戦士と悪魔の外史旅行 ※打ち切り (基準の少年)
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序章

処女作品です。温かい眼で応援してください。

7/15 若干改訂。


――――あれは3年m「私の許可無く勝手なネタ付けないで下さい!」作者さんゴメンナサイ。

改めまして画面の前の皆さんコンニチハ。俺の名前は佐久間零。聖フランチェスカ学園高等部の2年B組に在籍している。

 

・・・オイコラ、名前が厨二病とか言うな。気にしてんだから。

 

取り敢えず説明な。ウチの友人曰く、

 

「文武両道で才色兼備、成績、スポーツ、イケメンランキング全てで第1位。俺コンナ完璧超人見た事無い。トイウカその要素少しくれませんか?くれないか?つかくれ!!よこせッ!!よこしやがれ五段活用ッッッ!!」

 

と羨ましい要素のてんこ盛りらしい(自覚無いけどな!!)。そのせいか、学園の女生徒(何故か他学校の生徒もいる)に告白された事星の数。まあ、全部振ったけど。HAHAHA!

 

 

 

・・・どうせ皆、俺の『力』見たら逃げ出すに決まってんだから、さ。

 

 

 

さてと、俺の話はここまでにしようか。今俺は従兄弟兼親友兼BUDDY(格好付けてるだけですハイ)の佐久間竜と登校中。コイツ結構なゲーマー(兼オタク)で、話す事は大抵ゲーム関連(但し文武両道才色兼備、成績スポーツイケラン俺の次。俺と竜で聖フランチェスカ2大トップと呼ばれたり)。俺の『力』を見ても付き合ってくれたいい奴。グダグダと歩きながら、普通にゲームの話をしながら、いつも通り交差点に差し掛かった。

・・・うん、こんな説明してるとふつーにテンプレに入るフラグが立ってる気がするんだ。事実、女の子が2人、トラックに轢かれそうに成ってるけど。

 

「ってオイ何ブツブツ言ってるんだ零!助けるぞ!」

 

「ん?ああ、そうだなッ!」

 

俺たちは脚を『強化』して駆け出した。女の子を助け出したのとトラックが2人が居た場所に突っ込んだのはほぼ同時だった。

 

「は~、ギリギリセーフ。大丈夫か?」

 

しかし女の子は答えない。恐怖がまだ抜け切ってないのか?

 

「おーいお嬢ちゃん、大丈夫か?何処か怪我してないk「掛カッタナ。」・・・へ?」

 

ドスリ。そんな音が聞こえて横を見ると、竜の背中から赤く染まった刃が出てて、その刃は女の子の右腕に繋がっていた。そして、俺も。

 

「何・・・で・・・」

 

「貴様ラ二人ハ我々ニ取ッテ危険ナノデナ、始末サセテ貰ッタ。」

 

明らかに人とは違う声。突き飛ばされた俺たちは、丁度良く突っ込んできたトラックに撥ねられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちの人生は、そこで終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・と思ったら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「何だここ・・・?」」

 

周り全部真っ白な空間に居たわけです、ハイ。

 

 




これから頑張ります。


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序章 その2

序章2。二人が死んでからです。


どーもこんにちは。つい先ほど死んだ零&竜です。只今絶賛混乱バーゲンセール実施中ですハイ。

 

「何よここ。どこよ。竜教えろ10秒以内に教えろさあ教えろさあHURRYHURRYHURRYHURRYHURRY!」

 

「だああもおおうるっせえ!俺だって絶賛混乱中だっ!」

 

「っつーか俺たち死んだよな?で、何でこんなトコに居るんだ?」

 

「周り真っ白で何も無いし、ここから考えられるのは・・・、『テンプレ転生』だな!」

 

≪良く解ったな≫

 

突然響いた声に後に振り返ると、そこには真っ白な服を着て真っ白な髪と真っ白な髭を生やして真っ白な翼を生やした真っ白尽くめというとっても趣味の悪いジジィが居た。

 

≪趣味が悪いとは失敬な。神様の正装じゃ!≫

 

「嘘付け。精神病院紹介しようか?」

 

「あ、やっぱり神様だったんだ。まあこんな状況にジジィ神は鉄板だな」

 

え、信じちゃうの!?

 

≪うむ?そちらの毒舌とは裏腹に、お主はアッサリ信じたのう。こういう時は普通信じないパターンが鉄板ではないのか?≫

 

「伊達に二次創作読み漁ってネエからなっ!」

 

流石オタク(でも『○○たん萌え~』とかいうクズとは一線を画す)の竜くんだね!

 

≪ふむ、わしもよく読むが、お主、○○○は読んだ事有るか?≫

 

おいこら神が二次創作読んでて良いのかよ。仕事しろ仕事。

 

「あーそれ良いよな!主人公がダークサイドに落ちてから帰ってくるよく有るネタだけどキャラの動かし方上手いよな!」

 

≪鉄板ネタであんな事が起きるとは思わんかったがな。≫

 

「あーアンタもそう思う?」

 

≪ふむ、お主とは気が合いそうじゃな。どうじゃ、これから一時間ほど語り合わんか?≫

 

「やろう!ぜひやろう!一時間と言わずに何時間でも!」

 

「語り合う前にさっさと用件話しやがれ馬鹿駄神!竜も調子に乗るんじゃねえ!」

 

≪「~~~~~!?!?≫」

 

このままだと空気に成りそうだったから、オタク二名(神様って数え方一人二人でいいのか?)に拳骨を落とす。

 

≪ったく、少しは老人を労わらんか…≫

 

「オタクに掛ける情けは無い」

 

「ひっでえ!オタクの何が悪い!?俺は『○○たん萌え~』とか言う馬鹿とは違うぞ!?」

 

「それは解ってるがこのままじゃ何時まで経っても埒が明かん。さっさと用件話せ馬鹿駄神(笑)(仮)」

 

≪馬鹿と駄は兎も角(笑)と(仮)は付けるな!そもそもわしの名は『北一(ほくいつ)』じゃ!≫

 

そっちは良いんだ(笑)。っつーか名前初めて聞いた。

 

≪それはそうと、本題に入るぞ。とその前に…≫

 

