黒きISを持つ兄とISに速さを求めた妹 (戦闘狂の道化師)
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プロローグ~壊れた兄妹とミサイル攻撃~
兄妹とIS
燃える自分達の家。
父と母の悲鳴。
常人なら嘆き咽び泣く光景だろう。
ただ、俺達にはどうでもよかった。
ミサイルを切り裂いて行く白き騎士。
それは、神々しささえ感じるほど強く気高かった。
暫くして火は収まり悲鳴も聞こえなくなった。俺達が燃え尽きた家を眺めていると一人の女が近づいてきた。
「あらら、ミサイルが当たっちゃったか。二人ともこの家の子でしょ?どう?私が憎い?」
その問いでミサイルの原因が分かったが俺達は首を横に振る。
「憎くないの?面白いね。なら何か欲しい物ある?なんでもあげちゃうよ?」
「あの空にいた奴が欲しい。二機。異なる強さを持った物が」
俺がそう言うと妹も口を開く。
「私も欲しい。あの空にいた物が。そして、すごい速さで飛んでみたい」
すると女は、
「うんうん。あの素晴らしさが君たちにも分かったか‼。なら、君たちが欲しい物を作ってあげるよ。だから家族になろ?」
そう言って女は手を伸ばす。
俺達がその手を掴む。
「私は篠ノ之 束。君たちの名前は?」
「俺は雷 こいつは妹の風」
束は、俺達が名乗ると満足そうに頷き愉快そうに笑った。俺達の意識はそこで途切れた。
俺は、ベットから起き上がり頭を手櫛で撫でる。懐かしい夢を見たな。あれから束ねぇとの生活が始まったんだったな。まぁ、あの夢を見た理由が分かるけどな。あっ、風が起こしに来た。
「雷~起きてる?。お待ちかねのISの完成日だよ?」
「起きてるよ。そんな楽しみな日に寝坊なんかしないよ」
そんな会話をしていると、下から束ねぇが
「雷く~ん、風ちゃ~ん早く降りてきて~私お腹すいた~」
と言ってきた。
束ねぇからの催促の言葉とその理由を聞き二人でくすっと笑ってから一階に降りていく。束ねぇともう一人の家族は料理が全くできないので俺と風が毎食準備をしている。本当に楽しい毎日だ。
家がミサイルで吹き飛んだ翌日。俺達は、束ねぇの家族になって雨宮の名字を貰った。それからは、あの空を飛んでいた物、ISの勉強したり家事をしたり戦闘訓練をしたりしていた。
そして、今日は,,,,
「それじゃあ、お披露目だよ~」
目の前にある物にかかってる布を束ねぇともう一人の家族、クロねぇが取っていく。そこに現れたのは黒に赤のラインが入った二機と、白くて装甲が薄い機体だった。
「黒い機体が雷くんの専用機の暴風と陽炎でね。白いのが風ちゃんの専用機なんだけど、データが集まりきれなかったから間に合わせ用の機体の流星だよ」
束ねぇの説明を聞きながらカタログスペックを見ていく。暴風は、武器が大剣だけのシンプルな近距離専用の機体で、陽炎は暴風と逆のコンセプトで遠距離専用の機体だった。武器はミサイルポットが二つとスナイパーライフルそれとアサルトライフル、護身用のコンバットナイフだった。
デザインは、暴風は腕は薄い装甲があるだけで隠し武器とかは無い。脚部に関してはブースターがあるだけでこちらも隠し武器は無い。
陽炎は、全体的に装甲が厚く肩と脚部にミサイルポットが内臓されていた。
風の流星は、武器は鎌と西洋風の双剣とシンプルで、機体のキャパシティが許す限りブースターが背部と脚部に着いているスピード特化型の機体だった。
「それともう一つお知らせがありま~す」
束ねぇがそんなことを言ってくるがいつも道理のどうでも良いことだろうと聞き流そうとしたが次に聞こえた言葉に耳を疑った。
「雷くんと風ちゃんにはIS学園に入学してもらいます~」
「「はあっ?」」
とある三月の出来事だった。
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第一章、入学前のゴタゴタと入学後のクラス代表決め
兄と試験官
「は~,,めんどうな事になったな」
「ほんとだね~」
IS学園の門の前で大きくため息を吐きながら昨日の出来事を思い出していた。
~昨日~
「なんで、入学しなくちゃいけないの?」
「それはね~」
束ねぇの話をまとめると、自分の妹ともう一人、初代ブリュンヒルデの弟が今年入学するから護衛をして欲しいとの事だった。
「と言うか、ブリュンヒルデの弟ならあの織斑 千冬の弟なんでしょ?。守る必要あるの?」
風が聞くと、束ねぇは真面目な表情になった。
「いやね、守って欲しいのは表じゃ無くて裏なんだよ。政府が人体実験しようとしたりテロリストに襲われそうになったらこっそり守って欲しいの」
だから妙に戦闘訓練の難易度が高かったんだね。まぁ束ねぇには、お世話になってるしそれぐらいはいいか。
「分かったやるよ。風もいいな?」
「いいよ~」
風がそう答えると束ねぇは問題発言をした。
「あっ、明日雷くんと風ちゃんはIS学園で入学試験があるから行ってきてね?」
「「何で早く言わないの!?束ねぇ‼」」
それからは、ISの初期化《フォーマット》と第一次移行《ファーストシフト》を急いでやっていた。風はすぐに終わったけど俺は二機あるから時間がかかってしまったんだよな。俺が頑張ってやっているのにあいつは空を気持ち良さそうに飛んでいた。羨ましい。
まぁそんな感じで昨日の夜は更けていった。
~そして現在~
「で、試験会場は何処だ?」
「さ~、わかんない」
言われた時間にIS学園の門の前に立っているのだが、迎えが来ないし会場こちらみたいなチラシやポスターも無い。さて、どうしたものかと考えていたら門の奥から緑色した短髪の女の人が走って来た。
「遅れてすいませ~ん」
女の人は、とても急いで走ってきたのか息を切らしていた。
「えっと,,,,貴女は?」
「今日の試験官の山田です」
「そうですか、俺は雨宮 雷。此方は妹の風です。よろしくお願いします」
