白猫と盲目の龍人 〜断ち切れない気持ち〜 (967)
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旧校舎のディアボロス
出会い


〜小猫side〜

 

私は塔城小猫。駒王学園の一年生です。私には秘密があります。それは私が悪魔という事です。決して私が頭がイカレてるいるわけではないんです。本当に存在するんです。

 

 

私は駒王学園の3年に所属している、リアスグレモリー様の眷属悪魔なんです。

 

 

さて、説明は後にしましょう。何故かもう少しで説明する機会がくる予感がしますので。それは置いといて、私にはもう一つ秘密があります。それは、

 

 

「龍斗君、ここの問題わかりますか?」

 

 

「はい。答えは、3√2です。」

 

 

「正解ですね。じゃぁ次の問題を………。」

 

 

そう、私の秘密とは気になる男性がいることです。

決して好きとういう事じゃなくて、彼の雰囲気が気になるのです。

授業中はずっと外を見ているのに今のようにすぐに答えてしまう。ただ頭がいいだけかもしれないのだけど、黒板を見ていないのに直ぐに答えるのは凄く奇妙でなんです。

先生などは気にしていないみたいなのですが、生徒達は気味が悪くて彼に話しかけるとこを見たことはない。

私は彼には私達みたいに人間じゃない何かなのかもしれない、とういう興味があった。

なので今日、彼に話かけてみようと思う。

どんな事を話そうかな。

 

 

 

〜龍斗side〜

 

 

俺は中島龍斗、駒王学園の一年だ。最近学校が憂鬱で仕方無い。多分俺の授業態度が気に食わないのか、気味が悪がって、ひそひそと影口を言って来るやつが増えてきている。

 

腹が立って仕方がない。今なら人を一人や二人殺してしまえるくらい腹が立っている。

 

 

「はぁ〜……。帰りたいな。」

 

 

そんな愚痴を呟いていると一人の人が近寄って来る音が聞こえる。

 

 

「……中島君今暇ですか?」

 

 

俺はびっくりしていた。たぶん俺は今ポカーンと何が起こったかわからない顔をしているだろう。

初めてのだったのだ、この学園に入って初めての俺に喋りかけてくれたのだ。

 

 

(他の人間はおれが気味が悪くて話しかけてこなかったのにこの人はなんで俺に喋りかけてくれたんだ?もしかして罰ゲームか?)

 

 

「………あの中島君?」

 

 

「ごめん。ちょっとボーとしていたんだ。今は暇だよ。何か用かな?」

 

 

危ない危ないもう少し遅かったら塔城さんが折角喋りかけてくれたのに無視をしたと塔城さんのファンに何をされるかわかったもんじゃなかったから、ちゃんと受け答えできて良かった〜。

 

 

「……いえ、少し気になる事がありましてちょっと聞いてみようかなって思ったんです。」

 

 

「気になる事?」

 

 

「はい。なんで授業中黒板を見ていないのに答えがわかるのですか?」

 

 

「っ!」

 

 

塔城さんはそんな問を投げかけてきた。

これはクラスの全員が疑問に思っていたのでクラス内が一気にシーンとなった。

みんな聞きたいんだろう。やはり人間は自分のわからない現象はなんだって怖いし知りたいと思っている。

そのせいで俺は嫌われている。だが、本当の事を言ったらそのせいでイジメられる。そういう過去が俺にはある。

だから俺は、

 

 

「なんでだろうね。」

 

 

そう言ってあしらって、外を見るようにした。

その時の塔城さんの顔はどんな顔をしているんだろう?

俺はその顔が見れない。外を見ているからではない。

また別の理由がある。

 

 

「…………そうですか。」

 

 

塔城さんはそう言って何処かへ行ってしまった。

その時の塔城さんの声は寂しそうなそんな弱い声だった。

一気に罪悪感が体中を支配する。

手足の感覚はなく、耳からも何も聞こえなくなっている。

まるで別世界にでも突然放り出された感覚だった。

それは時間と共に無くなって来たが、次に待っていたのはクラスの人達の罵声や影口。

 

 

(俺には何処にも居場所が無いんだね。)

 

 

俺はそう思い、笑った。

今の自分はどんな顔をして笑っているんだろう?

から笑い?万円の笑み?それとも、悪だくみでもしそうな歪んだ笑いかもしれない。だが俺は自分がどんな顔をしているのか見れない。何故なら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は目が見えないから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜小猫side〜

 

 

中島君と話して気になっていたことを聞いてみたがあしらわれて終わりだった。私は寂しかった。クラスの仲間として見られていないような気がして。

私が席に戻ってもう一度彼を見ると、彼は外見ながら笑っていた。でもその笑顔は苦しい中で出すから笑いのようなものだった。なんでそんな悲しい顔をするの?と私は益々彼が分からなくなった。

何故か助けてたくなってくる。本当になんでこんな感情が生まれてくるかわからない。

その時私は彼の瞳を見た。

 

 

(あっ!)

 

 

彼の瞳を見たことがある。裏切られ、絶望した瞳。

昔私が同じ瞳をしていたことを思い出した。

私はリアス先輩達グレモリー家の皆さんが居たから今は幸せですけど彼はそんな人達がいるのだろうか?

もしいなかったら、これらの彼の人生はどうなってしまうのか?そんな思いがぐるぐるとまわっていた。

そして1つの結論に行き着く。

 

 

(もし彼が助けを求めるのであれば全力で助けよう。)

 

 

私ははそう決意した。

 

 

 

 

 

〜龍斗side〜

 

 

学校が終わり今は放課後。身支度を済ませ帰ろうと準備をして帰ろうとしている時どこからか走る音と罵声が聞こえる。

なんだろうと耳を傾けるとある「待ちなさいこの変態共」

「死ね」「今日という今日は絶対許さない」と言った女性が言ってるかも疑うくらいドスのこもった声と「うわっ今日はなんかやべぇぞ!」「童貞のままでは死ねない!」

「俺は今日は見ていないのになんで〜!」といった男子の声が聞こえてくる。

 

 

「……またあの人達か。毎日楽しそうだな。」

 

 

と呟いていた。さて、そんなのはどうでもいいので帰るかな。ここにいたくないし。と思い足早に学校を後にする。

 

 

 

〜イッセーside〜

 

 

オッス!俺は兵藤一誠だ。よろしくな(`・ω・´)キリッ

……………………………………はぁなにしてんだろ俺。

俺は女子剣道部から逃げて帰ろうとしていたところに突然

 

 

「付き合って下さい!」

 

別の学校の女性が告白してくれたんだ。

最初は遂に妄想が見えてきはじめたかと思って、手を抓って見るとちゃんと痛みもあるし、ちゃんと見えている。

改めて女性を見てみると黒髪で出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んでるスレンダーな女の子だった。

見とれてしまった。それだけ可愛かった。

こんな子がこの俺と付き合いたいなんて、もうテンションが上がりまくって速攻OKした。

これからの俺の学園生活はバラ色だろうと思っていた……

 

 

 

 

 

 

 

「死んでくれないかな?」

 

 

 

俺は何を言っているのか分からなかった。

 

「…………ごめん、聞き間違いかもしれないからもう一度言ってくれない?」

 

 

「だから死んでくれないかな?」

 

 

そう言って夕麻ちゃんの背中から黒い羽が生えてきた。

もう俺は何が起こっているのかわからない状態だった。

そして夕麻ちゃんが続けていう、

 

 

「楽しかったわ。あなたと過ごした日々。初々しいままごとに付き合って感じだったわ。」

 

 

そう言って夕麻ちゃんは手に光る槍を投げる。

 

ドスっ

 

その槍は俺の腹に刺さっていた。激痛が走り前のめりで倒れる。腹からは止めどなく血が流れ出す。

 

 

「ゴメンね。恨むなら、その身に神器を宿した神を恨みなさい。」

 

 

そう言って飛び立とうとした時、

 

 

「おい、ちょっと待てよ。」

 

 

そんな声が聞こえた。意識が朦朧とする中その人を見ていると黒い着物を着て目を包帯でぐるぐる巻にしている、黒髪の男がいた。そこで俺は意識が無くなった。

 

 

 

〜龍斗side〜

 

 

今日はバイト先に行こうとした所に、結界の気配と堕天使の気配を感じた。なぜ俺がこんな事を知っているのかは後で話そう。今は急いだ方が良さそうだ。

そして俺は結界が張られている公園へと急いだ。

着いてみたら、堕天使の気配ともう一つ人間の気配を感じる。

 

 

(人間の方は光の槍で刺されて死にかけか)

 

 

現状を把握していると堕天使の方が逃げようとしていた。

 

 

(おいおい、死体はそのままかよ。)

 

 

と思い堕天使に待ったをかけた。

 

 

「おい、ちょっと待てよ。」

 

 

「ん?あら、結界張ってたのに人間が入って来ちゃうなんて。けど残念ね。目撃者は死んで貰うわ。」

 

 

そう言って光の槍を投げてくる。俺はそれを握り潰した。

 

 

「なんで?」

 

 

「こんなしょぼい槍で俺を殺せると思ってたのか?」

 

 

俺は動揺する堕天使におちょくる口調でいった。

 

 

「巫山戯るな!この人間風情がぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

堕天使は怒り狂い槍を投げてくる。

俺はそれを容易くよけて遊んでいた。

 

 

「クソッ!なんで当たらないのよ!」

 

 

「さぁ。なんでだろうね。」

 

 

と言ってみてみると槍も量が増えた。怒ったのかな。

さてそろそろ終にしようかな。

そう思い、堕天使に接近する。そして俺は目にも止まらぬ速さで堕天使の後ろに回り込み回し蹴りを堕天使の横腹に叩き込む。

 

 

「がはっ!」

 

 

そう言って血反吐を吐き地面に叩きつける。

 

 

「さぁどうする?まだやる?」

 

 

「ぐッ。覚えて起きなさいよ!」

 

 

と三流の小物が言いそうなことを言って何処かへ行ってしまった。さて、問題は済んだ後はもうバイトは行かないでおこう。眠いし。さてこの人間どうしよう。

すると、

 

 

「あなた、私の領地で何してるの?」

 

 

「…………………………………………。」

 

 

参ったな〜。よりによってコイツが来たか。

関わりたくないしコイツに押し付けて帰るかな。

 

 

「ちょっと聞いてるの?」

 

 

「………………そこの人間を頼む。」

 

 

そう言って俺は魔法陣で自宅に転移した。

自宅に帰り風呂に入り、ベランダに出て、

 

 

「はぁ…。なんか嫌な事に巻き込まれていくような気がする。それに………………………………………まぁこの事は後で考えるか。」

 

 

と言ってベットに入り、1分もしない内に寝息を立てていた。

明日から頑張ろうと思いながら……………。

 

 

 

 

〜小猫side〜

 

 

明日も中島君に話しかけてみようと思う。

それで彼が救えるのなら。

そう思い小猫は眠りについっていった。

 

 

 

 

 

 

これから起こることも知らずに…………………。

 




最後まで読んでいただいありがとうございます。
この物語は小猫ちゃんといちゃこらしたいと思い書き始めた作品ですが、何故かこんなになってしまった。

なんか最初が重い。ラフな感じでスラスラ読める感じしたかったのにこんなになってしまった。

まぁ頑張りますので良かったら感想下さい。
今後ともよろしくお願い致します。


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ケンカ/邂逅

 

 

〜龍斗side〜

また今日が始まってしまった。俺は憂鬱になりながらもベットから降り、朝食の準備をする。朝食を食べ終わり、身支度を済まるともういい時間になっていたので、少し急いで家を出ることにした。

 

 

「いってきます…。」

 

 

そう言って家を出た。

通学路では生徒に会わず学校に着いてしまった。

学校に着いて先生方に挨拶して用も済ませて教室に行く。

教室に行き暇なので寝ることにした。

 

 

少しして教室が騒がしくなってきた。

そろそろホームルームかと思い起きると同時にチャイムが鳴る。俺は、

 

 

「俺的にこの音は授業の始まりじゃくなくて地獄の始まりだわの音だわ…。」

 

 

そう小さく呟き、外を見るのだった。

 

 

 

 

〜小猫side〜

 

 

今日も中島君は外を見ながら授業を受けている。

本当に不思議でたまらない。昼休みにでも話しかけてみよう。

 

 

 

 

〜龍斗side〜

 

 

やっと昼休みだ。さっさと昼飯食べて寝よ。

そうして弁当をひろげて食べ始める。

食べ終わり、昼寝しようとしたところに、

 

 

「……中島君ちょっといいですか?」

 

 

塔城さんが話しかけて来た。

昨日といい今日といいなんなんだこの人は。

ただでさえ授業中に溜まったイライラを解消する時間を、奪って何の用だよ!

 

 

「………何か用?」

 

 

「いえ、昨日の事で。本当はどうなんですか?」

 

 

またその話かよ。

そう思い俺はますますイライラが溜まってしまった。

 

 

「さぁどうなんだろうね」

 

 

といい俺は外を見るようにした。

これすればだいたいは何処かに行ってくれるから。

けど塔城さんは、

 

 

「もし、私に出来る事があれば言って下さい。力になります!」

 

 

と言ってきた。

 

 

「あ」

 

 

そう言って俺は塔城に向かってガンを飛ばすのだった。

 

 

「俺の事情を知らないくせに、俺の中にずかずか入ってくるな!」

 

 

と怒鳴るのだった。

お前みたい完全で産まれた奴が俺みたいな不完全のきもちがわかるのかよ。そう思い頭に血がのぼる。

教室が静寂に包まれる。

俺はここで自分が言った事に罪悪感を覚えた。

だが引っ込みがつかず、そのまま鞄を持ち教室を出た。

 

 

 

〜小猫side〜

 

 

中島君は起こって教室を出ていってしまっていた。

私は何が起こったか分からなかった。

 

 

「塔城さん大丈夫?」

 

 

「…………はい。」

 

 

クラスの友達が話しかけてきた。そこで小猫は周りの状態に気づく。「中島って感じ悪いよね。」「クラスの邪魔者よね。」「塔城さんに話しかけって貰ったのに怒鳴るとかまじ最低。」「中島もう死ねよ。」そんな彼の誹謗中傷の言葉が飛び交っていた。

中島君は悪くない。悪いのは相手の気持ちに気づかなかった私のせい。人には聞かれたくないことはある。それに私は触れてしまった。その罪悪感で私は押しつぶされそうだった。謝りたかったが中島君は学校にはもういなかった。

 

 

 

 

 

〜龍斗side〜

俺は学校を出て自宅まで帰って来ていた。

 

 

「はぁ〜………。ダサ過ぎる。」

 

 

ベットに倒れこみ呟いていた。

イライラしていたとわいえ女の子に怒鳴ってしまうなんて

 

 

「………死にたい……。」

 

 

そう言って俺はバイトの時間まで寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて行きますか。」

 

 

俺は足元に魔法陣を発動させバイト先である冥界に転移した。

俺は冥界のバーに行き、今日の獲物を探す。

薄々気づいていると思うが俺ははぐれ悪魔狩りのプロだ。

少し前に俺が堕天使や結界を知っている理由がこのバイトのせいだ。

大昔前に悪魔・堕天使・天使で戦争をしていたらしい。

その戦争中に二天竜のドライグとアルビオンに巻き込まれ三陣営に多大な被害をもたらした。その為、三陣営は手を組みドライグとアルビオンを封印した。その戦争で三陣営は多大な被害をもらい、戦争出来る状態では無かった為休戦したのだ。

そしてはぐれ悪魔悪魔については主を裏切ったり、殺したりした悪魔である。そのはぐれ悪魔には賞金がかけられている。その賞金を目当てに賞金稼ぎがいる。まぁ俺もその内の一人なのだが

 

 

「おじさん今日はいいのある?」

 

 

「おお、あんたか。今日はいいのは入ってないよ。」

 

 

「そんなしょぼいのしかないんですか?」

 

 

「最近あんたが狩りまっくったせいだよ。まったく。」

 

 

「ははは。そう言わないでくださいよ。いい事じゃないですか。」

 

 

俺が気さくに話しているのはここのバーのマスターだ。

初めて俺がここに来たとき、「ここはお前みたいなのがくるとこじゃない」といわれたのはいい思い出だ。

 

 

「じゃ〜マスター、B級でいいから何かない?」

 

 

いつもはA級からSS級にかけて狩っているのだが無いなら仕方がない。

 

 

「それだったらこれを殺るか?」

 

 

マスターが出してきたのは、

B級はぐれ悪魔 ザザン

と書かれたものだった。

 

 

「ザザンってどんな奴?」

 

 

「剣士だったらしいぞ。剣の為と言って仲間達を殺したクズ野郎だよ。」

 

 

マスターは吐き捨てるように言った。

まぁマスターは家族とか仲間とかを大切にするいい奴だもんな。嫌悪するのは当たり前か。

 

 

「マスター俺それ受けるよ。そいつ何処に居んの?」

 

 

俺はそう言い行く準備をし始める。

 

 

「そうか。受けてくれるか。コイツはここから20km離れたここの森だ。」

 

 

そう言ってマスターは地図を指さしていた。

 

 

「ありがとう。じゃぁ行ってくるわ。」

 

 

と言って俺は、背中を向け手を振りながら店を出ようとする。その後ろから、

 

 

「おう!いってらっしゃい。気をつけてな。」

 

 

とマスターが言ってくれた。

やはりここはいいところだ。心があたたかくなる。

 

 

「俺を誰だと思ってんだよ!はぐれ悪魔狩りの『死神』だぜ!気をつけるまでもない。」

 

 

と言って店を出る。

そしてバーは静寂に包まれる。

 

 

「照れ隠しかあいつ?可愛い奴だな。」

 

 

と呟く。その顔は孫を見て微笑むお爺さんのようだった。

 

 

 

 

 

 

それから龍斗は目的の森に到着したのはいいが目的のザザンが見つからなかった。情報に寄ればここに居る筈なのに何でいなんだ?と龍斗は思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから五時間後………………

 

 

「何処にも居ねーじゃん!」

 

 

と叫ぶ龍斗の姿があった。そう五時間後ぶっ通しで探しているが全然見つからないのだ。ここの森は広いが五時間後も探して見つからないのはありえない。

龍斗は仕方がないので野宿をする事にした。

 

 

「は〜…。野宿かぁ。何で居ねーんだよ。」

 

 

と愚痴をこぼしながら野宿をする場所を決める。

そしたら丁度いい所に洞窟があった。

 

 

「良し、ここにしよう。」

 

 

といい洞窟の中に入る。洞窟の中は暖かく過ごし易い空間になっていた。俺はバックから缶詰を取り出し食事をする。

 

 

「缶詰を作った人を尊敬するわ。美味しいし、長持ちするし、かさばらないし、もう便利!」

 

 

そう言って缶詰を黙々と食べていく。

その時、トットットッと言う音が聞こえた。

すぐさま、迎撃体制を取る。すると、

 

 

「にゃ〜。」

 

 

猫の声が聞こえた。何でこんな所に?と疑問が生まれたが、お腹が空いているのかも思い缶詰の半分をその猫にあげる事にした。

 

 

猫は最初は警戒していたのか食べなかったが、それでも食べてくれた。

それからすこしして猫が食べ終わったのかこっち擦り寄って来た。俺はつい可愛くて頭撫でてあげた。

猫は気持ち良さそうにし、俺の膝の上に乗って寝始めた。

俺は猫が寝息立てていることに気づき、起こさないように俺も寝るのであった。

 

 

 

 

次に目が覚めたのは、あれから4時間後だった。

膝の上にはまだ猫が寝ていた。俺は起こさないよう撫でた。すると、

 

 

「……………んにゃ………?」

 

と言う声が聞こえた。

 

 

「起こしちゃったかな?済まないね。」

 

 

と言って謝る。その言葉がわかるかのように、

 

 

「んにゃ〜お」

 

 

と返してくれた。俺は細く微笑んでからもう一度撫でた。

朝食用の缶詰を二つに分けて猫にあげる。

喜んでいるらしく可愛い声で鳴いている。

朝食を食べ終わり、ここを出る準備をする。

 

 

「準備OK。さて、今日こそザザンを見つけるぞ!」

 

 

と言って喝を入れる。すると猫が、

 

 

「フシャーーー!!」

 

 

と威嚇をしてきた。まぁ分かってはいたがね。

俺は洞窟から出る時猫にこう言った、

 

 

「また次会うことがあったら、ちゃんと話してね悪魔の猫ちゃん♪」

 

 

と言って出て行った。

 

 

「あ、学校どうしよう…。まぁ会いずらいし今日ぐらいは許してね。おじいちゃん。」

 

 

と呟いて学校をサボる事にした。

 

 

 

 

 

〜???side〜

 

 

あの人間は何だにゃ?

