東方博麗社〜もし博麗神社に参拝客が来ていたら (だぴょん)
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プロローグ 2人の幼き頃

スマホ投稿です。
もう一個の方が残酷すぎるので気晴らしに書いてみました。
完全に残酷の逆ののほほんストーリーです!
プロローグ以外は全て弟かたまに霊夢視点です。
では三人称視点でどうぞ。


紫は迷っていた

 

というのも…

 

「ん?何かしら?」

 

そこには落ちていた。

 

1通の手紙と……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子どもが……!

 

「拝啓、これを拾った方へ。

私たちは、貧しくこの子を育てられません。

なので、これを拾った方は、どうか、この子を幸せにしてください。」

 

紫は絶句した。

 

「ん?まだ何か書いてあるわね。」

 

「追伸。名前は自由に決めてください。」

 

「藍ー!」

 

紫は呼んだ。

 

「なんでしょう?紫様」

 

「この子をお願いね♪」

 

「え?でも、私はすでに霊夢を育てるという仕事があるんですよ?」

 

「という質問は受け付けないわよ?」

 

藍は紫が何か企んでいることにすぐ気付いた。

 

「あ、あとこの手紙も。」

 

「あの……紫様「よろしく〜」ちょっと…紫様ぁぁー!」

 

藍はとりあえず手紙を読んだ。

 

「名前、かぁ…」

 

藍は迷っていた。

 

藍は、名前をつけるという行為が初めてだった。

 

「あ、そうだ。あいつに聞けばいいんだ」

 

藍は霊夢のいる博麗神社に隙間を開いた

 

藍はこれまでのことを話した

 

「っていうわけなんだけど。いいかしら?」

 

「…分かったわ。考えておくわ」

 

彼女の名は、博麗霊夢。9才。

 

彼の名前は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「詠夢。これから…」

 

「よろしくね。」

 

霊夢は普段発しない優しい声で呼びかけた。

 

そして、霊夢の中には新しい感情が芽生え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、「愛情」と「誠実」という、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2つの感情が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2年後…

 

「紫様…それは本気で言ってらっしゃるのですか?」

 

「ええ。あの2人には少し社会勉強というものが必要だわ。」

 

「そこまで言うのなら、分かりました。」

 

そう言い、渋々藍は2人の下に隙間を開いた。

 

「「うわっ…!?」」

 

「あなた達には、これから人里で買い出しをしに行ってもらいます。」

 

「何よ…紫め…また何か考えてるな…今度会ったらタダじゃおかないんだから」

 

「はい財布」

 

「分かったわよーもうっ!夜ご飯の食材買って帰って来ればいいんでしょう?そのくらいやってやるわよ!」

 

「お願いね」

 

とは言ったものの、紫と藍は内心とても不安だった

 

だから、2人の後についていった

 

そこで紫達が見たのは、大人にとっては驚愕するしかない光景だった…!

 

「うそ。えっ?」

 

紫と藍はそんな反応しかできなかった

 

そこにはなんと…

 

 

 

 

 

 

 

 

姉を説教する弟の姿があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうっ!助けてって言われたら難癖つけず助ける!いい?」

 

「はい。ごめんなさい」

 

霊夢は、弟を怒らせるとタダじゃ済まないことを知った。そして、俯いている詠夢に向かって言った

 

「じゃあ、帰りがけだし団子屋さんでおやつ食べようか!」

 

「ありがとう!お姉ちゃん」

 

帰りは手をつなぎ仲良く帰っていった

 

面白いものが見れたものだと紫と藍はスキマの中で思っていた




次回は、数年飛びます。
都合ってやつです。


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キャラ設定.txt

.txtはふざけてつけましたごめんなさいいいですよありがとうございます


博麗 詠夢(はくれい えいむ)

 

性別;男

 

関係;霊夢の義弟、寺子屋のの先生

 

能力;

旧;人の「素」を見つける程度の能力(心をかき乱す程度の能力)

新;神を使う程度の能力(前の能力はこの能力の応用)

性格;

幻想郷最強の名は伊達じゃない……はず。

真面目。霊夢の身の回りの世話はすべて彼がやっている。

何もやらない霊夢に呆れている。

しかし、2人きりの時は「お姉ちゃん」と呼んでいることから、仲は良いものだといわれている。

読書とピアノが好き。邪魔されると普通に詠想封印を放ってくるらしい

彼が本気を出すと瞳の色が澄んだ黒から輝く青に変化するらしい。

 

強さ関係は、

永琳>>神奈子>>詠夢=紫≧霊夢

的な?

 

二つ名;博麗の弟

    八百万の神の使い

    感情を詠む弟

 

スペルカード;

 

霊符「詠想封印」

四方八方に飛んでいくお札の中に七色の陰陽玉が降り注ぐ

 

夢符「協奏曲」

五線譜が相手の周りを囲み、そこからお札が出てくる

 

神刀「クリスタルソード」

レミリアの「スピア・ザ・グングニル」と同じ。全長2メートルほどの青く光る刀が出てくる。一振りで小妖怪30匹ほどは一気に片付けられると思われる。

 

 

 

照符「神座の光明」

耐久用スペル。霊力と神力を回復し、2回まで被弾を無効とする。元ネタは天照大神から。

 

神癒「完治の光」

回復用スペル。再起不能状態から全快に至るまで回復する。こちらも天照大神から。

 

結界「灼嵐の剛壁」

結界用スペル。二重結界の強化版。弾幕は入ってこない。元ネタはスサノヲから。

 

月神「夜を統べし神」

攻撃用スペル。相手の5メートル前まで弾幕を見えなくする。元ネタはツクヨミから。

 

星天「煌月の世界」

攻撃用スペル。赤青緑黄紫の弾幕が高密度かつ不規則でスピード違いに飛んでくる。こちらも元ネタはツクヨミ様から。

 

黄龍「四神乱舞」

攻撃用。予測もしない方向と自機狙いに大弾幕が飛んできて本当に乱れ踊るかのようなスペル。元ネタは中国四神の黄龍から。

 

女神「黒天舞踏」

一撃必殺用。高密度かつ不規則な弾幕と自機狙いの拳型弾幕が混ざり合い回避はほぼと言っていいほど不可能。うん、チートですねこれは

 

 

 

 

ラストスペル

「ミステリアス☆エンド」

幻想郷を囲む博麗大結界から何十本、下手すると100本を超えるレーザーが相手に襲いかかる。これは紫の結界でもギリギリ防げるかどうかのラインである。

 

「信仰変換『霊・神』」

霊夢との共同スペル。名前の通り、現在の博麗神社への信仰心がどれだけ強いかを霊力と神力弾幕に変換する。なので信仰が厚いほど回避が難しい弾幕となる。

 

「双夢終天」

霊夢との共同スペル。これを食らうと正真正銘ラスト、霊夢の能力により全ダメージが無効となり、詠夢の能力によって様々な神様が相手に攻撃を仕掛け、さらには巨大陰陽玉が降り注ぐという鬼畜仕様。これを食らうと全治1ヶ月でギリギリどうにかなるかどうかのレベル。



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姉の気持ち、弟の気持ち

ついに本編突入です!

詠夢は苦労人ポジですね。

※2016/01/05 リメイクしました


「霊夢起きてー」

 

「私はまだ寝たいのっ!」

 

「あーーもうっ!じゃあ、行ってくるからね!」

 

「いってらっしゃーい!おやすみー」

 

「おやすみーじゃなーい!」

 

いきなり漫才のような会話が神社に響く。

 

今は朝の6時。

 

5つ上の姉、博麗霊夢を起こすために閑古鳥が鳴く博麗神社の全てに大声が響くほどの声を出すのは、博麗詠夢。まだ11歳、身長は……まあ、察してほしい。とても小さく、みんなに小馬鹿にされたりするのだ。

 

まあ、神社に住んでいるからには霊夢の仕事は巫女なのだが、だいたいは神社でぐーたらして過ごしている。

 

姉の霊夢は面倒くさがりやで、弟の詠夢には迷惑を掛けてばかりである。口癖は

 

『えーめんどくさーい』

や、

『詠夢やって私疲れたわ』

だ。

 

それでは生計が立たないと危惧した詠夢は数年前から働き始めた。

 

朝早くから自分の職場へ行く。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

仕事が終わり、詠夢は買い物中。今日はたまたま早く上がれたので(と言ってももう18時なのだか)ゆっくりと夜ご飯の買い物をしていた。

 

家に帰るともう19時を回っていた。

 

「ただいまー」

 

という詠夢の声と同時に霊夢が居間から叫ぶ。

 

「早く夜ご飯作ってよーおなかすいたー」

 

「それなら霊夢がやればいいじゃん」

 

「えーめんどくさーい」

 

いつもの口癖がここでも出る。そして詠夢が居間へと行くと、またもう1人、夕飯を待っている人がいた。

 

「間違えるなよ。3人分作るんだぜ?」

 

「そんぐらいわかってるよ魔理沙。」

 

霧雨魔理沙。霊夢の親友(霊夢曰く腐れ縁)で、普通の魔法使いだ。

 

「おお!話が分かるやつだぜ!誰かとは違って」

 

そんな会話にうんざりしながら、着々と夕飯を作る。

 

そんな毎日が続いた。

 

……はずだった。

 

夕飯を食卓に運び、食べ始める。

 

「ご飯出来たよー」

 

「「いただきまーす!」」

 

「めしあがれ」

 

そう言い詠夢も席に着き、食べ始めようとしたその時。激しい頭痛が詠夢を襲った。

 

「うっ……!」

 

「……ん?ちょっと詠夢?どうしたの?」

 

霊夢も心配して声をかける。しかし、めまいもしてきて詠夢は平常心を保てない状況になってきた。

 

そして……

 

バタッ、と、急に意識を失った。

 

「詠夢?聞こえる?詠夢!?ねえちょっと返事しなさいよ!」

 

霊夢は珍しく焦る。

 

そして、そこににゅっと開いた通称「スキマ」から現れたのは、境界を操る妖怪、八雲紫だ。

 

「ん?ちょっと詠夢!?……返事しないわ!取り敢えず、人里の医者に診てもらいましょ!」

 

そして、2人は神社を飛び出し、猛スピードで人里に向かった。

 

「ごめん詠夢。私のせいで……!」

 

霊夢は自分を責めた。

 

ここまで追い詰められてたんだ……、と。

 

初めて霊夢は詠夢の苦労を知ったのだ。

 

「「先生!詠夢は……大丈夫なんでしょうか?」」

 

「彼は……少し深刻な状態です」

 

医者は霊夢と紫に向かって疑問符を浮かべながら質問する。

 

「詠夢くんは、普段どういう生活をしているんですか?」

 

私は、朝5時半に起きて6時には職場に行き、夜7時まで働いて家事や掃除は全部詠夢にやってもらっていることを話した。睡眠時間はたったの5時間で、休憩なしで働いているということも全て。

 

紫と医者は霊夢を睨みつけた。

 

「そりゃ過労で倒れるわけか……」

 

医師も呆れて物が言えないという表情を見せた。

 

「も、申し訳ありません……」

 

霊夢は今、自分が犯した重大な罪に気づいたのだ。

 

紫が詠夢を保護してきて少しは、たくさん弟をかわいがっていた。

 

しかし、霊夢は詠夢が霊夢の家事のやり方に慣れるのが早いことに気付くと、まるで式神のようにこき使っていたのだ。

 

「とりあえず、1週間ほどは絶対安静。いつも詠夢くんがやっていることは全部あなたがやりなさい」

 

霊夢と紫は、今にも泣きそうな表情で医者を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、詠夢をおぶりながら霊夢は泣いていた。

 

「泣いていても何も始まらないわよ」

 

紫はそういったものの、扇子で必死に顔を隠していた。

 

 

そして、霊夢はこの時、自分の中で固く決心した。

 

 

 

 

 

ーーーせっかく、神様が与えてくれたチャンスなのだ。

 

また、詠夢とやり直そう。

 

私のかわいい弟なのだ。かわいがってあげよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詠夢は、絶対私が守る、と。

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日。

 

詠夢はいつものように5時半に起き、ご飯を作るために台所へと向かった。しかし、そこにはもう霊夢が起きて朝食を作っていた。

 

「あれ、霊夢……。起きてるの?」

 

「あ、詠夢。起きたのね。おはよ」

 

「なんで今日は、こんなに起きるの早かったの?」

 

「はい、これ」

 

霊夢はそういい、文々。新聞を詠夢に渡した。

 

そこには、

 

『博麗巫女の弟、過労で倒れる 原因は博麗の巫女のさぼり癖か』

 

と書いてあった

 

「文さんも大げさだなぁ」

 

と思い、詠夢は新聞を読み終わり霊夢の方を向いたその時。

 

「その……ゴメンなさい!!」

 

「え……なんで?なんかあったっけ?」

 

そういい、霊夢は昨日の夜あったことをすべて話した。

 

「・・・っていうわけよ。」

 

そういった後、僕は反論した。

 

「まあやりすぎた僕にも非があるし……!?」

 

ギュっと、霊夢は詠夢を抱きしめた。

 

「ごめん詠夢!私が何もしなかったせいで……!私が……私……が……!」

 

涙を浮かべて詠夢に必死に謝る。

 

「大丈夫だよ霊夢」

 

「……えっ?」

 

霊夢は少し驚いた。詠夢が絶対許してくれないと思っていたからだ。

 

「えっ!?で、でも、私、あんたに散々ひどいことさせちゃったし……」

 

「気にしないで。僕はお姉ちゃんのことずっと信じてるから」

 

「ありがと……!」

 

そう言って、詠夢をまた強く強く抱きしめる。

 

その時、詠夢は心の中で思っていた。

 

僕とお姉ちゃんで、一緒に楽しく稼いで暮らす方法は無いのだろうか……?

 

そんなことを思っていた時、詠夢の脳内にふと、ある計画が浮かぶ。

 

(この神社で一緒に働こう)

 

こうして、詠夢の中で博麗神社再生計画が始動したのだった。




ということで、次回から博麗神社を変えていくことになりますね。

ではまた次回、お会いしましょう。


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博麗神社と人里と

霊夢が小さい頃抱いていた愛情をさがす詠夢―――


霊夢視点

 

「えっと、まず魚屋に行って、後はここであれを買って・・・」

 

霊夢は気まずかった。人里の人間の目が厳しかった

 

一言で言うと、睨まれていた

 

「あれが詠夢を追い込んだ奴か」

 

そんな声が聞こえてきた。

 

私は泣きそうだった

 

「ただいま・・・詠夢・・・」

 

「霊夢・・・買い出しなんか行かせちゃってごめん」

 

「え・・・?」

 

私は戸惑った

 

「人里の人から責められたでしょ?僕のせいだ・・・」

 

「そ、そんなこたないわよ・・・」

 

わたしはそんなことを言ったが、内心は詠夢に振り回され、かき乱されていた。

 

それで・・・よかった。

 

私は、小さい頃抱いた、「愛情」というものを見つけた。

 

それは、まっすぐで、誠実な。

 

私とは正反対の・・・

 

詠夢の・・・もの・・・。

 

「実はね、僕(実は、私ね)・・・」

 

「「神社に活気を取り戻そうと思うんだ(の)」」

 

「「・・・え?」」

 

詠夢視点

 

僕は強い「誠実」を心の中に秘めていた・・・

 

それは、まっすぐで、愛情のこもった。

 

僕とは正反対の・・・

 

霊夢の・・・もの・・・。

 

「よし。そうしたら明日から動こうか」

 

「そうね・・・でも・・・あ、明日で1週間か。じゃあ魔理沙にも説明しておくわ。」

 

「うん。お願い・・・?・・・!」

 

ギュっ!

 

僕は霊夢を抱きしめていた

 

なんかわかんないけど。

 

霊夢と感情を共有できた気がした。

 

「・・・!は、恥ずかしいじゃない!」

 

「顔赤いよ。お姉ちゃんっ!」

 

「うっ・・・」

 

霊夢視点

 

私の心はその言葉で包まれた。

 

暖かい詠夢の心が私を包んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っていうわけなのよ」

 

「へー。よくやるきになったもんだぜ。」

 

詠夢が私をやる気にしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて、言えなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まーね」

 

「霊夢。顔赤いぜ?」

 

「え・・・?」

 

「霊夢が顔赤いときは詠夢についてなんか考えているときだぜ☆」

 

図星だった。

 

私は詠夢が包んでいる心を射抜かれた。

 

「ち、ちがうわよ」

 

「嘘だな」

 

「ちーがーうっ!」

 

私はそれしか言葉が出てこなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

次の日。

 

「じゃあ作戦会議を始めるぜ」

 

「「なんで魔理沙(さん)が議長なのよ(なんですか)」」

 

「じゃあ詠夢やれよ」

 

魔理沙はふて腐れていた

 

「わかりましたよ」

 

詠夢の計画は、詠夢とアリスが神社のことについて説明していくから私と魔理沙は神社までの道を整備してほしいというものだった

 

「「「わかりました。詠夢さん」」」

 

「あ、はい」

 

詠夢の顔が赤かった。初めてのことだった―――

 

――――――――――――――――――――

紅魔館-

 

「レミィ、準備ができたわ」

 

「お嬢様。準備が完了しました」

 

「わかったわ。さあ幻想郷よ。私のものとなれ!ハッハッハッハッハッ!」




というわけで、次回は紅魔郷編!


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紅霧と紅魔 前編

うわーネーミングセンスねー
霊夢視点どうぞ


「それじゃ、みんなスペルカードは持った?」

 

「はい!」

 

「それじゃ行くよー」

 

今回から追加されたスペルカードルール。それを試すためにも、この紅霧異変は最適であった。

 

「も~なんで僕も行かなきゃいけないのー?」

 

私は顔を赤くした。

 

「そ、それは・・・」

 

「僕がいないと寂しいから?」

 

あー心を読まれたぁっ!やっぱり連れてこないほうがよかったかな・・・

 

「『愛』が前面に出てるよー」

 

ああもう!詠夢はやっかいだなー

 

って言っても何も始まらないからいいや。

 

3人は湖を飛んでいった。

 

「あなた達は・・・食べられる人間?」

 

「違うわよ!」

 

私と魔理沙はまだスペルカードを使うのが怖かった。すると・・・

 

 

 

 

恐怖が・・・消えた・・・?

 

 

 

私は詠夢のほうを見る

 

詠夢は私を見て微笑んでいた

 

(ありがとう詠夢。)

 

(どういたしまして。)

 

「ここを通しなさい」

 

「いやなのだー」

 

「あー!夢符『封「待って」』・・・え?」

 

すると・・・

 

「やめてなのだー」

 

逃げて行った・・・?

 

「行こう!お姉ちゃん!」

 

「え?そ、そうね。行きましょう」

 

詠夢は彼女に何をしたんだろう?私は不思議で仕方なかった

 

「・・・ところで、、魔理沙は?」

 

「先に行ったよ」

 

「なんであの妖怪は逃げていったのかしら」

 

「『恐怖』の感情を入れただけ」

 

「あ、そう・・・」

 

絶対にそれは「だけ」って言わないからね?

 

「あ、魔理沙だ」

 

「・・・」

「・・・」

 

「「・・・無視しよう」」

 

私と詠夢は飛んだ。

 

「そろそろあるはず」

 

「そうなの?・・・って、あったー!」

 

すごく目に悪い色をしていた。

 

「ん?門番かしら?」

 

「咲夜さん・・・やめてくださいよー・・・」

 

「寝言・・・ねてるね。これは・・・」

 

「無視ね」

 

詠夢視点

 

やっぱりねー。

 

「「お邪魔しまs・・・うわっ!」」

 

さっきいた場所にはナイフが刺さっていた

 

「邪魔するなら帰ってもらえるかしら?」

 

・・・メイド?が言い放った

 

「はぁ・・・めんどくさい・・・まあ、弟には手1本触れないことね」

 

「はあ・・・そうですか・・・それなら」

 

「あなた達を倒すまでよ」

 

そういった瞬間

 

目の前にナイフが・・・!

 

「うわっあぶな!」

 

僕は何とか避けた。

 

「やはり一筋縄ではいかないですか・・・幻幽『ジャック・ザ・ルビドレ』!」

 

僕はナイフを避けながら彼女の心を詠んだ。

 

妬み・・・嫌われ・・・彼女は苦労していたと僕は一瞬で分かった。

 

「思符『思考展開』!」

 

僕が宣言した瞬間・・・

 

「っぐわぁ・・・や、やめて・・・」

 

「僕はあなたのことがわかる「・・・き・・・貴様に私の何がわかる!」」

 

「恐れられ、嫌われた力・・・全力で出せば・・・メイド秘技『殺人ドール』!」

 

世界が止まった・・・しかし僕は・・・

 

「なんでもかんでもぶつけりゃいいってもんじゃねーんだよ」

 

僕は怒った

 

「・・・何・・・なぜ貴様!」

 

メイドはナイフを振る。

 

「まず・・・人の気持ちがわかるようになってから出直してこい!」

 

僕は怒鳴った。そして・・・

 

 

 

優しさ・・・投入。

 

 

 

「・・・わかったわ。通してあげる・・・でも、博麗の巫女はここで止まってもらう」

 

・・・っ!霊夢が!

 

「・・・解除!」

 

霊夢の前にあるナイフが無慈悲に動き出す

 

「キャア!」

 

霊夢は目をつぶった。

 

しかしナイフは・・・

 

当たらずに済んだ。

 

「・・・怪我は?」

 

「・・・詠・・・夢?」

 

僕もギリギリ避けた。

 

「しょうがないわ。私の負けよ。私は十六夜咲夜。ここのメイド長をしております。お嬢様のところまで案内させていただきます」

 

「私は博麗霊夢。博麗の巫女よ」

 

「・・・博麗詠夢です・・・」

 

 

 

霊夢視点

 

私は詠夢が怒っているのが一瞬で分かった。

 

「どうしたのよ」

 

「・・・・・・。」

 

「何かあるなら話しなさいよ!」

 

「・・・咲夜に怒鳴りつけた・・・時間を止めている間になぜか動けた・・・それだけ」

 

「え・・・?」

 

「・・・ごめん霊夢」

 

「いいわよ。そのくらい気にしなくても」

 

私は詠夢を慰めた。

 

「到着いたしました」

 

コンコン

 

「お嬢様。博麗の巫女とその弟を連れてまいりました」

 

「どうぞ、入りなさい」

 

「入るわよ」

 

「「失礼します。」」

 

「あんたが博麗の巫女かい。私はレミリア・スカーレット。ここの主よ。」

 

「知っていると思うけど、私が博麗の巫女、博麗霊夢。こっちは弟の詠夢よ」

 

「急に来て姉が身勝手な行動をしてしまい申し訳ございません。詠夢です」

 

 

あ、あのね・・・私は暴れてないわよ!?

 

「あんたが噂の詠夢かい。パッと見子供だね」

 

「あなたもそう見えるのですが・・・?」

 

「うるさいわね!?わたしは500歳よ?」

 

「そんなことはどーでもいいけど、あの霧どうにかしてくれない?」

 

「いやよ。私たちが外に出られなくなるじゃない」

 

「そんな口論してないで早く勝負しなよ。不快でしょうがない。」

 

わたしは詠夢を睨んだ。しかし、詠夢は満面の笑みで返された。

 

不機嫌だな。

 

「わかったわ。いざ勝負!博麗の巫女よ!天罰『スターオブダビデ』!」

 

「咲夜さん。お茶くれます?」

 

「畏まりました」

 

「弾幕って・・・綺麗だなぁ」




霊夢と詠夢の運命はいかに!

後半へ続く


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紅霧と紅魔 後編

「ギュっとして・・・ドカン!」


詠夢視点

 

「ならこっちも!夢符「封魔陣」!」

 

のんびりって・・・いいよね

 

「がんばれー霊夢ー」

 

「え?ちょっと詠夢?うわっ!」

 

いいじゃん。

 

「ビスケット食べて紅茶飲んでるのがなんか悪い?」

 

「悪い!」

 

「なら霊夢はレミリアに勝てる。僕は信じる」

 

「あのね・・・うわっ!」

 

「弾幕ごっこしながら姉弟喧嘩できるなら大丈夫だよ。がんばれー」

 

僕は霊夢に気合という感情を投入した。すると

 

「詠夢。ありがと。さあ、本気出すわよ」

 

「お先に!神槍『スピア・ザ・グングニル』!」

 

「霊符『夢想封印』!」

 

「「はああああああああああああああああああああああああああああっ」」

 

陰陽玉と槍がぶつかり合う

 

次の瞬間、僕は衝撃的なものを見てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陰陽玉が・・・・・・負けた・・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、僕は空を飛んでいた。

 

「・・・・・・・・・はっ!」

 

霊夢が目を閉じた

 

「夢符『二重結界』!」

 

「詠夢・・・?」

 

「怪我はなさそうだね。よかった!」

 

「・・・ありがと。」

 

(対象 レミリア・スカーレット、水・光 投入)

 

「貴様、何を使った・・・?うわっ!やめろ!」

 

「それならおとなしく・・・」

 

僕は彼女の隣まで寄った。

 

「降参しなさい。」

 

彼女は僕を睨み、言った。

 

「・・・わかったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢?」

 

「僕たち・・・勝ったの?」

 

霊夢は間をおいて、頷いた。

 

「・・・じゃあ、この霧を片付けてもらうよ」

 

「わかったわ」

 

そうすると、空は元の鮮やかな青に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

三人称視点

 

 

 

 

 

 

「ところで・・・あなた達にお願いがあるんだけど。」

 

「なんですか」

 

「私の妹を・・・助けてほしいの。」

 

「で?」

 

「でって・・・言われても・・・」

 

「彼女の能力とパワーバランス位説明してください。そんなのもわからないと姉失格ですよ?」

 

その言葉はレミリアと、霊夢の心にも刺さった。

 

「彼女は、【ありとあらゆるものを破壊する程度の能力】を持ち、私の手では抑えきれないパワーを持っているの。」

 

「わかりました。それじゃあ霊夢・・・霊夢?」

 

霊夢は涙を流していた。

 

「え?ああ・・・何?」

 

「元気出してよ。それじゃあ・・・」

 

詠夢は、霊夢が囮になっている間に詠夢が彼女の【感情】を詠み、抑えるということである。

 

「わかったわ。危険な気がするけれど、彼女を放っておくよりはいいわね。」

 

「じゃあ、お願いします。博麗の巫女さん!」

 

そのとき・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカーーーーーン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人は振り返った。

 

 

「お姉さまだけ・・・なんで遊んでるの?・・・私ともアソンデヨ」

 

「霊夢。」

 

「いくわよ。」

 

2人は飛んだ。

 

「ワタシトアソンデクレル?」

 

「・・・わかったわよ。相手してあげるわ」

 

「禁忌『クランベリートラップ』」

 

霊夢は必死になって避けた。

 

「キャハハ!ヨケタヨケタ!」

 

詠夢は彼女から感情を読み取・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだこれ・・・前に出ている感情が・・・多すぎ!」

 

とりあえず彼女の感情を掻き乱した。

 

「え・・・?なにこれ・・・でも・・・モットモットモーット・・・アソンデ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから霊夢は10分ほど彼女の弾幕を避けた。

 

霊夢は苦しそうに方から息をしていた。

 

「詠・・・夢・・・ハァ・・・早く・・・し・・・て・・・」

 

「モウオワリ?モット・・・アソンデ」

 

「ぎゅっとして・・・」

 

レミリアは咄嗟に霊夢に言った

 

「霊夢!そこを逃げて!」

 

「ドカーン」

 

霊夢のいたところが爆発した。

 

「・・・!」

 

「あ!見つけた!」

 

「じゃあ早くそれをとって!」

 

「ちょっと待って・・・なにこれ・・・【狂気】が・・・多い」

 

「早く!」

 

霊夢の切羽詰まった声が聞こえた。ごめん霊夢。

 

詠夢は自分ができる最大限の力を込めて言い放った。

 

「対象 フランドール・スカーレット 狂気 排出 うおりゃあああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーっっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お・・・お姉さま・・・」

 

「フラン?」

 

「お姉さまぁーー!」

 

「フラン!正気に戻ったのね!」

 

「フラン・・・こんなに長く幽閉してしまって・・・ごめんね・・・フラン」

 

レミリアから涙がこぼれ落ちた・・・

 

「ありがとう・・・詠夢・・・詠夢?」

 

詠夢は狂気を抜き取った瞬間・・・床に倒れていた。

 

「「詠夢!?・・・詠夢!」」

 

「パチェ!この子をどうにかして!」

 

「・・・やってみるわ。レミィ。」

 

パチュリーは魔法を唱える。すると・・・

 

「詠夢!詠夢!」

 

「・・・大丈夫だと・・・思う」

 

「詠夢!」

 

霊夢は最愛の弟をぎゅっと抱きしめた

 

「エヘ・・・ちょっと痛いよ・・・霊夢」

 

詠夢も霊夢を抱きしめた。

 

「さあ、宴会よ!」

 

「ん?何か忘れてるような・・・ま、いっか」

 

僕たちは博麗神社に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

星空がきれいだった。



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博麗神社と霊夢の涙

僕は忘れているものを思い出した

「霊夢?」

「何?」

「魔理沙忘れてた」

「あ・・・ま、あいつなら自分で帰ってくるでしょ」


詠夢視点

 

「恋符 『マスタースパーク』!」

 

「「うわっ!」」

 

「お前ら・・・私のこと忘れてんじゃねーよ!」

 

魔理沙は確実に怒っていた

 

そのあと僕と霊夢が弾幕ごっこに引きずり出されたのは言うまでもない

 

「よし、じゃあ行動開始!」

 

「「「おー!」」」

 

僕はアリスさんと2人きりで神社を後にして、魔法の森へ入っていく

 

「じゃあ、作ってもらうわ。まずは・・・あれをこうしてあーして「できました」・・・へ?」

 

「いや、だから、できました。」

 

「な、なんで!?」

 

「1人で黙々と作ってたら上海たちが手伝ってくれたんですよ。どこかの巫女とは違ってやるときはやりますから」

 

「あ・・・そう・・・じゃあ詠夢くん、行こうか」

 

え・・・?く、くん?君付け?

 

僕は激しく動揺していることに気づかなかった

 

「詠夢くん?」

 

「え、ど、どどどどどうしたんですかぁー!?」

 

「どうしたもこうしたも、行きましょうよ」

 

「あ、は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――

霊夢視点

 

その日の夜。

 

「はあ、疲れた・・・ぐっ」

 

「詠夢?」

 

「あ、お姉ちゃん・・・ただいま・・・」

 

「どうしたの?そんな疲れた顔して」

 

「霊夢のせいだ・・・」

 

「えっっ?「お姉ちゃんのせいだー!」」

 

私は驚いた。

 

「もう怒った!弟符『弟の恨み』!」

 

「何そのスペルカード?え、うわ、やめt・・・」

 

「うわああああああああああっ!」

 

「落ち着け詠夢!霊符『夢想封印』!」

 

次の瞬間、私は倒れていた。

 

「ううっ・・・ぐはっ・・・」

 

「おい霊夢・・・どうしたんだぜ!?」

 

「怒ったからやった。後悔はしていない。」

 

後ろから詠夢の声がした。

 

「だって・・・」

 

詠夢は今日あったことを説明してくれた。

 

「この神社を知らない!?」

 

私は焦っていた

 

「確かにそれは霊夢の責任だぜ」

 

「わかったわよ。ごめん詠夢。今夜はあなたの言うことなんでも聞いてあげる。」

 

「うそ!?やったー!じゃあ・・・」

 

「何でもいいわよ」

 

「僕と・・・一緒に寝てくれる?」

 

私は耳を疑った

 

「・・・えっ?」

 

「だから・・・僕と一緒に寝てくれる?」

 

詠夢はどこか照れくさそうだった。

 

「ええ。喜んで。」

 

私は弟の頭をなでた。

 

「ありがと。お姉ちゃん」

 

「・・・ええ。」

 

その夜、私と詠夢は同じ布団で

 

同じ布団をかけて

 

一緒に抱き合って

 

寝た。

 

 

――――――――――――――――――――

1か月後・・・

 

「人が・・・たくさん来てる・・・ぐすん」

 

「何泣いてるの霊夢?」

 

「だって・・・私の神社にこんなに人が・・・うわーん!」

 

私は泣いていた。なんかわかんないけど弟の肩を濡らしていた。

 

「よかったね霊夢。そして・・・」

 

「「ありがとう。霊夢(詠夢)」」

 

――――――――――――――――――――

 

「あそこの神社、すごい人だかりだねぇ。あそこの信仰を奪えれば・・・!」

 

「神奈子さま?どうしましたか?」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

詠夢はそのことを察し朝の4時に文のところに出かけていた。

 

「詠夢・・・おはよう・・って、いない!?」

 

私の隣に手紙があった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

お姉ちゃんへ。

 

この神社と妖怪の山の存続が危なそうなので、文さんとちょっと行ってきます。

 

帰りは何時になるかわかんないです。

 

頑張ります。

 

心配だったら妖怪の山に来てね。

 

詠夢

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

私は詠夢のことが心配だった。

 

体が勝手に妖怪の山の方角に飛んでいた。




はい。お察しの通り妖々夢とか永夜抄は飛ばしました。何となくです。

風神録だと主は「神々が恋した幻想郷」と「ネイティブフェイス」が好きです。

音楽好きです。

神々が恋した幻想郷は、あの山の綺麗で神秘的な一面をみせているところ

ネイティブフェイスは、諏訪子の激しい清流のような弾幕ごっこをうまく表現できているところが好きです。

うわよう|”ょつよいとかいうわけではないです


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美しい笛と弟の想い

本文中の曲は、神々が恋した幻想郷です。
旋律がとてもきれいですよね!

三人称視点です。どうぞ


「詠夢さん?」

 

「その声は・・・文さん!」

 

「どうしたんですか?こんな朝早くに」

 

詠夢は妖怪の山と博麗神社が危ない。勘だけど。と、説明した。

 

「そうですか。それでは、妖怪の山へ。」

 

「せっかくですから、文さん。歩きませんか?」

 

「え・・・?なんでですか?」

 

「歩くといろいろ見つかりますよ?」

 

「あ・・・そうですか。なんか心を詠まれた気がする・・・」

 

まさにその通りだった。文は数日前、お気に入りだったペンをなくしていた。

 

「さあ…行きまs・・・って、いきなり敵ですか」

 

まだ時間が早いため、妖怪の活動が活発だった。

 

「ここは任せてください。文さん」

 

詠夢は妖怪に言い放った

 

「此処を退きなさい。さもないと斬る」

 

詠夢は低めの声で冷徹に呼びかける。それでも妖怪は詠夢と文のことを睨みつけていた。

 

「そうか…では、退治するのみ!」

 

・・・シャキン!シャッキーン!

 

金属特有の高い音が朝日の美しい妖怪の山に鳴り響いた。

 

「文さん。行きましょう。」

 

「・・・はい。」

 

文の顔はみるみる赤くなっていった。

 

 

 

 

2人は歩いていると沢に到着した。

 

「さて。お昼にでもしますか。」

 

「そうですね。」

 

いつの間にか太陽は真上まで回っていた。

 

「「いただきます」」

 

「これおいしい!これも全部貴方が?」

 

「あの霊夢がやるとでも?」

 

「それは否定できませんね」

 

文は苦笑いしながらそう言った

 

「さて、一曲いきますか」

 

そう言うと、詠夢は笛を取り出した。そして、彼はそれを吹きだした。

 

美しい音色。妖怪の山にそれは染み込むように響いた。

 

吹き終わると、秋の神や厄神、河童や天狗なども聞いていた。

 

パチパチパチパチ

 

拍手が鳴りやまない。

 

「じゃあ、上を目指しますか」

 

「あら。それはさせないわよ」

 

上には・・・犬?そうすると

 

「何あれ!かーわーいいーーーっ!」

 

詠夢は目をキラキラさせて言った。

 

「(うまく椛を丸め込んだな)」

 

その犬?は顔を赤くしていた。

 

「椛。顔が赤いわよ?」

 

「彼女は誰ですか?」

 

「私は犬走椛と申します。ここの山を見張っている白狼天狗です」

 

「天狗さんですか。よろしくね。僕は博麗詠夢。霊夢の弟です」

 

「それでは、山の主である天魔様のもとへとご案内いたします」

 

その後、天魔という人物と詠夢は顔を合わせた

 

「俺がここの山の長、天魔だ」

 

「博麗の巫女の弟、詠夢です」

 

「あの巫女の弟か・・・」

 

「この山、頂上に後々神社が移転してきますよ?勘ですけど」

 

天魔は信じた。というのも、博麗の巫女の勘は異常なほど当るからだ

 

「・・・気を付けるよ」

 

「詠夢さん、もうすぐ夜ですし、私のうちで泊まっていきませんか」

 

「文さんがいいなら、お願いします」

 

「じゃあ宴会だ!」

 

「え?天魔さま?」

 

「わかりました。僕も手伝います。文さん1人では到底無理だと思います」

 

「お客さんなのに悪いな」

 

「そのくらいお安いご用ですよ。天魔さん」

 

詠夢と山のメンバーは、夜を楽しんでいた。

 

「いいぞ!もっとやれ!」

 

椛と文の、詠夢をどちらの家に泊めるかの弾幕ごっこもされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

詠夢は何かを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

「みんな・・・」

 

「「「「「「「「なに?」」」」」」」」

 

「逃げろーーー霊夢が来たーーー!」

 

山の人間は一目散に逃げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガッシャーン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「詠夢・・・1人で勝手に・・・」

 

「お姉ちゃん!」

 

ギュッ!

 

霊夢は詠夢を抱きしめた

 

「もう・・・心配したんだから・・・」

 

ということで

 

博麗姉弟を一緒に泊めると文と椛が嫉妬するという理由で、霊夢は文の家、詠夢は椛の家に泊まることになった

 

仲良く泊まっていた




???「準備はできました。神奈子様、諏訪子さま」
???「そうかい。では、信仰を取り戻すために・・・」
???「新天地へ。いざ!」

―――――――――――――――――――――
椛の家では、詠夢が椛のしっぽを触りながらぐっすりと寝ていた。







山の頂上に突然の来訪者が来ているのも知らずに―――


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Mountain of Faith

本文中の曲はネイティブフェイスです。

三人称視点


「起きて霊夢!文さん!」

 

「まだ寝たいn「山の頂上に神社が出来たんだよ!」・・・」

 

「「ええええーーーーーっ!」」

 

霊夢と文はその一言で目が覚めたようだ

 

「とりあえず行くよ!」

 

「わかったわ。」

 

朝日を浴びた妖怪の山。しかし山は危機に直面していた。

 

神、妖怪、天狗。すべてが慌ただしそうだった。

 

「あ、私のペン」

 

「まさに灯台下暗しじゃないですか」

 

詠夢は苦笑いしながらそう言った

 

「んで、その神社については何か情報はあるの?」

 

霊夢は不安な目で詠夢に訊いた

 

「椛さんが偵察に行ったらしいけど、神が2人とその巫女が外から神社ごと移ってきたらしい。名前は守矢神社って言うんだって」

 

霊夢と詠夢は空を飛びながら会話していた。

 

トンッ

 

着地した後、霊夢は驚いた。

 

「何よこれ、博麗神社より大きいじゃない!」

 

すると、神社の中から少女が出てきた

 

「あなたが博麗の巫女ですか。私は東風谷早苗。守矢神社の巫女です」

 

「知ってると思うけど、博麗霊夢。こっちは弟の詠夢よ」

 

「私は文々。新聞の記者、射命丸文です」

 

「では、博麗神社を渡してもらいます。」

 

「「ダメです」」

 

霊夢と詠夢ははっきりと言った

 

「ならば、弾幕勝負で・・・え・・・?」

 

早苗は心を詠まれていた

 

詠夢は早苗のほうを向いて手をかざし、腕をぐるぐると回していた。

 

「詠夢さん・・・もうやめてください!」

 

「なら、博麗神社を奪うようなことはやめてください」

 

「え・・・でも「I☆I☆DE☆SU☆KA?」・・・・・・わかりました」

 

「じゃあ、入らせてもらうわよ」

 

中も豪華なつくりだった

 

詠夢と霊夢は違う二人の神様と出会っていた。

――――――――――――――――――――――――――――――

「あんたが博麗の巫女か。私は八坂神奈子。ここの神だよ」

 

「私のことは知ってるようだから説明は省かせてもらうわ。んでこっちが・・・あれ?詠夢?」

――――――――――――――――――――――――――――――

詠夢は神社の中にいる神を見つけていた。

 

「あ、来たかい。」

 

「あ、僕は博麗詠夢です。霊夢の弟です」

 

「そうかい。よろしく。私は洩矢諏訪子。ここの神だよ」

 

「あ、よろしくお願いします」

 

詠夢はグランドピアノを見つけた。

 

「あれ、使ってもいいですか?あなたのテーマ曲でも作ろうと思って」

 

「本当かい!?ありがとう!」

 

そう言い詠夢は5分くらい考えを巡らせていた。

 

「・・・できた!」

 

「おお!さっそく弾いて見せてくれ」

 

「わかりました・・・」

 

そう言い、詠夢はピアノを巧に操るように弾いていた。

 

「・・・終わりです。」

 

「ありがとう!気に入ったよ!」

 

「本当ですか!?ありがとうございます。貴女の神のイメージと、激しい清流をイメージして作りました」

 

「そこまで考えて?ありがとう!」

 

「光栄です」

 

詠夢と諏訪子は仲良く手をつないで外に出た。そこには、戦っている霊夢と神奈子の姿があった

 

「「詠夢(諏訪子)!?お前、どうした!?」」

 

「あ、言っておきますけど、博麗神社は譲れませんよ? 」

 

 

詠夢は神奈子に言う

 

「幻想郷の博麗大結界を守るのが博麗の巫女の仕事。だから神社を譲ったら幻想郷が危ないんです!」

 

「そうか・・・そこまで言うなら、わかったよ」

 

「あ、でも、ここの分社程度ならご自由に。そのくらいならいいよね?紫さん」

 

「ええ。」

 

「紫!?いつの間に!」

 

「じゃあ解決ということで、よろしk「あら、私とは遊んでくれないのかい、博麗の巫女」・・・え?」

 

霊夢は仕方なく戦ったが、勝ったという。

 

「あー、負けちゃった。まあ、良しとしよう。博麗の巫女、いい勝負だったよ」




博麗神社に帰った

「宴会は?詠夢」

霊夢は聞いた

「ああ、それはね・・・・・・という形でしようと思うんだ」





次回に続く!


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博麗神社夏季大祭実行委員会①

というわけで、昨日地元の夏祭りに行ってきたのでそれを参考に書いてみたいと思います

では詠夢視点どうぞ


僕は予想以上の忙しさにびっくりしていた。というのも…

 

「夏祭り?」

 

「うん。どうせやるなら大きい方がいいし、人が来てくれるし、」

 

「…し?」

 

「何より、神社にお金がはいr「やりましょう」…だから早いんだよ霊夢はぁーっ!」

 

僕は呆れた。この巫女、金に取り付きすぎだろ…

 

 

 

 

 

 

「え?僕が…?」

 

「だって面倒くさそうだし」

 

「はあ……わかったよ…紫さんも手伝ってよ?」

 

「え?なんでよ」

 

「委員長に逆らえるとでも?」

 

「…わかったわよ。少しだけよ?」

 

もう急にスキマから出てくるのが変だとかいうツッコミはしないからね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「詠夢。夜ご飯よ。……詠夢?」

 

「え?…あ、もうそんな時間か…」

 

僕は考えを巡らせていた…

 

「詠夢?ご飯くらいしっかり食べなさい!」

 

「あ…ごめん」

 

僕はご飯を食べ終わった後も自分の部屋にこもり、考えていた。

 

「詠夢。入るわよ」

 

僕は霊夢が入ってきていることに気づかなかった

 

「へえ。色々と考えてるのね」

 

「え!?霊夢?いつの間に?」

 

「貴方が部屋に行った数分後から」

 

「え?」

 

もう時間ははご飯から1時間くらい経っていた

 

「…夜食いる?」

 

「…ありがとう。お願い」

 

その後、博麗姉弟は2人で夜食を食べながら一緒に考えを巡らせていた

 

時計の2本の針はちょうど上で重なっていた

 

そう。僕は…

 

 

 

 

 

 

 

夏季大祭実行委員会長だから。

 

 

 

 

 

 

僕は委員長兼設営部門長

 

広報部門長は文で決まりなんだけど、ほかが決まらない。

 

あ、適任がいた

 

 

 

 

 

 

 

「…っていうことなんです」

 

アリスと慧音は黙っていた

 

「あ……別に嫌ならいいんですよ!?」

 

「「いや、おもしろそうね(だな)」」

 

「あ、ありがとうございますっ!」

 

「それじゃあ早速悪いんですが…」

 

寺子屋の教室には僕、霊夢、文、アリス、慧音。そして、紫の姿があった

 

霊夢は催し物部門、アリスは露店部門、慧音は警備部門、紫は結界部門長だった。結界部門長とは、争いや祭りの弾幕ごっこの時、周りに被害が出ないようにするものだそうだ。僕は良い案だと思ったが、周りからすごい睨まれた

 

「それではみなさん、お願いします」

 

霊夢「じゃあこういうことで…できたっ!」

 

アリス「ここの店をこうして…いやこうした方がいいかな」

 

文「祭りの宣伝だけで一面まるまる埋めちゃった♪」

 

慧音「自警団のみんな!これから会議を開始する」

 

紫「ここの時間にこれをするのね。なるほど」

 

 

 

 

 

 

後日。

 

「みなさん…ありがとうございます…こんな僕に協力してくれるなんて…うぐっ」

 

「困っている時はお互い様よ」

 

「感謝してもしきれないです…」

 

僕は霊夢と帰った。

 

「あ、ちょっと鈴奈庵に行ってくるね」

 

「わかったわ。気をつけてね」

 

僕はなんとか霊夢を巻けた

 

「っていうことで、霊夢のために、よろしくお願いします」

 

「「「「はい」」」」

 

「詠夢?」

 

「紫さん?急にどうしたんですか?」

 

「いや、なんで急にそんなことやりだすのかなって気になったのよ」

 

「日頃の感謝…って言えばいいのかな」




僕は小さい頃、霊夢は自分が襲われようと、食べられそうになろうと、僕を守ってくれた。

だから、そのお返しがしたかった…

これまでありがとう!霊夢お姉ちゃん!

これからは…もっと僕を頼ってね!


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博麗神社夏季大祭実行委員会②

「今日は1日がんばりましょう!」

「「「「おー!」」」」

今日は夏祭り。

では詠夢視点どうぞ


「あ、アリスさん。準備は?」

 

「ばっちり!みんなの希望はほぼ通ったよ」

 

「よかった。あ、慧音先生。そちらは準備は?」

 

「大丈夫だ。もしものために永琳もつれてきたしな」

 

「そこまで・・・ありがとうございます」

 

あれ?霊夢が悩んでる

 

「ううん・・・」

 

「おーい霊夢ー!どうしたの?」

 

「いや、だいたいのスケジュールは組めたんだけど、最後のイベントって何するの?」

 

「秘密。誰にも言ってない」

 

「あ、そう・・・楽しみにしてるわ」

 

「ありがと。」

 

僕は少しドキッとした。なぜならその時間には・・・

 

 

 

 

 

霊夢にサプライズを用意していたから

 

 

 

 

僕は誰にも話していない。そう。霊夢を除いた実行委員以外にはね。

 

「よし。それじゃあ、11時になった。門を開放してください」

 

僕は想定外の来客人数に驚いていた。幻想郷全域の住民に祭りのうわさは広まっていたみたいだ

 

「こんなに来ると思ってなかった。ありがとう、文さん」

 

「おーい詠夢さーん!」

 

そこには輝夜と鈴仙、てゐがいた

 

「一緒に屋台回りましょうよー」

 

鈴仙が叫んでいた

 

「え?でも僕ずっとここにいなきゃいけないし」

 

「私が代理するわよ。行ってきな。詠夢」

 

霊夢の声だった。

 

僕は頷き、永遠亭メンバーと食べ歩き、遊んだ。

 

代金は僕が全部タダにした。

 

「ありがとう詠夢。おかげでいい体験ができたわ」

 

「あ、引きこもり姫がそんな感情いだくんだ」

 

「私だってそのくらいするわよ。ありがとう」

 

「いや。こちらこそお誘いいただきありがとうございます」

 

「やっぱ君はまじめだねえ」

 

「ぜひそれをうちの姉にも見習ってほしいんですけどね」

 

僕は苦笑いしながら霊夢のもとへ帰った

 

「今度は霊夢。行って来たら?」

 

「いや、いいわよ」

 

「何でよ。祭りは楽しまないと面白くならないよ?」

 

「あたしは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたがいるだけで幸せよ」

 

 

 

 

あれ?お姉ちゃんってこんなにやさしい人だったっけ?

 

 

 

「ありがと。お姉ちゃん」

 

「いいのよ」

 

「あ、そろそろ弾幕ごっこがスペシャルステージで始まるよ。見に行こうよ」

 

時計は長い針と短い針がちょうど逆を向いていた。18時。

 

慧音さんのおかげでトラブルは起こっていないようだった

 

「へえ。弾幕ってこんなきれいだったのね」

 

霊夢が思いがけない一言を言い放つ。

 

「ね?僕がビスケット食べながら紅茶飲む理由がわかるでしょ?」

 

「それだけはわからないわ。食らいなさい!私の弾幕を!」

 

「そんなに簡単に当ったら僕これまで生きてないよーっ!」

 

僕も弾幕を放った。

 

僕と霊夢の弾幕ごっこがひととおり終わった後、下では人々が見とれていた。

 

弾幕ごっこ大会から僕と霊夢の弾幕ごっこへ話題が移ってしまったらしい。

 

そして参加者が僕と霊夢の弾幕に被弾してったということらしい。

 

 

 

 

 

 

それでも楽しかったから、まあいいや。

 

 

 

 

 

「そして、最後の特大イベント!幻想郷テーマ曲ランキングです!」

 

司会者の河童たちは声を上げた。

 

その特設会場にはたくさんの人が集まっていた。

 

「え?なにそれ?」

 

霊夢は頭に?マークがあった。

 

「それはね・・・」

 

僕は僕がみんなのテーマ曲を作っていることとそれを聞いてもらい人里の皆さんに投票してもらっていたことを話した

 

「じゃあ演奏はプリズムリバー?」

 

霊夢は聞いてきた

 

「お察しが良いようで」

 

演奏は楽譜を渡し、プリズムリバー三姉妹に頼んでいた。

 

「では第30位からの発表です!」

 

そういい、プリズムリバーの演奏が始まる。

 

「あ、私の曲が・・・」

 

「私の曲がもう来ちまったか。残念だぜ」

 

「うふふ。まだ私の曲は残ってる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢は不安そうな顔で僕を呼んだ

 

「ねえ・・・」

 

「霊夢の曲も作ったよ」

 

「うそ!?ありがと!まだ残ってる!」

 

僕は霊夢の顔を見て安心した

 

第5位までが発表され、残っているのは永琳、にとり、レミリア、フラン、そして、霊夢だった

 

 

 

 

 

 

第3位まで発表された。霊夢の手は汗でびっしょりだった。霊夢の心は緊張でいっぱいだった―――

 

そして、第3位はレミリア。霊夢は全身汗をかいていた。

 

「それでは、第2位の発表!2位はぁーっ!」

 

「フランドール・スカーレットさんの『U.N.オーエンは彼女なのか?』です!」

 

「うそ!?やった!私・・・1位・・・私・・・うわーん!」

 

霊夢は不安から解放されたと同時に、涙腺のストッパーが外れた。

 

「よかった・・・お姉ちゃん・・・よかった・・・」

 

僕の目にも涙が滲んでいた

 

「あれ?上にいるの、博麗姉弟じゃないか?」

 

誰かが言った。そうすると・・・

 

「「「「「「「おめでとう!」」」」」」」」

 

人里の人から霊夢は歓迎されていた。

 

「ありがとうございます!みなさん!」

 

霊夢へのひそかなサプライズは成功した。

 

「それでは、第1位。博麗霊夢さんのテーマ『少女綺想曲―Dream Battle―』です!」

 

「「1位おめでとう!乾杯」」

 

僕はジュースで、霊夢はワインで乾杯した。紫もいた

 

3人は曲を聴きながら夜の幻想郷を上空から楽しんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのとき。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・・ん?」」

 

僕と紫は感じた。

 

「今、一瞬揺れましたね」

 

「ええ、行きましょう。」




僕と紫はその方向に飛んでいった。

外と幻想郷を隔離する




あの博麗大結界が










揺れた

それは、幻想郷の危機でもあった。


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揺らぐ結界と来る神

詠夢と紫は結界が揺らいだ方向へ向かった。

「ちょっと待ってこっちって・・・・・・博麗神社!?」

「意外とあそこの近くって結界が揺らぎやすいんだけどね・・・」


そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドーーーーン!

 

 

 

 

結界が大きく揺らいだ。

 

霊夢の酔いが一瞬にして覚めた。

 

「・・・まずいことになったわね・・・」

 

霊夢は不安になりながら博麗神社のほうへ飛んでいった

 

――――――――――

???「ここが、博麗神社?」

 

???「へえ、小せえんだな」

 

???「私はこの雰囲気、好きよ」

 

???「ん?誰か来たわね」

 

???「とりあえず結界でも張っておこうかしら。邪魔者が入ってこないように」

――――――――――

詠夢は驚きを隠せなかった。

 

「紫さん?紫さん!」

 

「誰かー!」

 

そうすると永琳が飛んできた

 

「どうしたの?」

 

「いや、紫さんが突然倒れまして・・・え・・・?」

 

そこには・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の神、天照大神やツクヨミ、イザナギ、イザナミ・・・スサノオ・・・なんだこれは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、いらっしゃい。貴方は博麗の巫女?」

 

「いえ。僕は、その弟です、詠夢と申します」

―――――――――――――

霊夢は感じた

 

「ん?あれは・・・結界?人妖遮断結界?だとしたら・・・なんで詠夢が?」

 

霊夢は詠夢が人間なことくらいわかっていた。でも詠夢はその結界を通って入れている・・・なんで?

 

「私も行ってみるか・・・」

 

霊夢は結界に近づいていく。すると

 

「・・・ぐあっ!・・・」

 

霊夢は結界を通れなかった

 

「邪魔するものは排除よ」

 

イザナミが言い放った。

 

「違う。あれは・・・僕のお姉ちゃんです!」

 

「え?あれが博麗の巫女・・・」

 

そこには結界に触れ倒れている霊夢がいた

 

「僕、ただの人間なんですけど・・・なんで僕だけ通れたんでしょうか」

 

「それはあとで話すわ」

 

「僕のお姉ちゃんをひどい目に合わせた恨みだ・・・」

 

詠夢はスペルカードを取り出した

 

「あらあら、物騒ねえ」

 

すると・・・

 

「倒れていると思ったら・・・結界を張っていたのかい。久しぶりねぇ。アマテラス」

 

「あら。これは諏訪子。400年ぶりくらいかしら」

 

だめだ。桁が違う。詠夢は考えた

 

「あ、守矢神社のメンバーですね。」

 

「諏訪子だよ。久しぶり」

 

「神奈子よ。久しぶりだねぇ」

 

「巫女の早苗です」

 

神々は早苗をジト目でみた。

 

「あっ・・・わ、私は、現人神ですっ!」

 

「あ、そう。よろしくなっ」

 

イザナギはそう言った

 

「僕は博麗詠夢、ただの人間です。」

 

えっ?

 

そこにいた神は僕をジト目で見つめた

 

「あなた、神力があふれ出ているわよ」

 

えっ?えっ?つ、つくよみさん!?

 

詠夢はその場に立ち尽くしていた・・・

 

そして・・・

 

気絶した

 

え?なんで僕に神の力が?

 

 

 

その瞬間、霊夢は宣言した

 

「霊符『夢想封印』! 私の弟を返してもらうわよ」

 

「あら。ふつうの人間が私たちを倒そうだなんて。物騒な世の中になったものだわ」

 

神々はその攻撃を受けた

 

「さあ、私の詠夢をかえs・・・えっ?攻撃が・・・効いてない?・・・だと!?」

 

霊夢は驚くことしかできなかった

 




神の怒りに触れてしまった霊夢。霊夢の運命は!?

そして、紫は?

詠夢の神の力はなぜ湧いて出た?



次回に続く!


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神々と神の子

前回のあらすじ

霊夢が神々の怒りに触れてしまった

霊夢の運命は!?


「あら、そこまでするなら…」

 

「「決戦よ」」

 

「先に私から『神の教え』」

 

そう言い放つと、結界が張られ、そこから七色の弾幕が展開されるとともにマスタースパーク並の光線が四方八方に広がっていた

 

「なによこれ!攻撃できないじゃない!」

 

「その為にこれを展開したのよ。全く人間はこれだから…」

 

「うるさいわねぇ!そんで、このカードの制限時間はそろそろのはず…やっぱりね」

 

そう言うと、弾幕の展開はやんだ。

 

しかし、結界は残っていた。

 

「結界…が…残ってる?」

 

霊夢は軽く動揺していた。なんで…これ…私…負ける…?

 

「じゃあこれなら…!夢符『封魔陣』!」

 

通常弾幕が効かないのなら、陣なら行けるという発想だった。

 

…筈だった…

 

スペルカードも…効かないの!?

 

霊夢は読みが甘かった。アマテラスが張った結界が全ての攻撃を無効にすることを知らなかった。

 

「じゃあ私からね。『神の悪戯』」

 

そう言い放つと……

 

「…ぐはぁ…もう…止めて…」

 

詠夢が張り付けられた。その姿はぐったりしていて見るに耐えなかった。

 

「さあ、始めよう!神だけの宴会を!」

 

そう言い放った瞬間、アマテラスの結界が切れた。それを見た霊夢は、神への逆襲を始めた…のだが…

 

「うがっっっ!……や……めて…」

 

その攻撃は詠夢に当たってはいない。むしろしっかりアマテラスやツクヨミに当たっている筈なのに…詠夢がもがき苦しんでいた。

 

「はっはっは!もっと苦しめー!これが幻想郷に来た罰だ〜!」

 

「もうやめておけ。」

 

諏訪子が止めに入った。しかし、それに従うものは誰もいなかった

 

「むっ……これは許せないですねえ」

 

早苗も少し焦っていた。詠夢をこのまま放って置くわけには行かなかったのだ。早苗も霊夢についた

 

「人間が混ざるって大変だなぁ…はあ…ちょっとやってくるわ」

 

「害符『腐敗への誘い』」

 

そう宣言すると、詠夢が苦しみ始めた…

 

「もう…わ…かっ…た…から…や…めて…う…あ…ああ…がっ…!」

 

霊夢は手を震わして言った

 

「ごめんね詠夢…でも…私は…やる!霊符『夢想封印』!」

 

しかしその攻撃は神々には当たらず、詠夢に直撃してしまう。

 

「なっ!?詠夢!」

 

「大丈夫……僕も……『夢想天成』」

 

そうすると神々が急に苦しみだす。すると…!

 

神は凶暴な妖怪へと変化する。と同時に、詠夢の身体に何か光のようなものが吸い込まれて行ったあと詠夢が解放された。

 

「詠夢!よかった…!」

 

「お姉ちゃん…!よかった…助かったよ…」

 

「詠夢。この敵は必ずとる!」

 

「いい度胸じゃないか。さあ、かかってこい!」

 

「『夢想天成』」

 

空から巨大陰陽玉が降ってきた……が、その程度では妖怪は倒せそうになかった…

 

それどころか、霊夢の強固な結界まで破って彼女の身を襲った

 

それを見た瞬間、詠夢は飛んでいた。

 

そして、その妖怪に最後の力を振り絞って言い放った

 

「天罰『岩戸隠れ』!」

 

すると妖怪は、なにもなかったかのように消滅した

 

「やった……やった…よ…お…ねえ…ちやーー」

 

「詠夢?詠夢!?返事がない!永琳!詠夢を!」

 

「わかったわ。永遠亭まで運ぶ。話はそれからね」

 

「ありがとう」

 

霊夢は感謝の言葉を口にし、紫の質問に応じた。

 

「詠夢…大丈夫かしら」

 

霊夢は言った

 

「大丈夫よ。詠夢だもん。あの子、神の子だから」

 

その霊夢は笑顔で話すが、どこか苦しそうな雰囲気だった




詠夢?詠夢!詠夢は?

「ああ、それなんだけど、あなたから霊力を分けて欲しいの」

「え?」

霊夢は驚いていた

そして、詠夢に吸収された光とは何なのか!?




次回へ続く!


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詠夢くんの力と小鈴ちゃん

はい!今回から小鈴ちゃんの登場ですっ!

詠夢と小鈴の関係にも注目!

阿求も出そうかな。

時系列?ナンノコトカナー

今回はすべて詠夢視点です


「詠夢!起きたのね!」

 

「あれ・・・朝だ。あ・・・お姉ちゃん・・・ぼく・・・生きてる?」

 

「ええ。何とかね」

 

「あ、よかったわ。起きたのね。いきなり悪いんだけど、話があるの」

 

「紫さん?わかりました。霊夢も一緒に来てよ」

 

「ええ。詠夢のことなら」

 

僕は紫から話を聞いた。僕に寄ってきた光は神の力が宿った魂だという。僕が神力を持っていたせいか、その魂が穢れた妖怪から僕の体についてきたらしい。

 

「といことだったのよ。」

 

「それで、僕は何か変わったんですか?」

 

「ああ、それがね・・・貴方の能力が、【神を使う程度の能力】に変わったのよ」

 

「「ええーー!?」」

 

僕は驚きのあまり声を漏らしてしまった。何その反則じみた能力!?

 

「それはどのようなことができるんですか?」

 

「文字どおり、神の力を扱えるようになったのよ」

 

「えっ・・・」

 

僕は動揺していた。こういう時は本を読むのが一番だ。

 

「ちょっと鈴奈庵行ってくる」

 

「ちょっと!詠夢?」

 

僕は鈴奈庵に逃げるように行った。こういう時は、読書でもして、心を落ち着かせるのが一番だと思う

 

「いらっしゃいませ。あ、詠夢くん。今日はどうしたの?」

 

出迎えてくれたのは、白と桜色のワンピースに身を包んだ、小鈴ちゃんこと本居小鈴である

 

「あ、小鈴ちゃん。実はね・・・」

 

僕は昨日と今日あったことをすべて話した。僕が神だということも。

 

「・・・ってことだったの」

 

「へえ・・・そうなんだ。それで、なんでここに?」

 

「まだそのことが信じられなくてね。気晴らしに本でも読もうかなって思って」

 

「そう・・・じゃあ、私が書いた本、読んでみる?」

 

「え?小鈴ちゃん、本書いてたの?」

 

「私だってそれくらいできるわよ」

 

すごいでしょ。エッヘン!と言わんばかりに小鈴ちゃんは胸を張っていた

 

「・・・ありがと。読んでみるよ!」

 

僕はそれを手に取り、それを読み始めた。

 

ほう。恋物語・・・か。主人公の感情描写がとてもうまいなあ・・・

 

小鈴ちゃんは本の整理をしつつ、時折僕のことを心配そうに見つめていた。

 

 

 

モテモテの男の子は、いくら彼女がいい子でも付き合おうとはしなかった。

しかし、主人公の「私」には心を開いてくれた。

主人公は、彼の心を開ききれるのか!?というものだった

 

 

 

 

 

いつの間にか2時間が経過し、当たりは少し暗くなっていた。

 

「どう・・・?」

 

小鈴ちゃんは心配そうに聞いてくる

 

「全体的には良かった---」

 

僕はこの物語の主人公の描写のしかた、相手の男の子の想い、この本の感想すべてを語った。

 

「なるほど。ありがとうございます。ところで・・・」

 

小鈴ちゃんは顔を赤くして恥ずかしそうに僕に言った

 

「明日も、ここに来てくれますか?」

 

「うん・・・別にいいよ」

 

「ありがと詠夢くん!」

 

そこで、僕は重大なことに気付いた。

 

「あ・・・ご飯作ってない・・・霊夢に連絡してない・・・」

 

「あ・・・えっと・・・ご・・・愁傷様・・・?」

 

僕は絶望した。

 

「ありがとね。またね小鈴ちゃん!」

 

「また明日ね詠夢くん!」

 

 

 

 

 

 

 

帰り道

 

 

 

 

 

 

これ・・・夢想封印で済めばいいほうだな・・・

 

「夢符『二重結界』 ボソッ」

 

こうでもしないと僕死ぬからね!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと、霊夢に夢想封印を食らったのは言うまでもない。

 

 

――――――――――

次の日。

 

「じゃあ、神社のことはお願いします」

 

「わかった。行ってらっしゃーい!4時に鈴奈庵に集合ねー」

 

「わかってるよー」

 

博麗神社に参拝客がたくさん来るようになり、神社は潤うようになった。霊夢の妖怪退治の腕は相当なものなので、たくさんの依頼も来るようになった

 

 

昨日はどうだったか?意外と小さくてよかったよ。夢想封印食らっただけだから。

 

僕は昨日の鈴奈庵に行ったこと、そこで小鈴ちゃんにアドバイスしていて遅くなったことを謝った。

 

すると霊夢は、

 

「人には間違いがあるものよ。今回は許すわ」

 

と言って、許してくれた。

 

 

 

 

 

 

朝10時。僕は鈴奈庵へ向かっていた。

 

「おはよう小鈴ちゃん」

 

「いらっしゃ・・・あ、おはよう詠夢くん」

 

僕は小鈴ちゃんの隣にいる誰かを確認した

 

「この人は誰ですか?」

 

すると、彼女が口を開いた。

 

「私は稗田阿求。稗田家の家主よ」

 

「あ、そうですか。僕は博麗詠夢です。例のアレの弟です」

 

「あ、うん。よろしくね」

 

僕を睨みつけるように言った

 

「阿求ー!でも詠夢くんはとっても優しくて親切なんだよー頼りがいもあるし」

 

小鈴は顔を赤くしながら反論した

 

「うそ!姉とは正反対なの!?」

 

「はい・・・そうですね。」

 

僕は苦笑いしながら出されたお茶を飲んだ。

 

 

 

 

 

「それで今日詠夢くんを呼んだ理由なんだけど・・・」

 

小鈴ちゃんは僕の耳元でコソコソと話した

 

「あ、なるほどね。」

 

「じゃあ、私の部屋へ。あ。阿求は入ってきちゃダメーっ!」

 

阿求だけ外に出され、カギをかけてしまった。

 

 

 

「何か怪しい。小鈴を後で質問攻めにしてやるー!」

 

 

 

そうして、詠夢と小鈴の恋物語が・・・

 

 

 

 

 

始まった




思わぬ方向へ物語が動きました。小鈴ファンは歓喜なのかな?

設定としては、

人里から博麗神社への道の整備がされている

幻想郷の人々に博麗神社と霊夢の力が知れ渡っている

そのため、参拝客が来ている

という設定です。

このうちのすべての仕事を詠夢がこなしました。

そのため、幻想郷の人々は詠夢を慕っているという設定です


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判読眼の恋物語

今回も小鈴登場!

日常と小鈴とをこれから同時に書いていきたいと思います。

では小鈴視点でどうぞ


博麗詠夢。

 

私、本居小鈴がいま最も信頼している11歳の男の子。

 

紫と水色の柄が入った和服に下駄か、白とオレンジのチェック柄の洋服にいつでもきれいなスニーカー。今日は洋服だった。

 

あれ・・・私・・・惚れてる・・・?

 

「小鈴ちゃん?こーすーずちゃんっ!そんなこっち向いてどうしたの?」

 

「あ・・・いいえ。何でもないよ」

 

「そう。よかった・・・それじゃ、続き考えよっか」

 

クウッ!

 

私のおなかが小さく鳴る。

 

「あはは、おなか空いてるんだね」

 

「そ、そんなことないってば!」

 

グウッ!

 

私のおなかがまた鳴ってしまった。

 

「・・・おなか、空いてるかも」

 

時刻は12時を過ぎていた

 

詠夢くんはニコッとこっちを向いて僕が料理作るよ。と言ってくれた。その時私はいつもなら

 

「私が作る!むうーっ!」

 

とか言うはずだけど今はお願いっていう風に詠夢くんに目線を返してしまってしまっていた。

 

私は冷静さを完全に見失っていた。

 

 

落ち着け・・・私。

 

 

私に戻るんだ・・・私。

 

 

「小鈴?ああもうッ!小鈴!入るわよ!」

 

阿求が裏口から入ってきた。

 

「こすz・・・小鈴!?何してるの!?」

 

「何って・・・え?・・・私にもわからない」

 

私は頬を赤らめながら中国拳法の構えをしていた。

 

「とりあえず、詠夢はどこ行ったの?」

 

私は阿求に食卓に座らされ、話を聞かれていた

 

「私たちのお昼ご飯作ってくれてる」

 

「え!?小鈴そんなことまでさせて・・・貴女何様のつもりよ」

 

阿求の説教が始まった。

 

「まず、人を呼んでおいてその人に本来貴女がするはずの家事をやらせるとはどういうこと?」

 

「そ、それは・・・」

 

その後阿求は私に向かって10分くらいだろうか。説教をしていた。

 

「―――っていうこと。わかった?小鈴・・・小鈴!?私の言っていたこと聞いてた?」

 

私は再び詠夢くんのことを見ていた。やばい。私、このままじゃどうかなっちゃう!

 

「・・・はっ!え、ええ。聞いていたわよ」

 

「はあ・・・もう!正直に言う!詠夢のこと、好きでしょ?」

 

「え・・・そ、そんなこと!あるわけ・・・」

 

あった。

 

私は思い返してみた。詠夢くんのことを君付けで呼んでいること、彼と一緒にいると自然と笑顔が溢れていたこと、そのほか数えきれないほどたくさん。

 

阿求の言っていることは図星だったけど、恥ずかしくて言えない。

 

私は反論していた。

 

「そんなことあるわけないでしょ!だって・・・」

 

「だって?何かあるわけ?」

 

「おーい2人とも!ご飯出来たよー!今日はパスタだ!お母さんも待ってるよ」

 

詠夢くん・・・グッドタイミングすぎる!

 

「わかった。今行くわ」

 

うわぁーおいしそう!

 

「「「「いただきます」」」」

 

「あら、小鈴。ペペロンチーノは嫌いなはずなのに・・・」

 

「え・・・でも、これおいしいよ?」

 

私は詠夢くんが作ってくれたペペロンチーノを口いっぱいに入れた

 

「なるほど。詠夢くんの作ってくれたものは何でも食べられるっと。メモメモ」

 

「ちょっと!お母さんそういうのはやめてよね!」

 

私は少し怒った

 

「もうっ!そういうところがかわいいんだから・・・!」

 

詠夢くんと阿求は吹き出した

 

お、お母さん!?そういう誤解を招くことは言わないでよねっ!

 

――――――――――

数時間後

 

「っと。できたー!」

 

「なあんだ。小鈴ちゃんもやればできるんだ。えらいぞ」

 

詠夢くんははそういって私の頭をなでてくれた。

 

優しい、ふんわりとした手だった。

 

あ・・・でも、まだ出来上がってない・・・

 

詠夢くんはそういうと、こう提案した。

 

「じゃあ、今週末、どっかに出かけに行こうよ」

 

「え・・・別に・・・いいよ・・・?」

 

「わかった・・・じゃあもう霊夢も待っているし・・・またねー」

 

「うん。今日はありがとー」

 

その後、私はすごいことをしてしまったと思った。

 

「どうしよう・・・わたし・・・そんなことしたことないのに。」




その後、霊夢は詠夢にたずねた

「もしかして・・・詠夢、小鈴のこと・・・好き?」

「え、そ・・・そんなこと!」

詠夢は顔が赤くなり、動揺し始めた


その後、詠夢は顔を膨らませたまんまであった

「そう言うところ、小鈴に似てるわね」

「そ、そんなことないもん!」


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霊夢風邪異変

今回は博麗神社の日常回です

では霊夢視点からどうぞ


私はいつもの様に起きた。

 

布団を片付け、私は自分の部屋を出て境内の掃除をしようとした。

 

異変が起きたのは、その時だった

 

…何と無く身体がだるい。

 

…くしゃみも多いし。

 

…私はとりあえず詠夢のいる台所へ向かった

 

「おはよう詠夢」

 

「おはよう……れ、霊夢!?顔が赤いけど、どうしたの?」

 

そう言って詠夢は私の顔に手を当てた

 

「うわ、ひどい熱…!これ、普通の風邪じゃないな」

 

「そう…」

 

私はフラフラしてしまった。意識が半分飛んでいる。

 

「うわっ!霊夢!だ、大丈夫!?」

 

「大丈夫…私は…こんなことでは…なんとも…ない…」

 

私は少し無理をしていた。すると、

 

 

あれ、私の部屋だ。

 

ーーーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

これはどうにかしなきゃ。

 

永遠亭に連れてくか。いや、でもここからだとかなり距離があるよね…

 

「永遠亭でーす」

 

あ、鈴仙!ありがとう。

 

鈴仙は薬の販売のために幻想郷中を駆け回っていて、たまに博麗神社まで来てくれる。

 

「おはよう鈴仙さん。それでね…」

 

僕は霊夢が風邪をひいていて容体を詳しく説明した。

 

「…っていうことなんだけど、インフルエンザかな?」

 

「その話を聞くと多分そうですね。」

 

「じゃあ、永遠亭へ。」

 

そこで、ある重大なことに気づいた。霊夢をどうやって持って行こう。

 

はあ、あれをやるしかないのか。

 

僕は霊夢を縄で縛り、僕の身体に巻きつけた

 

「じゃあ、いくよ!」

 

僕は飛んだ。すると後ろから抵抗する様な身振りがあった。霊夢が起きたのだ。しかし、僕はそんなものお構い無しに飛び続けた。

 

「っと。到着ー。」

 

「もうっ!なんで縛り付けるのよ」

 

「他の方法が思いつかなかったから…かな?」

 

「あっそ。でも、ここどこ?」

 

「あ、永琳さーん」

 

「あ、これは霊夢と詠夢。今日はどんなご用件?」

 

僕は霊夢の朝からのことを全て話した。すると永琳は、

 

「あ、それはインフルエンザね。さあ、治療室へ。」

 

「それでは。僕は神社の仕事があるので。」

 

「わかったわ。気をつけて。」

 

僕は博麗神社に大急ぎで戻った。僕と霊夢の仕事を全て1人でこなさなければいけないからだ。

 

「ふう…やっと終わった…って、もう参拝客の方々が来る時間だ!」

 

僕は大急ぎで神社の衣装に着替え、仕事を始めた。

 

「あ。いつもの博麗の巫女は?」

 

「いま、風邪でいないんですよ。すいません」

 

「お大事にって伝えておいて」

 

「あ、わかりました」

 

「よう詠夢!霊夢は?」

 

「インフルエンザで今永遠亭」

 

「「えっ?あの霊夢が風邪!?何かの異変じゃないか!?」」

 

そう言うと、アリスが手伝うよと言ってくれたので手伝ってもらった。

 

その後、霊夢が風邪だという噂は一瞬にして幻想郷中に広まり、霊夢を見舞う方、僕を手伝ってくださる方が増えた。

 

「今日は…ありがとうございます…」

 

「困っているときはお互い様よ」

 

そして、夜11時。母屋の扉が開いた。

 

「あ、霊夢。おかえり。お腹すいたでしょ」

 

「わかった。いまお粥作ってくるから」

 

そう言い、僕は大急ぎでお粥を作り、霊夢に食べさせた。

 

「んー!美味しい」

 

「よかった。霊夢が元気になって。」

 

「うん。ありがとうね。それと、心配かけたわね。私からも謝るわ。ごめんね。」

 

「いや、そんなことないよ」

 

幻想郷の夜に2人の声が響いていた




その時、これが異変の始まりということを、知る由もなかったーー


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詠夢とアリスはサポーター

地霊殿に入ります!

では霊夢視点ですどうぞ


温泉が湧き出した。急に。朝、やけにブシャーって煩いと思って外を見に行ったら温泉が湧き出していた。

 

あ!もしかして、これ重要な博麗神社の観光資源になるんじゃないの?

私は詠夢を起こしに行った。

 

「詠夢!起きて!温泉が湧き出しているよ」

 

私の胸は高鳴っていた。しかし、詠夢から発せられた一言は予想外のものだった。

 

「んなわけないでしょうが」

 

それが本当なんだって!私は必死に説明したけど、詠夢には理解してもらえなかった。私はイライラしていた。

 

「あーもう!信じられないなら見てみればいいじゃない!」

 

私は寝間着姿の詠夢を無理やり部屋の外に連れ出す

 

「本当だ…」

 

「ほら、見たか!これで温泉作って、一儲けよ!」

 

「でもさぁ、これ、多分だけど異変だよね。勘だけど、なんか怨霊出て来ちゃってるし」

 

詠夢はふわあと大きくあくびをしながらじゃあ朝ごはん作ってくると行ってしまった。

 

せっかくいい案だと思ったのに…

 

「僕はその案が悪いとは言ってないよ。そうだよね、紫さん」

 

キッチンの方から声が聞こえたと同時に私の隣にスキマが開き、紫が現れた。

 

「確かにそうだわ。あと私のこと、呼び捨てでいいわよ。一博麗神社の神様でしょ」

 

「はい…でも、人を呼び捨てにするのは慣れていないので…」

 

「じゃあゆかりんってよんd「「それはお断りです」」ちょ、霊夢は関係ないでしょうに」

 

「そんなことしたら詠夢が穢れるでしょ!」

 

そこまで言わなくてもいいじゃない、って紫は言っていた。知らないわよ。そんなこと。

 

「ご飯できたよー今日は豪華だよー」

 

そこにはお寿司が並んでいた。

 

私はこれを魔理沙と一通り食べた。何これ!?すごく美味しい!

 

「美味しい?その勢いで、異変解決頑張って行ってらっしゃい!」

 

「わかった!私、行ってくる。でも、地上の妖怪は地底には入れないんだよね…どうしよう」

 

「人間が地底に行って妖怪は地上でサポートする。それでいいじゃん」

 

詠夢は言ったけど、その為の機械はどうするのよ?

