もしキリトさんが茅場晶彦によってSAOのレベルのまま迷宮都市オラリオに送られたら。 (機巧)
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プロローグ1
聞こえていたのは、銃声。そして悲鳴。
脳裏に浮かぶのは、親友と過ごした2年間。そして思い出した10年間。
そしてーー。
不思議なものが見えた。
遥か上空から、カセドラルの天蓋を貫いて、音もなく舞い降りてくる白い光の柱たち。
ただ見上げることしかできない俺を、音もなく無数の光が貫いた。
痛みも、衝撃も、その他のいかなる感覚もなかった。
しかし、それでもなお、俺は自分が取り返しのつかないほどに深いダメージを受けたことを悟った。光は俺の肉体ではなく、魂そのものを直接貫いた……そんなふうに思えた。
俺と言う存在を規定する、何か大切な物が、バラバラに引き裂かれ、消えてゆく。
時間も、空間も、記憶さえもが虚ろな空白へと溶ける。
俺はーー。
その言葉も、意味を失い。
思考する能力を奪われるその直前、どこか遠くから、声が聞こえた。
『キリトくん……キリトくん!!』
泣きたくなるほど懐かしく、狂おしいほどに愛しい、その響き。
あれはーーーー
ーーーー誰の声だったのだろう……?
◇
空気に、臭いがある。
そのことに今、少し驚いた。
背中にひんやりした、硬いものが当たっているのがわかる。
どうやら俺は仰向けになっているようだ。
まぶたを上げると、夕焼けに赤く染まった空が見えた。
「絶景だな」
いつかと、同じ声。同じセリフ。
その言葉に俺はがばっと起き上がる。
なぜならその言葉の持ち主は、もう既に死んでいるはずだから。
しかし。
声がした方、そちらに目を向けると、その声の持ち主がいた。
茅場晶彦。
電脳の世界に消えていたはずの彼は、今ここにいた。
「キリトくん。君とこうしていると、いつぞやの時を思い出すな。もっとも、君にとっては昔のことかもしれないが、私にとってはついこの間のことのように思い出せる。いや、この言葉も前に会った時に君に言ったのか」
「そうだな……確かにな」
「まぁ、この場にアスナくんがいないことが、違う点であるがね」
ーーアスナ。
そうだ。ここに来る前聞こえたのは、あれは、確かにアスナの声ではなかったか。
俺は確か。
ジョニー・ブラックに劇薬を注射されたのでは、なかったか。
「彼女は、彼女はどうなったんだ!」
「肉体という点においては彼女は無事だよ」
「どういうことだ? 肉体は、なんていうからには精神が無事ではないと言うことか」
「まあな。恋人である君に重大な脳のダメージがある、などと言われたら平場ではいられないだろうな」
「俺が?」
それはどういうことなんだ?
確かにあの劇薬は、心臓の鼓動さえ止めてしまうものであった。
そして心臓から血液や送られなくなり脳に血液がいかなくなったら、脳にダメージを負うも仕方がないであろう。
人間は、5分以上脳に血液が回らないと、植物状態になってしまうと聞いたことがある。
だが。
俺は今。こうして普通に会話できている。それが植物状態ではないと言う証明ではないのか。
そういうことを奴に聞くと。
「そうだな。確かに君の言っていることは正しい。しかし、今この状況については違うのだよ。STL、それを君は知っているな。あれは魂そのものに接続する機かいだ。よって、植物状態の君にも交信ができたのだよ」
「何?つまり、ここは仮想世界で、現実の俺は、植物状態なのか?」
「その質問には、イエスとも言えるしノーとも言える」
「相変わらずあんたは、分かりにくい言い方をするな……」
「前にも言ったであろう。私たちの間柄は、無償の善意などが通じる間柄ではないと」
そうであった。あの妖精の世界。その中央にそびえ立つ巨大な樹木の上での言葉ではなかったか。
「では、今回は何をすれば、今の質問に答えてくれるんだ?」
「君のできる範囲のことである、と言っておこう」
また、無茶なことか。
しかし、情報を得るには仕方ない。奴がやれると言うんなら。
「わかった。あんたがそう言うんならそうなんだろうさ。やるよ。だから教えてくれないか?」
「まず君が植物状態というのは本当だよ。これがYesだ。……君は、あの時ーーここと同じような場所で私が言った言葉を覚えているかね」
覚えている。
忘れられるはずがない。俺の人生に二番目に大きな影響を与えた人間の言うことなのだから。……二番目か? 一番はもちろんアスナだ。だが、まだいるような……思い出せない。気のせいか。
「ああ。確かあんたは、こう言った。ーー別の世界を目指している。今でもあの浮遊城が何処かにあると信じている、と」
「そうだ……。そして先日、見つけたのだよ。別の世界を。そしてその世界を君に探索してもらいたい」
「何ィィイ⁉︎」
まさか、平行世界を見つけたというのか。
これが普通の人ならありえないと言うのだろうがこの男に限っては、もしくは。
それに少し前に俺は平行世界と思われる場所で、シルバー・クロウと戦っている。
あれはこの男の理論を元にしたSTLで経験した出来事だ。
それらを総合すると、ありえなくない。
「そしてここは、その世界と君の世界の狭間、と言うべき場所だ。これが君の仮想世界か? と言う問いに対するNOの返答だ。まあ、色々説明する前にその世界で君に探索してもらう予定の
ゴクリ、と唾を飲む。
この男が求めていたものの最奥にあるもの。
「オラリオ。ーーそれが君がいく世界で唯一の迷宮都市の名だ」
キリトはアリゼーションの記憶を失っています。
ですがいつか思い出しますし、ユージオも、生身ではありませんが出てきます。
……まだタイトルのとこまで行かない……。
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プロローグ2
誰を助けるのでしょうか?