そういうと馬鹿駄神は翼を取り外した(外せるんだ!)。

 

≪あー重かった。さて、本題に入るぞ≫

 

重いなら付けるなよ、と竜は言った。そこに関しては俺も同感だ。そしてジジィは付けていないと舐められるから、といった。

 

ただの見栄っ張りかよ。

 

≪お主ら、『外史』は知っておるな?≫

 

「まーな。世界には『正史』と『外史』が有って、正史を元に二次創作やら可能性やらで分岐したのが外史だろ?」

 

≪そうじゃ。そして全ての外史は正史に繋がっておる。但し全てが全て直接繋がっている訳では無く、幾つかの外史が集まって一つのグループを形成し、その中心が正史に繋がっておるのだ。ここまでは解るな?≫

 

「解らなかったらどんだけ馬鹿だ?」

 

≪・・・まあいいじゃろう。そしてそのグループがそれぞれバランスを取り合って世界は成り立っておる。しかしじゃ。その中にはどうしても『負のエネルギー』が溜まり易いグループがある。エネルギーはグループの中心、便宜上『核外史』と呼んでおるが、そこに基本溜まってしまうのじゃが、他のグループのエネルギーをも溜めてしまう『負の核外史』が存在するのじゃ≫

 

「え、それじゃあその核外史はどうなんの?」

 

≪負のエネルギーが極限まで溜まり切った核外史は自壊し、消滅する。消滅した時の余波に加え、溜まりに溜まった負のエネルギーが流れ出し、グループが消えるじゃろうな≫

 

「・・・結構ヤバメの状況じゃね?」

 

≪うむ。普通ははエネルギーを取り除く専門の役職に任せるんじゃが、昨今の新人の馬鹿共や疲労の溜まった上級神のミスによる転生者ラッシュで人手不足なんじゃ。そこでお主らに負の核外史を転生しながら巡って貰い、エネルギーを取り除く『旅人』に成って欲しいんじゃ。勿論お主らにとっては傍迷惑な事じゃとは解っとる、だが、このままでは多くの命が失われ、輪廻転生も果たさずに消えてしまう。だから、この通りじゃ≫

 

そういって駄神は頭を下げた。竜はこっちを見てくるし、はあ・・・

 

「で、やり方は?」

 

ここまでされると断れねえじゃんか。

 

≪・・・済まん、恩に着る。やり方は簡単に言えば、原作ブレイクじゃな。死ぬ筈だった原作キャラを助ける事じゃ。もしくは悲劇の回避、そして、邪な心を持つ転生者の排除じゃな≫

 

「あー、つまり、『ONE PIECE』ならエースとサッチと白髭助けて黒髭倒せ、的な?」

 

≪そうじゃ。それが最も有効で、最も手っ取り早い。出来るだけ多くの悲劇を回避してくれい≫

 

「モブキャラとかはどうなんの?」

 

≪残念ながら彼らは消えた所で外史に大きな影響は無い。しかし一度に十万単位で大勢が死ぬと、外史の歴史を記録する『書』に多大な負担が掛かる。それが邪な心を持つ者じゃったら別なんじゃがな≫

 

「OK全部解った。で、特典とか無いの?流石に生身で放り出されても困るし」

 

≪一人につき五個までじゃ。好きな物を言え≫

 

「零、どうする?」

 

「俺に聞くな自分で考えろ。俺はもう決めたぞ。駄神、・・・と・・・と・・・を頼む。それ以外は保留」

 

≪こんな不完全な物で良いのか?≫

 

「最初からチート貰って浮かれてる奴は嫌いなんだ。俺は自分の力でチートに成るから。あ、竜には秘密な。隠してる方が面白いじゃん?」

 

「よし決めた!・・・と・・・と・・・を頼む!」

 

≪分かった。お主らが転生した後に送るぞ。それでは良い旅を≫

 

「おう!じゃあn「ちょっと待て」どうした零?」

 

「駄神、俺たちを殺した『アレ』は何だ?」

 

俺が気になったのは俺たちを殺した女の子もどき。どう考えても人間じゃない。

 

≪・・・いずれ分かる。出会い、戦う時が来るじゃろう。わしからは何も話せん≫

 

「・・・そっか。まあいいや。よし、駄神、家族のアフターケアを頼むぞ。それじゃ、行って来ます!」

 

≪言われんでもわかっとる!それではな!≫

 

 

こうして俺たちは二度目の人生を歩む事に成った。さあて、何が待ってるかな~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・二人が行った後、北一は一人佇んでいた。

 

≪・・・行ったか≫

 

≪北一!≫

 

≪ん?ああ、『東一(とういつ)』か≫

 

≪ちゃんと送ったか≫

 

≪ああ、あいつらとの約束だからな≫

 

≪・・・俺たちのエゴの性であの二人にこんな事をさせるのは気が引けんねんけど、しゃあないか・・・≫

 

≪ああ、あいつらが六人を救ってくれる事を期待しよう≫

 

そう話し合う二人の姿は、白く光るポリエステルの服に身を包んだ、茶髪の青年と、眼鏡の青年に変わっていた。

 




早速伏線です。主人公の特典は後々明かします。


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オリ主ズ ステータス(ネタバレ注意!!)

簡単な解説を少々。話が進む度に更新していきます。


佐久間零

(姓名:呂天 字:地洋 真名:零)

 

原作開始時

17才 女

 

誕生日

6月26日

 

容姿

ままま式GUMI

燃えるような赤毛

黒い瞳(写輪眼所有)

ゴーグル着用

狗耳・狗の尾(猫耳・猫又の尾)

 

身長:167cm

 

体重:(SINITAINOKANA?KANA?)