 

「にとり参上!詠夢。これがお求めの機械かい?」

 

「そうそれ。ありがとう」

 

そう言って詠夢は私と魔理沙にその機械を渡した。外の世界ではスマートフォンというものらしい。

 

詠夢はこの機械の使い方を説明した後、地底入口へ行くと言われた。入口は妖怪の山に近い為、文や椛の家で見張っていればいいと行っていた。

 

「じゃあ、行くよ!」

 

私たちは飛び立ち、妖怪の山の方角へ向かった。

 

あれ、サポートって行っていたけれど私のサポーターって誰なのかしら。

 

「着いたね。おーい文、椛ー」

 

「これは詠夢さん。急にどうしたんですか。霊夢さんや魔理沙さんまで」

 

詠夢は事情を話し、文の家の中に入った。

 

「じゃあ、霊夢のサポーターは紫、魔理沙はアリスでいいかな」

 

え…私のサポーター、詠夢がよかったというふうな目で詠夢を見てみた。ダメ元で。そうすると、

 

「…わかったよ。僕が霊夢のサポーター。それでいい?総括は紫に任せるから」

 

「やった!」

 

私は喜んだが、詠夢は私たちを急かした。

 

「異変は今も進んでいるんだよ!早くー!」

 

「わかったわ。行くわよ魔理沙。」

 

「ああ。私と霊夢で行けば、怖いものはないぜ!」

 

といい、詠夢は地底入口へ案内し、私たちは穴の中へ入っていった。

 

ーーーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

「ふう…やっと行きましたか。じゃあお饅頭でも食べましょう。」

 

無視される同士、気楽に行きましょうと言い、お饅頭を頬張った。

 

「ところで霊夢って…」

 

僕たち4人(僕、アリス、紫、文)は世間話を始めた。その話は10分程続いた。霊夢達の悪口も飛び交った。

 

「詠夢!聞こえてる?」

 

「え?ああ、聞こえてるよ」

 

そう言った途端、こちら側4人は真剣な表情になった。

 

片手には幻想郷縁起、モニターを見ながら僕とアリスはマイクを通して動きを指示した。

 

その後も、次々と指示が飛び交った。そして…

 

「詠夢。やっと人っぽい奴に出会ったわ。彼女は黒谷ヤマメよ。」

 

僕は近くの様子を見ながら、霊夢にテキパキと指示を与えた。

 

「あ、ここで魔理沙がマスタースパーク打つから」

 

そう言って僕は横を向きアリスに

 

「マスタースパークお願いします」

 

と言うと、アリスは即座に

 

「魔理沙、マスタースパーク」

 

と指示を飛ばした。

 

すると、モニターから極太レーザーが見えた。

 

「よし、撃破ね。」

 

「もう次の人が来ているからね。気を抜かないで。」

 

「わかったわ。っと、すっごい妬ましい妬ましい言っているんだけど…」

 

「貴女、名前は?」

 

「水橋パルスィ。貴女達、友達ね…絶交して仕舞えばいいのに…妬ましい…妬ましい」

 

「わかった。僕が調べておくから、適当に気を引いておいて。」

 

「了解。さあ、どこからでもかかって来なさい!」

 

「ああ妬ましい…弟となんて妬ましい」

 

そう言うと、彼女は弾幕を展開してきた。霊夢はできる限り避けて、それで無理なら弾幕で対応する、という立ち回りだ。

 

「あ、あった!基本、霊夢の立ち回りなら倒せると思う」

 

「わかったわ。やってみる」

 

すると、霊夢はいつものように弾幕を展開した。

 

「…っと。撃破ね。次は?」

 

「えーっと…魔理沙の戦っている敵は無視して…」

 

しかし、僕の耳元に声が入ってきた。

 

「魔理沙危ないっ!」

 

アリスの声だった。

 

「あ…待って。霊夢。そこを曲がって魔理沙の方へ。魔理沙がかなり苦しそう」

 

「了解よ」

 

そうして、霊夢と詠夢はしっかりコンタクトを取っていた。




僕にしてはずいぶん長めかもです。

次は地霊殿後編です!

ではまた次回!


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詠夢は心のサポーター

地霊殿今回で終わればいいな…

まあ取り敢えず、霊夢視点ですどうぞ


そこには、肩から息をし、見るからに苦しそうな魔理沙がいた。服はボロボロ、顔には無数の傷があった。

 

「魔理沙!あんた、どうしたの!?」

 

「ああ、ちょっとだけ無理してな…」

 

「取り敢えず、あそこら辺で休んでなさい!」

 

「分かったぜ…じゃあ、ここは霊夢に頼むぜ」

 

「霊夢。」

 

私の耳元に声が入ってきた。詠夢だ。

 

「その敵は星熊勇儀。見ての通り、鬼だよ。取り敢えず、そいつの攻撃を避けながらだね。あとは自分の要領で攻撃して。」

 

詠夢は明らかに緊張気味だった。私は不安だったけど、戦い始めた。

 

しかし、彼女の攻撃はかなり厳しいものだった。なぜなら、彼女は殴ってくるから。しかも敵は鬼。くらったらひとたまりもない。

 

「うわっ霊夢避けて!」

 

「え…?あ……」

 

私の目の前には勇儀の拳があった。

 

ドゴーン!

 

すごい音とともに霊夢の体は近くへ放り出された。

 

「れ、霊夢?大丈夫?僕、行こうか?」

 

「いや…大丈夫…」

 

私は少し不安だった。そして飛んだ…けど、意識は朦朧としていた。

 

私をいつも想ってくれている弟のため。私とずっと一緒にいてくれた親友のため。

 

私は負ける訳にはいかなかった。

 

「よし、行くわ!」

 

「霊夢、少しは休んだほうが…」

 

「私は…負けない。」

 

私は詠夢と勇儀にも聞こえるような声で言った。

 

「私の一撃…受けてみなさい!はあぁぁぁぁーーーっ!」

 

私は全力で勇儀を殴った。

 

すると…勇儀は遠くへ吹っ飛んで行った。

 

「私…ぐっーーー」

 

「霊夢!?おい霊夢!」

ーーーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

「霊夢!?おい霊夢!」

 

霊夢からの返事が無くなった。倒れた。

 

僕は取り敢えずアリスに事情を説明し、アリスに回復魔法をかける様にお願いした。

 

「…分かったわ。やってみる。」

 

「…ありがとう。」

 

僕はそうお礼を言うと、急に不安になった。

 

「魔理沙聞こえる?取り敢えず、そのイヤホンを外して。」

 

「了解だぜ。」

 

魔理沙はイヤホンを外した。

 

そして、アリスは呪文を唱え始めた。するとーーー

 

「霊夢?霊夢!」

 

「私…生きていたのね」

 

「うん……良かった〜」

 

僕は途端に安堵の声が漏れていた。

 

「え……私、どうなってたの?」

 

「えーと…」

ーーーーーーーーーーーー

霊夢視点

 

私は、勇儀に一撃をくらわせた後、霊力の使いすぎで気絶。アリスの回復魔法で、復活できたらしい。

 

「とりあえず…あ、ありがとう…?」

 

「いや、その言葉はアリスに言った方がいい。それより霊夢。無意識になってみて。」

 

私は詠夢を疑いながらも無意識になった。何も考えない。何も考えない。

 

「はい。なったわよ。」

 

「それじゃあ、その状態で弾幕を撃ってみて」

 

「そんなの簡単…?あれ?」

 

弾幕が出ない。なんで?なんで!?

 

「…やっぱりね。それじゃ、無意識で霊力を操る特訓を始める」

 

そうして、数分の私と詠夢のミニ特訓が始まった。

 

 

 

数分後。

 

「あ、できた!」

 

「すごいな霊夢。普通こんな速さで上達しないよ」

 

「そう?そんな私は分からないんだけど」

 

詠夢はそれはそう。やって見なければわからない。って言っていたけれど、私の心の中のモヤモヤは解消されなかった。

 

「あ、そこの右の扉がここの主、古明地さとりの部屋だよ。さあ、【無意識】になって。」

 

「分かったわ」

 

中ですごい音が聞こえるわね…。魔理沙がやってるのかしら。

 

 

 

「入るわn…って、魔理沙!それ、あなたの苦手な弾幕じゃない!?」

 

「ああ。こいつ、煩わしいんだぜ。うわっ!」

 

私も危うく被弾しそうなので避けた。

 

「霊夢。無意識!」

 

「ええ分かってるわよ。さあ、私も相手よ!」

 

「え…貴女…え?なぜ?なぜ、私は貴女の心が読めない!?」

 

「私の弾幕、受けるがいいわ。」

 

私は冷徹に言い放った。

 

感情的にならない。私…落ち着く。

 

「あー!恋符『マスタースパーク』!」

 

「そんなもの余裕…ってうわっ!危な!」

 

さとりは色々言っているけれど、私は冷たい声で言い放った

 

 

「…霊符『夢想封印』」

 

「え…ちょっと……やば…キャア!」

 

「よし。倒せた」

 

「よく頑張った霊夢。あ、でも次のお客さんだよ」

 

私は詠夢が言っていることが理解できなかった。

 

「え?どういうこと?」

 

「さとり様?さとり様!」

 

ガチャッ。

 

扉が開いた。そこには…ネコ耳?

 

「さとり様ぁぁー!さとり様をこんなにしたのは貴女ですか!」

 

そのネコは怒っていた。

 

「っつーかあんた誰よ?」

 

「私は火焔猫燐。さとり様のペットだよ。お燐って呼んで」

 

「あっそ。っていうか、貴女はなぜここに?」

 

「お空が暴走しているんだよ。さとり様のもう一人のペット妖怪。名前は霊烏路空。神に力を与えられて地上まで灼熱地獄にしたやるって企んでいるんだ。」

 

じゃあそれを止めに行くのが私の仕事ね。

 

「魔理沙。その子を止めに行くわよ。」

 

「ああ。私たち2人には怖いものなんて何もないぜ!」

 

それさっきやられそうになっていた人が言う言葉!?

 

「まあ、気をつけるんだね。あいつは核融合を操れるから」

 

「か、核融合!?」

 

耳から大きな声が聞こえた。

 

そもそも、核融合って何よ。

 

「とにかく、危なすぎるし、僕もこれから行く。もしそいつに会ったら、気を付けて」

 

「ええ。分かったわ。」

 

私は決心した。




あー今回で終わらなかった!

ということで次回は6ボスとextraです!

では、次回に続く!


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Subterranean Animism

なんとなくこれから異変の最終話はサブタイトルを英語にします。

それでは霊夢視点どうぞ


詠夢は紫に事情を説明し、紫にサポートを任せそこを出たらしい。

 

「大丈夫よ霊夢。詠夢はすぐ来るから。安心して。貴女が敵という敵は全て蹴散らしたでしょ。少しは自信を持ちなさい」

 

でも、そんなことできなかった。

 

もし、詠夢が道に迷ったら?

 

もし…詠夢が途中で襲われたら?

 

もし…詠夢が私たちを庇って襲われたら…?

 

「考え過ぎよ。霊夢」

 

そこにはさとりもいた。覚妖怪だから心の中は透け透けだった。

 

でも…でも…!

 

「じゃあ、一つ情報を教えてあげる。彼はいつも持っているあの剣は持っていない。けれど、地底の貴女達の近くまで来てるわ。アリスもね」

 

え?あの子…本当に強いのね。やっぱり神の子。やるわね。

 

「何?貴女の弟、神なの?」

 

「全ての神の使い、それが博麗詠夢だよ」

 

後ろから声がした。詠夢だった。良かった…来てくれたのね!

 

「「霊夢、喜びすぎ」」

 

さとりと詠夢の声が同時に聞こえた気がする…でも…無視しとこ。

 

「「無視するなーっ!」」

 

2人の声が聞こえたけれど、気にしないで私は下へ進んだ。

 

さ(霊夢って…ホント自由なのね)

 

詠(自由というより自己中ですね…それ以上でもそれ以下でもない)

 

さ(あ…そうなのね…貴方も大変そうね)

 

詠(こんなの序の口ですよ)

 

何だろう…誰かが私の噂してるな…あっ、何か見えてきた。

 

「ここが地底最深部。そして、あの子が私のペット、お空だよ」

 

「うにゅ、炉内温度低下。侵入者を排除します」

 

「行くわよ!魔理沙!」

 

「ぶっ飛ばしてやるぜ!」

 

「ふん!私の核融合を操る程度の能力に怯えるが良い!」

 

「ん?あの子…八咫烏だ…と言うことは…月の力だ!「核熱『核反応制御不能』!」うわっこっちまで攻撃するかよ…」

 

私は詠夢の面倒そうな声が聞こえてしまった。しかし姉として弟を守る身からすれば当然のことだと私は私の心に言い聞かせ、攻撃した。

 

「夢符『封魔陣』!」

 

私は詠夢を守るんだ!私は戦い抜くんだ!

 

私と空の攻防戦は続いた。

 

私たちが弾幕を躱していたその時。

 

詠夢が大声で叫んだ。

 

「あーもう面倒くさい!早く白黒付けなよ!月神『夜を統べし神』」

 

そう言うとあたりが真っ暗になり、詠夢が見えない弾幕を放っていた。

 

詠夢は長い攻防戦で早く終わらせたいと怒りが頂点に達していたのだ。

 

「くっ…相性が悪い…でも、逆転するチャンスはある。爆符『ペタフレア』!」

 

「夢想天生」

 

詠夢はそう言い放つとペタフレアの爆発も弾き、空から巨大陰陽玉が降ってきた。

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォーーーーーン!!!

 

 

 

 

大爆発が空の体を襲う

 

「うにゅ…これは逃げられない」

 

「よし、お掃除完了っと。さて、守矢神社でも行くかな」

 

あ、思い出した。私が9歳だった時だっけ。まだ4歳だった詠夢に説教されて…それからあいつを怒らせるとダメだって思ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

守矢神社。

 

そこには、掃除中の早苗がいた。

 

「あ、詠夢さん。参拝ですか?」

 

「話さなくてもWA☆KA☆RI☆MA☆SU☆NE?」

 

「あ…は…はい」

 

詠夢はできるだけ口角を上げて話していた。その笑顔は黒かった。

 

あ、ダメだ。怒りが最高潮に達してる。

 

「おい神奈子ー!ふざけんじゃねーよ!」

 

その後、神奈子は殴り飛ばされた後1時間の説教を受けていた。

 

「霊夢さん。ごめんなさいね。」

 

「いえ、此方こそ急に説教した挙句お茶まで出してもらってごめんね。」

 

巫女2人の会話と詠夢の説教は続いた。

 

 

 

ー1時間後ー

 

詠夢が出てきた。神奈子はとても申し訳無さそうな顔で出てきた。

 

「あ、すわこー!」

 

「お、詠夢、来たのかい」

 

「ちょっと神奈子に用があって1時間くらい説教してただけだから。大丈夫」

 

「それってだけって言うのか…」

 

「ところで、今日の夜ここで宴会をやってもいい?というかもう神奈子には言ったんだけど」

 

「私は別にいいよ。早苗がどうにかならなければいいけど…」

 

「それは安心してください。僕が手伝います」

 

「っていうことで早苗!見てるなら来い!後そのうしろの妖怪さんも出てきたら?」

 

私も詠夢を見ていたけれど、相手にされなかった。というか、弾幕ごっこやろうよってこいし(さとりの妹らしい)に相手にされてしまった。

 

ーーーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

「すいませんでした。神奈子様が急にあんなことやりだしてしまって」

 

「それはやりだした神奈子に責任がある。早苗さんは何も悪くないですよ」

 

僕たちは早苗さんと買い出しを済ませ、厨房に立っていた。

 

ーキッチンにてー(詠夢、早苗、咲夜、鈴仙、妖夢)

 

詠「にしても異変を起こすやつも解決するやつも随分面倒くさいやつだよなー。永琳は別として。あ、鈴仙塩とって」

 

鈴「はいこれ。そうですよねー。でも、従者っていうのも上からの圧力が半端ないですよ。あ、咲夜さんそこのお肉とって下さいます?」

 

咲「はい肉。そうよ。従者は主の言葉は絶対だから、もう疲れちゃうわ。ついでに時も止めているせいか、老けて感じるのよね。早苗、巫女ってどんな感じなの?私はあの紅白傍若無人巫女しか見たことないからわかんなくて。あ、早苗。お水汲んでくれる?」

 

早「普通は神様のことを忠誠に思って神様を尊敬してる筈なんですけどね。詠夢さんはどうなのかな?あ、ついでにそこの包丁貸してくださいます?」

 

詠「はいどうぞ。逆に、霊夢がそんなことすると思う?やるわけないでしょ。そうだ。今日は幽々子さんも来るって言っていたからいつもよりうんと多めに作っておいたほうがいいかも。妖夢ちゃん、料理酒くれる?」

 

妖「はいこれです。そうですね。1人で普通の人が食べる20倍位は召し上がりますからね。幽々子様のものだけ特大にすると言う手も有りますね。あ、皆さん、ハンバーグってなんのお酒が合うんですか?」

 

咲「んー。赤ワインね。」

 

妖「日本酒は合わないんですね。」

 

アハハハハハハハハ。笑い声は神社内に広がった。

ーーーーーーーーーーーー

宴会にて。

 

詠「スー。スー。」

 

霊「…寝たわね。」

 

萃「うん。霊夢が言っていた通り、寝顔が可愛い子だねえ」

 

諏「寝息もとても綺麗。とってもいい子だね」

 

詠「スー。スー。」

 

魔「よー霊夢ー!飲んでるかー?」

 

霊「そんな大声出さないで!詠夢が起きちゃうでしょ!」

 

レミ「私を捕まえられるなら捕まえて見なさい。弾幕で。」

 

フラ「お姉さまに負ける気がしないわ。勝負よ!」

 

霊「あー!詠夢が起きちゃうからやめてー!」

 

詠「…んーもうて寝てるのにうっさいなー!霊符『夢想封印』」

 

レミ&フラ「あ…これはまずい」

 

咲「…仲良く吹っ飛ばされていきましたね。」

 

霊「詠夢をムリに起こしてはいけないということがわかったでしょ」

 

早「…身をもって体感させていただきました…」

 

 

 

そうして、守矢神社の夜は深くなっていった。




地霊殿終わったー!

ということで次回は日常回になりそうです。

ではまた次回!サラダバー


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超絶平和な1日

閑話です。

ありふれた博麗姉弟の1日(?)です。

では詠夢視点でどうぞ


「あ、霊夢。おはよー」

 

霊夢が起きてきた。僕の姉。人呼んで博麗の巫女。彼女は洗面所へ行き顔を洗う。そうしないと目覚めないらしい。

 

かく言う僕は朝ごはんを作っている最中だった。

 

ご飯を炊き、味噌汁を作って、アジを焼いている。

 

平凡そうな生活だけど、普通の人間とは3つほど違う点があった。

 

それは…

 

親が居ない

 

姉は異変解決が仕事

 

弟は神

 

 

普通はあり得ないことだったりする。しかし、全てを受け入れる幻想郷だからこそできることだった。

 

ご飯は3人分。僕の分、霊夢の分、そして、誰かさんの分。

 

その誰かさんとはわからない。というか大概魔理沙か紫だったりする。

 

霊夢は外で神社の掃除をしている。

 

すると、遠くから白黒で金髪の女子が飛んできた。

 

「はあ…魔理沙か。」

 

今日は魔理沙だった。というかほとんど魔理沙なんだけどね。

 

「おっはよー霊夢!」

 

「なんでそんなに朝からテンション高いのよ。鬱陶しい」

 

霊夢は言い放った。すると、魔理沙はすぐさま反論した。

 

「良いだろ別に人のテンションなんて。なあ詠夢?」

 

なんで僕まで巻き込むんですか…

 

「いいえほぼ毎日のように朝から人の家にぬくぬくと上がってきてその上人に朝飯まで作らせておいて何も手伝いもせずに私は客だからとかいう甘ったれなこと言うだけ言ってこのざまですよ。もう本当に呆れました」

 

僕は魔理沙にそう言い放ちキッチンへと戻った。

 

 

 

 

 

もしかして、僕、魔理沙に言いすぎたかも知れない。

 

魔理沙、落ち込んでいるかも。ごめんなさい。

 

トントントントン。

 

包丁で切る音だけがキッチンに響いた。

 

ーーーーーーーーーーーー

朝食。

 

「「「いただきます」」」

 

「うん。やっぱりこの味噌汁は絶品ね。ジュル」

 

「やっぱ詠夢って料理上手だな。このアジ美味しいぜ。モグモグ」

 

「あ、ありがとう…」

 

僕は魔理沙が落ち込んでいないだけ安心した。

 

僕は勇気を出して魔理沙に聞いてみる。

 

「魔理沙。さっきは…その、ごめんね。急に叱りつけたりして」

 

「そのことは全然気にしてないぜ。むしろこっちが謝るぜ。朝からごめんだぜ」

 

「もう、そういう話してると美味しいものも美味しくなくなるわよ。早く食べなさい」

 

霊夢の声が響いた。

ーーーーーーーーーーーー

 

「「ご馳走様!」」

 

「お粗末様ー」

 

僕は皿の片付けに入った。すると霊夢も来た。

 

「私も手伝うわよ」

 

いつもはそんなことしたがらない霊夢が急にしたら…

 

明日、雹でも降るよ?

 

でも、僕はその心をムダにしたくなかったから素直に

 

「ありがとう」

 

って言ったけれどね。

 

ーーーーーーーーーーーー

皿洗い、掃除、洗濯。

 

霊夢が手伝ってくれたおかげかすぐに終わった。

 

「ありがとね霊夢」

 

「…いいのよ」

 

霊夢が何か変だった。何かソワソワしている感じだった。

 

「なんでそんなに朝からソワソワしてるの?」

 

「なんとなくじゃないか?霊夢ってたまにそういう時があるから多分そうだぜ」

 

魔理沙も同じだった。というか、魔理沙に関しては顔に出ていた。

 

僕はお茶を出し、霊夢や魔理沙と他愛のない会話をしていた。

 

「あ、もうお昼の時間か…何も考えてなかったな…」

 

「じゃあ人里にでも行こうぜ。あそこなら食べるところはいっぱいあるぜ」

 

「そうね。行きましょ」

 

僕たちは空を飛び人里の近くまでやってきた。ここからは徒歩だ。

 

「あ、ここの蕎麦屋さん、前来た時すごく美味しかったから行こうよ!」

 

僕はそう言った。すると、

 

「そうね。ここにしましょう」

 

霊夢も言った。

 

いらっしゃいませー。

 

「あ、詠夢じゃないか」

 

後ろから聞いたことのある声がした。慧音先生だった。

 

「あ、慧音先生。貴女もここでお昼ですか?」

 

「え?あ、ああ。そうだ」

 

「じゃあ、一緒に食べましょう」

 

「分かった」

 

慧音先生と僕たちは蕎麦を頼んだ

 

 

数分後

 

 

「お待たせいたしました」

 

「「「「いただきます」」」」

 

「うん!この蕎麦噛みごたえがあって美味しい!」

 

「おつゆもいい感じだな。美味い」

 

霊夢と慧音先生は言った。

 

そこに、慧音先生が聞いてきた。

 

「あ、そうだ。詠夢、臨時授業で子供達を教えてくれないか?どうしてもお前がいいって言っていてな」

 

「僕は別にいいですけれど、なんの教科ですか?」

 

「歴史だ」

 

僕は耳を疑った。歴史といえば慧音先生の好きな教科だ。しかし、それを抑えてまで僕に授業をやらせるかな…?

 

怪しい。何か怪しい。

 

「…詠夢?聞いてるか?」

 

「はっ!は、はい!聞いてます…」

 

「教える範囲と教材は教員室に置いてあるからな。頼んだぞ」

 

「あ、はい…」

 

僕を除く3人も食べ終わり、僕がお会計をしようとしたその時。

 

「あ、私が払う。気にしないでくれ」

 

「あ、わかりました。ありがとうございます」

 

「というか、もう授業開始15分前だぞ。早く行ったほうがいいんじゃないか?」

 

時刻は12時55分を指していた。

 

「やばっ!じゃあ!」

 

僕は人には出せない速度で寺子屋へ走っていった。

ーーーーーーーーーーーー

「じゃあ、これで授業を終わります。ありがとうございました」

 

「「「「ありがとうございましたっ!」」」」

 

「ちゃんと宿題をやるんだよー!」

 

「あ、詠夢先生、少し質問があるんですが、いいですか?」

 

「え?うん。いいよ」

 

僕は生徒たちの質問に答えていた。

 

時刻は18:30を指していた。

 

「やばっ!ご飯作ってないよ…」

 

「その必要はないって霊夢さんが言っていたよ」

 

「その声は…小鈴ちゃん?」

 

振り返ると、ニコッと笑った。いつもの服装をしていた。しかし…

 

「そのリボン…どうしたの?」

 

小鈴ちゃんの頭には大きなリボンが乗っていた。

 

「まあ、いろいろあって…」

 

僕はそのことは掘り返すことは止めた。

 

「じゃあ…行こうか…?」

 

僕は小鈴ちゃんの手の近くに手を差し出した。ちょっと恥ずかしかった。

 

「…うん」

 

小鈴ちゃんは僕の手を取ってくれた。

 

僕は小鈴ちゃんと地底に行った時のお土産話をしながら、神社に向かって歩いていた。

 

「よし着いた。霊夢ーただいまー…霊夢ー?」

 

霊夢の返答はなかった。何かおかしい気がする。

 

母屋の扉も閉まっていた。

 

「霊夢ー!入るよー!」

 

僕は扉を開けた。しかし、そこは暗かった。

 

その時。

 

 

 

 

急に明かりがつき、

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「お誕生日おめでとーーー!」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はびっくりした。幻想郷中のみんなが僕の家に来ていたから。

 

「はいはい!ここに座って詠夢」

 

「いや、ちょっと待っt「食べ物はたくさんあるわよー!」」

 

僕は取り敢えず食べた。お腹いっぱいになるまで。

 

でも、今日はそうじゃないから。

 

「…この企画を考えたのは誰?」

 

「私よ」

 

急にスキマから紫が出てきた。

 

「取り敢えずお前を殴る」

 

「ちょっと!なんでよ!せっかく企画したのに!」

 

いや、そういうことじゃなくて。僕は大声で叫んだ。

 

「今日は僕の誕生日じゃないっ!」

 

そこには沈黙が訪れた。その後、霊夢が口を開いた。

 

「ちょっと紫!今日は詠夢の誕生日って言ってたじゃないの」

 

「確かに、僕がここ、博麗神社に来たのは今日だよ。だけどね…

 

今日は誕生日ではないんだ。」

 

僕は紫から話を聞いていた。僕は捨て子だった。そこを紫が通りかかって博麗神社に来させたこと、全部を話した。

 

「…っていうこと」

 

みんなは黙っていた。その黒歴史を知っていたのは、紫、藍と、僕だけだった。それは霊夢も知らなかったらしい。

 

「そ、そう…なんだ」

 

「まあ、それより皆さん!宴会を楽しみましょう!」

 

 

 

その後、千里眼の椛が僕と小鈴ちゃんが手をつないで歩いていたことを発見したことでいろいろ質問攻めにあったけれど、またそれは別のお話。




はい。ついに幻想郷の人達に詠夢の黒歴史が知られました。

次回は、詠夢をカッコ良く仕立て上げようかと思っています。

では次回!さらばだー


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楽園に迷い込んだ少女

オリキャラ出す!頑張る!

意外と詠夢がカッコイイです。書いてみて思った。

では詠夢視点でどうぞ

※追記 オリキャラ女にしました


ーーーパーティー後ーーー

 

起きていたのは、僕、霊夢、咲夜、早苗、妖夢、鈴仙だけだった。

 

起きていた人だけで後片付けを始めていた。というか、もう終わりに近づいていた。

 

時計の針は2本が頂点で重なりそうだった。

 

「片付けのご協力ありがとうございました!じゃあ、温泉でも入ってごゆっくり」

 

「あ、ありがとうございます。あ、お風呂、皆さんと一緒に入りませんか?」

 

早苗はそう言った。

 

僕は動揺していた。いや、僕は男子ですし…

 

「いや、詠夢さん男の子ですし…」

 

咲夜さんがフォローしてくれた。ナイス咲夜さん!

 

「ま、いいじゃないですか。別に彼は下心なんてない純粋な男の子だと思いますよ?」

 

ちょ、早苗さん何口走ってるの!?

 

 

 

その時、

 

 

 

ドォーン。

 

 

 

 

博麗大結界が揺れた。

 

「霊夢、これは…」

 

「ええ、そうみたいね」

 

「さて、この新しい刀の試し斬りとでも行こうか!」

 

僕と霊夢は空へ飛び立った。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「こっちみたいね」

 

霊夢は持ち前の勘で進んでいく。

 

「さあ、ここみたいだけど…」

 

「うん。そうだね……え……?」

 

「どうしたの?急にそんな驚いて」

 

驚くのも当然だった。そこには、僕が知らない

 

「…人…間?」

 

「え?なんでこんな満月の深夜の森に人が!?」

 

満月の時は特に妖怪が凶暴になる時。人は外に出てはいけないはずなんだけど…

 

ーーーーーーーーーーーー

とにかく、状況を整理しよう。

 

①森の中に人がいる。

 

②その人は妖怪や妖に囲まれている。

 

③満月だから妖怪はかなり力をつけている。

 

結論;助けるしかないじゃん

ーーーーーーーーーーーー

 

そう言っているうちに、どんどん妖怪はその人達と距離を縮めていく。

 

「僕が行く。後方援護をお願い」

 

「分かったわ。気をつけるのよ」

 

僕は降下していった。妖怪はそれに気づいたのか、その人に襲いかかった。

 

「うわっ…!」

 

その人が悲鳴を上げた瞬間。

 

シャキン。

 

2回、金属音が鳴り響いた。

 

ーーーーーーーーーーーー

オリキャラ視点

 

私がいたのは夜の森だった。

 

「まずいな…もう夜だ…人間も見かけないし、何よりもう12時だもんな…」

 

私はスマホを見ながらそう呟いた。

 

その時。

 

ゴソゴソ。茂みが音を立てた。

 

「ん?あっ…」

 

私は恐怖を感じていた。

 

得体の知れないものが、私を睨んでいたからだ。

 

私の本能が危険を感じていた。

 

次の瞬間…

 

「うわっ…!」

 

私は強く目を閉じ、歯を食いしばった。

 

しかし、襲われることはなかった。その代わり、

 

シャキン。

 

2つの違う金属音が鳴り響いた。

 

「人を簡単に襲おうと幻想郷のルールを破った奴の仲間か…。」

 

私より小さい男の子の冷たい声が聞こえた。

 

「そこを退け。さもないと斬りつけるぞ」

 

しかしその得体の知れないものは私に向かって睨みつけたままであった。

 

「そうか。ならば…退治するのみだ。霊夢」

 

「分かったわ」

 

上からは私と同じくらいの女の子の声がした。

 

私の前にいた二刀流の男の子は長い方の刀で敵を斬り、短い方の刀は横からの敵を斬るか、まるでナイフのように投げていた。

 

そして、その男の子は逆手で投げた刀を持ち直し、そのまま斬っていた。

 

 

一方、上にいる女の子は遠距離でお札のようなものを投げつけていた。それはその得体の知れないものに当たると、そいつが爆発した。

 

私はその時、呆然としていた。なぜかはわからない。

 

「ふう。やっと終わったか」

 

そう言うと血の色に染まった刀2本をしまい、こちらに近づいてきた。

 

私は恐怖で腰を抜かしていた。

 

私も斬られるのではないかと思ったからだ。

 

「…傷はないようですね。よかった」

 

白とオレンジのチェックTシャツを着た男の子は優しい口調で言った。

 

「貴方、大丈夫?どうやら外来人っぽいけれど」

 

「へ?外来人?なんですかそれは」

 

「その言葉を知らないということはそうみたいね」

 

まるで神社にいるような巫女装束に、腋を出した大胆な紅白の服に赤いリボンを身につけた少女はそう言った。

 

「それじゃ、こちらにお越しください」

 

「いや、ちょっと待ってください。なんでナチュラルに空飛んでるんですか」

 

私は声を少し荒らげてしまった。

 

「あ、そういえばそうね。じゃあ、こうする」

 

少年と少女は、私の両腕に縄を締め付け、双方の手とつないだ。

 

ちょっと待て!え?もしかして、飛ぶ気!?

 

「待ってよ!飛ぶ以外の手段は?」

 

「「無い!行くよ」」

 

「そんなぁーー!」

 

渋々私は縛られて行くのであった。

 

ーーーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

「…寝ちゃったねこの人」

 

「まあ疲れていたし。いいんじゃないかしら」

 

「…お姉ちゃん、丸くなったね」

 

「え?そう…?」

 

「うん…」

 

「…あ、そうだ。詠夢。久しぶりに、一緒にお風呂入らない?」

 

「え…ま、まあいいけど」

 

僕はそうして霊夢と一緒にお風呂に入ることになった。

 

霊夢は髪飾りを外し、いつもリボンでまとめている髪を上げていた。

 

「なんでまた急にお風呂なんて…」

 

「良いじゃない。なんとなくよ」

 

霊夢、胸、普通にあるじゃん

 

「なんだ霊夢、胸がないとか言っていたけど、あるじゃん。自信持ちなよ」

 

「そう?あ、ありがとう…」

 

僕、変なこと言ったかな…

 

ーーーーーーーーーーーー

風呂上がり。

 

「そうだ、マッサージしてあげる。」

 

「いいの!?ありがと!」

 

「じゃあ、横になって」

 

僕は勘でここが凝っているんじゃないかというところを押した。するとーーー

 

「んあっ…はっ!…あぁん……えあへっ!」

 

霊夢が急に…喘ぐような声を出した。僕は心配した

 

「霊夢!大丈夫!?」

 

「ハァ…ハァ…ちょっとツボだった…だけ…続けて」

 

「…わかった」

 

僕は次々と霊夢のコリをほぐしていく。そして、霊夢はとても嬉しそうな笑顔で寝ていた。

 

「霊夢…おやすみ。」

 

僕は霊夢に掛け布団をかけた。

 

もう東の空が明るくなってきていた。




詠夢くんかっこよくまとめられてよかった。

さあ、今回初登場のオリキャラのことは次回に明らかになっていきますよ!

それでは、次回に続く!


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綺麗な楽園の少女 前編

今回も詠夢くんかっこよくしたいです

そして、今回から新しいキャラの名前が!

では妖夢視点でどうぞ


朝5時。

 

私はいつものように起床しました。

 

そこは博麗神社でした。

 

「そっか…ここ、神社か」

 

私は寝ぼけた声で言ってしまいました。これが誰かに聞かれていなければ良いのですが…

 

私は場所は違えど私は洗面所を借り、顔を洗って目をさましました。

 

「さて、素振りでもしようかな…」

 

私は博麗神社の庭に出ました。するとーーー

 

「詠夢…さん…?」

 

「あ、もう朝なんだね。おはよう妖夢さん」

 

「あ…おはようございます」

 

彼は血の色に染まった刀を振っていた。

 

「え!?そ、その血、どうしたんですか!?」

 

「ああ、これですか。昨日、人助けついでにちょっと妖怪退治に行っててね。そこに寝ている子、どうやら外来人っぽいんですよね」

 

「あ、そういうことでしたか。それで、その…とても眠そうですがどうしたんですか?」

 

「早い話が、寝ていないです。ほんの30分前に霊夢が寝たところ」

 

詠夢さんも大変なんですね…。

 

まあ、私も朝ご飯作るの手伝おうかなって思っています。

 

「もし良かったら、朝ごはん作るのを手伝いましょうか?というか、手伝わせてくださいっ!」

 

私は真剣な表情で頼みました。すると、詠夢さんはニコッと微笑んでお願いしますと言ってくれた。

 

「あ、その前に…僕と、ちょっと立ち会いして欲しいんだけど…いいですか?」

 

「ええ。良いですよ」

 

「あと危ないから竹刀でいいですか?」

 

「そうですね…万が一怪我しても困りますし」

 

ーーーーーーーーーーーー

「それでは始めましょう」

 

詠夢さんが宣言した。私は全神経を集中させた。

 

精神を統一させた瞬間、詠夢さんが先制攻撃を仕掛けてきた。もちろん私はそれを躱し、相手の背後に回り込んだ。

 

「はぁっ!」

 

私はその刀を振り下ろした。しかし、詠夢さんはすごい速さでくるっと半回転、刀を横にして私の攻撃を受け止めた。

 

「そのくらい読めてますよ」

 

「ぐっ…ならば、せいっ!」

 

私は素早く後ろに下がり、少し上に跳んで攻撃をした。しかし、もうそこには詠夢さんの姿はなかった。

 

「なっ!」

 

「こっちだよ」

 

詠夢さんの声だ。振り向くと私の右には詠夢さんがいた。

 

そっちか!

 

はあっ!私は刀を振った。しかしそこには詠夢さんはいなかった。

 

「今度はこっちー」

 

「なっ!?私を馬鹿にしているんですか!」

 

私はもう我武者羅に刀を振り下ろした。

 

「馬鹿にはしてないです。だけどもう…」

 

「き、貴様!何処にいる」

 

私は叫んでしまった。

 

「終わりにしましょう」

 

詠夢さんがそう言った瞬間ーーー

 

片方の手首を握られ、喉元には竹刀があった。詠夢さんでした。

 

「…負けました。貴方、凄いですね」

 

「まあ、正直に言うと弾幕ごっこより得意ですね。いつも刀振ったりお祓い棒振ってたりしますから」

 

「そうですか」

 

私は負けた。私は…剣士失格なのではないでしょうか。幽々子様…誠に申し訳ございません…

 

「そんな心配する必要はないわ。妖夢」

 

「その声は…幽々子様…?」

 

幽々子様でした。周りを見ると、皆さんが起きていてこちらを見ていました。

 

「その子、異変解決だったり妖怪退治が仕事だからね。負けてもしょうがないのかもしれないわ」

 

「幽々子様…でも私…詠夢さんに勝ちたいです!」

 

「なら、もっと修行を頑張ればいいわ」

 

「うぅ…幽々子様…」

 

私は目頭が熱くなっていた。目を閉じた瞬間…涙が目から溢れていた。

 

「さあ、ごはんができました。食べましょう」

 

咲夜さんが出てきた。ごはんの時間でした。

 

「「「「「「「「いただきます」」」」」」」

 

うん。このスープ、とても美味しいです。

 

「やはり咲夜さんって洋食がお得意なんですね」

 

私は咲夜さんを羨ましく思った。

 

「でも和食の方はめっきり…そうだ詠夢さん、和食の料理教えて下さりますか?」

 

「別にいいですけど、咲夜さん、紅魔館から離れられるんですか?」

 

「別に少し時間を止めればいいだけよ」

 

「あ、そうでしたか…」

 

そして、レミリアが口を開いた。

 

「そういえばさっき、そこに見知らぬ子が寝ていたけれど誰なの?」

 

詠夢さんが答えた。

 

「深夜に森の中を1人で歩いていたから助けただけです。あ、そういえば名前聞いていなかったな…」

 

え?名前くらい聞きましょうよ!

 

自分の心の中でツッコミを入れてしまう妖夢であった。




1500〜2000字目指したら少女のところまで入れなかった…

後編へ続く!


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綺麗な楽園の少女 後編

前回オリキャラが明らかになる!とか言ったな。

あれは嘘だ。

安心してください。今回はマジで明らかになります。

では、詠夢視点でどうぞ


僕たちがごはんを食べていたその時。

 

「ふわぁぁーー」

 

奥から声が聞こえた。多分彼女だと思う。

 

僕は奥の部屋へ行った。

 

「ちょっと、詠夢さん!?何処へ行くのですか?」

 

僕は答えなかった。外来人だ外来人だって今騒がれると面倒臭いからね。

 

「ふわぁおはよーって、貴方は昨日…」

 

「あ、そうです。僕は博麗詠夢と言います。ここの神社の神主です」

 

そう。いつの間にか霊夢に

 

「しっかりしなさいよ!あんたはここの神社の神主なんだから」

 

とか言われていた。ふざけんなよあの腋巫女め。

 

「あ…その、昨日は助けていただきありがとうございます」

 

「いえ。困った時はお互い様なので…」

 

「あ、そうだ。私も自己紹介をしておきます。私は白石夢花(しろいし ゆめか)って言います。そういえばここまで来る時に目がたくさんある空間に入れられたような…」

 

僕は確信した。紫だ。あいつ以外何の罪も無い人間をスキマには入れない。

 

「おい紫」

 

僕は怒った声で紫を呼んだ。

 

「呼ばれてから出てきたよーっ!みんなのアイドル、ゆかりん17歳でーすキャピッ☆」

 

イライラッ☆殴りたい…その笑顔…

 

「話は聞いてあげ無いから覚悟しろ!」

 

そう言うと僕はまず紫の関節を外そうとゴキゴキと紫の腕を動かした。

 

「ああ痛い痛い!17歳の少女の腕が外れる>_<」

 

「ああもうっ!いいや。紫を殺そうとしたところで何にも起きないから」

 

僕は怒りを抑えられなかったけど、自分の理性でどうにかなったみたい。

 

「そんで?なんで無罪の人間を幻想郷に連れてきたの?」

 

紫は僕の耳元でコソコソと囁いた。

 

「それは彼女が能力持ちだからよ」

 

「……へ?」

 

「じゃあ、私疲れたから寝るわ。じゃあね〜」

 

「あ、ちょ、紫ー!」

 

「…何をしていたんですか?」

 

妖夢ちゃんだった。彼女曰く、自分もその外来人の方が気になったので。とのこと。

 

まあそこには、絶世の美女と行っていいほどの少女がいる。顔立ちは整い、少しピンクがかった白のブラウスに、短めのフリルスカート。妖夢も可愛いと絶賛するわけだ。

 

「あ、まだご飯食べてなかった!妖夢ちゃん、幻想郷と弾幕ごっこの説明をお願いします」

 

「え?ちょっと?詠夢さん?」

 

僕は逃げるようにその場を去った。

ーーーーーーーーーーーー

朝ごはんをささっと食べ、片付けようとした時。

 

ワクワクしている様子の夢花ちゃんと、疲れた顔をした妖夢ちゃんが来た。

 

「どう?一通り話を聞いて。この生活について行けそう?」

 

「はい!とてもわくわくしています。兎に角前の生活よりはよっぽど良いです!」

 

うわーやる気満々じゃん。まず顔に出てるし…前にどんな過去があったんだろう?まあ、掘り下げないほうがいいかな。

 

じゃあ、夢花ちゃんの能力でも見ようかな。すると…

 

「皆さん能力を持っているんですよね!?私は?何かありますか?」

 

「それを今から見ようとしてます。その間、みんなの能力を聞いて回って見てくださいあ、ちなみに僕は【神を使う程度の能力】です」

 

でも、この中にいる奴の能力ってぶっ飛んでるからなぁ…時を止めたり運命変えられたり人を死に至らせたり。ほんとろくな奴いないからなあ。

 

そうして僕は彼女の能力を一通り鑑定し終えた。

 

「ご飯を食べながらで良いんだけど夢花ちゃん。これから言うことは絶対に忘れない。それだけ。いい?」

 

僕はいつもより幾分か真剣な面持ちで話しかけた。夢花ちゃんはこくりと頷いた。

 

「じゃあ一つ目。夢花ちゃんの能力は、【夢を操る程度の能力】。これは、他人の夢を変える、すなわち、良い夢にも悪夢にもできる。そして、夢に思ったものを召喚することもできる」

 

「うわーーー!」

 

夢花ちゃんの目はキラキラしていた。

 

「二つ目。忠告しておく。能力は自由に使っても良いけど、それ相応の霊力を消費することになる。気をつけてね」

 

「はい。わかりました」

 

「じゃあ取り敢えず弾幕を出す練s「そこは私の出番だぜ☆」黙れ白黒」

 

「まあ落ち着けって。この霧雨魔理沙様が弾幕特訓をしてやるぜ」

 

境内に静寂が訪れた。後、

 

「はい!お願いします!」

 

夢花ちゃんは答えた。

 

「あ、魔理沙。そろそろ参拝客の方々がいらっしゃるから、やるなら裏でやって」

 

「わかったぜ」

 

ー1時間後ー

 

そこには魔理沙と戦っている夢花ちゃんの姿があった。弾幕も綺麗に出せている。

 

すごいな…

 

僕はそう思い参拝客のいる方へと戻っていった。霊夢も目覚めた。




うん。オリキャラの名前は夢花ちゃん!

清楚系女子になる…はずですww

それでは、次回は永遠亭を中心に物語を進めます。

ではまた!


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もこたんとNEET姫に会いに行こう

書いてたらタイトル詐欺だった件についてはツッコまないことにしておく。

なんと!あの
声無し妖怪の自由賛歌〜妖怪少女はコミュ障だった〜
の、シバンさんが感想くれました!

その記念として、今回はーーー

もこたんinしたお!←これ言いたかっただけ

いやマジでもこたんがinします!

では霊夢視点でどうぞ


私は周りが煩いので起きた。

 

私は出したはずのない布団をしまった。多分詠夢だろう。

 

時はすでに11時を過ぎていた。

 

昨日の子が魔理沙と弾幕ごっこをしている。

 

「……」

 

昨日の子が魔理沙と弾幕ごっこしてる!?

 

え?なんで?いや、魔理沙が教えたんだろうけど、なんで弾幕出せてるのよ?

 

私は少しびっくりしていた。

 

まあ、取り敢えず詠夢のとこでも行って報告してこようかな。

 

「詠夢ー」

 

表にはいなかった。

 

「詠夢ー?」

 

裏にもいなかった。

 

私は少し飛んで探した。するとーーー

 

「あれは…詠夢!」

 

深い森の中で手足口を縛られ、全身血まみれになっている詠夢の姿があった。

 

「詠夢…なんで」

 

私は、詠夢が斬りつけられたという悲しみより詠夢を斬りつけた妖怪に対しての怒りや憎しみが先に上がってきた。

 

「私の…詠夢を…」

 

私はもう既に理性を捨てて行動していた。私は自分の家族を守れない無力さを責めた。

 

詠夢は全てを出し切ったという感じでもう既に疲れ果て、抵抗する力もなく喉元に刀を突きつけられていた。

 

「よくもこんなに…してくれたわね!」

 

私はその妖怪の近くにいる。というか、気づいたらその妖怪に夢想天生を放っていたというのが正解だろうか。

 

しかし。

 

その妖怪は元気に暴れていた。私の夢想天生を軽々と避け、私の結界を破ってまでこちらに攻撃しようとしていた。

 

「ハッ!オマエノノウリョクハソノテイドカ」

 

「霊…夢……」

 

詠夢の声だ。私は詠夢を縛っていた縄を解き、紫を呼んだ。

 

「ええ。状況は理解できているわ」

 

紫は、その妖怪のほうに先ほど霊夢からもらったお祓い棒を向けた。

 

「悪いけど、貴方みたいな妖怪は見逃せないし、幻想郷にいてはいけないの」

 

紫は妖怪に向かって続けた。

 

「だから、ここで消えてもらうわ」

 

私はその妖怪の粛清を見届けた。

 

「あら霊夢。詠夢のことは?」

 

忘れていた。私は詠夢を抱えたまま、棒立ちしていたのだ。出血は止まっていない。

 

「……あっ!じゃあね紫」

 

私はいつもより倍の速さで永遠亭へと向かっていた。いつの間にか魔理沙と外来人の女の子も付いてきていた。

 

迷いの竹林。

 

妖精も入っただけで迷うという竹林。

 

「魔理沙。取り敢えず妹紅を呼んできて」

 

「わかったぜ」

 

魔理沙はすぐに妹紅を呼んできた。1分かかっていなかったと思う。

 

「じゃあ永遠亭までの案内をできるだけ早く、お願い」

 

「わかった…って、その女の子、輝夜に似ているねえ。ムカついてきたから私と殺し合いしないか?」

 

「黙れ妹紅。早くしろって言ってるでしょ」

 

「もう…わかったわよ…もこたんスルーされたお(T ^ T)」

 

妹紅は少し寂しがりながらも、できるだけ早足で永遠亭を目指してくれた。

 

詠夢…ごめんね。私は貴方を守れなかった…姉失格だわ…

 

いつの間にか涙が流れていた。

 

ーーーーーーーー

永遠亭。

 

迷いの竹林の中にある、病院兼屋敷。

 

医者(薬剤師)、八意永琳と蓬莱山輝夜が住んでいる。

 

永夜異変以降この病院が解放されてから、ここ幻想郷の医療技術は格段に上がったという。

 

私はそこで弟を待っていた。緊急手術中だった。

 

私の弟は腹と背中、足に深い傷を負った。

 

あの妖怪のせいだ。

 

あの妖怪は粛清されたが、私が心に深い傷を負うようにした原因。

 

許せない。

 

許さない。

 

絶対に…許さない…!

 

そこに、永琳が出てきた。

 

「永琳!詠夢は…?」

 

「…深刻だわ」

 

「というのは…?」

 

「あの深い傷、一部が筋肉や内臓に達していたのよ。だから、1ヶ月は動けなくなるわ」

 

「……」

 

私は言葉を失った。私のせいで、詠夢がこんな目に…

 

私の…せいで……!

 

「そんな気を落とす必要はないわ。さあ、詠夢に会って来なさい」

 

私はそう言うと、治療室にかけて行った。

 

「詠夢ー!」

 

私は涙ぐんだ顔を必死に隠しながら、弟に抱きついた。

 

「霊夢…痛い…」

 

「はっ…!ご、ごめん」

 

私は少し力を緩めたけど、弟を離しはしなかった。

 

「霊夢!ごめんね…僕が…もっと強ければこんなことにはならなかったのに…!」

 

「それは私よ…私が…私…が……!」

 

私はもう心がぐっちゃぐちゃになっていた。視界も歪んでいた。

 

「ううん。大丈夫。じゃあ霊夢、またね。もう4時だよ。」

side out

ーーーーーーーーーー

一方

 

夢花は輝夜と話していた。

 

「そのつぶらな瞳に美しい髪…私にもそんな時期があったわ…」

 

「輝夜さんって、どのくらい前から生きているんですか?話と名前からする限り1000年以上生きている様ですけど」

 

「ええ。その通りよ。私にもいろいろあったものだわ」

 

そこに。

 

1人の女の子が入ってきた。妹紅だ。

 

「あら、妹紅。来たのね。今日もやってやろうじゃないの!」

 

「ええ。もこたんinしたお…って違う!あんたを殺しに来たのよ!さあ、覚悟しなさい!」

 

「望むところよ」

 

ーーーーーーーー

その後霊夢は毎日2回、永遠亭に足を運んだ。

 

やはり1人でいると罪悪感と寂しさに浸ってしまいろくに仕事もできないらしい。

 

そんな霊夢に、もう一つ悲しい知らせが入る。

 

消滅した妖怪が復活、街で暴れているのですぐに来なさい。紫より

 

紫からの手紙だったーーー




はあ…やっぱなんか真面目な小説にもこたんinしたおは入れづらい…

シバンさん、誠に申し訳ございません。

さて、消えたはずの妖怪と霊夢が再開!

霊夢とえ詠夢は何を思うのか。

次回に続く!


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復活した妖怪と弟の想い

※超重要※
8/18火曜から3日くらい旅行で投稿できません!

本当にごめんなさい!

少しお待ちを…

ということで霊夢視点でどうぞ


私は驚愕した。

 

「なんで生きてるの…」

 

私はそう呟きながら、人里へと向かった。

 

ーーーーーーーーーー

人里。

 

そこには、紫と慧音が立ち尽くしていた。

 

「あ…霊夢…来たのか」

 

「霊夢…来たのね…」

 

2人は落ち込んでいた。

 

「え?ゆ、紫?どうしたの?」

 

「それがだな…私たちではあいつには到底敵わなかった…」

 

慧音は続けた。紫も倒すどころか、ダメージも与えられていなかったらしい。

 

それで、気になってあの妖怪の能力を調べたという。

 

「それで、あいつの能力は…【あらゆる力を操る程度の能力】だったのよ」

 

「えっ…」

 

「それで、私たちの霊力や妖力を操り、吸収し、行動パターンを覚えて、攻撃を受けない様にしているらしいの」

 

私は呆然とした。

 

さっきの話を聞く限り、物理攻撃は効かない。

 

いや……待てよ。

 

弱体化している人の霊力を吸収すれば、逆効果でその人は強くなり、妖怪は力を弱めるはず…それだ!

 

「紫、詠夢を呼んでくる」

 

「え?そうしたら奴が…」

 

「その心配はいらないぜ!」

 

後ろから声がした。魔理沙だ。外来人の人もいる。

 

「わかった。私は詠夢を呼んでくるから、あいつの気を引いていて。行ってくる」

 

「夢花!行くぜ!」

 

「行きましょう!」

 

へぇー、あの人、夢花ちゃんって言うんだ…

 

私は時速80kmで永遠亭に向かった。

 

ーーーーーーーーーー

「あ、永琳!」

 

「話は聞いているわ。詠夢を連れて行くならどうぞ。あと、うどんげも連れて行かせるわ」

 

「そこまで…ありがと」

 

私は詠夢がいる部屋へ向かい、詠夢を抱えて永遠亭を飛び出した。

 

「ちょっと!霊夢!「話はあと!行くわよ!」はあ…もうなんなの…」

 

取り敢えず人里へと急いだ。

 

「はい!詠夢連れてきた!」

 

「はあ…詠夢…じゃあ…お願いするぜ」

 

「わかった…けど…」

 

詠夢が怖気付いているのが一瞬で分かった。

 

1歩、2歩と足を後ろに動かしていた。

 

「詠夢…大丈夫?」

 

「お前は…あの時の…なんで?生きてる…」

 

「はっ!そうだ。でも、今の俺とは前とは違う…俺は強くなった」

 

「それは違うっ!」

 

詠夢が怒鳴りつけた。

 

「お前は1人の妖怪を殺しそいつの体で何度も復活した。違うか」

 

「違わない。しかし、それだけでは何も始まらないぞ?」

 

妖怪は相変わらず自分が勝ち誇った様な声で返した。

 

「お前、足りないものがある。それは…愛情だ」

 

「ふんっ!そんなもの、今の俺には必要ない!力さえあれば、全てが叶うんだ!」

 

「それは違うっ!」

 

詠夢は妖怪を殴りつけた。

 

「まず、お前はなんでそんなに簡単に同じ種族である妖怪を殺せた?」

 

「そんなこと聞くまでもない。俺が復活するためさ」

 

「じゃあ、なんで妖怪を殺してまで復活しようとした?」

 

「それは…」

 

「それは答えられないよな。お前には愛情というものの欠片もないから」

 

「お前何を!」

 

「そうやってなんでも力で抑え切ればいいってもんじゃねーんだよ!」

 

「ただの人間ごときが何を言う!」

 

「あのな…愛情があれば人であれ妖怪であれ、そんな簡単に殺せないはず。むしろ殺されそうになった奴を守ろうとする気持ちになるはずだ。というかもし僕ならそうしているね」

 

「だからなんだってんだよ!別に守ろうが守るまいが自由だろうが」

 

「だからお前の性格がひん曲がってるっつってんだよ!」

 

詠夢の怒りは頂点に達していた。詠夢は続けようとしたその時。

 

「命?そんなもの軽いもんだよ。まずその繋がった命の綱を切ったことの何が悪いんだよ」

 

「その行いの誤ちの深さを身を以て体感してみろーッ!」

 

詠夢はついに霊力を溜め始め、それをお祓い棒に込める。

 

そして、詠夢は言い放った。

 

「その減らず口、命の大切さと愛情が分かってから出直してこい!うりゃぁーーーーーーッ!」

 

詠夢は全霊力を込め、お祓い棒を妖怪の体に当て振り下ろす。

 

その妖怪は、跡形もなく消滅した。

 

その瞬間ーーー

 

バタッ

 

街の中心で詠夢は倒れた。

 

「詠夢?詠夢!」

 

私の呼びかけにも反応しなかった。

 

あ、鈴仙がいるはず。

 

「鈴仙!詠夢が…」

 

私は鈴仙を連れて詠夢の元に来た。

 

「と、取り敢えず永遠亭へ」

 

鈴仙も焦っているのが分かった。

 

ーーーーーーーー

永遠亭にて

 

「うーん…霊力の使い過ぎで少し気絶しているだけみたいね」

 

永琳はカルテを見ながらそう言った。

 

「やっぱりそうだったのね…というか神力だけでよくどうにかなったわね」

 

「それはやっぱり博麗神社にだんだん参拝客が来ている証拠なんじゃないかしら?」

 

「永琳…」

 

「神社に信仰が集まることで神は強力になる、守矢の奴等が言っていたわ」

 

「じゃあ私たちは…」

 

「どうやらそうみたいね」

 

私はその言葉を心の中にしまいつつ、博麗神社に帰った。

 

ーーーーーーーーーー

「ご飯よー詠夢ー」

 

返事はなかった。夢花は魔理沙の家に居候している。

 

「そっか…」

 

詠夢は永遠亭で休んでいた。

 

私はとてもではないけれど不安になった。寂しいよ…会いたいよ…

 

「はあ…詠夢…」

 

幻想郷の夜は深くなっていくばかりだった。




はい。弟想いの霊夢ちゃん、ブラコン霊夢ですた!

ついに詠夢がマジギレしてくれました。

愛情が夢想封印を超える日は来るのか…

次回に続く!


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詠夢がいない日

今回はタイトルのまんまです。

霊夢が迷いながらも1人で進んでいく様をどうぞ。

もちろん霊夢視点です。


「おはよー」

 

…返事は無い。

 

まあ、当たり前か。

 

私は、1人分の朝食を作り、それを食べている。

 

「ん。美味しい」

 

私は自分で作ったお味噌汁を食べながら言った。

 

静寂な朝の博麗神社。雨がどしゃどしゃと降っている。

 

私はまるで体に風穴を開けられた様な感覚だった。

 

そういえば、母さんが死んだ時もこんな感覚だったな…。

 

そういえば、あの時の謎がある。

 

ーーーーーーーーーー

あの時、外は雷雨だった。

 

「じゃあ、行ってくるわね」

 

「嫌だよ母さん…それに詠夢も」

 

「そういう訳にはいかないの。異変解決が博麗の巫女の仕事。貴方もいつかそういう時期が来るわ。それじゃあ、行ってくるわね」

 

その言葉が私と母さんの最後の会話になるとは、知る由もなかったのだ。

 

 

その日の夕方、帰ってきたのは詠夢と…紫だった。

 

「ねえ詠夢!母さんは?紫も!母さんはどこに行ったの!?」

 

しかし詠夢も紫も俯いたまま口を開かなかった。詠夢の手にはお祓い棒があった。それを見て私は悲しくなった。うそ…そんなわけ…

 

「嘘でしょ…母さん…何でよ……何で行っちゃうの…いやだよ…いやぁぁぁぁぁッ!」

 

詠夢と紫は下を向きながら頷いた。

 

まるで身体に風穴を開けられた様な感覚だった。

 

何でその時の話を詠夢は絶対にしないんだろう…

 

何かあれば詠夢は必ずと言っていいほど私には悩みを打ち明けてくれる。

 

しかし、その話題を持ちかけた瞬間、自分の部屋にこもり、鍵をかけてしまう。

ーーーーーーーーーー

大切な人が…居なくなる…

 

今まで、どれだけ詠夢が大切な存在だったか、知らされた気がした。

 

「ご馳走様」

 

1人で言った後、黙々と皿洗い、洗濯、掃除。

 

全てを終わると、もう10時半だった。

 

……

 

……

 

……。

 

魔理沙も来ない。紫も来ない。だーれも来ない。

 

そんな中、私は頭のリボンを外した。髪飾りも全て。

 

そして、私は部屋の隅っこで。体育座りをした。

 

泣いていた。

 

憂さ晴らし。とでも言えばいいのだろうか。

 

とりあえず泣いた。泣かないと気が済まなかった。

 

うわーん…

 

死んだ母さんのこと。詠夢が左手に持っていたお祓い棒。

 

 

うわーん。

 

大きくなった詠夢。私を守ってくれた詠夢。

 

 

うわーん!

 

私の為に戦ってくれた詠夢。そして…

妖怪退治をした詠夢。

 

 

 

私の存在価値はあるのだろうか。

 

私が生きている意味とは何なんだろうか。

 

母さんがいなくて弟頼りなダメ女に、生きる意味などあるのだろうか。

 

『命の大切さと愛情が分かってから出直してこい』

 

私はキッチンに行き、包丁を取り出した。

 

「待って。早まらないで」

 

後ろから声が聞こえた。詠夢だ。

 

「でも…私は…私は…!」

 

詠夢は必死に私から包丁を離そうとしていた。

 

「霊夢…早まるのはやめるんだぜ!」

 

魔理沙も来た。

 

そうか…

 

私には…心配してくれる人がいる。

 

私を…大切に思ってくれている人がいる。

 

そうだ。私は…まだ死ねない。

 

「詠夢。あの時のこと…話してくれる?」

 

「僕が知っている範囲なら。良いよね?紫」

 

「ええ。それくらいなら」

 

「分かった。それじゃ、始めるよ」

 

時間は午後5時を回っていた。

 

西の空には明るい空が広がっていた。




その時の話は、次回に続きます!

なお、次回は回想と少しの心理描写で終わる気がする

ではさらだばー


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霊夢の母と詠夢のお祓い棒

やたー明日から旅行じゃー(^∇^)

これ書いてる時感動してた。わかんないけど

では詠夢視点どうぞ


僕は初めて、あの日のことを霊夢に話す。

 

なんか緊張する。

 

「そう。あの日は雷雨だった…」

 

ーーーーーーーーーー

あの日は雷雨だった。

 

霊夢は嫌だよ母さんとか言っていたけれど、お母さんはこれから貴女もそうなるからと言い、傘をさして飛んだ。

 

今回の退治依頼は、人里で巨大妖怪が暴れているとのこと。

 

 

人里。その妖怪は明らかに巨大だった。ぱっと見15mくらいだろうか。

 

「じゃあ、見ていてね。これが妖怪退治よ」

 

そう言って、お母さんはその妖怪の近くまで行った。

 

そう。あの時はまだ「弾幕ごっこ」がなかった。だから、全ては殴り合いだった。

 

10分後、悲劇は突然やってくる。

 

お母さんは10分以上殴り合っている。

 

お札は……効かない。

 

殴っても……効かない。

 

お母さんはボロボロだった。

 

その時。

 

 

バギャッ。

 

聞いてはいけないような音がした。

 

僕は反射的に目を閉じた。

 

「紫…さん……」

 

「なに?……う、うそ…」

 

紫も言葉を失った。

 

そこには、お母さんが倒れていた。

 

「お、お母さん!」

 

「え……いむ…」

 

お母さんには、向こうが見えるくらいの穴が開いていた。

 

「お母さん!しっかり!さあ、お医者さんに!」

 

「いいえ。私は…もう…助からない……と…思うわ」

 

「お母さん!嫌だ!逝かないで!」

 

「これも…博麗の…巫女の…使命、なのかもね……」

 

「違うよ!何で僕達を置いて行っちゃうの…?」

 

「詠夢…貴方は、とても…勇敢だわ……だから…一番大切な人が…出来た時に…その人のもとで…一杯泣きなさい…それまでは…泣かないこと……約束よ…」

 

「うわーん!…お母さーん!」

 

「あと…詠夢……霊夢を…博麗の…姓を継ぐ…ものを…

 

…精一杯、守ってやりなさい」

 

「…うん。分かったよ。お母さん…僕…頑張る…」

 

「そう…その調子よ。…幻想郷が平和になる日…私は…望んでいるわ…だから…博麗の名を冠する…詠夢に……このお祓い棒を…譲るわ…」

 

そう言って、お母さんはゆっくりと。

 

 

その目を…閉じた。

 

 

「お母さあーーん!」

 

呼びかけても反応はない。

 

 

隣を見ると、紫からも涙が溢れていた。

 

「お祓い…棒……」

 

そう。お祓い棒。博麗の巫女の気持ちがこもっている、さっきまで母さんが持っていた木製の棒。

 

それを…僕が持つことになる。

 

「お母さん…僕、頑張る。霊夢を精一杯守る」

 

僕はそう宣言した。僕は泣くのをやめた。

 

紫はその妖怪を厳重に封印したという。

 

「さあ…神社へ戻るわよ」

 

「…うん」

 

帰り道。

 

僕の隣にはお母さんではなく、紫。

 

左手にはお祓い棒を持ち、俯いたまま飛ぶ僕。

 

扇子で必死に涙を止めようとする紫。

 

僕はどん底に落ちた気がした。

 

ーーーーーーーーーー

「……っていうこと」

 

「……」

 

霊夢は僕を見ながら目を潤ませていた。

 

僕も目が潤んでいたけれど、必死に堪えた。

 

僕はあの妖怪のことを鮮明に覚えていた。

 

ーーーーーーーーーー

その日の夜。

 

バリバリドーン!

 

雷がなる夜。

 

僕は霊夢の部屋の扉を開けた。

 

「…なによ」

 

「ほら霊夢、お風呂入りな」

 

「……何で詠夢…」

 

「……え?」

 

「何で詠夢は母さんを助けられなかったのよー!」

 

霊夢は半泣き状態だった。怒ってもいた。

 

僕は何も言えなくなってしまった。

 

「妖怪の傷ぐらい、詠夢ならお安い御用で治せるじゃないの!」

 

「今なら…ね」

 

「…どういうことよ」

 

「実は、あの僕入ってきたた青い何か、お母さんのものなんだ」

 

「…へ?」

 

「さ、一緒にお風呂行こ」

 

「い、いやよ//なんで一緒「ズドーン」ひいっ!」

 

「雷怖いんでしょ。一緒に行こう」

 

僕は手を差し伸べた。

 

霊夢はその手を取って、僕の後ろに隠れるように、歩き始めた。

 

ーーーーーーーーーー

入浴後、自分の部屋にて

 

「紫、いるなら出てきて」

 

僕は少し命令口調で言った。

 

「あら、良くわかったね」

 

「舐めてもらっては困るなあ」

 

「あっそ。それで。何で昨日の妖怪が貴方達の母親を殺した奴だって霊夢に言わなかったの?」

 

「そんなこと言ったら、お姉ちゃんが悲しむ。僕はお姉ちゃんの悲しむ姿を見たくない。だから、お姉ちゃんの前ではいくら自分の身に何があろうと、お姉ちゃんには笑顔で振舞おうと思ってる」

 

「…そう。貴方も立派になったのね」

 

「そうかなーーー」

 

「貴方は内側に全てを溜め込んでしまう。たまに発散しないと、霊夢が心配がるわ」

 

「…気をつける」

 

「…そう。じゃあね。お休みなさい」

 

「お休み…」

 

…霊夢の悲しむ顔は、もう見たくない。

 

…だから霊夢。僕、頑張るね。

 

お祓い棒を見てから、眠りについた。

 

「…ごめんね。お母さん」




凄く暗い話になってしまいました。

まあ、次も頑張ります。

ではドリンクバー


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コラボ 陽那さんかわいそう

はい。声無し妖怪の自由賛歌とコラボです。

ストーリーは同じにする気だけどこちらは詠夢視点。


今日もいつも通りの1日…

 

…じゃなかった。

 

境内に出ると、魔理沙と……

 

……妖怪?が話している

 

「あ、魔理沙来てたんだ。そっちの人は知り合いなの?」

 

「うんにゃ、違うぜ」

 

僕は能力を発動させて、魔理沙を詠んだ。

 

「魔理沙………知り合いでも無い人をイジめたらダメでしょ」

 

「いや、イジメなんかして無いぜ」

 

いや、あの人悲しいって感情持ってるからね?

 

「ならなんでそっちの人が悲しいって感情持ってるの?」

 

「知らん、なんか知らない顔だし道にでも迷ったんじゃないか?」

 

そうするとその人は急に何かを書き出した。

 

《人生に迷ってます》

 

そんなに病んでたのか……いやでもコミュ障っぽいけどな…

 

まあ、あの人の力になれればいいな

 

「そ、相談くらいなら聞きましょうか?」

 

《というのは嘘だ、むらさき色のBBAに落とされた》

 

……紫しか思いつか無いんだが

 

「というと…外来人?…はないか、妖怪みたいだし…紫さーん!!ちょっといいですか」

 

「はぁーい、何かしら詠夢」

 

するとその人が急に怒鳴りつけた。どうやら紫さんの仕業らしいのだが、やっていない。と言っている。別次元の紫さんがやったらしい。

 

紫さんの能力万能過ぎだろ…

 

早く元の世界に返せって言っているけど、そんな簡単じゃ無いから嫌らしい。その人は紫さんの肘を外そうとしている。

 

…紫さんの肘を外そうとしてる!?

 

いやいやちょっと待って、初対面の人の肘外すとか、色々可笑しいよ…ネジ何本か飛んでるよ?

 

まあいいや。紫さんの話によると3日〜1週間は帰れないらしい。

 

んで、とりあえず自己紹介かな。

 

「えー…とりあえず、僕は博麗詠夢、博麗の巫女の弟です。でそっちの白黒いのが霧雨魔理沙」

 

え?説明が雑だって?

 

知らんな(キリッ

 

それで、その人は天叢陽那って言うらしい。陽那さんの話によるとあっちの次元には僕はいないらしい。

 

「詠夢ー?仕事ほっぽって何してるのー?」

 

霊夢の声だ。僕はお客様にお茶出してただけと説明した。

 

「うん、実はカクカクシカジカ…」

 

「へえー、あんたも災難だったわねぇ」

 

ちょっと、他人事じゃないからね!?

 

《詠夢、この霊夢ボクが知ってるのよりダラシない》

 

「はは…それに関しては僕も困ってますよ」

 

僕も困ってますよ、

 

その言葉で地雷を踏むとは思ってもいなかった。

 

「…詠夢、こいつぶん殴ってもいいよね?」

 

「やめといたほうがいいと思うけど」

 

「博麗ボンバー!」

 

ダメだ。もう無視しよう。陽那さんがどうにかしてくれるだろう。

 

ーーーーーーーーーー

長く苦しい戦い(大嘘、霊夢ほぼ負け確)は作業ゲーだった。

 

投げる捻る避ける取り上げるの繰り返し。

 

もういいや。参拝客の方々の接客でもしてよう。

 

ーーーーーーーーーー

その日の夜。

 

神社の仕事は終わり、母屋に戻ろうとした。

 

陽那さんが縄で縛られている。何かあったのだろうか。まあ100%霊夢だろうけど。

 

はあ。来て急に縛られてかわいそうだな…霊夢もなんとかしろよ…

 

僕は縄を解いて、布団を敷いて寝かせた。というか寝ていたのを運んだ。

 

「陽那さん…陽那さん?」

 

あ、起きた。

 

「起きてます?」

 

《寝起きです》

 

「す、すいません…お腹減ってますよね?」

 

7時間も縛られていたから腹くらい減るだろう。そう思いおにぎりを用意した。

 

陽那さんは美味しそうにおにぎりを食べていた。

 

その後。

 

陽那さんが野宿するとか言っていたので、泊めてあげることにした。

 

男同士だから別にいいかな?って思っていた。

 

女だって言っていたけれど、冗談でしょ。

 

そう。冗談。…冗談?




シバンさんの更新に合わせて詠夢視点も出します。

では多分20日に!


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コラボ すいませんでしたァァーーッ!

これでコラボ終了。



シバンさん、ガチで謝罪します。

22時に書いてたら寝落ちした…orz

マジですいませんでした。


「ふぁ〜っ」

 

起きた。陽那さんに抱きついていた。

 

あっ…///

 

やばい…僕何してるんだろ…

 

「つい癖で抱きついてしまいました」

 

陽那さんは僕のことを殴り、逃げていった。

 

ごめん…傷つけちゃった…

 

とりあえずご飯作って…洗濯して…

 

あ、ちなみに癖で何かに抱きついてしまうことは責めないで。僕にもいろいろあったから。

 

まあ、いいや。そんで…洗濯物干して…

 

「あ、詠夢。おはよー」

 

「おはよ…お姉ちゃん…」

 

「詠夢?どうしたの?元気ないよ?」

 

え?そ、そうだった?

 

「いや、何もないけど……ってやっば!もうこんな時間!神社のことやらないと!」

 

「がんばれー(棒)」

 

「ああもうっ!なんでいっつも人任せかなぁこの腋巫女は……」

 

僕は少し腹を立てながら神社の方の準備を大急ぎでした。

 

午前11時。

 

陽那さんは?だって?

 

ああ、1時間前になんかどっか行っちゃった…鈴奈庵にいそうな気がする

 

陽那さん…なんでかどっか行っちゃった。

 

僕、なんかしたかなぁ?

 

ーーーーーーーーーー

ところは変わって鈴奈庵。今日は霊夢が

 

「疲れてるんなら一日くらい家事やるわよ?」

 

って言ってくれたので今は鈴奈庵へと向かっている。

 

何かいい本があるといいな…

 

そんな淡い期待をしつつ、鈴奈庵に到着。

 

カランカラン。

 

「いらっしゃいま…あ、詠夢くん。今日はどうしたの?」

 

出迎えてくれたのは小鈴ちゃんだった。

 

「いやさ、霊夢が急に家事やるって言い出して暇だったからさ」

 

「へぇー、霊夢さん熱でもあるのかな?普段やらないことやるなんて」

 

「あるんじゃないの?」

 

ハハハッ。僕と小鈴ちゃんの声が店に響く。

 

話は変わって入り口に座っていた人について。

 

マミゾウさんがなんか見ているけど気にしない。

 

「あの人は?」

 

「さあ、分かんないけど5時間前から本読んでるよ」

 

「へえ…って5時間も?」

 

「うん、そのくらい前から居るよ」

 

あれ?ちょっと待て。僕は時計を確認する。

 

午後3時。5時間前ってことはあさ10時?

 

あれ。時間と勘からいくとあれ陽那さんだよね?

 

ちょっと行ってこよ。

 

「…あれ?もしかして陽那さん?」

 

やっぱり陽那さんだよね。勘だったけど凄くそうっぽかった。

 

なんか陽那さんも本が好きらしく、僕も好きだと答えた。

 

《小鈴ちゃんのことは?》

 

「もちろん好kって何言わせてるの!?」

 

いや、何も間違ってないけどさ。

 

話しているうちに寺子屋の話になっていた。

 

陽那さんは元の世界では武道を教えているらしい。

 

意外だなって思ったらなんか陽那さんキレ始めちゃった。僕何かしたっけ?

 

《昨日のこと忘れたとは言わせないぞ?》

 

「え?僕何かしたっけ」

 

《ボクが女だってこと信じなかっただろ》

 

え?嘘!?ホントに女なの?

 

メッチャ動揺していた。え…え?

 

どうやら幻想郷では同性愛はフツーらしく、彼女は妹紅だと。

 

ありえねー。

 

それでも、怒っていることに変わりはなかった。

 

「じゃあなんで…」

 

《朝の男の生理現象》

 

「…………?」

 

《テメーの股間にある男の象徴が当たってんだよ!!言わせんな恥ずかしい!!》

 

僕は顔を真っ赤に染めて、

 

「す、すいませんでしたァァーーッ!」

 

って言ったけど…あ、なんか小鈴ちゃんも顔赤い。

 

んで、陽那さんはもう帰るらしい。じゃあねー。

 

ーーーーーーーーーー

問題はその後だよ。小鈴ちゃんが

 

「何その抱きつき癖?」

 

と言った。色々と誤解されているみたい。

 

僕にはちょっと悲しい過去があるんだけどそれはまた別のお話。

 

僕は自然と涙が出てきた。

 

「あっ……詠夢くん?…私、何か悪いこと言ったかな…」

 

「えっ?あ、ううん……」

 

僕は勢いで……

 

 

 

ギュッ!

 

小鈴ちゃんを抱きしめていた。

ーーーーーーーーーー

小鈴視点

 

ギュッ!

 

抱きしめられていた。

 

 

私は今まで親にしか抱きしめてもらったことが無かったから新鮮だった。

 

何だろう。この感覚。

 

暖かい何かが、私を包んでくれているような感じ。

 

あれ?なんか胸がズキズキする。

 

「小鈴ちゃん…いや、小鈴」

 

小鈴。彼からの呼び捨ては初めてだった。なんか嬉しかった。

 

「こんど……デートでも行く?」

 

私は答えた。

 

「ええ、喜んで。詠夢」




最後の方関係ないけどね

リア充爆発とかあの2人に言わないであげて。かわいそうだから


ということで広島へ行ってるし、次回は幻想郷飛び出して広島行く話にしようかな?

では次回、サラダバー


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平和 前編

広島行ったから書いた。後悔はしていない。

では、三人称視点どうぞ


詠夢と紫は考えを巡らせていた。

 

早い話が、外の世界に旅行に行こうということだ。

 

詠夢は、

 

「でも、ここ行こうかな…このくらい時間とろう」

 

詠夢は悩んでいた。

 

紫も紫で、

 

「いや、日本のどこにスキマを繋げようかしら。やはり東京かな」

 

そう。東京と広島に旅行に行こうというものだ。

 

ーーーーーーーーーー

当日。

 

「しゅっぱーつ!」

 

8人の声が幻想郷に響く。

 

「それではスキマ旅行に7名様ご案内〜」

 

紫もその1人。

 

「ねえ紫。色々と大丈夫なの?私不安なんだけど」

 

霊夢は紫に聞く。紫は大丈夫よ、色々境界をイジって動かしたから、とか言っているが、それは少し法に抵触しかねないぞ?

 

ーーーーーーーーーー

「はい、到着っと。ここからは詠夢、お願いね」

 

「分かった。じゃあ行くよー」

 

ーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

4歳頃まで東京に住んでいたので、少しの記憶とスマホを頼りに進んだ。

 

まず?ここは…あ、二子玉川なのね…

 

「じゃあ電車乗るよ、ああ、このSuica使うの何年ぶりだろう…」

 

「ええ。それで、どこまで行くの?」

 

押上、と僕は答えた。なんか僕と紫だけで会話が成り立ってる…

 

まあ、そうか。

 

でんしゃ。ほとんどの人はその単語を聞くのも初めてだった。

 

「ねえ詠夢。でんしゃって何だ?」

 

慧音も招いていた。人間を招いた。そうでないと色々と疑われるでしょ?