私の正体を知っているのかにゃ?

それにザザンを見つけるって言ってたからあいつははぐれ悪魔狩りの奴にゃ!

なのに何で私の正体を知っているのに狩らなかったんだろうかにゃ?

わからない。あんな優しいはぐれ悪魔狩り見たこと無い。

はぐれ悪魔を狩ろうとする奴等はほとんど欲にまみれた奴にゃ。

なのに何であいつからはそんな感じがしないのか分からなかった。すると、

 

 

「あ、ここにいたか黒歌。」

 

 

洞窟の入口から仲間が声をかけてきた

 

 

「ごめん美猴。ここで休んでたにゃ。」

 

 

答えると、

 

 

「ヴァーリ達が心配してるからさっさと帰るぜ。」

 

 

「わかったにゃ。」

 

 

そうして私は美猴と共に転移した。

次会ったらお礼を言っておこう。そう思いながら。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

いかがでしょうか?
人間界と冥界での龍斗が性格が違うと思う方が居るのでは無いでしょうか?

私は思います(笑)

まぁ龍斗にも色々ありましてね(笑)


冥界での龍斗が本当の龍斗君ですよ!そこは分かってあげてください。


次は出来れば明日出します!
こんなに駄文ですがよろしくお願い致します┏○┓


お気に入り登録してくれた方ありがとうございます。
これからもっと面白くなるよう書いていきたいと思うのであたたかい目でみて下さい。
後、感想があればどんどん下さい。
より良い作品にしていきたいのでアドバイスも貰えたらなっと思っています。
良かったら書いてください。

それではここまで読んで頂きありがとうございました。


次回はザザンを倒してバイサーを倒す所までいきます。
こうご期待!(`・ω・´)キリッ


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はぐれ悪魔 ザザン

〜龍斗side〜

 

 

ザザンを探し始めて早2時間、何処にもいない。

だがここでやっと気づく事ができた。

 

 

「この森、魔獣が少ないな……。」

 

 

そうこの森には魔獣が少ないのだ。

昨日と今日合わせて、魔獣を見たのは十匹程度だった。

これはおかしい。どういう事だ?と思っていると、

 

 

「あんたここで何してんだ?」

 

 

声がする方を向くと悪魔が立っていた。一瞬敵かと思い、戦闘状態をとったが、この悪魔から殺気が一切感じ取れなかったので、戦闘状態をといた。

 

 

「俺は、はぐれ悪魔狩りの賞金稼ぎだよ。」

 

 

「人間のお前がか?……もしかして、神器持ちか?」

 

 

と男は尋ねてくる。なるべく自分の情報は漏らしたくないのだがこいつにはいいだろう。

 

 

「そうだよ。」

 

 

「ふーん。どんな神器なんだ?」

 

 

「それは企業秘密だな。」

 

 

流石にそこまで教える必要は無いだろ。それにしてもこの悪魔結構強いな。闘った手こずるだろうな。

そんな事を考えていると、男はつまらなそうに、

 

 

「そうかよ。」

 

 

と言ってきた。だが、そこで話は終わらなかった。

 

 

「もし良かったら、俺とザザン狩らないか?報酬は山分けで。」

 

 

と提案をしてきたのだ。確にそっちの方が楽で安全だ。

俺がはぐれ悪魔狩りをするのは生活費の確保だけなので正直言って報酬の半分でも1ヶ月は過ごせる。

 

 

「いいよ。俺は『死神』。お前は?」

 

 

「へ〜。あんたが有名な『死神』か。俺はクロス、名前の売れてない賞金稼ぎだ。」

 

 

クロスと言う男はそう言って、握手を求めてくる。

俺は無言でクロスと握手をする。

 

 

それから俺達は、ザザン探しを再開するが、なかなか見つからい。探している間にはクロスと談笑してなかなかいい時間を過ごした。

 

 

 

 

 

 

〜ザザン捜索から6時間後〜

 

 

「お〜い。こっちに何かあるぞ!」

 

 

クロスが何か見つけたらしく俺を呼んでいる。

俺は急いでクロスの元に行く、ひときは大きい洞窟があった。その中から血の臭いがする。多分ここだろう。

俺はクロスと合わせて洞窟の中に突入する。

そこに無数の魔獣の死体があった。まだ入口に入っただけこの量、奥の方はどれだけあるか分からない。それに、奥から肉が腐った様な臭いはする。

俺とクロスは顔を見合わせて奥に走る。

奥に進む程、腐臭が濃くなる。正直自分には厳しい。吐きそうになる。その吐き気を抑えて走る。

洞窟は思ったよに深かったが、やっと最終奥地に着いたところで何か居ることに気づく。俺はクロスに止まるように指示し、様子をうかがう。するとクロスが、その正体が分かったらしく呟いた、

 

 

「ドラゴンゾンビかよ…。」

 

 

ドラゴンゾンビとは、自分が死んだ事すら知らずに動き回るドラゴンだ。ドラゴンゾンビの1番の厄介な所はなかなか死なない事だ。もう死んでいる為、首を落としても死なないし、心臓を潰しても死なない。倒す方法はもう消し飛ばすしかないのだ。それ故、S級危険生物に認定されている。

 

 

「ドラゴンゾンビは居るがザザンは居ねーみたいだけど、どうする?倒すか?」

 

 

「倒そう!報酬が増えるかも知れないしな。」

 

 

「待ってたぜその言葉!」

 

 

クロスは楽しそうな声をあげて、ドラゴンゾンビに斬撃をあびせる。

 

 

「グギャァァァァァァァァッッ」

 

 

ドラゴンゾンビが叫び声をあげながら、クロスに尻尾を振り降ろすが、クロスはいとも簡単に避けて、ドラゴンゾンビの横腹に斬撃を入れる。その斬撃で腹が破れ、腐った内臓がこぼれ落ちる。

 

 

「やはり強いなクロスは。俺も負けられない!」

 

 

そう言って俺はドラゴンゾンビに飛びかかる。俺は肉弾線が得意なのだが、魔法もそこそこ使える。俺は右手に魔法陣を作り、

 

 

「ファイヤッ!」

 

 

そう叫ぶと巨大な炎の塊がドラゴンゾンビへ向けて放たれる。ドラゴンゾンビも当たるまいと逃げようとするが、

 

 

「逃がすかよ!」

 

 

クロスが前足を切り落とし、身動きを取れないようにする。

 

 

「ガギャァァァァァァァ」

 

 

と叫び、口からブレスを吐く。炎の塊とブレスがぶつかり合い、相殺された。爆風が洞窟内を揺らす。爆風が晴れると同時にドラゴンゾンビは龍斗を見た瞬間凍りついた。

 

 

「フリーズ。」

 

 

そう、ドラゴンゾンビ本体が氷ずけにされたのだ、ドラゴンゾンビは氷を砕こうと力を入れるがびくともしない。

徐々に体の芯まで凍っていき、遂に完全に凍ってしまった。

 

 

「これでドラゴンゾンビの捕獲完了。後は……」

 

 

龍斗がそう呟くと、後ろから何か来る気配を感知しその場から飛び退く。

 

 

「チッ、避けられたか。」

 

 

龍斗がさっきまでいた所に斬撃が振るわれていた。

そこには斬撃を振るったであろうクロスの存在があった。

 

 

「やっぱりお前だったのか、クロス。いや、ザザンって呼んだ方が良いかな?」

 

 

 

「やっぱり凄いなお前!俺がいつザザンってわかったんだよ。」

 

 

ザザンは心底楽しそうに聞いてくる。

 

 

「さぁどうなんだろうね。」

 

 

と笑って答える。するとザザンは、

 

 

「1つ聞きたい事があるんだが聞いていいか?」

 

 

「答えれる物ならね。」

 

 

「噂で『死神』は目が見えないって聞いたことがあるがそれは本当か?」

 

 

とザザンが聞くと龍斗の体が一瞬震えた。

 

 

「なるほど、本当らしいな。なら次の質問だ。なんで目が見えない状態で俺の攻撃を避けられる?」

 

 

そんな誰もが抱く質問を投げ掛けてくる。

それはそうだろう目が見えないのにザザンの速い斬撃を避けれるはずがない。ならばどんな仕掛けがあるのかと、ザザンは思っていた。

それを龍斗は、

 

 

「音と魔力探知の応用だよ」

 

 

そう答え、続けた

 

 

「俺は常に相手には聞こえない超音波を放っている。それの反響を使って地形を把握したり、相手の位置を探る。まぁ蝙蝠が使うそれと変わりないね。それと、魔力探知の応用だけど、お前たちは、常に魔力が体を覆うように発している。俺はそれを探知し輪郭だけだが、お前の体が見えるんだよ。これらを組み合わせて地形と相手の位置を把握出来るようにしているってわけだよ。俺は見えて無いようで見えているんだよ。わかった?」

 

 

「ハハハハ…。やっぱりお前は凄いな!お前に殺されるなら本望だよ!」

 

 

ザザンは楽しそうに分かっている。

こいつは俺に勝つ気がないのかと思っていると、

 

 

「まぁ負けねがな!さぁお喋りはお終いだ!始めようこれが最後の殺し合いになるかも知れないからな。最後まで楽しみながら殺し合おう。」

 

 

そう言ってザザンは俺を殺そうと襲いかかる。

 

 

「俺も負けねよ!」

 

 

龍斗もそう言ってザザンを殺そうと襲いかかる。

ザザンが高速移動をし龍斗の後ろに回り込み剣を振り下ろす。龍斗はそれを素早く避け、ザザンに肉薄する。ザザンも近寄らせまいと素早く斬撃を放ち距離を取る。

龍斗は自分の足元に魔法陣を出し、

 

 

「エアロ!」

 

 

風魔法を体に当て一気に加速しザザンを殴りつける。

 

 

「ガハッ…!」

 

 

龍斗の一撃でザザンは血を吐いた。だが、龍斗の攻撃はここまでで終わらなかった。顔面、溝内、腹、いたるところに連打を叩き込む。ザザンは意識が一瞬飛ばされそうになるがなんとか持ち直し無理矢理に距離を取る。

今の攻撃でザザンの左腕を粉砕骨折、内臓を幾つもやられていた。もう立っているだけで限界の状態だった。

 

 

「…ハァ……ハァ……ハァ……………ハハハハハ!………ゴホッ…。」

 

 

ザザンは血を吐き楽しそうにしている。

 

 

「……やっぱ……強いな。………なぁ最後に……頼みたいこと……がある…んだが……いいか?」

 

 

ザザンは満身創痍のなか龍斗に尋ねる。

 

 

「なんだ?」

 

 

「……俺が死ん……だらこの剣を……貰って……くれないか?……俺の宝物……なんでな。……お前に……貰ってもらいたい。」

 

 

ザザンは騎士の命である剣を龍斗に託そうとしたのだ。

龍斗は断ろうとしたが、ザザンの真剣なオーラを感じ断れずに、

 

 

「わかった。お前が死んだら俺が引き取ろう。」

 

 

そう言うと、ザザンは、

 

 

「…サンキューな。……こいつは『妖刀 紅』っていうんだ。……俺は道を間違えたが……お前は間違えずに使ってやってくれ……。」

 

 

龍斗は無言で頷いた。

 

 

「じゃぁ最後だ!……全力でいくぞ!」

 

 

そう言ってザザンは『妖刀 紅』の能力を発動させ、俺に近づいてくる。

俺は、

 

 

「お前が全力で来るなら俺も神器を使って全力で相手をしてやる!」

 

 

そう言って、龍斗は叫ぶ、

 

黒龍騎士の籠手(エクステッド・ギア)

 

 

龍斗の右手に金の宝玉が現れそれをそれを中心に真っ黒なドラゴンの籠手が現れ、龍斗はザザンに向かって疾走する。

次の瞬間森の一部が消し飛んだのだった。

龍斗の一撃によって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んで頂きありがとうございます。


いかがだったでしょうか?


思いのほか、ザザンが長引いたので一旦ここまでです。


次のこそはバイサーまで行きます。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。


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正体

 

〜龍斗side〜

 

 

ザザンを討伐し、マスターの待つバーに帰る途中にある人物から連絡が入ってきた。

 

 

「はい、もしもし。」

 

 

『やぁ龍斗君、サーゼクスだよ。』

 

 

電話の向こう側から聞こえて来たのは、サーゼクスと名乗る人物だった。

 

 

「魔王様が何かようですか?」

 

 

『今日学校休んだって聞いてどうしたのかなと思って電話したんだよ。何かあったのかな?』

 

 

そうサーゼクスさんが言ってくる。このサーゼクスさんは魔王で、駒王学園の理事長なのだ。そして、俺の身体的障害を知っている人物でもある。

 

 

「いや、はぐれ悪魔狩りに夢中になって学校行くの忘れていただけです。」

 

 

『そう。学校はどうだい?君の体の事言ってないみたいだけど。』

 

 

龍斗がわかり易い嘘をつくが、サーゼクスは構うことなく聞いてくる。今1番聞いて欲しくない事を。

 

 

「凄く楽しいですよ。皆とたのs『龍斗くん!』…………。」

 

 

龍斗とが話しているとサーゼクスは言葉を遮る様にいう。

 

 

『君のことは君の担任から話は聞いているんだ。龍斗くんクラスに馴染めてないみたいじゃないか。』

 

 

「知ってるなら、聞かないで下さいよ。」

 

 

俺は少し口調を強めて言った。それはそうだろう。今自分の状況を知ってるのに龍斗自身からそれを聞こうとするのは拷問に近い。それが恩人になればなるほど。

 

 

『言った方がいいんじゃないかな。クラスの子達だって受け入れてくれるよ。』

 

 

「受け入れられなかったら?」

 

 

『…………………。』

 

 

そう言うと、サーゼクスは押し黙る。

 

 

「俺は、昔打ち明けて何をされたのかサーゼクスさんも知っていますよね。」

 

 

『ああ。』

 

 

「もうあんな目にあうのは嫌なんですよ。」

 

 

『龍斗くんの言いたいこともわかる。けど、今回は違うかもしれないんだよ。』

 

 

「サーゼクスさんありがとうございます。心配してくれるのは嬉しいんですが、……………すいません。」

 

 

サーゼクスさんは本当に俺の事を心配してくれるのは痛いほど分かる。けど俺はもう裏切られるのは嫌なんです。失うのは嫌なんです。

 

 

『わかった。この件に関しては龍斗くんに任せるよ。後もう一ついいかな?』

 

 

「…ありがとうございます。はい、大丈夫ですけどちょっと待ってもらっていいですか?」

 

 

『うん、大丈夫だよ。』

 

 

そう言ってくれたので俺は、三回程深呼吸をし、気分を落ち着かす。

 

 

「すいません、お待たせしました。それで何ですか?」

 

 

『これは『死神』としての君への依頼なんだ。』

 

 

一気に空気が変わる。さっきまでの暗い雰囲気ではなく、ピンっと張り詰めた空気になる。俺はもう一度、深呼吸をし、耳を傾ける。

 

 

「はい、何ですか?」

 

 

『そこまで難しい仕事では無いんだが、駒王町にはぐれ悪魔がいるようなんで、君に討伐をお願いしたいんだよ。』

 

 

「いいですよ。それでそのはぐれ悪魔の名前は何ですか?」

 

 

『バイサーってはぐれ悪魔だ。駒王町の廃工場にいると報告を受けているんでね、よろしくね。』

 

 

「わかりました。討伐報告後、討伐に向かいます。」

 

 

『あれ、報告の途中だったのか、済まないことをしたね。』

 

 

サーゼクスさんが謝ってくる。

ほんとサーゼクスさんは優しいな。俺なんてただの赤の他人なのに俺によくしてくれるなんていつか恩返しをしなくてわ。

そう思い、

 

 

「大丈夫ですよ。サーゼクスさんは気を遣いすぎですよ。これくらい平気ですよ。」

 

 

『ハッハッハ、性分なんでね。』

 

 

「いつもありがとうございます。」

 

 

俺は心からの言葉をサーゼクスに投げかける。

 

 

『ふふ、別にいいよ。それじゃあそろそろ切るね。』

 

 

「はい。」

 

 

そう言って電話を切る。

そして龍斗は足早にバーも目指すのだった。

 

 

 

 

 

〜人間界〜

 

 

マスターにザザンの討伐報告を済ませ、今駒王町の廃工場に来ている。中から悪魔の気配がある。それにこの血の匂いここで間違い無いだろう。

そう思い龍斗は廃工場の中に入って行く。

 

 

そこには、なんとも言いようが無い異型の悪魔がいた。

 

 

[あら、こんな所に来るなんて可哀想な人間だ事。私が美味しく食べてあげるわね。]

 

 

そう言うと、龍斗に襲いかかるが、龍斗は逃げようとはせず、

 

 

「こいつの試し斬りには打って付けだな。」

 

 

と言って、腰に着けていたザザンの愛刀『妖刀 紅』を抜く。その刀身は名前の様に紅で染まり、血を連想させる物となっていた。

バイサーは龍斗を踏み潰さんとばかりに前足で踏みつける。

龍斗はそれを最小限で避け、バイサーの前足に紅を振るった。紅はバイサーの前足を豆腐を切るかの様に切り裂く。

 

 

[ギャァァアァァァアァァアァ!]

 

 

バイサーは甲高い声をあげ怯む。龍斗は剣術を習ったことがない為、そこで試し斬りをやめ、魔法で相手をすることにする。

 

 

(今度から、剣術でも誰かに習おうかな。)

 

 

と思いバイサーに意識を集中する。

 

 

[人間風情がよくも私に傷を負わせたなぁぁあぁ!グチャグチャにしてやる。]

 

 

といい持っていた槍を龍斗に突き刺そうと突進して来る。

俺は小さな魔法陣を周りにいくつも作り、

 

 

「オール・ファイヤッ」

 

 

龍斗が詠唱すると魔法陣から小さな火の塊がバイサーに殺到する。バイサーは避けようとするがもう遅かった。バイサーの体中に火の塊が炸裂する。

 

 

[ガァァァァ…ァァ…………ァ………………………。]

 

 

段々とバイサーの叫び声が小さくなっていく。そこで俺は魔法陣を消す。

爆炎が晴れるとそこには、体の至る所に火傷や消し飛んでいるバイサーの姿があった。

 

 

[………ァ…………………ァ…………ァァ……。]

 

 

龍斗はバイサーにとどめを刺そうとした時、

 

 

「はぐれ悪魔バイサー。貴方を消滅させに来たわ。」

 

 

声のする方を向くと、悪魔が5人いた。

 

 

「そのはぐれ悪魔は、貴方がやったのかしら。」

 

 

と1番強そうな悪魔が聞いてくる。

 

 

「…………………………………そうだが。」

 

 

俺は答えるか迷ったが面倒事に巻き込まれると思い答える。すると悪魔が、

 

 

「そういえばあなた、前に会ったことあるわよね。一誠が死んだ時いたわよね?」

 

 

「さぁどうなんだろうな。あまり覚えていないな。」

 

 

そう言って俺は廃工場を後にしようとするが、悪魔が龍斗を取り囲む。俺はため息をつき、

 

 

「これはどういう意味だい?」

 

 

「このまま貴方を帰す訳にはいかないわ。この町は私の管轄なの。はぐれ悪魔狩りが私の領地で何をしているか聞かなくちゃいけないのよ。」

 

 

そう言って悪魔達が戦闘態勢を取る。俺も戦闘態勢に入ろ。

 

 

「もしかしてやろうっていうの。この戦力差で。しかもあなた、人間なのよ。」

 

 

「俺は人間じゃねーよ。俺は……………バケモノだよ!」

 

 

と叫び襲いかかる。

龍斗はまず小柄な悪魔に接近し、殴りにかかる。

小柄な悪魔も龍斗に接近しする。

 

 

「えい。」

 

 

そう言ってパンチを放ってくる。俺はそれを避け、殴りかかろうとするが、魔力を感じ飛び退く。すると轟音と共に俺がさっきまでいたところが消滅する。

 

 

「チッ」

 

 

俺は舌打ちをし、魔法陣を展開する。

 

 

「ファイヤッ!」

 

 

と叫び悪魔に向けて炎の塊を放つが、

 

 

「雷よ!」

 

 

雷によって相殺される。龍斗は顔をしかめるが、後ろに気配を感じ避ける。

 

 

「今の避けられちゃうか。」

 

 

そう言って男の悪魔は刀を持ち再度接近してくる。俺は斬撃を全て躱し、距離をとったところにまた小柄な悪魔がまた攻撃を仕掛けてくる。龍斗は小柄な悪魔の渾身の右ストレートをうまく掴み地面に叩きつける。

 

 

「グッ」

 

 

小柄な悪魔は叩きつけられたことでうめき声をあげる。

俺は、その悪魔に全力で殴ろうとした時、

 

 

