨んだりはしません。

 

 モンスター同士で生きるために争うことはあってもそこに怒りや恨みはなく、人間よりもずっと単純に、それでいて美しく生きていると私は思っています。

 

 それなのにお父さんの後釜となったギュスターブ・ロンという男はモンスターを生きる価値がないかのように言う。

 

 私にはそれがどうしても許せなかった!

 

 その話を聞いた時は私の周りの全ての存在を侮辱された気がしました。

 

 家族と友達。どちらも私の大切な存在。

 

 子どもの私がどうにかしようにもどうしようもないことは分かっていましたが、それでも私は大切な家族を侮辱されて許せるほど大人しくもなければ弱くもない。

 

 だから私はその時決めたんです。

 

 いつか学術院に入学して私が世界を変えてみせると。

 

 モンスターと人間が共存し合える誰もが幸せで互いに尊敬し合える世界を作ることを。

 

 

 

______________________________________________________________________________________

 

 

「……ふーんそんな事があったんだ」

 

 

「お前も色々と考えてたんだな」

 

 

「話していただき感謝します。

 僕もシャルラさんの夢を実現させるために出来ることがあれば微力ながらお手伝いさせていただきたいですね」

 

 

 と、私が王立学術院や書士隊について知った時のエピソードを午前の授業が終わって昼休みの食事の席で話してみたのですが班のみんなの反応はそれぞれに私を理解してくれているようで嬉しい限りです。

 

 書士隊のトップになるだけでなく、モンスターとの共存を目指す私の夢を無謀だと考える人も多いと考えていたのですが、少なくともこの三人は無用の同情や諦めることを勧めるような人たちでなかったことに感謝です。あとこの三人に出会えたことにも。

 

 みんなそれぞれの思惑があってこの学院に入学したんでしょうし私もこの夢を実現させるために学院に入学しましたが思った以上に書士隊の現隊長ロン氏を嫌う人と父を尊敬する人が多いというのは私にとっては思わぬ僥倖。

 

 ロン氏は汚いやり方で書士隊を自分の派閥に与する者以外排除し続けているというのにまだかなりの実力者が隠れながらもジョン派として書士隊内に居てくれているのですから。

 

 友情は駆け引きではないと言いますし困ったときに打算なく助けてくれる友人たちを一番に得られたのは何物にも代えがたい幸運です。

 

 私を支えてくれるこの三人に助けを求める日も来るかもしれませんが私自身もこの人たちを助けれるような立派な大人になっていきたいと思います。

 

 私は書士隊のトップの座を奪い、必ずやモンスターと人間双方の平和な世界を気付いていきたいと思います!




 この物語での敵はギュスターブ・ロンですね。

 私は敵が居らず、全てを幸せにする話も好きですが時代劇みたいな勧善懲悪な話が大好きなので分かりやすい敵がいる話の方が書きやすいのですよ。

 またロン視点で独白のような話もいつかは入れようと思います。

 まぁ、その前に出しておきたいキャラや小話もいくつかありますけど。

 とりあえずシャルラの夢は書士隊長の座を奪い取ることだけでなくモンスターと人間の相互扶助の関係を世界に広めていくことですね。

 ……真剣に考えるとシャルラは異種交配で出来た子どもですけど卵生か胎生か謎ですねw

 ラオシャンロンの生態でも卵生か胎生かでモンハンの世界の学者の意見も対立しているようにクシャルダオラの生態も謎ですし語る必要はないかな。

 ちなみに私は、ラオシャンロンは分裂で増えるのだと思います。


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第十五話:授業風景

 珍しくバトル要素が入りました。

 この物語はバトル要素なんていらないと思っていたのですが今回の話自体ストーリーとは関係のない小話なのでこんなもんですね。

 あと、くどいようですがこの物語はギャグです!


 

 『シャルラクリムゾンっっ!』

  すべての時間は消し飛んだ!!

 

 

 ……はい、冗談です。時間軸でいえば前前話の話でサー・ベイヌ先生との邂逅と授業を終えて、前回の話ではお昼休みの時間を利用して私の夢について語りました。

 

 それで今回はお昼休みのあとの午後の授業風景をまったりと描くというまったりしたお話です。中身なんて期待しないでくださいね。

 

 ではスタート♪

 

……

 

…………

 

 

「―――であるからして、この教科書96ページの三行目に書かれた『このゲームはミュージカルです。ホラーアドベンチャーなんて知ったことかッ!』というディリッサ・ナンスィーのセリフにより、前のページのモリド・リチャスの発言『男ならハンマー一筋! 鋏や斧や硫酸を武器にするなんて雑魚のすることだ!』というセリフが真であるという答えが証明出来るわけだ。

 ここ、テストに出るから覚えておくんだぞぉ↑」

 

 

 かったるいハリー先生の授業。

 

 あぁ眠い。どうしてお昼ごはんを食べた後の午後の授業はこんなにも眠くなるのでしょうか。

 

 ハリー先生の授業も右の目から左の目へと素通りしちゃうし授業自体が退屈に感じるんですよね。

 

 

「シャルラちゃんの目は聴覚も兼ね備えているのかな?」

 

 

 隣の席のノレッジちゃんも私と同じようにダルそうに机に突っ伏したまま聞いてきます。

 

 ついでに言うとノレッジちゃんはただ突っ伏すだけでなく、ポケットからお菓子を取り出して机の上に立てた教科書の影になるように食べている最中だったりします。

 

 お昼休みはすでに終わっていますがこういうのもなんだか青春みたいですね。

 

 

「ええ、私の目は音を視覚情報に変換して取り込むことも可能ですのです。

 

 

 勿論これは嘘。私は眼も耳も人並み以上に優れていますが、さすがに目から音を聞くことは出来ません。

 

 

「あとついでに『お菓子を授業中に食べちゃいけないんですよ』というお決まりのセリフを言っておきましょう。

 私自身は授業中にお菓子を食べるという青春っぽい行動真っ最中のノレッジちゃんを止めるつもりは毛頭ありませんが一応チームのリーダーとしてたった今言いましたのでもしもハリー先生にお菓子が見つかっても私は知らぬ存ぜぬで通しますので迷惑掛けたりしないでくださいね」

 

 

「ご忠告ありがとねシャルラちゃん。

 では同じチームのよしみでお一ついかが?」

 

 

「……頂きましょう。ついでについでにツンデレサービスも。

 でも勘違いしないでよね。これはノレッジちゃんに無理矢理口に押し込められただけなんですから。

 ……でも、ノレッジちゃんにだったら何をされてもいいかも」

 

 

「それは押し込んでほしいという願望かな?」

 

 

「それもアリだとは思いますが単純にハリー先生に見つかった時の言い訳を少し早めに口にしただけです。ツンデレっぽく」

 

 

 ノレッジちゃんは私がどういう対応をしても面白がるでしょうからここは敢えて予想をしていなかったでしょうツンデレっぽく言ってみたのです。意外だったかな?

 

 若干棒読みっぽく言いつつもセリフの後半に可愛らしさと友人のことを大切に思っている思いやりを込めることで聞いた人、今回の場合ノレッジちゃんですがハッピーな気分に出来るというわけです。

 

 

「もう、シャルラちゃんったら可愛いんだからぁ♪」

 

 

「ふふふ、シャルラ、何の事だかわかんなぁ~い♪」

 

 

 教科書を立てて隠れながらのキャッキャウフフの女子二人によるイチャイチャパラダイス。

 

 私たちの席は教室の後ろの方ですし前にいるハリー先生は授業に集中しだすと熱弁してしまうのでまず気付かないでしょうね。

 

 

「ねぇノレッジちゃん。

 今日はなんだかパフェが食べたい気分なんだけど帰りにどう?」

 

 

「いいわねシャルラちゃん。

 そういえばアリーナでシャルラちゃんのペットのリッキー君がたんまり稼いでいるからトンデモないお金持ちなんでしょ?」

 

 

「ええ。リッキーったら見た目と性格が弱そうなもんだから『俺のモンスターでイビル・ジョー殺しを達成してやるぜ!』って人がたくさんいるからリッキーが強いにもかかわらず対戦カードが組み放題なのよ。

 おかげで毎日試合が行われて私の貯金は一千万ゼニーはあるわよ♪」

 

 

 くっふふふ♪ 本当にリッキーのおかげで大儲けです。

 

 あの子の弱気な性格も最初は直そうと思いましたがあの性格のおかげで毎日試合が出来るんなら治さなくてもいいですね。

 

 こちらは夢とまでは言いませんが、いつかはもっと実績を積んで闘技場最強の王者(チャンピオン)の座を手にするのもいいですね。

 

 今度は私がお母さんから習った『クシャル拳法』でも叩きこんで嵐を呼び起こすことが出来るようにしましょうかね。

 

 きっとパフォーマンスとしては最高のものに仕上がるでしょう。

 

 おっと、何やら妄想にふけっていましたがノレッジちゃんとは反対の席から仲間になりたそうな視線の人がこちらの様子を窺ってますね。

 

 

「おいシャルラ、ノレッジ。俺にも菓子くれねぇか?

 昼飯だけじゃ食い足りなかったんだよ」

 

 

「誰かと思えばダイヤージ君じゃないですか。

 まぁいいですけど……ノレッジちゃんお菓子まだ余ってます?」

 

 

「勿の論よシャルラちゃん!

 ほれダイヤージ、私のお気に入りのお菓子『んまんま棒』で良ければ体中に仕込んであるからあげるわよ」

 

 

 そう言ってノレッジちゃんが上着を逆さにして振ると、ポケットから山のようにお菓子が出てきて机の上に小山を作る。

 

 ちなみに『混捕駄呪(コーンポタージュ)』味だそうです。

 

 

「あ、私トイダーヴァって街の元第一位のハンター、ハターン・モンスータさんのファンだからあの人の特殊技能である『暗器使い』の能力をハターンさんが以前に書いた雑誌の記事を見て練習して身につけていたのよ」

 

 

「その技術って雑誌を読んだ程度で身に付くものなんですね。

 今度私にも貸してください」

 

 

「いいわよ。とりあえずお菓子は沢山あるからあげるわ。

 はいっ、ダイヤージ」

 

 

 一直線にダイヤージ君の元に投げ放たれた『んまんま棒』。

 

 そしていつ取り出したのかキャッチャーミットを構えたダイヤージ君が見事にキャッチ!

 

 

「なぁノレッジ。せっかくだからよぉ。西部劇のガンマン風に言うなら『抜きな! どっちが素早いか勝負だぜ』って展開がしたいんだがどうだ?」

 

 

「まさかダイヤージ、私に『んまんま棒』早食い勝負でも挑んでるつもり?

 命は投げ捨てるものじゃないのよ?」

 

 

 え? いつからそんなバトル展開になってるんですか?

 この物語はまったりありえないモンハンの世界でのギャグがテーマなはずなのに。

 

 というかセリフの割に勝負内容が早食いだなんてショボw

 

 

「「いざ尋常に勝負ッ!」」

 

 

 二人は同時に手にした『んまんま棒』を……なんと膝に叩きつけるようにして包みを開封した!?

 

 

「さすがはノレッジだぜ。

 まさか『んまんま棒』をこうやって開ける奴が俺以外にもいたとはかなりの手練(てだれ)だぜぇ↑」

 

 

「ふふん、このぐらいは常識よ!

 あと語尾に『↑』をつけるのはハリー先生の特権だと指摘しておくわ」

 

 

 いや、別にハリー先生のテンションの高さを表したくて作者が勝手につけてるだけでそういうキャラってわけじゃないんですけど。

 

 

 ……で結果ですが二人ともほとんど同じ速度で半分ほどまで食べてたんですけどそこからノレッジちゃんが残りを一気に丸呑みして勝負終了。

 

 ノレッジちゃんは平気みたいですけどそれを見て勝とうと必死になったダイヤージ君が真似をしてに盛大にむせていた。

 

 馬鹿なの?

 

 

「ゴファ、ゴヘ、ゴフッ……

 へっ、ノレッジはやっぱすげーぜ!

 この俺が負けるとは思ってもみなかった」

 

 

「あら、私に勝とうだなんてアプトノスがリオレウスに勝つくらい難しいことだと理解しておいた方がいいわよ」

 

 

「なんか微妙にありえそうな……いえ、やっぱりアプトノスにリオレウスは倒せないと思いますが」

 

 

「いやいやシャルラ。そう簡単に種族で強さを決めつけたらいけねぇぞ。

 俺の故郷の村では野生のリオレウスに育てているアプトノスが襲われることが頻発した時にたまたま通りかかった空から来たっていう通りすがりの調教師の人に『拳闘』を叩き込まれて以来、村に来るリオレウスを撃退出来るくらい最強のアプトノス達になってんぜ」

 

 

 嘘、だと思いますがダイヤージ君が嘘をつくとも思えませんし、自称:紳士ですし嘘ならもっと嘘っぽく付くでしょうし……

 

 

「あぁ、その村なら知ってるわ。ダイヤージの故郷だったのね。

 確かその村はハンターがいないのにモンスターによる被害がゼロって聞いてたけどそういう理由だったのね」

 

 

 ……何やら私の知っていた常識が崩れていく音が気がします。

 

 どうやら私が知らないことが世界にはいっぱいあるのですね。

 

 こうして私はまた一つ勉強しました。

 

 そしてこれで終われば最高に平和だったんでしょうけどね……

 

 

「お前らぁ~ん?↑

 さすがに『んまんま棒』を膝でパッーンと開ければ吾輩が気付くことに気づかなかったのかぁぁぁ~ん!?↑」

 

 

 何やらお怒りの様子のハリー先生が目の前に!

 

 いくら後ろの席でもそりゃ気付かれますよね。

 

 ですが私達は先生が気付くということにとっくに気付いていましたよ。

 

 

「「「それは空耳です。私(俺)たちが授業中にお菓子なんて食べるはずがないじゃないですか」」」

 

 

 見事にハモって誤魔化そう大作戦。

 

 

「ほらッ! お菓子の包みなんて持ってないですし、隠し持ってなんかいませんし……ってほらよく見てくださいハリー先生!

 フィズ君の机の上にお菓子の包みが置いてあるじゃないですか!!」

 

 

 フィズ君は机の上に教科書を立ててその影で机に突っ伏してお昼寝をしていたようなので彼の机の上に包みを置いておいたのです。

 

 おまけで口元にお菓子のカスをなすりつけておきましたし。

 

 

「むぅ、吾輩としたことが……すまんかったな三人とも。

 いつもシャルラを中心に悪だくみをしているイメージがあったものでな」

 

 

「気にしないでくださいハリー先生。

 間違いは誰にでもありますから」

 

 

「本当にすまんかった。

 では気を取り直して……くぉるぁぁぁー、フィズ!

 お前のせいでまたもシャルラ達が犯人になるところだっただろうがぁ!!」

 

 

 そう、誰にでも間違いはあります。

 

 今回は私がうっかりお菓子の包みを処分しようとしたら間違ってフィズ君の机の上に落っこちて、その時に間違って口元にカスが付いてしまい、ハリー先生は間違ってフィズ君を叱ることになったのでした。

 

 こうして今日の授業の後半はハリー先生がフィズ君を指導室に連れ込んで夕方までこってり絞ることとなったので私たちは残りの時間をお昼寝の時間として有意義に使えたのでした。

 

 ……ちなみに後日フィズ君に本当のことを伝えたらお菓子のカスを口元になすりつけられていたのを『間接キスだヒャッホー♪』と喜んでいたので誰もが幸せで問題なく今回の事件は終了しました。

 

 ダイヤージ君の机に落ちていたカスをなすりつけたんですけどね。




 教室での席順についてですが基本的に最初に作った班で固まるように席が決まっていたりします。

 窓際最後尾に左から順にノレッジ、シャルラ、ダイヤージ、フィズとなっています。

 作中で説明文を入れるのもどうかと思ったのでここで書いておきます。
 フィズはキャラ的に損な役回りですが割りを食うキャラがいる方がシャルラ達がまったり学生生活を送れますのでw


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第十六話:『女は行動力!』ンッン~、名言ですね

 今回も中身のない話ですね。ストーリーに関係のない話の方が筆の進みがいいのですよw

 それにしてもデモンズソウルの小説を書いていた時の影響からか『行動』という言葉を変換すると高確率で『坑道』と変換されてしまいます。直すのが面倒なんですよね。



 朝は爽やかでなければならないと思うのですよ。

 

 一日の活力を体に充填し、仕事なり学校なりに向かうためには学生も社会人も毎日しっかりとした睡眠を取り、きちんと朝食を食べる必要があるのです。

 

 なので今日もぐっすり寝てしっかり朝食を食べていたために遅刻をしてしまったといういつも通りの私の一日が始まるのでした。

 

 

「今日も遅刻とはいい度胸だなぁ? うん? シャルラ&ノレッジ」

 

 

「何をおかしなことを言ってるんですかハリー先生。

 私たちがいつ遅刻をしたというのですか?」

 

 

 実際には今日も相も変わらず遅刻してしまったのですけどね。

 

 昨日はノレッジちゃんとダイヤージ君と一緒に放課後にパフェを食べに行った帰り、唄姫のコンサートチケットを売っていたダフ屋に難癖付けてタダ同然で手に入れて聞けたので帰りが夜中を過ぎていたので朝はゆっくりでした。

 

 寮長のクラーマさんは私の笑顔を見せたら深夜徘徊もあっさり許してくれましたし。

 

 で、世間一般では今日のこれも遅刻というのでしょうが……

 ハリー先生をいかに誤魔化すかが面白くなってきたので今日の私は口先だけで上手く丸めこもうと思っているところです。

 

 ただ誤魔化すだけなら涙目と上目遣いのコンボを使って受付からこちらの様子を楽しそうに眺めているクラーマさんを味方につければ簡単ですがそれでは面白くない。

 

 こういった局面を上手く乗り越えてこそ人は成長すると思うのですよ。

 

 マンネリはいけません。

 

 

「はぁ、マンネリがどうのと言うくらいならそもそも遅刻しなければいいんじゃないのかなぁ?↑」

 

 

「いえいえ、私は思うのですよ。

 時間というのは時計が決めるわけではなく、連綿なる人の営みにおける便宜的数値に過ぎないと」

 

 

「だとしてもその世間一般の営みである学院に遅刻をするというのはいかんのじゃないのかなぁ?↑」

 

 

 ここまでは予想の範疇。ここから上手く言い返せれるかどうかが私の実力に結びついてくるでしょう。

 

 

「私は人間とモンスターのハーフなので厳密には人間とは違います。

 すなわち私の時間を決めれるのは私のみ!

 私は時間という概念に縛られるようなちゃちな生き方はしていないつもりですので」

 

 

「……では同室のノレッジはどうなるのだ?

 仮にお前が時間に縛られておらず遅刻もしていないとしてもお前と同時にやってきた人間のノレッジは遅刻で間違いないはずだろう」

 

 

 むっ、そう返してきますか。やはり一筋縄ではいきませんね。

 

 しかし!

 

 騒がしいのが好きで、やかましいのも好きで、うるさいのも大好きな私。

 

 立てば嘘つき座れば詐欺師歩く姿は機動戦士アンバサ主義(なんでしょう? 電波を受信しました)を地で行くこの私。

 

 これから先の人生で私の大きな夢を実現させるためにはハリー先生くらい自分の口先のみで説得する事が出来ないでどうしますか!

 

 

「異議あり! ノレッジちゃんは魂だけを幽体離脱をしてすでに私よりも早く登校しているので問題ないはずです!」

 

 

 そう、ノレッジちゃんが今回の話でまだ一回も会話に加わっていないのは魂だけになって先に教室に向かっていたからなのです。

 

 彼女の魂の抜けた体は今私が背負っていたりします。

 

 ハリー先生もこの返しには度肝を抜かれたようですね。

 

 傍から見ればまだ眠りについているノレッジちゃんを背負っている私、という風にしか見えないでしょうし。

 

 触ってみればノレッジちゃんの体が冷たくなって硬直を始めているのがわかるはずですよ。

 

 

「し、しかし体が登校していないのであればそれは登校したことにならないと思うのだが……↓」

 

 

「この学院の校則には『魂だけでの登校は遅刻になる』だなんて書かれていません。

 文句があるのなら学院長にでも言ってくださいね♪」

 

 

「う……む……」

 

 

 学院長とやらもどうせロン派の息のかかった人でしょうから一応ジョン派であるハリー先生はお父さんの娘である私の不利になる発言を上に言えるわけありませんよね。

 

 敵を利用してこそ私の私らしさの証明になるのです。

 

 それにしてもさすがはハリー先生。私をここまで手こずらせるなんてやりますね。

 

 ですが今回のことで私は人としてもモンスターとしても大きく成長できたはずです。

 

 それでは上手い返しが出来ずに頭を抱えているハリー先生を放置して教室に向かいますか。

 

 

「シャルラちゃんシャルラちゃん」

 

 

「ん? なんですかクラーマさん」

 

 

 教室に向かおうとしたところで学院の受付にて先ほどから私たちのやり取りを眺めていたクラーマさんが呼びとめました。

 

 

「グッジョブ!」

 

 

「イエーイ♪」

 

 

 さすがはクラーマさん。この学院の私の味方で最も心強い人ですね。

 

 今度添い寝でもしてあげましょう♪

 

 

 

 教室に入るとハリー先生がいないからか、まだ席につかずに騒がしくしているクラスメイトも大勢いますがとりあえず私は自分の席に着き、となりの席で魂だけで出席しているノレッジちゃんに肉体を渡してあげました。

 

 

「(ちゅぽん)ぷっはぁ~、幽体離脱ってのも初めてやってみたけど意外とやればできるもんね。

 知識としては霊体の時は一晩で山を七つ走り抜けられるって聞いてたけど本当に肉体的疲労が一切ないもんだからミナガルデの街まで寄り道しながら登校しちゃったわよ」

 

 

 割と非現実的なことを経験しておきながらえらくあっさりとした感想ですね。

 

 あと最初の擬音は肉体に魂が戻った時のものです。

 

 

「とりあえず私は口先のみで上手くハリー先生を越えることができました。

 それにしても先生固まっちゃってましたけど一時間目の授業に間に合うのですかね?」

 

 

「大丈夫なんじゃない?

 ハリー先生って良くも悪くも単純だから次こそシャルラちゃんを言い包めようと努力すると思うし」

 

 

「確かに負けず嫌いっぽいところもありますからね。

 教師としては遅刻をしないように説得するのが正しいあり方なんでしょうけどね。」

 

 

 そう言って今度は私の右隣の席にて眠そうにしているダイヤージ君に視線を向けてみる。

 

 

「そういやシャルラよぉ~、今日は学院の食堂が使えねぇみてーだけど弁当は持ってきてんのか?」

 

 

「え、お弁当がいるなんて先生言ってましたっけ?」

 

 

「昨日のホームルームの時に言ってたから遅刻したお前らは聞いてなかったんだな。

 俺も言い忘れてたわ。てゆーか俺も弁当忘れたし」

 

 

 む、遅刻して聞き逃した私達が悪いにしろ、昨日の時点で一言言ってくれればよかったのにダイヤージ君もうっかり屋さんですね。

 

 

「それでしたら僕のお弁当を分けてあげますよ。

 大丈夫、こんなこともあろうかと思ってお弁当を皆さんの分多めに持ってきていたのです」

 

 

 朝っぱらから目を輝かせたフィズ君が突然私とノレッジちゃんの間に無理矢理割って入ってきました。

 

 彼はこういう鬱陶しいところが女子から今一つという評価を受ける要因だと気づいているのですかね?

 

 

「……なんだか怪しいですね」

 

 

「そうね。私たちが昨日食堂が使えないことを聞き逃していたのを見越して沢山用意してくるだなんて。

 ……ねぇフィズ。そのお弁当だけど、今、少し、食べてみてくれない?」

 

 

「……な、何を言っているのですか?」

 

 

 ん? もしかしてノレッジちゃんはフィズ君の真意が分かったのかな?

 

 

 

「いやね、アンタを疑ってるんだけど別に毒が入っているとか思っている訳ではないのよ。

 ただアンタのことだからお弁当に媚薬でも仕込んでいそうだな、っと思ってね」

 

 

 なるほど、確かに単純なフィズ君が考えつきそうな手ですね。

 

 脂汗をタラタラ流しているところから見て図星のようですね。

 

 

「おいフィズ、そりゃいけねぇぜ。

 男だったら自分の魅力で女を虜にしてこそ最高にグレートってもんだろうが」

 

 

「ダ、ダイヤージまで何を言っているんだい。

 ぼ、僕はそんな卑怯なことはしないよ」

 

 

 そんなしどろもどろで言われても説得力ありませんよ。

 

 まぁ、面白そうだしもっとからかってもいいんですけど残念ながら時間が来てしまいました。

 

 復活したハリー先生が戻ってきたのです。

 

 

「よぉぉぉーっし! 全員いるかぁぁ~?↑

 ホームルームの時間はなくなってしまったのでこのまま授業を始めるぞ!」

 

 

 ん? 出席は取らないんですかね?

 

 ……ということは遅刻をしてもホームルームをハリー先生に始めさせなければ出席したことになるのでしょうか?

 

 となりの席のノレッジちゃんと視線が交差します。

 

 

「……シャルラちゃん、あなた私と同じことを考えているみたいね」

 

 

「そういうノレッジちゃんこそ私と同じことを考えているみたいですね」

 

 

 よし! 次からは遅刻をしてからハリー先生を口で丸めこむのではなくホームルームを開かせずに出席取らせないようにする方向で努力をしてみましょう。

 

 それでは今日も立派な学者を目指して授業を真面目に頑張るとしましょうか♪

 

 こうして今日も愉快に私の一日が始まるのでした。




 もう何でもアリな話になってきたなぁ~w

 シャルラも口が上手くなっていきますしあの手この手でこれから迫りくる危機を潜り抜けていく準備は完璧ですね。

 そろそろストーリー本編を勧めるのでギャグは少なくなりそうです。


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第十七話:私の味方は使えない人ばかりですね

 またしても原作キャラ登場! ただし私の想像による! みたいなッ!



 

「そういや給湯室に職員用の非常食とお茶があっから今日の昼飯はそこで間に合わせねぇか?」

 

 

 媚薬入り弁当を食べさせようとしたフィズ君を三人でボコったあと、普通に授業を受けて今が昼休みの時間。

 

 授業内容はあまり覚えていませんがすでに教科書丸暗記した上にお父さんからここに来るまでに大体の勉強は教わっているから正直学院での勉強は必要ないんですよね。

 

 私がこの学院に通いたいと思ったのはお父さんのかつての地位に座っているギュスターブ・ロンを蹴落とし学者のトップに就くためには学歴が必要だと思ったからですし正直授業はだるいだけの苦行ですよ。

 

 で、上のダイヤージ君の発言に戻るわけですが、

 

 

「非常食ってのはあんまり美味しくなさそうですね」

 

 

「いやいやシャルラちゃん。最近の非常食は美味しくなってるし期待できると思うわよ。

 この学院ではハンター必携の携帯食糧なんかもトイダーヴァの街に住む一人の天才鍛冶屋と言われる人が改良を加えたらしいから美味しいみたいよ」

 

 

「なんで鍛冶屋が携帯食糧の改良なんてしてるんでしょうね?」

 

 

「さぁ?」

 

 

 まぁそこはどうでもいいですよね。美味しければ。

 

 

「そんなことよりよぉ~、とりあえず何か食ってとりあえず腹の虫抑えて放課後にでも旨い飯食いにどっかレストランとか行きゃいいじゃんよ」

 

 

「それもそうですね。

 フィズ君は……放置していきますか」

 

 

 こうしてフィズ君を放置して私たち三人は先生たちの非常食が置いてあると言う給湯室に忍び込む。

 

 

「む、どうやら誰かいるみたいですね。

 失念してましたがお昼時は誰かしらいてもおかしくはなかったですね」

 

 

「こうなったらこっそり背後に回り込んで当て身でも食らわせて食糧を根こそぎ奪って去るってのはどうだ?」

 

 

「馬鹿ダイヤージ! そんなことしたらもし見つかった時に問題になるじゃないッ!」

 

 

「だが見つからなければもっとも手っ取り早い手段だ」

 

 

「でもこれからも学院生活を続けていくなら簡単な方法よりもその後を楽しく過ごせる方法がいいですよ。

 こんなことで平穏な学生生活を乱されるのは本意ではありませんからね」

 

 

 ならばどうするか? となりますがここは私に考えがあります。

 

 

「まぁ、二人はちょっと待っていてください。

 ここは正攻法で私が頼みこんでみます」

 

 

「うーん、まぁシャルラちゃんならハリー先生から遅刻を誤魔化せるくらいだしなんとかなるかもね」

 

 

「俺は口下手だし上手く出来るんならシャルラに任せるわ。

 もしも力づくで解決しようと思ったらいつでも呼べよ」

 

 

 ダイヤージ君は荒っぽい考え方ですね。

 

 これでも紳士のつもりなんですからまだまだ紳士道への道のりは険しいと思いますよ。

 

 とにかく、私は私でミッションを始めるとしましょうか。

 

 

「あの~、すいませ~ん」

 

 

「ん? 君は?」

 

 

 振り返ったのはハリー先生より若そうな男の先生。二十代半ばといったところでしょうか?

 

 服装から判断して既婚者、料理上手、無口ながらも悪い人ではない、といったところですね。

 

 着ている服はアイロンが掛けてありますし取れかけのボタン一つありません。

 

 健康的に日に焼けていることから狩り場に出る機会の多い書士隊の人でしょうが髪や肌艶から言って健康的な食事もとれている証拠。

 

 

「今日食堂が使えないこと知らなくてお弁当持ってきてないからここに非常食があるって聞いて分けてもらえればな~っと思って来たんですけど……」

 

 

「食堂が改装工事で使えなくなるのは昨日のうちに各担任の先生が伝えているはずだが君はどこのクラスだい?」

 

 

「ハリー先生です。

 あ、私は新入生のシャルラ・アーサーと言います」

 

 

「ふむ、まったくハリーさんはいつも暑苦しいからテンションが上がって言い忘れたとかなんだろうな。

 ジョン・アーサーの娘さん」

 

 

 やっぱりハリー先生は他の先生方にも暑苦しいって認識をされているのですね。

 

 ん? それよりもこの先生も私を知っているのかな?

 

 

「勿論君のことは知っているよ。それに君はお父さんにそっくりだ。

 あぁ、俺はこの学院では古龍学を教えているダレン・ディーノだ」

 

 

 そんなに私ってお父さんに似ているのでしょうか?

 

 前もサー先生の時にも言われましたが。

 

 それとえーと、ダレン先生でしたっけ? 確かお父さんが書士隊長として教鞭をとっていた時の教え子の中でそんな名前の優秀な生徒がいたと聞いていますね。

 

 

「はじめまして。ジョン・アーサーの娘のシャルラ・アーサーと言います。

 いきなりですけど私は現・書士隊の隊長の席に就いているギュスターブ・ロン氏を蹴落としていずれ書士隊隊長になるつもりですので以後よろしくお願いします」

 

 

「ほう……まさかハリーさんやクラーマさん聞いてはいたが本気であのギュスターブ・ロン隊長に勝負を仕掛ける気でいるとはなんとも……」

 

 

 この人の話も少しなら聞いています。クラーマさん曰く、味方としては割と信用出来る人みたいですね。

 

 まだ信頼は出来ませんが。

 

 

「あぁ、確かに私は現隊長のロン氏にいい感情は抱いていないしむしろ嫌っている。

 君が次期隊長になるというのなら全力で応援させてもらうよ。

 これでも古龍に関する情報は私がまとめているから学院教師としても書士隊隊員としてもそれなりに重要な席に就いているからね」

 

 

 少し暗い表情のダレン先生。「集めた情報は全て隊長であるロン氏に渡さなければならないので表舞台で知られてはいないが」と付け加えてくる辺り現隊長への不満はけっこう大きいようですね。

 

 お父さんが隊長だった時は手に入れた情報は学者といえどもそれ相応の給与に影響し、まとめた本にも編集協力者として名前を載せるなど実際に現場で命を張る隊員達に色々と配慮をしていたようですがギュスターブ・ロン氏は自分のことしか考えていないようですね。

 

 それでも文句を言わせない強硬なやりくちを推し進められるだけ現隊長のロン氏は力を持っているということになりますけど。

 

 

「ロン隊長に対して随分と不満があるようですね。

 集めて来た情報も隠したりしないんですか?」

 

 

「あまりそういうことは出来なくてね。

 人を信用しないロン隊長は狩り場への調査任務の時はギルドナイトを同行させることを義務付けて手に入れた情報を隠そうものならそのまま暗殺、または左遷という手段を平気でとって来るからね。

 ギルドナイトが暗殺の証拠を残すはずないし、左遷された人もすぐに不幸(・・)な事故で連絡が途絶えてしまうから現段階であの人を引き摺り下ろせるのは血筋と人脈、それに実力から考えて君しかいないと思っている。

 だから俺は君を次期隊長として期待しているんだ」

 

 

 ふむぅ、書士隊内の事情はよく分かりましたがまだ実力を隠している遅刻魔で問題児の私のことをそこまで買ってくれるというのならばジョン派の中でも信用における人でしょう。相変わらず信頼は出来ませんが。

 

 まぁ、お父さんもかつて学院で教鞭をとっていた時は最も優秀な生徒だったと言ってましたし味方としては心強いですね。

 

 

「そうですか。私のような若輩者にそこまで期待をしてくれているとは感謝の極みです。

 しかし今はまだただの学生に過ぎません。

 それにこのまま卒業まで無事に過ごせるとは限りませんが何かしら問題がありましたら助力をお願いするとは思いますのでその時はよろしくお願いしますね」

 

 

「任せてくれシャルラちゃん。

 正直に言うとね。俺は最初ロン氏が書士隊隊長になった時は実力があるのなら要職に就くのは当然だし当時書士隊内にジョン隊長の後任に相応しい人がいなかったからロン氏が隊長になるのも悪くないと思っていたんだよ。

 だけどあの人のやり方はあまりに利己的すぎる。

 かといって逆らうにはすでにこの学院だけでなくあの人の息のかかった人間がこの街には多すぎる。

 そんな中に現れたあのギュスターブ・ロンと互角以上にはり合えるであろう君の存在は私たちジョン・アーサーを尊崇する人間にとっては何物にも代えがたい神の救いのようにも感じるんだ。

 だからこそ君には教師としての期待以上に書士隊に所属するものとしてこの書士隊を変えていってもらいたいと思っている」

 

 

「……任せてください! 私はジョン・アーサーの娘である以前に一人のシャルラ・アーサーとしてギュスターブ・ロン隊長を蹴落としてこの学院も書士隊も今以上に良いものにすると約束します」

 

 

 しかし期待してくれるのは嬉しいのですがどうもダレンさんも私に対してジョン・アーサーの娘だからという理由で尊敬の念を持っているみたいですね。

 

 これも知り合ってからの日数によるものなのかもしれませんがハリー先生やクラーマさんみたいに私個人の実力を評価してくれる人と違って裏切らないという意味では信用出来ても仲間として心の底から信頼出来る人ではないようです。

 

 第一それだけ危険だと感じている現隊長のロン氏が手段を選ばなければ私が殺されてしまう可能性をきちんと理解しているのでしょうか?

 

 学院内で味方を増やすのには役立ちそうですが私自身の評価は行動で示すしかありませんね。

 あまり目立ちすぎると何かしら妨害工作を仕掛けられる可能性もありますが……

 

 とりあえず今日のところはお昼ごはんを分けてもらってこれからの事はこれから考えることにしましょう。

 

 もしもこのまま私個人を見ないようであるならば最終的には私もこの人を左遷せざるをえないでしょうけど。ふふふ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギュスターブ・ロンside

 

 

 私の名前はギュスターブ・ロン。王立学術院に所属する学者にして古生物書士隊書士隊隊長という地位に就いている。

 

 周りからは先代隊長ジョン・アーサーとは対照的なやり方の私を疎む、もっと言えば嫌ってさえいる者が多くいるが私はそう言った陰口しか言えないような能無し共と違い、指揮官としての技能には優れているし知識においては私以上の者など竜人族の年寄りと比べても居るはずがないと自負している。

 

 そう断言出来るだけの経験をこれまでの人生で得てきた。

 

 モンスターについての情報をまとめた本を幾つも世に出したことでモンスターの被害を大きく減らし、また新たな薬となる素材を見つけたことで私が書士隊隊長の地位に就いてからの辺境におけるモンスターや病気による死亡率が激減したのもほとんどが私の功績と言っても過言ではないだろう。

 

 王家にも人脈が出来、この学院の中でも表だって私に反論出来る者など数える程度だろう。

 

 勿論私の味方が全て本心から私を尊敬している学者達ばかりではないことも理解している。

 

 むしろ敵ばかりと言ってもいい。

 

 そして先代隊長ジョン・アーサーを尊崇する連中の中で最近良からぬ噂が流れていることも当然耳にしている。

 

 

“シャルラ・アーサー”

 

 

 最初にこの名前を聞いた時は単なる新入生だと思った。

 入学式から少しばかり遅れて入学してきたのもどこか田舎から出てきたために時間がかかったのだろうと思った。よくある事だからな。

 

 だがこのシャルラ・アーサーという娘がジョン・アーサーの娘だと聞いてしまってはのんびりと構えているわけにはいかない!

 

 ジョン派の連中はきっとその娘を旗印に私と真っ向から勝負を挑み私の地位を脅かすに違いない。

 

 そんなことが断じて認められるものかっ!!

 

 私はこれまでジョンの後釜だの臆病者などと言われながらも全てを賭してこの地位を獲得したのだっ!

 

 確かに私利私欲で多くの人間を失脚させ、場合によっては殺し、不幸にしたこともあるがそれ以上に私の書いた本が多くの人々の命を救ってきた。

 

 この私がそんなポッと出の少女に負けてなるものか!!!

 

 詳しく調べてみる必要があるが、もしもジョンの娘が私の地位を実際に狙っているのなら何としてでもこの学院から排除しなければ私が危険だ。絶対になんとかしなくてはならない。

 

 だが……ただ排除するのでは私の印象というものが悪くなる。

 

 もしも利用できるようなら私の駒として使う方が面白いだろうし、敵になりそうなら上手く自主退学に追い込まなくてはならない。

 

 では、早速調査を始めるとしよう。

 

 

「私の地位を守るために邪魔者を殺すのは私に許された当然の権利だ。

 私が殺すのは生きる価値のない化物(モンスター)どもだからな。

 絶滅させても誰も困らん。私の名声はさらに増すだろう。

 お前にもこれまでの敵と同様に私のこれから殺していく化物(モンスター)の中の一匹として消えてもらうことになるかもなぁ、シャルラ・アーサー」

 

 

 ククククク、はーっはっはっはっはっは!

 

 私は書士隊隊長ギュスターブ・ロン。

 この世界に永遠に名を残す真の英雄だ!




 年齢がよくわからないのですが、ダレンはハリーよりも年下の気がします。

 名前や設定資料の説明文なんかを見るとそれなりにおっちゃんっぽいですけど、この物語ではハリーと同期のジョン・アーサーのかつての教え子ってことで。

 ジョンに世話になりながらも恩返しが出来なかったことを悔やんでいたがジョンの娘のシャルラが現れたことでジョンに出来なかったことをせめてシャルラにしてやりたいという思いでシャルラの味方になる。

 まぁ、現段階ではダレンもシャルラ個人よりも父親のジョンに対する尊敬の念からシャルラに協力しているだけでその事をすでに見抜いているシャルラはこのまま自分個人を認めないようなら使い捨てにする気満々。

 ハリーやクラーマはシャルラ個人を心配し、守り、味方するという立ち位置なので信頼という面では一段劣る男。

 今後使い捨てられるかもしれませんねw


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第十八話:会議

 今回も長くなってしまいました。

 それにしてもバトル以外で『熱さ』を出すのは難しいものですね。熱い話は好きなのでどの話でも意識はしているのですが。



 

 

 ロンside

 

 

 今日は学院の全職員を召集しての会議が開かれる。

 

 もちろん召集をかけたのは私だ。

 

 前任の書士隊長ジョン・アーサーの娘について書士隊員、ならびに学院職員達の反応から情報を集めておこうという腹積もりだ。

 

 学院内にはジョン派などという愚かな連中がいまだに存在しているが連中の反応によって件(くだん)のシャルラ・アーサーの危険度が知りたいのだよ。

 

 連中もこの私が15年の歳月をかけても追い出せない程に狡猾な奴らが揃っているからな。

 

 あまり性急に事を荒げては墓穴を掘りかねん。

 慎重に少しずつ情報を得ることで私の地位を盤石なものにしなければならない。

 

 いや、盤石でなければならないのだ!

 

 何者にも私の平穏なる人生のためには私の存在が脅かされる敵はいてはならないのだ!!

 

 

「あー、みんな今日は集まっていただき感謝する」

 

 

「そんなことよりも早く要件を話してもらえないでしょうか?

 俺たちも暇ではないのですが」

 

 

 開始早々にそう言ってきたのは書士隊所属のダレン・ディーノ。

 

 書士隊内では特に大きな発言力を持つジョン派の筆頭と言えよう。

 

 普段は牙を隠した物静かな口調だがいきなりの喧嘩腰にも取れるこの発言。

 

 これはやはりシャルラ・アーサーが連中の期待通りの人物だったからなのかもな。

 

 

「それを今から話すのだろう!

 つまらんことでロン隊長の邪魔をするなっ!」

 

 

 次に響いた声はダレンの発現を諌めるような発言。

 これは私が書士隊内で最も信用している女、ジェリー・クロムアーマーだ。

 

 私の派閥はどうにも数は圧倒的に多いのだが、どいつもこいつも有象無象の使えない連中ばかりだ。

 

 だがそんな私の味方の中でもっとも優秀な駒。それがジェリーだ。

 

 ここ十五年で学院内には私の派閥に属する者を多く重用し、ジョン派の連中は潰せる者は潰し、残った者も閑職に追い込むことで発言力を弱めることには成功しているがそれでも完全には消えない。

 

 それにハリーやダレンやサーなど、古参の者や書士隊内で活躍の目覚ましい者は相変わらず一見中立派のように見せかけてその大きな存在をひたすらに隠し、この学院に留まり続けている。

 

 それなのにこれまで私の地位を狙ってこなかったのは連中が独断専行をせずに一つに纏まり、今回のような好機を待っていたからにすぎないのだろう。

 

 少なくともシャルラ・アーサーという旗印を得た連中はじきに何かしら行動を起こすはずだ。

 

 それこそこれまでの鬱憤を晴らすかの如く。

 

 ジェリーも優秀とはいえ、古龍生態に関する知識においてはさすがにダレンやハリーに劣る。

 

 その他の調査任務では隊内トップの実績を誇るがそこまで優秀なのは彼女くらいしかいないのだ。

 

 本当に優秀なのはジョン派に与する者ばかり。

 

 その優秀な書士隊員であるダレンもさすがに先走ったと気付いたようだ。

 

 

「ん、確かに礼を失した発言でした」

 

 

 発現に対する謝罪はしてもダレンの表情には隠しきれない私への嫌悪の感情が見てとれる。

 

 周りのジョン派の連中のダレンを見る視線も、先走った発言こそ責めてはいるようだが行動自体を責めているようには見えない。

 

 これはやはりシャルラ・アーサーが私の予想通りの危険な存在であるということに違いない。

 

 

「さっ、ロン隊長。続きを」

 

 

「うむ」

 

 

 恭しい動作で私に傅くジェリー。彼女も周りの反応に気づいているらしく連中の一挙手一投足を見逃さないように目を光らせている。

 

 もう少し情報を探る必要もあるな。

 

 ジョン派に属する若い衆からは今の反応だけでだいぶ分かったがある程度古参のジョン派の書士隊員達はこちらの出方を窺っているようだ。

 

 私が情報を集めようとしているように連中も私の情報を得ようとしているのだろう。

 

 

「さて、今回集まってもらったのは他でもない。この間起きた新入生の課外授業でのことだ」

 

 

 この一言で反応を示す隊員達が数人。

 

 

「事前に調査をしたはずの狩り場に大型モンスターが現れたそうだな。

 それもモンスターの中で特に危険度の高いイビル・ジョーが現れたというのは大問題だ。

 この学院の生徒である彼ら彼女らはハンターではなく学者の卵なのだ。

 今回は運良く死傷者が出なかったがそれは奇跡に近いことだろう」

 

 

 ここで安堵のため息を漏らす者がさらに数人追加。

 

 古参の連中はなんの反応もなし。

 

 

「だが私がここで気になったのは、そのイビル・ジョーを武器も用いずに従えさせた新入生がいると聞いたことだ。

 名前はシャルラ・アーサー。入学は少し遅れているが今年度の新入生としてこの課外授業にも出ていたそうだな」

 

 

 これまで無表情をら抜いていたハリーの眉が少し動く。

 

 ハリーの奴も反応を示すとはこの先私が何を言うか予想が出来たのだろう。

 

 確かハリーはシャルラ・アーサーの担任をしているのだったな。

 

 

「知っての通りイビル・ジョーは危険極まりないモンスターだ。

 一度人里に現れればあらゆる生物を根絶やしにするまで食い尽くし、被害の規模にしてみれば古龍に匹敵すると言っても過言ではないだろう。

 その危険極まりないイビル・ジョーを一人の少女が従え、あまつさえこのドンドルマの街のアリーナでモンスター同士の賭け試合に出すなど正気の沙汰とは思えん。

 仮にそのイビル・ジョーが特殊な個体で大人しい性格なのだとしたらそのイビル・ジョーは学院にて調査対象として研究するべきではないのか?

 ハリー隊員。君がその時現場で指揮をとっていたそうだがなぜイビル・ジョーを捕獲したという報告が私に来ていなかったのかね?」

 

 

 この情報もジェリーが私に報告してくれたことで耳に入ったものだ。

 

 本来当事者であるハリー本人が報告すべきなのだがな。

 アリーナに対する届しか出ていなかった。

 

 

「あー、すいませんロン殿。吾輩としたことがうっかりしていたようですな。

 ですが飼い主である新入生のシャルラ・アーサーにも周りにも従順であり、危険性は感じられなかったので飼い主となったシャルラ自身に任せる形にしていたのですよ」

 

 

「確かにお前のことだからうっかりしていたのかもしれんが私が言いたいのはそのイビル・ジョーが危険性を感じない位に大人しいのならこれからの野生のイビル・ジョーへの対策として学院が率先して研究すべきだろうと言っているのだ」

 

 

 この発言に対して何人かが抗議でも言おうとしたのか立ち上がりかけるがそれぞれに周りの仲間に止められている。

 

 ふん、所詮ジョン派と言っても若造も多いのだな。

 それともシャルラ・アーサーという小娘一人のおかげで自分達が有利になったとでも思っているのだろうか?

 

 

「……ロン殿、アリーナでのモンスターの飼育は大老殿で正式に認められたもので賭け試合も今やこの街ではなくてはならない娯楽ですぞ?

 何より生徒の自主性を重んじる吾輩は生徒の大切なモンスターを奪うなど出来ません!」

 

 

「ふん、自主性、自主性ねぇ……。私はお前の意見は聞いていないのだよトレジャーハンターのハリー」

 

 

 あからさまに侮蔑を込めた口調で言うとさすがのハリーもわずかに怒気が溢れるがそれはすぐに沈静化した。

 

 まったく、少しは感情的になってくれた方がこちらとしても動かしやすいのだが流石はその年まで私の書士隊内に残ってこれただけはあるな。

 

 

「ハリー隊員。私はモンスターが嫌いだ。人間の敵となる存在が嫌いだ。大嫌いだ。

 根絶やしにしても構わないとも思っている。

 それは人間にとって有害だからだよ。

 だからその中でも特に脅威となる危険度の高いイビル・ジョーの生態、または弱点などを知る事はこれからの人類の未来につながるのだよ。分かるかね?」

 

 

「お言葉ですがその言葉には賛成しかねますな。

 吾輩は人間もモンスターも同じ世界に生きる同格の生き物であり、一方がもう一方を一方的に根絶やしにするような行いがこれからの未来につながる行為とは思えませんな。

 シャルラは人類とモンスターの新たな未来の可能性を提示してくれた私の可愛い生徒。

 そんな彼女と彼女の夢を否定するような発言は真っ向から否定させてもらいます。

 そして件(くだん)のイビル・ジョーはすでに私の生徒の大切な家族として認識されている。

 これを奪うことは教育者としても一人の大人としても子どもに対してするべきではないと思っています」

 

 

 おや? いつもの奴ならとりあえず従っておこうというスタンスで揉め事を小さくするものだがハリーまでこうはっきりと決別を示すのは珍しいな。

 

 これまでジョン派でありながらその事実を隠し、古龍調査における高い実績から書士隊内に留まり続けてきたこの男が単純にシャルラ・アーサーが生徒だからというだけでここまで強気に出るわけがあるまい。

 

 ダレンだけでなくハリーまでも味方につけるとはシャルラ・アーサー、ただ血筋のみの小娘ではないようだな。

 

 

「……それは私の意見に反対するというのか?」

 

 

「ええ、言葉通りに取っていただきたいですね」

 

 

 ふん、言葉通り、ね。

 

 生意気な。派閥の規模で言えばまだ私の派閥の方が数は圧倒的に多いというのに今ここで対立の意思表明。

 

 何か策でもあるのか?

 ……それもいいだろう。真っ向から来るなら真っ向から叩き潰すのも悪くない。

 

 どの道ハリーをはじめとしたジョン派の連中はいずれ残さず潰す気だったのだ。

 

 これまでのらりくらりと私の講じた策を尽(ことごと)く逃れていたようだがここまではっきりと私に逆らったのだから理由付けすることなど容易だ。

 

 

「貴様それでも栄誉ある書士隊隊員か!?

 ロン隊長の指示に従うことこそ書士隊員の義務であろう!!」

 

 

 ジェリーの奴、ここでキレるとは気の短い奴だ。

 

 駒としては使えるが感情的すぎるのが問題だな。

 

 

「黙れ! いい加減お前のロン氏に対する腰巾着っぷりが我慢ならなかったのだ!!」

 

 

 ふん、今度はダレンか。奴もあれで気が短い奴だからな。

 

 書士隊内でも派閥以前にジェリーとは反りが合わなかったようだが今回のハリーの私に対する宣戦布告でとうとう堪忍袋の緒が切れたといったところだろう。

 

 そもそもこれまで我慢出来ていたのが不思議なくらいに感情的な男だからな。

 

 そして私の方こそジョン・アーサーの味方をする者など大嫌いなのだがな。

 

 

 しかしダレンに続いてハリーまで……収穫はあったが今回の会議はイビル・ジョーとシャルラ・アーサーをどうするかが争点なのだが連中はどうするつもりなのだ?

 

 しばし様子見と思い、じっと見ているとジェリーを中心に私の派閥とダレンを中心としたジョン派の連中が揉めに揉めている。

 

 まったく愉快な連中だ。所詮騒げばどうにでもなると思っているのだからな。

 熱くなってくれるならその方が御しやすい。

 

 この会議の主導権を握っているのは私なのだからな。

 

 そう、これからの私の地位を盤石なものにし、何者にも阻害されない平穏こそ私が求めるもの!

 

 

 

 だが両派閥が罵り合いから取っ組み合いに変わろうとしたところで一人の人間によって争いは止められた。

 

 

ダァン!!!

 

「いつまでもくだらないことで騒いでんじゃないよっ!

 さっきから聞いてりゃ大の大人が『お前が嫌いだ!』『俺の方がもっと大嫌いだ!』ってガキかテメェら!?」

 

 

 無駄に熱い言葉に隠す気がさらさらないような怒気を込めて発言したのは学院受付でしかないクラーマだった。

 

 ふん、机を叩き割るとはとんでもない女だ。

 

 こいつはジョンとは同期らしいがジョン派と言うほどジョンに傾倒している訳でもなく、私の派閥に属するわけでもない本当の意味で唯一中立に立っていた例外的女のはずだが。

 

 

「いいか、あたしは派閥なんざどうだっていいのさ!

 けどなぁ、あたしゃ個人的にシャルラちゃん個人が大好きなんだよっ!

 派閥がどーのこーのってテメェらが何をしようが何を言おうが構やしねぇけどなぁ、子どもを旗印にしたくらいで調子こいてんじゃねぇよボケがッ!!!」

 

 

 この発言には場も静まり返る。

 

 この女は書士隊内外問わず顔が利くうえに貴族にも人脈があるそうだからな。

 私でさえこいつがジョン派であったとしても潰せるかどうか分からない独自の権力を持つ女だ。

 

 所詮は有象無象にすぎない凡俗な連中では反論すら出来んか。

 

 ふん、やはりこの女は危険だな。

 

 

「ハァ~……。今回の争点はさぁ、ようするにイビル・ジョーの今後でしょ?

 もういいじゃん。今のままで。

 イビル・ジョーなんてそんなに人里に来るモンスターでもないしこれまで通り書士隊の奴らが気張ればいいだけの話じゃん。

 子どもから家族を取り上げてまで研究する価値なんてないだろ?」

 

 

「ふん、研究の価値ね……。

 だがクラーマ。それは私に反論しているということで間違いないのか?

 言っておくが私はお前のことも大嫌いなのだ。

 ここまで面と向って反論するのであれば私とて幾らでもやり方が「ごちゃごちゃうっせぇんだよ! 文句があるならサシで勝負しようじゃねぇか!」……ならばこの先私は私のやり方で今回のことを問題として取り上げていくぞ」

 

 

 この女がこれほどまでに感情的になるとはな。

 少しばかりシャルラ・アーサーを甘く見ていたか?

 

 

「はん、それこそ望むところだ! あたしは生徒の心も体もねっぷりじっくり守り抜く教師だ!

 可愛い教え子に手をだすような輩は派閥がどーのこーの以前にみんなまとめてぶっ潰してやるッ!!!!」

 

 

 これまで中立ともとれるスタンスのこの女まで味方につけるとはシャルラ・アーサー。とんでもなく危険な存在だな。

 

 私の平穏のためにはあらゆる手段を講じる必要がありそうだ。

 

 

「クラーマ、お前は立場上は教師ではないしお前の方が危険な気が「あぁん!?」……イエ、ナンデモアリマセン」

 

 

 ふん、ハリーの奴もここでそのツッコミは緊張感に欠けるが……、まぁ、それなりに楽しめたし得るものもあった。

 

 会議は所詮連中の情報を得るためのものだったのだ。ここらでお開きにしてもいいだろう。

 

 

「分かった。ならばイビル・ジョーの件は現状のままにしよう。

 だがお前らの今後は私の裁量にかかっていることを忘れるでないぞ。

 ではこれにて今回の会議は終了だ」

 

 

 今後の対応としてはやはり奴(・)にでも頼るとするか。

 

 くくく、思ったよりも早くジョン派の連中を一掃出来そうだ。

 

 私の平穏のためにさっさと消えてもらわねばな。




 クラーマは別にジョン派ってわけじゃありませんがあえて言うならシャルラ派でしょうかね。

 可愛い女の子が大好きなのでもしこれがむっさい男子だったらここまで熱くなったりはしなかったかも……

 で、ロンの今後の対応ですがこの物語はギャグなので墓穴を掘るような展開や味方を少しずつ削るようなネチネチした追い込みをかけて丸裸にするような展開になるかも。一応何種類か最後を考えていますがどうしようかは考え中でした。
 やっぱり最後はギャグっぽくなりますが、何だかんだでロンも救われます。

 しばらくはギャグが薄めになりますがこれも私が書きたかった話なのでこのまま進めていこうと思います。

 感想、評価お待ちしております。


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第十九話:ダイヤージの過去1

 前回の会議のあとすぐに馬鹿話を入れるのもどうかと思い緩衝材的にノリでサブタイ通りの話を投稿しちゃいます。

 シャルラの仲間にして自称:紳士のダイヤージの過去話ですね。

 今回はどうしてもやりたい事があったので彼の過去と混ぜて私の書きたいものを書いています。




 

 ダイヤージside

 

 

「そういえばダイヤージ君ってなんで医者を目指してるんですか?」

 

 

「あん?」

 

 

 そう言ってきたのはシャルラだった。

 

 

「確かにダイヤージってば全然自分のこと話さないしちょっと気になるわね。

 同じ班の仲間なんだし私らにもちょろんと話してみなさいよ♪」

 

 

 ノレッジの奴は面白そうだから聞かせろといった雰囲気を全面に押し出して聞いてきやがった。

 

 こいつは『好奇心はアイルーをぶっ殺す』って言葉を知らないかのかねぇ?

 

 だが女の子に聞かれたってのに答えないのは紳士らしくないわな。

 実際答えない理由なんざ何もねーし。

 

 なんかシャルラってパッと見は愛らしさがあるけど若干の腹黒さがギャップ萌えっての? なんかイケてるんだよ。

 

 ノレッジも可愛いし、二人が並んでっとアイドルみてーだしよぉ。

 

 

「……しゃーねーなー。

 そんじゃ俺の過去でもいっちょ語ってやんよ」

 

 

「僕は別に男の過去になんて興味ないから語らなくともいいよ。

 そんな事よりもノレッジさんとシャルラさんのことがもっともっと知りたいですね」

 

 

 フィズの野郎は俺の紳士っぷりに対抗意識燃やしてるだけなのかもしれんが俺だってお前に興味なんざ毛頭ねぇよ。

 

 

「ただまぁ……、同じパーティの一員としてどうしても、って言うならなら聞いてやらなくもないけどね」

 

 

 うっぜぇぇぇ! フィズの野郎ツンデレかぁ!?

 

 男のツンデレに需要なんざあるかボケェー!

 

 忌々しい、あぁ忌々しい、忌々しい。

 

 

「まぁ、いいさ。

 とりあえず面白いかどうかは知らんが俺が医者を志すようになった過去でも語ってやんよ」

 

 

 ほいじゃま、今回の本編とも言える話のスタートってか。いくぜ!

 

 

__________________________________________________________________________________

 

 

 

 あれは確か二年前、俺が13歳の頃だな。

 

 俺の故郷のシャオ村っつー規模は小さいながらもアプトノスによる拳闘試合を観光の目玉にすることで割と観光客の多い穏やかな村だったのさ。

 

 まっ、そんなことはどうでもいいが俺の両親はごく普通の高級野菜を手広く育てている王宮御用達の歴史ある農家のために金には困ることはなかったんだがお袋も親父も昼間は二人揃って畑に出かけていたもんだからガキだった俺は割とさみしい思いをしてたのさ。

 

 『クレイモンド農園』っつったら大貴族の専属料理人で使わねー奴はいないってくらい最高級のブランドだからな。

 

 金はあるもんだからけっこう悪さしたり喧嘩したりと、いわゆる不良ってな感じの青春を送ってたんだがある日俺の爺ちゃんが体調を崩して病院に入院しちまってよぉ、そこで俺の一生を決めるような運命的出会いってもんがあったんだよ。

 

……

 

…………

 

「おう、今日も来たぜ」

 

 

 そう言って病院の一室の戸を開けて中にいる少女に声をかける。

 

 

「あ、ダイヤージお兄ちゃん。

 今日も来てくれたんだ♪」

 

 

「毎日来るって約束したじゃねーか。

 俺が来るのは当然ってもんだぜ」

 

 

 この子の名前はレイコちゃん。

 まだ10歳の女の子なんだがけっこう長いこと入院してるみたいなんだよ。

 

 以前は王都にあるモーニングミスト家っつーけっこうでかい貴族のお嬢様だったらしいんだが、どうやらレイコちゃんはお母さんに連れられてこの村にやってきたみたいなんだよ。

 

 その理由ってのがよー、レイコちゃんのお父さんはけっこうな女好きで囲っていた側室の女性の一人から男子が生まれたらしいんだがその側室が問題だったんだわ。

 

 貴族の家督の継承権は子どもの母親や男女の性別に関係なく早く生まれた方に譲る決まりがあるみたいなんだがその側室の女性は自分の息子に家督を継がせようとしてレイコちゃんの謀殺を計画してたらしいんだよ。それもレイコちゃんのお父さんと共謀で。

 

 それでレイコちゃんはお母さんと一緒にこの村に引っ越して来たそうだ。

 

 レイコちゃんのお父さんもあとから生まれた息子の方を溺愛してるみたいだしよぉ、それだけでも不幸だってのにレイコちゃん自身も村に来る途中で原因不明の難病にかかっちまってるみたいだしよー。

 

 それでこんな俺にも何か出来ねぇかと思ってこうやって足しげく通ってるってわけよ。

 

 ちなみに俺の爺ちゃんは大したことなかったからすでに退院してっけどな。

 

 

「ほれ、今日の土産はラオシャンメロンっつーバカでかいメロンだ。

 畑からかっぱらってくんのに目立ってしゃーなかったが何とか親父の追撃から逃れることに成功したぜ」

 

 

「もう、そんなことしないでもいいのに。

 私はお兄ちゃんがこうしてきてくれるだけで満足なのにっ!」

 

 

「かはは、悪い悪い。

 けどよぉ、それでレイコちゃんの笑顔が見れるってんなら安いもんだと思うぜ?」

 

 

 習慣となった軽い挨拶から帰るまで馬鹿話をする。それが俺の日常。

 

 この子は病院での生活が長いために同年代の友達もほとんどおらず、いつも塞ぎこんでいたらしいからな。

 

 看護師さんから聞くところによると俺が来てから笑うことが多くなったっつってたしこんな俺でも誰かを笑顔に出来るって事実が嬉しかったんだよ。

 

 もしも俺に妹がいたらこんな風に静かな日常を送ってたのかも、って思うと俺も幸せな気分になれたんだ。

 

 あ、と言っても不良生活に嫌気がさしてるわけじゃねーぞ。

 不良のレッテルってのも気に食わない奴らを片っ端から殴れるから悪くないしよぉ。

 

 この村も何だかんだで馬鹿な奴が沢山いんだよ。

 

 それでまぁ、そんな日々がしばらく続いていた。

 

 

「ねぇダイヤージお兄ちゃん聞いてくれる?