剣戟。
鉄と鉄が斬り合う音があちこちで鳴り響く。
ここは、迷宮《ダンジョン》、50階層。
魑魅が跋扈する、地下の底。
「おわったー!」
アイズが最後のモンスターを斬り伏せ、彼女たち以外に動くものはなくなった。モンスターが倒れるのを見届けティオナが沸く中、魔法を解除したアイズは握っている片手剣を見下ろす。
剣はボロボロだった。彼女の剣技に耐えられなかったのだ。正確には、魔法なのだが。
剣姫アイズ・ヴァレンシュタイン。オラリオ最強の一角、ロキ・ファミリアのレベル5の1人だった。
そんな、彼女でも今までの戦闘は大変だった。
全身が痛みを訴えてくるが、いつものように知らんぷりをする。
「てこずらせやがって……キャンプに残ってたあいつら、無事なんだろうな」
「あれ、ベート、リヴェリア達を心配してるの?珍しいー!」
「うるせぇっ、あいつ等が荷物を守ってねえと深層から帰れねえだろうが! 勘違いしてんじゃねえ!」
恒例のようにティオナとベートが言い争いを始める中、弛緩した空気が流出していた。
この2人も、アイズと同じロキ・ファミリア所属のレベル5の冒険者だ。
その周りにも、仲間が緊張感が溶けたようにおのおのの行動をし始めていた。
その瞬間。
「ーー!」
声が届いた。
気をいっぺんにへし折る、遠方から響いてきた破砕音が。
それぞれ、表情が和らぎかけていたところを臨戦態勢を纏い直す。
しばし、沈黙。その沈黙は、とても不自然で不安と緊張が掻き立てられる。
どれだけ待ったか。
たいした時間はもしかすると、かかっていなかったのかもしれない。
油断なく音源の方向を見届けていたアイズ達の視界に、そいつは出現した。
「……あれも下の階層から来たって言うの?」
「迷路を壊しながら進めば……なんとか?」
「バカ言わないでよ……」
半ば惚けたような姉妹の会話が、静まり返った場に通る。
およそ6mの怪物。
そいつの上半身は滑らかな線で、人の状態を彷彿させる。
これだけならば、巨人かもしれない。ということで、怪物とは言わなかったかもしれない。
しかし、下半身が違った。
そいつの関心は、芋虫のような外見をしていた。
彼女たちが今まで戦っていた芋虫方のモンスターの形状を引き継いだものであった。しかし先ほど集っていたモンスターの大型個体よりも、さらに一回り大きかったが。
黄緑色の体躯にエイのような厚みのない腕がついている。しかも2対4枚。頭の上からは管のようなものが何本も垂れている。
人間だとすれば、顔があるところには、口も目も鼻もない。しかしどこか線の細さから、女性的なものを連想させる。しかし妊婦のような出っ張った黒い腹がその全てを醜悪に見せていた。
「あんな、でかいの倒したら……」
今までの戦闘では、妹子方のモンスターは、方を爆発させて、死に際に内包する腐食液を飛び散らせていた。
そう。このままでは。
あたり一帯にいるすべてのものが、撃破したとしても巻き添えを食う。
古参であるガレスが、魔石を狙うのも難しい。といい、それにベートが苦々しい言葉を付け加える。
おもむろに、そいつは動いた。
腕をまるで愛する者を、胸の中へ誘うように、ふわっと広げた。すると鱗粉のような粉が、あたり一面に飛び散る。
まう光。だんだん自分たちのほうに近づいてくる粉。
瞬間、第1級冒険者たちは、直感のまま、退避する。
爆発。
1粒1粒が凶悪な爆弾だ。
「総員、撤退だ」
すぐに体制を整えファミリアの団長、フィンが告げる。
そしてーー。
戦闘が始まった。
少しの油断だった。その少しの油断が、小さい粉を見逃していた。最初の時。飛んでいた粉はーー全部爆発していなかった。
その粉は戦闘中、急いで、テントを片付けていた者の上に降り注いだ。
「よし、みんな、片付け終わったな。すぐに49階層につながる通路の方にいくんだ」
戦闘をアイズだけに任せていた。
それはその安心感のせいかもしれない。
誰が悪いだけでもない。
誰が悪いわけでもない。
アイズはしっかりと風で吹き飛ばしていた。
他のみんなも、アイズから目を離さないようにしていた。
だから、最初に気付いたのは、それに囲まれた者でーー。
その時にはもう手遅れだった。
この距離では、第一級冒険者の防御も足も、そして風も届かない。
責任があった。だから最後のテントも、片付けていた。
気づいて必死になって逃げようとした。
それでも届かない。その逃げたことで生み出された猶予は意味がない者になるはずだった。
しかし。
黒い風が吹いた。
その風は、ファミリア団長のフィン達でさえーーオラリオでも一握りのレベル6でさえーー風にしか見えなかった。
その影は、風は、粉との間に割り込み、
「《スピニング・シールド》‼︎」
そう言葉に出し。
その黒い剣で。いやもはや盾だ。
その粉を弾き飛ばし、爆風すら、防いだ。
そしてそれが何気ない事でもあるかのように、その黒衣の剣士は助けた者の方に振り向き。
「大丈夫か?」
といったのであった。
「あ……ありがとうっす。……あなたのお名前は何すか?」
ラウルがそう問うと、黒いロングコート、そして黒い剣。すべて黒でまとめたその片手剣士は。
「俺か? 俺の名前はキリト。通りすがりの剣士だよ」
そう答えたのだった。
はーーい。
ラウルでした。ラウルでした。アイズとかレフィーヤじゃなく、この人と言うのもまたいいかなと思いまして。キャラがいいですよね。でもヒロインにはなりません(笑)。
そこのテンは安心してください笑
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迷宮の洗礼
「では、行ってくれたまえ、キリト君」
キリトが、男にフラグを立てた(かもしれない)事件から、数時間前。
俺、キリトは茅場から、一通りのオラリオについての常識を教えてもらった後、そう言われてオラリオに送り出された。……のだが。
……。
……。
……。
「うわっ、うわっ、うわぁあああああああああッ⁉︎」
俺は今現在進行形で逃げていた。
理由は簡単である。送り出された先がダンジョンであった。これに尽きる。