「「「「小猫(ちゃん)!」」」」

 

 

と他の悪魔が叫ぶ。そこで龍斗の手が止まる。

 

 

「塔…城…さん……。」

 

 

そう言って龍斗の動きが止まる。

 

 

「え……?」

 

 

これを期にと男の悪魔が龍斗を取り押さえる。

だが、龍斗は抵抗しなかった。いや、できなかった。

まさか自分が戦っていたのが、クラスメイトだったことに驚き動けなかった。

 

 

「よくも私のかわいい下僕を。」

 

 

と言って、悪魔は魔力を溜めている。

 

 

「消す前に、あなたの顔を見ておくわ。祐斗」

 

 

「はい、部長。」

 

 

そう言って男の悪魔が龍斗の包帯取り始める。

 

 

「おい!ヤメロ!」

 

 

そこで龍斗は抵抗するが、遅かった。

 

 

「中島……君?」

 

 

「小猫知ってるの?」

 

 

「……はい。クラスメイトです。」

 

 

「そう。………中島君と言ったかしらね。あなたを今からオカルト研究部の部室に運ぶわ。同行を願えるかしら。」

 

 

そう龍斗に投げかける。

龍斗は無言のまま頷くだけだった。

 

 

「ありがとう。帰ってから詳しく話を聞かせてもらうわ。それじゃあみんな帰るわよ!」

 

 

「「「はい、部長!」」」

 

 

そう言って悪魔達と俺はオカルト研究部の部室に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んで頂きありがとうございます。
宣言道理バイサーを倒すとこまで書きました。

さてさて次回のお話は龍斗君の秘密がいよいよわかります。龍斗君の過去に何があったのかを書いていきたいので楽しみにしていて下さい。


それとお気に入り登録が40になっていたのにはびっくりしました。こんな駄文にお気に入り登録していただきありがとうございます。よかった感想も欲しいです。


それではおやすみなさい…………。


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過去

 

 

〜龍斗side〜

 

 

俺は今、駒王学園の旧校舎にあるオカルト研究部の部室にいる。俺は、手を縛られ悪魔達5人と対面する形で椅子に座らせれている。

 

 

「単刀直入に聞くわ。貴方は何者なの?1年A組の中島龍斗君。」

 

 

そう言って、悪魔が尋ねてくる。俺は本当のことを話すのか迷った。話したところで、俺は消されるか、奴隷として死ぬまで俺をこき使うのだろうと思っていた。

 

 

「………………………………………。」

 

 

だから俺は黙秘を選んだ。どうせ死ぬのだったらこいつらに情報を与えないで死のうと思ったからだ。俺が黙秘を続けていると、

 

 

「はぁ。ちょっとは喋って欲しいのだけど。」

 

 

「………………………………………。」

 

 

それでも俺は黙秘を続ける。すると、

 

 

「……本当に中島君なのですか?」

 

 

「……………そうだけど。」

 

 

「なんであの場所にいたんですか?」

 

 

「…………それを喋れせて俺をどうする気だ?」

 

 

「いえ、どうもしません。私達はあなたが何者なのかを知りたいだけなので、貴方に危害を加えるつもりはありません。」

 

 

「それをどう信じろって言うんだ!」

 

 

俺がそう言うと、塔城さんが俺の所まで来て、

 

 

「……これじゃぁダメですか?」

 

 

そう言って、手を縛っていた魔法を解除する。解除をすると元いた場所に戻っていった。

 

 

「どう?これで信用してもらえたかしら。」

 

 

「………あぁ。でも話したくない。」

 

 

「それはどういうことかしら?」

 

 

「それは………。」

 

 

『もう話してもいいんじゃないかな?』

 

 

「サーゼクスさん。」「お兄様!」

 

 

声のする方を向くと、サーゼクスさんが立っていた。

俺は驚いていた。突然現れたことに驚いたのではなく、なぜこんな所に現れたのかに驚いていた。それは俺だけではなく、オカルト研究部のメンバーも同様に驚いていた。

 

 

「龍斗くんすまないね。僕が依頼しなかったらこんな事にならなかったね。」

 

 

「いえ、気にしないで下さい。サーゼクスさんは悪くありません。俺の運が無かっただけです。」

 

 

「そう言ってもらえると、助かるよ。」

 

 

俺がサーゼクスさんと話していると、

 

 

「お兄様!龍斗を知っているんですか?」

 

 

そう言って悪魔が、サーゼクスさんに問いかける。

お兄様?と俺が疑問に思っていると、

 

 

「えぇ。よく知っているよリアス。今回のバイサー討伐を依頼したのは僕だからね。」

 

 

「なら、お兄様に聞きます。彼は何者何ですか?」

 

 

「それは、龍斗くん自身から話して貰おう。……龍斗くん。」

 

 

そう言ってサーゼクスさんが俺に話を振ってくる。

 

 

「…でも……。」

 

 

「龍斗くん大丈夫。彼らなら、受け止めてもらえる。それは私が保証する!」

 

 

「………わかりました。」

 

 

俺はそう言って塔城さん達の方を向き、深呼吸をしゆっくりと話し始める。

 

 

「俺は、冥界では『死神』って言われています。」

 

 

「あ、貴方があのはぐれ悪魔狩りの『死神』なの?」

 

 

「はい。」

 

 

そう言って、リアス?さん達が驚くが、

 

 

「あの〜部長。その『死神』って何ですか?」

 

 

 

1人の男の悪魔が手をあげて聞いている。最近悪魔になったのだろう。それなら俺を知らないのは頷ける。

 

 

「そうだったわね。イッセーは最近悪魔になったばかりだから知らないのは当然よね。『死神』っていうのは冥界も有名なはぐれ悪魔狩りのプロよ。受けた仕事は絶対に達成する。その実力は、上級悪魔以上だと言われているわ。まさかそれが貴方だなんて。」

 

 

「え!?そんなに強いんですか?」

 

 

「えぇ。それと『死神』には噂があるの。」

 

 

俺はそれを聞いた瞬間体が震える。もしかして…………

 

 

「噂ですか?」

 

 

「えぇ。それは『死神』は目が見えないって噂なのよ。それは真実なのかしら?」

 

 

「それは…………。」

 

 

やはり俺の予想通り目の事だった。それは俺が1番話たくない事だった。俺、サーゼクスさんの方を見るとサーゼクスさんは小さく頷き、

 

 

「大丈夫。」

 

 

そう言ってくれた。俺はもう一度深呼吸をし、

 

 

「……目が見えないのは事実です。」

 

 

「噂は本当だったそうね。けどどうして貴方は私達が見えてるよに振る舞えるのかしら?」

 

 

 

「それは………………………………」

 

 

俺はリアスさん達に音や魔力探知の事話す。

 

 

「なるほどね。」

 

 

リアスさんが頷いでいると、塔城さんが、

 

 

「じゃぁなぜ授業中に黒板の文字を読めるんですか?」

 

 

「それは僕が説明しよう。龍斗くんがなぜ黒板の文字が読めるのかだったね。それはね、龍斗くんにその日の授業で黒板に書く内容の紙をその日の朝に渡しているからだよ。」

 

 

塔城さんの質問にサーゼクスさんが答える。

 

 

「ですが、中島君は目が見えないんですよ。どうして紙の内容がわかるんですか?」

 

 

するとサーゼクスさんは1枚の紙を渡す。

 

 

「これがその答えだよ。」

 

 

「………点字?」

 

 

そう俺がどうして教科書や紙に書いている内容がわかる理由は点字のおかげである。目が見えない人の為に人間が作った文字。そのおかげで俺は授業をうけられている。サーゼクスさんが俺の為に全教科書を点字にしてもらえたのはすごく助かった。

 

 

「……じゃぁ何で中島君はこの事をクラスメイト達に言わなかったですか?」

 

 

「それは…………。」

 

 

そう言って俺は俯く。言いたくない。頭がその言葉でいっぱいになる。その時すっと俺の肩に手が乗る。サーゼクスさんだろう。その手は『彼らなら君を受け入れてくれる』と言っているようだった。俺はここで言わなかったサーゼクスさんの信用を裏切ると思い全てを話すを決める。

 

 

「……俺がクラスメイトに目が見えない事を言わない理由の前に昔話を聞いてもらえるかな?」

 

 

「…はい。」

 

 

塔城さん達が頷き、俺は話しだす。過去に俺の身に何がおこったのかを………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はものごごろ着くまで孤児院で過ごしていた。孤児院の人曰く俺は孤児院の前に捨てられていた所を園長先生が拾ってくれた。孤児院ではみんなが良くしてくれた。孤児院のみんなも俺と遊んでくれた。目が見えない事も気にしないで接してくれた。そして、俺が3歳になった時事件が起きた。孤児院が何者かに襲われたのだ。俺はその時孤児院から離れた場所に園長先生といた。俺達は孤児院まで走る。孤児院には火が放たれており、炎が孤児院を覆っていた。園長先生は俺にここで待って居るようにと言うと孤児院の中に入っていったが、戻って来るはなかった。

孤児院は数時間後に消し止められた。孤児院の皆は遺体で発見された。その遺体中には槍で刺された様な傷があるものも合った。孤児院を襲った犯人は金目当てのただの強盗という事になっている。だが、目撃証言が一切ないため犯人の目的はわからない。

俺は居場所と家族を失い途方にくれていた。そんな時声をかけてくれた人がいた。その人は最近子供を亡くした人だった。その亡くなった子供に俺が似ていた為声をかけたそうだ。

その人は、中島仁っと名乗った。そして仁さんは孤児院の話を聞いて俺に家族にならないかと言ってくる。

俺はどうするか迷ったがそれを受け入れて俺と仁さんは家族になった。

俺は仁さんと幸せに暮らした。仁さんの事、仁さんの子供の事もいっぱい聞いた。ただ俺は一度も仁さんに『お父さん』と言った事がなかった。仁さんはあまり気にて無さそうにしてるがやっぱり寂しそうだった。

俺は仁さんと何不自由なく、暮らした。その時に俺は仁さんから魔法の使い方と武術を教わった。

今思えば、仁さんは何者だったのだろうかと思うことが多々ある。

まぁそのお陰で俺は今の音や魔力探知での空間把握が出来るようになったのだが。

 

それから俺はすくすく育ち、小学生にまで成長した。

仁さんは俺を小学校に入れてくれた。そこからが地獄の始まりだった。俺はいじめにあっていたのだ。

目が見えないのをいい事に机の落書き、わざと足をかけられたり、罵声を浴びさせられたりしていた。

だが、俺は全然気にしていなかった。なぜなら

 

 

「中島君大丈夫?」

 

 

「うん。大丈夫だよ。」

 

 

そう俺には、俺の事を気遣ってくれる友達がいたからだ。

その子の名前は黒羽雪ちゃんという女の子だった。その子はいつも俺の事を気遣ってくれた。俺が罵声を浴びさせられると怒って反論してくれる女の子だった。

俺は毎日雪ちゃんと遊んでいた。雪ちゃんと遊んでいる時は俺は幸せだった。俺はいつしか雪ちゃんに好意を抱いた。初めての恋。俺は幸せだった。そうだ!明日雪ちゃんに告白しようと思い、俺はうきうきしながら眠りについた。明日が楽しみで仕方がなかったが、それは儚い夢だった。

雪ちゃんが死んだ。自殺だった。

 

俺をいじめていた奴らが雪ちゃんにもいじめを行っていたらしい。俺は悔しかった。俺のせいで雪ちゃんが死んだのもそうだが、雪ちゃんの苦しみ気づけなかった自分の不甲斐なさが1番許せなかった。それはその日、一日中泣き続けた。涙が枯れるまで泣いた。

仁さんは何も言わずに俺の頭を撫ででくれた。

 

それから数日がたったころ、俺をいじめていた奴が俺に、

 

 

「お前のせいで雪ちゃんが死んだんだぞ。疫病神!」

 

 

と言ってきた。俺はこの時初めて人を殺した。

仁さんに使うなと言われていた魔法を使ってそいつを引き飛ばした。それぐらい俺はきれていた。雪ちゃんを殺した奴が何を言ってんだよと思い殺した。

俺はいじめグループを殺しまくった。俺に助けを求めるものもいた。だが、俺は躊躇わず殺す。殺す度に気持ちが晴れるきがしたからだ。それから俺は仁さんに取り押さえられた。

その日からの人生は酷かった。当たり前だろう。人殺しの化け物が居るのだから。仁さんの家には毎日のように石が投げ込まれる。酷い時には爆弾を投げ込まれた時もあった。

俺は仁さんに何度も謝った。だが、仁さんは

 

 

「お前は悪くない。」

 

 

と言って笑顔で頭を撫でてくれる。俺は仁さんの優しさが辛かった。いっそのこと怒鳴って欲しかった。俺が仁さんの人生を無茶苦茶にしたのに笑って許してくれた。俺はただただ仁さんに謝ることしか出来なかった。

 

それから俺達は地方の田舎に逃げ込んだ。そこで俺達は人生をやり直そうとしたが、そう長くは続かなかった。

仁さんが病気で倒れた。病名は癌だった。医者によるともう手遅れらしく、もって後2ヶ月と言われた。

あまりにも短すぎる。俺はただ泣くしかなかった。

仁さんは

 

 

「なんでお前が泣くんだよ。」

 

 

と言って笑いかけてくれる。

 

 

「なんで笑えんだよ!もう死ぬかも知れないのなんで笑えるんだよ!」

 

 

と怒鳴るが、

 

 

「お前が俺の最後をみとってくれるんだから最後まで笑顔でいるさ。それより俺はお前の方が心配だ。俺が居なくなったらどうすんだよ!」

 

 

そう言って仁さんは笑いかけてくる。あまつさせえ俺の心配までしてきた。なんで俺の心配するんだよ自分の心配しろよ!と思ったが、

 

 

「お前が幸せなら俺は幸せだ。」

 

 

そう言ってきた。この時俺は仁さんが死ぬその瞬間まで笑顔でいようと思った。それから俺は仁さんとたわいない話をしたり調子のいい日には外に出かけたりして過した。

そしてその瞬間がやってきた。

仁さんは本当に最後の最後まで笑顔だった。

俺も最後まで笑顔でいようとするが我慢出来ずに泣いてしまった。それに俺は1つ心残りがあった。仁さんに『お父さん』と言えなかったことだ。俺は恥ずかしくて言えなかった。それがただ1つの心残りだ。そして葬儀は近所の人達と一緒にひっそりと済ませた。

それから俺は人と関わり合いを持たなくなった。

何故なら俺と関わった奴は皆不幸になっているからだ。それだったら関わらないほうがいいそれが相手の為でもある。

そして俺は仁さんと暮らした田舎を出て、冥界に行った。

冥界には仁さんと1回行ったことがあったので俺はそこではぐれ悪魔狩りをして生計を立てる事にした。俺はそこで初めて神器を出せるようになった。

はじめは戸惑ったが、すぐに慣れた。

それから俺ははぐれ悪魔狩りをしいてそこでサーゼクスさんと出会った。サーゼクスさんは会議の帰っている途中だったらしい。

サーゼクスさんとは直ぐに仲良くなった。そこで俺はサーゼクスさんに学校に行って見ないかと言われる。

俺は最初は断っていたが、押し切られこの駒王学園に入学する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして今に至るわけです。」

 

 

俺が話終わると、皆が泣いていた。

 

 

「グスッ。………ごめんなさい。そんな辛い事思い出させてしまって」

 

 

「いえ、大丈夫です。」

 

 

と言って見るが、内心大丈夫ではなかった。拳を血が出る位まで握り締めていた。そうしないと泣いてしまうから。

 

 

「だから俺はクラスメイトには目が見えない事を言わない。もう失いたくないんです。」

 

 

そう言って俺は俯く。すると頭を撫でられる。

 

 

「よく頑張ったね。」

 

 

サーゼクスさんがそう言って頭を撫でてくれる。俺は涙が溢れそうになる。仁さん…いや父さんを思い出して。

 

 

「でもね龍斗くん。君だけが傷つく事は無いんだよ。それに君に関わったら不幸なるって言ってたけど、僕は全然不幸になっていないよ。むしろ今僕は幸せだよ。手のかかる弟ができたみたいで。」

 

 

「でも、これから不幸になるかもしれないじゃないですか!俺は不幸を呼び寄せる疫病神なんですよ!」

 

 

「それなら僕は君に降りかかる不幸を真っ向から叩き潰すよ。それに、もう僕らは友達じゃないか、少しくらいは頼ってよ。」

 

 

と言ってサーゼクスさんが俺を抱き寄せる。俺はついに瞳から涙が溢れ出す。

 

 

「リアスとリアスの眷属も龍斗くんを受け止めて欲しい。彼こう見えて寂しがり屋だから一人は辛いんだよ。彼の事を嫌いにならないでほしい。君たちだけでも。」

 

 

「えぇ。もちろんよ!」

 

「もちろんですわ。」

 

「はい。」

 

「僕で良ければ。」

 

「グス。……当たり前だ。」

 

 

「ありがとう。」

 

 

そうオカルト研究部のメンバーが言ってくれた。

俺はやっと居場所が出来たような気がした。他人を傷つけない為にからの中に閉じこもっていた。それをサーゼクスさんとオカルト研究部のメンバーはそれを壊して手を差し伸べてくれるようだった。

 

 

「俺はここに居てもいいんですか?」

 

 

これは震え声になりながらもそう言った。そうすると誰かに手を握られた。

 

 

「はい。中島君はここにいていいんです。」

 

 

塔城さん俺の手を握ってそう言ってくれた。俺は今まで我慢してきたものを全て吐き出すように泣いた。

その間も塔城さんは俺は手をずっと握ってくれていた。

 

 

 

 

そして俺は、憑き物が取れたように心がスッキリとしていた。

 

 

「塔城さんありがとう。」

 

 

と言って塔城さんの手を離す。ずっと握っていたかったが、それはまずいので慌てて離す。

 

 

「いえ、どういたしまして。」

 

 

そう言って塔城さんはリアスさんの近くに帰って行く。

 

 

「龍斗、これからはあなたもオカルト研究部のメンバーとしてここに来なさい。何か辛い事があったらまずここに来て話なさい。いいわね。」

 

 

「はい。」

 

 

「それとここにいる時は私の事を部長と呼びなさい!」

 

 

「はい、部長。」

 

 

「あらあら、さっきとは打って変わって素直で可愛い子ですわね。」

 

 

そう言って女の悪魔が言ってくる。俺は恥ずかしくなり、顔を隠す。

 

 

「あらあら、本当に可愛い反応しますわね。」

 

 

と俺の頬をつついてくる。

 

 

「朱乃からかわないの。」

 

 

リアスさんが呆れたように言う。

それから少しの間、朱乃さんにからかわれ続けた。

 

それから俺は、リアスさんに、

 

 

「俺を眷属にして下さい!」

 

 

と真剣に言う。

 

 

「龍斗はそれでいいの?」

 

 

「はい。俺は自分を受け入れてくれた部長達に少しでも力になりたいんです。」

 

 

俺は自分の思いの丈をぶつける。それをリアスさんは受け取ってくれたらしく、1つの駒を出す。

 

 

「わかったわ。これは『戦車の駒』。1個で転生できるかわからないけどやって見るわ。」

 

 

そう言ってリアスさんが俺の胸に駒を当てる。

すると、

 

 

「え?嘘。駒が変わった」

 

 

駒が俺の中に入っていった。リアスさんがいうには『戦車の駒』が変化して『変異の駒』になったらしい。だがこれで俺は悪魔になれた。

 

 

「そじゃ龍斗、悪魔として歓迎するわ。祐斗。」

 

 

「はい、部長。僕の名前は木場祐斗。2年生だよ。リアスグレモリーの『騎士』だよ。よろしくね。」

 

 

「俺の名前は兵藤一誠。2年生だ。俺は部長の『兵士』だ。よろしくな龍斗!」

 

 

「私は知っていると思いますが、塔城小猫です。中島君と同じ『戦車』です。よろしくお願いします。」

 

 

「私は姫島朱乃ですわ。リアスグレモリー様の『女王』をしています。ふふ、これからはよろしくお願いしますね。」

 

 

「そして私は 貴方の主のリアスグレモリーよ。よろしくね龍斗。」

 

 

オカルト研究部の全員が自己紹介が終わった所で、今度は俺が、自己紹介をする。

 

 

「俺は中島龍斗。冥界では『死神』って呼ばれています。話した通り俺は目が見えないので至らない点があると思いますが、よろしくお願いします。」

 

 

そうして俺はリアスグレモリーの眷属として悪魔になった。




最後まで読んで頂きありがとうございます。
いかがだったでしょうか?