 最近私楽しみを見つけたの」

 

 

「ん、是非とも聞きたいな。

 何がそんなにレイコちゃんを元気にしてんだ?」

 

 

 いつものように会いに行くといつも以上に元気な声でレイコちゃんが話しかけてきた。

 

 普段はあまり口数も多くねぇから俺の方から話題を振ったりしてたんだがレイコちゃんの方から話しかけてくれるなんざ初めてかもしんねぇな。

 

 

「ほら、この間、毎週私が読んでる雑誌に載ってた文通を希望してる同年代の女の子に手紙を出したらそのお返事が来たの♪

 入院してから友達がいなかったから毎日が楽しみで楽しみで♪」

 

 

「おぉ~、よかったじゃねぇか。

 レイコちゃんくらいの年代で出来た友達ってーのは大きくなっても互いに支えになるから大事にすんだぜ」

 

 

「うん。それでね。その子今度この村に遊びに来てくれるんだ。

 何でも私と同い年なのにハンターをやっているんだって。

 いま護衛依頼を受けている行商人の人たちがこの村の近くに来る予定があるから今度寄ってくれるんだって♪」

 

 

「へー、そいつは楽しみだな。

 これからはその子がいれば俺はもう必要ねぇかな?」

 

 

「もー、ダイヤージお兄ちゃんはずっと私のお兄ちゃんなんだからそんな事言っちゃダメ。

 みんなみーんな私の大切なお友達なんだから」

 

 

「そうだな。

 まっ、年の近い友達は大事だからな」

 

 

 嬉しそうに語るレイコちゃんを見ていると俺まで嬉しくなってな。

 

 今でも彼女のその時の笑顔は忘れられないぜ……

 

 

__________________________________________________________________________________

 

 

 

 

「とまぁ、ここまで話したが長くなりそうだからトイレ休憩と行くか」

 

 

「ちょっと待ってくださいよ。

 せっかくいいところなんですから最後まで話してくださいよ!」

 

 

「そうよそうよ! レイコちゃんって言うの? その子。

 なんかその子聞いてるだけで身悶えするくらい可愛らしい子じゃない!

 いじらしいって言うか……その子が一体ダイヤージの夢にどう関わってきてるっての!?」

 

 

「病弱、ロリっ子、妹属性。

 ダイヤージだけずるい!

 僕もそんな少年時代を体験したかったっ!!!」

 

 

 あー、こいつらうっせー。

 

 俺にも色々あんだよ。色々。

 

 とりあえず長くなったから続きは次回ってところだ。

 

 すまねぇな。作者が長くとも一話を3千文字くらいに収めておきたい主義なもんで今日はここまでだ。

 

 明日もよろしく頼む!




 長くなりすぎる。今回の話はあるゲームのストーリーを短くまとめて小説にしたような話ですね。

 やっぱ一つのゲームを一話の小説にまとめるのは無理があるのかもしれませんがどうしても書きたかったんですよ。

 知っている人は展開が分かるかもしれませんが私はハッピーエンドにするために書いています。


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第二十話:ダイヤージの過去2

「さぁ、今日こそダイヤージ君の過去話を完結してもらいますよ!」

 

 

「確かに1話が長くなりすぎないように配慮するのも大事かもしれないけどギャグの基本は一話完結タイプの話なんだからあんまり延ばしちゃ駄目よ」

 

 

「さぁ、可愛らしい少女の話をハリー! ハリーハリー!! ハリーハリーハリー!!!」

 

 

 やっぱ話さなきゃ良かったかな。予想以上に食い付いてきやがる。

 

 まっ、俺の夢はシャルラの夢の実現にもつながるわけだしここらで話しておくのも悪くないだろ。

 

 その辺はキャラ設定の話でも読み返してみてくれ。

 

 ではスタート!

 

 

__________________________________________________________________________________

 

 

 

 

 前回の続きは……確か同年代の文通相手が出来て喜んでいるレイコちゃんってところまで話したっけな。

 

 それから数日したある日、俺はいつものように病院に向かったんだがレイコちゃんは暗い表情をしていたんだ。

 

 

「おいおい、どうしたんだよレイコちゃん」

 

 

「あ、ダイヤージお兄ちゃん……」

 

 

 俺が来たらそれだけで明るくなってたってのに表情は相変わらず晴れず、俺が来る前の塞ぎこんだ状態に戻ってしまったかのようだ。

 

 

「あのね。この間話した文通の子だけど、あれから連絡がないんだ。

 今日が手紙で聞いていた村に到着予定の約束の日なのに……、まだ村にまだ来ていないんでしょ?」

 

 

「……ああ、今日は余所から来た行商人の話は聞かねーな。

 だけど一日や二日の誤差くらい普通だろうし手紙だって配達が遅れているとかじゃねーのか?」

 

 

「でもお母さんが頼みこんで無理矢理に古龍観測所専用の鳥便を使わせてもらったからそんなはずないわ。

 護衛している商隊が村に着くのが遅れるならその事を手紙にして出していればもう届いているはずだもの……」

 

 

 うーん、村に来るのが遅れているだけってんならともかく、鳥で送った手紙への返事もないってのはひょっとすると最悪の結果になってるかもな。

 

 大型モンスターが現れて遠回りをしているとかなら少なくとも返事はすぐに出しているはずだ。

 

 それさえも来ないとなると……

 

 いや、暗くなるな俺! この子のためにも俺だけは笑顔でい続けなくちゃなんねぇんだ!!

 

 

「大丈夫だレイコちゃん。

 手紙もその相手の子もすぐに来るって!

 きっと手紙を運んでいる鳥の奴どこかで寄り道してんだよ。

 今度帰ってきたら俺がとっちめてやるから元気出せっ! なっ!!」

 

 

「うん……」

 

 

 その日は何とかそう言って励ましたが次の日も、その次の日も手紙の返事も行商人のキャラバンも村に来なかった。

 

 

「もう二日か……。こないのかな……。

 手紙での約束なんてウソだったのかな……。

 うわべだけで私の事なんかなんとも思ってなかったのかな……」

 

 

 日に日に元気をなくしていくレイコちゃんに俺は何も出来なかった。

 

 その頃から病状も悪化してきているようで看護師さんから聞いたところレイコちゃんのお母さんも貴族の家柄を捨ててこの村に来たために金に困り、金策のために病院に来る機会も減っているためにますますレイコちゃんは落ち込んで行くっつー悪循環らしい……

 

 

「…………。

 信じていたのに……」

 

 

「レイコちゃん……」

 

 

 俺がこの子にしてやれること。一体何がある? 俺は田舎の不良少年でしかないんだ。

 

 だが、目の前の女の子一人救えないのを見捨てられるわけがねえ。

 

 俺が俺であり続けるためには俺が俺であるための行動をする必要がある!

 

 

「……レイコちゃん。

 俺がその文通相手の子の様子を見に行ってくる」

 

 

「……え?」

 

 

 無茶だ無謀だって意見は聞いちゃいねぇ。

 

 この辺りは田舎だからモンスターも多いしハンターの護衛もなしに村の外に出るのは危険かも知れねぇがここでこのまま黙って見ているなんて出来るわきゃねぇだろ。

 

 

「レイコちゃんはゆっくり休んで病気を治すんだ!

 俺は無敵のダイヤージだぜ。

 今までどんな困難でもこの両の拳のみで乗り越えてきたんだ。

 どうせレイコちゃんの友達の護衛している商隊も大型モンスターによって足止めを食らって立ち往生をしているとかに違ぇねぇ!

 俺が何とかしてやる!!!」

 

 

「でも、それじゃダイヤージお兄ちゃんが危険だよっ!」

 

 

「俺が死ぬかっつーの。

 レイコちゃんが待っていてくれる限り俺は死なねぇよ。

 まっ、期待して待ってろよ」

 

 

 そう。約束をしたときの俺は何よりも誰よりもつえぇ!

 

 何よりも最近のレイコちゃんは目に見えて衰弱が激しすぎる。

 これ以上待っていたら精神的に弱っている今、いつ死んじまってもおかしくねえ。

 

 待ってろよレイコちゃん。必ず俺が何とかしてやる!

 

 

 

 病院を出た俺はまず村にあるギルドに向かう。

 

 この村に向かっている商隊の情報と近場のモンスターの情報を手に入れるためだ。

 

 

「おいマコ今日も暇してるんだろ!?

 さっさと出てこいよッ!」

 

 

「おや? ダイヤージか。

 ギルドが暇なのはモンスターによる被害がない証拠。平和な証拠だね、うん。

 で、何か用なのかい?」

 

 

 俺の怒声にも気にした様子もなく軽い返事をしたのはこの村のギルドでギルドマスター兼受付嬢のマコ・バーロ。

 

 俺がガキの頃からここでギルドマスターをしている竜人族の暇人だ。

 

 なんせこの村では飼育しているアプトノスがリオレウスを撃退出来るくらいに強いからハンターが必要ないもんでハンターに仕事を斡旋するギルド自体存在価値がないからだ。

 

 ちなみに酒場も兼ねているが酒だけでなく料理も自分で作る必要がある完全にセルフサービスの店だからマコが働いているところを見たことは一度もねぇな。

 

 

「ダイヤージがここに来るってことは、どうせレイコちゃんの待ち人についてだろ?

 その情報なら来ているさ、うん」

 

 

「ならさっさと教えろ!」

 

 

「うるさいねぇ全く。

 せっかちな男はモテないよ、うん」

 

 

「俺は今のところ恋愛に興味はねぇからいーんだよ!

 それよりもさっさと情報寄こせッ!」

 

 

 今はこいつののらりくらりとした戯言に付き合ってる暇はねぇってのに、ったくこっちが緊張しているのでも見抜いたのかねぇ。

 

 だがレイコちゃんにはあまり時間がないんだ。

 

 もしかしたらこのまま病気で死んじまってもおかしくはねぇんだぞ!

 

 

「じゃあ情報について教えるけどさ。

 かなりヤバいよ、うん。

 なんせ古龍テオ・テスカトルが現れてレイコちゃんの待ち人の護衛しているキャラバンは足止めをくっているらしいからね。

 一応そのキャラバンは近くには来ているらしいけどテオ・テスカトルの討伐依頼を受けられるようなハンターがなかなか見つからないから時間がかかるみたいだね、うん」

 

 

「相手が何だろうと知ったことかよ。

 俺が連れてきたいのはそのキャラバンの全員ではなく、レイコちゃんの友達だ。

 もしくはその子の手紙の返事だ。それだけなら逃げることに全力を出せば上手くいくだろ」

 

 

 俺の言葉を聞いてやれやれ、と言った感じでマコはそのキャラバンがいるであろう場所の地図と村で最速の騎乗用のアプトノスを貸してくれた。

 

 ガキの頃から俺を見てきただけあって俺の性格もお見通しなんだな。

 

 そう! 俺は困難の大きさを理由に目標を断念することはない!

 

 

「それじゃあなマコ」

 

 

「死ぬんじゃないよダイヤージ。

 お前も喧嘩で腕っ節は強いつもりだろうけど相手はモンスター。

 それも生態系のトップである古龍と戦おうなんて考えちゃ駄目だよ、うん」

 

 

 はっ、俺も古龍の恐ろしさならお前からの昔話でガキの頃から何度も聞いたっての。

 

 だが、この村には俺の帰りを待ってくれる奴らがたくさんいる。

 

 それだけで俺は何倍も強くなれる。人間強度は守りたい人間の数だけ強くなるのさっ!

 

 

……

 

…………

 

………………

 

「さて、現在地は沼地か。

 情報によりゃこの辺りの村でテオ・テスカトルが去るか討伐依頼を受けたハンターが到着するまで近くの村で足止めされてるらしいからその村を探して事情を聞いて手紙、できればその文通相手を掻っ攫って即帰還ってのが望ましいわな」

 

 

 時刻は夜。こちらの装備は着のみ着のままなためにガブラスの皮で作った学ランのみ。武器はない。

 

 万が一にもテオ・テスカトルに見つかったら嬲り殺しは間違いないなこりゃ。

 

 そんな事を考えながらアプトノスの歩みを速めて目的の村まで急いでいたところ女の子の悲鳴が聞こえたんだ。

 

 

「クソッ、キャラバンのいる村まであと少しってのに誰か古龍にでも襲われてるってのかぁ!?」

 

 

 俺の目的はレイコちゃんの友達だ。

 

 だがどこの誰だか知らねぇが少女の悲鳴を無視して自分を優先するような奴ぁ男じゃねぇ!

 

 俺は一も二もなくその声の元に走りだしたんだ。




 ダイヤージは正義の心をきちんと持っているので何があろうと信念を曲げるようなことはしません。

 あとこの頃はまだ紳士にあこがれていた訳ではないのでただのガキっぽさがあるかもしれませんがそこは意図して描写してますので青臭いガキの青春とでも思ってください。

 勿論私はそういう青臭い正義感が大好きですし小説という作り物の世界の中で位、誰もが幸せになって当たり前に平和に暮らせる物語を書いていきます。

 私の意思一つで筋書きを自由に変えられるというのなら絶対に誰かを不幸なまま死なせたりはしません!


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第21話:ダイヤージの過去3

 ワージッ! パーパパパパパッパパッパパー
 ↑この曲を執筆前に聞いたので中身に影響してるかも。
 長くなりましたが今回でダイヤージの過去編は終わりです。




 

 俺は急いで声のした方向に向かって走った。

 

 乗ってきたアプトノスの奴はこの先にいるであろう古龍の気配を敏感に感じ取りやがって俺を落っことして逃げ出しやがったから俺自身の足で走り抜けることになったんだが。

 

 ったくマコの奴。いくら足が早くとも古龍がいる場所を走り抜けるのに臆病なアプトノスを貸すとは何考えてやがんだ!

 

 

「おい、誰かいるのか!?

 いたら返事しろ!!」

 

 

 俺は声のした辺りに着くと大声で悲鳴の主を探す。

 

 幸いにもテオ・テスカトルはちょうどエリア移動をしたようで俺の頭上を気付かずに通り過ぎて行った。

 

 

「……誰かそこにいるんですか?」

 

 

 声がしたので振り向く。

 

 そこには大きな倒木の陰から顔だけ覗かしている一人の少女がいた。

 

 

「おう、俺はシャオ村から来たダイヤージってんだ。

 君はテオ・テスカトルの討伐依頼を受けたハンターか?」

 

 

 俺がそう聞いたのは目の前の少女がハンターが身につけるであろう武具で身を固めていたからだ。

 

 背中には太刀の鉄刀【神楽】、防具の方はラオシャンロンの素材を使った女性用装備の凛シリーズだ。

 

 防具と同じく凛と煌めく視線はこの沼地の暗闇を切り裂くほど鋭い。

 

 見たところ俺よりも年下みたいだがこれだけ立派な装備ってことはテオ・テスカトルの討伐に来たハンターと見ても間違いはねぇーだろう。

 

 ……さっきの悲鳴もこの少女のものなのだとしたら年上として聞かなかったことにしたほうがいいだろうな。

 

 

「……貴方がダイヤージさんでしたか。

 私の名前はラピス・イツサラ。

 貴方のことはシャオの村の文通友達のレイコちゃんからよく聞いています」

 

 

「ん? ちょっと待った。

 そんなナリしてレイコちゃんのペンフレンドで商隊の護衛のハンターって君なのか?

 テオ・テスカトルの討伐依頼を受けたハンターじゃなくて?」

 

 

「はい、ここ数日シャオ村の隣の村には来ていたもののテオ・テスカトルによる足止めを食らい、おまけに向かうのが遅れる旨を記した手紙の返事を書こうにも古龍観測所が鳥便の一般目的での使用を禁じたために送れなかったので私はこうして単身向かうところだったのです。

 迎えに来ていただきありがとうございました」

 

 

「いや、迎えにって言われても俺も俺自身のために来たようなもんだし礼なんざいらねぇよ。

 それにレイコちゃんへの手紙の返信が遅れていた理由も分かってホッとしたぜ。

 正直君が遊び半分で文通をしてレイコちゃんをいたずらに傷つけているんじゃないかと思っちまってたくらいだからよぉ。

 まぁ、何はともあれ合流出来て良かったぜ」

 

 

 瞳に宿る芯の強さ。この子は本気でレイコちゃんのことを考えてくれていたんだな。 

 

 こんな友達がいるならレイコちゃんもすぐに元気になるだろ。

 

 

「それでは早速ですが早い所シャオの村に行きましょう。

 私も見ての通りラオシャンロンを討伐するくらいには腕の立つハンターのつもりですが所詮は下位クラス。

 一人で、ましてやG級のテオ・テスカトル相手に正面から挑んでも勝てませんので。

 先ほどは けむり玉と隠密スキルの併用で上手いこと難を逃れましたが次も上手くいくとは限りませんしね」

 

 

「そっか、ならちゃっちゃと行くぞ。

 今レイコちゃんは病状も悪くなってっから君に元気付けてもらいてーんだよ」

 

 

「私もレイコちゃんの病気の事は聞いています。

 彼女の病気についても人づてに調べたところかなり重い病気のようですし私が会うことで少しでも元気が出ればと思って来ましたので」

 

 

 こうして俺は目的であったレイコちゃんの文通相手との合流を果たし、あとは村に帰るだけとなっていた。

 

 ……のだが、さすがは古龍と言ったところか。

 気配察知能力も伊達ではないらしく村まであと少しというところで発見されてしまった。

 

 

「クソッ! ラピスちゃんはこのまま急いで村に走れ!

 この道を真っ直ぐ進めばじきに村に着くはずだっ!!!」

 

 

「そんなッ! それじゃ貴方が囮になると言うのですか!?」

 

 

「あぁそうさ。俺ぁなぁ、見ての通り不良やってるしなまじ腕っ節が立つもんだから友達なんざそんなにいやしねぇ。

 人様に迷惑をかける馬鹿はぶっ飛ばさねえと気が済まねーし、なまじ頭の出来もいーもんだから親の雇った家庭教師には質問攻めしたら2度と来なくなった。

 料金以下のクソマズイ飯を食わせるレストランにはうちで作ってる高級食材を仕入れさせて料金と釣り合うように料理指導しなきゃ気がすまねぇ不良だよ。

 けどなぁそんな俺でも分かることがある。

 病気で苦しんでいるレイコちゃんを今元気にしてやれるのは君だけなんだ!

 俺の代わりにレイコちゃんとずっと友達でいてやってくれや」

 

 

 へっ、薄々こうなることは予想してたんだよ。

 

 死亡フラグもビンビンにおっ立ってたし俺はレイコちゃんの本当のお兄ちゃんにはなれねぇ。

 

 だがなぁ、それでも死にかけの少女のために命張れるってんならそれは男にとって最高にグレートな生き様じゃねぇか!

 

 自分に酔ってるって? あぁそうだろうな。俺は自分に酔っていると断言出来る!

 

 だがそれでも、自分の命よりも優先させたいものがあるのが男だッ!

 

 その結果が妹のように可愛がってきたレイコちゃんを幸せに出来るってんなら俺は本望だぜ。

 

 

「ドラァ!」

 

 

 俺の拳が偶然だろうがテオ・テスカトルの額に命中し角を一本根本からへし折った。

 

 

「いまだラピスちゃん!

 俺のことは気にせず村で待っているレイコちゃんの元に向かってくれッ!!!」

 

 

「駄目ですダイヤージさん!

 貴方は自分がどれだけレイコちゃんに大切に思われているか分かっていないですか!?

 みんなあの子の友達なんです!」

 

 

 はっ、んな事知ってっよ。

 

 だからこそ俺はレイコちゃんの理想であり続けなきゃなんねぇ。

 

 俺が想っているのと同じくらい俺を慕ってくれているあの子のためにも。

 

 彼女がいつも言ってくれたように俺はあいつの頼れるお兄ちゃんを目指してるんだからな。

 

 この心が叫ぶ限り、誰一人邪魔などさせやせしねぇ! それが古龍であってもだッ!

 

 テオ・テスカトルはそこで俺に向かって一度吠える。

 

 

「駄目ぇーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 

 ラピスちゃんの悲鳴と角を折られて怒り心頭のテオ・テスカトルが俺に向かって突進を開始したのはほとんど同時だった。

 

 

「……さよならだ。レイコちゃん」

 

 

 その時俺は死を覚悟したのだがここで俺でもラピスちゃんでもない第三者の声が耳に届いた。

 

 

「そこであなたが死んだら誰が今回の話の語り部をするんですか?」

 

 

 何だ?

 

 

 声と同時にとてつもない殺意の籠った銃弾が雨のように頭上から降り注ぎ俺の目の前あと数センチという距離まで迫っていたテオ・テスカトルの体を地面に縫い付けるようにして放たれた。

 

 

「ぷふぅ~、久し振りの実践でしたが私の腕も落ちていないみたいですね。

 体重をゼロにすることで飛行船からの飛び降りも難なく成功させ、目標を仕留め、着地も成功させる。

 全部こなさなければならないのが一流の辛いところですがさすがは私。

 我ながら百点満点の出来ですねぇ♪」

 

 

 まるで何事もなかったかのようにG級のテオ・テスカトルをあっさりと殺した声の主は羽毛が落ちてくるかのように静かに俺の側に降りてきた。

 

 それは俺よりもずっと小さく、幼く見えるがどこか大人びた妖艶さまで持ち合わせた美少女。

 

 羽のような飾りのついた貧金で出来ているのだろう兜に、同じく貧金で出来ているのだろう金色に輝く防具を身に纏い、その小さな手には明らかに体格に不釣り合いの巨大なヘビィボウガンが握られていた。

 

 

「君がダイヤージ君ですね。

 私はフリーのハンターのイトラ・モンスータです。

 シャオ村のギルドマスター、マコさんの依頼で来ました」

 

 

「は?」

 

 

 その瞬間ようやく俺の脳みそが働き始める。

 

 いやいやいや。依頼を受けたハンターが来てくれたのも、そのハンターが俺よりも年下の女の子だったこともどうでもいい。

 

 だがテオ・テスカトルを瞬殺!? G級だぞ!? 古龍なんだぞ!?

 

 何でこんな俺よりも小さい女の子が“一瞬”で狩れるんだ!?

 

 古龍ってのはG級ハンターでさえも複数のチームで討伐にあたるような自然災害と同義の脅威じゃねぇのかよ!?

 

 

「私は『殺戮人形(キリングドール)』って二つ名まで持ってますし二つ名持ちのG級ハンターなら一瞬で仕留めるのも簡単ですよぉ~。

 現に私の夫や姉弟子の方たちもこの程度のテオ・テスカトルなら一瞬でしょうし。

 サイズも見たところ最小値のようですしね♪」

 

 

 ピコピコと兜についている羽飾りを動かしながら頬を赤らめて照れる少女。

 

 ははっ、こんなナリして村では喧嘩最強の俺よりもつえぇだなんて月までぶっ飛ぶ衝撃だぜ。

 

 

「なんか俺よりも年下に見える可愛らしい少女が瞬殺したテオ・テスカトルに手こずっていた自分が情けなく思えてくるぜ」

 

 

「そんなぁ、可愛いだなんて言っても私はすでに既婚者にして新婚一年目の人妻ですから口説いても死ぬだけですよぉ♪

 それに私はこれでも大陸中に知られる大人気アイドルハンターですし強くて当然じゃないですか。

 メランコリってるところ悪いですけどマコさんからの依頼では貴方と一緒にいるであろうレイコちゃんという子のお友達を一緒に村まで連れて行くことまで含まれているのですからさっさと元気を出してください」

 

 

 はぁ、なんつーかよーっ、俺って今回見せ場なしじゃね?

 

 なんかもう俺なんかいなくても良かったっつーかよー……

 

 

「まったくそこまでショックですかねぇ?

 仕方がないので担いで行くことにしましょう。

 ほら、そこに突っ立ってるあなた、確かラピスちゃんでしたっけ?

 あなたも村まで送りますから私にしっかり捕まってくださいね」

 

 

「え? いったいどうする……って、わひゃぁ!」

 

 

「ぬおっ!?」

 

 

 説明すると俺とラピスちゃんを危機から救ったイトラちゃんという少女は俺達をその小さな肩に担ぐと物凄い速度で走りだしたのさ。

 

 ここに来るまでに乗っていたアプトノスよりも断然はえぇ、一体どういう脚力してんだよ!?

 

 まぁ、今更なツッコミは置いといて、そのおかげで村まではものの数分で着いた。

 

 

「ダイヤージ! どうやら無事に文通相手の女の子と合流してイトラちゃんに助けられたみたいだけど急いで病院に向かうんだ!

 マジで危篤の五秒前ってくらいレイコちゃんの病気が悪化してるんだよ、うん!」

 

 

 村の入り口で俺の帰りを待っていたマコからのセリフ。

 

 だが俺はそれを聞き終わる前にイトラちゃんに担がれたまま病院に向かっていた。

 

 

「到着です(ポイッ)」ドシンッ

 

 

「くっ、レイコちゃん!!」

 

 

 到着と同時に投げ捨てられたのだがそんな事に構わず急いで病室に向かう。

 

 

「はっ……はっ、ダ、ダイヤージお兄ちゃん……」 

 

 

「ほらレイコちゃん! 君の友達のラピスちゃんも連れてきたぞ!」

 

 

「レイコちゃん、遅れてごめんなさい! ごめんなさいって今更だよね!

 でもほら、ちゃんと来れたよ。

 私が付いてるから早く良くなってよ! ねっ」

 

 

 苦しげな様子ながらも俺とラピスちゃんを見つめるレイコちゃん。

 

 だがすでに眼は見えてねぇみてぇだ。目の焦点が合ってねぇ。

 

 耳だって聞こえているのかすら怪しい。

 

 くそっ、病気の方がここまで進んじまうだなんて俺はどうすりゃいいんだっ!

 

 たった一人の少女を笑顔にすることも出来ねぇのかよ!

 

 と、思っていた。

 

 

「まぁ乗りかかった船ですしここも私に任せてもらいますよ」

 

 

 ここまで俺達を連れてきてれくれたイトラちゃんだった。

 

 

「私はハンターとしての師匠でもある夫から弟子の時に色々なことを学びました。

 その経験から言いますとこの子の病気は治せますね」

 

 

「本当か!? ならすぐに治してくれよ。

 この子はこんな所で死ぬべきじゃねぇんだ!

 これまで不幸だった分幸せになる義務があんだよっ!!」

 

 

「私からもお願いします!

 レイコちゃんにとっての初めての友達が私であるように私にとっての最初のお友達も彼女なんです。

 このままお別れなんて出来ません!」

 

 

「あーもー、そんなに大声出さなくても聞こえますよぉ。

 ちゃっちゃと治しちゃいますから少し離れていてください」

 

 

 俺とラピスちゃんを押しのけたと思ったらイトラちゃんはいきなりレイコちゃんの胸に手を突き刺しやがったんだよ。

 

 これにはさすがの俺も驚いたね。

 

 

「ん、ありましたね」

 

 

 そして何事もなかったかのように黒く腐敗した肉の塊を引きずりだして事もなげにそれを手の中で燃やした。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

「あぁ、今のは心霊医術ってやつです。見るのは初めてですか?

 刃物を使わずに人体に貫手を食らわせて体の悪い部分だけをちぎり取って傷跡一つ残さず手を引き抜くっていうアレです。

 それと手の中で燃やしたのは体温を炎よりも熱くすることで抜き取った病気の原因を発火させただけですのでご心配なく」

 

 

「う……あ、ダ……イヤージ、お兄ちゃん……

 それにラピスちゃ……ん?」

 

 

「おぉ! 気づいたかレイコちゃん!

 俺だ! 約束通りラピスちゃんを連れて来たぞ!!」

 

 

「はじめましてというのも変だけど、ようやく会えたね。レイコちゃん」

 

 

 この後はもう感動の展開でみんなして喜びあったもんだぜ。

 

 助けてくれたハンターのイトラちゃんは「祝いの席に余所者がいるのは無粋ですから」っつって旦那さんが待ってるっつー飛行船に飛び乗ってどっか空の彼方に飛んで行っちまったんだがな。

 

 ちなみに帰る時もジャンプで空に待機していた飛行船に乗ったのを見た時はさすがに俺も慣れていたからあんま驚かなかったけどな。

 10mくらいジャンプ出来る人間がいてももう驚かねーわ。

 

 まぁ、そんなこんなで無事に終わったってことさ。チャンチャン♪

 

 

__________________________________________________________________________________

 

 

 

「_____てな事があってよぉ、ってどうしたみんな?」

 

 

「どうしたじゃないですよ!」

 

 

「最高にいい話じゃないのさ!」

 

 

「結果的には美少女が三人も出てきてるじゃないか!

 ダイヤージずるいぞ!」

 

 

 うおう、こいつら何言ってんだ?

 

 

「はぁー、とりあえずレイコちゃんが無事に病気も治ってお友達とも出会えてよかったですよ」

 

 

「本当よねぇ。これでもし死んでたりしたら今頃怒り狂ってダイヤージの頭真っ二つに割ってたわよ。

 あんたの過去だけで三話も使っちゃったんだし。

 その結果がバッドエンドってのは許せないもの!」

 

 

「しかしちょっと待ってください。

 今回の話はダイヤージの医者を目指すきっかけを話すというテーマではなかったのですか?」

 

 

 フィズの奴余計なことに気づきやがって。

 

 それはおまけだから別にどうでもいいってのによぉ。

 

 

「確かにもうどうでもいいけど聞きたいですねダイヤージ君がなぜ医者を目指すのか」

 

 

「さぁ吐きなさいダイヤージ。

 あんたは私たち三人に話す義務が生じたのよ♪」

 

 

「……あー、何と言うかな。

 あのあと思ったんだよ。

 『医者ってすっげぇグレートじゃね?』 ってよぉ」

 

 

「「「…………」」」

 

 

「いや聞けよお前ら。

 俺もさぁ、イトラ・モンスータって名前をどっかで聞いた気がすっからレイコちゃんの退院祝いをしたあとにマコに聞いたら大陸中で有名なトップクラスのハンターらしいんだよ」

 

 

「確かにモンスータって苗字はこの大陸では有名よね。

 私自身もそのイトラちゃんの旦那さんのハターン・モンスータさんのファンだし」

 

 

「あ、私もノレッジちゃんから以前雑誌を借りて読んで以来ファンです」

 

 

「『最強』のハターンさんと言えば美人の弟子が沢山いることでも有名ですね。

 僕もハターンさんのお弟子さんの写真集なら何冊か持ってますよ」

 

 

 やっぱあの人ら有名人なんだな。

 この三人まで知ってるって相当だぜ。

 

 

「で、そこから俺もハターンさんのファンになってよぉ、寡黙で渋いハードボイルドな男ってのが最高にグレートだと思って自分の理想の紳士道っつーの? そういうのを決めて紳士であろうと生きてきたらいつの間にやら医者を目指していたってわけさ。

 それが俺自身がどんな怪我でも病気でも治せる万能薬になるっつー夢の始まりだったのかもなー」

 

 

 くくっ、まぁもっとも俺の夢を形作ってんのはそれだけではなくこいつらチームの仲間の影響でもあるんだがな。

 

 んなこと言ったら恥ずいし言わねぇけどこいつらと一緒に全員揃って学院を揃って卒業して、それぞれの夢を実現出来ればいいな、と思う俺なのであった。

 

 あと俺が自分の夢を目指すことでモンスターとの共存を目指してるシャルラの夢の助けにもなりゃいいな、っつー考えもあったりするんだがな。

 

 シャルラってばマジで可愛いし……




 前作のヒロインのイトラ再登場♪

 彼女は前作の終わりからさらに腕を磨いていますので何でも出来ます。

 まぁ、それはさておきキャラ設定にも書かれていますが追記しますとダイヤージはテオに対する怒りやら憎しみやらで拳に龍殺しの効果を付与させていたのでテオの角が折れたというわけです。

 太刀の龍刀【朧火】なんかも龍に対する「憎しみ」がこもったことで龍殺しの効果が付与されているみたいですし憎しみ=龍属性ってことで問題ないでしょう。
 龍属性=痒みと表現した漫画もありましたが。


 今回の話は『CALLING 〜黒き着信〜』というゲームを不幸すぎるだろ!? という思いと、私がハッピーエンドを書いてやる! というい気持ちで書きました。

 久し振りにデモンズソウルの動画を検索していたらこのゲームのゆっくり実況動画に出会い、観てみたらハマったのですよw

 『CALLINGゆっくり鳴る黒き着信【ゆっくり実況プレイ】』ってタイトルなのですが面白いですよ♪

 とにかくハッピーな話に出来て満足です。

 あ、この作品でのレイコちゃんのお母さんはレイコちゃんが治ったことで入院費もいらなくなったので家族二人でのんびり暮らしましたとさ。


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第22話:裏の会合

 『デモンズソウル』の塔のラトリア3のデーモン『黄衣の翁』があのターバンを黒ファンに巻きつけたあとのセリフが日本語で「返して」に聞こえる不思議。



 前回まで三話にわたってダイヤージ君の過去編が何の脈絡もなく入りましたがこの物語の本筋は私が書士隊のトップに就いて色々とするのが目的の物語なのですからこれから起こることが本編です。

 

 久し振りの本編、と言っても毎日更新なのでさほど久し振り感もありませんがストーリーを進めていきたいと思います。

 

 それと勿論今回も語り部はこの私、シャルラ・アーサーがお送りさせていただきます。

 

 

__________________________________________________________________________________

 

 

 

「シャ~ル~ラ~ちゃぁぁぁーん♪」

 

 

 それは突然嵐のような出来事でした。

 

 クシャルダオラの娘である私が嵐を比喩に使うのも変な気もしますけどある意味その性格は嵐としか言いようのない人が私の身近にいるのですよ。

 

 そしてその声の主は言葉の通りその身体に嵐を纏いながら私が珍しく一人で学院内の散歩(私だっていつもノレッジちゃんと一緒にいるわけではないのですよ)をしていると背後から跳び付いてきたというわけです。

 

 

「王立学術院美人受付嬢兼女子寮美人寮長にして『シャルラちゃんを愛(め)で隊』名誉隊長のクラーマ・ネーデシュアーレ、久し振りに登場よぉ~ん♪」

 

 

「のっけからいきなりそのテンションとは相変わらずですね王立学術院美人受付嬢兼女子寮美人寮長のクラーマさん。

 肩書がまた一つ増えてますけど勝手に変な組織を作らないでください」

 

 

「もう冷たいわねシャルラちゃん。最初の頃の耳をはみはみされて涙目だった恥ずかしがり屋というキャラはどこへいったのだか……

 あと『シャルラちゃんを愛で隊』は私とノレッジちゃんしか今はメンバーいないから何の問題もないわ。

 厳しい試験を乗り越えられる猛者しか入れないエリート集団を目指しているし迷惑はかけないから」

 

 

「ならいいんですけどね。

 それよりいきなりどうしたんですか?

 ここ最近ダイヤージ君の過去話だったから登場シーンがなくて寂しくなって無理矢理出てきたとかじゃないですよね?」

 

 

 まぁ、この人ならそれを理由に一話丸々そういう何もオチのない話にしてもおかしくはありませんが。

 

 それにしてもノレッジちゃんまで私のファンクラブみたいなのに入っているだなんて陰で何をしているか分からない人ですね。

 

 

「実はね。さっきまで書士隊隊長のギュスターブ・ロンの奴に呼ばれて学院の全職員を一同に集めた会議があったんだけどその席でロンの馬鹿がシャルラちゃんを問題視するようなこと言うもんだから喧嘩売っちゃった。テヘッ♪」

 

 

「……喧嘩売るのはいいですけどいい加減年を考えた方がいいですよクラーマさん。

 あなたハリー先生や私のお父さんと同級生だったんですよね?

 なら実年齢も4「だぁー! 私はいつまでも心は乙女なの! 永遠の十七歳なんだからっ!」……そういうことにしておきましょうか。実際見た目は若々しいですしね」

 

 

 ぶっちゃけ竜人族という長命種がいるこの世界ではちょっとくらい若く見える人がいてもおかしくないですしね。

 

 クラーマさんもどこかの忍者の里の五代目の長とかの隠れ設定があるのかもしれませんし、あり得なくはないのかもしれません。

 

 もしくは本当に人間以外の種族だとか……。

 

 

「そんなことよりさぁ~、ロン隊長とその派閥の連中だけでなくジョン派の連中までシャルラちゃんをただの旗印としか認識せずに自分こそが正しいんだ、ってな無意味な討論してたからキレちゃってねー、うるおいが欲しいの。

 シャルラちゃん、色々させて♪」

 

 

 お父さんを尊敬する人たちの派閥が私個人でなく私が『ジョン・アーサーの娘』だから味方についているってことなら私自身は最初から気付いていたことですがクラーマさんはそれが許せなかったんですね。

 

 可愛らしいというか、乙女チックというか。

 まぁ私個人を認めてくれている辺りは信頼は出来ますけどね。

 

 

「はぁ、色々って何をする気ですか?

 内容によっては甘えさせてあげますよ」

 

 

「そりゃー……抱いて撫でて舐めて吸って揉んでやんよ! ってなノリ?」

 

 

スパァァーン!

 

「いったぁ~、いきなりハリセンツッコミはひどいわよシャルラちゃん」

 

 

「この物語はほとんど全ての人が最初の頃の面影がないってのに何一人だけ初志貫徹でエロエロなキャラを貫こうとしてるんですか!?

 あんまりふざけたこと言ってますと私のハリセン【シメルワヨ零号】が火を吹きますよっ!」

 

 

 まったく、この人は本当にまったく……

 

 でも私のために今の書士隊長であるギュスターブ・ロンに喧嘩売ってくれるなんて私のことを考えての行動なんですよね。

 

 その点は感謝してますけどその感謝してすぐあとにこの行動なんですよねぇ~。

 

 とりあえず今日はこのまま駄弁りますか。いつも通りオチのないのんびりモード突入です。

 

 ……それにしても一応『現書士隊長』に喧嘩売っちゃっただなんてこの後絶対何かあるでしょうね。

 

 もしも何か事が起こるようなら私の方からも行動を起こせるように準備はしておかなくてはいけません。

 

 色々と利用させてもらいますよ。クラーマさん。

 

 

 

 

 

 ロンside

 

 

 表通りから少し離れただけで日の光も当たらない薄暗い通りがある。

 

 こうして私自身がこの道を通るのは久方ぶりなのだがまたもここに来ることになるとはな。

 

 ここの連中を頼るのも金がかかるだけでなく弱みを増やすことにつながるからあまり望ましくはないのだが私自信が手を汚さずに、かつ確実に対象を処分するにはメリットの方が大きい。

 

 そう思いながら通り慣れた薄暗い路地を迷うことなく進み続ける。

 

 

「お待ちください。ここより先は許可証がない方を通すわけにはいきません。

 許可証と身分を証明できるものを一緒に提示していただきます」

 

 

 フードを目深に被り私の目的の建物の前で番人をする男が見た目に似合わぬ丁寧な口調で言ってくる。

 

 ふん、何度来てもいつも同じように立ち、一字一句同じ言葉を言うだけの男だがその職務に忠実な所とたった一人でこの建物の門番を任せられている実力は私の部下にほしいものだな。

 

 だが実際には私の部下は『数』しか取り柄のない無能揃いだ。

 

 

「ああ、これでいいか」

 

 

 私は懐に入れていた許可証と王立学術院所属の研究員証を提示する。

 

 

「……確かに確認しました。

 どうぞ奥へお進みください」

 

 

「ありがとう」

 

 

 一応形だけの礼を言って建物の中に入る。

 

 前回の仕事の依頼で最後にしたかったが私の生き方には敵が多すぎる。

 

 すでに決めていたことだが今回もここの連中に頼ることになるのは不愉快だな。

 

 

「久し振りじゃのぅ、書士隊隊長ギュスターブ・ロン殿。待ちわびておったよ。

 今回も仕事の依頼かの?」

 

 

「……また仕事だ。暗殺のな。

 『ギルドナイト』指揮官ラスコー・ビトー殿」

 

 

 ニヤリと薄気味悪く口角をゆがめる老人。

 年のためにすでにギルドナイトとしての仕事は引退しているが組織の長としてはその力は今だに顕在。

 

 その証拠に長く伸ばした髭を愛しそうに撫でながらも油断なくこちらを見据えてくるその瞳には老いが感じられず誰が見てもその力強さは現役のそれだろう。

 

 こいつとは私が書士隊の隊長になってからの付き合いだがこれまで幾度となく裏の仕事の依頼をした人物だ。

 

 金さえ出すなら誰でも殺す。

 能力だけは信用出来る人物ためにギルドナイトの中では私と同じようにあくどいやり方でのし上がっているため裏の世界では味方が多いそうだ。

 

 私とは持ちつ持たれつの関係……いや、お互いにお互いを都合良く利用しあってはいるが心の底ではこいつほど油断ならない者はいないとお互いに思っているだろう。

 

 ただお互いにお互いの弱みを握りあい、利害が一致することが多いために協力する機会が多いだけで信頼などまるで出来ないジジイだ。

 

 私自身も何度かこのジジイに反論する表の連中を書士隊の隊長という表の権力で潰してきたこともあるから連中にとっても私と私の王国直属である学術院と書士隊のトップの地位、それに王家や貴族への人脈の広さは捨ておけないのだろう。

 

 要は殺す理由より生かす理由が勝っているから殺さないだけだ。

 

 最もそう易々と殺すことが出来ないから殺さないというのもあるのだろうが。

 

 

「ほっほっほ、お互いが敵であっても争う理由がなければそれまでの間は味方でいるのも悪くないじゃろ。

 たとえ仮初じゃとしてものぅ」

 

 

「ああそうだな。表と裏に影響力のある二つの組織の協力というのはたとえ仮初でも強力だからな。

 なんせどちらかが潰れればもう片方までも危ぶまれるのだ。下手に裏切ることも出来ん」

 

 

 まぁ、私は私にとっても平穏なる生き方の邪魔になるこのジジイとギルドナイトの暗部の連中は残らず消してやりたい気持ちはあるのだがな。

 

 少なくとも今は無理だ。

 

 

「とりあえず今日は依頼があってここに来た」

 

 

 いつの日かこいつらを潰して表も裏も全て私が支配してやる!

 

 それを年老いて死ぬまで続けることで初めて私は誰よりも心穏やかでいられるのだ。

 

 

「まず依頼内容は暗殺。殺害対象は王立学術院の今年度から入学した新入生、シャルラ・アーサーという娘だ。

 報酬は前払いで100万ゼニーをすでに持ってきている。

 手段を問わず確実に殺してくれ。ある程度のサポートや情報処理も担当しよう。

 この娘は学院を追い出すだけでは駄目だ。

 私も個人的に調べたが味方には出来そうにない。

 殺し、存在を完全に抹消しなければ私は安心できないのでな。

 ジョン・アーサーの一人娘ということもあり最近の学院内のジョン派の動きが私には目ざわりなのだよ」

 

 

「そこまで感情的にならずとも引き受けるさギュスターブ・ロン殿。

 君はワシとって今のところ欠かすことのできないお得意様じゃからのう。

 そんな君の平穏を乱すような輩なら確実に始末してあげようじゃないか」

 

 

 このジジイもどうせ私と同じく表と裏の両方の権力を自分のものとしたがっているのだろうな。

 

 だが今はまだ利用してやる。確実にあの娘、シャルラ・アーサーを始末してくれるのならな。

 

 誰だろうと、わたしの永遠の絶頂をおびやかす者は許さない。

 決して、確実に消え去ってもらう。

 




クラーマ
 「ハリセンに名前なんかつけてるんだ」

シャルラ
 「ええ、とある国の人形姫のお母さんが憑依していた人形が使っていたハリセンをリスペクトして作成しました」

 ……追記しておきますと『マール王国の人形姫』というゲームに出てくるクルルという妖精型人形が愛用する武器のハリセンには「シメルワヨ壱号」という名前が付いていたりします。なのでそれを思い出したためにハリセンツッコミというツッコミの定番を出してみましたとさ。

 熱湯風呂のフリとかも出そうかな……

 さて、真面目な後書きですが、今回の話はドンドルマのギルドナイトは真っ黒だった、という感じですね。

 ギャグ好きの私ですが今回は割と後半からギャグが薄めの真面目な感じになりました。
 しばらくはのんびり路線の話にはならないですね。


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第23話:裏切りの百合

 サブタイもこうやって書くと真面目っぽくなりますね。

 それとまたもや前作のキャラが出ちゃいますw




 ????side

 

 

 まったくウチも暇じゃないってのに仕事押し付けてこんな所まで転勤させるだなんて上は何してるんッスかねぇ~……。

 

 あ、上で『????side』とか書いておきながらいきなりッスけど自己紹介するとウチは『ギルドナイト』所属のルナ・ギドイトってもんッス。

 

 こないだまでトイダーヴァって街の周辺で仕事してたッスけどギルドナイトの中では千人隊長というかなりの上位に位置する幹部なんでいい加減ギルドナイトの本部でもあるドンドルマの街に来いと言われて今日からドンドルマ勤務になったんスよ。

 

 はぁ~、補佐官として一緒にドンドルマの街に引っ張ってきた部下は二人だけ。

 

 さすがに部下全員を連れてくることは出来ず、前の勤務地だったトイダーヴァの街に愛する部下たちを置いてきてしまったのがさみしいッスねぇ~。(ちなみにほとんどが女の子だったりする。ウチはレズなのだ)

 

 もう駄目だ。女の子分が足りないからウチは仕事なんて出来ないッスよ。

 

 

「たいちょ~、元気出してくださいよ。

 あたしらはずっと一緒にいますから。ね?」

 

 

「そうよ。隊長が辛いのは分かりますけど……わ、私がいるのにいつまでも落ち込んでちゃダメなんだからねッ!」

 

 

「あぁ、二人とも……ウチの心を癒しておくれ。

 その豊かな双丘で癒してくれッス!」

 

 

 二人の部下、イコルとミガカ。

 ギルドナイトの中でもウチに次ぐ変態性の持ち主でその筋からは大人気の自慢の部下ッス。

 

 ただイコルはパンツ好きで仕事中でもウチや他の隊員にもくんかくんかするし(二人きりの時なら大歓迎ッスけど)、ミガカはツンデレだから滅多に抱かせてくれないし(だけどそのじれったさが堪らなかったりするッス)。

 

 でもそんな二人が大好きなんスよ! 愛してると言ってもいいッスね!!

 

 ちょっぴりマゾっ気もあるウチだけど、顔立ちは可愛いよりもカッコいい系なもんだから部下たちとにゃんにゃんする時も攻めに回ることが多いんスよ。

 

 けどこの二人が相手の時はウチもMの本性をさらけ出すことが出来るから楽しいんスよね♪

 

 

「……まぁ、目的地でもあったドンドルマの街が見えてきたしイチャイチャするのは夜までお預けッスね。

 二人とも今夜は寝かせないッスよ♪」

 

 

「「はいルナ隊長♪」」

 

 

 うっひょひょひょ。この二人がいるだけで最高にウチは幸せッスよォー!

 

 どうせトイダーヴァの街に置いてきた他の部下たちも転勤願いを出すなり仕事を辞めるなりしてすぐにウチに会いに来てくれそうだし少しの間くらい我慢しまスか。

 

 

 で、ドンドルマにあるギルドナイトの詰め所に入るウチなのでした。

 

……

 

…………

 

 

「よく来てくれたのぅ、千人隊長ルナ・ギドイト殿」

 

 

「いえ、仕事とあればどこにでも向かうのがギルドナイトであるウチの使命だと思ってるッス」

 

 

 どうやら目の前のしょぼくれたジジイがドンドルマの街における『ギルドナイト』におけるトップのようッスね。

 

 ウチをわざわざ呼んだってことはそろそろ裏の仕事でも任せようって魂胆ッスか?

 

 ギルドナイトとしては表の仕事しかしたこと無いッスけど。まぁ、前の街では問題なかったしここでもイケるっしょ。

 

 

「来てもらって早速だがこの街に慣れてもらうために君にはある仕事を任せたいのだ。

 受けてもらえるかね?」

 

 

「それがギルドナイトの仕事ならば引き受けるッス」

 

 

 ちなみに口調は変えるつもりはないッス。

 

 相手が誰であっても自分を曲げないというやり方でこれまでやって来たんスから転勤したから、という理由で自分のキャラを曲げたりはしないッス。

 

 前の街でも口調はいつもこれだったので問題ないッス。

 

 

「では詳しい話をしよう。

 側近のお二人にはここで待っていてもらえるかのぅ?」

 

 

「イコル、ミガカ。二人は先に部屋に行って荷物の整理をしておいてくれッス」

 

 

「「了解しました」」

 

 

 さて、ではウチのドンドルマでの初めての仕事は一体どんなことなんスかねぇ~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……やはり暗殺でした。

 

 それも殺害対象はただの学生。もらった資料に目を通すとどうやらジョン・アーサーの娘だから、という理由で現書士隊隊長から暗殺依頼が来たみたいッス。

 

 とりあえずその場では引き受けたと言ってジジイ(そう言えばまだ名前聞いてないッスね。ここの指揮官殿)の部屋から退室し、この街であてがわれたウチの部屋に向かうものの気分は最悪ッス。

 

 とうとう来た暗殺の依頼が可愛らしい少女だなんてねぇ~……

 

 しかも期限が一週間以内とかぶっちゃけありえないッス。裏の仕事は初めてだっつの。

 

 

「あ、お帰りなさいルナ隊長。

 ご飯にしますか? お風呂にしますか? それともあ・た・し?」

 

 

「ちょっとイコル! そこは『私たち?』でしょーがッ!!」

 

 

「フフッ、やっぱり二人は最高に可愛いッスねウチの自慢の部下ッス……」

 

 

「隊長?」

 

 

 イコルが何か察したのだろう。

 

 ミガカも心配そうな目で見つめてくるがウチは正直迷っている。

 

 この仕事を引き受けるのは最早『ギルドナイト』という組織に所属している以上逃れられないということを。

 

 

「ここにきて最初の依頼を任されてきたッスけど……、どうにも裏の仕事らしいんスよ」

 

 

「それは今更かもしれませんね。

 むしろこれまでギルドナイトでありながら暗殺依頼がなかったのが不思議なくらいですし」

 

 

「そうですよ隊長。殺害がメインではないとは言え、私たち全員これまでに密猟者や犯罪組織の人間の捕縛任務なんかで結果的に何人か人を殺してきたことはあるんですし『殺し』そのものは初めてではないでしょう?」

 

 

「……それが子どもだとしてもそんな事が言えるッスか?」

 

 

 この一言に二人は黙ってしまう。

 

 二人もウチと同様に暗殺の仕事を受けたことはないみたいッスけどそれなりに殺しの経験は持っている一端のギルドナイトではあるッス。

 

 そもそも暗殺というのはリスクも高く、金で片がつかない時、ギルドの警告を無視し続けたようなハンターにのみ行われるものであり、依頼数自体そこまで多くない。

 

 だからその多くない依頼の中でも子どもが殺害対象になることはまずない。

 

 それはギルドナイトの暗殺任務の対象は総じてギルドに害を為す人物だからッス。

 

 殺しの仕事を受けることはいつかはあるだろうと思ってはいたけど、その最初の暗殺任務がまさか可愛らしい少女を殺すものになるとは…………この街は予想以上に腐ってるッスよ。

 

 

「二人も分かっているとは思うが任務を断ることは不可能ッス。

 かと言って今からギルドナイトを辞めるのも不可能。

 ならば仕事を受けて対象を殺すということになるッスけど……」

 

 

「それは私たちの存在意義を根底から破壊してしまいますね。

 女の子、それもこんなに愛らしい少女を殺せだなんて……」

 

 

「ルナ隊長は百合の風を『ギルドナイト』に吹かせ、新たな快楽の世界を私たちに教えてくれた大切な存在。

 あたしらが代われるものなら代わってあげたいけど……」

 

 

「そう、お前たち二人もすでにウチの影響で可愛い女の子が大好きな立派な百合っ娘。

 この依頼をウチの代わりにこなすなんて不可能ッス」

 

 

 まさに八方手詰まりといった状況ッスね。

 

 

「ウチのコネを利用するにしてもこの街に知り合いはいないし、ドンドルマの街は各出入り口に門番をつけているッス。

 誰にも気付かれずに他の街の知り合いに助けを求めるのは不可能。

 期限も一週間。

 どうやっても任務を受けざるをえない状況……」

 

 

 重たい沈黙が流れる。

 

 資料に添付されている写真には屈託なく笑う少女の写真。

 

 実際に街中で会ったら即ナンパしているだろうこの可愛らしい少女をウチ自らの手で殺さなければならないだなんて……

 

 あぁ~、まさかこんなことになるだなんて困ったッスね~!!

 

 

「仕方がない!

 ここは女らしく仕事を受けたフリをしてこの殺害対象のシャルラ・アーサーちゃんのところに向かって殺さずに助けるッス!」

 

 

「なっ!? そんなことをしたら私たちが消されてしまいますよ!?」

 

 

「そうですよ隊長!

 やはりここはどんなにかわいらしい少女だとしても仕事と自分のお命を優先させて……」

 

 

「しかしこの少女を殺すことはウチの矜持に関わるッス!

 ウチは仕事のために生きているのではなく、生きるために仕事をしているッス!!

 これからもウチらは生きていかなければならない。

 ならば楽なやり方ではなく後悔のない生き方でなければ駄目ッス。

 明日食べるパンが美少女の血で汚れたお金で買ったものだなんて死んだ方がマシってものッスよ」

 

 

 ウチの覚悟が伝わったのか二人もそれぞれに覚悟を決めたようッス。

 

 そう、ウチらは生半可な覚悟で百合道を極めようとしているわけじゃないッス。

 

 たとえ敵が強大であろうとも自分たちだけは最後まで正しいやり方を貫かなくちゃいけないんスよ!!!

 

 

 日がな一日娼館を駆けずり回るのは三流の証。

 真に偉大な者達は指先を愛液で少し濡らすだけ。

 体にはキスマークをつけて昼夜問わず愛を営むもの……

 

 人、それを『百合』という!

 

 

「さぁて、来て早速ッスけどドンドルマの街はこのルナ・ギドイトが変えてやるッスよォー!」

 




 今回からしばらくはストーリー本編を進めるのであまりギャグは入らないですが、やらないと先に進めないんですよね。

 でもまぁ、ギャグは少ないかもしれませんが面白くなるように書いてはいますので何かお気づきの点でもありましたらお知らせください。

 今回のイベントは本当に長くなっちゃってますので。
 その上作ったプロットが少しばかり物足りなかったのでアレコレ追加しまくってえらいことになっちゃってますw


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第24話:いい度胸ですね

 

 

 ルナside

 

 ドンドルマの街に着いていきなり裏の仕事を任せられてしまったッスけど裏切ることを前提に考えを巡らせたら気が楽になったものでそのまま同室の部下二人と一緒に朝までキャッキャウフフして疲れからようやく眠りについた頃にギルドナイト隊員寮のウチらが借りている部屋の扉を叩くノックの音で目が覚めたッス。

 

 一息(ワンブレス)の説明は疲れるッスね。

 

 視線を巡らすとベッドの上では二人がかりとはいえウチの人並み外れた性欲のすべてを受け止めたイコルとミガカは死んだように眠っている。

 

 起こすのも忍びないと思い、起こさないように入口まで行く。

 

コンコンコン

 

「はいは~い、今出るッスよ~」

 

 

 こんな朝早くからこの街に来たばかりのウチらに会いに来るなんてギルドナイトの誰かだと思ったッス。

 

 だけどそれとは違った。

 驚くべき相手が目の前にいるというのは眠気を宇宙の彼方に飛んで行ってしまうほどの衝撃があった。

 

 

「あなたがこのたびドンドルマに転勤になったルナ・ギドイトさんですね?

 私はシャルラ・アーサーと言います。

 少しお時間いただいてもよろしいでしょうか?」

 

 

 扉の向こうにいたのはまさに天使(エンジェル)と言うに相応しいとんでもない美少女だった。

 

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

 私がギュスターブ・ロン氏の立場ならジョン派とロン派の派閥争いによる被害を少なく終わらせるために火種となっている私自身を暗殺してくると真っ先に考えました。

 

 確かに私は人よりも頑丈かつ強い身体ですけど死ぬ時は死んじゃいますからね。

 

 そしてロン氏が私を暗殺するとしたら自分で手を汚すことはまずないでしょう。

 

 自分だけの平穏な生き方を望んでいる人が自ら危険を冒すくらいならギルドナイトという使い勝手のいい連中を利用すると思ったからです。

 

 そしてギルドナイトの方でも私のような子どもが殺害対象なら誰か新人にでも練習代わりに殺させようとするはず。

 

 ここ最近でこの街のギルドナイトのみならず、街の運営に携わる人全ての履歴、動向をクラーマさんとの協力のもとに調査した結果この街に昨日から転勤してくることになっているルナ・ギドイトさんという人に白羽の矢が立ったのでは? と思いこうして本人に会いに来たのです。

 

 私を見て驚いたような表情。

 

 これは間違いなく昨日の時点ですでに私の暗殺依頼の話を聞いているとみて間違いないでしょう。

 

 

「か……」

 

 

「か?」

 

 

 しばらく呆然とした様子だったルナさんが何かを口にしています。

 

 

「かぁ~わいいぃ~~~~!!!!!

 何君可愛い!! やっぱ駄目ッスうちにはこの子は殺せないッス♪

 むっきゃぁ~~~~~♪♪♪」

 

 

「にゃぎぃ! ちょ、ちょっといきなり何するんですかぁ!?」

 

 

 まさかいきなり会ったばかりの子どもに抱きつくなんて予想外でした。

 

 彼女は一流の百合という情報を事前に入手していたので会っていきなり殺しにかかることは無いと思っていました。

 

 少なくとも最初は話し合いから始まるものだと思い、それでも何があってもいいように身構えていたのですがこれは予想外です。

 

 しかし特に危害を加えてくるわけではないので少し驚きましたが当初の予定通りの行動に移りましょう。

 

 ギルドナイト指揮官のラスコー・ビトーさんを調査した結果、ルナさんは裏の仕事に慣れるために子どもが殺害対象の暗殺任務を任せられたのではなく任務失敗の責任を取らせて辞職に追い込む、もしくは始末するための理由付けとして私を殺すように言われたのでしょう。

 

 現・ギルドナイト指揮官のラスコーさんは自分の地位を脅かすほどに有能な人間を排除してきた経歴があるようでしたし。

 証拠はありませんがクラーマさん印の情報網なので間違いはないはず。

 

 ルナさんはこれまでにこなしてきた実績からもかなり優秀な方のようですしギルドナイト指揮官が排除しようと考えるのも肯けますね。

 

 でもそれとは関係なく、

 

 

バチバチッ

 

「ぐえっ!」

 

 

 これまたクラーマさんが作ったオリジナルの防犯アイテムだそうで、電撃袋を使って作ったスタンガンだそうです。

 

 威力は雷属性に弱い小型モンスターなら一撃で仕留める威力だそうですがこの物語はギャグなので死にはしないでしょう。

 

 あとエロエロな人はどんな攻撃を食らっても根性スキルがデフォで備わっているので必ず体力が1は残る気がしますし。

 

 エロは生命力の証です。

 

 

「たいちょ~、誰かお客さんですか~って……かぁ~わぁ~『バチバチッ』イィィー!」

 

 

「イコル~朝からルナ隊長を一人占めするなんてズル『バチバチッ』……」

 

 

 ふぅ~、三人でしたか。いえ、人数は事前に調べて知っていましたがルナさんの性格から朝までお楽しみだったでしょうから起き出してくる体力が残っているとは思わなかったもので。

 

 とりあえず気絶しちゃったみたいですし三人とも部屋の奥へ運び込んで起きたら再び話をつけますか。

 

 あ、ちなみに学校の方にはクラーマさんの研究のお手伝いという名目でサボっていますので何の問題もありません。

 

 帰ったら本当に何かしら怪しげな実験の助手をさせられそうなのが不安ですけど……

 

 

……

 

…………

 

 

「_____で、私は現在王立学術院にて学生をしているのです」

 

 

「いい話ッスねぇ~……、ぐすん」

 

 

「まさかここまで苦労しているいじらしい少女の命を任務との天秤にかけていただなんて……」

 

 

「許せないのはギュスターブ・ロンです。

 酷いです。全ての元凶よッ!!」

 

 

 目を覚ました三人に私のこれまでの出来事を話してみましたが情報通りの人たちでしたね。

 

 こんな人たちをこの街に呼んだギルド上層部は少し間抜けに思えますが少なくとも私にはプラスに働きますね。

 

 なんせあっさり籠絡できました。

 

 ちなみにこの会話も監視されている可能性がありますので私がお母さんから受け継いだ『風』を操作する能力で会話による空気の振動をいじってルナさんが私を暗殺するために呼びだして殺しやすくするために新密度を上げている、という印象を与える会話に変化させていますので聞き耳を立てられていても安心です。

 

 

「まさか君みたいな可愛い女の子が貧乏暮らしをしていたところを偶然出会った学術院の事務員の女性に救われ実は父親がジョン・アーサーだと知られたことでジョン派とロン派の派閥争いの旗印となってしまい謀殺されそうだっただなんて……

 ウチはそんな君にフォ~リンラヴ!!!!!」

 

 

「ルナさんはうるさいから少し静かにしてください(バチバチッ)」

 

 

 再びスタンガンの一撃で頭がちりちりになってしまったルナさんは放っておいて話を進めましょう。

 

 ちなみに私の生い立ちは面白おかしく設定をいじっています。

 

 その方がこの人たちを御しやすくなりますからね。

 

 美少女の嘘は大きな器を示して許すのが人間というものでしょう。

 

 

「それで私がここに来たのは皆さんに私の味方をしてほしいからなのです。

 現在学院の方には数は少ないですがジョン派の人たちが味方としています。

 ですが如何せん数が少なくギルドナイトの方にはツテがないので皆さんにはギルドナイトの内部事情を探るためにも現ギルドナイト指揮官をクビにしてルナさんを次の指揮官に据えようと思っています」

 

 

「うーん、それはいいけどさぁシャルラちゃん。

 ルナ隊長もあたし達もこの街には来たばかりで味方はいないのよ?」

 

 

「それにあらゆる交通機関はギルドナイトの息のかかった人らで警備されているから余所の街に救援要請なんて出来ないし」

 

 

「あぁ、そういうのはいいんです。

 私の望みはただ一つ。あなた方に私の暗殺依頼を頼まれたという証言をしてもらうだけでいいんですよ。

 証言さえいただければそれをあらゆる情報伝達手段として街中だけでなく大陸中に広める手段は用意してありますし。

 ……最後の方でちょびっとだけ活躍してもらうことになるかもしれませんが」

 

 

 というかほとんどがクラーマさんやお父さんの人脈なんですけどね。

 

 私自身も街に来てからそれなりに信頼できそうな味方を個人的に増やしてきてはいますが相手が相手だけにどうしても一緒に戦ってくれるような味方はなかなか見つからず、数はいません。

 

 ですがこちらは質には自信があります。今回の騒動で数でも上回る予定ですが。

 

 

「とりあえず私の暗殺依頼でしたっけ?