送り出される瞬間、夕暮れの中で遊ぶ三人の子供が見えたような気がしたのだが、そんなこと考える暇もなく。
一瞬の浮遊感の後、いつの間にかダンジョンの床に寝転んでいた俺の索敵スキルが何かを捉えた。
何が。と考える暇もなく、横っ飛びでその場を離れた俺は、確かに聞いた。
地の底から昇ってきたような、禍々しい雄叫びを。
慌ててその位置を確かめると、周囲には何もない。
ーーいや、落ち着いて見ると、索敵スキルの範囲に、そいつはいた。
「下かッ!」
慌てて地面を蹴る。そして。
「ーーーーーーーーーーーーーーーー」
地面が爆発した。
「はぁあああああああああああああああああああああああああッ⁉︎」
突きあがる豪炎。そして紅蓮の衝撃波。一瞬で数十メートル離れたというのにその炎は俺の肌の表面をチリチリ焼いた。
まじで特大の地雷が炸裂したような現象。階層の床が丸ごと紅炎に包まれ、天井まで突き破った。なんということだ。
あの浮遊城ですら階層を無視するなどと言う理不尽なことは起こらなかった。
だがこんなことが起こるというのか。
「なんなんだよ、まったく」
そう言っている暇もなく。
また、索敵スキルが先程のようなものをとらえた。
あわててまた地面を蹴る。
そして、1度じゃないのかよと思いつつ俺は、スキルウインドゥを開け、またいつでもこの地に戻ってくることができるようにマッピングされていることを確認しながら、逃走を開始して今に至る。
◇ーー
「ああ……やばい。行き止まりだ」
今までの情報で、コレの正体はわかっていた。
1回だけ炎が過ぎ去った後に、それがぶちぬいて行った跡を見てみたのだ。
それは、何層もの階層をぶちぬいて形成された巨大な縦穴だった。
そしてその下でこちらを見てくるのは数匹の巨大な龍。数百メートルも下からそいつらはこちらをーー『狙撃』しているのだ。
「これがこの世界のダンジョンかよ……」
というのが俺の正直な気持ちだった。
そんな話をしてもこの状況は変わらない。行き止まりに行って入ってしまったことは事実だった。
ここはダンジョンなのになぜか他のモンスターは襲ってこないが、そんなことよりコレは大問題であった。
ダンジョン表記によるとーーこれはマッピングで見たーーここは52階層。
上にのぼるか、下に降りるかは違いがあるが。この程度の階層ならば、浮遊城の常識に照らしてみれば、大丈夫であろう。
そしてこの階層のギミックなのだから、もし当たったとしても多少のダメージ位で済むだろう。
そんな考えで、俺はなすすべもなく、炎に包まれ下の階層に落ちていった。
◇ーー◇
「は?あんまりというか全くダメージがない!?」
とりあえず下の階層におりた後、背中の剣を抜いてドラゴン(索敵スキルによるとヴァルガング・ドラゴンとなっていた。砲竜とは言いえて妙だ。)を倒した俺は、戦っていたときのことを思い出しつつ、そのことに驚いていた。
まぁ考えても仕方がないので、考えていないことにした。
「とりあえず上に登ろう」
茅場のいっていたことが本当なら、上に行けば都市があるはずだ。とりあえずそこを目指そうと思い、俺はモンスターを倒しつつ(モンスターを倒したら、ほとんどの場合魔石というものがドロップした。ほとんどと言うものは、時々ドロップしないことがあったということだ。法則性はよくわからない。ただドロップしなかったときは、剣で倒したとき、キンという甲高い音がしたような気がする。ちなみに、マセキにはいろいろな大きさがあり、ほとんどの場合倒したモンスターの大きさに比例していた。また時々、倒したモンスターにあったものがドロップした。ナメクジの皮は気持ち悪かった。あと余談ではあるが、装備しているもの以外ではすべてのものがなくなっていた。あとついでにステータスやレベル等はSAOクリアじのものであった。あと左手側に装備していた青い剣ーー青薔薇の剣と言うらしいーーは刀身が半分なくなっていた。捨てようかと思ったが、なぜか捨てれなかった)
そして、誰にも会わず、50階層まで上がってしまった。そこで見たものと言うと。
ナメクジのような体に2人の女性のような上半身をした壊滅的にデザインを失敗しましたというようなモンスターと金髪の女性が戦っていた。
ーーバカ。
そんな単語が一瞬頭に浮かんだがすぐに消えた。
最近こんなことが多いな、と思う。まぁそれもすぐに消えてなくなった。
その女性型は、鱗粉を飛ばした。
それを金髪の女性が風で飛ばす。
「イ……
俺が生まれる少し前に発売され、今も有名な大作ゲームの某騎士王の宝具の名前を思わず呟いてしまった。
だって余りにも似ていたから。最も得物は隠していなかったが。
そして飛ばされた鱗粉が爆発した。
あれは爆発物のなのか。そう思った。そして、少し視界を広げると、たくさんの人たちが見えた。
また狙撃されて下の階層に落ちましたでは話にならない。一緒に地上まで連れて行ってもらえないかなと俺は思いつつ、戦場に近づいていった。
すると。
テントを片付けていた1人の男の人の上にあの鱗粉が漂い、落ちてきているのが見えた。
危ない、そう思った俺はその人と鱗粉の間に入り込み、
「《スピニング・シールド》‼︎」
そう言葉に出し。
黒い剣ーー夜空の剣という銘だーーを使ってソードスキルを発動刺した。かつてあの浮遊城で竜のブレスさえも防いだこの技は、たやすく粉を吹き飛ばした。そして爆風すらも。
火の矢を受け止めたような気がしたが結局は何ともなかった。
そして俺は助けた者の方に振り向き。
「大丈夫か?」
と声をかけた。
「あ……ありがとうっす。……あなたのお名前は何すか?」
助けた男がそう聞いてきた。まぁ同行させてもらうのは結局なのるのだから、と思って名乗ることにしたか。思わずいつもの名を口にした。
「俺か? 俺の名前はキリト。通りすがりの剣士だよ」
「ラウル! 大丈夫かい」
先程の助けた男の仲間なのだろう。小さい緑色の髪をした少年がそう尋ねていた。
「だ……大丈夫っす。そこのキリトさんが助けてくれたっすので」
「そうか。キリトさん、といったかな。ラウルを助けてくれてありがとう」