龍斗くんの壮絶な過去が出てきましたね。
自分で設定付けときながら書いてる最中余りにも可哀想で泣きそうでした。
それなら書くなって話なんですけど。

なんか、サーゼクスさんが優しい過ぎてもうサーゼクスさんをヒロインにしてもいいんじゃねっと思って書いてました(笑)

初めてこんなに書いたんです疲れますた。
はじめは、4000字くらいかなっと思っていましたが、ところがギッチョン!6000字までいっちゃいました(笑)
どこで増えたんだろ(;´・ω・)



さて、次回は、シスターと松岡さんに会います。
え?松岡さんって誰だって?中の人だよ!


ではでは、さようなら(・ω・)ノ


感想・評価待ってます。


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気持ち

 

〜龍斗side〜

 

 

龍斗が悪魔になって、少し雑談をしてから部活はお開きとなった。その帰り、龍斗は小猫と一緒に帰っていた。

二人は何も話さず非常に気まずい空気に包まれていた。

 

[何この空気?すげぇ気まずい。何か話さないと]

 

龍斗はそう焦っていたが、何を話せばいいのかわからずオロオロしていた。

 

 

「……中島君。」

 

 

「ひゃい!」

 

 

突然小猫が話した事に驚き声が裏返ってしまった。

 

 

「ひゃい?」

 

 

「はは…。なんでもないよ。それでどうしたの?」

 

 

「いえ、中島君に謝りたくて。」

 

 

そう言って小猫が立ち止まる。龍斗もそれに足を止め小猫の方を向く。その時龍斗は何かされったっけな?と思っていた。

 

 

「謝りたい事って?」

 

 

「私は昨日、中島君の事情も知らずに出すぎた真似をして中島君を傷つけた事を謝りたくて。あの時はすいませんでした。」

 

 

塔城さんは頭を下げながらはっきりと謝ってきた。俺はそれを聞いて慌てて否定した。

 

 

「塔城さんが悪いんじゃないよ。人を信用していなかった俺が悪いんだよ。だから頭上げてよ。」

 

 

「それでも私は……。」

 

 

「あれは俺の心の弱さのせいだから謝らないで。どちらかといえば俺の方が謝らなくちゃいけないんだよ。塔城さんあの時、怒鳴ってしまってごめんなさい。」

 

 

そう言って俺も頭を下げる。

 

 

「いえ、悪いのは私で中島君が悪くないです。」

 

 

「違う俺が悪いんだ!」

 

 

「いえ、私が……………」

 

 

「違う俺が………………」

 

 

そう言って互に謝る。

 

 

「クスクスクス。」

 

 

「クスクスクス。」

 

 

そして俺達は何時しか笑い合っていた。俺達はなんて不毛な争いをしているのかと思い、可笑しくなって笑ってしまった。

俺達は一通り笑うと顔を見合わせて、

 

 

「中島君。中島君の事情を知った上でもう一度言います。私に何かできることがあれば言って下さい。力になります。」

 

 

「うん。お願いします。俺も力になるから何かあったら言ってね塔城さん。」

 

 

俺はそう言って塔城さんにとびきりの笑顔を向ける。

 

 

「…………………………………………………。」

 

 

塔城さんが黙り込んでしまった。どうしたんだろう?

 

 

「塔城さんどうかした?」

 

 

「い、いえ…。なんでもありません。…………中島君お願いがあるのですけどいいですか?」

 

 

「お願いって?」

 

 

「その…………私の事を下の名前で読んで欲しいんです。」

 

 

「え!?し、下の名前で!?」

 

 

「駄目…ですか?」

 

 

「ぐっ。………わかった。……え〜と、小猫ちゃん…。」

 

 

「………はぃ…。」

 

 

消え入りそうな声で小猫ちゃんが言う。

龍斗の心臓は爆発するかと思うくらいバクバクしていた。

さっきとは打って変わって俺達の周りをピンク色の空気が包む。

 

 

「じゃ、じゃぁさ。俺の事も下の名前で呼んでよ。」

 

 

「…………はい。…………龍斗くん……。」

 

 

それを聞いた龍斗電柱に思いっきり頭をぶつけた。そうでもしないと小猫ちゃんを襲ってしまいそうだったのだ。龍斗は人を避けていたとはいえ、健全な高校生だ。性欲だってある。今の小猫から発せられる小悪魔的オーラに理性をもって逝かれそうになったが、なんとか踏みとどまった。

2人は今顔を真っ赤にして見つめあっている。

もう他人から見たら付き合い始めたカップルにしか見えないだろう。

俺達は少しの間沈黙して、

 

 

「そ、それじゃあまた明日学校で。さ、さようなら小猫ちゃん。」

 

 

「は、はい。また明日、龍斗くん…。」

 

 

そう言って俺達は逃げるように別れた。

 

 

 

 

〜小猫side〜

 

 

私は龍斗くんと別れて自宅まで戻ってきた。私はそのまま玄関にへたりこんでしまった。そして鏡で自分を見ると、そこには顔を真っ赤にさせた自分がいた。

私は龍斗くんに謝ったが、それを龍斗くんは悪く無いと言ってくれた。それからは私達は不毛の争いをしてひとしきり笑ったあと、もう一度力になりたいと言ったら今度は受け入れてくれた。それどころか龍斗くんは、私達の力にもなってくれると言ってくれた。私は嬉しかった。私はが抱えている問題も龍斗くんなら解決してくれそうな気がする。

けど私が一番嬉しかったのが、力になると言ってくれた時に見せた笑顔だった。

私は見とれてしまっていた。普段龍斗くんは笑顔を見せないのでそれが新鮮で見とれてしまった。それに龍斗くんは顔がいいので余計だったかもしれない。

 

そこから私は暴走してしまっってあまり記憶がない。

けど、『小猫ちゃん』と言う龍斗くんの姿ははっきりと覚えている。

龍斗くんの事を考えると胸が熱くなる。

そいてもっと自分の事を呼んで欲しいという衝動にかられる。

 

 

「…………龍斗くん。」

 

 

そう言って小猫は自分の胸に手を当てるのだった。

 

 

 

 

~龍斗side~

 

 

突然だが俺の朝は早い。毎日朝の五時に起きて筋トレをしている。毎日腕立て伏せ500・腹筋500回を毎日している。

筋トレが終わりシャワーを浴びて朝食の準備をする。朝食を食べ終わり、身支度をし、学校にいく。今の時刻六時半。

 

 

「今日はちょっと遅くなったな。早く行こ。」

 

 

決して遅い時間では無いのだが、通学中人に会いたくないがために早い時間に出るようにしている。

そして俺が学校へ行こうと玄関を開けると、

 

 

「あっ……………。」

 

 

今まさにチャイムを押そうとしている小猫ちゃんに会った。

俺は夢でも見ているかと思い頬をつねるが、痛みがある。

 

 

「………え~と、おはよう小猫ちゃん?」

 

 

「おはようございます。なんで疑問何ですか?」

 

 

「だって、小猫ちゃんが家の家知ってる訳ないし、もしかしたら別の人かなって。」

 

 

「龍斗くんの自宅はサーゼクス様から教えていただきました。」

 

 

「………そうだったんだ。えっとそれでこんな朝早くに何か用だった?」

 

 

「………………………………。」

 

 

急に小猫ちゃんが黙った。あれ?なんで黙るの?

そう俺が思っていると、

 

 

「………一緒に……学校行きませんか?」

 

 

「…………………………うん………いいよ………。」

 

 

よし!なんとか言えた。余りにも驚きでフリーズしてしまう所だった。昨日の出来事がフラッシュバックしてきて恥ずかしくなった。

 

 

「そ、それじゃあ学校行こうか。」

 

 

「そうですね。……行きましょう。」

 

 

そう言って俺達は学校へ向かう。俺の半歩後ろを歩く小猫ちゃん。俺達は学校に着くまで会話はしなかったが、気まずいとは思わなかった。むしろ心地よかった程だ。

俺達は学校に着き、職員室に向かう。

先生方に挨拶をし、俺用の授業プリントをもらう。

教室に向かう最中、小猫ちゃんが、

 

 

「先生は知っていたんですね。」

 

 

「まぁそうじゃないと俺授業受けれないからね。」

 

 

そして教室に着きそれぞれの席に着く。

俺は授業が始まる前まで寝ることにした。

 

 

 

 

 

~小猫side~

 

 

今日は龍斗くんと一緒に登校しました。

登校中は特に喋りませんでしたけど、決して気まずいのではなく逆にそれが心地よかったです。

学校に着いて、龍斗くんと先生方に挨拶をして、プリントをもらっていました。

やっぱり目が見えないんだなと思いました。だって龍斗くん、まるで普通に見えているように振舞っているんです。けど見えていないんだなと思い落ち込む。

私の顔も見えないんだよね。そう思ってしまう。これはしょうが無い事なんですけどやっぱり私の本当の姿を見てほしいです。

 

[わ、私は何を考えてるんだろ。龍斗くんはただのクラスメイトで部員の関係でそれ以上の関係では……………]

 

 

小猫は自分の胸に手を当てる。さっきから心臓の音がうるさかった。体も熱い。

 

 

[でも、なんで龍斗くんの事を考えると胸がこんなにも熱くなるのだろう…………。]

 

 

そう思い、龍斗くんの席を見る。龍斗くんは寝ている。龍斗くんの寝顔はどんな顔なんだろう?昨日は眠れ無かったのだろうか?そういう思いが込上がり、頭が龍斗くんでいっぱいになる。そこで私は、

 

 

[……あっ…………私、龍斗くんの事好きなんだ。]

 

 

私は自分の気持ちに気づいた。決して彼過去に同情したのではなく、あの時見せてくれた笑顔をずっと見ていたいんだ。多分私は、あの笑顔を見た時からもう龍斗くんこと好きになっていたのかもしれない。

自覚した途端顔の温度が急激上がるような感覚に見舞われる。今の自分の顔は昨日より赤いだろう。

顔が熱い。私は顔の熱を取るように机に顔をつける。

そして私も龍斗くんのように寝る事にした。

 

 

[いつかこの気持ちが届けばいいな。]

 

と思いながら、眠りに着いた。

勿論HR前には起きましたけど。ほんとうですよ。

 

 

 

 




最後まで読んでいただきたいありがとうございます。
いかがだったでしょうか?

最近、小猫の出番が無かったので登場させたらこんな事になってしまいました(笑)
ちなみにこの話は、小猫ちゃんとこんな青春を送りたいな~と妄想全開で書きました。
凄く楽しかったのですが、結局次回書くと言っていたアーシアとフリードのとこまでいきませんでした。
すいませんorz
次はちゃんと書きますので許して下さい。


あぁそれとこれは本編の話なんですが。小猫ちゃんと龍斗は両想いですが、まだ龍斗が小猫ちゃんの事を好きと自覚していません。これからの進展が気になりますねヾ(≧∀≦*)ノワクワク……


それではここまで読んで下さてありがとうございます。
よかった次回も見ていって下さい。

感想・評価待ってます。


それではさようなら(・ω・)ノ


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シスターと悪魔

~龍斗side~

 

 

俺は今オカルト研究部の部室にいます。

 

 

「それじゃあ部長行ってきます。」

 

 

一誠先輩が勢い良く部室から出ていった。なんでもこれから契約を取りに行くようだ。俺達悪魔には、人間と契約して相手の願いを叶える変わりに、それ相応の対価を貰う仕事らしい。

 

 

[これを聞いていると何処ぞのインキュ〇ーターを思い出すのはなんでだろう?……………………て、イン〇ュベーターってなんだよ!はぁ…俺疲れてるんだろうか?]

 

 

龍斗が頭を抑えながら1人漫才をしていた。

それは置いといて、俺もいつかはやらないといけない仕事なのだが、やっていける自信が無い。

俺が出来る事はせいぜい話し合いだけだろう。それ以外は出来そうにない。そんな事を思っていると、

 

 

「イッセーがはぐれ悪魔祓いに襲われてるわ。助けに行くわよ!」

 

 

部長がそう言って魔法陣を発生させる。

悪魔祓い<エクソシスト>神や天使の加護を受けて悪魔祓いをする教会の使徒。だが今回現れたのは『はぐれ悪魔祓い』こいつらは悪魔を狩る事に喜びを覚え教会を追放された奴らだ。そいつ等は堕天使の加護を受けている。

多分あの時あった堕天使と関係があるのだろう。

俺達は急いでその魔法陣に乗り転移した。

 

 

 

転移した先には、一誠先輩と教会関係者であろう男女2人がいた。一誠先輩が脚に怪我をおっていて俺はすぐさま戦闘態勢に入る。

 

 

「おやおや~悪魔様の団体じゃないですか~。お仲間を助けに来たんですか~?反吐が出ますね。」

 

 

物凄い腹が立つ言い方をして来る男がいる。そいつの方を見ると、手にビームサーベルみたいな剣と銃が握られていた。

こいつがはぐれ悪魔祓いだろう。だがもう一人は誰だろう?一誠先輩を庇ってるみたいだけど。

 

 

「ひゃほい!隙あり!」

 

 

はぐれ悪魔祓いが俺を切り付けようと襲ってくるが、

 

 

「させないよ!」

 

 

ガキン!

 

部屋中に甲高い音が鳴り響く。木場が攻撃を防いでくれたみたいだ。

 

 

「ありゃりゃ。防がれちった!でも!」

 

 

そう言ってはぐれ悪魔祓いは俺に銃を向ける。

俺はすぐさま射線からよけるように動き、なんとか避けるが、少しかすってしまった。力が抜ける感覚が襲って来るがまだ全然大丈夫だ。

 

 

「その銃、銃声がしないのか。厄介だな。」

 

 

「そうなんですよ!僕ちゃんもこの銃大好き何ですよ!だから大人しく死んじゃって下さいね☆」

 

 

そう言ってはぐれ悪魔祓いは再度俺に銃を向ける。

その時、はぐれ悪魔祓いの後ろの家具が消し飛ぶに。

部長がやったんだろう。

 

 

「よくも私のかわいい下僕を可愛がってくれたわね?」

 

 

部長が殺気全開で言う。キレているんだろう。部長は自分の眷属を大切にしている人だ、キレるのは当たり前だ。

 

 

「ありゃ怒っちゃった?おこなの?激おこプンプン丸なの?そんな殺気全開でこっち見られたらイっちゃうじゃないですか♪」

 

 

「…………気持ち悪いです。」

 

 

確かに気持ち悪い。こいつドMなのか?だったら攻撃しても駄目じゃね?余計喜んじゃう…。

 

 

「イッセーごめんなさい。まさか依頼主と所にはぐれ悪魔祓いが居るとわ思わなかったわ。っ!!イッセー怪我してるじゃない?大丈夫?」

 

 

「その悪魔くっそ弱かったからついやっちゃった。ごめんちょ!許しtぐほッ!」

 

 

 

俺ははぐれ悪魔祓いに殴り飛ばした。

 

 

 

 

~イッセーside~

 

 

龍斗がフリード(はぐれ悪魔祓い)を殴り飛ばした。

 

 

「てめぇどの口が許してなんて言ってんだ?」

 

 

龍斗からさっきの部長以上の殺気が出ている。

俺達は息を呑んだ。それと同時にこの殺気が自分達に向かなかった事にホッとした。

それくらい龍斗から濃い殺気が出ている。

 

 

「痛ってーなクソ悪魔がぁぁぁぁぁっ!ぶっ殺すぞ!」

 

 

「やれるんならやってみろよ!」

 

 

二人が殺気を出しながら睨み合っている。

朱乃さんが何かに気づいたのか、部長に

 

 

「部長、此処に堕天使達が向かって来ます。このままでは不利になります!」

 

 

堕天使?レイナーレ達か?

 

 

「!…わかったわ。朱乃魔法陣の用意を。イッセーを回収した後、戻るわよ!」

 

 

「はい、部長。」

 

 

そうって朱乃さんが魔法陣の用意をし始める。

え?戻る?そうだ!アーシアも一緒に転移してもらったら、

 

 

「部長、あの子も一緒に転移してください。」

 

 

「イッセー無理よ。この魔法陣は悪魔専用なの人間は転移できないわ。」

 

 

「そんな………。」

 

 

俺が肩を落としていると、

 

 

「一誠先輩!あの人は俺に任せて下さい。部長は先に一誠先輩を転移してください。俺は後で行きますから。」

 

 

龍斗がアーシアを助けてくれると言っている。だが部長がそれを許さなかった。

 

 

「龍斗無茶よ!そんな事したらあなたが危険だわ!」

 

 

「俺は大丈夫です。逃げるのには自信があるんで!」

 

 

「駄目よ!私が許可しないわ!」

 

 

「部長は俺の事信用していないんですか?」

 

 

「そうじゃないけど……。」

 

 

「大丈夫ですよ。自分で言うのも何ですが、俺はあの『死神』ですよ。だから安心してください。」

 

 

「………わかったわ。いい、怪我なんてしたら許さないわよ!」

 

 

「分かりました。約束します。」

 

 

「イッセーあの子は龍斗に任せて私達は先に戻るわよ!」

 

 

そう言って部長が俺のことを引き寄せる。

 

 

「龍斗、アーシアを頼んだぞ!」

 

 

「分かりました。任せて下さい。」

 

 

龍斗が親指を立ててそう言ってきた。

 

 

「部長、準備ができました。」

 

 

「そう。龍斗、絶対帰って着なさいよ!」

 

 

「龍斗くん必ず帰って下さい……。」

 

 

「うんわかったよ小猫ちゃん。」

 

 

そう言い残して俺達は部室に転移した。

 

 

 

 

~龍斗side~

 

 

一誠先輩達が行ったみたいだ。さて俺はあの子と一緒に逃げればいいんだけどまずはこいつからだな。

 

 

「あれ~見捨てられちゃいましたか~?そんな可哀想な悪魔ちゃんは僕ちんがあの世に送ってあげますね☆僕ちゃんって優しい♪」

 

 

あのはぐれ悪魔祓いは頭のネジが何本か抜けてるな。

俺はそう思いアーシアと呼ばれる女の子の近くまで行き、

 

 

「君がアーシアさん?」

 

 

「あ、はい。私はアーシアアルジェントと言います。あなたは?」

 

 

「俺は中島龍斗といいますが今は自己紹介してる時間がないのでささっと逃げますよ!」

 

 

「え?っキャッ!?」

 

 

俺はアーシアさんを担いで逃げようとする。

 

 

「無視ですか、そうですか。けどそういう焦らしプレイは好きじゃないんでね♪今すぐ僕ちんと殺し合おうぜ!」

 

 

そう言ってはぐれ悪魔祓いが迫って来るが、それをくるりと回るように躱し、そのままの勢いではぐれ悪魔祓いの横腹の回し蹴りをくらわす。

 

 

「ぐえッ!」

 

 

カエルが潰れたような声を出して壁に激突し動かなくなった。俺はそれを確認してからアーシアと一緒にここから離脱した。

 

 

 

俺はアーシアを担いで俺の自宅まできた。帰る途中、堕天使に会うことなく無事に帰って来れた。俺はアーシアさんを降ろしたが、アーシアさんは目を瞑ったまま動かない。多分俺が猛スピードで空を飛んだのが怖かったのだろう。

 

 

「アーシアさんもう大丈夫ですよ。」

 

 

「はうう。すいません、もう大丈夫です。」

 

 

そう言ってるもののアーシアさんの目には涙が溜まっており、足もプルプル震えている。余程怖かったのだろう。

おれは携帯電話を出して部長に電話をかける。

 

 

プルルルルプルルッ!

