孤児院家族の平凡な日常 (食べて寝るだけ)
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序章

オリジナル作品でのんびりやっていきたいと思います。読みづらいところもあるかと思いますがよろしくお願い致します



何かの気配がする

 

そう感じた瞬間ヤヒロは懐にあった銃を構えた。

目の前の気配が動いた瞬間ヤヒロは相手の鳩尾めがけてケリを入れた

 

「ぐがっ…!」

「ちょっと遅かったなぁクズ野郎…」

 

地に膝を着いた男の目線に合わすようにしゃがみこみヤヒロはニッコリと笑った

 

「てめぇだな?ここらでブイブイ言わせてるってやつは」

「た、頼む見逃してくれ…!」

 

命乞いをする男を目にしてヤヒロは養豚場の豚でも見ているかのような冷めた目で男の眉間に銃口を当てた

 

「見逃してくれだあ?馬鹿言ってんじゃねえよ!見逃してください…だろ?」

「見、見逃して…」

「無理」

 

キッパリと言い張り引き金をひいた

男の眉間には風穴が空きヒューヒューと音をたてながら前のめりに倒れていった

 

「…」

 

ヤヒロは立ち上がりポケットから無線機を取り出し仕事場へ繋いだ

 

「あーあー聞こえますかーこちらヤヒロ応答願いますどうぞ」

 

無線機から僅かなノイズ音がした後低い男性の声が聞こえてきた

 

「こちら本部、何かあったか」

「ターゲット撃破致しました」

「了解、証拠を隠滅したうえ、その場から早急に離脱しろ」

「了解」

 

ヤヒロは無線機の電源を切りふぅとため息をついた。

心臓の辺りがドクドクと高なっている

 

「ぐっ!」

 

胸のあたりに激しい痛みを覚えヤヒロは胸を掴みゆっくりと深呼吸をし始めた

 

「っ、はぁ…」

 

落ち着いてきたのかヤヒロはふぅーと息をし空を見上げた。

空には満月が登っており時刻は真夜中をさした。この時間帯は人通りも少ないので処理がしやすい。

 

「さっさとやっちまうか…」

 

ヤヒロはしゃがみこみ先程まで生きていたそれに触れようとした時

 

「にーいーさん」

 

嗚呼、いつ聞いても気色悪い声だ

声がした方を振り返ると青年がニヤニヤしながらヤヒロの後ろに立っていた

 

「…なんだよ、アサヒロ」

「いやー?別に?」

 

アサヒロと呼ばれた青年はヤヒロの前に倒れている塊に目をやった

 

「それ、兄さんがヤったの?」

「まあな」

「へぇー」

 

アサヒロは不気味にうすら笑いを浮かべヤヒロを見た

 

「これが正義の味方の殺し方かぁ?案外エグいヤり方なんだね」

「…」

「まあ、僕はよく分からないんだけどね?正義の味方っていう人の心理がさぁ、あ、兄さんは特別だったっけ?ごめんごめん」

「…何が言いたい」

 

ヤヒロは僅かな殺気をこめてアサヒロを睨みつけた

 

「もう!そんな怖い顔しないでってばー、まあ、つまりは」

 

アサヒロは何かを楽しむようでもありながらヤヒロを見下すような目をしながら口を開いた

 

「兄さんは弱い異常者だっていうこと」

 

ヤヒロはその言葉を聞いた瞬間アサヒロの顔にケリをいれた

 

「おっと♪」

 

しかしアサヒロはそれがわかっていたかのように腕でヤヒロの足をガードした

 

「ヤル気?」

「当たり前だ、このクズ弟が」

「ただでさえ軟弱なくせに?正義の味方ぶって?」

「うるせぇ悪」

 

アサヒロはいままでにない不気味な笑みを見せ

細い足を上げヤヒロを見つめた

 

「本気でイくよ。悪の名の元に楽に死ねると思わないでよ」

「こいよ。正義の名の元に粛清してやる」

 

正義と悪が今まさに衝突する時

 

 

「てめえら今何時だと思ってんだ…」

 

ふたつの拳でヤヒロとアサヒロは地にめり込んだ

 

「ゐっ!」

「あだっ!!」

 

倒れ込んでいる2人を見下しながらシルクハットをかぶった男はチッと舌打ちをした

 

「あ、あれー?ヴァイスさん…」

「おはよーございます…」

「おう、おはようクソガキ共」

 

ヴァイスさんと呼ばれた男はニッコリと笑い2人の頭にもう1発キツいゲンコツをおみまいした

 

「てめえらに質問がある」

先程までの威勢はどこに行ったのか2人の正義と悪は完全に萎縮していた

「今、何時だ?」

「夜中の2時30分です」

「普通の一般人の人は何をしている時間だ?」

「寝ているか、2人運動会しています」

「お前らは何をしていた」

「ケンカです」

「最後の質問だ。この騒動はどこにクレームが来ると思う」

「「す、すいませんでしたああああああ!!!!」」

 

これが先程まで殺気を放ちまくってシリアスな雰囲気をつくっていた兄弟なのであろうか。

 

「顔を上げろ二人共」

 

ヴァイスは2人の顔を上げさせ微笑んだ

 

「ヴァ、ヴァイスさん…」

「お前ら、覚悟できてんだろうな」

 

時刻は夜中2時40分

路地裏で2人の若い男性の断末魔が聞こえたという噂が街全土に広まった



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