ドラゴンクエスト ~勇者たちの戦記~ (永遠の二番煎じ)
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勇者の双子の息子

ここは森に囲まれた名も無き村である。

村は透き通る川が流れ、何軒もの小屋の水車がゆっくりと回っている。

村長は木陰の木製の長椅子に座り、少年二人がひのきの棒で遊んでいるのを見ている。

そこにもう一人大男が来て村長の横に座った。

 

村長の横に座った男は村の番人いわば村を野生の魔物から守っている兵士である。

「プレスコット、彼らは最後の魔王を倒した勇者の子孫であることは知っているだろ?魔王復活のため、魔王復活を望む者が大軍を送ってくるだろう。」

 

「村長、では急いで村の住人を避難させなければ!」

番人プレスコットは立ち上がり、部下たちに命令を下しに行こうとした時、

「待て、早まるな。奴らはまずこの私を消しに来るだろう。なんせ、私は勇者と共に魔王を滅ぼした大魔導のダンテ。」

 

プレスコットは初めて知る村長の昔の職業に驚愕した。

「あの・・・かつて・・・魔王城に勇者と共に八人で乗り込んだ精鋭の一人だったのですか。」

 

「今やそれも魔王を勇者とともに討伐した最後の一人になってしまった。」

村長は地獄耳という呪文で魔王軍残党の動きを最果ての村から監視していたが、勇者は魔王討伐から数年後病に倒れた。そして後を追うようにして勇者の花嫁も双子を生んで間もなくしてから病に倒れた。

 

勇者の双子はダンテによって魔王軍残党に見つからないように最果ての村で村人たちが共同で面倒を見ていた。

あと七人いた勇者の右腕たちは魔王討伐後再び栄えた世界で国王になったり、カジノを経営したり順風満帆な余生を送っていたが、近年の魔王軍の力が強くなってきて。

 

魔王軍残党によって謎の病死や呪い、暗殺で六人は殺され、魔王と直接対決した経験を持つ唯一の静かな英雄ダンテだけが今は生き残っている。

 

「例え逃げてもすぐに見つかるだろう・・・」

村長であり大魔導ダンテは覚悟を決めた。

 

「村長、では迎え撃つしかないのですか?」

プレスコットは焦っていた。無理もない、勇者の右腕がダンテ除いて皆殺しにあっているのだから。

 

「そう焦ることはない。時が来たら勇者となるだろう。」

村長の視線の先には少年二人が遊んでいるのが見える。

プレスコットも村長の視線の先を見た。

 

「プレスコット番長、あの少年いや双子が勇者の息子たちだと知りうる者は私達二人しかいない。そして彼ら自身も自分たちが勇者の息子だと知らない。時が来たら話すのだ。我弟子プレスコットよ。」

プレスコットは全身に汗をかきながらこくりとうなずいた。

 

「では、住人全員を集めてくれ。」

プレスコットはその場から立ち去り部下たちに村人全員を村広場に集めるよう指示した。

 

その後少年二人は木陰の長椅子に座っている村長に話しかけてきた。

「村長!いつものやつやって!!」

「おい、アレフ!もっと村長には敬意を払え!!村で一番偉いんだぞ!!」

 

「こらこら、アレフにアレン。二人とも喧嘩をするでない。これからはお互い助け合って行かなければならないのだからな。」

そう言って、村長は右手のひらに小さな炎の玉を作りだした。

 

「すげー!」

少年二人の瞳に炎の玉が映った瞬間、同時に声をあげた。

 

場面は変わる・・・

 

村広場にプレスコット率いる門番兵たちが村人全員を集めた。

村長は広場の真ん前にある自宅の二階のベランダから住人全員を見つめていた。

村長は空気を吸い込み大声で演説するように、

「村人諸君よ。この平和で大地の恵みに包まれた村に魔王軍がやってくる。私一人ここで残り奴らを引きつける、後は番長プレスコットに判断を任せる。」

 

静寂が広場を包み込んでいた。

アレフやアレンもその場にいたが十歳にもなっていなかった二人には何が起きているか理解できなかった。

 

すると大きな魔法陣が村人たちを覆うようにして包み込む。

村人たちは混乱していたがプレスコットは気づいた。

「これで数年間は魔王軍から逃げ隠れ出来る。」

村長はそう言い残して家の中に入った。

 