「よろしく~」
「ご丁寧にありがとうございます。よろしくお願いしますね」
とりあえず、自己紹介した俺達は山田先生に連れられて試験会場の第一アリーナへと山田先生の案内で向かった。
「ここが第一アリーナです。入って右に向かうと更衣室があるのでそこでISスーツに着替えて待っていてくださいね?」
「「わかりました(わかった~)」」
歩いて行った更衣室の中でロッカーを挟みながら風と話す。
「なぁ、風?。そのキャラクターは何なんだ?。気が抜けそうになるんだか?」
「あぁ、あれはねわざとバカみたいにして相手を油断させておこうかなと思ってね」
こいつ、腹黒いな。
「何か失礼な事考えなかった?」
「いや、別に」
何で気が付きやかったんだ?。女の勘は怖いな。
おっと、山田先生が来た。
「着替え終わりましたか?」
「はい」
「なら行きましょう」
次に連れていかれたのは競技場。そこにはもう一人の女の人がいた。
「お前らが雨宮兄妹か,,」
「貴女は?」
「私は、鶴屋 翔子だ。篠ノ之博士からの推薦とはいえ、所詮男だからな。ISに乗れるだけなのに調子に乗られると困るので貴様の鼻を折ってやるために試験官に名乗りをあげた」
くだらない。女尊男卑の典型的なタイプか,,。本当にくだらない。イライラする
「鼻を折るだと?はっ‼無理だな。アンタら二人が組んでもな」
「なんだと‼」
煽ればすぐにカッとなる本当に駄目だな。さて、山田先生がオロオロしているしさっさと試験に入るか。
「試してみるか?。何なら試験を二対二のチーム戦にするか?。どうせ俺達が勝つけどな」
「お前,,,なめやがって‼IS学園の教員の強さをお前の体に刻み込んでやる‼」
こんな感じで試験が始まっていった。
次回はバトルです。
雷が使うISは、暴風と陽炎のどちらが良いか感想と共に書いてくだされば意見に沿います。期限は明日からの3日間です。その間に特に要望が無ければ私が勝手に決めます。
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圧倒的な力の差
俺と風は、陽炎と流星を装着して開始の合図を待っていた。相手は鶴屋とか言う奴が打鉄で山田先生はラファールを装着している。
開始前に風にプライベートチャンネルを開き
『打鉄は俺がやる』
『了解。ラファールは叩いておくよ』
短い作戦会議をしておく。
そして会議をして10秒たったタイミングで
『試験開始‼』
とアナウンスが響き渡り俺達は同時に動き出す。俺が目指すは打鉄。
「くらえ‼」
そう言いながら鶴屋がばか正直に正面からブレードを振りかざして突っ込んでくる。そのブレードを、
ガキン‼
落ち着いてコンバットナイフで受け止める。
「くっ‼そこそこやるな‼」
「すぐに終わらせてやる,,,」
言い切るなり相手を蹴り飛ばし、体勢を建て直す前にラピットファイアで手にアサルトライフルを出し弾が切れるまで全弾叩き込む。
「ぐわっ‼」
「ラストは派手にやろうか‼」
弾切れしたライフルをスロットに戻して両手にミサイルポットを持つと同時に肩と脚部のミサイルポットも開き打鉄をロックオンして、全弾を叩き込む。
「うわっ‼」
ミサイルポットの直撃を受けてシールドエネルギーが切れ落ちていく打鉄を見ながら俺は一言呟いた。
「試験で良かったね。もし実戦ならあんたを殺していたよ,,,」
どうやら俺が倒し終わるのと同時に風も倒し終わったらしく終了の合図がアリーナに響いた。
~雷sideend~
~鶴屋side~
私は雷とか言う男の鼻を折るために試験官に志願した。が、結果として相手にダメージを与えることも出来ずに落とされた。
私はあいつが怖くて仕方ない。
最後、落とされた瞬間爆風の中から見えたあいつの機体は、赤のラインが入っていた場所が赤く怪しく輝いていた。それだけでも恐ろしかったのに次の一言でさらに恐怖した。
「試験で良かったね。もし実戦ならあんたを殺していたよ,,,」
底冷えするような声。
人の命など興味がないと言わんばかりの冷たい目。
私はその時思い知った。
虎よりも恐ろしいものを怒らせてしまったいたのだと,,,
~鶴屋sideend~
~雷side~
試験が終わった俺達は更衣室で山田先生が来るのを待っていた。
「弱かったな」
「私の方はまぁまぁ強かったよ?。まぁこっちが近距離用で向こうが遠距離用って事を除いたらだけどね」
どうやら、風の相手の方が俺の相手より強かったようだ。
「お疲れさまでした。試験は終了です」
風と話していると山田先生が笑顔で入って来た。
「えっ?学科試験は無いんですか?」
俺が聞くと山田先生はこう言った。
「はい。束さん推薦の人が学科が悪いわけないと上層部の方々が免除することに決定したそうです」
それを聞いた風が忌々しそうに一言呟いた。
「チッ、ハイエナが,,,」
「どうかしました?」
「何でもないですよ~?」
風が悪態をつきだしたしそろそろ帰らないとヤバイかな。
「それでは用事があるので失礼しますね」
「はい。入学式は明後日なので忘れないようにしてくださいね」
わかりましたと返事をしながら部屋を出て帰った。
帰る途中に一人の男子とすれ違ったが気に止める事はなかった。
風の試験のバトルは皆さんからの要望があれば番外編として書きます。読みたい人は感想と共に風のバトル見たいですとでも書いてください
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教室に吹くは暴風
「「行ってきま~す」」
「行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃい zzz,,,, 」
入学式の日を迎えた俺らは、クロねぇと俺が頼んだ物のせいで寝不足になって半分眠っている束ねぇに見送られて家改め研究所を出た。研究所を出た俺の左右の手には黒に赤のラインが入った指輪が一つずつ、風の左手には白の指輪が輝いていた。