 

スリーサイズ

B/W/H 93/57/88

Hカップ

 

服装

白い部分を黒く、黒い部分を紅くし、喉辺りの星の飾りを無くしたたインビジブルの服

黒のフィンガーグローブを着用

両腕に手首から肘まで天の鎖(ディアーナ)を巻いている(これは相手を捕らえる時に使用)

赤のローラーブーツを着用(移動用)

 

使用武器

干将・莫耶(投影品)、熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)(投影品)、天の鎖(ディアーナ)

 

趣味:歌、鍛練、明命達に甘える事

 

 

解説

オリ主1。TS転生してしまった。

元々男の為に、好戦的でさばさばした、家族思いの優しい性格。

一般的な常識は持っているが、基本的に非常識。

酷く興奮すると、アクセラレータのような口調と性格に成る。

戦闘能力はかなり高く、スピード&テクニック寄りのバランスタイプ。

犬派、と言うより狗、狼派。

料理のど下手な姉が居るらしい。

重度のロリコン。

男っぽい服装を好む。

幼少期から高校にかけての経験から、孤独を極端に恐れ、嫌う。

一時期人間不信に陥っていた事も有る。

無銘流格闘武術幻精本家の次期当主だった。

兄弟に姉、弟、妹がいる。

 

 

ステータス(恋姫原作開始時・Fate風)

 

【属性】

中庸・善

 

【ステータス】

筋力:B(Aで夏候惇×1.5人分)

魔力:C(Aで凪5人分)

気:B

耐久:C(Aで夏候惇×1.5人分)

敏捷:A(Aで張遼+趙雲)

幸運:B

 

【スキル】

気配遮断:B

心眼(真)/(偽):B/C

対魔力:C

騎乗:C

カリスマ:C

直感:C

魔術:C

 

 

特典

四次元ウエストポーチ

白地に紅と黒のライン

四○元ポ○ットのポーチ版。

 

無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)

言わずと知れたチート特典の代名詞。しかし零の頼みによって、宝具の投影は『干将・莫耶』と『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』のみ、『干将・莫耶オーバーエッジ』は出来なくなっている。

 

仮面ライダー響鬼に出てくる鬼に必要な道具一式

文字通り、鬼の道具が一式詰まったセット。流石に装甲声刃は無い。

ディスクアニマルは、茜鷹、瑠璃狼、緑大猿、黄檗蟹、鈍色蛇、浅葱鷲、黄赤獅子、青磁蛙を二十枚ずつ、消炭鴉、岩紅獅子、白練大猿を一枚ずつの計一六三枚。

 

 

固有能力

邪黒

零の源性。その身に「この世全ての悪(アンリ・マユ)」級の闇を宿し、『負』に属する物全てを統べる。

暴走すれば1つの世界の全てを喰らい尽くす凶悪な源性。

初代2人が唯一『禁忌』とした源性。

 

 

 

佐久間竜

(姓名:楽蛟 字:虹蜃 真名:竜)

 

原作開始時

17才 男

 

誕生日

6月26日

 

容姿

イケメンの分類に入る普遍的な日本人の顔

黒い瞳(白眼所有)

銀髪

 

身長:179cm

 

体重:70kg

 

使用武器

三刀流(後述)、乖離剣エア(魔力を持たない為使用不可)

 

特技:零の手綱取り

 

 

解説

オリ主2。

優しく、凪に甘い。常識人で、零の手綱を取る事が出来る唯一の人物(現段階)。

興奮するとオンドゥル語になる。でもシリアス場面じゃ空気を呼んでマトモに喋る。

戦闘スタイルは、タフネスさを生かしたパワーでゴリ押し。

凪に甘い。甘い。甘い。大事な事だから3回言ったぞ!!

戦闘時はゾロっぽい性格になる。

ツッコみは大抵ピントがズレているらしい。

辛い物が好き(特に外道神父ソンマーボー)。

凪・焔耶・家族>>>>>>辛い物>>>>>>その他色々

孤独を恐れる零の大事な理解者で家族。

無銘流格闘武術竜鬼本家の次期当主だった。

兄弟に姉、弟、妹がいる。

 

 

ステータス(恋姫原作開始時・Fate風)

 

【属性】

中庸・善

 

【ステータス】

筋力:A

気:B

耐久:B

敏捷:C

幸運:C

 

【スキル】

心眼(真):B

対魔力:D

騎乗:C

カリスマ:C

直感:B

 

 

特典

三刀流(約束された勝利の剣(エクスカリバー)が直撃しても折れない三本の刀、実は丈夫なのではなく、絶世の名剣(デュランダル)の不壊の加護が宿っている)

七赤金星(しちせききんせい)

右手に持つ刀。気を込める事で自身の防御力を上げる効果を持つ。下手に攻撃してもびくともしなくなる。

八白土星(はっぱくどせい)

左手に持つ刀。気を込める事で自身の生命力を上げる効果を持つ。切り傷程度なら直ぐに回復する様になる。

九紫火星(くしかせい)

口に銜える刀。気を込める事で自身の攻撃力を上げる効果を持つ。振り下ろせば岩をも両断する様になる。

 

四次元バッグ

白地に金と銀のライン

四○元ポ○ットのメッセンジャーバッグ版。

 

武装色、見聞色の才能を有した「ONEPIECE」世界の身体

文字通り。この不思議常識を有する身体によって竜は六式を習得出来た。

 

 

固有能力

武才・刀槍

名の通り、刀と槍の才能にほぼ限界が無くなる源性。

それに反比例して他の武器の才能が二流程度まで下がる。

 

 

 

設定OP&ED

第壱章 桃園の銀竜と江東の黒狼

OP:恋華大乱

ED:やっぱり世界はあたしれじぇんど!!

 



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人物紹介 説明(ネタバレ注意!!)

桃園の銀竜と江東の黒狼(恋姫†無双)編

 

 

大河(たいが)道昭(みちあき)

魏の御使い。北郷達の友人。眼鏡に黒髪の優等生で、落ち着いた性格。

北郷が徳に、零達が力に長けているのであれば、彼は策謀を巡らす知略の御使い。

頭の悪い天統を乗せるのが上手く、一番危険な場所だと気付かれずに配置する等、自由自在に利用する(理由は何かムカツクから)。その功績でいつの間にか魏のNo.2になっていた。

イメージは、Fate/EXTRAの平和男をベースにKAITOの要素を取り入れた感じ(イメージは各自の想像にお任せします)。

華琳と桂花と最近良い雰囲気らしい。

 

 

南浦(みなうら)祐司(ゆうじ)

呉の御使い。北郷とは幼馴染み。昔はかなり怖れられた不良だったが、理由はずっと好きだった幼馴染み、桜庭安里が死んだ事を受け入れられなかったから。その後更正して真面目に学校に通っていた。口は悪いが根はイイ奴。