 

「まあ、見れば分かるよ」

 

そう言って詠夢は6人分の押上までの切符を購入し、渡した。

 

何で紫がSuicaを持っているかは聞いておかないようにしよう。

 

僕は切符の使い方をみんなに教えてからSuicaを改札にかざした。

 

みんなも改札を切符に通し、ホームへ。

 

「まもなく4番線に、急行 南栗橋行きが…」

 

「ほら、電車きたから、右に寄って」

 

僕はみんなが並んでいる右側に誘導した。

 

僕と紫以外のみんなは全てが初めてなので、初めて与えられた玩具を触るように興奮していた。

 

 

ー数十分後ー

 

「ほい、降りるよー」

 

僕たちは電車を降りた。みんなはいつもと違う衣装。少し照れ気味だね。

 

先ず向かったのは東京スカイツリー。

 

「じゃあ、自由行動。ショッピングも良し、水族館も良しだよ。じゃあ18時にはここ集合ね」

 

そう言うとみんなはバラけた。

 

僕は小鈴と一緒に行動することになった。

 

「小鈴ちゃん、行こうか」

 

僕は小鈴に近寄った。小鈴は僕の腕と彼女の腕とを組んだ。

 

「うん。詠夢くん」

 

僕たちはとりあえずショッピングかなぁっておもって服屋さんへ。

 

「うわぁー!」

 

小鈴の目はキラキラしていた。

 

まあ、東京だもんね。色々あるよね。

 

「これ、似合うかなぁ?」

 

小鈴が楽しそうで何よりかな。

 

「うん、似合ってるとおもうよ!」

 

僕はその服を買ってあげた。

 

その後僕たちが向かったのは、水族館。

 

深海魚がたくさん展示されている。小鈴は顔を展示ガラスにくっつけそうな勢いで見ていた。そこがかわいいんだよねー

ーーーーーーーーーー

18時10分前。僕と小鈴は手をつないで集合場所に行ったんだけど、なんか魔理沙の顔が凄い赤い。トマトみたい。霊夢は呆然としている。

 

 

 

「じゃ、行くよー」

 

僕はみんなをエレベーターへ誘導した。

 

「ねえ、私たちどこへ行く気?」

 

霊夢が聞いてきたけど、僕は内緒って言っておいた。だって言ったらつまらないもんね。

 

エレベーター最上階。

 

ドアが開くと、巨大都市、東京のネオン街が一望できる、高さ約300m地点。

 

「「「「「「うわぁぁー!」」」」」」

 

みんなの目が輝いている。僕は良かったなぁって思っている。

 

まあ、僕の知らない7年で成長したものだなぁ。

 

確かここら辺だっけなぁ…僕が捨てられたのって。

 

「詠夢くん?そんな浮かない顔してどうしたの?」

 

僕はそんな変な表情してたんだ。僕は手を頬に当てた。

 

「あっ………いや、そ、そんなことないよ!」

 

「そう……良かった」

 

「あっ!そうだ!もっと上に行くけど、行く人ー!」

 

「「「「「「はーい!」」」」」」

 

そんじゃ、行くよー!と、僕は言い、さらに上に行く。

 

みんなが喜んでいる顔。それが僕の幸せなのかもね。

 

ーーーーーーーーーー

小鈴視点

 

私は詠夢と同じ部屋だった。やったね。

 

もう後は寝るだけ。詠夢におやすみくらい言おうかな。

 

「詠夢くん、おやすーーー」

 

「スー……スー……」

 

詠夢はもう寝ていた。

 

「んもうッ!寝顔がかわいいんだからっ」

 

私は詠夢の頬をツンツンとつついていた。とっても柔らかくて、暖かかった。

 

「…おやすみ。」

ーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

僕は起きた…んだけどさぁ。

 

なんか頬がやけに痛い。

 

僕は寝ているフリをしながら少し目を開けた。

 

……ん?霊夢とか小鈴とかみんながこっち向いて頬をつんつんつんつん触ってる?

 

「本当に寝顔がかわいいんだな。詠夢って」

 

魔理沙の声だ。いつもより幾分か声が小さかった。

 

「でしょ?それに詠夢くんのほっぺ。とってもぷにぷにするの!」

 

え?小鈴まで!?どうしたの?

 

まあ、心の中で思っていても伝わらないので目を開けた。

 

「おはよ………え?な、なんで?」

 

僕は自分の顔がみるみる赤くなって行くのが分かった。

 

「な、何してるんですかぁーー!?」

 

僕は恥ずかしくなって部屋を出た。

 

しっかりとタオル用意しといて良かった。

 

とりあえずお風呂かな。

 

ーーーーーーーーーー

所は変わり東京駅。

 

そう。これから新幹線で広島へと行く。

 

ー新幹線車内にてー

 

「うわあ速ーい!」

 

みんな驚いていた。

 

「こんなの遅いほうだよ」

 

「え?速いとどのくらいなの?」

 

後ろにいる霊夢と紫が質問してきた。

 

「300km/hくらいは余裕で出る」

 

「……想像もつかないわ」

 

紫は驚いた表情で言った。霊夢は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしていた。




広島。観光都市でもあり、多くの人を抱える地方都市。

そこで、何を考えるのか。

恋の行方は…?

次回に続く!


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平和 後編

前書きなしで行く。

では、ノーサイド三人称視点どうぞ


広島。

 

あの有名な厳島神社や、原子爆弾が落とされた観光都市。

 

幻想郷一行はそこに来ていた。

 

「まず、厳島神社行ってみようか」

 

詠夢はいつものように笑顔で振る舞っていた。

 

ーーーーーーーー

所は変わり厳島神社。

 

あの有名な赤の大鳥居があり、また安芸の宮島と呼ばれ日本三景の一つになっている、有名観光地。

 

詠夢たちは、神社の石の鳥居の近くに来ていた。

 

魔理沙は真ん中から堂々と入っていった。

 

「よーし霊夢ぅ、行こーーー」

 

霊夢と詠夢は珍しく律儀に一礼し、鳥居の端を通った。小鈴はそれを真似していた。

 

「霊夢?お前、何してるんだぜ?」

 

「はあ…魔理沙、神社のルールも知らないわけ?」

 

詠夢が冷たい声で発した。

 

「まあ、個人の信仰度の問題だから、いいんじゃないの?」

 

霊夢は言った。霊夢はいつもより幾分か、いや、相当真面目だった。

 

「ま、まあ、行きましょうよ」

 

小鈴はその雰囲気を打開するためか、少し明るめの口調で言った。

 

 

 

本殿。とても大きく、しっかりとした造りだった。

 

詠夢と霊夢は、慣れた手つきで置いてあったお祓い棒に触っていた。

 

一方小鈴は、賽銭を入れ、二礼二拍手一礼をして、小さい声でつぶやいた。

 

「詠夢くんと……結ばれますように」

 

小鈴の詠夢への想いは強くなる一方だった。

 

詠夢も同じだった。いつの間にか小鈴の隣には詠夢がいた。何かお祈りをしているようだった。

 

ーーーーーーーーーー

その後、一行は原爆ドームへ。

 

「永遠亭メンバーを連れてこなかったのは主にこれかな…」

 

詠夢は苦笑いしながら少し小さい声で言った。

 

 

 

原爆ドーム。

 

1945年8月6日。この地、広島に、核兵器が落とされた。

 

原子爆弾。

 

それは一瞬にして多くの命を奪ったという、恐ろしいもの。

 

このドームは爆心地からほど近く、ボロボロになりながらも何十年も、その恐ろしさと人間がした過ちを語っているかのようにそびえ立っている。

 

詠夢は真剣な顔で展示を見ていた。色々と考えることがあったのだろう。

 

紫も少し俯き気味で、展示を見ていた。その時のことを知っているからだろう。

 

平和。宣言することは簡単なのだろうが、実際に実現することは難しいだろう。

 

詠夢は、幻想郷に行って、それを一番実感しているのだろう。

 

詠夢は、ふと霊夢の母親の言葉を思い出した。

 

ーーー幻想郷が平和になる日…それを、願っているわーーー

 

また深く考え込んでしまう詠夢だった。

ーーーーーーーーーー

その日の夜。ホテルの部屋にて

 

詠夢は何故か泣いていた。

 

心の中は落ち着いているのに、まぶたを閉じる度に涙が溢れ出している。

 

詠夢の心の中は【平和】と【現実】に惑わされていた。

 

「ぼく…本当にできているのだろうか…」

 

そう。平和とは全てを制圧することではない。

 

色々な者たちが、それぞれの生き方で生き、人生を謳歌する。そんな世界のことを平和というのではないだろうか。

 

「う……うぐっ……ひぐっ……」

 

すると……

 

詠夢に何か暖かいものが被さっていた。

 

小鈴だ。

 

「………ひぇっ?!」

 

「詠夢くん……そんな自分で自分を責めないで!」

 

小鈴はさらに抱きしめる力を強め、言い放った。

 

「貴方が色々と中に抱え込んでいるのは周りは百も承知なの。それは……霊夢も…もちろん…私も」

 

「……?え?で、でも

 

「だから…もう、これ以上自分で溜め込まないで!」

 

「でも!僕は

 

「もう言い訳は聞きたくない!!あのね、性格から詠夢くんがみんなに明るく振舞っているのはとってもいいことだと思う。私もそんな詠夢くん、好きよ」

 

小鈴は詠夢の正面に立ち、何も言えなくなっている詠夢に続けた。

 

「でもね…詠夢くんは、自分の中で悩みを溜め込んでしまう。だから、いつもとても笑顔だけど、どこか何かが引っかかってるような感じがするの。だから……詠夢くん…」

 

小鈴は表情を少し緩めた。そして、優しく、

 

「一回、誰も知らないこと、相談してくれない?」

 

詠夢ははっとした。こんなに人を傷つけていたなんて思いもしなかったからだ。でも…

 

「……いやだ」

 

「なっ!?な、なんでよ?」

 

「だって話したところで小鈴ちゃんは何も思わないだろうし、むしろ悲しむし、傷つけてしまうでしょうに!違う!?」

 

詠夢はいつもより強く言った。まるで、自分の過去をもう断ち切ろうとしているように。小鈴は黙り込んでしまった。

 

「ちょっと、詠夢!?」

 

霊夢が部屋に入ってきた。彼女はすぐに詠夢を叱った。

 

「貴方、自分が情緒不安定なのも知らずにこんなに人を傷つけて、タダで済むと思ってるの?それに…

 

「うるさいッッ!!」

 

詠夢は怒鳴った。形相はあの妖怪を退治する時と同じだった。

 

「先ず、僕のこと、誰も知らない癖に!第一、霊夢とは事情が違う!お母さんがどうとかなんとか言っているけれど、僕には関係ないっ!」

 

「……わかったわ。貴方の悲しんでいる顔、私は見たくなかったから。でも、幻想郷に帰ったら話して頂戴ね」

 

「……そうよ詠夢くん!悩んでいるなら、大切な人に打ち明けた方が良いと思うわ」

 

小鈴も強い感情を抱いて言った。詠夢ははっとした。

 

自分が…人を傷つけた。それは、詠夢の心の中で絶対に禁止していたことだった。

 

「……大切な……人…」

 

「詠夢。だから…相談、してくれる?」

 

「わかった」

 

詠夢は強い意志を固めて寝た。その隣には、小鈴もいた。

 

2人は幸せそうに、抱き合って寝ていたという。




投稿遅くなってすみません。

色々と悩んでた。

ではまた次回!


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捨てられた弟

今回は、書いているだけで胸が痛む、詠夢の過去のおはなし。

※今回は少しグロいかもなので苦手な人はブラウザバック推奨です。

では、霊夢視点どうぞ


「詠夢の過去を聞かせて欲しい?」

 

私は戸惑っていた。詠夢には絶対秘密を条件に過去のことを話してくれていたのだ。

 

「詠夢くんがどうしても嫌だというので……霊夢さんなら知っているかなって思って……」

 

小鈴ならそんな事しないだろう。私は確信した。

 

「詠夢に、この事を秘密にしてくれるならね」

 

「わかりました。絶対に秘密にします」

ーーーーーーーーーーーーーーー

「じゃあホントに始めるわよ?」

 

「ええ。心の準備はできているわ」

 

「大丈夫です」

 

私の心の準備ができていなかった。それを知られないようにするために少し伸ばしていた。

 

私は深呼吸をしてから、紫と小鈴に話し始めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ある普通の家庭に、ごく普通の男の子が産まれた。

 

しかし、その男の子はその後4年もの厳しい人生を送ることになる。

 

「お前は……私の実験道具だ……フヒヒヒヒヒ」

 

父親がそう叫んだ。彼には【狂気】が取り憑いていた。

 

 

 

母親は詠夢が産まれた瞬間に死んだらしい。詠夢のせいで。

 

父親のその発言によって、詠夢はこのあと壮絶な人生を歩む事になる。

 

 

 

 

東京、そこに立つふつうの一軒家。

 

しかし、暮らしは普通ではなかった。

 

「これも違う……さあ、次だ、次」

 

父親は薬を飲ませた奴をナイフでグサグサと刺した。

 

詠夢はその記憶を残し、手足や内臓までに隅々に至るまで修復する。

 

父親はまた新しい薬を開発し、詠夢に飲ませた。

 

「これも違う……さあ、次だ、次」

 

また詠夢をナイフで刺し、修復する。

 

修復しなければいいのではという考えも最初はあったらしいのだが、そうすると

 

「お前……死にたいのか?!」

 

と脅され、逆に余計ナイフで刺されてしまうらしい。

 

「さて、今日はここまでだ、そんな悲しい顔しても飯はやらないぞ?」

 

そう、ご飯は1日1食、パン一枚だけ。金に困っていた詠夢の父親は薬を作って一獲千金を夢見たという。詠夢はその実験台となっていたのである。

 

「お父さん……それ、分けて…下さい」

 

「わかったよ」

 

「あ、ありがとうござ

 

「ハッ!お前なんかにやる訳ねーだろ!」

 

父親はざまあみろ、と言わんばかりにステーキを切って食べていたという。

 

そんな日常が約3年続いたという。最後の方は1日に100回以上殺されたという。

 

そして、詠夢の父親は、

 

「新薬ができないのは全てお前のせいだっ!だから……

 

お前を捨ててやる」

 

という事で、まるで貧しい家庭の悲劇の子みたいな設定の手紙を書き上げ、詠夢を東京の空き地に捨てたという。

 

 

 

その後の事はあまり覚えていないらしく、気づいたら幻想入りしていて紫に保護されたという。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「っていうのが、詠夢の幻想入り前の話よ」

 

「詠夢くんの笑顔の裏にはそんな事があったなんて……」

 

小鈴は涙を流しながらそう呟いた。

 

「あんな無邪気なのに……過去を捨てたくなる理由もわかるわ…」

 

紫も扇子で必死に何かを隠しているのだろう。悲しそうだった。

 

「そ、そうだ……詠夢くんのこと、なんで霊夢さんだけに話していたんですか?」

 

「うっ……そ、それは…」

 

「僕の傷を見たから?」

 

後ろから声がした。それと同時に、居間の襖が開いた。

 

詠夢だった。

 

「お姉ちゃん……なんでよ」

 

「え、詠夢……」

 

「お姉ちゃんのバカァーーーッ!」

 

詠夢はそこからいなくなってしまった。私は大変なことをしたと悟った。

 

「ねえ霊夢、詠夢の傷って何?」

 

私は紫からの質問に答えることさえできなかった。

 

私は夢中で詠夢の部屋へと駆けて行った。

 

「詠夢…?」

 

そこには詠夢はいなかった。だとしたら……家の外!

 

私は外に出た。詠夢を傷つけてしまった。詠夢の心を傷つけてしまったら終わり、文字通り心も体もズタボロになってしまい、情緒不安定になってしまう。きっと過去を断ち切ろうとしている詠夢の、必死の過去への反逆なのだろう。

 

「詠夢………」

 

私は必死になって夕日を浴びる幻想郷を駆け回った。

 

 

 

 

しかし、どこにも詠夢はいなかった。

 

「だとしたら……妖怪の山……」

 

妖怪の山。妖怪が多く住まう、危険な山。

 

昼は天狗の巡回、夜は妖怪がうようよいるため、入るのは困難とされている。

 

「あ、椛!」

 

私は椛に事情を説明した。

 

「詠夢さんが妖怪の山に……危ないですね」

 

「椛、詠夢はどこかしら」

 

「詠夢さんは……へ?」

 

「ん?も、椛?どうしたの?」

 

「危ないです!とにかく、急ぎましょう」

 

私は椛の誘導のもと妖怪の山へと進んでいった。

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

僕は……もう……戻れないよ…

 

霊夢……ごめん……

 

「はっ!ただの人間か……おーい!こいつを喰っちまおうぜー」

 

何か声が聞こえた。ただしもう僕には関係ない。

 

そこにいた妖怪は好き勝手に僕を切り裂いていった。しかし、もう慣れていた。

 

4歳ごろと同じ感覚。

 

そして……修復。

 

「なんだこいつ!?ふ、復活した!?」

 

「さあ、パーティーの始まり始まり〜」

 

とりあえず、目の前の奴等を切る。

 

切る。

 

切る。

 

なーんだ、もういなくなっちゃった。つまらない。

 

「詠夢!正気に戻って!詠夢!」

 

「もーうっさいなぁー」

 

切る。

 

殴る。

 

蹴る。

 

夢想封印。

 

なぁーんだ、倒れちゃった。つまんない……

 

つまんない……

 

つまんない……

 

つまら…ない……れ、霊夢!?

 

僕は顔を青くした。

 

血まみれの霊夢が僕の目の前で倒れている。

 

もしかして……僕が……!

 

僕は即座に回復スペルを詠唱したが、霊夢は動かない。

 

「う、うそ……だよね…?」

 

とりあえず、永遠亭へ行かないと!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

数日後、博麗神社にて 霊夢視点

 

「ん〜?ん、詠夢いでででで!」

 

私の体に激痛が走った。な、何があったのかな?

 

少なくとも、ここは博麗神社……っぽいわね

 

「あ、お、お姉ちゃん!」

 

詠夢は飛びかかってきた。

 

私の体に激痛が走った。

 

「いだいいだいマジでやめてもう痛いから」

 

「あっ……ご、ごめん」

 

「それで、私はどうなったんだっけ…あの後…」

 

「実はーーー

 

〜少年説明中〜

 

……で、2日間くらいずっと寝ていたってことだったの。ホント、ごめんなさい、肋骨とか背骨とか頭蓋骨とか折っちゃったりして」

 

いつも笑顔の詠夢が元気を無くしてる。なんか気が狂うなぁ……

 

「大丈夫よ、でも、私の身の回りの世話、全てやってもらうわよ」

 

「そ、そのくらいやるっつーの」

 

詠夢は少し顔を赤らめながら頷いた。

 

「じゃあ、ちょっと起きぃだだだだだだだ!」

 

「お姉ちゃん、無理しすぎだよ」

 

「わかったわ、じゃあ、お願いね」

 

博麗神社に、また【日常】が戻りつつあった。




うーん、僕にしては少し文字数が多かった気がする

そんで、宿題の追い込みの関係上少し投稿頻度が落ちます。

それではまた次回!


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詠夢の実力

今回はほのぼの日常回です(フラグ)

というかタイトルからして普通そうだよね?ね?(2本目)

では三人称視点でどうぞ


朝5時。

 

詠夢は起床し、朝ごはんを作りに行く。

 

「はぁ……」

 

ため息を漏らしながらも手際よく朝食を作っていく。というかもう手際よくとかいうレベルではない。完全にプロである。

 

しかし、詠夢の顔がいつもより幾分か暗かった。何か心に突っかかるものがあったのだろう。

 

一方、霊夢は詠夢が起きた約1時間後に起床。

 

起きようとしたのだが、

 

「いだだだだだだだっ!」

 

体に激痛が走り、上手く体を動かせない。

 

「あっ!れ、霊夢、おはよ」

 

「おはよー、早速なんだけど、手伝って」

 

「わかってるって」

 

そう言いつつ、詠夢は霊夢を起こして食卓へと連れて行った。

 

「あ、朝ごはん食べてて、僕洗濯物干してくる」

 

と言いながら庭へ駆けて行った。詠夢はやはり忙しそうだった。

 

何せ、今3時間でやるべきことは

 

朝ごはん作り、洗濯、洗濯物干し、朝ごはんの片付け、境内の掃除、母屋の掃除、神社の品物の準備、自分の身支度。

 

と、こんなに盛りだくさんのことを詠夢はこなさなければいけない。

 

が、

 

それをやってしまうのが博麗詠夢。さすがしっかり者の弟である。

 

「詠夢ー?朝ごはんくらい食べなさーい?」

 

霊夢の声が聞こえた。霊夢は心配していた。詠夢がまた倒れてしまうのではないかと心配していたからだ。

 

「食べてるよー」

 

外から声がした。詠夢自身で握ったおにぎりを片手に神社のおみくじやお守りの在庫数を確認している。

 

「そう……頑張ってねー」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

午後3時 霊夢視点

 

私はお茶を飲みながらそこにある煎餅を頬張る。奇跡的に腕には何もなかったのでご飯は自分で食べられる。

 

こんなの何年ぶりだろう。そう思いながらのーんびりとしていたその時。

 

「ーーー!!ーーーー?!〜〜〜!」

 

何者かに後ろから襲われ、私は意識を手放した。

 

 

 

 

 

起きると、そこは見知らぬ場所。妖怪たちに取り囲まれていた。

 

「あ、起きたか。さて、お前は俺たちの今日のおかずだ!」

 

私は喋る事も動く事も出来なかった。

 

こんなところに詠夢が来るわけないだろう。私は絶望していた。

 

私は服を脱がされている。何をされるのかも分からず、ただ震えていただけだった、その時。私に見えたのは、

 

「お……札…?」

 

そう、詠夢が投げたであろうお札。それは妖怪たちを拘束すると同時に、消滅させて行った。

 

「れーいーむー?大丈夫だった!?」

 

詠夢は心配そうな声で私に話しかけてくる。

 

「ええ、大丈夫よ」

 

そうはいうものの、男の子にボロボロに裂けた服のまま見られるのは恥ずかしい。

 

「そう……じゃあ、帰ろうぐっ……ぐはっ…!」

 

隣で詠夢の苦しい顔が見えた。詠夢は……鎖で拘束されていたのだ。

 

その妖怪は鎖を自分の方に手繰り寄せ、詠夢を苦しめていく。

 

詠夢は全身を鎖で縛り上げられた。

 

「がっ……れ、霊夢……逃げて……あぁっ!」

 

こんなに私を助けてくれた人、見棄てる訳にはいかないわ。

 

「悪いけど、私の弟を見捨てる訳ないでしょ」

 

私は怒りを込めて妖怪の大群を睨む。しかし、そのリーダーは動じもしなかった。

 

「はっ!お前も所詮人間か」

 

そう言い、詠夢にナイフを突きつける。

 

「………っ!おい!そのナイフを離しなさい!」

 

私は怒鳴るが、その要求にも応じなかった。

 

「フフフフフ。やはり殺されるのは怖いか」

 

「いや、別に怖くない」

 

詠夢から聞こえた言葉は、想像を絶するものだった。

 

そしてその言葉は、あの過去を持つ詠夢だからこそ言える言葉だった。

 

「そうか……では、このナイフに悶え苦しむが良いだろう!」

 

「待ちなさい!」

 

私の呼びかけも虚しく、血を浴びる。彼の左胸には血に染まる鋭利なものが刺さっていた。

 

まあ、そのうちまた復活するのだろう。と、私はわかっていたので、静寂の中、詠夢の復活を待った。

 

「な!?こ、こいつ、化け物か!?」

 

その妖怪集団のリーダーは叫んだ。

 

「うあぁあああぁぁぁあっ!」

 

詠夢は奇声を発するとともに彼を拘束していた鎖を一本ずつ、ブチッ…ブチッ…と切っていった。

 

「ハア…ハア…霊夢……ただいま」

 

「お、おかえり……」

 

私は絶句していた。なんで鉄で作られた鎖を切れたのよ…

 

「おいお前ら!奴らをやっつけろ!!」

 

向こうから声が聞こえた。襲い掛かってきたので私たちはとりあえずお札で応戦する。

 

詠夢は自分の足りない力を、知能にてカバーしている。彼の戦いはとてもムダがなく、美しい。

 

また、詠夢は普通の人では考えられないような事を戦いの中に取り入れる。それもまた彼の面白いところ。

 

私も応戦しつつ、最後までグループを壊滅させる。

 

私は詠夢に見とれていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

夜8時 博麗神社にて 宴会中 三人称視点

 

宴会では詠夢の弾幕ごっこの戦い方から知能の話に変わり、寺子屋の500点試験の話になっていった。

 

500点試験。幻想郷の寺子屋で代々行われている、1年に一回のテスト。

 

教科は国語、算数、歴史、理科、体育の5科目で、450点を越えるともはやもう人間離れしているそうだ。

 

霊夢「そういえば魔理沙、貴女の最高得点は?」

 

魔理「うーん…確か、320点くらいだった気がするぜ」

 

アリ「そういう霊夢は何点くらいなのよ」

 

霊夢「470点くらいかしら?」

 

霊夢曰く勘で解いたらできたという。そこにいるものたちはもうこいつ人間じゃないと哀れみの目で見つめていた。

 

詠夢「ぶっ…!低っww」

 

詠夢は霊夢や魔理沙をあざ笑った。

 

詠夢「そういえばアリスさんは何点くらいなんですか?」

 

アリ「うーん…私は476点…だったかしらね?」

 

詠夢「低いですねーまだまだですね」

 

そういうと周りの空気が一瞬にして凍った。チルノのせいではない。

 

霊夢「じゃああんたは何点取ったことがあんのよ」

 

霊夢は最大限の怒りを込めてその言葉を言い放ったが、それは次の詠夢が発する言葉にて打ち砕かれることを周りのみんなは知る由もなかった。

 

詠夢「えーとね…確か…」

 

霊夢「確か?」

 

詠夢「498点だったかな」

 

498。その数字は満点から−2をしただけのとても大きな数字。

 

霊夢や魔理沙たちは唖然としていた。

 

アリ「それ…本当?」

 

詠夢「そうですけど…」

 

詠夢はその瞬間に498点と言ってしまったことを悟った。周りの空気が急に暑苦しくなる。妹紅のせいではない。

 

霊夢「じゃあ…勝負よ!詠夢!」

 

詠夢「いい度胸してるじゃないか、霊夢」

 

そうして、テスト点数合戦は始まったのであったーーー




詠夢くんは何でも出来るようです。

ということで次回は詠夢の実力を見せつける回になりそうです…

てなわけでまた次回!


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詠夢とテストと500点

サブタイがバカテス臭いですが全く関係はないです。

そして詠夢がいろんな意味で本領発揮か!?

では三人称視点でどうぞ


文々。新聞

 

幻想郷統一500点テスト開催!日時は明後日の朝9時から寺子屋で。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「はあ……本当にやるんだ…」

 

詠夢は呆れながら朝食を作っていた。それを尻目に霊夢は猛勉強している。

 

「努力と頑張るが大嫌いな霊夢がそこまでやるとはねぇ…正直驚いた」

 

「私だって詠夢に負けたくないのよ!慧音にはもう手配してあるから後戻りはできないわよ?」

 

「はいはい、どうせ満点だろうしやりますよ…」

 

詠夢はハァ、と1つため息を吐きながら鯵を焼いていた。

 

朝ごはん。

 

いただきます、と手を合わせ、2人は黙々と食べ始める。

 

「最近朝ごはんで洋食食べてないわね」

 

「それって明日やれっていうアピール?」

 

「大正解☆」

 

詠夢は殴りたいという衝動を抑え、ただただ黒い笑顔で霊夢を見つめていた。

 

 

 

「「ご馳走様!」」

 

そういうと、詠夢は食器の片付けへ、霊夢は境内の掃除へと回った。

 

それが終わると詠夢は洗濯、霊夢は品物の在庫確認へと回った。

 

「詠夢ー?お札とお守りの残りが少なくなってきてるんだけどやってもらえる?今日は私が接客やるから」

 

「へえ、霊夢にしては珍しいね。何かあったの?」

 

「……小鈴ちゃんが来てるわよ」

 

詠夢の目の色が変わった。

 

「……分かったお守りとかやるよ」

 

「詠夢くーん?」

 

小鈴が詠夢を呼んでいた。

 

「あ、上がってて、すぐ行くから!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

約10分後

 

「ごめんね。遅くなっちゃったね」

 

そう言い詠夢は無意識にお客様にお茶を出す。と言っても小鈴なのだが。

 

「あ、ううん。全然気にしてないよ」

 

「んで、今日は何しに?」

 

「あ、勉強を教えてもらおうかなって思って」

 

詠夢はなるほどね、という表情をしつつ、自分の部屋へと駆けて行った。

 

「とりあえず、これが参考になりそうな本かな」

 

「あ、ありがとう//」

 

小鈴はどこか恥ずかしそうにその本を受け取る。

 

「じゃあ、何かあったら質問してね?」

 

「わかったよ」

 

そう言いながら、2人は居間で片方は勉強、片方はお札作りをしていた。

 

お札やお守りはそれぞれに強力な霊力が込められていて、妖怪が触るとただの怪我では済まないという。

 

そんなものを詠夢は次々と作り上げる。

 

「ねえ詠夢くん」

 

小鈴の声が詠夢の耳元で聞こえる。

 

「私たち……なんか……まるで付き合ってるみたいね」

 

詠夢は動揺しているのか、顔を真っ赤にしながら、

 

「そ、そうかもね」

 

としか言うことができなかった。

 

博麗詠夢と本居小鈴。考えていることは同じでも、その一途な思いを伝えることができなかったーーー

 

「……ところでさ」

 

「ん?」

 

「詠夢くんは、例のテスト受けるの?」

 

「霊夢に半ば強制的に受けさせられました。テスト終わったら説教だな」

 

「そ、そう……」

 

小鈴は苦笑いしながらも勉強に集中していた。

 

「詠夢くん、質問いい?」

 

「あ、うん。どうせここがわからないとかじゃない?」

 

詠夢はそういうと小鈴がちょうど迷っているところを指差した。

 

「そうそうそこそこ!」

 

小鈴はニコッと笑顔をこぼしながら、質問する。

 

「うん、ここはねーーー

 

「詠夢ー?そろそろお守り無くなりそうなんだけどー?」

 

神社の方から大きな声がした。霊夢だ。

 

「今行くよー」

 

詠夢は言葉を返し、小鈴にちょっと待ってて、と言いその場を離れた。

 

「はぁ……なんで正直に好きって言えないのかなぁ……」

 

小鈴は恋と言う名の迷路に迷い込んでしまっていた。

 

 

 

 

一方 同刻 霊夢と詠夢

 

「やっぱり学業成就の御守りが飛ぶように売れてるのよね……」

 

詠夢は本日2回目のやっぱりね、と言う表情で霊夢を見ていた。

 

「あと、この神主衣装、似合ってるかなぁ…」

 

白と紅の袴。それは、詠夢の紳士的で、外の言葉で言うとインテリな一面を見せている。詠夢は少し恥ずかしそうにしているが、表に出ているからか仕事のスイッチが入っているため、あくまでとても落ち着いていた。

 

「ええ、似合ってると思うわ」

 

「……ありがとう。じゃあ、また何かあったら呼んでね」

 

そう言い詠夢は引っ込んでいった。

 

 

 

「ごめんねー。そんで、どこだったっけ?……小鈴ちゃん?」

 

小鈴はキラキラした目で詠夢を見続けていた。

 

純白の袴に紅のズボン。スラッとした詠夢の体にフィットしていて、しっかり者の詠夢には相応しすぎる格好だった。小鈴だけでなく他の女子が見惚れるのも無理はない。

 

「あ、ああ、ここよ」

 

小鈴は質問を再開するが、とてもドキドキしていた。

 

そうして、幻想郷の1日がまた過ぎていくのであったーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

数日後。

 

寺子屋には大勢の人が集まっていた。

 

そう。テストの結果発表の日である。

 

第5位

 

博麗霊夢 481点

 

慧音「霊夢にしては凄い高い点数だ。多分勘なのだろうけれど、よく頑張ったと思う」

 

 

第4位

 

十六夜咲夜 485点

 

慧音「さすが完璧な従者といったところか。身体能力も高く、いうことはなしだろう」

 

 

第3位

 

アリス・マーガトロイド 489点

 

慧音「さすが昔から勉強をたくさんしていた奴である。ひきこm家でいろいろなことを学んでいるだけあるな」

 

 

第2位

 

本居小鈴 496点

 

慧音「小鈴に関しては正直びっくりした。でも頑張った証拠が出ているということは確かなので是非とも頑張ってもらいたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1位

 

博麗詠夢 500点

 

慧音「うん。知 っ て た」

 

 

 

 

「やっぱ詠夢くんって凄いね」

 

小鈴は羨ましそうな目で詠夢を見ていた。

 

「でも小鈴も頑張ったじゃん。よくやったと僕は思うよ」

 

詠夢は小鈴の頭をナデナデしながら話した。小鈴はとても幸せそうだった。

 

それをジト目で見つめる上位軍団だった。



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次々と起こる怪事件

東方M-1ぐらんぷり見てたら書きたくなった

なんかミステリー系を書いてみたくなっただけです

では詠夢視点どうぞ


んで?次は何買おうかなぁ…?

 

僕は今日の宴会のおかずを買っていた。

 

「この魚とかは良いのでは無いでしょうか?」

 

映姫さんがアドバイスをしてくれた。

 

「あ、そうですね。旦那さん!この魚下さい!」

 

「おお!詠夢くんか!こんな大きい魚ということは、宴会か何かかい?」

 

「ええ、そのつもりです」

 

魚屋の旦那さんは詠夢の隣にいる少女を見て、話しかけた

 

「あ、あんたは…閻魔の」

 

「はい、四季映姫と申します。詠夢さんに少し助けていただいて…」

 

「ハハ、詠夢の人助けは今に始まったことでは無いからな」

 

「そ、そうですね…」

 

僕は苦笑いをしながら映姫さんのほうを見た。映姫さんはじっと僕を見つめていた。

 

というのも…

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

約数十分前 映姫視点

 

今日の夜ご飯はオムレツかなぁ…

 

私は人気の無い山林を歩いていた。流石に妖怪の対処法くらい知っている。私は誇り高き閻魔なのだから。

 

その時。

 

「おーい閻魔ぁ!」

 

聞き慣れない声がした。

 

その瞬間。

 

ドゴッ!

 

私のお腹に拳がめり込んでいた。そしてーーー

 

「さああっちだぁ!」

 

そいつは人差し指を崖のほうに指し明らかな悪意を持って言い放った。

 

「か、体が勝手に……くっ」

 

私は逃げようとしたが時すでに遅し。体が勝手に崖のほうへ後ずさりしていくのだ。その女は私の顎を掴んで話し始めた。

 

「なあ幼女。可愛い少女になって閻魔になってぇ。ねぇ!?楽してここまで来ましたねぇ!裁判は楽しかったですかぁ?」

 

私は抵抗しようとしたがその気力もなく

 

「楽し……かった……」

 

というしかなかった。

 

「あぁ楽しかったぁ!でも貴女はここでバイバイだね」

 

「だ、誰か……」

 

「誰かぁ?あらぁ、小町は生憎おサボり中だねぇ!これがお前の教育の賜物だなぁ!誰もこないよー!はいそのまま崖に落ちてぇー!」

 

私はそいつの上からな口調に苛立ちを覚えていた。しかし、次の1歩を踏み出した時。

 

「キャァァーーーー!」

 

私は落ちた。死ぬんだ。私は実感した。

 

 

 

 

 

 

 

その時。

 

 

 

 

 

 

 

ズサッ。

 

あれ……私は崖に落ちたはず……?

 

この暖かい体、そしてとても大きい霊力と少しながらも存在する神力。

 

あの人だ。間違いない。

 

「詠夢……さん……?」

 

「その声は映姫さん…ですね?」

 

「あ…そうです…あ、取り敢えず降ろしてくれますか?」

 

そう、詠夢さんは私をお姫様抱っこしながら飛んでいたのだ。私は恥ずかしい気持ちを理性で抑えつけつつ、降ろしてもらった。

 

「なんであんなことに?」

 

「実は……」

 

〜少女説明中〜

 

「ってことがあって……あ、では私はこれで」

 

「いや、危ないので僕が送っていきますよ?また同じようなことになっても困りますし」

 

私は動揺していた。命の恩人の筈なのに…なんでそこまでしてくれるのか。私は疑問でしかなかった。

 

「あ……私も…買い出しについて行ってよろしいでしょうか?」

 

「え?あ……別に良いですよ。なんなら宴会も来ますか?」

 

「貴方が良いと言うのなら」

 

実は詠夢さんのことをもっと知りたかっただけだった。

 

なんでこんなに優しいのか?

 

なんで私をあそこまで守ってくれたのか?

 

なのになんであんなに笑顔で居られるのか?

 

私は不思議でならなかった。その誰もが笑顔になれそうなその笑顔の秘密を……知りたかった!

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

そして今に至る。買い出しは終わり、博麗神社に帰る途中だった。

 

 

 

そこには……霊夢と……あの私を落としたあいつが!

 

「うわっ!誰か来た!」

 

そいつはすばしっこく、すぐに逃げてしまった。

 

「がっ……がっ……え……い…む?」

 

「れ、霊夢!どうしたのその傷!」

 

私は叫んでしまった。無理もない。霊夢には包丁の様なものが刺さっていたのだから。

 

詠夢は真剣な顔でナイフを霊夢の脇腹から外し、救急箱を持ってきて応急処置をしていた。出血は確かに多かった。

 

「取り敢えず、永遠亭に行ってきます!映姫さんは来た人に事情の説明をお願いします!」

 

そう言って弱った霊夢を連れて詠夢は永遠亭へと飛び立った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

「霊夢……」

 

僕は永遠亭へと飛んでいた。霊夢はすでに意識が飛んでいる様だ。

 

 

 

「おーい妹紅ーーーっ!出てこーーい!」

 

僕は大声で叫んだ。

 

「何よ?これから宴会ーーー」

 

妹紅は言葉を失った。いつもは強そうな霊夢が血にまみれている。

 

「ええ、すぐに連れて行くわ」

 

妹紅は話をすぐに呑み込んでくれたのか、永遠亭へと連れて行ってくれた。

 

 

永遠亭にて

 

「おーい鈴仙?そこにいるなら出てきなよ」

 

すると鈴仙が出てくる。

 

「詠夢さん……どうしたんですか?」

 

「実は霊夢が殺されそうになった」

 

「えっーーー?」

 

鈴仙は少し固まる。自分より格上の相手を倒してしまうのにやられるなんて思いもしないのも無理はない。

 

「実は……先程紫さんも同じ理由で来られて……」

 

「ゆ、紫も……?」

 

「ああ、紫様もかなり危ない状況だ」

 

声とともに現れたのは藍だった。

 

「いま2人とも永琳が治療中だ。安心しろ」

 

と言っている藍だが、表情は心なしか不安に見えた。

 

そこにカルテを持った永琳が現れた。

 

「……2人とももう十数センチナイフが上に刺さってたら致命傷だったわよ?」

 

「「そ、そうですか…」」

 

僕と藍はホッと肩をなでおろした。

 

「ところで詠夢、お前も宴会に行ってきたらどうだ?」

 

「ええっ、でもーーー

 

「貴方の神社の宴会よ。行ってくれば良いじゃない」

 

「永琳、藍、任せた。輝夜ー?鈴仙ー?てゐー?宴会行くよー」

 

「「「はーい♪」」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

博麗神社にて

 

僕は宴会をやっているところとは少し遠い母屋の縁側に腰をかけて、空を見上げた。

 

「はぁ……霊夢…」

 

そこには鈴仙もいた。

 

「そんな落ち込まないでください。こちらまで悲しくなってしまいます」

 

「あ、ああ、ごめん……」

 

宴会会場では朝まで飲み明かす者、食べ尽くす者、温泉に入ってゆっくりする者など様々だった。

 

『霊夢を精一杯守ってあげなさい』

 

先代の博麗の巫女、霊夢の母親の言ったことが頭の中をぐるぐるしていた。

 

僕は考えるだけで胸が痛くなった。

 

うん。寝よう。

 

「鈴仙、おやすみ」

 

「え?随分早いですね」

 

「色々思うことがあってね」

 

「あ……そうですか…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

鈴仙視点

 

あ……詠夢くん寝ちゃった…

 

 

 

私の赤い目。人を狂気にさせる目。

 

それによって、私は人々から恐れられてきた。

 

それを何ともせず、初めて私と向き合ってくれたのが詠夢くんだった。

 

とても優しい真実しか語らない目で私をじっと見てくれる安心感。

 

私は詠夢くんに全てぶちまけたこともあった。

 

しかし、それを苦にもせずただただ優しく聞き入れてくれた。

 

「……今は霊夢じゃなくて私の番よ」

 

私は詠夢の寝ている布団へと向かった。

 

「…もう、寝顔が可愛すぎるわ」

 

横を向いた詠夢。さらさらな黒髪にキュートな、整った顔立ちでスースーと寝息を立てながら寝ている。

 

「……おやすみ」

 

私は寝間着の詠夢の隣にブレザーのまま顔が密着するほど近くまでより、詠夢を抱きしめた。

 

 

 

翌日、姫様と師匠から誤解されたのは言うまでもないのだが。




はい。わかる人はわかると思いますが犯人が異変を起こすのは少し後になりそうです。

ちなみに犯人はあのチート5ボスです。

では次回に続く!


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小鈴の表裏の気持ち

前書きなどないでござる。

では詠夢視点どうぞ

※注意※パルスィはブラウザバックした方がいいかもしれないです。

恋人なんて妬ましいパルパルパルパル……


僕は起きた。起きたんだけどさぁ……

 

なぁにこの状況?

 

鈴仙と映姫と魔理沙と霊夢がなんか抱きついてきている上に宴会の片付けされてないし、萃香と勇儀!お前らまだ飲んでたのか!?

 

取り敢えず動けないよぉ〜……

 

僕は被さってる4人に取り敢えず霊力を込めたお祓い棒で殴り、抜け出せた。

 

「おーい詠夢ぅ〜!飲んでるかぁ〜?」

 

萃香の声だ。

 

「飲んでるかぁじゃないから!今何時だと思ってるの朝5時だよ!?早よ帰れ!帰らないと退治するぞ?」

 

「わかったよ帰るよ……」

 

萃香はトボトボとそこを去っていった。僕はなぜか罪悪感を抱いていた。

 

「悪いことしたかな……」

 

「大丈夫だ、萃香ならきっと」

 

キッチンで料理をしている僕の後ろから声がする。

 

「勇…儀……?」

 

勇儀だ。勇儀は優しくこちらを見ていた。

 

「萃香も別に詠夢に迷惑を掛けていたわけだし、すぐわかってくれるさ。そうでなかったら私から説明しておく。鬼は嘘つかない」

 

「あ、ありがとう……」

 

僕は鬼と話すのは慣れていないので少し反応に困ってしまった。

 

「ほら、よそ見してると包丁で手切るぞ」

 

「あ、そうだね」

 

僕は鬼の裏側が見えたような気がした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

朝食時。

 

「あーえいむぅーよしよしいい子だねぇー♪」

 

「ちょっ!?れ、霊夢?飲み過ぎだよ……」

 

「そんなこといわないのぉー!ギュッとしてよ!」

 

え!?れ、鈴仙まで!?昨日何があった!?

 

「え?ちょっと!?」

 

僕はお祓い棒に霊力を込めて鈴仙に当てた。

 

「ひゃっ!?」

 

そう、鈴仙は妖怪である。少し触れただけでもそこそこのダメージは行くはずだ。

 

「しつこい!黙ろうか」

 

僕はそう言い朝食を食べ始める。

 

「噂には聞いていましたが博麗の巫女の弟とは貴方のことですね」

 

恐らく新しくできた命蓮寺のメンバーだろう。見ない顔だった。

 

「私は聖白蓮と申します。元僧侶の今は大魔法使いです」

 

大魔法使いって自分で言うかよ、それ。

 

「博麗詠夢、ここの神主です。先日は姉が暴れてしまい、申し訳ございませんでした」

 

「いいえ、それよりライバルになるんですから。敵視はしないんですね?」

 

「まあ……そうですね。あ、ご飯どうぞ」

 

そう言いながら、僕は思っていた。

 

 

 

 

 

 

今日……嫌な予感がするなぁ……

 

 

 

 

 

僕は黙々と朝食を摂っていた。

 

「ごちそうさま、と。あ、食べ終わったらそのまんま置いておいて良いですよ」

 

僕は外に出て洗濯と、掃除と……

 

なんか嫌な予感がするな……

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

同刻 小鈴視点

 

私は命蓮寺が出来たということで行ってみようかなと思い今に至る。

 

人気の無い山林。私はそこを歩いていたその時である。

 

「な!?」

 

ナイフが目の前にあった。

 

「あっちへ行こうねぇ!」

 

その人は悪意を持って言っていた。

 

え?体が勝手に…!崖の方へ動いていく…!

 

「おい幼女‼︎貴女も大切な人に沢山守ってもらいましたねぇ!えぇ!?」

 

「う……ぅぅ……」

 

「なぁ!好きな人もできてぇ!?好きですかぁ!?詠夢くん!?」

 

「は、はい……好き……でした」

 

「はっ!でももうすぐ死ぬからねぇ〜!」

 

「誰か……た、助けて……」

 

「誰か!?詠夢は生憎家事をしてるねぇ!誰もこないよぉ〜!」

 

「霊符『詠想封印』!」

 

そこにはお札と弾幕が飛んできた。

 

「今家事をしているとは限らないよね?」

 

「え、詠夢くん……」

 

「小鈴に指一本触れたら容赦しないからな!逃げるなら今のうちだぞ!?」

 

詠夢は確かにとても大きな霊力を漏らしていた。

 

「ひ、ひぃ!」

 

その妖怪は逃げていった。

 

「え、詠夢くん……」

 

「小鈴ちゃん!大丈夫だった!?」

 

「うん……ありがとう」

 

詠夢は後ろに回って傷が無いか確認していた。その時ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギュッ!

 

私を包み込むような感覚。

 

私の心拍数はどんどん上がっていった。

 

「あっ……あっ……あぁ」

 

言葉が出せない……

 

「あっ……ご、ごめん!嫌だった?」

 

もっと……もっとやってほしい!もっと抱きついて!もっとかまって!

 

「嫌よ!なんで急に抱きつくのよ!?」

 

私は素直な気持ちを言葉で表せなかった。

 

「そ、そうだよね…じゃあね」

 

詠夢くん行っちゃった……

 

何で……なんで私は……!素直になれないの……!

 

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!

 

「こ、小鈴?」

 

振り向くと、阿求がいた。

 

side out

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

小鈴が振り向くと、阿求がいた。

 

阿求は数十分前、詠夢から相談を受けていた。

 

「おーい阿求ー!」

 

「あ、詠夢さんですか」

 

「実はさっきね……」

 

〜少年説明中〜

 

「ってことで…小鈴の気持ちも素直になれなかったのもわかってるんだけどなんかなぁ……」

 

「何か引っかかるものがある?」

 

「そうです……」

 

「……はぁ、私が行ってあげるわよ」

 

「ありがとう!」

 

 

 

 

っていうことで阿求は小鈴のところへ来ていた。

 

「小鈴」

 

「……なによ阿求」

 

小鈴は少しぶっきらぼうに言った。

 

「小鈴?不安なのはわかるわ…でもねーーー

 

「うるさいうるさぁいっ!」

 

小鈴は叫んだ。自分が詠夢を傷つけたと悟った。小鈴は覚悟もしていた。

 

阿求は近寄り、しゃがんでそっぽを向いている小鈴の肩に手を掛けた。

 

「一回すべて……吐き出してみたら?詠夢さんも貴女の気持ち、わかってくれていたわよ」

 

小鈴ははっとした。それと同時に涙がこみ上げて来ているのもわかった。小鈴は阿求に抱きついた。

 

「うわぁぁーーん!私……詠夢のこと大好きなのに……彼に対して……素直になれなくて……悔しくて……」

 

小鈴の瞳からは大粒の涙が流れていた。

 

「小鈴ったら……なんでそんなに素直になれないのかしらね」

 

阿求は唯一無二の親友を抱きしめて呟いたのであった……




うん。中途半端なところで終わった気がする……

次回も多分小鈴の物語になりそうな気がする

ではまた次回!


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鈴奈庵と子狐の想い

前書きは特になし。

これはオリキャラ扱いかな?

では三人称視点どうぞ


鈴奈庵。

 

人里にある、普通の本から妖魔本まで幅広い品揃えのある貸本屋。

 

そこには1人の小娘が店番をしていた。

 

名前は本居小鈴。

 

そう、彼女はとある1人の少年に恋する乙女だったーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

朝10時。

 

暖簾を掛け、開店の時間である。

 

そこにやってきたのは……

 

「いらっしゃ……詠夢くん!」

 

そう、彼こそが小鈴が恋という感情を抱いている、博麗詠夢。あの博麗の巫女の弟である。いつもの神主衣装ではなく、Tシャツにジーンズというラフな服装だった。

 

「おはよ。手伝いに来たよ」

 

「ありがと!」

 

小鈴は満面の笑みでお礼を言い、詠夢はせっせと作業を進める。

 

まず2人がするのは、本の整理である。昨日返却された本を棚に戻したり、新しい本をおろしたりである。

 

小鈴は早く終わらせて詠夢と話したいという衝動を抑え、黙々と仕事を進めていく。

 

そして全ての作業が終わったその時。

 

「小鈴ー!」

 

「あ、阿求!おっはよー♪」

 

「なんで貴女そんなに上機嫌なのよ……あ」

 

阿求の脳裏に博麗詠夢という人物が浮かび上がる。それに彼は人の役に立つのが取り柄と言っていた。

 

「詠夢さんっ!幻想郷縁起に書かせてくれませんか?」

 

「また今度ね。今日過ぎたら1ヶ月くらい休みはないと思うけど」

 

「まあ……正直博麗神社のあの忙しさは異常だものね……」

 

「まぁそうだねぇ………最初の頃は毎晩あの霊夢が大泣きしてたもんね……慰めるのがすっごい大変だったなぁ」

 

詠夢と阿求が入口付近で立ち話をしていると、小鈴がやってきた。

 

「ほら、2人ともカウンターに来て!ここだと迷惑だから」

 

小鈴は2人をカウンターの方へ促し、話を始めた。霊夢の妖怪退治のお土産話や、詠夢のお土産話。いろいろな話をしているともう太陽は真上まで来ていた。

 

「じゃあ僕がお昼「私がやるっ!」え?じゃあ……」

 

詠夢が引き下がろうとしたその時、横からとてつもない視線を感じた。阿求だ。

 

阿求の考えがわかった気がした。

 

「じゃあ、一緒にやろうよ」

 

「え……?う、うん!」

 

阿求は笑顔でこちらを見ていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

そしてお昼ご飯。

 

「はい炒飯でも作ってみた」

 

詠夢の得意料理の一つである。詠夢が料理するとお米はとてもパラパラ、塩加減も絶妙でとっても美味しいと巷の噂にもなっているらしいが、その味を知っている者は幻想郷中に数人しかいないという。

 

そして小鈴はとびっきりの笑顔で

 

「うん!おいしい!」

 

と言いながら食べていた。阿求も

 

「こんなの食べたら自分で作った料理が食べられなくなるわね」

 

と言いながらもとても美味しそうに炒飯を頬張っていた。

 

 

 

「「「ごちそうさま!」」」

 

すると、詠夢は片付けを始める。小鈴と阿求はカウンターへと戻っていったその時。

 

「おーい本を出せぇっ!」

 

叫んだそいつは小鈴にナイフを向けていた。小鈴はあたふたしていた。緊張と焦りが一緒に出てしまい涙を浮かべていた。

 

「ほら早く出しやがれっ!」

 

その時である。

 

「てぃっ!」

 

その声とともにナイフは床に叩きつけられた。そして黒のパーカーにフードを被った彼の首近くにはお祓い棒があり強盗は動けずにいた。詠夢である。

 

「はぁ……本当に情けない」

 

詠夢はいつもより声のトーンを落として続けた。

 

「貴方ね……こんな小娘にナイフ突きつけて……何をしたいの?子狐さん」

 

子狐は黙っていた。詠夢は少し心配気味に優しい声で子狐に話し始めた。

 

「どうしたの?何か話したいことがあれば遠慮なく言ってね」

 

子狐は口を開いた。実は親が博麗の巫女に退治されていなくなってしまったこと、それによりまともにご飯も食べられなかったこと、その結果このように強盗という手段に出てしまったことを話した。

 

「霊夢がねぇ……でも、強盗をしようとしたのは罪。とりあえず慧音先生のところへ行かないとね」

 

そう言い、小鈴にもちょっと出かけてくると言って鈴奈庵を出た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

寺子屋。ある教室では、詠夢と慧音、子狐が座って話をしていた。

 

「っていうことらしいんですけど、慧音先生、何か手段はないですかねぇ?」

 

「うーん………じゃあ、もういっそ博麗神社に住ませてあげればいいんじゃないか?よかったら私も同行する」

 

「え………いや、嫌です!」

 

子狐が叫んだ。

 

「あんな怖い人と一緒に暮らすなんて………無理ですよぉ………」

 

子狐はおびえていた。昔は暴君巫女と言われ、弱い妖怪からは恐れられてきたからだ。

 

「最近、霊夢はとっても優しくなった。人里の警備をしている者としてそれは保証する」

 

「そ、そうですか………そこまで言うならお願いしようかな……」

 

子狐は少し安堵の表情を浮かべていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

博麗神社。

 

「嫌よ」

 

霊夢の口から出た最初の言葉だった。詠夢は反発した。

 

「別に、それくらいいいでしょう?」

 

「嫌よ!なんで私がこんなの育てなきゃいけないのよ!」

 

「霊夢!その考え方は間違っている!」

 

慧音は少し怒鳴ったように聞こえた。慧音はすぐに続けた。

 

「お前、詠夢がここに来た時のことを覚えているか?」

 

霊夢ははっとした。

 

何もできない詠夢を私が育てると奮発していたことを彼女は思い出した。そのあと、詠夢は立派な少年へと育っていった。実際、詠夢は博麗神社においてとても重要な存在になりつつある。

 

「わかったわ。ここに住んでも良いわよ。但し!しっかりと神社の仕事はやってもらうからね!」

 

「はい!ありがとうございますっ!」

 

子狐は涙を流しながら詠夢に抱きついた。

 

「よかったね………じゃあ、早速買い出しに一緒に来てもらうけど、いい?」

 

「はいっ!あと、僕の名前はコンですっ!」

 

「そうなんだ!じゃあコン、行こうか」

 

「はい!」

 

その夜、他の人間や神社の裏の大木に住む三妖精などから歓迎されたという。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

数日後

 

彼はとても仕事の習得が早く霊夢も感心していた。しかし…

 

ついに詠夢が危惧していたことが起きてしまった。

 

詠夢は妖怪退治から帰ってきて、言葉を失った。

 

「コン!どうしたのその火傷!も、もしかしてーーー」

 

詠夢は宴会の酒の席で霊夢にコンは妖怪狐だと言ったことを思い出した。コンは酷く火傷を負っていた。

 

詠夢は考える暇もなく、霊夢に

 

「永遠亭に行ってくる!」

 

と言いすぐにコンを抱えて空へ飛んでいくのだった。

 

 

 

 

 

永遠亭。

 

永琳は部屋から出てきて

 

「うーん………2日は絶対安静ね」

 

「はい……すみませんでした」

 

「まあ……霊夢にも非があるわけだし……今回はきっと大丈夫よ」

 

そう永琳には言われたものだが、詠夢はどこか納得していなかった。

 

 

 

「輝夜ー!入るよー」

 

詠夢は永遠亭の輝夜の部屋へと行っていた。相談をしようとしていたのだ。

 

詠夢は状況を説明した。

 

「っていうことで……もうコンに会う顔がないよ……」

 

「それは違うと思うわよ」

 

輝夜は自信を持って詠夢へと話しかけた。

 

「私もここ、幻想郷に来てから行き場を無くした鈴仙を拾ったわ。でも、永琳が少しこき使いすぎてね。それでも鈴仙は逃げなかった。永琳もそれを反省して、しっかりと仲直りをして…。今も仲がよさそうでしょ?」

 

「そうだね。良いこと聞いた。ありがとう!コンに会ってくるよ」

 

「ええ、そうするのが良いと思うわ」

 

 

 

 

 

 

 

「コン〜?」

 

詠夢はドアをノックし入る。

 

「あ、詠夢さん!」

 

「ごめんねコン。僕が未熟だったばかりに怪我させてしまったね。本当に謝るよ」

 

「ええ、でもボクにも非があるので………ところで、赤の他人なのになんで拾ってくれたんですか?」

 

「ああ、それはねーーー」

 

詠夢は自分がもともと外の世界の人間だったこと、捨てられて紫に保護されたこと、そこを霊夢に引き取ってもらい詠夢という素敵な名前をもらったことを話した。詠夢の父親の狂気のことについては話さなかったが。

 

「だから、もともとは違っても、コンは、今は僕や霊夢を始めとした博麗神社のメンバー。すなわち家族だから……」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

コンは泣いて詠夢に抱きついた。それは希望に満ち溢れた顔だったという。

 

そうして博麗神社に新しい顔が現れたのであった。




いまの霊夢は詠夢のお陰で成り立っているといっても過言ではなくなってきました。

ではまた次回。


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神秘の青白い瞳

今回はタイトルのまんまです。

では三人称視点どうぞ


博麗神社 朝8時。

 

「ねぇー、詠夢はいるかい?」

 

どこかで聞いた声が神社にこだまする。詠夢は今行きますと言い外に現れた。そこにいたのは、守矢神社の神である洩矢諏訪子と八坂神奈子だった。

 

「諏訪子と神奈子か。2人揃ってどうしたんですか?」

 

「出雲に行くわよ」

 

「………えっ?」

 

「だから、出雲に行くのよ」

 

「もしかして………そうだ…いま10月じゃん」

 

詠夢は思い出した。毎年10月には日本の神が出雲に集まること。だから神無月と呼ばれていることを。

 

「おーい霊夢ー!詠夢を数日借りて行くよー」

 

「うーん……わかった」

 

まだ寝起きのため寝ぼけた声でだった。一応詠夢はメモを残して博麗神社を出て行った。

 

数分後、霊夢は詠夢の残したメモを見つけた。その瞬間、霊夢は衝撃を受けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

霊夢へ

 

急にごめんね。出雲に行ってきます。諏訪子と神奈子と一緒なので大丈夫です。

 

約一週間後には帰ってくると思うから、行ってくるね

 

詠夢より

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「字がすごい綺麗なのね……じゃなくて!詠夢行っちゃったよ……」

 

まあ、私とコンがいればなんとかなるでしょ。そう思った霊夢は早速コンを起こしに行った。

 

「コン、コン!」

 

「うん…?あ、霊夢さん……おはようございます」

 

霊夢はコンに事情を説明し、2人で頑張ろうとしていたその時。

 

霊夢はもう一枚手紙があるのに気づいた。

 

 

 

追伸

 

僕の式神にはいてもらっているから自由に使ってね

 

 

 

 

 

「あの子……式神まで持っていたのね……」

 

その時、後ろから聞きなれない声がした。

 

「詠夢様から話は聞いております。私もお手伝いいたします」

 

「詠夢様ってことは……あなたが詠夢の式神ね」

 

「はい、緋天と申します。霊夢さん、よろしくお願いします」

 

「緋天、ね……よろしくね。早速だけど、境内の掃除をしてくれるかしら?」

 

「畏まりました」

 

とても仕事が出来る式神だ。さすが詠夢といったところか。

 

霊夢は感心しながら朝ごはんを作っていくのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ところ変わり出雲大社。

 

「うわ……なんだろう……オーラが凄い」

 

詠夢は少し緊張していた。何にせよ……

 

詠夢の目の前には……

 

神話に出てくる日本の神々が宴会を開いているのだから。

 

 

 

「やあイザナギ、今年もきたよ」

 

「おお神奈子、いらっしゃい」

 

「私もいるよ」

 

「諏訪子も!よく来たな」

 

「そうそう、今日きたのはそれじゃなくて、新しい人間を紹介しようと思って」

 

「ほら詠夢…………詠夢?」

 

「あっ………ああああ……はい?あっ!僕は博麗詠夢と申します」

 

「詠夢…ね。よろしくな、イザナギだ」

 

「あ、よろしくお願いします」

 

「それで、君は神の使いかな?だとしたらひとつ頼みたいことがあるのだが……良いか?」

 

「僕にできるなら」

 

詠夢は笑顔で接していたが内心はとても焦っていた。心拍数は上がりっぱなしで汗もかきそうだった。

 

「じゃあ……神を降臨させることはできるか?アマテラスとか」

 

「出来ると思いますが……やってみます」

 

すると、数秒目を閉じた。その後、彼が目を開いた時、

 

 

 

詠夢の瞳は青かった。そして、少し光を発していた。

 

そして、詠夢は何やら唱え始めた。神降ろしである。

 

 

 

唱え終わると、詠夢はお祓い棒を持ってそれを右手でゆっくりと上下し始めた。するとーーー

 

 

 

「お父様、呼びましたか?」

 

アマテラスが降臨した。

 

「ああ、アマテラス。さあ!宴会だ!」

 

そうして、長い長い宴会は始まったのであった。

 

しかし、詠夢はお酒を飲めないためジュースだったのだが。

 

1人で詠夢がしょんぼりとしていると、そこにーーー

 

「貴方の降臨術、凄かったわね」

 

「ツクヨミさん……ですね?」

 

「そうよ。貴方、その降臨術は独学ね?とても素晴らしかった。つい見入ってしまったわ」

 

「まあ……物心ついた頃にはできていましたね。ありがとうございます」

 

「ヨーミー!そっちで何してるの?」

 

あっちのほうから男性の声が聞こえる。

 

「彼が詠夢よスサノオ。挨拶したほうがいいんじゃない?」

 

宴会は深夜まで続いた。

 

そのあと詠夢が神々に歓迎されたのはいうまでもない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

同刻 博麗神社

 

「はぁ……詠夢ぅ〜……会いたいよぉ〜……」

 

空に手をかざしながら霊夢は呟いた。霊夢はとても憂鬱だった。一週間も自分の弟と離れ離れになるなんて思いもしなかったからだ。

 

「霊夢さん、落ち込まないでください。こっちまで悲しくなってしまいます」

 

子狐のコンもそう言うと少し悲しそうな目で空を見上げていた。

 

「まあまあ、そう言わずにお酒でもどうですか」

 

詠夢の式神の緋天は霊夢に酒を勧める。霊夢の近くはどんどん酒がなくなっていった。

 

詠夢が霊夢にとって心の一部になっていたことを実感していた。綺麗な星空の下、霊夢は半べそをかきながら夜を過ごしたーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

翌日の朝。詠夢の瞳は青いままだった。それは、まるで宝石のように輝いた瞳だった。

 

「おはよう詠夢」

 

優しい声が聞こえた。イザナミだろうと思った詠夢は目を開け、そちらを見た。

 

「あら、まだ瞳が青いままなのね。まあ、それも良いわね」

 

「おはようございますイザナミさん」

 

「まあ、朝食まで時間があるわ。ゆっくりしていなさい」

 

詠夢はその後考え込んでいた。

 

この瞳の色は何が影響してこうなったのだろうか。

 

そう考えていると、アマテラスが起きてきてこちらに向かってきた。

 

「あれじゃない?全力を出した時に瞳の色が変わるとかじゃないかしら?」

 

詠夢が全力なんて出したことは無かった。アマテラスは続けて話す。

 

「昨日の夜、私に降臨術を使った時、とてつもない霊力と神力を感じ取ったのよ。貴方、少し本気になっていたわね?」

 

「はい、とても偉大な神様だと思った少し本気でしたね……」

 

詠夢は苦笑いをしながらいつもの神社衣装に着替えていく。

 

「まあ、でもそれは神の使いとして敬意を払うという意味ではとても良いことだわ。でも貴方は少し神様が入っているのだから、もう少し私たちとフレンドリーに接しても良いのでは?と、私は思うわ」

 

詠夢はそうですね、と言い食事会場へと歩いて行った。

 

そして詠夢は神々と遊んだり話したり。色々としている間にあっという間に一週間が過ぎていった。

 

「もしかして、僕が10月が誕生日なのもそう言うことなのかな……?」

 

詠夢はそのことが一つ気にかかっていた。

 

「なるほど……だから神の子と呼ばれるのかもな」

 

後ろにはイザナギがいた。イザナギは詠夢に向かい続ける。

 

「詠夢は産まれた時、何か不祥事は無かったか?」

 

「うーん……あ、そういえば産まれた直後、母親が亡くなってしまって…」

 

やはりそうか、という顔をして詠夢に話した。

 

「詠夢は、幻想郷でこれから重要な存在になるかもしれないな」

 

「えっ?」

 

詠夢は聞こえていたが、頭が追いつかなくなっていた。

 

「さあ詠夢、時間だわ。帰りましょう」

 

詠夢はイザナギに言われた言葉を気にしつつ、幻想郷へと帰っていくのであった。




ついに詠夢のことがどんどん明らかになっていく!

次回は霊夢と詠夢が弾幕ごっこをします!

ではまた次回。


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神の使いと巫女の対決

※詠夢の能力について※

彼の能力は、基本は神の使いとして神との意思疎通ができる能力ですが、弾幕ごっこの際は神の力を使えます。しかし、一度に使える神の数は1人だけです。

では霊夢視点どうぞ


「霊夢ー、ただいまー!」

 

私が一番聞き覚えがあり、あたたかみのある声。絶対に彼だ。

 

「霊夢ー?ぐひゃっ!」

 

私は詠夢を全力で抱きしめた。なんか詠夢から変な声が聞こえたけれど気にしない、気にしない。

 

「もうっ、心配したんだから!」

 

「ただいま。お姉ちゃん」

 

「あ、詠夢さん、お帰りなさい」

 

「詠夢様、しっかりと仕事はしておきました」

 

「緋天、ありがとね。コンもありがと」

 

そう言い詠夢は2人を撫でていた。私は詠夢ともっと話したかったのでとりあえず何があったのかを聞いた。

 

「あ、アマテラスとツクヨミさんとかと友達になったよ」

 

「それって、あの有名な?」

 

「そう、みんなとっても優しかったよ」

 

私は愕然とした。

 

だって、10歳過ぎの自分の弟が1週間して帰ってきて友達が神様ってどういう状況!?

 

「そんなの……信じないわよ?」

 

「じゃあ、ここに来てもらうけど良い?」

 

別に良いわよ、と私は言った。もし弟だとしてもそんなこと信じられるもんか!

 

すると、詠夢は急にスペルカードを取り出した。何するつもりかな?

 

「降臨『夜を統べし神』」

 

すると、急に近くが光り始めた。

 

「ま、眩しい……」

 

私は目をつぶった。何が起きたのか全く分からなかった。すると詠夢が話し始めた。

 

「暇でしょ?だから呼んでみた」

 

「急にかよ。まー暇なんだけどね」

 

「霊夢、ツクヨミさんだよ」

 

詠夢と本当に友達だったんだ……私はそこに立ち尽くしていた。

 

「あ、そうだ!詠夢さ、そこの腋と弾幕ごっこしてよ」

 

「なっ!?だ、誰が腋よ!」

 

「霊夢以外誰がいるの?」

 

詠夢まで挑発してきた。もう怒った!

 

「さあ詠夢!行くわよ!」

 

私は空に舞い上がった。詠夢はそれを追いかけてきた。

 

姉と弟の、本気の弾幕ごっこの始まりである。

 

side out

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

三人称視点

 

霊夢と詠夢は湖の上空にいた。

 

「残機は2、スペルカードは無制限で良いかしら?」

 

「はい。さぁ……」

 

詠夢は目を閉じ全神経を集中させた。そして目を開け、

 

「行きましょうか」

 

詠夢は凛とした声でその言葉を霊夢へと放った。

 

「瞳の色が……変わった……?」

 

詠夢の瞳は、青く輝いていた。

 

とりあえず霊夢は小手調べに通常弾幕を放った。

 

それを詠夢は軽々と躱す。そして詠夢も応戦するかのように弾幕を放った。

 

「避けにくいわね……くっ……夢符『封魔陣』」

 

詠夢は手を前に出しお祓い棒をかざす。すると、それごと消え去った。

 

「なっ!?これでは不利ね……こうなったら、一気に決着よ。霊符『夢想封印』!」

 

そうすると、カラフルな陰陽玉が空から降ってくる。

 

「霊符『詠想封印』」

 

すると、お札と弾幕が一緒に出てくる。霊夢はそのお札に拘束された。

 

「クソッ……とりゃっ!」

 

霊夢は拘束しているお札をお札で切る。霊夢は間一髪で避け、さらに弾幕を放っていく。

 

さらに弾幕は激しさを増していく。霊夢は感情に身を任せて行動していた。

 

 

 

 

 

 

「夢想天生」

 

 

 

 

 

 

霊夢のラストスペル。霊夢の周りには結界が張られ、詠夢目掛けて巨大な陰陽玉が迫ってくる。

 

その時霊夢は気付いた。

 

(待て!これを詠夢がモロに受ければ詠夢は確実に致命傷になってしまう……!)

 

しかし、時すでに遅し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼の魔法の森に大爆発が起こる。

 

詠夢は陰陽玉とともに地面に叩きつけられていた。

 

霊夢は地面に突っ込む勢いで詠夢の元へと駆け寄る。

 

「詠夢!詠夢!」

 

霊夢が呼びかけても返事はなかった。いつの間にか近くには魔理沙やアリスが飛んで来ていた。霊夢は膝から崩れ落ちた。

 

ツーーーッ。

 

霊夢の涙が頬を駆けて行き、詠夢の胸付近へと落ちる。魔理沙やアリスは隣で黙って見ている。心臓は動いていなかった。

 

その時。

 

詠夢の胸元が青く光る。

 

スペルカードだろうと思い霊夢は詠夢の懐を探り、取り出した。

 

 

 

神癒「完治の光」

 

 

 

と、そのカードには書かれていた。

 

「お?なんだ?そのスペカは」

 

魔理沙が寄ってきた。霊夢は魔理沙を振り払い、

 

「このスペカに賭けるしかないわね」

 

と言い、霊夢はそのスペルカードを手に持った。

 

「行くわよ詠夢。神癒『完治の光』」

 

霊夢はスペルカードを使用し、状況を見守った。すると、アリスが叫んだ。

 

「詠夢の心臓が動き始めたわ!」

 

「本当!?」

 

霊夢が詠夢の顔を覗き込むと詠夢の瞳が開いた。色は青だった。

 

「ん……?お、お姉ちゃん?どうしたの」

 

「どうしたのじゃないわよ!もうっ!心配したんだから!」

 

「痛っ!」

 

霊夢は詠夢をお祓い棒で叩いた。

 

森には笑い声が響いたのであった。




藍「紫様!今、結界が破損しそうに……」

紫「本当!何かあったの?」

藍「いや、特に……でも、詠夢が危篤だっただけで復帰したら特に……」

紫「なるほど……詠夢の存在が幻想郷に大きく関係してきたわね……」

紫はお茶を飲みながら呟いたのであったーーー







では、また次回。


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「みこ」と「みこ」と神主

はい。巫女と神子ですねわかります。

だけど神霊廟メンバーは宴会でしか出てこないです。

では三人称視点どうぞ


午前8時30分。

 

いつもの袴で詠夢は寺子屋で授業の準備をしていた。

 

「さてと、これはいいかな、次かぁ……」

 

「おーい詠夢、そろそろだぞ」

 

「わかってますよ先生」

 

詠夢が先生と呼ぶ人物。寺子屋の教師である上白沢慧音である。慧音はたまに授業を詠夢にやってもらっていて、教え方も相当なものらしい。

 

キーンコーンカーンコーン

 

授業開始のチャイムが鳴り響き、詠夢は教室へと入っていく。

 

「はーいみんな座ってねー」

 

詠夢は呼びかけ、授業を始めるや否や、

 

「じゃあこれからテストを始めます」

 

と生徒に呼びかける。その瞬間教室内の雰囲気が重くなる。

 

「宿題をしっかりやった人なら出来るはずだからね」

 

と詠夢は生徒に促し、用紙を配る。詠夢は香霖堂で買ったソーラー電波の腕時計を見てテストを開始させた。

 

その時。

 

「神霊……?」

 

詠夢は呟いた。神霊がふよふよと周りを漂っていたのである。しかし詠夢は授業を離れられないため、教室でのーんびりとしていた。

 

その数分後のこと。詠夢は出席簿を確認し必要事項を記入していた。すると、慧音が走ってきて教室のドアを激しく叩いた。

 

 

ドンドンドンドンドン

 

 

「はあ……詠夢……妖怪退治をお願いしてもいいか?」

 

慧音は息切れ切れで詠夢に話した。

 

「あれ、霊夢は?」

 

「霊夢は……魔理沙と異変解決に……行った」

 

「あ、この神霊の?」

 

「そうだ」

 

「わかりました。じゃあ慧音先生はここで見ていてください」

 

詠夢はそう言い残し人里の中へと出て行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

『あ、博麗の神主が来たぞ!』

 

そんな声が聞こえた。詠夢はそれを無視し、飛んで来た勢いでお札を投げた。

 

妖怪に当たると同時にお札は妖怪の動きを拘束していく。

 

さすがに妖怪もお手上げ状態で詠夢に厳重注意された後逃げていった。

 

その後、妖怪退治のお礼に報酬金をもらった詠夢だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

その日 夕方

 

「なんでそんなことしたの!?」

 

詠夢の怒鳴り声が境内に響く。

 

「私の前に現れたのは何がともあれ、退治するのみよ。それだけ」

 

霊夢は特に何もしていなかった聖人などを退治したと詠夢に報告すると、詠夢が少し怒り出したという。

 

「それは違うんじゃないの?先ず、何もしないような人たちをなんで退治したの?」

 

「それは………」

 

霊夢は言葉に詰まった。詠夢は続けて霊夢に言い放つ。

 

「答えられない。当然そうだよね。霊夢のやっていること、そこらへんにいる下級妖怪と同じことをしてるからね!」

 

霊夢は酷い怒りを覚えた。そして、彼女が気づいた時には詠夢に手が出ていた。手をしっかりと拳の形にして。

 

「うるさい!私だって……私なりに……私……だってぇ……ぐすっ」

 

詠夢の頬にはしっかりと跡が付いていた。詠夢は頬を抑えながら続ける。詠夢は覚悟を決めていたのだろう。普通はまともに受けたら大怪我のレベルのパンチだという。

 

「あのね、もうやっちゃったことはしょうがない。だから、それを反省してこれからどういう行動を取るかが霊夢の評判に関わると思う。だから、頑張ってね、お姉ちゃん」

 

霊夢は泣きながら殴った詠夢の頬をさする。

 

「そうね……頑張るわ」

 

「そうそう、その調子。さあ、宴会の準備をしよう!」

 

「そうね!さあみんな、頑張るわよーっ!」

 

その後、霊夢が宴会でどんちゃん騒ぎをして詠夢にまた怒られたのは言うまでもないのだが……。

 

詠夢は他の豊聡耳神子や物部布都と仲良くなって深夜まで話していたという。

 

 

 

 

 

 

 

「巫女」と「神子」の出会い。それは、霊夢自身にとってとてもプラスなことになったのではないかと思う詠夢だった。




なんか短くなった上に投稿が空いてしまってすみませんでした。

では次回。


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安らぎと正義

始業式後高熱が再発した挙句咳で気管支を痛めつけまくって体が動かない中執筆中のだぴょんです。

今回は日常回。

では三人称視点どうぞ。


朝。

 

詠夢は体を起こして朝ごはんを作りに行こうとした。

 

そう、作りに行こうとしたのだ。だけど、

 

「体が……動かない……?」

 

そう、動かそうとしている体が全然動かないのだ。

 

詠夢が声を上げてみても動かない。

 

「詠夢ー?どうしたーーー」

 

それに気づいたのか霊夢が起きてきて詠夢の部屋の襖を開けると霊夢は驚愕の顔を見せた。

 

「詠夢?顔がすごい赤いわよ?どうしたの?」

 

「わからない」

 

もしやと思い詠夢のおでこに手を当てる。

 

「……ひどい熱……!とりあえず、永遠亭に行くわよ」

 

霊夢は焦りの表情を浮かべた。そして詠夢を抱え、永遠亭へと飛び立った。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

永遠亭。

 

「普通の風邪見たいね。……でも、なんでこんな高熱が出るのかしら?」

 

永琳は疑問の表情を霊夢に見せながらカルテをじっと見ていた。霊夢は不安になりながらも永琳を見ていた。義理の弟だとしても家族がこんなに苦しんでいるのは不安になる気持ちも分かる。

 

「そう……じゃあとりあえず家で安静かしら?」

 

霊夢は詠夢の様子を心配していた。彼の頭を優しく撫でながらも、霊夢が動揺しているのはすぐわかった。

 

「そうね。あと、神社の仕事を詠夢に絶対やらせないこと。いい?」

 

「そのくらいわかってるわよ」

 

とは言ったものの、詠夢が不在だと神社の仕事がうまく回らないのは霊夢が一番知っていた。

 

「でも、本当に可愛い寝顔なのね、詠夢って」

 

永琳の言葉で霊夢は何かを思いついたようだ。

 

「それよ永琳!ありがとう」

 

霊夢は大急ぎで神社へと戻っていった。

 

「詠夢の寝顔………なるほど、そういうことね。霊夢らしいわ」

 

永琳は納得した、というような顔を見せた。

 

「どうされました師匠?」

 

「なんでもないわようどんげ」

 

鈴仙は頭に?マークを浮かべながら仕事を始めるのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

博麗神社

 

「これで一儲けできるわね。フフ」

 

そう。霊夢は寝込んでいる詠夢の寝顔で参拝客とお賽銭をがっぽり稼ごうと思っていたのである。お金には目が眩む霊夢の性格ゆえ、文には新聞の号外まで配らせる準備の良さである。

 

そして、予想通り

 

「詠夢さんは大丈夫なんですか!?」

 

「詠夢さん、頑張って!」

 

などなど、人里から詠夢を心配する人々が多く神社に集まった。

 

また、霊夢の元には多くの声が届いていた。

 

「うん、とてもかわいらしかったわ。パチェもこれなら外に出てくるんじゃないかしら。たまには羽を伸ばしてみるのもいいわね」(紅色のノクターナルデビル)

 

「なかなか珍しいものを見たぜ。アリスがみたら、キュンってなるかもしれないな。連れてこようかな?」(極めて普通のマジシャン)

 

「師匠が絶賛する理由がわかりました。キュートすぎてそこにずっと居たくなりますね。でも、風邪は早く治してくださいと言っておいてください」(地上のムーンラビット)

 

「とてもいい寝顔でつい長居してしまいました。博麗じゃなくて守矢の神主になってみませんか?しっかり神様もいますよ」(風と湖のテウルギスト)

 

「詠夢くんが高熱出したって聞いて心配で駆けつけたけど寝顔に見惚れちゃったわ。詠夢くんのああいう姿を見たことがなかったから新鮮な体験だった。お大事にって言っておいてください」(判読眼のビブロフィリア)

 

と、病気を心配するとともにとてもかわいいという意見も数多くあった。霊夢は心配でしょうがなかったのだが、神社の仕事から手が離せなかったため、そういう意見を聞いて安心するのみだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

夕方

 

霊夢は神社の仕事が終わり、詠夢の元へ駆けて行った。その隣には子狐のコンと詠夢の式神、緋天の姿もあった。

 

「詠夢!大丈夫だった!?」

 

霊夢は昼間ずっと会えなかった、寂しかった気持ちを詠夢にぶちまけた。

 

「スー………スー………」

 

詠夢は縁側の方を向いて心地好さそうに熟睡していた。霊夢はその様子を見て安心したように見えた。

 

「きっと早く良くなるわ」

 

霊夢が囁くように話すと詠夢がもぞもぞと動き出した。詠夢の目が覚めたようだ。

 

「うう……お姉ちゃん。おはよゲホッゲホッ」

 

霊夢は咳き込みながら何かを話そうとする詠夢を止めて安静にするように呼びかける。

 

「詠夢、無理しないの。私が夜ご飯作ってくるから待ってなさい」

 

わかった、と詠夢が反応したのを見届けてから夜ご飯を作り始める霊夢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、数日か高熱が収まらず詠夢は苦しんでいたが、やっとのことで1週間も続いていた風邪を治したのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

1週間後

 

「ちゃんと飛べるし問題無さそうね」

 

霊夢は詠夢の飛ぶ姿を見てそう言った。霊夢は詠夢が人里に行ってお詫びしてくると言ったがまだ病み上がり。心配をしていた。

 

「じゃあ、行ってきます」

 

「夕方には帰ってくるのよー」

 

霊夢は飛び立ちそうだった詠夢にそう言い神社へと戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飛ぶのも久し振りで気持ちいいなー」

 

詠夢は久し振りに飛ぶ空をとても楽しそうにしていた。気づくともうそこは人里の入り口だった。

 

いつもの白の上に紅いズボンの袴を着ている。なのでとても人里の人達から注目を浴びる格好だったりする。その結果、

 

「詠夢さん!風邪は治ったんですか!?」

 

「詠夢さん!お体に気を使った方が……」

 

「神主さん!」

 

病み上がりのため少し人が集まるだけでも辛いと感じた詠夢。詠夢は人里のみなさんに謝罪をするが、無事でなによりという言葉が聞こえた時は詠夢も少し微笑んだそうだ。

 

 

 

しかし、やはり不運なことは起きてしまう。

 

凶暴妖怪が人里に侵入したという情報が詠夢の耳元に舞い込んできたのだ。

 

「詠夢さん?やっぱり博麗の巫女を呼んだ方が……」

 

「うーん……では、誰か霊夢を呼んで来てください。僕は足止めをしています」

 

と人里の人々に一言だけ残して妖怪のところへと飛んで行った。

 

 

 

 

人里の少し外れ。

 

そこには大きめの妖怪が周りを荒らしていた。

 

「待て!そこの妖怪」

 

「ん?お前は誰だ」

 

その妖怪はのんきに詠夢のほうを振り向いた。

 

「僕は博麗の神主です。人里で乱暴をしているのだったら出て行きなさい」

 

詠夢は威圧するようにその妖怪に言い放つが、妖怪はそれを無視して暴れまわっている。

 

「ふーん………それなら、あなたを退治するのみですけど?」

 

「はっ!できるものならやってみろ!」

 

その瞬間、詠夢に鋭い爪を持った拳が襲ってきた。詠夢は軽い身のこなしでそれを避けた。

 

(マズいな……1週間ずっと体を動かしていないせいか、体が思うように動かない……病み上がりっていうのもあるかもしれないけど、反応が少し遅くなったように感じる)

 

詠夢は自分の体のことについて心配はしていたけれど、それよりもこの妖怪がかなり強敵であることを詠夢自身の体で感じ取っていた。そちらの方がよほど危険である。

 

詠夢も刀を抜いて切ろうとした。しかし、

 

「なっ!?避けられた……?」

 

次に妖怪は無数の弾幕を一気に放った。詠夢が慎重に弾幕を避けて再び斬りかかろうとしたその時。

 

詠夢の目の前に鋭い爪を持った拳があった。詠夢は避けようとしたが思うように体が動かない。それもそのはず。その妖怪のもっている触手に手と足を拘束されていたのだ。

 

「ガハッ……!ぐっ……」

 

詠夢は鋭い爪で左腕に深く傷が入った。詠夢は一瞬苦しそうな顔を見せたが、一瞬で本気モードにスイッチした。目を閉じて意識を集中させた。

 

「やはりその程度か、人間ごときは。あーあ、ここのみんなもそうなのかな。早く食べてやりてぇよ、ってな。アハハハハハハハハッ!」

 

詠夢はその瞬間、目を開けた。目の色は鮮やかな青色をしていた。

 

「いま…なんて言った?」

 

「そんなのも聞こえなかったか!早く食べてやりてぇよって言ったんだよ!」

 

妖怪はまるで勝ち誇ったかのように拘束されている詠夢を見下した。

 

「お前はその時点でもう幻想郷にいてはいけないぞ、その前にーーー」

 

詠夢は拘束されている触手をブチ、ブチと切っていく。そして完全に解放された詠夢は妖怪にこれが最後の忠告だと言わんばかりに言い放つ。彼は物凄い殺気を放っていた。

 

「まあ僕に退治されるだけだけどな。人間の本気、見せてあげますよ」

 

すると、詠夢は刀をしまい、大量の弾幕を放つ。妖怪も応戦しようと弾幕を放ち、触手で襲い拳もぶつけようとしたが、詠夢はそれらを軽く身を傾けるだけで全てを躱した。

 

そのままの勢いで詠夢は刀を抜いた。そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀の高い音が夕日に染まる人里に鳴り響いた。その妖怪はその場に倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

人々が詠夢に対して歓声を上げて喜んだ。

 

そこに現れたのは2人の女性。

 

1人は腋が出ている紅白の巫女装束を着た少女。

もう1人は金髪に道士服っぽい服を着て、手に持っている扇子がどこか胡散臭さを醸し出している妖怪の賢者。

 

「遅かったみたいだね、霊夢と紫」

 

彼は振り返ると、優しい笑顔を2人に向けた。瞳の色は青。さっき付けられた傷は無かったかのように消えていた。

 

「まあ、無傷で何よりね。よく倒したわ」

 

「幻想郷のためによくやったわ。ここの創設者として感謝するわ」

 

詠夢は紫のほうを向いてぺこりとお辞儀をした。そして詠夢たちは博麗神社へと戻っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

まあ、その後また熱が上がり霊夢に散々怒られたのは言うまでもないのだが。




今回は自分にしては少し長めになりました。

明日から定期テスト+体調絶不調で投稿が遅れるかもしれませんが気長に待ってくれると幸いです。

ではまた次回。


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詠夢の休日

今回はほのぼの日常回です。

っていっても霊夢は出てきません。鈴奈庵要素多めかな?