「さすがは束ねぇ、頼んでおいた物を二つとも完成しておいてくれるなんてな」
「すごいよね~でも雷だけ武装を追加してずるいよ...」
「いや、一つは追加と言うより強化だからな...」
風とそれなりに楽しい学園生活になればいいなと思いながら俺達はIS学園へと向かった。
学園に着いた俺達は先ずは入学式に出席した。入学式は、俺が男だから回りからジロジロ見られまくったが特にトラブルは起こらずに終わった。
そして今は、教室。
「あいつが護衛対象の織斑 一夏で、あっちが束ねぇの妹の箒だな。ここまで護衛対象が集まっていると仕事がやり易くていいな」
「束ねぇが手を回したのかな~?」
そう話ながら俺達はクラスの面々を見る。俺達が話している内容からわかるように俺達のクラスには束ねぇから頼まれた護衛対象のの二人がいる。護衛がしやすくて嬉しいね。
「でもなぁ....」
見ている限り一夏は何故か調子に乗っているし、箒は束ねぇからの情報だと仲がいいとか言ってたけど明らかに束ねぇを嫌っているじゃないか...。多分一夏はこのままだと調子に乗って無茶をして死にそうだし、箒は束ねぇから、護衛を頼まれたとか言ったら何が有るかわからないし言わないのが正解かな?。
「雨宮くん‼」
「何ですか?」
「すいませんが雨宮くんの番なので自己紹介をしてくれませんか?」
山田先生のその言葉を聞いて俺は初めて考え事をしている間に自分の自己紹介の番が回ってきていることに初めて気がついた。
「雨宮 雷だ。好きなことはISを操縦すること嫌いなのは束博士をバカにする奴以上だ」
どうせ俺の事を男性操縦者としか思ってない連中にはこれくらいで十分だろう。そのあとのホームルームは、千冬先生が来た以外はなにもなく終わった。
~休み時間~
誰かが話しかけてきたがめんどくさくて無視した。
~一時間目~
そして今はクラスの代表を決める会議をしているのだが...。
「は~い織斑くんを推薦します‼」
「私は雨宮くんを推薦します‼」
何故か俺と織斑の一騎討ちになっていた。俺が寝ている間に俺の自己紹介の態度をクールと判断されたらしくM気のある連中の票が俺に集まったようだった。代表をやるのがめんどくさくてどうやって代表をしないようにするかと考えていたら、
「納得いきませんわ‼」
金髪ドリル確か名前はセシリア・オルコットが声を張り上げ机を叩きながら立ち上がった。
「たかが男性と言うだけなのに代表をやられるなんて‼。私は、イギリス代表です‼。ISの技術なら皆さんよりも上です。それも極東の猿達と比べ物にならないくらいです。大体、文化としても後進的な国で暮らさなくていけないこと自体私にとっては耐え難い苦痛で.....(以下略」
セシリアがここまで言うと織斑がボソリと呟いた。
「イギリスだって飯まずの世界一の癖に...」
「なんですって‼あなた、私の祖国を侮辱するのですか‼」
この後もセシリアと織斑はケンカを続けていたが俺の耳にはほとんど入ってこなかった。何故なら、セシリアは日本人たちを極東の猿と言った。それは束ねぇに対する侮辱だ。束ねぇへの侮辱それだけは許せねぇ。俺がこんなことを考えている間にも二人のケンカは続いていく。
「人の祖国をバカにするとは流石は猿ですわね‼」
「セシリア・オルコット‼お前いい度胸だな‼」
ついに俺は我慢の限界を越え叫びながら立ち上がった。皆の視線が俺に集まる。だがそれを無視して俺はセシリアの胸ぐらを掴む。
「お前は、俺達日本人を極東の猿と言ったな‼。なら聞くがお前が乗ってるISは誰が作った‼。答えてみろ‼」
俺がそう聞くとセシリアは、自分の失言に気が付いたようで顔を青くしながら答える。
「篠ノ之博士です...」
「なら次は日本人ブリュンヒルデの名前を言ってみろ‼」
「織斑 千冬さんです...」
「なら、俺が怒っている意味は分かるか?自分の発言が何を起こしかけているか分かるか?自分の発言の重さが分かるか‼」
「おい!そこまでにしろよ‼」
俺がそこまで攻めると織斑が俺を止めに来た。
「お前は何も分かってないな。教えてやるよコイツは国の代表候補生だ。そいつが国とブリュンヒルデとISの作りの親をバカにしたそれが最悪の場合何を起こすか分かるか?」
俺がそう聞くと織斑は首を傾げた。
「戦争だよ。国と国のな」
「何でそうなるんだよ‼」
「分からないのか?戦争の始まりは何でもいいんだ。名誉毀損とか、言い出してしまえばなんでいいんだよ」
俺がそう言うと織斑が俺を睨む。
「お前...」
「悔しいのか?俺が憎いのか?そうなら戦おうぜどうせ代表を決めないと行けないのだから。織斑先生‼アリーナを使えるのは何時ですか?」
「気づいていたのか...」
俺が呼び掛けると織斑先生が教室に入ってきた。
「使えるのは来週の月曜日だな」
「そうですか...なら織斑、セシリアお前ら二人係でかかってこいよ。俺は風と組んで相手してやるよ」
「え~」
「お前もムカついているんだろ?今なら俺のせいにして相手をフルボッコにできるぞ?」
俺がそう囁くと風も納得してこれ以上文句は言わなくなった。
「それとも怖いのか?」
「いいですわ‼相手してあげますわ‼後になって後悔しないてくださいよ」
「いいぜ‼」
織斑がそう言うのと同時にチャイムがなって授業が終わった。
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戦闘前にはしっかりと報告を
「つう訳で一週間後に織斑とセシリア・オルコットをシバくから」
『ちょっと待って‼なんでいっくんをシバく流れになっちゃったの!?』
いろいろやらかしたホームルームが終わり俺達は、屋上の貯水タンクの上に座って束ねぇにISを使って連絡を取っていた。