 

 

「もしもし部長、龍斗です。」

 

 

『龍斗大丈夫?今何処に居るの?』

 

 

「僕もアーシアって子も大丈夫です。今一緒に俺の自宅に居ます。けどまだ襲われる可能性が有るので俺はアーシアさんと一緒にいますので部室には戻りません。」

 

 

『そう。……わかったわ。イッセーにもそう言っておくわ。でも何かあったら直ぐに連絡しなさい!』

 

 

「はい、わかった。あと、小猫ちゃんにも大丈夫って言ってもらっていいですか?」

 

 

『小猫に?』

 

 

「はい。小猫ちゃんにも心配されていましたからね。」

 

 

『ふふ、わかったわ。小猫にも伝えておくわ。』

 

 

「ありがとうございます。それじゃあ切りますね。」

 

 

『ええ、わかったわ。それじゃあね龍斗。』

 

 

「はい。それでは失礼します。」

 

 

そう言って俺は携帯電話を切った。俺が電話している間にアーシアさんもやっと動けるようになったのかこっちを見ていた。

 

 

「此処に居たらまた襲われるかも知れないですし、どうぞ中に入って下さい。」

 

 

「は、はい。お邪魔させていただきます。」

 

 

そう言って俺とアーシアさんは家の中に入っていった。俺は家に入る前に自宅を結界で覆った。これはちょっとした防御結界なのだが、あの堕天使では壊す事は出来ないだろう。

 

 

俺はアーシアさんをソファーに座らせて、お茶を出す。

するとアーシアさんが、

 

「あの~龍斗さん。」

 

 

「どうしましたアーシアさん?」

 

 

アーシアさんが申し訳無さそうに聞いてくる。

 

 

「龍斗さんのご両親は居ないんですか?」

 

 

「あぁ。俺、両親居ないんだ。」

 

 

「え?す、すいません。そんな事聞いちゃって」

 

 

アーシアさんが慌てて頭を下げて謝ってくる。

 

 

「大丈夫ですよ。俺の両親は居ませんが大切な友達がいるので平気ですよ。だから頭を上げて下さい。」

 

 

前の俺ならここでキレて居たんだろうな。と思っていた。前は鋭く尖っていたのに今ではだいぶ丸くなったものだ。大切な友達ができたからだろう。友達が出来るって凄いね。人の心も変えてしまう。

 

 

「……ありがとうございます。」

 

 

そう言ってアーシアさんも顔を上げてくれた。

さてここからだと思い真剣な顔でアーシアさんを見る。

 

 

「質問があるのだけどいいかな?」

 

 

「はい、何ですか?」

 

 

「何であの場所にいたんですか?」

 

 

俺はそんな質問を投げかける。

今まで、接してきたがアーシアさんが人を殺すとは思えない。何かに利用されてる可能性が高いと俺は踏んでいた。

 

 

「あの場所にはフリード様に連れて行かれて、結界を張っている途中に物音がして見に行って見ると一誠さんと貼り付けにされた人を見てしまって…………。」

 

 

そこまで言ってアーシアさんが泣き出してしまった。

 

 

「すいません。こんな事聞いてしまって。でも、聞かないといけないので話して貰えると嬉しいです。」

 

 

慌てて慰めようとするが、相手がまたいつ俺達に牙を剥くかわからない為、少しでも情報が欲しいのだ。

 

 

「すいません。龍斗さんの言う通りですよね。私が話せる事は話します。」

 

 

「すいません。助かります。」

 

 

それから俺はアーシアさんから聞けるだけの情報を聞き出した。情報をまとめると、アーシアさんは、ある教会で、聖女として崇められていた。アーシアさんの神器『聖母の微笑』<ドワイライト・ヒーリング>の力のおかげで怪我をしている人を治していたそうだ。だが、教会の前に倒れていた悪魔の傷を治して異端者扱いされ教会を追われたそうだ。その時、レイナーレに声をかけられここの教会に来たと言う。そして堕天使はレイナーレの他に、ドーナシーク、ミッテルト、カラワーナが居るそうだ。そしてあのはぐれ悪魔祓いはフリードと言うらしい。他にも神父が沢山居るらしい。けど、

 

 

「すいません。そんな過去があるなんて。」

 

 

「いいえ、謝らないで下さい。私の神への祈りが足りなかっただけですから……。」

 

 

そう言っているが、声が大丈夫そうじゃない。

だがおかしな話だ。神器は神が造った物なのにその神器で悪魔を治して異端者扱いなんて。神は何をしているのか。こんないい子が異端者なんて、神は目が節穴なのだろう。

 

 

「……アーシアさんごめんなさいねこんなこと聞いて。今日はありがとうございます。二階の俺のベットを使って下さい。」

 

 

「龍斗さんは何処で寝るんですか?」

 

 

「俺はソファーで寝るよ。」

 

 

「そんな悪いですよ。」

 

 

「大丈夫ですよ。アーシアさん疲れているでしょ。それにこのソファー、ソファーベット何で大丈夫ですよ。」

 

 

「ですが…。」

 

 

「本当に大丈夫ですよ。気にしないで下さい。」

 

 

「……それではすいません。お借りします。」

 

 

やっと折れてくれた。折れてくれなかったらどうしようか考えていた。

 

 

そしてアーシアさんは二階に上がっていった。

 

 

「さて、俺も寝るか。」

 

 

俺はソファーに横になる。

明日は部長にこのことを話さなくちゃな。朝から部長居るかな?

そう思いながら眠りにつくのだった。

 

 

 

 




最後まで読んでいただきたいありがとうございます。
いかがだったでしょうか?

今回は予告どうりアーシアとフリードのとこまで書きました。
フリードのキャラがわからない!ちゃんとフリードらしく書けているか不安で仕方ありません。


次回で旧校舎のディアボロスは終わらすつもりです。終わるかどうかわかりませんが(^ω^;)


それではおやすみなさい(・ω・)ノ


感想・評価待ってます。


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強奪

~龍斗side~

 

 

龍斗が目を覚ます。時刻は4時半。

 

 

「結構いい時間に起きたな。さて、いつもの筋トレでもするか!」

 

 

そう言い龍斗は動ける格好に着替え、中庭に出た。

まだ、日が登って無いのか、少し肌寒いが動いていれば問題ないので龍斗は気にせずに筋トレを始める。

筋トレを始めて1時間近くたった頃、二階から誰かが降りてくる音がする。アーシアさんが起きたのだろう。

 

 

「……龍斗さん………おはよう………ございます…………。」

 

 

アーシアはまだ、寝ぼけているらしく所々間が空いている。

 

 

「アーシアさんおはようございますまだ、寝ぼけてらっしゃいますか?」

 

 

「…………いえ、………私は起きてますよ……。」

 

 

アーシアはそう言うものの凄く眠そうな声をあげる。龍斗はアーシアさんの目も前に行き、

 

 

パンっ!

 

 

「キャっ!」

 

 

猫だましをした。寝ぼけている時にはこれが一番よく効く。俺も小さい頃は父さんによくやられたものだ。

アーシアは尻餅を着いて何が起ったのかわからず周りをキョロキョロ見ている。これはちょっとやり過ぎたかな?少し後悔しながらアーシアさん手を差し延べる。

アーシアもその手を掴み立つことができた。

 

 

「すいませんでした。まさかここまで驚かれるとは思いませんでした。」

 

 

「いいえ大丈夫です。元は寝ぼけていた私がいけないのです。それを龍斗が起こそうたしただけですから。」

 

 

「そう言ってもらえると助かります。それにしても早起き何ですね。まだ、日が登ってないっていうのに。」

 

 

「え?」

 

 

龍斗がそう言うとアーシアは素っ頓狂な声をあげる。

 

 

「もう日が登り始めてますよ?」

 

 

「あぁそうでしたか。もうそんな時間ですか。因みに今何時ですか?」

 

 

「え?え~と、今は5時50分です。」

 

 

今日は筋トレに熱が入ったのか、予定時間を超えていた。

 

 

「……あの~龍斗さん?」

 

 

「どうしました?アーシアさん。」

 

 

「どうして私に時間を聞いたのですか?」

 

 

アーシアは素朴な疑問を投げかけた。それはそうだろう。変な話、自分で時計を見れば分かる事なのにわざわざ人に聞く理由が分からなかったからだ。

 

 

「あれ?話してなかったっけ?」

 

 

「なのをですか?」

 

 

「俺、目が見えないんだよ。」

 

 

その瞬間アーシアの表情が凍りつく。自分がとんでもない事を聞いてしまったからだ。

 

 

「すいません!こんな事聞いてしまって!」

 

 

慌ててアーシアが謝罪するが、龍斗は特に気にしてないみたいだった。

 

 

「話してなかった俺が悪いし、見えて無いって言っても相手の位置はわかるんで、そこまで苦労はしてませんよ。唯一苦労してるのは相手の顔が分からないって事だけですね。今もアーシアの顔は見えませんが、輪郭だけならわかるんです。」

 

 

「そうだったんですか……。っ!もしかしたら私の力で治せるかもしれません!」

 

 

「多分無理だよ」

 

 

「何故ですか?」

 

 

「俺の目、何処にも異常が無いんだよ。」

 

 

「え?」

 

 

アーシアは何を言っているのか分からなかった。正常だった見えなくてはいけないのに見えない。何故?そんなことが起こってもいいのかと思っていた。

 

 

「だから多分無理だと思う。異常が無いのに癒しても変わりはないしね。」

 

 

「そんな………。」

 

 

「大丈夫ですよ。俺は今の生活に満足していますから。」

 

 

龍斗は笑って言うがアーシアの顔は険しかった。

相手の一番聞かれたら嫌な部分を聞いてしまったのだ。罪悪感に見舞われてもおかしくはない。

すると龍斗が、

 

 

「アーシアさんが落ち込まなくてもいいよ。」

 

 

龍斗はアーシアの肩を持ち笑いかける。

 

 

「でも私は、龍斗さんの聞かれたく無い事を聞いてしまった自分が嫌なんです。」

 

 

「それはお互い様だよ。」

 

 

龍斗はアーシアの頭を撫でながら言う。

 

 

「昨日俺だって、アーシアさんの辛い過去を聞いちゃってるしおあいこだよ。」

 

 

「私の過去なんて対したことではありません。」

 

 

「いや、充分辛い事だと思うよ。自分が正しいと思った事をして教会を追われるなんてね。」

 

 

「それでも………。」

 

 

「じゃぁさ。俺と友達になってよ!」

 

 

「友達ですか?」

 

 

「そう。もし俺が助けて欲しい時は助けてくれてた嬉しいし、もしアーシアさんが助けてを求めるなら俺はいつでも助けに行くよ。」

 

 

「龍斗さん……。」

 

 

そう言ってアーシアさんが泣き出してしまった。

なんで?

 

 

「え?アーシアさんどうしたんですか?」

 

 

「…い、いえ。……嬉しくて…………グスッ。」

 

 

どうやら嬉し泣きのようだ。龍斗はホッとした。もしかしたら自分と友達になるのが嫌なのかと思ったからだ。

 

 

「じゃぁ友達になってくれる?」

 

 

龍斗はそう言ってアーシアの前に手を出す。アーシアはそれを握り、

 

 

「はい。よろしくおねがいします。」

 

 

そう言ってくれた。俺は嬉しくなって笑顔で返す。すると、

 

 

 

「いつまでイチャイチャしているんですか龍斗くん?」

 

 

「クッソー!龍斗!羨まし過ぎるわぁぁぁ!」

 

 

振り返ると、小猫ちゃんと一誠先輩が玄関からこっちを見ていた。そして何故か小猫ちゃんから負のオーラを感じるなんでだ?

 

 

「小猫ちゃんと一誠先輩は何時からそこに?」

 

 

「『じゃぁさ。俺と友達になってよ!』の所からです。」

 

 

「なら声かけてよ!」

 

 

「そんな空気じゃなかったんだよ龍斗!なんでお前アーシアとあんな雰囲気になってんだよ!はっ!もしかして昨日の夜に何かあったんだな?そうなんだな?」

 

 

一誠先輩が凄い勢いで俺に近づいてくる。

しかもなんか勘違いもしてるし。アーシアも何か言って欲しいのだが。と思いアーシアの方を見ると、

 

 

「そ、そんな……昨日の夜は……何もありませんでした!」

 

 

なんか恥じらいながら言ってる。

アーシアさん?それだとなんかあったみたいに聞こえちゃうじゃないですか。俺は恐る恐る2人の方に顔を向けるが、

 

 

「昨日何かあったみたいですね。それは聞かせて貰わないと。」

 

 

「龍斗、お前は俺の敵だぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

二人から怒りのオーラが見える。特に小猫ちゃんのオーラが凄い。

 

 

「小猫ちゃん、一誠先輩誤解です。話を聞いて下さい!」

 

 

「「問答無用!」」

 

 

そこで俺の意識は無くなった。

気が付くとみんな居なくなっており、時刻が6時半を過ぎていた為、すぐにシャワーを浴びて学校に行くのだった。勿論朝食は抜きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み俺は部室に来ていた。

昨日聞き出した、堕天使の情報を部長に言う為だ。

その間も小猫ちゃんが不機嫌で、たまに俺の足を蹴ってくる。何度も謝る事を10分、今度の休みに2人で遊ぶ事で許してもらえる事になった。

 

 

 

「龍斗ありがとう。これで作戦が立て易くなったわ。」

 

 

「いえ、俺は当然の事をしたまでです。」

 

 

「それでそのアーシアってシスターはどこにいるの?」

 

 

「一誠先輩が学校サボってデートしてるそうです。」

 

 

俺は今朝の恨みを込めて先輩にばらす。言わないでくれと頼まれていたが、俺はそんなに優しくない!やられたらやり返す。それが俺の心情だ!

 

 

「あの子学校サボってデートしてるの。いいご身分ね。」

 

 

部長も怒ってるみたいだ。『計画どうり』とにやりと笑う。

 

 

「……龍斗くん悪い顔してますよ。」

 

 

「そんな事無いよ小猫ちゃん。気のせいだよ。」

 

 

「………………………………………。」

 

 

小猫ちゃんがジト目でこっちを見ている気がする。

やばい、これでは、また朝みたいなってしまう。

そう思い俺は話を変える。

 

 

「小猫ちゃん。今度の遊びに行く時どこに行きたい?」

 

 

「……龍斗くんの行きたいところなら何処でもいいです。」

 

 

「うーん。そう言われると困るな〜。」

 

 

俺は考える事にした。

遊園地は安直過ぎかな?じゃぁ水族館?それともショッピング?どれがいいんだろう?…………そうだ!

 

 

「小猫ちゃんって甘い物好きだよね?」

 

 

「はい。大好きです。」

 

 

小猫ちゃんが食い気味によってくる。

小猫ちゃんはいつも部室で甘い物食べてるから甘い物が好きとは思っていたけどこの食いつき様、正解かな?

 

 

「それじゃあ今度の休みケーキバイキングに行かない?」

 

 

「行きます!」

 

 

「それじゃあ決まりだね!時間とかは後で決めるから決まったらメールするね。」

 

 

「はい!楽しみにしてます。」

 

 

「そう言ってもらえて嬉しいよ。」

 

 

ここまで喜んでくれるとは思わなかった。やっぱり嬉しいね喜んで貰えると。

そして俺は小猫ちゃんの頭を撫でる。

 

 

「………ふにゃぁぁ……」

 

 

まるで猫みたいな反応を見せる。しかも声は凄く色気のある声だった。面白いなと思い頭を撫で続ける。その度に色気のある声を出してた。

 

 

「朱乃、ブラックコーヒーを入れて頂戴!しかも飛び切り濃いやつを!」

 

 

「はい、部長。私も欲しかった所です。」

 

 

部長と朱乃がこの甘い雰囲気に耐えきれずブラックコーヒーでなんとかこの甘さを紛らわす。

この時龍斗は、「部長と朱乃さん眠いのかな」と的外れな事を思っていた。

因みに小猫ちゃんは最終的に龍斗に体を預けてビクンビクン震えていた。どうしたのかな?

 

 

 

 

 

 

そして放課後、一誠先輩が堕天使に襲われてアーシアが連れ去られたそうだ。

 

 

パンっ!

 

「イッセー駄目よ!シスターの救出は認められないわ。」

 

 

「なら俺一人でも行きます。やっぱり儀式ってのが気になります。俺はアーシアと友達になったんです。このままじゃアーシアがどんな事をされるかわからないんです!」

 

 

「行けば確実に殺されるわよ!もう生き返るれないのよ!それにあなたの行動が他の子にも影響を影響を及ぼすのよ!あなたは私の眷属なのそれを自覚してちょうだい!」

 

 

部長と一誠先輩が言い争っている。

二人の意見も分かる。俺もアーシアと友達だから今すぐにでも助けに行きたいこれは一誠先輩の言う事は分かるが、同時に部長の意見も分かる。部長は自分の眷属をみすみす死なせに行かす訳には行かないし、教会に攻め行ったっという事実からまた戦争を始める火種を作りたく無いと思っている。どちらが間違いとかではない。どちらも正解だ。一誠先輩は最近悪魔になってようやく戦争の事を知った程度だ。今自分がしようとしている事の意味もあまり分かっていないだろう。

 

 

「では、俺を眷属から外して下さい。俺1人だけでも教会に乗り込みます。俺はアーシアを、友達にを見捨てることが出来ません。」

 

 

俺はおもむろに立ち、一誠先輩の前に立つ。

 

 

「なんだ龍斗、今部長とはしてるんだ!」

 

 

「一誠先輩歯を食いしばって下さい。」

 

 

「え?」

 

 

バキッ!

 

 

「っ!?」

 

 

龍斗がイッセーを殴り飛ばしたのだ。

リアス達も目を見開いて驚いていた。一番驚いていたのはイッセーだろう。何が起ったのか分からない顔をしていたが直ぐに表情が険しくなり龍斗に掴みかかる。

 

 

「何するんだよ龍斗!!」

 

 

「1回頭を冷やした方がいいと思いまして。」

 

 

「なんだと!」

 

 

「イッセーやめなさい!龍斗あなたもどうしたの!」

 

 

部長が俺とイッセーの間に割って入る。

 

 

「こんな頭が固い人は一旦落ち着かせて冷静な判断をしてもらおうとした結果です。」

 

 

「どういう意味だよ!」

 

 

イッセーは龍斗にガンを飛ばす。龍斗はそれをモロともしないで、今度は逆にイッセーに掴みかかる。

 

 

「なんで一人で行こうとすんだよ!」

 

 

「え?」

 

 

イッセーは龍斗が何を言っているかわからない。さっきまでまるで反対みたいな態度をとっていたのにと思っていた。だが龍斗はまるで自分も行くと言っている。

 

 

「力も無いくせにカッコつけて1人で行くなよ!もっと頼れよ!俺達はそんな頼りないのか?」

 

 

「そんなんじゃ………。」

 

 

「じゃぁもっと頼れバカ!一人で行って死のうとするなよヘタレ!カッコ悪いぞ変態!」

 

 

「そこまで言わなくても………。」

 

 

「もう俺は誰も失いたく無いんだよ………。」

 

 

「龍斗……………。」

 

 

そう言って龍斗と一誠は黙り込む。

そして龍斗はリアスの方を向き頭を下げる。

 

 

「一誠先輩と俺でアーシアさんの救出に行かせて下さい。」

 

 

「私からもお願いします。」

 

 

「僕からもお願いします。」

 

 

俺に続いて小猫ちゃん、木場先輩も頭を下げてくれた。これは心強いな。

 

 

「はぁ、本当に貴方達は……。」

 

 

「部長、少し……。」

 

 

朱乃さんが部長に耳打ちをする。

 

 

「大事な用事が出来たわ。私はこれから朱乃と外に出るわ。………………イッセー、『兵士』にはプロモーションっていう能力があるの。」

 

 

「プロモーション……。」

 

 

「えぇ。相手の陣地に赴いた時出来る能力よ。王以外の駒の特性を得られるようになるの。」

 

 

「それって木場の『騎士』や龍斗の『戦車』にもなれるって事ですか?」

 

 

「そうよ。イッセー最後に神器は思いの強さが強けれれば強い程、神器は答えてくれるわ。そこは覚えておきなさい。」

 

 

そう一誠先輩に行って俺の横を通る。通り際に部長が、

 

 

「イッセーをよろしく頼むわよ。」

 

 

「はい。部長もお気を付けて。」

 

 

「っ!……ほんとにあなたには驚かされてばかりだわ。任せたわよ。」

 

 

「任されました。」

 

 

そう会話して部長達が部室から出て行った。

 

 

そして龍斗は一誠先輩達を見て、

 

 

「さぁ行きましょう!アーシアさんを救出しに!」

 

 

「はい。」

 

 

「うん。」

 

 

「絶対救い出してやる!」

 

 

 

そう言って俺達もアーシアさんを救出する為に教会へ向かうのだった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。
いかがだったでしょうか?