 その任務は今見せてもらった依頼書によりますと期限が決まっているようですし期限が来るまではあなた方も失敗扱い出来ないでしょうし殺されないでしょう。

 しばらくは私に対して暗殺しやすいように信用を得ようとしている、って名目で私と行動を供にしてみてください」

 

 

 では作戦を実行しましょう。

 

 ふふふ、私を殺そうとするだなんていい度胸ですねギルドナイトの指揮官さん。

 

 あとギュスターブ・ロン。

 

 私がいずれ書士隊のトップになった時に便利に使うためにもギルドナイトという組織自体は潰しはしませんがトップや幹部は全員社会的にクビにしなければいけませんね。何人かは物理的にクビになりそうですが。

 

 ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ♪




今回の話について説明しますと、『ギルドナイト』という組織はハンターズギルドの直轄ですが、ハンターズギルドは国から正式に認められた公的機関ってわけじゃないんですよね。

 なので『王都』ではなく、『ドンドルマ』の街にギルドナイトの本拠地という設定で行きます。


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第25話:計画段階

「他人に貸りを作るべからず。ただし利用するのは可」

 そんな感じの話ですね。

 まぁ、「人を利用する人間は自分も誰かに利用されている」って言葉もありますが美少女は例外!

 可愛いは正義です!!!




 シャルラside

 

 

「それでこれからどこに向かうッスか?」

 

 

「着けば分かりますよ。

 あなたの上司をドンドルマから追放し、かつ私を殺さずに済む方法のために助力を願いたい方たちがいるのです」

 

 

 私の暗殺依頼を受けたルナさん達を引き連れて向かっているのはアリーナ。

 

 ドンドルマにおける観光の目玉とも言うべき場所です。

 

 すでにお父さんの古い知り合いやジョン派の人たちへの連絡はクラーマさんを通じて済ませてあります。

 まぁ、ジョン派の人たちは過激ですので勝手な行動を起こさないように言ってありますが心配ではありますね。

 

 とりあえずここから先は私が自分で作った人脈を使う番です。

 

 ただ本当に今回の保険的な作戦の要の人から得られる助力は暴力的な力によるものですし、相手がまともな人間ならその手段を使わなくとも話し合いで十分解決出来ると思うんですけどね。

 

 それでももしもの時に備えて保険を用意しておくことが成功の秘結なんですよ。

 

 どうせ向こうさんも同じことを考えて私の暗殺なんか計画したのでしょうし、美少女とむさいオッサン、どちらが価値が上かを思い知らせてやります。

 

 まぁ、これからすることは保険に近いものなので利用せずに済む可能性が高いのですし、この保険を使う前にその前にまず間違いなく敵さんは降参するでしょう。

 

 個人的には最終的に生きてようが死んでようが構いませんし、ギルドナイト指揮官ってのもこれまであくどい事をしながらも生き残ってきてる実力がある人のようですし私の見方に付くなら活かしておいてもいいと思っているんですけどね。

 

 でも「相手が降参しなかった」という大義名分が出来た時に始末出来るように今回の保険は必要になってくるのですよ。

 

 『争いは何も生まない』なーんて言葉もありますけど、敵を全て排除してしまえば争いようがないじゃないですか。

 

 まったくこの言葉を考えた人は何を考えていたんでしょうかね。

 

 書士隊長の味方なんて所詮は金で味方してるだけの数しかいない派閥ですしね。

 

 最近はリッキー君も人気が上がったので最初ほどオッズは高くありませんが、それでも相手側が百戦錬磨の強者ばかりでリッキー君自身が弱そうなために私もそれなりには儲けさせてもらってますしお金はあります。

 

 ファイトマネーだけでも相当なものがありますけど。

 

 っと、そうこうしているうちに街中を抜けて慣れ親しんだ関係者用の狭い通路も抜ける。

 

 

「やぁシャルラちゃん。君の方から来てくれるなんてどうしたんだい?

 まだ次の試合までは日があるけど」

 

 

 親しげに声をかけてくる若い男性。

 

 

「ええ、その事なんですがそろそろあなたのモンスターとの試合を組んでいただきたいと思いまして」

 

 

 この人はこのアリーナの最高責任者でもある管理人のクルト・リーさん。

 

 そして実力主義のこのアリーナにおける現・チャンピオンの主人でもあります。

 

 今回私が来たのはこの人とこの人のモンスターを私の味方として引き込むためです。

 

 

「とうとう来たか。その試合を組む時が。

 アリーナの王者と新進気鋭の若手選手リッキー君の試合ともなれば街の人は観光客も含めて全員が集まると言っても過言じゃないからね。

 きっと物凄いお金が稼げる」

 

 

「そうですね。でもその試合の前にクルトさんに聞いておきたいことが他にあるんです。

 ちょっと大変なことをお願いするんですが。

 ……私の派閥に入ってもらえませんか? ロン派の幹部クルトさん」

 

 

 軽い会話の流れから突然表情を消したクルトさん。

 

 やはり間違いないようですね。

 

 

「……いつから気付いていたのかな?」

 

 

「最初から、ですね。初めて会った日から。

 でもあなたは他のロン派の人と違ってロン書士隊長を盲信しているわけではなく、むしろ今の書士隊長のやり方にかなりの不満を持っているようですから誘わせてもらいました」

 

 

 街に来たばかりの時に私が最初にしたのはクラーマさんに頼んで街の重要な役職に就いている人たちの情報を頭に叩き込むこと。

 

 その中で気になったのがこのアリーナの管理人のクルトさん。

 

 調べたところこの人は数年前に捕まえたモンスターをアリーナに出したところそれが連戦連勝で大儲け。あっという間にチャンピオンになったそうです。

 

 あまりに強すぎるうえにリッキー君と違って『凄み』があるから試合自体はなかなか組めなかったみたいですけどそれでも年に何回かは行われる王者決定戦ではかなりのお金を儲けていたみたいですね。

 

 ただそれに目をつけた書士隊長ギュスターブ・ロンの汚い策略によりその稼ぎの大半を取られる契約を結んでしまった。

 

 契約自体は本物で上手く逃れられないようになっており、逆らえばモンスターも財産も今の役職も全て奪われてしまうでしょう。

 

 勿論それをきっかけにロン派という派閥の中でそれなりに優遇される権利ももらったそうですがそんなもの本来の稼ぎに比べれば微々たるものです。

 

 そんな状況が何年も続いているとなれば私の味方をしてくれると判断しての考えです。

 

 ……というのは建前で、本音を言うとこの人は根はお人好しですから頼めば断れないみたいなんですよね。

 

 だからそこを『美少女』が『悪を成敗』するのに協力してほしいと言えばまず断れないと思っての行動だったりもします。

 

 

「確かに僕は書士隊長、ひいてはロン派の人々に対して少なからず恨みもあるしシャルラちゃんの素質は買っている。

 だが連中に逆らうことが出来ない今、立場上はロン派である僕は君の味方をすることは出来ないよ」

 

 

「ええ、ですがあなたの立場を監視をしているのは書士隊長と言うよりもギルドナイトのようですし、ギルドナイトのトップが私の手の者に入れ替わったらどうでしょう?

 ロン派の権力が大きいのもギルドナイトと手を組んでいるのが理由の大半ですしそのギルドナイトを私の派閥に組み込むことができればあなたはだいぶ自由に動けるようになる」

 

 

「……確かにそれは魅力的だし、君自身を信頼している僕は君が嘘を言っているとは思わない。

 けど、それでも連中との契約がある以上僕自身が手を貸すことは出来ない」

 

 

 やはり真面目な人ですね。

 

 それに頭もいい。脳筋の人なら契約があろうが無かろうが私の見方に付いてロン派を倒そうとして真っ先に討ち死にするのが関の山でしょうがこの人は用心深さも持っている。

 

 本当に味方につけることができれば頼りになりそうです。

 

 

「だけど君はモンスターと話が出来るそうだね?

 なら僕のモンスターを貸そう。

 あいつは強者との闘いさえあれば誰が相手でも味方になってくれるはずだ」

 

 

 それでもやはり私の味方をしてくれるようです。

 

 顔こそモブ顔ですがやっぱりいい人なんですよね。

 

 

「あなたの助力に感謝します。

 クルトさんの事も悪いようにはしません。

 ただ彼を貸してくださることと、私が書士隊のトップに就いた時に味方してくれればそれでいいのです」

 

 

「ああ、ただし僕も君よりは大人のつもりだ。

 どの道機会があればいつでもロン派からは抜けるつもりだったから今この瞬間から僕は君の味方だ。

 まぁ、立場上ギルドナイトのトップが君の手の者に代わっても裏切りがバレたら即全てを奪われるから君が書士隊の隊長に就任するまでの間はバレない程度にしか協力出来ないけどね」

 

 

「ありがとうございます。

 必ず悪いようにはしませんので」

 

 

 これにてクルトさんとの交渉は終了。

 

 やはり根はいい人なんですよね。

 いささか単純なので敵の組織力を甘く見ているようにも楽観視しているようにも軽く考えているようにも見えますがその辺は私がフォローしましょう。

 

 ぶっちゃけギルドナイトのトップを交代させてしまえばロン派なんて烏合の衆とすら呼べなくなりますしね。

 

 あとはアリーナのチャンピオンとの交渉を成功させればクラーマさんの方はすでに根回しは済んでいるでしょうし連中を潰す算段はすでに終わったようなものです。

 

 さぁ、ショーの準備をしましょうか。

 




 シャルラもジョン派ではなく自分の派閥を立ち上げることに。

 私は命の重さは虫も動物も植物も全ての生き物は平等だと思いますが、それでも価値は違うと思っています。あと命の強さ。

 確かに命は重いものなんでしょうが、価値がないものが邪魔をしてくるのなら生きるうえで排除するのも止むなしだと思います。

 とまぁ、私の考えはともかく、この話は最初ギルドナイトの指揮官をぶちっ殺して終わりにするつもりでしたが、それだと本当にその話だけになって面白くないのでかなりプロットを変更しました。

 なのでおかしなところが出るかもしれませんが私がしたいことを描いていきます。

 具体的に言うとバトル要素です♪
 一応、ロン現・書士隊長もハッピーになる、全員がハッピーなエンドになります。……一応。


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第26話:伝説との交渉

 私は小学生の時に「うしおととら」を知って以来この漫画を越える漫画なんてあるわけがないと思いました。

 今も昔も、きっとこれから先も私の好きな漫画ランキングぶっちぎりの第一位であり続ける漫画だと思います。




 ラスコーside(ギルドナイト指揮官)

 

 

「ラスコー指揮官。やはり来たばかりの者に暗殺の仕事を任せるのは大丈夫なのでしょうか?」

 

 

 ルナ・ギドイトとの話を終えた直後に部下はこう言った。

 

 

「彼女は『ギルドナイト』の中ではかなりの実績を持ち、トイダーヴァの街では人望もかなりのものだそうですが裏の仕事は初めて。

 そんな彼女に初めての暗殺任務など勤まるとは思えないのですが」

 

 

「君は実に馬鹿じゃのぉ~、ワシが何の考えもなしに来たばかりの彼女にギルドナイトの裏の仕事を任せると思うのか?」

 

 

 こやつもワシの側近として表も裏もあらゆる仕事をこなしてきた優秀な男だが如何せん頭が固い。

 

 ワシと同じくらいとは言わんが、せめてこの程度の事が理解できる位には柔軟に考えてくれんと困るのぅ。

 

 

「よいか? 実力があり人望もあるルナ・ギドイト千人隊長はこの『ギルドナイト』という組織の中でトップになりうる素質を持っておる。

 それも近いうちに必ずなる!これは確信しておる。

 そして現トップはワシじゃ。

 その地位を脅かす危険な存在は排除しておきたいのじゃよ。

 聞くところによると彼女はレズじゃ。それも筋金入りのな。

 そんな奴がまだ幼さの残るあどけない少女を殺せるはずがなかろう」

 

 

 なるほど、と肯く部下。

 まったくこの程度の事にも考えが及ばんとはのぅ。

 

 じゃが部下としてはそれなりに有能じゃしワシが隠居したあとの後任にならこやつを据えるのも悪くない。

 

 じゃがルナ千人隊長だけはマズイ。早々に始末しなければ奴がワシの地位を狙う狙わないに関わらず必ずやワシの地位が脅かされる。

 

 じゃが今回の任務、奴は絶対に殺せない。

 こちらが裏切り者として始末する理由としては十分じゃろ。

 

 もしかしたらすでに自分が殺される覚悟をして標的の少女の味方をしておるかもな。

 ふぉ~っふぉっふぉっふぉ。

 

 

 

 

 シャルラside

 

「何やら馬鹿笑いをして死亡フラグを立てている人がいる気がしますね」

 

 

「ん? ウチはフラグなんて立ててないッスよ。

 シャルラちゃんの味方をすると決める以前からギルドナイトに入ってすぐに死ぬ覚悟は持ってるッスけどまだ死ねないッス」

 

 

「そうですねぇ~。隊長が死にそうになったら『気配を感じた』とかの理由で最強ハンターのハターン・モンスータさんがやってきてくれそうですし♪」

 

 

「確かにハターンさんはカッコいいですけど私としては三人のお弟子さんの方がいいな~。

 三人とも最高に可愛くてカッコ良くて綺麗なんだもん♪」

 

 

 何やらまったりした雰囲気ですが私に付くということ自体が死亡フラグだと分かっているんですかねこの人たち?

 

 立場上は私はまだギルドナイトの暗殺依頼の標的にされ、尚且つ書士隊隊長率いる表の地位を持った人たちからも狙われているっていうのに。

 

 まぁ、ルナさん達には今後の私自身のためにも死なせるつもりはありませんが人間死ぬ時は死ぬんですからもうちょっと危機感というか緊張感を持ってほしいんですけどね。

 

 早くとも連中は私の暗殺依頼の期限である一週間はルナさん達を殺せないでしょうけど。

 

 あ、ちなみに今私たちはアリーナの管理人のクルトさんとの交渉を終えた後、本来の目的を済ませるためにアリーナの地下に向かっているところです。

 さすがに今回の騒動の保険にクルトさんみたいなロン派の資金源でしかない人を取り込んでおしまいにはしませんよ。

 

 それにしてもここってカビ臭い空気と日の光の届かない場所なために陰気な雰囲気が漂ってますね。

 

 蝋燭の明かりが心細く見えます。

 

 

「……ではこの先は私一人で行きます。

 三人はここで待っていてください。かなり危険ですので」

 

 

 地下への階段を降り切ったところで現れた扉の前で三人にそう言いました。

 

 

「何を言ってるスかシャルラちゃん。

 危険な場所に可愛い女の子一人で送り出したとあっちゃあウチの名に傷が作ってもんッスよ!

 そんなにウチらを置いていきたければウチを倒してからにしろ」

 

 

 ではそうしましょう。バチバチッっと。

 

 電撃袋によるスタンガンです。

 

 

「…………」

 

 

「それじゃ私は言ってきますのでルナさんの介抱をお願いしますね♪」

 

 

 ルナさんの部下二人は素直に肯いてその場にとどまってくれました。

 

 先ほどのルナさんの発言も私を心配しての言葉ではなく、隙あらば私の貞操をいただいちゃうぜ! ってな考えだったみたいですし。

 

 とりあえず今回の本当の目的を果たすことにしましょう。

 

 

ぎぃぃぃぃぃぃぃ~

 

 木製の質素な扉を開けて奥へと進むと暗闇に浮かびあがるように二つの灯りが格子ごしに私を見てくる。

 

 

『この檻を開けな嬢ちゃん……』

 

 

『いきなり話しかけてくるってことは私がハーフでモンスターの言葉が分かるのが分かるんですね。

 やはりあなたはそんじょそこらのモンスターとはまさに格が違いますね』

 

 

 一応おだててみる。

 

 今回の下準備は正直保険なのでまず必要ない展開になるはずですがそれでも万が一に備えておくには彼(・)の助力が必要になると思うのです。

 

 もちろん彼(・)と言うのは先ほど交渉をしたクルトさんの事ではなく、

 

 

『まぁ、今のは冗談さ、嬢ちゃん。

 儂はここの生活にも満足してるし儂を満足させる強者なんぞそんなに数がおらんことも分かってる。

 クルトの奴がそれなりに強い奴との闘いを用意してくれるから出ないだけだ。

 出ようと思えばここからいつでも自分の力で出ていけるからな』

 

 

 蝋燭の明かりを前に掲げるとようやく姿を確認できた圧倒的なまでの巨体。

 

 特に小柄な体の私とは比べものにならない大きさながら真の強者に漂う本物の強さ。

 

 アリーナの現チャンピオン。

 

 

『それより話を進めようか嬢ちゃん。

 儂に何を望む? そしてその報酬は何だ?』

 

 

『では報酬から先に言いましょう。

 私が提示するのは真の強者との闘い。

 あなたよりも強い最強の挑戦者との試合を用意します』

 

 

『……ほぉ』

 

 

『あなたのことは知っていますよ。アリーナの現チャンピオンさん。

 いえ、ラージャン種の頂点、“超電磁帝”ミギンマルさん』

 

 

 その瞬間チャンピオン、ミギンマルさんがはっきりと笑った。

 

 

『その名で呼ばれるのは久しぶりだな。

 モンスターの言葉が分かる人間がいなかったと言うのが理由なんだろうが今の儂はただのチャンピオン。

 別に呼び方なんざどうでもいい』

 

 

『いえいえ、あなたは私のモンスターと闘って負けます。

 チャンピオンを名乗れるのはあと少しでしょうし』

 

 

 そこでまたニヤリと笑う。今度は私も一緒に。

 

 

『ならば闘おうじゃないか。

 儂を越えるとまで言う挑戦者がいるのなら儂が断る理由なんぞないッ!』

 

 

 思ったとおりいい意味で単純な方ですね。

 

 ラージャン種最強のミギンマル。この名前はモンスターの中で知らぬ者無き絶対超越者として知られています。

 

 私のお母さんから昔話として聞いていますが、かつてお母さんが闘って引き分けたほどの実力を持っているそうです。

 

 何年か前に人間に捕まったと聞いた時は何かの冗談かと思っていましたがどうやら自分から捕まったみたいですね。

 

 最強たる自分の存在を客観的に証明する手段として。

 

 

『それでは試合は明日。

 私の望みは試合のあとにでも必要があれば頼むことにします。

 保険程度のものですので』

 

 

『はーっはっはっはっは! この儂を保険として使うなんざ嬢ちゃん。おめーが初めてだよ。

 いいだろう。とびっきりの試合を見せてやろう。

 儂は楽しめればいいのだからな』

 

 

 これにて今日の交渉は全て終了。

 

 まず間違いなくミギンマルさんの助けは必要ないはずですが事前に出来る準備は全て完了。

 

 あとは結果を見守るだけ。

 

 

 ……でも必要ないと思っているときに限って必要になったりするんですよね。

 

 ギルドナイトのトップも馬鹿でなければそうなる前に降参するでしょうけど。

 

 こう言うことを言ってると大抵相手は馬鹿なことをするもんなんですよね。




 今回シャルラの保険として登場したミギンマルですが、本当に保険のつもりで久し振りのバトル要素を出したくて登場させただけのキャラだったりします。

 話にあまり関係ないのに無理矢理捻じ込んだため、かなり違和感と言いますか話の進みが早いやら遅いやら訳の分からないテンションですが書きたかったのですよw

 おまけにいかにも次回に続きますよ的な感じですが、毎日更新なのでこれもまたありかな、と♪
 バトル最高♪

 それと追記しますとミギンマルの一人称が「わし」ではなく「儂」なのは個人的に小説だと文章だけで読みにくいと思ったからです。


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第27話:王者決定戦

 バトル! それは男のロマン。今回は久しぶりにリッキー君のお話ですね。
 でも主人公のシャルラと違ってあの性格なのであまり男らしくは戦えないでしょうけど。

 「『任侠』と書いて『人魚』と読むきん」ってセリフが似合いそうなくらいにシャルラの方が男らしさが出てきちゃいましたしね。

 まぁ、作者の私は広島仁とはいえ、「~~じゃけん」って使うことの方が多いですが。


 ルナside

 

 

「本当にこんなにのんびりしてていいんスかねぇ~?」

 

 

「シャルラちゃんの作戦を邪魔するわけにもいかないしいいんじゃありません?

 それに隊長はすでに死ぬ覚悟があるのなら死さえ恐怖の対象から除外できるんですし」

 

 

「そうですよ。人生は楽しく面白く快楽的に考えるべきだと思いますよ。

 死を恐れない今の隊長は快楽の権化となっているんですから自分にもっと素直になってもいいんですよ♪」

 

 

 こいつらったら泣かせるじゃないッスか。

 ウチは良く出来た部下を持てて幸せッス。

 

 それとここらで現状について説明するとアリーナでの交渉とやらを全て終わらせたらしいシャルラちゃんと一緒に街の案内をしてもらったあと沢山遊んで借りているギルドナイト宿舎に部下のイコルとミガカを連れて戻ってきたところッス。時刻はすでに深夜。

 

 

「よく分からないけど明日にでも全て終わるみたいだし今夜はゆっくり休んで明日に備えるッスよ」

 

 

「でも私たちにとっての『休む』ってのはやっぱりアレですよね? 隊長」

 

 

 上目遣いで聞いてくるイコル。

 

 勿論その通り!

 来るべき戦いに備えて百合力を蓄える行為こそウチらにとっての『休む』行為ッス!

 

 

「それじゃ最初は私からお願いします。

 イコルは今日外を歩き回って汚れてるから遠慮しなさいよ。

 私はすでにシャワーを浴びて身体を清めているから準備OKだし。

 ちなみに勝負下着をすでにつけています」

 

 

「あ、ずるいわよミガカっ!

 帰ってきて一番にシャワー浴びていたと思ったらそんな理由があっただなんて!!」

 

 

 ……愛されているのはいいッスけどこんなことで争ってはほしくないッスね。

 

 

「二人とも。ウチのことを舐めてないッスか?

 ウチは昨日の今日でも溢れんばかりの性欲を心に宿してるッスから二夜連続3Pなんてお茶の子さいさいッス!

 それにイコルの汗で匂う体臭もウチにとっては最高のスパイスッスよ!」

 

 

「あっ……ルナたいちょ~」

 

 

「んっ、はぁああ~ん。ルナ隊長サイコー♪」

 

 

 力いっぱい抱きしめた二人の体から漂う美味しそうな匂いと柔らかな感触がウチをうひょひょひょひょひょ~♪ な気分にしてくれる。

 

  シャルラちゃんはちゃんと考えているみたいだしウチが何かを考えて準備をしておく必要なんてないッスね♪

 

 今夜も楽しんじゃうッスよぉぉぉ~~っ!!

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

「……で、朝まで徹夜で愛を営んでいたってわけですか?」

 

 

「簡潔に言えばそういうことッスね。

 あ、シャルラちゃんもこれから4Pでもどうッスか?

 あの子たちもまだまだイケるから大丈夫ッスよ」

 

 

「いえ、遠慮しておきます。

 というかこれから計画を実行しますからさっさとシャワー浴びて服着てください。

 けっこう臭いますよ」

 

 

 ルナさん達は翌朝起こしに来た私を全裸のまま出迎えてきてくれるというとんでもない変態性を見せてくれました。

 

 まぁ、実際に作戦を行動に移すのは夜ですからまだ時間はあるんですけどね。

 

 でも今回の作戦に協力してくれるアリーナの王者(チャンピオン)の協力に対する条件である私のリッキー君の試合が今日行われるから見に行きたいんですよね。

 

 リッキー君もだいぶ自信がついたみたいですけど基本的にヘタレだから私が側についていないと負けちゃうかもしれませんし。

 

 

「それじゃあ皆さん準備はいいですか?

 早速出発しましょう。今夜のショーを彩る最初の花火を見に」

 

 

 さぁ、ショーの始まりです♪

 

 

 

 

 リッキーside

 

 

 どうも、お久しぶりのリッキーです。

 

 僕もだいぶドンドルマでの生活に慣れてきて闘うということにも抵抗が無くなってきたのですが今日の試合はとても緊張しています。

 

 なんせ野生にいた時からお伽噺のように語り継がれている伝説のチャンピオンと闘うことになってしまったんですから。

 

 

『リッキー。あなたは必ず勝てるから勝ちなさいよ。

 というか今回の試合に限っては負け=死だから十分に注意しなさいよ』

 

 

『あ、やっぱ死んじゃうんですか。

 でも大丈夫ですよ。シャルラさんが見守ってくれているなら僕は誰にも負けません。

 何でもできる気がするんですっ!』

 

 

 そう、僕は何でも出来る! 聞くところによれば今回の試合で僕が負けたらシャルラさんの計画の保険がなくなってしまうからもしかしたら最悪シャルラさんまで死んでしまうかもしれないようです。

 

 決して負けることが出来ませんね。

 

 

『それじゃあね。私はセコンドとして舞台の端で見守っているから。頑張れ』

 

 

『うん、頑張る』

 

 

「シャルラ・アーサーさん。リッキー選手。

 準備が整いましたので入場してください」

 

 

 聞き慣れたアナウンスが流れる。

 

 今日の僕は絶好調。必ず勝つ!

 

 そうしてうゆっくりと、しっかりと地面を踏みしめながら僕はアリーナへと歩きはじめた。

 

……

 

…………

 

 上でのやり取りからカッコ良く試合がスタートしていると思った人、すいません。

 

 やっぱり僕はカッコいいキャラは向いてませんでした。

 

 

「おぉーっと開始早々リッキー選手、いつものように逃げ回ってばかりだぁ~!

 いつも通りとは言えさすがに今回の相手はこのアリーナのチャンピオン。このまま負けてしまうのかぁー!?」

 

 

『どうした小僧!? 貴様もか!? 貴様も潰されるだけの雑魚なのかッ!?』

 

 

『どっひぇ~っ!!』

 

 

 現在開始の合図と同時に先制攻撃をしてきたチャンピオンのミギンマルさんの電撃攻撃を間一髪で回避しています。

 

 ミギンマルさんはモンスターの中でもすでに伝説的存在として語り継がれている人ですから僕もパパやママに子どもの頃、寝る前に語ってもらったお伽噺として何度も聞いたことがあります。

 

 曰く、最強の電撃使いであると!

 曰く、敵として認識された相手で生き残った者は唯一古龍のみだと!

 曰く、自然災害と同じ扱いを受ける災厄そのものだと!

 

 

『いい加減逃げまわってんじゃねぇぞクソガキがぁ!

 儂の力を貸して欲しないんかゴルァァァー!!!!!』

 

 

 ズドォーン、という大きな音とともに放たれた電撃は地面を抉りながら僕の額を掠めて壁に激突した。

 

 

『そんな能力反則だよッ!

 種族がラージャンだとしてもそこまで雷を操れるなんて反則極まりないよっ!』

 

 

 ミギンマルさんの雷の扱い方は普通の雷属性のモンスターとは大きく異なり、発電した電気で磁力を発生させていたのです。

 

 それによって地面から砂鉄を集め、熱で溶かし固めてコインの形にしたそれを電撃を溜めた親指で弾くというものだった。

 

 ようするに超電磁砲(レールガン)である。

 

 

『でも超電磁砲を放っているときは少しだけ隙がある。

 素早く背後に回れば攻撃のチャンスがあるはずだ!』

 

 

『相手の隙を見逃さないその観察眼は大したものだが、……おめーは儂に近づけない。

 なぜなら儂が弱点に対して何の対策もしないような愚か者ならずっと昔に死んでるからだ』

 

 

 何か策があるのかもしれないけどそれは僕の速さを知らないからだ。

 

 本気を出した僕ならミギンマルさんが反応するよりも早く背後に回り込めるはず。

 

 そう考えてシャルラさんに習った移動する直前に10回地面を蹴りつけることで目にも止まらぬ速さに加速する移動術を使ってミギンマルさんの背後に回り込んだんだ。

 

 ミギンマルさんは反応出来てなかったしこれは絶対に僕の攻撃は当たると思った。

 

 けどそんな僕の望みを打ち砕いたのは恐ろしくも美しい雷球による集中砲火だった。

 

 

『そ……んな……。

 僕の移動速度に反応出来る存在なんているはずがない……のに』

 

 そしてそれを理解した瞬間僕の視界は真っ暗になった。

 

 

「おぉ~!! ついに無敗の挑戦者リッキー選手がダウンだぁぁぁー!

 やはり今回の王者決定戦もチャンピオンの勝利に終わるのかぁぁぁー!?」

 

 

 あぁ、今のは自動追尾攻撃だったのか……

 

『“浮遊する雷の矢”と儂は名づけている。

 この技は超電磁砲の隙を補ってあまりある絶対防御の攻撃だ。

 そしてこの技が行うのは“反応”ではなく“反射”だ。

 儂に攻撃を当てようと近づいた者を自動で打ち抜いてくれる技なんだぜ』

 

 

 近づいた者をミギンマルさんの意思に関係なく自動で攻撃する防御と攻撃の両方を兼ねたものだったなんてさすがはチャンピオンだよ……

 

 

『立ちなさい! 立たなきゃ殺すわよリッキー!!!』

 

 

 シャルラさん……こんな不甲斐ない僕を許してください。

 

 僕はもう立てそうにありません……

 

 

『その程度か小僧……』

 

 

 ミギンマルさん……

 

 

『儂はお前と闘い素質を感じ、お前こそ儂と互角に闘える存在だと思って自身の持ちうる全てを尽くして戦っている。

 貴様がその程度で終わるちっぽけな存在なのだとしたらそのちっぽけな存在に本気を出していた儂はどうなると言うのだ?』

 

 

 そうだ……。ここで負けたらミギンマルさんにも失礼だ。

 

 僕はまだ全力を出し切っていない!

 

 シャルラさんに出会う前に凍土でハンターに襲われたときに誓ったじゃないか。

 もう二度と負けないって!

 

 僕はまたあんな悔しい思いをしたいと言うのか!?

 

 

「おぉぉ~!! リッキー選手立ちました!!!

 倒れるたびに起き上がる根性! これこそこのアリーナの醍醐味!!!!!」

 

 

『シャルラさんが見てくれてるんだ!

 何でもできる。何でも出来る!!!』

 

 

 僕の本気を見せるんだ。出し切るんだ!勝つんだ!!!

 

 

『リッキー! こうなったら最終奥儀を使うのよ!

 あれを食らって立ってられる存在はいないはずです!』

 

 

『極めて了解! 任せてくださいシャルラさん!』

 

 

『それじゃ最後の勝負と行こうか小僧。

 これからが儂らの本当の闘いだ』

 

 

 僕も全力を尽くす。僕は挑戦者なんだ!

 

 

『イビル・ジョーのリッキー。

 全身全霊で挑ませてもらいます!』

 




 いやぁ、本当にバトル書いちゃいましたw

 狩りはないのにバトル要素だけ入れるってのは難しいですがこれからも気分でリッキーsideのバトル話を入れようと思います。

 次回でバトルは決着ですがお楽しみに♪

 それと広島=ヤクザのイメージは持ってほしくはありませんが広島の方言って本当に乱暴なんですよねぇ~。

 私も普段話す時は方言バリバリだったりしますが自分でも本当に荒っぽい言葉だと思います。

 漫画『瀬戸の花嫁』は後半の新キャララッシュの話も私は大好きです♪


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第28話:拳最強伝説

 拳こそ人間の最大の武器だと思います。

 私はデモンズソウルを初めてプレイした時、迷うことなく蛮族で始めたのですが操作方法にも慣れておらず、ステージにも慣れていないという状況で二本持っていた初期装備の「クラブ」は耐久値は見る見る減っていく!

 そんな時活躍したのが拳だった!!
 私の好きな言葉は一に気合、二に根性、三が努力! 根性魔法の使い手をなめるなぁー!ってノリで当時は遊んでいました♪

 そんな思い出に浸りながら書いた話です。





 リッキーside

 

 本当を言えば満身創痍。とても体調は万全とは言えません。

 

 ですが今ほど自分を自分で信じれたことはありません。

 

 できることをすればいい。そしてその結果として無敗伝説を持つこの人から勝利を奪い取るんだ。

 

 

『仕切り直しになったがこっちからいくぞリッキー。

 “浮遊する雷の矢”10倍ッ!』

 

 

 ミギンマルさんはこれまで自身の攻撃時の隙を補うためだけに出していた近距離自動攻撃であった雷球の数を増やし、それを自分で操作することで僕に飛ばしてきた。

 

 

『くっ』

 

 

『今度の攻撃は超電磁砲(レールガン)の時と違って隙は出来んぞ。

 射出して消えた雷の矢は自動で再び作られ、儂自ら操作することで狙いをつけている。

 いつまでも避けきれるはずがない!』

 

 

 確かに紙一重で避けるのが精一杯だ。威力は超電磁砲よりも低いけど数が圧倒的に多すぎる。

 

 さすがは生ける伝説とまで言われる人。そう簡単に勝たせてはくれないか。

 

 でもねミギンマルさん。僕はこれまでのどの挑戦者よりも諦めは悪いつもりですよ。

 

 

『ゴォォォォォォアァァァーーー!!!!!!』

 

 

 僕の成長は全てシャルラさんとの修行によって手に入れた力だ。

 

 だけど僕自身。イビル・ジョーという種族だからこそ使える力は僕が僕のためだけに身につけたものなんだ。

 

 

『ほう、ブレスを体に纏って儂の雷を防ぐか』

 

 

 僕は今日のための修行によって里にいた時は使えなかったブレスも吐けるようになったのさ。

 

 そしてそのブレスを攻撃ではなく防御に使うことでミギンマルさんの攻撃を被弾しながらも突進する。

 

 名づけて“ブレスアーマー”!

 

 

『確かにそのブレスの鎧はずいぶんと頑丈なようだな。

 ならば攻め方を変えさせてもらおう』

 

 

 

 今までの攻撃が全て遊びだったと言わんばかりに気を高めたミギンマルさん。

 

 

『左手に雷、右手に風。

 神を汚す華やかなる雷“サンダーストーム”!!!』

 

 

 どうやらミギンマルさんは雷だけでなく風までも操れるみたいです。

 

 技の密度からしてどうやら一点集中攻撃で貫通力を上げた一撃で僕のブレスアーマーを穿つつもりなのかもしれません。

 

 ですが僕のブレスアーマーがただの防御一辺倒の鎧だと思ったら大間違いですよ。

 

 

『ブレスアーマーAT(アナザータイプ)』

 

 

 僕は自身に纏っていたブレスアーマーをミギンマルさんの身体に纏わせるように吹きかけました。

 

 その結果おこった事象はこの場の主導権を完全に僕のものにするだけのインパクトを秘めて。

 

 

『なっ!? 雷が出ん!?

 風も、自動感知攻撃である“浮遊する雷の矢”も発動しないだとッ!?』

 

 

『ミギンマルさん。僕のブレスアーマーは一切の攻撃を受け付けない絶対防御を得る代わりに装着者の放出系属性攻撃のすべてを使用不可にする効果があるんですよ』

 

 

 雷属性の攻撃をメインに据えているミギンマルさんには効果があるはずです。

 

 

『ならば幾人もの強者を屠ってきたこの両の拳で貴様に神の国への引導を渡してやろう。

 雷ばかりがこのミギンマルではないことを教えてやるッ!!!』

 

 

 残念、あなたがその行動に出ることもすでに予測していました。

 

 今の僕は装着者の属性攻撃を使用出来なくするブレスアーマーを脱いでいる状態。

 

 ならば次に僕が使う手段は属性攻撃ッ!

 

 行きますよ、ミギンマルさん。

 

 

『まずは最大出力によるブレスを手の中に溜める。

 術式を固定!

 そしてそこからの掌握!!

 “恐暴「龍」化(イビル・エンシェント・ジョー)”!!!!!!』

 

 

 本来放出することで攻撃に変えるモンスター特有のブレスなどの属性攻撃を手元に留め、それを自身の身体に取り込むことで身体能力を底上げする技。

 

 強いといっても所詮獣竜種でしかないイビル・ジョーという種族の僕の体を無理矢理、古龍と同格の身体能力まで引き上げる最終奥義。

 

 すでに雷を纏うことの出来ないミギンマルさんにも十分に通じるはずッ!

 

 

『うぉぉぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉー』

 

 

『ウリィィィィーヤァアアァァァァー』

 

 

 お互いの拳が空気を切り裂き交差する。

 腕の短い僕は拳での勝負は不利だけど僕には今日まで毎日鍛えてくれたシャルラさんの監督の元に身につけた高速移動術がある。

 

 ミギンマルさんよりも素早く、先に拳を叩きつけたのは僕だった。

 

 

「おぉぉーっと! いきなり熱い拳による闘いへと変わりましたがリッキー選手のリバーブローからガゼルパンチ!

 そしてデンプシーロールへと流れるように決まって行くぞぉぉぉぉー!!!!!」

 

 

 右へ、左へ。

 

 体を左右に揺らし連続して殴り続ける。

 

 もう指一本動かせない。それくらい死力を尽くして拳を振り続けた闘い。

 

 だけど最後に立っていたのは僕だった。

 

 

「な、なぁ~んと一体誰が予想したでしょうかどちらもデビュー以来負けなしの最強同士の勝負でしたが最後に勝負を制したのはリッキー選手です!

 無敗のチャンピオンが初めてその戦績に黒星を刻んだぁぁぁー!!!!!」

 

 

 客席から歓声が上がる。

 

 僕はついにここまで強くなれたんだ……

 

 

『かはっ、やるじゃないか小僧。

 いや、一人前の男に小僧とはもう言えねえな。

 リッキー、おめーの勝ちだ』

 

 

『ありがとうございますミギンマルさん。

 おかげで僕はまた一つ強くなれた気がします』

 

 

『よせやい、照れるじゃねぇか。

 それよりも。今回は俺の負けだが俺は俺に勝ったおめーに興味が尽きん。

 また傷が癒えたら今度は挑戦者として挑ませてもらうぞリッキー』

 

 

『ええ、その時も僕も挑戦者のつもりでまた挑ませてもらいます。

 僕にとってミギンマルさんは今でも憧れですし』

 

 

 こうして僕はアリーナのみならず、モンスターの世界でまさしく最強の座を手に入れた。

 

 いじめられっ子だった僕だけど努力すれば天空人であったミギンマルさんにも届くんだ。

 

 心はいつでも挑戦者。そんな僕はこれからも強さを求めて強くなっていきます。

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

 勝ちましたか。途中冷や冷やする場面もありましたがかつて私のお母さんを苦戦させたというミギンマルさんに勝つだなんてリッキー君も強くなったものですね。

 

 ですがこれでミギンマルさんの力は私の制御化になりました。

 

 仕込みは上々、そろそろこの物語の本編でもあるギルドナイト上層部の総辞職作戦を実行しましょうかね。

 

 

 

 

 ラスコーside(ギルドナイト指揮官)

 

 

「ラスコー指揮官。どうやらルナ千人隊長殿ですが暗殺対象の少女、シャルラ・アーサーとの接触を図っているそうです」

 

 

「そうか。我々を裏切るつもりなのか、それとも単に油断させるために接触して機会を狙っているのか……

 どちらにせよ期限を過ぎても殺せなければこちらから始末する口実は完成する。

 暗殺を成功させたとしても次の策略もあるからな。

 せめて最後に短い時間とはいえ仮初の幸福を堪能させておけばよい」

 

 

 これもワシの情けと言うものじゃ。

 

 

「引き続き監視をしておれ。

 今はまだギルドナイトの一員である奴を殺すわけにはいかんしのぅ」

 

 

「了解しました」

 

 

 それにしても今日のアリーナでのモンスター試合は王者決定戦じゃったか。

 

 ワシもたまには遊びに行きたいのぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ(もう一つの別ルートエンディング)

 リッキーside

 

 

『イビル・ジョーの最大の特徴でもある“喰う”能力。

 それは極めれば形のないものさえも喰らう最強の能力』

 

 

『なら儂の命を喰らうってか!?

 喰えるもんなら喰ってみろ!!!』

 

 

 イビル・ジョー、“暴食(ザ・イート)”、そして世界は変わってゆく……

 

 

 僕が口を開き、閉じた時には全てが終わった。

 

 

『何も起きないじゃねぇか。失敗したのか小僧?

 儂はまだ押せ押せガンガンだぞ』

 

 

 ミギンマルさんは磁力で集めた砂鉄を溶かして固めて超電磁砲を放とうとしてくる。

 

 でも僕の“暴食”の能力はそんなこと全く関係ない結果を残す。

 

 ミギンマルさんが超電磁砲を放ったのと同時にまた背後に回り込む。

 

 

『それはさっき失敗したってのに脳みそ腐ってんじゃねぇのか!?

 おめーを評価した儂が馬鹿だったってのか!?』

 

 

『いえいえ、僕の作戦は成功しました。

 ミギンマルさんの見る目は正しかったですよ』

 

 

 先ほど同じように隙を狙って背後を攻撃するという簡単な作戦。

 

 先ほどは自動で敵を感知して攻撃する“浮遊する雷の矢”を周囲に展開していたから吹き飛ばされてしまったけど今の僕に対してミギンマルさんは攻撃できない。

 

 背後に回った僕の拳は何の邪魔も受けず、ミギンマルさんを殴り飛ばした。

 

 

『なっ!? 儂の自動探知攻撃である“浮遊する雷の矢”が発動しないだとっ!?』

 

 

『僕の“暴食”の能力は形のないものでさえ、食べることが出来る。

 この世界がアクションゲームを元にして誕生した世界であるという“事実”を食べ、“シミュレーションゲームの世界”という新たな世界へと作り変えただけですよ』

 

 

『つまり儂は将棋の銀将のように横と背後への攻撃が出来なくなったってのか!?』

 

 

 理解が早くて助かります。

 

 おまけでターン制のシステムに世界のルールを書き変えたのでルールを作った僕以外に連続攻撃は不可能。

 

 そして僕はこの作り変えた世界では神のようなもの。

 

 つまりずっと僕のターン♪

 

 さぁ、こっから先は一方通行ですよ。

 




 おまけの別ルートはあまりにもありえないかなぁ~と思いましたがせっかくなので書いたので載せておきましたw

 モンハンがシュミレーションRPGとかでも面白いかもしれませんね。
 レベルの上限は9999で億ダメージ兆ダメージがザラなゲームにw

 それにしても、おまけルートみたいな無茶苦茶を書く位なら『鼻コンセント』で怪我の治癒とかも出せば良かったかもしれませんね。

 タレたイビル・ジョー見てみたい♪
 ラージャンはカッコ良さが売りのモンスターですし可愛くタレさせるならイビルの方が見てみたいと思います。


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第29話:ギルドナイトを支配

 長かったギルドナイトとの騒動編もようやく終わりですね。

 しばらくは時間稼ぎのターンとしてギャグに走ろうと思います。




 私の魅力は世界を、文字通り魅了して支配する力なのですッ!

 

 

 ……と言うのは勿論今のところは冗談です。

 

 さすがに今の私に世界を支配下におけるほどの魅力はありませんよ。まだ15歳ですし。

 

 さて、リッキー君の試合が終わり、ついに私の作戦の準備が全て終わりました。

 

 細工は流々、あとは決行するのみ。

 

 

「それじゃウチらはどうすればいいッスかね?」

 

 

「ルナさん達は……そうですね。

 ギルドナイト本部の裏口で待機しておいてください。

 一応暴力もお金も使わず正々堂々と話し合いで解決するつもりですがもしものために保険としてですけど」

 

 

「それがシャルラちゃんの望みなら断るつもりはないッスけどもっと難易度の高いお願いしてくれッス。

 もっとこう、さぁ。

 ウチの手とか口とか穴を使うようなお願いしてくれないッスか?」

 

 

「いえ、ルナさんの期待するようなことをお願いする機会はないと思います」

 

 

 どうにも百合チックな展開を求めているようですが今はストーリー本編の山場の二、三歩手前のイベントをこなしているんですからあと少しだけ真面目な展開で行きたいと思います。

 

 そろそろ馬鹿馬鹿しい小話や学園物らしい話も入れたいですし早くこのイベントを終えなければいけませんね。

 

 とりあえずルナさんも自分の任された仕事をこなすために行ったあとは私が行動するだけで全て終わります。そしてその行動こそ私のたった一つの仕事。

 

 用意しておいた保険もいつでも使用可能な状況にして向かうはギルドナイト本部。

 

 一般人の立ち入りを禁じている場所ですがすでに大老殿にて許可証をもらっているので入るのは可能です。

 

 さぁ、相手が馬鹿でなければ上手い事全てを私のものとしてみましょう♪

 

 ちなみに保険は保険ですからね。

 使うつもりはありませんので期待しないでくださいね。

 

 

……

 

…………

 

 

ギルドナイト本部。

 

 入口で門番をしているギルドナイトの人に許可証を見せて中に入る。

 

 お母さんから受け継いだ能力である『風』の能力で建物内の空気の流れから人の数を調べてみるとどうやら入口の門番も含めて5人ですね。

 ちなみに一人は私の案内役として目の前にいます。

 

 今日は大老殿から大長老直々に仕事が多く来ているから『ギルドナイト』の本部には人がいないんですよね。

 

 もちろんそれも私が大長老に直接頼んでそうしてもらったので計画の内ですが、そんなこんなで建物内に残っている職員もそれぞれの部署での仕事をしているようです。

 

 私の目的であるギルドナイト指揮官の部屋は建物の一番上にあるそうですがそこでの人の気配は一人。

 

 ここまで予定通りに進むと気持ちいいですね。

 

 そうして最上階のギルドナイト指揮官の部屋に辿りつく。

 

 案内役の人はドアの側に無表情のまま立ちつくします。

 逃げないようにというつもりでしょう。

 

 次に私がその扉を出るときは命の危険がなくなった時ですので無駄なことなのですが。

 

 

「一応はじめましてど言っておきましょうか。

 私はシャルラ・アーサー。

 あなた方が暗殺しようとしている者です」

 

 

「始めましてシャルラお嬢ちゃん。

 ワシはギルドナイト指揮官ラスコー・ビトーじゃ」

 

 

 否定はしないようですね。

 それともこの場所でなら二人がかりで私を殺せるとでも思っているのでしょうか?

 

 見た目はただの人の良さそうなお爺さん、といった感じですから心を隠すのが実に上手いですね。

 

 

「とりあえず話をしにきました。

 単刀直入に言いますと否定しないようですがあなたの私への暗殺依頼などその他諸々の不正の証拠もすでに私の派閥の調査で掴んでいます。

 ここで私の味方をしてくれるのであればその情報は公開しませんし今の地位もそのままあなたにあげますがどうしますか?」

 

 

 ラスコーさんでしたか、この人も色々と自分の懐を温めるために地方勤務で出世してきそうな優秀な人材を潰したり横領などの不正を繰り返していたみたいですが正直そういうのはどうでもいいんです。

 

 そんな事をしつつもこれまでバレずに今の地位にふんぞり返ってこれた実力は評価していますので私の派閥に組み込めれば上手く利用出来ると思ったので今日ここに来たのもこの人を味方につけるためです。

 

 勿論監視役としてルナさんをさらに出世させてラスコーさんに付けるつもりですが優秀な手駒はいくらいても困るものではありませんしね。

 

 私に忠実であるならば。

 

 

「……シャルラちゃんや。

 確かに君の言うとおりワシは君の暗殺依頼を受けたし不正もしてきた。

 それはワシの地位を守るためじゃしその事に後悔はない。

 じゃから君の派閥に付いたらワシの地位を今のままと約束してくれるという君の提案は実にすばらしいものじゃ。

 ……しかしのぅ、ワシは君のような優秀すぎる若者が存在するという事自体に安心出来んのじゃ」

 

 

 その言葉が合図だったのか私の後ろでここまでの案内をしてくれた人が私に襲いかかり、それと同時にラスコーさんは部屋の端に駆け寄ると隠し扉から逃げ出しました。

 

 まったく保険をさっそく使うことになるだなんてラスコーさんは馬鹿だったってことですね。

 

 やっちゃってください……ミギンマルさん。

 

 

『おめーはシャルラに近づけない』

 

 

 私に迫っていた案内人さんはミギンマルさんの拳でものの見事に吹き飛ばされました。

 

 ミギンマルさんには鉄分を磁力で操作して景色と同化して付いてきてもらっていたので気づかなかったのでしょうね。

 

 しかしそれにしても……。はふぅ、まったく本当にまったくですよ。

 

 本当に保険を使うことになるとは思いませんでしたね。

 

 保険は保険ですしここまで「使うつもりはない」と言ってきたのにそれがフリだったみたいじゃないですか。

 

 私の今回の作戦はギルドナイトを私の派閥に組み込むことで暗殺阻止+敵勢力の削減が狙いだったのですがどうやら敵さんは私に従うことが出来ないようですね。

 

 いくら口で地位を保障しても自分よりも優秀な人間の存在を許せないだなんてなんて度量の小さな指揮官なんでしょう。

 

 

『ミギンマルさん。その人は任せました。

 私はラスコーさんを追いますので』

 

 

『おう、行ってこいシャルラ。

 儂もまさかここまで度し難い馬鹿な奴らとは思わなかったが約束通り手伝わせてもらうからよ』

 

 

 こうなったら多少荒っぽい手段になりますが力づくで私の夢を実現させるルートへ軌道修正しましょう。

 

 こんなこともあろうかとすでに手は打ってありますので。

 

 

 

 

 ラスコーside

 

 

 クソッ、このワシが逃げる羽目になるとはっ!

 

 あの小娘の下に付けば今の地位は確実なのかもしれんがそれでも安心はできん!

 

 あれは自分が強いことも賢いことも理解した上で権力まで手に入れようとしている龍の如き娘じゃ!

 

 逃げるために足止めに使った部下では勝てんじゃろうがそれでもワシが逃げ切れれば、時間さえ稼げればあの娘を数で始末し、元通りの生活が待っておる。

 

 

「おっとそうは行かせないッスよ。ラスコー指揮官殿」

 

 

 裏口から逃げ出したワシを出迎えたのはまるで待っていたと言わんばかりに狂喜に顔を歪めた暗殺予定だった女、ルナだった。

 

 

 

「ルナ・ギドイトっ!

 貴様裏切りの素振りがないから失念しておったがここにいるということはワシを裏切るつもりか!?」

 

 

「今更な物言いッスね。ラスコー指揮官殿。

 シャルラちゃんの『風』を操作する能力でウチを監視していた奴からは暗殺をするために近づいたように自然な会話しかしていないように報告を受けていたんでしょうが実際には最初からあんたを裏切る気満々だったッス!」

 

 

「そしてルナ隊長と心を同じくする我らも指揮官殿を潰すのに抵抗はありません」

 

 

「でもここに逃げてくるだなんてシャルラちゃんの読みは凄いですね」

 

 

 こいつらはルナの部下のミガカとイコル。

 

 まさか、まさかワシの平穏がこんなところで潰えるというのか……

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

 私が裏口に駆けつけるとそこにはすでにルナさん達に拘束されたラスコー指揮官がいました。

 

 もう少し利口な人だと思ったのですが地位を守るという大義名分を掲げておきながら自分の地位を脅かす可能性があるというだけで全てを捨ててしまうだなんて馬鹿な人ですね。

 

 本当に私はこの人の裏の能力に関しては評価していましたのに。

 

 

「さぁ、シャルラちゃん。ウチは言われた通りに捕まえたッスけどこれからどうするッスか?

 ここですぐに始末すると問題になりそうだし大長老にでも処分を任せるッスか?」

 

 

「いえいえ、こんな人でもその人脈には侮れないものがあります。

 この人には自分の意思で職を辞してもらう必要がありますのでちょっと付いてきてもらえますか?」

 

 

 私に従わないのなら幾ら優秀でもラスコーさんは要りません。

 

 しかしギルドナイトという巨大な組織の全権を握る彼を殺して終わりにするなどもったいないですからね。

 

 保険として連れてきたミギンマルさんをここでも頼っちゃいましょう。

 

 あーもー本当に保険のつもりだったんですけどね。

 

 

『おうシャルラ。こっちはすでに終わったぞ』

 

 

 ギルドナイト本部の最上階。指揮官室の中では先ほど私を殺そうとしてきた人を捕まえたミギンマルさんがソファーに座ってくつろいでいました。

 

 

 

『ありがとうございますミギンマルさん。

 でもその人は大した情報を持っていないようなのでラスコー指揮官と一緒に排除するので廃人にするだけでいいですよ』

 

 

 と言っても本当に壊すという訳ではないんですがね。

 

 

 

「ワ、ワシは悪くないっ!

 悪いのは全てルナじゃ!

 あいつこそ裏切り者じゃ!

 ワシは何もしとらん……」

 

 

 クスッ。今更そんな言い訳をするだなんて私も随分とこの人を過大評価していたみたいですね。

 

 

「あなたが悪いんですよラスコーさん。

 あなたが最初から私に従って馬車馬のように一生下僕でいることを誓ってさえいれば地位も名誉も財産も全て保障してあげたのにあなたの方から私を裏切ったんですよ」

 

 裏切ったと言ってもまだ仲間にすらなっていませんでしたし全く信用していなかったんですけどね。

 

 でもまっ、もうあなたなんて要りませんよ。ラスコーさん。

 

 

「闇に惑いし哀れな影よ。

 人を傷つけ貶めて、罪に溺れし業の魂。

 いっぺん、死んでみ……っと、別に殺すわけでも地獄送りにするわけでもないのでこのセリフは少し違いますね。駄目、ぶーです。

 とにかくラスコー元指揮官さん。私のためにあなたのこの街での全権力を譲渡してもらいます。

 『ミギンマルさん。お願いします』」

 

 

『あいよ』

 

 

 ルナさんからラスコー指揮官を受け取ったミギンマルさんはその雷を操る能力を行使し始めました。

 

 彼の能力『雷』を操る能力は磁力だけでなく生物の生体電気の操作にも使えるのです。

 

 と、言う訳でラスコーさんの人格データをいじくらせてもらおうというわけです。

 

 彼が私の味方についてくれればこんな手段を取らずに済んだのでしょうが結局は人を信用できないラスコーさん自身の心の弱さが招いたことなのでスッパリ割り切りましょう。

 

 

『情報操作しゅうりょ~う♪

 シャルラ、これでこいつはおめーの命令を何でもこなす操り人形だ』

 

 

『ありがとうございますミギンマルさん。

 あなたには保険としてついてきてもらいましたがけっこう働かせてしまってすいませんでした』

 

 

『なぁに気にするな。

 おかげで儂も自分の能力の新たな使い方が知れたしな。

 礼と言うならまたリッキーとの試合を早いうちに組んでくれ。

 もしくはおめーの母親をここに呼んでバトらせてくれや』

 

 

 さすがに私のお母さんを街に呼ぶのは難しいですけどリッキー君との試合ならできる限り早いうちにまた組みましょうかね。

 

 お母さんは古龍ですし見つかり次第即討伐隊が組まれてしまいそうですし人里には近づけませんし。

 

 

「シャルラちゃんってけっこうえげつないッスねぇ~。

 まぁウチも美少女を殺そうとする人間に同情なんてするつもりはないッスけど」

 

 

「そんな呑気な事言ってる場合じゃありませんよルナさん。

 私がラスコーさんに引退させた後にねじ込ませる次のギルドナイト指揮官はあなたにするつもりですので」

 

 

「え?」

 

 

 驚いたようなルナさん。

 

 まぁ、言ってませんでしたしね。

 

___________________________________________________________________________________

 

 

 どうにか全て丸く収まった今回の騒動。

 

 物的証拠がない以上書士隊長のギュスターブ・ロン氏をその地位から追い落とすのは無理でしたが今回のことでギルドナイトそのものが私の手中に収まりました。

 

 これで勢力の規模は量では互角。質ではこちらの方が上。

 

 さぁ、どう出ますかロン隊長?

 




 本当にミギンマルは保険のつもりでした。

 この辺りの話を描いている時、突然バトル要素が書きたくなったので登場させ、保険役として混ぜたのですが本当に保険のままではあまりにも勿体ないと思いミギンマルには活躍させちゃいましたw

 ラスコーは信頼は出来ずとも信用は出来るくらいに仕事能力はあるので味方につければ書士隊長のロンとも渡り合えるのでしょうが、むさい爺さんを出すよりはルナを新指揮官に据えた方が百合の花が出てくるかと思ったのですよ。

 それと雷の操作ってかなり万能だと思います。

 『金色のガッシュ』のゼオンや『めだかボックス』の都城王土とか、頭の中をいじれるキャラ多いですし。

 ミギンマルの元になったキャラは私が一番好きな漫画の一番好きなキャラですので他の属性攻撃も可能な最強無敵のキャラへと成長させていこうと思います。
 火が吹けるようになるのは絶対条件ですね!
 それとも口に三本の刀でも突き刺してみようかな……

 ちなみに人格データは適当に消去しまくっただけなのでラスコーは廃人になりました。
 口や喉の筋肉を操作して言わせたいことを言わせたりは出来ますし本人の筆跡で文字を書かせることも可能ですので文章に色々と書かせたあと、大長老に丸投げって感じですね。

 なのでシャルラが当初の予定よりも黒くなってしまったので平気でこういう手も使える子になってしまったのですw


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設定資料2

 サー・ベイヌ

 

 

 原作キャラ。貴族の爵位を持つが絵が好きなので書士隊に入隊した変わり種。

 

 学院内ではジョン派に属し、派閥の中ではそれなりに発言力も大きい。

 

 この物語ではダレン・ディーノと元同級生でジョンの教え子だった。

 

 美しさ至上主義で派手好きだが生徒を分け隔てなく愛する「愛の教師」。

 

 年齢はジョンらが四十代くらいなのでこの物語では二十代前半と言ったところかな。

 

 

 

 

 ダレン・ディーノ

 

 

 原作キャラ。ジョン・アーサーの元教え子にしてジョン命の男。

 

 古龍生態について詳しく、現隊長のギュスターブ・ロンを特に嫌っているがいつの日か反逆するため感情を表には出していなかった。

 

 ジョン派のほとんどがそうなのだが、シャルラに対してはシャルラ個人というよりもジョンの娘だから大切に思っているだけでハリーやクラーマのようにシャルラ個人の素質に惚れこんでいる訳ではない。

 

 なのでそのことに気づいているシャルラは「何かあれば捨て駒にしちゃいましょう」という感じに思っている。

 

 原作設定では既婚者です。

 ヤマツカミの調査の時に、背中に飛び乗って夢中で剥ぎ取りしていたら大雷光虫の爆発で仲間を死なせてしまい、一人だけ運よく生き残ってしまった過去があるそうですが、この作品ではまだ若いので、そのイベントは現時点では起きていません。

 

 

 

 

 ギュスターブ・ロン

 

 

 原作キャラ。王立古生物書士隊の現・隊長。

 

 ジョンの後釜として書士隊の隊長となるが隊員が狩り場で集めた情報をまとめるだけというやり方を嫌われ人望はない。

 

 ジョンがいなくなって十五年の歳月をかけたことで学院の内外でも職員や貴族の味方を金の力で増やしてはいるが所詮は有象無象。

 

 ジョン派で今だに潰せていない連中は数は実績のある者ばかりなので何としても追い出そうと努力を続けているがのらりくらりと受け流されてジョン派という派閥が消えることがない。

 

 自分の地位を盤石にするための努力は出来る人。

 

 心の平穏を求め、自分以外のすべてを利用して敵を潰し、排除することでのみ幸せを感じる。

 

 

 

 

 ジェリー・クロムアーマー

 

 

 書士隊の中では古龍生態に関してはダレンに劣るが総合的にはトップの功績を誇るオリキャラ。

 

 ロンを尊敬しており、ロン派の中では最も発言力の大きな書士隊員。

 

 褐色の肌に金髪。狩り場に出る機会が多いので髪はぼさぼさ。

 

 やはり服装はプライベートシリーズでスカートはロング! (私はスカートというものは全てロングが好みです)

 

 対人戦も得意で武器を吹き飛ばす戦法をするとかしないとか……

 

 『風来のシレン』で私が一番遊んだのが「砂漠の魔城」なのでクロムアーマーには嫌な思い出が一つや二つじゃないんですよね。

 そんな思い出がこのキャラの誕生秘話だったりw

 

 

 

 

 レイコ・モーニングミスト

 

 

 けっこう大きな貴族の長女だったが父親は娘のレイコを愛していなかったが、側室の女性との間に出来た男子が生まれたことをきっかけにさらに愛さなくなった。

 

 貴族の家督は先に生まれた子供に優先権があるため第一子が女の子だったことに落胆し、次に生まれたレイコの弟を溺愛していた父は側室の子に家督を継がせるために娘の暗殺を画策。

 

 レイコの母親は娘が謀殺されるのを恐れてシャオの村に逃げるように引っ越した。

 

 しかしシャオの村に越す途中で原因不明の難病にかかってしまい村についてからはずっと病院で入院生活をすることに。

 

 ダイヤージのことは兄と慕い、病気が治ったあとは入院中の文通相手だったラピスと一緒にハンターデビューをし、メキメキ実力をつけたレイコはあっという間にG級ハンターの仲間入りをしたそうな。

 

 『女は行動力!』をモットーにシャオの村の専属ハンターをしている。G級。

 

 ダイヤージの過去編では10歳だったが現在は12歳。

 

 

 

 

 ラピス・イツサラ

 

 

 レイコの文通相手。幼い時に両親を亡くし、生きるためにハンターになったが子どもであるために仲間も出来ず、常に孤独な狩りをしていたが初めての友達であるレイコと知り合って自身も明るくなっていったそうな。

 

 当時からハンターをやっていたがレイコとの出会いを経てほどなくして一緒にG級ハンターの仲間を入りした。今はシャオの村の専属ハンター。

 レイコと同じく現在12歳。

 

 

 

 

 イトラ・モンスータ

 

 

 前作『ハターン・モンスータの狩りと愛の日々』のヒロイン。

 

 ダイヤージの過去編では新婚一年目なので11歳。現在13歳でそろそろ夫との間に子どもが欲しいと考えているがハターンはいまだに手を出していないヘタレ。

 

 あらゆる技能を身につけているので身体の柔軟性や筋肉の質も常人離れしているので行為自体は出来るし生めるが寡黙で渋いハードボイルドを目指すハターンはまだ幼いイトラに手を出すつもりはない。

 

 長い狩りの経験から心霊医術以外にもオカルト系の能力も多数身につけており、錬金術のスキルを極めて両手をパンッとして物質を組み替えるなども可能。扉の通行料は髪の毛一本で済んだとか。

 

 本人曰く、「高貴な私の高貴な髪の毛なら一本でも真理を見る代償としては十分です」とのことなのでまさしく可愛いからおまけしてもらったようなもの。勿論五体満足で以前よりも戦い方に幅が出てますます師匠を超えていっているそうな。

 

 とにかく旦那と姉弟子二人の四人家族は仲良く幸せに暮らしているそうな。

 

 

 

 

 クルト・リー

 

 

 元ハンターだが現在はドンドルマのアリーナにおける最高責任者。

 

 モンスターの言葉は分からないが気持ちが分かるという調教師の才能を持っていたために偶然狩り場で出会った元闘技場の王者の主人となって大儲けする。

 

 しかしその稼ぎを狙って書士隊隊長ギュスターブ・ロンの策略によりロン派に入ってしまい、稼いだ金のほとんどを搾取されていた。

 

 シャルラとはリッキーをアリーナに登録した時に出会い、その才能を見抜き最終的にシャルラ派の一員となる。

 

 外見はモブ顔。どんな服装の時もネクタイは締めている。

 

 ただしロンとの契約は不当なやり方だとしても契約書がある以上どうしようもないので今はまだ陰ながら手助けするのみ。

 

 金にがめついようでいてけっこうお人好し。

 

 

 

 

 ミギンマル

 

 

 漢字で書くと「御銀丸」。種族はラージャン。“超電磁帝”の異名を持つ。

 

 かつてはあらゆる場所を転々として強者との勝負を求めていたが、転々とするのが面倒になって狩り場で偶然出会ったクルトにアリーナに連れて行ってもらった。

 

 三食昼寝付きのうえに強者との試合まで用意してもらっている生活に満足している。

 

 昔シャルラの母と戦った時に引き分けたことがある。

 

 普通のラージャンと違ってかなりの年月を生きているので多彩な技を使い、体の大きさも並みではない。

 

 雷を自在に操り、主に磁力を発生させる能力を使い地面から砂鉄を集めて溶かして固めてコイン状にしてレールガンとして発射可能。(コインの形にするのはこだわりがあったりする)

 

 レールガンの時は若干隙が出来るためその隙を補うために雷球を作り出して身体の周りに待機させ、自動で敵に向かって飛んで行くようにも出来る。任意での操作も可能。

 

 幻獣キリンのように雷雲から雷を呼ぶことも可能。

 そしてそうやって体に外部からの電気を流すことでどんな大怪我でも一瞬にして治せる(ただし晴れの日は使えない)。

 

 おまけとして雷属性に関係なく、左腕を関節ごと右回転、右腕をひじの関節ごと左回転することで拳が一瞬巨大に見えるほどの回転圧力をかけて二つの拳の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間に生まれた小宇宙の如き砂嵐まで発生させるなど肉体的にも強い。

 

 ハンバーガーが好き。

 

 名前の元は私の好きな雷使いですが一番影響を受けたキャラが雷だけでなく風と炎も使える上に単純に殴る蹴るの戦法でも最強だったためそれらの要素も出そうかと考えています。

 

 

 

 

 ラスコー・ビトー

 

 

 この名前は決して『月光の騎士ビトー』から取ったわけではありません。

 

 敵の名前として考えた時にたまたま本棚に並べてあった漫画のラスボスが思い浮かんだだけです。

 

 この設定資料を描き始めてから気付きましたがこんな小物にムーンライトソードは関係ないです!