「いやどうってことないさ」
俺はそう答えた。もともと、ここまで来るのにダメージを全然受けていない。そして先程の攻撃は全く受けなかった。被害は無いのだがらよいだろう。
「うわー真っ黒。ラウルを助けてくれてありがとねん」
その後を追いかけてきた、褐色の肌に漆黒の髪を携えた元気ハツラツな少女はそう言ってきた。
「どういたしまして」
そしてその少女は不思議そうに、「真っ黒くん、聞いちゃいけないとわかってるんだけど君何レベ?だって隊長よりも早かったし。気になってさ」
俺はそのくらいの情報な良いだろうと、真実を口にした。否、しようとした。
「俺のレベルか?俺のレベルは9zy」
「レベル9〜〜ぅうううううううううううううう?」
少女はこれ以上ないと言う音に叫んだ。
この後、炎に追いかけられたとき以来、ここに送り出したあいつに殺意をめちゃくちゃ覚えるのだった。
fateは完全にネタです。あれ見てずっと思ってたんですよね。
あとヒロイン募集の中間発表です。
アイズ 4
エイナ 1
リヴェリア1
ヒロインなし 1
9/9修整しました。ご迷惑おかけしてすみません。
ヒロインを募集しています。活動報告欄にヒロインの名前をお願いいたします。
感想と評価ももちろんお願いします。
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レベル
更新遅れてすみません。新学期やらなんやらで時間が……。
本当に不甲斐ないです。
次の更新も、ストックないのでいつになるか……本当にすみません。
「では行ってきてくれたまえ、キリトくん」
あの男ーー、茅場晶彦はそういった後、俺を送り出した。
俺は、自分の体が粒子の欠片になっていくことがわかった。
ここ最近、ALOでよく感じていたものだ。いや、なぜか長い間経験していなかった気もする。
SAO時代の名残だろうか。
本当に、久しぶりのような気がする。
そして、自分の意識が薄れゆく中。
あの男は俺に向かって微笑んでいた気がした。
あいつの望みはわかるような気がする。あいつは確かに数千人の人間を殺した。
でもあの男は、あの男の望みはおそらく純粋のものであったんだろう。
ここではない、どこかへ行きたい。やり方は間違っていたとしても、それは高みを目指す人間として当然のことであったのかもしれないんだから。
だから俺は、あいつをーーあの男を、憎めないのだろう。
◼︎
「レベル9ーーーーーーーーーーーーーーーーーっ?」
戦場のど真ん中。
少女の叫び声が響いた。
俺は一旦耳を塞いだ。
キーーンとした、飛行機の音を間近で聞いたような、黒板の音を間近で聞いたような、そんな耳をつんざくような絶叫だった。
「うっ。全く何なんだ」
と俺はいった。
少女はそう、叫んだあとも、俺の前でぴょんぴょん飛び跳ねるというべきだろうか、そんなふうにまとわりつきながら、
「ねね。レベル9ってほんと?」
「どうやったの?」
などと聞いてきた。
俺は、彼女のーー人懐っこいような、顔をした褐色の女の子だーーの言葉に、本当は90レベルだと答えようとしたのを飲み込んだ。
どうやら彼女たちの間では、レベル9でも高いようなのだ。
ここで90レベなんて言う事を明かしたら、目も当てられないこになりそうだ。
本当のことを明かすのは、とりあえず地上に出て、ほんとのことやこの世界の常識を知ってからの方が、良いだろう。
そんなことを考えていると、その横から、さっき俺にお礼を言ってきた小さい男の子が俺に向かって、
「君、レベル9と言うのはーー」
そう言おうとしたが、つづきは聞こえなかった。
だんだん怪物が近づいて来るのを悟った小さい男の子が、言うのをやめたからだ。
その判断に間違いはなく。俺の索敵スキルでも同じ反応を示していた。
◼︎
アイズ・ヴァレンシュタイン。
彼女が、敵の側面及び、後方を取ろうと何度目とも知れない撹乱からの回り込みをおこなった時だ。
後頭部から生えていた何本もの管が、意志を持ったように蠢き、アイズ目掛けて腐食液を打ち出す。
ーーえ、ずるい。
無警戒だった頭上からの射撃。
南条もの腐食液が殺到する光景に、アイズは身に纏っている気流だけでは防ぎきれないと判断し、剣を走らせ、斬り払う。
敵の懐から離脱してしまうため、緊急回避を惜しんだのが仇となった。女体型はそれまでを超える敏捷さで右半身をひねり、二枚の複腕を振りぬく。
下部から伸びる右腕の一撃を受け止めたアイズは弾き飛ばされ、すかさず上部の右腕が、極彩色の粒子を拡散させた。
ーーこの時キリトは、再び、この前に見たアニメのヒロインが全身青タイツの必殺を受け止めた場面を思い出していたのだが、アイズには知る由も無いーーー
アイズを包囲する数え切れない光粒。
終わらせるつもりなのか、今までにない量の爆粉が注ぎ込まれる。
いや、もしかしたら終わらせるつもりではなく。
先ほど自分の攻撃を防いだ誰かを警戒しているのかもしれない。
先ほどアイズが逃してしまった爆粉。
それを誰かが防いでくれたのは、視界の端で捉えていた。
おそらくフィンか、ガレスか、リヴェリアか。ベートだったらへんに恩着せがましく言ってきたり、怒鳴ったりで嫌だな、とおもった。
不甲斐ない自分を戒めつつ、終わったらその人に謝ろう、そう思うが、少しアイズは怪物の態度が気に入らなかった。
その人物の方が自分よりも強いと、そう言っているようだったからだ。
ーーさせない。貴方の相手は私。
「風よ」
その瞬間、アイズを守っていた風が鎧を解いて広がり、爆粉を周囲へと吹き飛した。
◼︎
「ラウルは一旦退却してくれ。僕たちは、アイズがしっかり止めを刺せるように退却を早くしよう」
「わかったよー」
「わかりましたっす」
どうやら、小さい男の子が隊長なのか、指示に2人とも従った。いや、あの男はこの世界にはいろいろな人種があると言った。ファンタジー系のゲームで見る、小人族だのかもしれないなと思った。外見のわりに大人び過ぎているように思えるからだ。
そして2人がこの場から、離脱した後。
その小さい男の子は、いやその男は。