次回予告で次でおしまいとか言ってましたがあれは嘘だ!
多分後2話ぐらい入ります。すいません約束守らいないで


さて本編の話をなんですが。主人公が主人公してる事に驚きを隠せない回でしたね。まさか龍斗くんがあんなに熱い人物だったとは作者である私も驚きです。あんなにカッコイイと見せれて小猫ちゃんの好感度がまた上がりましたね。
やったね龍斗、好感度が増えるよ。



それではさようなら( ´ ▽ ` )ノ


感想・評価待ってます。


後、もう一つ小説を書き始めたので良かったらそちらもどうぞ。


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奪還

大変お待たせしました。
息抜きに書き始めたもう一つの小説が何故か読んでくれる人が多くてそっち優先にしてました。
だがこれからはこれを中心に書いていきます。

ではどうぞ( 。・_・。)っ


〜龍斗side〜

 

 

俺達は今教会近くの森まで来ている。

 

 

「それで一誠先輩。一誠先輩は乗り込むって言ってましたが何かいい策があるんですか?」

 

 

俺は一誠先輩に尋ねると、

 

 

「え?」

 

 

一誠先輩は素っ頓狂な声をあげる。

 

 

「……もしかしてノープランで乗り込むつもりだったんですか。」

 

「そ、そうだけど。」

 

「はぁ…。」

 

 

なんて言うか一誠先輩らしいです。

 

 

「それじゃぁもう正面突破しましょう。それに教会の中には堕天使は1人しか居ませんし。」

 

「それは本当かい?」

 

「はい。堕天使の魔力は一つしかありません。」

 

 

俺の魔力探知で教会の地下に堕天使の魔力を感じる。

 

 

「それでは行きましょう。早くアーシアさんを助けに。」

 

 

それを聞いた一誠先輩達は無言で頷き、俺達は教会の中へと入って行った。教会の中は所々ひび割れていたり、ガラスも所々割れている。

俺達は周りを警戒しているとパチパチパチと拍手の音が聞こえてきた。

 

 

「やぁやぁ悪魔の皆さん。感動の再会だねぁ!」

 

 

柱の影から現れたフリードが気持ち悪い声で言ってくる。

俺達はすぐさま戦闘態勢に入る。

 

 

「お!殺る気満々じゃないですか。そんなに首チョンパされたいんですか~♪」

 

 

そう言ってフリードは胸から銃と光剣を出す。

それに一誠先輩は神器を出現させ、木場先輩は剣を抜き、小猫ちゃんはファイティングポーズをとり、俺は手に魔法陣を出現させる。

 

 

「最高だねぇ!この殺気のぶつかり合い。今からそんな殺気を出してる奴らの首をチョンパすると思うともう頭がおかしくなるじゃないか!だからさっさと死ねぇぇぇ!」

 

 

フリードは叫びながらもの凄いスピードで接近して来る。接近しながら銃をこちらに向けて発砲する。

俺は防御魔法陣を展開してそれを防ぐ。

 

 

「チッ!」

 

 

フリードは舌打ちをしながら一旦距離を置くように飛び下がる。だが、木場先輩がそれを許さなかった。

 

 

「させないよ!」

 

 

『騎士』の駒の能力を使い一瞬でフリードの懐に入り込み切りかかる。横に一閃したがフリードは光剣を縦にしてそれを受け止める。そしてすぐに反撃に移る。銃を木場先輩に向けて発砲しようとするが、静かに忍び寄っていた小猫ちゃんのパンチによりフリードが吹き飛んで行く。だがフリードは自分から後ろに飛ぶ事でパンチの威力を軽減させていた。

 

 

「痛てぇんだよクソ悪魔共が!!」

 

 

フリードは立ち上がり叫んでくる。

これはちょっと時間がかかり過ぎている。ここでそんなに時間をかけていたらアーシアさんの身に危険が及ぶ。それで俺は、

 

 

「ここは僕がやります。先輩達は先に行って下さい!そこの祭壇の下に地下に行く階段があります。そこにアーシアさんが居ます。」

 

「それじゃぁ龍斗が危険じゃないか!」

 

「そうだよ!それだったらここで確実にフリードを倒た方が安全だよ。」

 

「龍斗くんにそんな危ない目に合わせられません。」

 

全員が俺の身を案じて一緒に戦ってくれると言ってくる。だが俺は、

 

 

「ここで時間をとってたらアーシアさんの身に危険が及ぶかもしれません。だから早く助けに行って下さい!」

 

「でも……」

 

「アーシアさんを助けるって言ったのは一誠先輩でしょ!なら早く助けに行ってやって下さい!」

 

「……わかった!けど絶対負けるじゃねぇぞ!」

 

「わかってます。」

 

 

渋々だが一誠先輩は頷いて祭壇へと向かう。木場先輩もそれに続いて行くが、

 

 

「私は龍斗くんと一緒に戦います!」

 

 

小猫ちゃんが俺と戦うと言って動こうとしなかった。

 

 

「小猫ちゃんも一誠先輩に着いて行って!」

 

「嫌です!」

 

 

小猫ちゃんは頑なに拒んできる。

その声には絶対に意見を曲げないといった信念が込められていた。

 

 

「わかった。なら早くあいつを倒して一誠先輩と合流しよう!」

 

「はい!」

 

 

そして俺達は戦闘態勢をとり、フリードに接近する。

 

 

「はぁやっと終わりましたか。あんたらの話長過ぎて寝ちゃう所だったよ。それではクソ悪魔2名様を神様の所へごあんな~い♪」

 

 

フリードはそう言って俺達に銃を向け発砲する。俺達は二手に別れて玉を避け、そのまま挟み撃ちを仕掛ける。

 

 

「ああ面倒くせーな!」

 

 

フリードは苛立ちながらまず俺の方に接近し再度銃を発砲する。俺は魔法陣を展開してそれを防ぎ、脚に風魔法を当てて一気に加速する。そして俺はフリードの腹を殴ろうとするが寸前のところで躱され、光剣を俺に振り下ろす。俺は腰に差していた『妖刀 紅』を抜きそれを防ぐ。その時火花がフリードの目近くに当たり一瞬だが怯む。

 

 

「スキありです!」

 

 

小猫ちゃんはそのスキを逃さず『戦車』の駒の能力を合わせた渾身の一撃をフリードに叩きこんだ。

 

メキッ!

 

骨の折れる音が教会に響きフリードは壁に打ち付けられる。

 

 

「…ぐっ……クソ悪魔共め!」

 

 

フリードは壁に手を付きながらもなんとか立ち上がる。だが小猫ちゃんの一撃で相当ダメージを受けたのか足取りフラフラしており、息もあがっている。

 

 

「くそ!ここままじゃマジでやべぇな!だから逃げる!」

 

 

フリードはそう言って懐から何かを取り出そうとする。

 

 

「させるか!」

 

 

俺は何かされる前にフリードに近づき取り押さえようとするが、

 

 

「ほなばいなら!」

 

 

フリードはそう言い残すと何かを地面に放り投げる。すると、

 

 

バァンッ!

 

 

凄い轟音と共に何かが爆発した。俺はそれに怯んでしまっていた。。フリードはそのスキを突き逃げてしまっていた。多分あれは閃光爆弾だったんだろう。幸い俺は目が見えないから目は大丈夫だが、目が見えない分聴力が上がっており、怯んでしまっていた。

 

 

「龍斗くん大丈夫ですか?」

 

 

小猫ちゃんが心配して声をかけてきてくれた。

 

 

「うん。大丈夫。小猫ちゃんも怪我とかしてない?」

 

「はい。大丈夫です。」

 

「それじゃぁ早く一誠先輩達の援護に行こう!」

 

 

そう言って俺達は地下とか降りていった。

 

 

 

地下に降りると一誠先輩と木場先輩が大勢の神父達と交戦している最中だった。

 

 

「一誠先輩、木場先輩お待たせしました!はぁっ!!」

 

 

俺はそう言って神父を殴った。

小猫ちゃんも俺と同じく『戦車』の能力を使って凄い勢いで神父を殴り倒していった。

 

 

「龍斗。アーシアが!」

 

「きゃあああぁぁぁ!!!」

 

「!?」

 

 

俺は慌てて叫び声の方を向くと堕天使と十字架に貼り付けられている人がいた。

さっきの叫び声からして十字架に貼り付けられているのはアーシアさんか!

 

 

「一誠先輩早くアーシアさんの元へ!」

 

 

俺は一誠先輩にそう言って道を開ける。

 

 

「ありがとう龍斗!」

 

 

一誠先輩はアーシアさんの元へと駆け出す。その間に邪魔をしようと神父達が道を塞ぐが俺と小猫ちゃんと木場先輩でそれを排除し、道を開かせた。

そして一誠先輩がアーシアさんを救出して上まで運んでいった。

そこで気づいた。アーシアさんの神器がない事に。

そしてアーシアさんの神器が堕天使の中にある事も同時に気づいた。

 

 

「堕天使てめぇぇ!!アーシアさんの神器を奪いやがったな!」

 

「あら、今頃気づいたの。」

 

「てめぇ自分のした事がどういう意味かわかってるのか!」

 

「うるさい悪魔ね!そんなの当たり前じゃない。」

 

「アーシアさんを殺してまで何をする気だ!」

 

 

神器は命と密接な関係にある。それを無理に引き剥がすとその所持者は死に至る。例えるなら心臓を無理矢理引きちぎると同じ事なのだ。

 

 

「そんなの決まっているじゃない。至高の堕天使となってアザゼル様とシェムハザ様の愛を受けるためよ!」

 

「そんな事の為に………」

 

 

俺は拳を思い切り握り締め震わせていた。

 

 

「それにあの子は教会に捨てられてとこを私が拾ったんだものあの子の命は私の物よ。どうしようが勝手じゃない。」

 

 

物だって?アーシアさんが物だって?巫山戯るな!アーシアさんは物なんかじゃない!アーシアさんは優しくて、おっちょこちょいで、誰よりも神様を信仰していて、一誠先輩の事が好きで、そして、俺の大事な友達。そんな大事な友達のことを物扱いする奴は許さない!抹殺してやる!

 

 

「抹殺してやる!!」

 

 

俺は一気に加速し堕天使の元へと走る。

 

 

「行かせん!」

 

 

神父が大勢が前を塞ぎ邪魔をして来る。

小猫ちゃん達もまだ戦闘を続けている。

俺は立ち止まり手を地面に付け、この地下ぐらいの魔法陣を作る。

 

 

「小猫ちゃん、木場先輩!そこを動かないで下さい!」

 

「何をするんだい(ですか)?」

 

「広域殲滅魔法を使う」

 

「!?」

 

 

小猫ちゃんと木場先輩はそれを聞くとその場から離れ俺の近くまでやって来た。

その場でじっとしていてくれば大丈夫だったのだが、これは好都合。

 

 

「常闇に沈め『SHADOW』」

 

 

俺が詠唱すると魔法陣から黒いモヤが現れる。

それに触れた神父が達がどんどん沼に沈んでいくみたいに闇に呑まれていった。この魔法の特徴は一度あの闇に触れるとある程度実力が無い限り絶対に抜け出せない魔法。

この魔法で神父が全員居なくなり、残るは堕天使一人となっていた。

 

 

「嘘よ!たった一人であの神父を全滅させるなんて」

 

「次はお前だ!」

 

そう言って俺は階段を一歩ずつ歩いて行く。

 

 

「ヒッ!こ、来ないで!」

 

 

堕天使はそれだけ言って上へと逃げて行った。

俺はそれを追おうと走ろうとすると木場先輩に肩を掴まれた。

 

 

「僕達がするのはここまでだよ。後は兵藤君次第。」

 

「……そうですね。けど俺達も上に行きましょう。一誠先輩の様子を見に。」

 

「そうですね」

 

 

そうして俺達も上の教会に行った。

 

 

 

 

〜一誠side〜

 

アーシアを救助して上に行ったのだが、神器を抜かれた事により、アーシアが死んでしまった。俺が項垂れていると、

 

 

「何なのよあいつ!」

 

 

レイナーレが悪態を付きながら地下から上がって来た。

なんでレイナーレだけが上がって来てるんだ?

まさか龍斗達は!

 

 

「このクソ堕天使がぁ!!」

 

『Boost!』

 

 

俺は神器を発動し、レイナーレに殴りかかるが、レイナーレが放った槍が俺の太腿に深く刺さり足が止まってしまった。

 

 

「ぐぁ!!」

 

「お前みたいな下級悪魔を相手にしてる時間は無いわ!」

 

 

それだけ残しレイナーレは飛び去ろうとしている。

待てよ!俺の友達を傷つけて、アーシアの命を奪っておいて簡単に逃がすわけがねぇだろ!

 

 

「おい神器!お前は思いの力で強くなるんだろ!だったら俺にアーシアの仇を、あの堕天使をぶん殴れる力をよこせぇぇぇぇ!!」

 

『Boost!!』

 

俺はフラフラ立ちながら左手を天に掲げると神器が光だし、さっきまでとは違う形へと変わっていった。左手は指までドラゴンの手の様になり、色もより紅くなっていた。

俺は太腿に刺さっている槍を抜き、レイナーレに近づいて行く。

 

 

「ウソよ。動けるはずわ無いわ!全身を内側から光が焦がしているのよ!」

 

「あぁめちゃめちゃ痛ぇよ!けど俺はお前をぶん殴らねぇと気が済まないんだよ!」

 

『Explosion!!』

 

 

神器から無機質な声が出ると体中から力が溢れてきた。

 

 

「この魔力、上級悪魔クラス!?い、いや!来ないで!」

 

 

レイナーレは翼を羽ばたかせて逃げようとするが、俺は一気にレイナーレに近づき、レイナーレの腕を掴む。

 

 

「捕まえたぜクソ堕天使!」

 

「私はこの力でアザゼル様とシェムハザ様の愛を…」

 

「吹っ飛びやがれ!」

 

 

俺はレイナーレの顔面に渾身の一撃を叩き込んだ。

レイナーレは壁を突き抜け教会の外まで吹っ飛んでいった。

 

 

「ざまぁ見やがれ。」

 

 

俺は力なく倒れそうになると、両脇を誰かに支えられた。

 

 

「兵藤君お疲れ様。」

 

「一誠先輩、やったじゃないですか!」

 

 

そこには木場と龍斗がいた。2人には目立った傷は無くホッとしてしまった。

 

 

「助けに来るのが遅いんだよ」

 

「まぁこれも一誠先輩の為ですよ。」

 

「それに部長から言われていたしね。」

 

 

部長に?それって、

 

 

「そうよ。貴方なら堕天使を倒せるて信じていたもの」

 

 

声のする方を見ると部長と朱乃さんがいた。

 

 

 

 

 

〜龍斗side〜

 

 

それから俺達は一誠先輩と合流し、気絶した堕天使レイナーレを小猫ちゃんが運んで来た。

そして部長の指示で朱乃さんが水を作り、レイナーレの顔にかける。

レイナーレは気がついたのかゆっくり瞼を開ける。

 

 

「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」

 

「……お前はグレモリー一族の娘の……」

 

「えぇ、リアス・グレモリーよ。短い間だけどお見知りおきを。」

 

 

部長は酷く冷たい声でレイナーレを見下ろす。

そして懐から3枚の羽を出し、レイナーレの前に放る。

 

 

「貴方のお仲間が訪ねて来たから私が消し飛ばしてあげたわ」

 

 

それを聞きレイナーレは顔を俯かせてしまった。

 

 

「それに貴方が負けた一誠の神器はただの『龍の手』なんかじゃないわ!」

 

 

俺は一誠先輩の左腕を観る。その波動からしてあれは、

 

 

「『赤龍帝の籠手』」

 

「えぇそうよ。龍斗よく知っていたわね」

 

「まぁあれだけ有名だったら知ってますよ。十秒毎に力を2倍にする能力。その力は極めれば神すらも倒せると言うことから『神滅具』の一つになっていますから。」

 

「こんな子供に赤龍帝の籠手が……」

 

 

レイナーレは声を震わして、怯えていた。

 

 

「そ、それじゃぁ貴方は何者なの!」

 

 

レイナーレが俺に指をさして聞いたきた。

まぁどの道こいつは死ぬから教えてやろう。

 

 

「俺はリアス・グレモリー様の眷属、中島龍斗!元賞金稼ぎの『死神』だ!」

 

「ま、まさかあの『死神』なの?」

 

「えぇそうよ。この子は冥界で有名な賞金稼ぎよ。貴方がどうやっても勝てないわ。」

 

 

俺はそこまで有名になったつもりでは無かったのだが、結構有名になっているらしい。まぁ充分お金も稼いだし、今はオカケンメンバーと一緒に居る為にもう辞めたけどね。

あ、マスターに報告しないとな。最近行ってないから心配してるだろうな。

 

 

「さて、そろそろお別れの時間ね!消し飛びなさい!」

 

 

部長が滅びの魔力を溜めてレイナーレに言う。

 

 

「イッセーくん!私を助けて!この悪魔が私を殺そうとしてるの!私本当はあなt、がっ!?」

 

「お前もう死ね」

 

 

俺はレイナーレが言葉を言い終わる前に紅を抜き、レイナーレの首を切った。そして部長に頭を下げる。

 

 

「部長すいません勝手な行動を取ってしまって。けどあのままだと一誠先輩が傷ついてしまうと思っての行動です。」

 

「頭を上げなさい龍斗。貴方のやった事は正しいのよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

俺は顔を上げ、レイナーレの残骸を吹き飛ばした。

 

 

 

そしてアーシアを悪魔の駒で蘇らす為にアーシアの周りに来ていた。部長がアーシアの胸の上に僧侶の駒とを置く。するとゆっくり駒が胸に吸い込まれていきアーシアが目を覚ました。一誠先輩は泣いて喜び、アーシアも嬉しそうに一誠先輩の頭を撫でていた。

 

 

「本当によかった」

 

「そうですね。龍斗くんは行かないんですか?」

 

 

小猫ちゃんが俺の呟きを聞き聞いてくる。

 

 

「あの雰囲気の中に行けないよ。それにアーシアさんも一誠先輩と居たいと思うね」

 

「……そうですね」

 

「うん。……っ!?」

 

 

俺は走り教会を出る。そして魔力探知の範囲を広める。

 

 

「今、確かに誰か居た。」

 

 

俺は空を睨み付けるように観る。だがそこにはもう誰も居なかった。すると後ろから小猫ちゃんが走ってくる。

 

 

「龍斗くん急に教会から出るなんて何かあったんですか?」

 

「………いや、なんでもない」

 

「…そうですか。じゃぁ戻りましょう。」

 

「うん。」

 

 

俺達は教会の方へと戻って行く。

 

(なんだか嫌な予感がする。これから気をつけないと。)

 

 

 

 

 

 

〜???side〜

 

 

冥界の森に一人の男が不気味な笑い声をあげて歩いていた。

 

 

「まさか気付かれるとはね。早くあいつを殺したいな。まぁまだ殺さないがな。美味しい肉は熟成させないとね。くっくっく。」

 

 

男が歩いていると前の茂みが揺れ、ライオンの様な大きな魔物が出てきた。

 

 

「なんで人間がこんな所に。まぁいい。お前は俺の餌になるんだからな!!」

 

 

ライオンは口を大きく開け、男に襲いかかる。

 

 

「雑魚は死んでろ!」

 

「がっ!?」

 

 

男は腰に差していた剣を抜き、一振する。それだけで魔物は真っ二つになり、絶命した。

男は剣の血を払い剣を収める。

 

 

「あぁ早く殺したいな…………中島龍斗!」

 

 

そう呟き、暗い森へと消えていった。

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
いかがだったでしょうか?


次回は小猫ちゃんとのデート回です。
甘甘な感じで書ければいいなと思っています。
それと龍斗くんの悩みも解消します。


それではおやすみなさい( ´ ▽ ` )ノ


感想・評価待ってます。


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デート(仮)

〜龍斗side〜

 

 

堕天使の事件から数日が経ち、俺は今公園である人を待っている。待ち合わせ時間の30分も前に来てしまい時間を持て余していた。

 

 

「早く来すぎたな」

 

 

俺はベンチに腰をかけ、上を向き掌で目を覆う。

 

 

「最近色々あったな……」

 

 

俺は最近起こった出来事を思い出していた。正体がバレた事、居場所ができた事、悪魔になった事、アーシアさんを助けた事。本当にこの短期間で色々とあった。これが数週間で起こったとは思えない程濃い内容だった。

何より、俺に居場所をくれた部長達には感謝しきれない。

 

俺は自分の手を観る。

俺の過去を話した時に、俺が泣き止むまで手を握ってくれた小猫ちゃん。あの手は本当に暖かく、ずっと握っていたかった。

 

 

「…はっ!何を考えてるんだ俺は!これじゃぁ変態じゃないか!」

 

 

俺は勢い良く立ち上がり頭を抱えた。

 

 

「ねぇお母さん。あの人突然どうしたの?」

 

「しっ!見ちゃいけません」

 

 

近くにいた家族がそそくさと逃げるように行ってしまった。

 

(は、恥ずかしいぃぃぃぃ!!)

 

俺は顔を覆い、再びベンチに腰をかける。

幸いあの家族しか公園に人は居なく、少しホッとした。

公園は休日にも関わらず人は居なかったが、風で葉を揺らす音が新鮮で心地よかった。

そしてもう一度手を観る。

小猫ちゃんの温もりが忘れられない。変態と思われるかもしれない。けどあの時の俺にとって、あの手の温もりは俺の心に深く刻まれている。もう一度握って貰いたい。その思いが胸いっぱいになる。

 

 

「握ってほしいな………」

 

「龍斗くん?」

 

「うひゃっ!?」

 

 

突然声をかけられ、声が裏返り変な声をあげてしまった。

 

 

「そんなに驚くとは思いませんでした」

 

「ご、ごめん。あ、それとこんにちは小猫ちゃん」

 

 

声をかけて来た人は、待ち合わせをしていた小猫ちゃんだった。

 

 

「はい。こんにちは龍斗くん。それでさっき何か呟いていたみたいですけど、何を言ってたんですか?」

 

「え!?な、なんでもないよ!」

 

 

き、聞かれてた……恥ずかしいぃぃぃぃ!!