ってことで三人称視点どうぞ。


稗田家の屋敷。

 

そこは、幻想郷縁起がたくさん所蔵してある、人里最大の屋敷。

 

博麗神社の神主、博麗詠夢はそこに来ていた。理由としては、阿求が

 

『詠夢さん!幻想郷縁起に是非書かせて下さい!』

 

とキラキラした目で迫ってきたからだ。この言い方には流石に逆らえない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝8時。

 

「ってことで質問を始めさせていただきます。まず……」

 

「まず?」

 

「二つ名ですね。最近、会った人に前が日本語、後ろが外来語の二つ名をつけるのにはまっていましてね……」

 

はは……と、阿求は笑って誤魔化したが、詠夢からすると面白い趣味だなぁ、としか思っていなかった。しかし詠夢は内心ワクワクしていた。

 

「外来語、できたんだね」

 

「私の能力を舐めてもらっては困りますねぇ♪」

 

彼女はエッヘン、と言わんばかりに胸を張った。彼女の能力は【一度見たものを忘れない程度の能力】なので外国語くらい余裕だという。

 

「ちなみに私は『九代目のサヴァン』という名前にしています」

 

「へえ、阿求に似合ってるね」

 

詠夢は他にも付けた二つ名を紹介してもらった。霊夢や小鈴も二つ名を付けてもらっていたらしく、ネーミングセンスがあるなと思っていた。

 

「じゃあ、詠夢さんは………【神秘的な神のメッセンジャー】っていうのはどうですか?」

 

詠夢の綺麗な青い瞳や、謎の力。神の使いという役職から全てが神秘的な彼全てを表現した良い名前だと詠夢は思った。

 

「良い名前だね。ありがとう!大切にするよ」

 

「いえいえ、そこまででも……」

 

阿求は照れながらも詠夢に質問を始めた。

 

 

 

そう。地獄の質問タイムが始まったのである。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「はあ……はあ……やっと終わったー……はあ」

 

質問していた時間は5時間を超えていた。

 

「ありがとうございました!良いものが書けましたよー♪」

 

「阿求……よくそんな元気があるな」

 

詠夢は完全にぐったりとした感じだった。瞳はいつの間にか青色になっていた。

 

「詠夢さん、青目になってますよ?」

 

「うそ!?」

 

詠夢は相当本気だったらしい。詠夢自身気づいていなかったようで、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。詠夢が普通しない顔の一つである。

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました」

 

「こちらこそ。ありがとう阿求」

 

そう言って詠夢は昼の空へと飛び立った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「そういえば守矢が新しいお守り出すって言ってたから行ってみようかな」

 

詠夢は妖怪の山へと入っていった。

 

「おい、そこの人げ………詠夢さんですか。どうぞお通り下さい」

 

見回りをしている椛のような白狼天狗にも、詠夢の名は知れ渡っているらしい。詠夢は特に心配せずに妖怪の山の上へと飛んでいく。

 

 

 

「おーい諏訪子ー!来たよー」

 

「おー!守矢の仕事をやってくれるのね?」

 

「今日だけね」

 

詠夢は神社の休みの日でも、人の役に立ちたいという気持ちがあったのだ。

 

「はいはい!こっちに着替えて下さい!」

 

早苗も出てきて、詠夢を奥の部屋へ案内(連行)した。

 

詠夢が着たのは守矢カラーの神主衣装。まあ下の紅い袴を青に着替えただけなのだが。

 

「お、詠夢「着替え中に入ってくるな」」

 

襖を開けてやってきたのは神奈子。さすがに異性に着替えを見られたのは恥ずかしかったようだ。

 

「まあ、似合っているから良いじゃないか」

 

「………!」

 

詠夢は羞恥心と嬉しい心が混ざってポカーンってしていた。

 

「じゃあ目の色も変えて行こうかな」

 

そう言うと詠夢は目を閉じて開いた。すると…

 

諏「こっちの方が良いわね」

 

神「そうだな」

 

早「!?」

 

早苗はびっくりしていた。まだこの姿を見たことがないからだ。

 

「まあ、もう時間だし行こう」

 

詠夢はみんなを急かした。実は人里に特設ステージまで作っていたのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

人里。

 

早苗がスピーチをしていた。

 

「最近、蛇に噛まれて怪我をする被害が増えています。そこで、守矢のお守りです!」

 

早苗は手に持ったお守りを上へと差し伸べた。

 

「こちらには、私たち守矢神社が心を込めて、霊力と神力も込めて作ったお守りです。是非。」

 

スピーチが終わると、早苗と詠夢でお守りの販売を始めた。

 

綺麗な緑髪の少女と、

 

カッコよく、青く澄んだ目を持つ少年。

 

遠くから見ていても映えている。お守りは飛ぶように売れていったという。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

博麗神社。夜

 

「ただいまー!」

 

詠夢は楽しげに帰ってきた。

 

「お帰りなさい。なんで守矢の手伝いをしていたのかしら?」

 

その詠夢とはうらはらに霊夢はとてつもない殺気を放っていた。

 

「待って霊夢!落ち着け!」

 

詠夢は札束をチラッとさせた。

 

「よくやったわ!」

 

実際は詠夢の着替えの件で神奈子とO☆HA☆NA☆SHIしてもらっただけなのだが。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

就寝前

 

詠夢は寝間着に着替えて寝ようとしていた。

 

「ねえお姉ちゃん」

 

「ん?」

 

霊夢は縁側で酒を飲みながらそちらを向いた。

 

「なんで今日、急に遊んで来いなんて言ったの?」

 

「詠夢に……少し休んで欲しかったのよ」

 

詠夢は普段言わないようなことを霊夢に言われてポカーンとしていた。

 

「え?」

 

「風邪が治ってから……ずっと仕事をしてたじゃない?そんな詠夢を見て少しかわいそうだったのよ」

 

霊夢は夜までずっと仕事をしていたのを知っていた。毎晩それを見て霊夢の心がきしむほど痛い思いをさせていたのを詠夢は知らなかった。

 

「なるほどね……ごめんねお姉ちゃん。おやすみ」

 

「おやすみ、詠夢」

 

そうして、詠夢の久しぶりの休日は終わりを迎えた。




※詠夢の青い瞳について※

詠夢の力が最高潮に達すると目の色が変化する。
例として目を閉じて集中して、集中力が最高潮に達すると目の色が青になる。

ではまた次回。


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同窓会

前書きはないでござる。

では三人称視点どうぞ。


朝10時。

 

「♪〜〜♪〜〜」

 

詠夢はワクワクしながら鼻歌を歌っていた。結論から言うと、今日は詠夢の寺子屋の友達との同窓会なのだ。

 

「普通に袴で良いじゃないよ」

 

霊夢は楽しそうにしている詠夢にジト目を向けつつ話していた。霊夢も寺子屋には通っていたというが、あまり友達がいなかったらしい。

 

「あ、もう時間だし行くね」

 

詠夢は妖怪退治の仕事も依頼されていたのでそれから同窓会に行こうと考えていたのだ。

 

「気をつけるのよー」

 

霊夢は詠夢にそれだけを言い残し神社の奥へと消えていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

11時。寺子屋にて

 

「今日は詠夢くんが来るらしいよー!」

 

「キャー♪早く会いたいな」

 

女子は詠夢に恋心を抱いていたり、

 

「久しぶりだな、詠夢に会うのは」

 

「俺も空を飛んでみてーなー」

 

男子は詠夢に憧れていたり。

 

詠夢はここ数年間同窓会に行っていなかったため、一同がそわそわするのも分かる。ましてや同輩が神主で異変解決者でもあるあの博麗詠夢であるから尚更だ。

 

 

 

 

 

 

「あっ、妖怪」

 

クラスの誰かが叫んだ。しかしそれは寺子屋の中にいる人々を恐怖に陥れる一言だった。その瞬間。

 

 

 

 

 

 

バサッ

 

 

 

 

 

 

「お…札……?」

 

また誰かが発言をした。

 

 

 

「はあ……やっとかかった」

 

カツ、カツと鳴る下駄の音と男の子の声。その男子は白と紅の袴に身を包んでいた。

 

 

 

博麗詠夢である。

 

 

 

「博麗!」

 

男子も女子も御構い無しに詠夢に向かって突進してくる。

 

「ちょっと待って!うわっ…!」

 

みんなが詠夢と抱きあった。

 

「苦……し…い……」

 

身長は高くないため、押しつぶされそうになりながらも、みんなとまた会えたことに喜びを感じている詠夢。

 

そして、昼食会を兼ねた同窓会が始まった。

 

「よう詠夢、久しぶりだな」

 

「あ、久しぶりです。元気だった?」

 

活発な男子何人かが詠夢に声をかけた。

 

「どこにいるかと思ったら……ここにいた!」

 

「うわっ!ちょっと!抱きつかないで!」

 

男が何人かの男に抱きつかれている……実にシュールである。

 

「博麗くん、久しぶりね」

 

今度はおしとやかな女子数人が詠夢の周りへとやってきた。

 

「急にどうしたの?w」

 

詠夢は急に関わってきた女子が不思議で仕方がなかった。

 

「いや、妖怪退治の時、とてもカッコ良かったからね」

 

「えっ!?」

 

「フフフ。じゃあね〜」

 

詠夢はさっきの言葉が聞こえなかったわけではない。聞こえた上でびっくりしていたのだ。

 

詠夢はジュースを飲もうととっさにグラスに手を出すが、ない。

 

「あんのスキマめ……」

 

詠夢はそう言って上にあるスキマを見つけると、閉じかかっているスキマを無理やり開け、中にいる女を引きずり出した。

 

「キャア!?」

 

「はい、博麗神社に早く行ってくださいねー♪」

 

詠夢は殺気を放ちながら笑顔で言い放った。紫はすぐに帰っていったとさ。めでたしめでたし。

 

そしたら後ろから声をかけられる。

 

「なー博麗ー、空飛んでみたい」

 

「急に言われても無理」

 

無理なものは無理。詠夢が修行中の身で一番わかっていたことだ。

 

「じゃあ一緒に飛ばせて」

 

そいつは頭の前で手を合わせていた。

 

「えー!お前だけずるいぞ!」

 

「俺も!」

 

オレモオレモオレモオレモオレモオレモオレモオレモオレモ!

 

「あーわかった!これから僕とじゃんけんして勝った人1人だけね!」

 

詠夢は少し怒りっぽかった。なかなか人と一緒に飛ぶとなかなか負荷がかかるらしい。

 

 

 

 

 

じゃん・けん・ぽん!

 

うー負けたーやったー勝ったーあいこくそー

 

 

 

 

 

「はい決まったね、じゃあ行くよ……って、阿求!?」

 

「はい、そうですよ?一回空を飛んでみたかったんですよ♪」

 

阿求は嬉しそうにとびっきりの笑顔を詠夢に向ける。

 

「そう……じゃあ、空の旅へご案内〜」

 

詠夢は人里の上を低空飛行やアクロバット飛行などで飛んで阿求を楽しませたという。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後クラスのみんなとも鬼ごっこやかくれんぼをして交流を深めて、久し振りに遊んだと詠夢はスッキリとした笑顔でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

「ただい!………ま?」

 

「ひょっ!?お、おかえり」

 

霊夢が怪しいことに詠夢は気付いた。

 

「どうしたの?」

 

「な、なんでもないわ。ご飯食べましょ」

 

 

 

 

 

夕食後。

 

ジーーーーッ

 

ジーーーーッ

 

見つめ合う姉と弟。

 

「正直に言って。何してたの?」

 

詠夢は真剣な目つきできいた。

 

「………今は言えないわ」

 

霊夢が言える今一番の答えだった。

 

「………そう。おやすみ」

 

詠夢は絶望したような顔をしながら部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なんだよ、言えないって」

 

詠夢は怒っているわけではない。悲しいわけでもない。見捨てられたという感情が頭の中を渦巻いていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………はあ、うまく行くのかしら」

 

霊夢は危惧していた。

 

「あと57日」




最後のはなんだったのでしょうかね〜?

ではまた次回。


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勝手に動くお祓い棒

タイトルの通り、今回から

東方輝針城〜Double Dearing Character〜

に突入ですっ!

今回は詠夢くんも参戦!では三人称視点どうぞ。


「うーん、それにしても変だなぁ……」

 

お茶を飲みながら煎餅を頬張る。詠夢は空を見上げながら浮かない顔をしていた。

 

「霊夢ー、これは異変かねー?」

 

最近、霊夢や詠夢のお祓い棒が勝手に動き回っている。魔力嵐も起こり、空には不気味な雲。詠夢は異変だと確信していた。

 

「まあ、そうなのかしらね?」

 

霊夢もまた、詠夢の隣でお茶を啜る。すると

 

「霊夢、異変だぜ!私のミニ八卦炉が勝手に動き回るんだぜ!これは絶対そうだぜ!」

 

魔理沙は興奮していた。久し振りに異変らしき異変が起きたからだろう。

 

「やっぱり」

 

「そーなのかー」

 

しかし2人はぼーっとしながらそこを動かなかった。

 

「それはルーミアのやつだぜ!とにかく行こうぜっ!」

 

「「うわっ!?」」

 

魔理沙は2人の手を掴んで飛んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

道中。

 

「あら、あなた達もこの異変を?」

 

後ろから声がした。

 

「あら、咲夜も?」

 

「久し振りだな咲夜!」

 

「咲夜さんも出陣ですか。これなら負けることはまず無さそうですね」

 

十六夜咲夜。紅魔館のメイド長で、時間を操れる、ナイフ使いである。

 

「さあ、行きますか……って、敵ですね」

 

「さいきょーのあたいに勝てるかな?」

 

チルノである。正直なところ、みんなウザかったのか、すぐに終わらせた。

 

「霊符『夢想封印』」

「妖器『ダークスパーク』」

「幻符『殺人ドール』」

「妖器『無慈悲なお祓い棒』」

 

「うわっ、ちょっ、キャァァァーーー!」

 

チルノは遠くへと吹っ飛んで行った。まあ、陰陽玉とレーザー光線とナイフと巨大お祓い棒が一気に降りかかってくるのだ。吹っ飛ぶのも無理もない。

 

 

 

「さあ、次行こうぜ、次」

 

「ここには何もなかった。いいわね?」

 

魔理沙と咲夜の反応が酷すぎる。博麗姉弟はそう思いつつも勘で着実に逆さまの城へと向かっていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

霧の湖。

 

「まだまだ通そうねぇ……」

 

「そーだね…」

 

霊夢と詠夢は曇った表情で呟いた。

 

「なんで分かるんだぜ?」

 

魔理沙は不思議そうにそう訊いた。すると、やっぱりそうかという答えが返ってきた。

 

「「勘」」

 

うん、やっぱりね。という表情をよ〜く分かるように2人に見せた。咲夜は隣で黙ってその様子を見ていた。

 

 

 

 

「私に勝てるかしら?」

 

「あら、随分と強気ねえ。残念だけど、私たちには勝てないわよ」

 

その人魚は、名をわかさぎ姫と言った。おそらくこの異変の影響で強気になっているのだろう。

 

「霊夢!ここは任せろ。先に言ってくれだぜ」

 

魔理沙はうずうずしていた。久し振りの弾幕ごっこで嬉しいのだろう。

 

「わかったわ。行くわよ詠夢」

 

「うん」

 

そうだけ言って2人は先に飛んで行った。

 

「詠夢とやりたかったなぁ…」ボソッ

 

魔理沙は詠夢に対する霊夢との決定的な差を感じていた。

 

「ん?なにか言ったかしら?」

 

「な、なんでもないぜ!行くぜ咲夜」

 

「こちらからよ!水符『テイルフィンスラップ』」

 

「こんなの余裕だぜ!」

 

魔理沙は久し振りの弾幕ごっこを楽しんでいた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方、柳の運河

 

「はあ、今回の異変の黒幕、嫌な予感しかしないのよねぇ……」

 

霊夢はため息を吐きながら飛んでいた。実際、今回の黒幕は嫌なことだらけなのだが。

 

「あ、これは博麗の巫女と神主さんですか。私は赤蛮奇。私の前に伏せなさい!」

 

詠夢はすこし相手をしてやろうと赤蛮奇に話しかけた。

 

「それは嫌だね。手加減してあげるから全力で掛かってきてね☆」

 

詠夢は少し馬鹿にすると、赤蛮奇は怒ったのか勝負を吹っかけてきた。

 

「首符『ろくろ首飛来』」

 

すると、全方位レーザーと首が飛んできた。詠夢はそれを相手にしていない様子で避けた。

 

「じゃあこっちからも。奏符『協奏曲』」

 

すると、五線譜が流れてきた。赤蛮奇は美しいと言わんばかりに眺めていたが、それは彼女の周りを囲んでいく。

 

「なっ!?これは、罠だったのか!」

 

「そうだよ。じゃあ終わりにしよう」

 

詠夢はそう言うと無数の弾幕を放つ。それは閉じ込められている赤蛮奇の方へとどんどん向かっていく。

 

まあ、そのあとは言うまでもないだろう。

 

「詠夢、なかなか強いわね」

 

霊夢は羨ましそうに詠夢を見ていた。だってまだ2ボスだもんね。

 

「あんなのまだまだ、目覚ましにもならないよ」

 

「まあ……そうね」

 

確かに私もそうだと感じてしまう霊夢であった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方、魔理沙も着実に逆さまの城へと向かっていた。

 

「ここは……迷いの竹林かあ……」

 

魔理沙が言った。咲夜は何かを察知したのか、戦闘態勢に入る。

 

「私は今泉影狼y(ザシュッ)キャア!?」

 

咲夜が投げたナイフを間一髪で躱した。

 

「邪魔するなら帰っていただけます?正直……」

 

「何よ?」

 

咲夜は1つ息を吐いて話した。

 

「戦う意味が無いのよ、貴女とは」

 

咲夜は絶対に勝つと確信していた。

 

「幻符『殺人ドール』」

 

ガンッ!

 

そこには白黒の世界が広がっていた。

咲夜は数十本ものナイフを配置して、

 

「何もわからないまま貴女は消える………遺言、言わせて上げられなくてすみませんね」

 

咲夜は少し皮肉のように動かない彼女に話しかけ、

 

「ー解除ー」

 

配置された数十本のナイフが無慈悲に動き出す。

 

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁッッ!」

 

まあその後は………言うまでも無いだろう。

 

2組はどんどん攻略をしていくのであった。




「博麗の巫女が動き出したわね」

「さあ、下剋上の始まりよ!」

しかし、彼女たちは想定外だった。

【博麗の神主】の存在を

完全に

忘れていたのである。






To be continued……


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楽器の付喪神、黒幕との邂逅

今回はタイトル通り九十九姉妹と正邪の登場!

では三人称視点どうぞ。


魔理沙と咲夜は影狼を倒した後も順調に進んでいた。すると、

 

「ん?あれ、霊夢と詠夢じゃない。行きましょう」

 

咲夜はそちらへと向かっていく。魔理沙も、

 

「あ!待って咲夜!」

 

と、咲夜の後を追いかけるように飛んで行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その数分前

 

霊夢と詠夢は魔力の発生源へと近づいていく。すると、前には2人の影があった。

 

「あら、あなた達もこの力を貰いに?」

 

「違うわ、誰かと思ったら博麗の巫女と……誰かしらね?」

 

霊夢はその人たちの前に立ちはだかり、話しかけた。

 

「知ってるようだけど、私は博麗の巫女、博麗霊夢よ。んでこっちは」

 

「弟で神主の博麗詠夢です。以後、お見知り置きを」

 

霊夢は少しぶっきらぼうに、詠夢は丁寧に挨拶をしたのち、相手が話し出した。

 

「私は九十九弁々、琵琶の付喪神よ、あなた達、なかなか強そうじゃない」

 

「私は九十九八橋、琴の付喪神。あんた達を見てたけど、私の相手では無さそうね」

 

九十九姉妹は次々と2人を挑発する。詠夢もやっと吹っ切れたのか、

 

「霊夢、行くよ」

 

「ええ、ぶっ飛ばしてやるわ!」

 

すると4人はスペルカードを懐から取り出す。戦闘開始である。

 

「行くわよ!平曲『祇園精舎の鐘の音』」

 

「琴符『諸行無常の琴の音』」

 

弾幕を展開しつつ詠夢は最短ルートで弾幕を避けていく。そして、

 

「こっちも!奏符『協奏曲』」

 

「行くわよ!夢符『封魔陣』」

 

すると、お札と五線譜が彼女達の周りを囲む。そして、

 

「なっ!?これは……!逃げないと!」

 

弁々は逃げたが、八橋は逃げ遅れたようだ。

 

「相手は貴方だけですね、弁々さん。終わりにします」

 

詠夢はぴしゃりと言い放つ。霊夢はスペルカードを手にして叫んだ。

 

「霊符『夢想封印』!」

 

陰陽玉が降り注いでくる。弁々は避けられなかった。

 

「これが………博麗の巫女の力………くっ………!」

 

爆発を起こし、九十九姉妹は撃沈した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「さあ、先へ行きましょう」

 

そこには咲夜も到着していた。魔理沙もいるようだ。

 

「いたんですね、咲夜さん。さあ、黒幕をぶっ潰しましょう!」

 

詠夢は先頭に立って飛んで行った。

 

「霊夢、なんで詠夢があんなに元気なんだぜ?」

 

魔理沙はびっくりしていた。あんな理性的でクールな印象の詠夢が感情に身を任せて行動している。

 

「わからないわ。あ、着いたみたいね……って、逆さの城…?」

 

その時、霊夢の横から弾幕が発射された。霊夢は反応が遅れたせいか逃げ遅れた。

 

「結界『灼嵐の剛壁』」

 

霊夢の周りに結界が張られた。すると、隣にはいつの間にか詠夢がいた。

 

「早く出てきて下さい」

 

詠夢の呼びかけに応じて出てきた。しかしそれは、詠夢の理性を完全に失わせる人物だった。

 

「私は鬼人正邪。今回の異変の黒幕だ。さあ博麗の巫女と……神主さんも来ていたか。まあ、そんなに影響は無いだろう。さあ、私たちは強い者を倒して反逆してみせる!」

 

「……る………い」

 

「へっ!怖気付いたか。これだから………」

 

「お前だけは………絶っ対に許さない!」

 

詠夢の目は青かった。しかし今回はそれだけでなかった。彼自身の体がほのかに青く光っていたのだ。

 

「へっ!行くぞ!欺符『逆針撃』!」

 

正邪は回避不可能な弾幕を展開した。しかし詠夢は

 

「無駄」

 

と一言つぶやき、お祓い棒を翳す。すると

 

「なに!?弾幕が消えた……!」

 

「お前だけは許さん………コロス」

 

詠夢は狂気に満ちた笑顔で正邪を歓迎する。そして、

 

「妖器『無慈悲なお祓い棒』」

 

巨大化したお祓い棒を詠夢は一心不乱にぶん回す。正邪はそれに当たり、地面に叩きつけられる。しかし詠夢は止まらず、弾幕を展開した。

 

「ハハハ!コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!」

 

「詠夢!そろそろ止めなさい!」

 

しかし詠夢はそれを聞かなかった。

 

「死ね!『ミステリアス☆エンド』」

 

彼のラストスペルだ。

 

すると、博麗大結界が光り出す。そして、正邪目掛けて何十本ものレーザーが向かってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢たちも爆風に巻き込まれて吹き飛ばされそうだった。

 

詠夢の狂気は収まりそうになかった。次に、刀を抜いて正邪に近づく。

 

「遺言は」

 

彼は一歩、もう一歩と正邪に近づく。正邪は怯えた様子で、逃げようにも怪我をして、動けない状況にいた。

 

「言わせないから」

 

ジリジリと距離が近づいていく。正邪は手を上げて降参、降参しますと言っていたが詠夢は気にせずに喉元に刀を突きつけた。

 

「待ちなさい」

 

霊夢の声がした。その時、詠夢は正気に戻ったようだ。

 

「あ………あぁ……ぁぁあぁ…」

 

周りの木々はなぎ倒され、荒地になっていた。

 

「これ………全部僕が……」

 

「そうよ。でも、結果として今回の黒幕の1人を倒せた。良かったじゃない」

 

詠夢は何とも言えない顔をしていた。罪悪感に浸っているようだ。

 

「さあ、異変はまだ終わってないわよ!行くわよ詠夢!」

 

「…………うん!」

 

そして、4人はもう1人の黒幕【少名 針妙丸】の元へと向かって行ったーーー

 

To be continued……




はい!正邪はボロ負けに終わりました。

そして、恐らく次回で輝針城は最後となります!雷鼓までいけるか心配ですが…。

ではまた次回。


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Double dearing character

今回で輝針城完結!因みに詠夢のスペカはパズドラからインスピレーションを受けています。

では三人称視点どうぞ。


前回のあらすじ

 

正邪フルボッコ

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

霊夢達は輝針城の天守閣に来ていた。

 

「あら、やっと来たのね。博麗の巫女」

 

と、面と向かって霊夢に言い放ったのは一寸法師の末裔、少名 針妙丸。今回の異変の主犯である。

 

「私が博麗の巫女、博麗霊夢よ。こっちは霧雨魔理沙と十六夜咲夜。この異変、止めて欲しいのよねぇ。幻想郷のバランスが崩れるわ」

 

「なら……全力で叩きのめすだけよ!小弾「小人の茨道」」

 

すると、針妙丸は通常弾幕の中に1つ緑の自機狙い弾が入った弾幕を展開した。

 

(近づくと止まる……その間にそこをすり抜ければ……行ける!)

 

霊夢は自分を信じて弾幕に突入して行く。すると、予想通りにいった。

 

「じゃあこっちからも。夢符『封魔陣』」

 

針妙丸は札をその小さい体でスルスルと回避していく。

 

「なっ!?こんな簡単に攻略されるなんて…」

 

「まだまだね!小槌『もっと大きくなあれ』」

 

すると、近づいてくる弾幕が大きくなる。これはさすがに避けづらそうだった。魔理沙が脇腹を抑えている。恐らく被弾したのだろう。

 

「クッソー…!こうなったら、妖器『ダークスパーク』!」

 

魔理沙が放った光線を少し警戒しながら躱す針妙丸。そして針妙丸も反撃に出る。

 

「これならいける……!妖剣『輝針剣』!」

 

ナイフ弾幕が3人の視界を覆う。そこで3人が思った。

 

(詠夢……早く来て………!)

 

すると、

 

「結界『灼嵐の剛壁』!」

 

3人は弾幕結界に包まれる。ここは被弾しないで済んだようだ。

 

「詠夢!」

 

「喋っている暇はないよ!星天『煌月の世界』!」

 

すると、7色の弾幕がスピード違いで発射されていく。

 

「くっ!避けづらい!こうなったら!『七人の一寸法師』!」

 

針妙丸が7人になった。詠夢と霊夢はすぐに動き出す。

 

「霊符『夢想封印』!」

 

「霊符『詠想封印』!」

 

咲夜は遅れをとって、

 

「幻符『殺人ドール』!」

 

最大限ナイフを配置し、

 

「ー解除ー」

 

時はまた動き出す。七人の針妙丸に陰陽玉とお札、ナイフが襲いかかる。

 

針妙丸は撃沈した。

 

「さて、持ち帰ろうかしら」

 

霊夢は針妙丸を虫かごに入れて保護(?)した。

 

「さあ、帰ろう」

 

詠夢はそう言って帰路へとついた。

 

のだが、やはりextraステージが残っていたようで。

 

「私は堀川雷鼓、太鼓の付喪神よ。勝負しなさい!」

 

詠夢は面倒くさそうにしながらも勝負を引き受けるのであった。霊夢も一緒だった。

 

「行くわよ!一鼓『暴れ宮太鼓』」

 

すると、太鼓が向かってくる。弾幕で壊すと弾幕が展開されて厄介である。

 

「まだまだ!二鼓『怨霊アヤノヅツミ』!」

 

すると、霊夢と詠夢は四方八方からV字弾幕の集中砲火を受ける。

 

「くっ!夢符『二重結界』!」

 

「重ねて夢符『二重結界』!」

 

こうすることで四重の結界が張られ、効果時間も長くなるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの激しい弾幕ごっこは約数時間続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は、ラストスペルの「プリスティンビート」でパターンに入ってしまったのである。霊夢と詠夢は多く被弾をし、服もボロボロだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、懐の白紙のスペルカードが光った。

 

「……霊夢」

 

「これにかけるわね」

 

 

 

 

 

 

 

「「双夢終天」」

 

 

 

 

 

 

2人が互いの手を握りしめて言い放つと、周りに強力な結界が展開されて、超巨大陰陽玉が7色の尾を引いて雷鼓へと向かう。

 

「じ、実力差がありすぎる」

 

雷鼓はそう言い残した。

 

そのあと、周りの地面がどうなかったかは察して欲しい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方2人はというと、霊夢は服が破けてサラシが少し見えている。一部の男子と百合好きの女子は大歓喜するのだろうが、詠夢も詠夢で上半身の服が破けて白の袴が血で少し赤く染まっていた。一部の女子が大歓喜である。

 

「と……とりあえず……博麗神社に戻るわよ」

 

「そ……そうだね」

 

博麗姉弟はヘロヘロになって博麗神社に引き上げるのであった。




なんか上手く終わらなかった気が……

まあいいや、それでは次回、どうなるか分かりません。

ではまた次回。


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【コラボ前編】出会い、そして始まり

今回から、主人公が変わった

声無し妖怪の自由賛歌〜妖怪少女はコミュ障だった〜

のシバン様とコラボです。

では詠夢視点でどうぞ。


異変の夜。

 

ボロボロになった僕たちが博麗神社に帰るとき、僕は神社に続く参道で2人の人影を見つけた。

 

夜の道は危険で、かつ博麗神社の参道は森を通るので夜はモロ妖怪のテリトリー内である。

 

そして、やはり妖怪は出てくる。来月の30日で僕は12歳になるのだが、あの姉弟は10歳くらいだろう。

 

「霊夢、先帰ってて」

 

僕はそう言ってそちらへと飛んで行った。

 

そんで着地してから退治しようと思った瞬間、妖怪の群れは2人に襲いかかった。

 

「キャア!?」

「うわっ!?」

 

パシュッ

 

「お札投げる準備しといて良かった」

 

僕は咄嗟の判断で空からお札で奇襲攻撃をした。すると、案の定かかってくれた。でもこれは一時的な拘束用なのですぐに抜け出すだろう。僕は着地して

 

「神刀『クリスタルソード』」

 

と宣言して手をパーにして上にかざす。すると、青白く光った日本刀が現れた。

 

「さて、ルール違反の奴等はきっちりと始末します」

 

とだけ僕は言う。

 

 

 

ザシュッ

 

 

 

刀を1回転しながら一振りすると、周りの妖怪の群れ数十匹が次々と倒れていった。

 

詠「もう暗いですし、家まで送りましょうか?」

 

僕が話しかけると、彼らは口を開かなかった。

 

詠「うーん……じゃあ名前は?なんて言うの?」

 

紅「天叢 紅映です」

 

陽「天叢 陽伸…?って言います」

 

なんで疑問系かは置いといて、天叢……どこかで聞いたことがあるぞ…?

 

詠「もしかして、陽那さんの子ども!?」

 

紅「陽那さん……パパのことかな?」

 

陽「そう……じゃないの?」

 

僕はその時気づいた。

 

(あ……これ未来から来たパターンだ)

 

詠「じゃあ、とりあえず家来ますか?」

 

紅「そうさせてもらおうかな?」

 

陽「そういえば、お兄さんの名前は?」

 

詠「あ、僕?僕は、博麗詠夢。霊夢の弟です」

 

「「霊夢の弟!?」」

 

何かあった?という顔で僕は2人を見つめてるんだけどなんか2人とも動揺してる……

 

「あっ……と、とりあえず行こ…ね…」

 

僕は慰め方に困りながらも博麗神社へと案内した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

詠「霊夢ーただいまー、こっちは天叢陽那さんの子どもさんだよー」

 

霊「なっ!?くらいなさい!霊符『夢想封印』!」

 

急に放って来たので僕は咄嗟に守りに出る。

 

詠「結界『灼嵐の剛壁』!待て霊夢!この子たちはまだ戦えないから!」

 

僕がそう言うと、霊夢は攻撃を止めた。

 

霊「そう……じゃあ、今日は私がご飯を作るわね」

 

詠「分かった……じゃあ家の案内をするね」

 

それで僕はトイレの場所、お風呂の場所、居間と、客間(紅映ちゃんと陽伸くんが寝る場所)を案内して自分の部屋に戻った。すると、

 

《やっほー》

 

詠「うわっ!?は、陽那さん!?」

 

陽那さんが出てきた。

 

《んで、早速なんだけど2人をこっちの次元に送った理由、わかる?》

 

2人……紅映ちゃんと陽伸くんの事だろうか…?

 

「自分の妹紅の定位置を取られたから?」

 

《そ、それもあるけど。実は、詠夢に特訓を頼みたいんだ》

 

図星のようだ。

 

詠「と言いますと……?」

 

《2人が強くなりたいって口だけでさ、全然修行も稽古もしないんだよね、だから詠夢なら頼めるかなーって》

 

詠「じゃあ妖怪退治の練習、ですか?」

 

《そうそう。自分流で良いから、また1週間後。じゃあお願いね〜》

 

詠「あ、陽那s………行っちゃった」

 

僕はとりあえず2人の部屋へ行って話を聞くことにした。

 

ガラッ

 

紅「あ、詠夢さん」

 

陽「どうかしたんですか?」

 

詠「……あなた達は、強くなりたいの?」

 

紅・陽「はいっ!」

 

詠「そうか。じゃあこれから1週間、2人には特訓をしてもらいます。妖怪退治の特訓です」

 

紅「楽しみ〜!明日からですか?」

 

詠「そうなります。でも、そんな甘いものではないのでそこは覚悟してください」

 

陽「は、はい。ところで詠夢さんは強くなりたかった理由、あるんですか?」

 

痛いところを突かれた。霊夢を守りたい一心だったのだけど恥ずかしいからな……でも、正直になろう。

 

詠「……霊夢を守りたかったんです」

 

「「……へ?」」

 

詠「いつも僕を1番思ってくれた自分のお姉ちゃんを、今度は恩返ししたかった、それだけ」

 

少しの沈黙が訪れた後、霊夢の声が響く。

霊「ご飯よー」

 

詠「さあ、夜ご飯食べよ」

 

僕は食卓のある居間へと案内した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

就寝前

 

詠「じゃあ、明日は早いから早く寝てね?」

 

陽「はい!おやすみなさい」

 

紅「おやすみなさい!」

 

詠「おやすみ」

 

2人は隣同士、向かいあって寝ている。僕は自分がまだ小さい頃の記憶が脳裏をよぎる。僕と一緒に寝てくれた霊夢のことが頭に浮かんできた。

 

霊「ねえ」

 

詠「ん?」

 

霊「あれ見てよ。仲良さそうね」

 

詠「そうだね……」

 

僕と霊夢は一つ息をついて同時に話す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「懐かしいねぇ…………」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日の朝。

 

詠「ほら起きろー」

 

僕は手を叩きながら2人を起こす。まだ眠そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず朝ごはんを済ませて、家事をこなしていく。すると、

 

陽「僕も手伝います」

 

と率先して手伝ってくれた。この子、すっごい良い子。

 

詠「ありがとうね」

 

陽伸くんのおかげで家事も早く終わって早く特訓に入れた。紅映ちゃんは何してるんだろって思ったら霊夢と空飛ぶ練習をしてた。

 

詠「じゃあ特訓始めるよ、まずは妖怪退治の流れ。霊夢が妖怪だと思ってやるからよく見てて」

 

そして僕はまず霊力を込めたお札を鎖状にして妖怪(霊夢)に投げつける。妖怪がお札に拘束されたところでそいつの暴れ具合を調べるように指示する。暴れるようだったら霊力を強めて調整し、静かになったらもう一度、お札を頭かお腹のあたりに貼って霊力を込める。僕と霊夢はそこをお祓い棒でやっちゃうけどね。それで妖怪が動かないか逃げたら退治完了。弾幕戦と肉弾戦は後々教えるとしよう。

 

詠「って感じでやる。これなら空飛べなくても出来るっしょ?」

 

あ、霊夢がかなりへばってる……本気でやりすぎたかな。

 

紅「それなら出来そうね。まずは何すれば良いですか?」

 

詠「まず……お札を投げるとこからかな?」

 

陽「分かりました、やってみます」

 

そして2人は楽しみながら身体で覚えていった。やはり楽しみながらが1番のようだ。

 

特訓は順調に進んでいた。

 

 

To be continued……




今のところ前中後編の3話にしようと考えています。ストーリー性アリアリで進めます。

ではまた次回。


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【コラボ中編】鬼詠夢

今回はタイトル通り性格が鬼の詠夢くんの登場です。正直ヤバい。

ではどうぞ。詠夢視点です。


前回のあらすじ

 

2人、特訓を始める。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日。

 

紅映も陽伸も、だんだん上達してきてるんだけど、何かが足りない気がする。

 

それを今、神社の仕事しながら探してるんだけどなかなか見つからない……

 

あ、陽伸のは思いついた。

 

陽那さんが

 

《根性が足りない》

 

とか言っていた。

 

そうだ、弾幕を教えよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠「ってことで、今日は弾幕を教えようと思いまーす」

 

あ、やっぱりそう聞くと紅映ちゃんはノッてきた。陽伸くんは……いつも通り、真剣だね。偉い偉い。

 

魔「弾幕って聞いて来たぜ!」

 

どこから湧いて出た……

 

魔「心の声がダダ漏れなんだが…」

 

詠「なんでもないです(キリッ」

 

魔「実戦を先にやろうぜ?な?」

 

詠「あーはいはいそーしますよー(棒)」

 

って言って僕と魔理沙は空飛んで始めた。

 

魔「先手必勝だぜ!魔符『スターダストレヴァリエ』!」

 

詠「ならこっちも!星天『煌月の世界』!」

 

赤、青、緑、黄色や紫の弾幕がスピード違いに飛んできて魔理沙の弾幕を相殺する。

 

一部がそれを抜けて飛んで行ったり飛んできたりしたけれど余裕で避けられるレベルだ。

 

魔「決着つけるぜ!恋符『マスタースパーク』!」

 

詠「霊符『詠想封印』!」

 

レーザー光線は陰陽玉と、お札は周りの星型弾幕とぶつかり合う。

 

詠「くっ……威力で負ける………!照符『神座の光明』!」

 

僕はレーザー光線に突っ走っていった。

 

上空で爆発が巻き起こっても僕は無事だった。

 

照符『神座の光明』。味方を治癒&二回被弾まで被弾しても無効化するスペル。

 

アマテラスさまさまだね。

 

魔「え、詠夢!?」

 

詠「大丈夫。体ちゃんとあるから」

 

地面に降りた後、紅映や陽伸からすっごい心配された。(呼び捨てなのは2人に呼び捨てでいいって針みたいなお札投げられたから)

 

紅「怪我はないですか!?」

 

陽「本当に大丈夫ですか!?霊夢さん!」

 

陽伸は霊夢の方を見ているが、霊夢は僕のスペカを知っているのか首を縦に振っているだけで動かない。ってか霊夢は神社の仕事しろよ。

 

詠「霊夢ー!神社の仕事はー?」

 

霊「あっ……そ、そうね。行ってくるわ」

 

なんか霊夢も心配そうにしていたけれど大丈夫かな?

 

詠「まあ、とりあえずこんな感じ。じゃあ、集中して何か感じるものがある?」

 

すると2人は目を閉じた。しばらくすると、返事が返ってきた。

 

「「何か感じます」」

 

やっぱり初心者でも感じるか……やはり妖力と霊力どっちもあるな……

 

詠「じゃあ今度は、それを手に集中させて出ろーって思ってやって見て、出たら成功だよ」

 

すると、紅映は右手から青、左手から赤の弾幕が出た。青が霊力で赤が妖力である。やっぱり半妖なのね……

 

陽伸からは赤を青で包んだような弾幕が出てきた。こちらも半妖なのは分かったけどやっぱり少し人間よりか……

 

紅「あ、なんか出た」

 

陽「本当だ、なんか出た」

 

詠「これが弾幕。スペルカードについてはあっち帰ったら陽那さんと話し合ってやってね」

 

陽「分かりました」

 

詠「んじゃ次、被弾についてだね」

 

さらっと始めたけれど、生死を分ける重要なことであり結構地獄である。僕と霊夢が修行中の身の時、毎日血を吐いていた記憶が蘇る。ああ、思い出しちゃった。

 

詠「これ、当たって見て」

 

ここから、地獄の訓練が始まる。人呼んで「鬼詠夢」である。

 

そして僕は青と黄色(神力)の弾幕を放つ。種類?

 

もちろん、至近距離で「パスウェイジョンニードル」である。

 

 

グサッ

 

 

紅「ぐっ……!」

 

陽「お、お姉ちゃん!?………(グサッ)ガハッ!」

 

因みに2人とも血を流してもがき苦しんでいる。僕はそんなことお構いなしに僕や霊夢が普通使っている「ホーミングアミュレット」でどんどん弾幕を2人に当てる。

 

紅「も…もう………」

 

陽「や……め…て………下さ……い……」

 

なに?もう終わり?貧弱だな…

 

詠「照符『神座の光明』。はあ……弱すぎ。そんなんじゃ強くなんかなれないよ。これから朝起きたら人里と神社のあいだを30分以内に往復すること。いい?」

 

「「は……い……」」

 

とりあえず応急処置として傷口は塞いだけれど、陽那さんが言っていた通り。これじゃあなんにも出来ないな…どーしよ……

 

霊「あの子達の問題よ、気にしないの」

 

詠「えっ?」

 

霊「私たちが修行中の時、紫は何もしないでただ見てるだけだったわよね?それと同じよ」

 

あ、そーか。まあ、そうだったもんね。

 

詠「わかった……そうするよ」

 

僕はそのまま母屋へと帰った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

夜ご飯前。

 

僕が居間を通りかかると、泣き声が聞こえた。紅映だろうと思い僕は耳を傾ける。

 

紅「私……強くなりたい……のに……グスッ……うぅ……まだ私……弱すぎて……」

 

陽「そ、そんなこと…ないよ!お姉ちゃんは絶対に強く……なってるって………うっ………お姉ちゃんが泣いてると…こっちまで……泣いちゃうじゃないか!うわーん!」

 

それは僕の心に深く刺さった。襖の奥で僕は少し涙を滲ませつつも、

 

「僕は……絶対に泣いちゃダメだ!」

 

と言い聞かせて自分の部屋に戻った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

翌日。

 

詠「ほら!もっと早く走れんかい!」

 

バシッ!

 

陽「は、はいぃっ!」

 

僕は今、走っている陽伸をムチで叩きながらアドバイス(指導)してる。もう今日は肉弾戦を教える日だから容赦はしない。体がどうなろうとやり通す。驚きの紫のスパルタ教育法である。

 

詠「ほれ!男なんだからもう少し胸張れ!」

 

バシィッ!

 

陽「うぐっ……は、はいっ!」

 

陽伸は涙を滲ませながら走る。今日は本気の肉弾戦の日なので下手すると大怪我に繋がるからである。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠「じゃあ今日は肉弾戦について。少しは陽那さんから学んでるはずだから霊夢に相手してもらうけどとりあえず見本ね。霊夢ー!」

 

僕は霊夢を呼ぶとすぐに、

 

「物理弾幕『博麗ボンバー』!」

 

と言ってお祓い棒を持って殴ってくる。僕は霊夢の腕を掴んで地面に投げつける。

 

「ぐっ……」

 

すぐに起きて……あ、蹴ってきた。軽く身を傾けて避ける。実は弾幕より肉弾戦の方が得意である。

 

あ、突進してきた。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

僕はとりあえず避けて後ろに行ったところを蹴って地面へとうつ伏せに倒れさせる。そして霊夢の頭を踏みつける。

 

霊「がっ……!?え、詠夢ギブ……」

 

しょうがないので霊夢を解放して2人の方を見る。明らかにガタガタ震えているのがわかった。

 

詠「ほら、手加減してやるから、全力でかかって来いよ?」

 

すると、先に動いたのは紅映。蹴りをかまして来たのでその足を掴んで地面に叩きつけた。

 

ズドン!

 

紅「ぐっ……!」

 

再起不能のようだ。すると陽伸が目の色を変えて攻撃していた。僕も目の色を変えて(物理)反撃する。

 

陽「目の色が……か、変わった…?」

 

でも、陽伸は強い決意を持って僕に向かってきた。ここ数日で一番成長したと思った所だ。それでも心が強化されると自然と体もついていくようだ。

 

陽「でも……僕はお姉ちゃんの分まで頑張る!はぁぁぁぁっ!」

 

うん。でもまだ弱いな。攻撃がすごい単純だし、軽い身のこなしで避けられる。そんで僕は

 

「とりあえず決着つけようか」

 

って陽伸に宣言した直後。とりあえず彼の首を手で締め上げた。

 

陽「あっ……あぁ………ぐぁぁぁああ!」

 

すると、やはり烏天狗だね。凄い破壊力を持って突破したよ。やっと本性が見えた。

 

陽「はぁ……ぐっ……はぁ……」

 

僕はさすがにまずいと思い、お祓い棒を取り出して彼の頭を踏みつけた。

 

カツっ。

 

お祓い棒を陽伸の頭に突きつけて話した。

 

詠「まだまだ。もう一回、その脆い体をどうにかしてから出直しな!」

 

陽「がっ……がはっ…!く…そ……」

 

少し血を吐いているけどまあ大丈夫だろう。彼の顔には悔しいという感情一色が映っている。そうやって人は強くなるもんだ。

 

陽「でも……僕は負けない!」

 

僕は柔らかい笑顔を陽伸に向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー頑張れ、陽伸。

 

To be continued……




はい。詠夢の裏の顔を書こうとしたらこれですよ!

あれだね。姉弟というより弟の陽伸くんの成長物語的な感じになってる。

次でコラボ最終回!紅映と陽伸はどこまで強くなれるのか!?

ではまた次回。


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【コラボ後編・最終回】戦い、そして別れ

今回でコラボは最後です!

では詠夢視点どうぞ。


2人がここに来て5日がたった。

 

紅映は才能があるので、それで特に弾幕に優れていた。

 

陽伸は努力型だね。1日中ずっと濃い内容をやればやるほど成長してる。まだやらせてないけど剣術が得意そうだね。

 

詠「2人とも凄いじゃん!なんだやれば出来る子じゃん」

 

紅「あ、ありがとうございます///」

 

陽「それに対して僕なんて……はぁ」

 

え、えーと?ちょっと?泣かないで?

 

詠「は、陽伸もほら、肉弾戦得意になったじゃん!だから、ね?元気出して!」

 

陽「そ、そうですか?なら良かった……」

 

陽伸はホッ、と一つ息をついた。良かった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠「じゃあ今日は刀に少し触れます。今日も少し危ないかも」

 

僕は2人に竹刀を渡す。僕は腰に付けていた(妖怪退治帰り)本物の刀を抜いて説明を始める。

 

詠「じゃあとりあえず素振り50回くらいして」

 

紫「それなら妖夢をすぐにでも呼ぶわよ?」

 

紅・陽「うわっ!?」

 

驚きすぎでしょ……まあ、最初なんてそうか。

 

詠「それならお願いしてもいい?」

 

紫「まあ、いいわよ」

 

詠「というか、紫ずっと特訓見てたんでしょ?バレバレだよ」

 

紫「あら、そう?」

 

すると、

 

妖「キャッ!」

 

妖夢が落ちてきた。

 

詠「よ、妖夢?」

 

とりあえず妖夢に事情を説明して、僕と1回戦ってもらうことにした。

 

紅映はまあまあ刀もブレてないし、大丈夫かな。

 

陽伸は最初は刀がぐわんって曲がりながらだったけど、やってるうちにどんどん上達していってもう今はブレもなくフォームも完璧。

 

あとは2人とも動体視力とか反射神経だね。そもそも鴉天狗との半妖だからそれは大丈夫そうだけど。

 

詠「はい2人とも終わったね。じゃあ妖夢と実戦やるから見ててねー」

 

僕は目の色を変えた。そうしないと本物の刀でやるからめっためたに斬られます。

 

妖「行きますよっ!この妖怪が鍛えた楼観剣に、斬れぬものなど、あんまりない!」

 

いただきました。定番のセリフ。

 

グインッ!

 

風をきる妖夢の剣の音が鳴る。もちろん僕は避けて、反撃。

 

ガキンッ!

 

金属音が境内に鳴り響いた。

 

そのあとは、だって?5分くらいずっとやってたよ。途中から妖夢が刀二本にしたから僕ももう一本増やして応戦したよ。激しくなりすぎて僕が

 

詠「妖夢待て!そろそろ2人に当たりそうで危ない!」

 

って止めちゃった。

 

妖「じゃあ私の勝ちですね♪」

 

詠「なぜそうなった」

 

なんか隣ですっごいガクガクブルブル青鬼のたけし君状態になってる。あ、僕なんか右の腕少し斬られて袴がほのかに赤く染まってた。

 

詠「って感じ。まずは体に叩き込むだけなんだけどね。僕はこれはね……紫経由で妖忌さんの技を少し教えてもらったよ」

 

すると妖夢の顔が真剣な目つきに変わった

 

妖「師匠様、ですか?」

 

詠「え?うん、そうだよ。じゃあ妖夢、相手お願いできる?」

 

妖「あ、はい」

 

詠「じゃあお願い!」

 

僕は神社の仕事へと戻っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その日の午後。

 

慧「た、大変だ!凶悪妖怪が……」

 

慧音が相当息を切らせている。相当大事なのだろうと思った。

 

僕は陽伸たちに一言告げて出ようかと思い縁側で剣術練習中の2人の元へと向かった。

 

詠「紅映ー?、陽伸ー?僕妖怪退治に行ってくるからねー」

 

紅「妖怪退治!?私が行きます!」

 

ビュン!

 

すぐに紅映は飛んで行ってしまった。陽伸も後に続いて

 

陽「僕も!紅映待ってー!」

 

行ってしまった。

 

僕は頭を抱えて悩んでいた。

 

霊「どうしたの?そんな悩んで」

 

詠「実は妖怪退治を依頼されたんだけど紅映と陽伸が行っちゃってさ……」

 

霊「行かせとけばいいじゃない?」

 

詠「でも今回は普通に霊夢が関わるレベルらしいよ」

 

霊「うーん……じゃあ私たちもそっちへ行くけど、これはね、あの子たちの戦いなの。本当にピンチになったら行く。これで良い?」

 

詠「わかった」

 

僕は少し不安になりながらも博麗神社を後に人里へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

僕が人里に着いたときには、既に戦いが始まっていた。

 

紅映がお札で攻撃を仕掛ける。しかしそのたくさんの触手を持った妖怪はビクともせず、そのままだった。

 

紅「くっ……なんで効かないの……」

 

次に紅映と陽伸が弾幕を撃ち始める。すると妖怪も応戦して弾幕を放つ。密度は濃かったものの僕の特訓で避けられているようである。

 

「へっ!そんなんじゃ博麗の神主と巫女は相当弱いんだろうな!あー、期待した俺がバカだった」

 

キレますよ?僕と霊夢がキレますよ?

 

紅「確かに私は弱いけど2人なら……!陽伸!」

 

陽「うん!行くよ!」

 

すると2人で弾幕を放つ。赤や青の弾幕が飛び交っているなか、慧音先生がやってきた。

 

慧「噂に聞いていたが、弟子とはあの子たちのことか?」

 

詠「はい。でもまだまだで……」

 

慧「あのくらいなら十分、人里の自警団より上だろうな」

 

詠「まあ、戦闘を前提に教えましたからね」

 

すると突然、

 

紅「キャッ!?」

 

紅映が拘束された。

 

陽「お、お姉ちゃん!?」

 

妖怪「これで1対1。さあ、かかってこい!」

 

って言ってももう無理だって僕は思った。けど、

 

陽「分かりました……その勝負、受けて立ちましょう!」

 

メンタル面がここに来た時とまるで別物のように強くなっていた。やはり正義感が強い子なんだなって思ってる。

 

弾幕を放ったり、お札を投げたり、時に斬りかかったり。

 

しかし全然効果がないようだ。そして、最悪の事態が起こってしまう。

 

妖怪「さあ、もう終わりだな」

 

妖怪は2つの触手を鋭く尖らせて、紅映と陽伸に向かっていく。

 

 

 

 

その瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は陽伸の前に手を広げて。

 

霊夢は紅映に覆い被さって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グサッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詠「ガハッ……!」

 

霊「ああっ……!」

 

僕と霊夢は身代わりになった。だってここで2人に死んでほしくなかった。

 

陽「え、詠夢さん!」

 

紅「霊夢さん!」

 

僕たちは力を振り絞り声を出す。

 

詠「僕たちは……」

 

霊「大丈夫…だから……」

 

「「逃げて……」」

 

これ以上2人に無駄な戦いをさせたくなかった。だから、僕たちで倒す!

 

僕が飛んだ後には血がポタポタと垂れていた。

 

詠「僕の弟子を殺そうとした……お返しです」

 

霊「存分に……苦しみなさい…!」

 

霊夢も同じく、赤い巫女服が余計赤く染まり、腋から先の離れている白い部分までも赤かった。

 

でも、ここで負けるわけには行かない!

 

詠「ミステリアス☆エンド!」

 

霊「夢想…天生!」

 

後ろからレーザーが、前からは巨大陰陽玉が迫ってくる。

 

そして、妖怪は無事退治されるのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その日の夜ご飯。

 

陽「僕は……詠夢さんを守りかった……のに、グスッ。ううっ、逆に怪我させた……僕って弱虫だな……」

 

陽伸は自分を悔いているようだ。それに紅映じゃなくて僕を、守りたい。ねえ……知らなかったな。

 

紅「私も……霊夢さんの背中を追ってここまで来たのに……あんなになっちゃって……うう」

 

ちなみに霊夢も僕も包帯ぐるぐる巻きである。

 

陽「はい、アーン」

 

パクっ。

 

詠「あ、そうだ。今日が最後の日だし、みんなで一緒に寝ない?」

 

みんなが目を丸くした。

 

紅「へっ?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ってことで就寝前。

 

詠「おやすみ。2人ともしっかり寝るんだよー?」

 

僕は陽伸を抱いて、陽伸は紅映を抱いて、紅映は霊夢を抱いて。

 

紅「はい!」

 

陽「おやすみなさい!」

 

霊「わ、私は?」

 

詠「もちろん、霊夢が一番大切。おやすみお姉ちゃん」

 

霊「おやすみ、詠夢」

 

紫によると、仲が良い家族に見えたとか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日の朝。

 

詠「じゃあ、気をつけてね〜!あと、陽那さんにもよろしく言っといてね!」

 

陽「はい!またどこかで会いましょう!」

 

紅「霊夢さん!ありがとうございました!」

 

霊「私もよ紅映。ありがとね」

 

ちなみに、絶対に途中で読まないようにっていう約束で陽那さんに手紙を渡すようにお願いした。ちなみに内容は、

 

 

 

 

2人ともこの1週間でかなり成長したところがありました。

 

特に陽伸くん、心身ともにとても強くなったと思います。

 

こちらも幾つか学ぶものがありました。

 

陽那さん、本当にありがとうございました。

 

追記

 

このDVD、2人が戦っている様子が写っています。是非見てみてください。

 

 

 

って書いてある。こんなの見られたら恥ずかしいもんね。

 

まあ、この1週間。とても楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーありがとう、紅映。

 

ーーーありがとう、陽伸。

 

ーEndー




今回でコラボは終了です!

シバンさん、ありがとうございました!

ではまた次回。


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小鈴の風邪

東京在住なのに謎の臨時休校でヒャッハー!なだぴょんです。

今回は久々の小鈴登場!

小鈴ファンのみんな、遅くなってごめんね?

では詠夢視点どうぞ。


僕はいつもの通りに博麗神社の仕事をこなしていた。

 

大半が参拝目当てでくるのだが、たまに僕目当てで来る人もいる。

 

ちなみにそのことについて霊夢は、

 

「お金を落としてくれるならなんでもOKよ☆」

 

とか言ってた。あの腋、どんだけお金に執着してんだよ……

 

side out

ーーーーーーーーーーーーーーー

三人称視点

 

そして、詠夢が人里に買い物をしに行った時。

 

「え、詠夢…」

 

「あ、小鈴」

 

鈴奈庵の小娘、本居小鈴である。

 

「今日はどうしたの?」

 

「どうしたのって……別に、夜ごはんの買い出しに来ただけだけど?」

 

そこで詠夢はある「こと」に気づいた。

 

「小鈴、ちょっとごめん」

 

そう言って詠夢は飴色の髪で隠れている小鈴のおでこに手を当てる。

 

「あっ……」

 

「やっぱり……」

 

詠夢の予想通り、熱があった。

 

「ご、ごめん」

 

小鈴は元気をなくした顔で詠夢の方を向いて頭を下げる。

 

「じゃあゆっくり休んで……って僕が言うと思った?家まで送るよ」

 

詠夢がそう言うと、小鈴をお姫様抱っこして鈴奈庵まで飛んだ。小鈴がこっ恥ずかしそうにしているけど今は風邪を治すのが優先だ。

 

「ごめんなさい……詠夢に迷惑掛けちゃって」

 

「いいよ。僕は気にしてない」

 

とりあえず小鈴の家(鈴奈庵の裏)に着いてすぐ、小鈴を寝間着に着替えさせて、熱を測る。なぜか小鈴の家に体温計があったから借りた。

 

「39.7℃……ひどい熱。とりあえず布団で休んでな」

 

詠夢は素早く布団を押し入れから出し、小鈴を寝かせる。いつもの鈴のついている髪留めは外したので、完全に髪を下ろしている。

 

「ゴホッ、ゴホッ……詠夢、まだ仕事あるんでしょ?」

 

小鈴は仰向けになりながら上にある詠夢の顔を見て、話し始めた。咳も出て、本格的に悪化し始めている。

 

「小鈴の為ならなんでもするよ」

 

詠夢は優しく小鈴の頭を撫でる。

 

「あ、少し買い物してから、博麗神社に戻って霊夢に事情を話してからすぐ戻る」

 

「……行かないで」

 

「すぐに戻ってくるから、少し待ってて」

 

詠夢は小鈴の家を飛び出して行った。

 

「…詠夢ぅ……行かないでよぉ〜」

 

小鈴の目には涙が溜まり始めていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「小鈴ー?ただいまー」

 

「詠夢!」

 

「うわっわわっ!?」

 

小鈴は布団からガバッと起き上がり少し小柄な詠夢を上から抱きしめる。

 

「ほら、布団に行くわよ!」

 

小鈴に案内されて布団に行くと、そこには布団が2つ、並べて置いてあった。

 

詠夢も寝間着に着替えて少し横になった。

 

小鈴と一緒にいた後、タオルを取り替えようと布団を出て歩き始めようとした。すると……

 

「……ん?」

 

誰かに寝間着の裾を掴まれた。というか、誰かというより小鈴である。

 

「行かないで……」

 

小鈴のか細い声が詠夢の脳内に響く。

 

「でも、小鈴が……」

 

「いいの。だから、お願い……行かないで……」

 

小鈴は布団から目だけを出していた。今にも目の下に溜まっている涙が溢れ出しそうだ。

 

「……わかった。今日は絶対にここにいるから」

 

普段は言わないわがままを、今日だけは言ってしまった小鈴。しかし彼女の表情は安堵へと変わっていた。

 

「詠夢……詠夢……!」

 

小鈴は彼の名前を呼び続ける。詠夢は優しく彼女を見つめていた。

 

「泣きたいときは……」

 

詠夢の優しい声が小鈴の心までに響く。小鈴は隣の布団から彼の近くへと寄っていく。

 

「泣いても良いんだよ。ほら、こっち来な」

 

そのまま小鈴は詠夢に抱きついてわんわん泣き出した。それを詠夢は、自分の胸でただただ受け止めるだけだった。

 

「詠……夢………え……い…むぅ〜……」

 

「大丈夫だよ小鈴」

 

詠夢は優しく話しかける。小鈴は熱と泣いていたので火照っていた。

 

「小鈴には、僕がついてるから」

 

詠夢はそれを力強く話した。詠夢は抱きしめている小鈴から手だけを出し、抱きしめ返した。

 

「ねえ、詠夢」

 

少し落ち着いた小鈴が下にある詠夢の顔を見て話した。

 

「ん?なに?」

 

「私のこと、どう思ってる?」

 

小鈴は小声でとても大切なことを聞く。詠夢は少し考えた後に口を開いた。

 

「かわいくて、個性的で。そんな小鈴、僕はとっても良いと思うけどなぁー。小鈴はどうなの?僕のこと」

 

小鈴はすぐに答えた。

 

「私は好きよ!詠夢のこと…」

 

小鈴の声には強い決意が生まれていた。

 

「カッコよくて、勇敢で、大切な人の為なら何でもする。そんな貴方が、私は大好きよ」

 

詠夢の目に涙が浮かんでいた。

 

「ねえ小鈴、僕ね。霊夢のお母さんに言われたの。『大切な人が出来たら、その人の元でたくさん泣きなさい』ってね。だからさ……」

 

詠夢は恐る恐る小鈴に話す。小鈴は高熱がありながらも真剣な眼差しで詠夢を見た。

 

「一回、泣いても良いかな?」

 

小鈴は赤い顔をもっと赤く染めながら、

 

「私は、いつでも良いわよ。貴方は、私にとって……かけがえのない存在だもの」

 

すると、今度は小鈴の胸元で、詠夢が泣き出した。

 

「うわぁぁぁーんっ!小鈴!ありがとね!」

 

詠夢はこの6年間、一度も泣いてこなかった。今、その6年分の葛藤や悲しみが一気に出てきたのだ。

 

「詠夢ったら……もう、今日は私に全部ぶつけなさい。ちゃんと受け止めてあげるから」

 

「グスッ…うっ……うう……あぁ……うわぁぁぁんっっ!」

 

詠夢は泣いた。精一杯泣いた。小鈴はそれを見て少し熱が下がったようだ。

 

これが詠夢の【強さ】である。

 

6年間。

 

いくら悲しくとも、痛くても、苛立っても。

 

詠夢は全く泣かなかった。

 

そのストッパーが、小鈴の前で外れたのである。

 

「こ……す…ずぅ〜………グスッ」

 

「どう?落ち着いた?」

 

小鈴の問いに、詠夢は小さく首を縦に振る。

 

「じゃあ、寝るわね。おやすみ」

 

「……おやすみ。早くよくなってね、小鈴」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

勢いよく小鈴の部屋の扉が開かれる。

 

稗田家当主にして小鈴の親友、稗田阿求である。

 

「小鈴!大丈夫ーーー」

 

親友が見たのは、2人同士、1つの布団で抱き合って寝ている親友とその恋人の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフッ……お大事に、小鈴」




今回は甘々になりましたね。そしてまさかの詠夢と小鈴の展開です。

ではまた次回。


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逆情異変〜はじまり〜

今回からオリ異変よー

書きたくなったから書いた、後悔はしていない。

では三人称視点どうぞ。


「これとこれですね。はい、ありがとうございました!」

 

博麗神社の神主、博麗詠夢はいつものように、参拝客がたくさん来る博麗神社でお守りやお札を売ったり、時に妖怪退治をしたりしていた。

 

そう、その時、何かが起こったのである。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日の朝の出来事。

 

「おはよーお姉ちゃん」

 

詠夢はいつもの言葉を口にする。すると、霊夢から予想だにしない答えが返ってきた。

 

「よくそんな面を私に出せるわね」

 

「へっ……?」

 

突然すぎて何が何だか分からなかった詠夢。しかし、それは詠夢が恐れていた言葉だった。

 

「さっさと消えて、目障りよ」

 

ガラガラガラ。

 

詠夢の中何かが音を立てて崩壊した。

 

「あ……あぁ……ぁぁぁぁぁぁ……」

 

そのまま詠夢は神社を飛び出した。

 

(霊夢があれだと魔理沙もそうかもしれない……とりあえず幻想郷中を回ってみよう)

 

その後、人里、魔理沙やアリスの家、紅魔館、白玉楼、妖怪の山、守矢神社、地霊殿、命蓮寺や八雲邸まで回ってみたが、魔理沙とアリス、紫、映姫以外は全員霊夢と同じ反応を示していたという。特に人里は、小石を投げられて追い出された。そこには慧音もいた。

 

詠夢の心はすでに病んでいた。

 

「な、なんでみんな……」

 

気づくと、詠夢は迷いの竹林の中へと足を踏み入れていたという。

 

幻想郷中から絶対的な信頼を得ている詠夢が拒絶されるなどあり得るはずがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、異変の始まりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠夢が起きると、そこは永遠亭だった。

 

永琳「あら、おはよう詠夢」

 

鈴仙「どうしたんですか?倒れていましたけど」

 

詠夢は2人に気づくとすぐに起き上がり距離を取る。

 

詠夢「どうせ2人も僕を拒絶するんだろ!?なら早くどこかに行ってくれ!その方が良い!」

 

詠夢は酷く取り乱した様子だった。永琳はそれを見てとりあえず詠夢の頬に手を当てて話した。

 

永琳「とりあえず何があったのか教えてちょうだい」

 

 

 

 

〜神主説明中〜

 

 

 

 

詠夢「ってことがあって……先程は取り乱してしまいすみませんでした……」

 

鈴仙「それは気にしなくていいわ。それにしても詠夢を一番思っている霊夢が、ねぇ…… 」

 

鈴仙も考え込んでいた。相当深刻だ。

 

永琳「でも、スキマ妖怪と閻魔はいいとして魔法の森とここ、永遠亭メンバーだけ残ってるなんて何故かしらね?」

 

永琳は悩んでいた。そこにドアを開けて2人の少女が入ってきた。

 

輝夜「かなり大変そうね。私も何か手伝えるかしら?」

 

永琳「姫様、今の話全部……」

 

妹紅「私も輝夜も全部聞かせてもらった。かなりヤバイな」

 

輝夜「これは妖怪の賢者や閻魔が介入してもおかしくないレベルの異変ね」

 

みんながお手上げ状態で悩んでいると、そこにスキマが開いた。妖怪の賢者でありこの幻想郷の創設者、八雲紫である。

 

紫「とりあえずいま普通の奴らをここに集めたわ。さああちらに行きましょう」

 

紫に案内されていま詠夢が寝ていた部屋にいる詠夢を含めた5人もそこへと行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

そこにいたのは、

霧雨魔理沙

アリス・マーガトロイド

四季映姫・ヤマザナドゥ

 

に、永遠亭メンバー

蓬莱山輝夜

八意永琳

鈴仙・優曇華院・イナバ

藤原妹紅

 

と、妖怪の賢者

八雲紫

 

博麗の神主

博麗詠夢

 

の9人だった。

 

映姫「じゃあ私から。小町はダメ、白玉楼方面、魂魄妖夢は西行寺幽々子がいないと刀を持ったまま何をし始めるかわからないそうです」

 

アリス「紅魔館はレミリアがおかしくなっていたわ。フランも自分の部屋に、パチュリーは恐怖で小悪魔と一緒に図書館に引きこもってしまったわ。咲夜は責任を感じてろくに仕事ができないそうよ。命蓮寺でも、白蓮がみな平等の考え方を変えようとしたのを星が必死で止めていたわ。私からは以上よ」

 

魔理沙「妖怪の山は天狗たちが暴れていたぜ。やまの上の守矢の連中は早苗が暴走しているのを神奈子と諏訪子二人掛かりで止めていたな。早苗も詠夢に対してしたことを相当反省しているらしい。地霊殿に関しては……察してくれ。さとりが引きこもっていた。お空もかなり情緒不安定だからいつ何をしだすかわからないぜ」

 

紫「そうだ詠夢、小鈴には声をかけたの?」

 

詠夢「いや、かけてないです」

 

小鈴にまで被害を出したくない。詠夢のせめてもの配慮だった。

 

紫「じゃあ……私と魔理沙とアリス、あと鈴仙に詠夢は小鈴に声をかけてくるわ。なんなら一緒に異変解決も。閻魔や永遠亭の方たちはとりあえずみんなを鎮めるようにお願いできるかしら。さあ、行くわよ」

 

紫はさっき招集した異変解決メンバーを率いてとりあえず小鈴の家までスキマで移動した。

 

魔理沙「小鈴!久しぶりだぜ!」

 

小鈴「あら、皆さん揃って今日はどうしたんですか?」

 

 

 

〜スキマバbスキマ少女説明中〜

 

 

 

 

紫「ってことが起きてるのよ……」

 

小鈴は暗そうな顔をしていた。

 

小鈴「私は詠夢に対してそんなことをするわけが無いです……私も異変解決に行きます」

 

魔理沙「小鈴…!弾幕なんて出せるのか?」

 

魔理沙が首を傾げる。すると小鈴はある一冊の本を取り出して魔理沙に見せつける。

 

小鈴「これを解読して……魔力で弾幕が出せるんです。そのためにアリスさんとかに手伝ってもらって魔力も溜めましたし」

 

そう、小鈴の能力を使えばこの本の解読くらい朝飯前だ。

 

すると、詠夢が奥から出てきた。

 

詠夢「わかった……行こう、異変解決のために!……でも小鈴、スペルカード持ってるの?」

 

小鈴「え、詠夢!あ、さっきね、パチュリーさんがここに来てどさっと置いていったわ」

 

小鈴もメンバーに加わり、異変解決へと向かった。

 

魔理沙「さぁ〜行くぜ!幻想郷の平和のために!」




今回は、「逆」になる感「情」で逆情異変としました。

ではまた次回。


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逆情異変〜妖怪の山、突入!〜

妖怪の山がカオスすぎた気が…

では三人称視点どうぞ。


前回のあらすじ

 

性格崩壊→詠夢が病む→異変解決へ

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

魔理沙「こっちの方面が怪しいな……行こうぜ!」

 

魔理沙が先頭で飛んでいる。ちなみに魔理沙が行った方向は妖怪の山だ。そして2人1組でチームを組んでいる。永夜異変の時と同じだ。

 

チーム割りは

 

アリス&魔理沙 「禁呪の詠唱チーム」

 

永夜抄の時と同じでマリス砲がやはりすごい。魔理沙の弾幕は相変わらずパワーでごり押しという完全なる火力重視型。

 

詠夢&小鈴 「神魔の霊感チーム」

 

神力弾が正面へ、魔力弾が斜めへと飛んでいく。2人とも霊力弾の時は1人がホーミング、1人が針弾幕で威力が上がるバランス型。

 

紫&鈴仙 「地月の妖怪チーム」

 

とにかく遠距離に優れている。特に紫のスキマ落としからの鈴仙の射撃が高威力の精密型。

 

的な感じになった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

妖怪の山に入って数分後。

 

詠夢「お、(値段以上。)にとりだ」

 

にとり「ここから先は行かない方がいいよ。危ないからね」

 

アリス「どういう風に危ないのよ?」

 

にとり「そこらじゅう妖怪、妖怪、妖怪の地獄絵図だったよ。椛や文が戦ってるけど追いつかないってさ」

 

想像するだけで普通の人なら気持ち悪くなる。しかし魔理沙は本気だった。

 

魔理沙「!?すぐそこに案内してくれ!」

 

魔理沙がいつもより幾分も真剣な表情で話す。

 

にとり「わかったけど命の保証は無いよ」

 

にとりは妖怪の山中腹へと案内した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

同刻、妖怪の山中腹

 

椛「くそっ!なんでこんなに妖怪が湧くのよ!」

 

文「とりあえずカマイタチでどうにかしましょう!」

 

そこに、6人の声が聞こえる。

 

魔理沙「恋符『マスタースパーク』!」

 

アリス「魔符『アーティクルサクリファイス』!」

 

詠夢「霊符『詠想封印』!」

 

小鈴「火符『アグニシャイン』!」

 

鈴仙「散符『真実の月』!」

 

紫「結界『光と闇の網目』!」

 

なんかすごいカオスになった。ボォォォンってなったぞ、ボォォォンって。

 

そこらへんの下級妖怪の大群を一瞬で撃破する。

 

文「み、皆さん‼︎」

 

椛「ありがとうございますっ!」

 

詠夢「ああ、大丈夫。こんなの準備運動だから」

 

詠夢はやっと心のモヤモヤが晴れたようだ。スッキリとした真顔だった。

 

アリス「ほら、早く先に行くわよ」

 

アリスに急かされて山の頂上へと急ぐ。

 

しかし、詠夢は感じていた。

 

 

 

 

 

 

ーーー嫌な予感……

 

そう、彼の体がだんだん衰弱して来ている。しかも、詠夢の体は博麗大結界と連動しているということは、結界に何かがあったということだ。

 

小鈴「詠夢?大丈夫?顔白いよ?」

 

詠夢「え?うん、大丈夫だよ?」

 

小鈴が詠夢の顔を覗き込み、心配していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

守矢神社

 

諏訪子「おい!止まれ早苗!」

 

神奈子「早苗!いうことを聞け!」

 

神社に怒号が飛び交う。いまここで早苗に遭遇すると殺し合いになりかねない。

 

詠夢「止まって早苗!」

 

早苗「………邪魔だ」

 

いま、早苗が普段言わない言葉を発した……?