「今、オラリオに居る冒険者の最大のレベルは7だ。だが、君は、9と言った。普通なら嘘だと断じるだろうが、先程の動きを見ている限りあながち嘘とも思えない。あとで、説明してくれるかい」
そう俺に残し去っていった。
俺は、その場に立ちすくんでしまった。
この世界に唯一しかなく。
最も熱い都市であっても、最大レベルが7であると言うことに驚いてしまったからだ。
一回、向こうで戦っている金髪の女剣士の洗練された剣技を見て。
ふとステータス画面を開く。
そこに刻まれている数字は、96だった。
ーーーーーーーーーー
avatar name kirito
Level 96
age 17、19(極稀に表記ゆれ)
main weapon 《夜空の剣》《青◼︎◼︎の◼︎》
body 《ブラックウィルムコート》
leg 《???》
skill slot
《片手用直剣》:1000
《二刀流》:1000
《投剣》:967
《武器防御》:1000
《戦闘時回復》:944
《索敵》:1000
《追跡》:963
《隠蔽》:1000
《暗視》:908
《限界重量拡張》:949
《疾走》:870
《釣り》:604
ーーーーーーーーーーーーーーー
invisible skill
《セルルト流剣術》 《神聖術》 《心意》 《武装完全支配術》《武装完全開放術》
ーーーーーーーーーーーーーーー
ステータスの多くは流用さしていただきました。インビジブルスキルはキリトには見えていません。
ヒロイン募集、活動報告の方でまだ受け付けてます。
……いつになるかわからないですが。
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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか&教会の天井から頭を突き出すのは間違っているだろうか
こいうこと投稿。これでもういつになるか本当にわからん。
本日二話目です。お読みでない方はまえの話からどうぞ。
後、かなりの引用すみません。未熟さが招いたものです。
減らそうと努力したんですよ?
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?
数多の階層に分かれる無限の迷宮。凶悪なモンスターの坩堝。
富と名声を求め自分の命知らずの冒険者たちに仲間入り。ギルドに名前を登録していざ出陣。
手に持つ剣一本でのしあがり、末に到来するのはモンスターに襲われる美少女との出会い。
響き渡る悲鳴、怪物の汚い咆哮、間一髪で飛び込み翻る剣の音。
怪物は倒れ、残るのは地面に座りこむかわいい女の子と、クールにただずむ格好の良い自分。
ほんのりと染まる頰、自分の姿を映す綺麗な瞳、芽吹く淡い恋心。
時には時には時には時には時には時には……。
子供からちょっと成長して、英雄のの冒険譚に憧れる男が考えそうなこと。
可愛い女の子と仲良くしたい。 綺麗な異種族の女性と交流したい。
少し邪で如何にも青臭い考えを抱くのは、やっぱり若い雄なりの性なんじゃないだろうか。
ダンジョンに出会いを、訂正、ハーレムを求めるのは間違っているだろうか?
結論。僕が間違っていた。
『ヴヴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ‼︎』
「ほぁあああああああああああああああああああああああっ⁉︎」
僕は今、死にかけている。如何にも青臭い考えを抱いて冒険者になった結果ーー具体的には牛頭人体のモンスター、『ミノタウロス』に追いかけている。
lv.1の僕(しかもまだまだ新米)の攻撃では一切ダメージを与えられない。
ミノタウロスは、lv.2で、しかも、ミノタウロスの皮は硬い為、それなりで取引もされたりするからだ。
詰んだ。間違いなく、詰んだ。
ああ、運命の出会いなんかを日々数え切れない死者を出すダンジョンに求めたじてんて、僕ーーベル・クラネルは、終わっていたんだ。
一攫千金ならぬ、一攫美少女なんて夢のまた夢だった、
あぁ戻りたい。過去の自分を殴りたい。まぁ無理なんだけど。
『ヴゥムゥンッ‼︎』
「でえっ?」
ミノタウロスの蹄。
背後からの一撃は直撃しなかったが、僕の足は、取られてしまった。
ゴロゴロとダンジョンの床を転がる。
『フゥー、フゥーッ……!』
「うわわわわわわわわわわわっ……⁉︎」
臀部を臀部床に落とした臀部を態勢で、惨めに後ずさりした。
可愛い女の子達が見たら一瞬で幻滅しそうな光景。僕には最初から、お伽話に出てくるような英雄になる資格はなかったらしい。
壁に背中がぶつかる。
行き止まり、だ。
(あぁ死んでしまった……)そう思っても、僕は性懲りも無く原因である女の子との出会いは訪れなかった。と思い浮かべていた。
次の瞬間、そのかいぶつの胴体に一線が走った。
「え?」
『ヴぉ?』
僕とミノタウロスの間抜けな声。
走り抜けた線は胴だけでなく、体の各部に連続した。銀の光が少しだけみえた。
ここにある黒衣の剣士がいたら「……メカフリーザ」と言ったであろう光景。
強敵が、強敵であったはずが、だだの肉塊となる。
僕はミノタウロスの断末魔と血のシャワーを浴びた。
「……大丈夫ですか?」
そこにいたのは金髪金眼の女神様のような美少女だった。
(……ぁ)
ーーlv.1で駆け出しの僕でも分かるくらいの超有名人。
【ロキ・ファミリア】に所属する第1級冒険者。
ヒューマン、いやすべての種族の女性の中でも最強と謳われるlv.5,
【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。
「あの……大丈夫、ですか?」
大丈夫じゃない。
全然、大丈夫じゃない。
心臓がばくばく言って破裂しそうな位の一目惚れ。
芽吹く淡い……いや盛大な恋心。
妄想は結実、配役は逆転、想いはど頂点。
僕の心はこのときに奪われた。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?