基本的に孫策と一緒に前線で暴れ回る。鍛えられた事も有って関羽並の強さ。武器はメリケンサック。兎に角殴る。ブン殴る(坂○雄二?)。

徐庶として転生していた安里と無事ゴールイン。

 

 

天統(てんどう)帝王(みかど)

(一応)魏の御使い。チート転生者。最低系転生者の典型的な例。踏み台。噛ませ犬。周囲からちやほやされて育ったので傍若無人で傲慢な性格でしかもバカテスの吉井明久より頭が悪い超絶KYバカ。

特典は「Fateのギルガメッシュの容姿と能力」、「ニコポ・ナデポ」、「EX級魔力」の三つ。しかし余りにも調子に乗っていたので神がぶちギレ、魔力の使用がほぼ不可能に(「王の財宝」を開いて射出位は出来る)、ギルガメッシュの「王の財宝」内の宝具は「乖離剣エア」と「天の鎖」以外は真名解放出来ない投影品にされた(気付いていない)。「ニコポ・ナデポ」も原作キャラ、訪問者には逆効果なので特典の意味無し。転生させた神曰く、「イラッときたからやった。反省も後悔も1pg(1ピコグラム、約0.000 000 000 001g)さえしていない。ざまあみやがれwww」

謎の男達に連れられ行方不明に。

無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)」の蛇を植え付けられ絶大な力を得るも、暴走した零にアッサリと殺される。

 

 

徐庶 元直(桜庭 安里)

現真名は安里。南浦祐司の「ずっと好きだった幼馴染み」。祐司告白した日の夜に、イレギュラーな事態によって死亡(神のミスではない)し、転生した。

転生後ずっと祐司を気に掛けていたが、呉に御使いとして降り立ったと聞いて建業へと向かう途中、立ち寄った村で賊に捕まり、その後救出され、呉に正式な将として迎えられた。

特典は無いが、文武官として、祐司の副将として、軍師として、そして妻として祐司を陰日向に支える。得物は剣。

「幼麟」という二つ名が有り、その才は諸葛亮、鳳統に匹敵すると言われる。

 

 

孫堅 文台

真名は鳳蓮(ファンレン)。孫三姉妹の母親で呉の王。

孫呉の武将陣を引っ張る大黒柱。頭を使うより本能と勘で前線で戦う武闘派。

容姿と性格は孫策に近く、普段は余り露出の無いゆったりした服を着ている。戦闘時(と逃走時)は飾りの付いた桃色の半袖長ズボンを着用。

度々政務を抜け出しては零や冥琳に捕縛される。かなりの酒豪で、街中で黄蓋と孫策、偶に黄忠や厳顔も交えて酒盛りをしている姿が良く見かけられる。

愛剣は「南海覇王」(未だ孫策に王位を譲っていない為)。

 

 

 

???

何も明らかになっていない謎の集団。何かの目的の為に暗躍している。

 

№6 ナエム(NAEM)アスティク(USTIKU)

仮面を付けた導師風の男。慇懃無礼で冷静な性格。様々な策を立て裏で暗躍する。元々は外史の管理者で、本名は「于吉」。トリューグにちゃんと名前で呼んで欲しいと願っている(割と切実に)。同僚を愛称で呼ぶもその度に訂正される(お約束)。○モでへ○たい疑惑有り(ほぼ確定)。

 

№? トリューグ(TLIUG)イジャス(IJAS)

仮面を付けた白髪の少年。口調は荒いが相当の実力者。ナエムにエカトとの仲をよくからかわれる。元々は外史の管理者で、本名は「左慈」。ナエムに「リューグ」と呼ばれて修正するやり取りは最早お約束。

 

№? エリセド

長い黒髪の少女。冷静な性格で口数は少ない。ナエム、トリューグの上司。

 

№? エカト

アルビノの少女。無邪気な性格。トリューグと仲が良い。

 

№3 エヴィラ

黒の膝下までのスカートに黒のシャツ、黒のコートを身に着け、くすんだ銀色の髪と瞳を持つ女性。かなりの毒舌で、何か下手な事を言えば十倍返しだ!(ナエム談)

 

№0 ???

???

 

 

ツグ

ナエム達を従える存在。零と竜の殺害命令を出した本人でもある。

 

 

 

ナレーター

何か突然現れたよく分かんない人。月5万という薄給でこの小説のナレーションをしている。アルバイトもして稼いだお金は全て食費に消えるらしい。

CVはバ○スピのナレーションをしていた第五次紅茶の中の人。

 

 

 

 

 

 

この小説の括弧の意味

「普通の鉤括弧」・・・普通の会話

『二重鉤括弧』・・・ケータイ等を挟んだ会話

(丸括弧)・・・心の中の言葉、擬音語、擬態語

≪二重山括弧≫・・・人外、特に神の会話

『『『二重鉤括弧三つ重ね』』』・・・複数名のハモリ

(直接のルビ)」・・・小声

 



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設定集

7/23 移動及び一部改変


外史

 

幾つか存在する「正史」を元に、可能性や人の想像によって生み出された世界。ほんの些細な事、例えば「人差し指を動かすか否か」という事でも外史は誕生する。

「クロスオーバー」という概念によって異なる世界観の外史が融合する事が有るが、同一世界観に有る世界(同タイトルの世界)は同極同士を近付けた磁石の様に反発し合い(時間軸の差による矛盾を防ぐ為)、融合することはまず有り得ない。

 

 

グループ

 

同じ正史を元にした外史が複数個集まった集団。中心に「核外史」を据え、周囲に漂うようにして存在している。グループの数は正確には解らない。

 

 

核外史

 

グループの核となる外史。核外史は正史と直結していて、ごく稀に正史から核外史に、若しくは核外史から正史に物品が流入する事が有る。

核外史はグループの要だが、核外史が消滅した場合、グループ内の最も大きな外史が核外史に昇格する。

 

 

百万世界

 

全てのグループの総称。正史を中心にグループが「海」と呼ばれる空間に漂っている。数え切れないという意味を込めて「百万世界」と名付けられた。

 

 

廻廊(ターミナル)

 