 

詠夢「早苗ッ!」

 

早苗「邪魔だっつってんだろッ!」

 

綺麗な右ストレートが早苗の腕から繰り出される。それを軽々と避ける。

 

そして詠夢はお札を彼女に貼り付けて…息を精一杯吸う。そして……

 

「はッ‼︎」

 

息を一瞬で最大限吐き、衝撃を加える。早苗は大人しくなった。

 

諏訪子「ありがとう。助かったよ、詠夢」

 

神奈子「良かった、早苗が落ち着いて」

 

詠夢「また暴れ出す可能性もあるから見張っといてね、あと、お札渡しとくね」

 

詠夢はお札を数枚、神奈子に手渡す。

 

小鈴「詠夢、行くわよ」

 

すると、

 

フラッ

 

詠夢が少しふらついた。

 

小鈴と鈴仙が突発的に詠夢を支える。

 

鈴仙「詠夢!?」

 

詠夢「あっ……」

 

詠夢の体に異変が現れていた。詠夢はどんどん衰弱していく。

 

すると、珍しく紫が切羽詰まった口調で話す。

 

紫「と、とりあえず急ぐわよ‼︎」

 

魔理沙「紫、どうしたんだぜ?」

 

紫「な、なんでもないわ」

 

実は、紫も結界と詠夢の関係について気づいていた。それを話していないのである。

 

そして、6人は妖怪の山の裏へと回る。すると、いつもはない穴が開いていた。地底への入り口ではなさそうだ。

 

詠夢「ここかな……?」

 

紫「どうやら、そうみたいね」

 

魔理沙「とりあえず行こうぜ!」

 

魔理沙は待ちきれず穴に飛び込む。

 

アリス「ま、待ちなさい魔理沙!」

 

アリスも後を追って穴へと入っていく。

 

詠夢「僕たちも行くか」

 

小鈴「ええ。行くわよ」

 

詠夢たちもその穴に入っていった。

 

6人は途中の雑魚妖怪を倒しながら奥へと進んでいく。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

同刻、最深部

 

?「おや、お客さんのお出ましか。おいお前ら!歓迎してやれ」

 

?「「「「かしこまりました、お嬢様!」」」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方、異変解決組

 

詠夢「そろそろ誰かいるはずなんだけど……」

 

詠夢は怪しく思っていた。いくら奥に行っても敵という敵に遭遇しないのだ。

 

?「おもてなしいたします。博麗の神主様」

 

詠夢「……っ!どこだッ!」

 

詠夢はお札を構えて探す。が、見当たらない。

 

 

 

ヒュン

 

 

 

どこからか弾幕が飛んでくる。詠夢は間一髪で避ける。そして現れたのは、ロボットだった。

 

詠夢「お前か……早くお嬢様とやらを出してくれない?なるべく怪我させたくないんだけど?」

 

詠夢は凛とした声で話す。しかしそのロボットは弾幕を撃ち始めた。

 

詠夢「小鈴!行くよ」

 

小鈴「ええ!」

 

僕たちはすぐさま弾幕を放つ。詠夢は前で神力弾のパスウェイジョンニードル、小鈴は魔法陣を展開して魔力弾を放っていた。

 

それでそのロボット、意外と脆いようで。

 

一回被弾しただけで壊れた。詠夢はこれまでの凛とした表情を変えなかった。これぞ詠夢の特技【真顔】である。

 

詠夢「さあ、お嬢様とやらは……ぐっ……は!」

 

詠夢が急に血を吐き出した。そして、その場に倒れてしまった。

 

小鈴「詠夢!?大丈夫!?ねえ!返事してよ!」

 

?「いらっしゃい、みなさん。歓迎するわ」

 

そして異変の首謀者との戦いが、始まった。




はい!どうなるんでしょうね?

ではまた次回。


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逆情異変〜終結、そして……〜

今回で異変は終了となります。

では三人称視点どうぞ。


前回のあらすじ

 

お値段異常→妖怪の山ワロス→詠夢が倒れる

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

?「皆様、歓迎するわ」

 

紫「誰よ?あなた」

 

紫が少し怒り口調で訊く。

 

サ「私?うーん……サファイアとでも名乗っておきましょう」

 

完璧に日本人顔の彼女に似合わない名前だ。

 

紫「私は八雲紫よ。ここ、幻想郷の創設者よ」

 

しかし、サファイアと名乗る彼女には紫も、鈴仙も。見えていなかった。心が全て穢れていたのである。

 

サ「私にはここには2人しか見えないけれど?」

 

魔理沙「そんで?お前の目的はなんなんだぜ?」

 

すると、紫すら予想外だった答えが返ってきた。

 

サ「そこにいる惨めな奴を殺す、それだけよ。異変はついでに起こしたようなもの。だって私は、そいつの、真の姉だから。結界に毒を塗らせてもらったわ。もう少しであいつは死ぬでしょうね」

 

みんなが驚きを隠せない中、ある1人だけが違う感情を抱いていた。

 

そう、彼の恋人【本居小鈴】である。

 

小鈴「なんで詠夢にそんなこと……もし姉だったら傷だらけの弟を助ける、そのくらいするのが普通なんじゃないですか!?」

 

小鈴が珍しく怒った。彼女は横でもがき苦しんでいる自分の【彼】を一刻も早く助けたかった。

 

魔理沙「じゃあ戦うしかないな!恋符『マスタースパーク』!」

 

彼女のミニ八卦炉から光線が発射される。サファイアはそのレーザーに当たった……はずなのに?

 

詠夢「がっ………ぐはっ……」

 

何故かダメージが詠夢に行く。衰弱し切っている詠夢の体に容赦なくマスタースパークが降りかかる。

 

魔理沙「くそっ……!何故効かないんだ!?」

 

魔理沙は威力を強める。

 

詠夢「止め……て……」

 

その声は側にいたアリスに、はっきりと聞こえた。

 

アリス「魔理沙!今すぐにマスタースパークを止めなさい!」

 

魔理沙はすぐにレーザー照射を中断する。

 

それを見ていた魔理沙がサファイアに問う。

 

魔理沙「……お前の能力は何なんだぜ?」

 

サ「私の能力は、ダメージを操る程度の能力よ!それにより私のダメージを0にしてあいつに流しているの」

 

それを聞いていた瞬間、小鈴は【怒り】が頂点に達していた。

 

小鈴「許せません……絶対に許しません!」

 

小鈴が行こうとするところを紫は全力で止める

 

紫「待つのよ小鈴!今何かしても無駄だわ」

 

小鈴「でも、このままだと詠夢が……!」

 

小鈴は焦る。それとは逆に、紫は落ち着いて小鈴に話しかける。

 

紫「今は何も出来ないの。そのくらいわかってちょうだい」

 

小鈴「黙って見てろと言うんですか!?みんなにとって大切な人の死を、ただ傍観してあー死んじゃったで終わりだ?巫山戯るな!!」

 

そして、詠夢の命が残り僅かとなる。博麗大結界が崩壊を始める。

 

詠夢の一命を取りとめれば、幻想郷は守れる。小鈴はそう思い、詠夢の傍にある刀を構え、サファイアに突撃した。

 

小鈴「詠夢、耐えて!お願い……!」

 

自分が出せる全力を刀に込めて、それをサファイアに向かって振り下ろす。

 

詠夢「あっ……!?ああぁぁぁぁっっ!!」

 

詠夢が奇声を発して苦しむ。

 

(お願い……誰か……助けて……!)

 

すると、詠夢の耳に聞きなれない声が入ってくる。

?「術式……解除!」

 

すると、

 

サ「ああっ……!」

 

サファイアのお腹に刀が、しっかりと刺さっていた。そして彼女は、そこに倒れこんだ。

 

小鈴「やった……やったぁ!倒せた……詠夢?詠夢!?」

 

詠夢の近くにも血だまりができていた。

 

鈴仙「とりあえず、永遠亭へ!このままだと彼が死んでしまいます!」

 

鈴仙は血に染まる詠夢を抱え、全速力で永遠亭へと駆けて行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠夢「…ん……?ここは……永遠亭」

 

詠夢が起きると、そこは永遠亭だった。とりあえず一命をとりとめただけでもありがたいことだと彼は思い、布団を出て少し散策することにした。

 

 

 

 

月灯りが明るい満月の夜。詠夢は縁側で月を眺めている、蓬莱人の蓬莱山輝夜を見かける。

 

輝夜「あら、起きたのね。鈴仙がここまで運んできてくれたわ」

 

詠夢「みんなに心配かけたね。あとで謝っておかないと。ありがとう輝夜」

 

輝夜「いえ、良いのよ。それより詠夢。……【月】って、貴方にとってどんな存在?」

 

輝夜は微笑んでいた顔を急に反転させる。それは真剣そのものだ。

 

詠夢「そうだな……月には時に、地球に太陽の光をも通さないことがあるって、知ってるよね?月は太陽に従って回っている地球という名の惑星に従うかのように回っている。月は弱い。けれど、それを覆して光を隠すことができるほど大きなパワーを持っていると僕は感じてる」

 

詠夢も真剣な眼差しを輝夜と月に向けて話していた。

 

輝夜「へえ……それで?何が言いたいの?」

 

輝夜は感心しながら詠夢の話の続きを聞く。

 

詠夢「例えば、前の輝針城異変の時、正邪が『弱い者が幻想郷を作る』と言っていた。それ自体は幻想郷のバランスを崩すからダメだけれど、例え弱くても主張する、っていう権利は誰にでもあると思う。紫や霊夢はそこを勘違いしていたと思うんだ。だから、どんな人でもみんな同じ権利を持つ、そんな幻想郷を作りたいって思うんだ」

 

輝夜「なるほど………いい話が聞けたわ。時間も時間だし寝ましょう。おやすみなさい」

 

輝夜は優しい笑顔を詠夢に向けながらそこから立ち上がる。

 

詠夢「おやすみなさい」

 

詠夢もまた微笑みつつ自分が寝ていた所へと戻る。

 

 

 

 

?「あら、こんにちは博麗の神主様」

 

そこには4人の女性と1人の男性がいた。その内の1人の女性が口を開く。

 

詠夢「貴方たちは……中国四神の方々、ですか?」

 

?「ええ、そうよ。今は会話しやすいように擬人化しているけれどね」

 

黄龍「俺は黄龍、中央を司る霊獣だ」

 

朱雀「朱雀と申します。南を司っています」

 

青龍「青龍です、東を司ります」

 

玄武「私は玄武、北を司る霊獣よ」

 

白虎「私は白虎、南よ」

 

白虎だけぶっきらぼうに話していた。詠夢は全てを聞き終わり、理解した上で話す。

 

詠夢「この声……白虎さん、【あいつ】に掛かっていた術式を解除してくれたの、貴女ですよね?」

 

詠夢は白虎の声とあの時の声が一致する事に気付いた。声のトーンが全く違うのだが、神の使いである詠夢なら神の取り違えなどしない。

 

白虎「ええ、そうよ。感謝くらいしなさい」

 

朱雀「ちょっと!いくらなんだってそれは無いんじゃないかしら?白虎」

 

少し喧嘩ムードになっていた2人を詠夢は必死に止める。

 

詠夢「ま、待ってください!白虎さんには感謝してもし切れません!なので、いつの間にか持っている僕の刀を返して!」

 

白虎「あっ、気づかなかったわ。ごめんなさいね」

 

どうやら刀を持っていたのを本当に気付いていなかったらしく、すぐに詠夢に返す。

 

黄龍「そうそう、それで、日本のイザナギに話を聞くと、ここに神の使いの人間がいるらしいから会ってくると良いと言われた。お前さん、本当はすごいヤツじゃないか?」

 

詠夢は問いかけに対して、手を顔の前で横に振り

 

詠夢「別にそんなこと無いですよ」

 

と言うが、こいつはなかなかの実力者だ。

 

青龍「まあ、そんなわけで、これ。いざとなったら使ってね?」

 

そう言い、5人は詠夢に一枚ずつ、スペルカードを手渡す。

 

玄武「じゃあ、私たちはここで。またね、神主さん!」

 

詠夢「はい。また」

 

詠夢はしっかりと45度に腰を曲げてお辞儀をした後、スペルカードを見る。そこには、

 

朱雀「南方七星陣」

青龍「東方七星陣」

玄武「北方七星陣」

白虎「西方七星陣」

黄龍「四神乱舞」

 

と書かれていた。詠夢は特に【黄龍】のスペルカードが気になっていた。

 

詠夢「まあ……とりあえず疲れたし寝るか」

 

詠夢は布団に入り意識を沈めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方、博麗神社

 

霊夢「私……詠夢……に……グスッ…酷い事……したわ……」

 

霊夢の心の中には【罪悪感】しか残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「詠夢……絶対に…絶対…戻って……来てよ…?」




四神は全て完全にパズドラからの印象でやっています。いやー難しいね、神が題材って。

ちなみに元ネタは、

朱雀→天導の朱雀・レイラン
青龍→命護の青龍・カリン
玄武→地鎮の玄武・メイメイ
白虎→霊護の白虎・ハク
黄龍→星帝の黄龍・ファガン

です。スペカも同じです。

では、また次回。


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射命丸文の密着取材

今回は一見楽しそうな宴会の裏側に完全密着!

では今回限り文視点どうぞ!


今日は宴会の日です。

 

そんな日に、博麗の神主様、博麗詠夢さんの1日密着取材を許可してもらいました。今日はどんな仕事をしているのでしょうか?

 

では早速博麗神社に行きましょう!

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

文「おはようございます、詠夢さん」

 

詠「あ、おはようございます文さん」

 

丁寧な挨拶で返してくれた。まだいつもの袴ではなく寝間着だった。まだ朝の5時半。起きたばかりなのでしょう。

 

詠「ちょっと着替えてくるので待っていてください」

 

と言って自分の部屋に戻って行きました……どうしましょう

 

 

 

……着替えを覗きますか。

 

 

 

スーッ…。

 

襖を開ける。

 

詠夢さんは気づいていませんね。

 

 

 

 

タッ……タッ……

 

二歩入る。

 

詠夢さんはまだ気づいていませんね。

 

霊「何してるのよ?」

 

後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

 

文「ひゃっ!?」

 

霊「何よ、異性の着替えを見て興奮してるわけ?」

 

霊夢がどんどんこちらに近づいてきます。顔がつきそうです……

 

文「あっ……あの…その……み、密着取材ですので、では私はこれでッ!」

 

私は飛び立ちました。幻想郷最速の異名を持つ私に誰も勝てるはずがないですね。

 

しかし、その予想はあっけなく裏切られました。

 

 

 

 

要は、お札に捕まりました。

 

詠「文さん?何してたんですかぁ〜?」

 

詠夢さんが笑顔(黒)でこちらに向かって来ます。物凄い殺気を放ちながら。怖いです……

 

文「と、と……盗撮……?」

 

詠「何してんだよ!黄龍『四神乱舞』!」

 

彼がスペルカードを取り出しました。すると、色々な色の弾幕が私目掛けて色々な方角から飛んできます。まさに、中国の四神が舞い踊るかのように。

 

文「あ、危ないじゃないですか!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後

 

詠「そんで?何か言うことは?」

 

文「すみませんでした……」

 

詠「まあ、いいや。罰として今日宴会をやるということを幻想郷のみんなに知らせて、それで宴会費1人1000円を徴収してきてくれますか?それまで取材は受けませんよ?」

 

そんなに軽いことで許してくれるなんて……詠夢さんやっぱり優しいです……

 

文「分かりました!行ってきます」

 

それを詠夢さんが止めました。どうしたんでしょうか?

 

詠「お腹空いたでしょう?朝ごはんくらいウチで食べて行ってくださいな。もう出来ていますから」

 

何この子……天使に見えてきた……

 

文「ありがとうございます……グスッ」

 

涙を拭いながらお茶を一杯。うん、美味しい。霊夢ん家のお茶がこんなに濃いのは初めてなような気がします……

 

「いただきます」

 

私を含めて7人が食卓を囲む。

 

詠夢さんの手料理、初めて食べたのですがとても美味しいです……

 

文「お、美味しい……」

 

私は夢中で出された料理を食べています。ほっぺたが落ちそうです。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

私は超特急で宴会費、約4万円を集めました。時間にして約30分ほどで済みました。

 

詠「早っ!?ま、まあ、ありがとうございます!」

 

詠夢さんは笑顔で受け取る。彼は今、ピアノの前に座っていた。

 

文「それで……今、何をしているんでしょうか?」

 

詠「ほら、いつも宴会の時に戦った人のテーマ曲を演奏しているじゃないですか。その曲を作っているんですよ」

 

今回は輝針城の時の曲。今は、最終ボスだった少名針妙丸のテーマを作っているそうです。私も近くで手伝わせて頂きました。

 

その曲が完成すると、私や博麗ファミリーだけに先に聞かせてくれました。

 

それは、小さいながらも力強く、霊夢や魔理沙に向かっていく勇敢な針妙丸さんの姿をとても良く表現していました。隣にいる彼女の顔が赤かったのがカワイイです。

 

ここから、お昼まで入って来ないでくださいねと詠夢さんに言われました。恐らくその後に戦った堀川雷鼓さんのテーマ曲でも作るのでしょうか。途中で雷鼓さんを呼んでいましたし。

 

そしてお昼ご飯までご馳走させていただきました。詠夢さまさまです。

 

午後は宴会の買い出しに行っていました。何せ、幻想郷中の人里以外の人間と有名な妖怪全員が集まるから買う量も半端じゃなかったです……この量を私より10cmほど小さい詠夢さんが持つって……紫の修行がどれだけ厳しかったか良く分かった気がします……

 

とりあえず魚やら肉やら酒やらをどっさりと買い、帰ろうとしたその時。

 

「キャー‼︎妖怪よー!」

 

人里に妖怪が現れた。妖怪が人里で危害を与えるのは幻想郷のルール違反なのだ

 

文「詠夢さん!」

 

詠「文さん、少し行ってきます」

 

詠夢さんは買い物を私に渡して行きましたね……私も行きましょう。というか荷物重い……

 

 

 

 

 

 

 

私が着いた頃には、もう退治は終わりそうだった。お祓い棒を持った詠夢さんが異常なほどクールに見えたのは私だけではないはずです。

 

詠「さあ、帰りましょうか。荷物持たせてしまってすみません。重かったですよね?」

 

詠夢さんは気を遣ってくれました。うん。この子神だ。やっぱりいろんな意味で神だ。

 

文「いえ、別に大丈夫ですよ。というより、良くそんな量を澄ました顔して持てますね」

 

詠「紫に教育されてこの3倍の重さを持たされました……紫が鬼に見えた……」

 

うわぁ……容赦ないな、あのスキマ妖怪は。

 

まあ、私も帰って料理の手伝いをしましょう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

帰ったら、白と銀の髪をもつ二人の女性がいました。多分咲夜と妖夢でしょうか。

 

咲「凄い量の荷物ね……」

 

咲夜は少し驚いている様子。

 

妖「遅かったですね。さあ、気合入れて作りましょうか」

 

妖夢はいつも幽々子の量を作っているせいか感覚が狂っているようですね。

 

詠「ご協力ありがとうございます。では、頑張りましょう!」

 

霊「私も手伝うわ。頼って頂戴ね」

 

霊夢が手伝うなんて……初めて聞きましたよ?私、霊夢の口から【手伝う】なんて単語、初めて聞きましたよ?詠夢さん凄いですね……

 

「「「「「えい、えい、おー!」」」」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

夜。

 

どんどん人が集まって来ましたね。宴会の始まりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

宴会が始まって1時間。魔理沙がついにリクエストです。

 

魔理沙「今回の演奏は誰だぜ?」

 

どうやら詠夢さんの演奏が始まるようです。でもね……

 

詠夢さんの手が残像に見えます。針妙丸さんのテーマとか右手が飛翔していますし……雷鼓さんのテーマ曲「始原のビート〜Pristine Beat〜」とか左手が見えませんでしたし……

 

凄いことに、雷鼓さんのスペルカード「ブルーレディショー」や「プリスティンビート」と同じリズムです……凄い懲りましたね……詠夢さん。

 

その後リズムに乗ってみんなが楽しんでいました。一方詠夢さんはというと……察してあげてください。ずっと裏方で料理して、酒出して、運ぶ。何も食べず飲まずで3時間です。よく倒れませんね……。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠「はぁ……はぁ……つ、疲れた〜」

 

詠夢さんが生気を失った目で自分の部屋に倒れこんだ。

 

文「お疲れ様です……」

 

私はお茶をすっと渡しました。詠夢さんはそれを一気飲みしました。と同時に、彼に生気が戻ってきました。良かった……

 

詠「はあ、と、とりあえず、風呂……入って来ます」

 

さすがに私はかわいそうだと思ったので、布団を敷いておきました。

 

 

 

 

 

 

 

詠「あ、文さん……ありがとうございます……おやすみなさい…」

 

文「おやすみなさい……」

 

私が彼の部屋を出ようとする。すると……

 

詠「待って……」

 

詠夢さんが私を呼び止めた。何事かと思い、私は振り返りました。

 

文「どうしましたか?」

 

詠「誰かいないと……寂しい」

 

詠夢さんは布団を被り、逆を向いていました。見えている耳が真っ赤です。

 

文「もう……甘えん坊ね」

 

私も布団に入り、詠夢さんの頭を撫でつつ顔を見る。彼は綺麗な寝顔で規則的な寝息を立てながら、暖かくゆっくりな心臓の鼓動が握っている手越しに伝わってくる。

 

とてもゆっくりと、安らぎの時間が過ぎていく。

 

文「私も寝ましょう。ありがとうございました、詠夢さん」

 

私は彼に密着するように近づき、胸を彼の頭の位置まで下げる。私より幾らか小さい詠夢さんを抱きしめるのにちょうど良い姿勢だった。

 

そして私はゆっくりと、意識を夢の海の中へと沈めた。




いつもと幾らか書き方を変えてみました。今回は完全なる文回になりましたね。

ではまた次回。


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博麗の神主〜前日編〜

はいっ!今回で詠夢が正式に博麗の神主になりますッ!

前後半に分けて書く予定です。

では三人称視点どうぞ。

※先に言っておきます。まだ完結はしないです※

追記

活動報告の方のアンケートもご協力お願いいたしますっ!


霊夢「おはよう詠夢。遅かったわね」

 

コン「おはようございます、詠夢さん」

 

緋天「詠夢様、お目覚めですか」

 

針妙丸「詠夢さん、おはよう」

 

正邪「おはよう詠夢」

 

詠夢「…………おはよ」

 

詠夢は下を向いてぶっきらぼうに言う。

 

実はーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日の夜。

 

神社のある一室には、紫、霊夢、詠夢がいた。

 

紫「っていうことで明日、神主任命式の時に龍神が来るのよ」

 

詠夢「龍神様……」

 

霊夢「それで、今回の龍神の要求は何かしら?」

 

霊夢が博麗の巫女に任命された時は、龍神と戦って、勝てという命令だった。というより、歴代博麗の巫女はそれをしてきた。

 

紫「今回は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全能神に勝てという命令よ」

 

紫の声のトーンが一気に下がる。

 

詠夢「ぜ、全能神ゼウス様……?」

 

詠夢は全能神を知っていた。普通、妖怪の賢者や歴代博麗の巫女全員が総攻撃をしてやっと勝てるか勝てないかというレベルの敵である。それを10歳を過ぎたくらいの少年が成し遂げることなど到底無理である。しかし詠夢は決心したようだ。

 

詠夢「分かりました……僕、やります」

 

霊夢「!?」

 

霊夢は絶対に無理だと思っていた。全世界で1番強いのが全能神、2番目が龍神という上下関係で、霊夢は【2番目】と戦ってギリギリで勝ったのだ。

 

紫「わかったわ……龍神に伝える」

 

紫が静かに、部屋を出て行った。

 

霊夢「本当に……やるの?」

 

霊夢は不安そうな顔で詠夢を見つめる。詠夢は決心をして、真剣でどっしりとした黒い目を霊夢に向ける。しかしそれは、心なしか不安そうであった。

 

詠夢「うん。僕、幻想郷を守りたい」

 

幻想郷を守る。詠夢の気持ちは、昔から変わっていなかった。

 

霊夢「死なない、わよね?」

 

霊夢はその瞬間、変なことを聞いてしまったと悟った。しかし詠夢はそれにも動じず、質問に答える。

 

詠夢「戻ってくるよ、多分」

 

霊夢はその言葉に納得していなかった。彼女は自分の義弟の肩をがっちりと掴んで揺らす。涙をボトボト落としながら叫んだ。

 

霊夢「多分じゃなくてッ!絶対って言って!絶対よ!」

 

霊夢が11歳、詠夢が6歳の時に霊夢は母親を失った。その時、心の一部にあった【母さん】が一瞬にして崩壊した。その後、詠夢の助けもあり約半年をかけて心の復旧をした。その【母さん】の領域は、【詠夢】で塞がれていた。それどころかいつの間にか詠夢が自分の一部になりつつあることもわかっていた。だから、詠夢がいなくなると【自分】そのものが崩壊する。それが1番怖かったのだ。

 

詠夢「……わかった。絶対に戻ってくる。約束だよ」

 

姉と弟は小指同士を結ぶ。すると、先ほどまでいなかった人物の声が聞こえた。

 

紫「はあ……霊夢も落ちぶれたものね」

 

紫がいた。紫は扇子で胡散臭い笑みを隠しながら話した。

 

霊夢「ゆ、紫!これは、その……」

 

紫「まずね……」

 

紫は先ほどの胡散臭い笑みを一瞬にして消し、溢れている妖力を全て開放した。顔は真剣そのものだった。

 

紫「貴方には11年も親がいたんでしょう!?それくらいで落ち込まないで頂戴!その復旧に半年だと?ふざけるのもいい加減にしなさいっ!詠夢なんて生まれた時から母親なんてもの、いなかったのよ!」

 

紫は確かに怒っていた。落ちこぼれた霊夢を救おうとした結果なのだろう。その傍で、詠夢は俯きながら小声で囁く。

 

詠夢「……止めて」

 

紫はさらに勢いを増して霊夢に説教する。

 

紫「それに父親に虐待までされていたのよ彼は!父親も母親も知っていて優しく接してくれた貴女に詠夢がどうこう言う権利はないと思うわよ!?詠夢はいつもあんたの前で笑顔だけどね、本当は苦しみで一杯なのよ!前に話してくれたわ!私だけにね!『お姉ちゃんに悲しんでほしくない』って!」

 

詠夢は泣きそうな事実を無理やり感情で抑え、紫に少し声を張る。

 

詠夢「……止めて!」

 

しかし紫はやめる勢いも無く、余計激しくなる。

 

紫「貴女の軽率な半年の行動が彼の人生そのものを変えたかもしれないのよ!?それなのに貴女はまだ母親がああだ父親がこうだと言う権利は無いわ!!彼なんてここに来て7年たったけれどまだ心の修復がしきれていないのよ!その心にぱっくり空いた傷を霊夢や小鈴に頼ることでとりあえず塞いでいる、いわゆる応急処置レベルなの!誰かいないと1人で涙を流していた夜もあったわ!全部霊夢、貴女がしたことなのよ!」

 

紫が言い切ると、詠夢が大声を出した。

 

詠夢「止めろッッ!!」

 

霊夢の瞳からは大粒の涙がボロボロと落ちている。紫も流石に言いすぎたと反省したのか、扇子で必死に顔を隠す。詠夢は怒っていた。……惨めな自分に。

 

詠夢が止めたのは紫がどうだったとかではなかった。過去の自分が嫌いだったのだ。それを全て霊夢や小鈴にぶちまけていたことを今、紫から言われて気づいたのだ。

 

詠夢「ごめん……おやすみ」

 

詠夢は早歩きでそこの襖を閉めた。

 

バタンッ!

 

 

 

部屋に少しの間、静寂が訪れる。

 

霊夢「私……詠夢に謝らないと」

 

紫「明日にしなさいよ?今日は彼の心がもう追いつかないわ」

 

紫は詠夢の状態をわかっていた。今きっと、自分に心をメタメタにされて傷ついているのだろう……紫も少し反省の色を見せていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

霊夢は昨日のことを思い出しつつ、静かに朝食を食べていた。

 

霊夢「……詠夢」

 

詠夢は首を傾げて霊夢を優しい目で見る。

 

霊夢「昨日は……その……ごめんなさい」

 

詠夢「大丈夫、気にしてないから」

 

そんな会話を交わしつつも、刻一刻と決戦の時間は近づいていく……




かなり重い話になってしまいました。

次回、ついに全能神ゼウスと詠夢が決戦!

ではまた次回。


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博麗の神主〜任命編〜

英語でmagicianという単語が出てきた瞬間ある3人の少女が頭に浮かんできただぴょんです。

まあ、言わずもがな魔理沙、アリス、パチュリーなのですが。

では、本編どうぞ。三人称視点です。

ーーーーーーーーーーーーーーー

《《活動報告にてアンケート実施中!》》

ご協力をお願いいたします。詳しくは活動報告へ。


霊「無事を祈るわ」

 

詠「うん、絶対に帰ってくる」

 

詠夢は頷きながら霊夢に笑顔で接する。霊夢も笑顔でいると決め、ふんわりとした笑顔を詠夢に向ける。しかし、2人とも内心は不安であった。

 

霊「行ってらっしゃい」

 

霊夢は最大限の気持ちを詠夢に込めて抱きしめる。

 

詠「行ってきます」

 

詠夢は霊夢の気持ちを心いっぱいにもらい、詠夢は決戦の場へと歩き始めた…………

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

幻想郷某所

 

龍「よく来たのう、詠夢」

 

詠「龍神様、おはようございます」

 

詠夢は丁寧な口調で龍神に挨拶をする。

 

龍「では早速ではあるが、ゼウス様がいる部屋へと案内する」

 

詠「お願いします」

 

すると詠夢は真っ白な部屋へと案内される。そこには、厳かな雰囲気のおじさんが座っていた。全能神、ゼウスだ。

 

ゼ「よく来たのう、勇ましき者よ」

 

ゼウスは椅子を180度回転させ、詠夢の方を向いた。

 

詠「おはようございます、ゼウス様。それで、これからどういたしましょう?」

 

ゼ「それではこっちの部屋へ来てくれ」

 

ゼウスはその中にあるもう一つの扉へと向かう。彼は龍神に待て、と命令を出し、詠夢と2人きりになる。龍神は少しもじもじしていた。2人きりになると相手に何をしだすかわからなかったのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ゼ「それでは、戦いを始めるとしよう。ルールはどちらかが倒れるまで」

 

ぴしゃりと言い放つと、まずはゼウスが詠夢に右ストレートをかます。詠夢はそれを軽々と避け、その勢いで回し蹴りを食らわす。ゼウスは手でそれを受け止めた後に蹴る。詠夢はお祓い棒で受け止めつつ、左手で殴る。ゼウスはそれを避けた。これが開始3秒で起きたことだ。

 

意味がわからない。

 

ゼ「小手調べだったが、割とやるな。お主は」

 

詠「この身長でも異変解決してる身ですからね!さあ、行きますよ!」

 

詠夢は全神経を集中させ、覚醒させる。そして目を開けると、自分の体がほのかに光っているのがわかった。正邪を倒した時より強い光だった。光の色は……緑色だ。

 

ゼ「なっ!?こ、これは……」

 

ゼウスは驚きを隠せなかった。確かに詠夢の中に存在する【何か】が覚醒したのをゼウスは気づいた。

 

その隙に、詠夢がゼウスのお腹へとパンチを食らわせる。

 

ゼ「ぬぉっ!?」

 

ゼウスは反動で壁へと突き飛ばされた。最高位の神を吹っ飛ばすレベルだ。人間なら粉々に散っているだろう。

 

詠「早く攻撃して下さいよ?」

 

詠夢は霊力と神力を解放する。そこにはただならない殺気も混じっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詠夢はさらにもう一発、ゼウスの腹に食らわせる。ゼウスはすでに動けない状態だった。

 

ゼ「も、もう止めろ……限界だ……負けは認める……」

 

しかし、詠夢はもう攻撃などとっくに止めていた。何事かと思い詠夢が後ろを振り向く。すると、そこには……

 

詠「殺戮の女神……カーリー様……?」

 

インド神で、血と殺戮を好む女神。彼女の力を完全に操ることが出来るのは彼女自身と、詠夢だけだ。

 

カ「面白そうだから一発だけやらせてもらったわ。それより貴方、面白そうね」

 

彼女は詠夢の能力に目を付けて来たという。どうやら中国の神から噂を聞いたようで、インドの神、シヴァにも話はしてあるという。

 

詠「本当ですか!?な、なんかもう……話が広がり過ぎてる……僕は神の使いとしてその仕事を全うしているだけです。特別なことなんてしていないですし……」

 

しかし、カーリーは首を横に振る。

 

カ「その能力だけでも、私たち神は十分嬉しいわ。人のことについても聞けるしね。人間の話が聞けない私たちにとってとても嬉しいことだわ。ありがとね」

 

詠「では、また会えたら会いましょう」

 

カーリーはそこから消えた。1枚の紙切れを詠夢に残して。

 

スペルカード

 

女神「黒天舞踏」

 

と、そこには書いてあった。

 

 

 

 

 

 

龍「ゼウス様……大丈ーーーうわぁ……また豪快にやりましたね……」

 

そりゃあ龍神も見たらびっくりするだろう。最高位の神が人間にフルボッコにされていたら。一部喧嘩好きの女神のせいもあるのだが。

 

詠「はい、ゼウス様は倒しました。これで認めて下さいますか?」

 

龍神は、静かに首を縦に振る。

 

 

 

 

 

 

 

幻想郷に、また新たな1ページが刻まれることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

龍「博麗詠夢殿。貴方を博麗神社の神主として、正式に認定いたします。これからも仕事を全うするようにな。頑張れよ」

 

龍神の声色は【明るい】そのものだった。詠夢も希望に満ち溢れた顔で龍神を見つめる。

 

また、頑張ろう。

 

詠夢はそう思い、博麗神社へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠「霊夢、ただいまー」

 

いつもの声が神社に鳴り響く。しかしそれは、いつもより凛々しく明るい声だった。

 

霊「どうだった?……って、傷一つ無いじゃない」

 

霊夢は正直、驚いていた。最高神に傷をつけるどころか、勝てると思っていなかったから。

 

詠「瞬殺だった。割と簡単だったけど能力のお陰です。新しい神様にも会えたしね」

 

霊夢はその神について気になったのか、質問し始めた。しかし詠夢は会わない方がいいの一点張り。なにも教えなかった。殺戮の女神なんて言ったら余計に恐れられるから。

 

霊「まあ、いいわ。お疲れ様、詠夢。とりあえず詠夢には1週間休みをあげるわ。そこからはきっちりと働いて貰うからね」

 

詠夢は目を輝かせ、うんうんと頷いた。霊夢もその姿に元気をもらったのか、夕ご飯を豪勢にするとか言い出していた。

 

その後、神社では博麗ファミリーのみではあるがミニ宴会が開かれ、詠夢はとても満足げな目でみんなを見つめていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊「……おめでとう、詠夢」




はい、なんか上手く書けなかった……

次回から、活動報告でも予告している通り番外編として詠夢と誰かをイチャコラさせます。

誰になったかは小説を読んでのお楽しみ!まだアンケートは受付中なのでどしどし意見をお待ちしております!

ということで、ではまた次回。


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閑話 アリスの日

「今日は、誰にも渡さない」


詠夢はいま、アリスの家にいる。

 

なぜいるの、だって?

 

アリスが左手を怪我したからだ。

 

詠「入るよ?」

 

ア「どうぞー」

 

詠夢はアリスの家へと入る。そこには、

 

魔「よう詠夢!お前もお見舞いか?」

 

魔理沙もいた。魔理沙もお見舞いに来たようで、何かを持っている。キノコ以外ありえない。

 

詠「とりあえずこれ、お見舞いね。早く良くなるようにね」

 

詠夢は左手を隠しているアリスに気を遣い、右側に差し出した。中身は暖かいスープだった。

 

ア「ありがとね詠夢。あ、そうだ。少し重要な話があるわ。魔理沙、席を少し外してもらえるかしら?」

 

アリスは何かを思い出したような感じで魔理沙だけを退室させ、詠夢と2人きりになる。

 

詠「それで?話って何?」

 

ア「ほら、私がたまに人里で人形劇をやっているじゃない。それで悪いんだけど………手伝ってくれるかしら?」

 

アリスが約1ヶ月に一回、人里で人形劇を上演している。ストーリーはその時によって様々で、異変の話や恋の話までも出している。それは子供達に大好評だった。詠夢は人里を通りかかると、たまにそれを見ていたのでよく知っていた。

 

詠「つまり、延期をして子供達を悲しませたくない、と………わかった。手伝うよ」

 

詠夢はそういう困っている人を積極的に助けたい人柄だ。引き受けないわけがない。

 

ア「どこかの帽子を被った白黒魔法使いより物分りが早くて助かるわ。」

 

アリスはどこか嬉しそうな表情で詠夢を見つめる。詠夢はニコッと微笑み、急に真剣な表情に切り替える。

 

詠「それで、僕は何をすればいい?」

 

ア「そうね……とりあえず、今回はーーー」

 

今回の物語は博麗の神主さんがとっても強い妖怪を退治するストーリー。詠夢のことだ。

 

ア「そんなわけで、出来れば自分の操る人形は自分で作った方が操りやすいわ。だから、人形を作ろうかしら」

 

アリスはそう言って材料と針などを置くからゴソゴソと取り出してくる。

 

奥で色々とガラガラ言っているので、詠夢は慌ててそっちへと急ぐ。

 

詠「ア、アリス!?大丈夫?」

 

詠夢は心配して、奥の部屋へと向かう。そこには、あたふたしている魔理沙とびっくりしているアリスがいた。

 

床にはたくさんの針と布。片手で取り出そうとして失敗したのが詠夢の脳内に浮かぶ。

 

詠「さっきムリだったら僕を呼んでって言ったじゃん」

 

ア「そ、そうね……自分だけで頑張りたかったのよ」

 

アリスは照れながら何気に私頑張ったでしょアピールをしてくる。詠夢が対応に困っていると、魔理沙が発言した。

 

魔「わーアリスが照れてるぜー!珍しいから詠夢、やったな」

 

魔理沙は詠夢にグッドサインを出すが何がどうグッドなのかわからない。

 

アリスは顔を赤くしながら反論しているが、詠夢と魔理沙の耳には届いていなかった。

 

ア「ほ、ほら!ま、魔理沙は帰れ帰れーっ!」

 

アリスは半ば強制的に魔理沙を自分の家から追い出し、詠夢と2人だけになる。

 

詠夢は黙々と自分の人形を作り始める。手際よく、トントンとステップをクリアしていく。アリスはそんな彼のことをじーーーっと、見つめていた。

 

詠「………これをこうして……ん?アリス、どうしたの?僕の顔に何かついてる?」

 

ア「な、なんでもないわ!(もしかして鈍感?)」

 

詠夢もそこまで鈍感ではないのでアリスの想いは分かっている。しかし、詠夢にはもう大切な『あの人』が出来ていた。だからアリスにはそういうフリをしていた。

 

詠「……っと、出来たよアリス!」

 

詠夢がほんの十数分で作り上げた人形は、とても彼に似ていて、かつカワイイ。

 

ア「か、かわいすぎる……」

 

詠「だ、大丈夫?鼻血出てるよ?」

 

詠夢は黙ってティッシュを差し出す。そういう紳士的なところがモテるのかもしれない。

 

ア「あ、ありがと……」

 

詠「気にしないで。それで、次はどうする?」

 

ア「そうね……人形を操れないといけないからね……」

 

すると、いま作った詠夢人形たちに何かをし始めた。

 

そして、大きく息を吸い……

 

「はぁっ!」

 

と同時に詠夢人形に何か青いものが入る。すると……

 

人形がトコトコと歩き始める。

 

ア「えっ!?す、すごい……勝手に歩くなんて」

 

詠「いや、僕の意思で動かしているんだ」

 

自分の霊力を吹き込むことで、その人自身の意思で動かすことができるらしい。アリスもさすがに驚いた様子だった。

 

詠「これなら人形劇もばっちりだね」

 

ア「い、いや。ま、まだまだよ」

 

アリスは明らかに焦ったような表情で詠夢に話しかけた。詠夢も詠夢で、アリスが何をしようとしているのかが容易にわかった。

 

詠「どこが?」

 

詠夢はアリスの気持ちを汲み取ってはいたけれど、一応聞く。

 

ア「ほ、ほら!あの……その……」

 

詠「一緒にいたいと?」

 

ア「………」

 

アリスが黙ってしまった。詠夢の発言したことが全て図星で、何も反論出来なかった。

 

ア「あ、もう夜ね……夕食作らn痛っ!」

 

アリスは自分の腕を庇うような素振りを見せる。

 

詠「いいよ、僕が作るから。冷蔵庫のもの使っていいでしょ?」

 

ア「いいわよ。お願いね」

 

詠夢は黙々と台所で作業をし始めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ア「いただきます」

 

詠「めしあがれ」

 

秋とはいえ今日は肌寒かったので詠夢がクリームシチューにしようと提案した。

 

ア「……あったかい」

 

アリスはホッとしたような感じでシチューを食べている。

 

詠「良かった」

 

詠夢はそれを笑顔で見つめている。

 

詠「ところでさ、なんで怪我したの?」

 

ア「ああ、それね……お茶を沸かしていたら、いつのまにか腕に火がついていてね……火傷したのよ」

 

詠「なんか……変なこと聞いたね。ごめん」

 

詠夢もシチューを食べ始める。そして、自分で作った料理をいつものように評価する。

 

詠「ん、おいしい」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

就寝後

 

詠夢はアリスと別の部屋で寝た。相当眠かったのか、布団に入って1分もしないうちに眠りに落ちていた。

 

そこの閉まっていた扉が静かに開いた。

 

ア「フフッ……寝てるわね」

 

アリスはゆっくりと詠夢に近づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ア「今日は、誰にも渡さない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日。

 

詠「よーし、じゃあ今日は頑張ろうね!」

 

ア「そうね。頑張ってちょうだい」

 

2人は張り切って芝居へと望んだ。

 

 

 

 

 

 

 

物語も後半、詠夢の一番の見せ場へとやってきたその時。

 

プツン。

 

アリスが張っていた糸が切れてしまった。

 

「…っ……!」

 

人形が倒れかけた矢先、急に立ち直った。

 

横で詠夢が笑顔でアリスの方を向いていた。アリスはすぐに糸を張り直し、芝居を続けた。

 

 

 

 

 

 

人形劇が終わり、拍手喝采が起こる。アリスは詠夢に感謝の言葉をかけていた。

 

ア「ナイスサポートだったわ。本当にありがとうね詠夢」

 

詠「良かった……どういたしまして、こちらこそいい時間だった。ありがとうアリス」

 

詠夢は博麗神社へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ア「ハッハッハッハッハッハッ!あの子を騙すのなんて簡単ね!あの子と一緒にいれた。第一段階クリアよ!次は………博麗霊夢を抹殺することね!」

 

アリスは家に帰り、壊れた笑みを浮かべそう言い放つ。包帯でぐるぐる巻きになっている腕は傷ひとつ無かった。

 

魔「おい?アリス!?どうしたんだ?おい!」

 

魔理沙は狂気に満ちた親友をただ呆然と見つめることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗詠夢は他人の人生をも変えてしまうかもしれない。そんな存在になりつつあった………




アリスはヤンデレ設定にしました。

次は誰かね……

ではまた次回!


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閑話 霊夢の日

「私はいつでも、詠夢を大切にしてるわ」


朝。

 

詠夢はいつものように目覚める。しかし、彼の頭とお尻に何か違和感があった。

 

そして、霊夢も起床する。隣を通りかかった詠夢を彼女は二度見してしまった。

 

霊「ね、ネコ耳!?」

 

そう、詠夢にネコ耳と尻尾が生えていた。小柄なだけあり、とっても似合っていた。カワユス

 

詠「ネコ耳?……うそ!?は、生えてる!?」

 

詠夢は頭を触りながらしっかりとその感触を確かめている。いつの間にか起きていた針妙丸や正邪は触りたそうにしていた。

 

とりあえず朝食をとった後、それぞれが仕事の準備に取り掛かる。詠夢のネコ耳がたまにヒクヒク動くのがとてもカワイイ。霊夢が興奮している一方正邪はというと………

 

 

 

妖精や妖怪たちを集めて、どうやら何かしようとしている様子だった。まあ、予想はつくのだが。

 

 

正邪が博麗神社に帰ってくる。詠夢はいつものように

 

「おかえり正邪」

 

と言った瞬間。

 

正「詠夢を捕まえろーっ!」

 

という掛け声と同時に、後ろにいた妖精や妖怪たちが一斉に飛び出してくる。その中には、チルノやルーミア、リグルにミスティアまでいた。

 

詠夢は一瞬の出来事に頭の整理が追いつかなかった。そして反撃に出ようとした時にはもう遅かった……

 

詠夢は手足を縄で縛られて、身動きが取れない状態にあった。

 

針「さて、遊ぼうかしらね?」

 

針妙丸は無邪気な笑みを浮かべて詠夢に話す。

 

詠「は、離して!(ナデナデ)ひゃっ!?」

 

詠夢は針妙丸にふんわりと耳を触られる。どうやら耳にも神経が通っているらしく、感じてしまうとか。

 

針妙丸はさらに触っていく。正邪も加わり、より激しくなってきた。優しく、優しく触れられる詠夢のネコ耳はすでに激しくヒクヒクしており、尻尾もピクンッ!となっていた。

 

詠「あんッ……やめて………ああっ!だ…ダメ……そこは……んんっ///」

 

詠夢は顔を真っ赤にしながら抵抗するにも出来ない様子だった。いつの間にかチルノやいつ来たかわからない大妖精にルーミア、リグルやミスティアも参加していた。尻尾も触られ始めて、詠夢は限界が近づいてきた。

 

詠夢は息も荒かった。しかし必死の抵抗を続ける。

 

詠「ハァ……ハァ……あっ……!ああっ、いや……ん、んんっ!んぁッ……や……めて……アッ……!」

 

詠夢が急にシーンとする。その間にイタズラ組は詠夢の体を触っていく。詠夢は体をピクピクさせて気絶している。そこに、

 

霊「ちょっと、何してるのよ?」

 

博麗の巫女、霊夢の登場である。霊夢は怒り口調だった。

 

霊「詠夢がどんだけあんたらに尽力してきたか、分かってるの?裏でどうしたら上手くいくか、必死に考えていた時もあったのよ?それで、今回縛っていじめようと?いい度胸してるじゃない」

 

霊夢が珍しく1人の人を庇う行動に出る。それだけ詠夢が大切だった。

 

霊夢は彼を拘束していた縄を解き、そこにいた妖精妖怪全員を正座させ、慧音をすぐに連れてきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

慧「そんなことが……すまんな霊夢、こんな妖精や妖怪のせいで詠夢が酷い目に遭ってしまった……心から謝罪する」

 

慧音も止められなかったことを深く反省しているようだった。霊夢はまだ怒りが収まらないようで、説教をし始める。

 

彼女の説教は2時間ほど続いた。しかしまだ詠夢は起きなかった。それだけのことをされていたのだろう。霊夢の脳裏をそんな想像がよぎる。

 

とりあえず全員に向かってトドメと言わんばかりの夢想封印を放ち、解散させた。特に正邪には重い罰も与えた。

 

さらに1時間して、やっと詠夢が起き上がる。

 

詠「ん……?なんか尻尾が重い……お姉ちゃん、おはよ」

 

大きく欠伸をしながら詠夢は尻尾が重い原因が霊夢の頭が乗っているということに気づく。するとすぐに、霊夢も起きる。時刻はもうお昼過ぎだった。

 

霊「お、おはよう詠夢。大丈夫だった?」

 

霊夢は詠夢のネコ耳がある頭を優しく撫でる。その感触は、正邪や針妙丸の触り方より愛情のこもった優しさがあった。

 

詠「大丈夫そう……だけど、体がまだ火照ってる……」

 

あれだけやられていたので体が火照りっぱなしなのも分かる。霊夢はすぐに水を含んだタオルを持ってくる。

 

霊「お昼ご飯作ってくるわね」

 

霊夢はそう言って台所へと向かった。

 

その後また色々とあったのだが、それはまた別のお話。

ーーーーーーーーーーーーーーー

時刻は夜。

 

夕食も食べ終わり、眠りに就こうとする。詠夢は自分の部屋でゆっくりとしていると霊夢がやってきた。

 

霊「今日はとんだ災難だったわね」

 

詠「もう………疲れたよ、あれは」

 

詠夢は未だにあれが恐怖になっているらしい。その後も、数人に触られているのだが。

 

詠「霊夢は、あんなことしないよね?」

 

詠夢はそんなはずはないと思っていたことを口走ってしまった。霊夢は優しい笑顔で返す。

 

霊「大丈夫よ」

 

詠「本当に?」

 

詠夢はあの事が相当怖かったらしい。そりゃああんなに感じていたらそうもなるものだ。

 

霊「私はいつでも、詠夢を大切にしてるわ」

 

詠「お、お姉ちゃん……」

 

すると、詠夢は座っている霊夢の膝の上に頭を乗せた。

 

詠「さ……触る?」

 

詠夢は少し恥ずかしそうに提案する。霊夢はこくりと頷き、耳を撫で始める。尻尾はゆっくり、ゆらゆらと揺れ動いていた。

 

霊「とてもふわふわして気持ちいいわね……ん?」

 

気づくと、詠夢が膝の上でスースーと寝息を立てていた。

 

霊「フフッ……おやすみなさい、詠夢」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後永遠亭に行って調べたところ、詠夢の萌え度が最高に達するとネコ耳が生えてくるらしい。さすがの永琳も

 

「この子の体、ホントどうなってるのかしらね」

 

と頭を抱えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で、かなり増えている博麗神社の参拝客がさらにうなぎのぼりになったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらず、カワイイわね」




なんか普通の姉弟のほのぼの回ですね。はい。

次回、小鈴回ですね。

ではまた次回。


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閑話 小鈴の日

皆さんお待ちかね小鈴回です。※微エロ注意※




「私だけの、彼だから」


ある日の朝。

 

私、本居小鈴は博麗神社へと歩いていた。今日は、詠夢と2人きりでいようと思ったからね。

 

そんでね、博麗神社に着いたの。そしたら……

 

 

 

 

境内の掃除を詠夢にネコ耳が生えてた。尻尾もある。ヤバイ鼻血出そう……

 

「え、詠夢?」

 

詠「………にゃん♪」

 

うわ、悩殺してきやがったよ詠夢。うん、私死ぬよ?萌え死ぬよ?

 

 

 

……まあ、とりあえずお賽銭を入れて二礼二拍手一礼して、お願い事をする。内容?そんなの決まってるじゃない。

 

(詠夢と、ずっと一緒に居られますように)

 

 

 

 

霊「あら、小鈴ちゃんいらっしゃい」

 

霊夢は洗濯物を干していた。

 

「おはよう霊夢さん」

 

と私は言い、母屋へと入っていった。後ろには詠夢もいた。

 

とりあえず縁側に座る。詠夢も横にちょこんと座っている。たまにあたる尻尾がくすぐったい。

 

緋「詠夢様、お茶とお菓子です、どうぞ」

 

詠「ありがとね。小鈴、食べよ」

 

私は詠夢と2人きりで。一緒にいられるだけでいい、そう思ってた。でもね、それ以上の関係になりたい。って、最近思い始めた。彼のネコ耳触りたいよ〜……

 

詠「小鈴?おーい小鈴ー?」

 

「あ、ああそうね。食べましょ」

 

普通のお茶なのに、普通のおせんべいなのに。

なぜかいつもより美味しく感じる。詠夢がおいしいねと私に声をかけてくれる。愛がこもったとても優しい声が私の脳内に響く。それよりネコ耳触りたい。

 

詠「ねえ小鈴」

 

「ん?」

 

彼は何を話すのだろう?私とのこと?博麗神社のこと?はたまた姉の霊夢のこと?私のことを話してよ。いや、考えすぎは良くないわね。話を聞きましょう……ああーーっ!ネコ耳触るッ!耐えきれない!

 

詠「あのさ

 

「もう限界!」

 

私は彼の頭をガシッと掴み、耳をナデナデする。彼は驚いた感じの表情で私を見てたけど、途中から気持ちよさそうだった。

 

いつの間にか、私に寄りかかって彼が寝てた。少し涼しくなった秋の日差しが気持ちいい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

霊「詠夢ー?小鈴ー?昼ごはん出来たわよー」

 

奥から霊夢さんの声が聞こえる。私は彼を起こして、食卓へと向かった。

 

お昼ごはん。普通のそうめんが出てくる。今日はいつもより少し気温が高かったからでしょう。

 

私の隣には、詠夢。

 

その隣には、霊夢さん。

 

卓袱台の向こう側には、針妙丸さんや正邪などが座って美味しいと言いながら食べていた。

 

本当にここに住みたくなる。

 

たくさんの人が私を出迎えてくれる。

 

そんな家庭が欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………なら、作ってしまえばいいではないか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その日の夜。

 

霊夢さんが

 

「詠夢の部屋でもどこで寝てもいいわよ。好きにしなさい」

 

と言っていたので彼と一緒に寝ることにした。

 

詠「ねえ、小鈴」

 

「ん?」

 

詠「いつか、ずっと一緒にいれるかな?僕たち」

 

あたりまえ。その答えなんて決まってるわ!

 

「もちろんよ。私たち、付き合ってるんだから」

 

私はこうやって、誰にも邪魔されない2人だけの空間が大好きだった。詠夢が、私の1番だから。

 

「私だけの、彼だから」

 

詠夢も、とても良い笑顔をしている。私が、詠夢の1番のはずだから。

 

詠「じゃあ、おやすみ」

 

「待って!」

 

私は寝るのを止めた。もう、後戻りはできない。

 

詠「どうしたの?」

 

「今日は………寝かせてあげないから」

 

そして、私は服を脱いだーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日の朝。

 

詠「眠い………あと疲れた……」

 

「そうね……一回寝ようかしら?」

 

とにかく今、眠いわ。夜通しだったからね。

 

詠「服、着る?」

 

「めんどくさいから着ない、おやすみ」

 

ちなみに私も詠夢も裸で同じ布団に寝っ転がっている。

 

部屋の襖が開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、襖が開いた……………………………!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ、これヤバくね?誰が入ってきたとしてもかなりマズイ!全裸で男女が転がってたら絶対にヤったと思われる!実際そうなんだけど……って違う!と、とりあえず寝たふりだ!詠夢はもう寝てるから問題ない!

 

霊「2人とも、朝ご…………」

 

とだけ言った後、静かに部屋を去っていった。

 

「ふう……危なかった……」

 

私はとりあえず服を着る。詠夢も起こして服を着させ、とりあえず朝食を食べに行くことにした。

 

詠「おはよ……」

 

「おはようございます……」

 

針「あら、遅かったわね詠夢。何かあったの?」

 

詠「眠い、以上。いただきます」

 

まあ、それしか言えないわね。彼は朝ごはんを食べ始めたので私もそうする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後。

 

詠「じゃあまた来てね」

 

「ええ、いつかまた来るわ」

 

私は博麗神社を離れ、参道を歩き始める。でも私はもう満足よ。だって、彼との既成事実を作っちゃったんだもん♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり詠夢は私だけの彼。そう、私だけの彼。

やっぱり私は詠夢の彼女。そう、彼だけの彼女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはいつまでも、崩れることのない事実。




ごめんなさい今回少し短かったかも?

ではまた次回。


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正邪の悪戯とお祓い棒(物理)

今回は正邪メインの悪戯するお話。

では三人称視点どうぞ。


博麗神社。

 

詠夢が仕事を再開し、忙しそうに幻想郷中を駆け回っている。

 

その中、博麗神社には妖精や妖怪が集まっていた。その中でも指揮を取っていたのが天邪鬼である鬼人正邪だ。

 

ことの発端は昨日の夜。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

正「なあ針妙丸、一回詠夢を驚かせてみないか?」

 

針「えっ?やってみたいのは山々だけどそんなことしたら詠夢さんに何されるかわからないわよ?」

 

正「大丈夫だ。それなら………数で対抗すれば良いじゃないか!」

 

針「まあ、そうね!じゃあ明日から行動開始よ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

というわけで、いま神社には正邪や針妙丸を始め、小傘や光の三妖精、チルノや大妖精、ルーミアなど悪戯好きが集まっていた。

 

ル「あ、せいじゃー!霊夢には話してあるのかー?」

 

正「博麗の巫女と妖怪の賢者全面協力だ。問題ない」

 

なんと霊夢や紫まで協力してくれたという。霊夢曰く、

 

「あの子、驚いた顔すると本当にかわいいんだから」

 

とのこと。紫と霊夢はそれ目当てらしい。

 

計画は着々と進められていく。そこに、

 

詠「ただいまー………どうしたの?こんな真っ昼間に集まって」

 

詠夢が帰ってきた。すでにネコ耳は引っ込んでおり、妖怪退治をする凛々しい感じだった。もちろんお前を驚かす計画を立てているとは言えない為、正邪は口ごもってしまう。すると、大妖精が口を開いた。

 

大「あ、それは針妙丸さんが詠夢さんのお料理がとっても美味しいから一回博麗神社に来てと言ってくれたんです」

 

さすが大妖精。この中で唯一普通に賢い。詠夢はじゃあごはん作ってくるから待っててと言い残し、台所へと向かった。

 

針「ふーっ、危なかった……」

 

チ「さすが大ちゃん!」

 

大「あ、ありがとうございます」

 

正「じゃあ作業再開だな」

 

そして、夕方まで計画は続き、いよいよ詠夢を驚かす夜を迎える。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠「ただいまー……って、誰もいないの?誰かいるんでしょ?おーい」

 

詠夢は明らかに不自然な自分の家に疑問を抱く。すると、

 

霊「あら、おかえり」

 

詠「他の人たちは?」

 

霊「それが知らないのよね〜。どこかに行っちゃったのよ」

 

すると、詠夢が閉めたはずの扉がガラガラと開く。詠夢はビクン!と反応して後ろに振り向く。

 

霊「ど、どうしたの?足すっごく震えてるけど……」

 

詠夢は完全に怖気づいていた。詠夢がこういうことが大っ嫌い、というか大の苦手なのは霊夢も紫も百も承知の上でこの企画をOKした。というより詠夢の弟属性で甘えん坊な一面が見たかったという方が正解だろうか。

 

詠「だ、だだ大丈夫だけd」

 

小傘「ばあっ!」

 

詠「キャアッッ!」

 

詠夢は咄嗟に霊夢に抱きつく。そしてそれに気づいた詠夢はすぐに霊夢の後ろに回って身を隠す。

 

霊「……とりあえず行くわよ」

 

霊夢はまた歩き始める。いつの間にか詠夢は霊夢の手を自分の手でがっちりと掴んでいた。

 

詠「怖い」

 

詠夢は誰にも聞こえないようにボソッと呟く。しかし姉でもある霊夢の耳にはしっかりと届いていた。彼の心情を察し、気づいていないように発言する。

 

霊「もしかして………怖いの?」

 

詠「そ、そんなことないもん!」

 

反論するが、それは綺麗に打ち砕かれる。

 

霊「じゃあなんでネコ耳生やしてるのよ?」

 

そう、さっきまで無かったはずのネコ耳が生えていた。つまり、みんなが見たら萌える行動を取っているということだ。

 

詠「うう……」

 

詠夢は顔を赤らめながら俯いた。今にも泣きそうな詠夢に更に三妖精の悪戯が降りかかる。泣き面に蜂とはまさにこのことである。

 

詠「ひぃっ!」

 

尻尾が急にビクン!と固まる。尻尾も対応してピクッと動きが止まる。

 

するとその瞬間、霊夢に抱きついた。霊夢の巫女服が少し濡れる。霊夢は弟を優しく抱く。

 

霊「大丈夫。私がついてるから」

 

詠「こ、怖いよぉ〜……グスッ」

 

その後、針妙丸や正邪にチルノの驚かしを泣きながら受ける詠夢と、それを懐かしみながら楽しむ霊夢だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

終了後

 

針「どうだった?」

 

詠「べ、別に!」

 

詠夢よ、そこで強がっても泣いてるところを見られたらもう意味ないぞ。

 

正「本当は〜?」

 

詠「こ、怖かった………グスッ」

 

大「ご、ごめんなさい詠夢さん!大丈夫ですか!?」

 

俯きながら顔を赤くする詠夢。流石に罪悪感で心が持たなかった者が続出したが、1人だけ大笑いしていた。

 

天邪鬼、鬼人正邪である。

 

正「ププッ………やっぱり『だぴょん』は天才だな!ハハハッ!」

 

『だぴょん』その名前を聞いて詠夢の表情が急に変わる。

 

詠「やっぱりあいつか……」

 

だ「呼ばれたから出てきた作者のだぴょんだよー♪」

 

カチャ。

 

詠夢がお祓い棒を右手に持っている。

 

だ「ちょ、ちょっと待って!?今変な音したよね?カチャって言ったよね?銃の音したよね?これ完全にお祓い棒(物理)だよね?」

 

詠「問答無用!」

 

バァン!

 

だ「ギャァァァァァァァ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詠「制裁完了………ん?」

 

詠夢が作者をフルボッコにした後、後ろを振り返る。すると、貞子のように髪を垂らした女が立っていた。

 

詠「う、うわぁぁぁんっっ!お姉ちゃーん怖いよぉ〜!」

 

詠夢はまた霊夢に抱きつく。

 

霊「やり過ぎよ、マミゾウ」

 

マ「見ていて少しやりたくなっただけよ。儂はそんな非人道的じゃないわ」

 

霊「まあ、もしそんなことしたらどうなるか分かってるわよね?」

 

霊夢はマミゾウにお祓い棒を向けた。

 

マ「おお怖い怖い」

 

霊「まあ分かったならいいわ。おかげでこの子の久し振りの姿が見れたからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、かなり詠夢が霊夢や八雲一家、小鈴に懐いていたのを嬉しく思いながら過ごしていたとさ。




はい、次回は心綺楼でもやるかな?

ではまた次回。


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鬼の宴会 前編

ごめんなさい!やっと文化祭が終わり昨日は◯ィズニー◯ーへ。

今日から投稿再開、約週3ペースで投稿です。

ーーーーーーーーーーーーーーー

今回から萃夢想です。

今やる理由としては、永夜抄メンバーを出したかったらですね。

原作とは時期が違いますが、楽しんでいただけると幸いです。

では、三人称視点どうぞ。


「博麗神社で宴会をさせてくれないか?」

 

そう詠夢に切り出したのは、鬼の四天王の1人である伊吹萃香だった。

 

「別に、何もないからやる必要ないでしょうに」

 

確かに利益率は高いのだが、詠夢の体の負担を考えるとそれ相応に宴会を開くハードルが高いため迷っていた。

 

「お?じゃあ戦うか?」

 

「いや、止めときます」

 

鬼と戦って勝つ自信が無かった詠夢は許可してしまった。

 

それが、最大の間違いだったーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後、宴会は数日間続き、詠夢は昼は神社、夜は宴会で全く寝ない生活を送っていた。霊夢はそれには気づいていなかった。さらに宴会の際の不気味な妖力もどんどん増えていった。

 

そして、一週間経ったその日。

 

詠夢は、その間ずっと寝ていなかった。

 

そこに霊夢が起きて来た。そして詠夢を見た瞬間に、絶句した。

 

「え、詠夢!?どうしたのそんなにやつれた顔して!」

 

「あ……お姉ちゃん………おはよーーー」

 

詠夢はその言葉を言いかけて、畳に倒れた。

 

「詠夢?詠夢!?返事してよ!」

 

霊夢は慌てふためいた。そして、彼女の脳裏にある記憶が鮮明に蘇る。

 

自分の弟を働かせすぎて倒れさせたこと。そして、弟にもうこんなことはさせないから一緒に頑張ろうと誓ったこと。

 

そしてその全てが、今ここで真っ赤な嘘になった。

 

霊夢の目頭が熱くなる。それと同時に、霊夢は詠夢を抱え、永遠亭へと向かった。

 

「ごめんなさい詠夢……私は……そんなことも守れなかったわ……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「うん、やはり過労ね……なんとなく分かっていたけれど」

 

ここは永遠亭。奥からカルテを持って出てきたのは、赤と青のツートンカラーという何とも奇抜なデザインの服を着た薬師、八意永琳だ。

 

「はあ……私の所為だわ……もう詠夢に見せる顔が無い」

 

霊夢はひどく落ち込んだ様子で永琳の話を聞いていたが、その殆どは耳に入ってきていなかった。

 

「ちょっと霊夢、聞いてるの?さっきから死んだような顔して」

 

「昔いろいろあったのよ、あんた達が異変を起こす前ね。私が全然働いていないせいで詠夢を倒れさせたのよね……そこで詠夢に無理させないって言ったのに……約束すら守ってあげられなかったわ」

 

霊夢は今にも泣き出しそうな表情で、上を向いて話す。おそらくそのままでいると涙が零れ落ちてしまうからだろう。

 

「まあまあ、そう気を落とさないで。これからは貴女が詠夢を精一杯守ってやれば良いじゃない。詠夢は今寝ているわ、好きにして」

 

「分かったわ永琳」

 

永琳が部屋を出ようとした瞬間、振り返って何かを思い出した様な素振りをみせる。

 

「あ、あとこの異変、そろそろ止めないとスキマ妖怪からまた何か言われるわよ」

 

「…………えっ?これ異変なの?」

 

「異変も何も、博麗神社の妖力が日に日に高くなってるじゃない」

 

妖怪退治の専門家と呼ばれる霊夢は顔を青ざめた。

 

「………そんなこと知らない」

 

「まあ、せいぜい頑張りなさいな」

 

幻想郷のため、詠夢のため。

 

霊夢は動き出す。

 

「ありがと永琳。私、詠夢のために頑張るわ」

 

「あ、これ持って行きなさい」

 

そう言って霊夢に渡されたのは、おそらく詠夢が使っているであろうお祓い棒。

 

霊夢はそれを持ち、まだ朝焼けが綺麗な幻想郷の空へと飛んで行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

霊夢が博麗神社に着くと、そこには八雲紫の姿があった。

 

「こんな朝っぱらから何の用なの、紫」

 

「あら、ここにいて悪いかしら?」

 

紫が持っていた手提げ袋の中には、酒が大量に入っていた。

 

「この異変、あんたが起こしたんじゃないの?」

 

霊夢はまず違うと自分でも分かっている紫を犯人と考える。これで戦い、紫に勝って真犯人を突き止めるというおびき出し作戦だった。

 

「あら、じゃあ証明してあげようかしら?」

 

「望むところよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女戦闘中………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、勝負は霊夢の勝ちに終わった。

 

「はあ………はあ、貴女がこんなに強くなってると……思わなかったわ」

 

「それで、犯人はあんたなの?そうじゃないの?」

 

「違うわよ……」

 

霊夢と紫が話していると、見覚えのあるツノ、そして瓢箪を持った少女が現れた。

 

「おーい紫ー、酒持ってきたかー?」

 

「あら、萃香じゃない」

 

そう、鬼の四天王の一人

 

 

 

伊吹萃香だ。

 

 

 

「萃香、あんたが犯人ね!詠夢の分まで仕返しよ!」

 

そして、異変は最終局面を迎えるーーー



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鬼の宴会 後編〜Immaterial and missing power

はい、今回で萃夢想終わり!

正直なところ少しネタ切れなので次がまた時間がかかる可能性です。

では三人称視点どうぞ。


前回のあらすじ

犯人突き止めた

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「お、やる気が出たかい。じゃあ始めようじゃないか」

 

萃香は霊夢の戦闘意欲に興味を示し、戦闘態勢に入る。

 

「ええ、詠夢の分までやってやるわ!夢符『封魔陣』!」

 

霊夢が発動させたスペルカードを、萃香は簡単に避ける。

 

「そんなのムダムダ!其の壱『投擲の天岩戸』!受けてみな!」

 

それをまた霊夢も、簡単に避けた。霊夢は続けてスペルカードを発動させる。

 

「本気で行くわよ!霊符『夢想妙珠』!」

 

またもや激しい攻撃が萃香に襲いかかるが、そんなのもし受けたとしても彼女にはへっちゃらだった。

 

「フフッ、予想していたよりそんなでもないねぇ。其の弐『坤軸の大鬼』」

 

霊夢に容赦なく攻撃が襲いかかる。それを霊夢は勘で避けた。

 

「くっ………!こうなったら……神霊『夢想封印』!」

 

萃香に陰陽玉が降り注ぐが、萃香は平気だった。

 

「ほう、なかなかやるじゃないか。じゃあ行くよ。其の参『追儺返しブラックホール』!」

 

霊夢はなんとか間一髪で避けたように見えたが、一部が当たってしまった。

 

「ぐうっ……!」

 

「これで最後かな?なんか短かったな。『百万鬼夜行』!」

 

すると、彼女の周りを回る霧弾から楕円弾が放たれ、波紋状に大玉を発射してくる。霊夢は最初は避けきれていたが、徐々に反応が遅れていき、最後には大玉に被弾してしまった。

 

「キャッ……!」

 

霊夢は倒れる。萃香はそれを見下して、当然の様に言い放つ。

 

「ふん、やはり人間ごときか」

 

霊夢は体からだらだら血を流し意識は朦朧としていた。

 

「弟だけに頼って、あんたも落ちぶれたねえ」

 

「……ぐっ」

 

しかし、彼女の動かない体はなぜか動いた。

 

「あら、まだやるかい?」

 

また、霊夢からは強い愛情が感じ取れた。

 

「私には………守らなきゃいけない……大切な人がいるの……だから、ここで負けるわけには行かない!」

 

霊夢は懐からスペルカードを取り出し、最後の力を振り絞って叫ぶ。

 

「神技『八方鬼縛陣』!」

 

すると、霊夢の周りから無数のお札が飛び出して来る。その数は余裕で百を超えるであろう。

霊夢は最後の抵抗と言わんばかりにたくさんのお札と視界を埋め尽くす弾幕を出す。

 

「詠夢………ごめん。また働かせちゃうね………こんなダメな姉でごめんね」

 

と呟き、霊夢は力無くそこに倒れた。その時には萃香は既に撃沈していた。

 

「霊夢さん、霊夢さん!」

 

博麗神社メンバーがそれに気がつき、声をかけた時にはもう心臓の鼓動が弱々しくなっていた……

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「ん……ここは………」

 

霊夢は朝の光が眩しいベッドで寝ていた。意識を覚醒させ、周りを見てみる。するとそこには、隣で一緒に寝ている自分の弟がいた。

 

「おはよ詠夢………いてて」

 

それもそのはず。霊夢は、全身に傷を負って包帯を巻かれているから寝返りさえ自由にできない状態だった。

 

「あ、お姉ちゃん!おはよー!」

 

詠夢はガバッと起き上がり霊夢に抱きつく。それはもう満面の笑みを全身で表現した感じであった。

 

霊夢は最愛の弟を精一杯抱きしめた。

 

「お姉ちゃん、異変解決お疲れ様。よく頑張ったね、誰の助けも借りないで」

 

「でも詠夢、私はあんたに謝らなきゃいけないわ」

 

霊夢はそれまでのにこやかな笑顔を一瞬にして消し、真剣な目つきになる。

 

「えっ?」

 

「私……本当に妖怪退治しか出来なくて。他のことなんて何にもできないしやってみようと思わなかった」

 

「え?で、でもお姉ちゃんは

 

「それにまた無理してこんなになって入院して………苦労人でもないのに」

 

「でも!

 

「また、あんたにたくさん仕事させちゃうの……私、詠夢になにをお礼してもしきれないぐらいのことしてもらって……本当にダメな姉だなって思って……」

 

霊夢の目からは涙が頬を一筋につたっていく。

 

「そんなこと無いってば!お姉ちゃんのバカ!」

 

詠夢が怒鳴る。さっきまで泣いていた自分の姉はビクッ!と泣き止み、詠夢のほうを見る。

 

「お姉ちゃんね、たくさん出来ることあるよ!例えば幻想郷中の妖怪の統率をとったり、あとね、霊夢お姉ちゃんはとっても強い!」

 

「詠夢………」

 

また涙が零れ落ちそうになる霊夢。それを見て詠夢は余計悲しそうな顔をした。

 

「ねえお姉ちゃん……気づいてないの?言わないとわからない?お姉ちゃんに悲しんでほしくないって……はっきりと言わないと……わからないの?」

 

詠夢は震えた、いまにも泣き出しそうな声で霊夢に話しかけていた。

 

「じゃあ詠夢………これからは、もっと支え合って暮らして行きましょ、そうしないと私もあんたも壊れるわ」

 

「そうだね……これからもよろしくね、お姉ちゃん」

 

やっと、やっと詠夢が微笑んだ。霊夢もそれにつられて自然と笑顔が溢れる。

 

「さあ、今日は永遠亭で宴会でもしよ!」

 

宴会、その言葉を聞いた瞬間に詠夢の顔が青ざめた。

 

「えん、かい……?」

 

「大丈夫よ、今日は鈴仙や永琳に準備を頼んであるわ。一緒に楽しみましょう」

 

「……やっぱり、僕手伝ってくる」

 

と言った直後、スタスタと鈴仙がいる方へ詠夢はかけて行った。

 

「はあ、あの子もやっぱり立派ね、あんなに働くなんて」

 

霊夢は朝の光を浴びながらそう呟くのだった。




はい、お楽しみいただけたでしょうか?