 

 ギルドナイト元指揮官。

 

 自分の地位と平穏を何よりも大事にしているのは書士隊長のロンと同じですが自分よりも優秀な人間の存在が危険だとしか思えないので排除することに力を傾けていた。(ロンは取り込めるなら取り込もうと考えている)

 

 そのため他の街で優秀な人材の噂を聞くと呼び寄せて人知れず排除していたがルナはシャルラが味方についたため排除に失敗。

 

 ルナは自分が呼ぶ前に大長老直々にドンドルマに転勤させられでもしたら百合であることを差し引いても出世されること間違いなしの実力があるので焦り過ぎたとも言える。

 

 そこそこ無能な人間がそれぞれの持ち場をまとめているとその中で優秀な自分への暗殺依頼が増えて金が稼ぎやすいという理由もある。

 

 しかし結局はルナだけでなくシャルラ自身の力を見誤っていたために暗殺失敗+全てを失った。

 

 本当に最初のプロットではシャルラ派になる予定だったんですが爺さんを味方につけるよりルナのようなカッコいい百合の女性を味方にした方が好みなのですよw

 

 

 

 

 ルナ・ギドイト

 

 

 前作『ハターン・モンスータの狩りと愛の日々』にて活躍? していたギルドナイトの女性。

 

 今はもうないがかつては『キリン娘愛好会』という組織に属していたこともあり女の子、それもキリン娘が大好きなレズっ娘。

 

 前作では主人公ハターン達の事後処理という書くのが面倒な所を任せるためだけに出したのでその変態性が表し切れていないと思い再び活躍の場が与えられた。

 

 ちなみに得意武器がライト、ヘヴィ、ガンスなのは書いているうちに口調がプリニーアサギっぽいな、と思ったため。

 

 今はまだラスコーのせいで問題山積みのギルドナイトだがその内趣味に走った組織へと改革を予定している。

 

 

 

 

 ミガカ・ノースルック

 

 

 ルナの側近。ツンデレ。

 

 元医者でかなりの腕利きだったが偶然出会ったルナに誘われて(惚れて)ギルドナイト入り。

 

 そしてあれよあれよと言う間にルナの懐刀となり自身も立派な百合に。

 

 同期のイコルとは仲がいいが素直になれないので口調はきつめ。

 

 だがそこがいい! とルナにもイコルにも好かれている。

 

 ルナが新指揮官になったことでドンドルマのギルドナイト本部では新しく『ツンデレ部』という部署が出来たためそこで部下の隊員達にツンデレのなんたるかを指導している。

 

 

 

 

 イコル・カネルエンジェ

 

 

 パンツ大好きルナ大好きのルナの側近。

 

 かつてフリーのパンツハンターとして世界各地の女の子のパンツを探し求めて旅をしている時にこれまた偶然出会ったルナと熱い談義の末、自分の信念のぬるさを思い知らされギルドナイト入り。

 

 こちらはルナと出会う前から百合で尻にときめく尻好き。

 

 ルナがギルドナイトの新指揮官になったことで新たに『パンツハンター部』という部署が出来たので世界各地のパンツを収集、研究開発するという役職についている。

 




 私の作品のキャラの名前の作り方は漢字なら読み方を変える。英語にする。文字の順番を変えるなどですが、今回紹介したオリキャラは、漢字を英語にした名前のキャラが多いですね。


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第30話:久し振りの百合百合ラッシュ

 ギャグこそ至高! そんな勢いで書いた話です。

 しばらくはのんびりまったり意味のない馬鹿話でも書いていこうと思います。

 学園物でストーリーのある作品ってあまり見たことないんですけどね。




 シャルラside

 

 

 “ギルドナイト指揮官ラスコー・ビトー氏逮捕!!”

 

 街の中を飛び交う号外のビラの見出しを飾るのはこの一文でした。

 

 ギルドナイト指揮官ラスコーさんはミギンマルさんの生体電気の操作で人格データをいじくって私の都合のいいように操り、それによって得た彼の自白とこれまでに集めた不正行為の証拠と一緒に大老殿に叩きつけてやりました。

 

 大長老には事前に話をつけていましたがさすがに街の治安維持もかねていたギルドナイトのトップが汚職で捕まったとなればドンドルマの街を大きく賑わしそうです。

 

 というか今も賑わしています。

 

 でも仕方がないじゃないですか。

 

 ラスコーさんってばアルバイト感覚で色んな貴族とか金持ち連中といったギルド以外からの暗殺依頼まで引き受けちゃってたんですから。

 

 しかもそうした個人的暗殺依頼を出していた人たちを逮捕するのに個人的暗殺依頼を受けていたギルドナイトを向かわせるわけにもいかないからもう一つの治安維持組織の『ガーディアン』の仕事が増えているそうです。

 

 ちなみにこの『ギルドナイト』と『ガーディアン』の違いはお上が『ハンターズギルド』か『大老殿』かの違いですね。

 

 ガーディアンは主に大長老直属で動いています。

 

 基本的にはどちらも街の治安維持が基本的な仕事になりますがドンドルマはハンターの街ということでギルドナイトの方が人数や権限も大きかったんですけど今回の騒動で逆転してしまったようですね。

 

 

「それにしても……。

 これからギルドナイト指揮官の後任になる人は大変そうですねぇ~」

 

 

「いやいや、その後任にウチを勝手に推薦したシャルラちゃんがそれを言うッスか?」

 

 

 ギルドナイトの本部にて机にかじりつくように書類の山と格闘をしているルナさん。

 

 彼女は今回の騒動を解決したと同時にその責任? みたいな感じでラスコー指揮官の後釜として新指揮官へと昇格しました。

 

 自分の地位を守るためにギルドナイトという組織から追い出そうと思ってルナさんを呼び寄せたラスコーさんも自分が追い出されることになるだなんてまったくついてないですよね。

 

 追い出した張本人である私が言うのもなんですが。

 

 

「それじゃ私はそろそろ学院の方に帰りますのでお仕事頑張ってくださいね♪」

 

 

「ひきょう者~、シャルラちゃんずるい~。

 でも、可愛いから許すッス!」

 

 

 単純な人で良かったです。

 

 とにかくこれでギルドナイトはしばらく機能しませんけど落ち着きさえ取り戻せばその権力の全ては私のモノ。

 

 数で勝っていただけのギュスターブ・ロン氏の率いるロン派ともいい勝負ができそうですね。

 

 元々質ではこちらの方が優秀な人が多いですし、これまでお金でロン派についていた人たちや日和見主義の人たちは単純な利益を求めて私の味方に付いてくれるはず。

 

 

「ん~~~~♪

 それにしてもここ最近真面目っぽい話の連続でしたしここらで久し振りに学院にでも顔を出しましょうかね……」

 

 

 そういえばそろそろ期末試験ですし勉強会にかこつけてノレッジちゃんやクラーマさんが何かしら行動してきそうですが。

 

 まぁ、楽しみです♪

 

 

 

 

 ロンside

 

 

 今の状況を一言で言うなら「まずい」状況だ。

 

 これまでの実績から実力だけは評価していたギルドナイト指揮官のラスコーの奴が逮捕され、その後任となったのがあのシャルラ・アーサーの手の者だとは実にまずい……

 

 これまで金で従えて来た連中もギルドナイトが総崩れとなった今、私に媚びる必要もない。

 

 要職に就いている者なら左遷させるくらいは私にも出来るがすでに引退した有力貴族共は余所の街や国に引っ越しをする者までいる始末。

 

 ギルドナイトが使えない今、暗殺を脅しの手段として使えないからだ。

 

 『ガーディアン』は大老殿直属のためにハンターズギルド直属の『ギルドナイト』と違って私も手を出しにくい。

 

 このままでは私の派閥は衰退する一方だ!

 

 クソッ! ジョン・アーサーの娘め! どこまで私の邪魔をするというのだ!!

 

 しばらくは足場固めのために出来る限り時間を稼いで私の派閥の連中を鍛え直す必要がある。

 

 ジョン派、いやすでにシャルラ派の連中を速やかに排除しなければならないがギルドナイトがない今どうすればいいんだ……

 

 

 

 

 ノレッジside

 

 

「ふははははー、よくもここ最近私を除け者にしてくれたわねシャルラちゃん」

 

 

「何馬鹿な事言ってるんですか。

 久し振りの出番でいきなりアホっぽさ出してどうするんです」

 

 

 あーあーあー、聞こえない聞こえない聞ーこーえーなーいー。

 

 さて最近本当に出番がなかったので忘れてしまった人のために自己紹介をあえてさせてもらうと、私はこの物語で百合成分を期待している読者のために久し振りの復活を果たした『シャルラちゃんを愛で隊』副隊長のノレッジ・フォールでっす!

 

 只今クモの糸を最新技術の粋を極めて加工されたロープを使ってシャルラちゃんを捕縛しています。

 

 

「いやぁ~、それにしても縛られてるシャルラちゃんって体のラインが強調されてエロいよねぇ~♪

 クラーマさんもそう思うでしょ?」

 

 

「勿の論よノレッジちゃん!

 私がこの日のために開発しておいた最新ロープはどれだけきつく縛っても相手に苦痛を与えること無く、それでいて大型モンスターの筋力でもちぎることすら出来ない特別製!

 今シャルラちゃんの頭の中を満たしているのは苦痛などではなく快楽のはずよッ!」

 

 

 ちなみに同じく出番のなかったクラーマさんも一緒にいます。

 

 

「そりゃ確かに気持ちいいのは認めますが……、久し振りの登場でロープってのは芸がない気がしますよ。

 以前に水着で海水浴のイベントやりましたが今回がロープって面白味にかけるというか……」

 

 

 むっ、確かに言われてみれば縛られたシャルラちゃんを眺めるのも楽しいけどそれだけじゃ私自身は気持ち良くないわね。

 楽しくはあるけど。

 

 

「クラーマさん作戦変更よ。

 久し振りの出番がシャルラちゃんをロープで縛ってその小さな身体に喰い込むロープを眺めながら恍惚の表情を浮かべているだけじゃ私達の私達らしさが表せきれていないもの」

 

 

「それは言えてるわね。

 私もノレッジちゃんも真のシャルラちゃん大好き仲間としてこの程度で喜んでいるような普通レベルの変態と思われちゃ心外だもんね。

 ということはヤっちゃう?」

 

 

「ヤっちゃいましょう♪」

 

 

「……何をですか?」

 

 

 ふふふ、シャルラちゃんが悪いのよ。そんなに可愛いんだから。

 

 それにくどいようだけど最近出番がなかったから私のエロパワーは限界突破なんだから!

 

 

ヒュン

 

 ナイフを一閃。シャルラちゃんを縛っていたロープを切った私が最初にしたこととは!?

 

 

 意外ッ!(意外じゃない?) それは裸!!

 

 一瞬で身に纏う服を脱ぐとそれと同時にシャルラちゃんの服を脱がせ、さらにさらにそれと同時に全身にローションを塗ってベッドに横たわるシャルラちゃんにダイブ♪

 

 そういえば説明してなかったけどここは女子寮の私とシャルラちゃんの部屋よ。

 

 シャルラちゃんが帰ってくる気がしたからクラーマさんと一緒になって部屋で待ち伏せしていたところで扉を開けたシャルラちゃんを一気に縛りあげたところだったの。

 

 で、そんなことは置いといてにゅるにゅるっと♪

 

 

「あたしも混ぜろーッ!!」

 

 

 クラーマさんも混ざってにゅるにゅる♪

 

 ぬりゅんぷりゅん。

 にゅぷぷぷぷぷ。ちゅぽん♪

 

 

「くっ、あぁぁぁ~ん」

 

 

「女三人寄れば姦しいってね♪」

 

 

「そういえば三人でのプレイはまだやってなかったわよね」

 

 

「はぁはぁ……それよりもぉ~、クラーマしゃん仕事の方はいいんでしゅかぁ~?」

 

 

 すっかり蕩けた表情のシャルラちゃん。

 

 その原因は言わずもがな。私のせいなのだけれど。

 

 あまりにも可愛いシャルラちゃんに思わず跳び付き、身長の割に自己主張の激しいソレに舌を這わせてしまった私を責める人はいないはず!

 

 誰だってこの状況では同じことをするはずよ!(断言)

 

 

「私は今日の仕事は全てハリーに任せてきたから大丈夫よシャルラちゃん。

 今日は明日の朝までオールナイトで楽しむことだけを考えなさい」

 

 

 さすがはクラーマさん。楽しむための努力は惜しまない人だわ。本当にシャルラちゃんと出番を得ることのためなら根回しを忘れない出来る女性ですね。

 

 まさに女の理想像といったパーフェクトエロスビューティー?

 

 ハリー先生にはご愁傷様と言っておきましょうか。

 

 もうじき修学旅行だから自分の仕事だけでも忙しいでしょうに。

 

 え? 修学旅行の展開が急ですって?

 

 何言ってるのよ。この物語はギャグがメインでおまけに百合の描写を書きたいという思いで作者が書いてるんだから突然の展開はいつものことじゃない。

 

 むしろここ最近のストーリー本編に需要があるのかすら分からないしね。

 

 これでいいのよ♪




 ストーリー本編はギルドナイト壊滅という結果により時間稼ぎが出来たのでその間になるべく多くのギャグを書こうと思います!

 それと、以前この話を『にじファン』で投稿していた時の後書きで、『ネギま』の、ゆえとのどかをメインに『スクールデイズ』めいたバッドエンドを書こうかと考えていたようです。

 あの作品はバッドエンドを極めた作品なので、ハッピーエンドを書くための肥やしになるかと考えていたんですが、実際に書いてみたら自分には無理だと分かったんですよねぇ~。

 自分が作者である以上、絶対に誰かを不幸なまま終わらせたりはしない! これは絶対条件ですから。

 でも読んでみたい気持ちはあります。 世の中には「言いだしっぺの法則」ってものがありますが。


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第31話:男子の需要なんて無い!

 

 

 前回の話で少しばかり出ましたが実は私たち新入生は近々修学旅行に行くことになっています。

 

 こういうのは普通二年生とか最終学年になってからでは? とか思う人もいるかもしれませんが私も同感です。

 

 あまりにも突然過ぎる展開なのではないでしょうか?

 

 

「どう思いますかノレッジちゃん?」

 

 

「いやだって突然な流れだなんて今更じゃない。

 それにシャルラちゃんの『シャルラクリムゾン』が時間を消し飛ばす能力だとしても一年間も過程を消しちゃったら面白くないし時間を飛ばすくらいなら一年生の段階で修学旅行に行っちゃってもいいんじゃない?」

 

 

 だそうです。

 

 ノレッジちゃんが言うならそうなんでしょうね。

 

 ちなみに私の『シャルラクリムゾン』というのは冗談です。

 

 いくらなんでもそんな世界観を滅茶苦茶にしちゃうような能力ありませんので。

 

 私の能力は人間離れした身体能力とモンスター語が話せることと風を自在に操れることだけですので。

 

 

「今さりげなく人間離れどころかモンスターじみた能力が出なかった?」

 

 

「気のせいです」

 

 

「そう」

 

 

 修学旅行という展開にはノリで流しましょう。

 

 どうせギャグなんですしモンハンらしく「疑問に思ったら負けだ!」ですね。

 

 てことで♪

 

 

「準備しましょう!」

 

 

「ほいきたシャルラちゃん!

 私は海でも山でもどこでも行けるように水着の準備は完璧よッ!」

 

 

「山にも水着もっていくんですか?」

 

 

「だって川とかなら山にもあるじゃない。

 それに泳ぎだけが水着を必要とするわけじゃないでしょ。

 水場が一切なかったとしても、無いからこそ山の中で水着姿の美少女同士が体をこすりつけ合うって展開に萌えたりしない?」

 

 

「……蕩(と)れますね」

 

 

 そういうことですか。分かります。

 

 水辺などの水着を着るのが当たり前の場所以外で水着を着ることに意味があるのでしょう。

 

 そういう場所で水着になっている美少女にときめく人もいるでしょうし。

 

 

「それじゃ今日は授業が終わったら二人で一緒に買い物にいきましょうか」

 

 

「そうですね。水着は前回の海水浴のがありますけど娯楽関係のものは持ってませんし」

 

 

 やっぱ定番はトランプとかですかね? 娯楽アイテムは必須です。

 

 それともグラスにお酒を注ぐ表面張力勝負ってのも面白いかもです♪

 

 でもお酒で酔ったりすると風が上手く練れなくなるから酔い潰れないようにしないといけませんね。

 

 あと先ほどノレッジちゃんが言いましたが今回の買物イベントは女子二人だけです。

 

 男子はたまには放置というのも問題ないでしょう。

 

 

「最近男子二人はストーリー本編を進めていたから出番がなかったけど、今回みたいな本編に関係ない話にも出ないとなると次にダイヤージとフィズが出てくるのはいつになるのか分からないわね~」

 

 

「仕方ないですよノレッジちゃん。

 この物語は百合なんですから」

 

 

 あとついでに言うならギャグですし。

 

 なのでこのあとの展開もお約束ですね。

 

 

「あー、盛り上がっているところ悪いが今は授業中だぞシャルラにノレッジぃ~↑

 吾輩の授業よりも修学旅行の話題で盛り上がるのはいいがせめて気付かれないように心掛けるんだなぁ↑」

 

 

 えー、現在の私たちの状況を説明しますと学院でのハリー先生による『一時間目』の授業の真っ最中だったりします。

 

 最初は声を小さくしていたのですがテンションが上がってしまったみたいですね。

 

 目立ってしまったようです。

 

 ダイヤージ君も隣の席にいるなら起こしてくれれば……ってダイヤージ君も寝ていますね。

 

 爆睡しています。

 

 こうやって地の文で登場シーンを演出してあげていると言うのにタイミングの悪い人ですね。

 

 

「……えーと、ちょっとテンションが上がってしまっただけです。

 今からテンション下げますのでお構いなく」

 

 

 とりあえず言い訳をしておきます。

 

 

「そうそうハリー先生は気にせず授業進めちゃってください♪

 私たちラブラブチームの友情が止められないことはおわかりなんでしょうし」

 

 

「もういやですよぉ~、ノレッジちゃ~ん♪

 ラブラブチームだなんて照れるじゃないですかぁ」

 

 

 どちらかと言えば友情よりも愛情、百合といった感情が占めているのですから、あながち間違いではないのですが。

 

 

「まったくお前らときたら……

 ダイヤージもいつも通りだが、フィズを見てみろ。

 この騒ぎをものともせずにノートに黒板の板書を書き写している。

 お前らもたまにはフィズを見習うのだ!」

 

 

 そう言われてノレッジちゃんと二人して視線を向けた先にいるフィズ君は確かに手に鉛筆を持って動かしていました。

 

 が、ノートはページを捲らないので真っ黒くなり、その瞳も瞼(まぶた)の上に墨で目を描くという古典的な方法をとっています。

 

 ようするに寝ています。

 

 

「あの、ハリー先生。フィズ君を見てどう思いますか?」

 

 

「実に真面目な関心すべき生徒じゃないか。

 変態性においてはお前らの班ではノレッジの次くらいに変態だが、授業を真面目に受けるところは好感が持てる」

 

 

「いやいやいや、シャルラちゃんが言いたいのは『ちゃんと目ェ開けてみてんのかこのド低能がぁー!』ってことですよハリー先生」

 

 

「いやいやいや、私はそこまで口汚い裏の考えなんて持ってませんでしたよノレッジちゃん。

 せいぜい『脳みそ腐ってるんですか? この腐れ脳みそがぁー!!』ってぐらいしか思ってませんよ」

 

 

「どちらにしろ口汚いじゃない」

 

 

「そうとも言いますね」

 

 

 まぁ、ノリということで。

 

 結局ハリー先生はフィズ君の堂々とした居眠りにはに気づかずに教壇に戻って行きました。

 

 フィズ君も手を動かしてノートにとっているのは本当ですしね。一体どうやっているんでしょう?

 

 

「ふわぁ~あ……。

 あ、おはようございますシャルラさんにノレッジさん。

 僕の寝顔なんか見ちゃってもしかして惚れちゃいました?」

 

 

「「うざっ」」

 

 

 フィズ君ってば自分がモテるとでも思ってるんでしょうかね?

 

 

「それよりもフィズ君、瞼に目を描くだなんて古典的なやり方で起きているフリをしていたのはともかく、どうやって寝ながら手を動かしていたんですか?」

 

 

「ふふふ、実は僕は右腕に暗黒竜を封印しているのさ!

 あ、あぁ……鎮まるんだ僕の右腕……」

 

 

 突然苦しむように右腕を抑えながら横眼でこちらの様子をチラリと見てきます。

 

 うざっ。

 

 

「それじゃ今日の放課後はお買いものたのしみですね~、ノレッジちゃん♪」

 

 

「本当よね~、シャルラちゃん♪

 美味しいものも沢山食べちゃいましょ♪」

 

 その後は授業が終わるまでずっと修学旅行についてのお話で盛り上がった私たちラブラブコンビなのでした♪

 

 フィズ君はさらにしばらくの間もだえるフリをしていましたがあんまり五月蠅かったので目を覚ましたダイヤージ君に殴られて教室の後ろの壁に頭からめり込んでしまいましたとさ。

 

 ちなみにフィズ君曰く、魔眼も持っているので目を瞑ったまま黒板が見えていると言っていました。

 

 うざっ。

 




 そういえば「小説家になろう」の活動報告でよくバトンをもらうんですが、オリキャラバトンとかだとシャルラやハターンらを出したりしてるんですよね。

 良ければ向こうの活動報告もよろしくお願いします♪

 次回で200回なので数が多いですが、活動報告に短編小説やゲームなどの宣伝も書いていますので。


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第32話:下着交換

 タイトル通りと言いますか、ノレッジが自重しない話。



「それにしても修学旅行ってどこに行くんですかね?」

 

 

 どうも修学旅行云々の話は私がギルドナイトと何やかやしている間にハリー先生から説明があったみたいです。

 

 

「確かユクモ村って言う温泉が有名な村に行くそうよ。

 小さい村みたいだけど観光の名所だし近くの『渓流』って狩り場には様々な種類のモンスターが沢山出てくるから学者として勉強になることが多いとかで」

 

 

 ユクモ村……聞いたことないですね。

 

 温泉が有名なのはポッケ村ですけどユクモ村というのも温泉が有名なのですか。

 

 

「あと急に修学旅行って流れになったのはハリー先生が職員会議で寝ていたから本人すら直前まで修学旅行に行くことを知らなかったから連絡が遅れたという理由もあるわよ」

 

 

 やはり、ハリー先生はどこか抜けていますね。

 

 ポッケ村に限らず人里付近にある温泉には入ったことありませんが、モンスターの中でのみ知られている秘湯巡りならしたことありますし、こう見えても温泉好きですので楽しみだったりします♪

 

 

「でも準備ってなにがいるんですか?

 着替えとかなら全て荷造り終わってますけど」

 

 

 あと足りない物と言えばお菓子などの買い溜めをしていないくらいですかね。

 

 

「ちっちっち、シャルラちゃんったら分かってないな~。

 まだ準備してないもの、それはし・た・ぎ、下着よ!」

 

 

「へっ? それこそ着替えと一緒に準備済ませたものじゃないですか」

 

 

「ノンノンノン、下着は下着でもただの下着じゃないの。

 勝負下着よシャルラちゃん」

 

 

 えーと、確か男女でにゃんにゃんする時など、いざという時の大一番の勝負の時に使う最強の下着のことでしたっけ?

 

 

「別に『男女』である必要はないけどね。

 旅行先独特の浮かれきった妙なテンションでシャルラちゃんに迫っちゃう私をさらに興奮させるためにお互いに相手の身につける下着を選んで交換イベントをしましょうという話なのよ♪」

 

 ……何やら嫌な予感がしますね。

 

 『相手』に『自分』の下着を選ばせるというところが特に。

 

 でもこれは考えようによっては私もノレッジちゃんをいじめちゃういい機会とも言えますね。

 

 

「いいですよノレッジちゃん。

 私の趣味で選んだもので良ければお互いに新しい下着買って交換っこしましょう」

 

 

「YES! それでこそシャルラちゃんッ!!

 私の本気を見せてあげるわ!!!」

 

 

 下着選びで本気って、ノレッジちゃんの変態性は私ではすでに予想出来ないレベルまで行っちゃっているみたいですね。

 

 で、そのままお店に向かった私たちがお互いに選んだ下着を見せあうことになったのですが……

 

 

「どうやら私たち気が合っちゃうみたいね」

 

 

「そうですね。そしてノレッジちゃんが変態で異常なのがよく分かりました」

 

 

 私たちがお互いに用意した下着とは『馬鹿には見えない下着』でした。

 

 つまりノーパン、ノーブラ。

 

 偶然とは言え同じ物を選んでしまうとは相性がいいんですね、私たち。

 

 でもノーパン、ノーブラで修学旅行中を過ごすってことになるんですけどどうしましょ?

 

 

「まぁ結局似た者同士ってことで修学旅行中はこれで過ごしましょうよシャルラちゃん♪」

 

 

「えー!? ノレッジちゃん恥ずかしくないんですか!?

 今の季節はまだ温暖期ですし厚着するわけにはいきませんし汗で服は透けるでしょうし下もジーンズを履いたとしてもラインで分かっちゃいますよ!?」

 

 

「いやぁ、私ってばシャルラちゃんと一緒になって露出行為に耽るっての一度やってみたかったのよね。

 だから結果オーライみたいな?♪

 ちなみにズボンは駄目よ。スカートにしなさい(命令)」

 

 

「誰かー! 変態がいますよー! 選んだ私もどうかとは思いますがこの趣味はやばすぎますよノレッジちゃんっ!!」

 

 

「でもまぁ、人間の恨みを地獄に流してくれる少女を『お嬢』と慕う刀の九十九神や、段々変態になっていく平日が大好きな吸血鬼もどきくらいに私たちは似たような存在ってことで」

 

 

「いやいや確かにその二人は似ていますがアホ毛と身長という大きな違いがあるじゃないですか。

 私とノレッジちゃんは、とある不幸な人と、ネコアレルギーの人程度にしか似てませんよ」

 

 

「どっちにしろ似てるってことよね?」

 

 

「そういうことになりますね」

 

 

 はぁ~。まっ、ノレッジちゃんにこんなこと言うのも今更ですしね。

 

 でもそれを認めると修学旅行中、私はずっとノーパンノーブラで過ごさざるを得ないのかも……

 

 

「さぁシャルラちゃ~ん。今夜もクラーマさんが部屋で待ってるし一緒に朝まで楽しみましょうねぇ~♪(はぷっ)」

 

 

「あ……ノレッジちゃんったら耳をは齧らないでくださいよぉ~。

 そういうのは部屋に戻ってからです♪」

 

 

 とりあえず考えるのは今はやめです。思考の放棄=快楽の世界へいざ!

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 翌朝。

 

 

「目覚まし時計が壊れてたんです!

 鳴らなかったんですっ!!」

 

 

「またその言い訳かぁ~ん?↑

 いい加減新しいのを考えたらどうだシャルラ&ノレッジぃ~」

 

 

 はい、絶賛遅刻につきハリー先生に叱られている私たちです。

 

 昨夜はノレッジちゃんだけでなく当たり前のように毎夜毎夜現れるクラーマさんと一緒になって楽しんじゃったのでいつも通りに遅刻してしまったというわけです。

 

 ちなみにクラーマさんは重役出勤が認められていますのでまだ私たちの部屋で寝こけていますが受付で代理を務めるアイルーが生徒や教師、学院のお客さんなどに愛想を振りまきながら必死に働いています。

 

 ネコの可愛さは兵器と言っても過言ではないレベルですね。

 

 

「ハリーせんせー、私たちが遅刻するなんていつものことですし見逃してくださいよぉ~」

 

 

「だ・め・だ!

 吾輩の教師としての矜持にかけて、お前らをキチンと更生させるのが夢なのだからな」

 

 

 むぅ、夢なら仕方がないですね。

 

 

「(ノレッジちゃん何か策はありますか?)」

 

 

「(OKシャルラちゃん。ここは私の秘策にお任せあれ♪)」

 

 

 昨夜はノレッジちゃんが激しすぎて私ってば寝不足なもので頭が上手く回らないんですよね。

 

 それでたまにはノレッジちゃんに任せるのもいいと思って話を振ったのですが、

 

 

「あ! あんなところにキリン装備のハンターがっ!!!」

 

 

「いや、ノレッジちゃん。いくらなんでもそんな手に引っかかるわけが「どこだキリン娘!?」引っかかったぁ!?」

 

 

 何と言うことでしょう。

 

 ハリー先生はノレッジちゃんが指さした方向にもうダッシュして消えてしまいました。

 

 てか授業はどうするんでしょう?

 

 

「うん、結果オーライね。

 早く教室に行きましょ」

 

 

「……まぁ、ハリー先生も変態だったってことですね」

 

 

 気にしても仕方がないので学院を飛び出したハリー先生を放置して私たちは教室に向かうとします。

 

 ちなみにノレッジちゃんが言ったキリン装備のハンターさんなら私も学院の外を歩いていたのを見かけていますので本当です。

 

 ですが確かそのハンターさんは男性用のキリン装備を身につけていたように見えましたが……

 

 

 まっ、それこそいつも通りの日常ですよね♪




 さすがに履いたもの(女同士での行為後)を交換するというのはこの時点ではヤバいかな? と思ったので自重。

 それにしてもシャルラも水を浴びると古龍の姿になるとかの設定でも面白かったかもしれませんね。
 お湯で人間に戻るとか。

 今回の資料として読み返した一つに『瀬戸の花嫁』が含まれていますが、アレの修学旅行のイベントは良かったですね。
 四コマ漫画っぽい小説を目指しているので、持っている四コマ漫画はかなり読み返しましたし『にゃんこい!』のアニメ&漫画を観返したりしましたがやっぱり『瀬戸の花嫁』に食われた気がします。
 特に不知火 明乃は百合に関しては実に参考になりますね。一番好きなキャラです♪

 私はパロネタなんかを使う時は元ネタを知らなくても理解できる、もしくは流せるものを選んでいますが今回知らなきゃ分からないネタを混ぜてみました。こういうのも一度やってみたいことでもあったのですよ♪


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第33話:修学旅行に行こうの巻

 今更感もありますが、MHP3での私のオトモ出撃記録は、

 かぼたん、469回
 ハクオロ、285回
 自殺志願、92回
 ワムウ、87回
 桂 言葉、84回

 ……もう長い事やっていませんがそんなに変わっていないでしょうね。

 序列五位の「桂 言葉」は、一応「めんま」とペアで雇ったのですが父と二人で狩っていたので言葉ばかり出番が増えちゃうんですよね。

 


 ダイヤージside

 

 

 つーかよぉ~~~、俺も出番とか欲しいわけよ。

 

 この物語がさぁ~、ギャグだっつーことはよ~っく分かってんけどよー、だからって出番なくてハイそうですかって言えるわきゃねーだろうが!!

 

 そりゃシャルラやノレッジは可愛いし何よりもう優先すべき存在だとは思うけどよー……

 

 

「それを言うなら僕の方こそ『フィズside』という僕が語り部となる話を一話丸々用意してほしいですよ!

 ダイヤージの方が出番多いのにそんな贅沢な悩みは僕に喧嘩売ってるんですか!?」

 

 

「あん? お前はいーんだよ。出番少なくても。

 それに俺でさえ『ダイヤージside』の話なんざ数えるくれーしかねーのに、人数合わせのためだけに考えだされたお前なんかに語り部役は100年はえーよ」

 

 

「『フィズクリムゾン』!

 そして時代は100年後に進む……」

 

 

「そうは行かせっかよ!(ゴズッ)」

 

 

「きゅ~……」

 

 

 ふぅ~、あぶねぇ。

 

 危うく本当に百年後まで時間を飛ばされるところだったぜ。

 

 古龍とのハーフのシャルラはともかく俺ら他の登場人物は種族は人間なんだし、百年も生きてられねーからな。

 

 『フィズクリムゾン』が本当に使えるかどうかはさておき。

 

 それにしてもフィズの奴気絶する時の声が可愛いな。似合わねぇ~。

 

 

「さて、俺が語り部で何か始めようと思うが……。

 つっても話すことねーな。やっぱ」

 

 

 だから俺は主役じゃねーんだよな。

 

 仕方ねぇ、こうなったらまた俺の過去話でも語らせてもら「『ザ・シャルラ』 時よ止まれ!」………………

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

 こっちこそ「ふぅ~」ですよ、まったく。

 

 ちょっと目を離した隙にダイヤージ君が語り部をやっているなんて愚の骨頂。

 どういうつもりなんでしょう。

 

 主人公はこの私です。

 依然変わりなく。

 

 

 でもまぁ、私たち女子二人の準備はすでに終わっているので再び物語を進めましょうか。

 

 

「時よ、再始動しなさい!」

 

 

 『ザ・シャルラ』解除。

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「では今日はいよいよ楽しい修学旅行だがあまりハメを外すんじゃないぞぉ~♪↑」

 

 

『うぉぉぉぉぉぉぉーっす!』

 

 

 よく晴れた雲一つない空から降り注ぐ熱い日差し。

 

 そしてその陽光に照らされながら汗と脂でテカテカと光る暑苦しい顔を余計に暑苦しく輝かせるハリー先生の声が響き渡り、それに呼応するようにクラスのみんなの声も響きます。

 

 今日は待ちに待った修学旅行の日。

 

 この日のために色々と準備をしてきたましたが一体どんな旅行になるんでしょう。

 

 楽しみで昨日の夜は寝付けませんでした♪

 

 

「寝付けなかったのは私と楽しんでいたからでしょ~、シャルラちゃ~ん♪」

 

 

 最近特に粘着質にへばりついてくる機会が以前格段に増えたノレッジちゃん。

 

 さすがにみんなが見ている前でそういうのは少しばかり恥ずかしいのですが。

 

 

「私のシャルラちゃんへの愛情表現の過激さが『少し』ってのは恥じらいや道徳といった理性が私への愛を越え始めているからね。

 修学旅行中だけど、今夜も寝かせないぞ♪」

 

 

「やん、ノレッジちゃんったら~♪

 ……でもこの修学旅行は男女混合で班ごとの行動が義務付けられていますし、夜もダイヤージ君とフィズ君が同じ部屋にいるんじゃないですか?」

 

 

「うんにゃ。部屋はクラーマさんの泊まる部屋にお邪魔するから大丈夫よ。

 あの人ってば女子寮寮長兼学院受付兼シャルラちゃん愛で隊隊長という肩書きながら、なぜか学院一年生の修学旅行には毎年ちゃっかり参加しているから」

 

 

 視線を巡らすとこちらに気付いたクラーマさんが親指を立てて元気いっぱいの笑顔を浮かべています。

 

 それにしてもクラーマさんは私たちの担任どころか教師ですらないのにどうやって付いてきているんでしょうね?

 

 まぁ、これもまた不思議パワーってやつでしょうし深くは考えませんが?

 

 

「そ・れ・よ・り・も♪

 濡れてきてないシャルラちゃん?」

 

 

「な、何のことかね、ノレッジちゃん。

 私は何も……」

 

 

「嘘おっしゃい、こんなに下のお口から匂ってきているのに私の鼻はごまかせないわよ」

 

 

 くっ、ノレッジちゃんの言う通りです。

 

 実は……アソコが……その……

 

 

「馬鹿には見えない下着を履いてきたのよね♪」

 

 

「もうっ! それは言わないでくださいよッ!!!」

 

 

 そうです! 濡れちゃってます!!!

 

 悪いですか!? ノーパン、ノーブラなだけでなく、かなり際どいミニスカートを履いているんですから歩くたびにスースーするんですよ!

 

 

「スースーするって男子が女装した感想みたいね♪」

 

 

「てゆーかノレッジちゃんは平気なんですか!?

 これけっこう恥ずかしいですけどノレッジちゃんも『馬鹿には見えない下着』なんでしょ!?」

 

 

「あ、私ってばSっ気があるから誤解されてたかもしれないけど露出癖もあるからこういうの慣れてるのよ。

 普段の学院での授業中も履いていない日とかけっこうあるし」

 

 

 平然と答えるノレッジちゃん。

 

 私としたことがノレッジちゃんの変態性を見誤っていたわっ!

 

 この人は私の恥ずかしがる姿を見るためなら自分がどうなろうとも構いやしないだけじゃない。

 

 自分も同じ境遇になることで親密感を感じ、その親密感を快感へと変えてしまう超変態なんです!

 

 

「はぁ~。

 まっ、今更ですよね。私も慣れてきましたので段々と気持ち良くなってきましたし」

 

 

「うん今更ね。

 そして私の教育が実を結んできたってことかしらね♪

 一応男子にはバレないように気をつけておきなさいよ」

 

 

「そうです。ようはバレなければいいんですよ。

 スカートも短いとは言ってもしゃがんだり転んだりしなければ気付かれないでしょうし」

 

 

 特に問題もなく、のんびりと学院の生徒たちを乗せたユクモ村へと向かう竜車は進み続けます。

 

 そして問題が起きたのはドンドルマの街からユクモ村へ向かう途中にある小さな村でトイレ休憩をしていた時のことです。

 

 

「シャルラさーん、ノレッジさーん。

 ジュース買ってきましたよ~♪(バッシャァ)」

 

 

 ……最近出番がなかったので無理矢理ノレッジちゃんと私の話に関わろうとしたのでしょうフィズ君が突然現れ、盛大に転び、パシリっぷりが板についてきた彼が両手に持っていたジュースが私目掛けて飛んできました。

 

 これはある意味予想していました。ええ予想していましたとも。

 

 でもそれでもこんな場所で、こんな格好の時にびしょ濡れになるだなんて……

 

 

「ふぇ~ん。濡れちゃいましたぁ~……」

 

 

「ぶふぉ! シャルラさんもしかして履いてない!?

 というか上も!?」

 

 

 鼻血を噴き出した鼻を抑えつつも、それでも顔を背けようとしないある意味男らしいフィズ君。

 

 薄着だったこともありジュースがかかってしまった私は丸見え状態になってしまいました。

 

 花も恥じらううら若き乙女の私がこんな恥辱を受けることになるなんて。

 

 それもフィズ君なんかに私の体を見られてしまうだなんて。

 

 どこが? とは聞かないでくださいね。あまり描写を細かくすると18禁になってしまいますので。

 

 

「フィ~~~~ズ~~~!

 よ~~~く~~~~も~~~私のシャルラちゃんを泣かせたわねぇぇぇぇぇぇぇ~~!!!!!!」

 

 

「い、いや僕はただ、お二人に飲み物でもと思って……」

 

 

「言い訳無用!」

 

 

 ノレッジちゃんによってぶっ飛ばされたフィズ君は空高く飛んで行きました。

 

 帰ってこれるんでしょうかね?

 

 

「シャルラちゃんごめん!

 私が昼間っから露出プレイを勧めちゃったからフィズごときド腐れにそんなエロい姿を見せることになっちゃうなんて!」

 

 

「う~、もういいですよノレッジちゃん。

 確かに恥ずかしいですけどフィズ君のことは男として見てなかったのでこれくらいなら問題ありませんし」

 

 

 思いっきり私を抱きしめるノレッジちゃん。

 

 細身の割にノレッジちゃんもけっこう力強いんですよね。

 

 いえ、普段から経験しているので身体で知ってますけど。主に夜に。

 

 なので、こうなるのも予想していましたのでそこまでショックではないのです。

 

 というか、この後の展開まで私の予想通りだとしたら少し怖いことになりそうですが……。

 

 

「シャルラちゃんが濡れ濡れだってぇぇー!?」

 

 

 ほら来た。この人はこう言う時、必ず来ると思ってましたよ。

 

 

「あ、クラーマさんこっちこっち。

 フィズの馬鹿がジュース零しちゃってシャルラちゃん濡れちゃったのよ」

 

 

 やって来たのはクラーマさん。来ただけならいいんですがこの人は絶対、

 

 

「か~わ~うぃ~い~♪」

 

 

 ほら、こうなる。

 

 

「ノレッジちゃん何呑気にしているの!?

 シャルラちゃんがこんなにびしょ濡れのお色気むんむんなのにまさか何もしないつもり!?」

 

 

「はっ! 私としたことがシャルラちゃんを濡れ濡れにしたフィズをぶっ飛ばしたことでこんなに可愛いシャルラちゃんを腕の中に抱いているのに興奮するのを忘れていたなんて!?」

 

 

「いえ、今は修学旅行中ですしそういうのは目的地のユクモ村の宿屋について夜になってからでいいのでは?」

 

 

「「驚異の大エロエロパゥワ~!!!」」

 

 

 あ、スイッチが入っちゃったみたいです。

 

 

「私の考えは分かるわねノレッジちゃん!?」

 

 

「OKクラーマさん!

 この命に代えてでもっ!!」

 

 

 そうして私は二人に抱えられてトイレ休憩に寄った村のトイレで、大でも小でもない用をたすのでした。

 

 夜もあるって言うのにこの二人本当に底なしのエロエロパワーの持ち主ですね。

 




 これ位なら、もうちょっと位、そんな感じで段々とエロさが増していきますが私よりもずっとエロエロな作品なんてそこら中にありますしこの程度なら問題ないはず!

 でもいつか具体的な描写と単語まで平気で使ってしまうのではないかと自分が恐ろしくなってしまいますねww


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第34話:湯けむり天国、百合の宿

 こうして移転をしていると、前書きや後書きを日記感覚で書いていたので当時のことが思い出せますね♪

 今回の前書きは『ゆるゆり』の一期放送開始と同時の更新だったようです♪



 久し振りに面白いアニメでもないかと思い、探していたら『ゆるゆり』という百合のアニメを見つけたので観てみましたが割と面白かったです♪

 私は百合は好きですし可愛らしい女の子は大好きですが、どちらかと言えば萌えよりも燃えの方が好きですし、ギャグ、バトル、グロと言ったジャンルの方が超好きなんですが、これはなかなかに良かったです。ストーリー性は皆無に感じましたが。

 久し振りにこういう、ゆるいアニメも悪くないですね。
 特にアイキャッチの長さがツボでしたw

 主人公のキャラが薄いってのもいいかも。

 以前どこかで書いた気がしますが『イース』の主人公、アドルみたいな話さない主人公も書いてみたいな。



 結局、イースのアドルみたいなキャラってまだ描いていないんですよねw




 心地よい風が駆け抜けていき、風を身近に感じる体質である私の心を普段よりもずっと気持ち良くさせてくれるという意味ではここはいい場所です。

 

 遠くから見てもはっきりと分かる温泉の湯気。

 

 規模は小さいながらも画期に溢れた雰囲気は観光に最適とも言えます。

 

 ただし、学生が修学旅行として来るにはあまりにも見る物がなさすぎるという点を除けばですけど。

 

 

「みんなで行った『ユクモ村っ!!!』

 ……とか卒業式の日に声を揃えて言うことになるのかもしれないですね」

 

 

「うーん、でも本当に見る物何もないね。

 温泉は有名みたいだけど言ってみれば温泉しか観光の目玉がないって場所みたいだし」

 

 

 現在私達はユクモ村へと到着し、宿屋の部屋にて荷物整理をしているところです。

 

 時刻はただ今昼過ぎくらいで晩御飯は宿が出してくれるみたいですが昼御飯につきましては村に着いてすぐに言われましたが各自で適当に済ませろとのことです。

 

 なんというか適当って言いますか、生徒の自主性を尊重ってのも聞こえのいい建前で本当は先生たちが楽したいだけって気もしますね。

 

 

「こんなことならお弁当でも用意してくれば良かったですね」

 

 

「まったくよ。

 こう見えても私はシャルラちゃんに美味しいもの食べさせたい一心でこないだ特級厨師の資格を通信講座で手に入れたってのに」

 

 

「料理の資格って通信講座で取れるんですか?」

 

 

「取れるわよ」

 

 

「さいですか」

 

 

 まぁ、それはいいでしょう。

 

 ちらりと視線を同じ部屋にてまったりしているダイヤージ君に移します。

 

 

「俺に期待してるなら無駄だぜシャルラ。

 俺も今回は弁当用意してきてねえし」

 

 

 はぁ、そうですか。

 

 

「ぼ、僕はシャルラさんとノレッジさんのためのお弁当の用意を「「じゃあ自分でまず食べてみて」」……なんでもありません」

 

 

 突然元気になったかと思ったら落ち込んでしまったフィズ君。

 

 どうせ彼のことですからまた媚薬でも仕込んでいたのでしょうね。

 

 ユクモ村に来る途中にノレッジちゃんに空高く吹き飛ばされていましたが元気なようですね。

 

 やはりエロは生命力の証といったところでしょう。

 

 

「しょうがないですね。

 やはりここは何か外に食べに行きましょう。

 ちょうどお祭りでもあるみたいで昼間っから食べ物屋もたくさん出ていますし」

 

 

「そうね。観光名物が温泉しかないってのは食べ歩きのモチベーションを大きく下げるけど、それで食べ物が美味しくないなんてことはないでしょうし」

 

 

 まぁ、屋台を見ながら食べ歩きでもしますか。

 

 見る物が屋台しかないってのがつまらないですけど。

 

……

 

…………

 

………………

 

「はっはー♪ チョー可愛い女の子2名ゲッチュ~♪」

 

 

「俺ら『ユクモーズ』の縄張りにゃ、たとえ修学旅行生でも金か体で滞在費を払ってもらわねぇとなぁ♪」

 

 

 ……ええ勿論予想していましたとも。

 

 修学旅行と言えば他校の生徒や旅行先の地元の不良に絡まれるってのが定番ですよね。

 

 私とノレッジちゃんが最高に可愛いもんだから絡まれるのも当然ってことなんでしょう。

 

 百合よりもギャグがこの物語の基本設定ですし。

 

 

「でもこんな需要のなさそうな展開、誰得なんでしょうね」

 

 

 私たち四人を囲っているのは10人。

 

 今のセリフを言った二人がどうやらリーダーのようですがこの人たち全員語尾に『♪』を付けるという気持ち悪い共通点で結束しています。下卑た笑いがこれほど似合う人たちはそうそういないでしょう。

 

 気持ち悪い。

 

 

「ねぇノレッジちゃん。ここはやはりアレですね」

 

 

「同感ねシャルラちゃん。私もアレが手っ取り早いと思うわ」

 

 

 ダイヤージ君は私たちの考えが分かっているからかニヤニヤと眺めるだけ(本人曰く、「女子が暴れるのを見守ることが俺の男らしさ」だそうです)、フィズ君は出会いがしらに連中に殴られ今も気絶中。……と見せかけて死んだフリをしています。

 

 臆病者ですね。

 

 

「殴る!」

 

 

「蹴る!」

 

 

 ようするに連中を殴り飛ばすってのが私の完璧なる頭脳が導き出した作戦です。

 

 ノレッジちゃんはプッツンしちゃったらしく、「蹴り殺してやるぅぅぅー!」とか言ってますが。

 

 で結果ですが、あっさり撃破。

 

 いいんですよ。この物語はギャグであるのと同時に百合なんですからこんなことに文字数使いまくるわけにもいかないんですから。

 

 

「まったくムカつきますねー、こういう連中が生きてるってこと自体に。

 何で自分たちが弱いことが分からないのでしょう?

 何で自分たちがカッコ悪いことが分からないんでしょう?」

 

 

「もういいじゃんシャルラちゃん。

 私もスッキリしたし。

 それよりも私たちには崇高な目的があるんだからそんな連中捨ておきなさいよ」

 

 

 そうですね。私たちには目的があるのです。

 

 と、言う訳で……

 

 

「温泉イベントのはじまり~♪

 ドンドンパフパフ♪」

 

 

 ちなみに今のセリフはノレッジちゃんです。

 

 温泉ということでテンションが上がっているようですね。

 

 屋台でお昼ご飯を買い食いするイベントは面白味がないのでカットです。

 

 むしろこのイベントを書くためだけに作者は修学旅行のイベントを出したんですし。

 

 『温泉』に来て『女の子』がすることと言えば決まっているでしょう。

 

 

「でも普段から夜は一緒になって裸のつきあいをしている中ですし今更感がありますけどね」

 

 

「何言ってるのよシャルラちゃん!

 ベッドで裸なのと温泉で裸なのは意味合いが全然違うのよ!!」

 

 

「そりゃまぁそうですけど……」

 

 

 でも結局は同じことをするんでしょうに。

 

 と考えながらも服を脱ぐ。

 

 今日は薄着ですが少し暑かったので汗で張り付いていたのが不快でしたし、これだけで開放感があります。

 

 

「まぁ、やることは同じなんだけどね♪」

 

 

 屈託なく笑うノレッジちゃんは今日最高の笑顔。

 

 ぴったりと張り付いてくるノレッジちゃんと、お風呂だということもあり特に抵抗せずに張り付かせたままの私という図が出来上がるわけです。

 

 

「今は女子がお風呂の時間。

 ということはシャルラちゃんも分かっていると思うけどあの人も来るわよ」

 

 

「あの人ですか」

 

 

 ……やっぱ来るんですか。

 

 でも教員と生徒は普通入浴の時間がずれているものなんでしょうけど一体どうやって……

 

 

「私にそんな常識は通用しなーい!!!」

 

 

 とまぁ、やはり現れたのはクラーマさん。

 

 湯船をモーゼの十戒のごとく割ってすっぽんぽんでの登場というのは斬新なのか馬鹿なのか判断が難しいところですね。

 

 最近本当に出番が増えてきていますがこの人は本来ダイヤージ君やフィズ君と違って準レギュラーみたいな立ち位置でたまに出てくるだけのはずなんですけどね。

 

 

「ふっふっふ。女の子が裸でいる場所に現れないなんて、あたしらしくないじゃない!

 すでに他の女子生徒たちは全員頂いちゃったからあとはあなた達だけよ。

 シャルラちゃ~ん♪ ノレッジちゃ~ん♪」

 

 

 見れば湯船にぷかぷかと浮かぶ死屍累々のクラスメイト達。いえ、生きてますけど。

 

 その顔はどこか恍惚の表情を浮かべ満足そうにも見えます。

 

 

「『相手の敏感ポイントを一瞬にして見抜く』能力と併用して我がネーデシュアーレ家に代々伝わる秘伝淫術奥儀:『不意巣徒婦阿突駆』って技を使ったのよ。

 身体の性的快楽を司るツボを全部同時に押し、アソコに拳から快楽エネルギー(通称、『Kエネルギー』)を直接体内に流し込んだところに、おまけとして魔眼による催眠術まで同時にかけることで終わりなき快楽の世界に閉じ込めるあたしの必殺技よぉー!」

 

 

 うわぁ、生徒に手を出しちゃってる時点でまずいのにこの人とんでもないこと暴露しちゃいましたよ!

 

 魔眼とか世界観ガン無視の能力いらないでしょうに!

 

 

「ごめん、そりゃ嘘よ。

 さすがに魔眼は持っていないわ」

 

 

「ですよね」

 

 

「代わりに暗示にかかりやすくなる薬を事前にのませていただけよ」

 

 

「犯罪性が増したぁぁぁー!?」

 

 

 いやいやいや、それならまだ魔眼の設定を使ってでも普通に催眠術ってことにした方がまだマシですよ。

 

 薬を盛って、いたいけな少女(全員15歳)を食べちゃうだなんて!

 

 

「……でもまぁ今更ですよね」

 

 

「そうそう、クラーマさんのやる事に今更驚いてちゃいけないわよシャルラちゃん」

 

 

「シャルラちゃんにもノレッジちゃんにも、あたしが生徒に手を出すのが普通と思われるだなんて……

 そう思われるように行動してきたあたしの成果が実った♪」

 

 

 どうやらクラーマさんは喜んでいるようですね。

 

 濁り湯ということでお湯の中の様子は見えませんがそれを利用した女同士の熱い愛の営みはこれからです。

 

 まだ夜でもないと言うのに百合バトルは始まってしまいました。

 

 今夜は眠れるでしょうか?

 




 今回の話は『スクールデイズ』の主人公、伊藤 誠があまりにも下種で、私の中で伊藤という苗字へのイメージが急落したために『今日から俺は!!』を読み返して折角だから修学旅行話に盛り込もうと思いつつも、百合要素に不良との喧嘩なんて必要ないから珍しくバトル要素を出しておきながら短くなってしまったんですよねw

 いやはや、『今日から俺は!!』の伊藤 真司は最高に男ですよ。
 これほどカッコいい男なんてそうはいないでしょう。……長谷川平蔵とかかな?

 それにしてもこの作品もけっこう長くなりましたがストーリー本編+プロットはないけど書きたい話を全部書いたら前作を越えてしまいそうで厄介です。

 当初の予定では40話くらいで私自身が百合の勉強をしたらあっさり終わるつもりだったのに予定というのは分からないものですねw

 それと伊藤なら『苺ましまろ』の方が今作の資料に向いているかも知れませんね♪


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第35話:姦しい宴

 三人寄ればなんとやら、ですね。今回は男子二人がメインになりますが。




 フィズside

 

 

 くっくっく。

 

 はーっはっはっはっはっはっは!

 

 ついに! ついに「フィズside」の話がスタートだ!

 

 シャルラさんやノレッジさんはともかく、ダイヤージにまで邪魔されていた僕の不幸はこれで終わり!

 

 今回こそ僕の僕らしさと言うものをお見せしようじゃないですか!!!

 

 

……

…………

………………

 

 

 ダイヤージside

 

 

「え? もう僕のターンは終わり?」

 

 

「何言ってんだフィズ?」

 

 

 もしかしてこいつ自分が語り部を出来ると本気で思ってやがったのか?

 

 ずいぶんとおめでたい頭してるじゃねぇか。

 

 どうせ女子が風呂に入っている間に覗きにいく話で終わらせるつもりだったんだろうけどそうはいかせねえ!

 

 なぜならそれはカッコ悪いからだッ!

 

 

「チッ! ならばダイヤージを巻き込んで二人して覗きにいく方法に変えようじゃないか!

 語り部がダイヤージなら僕一人で覗きに言っても場面から消えるわけだからセリフすら無くなってしまうからね」

 

 

「やってみな。ただしそう簡単に俺を言いくるめられると思うなよ」

 

 

 俺は紳士だ! 女子の覗きをするのは最大級にやってはいけないこと!

 

 それが俺のルゥゥゥ~ッル!

 

 

「それじゃあ言わせてもらうけど、『お前、紳士っぽい奴だよなw』」

 

 

「あん!? てめぇ今なんつった!?

 俺が紳士を目指してるの知ってて語尾に『w』なんてつけやがったのか! あぁ~ん!?

 しかも! 一番許せねぇのは、そのセリフの元ネタの語尾は『(笑)』だってのにそれを無視したことだ!!!

 許せねえ、何でそこまで人の心を傷付けられるってんだ!?」

 

 

「まぁ、落ち着いてよダイヤージ。

 僕は思うのさ。

 本当の紳士ってのはね、覗きはしても決して手は出さない漢のことなんだとッ!」

 

 

 ……いや、手ぇ出したら紳士どころか漢とすら言えねぇじゃねーのか?

 

 

「それに男が女性の裸に興味があるのはそれが男だから!

 なのに女性の裸に興味のないダイヤージには紳士どころか男を名乗ることすら出来ない!」

 

 

「別に興味がないわけじゃねぇよ。

 ただまぁ……、確かにそういう考えもあるのかもしれねぇな。

 けどよぉ、あいつらに見つかって無事に済むわけねーだろ!?」

 

 

 そう、一番の問題はそこなのだ。

 

 見つかったら命の危機ということなのだ!

 

 ん? よく考えたら俺が覗きをしないのは覗きを見つかって『ボコられる』のがカッコ悪ィと思ってるってだけか?

 

 

「そんな訳で俺は行かねぇぞ。

 行くなら一人で行け」

 

 

「だから最初に戻るわけだけど君が語り部なんだから君も行かなきゃ僕はこの話で出番がなくなっちゃうんだよ!

 もしかして……、怖い?」

 

 

「てめぇ、この俺に向かって『怖い?』だとぉ!?」

 

 

「あぁそうさ。

 ダイヤージはリスクを恐れてメリットの大きさを見失っているただの臆病者さ。

 シャルラさんとノレッジさん。それに他の班の女子まで今はお風呂に入っているっていうのに見つかってフルボッコにされるリスクと比べて女子の裸を覗けるというメリットがどれほど大きいかも分からないだなんて男としてすでに枯れていると言っていいね」

 

 

「くっ、何だか段々とフィズの言うことの方が正しいように思えてきたぜ」

 

 

「そうだろうそうだろう。

 じゃあ僕は行くから君も一緒に行こうじゃないか。

 彼女たちを思うとこの胸が騒ぎ、彼女たちを思うと体温が上がる。

 ビバ女体の神秘!!!

 この思いは止められないんだ!

 この気持ちを伝えなくちゃいけないんだ!

 すなわち!! 覗くのが漢として正しい行い!!!」

 

 

「おぉ! そうだぜフィズ。俺が悪かった!

 確かにお前の言うとおり裸の女子が風呂に入っているんなら何をおいても覗きに行くのこそ男らしい行いだよな!

 俺が間違ってたぜ!」

 

 

 俺としたことが今まで何をしていたのだろう。

 

 よく考えてみればこれほど男らしい行動などそうそうあるはずもないってのによぉ。

 

 これはこれで俺の夢であった『紳士道』への目覚めと考えることも出来るじゃねぇか!

 

 

「では♪」

「レッツゴーだぜ♪」

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「おいフィズ、一応聞いておくがこの服、本当に効果あるのか?」

 

 

「大丈夫だよダイヤージ。

 僕は発明の腕にはかなり自信を持っているからね」

 

 

 今俺達二人はフィズが発明したという『透明になれる服』という、いかにも覗き専用装備でございってな服を着て宿の風呂場を目指しているところだ。

 

 

「どうやらまだ女子グループは入浴中のようだな」

 

 

「そうだね。でも僕の発明は完璧だから決してばれるはずがないから安心してよダイヤージ。

 この先には僕らの夢である漢のロマンがいっぱいあるんだ♪」

 

 

 いつも以上に興奮してきたフィズ。

 

 だがそれは俺も同じだわな。なんつっても一流の紳士を目指していた俺は『紳士』の上位職である『変態紳士』の称号を手に入れたし怖いものなし!

 

 もう最強っての?

 

 最早俺を止められる奴ぁいねーぜ!

 

 で、そんなノリで早速風呂場に侵入。

 

 湯気で影しか分からないが壁際をこっそり移動する俺らに気づく女子は一人もいないようだ。

 

 と、思っていたら……

 

 

「ぶふぉっ! ちょっ、ダイヤージダイヤージっ!!!」

 

 

「あぁ、こいつはすげぇぜ……」

 

 

 風呂場に侵入してすぐに分かったことがある。

 

 それはなぜかクラスの他の班の女子達がみんな、全裸で倒れているのだ。

 

 しかも幸せそうにトロンとした目をしながら。

 

 だが意識のない相手に何かしちまうのはまじぃよな。

 

 かといって俺らが助け起こすわけにもいかねーし……

 

 

「これは温泉でのぼせたとかじゃねぇよな?」

 

 

「火山ガスみたいなのが出ている風でもないしね。

 このまま倒れた女の子たちの裸を見ていたい気持ちはあるけど倒れている原因を探す必要があるよ。

 もしや学院の生徒を狙った暗殺者が来ているのかも」

 

 

「そりゃねーだろ。

 こないだシャルラがギルドナイトに命狙われてたっつってたけどギルドナイトはすでに壊滅的でしばらくはまともな活動は出来ねぇだろーし、倒れているこいつらも幸せそうな顔してんじゃねぇか」

 

 

 完全にオチた状態だがこれは人為的な何かがあったのは間違いないはずだ。

 

 俺らも慎重に調べる必要がある。

 

 

「ダイヤージ、何か聞こえないか?」

 

 

「……どうやら奥に誰かいるみたいだな。行ってみるぞ」

 

 

 温泉の奥、たくさんの温泉が無造作に掘り起こされたようなこの場所のさらに奥から声は聞こえてくる。

 

 草木を揺らさず音も立てずにゆっくりと近づいていく。

 

 

「はっ、はっ、はぁ~んクラーマしゃ~ん……。

 も、もう入りましぇんってばぁ~」

 

 

「ほぉ~ら、シャルラちゃ~ん♪

 こ・こ・が、気持ちいいんでしょ?」

 

 

「クラーマさんそろそろ代わってください。

 さっきから一人で楽しんじゃってずるいですよ」

 

 

 意外ッ! ……でもないがそこにいたのはシャルラ、ノレッジ、それになぜかクラーマさんだった。

 

 

「ちょいダイヤージ! あれ見てよ。

 指どころか手首までずっぽり入っちゃってるよ!!」

 

 

「あぁ、シャルラが古龍と人間のハーフっつーのは聞いてたけど、その身体の丈夫さをこういう形で見ることになるとは思わなかったな」

 

 

 そういやクラーマさんって、確か女子寮寮長兼学院受付の事務員なのに修学旅行に付いてきてたのはこのためだったのか?