外史と外史を繋ぐ狭間の世界。入るには夫々の外史のどこかに必ず存在する「扉」を通る必要がある。

長い石畳の道の両側に扉が幾つも並んでおり、そこから目当ての外史の扉を探し出す必要がある。

廻廊に繋がらない外史は無いが、その外史から廻廊に繋がる扉は複数個有り、自身の元々居た外史に戻るには自身が通った扉を通る必要がある。しかし外史内でショートカットする時等はその限りでない。

管理は「ランブルタンブル族」に一任されている(彼らの正史は既に消滅している)。

 

 

負力

 

核外史に溜まるマイナスエネルギー。外史における原作キャラの死亡や大量虐殺等によって生成される。

 

 

負の核外史

 

性質的に負力が溜まりやすい核外史。他のグループの負力までも引き受けてしまうので、定期的に負力を除去しないと負力が溜まり過ぎてしまう。負力が極限まで溜まり切った核外史は自壊し、消滅する。消滅した時の余波に加え、溜まりに溜まった負力が流れ出し、他のグループも巻き込んで大崩壊を引き起こす。

 

 

管理者

 

外史を管理する存在。存在としては「アラヤ」側で、外史の崩壊を防ぐのが使命。

穏便派と過激派が存在し、穏便派は正史の歴史から外れても構わず、その外史に転生した者達の協力も得て外史を守り、過激派はあらゆるイレギュラーを排除して歴史を正史に沿わせる事で外史を守る。

 

 

 

訪問者(イレギュラーズ)

 

異世界から何らかの要因によってやって来た者達の総称。世界の立場から見て、その者の行動の仕方により味方(ガーディアンズ)(デストロイヤーズ)中立(ルッカーズ)に、訪問の仕方によって、転生者(ミグレイター)転移者(トリッパー)憑依者(ディペンダー)に分類される。

 

 

味方(ガーディアンズ)

 

世界の立場から見て、善き行動をした者の総称。自身の立場を駆使して悲劇を回避するなど、物語を世界にとって良い方向へ向かわせようとする者達を指す(例:「ONE PIECE」世界の白ひげ、エース、サッチ、サボ等の死亡回避)。

その行為が結果的に世界に溜まった負力を除去する事になるので、世界の味方、若しくは世界の守護者と呼称され、味方(ガーディアンズ)の呼称が定着した。

 

 

(デストロイヤーズ)

 

世界の立場から見て、悪の行動をした者の総称。自身の立場を駆使して、自身の邪な欲望を叶える為に物語を破壊する者達を指す(例:「ニコポ・ナデポ」による女性キャラの籠絡、及び洗脳、調教による手駒化、性奴隷化)。

その行為が結果的に世界に負力を溜める原因となるので、世界の敵、若しくは世界の破壊者と呼称され、(デストロイヤーズ)の呼称が定着した。

 

 

中立(ルッカーズ)

 

原作キャラに関与せず傍観に徹したり、関わらない様に意識する者や、原作を知らずに一般人として生きる者の総称。「敵」からは目の仇にされる事が多いので、一般人として一生を遂げるのは稀。

 

 

転生者(ミグレイター)

 

何らかの要因によってその世界から転生させられた者達の総称。特典の内容によって容姿、性別の変更が行われている事が有る。文字通り赤子からのやり直しなので、赤子の頃から意識が覚醒している者にとっては拷問。

 

 

転移者(トリッパー)

 

何らかの要因によってその世界から転移させられた者達の総称。転生では無いので前の世界の容姿等を引き継いでいる事が多いが、容姿、性別の変更が行われている事も有る。偶発的に飛ばされた外史出身者もこれに当たる。

 

 

憑依者(ディペンダー)

 

何らかの要因によってその世界から魂のみ連れて来られ、他人の身体に宿った者達の総称。共存型と奪取型の二種類が存在する。

 

共存型憑依者

憑依者の魂が宿主の体内で第二人格として覚醒した種類。宿主は二重人格者と成る。憑依者に特典が付く事は少ない。

 

奪取型憑依者

憑依者の魂が宿主の身体を乗っ取った種類。宿主を強制的に転生させ、抜け殻の身体をに憑依者の魂を定着させる。一般的に言われる憑依転生者。

 

 

また、転生者、転移者、憑依者は、特典の有無、内容によって、過度(チート)通常(ノーマル)不有(ノット)鍛練(トレイン)の四種類に分類される。

 

 

過度(チート)

 

反則級の特典を所持する者。有り得ない数の特典を所持しているか、貰った特典が異常に強い場合はこれに分類される(例:「無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)」や「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」等)。

 

 

通常(ノーマル)

 

通常級の特典を所持する者。チートよりもランクダウンした、比較的マシな特典を所持している場合はこれに分類される。(例:「神特製インテリジェントデバイス」等)

 

 

不有(ノット)

 

特典の非所有者。その世界で頑張ればそれ相応の強さを手に入れられる。

 

 

鍛練(トレイン)

 

特典は無いものの、神等に転生、転移前に鍛えられ、それ相応の強さを手に入れた者。基本的に転移者である事が多い。

 

 

旅人(トラベラー)

 

外史を渡り歩き、管理者に代わって負力を取り除く者の事。外史出身者だけが就く事の出来る役職で、物語を世界にとって良い方向へ向かわせ、プラスエネルギー(良力)を生み出して負力を取り除くのが仕事。複数人で旅人となる者達は「旅団」と呼ばれる。基本的に良力を生み出す為に主属性が光、源性が善側でなければならない。零は唯一の例外。

 

 

無銘流

曰く、この世のあらゆる「武」の大元となったと言われる武術流派。

気を扱う点で他の武術とは一線を画す。

炎、水、雷、地、樹、風の自然気、光、闇、竜、無の基源気という十種類の気の属性が存在する。

 

 

無銘一族

紀元前から無銘流を伝える続ける由緒有る家。現在の姓は「佐久間」。

「無銘流格闘武術幻精本家」と「無銘流格闘武術竜鬼本家」という2つの本家を軸に、聖獣や魔物、精霊、魑魅魍魎の名を冠する分家が存在する。

幻精本家の開祖を「幻獣帝」、その妻を「精霊帝」、竜鬼本家の開祖を「神竜帝」、妻を「百鬼帝」という。

常人を超える身体能力が特徴。

本家の人間は他の家の人間と交わらず、代々一族の中で婚姻を重ねて来た。基本は従姉妹や分家、本家同士で結婚し、時には家庭内での近親結婚、更には特殊な術を使って女同士で子を「産んだ」事も有ったという。

 



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第壱章 桃園の銀龍と江東の黒狼
第壱話 転生先は


名言の方を削除しました。


やーやーこんにちは。転生した佐久間零だ。ただいま五歳。

キンクリしてるなって?そりゃするわ。確かに転生したら赤ちゃんからの再スタートだけどさ、母さんにおしめ代えて貰ったり腹減ったら・・・って

 

 

い わ せ ん な ! !