なんか会話が多くなってしまいましたね。今後気をつけます。

ではまた次回。


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守矢のお祭り

いや、今更ですが風神録キャラとの関わりがあまり無いなと思いまして。それで風神録キャラ出そうかなーって。

では、三人称視点どうぞ。


「あ、あの……お祭りのやり方を教えてください!」

 

1日の仕事が終わりくたくたになっている博麗姉弟のもとにやってきたのは、守矢神社の風祝で最近異変解決者の仲間入りを果たした、東風谷早苗である。

 

「いや、話が見えないんだけど……」

 

呆れた表情で言う霊夢。普段こういうことは詠夢が対応するが、妖怪退治で珍しく服がボロボロになったので着替え中である。

 

「あ、そうでした。実は……」

 

守矢神社も幻想郷の住人に仲間入りしたし友好も深まってきたので、守矢神社も博麗神社の年1回開催する例大祭の様に開催してみたいとのことだ。

 

「ふーん……なるほどねー。じゃあとりあえず中に入りなさい」

 

霊夢は納得した様な表情で早苗を神社の中へと案内する。

 

「あれ、詠夢くんは?」

 

「いま妖怪退治帰りで服ボロボロにして帰ってきたから着替え中よ」

 

霊夢がその言葉を言い終えた直後、詠夢の部屋に早苗が駆けて行った。

 

まあ、その後早苗がボロボロになって居間に帰ってきたのは言うまでも無いのだが。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「それで?何か用なの?」

 

少し不機嫌な詠夢は早苗に質問する。

 

「あの、秋に外の世界では収穫祭とかで盛り上がるじゃないですか」

 

「はい」

 

外の世界のことを知っている詠夢と早苗だからわかることだ。

 

「それを守矢主催で出来ないかなと」

 

「なるほど……でもさ、祭っていうには何かに感謝の意を込めて開かないと意味ないよ?」

 

「………あ」

 

早苗は今更だがそのことを忘れていたようだった。

 

「早苗………あんたほんとにどこか抜けてるわね」

 

霊夢は再び呆れた表情を見せながら早苗を見る。

 

「はあ……わかったよ。明日僕が守矢に行けば良いんでしょ?」

 

「あ、来てくれるんですか?」

 

早苗は一転、キラキラした表情で詠夢に詰め寄る。その一方で霊夢は少し不安そうな表情をした。

 

「うん。だって困ってるんでしょ?」

 

「あ、あの……わ、私も行くわ!」

 

何故か霊夢が顔を赤〜くしていた。

何かあったのだろうか?と思う早苗と、

なるほど、そういうことねと理解する詠夢。

 

「いいよ、明日一緒に行こう霊夢」

 

すると霊夢は安堵の表情を浮かべて頷く。早苗は頭にたくさん?マークを浮かべていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

早苗が帰った後。

 

「ご、ごめんね詠夢」

 

「いいよ、気にしないでお姉ちゃん」

 

顔をほんのり赤く染めている姉の頭を弟が撫でる。

 

「えへへ、少し寂しいのよ、あんたがいないと」

 

「そのことは分かってた。お姉ちゃん、ホントは寂しがり屋さんだから」

 

霊夢の裏の感情を知っている2人のうちの1人である弟は、姉を精一杯抱きしめる。まあそのもう1人は……言わなくともわかるだろう。

 

「そんで、お祭りのことどうするの?」

 

その話を逸らそうと、霊夢はとっさに話題を変える。

 

「妖怪の山にうってつけの人達がいるじゃん」

 

「え?それ誰?」

 

どうやらその人物は霊夢の頭の片隅からさえ吹っ飛んでいるようだった。

 

「ほら、秋姉妹。覚えてない?」

 

「………覚えてないわね」

 

「分かった。明日行く時に教えてあげるから」

 

詠夢はそう言い残し、台所へと歩いていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

お祭り当日。

 

詠夢は会場となっている守矢神社周辺を小鈴とぶらついていた。

 

服装は早苗と同じ白と青のツートンカラーだ。また霊夢も、春雪異変を解決した時のように青白の巫女装束を身に纏っている。

 

今日だけは守矢の二柱ではなく豊穣の神、秋穣子を祀り、今年の豊作に感謝を込めてみんなが屋台で料理を振る舞うというものだ。

 

これも詠夢が考えたもので、みんなが楽しめてかつ感謝の意を伝えられるのがこれなのではないかと思ったからだ。

 

「大食い大会なんてどうです?」

 

という早苗の提案もあったが、詠夢は顔を青くして

 

「優勝は西行寺幽々子だから止めとけ」

 

と、珍しく命令口調で返したことから霊夢も危機感を示し止めたという。

 

 

 

 

 

 

 

詠夢が色々な屋台を見ながら、時に小鈴と2人で食べながら歩いていると、主催者の早苗がいた。

 

「あ、詠夢さん!今回はありがとうございます」

 

「いやいや、こっちこそありがとね。お祭りで楽しむことなんて久しぶりだったから」

 

「え、そうなの?」

 

隣にいた小鈴も話に加わる。

 

「うん、そろそろ博麗神社(うち)も例大祭あるし」

 

「へぇ〜そうなんですか、ではお祭り楽しんでくださいね」

 

「そうします。では」

 

詠夢はぺこりとお辞儀をして小鈴の手を引いて行く。その瞳は2人とも輝いていた。

 

「はぁ………私もああなりたい」

 

とボソッと呟き神社の本殿へと戻っていく早苗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詠夢たちはその後も雷鼓と里の男たちの太鼓の舞台を見たり、また食べ歩いたりと充実した1日を送っている間にもう時刻は夕方になっていた。

 

「ふう、今日見てて色々参考になることがあったなぁー」

 

とても満足気な顔でいる詠夢と、

 

「そう?なら良かったわ」

 

その傍らに寄り添う形で歩く小鈴。

 

「ん?小鈴、なんか大人びた雰囲気出してどうしたの?」

 

「なんとなくやってみたかっただけよ」

 

「………ぷっ」

 

詠夢は不意に笑い出してしまう。

 

「な、何よ!別に良いじゃない!」

 

「だって……そんなの小鈴に似合わないアハハハハ!」

 

爆笑している詠夢と顔を赤くしてポカポカと詠夢を殴りながら怒る小鈴。

 

その姿はとてもカップルというのに相応しいピンク色の雰囲気が漂っていた。

 

それは何処かの橋姫が病気にかかるほどに。




いま思ったけど、詠夢と小鈴のカップルって相当ロリショタカップルな気がするのは作者だけではないはず。

ではまた次回。


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詠夢の女子事情

今回はイチャイチャ回です。

短編3つですね。ネタギレトカイワナイデ

では、どうぞ。


博麗神社の神主であり、真面目な性格と行儀よく誠実な態度が人気な博麗詠夢。彼の女子事情について少し覗こう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

博麗神社(博麗霊夢)

 

今日も詠夢は働く。それは博麗神社のみんなのため、幻想郷の為。

姉である私はそんな仕事をしすぎな詠夢が少し不安だったが、私の為にここまで尽くしてくれることを考えるともう頭が上がらない。

 

でもね。詠夢が普段は見せない一面を私だけに見せてくれる。まあ、それも2人きりの時だけね。……あ、あの子が帰ってきたわね。今日もお疲れ様。

 

「おかえり、詠夢」

 

「ただいまお姉ちゃん」

 

そう、普通は「霊夢」と呼ぶけれど2人の時は「お姉ちゃん」と呼んでくれる。彼、実は甘えん坊よ。みんなの前ではクールだけどこういう時だけ違う。

 

「寄っかかっても、いい?」

 

「構わないわよ」

 

そんな素っ気ない会話しか交わさないけれど、この夕方のポカポカした陽気が、詠夢の体をよりふんわりとした暖かいものに感じさせる。

詠夢は私の肩に小さい体を任せて、とても安らかな顔をする。

 

「やっぱり落ち着くな」

 

「あんたも相変わらず好きね、これ」

 

本当は親にやってもらうのが普通だとは思うけれど、過去が過去だから私が母親代わりみたいな感じなのだとは思うわね。

 

「これからも、ずっと一緒にいられるかな?」

 

「ええ、もちろんよ」

 

かなり詠夢が甘えている。普段は遠慮しがちにするが今日は心が完全にオープンしていた。

何があっても、私は詠夢と一緒にいる。あんたが私の所に来た時に一番最初に決めたことよ。

 

「あんたは、私の一番大切な弟なんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

守矢神社(東風谷早苗)

 

今日も詠夢さんが来てくれました。今日はたまたま神社の仕事が休みだったみたいです。

 

「早苗ー、お茶のお代わりくれる?」

 

詠夢さんも霊夢さんと一緒で、お茶を飲むのも好きみたいですね。

 

「どうぞ」

 

「ありがと。あー、仕事の後のお茶は癒されるねー」

 

詠夢さんは暇だとたまに守矢の仕事も手伝ってくれたりします。その時は「守矢の神主」ですからね。とても諏訪子様と仲良さそうにしています。

 

「ねえ詠夢さん?」

 

「なに?」

 

「ずっと守矢で働いてみませんか?」

 

私はダメ元で聞いてみる。詠夢さんはもともと博麗神社の神主さん。守矢で暮らすことなど絶対に許されない。

………けれど、彼からは信じられない言葉が発される。

 

「確かに働いてみたいねって思う時はある」

 

「そうですかー、やっぱり………って、え?」

 

「確かにここで暮らしたいとは思ったことあるよ、風祝さんも神様もしっかりいるしね」

 

私は耳を疑いました。そんなこと思ってないと決めつけていたから。

 

「でも。何も分からない僕を優しく育ててくれたのは姉である霊夢だから、僕の帰るべき場所は博麗神社だと思う」

 

「そうですか、わかりました。今日はお手伝いしていただいてありがとうございました。」

 

私も霊夢みたいな存在になりたいわね。

 

そんなことを考えながら私は夕日を見ていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

永遠亭(鈴仙・優曇華院・イナバ)

 

「それじゃ、私は仕事があるから。じゃあね」

 

「じゃあね霊夢」

 

詠夢さんが霊夢に別れの言葉を言う。

 

ここは永遠亭、詠夢さんは怪我をして入院中です。なぜ怪我をしたか?それは……

 

妖怪退治の時に私を庇ってくれたから。

 

私がとても大きい妖怪に出くわしてしまった時に、毒を飛ばしてきた。詠夢さんはその時、私を庇う形で毒を浴びるように食らってしまったわ。妖怪は退治してくれたけれど毒が全身に回って吐血していたから、急いで永遠亭に連れて来たの。それで今は入院中よ。

 

コンコン。

 

「失礼します」

 

私は入室する。横になっている詠夢さんは薬でいま解毒していて、少なくとも1日は絶対安静にしなければならない。

 

「あ、鈴仙。ごめんね迷惑かけてしまって」

 

「そんなこと言わないでください。元はと言えば私が逃げなかったのもいけない訳ですし」

 

何で、何でだろう。なんでこんなに詠夢さんは人に優しく接してくれて、守ってくれるのだろう。私の心がなぜか落ち着く。自分の能力で見ても彼の波長はとてもゆっくりで、人が落ち着くものだった。

 

「まあ、鈴仙が助かって何よりゲホッガハッ!」

 

「あ、詠夢さんっ!」

 

詠夢さんがまた血を吐いてしまった。私はササっと対応をして詠夢さんを寝かせる。彼を見ているとなんでこんなにも笑顔でいられるのだろう。

 

不思議ね。

 

詠夢さんを異性として認識し始めたのはいつだったのかしら?とても優しくて、勇敢で、みんなを守る。そんな詠夢さん、私はいいと思うわね。

 

「好きです………」ボソッ

 

「ん?いま何か言った?」

 

「いや。な、何でもないわ」

 

自分の気持ちを素直に伝えられる日が来るのではないかと私は待ち遠しいです。




テスト1週間前(水曜から定期考査)なので恐らく日曜日更新できたら良い方です。なので、気長に待ってくれると嬉しいです。

では、また次回。


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咲夜の風邪

今回は咲夜の風邪回です。

もちろん詠夢はお手伝いする為に紅魔館に行くのですが……?
続きは本編で。

では、詠夢視点どうぞ。


今日もいつも通りの1日………ではなさそうだ。

 

僕が見たのは、焦った様子でこちらに向かって走ってくる紅魔館の主、レミリア・スカーレット。

 

「詠夢ー!助けてー!」

 

「ど、どうしたのレミリア!?」

 

息切れ切れのレミリアにとりあえずお茶を渡して、事情を聞く。

 

「咲夜が……咲夜が風邪引いたの」

 

「それって………あ」

 

いま思い出した、紅魔館をほとんど咲夜が仕切っていたことに。

 

一応妖精メイドはいるのだが、ほとんど仕事しなかったり団結力がなかったりで働いてくれないことをいま思い出した。

 

ま、僕が手伝いに行きますか。

 

「……てことだから霊夢。少し詠夢を借りて行くわよ」

 

「多分今日は帰ってこれなさそうだからごめんね霊夢」

 

「ま、まあ、1日くらいなら……いいわよ?」

 

お姉ちゃんは内心とても不安そうだった。もう何年も一緒に暮らしていたら何も話さないでも気持ちはわかる。

 

「霊夢安心して。絶対に明日は帰るから」

 

そう言って、僕はレミリアと一緒に紅魔館のある湖の方向へと飛んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

紅魔館

 

「咲夜ー?入るわよー」

 

レミリアの声が館に響く。しかし、中からは声が聞こえない。

 

ガチャ

 

扉を開けると、顔が赤くて咳をして寝込んでいる咲夜がいた。

 

「あ、お嬢様……あと、詠夢……?」

 

咲夜は起き上がろうとしたが、僕はそれを止めて寝ているように促す。

 

「咲夜、風邪薬は飲んだのかしら?」

 

「ゲホッ、ゲホッ……はい」

 

「咲夜、今日は寝ていた方がいいよ。だから僕も来たんだし」

 

さあ、僕は咲夜の仕事を全部やらなきゃいけないんだけど……

 

凄い多いね。掃除洗濯ご飯作りから図書館の本の片付けベッドメイクまで。というか本の片付けはパチュリーやろうよ?

 

………とまあ、レミリアから専用の服を渡されたので着替えよう。

 

そんで問題は着替えていた時。もちろん下着姿だった。

 

何か視線を感じると思ったら、カメラを持ったレミリアが鼻血垂らしながらこっちを見てた。男の着替えなんて見ても何も興奮しないだろうに。

もういいや、どうにでもなれよ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

約1時間後

 

「……っと。とりあえずこれが終わったから次は……図書館の掃除か」

 

僕は図書館の扉を開けた。すると、机に突っ伏して寝ているパチュリーと、その隣で本を読んでいるフランがいた。

 

「あ、詠夢くーん!その服どうしたの?」

 

「こんにちは妹様」

 

普段はフランちゃんとか呼んでいるけれど、いまは従者立場なのでこういう呼び方にさせてもらいます。

 

「ふぁ〜あ、あれ詠夢来てるのね……咲夜のためにありがとね、詠夢」

 

パチュリーは寝ぼけた声でお礼を言っていた。

 

「このくらいならなんともないのでご心配なく。それでパチュリー様、まずこの散らかり方は何ですか?」

 

僕が見たのは、本棚同士に挟まれた通路に、これでもかというほど本が散らばっている光景だった。

 

「た、確かにこれは酷いわね」

 

すると、どこからか出てきた小悪魔が口を挟む。

 

「パチュリー様は本を読むとそのまま床に放置すrうわわっ!?無言でアグニ撃たないで下さいっ!」

 

「じゃあこうすればいいのね?火符『アグニシャイン』!全身焼かれてなさい!」

 

小悪魔に対するパチュリーの一方的な猛攻が始まった。それを脇目に、僕は図書館の掃除を開始する。

 

これは……こっちで……あれは……あっちか。

 

僕が片付けていると、その悲劇は起こりました。

 

僕が下にある本に足を滑って転んだ。それだけだったら良かったけれど、生憎足が本棚に引っかかり本棚が倒れてきたのだ。

 

「うわっわわわ!」

 

僕は身動きが取れず、自分の上に本棚が倒れてくる。

 

ガッシャーン!

 

本と棚に押し潰されそうな体を必死に動かす。しかし、僕の体が言うことを聞いてくれない。

 

ダメだ……もう……意識が……さっき頭ぶつけたし……

 

僕は意識を手放したーーー

 

side out

ーーーーーーーーーーーーーーー

三人称視点

 

パチュリーは詠夢を放ったらかしたまま、まだ小悪魔に攻撃を仕掛けていた。

 

「こぁぁぁぁぁ!?もう止めてくださいパチュリー様ぁぁー!」

 

「これで終わりよ!火水木金土符「ガラガラガッシャーン!」……へ?」

 

そこでパチュリーは気づいた、詠夢が1人で片付けをしていたことに。

 

「これ……うちの図書館からだわ!」

 

パチュリーはすぐに音がした方向に向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

向かったそこには、本の山と倒れている本棚があった。小悪魔は驚愕の表情を見せていた。

 

「まさか……この中に詠夢さんが……!」

 

2人が必死に本をかき分けて行くと、一番下に詠夢がいた。

 

「詠夢!」

 

パチュリーは駆け寄って詠夢の体を揺さぶる。

 

「ん……パチュリー……?」

 

詠夢は起きた様だった。パチュリーは張り詰めた表情から一転、安堵のため息をついた。

 

「はぁーよかった。大丈夫かしら?」

 

「はい、大丈夫ですパチュリー様」

 

そこに扉をバン!と開けて入ってきたのはレミリアだ。

 

「大丈夫パチェ!?」

 

「私は大丈夫よレミィ。ただ詠夢が本と本棚に埋もれてしまったわ。さっきまで気絶していたわ」

 

「でももうご心配なく。僕は仕事があるのでこれで」

 

詠夢は恥ずかしそうにその場を去った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

恥ずかしい……あんな姿見せたくないのに……

 

というか頭痛い……ダメだ、こんなじゃあ。咲夜はもっと辛いんだ今。僕がやらなくて誰がやるんだ!

 

僕は厨房へと向かった。とりあえずあれとこれと作って……あ、食材足りない。

 

買い出し行ってこなくちゃ。ついでに咲夜の部屋も寄ろう。大丈夫かな?咲夜

 

コンコン

 

「咲夜ー入るよー」

 

咲夜はまだ咳と熱があるらしく、苦しそうだった。

 

「あ、詠夢ゲホッ、ゲホッ!」

 

「無理しちゃダメだよ?」

 

そういった瞬間、頭に激痛が走り、フラッとしてしまった。

 

「え、詠夢!?そういう貴方こそ大丈夫なの?少し休んだ方が……」

 

「さっき本に頭を強打しただけだから大丈夫。こんなのでへこたれるほど僕は弱くないから。じゃ、買い物行ってくるね」

 

「行ってらっしゃい」

 

僕は買い出しへと行った。

 

 

 

 

 

 

もちろん買い物時間中はキングクリムゾン!

 

 

 

 

 

 

 

時間は飛んでもう夕食の時間。咲夜にはお粥を作っておいたので安心だ。

 

「いただきます」

 

とレミリアが言うと、みんなが一斉に

 

「「「「いただきます」」」」

 

と言い食べ始める。

 

「美味しいわね。もしかしたら料理の腕は咲夜より上?」

 

とレミリア。

 

「運動できて頭良くて料理もねぇ……完璧じゃない」

 

とパチュリー。

 

「完璧な人間などいないですよ、パチュリー様」

 

僕も席に着き、食べ始める。

 

「ん、しっかり味ついてる」

 

自分でしっかりと味を確かめた後、フランが

 

「ごちそうさまー!」

 

といって自室へと戻って行ったので、僕は片付けを始めようと席を立った。すると、

 

「ちょっと待って詠夢」

 

とレミリアに止められた。どうやらレミリアも一緒についてくるらしい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

咲夜の部屋

 

咲夜の部屋には僕とレミリア、咲夜がいた。少しの静寂のあと、レミリアが切り出す。

 

「咲夜から、話があるみたいなの」

 

「へ?どうしましたか?」

 

「とりあえず、今日1日ありがとう。詠夢の仕事ぶり、とてもよかったわ」

 

「ありがとうございます」

 

仕事について褒められたのは久し振りだったから少し嬉しかった。

 

「ありがとね、詠夢。本当に助かったし久し振りに休んだから、少し疲れが取れたわ。おかげで熱も下がったし」

 

咲夜が頭をポンポンと撫でてくれた。僕の顔から少し笑みがこぼれる。

 

「それで、次は私からなんだけど」

 

どうやら、レミリアからも話があるようだ。

 

「今日はお疲れ様。咲夜のためにありがとう、それで早速だけど本題に入るわ」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「敬語でなくていいわ」

 

「………わかった。どうしたのレミリア?」

 

「貴方は、どんな色が好き?」

 

予想外だった。なんで今更そんなことを聞くのだろうか?そんなことも思ったけど僕は正直に答えた。

 

「フランちゃんの色」

 

「………え?そ、それってどういうこと?」

 

「フランちゃんの羽の、あの宝石みたいな色が好きかな。カラフルだけど輝いてる。まさに彼女みたいで綺麗だなって」

 

「なるほどね。ありがとう詠夢」

 

「あとは私が仕事いたしますので。詠夢は今日くらい泊まっていった方が良いわよ」

 

「じゃあお言葉に甘えて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お嬢様、急にあんなことを聞かれてどうされたんですか?」

 

「フフフ、そのうちわかるわよ」

 

レミリアは優しい笑みを浮かべ、かすかに見える月を見上げた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

同刻

 

僕は客間へと行き、とりあえずお風呂だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから寝間着に着替え、意識を闇に沈めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

いつものように目が覚めると、頬が痛かった。

 

何事かと思い目を開けると、右頬をふにふにと触っているフランとこあさん。

左頬をふにふにと触っているレミリアと咲夜、それを笑顔で見ているパチュリーがいた。

 

「ん………痛い」

 

レミ「あ、起きた」

 

こあ「す、すいません!」

 

フラン「気持ちよかったからね」

 

咲夜「つい、触ってしまいました。」

 

いや、それは良いんだけどね。ネコ耳生えてるのにネコ耳触らないんだね。多分咲夜とかこあさんは触ってるんだろうけどね……

 

っていうのも、前初めてネコ耳が生えた時(「閑話 霊夢の日」参照)にフランとレミリアが触りに来たんだけど、本当に触り方がいやらしかった。ふわふわとしか触らないからすごい感じちゃって///

 

その時に本気の詠想封印を食らわせた時があったから多分触ってないんだよね。

 

「べ、別にしっかり撫でるなら耳触っても……いいよ?」

 

少し恥ずかしかったけど言ってみた。

 

フラン「それならお姉様!一緒に触りましょ!」

 

レミリアはこくりと頷き、2人は撫で始める。

 

レミ「………うん、気持ちいいわね」ナデナデ

 

その撫で方にはどこか愛情がこもっているように感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館で働いたこの2日、ずっと同じ仕事をしていた僕には新鮮な体験だった。

 

 

ーーーありがとう、咲夜。




今回は過去最高3970文字です。長かったですが楽しんで頂けたでしょうか?

それでは次回。


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おめでとう詠夢

タイトルからして予測はつくと思いますが……。

では三人称視点どうぞ。

ーーーーーーーーーーーーーーー
そうそう、全く関係ないんですが、成績面がね、友達が異常なんですわ

大親友(男子)←学年1位2連覇
友達A(男子)←学年3位
友達B(女子・東方好き)←学年4位
友達C(女子)←学年5位

もうその人達とつるんでる僕が怖いです。ちなみに僕は約160人中70位くらいです(泣)


「あら詠夢、おはよう」

 

「おはよお姉ちゃん!」

 

ふあぁ、と欠伸をする霊夢とは裏腹に、詠夢は朝からハイテンションだった。なぜかというと、

 

(今日は僕の誕生日♪)

 

詠夢の誕生日だからだ。

 

「お姉ちゃん、今日は何の日だ?」

 

「うーん……ゴミ出しの日?」

 

「違うよー、何かあるでしょ、な・に・か」

 

「あ、今日燃えるゴミの日だ」

 

「違うって、もう知らない!」プイッ

 

霊夢は平静を装っていたが、内心はドキドキしていた。

 

(はぁ、危なかった……サプライズにあの言葉は取っておかないとね)

 

霊夢は朝ごはんの準備に入っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方弟はというと……

 

「お姉ちゃん……なんで覚えてないのかなぁ……」

 

凹んでいた。

 

 

 

自分の家族に記念日を覚えていてくれなかったのはとても悲しかったようだ。

 

誕生日のことは自分の心の中に置いておき、黙々と家事をこなしていく詠夢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「いただきまーす」

 

「「「「いただきまーす!」」」」

 

みんなは会話を交わしながら、朝ごはんを食べていく。しかし、1人だけ全く違うオーラを出している人物がいた。

 

コン「え、詠夢さん?どうしたんですか?」

 

「…………今日、何の日か覚えてる?」

 

針妙丸「今日はたn………燃えるゴミの日だっけ?」

 

「ほら………みんなそうなる……ヒドイよ」

 

緋天「詠夢様……どうされました?」

 

「ごちそうさま」スタスタスタ

 

霊夢「あ、詠夢!待って!」

 

詠夢は足早に自分の部屋へと歩いて行った。

 

霊夢「はあ………本当に上手く行くのかしら……?」

 

早速だが、雲行きは怪しい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

鈴奈庵

 

カランカラン

 

「いらっしゃいま……え、詠夢」

 

鈴奈庵に来たのは、この日がある大切な日の詠夢。

 

「………小鈴………おはよ」ドヨ-ン

 

詠夢の周りには、漫画で描くとまるで周りが暗くなっている、そんなようなオーラが出ていた。

 

「うわっ……負のオーラが……ど、どうしたの詠夢!?」

 

すると、詠夢は今朝のことを話し始めた。

 

「実は、今日誕生日でね………霊夢にそのことを伏せて聞いたんだけど……『ゴミ出しの日ね』とか言われて……僕なんて……ゴミ同然なんだとか思っちゃって……」

 

「あ、おめでとう!でも!そんな弱々しく生きてちゃダメよ。誕生日だってことを知らないのは博麗神社の人たちだけかもしれない。だから、知ってる人に声をかけてみれば良いじゃない」

 

すると、詠夢は顔を上げて小鈴を見た。その顔は来た時より幾らか明るかった。

 

「分かった……やってみる」

 

そう言うと詠夢は鈴奈庵を後にして太陽がのぼっている幻想郷の空へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう……少しは助けになったかなあ……?」

 

カランカラン

 

「あら小鈴、そんな顔してどうしたの?」

 

「さっきね、詠夢が来て………」

 

「そっか、小鈴も『あの』計画知っているものね」

 

「詠夢に喜んで貰えると良いんだけどね……」

 

少し不安になる小鈴だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、詠夢は……

 

「今日は何の日だ?」

 

魔理沙「さ、さあ……今日何かあったっけ?」←計画を知ってる

 

「………」←表情が曇る

 

 

 

 

 

 

 

「今日は何の日だ?」

アリス「何かあったかしら……ゴミはもう出したものね」←知ってる

 

「………」←俯いてアリスの家を出る

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は何があるか分かりますか?」

 

慧音「す、すまないが……わ、わからないな」←知ってる

 

「………グスッ」←聞こえていないけれど泣いている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詠夢は昼の人里を1人トボトボと歩いていた。

 

「なんで………なんでよ……グスッ…みんな……去年のお姉ちゃんの……誕生日の時はおめでとうって……うう……言ってたのに……なんで僕だけ……僕だけ………」

 

詠夢は悲しみに打ちひしがれていた。

誰も自分の誕生日のことを思い出してくれない。それだけが頭の中をぐるぐると回っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カランカラン

 

「あ、詠夢。どうだった?」

 

小鈴の問いかけに対して詠夢は首を横に振った。

 

「あら……そうなの……。でも、大丈夫よ。こっちに来なさい」

 

「あ、ありがと……」ギュッ

 

詠夢は小鈴に抱きついて静かに泣いていた。

 

「気持ちが晴れるまでいいわよ」ナデナデ

 

小鈴は自分の彼をまるで母親のように撫でた。とても温かみがあった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「スー……スー……」

 

詠夢はいつの間にか寝ていた。小鈴は今、鈴奈庵のカウンターで詠夢を寄りかからせながら座っている。

 

「すみませーん」

 

「あ、いらっしゃいませ早苗さん」

 

そこに入って来たのは早苗だ。どうやら、「あれ」の準備は出来たものの肝心の詠夢がいないということで霊夢と手分けして探していたところだという。

 

「あの、詠夢さん知りませんか?」

 

「あ、詠夢ならここにいますよ」

 

小鈴は自分の左肩の方を指した。

 

「あ、ああ。そうですか。それじゃあ……」

 

「それじゃあ?」

 

早苗はもじもじしながら言った。

 

「膝枕……してもいいですか?」

 

「……ええ、どうぞ」

 

すると早苗は詠夢を支えつつ、自分の太ももに頭が来るように体を倒す。

 

「……カワイイわね、詠夢さん」ナデナデ

 

「……ん……だれだろ……さなえ?」

 

詠夢は寝ぼけた感じで聞く。

 

「さあ詠夢さん、博麗神社に戻りますよ」

 

「詠夢、行こ」

 

「じゃあ……おいしょっと、行こうか小鈴」

 

詠夢と小鈴は手を繋ぎ、仲良く歩いていく。それを早苗はまるでパルスィのような目で見ていた。

 

side out

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠夢視点

 

 

僕は博麗神社に着くと、いつものように母屋の扉を開けた。

 

するとその瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無数のクラッカーの音が鳴り響き、みんなが声を合わせて言った。

 

霊夢「せーの、」

『お誕生日おめでとー、詠夢!』

 

 

 

も、もしかして……

 

僕のためにサプライズを用意してくれたの?

だからみんな気付かないフリをしてたの?

みんな最近ヤケにソワソワしてると思ったのはこのため?

 

「み、みんな………」

 

 

 

すると、いつも僕が使っているピアノにアリスが座り、何かを弾き始めた。

 

それは、誕生日の時によく聞く曲。みんなが歌う声はとても温かみがあって、嬉しかった。

 

みんなが歌い終わり、気付いた時にはツーッ、と頬をなにか熱いものが伝っていた。

 

霊夢「詠夢、今日はごめんね。誕生日気付かないフリなんかしちゃって」

 

お姉ちゃん……そんなことはない!

 

「そんなことないって。むしろこんなみんなに……グスッお祝いしてもらって……うう……嬉しいよ………僕は。ごめん泣いちゃって」

 

僕は涙を拭いながら小鈴の方を向く。小鈴も笑顔だった。

 

小鈴「喜んでくれた?」

 

「うん!………みんな、本当にありがとう!この恩はいつか絶対に返すから!」

 

霊夢「いいのよ詠夢。あんたはいっつも幻想郷を守ってくれてる。幻想郷の平和が失われそうだったらそれを察知して行動してくれる。もし大切な人に危害が出そうだったら、命を懸けて守り通す。あんたと一緒に暮らしていて1番あんたがすごいと思ったところよ」

 

「霊夢……」

 

霊夢「さあ、詠夢中心で今夜も盛り上がるわよー!」

 

『おー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想郷の夜空には満天の星空と博麗神社に集まった人間や妖怪の声が木霊していた。

 

また詠夢にはフランからフランの羽の結晶から作ったブレスレット、霊夢から貰った新機能付きのお祓い棒、小鈴とお揃いのペンダントなどなど沢山のプレゼントをもらい、いつもより何倍も明るい飛びっきりの笑顔を見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー僕のためにありがとね、霊夢。




はい、詠夢の誕生日は10/30設定です。

神が出雲から帰ってくる10月の終わりに落とした神の子で神の使いという設定になります。

それではまた次回、お会いしましょう。


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邪龍の蛇

今回は東方鈴奈庵〜Fobidden Scrollery
からですね。そこそこ内容は弄るのであしからず。

では、どうぞ。


秋も深くなり、たまたま休みだった博麗神社の仕事を任せて詠夢は幻想郷の空を飛んでいた。

 

すると、人里の中にある人だかりが出来ていた。

 

「あ、阿求だ……何かあったのかな?」

 

詠夢はその人だかりの中に阿求を発見し、降りて行った。

 

「阿求ー!何かあったの?」

 

「あ、詠夢さん!聞いてくださいよ。お稲荷さんの頭巾が無くなったんです」

 

「それ………何か特別な事なの?」

 

「い、いや………べ、別に普通の布なんですけどねー!アハハハハいくわよ詠夢さん!」

 

高笑いから急に真顔になった阿求は、詠夢の手を引っ張りズカズカと鈴奈庵の方向へと駆けて行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

鈴奈庵。

 

「……で?」

 

詠夢が急に話を切り出す。

 

阿求「でって言われても、何が?」

 

「阿求のその感じ、あの頭巾に何かありそうだったからさ」

 

小鈴「頭巾……?」

 

小鈴が首をかしげる。

 

阿求「あそこで騒がれても面倒だし、ああ言うしか無かったのよ」

 

阿求はプハーッ!っと小鈴が出したお茶を飲み干し、深く椅子に座る。

 

阿求「聴耳頭巾(ききみみずきん)って、知ってる?」

 

詠夢「えーっと………あ、確か先代の巫女(お母さん)から聞いた事がある。確か……」

聴耳頭巾。

被ると、動物や植物の声が聞こえるようになるというお稲荷さんの頭巾だ。

 

それで、動物の願いを叶え、お金持ちになるというお伽噺だ。

 

阿求「そうよ、詠夢。確か私の記憶の限り、本当よ」

 

先代の記憶だけれどもね、と付け足したところに小鈴が入ってきた。

 

小鈴「あ、その話、確かうちの本にあった筈よ!確か……庄屋の娘の病気を治して報酬を貰うんだったっけ?」

 

ドタドタと小鈴は本棚へと駆けて行く。

 

「で、その頭巾はどこに行ったの?」

 

阿求「今は私ん家にあるわ。さっき騒いでいたのは偽物よ」

 

「え?なら、そんな探す事無いんじゃない?」

 

阿求「いや、その私の家に保管してあったほうが問題だったのよ」

 

阿求によるとどうやら、阿求の家にあった頭巾をたまたま出して調べてみると、何も聞こえず、魔力の無い普通の布だったという。つまり、時間が経ち魔法の道具では無くなったのだ。それを確かめお稲荷さんへと行くと、頭巾が無くなっていたらしい。

 

「じゃあ、お稲荷さんが魔力をあげていたとか?そういう事なのかな?」

 

阿求「まあ、そういう事なのかもね」

 

すると、3冊ほどの本を抱えた小鈴がテーブルへと戻ってきた。

 

小鈴「じゃあ、誰かが持って行っちゃったって事かしら?それなら大変ね」

 

小鈴はドサッと本をテーブルに置き、そのうちの一冊を開く。

 

「なんでも聞こえるとむしろうるさそうだよね、大変というより」

 

阿求「実際のところ大変でもないわ、むしろうるさいくらいよ。植物の声と言っても、ただの雑音くらいにしか聞こえないわ」

 

小鈴「それだと、噂をよく信じてリスクがあってもチャンスを狙う人が持って行ったのかしらね?」

 

噂を信じる、危なくても利益がありそうだとすぐに盗む………

 

「はっ……!」

 

詠夢は誰かの顔が思い浮かんだように席から立ち上がる。

 

「あの大泥棒(魔理沙)か……」

 

すると……

 

ポツ、ポツ……と、夕立が降り始めた。

 

「あ、帰らなきゃ!霊夢に雨が降ってきたら帰ってこいって言われてるんだ。じゃ、またね!」

 

小鈴「気をつけてよー詠夢」

 

詠夢が去った後、小鈴は静かに話し始めた。

 

小鈴「はあ……行っちゃった」

 

阿求「やっぱり好きな人がいなくなるのは寂しいの?ねえねえ!」

 

阿求は小鈴の体をツンツンつつきながらからかう。

 

小鈴「ちっ、違うわよ!」

 

小鈴は顔を赤くしながら反抗していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

同刻。

 

「さあ、コイツを見るか」

 

魔理沙は黒い頭巾を解き、中にいる白蛇を取り出した。

 

「大丈夫だぜ、怯えなくても」

 

魔理沙は白蛇の頭に触れて、その日はそのまま寝てしまったという。

 

この白蛇が驚きの事実を隠しているのを知らずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日。

 

博麗神社では、大変な事が起きていた。

 

コン「これは………」

 

針妙丸「どうしようもない状況になったわねぇ……」

 

 

 

霊夢「はあ……この私が風邪だなんて……」

 

詠夢「うっ……頭が痛い……神社はムリだな今日」

 

なんと博麗の神主と巫女、揃って風邪だというのだ。因みに今、仰向けに2人隣り合わせで布団に横になっている。

 

すると、コンと針妙丸は人里に用があると言ったため出かけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

「……………」

 

魔理沙「おいお前ら!大丈夫か!?」

 

姉弟の静寂をぶち壊す形で、魔理沙が入ってきた。

 

霊夢「いま風邪なんだから、早く帰ったほうが良いわよ」

 

魔理沙「大丈夫だ霊夢!その病気、私が治すぜ!」キラッ☆

 

 

 

すると魔理沙は昨日修復した神社の屋根を剥がし、中へと入る。

 

「ちょっと魔理沙!何やってるの!?」

 

十数秒して魔理沙が出てくると、右手に白蛇を持っていた。

 

魔理沙「こいつがお前らの風邪の元凶だぜ!」

 

魔理沙は右手に持っている白蛇を前に出す。

 

「「そ、そうなの!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人は取り敢えず中に入ると、魔理沙がここに来た経緯を話し始めた。

 

どうやらお稲荷さんの前にいた蛇を拾い、近くに落ちていた布で包んで帰ったという。魔理沙曰く、お稲荷さんの近くに落ちていたなら何か縁起があるのではないかと思ったらしい。

そして今朝、白蛇がこの布を被れとジェスチャーを出したらしく、被ると蛇の声が聞こえたという。その時に博麗姉弟が風邪だということと、閉じ込めた白蛇が風邪の原因を作っていること、風邪の解決方法を教えてくれたらしい。

 

魔理沙「……ってことだったんだぜ!」

 

「魔理沙、それ聴耳頭巾だよ多分」

 

霊夢「何なのよ、それ」

 

「昨日鈴奈庵で話していたんだけど、被ると動物や植物の声が聞こえるお稲荷さんの頭巾でお金持ちになるっていうお伽噺。それを意図的に被れと言ったって事は……」

 

魔理沙「私に何かお礼をしたかったか」

 

霊夢「はたまた白蛇の何かの陰謀か……ねえ」

ーーーーーーーーーーーーーーー

「……って事があってさ。蛇の声が聞こえたのは本当だった。僕も実際やったし」

 

詠夢はそのことを鈴奈庵で話した。小鈴は驚いた表情で

 

「じゃあ、阿求が言っていたことは本当だったのねー、金儲けするかは別として」

 

「でも……」

 

「でも?」

 

「あいつ、普通の蛇では無さそうだった。蛇には持っていないような妖力っぽいものもあったし」

 

小鈴は一瞬不安になったが、妖怪が封印されている妖魔本が無数にある鈴奈庵に身を置いている自分が言えることではないなと思い笑顔になる。

 

「そうなのね。はい、これ見たかった奴でしょ」

 

小鈴は『百鬼夜行絵巻』と書かれた木箱を詠夢に渡す。普通は開けてはいけない妖魔本だが、何にせよ渡した相手が彼女が1番信頼している人、しかもそれが博麗の神主なので大丈夫だろうと思ったのだ。

 

パカッ

 

詠夢は木箱を開けて巻物を開く。そこには、龍の絵が描かれていた。

 

「多分……これね」

 

すると。

 

カランカラン

 

小鈴「いらっしゃいませー……あ、魔理沙さん」

 

魔理沙が来た。帽子の中で何かがもこもこと動いているので白蛇を連れてきたのではないかと詠夢は思う。

 

「どうしたの?そんな焦って」

 

魔理沙「はぁ……いや……白蛇がいま……鈴奈庵に行けって言ってきたから……」

 

詠夢はへえ〜、という反応をして巻物があるテーブルの方へと案内する。

 

「ほらこの絵、この白蛇そっくりじゃない?色とかは全然違うけど」

 

魔理沙「本当だな……あっ!暴れるなっ!」

 

すると、急に魔理沙の帽子の中にいるであろう白蛇が暴れ出した。すると……

 

ビリッ!

 

魔理沙は必死に抵抗したが敵わず、帽子を破って出てきたのは……!

 

「邪龍!?」

 

邪龍「感謝するぞ魔理沙殿。私はまた復活できたのだ。貴女のお陰でな」

 

魔理沙「なっ!?じゃ、じゃあ私は使われていたのか!?」

 

少しニヤけながら頷く邪龍とは対照的に、詠夢は冷酷にお祓い棒を突きつける。左手からは微かにお札が見え隠れしていた。

 

「お前は所詮邪龍でしょ?何か悪いことしたら黙ってないから」

 

邪龍「おお怖い怖い。取り敢えずそのお祓い棒を下ろしてくれるかのう?儂は復活したばかりであまり力も無いから安心しろ。じゃあの!またいつか会おう!」

 

そう言い、邪龍は天高く舞い上がって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、魔理沙にはお礼として薬に混ぜると効果が格段に上がる龍の爪を、

小鈴の家には

『百鬼夜行絵巻を勝手に改変してしまい申し訳無かった。これはお詫びの品だから好きにするといい』

という手紙を添えて龍の魚拓が届けられていた。

 

その後2人は相当ご機嫌だったが、

「なんでうちだけ無いの」

 

と、詠夢は少々ご立腹の様子だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ま、いっか。今日も頑張ろう!」

 

詠夢は今日もお祓い棒を片手に、幻想郷を飛び回る。




なんかそんな弄れて無いけど大丈夫かな?

それではまた次回、お会いしましょう。


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こころの能楽

今回も鈴奈庵の話です。

では、小鈴視点でどうぞ。


表情豊かなポーカーフェイス、秦こころ。

 

彼女はいま、博麗神社で能楽を披露していた。

 

沢山のお面と華麗に舞い踊るこころの姿を一目見ようと人里から地底のさとり妖怪、天人や花妖怪に邪仙までたくさんの人や妖怪が集まっていた。

 

そんな中、私は神社の中で詠夢と話していた。

 

詠夢「どう小鈴、面白かった?」

 

「うーん……まあ面白かったわね、内容は全然わからないけれど」

 

詠夢「まあ、あれは内容より見た目の滑稽さを楽しむものだって霊夢もこころちゃんも言っていたし」

 

「それにしても……あの霊夢さんがこんなことやるなんてらしくないわよねー」

 

霊夢「『らしくない』って何よ」

 

そこにぬっと現れたのは霊夢さんだ。リボンをつけているのになぜか頭にはちまきを巻いていた。

 

詠夢「あ……えっと……いや、うちでこういう文化的なことをやるのが霊夢っぽく無いってこと」

 

霊夢「まあ……それで神社にお賽銭が来るなら評判も上がって一石二鳥じゃない!」

 

いかにも霊夢さんらしい答えが返ってきたな、と思う私と詠夢だった。そこに来たのは……

 

魔理沙「あ、霊夢。それはなんだ?饅頭か?」パクッ

 

魔理沙さんだ。彼女は勝手にお饅頭を一個口に頬張り逃げようとしたが、

 

霊夢「あー、食い逃げしたなぁー!絶対に逃がさないわよ!」

 

そう魔理沙さんに言い放ち、霊夢さんはお札を魔理沙さんに投げる。

 

魔理沙「………!クッソ、お札に捕まったか!」

 

霊夢「私と詠夢のお札はあの鴉のブン屋より速いのよ、逃げようとしないことね」

 

ポカポカゴンゴンゴツゴツドカーン!

 

詠夢「いまドカーンって言ったけど……まあ、いいか」

 

「それにしろ、こういう厳かな感じも良いわね。いままで激しいのが大きかったじゃない?」

 

詠夢「ああ、僕が関われなかったアレね」

 

詠夢は空を見上げる。

 

霊夢「本当は詠夢は紫に止められてたのよねー、代わりに私が守矢とか守矢とか守矢を駆逐していたけれどもね」キラッ☆

 

霊夢はピースサインを顔の横で作る。やはりこの人は鬼巫女だと思った瞬間だった。

 

魔理沙「イタタタ……でも何か載っているんじゃないか、鈴奈庵って本とかたくさんあるからさ」

 

「あっ………」

 

私はその瞬間、詠夢を引きずって参道を戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2分ほど行ったところで、詠夢が叫んだ。

 

詠夢「ちょっと小鈴!?戻るなら飛ぶよ、いつまでも引きずられてると痛い」

 

「ご、ごめん詠夢!」

 

詠夢は立ち上がり、私の手を掴んだ。

 

詠夢「ほら、腰に掴まって」

 

小鈴は詠夢のお腹をギュッと抱く形で、頭を詠夢の肩に寄っかからせる。

 

「おいしょっと、準備出来たわ」

 

詠夢「じゃあ行くよ」

 

ふわぁ、と空に浮かび高速で幻想郷の上空を飛ぶ。詠夢の体の温かみがとても心地よくて、離せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

ーーーーーーーーーーーーーーー

三人称視点

 

鈴奈庵。

 

カランカラン

 

小鈴「いらっしゃい」

 

数冊の本を持って阿求が来た。

 

阿求「これが返却の分全てね。……あら、能楽の本?」

 

「いま、神社で霊夢主催でこころが能をやっていてね。でも内容が分からないから……」

 

小鈴「だからいま探しているのよ」

 

小鈴と詠夢は10冊を超えるであろう本をテーブルに置き、2人とも同時のタイミングで眼鏡をかけて、同じタイミングで本を開いて本を読み始める。

 

阿求「あの……詠夢?私も頼ってねー……ハハハ」

 

そう、阿求は何百年も前からの記録が全て頭の中に入っている。そのため、阿求を頼る方が早いのだ。

 

「そうだね、じゃあお願い」

 

 

 

 

 

 

阿求「もともと能は『猿楽』と呼ばれていて、庶民の文化だったのよ。それを、観阿弥世阿弥が現在の能楽に近いレベルまで上げたというわ」

 

「ちなみに観阿弥世阿弥というのは室町時代の人のことだよ」

 

小鈴はふむふむという表情で話を聞いていた。

 

阿求「でもね、これより前の猿楽は何も記録されていないし残っていないわ」

 

小鈴「じゃあ妖怪などに聞いてみるしかないわね……」

 

バンッ!

 

阿求「私がいるじゃない!前世の記憶も引き継ぐのよ、私は」

 

阿求は全ての時代を見て覚えているのだ。知らないことは殆どないと言っても良いだろう。

 

小鈴「分かったわ。説明してよ、眉唾さん」

 

そう言った直後、詠夢が小鈴に声を掛ける。

 

「小鈴、いま地雷踏んだよ?」

 

小鈴「えっ?」

 

小鈴が本から目を離して阿求の方を見る。すると、黒い笑顔を浮かべた阿求が立っていた。

 

阿求「じゃあ、少しO☆HA☆NA☆SHIしましょ?」

 

小鈴「ひ、ひぃっ!」

 

小鈴と阿求が話をしようとしたところに詠夢が割り込んで来た。

 

「あっ!これは!」

 

小鈴も詠夢が開いていた巻物に目を通す。

 

小鈴「これ……神社でやっていたものよ!」

 

阿求も覗く。この巻物の名前は山怪散楽図、そこに書いてあった絵は正に地獄絵図のようだった。

 

阿求「ええーーっ!?ちょっと小鈴!これ、読める!?」

 

小鈴「ええと……仮面喪心舞 暗黒能楽……!?」

 

「これはもしかして……こころちゃんが心を奪うためにやっているとか!?」

 

その時。

 

カランカランと来客の鳴り物がなり、入って来たのは、

 

「あ、マミゾウさん!ちょうどいいところに来てくれました」

 

捕らぬ狸のディズガイザー、二ツ岩マミゾウだ。

 

マミ「ん?何があったのじゃ詠夢殿」

 

すると詠夢はこの絵巻をマミゾウに見せる。すると、マミゾウは微妙な反応を見せた。それを見た小鈴は事情を説明し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小鈴「……ってことなんですよ」

 

「だから小鈴がどうにか出来ないかって」

 

マミゾウは少し困った顔を見せたが、すぐに答えを返す。

 

マミ「うーむ、もしかしたら打開案が思い浮かぶかもしれんな。わかったぞい、儂がどうにかしてやろう。あと詠夢殿、そろそろ帰らないと霊夢の奴に怒られるぞ」

 

時刻はもう夕方。マミゾウは詠夢と一緒に鈴奈庵を出る。

 

「じゃあ何かあったら鈴奈庵に来るからね、また明日ね」

 

小鈴「分かったわ。また明日ね」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

帰り道。参道を詠夢とマミゾウは歩いていた。

 

マミ「それでなんじゃが……この絵巻物は天狗が書いた戯書じゃ。小鈴殿はどうやら見落としていたらしいのう」

 

マミゾウの口から衝撃の事実が発表されると同時に詠夢は目を丸くした。

 

「えっ!?それでは何も問題……いろいろ大ありだった……」

 

マミ「む?何故じゃ?」

 

実は最近、里で古参の兎が「あれは心を奪う能楽だ」という噂を広めていることを詠夢は慧音などから聞きつけていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社・霊夢の部屋にて

 

「っていうことがあってさ……」

 

霊夢「でも、私たちは人里だけの問題に関わる必要はないじゃない?」

 

すると、マミゾウは霊夢の近くで耳打ちをする。

 

マミ「霊夢、そんな噂を流されたら博麗の名に傷がつくぞ」

 

霊夢「じゃあ、能楽止めようかしら?」

 

「そうすると、こころちゃんのお面が安定しなくなってまたただの道具に戻っちゃうよ?」

 

詠夢はうまく霊夢の弱点を突く。

 

霊夢「なっ!?ど、どうしようかしら……えーと……」

 

すると、急に霊夢は取り乱した様子であわあわし始めた。

 

「霊夢、落ち着いて!じゃあとりあえず、いまの能楽の一番の問題点はなに?」

 

霊夢「それは、誰も意味が分からないことじゃない?」

 

「じゃあそこを直そうよ?」

 

それが詠夢とマミゾウが辿り着いた提案だった。

 

演目を面白く、馴染みやすいものに変えることでみんなの不安を無くし、またみんなに楽しんで貰えるようにしようというものだった。

 

霊夢「あとは小鈴ちゃんよねぇ……」

 

そう、小鈴を説得しなければならないのだ。

 

マミ「それに関しては安心しなさい、儂がなんとかするわい。嘘をつけばあの小娘は信じるじゃろ」

 

「まあ、化け狸っぽいやり方だね」

 

マミ「では、儂は行くぞ。またの」

 

そう言いマミゾウは神社を後にした。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後……霊夢の部屋、姉弟2人だけだ。

 

「ごめんね、あの事バラしちゃって」

 

詠夢は申し訳なさそうに霊夢の方を見る。

 

「いいのよ、あんま気にして無いしね。妖怪とか大好きなのは昔からだもの、しょうがないわ」

 

霊夢は微笑んだ。しかし、すぐに詠夢を心配するような表情に変わり、話しかける。

 

「でも、あんたの方が心配よ。嘘付くのなんて大嫌いだし、それが小鈴ちゃんとなるとね……あの時の笑顔があんたのじゃなかったわ」

 

霊夢も義理とはいえ、7年も一緒にいると表情が少し違うだけでもわかるという。すると、詠夢は俯いて話し始めた。

 

「ほんとは嘘なんてつきたくないよ……小鈴がかわいそうで……かわいそうで……!」

 

すると、霊夢は詠夢に近づき、彼を抱きしめた。

 

「本当は貴方、辛いのよね……好きな人に嘘までついてやろうとするの」

 

詠夢は霊夢の中でこくりと頷く。

 

「でも、今回は協力してちょうだい。本当にごめんね……」

 

霊夢は詠夢が必死に涙を堪えているのがわかった。霊夢は頭を撫でる。

 

「よしよし、あんたは頑張った。私もついてるし、小鈴ちゃんもいるわ」

 

霊夢は自分の服が少し濡れているのがわかった……

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日。

 

演目は「新生能楽 心綺楼」として、宗教家達が戦う様子を面白おかしく表現した事によって、さらに受けて参拝客も大層増えたそうだ。

 

小鈴「あ、詠夢ー!」

 

小鈴が詠夢を呼ぶ声が聞こえた。

 

「小鈴……どうしたの?」

 

小鈴の話によると、マミゾウは小鈴に『こころはもともと妖魔本に封印されていた妖怪で、その事が詠夢に知られるとこころは退治されそうになった。それをギリギリで止めた霊夢はそんな事を絶対にしないという事を約束で能楽の公演を許可した』という事に収まったらしい。

 

詠夢は下を向いて浮かない顔をしていた。

 

小鈴「おーい、おーい詠夢!大丈夫!?そんな浮かない顔をして」

 

「え?……ああ、何でもないよ」

 

小鈴「そう……なら良かったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを側で見ていた霊夢は、この子は本当に真っ直ぐで良い子だなと思ったのだった。




はい、今回はわりと詠夢の心にダメージがいく感じになりましたね。そろそろほんわかしたいです。

それではまた次回、お会いしましょう。


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お酒は苦手です

詠夢はお酒が全く飲めないようですよ?

では三人称視点でどうぞ。


始まりは、ある日の宴会だった。

 

萃香「おーい詠夢ぅ〜、一緒に酒飲もうよ?」

 

「ごめん萃香、僕、お酒は飲めないんだ」

 

萃香「いいじゃないかぁ〜」ガシッ

 

詠夢は萃香に頭を掴まれ、伊吹瓢を口につけられた。

 

ちなみに、その後の詠夢の記憶は全くない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

詠夢が目を覚ますと、既に朝だった。

 

そして何故か文がカメラを持ってニヤニヤしながら詠夢の方を向いている。

 

ことが起こるのは約30分前。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨夜の宴会で酔い潰れ、博麗神社で寝てしまった人たちが続々と起き始める。その中でも萃香に飲まされまくり寝てしまった文は詠夢の姿を見て少し興奮してしまった。何故なら………

 

 

 

着物がはだけて若干鍛えられているお腹がチラ見え←重要

 

袴が脱げそう←重要

 

ネコ耳←重要

 

寝顔かわいい←最重要

 

 

 

文「こ、これはヤバい……」

 

そこに鬼の2人も起きてくる。

 

萃香「どうした文……これはドギツいなぁ〜」

 

勇儀「カワ……イイ……」

 

さらに永遠亭のメンバーも起きてきた。

 

鈴仙「ちょ、ちょっと……これはかなり危ない……」

 

輝夜「えーりん!ちょっと鼻血止めの薬とかあったかしら?」

 

すると、文が何かを思いついたらしい。

 

文「じゃあ写真撮って幻想郷にばら撒けば良いんですね!」

 

輝夜「それよ文!あなたの新聞掃除に使うの止めるように永琳に言っておくわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それで今に至る、というわけである。

 

詠夢は自分の状況を確認すると、真っ赤になるまでに顔を赤くして立った。

 

それが間違いだった。

 

先ほども言ったように袴は脱げそうになっている。その状況で立ったら……?

 

まあ、袴が脱げますよね。

 

 

 

その瞬間。

 

 

 

世界が止まった。

 

「えっ……?あ、ありがとう咲夜」

 

咲夜「困った時はお互い様でしょ?」

 

さすがにかわいそうだと思った咲夜が時を止めてくれたのだ。

 

その間に詠夢は自分の部屋へと駆けて行き、

 

咲夜「……解除」

 

そして時は動き出す。

 

そこにいたみんなは混乱していた一方、詠夢は部屋で体育座りをして少し凹んでいた。

 

(はあ……お酒が飲めればこんなことにはならなかったんだろうなぁ……僕もみんなと一緒にお酒が飲んでみたいんだけど……)

 

やはりお酒を飲めないことが自分の中でもコンプレックスになっているようだ。

 

霊夢「随分と困ってるみたいね」

 

詠夢の部屋にお茶と朝ごはんを持って入ってきたのは霊夢だ。霊夢は優しい表情で詠夢に話しかける。

 

「何かお酒を美味しく飲める方法ってないのかなぁって、永琳の薬以外で」

 

霊夢「もっとゆっくり飲むとか?鬼や神様基準で考えちゃダメよ、違うんだから」

 

すると、詠夢の背後にニュッとスキマが開いた。妖怪の賢者、八雲紫の登場である。

 

紫「あんたはまだ酒は止めておいた方が良いわよ?」

 

「なんでよ?」

 

すると、紫はある本をスキマから取り出した。

 

紫「ほら、これにもあるように外の世界では二十歳までお酒は飲んではいけないのよ?まだ詠夢は12よ。早過ぎるわ」

 

この本を盗ってくるのも犯罪だろ、と詠夢は心の中でツッコミを入れながらだけれど、詠夢はとても残念そうな顔をした。

 

「で、でも!」

 

紫「これだけは本当に危ないの。詠夢がいないと幻想郷はたちまち壊滅するわ。だから、大きくなるまでお酒は飲まないこと!いい!?」

 

紫は凄い剣幕で詠夢に警告をした。それだけ紫が幻想郷を愛しているという証拠なのだろうと思う。

 

さすがに詠夢も諦めがついたのか、少ししょんぼりしながら自分の部屋を去った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その日の夜。

 

霊夢「珍しいわね、ここにいるなんて」

 

「たまにはいいでしょ」

 

博麗の姉弟は縁側で夜空を眺めていた。霊夢が持ってきたお盆には徳利とお猪口が2つ、のっていた。

 

霊夢「あんたもこんくらいなら、飲めるんじゃないかしら?」

 

霊夢は猪口にお酒を注ぐ。そして、詠夢に渡した。

 

「分かった……飲んでみる」

 

グイッ、と一口飲む。

 

「あ、これなら……いけそうな気がする」

 

詠夢は霊夢と色々なことを話しながらお酒を飲む。しかしすぐに頬が赤くなり、寝てしまった。要は、酔い潰れた。

 

霊夢「………あら?寝ちゃったのね。まあ、このまま寝ても良いし、毛布とって来よう」

 

詠夢の本当にお酒に弱く、酔い潰れて寝てしまう仕草までかわいいなと思いながら毛布を持ってきて、詠夢と一緒に寝る霊夢だった。




次回、コラボでござる!

ではまた次回、お会いしましょう。


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【番外編】ハロウィンの1日

10/31なのでね。

ではどうぞ!三人称視点でのお送りです。

コラボ?
絶対に次はやる!


朝から詠夢は台所にいた。その理由は今日、『あること』があるからだ。

 

「………っと、焼けた!美味しそ〜♪」

 

そう、クッキーを焼いていたのだ。今日は10月31日、待ちに待ったハロウィンの日なのだ。

 

「朝から良い匂いがすると思ったら……お菓子焼いてたのね〜、一個ちょうだい!」

 

すると詠夢は自分の顔の前で人差し指を横に振る。

 

「そういう時は……『アレ』でしょ!」

 

「そうね。じゃあ……トリックオアトリート!」

 

「はい、クッキーあげる!焼きたてだよ!」

 

霊夢は焼きたてのクッキーを口に運ぶ。クッキーから広がる深い甘みが霊夢を魅了する。

 

「〜〜!おいっしぃーーっ!」

 

「でしょ!?今日は上手にできたんだ!」

 

クッキーを食べ終わったあと、遠くの方からとてつもない速さで神社に向かってくるのを気配で感じ取る。

 

そして来たのはやっぱり……

 

「おはよ霊夢、服の交換しようぜ!」

 

魔理沙だ。どうやら魔理沙も仮装したくてうずうずしている様子だった。

 

「えっ?どういうこと?」

 

「それについては僕が説明するね」

 

詠夢はとりあえずハロウィンのこと、そして仮装のことを霊夢に話した。すると霊夢は納得した様子でうんうんと頷く。

 

「じゃあ今日1日だけ魔理沙の服を着ようかしら?」

 

そう言って神社の奥へと消えていった。

 

 

 

その間にも詠夢はどんどんお菓子の準備をしていく。今日は来客が多いと見込んだからだ。

 

その間に針妙丸も起きてきて、

 

「トリックオアトリート!お菓子くれなきゃイタズラするぞ!」

 

「はい、クッキーどうぞ」

 

「ありがと!」

 

てな感じで家族って良いなと改めて詠夢は感じた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

そして約10分後。

 

霊夢と魔理沙が着替えを済ませ、表に出てきた。

 

「「ど、どうかな?」」

 

「………似合ってるよ!」

 

異性に褒められたせいか少し頬を赤く染める2人。

 

「そ、そう?」

 

「その……ありがとだぜ」

 

「それにしても、黒髪に魔女っ子帽子、白黒の服装が霊夢に似合い過ぎていて違和感の欠片もないね……かわいい」

 

その瞬間。

 

霊夢の顔がボンッ!て赤くなった。そのまま顔を隠した。その素振りは普段見せない霊夢の乙女っぷりがたっぷりと詰まっていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

お昼。

 

『詠夢先生、トリックオアトリート!』

 

寺子屋の子どもたちがお菓子を求めて博麗神社にやって来た。

 

「はーい、クッキーどうぞ!」

 

『うわー!おいしー!』

 

「ありがとな、詠夢」

 

子どもたちが騒いでいると、詠夢に話しかけた。慧音だった。

 

「いや、むしろクッキー焼いてて楽しかったので大丈夫です。……あれ、今日は妹紅も一緒なんだ」

 

付き添いには妹紅もいた。幻想郷各地を回るので妹紅も一緒だという。

 

無邪気に遊ぶ子供を見ている詠夢には大人特有の雰囲気が漂っていた。これでもまだ12歳である。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後も来客は絶えない。

 

天「トリックオアトリート!お菓子くれないと要石よ!」

 

とても物騒な言葉を口にしながら神社にやって来たのは天人の比那名居天子とその付き添いの永江衣玖だ。

 

「あ、天子!久し振り!クッキーどうぞ、流石に止めてよ?要石は」

 

詠夢は天子と仲がよく、たまに地上に彼女が降りてくる時は絶対に詠夢のところまで行くくらいだ。

 

「衣玖さんもどうぞ」

 

衣「あ、ありがとうございます」

 

天「それにしてもやっぱりあんた料理うまいわよね〜」モグモグ

 

衣「今度教えて欲しいですね」パクッ

 

「みんなに言われるし、今度料理教室でも考えておこうかな?」

 

天「ありがとね詠夢、また来るわ!」

 

天子はふわあ、と、飛び立っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後来たのは妖精&妖怪組だ。

 

チルノ「トリックオアトリート!お菓子くれ!」

 

大妖精「今日は詠夢さん」

 

リグル「お菓子ちょうだい!」

 

「ちょっと待ってねー……はい、どうぞ!」

 

みんなはクッキーを無我夢中で食べる。とても子供らしくて詠夢はその姿が好きだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

夕方。

 

博麗姉弟は縁側でゆっくりとしていた。

 

霊「今日人里に行ったら、私の格好している子が多かったわ。女子はだいたい私か早苗、男子はだいたいあんたの服装してたわ」

 

詠「へぇ……でも良かったね、それだけお姉ちゃんもみんなに愛されてるっていう証拠じゃん?」

 

霊「嬉しいこと言ってくれるじゃない」

 

詠「えへへ……僕が一つだけ思ったことは、みんな目が輝いてた。とっても楽しそうだったよ」

 

霊「あんたは本当に良かったの?遊ばなくて」

 

詠「うん。寂しいけど、僕はお姉ちゃんが楽しんでくれれば良いかなって。お姉ちゃん、輝いてたもん」

 

霊「………ありがとね」

 

姉は弟をえがおで抱きしめた。その目には涙が溢れていた。




良い話風?

では、また次回。

次回こそ本当にコラボやります!


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【コラボ】異世界で起こった異変 1面ー4面

コラボです!

では詠夢視点でどうぞ。


秋で紅葉が綺麗なこの季節。

 

僕は朝、縁側でボーッと落ちてくる葉っぱを眺めていた。

 

ひらり。

 

ひらり。

 

ストン。………?

 

1通の手紙が空から落ちてきた。なんとなく気になったので手紙を取り、中身を読む。そこには、

 

『今、優秀な戦士たち、この異変の解決を求む』

 

と書かれていた。

 

「へえ……なるほどねー、行ってこよっかな?」

 

僕は紫を読んでスキマの中へと文字通り落ちていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「………っと、着いたかな?」

 

スキマから出ると不思議な感覚に陥る。

 

それはまるで……重力が反転している感じ……ニュートンに喧嘩を売っている感じだ。

 

それにしても、幻想郷第2位の僕の勘がなにか危険な予感を感じ取っている。

 

するとふっと、僕の前に異次元の紫が現れた。

 

「なんだか、嫌な予感がします」

 

「ええ、よろしく」

 

それにしてもこの落ち着いた感じ。まるで異変の首謀者を知っているような感じだ。

 

そんでみんなの自己紹介が終わった。男の娘とかポケモンとかニヤけてる人がいた。あれ……僕、普通な方かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず異変解決開始だね。

 

1面ボス 明日無 蓮

 

ここは黒龍さんが行くことになった。

 

バトル開始。

 

蓮さんが先制攻撃と言わんばかりに黒龍さんにアッパーカットを食らわせる。でも黒龍さんはニヤニヤしている。ドMなのか、そうなのか。

 

すると、自分の勘が何かを感じ取った。

 

「2人ともなかなか強い、けど蓮さんはまだ何か隠してそう」

 

やっぱりそうだったか。グラムってのが剣になった。それに合わせるように黒龍さんも剣を作る。

 

一回目。

 

グラムがすり抜け、黒龍さんが若干後ろに下がる。頑張れ!

 

二回目。

 

黒龍さんの剣、靈がグラムを斬った。靈はなんでも斬れるらしい。

 

これで1面は突破。全員無事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

2面ボス 明日無 瑠夏

 

ここは天邪楼白くんが行くという。

 

バトル開始。

 

………と思ったら、ものすごい誤解を生む発言をして、綺麗に瑠夏さんが誤解してた。白くーん、何してんじゃい。

 

本当にバトル開始。白くんはどうやら変化が出来るらしく、最初は紫に変化、黒龍さんに変化したら、瑠夏の銃弾が腰に当たってしまう。

 

「まずい……」

 

しかし瑠夏は銃の乱射を止めない。そこでレミリアに変化し、銃弾はグレイズ程度で済んだ。

 

そして白くんは瑠夏を蹴り上げた。そこで決着はついたのだが、そのあとが問題だった。

 

………なぜ恋に発展した?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3面ボス 明日無 羅樹

 

そろそろ行こうかと考えていると、絆さんが行くと言ったのでまだ戦わない。次行こうかな?

 

バトル開始。

 

その瞬間!

 

バァァァン!

 

絆さんの肩が撃ち抜かれた。大丈夫かな?と思ったら驚異的な回復力で傷痕はなかった。

 

そっからは眠くて空中で結界張ってうとうとしていたからしっかり見ていない。

 

でも、山田弾幕で目が覚めた。というより、それだけ気持ち悪かった。

 

そして羅樹さんが落ちてきた。絆さんの勝利で終わったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

4面ボス 明日無 蓮・瑠夏・羅樹

 

今度は僕の番だ。と思ったら、

 

羅「ボスは」

 

蓮「俺たち」

 

瑠「3人だよ?」

 

羅樹くんは顔が赤い、恥ずかしかったのだろう。

 

蓮くんはドヤっている、決まったと思ったのか?

 

瑠夏さんは大欠伸をしている、眠いんだね。

 

「僕が行きます」

 

と言い、3人の前に立ちはだかる………といっても身長140cmの少年だが。

 

「一応覚醒はさせて貰います」

 

だって銃弾当たると命に関わるしね。

 

そう言って僕は目を閉じる。霊力を限界まで引き上げると、自分の体内に霊力が循環しているのがよくわかる。そして目を開けると……

 

自分の瞳は青くなっている。

 

蓮「行くぜッッ!」

 

って言ってるけどスペルカードルールを守る気は毛頭無いらしい。じゃあこっちも本気で行くよっ!

 

………って、羅樹くん苦労人だね、たまには休んだら?

 

スペルカード発動

 

ー神刀【クリスタルソード】ー

 

僕が手を上にかざす。すると青色の剣が生まれる。

 

蓮くんがグラムを持ってこっちに斬りかかってくるのと同時に瑠夏さんが2丁の銃を乱射する。

 

刀は軽く身を反らして避け、自分狙いの銃弾をチョン避けで回避し、それで対応できないのは剣で斬る。よし、オッケーだね。

 

すると羅樹くんもスペルカード発動。

 

山本さんと田中さんが凄いことになってる………じゃあ僕もスペルカード発動、1人は落とす!

 

ー霊符【詠想封印】ー

 

僕の後ろから多数のお札が発射され、後追いで七色の陰陽玉が飛んでくる。

 

蓮くんはお札に捕まって身動きが取れないまま、

 

蓮「うおおっっ」ピチュ-ン

 

被弾した。

 

よし、あと2人。

 

瑠「蓮ッッ!こうなったら!銃『u-s-s-』」

 

すると瑠夏さんが凄い勢いで銃を乱射する。なるほど、ウルトラスーパーショットの略ってわけね、面白い。

 

瑠夏さん倒そう、できるかわからないけど。

 

ー女神【黒天舞踏】ー

 

まるで血が飛んでいくような不規則な弾幕と自機狙いの大弾が瑠夏さんを襲う。

 

瑠「うわわっ!?」ピチュ-ン

 

よし、あとは羅樹くんだけだね。

 

羅「反乱『山崎の進撃』」

 

うん、何度見てもキモイ。気持ち悪い。その言葉だけが僕の脳を行き交う。

 

あとこれ、ラストスペルのようだね……じゃあこっちも!

 

ーミステリアス☆エンドー

 

数十本のレーザーが羅樹くんを襲った。

 

羅「ぎゃぁぁぁぁぁ」ピチュ-ン

 

ふう、終わった。これで僕のやることは終わりかな?

 

あと5.6面とEXTRAだけだね。頑張ろう!




次回もコラボ回。

ではまた次回、お会いしましょう。


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【コラボ】異世界で起こった異変 5面ーEXTRA

今回でコラボは終了です。

かみさま7様、ありがとうございました。


「あれ……前回何があったっけ?」

 

作者「前回読んでこい」

 

「……hmhm。じゃあ続き、いきます」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

5面ボス ボーマンダ

 

ごめん、空中で結界張って寝落ちした……だってぽかぽかした日差しが気持ちよかったんだもの……

 

でも、突破できたみたい。よかった。

 

 

 

さあ、次は最終ボス。どんな人かな?……あ、いた。

 

6面ボス 明日無 神牙

 

………って思っていたら何かを取りに行った。

 

ア「私に恐れをなして逃げたのだ」

 

いや、違うから。絶対ないから。

 

「そんなわけ無いでしょう、なたすぐ来ますよ?」

 

絆「そうですよ」

 

なんかこの異変の解決中にこのパーティーが仲良くなってる気がした

 

そしてすぐに神牙さんが帰ってきた

 

「ほら、来たじゃないですか」

 

絆「でもなんか持ってますよ?」

 

本当だ、うわ、凄い形相でアンさんの方に向かって行ったよ!?

 

神「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあくらえぁぁあぁあ」

 

ア「フゴォォッッッッッ」

 

それをアンさんに食べさせたのだ、丸ごと

 

ア「おえぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

神「お前がボクに食わせた肉玉だ、味わえ」

 

こ、これは……ひどい。

 

白「ひっ、ひっでぇ」

 

白さん、声に出てるよー。

 

ア「・・・ゆ、許さないのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあ」

 

か、髪の毛が……ピンクに!?

 

神「さぁ、かかってきなさい」

 

神牙さんとの戦いが始まった。

 

ア「葉符『落葉旋風』」

 

神「葉っぱか、ならば魔原子『科学的根拠無き世界』」

 

すると、周りのもの全てが原始化する……へえ、面白い。

 

ア「牢獄『プラントプリズン』」

 

神「無駄、斬『アニメでよくある時間差切り』」

 

神牙さんが牢獄をすり抜けた後数秒後に牢獄が真っ二つになった。

 

神「召喚『伝説の黒龍《ミラボレアス》』

 

夜空「え?俺?Wwww」

 

ミ「ギャオーーーー」

 

ミラボレアスは黒龍に向かっていった。

 

夜空「おうおう、やってやんよWwww」

 

そして、黒龍さんは行った。

 

 

神「さ、続き続きと、その前に?

召喚『時の神』」

 

ディアルガが出現した。

 

紫「メレク、テウス、任せたわよ」

 

二人「はいッッ!」

 

そして観客は僕と絆さん、2人だけになった。

 

 

「今度こそ続きね?」

 

アンは無言だ、どうやら怒っているらしい。

 

神「じゃあボクから重符『重力フレキシブル』」

 

超高密度の弾幕が発生して、それと共に無重力になる。

 

アンさんが無言で刀を振り回しながら突進してくる。

 

神牙さんも太刀で応戦する。わずかに神牙さんの方が強いがかなりアンさんも張っている。

 

「斬『スターQプロンミネス』」

 

アンさんが吹っ飛んだ。少々不安だ。

 

ア「まだ、大丈夫なの、だ」

 

マズイな……完全に押されてる……

 

「……重符『3tメテオ』」

 

そう思っていると、アンさんに3トンの隕石が襲いかかる

 

紫「このままだと……詠夢は隕石の破壊を、絆はアンの回復を頼んだわ」

 

僕&絆「「任せてください」」

 

絆さんがアンさんに手をかざし、だんだん回復していく

 

僕は紫から飛んできた指示を果たすだけなのだが、どうしよう……ん?スペルカード……?使おう!

 

ー破壊「破壊神シヴァ」ー

 

すると、目の前の隕石が粉々に砕け散った。

 

ア「ありがとうなのだ、これでまだ戦えるのだ」

 

絆「頑張ってください、」

 

頑張れアンさん!

 

神「ッッ!」

 

どうやら、神牙さんもパワー切れが怖そうだ。

 

ア「ッッッ!いくのだっっ!!」

 

アンさんが全力で弾幕を、でも神牙さんはパワー切れが怖いのか避け続けるのみだった。

 

ア「成長『ツリーバースト』」

 

アンさんがスペルカードを発動、すると急足元から木が生えて急成長する

 

神「あっっ」

 

枝が神牙さんの頬を掠る。

 

ア「続けて、生符『アライブスタートパレード』」

 

すごい量の弾幕が神牙さんを襲う。

 

ア「呪符『宿り木』」

 

続けてスペル発動。アンさんから植物が生えてきた、感想はグロい……

 

「『グラビティブレイク』」

 

急なスペルカード発動、すごい衝撃波を発生させる

 

ア「グハァッッッ………仕返しなのだ」

 

とか言いながらぶん殴った。

 

神「グウゥッ」

 

かなり効いたって顔でドヤ顔してる。

 

ア「でもそろそろ私はパワー切れなのだ」

 

神「それがボクもなんだよ、困ったね」

 

そろそろ結局をつけて欲しい頃。そしてこんな提案をしていた。

 

「「次のスペルで決着を付けよう」」

 

なぜハモったし。

 

ア「『天頂既二死ス』」

 

神「召喚『異世界の強者たちの最強攻撃』」

 

アンさんの弾幕は、周りの全ての植物が弾幕化してすごいスピードで飛んでくる

 

神牙さんのスペルカードは、色々なところに魔法陣が出現、そこから発射されるのは、カメハメハやら破壊光線やら、波動砲、マスパ、ダラ・アマデュラのブレスなどなどの異世界のすごい攻撃、ブレス、ビームなどが出てくる

 

 

ズトーーン、という激しい音を立ててぶつかり合った。

 

結果、相討ち

 

その後復活した二人はみんなの元へ、因みに他のボーマンダvsヴレアなどの戦闘も全部終わっていたらしい。

 

紫「もう、こんな異変起こさないでね?」

 

神「ヘイヘーイ」

 

軽い……さすが神牙さん

 

ボ「しっかり返事をしてあげてくださいよ、、」

 

そんなこんなで異変が終末を迎えた、と思っていた。

 

しかしその時、テレビ放送が始まる。

 

ロ「さぁて、幻想郷は俺のもんなんだゼェ?」

 

「っっ!?」

 

文「すみません、乗っ取られ」

 

僕は驚愕していた。おそらく周りも

 

ロン「うっせぇ、今回の異変の間に準備してたんだよ、《幻想郷征服》のなぁ、阻止したきゃ俺のこと探して倒してみろよ、じゃあな、準備しとくから」

 

プツッという音を立て、画面が消える。

 

紫「さっきのは………」

 

「幻想郷の危機ですね」

 

幻想郷は守る。それは、どこの次元でも変わらない。

 

神「ボクが阻止するよ。元はと言えば、」

 

「僕も手伝います」

 

「「「「「俺(僕・私)モッッ!!」」」」」

 

神「でも、」

 

そんな時、紫が言った

 

紫「四人で行きなさい、神牙」

 

神「うん」

 

そして、ロンを倒しに行くパーティーを組む。

 

メンバーは、

 

明日無神牙さん

天邪楼白さん

ヴレアさん

そして僕、博麗詠夢だ。

 

そのあと神牙さんから聞いたのだが、敵の名は霧凪ロン、偽りを操る程度の能力を持っているという。

 

白さんはバカにしているけれど、シンプルな能力ほど汎用性が高い。僕は若干警戒していた。

 

ロ「やっぱり来たかww」

 

余裕そうなその表情、今から捻り潰してやる……!

 

すると、神牙さんが

 

神「死ねっっい」

 

頭にナイフを刺す。しかしロンはなにか詠唱し始める。そして詠唱が終わると、傷がなくなっていた。おそらく能力だろう。

 

ロ「さぁ怯えて、堕ちろ」

 

こいつ……ムカつくッ!

 

EXTRAボス 霧凪ロン

 

 

 

ヴレア「沈黙【金縛りの刑】」

 

ヴレアさんがスペルカード発動。大量の大弾幕がロンを囲い小弾幕が追跡する。しかし、

 

その弾幕は全て消えた。その時、僕は神牙さんと少し作戦立て中。

 

「……わかりました。じゃあ僕がスペルカード発動させます」

 

神「頼んだよ詠夢!ほらな?やばいだろ?」

 

神牙さんは演技し始めたので、僕も演技する。

 

「やばいですね!」

 

ー星天【煌月の世界】ー

5色の弾幕がスピード違いにロンに飛んでいく。

 

 

そして神牙さんが能力が封印された事実を召喚する。

 

ロンは被弾した。そして能力が封印されたまま神牙さんが太刀を突き刺す。

 

ロンは式神を召喚するが意味がない。

 

トドメに、神牙さんが

 

「斬【斬りシタンの5曲線】」

 

と唱える。

 

ロンは5枚おろしになり、幻想郷に平和が戻ってきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「まあ、楽しい異変だったよ、また来るよ」

 

神「ええ、またね」

 

こうして、異世界での異変は幕を閉じた。

 

東方反重界

 

The END




はい、これにてコラボ終了です。

あらためてかみさま7様、ありがとうございました!

ではまた次回、お会いしましょう。


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阿求のとなり

オリキャラ登場!

後々異変解決をするすごい奴になる予定です。

では、三人称視点でどうぞ。


此処は鈴奈庵。

 

博麗の神主、博麗詠夢は寺子屋の授業をし終わり、帰りに小鈴のところへと寄っていた。

 

「……阿求の近くに?」

 

「そうなのよ」

 

2人の間で話題に上っていた話を小鈴が見たのは、今日の朝に遡る。

 

 

 

 

 

小鈴は朝、店の開店準備のために外へ出ると阿求を見つけ、声をかけた。

 

そしてそこで約30分ほど話し込んでしまったそうなのだが、その間、ずっと店の外で待っている男の人がいたという。細かいところまでは見ていなかったのだが、どうやら詠夢と同じくらいの年齢で、紺の着物を着ていたらしい。

 

またその男を阿求はあまり気にしていないようだったから余計に不審だったという。

 

 

 

 

 

 

 

「……なーんて感じだったのよ。もしかしてストーカーなんじゃ無いかと思って少し不安だわ」

 

「でもそれは無いと思うけどなー、まあ一応阿求の家に行ってみるよ」

 

詠夢は鈴奈庵から飛び立った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「………突入っ!」

 

詠夢は地面を強く蹴り、飛ぶ。次に阿求の家の塀を軽く蹴り、高く飛んで塀の中に入り突入完了だ。ちなみにこれは詠夢がやりたかっただけである。

 

「……特に阿求のストーカーっぽい人はいなさそうだな……ん?」

 

詠夢はふと、後ろから何者かの気配を感じた。しかもただならぬ殺気まで。後ろを向いたら一瞬でやられる可能性があると思った詠夢は、懐からこっそりとお祓い棒を出す。

 

と共に、後ろから何者かが走ってくる。そして近くまで来た瞬間にお祓い棒で相手を殴り阿求の家の中に滑り込む。見たところ紺の着物を着た少年だった。顔立ちは整っていて、身長は詠夢とほぼ同じくらいだ。

 

……と、ここで詠夢は気付く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙と、やっている事が一緒じゃないかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後、阿求の家で詠夢は阿求と話をしていた。

 

「ねえ、そういえばさっき庭から入ったんだけどさ、紺の着物着た子に殴られそうになったから倒しといたんだけど誰?」

 

「えぇぇっ!?タカくん何やってんのよ……」

 

阿求が驚いていると、バン!と部屋の障子が開き、1人の少年が入ってきた。

 

「阿求様!先ほど侵入者……あ!貴方はあの時の!覚悟ォォォ!」

 

少年は剣を抜き、詠夢に斬りかかる。

 

「うわっ!?危ない!結界【灼嵐の剛壁】!」

 

詠夢の周辺に結界が展開されて、刀が結界の前で止まる。そして結界の展開時間が終わった後も詠夢に斬りかかる。そこで、阿求の制止がかかった。

 

「待ちなさいタカくん!この人は博麗神社の神主さんよ!」

 

すると少年は急に驚いた表情になり、刀をしまい、急に土下座し始める。

 

「す、すいませんでした!僕が知らないだけに……本当に、すいませんでしたっ!」

 

「と、とりあえず……顔を上げて?」

 

詠夢は少年の前に座り、ポンポンと頭をなでる。少年が顔を上げると、詠夢は優しい笑顔を浮かべていた。

 

「え?」

 

少年はてっきり怒られると心配していたが、笑顔を浮かべていて困惑していた。

 

「改めて自己紹介するね。僕は博麗詠夢、博麗神社の神主をしてる。さっきは急に入ってきてごめんなさい」

 

詠夢は深々と頭を下げる。

 

「あ、いいんです。じゃあ僕も自己紹介しなくちゃですね。僕の名前は(みなもとの)尊朝(たかとも)と申します。源氏の末裔で、いまは阿求様の護衛や執事……みたいなものをやっています」

 

「そうなんだ。よろしくね!ところで……」

 

詠夢は急に笑みを消し、真剣な顔つきになる。

 

「年齢と身長教えて」

 

尊朝はその空気の重さに少し冷や汗を流しながら答える。

 

「9才………142cmです……」

 

すると、詠夢が急に悲しそうな表情を浮かべる。

 

「ま……負けた……」

 

「えっ!!?いまどのくらい!?」

 

阿求が驚いて詠夢の方を向く。質問してはいけないのだろうと阿求自身も分かっているのだが聞いてしまった。

 

「11才……139cm……」

 

「低っっ!?」

 

つい口に出てしまった尊朝。その直後にハッとして口を隠すがもう遅い。

 

「タカくーん?チョットコッチコヨウカ?」

 

詠夢が満面の笑みで尊朝を呼び出す。俗に言う「詰んだ」というやつだ。

 

「ひっ、ひぃっ!」

 

詠夢は尊朝の着物を引っ張って奥の部屋へと連れ去った。

 

「……仲よさそうで良かったわ、さあ、私は小鈴の所に報告と遊びに行きましょうかね」

 

阿求はふふ、と笑いながら人里の人の中へと消えていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方その頃、説教(物理)中の2人は……

 

「僕の弾幕よけられたら許す、難易度はLunaticね」

 

「そ、そんなぁ〜……」

 

とても楽しそうな2人?だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

数時間後、鈴奈庵にて

 

「結局のところ、新しい護衛よ」

 

「そうなのね、よかったわ。もう、あんたなんかに無駄な心配しなくて良かったじゃないのよ!」

 

小鈴は少し怒っている様子だが、やはり親友のことなので安心しているところのほうが大きいのだろう。そこに、

 

「終わったよ小鈴……って、やっぱり阿求もいたんだ」

 

聞き慣れた声が鈴奈庵に響く。2人の少年の来店だ。

 

「阿求様!探しましたよ!」

 

1人はかしこまっている。

 

「えっと……こっちが私の親友でここ鈴奈庵の小娘、小鈴よ」

 

「本居小鈴です、よろしくお願いします」

 

小鈴が頭をさげると、詠夢も紹介し始める。

 

「じゃあ小鈴に紹介するね。こっちは阿求の護衛役兼執事の源尊朝くん。源氏の末裔だって」

 

「源尊朝です。こちらこそお願いします」

 

尊朝も深々と頭を下げる。

 

そして尊朝は詠夢の方に向き直しらこう言った。

 

「あらためて、これからよろしくお願いします。詠夢さん」

 

「こっちこそよろしくね、タカくん」

 

少年2人は握手を交わした。




はい、オリキャラです!これからこいつも入れつつ頑張ります。

ではまた次回、お会いしましょう。


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【コラボ】身長差はイジメ

シバン様とコラボでございます。

では、詠夢視点でどうぞ。


さて、今日天叢一家がやってくる博麗神社はどうなっているでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答えは……

 

僕、詠夢が風邪引いているのに無理して仕事している、でした!