けど内容までは聞かれて無かったのがよかった。聞かれてたらもう小猫ちゃんに顔を見せられなくなる所だった。

 

 

「…そうですか」

 

「うん。そ、それじゃぁ行こうか」

 

「はい」

 

 

無理矢理誤魔化しながら、公園出た。

 

 

 

 

 

今日は小猫ちゃんと約束していた、ケーキバイキングに行くのだが、まだ正午になっておらず、お腹も減っていなかった。

 

 

「小猫ちゃん。まだ正午まで時間あるし、買い物にでも行かない?」

 

「はい。行きましょう」

 

 

小猫ちゃんも快く承諾してくれたので俺達は近くにある大きなショッピングモールへと足を運んだ。

 

その二人を監視する様に複数人が後を付けていた。

 

 

~???side〜

 

 

「小猫ったら嬉しそうね」

 

「あらあら、初々しいですわね」

 

「龍斗くんも楽しそうですよ」

 

「畜生!羨ましいぞ龍斗!」

 

「イッセーさんもデートしたいんですか……そ、それでしたら……わた………はうぅ!」

 

バタッ。

 

「アーシア!?」

 

 

そこにはお馴染みのオカルト研究部のメンバーがいた。全員変装をしているが、サングラスを掛け、マスクで口を覆っている為、明らかに浮いており、通行人は避けるように歩き、親子は足早にその場を去っていた。

 

もちろんそんな格好をしてこそこそと歩いていれば、当然あの人がやってくる。

 

 

「ねぇ君たち、ちょっといいかな?」

 

「「「「「…………………………」」」」」

 

 

そう、それは警官である。リアス達は警官をチラリと見ると、

 

 

「逃げるわよ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

 

リアス達は全力疾走で走り出す。

 

 

「こら!待てー!」

 

 

警官もそれを逃がさんと走り出す。これから、オカルト研究部(龍斗・小猫抜き)VS駒王町の警官によるリアル鬼ごっこが開催されるのだった。

 

 

「何か後ろが騒がしいけど何かあったのかな?」

 

「?さぁどうなんでしょう?」

 

 

龍斗と小猫はその事を知らずにショッピングモールに向かうのだった。

 

余談だが、オカルト研究部VS駒王町の警官のリアル鬼ごっこの勝敗は人気のない所に行き魔法陣で部室に転移したオカルト研究部に軍配が上がったが、イッセーは転移出来ない為、1日中追いかけ回されていた。イッセーも無事に巻いたが、体力が切れて次の日、筋肉痛で悩まされたそうだ。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

〜龍斗side〜

 

 

俺達はショッピングモール前まで来ていた。

 

 

「まず服でも買いに行く?」

 

「はい、行きましょう」

 

 

俺達はショッピングモールに入り、2階にある服屋に向かった。

服屋に着き中に入る。

 

 

「…あの龍斗くん」

 

 

小猫ちゃんが何故か申し訳なさそうに言ってきた。

 

 

「ん?どうしたの?」

 

「あの、龍斗くんってどうやって服を選んでいるんですか?」

 

「どうやって?」

 

「その……目が見えないのにどうやって選んでいるのかなって………」

 

「あぁそれはね、」

 

 

俺が小猫ちゃんに質問の答えを言おうとした時、

 

 

「あ、龍斗くん今日はどうしたの?」

 

 

この服屋の店員が俺に話しかけて来た。

 

 

「お久しぶりです店長」

 

「久しぶりだね。」

 

「龍斗くんこの人は?」

 

「あぁ、紹介が遅れたね。この人はここの店長で柊さん。俺の目の事を知ってる人だよ」

 

「こんにちは。私は柊香織って言うの。宜しくね。それにしても龍斗くん、今日はデート?」

 

 

店長が肘で俺の腕をつつき、からかってくる。

 

 

「ち、違いますよ!クラスメイトと遊びに来てるだけですよ!」

 

「なんだ詰まらないな」

 

「デ、デート…………」

 

 

小猫ちゃんがそう言って黙ってしまった。

もしかしてデートって言われたのが嫌だったのかな?

そうだよね最近まで嫌な奴だったもんね俺。

 

 

「ふ〜ん。満更でも無いのか。」

 

 

ん?店長が何か呟いたけど小さすぎて聞き取れ無かったぞ。

 

 

「店長今なんて言いました?」

 

「いや、なんでも無いよ。それで今日は忙しいから一緒に着いてあげられないけどその子が居るんだったら大丈夫よね。」

 

「なんの話ですか?」

 

「あぁそうだね説明しないとね。龍斗くんが服を選ぶ時って店員を1人着けて、案内してるの。流行りの服とか、服の色とかもね。まぁ龍斗くんは黒が好きみたいだから放っておくと真っ黒になっちゃうのよね。あれなんとかならないの?」

 

「そんな事言われても、黒が好きなんですよ」

 

「はぁ。まぁそういう事だがら。龍斗くんが真っ黒にならない様にしてあげてね。それじゃぁ私は戻るわね。それではごゆっくり〜」

 

 

それだけ言って店長は奥の方へと行ってしまった。

 

 

「小猫ちゃんもあんまり無理しなくていいよ。嫌だったら嫌って言ってね」

 

「そんな……私は龍斗くんの服を選んであげたいです」

 

「え?いいの?」

 

 

まさかそう言って貰えるとは思っていなかったので素で嬉しかった。こんなめんどくさい作業を受けてくれるなんて小猫ちゃんは優しいね。

 

 

「はい」

 

「俺服のセンスないから選んで貰えると助かるよ」

 

 

さっき店長が言ってた通り、俺が服を選ぶと何故か真っ黒になり、いつも店長に止められていた。けど仕方ないじゃないか!黒が好きなんだもん!

 

 

「そんな事無いです。今の服装も………似合ってます…」

 

「あ、ありがとう。そう言って貰えると嬉しいよ。それと俺には見えないけど小猫ちゃんの服装も……に、似合ってると思うよ。こ、小猫ちゃんって学園では、か、可愛いって評判だし……」

 

 

俺は噛み噛みになりながらも小猫ちゃんの服装も褒める。俺には見えないけど、さっきから周りの人の視線が小猫ちゃんを向いているから、多分相当可愛いんだろう。多分俺なんて釣り合わないんだろうな。………な、何を考えているんだ俺は!小猫ちゃんはただの友達。釣り合う釣り合わないの問題じゃない!

 

 

「ヒューヒュー、お熱いね!」

 

「「!?」」

 

 

俺と小猫ちゃんがビクッ!と体を震わし、声のする方を見ると、店の済から俺達を覗いている店長の姿が観えた。

 

 

「は、早く仕事に戻って下さい!!」

 

「おーコワイコワイ」

 

 

店長はそう言って奥のへと消えていった。

本当にあの人は忙しいのかよ!

小猫ちゃんの方を向くと小猫ちゃんは俯いたまま黙っていた。

 

 

「そ、それじゃぁ服見に行こうか」

 

「は、はい……」

 

 

そうして俺達は服を選びに奥のへと入っていった。その間俺はドキドキが止まらなく、全然服選びに集中でき無かった。だが、時間が経つにつれて収まり始めてなんとか通常に戻った。

そして俺達は服を買い終わり、店長に挨拶をして店を出た。

 

 

「本当に龍斗くんって黒が好きなんですね。柊さんの言った通りすぐ真っ黒になりましたし」

 

「う、だって黒はなんかカッコいいじゃない?」

 

「そうですか?」

 

「そうだよ!服の汚れも目立たないし」

 

 

はっきり言って汚れが目立たないのが一番の理由だ。汚れが着いているとか俺にはわからないからそれだったら汚れが分かりにくい黒にすればいいんじゃね?と思ったのがきっかけだった。

それから俺達は一頻り服屋の前で話をして次の店へと向かった。

 

 

次に俺達が向かったのはアクセサリーショップだ。

ここの店はシルバーものを主に置いている店だった。

俺達はそれぞれ見て回っていた。

俺は何かいい物はないかと探していると、

 

 

「ん?このネックレス」

 

 

そこには二つの指輪が付いたネックレスがあった。

 

 

「それに目を向けるなんてお客さんお目が高いね」

 

 

その店の店員が俺に話しかけてきて、そのネックレスを俺に渡す。指輪を触って見ると、その指輪は凄い装飾がされており、いかにも高級っていうものだった。

たぶんこの人は真心を込めて大事に作ったんだろう。そんな暖かみが感じ取れた。

 

 

「このネックレス俺の自信作なんだよ」

 

「これを貴方が作ったんですか!?」

 

 

俺は素直にびっくりしていた。これだけ細かい装飾を作った人に会えるなんて思ってもみなかった。

 

 

「そうだ!」

 

「凄いですねこの装飾。なんかこの指輪を触っていると心が暖かくなります。この指輪には魂が篭っているみたいに」

 

 

俺は思った事をその店員に告げる。

それだけ丁寧に作られていた。これ1つ製造するのに莫大な時間を費やしているのがわかる。

 

 

「お、お前わかるのか?」

 

「え?」

 

 

店員が声を震わせていた。

なぜ?俺はそんな事を思ってもいると店員がゆっくり話始めた。

 

 

「あぁ。それは俺の魂が篭っている。それも他の作品よりずっと。その指輪2つ付いているだろ」

 

「はい」

 

「それの1つが俺の作ったやつ。お前が今触っている指輪が俺の作ったやつだ」

 

 

 

俺は指輪をもう一度触った。

そこで俺はさっき店員が言った事に疑問を覚える。

 

 

「1つ?2つじゃなくて?」

 

「あぁ。俺が作ったのはその1つだ。それでもう一つは……俺の嫁が作ったものだ。」

 

 

それを聞き俺はもう一つの指輪を触る。こっちは装飾はあまり無かったが全体的に滑らかで外に何か文字が彫り込まれていた。

 

 

「まさに愛の共同作業ですね。だからこんなに暖かみがあるんですね」

 

「そうだな。俺はこの指輪にあいつへの愛を全て注ぎ込んで作った。あいつもそれに答えてくれてそれはもう頑張って作ってくれたぜ!これ作るのに一年掛かっちまった。」

 

「え!?そんなに掛かったんですか?」

 

「あぁ。あの時は無我夢中でこれを作っていたんだよ。まさかあいつが死ぬギリギリまでこれを作っていた事にも気づかずによ」

 

 

その瞬間俺は息が止まったかと思った。

同時にやってしまったとも思った。

まさかこの人の奥さんがもう亡くなっているなんて思いもしなかった。最初はいい話だなと思って聞いていたがまさかそんな事を聞いてしまうなんて。

罪悪感が俺の体を支配する。そして指輪を観る。先程まで軽々と持っていた指輪が急に重たく感じる。本当に重く感じる。

 

 

「すいません」

 

 

俺はすぐ様頭を下げる。

 

 

「いいよ俺が勝手に話しているだけだしな。だから頭を上げろ」

 

 

俺はゆっくりだが顔をあげる。それを確認したのかゆっくりと話し始める。

 

 

「俺の嫁はこれに本当に命を吹き込んだんだ。馬鹿だよなあいつも俺も。こんな鉄にどれだけ命を費やしてんだよ。まぁこれはあいつの形見でもあったんだ。この指輪を見るとあいつといる様な気分になるんだ。」

 

「……………」

 

 

俺はそれを黙って聞いていた。ここで同情や励ましの声をかけるべきという人がいると思うが俺は絶対しない。してはいけない。大切な人を失った悲しみを知っているからこそ俺は言わない。この人は同情や励ましの声をかけて貰いたくて話している訳じゃない。話したくて話しているのだから、俺はしっかりと聞かなくてはならない。それが俺に出来る唯一の事だから。

 

 

「このネックレスは売る気なんて更々無かった。だってどんな奴もこれの外面だけを見て内面を見ようとしなかったからな。けどお前さんは初めてこの指輪の内面の見てくれた。俺達の最高傑作を。俺嬉しくてな。この指輪を暖かいって言ってくれた時。だからこれはお前にやるよ!」

 

「え!?そんな受け取れないですよ!」

 

「そう言わずに受け取ってくれよ。こいつもお前が持っていた方が幸せだろう。それに、もしあいつがいたらそうするだろうしな。初めて俺達の思いが詰まった作品を観てくれたんだ。それをあの子にプレゼントしてやりな」

 

 

そう言ってその人は小猫ちゃんの方を向く。

俺も釣られて小猫ちゃんを観る。

まだアクセサリーを選んでいるのかアクセサリーを手に取ったりしている。

 

 

「彼女なんだろ?」

 

「ち、違います!彼女は友達です」

 

「…そうか。けどあの子にプレゼントしてやりな。あの子も喜ぶだろうしね」

 

「で、でも……」

 

「いいから貰っておけ!返品は出来ないからな!」

 

「……わかりました。ありがたく貰っていきます」

 

「おう!そう言えばお前名前はなんて言うんだ?」

 

「中島龍斗ですけど」

 

「そうか。龍斗。今は駄目でもいつかは言ってやれ。それじゃないと後悔するぞ。まぁ俺は後悔しか残っていないが」

 

 

それってどういう意味だ?

今は駄目でもいつかは言ってやれ?

後悔する?何を?

 

 

「ふふ、今は悩め。それで自分で答えを見つけろ」

 

「は、はい」

 

「それじゃぁな。俺はそれ以上の物を作りたくてウズウズしてるんだ。それと……話を聞いてくれてありがとうな」

 

 

そう言ってその人は奥へと消えて行った。

俺は指輪をもう一度触った。そして彫られている文字を読む。

 

 

「……………………」

 

 

俺はその文字を読むとそのままレジへ行き、袋に包んで貰って鞄の中に入れた。

 

その指輪には『viel zusammen』と彫られていた。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
いかがだったでしょうか?

小猫ちゃんとのデート回が予想以上に長文となってしまったので分割して投稿します。多分明日くらいには投稿出来ると思います。


それではさようなら( ´ ▽ ` )ノ

感想・評価待ってます。


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贈り物

~龍斗side~

 

 

アクセサリーショップでの買い物を終え、ショッピングモールの中を歩いていた。

 

 

「どうだった?いいのあった?」

 

「はい!この猫の髪留めとか!」

 

 

小猫ちゃんが嬉しそうな声で髪留めを付けていた。

俺はあの後、ドクロのピアスを購入しそれを付けていた。

勿論耳に穴は空けて無いよ。今流行りのマグネットのやつだからね。

 

 

「龍斗くんのそのピアス似合ってますよ」

 

 

小猫ちゃんがそんな嬉しい事を言ってくれた。

 

 

「ありがとう小猫ちゃん。小猫ちゃんも似合ってるよ」

 

 

そう言って俺は小猫ちゃんの頭を撫でる。

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

小猫ちゃんは恥ずかしかったのか俯きながら小さくお礼を言ってくれた。

俺はそんな小猫ちゃんの反応を観て急に恥ずかしくなって慌てて撫でるのをやめる。

 

 

「あ、………」

 

 

小猫ちゃんが残念そうな声をあげる。

え?今の反応なに?

なんか残念そうな声あげたけどそういう訳なの?

や、やばい。胸がドキドキしてやばい。

な、何か話をしなくては!

 

 

「こ、小猫ちゃん。そろそろお腹空いて来たからケーキバイキングに行こう」

 

「は、はい。行きましょう」

 

 

俺達はショッピングモールでの買い物を終え、ケーキバイキングの店へと向かった。

店に行く途中、俺達は何も会話をせずに歩いていた。

小猫ちゃんは俺の半歩後ろを歩いている。この距離感がどこかデートをしている感を醸し出して俺は余計に話しかけれなかった。

何か話さなければと思えば思う程話題が出でこず小猫ちゃんをチラリと観る。小猫ちゃんも少しモジモジしながら歩いている。

俺はどうしたらいいのかわからず頭を抱えていた。

すると、前方から、

 

 

「きゃっ!やめて下さい」

 

 

と言う声が聞こえ、前を観て見ると、一人の女性を複数の男性が取り囲んでいた。

 

 

「いいじゃん。どうせ暇なんだろ」

 

「俺達と遊ぼうよ」

 

「嫌です!放して」

 

 

女性が嫌がって掴まれた手を振り解こうとするが男達はそれを拒み手を放さなかった。それどころか手を引っ張り何処かに連れて行こうとしていた。

 

 

「い、いや…やめて下さい」

 

「いいから来い!あっちでいい事しようぜ!」

 

「う、嘘。い、いy、フグッ!?」

 

「クソ、暴れんじゃねぇ!」

 

 

男達は女性の口を抑え連れ去ろうとする。

 

 

「ちょっと待って下さい!」

 

「あぁ?なんだてめぇ」

 

 

いつの間にか体が動いていて男の肩を掴んでいた。

 

 

「その子凄く嫌がっているじゃないですか。放してあげて下さい」

 

「お前には関係ねぇだろ。それともなんだ、お前は正義のヒーロー気取りの痛い奴か?ハハハ、ウケる。マジこいつ頭イカレてるぞ」

 

 

男が笑うと周りにいた男達もつられて笑いだす。そして男達が俺を周りを囲う様に集まって来る。

 

 

「ちょっと痛い目に合って、そのイカレた根性を叩き直してやるよ!」

 

 

そう言って男達は一斉に殴りかかって来る。

俺はそれをヒラヒラと躱していく。

 

 

「クソ!避けてんじゃねぇ!」

 

「いや、避けないと痛いでしょ」

 

「てめぇふざけてんじゃねーよ!」

 

 

男達はより一層怒り殴りかかって来るも、俺はそれを全て躱す。普段悪魔等と戦っている俺にとってはこんなチンピラのパンチなんて絶対に当たらない自信があった。

男達は当たらない事によりイライラし始め、周りの様子が見えなくなっていた。俺は男達を相手にしながら、なるべく人通りが多いところへと誘導していた。そして人通りが多いところに出ると、チンピラの拳を腹に貰ってしまった。

 

 

「はぁはぁはぁ、やっとあたりやがった。」

 

「手間取らせやがって、このクソ野郎!」

 

 

そう言い男が俺の腹を蹴って来る。俺はそれを腕をクロスさせてガードすると男達は全員で蹴り始めた。だがそれに待ったをかける人がやって来た。

 

 

「そこの君達!やめなさい!」

 

 

そこには警官が複数いた。

 

 

「げ、サツだ。おい逃げr、ガッ!」

 

 

男達が警官を見て逃げようとした時俺は男達のリーダー的な奴を組み伏せる。

 

 

「放せこのクソ野郎!」

 

「嫌だね。さっきお前らもあの子を放さなっただろ。それにお前ら周りをよく見ろよ。こんな所で喧嘩してたら警察呼ばれるに決まってるだろ。」

 

 

男達は俺の言葉にはっとなり周りを見回す。周りには多くの人が俺達を見ていた。

 

そして男達を警察に引き渡し、少しの間事情聴取をされて開放された。小猫ちゃんの所に戻ろうとすると、

 

 

「あの!」

 

「ん?」

 

 

後ろから声をかけられ振り向くと、さっきチンピラに絡まれてた女性がいた。

 

 

「あのもしかして中島くん?」

 

 

なぜ俺の名前を知っているのかと思ったが、この声に聞き覚えがあり、思い出してみる。そして思い出した。

 

 

「もしかして桜井さん?」

 

 

同じクラスにいる桜井さんだった。彼女は大人しく口数が少ない大人しい子だ。

 

 

「先程は危ないところを助けてくれてありがとうございました」

 

 

そう言って頭を下げてくる。

 

 

「いや、俺はそんな大したことはして無いよ。だから頭をあげてよ」

 

「けど…」

 

「本当に大したことはしてないから。けど桜井さんは大丈夫だった?」

 

「はい。私は平気です。それだったら中島くんも大丈夫何ですか?さっき殴られてたみたいだけど」

 

「大丈夫だよ。俺鍛えてるから。…それじゃぁ俺人待たせているからもう行くね」

 

「はい。今日は本当にありがとうございました」

 

「はは、どう致しまして。それじゃぁバイバイ」

 

 

俺はそれだけ言って足早にその場を後にした。

 

小猫ちゃんの元へ戻るとベンチに腰をかけて待っていてくれていた。俺は怒られる覚悟を決め、小猫ちゃんに近づく

 

 

「ごめん小猫ちゃん!急に居なくなって」

 

「いえ、それよりも大丈夫ですか?」

 

 

俺は怒られると思っていたが、小猫ちゃんは起こるどころか俺の体の心配を真っ先に気にしてくれた。

 

 

「え?大丈夫だけど……怒って無いの?」

 

「怒ってませんよ。龍斗くんのした事は正しい事ですから」

 

「そう言って貰えると嬉しいよ。それじゃぁちょっと遅れたくれたけど行こうか!」

 

「はい」

 

 

そうして俺達はケーキ屋に再び向かい始めた。

 

 

 

 

ケーキ屋に着き俺達は席に案内されると小猫ちゃんが俺の分のケーキを取って来てくれるという事で席を立っていた。俺はその間に店員を呼び飲み物を頼んだ。

少しして小猫ちゃんがお皿に山盛りにしたケーキを運んでた。

 

 

「…凄い量だね小猫ちゃん」

 

「大丈夫です!私が全部食べますから。あ、これが龍斗くんの分です」

 

 

小猫ちゃんが俺の前にケーキの乗ったお皿を置く。それには三つのケーキが乗っており、形的に1つはショートケーキと言うのは分かるが後の2つがわからない。すると小猫ちゃんがケーキを指さして種類を教えてくれた。

 

 

「これがショートケーキで、これがチーズケーキ、これが洋梨タルトです」

 

「ありがとう!それじゃぁ食べようか」

 

「はい!」

 

「「いただきます」」

 

 

まず俺はチーズケーキを一口食べる。味が濃厚でとても美味しい。もう一口。この濃厚さが堪らん!けどいっぱい食べると飽きちゃうんだよね。チーズケーキは偶に食べるからこそ美味しく感じるんだよな。

そこで小猫ちゃんをチラリと見ると、さっきまで山盛りだったケーキがもう半分になっていた。

おかしいな。俺まだチーズケーキの半分も食べて無いよ。いつのまにそんなに食べたの?