 

 

「ここかぁ~? ここがええのんかぁ~? シャルラちゃ~ん♪

 ノレッジちゃんもよく見て覚えておきなさい。

 女の子を食べちゃうと心の中で思ったなら、すでに行動は終わっているのよ」

 

 

 そう言ったクラーマさんが手をくりっと動かしたと思ったらシャルラが泡を吹いて気絶しちまったようだ。

 

 温泉の湯気であまりよく見えないがこれってまずくないか?

 

 

「クラーマさんやり過ぎよ。

 シャルラちゃんの体力も無限ってわけじゃないんだから」

 

 

「そんな時は私の唾液で即解決! 吸血鬼の唾液が傷の治癒に役立つように私に舐められた子はたちまち元気になるわ♪

 大丈夫、私はエロのための能力なら極めているから!

 こういう特殊能力もけっこうあるから!」

 

 

 エロ関係の特殊能力持ちって、この世界でそんなのアリかよ!?

 

 普通こういうチートっぽい物語では『特殊能力』つったらバトル向けに特化してるだろうに、エロ特化の能力ばかり出るだなんて作者の趣味の表れとも言えるな。

 

 これは男として……、全力で見守る!

 

 

「それでこそダイヤージさ♪

 僕の心の友だね」

 

 

「だがシャルラとノレッジはすでに『体の友』になってたんだな。

 やっぱこれも修学旅行特有の妙なテンションってやつなのかねぇ」

 

 

 女子三人組の行動を静観する俺達。

 

 この後の展開が予想出来ていれば、正直この時点でやめときゃよかったと思う。

 

 でも仕方がないだろ? フィズに誘われて覗きに来たわけだが『変態紳士』という紳士の上位職にジョブチェンジしちまったんだからよ。

 

 

「それじゃあ私も上がったテンションで二人を潰してもいいですよね?」

 

 

 少しして目を覚ましたシャルラが発したセリフ。

 

 俺はこのセリフはノレッジやクラーマさんに今度は自分から攻めるという意味だと思って、一層の興奮を覚えたんだがそうではんかった。

 

 シャルラの言う『二人』が誰を指しているのか。

 

 この時のシャルラの笑顔を、俺は死ぬまで忘れない自信がある。

 

 その視線は完全に姿を消しているはずの俺らの隠れる草むらを捉えていたからだ。

 

 すっげぇ怖えぇ……

 

 

 

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

 気がついたらノレッジちゃんとクラーマさんと温泉で裸の付き合いをしていました。

 

 それはまぁ良しとしましょう。気持ちいいですし。

 

 ですがこの場を覗いている不埒な輩がいるというのは見過ごせません。

 

 

「まったくシャルラちゃんは実にけしからん。けしからん乳はあたしが揉みしだいてあげなくちゃダメよね。

 さぁ、いざ大人の階段登りましょう♪」

 

 

「クラーマさん、ノレッジちゃん。一旦ストップです。

 排除する必要がある私たちにとってのお邪魔虫がいます」

 

 

 手の中に風を集め、空気を圧縮し手の上に留めた形でプラズマを生みだして何も『視えない』場所に投擲する。

 

 

「「ぐあぁぁっ!」」

 

 

「誰!?」

 

 

「ダイヤージとフィズ?」

 

 

 やはりそうでしたか。

 

 フィズ君はともかくダイヤージ君もですか。

 

 どうやら本物の紳士ではなく紳士の亜種である『変態紳士』にジョブチェンジしたのですね。

 

 

「ダイヤージ君。それにフィズ君も。

 そんなに私たちの裸が見たかったんですか?

 でもそんな邪な目玉なら潰れてもいいですよね?

 眼球内の水分が蒸発するのってかなり痛むみたいだけど体験してみます?」

 

 

 再び手の中にプラズマ球を作って問いただします。

 

 

「あれ? シャルラちゃんって雷も操れたの?

 確か風だけなんじゃ……」

 

 

「風の流れを操作して手の中にプラズマを生みだしたんです。アリーナの元チャンピオンのミギンマルさんが雷使いでありながら風もある程度使えたのと同じ理屈ですね。

 匂いと心臓の鼓動から向こうの草むらに誰かがいるのは分かりましたが、姿が見えないのでオオナズチの素材で迷彩服でも作って着込んでいるんじゃないかな? と思ったのですよ」

 

 

「ノレッジちゃんも知っといた方がいいわよ。

 あたしもシャルラちゃんから聞いたんだけど霞龍オオナズチは皮膚に自身の生体電気だかなんだかを流すことで透明になっているみたいよ」

 

 

 ええ、お母さんがクシャルダオラという古龍なのでオオナズチの知り合いにも幼い頃に会ったことあります。

 

 どうやらフィズ君たちが来ていた服は外部に電気袋を取り付けることで常時迷彩状態にしていたようです。

 

 私の投げたプラズマ球による電撃で、服に取り付けられた電気袋以上の電気が流れたことで迷彩機能を破壊させてもらったのです。

 

 ちなみにコレ、原作設定ですよ。

 

 

 

「あー、なんつーかよー、男なら仕方がないとでも思ってくれよ……」

 

 

「そうです。これにて僕らは退散するのであとは三人でお楽しみください……」

 

 

 ふふふ♪ まさかこの状況でまだ自分が助かろうと努力が出来るなんてさすがと言いますか、馬鹿と言いますか。 

 

 さぁこの邪魔者を、私たちの愛の営みを覗きに来た哀れな二人に最大級の怒りを込めた苦痛をプレゼントしましょう。

 

 うふふふふふふふふふふふふふふふふ♪

 




 話に関係ありませんが、『星のカービィ スーパーデラックス』では『プラズマ』ばかり使ってました。
 十字ボタンを左右に連打して溜めに溜めた一撃を叩き込むのが最高でした♪ 小学生時代、スーファミで一番遊んだゲームかもしれませんね。よくセーブデータが消えてましたがw

 ……さて、これまで一応真面目キャラで通してきたダイヤージですが今回から『変態紳士』という紳士の上位職(?)にジョブチェンジです。

 やっぱ百合の話で男子を出すにはギャグ要員としてしか必要ないんですよねw


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第36話:性懲りもなくこの人たちは……

 『余裕』? 違うな。これは『油断』というものだ。と言った感じの話ですね。




 

「それじゃそろそろ……」

 

 

「ええ、始めましょうか」

 

 

「準備は万端よ。

可愛い子猫ちゃん達」

 

 

 お風呂にて覗き魔を撃退した私たち。

 

 身体を綺麗に清め、これから夜の営みを始めようとしているところです。

 

 それにしても元気ですね二人とも。

 

 

「この時をどれだけ待ったことか……」

 

 

 何か感慨深いものがあるのかいつになく神妙な顔をしたノレッジちゃん。

 

 修学旅行の夜を私と過ごすことを楽しみにしてくれていたんだと思うと友達として以前に、女として嬉しくなってしまいますね。

 

 頬の緩みを抑えられません。

 

 

「ノレッジちゃんもそうだけど、クラーマさんとも、さっきお風呂でにゃんにゃんしてからそんなに時間経ってないのに本当に好きなんですね」

 

 

「それはそれ、これはこれよ。

 というか子猫ちゃんにかけて『にゃんにゃん』とかセンスあるじゃないの♪」

 

 

 別に掛けたわけじゃないんですがね。はぁ、

 

 

「正直に言えば二人の気持ちは嬉しいですが、私としてはさっきもうしましたし、明日もユクモ村近辺の狩り場などの観光がありますし早めに寝てもいいと思うんで「甘い!」……すが、何が甘いんですかノレッジちゃん?」

 

 

「シャルラちゃん……。修学旅行ってのはね、夜が本番なのよ。

 むしろ昼間の観光名所を見て回ったり食べ歩きなんてのは、おまけなの。いらないの。夜さえあればいいの!

 明日の観光に備えて早く寝る? ノ~、それは間違ってるわ!

 今しかない学生時代の最大級の思い出となる夜を寝て過ごすだなんて出来るわけないわ!」

 

 

「よくぞ言ったわノレッジちゃん!

 そう、修学旅行ってのは夜が肝心なのよ!!!」

 

 

 先ほどから様子を眺めていたクラーマさんは何か共感するものがあるのか腕を組んで肯いています。

 

 ノレッジちゃんの言葉にまるで体験談のように語っています。

 

 

「いやね、これは体験談なんだけど。

 私は毎年学院の修学旅行には教師じゃないけど参加してるんだけど普段ツンツンした女の子たちもこの日ばかりは警戒が緩むのか一気に押し倒しちゃうと案外いい感じになっちゃうのよ。

 こう見えても、今日もこの夜までの間にこっそり他の子の部屋にもお邪魔してたりするのよ♪

 だから今夜は二人だけに集中出来るわ」

 

 

 くねくねと身をくねらせて照れちゃってまぁ、何とも年の分からない人ですね。

 

 そういえばクラーマさんは女子寮寮長なんですし私たち以外にもクラスの女の子と顔見知りで体の関係があっても不思議はありませんよね。

 

 それにしてもなんとも絶倫な人です……

 

 

「「それじゃ早速……、あらゆる生命に感謝して。いただきますッ!」」

 

 

 あーもー、仕方ないですね。

 

 それじゃ私も楽しませてもらいましょう♪

 

 すべて受け入れて見せますよ、二人とも。

 

 

 

 

 

 

 

 ダイヤージside

 

 

「準備は万全だぜフィズよ」

 

 

「僕の方こそ不備はないさダイヤージ」

 

 

 俺らは今宿の自室にて、ある作戦を遂行するために作戦の最終確認をフィズと二人でしているところだ。

 

 

「二人はすでにクラーマさんの部屋に入ってる。

 シャルラは風呂場でボコったあと、翌日まで俺らが目が覚めないと思ったんだろうがそうはいかねぇ。

 『変態紳士』に進化したことで俺は耐久値、エロさ、体力、治癒力の全てにおいてパワーアップしてっからな。

 あの程度何の痛痒にも感じねぇさ」

 

 

「僕は普段から殴られ慣れているから気絶をしても10秒もあれば復活可能だからね。

 じゃあもう一度確認しようか。

 今回の肝となる『ラブラブキッス大作戦』について」

 

 

「ああ、紳士として必ず成功させようじゃねぇか!」

 

 

 さっきの風呂場での覗きなんてチャチな事は本当の目的であるこれから行う作戦と比べりゃ小っせぇのさ。

 

 俺らの本当の野望とは、シャルラとノレッジ二人のあの瑞々しい、ぷるんぷるんの唇のみ!

 

 この物語はギャグなんだしきっと上手い事やっちまっても、

 

 

 「うわ、わりぃ」

 「いえいえ、ダイヤージ君なら嫌じゃないですよ♪」

 「私もダイヤージになら……、下の初めてもあげちゃおっかな♪」

 

 

 なーんて展開になっちまったりしてよぉ!!!! ってよぉ♪

 

 

「そうさ! あの二人も風呂場で裸を覗いた時に殴ってきたのも、きっとテレ隠しに違いない!」

 

 

「僕も二人に誘われた時の心構えをしておかないとだね。

 精力剤でも飲んでおこうかな♪」

 

 

 まぁ、多少楽観的かもしんねーけど、いざとなりゃ隣で呑気に構えているフィズを犠牲にすりゃなんとでもなるだろう。

 

 そうして先ほどの風呂場での失敗を活かしてフィズはオオナズチの素材で出来た服を短時間で改造し、姿だけでなく、気配まで完全に零にするという効果まで付与されている。

 

 廊下を忍び歩き、途中で正面から歩いてきたハリー先生に改良した服の実験として頭に石ころを乗せてみたが気づかれなかったな。

 

 フィズ曰く『ハリー・タワー・レクイエム』って能力らしい。

 

 

「そういやクラーマさんの部屋だがどうやって中に入る?

 さすがに普通に扉を開けて入れば気付かれるんじゃね?」

 

 

「それもちゃんと計画に入れてあるさ。

 ほら、廊下のここ、隠し扉があるだろ?

 この宿屋を建築した大工も漢だったってわけさ」

 

 

 隠し扉に隠し通路。忍者屋敷のように、くるっとまわって一回転ってな奴だ。

 

 もしかしたらこの宿屋を建てた奴は泥棒とかだったんじゃねぇのか?

 

 

「断じて違う!

 ダイヤージ! この宿屋を造った人は本当に正真正銘の漢だったんだ!!

 絶対に盗みのために使ったりはしない!」

 

 

「お、おう……、いきなり大声出すなよ。

 気配消してても気づかれちまうじゃねぇか」

 

 

 まっ、今のは俺も悪かったわ。

 

 真の漢なら女体の神秘を追い求める以外にこんな機能を使うわけねーよな。

 

 とりあえずこの宿屋を造った大工に感謝をしながらクラーマさんの部屋があるであろう場所まで移動をする。

 

 壁の中には隙間があって狭いながらも移動出来たんだが……

 

 

 ギシギシ

 あんあん

 

 

「止まれフィズ!

 ギシアン部屋発見!」

 

 

「OK! ダイヤージ。

 こっちはすでに心の準備も完璧だよ」

 

 

 流行る気持ちを抑え、隠し扉から部屋の中に侵入する。

 

 

「あぁ~、シャルラちゃ……ん……」

 

 

「ふふふ♪ 私がやられてばかりの女だと思ったら大間違いですよクラーマさん。

 私ってば幼い頃からお母さんの友達で雌雄同体のフルフルさんから色々な大人のテクを学んでますからかなりのテクニシャンなんですよ♪

 勿論女の私が同じ女性を相手に快楽を与える技術も習得済みです。

 それは身体で今こうして経験して分かっているでしょうけど」

 

 

「クラーマさん、シャルラちゃんにイかされるのって、どんな気持ち? ねぇどんな気持ち?

 次は私の番なんだから早めにイっちゃってくださいね♪」

 

 

「「(…………)」」

 

 

 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 『女子二人の仲がいいのは知ってたし風呂場での一件からシャルラとノレッジ、それにクラーマさんは体の友』なんだということも理解していた。

 だがどうもSっ気があるのはシャルラの方だったみたいなんだ。

          な……何を言ってるのか 分からねーと思うが、

           俺も何をしているのか分からなかった……

          頭がどうにかなりそうだった……

         百合だとかレズだとか、

        そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ

       もっと素晴らしいものの片鱗を味わったぜ……

 

 

「じゃあ私のSっ気を『片鱗』だけでなく本気の全力のMaxパワーで味わってみますか?

 ダイヤージ君。フィズ君」

 

 

 見つかっちまった!?

 

 なぜだ!? 気配は完全に消していたし、声も出していないからバレるはずはないというのに!!

 

 ちなみに俺はSだ。

 

 

「何を今更。

 確かに気配を零にしているようですが貴方達が動くたびに空気が動くんですよ。

 屋外ならもう少し上手く隠れられたんでしょうが『風』、そして『空気』に全く干渉せずに生きて行動が出来る人なんているわけないじゃないですか。

 あなたたちは覚悟して来たんですよね?

 覗きをするってことは逆に見つかった時に殺されるかもしれないと覚悟してきた証拠です。

 ではこれからあなた達に起こる出来事のすべてを受け入れる覚悟もありますよね?

 でも大丈夫です。安心してください。私は寛容ですから罰を受けてくれるなら許してあげます。

 それじゃ、そういうわけでお邪魔様。

 世界はあなた達みたいのがいるから生きてるだけの価値があると思うのですよ。

 だけどダイヤージ君、それにフィズ君も。あなた達は少しばかり欲望に忠実すぎです。

 人間というのはもっと凄い生き物なんですから、やるなら覗きみたいな生ぬるいことは無しにしてガチでぶつかってきませんか?。

 あ、ちなみに私は今回の話は冒頭から読者視点で眺めていましたので『ラブラブキッス大作戦』についても知ってますがそれこそ生ぬるい行為だと気づいてください。

 本当にさようならですね。

 殺さない代わりに、死にたくなってください」

 

 

 俺とフィズは疑いようもなく、覗き魔でキス魔で殴られることも死ぬことさえも覚悟してきたが死ぬことすら出来ない展開は予想していなかった。

 

 そして俺の意思はそこで途切れた……

 

 

 …………………………。

 




 ジョジョ関係を色々とネット検索していたら『ポルナレフ・タワー・レクイエム』というのを発見。大爆笑♪

 それにしても直接的な単語を出さなければ15禁の範疇だと思って書いていますが、もう少しくらい際どい文章でも平気ですかね?

 最近特に自分の中の基準が下がっているので描写シーンが細かくなっていく気がします。

 まだぬるめな気がしますし、もう少し深く細かく書いても平気ですね。


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第37話:女体盛RYYYYY~

 ようやく久し振りに普通の授業風景。

 やっぱ学園物は日常的な話があってこそですよね。

 こ・う・い・う・話があってこその学園物ですよね♪




 

 

 連日の猛暑も終わり、季節はすでに温暖期を過ぎようとしています。

 

 時期的には温暖期と寒冷期のちょうど境目といったところでしょうか。

 

 まだまだ暑い日もありますが、肌寒い日が多くなってきた今日この頃。

 

 王立学術院は生徒や教師たち、全ての学者を目指す者たちに探求心と知識欲を満たさせるために朝からその大きな門扉を開いているのでした。

 

 

「ってことで、今回は学院での季節の変わり目を描いた話ってことですね」

 

 

「そうね。前回の修学旅行の話も『家に帰るまでが修学旅行だ!』って言うハリー先生の言葉をガン無視して修学旅行二日目からの学者の卵らしい修学旅行先での名所観光&勉強シーン&帰路のイベントを全てカットして再びのんびりとした授業風景に飛んでもおかしくはないわよね」

 

 

 ええ、そうですね。

 

 ノレッジちゃんの言うとおり私たちは修学旅行の話をすでに終わったものとしてまた普段の日常を始めようとしています。

 

 勿論学院に帰ってくるまでの間、旅行先であるユクモ村に私が滞在しているという噂がいつの間にやらモンスター界に広まっていたらしく、お母さんの友人のテオ・テスカトルさんとナナ・テスカトリさん夫婦やラオシャンロンさんがやってきて、村が壊滅的被害を受けたりもしていましたが、それらのシーンもオールカット。

 

 だって美少女のすることなら何でも許されるんですもの♪(涙目、上目遣いのコンボでユクモ村の人たちには許してもらえました)

 

 で、当然のように前回の話で死にかけた二人も生きているわけです。

 

 

「……前回の俺らって風呂場を覗いてボコられて、寝込み(行為中)を襲って唇を奪おうとして殺されかけただけで修学旅行らしいイベント何もしてねーよな? フィズ」

 

 

「でも話として描写はされてないけど僕たち本当にヤバかったよねダイヤージ」

 

 

 修学旅行ですっかり仲良くなったダイヤージ君とフィズ君。

 

 二人にはクラーマさんの魔眼(薬)で永遠に『死』という結果に辿りつけないのに死に続けるという暗示にかかってもらったので実際に何度か夢の中では死んじゃってたみたいですね。

 

 『クラーマ・エクスペリエンス・レクイエム』という技らしいのですが、相手を幻術で何度も殺し続けるだけなので肉体に物理的ダメージはありませんし決して死なないので、おしおきとしてはちょうど良かったのでしょう。

 

 一応あんなのでも私のお友達(下僕)ですし。

 

 まぁ、そんな事はさておき授業に戻りますか。

 

 いい加減、無駄話も終えて授業を真面目に受けないと前で説明をしているハリー先生が気付いてしまいますからね。

 

 

「_____それでは今日の授業の『家庭科』の授業を始めるとしよう。

 料理はハンターの基本でもあり、学者の基本でもある。心してかかるように。

 尚、今日みんなに作ってもらうのは『幼なじみの女の子が照れながら用意した手作り感が溢れるお弁当』だ!

 男子は女子のサポートに回って立派な『手作り感あふれるお弁当』を完成させるんだぞ♪↑(吾輩のために)」

 

 

 とまぁ、今日作るのはこんな感じのハリー先生の趣味丸出しの料理、もといお弁当のようですね。

 

 幼なじみ萌え?

 

 

「でも私、あまり料理作ったことないんですよね」

 

 

「別に手作り感を出すためならいいんじゃないのシャルラちゃん?

 私は通信講座で特級厨師の資格を取ってるし問題ないけど。

 そういやダイヤージも料理の腕はいいんでしょ?」

 

 

 材料を取ってきてくれたダイヤージ君が応える。

 

 

「ああ、昔っから家事は全部俺の仕事だったしよぉ。

 料理に関してもかなりの腕だと思うぜ」

 

 

 まぁ、実際海水浴の時にお弁当を用意してくれたりしましたしね。

 

 食べることは出来ませんでしたが。

 

 

「僕は女性に媚や……栄養価の高い食材で、淫ら……健康的な毎日が送れるように日々料理の研究は欠かしていません」

 

 

 本音をちょこちょこ漏らしている辺りがカッコ悪いですけどフィズ君らしいとも言えますね。

 

 私もまったく出来ない訳じゃないんですけど元々古龍と人間のハーフですから生肉や毒キノコでも平気で食べれるんですよね。それも美味しく。

 

 だから生だろうと火を通そうとみんな平等に美味しく感じるから料理の必要性を感じなかったんですよ。

 

 

「それは駄目よ!

 シャルラちゃん。料理は愛情って言葉は有名だけどそれは違うわ。

 料理に必要なもの、それはエロスよ!」

 

 

 は?

 

 

「いえ、これは本当なのよシャルラちゃん。

 呆けてないで聞いてちょうだい。

 エロい格好で、可愛いシャルラちゃんがご飯を作ってくれたりしたら私はもう理性を宇宙の彼方まで吹き飛ばせるくらい歓喜にうち震えるわ!

 具体的にはキリン装備の腰だけビストロエプロンに変えたものを着て頂戴♪」

 

 

「それは結局のところ私がエロさを出していけば何でもいいってことですか?」

 

 

 いつもと変わらないですね。

 

 料理にエロさを求めてどうするんでしょう?

 

 

「いやいやノレッジよぉ、料理に一番大切なのは『基礎』だと思うぜ?

 愛情だのエロさだのは二の次三の次。

 まずは普通に食べられるものでなけりゃ駄目だ」

 

 

「僕もダイヤージに賛成だね。

 女性から差し出されたものは何でも食べる覚悟はあるけど、実際にそれが壊滅的にマズい料理だったら死んじゃうし。

 ほら、ギャグ漫画のヒロインが作る料理って大抵死なないまでも意識が飛んじゃうようなものばかりだしさ」

 

 

 ダイヤージ君もフィズ君もけっこう失礼なこと言いますね。

 

 いくらなんでも私は料理を作ると鍋とか爆発させちゃうようなタイプではありませんっ!

 

 

「それならば私の料理の腕前を見せてあげましょう。

 ハリー先生が決めた今回の授業のテーマも『幼なじみの女の子が照れながら用意した手作り感が溢れるお弁当』ですし私の本気を見せてあげます」

 

 

「(ふふふ♪ 計画通り。あとは私が美味しく戴くだけ♪)」

 

 

「(食えるもんに仕上がってんなら俺が掻っ攫ってもいいな)」

 

 

「(シャルラさんのお弁当は他の班からも人気ありそうだし、僕以外の男子に食べられる前に奪い取らねば!)」

 

 

 何やら心を読むまでもなく考えていることが丸分かりな三人。

 

 何だかんだ言いつつも、そんなに私の作ったお弁当が食べたいだなんて皆さん、からかいがいのある人たちですね。

 

 ならばお見せしましょう!

 

 このシャルラ・アーサー一世一代のエロス料理をっ!

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「シャルラ式究極かつ至高の料理完成ぃぃぃ~♪」

 

 

 あっさり完成。

 

 

「……一体何が出来るかと思ったら、ここまでのものとは。

 さすがはシャルラちゃん。グッジョブ♪」

 

 

「グレートだぜッ!!!」

 

 

「ぼ、僕にはちょっと刺激が強すぎ……ぶはっ」

 

 

 勿論エロス溢れる料理と言えば……『女体盛り』!

 

 と言っても私自身に盛りつけたわけじゃありませんよ。

 

 

「さすがはクラーマさんですね。

 とても美味しそうです♪」

 

 

 材料はクラーマさんです。

 

 

「ホント!? シャルラちゃん!?

 私ってばそんなに美味しそう!?」

 

 

「ええ、この世でもっとも美味しそうな料理へと仕上がっていますよ」

 

 

 私が自分の身体を使って女体盛りなんて恥ずかしい真似するわけないじゃないですか。

 

 ですがエロスな料理と言えばこれしか思いつかなかったので学院受付で昼間っからお酒を飲んでいたクラーマさんに手伝ってもらったというわけです。

 

 

『私が食べたいから♪』と一言言っただけでクラスのみんなの前で潔い脱ぎっぷりを披露してくれるだなんて、さすがはクラーマさんですね。

 

 ちなみにクラスの女子の全員が歓喜の声を上げていた辺りからして、クラーマさんは私のクラスの女子は全員残さず食べちゃっているようですね。

 

 さすがは愛の権化!

 

 

「ちょっ、クラーマ! お前なんで吾輩の授業に来ているのだ!?」

 

 

 ややっ! ハリー先生もさすがに気づいちゃいましたか。

 

 ですが『幼なじみの女の子が照れながら用意した手作り感が溢れるお弁当』というテーマから外れている訳ではなりませんし材料に何を使うのも自由だったので文句は言わせませんよ。

 

 

「おー、ハリ~♪

 あたしねぇ~シャルラちゃんに美味しく戴かれに来たのぉ~♪」

 

 

 酔って判断力が鈍いというのもあったんでしょうが、ノリノリのクラーマさん。

 

 いい加減この人も独身のままってのも、さみしいですしハリー先生辺りとくっついてくれればなぁ~、という考えもあってのことだったりします。

 

 

「さすがはクラーマさんね。

 最近夜はいっつも私とシャルラちゃんの三人で体の友って関係になっちゃってるけどまさか公衆の面前でこうも恥じらいも何もない堂々とした脱ぎっぷりを見せてくれるとはさすが!」

 

 

 まったくですね。脱がした私が言うのもなんですがもう少しクラーマさんは恥じらいというものを持ったほうがいいのではないでしょうか?

 

 女の子は堂々と服を脱ぐよりも、少しくらい恥じらいながら(涙目なら尚良し!)脱ぐほうが可愛いですからね。

 

 

「明日は明日の風が吹く~ってね♪

 シャ~ルラちゃんに脱いでくれって頼まれちゃ、あたしが脱がない理由にはならないっての! ってのぉ!

 あっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」

 

 

 すでに酔いが回って、えらい事になっちゃってます。

 

 朝からえらくハイペースで飲んでいたらしく、随分とハイになっちゃってます。

 

 傑作ですね。

 

 というか普段からこんな状態で貴族が来ることもある王立学術院の受付をしているだなんて本当に豪快な人です。

 

 

「シャルラ~! ノレッジぃ~!

 クラーマを止めてくれー! 吾輩はこいつには敵わんのだ~」

 

 

 クラーマさんに押し倒されて……ボコボコに殴られているハリー先生。(クラーマさんは百合ですので男相手に酔った勢いでも迫ったりはしないみたいです)

 

 さぁて、ハリー先生もいい具合に困っているようですし私は私でのんびりと過ごしますか。

 

 それにしてもこの物語も『シャルラ・アーサーの狩りと愛の日々』ってタイトルでも良かったですね。

 

 もしくは『シャルラ・アーサーが往くエロスへの道』ってタイトルもありかも♪




 普段からエロエロなクラーマは酔うと手がつけられなくなる! ってノリですね。

 ハリーとくっつけるのもアリだとは思いますが私はハリーよりも百合な展開の方が書きたいので完結後の嘘エンドとかでもなければ書かないと思います。

 賛否両論あるかもしれませんが、やはり百合は最高だと思います。


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第38話:決闘を申し込まれちゃいました

 そういえば学園物なんかでは男女比2:3の五人組ってのが定番ですし、モンハンとはいえ、狩りに出ることがないんですから五人目を出してもいいと思うんですよね。

 最近特に出番の多いクラーマはやっぱり準レギュラーでいてこそのキャラですし。

いっそ男子を排して女子五人にしようかな。……悪くない。




 

 

ぐびっぐびっぐびっ

 

 熱い液体を喉全体で味わうように嚥下し、身体を芯から熱くしていくこの感覚。

 

 最初は美味しく感じませんでしたが今では大好きになってしまったお茶、『甘茶(アマーティ)』と『二十茶(トゥエンティ)』の混ぜ合わせの独特のぬめりと言いますか、この不思議な感覚も最近では意識を保ったまま味わえるようになってきています。

 

 熱い太陽に熱いお茶。

 

 

「くぅ~、この焼けつく喉越しがたまりませんねぇ~」

 

 

「何オヤジ臭い飲み方してるのよシャルラちゃん。

 もうすぐ温暖期も終わるってのに熱いお茶飲むだけの話だなんて」

 

 

「くー! ボコボコに熱されてる~!

 犯罪的な美味しさですー♪」

 

 

 ……今クシャルダオラの娘のくせして熱いお茶飲むなんて変と思った携帯画面、もしくはパソコン画面を見ているあなた。

 

 別にクシャルダオラの娘が熱いお茶が好きでもいいじゃないですか。

 

 私は騒がしいのも好きですがこういう、まったりとした時間も大好きなんです。

 

 なのでお茶飲んで幸せ~ってな話も一度くらい、やっておきたかったんですよ。

 

 というか今回の話はそういう話に出来ればいいんですけどねぇ~。

 

 

「それはさておき折角早起きしたんだから、たまには遅刻せずに学院に行きましょうよ。

 さすがにお茶飲んでて遅刻したってのはハリー先生も許してくれない気もするし」

 

 

「そうですね。私もさすがにお茶飲んでおしまいってな展開にはしませんよ。

 では今朝はここまで続きは明日。でももう少しだけ♪」

 

 

 最後の一杯を一気飲みして、さらにもう一杯を飲み干して、さらにさらにもう一杯の計三杯飲んで鞄を手に取ると爽やかに寮を出て学院に向かいます。

 

 クラーマさんはまだ寝ているのか、寮の受付と学院の受付の両方とも姿は居らず、代わりにアイルー達が忙しそうに働いていました。

 

 

「ん? 何か下駄箱に手紙のようなも「ちぇいさー!」のが……ってノレッジちゃん、人の手紙を取らないでくださいよ」

 

 

 靴を上履きに履き替えようと下駄箱を開けたのですが、中には何やら手紙らしきものが入っていました。

 

 ですが私が下駄箱に入っていた手紙を手に取るよりも早く、目ざとく感知したノレッジちゃんは、それこそ疾風の如き早さで私の手が手紙に触れる前に横から掻っ攫っていきました。

 

 本当にこの人は人間離れした身体能力を無駄に発揮する人ですね。

 

 

「えーと何々?

 『校舎裏で待つ』……。

 これだけしか書かれてないみたいね。

 誰からの手紙かしら? ラブレターだったら破り捨ててやろうと思ったのに」

 

 

「ラブレターだとしても異性とのお付き合いだなんて恥ずかしいですし、今は恋愛にうつつを抜かす気分じゃないんですよね。

 それとも決闘の果たし状とかでしょうか?」

 

 

 どちらにしろ、これはこれで授業をサボターってしまういい機会ですね。

 

 遅刻するのは平気ですが理由もないのに学院を休むのは気が引けますし。

 

 都合良く休む口実にさせてもらいましょう。

 

 

「それじゃノレッジちゃん。私ちょっとこの手紙の主に会ってきますね。

 ハリー先生には上手い事伝えておいてください」

 

 

「え? こんな時間の指定もいない呼び出しに応じるの?

 こういうイベントは、たいてい放課後か昼休みと相場が決まっているから今行ってもいないんじゃない?

 時間を書き忘れただけの可能性があるし、そもそもイタズラかもしれないじゃないの」

 

 

「ふふふ。だからですよ♪

 この手紙の相手が居なければ居ないで構わないんです。

 問題は『私』に『休む理由』が出来たことのみ」

 

 

 この一言にノレッジちゃんは、あぁなるほどと言ったように肯く。

 

 そう、私は理由もなく授業をサボるのには良心の呵責を感じてしまう可愛らしい真面目っ子ちゃんなのですが理由さえあればどんな決まりもルールも『知ったこっちゃないわよモード』になれるのです!

 

 と、言う訳でノレッジちゃんとは一旦別れて呼び出された校舎裏に行ってみました。

 

 別れ際に熱い抱擁と接吻を楽しんじゃったのはおまけ♪

 

 

「うーん、誰もいませんねー。

 やっぱりイタズラだったんでしょうか?」

 

 

 校舎裏にはゴミ処理用の焼却炉がある以外、特に変わったものもなく、校舎の影に隠れてはいますが見通しが利く場所なので誰かが近づいてくればすぐに分かりますが気配を感じません。

 

 

 

「うん、これは来そうにありませんね。

 お菓子でも買ってクラーマさんのところにでも遊びに行こうかな……

 まだ寮の管理人室で寝てるのなら起こしてあげないといけませんし。

 眠ったお姫様は愛しの王子様のキスで目が覚めると言いますが私に男役が務まりますかね?」

 

 

 まぁ、私はけっこうSっ気がありますし、そういう経験も豊富なので大丈夫でしょうが。

 

 ノレッジちゃんとの別れ際にしたように、熱く、ぬるりとした快楽に溺れさせてあげましょう。

 

 逆に目を覚まさなくなるかもしれませんが。

 

 

「……それにしても朝飲んだ二種類混合のお茶の影響が出ているのかもしれませんね。

 どうにも思考がエロい方向にしか働きませんし」

 

 

 まぁ、いつものことか、と思い直し、校舎裏に来てから5分も待たずに相手がいないと判断をした私は踵を返したのですが、そこで視線を感じました。

 

 少し離れた木陰に寝っ転がった人がいるのです。

 

 さっきはいなかったのにいつ現れたんでしょう?

 

 もしかして酔っ払いさん?

 

 

「もしもーし、大丈夫ですか~?」

 

 

 声をかけてみる。

 

 酔って倒れているのなら頭をぶつけているのかもしれませんし、打ち所が悪ければ死んでいてもおかしくはありませんからね。

 

 一応最低限の良心を持っている私ですし助けてあげるのも吝(やぶさ)かではありません。

 

 というか面白そうですし。

 

 

「もしもーし、大丈夫ですか~?」

 

 

 二度同じことを聞いてみる。

 

 目の前で倒れている人、黒いローブで全身を覆っているので性別すら不明ですが見るからに怪しいです。

 

 そして反応はありません。

 

 あまりにも反応がないので死んでいるのかと思ったこの時の私の判断は間違いじゃないでしょう。

 

 しかしこの人こそが私を呼び出した人で、意図があって倒れているのなら私の行動は失敗だったと言わざるをえません。

 

 なぜなら次の瞬間に突然起き上がって攻撃に出てきたからです。

 

 

「かかったなアホが!」

 

 

 とまぁ、見事なまでに死んだフリをしていた黒尽くめの人は、何かスプレーのような物を振りかけてきたわけですよ。

 

 まったく、私が普通のか弱い少女だったら食らっていたでしょうね。

 

 

「不意打ちをするのに掛声をあげるだなんて馬鹿ですかあなたは。

 それと私、『風』が操れますしスプレーとか、そういうの効きませんから」

 

 

 軽く息を吹きかけただげでスプレーのガスは使用者へと跳ね返り、

 

 

「む……無念」と一言言うなり再び倒れたわけです。

 

 

「ふぅ~、誰なんでしょうかこの人。

 どうやら毒ガスの類ではないようですが睡眠ガス? のようですね」

 

 

 自分に返ってきたスプレーのガスで寝てしまった襲撃者の顔を見るために頭からすっぽりと被っていたフードを外して見る。

 

 するとそこにいたのはこれまた幼い女の子でした。それも美少女。いえ、美幼女です!

 

 

「ふむう、見たところ私よりは二つ三つは下ですね。

 身長は私とそこまで変わりませんがスタイルでは私の勝ちです」

 

 

 ふふん、と思わず得意気になってしまいましたが年下相手にスタイルで勝った位で勝ち誇るだなんて私も子どもっぽいですね。

 

 今の社会は女性の胸に大きさのみを追い求める風潮もありますがそれは違います!

 

 女性の胸は感度こそが重要ということを忘れている悲しい社会になってしまっていますが、それを何とかするのもこれからの時代を生きる者の使命ではないでしょうか!?

 

 まぁ、私自身が形、大きさ、感度の全てを兼ね備えた最高のおっぱいを持つ美少女なんで、私が言っても説得力無いかもしれませんし、あまりこういう態度は控えましょう。

 

 

「それにしてもこの子どこの子なんでしょう?

 誰か学院の先生たちの子どもなのでしょうか?

 まぁ、《義を見てせざるは勇無きなり。ただしエロスはある!》と言いますし、このまま放置しておいて誰か不埒な輩に襲われてもいけませんし助けてあげますか」

 

 

 美幼女ですし♪

 

 これが男だったりしたら全身の骨を粉々に砕いてあげたんですが可愛いのでそんなことはしません。

 

 とりあえず学院の保健室にでも連れて行きますか。

 

 わきわきと動かした手で幼女の小さな身体を揉みしだきながら。

 




 新キャラ幼女はノリで出したので、この先どうするかはあまり考えてなかったりw

 まぁ、オチは考えてあるので上手い事物語を運べるでしょう。

 そして貧乳はステータスです! 今の時代、そこまで希少ではないかもしれませんが、少なくとも私にとっては最強に効果があります。

 でも私が好きな漫画、ラノベ、ゲームの好きな女性キャラで上位に位置するキャラは大きいのが多い気がする……。

 まぁ、デモンズソウルの「かぼたん」以外で愛してると言えるほど愛しているキャラって動物系以外でいないんですけどね。

 私が愛するのはかぼたんだけです!


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第39話:巨と貧

 読みたい本が溜まっていく。ザ・ワールド! 時よ止まれ。

 もしくは影分身の術か、一生働かなくても済む大金か。

 ……現実的なのは読む速度の向上ですかね。




 校舎裏で謎の呼び出しを受け、襲ってきた少女を眠らせたまでは良かったのですが放っておくわけにもいかないので保健室まで運んできましたってところで今回の話を始めようと思います。

 

 

「すいませ~ん、エナ先生いますかー?」

 

 

 保健室。

 

 そこは色々な理由で学院の生徒たちが休む場所。

 

 常に健康状態を最良に保つために状態異常無効化のお守りを身につけているので私自身は本来(・・)の用途で利用することはなかったのですが、たまに興奮状態になったノレッジちゃんやクラーマさんと学院で高ぶりを収めるのに利用する場所でもあります。

 

 休むではなく、疲れる場所ではありますね。

 

 ちなみに保健室の隣はシャワー室になっていたりします。

 

 なので、ここの保健医、エナ先生とも顔見知りだったりします。

 

 

「あらあら久し振りじゃないシャルラちゃん。

 具体的には一週間ぶりくらいかしら。

 今日の相手はクラーマ? それともノレッジちゃん?

 ……ってあら~♪ 新しい子を連れてくるだなんてあなたも立派な百合っ子になっちゃったのね~♪

 お姉さんびっくりだ!」

 

 

 この妙に明るい人こそがこの保健室の主であるエナ・スクラ先生。

 

 現在27歳のお色気ムンムンの美人保健医です。

 

 クラーマさんと違うのは女の子だけでなく美少年(15歳まで)ならイケるという普通のバイってところくらいですかね。クラスの男子も何人か怪我も病気もないのに通い詰めているみたいですし。

 

 私も何度かこの人とベッドを共にした仲ですし、けっこう仲良しだったりします。

 

 

「この子は私の百合相手とは違いますよエナ先生。

 さっき校舎裏に私を呼びだして不意打ちを仕掛けてきた子です。

 放っておくことも出来なかったのでここまで連れて来たんですけどこの子、学院の生徒じゃありませんよね?」

 

 

「……んー、うん。こんなに可愛い子なら覚えていないはずないもの。知らないわね。

 私は毎年新入生の可愛い子の顔と名前は丸暗記してるから断言するけど、うちの生徒じゃないわ。

 となると、不法侵入ってことになるし尋問って形で私が手とり足とり色々と取り調べちゃってもいいのかな~♪」

 

 

 たちまち桃色オーラを立ち上らせるエナ先生。

 

 この人もこの人でヤバい人なんですよ。

 

 

「ん……」

 

 

「あ、気がついたみたいですよ」

 

 

「本当ね。あらあら~♪

 寝顔も可愛かったけど目を開けると、もっと可愛らしいのね。

 惚れちゃいそうだわ」

 

 

「いやいや、保健の先生としてそれは駄目ですよ」

 

 

 保健の先生に限らず駄目だとは思いますが。

 

 

「ここは……。そうだッ! シャルラ・アーサー!!!」

 

 

「へっ? やっぱり私に何か用があるんですか?」

 

 

「用なんてもんじゃないわよ!

 これはもう恨みよ! 死になさい!!!」

 

 

 目が覚めたと思ったら瞬時に懐に仕舞ってあったナイフを抜き放ち斬りかかってくる。

 

 ナイフ使いとしての才能はなかなかのもの。

 

 それに目に迷いがないのも素晴らしいですね。

 

 私よりも幼いようですが、それなりに修羅場を潜り抜けてきたんでしょう。

 

 

「でも殺されてあげるわけにはいかないんですけどね」

 

 

 どんなに素早い攻撃だったとしても私にはあくびが出るくらいにスローに見える動き。

 

 これでも私、才能+努力で、お母さんやお父さんの助けなしでも大自然の中で生活できるくらいには強いんですからナイフなんかを食らうはずがありません。

 

 首筋の頸動脈を狙ってきているようでしたが、ひょいと指先のみで摘まんであげます。

 

 

「私も人に恨みを絶対に買ってないとは断言できませんが、それでも殺されるほどの恨みも覚えがないんですが。

 もしかして書士隊長のロン氏の差し金ですか?」

 

 

「え、シャルラちゃんロン隊長に命狙われてるの?」

 

 

「いや、これけっこう周知の事実なんですけどエナ先生はこれまでクラーマさんやハリー先生辺りから聞いていないんですか?」

 

 

 私の質問に笑顔で思考するフリをして結局首を振るエナ先生。

 

 どうやらエナ先生は学院内の職員会議には一切参加していないようで「難しい話はわかんなぁ~い」とかなんとか言って頭を使うこと自体を放棄した生活を送っていたそうです。

 

 そう言えば私もこれまであまり、そう言う話をこの人の前でしたことありませんでしたしね。

 

 

「くっ、あたしがあんたの命を狙っているのはぁ! クラーマ様のためだ!!」

 

 

「クラーマ様……ってクラーマさんの知り合いなんですか?」

 

 

「クラーマ様の名前を気安く呼ぶなー!!!」

 

 

「おっと」

 

 

 再び暴れ出すものの、ナイフは指先だけとは言えがっちり押さえているので抜けるはずがない。

 

 仕方がないので当て身を一発。

 

 

 シュッ

「くけっ……」

 

 

 ふぅ~、それにしてもこの子どこの子なんでしょう?

 

 まぁ~たクラーマさんが面倒事でも起こしたんでしょうかね?

 

 

「シャルラちゃ~ん。私に考えがあるんだけど~♪」

 

 

「この子を薬漬けにして可愛がろうとかは駄目ですからね。

 エナ先生もいい加減自分で作った薬を人に試すのやめてください!」

 

 

 保健の先生らしく薬の扱いにも長けているエナ先生。

 

 初めて保健室に訪れた生徒には何かしら怪しげな薬を試してしまう困ったちゃんな先生だったりするのです。

 

 

「いいじゃ~ん。私ってば薬作るしか能がないんだから~。

 まっ、今回は大体事情は分かったから薬を使う必要はないんだけどね。

 見てなさいよ」

 

 

 頭を使うのが嫌いと言うエナ先生は頭を使わなくても済むように大抵の事象は目にするだけで応えがすぐに脳内に浮かんでくるという非常に便利な能力を持っていたりするのです。

 

 どうやらこの少女がここに来た目的などもすでに分かったのでしょうね。

 

 

「ではまずは起こして~っと♪ えいっ」

 

 

「カフッ、ごほごほ……」

 

 

「あなたのお名前は何て言うんですかぁ~?」

 

 

「あんた誰よ。あたしの邪魔するつもり!?」

 

 

「ん~ん。邪魔なんてしないよぉ~。

 むしろ応援してあげたいくらいだけどさぁ、シャルラちゃんを殺す理由が知りたいの。

 それとあなたのお名前はぁ?」

 

 

「……まず、あたしの名前だけど……、サイリ・ニトロって言うんだよ。

 あれは今から36万……いや、1週間ほど前のこと」

 

 

 あ、語りだしました。

 

 

「あたしは生まれた時から孤児だったから孤児院で育ってたんです……

 貧しいならがも人に恵まれ毎日が幸せだった。

 だけどある日、暴力団が孤児院にやってきた。

 孤児院の借金の返済が滞ってしまったから」

 

 

 なんともまぁ、テンプレートな話ですね。

 

 でもそれと私の殺害がどう繋がるのでしょう?

 

 

「大人は女性しかいなかったし大半があたしら子ども。

 借金も返せない。

 何も出来ずに奴隷商に売り飛ばされそうになってたんだ。

 だがそんなピンチを救ってくれたのがクラーマ様だったんだよ!

 悪人共を千切っては投げ千切っては投げ、風のように現れて何も言わずに去って行ったあのお姿!

 今でもついさっきの出来事のように鮮明に思い出せるんだ!」

 

 

 目がキラキラと輝いていますね。これはマズイ気もします……

 

 

「だから決めたんだよ!

 あたしはクラーマ様にこの身を捧げようと!」

 

 

「……いや、クラーマさんを好きになるのはいいですけどあの人百合ですよ。

 可愛い女の子が大好きと言いますか。言ってしまえば変態です」

 

 

 まぁ、そういうところが好きになってしまった私も変態なのかもしれませんがね。

 

 

「それでも構わない!

 でも、恥ずかしいから遠くから見守るだけで満足してたんだ。

 けどここ最近の調査であんたがクラーマ様の体の友だと知ったのさ!

 だから殺す! クラーマ様は私のものだ!」

 

 

 ようするに熱烈なストーカーですね。わかりました。

 

 

「でもクラーマさんと一緒に過ごすときは私だけでなくノレッジちゃんも一緒にいますけど、それはどうなんですか?

 やっぱり私のあとに殺すとかですか?」

 

 

「いや、ノレッジ様はあんたと違ってカッコイイから殺さない。

 クラーマ様とお似合いのカップルなんだもの♪

 ……でもあんたはチビで私と身長も大して違わないのに出るところが出てて許せない!

 だから、殺す」

 

 

「ようするに巨乳嫌いってことですか。

 確かにノレッジちゃんは少しばかり自己主張の足りない慎ましい胸ですけど」

 

 

 しかし困りましたね。

 

 ロン派から派遣されたとかならギルドナイトをすでに手中に収めた私ですし刺客の一人や二人位、陰で始末なり何なり出来ますけど可愛らしい女の子相手に暴力的な方法を使う訳にはいきませんしね。

 

 

「ねぇ、シャルラちゃん。

 それなら、こういうのはどう?」

 

 

 ゴニョゴニョっと、耳打ち。

 

 

「あ、それはいいアイデアですね。

 ……それじゃサイリちゃん。

 私たちがクラーマさんとの間を取り持ってあげるから仲好くしましょ♪

 そもそも私を殺したらクラーマさんに嫌われてしまいますし」

 

 

「……確かに勢いで殺そうとしたけど、クラーマ様にあんたを暗殺しようとしたことが知られたら嫌われちゃうかも。

 だから人知れずに始末しようと思ってたけど計画を知られてしまった以上はあんたを殺そうなんて馬鹿な真似は出来ないってことなんだね。

 ……協力させてあげてもいい」

 

 

 ふふっ♪ 照れちゃってますけど本当に可愛らしい子ですね♪

 

 では早速作戦を始めるとしましょう。

 

 『クラーマさんに可愛らしい少女をプレゼントしよう大作戦』スタートです♪




 ちなみにエナの薬による副作用で死んだとしても、どこぞの撲殺天使が使うような釘バットと不思議な擬音で生き返らせることが出来るとか出来ないとか……。

 この辺から段々とエロさと百合が増えていく気がします。

 ちょっとずつレベルを上げると平気になってしまいますねw
 勿論後悔はしていませんし、自分の中ではR15の範疇ですが。

 あと医療漫画ってのもけっこう好きなんですよ。

 そしてキングスフィールドでは2が好きなのですよ。

 なので新キャラの名前の元にしました。


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第40話:小さな恋の物語

 こうして振り返って読んでみると、この作品は一番最初に書いた百合小説だけあって温いかもしれませんね♪

 11作目と14作目は結構な百合になっていますし、これから先もさらにグレードアップする百合小説家としてやっていくことでしょう。

 ノーマルなのも書く予定ですけど。




「それでは今日は新しいお友達を紹介したいと思いまーす♪

 サイリ・ニトロちゃんどうぞ!」

 

 

「えっと、あたしの名前はサイリ・ニトロって言います。

 ……よろしく」

 

 

 サイリちゃんが、はにかみながらも自己紹介をします。

 

 時間はお昼休み。

 

 そして場所は学院内の空き教室を保健医のエナ先生に確保してもらいそこに班のみんなとクラーマさんを招いて、ささやかなパーティーを開いているところです。

 

 班の三人には事前にサイリちゃんがクラーマさんと親密な関係になりたがっていることを伝えてあるのでフォローに回ってくれるようですし、クラーマさんもサイリちゃんを怪しい光を宿した眼で凝視しています。

 

 恥ずかしがらずに自分から言っていればクラーマさんは当然のようにサイリちゃんを可愛がってくれたでしょうに全く恥ずかしがり屋なんですから♪

 

 

「サイリちゃんって可愛いわね。

 私はクラーマ・ネーデシュアーレ。人生相談に身体の悩み、何でも質問しちゃっていいわよ♪」

 

 

「いや、クラーマさんいきなりそんな挨拶から始めるだなんて変人みたいですよ。

 ねぇ、ノレッジちゃん」

 

 

「あー、まぁねぇ。

 サイリちゃん、つまりクラーマさんはこう仰りたいのよ。

 『可愛いサイリちゃんのためにカッコいいところ見せたいぜ! そんでエッチなお願い聞いてもらっちゃうもんねぇ~♪』って。

 だからあまり深く考えなくてもいいわよ」

 

 

「正解よノレッジちゃん!

 ちなみに好物はプリケツよん♪」

 

 

 なんとまぁ、散々な挨拶。

 

 それにノレッジちゃんの補足を肯定するあたり、クラーマさんもそういう意味で言ったんでしょうね。

 

 あとお尻好きでしたか。

 

 

「プリケツ……お尻……つまり胸のないあたしでもクラーマ様と一緒に……」

 

 

 何やら私に対する殺意が薄れてきているのは、ありがたいのですがクラーマさんは可愛い女の子なら全体的に好きなので別にお尻だけが好きってわけじゃないんですよね。

 

 その……、私の胸とかもけっこう揉まれて、さらに大きくなってきてからは前よりもずっと激しく求めてくるようになりましたし。

 

 

「クラーマさんは実に言い趣味をしているとは思わないかい? ダイヤージ。

 僕はこの人のこういうエロさを大っぴらに公言出来るカッコ良さに惹かれているんだよ。

 そして僕もお尻が大好きだ!(チラッ)」

 

 

「甘いなフィズ。男なら尻ではなく太ももだろッ!

 別に尻が悪いたぁ言わねぇが俺ぁ断然太ももだ!

 それも俺の好みは未成熟な四肢にときめくからよー(チラッ)」

 

 

 そう言って私やサイリちゃんの足を見てくるダイヤージ君。

 

 そしてフィズ君はお尻を。

 

 私はちょっとばかり背が低いだけで別にそこまで未成熟ってわけじゃないんですからっ!

 

 古龍とのハーフだから少しだけ成長が遅いだけなんですっ!

 

 

「おめぇら、あたしのシャルラちゃんの尻と太もも、それにサイリちゃんまで凝視してんじゃねー!!!

 これは全てあたしんだゴルァァァー!」

 

 

 途中からお酒が入った(酔った勢いでサイリちゃんを襲わせようと思って用意しました)ために普段から僅かにしか存在していない理性を完全に失くしてしまったクラーマさんが殴る殴る。

 

 本当に面白いように男子二人をボロ雑巾に変えていきます。

 

 

「確かにあたしはプリケツが好きさ! 太ももが好きさ!

 けどねぇ、乳、尻、太もも。

 これだけが女体の神秘じゃないのよ!

 眼球、うなじ、それに一番大事な「それ以上は禁止用語です!」なんかが大好きな、あたしこそがナンバー1の変態だァァー!!!」

 

 

 ふぅ、危うく直接的な単語まで飛び出しそうでしたがクラーマさんの熱い言葉、よく理解出来ました。

 

 ノレッジちゃんもその発言に賛同するように首を縦に振って肯いています。

 

 この人の発言は危険なものもありますが勉強になるんですよね。

 

 

「さぁ~て、それじゃ男子二人もぶっ飛ばしたことだし今日もいつものように、やらない?」

 

 

 熱い言葉も冷めやらぬうちにクラーマさんはスルスルと自分の服を躊躇いもなく脱ぐと私にダイブ。

 

 

「本当に変わらないですね。

 今ここで本当にするんですか?」

 

 

「うん、あたしぃ~理性がもう無いのぉ~♪

 だかりゃシャルラちんで火照りを冷まさせてほしいのにゃ~ん♪」

 

 

 さっきまでの男らしさを全て脱ぎ去ったかのようなネコナデ声。

 

 理性がないと言いつつもゆっくりと、じっくりと、焦らすように私の服のボタンを一つ一つ外していく。

 

 私の方から求めさせようって魂胆なのでしょう。

 

 さすがは慣れているだけあって……上手い。

 

 私まで火照ってきちゃいました。

 

 

「私も混ぜなさーい♪」

 

 

「あん、ノレッジちゃんまでするんですかぁ?

 私の身体は一つなんですからそんなにがっつかないでくださいよぉ~」

 

 

 実は私も相当ノリノリだったりします。

 

 でも今日は私がメインではないので今回の主役でもある彼女に華を持たせてあげましょうか。

 

 こちらをずっと見つめている彼女に。

 

 

「あ、あたしも混ぜてくださいッ!!!」

 

 

 先ほどから私たちを羨ましそうに眺めていたサイリちゃん。

 

 足元には滴り落ちた愛液が小さな水たまりを作り、その頬はユクモ村で見た紅葉のように紅く染まっていました。

 

 小刻みに震える小さな体は触れるだけで壊れてしまいそうな繊細なイメージを見る者に与えながら、じっと私たちを見据える瞳も凛とした輝きとともにうるんでいるのが何とも可愛らしいですね。

 

 

「……サイリちゃん?」

 

 

「ほら、クラーマさん。今日のところはあなたはサイリちゃんと遊んであげてください。

 サイリちゃんも思いのたけをぶつけて、思いっきり甘えちゃってくださいね♪」

 

 

 私の上から体をどけたクラーマさんはゆっくりとサイリちゃんに近づいていきます。

 

 

「いいの?」

 

 

 珍しく相手の意思を確認するかのような発言。

 

 

「はい、私……、ずっと前からクラーマ様とこうして結ばれたかったんです!

 今日だけでもいいんです!!

 私を……愛してくれませんか?」

 

 

 あらあらまぁまぁ。

 

 そんな涙目で可愛らしくおねだりされちゃったらクラーマさんでなくとも断れないじゃないですか。

 

 

「そっか。やっぱり君はこの間、孤児院で暴力団をぶっ飛ばした時に助けた子ね」

 

 

「あ、あたしを覚えてくれてたんですか?」

 

 

「当然♪

 だって私が一度会った可愛い子を忘れるわけないもの。

 少し前から視線を感じながらも声をかけてこないな~と思ってたし、今日もなかなか話しかけてこないな~と思ってたけど私のこと忘れてるだけかと思ってたのよ。

 でもそんなに私が欲しいなら、あなたの初めてを私がもらってあげる」

 

 

 クラーマさんがそう言うとサイリちゃんは脱がされるのも待てないのか自分で服を破きながら脱ぎ捨ててクラーマさんの胸に飛び込む。

 

 クラーマさんもそれを優しく受け止めると二人して部屋の隅に用意されていたベッド(エナ先生が「こんなこともあろうかと♪」と用意してくれた)に入っていく。

 

 

「さぁ、シャルラちゃん。

 私たちだけ残っちゃったけど……、する?」

 

 

「しましょうか。

 でもその前に……」

 

 

「ええ、可愛らしい少女の恋の成就に……」

 

 

「私たち二人の祝福の言葉とともに……」

 

 

「「乾杯♪」」

 

 

 そうして一人のさみしがり屋の少女はその小さな恋心を伝えることができましたとさ。

 




 『変態』とは褒め言葉です。
 一度この称号を手に入れた者は何も恐れず、自分の欲望に忠実になれます。

 そういえば、昔モンハンのチームの仲間と「誰が一番変態か」について語り合ったのを思い出しました。

 さて、今回の話ですがクラーマはつえぇ!ってことですね。

 一人の時は本当に何をやっているのか分からない人ですが色々とやってますよ。

 それと、サイリちゃんは『苺ましまろ』のアナを見てて思い付いただけなんですが、美羽の方が近い気もします。

 この先どうなることやらw

 いやまぁ、百合の展開しか書かないつもりなんですけどね。

 名前の元ネタ通りに侍キャラとして刀でも振り回させようかな……。


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第41話:生卵プレイ

 えー、サブタイ通りの内容なんですが、これはちょっとマニアックなプレイかもしれませんね。一応R15だと思います。




 小鳥の囀りを目覚ましに、身体が睡眠という暖かな闇の中から覚醒していく感覚。

 

 何度味わっても夜をエンジョイしたあとの、この開放感溢れる朝は堪りませんね。

 

 

「んー……っはぁ~。

 今日も爽やかな朝ですねぇ~」

 

 

 この開放感が昨晩の行為後に裸のまま寝たから、というのがまったく関係ないわけではないでしょうが、気持ちのいい朝ってのは最高ですよ。

 

 

「……えーっと確か昨日はクラーマさんと仲良くなりたがっていたサイリちゃんの歓迎パーティー(学院の生徒じゃないですが)を開いて……、それが何で私とノレッジちゃんの部屋でクラーマさんとサイリちゃんも含めた四人で寝てるんでしょうか?」

 

 

 周りを見回してみると私が寝ていたベッドには私と同じく全裸のノレッジちゃんが。

 

 ノレッジちゃんが普段使っている隣のベッドにはクラーマさんとサイリちゃんが寝ています。

 

 勿論こちらも全裸で。

 

 

 

 え~っと、え~っと、ちょっと待ってくださいね。

 

 確か……そう! 昨日は歓迎会でいい所までイキそうだったのに、ダイヤージ君とフィズ君が目を覚まして跳びかかって来ちゃったから、再び殴り飛ばして、後始末をエナ先生に任せて……

 

 そこから誰にも邪魔されないように女子寮の私とノレッジちゃんの部屋に入って……。

 

 あ! そういえば『二十茶(トゥエンティ)』と『甘茶(アマーティ)』の二種類を混ぜたお茶を飲んじゃったんですよね。

 

 それで男子二人のせいで中途半端に終わってお預け状態だった私たちは、それこそ獣のように欲望に従った行動のあと寝てしまった、ってところでしょうか?

 

 テーブルの上には今だに怪しげな極彩色のお茶が湯呑に入ったまま。

 

 そりゃまぁ、段々と美味しく感じるようになってきたので普通に毎日飲んだりしていますけど。

 

 こんな興奮剤みたいなお茶の力に取り込まれて盛り上がるってのはちょっと失敗でしたね。

 

 ある意味、薬に頼ったようなものですし、もっと自分の力だけで脳内麻薬をびゅるびゅる自由に出せるようにしなくてはいけません。

 

 ノレッジちゃんは濡れやすいので上も下も、よだれをびゅるびゅる噴いていましたけど。

 

 

「ふわぁ~ぁ……あ、シャルラちゃんおはよー」

 

 

 ノレッジちゃんも眠たげな眼をこすりながらの起床。

 

 

「おはようございます。

 昨夜はみんなして楽しんじゃいましたが気分はどうですか?」

 

 

「あー、ちょい体ダルいわね。

 私もシャルラちゃんみたいな古龍の身体能力があればなぁ~」

 

 

「でもノレッジちゃんは『エロハンド』の能力を持ってるじゃないですか。

 そういうテクがない私からしてみれば羨ましい限りですよ」

 

 

 ちなみに『エロハンド』とは泥で出来たような手の姿をしたモンスターとかではなく、手のひらの触れた場所のみ、感度を高め性感帯にするという能力です。

 

 ノレッジちゃんのこの妙技の前には私の古龍ハーフの身体能力なんて無意味なんですよね。

 

 勿論私も、それなりに色々な技には自信があるのですが問答無用で感覚を千倍以上に高めることが出来るノレッジちゃんの手は太陽の手に匹敵する暖かな快楽をもたらしてくれます。

 

 

「シャルラちゃんったら能力を使うまでもなく何度やっても初めてみたいな感度の良さだから私も羽目を外しちゃうのよねぇ♪

 私たちも昨日は楽しんじゃったけど……、そういえばダイヤージとフィズは放置したままだったけどあのあとどうなったか知ってる?

 サイリちゃんとクラーマさんも幸せそうに寝てるし、あれからはもう男子二人に邪魔されなかったみたいだけど」

 

 

 

「あぁ、男子二人なら保健室にエナ先生に連れられて行ってましたよ。

 二人とも今日学院に来れるんでしょうかね?」

 

 

 エナ先生はクラーマさんと違ってバイの両刀使いですし二人も快楽の波に襲われて精気を吸い取られているかもしれませんね。

 

 パッと見、体力なんて無さそうな人ですが、エナ先生はクラーマさんすら屈伏させる淫魔の如き吸引力の落ちないただ一人のエロス!