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

………って、他人事ではない。

 

いま、猛烈に頭が痛い。ズキズキ痛む。昨日雨の中妖怪退治しなければ良かった……

 

そんな後悔をしつつ、仕事する……けど……捗らない……

 

「ありがとう……ござい……ました……ケホッ、ケホッ!」

 

もうダメだと思ったその時。

 

陽伸「やっほー、遊びに来たよー」

 

陽那「詠夢くん久しぶり」

 

《FOOOOOO!詠夢ktkrやったね!》

 

この最悪なタイミングで来た。

 

「ちょっとトイレ行って吐いてくるから誰か接客お願い……」

 

僕はトイレへ走った。その時、気づいたんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?陽那さんが喋ってる?

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ほんの少しスッキリした後、だるさと気持ち悪さに耐えながらまた神社の本殿の方へと戻る。すると、もう霊夢も人里から帰ってきたようだった。

 

霊夢「ちょ、あんた顔真っ白よ大丈夫!?というかなんで陽那たちは気付かないのよ?」

 

陽那「ご、ごめん……」

 

「ちょっと……大丈夫じゃ……ないかも……」

 

霊夢「……分かったわ。とりあえず今日は横になってなさい。あと風邪薬は私の部屋にあるから。あと、みんな詠夢について行ってやって。あの子ああ見えて寂しがりやさんだもの」

 

ああ!それ言わないでよ恥ずかしいから!

 

「分かったおn……霊夢」

 

危ない……人前でお姉ちゃんって言うところだった。

 

陽伸「僕、詠夢の布団敷いておくよ」

 

「ありがとう陽伸」

 

本当に頼りになる……どこかの神出鬼没なスキマb……紫とは全然違う。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

僕は風邪薬を飲み、陽伸が敷いてくれた布団に入って横たわる。先ほどから倦怠感と気持ち悪さが一層酷くなり、咳も止まらなくなってきた。

 

「ごめんね……せっかく遊びに来てくれたのに」

 

《私たちは大丈夫、それより詠夢の体の方が心配》

 

「ちょっと今は……ケホッ!辛いかも……ケホッ、ケホッ!」

 

陽那「昨日何か風邪引くようなことをしたの?」

 

「大雨の中で妖怪退治を1時間くらいしててね……そこそこ手強かったから服もビショビショだった」

 

はい、そこの君!濡れた服だけで喜ばない!

 

「というかさ、なんで紅映は喋れなくなってるの?」

 

《カクカクシカジカ(声無しの88,89話を読め)あったから》

 

メタい、メタいぞ紅映。やめるんだメメタァするぞ!

 

「分かった…ケホッ……というかさぁ……」

 

あまり叫びたくないけど叫ぶ。

 

「身長差絶対にイジメだよね!?そうだよね!?陽伸スゴイ大きいんだけど……絶対にイジメだよね!?ウソダドンドコドーン!」

 

すっごい気にしてるんだぞ身長!陽伸本当に大きいんだもん……しかも紅映も陽那さんも何気大きいし……萎える……

 

陽伸「落ち着いて詠夢さん!でも僕が185で……紅映が165。パパは145くらいだっけ?」

 

もうヤダ泣きたい……あっ……泣いてた……

 

陽那「ちょっと詠夢くん!?泣かないで!」

 

「だってぇ……僕、139しか無いんだもん……」

 

「「あっ……」」《あっ……なんかごめん》

 

ありがとう、察してくれて。

 

「いいや……もう寝る!」

 

風邪を治すには寝るのが1番!おやすみ!

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、その後3人に膝枕されていた。……そんなに愛でないで!本当に身長だけはコンプレックスなんだよ!ちっちゃくてカワイイとか言わないで!僕だっていつかは大きくなるもん!

 

《詠夢さんマジ神彼氏になってください陽伸がムカつくんですが》

 

「ごめん小鈴いるし彼氏は無理かなー《やっぱりそうなんだ……》でもなんでムカつくの?」

 

《陽伸が幻想郷中の女という女を口説いて今は彼女7人もいるの!あームカつくーッ!》

 

「でも紅映。紅映もいつかは彼氏が出来るよ。紅映カワイイもの」

 

紅映の顔が完熟したトマトみたいに赤い。

 

《う、うれしい……詠夢さんもカワイイよ》

 

紅映は僕の頭を撫でて、満面の笑みで言う。

 

「ケホッ、ケホッ!うー……かわいくなんて無いもん……僕だって男だもん」

 

すると、陽伸が爆弾発言

 

陽伸「ここまで身長低くて、」

 

グサッ

 

陽伸「風邪ひいてて」

 

グサグサッ

 

陽伸「膝枕似合ってると、男の娘にしか見えないですね」

 

ダメだ。僕の中の何かが轟音を立てて崩れた。

 

「ちょっとお星様になってくる……」

 

陽伸「ご、ごめんなさい!」

 

そんな会話をしていた。

 

すると。

 

 

 

たくさんの妖怪が神社に……?

 

これは……ざっと500匹を超える……僕だけでは無理だ!僕は表情を真剣そのものな感じにする。

 

「陽伸。このスペルカード貸す」

 

僕が渡そうとしているのは、

神刀【クリスタルソード】

 

大勢の妖怪が博麗神社を攻めようとしている。恐らく僕が風邪で寝込み、お姉ちゃんが出かけている時を狙ったのだろう。

 

「妖怪の大群が神社に近づいてる……多分僕を狙ってる」

 

すると、陽伸は静かにスペルカードを受け取る。

 

陽伸「……頑張ります」

 

「紅映には剣を」

 

《詠夢さんは絶対に守りますので》

 

「そして、陽那さんには博麗代々使ってきたお祓い棒とお札を」

 

僕はこの体調では無理……だから3人を信じてる。

 

陽那「分かった」

 

「任せたよ」

 

「「はい」」《はい!》

 

どうやらもうすぐ近くまで来ているようだ……感じる妖力がだんだんと大きくなっている。

 

バンッ!と襖を開けて霊夢が入ってきた。

 

霊夢「詠夢!妖怪の大群が……!」

 

「天叢の3人に行ってもらったから大丈夫……多分」

 

霊夢「分かった。信じましょう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

約3時間後。

 

待てど暮らせどなかなか帰ってこない。

 

もしかしたら……そんな想像が脳裏をよぎる。

 

その時。

 

陽那「帰ったよー」

 

僕は玄関へと走っていく。

 

「良かったーっ!」

 

僕は紅映に抱きつく。紅映が発狂してるけど気にしなかった。

 

「もう、心配したんだよ!」

 

陽伸「まあ、少し苦戦したけどね、ざっと1000匹はいたと思う」

 

「ごめんね……風邪ひいてこんなことまでさせちゃって……」

 

陽那「気にしてないから良いよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

夜。

 

夕食を食べた後、僕は布団の中に、近くには紅映がいた。

 

「うー……まだ熱が下がらないかぁ……」

 

《大丈夫、すぐに治るよ》

 

「ねえ、紅映」

 

《どうしたの?》

 

「1人じゃ、不安なの……」

 

僕は半分くらい顔を布団に隠しながら言う。

 

《もう、意外と甘えん坊さんね》

 

すると、紅映が僕の布団の中に入ってきた。ぽんぽんと頭を撫でてくれながら僕を抱く。ゆっくりな心臓の拍動が不安な僕を安心させてくれる。

 

「おやすみ、紅映」

 

僕がそう言うと、紅映はサラサラと髪を撫でてくれた。僕はそのまま意識を眠りの中へと沈めた。




コラボは続きます。

ではまた次回、お会いしましょう。


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【コラボ】お姉ちゃん、お兄ちゃん

兄弟欲しいよ(;_;)
いとこも欲しいよ(;_;)
僕って本当にぼっちだなと思うこの頃

では詠夢視点でどうぞ。


僕は隣でもぞもぞしているなと思い目を覚ます。すると、どうやら紅映は寝返りをうっただけらしく、まだ寝息を立てて寝ている。もう風邪は治ったようで、体の調子も良かった。

 

僕はもう寝られなかったために目を閉じようとしなかった。それもそのはず、時刻はもう7時を回っているからだ。

 

僕は紅映に聞こえないように、そっと、そっと話しかけた。

 

「紅映お姉ちゃんの、ねぼすけ」

 

すると紅映に聞こえていたのか、ビクッと反応して目を見開きこちらを向いた。

 

《いま、お姉ちゃんって……言った?》

 

聞こえちゃったのか……ならしょうがない。

 

「おはよ、紅映お姉ちゃん」

 

《おはよう詠夢さん!》

 

すっごい恥ずかしい。多分顔は赤いだろう。

 

《詠夢さん、風邪治ったの?》

 

「大丈夫。ありがと紅映お姉ちゃん」

 

すると、紅映は鼻血で愛情表現をしながら抱きついてくる。いま、僕は多分顔を真っ赤にしているのだろう。

 

そこに襖を開けて入って来たのは、

 

「おはよー紅……映?」

 

陽伸だった。

 

「お、おはよ……ねえ陽伸?」

 

「どうしたんですか?」

 

「……その……タメ語で話して……いいからさ、陽伸お兄ちゃんって呼んでも……いい?」

 

すごい恥ずかしいけど、陽伸はいかにもお兄ちゃんっぽいからついそう呼びたくなる。昔に色々あったからか、僕は甘えたいのかもしれない。

 

「うん、いいよ詠夢!」

 

「ありがとー!陽伸お兄ちゃん!」

 

そのあと、2人にめっちゃ愛でられた。なぜか陽伸の表情が曇っていたから聞いてみると、『弟が出来るってなんか複雑な気持ちだな』って言っていた。

ーーーーーーーーーーーーーーー

朝食後。

 

陽那さんと会う時にはネコ耳が生えていた。確か陽那さんもネコ耳あったから同じだね。

 

「あ、おはよー詠夢くん」

 

「おはようございます陽那さん」

 

「あれ?詠夢くんってネコ耳あったの?」

 

「原因はわからないんですけどね……最近ヒョコヒョコ生えてるんですよ」

 

すると、陽那さんが急に押し倒してきて、耳を触ってくる。

 

やめて下さい、くすぐったいです。

 

「きゃうっ!?陽那さん止めてっ!」

 

「ふーん………詠夢くんのネコ耳、柔らかくて気持ち良いよ」

 

陽那さんは僕の悲鳴なんかお構い無しに触ってくる。更に尻尾も弄られてもう限界!と思ったその時。

 

「あんた、私の弟に何してるのかしら?」

 

お姉ちゃんの声だった。けれど、いつもより数トーンほど低い声がしたから相当怒っているのだろう。

 

僕はぐったりしてその場に倒れこむ。

 

「あ……怒ってらっしゃる……」

 

「もう許さないわ!縛られてなさい!」

 

お姉ちゃんは陽那さんをヘッドロック、そのまま縄でぐるぐる巻きにした。デジャヴだね。

 

流石の僕も陽那さんは許さなかったので縄で縛ったままである。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後、紅映の隣でいろいろなことを話した。紅映お姉ちゃんもいろいろなことを話してくれた。異変を陽伸が口説いて解決したこと、陽伸の彼女が7人もいること、鬼が超怖いこと。そんな時ふと、一つの言葉が僕の頭の中に浮かんでくる。

 

「本当のお姉ちゃん……」

 

《え?霊夢さんじゃないの?》

 

「ううん、違う」

 

紅映は驚愕の表情を見せた。

 

《え、詠夢さんってどこから来t》

 

「本当に聞きたいこと?」

 

冷たい声で言ってしまった。でも、みんなに知られたくないからそうしたのだ。

 

「あっ……ご、ごめん」

 

《こっちこそ、聞いちゃってごめんなさい》

 

「なんか……紅映お姉ちゃん、隣にいると安心する」

 

なんだろう……温かくて……安心できる……そんな感じだった。

 

本当のお姉ちゃん。いるのかもわからないけど、こんなにあったかければいいのに。

 

知らないうちに、紅映お姉ちゃんに寄っかかって寝ていた。

 

 

〜少年お昼寝中〜

 

 

起きると、隣には紅映お姉ちゃんと陽伸お兄ちゃんが寄っかかって寝ていた。

 

僕はそっと、みんなを起こさないようにカメラを取り出し、

 

パシャッ!

 

写真を撮る。僕の写真集に新たな1枚が加わった瞬間だ。

 

 

 

新しいお姉ちゃんとお兄ちゃんが出来て僕はとても楽しいです。

 

コラボーおわりー




割と日常編っぽかったですね。

ではまた次回、お会いしましょう。


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霊夢、大敗を喫する

異変よー、詠夢出動は遅めかな?

というか今回、詠夢のバトルシーンは無いです。

まあ、異変の始まりということで。では三人称視点でどうぞ。


守矢神社。

 

早苗がいつものように境内の掃き掃除をしていると、見知らぬ男が来ていたのに気付く。

 

「こんにちは〜!参拝ですか?」

 

早苗はいつものように参拝客と思しき男を案内する。

 

しかし。

 

「守矢よ………さらばだ」

 

その男はそう呟き、地面に拳を突きつける。

 

すると。

 

地面がピキピキと割れ始め、神社の本殿を破壊しようとする。

 

「…………っ!」

 

早苗はそれに気付き、咄嗟に空を飛ぶ。そして弾幕をばら撒いた。

 

男はそれを冷静に対処、手を弾幕の方向へとかざす。

 

被弾すると思った瞬間!弾幕が全て消えたのだ。

 

「………なっ!?な、ならこれなら!」

 

ー蛙符【手管の蝦蟇】ー

 

早苗を中心にエネルギーがチャージされ始める。そして約3秒ほどで完了、広範囲に渡り爆発する。爆発と同時に全方位弾が発射され、それに沿って大量の小粒弾がばら撒かれる。後にその弾幕全てが男を襲う。

 

早苗が勝利したと確信した瞬間。

 

早苗の目の前には男のものであろう拳が近づいて来ていた。

 

もちろんなす術もなくそれを受け、ぐしゃぐしゃになるまでに壊れた神社の本殿へと叩きつけられる。

 

「思想統一1番目。守矢神社、完了」

 

男は静かに言い放ち、その場を去っていった。

 

 

 

そして数分後、守矢の二柱が帰ってくるとともに絶句した。

 

「私たちの神社が………」

 

「ボロボロに……ん?あれ……早苗じゃないか!?おい早苗!?」

 

「な、なんだって!?おい早苗!返事しろ!!」

 

「「早苗ぇーーッッ!!」」

 

妖怪の山全域に響き渡るほどの神の声にも、ボロボロになって倒れている早苗には届かなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

同刻、人里。

 

霊夢は妖怪が悪さしていないか人里をパトロールしていた。

 

そして、命蓮寺に着いた時、彼女は絶句した。

 

「………なんでこんなに……?!」

 

いつもは人と多くの妖怪で賑わっている命蓮寺が倒壊、さらには白蓮や神子、妖怪のぬえまでが血を流し倒れている。まるで地獄絵図だ。

 

「紫ーッ!この人たちを永遠亭に連れてって」

 

霊夢は紫を呼ぶ。紫も現場に着いた瞬間、絶句した。

 

「霊夢………守矢神社もこんな感じだわ……気をつけて」

 

「大丈夫よ、私は絶対に死なないから」

 

自分でわかるほど霊夢が強いのは事実だ。しかし、この男、どうやら霊夢より一枚上手そうだ。

 

「行くわよ!霊符【夢想封印】!」

 

七色の陰陽玉が男へと向かっていく。しかし、

 

「ふんっ!」

 

男が手をかざすと、その陰陽玉は霊夢の方へと戻っていく。

 

「なっ……!?」

 

霊夢もこんな体験は初めてだった。なんでこんなことが出来たのか、原因すらわからないけれど倒すしかないので霊夢は攻撃を続ける。

 

「夢想封印が効かない……ならこれなら!」

 

ー夢想天生ー

 

博麗霊夢のチート技。全ての法則から浮き、干渉できない上に陰陽玉が次から次へと降り注ぐ。

 

これは決まっただろうと思った霊夢。なぜなら、夢想天生を使って勝てなかった相手はいなかったからだ。

 

「……グフッ……!」

 

しかし、不意に誰かに殴られた。

 

「その程度で勝ったと思わないでくれ」

 

男は至って冷静だった。

 

霊夢はその無敵状態を保ったまま、博麗神社へと逃げたのである。

 

 

 

 

博麗神社。

 

その頃、詠夢はいつもの通り神社で接客をしていた。

 

「いらっしゃいませ。……こちらですか?はい………はい、ありがとうございました!」

 

その時、誰かが全速力で近づいて来るのを感じた。

 

魔力ではなく、莫大な神力を引き連れて。

 

 

 

 

小さい体、目のついた帽子。

 

守矢神社の神、洩矢諏訪子である。

 

「詠夢………早苗が、早苗が……!」

 

珍しく諏訪子は焦っている。涙も浮かべて、緊迫した状況だというのが体で感じ取れる。

 

「早苗が……危篤なんだ」

 

「……!?」

 

詠夢が急いで、恐らく早苗と早苗に付き添った神奈子がいるであろう永遠亭に飛ぼうとしたその時、誰かにスキマから足を掴まれた。紫だ。

 

「詠夢、異変よ」

 

普段より声のトーンは低く、事態の深刻さを物語っていた。普段隠している妖力と殺気は丸出しで、普通の人間だったら苦しくなって倒れるレベルだ。

 

霊夢は生憎外出中なのでいない。さらに、霊夢ももしかしたら……。

 

そんな想像が頭の中に浮かぶ。

 

「紫、何があったか説明して」

 

詠夢も真剣な面持ちで紫に説明を求める。

 

「もう、惨劇よ……」

 

紫によると、洩矢神社の次に命蓮寺が襲撃にあったという。命蓮寺メンバーと神子、布都、屠自古全員で対抗したのだが全く歯が立たず敗北。全員が負傷しており、永遠亭に送ったという。

 

しかし人里の人には極度に優しく、全く悪い奴だとは思っていないらしい。

 

「うそ……そんな……」

 

詠夢は絶望しきっていた。それに追い打ちをかけるように紫が付け足す。

 

「あと、霊夢も負けたわ。いま命からがらここに逃げてきている最中よ」

 

詠夢の嫌な予想は当たってしまう。

 

「なんで!?霊夢、夢想天生放ったはずなのに……!」

 

霊夢の無敵スペルカード、夢想天生。使用した際は絶対に衝撃波が幻想郷全体に伝わるので使用したことが絶対にわかるようになっている。全ての法則から浮き、干渉できない上に陰陽玉が降り注ぐ、回避不可能スペルだ。それを男は、結界一枚で防いだのだという。

 

「……これはかなりマズイわ。永琳並かそれ以上ね」

 

「………」

 

幻想郷最強の永琳でさえ負けるという可能性があるのだ。

 

「………来たわ。恐らく例の男よ」

 

律儀に参道の階段を登ってきたのは、全身黒。黒の着物、黒の袴に黒い髪の男。身長は高い分類に入るだろう。

 

「間違いない。この男だよ」

 

諏訪子が断言する。

 

その男は、静かに詠夢に言い放つ。

 

「最終ターゲット………博麗神社、さよなら」

 

「させるかッ!」

 

詠夢は大声を出して、博麗代々に伝わるお祓い棒を片手に男へと突っ込む。

 

しかし、男は余裕そうな表情だった。

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

男の片方の口角だけが不自然に上がり、三日月型になっていた。




男、チートの域を超えました。ということは、出身地はあそこかな?みたいな予想はつくかも?

では次回、詠夢vs謎の男!

お楽しみにねっ!


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詠夢vs謎の男

男、チートです。はい。

さあ、この命懸けの戦いに勝つのはどっちなのか!?

では、三人称視点で本編どうぞ。


「させるかッッ!」

 

詠夢は強く地を蹴って、お祓い棒を片手に男に殴りかかる。

 

「お、やりますね」

 

男は詠夢をなぎ払う。詠夢はそれだけで軽く10メートルほど飛んだが、すぐに体勢を立て直し、男へと突っ込み、スペルカード宣言をする。

 

「星天【煌月の世界】!」

 

スピードも違う5色のカラフルな弾幕が男へと飛んで行く。しかし男は平然とした表情で手をそちらへとかざす。

 

被弾したと思った瞬間。

 

スペルカードも使わずに弾幕全てが消えたのだ。

 

「なっ……!?」

 

詠夢は驚きを隠せなかった。しかし、こんなことで驚いていてはダメだ、と自分に言い聞かせ、もう一度攻撃に出ようと思ったその時。

 

男の方が、早かったようだ。

 

男はすでに詠夢に殴りかかっていた。詠夢はそれを避けることが出来ず、もろに受けてしまったのだ。

 

「ぐぅっ!」

 

ドゴッ、と鈍い音がする。

 

「詠夢!!」

 

霊夢は思わず叫ぶ。詠夢は弱々しい声で

 

「大丈夫……」

 

と返した。さっきのパンチがかなり効いたのだろうか、霊夢には殴られた右頬が真っ赤に腫れているように見えた。

 

「本当にあなた、何者なんですか?……まあ、幻想郷にとって害悪なら退治するのみです!」

 

そう言って、詠夢は懐からスペルカードを出す。

 

ー霊符【詠想封印】ー

 

文の速度をも余裕で超越し、その効力は雑魚妖怪なら片付けられるほどの霊力を持つ博麗のお札が男を襲い、その後七色に輝く陰陽玉が男へと突っ込んでいく。

 

 

 

………と思ったが、男の手前で停止、詠夢の方へと向かっていくのである。

 

もちろん戻って来たお札に拘束された詠夢が逃げられる訳がなく、陰陽玉が上空にいる詠夢に続々と突っ込んでくる。詠夢は陰陽玉の勢いに負けて吹っ飛ばされてドゴッ、という鈍い音とともに地面に叩きつけらた。全身を強打し、満身創痍では戦えない。

 

詠夢の意識はそこでシャットアウトした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……はずがなかった。

 

 

 

ーー僕の使命は幻想郷を守ること。そして、お姉ちゃんを絶対に守ること。

 

こんなことで挫けていたら、僕はただの弱い者だ。

 

こんな自分ではダメだ。

 

やることを全てやってからではないと気絶などしてられない。

 

 

 

詠夢は血を滲ませながらも、その地に立った。

 

地面に叩きつけられたからか既に瞳は青くなっていて、詠夢は男の方をギロッと睨む。

 

もう一回、強く地を蹴り空を飛ぶ。

 

ドドドドドドドド

 

いつもよりも強く、澄んだ青の弾幕が弾幕が男へと向かっていく。

 

「オラァァァァァッ!喰らえ!」

 

 

 

ー神刀【クリスタルソード】ー

 

 

 

詠夢は自分が流しこめる最大限の霊力を霊力の刀へと流し込む。

 

詠夢は男が強固な結界を張っていたのをわかっていた。彼はその結界を、霊力で突破しようと考えているのだ。

 

いつもより一段と輝いた、詠夢の剣。

 

詠夢の顔には、強い決意が表れながらもとても苦い顔をしていた。

 

すでに詠夢の小さい体は、音を立ててミシミシと悲鳴を上げていた。

 

けれど、負けられない。

 

いや、負けてはダメなんだ。

 

詠夢の剣は既に自分の身長より遥かに大きくなっていた。

 

そして、霊力の補填が完了、詠夢は全速力で男へと飛んで行く。と共に、刀を右上から左下へと斜めに振り下ろす。

 

「滅びろッッ!おりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

剣は一瞬で結界を破壊した。

 

(これなら行けるっ!)

 

詠夢がそう思った瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

ドカァァァァァァァァァン

 

 

 

 

 

 

男が展開したであろう結界が破壊された瞬間に大爆発が起こり、詠夢はそれに巻き込まれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ドカァァァァァァァァァン

 

大爆発が起こった。地上から見守っていた霊夢は心配になり叫ぶ。

 

「詠夢!?詠夢はどうなったの!?」

 

しばらくして、煙が消えてくる。そして、空中に立っていたのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無傷の男だった。

 

詠夢はあの後、力負けして地面へと落下して行ったのだ。

 

霊夢は詠夢が落ちてきたのを察知し、すぐさま詠夢が落ちるであろう方へと飛ぶ。

 

(このまま落ちたら、詠夢が死ぬ……!)

 

そして、詠夢との距離が詰まってくる。

 

間に合うか、間に合わないか。

 

ギリギリのところに霊夢はいた。

 

速度を最大まで上げ、霊夢は手をいっぱいに前へ出す。

 

(お願い……間に合って……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボフッ

 

霊夢の手に、何かが落ちてきた感触がした。

 

「詠夢?…詠夢!はぁ〜……良かったぁぁ……」

 

霊夢は安堵した。しかし、そんな余裕は無い。

 

詠夢の体は既に血で暗い赤に染まり、意識も無い。

 

「詠夢!?返事して!詠夢!?」

 

霊夢が呼びかけるが反応が無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼はすでに呼吸もなく、一刻を争う事態となったーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……




詠夢、遂に敗北。

はい、チート民は月に帰りましょう。

ということで、多分紺珠伝と儚月抄あたりに上手くつなげればなと思っています。

ではまた次回、お会いしましょう。


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秘密の薬

紺珠伝の設定なりエピソードなりを弄ってます。独自設定タグ追加しました。

尊朝くん、異変解決に出動です!

では、どうぞ。


ん……知らない天井……じゃないな。ここは多分……永遠亭か。色んな人が僕のことを覗き込んでいる。

 

なんでここにいるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、そっか……僕……あの男の人に負けちゃったんだよね……

 

 

 

 

 

 

 

誰1人として守れなかった。詠夢の頭の中には守れなかった悲しみより自分に対しての情けなさの方が先に、また多く上がってきた。

 

「詠夢!起きたんだ!?心配したよ……」

 

詠夢に1番最初に声を掛けたのは、詠夢の姉である霊夢。あの後、ずっと永遠亭にいたと言う。

 

「詠夢!良かった……詠夢……詠夢……!」

 

その場にいた小鈴もまた、心配で仕方なかったのである。

 

「みんな……ごめん……僕、何も出来なかったから……」

 

詠夢はベッドに寝たまま、涙を目に溜めていた。それだけの使命感に追われて生活していたことを彼の顔から推測できた。

 

 

 

すると、2人の少女は詠夢の体を起こし、霊夢は前から、小鈴は後ろから抱きついた。

 

「「大丈夫よ、詠夢」」

 

優しく、詠夢に声をかける。詠夢は俯いた顔を少し上げた。

 

「私たちはあんたのこと大好きだから」

 

「心配しないで。詠夢が全力で戦ってるの分かってるし、カッコよかったから」

 

2人の優しい言葉に、詠夢は涙を我慢しきれなかった。

 

「ごめん……っ……!僕が……弱いだけにっ……!」

 

その時、暖かい感覚が詠夢を包んだ。

 

(この感触……この霊力……間違いない。お姉ちゃんだ)

 

「お姉ちゃん……っ……?」

 

「大丈夫よ。それならお姉ちゃんが悪い奴をやっつけてあげる」

 

その言葉を聞いた時、詠夢はふと昔のことを思い出す。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「おねーちゃん」

 

「どうしたの?」

 

「さいきん、怖い夢をみるんだ。妖怪にぼくがつかまっちゃって、たべようとするの。殺そうとするの」

 

そんなことで怯えていた詠夢に、よく霊夢が言っていたことだ。

 

 

 

 

 

 

ーーーそれなら、お姉ちゃんが悪い奴をやっつけてあげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「ありがと……お姉ちゃん……」

 

そこに、コンコンコンとノックする音が聞こえる。

 

「永琳よ。入っていいかしら?」

 

ここの医者兼薬剤師の八意永琳が来た。

 

「どーぞー」

 

霊夢はそう返すとともに永琳が入って近くに座る。

 

「あら、詠夢起きたのね。取り敢えずお疲れ様」

 

「いや……っ……なす術なく負けたから……っ」

 

小さい嗚咽が聞こえる。それが聞こえた永琳は大丈夫よと一言慰めたあとに話し始めた。

 

「あいつには負けても仕方ないわ。だって私より強いもの」

 

衝撃の発言だ。

 

永琳の話によると、輝夜を月に帰らせる時に、あの男の部下と永琳に行かせていた。男自身が月最強の力の持ち主だったので部下も強かったのだろうか、輝夜と2人で逃げられたのは奇跡に近かったらしい。

 

そして、男が幻想郷を去る直前に紫が男の名前を聞いたところ、

 

「名前は言えん。しかし、嫦娥の夫だ」

 

とだけ答えたという。

 

 

 

 

 

 

「永琳より……強い……」

 

「だから、詠夢が彼の結界を破壊できたのは貴方の実力が上がってきている証拠よ。……おっと、話がずれたわね。続きを話すわ」

 

 

 

昔、まだ永琳が月にいた頃に男は2人の妻だった。嫦娥ともう1人の名前は……

 

純孤だ。

 

純孤と男の間に出来た子供を嫦娥に殺されたことが原因で純孤は嫦娥に強い恨みを持つようになっていた。その恨みは嫦娥を擁している月の民にも及んだ。約1000年に一度、嫦娥をあの手この手で暗殺しようと考えていた成果を出すのだ。その結果が今回、月の民が幻想郷を侵略しようと考えている原因なのだ。

 

 

 

「……っていうこと。ほら、あの天狗の新聞にも載っているわ」

 

そう言って今日の朝刊を詠夢に渡す。一面には

 

『金属製の蜘蛛襲来!幻想郷侵略の危機か!?』

 

と大きく書いてあった。

 

ふと、外の世界を思い出す。

 

「キュリオシティ……?

 

……わかった。僕が行く「詠夢はダメよ」……え?」

 

詠夢は突然、永琳に止められた。

 

「彼女の能力を考えると無傷の人間じゃないと無理だわ。詠夢は戦っていま体の中が壊れているの。無理し過ぎも良くないわ」

 

無理し過ぎても、悲しむ人がいる……

 

詠夢はそれを理解し、今回は異変解決に行かないことを決意した。

 

「……でも、困ったものねぇ……霊夢と魔理沙と早苗。それだけでは絶対に足りないわ。うどんげは連れて行かせる気だけれど、それでも月の民は強いものね……」

 

永琳は頭を抱えていた。そこに、詠夢が何かを閃いたような顔をする。

 

「あっ!うってつけの子がいた!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「……それで僕を呼んだんですか?」

 

その人こそ源尊朝。源氏の血を引く者だ。

 

「そう。タカくんさ、まえ一回弾幕出せるかやってもらった時に凄い威力があったからさ。だから、スペルカード作って異変解決して欲しいの」

 

詠夢は彼の将来に期待していた。普段外に出ている霊力はそこらの里の人達と同じなのだが、弾幕の威力は半端ない。下手するとパワーでゴリ押しする魔理沙の弾幕に及ぶ可能性がある。それだけ尊朝に潜在した霊力があるのではないかと詠夢は思ったからだ。

 

「そうなんですか。分かりました!悪い人は僕がやっつけてきます!」

 

「そう、その調子だよ!ごめんね。僕が動けなくて」

 

詠夢はベッドに居ながら尊朝の頭を撫でる。

 

そこに、永琳と鈴仙が入ってくる。鈴仙が持っているお盆には水の入ったコップが2つと瓶に入った錠剤があった。

 

「待ちなさい。貴方と鈴仙にはこの薬を飲んでもらうわ。名付けて『紺珠の薬』、未来を見通す不思議な薬よ」

 

まあ、副作用が出るかもしれないから気をつけてね、と付け足した。リスクはあるけれど、飲まないより良いだろう。そう思った尊朝は薬を水で流しこんだ。

 

「頑張るね、詠夢さん!」

 

尊朝は詠夢の代わりという事もあって、右手で小さくガッツポーズをして言った。

 

「うん、行ってらっしゃい。」

 

詠夢は笑顔で返す。そして、みんなの方にも向いて笑顔を見せる。

 

「他のみんなも、気をつけてね」

 

「「「「行ってきます」」」」

 

みんなは永遠亭を出発し、月へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静まり返った永遠亭の窓越しに、詠夢は朝になっても見えていた、これからみんなが行くであろう月を見上げていた。




弄った点を説明します。

まず、嫦娥の夫は死んでません。月の都が凍結して、幻想郷に攻め入る時に宗教が混在していると面倒だからという意味で寺や神社を潰していたのが嫦娥の夫です。

その次に、純孤の子供を殺したのは嫦娥にしました。純孤の夫と嫦娥の夫は同じです。自分と子供を作ってくれなくて嫉妬した結果、子供を殺したという設定です。

最後に、半年経っても純孤の怒りが収まってません。紺珠の人間が来たら怒りは収まることでしょう。



以上が設定変更点ですね。ヘカT好きだから早く出したい。

尊朝は元気溢れる少年ですね。霊力は半端ないですが。

次回、月の兎が見た妖怪の山。

ではまた次回、お会いしましょう。


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玉兎が見た幻想郷

ヘカTかわいいよヘカT。

次の人気投票でヘカTかそのテーマのパンデモニックプラネットが上位に入って欲しいだぴょんです。



今回は早苗と鈴仙が仕事しても描写がない。

というか早苗と鈴仙出番ないフラグです。

では、三人称視点でどうぞ。



……え?テスト?明日からですけど何か?


霊夢達は尊朝、鈴仙と合流して、月を目指し妖怪の山を登る。

 

霊「ふう、ここら辺は雑魚妖怪が多いわね〜。はやく探査機を壊して月に行きたいんだけど」

 

霊夢は面倒臭そうにしていた。まあ、愛しの弟がいないからだろうか、テンションも下がっていた。

 

魔「まあ、まだ始まったばっかだぜ?楽しもうぜ!」

 

励ますように魔理沙は霊夢の肩を持ち、笑顔を向ける。その時自然と霊夢から笑顔が溢れたのは、魔理沙と付き合いが長いという証拠だろう。

 

尊「本当に霊夢さんと魔理沙さんって仲が良いんですね」

 

霊「なっ!?そんなこと無いわよ!こいつとはただの腐れ縁よ!」

 

霊夢は顔を赤くしながら反論する。そんなシーンを尊朝はクスクスと笑いながら見つめていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方、妖怪の山に着いたある玉兎は、その風景の美しさに見惚れていた。

 

「森…川…空気も澄んでる……良いところね」

 

月の都はそんなものはなく、建物ばかりが建っている。小さな公園はあったものの、こんな良い空気を吸ったことが無かったのだ。

 

「こういう自然を残したいわよね……あら、来たみたいね」

 

その玉兎ーーー清蘭は、異変解決者の中の早苗と鈴仙に立ち向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清蘭「あー、やっぱり負けちゃったかー」

 

結果は、早苗と鈴仙の勝ちに終わった。

 

早苗「勝たなきゃ異変解決者として失格だわ」

 

清蘭「でも幻想郷って綺麗ね。正直負けて良かったわ」

 

鈴仙「私がここに来た理由もわかるでしょ?」

 

清蘭「あんたは逃げてきただけでしょうが」

 

鈴仙は痛いところを突かれてしまう。そこを早苗は上手く転換した。

 

早苗「さあ鈴仙、早く異変の主犯を潰しにいくわよ!」

 

鈴仙「そうね!行くわよ!」

 

2人は空高く、月を目指して飛んで行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、霊夢たちは……

 

「こっちから行かせてもらうわ!兎符【ストロベリーダンゴ】!」

 

同じく、玉兎の鈴瑚と戦っていた。因みに尊朝は、

 

魔理沙「私の戦い方、しっかりと目に焼き付けておけよ!」

 

霊夢「あんな強盗犯のを見るより私の華麗な弾幕を見ておきなさい」

 

という訳なので、後ろで観戦している。

 

霊夢「このくらいの弾幕、余裕ね」ヒョイ

 

魔理沙「さあ、こっちも飛ばすぜ!恋符【マスタースパーク】!」

 

爆音を立てて、魔理沙のミニ八卦炉から極太レーザーが発射される。

 

鈴瑚「これは威力だけね。後はこっちにいれば……ってうわ!?星型弾幕まで飛んできた!?」

 

魔理沙「へっへー、考えが甘いぜ、うさぎさん!」

 

これには流石に鈴瑚も頭に来たようで、

 

鈴瑚「むぅーっ、喰らえ!兎符【ダンゴインフリューエンス】!」

 

魔理沙「うわっ!?急に来るなよ卑怯者!」

 

驚く魔理沙と、

 

霊夢「卑怯者はどっちよ……このくらいの弾幕余裕じゃ無かったの?」

 

魔理沙を罵る霊夢。

 

霊夢「さあ、ちゃっちゃと決めて終わらせるわよ!(実は早く詠夢に会いたいだけだけど)霊符【夢想封印】!」

 

7色に光る陰陽玉が鈴瑚に直撃する。無論、鈴瑚はそれに被弾した。

 

 

 

その時、尊朝は彼女たちの弾幕に見惚れていた。

 

飛び交ういろいろな色の弾幕、スペルカードのネーミングセンス、それに何と言ってもスペルカードの華麗さ。

 

 

 

ーーー僕は、こんな綺麗に出来るだろうか。

 

 

 

尊朝は若干不安でもあった。そこに、戦いを終えた霊夢と魔理沙が近づいてきて彼に話しかける。

 

霊夢「どうだった?私の華麗な「私の過激な弾幕はどうだったんだぜ?」……なんで被せた!?」

 

尊朝「2人とも、綺麗でした。僕もあんな風にやってみたいな……」

 

尊朝はキラキラした瞳で2人に言う。彼の顔は希望に満ちあふれていた。

 

霊夢「でも、詠夢には敵わないわね」

 

魔理沙「そうだなー、あいつの弾幕だけには敵わないな」

 

尊朝「あー、それは分かるかもしれません」

 

博麗詠夢、彼の出す弾幕は、その綺麗さから「見る者全てを魅了する」とまで言われている。

 

それを聞いて、また不安になってしまった。

 

 

ーーー僕は、こんなに強く美しく、弾幕ごっこが出来るのだろうか。

 

 

その心の声が聞こえたのか、霊夢は尊朝を慰める。

 

霊夢「大丈夫よ尊朝。みんな最初っから上手い奴なんていないわ。……まあ、私は最初っから上手かったけどね」

 

魔理沙「発案者がお前だから上手いも下手も無いだろ。まあ、私も初めてやった時はへなちょこな弾幕しか出せなかったな」

 

たとえ上手な人でもたくさん練習した。そして自分の能力や得意技と合わせて、自分の弾幕の形を生み出せるのだ。と、魔理沙と霊夢は語る。

 

尊朝はそれを聞き、さっきとはまた違う希望を持った。

 

尊朝「僕、これから一生懸命練習して、いつか詠夢さんに追いつけるように頑張ります!」

 

霊夢「そうそう、その調子よ!」

 

魔理沙「さあ、どんどん進むぜ!……あれ?ここ月の都か?」

 

そこに現れたのは、青い髪にサンタ帽を被り、玉のようなものがついたワンピースを着ている女性。

 

??「ようこそ、月の都へ……と言っても、貴方達は生身の人間。穢れを嫌う月の民のところには行かせられないわ。勝負よ、みなさん方」

 

魔理沙「相手がやる気なら、こっちも本気でいくぜ!」

 

魔理沙は乗り気のようだ。

 

尊朝「僕も詠夢さんの代わりに精一杯頑張ります!」

 

尊朝も張り切っている。

 

霊夢「あんた、ここ本当に月の都?どうも違う気がするんだけど」

 

霊夢は、ここが怪しいと感づいたようだ。

 

そして、その女性が真実を明かす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーようこそ、夢の世界の中にある偽月の都へ。

 

私は夢の支配者 ドレミー・スイート。

夢を喰べ、夢を創る獏よ。




はい、3面到達です。

紺珠伝は弾幕の難易度が一気に上がってるらしいです。地霊殿とはベクトルが違う疑惑。

まあ、ヘカT戦の動画見てて弾幕の密度と速度が異常だったしね。2人で弾幕打ってくるのは反則です。

では次回。真実の逆転

次回のタイトルで気づくかな?何面まで行くか

ではまた、お会いしましょう。


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通じ合う姉弟の心

サグメ戦まで頑張っていきます。

では三人称視点でどうぞ。

※若干今回グダッたかも


「夢の世界?」

 

「そうよ、ここは夢の世界。この都市は月の都市を夢の世界の中に具現化したものよ」

 

夢の世界。

 

霊夢達はそこにいるとドレミーから知らされた。

 

ドレミー「生身の人間は穢れていて、月の民は穢れを嫌う。何を意味するか分かるわね?」

 

魔理沙「私達と勝負しろって訳か。良いぜ!相手しようじゃねーか!」

 

魔理沙が自信満々に袖をまくる。そこを、尊朝が遮った。

 

尊朝「魔理沙さん。僕にやらせてください」

 

そこに、霊夢が心配そうに訊く。

 

霊夢「でも、大丈夫なの?弾幕ごっこ初めてだから……」

 

尊朝「1回、詠夢さんとやったことがあります。大丈夫です」

 

そして、尊朝はドレミーの方を向き宣言する。

 

尊朝「僕が相手です、ドレミーさん!」

 

ドレミー「そう、そこの坊やかい」

 

ドレミーは若干尊朝のことを挑発しているように見えた。それに尊朝は少し怒り、

 

尊朝「僕の名前は源尊朝です!そんなに馬鹿にしないでください!」

 

ドレミー「あらあら、ごめんなさいね。じゃあ行かせてもらうわ。夢符【藍色の愁夢】」

 

その瞬間、米粒の形をした彼女の後ろを囲むように出現し、ゆっくり進むかと思ったら急に加速、くるっと尊朝の周りを回る。

 

約140cmの小さい体を使いするすると弾幕を避けながら、尊朝も通常弾幕を出す。

 

ドレミー「まあ、普通の弾幕ね……痛っ!?弾幕の威力が強い!?」

 

そう、尊朝には潜在した霊力がとても多いのだ。それも詠夢が永琳に頼み込んで月へ送り込んだ理由だった。

 

尊朝「行きますよドレミーさん!上洛【宇治川の先陣争い】」

 

尊朝もスペルカード宣言をする。

 

尊朝とドレミーの間にレーザーが展開され、尊朝側から米粒弾の縦の列が左右に2つ出現する。米粒弾が列のまま高速でレーザーに突っ込み、ドレミー側に出たところで列が崩れ、放射状にドレミーへと向かっていく。

 

そして最後に、大玉が2つ、高速でドレミーへと突っ込んでいく。

 

ドレミー「うわっ!?危ない!貴方、かなりの実力の様ね。じゃあ本気でいくわよ!夢符【刈安色の迷夢】」

 

ドレミーが宣言した。すると黄色の弾幕が尊朝の周りを2周、展開された。その後、ゆっくりと円を描きながら拡散していく。

 

尊朝「くっ……避けるのが難しいですね……」

 

尊朝が苦戦していると、弾幕があたってしまう。

 

尊朝「ぐぅ……」

 

霊夢「尊朝!大丈夫?」

 

遠くから霊夢が声をかける。懸命に戦っている姿が愛しの弟と重なったのだろう。

 

尊朝「大丈夫です……よし、これ以上長引かせるのも嫌いですから行きます!急襲【鵯越の逆落とし】」

 

尊朝の近くから大弾が数個、直進してくる。

 

ドレミー「これだけなら余裕……なっ!?」

 

ドレミーは後ろを振り向き、驚愕した。そこには、小さい弾幕が放射状に展開され、さらには小レーザーの予告線まで出ていたからだ。

 

ピチューン

 

ドレミー「私の負けね……いいわ、貴方達を月まで送るわ」

 

そう言って、ドレミーは夢の世界から月の都へと通路を繋げる。

 

尊朝「さあ、行きましょう。霊夢さん、魔理沙さん」

 

魔理沙「ああ!……けど、さっきから攻撃してくる奴がいないな」

 

霊夢「あら?もう早苗と鈴仙が着いてるのかしら?」

 

と会話していた矢先見えてきたのは、月の都の繁華街とでも言える部分で早苗、鈴仙と片方しか翼が無い人が戦っている光景だった。早苗と鈴仙は肩から呼吸をしていて、相手が強いことが目に見えて分かる。

 

??「あら、あの人間たちは貴方たちのお友達?」

 

早苗「あっ……みんな……」

 

鈴仙「はあ、はあ……助けて……」

 

2人はかなり疲労しているようで、尊朝はすぐに救護をし、霊夢と魔理沙は敵に立ち向かって行った。

 

霊夢「あたし達が相手よ!」

 

??「……」

 

魔理沙「おい!聞いてるのか?」

 

??「……」

 

霊夢と魔理沙の質問に、敵は手で口を抑えたまま何も喋らない。

 

霊夢「あんた何者?早く終わらせたいんだけど」

 

流石に質問攻めにあい敵が折れたのか、口を開く。

 

サグメ「……月の賢者、稀神サグメよ」

 

魔理沙「よしサグメだな!勝負だ!」

 

サグメ「さあ、私が口にするわ。貴方はもう運命から逃げられないわよ」

 

そして、月の賢者と人間の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、幻想郷にいる詠夢は月を見上げながらとても不安そうな顔をしていた。

 

 

 

お姉ちゃんは怪我してないかな?

 

本当に無事に帰ってくる?

 

タカくんはしっかりやってるかな?

 

お姉ちゃんの愛……タカくんに取られないかな?

 

僕もみんなと行きたかったなぁ……

 

 

 

そんなマイナス思考な感情ばかりが脳内を支配し、どんどん不安になっていく。

 

「そんな顔ばっかしてると幸せが逃げるウサよ」

 

後ろから声が聞こえ、詠夢は振り向く。

 

「……てゐ?」

 

そこには、てゐだけでなく、輝夜や永琳、妹紅までいた。

 

輝夜「ほらほら、暗いことばっかり考えてないで、口角上げて思いっきり笑わなきゃ。多かれ少なかれ、あんたが自分の弟のために頑張って戦ってる霊夢の心の支えにはなってるはずだからね」

 

そう言って輝夜は詠夢の両頬を指で上げる。

 

「……!」

 

永琳「大好きな人の笑顔を見ると自然と心が満たされるものよ。貴方も小鈴を見ててそう思うでしょ?」

 

確かにそうだ。と、詠夢は思った。

 

小鈴と一緒にいると、自然と自分から笑顔が溢れる。永琳はそのことを言っていた。

 

妹紅「ほら、あんたも心の中で応援しなさいよ。月まで届くかもよ」

 

その言葉に後押しされ、詠夢は手を体の前で合わせ、窓越しに月を見て心の言葉で霊夢に言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー僕のためにありがとねお姉ちゃん。遠くても、応援してるからね。

 

お姉ちゃんなら、出来る。

 

 

 

そんなことを言った後、こんな言葉が返ってきた気がした。

 

 

 

ーーーありがと詠夢。私、やってみる。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方月の都では、熾烈な戦いが繰り広げられていた。

 

サグメ「それで終わり?まだまだよ」

 

霊夢「はぁ……くっ……強すぎる……」

 

霊夢は弾幕を避けるだけで、全く攻撃できていないのだ。体力は消耗しきって、正に絶体絶命の状況だった。

 

そんな時、彼女の脳内にある声が響いた。

 

ーーー僕のためにありがとねお姉ちゃん。遠くても、応援してるからね。

 

(これは……詠夢の声……っ!?)

 

ーーーお姉ちゃんなら、できる。

 

(ありがと詠夢。私、やってみる)

 

自分を信じ、霊夢の能力を全開放する。

 

霊夢「私の能力、空を飛ぶ程度の能力…いや、ありとあらゆる法則から浮く程度の能力。全開放すれば、私に不可能は……ない!喰らえ!霊符【夢想封印】!」

 

いつもよりより力強く、陰陽玉がサグメへ飛んでいく。

 

サグメ「これが……博麗の巫女の力……ッ!」

 

小爆発が起こり、夢想封印の莫大な力にサグメは戦慄し、負けを認めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり遠く離れていても、姉弟は繋がっている。

 

 

 

そのことを再確認し、博麗の姉ーーー霊夢は進む。

 

その表情は先程より少し明るくなっている気がした。




尊朝のスペカは源平合戦が元ネタ。

サグメ戦の戦闘シーンを垂れ流すのもアレかなと思い止めました。戦闘シーン上手くないし。

霊夢と詠夢の心、遠く離れてても通じ合いましたね。そう言う幻想的なのを入れたかった。あと若干サグメが厨二臭い。

次回、6面まで行けるかな?

ではまた次回、お会いしましょう。


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清浄機の扇子と星条旗のピエロ

タイトルの通り5面まで進みます。

ちなみに、僕が紺珠伝で1番好きなスペカは

超特急【ドリームエクスプレス】ですね。

ではでは、三人称視点でどうぞ。

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《《活動報告でアンケートやってます!詳しくは活動報告まで!》》


いま、霊夢達は面倒なことになっている。

 

生命力の塊、すなわち穢れの塊と化した妖精の大群が霊夢達を攻撃している。

 

早苗「これだけ掃除してるのにまだ湧いてくるなんて……」

 

尊朝「正直面倒臭いことになってますね……」

 

その時、急に後方から周辺の妖精が一瞬にして浄化された。5人はそれにびっくりし、後ろに振り向く。そこには……

 

霊夢「あら、あんた達は……綿月姉妹、だっけ?」

 

そこには、扇子を持った豊姫と依姫がいた。霊夢と綿月姉妹は、早苗が幻想郷に来た頃に様々な理由が重なり霊夢とはかなり仲が良いようだ。

 

依姫曰く、今回の異変で夢の世界に逃げ、封殺された人以外にも月の都に残っている月の民は少ないがいるという。サグメもそれらしい。

 

因みに言っておくと、依姫は詠夢に勝負を挑んだ時に、全く歯が立たずに詠夢に敗北したため、詠夢は月の都の中で目指すべき存在であり伝説になっているらしい。能力相性の関係で勝てただけだと思うが。

 

豊姫「ええ。八意様から聞いていた生身の人間というのはあなた方だったのね。ちなみに今のは、この扇子のお陰だわ」

 

そう言ってまるでお前はドラ○もんかと言わんばかりに上に突き出したその扇子は、豊姫曰く、この扇子を一振りすれば、純化されたものを一瞬で浄化し、穢れを無くせるというおっかない扇子なのである。

 

依姫「あら……そういえば、詠夢は?」

 

霊夢「ああ……どうやら嫦娥とかいう人の夫に体の内側から壊されたらしくて……。永琳のところで療養中よ」

 

依姫「あら……お大事にって言っておいて。ほらほら皆さん方、敵らしき奴が来たわよ。じゃあ、私たちはこれで行くわね。ごきげんよう」

 

そして、2人は豊姫の能力を使い消えていった。豊姫の繋げた先は幻想郷のようにも見えた。詠夢に会いに行くのだろうか。

 

5人は敵の方へと振り向き、戦闘態勢に移る。

 

早苗「あなたは誰ですか?」

 

クラピ「あたいは地獄の妖精クラウンピース」

 

クラウンピースは続ける。

 

クラピ「月の民は友人様の敵、友人様の敵はご主人様の敵、ご主人様の敵はあたいの敵だ!とてつもない力でお前達をやっつけちゃうぞー!」

 

早苗「望むところです!」

 

早苗が応戦し、戦いが始まった。

 

クラピ「獄符【ヘルエクリプス】」

 

早苗「なっ……早速耐久なんですか……」

 

今、主犯に純化され強くなっている、いや狂っているという言葉がお似合いのクラウンピースは、その強さをこれでもかという程見せつけてくる。

 

約1分ほどに及ぶ過激な弾幕を避け続け、遂に時間切れになる。

 

早苗「ふう、終わった……じゃあ行きますよ!土着神、諏訪子様のお力をお借りします!蛙符【手管の蝦蟇】」

 

早苗を中心にエネルギーがチャージされ始める。そして約3秒ほどで完了、広範囲に渡り爆発する。爆発と同時に全方位弾が発射され、それに沿って大量の小粒弾がばら撒かれる。後にその弾幕全てがクラウンピースを襲う。

 

クラピ「うわっ、ちょっ……」ピチュ-ン

 

実はこのスペル、弾消しのスペルを持ち合わせているか、気合いで避けるか、直ぐに遠くに離れないと回避は不可能な早苗の自慢のスペルなのだ。

 

早苗はあれ?という表情をして、

 

早苗「意外と……チョロいものなんですかね?」

 

と、舐めプ発言。

 

クラピ「くっ……綺麗にやられた……」

 

早苗「さあさあ、親玉を潰しに行きましょう!」

 

「「「「おー!」」」」

 

5人は異変の主犯の1人ーーー純狐のもとへと向かっていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方、永遠亭の病室にいる詠夢は、先程永遠亭に来た小鈴と一緒に、また同じように月を見上げていた。

 

しかし、さっきとは違い、窓越しに映る顔は口角が上がっていたのが突然の来訪者……豊姫と依姫にもはっきりとわかった。

 

依姫「久しぶりね、詠夢」

 

「ん……?あ、お久しぶりです。依姫さん、豊姫さん」

 

そして、詠夢は心配そうに訊く。

 

「あの、霊夢は……霊夢は、無事ですか?」

 

すると、豊姫は優しく詠夢の頭を撫で、こう言った。

 

豊姫「霊夢は無事よ。詠夢の為に異変解決を頑張ってるわ」

 

隣で小鈴がムスッという顔をしたことに気づいたのは詠夢だけだ。綿月姉妹はそれを何ともせずに優しく話しかける。

 

依姫「詠夢、嫦娥の夫と戦ったんだって?なに無茶なことをしてるのよ」

 

「無茶じゃないです……僕は…この幻想郷を、自分で守りたかったんです……あの方の周りの結界までは破壊できたんですが、そこからは覚えてなくて、気づいたらここに寝てて……」

 

結界を破壊できた、そのことを聞き2人は大層驚いた。

 

豊姫「えっ!?あの結界を!?1人で!?」

 

依姫「でも、無理しすぎよ!別に負けても良かったじゃない」

 

すると、バン!と、机を叩き、詠夢が叫ぶ。

 

「それじゃあダメなんですッ!」

 

小鈴「ちょっと詠夢、落ち着いて……」

 

その小鈴の声を無視して詠夢は続けた。

 

「この戦いに負けて、幻想郷を……第2の自分の世界まで失いたく無かったんです……」

 

詠夢は肩を震わせ、今にも泣きそうな表情で訴えた。

 

詠夢の知らないところで詠夢の過去のことを霊夢から聞いていた2人は、詠夢の主張は一理あると感じたのだ。

 

豊姫「そうよね……ごめんなさいね、主張を壊しちゃって」

 

「あ、いいえ……こちらこそ急に激昂してすみません」

 

依姫「ところでさっきから気になってるんだけどさ……」

 

大切な話が終わったあと、依姫は急に意地悪そうな表情を浮かべて話した。

 

「詠夢、その子と付き合ってるの?」

 

豊姫「ぶふっ!?」

 

依姫は「ちっ、違うもん……///」という初々しい反応を見せて欲しかったのだろう。しかし、

 

「はい、彼女の小鈴です」

 

小鈴「本居小鈴です、よろしくお願いします」

 

という、かなり慣れている返事が返ってきたので逆に依姫の方が驚かされてしまった。豊姫に至ってはついていけていない。

 

豊姫「え、じゃあどのくらい付き合ってるの?」

 

小鈴「かれこれもう半年ですかね?」

 

依姫「へえー、もうそんなに長く……。それでさ、詠夢。その頭に生えてるの、ネコ耳?」

 

「あれ、出てた?これはね……」

 

この後も4人の話は続き、それによって詠夢の心にぽっかりと開いた「霊夢」という部分を、一時的に埋めてくれたのかもしれない。




やっぱりほのぼのと団欒してた方が僕は得意かも……

戦闘向いてないわ。

さあ、次回は純狐戦ですよ!

それでは次回、またお会いしましょう。


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ピュアヒューリーズ

遂に評価に色が付きました!読んでくれている皆様、ありがとうございます。色づいたお陰か、何も投稿してないのに1時間UAが60いっててちょっと驚きました。

全話PVも10万突破しました。本当に有難い限りです。

今回も詠夢の登場部分は最後です。主人公登場しなくてどうするんだっていうのはありますので。久し振りにネコ耳弄ろうと思います。

はい、今回は純狐戦です。

それ以外言うことないです。だって純狐だもの。

「ピュアヒューリーズ〜心の在処」を流してお楽しみください。

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《《活動報告でアンケート実施中!!ご協力をお願いします!》》


5人がサグメの命令と霊夢の勘とで異変の主犯を捜しに飛び回っていると、ふと、誰かが見えてきた。

 

??「いかに策を練ろうとも、相手はそれを乗り越えて来る。口惜しや、もう少しで宿敵に手が届くというのに」

 

急に此方に喋りかけてきたのは、ウェーブがかかったロングの金髪に、中国の民族衣装のようなものを着て、7本の紫色をした尻尾が生えている。

 

霊夢「あんた誰?」

 

純狐「私の名は純狐、月の民に仇なす仙霊である」

 

純狐と名乗った者は極めて大人しく、一見謙虚そうな人物だがどこか胡散臭いな、と霊夢は思った。

 

純狐「貴女ね、変なことを考えるんじゃないわよ。貴女、ここに来るま何回ミスを冒してきたのです?もしそうなら、私のこの純化の力で、貴女のような生身の人間は一瞬で殺せますよ。詰めが甘かったわね」

 

流石の霊夢も純狐のこの発言には血の気が引き、少し後退りする。

 

鈴仙「ここは紺珠の薬を飲んだ私たちがいるわ。みんなは下がってて。ほら尊朝、行くわよ」

 

尊朝「はい。行きますよ!」

 

尊朝が出て来た瞬間、純狐は相当驚いた様子だった。未来を見通す薬を飲んだとはいえ、こんな小僧が相手になるとは思ってもいなかったからだ。

 

すると、フッハハハ、と純狐が笑い出した。

 

尊朝「な、何がそんなにおかしいんですか?」

 

純狐「だって貴方、まだ顔立ちからして10にも満たない子どもですよね?面白いわ!」

 

次に鈴仙を指差し、笑いを抑えながら言った。

 

純狐「それに貴女、元々月の兎ですね?多分月から逃げた八意とかいう月の民の手下でしょう。面白い、嫦娥なんてどうでも良くなってきたわ。じゃあ2人とも!負けは認めるけれどしっかりとおもてなししてあげるわ」

 

鈴仙「そんな手荒な歓迎いらないけどね」

 

鈴仙は呆れつつも臨戦態勢に入る。

 

純狐「まあまあ付き合っていきなさい。【殺意の百合】」

 

すると、端のほうで停止する中弾を撃ち、停止後には花のような形でへにょっとした形のレーザーと小弾が中弾の中からばら撒かれる。

この弾は左右それぞれで停止すると真横にレーザーを発射し、一定の回数ごとに三発同時に真上へ撃ち出されて下向きに自機を貫きにくる。

 

鈴仙「なっ!?避けきれないわよこんなの!【障壁波動(イビルアンジュレーション)】」

 

鈴仙がスペルカードを発動し、彼女は3回被弾無効という余裕が出来た。鈴仙は一度落ち着きを取り戻す。そしてまた冷静に、かつ慎重に弾幕のパターンを覚えて避ける。

 

尊朝「危なっ!?そっちが本気なら行きますよ!屋島【与一射扇的事(与一扇形の的を射ること)】」

 

扇形の弾幕が純狐の方へ飛んでいき、一定時間が経つとその弾幕の中央から細いレーザーが貫通してくる。そしてレーザーが扇形弾幕に接触するとその弾幕の中から小弾がばら撒かれる。

 

純狐は苦しみながらも避ける。そして純狐は新しいスペルカードを発動させる。

 

純狐「ほう、小僧の割には遣るじゃない。【原始の神霊界】」

 

 

 

その後も、純狐と鈴仙、尊朝の耐久戦が続いた。

 

 

 

尊朝「はぁ……はぁ……」

 

あまりにも長い時間弾幕ごっこをしていたせいか、尊朝だけでなく鈴仙や純狐まで体力を消耗仕切っていたのだ。

 

すると純狐がある提案をしてくる。

 

純狐「なかなかやるわね……じゃあ次の貴方のスペルカード、私が被弾したら貴方達の勝ちでいいわ」

 

尊朝「……わかりました、行きます!【終焉の壇ノ浦(デマイスダンノウラ)】!」

 

すると、純狐も唖然とするしかない単純な弾幕の雨嵐。

 

純狐の前からは大レーザーが迫り、左右からはただただ小弾幕がばら撒かれ純狐の視界を覆い尽くす。

 

勿論回避はできず、純狐は被弾した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後、その場で鈴仙は純狐に問い詰める。

 

鈴仙「取り敢えず私たちが勝ったけれど、月の民は開放してくれるの?」

 

純狐「そう、それなのよ。実は月の民を夢の世界の中に封殺したのは私じゃないのよ。ヘカーティアって子なんだけどね……」

 

そんな噂をしていると、尊朝たちの後ろからニュッと誰かが現れた。そこにはWelcome♡Hellと書かれた黒いTシャツを着ており、首輪のようなものをつけてそこからは鎖が3本、1つは頭の上の球体、もう2本は左右の手の球体に繋がっていた。

 

ヘカ「私がヘカーティアよ。地獄で神様やってるわ」

 

かなりふわふわした感じの神様に、5人はおもてなしを受けることになる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、幻想郷にいる綿月姉妹は彼のネコ耳がとても気になっていた。

 

豊姫「ねえ、さっきから気になっているのだけど……その頭の耳はなに?」

 

「うーん…あまりわからないんですけど、ある朝起きたら生えてました。すっごい触り心地良かったしそのままで良いかなーって思ったんですよ。永琳に相談してみたけど生えた理由はわからないです。時間経てば引っ込みますし」

 

などと耳が生えた経緯を話していると詠夢は、依姫が触りたそうにしてとてもうずうずしているのに気づいた。

 

「あの、依姫さん?良かったら触ります?」

 

依姫「あ、うん。触らせてもらうわね」

 

依姫はふにふにと耳を触る。詠夢自身、この時は動物になった気持ちでもふもふタイムを楽しんでいる。

 

(あ、そうそう。そんな感じ。優し〜く撫でてくれれば良いの)

 

そんなことをやっているうちに、詠夢はだんだんと眠くなってきてしまった。ついつい大あくびが出てしまう。

 

「ふわぁー、眠くなってきちゃった……おやすみ……」

 

詠夢はベッドに体を寝かせ、意識を闇の中へと沈めた。

 

 

 

依姫「随分と寝顔がかわいい子猫ちゃんね、お姉さま」

 

豊姫「そうね。ずっと見てたいくらいだわ」

 

そんな中、小鈴が幸せそうな顔で言う。

 

小鈴「そんな詠夢が、私が好きになった理由かもしれないわね」

 

そして小鈴は詠夢の顔に顔を近づけ……

 

 

 

「おやすみ、詠夢」

 

自分の唇を詠夢のほっぺたにくっつけた。




必死に戦ってるのになにもふもふタイムしてるんだっていうツッコミは禁句です。

次回「Legacy of Lunatic Kingdom」紺珠伝最終回です。

それではまた、お会いしましょう。


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Legacy of Lunatic Kingdom

ヘカTカワイイよヘカT。

今回で紺珠伝最終回。果たして詠夢は出てくるのか!?(ちなみに今回、ヘカーティア好きの作者は戦闘シーン垂れ流しをやりましたのでいつもより長めです、というかいつもの2倍です)過去最高4118文字です。

では、三人称視点でどうぞ。

ーーーーーーーーーーーーーーー
博麗社スピンオフ書き始めました。

よかったらそちらもどうぞ。


急に5人の前に現れた人は、ヘカーティア・ラピスラズリという女神。純狐がいうには、このとてもノリが良く軽い感じの神様が月の民を夢の世界に封殺した張本人である。

 

ヘカ「ねえ純狐、この人達が嫦娥の使い?」

 

純狐「いや、違うわ。この人たちは地上の民よ。しかも生身の。一回戦ったけれどこの人たち、とても面白いわよ。私の今回の計画を失敗に導いたのもこの人たちよ」

 

ヘカ「ええっ、そこまで!?」

 

ヘカーティアはかなり驚いた様子で5人の様子を観察する。そして、みんなに近づいてジロッと顔を見終わった後、にやけて話した。

 

霊夢「なによ」

 

魔理沙「そ、そんなに見るな!」

 

尊朝「な、なんですかこんなにこっち見て」

 

鈴仙「へえ、あんたが月の民を封殺した奴ね」

 

早苗「そんな変な目で見ないでください!」

 

ヘカ「ふーん、面白そうな人たちね。みなさん、ちょっと私と力試ししない?」

 

そこに純狐が割り込んでくる。

 

純狐「ヘカーティア?流石に貴女との勝負なんて……」

 

ヘカ「私の力がバカみたいに大きいことくらい自分でも把握してるわ。それに純狐も敗北を覚悟してるわけだし、そこは手加減するわよ。」

 

そんな話を2人だけでしていると、早苗が吹っ切れて叫ぶ。

 

早苗「やるならさっさと勝負しろこの変なTシャツヤロー!」

 

霊夢「ちょっと早苗!?何言ってるの!」

 

霊夢がこれだけ焦るのには理由があった。

 

それは、詠夢が出雲から戻っていた時に言っていた言葉だった。

 

『神様だけは絶対に怒らせちゃダメ。国1つ、いや、星1つは吹っ飛ばすような力を神様は持っているから』

 

その詠夢の発言を聞いていたからこそ、今の早苗の発言はあのあまり騒がずに冷静な霊夢でさえを焦らせたのである。

 

ヘカ「ふーん、まあいいわ。本来なら人間なんて相手じゃないけれど本気出しちゃおうかしら。『貴女達は私に暴言を吐いた』それだけの理由で貴女達を地獄に落としてあげる。地獄行きになるだけ幸運だと思いなさい!死んでも悔しがれ!異界【逢魔ガ刻】」

 

光った弾幕が5人の手前で1回転した後に突撃してくる。早苗達は色々なところに飛んで避けた。みんな被弾せずにこのスペルカードは突破できた。

 

鈴仙「ちょっと早苗!あんたが責任とってヘカーティアと戦いなさいよ!」

 

確かにあの発言がマズかったと思い反省した早苗は、ヘカーティアとの勝負をする。

 

早苗「まだこのくらいなら余裕ね。じゃあこっちからもーーー」

 

ヘカ「誰も私の攻撃が終わったとは言ってないわよ?地球【邪穢在身】」

 

すると、急に髪と瞳の色が青く染まり、弾幕が発射される。

 

ヘカーティアの周りから青い小弾幕が発射され、ある程度自分を過ぎたところで中弾幕が跳ね返してきて、早苗狙いの低速レーザーを発射してくる。

 

早苗「ま、まあこれくらいなら大丈夫です(正直に言って若干きつかった……躊躇せずにスペルカードぶっ放せばよかったかも)」

 

早苗は冷や汗をかきながら反撃しようとする。しかし、その隙さえヘカーティアは与えなかった。

 

ヘカ「反撃しようったって無駄よ。月【アポロ反射鏡】」

 

すると、今度はヘカーティアの髪と瞳の色が黄色に染まり、ヘカーティアから円状に青の星型の小弾幕が回転しながら飛んでくる。そして直角に反射し、尾を引いてもう一度早苗の方へと飛んでいく。

 

早苗「くっ……避けきれない!蛙符【手管の蝦蟇】」

 

早苗は避けきれず喰らいボムを発動する。それをヘカーティアは軽々と避け切り、次のスペルカードを発動させる。

 

……と、その前に純狐が出てきた。

 

純狐「私も入れてー!【袋の鼠を追い詰めるための単純な弾幕】」

 

すると、自分がいるところに高速で弾幕が発射される。

 

早苗「うわっ!?急にびっくりした!」

 

しかし急に高速発射される以外は早苗を狙ってくるだけで、純狐の周りを回って避けるだけで回避は簡単にできた。

 

そして純狐が遊び程度の弾幕を出した後、ヘカーティアが戻ってくる。

 

ヘカ「そんなんじゃ甘すぎるわよ純狐。異界【地獄のノンイデアル弾幕】」

 

すると、ヘカーティアがまた赤に戻り、3個横に連なった弾幕がゆらゆらと揺れ動き早苗の方へと向かっていく。

 

弾幕の動きが不規則かつヘカーティアから早苗を遠ざける弾道だったため、撃破に時間がかかり体力を多く削られてしまった。

 

早苗「はあ、はあ……ヘカーティアさん、いつまで続けるつもりです…?」

 

ヘカ「そうねー、じゃあ私が一回被弾したら負けでいいわ。地球【地獄に降る雨】」

 

ヘカーティアは青になる。そして星型の弾幕が円状に発射され、それと同時に早苗の背後から弾幕が迫り、それがヘカーティアの方へたどり着くと反射して尾を引きながら早苗の方へと戻っていく。

 

早苗「なんでこんなのばっかり……もうちょっと派手にやってくれると思ったわ!蛙符【手管の蝦蟇】」

 

早苗もスペルカードを発動させるが、ヘカーティアは見下した表情で早苗に言い放った。

 

ヘカ「2回目に引っかかるんだったら女神やってないわよ。さあ、次は貴女のお望み通り派手に行くわよーん!月【ルナティックインパクト】」

 

ヘカーティアは黄色になり、早苗の身長の数倍はあるであろう月のような球体を出し、それを早苗に向かって投げた。さらにヘカーティアの方からは星型弾幕が振ってくる。

 

早苗「なんだ、これなら余裕……なっ!?」

 

後ろに行った月ばかりを見ていて、早苗はいつの間にか出来ていた『2個目の月』に気がつかなかったのだ。

 

2個目の月はすでに早苗の目の前にあり、もう避けられない、被弾しようと考えていた刹那。

 

「危ないッッ!!」

 

横の方から声がした。それと同時に、早苗は腰を掴まれ、強制的に横へとずらされる。

 

そして、早苗は自分を動かした人の顔を確認すると驚愕した。

 

早苗「え、詠夢さん!?」

 

霊夢「詠夢!?あんた、なんでここに!?」

 

「どうしても不安だったから……永琳に許可をもらって豊姫さんに送ってもらって来た」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

事の発端は数分前。

 

詠夢は、1度は眠りについたものの、どうも妙な胸騒ぎがして眠れなかった。

 

もしかしたら、お姉ちゃん達が危機的状況にあるんじゃないか。

 

詠夢はそんな気がしてたまらなかった。

 

幻想郷は、この手で守る………!

 

そう詠夢は決心し、帰ろうとしていた豊姫に声をかける。

 

「あの、豊姫さん!僕を、霊夢が居るところまで送ってください!」

 

豊姫「えっ!?貴方、自分の体のことわかって言っているの!?八意様は絶対に許さないと思う「大丈夫よ」……え?」

 

永琳「別に大丈夫よ。快方に向かっているし、それに詠夢、絶対に守りたい人がいるものね」

 

「はい。なので、行かせてください」

 

永琳「うん、行ってきなさい。ただし、良い結果だけを期待してるわよ?」

 

「はいっ!」

 

そうして詠夢は夢の世界へと向かうのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「行きますよヘカーティア様!ここからは僕が相手です!」

 

詠夢は固い決意が表れた表情でヘカーティアの方を見る。すでに瞳は青かった。

 

ヘカ「青の瞳、そのお祓い棒……間違いないわ!貴方があの神を使う少年ね!イザナミからは話を聞いているわ。確か……博麗詠夢、だっけ?」

 

「はい、僕が博麗詠夢です」

 

ヘカ「貴方と一回会いたかったのよ!それにしても、意外と身長低いのね〜」

 

グサッ、と今の言葉が詠夢に刺さった。

 

純狐「しかも童顔でカワイイから愛でたくなるわね」

 

そこにトドメを刺すような形で純狐の言葉が詠夢の心に深く刺さる

 

「それ以上言うと怒りますよ!霊符【詠想封印】」

 

お札と陰陽玉が急に飛んできて少し驚いた様子の2人だが、普通に避けられたようだ。

 

ヘカ「面白いわ!その勝負乗った!行きましょ純狐」

 

純狐「ええヘカーティア。【人を殺める為の純粋な弾幕】」

 

すると、純狐を中心に全方位弾が発射され、途中から中弾に変わる。純狐の正面では避けられなかったので咄嗟に右に避け、余裕を持って避ける。その分、スペル攻略に時間がかかってしまった。

 

ヘカ「次は私から行くわよーん!【トリニタリアンラプソディ】」

 

すると、上から青い三角形が3つ4つ降ってきて、それが星型の全方位弾となって飛んでくる。

 

「ヘカーティア様がいない……まさかこれ、耐久か!?」

 

詠夢の予想は当たっている。この次に、緑の三角形が詠夢を狙い落ちてきて、また全方位弾がをばら撒かれる。

 

最後に、かなりの速度で赤い三角形が落ちてきて、低速の全方位弾をばら撒く。

 

詠夢は気合いで避け切り、スペルカードを撃破する。

 

「…っと。危なかった…じゃあこっちからも!女神【黒点舞踏】」

 

かなりの密度で弾幕が射出される。純狐は驚きながら、ヘカーティアは感心しながらギリギリで弾幕を避けていた。

 

ヘカ「へえ、なかなかやるわね。行くわよ純狐」

 

「「【最初で最後の無名の弾幕】」」

 

すると、ヘカーティアと純狐が2人がかりで弾幕を射出する。ヘカーティアはクナイ弾を、純狐は全方位弾を撃ってくる。

 

「なっ!?2人は卑怯です!ならこっちも2人で……霊夢!」

 

詠夢は霊夢を呼び、懐からスペルカードを取り出した。

 

「ヘカーティア様、終わりにしましょう!」

 

「「【双夢終天】」」

 

巨大陰陽玉や数々のレーザーがヘカーティアと純狐を襲う。そして博麗姉弟に被弾したと思っても、霊夢の能力のおかげで全ダメージが無効となっているのだ。

 

ヘカ「これが博麗の力……っ!」

 

純狐「人間とは……思えないわよ…!」

 

2人は避ける手段もなく被弾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで、月の民は夢の世界から解放してくれますか?」

 

ヘカ「ええもちろん。面白かったわ詠夢。それと、詠夢」

 

「はい、なんでしょうかヘカーティア様?」

 

ヘカ「あんた気に入ったわ。純狐もそうでしょ?」

 

純狐「ええ。神を使う能力というのは気になるわね」

 

ヘカ「だからさ、偶に貴方の住んでいる神社へ遊びに行っても良いかしら?」

 

「はい。それに、今日これから宴会をやると思うので、来ますか?」

 

純狐「ええ、是非行かせてもらうわ」

 

ヘカ「よーし、今日は飲むぞー!」

 

「異変も終わったことですし、楽しんでいってくださいね」

 

戦闘が終わり、3人はとても楽しそうな表情を見せていた。

 

こうして、月の民が幻想郷に攻め入った異変は終結したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、ヘカーティアが毎日博麗神社に訪れるようになったのを知るのは純狐と博麗ファミリーだけだ。




これにて紺珠伝は終了です。今回は戦闘シーン割と凝ったので時間かかっちゃいましたね。

次回、【特別編】クリスマスの1日 前後編に分けてお送りします。

ではまた次回、お会いしましょう。


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【特別編】クリスマスイヴの1日

なんだこのロリ×ショタリア充は。でもクリスマスだから許して☆

はい、では詠夢視点でどうぞ。

詠夢の怖いもの嫌いって可愛すぎるかな?