「簡単に言えばセシリアが束ねぇの悪口を言ってムカついたから吹っ掛けた。織斑に関してはなんか調子のっててムカついたのと護衛対象の強さが見たかった。で、どうせ織斑が調子のってたのは束ねぇのせいでしょ?」
「大方、束ねぇが『束さんがいっくんのISを作ってあげるよ‼』とか言ったんでしょ...ブリュンヒルデに守られ続けた少年からしたら嬉しかったんだろうね...バッカみたい専用機貰っても結局は、操縦士の腕次第なのに...ISを生かすも殺すも...」
隣に並んで座っている風も俺と一緒に愚痴を溢す。
『なんでそこまで分かっているなら揉め事起こすかな...束さん多少なら侮辱されても気にしないのに...』
通信から、聞こえてくる声からは束ねぇが俺達を心配していてくれている気がした。まぁ最後の方は聞こえなかったが、
『は~...分かったよ。ただし‼いっくんに怪我をさせずに二人も怪我をしないこと‼いいね‼』
「分かったよ。セシリアはどうする?」
『う~~ん...好きにしていいよ。どうせ私が言ってもイライラしてる時の雷くんはお姉ちゃんの言葉をあまり聞いてくれないからね。でも後でいろいろ話し合ったりするのがめんどくさいからあまり問題にならないようにしてくれればいいよ』
本当に、家の姉は良くも悪くも俺達。自分の大切にしたい物しか見てない。いい意味では、俺達が困っていたら必ず手を差しのべてくれる。悪い意味だと自分の大切にしたい物以外はどうでもいい事だ。唯一例外が出来るとしたら俺達、束ねぇの大切なものが何か大切にしたいと思った物だろう。
「分かったよ、束ねぇ」
『風ちゃんも分かった?』
「分かった」
『それなら良し‼あっ!そうだ戦う時は二人とも
束ねぇは満足そうな声をあげるとすぐに対戦中にして欲しいことをオーダーしてきた。
「分かったよ。俺が暴風を使って
結構長く話していたらしく空は夕焼けに染まっていた。自炊しても良いが今日は食材を買ってなかったので食堂に混む前に入ってさっさと飯を食うために束ねぇに切ることを伝える。
『今度と言わず明日でもいいよ‼』
「はいはい、気が向いたらねまたね」
「バイバイ~」
本当家で一番の子供なんじゃ無いんだろうか?束ねぇは...そんなことを考え風と二人で苦笑を顔に浮かべながら俺達は食堂へ向かった。
願わくばこの面白い家族とこれからも変わらずに暮らせますように...
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時は流れて
時は流れ一週間後、一夏とセシリアと戦う日。
「で...俺達は、何でこんなところに待機させられているんですか?」
「そうだ~!そうだ~!」
俺と風は、教室で待機を命じられていた。
「えっ...と、それは...織斑くんがセシリアさんとチームを組むのにお互いの機体を知らないといけないと言い出しまして...、その...先に初期化も含めて模擬戦をする事になったのですが今度はセシリアさんがお二人にそれを見られると武器が見られてしまうため不公平だと言い出しまして...、お二人には此方で待機してもらっているんです。.....すいません」
目の前に居るのは山田先生。どうやらセシリアのわがままの為に俺達を見張る事になってしまったようで俺達に申し訳無さそうに頭を下げてくる。
「別に構いませんよ。少なくとも山田先生が悪くは無いんですし」
教室に気まずい空気が流れているが俺は懐から本を取りだし時間を潰し始めた。
~30分後~
「あっ、はいわかりました。雷くん、風さんセシリアさん達の模擬戦が終わったのでアリーナへ向かいましょう」
「わかりました」
山田先生の携帯に模擬戦終了の連絡が来たため俺達はアリーナへ歩いていった。その途中に少しだけ気になることを山田先生に聞いてみることにした。
「山田先生。戦闘の流れは聞かないので模擬戦の結果だけ教えてもらえませんか?」
「わかりました。結果はセシリアさんの勝ちだそうです。でも織斑くんも善戦したそうですよ?」
「そうですか、まぁ予想通りだな」
「うん、そうだね~」
そんな世間話をしているとアリーナに着いたので俺と風は山田先生に指定された控え室に向かった。俺はISスーツに着替えながら風に話しかける。
「なぁ、お前はどっちと戦いたい? 」
「どっちでもいいよ。でも、雷がセシリアと戦う為に一夏にしようかな?」
「気遣いどうも」
それからお互いに着替え終わったのでアリーナに出るためにカタパルトに向かって歩いていると...
「やっ~ほ~雷く~ん風ちゃ~ん」
聞きなれた声が聞こえてきたので振り返ってみると何故か束ねぇがいた。
「束ねぇ...不法侵入してきたの?織斑先生に捕まったらどうなっても知らないよ?」
「織斑先生、身体能力だけは束ねぇと同じぐらいだもんね~」
俺達がそう言うと束ねぇはふっふっふ~と笑った後に、
「大丈夫‼お姉ちゃんが作ってきたこの頭に着けているウサミミセンサーがあればどこに誰がいるのかもまるわかりだから、ちーちゃんが近づいてきたら見つかる前に逃げ出せるのだ‼」
と自信満々に言ってきた。
「それはいいけど急に来てどうしたの?」
「ちょっと今度する事の準備にね~。当日に手伝ってもらうからね~。でも、まだ内容は秘密~」
束ねぇはそうけらけらと笑ったり楽しそうに回ったりしながらそう返してきた。
「なら楽しみにしているよ。じゃあそろそろ行かないと行けないから」
「またね~」
俺達は楽しそうな束ねぇと別れて再びカタパルトに向かって歩いていった。
「遅かったですね」
「すみません。トイレに寄っていたもんで」
カタパルトにいた山田先生束ねぇと会っていたことがばれないようにそう返しながらISを装着する。
「もう出て大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
山田先生に許可を取ったので俺と風は前を見て...