プレスコットだけがかけられた呪文に気づき、村長宅を訪問した。

「村長、あれはレムオルですね。そこまでして勇者の息子たち守るのですか?」

 

※レムオルとは本来は姿が消える呪文、いわばシャドーやあやしいかげと同じ透明になる姿の呪文であるがこの世界では魔物からにおいで察知されなくなるという上級呪文の設定にしておきます。

 

「彼らなら必ず、魔王復活を阻止してくれるだろう。プレスコット、命をかけてアレフとアレンを守ってくれ。」

それがプレスコットと村長が交わした最後の言葉であった。

 

場面は変わる・・・

 

プレスコットは翌朝村人を率いて大陸横断のためにポートランドという港町に向かった。

ポートランドに向かう途中の森で休憩していた。

 

「番長、なぜこんな最果ての地に魔王軍が攻めてくるのですか!」

アレンにまっすぐな質問をされたが、プレスコットはまだ本当の事は当然話せなかった。

 

「・・・奴らは欲にまみれた悪の象徴だ。すべてを手に入れたいのだろう。」

「こんな時に勇者様がいれば・・・」

アレンは拳を握りしめ悔しそうにしていた。

プレスコットも同じ気持であった。

 

その頃アレフは番兵たちと剣術の練習をしていた。

「食らえ!火炎斬り!!」

だがアレフのひのきの棒は何も起こっていない。

 

「見とけよ、こうやるんだ。」

番兵は兵士の剣で火炎斬りを見せた。

 

「かっけー、いつか俺も出来るかな?」

「ああ、そのためには修行がかかせないけどな。」

するとアレフの目に森上空のキメラの大群が見えた。

 

「門番の兄さん、あれやばくないか?」

番兵もアレフの見ている方向を見た。するとすぐに番兵たちの臨戦態勢がしかれた。

 

「アレフ!番長に報告に行って来い!!」

「うん、分かった。」

アレフは振り向かず、番長の元に全力疾走した。

 

アレフは息を切らして番長の元に警告に来た。

そこにはアレンもいた。

 

「キメラ・・・襲って・・・はぁはぁ・・・」

プレスコットはその節々の単語だけで分かった。

 

「よし!全員ポートランドに向かって逃げるぞ!!」

その時キメラの大群がプレスコットたちの休憩場所にも到達した。

 

キメラたちは炎の息を吐き、村人たちを襲っていた。

村人たちは四方八方に逃げ惑っていたが、プレスコットはアレフとアレンの身の安全を優先した。

「アレフ、アレン、逃げるぞ。」

 

「しかし、村人たちは?」

「そうだ、番長。全員を守る責任があるだろ!」

 

二人の意見を跳ね除けてプレスコットたちはキメラの少ない方角に逃げた。

 

場面は変わる・・・

 

魔王軍残党の大軍がついに最果ての村に進軍してきた。

村広場には村長だけが一人杖を持って立っていた。

 

村長は大軍が多種族の魔物と大勢の人間によって構成されていたことに驚いた。

「まさか、人間までもが魔王復活を望むとは・・・」

村長は右手に持った杖を天に向かってかざした。

 

魔王軍の部隊長が勝ったかのように、

「村長いやかつて勇者と共に旅をした大魔導ダンテ。勇者の子孫の居場所を教えてもらおうか。」

 

村長は呪文を唱え始めた。

「貴様らのような悪は決して栄えん!せめてここにいる貴様らだけでも道ずれにしてやろう。」

村長の杖から閃光が放たれた。

 

魔王軍残党と村長は消滅し、森に囲まれた村は廃墟と化した。

村長は最後の力を振り絞ってメガンテを唱えたのであった。

 



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洞窟

魔王軍残党の侵攻から逃れるため、プレスコット率いる村人たちは港町ポートランドを目指していたが、森で野生のキメラに襲われ村人たちは散り散りになった。


プレスコットは追ってくるキメラを討伐していた。

「番長、大丈夫か?」

アレフは鉄の斧を振ってキメラを散らしているプレスコットの身をあんじた。

 

斧を振りながら、

「二人とも、そこの洞穴に隠れていろ!」

 