 

 

それは兎も角この世界の話だ。俺の名前は、

 

姓・・・・呂

名・・・・天

字・・・・地洋

真名・・・零

 

何だけど、真名が有る事からこの世界は『恋姫†無双』である事が分かった。って事はバリバリの戦国時代だから人を殺さなきゃいけない時も有る訳だ。

 

 

まあ、耐性付いてるけど。

 

 

それは置いといて、家の両親はどっちも武芸を嗜んでいた。父さんは徒手空拳と双剣を、母さんは薙刀と弓を。バリバリに守備範囲だぜ!ああそうそう、家の母さんなんだけど弓の名手のお姉さんが居てさ、名前を黄忠って言うんだ。分かる?アノ黄忠さんだぜ!凄くね?ああ勿論紫苑(真名を許されています)さんは(未だだけど)未亡人だから、璃々ちゃん(後の黄叙)が従妹になる筈なんだ。

ああそうそう、従妹で思い出したんだけど、父さんの弟の叔父さんが家の村に住んでて、っていうかお隣さんで、従妹が居る。

なんと呂布奉先、真名を恋っていうんだぜ!アノ呂布だぜアノ!三国最強の猛将の従姉だぜ俺!

まあ、そう言っても今は四歳な訳で、今鍛錬中の俺に向かって駆け寄って来たりする。

 

「りぇいねぇ~」

 

「ああ、恋、どうしたの?」

 

「りぇねぇ~あしょぼ~!」

 

この舌足らずの所が可愛いんだ。エンジェルなんだ。この世の天国なんだっ!あああ可愛い可愛いよ恋。恋の為なら例え火の中水の中あああああああああああああああ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題(シツレイシマシタ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ遊びたいのは山々なんだけど、

 

「ごめんね?まだ鍛練が終わってないの。鍛練が終わったらいっぱい遊んだげるから、もうちょっと待ってて?」

 

「む~、わかった」

 

「はい、良い子良い子♪」

 

「えへへ~♪」

 

ああ、この世の天国。

ん?何?漢字が間違ってるって?『従姉』とか『零姉』とか?全然間違ってないよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたし、『女』だよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや~最初は驚いたね~まさかTS転生だとは思わなかったね~。後で駄神が話し掛けてきてその時に聞いたら、

 

≪いや~転生前のお主の身体の損傷が激しくてな。修復するより再構築した方が早いって事で男の身体より負担の軽い女の身体にした。てへぺろっ☆≫

 

なーんて抜かしやがった。っつーかジジィが『てへぺろっ☆』なんてキモイんじゃああああああ!!

まあ、恋が居たらドーでもいいけど。今じゃバリバリの女の子です。

・・・は?重度のシスコンだなって?フッ、恋が可愛すぎるセイなんだ。誰でも恋仕草を見たらコロッと堕ちるに決まってんだから、大丈夫だ、問題ない。(キリッ

 

「零~、休憩しておやつにしましょ~」

 

あ、母さんだ。って事で今回はここまで。

 

「恋、行こっ!」

 

「うん!・・・ふにゅ!」

 

恋と一緒に駆け出して、恋がこけた。

 

「あ~あ~、恋、大丈夫?」

 

「うん、だいじょぶ・・・」

 

うん、涙目+上目使いは反則だと、痛感した、今。

拝啓、竜殿。そちらは今何してますか?私は今、恋の可愛さ故に鼻から愛が溢れております。

 




基準「どーもコンニチハ。作者の善悪の基準です」

零「主人公A、佐久間零改め呂天です!」

竜「主人公B、佐久間竜だ。っつーか作者、コレ何?」

基準「イヤナニ、他の作者の皆さんが後書で座談会やってるからやってみようかなと」

竜「はあ、で、第壱話だけどイキナリTSですか」

基準「うん。初期設定じゃ男のまんまだったけど、どっかで『男一本より女に成ったりするほうが読者に受ける』って聞いたから」

零「それで女に成ったと。男に戻る時って有るの?」

基準「六章ぐらい後。それまでずっと女のまま」

竜「で、女版零のプロフィールがコレだな」


佐久間零(呂天 地洋 零)

性別:女

容姿:赤毛のGUMI(『インビジブル』参照) 黒目

作者が急遽入れた『女主人公』要素で出来上がったキャラクター。元が男の為、活発な性格。よく暴走するので、非常識人のレッテルを貼られている。このままヒロインを付ける為、百合百合しい展開も・・・?一人称は『あたし』。重度のシスコン。重症。


零「百合って、あんた・・・」

基準「別に好きでも嫌いでもないけど、偶々こうなった。他意は無い」

竜「俺は男?」

基準「竜は男のまま。トラックに轢かれた時零が若干のクッションに成ったからね。損傷が少ない」

竜「あー良かった。俺まで女に成ったら作者の性癖を疑う所だった」

基準「性格なんて人夫々だろ。まあキモオタは嫌いだが」

竜「零はシスコンだし?」

基準「主人公はシスコンにしたかった。他意は無い」

零「シスコンの何が悪い!恋の可愛さだけで二、三時間は語れるぞ!」

竜「へいへい。シスコンが暴走しないようにな」

零「イエッサー!っと、時間だね。〆行くよ」

竜「へいへい、それでは、『戦士と悪魔と外史旅行』っ!」

零「これからよろしくお願いします!」

基準「それでは皆さんまた次回!」


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第弐話 転生先は 弐

弐話目。竜の話です。


いよっす、転生した佐久間竜だ。今、我が愛しの従妹と鍛錬中である。因みに今五歳、従妹は三歳。

 

「せやああ!」

 

「甘いっ!それっ!」

 

「あたっ!」

 

突っ込んで来た従妹の拳をするりと受け流し、その額にデコピンをする。ちゃんと加減はしているぞ?怪我させたら叔父さんに殺されるからな、うん。

 

「ううう~、にいさま、いたいです」

 

「これでも手加減してるぞ?後は防御の問題だな。さて、身体の方はコレ位にして、『気』の修行をするか、凪」

 

「はい!」

 

言ってなかったが、従妹(もう殆ど妹だけど)の真名は凪と言う。分かる?後の魏の三羽鳥の一角、楽進だ。うん、可愛い。凪の為なら何でも出来るさ!