 

 その彼女の手にかかっては真っ白な灰として燃え尽きてしまっていても、おかしくはないでしょう。

 

 

「まぁ、それはともかく朝ごはん作りますね。

 ノレッジちゃんは目玉焼きと卵焼きどちらがいいですか?」

 

 

「……じゃあ生卵を口移しで♪」

 

 

 真顔で。

 

 真剣に。

 

 何のためらいもなく言ってくるノレッジちゃんに時間が止まったかのような感覚。

 

 でも、

 

 

「昨日の夜あれだけしたのにノレッジちゃんも相当好きですね♪」

 

 

「シャルラちゃんが可愛いからね♪」

 

 

 私もノレッジちゃんが大好きですし、それくらいお安い御用です。

 

 すぐに卵を何個か割って口に入れるとよく咀嚼し、ゆっくりとノレッジちゃんに近づいてその頭を左右から両手で挟み込むようにして押さえつけ、お互いの口を付ける。

 

 ノレッジちゃんは意外とMっ気があるので、ここは少し乱暴な感じに抑えつけると、より興奮して濡れてくるので押さえていた私の手も下にやるとすんなり入り易くなっているのを感じました。

 

 唇をつけてすぐに開かれたノレッジちゃんの口にしっかりと自分の口内で、掻き混ぜた卵を移していきます。

 

 にゅるにゅると。

 

 

「ん……ふぅ……」

「んふ♪」

 

 

 段々と顔が赤くなっていくノレッジちゃんを見ていると、ついイタズラ心が刺激され、卵と一緒に舌も挿入しちゃいます。

 

 

「むぐぅ!」

 

 歯を閉じさせないようにしっかりと口の奥の奥まで舌を這わせ、蹂躙していく。

 

 舌の裏側、歯の内側を重点的にねっぷりと舐めつくす。

 

 だけど敵もただではやられない。

 

 いたずらっ子の如き笑顔でノレッジちゃんの口内に舌を這わせていた私の顔を見るや否や自身の手を私の胸に押し当ててきました。

 

 

「んんんんんん~~~~~~~!!!!!!!!」

 

 

 それは逆転の一手でした。

 

 ノレッジちゃんの特殊体質能力『エロハンド』がわたしの胸の感度を飛躍的に上昇させる。

 

 だ、駄目です! とてもじゃありませんが耐えれそうにありません!!!

 

 負けずと私も舌の動きを強め、吸いついたままのノレッジちゃんの唇を歯で甘噛みする。

 

 ちょっと強めに、だけど痛く感じない程度に攻めて攻めて攻めまくる、攻めの姿勢を終始維持しなくては私がやられてしまいます!

 

 

「今度はシャルラちゃんの下の穴で温めた卵が食べたいんだけど?」

 

 

「それはお願いに見せかけた命令ですよね?

 ノレッジちゃんは、私が断れないのを知っているんですから」

 

 

「ばれた?」

 

 

「ばればれです」

 

 

 ですが希望に応えてこそ親友と言えるでしょう。

 

 生で入れるわけですから頭を下にしながら壁に背をつけ、漏斗をツプッと差し込みます。

 

 そしてカシャカシャと片手割の生玉子を両手で二個同時に流し込む……冷たくて気持ちいいですね♪

 

 

「もう我慢できない♪」

 

 

「あ、ちょっとまだはや……いぃぃ~……んっ」

 

 

 漏斗は勢いよく抜かれ、代わりに入り込んできたノレッジちゃんの舌が柔らかな刺激で私の敏感なポイントを舐めしごきます。

 

 んぅ、弛緩しているからか、一つも生玉子を崩さずに食べさせてあげるのに成功したようです。

 

 私の穴から吸いだした生玉子によって、ノレッジちゃんが身震いしているようですが、次は私の番なんですから簡単にイっちゃったりしないくださいよ?

 

 そんな事がしばらく続き、朝ご飯を美味しく食べることができました♪

 

 朝食を食べるだけに朝から力を振り絞ったのか、食事中も止めることの無かったノレッジちゃんのエロハンドは、能力をMaxパワーで発動させた状態だったのでダブルノックアウトとなりましたが……

 

 こうして私たちは口から生卵と唾液を滴らせながら二人揃ってベッドに倒れ込んでしまいました。

 

 折角早起きしたのに、これではまた遅刻してしまうかもしれませんが愛ゆえに、という理由なら許されるでしょう。

 

 と言いますか、いずれこの学院を乗っ取った暁には百合を楽しむための遅刻は許可する校則を新しく発足させましょう。

 




 生卵って、焼いたり茹でたりしたものより、カロリーの吸収率がいいそうなので太り易いみたいですね。

 TKG(卵かけごはん)なんかも食べすぎは良くないのでしょうがTKG専用醤油ってのもありますから日本人は生卵が好きなんですよ。

 なのでモンハンも日本のゲーム会社が作ったのだから、その世界で生きる人たちも生卵が大好きということで。

 そういうノリで書きました♪

 そういえば飛竜の卵ってハンマーの<アイアンストライク>数本分の重さがあるとか……。

 いや、流石に古龍とのハーフのシャルラでも、そんな卵は割った状態でも入りませんから。


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第42話:クラ×サイ

 初めて百合というものに興味を持ったのは、近藤るるるさんの漫画『ハイパーあんな』だったりします。

 ……『ゆるゆり』の京子はみっちゃんに似すぎw




 

 

 クラーマside

 

 

 頭いてー。私昨日どうしたのかしら?

 

 確かサイリちゃんて可愛い子を紹介されて、みんなで歓迎会(サイリちゃんは学院の生徒じゃないけど)をして、それから……。もしかして私食べちゃった?

 

 二日酔い+寝起きで働かない頭を無理矢理起こすと隣には全裸で私の腰にしがみついている可愛らしい妖精が!

 

 私自身もすっぽんぽんだけど、こりゃ見たまんまの事しちゃったのよね~。

 

 あー、私ってばテンション上がると理性なくなっちゃうのよ。(元々『理性』が常人の三分の一もないけど)

 

 こないだサイリちゃんの暮らす孤児院を暴力団から救ったのも単純に最近運動不足で腰回りのお肉が少し気になったから運動したかっただけなんだけどね。

 

 それがきっかけで体の関係になるほど深く愛しちゃうだなんて、こりゃ学院の運営に回しているお金の一部を孤児院にも回すように大長老に直接言ってやろうかしら?

 

 あの馬鹿デカ爺(大長老)がもうちょっと街の運営をきちんとしていれば、こんなことにならなかったんだしそれくらいいいわよね。

 

 うん、いいに決まってるわ。

 

 だから今、同じベッドで私の腰にしがみついてくるこの美幼女を食べても無問題なわけよ。

 

 後悔も反省もしないしこれはこれで楽しめたんでしょうから気にしないでおきましょう。

 

 

 ……視線を巡らせると、ここは女子寮の中のシャルラちゃんとノレッジちゃんの部屋みたいね。

 

 普段から利用しているから見慣れた光景だけど、隣のベッドには口から卵と唾液の混じったものを滴らせて気を失っている二人がいる。

 

 一体どんなプレイをしたのかしら?

 

 とりあえず私も(一応)仕事があるし、ずっとサイリちゃんを眺めていたいけど、そろそろ起きるとしますか。

 

 

「サイリちゃん、朝よ。

 そろそろ私の上からどいてくれると助かるんだけどな」

 

 

 私ってば朝でも昼でも関係なく、眠りから目が覚めると必ず……濡れちゃってるのよね。

 

 だから、こういう状況(腰にしがみ付いてくる美幼女)だと朝からやっちゃいそうなのよね~。

 

 

「んー……すぅ~すぅ~」

 

 

 私の呼びかけに一瞬起きるかと思ったけどサイリちゃんは結局再び眠りの世界へ。

 

 その際まさぐるように私の腰をロックしていた小さな手がお尻にくる。

 

 くっ、最高に可愛いわねこの子!

 

 

「ん……ふ……ぅ、これは仕方ないわよね。

 サイリちゃんが可愛いのが悪いんだから。

 プリケツ好きの私は自分のお尻を揉まれるのも大好きなんだからね♪」

 

 

 眠っているはずなのに、幼いはずなのに、何故かテクニシャンのサイリちゃんの小さな手が私のお尻を揉みしだいていく度に、我ながら自信を持っている我がプリケツは別の生き物のように形を変えていく。

 

 なんてテクニシャン!

 

 でもさすがに寝ている幼女にイかされるようではこのクラーマ・ネーデシュアーレの名折れよ!

 

 今度はこっちが攻める番なんだから!!!

 

 

「あらゆる生命に感謝して、いただきますっ!」

 

 はむっと。

 

 サイリちゃんの耳にかぶりつく。勿論甘噛み。

 

 

「ん……うぅ……すぅすぅ」

 

 

 まだ起きない。

 

 これで駄目ならもっと激しくする必要があるわね。

 

 相手の敏感ポイントを一瞬にして見抜く私の魔眼を発動!

 

 それと同時にあらゆる生物を瞬時に発情させてしまう媚薬効果のある唾液を注入♪

 

 

「かぷっ」

 

 

 注入と言っても吸血鬼みたいに噛みついたり、注射器みたいな道具を使うわけじゃないわよ。

 

 人よりも少しばかり犬歯は鋭いけど、やってることはサイリちゃんの首筋に唾液を塗りたくってるだけだから。

 

 舌でたんねんに。

 

 れろれろと。

 

 実際に突き刺したりしたら少しとは言え痛いからね。

 

 塗るだけったら塗るだけよ!

 

 本当に私は相手が痛がることは絶対にしないわ!

 

 相手が処女だったら痛覚を麻痺させるサービスをするくらいに優しさに溢れたエロスを追及してるんだから酷いことは絶対にしないわよ!

 

 ……今「優しさを名乗るなら女の子を食べるのはやめなさい」って思った人。

 

 私は相手の同意がある以上、手を抜くようなことは一切しないの!

 

 昨日すでに頂いちゃったんだから今日も朝から食べちゃっても問題なんてあるはずないじゃない(断言)

 

 

「ク、クラーマしゃまぁ~……」

 

 

「あら? 起きちゃった?

 ごめんね。サイリちゃんがあまりにも可愛いから昨日は自制出来なくて。

 というか今も自制出来てないけど」

 

 

 私の手はこうして話しながらもサイリちゃんの敏感ポイントを次々と順番に愛撫していく。

 

 上から順番に、そして下までいくと一番敏感な乙女の大事なところを、なぞるように指を這わせ、そこからさらに上へと戻す。

 

 それを繰り返す。

 

 にゅりにゅりと、互いの体をこすり合わせ、とめどなく溢れてくる愛の印を交換するように。

 

 つい、手が出てしまうのは当然のことだけど。

 

 

「ふ、ふぁあぁぁぁ~……あ、あたしも、もう我慢できないでしゅ。

 クラーマしゃまに全てを捧げさせてくらひゃい……」

 

 

 クゥゥゥゥー!!! もう可愛いったらないわ!

 

 最近シャルラちゃんとノレッジちゃんしか食べてなかったけど私は真の百合道を極めんとする求道者。

 

 幼女も守備範囲なんだから本人の同意がある以上全力でその期待にこたえなければ駄目よ!!!

 

 

「それじゃ、ゆっくりと、優しく、私のものになりなさい……」

 

 

 この言葉を始まりの合図として私は自分の唇を、本来まだ食べることが許されない小さな青い果実に吸いつける。

 

 だけどそれはまだ始まり。

 

 目の前の青い果実は私が求めると必死で赤く成熟しようと背伸びをするように私を求めてくれる。

 

 お互いの歯を舌で舐め合い、お互いの手は張り付いたように相手の体を揉みしだいていく。

 

 蕩けるような快楽の奔流。

 

 やめられない止まらないってやつよ♪

 

 

「それじゃサイリちゃん。もう我慢しなくてもいいから自分の欲望に従いなさい……。

 だから……イキなさい」

 

 

 私の右手がサイリちゃんの穴に差し込まれた瞬間思いきり仰け反って痙攣するサイリちゃん。

 

 

 『我慢なんてしなくてもいい』

 

 

 その言葉が彼女の自制心を完全に消し去った。

 

 それだけで私たちは快楽の波に溺れ、これから先、切っても切れない関係になったのだと理解する。

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「はぁ~あ、そ~れにしてもこりゃまた派手にイっちゃったな~。

 ノレッジちゃんのベッドなのに汚し過ぎたかも……」

 

 

 虚ろな目をしながらもどこか幸せそうなサイリちゃんをベッドに寝かしつけ、立ちあがろうとするも足に力が入らず倒れ込んでしまう。

 

 ちょっと私自身もきつかったわ。

 

 まさか足にまで来るとは年はとりたくないものね。

 

 そう言いつつも視線を向けたサイリちゃんは、こうして見ると、まるで複数人でやっちゃったみたいにぽっかりと開いちゃってるけどこの子随分と肉体的には成長しちゃってるのね。

 

 もしかしてシャルラちゃんみたいに古龍ハーフとかかしら?

 

 

「しかし、まさかこの私がエロパワーをここまで消費するとはサイリちゃんったら末恐ろしいわね。

 次やったら気絶するのは私の方かもしれないわ・・・・・」

 

 

 そんな事を考えながらも何とか立ちあがった私はサイリちゃんの朝食を作るために台所に向かうのだった。

 

 

「シャルラちゃんとノレッジちゃんは卵食べたみたいだけど一応みんなの分を作っておきましょうか。

 美味しいもの食べると元気が出るしね♪」

 

 

 私はクラーマ・ネーデシュアーレ。世界一のエロの求道者なり!




 そういえばサイリちゃんは日本人? を名前の元にしていたりします。

 私の好きなゲームのキャラからつけたのですがプレイ中に名前を作中で見る機会がまず無いマイナーなキャラの名前が元です。

 クラーマの元ネタは私の好きなエロマンガ家さんですので、ダークソウルは関係ありませんよ♪

 この作品は、ダークソウルの発売前に書いたものですけど、もしかしたらクラーナ師匠たち混沌の魔女の存在を予知していたのかもしれませんね。

 もしも私がファントムキングダムの世界に転生なりトリップするなりしたら、プラムに弟子入りしたいです♪


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第43話:女子の園in男子

 最終話が近づくと、途端に執筆速度が緩やかになってしまう不思議。

 一応昨夜も2500文字位執筆しましたが一話書きあげることは出来ませんでしたし。

 と言いますか本当に最終話まで毎日更新出来るか不安になってくる執筆状況ですねw

 削って盛って、そこから紡ぎだされる最強最後の展開!
 うん、燃えてきますね! そして私は女性の『裸エプロン』なら靴下を脱いだ素足の方がときめきますね

 ……毎日更新の苦労をこうして読み解いていくと懐かしさとともに、またやってやらぁ! って気分になれますね♪

 次回作も毎日更新の予定です。




 桜舞い散るこの季節。

 

 これまでの思い出が、胸の内を一気に駆け抜け、爽やか一迅の風を残すことで私たちの心を満たしていく。

 

 

「長いようで短かった学生生活も終わりますね」

 

 

「そうね。シャルラちゃんと知り合えたこの三年間は幸せいっぱいだったわ」

 

 

 この三年間毎日通っていた、学院までの桜並木は綺麗な桜吹雪を舞い散らせ、今日と言う日を、私たち卒業生を見送ってくれています。

 

 色々ありましたが今日ようやくこの学院を卒業することが出来るのです……

 

 …………

 

 ………………

 

「……というのは冗談で、まだ私たちは一年生なんですよね♪」

 

 

「そうそう、さっきまでのは嘘なんだから♪」

 

 

 まだ卒業式イベントまではいきませんよ。

 

 昨日の夜は盛り上がり、朝は朝で早起きしたのに第二ラウンド♪ ってなノリで生卵プレイに興じていましたが、なんとか遅刻ギリギリで目を覚ました私とノレッジちゃんは遅刻をせずに学院に登校出来たのでした。

 

 でも目が覚めたらクラーマさんが裸エプロンで朝食の準備をしてくれていたのには驚きましたね。

 

 あの人ってああいう普通(?)の格好も似合うだなんて本当に若々しい。

 

 実は竜人族なんじゃないんでしょうか?

 

 まぁ、それはさておき。

 

 

「それにしてもサイリちゃん可愛かったよね~♪

 今度は私たち三人でしない?」

 

 

 蕩けそうな笑顔で言うノレッジちゃん。

 

 

「いいですね。私もサイリちゃんとは仲良くなれましたし今度は三人でするのもいいかもしれませんね♪」

 

 

 と、同じく満面の蕩けきった笑顔で同意する私。

 

 今朝、生卵プレイのあと目を覚まして学院に登校する準備をしていると、少し遅れて目を覚ましたサイリちゃんは最初に出会った時と違い、私に対する警戒心や敵対心を持っておらず、とてもフレンドリーに接してくれました。

 

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回想

 

 

「シャルラお姉様。お姉様のおかげであたしは昨日と今日で二回もクラーマ様と一つになれました!

 これからはあたしも一人の女として、ご指導のほどお願いします!」

 

 

「私は大したことはしてないですけどね。

 まぁ、二人が仲好くなれたことは私も嬉しいですよ。

 私とノレッジちゃんはこれから学院ですからクラーマさんが起きたら面倒みてあげてくださいね♪」

 

 

「はい! この命に代えてでもっ!!!」

 

 

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回想終了

 

 

「とまぁ、そんなことがありましたがあの子ともこれから仲良くやっていけるなんて私の『クラーマさんを紹介しよう作戦』は予想以上の効果があったと言うことですね」

 

 

 思わず今後の展開を想像して頬がニヤニヤと蕩けてしまうのを止められませんが別に問題はないでしょう。

 

 帰ったらサイリちゃんにどんな衣装を着てもらいましょうか? うふふふふふふ♪

 

 で、今日も元気に学院に登校し、教室でノレッジちゃんと今後のサイリちゃんに着せる服だとかプレイの内容について意見を出し合っていた時にハリー先生が久しぶりに現れたのです。

 

 

「グッモ~ニン吾輩の可愛い生徒たちよ!

 今日も元気かぁぁぁ~ん?↑」

 

 

 このテンションも久しぶりですね。相変わらず暑苦しさ全開です。

 

 

「それじゃ今日の予定だがその前に重要な知らせがある」

 

 

 ん? 重要な知らせ?

 

 

「実は昨日、職員会議で言われたんだがな、明日から三日間かけて予定している期末テストの問題用紙がまだ作成できていないのだ。(忘れていただけなのだが)

 なので今日の授業は、吾輩はテストの問題作成で忙しいのでお前たちは一日ずっと自習をするように!

 以上ぉ~!!!!!」

 

 

 そう言って言いたいことだけ言い終わって、さっさと教室を出ていってしまったハリー先生。

 

 え? 本当に今日の授業は全部自習?

 

 

「高い授業料取っといてテストの問題を作り忘れたから自習だなんて自由な校風ですね。

 教師にとって、という辺りがさらに自由度を上げているようにも感じますが」

 

 

 と言いますか、明日から期末テストというのも事前連絡されていませんでしたし。

 

 

「まぁ、授業料が高いのは書士隊隊長のギュスターブ・ロン氏が私腹を肥やすためらしいしね。

 この学院に通う生徒で学費を高いと感じる生徒なんて、そんなにいないでしょうけど」

 

 

 この世界で生きる人は自分の生まれ育った村で細々と生きるか一攫千金を狙ってハンターになるかの二つに一つって人が多いですからね。

 

 ひとつの村に留まるなら食うに困りませんけど、夢を見つけた人は、それぞれの夢に向かって邁進します。

 

 そういった夢を追う人はお金を持っているから夢を追うだけの金銭的な余裕でもあるのでしょう。

 

 夢だけでは現実には生きていけませんし。

 

 

「それじゃ、もう帰りますか?

 クラーマさんもそろそろ寮の管理人室に帰ってるかも知れませんが、もしかしたらサイリちゃんと第3ラウンドに突入しちゃってるかもしれませんし」

 

 

「確かにあんな小さな女の子に二日で三回のプレイは体力的にきつそうだからね。

 朝は平気そうにしていたけど体力ゲージが残り2割くらいに減ってたし」

 

 

「ゲームじゃあるまいし体力ゲージだなんて、下手に原作を意識した発言は控えた方がいいですよ。

 ますますモンハンの二次小説っぽさが消えていっています」

 

 

「そういや私も朝から生卵とシャルラちゃんの唾液、それにクラーマさんの手料理を食べはしたけど消費したエネルギーが多すぎて、もうお腹減ってきちゃった。

 意外とシャルラちゃん体力あるから一緒に果てるまですると人間の私じゃ消費カロリーの方が大幅にオーバーしちゃうのよね。

 スタミナゲージの残りも25になっちゃったし。

 立ち止まると自然と手がお腹を押さえてしまう動作をしてしまうわ」

 

 

「それが駄目なんですってば!」

 

 

スパァァァーン!

 

「ハリセンツッコミ再びとはやるわねシャルラちゃん」

 

 

「あんまりふざけたこと言ってると私の『シメルワヨ四千百八十三号』が火を吹きますよ!」

 

 

「以前クラーマさんに使っていたハリセン……とは別物なのね。

 てか壊し過ぎよww」

 

 

「それだけ私の周りにはツッコミを必要としている人が多いということです」

 

 

 またつまらぬ者を叩いてしまった、ですね。

 

 それでこんな不毛な会話を楽しみながらも、ちゃっかり帰宅の準備をしていた私たちなのですが、それを呼び止めたそうにしている二つの視線。

 

 

「シャルラ~、ノレッジ~……」

 

 

「…………」

 

 

 いつもの私の隣の席にて干物のように干からびたダイヤージ君とフィズ君。

 

 いったいどうしたんでしょう?

 

 

「どうした? じゃねえよ。

 昨日はお前らが帰ったあと俺ら二人は大変だったんだぞ!」

 

 

「えぇ……でも僕は天国が見れたから満足ですよ……」

 

 

「あーあー、みなまで言わなくても大体分かりますよ。

 どうせ保健のエナ先生ですよね?

 あの先生本当にすごいですからね~」

 

 

「そういや私はエナ先生と一夜を過ごしたことないけどそんなに凄いの?

 今度誘ってみようかしら♪」

 

 

 よした方がいいですよノレッジちゃん……

 

 あ、私が言っているのはエナ先生が底なしのエロスだと言うことです。

 

 昨日ほったらかしになっていた男子二人を片づけたのはエナ先生みたいですし、そういうことが行われたんでしょうね。

 

 『クシャの子天井』と呼ばれる私の名器でさえエナ先生のテクニックには勝てる気がしませんし。

 

 『ベッドに入ったら眠れると思うな!』これがエナ先生に対する学院のみならずこのドンドルマの街での常識の一つです。

 

 ある意味クラーマさんよりも有名なのかもしれないですね。

 

 

「そうだ! 今日はシャルラとノレッジの部屋で勉強会しねぇか!?」

 

 

「はぁ?」

 

 

 それはダイヤージ君の心の叫び。

 

 

「確かに二人のおかげで大変な思い(いい思い)をしたんだからお二人の寮の部屋にお邪魔したいですね!!!」

 

 

「あんた達馬鹿ぁ?

 どうして私とシャルラちゃんの愛の巣に男子を引っ張りこまなきゃいけないのよ!」

 

 

「いや、ノレッジちゃん愛の巣ってそんな大っぴらに言われると恥ずかしいですよ。

 でもまぁ、うーん、お友達としてなら一度くらい私はいいと思いますよ」

 

 

 正直男子二人に直接行動に出る勇気はなさそうですし、昨日はエナ先生に搾り取られたみたいだしそんなことをする元気もないでしょうし。

 

 それに期末テストの点は班ごとで影響が出ちゃいますし二人の学力がどの程度か知っておくことも重要でしょう。

 

 それでは学園物でありがちな男女合同の勉強会編のはじまりはじまり~♪

 

 ……次話からですけど。

 

 

 




 まぁ、某人類最強の赤い女性もパラシュートなしでのスカイダイビングをした位で体力ゲージ1割切って最終的には勝負すらできない位に弱っちゃってましたからね。スカイダイビングの前からダメージが残っていたとはいえ。

 サイリちゃんは特に変わったところのない女の子ですのでまだ未熟と言いますか未成熟な女の子であり、それでもクラーマに一晩ついていけた体力のある女の子だったと言うわけです。

 このあとストーリー本編を進めると出番が減ってしまうので、また出番も考えなくてはいけませんね。


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第44話:子ども以上の体力の見せ場!

 シャルラやノレッジもまだ子どもと言えば子どもなんですけどね。

 段々百合成分の強い話が多いですがそこは私の趣味ということでw

 それにしても中村 吉右衛門さんが人間国宝に選ばれるとはめでたいですね♪




パンッ、パンッ、パンッ、パンッ

 

「はっ、はっ、はっ、はぁあぁ~ん」

 

 

「それじゃもう一発いくわよサイリちゃん!

 全身で感じなさい! 私の百列張り手『快楽の舞』!!!!!」

 

 

 パパパパァーンと心地いい音が響く。

 

 一発と言いつつ、百列張り手って、そりゃやりすぎでしょクラーマさん。

 

 

「あ、あぁぁぁぁぁ~♪

 ひ、皮膚が! 骨が感じりゅ! もう駄目、駄目、駄目、駄目ぇぇ~!!!!!!!!」

 

 

 こちらも聞くだけで興奮させる扇情的な喘ぎ声を洩らすサイリちゃん。

 

 さて、学院の方が丸一日自習になってしまったために寮の自室に戻った私たちでしたが扉を開けるとそこにはクラーマさんとサイリちゃんがいたのですがこれらの状況をどう見るべきでしょうか?

 

 うん、これはやはり見たまんまでしょうね。

 

 朝からずっと変わらぬ格好のままスパァ~ンキィ~ングの真っ最中なのでしょう。

 

 

「そう言えばクラーマさんは『気』とか言う不思議パワーで相手の皮膚と骨に効率よく衝撃を通すことが出来るんでしたっけ。

 しかも的確に相手の敏感ポイントを見抜いてその部位にのみ衝撃を通す技法と眼力……さすがです」

 

 

 さしずめガンマナイフの快感を与えるタイプのものでしょうか。

 

 

「快楽は痛みを水で薄めたようなものって表現があるけどクラーマさんの手から生み出される圧倒的快楽の奔流はとめどなく脳を犯していく。

 ついにサイリちゃんもそんなクラーマさんの愛を全身で受けても平気になったのね!」

 

 

 ですが後ろに続く男子二人に中の様子を見せるわけにはいかないのですぐにドアを閉める。

 

 あまりの光景に自分が同じことをされている様を思い浮かべて、ついうっとりしてしまいましたが、これはさすがに思春期男子には刺激が強すぎますよね。

 

 

「「…………」」

 

 

「……あはは。今部屋散らかってるから二人は少し外で待っていてください。

 私とノレッジちゃんで中を整理しますので」

 

 

「いや、今、中にクラーマさんと昨日会ったサイリちゃんがいたように見えたが。

 おいフィズ……?」

 

 

「…………(立ったまま気絶。ただし幸せそうな表情)」

 

 

「とにかく気にしないでください!

 待っていてください!

 すぐに片付けますのでっ!」

 

 

「覗いたら死刑だからね!」

 

 

 ノレッジちゃんの手を取って二人で中に入る。

 

 ダイヤージ君とフィズ君は放置ですがさすがにこの光景の隣でテスト勉強なんてできないでしょうし仕方がないですね。

 

 というかクラーマさんも自分の部屋に帰ってからすればいいのに。

 

 

「何で二人とも未だに私たちの部屋にまだいるんですか!?」

 

 

 部屋に入ってからも、一向にこちらに気付かないクラーマさんに言う。

 

 サイリちゃんなんかすでに意識がないようですが、クラーマさんは、それにすら気づいていないようですしね。

 

 

「それはだね。私が愛の求道者だからだよ。

 っと、サイリちゃん気絶してるわ。

 無理させすぎたかな……、でももう少しだけ♪」

 

 

 と、自信満々な笑みを浮かべるクラーマさん。

 

 為すがままのサイリちゃんを抱っこして頬ずりとキスの嵐を巻き起こしていますがいつも通りかもしれませんね。

 

 自信満々に言う答えがそれですか。

 

 

「私たち二人が入ってきたのに気付いていましたか。

そして気付いていながらサイリちゃんを抱きしめたままってのは緊張感も何もあったものじゃありませんけど」

 

 

「それは仕方がないわよ。

 何てったってクラーマさんなんだから」

 

 

 まぁ、そうなんですけどね。

 

 それでもクラーマさんの変態性を私たちの部屋で見せつけられると私も我慢が出来なくなるといいますか……

 

 でも今日は勉強会の予定なんですから、そういう方向にはいきません!

 

 

「いやぁ~、サイリちゃんったら可愛くてね♪

 この地方ではめったに見られない東洋系の顔立ちが一層幼く見せてるから可愛らしいのよ♪

 それにほら、よく言うじゃない。

 『触れてはいけないものには触れてしまいたくなってしまうもの』って。

 サイリちゃんは言ってみれば私の隙間を埋めてくれる身体のピースの一つなのよ」

 

 

「心のピースじゃないってところがクラーマさんらしいですね」

 

 

 そしてピースの一つというのもらしいですね。

 

 確かにクラーマさんの腕の中で虚ろな目で失神しているサイリちゃんはどこか妖艶な美しさを持っています。

 

 これはいわゆる東洋の『武士』と言われる人が持つ独特の雰囲気がありますね。

 

 刀でも使えるのでしょうか?

 

 

「えっと、それでお……その……」

 

 

 どうにもクラーマさんの体から立ち上る色気たっぷりでサイリちゃんのものであろう退役で濡れているすらりとした手足を見ると、自分の中のこの人と一緒になりたいという欲望が抑えられなくなってくるので上手く言えないです。

 

 なので、それを見かねたのかノレッジちゃんが変わりに説明をしてくれることになったのですが……、

 

 

「クラーマさん。私とシャルラちゃんは男子二人を招いて期末テストに向けての勉強会をするので今日のところは自分の部屋に帰ってくださいね。

 その……クラーマさんを見ていると私も自分が抑えられなくなると言いますか、抑える気がなくなると言いますか、……もうこのまま私達としませんか?」

 

 

 『私たち』!?

 

 ちょっとノレッジちゃん!

 

 部屋の外で男子二人がいるってのに今ここでクラーマさんとするつもりですか!?

 

 あなたも私と同じく『クラーマさんに抱かれたい症候群』!?

 

 

「いやぁ、サイリちゃんはすっかり蕩けちゃって今日のところはもう無理そうだしさ。

 さすがに小さいサイリちゃんにばかり、これ以上の無理をさせるくらいなら私たちがクラーマさんの高ぶったエロスを沈めてあげるってのもいいかなぁ~っと思ってね♪

 シャルラちゃんもノリきなんでしょ?」

 

 

「……いやいやいやいや、高ぶっちゃってるのはノレッジちゃんじゃないです……か!!

 さすがに今から、そういうのをするって言うのは「気にしないの♪ ちゅっ」……ん、ふぅ……」

 

 

 出た! ノレッジちゃんの必殺:会話封じのキス!!!

 

 これをされては私の頭もまともな試行が出来ませんしそういう流れに乗っちゃってもいいような気がしてきました。

 

 うん、いいですよね。昨晩はサイリちゃんに譲ったためにクラーマさんの達人級淫術を味わえませんでしたし。

 

 

「はいは~い、それじゃ二人とも準備はいい?

 私はいいわよ。サイリちゃんは体力的に無理っぽいけど二人はまだまだイケるんでしょ?」

 

 

 ええ、私も覚悟はできました。

 

 すなわち男子二人を放置して勉強会を無視したいつも通りの女三人のストーリーを始める覚悟が。

 

 シャルラ・アーサー、押して参る!

 

 ダイヤージ君、フィズ君。二人は少しばかり部屋の前で待っていてくださいね♪




 どうにも男子が邪魔になってきた最近の話w

 一応そろそろ最終話に向かって話を進めていきますので活躍の場は用意してありますが百合要素としては男子って本当にいらないんですよね。ギャグ要員としては必須ですが♪

 最後の使い所も悲惨な感じになりそうですし。


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第45話:黒いサイリちゃん

 ~『異国迷路のクロワーゼ』というアニメを観た時の前書き日記~

 これはロリ向けアニメかな?

 正直、日本の良さってのはもっと他にもあるでしょうに、これをフランスにはやらせますか、と突っ込みを入れてしまいますね。

 でも可愛いかったので観ようとは思いますw

 なんだか初春みたいで、可愛さに関しては実にすばらしい作品でした♪

 そして最近、古本屋で百円で原作が売っていたので購入してみましたが、やっぱい普通に面白いですね。





 

 

「で、俺らを部屋の外に追い出して一体何やってたんだよ」

 

 

「ダイヤージ、そんなの聞かなくても分かるじゃないか。

 ズバリ! 『女の園out男子』を展開していたんでしょう」

 

 

 ………………。

 

 アハハハハ……。その通りなんですよね。

 

 前回の話で、結局流れに流された私たちは本来の勉強会という目的を忘れ、互いに互いの体を求めあう百合による百合のための物語を繰り広げていたのでした。

 

 サイリちゃんが疲れて眠ってしまったので結局私とノレッジちゃんの二人がかりでクラーマさんの相手をしたわけなのですが、クラーマさんの底なしのエロパワーの前に私たち二人の方が先に参ってしまい、気がついたら時刻はすでに夕方の6時。

 

 学院は一日自習ということで朝のホームルームの時に帰宅をしたので、お昼ご飯も食べずにこの時間まで、ぶっ続けだったのには、さすがに驚きましたね。

 

 さすがにそろそろ男子二人も男子寮の方に帰った方がいいかもしれませんが本来の目的を一切せずに帰したのでは女として格好がつかない。

 

 約束は守らなくては!

 

 

「今日集まった目的は勉強会!

 何かしなくては!!」

 

 

 そんな訳でクラーマさんの手料理による晩御飯を食べるついでに、少しばかり四人で勉強会をすることになっているのでした。

 

 ほら、よくあるじゃないですか。

 

 なぜか理由はよく分からなくとも、何でもいいから何かしたくなるような妙なテンション。

 

 それが今この部屋に流れているんですよ。

 

 

「まぁ、大体事情は分かっけどよー、俺らが男だってことも忘れてもらっちゃ困るぜ。

 いつでもシャルラのちっこくて未成熟な四肢と、アンバランスに見えてバランスのとれた大きな乳!

 それにノレッジのスラリと伸びた手足に張りのある小ぶりながらも美しい乳!

 この二つを前にして『変態紳士』たる俺が欲望に忠実な行動をしないとは限らないんだぜぇ~♪」

 

 

「僕も、一言言わせてもらうと二人に手を出さない紳士のフリをしているけど、どうやったら自然を装って二人に接触するかどうかを考えるくらいに男らしい僕を舐めてもらっちゃ困るよ」

 

 

「……そんな事言うなら追い出しますよ」

 

 

「「それは勘弁してくれぇぇぇー!!!!」」

 

 

 ふぅ、本当に自分に正直な人たちですね。

 

 それよりも勉強ですが、問題作成を今日から始めたとかハリー先生が言ってましたけど試験範囲を聞いていないんですよね。

 

 確か教科書は96ページまではやった記憶がありますからそこまでは試験範囲でしょう。

 

 

「シャルラお姉様、ノレッジお姉様。お茶を淹れました」

 

 

 勉強会というもの自体が初めてでどういう風にしようか考えあぐねていると隣の部屋で寝かしつけていたはずの妹的ポジションのサイリちゃんがやってきました。

 

 

「サイリちゃんもう体は大丈夫ですか?

 私たちが帰るまでずっと一人でクラーマさんの相手していたんだったら体力的に起き上がるのはきつくないですか?」

 

 

「そうそう私たちでさえ正直けっこう疲れてるってのに、まだ幼いサイリちゃんが起き出してまでこんな男子(バカ)共の相手しなくてもいいのよ」

 

 

 男子に対してはけっこうな言い草のノレッジちゃん。

 

 否定はしませんけど。

 

 

「いえ、私はシャルラお姉様とノレッジお姉様のおかげで大人の女になれました。

 それにこれからはお二人と一緒に暮らしていくのですから、これ位の接客が出来ないでどうしますか」

 

 

 ……ん? 一緒に暮らしていく?

 

 ちょっと待ってください。

 

 確かにサイリちゃんは可愛いですけど孤児院暮らしですし、勝手にそんな事決めたら問題になるのでは?

 

 こちらの考えを読んだのか、クラーマさんが、すかさず補足を入れてくれます。

 

 

「サイリちゃんなら私が養子縁組の手続きしておいたから問題ないわよ。

 一応女子寮寮長って私の表の顔で娘として引き取ってこの寮に住めるようにしておいたから~」

 

 

 と、台所から声だけで応えるクラーマさん。

 

 耳がいいんですね。……って問題はそこじゃないですよ!

 

 確かにクラーマさんは愛情たっぷりで育てられるでしょうしお金持ちみたいですし表にも裏にも影響力がある顔の利く凄い人ですけど、いきなりすぎませんか!?

 

 

「あっはー♪ ほら、私ってば女の子大好きだしさ。

 サイリちゃんが可愛いから、もういっそ孤児院の子どもたち全員私の子どもにしちゃっても良かったんだけどね。

 でも『サイリちゃんがお姉様達(シャルラちゃんとノレッジちゃん)以外は自分一人だけを見てほしい』って言うもんだからさぁ、これでも遠慮しておいたわけよ」

 

 

「いえ、孤児院の子どもたち全員を引き取る覚悟があることが分かっただけで流石としか言うべき言葉が見つかりませんね」

 

 

 まぁ、いいんですけどね。

 

 サイリちゃんが一緒に暮らすのもクラーマさんの義娘になるのも。

 

 

「ほら、シャルラお姉様♪ あたしが淹れたパーフェクトなお茶ですよ♪

 勉強をするならその前に一息ついてくださいな♪」

 

 

「ありがとねサイリちゃん」

 

 

 本当にサイリちゃんは素直で可愛らしいですね。

 

 これなら一緒に暮らしていくうえで問題なんてないでしょう。

 

 

「ノレッジお姉様もお茶どうぞ♪」

 

 

「ありがとね~サイリちゃん。

 美味しくいただくわ♪」

 

 

 ほら、ノレッジちゃんとも打ち解けまくってデレデレにしちゃってますし問題なんて何一つ……

 

 

「ほれ男共。わりゃあ、お姉様たちと同じ班だからって調子乗ってっと、あたしがブチ殺すけぇのう。

 あたしが淹れた茶ぁ飲んだらさっさと帰らんかいボケェ!」

 

 

 ……ありました。

 

 

「ちょっ、サイリちゃん!

 ダイヤージ君とフィズ君に対する扱いが私達とは違い過ぎる気がするんだけど」

 

 

「それは当り前ですよシャルラお姉様。

 あたしは男という生き物が大嫌いなんですから♪

 お姉様達のクラスメートだから生かしてありますが許可さえあればいつでも、ぶちっ殺しますよ」

 

 

 いや、そんな笑顔で言われても。

 

 国の法律なんかが大陸全域まで行きとどいているとは言い難いモンハンの世界とは言っても、それを理由に殺人が認められるような社会ではないですよ。

 

 確かにこっそり行えれば上手く隠せるかもしれませんが。

 

 でも『ギルドナイト』もルナさん達の活躍でだいぶ活動が可能になってきてますし、少なくともドンドルマの街で殺人事件が起こったら捕まります。

 

 

「ほとんど初対面の女の子にここまで嫌われるだなんて初めてだな……」

 

 

「僕もあらゆる女性を受け止める懐を持っているつもりですが、ここまで取りつく島のない一方的な話し方をされるのはちょっときついですね……」

 

 

 変態紳士としては超一流であるはずの二人すら撃沈してしまうだなんて……。

 

 サイリちゃん。恐ろしい子。

 

 

「そんじゃ分(わ)ぁったか男共?

 あたしはクラーマ様を母と慕い、シャルラ様とノレッジ様をお姉様と慕って愛しとるんじゃ。

 ほいじゃけぇ、お姉様たちに近づくフナ虫どもを蹴散らすっちゅー重大な役目をもっとるんじゃい。

 ちょっとでも下手な真似してみぃ、その腐ったド頭(たま)かち割ったるけぇのぉ」

 

 

 あぁ……サイリちゃんは可愛いだけの女の子をやめてしまったのですね。

 

 ギャップ萌えの私としては大歓迎のキャラですけど♪

 

 それでは! 全然勉強出来ませんでしたが今日の勉強会はここら辺で終わりかな?

 

 とりあえずはクラーマさんの手料理を食べてから考えましょうか。

 

 ……とは行きませんでした。

 

 

「だが変態紳士を名乗る俺らがこの程度でへこんでたまるか!」

 

 

「おうともさダイヤージ!

 僕らの僕ららしさをこの口が悪いサイリちゃんに教えてあげようじゃないか」

 

 

 さすがにあの男子二人がサイリちゃんのような小さい女の子に馬鹿にされて、そのままでいるような人たちだとは思っていませんでした。

 

 かといって一応紳士を名乗る二人ですから、サイリちゃんに手をあげることはないと思っていたんですよ。

 

 ええ、その予想は当たっていました。

 

 が、実際に彼ら男子二人は怪しい手つきでサイリちゃんの小さな身体を揉みしだこうという意思を持って飛びかかったのです。

 

 

「「あらゆる生命に感謝して、いっただきまーす♪」」

 

 

 やっぱそういう流れにするとは流石はギャグ要員の二人。

 

 まったく私に何度ツッコミを入れさせれば気が済むのか。

 

 あ、でもそうは問屋が卸さないのがこの物語ですよ。

 

 女の子、それもとんでもなく可愛らしい幼女が力づくで手ごめにされるような展開は絶対にありません。

 

 ただまぁ……、うん。逆はあるわけですよ。

 

 正確には暴力ですが。

 

 

「吸血鬼パンチ!」

 

 

 サイリちゃんの拳がうねりを上げてアッパーぎみにダイヤージ君とフィズ君の顎を跳ね上げました。

 

 

「ぶち殺しますよ! 汚らわしい!!!」

 

 

「サイリちゃん『吸血鬼パンチ』が使えるだなんて、もしかしてあなた吸血鬼?」

 

 

 確かにサイリちゃんの可愛さにはどこか妖艶な雰囲気さえありますが。

 

 と言いますか、サイリちゃんって本当に怒った時にそんなセリフを言うキャラでしたか。

 

 

「いえ、クラーマ様から体術を教わっていたので早速実演しただけです。

 さっきあたしはクラーマ様と身体を重ね合わせていた時に身体の奥底、芯の部分に『気』と呼ばれる不思議パワーを注入されることによって、あらゆる体術を仕込まれていたんですよ」

 

 

 と言う事はクラーマさんは吸血鬼?

 

 ……いえ、考えるのはやめましょう。

 

 そもそも身体を重ね合わせただけで、あらゆる技術を仕込むだなんて超人的な指導力を持っているんですし、すでに人外と言っても過言ではないのでしょう。

 

 注入の方法についても説明するとなるとR15を超えてしまいそうですし。

 

 私にとってはクラーマさんもサイリちゃんも大切な家族のような存在ですから深入りはしません。

 

 さぁ、明日の試験を普通に頑張るとしましょうかね。

 

 

 




 クラーマは若い時に修行をしていると、なぜか突然、異世界を渡り歩く能力もゲットしたということで。

 その修行先で怪物級の連中と拳の勝負の末に友誼を結んだ、という設定w

 ちなみに私は肉よりは魚の方が好きですね。

 段々と百合の描写を濃くしていってますが本当にこの程度なら大丈夫ですよね。

 段々と上げているものですからR15の基準が分からなくなってきましたが、11作目と14作目はもっと上の百合で問題ないのですから♪

 そしてヨイヤサ作品№15も百合エロになる予定w(ギャグメインですが)
 たぶん、きっと。


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第46話:私の班に馬鹿はいりません

 馬鹿は馬鹿でも、『釣りバカ』とか『空手バカ』とかならカッコいいのですが、本当にただの馬鹿ってのはいけませんよね。

 あ、別に男子二人を排除するわけではありませんよ。まだ。


 

 美味しいご飯というのは体力気力、ともに回復できるのがいいですね。

 

 それもクラーマさんの愛がプラスされて効果は絶大の即効性とくればさらに素晴らしい。

 

 熱い料理バトルなノリでスタートしようかとも思いましたが、調理風景を描写するのが面倒なので、食事の後、男子二人が帰るというので玄関で見送るというところから今日の話はスタートです♪

 

 

「ふぅ~、それじゃ飯旨かったですクラーマさん。

 それにしても、俺以外にここまで料理上手の人がいるだなんて思わなかったぜ」

 

 

「僕も久し振りにまともな料理が食べられた気がするよ。

 家に帰っても、うちはパパもママも共働きで冷たいご飯しかないからね」

 

 

 きっちりクラーマさんお手製の晩御飯を食べたあと、別に勉強なんてしなくても私たちの班が赤点を取るはずがないのでは? という結論に至って勉強もせずに解散しようという流れになりました。

 

 見ての通りですが、究極の美少女である私は一度でも見聞きし、経験したことは完全に暗記することが出来るので教科書も、半分以上寝ていた授業中の先生の言葉も全て一字一句漏らさず覚えています。

 

 他のみんなも似たようなものらしいので大丈夫でしょう。

 

 

「それじゃお二人とも気を付けて帰ってくださいね。

 あ、それとこれ、サイリちゃんから二人に渡すように頼まれたお土産です」

 

 

 サイリちゃんは晩ごはんを食べた後すぐに、急遽用意した自分の部屋に籠って寝てしまったようです。

 

 それで渡されたものなんですが……

 

 

「……『チョコバナナ』ならぬ『銃(チャカ)バナナ』ってか?」

 

 

「これを僕らにどうしろと……」

 

 

 サイリちゃんったら……、さすがにこれはやりすぎですし注意した方がいいのではないでしょうか?

 

 見事なまでの笑顔は今のところ私とノレッジちゃん、それにクラーマさんにしか見せていませんし。

 

 まぁ、きっちり、このお土産を渡すことを了承した時点で私はこのノリを楽しんでいるのでしょうけどね。

 

 可愛いあの子が百合の片鱗を開花させてるんですから邪魔なんてしませんとも。

 

 えぇ、しませんとも。

 

 

「まぁ、とりあえずこういうのはフィズの役目だしよー、……喰っちまえば?」

 

 

 嫌なことを全て人に丸投げするダイヤージ君。

 

 だいぶいい感じにキャラが壊れてきていますね。

 

 私が言えることではないのですが。

 

 

「まさかフィズ。可愛い女の子が作った手料理を残すだなんて、しないわよねぇ~?」

 

 

 ノレッジちゃんも悪ノリしちゃってますし。

 

 私も勿論その考えには同意しますけど、そう言われて断れるフィズ君じゃないんですよね~♪

 

 

「くっ、ならば僕が男らしさというものを見せてあげようじゃないか!

 例え嫌われていたとしても、殺意の現れだとしても、可愛らしい女の子が作った手料理(?)を残すなんて男じゃないからね!」

 

 

 やめときゃいいのに意地になったフィズ君はチャカバナナを口に。

 

 それを見ていたダイヤージ君がせめて自分も何かしようと思ったのでしょう、

 

 

「俺に出来ることは限られてッけどよー。

 サイリちゃんの手料理を渡すように頼まれるのはシャルラがする。

 それを食べるようにはやし立てる役はノレッジがする。

 その引き金に指をかけるのは俺がしてやる。

 だがフィズ。

 そのチャカバナナを美味しく戴くのはお前の意思だぜ」

 

 

 面白そうに銃の引き金に指をかけるダイヤージ君。

 

 たぶん本物の銃だと思っていないのかもしれませんがそれにしても喜々とした表情は異常者のそれに近いものがありますよ。

 

 そして引かれた引き金。

 

 

パァン!

 

 乾いた音とともに銃弾が発射され、それはフィズ君の上あごを砕き、脳髄をブチ撒け、リアルに部屋を血の色一触に染めた……

 

 静寂ののちに訪れるフィズ君の死という現実。

 

 

「えーと……死んじゃいました?」

 

 

 死体を突っついてみても反応がありません。

 

 

「いやいやいや、この作品は百合である以前にギャグだし、銃で頭を吹き飛ばされたくらいで死ぬとは思えないんだけどねぇ~……」

 

 

「俺は引き金を引いただけでフィズの自殺として始末出来るかもな。

 クラーマさん、死体の処理が出来る知り合いっていないすか?」

 

 

「居なくはないけど、あなた達の班はこの先三人でやってくつもり?

 そりゃサイリちゃんは可愛いし百合要素を出すためならキャラが薄いフィズ君が消えてサイリちゃんを新しい四人目に組み込んだ百合百合ルートにするのもいいけど」

 

 

 その場合は男子がダイヤージ君一人になって、死ぬよりも酷い仕打ち(出番オールカット)を受けることになりそうですが。

 

 確かに最近のフィズ君は特にキャラが薄かったですしね。

 

 ダイヤージ君が変態紳士にジョブチェンジしたのならもう必要ないような。

 

 サイリちゃんの可愛さによる百合の重要の方が多いでしょうし。

 

 と、考えたところでフィズ君の体が普通に起き上がった。

 

 

「僕は死にましぇん!!!!!」

 

 

 どうやらフィズ君は生きていたようです。

 

 チッ。

 

 

「いま舌打ちしませんでしたか?

 ねぇ、今舌うちしましたよね?

 そんなに僕が生きているのが不満ですか?」

 

 

「知りませんよ。気のせいですよ。

 そのまま死んだままでも全然一向に構わなかっただなんて思っていませんよ」

 

 

 これは本音。少しだけ思ってますけど。

 

 

「まぁいいですよ。

 女性には優しくするのが男として当然だしね。

 では一応説明すると実はチャカバナナの引き金を引く前に影分身の術で入れ替わっておいたのさ。

 さすがに僕も脳漿(のうしょう)ぶち撒けて生きていられるほど人間をやめてないですからね」

 

 

「いえ、影分身の術なんて非現実的なことが出来る時点で人間やめてないですか?」

 

 

 まぁ、そういうことならこれからも私たちは四人班でやっていきましょう。

 

 サイリちゃんが可愛いという事実は変わりませんので、いつか本気で男子二人を追い出して新しい百合の四人班を再結成してもいいですけど。

 

 では少しばかりダレてきましたので、時間を飛ばして翌日へ行くとしましょう。

 

 久し振りの『シャルラクリムゾン』!

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「それでは期末テスト一日目終了だぁぁぁ~↑」

 

 

 ハリー先生の絶叫が教室に響く。

 

 私たちは無事にテストを終えました。

 

 まだ明日以降もテストはあるんですが、今日の分は終わりです。

 

 テストの日は半ドンですので昼までに帰れるのがいいですね。

 

 サボり魔の私にとって、学院を早くに帰れるのは何物にも代えがたい幸せを感じさせてくれるのです。

 

 

「おう、お前らどうだった?

 俺は自己採点したところ99点だったぜ」

 

 

「私は満点ですね」

 

 

「私もダイヤージと同じく99点のはずよ。

 最後の選択問題の答えが『L』、『O』、『V』、『E』になったから、その前の問題の答えに『シャルラ』って書いちゃったからさ~。てへへ♪」

 

 

 いや、確かに最後の選択問題四問の答えは『L,O,V,E』になりましたけど、それはハリー先生の遊び心でしょうに。

 

 それを点数を下げてまで私の名前書くだなんて、どこまで変態なんですか。

 

 

「さすがはノレッジだな。

 実は俺も最後の問題の答えがLOVEだったもんだから選択問題の前の問題の答えを『シャルラ』にしちまったんだよ。

 やっぱあんな問題来たらシャルラが好きって書くよな♪」

 

 

 ダイヤージ君も……

 

 ちなみに二人が私の名前を書いた問題の答えは『ハリー』だったりします。

 

 『ハリーLOVE』……。

 

 ハリー先生もテストの問題にこんな答えを用意するだなんて変態ですね。

 

 

「ところでフィズ君はどうだったんですか?」

 

 

 ここでみんなの視線が先ほどから黙り込んだフィズ君に向く。

 

 

「……」

 

 

「おいフィズ、お前もしかしてチームシャルラの一員のくせして最後の選択問題のLOVEの前の答えに正答を書いたんじゃねぇよな?」

 

 

「そんな訳ないわよダイヤージ。

 シャルラちゃんの可愛さを普段から口にしているフィズに限ってあの問題の答えを『シャルラ,L,O,V,E』にしない訳ないじゃない」

 

 

 確かにフィズ君なら真っ先にそう言ってきそうですけどね。

 

 私は自分の名前を入れるだなんて恥ずかしいのでしませんが。

 

 

「……一問も分からなかったんだ」

 

 

 …………。

 

 

「「「は?」」」

 

 

「実はね。僕はね。テストだなんて普段勉強していれば楽勝だと思ったんだよ。

 でもその結果が一問も分からなったんだ……」

 

 

 ……それはつまり0点ということですか?

 

 もしかしてフィズ君が馬鹿だと言うことになるのでしょうか?

 

 

「これは仕方がありませんね。

 班のリーダーとして見過ごすわけにはいきませんし今日は本当に勉強会でもしましょうか」

 

 

「そうね。まさかシャルラちゃんの班から赤点補習者が出るだなんてカッコ悪いもの」

 

 

「面倒だが俺も手伝わないわけにはいかねーよな。

 よっしゃフィズ。俺が教えてやっから明日以降のテストで満点が取れるようにバッチシ教育してやんよ!」

 

 

 まさか余裕のよっちゃんで勉強会をせずに済ませるつもりだった今回の期末テストイベントで、本当に勉強会をすることになるだなんて……

 

 私は、やると決めた時には必ずやる、『凄み』があるんですからフィズ君も覚悟してくださいね。

 

 途中で血へど吐こうとも私は手加減なんてするつもりはありませんので。

 

 こうして私たちの『本気』の勉強会が始まるのでした。

 

 ちなみに勉強会を開く理由は面白全部ですので♪

 




「いいか、男ってのはなぁ、女を大切にしなきゃいけないんだ」

 ゲーム『アザーライフアザードリームス』の主人公の父親のセリフだったかな。

 私は女性に女らしさ、女性らしさは一切求めません。(別に可愛らしい女の子が嫌いという訳ではありません。大好きです)

 むしろ男勝りでカッコいい女性にときめきますが、男らしくない男ってのだけはどうにも好きになれない。

 まぁ、ハーレム体質でも、全員を幸せに出来る甲斐性がある男なら好感が持てますが、女性を不幸にするような男キャラは大嫌いです。

 そういえば私の嫌いな主人公は、どいつもこいつも流されやすく、女たらしで優柔不断だったりするんですよねぇ~。

 主人公が嫌いな作品で主人公が嫌いな理由には、他の脇役が魅力的すぎるから、という理由もあるのでしょうが。


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第47話:真の勉強会

 

 期末テスト初日。

 

 私たち勉強出来るしテスト勉強なんてしなくてもいいですよね♪ なーんて言ってたら一番テスト勉強を真面目にする気のなかったフィズ君が初日からテストの問題が一問も解けなかったと言いやがったのですよ。

 

 なので、急遽勉強会を本気で本当に開こうという流れになった次第です。

 

 今回も場所は女子寮の中の私とノレッジちゃんの部屋。

 

 幸いなことにサイリちゃんは今日は引っ越しの手続きだなんだでクラーマさんとお出かけしているので私たちは四人だけです。

 

 サイリちゃんが馬鹿なフィズ君を見たらまた私たちとの仲好し時間が削られる! とか言ってフィズ君を削ろうとするかもしれませんからね。

 

 別にフィズ君を削ることには反対しませんが、私たちの部屋で殺人事件が発生しては後始末に困りますし。

 

 

「さて、今日のテストは俺らの頭の出来の良さを考慮しても比較的見易い問題ばかりだった。

 そんな問題でさえ一問も解けなかったっつーなら、こりゃもう生半可な方法じゃ駄目なんじゃねぇのか?」

 

 

「そうね。私は人に教えるのは得意じゃないけど明日までに平均点がとれるくらいには勉強が出来るようになってもらわないと間違いなく赤点で補習になるわね。

 シャルラちゃん何か考えある?」

 

 

「私がこれまで見てきた本に載っていた勉強方法を片っ端から仕込んでいきましょう。

 とりあえず、あまり多くは望みませんが平均点を取るというのが最低ラインでしょう。

 というか取りなさい!」

 

 

 面白半分、むしろ面白全部という気持ちではありますが、必至になってフィズ君の勉強を見てあげようと私たちがアイデアを出し合っているというのに、

 

 

「それにしても今日は天気がいいですね。

 そんなテスト勉強なんて放っといて遊びませんか?

 僕は友達と遊ぶときは昔っからパシリだったからボードゲームとか暇を潰せるものや買いだしを頼まれそうなものを常に携帯してるんだけどさぁ♪」

 

 

 などと言いやがる馬鹿が一人。

 

 服の袖からトランプをバラバラと出し、どこからか取り出したのか氷結晶を敷き詰めたクーラーボックスからジュースを取り出したりと休日の学生っぽい風情を感じさせるフィズ君。

 

 あなたのために勉強会を開くことになったのに何とも思っていないのでしょうか?

 

 

「こりゃもう荒療治するっきゃねーんじゃねーのか?

 俺もこれでも昔は不良のレッテル貼られてたし、力づくで解決してもいいっつーなら、拳に知識を詰め込んだ『学習パンチ』で文字通りテスト範囲の問題を頭に叩き込んでやろうか?」

 

 

「まったくダイヤージは乱暴ね。

 そんなテストが終わったら忘れるようなやり方よりも、額に剣山とかスタンガンを鉢巻で固定して寝かせない勉強方法の方が今後のためになるんじゃない?

 痛みで覚えさせるのではなく苦痛で、痛みと苦しみで覚えさせた方が効率がいいに決まってるもの」

 

 

「うーん、私としてはアリーナにいる雷使いのミギンマルさんに脳細胞をいじってもらって、教科書の中身を文字通り頭に焼き付けるやり方がいいと思うのですよ」

 

 

 それかいっそ、替え玉テストという手もありますが、フィズ君ってば無駄にイケメンという設定を持ってますから代役なんて見つかりそうにありませんし。

 

 

「僕はテストの点なんて気にしませんよ。

 それよりも折角半ドンで帰れたんだしシャルラさんやノレッジさんと遊びたいと思うのですよ。

 おっと、すぐ傍にはベッドがありますし一休みませんか?」

 

 

 フィズ君の意見は無視。

 

 だってどうせ楽をしようとあの手この手で私たちまで悪い点をとらせようとしてきそうですから。

 

 そして結論ですが、

 

 

「なぁ、もう全部やっちまえばいいんじゃね?」

 

 

「確かにフィズはびっくりするくらい頭悪いもんね」

 

 

「それじゃあアリーナに連絡入れておきますね」

 

 

 そう、今言った作戦を全て実行すれば大丈夫だと思ったのですよ。

 

 だって火傷の跡ってなかなか消えないでしょ?

 

 だから脳細胞に直接焼き付けるような、やり方でテストの点が上がらないだなんて思えないじゃないですか。

 

 ですが違いました。

 

 フィズ君はそんじょそこらの馬鹿ではなかったのです。

 

__________________________________________________________________________________

 

 

「……で、今日のテストも一問も解けなかったのですか?」

 

 

「その通りです、とフィズはフィズはシャルラさんの発言を肯定してみたり~♪」

 

 

 いや、可愛くないですから。

 

 それも小さい方のモノマネだなんて、似せる気皆無のモノマネを披露されるこちらの気持ちにもなってもらいたいものですね。

 

 昨日は一日かけてあらゆる方法でフィズ君の頭にテスト勉強を叩き込んだにも関わらず今日のテストでもまた一問も解けなかったそうです。

 

 本当に世話が焼ける人ですね。

 

 

「シャルラさんやノレッジさんと一緒に個室で勉強会をするのが楽しくて、また一緒に勉強ができればいいなぁ~、という思いからわざと解かなかっただけ「じゃないですよね?」……勿論冗談です!

 僕が馬鹿なだけです!

 カッコつけてすいませんっしたー!!!」

 

 

 いえ、『女の子と一緒にいたいからわざと0点をとった』って方がカッコ悪いと思いますけど。

 

 元々勉強が出来ないのもあるのでしょうが、脳細胞に直接たたき込んでも覚えられないだなんて脳みそ腐ってるんじゃないでしょうか?

 

 

「しっかしよー、俺らの考えうる限りの勉強法は教えて試して体に叩き込んだし、もう諦めっか?」

 

 

「確かに私もここ最近シャルラちゅあ~んと一緒に百合百合しい展開を描いていきたいし、こんな馬鹿フィズの話に付き合っていたくないんだけど」

 

 

 打つ手なし、ですね。

 

 ですが困った時のクラーマさん頼りという手が残っています。

 

 

「ではこうなったらフィズ君は黙って私についてきてください。

 これまで私たちが教えてきた勉強が分からないってことは分かる必要がないことなんですよ。

 なのでもう勉強を教えるのはやめです」

 

 

「僕はシャルラさんの優しい甘い言葉で耳元で囁かれたら100点とれると思うんだけどなぁ~(チラッ)」

 

 

 そんな目で見ても駄目です。

 

 私はもう、あなたに勉強を教えるということに飽きました。(ようするに遊び半分で勉強を見ていただけなのです)

 

 テストは明日が最終日。ここまでのフィズ君の戦績はオール0点。

 

 よし! ここは若者の青春らしく夜中に学院に忍び込んでテストの問題用紙を盗んでくるという手で行きましょう!

 

 学園物では勉強会で真面目にするか、テストの問題用紙を盗み見るなりカンニングをするなりして不正なやり方でテストに臨むというのがお約束なのですから!

 

 ふふふ。楽しみです♪




 これもまたお約束ですね。

 これが普通の恋愛物だったらご褒美で頑張らせるという手法も使えるのでしょうが、百合の作品に男なんていりませんからね。


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第48話:ハリーの領域

 私ってば、けっこうガムを噛むってのが好きなんですよ。

 

 風船ガムをぷーっと膨らませてパチンと割って。

 

 そんな意味のないことを繰り返すのが好きだったりするのですよ。

 

 ポケットには常にガムを仕込み、歯を使わずに口の中に小型の竜巻を発生させることで授業中もバレずにごく自然に噛んで(?)いたりするのですよ。

 

 え? この前振りが今回の話に何の関係があるのかって?