三人の後ろにはぽっかりと空いた洞窟の入り口のようなものがあった。

「行くぞ、アレフ。番長はきっと乗り切る。」

アレンとアレフは洞窟の中に逃げた。

 

洞窟の中は人の手が加えられたような構造になっている。

まるで今も工事中かのように松明が通路の左右に明るく灯っていた。

アレンは備え付けられていた松明をたどり、奥へと進んでいた。

 

「もう、いいんじゃねーか。」

アレフは洞窟の魔物を警戒しているようだ。

だが魔物はまだ洞窟内でエンカウントしていない。

「俺達二人ならスライムやドラキーくらい倒せるだろ?」

「そりゃあ、いけねーことはないが・・・」

アレフは普段より弱腰になっていた。

 

すると明かりのついていない洞窟の通路奥から声が聞こえた。

「助けてくれ!!」

 

アレンとアレフはいきなりの大声に驚いた。

「やべーよ、アレン。今の魔物の声だぞ?」

アレンは少し考え、アレフに提案した。

「助けてほしい、ということは魔物は身動きがとれない。いけるぞ!」

「そ、そうだな。確かに、お宝があるかもしれねーしな。」

アレフはびびりながらもアレンの背中の後についていた。

 

松明で元を照らしながら進むとスコップが落ちていた。

「スコップ?」

アレンはスコップを拾ってまじまじと見つめていた。

「きっといたずらもぐらだ。近くにいるかもしれないぞ。」

アレフは恐怖心を抱えながらもひのきの棒を装備した。

アレンはスコップを背中に背負い、再び歩き出した。

 

「おーい、助けてくれ!!!」

暗闇の奥に進むたびに助けの声はどんどん近くなっていく。

 

「待て!」

アレンは左手を広げ、アレフの足を止めた。

「どうした?アレン。」

「アレフ、下を見てみろ。」

地面を見るともう少し先には泥沼のような足場になっている。

「なんだ、いけねーのか。お宝もあきらめるしかねーな。」

アレフは少しほっとしていた。

 

おそらくいたずらもぐらは泥沼にはまって動けなくなっているようだ。

 

「ここだ!!!助けてくれ!!!」

いたずらもぐらは渾身の力で叫んだ。

 

アレンは声元を照らすとすぐそばにいたずらもぐらが下半分泥沼にはまっていた。

「うわ!」

二人は同時に声を上げ、尻もちをついた。

 

いたずらもぐらは二人の警戒心を解くかのように

「助けてくれ。おいらは人間に興味がない。悪い魔物じゃないんだ。」

 

二人は静かに立ち上がった。

「どうするんだ?アレン。」

「大丈夫だ、こいつはただの穴掘りもぐらだから心配ないだろう。」

「だが、魔王軍の手下かもしれないぞ?」

「魔王軍手下ということはないだろう。もし手下ならグループで行動するはずだし、さっきみたいに最低でもキメラくらい凶暴で強い魔物を送ってくるはずだ。手下であっても武器はないし、二対一。こちらのほうが有利だ。」

アレンは論破した。

 

「わ、分かったよ。しょうがねーな。」

アレフもしぶしぶ了解した。

 

「そんで、おいらのこと助けてくれるのか?」

アレンとアレフはひのきの棒をいたずらもぐらの近くに向けた。

 

「さっさと、つかめ。もぐら。」

「すまねーな。まさかおいらが人間の世話になるとは。」

いたずらもぐらは両手で別々のひのきの棒を持ち、アレンとアレフの二人に引き上げられた。

 

「ありがとう、人間の少年。ボスに泥沼があることを知らせないと。」

いたずらもぐらはお礼を言った。

 

「なあ、助けてやったんだから。なんか宝くれないか?」

アレフは調子に乗っていたずらもぐらに脅迫まがいのことをした。

 

いたずらもぐらは純粋に

「じゃあ、ボスに会わせてあげるよ。おいらを助けてくれたし、ボスもなんか褒美をあたえるだろ。」

アレンは首をかしげて、

「ボス?しかし、道は外から一本道だったぞ?」

 

「じゃあ、おいらについてきてくれ。」

アレンはいたずらもぐらに松明を渡した。

いたずらもぐらはゆっくりと来た道を戻り始めた。

 