俺はある意味戦慄を覚え、考えるのをやめた。

俺がチーズケーキを食べ終わった頃には、小猫ちゃんのもうお皿にケーキは残ってなかった。

すると俺の視線に気がついたのか小猫ちゃんは俯きながら、

 

 

「……やっぱりこんなに食べる女の子は嫌ですか?」

 

 

不安げに聞いてくる。

俺は首を振り答えた。

 

 

「嫌じゃないよ。やっぱり好きなものなるといっぱい食べちゃうもんね。俺もラーメン好きなんだけど、よく麺大盛りにもやしをトッピングして食べてるもん。だから気にしないで食べて」

 

「……はい。ありがとうございます!それじゃぁ私おかわりして来ますね」

 

 

そう言って小猫ちゃんはケーキを取りに行ってしまった。

俺は洋梨タルトを一口食べる。

 

 

「うん!美味い!」

 

 

その後小猫ちゃんがまたお皿いっぱいにケーキを持って来たのは言うまでもない。

 

 

 

 

ケーキを食べ終わり俺達は頼んでおいた紅茶を飲みながらたわいない話をしていた。

 

 

「ショートケーキの苺って先に食べる?」

 

「私は最後に食べます」

 

「俺は先に食べるかな。やっぱ好きなのは一番最初に食べないとね」

 

「絶対に最後です!」

 

「ハハハ。まぁそれは永遠の議題になるね。最後に食べるか、最初に食べるかは」

 

「そうですね」

 

 

俺達は微笑み合い紅茶を少しだけ飲む。

やっぱりケーキの後は紅茶だね。あの甘ったるい後味がスッと消えていく。それにしてもここの紅茶も美味しいな。また今度来ようかな。

 

 

「龍斗くんちょっといいですか?」

 

「なに?」

 

 

急に小猫ちゃんが声をかけてくる。その声はどこか真剣みを含んでいるようだった。

 

 

「さっきの事ですが」

 

 

さっきの事?あぁ!あのチンピラから桜井さんを助けた事か!それがどうしたんだろ?

 

 

「なんでやり返さなかったのですか?龍斗くんの実力ならあの人達だって簡単に倒せるのになんでやり返さずにわざと殴られたりしたんですか!」

 

「…………………………」

 

 

俺は無言で返した。

確かにあのくらいだったら怪我をせずに無力化する事は簡単に出来る。けど、

 

 

「小猫ちゃんの言う通り、あのくらいだったら簡単に倒せることは出来るよ」

 

「ならなぜですか?」

 

「俺はもう人を傷つけたくないんだよ」

 

 

俺は重々しい口を開け話し始めた。

 

 

「話したと思うけど俺は1回人を殺しているんだよ。その時俺は仁さんと約束したんだ。絶対に人を傷つけないって。それから俺は人間には一切手を出してない。それと困っている人がいれば助ける。俺はそれしか罪滅ぼしが出来ないからね…」

 

「すいませんそんな事聞いて」

 

「いいよ。別に気にしてる訳じゃないし!よし、重い話はここでお終い!それよりも楽しい話をしよう!」

 

「…はい」

 

「もう小猫ちゃん暗い声出してるよ!ほら笑顔、笑顔!」

 

 

俺はそう言って小猫ちゃんの頬を引っ張る。

 

 

「龍斗くん痛いです」

 

「小猫ちゃんが笑わないからいけないんだよ!」

 

「笑いますからもう引っ張らないで下さい!伸びてしまいます」

 

 

俺達はひとしきり騒いで、ケーキ屋を出た。

 

 

それから俺達はゲームセンターに行き、夕方まで遊んでいた。そして待ち合わせしていた公園まで戻って来てベンチに腰をかけていた。

 

 

「小猫ちゃん今日は楽しかった?」

 

「はい!凄く楽しかったです」

 

「それはよかった…」

 

 

それを聞き俺は心からホッとした。俺はこんなに友達と遊んだ事がなくて、もしつまらなかったらどうしようかと思っていた。

 

 

「ねぇ龍斗くん」

 

「ん?」

 

「目のことクラスの人に言いませんか?」

 

「え!?」

 

 

小猫ちゃんがいきなりそんな事を言い出した。

 

 

「急にどうしたの?」

 

「私ずっと考えていました。今日龍斗くんが人助けした事、人を傷つけたくないって言った事。……龍斗くんは優しいです。だから本当の事を話して、本当の龍斗くんを見て欲しいんです。」

 

「……俺には小猫ちゃん達がいるからいいよ。小猫ちゃん達でも俺の本当を知っててもらえれば」

 

「それじゃぁ龍斗くんがかわいそうです。こんなに優しい人なのにあんな扱いを受けるなんて……私嫌です…」

 

「小猫ちゃん………」

 

 

小猫ちゃんがそれだけ言って俯く。

怖い。もし本当の事を話してまたいじめられたら小猫ちゃんにも被害が出るかもしれない。それだけは何としてでも避けたい。だったら話さない方が安全なんだ。今まで通り俺が傷つけばいい。

でも……

 

 

「……もし受け入れてもらえなかったらどうするの?」

 

「その時は私が殴ります!」

 

「え?」

 

「こんなに優しい龍斗くんをいじめる人は私が殴ります!」

 

「そんな事をしたら小猫ちゃんまで」

 

「そしたら私達一緒ですね」

 

「一緒?」

 

「はい。イジメられ同士です。だから私は龍斗くんと一緒に居ます。勿論部長達も一緒です。龍斗くんを決して一人にしません!」

 

「小猫ちゃん…」

 

 

『一人にしません』と言う言葉が俺の胸にストンと落ちてくる。と同時に心が暖かくなる。

俺は本当に小猫ちゃんに助けてもらってるな。いつも小猫ちゃんが俺の心を暖かくしてくれる。小猫ちゃんは本当に大切な『友達』だ。

 

 

「わかったよ。明日みんなに言ってみるよ」

 

「本当ですか!?」

 

「うん。小猫ちゃんにここまで言われたら漢して断れないよ」

 

「龍斗くん……」

 

 

俺は上を見て、見える筈の無い夕日を見ようとする。やはり夕日は見れないかったが、どこか小さな光が見えたような気がした。視線を落とし、俺の手を観ると微かに震えていた。

やっぱり怖い。怖くて仕方ない。俺の過去がまた繰り返されそうで。

考えれば考える程、震えは大きくなっていた。俺は震えを止めようと手に力を入れるが止まらなかった。そこでスッと手を何か覆う。

 

 

「大丈夫です。私がついています」

 

 

それは小猫ちゃんの手だった。俺の手を優しく包んでくれていた。やはりその手は暖かく、俺の冷たくなっていた心を温めてくれているみたいだった。

 

 

「ありがとう小猫ちゃん……もう少し握ていてもいいかな?」

 

「はい」

 

「ありがとう」

 

 

俺は小猫ちゃんの手を握る。指がすらっとしていて、柔らかくて、小さいさな手。だけどどこか暖かい手だった。俺は小猫ちゃんの暖かさを求めるように様に手を握った。小猫ちゃんも何も言わずに握り返してくる。いつの間にか震えは止まっていた。

それから俺は数分小猫ちゃんの手を握り続けていた。そして名残惜しかったのだが俺は小猫ちゃんの手を離す。

 

 

「ありがとう小猫ちゃん」

 

「どう致しまして」

 

 

もう日が落ち、辺りは暗くなっている時間帯だった。

 

 

「もう遅いし、帰ろうか」

 

「そうですね」

 

「本当に今日はありがとうね」

 

「いえ、こちらこそありがとうございます」

 

「それじゃぁばいばい」

 

「はい。さようなら」

 

 

俺達はそこで別れ、それぞれの家へと帰って行った。

俺は家に帰り、シャワーを浴びてベットに倒れ込む。

 

 

「………そういえば握ってしまったな……」

 

 

俺は小猫ちゃんの手の事を思い出していた。

朝思っていた事が本当になるなんて。小猫ちゃんの手柔らかかったな。それにスベスベしてたし。

 

 

「…はっ!だから変態じゃねぇか!」

 

 

又しても自分が変態的な事を考えていましい顔を枕に埋めた。そしてもう一度手を観る。

小猫ちゃんの手の感触が今でも残っている。

 

 

「明日……」

 

 

明日の事を考えまた怖くなってくるが、手は震えなかった。多分小猫ちゃんの手の感触がまだ残っているせいだと思う。

 

 

「本当に小猫ちゃんには感謝しきれないね。……よし!明日もあるし今日はもう寝よ」

 

 

俺は布団を被り眠りにつくのだが眠れず結局は夜中まで起きていた。

 

 

 

 

そして今日がやって来てしまった。何時もの時間に起きたがどこかそわそわしていて何かやっていないと落ち着かなかった。朝食を食べ終わり、もう行こうとすると家のチャイムが鳴る。俺は急いで玄関に行き扉を開ける。

 

 

「おはようございます龍斗くん」

 

「やっぱり小猫ちゃんか。おはよう」

 

「来るの分かってたんですか?」

 

「なんとなくそんな気がしていただけだけどね」

 

 

本当になんとなくだった。けど何故か確かな確証があった。本当に何故そんな事を思ったのかわからない。

 

 

「今から準備するから、中で待っていてよ」

 

「はい。お邪魔します」

 

 

俺は小猫ちゃんをリビングまで案内し、登校する準備をした。

準備が終わりリビングへ行くと小猫ちゃんが何かをじっと見ていた。そこには1つ写真立てが置いてあった。

 

 

「それがどうかしたの?」

 

「この写真に写っているのは龍斗くんですか?」

 

「そうだよ。それでその横に居るのが仁さん」

 

「この人が」

 

「うん。俺の育ての親だよ」

 

「顔似てますね」

 

「そうなの?」

 

「はい。面影があります」

 

「たまたまでしょ。それより準備出来たから行こうか」

 

「そうですね」

 

 

俺達は家の戸締りをし、学校へと登校して行った。

 

 

学校に着きまず担任の先生の所に行き、目のことを話すと伝える。

 

 

「そうかい。やっとその気になったんだね。わかった朝のHRの時に時間を作るから」

 

「ありがとうございます」

 

「それにしても何故言う事にしたんだい?」

 

 

俺は小猫ちゃんの方を少し観て先生に言う。

 

 

「大切な『友達』に背中押されたので」

 

 

それを聞き先生は小猫ちゃんを見て少し笑い、

 

 

「そういう事か。ふふふ、まぁ頑張ってね」

 

 

それから俺達は先生との話を済ませて教室に向かった。そしてそれぞれの席に着き、時間が来るの待った。そして、チャイムが鳴る。

俺の心臓がキューっと締め付けられる感覚にあい、少し息苦しくなる。手が震える。足が震える。体が震える。それはまるでこれからすることに拒絶反応を起こしているみたいだった。俺は自分の手を握り締める。そして小猫ちゃんの言葉を思い出す。

 

『一人にしません』

 

それを思い出し深呼吸をする。震えは最初よりかはだいぶマシになっていたが止まっていなかった。

そして扉を開く音が聞こえ、先生が入ってきた。

それを聞き心臓がドクンと跳ねる。

 

 

「みんな来てるね。それじゃぁHRをはじめる前に龍斗くんからみんなに話があるそうですよ」

 

 

俺はそれを聞き、俺は席を立ち教壇に上がる。

教壇に上がり周りを観るとクラス中がどこかヒソヒソと何かを話していた。その光景を観て本当に受け入れて貰えるのか心配になって来る。心臓はさっきから破裂するんじゃないかと思うぐらいドクンドクンと音を立てて動いている。そして小猫ちゃんのいる席を観てしまう。そしてもう一度あの言葉を思い出し、口を開く。

 

 

「え、え〜と、今日はみんなに話があって………」

 

 

そこで詰まってしまう。まだ引き返せる。まだ傷つかなくて済む。そんな感情が俺の頭を支配する。

クラスのみんなも急に黙った為ザワザワと騒がしくなる。

呼吸がしづらくなり、肩で息をしている。体も震えている。

 

(やっぱり駄目だ)

 

そう思ったその時、

 

 

「龍斗くん!」

 

 

俺の名前を呼ばれ、観てみると、小猫ちゃんが席を立ちこっちを向いていた。

 

 

「逃げちゃ駄目です!」

 

 

その言葉が胸に突き刺さる。

俺は昨日小猫ちゃんと約束までしていたのに土壇場になってやめようとしていた。なんて馬鹿なんだ!小猫ちゃんは俺の為にあんなことまで言ってくれたのに…ごめん小猫ちゃん。俺小猫ちゃんとの約束破るところだった。俺はもう逃げないよ!小猫ちゃんの為にも。

俺はもう一度深く深呼吸をし、クラスを観る。

 

 

「話というのは、俺は目が見えない事です」

 

 

それを聞きクラス中がざわつく。

 

 

「俺は目が見えません。昔これのせいでイジメられた事があります。だからみんなには隠していました。ごめんなさい!そしてみんなに気分を悪くするような態度をとってごめんなさい!…これからは皆と仲良くしていきたいんです。こんなどうしようもない俺ですが、仲良くして下さい!」

 

 

俺は言える事は全部言い頭を下げた。

クラスはシーンと静まり返っていた。

やっぱり駄目だったのかな?と思っていると、

 

 

「本当に目が見えないの?」

 

 

恐る恐るだが、声をかけられる。

 

 

「はい。俺はみんなの顔が認識できません」

 

 

それを聞きクラスがざわつく。そして、

 

 

「中島くん!」

 

 

俺の名前を呼ばれ向くとそれは桜井さんだった。

 

 

「私は最初は中島くんが怖くて仕方がありませんでした。……でも昨日不良に絡まれた時助けてくれて本当に感謝しています。だから………私で良かったら仲良くして下さい!」

 

 

その言葉は俺が期待してやまなかった言葉だった。

何年待ったんだろうこの言葉。本当に欲しかった言葉がやっと俺に来てくれた。

一気に胸から熱いものがこみ上げて来る。

そして桜井さんにつられてクラス中から、

 

「そんな事も知らずにあんなこと言ってごめんね。私も仲良くしてね」

「中島ごめん!俺とも仲良くしてくれ」

「俺も」

「私も」

 

クラスのみんなが俺を受け入れてくれた。

胸の奥から熱いものがこみ上げて来て、そして俺の頬を何かが流れる。

 

 

「中島泣くなよ!」

 

「え?」

 

 

俺はそれを触ってみる。手が濡れる。そこでやっと自分が泣いている事に気がつく。俺は涙を止めようとするが、止まるどころか奥からどんどん溢れて来る。

 

 

「み、みんな………ありがとう……うぅ…」

 

 

俺は嗚咽を漏らしながらもみんなにお礼を言った。

するとクラス全員が席を立ち俺の元に来る。そして、俺の背中を優しく撫でてくれる。

 

(もういいよね。俺もう傷つかなくていいんだよね)

 

そう思った途端、足の力が抜け地面にへたりこんでしまう。それから俺はひたすら泣き続けた。その間もみんなが俺を撫でたり、『もう泣くな』と声をかけてくれていた。俺は『ありがとう…ありがとう』と言う事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

~小猫side~

 

 

みんなが龍斗くんの所へ行き、慰めています。

本当に良かった。受け入れられて。

 

「良かったね龍斗くん」

 

私も自分の事のように嬉しくなり泣きそうになっています。

あの時声をかけて本当に良かった。そう思います。

龍斗くんは優しいのでこれからはみんなと仲良くして行けるでしょう。

それでは私も龍斗くんを慰めに行きましょう。

 

 

 

 

 

~龍斗side~

 

 

授業が終わり、お昼に入る。

あの後俺はHRの時間を丸々使い泣いていた。そして休み時間には色々な話も出来た。これは夢では無いかと思うくらいに幸せだった。

 

俺はお弁当を持ち屋上へと上がって行った。

屋上の扉を開けると心地のいい風が吹く。そして俺はベンチに腰をかける。とても静かで落ち着く。

 

 

「龍斗くん」

 

 

声のする方を向くと、屋上の扉を開けた小猫ちゃんがいた。小猫ちゃんは俺の座っているベンチまで来ると隣に腰をおろす。

 

 

「良かったですね」

 

「小猫ちゃんのおかげだよ。げんに小猫ちゃんがあそこで声をかけてくれなかったら多分言わなかったと思うし」

 

「ふふ、そうかもしれませんね」

 

「だからありがとう」

 

「どう致しまして」

 

 

そこで俺はある事を思い出し、ポケットに入れていた袋を小猫ちゃんに渡す。

 

 

「これは?」

 

「中身見てみてよ」

 

 

それを聞き小猫ちゃんは袋を開け、中の物を取り出す。それはアクセサリーショップで貰ったネックレスだった。

 

 

「これ…」

 

「この前、渡そうと思ってたんだけどそれどころじゃなかったから」

 

「綺麗…」

 

「でしょ!」

 

「でもこれ高いんじゃ…」

 

「これあのアクセサリーショップの人に貰った物なんだ。ここで俺が買ったって言ったらかっこいいのにね」

 

「そんな……嬉しいです」

 

「良かった。それでねネックレスに付いてる指輪をみて」

 

 

それを聞き小猫ちゃんは指輪を見る。

 

 

「何か文字が彫ってありますね…」

 

「うん。『viel zusammen』ドイツ語でずっと一緒にって意味だよ」

 

「それって……」

 

「うん!小猫ちゃん!」

 

「は、はい!」

 

「俺は今回のお陰で俺はトラウマを克服出来たよ。本当に感謝しきれないよ。だから今度からは俺が助けるよ!だから良かったら……俺と……」

 

「ちょ、龍斗くん……まだ心の準備が………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずっと『友達』でいて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………」

 

 

あれ?小猫ちゃんが急に黙ってしまった。

もしかして嫌だったのかな?やばい心が折れそう。

 

 

「もしかして嫌だった?」

 

「いえ、そういう訳ではありません」

 

 

何故か小猫ちゃんが不機嫌そうに言う。

 

 

「……そうですよね。龍斗くんって鈍感ですもんね…」ボソッ

 

 

小猫ちゃんが何か呟いたけど聞き取れなかった。

 

 

「まぁこれから頑張っていきます」

 

「え?それってどういう意味?」

 

「いえ、何でもありません。それでさっきの答えですが……」

 

 

俺は固唾を呑み、小猫ちゃんの次の言葉を待つ。

 

 

「私で良かったらずっと『友達』で居ます。」

 

 

それを聞き俺は嬉しくなり小猫ちゃんの手を握り、

 

 

「これからもよろしくね!」

 

 

俺は飛び切りの笑顔で言った。

これからは小猫ちゃんの助けになろう。それが俺に出来る小猫ちゃんへの恩返しだから。そう心に決めたのだった。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
いかがだったでしょうか?


今回は龍斗くんのトラウマを克服させてクラスのみんなとも和解するお話でした。なんか無理矢理感が否めませんがそこは勘弁してください。

さて次回からフェニックス編が始まります。さてライザーをどうしてやりましょうか(ゲス顔)


それではおやすみなさい( ´ ▽ ` )ノ

感想・評価待ってます。


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