 

 学園物かつギャグ物語に意味なんて求めちゃいけませんよ。

 

 娯楽とは意味がない事に意味があるのですから。

 

 そんな訳で今回は学院に忍び込んで明日行われるテストの問題用紙を盗みとってくるというミッションに挑む私たち『チームシャルラ』の物語なのです♪

 

 はじまりはじまり~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは今回のミッションについて確認をしましょう」

 

 

 闇に紛れて普段通い慣れた学院の廊下を歩く私たち『チームシャルラ』の四人。

 

 それぞれに忍シリーズの衣装を身に纏い、おまけとしてニンジャソードを腰に提げていたりします。

 

 雰囲気作りですね。

 

 

「目標である明日の期末テストの問題用紙は職員室のハリー先生の机の引き出しにあるそうです。

 警備員はクラーマさんが足止めしてくれているはずですから園間に職員室に忍び込みましょう」

 

 

「しっかしよー、テストの問題用紙が入ってるような引きだしっつーのは大抵鍵かかってんじゃねぇのか?

 開ける手段あんのか?」

 

 

「大丈夫よダイヤージ。それも事前にクラーマさんが合鍵を作っておいてくれたハリー先生の引き出しの鍵があるから問題ないわ」

 

 

 そう、今回のフィズ君にテストで赤点をとらせないようにしよう大作戦の影ではかなりクラーマさんが働いてくれているのです。

 

 クラーマさん頼み、というのはこういう頼み方のことです。

 

 あの人、私が頼んだら何でも言うこと聞いてくれますが、さすがにフィズ君に勉強を教えるのは無理そうですからね。

 

 それでまぁ、無事に職員室に辿りついたのはいいのですが……

 

 

「これは……」

 

 

 困りましたね、と続きの言葉を言いたかったのですが、それは飲み込みます。

 

 

「ハリー先生も馬鹿じゃねーってことだな」

 

 

「それにしてもこれは超展開だわ……」

 

 

「ハリー先生は僕みたいな生徒がテストでいい点とれないから今夜辺り試験問題を盗みに来るとでも思ったんですかね?」

 

 

 みんなも同じ意見のようです。

 

 だって普通こんなことになっていたら驚いちゃいますもん。

 

 私たちが来ることを予想していたかのような対策がなされているんですから。

 

 職員室のハリー先生の机の前で固まる私たち四人。

 

 誰にも見つからずに職員室に侵入し、引き出しを無事に開けたまでは良かったのですが中にはハリー先生の挑発的なメッセージが残されているだけで肝心の問題用紙はありませんでした。

 

 

「『テスト問題が盗みたければこの学院の地下ダンジョンに行くべし』……って、学園物であるこの作品でダンジョンRPGでもしろってことなんでしょうか。

 ハリー先生も用意がいいのか暇なのか」

 

 

「暇なんじゃないの?

 というかシャルラちゃんも含めた私らの班って問題行動多いし、テスト問題を盗みに入ることも当然のように予測されていたのかもしれないわね」

 

 

「まっ、ハリー先生も生徒の自主性を尊重って感じの人だしな。

 自主的に学院に忍び込んでテスト問題を盗むのは構わないけど楽して手に入れるってのは面白くねーとでも思ったんじゃね?

 つーか俺らに自主性があると見抜いてこんな策を用意するだなんて、どんだけ人を見る目があんだよ、あの先生」

 

 

「ほら、面倒ですし今日のところはもう帰りましょう。

 テストなんてどこ吹く風さ、ですよ」

 

 

 ハリー先生の行動(問題用紙を隠す行為)の理由ですが教育者として生徒が問題用紙を盗むようなやり方に反対なため……ってのはありえませんね。

 

 どう考えてもダイヤージ君の言うようにテスト問題を盗むのは若気の至りってことで認めてはいても面白くないのは若者の青春に良くないとでも思ったのでしょう。

 

 相変わらず間違った方向に熱血な人ですね。

 

 それとフィズ君は無視します。

 

 

「それじゃ地下ダンジョンに潜るしかありませんね。

 幸いにも学院の地図は用意して来てますし中庭にある、いかにもなダンジョンの入り口を潜って地下5階にあるというテストの問題用紙を手に入れましょう」

 

 

 ちなみに言っておきますが学院にあるダンジョンは『不思議のダンジョン』などではありません。

 

 この世界に入るたびに形の変わるダンジョンだなんてあるわけがないじゃないですか。

 

 普通に墓としても使われていたごく普通の地下五階のダンジョンが将来、書士隊員として働くであろう生徒たちの練習用として中庭に作られているのです。

 

 

「いや、墓ってだけで普通のダンジョンとは言えないんじゃないかな?

 シャルラちゃんはそういうの平気なの?」

 

 

「……ノレッジちゃん、もしかして怖いんですか?

 私は昔からお母さんに連れられて世界各地の遺跡やお墓も荒らしまわっていましたし、存在しないものに恐怖を感じることはありませんよ。

 そ・れ・と・も~、私に守ってほしいのですかにゃ?」

 

 

 くふ♪ ノレッジちゃんったら実は怖がりで甘えん坊で私に対する普段の百合行為も私が大好きであるだけでなく夜一人で寝るのが怖かったという理由があるのも私は知っていますよ。

 

 目を逸らし慌てて否定しようとしますが上手くいかないノレッジちゃんったら本当に可愛いですね♪

 

 こういう何気ない可愛い態度が私をさらなる百合の世界へと引き込んで行っているということに自覚はあるのでしょうか?

 

 

「私が実はSっ気があってお母さんたちと大自然で暮らしていた時はモンスターのお友達からは『Sっ子シャルちゃん』と言われていた過去があったりするのですがこれは、いじめちゃってもいいですよね?」

 

 

「……おい、シャルラ。なんか思考が駄々洩れになってっから一人ごとは控えた方がいいぞ」

 

 

「おっと、地の文のつもりでしたが、あまりにもノレッジちゃんが『お化け怖~い』ってな可愛いこと言うものですからついノリノリでいじめちゃいそうになりましたよ」

 

 

 ですがこれはもう事態はフィズ君のテストのみに収まりません。

 

 一刻も早く地下ダンジョンに潜りノレッジちゃんの実はお化けが怖い属性をいじめ抜いて遊んであげなければ!

 

 では次回! 『恐怖、地下ダンジョンへ行こうの巻』お楽しみに♪

 




 ダンジョン物も書いてみたい気もしますが、一つの作品のテーマとしては書きたくないのでこの作品内で書いちゃいますw

 他作品と被るのもそうですが、王道ストーリーはオリジナル要素が出しにくく、かつ活かしにくいですからね。

 フロムソフトウェアは本当に私にゲームの楽しさを教えてくれた素晴らしい超会社ですよ♪


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第49話:メルヘン少女シャルラちゃん♪

 「メルヘン」という言葉の響き自体けっこう好きだったりします。実にかわいらしい!

 まぁ、それはさておき、うちで飼っている愛犬はしょっちゅう私の顔を舐めてくれるのですが、その時によくクシャミをするんですよね。

 別にタバコとか吸っているわけでもないのにも何か匂い(まだ若いつもりなので臭いとは言いませんよ)がするんですかね?


 ぴちょんぴちょん。

 

 天井から滴る水滴の音をBGMとし、それこそまさに忍者のように、時には忍のように駆け抜ける。

 

 夜の闇に乗じて忍シリーズを身に纏った私たち四人は学院の廊下を堂々と通り、そのまま中庭にあるという地下ダンジョンの入り口までやってきました。

 

 

「おぉぉぉ~!!! なんか学院にこんな、いかにもなダンジョンがあるなんて思わなかったからよー。

 ちょっとワクワクするな♪」

 

 

 実は頭装備だけ、見た目が似ているからという理由で、ユクモの笠を被っているダイヤージ君。

 

 修学旅行のお土産で買ったものだそうです。

 

 

「もう、あんまりはしゃいで罠にはまったりしても知りませんよ。

 そういうこと言うと、罠にかかって真っ先に死んじゃう感じですし」

 

 

 特にここ最近は作者の百合を描きたいという思いが溢れていますので、作品に不必要になってきた男子がダンジョンで、よくある事故として消されてしまう可能性がありますしね。

 

 

「んなこと言ってもよー、こんだけ立派なダンジョンが普段通ってる王立学術院の中庭なんぞにあるだなんて驚くもんだろ?

 普通テンションギガギガに上がりまくるもんっしょ。

 あと、この面子でまず最初に死ぬとしたらフィズだから俺は安心だ」

 

 

「そうね、フィズはもういつ死んでもおかしくない位にキャラが薄まってきちゃってるし、この先絶対に死なない、排除されないと言いきれるのは私とシャルラちゃんくらいだし」

 

 

「僕は死にましぇん!」

 

 

 でもここに来たのはフィズ君の学力向上(テストで高得点を取るため)のためですし、彼が今回(・・)の話で死んでしまうだなんてことはないでしょう。

 

 ええ、きっと。ないはずです……たぶん。

 

 

「シャルラさんも自信がないんですね。

 あぁ、やっぱり僕は死んでしまう運命なのか。

 ならばいっそ美少女代表シャルラさんの豊かな胸の中で抱かれて死にたい。

 というか揉ませてください!」

 

 

グチャ

「ぶち殺しますよ汚らわしい!!!

 ……と、サイリちゃんなら言うでしょうが、私は寛容なので許してあげましょう。

 海のように広い心で!」

 

 

 心の広さを例えるなら『メルチッタの大円湖』くらいですかね。

 

 

「それじゃ海じゃなくて湖じゃないの」

 

 

「いえいえノレッジちゃん。私は思うのですよ。

 海だろうと湖だろうと水がある場所という共通点があるなら問題ではないのではないかと。

 ……というかフィズ君はその事に気づいていませんでしたし、わざわざ指摘しなくともいいのでは?」

 

 

 あと最近モンハン成分が薄まっているので、実際にこの世界に存在する湖の名称を出すことでモンハンらしさを出そうという魂胆もあります。

 

 

「……僕が何よりも指摘したいのは人間の頭をシモフリトマトのようにグチャっと潰しておいて『寛容』と言えるシャルラさんの図太さにシビレ憧れちゃいます」

 

 

 あぁ、そういえばフィズ君の頭をノリで握り潰してしまいましたね。

 

 手が汚れてしまったじゃないですか。

 

 

「フィズは分身の術で死ぬ直前に自動で分身を作りだすことが出来るから物理的には死ななくなっちゃったわね。

 となるとフィズを殺すには精神的に生きたくないと感じるくらいに痛めつける必要が「殺す理由はありませんし理由もない殺人は私は認めませんよ」……シャルラちゃんがそういうなら私、フィズを殺すの我慢する~♪」

 

 

 はぁ~、フィズ君の命はもはや軽すぎますね。

 

 幾らなんでもネコとネズミのドタバタアニメじゃあるまいし、頭が潰れて生き返るとかがアリなら私も翼でも出して空でも飛ぼうかしら。

 

 こう、この世に存在しない物質を作り出すメルヘン少女として悪を成敗というのもいいですね。

 

 ちなみに私は成績に関しては全学年においてぶっちぎりの第一位です。

 

 第二位とかではありません。

 

 

「シャルラちゃんはお母さんが古龍だし可愛いから、どこぞのメルヘン野郎と違って翼を出して空を飛んでも最高に似合うはずよ♪」

 

 

「いえ、翼云々は冗談ですから。

 人形と話せる古代人みたいに翼を折りたたんで隠しているわけでも、水を被ると龍の姿になるとかの設定があるわけではないので、これから先もただの美少女書士隊長でやっていきますよ♪」

 

 

「すでにシャルラちゃんの中で自分が書士隊長になっているのね……

 一応ギュスターブ・ロン現・書士隊長は生きてるのに」

 

 

「何言ってるんですか~♪

 もうこの物語の読者の皆さんだけでなく、作者自身が常々言っているようにこの作品は私が書士隊長になるのが最初から決まっているんですから今更すぎる当たり前のことですよぉ~。

 今はいかにギャグ話を書くか、それだけが重要なのです」

 

 

 あとは百合を楽しむという目的もあります。

 

 この次に作者が書く話はたぶんバッドエンドのグログロになる可能性が高いですし。

 

 と、思ってたら、作者ったら早くも昨日の活動報告で撤回しちゃいましたけど。

 

 

「それよりも。

 いい加減先に進みませんか?」

 

 

 話を止めていた私が言うのもなんですが私たち四人は現在ダンジョンの入り口付近にいます。

 

 まだ。

 

 すでに開始から1800文字近く費やしてまだ入り口付近。

 

 いい加減進めないと尻すぼみどころか永遠に終わらなさそうです。

 

 と、ここで途中から静かになっていたダイヤージ君が何か言いたそうな目でこちらを見てきます。

 

 

「あー、なんかさっきから世界観壊しそうで言いづらかったんだがな。

 ここ、地下五階への直通エレベーターあんぞ」

 

 

 世界観崩壊……。

 

 見れば確かにエレベーターらしきものがあるではありませんか。

 

 モンハンの世界にエレベーター!?

 

 いやいや、どこぞのデーモンが支配していた国でも動力源が奴隷の人力エレベーターがあるんですし、おかしくはないですよね。

 

 疑問に思ったら負けです。

 

 

「僕が疑問に思ったのはシャルラさんがなぜ、デーモンの支配する国を知っていたか、ということなんですけどね」

 

 

「そういうフィズも知ってるじゃねーか。

 ちなみに俺はデーモンを倒して魂(ソウル)を集める世界は知らねぇぞ」

 

 

「ダイヤージ君の補足には突っ込まないでおきましょう。

 さて、私がその世界やその他の世界について知っているのは全てノレッジちゃんのおかげだったりします」

 

 

「ん? 呼んだ?」

 

 

 段々とフィズ君の試験勉強のために地下五階のダンジョンに潜るのが面倒になってきたノレッジちゃんは持ってきた荷物からお菓子を取り出して食べていました。

 

 

「あー、別の世界を覗く方法ね。はいはい。

 実は私、『魔性の法則』が使えるのよ」

 

 

 ノレッジちゃん曰く、この世界には色々な属性攻撃が存在しますが、人間のノレッジちゃんは火、水、風、土、そのどの属性も使うことが出来ない代わりに虚ろな無の魔性の法則が使えるのだそうです。

 

(さすがにこの言葉を略した単語は本当に世界観崩壊の危機があるので、ぼかしますが)

 

 なので、それで異世界への扉を開いて覗き見をして知識を蓄えていたわけなのですよ。

 

 ちなみに行ける世界は様々です。

 

 

「私はすでに『風』の能力を持っているので異世界への扉を開いたりは出来ないんですけどね。

 うまく風を操れば爆発くらいは起こせますし単純に身体能力で私に勝てる人はいないでしょうけど」

 

 

 と言いますか、ノレッジちゃんの言い分だと属性攻撃の使えないモンスター以外の人間なら誰でも魔法ちっくなものが(おっと、うっかり)使えるみたいに聞こえますがそんなことはありませんよ。

 

 この世界でそんな特殊な能力が使えるのは世界広しといえどもノレッジちゃんだけ。

 

 本来血筋やら特殊なアイテムという条件を満たして初めて使用可能になるものをノリで発現させたのは彼女のエロパワーが人並み外れていたからに他なりません。

 

 ちなみに触媒となる杖なんかもいりません。

 

 まぁ、『物語入り込み靴』という本の中に入る事の出来る靴が一足180ゼニーで普通に靴屋さんで売られているのでそんな特殊な能力がなくとも物語の世界に行くことは可能なんですけどね。

 

 

「そういえば地球という世界の広島県という土地の『母恵夢(ポエム)』ってお菓子は美味しかったですよね♪

 地球ならまた行きたいです」

 

 

「広島県は最高よね♪

 特に『くわい』が美味しかったし」

 

 

 くわいは福山市の名産なんですけどね。

 

 

「でも私はシャルラちゃんが側にいてくれれば異世界になんて一切興味ないわよ。

 本当に大切な幸せっていうのはね。身近にあるものなのよ(と、キメ顔で私は言った)」

 

 

「「…………」」

 

 

 男子二人はすでに聞いていません。

 

 どうでもいい会話になったので話が進むまで、おやつの時間にしようと早々に考えたのでしょうね。

 

 それぞれに持ち込んだ鞄からお菓子を取り出してパクついています。

 

 

「それじゃ、おやつを食べたら、みんなでこのダンジョンを制覇しますよ!」

 

 

 そうして私たち四人は笑いあり(爆笑)、涙あり(笑い泣き)、の冒険の末に地下五階に置かれていた期末テストの問題用紙を手に入れました。

 

 ごまだれー♪

 




 「ぜルダの伝説」のシリーズはGBCの頃が一番熱かったですね。

 ただ『ぜルダの伝説 ふしぎの木の実』では、二本同時発売された「大地の章」と「時空の章」の内、「時空の章」を買った友人がクリアを諦めたので当時「大地の章」を買って弟の協力のもとに苦労してクリアした私は二つのソフトを使う本当のラストを見ていないんですけどね。

 そして私は魔法はあまり好きではありませんが、『キングスフィールド』の「ライトニングボルト」は大好きです!

 あの魔法はカッコよすぎでしょう!!!♪
 と言いますか、あの魔法を知ってからキングスフィールドでずっと剣による物理攻撃オンリーだった私は、魔法使いも悪くない……いや、いい! となったわけです♪

 でも銃とロボットと魔法はジャンルとしてはあまり好きではないんですよね。

 過去作のどこかの後書きだかで書きましたが、銃はどんなに努力して命中率を百発百中に上げることは出来ても、銃自体の威力は上がりませんし。

 ロボットは……まぁ、巨大なロボに乗るって発想がチープに思えるだけで、どうせチートバトルするなら生身でやれよ、って思うだけです。
 人が操作しない自立型ロボットならアリです。

 魔法はどうにも便利すぎるのがちょっと……ですね。
 作品によっては法則や、発動に触媒や条件などを必要とするルールが明確な物もありますが、なぜか『子どもっぽさの産物』みたいで好きになれないのですよ。

 デモンズソウルでは純魔のキャラを対人用に作ったりしていますが。


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第50話:いざ、テスト開始!!

 とは、行かないお話。



 走れなくなった馬がやがてその命を失うように、人も歩みを止めては生きられない。

 

 

 

 彼らは新たな道を、新たな力を求め、ただ黙々と足跡を刻む。

 

 鉄(くろがね)の器具は特殊な趣味嗜好を満たすために進化し、天を貫くがごとし貴い百合の精神は人の心にその花を咲かせ、身に纏う鎧は互いの体温をより感じられるようにと、脱ぎやすさに特化し、愛によって世界は満たされる。

 

 

 …………。

 

「……という始まり方は斬新かもしれませんね♪」

 

 

「グッジョブ、シャルラちゃん♪

 まさかPS2版『モンハンG』のプロローグをこうまで素敵に愉快に改編しちゃうだなんていいじゃないの♪」

 

 

「いや、あえて突っ込ませてもらうとよー、この物語はドンドルマの街を拠点に展開されていってんのに何でオンライン上の拠点がミナガルデの街の『モンハンG』のプロローグから初めてんだよ?」

 

 

「いやいやいや、ダイヤージこそ、ツッコム所そこかい!?

 僕としてはこの世界にこれ以上百合が広まっては僕に、なびく女性が減ってしまうというところに問題があるんだけど!!」

 

 

 ……はい、いつも通りにハートバクバク、元気ガンガンのシャルラ・アーサーです。

 

 ダイヤージ君やフィズ君のツッコミはどちらも的外れなのでスルーしちゃってください。

 

 読者の皆様が感じているであろう違和感について私が説明しますと、作者が一番遊んだ据え置き機のモンハンが『モンスターハンターG(PS2版)』なのでこういう始まり方にしちゃいました♪

 

 ついでに補足しておきますと、この世界には『Ⅹ(エクス)・セーシャ&トーリップ・イサイオンジ』という謎の二人組が『プレイステーション2』というゲーム機をこの世界に広めたために、世界各地でこのゲームが今ブームなのですよ。

 

 このドンドルマの街にも電信柱という電気を各家庭に提供するためのものが立てられ始めていますし、最近発展が目覚ましいんですよね。

 

 

 まっ、そんな本編に関係ないことは放っといて第50話のはじまりはじまり~♪

 

 

___________________________________________________________________________________

 

 

 

「今更すぎるけど今更な問題に気づきました……」

 

 

 学院中庭の地下ダンジョンに潜って期末テストの問題用紙を手に入れた私たちは、エレベーターで地上まで一気に帰還し、それではテストの問題を解いて明日のテストに備えましょうか、と話していた時にフィズ君がそう言いました。

 

 

「問題用紙は確かに手に入れました。

 その問題もシャルラさん、ノレッジさん、ダイヤージの三人が揃えば難なく解けるのでしょう。

 ですが、解いた問題を僕が覚えきることが出来るかどうかが問題なのですっ!」

 

 

 あー、そう言えばフィズ君は馬鹿なんでしたっけね。

 

 当たり前すぎてうっかり失念していましたが問題を解いて答えを事前に教えても覚えられないくらいに馬鹿なんですよね。

 

 

「……俺も気づかなかったが、そりゃマジでヤバいんじゃねぇのか?

 よく考えりゃ最終的にはフィズが覚えてくんねーと意味ねーじゃねぇか」

 

 

「うーん、とりあえず答えが分かれば最小サイズのカンぺなら作れますけど……」

 

 

 ハリー先生がカンぺを見逃すようなミスをするとは思えませんので、カンぺの大きさに関係なく論外な策ですね。

 

 どうしましょう? 私の明晰な頭脳で考えて……、方法は一つあります。

 

 

「それじゃ手に入れた問題用紙ではなく、回答用紙の方を使いましょう。

 明日のテストではカーボン紙を使って私が二人分問題を解けばフィズ君もいい点がとれるはずです」

 

 

 そもそもフィズ君が馬鹿なのを理由に落第するのを防げればいいんですし、真面目に勉強を教える必要はないんですよね。

 

 なので今日は四人それぞれに別れて寮に戻り、明日のテストのためにしっかりと睡眠をとります。

 

 ……ノレッジちゃんの誘いは別腹ですが♪

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 そして翌朝。

 

 

「私としたことがうっかりしてました……」

 

 

 朝、目を覚ました私はベッドから体を起こして枕もとを見てみるとそこにはグシャグシャに破れた昨日とってきたテストの回答用紙が。

 

 えーと、ちょっと待ってください。

 

 今思いだしますので……。

 

 

「昨夜はみんなと別れて、ノレッジちゃんと一緒のベッドで寝て、それから……それから……。

 あ! そういえば昨夜はノレッジちゃんがティッシュがないからって代わりに使ったんでしたっけ」

 

 

 何に使ったのかは言いません。

 

 しかし使ったのはともかく、それでもベッドのシーツにシミが出来てしまうだなんて家政婦アイルーさん達には迷惑掛けちゃいますね。

 

 

「うわぁ~、どうしましょう。

 これ濡れたどころか、ところどころ破けちゃってますし今日のテストの細工には使えませんね。

 うん、でも、美味し♪」

 

 

 指をつけるとまだ濡れたまま糸を引いていたので舐めとります。

 

 ノレッジちゃんの味がしますね♪

 

 しばし打開策を考えているとその内にノレッジちゃんも起き出し、

 

 

「あーあ、シャルラちゃんが濡れやすい体質だからこんなことになっちゃうなんて、災難よね~」

 

 

「何言ってるんですか。

 私が人一倍濡れやすいのではなく、ノレッジちゃんの技が古龍とのハーフである私を屈伏させるほどのものだったからですよ。

 それとこのテスト用紙を濡らしたのはノレッジちゃんじゃないですか」

 

 

「そうよね。私ってば段々百合としての技能が上がってきちゃってるし、もう流し眼とか使うだけで対外の女の子を濡らす位は出来るのよね~」

 

 

「そこまでとは思いませんでしたが流石ですね……」

 

 

 テスト用紙を破いたことについては責任逃れですか。まぁいいんですけどね。

 

 最近ノレッジちゃんの腕が上がったことでティッシュの消費量も増えていたから買い置きがちょうど切れてたんですよ。

 

 でもそんなときに限って我慢できないほどの体の疼きを感じちゃうだなんてねぇ~。

 

 まぁ、こうなってしまったものは仕方がないと諦めましょう。

 

 いい加減にしないと私だけでは我慢が出来なくなったノレッジちゃんがクラスの他の子にまで手を出しかねないですからね。

 

 ノレッジちゃんは私のものです!

 

 

「さて、とりあえず打開策が見つかりました。

 フィズ君には実力でテストを受けてもらうことにしましょう。

 それこそが正しい行いであり、本来あるべき姿なんですし」

 

 

 そう、私たちは学生。

 

 学生ならテストでいい点を取るために勉強会を開いたり学院に忍び込んでテスト問題を盗み出したりするのは当然!

 

 ですが結局最後に問題を解決するのは自身の実力のみ。

 

 

「よくよく考えたら、私たちがフィズ君の面倒をそこまで見る必要はないんですよね」

 

 

 大体フィズ君ってばキャラ薄いくせに出しゃばって、このまま空気みたいにいなくならないかなぁ~とか考えちゃったりします。

 

 まぁ、それは冗談ですが。

 

 いなくなるなら、きちんとした理由がないとスッキリ出来ませんし。

 

 

「それじゃ私たちも、これからもう一度しちゃう?」

 

 

「しちゃいましょう!」

 

 

 こうして『フィズ君の赤点を防ごう作戦』は失敗に終わり、フィズ君は今日のテストも見事に0点を取ったそうです。

 

 私とノレッジちゃんも朝から羽目を外してしまったために遅刻、もとい無断欠席をしてしまいましたので再試験を受ける羽目にはなりましたが。

 

 ノレッジちゃんったら、その腕前はすでに神の領域で、失神ものなんですよね。

 

 神だけに。

 

 一応、お昼くらいに再び目が覚めましたが、わざわざ100点満点をとれて当たり前のテストを受けに行くのもばからしいと思って、あえて、試験を受けに行かずに一日ベッドで過ごしたんですし後悔はありません。

 

 後日再試験で満点を取りましたがフィズ君は結局、全科目0点という、かつてない大記録を達成し、学院の歴史に名を残すとともに、それから暫く放課後をずっと補習に費やしましたとさ。

 

 めでたしめでたし♪




 いやぁ、本当にモンハンの世界に主人公のシャルラ達とは全く関係ない、異世界トリップやチート転生者を出して、プレステ2にゲームのモンハンまで広めちゃいましたw

 それにしても電気袋とかってどうやって電気を出しているんでしょうね?

 振動とか、少しの電力をもとにして、増幅して無限に電気を増やす仕掛けでもあるのかも。

 なら半永久的に使えるから電柱や発電施設は必要ない気もしますけど、そこは日本人として電柱のない風景が寂しく思えるのですよw

 ちなみに今回出た名前だけの新キャラは最終話のあとのキャラ設定にて詳しく語る予定です。


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第51話:みんなのシャルラ

 

 

 ロンside

 

 

 ギルドナイトのラスコー指揮官が逮捕され、総崩れになって大分時間はかかったが、なんとか私の派閥の人間をまとめることは出来た。

 

 その数は大きく減ってしまったのだがな。

 

 さすがに表立って私に逆らう者はまだシャルラ派にもいないが、それも時間の問題だろう。

 

 日和見主義だったどっちつかずの者はシャルラ派に付き、その室だけでなく、数ですら私の派閥に迫る勢いを見せている。

 

 私の地位を支えていたのは何と言ってもギルドナイトという死の恐怖を与えることのできる暴力的手段を私が有していたからに他ならない。

 

 その手段を失ってしまったのならば次の手を考える必要がある。

 

 しかし『ギルドナイト』以外となると大長老直属の『ガーディアン』ということになるが、さすがに大長老の手の者を味方につけるのは難しいと言わざるを得ない。

 

 あの大長老、自然と人間の共存という目的を持って行動しているだけあって、シャルラ・アーサーよりも面倒な相手だ。

 

 むしろシャルラ・アーサーを応援しているような節さえある。

 

 だが……私が大長老を追い詰め、その地位を得ることは敵わずとも、権力の一部を奪い取ることが出来ればどうだ?

 

 シャルラ派の者を一掃するためにもさらなる権力を手に入れなければならないのだ。

 

 ここらで少しばかり無理をしていく必要がある。

 

 残った私の手の者では腹心であるジェリーくらいしかいないが、まだ何とか立て直せるはずだ。

 

 書士隊長はこの私、ギュスターブ・ロンなのだからな!

 

 

 

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

 む、何やら現・書士隊長が何かしてきそうな雰囲気ですね。

 

 

「シャルラちゃんどうかしたの?」

 

 

「いえいえ、何でもないですよ。

 それよりも、今日のお昼ご飯を何にするかが今の最大の問題だと思うのですよ」

 

 

 いつも通りの変わらぬ日常のありがたさを感じ、窓際から差し込む明るい光に眠気を誘われながらも空腹が勝っているために居眠りをしていないという昼休みの前の授業の最中。

 

 ハリー先生は相変わらず暑苦しい授業を熱心にやっていますので、一応言っていることを一字一句漏らさず頭に入れといてあげてます。

 

 私ってばテストで満点を取らなければ文句言われるくらいに授業態度の評価は悪いですからね。

 

 

「うーん、平和ですね~……」

 

 

 ここ最近はギルドナイトの総崩れでロン派との、いざこざもありませんし、平和な日常が続いています。

 

 すでにギルドナイトは新指揮官のルナさんの頑張りによって立て直しに成功し(後からご褒美をねだられましたが)、私の手足として、日々のロン派の情報収集もだいぶ楽になってきました。

 

 しばらくは向こうも行動に移せないでしょうから私の方から動いてもいいんですが、正直面倒くさいんですよね。

 

 今日のお昼ご飯も何を食べるかまだ決めていませんし。

 

 

「そういえば今日の学食の日替わりメニューはなんでしたっけ?」

 

 

「今日の日替わりメニューは黄金芋酒と幻獣チーズね。

 人によっては毎日頼む人もいるみたいだけど、私はお酒の美味しさはまだ分からないわ」

 

 

 ノレッジちゃんはお酒に弱いみたいです。

 

 この世界では15歳ともなれば自己責任でお酒を飲むのは問題ないのですが、私もお酒はまだ美味しく感じないので飲むつもりはありません。

 

 と言いますか、学院の日替わりメニューにお酒を入れる辺り食堂のシェフは随分と酒飲みなんですね。

 

 ならば他のメニューにするか学院の外に食べに行くかですが……。

 

 そうだ♪

 

 

「……ノレッジちゃん。私少し用事ができましたので今日のお昼は一人で食べてください。

 少し出かけてきますので」

 

 

「え? 私との食事嫌になっちゃったの!?」

 

 

「いえ、そういう訳ではありませんが……」

 

 

「二人で築いてきた関係を一人で一方的に終わらせるって言うの!?」

 

 

「いえ、違いますってば。

 ただ少し、面白いことを思いついたので、たまには私から手を打つのも悪くないと思いましてね。

 今後の憂いを晴らすためにも今から行動しておくと、より面白いことになりそうな問題があるのですよ」

 

 

 自分から手を出すのは面倒、という前言はノリで撤回です。

 

 今回は最終章ということですし私の方から行動しちゃいましょう。

 

 

「シャルラちゃんノリわる~い、もう少しギャグっぽい展開に付き合ってくれてもいいのに。

 でも分かったわ。

 その代わり、明日のお昼は一緒に食べること!

 いいわね?」

 

 

「勿論ですよ。

 何を置いても私はノレッジちゃんの一番のお友達(恋人)なんですから」

 

 

「うん、よろしい。

 明日の口移しでのお昼ご飯を楽しみにしているわね♪

 私の大切なお友達(恋人)のシャルラちゃん♪」

 

 

 食べさせあうのは友人同士として当然のこと。

 

 ならば私たちはその上を行くために口移しでの食事というのも当然!

 

 そして授業に戻りますがその前に一言。

 

 

「それと一つ言っておきますと、私がノレッジちゃんと付き合うのは普段からのことですが、……本気で一緒になりたいときはベッドにいる時だけですのでその時には甘えさせてくださいね♪」

 

 

 少しばかりデレのサービスを。

 

 

「さすがはシャルラちゃん!

 私の扱いを実に心得ちゃってるんだからぁ~♪

 もうシャルラちゃんから離れられないよぉ~う♪♪♪」

 

 

 私のノリは夜に発揮されます。また今夜も楽しみですね♪

 

 

 その後、授業を終えた私はすぐにある場所へと向かう。

 

 途中、受付で手作りのお弁当を持ってきていたサイリちゃんに一緒に食べないかと誘われましたがそれも断ります。

 

 正直クラーマさんと一緒にサイリちゃんの手作り弁当を食べたい気持ちもありますが今はまだ我慢です。

 

 本当に残念ですが、これからの行動をしておくと、もっと楽しい時間が得られるのですよ……。

 

 

 そして私を惑わすサイリちゃんの誘惑を断ち切るために少し早足で私は歩き続け、ある部屋の前で止まる。

 

 

コンコン

 

「……はい」

 

 

 部屋の戸をノックすると少しして返事がありました。

 

 何処かへ出かけられていては探すのが大変でしたのでこの部屋で見つかってよかったです。

 

 

「失礼します。学院生徒、シャルラ・アーサーと申します。

 少しお話があるのですがお時間よろしいでしょうか」

 

 

 戸を開けて中の人物にまずは自分から名乗る。

 

 部屋の主は、私の名前に多少身構えたような動作を取りながらも部屋の中に入れてくれました。

 

 

「では少し話をしましょう。

 そんなに身構えなくとも大丈夫ですよ。

 ロン派の幹部、ジェリー・クロムアーマーさん」

 

 

 彼女、ジェリーさんとは一度お話をしておきたかったのですよ。

 

 さぁ、そろそろ物語の最終話に向けて話を進めていきましょう。

 

 今回は私が攻勢に回る番ですからね。

 

 ギュスターブ・ロン氏からは全てを奪わなくては気が済みません。

 

 まずはあの人の腹心から頂きましょう。

 

 狂わせてもらいましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノレッジside

 

 

 シャルラちゃんにはシャルラちゃんの事情があるし、それを無視してまで引き留めるのは私には出来ない。

 

 だから面倒くさがりの(そこが可愛いんだけど♪)シャルラちゃんが、今後のために自分から何か行動を起こすと言うのなら、黙って応援するのが私の友達(恋人)としての役目!

 

 シャルラちゃんは本当にピンチの時に人を頼れないほど、子どもじゃないし、いざとなれば頼ってくれる。

 

 だから私は安心して、シャルラちゃんが笑顔で体を任せてくれる場所を守り続けるだけなのよ。

 

 

「と、考えながら常に持ち歩いているシャルラちゃんの昨日履いて脱衣籠に入れてあったパンツの匂いでも嗅いで寂しさを我慢するか」

 

 

 今私がいるのは教室の自分の席。

 

 シャルラちゃんは授業が終わってすぐに教室から出て行ってしまったから、その寂しさを紛らわせるために彼女のパンツを嗅いでいただけ。

 

 ええ、そうよ。寂しいものは寂しいんだから。

 

 だってシャルラちゃんったら何でも一人で解決しちゃうんだもの。

 

 もう、ロン書士隊長も少しくらいシャルラちゃんをピンチにしてみなさいよ!!

 

 本当に敵が弱すぎるってのも考えものね。

 

 そう思いつつも手に握るシャルラちゃんのパンツは決して離さない。

 

 あぁ~、これ本当にいい香りだわ♪

 

 このままずっとシャルラちゃんのパンツをくんかくんかしているだけの話で締めてもいいけど、それだけでは終われない。

 

 ここで教室に私を探しに来る可愛らしい幼女の姿を発見したのだから。

 

 

「あ、ノレッジお姉様。

 会いたかったですぅ~♪」

 

 

 もうお昼ごはんの代わりに昼休みの間ずっとシャルラちゃんのパンツ嗅いでおこうかと思っていたら、突然私の妹的存在のサイリちゃんが現れた。

 

 抱きつきのおまけ付きで。

 

 ぷにぷにの幼子特有の柔らかさと暖かさが、じゅくじゅくじゅるじゅると、私の欲望を刺激するけどまだ駄目よ私!

 

 さすがにクラスの他の女子はすでに関係を持っているから平気だけど、男子にまでサイリちゃんの裸を見せるわけにはいかないからね。

 

 

「どうしたのサイリちゃん。

 てか君は学院の生徒じゃないのにどうやって入ったのかな?」

 

 

「この学院の受付はクラーマお義母さんですので侵入に関しては無問題です。

 ほら、この腕章をしていれば学院内どこを歩いても咎められないと言われてますし」

 

 

 見ればサイリちゃんの腕には『学院受付クラーマ・ネーデシュアーレの許可証』と書かれているじゃないの。

 

 本当にこんな腕章一つで学院関係者以外は超一流のハンター位しか入れない王立の学術院の中を闊歩出来るんだからクラーマさんの権力って凄いものがあるわよね。

 

 

「それでお姉様。お昼ごはんですがもう食べちゃいましたか?」

 

 

「う~ん、食べたというよりは『嗅いだ』、かな?

 ほら、シャルラちゃんの昨日履いてたパンツで今日のお昼は済まそうかと思ってたのよ」

 

 

「うわ~♪ 本当にシャルラお姉様のパンツだぁ~♪

 あたしも嗅いでいい!?」

 

 

「いいわよ。存分に楽しんじゃって♪」

 

 

 幸せそうな顔で私の手からシャルラちゃんのパンツを受け取るサイリちゃん。

 

 ついでに私が今履いているパンツも脱いで渡してあげたら天にも昇らん勢いで嗅いじゃってる。

 

 本当に可愛いわね~、この子♪

 

 

「っと、そうでした。

 あたしとしたことが使命を忘れるとは不覚」

 

 

「お昼ごはんだっけ?

 サイリちゃんが作ったお弁当なら是非とも食べたいわね」

 

 

 実は今回の物語の冒頭から、私は読者視点で読んでいたので、サイリちゃんの手作りお弁当のくだりも知ってたりするわよ。

 

 やっぱ可愛い子の手作りお弁当は食べないわけにはいかないでしょ。

 

 

「あぁ~、でもあたしはお姉様達のパンツがあればもう満足です。

 このまま永遠に、こうしていたいです~♪」

 

 

 うっとりしちゃってまぁ。

 

 この子、本当に一流の百合を極める素質ああるわね。

 

 今夜にでも私たちの夜の集まりに混ぜてあげてもいいかも♪

 

 

「……とりあえずお弁当食べましょうか♪」

 

 

 夜のことを考えるのもいいけど今はお昼ごはんを考えましょう。

 

 いざ、サイリちゃんの手作りお弁当を食べに!

 




 久し振りのノレッジside。こういう話を書くと、自分が抑えにくいからか、単語や描写に気を使うだけで精一杯なので文字数がけっこう増えてしまうんですよねぇ~w

 最終話付近は私らしさが溢れすぎの気もしますが、それはいつものことなので流しましょう。

 本筋であるロン派の幹部、ジェリーとシャルラの接触については次話で纏めてあります。


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第52話:難攻不落を陥落。もとい快楽

 少しずつロン派の切り崩しに走るシャルラ!

 もう展開は見えていますが、そこをいかに盛り上げられるかが実力の向上につながるので最後まで突っ走ろうと思います!

 それにしても今回の話は本当に限界ギリギリを狙ったので、どこまでやるかでけっこう悩みました。まぁ、これ位は大丈夫でしょう(いつもの根拠のない自信)




 ジェリーside

 

 

 私の名前はジェリー・クロムアーマー。王立学術院古生物書士隊のナンバー2だ。

 

 書士隊の上司でもある、ロン隊長には私が幼い頃から随分と恩がある。

 

 ロン隊長のためなら命なんていらない。

 

 泥のように汚れることも厭わない。

 

 その決意は本物だ。

 

 だが、痛みや苦しみなどでは決して折れない自信のあった私の心は、今までに経験したことのない快楽には折れそうだった……

 

 

「そんなに緊張しなくてもいいですよ。

 安心してその身をゆだねてください」

 

 

 慈愛たっぷり顔でそう言ってくるのは私の尊敬するロン隊長の敵であるシャルラアーサー。

 

 子どもとは思えない妖しい色気。

 

 出会ってすぐに分かったが、この娘は危険だ。

 

 だから本来このシャルラ・アーサーの誘いなんて断ってしまえばよかったのだが、気付いてみると私の身体は私の意思とは関係なく、この娘を求めてしまっていた。

 

 

 ぬるり、と。

 

 私のもので濡れたシャルラ・アーサーの手が、卑猥な音とともに私の体の内側を削り取るかのように大胆に、それでいて熟練の職人のごとく細かな動きで私の体の奥を熱く昂ぶらせる。

 

 奴を部屋に招いたのは、機会があれば私が手を汚してでもロン隊長のために暗殺しようという考えからだった。

 

 だが、その隙はなかった。

 

 シャルラ・アーサーの眼を見た途端に身体の奥に火がついたかのような熱を感じ、接近を許してしまった。

 

 シャルラ・アーサーが接近してくれたのはこちらとしても殺すチャンスだったのだが、身体は動かず、奴の手が私の身体を弄るのを止めることも逃れることも出来なかった。

 

 なんだこれは!?

 

 なぜ私の身体は動かないのだ!?

 

 ロン隊長の敵であるこの娘を殺せば全てが上手くいくというのに、私の身体はなぜ、こんな娘を求めるかのように疼くのだ!

 

 

「それはあなたの身体が私を求めているから。

 ただ、それだけの理由です。

 考える必要はありません。

 あなたはただ、受け入れるだけでいいんです」

 

 

「や……めろ。

 そ、そんな言葉を言……うな」

 

 

 学院内での暗殺は危険も多く、証拠を残さずに処分することは無理だろう。

 

 勿論私は自分の手を汚すことでロン隊長の役に立てるのなら人一人殺す位一切の躊躇いなく行える。

 

 しかしそれでも……、それでもこの快楽を前にしては私の体は私の意思に従ってくれない。

 

 もう何度も試したから分かる。

 

 私はこの娘に逆らえない。

 

 無理だ。私はロン隊長に全てを捧げる覚悟を決めていたがこの娘の前ではその決意が揺らいでしまう。

 

 あぁ、あぁぁぁぁ、私がロン隊長に仕えていた理由すら何だったのか?

 

 今となっては何も思い出せない……

 

 一般人にとって越えられない、理解すら許されない領域に到達している目の前の人外の娘が、私の身体を外からだけでなく、中から弄んでいるこの状況に私の脳は思考することを放棄させてしまう。

 

 だが……一生に一度くらい、こんなことを考えるのも悪くないかもしれない。

 

 身を任せるのも悪くないのかもしれない。

 

 この娘を好きになるのも……悪いことではないのかもしれない……

 

 

「た……のむ……」

 

 

「なんですか?」

 

 

「イ……かせてく……れ……」

 

 

 もうどうしようもないくらい私はこの娘、いやシャルラ様を求めていた。

 

 私にはこの方しか見えない! この方さえいればいい!

 

 

「お願いします!

 私をあなたのモノにしてくださいッ!!!」

 

 

「ええ、勿論です。

 あなたはこれから私のモノ。

 一生私が可愛がってあげますので安心してください」

 

 

 そうしてシャルラ様の手がこれまでのが遊びであったかのように、私の身体の一番深い、奥の奥へと触れた瞬間。

 

 盛大に噴き出した私の中の温かい物が噴水のようにあたりに舞い散る。

 

 それと同時に私の意識が闇にのまれていった。

 

 だが恐ろしくはない。

 

 この方が側に付いてくれれば私にはもう何もいらないのだから……

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

 ふふふ♪ 一番厄介で、一番懐柔が難しいように見えて、一番崩しやすい、味方にしたら心強いジェリー・クロムアーマーさんを頂いちゃいました♪

 

 この人の情報もすでに入手してあったので、今日ここを訪れたのも味方につけるか消すかの算段をしながらだったんですよね。

 

 でもこの人を見てまず感じたのは、私と同じ属性であるということ。

 

 つまり、この人は現・書士隊長のギュスターブ・ロン氏の側近としても活躍しているようですがその本質は百合でした。

 

 ギルドナイトからの報告で、彼女が一人で街中を歩いていても、異性よりも同性、それも可愛らしい少女に目を向けて、それを隠そうとするかの素振りをしていたのが確認されています。

 

 休日には変装して出かけた先の書店にて、百合の雑誌を大量に購入し、同じ本を何冊も購入したりもしていたそうです。

 

 上手く隠していたつもりでしょうから、それだけ堂々としていながらも本人は百合であるという自覚はなかったのでしょうね。

 

 でも瞳の奥に宿る百合の光というものは私にはすぐに分かりました。

 

 ……それと少しMっ気もあるようですね。

 

 それで実際に会ってみると、その情報は確信に変わったので殺すといった乱暴な手段をすぐに選択肢から除外し(まぁ、百合でなかったとしてもエナ先生にでも薬漬けにして私の派閥の傀儡にでもしてもらうつもりでしたが)、少しばかり『風』を操作することで脳内麻薬の分泌量を増やし、

 

 湿度、温度の調節で雰囲気作りをしたら彼女の身体を空気で作った紐でその場に固定し、動けなくしました。

 

 感覚的には自分の意思で動かない身体は自分の意思で私を求めているのだ、と錯覚させるためですね。

 

 作戦は見事に成功。

 

 彼女の心は、これからずっと私のモノ。

 

 もう他の快楽に惑わされることもありませんし、薬物を使おうとも私の洗脳に近い手技による快楽からは抜け出せません。

 

 さぁ、ジェリーさん。あなたのご主人様はこの私。

 

 これからも、この快楽が欲しければ私に従ってくださいね。

 

 

「あ……うぁぁぁぁぁ~……」

 

 

 む、少しいじめすぎたでしょうか。

 

 口の端から泡となってこぼれおちる涎がまた何ともエロさを醸し出していますね。

 

 

 ぺろり。

 

 

 うん、この味は天性の百合とMの素質を持っている味ですね。

 

 万人に一人の逸材と言ってもいいでしょう。(別に涎を舐めなくとも目を見れば、その人の本質位は見抜けますけど)

 

 これは……、もう少し遊んじゃいましょう♪

 

 

「あなたのご主人様の名前はなんですかぁ~?」

 

 

「う……わ、わ、わらひのぉおおご、ご主人様は……シャルラしゃまれひゅ。

 お゛ぉおォおん願いぃぃぃぃっっっ゛しまひゅ、お゛ぉおォおん願いぃぃぃぃっっっ゛ひまひゅ、もっとわらひをいぃじめてくらひゃいぃ♪♪♪」

 

 

 うふふ、すでに風による拘束は外してありますが、それでも自ら私を求めてきています。

 

 最初に少し舌を這わせただけで絶頂を繰り返す感度にまで高ぶり。

 

 次に全身を私の手が、ただ撫でるだけで痙攣を起こすほど敏感に反応してきます。

 

 開きっぱなしの可愛らしい口も、試しに軽いキスをしてあげたら、まるで砂漠で永いこと水を求めていた人のように勢いよく吸いついてきますし、本当に雌になっちゃってますね。

 

 もうすぐ物語も終盤。

 

 今回の話は百合シーンに行くまでの描写は作者が面倒という理由から若干あっさり仕立てになっていますが、これも悪くはないでしょう。

 

 これ位ならまだ許容範囲ですよね♪

 

 さぁ、もっと私を楽しませてください。

 

 今日の授業はたった今「半ドン」ということにしましたのでお昼までで授業はおしまいです。

 

 夜までたっぷりと時間はありますから、それまでずっと傍にいてあげましょう。

 

 私のために働いてもらうためにも躾(しつけ)は始めが肝心ですからね。

 

 イキ狂ってくださいジェリー。




 恐怖による支配よりも快楽による支配の方が上手くいくというわけです♪

 ある意味、快楽は拷問のようなものですしね。

 デモンズソウルに出てきた心折れた戦士も消える瞬間はこんな風に幸せに逝っていればいいんですけど。

 いや、まぁ、ジェリーは死んでませんがw


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第53話:この物語が百合要素だけだとでも思ってたならそれは大きな間違いです

 百合が好きと言っても私の本質はギャグにこそあります。と言った最終話少し手前の話。




 ロンside

 

 

 シャルラ・アーサーに対して有効な策を模索し続けていたが、どうにも情報が不足している。

 

 ギルドナイトも、あの娘の支配下にあっては逆にこちらの情報が奪われかねない。

 

 そこで早いうちに、私がこの派閥争いに敗れる可能性を少しでも小さい内にあの娘を始末するための仲間を増やしておきたいと思う。

 

 そういう考えから、今日開く会議は情報収集と今後の私の先行きを見るためにも最も重要なものとなる。

 

 が、会議の時間まで、まだあるとはいえ、集まった私の派閥の人間は数人。

 

 しかもジョン派 ―――いや、今ではシャルラ派だな――― の人間はまだ一人も来ていない。

 

 私の派閥もずいぶんと小さくなったものだ。

 

 と言うよりも、最近私を軽んじている者が多すぎる気がするのだが……

 

 なぜか学院全体に、私がシャルラ・アーサーの暗殺を試みたという噂が流れはじめ、証拠こそ残していないために表立って私を糾弾してくる者こそいないが、周りが私のことをどう思っているかがよく分かる。

 

 校内の掃除や簡単な設備の修理をしてくれている学院の用務員に、学院内にある私の自室の扉に書かれた落書きを消すように頼んでも「後でする」というばかりで結局自分ですることになった。

 (たぶん落書きは生徒の誰かだろう。「『元』書士隊長室(笑)」などと書かれていた)

 

 その用務員だが、シャルラ・アーサーが「自室に新しい本棚が欲しい」と言ったら自腹で瞬時に用意したという話も聞いた。

 (私自身が女子寮に忍び込んだわけではない)

 

 食堂のおばちゃんからも、注文したメニューをわざと間違えるという嫌がらせをされた。

 (なぜ『こんがり肉』を注文して『キムチ丼、ご飯抜きの大盛り』が出てくるんだ!?)

 

 自宅で飼っている鳥(古龍観測所にいたのが可愛かったので無理矢理一羽もらった)のピヨちゃんも最近私の肩に止まろうとしないし。

 (飼い始めの時から一度たりとも懐いてくれていた訳ではないのだが)

 

 最近は全てが悪い方へ悪い方へと向かっていく。

 

 これも全てシャルラ・アーサーのせいだ!

 

 あの娘が来てから私の学院内での地位は揺るぎだしてしまった!

 (かと言って周りの嫌がらせのレベルが低いため、怒って周りに怒鳴りつけるわけにもいかない管理職の辛さ……。いや、これでも一応、書士隊内では一番偉いのだがな)

 

 

「おい、そこのお前。

 今日の会議の時間まであと少しだがジェリーの奴はどうした?」

 

 

 私とほぼ同時に入室し席に着いていた私の派閥の一人に声をかける。

 

 

「ジェリーさんでしたら用事があると言っていましたので少し遅れるそうです。

 たぶん会議には間に合うと思いますが」

 

 

 ふん、遅れる……か。

 

 あの女も幼い頃から私が目をかけてやったと言うのに、たるんでいるのではないのか?

 

 私が開く会議を差し置いてほかに重要な案件などないだろうに。

 

 

「……ふん、大分集まってきたか」

 

 

 会議開始時刻の数分前になってようやく、ちらほらと現れた書士隊、ならびに学院内の職員たち。

 

 だが、その中にありえない人物の姿を見つけた。

 

 私の敵であるシャルラ・アーサーの姿があったのだ。

 

 

「待て、そこの娘。

 確かお前は学院生徒のシャルラ・アーサーではないのか?」

 

 

 ごく自然に入って来たように、私が声をかけるまで私の存在を全く意識していなかったかのような、自然な態度で私に目を向けるシャルラ・アーサー。

 

 

「あぁ、いましたか。現・書士隊長ギュスターブ・ロン氏。

 確かに私は王立学術院生徒のシャルラ・アーサーですが、それが何か?」

 

 

 直接顔を見るのはこれが初めてだが、なんだこの目は?

 

 まるで私以上に黒く濁った眼をしながらも輝きは決して失っていない、そんな眼だった。

 

 

「『何か?』ではない。

 これから行われるのは私が開いた学院の今後を決めていく会議だ。

 一介の学院生徒が入室することは許可出来ん」

 

 

 お互い様だろうが、私も精一杯自身の中の殺意を隠し、ごく自然な態度で言う。

 

 

「ええ、この場にいるのは書士隊の面々、それに学院職員の方たちだけですね。

 だから私がここにいるのも問題ないのです」

 

 

「だから貴様は生徒で……」

 

 

 そう言い掛けたところでシャルラ・アーサーが何かの書類を突き付けてきた。

 

 

「分かりますか?

 私は今日付けで、この学院の生徒でありながら王立学術院学院長の席に就きました。

 これで私がこの場にいることに反対することは出来ないでしょう?」

 

 

「ば、馬鹿な!?

 この学院は私の手の者が……」

 

 

 そこでまた、ハッとなる。

 

 シャルラ・アーサーの背後に影のように付き従う連中の中に前・学院長の姿があることに。

 

 

「学院長! 貴様いったいどういうつもりだ!?」

 

 

「どういうつもり、と聞かれましても、私もだいぶ年ですからのぅ。

 引退を考えておる時にシャルラちゃんが話を振ってくれたのですじゃ」

 

 

 視線をシャルラ・アーサーに向ける。

 

 

「前学院長ですが、この方は実に快く私にその地位を譲ってくれました。

 これからは書士隊こそあなたが管理しつつも学院内では私の方が立場は上ということを忘れないでくださいね」

 

 

 それは戯言だ! と決めてかかりたかったが学院内でのシャルラ・アーサーの地位は私を上回っているというのは本当だった。

 

 書士隊内では当然隊長である私がトップだったが、ここはあくまでも学者を育てるための学院。

 

 学院の長である学院長の方が立場上の権力が大きくなるのは当然だった。

 

 それを抑えるために前学院長はギルドナイトによる暗殺の恐怖で脅し、立場上は私より上でありながらも私の派閥に与していた。

 

 しかし私に従わない連中への脅しの手段として使ってきたギルドナイトが、その脅しの手段として使えなくなったという問題が今、ここにおいて出てきてしまった。

 

 

「そ、そうだ! ジェリー! ジェリーはいるか!?」

 

 

 会議に遅れていたということは、すでにシャルラ・アーサーが学院長の座を手に入れて何かしら私を追い出すための画策をしていることに気づいてその対策をするためだったに違いない!

 

 あの女が私を裏切るはずなど……

 

 

「ロン隊長……、私はここにいます」

 

 

 静かに場に響いた声。

 

 それは私の敵であるシャルラ・アーサーの側から響いたものだった。

 

 

「申し訳ありませんロン隊長」

 

 

「なぜ……、なぜお前がシャルラ・アーサーに付くのだ……」

 

 

 どう見ても私を裏切ったかのような謝罪の言葉、そしてこれまで観たこともないような満ち足りた笑顔。

 

 

「私はシャルラ様の愛により、魂のレベルで屈伏させられ、愛の奴隷として忠誠を捧げていくことにしました。

 あなたからの恩は忘れませんが私のご主人様はシャルラ様です」

 

 

 きっぱりと。

 

 はっきりと。

 

 決別の言葉を述べるジェリー・クロムアーマー書士隊員。

 

 私はよほどひどい顔をしていたのだろう。

 

 私を見て口の端を吊り上げ、とびっきりの笑顔を浮かべるシャルラ・アーサーが口を開く。

 

 

「さて、わかってもらえたと思いますが権力基盤は完全にひっくり返させてもらいました。

 今日の会議もあなたにはあなたの考えがあったのでしょうが、私の大きくなった派閥のお披露目にでも変えさせてもらいますね」

 

 

 シャルラ・アーサーは何か口にしているようだったが、それはもう、私の耳には入らなかった。

 

 あまりにも突然の絶望。

 

 他に対処法があったのではないか?

 

 何かあの娘が地位を得る前に出来ることがあったのではないか?

 

 私はこれでおしまいなのか?

 

 そう言った自問自答が頭の中を駆け巡り、気付けば残っていてくれた数人の私の派閥の人間もシャルラ・アーサーの取り巻きに加わっていた。

 

 

「さすがに、あなたがこれまでに書士隊長としてやってきた実績から、すぐに追い出すことは出来ないでしょう。

 ですが私はあなたに、あえて今、宣戦布告をさせてもらいます。

 

 あなた……邪魔なんですよ」

 

 

 そこからはもう何も覚えていない。

 

 シャルラ・アーサーはその言葉を最後に部屋を出ていき、その取り巻きのシャルラ派の人間も追うように出ていく。

 

 私に残された時間はもう少ないということを改めて認識させられるものだった。

 




 いやぁ、あっさりと権力基盤をひっくりかえしちゃいました♪

 この後のロンの最後の一手とシャルラのさらに上を行く策謀により物語は終盤へ。

 そして私はギャグが大好きなのですよ♪

 百合要素も、そりゃあ大好きですが、この世で最も価値があるものは『面白いモノ』だと思います!

 面白ければ何でも大好きな私ですから、笑える展開を求めてしまうのですよw

 なのでエロやグロに関しても娯楽の一つという認識をしていますので面白いかどうか以外を求めませんね。


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第54話:愛の巣

 やっぱりアニポケのサトシの手持ちはリザードンが一番カッコいいですよね♪

 どうせ移転するなら新しく前書きに一言日記を書こうと思ったヨイヤサでした。





 

 

「それではあなたがその席にいられる間に荷物の整理をしておくことをお勧めします」

 

 

 この言葉を最後に会議室を出た私は派閥の皆さんに一旦解散していただき、新たに用意された学院長室に向かいます。

 

 すでに私の側近となったジェリーさんを連れて。

 

 

「ふぅ~、相手がいい気になったところで一気に突き落とす。

 これこそ超クールなやり方ですよね」

 

 

 私はカッコいいクールで知的な美人書士隊長を目指していますので、書士隊を除く、学院全ての権力を手中に収めたことを告げた時のロン氏の顔に笑みが浮かんでしまうのを抑えられませんね♪

 

 一応この学院は学者を育てるための教育機関ですし、王家や貴族にコネのある王立古生物書士隊隊長といっても学院の中では本来そこまで影響力はありません。

 

 金や脅しといった汚いやりくちで増やした味方を適当に据えていただけで、本心からロン現書士隊長の派閥に仕えていた人間なんて数える程度ですからね。

 

 その内最も厄介だと思われていた書士隊ナンバー2でロン氏の腹心でもあるジェリーさんは魂のレベルで私のモノになったので、すでにロン氏は詰みの状態。

 

 ここからどう足掻いてくるかが楽しみですね。

 

 ここで潰されて、諦めて身の回りの物を持って逃げるならよし。

 

 歯向かって武力制圧をもくろんだところで数でも質でも上になった私の派閥で叩き潰すのもよし。

 

 どちらに転んでも私は私が楽しめればそれでいいのです。

 

 ただまぁ、もう少しばかり頑張って意地を見せてくれた方がこちらとしても叩き潰す理由になりますし、楽しめるんですけどね。

 

 最後の賭けに出た人を絶望の淵に叩き込むのって最高に楽しいじゃないですか♪

 

 まぁ、作者がハッピーエンド好きでギャグ好きというのは相変わらずなのでこの作品もハッピーエンドになることは確定していますが。

 

 ん? 隣を歩くジェリーさんが頬を赤らめて、もじもじしていますね。

 

 

「シャルラ様。……その、今回の事に対するご、御褒美を頂ければと思うのですが……」

 

 

 今回のこと、というのはロン氏の前で、ついに私の側についたことを宣言したことについてでしょうか。

 

 この人も魂の根底に百合の精神を宿していたと言うのにロン氏のような下種(ゲス)の片腕として働かされていたために自分を抑え、我慢した生き方をしていただけにその欲望を解放した時の反動というのは凄いものですね。

 

 正直この段階ですでに百合としての実力、百合力では私以上と言っても過言ではありません。

 

 

「もう、しょうがないですね。

 部屋に戻るまで待てないんですか?」

 

 

「…………はい」

 

 

 この控え目ながらも自分の言いたいこと、言わねばならないことをちゃんと言ってくれるのがご主人様冥利に尽きるというものです。

 

 ただまぁ、部屋まではあと少しなので軽いキスを一回だけして、そのまま手を取って引っ張ってあげます。

 

 私のもとで働くのなら我慢も覚えさせなければいけませんからね。

 

 ちなみに今日の会議は私のお披露目会みたいなものでしたので就任挨拶や手続きは大老殿の大長老にすでに話をつけてありますので問題ありません。

 

 その手続きもクラーマさんに任せてペラペラの書類一枚で済ませてありますので正式な手続きをするのに今頃大老殿はてんやわんやでしょうけど。

 

 正直面倒くさいんですよね。

 

 おっと、そうこうしている内に部屋に着いてしまいましたね。

 

 

「それじゃ入るとしますか。

 この街での私の新しい拠点に」

 

 

 ゆっくりと私のものとなった学院長室の扉を開く。

 

 内装に関しては、すでに学院の用務員さんに頼んでドンドルマ一の腕利きの職人さん達に改装させていますので花柄の壁紙にピンク色の可愛らしい調度品で統一してあります。

 

 私は可愛い小物やピンク色が大好きなのですが、それだと本棚におさまっている難しい学術書なんかが浮いてしまうのが少し気になったりもします。

 

 今度本の出版をしているところに行って本の装丁を全部ピンク色にしてもらいましょう。

 

 市場に出回っているモンスターの生体書なんかもいかにも安物の紙って感じですし、この際もっと可愛らしい本に作り替えるのも悪くないですね。

 

 そしてゆくゆくは街全体を可愛らしく彩ってモンスターとの共存も可能な建築様式につくりかえて……

 

 

「うひゃう!?」

 

 

 妄想を暴走させていると突然ジェリーさんが私の項(うなじ)に舌を這わせてきました。

 

 

「ジェリーさん?」

 

 

「……すいません。我慢出来なかったものでつい」

 

 

 つい、で上司の項を舐めるのですか。

 

 私はまだ許可していませんよ。

 

 

「ジェリーさん。いえ、ジェリー。

 そこに正座しなさい」

 

 

 これは命令。

 

 クラーマさんやノレッジちゃんはなんだかんだ言っても優しい人たちでしたから私や他の女の子に対しても絶対に『痛い』ことをしませんでした。

 

 勿論私はMではありませんし、そういう優しさと単純な二人の技術に撫でまわされるだけで最高に気持ち良かったのですが、その優しさが本来Sである私をSらしく攻め立てることをさせなかったんですよね。

 

 

「ジェリー、あなたは私の物です。

 つまり私の所有物だというのに主人の許可を得ずに行動してしまうのは考えものですね」

 

 

「すいません。

 シャルラ様があまりにもお美しかったので……」

 

 

 目に涙を浮かべて私に許しを乞うような眼。

 

 と、見せかけて本心では私からのお仕置きを待ちわびる子犬のような眼をしています。

 

 くぅ~、これです!