「ところでお前はなんて名前だ?俺はアレンで後ろのお調子者がアレフだ。」

「おいらはもぐりんて名前だ。よろしくな!アレンにアレフ。」

すると松明で灯された通路を少し歩いた後途中でもぐりんは立ち止まった。

もぐりんは松明をアレンに渡した。

 

「どうした?もぐりん、途中で立ち止まって?」

アレフはもぐりんに近寄ろうとした時、

「待て。アレフ、なんかするつもりだ。」

二人は離れてもぐりんが途中通路の設置されていた松明を外した。

ゴ・ゴ・ゴ!!!という音を立てて隠し扉が出現した。

 

アレンはもぐりんに危険を感じなかったので背中に背負っていたスコップをもぐりんに返した。

扉は鉄製であったがまだ錆びておらず、新しいものだ。

次に勝手に扉が開き始めた。

「どういう仕掛けなんだ。」

アレンは不思議そうに見た。

 

「アレン、アレフ。おいらにしっかりついてきてくれ。」

もぐりんは扉の向こうに、

「待て!」とアレフは慌てて言いながらついていった。

すぐに扉は閉まり、壁と同化した。

 

アレンとアレフは目を見張った。

無人であった廃坑のような洞窟の隠し扉の中にはまだ洞窟が続いており、何十ものいたずらもぐらたちがピッケルやシャベルにスコップを持って土木作業をしている光景が広がっていた。

 

「どうした、アレンにアレフ。おいらに続け。」

アレンとアレフは置いていかれそうになりもぐりんの元に急いで走った。

「番長、今頃俺たちの事心配してんだろーな。」

「どうだろうな。番長はああ見えてずる賢いところがあるからな。」

「きっと、その賢さを利用して生き延びてる事を願うしかねーな。」

 

また行き止まりの壁の前にもぐりんは立ち止まった。

「もぐりん、例の仕掛けか?」

アレンは興味深々に聞いた。

「ああ、そうだ。」

もぐりんは松明を外すと、少し錆びた鉄の扉が現れた。

 

そしてまた奥へ、それを後二回合計四回隠し扉が現れた。

最後の扉は灰色というよりは錆びきっていてむしろ赤色の扉と言っても過言はないだろう。

 

そして大広間に出た。

ど真ん中には体に似合わない大きさの小さなハープを持ち、髪を後ろで束ね、サングラスをした大きないたずらもぐらが王座のようなイスに座っていた。

横には左右二匹づつ合計四匹の武装したいたずらもぐらが大きないたずらもぐらを護衛しているように見えた。

 

もぐりんがボスに近づいたため、反射的にアレンとアレフももぐりんの近くに配置についていた。

「ドン・モグーラ様、この人間の子どもたちに助けてもらいました。」

 

「はて?お前はなんという名前だったか。」

「おいらはもぐりんです。」

思い出したかのようにドン・モグーラは言った。

「そうか、行方不明であったもぐりんか。」

 

「はい、おいらこの人間がいなかったら泥沼でのたれ死ぬか、悪い人間にメラミで殺されてたかもしれません。」

するとドン・モグーラはイスから立ち上がった。

その時二人の視界が少し揺れた。

「わあ!」

二人はドン・モグーラの衝撃に初めて驚いた。

 

「よし、もぐりん今日は休んでまた明日から働け。」

「ありがたいです。あとどうかこの人間の少年たちに褒美を。」

そう言ってもぐりんは隠し扉から出て行った。

 

ドン・モグーラは再びイスに座り、

「人間の少年たちよ。名前を聞かせてくれぬか?」

二人はもぐりんがいなくなってから急に緊張が走り始めた。

 

「僕はアレンです。」

「俺はアレフだ。」

ドン・モグーラはハープを持ってないほうの手で頭を掻きながら、

「その名前どこかで聞いたことあるような・・・まあよい、もぐりんを助けてくれたお礼は何者であれせねばのう。」

 

その言葉を聞いたアレフは緊張していた顔が少しほぐれた。

「まあなんにせよ。今日は休んでいけ、褒美は明日ここで受け取るが良い。」

 