「「暴風‼出る‼」(流星出るよ~)」
お互いに名乗りながらカタパルトでアリーナに飛び出した。
次回はセシリア&一夏とバトルですお楽しみに。
Ps,兄弟の日常編は要望があり私にネタがある時は後書きか本編の最後に書きます。もしくはネタを提供してくだされば、番外編としてちょくちょく書いていこうと思います
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暴風と流星
俺と風がアリーナに飛び出ると一夏とセシリアは既にアリーナの中心に出てきていた。飛び出た瞬間俺達に気が付いたセシリアは俺達近づいてきて頭を下げた。どうやら一夏と戦っている間に何故か改心したらしい。
「すいませんでした。日本人だからって男だからと見下してしまい本当にすいませんでした...」
俺達が無言で見ていると今度は一夏が、
「セシリアもこんなに反省しているんだし許してやってはくれないか?」
と俺達に訪ねてきた。
「謝罪なんていらない...」
俺の予想以上に怒っていたらしくさらに手のひら返しをされさらにイラついたらしい隣の風が呟く。ISのアシストのおかげでセシリア達にも聞こえたらしく二人とも『あれ?風ちゃんこんな感じだったけ?』と言う風に首を傾げる。
「そうだな風。口ぐらいならなんとでも言えるからな...」
俺がそう言うと風は、右に持っている剣を俺は左手の大剣を目の前にかざしセシリア達を睨み付けこう言った。
「とにかく黙ってストレス発散に付き合え」
「とりあえず殴らせてよ」
そう言うのと同時に開始のブザーが鳴り俺はセシリアに、風は一夏に突撃していった。
「くっ!くらいなさい‼」
開始と同時に俺が突っ込んでくるのに驚きながらもセシリアは、俺にライフルを向けて発砲した。発砲と同時に俺に向かってくる青い光それを見ながら俺は多分笑っていた。
「ちょうどいい。改造してもらったこの大剣を試してみるか‼」
俺は避けることはせずその青い光に向けて黒い大剣を降り下ろす。すると青い光は真っ二つに斬れ両方とも俺の後ろのアリーナのバリアに当たり消滅した。この大剣は束ねぇに入学直前にビームとかを反射するように加工して貰っておいた物でセシリアのライフルがレーザーだったのでちょうど実験してみた所こうなった。
「えっ...キャァ‼」
レーザーを斬られて呆然としているセシリアにまずは思いっきり大剣を横方向から叩きつけアリーナの壁にぶつけると壁が砕け砂煙が上がる。
「その程度で束博士を侮辱したのか?」
俺が砂煙に向けてそう言うと...
「代表候補生をなめないことですわ‼」
セシリアがそう言いながら突進してくるのを見ながら俺は少しだけ体をずらす。
「うわぁ‼」
一夏が俺がいた場所に向かって飛んできていたからだ。俺はそれを通りすぎかけたタイミングでセシリアに向けて蹴飛ばす。
「ぐは‼」
「一夏さん!?ってきゃぁ‼今度はなんですの!?」
俺が一夏を蹴飛ばすのと同時にセシリアが一夏に向かって吹き飛ばされ二人はぶつかり地面に落ちていった。
「おい風?セシリアは俺の獲物だろうが?」
「え~?雷も一夏蹴飛ばしたしお互い様でしよ?」
実はセシリアが吹き飛んだのは風が後ろから斬り飛ばしたからだ。大方俺にさっき言ってきたやつは言い訳で本当の理由はセシリアが飛んできた一夏に驚いて隙が出来ていたからついでに斬ったのだ ろう。
「まぁ、いいか...それで?お二人さんそろそろエネルギーが少ないんじゃないのか?リタイアするか?」
「いや...まだやれる‼」
「そうですね...この程度で代表候補生が負ける訳にはいきませんわ‼」
そう言いながら二人は立ち上がり一夏は刀をセシリアはライフルとピットを展開しながら俺と風を睨んでくる。その目には強がりなどでは無くしっかりとした意志があることが見てとれる。
「風...あいつらに勝ち目はない楽にしてやるために決めるぞ」
「わかったよ」
「「唯一仕様 起動」」
俺達がそう言うと俺の回りには台風並みの風がまとわりついて、風の方は最初は変化が見られなかったが風がニヤリと笑うと一夏達の回りにいつの間にか四人の風が立っていた。
「やるぞ」
「はーい」
「さて、実戦で試すのもなんだが...」
俺はセシリア達を見下しながら大剣の柄の下にあるボタンを押す。すると俺の大剣は柄が伸びて刃の部分は曲がって
「英国だと魅力的な人をダンスに誘うんだったか?それならお二人さん俺達と踊ろうぜ‼何てな」
「ふざけてないでやるよ」
「こうなったら‼」
「なんですの!?」
「さぁ、何でだろうね?ピットの砲身に土でも詰まっていたんじゃない?」
「白々しいね雷」
ネタばらしをすると爆発した理由は俺が風を操ってピットに砂を詰めておいたからだ。
「めんどくさいからもう決めるね。まずは...」
そう言うと周囲を回っていた五人の風は一夏の回りに近づき全員で刀を刺して一夏ISのエネルギーを完全に奪いきった。
「一夏さん!!」
今度はセシリアがまた一夏に気を取られた隙に俺が鎌を振ってかまいたちを飛ばしセシリアの動きを止めた後鎌を首に引っかけて後ろに倒しながらまた鎌から大剣に変形させセシリアに思いっきり突き刺しISのエネルギーをこちらも無くす。完全に無力化したのを確認してから竜巻を解除する。
「セシリア、織斑...いや、あえて一夏と呼ぶがお前達はISを力だと武器だと思っているのか?元々は宇宙で作業する用の物だと言うのに....」
「本当...滑稽だよね。こんな奴達に......」
俺がそう言うと風も分身を消して近づいてきたが風はそこまで言うと一夏達を置いてカタパルトに戻り始める。俺もその後に続いて帰っていく。
「あんな奴らがISを兵器として使いだしたんだね...まぁ仕方ないか...私達も昔はそう思っていたんだから...束ねぇの思いを正しくわかってくれる人はいるのかな?」
「さぁな...少なくともこの世界はISの力で今はバランスを取っているんだから...いつか完成させようか...束ねぇの為にも...」
アリーナには俺達を見続ける一夏達だけが残った。
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二人のIS
アリーナで一夏達を倒した俺達は山田先生に一組の代表を辞退することを伝えて寮の部屋に戻ろうとしてドアに手をかけた。
「うん?鍵が開いている...」
「え?本当だね...」
俺達はお互いの顔を見合せ頷くとISの武器を手に出し刀を構えた風の後ろにアサルトライフルを持った俺が周囲を警戒しながら部屋に入っていった。
すると...
