黒子のタスケ (ワラスペ)
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黒子のタスケ

夏の陽射しが強い昼。公園では子供が遊び、蝉が鳴き、サングラスを掛けた中年がベンチで暇を持て余す。

彼の名前は長谷川泰三。昼間から公園に居る理由は無職、それにホームレスだからである。

 

「はぁ…こんなに暑いのに、財布は寒い」

 

そんな彼の横にコトッとポカリが置かれた。

 

「うん?」

 

隣りを見ると刀を腰に帯刀をした青年が、いつの間にか座っていた。

 

「これでも飲んで元気を出してください」

「あ、ありがとうございます」

 

長谷川はプルタブを開き、ポカリを飲む。

 

「ぷはー!美味い!」

「いつの時代もポカリは美味いですからね」

 

青年もポカリを口に含む。

 

「…これを飲むと思い出します。皆さんとポカリを飲んだ日々を」

 

彼の顔から憂いが浮かび上がる。

 

「戦いが終わった後で飲んだ冷たいポカリ。冬の寒い日に飲んだ温かいポカリ。そして夏に飲んだ流しポカリ…」

「ちょっと待って‼︎流しポカリって何⁉︎流しそうめんみたいに竹から流すの⁉︎」

「…早く皆さんに会いたいです」

「ねぇ聞いてる⁉︎」

 

青年は騒ぐ長谷川を無視して遊ぶ子供達を見つめる。そんな彼を見て長谷川さんは溜め息を吐いてポカリを飲む。

 

「…僕こう見えて攘夷志士なんですよ?」

「そうかい。でも何で江戸に?」

「仲間に会うためです」

「さっき話したポカリを飲み合ったという?」

「はい。その中でも特別活躍したキセキの世代の四人が江戸に居ると聞いたので来てみたんですけど中々情報が無くて…」

「ぷらぷらしているプー太郎の元攘夷志士なら居るけど?」

「ちなみに僕の名前は黒子野太助です」

「君話聞かないタイプでしょ?だったら情報聞き漏らしているよ?」

「うるさい。黙って聞いてください」

「なんで他人の話聞かない癖に自分の話は聞いて欲しいの⁉︎」

 

そんな二人に銀髪の男が近づいて来る。

 

「おいおい長谷川さん。ポカリ飲んでる金が有んなら俺に奢ってくれよ」

「あっ銀さん」

「お久しぶりです銀時さん」

(えっ、さっき話してたキセキの世代って銀さん⁉︎)

 

銀時は邪魔だと言わんばかりに青年をベンチから摘み出しベンチに座りだす。

 

「で、長谷川さん何してんの?」

「銀さんこそ何してんの⁉︎」

「何してんのって、座ってるんだけど?」

「その前‼︎」

「その前?…はっ!」

 

銀時は額に片手を置く。

 

「き◯たまの裏側に黒子(ほくろ)が有るって、さっき小便してる時に気づいたわ」

「惜しい‼︎でも、黒子(ほくろ)じゃなくて黒子(くろこ)‼︎」

「あっ、黒子のバスケがNEXTで連載してるんでしょ?さっき小便してる時に気づいたわ」

「どんな小便してんだよアンタ‼︎」

 

そんな銀時の首筋に刃が張り付く。

 

「相変わらずですね…銀時さん」

「オメェは…黒子野」

(えっ?何この状況?).

 

そして黒子野は刀をしまい銀時の隣りに座りだす。

 

「すみません。こうでもしないと気づいてくれませんからね」

「オメェは影薄すぎなんだよ」

(さっき摘み出してたよね⁉︎)

「お前のそういう所を見ていると思い出すよ」

 

* * * *

 

確か…あの時は新たに集まった志士達の歓迎式を上げている時で、やけに気合いの入ったおっさんが新人の前で威張り倒していた。

 

「私は参謀補佐をしている者だ!お前達新人には早速雑用をしてもらう!これで全員揃っているか⁉︎」

「まだ一人…」

「誰だ!どこに居る⁉︎」

 

全員が混乱している中、お前は…

 

「僕はここです」

 

刀で参謀補佐の尻を突き刺していた。

 

* * * *

 

「懐かしいですね」

「懐かしいですねじゃねーよ‼︎なんで尻を刺すの⁉︎」

「そうでもしないと気づいてくれないので」

「別の方法が有るでしょ⁉︎」

「当時はそれしか無かったんだよ長谷川さん」

「何その父親が”当時はテレビが無かったんだよ”って息子に言う感じ‼︎」

「落ち着けって長谷川さん」

「そういえば、こんな事も有りましたね」

 

* * * *

 

確か…あの時は敵の襲撃を受けて銀時さんと二人で戦っていた時。

敵の弾丸が銀時さんに当たりそうになって

 

「銀時さん!危ない!」

 

とっさに僕が刀で弾丸をミスディレクション。

そして弾丸は…

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

参謀補佐の尻にダイレクトアタック。

 

* * * *

 

「そんな事もあったな」

「ダイレクトアタックじゃねーよ‼︎」

「懐かしいですね」

「なんで君は悪気が無いの!」

「それより黒子野、お前どうするんだ?」

(銀さんまで無視されたし…もう何も言わないでいいや)

 

長谷川さんが諦めている中、黒子野は真剣な顔をする。

 

「僕は今の世の中でも良いと思っています。みんなが笑って過ごし、ポカリが150円で買える。きっと銀時さんの先生だって、そんな世の中を見たかったと思います。だから、また五人で…」

 

黒子野は立ち上がり手を差し出す。

 

「ラブライブに出場しましょう」

「何で⁉︎バスケならまだしもラブライブ⁉︎」

「良いじゃねーか。AーRISEやらサン◯イズやら知らねーがぶっ倒して優勝してやろうじゃねーか」

「乗り気まんまん⁉︎」

 

こうしてグラサンのツッコミが公園に響き渡った。



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