 これこそ私がジェリーを私のモノにした最大の理由。

 

 百合であるだけでなく、カッコいいだけでなく、こうしてたまに見せる可愛らしさが堪らない!

 

 

「ジェリージェリージェリー。

 私は怒っている訳ではありませんよ。

 ただ少し……いじめたくなっただけなのです」

 

 

 単純に自らの欲望に従っていじめたいんです。

 

 とは言ってもあまりキツイことをやっては、いくら直接的単語を入れなくとも、さすがにR15をぶっちぎってしまいそうなのでNGですね。

 

 かと言って作者は基本的にギャグなど、面白い物が好きなだけで、別段エロが好きと言うわけでもないのでノクターンノベルで執筆というのも書く気がしない。

 

 なので結局はノーマルなものに落ち着くわけですよ。

 

 まったく困ったものです。

 

 

「それじゃ今日はお預けです。

 ご褒美が欲しければまた今度ですね」

 

 

「え! シャルラ様。それは殺生です……」

 

 

「いえ、文字数も使い過ぎましたし最後の完結編に至る道筋はあっさりスピード感を出していきたいと思っているので今回はエロエロなシーンは割愛させてもらいます」

 

 

「そこを何とか……」

 

 

 必死に食いついてくるジェリー。

 

 う……可愛い。

 

 現・書士隊長のロン氏は男の癖して、これほど可愛らしいジェリーに手を出していなかったとは一体どういう精神をしていたのでしょうね。(ちなみに彼女を落とした日に確認はしてあります)

 

 ロン氏の真意はさておき、こうなれば私が、可愛らしい女の子にカッコいい女の子、あらゆる属性の美女尽くしの百合の学園を作るためにもロン氏が最後のあがきをどうするか楽しみにしておきましょう。

 

 あれ? そう言えば私の夢は書士隊長になって、モンスターと人間の共存を図るというものでしたが百合要素の方が夢の大部分を占めていますね。

 

 ではエロエロなシーンは割愛となってしまいましたが、この後の展開は読者の皆さんの想像に任せます。

 

 私が目の前でオシオキを懇願する美女に何もしないという可能性はありますが、可能性はあくまで可能性であって、私が百合であり、両者の同意がある場合はお互いの望む行動に出るのが私であると言っておきましょう。

 

 

 

 

 ロンside

 

 

 あの娘、シャルラ・アーサーの言ったとおり、会議の後、急いで書士隊長室に駆け込んだ私が目にしたものは「差し押さえ」の札が貼られた私のコレクションの数々だった。

 

 コレクション。

 

 それは私にとって、陰で楽しむ唯一の趣味であった『キリン娘関連グッズ』である!

 

 これまでもファンクラブの会員として会報なども、ひっそりと受け取っていたし、関連書籍やフィギュアの即売会にはギルドナイトに依頼を出して(暗殺依頼よりも多く依頼したかもな)買いに行かせて誰にも知られないように、細心の注意を払っていたと言うのにその趣味のすべてが暴かれ、差し押さえの札が貼られているだとぅ!?

 

 しかも机の鍵付きの引き出しに隠していた秘蔵本(18禁)も机の上に放置されているではないか!?

 

 なんで出しただけでなく仕舞ってくれないんだ!?

 

 掃除のおばちゃんにバレちゃうではないか!!

 

 キリン書籍とは別に机の上には差し押さえの明細が入った封筒が置かれているが、その金も全てドンドルマの街の孤児院の運営費に充てるためらしい。

 

 ふざけるなっ! 私のコレクションをそんなもののために使ってなるものか!

 

 シャルラ・アーサー。貴様は私を怒らせたぞ!

 

 

「必ずや後悔させ、懺悔と後悔の涙を浮かべるまで傷めつけ、自ら死を望むまで嬲って嬲って嬲りつくしてやる!」

 

 

 そう決意を新たにしたものの、味方のいない私はどうすればいいというのだろうか……。




 それにしても大長老ってこの物語には名前しか出てこないのに毎回、面倒事を任されてるんですよね。

 さて、最初からロンがこういうキャラだということは決まっていましたが、途中の百合話が濃かったためにギャグを描くことにギャップを感じてしまいますね。

 だがそれがいい!


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第56話:ここらで私の両親も出しちゃいましょう

 私の親戚の友人は、『ジョジョの奇妙な冒険』のアシスタントとして働いているそうです。

 ただのジョジョファンの一人だと思っていた自分が荒木さんとこんな関わりを持っていただなんて、人の縁とは不思議なものですねぇ~。


 


 

 ロンside

 

 

 そうだ! 私としたことが失念していた!

 

 ギルドナイトも使えず、派閥の人間もすでに役立たず。

 

 だがそんな私にも最後に残された手段があるではないか!!

 

 

「それはPTA(パーフェクト・ターミネイト・エージェント)!」

 

 

 PTAとは本来『Parent-Teacher Association』と言うらしいが(この部分は斎藤 千和さんの声で想像してほしい。その他数々の毒舌まで想像出来れば君は立派な化物脳だ!)

 

 学院に自分の子どもを預ける親連中の中には私の派閥に与している者も多数いるのだ。

 

 確かに数でも質でもシャルラ・アーサーの派閥に劣ってしまった私の派閥だが、まだ完全に私の派閥を抜けた者はそんなにはいないのだ。

 

 その親連中を残りの数少ない私の味方の馬鹿どもを上手く言いくるめて拉致監禁してしまえば私の言いなりだ。

 

 この学院の生徒の親はどいつもこいつも一人でも敵となった場合このドンドルマという街の運営に支障が生じかねない位の大物が多数いる。

 

 そんな私から離れかけている連中を私の派閥に組み込むことが出来れば起死回生の一打としては十分に効果を発揮するはずだ。

 

 さすがに学院の生徒たちはまだ子どもだ。

 

 上手く騙してしまえばモンスターとも渡り合える私の部下の敵ではない。

 

 あっさり捕まえてシャルラ派の味方をする連中も段々と減っていくだろう!

 

 

「私は天才だ!

 はーっはっはっはっはっはっはっはっは!」

 

 

 早速拉致する価値のある生徒を探すことにしよう。

 

 PTAさえ私の味方にしてしまえば、立場上、今は王立学術院学院長のシャルラ・アーサーが全責任を取らざるを得ないのだからな。

 

 これは楽しみになってきたぞ。

 

……

 

…………

 

………………

 

 シャルラside

 

 

「まだ私に歯向かう気満々なようですね」

 

 

「……ん、はぁ……なんですかぁ? シャルラ様ぁ~」

 

 私のものとなったばかりの学院長室のベッド(勿論そういう目的で用意させました)の上で赤ん坊のように私を求めてくるジェリーを見ながら呟きます。

 

 私としては争いなく誰もが幸せなハッピーエンドとしてまとめるために、と言いますか、もう百合展開以外に興味がなくなったのでロン氏にはどこか外国にでも高飛びしてくれることを願っていたのですが、やはりあの人は私の完膚無きまでに磨り潰される徹底的で完璧で言い訳のしようがない位、最低で惨めな敗北を味わうことが望みなんですね。

 

 

「それじゃジェリー、あなたに早速お願いがあるのですが」

 

 

「んちゅ♪ シャルラ様のお願いとあれば、このジェリー、命を燃やし尽くす覚悟がございます!

 なんなりとご命令ください!!」

 

 

「いえ、私とあなたは確かに主従関係ですが、これはあくまでお願いです」

 

 

 そうは言ってもジェリーには私がこの世の全てとなってしまいましたし、何を言っても命令ととってしまうんでしょうけどね。

 

 

「これから手紙を認(したた)めますので、それをある人物に届けてほしいのですよ。

 私は私で色々とすることがありますので」

 

 

「了解しましたぁー!

 必要な物は紙とインク、それに手紙を書くための気力を養うために私への愛撫をあと一時間は続ける必要があるということですね!?」

 

 

「さっきからずっと求めておいて、まだする気ですか?

 正直途中からは私の体力的問題ではなく、ジェリーの体力に呆けて天井のシミを数えていただけなのですが」

 

 

 しかしジェリーが言うこともあながち間違ってはいません。

 

 これから手紙を送る相手は割と疲れる結果を招いてしまいそうですし、ジェリーの吸いつくような瑞々しい唇と陶器のような滑らかなさを併せ持つ褐色の肌を愛撫するのは非常に楽しいですからね。

 

 私以上に感度がいいもんですから時折漏らす普段とは違った可愛らしい嬌声に心臓がドキドキしちゃうのですが。

 

 

「それじゃすぐに手紙の用意をしますので。

 今日はここまで、続きは明日、ですが……もう一回だけ♪」

 

 

 起き上がりかけていた身体を再びベッドに沈めると、昨夜の続きと相成るのでした。

 

 

 

 

 

 ジョン・アーサーside

 

 

「おい母さん。シャルラから手紙が来たぞ。

 それでなんと……俺らの娘がついにドンドルマの街で王立学術院の学院長に就任したそうだ」

 

 

『あらあらまぁまぁ♪

 さすがは私たちの娘ですね』

 

 

「あぁ、さすがは俺達の子だ!

 最高に可愛いあの子が、人間の街に行きたいだなんて言った時はどうなることかと思ったが、どうやら向こうでも友達がたくさん出来たらしく楽しく暮らしているそうだ」

 

 

 ちなみに突然過ぎる展開で驚いている人もいると思うが、俺が元・王立古生物書士隊隊長のジョン・アーサーだ!

 

 娘と妻に対する愛情なら誰にも負けねぇ最強無敵の男の中の男だ!

 

 

『それであなた。シャルラからの手紙には他に何と書かれているのですか?』

 

 

「ん? あぁ、書士隊長への就任も秒読み段階に入ったらしいんだが、現・書士隊長が最後の悪あがきしてるみたいなんだよ。

 それでその対策も兼ねて俺らを一度街に招待しようってらしい」

 

 

 それにしてもこの手紙を運んでくれた女、こんな大自然の中に手紙の配達が出来るだなんて、随分とシャルラに惚れこんだ奴だったな。

 

 シャルラに近い匂いを追ってここまで来たとか言ってたが。

 

 

『まぁ、古龍の私が街に行ける日が来るだなんて夢みたいですわ♪

 単純に遊びに行くつもりだとしても、話が出来ないといきなり攻撃されかねないですからね』

 

 

「そうだな。だが俺らの娘が大丈夫と言うのだから、その辺の対策や迎えるための準備は全て出来てるだろう。

 なんせ俺達の娘は世界一だからな♪」

 

 

『ええ、世界一ですよね♪』

 

 

 これまで最初のプロローグでしか登場していなかった俺らに一体何をさせるつもりかは知らないが、シャルラのためなら一肌どころか全裸になってすっぽんぽんのストリーキングにだってなってやるさ。

 

 なんせ俺はあいつの父親だからな。

 

 

『父親だと言うのなら、あの子に恥をかかせてはいけませんよ』

 

 

「俺はそんな事しないさ」

 

 

 はははははは、と談笑。

 

 とりあえずドンドルマの街に向かえばいいんだろう。

 

 久し振りに書士隊の連中にも会ってみっか。

 




 ジョンはモンスター語が話せるわけではありませんが顔を見れば何を言いたいかは完璧に理解出来ているというだけのことです。

 この物語では異世界転生と異世界トリップの二人が色々と流行らせているので漫画、ゲームだけでなく、アニメも存在しているということでw

 あと『化物語』の戦場ヶ原 ひたぎなど、アニメでも斎藤 千和さんの演じる登場人物は好きですが、その中でも特に『魔界戦記ディスガイア3』のラズベリルが私は大好きですね!

 不良少女というのがカッコ良くて可愛いですし、何よりもあのぷにぷにの尻尾が素晴らしい!

 ディスガイア3で一番好きなキャラはチャンプル先生ですがw


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第57話:ラストバトルinドンドルマ

 平和ってのは無数の利害が一致した時にのみ起こるものであり、欲望なくして平和はないってことですね。

 そしてその欲望のまとめ方が下手だった人物の末路を描いた話だったりします。




 

 

 細工は流々、準備は万端、最後にするのは敵の一掃。

 

 ついでに私好みの百合溢れる街に変えていきましょう♪

 

 『百合の街』ドンドルマ……うん、いい響きですね♪

 

 

「と言う訳で、現・書士隊長ギュスターブ・ロン氏。

 あなたにはこの街から出ていってもらうことにしました♪」

 

 

 いきなりすぎる始まり方ですが、説明しますと私は現在、現・書士隊長室に勝手に上がり込んでロン氏と最後の一騎打ちを仕掛けているところだったりします。

 

 

「はやっ! 私はまだ何もしていないぞ!?」

 

 

「いえ、あなたが前回の話で色々と画策を始めようとしてから、この物語ではすでに丸一日が過ぎたという設定でお願いします」

 

 

 ジェリーがベッドから逃がしてくれませんでしたので。

 

 

「いや、設定って……」

 

 

 心底驚いた、と言う風な顔で私を睨んでくるロン氏。

 

 そんな顔しても怖くありませんよ。

 

 

「あなたがPTA(パーフェクト・ターミネイト・エージェント)という新しい組織として作成し、この街の学院生徒を捕獲して、親御さんに対し生徒たちを人質にするという手段で脅して味方を増やそうという作戦はこちらに筒抜けです。

 なのでその対策として、すでに存在する本来の意味のPTAのトップに私の両親を据えることにしたのです!」

 

 

 すでにお気づきの人もいたと思いますが、私の作戦について説明しますと、

 

 1:ロン氏が最後の一手としてPTAを私物化することで私の派閥に対抗しようとするのが分かっていたので、先に手を打つことでPTAのトップをロン氏よりも先に私の手の者を据えてしまおう作戦、です。

 

 

 なんだか説明すると言っておきながら、随分と短くまとまってしまいましたが、そういうことです。

 

 ぶっちゃけ最初から結末の分かっていた物語ですし、これ位のごり押しのスピード感あふれすぎでしょ!? って展開の方が好みなんですよね。

 

 ではここらで真打登場と行きましょう。

 

 

「ようロン。

 俺の居ない間に随分と好き放題してくれていたらしいじゃねえか」

 

 

 もはや美貌とすら呼べる整った顔立ち。

 

 大自然の中で生活していたとは思えないほどに美しい実年齢よりも若々しい肌。

 

 そしてどこから出てきたのか? と言いたくなるほどの圧倒的存在感。

 

 その声の主が感情を完璧なまでに殺し、ただ口にしただけの言葉にロン氏は驚きの表情を見せる。

 

 何てったってその声の主はロン氏にとって、昔も今も絶対に敵わないと思っていた、圧倒的なまでのカリスマ的存在なのですから。

 

 

「き、貴様は前・書士隊長ジョン・アーサー!」

 

 

「そうだよ~、俺は前・書士隊長にして現・PTA会長のジョン・アーサーだよ~。

 娘がず・い・ぶ・ん・と! お世話になってたみたいじぇねぇか~? あぁ~ん!?」

 

 

 どこか嬉しそうな声に見せかけて、この話し方はお父さんが本気で怒っているときのものです。

 

 豪放磊落で大雑把で大らかなお父さんが怒ることなんて、数えるほどしかありませんが、ひとたび怒り狂えば地形を変えるほどの迫力を見せるんですよね。

 

 そしてその地形を変えるほどの怒りを一身に受けているロン氏の哀れなこと……ぷっw

 

 ちなみにお父さんは手紙が届けられてからすぐに、文字通り飛んできたそうです。

 

 それにしても古龍の巣でもある場所に行ってくれるだなんてジェリーってば予想以上に使えますね。

 

 

 

「おい、何か申し開きがあるなら言ってみろよ?

 元上司として一応聞いてやるぜ?」

 

 

 すでに恐怖に震えているロン氏にそんな度胸はないでしょうに。

 

 お父さんときたら 遊んでいますね。

 

 

「…………」

 

 

「ほっほぉ~う、言うことはない、ってか?

 じゃあ仕方ない。俺が殺してやるか」

 

 

「……あんたはいつもヒーローだった」

 

 

「あん?」

 

 

「あんたはいつもヒーローだった!

 ジョン・アーサー!!!」

 

 

 おや? これは……もしや、あまりの恐怖から一周回って平気になったパターンでしょうか?

 

 

「私は! そんな誰からも慕われる貴様が消えたあと!

 血のにじむような思いで今のこの地位を確立し!

 多くの人間から感謝されるような功績を打ち立ててきた!

 それなのに、なぜ!?

 どうしてだ!?

 貴様の娘はあっという間に私の苦労して手に入れたものを奪っていき、あまつさえ私の地位まで狙っているのだ!

 私は自分のやりたいことを何でもやってきたというのにどうして貴様の娘が私の地位を狙うのだ!?

 これが怒らずにいられるか!

 書士隊長はこの私! 依然変わりなく!! そうでなければならないのだ!!!」

 

 

 あー、別に私もお父さんも、ロン氏のこれまでの功績全てを否定しているわけではないのですけど。

 

 話の論点がずれているんですよね~。

 

 私やお父さんが起こっている理由ってのは、

 

 

「んなもん知るか!

 俺が怒っているのは、俺の可愛いシャルラにちょっかい出してきたってことと、俺の娘の夢の邪魔になるからって理由だけだ!」

 

 

 ちなみに私がロン氏を嫌っている理由は、自分の夢ってだけではなく、お父さんの過去の功績を貶めるような発言が多いってのもあるんですけどね。

 

 すでに忘れている人も多いと思いますが、ロン氏は私のお父さんの評判を落とすことで相対的に自分の評価を上げようとしていました。

 

 まぁ、人気のない自分の地位をあげるには、前書士隊長のお父さんの評判を落とすしかないってのは理解できるのですが。

 

 でもそこが私の癇に障ったのです。

 

 私もお父さんが大好きですので。

 

 

「まぁ、そんな訳でさ。

 これまで書士隊を支えてきてくれたことには少~しくらい感謝してやってもいいけどさ。

 誰も味方がいないお前がこのまま隊長なんかやっても意味ないだろ?

 だから俺の娘に代わってくれよ」

 

 

 さも当然、と言うように書士隊長の座を捨てることをロン氏に勧めるお父さん。

 

 私も今、引退を決意してくれるのならまだ許せるんですけどねぇ~。

 

 そう簡単に物ごとが進まないからこんな面倒くさい展開になっちゃってるんですよね。

 

 『今』はまだロン氏のものである書士隊長室の机に突っ伏していたかと思うと、突然小型のリモコンのようなものを取り出したと思ったら止める間もなく押してしまいました

 

 

「ふははははははー! こうなれば貴様ら親子をまとめて殺してくれるわ!

 これはドンドルマの街崩壊爆弾のスイッチだ!」

 

 

 それをポチッっと。

 

 ロン氏は取り出したリモコンのボタンをためらいもなく押しました。

 

 

「PTAなど、私の策の一つでしかない!

 このあと私は一人だけ非常用脱出経路から急いで街を離れ、町が崩壊したあと貴様らを犯人に仕立てて再び書士隊長の地位に返り咲いてくれるわ!!!」

 

 

 リモコンについていた、もう一つスイッチを押すと足元に穴が開き、書士隊長ギュスターブ・ロン氏は落ちていってしまいました。

 

 ……逃げた?

 

 え? いまどき爆発オチですか?

 

 

「おっほー、おもしれー仕掛け作ってんじゃんロンの奴。

 そいでどうするシャルラ?

 当然策の一つや二つ用意してるんだろ?」

 

 

「ふっ、愚問ですねお父さん。

 私はあらゆる事態を想定して準備を済ませてこの最終決戦に臨んだのですから。

 当然ロン氏が自爆する可能性も考えていましたとも」

 

 

 ただまぁ、自分だけ逃げる仕掛けを用意していたのは予想していなかったので、そこは流石と言うべきでしょうが。

 

 生き意地のある人は嫌いではありません。

 

 それでもまだ、どうにでも出来ます。

 

 

「ようは爆弾を止めればいいんですから、別動隊に解体作業をしてもらうことにしましょう」

 

 

 私は懐に仕舞っていて無線機を取り出し、

 

 

『私です、シャルラ・アーサーです。

 この街が現・書士隊長ギュスターブ・ロン氏の悪あがきにより爆破の危機に瀕しています。

 至急爆弾の処理にあたってください』

 

 

『ラージャ!』

 

 

 短いやり取り。

 

 ふぅ、これで完璧。

 

 彼ならきっと上手い事爆弾の解除も可能でしょう。

 

 他にするべきことは、今回の騒動を全てなかったことにするための情報操作と、書士隊員達へ、ギュスターブ・ロン氏が消えたことに関する情報伝達、くらいでしょうかね。

 

 いろいろと忙しくなりそうですが、これで私の勝利は確信に変わりました。

 

 さようなら、ロン元・書士隊長♪

 




 パパパッパッパッパ、パァウァー!!


 父力(パパパワー)全開!

 最後はこんな感じにするつもりで書いてきてはいましたが、もう少しジョンを軽いキャラにしても良かったかもしれませんね。

 シャルラのガムが好きという設定は父親譲りということにして、「ガム食うかい?」ってセリフでロンと打ち解けるなり拳による熱い男の勝負でも良かったんですがねw

 イメージ的には『ネギま』のナギ・スプリングフィールドと『オーパーツ・ラブ』の御堂 晩三郎を足して割った感じですかね。

 では私が何を思ってこの物語を書いていたのかは、最終話で。

 最後までお楽しみください♪

 


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第58話:ラージャ

 

 ミギンマルside

 

 

 

 

『ラージャ!』

 

 

 そう言って儂は無線機の連絡を切った。

 

 年のせいか、出歩くのがすっかり面倒になった儂は、普段はアリーナの地下に作られた儂専用の部屋に閉じこもっているのだが、今回のように依頼が来れば動くこともある。

 

 まぁ、モンスターの儂が、会話が出来るのはシャルラなんだがな。

 

 

「シャルラさんからですか?」

 

 

「あぁ、概ねシャルラ嬢ちゃんの計画通りに事が運んでいるそうだ」

 

 

 おっと、久し振りの連中に自己紹介をすると、儂はこのドンドルマの街にてアリーナの元チャンピオンだったミギンマルという、ただの最強のラージャンをしているものだ。

 

 

「ぷくくくくw

 それにしてもラージャンだから『ラージャ!』だなんて、さすがはミギンマルさんですね。

 ギャグセンスありすぎですよ。グー♪」

 

 

 ちなみに今のつまらんボケに嬉しそうに笑っているのが儂を倒し、今やアリーナの新チャンピオンとして最強の座を守り続けている種族(一応)イビル・ジョーのリッキーだ。

 

 笑いのツボがいまいち分かりにくい奴なんだが、それでも戦闘狂の儂を楽しませる強者であるところは評価している。

 

 

「さて、シャルラが言うには、この街のどこかに爆弾が仕掛けられているらしく、それを止めないと五分後に街がパーンと爆発しちまうらしいぞ」

 

 

「ふーん、でもあまり焦ってないところを見るとミギンマルさんには爆弾が爆発する前に止める方法があるんですよね?」

 

 

「勿論だ。この街全てを破壊させるとなれば地下にでかい爆弾を隠すというのが定石だ。

 しかもこの街は山のような地形に上へ上へと建物を造っていく構造になっているから街の地下は空洞が幾つもある。

 とまぁ、散々街の構造について説明したわけなんだが。

 ……実はその爆弾ってのが今この場所にあるんだわ」

 

 

 儂は部屋の隅に置かれていた物体にかかっていた布を捲る。

 

 するとそこには直径一メートルはあろうかという巨大な爆弾があった。

 

 いや、持ってきたのは儂なんだがな。

 

 

「以前散歩がてら、この部屋の壁に穴を開けてドンドルマの地下探索に出歩いていた時に見つけたんだ。

 なんか面白そうだと思ってこの部屋に持って帰って来たんだが……まさかここでこの爆弾の存在理由を知ることになろうとはな」

 

 

「いやいやいや、爆弾なんて危なっかしいもの、よく自分の部屋に持って帰ろうと思いましたね?」

 

 

「あん? んなモン怖がってたら最強らしくないじゃねぇか。

 部屋のインテリアにちょうどいいし。

 それに儂だけでなく、おめーも爆弾位じゃ死なねぇだろ? リッキー」

 

 

「まぁ、そうですけどね……」

 

 

 っと、そんな事よりも速いところ解体しないとな。

 

 シャルラがわざわざ言ってきたのは、爆発されると面倒だからだろうし。

 

 

「そんじゃ早速解体しようと思うんだが……これどうやって解体するんだ?」

 

 

「え? シャルラさんから爆弾を何とかするように依頼を受けといて解体方法を知らないんですか?」

 

 

「知らん。ぶっちゃけ知る必要がない知識は覚えない主義でな。

 もう、この、バラバラに切り刻んじまえば爆発しないんじゃねぇのか?」

 

 

 こう、携帯電話のストラップやピアスをたくさん付けた顔面刺青の殺人鬼のごとく。

 

 

「いやいやいや、衝撃で爆発するタイプだったらヤバいですよ!

 というか爆弾は大抵、衝撃で爆発しますし」

 

 

 ったく、うっせーなぁ。

 

 シャルラの奴はもう少し大胆な考えをしてたってのに、リッキーは臆病すぎるぞ。

 

 

「そんじゃ、爆弾共通の欠点である『水で濡らす』って方法はあるが……ここには水がないな」

 

 

「あ、僕上から持ってきますね。

 ちょっと待っててください」

 

 

「あ、おい!」

 

 

 行っちまった。

 

 それじゃここらで適当な話でもしてみるか。

 

 あれはまだ儂がアリーナに来る前のことだ。

 

 儂が道を歩いているとな、こう、正面から赤い洗面器を頭に乗せた男が歩いて来たんだがな……。

 

 

「ただ今帰ってきました~♪」

 

 

「はやっ!

 というかリッキー、それがおめーにとっての水なのか?」

 

 

 話の腰を折られた。もう話す気がしないから詳しくは自分で検索してくれ。

 

 なぜなら儂はすでにリッキーの連れてきた者を見て目を疑っちまったからだ。

 

 水を持ってくると言っておいて連れてきたのが……ダイミョウザザミなんだもんな。

 

 

「始めましてミギンマルさん。

 なんだか爆弾の解体作業をするから来い、と言われてやってきましたダイミョウザザミッス!

 以後よろしくお願いします♪」

 

 

「いや、終わりが近づいた物語は後半にかけて新キャララッシュするもんだが、お前はこれ以上出番ないと思うぜ」

 

 

 というか名前が『ダイミョウザザミッス』とは随分と手抜きな名前だなぁ、おい。

 

 

「とりあえず爆弾を濡らせばいいんですよね?

 それじゃ早速」

 

 

 止める間もなく爆弾にダイミョウザザミの固有技、泡ブレスを吹き掛けやがった。

 

 ダイミョウザザミの泡ブレスは爆弾を濡らすだけではなく、ブレスと名の付く通り、爆弾を起爆させちまうってのにこいつはアホか!?

 

 と思っていたらリッキーの奴が、

 

 

「あぁ、大丈夫ですよ。ミギンマルさん。

 僕の龍属性ブレスを応用した『ブレスアーマーAT(アナザータイプ)』を使って爆発の被害を一切外に出さないようにしましたので」

 

 

「なら最初からそうしとけよ!

 それに、それならダイミョウザザミなんてわざわざ連れてくんな!」

 

 

 まぁ、俺達、爆弾解体班はこんなことをしていたってわけさ。

 

 

 

 

 ロンside

 

 

 ふはははは! すでに私は地下の用水路を伝うことで、ドンドルマの街から遠く離れた場所に来たぞ。

 

 これであとは街が吹き飛ぶのを待って、生き残りを何人かまとめて再び書士隊長らしい行動を見せつければドンドルマの街以外にいる貴族や王族の人脈を利用して返り咲くことも可能だ!

 

 人生バラ色、今日と言う日も、いつかは『こんなこともあったな~』と思い出せる日が来るのかもしれないな。

 

 うむ、これも私の平穏な人生における数少ない冒険譚として脚色したらまた本として出版しよう。

 

 残念ながら、書士隊長室に置いてあるコレクションである『キリン娘グッズ』も消えてしまうが予備として大陸各地にある私の別荘に幾つも保存してあるから良しとするか。

 

 ふふふ、最後の最後であのシャルラ・アーサーを出し抜いてやったとはさすがは私だ。

 

 ふはーはははははははは!

 

 

ゴウッ

 

 

 その時何かが上空を横切った。

 

 

ドシンッ

 

 

 その時何かが目の前に降り立った。

 

 

『あんたが私の娘を殺そうとした人間か。

 なんともまぁ、貧相な面をしているじゃないの』

 

 

「…………」

 

 

 目の前に降り立ったのは自然災害と同義の存在。

 

 見た者に生きることを諦めさせてしまう『死』そのものの存在。

 

 その名はクシャルダオラ……

 

 

『人間のあんたに言葉が通じるとは思えないが一応説明しておくわよ。

 主に読者に向けてだけど。

 そして面倒だから詳しい説明は次話あたりで娘が語るから私個人の意見を短く言うだけになるけど……。

 

 あんた邪魔なのよ』

 

 

 そして再びゴウッ、っと。

 

 風のブレスが何の前動作もなく私に向って放たれ、私の体は空高く舞い上がる。

 

 

「ぐぉぉぉぉぉぉー!!!」

 

 

 身動きの取れない空中に投げ出された私をクシャルダオラは器用にその前脚で掴むとさらに上空へと飛びあがる。

 

 

『別に殺しはしないさ。

 この作品はギャグであり百合である作品。

 ハッピーエンドを目指しているんだから人死になんて御免だからね』

 

 

 何か言っているが私を殺す気はないようだ。

 

 どうにか隙を作って脱出を試みなければ……

 

 

『そうだ、確か古塔でミラルーツの奴が使用人を欲しがっていたね。

 人間は器用だし頭もいいからあの子に渡すというのも悪くない……いや、いい♪』

 

 

 私にはモンスターの言葉は分からない、だがたった一つだけ分かることがある。

 

 それはこのクシャルダオラが私を逃がす気はないという事実だけだった……。




 この作品を描こうと思ったきっかけでもあるゲーム『マール王国の人形姫』に出てくるゴロンゾという意地悪で利己的で最後は自らの欲望で身を滅ぼしたオチ担当のキャラがギュスターブ・ロンと重なってしまったのですよw

 爆弾についても、カプコンですし「ラスダンは崩壊、または大爆発の法則」に従ってドンドルマの街完全崩壊エンドでも良かったんですけどね。

 ドンドルマは拠点であってラスダンではない、というのもありますが。

 シャルラ以外にも「気合」の一言で爆弾の爆発にも、降りかかる瓦礫にも怪我ひとつなく済みそうな人が多い気がしたのでやめました。


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第59話:終わり良ければすべて百合

 ちなみに『マール王国の人形姫』に出てきたゴロンゾというキャラですが、
 彼は最後に主人公たちを倒して世界征服をするために利用しようとした魔女とその子分達に捕まって死ぬまでこき使われる一生を送ったという設定らしいです





 

 

 

「では学院関係者のみなさん。

 私がこの度新しく書士隊隊長に就任したシャルラ・アーサーです。

 よろしくお願いしまーす♪」

 

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!』

 

 

 まるで地鳴りのような歓声が上がる中、私は新たな書士隊長の座をついに手に入れました。

 

 長かったようでいて、実はそんなにこの物語の中では時間は進んでいなかったりしますが。

 

 

「それじゃお父さん、お母さん。

 二人にお願いしたいことは、もうないので、とりあえず家にでも帰っちゃってください」

 

 

「はやっ!

 お父さん、シャルラともう少し一緒にいたいのに用事が終わったらポイかよぉ~」

 

 

『やっぱり私は娘から愛されていないのね。

 せっかく、あのロンとか言う人間を知り合いの下僕として捨ててきたってのに。よよよ……』

 

 

 二人ともわざとらしいですから。

 

 まったく、嘘泣きしても私には分かりますってば。

 

 ロン氏も人間には過酷な環境に放り出されたみたいですが、お父さんは学者であってもそういう環境に耐えるのも割と平気ですし大丈夫でしょう。

 

 何年かしてまだ生きていたら遊びに行ってもいいかもしれませんね。

 

 

「いえ、違いますから。

 私が新しく書士隊長に就任するにあたって、掲げている公約があるのですが、その一つとしてこのドンドルマの街ではモンスターと人間の共存をすでに進めているのです。

 なので、この事は大長老にもすでに説明済みですので私たちの家もすでに建築済みです」

 

 

 そう、途中から百合の展開ばかり書いていましたが、私の夢は書士隊長になってモンスターだからという理由で迫害されている心優しいモンスターたちとの共存をすることなのです!

 

 すでにあちらこちらに手を回して書士隊長兼王立学術院学院長という強権を使って無理矢理認めさせています。

 

 時間はかかるかもしれませんが、その内なんとかなるでしょう。

 

 ちなみに私に従わない人は、仕方がないですが排除させてもらいますが、まぁ、大丈夫でしょう。

 

 人間ってのは集団の中で生きるものですから、周りがしていることは自分もしようと思うはずですし。

 

 この街のアイドル的象徴となった私だけでなく、ギルドナイト指揮官にして、特に女性に大人気のルナさんや各貴族連中に人脈があり過ぎるクラーマさんと、それに与する郎党諸共全て私の傘下に入っていますからね。

 

 モンスターとの共存はハンターの時代、狩るか狩られるかの時代の終わりでもあります。

 

 ハンターの方は何人か狩猟生活の終わりに対して渋る人もいたみたいですが、『キリン娘愛好社』という出版社をドンドルマにも招いたことで男女ともに活性化していますし実はそれほど問題にはなっていなかったりします。

 

 男性ハンターは出版社に勤める方がハンターをするよりも刺激的かつ楽しいみたいですし、女性ハンターはギルドナイトのルナさん達を筆頭に百合の良さを仕込まれているみたいです。

 

 私も何人か味見させてもらいましたが、どうもこのドンドルマの街に住む女性ハンターは素晴らしい出来上がりを見せていますね。

 

 これから先が楽しみです♪

 

 

「それじゃ……、することも全て終わりましたし、そろそろあの子の様子でも見に行こうかしらね」

 

 

 実は今回、私が書士隊長就任までの間に起きた騒動というのは前・書士隊長のギュスターブ・ロン氏との戦い以外にも色々とあったのですよ。

 

 その中の一つを紹介しましょう。

 

 

ガチャ

 

「シャルラお゛ぉおォおん姉様のぉおおためにゃら、どんにゃ事れも耐えれましゅぅぅぅ! 耐えれましゅぅぅぅ!!

 れも凄しゅぎるのぉおお」

 

 

 学院長室の扉を開けると中から聞こえてくるのはサイリちゃんの声。

 

 ……えーと、ですね。

 

 ロン氏と会う前に、学院長室に私の妹的存在のサイリちゃんが訪ねて来たんですよ。

 

 それで「これから最終決戦に行ってきますね♪」と言ったら引きとめられちゃいましてね。

 

 大かた貧民街で暮らしていたサイリちゃんはロン氏の権力の大きさを恐れていただけなんでしょうけど、いくら言っても行かせてくれなかったんですよ。

 

 あんな小物、私だけでなくお父さんやお母さんまで味方として呼び寄せているんだから負けるはずないというのに。

 

 だから私が帰ってくるまで私が与える快楽に打ち勝つことが出来れば行かないであげる、と言ったらあっさり待っていることを了承してくれました。

 

 以外と頭が悪いのかもしれませんが馬鹿な子ほど可愛いと言いますしね。

 

 私はサイリちゃんを愛していますよ♪

 

 ちなみに今サイリちゃんの体は、私の作りだした『風』が体中を駆け巡り時には優しく撫で、時には強くいたぶり、電気を発生させて敏感な部位を刺激し続けています。

 

 学院長室のベッドはそういう目的で作られたので、速乾性のシーツと防音設備も整っているので、長時間でもなければ女の子一人がイキ続けても平気な丈夫さと機密性を誇っているんですけどね~。

 

 その学院長室のベッドは、すでに大きな染みを幾つも作り、終わりのない快楽に必死に堪えているサイリちゃんの小さな体躯が何とも可愛らしく見えました。

 

 

じゅるり

 

「ハッ! 私としたことが、可愛らしいサイリちゃんが延々とイキ続ける様を見て興奮してしまうだなんて!

 でもこんなにイキっぱなしなのに必死に私を呼び求めるだなんて……可愛い♪」

 

 

「お゛ぉおォおんねえしゃまはどこれしゅぅぅぅか!?

早くぁあああ あぉたしを愛してぇぇぇぇ゛くらしゃいぃにゃのぉおお」

 

 

 あちゃ~、聞こえてない? もしかしてやり過ぎちゃった?

 

 こりゃもう私が直に触れて愛して宥めてあげないと戻れないところまでイっちゃってるかも知れませんね。

 

 私はサイリちゃんに掛けっ放しにしていた『風』の能力を解除します。

 

 すると、先ほどまでの痙攣が嘘のように静かになる。

 

 まるで糸の切れた操り人形のように、終わりなき快楽の奔流を突然奪われたことにより、白目をむいて口の端からは泡となった涎がこぼれていますが、それすらも愛おしく思えるのです。

 

 

「サイリちゃん。私が分かる?」

 

 

「……お姉様?」

 

 

 うん、どうやら『風』を解除したら戻ったみたいですね。

 

 あの技は強力すぎますし今後はもっと慎重に使うべきですね。

 

 

「サイリちゃんを置いてロン氏に会いに行ってたけど、どうにか無事に終わりましたよ。

 私はこれからは王立学術院学院長にして、書士隊の隊長でもあります。

 サイリちゃんはどうしますか?」

 

 

 言いながら自分の服を脱ぐ。

 

 

「あ、あたしはシャルラお姉様とずっと一緒に居たいです。

 お姉様がくれる快楽は他のどんなものよりもずっと気持ち良かったです。

 これからもあたしのお姉様でいてください!」

 

 

 聞きながら自分の女としての場所が熱く潤となるのを感じる。

 

 

「うん、いいわよ。

 それじゃあサイリちゃん。さっきから『風』で、じらされっぱなしだったんでしょ?

 今欲しいものは何かな?」

 

 

 あえてサイリちゃんの口から答えを求める。

 

 

「お姉様が……欲しいです。

 お願いします、あたしの全てをお姉様色に染めてください!!」

 

 

 サイリちゃんの答えを待つよりも早く、私の手はすでにサイリちゃんに伸びていた。

 

 彼女の柔らかな両頬を優しく持ち上げ、

 

 

「それじゃ今度は『風』なんてまどろっこしいものではなく、私の手が、舌が生み出す直接的な快楽を味わってみなさい。

 手は万能の道具と言いますし、私に本気で触れられて、まともな精神を維持するだなんてクラーマさんでも無理でしたからね。

 たっぷりじっくりねっぷり可愛がってあげるから」

 

 

 そして、少し、触れた。

 

 舌がサイリちゃんの柔らかな肌を這うたびにぞくぞくとしていく自分を感じる。

 

 小さなサイリちゃんの身体が歓喜と絶頂によって大きく震えたと思ったら、そう思った瞬間には私も同時にイってしまった。

 

 互いの身体の敏感になった場所に舌を這わせ、快楽に溺れる一時。

 

 あぁ、この時間を味わうために私はこれまでずっと必死になってきたんですね。

 

 サイリちゃん。私はこれから先もあなたを愛してあげますから……もう一度、私と一緒にイキなさい!

 

 

「「あっぁぁぁぁぁぁ~!!!!」」

 

 

 長いようでいて短い私の学生生活の終着点とも言える時間を彩るのは可愛らしい妹だった。

 

 と、まとめさせてもらいましょう♪

 




 いやぁ、ギャグだけじゃどうにも満足出来なくなってしまったので最後に百合要素も少し混ぜてみましたw

 そして今回の話はデモンズソウルの『終わりなき苦痛の針』の苦痛ではなく快楽バージョンがあれば今回のシャルラみたいな感じかな~と思って考えた話だったりします。

 あの武器で要人に使って無限にソウルを増殖する人もいたそうですが、しょぼ過ぎますし弱すぎますし。

 スタート直後の王城1で拾える武器とかだったなら、もう少し需要もあったんでしょうけどね。


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エピローグ:最後もこんな展開ですか……まぁ、いっか♪

 ついにエピローグゥゥゥゥー!


 

 はい、書士隊長兼学院長のシャルラ・アーサーです。

 

 この物語はこれにて終了。これから先は幸せいっぱいの笑いあり、涙ありの感動百合ストーリーが展開されていくでしょう。

 

 生徒でありながら学院長の地位までゲットしてしまった私がこれから先、まともに学校に通うだなんて面倒なことするはずがないんですけど。

 

 一応お父さんと、お母さんの家はドンドルマの街の中に用意してありますが、私はノレッジちゃんやサイリちゃん、それにクラーマさん達と一晩でも離れると安心して眠れない寂しがり屋ちゃんなので今でも生活は女子寮のノレッジちゃんと同室だったりしますが。

 

 

「ほら、ノレッジちゃんも最終話なんだから何か言ってみてはどうですか?」

 

 

「え、えっと、シャルラちゃんの友人のノレッジ・フォールです。

 このたびは物語の最終話という舞台にお招きいただき誠にありがとうございます」

 

 

「それじゃ固すぎますよ。

 もっとリラックスしてください。

 あと招いたのは私ですから気にしなくてもいいですよ」

 

 

「ホント? じゃあそうしましょうか。

 いやぁ~、最終話だし緊張して、しどろもどろになっている私の方がシャルラちゃんの萌えポイントを刺激できるかと思っちゃってね♪ あははw

 あ、さっきまでのは演技だから実際に緊張しているとか、そういうのじゃないから」

 

 

 変わり身が早いですねノレッジちゃん。

 

 あと私はどんな時でもノレッジちゃんが大好きなので猫かぶりをする必要はないと思うんですけどね。

 

 

「そぉ~らシャルラちゃん。最終話にて、ついに私は特殊能力『エロハンド』を足からも出せるようになったんだから体験してみる?」

 

 

「いえ、私は女ですし、足から相手の感度を数千倍にまで上昇させる能力を使うことなんてできないでしょう」

 

 

 男性に対してなら喜ばれるかもしれませんがね。

 

 ちなみに今の状況を説明しますと、最終話ということで何かパーティー会場のような場所で、登場人物全員がグラスを片手に「乾杯」をするようなラストにしようかとも思っていましたが、そんなことはありえません。

 

 学院長室のベッドの上で私とノレッジちゃんの互いに体を向けあっているだけの状況です(服はまだ着ています)。

 

 本当にこの部屋のベッドは丈夫で以外と使えますね。書士隊長室にも同じものを置いてありますが。

 

 

「私の足は能力以前に使い方も熟知しているわよ~♪

 ほら、女の子にも摘ままれると敏感に反応してしまう部位があるじゃない。

 私ってば手さばきならぬ、足さばきもかなり自信があるから足の指先一つでシャルラちゃんをこの世に居ながらにして天国に送ることも可能なんだから♪」

 

 

 そう言ってノレッジちゃんは足を伸ばすと私のスカートの下に指先を差し込み、きゅっと。

 

 

「んぐっ」

 

 

「ほら、スカートで隠れて目には見えない場所であっても、しっかりと確実に摘まめる技術!

 これこそがノレッジ・フォールの真骨頂よ!!!」

 

 

 ぐぅぅ、これは……凄いですね。

 

 最初に親指と人差し指で、次に人差し指と中指で、次に中指と薬指で、そして最後の薬指と小指で私のスカートの下の刺激に弱い部位を的確に摘まんできます。

 

 力の強弱をし、捻りを加えることでじゅんじゅんと疼いていた身体の芯から火照るような熱いものがこみ上げてくるのを感じます。

 

 一しきり私の女としての部分をいじったんノレッジちゃんは差し込んでいた自身の足を引き抜き、ぬらぬらと私の愛液で艶っぽい輝きを放つ足を愛しそうに手で掬って舐め取る。

 

 

「ほ~ら、シャルラちゃんったらもう濡れてきたみたいじゃない♪

 前話ではサイリちゃんといい感じになって結局私は出番なかったけど、この部屋の扉の前でずっと待ってたんだからね!」

 

 

「……もしかしてノレッジちゃん怒ってます?」

 

 

 普段は相手のことを第一に考えるエロの求道者にして私の親友ノレッジちゃんが、いつもより少しばかり恐ろしく感じます。

 

 

「怒ってないはずないでしょ!

 そりゃサイリちゃんは大好きだし、シャルラちゃんがサイリちゃんとそういう関係なのも以前から承知していたけど、私を最終話に呼ばないってどういうこと!?」

 

 

「いえ、ですからその……尺の都合と言いますか。

 サイリちゃんとイチャラブしていたら文字数が増え過ぎてしまいまして、ノレッジちゃんとは物語の初期からイチャイチャしていましたし、エピローグもまだ残っているわけですから最終話位サイリちゃんとの愛の日々を描くのもいいかと思いまして……」

 

 

「……まぁ、私もシャルラちゃんと同じ立場なら同じことをしたと思うけどね。

 でも問題はその前、ロン前・書士隊長とのラストバトルのイベントに呼ばなかったことにも腹を立ててるのよ」

 

 

 あぁ、そういえばそんな人も居ましたね。

 

 あの人なら最初から悲惨な最後を遂げることは分かっていたので端っから作戦も何もあったもんじゃないのですが、確かに私の心の一部にして、もはや身体の一部でもあるノレッジちゃんを呼ばなかったのは失敗でしたね。

 

 もういっそのことお父さんとお母さんにロン氏の対応を全部任せて、私は物語の裏で百合を展開をしてれば良かったかもです。

 

 

「それじゃあ覚悟はいいかしら?

 今はまだ足でシャルラちゃんを刺激しているだけだけど、これを手でやったらどうなるか……想像できる?」

 

 

「え? まさかそんな事をいきなりやったりはしませんよね?

 すでに私はノレッジちゃんの足だけで限界ギリギリまで濡れそぼっているんですから、これ以上の刺激に耐えられるわけないじゃないですか。

 精神崩壊の一歩寸前ってところですよ!?」

 

 

「うん、それ無理♪

 だって私はシャルラちゃんの絶頂姿を見たいんだもの♪」

 

 

 そう言ってノレッジちゃんは手を翳すと青白く燃え上がる炎のような、K(快楽)エネルギーを燃やす。

 

 

「じゃあ……イって♪」

 

 

ぴしゃぁぁぁーん

 

 雷に打たれたような衝撃が私の全身に走り抜ける!

 

 

「ぁあああ あぉー、イっひゃいぃましゅぅぅぅ」

 

 

 何これ? 何これ? 何これ!?

 

 こんなの古龍ハーフの私でも耐えられるわけないじゃないですか!

 

 以前よりも格段に腕の上がっているノレッジちゃん。

 

 いったい何処で、ここまでの修行を積んだって言うんですか!?

 

 

「シャルラちゃんが最終決戦をしている間に、保健のエナ先生にその技の数々を体で仕込まれてレベルアップしていたのよ。

 本当にあの人凄かったわ……。

 でもおかげで今の私とシャルラちゃんの淫技は例えて言うなら……そうね、『魔界戦記ディスガイア』シリーズに出てくる『魔剣良綱』と『コモンソード』くらいにレベルが違うわよ」

 

 

 ……最強の代名詞の『魔剣良綱』は今では『バールソード』に負けて二番目に強い剣という扱いですけどね。

 

 しかし自分の実力を『魔剣良綱』に例えるということは、つまり私にもノレッジちゃんを越えることがまだ可能ということなんでしょう。

 

 

「あ、ちなみに言っとくけど私の『魔剣良綱』並みのエロパワーはアイテム界でレベル三百まで鍛えたものだと考えてね♪」

 

 

「んぁあああ あぉぁぁ゛ぁ゛ぁぁ゛ぁ゛~!!!!!!!!!」

 

 

 本来エロパワーというものは無意識の能力。

 

 無意識だからこそ、人は自制心というものが働いて、心のどこかでセーブしてしまうもの。

 

 だけどノレッジちゃんには、それがない。

 

 快楽を得ることと相手に与えることに何の躊躇いもないからありえない程のパワーを発揮出来る。

 

 私はその日、何度目になるかすら分からない絶頂を迎え、終わりなき快楽に身を任せる。

 

 その快楽を与えてくれているのがほかならぬノレッジちゃんだという事実に胸を熱くしながら。

 

 …………。

 

 

 それでは、そんな訳でこの物語はここで締めさせてもらいます。

 

 最後まで私の百合の物語にお付き合いいただきありがとうございました。

 

 これから先も学園物らしいイベントも入るかもしれませんが、それはまた別の話。

 

 それでは皆さんごきげんよう♪

 

 

 

 

 

 

___________________________________________________________________________________

 

 

 後の世の者たちが振り返り、最も生きる力に満ち溢れていたという数世紀、狩人の時代は終わった。

 

 それからさらに数世紀に渡って盛んになっていく『百合』という貴い文化は大陸中に広まり、海を越え、世界全土に広まっていった。

 

 そう、この世界は狩りの時代の終わりとともに、百合の時代という新たな時代を迎えたのだった。

 

 そして後世を生きる全ての百合の求道者から崇められる一人の少女、シャルラ・アーサーの伝説の始まりでもあった。

 

 

 『しょしたい!』(シャルラ・アーサー奮闘記~百合の風吹く街~)

 

 

  ~完~

 




 男子の登場は許可しないィィィィィィィーーーッ!!ww

 はい、これにて終了の『しょしたい!』ですが、いかがだったでしょうか?

 今回の作品から、この程度の描写なら入れても大丈夫ということを学べたので次回作以降にも活かせて行けたらと思います。

 そして活かした結果がヨイヤサ作品№14の『クフーン&ウル ~二人の百合の冒険譚~』です。

 良ければそちらも楽しんでいただければ幸いです♪

 ちなみに他のキャラに関しては、このあとの最後のキャラ設定で後の活躍に関しては語っていこうと思います。

 それでは、これまでお付き合いいただきありがとうございました!


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キャラ設定3その後の彼女たち(+男子共)

 その後の彼女たちの行く末ですね。

 あとおまけとして男子も。



 サイリ・ニトロ

 

 

 

 孤児院にて育った孤児。幼女。クラーマ好き。

 

 よくある孤児院のようにお金に困ってあちこちに借金をしていたらその内の一つの暴力団が孤児院を襲い、奴隷商に売られそうになっていたところを女子寮寮長兼学院受付兼『シャルラちゃん愛で隊』隊長のクラーマ・ネーデシュアーレに助けられ惚れる。

 

 孤児院はその後クラーマの口添えもありお金に困ることはなくなったがサイリはその時の恩とクラーマへの恋愛感情から学院へと向かう。

 

 そしてクラーマがシャルラやノレッジと毎日一緒に寝起きしていることに嫉妬しシャルラ殺害を計画。

 

 しかしそれは未遂で終わり、結局はクラーマに上手く紹介してくれたシャルラを「お姉様」と慕うようになる。

 

 尚、シャルラを殺そうとしたのも身長はそう変わらないのに自分にはない女らしさ(胸)を持っていたため。

 

 背はともかく小ぶりなノレッジは殺害対象に含まれていなかった。というか好みだった。

 

 そしてクラーマの養子として引き取られ、毎日充実した日々を過ごしているそうな。

 

 9歳。孤児院が大陸最強の子どもたちを育てることを目指していたので年に相応しくない腕っ節を持っていたりする。

 

 男に対してのみ口が悪い。

 

 

 

 

 エナ・スクラ

 

 

 こちらはバイの両刀使いの保険の先生。27歳。

 

 この物語では珍しく常識は持っているがその常識を使うかどうかは気分次第と言う結局はいつも通りにw

 

 そういえばクラーマは教師どころか保健医でもないので、そろそろ正式な保健医を出しておかないとなぁ~と思って考えられたキャラ。

 

 貴族の生まれで、西シュレイド王国の辺境伯の娘としてこの世に生を受け、若い頃は戦場に自ら飛び込む剛胆な性格をしていたのだが、エナが15歳の時に妹が生まれたことで愛に目覚め、戦場から身を引いた。

 

 以後は妹の「お姉ちゃん大好き♪」という声援を受けて必死に勉強をし、医師としての国家資格を取ることに成功。

 

 ……したのはいいのだが、親が妹の貞操の危機を感じて、半ば追放するような形でドンドルマの街に追いやりエナと引き離してしまった寂しさと、自分の魂の叫びを抑えることが出来ず、学院では男女問わず生徒をつまみ食いする困ったちゃんな保健の先生としてのんびり暮らしている。

 

 まぁ、保健医とはいえ、王立学術院に努めているとなると、それなりに人間関係も色々出てくるのでその内にクラーマと愛し合うようになる。

 

 クラーマの若さを維持するアンチエイジング方法を研究するという名目でクラーマと二人きりの時はベッドにいることが大半。

 

 ダイヤージとフィズも顔はいいので美味しく戴いてしまったそうな♪

 

 ドンドルマの街中では最も危険な存在と呼ばれている。(死ぬ寸前まで搾り取られるため)

 

 そしてもちろん、妹には毎日100通以上の手紙を出して休みが取れるたびにこっそり会いに行っている。

 

 親が引き離す前に、すでに身体を重ね合わせる関係になっていたので親の工作は無駄だったのだが。

 

 

 

 

 Ⅹ(エクス)・セーシャ

 

 

 トラックに撥ねられて神様サービスでチート能力をもらってモンハンの世界に転生してきた男。

 

 相棒のトーリップと一緒に前の世界(地球)の文化を広めることに執心しており、出版社やゲーム会社を立ち上げて大儲けしている。

 

 一応戦闘系のチート能力ももらっているが、実際にモンスターを見たら恐かったので危険を冒すよりも安全に金持ちになって暮らしたいと考えている。心は弱い。

 

 ちなみにその戦闘系能力は『ロックマンX』の武器チップを使えるようにする能力だったりするのだが、エクス自身がロボットではないので武器チップを使うことは出来ない。

 

 そのためロボット製作に今一番熱を入れているが、男のロボットよりも女の子のロボットの方がいい! と言う訳で方向転換をしている。

 

 これが後に『キャスト』と呼ばれるようになり、モンハンの世界がファンタシースターの世界と混じり合っていくきっかけになろうとは夢にも思わない……かもしれない。

 

 

 

 

 トーリップ・イサイオンジ

 

 

 こちらは異世界トリップという形でやってきた女。

 

 エクスと一緒になって前の世界の知識を生かした発明品を多く世に出して大発明時代の幕開けを狙っているが田舎の方ではあまり人気が出ないものばかり作っている。

 

 PS2を作るわ、PSPを作るわ、アニメなどもこの世界で作るわと、やりたい放題。

 

 神様からもらった能力の一つ『声帯模写』であらゆる声を出すことが可能(男性声優の声はエクスが担当)ということで、とにかくやりたい放題のコンビ。

 

 同時期にこの世界に飛ばされたためにエクスとは仲良しこよしのラブラブ♪

 

 『包丁を巧みに使う能力』も持っているので鋸使いの少女との戦闘もこなせる。

 

 

 

 

 

 シャルラ・アーサー(改)

 

 

 最終話では王立学術院学院長兼書士隊長に就任した美少女。

 

 自ら狩り場に赴く父親のスタイルを見習って、書士隊の隊員達を引き連れ、狩り場を自由に走り回る調査で世界の発展に大きく貢献。

 

 王家からも勲章の授与を受けるなどその活躍は後世まで語り継がれるそうだが、古龍ハーフなのであと何世紀生きることやら。

 

 ノレッジとの関係は物語の最後まで変わらず、この先も百合の展開を見せていってくれるそうな。

 

 ちなみに大長老もすでに頭が上がらない位の人気になってしまったために、大長老を顎で使う剛胆さまで持ち合わせている。

 

 どうも大長老って漫画『ヘルシング』に出てくるペンウッド卿みたいなイメージがあるんですよねw

 

 いやまぁ、MHFは未プレイですがMH2はかなりやり込んでいましたので違うのは分かるんですが、どうもこの作品を書いていると、そんな感じに思えてならないのですよ。

 

 

 

 

 ノレッジ・フォール(改)

 

 

 シャルラの親友にして体の友。

 

 その後は書士隊隊員として目覚ましい活躍を見せてベッドの中でもシャルラに従順な女。

 

 書士隊員として活躍しながら、学者としても成功していきついには十代のうちに名誉教授にまでなってしまう始末。

 

 特殊能力『エロハンド』を用いた勝負は最終的にはとんでもないレベルまで強化されてしまったために、生涯無敗の百合の求道者として後の歴史書に名を残すことになる。

 

 ちなみに『エロハンド』を体得しようと弟子入り志願の若い女の子が殺到したことにより、幸せな人生を歩むこととなった。

 

 

 

 

 

 ダイヤージ・クレイモンド(改)

 

 

 当初は男らしい男を目指していたのだが、『変態紳士』という称号を得てからはますます男に磨きがかかった変態。

 

 一応保健医のエナに師事することで医師免許は学院在学中にゲットすることが出来、卒業後は各地を転々とするようになる。

 

 シャルラやノレッジのことは愛しているが、まだ見ぬ女の子との出会いを求めて旅に生きる生活を取った。

 

 たまに故郷のシャオ村に帰省する度に妹的存在のレイコやラピスとイチャラブしているそうな。

 

 あと今では拳のみでラオシャンロンをひっくり返すことも可能。

 (モンスターを殺すことは今では基本的に禁止なため)

 

 

 

 

 フィズ・リーザ(改)

 

 

 元から変態の変態。

 

 物語が終了してもその変態性に終わりはなく、シャルラが書士隊長に就任し、モンスターと人間を仲良く暮らせる世界に改編してしまったために、ハンターになるという夢を諦めた男。

 

 学院を卒業後はエクス・セーシャとトーリップ・イサイオンジの二人の会社に入社し、アニメ制作に携わって生きている。

 

 顔はいいので20歳で結婚するが、浮気癖が直らず離婚。それらを繰り返していくうちに二次元にしか興味がなくなった男。

 

 『スタジオふぃず』という独自のアニメ会社を立ち上げ、転生者ですらないのに他に類を見ないクオリティの高いアニメを次々と世に出していく知る人ぞ知る人物に。

 

 一応シャルラ達との四人の絆(主従関係?)は死ぬ時まで切れることもなく、幸せな人生を送ったそうな。

 

 

 

 

 

 レイコ・モーニングミスト

 

 

 ダイヤージの妹的存在。

 

 「お兄ちゃんの初めての相手は私だ!」と普段から公言していたのだが、ダイヤージの初めては保健医のエナに奪われてしまったためにショックからダイヤージを殺そうとしてしまったが今ではすっかり落ち着いている。

 

 自棄になって親友のラピスと一緒に寝たりもしたがそれでも治まらなかったり。

 

 お兄ちゃんっ子なために、寝起きを襲ったり食事に薬を持ったりと色々と策を弄するが、ダイヤージは気にも留めずに平気なフリをする。

 

 ハンター活動が全面的に撤廃されて以降は、妹系エロ漫画家として大人気になる。

 

 『スタジオふぃず』の制作のもと、アニメも大人気放送中♪

 

 

 

 

 

 ラピス・イツサラ

 

 

 レイコの親友。

 

 こちらもダイヤージにひそかな恋心を抱いていたが、学院を卒業後に変態になって村に戻ってきたダイヤージにショックを受け、百合となる。

 

 レイコと大人の夜を過ごしたことでその百合の魂は留まる事を知らず、エロ漫画家として活躍するレイコのアシスタントをしながらも夜の相手までする仲。

 

 この先幸せに暮らしていくでしょう。

 

 

 

 

 

 クラーマ・ネーデシュアーレ

 

 

 忘れちゃいけないこの物語で百合要素を定着させた立役者。

 

 シャルラがドンドルマにおける権力の大半を掌握したあとも、その補佐として時には優しく、時には激しく影となり光となり活躍する。

 

 なお、竜人族ではないのだが、この先何百年も続くシャルラ書士隊長をずっと支え続ける存在となったりもする。本当に人間?

 

 

 

 

 ハリー

 

 

 書士隊員にして学院教師を務めていたトレジャーハンター。

 

 クラーマとは結局そういう関係にはなることもなく、キリン娘関連の会社が幾つもドンドルマの街に進出してきたことを狂喜乱舞して歓迎し、『キリン娘布教委員会』を立ち上げ、その会長として辺境の村に広めていった。

 

 

 

 

 ギュスターブ・ロン

 

 

 古塔にてミラルーツの下僕として暮らしている。

 

 連れてこられた当初は脱走を繰り返し、その度に捕まってお仕置きを受けていたのだが、それが段々と気持ち良くなってきたので今では主人であるミラルーツとも仲良こよしで結婚までしてしまった。

 

 ロン曰く「モンスターと一口に馬鹿にしていたが、これほどに可愛らしい女性なら男として惚れるのも当然だ!」となったのでジョン・アーサーを毛嫌いし、とにかく反対のことばかりしていた彼には珍しくモンスターのお嫁さんを迎えてハッピーな新婚生活を送っているそうな。

 

 たまに古塔に遊びに来る、モンスターの方のキリンに色目を使って嫁さんにしばかれることも多々あるそうだが。

 

 ちなみに自然の中で暮らすうちにムキムキのマッチョマンになる。

 

 

 

 

 

 ハターン一家

 

 前作の主人公とヒロインたちはハンターの時代が終わった後どうなったか? と言えば、特に変わっていないとしか言いようはない。

 

 百合の文化が広まりはしましたが、男女での愛というのも勿論あるわけですから。

 

 まぁ、モンスターと共存するために、ハンターの時代が終わっても人間、モンスター双方に例外的存在はいるわけですし、悪を働く連中を捕まえることに執心するのでしょうね。

 

 ドンドルマにも『キリン娘愛好社』が出来ましたしキリン娘が大好きなハターンは漫画家としても活躍していくと思います。

 

 その中で、書士隊員にしてトレジャーハンターのハリーと、キリン娘という至高のトレジャーについて熱い男のロマンを語り合ったりするのでしょう。 




 ノレッジとノーレッジって似てるな、と思い始めた今日この頃。いや思ったのは最終話を投稿したひの前日ですが。

 はい、とりあえず私の趣味の産物でしかない作品にお付き合いいただきありがとうございました。

 これからの予定は全くの未定ですがいつかはまた何か書くと思いますのでまたどこかで見かけたら読んでみてください^^

 移転前から読んでくださった方も、移転してから読んでくださった方も、等しく最後まで楽しんでいただけていれば作者としても楽しさ倍増です♪

 では、これまでの二次創作は全部移転も終わりましたし、しばしの別れ。

 お付き合いいただき、本当にありがとうございましたぁー!


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