二人はドン・モグーラの部屋を出るともぐりんが待っていた。

「ボスはなんて言ってたんだ?」

「休ませてくれるそうだ。」

 

「じゃあおいらが休む部屋を案内するよ。ここにいる同僚(いたずらもぐら)たちはみんな良いやつだから怖がることないよ。」

もぐりんは二人部屋の部屋に案内してくれた。

 

二人は部屋に入り、

「ただ、広く掘った空間にドアがついてるだけじゃねーか。」

「アレフ、これが彼らの生活いや棲家なのだろう。」

「お!でもベッドは村長と町にいった宿屋のベッドくらいふかふかしてるぞ!」

アレフはベッドに横になり、アレンはベッドに座った。

「本当だ、ふかふかしてるな。」

「案外質はいいんだな。」

 

いきなりアレンは我に帰って考え始めた。

「どうしたんだ?アレン。」

「いや二つ疑問があるんだ。一つはなんで外に近い、いや近いほど隠し扉が新しい。普通なら俺達が入った入口から掘ってるなら扉の古さは逆なはずだ。もう一つはもぐりんがそんなに大切な仲間なのか。ということだ。村長が昔は草原にもスライムと同じくらいいたらしいが最近は穴掘りばかりしている種族だと言ってるのを聞いた。」

 

アレフはいつの間にか寝ていた。

「・・・アレフ、疲れていたのか。」

アレンも寝始めた。

 

翌日ドン・モグーラの部屋に行くと一匹だけいたずらもぐらがいてドン・モグーラのイスの隣にもぐりんがいた。

「あれ?」

部屋にはドン・モグーラも護衛のいたずらもぐらもいなかった。

「ボスは今休息をとっているんだ。だからおいらが代わりに頼まれたんだ。」

 

そう言ってもぐりんは宝箱をイスの後ろから引きずりながら持ってきた。

「ほら、ボスからの褒美だ。」

 

アレフは宝箱を見て満面の笑みで宝箱にかけよった。

もぐりんは盗賊の鍵を使った。

すると宝箱が開いた。

アレンとアレフは中を覗いてみると二本の銅の剣『どうのつるぎ』が入っていた。

 

「剣!」

アレンは驚きの声を発し、アレフはすぐに剣を取り振り回していた。

 

「そんでお前らは洞窟で何をしていたんだ?」

アレンは考えて嘘をついて、

「実はポートランドに向かう途中に迷ったんだ。洞窟を入ればポートランドに行けると思ってな。」

アレフは剣を無邪気に振り回していたがアレンの話を聞いて静止した。

 

アレンはアレフにアイコンタクトをした。

するとアレフはアレンにここまでのいきさつの話を任した。

「そうか、それならこの洞窟からポートランドまで行けばいいよ。」

 

「え!ポートランドまで続いているのか?」

「おいらたちは元々ポートランド近辺から掘り進んでこんな辺境の森の下にたどり着いたんだ。」

もぐりんはそう言って隠し扉の反対側に行き、松明を取った。

すると扉が出現した。

 

「ボスの部屋は四方八方にこうした隠し扉があるんだ。」

そう、それはまれでアリの巣のようにこの洞窟は入り組んでいのだ。

 

「なるほど、だから隠し扉が古くて錆びていたのか。」

アレンにとっての一つの謎が解けた。

 

「おいらはいけないからここからは二人でポートランドまで行ってくれ。一本道だから迷いはしないだろう。」

もぐりんは二人に松明を渡した。

 

アレンは質問した。

「最後にいいか?」

「なんだ?」

「なんでいたずらもぐらは地上から消えたんだ?」

その質問を聞いてもぐりんは図鑑みたいなものを渡してきた。

「そこにはあらゆるモンスターの歴史が載っているから読むといいよ。」

「くれるのか?」

「これはおいらを助けてくれた、おいらからのお礼だ。」

 

「ここからは人間を襲うドラキーやどろにんぎょうが出てくるから気を付けてね。」

「ありがとうな!」

アレフはそう言ってもぐりんと握手を交わした後右手には銅の剣左手には松明を持って出て行った。

 

「もぐりん、また遊びに来るよ。」

「ああ、おいらはいつでも歓迎だ。」

アレンもアレフの後に続いていたずらもぐらの棲家から去った。

 



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