「いや~大活躍だったね~」
「「いや、ちょっと待って何で帰っていないの束ねぇ」」
何故か束ねぇが俺達の部屋のベッドに座りアップルパイを食べながらペットボトルに入ったミルクティーを飲んでいた。うん?...アップルパイとミルクティー...?。まさか‼。
俺がとある事に気がつき部屋の冷蔵庫へダッシュして駆け寄り扉を開けて愕然とした...。
「束ねぇ...一応聞くけどそのアップルパイとミルクティー冷蔵庫にあったもの?」
「そうだよ~?それがどうかしたの?」
「どうかしたじゃないよ‼それは俺が昨日作って食べるのを楽しみにしていた物だし、おまけにミルクティーも俺がアップルパイと一緒に飲もうとして買った午前の紅茶の大きいサイズのやつじゃん‼」
そう束ねぇが食べていたアップルパイは俺が昨日1ホール作っておいた物だったのだが全て食べられており、ミルクティーはその材料を買ったときに買ってきた物だった。ちなみに何でその二つがある理由はその二つが俺の好物だからだ。俺にそう言われた束ねぇは眼を少し泳がせながら言い訳を考えているようだった。
「は~....また作るしミルクティーは買い直すからいいけどさ~...飲みたかったな...ミルクティー...」
「どうぞ」
「あっ、ありがとう」
俺がぼやいていると右側から出てきたコップを受け取り中に入っているミルクティーを飲み干す。うん?誰がこのコップとミルクティーをくれたのか?と疑問に思いを右側を見ると...。
「クロねぇ何時からいたの?」
「束様と一緒に来ていましたよ?ただISを使って姿を隠していましたけど」
いつの間にか来ていたクロねぇが首を傾げながらそう言ってきた。少し恥ずかしいのだろう顔は少しだけ赤くなっていた。
「まぁ、二人の事が心配できているんですがね...」
「心配してくれてありがとうでも大丈夫だよ。なぁ風?」
「そうだよ。大丈夫だから心配しないで大丈夫だよ」
風もそう言うとクロねぇはそうですかと言いながら束ねぇの隣に座った。
「で、束ねぇは何で何でまだいるの?」
「それはね~雷くん達に唯一仕様の使い心地を直接聞いてみたかったからね~で、どうだった雷くんの暴風の風使いと風ちゃんの流星の
束ねぇが言っている風使いと流星群って言うのは俺の暴風と風の流星の唯一仕様の事だ。効果としては暴風の風使いはその名前の通り風を操って攻撃とかに使う能力だ。用途としては一夏達にしたように竜巻を作ったり軽いものを運んだりかまいたちを飛ばすなどの使い方がある。そして風の流星群は『流星は一つだけど流星群になればいっぱい降ってくるよね‼』と束ねぇが言った事から作られた唯一仕様で効果は自分を五人に分身させその分身に指示をするには頭で思うだけと言うシンプルな物だが此方にはデメリットがある。それは、自分を分身させる時に自分のISのエネルギーを五等分に分ける為打たれ弱くなりさらに分身がやられれた場合は分身が消えるだけだが本体である風がやられれば全ての分身が消えてしまうという点だ。
「俺は問題なかったよ」
「私も攻撃を受けなかったし問題ないよ」
「それなら良かった~。出来れば雷くんの陽炎の唯一仕様も試したいんだけどね~」
「仕方ないよ。そっちの方はまたの機会にに試そう?」
そう言うと束ねぇは仕方ないよね~と言いながらクロねぇと一緒に窓辺に向かって歩き二人とも窓枠に足をかけた。
「それじゃあまた来るね~」
そう言い終わると束ねぇ達は窓から飛び降りて綺麗に着地し俺達に手を振った後モノレール駅に向かってこっそりと歩いて行った。
「束ねぇも帰ったし...とりあえず...」
俺と風はまた顔を見合せた後にため息をつきながらこう言った。
「「皿とか片付けしようか」」
それから俺達は、束ねぇが食べたアップルパイの乗っていた皿や束ねぇがベッドに食べこぼしたアップルパイの欠片を片付けて過ごした。
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戦いの後の日常
「では、一年一組の代表は織斑一夏君に決定です。あ、一繋がりでいい感じですね」
翌日の朝のホームルームでは山田先生が嬉々として喋っていた。回りの女子も盛り上がっているなか俺は一人ため息をついていた。なぜかと言うと客寄せパンダになりたくないから代表は辞退したのだが結局はセシリアの辞退をしたらしく代表が一夏になったので回りが騒ぐことには変わりがないことに気がついたからだ。まぁ護衛対象が有名になればなるほどこちらとしても助けやすくなるのでこちらとしても願ったりかなったりなのだが。この騒がしさはな...。
俺が考え事をしている間にもセシリア達の話は進んでいっていたようで今は一夏が何で代表になったかと山田に聞いたりセシリアがその説明をしたりしていた。一夏はその説明を聞いて俺を指差そうとしたがこの前の事があるからか指を指そうとして止めた。その後はセシリアの自慢や一夏の教官を誰がやるかで揉め出したので俺は興味を失ってホームルームが終わるまで眠りについた。
そんな風に嫌に騒がしく回りが過ごしてきた四月も下旬になった頃俺と風は外のグラウンドにISの基本操作の練習に出ていた。ちなみにここまでにあったことはセシリアと一夏が俺に謝って来てセシリアは束ねぇを侮辱したこと一夏は俺が言ったことの正しさを少しだけ知ったらしくその事を謝ってきた。俺達はすでにこの二人を倒した時点で満足していたためこれを許して友人のような関係を結んだ事ぐらいだ。護衛の為には表面上だけでも仲良くしておくことに越したことはないからな。
「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、オルコットそして雨宮兄妹試しに飛んで見せろ」
そう言われて俺は陽炎を風は流星を展開した。その隣ではセシリアがブルー・ティアーズを展開しており一夏は織斑先生にせかされてから展開した。全員が展開したのを見て織斑先生が、
「織斑、展開が遅い。雨宮兄妹やオルコットを見習って0.5秒までに展開を出来るようになれ」
そう言われた一夏は少し不服そうにしながらも姉が言っていることもあってか頷いた。そして織斑先生が、
「よしなら飛べ」
と言ってきたので俺達は上空に飛び上がった。機体のスペック的に有利な風が一番について次にセシリアがその後ミサイルを大量に積んでいるせいで少しだけ遅れた俺が最後に風に次ぐ速度が出るはずの一夏の順番だった。
『織斑、何をやっているスペック的には流星の次に白式がスピードが出るはずだぞ』
一夏は着くなり地上にいる織斑先生からお叱りを受けていた。一夏が少しだけ落ち込んだような態度を取るとセシリアが