今日は12月24日、クリスマスイブ。

 

そんな日に、僕は小鈴とデートの約束をしていた。

 

デートって言われても特にそういう特別な服はないからいつもの神社の衣装に、ちょっと寒いからマフラーを巻いて来た。

 

もう時間なんだけど、小鈴が来ない。

 

そう心配して待っていると、向こうから手を振りながらこっちに来る女子がいた。小鈴だ。

 

「ごめんねー!遅れちゃった……」

 

改めて小鈴を見る。小鈴もあまり服は凝っていないけれど、いつも髪をツインテールにしているのだけれど、今日は全て下ろしている。一見育ちの良い女の子みたいな雰囲気だ。

 

「ううん、大丈夫。全然待ってないから」

 

「じゃあ詠夢、行こっか」

 

僕はこくりと頷く。すると、小鈴の手がが僕の手の方に伸びてきて、僕の指と小鈴の指が絡むように繋がれた。恋人繋ぎだ。そうして、2人で歩き始めた。

 

小鈴と何回かこの手の繋ぎ方はやったことがあるけど、これだけは慣れない。心臓の鼓動が早くなり、どうも緊張してしまう。

 

「どうしたの詠夢?もしかして、緊張してるの?」

 

小鈴が聞く。

 

「い、いや!別に、そんなこと、無いってば」

 

僕の途切れ途切れの言葉に疑問を感じたのか、小鈴は僕の心臓に手を当ててその早さを確かめる。

 

「詠夢、脈すっごく速いよ?」

 

「うっ……本当は、ちょっと緊張してる」

 

実際ちょっとどころでは無い。この手の繋ぎ方、小鈴との体の近さ。僕の緊張は最初からMAXに達していた。

 

「もう、詠夢って本当に正直者ね。そこも好きだけどさ」

 

取り敢えず、また歩き始めた。

 

そして僕たちは歩いていると、命蓮寺の周辺まで来た。命蓮寺の近くは、人を驚かすことを生業とした妖怪がたくさんいる。僕はお化けとかの類のものが大の苦手だから、個人的に怖い。

 

自然と、小鈴に若干身を隠して歩いていた。

 

その時、急に誰かが出てきた。小傘だった。小傘はベロが出た傘……では無く、ぬえが改造したであろうグロテスクな傘を僕に向け、叫んだ。

 

「うらめしや〜っ!」

 

「……!……っ……!」

 

僕はその場で硬直した。そしてその瞬間、うわっと涙があふれ出てしまった。怖い……

 

「え、詠夢!?大丈夫!?」

 

「ごめん……怖くて……っ」

 

「大丈夫よ、こっち来なさい」

 

僕は小鈴に抱きついてわんわん泣いた。だって怖かったんだもん。

 

「怖いよぉ〜……ヒグッ……」

 

「そうね、怖かったよね。でも大丈夫よ、私がついてるから」

 

その後、泣き止むまでに数分かかっちゃった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

取り敢えず僕がひと段落し、また色々と人里を見て回る。こうやって落ち着いて人里を見て回るのがもう何ヶ月かぶりだったから新鮮だった。その間ずっと小鈴とべったりだったけど。

 

取り敢えず、僕と小鈴の私服を買った。僕も小鈴も普段は仕事用の服しか着ないけれど、小鈴の「たまにはおしゃれした方がいいわよ」という提案があったから買った。僕は小鈴に似合う服、小鈴は僕に似合う服を探してくれた。実際その服僕に似合ってたし、小鈴のも似合ってた。いいね、好きな人がいるって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことをしているうちにもう夕方、日が暮れ始めた。

 

人里では、にとりがクリスマスのイルミネーションの飾り付けをしていた。

 

今年は、イルミネーションを使って幻想的なクリスマスにするぞー、とにとりが意気込んでたっけな。

 

「ねえ詠夢!そろそろイルミネーションの点灯式が始まるよ!」

 

「うん!行こう!」

 

何となく2人で手を繋いでスキップしながらそこまで向かった。すっごい里の人に見られたけど気にしない。小鈴とは何も話してないのに同時にスキップを始めたのが驚いた。以心伝心過ぎるでしょ。まあ、楽しかったけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに着いたら、既ににとりがボタンを持ってなにか喋っていた。間に合って良かった。

 

「さあ、それではこのボタンを押してイルミネーションを点灯させます!」

 

3!

 

2!

 

1!

 

ポチッ!

 

その瞬間、うわっと通りを光が埋め尽くした。幻想郷に相応しい幻想的な飾り付けにたくさんの色の光。僕たちの雰囲気を盛り上げるには十分だった。

 

「綺麗ね……」

「うん、とっても綺麗……」

 

2人でイルミネーションを見ていた。いつの間にか僕は、小鈴と腕を組んでいた。最初の緊張感も解けて、もっと小鈴と一緒にいたいと思うようになっていた。

 

「ねえ、詠夢」

 

「ん?どうしたの?」

 

「私からの、クリスマスプレゼント。受け取って」

 

「う、うん」

 

小鈴は頬を赤らめてそう言った。見る感じプレゼントも持ってないし何をするのかな?

 

と思った瞬間。僕のことを真正面からハグして。

 

 

 

ちゅっ。

 

 

 

僕の唇に、蓋をした。

 

「!?〜〜〜///!」

 

突然の出来事で、頭が真っ白になった。

 

ほんの一瞬のキスだったけど、その時間はとても長く感じた。幸せだった。

 

「……んむっ。私からのクリスマスプレゼント。」

 

「も、もう……するならするって言ってよ。恥ずかしかった//」

 

「ふふっ、ちょっとしたサプライズしたくて……」

 

好きな人がサプライズしてくれて、実はちょっと嬉しかった。

 

「いつか、一緒に暮らしたいね……」

 

「……うん!」

 

僕は小鈴に抱きつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗の神主と貸本屋の小娘。

 

2人の純粋な恋は、まだまだ続きそうだ。




詠夢のクリスマスのお仕事。サンタさんやってたという噂が流れてます。

ではまた次回、お会いしましょう。


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弟の嫉妬

今回、途中でわけわからん長文が入ってますが勢いで書きました。

僕自身、恋もしたこと無いし友達からは嫌われてるよってことを聞かないので嫉妬というものがわかりません。でも苦悩を抱える詠夢を救ってあげようとするヘカーティアさんを書きました。

あと霊夢がブラコンすぎるね、はい。

詠夢の過去が過去だから愛情はたっぷり詠夢に注いでる霊夢。だからブラコンなんだね。

では、どうぞ。最初だけ霊夢視点です。


私達が異変解決から帰ってきて数日が経ち、戻ってきた日常………ではなく、少し違っていた。

 

弟の詠夢の様子が変なのだ。

 

詠夢がいつも俯いてため息ばっかり吐いている。

 

いつもおっとりな調子の詠夢がどうも暗い。

 

どこかおかしい。

 

もしかしたら、私が原因なのかもしれない。

 

いや、そんなことは無い。そんなこと、あってはならない。

 

私が詠夢を幸せにするって決めたのに。

 

そんな感情ばかりが脳内を支配する。こんなでは姉としてダメだ、と思っても原因が全くわからないから手の打ちようがない。

 

と思っているだけだったその時。

 

「来たわよー詠夢……って、あら?詠夢はどこ?」

 

縁側から大胆に入って来たのは、まだ10代という若い年齢で神を使う詠夢を気に入ったヘカーティア。

 

「詠夢?たぶん縁側でお茶飲んでるわよ」

 

「わかったわ。お邪魔するわね〜」

 

色々と挨拶の順番が違うということをスルーし、私は自室に戻った。

 

 

side out

ーーーーーーーーーーーーーーー

ヘカーティアは縁側にいる詠夢を見つけた。しかし彼はなにも喋らず体育座りで顔を膝の中に埋めていた。

 

「こんにちは詠夢」

 

「…………」

 

「ちょっと、詠夢?」

 

「…………」

 

詠夢は何も言わず、俯いたままである。

 

「あのね、詠夢。何かあるなら話しなさいよ」

 

詠夢は少し顔を上げ躊躇う素振りを見せたが、口を開いた。

 

「いや、あのね……」

 

 

 

 

 

 

ことの発端は月の異変を解決し、幻想郷に戻ってきた時。

 

博麗神社では恒例の宴会が開かれていた。

 

詠夢はお酒が飲めないため、いつも通り料理を出したり、お酒を出したりしていた。

 

詠夢が、霊夢が宴会場にいないことに気づき、おそらく縁側にいるだろうと思い向かった時だった。

 

その時、詠夢は見てしまったのである。

 

「霊夢ー?お酒とおつまみ持ってきた……よ……」

 

霊夢が、尊朝を抱きしめているところを。

 

詠夢はそこにお酒とおつまみを置いて奥へと逃げた。

 

 

 

その後も、霊夢は休みが取れれば稗田邸に行っていて、最近詠夢には素っ気ない態度しか見せないという。

 

「……ってことなんですけど……」

 

詠夢が話し終わると、ヘカーティアはため息を吐き、話し始める。

 

「なるほど、それはただの嫉妬ね」

 

「嫉妬……?」

 

詠夢はただただ首をかしげる。

 

「貴方、嫉妬したこともないの?普通の人間なら1度くらいしたことあるわよ?」

 

「あの、僕は、その……普通じゃないって自覚してるんで……」

 

そう、外の世界にいた頃は無感情な実験台でしかなかったのだ。嫉妬などいう感情を持ったことも無いだろう。

 

「まあ過去に何があったかまでは問い詰めないし聞こうと思わないわ、表情からわかるもの。ただし、これだけは言えるわ。『病は気から』」

 

「えっ?」

 

ヘカーティアの言っている意味がよくわかっていない詠夢に、彼女は説明を加える。

 

「何百年、いや何千年も前かもしれない、幻想郷の旧地獄がまだ地獄として現役で稼働してた頃。まだ強〜い鬼がたくさんいた頃よ。その時から橋姫、水橋パルスィは嫉妬心を操り、人々から忌み嫌われていたわ。私は地獄の女神だから毎日地獄全体を彷徨いていたんだけど、その時偶然パルスィを見つけたわ。今はどうか知らないけれど『妬ましい』を連呼していたわね。そんな時よ。私は彼女に質問したわけ、

『なんで生き物は嫉妬をするの』

ってね。その時に彼女が言ってたわ。

『まあ、一言で言えば嫉妬は思い込みすぎによる心の病みたいなものよ。例えば好きな人がとられたら、もしかしたら気持ちがどんどんマイナスの方向に持って行かれ、結果的に沼にはまって抜け出せなくなってしまう。結局は気持ちの問題なのよ』

ってね。いま、詠夢はそれを自分のお姉ちゃんで起こしてるだけ。だから、霊夢に自分の気持ちをガツンと伝えてきなさいな」

 

ヘカーティアの言葉に後押しされ、詠夢は元気に

 

「はい!」

 

と返事をし、霊夢を探しにドタドタと駆けて行った。

 

少しは詠夢の元気を取り戻せたかな、と思うヘカーティアだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「霊夢ー?入るよー」

 

詠夢は、ゆっくりと霊夢の部屋の襖を開け、部屋に入る。

 

重い空気が、姉弟2人を取り囲む。

 

先に口を開いたのは、弟だった。

 

「あ、あのね、お姉ちゃん。あのね、僕は「詠夢、ごめんね」……え?」

 

しかし、姉の言葉に遮られる。姉は、優しく弟に話しかける。

 

「ごめんね、詠夢。あんたにたくさん寂しい思いさせちゃったね。」

 

「ぼ、僕はそんなーーー」

 

「私、さっき永琳から聞いたわ。『もしかしたら私が尊朝に取られちゃうんじゃないかって心配してた』ってね。確かに私、最近阿求ん家に結構遊びに行ってた。ごめんね詠夢、それならもうちょっと姉弟2人の時間を多くすれば良かったって私も後悔してる。でもね、あんたは覚えてないかもしれないけど、私のところに詠夢が来た時、紫から事情も話されたからある程度は知ってた。そん時私、もう決めてたの。『この子は、私が絶対に幸せにする』って。だから心配しないで。私は何があってもあんたを一番大切に思ってるし、あんただけは、私が何されようが守る」

 

そう言い切って、詠夢を抱きしめる。

 

世間一般から見ればブラコンだと言われるかもしれないが、詠夢からしたら、とても嬉しい言葉だった。

 

詠夢は目に涙を浮かばせながら叫んだ。

 

「ごめん、ごめんお姉ちゃん!僕ね、ちょっと嫉妬してたの。お姉ちゃんが取られたと思って嫉妬してた!でも、そんな心配する必要なかった。僕をそんなに大切にしてくれたんだね……ありがと。とっても嬉しい」

 

姉の部屋で姉弟抱き合い、再び笑顔を取り戻した2人をにこやかに見つめるヘカーティアだった。




今回霊夢の弟愛が溢れてますね。まあ、ここの霊夢はそういう設定ですので。詠夢の過去とも絡み合って幸せにしなきゃという思いが強いのでしょう。

さて、次の投稿はおそらく来年になります。来年も東方博麗社をよろしくお願いします。

では、良いお年を。


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新年の儀式

明けましておめでとうございます、投稿大幅に遅れてすいません。宿題終わりません。

今回かなり短めな上に詠夢視点なのです霊夢が全部お姉ちゃんになってます。

詠夢も人間、失敗は誰にでもあるんです。失敗しなくちゃ人は伸びません。

では、詠夢視点でどうぞ。


えー、今は1月1日、つまり元日の8時なんですが……

 

今日も仕事ですね。

 

今日は人里に下りれないけど行ったら僕くらいの子どもたちが羽子板して墨で顔を真っ黒にして遊んでいるのでしょう。そんな余裕すらな僕ですけれども。

 

まあ、僕が神社で働いてるからしょうがないって言えばそこまでですね。しかも神主という立場上この神社の責任者ですしね、まあほとんどお姉ちゃんが牛耳ってるけども。

 

小鈴から遊ぼうよってお誘いも来たけれど泣く泣く断りました。更にお願いまでしました。誠に申し訳ございません、小鈴。

 

そんな時、外から声が聞こえた。

 

コン「あの、詠夢さーん!こんなお守りの量本当に大丈夫なんですか?あとボク1人で参拝客の方々を捌き切れる気がしないんですけど?」

 

そう、今年は博麗神社も有名になりたくさん初詣に来る参拝客が来る。更に僕は儀式の準備、お姉ちゃんはお祓いやら何やらで少ししか手伝えないから明らかに人手不足だ。

 

「ごめんねコン、正邪とか三妖精にも手伝わせるし、僕と霊夢も時間があったら手伝うから頑張ってね。本当にゴメン!」

 

顔の前で手を合わせつつ謝る。永琳に針妙丸ちゃんを大きくする薬を作ってもらおうかな?

 

「だから、お手伝いさんを呼びました!」

 

そんな感じで奥から出てきたのは、小鈴と阿求。手伝ってと声をかけたら僕のためならと快く了承してくれたので、紅白の巫女服に着替えてもらった。普通に腋が出ていないものだ。お姉ちゃんもいつもは腋が出てない普通の巫女服を着ている。

 

「その、似合ってるかな詠夢?」

 

うん、何着ても十分カワイイよ小鈴。

 

「心が清らかになった気がする」

 

阿求はなんか新鮮な感じだね。

 

「人手不足なので、手伝ってもらうね。お願いします!元日からゴメンね!」

 

「「了解ですっ!」」

 

2人は神社の奥へと準備に入っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

正午を回り、神社は今までにない賑わいを見せていた。既に参拝の列はかなり伸びており、お祓い等々を希望する方も増えてかなり忙しくなってきた。

 

そろそろ、毎年やっている儀式、天香香背男命討伐の儀式が始まる。

 

天香香背男命討伐の儀式とは、毎年年明けにやっている儀式で、天香香背男命が天照大神に勝ってしまうと妖怪の力が強くなってしまう闇の年になってしまうので、天香香背男命の力を封印し弱めることで天照大神を勝たせる儀式だ。

 

……と言っても、僕はお姉ちゃんがやったのを見たことがあるだけで、やったことはない。この1年で「神を使う程度の能力」を手に入れたため、霊夢が

「私、あれ結構疲れるのよね〜、ねえ詠夢、やってくれない?」

という理由で譲り受けた(押し付けられた)仕事である。

 

何はともあれ儀式をやらなくちゃいけないけれど……

 

……緊張する。

 

空気が極限まで凍った無音の空間で、ただ1人黙々と儀式を行う。

 

成功するのか……?

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

えー、結論から申し上げます……

 

 

 

 

失敗しました。

 

天野香香背男命様の力、尋常じゃないほど強かったです。

 

そして天照大神様、何故か弱かったです。

 

僕の能力はある程度パワーバランスも調整できるはずだから、おかしい。

 

自室で落ち込んでいると、お姉ちゃんが入ってきた。

 

「まあ、そう落ちこまないで」

 

お姉ちゃんはふんわりとした笑顔で僕のことを宥める。

 

「でも、覚醒はしてたのよね?」

 

「うん」

 

「やっぱり、何かがおかしいわ」

 

「どうしたの?」

 

「私、いままで毎年あの行事をやっていたけれど、天香香背男命の力があそこまで強かったのは初めてよ。私も焦って封印しかけたけれど間に合わなかった。ゴメンね詠夢」

 

「ううん。じゃあ今年は妖怪退治頑張る」

 

「そうね」

 

そう言ってお姉ちゃんは部屋から出て行こうとする。

 

「あ、言い忘れてたわね。

明けましておめでとう。今年も何かと不穏な事件が多いと思うけどよろしくね、詠夢」

 

「……うん!頑張ろうね!」

 

今年はとても不穏な年になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思った瞬間。

 

ぷつん、と糸が切れるように意識が途切れた。




何が起こるかって?

お得意の時間ずらして異変だよ!(単純に深秘録入れるの忘れた言い訳)

次回からは詠夢の体が博麗大結界と連動してることが大きく関係してきますね。

ではまた次回、お会いしましょう。

今年も博麗社をよろしくお願いいたします。


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奪われた霊力

1つ、大変遅れて申し訳ありませんでした!宿題多すぎんよぉ〜……

さあ、人気投票も結果が出て霊夢のポイント数に驚きながら小鈴はキープ、ヘカちゃんも初登場43位は頑張ったと思います。セプテットは王座陥落ですね。

さあ、今回はヘカーティアと詠夢が中心で話が進んでいきます。ここのヘカーティアさんすっごい良い人。

では、ノーサイド三人称視点でどうぞ。


詠夢の意識が途切れて、1日が経った。

 

詠夢が寝ている彼の部屋には、小鈴と、ヘカーティア。霊夢はこれが異変だと気付き、文字通りすぐに飛んでいった。

 

小鈴は、かなり心配していた。

 

「まだ起きないなぁ……はあ……詠夢、大丈夫なのかな」

「心配するにはまだ早いわ。ちゃんと呼吸もある。だけれどわかっているのは、オカルトボールが詠夢の霊力を奪ったってことだけ」

 

そう、詠夢が倒れた直後に幻想郷に姿を見せた「オカルトボール」。7つ集めると何かが起こると言われていて、いま幻想郷の一部の住人が自分にあった「オカルト」を身につけて戦いながらオカルトボールを集めている。しかしそのオカルトボールが幻想郷に入ってきた時、外の世界の霊力が大結界のバランスを崩したことで大結界と連動している詠夢の体から全て霊力が奪われてしまい、気を失ったのである。

 

今は霊力が普通の人並みにまで回復しているが、あとはまだオカルトボールに封じ込められたままである。

 

それに……

「かなり苦しそうねえ」

先ほどから、苦しそうな表情をしてうーんと唸っている。

 

「大丈夫よ詠夢、私がいるから」

そう言葉をかけ、手を握る。しかし……

 

「ぁ……ぁぁあ……」

先ほどより酷くなってしまった。

 

「どうしたのかしらねぇ……普通は安心するはずなんだけど……よほどひどいことが起きてるのかしら……」

ヘカーティアは首をかしげながら考える。

 

「まあ、彼にも昔色々あったので……」

小鈴は苦笑いしながら答える。しかしその笑みには、深い悲しみが込められていた。

 

「ああ、うん、なんとなく察したわ。それで私、1人、この異変の主犯に思い当たる人がいるのよねぇ、外の世界だけど」

 

「それは、誰ですか?こんなに詠夢を苦しめてる人、許せません!」

 

「まあまあ焦らないの。その人の名前は宇佐見菫子。いろんな怪奇現象を解明する女子高生よ」

 

じょしこうせい、その言葉が理解できなかった小鈴は適当にお茶を濁し、ヘカーティアの発言に耳を傾けた。

 

「その彼女に前、私が力を貸そうとした時があったのよ。それでその子のところに行った時、幻想郷に行きたいって言われたの。ただしこのTシャツのこと変って言ったから速攻帰ってやったけどね」

 

小鈴は、思ったことを直ぐに口に出していけないと思い、黙った。

 

「じゃあ、それを霊夢に伝えて欲しいのだけど……あ、そこの淫ピちゃーん!」

「誰が淫ピだボケェ……あ、あなたは旧都の鬼から聞いたことがある……」

「そう。私が地獄の女神、ヘカーティアよ。貴女は……華仙ちゃんね」

「あ、はい……」

 

そう言い、ヘカーティアは華仙に全てを話し始めた。

 

「……というわけなの。このこと、霊夢に伝えてくださる?」

「嫌って言ったらどうせ貴女の体3体使って拷問されるんでしょ。別に拒む理由もないし良いですよ」

「じゃあお願いね〜」

「でも、それならヘカーティアさんが自分でいけば良いのでは?」

「それじゃあつまらないし、霊夢も弟の仇は自分でとりたいものよ」

「まあ、そうですね。了解しました、伝えておきます」

 

ヘカーティアは、また神社の中に戻っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「ぁぁ……ん……?あれは、夢……」

「詠夢?大丈夫?」

「小鈴……?」

 

詠夢が起きた。まだ詠夢は怯えている様子で、小鈴を見るなり逃げて行ってしまった。外に出るとヘカーティアもいた。

 

「あら詠夢、起きたのね。貴方、結構辛そうだったのね。取り敢えず夢の中で何があったのか、聞かないし聞こうとも思わない。ただし1つ言えることがある。何があったか知らないけど、その夢は全て……忘れちゃいなさい」

 

「えっ……?」

 

「そんな夢、絶対に現実で起こるはずのないことよ。綺麗さっぱり忘れて、また前向きに生きなさい」

 

「全部……起こらない……?」

 

「ええそうよ全部起こらないわ。安心して」

 

そう言うとトテトテと小鈴の方に駆けて行き、小鈴を正面から抱きしめた。

 

「良かった……怖かったよ小鈴……!」

「ほら、こっち来なさい。たくさん甘えても怒らないから」

「うん!」

 

詠夢の表情は一転してぱあっと晴れ、小鈴に膝枕して貰っている。

 

「あれ、霊夢は?」

「霊夢さんは詠夢の為に異変解決しに行っているわ」

「僕は……行っちゃダメ?」

 

するとヘカーティアが口を挟んだ。

 

「その、言いにくいんだけど……今のままだと、人里の人たちと霊力が同じくらいしかないわ」

「……えっ!?」

「オカルトボールに貴方の霊力が奪われちゃって、仕事にもならないくらいの霊力量しか残ってないの」

 

そう告げた瞬間だった。

 

「あぁぁぁぁ!?痛い!痛いぃぃ!?」

 

詠夢の体にとてつも無い痛みが走る。

 

「ちょ、詠夢!?しっかりして!詠夢!?」

「これは……マズイ!誰かがオカルトボールの力を全開放している!このままじゃあ手遅れになる!ちょっと行ってくるわ!」

 

そう言って、ヘカーティアは急いで神社を出ると同時に姿を消した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ヘカーティアが外の世界に出ると、案の定霊夢と主犯、宇佐見菫子が戦っていた。菫子はオカルトボールの力を全開放していた。オカルトボールの力を全開放したことで詠夢の霊力が余計奪われ、かなり危ない状況になってしまっていたのである。

 

「ちょっと霊夢、下がってなさい!」

「え?ああ」

「宇佐見菫子、『貴女は私の友人を苦しめた』それだけの理由で貴女を地獄へ堕とす……死んでも悔しがれ!月【ルナティックインパクト】」

 

最強の女神が放った月の渾身の一撃は、一直線に菫子へ向かっていく。

 

そして、それに対抗する術もなく菫子は倒れた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「詠夢、大丈夫だった?」

「霊夢!」

 

霊夢が外の世界から帰ってきて、姉弟が抱き合う。

 

「ただいま。心配かけたわね」

「おかえり。待ってたよ!だけど……実は今、霊力がちょっとしか無いんだ」

「ああ、そのことならこの女神にお任せを。私、実は魔術を司る女神でもあるのよ」

 

そう言って回収した全てのオカルトボールを置き、詠夢を置いて何やら魔法陣を展開した。そして、ヘカーティアの詠唱が入った後にボンと小規模の爆発が起こった。

 

「よし、成功ね。詠夢、これで霊力が戻ったわ」

「あ、はい。有難うございます!」

「さあ、これからも神社の仕事頑張ってね!」

「精一杯精進します!」

 

そう言いヘカーティアは詠夢の頭を撫でた。

そこにいた姉とこいびとの冷徹な視線を華麗にスルーして。




深秘録、ちょっとあっさりしすぎかもしれないけど許してください。

次回、何やるか分かりませんがそろそろ詠夢に恋敵が現れてもいいかな?と内心思い始めています。そこで純狐の気持ちがわかったりとかしそうかなと妄想を広げながら。

ではまた次回、お会いしましょう。


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蘇る易者

鈴奈庵4巻、友達に貸してもらったけどマミさん出すぎじゃありません?

というわけで、今回は鈴奈庵ベースのお話です。第77位のあの方が登場です。

ではノーサイドでお送りします。


「小鈴が、占いを……?」

 

「そうなんだ。しかも、今までそれが外れたことは一回もないらしい」

 

「ええっ!?そんなに……。魔理沙もやったの?」

 

「ああ。しかも、言われたことが全部当たった」

 

小鈴が始めた占い。それは、数日ほど経ってから恋人の博麗詠夢の耳に飛び込んできた。

 

「そう言えば、最近妖怪退治の仕事やらなんやらで忙しくて小鈴にもあまり会えてないし、明日久し振りの非番だから行こっかな」

 

「うん、そうしてやれ。小鈴もここ一週間くらい会えなくて寂しそうだったから」

 

「そうだね。ありがと魔理沙」

 

しかし、その時には既に小鈴に何か黒いものが取り憑いていた……

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

翌日。

 

詠夢が鈴奈庵に足を運ぶと、そこは大勢の人で賑わっており、そこからは寺子屋の生徒たちが出てきた。

「あれ、みんな……何してたの、鈴奈庵で?」

 

「あ、詠夢先生ー!」

「ねえねえ聞いてよ、小鈴さんの占いがね!」

「すっごく当たるの!」

「先生もやってみたらー?」

 

「うん、やってみるよ」

 

「先生もそろそろ寺子屋に来てねー」

 

「はーい、近いうちに行くよー」

 

そうやり取りをして鈴奈庵に入る。

 

チリンチリン、と入店を知らせる鈴が鳴った瞬間、詠夢に何かが覆いかぶさった。

 

小鈴だ。

 

「ごめんね、なかなか会えない状況になっちゃって」

 

「いいの。こうやって詠夢が来てくれるだけで私は嬉しいから。さあさあ、ここに座ってちょうだい。詠夢も占ってあげる」

 

久し振りの再会もほどほどに、小鈴はカウンターに自分と向き合って座るように詠夢に言う。

 

「あ、そうだ。魔理沙から聞いたんだけど、占いが絶対に当たるって有名らしいけど……いつからこんなこと学んでたの?」

 

「いや、学んでた訳じゃなくてこの本を読んだんだけど、いろいろ否定するのを忘れてたら私が始めたみたいになっちゃった」

 

そう言って詠夢に見せた本を、詠夢は手に取り読み始めた。特に危ない本では無さそうではあるが、覚え書きのような、落書きのようなものがあった。

 

「へぇー。じゃあ、僕のことも占って欲しいな」

 

少しワクワクしている詠夢を見て自然と小鈴からも笑顔が溢れる。

 

しかしその時、詠夢の勘が何かを捉えた。

 

気になって立ち上がり、小鈴の周りを見回してはみたが、特に妖気は感じられなかった。

 

「何かあったの?」

 

「いや、なんでもない」

 

小鈴は、僅かながら詠夢の変化に気づいていた。しかしそれを口には出さず、黙々と占いを進めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、どうことが転がっても不吉、かぁ……」

 

結果はあまり良いものではなく、詠夢の調子も少し下がり気味だった。

 

「まあ、所詮は占いよ。あまり気にかけないほうが良いわ」

 

「意外と気にしちゃうんだよなー……ん?」

 

すると、詠夢はまた先程と同じような表情を……否、先程より厳しい表情を浮かべ、反射的にお札を小鈴の方向の壁に投げた。

 

しかし、小鈴が気づき、振り返った時にはもう何もいない。

 

「ねえ詠夢、どうしたの?なんか変よ?」

 

「いま、誰かが見えた気がして……」

 

「ちょっと働き過ぎで疲れてるんじゃないかしら?もしよかったら今晩、うちに泊まってく?」

 

「あ……う、うん」

 

そう小鈴は言っているものの、気づいていた。

 

目の吊りあがり方、反応の速さ……。それは、ただの思い違いではなく、妖怪の類を成敗する時の様な冷たい眼差しだった。

 

また、詠夢はしっかりと見ていた。決して思い違いではなかったのだ。

 

数年ほど前に人里で1人の男性が不審死した。その人と小鈴の後ろに憑いていた人物の顔がほぼ合致したのであるーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「ねえ詠夢。全部話して」

 

夕方になり、2人だけの静寂の中、小鈴は思っていたことを口にした。

 

「な、何を話すの?」

 

「ほら、そうやって1人で問題を抱えない。私には分かってるんだからね、詠夢が妖怪か何かの類がいるのに気づいてること」

 

「ご、ごめん……でも、あまり公共の場所で言うと混乱を招きそうだったから。でも、もしかしたら小鈴の身にも危険が来るかもしれないから、これから話すことは絶対に聞いてて」

 

そう言い、詠夢は自分が知ってる全てのことを話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……つまり、私を利用してその不審死した人が妖怪になったって訳なの?」

 

「うん、でも、まだ仮説に過ぎないから真相は分からない。でも、流石にこの生活に嫌気が刺したって訳なはず……」

 

「フッフッフ……そのまさかだよ、少年」

 

「……っ!」

 

「だっ、誰!?」

 

詠夢と小鈴の話のタイミングを見計らっていた様に登場したのは、不審死した男……易者だ。しかしその姿形は、完全に妖怪と化していた。

 

ザッーーー

 

スッーーー

 

まるで天狗のような速さでお札を投げるが、易者の方が反応が早く簡単に避けられる。そしてその勢いのまま鈴奈庵から出て逃げるのを詠夢は全速力で追う。

 

そしてそのまま人里を出ようとする易者の前に、詠夢は立ち塞がった。

 

「まだ人里の中だ。俺を人里の外に出して、自由にしてくれ」

 

易者の言葉に対し、詠夢は冷徹な目で睨むだけ。

 

易者は続けた。

 

「占術を通じて世界の外側を見たら、今のままの人里生活が窮屈に見えて、人間をやめた。俺が書いた落書きは、嫉妬心によって自分を復活させる術を仕掛けた。そうしたら、あの嬢ちゃんが見事にやってくれたってわけさ」

 

「お前、小鈴をよくも……!」

 

「まあ、お前には関係ないだろう。人里を出たら人間とも関わりを持たなくなる。人間には関係ないことだ。たとえ怨霊だとしても感情をコントロールすれば何も起きない」

 

「……あっそ。で、何したいの?」

 

「お前、俺の話を聞いてたのか?俺は人間を辞めてだなーーー」

 

「その話は聞いた。あと、お前が人里を出ようが出まいが僕には関係あるんだけど」

 

詠夢は重たく冷たく易者に言い放ち、懐からお祓い棒を取り出した。その瞬間易者は驚愕の表情を浮かべ、叫んだ。

 

「お、お前まさか……!」

 

「そのまさか。僕は博麗の神主、博麗詠夢。まああんたには関係ないだろうけど」

 

「待て、止めろ!幻想郷に危害は与えない!本当だ信じてくれ!」

 

「なるほど、信じろと?到底無理だね。ここでは、人間が妖怪になるのが1番の大罪だ。そんなルール破りには居場所は無い。ここで消えてもらう」

 

まずは易者に札を1つ叩きつけた。

 

「俺は怨霊だが、感情くらいコントロールできるーーー」

 

「だから何?僕はそれが出来なくて月の都に攻め入った神霊を見たことがあるんだけど、そっちの方がマシだったね。お前はやり過ぎた、それだけ」

 

「落ち着け!少し時間をーーー」

 

「問答無用」

 

その一言を重く冷たい声で叫び、無慈悲に、お祓い棒を易者の体の上から下へ振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

鈴奈庵に戻った詠夢は、小鈴から阿求に聞いた事の顛末を聞いた。

 

「で、結局『民家要術』の罠だった……と」

 

「そう、さっき阿求と霊夢さんが来てね。私、何も知らないでまんまと罠に引っかかっちゃったなぁって」

 

「大丈夫。何があっても僕が守る」

 

「詠夢……」

 

小鈴は今にも涙腺が崩壊しそうになりながらも詠夢を抱きしめた。しかし詠夢は吹き出しそうな笑いを堪えて小鈴を見る。

 

「それでさ、小鈴。その……頬のくるくるはなーに?」

 

「えっ、うそ!?」

 

「ぷぷっ、似合ってるよ」

 

「なっ!?ちょ、からかわないでよー!」

 

小鈴は顔を赤くして詠夢をポカポカ殴る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴奈庵は、今日も平和です。




人里で易者を退治したのは次回に繋げたいからです。いいね、ほのぼのエンド。

ではまた次回、お会いしましょう。


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人里のアイドル

少しオリキャラがでてきますがあまり気にしないでください。後々で少し扱う予定です。

そして先に言っておきます。別に詠夢はナルシストでもスケコマシでもありません。ただの清純な男子です。

ではノーサイドでお送りします。


朝早く。

 

詠夢は、久々に寺子屋の授業をするため人里に出歩いていた。

 

寺子屋で久し振りに授業をする為に朝の早めから寺子屋に来ているのだが、既に近くで遊んでいる生徒の声が聞こえてきた。

 

どうしたのだろうと思い詠夢がそっちに向かう。すると……

 

「問答無用!」

 

と言い放ち、木の枝を振り下ろしてカッコよく決めるのを見せびらかしている男の子と、それをキャーと黄色い歓声をあげてそれを見る女の子たち。詠夢が易者を退治した時の再現だろう。あの男の子の名前は弥助。寺子屋で1番のムードメーカーで人気者だ。まあ成績は……察してあげてほしい。

 

「みんなおはよう」

 

「「「おはよーございます!」」」

 

弥「あ、詠夢先生おはよーございます!あの、どうですか?いまのカッコよかったですか!?」

 

「なんか自分のやってたこと言うのは恥ずかしいけど、とてもカッコよかったと思うよ」

 

弥「ホント!?やったー!」

 

「ところで、なんで僕の真似を?っていうかそんな僕冷たかったかな?」

 

弥「うん、その鋭い眼差しだけで小妖怪くらいなら逃げていくほど」

 

うわあ、僕そこまでやってたっけ、なんか僕にそぐわない感じだな、と思い詠夢は苦笑いする。

 

「そ、そうだったんだ、ははは……」

 

弥「でも、カッコよかったなぁー、あの時の先生……いや、神主さん」

 

「……そうなのかな?」

 

?「詠夢さん、あの時だけ不思議な力を持ってたというか……純粋にカッコよかったですよ」

 

「あ、尊朝」

 

尊「少なくとも、月の異変を解決する時の数倍、いや、僕が見た中では1番神主としての博麗詠夢さんって感じだった。人里で大人気だってさ」

 

そう言って文々。新聞を詠夢に渡す。1面に堂々と詠夢のお祓い棒を振り下ろす写真が載っていた。さらに文に目を通すと、あの場にいた女性は十中八九詠夢に惚れたと書いてある。詠夢はまた大袈裟なことを……と思ったが、実際そうなのだ。いや、あの場に女性が10人いたら、10人全員が惚れていたのだ。

 

尊「あまりお昼に外に出歩かない方がいいと思いますよ」

 

「そ、そうなの?分かんないけど。ほら、授業が始まるから教室に入ってー!」

 

先程の尊朝の言葉を、そんなことないだろうという風に軽く流していた詠夢。しかし、その言葉は後に現実となる……。

 

 

 

その後、この日すべての授業を詠夢が担当したが、女子生徒全員が休み時間になった途端に詠夢の周りに集まって話をしていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

寺子屋の授業が終わり、詠夢は何処かで昼ごはんでも食べようかと寺子屋を出て人里を歩こうとした。

 

そう、歩こうとしたのだ。

 

彼が通りに出た瞬間、

 

『詠夢さんがいるぞぉー!』

 

という声が響き、その後直ぐに大勢の人々(主に女性)が右からも左からも詠夢目掛けて突進してくる。

 

「えっ……えっ!?」

 

もちろんのこと詠夢はそんな経験は無いため、飛んで人里を逃げ回る。

というか、人里の方々はこれだけしつこく追い回して嫌われるとは思わないのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ……しつこい……」

 

もうかれこれ数時間は追い回されているが、一向に観念する気配が無い。

 

どのくらいしつこいかというと、博麗神社まで追い回して自室で休憩しているところを狙われた挙句守矢神社まで追い回し、人里に戻ってきたのである。

 

すると詠夢は、薬売りに来ている鈴仙を見つけ、声をかける。

 

「鈴仙ー!助けてー!」

「あら詠夢。どうしたの?」

「詳しい話は後!お願い、少し永遠亭に匿って下さい!」

 

鈴仙は切羽詰まった詠夢の表情に少し疑問を抱いていたが、それも直ぐに理解することになる。

 

なぜなら、大量の人里の人たちが詠夢さん詠夢さんと叫びながら彼の後を追ってきているのだから。

 

「あー……なんとなく状況が掴めたわ。行くわよ詠夢」

 

そして鈴仙は直ぐに能力を発動、あたかもそこに詠夢がいるような幻覚を見せた。

 

その間に2人は竹林を駆け抜け、永遠亭に到着する。

 

鈴「師匠ー!詠夢が少し匿って欲しいと言って来ました!」

永「詠夢が……?どうかしたのかしら、何か罪でも犯して逃げてるの?」

「違います。なんか人里で妖怪退治をしたら急に……」

永「ああ、そういえばてゐもそんなこと言っていたわね」

 

すると、てゐが詠夢を見つけ、後を追ってくる。

 

て「あー詠夢ーかっこいいよー詠夢ー」

鈴「……これは重症ね……」

永「取り敢えずうどんげと私はてゐを実験台にしてくるわ。だから、姫とでも話していてちょうだい」

 

「はい」

 

そう言われて廊下を歩いていると、輝夜が向こうから歩いてきた。取り敢えず話でもしましょうと輝夜の部屋にお邪魔する。

 

「なんとなくてゐからは話を聞いているわ。人里の中でクールに妖怪退治をしたそうね」

「そこまでした覚えは無いんだけど、実はカクカクシカジカ……」

「……四角いム◯ブ、ってわけね。なるほど、私が良いアドバイスしてあげる」

「アドバイスしてくれるの?」

「まあ、私もかぐや姫として1,000年前くらいに一世を風靡したことがあるからね、詠夢の気持ちくらいわかるわ」

 

あの頃は大変だったわー、と懐かしむ輝夜。

 

「それでアドバイスっていうのはね、詠夢の人気を超える何かを起こすことくらいかしらねー……それができないなら諦めるしかないわ。私は後者だったけれど」

 

「自分のことを超える何か……?」

 

「そうよ。例えば前の月の異変だったり……も、詠夢が最後活躍しちゃったのよねぇー……」

 

「うーん……何かあるかなぁ……あ、思いついた!」

 

「そう?私が少しでも力になれたなら良かったわ。さあ、思い立ったが吉日。直ぐに行ってきなさい」

 

「行ってくる!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

そうして詠夢が思いついたアイデアとは、人里の自警団に少年部隊を作ることだ。

実際、自警団の中の少年や少女にはイケメンや美少女が多く、それを集めてアイドルユニット風にすれば過剰な人気が流れるのではないかと考えたのである。

 

結成後、ほんの少しは過剰な人気が落ち着き、ほんの少し、詠夢に平和が訪れたという。




この後、てゐは新薬の実験台となり迷いの竹林に悲鳴が響き渡ったそうです。

ではまた次回お会いしましょう。


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寺子屋の妖怪子狐

今回は鈴奈庵ベースで、現代の教育問題も取り入れつつ書きました。

あと最後が鈴奈庵にするか霊夢と一緒に風呂入って話し合う場面にするか迷ったけれど最終的に鈴奈庵になりました。

それでは今回もノーサイドでお送りいたします。


「妖怪の文字と年号が障子に……?」

 

「はい、そうなんです」

 

博麗神社。

 

参拝客が多く訪れるこの神社の母屋で、博麗の姉弟と尊朝は話し合っていた。

 

「まあ、たまにはこの楽園の素敵な巫女と言われる私が行ってあげようかしらね。久し振りに人里にも顔出したいし」

 

「ああ、こういう時は『自称楽園の素敵な鬼巫女』が行った方が説得力があるってことね」

 

「誰が自称鬼巫女じゃい。それにね、あんたは優しすぎるのよ。こういう時はしっかりと鬼の形相して犯人を見つけ出さなきゃ」

 

「えー……」

 

小鈴に会えると思ったのにー、とボソッと呟くが霊夢には届かず、そのまま尊朝と歩いていく。

 

「さあ、行きましょ尊朝」

 

「あの、詠夢さん落ち込んでますけど良いんですか?」

 

詠夢の方を見ると、うわーんと嘘泣きをしながら霊夢にすがりつこうとしている。実に演技下手である。

 

「まあ……良いんじゃないかしら?」

 

冷徹に言い放ち、霊夢は尊朝と一緒に人里へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

寺子屋。

 

上白沢慧音によって、いろいろな教育(意味深)を受けることが出来る学び舎である。また性に目覚めるのもだいたい慧音の豊満な胸のお陰である。実に罪な女である。

 

「それで慧音、退治されたい子はどの子?」

 

「いや、まだ見つかっていないんだ」

 

そう、犯人がある程度特定出来ていれば見つけるのは簡単なのだが、今回は犯人が誰かわからないどころか、人間でないため捜索範囲が幻想郷全域の可能性もあるので余計ややこしいのだ。

 

「はあ、本当に詠夢を連れてきた方が良かったかしら……。まあお札でも貼っておきましょう、少しは不安は減るはずだから」

 

そう言い近くにお札をペタペタと貼り、様子を見ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

詠夢が寺子屋で授業をするということもあり、霊夢は詠夢を引き連れて寺子屋に訪れていた。

 

「うーん、やっぱりダメよねー」

 

お札の効果はあまり無く、今日も文字が書いてあった。

 

「妖怪文字が解読できれば捜索がしやすいのだけど……」

 

「妖怪文字か……あっ、そうだ!あそこに行けば良いんだよ霊夢!」

 

詠夢は何かを思いついた様子で、妖怪文字と日本語が書かれた障子を持って霊夢の手を引き、鈴奈庵の方へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

詠「同じことが書かれているの?」

 

小「そう、多分妖怪が文字の練習でもしてたんじゃないかしら」

 

鈴奈庵に行き、小鈴にこの文字を鑑定してみると同じことが書いてあるということがわかった。

 

詠「でも、確かこの年号って今日やる範囲の前だったはず……ってことは、やっぱり寺子屋の生徒の中にいるのか……」

 

霊「確かにそうなると、寺子屋の子の中には『こんなのへっちゃらだ』なんて言ってる子達もいたけれど、結構怖がる子たちもいるかもしれないから、慧音だけに話をして今夜寺子屋を張ってみようかなぁ。」

 

詠「あんたはまた仕事サボる気かい……」

 

小「まあまあ……。あ、良かったらこれまでの妖怪文字が書いてある障子欲しいんだけど……」

 

詠「ご自由にどうぞ」

 

小「やったー!」

 

小鈴はまるで小さい子のようにはしゃぎまわった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、詠夢が寺子屋に戻るときに、1人の子を数人の子が囲っていた。詠夢は、かごめかごめでもやっているのかなと思いそのまま寺子屋に足を運んだ。

 

それが、間違いだったーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーー

また翌日。

 

詠夢は、化けの術を見破るべくマミゾウと寺子屋に来ていた。

 

マ「お疲れさまじゃ霊夢。張り込みはどうかの?……ぷっ、アハハハハ!これじゃあ儂のスペルカード名と同じじゃのう!」

 

霊「うっ、うるさいわね!ぐぬぬ、妖怪狐め……!」

 

霊夢の近くには、『居眠りしている巫女、怖くなし』と書かれていて、霊夢が張り込んでいる中寝落ちしてしまったことが容易に想像できる。

 

そんな会話を続けていた時、マミゾウがふと何かに気づいた。

 

マ「ぬ、あいつじゃ。簡単な術ですぐにわかって良かったわい」

 

そうマミゾウが見つけたのは、一見普通の人間。しかし、正体は化け狐なのだ。

 

詠「ありがとうございますマミゾウさん。霊夢も徹夜で眠いでしょ、家、先に帰ってて」

 

霊「ありがとね詠夢。あんたも無理しないで」

 

わかってる、と姉弟の心で通じ合い、詠夢はその男の子……もとい、子狐の様子を1日観察することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、事件は起きた。

 

寺子屋の休み時間中、外でかごめかごめをやっている生徒たち……では無く、あの子狐を蹴ったりしている様に見えた。また、時々罵声が詠夢の耳に飛び込んでくる。

 

びっくりした詠夢はすぐさま止めるべくそちらへ向かう。

 

「ちょ、ちょっと、何やってるの弥助!?」

 

「別に何もやってないですよ先生」

 

「じゃあなんでこんなにこの子が傷ついて泣いてるの?」

 

「そ、それは……」

 

この問いかけには流石の弥助も言葉を詰まらせる。

 

「本当は、この子が妖怪狐だって気づいてるんじゃないの?」

 

「は、はい……すみませんでした」

 

そして、子狐の方に向かって、優しい笑顔を見せて話しかける。

 

「君も大変だったんだね、ここまでよく頑張った。多分親を亡くしてしまったんだね?」

 

そして社会勉強や生きていく術を学ぶために人に化けて寺子屋に来ていたのだと詠夢は推測し、子狐に同情する、

 

「はい。ボクの母さんは博麗の巫女によって……。それで、あの、その、このことは博麗の巫女に黙っていてください!そんなこと知られたらボク、生きていけない……」

 

「大丈夫だよ。霊夢はいまそんなことしない。博麗神社の代表として僕が保証する」

 

でもね、と付け加え、続ける。

 

「流石に夜にコソコソやってきて文字の練習をするのは、怖がる子たちもいると思うし止めて欲しいな」

 

「でも、ボクはノートを買うお金を持っていなくて……」

 

「それなら心配いらないよ」

 

そう提案して、子狐を鈴奈庵に連れて行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

詠夢が考えた案とは、小鈴が白紙のノートを無償で渡し、それを寺子屋で使ってもらう。そして妖怪の文字が書かれたノートを小鈴がもらう。大赤字覚悟のことだが、小鈴曰く「こんなレアモノが手に入るならなんだっていいわ」ということらしい。

 

鈴奈庵で、詠夢は事の顛末を小鈴に話していた。

 

「結局、平穏に解決できて良かったわね詠夢」

 

「まさか裏でいじめがあるとは予想してなかったけれど、あれ以降反省したらしいし」

 

「そうなの。それなら良かったじゃない」

 

そこに、例の子狐がやってきた。

 

狐「ごめんくださーい。はい、小鈴お姉さん、ノートです」

 

小「はーい、ありがとね。それで、これが新しいノート」

 

詠「そうだ、新しいお友達できた?」

 

狐「はい、沢山仲良くなれました!あ、そろそろ寺子屋の時間!では、ありがとうございました!」

 

子狐は急いで寺子屋へ向かう。

 

その姿を、詠夢と小鈴、2人で微笑みながら見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想郷は、今日も平和だ。




さあ、次回ものんびり不定期更新になると思います。数学の宿題等々がたんまりとあるため遅くなる可能性大です。

ではまた次回、お会いしましょう。


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他人まで届け、僕の身長

はい、めっちゃ遅れてすみません。言い訳したいのは山々なんですが多すぎるのでそこら辺は活動報告に書いてありますのでそちらを見てください。

今まで通り週一ペースで投稿したいのですが、数学の点数が赤点スレスレだったり色々怖いのでもしかしたらまた1ヶ月とか空くかもしれません。その時は気長に待ってくれていただけると嬉しいです。

さて、新学期といえば身体測定ですね。だぴょんさんはもう170は越してる筈なのでどのくらいまでいくかなーって感じです。でも最近なんか身長止まった気がする。

では、今回もノーサイドでお送りいたします。

《活動報告見てください!》


博麗詠夢は、戦っている。

 

「お願いします、それにだけは絶対に乗せないでください」

「ダーメ、ちゃんと測らないと大きくなれないよ?」

 

無理やり乗せようと詠夢を説得する鈴仙。

 

「やだー!絶対にやだー!」

「全く……しょうがない男の子だなあ」

 

あの地獄の女神をも凌駕した博麗の弟はいま、身長計(マモノ)と戦っていた。

 

事の発端は先程、診察で詠夢が永遠亭を訪れた時のこと。

 

 

前の月の異変後、鈴仙とも少し距離が縮まり、呼び捨てで呼び合えるほどの仲となった、そんなある日。

 

「ここも問題無し……っと。結構傷も治ってきたし、あとは薬でどうにかなるから、もう永遠亭に来る必要は無いわ」

 

「そうなんだ。よかった」

 

鈴仙はカルテを見ながら詠夢に話しかけている。

たまたま今日は永琳が休みを取っていて、鈴仙が医師として対応をしていた。

 

詠夢が安堵したその時、鈴仙の口から恐ろしい一言が出た。

 

「じゃあ、ここにもしばらく来ないわけだし、身長だけ測っておこうか」

「えっ……?」

 

詠夢から笑みが消えた。

 

『身長を測る』、この言葉で何度詠夢が苦しめられただろうか。

 

寺子屋では毎年毎年嫌々で測っては同級生に小馬鹿にされ、可愛がられて、姉の前でどれだけ苦悩を口にし、支えてもらったことか。

伸びてもパッと見てあまり変わらないため、身長計も全く上まで行かず、自分の成長はもう終わっているのかと嘆く毎日が続くだけ。

 

いくら妖怪退治をしている人だといっても、まだ中身は少年だ。嫌なものは嫌なのである。

 

「このままじゃ埒が明かない……こうなったら、奥の手ね」

「ま、まさかッ!」

「姫様ー!少し手伝ってくださりませんかー?」

 

鈴仙は輝夜を呼び出す。

 

須臾の能力で無理やりやってやろうという考えを見透かしたのか、詠夢は抵抗することをやめ、青ざめる。

 

「あら、抵抗しないのね」

「……」

「あっ、ご、ごめんね!大人しくしてくれればすぐに終わるから!」

 

どうやら、鈴仙が思っていた何倍も本気で身長計を嫌っていたようで、自分でも悪いことをしたなと反省する。

 

そんな駆け引きに負け、詠夢は身長計に乗る。

 

しかし、やっぱり身長を伸ばしたいようで。

 

「めっ!」

「痛っ!」

「こらー、背伸びしないの」

「はーい……」

 

 

 

 

「めっ!」

「こ、今度は何さー」

「ナチュラルに浮かないの!」

「むぅー……」

 

背伸びをしたり、いろいろな手段を使って身長を高く見せようとするが、全部鈴仙に見破られて阻止されてしまい、詠夢の精神も若干崩壊し始めているのかもしれない。

その時に聞こえた数字は、詠夢をどん底に落とすものだった。

 

「139、かな」

「えっ……?」

「あら、どうかしたかしら?」

「う、ううん!なんでもない。じゃあね!」

 

それだけを言い残し、走って永遠亭を出て行った。

走っていく彼は、何かをこらえているように見えた。

 

それと入れ違いで、永琳が診察室に入ってくる。

 

「あれれ、どうしたのかな」

「あら優曇華、詠夢がいかにも悲しそうにここを飛び出てったけど、なにかしたのかしら?」

「いいえ、ご師匠様の言われた通りに診察をして、あと一回も身長を計った形跡が無かったのでそれをしただけです」

「はぁ……だからいつまで経っても貴女は半人前なのよ」

「そ、それはどういうことですか?」

「身長を計ってこなかったことと、あの感じからして察しなさい」

 

そこで、鈴仙は気付く。

自分がやっていたことが、詠夢を傷つけていた。

それだけで、自分の気持ちがどうかなりそうだった。

 

「わ、私……詠夢に心の傷を……。私、神社に行ってきます!」

「そう、頑張りなさい」

 

鈴仙も、また詠夢と同じように永遠亭から飛び出ていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

博麗神社に着く。

満月が地面を明るく照らし、神社までの道を作る。

鈴仙も妖獣、騒ぐ感情を能力で抑えつけ、ふぅと一つ大きく息を吐き、また大きく吸う。

「すみませーん、詠夢さんいますかー?」

と、少し強張った声で叫ぶ。

 

すると、戸がゆっくりと開き、聞き覚えのある声が聞こえる。霊夢だ。

 

「もー、こんな夜に何の用?詠夢ならかなり落ち込んで話もしてくれないんだけど?あんたのところで何したのよ?どう責任取ってくれるのよ?」

 

詠夢が落ち込んで永遠亭から帰ってきたせいか、てっきり永遠亭で何か悪いことをされたと思っているらしい。

 

「それなら、私がどうにかします。いや、どうにかしてみせます!」

「まあ、そこまで言うならいいわ」

「あ、ありがとうございます!」

「ただし、変なことしたら容赦しないわよ」

 

霊夢が歩いていく後ろをついていく。一歩、また一歩と足を踏み出すごとに緊張感が増してくる。

 

「ここが詠夢の部屋。あの子を元気にしてくれれば、私はそれ以上を望まないわ。それも鈴仙、あんたにかかってるから」

「はい、行ってきます」

 

霊夢の愛の重さを再確認し、もう一度大きく深呼吸をして扉を開ける。

 

「詠夢?」

「……」

 

彼は布団を被ったまま、返事も返ってこない。

相当落ち込んでいるようだ。

 

「ねえ、詠−−」

「嫌だ……」

 

微かに聞こえた声は震え、詠夢の心情がそのまま映し出されていた。

 

「身長が伸びないなんて……そんなの……そんなの嫌だ!」

 

急に叫んだ詠夢に鈴仙は優しい表情を見せて安心させようとしつつも、ひとつ考え事をしていた。

 

(波長が全く安定してない……急に恐怖になったり感情が荒ぶったり……。言うなれば、感情にバグ(・・)が起きてる……しかも私の能力が効かないなんて……。)

 

そして、一つの答えにたどり着く。

 

(詠夢を安心させる方法はこれしか……よし、やるしかないわ!)

 

顔を赤らめながら詠夢の布団に潜り込み、彼の頭を自分の胸にくっつける。

 

「れ、鈴仙!?これは……」

「詠夢……き、今日はごめんなさい」

「べ、別に気にしてないし……自分がどれだけ成長できたかわかったし」

「嘘つかないで。本当のことを言って?」

 

少しの静寂が訪れる。

 

互いが互いの温もりを最大限に感じつつ、詠夢がゆっくりと口を開く。

 

「実は僕、まだ寺子屋にいた時から身長が低くて、みんなからかわいいって言われてバカにされてたんだ。それが嫌で嫌でしょうがなかった。だから、身長のことだけは現実から目を背け続けてた。」

 

詠夢の小さい体が小刻みに震えだす。それを感じ取り、鈴仙は彼を抱き寄せる。

 

互いに言葉にできない緊張感を全身で感じつつ、静かに話が続く。

 

「でもね。鈴仙が色々してくれて気付いたんだ、後ろ向きに生きるのって僕らしくないのかなって。だからこそ、嫌だって思っちゃうのかな。実は、今日身長を計った時に1センチも伸びてなかったんだ。だからその現実から離れるために今こうしてる。そう思うと、博麗の神主なのに情けないなって思って……」

 

「そ、そうなんだ……ごめんね、私、詠夢のこと何もわかってなかったんだね」

 

鈴仙は詠夢の頭を撫でながら、「でもね」と付け足して続ける。

 

「今と向き合うってことはとっても大事なことなの。詠夢の過去に何があったかは知らない。けど、そろそろ身長も伸びて大きくなれるわ。永遠亭なりなんなりでの薬の影響があるなら話は別だけど」

 

一瞬詠夢の顔が曇る。

 

その一瞬を、鈴仙は見逃さなかった。

 

詠夢は鈴仙の豊満な胸に顔を埋めながら、自分から溢れてくる気持ちを抑える。

 

それを感じ取り、鈴仙は優しく話しかける。

 

「ガマンする必要ないわ。感情をそのまま私にぶつけて」

 

すると、詠夢が溜めていた気持ちが鈴仙にどっと溢れた。

 

鈴仙はそれを全て受け止め、わんわん泣く詠夢を精一杯の優しさで包む。

 

「僕、それじゃあ身長が伸びないよぉ〜……父親に四年も薬の実験台にされてこき使われて……グスッ、ヒグッ、うわぁーん!」

 

鈴仙は絶句した。

 

(詠夢が幻想郷に来たのは彼が4歳の頃。ということは……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、鈴仙は詠夢の全てを知ったのだ。

 

 

 

再度、泣きじゃくる詠夢を抱き締める。

 

「大丈夫。スキマ妖怪が言ってたでしょ?幻想郷は全てを受け入れる。それはそれは素晴らしいことなの。詠夢を見捨てる人なんてここには誰もいないわ」

 

「うん……ありがとう鈴仙」

 

泣いている隙間に見せるえへっ、という笑顔に、鈴仙はすっかり心を撃ち抜かれていた。

 

その後、泣き疲れて寝てしまった詠夢を抱きしめながら寝る鈴仙だった。

 

「詠夢……大好き」




※この後メチャクチャ「しませんよ?」

恋敵が増えた?前からだから変わらないです。詠夢は小鈴しか見てませんし見えてません。

次回も頑張って早めに行くのでお願いします。

ではまた次回。


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永琳と輝夜からの頼み

書けるなら投稿してしまえホトトギス

ここから数話シリーズ的な感じで続きます。
しかも結構命懸けで危険な感じ。

さーて、もう書くことないし本編行きましょうか。

ではドゾー。

《活動報告見てくれると嬉しいです》


全てが浄化された場所、月の都。

 

ある会議室で、月の重役達は1つの手紙を書いていた。

 

「これで、全てがうまくいく」

 

ある男が呟いた。

 

「ダメよ!そんなこと絶対に許さない!」

「もしそんなことをしても、あのお方達は喜ばないわ!」

 

豊姫と依姫は反論する。普段何も喋らず、あまり感情を顔に表さないサグメも、この時だけは明らかに反対の表情を見せて、喋る。

 

「その手紙は八意様の元へと送られる」

 

サグメが喋った。ということは、あとはそれ相応の実力があればこの手紙は送られず、この議題を再検討する見通しが立てられるということだ。

 

 

 

しかしその願いも儚く。

 

男は反対する重役全員を張り倒し、1匹の兎に命令する。

 

「これを第四槐安通路を通じて地上に逃げた月の兎に届けろ。任務を達成しなければ……分かっているな」

 

その兎は怯えた様にこくりと頷き、逃げる様に走って行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その後、永遠亭に清蘭が慌てた様子でやってきた。

 

「八意様!月の兎経由で月から手紙が届いています!」

「永琳なら診察中だわ〜」

「あっ、姫様!この手紙を!」

「もう、永琳のことは師匠でいいって言っているのに……。それにしても、月から?随分と珍しいわね」

 

輝夜がそう言いながら封を開け、中を見る。すると、輝夜が怯えた様子で叫ぶ。

 

「永琳ー!どうしよう!」

「ど、どうされたんですか姫!」

 

輝夜は1通の手紙を差し出す。差出人のところには月の民より、と書いてあることから永琳は察する。

 

「この手紙……遂にこの時が来てしまったのね……」

 

そして手紙を読み、確信する。

 

「ええ。それではあの子を呼びましょう。あの子ならきっと、どうにかしてくれる……そんな力を彼は持っている」

 

永琳は、鈴仙と輝夜とともに、その手紙を持って博麗神社へと向かうのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、博麗神社では詠夢の元にヘカーティアが遊びに来ていた。

 

「ふふっ、それでね詠夢……「ヘカーティア様!」」

 

急に呼び出されたヘカーティアが後ろを向くと、小町が立っていた。

 

「実は、地獄で1人がやらかしまして……大混乱になっているとの報告があるので、お戻りになった方がよろしいかと」

「あら、そうなの?それは大変ね。そうなったら短くても1ヶ月くらいは戻れないかもしれないわ。ごめんね詠夢」

「あ、いいえ、大丈夫ですよ。頑張ってください」

 

そうしてヘカーティアと小町は向こうへと飛んで行った。

 

それと入れ違う様に、焦った表情で永琳、輝夜、鈴仙がやってくる。

 

鈴「詠夢……大変なことになっちゃった!」

「3人とも、何でここに?」

輝「とにかく、このままだとまずいのよ!」

「えっと、とりあえず中に入って落ち着いてください!」

 

 

 

中に入って、詠夢がお茶を出しながら考え事をする。

 

(永琳はともかくあの輝夜の焦り方……普通じゃない雰囲気だな……もしかしてまた月関係か?)

 

月が関係した時はだいたい幻想郷が危機が迫っている時しかない、そう詠夢は考えていた。

 

「それで輝夜、どうしたの?」

輝「実はさっき、永遠亭にこんな手紙が届いて……」

 

暗いトーンの声は、どこか悲しげに聞こえた。

 

渡された手紙を読む。

 

 

 

 

 

拝啓 八意 永琳様、蓬莱山 輝夜様

 

地上ではそろそろ桜が満開となるであろう候、いかがお過ごしでしょうか。

 

こちらでは、今回の純狐による異変でお住いの場所が分かり、我々月の民は地上に行かれてしまったあなた方がいたと大変安心しております。

 

さて、本題に入りますが、今の月の都では、八意様と輝夜様が姿をくらまされたあの時より、全く科学技術が進歩しておりません。むしろ、衰退するというさまであります。

 

当時の月のリーダーであった八意様は、常に私たち月の民を正しい方向に導いてくださりました。貴方のおかげで月の都は常に最先端を走り続けられました。

 

また輝夜様は月の象徴です。あなたがいなければ月の民が活気付きません。今も昔ほどは栄えていないというさまであります。

 

なので突然ではありますが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後、貴方達をお迎えに幻想郷まで私たちが参ります。

 

今回の純狐による異変で、サグメ様が月の兎を幻想郷に派遣し、大変月にいる兎の数が少なくなってしまいました。なので、その兎と八意様、輝夜様を月の都にお戻りしてもらおうという所存です。

 

サグメ様や豊姫様、依姫様はそれを望んでおられませんが、月の都の進歩が止まる方が問題だと多数決で決め、月の民の上層部のみが持つ拒否権を無視し、こういう形になりました。

 

また嫦娥様の夫様や、蛙の姿ではありますが嫦娥様の意見も八意様が戻られた方が良いという意見でした。

 

安心してください。

 

穢れた地上の者どもなど私たちが木っ端微塵にして安全に全員を月の都まで送ってみせます。

 

それでは、あなた達に会う時を心より楽しみにしております。

 

月の民より

 

 

 

 

 

「最低……嫦娥の夫……またあいつか……」

 

詠夢は静かに怒りに燃えていた。

 

負けたから、とかそういう理由ではない。月の民の自分勝手で他人のことを全く考えない性格が自分の父親と似て嫌いだったのだ。

 

永「それで、詠夢の実力を見込んで貴方を中心に月の民を追っ払って欲しいの。お願いできる?」

 

「はい。でも、ヘカーティア様は地獄の用事で来れないし、純狐さんは何処にいるかわからない……こんな大変な時に二強がいないなんて……どうすれば……」

 

「あら、別に1人でやれとは言ってないじゃない?」

 

そこから入ってきたのは、恐らくずっと外で話を聞いていたであろう霊夢。

 

「そういう時に、他人を頼るものよ。私も手伝うから、月の民に分からせてあげるわよ」

 

「うん、ありがとお姉……霊夢!」

 

「質が良くない時は量でゴリ押しすればいい時もあるのよ。だから、幻想郷中の実力者を集めて地上人の恐ろしさを思い知らせてやれば良いのよ!」

 

「そうだね、僕、頑張る」

 

輝「ありがとう。貴方達なら絶対やってくれると信じてるわ」

 

 

 

月の民襲来まで、あと1週間。

 

タイムリミットは、長いようで刻々と迫ってきている。




弟>自分の身という霊夢のブラコンっぷりは健在。この後もっとそれが出てくる模様。

なに?シリアスがこんにちは?そうだよ、珍しくシリアスですよ!
出来れば鈴奈庵みたいな雰囲気を目指したいけど無理でした。
これが終わったらコラボとかしてくれたらなぁ〜(チラッチラッ
ではまた次回、多分1週間後になると思いますが気長にお待ちください。


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仲間集め

えー、ウルトラスーパーお久しぶりです。失踪してません。生きてます。

9月末の文化祭までリアルがハイパー忙しいので(中学の超重要なポストになぜかついてしまった)こんな投稿ペースになります。すごい不規則で亀更新になります。期待してくださっている皆様、大変申し訳御座いません。詳しくは活動報告の方に書かせていただきますので、そちらも併せてご覧ください。

さあ、自分でも前回何したか忘れているという悲惨な状況。なんで中間テスト真っ最中に投稿したんだろうか。

まあ、若干リハビリです。文章ガバガバかもしれませんが、どうぞ。

久し振りに詠夢視点です。


輝夜たちが神社を出て行った後、僕は神社を臨時休業にし、早速一緒に戦ってくれる仲間を探しに行った。

 

お姉ちゃんは神社のみんなに事情を説明してから、魔法の森の方や冥界にも声をかけてくれるって言っていた。

 

「取り敢えず命蓮寺かなぁ……その後にいたら神子さんにお願いして、紅魔館に行って、妖怪の山って順番だな」

 

神社から人里に降りる長い階段の上を飛びながら考える。

 

手紙の書き方。

 

読んだ限り、主に永琳を重視して内容が進んでいった。

ということは……輝夜にあまり興味がないということなのか。

 

前、輝夜が話してくれたことがある。

 

今からおよそ1,000年前、輝夜は蓬莱の薬を飲んで不老不死となり、その罰として穢れた地上に堕とされた。

 

もともと、蓬莱の薬は飲むことが大罪らしい。例として薬を飲んだ月の女神、嫦娥は幽閉された挙句ヒキガエルにされ、その罪を償うために月の兎が薬を搗いているという。

 

月の象徴、姫であるである輝夜が蓬莱の薬を飲むために永琳が作ったとすれば、いくら作るのが罪では無いとはいえ多少の罪が課せられても良いはずだ。

 

それなのに。

 

永琳は無罪放免で月に残り、月のリーダーとして君臨し続けていたという。

 

これだけのことが分かっているなら、月の民の行動は分かりきっている。

 

奴らは、マヨヒガに行こうが紅魔館の地下に閉じ込めようが天界に行こうが魔界に行こうが、どんな手を使ってでも永琳を連れ戻すだろう。

 

ならどうすれば……痛っ!?

 

「あの……何事もないように命蓮寺にぶつかりましたが大丈夫ですか?」

 

もろに激突した顔をさすり、その顔を上げると、そこには命蓮寺の僧侶、聖白蓮がいた。

 

「取り敢えず話があるようなら、中に入ってお茶でもどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

とりあえず落ち着いて命蓮寺に入れてもらおうとしたら、段差でまた転けた。マジで痛い。

 

お願いだから白蓮さん笑わないで、恥ずかしい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「それで、話とは?」

 

僕は一切の事情を説明し、命蓮寺メンバー総出で月の民と戦ってくれるか頼んだ。

 

「なるほど、そんなことが……分かりました。詠夢さんのお願いということもありますし、全力を尽くさせていただきます。」

 

「ありがとうございます!」

 

取り敢えず仲間集めは幸先良いスタートを切れたから良かったなあと思い、軽い足取りで命蓮寺を出る。すると……

 

1匹のうさ耳少女がいた。

 

「あれ、あなたは……」

 

「あ、詠夢さん!」

 

彼女には見覚えがあった。

 

名前はレイセン。

 

うちの神社の境内で迷っているところを保護したけれど、逃げ出していっちゃった玉兎。

その後は永琳の使者として月に帰って行って綿月姉妹に飼われていると豊姫さんから聞いた。

 

「もう、あんな月の都は嫌なんです!」

 

「ど、どうしたのレイセン?」

 

「いま、月の都で依姫様たちと嫦娥様の夫様が内戦状態になりつつあって、それで……逃げ出して来たんです!だから……」

 

「だから?」

 

「もう一度、神社に泊めさせて頂けませんか?も、もちろん無理なのは承知です。前は私から逃げ出してしまったのに……」

 

アイツめ……永琳を連れ戻そうとしているのはあいつが主犯と言って間違いないだろう。

可哀想に……絶対にあいつだけは許さない。

 

「いいよ、泊まっていっても。別にそうして悪いことはないからね」

 

それに今の月の都の状況も知れるし、一歩リードだね。

 

「そ、それではなにか詠夢さんのお役に立てることはないでしょうか?」

 

「いや、一緒についてきてくれるだけでいいよ」

 

その後、僕はレイセンに今の状況ややっていることを説明した。

 

 

 

 

 

いま、やっていることが間違いだったと気付かずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

夜が更けた。

 

一通り幻想郷の住人に声をかけたが、結果は意外に良かった。1番苦戦するとみた天狗勢と紅魔館勢が快諾してくれたので、これで百人力だ。

 

けれど、油断してはいけない。

 

いくら人数がいるとはいえ、相手は月の民。油断したらその隙を狙われてやられる。

 

「あの……そんなに思い詰めた顔をして、どうされたんですか?」

 

あ、レイセンは霊夢に泊めていいかっていったら快諾してくれた。

 

「あ、あの、お茶、どうぞ!」

 

「ありがとう」

 

お茶を飲んで、一息つく。

 

いろいろ誘ってきたが、神子さんに会った時の時の別れ際の一言がどうしても気になる。

 

「詳しくはわからないけれど、君はまず自分の身の危険を察知して行動したほうがいいわ」

 

この言葉はどういうことだろう?

 

もしかして、知らず知らずのうちに何者かに狙われている?

 

まさかレイセンが……?

 

いや、そんなことはあるまい。彼女ならひょんなことでも月は逃げ出しそうだ。今回はかなり問題が深刻だし、レイセンがスパイだなんてありえないだろう。

 

ふぁぁ、なんだか眠く……なって……zzz

 

 

 

 

 

僕は、いつの間にか深い眠りに落ちていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

「睡眠薬で博麗詠夢は完全に意識を失ったことを確認。プランaを予定通り実行する」

 

レイセンの合図と共に、机に突っ伏している詠夢を大勢の玉兎が囲む。

 

たまたま起きていたルナチャイルドによれば、その後に神社から誰かが大勢の何かに運ばれていったと証言する。

 

その中で、レイセンは小さく呟いた。

 

「ごめんなさい、詠夢さん……裏切ってしまって……」

 

 

 

 

 

次の日の朝、博麗詠夢は行方不明となっていた。




もう不穏過ぎますね。はい。

まあ玉兎に詠夢は連れ去られてしまった訳ですが、次回から詠夢くん絶体絶命の大ピンチに陥ります。構想あったけど書く時間がマジでなかった。

次回まで気長に待ってくれれば自分は飛び上がって喜びます。

ではまた次回。


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錯綜する3つの思い

まだ生きてます。なんとか復活です。
絶賛スランプ中だったので、かなり時間がかかってしまいました、楽しみにしてくださった方、心配してくださった方、すみません。

さて、3人の思いが交錯し、行き過ぎてしまいます。やがて1つになるのか…。

というわけで、本編どうぞ。(今回も展開、文章ともにガバガバです)

《Twitter始めました!詳しくは活動報告へ!》


「詠夢ー、どこにいるのー?」

 

臨時休業となった神社に霊夢の声が響く。

 

もう太陽も上がっているというのに、一向に弟の姿は見当たらない。

 

あの詠夢が急に家を飛び出す理由なんてあるわけがない。あるとしたら、幻想郷内で秩序を乱す者が現れた時だけだ。

 

ただし、今は月の手によって幻想郷を侵略されかけた異変も解決され、主に詠夢や紫を中心に各エリアごとに自治がなされ、幻想郷は平和なはずだ…………ん?

 

 

 

「月」……?

 

 

 

そういえばルナチャイルドがさっき、詠夢らしき人が大量な人たちによってどこかに運ばれていったって言ってたような……

 

そんなことを考えつつ、このシーンに月を代入する。

 

強力な能力を持った詠夢が月の玉兎によってどこかに運ばれていった、となる。

詠夢の実力を知っている月の民にとって、幻想郷を攻めるならば邪魔で早く消えて欲しい存在。しかも純狐やヘカーティアが用事で幻想郷にいない今、詠夢の無力化には最適の時期だ。

 

霊夢は全てを悟ったその瞬間、家のことを全てを放り出し、一目散に幻想郷を駆け巡った。

 

「あんたは絶対守る」

 

そう言った霊夢の目には、少し涙が浮かんでいた。

 

その涙は、後に大粒となって溢れ出るのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その少し前…

 

月でも、不穏な雰囲気が漂っていた。

 

豊姫と依姫、そしてサグメは、幻想郷に侵入しようとしている軍を説得して止めていた。

 

「あなたたち!八意様と姫様はそんなことを望んでいないわ!」

 

依姫は嫦娥の夫に従えられてしまった自分の部下の玉兎に叫ぶ。もちろんのこと、玉兎にとっても辛い。ここで依姫の方へ行ってしまえばずっと月の都にいられるが、嫦娥の夫に殺されてしまうだろう。

 

幻想郷に行ったら永琳がいる。が、彼女はそんなに優しい人ではないだろう。大人数で襲撃をした兎を家に泊めてくれるほどの慈悲の心は永琳どころか詠夢ですらあるか怪しいというのに。というかそもそも地上に行ったら2度と月には帰ってこれなくなるだろう。

 

 

穢れた土地、地上で生きるか。

 

月に残って穢れがない世界を手に入れるか……。

 

 

普通だったら後者しか選ばない、いや、選ばざるを得ない選択肢を、無理やり前者にしようとしているのだ。流石に無理がある。

 

「そんな抵抗をしても無駄だ、綿月の姉妹よ。八意様はみんなが求めているのだ。抵抗する理由すらないだろう?悔しかろう!?」

 

「だったら幻想郷の皆さんも求めていると思うわ!あなたは何も考えていない!」

 

「地上の穢れた民のことなど今の今まで忘れておったわ!そんなものはどうでもいい」

 

「お前なぁ…!」

 

ついに怒りが頂点に達した依姫は男の胸ぐらを掴み、殴りかかる。

 

しかし、やはり男は強い訳で。

その男は依姫を軽くあしらい、何処かへと消えていった。

 

「ねえ依姫、追わないの?」

「大丈夫ですお姉様、詠夢ならきっと、いや絶対やってくれるはずよ…」

 

依姫は怒りと呆れ、そして詠夢への絶大な信頼からその日は消えた男を探しに行くことはなかった。

それが、さらなる不幸の連鎖の始まりだということは、知る由も無かったのだ……。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、詠夢はというと……

 

拘束されていた。月の兎たちに連れていかれた後、どこかへ連れていかれてしまったのだ。

 

(どこだここ……じゃない、ここは確か、52,53話で来た地下要塞…)

 

以前来た時は気絶させられてその殆どを覚えてはいない。しかし、明確に覚えているものが1つあった。

 

拘束装置。

 

何に使われるのか分からないかつ、無駄に巨大だった装置。それに今、自分は拘束されていた。

 

「詠夢さん……本当にごめんなさい…でも、こうしないと私……っ!」

 

大粒の涙を流し謝罪の言葉を語る月の兎たち。しかし詠夢は自分がするべきでないと思いつつも優しい笑顔で返した。

 

「いいんだ、いずれこうなるだろうとは分かっていたから。それより、これからどうせ奴がここに来るんだろう?みんなは早く逃げたほうがいい。」

 

「でっ、でも!」

「流石に詠夢さんでも1人は…」

 

「大丈夫だ、きっと抜け出せる…いや、絶対だ」

 

そのことばを聞いて玉兎一同はホッと息をつく。そして、次々と脱出していった。

 

最後に残ったレイセンが一礼をし、出て行った。

 

 

1人になった詠夢。取り敢えず、ここからの脱出方法を考えなければといろいろ体を動かしてみる。

そして、前にも経験した嫌な感覚が自分の体を襲う。

 

(まさか…っ!?霊力が無い!)

 

そう、知らないうちにこの拘束装置に霊力を奪われてしまっていたのだ。それどころか、能力さえも発動不能になってしまい、いよいよ詠夢は奴を待つのみとなった。

 

 

 

 

 

そして数分後、急に何処かから声が聞こえた。

 

「おやおや、ようやく君も負け犬っぽく振る舞う気になったのかな」

 

挑発するように、どこかから表れた嫦娥の夫。

 

詠夢を見つめ、不自然な笑みを浮かべる男。詠夢は反抗的に睨みつけ、殴りかかろうとするが、なにせ拘束装置のせいでガチャガチャと金属音が響くだけ。

 

「今更なにをしようが無駄だ。さて、始めようじゃないか」

 

そう言い、なにやらマシンが動く音がした。詠夢の本能が逃げなければと告げる。しかし拘束装置が詠夢の体を離す気配はない。

 

すると、巨大な鉄球が詠夢の体を目掛け迫る。抵抗する術もなく詠夢はそれを食らうしか無かった。

 

「カッ…ッハァ!」

 

「その声、その抵抗しようとする無様な格好……。ゾクゾクするなあ!」

 

男は着実と、詠夢を無力化する為の手順を踏んでいっている。このままでは、永琳だけでなく、幻想郷が危ない。

そう思いつつも、今はただこれに耐えるしか、無かったのだ。

 

そう、希望の光は、閉ざされていたのである。




取り敢えず高校の推薦の為に学業に専念していたのと、大スランプに陥っていたので8ヶ月も空いてしまいました。

これからはぼちぼち再開していくので、ご支援宜しくお願いします。

ではまた次回。


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