再結論。
僕は間違えてなんかいなかった。
そしてもう一つ。
この時の僕は、英雄という意味での師匠にこの日のうちに会うことなんてまだしらなかった。
◼︎
その日の夕方。
僕がアイズさんの情報を求めに血塗れのままエイナさんーー僕のギルドでのダンジョンアドバイザーだーーに突撃してしまう事件が終わった後。
自分のファミリア、【ヘスティア・ファミリア】の本拠地《ホーム》であるうちぶれた教会に戻ってきた後。
「神様帰って来ましたー! ただいまー!」
そう言って僕は教会の地下室に踏み込んだ。
「やぁやぁお帰りー。今日はいつもより早かったね?」
「ちょっとダンジョンで死にかけてちゃって……」
「おいおい、大丈夫かい? 君に死なれたら僕はかなりショックだよ。柄にもなく悲しんでしまうかもしれない」
そう言ったのは神様。
僕の主神のヘスティア様だ。
将来は絶世の美女を約束されているような容姿だけど、彼女が今の姿から成長することは、ありえない。
それは、この人が『神様』だからだ。
超越存在《デウスデア》。英雄達より凄いお方だ。
そんな神様とジャガ丸君などの取り留めのない話をしつつ、ぼくらは【ステイタス】更新に入った。
「ほら、君の新しい【ステイタス】」
ベル・クラネル
lv.1
力:I77→82 耐久:I13 器用:I93→96 敏捷:H148→172 魔力:I0
《魔法》
【】
《スキル》
【ー】
「……神様。僕、いつになったら魔法を使えるようになると思います?」
「それはボクにもわからないなぁ」
そんな会話をしているうちに……ん?
「神様、このスキルのスロットはどうしたんてすか? 何か消した後があるような……」
「……ん、ああ、ちょっと手元が狂ってね。いつも通り空欄だから、あんしんして」
「ですよねー……」
すこし期待してしまった。
僕にもスキルが出たのではないかと。
そして更新の後の談義も終わり、僕は夕飯の支度をし始めた。
すると、ドンガラガッシヤーンという大きな音が辺りに響いた。
「うっ」
「うわっ、何なんだい⁉︎」
神様と僕は驚いてしまった。
揺れはすぐ収まったが、
「神様、上からのようです」
「そ、そのようだね」
「僕上に言って見てきます」
「よろしくたのむよ」
音が気になったので見に行くことにした。
◼︎
(下界の子ってかわりやすいんだなあ)
と上への階段を上っていくベルを見送りながらヘスティアは、そんなことを思っていた。
黙っていた、【ステイタス】のスキルの部分。
そこには今まで聞いたこともないスキルが刻まれていた。
これが娯楽に飢えた他の神に伝わったことを考えると恐ろしい。
だから教えられなかった。
《スキル》
【憧憬一途《リアリス・フレーゼ》】
・早熟する。
・懸想が続く限り効果持続。
・懸想の丈により効果上昇。
まあ、アイズ何某への嫉妬心も伝えなかった理由なのだが。
◼︎
ベルが教会の地上部分に出てみると、大きな瓦礫ーーおそらく天井のものだろうーーが崩落していた。
何が原因か、天井を見て見ると、そこには、黒衣の剣士が天井から頭を突き出す感じで逆さまに宙ぶらりんになっていた。
その人物は、「ヤバイ、調子に乗って《
「えっ?ええええええええええええええええええええっ⁉︎」
ベルがそう叫ぶと黒衣の少年はこちらに気づいたようで。
その黒衣の少年ーー青年はそう言った。
「やあ、こんばんわ、かな?」
そしてこれが始まりの前兆。
ベル・クラネルの本当の意味での、英雄譚の始まりの前兆であった。
そして始まり。
翌朝、ベルはシルと言う少女に出会うことで、運命が加速する。
◼︎
……時間は少し遡り
「だっーー」
「だ?」
己が助けた白髪の少年は、アイズに首を傾げる暇も与えず、かばっと跳ね起きた。
次の瞬間。
「だぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ⁉︎」
全速力でアイズから逃げ出した。
「……」
アイズはポカンと立ち尽くしてしまった。
これで本日二度目……。
何がとは言わない。無論逃げられたことだ。
ほうけた表情をベートに笑われたアイズは、ベートを年相応の少女のように。
きっ、と獣人の青年を睨みつけながら、
……あの人はどうしているのかな。
と、考えた。
思い出すは、先程の白髪の少年と同じく自分の前から逃げてしまった黒髪黒衣の少年。
あの時ーー。
「リル・ラファーガ」
主神命名の一撃必殺を唱え、風の矢となったアイズが怪物を倒した後。
【ロキ・ファミリア】は、未到達階層に行くのを諦めた。
戦闘で、武具のほとんどがやられてしまったからだ。
そして、あの粉を止めてくれたのがフィン達ではなく、通りすがりの黒衣の剣士と聞いて驚いた。
そしてレベル9と聞いてさらに驚いた。
フィンもそのことについて聞こうとしていたようだが、帰り道の途中で、
「じゃあな」
と言って去ってしまった。
もちろんアイズも、
「ちょっと、待って」
と言って引き止めようと、腕を掴もうとした。しかし、黒色の彼はすり抜けた。
アイズはかなり本気で動いたのに、だ。
「ちっこいのじゃなくて、フィン君。聞かれたことは後で話すからさよならーーっ」
最後に聞いたセリフはこれだ。フィンは、それでいつか聞こうと妥協したようだが(実際は、ちっこいのとか言われてすこし凹んでいた)、アイズは諦めない。
どうして貴方はそんなに速くなれたの?