は?シスコンに成りかけてるって?失敬な!俺はシスコンじゃねぇ!凪が可愛過ぎて可愛過ぎて可愛過ぎて仕方が無いだけだぞ(←世間一般では人はコレをシスコンと言う)!!

 

「にいさま、はやく!」

 

「ああっとごめんごめん。さて、始めるか」

 

「はい!」

 

「先ずは、瞑想から始めよう。心を静かに・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・すぅ」

 

「寝るな」

 

「あたっ!」

 

ぺしっと凪の頭を引っ叩く。まあこんな快適な気温と暖かい日差しなら眠くなるのも当然だが、寝たら修行に成らん。

 

「う~、にいさま、おんなじところたたかないでくりゃ、あうう~~///」

 

「あああ、凪はヤッパリ可愛いな~」

 

「か、かわいっ!?///」

 

「そうだぞ?凪は可愛いんだから、もっと自身持ったら良いのに」

 

「そ、そんにゃ、わりゃしなんちぇ・・・///」

 

「ああ、そんなカミカミ所も可愛いなあああああ!!」

 

「あうあうあう///」

 

え?惚気はもう要らんと?砂糖を吐かせるなと?

さっさとこの世界の名前を言えと?・・・あ、忘れてた。

ゴホン、改めて自己紹介かな。今の俺の名前は、

 

姓・・・・楽

名・・・・蛟

字・・・・虹蜃(こうしん)

真名・・・竜

 

という。・・・うん、思いっ切り竜だね。(みずち)(にじ)(はまぐり)も竜の仲間だし。ここまで竜尽くしだと中々清々しい。

まあ名前は良いんだけど、問題は髪の毛。思いっ切り銀色。これでオッドアイだったら酷い転生者だな。零って『○○は俺の嫁!』とか言う銀髪ドアイ系の転生者とかが大嫌いなんだ。

・・・間違えられたらどうしよう。

 

 

「に、にいさま、くるしいです・・・」

 

あ、心配しすぎで強く抱き締め過ぎた。

 

「おおっと、ごめんね?凪が可愛いから、ついつい抱き締めちゃって。」

 

「はうう~~///」

 

え?惚気はもう要ら(ry

 

「竜、凪ちゃん、ご飯よ!」

 

「あ、母さんだ。よし、今日はここまで」

 

「はい、ありごとうございました、あ、にいさま、ひとつもんくがあるのですが」

 

「ん?何?」

 

「にいさまが、その///、いつもわたしをめでようとするので、きのしゅぎょうがすすみません。にいさまが『じゃま』なんですが」

 

「ゴフアッ!!」

 

拝啓、零殿。そちらは今どうでしょうか。私は今、凪の一言に精神が木端微塵です。

 




竜「惚気で全然進んでねえ!」

零「進ませろよ馬鹿作者!」

基準「日常編って苦手なのよ。何書けば良いか分かんないから」

竜「お前なあ。ってか、銀髪かよ」

零「『俺の嫁!』転生者はっけーーん!!」

竜「どわっ!馬鹿、殴るな!」

基準「コラコラそこの二人止めたまえ。夫婦喧嘩は犬も食わんぞ」

零&竜「誰が夫婦だ!!」

ドゴッ!(←ダブルキックが作者に炸裂した音)

基準「こら、作者を少しは労われ!さて、竜のプロフィールだ」


佐久間竜(楽蛟 虹蜃 竜)

性別:男

容姿:銀髪黒目。ISの織斑一夏と禁書の一方通行とFateの衛宮士郎を1:1:1の割合で混ぜたような感じ。ぶっちゃけ『イケメン』と呼ばれる普遍的な日本人の顔。

主人公2。活発だが、零の手綱を引いて来た為、零より常識人でリアリスト。但し偶に馬鹿に成る。そこそこ鈍感。重度のシスコン重症者2。一人称は『俺』。


竜「零よりかは未だまともか?」

基準「まあね。シスコン&鈍感だけど」

零「典型的なラノベ主人公・・・」

竜「ハイそれでは『戦士と悪魔の外史旅行』ー!!」

基準「逃げたな。第参話をお楽しみに?」

零「何故疑問系。それでは~」


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第参話 転生して十年

リアルの方が忙しくて更新出来ませんでした。すいません。後、前回の竜の容姿を変更しました。自分のイメージとイマイチ合っていなかったので。前参話は流石に酷過ぎると思ったんで、新たに投稿しました。


やあやあやあ。十五に成った呂天だ。今、恋と組み手をやっている。いや~この頃メキメキ強く成ってるからね。少し『本気』出さないと勝てない位だよ。お姉ちゃんとしては鼻が高いよ。『鬼』と気の修行を試しにやらせてみたら強く成り過ぎちゃって、今じゃ夏侯惇と五虎将軍纏めてでないと倒せない位だからね。

 

・・・自身と恋のチートが凄い。

 

それはそうと、この十年の出来事をサラッと言ってしまおう。時間無いから。

 

壱、母さん(黄練、字を珊瑚、真名を黄苑(きおん)という)の妹の黄忠さんとその友人の厳顔さんから遠距離武器の指南を受ける。

 

弐、三年前に村に賊が攻めて来る(撃退成功、この世界初の『殺し』を行った)。

 

参、村の裏手の山で凄い人(鬼?)の(遺)体を発見。それを使用して自身の強化に成功。

 