「一夏さん、イメージは所詮はイメージ。自分がやり易い方法を模索する方が建設的でしてよ?」
「そう言われてもなぁ。大体空を飛ぶ感覚自体がまだ掴めてないんだよ。何で浮いているんだ、これ?」
「説明すると長くなるぞ、一夏」
「なら遠慮しておくよ...」
俺がそう言うと一夏は少しだけげんなりしながらそう返した。少し前から授業中の態度を見てきた限りだとISの予備知識とかは無くてほとんど勘と感覚のみで白式を乗っているようだ。俺達がそんな話を上空で話していると
『一夏‼何時までそこにいるだ‼さっさと降りてこい‼』
どうやら、箒が先生から通信機を奪いそう大声で言ったようで一夏は顔をしかめていた。なぜようでなのかと言うと俺と風には聞こえてないからだ。このISは束ねぇ製なので少しでも怯んだりするような要素は無くしているらしい。今回もそれが働いている。俺達のISには自動の音声シャットアウト機能が付いていて一定以上の大声を感知または通信やプライベートチャットで言うとその音声が聞こえなくなり、視界の端に文字として見えるようになっている。ため息をつきながら下を見ると箒が織斑先生が出席簿で頭を叩き通信機を取り返すと、
『では、今から急降下をし目標の高さで停止しろ。目標は10cmだ。始めろ』
そう言った。というかある意味、箒は束ねぇとそっくりだな。思い立ったら即行動という点だけ。細かく言えば違いもあるけどな。束ねぇの場合はある程度自分のしていいことの範疇のみでするのに対し箒は、自分のしていいことを判断できてないと言うことだ。最たる例は今この時だな。
「さて、俺らが先に行かせてもらうぞ。風」
「はーい」
風に声をかけてお互いに手を繋ぐ。そして...
「じゃあな?」
「お先にね~」
セシリア達に声をかけてお互いのブースターを全開でふかして全速力で地上を目指して急降下する。俺のISだけでは速度はそこまででもないが風のISと同時にふかして移動しているため通常では出ないスピードが出ている。
『やるぞ』
『わかった。イグニッションブーストで無理矢理向きを変えて10cmスレスレを少し飛んでから停止する?』
『余計な手札を見せる無くてもいいだろ。普通にやるぞ』
プライベートチャットを風と短くすると地面に数秒後には当たるという寸前の所でお互いに手を離し無理矢理体を反転し今まで急降下していた勢いを殺しちょうど10cmで停止した。
「よし合格だ」
織斑先生がそう言い終わるのと同時にセシリアも降りてきてちょうど10cmで止まった。
「セシリアも成功したか...とりあえずあれから逃げた方がいいな...」
「そうだね~」
そう言いながら俺と風はゆっくりと上から降りてくると言うより落ちてきている白いISを避けるためにゆっくりと距離をとっていく。セシリアが不思議に思っていると...ズドン‼と派手な音を立てながらセシリアの横、俺がさっき立っていた場所に一夏が落ちてきて地面に埋まった。
「馬鹿者...地上10cmで停止しろと言ったのに地上に激突するものがいるか...授業後に埋めておけ」
それを見た織斑先生は自分の身内という事とISに損傷が見られないことから軽く注意をした後に授業の続きを始めた。その後の授業は武器の展開で俺と風は問題なく展開しセシリアが一夏に向けて展開して織斑先生に怒られたりセシリアが近距離武器を普通に展開出来ずに手間取ったりその事を織斑先生怒られた以外はごく普通に続いた。
そしてその夜俺達にとってはめんどうな物が開催された...。
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兄妹とパーティー
~夜~
何時もなら部屋に籠って本を読んだりゲームをする時間に俺と風は...
「女子に連れてこられて来てみれば...一夏のクラス代表への就任祝いのパーティーを食堂でやっているとはな...来なくてもよかったな。うるさいし...」
「いやいや...女の子達が頑張って準備してくれたんだし参加ぐらいしようよ?。参加しなかったらきっと雷ファンの子達が泣くよ?」
食堂で行われている一夏の就任パーティーに参加していた。さっきも言った通り俺は来たこと後悔している。何故なら一夏の取り合いで箒とセシリアが喧嘩したりしてうるさいし、さらには俺の回りにも、女子が少しだがいてどうやって話しかけるか集まって考えているからだ。と言うか俺のファンってどうやら冷たくされるのが趣味みたいだからむしろ帰ったら帰ったでそれすら喜びそうな気がするけどな...。
そんなことをぼんやりと考えていると...
「話しているところ失礼するわね~」
目の前から二年。確か名前は...黛 薫子だったか?まぁ、先輩が話しかけてきた。何故一応、名前がわかるのかと言うと、俺と風はこの学校の生徒と教員の名前を入試後に片っ端から覚えさせられたからだ。
ちなみに俺達に覚えさせている時に束ねぇは、
『全ての名前とかを覚えていたら他の学年やクラスに転校してきた産業スパイや政府からの刺客、テロリストに対処しやすくなるよ~?』
と、笑顔で言ってきたが俺に風、クロねぇ、そしてに織斑先生に一夏、最後に箒以外は全て有象無象と一区切りにしている人間の言葉では無いと思うが...まぁそんな事があったから俺と風は一応この学園にいる生徒と教師達の名前と顔を頭に叩きこんでいる。
「私は二年、新聞部部長の黛 薫子。入試の時一人一機ずつ教師を真っ向勝負で落とし、更には一夏くんセシリアペアを危なげなく落とした二人に取材をしたいんだけどいいかな?」
「いいですよ?風も構わないな?」
「いいよ~」
俺達がそう言うと黛先輩はメモとペンを取り出した。そう言えば学校の掲示板に貼ってあった壁新聞...少しガセぽい物がチラホラ混じっていたような気がするな...最後に釘でも刺すか。
「まずどうやって教員を倒したの?」
「普通に遠距離武器を使って撃ち落としただけです」
「普通に相手の銃を全て斬っただけだよ~」
そう答えると先輩は「教員倒すこと自体が普通じゃないんだけどな~」などと言いながらもメモを取っていく。
「それじゃあ次の質問だけど何で君は織斑君とセシリアちゃんに怒ったの?」
「その様子なら何があったか知っているようですが?」
それでも聞きたいのと先輩が言ってくるので俺は少しなんと言うか考えた。普通に答えれば俺達は白騎士事件の際の唯一の犠牲者二人の子供でISに憧れて束ねぇに付いていって出会ったクロねぇと束ねぇは、俺達にISの操縦訓練やISや生身での戦闘訓練を付けてくれた恩人でもあり家族だから家族をバカにされたら怒るのは当然だろう。
だがそれを言ってしまうと色々と秘密がばれてしまって護衛がしにくくなってしまったり動きにくくなっても困る。
だから...