そう聞くまでは。
ーー知りたい。その速さの秘訣を。
今度会ったら絶対に聞いてやるんだから、とアイズは無表情に戻り意気込んだ。
◼︎
バベル最上階。
そこにいるのは、女神。
「なぜ、見えないの?」
不思議そうな声。
視界に映るは朝見かけた白髪の少年。そして自分の娘。そしてーー黒衣の剣士。
「ふふふ、ふふふふふ」
「どうなされましたか」
そう問いかけるは大男。オラリオ最強(?)のlv.7の武人、オッタル。
「予定変更よ。あの子も手に入れるわ」
妖艶な女神はそう言った。
「それは何故でしょうか」
「ふふっ実際のことを言うけれどね。見えないのよ。あの子の魂が」
その言葉にオッタルは驚いた。己が主神でも見えない魂があろうとは。
女神フレイヤも驚いていた。ベルという名の白髪の少年は透き通る色に見えた。だから欲しいと思った。だか、黒衣の少年の魂の色は見えなかった。
本当のことを言えば、《隠蔽》スキルが原因だ。《隠蔽》スキルには、《聞き耳》スキルなどの覗き見るスキルを無効化する力がある。それをキリトは、熟練度を最高にしていた。さらに言えば心意という力が守っていることも原因であった。女神には知る由もないが。
「なんと」
「だからこそ、欲しい。絶対に手に入れて見せるわ……」
オラリオで最も高い場所で、女神の笑い声が響き渡った。
アイズには関わりフラグです。
(今の所)恋愛フラグではありません。これからどう転ぶかわからないですらね。
活動報告にヒロイン募集しています。
感想、ご指摘がありましたら気軽にどうぞ。
オラリオ最強(?)の武人オッタルwwとまさかの空から落ちてくる系ヒーロー(ヒロインではない)
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バベル
……テストうらめし。
時刻は昼前。
よく晴れたオラリオの街を俺は歩いていた。
昨日のことだが、ベルと、神様であるヘスティア様の2人しかいない【ファミリア】である【ヘスティア・ファミリア】のホームに泊めてもらった。
寝泊まりするところを探していた俺は、辺りの壁で、
まぁ、心あらずに走っていたら、辺り確認するのを疎かにして教会に落っこちてしまったが。
それが彼らとの出会いだった。
ホームの天井に穴を開けてしまったのにいい人(神)たちだった。
ジャガ丸くんパーティーというものにも参加させてもらった。このオラリオで人気の食べ物だそうだ。
そして今日、俺が何しているのかというと。
今日の朝、ヘスティア様とベルにファミリア入団を勧められた。その場で返事は延期しておいたものの、ベルが時間だ、と言って、ダンジョンへと出かけてから、ヘスティア様と2人で話した結果、形の上でだけ、【ファミリア】に入団することに決めた。
要は、ダンジョンに潜るのに【ステイタス】と言う名の恩恵はもらわずに、ファミリアに入った事を証明するということだ。
不思議がっていたが、事情があるので……時が来たら話しますと言ったらあっさり引いてくれた。まぁ教会の地上部分でソードスキルを見せたこともその理由だろう。ちなみにそれしたあと、一回見せたはずの背中をもう一度見られた。まぁ隠したのは仕方のないことだ。この世界で異世界人という存在はどんなものかわからないまま、それをいうと、最悪の場合死刑ということもある。用心はするべきだ。
そしてヘスティア様に背中にステイタスのようなものを描いてもらった後(実際には落書き。効果はない)、ヘスティア様はバイトに。俺は
ギルドに登録した後、武器を見て回っていた。……登録するとき、新規冒険者登録というところに並んだらレベル1として登録されてしまった……偽装とかにならないだろうか……ものすごく不安だ。特にレベル9と勘違いされている彼らが。
そんなことを考えつつ。
ヘスティア様曰く、ここにはいろいろな店があるそうだ。
他にも本店などはあるが、オラリオに来て短い君だと迷うかもしれないから、とりあえず迷わない(だって高いもん)ところを紹介してくれるそうだ。
そんなことを考えながら、バベルの中を歩いていく。
どうやら【ヘファイストス・ファミリア】がヘスティア様のおすすめだそうだ。同業最大手.であるらしい。
だが、余計なものを買わないでおくれよ。と釘を刺された。どうやらブランドがついているそうで……、ものすっごく高いのだ。
多少の魔石を換金したものの、もともと今日は見るだけのつもりだったのだ。剣もあるし、余計なものを買うつもりはない。(⇦カゲミツという光剣を即決で買った人)
どうやら案内板を見た結果、【ヘファイストス・ファミリア】は、4階から8階に店舗があるらしい。とりあえず見に行った。
……。
……。
……。
高い……。
ヘスファイトス・ファミリアの武器は、凄く高かった。
だがそれに見合うだけの値はあるようだった。
だが金がないからな。そのまま何も買わずに通り過ぎた。
そうして1階ずつ上がって行った。そして8階。
ようやく手が出せる金額だった。どうやらここは新人鍛治士の作品を置いてあるようだ。
辺りを見ていく。すると、棚の隅の方に、小さな短剣があった。俺は《投剣》スキルを持っている。
よって無駄になることはないしお手軽な値段だったので手に取ってみた。
その銘を見てみると、《コボとう》と書いてあった。
……どうやらコボルトの投剣だから、なのだろうか。
出来はいいのだが、出来はいいのだが……
(いかんせん、ネーミングセンスがない……)
俺は作者に聞かせられない思いを抱いていた。
その後、迷ったものの、その剣は、購入することにした。
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キリトとベート、勃発
日は既に西へと傾いていた。
あのコボとうとやらを買ってから、その作者ーーヴェルフ・クロッゾとか言うらしいーーの作品を見て見たりしながら時間を過ごした。
作品のセンスとかはいいのに……本当にネーミングセンスが全てダメだった。
なんで牛の全身鎧《フルプレートアーマー》が、モーさんになるんだよ。
本当に。
本当に他の部分はいいだけに残念だ。ツーかあれか、騎士王の息……どっちだっけ?
もっとも、少し図書館によって調べ物をした結果得られた情報よりはネーミング良かったが。
……この世界の人ってみんなチューニビョウなんだな。
……そして、神様のほとんどが某巨大掲示板サイトの住人なんだということにも気がついた。
なんだよ。猛者でおうじゃと読むとか……カッコいい‼︎
じゃなくてゲフン。それ一個ならともかく……多いとさすがに……な?