「スミマセン。その理由を詳しく話す事はできません。話すには両親の事も話さないといけないのですがまだ死んだ両親の事の気持ちの整理がついていませんから...」
そこですこし泣き真似をすると先輩は慌てて俺達に謝った。人には余り思い出したくない過去があるとしっかりと理解しているらしくそこは少しだけ安心した。
「じゃあ最後にいまさらだけどこれからIS学園で過ごすことになるわけですが意気込みをどうぞ‼」
「これから一緒に過ごしていくが束博士をバカにする奴は許さない。死にたい奴だけバカにしろ」
「私は皆と楽しく過ごせればいいな~と思っているよ?よろしくね~」
「ふむふむ...雷君はともかく風ちゃんは普通ね...少し捏造すればいいか」
そう聞いたとたん俺はアサルトライフルを風は剣を呼び出し、
「「捏造したらそのカメラを撃ち抜くぞ」(切るよ?)」
そう脅すと先輩は首がちぎれそうなほど勢いよく首を上下に振った。
「そっ、それじゃあ最後に専用機持ちで写真を撮りましょう‼」
明らかに誤魔化すために先輩は写真を撮ることを提案してきたけど...
「悪いですけど、俺は却下で」
「雷が駄目なら私もパス~」
一部の女子から残念がるような声も聞こえたが無視して俺達は食堂から出て自分達の部屋に向かって歩き出した。
「雷、写真に写らなかったのはなるべく自分の情報が漏れないようにでしょ?」
「何の事だ?。俺は写真自体が嫌いなだけなんだが?」
お互いにわかっているからこそ俺と風はそれ以上言葉は喋らずに部屋に戻っていった。また、明日も偽りの友人として振る舞う自分達に呆れながら…
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番外編
風と山田先生の試験時の戦闘と兄妹の日常
私が流星に乗ってスタンバイしていると雷からプライベートチャンネルが入った。
『打鉄は俺がやる』
雷には本人は気がついていないだろうけど、いらついていたりすると語尾が下がる癖がある。しかも相手を指定して来るとなると相当いらついているみたいだね。なら私がするべき事は,,,
『了解。ラファールは叩いておくよ』
雷が集中出来るように舞台を整えてあげる事それだけだろうね。
『試験開始‼』
そう考えているとアナウンスが流れた。
もう考えるのはやめて、頭をクリアにしてただ本能のままに行く。
私はすぐにスラスターを吹かして山田先生に突撃していく。山田先生も私に気が付いてショットガンを向けて連射して来るけどその弾丸を鎌を高速で回転させ弾く。
「えっ!?」
銃弾を弾かれたら普通はそんな反応するよね。けど、私のISは高速機だからその驚いて出来る瞬間が命取りなんだよね!。でも,,,
「ほいっ‼」
確実に近づける様に隙を作っておきたいから次は鎌を投げる。私の予想外の動きに驚いて山田先生の動きだしが鈍ってはいるけど掠りながら避ける。私のISは近距離専門だからこんな風に無理矢理にでも隙を作らなきゃいけない。だからこそ鎌にも少しだけ仕掛けがあるんだけどね。鎌の仕掛けはさて置いて今の攻防で近づききったから、ここからは私の独壇場だよ‼。
「よっと‼」
「えっ?キャア‼」
まずは両手に双剣を出して山田先生の持っているショットガンを通りすぎ様に切り捨てる。山田先生は切り捨てたショットガンの暴発に巻き込まれた様だけどまたすぐに体勢を建て直し次の銃器を構える。けど私からしたら銃口の向き、相手の予備動作でいつ撃ってきてどこを狙っているかわかるから無駄なんだよね。そして私は、次に出したアサルトライフル、そのまた次に出したスナイパーライフル、そして山田先生の最後の武装のハンドガンもショットガンと同じように切り捨てて行った。全ての武装を破壊された山田先生は両手を上げて降参の意思を示しそれと同時に試験終了の合図がアリーナに響いた,,,。
おまけ 兄妹の日常 ある夏の一時
ー三人称sideー
「いや~、夏はスイカに限るね」
「は~、スイカのどこが美味しいのか,,,夏はメロンだろうに,,,」
兄妹は妹がスイカ、兄はメロンを持って縁側でくつろいでいた。いや、くつろいでいる風に見えるが目からは火花が散っていた。
「は?、何言っているの?。メロン何て美味しくないじゃん?」
「あっ?、スイカの方が不味いだろ?」
お互いにそう言った後に深いため息を付く。そして二人して,,,
「「よろしい、ならば戦争だ」」
「ちょっと~~、メロンとスイカ、どっちも美味しいからいいじゃない?」
束が二人を仲裁するが,,,
「「束ねぇは、黙っててくれる?」」
もう二人は聞く耳を持ってなかった。この様子を見たクロエは苦笑い。束もメロンとスイカを買ってきたがこんなことになるはずじゃ無かったとこちらも苦笑い。そして争っている二人は不毛な論争を始めていた。
「まぁ、こんなに賑やかなのもたまには良いよね,,,」
束は、そう呟きまるで二人の母の様な暖かな目で見守っていた,,,。
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