「ダンジョンはダンジョンだろ。ダンジョンにダンジョン以外の何を求めてるんだよダンジョン」とかいう発言とかもな。
ちょっと残念すぎて沈黙がヤバイ。
そんなこと考えながら帰路へつくキリトであった。
□
「えーー? キリトさんがこのファミリアに入って貰える事になったんですか?」
「うん。その通りなんだよ、ベルくん」
「やったーーーーーーーっ! 二人目の団員ですよ? やりましたね、神様」
俺が帰ってきた後ですぐにベルも帰ってきて俺がファミリアに入ることを伝えてそんな風にいきわいわいとしていたベルたちであったが。
ベルがステイタス更新をしてから不穏な空気となった。
どうやら上がり幅が大きいらしい。
それを疑問に思った結果、ベルが質問した。
すると……ヘスティアさまが、
「……知るもんか」
とか言い出し、バイト先の打ち上げへといってしまわれた。
その結果、ベルと二人で朝ベルが行くと約束したらしい『豊穣の女主人』に行く事になった。
「へぇ、キリトさんは片手剣使いなんですか。すごいなあ。1回もたせてもらっていいですか? ……っておもももももももももも‼︎」
ベルが片手剣を一回持ってみたいと言ったので渡してみたら、重たそうにしていた。
確かこの夜空の件には適正レベルとかいうものが書かれていたような気がする。それを満たして以外からなのだろうか。ということは、適正レベルは、40ちょい。この世界の最高は8……誰も持てねー。
「キリトさんこんな重い剣を得物にしているなんて凄いなぁ」
「そうか……?」
「はい、ものすごく!」
ベルがキラキラした目で見ている。ベルはどうやら英雄に憧れているらしい。
「さぞかし強いんだろうなあ……」
「剣なら今度教えてやるよ。暇なときにな」
「本当ですか?お願いします」
強くなりたいという気持ちは分かる。だから、手伝おう。腐っても同じファミリア、なんだからな。
ファミリアと言えば、ヘスティア様、起こった時の明日菜に似ていたなぁ、と今更ながら思った。
□
まあそんなことをしながらお店に着いた。
「ベルさんっ。来てくれたんですね?いらっしゃいませ!あれ、隣の人は?」
「ああ、同じファミリアなんです」シルさんというベルと約束した店員さんにあった。
すると座席に案内され、店主のミアさんから、
「アンタがシルのお客さんかい?ははっ、冒険者のくせに可愛い顔してるねぇ、二人共。大食漢なんだって。
じゃんじゃん料理を出すから、じゃんじゃん金を使ってくれよぉ!」
「えっ!?」
隣のベルを見ると度肝を抜かれたような顔をしていた。
どうやらこのシルさんという人、侮れない人らしい。アルゴやエギルと接するくらいのつもりでちょうどいいかもな、とこれから注意しようと考えた。
□
少し食べてベルたちと会話した後。
食べていた俺に予想外のワードが入ってきた。
「ロキ・ファミリアが入って来たぞー」
「ブブーッ。」
「わぁどうしたんですか、キリトさん」
「いや、気にしないでくれ。奥で少し食べてくる。ベルはシルさんと話していてくれ。アディオス」
ロキ・ファミリアってあいつらじゃないか。見つかったら面倒くさい事になりそうだ。
陰で軽く〈隠蔽〉して食べ続ける。どうやらばれずにすみ、ロキ・ファミリアの打ち上げが始まった。
「今日は宴や!飲めぇ!」
「「「乾杯ー!!!」」」
凄く人気があったりしている。
その中で獣人の青年が。
「そうだ、アイズ!お前のあの話を聞かせてやれよ!」
「あの話…?」
「あれだって、帰る途中で何匹か逃したミノタウロス!最後の一匹、お前が5階層で始末しただろう!?そんで、ほれ、あん時いたトマト野郎の!」
まるで。面白いネタを提供するように。
「ミノタウロスって、17階層で襲いかかってきて返り討ちにしたら、すぐ集団で逃げ出したやつ?」
「それそれ!奇跡みてぇにどんどん上層に上がっていきやがってよっ、俺達が泡食って追いかけていったやつ!こっちは帰りの途中で疲れていたってのによ~」
「そんでよ、いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなひょろくせえ白い髪のガキが!」
白い髪……思い浮かぶのばベル。ベルの方向を見ていると、ふるふると体が震えていた。
「抱腹もんだったぜ、兎みたいに壁際に追い込まれちまってよぉ!しかも、アイズがミノを細切れにしたからそいつ全身にくっせー牛の血浴びて…真っ赤なトマトになっちまったんだよ!」
「アイズはどう思うよ?自分の目の前で震え上がるだけの情けねぇ野郎を。」
まだ、青年の話は続く。もしかしたら、この話は……。
その後、他の団員が、諌めるが、止まらない。
そして……。
「なんだよ、いい子ちゃんぶっちまって。…じゃあ質問を変えるぜ?あのガキと俺、結婚するならどっちがいい?
「……私は、そんなことを言うベートさんとだけは、ごめんです」
これに反応し、
「無様だな」
緑の髪のエルフが言う。
「黙れババアッ。…じゃあ何か、お前はあのガキに好きだの愛してるだの目の前で抜かされたら、受け入れるってのか?」
「……っ」
「そんなはずねえよなぁ。自分より弱くて軟弱な雑魚野郎に、他ならないお前がそれを認めねえ」
決定的な一言を。
「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ」
ベルは、逃げ出した。
「あれま、食い逃げか?」
「ようやるなあ」
俺は、そんな言葉を尻目に、自分への怒りが止められなかった。あそこで止めるべきだったんだ。
ガタッとその場の席を立ち、
「すみません。お金なら俺が」
そう言ってお金を放る。ロキ・ファミリアと離れて地上に帰ってくる時の魔石のだ。
「……ちょうどさね。……中では騒ぐんじゃないよ」
そうミアさんが入って来た。俺がしようとすることを察してくれたらしい。
俺は、ありがとうございますと呟いてから、青年の前に近づく。
「君は⁈」
小人……パルゥムというらしい少年ーーフィンくんがこちらに気がついた。
そして、
「あん?なんだ?てめえは?」
「少し、表に出てくれないかな? 流石に友人のことを笑い者にされて黙っているのは趣味じゃないんだ」
「はっ。友人?……もしかしてさっきのガキのことか? いいぜ、やってやるよ」
「決闘《デュエル》成立だ」
ハイ、ベルくんの強化フラグ、ベートさんのフラグが立ちました。感想、ブックマークお願いします。
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