肆、村に母さんの親友である孫堅さんが突撃してくる。撃退・・・付加、じゃ無かった、不可。ついでに剣術指南も受ける。

 

母さん顔広えええええええっ!!っつーか親戚スゲエエエエ!!黄忠と厳顔って、蜀の二大母親役だよね!?それに親友に孫堅さんかいっ!コレは是非とも死亡フラグを圧し折らなければ・・・!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ・・・くっ・・・そこっ!」

 

「残念そこは罠だよ。それっ!」

 

恋の突きをワザと作った隙に誘い込んで槍を巻き上げる。空高く上がった槍はアタシの後ろに落ちた。

 

「む~、また負けた」

 

「はいはい剥れない。これでも結構危ないんだよ?」

 

「でもまだまだ零姉の本気が見れない。だから恋はまだまだ弱い」

 

「いや今でも十分強いから」

 

「そうだぞ恋ちゃん。恋ちゃんはこの大陸で一番と言って良いほど強いぞ?家の零は除くが」

 

「親バカ乙」

 

今話しかけて来たのはこの世界の父さんの呂玄、字を新藤、真名を(あきら)という。親バカ。

 

「それで零、話が有るのだが」

 

「何よ。親バカはもういいけど」

 

「そんなんじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「零、旅に出てみないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、え、え、イキナリ!?突然!?ナニゆえ!?」

 

ちょっと予想外なんですけど!普通ここは恋とアタシの絡みを書く部分でしょ!?ほら、恋も驚いてるし!

 

「いや、もう十分強いし、そろそろ外の世界を学ぶ頃だと思ってな」

 

「だからって唐突過ぎんでしょ!?」

 

「いや、可愛い娘には旅をさせよっていう諺も有るじゃないか。善は急げだよ」

 

「急ぎすぎじゃあ!急がば回れっつう諺も有るでしょうが!」

 

「やだ!零姉と離れたくない!」

 

「いやそう言っても母さんに『この組み手で零が勝ったら旅に出しましょう?(怖い笑み)』と言われては抗う術が無い」

 

「母さああああん!」

 

何勝手に決めてんだアノ人はああああああ!

 

「・・・はあ、分かった分かったよ分かりましたあ。で、いつ行けば良いの?明日?明後日?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや二ヵ月後。」

 

「オイコラアアア!」

 

散々不安にさせてソレカ!

 

「で、理由は?」

 

「いや、そろそろ零にも私の『秘密』を言う頃合だと思ってな」

 

そう言った父さんの顔はいつにも増して真剣だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・で、所変わって家の居間。父さんの前に正座で座っている。

 

「そんで、話って?」

 

「うむ・・・零、『輪廻転生』は信じるか?」

 

「輪廻転生?」

 

「ああ。生まれ変わりの輪廻転生だ。実はな、私には『前世』が有る」

 

「・・・へ?」

 

あるぇ?何か変な言葉が聞こえたんだが。

 

「え?え?前世?」

 

「ああ。私は前世で学校――つまり私塾のような所に通っていた。そしてだな、その世界で一度死んだんだ」

 

あれ?何かどっかで聞いた事の有るような?

 

「そして眼が覚めると、目の前に神様が居てな。『ごめん、間違えて殺しちった☆』と軽いノリで言われたんだ。ホントにあの時は殺意が沸いた」

 

おい、待て待て待て。

 

「まあその後半殺しにしたんだが。その神様から特典を貰ってこの世界に転生したんだ。信じてくれるか?」

 

なんかアッサリ言われた。

 

「・・・因みにその特典とは?」

 

「一つ目に、『子孫に受け継がれる写輪眼』。後、『全ての忍術の巻物』と『尾獣並のチャクラ』だな。ああ、写輪眼というのは――って零、どうした?」

 

「・・・」

 

イイか、落ち着け落ち着け。そうだ落ち着くんだ呂天!

 

スタスタスタ。

 

「?だからどうs「こんのチートがああああああああ!!」ゴフアッ!?」

 

バカ親父を顔面から叩きつけた後、光り輝く(カミノケデス)頭部にケリを繰り返す。

 

「なンだなンだよなンですかァ!チートですかチートなンですかァ!?ンだよ写輪眼に尾獣並みのチャクラってェ!この世界じゃ思いっ切りチートじゃねェかァ!そンな特典貰うなら『NARUTO』の世界に行けやァ!父さんが転生者なら無理して横文字使わないように配慮してきた意味ねェじゃンかァ!」

 

※一方通行な喋り方なのは気にしないでね★

 

「いたたたったたたったたた!!こら零踏むな!!・・・というか、何で知ってるんだ?」

 

「ぜえ、ぜえ、ぜえ、元聖フランチェスカ学園高等部二年A組男子高校生ですから、まる」

 

「え、まさか零も転生者なのか?」

 

「Yes!だけどそんなチートは持ってない。持ってるのは、○○○と○○○と○○○だよ」

 

「そこは伏字にする必要無いんじゃないか?」

 

画面の前の人(どくしゃ)の皆さんへの配慮です、えっへん。」

 

「メタ発言はやめい。――って男!?」

 

「遅い。元男。今は女の子。エヘッ☆」

 

「・・・だから百合なのか」

 

「まあね。未だに男の頃の性格が抜け切って無かったり」

 

「・・・キモッ「そおい!!今は完璧に女だと言っておろうが!!」そげぶっ!!」

 

うん、百合なんだよね、アタシ。まあ個性は人夫々って事で。好きな(読者の皆さん)は期待しないでね☆

 

「いたたた・・・親を殴るなよ。それで、話を戻s「最初から脱線してたでしょーが。」気分だ気分。零に、二ヵ月後に出発して貰うのは、忍術をマスターして貰う為だ」

 

「あやっぱり?忍術を教えてくれるのは良いんだけれど、恋も一緒にね?」

 

「分かってる。しかし恋ちゃんもかなりのチートじゃないか?」

 

「チートにしてんのよ。もし何か有っても対処出来るように」

 

「父親の面子は考えてくれないのか?これ以上恋ちゃんにフルボッコされるのはプライドが傷つくんだが」

 

「考える価値無し。そもそも父さんにプライドなんて有ったっけ?」

 

「・・・何気に父親に対して酷いよな、お前。」

 

 

 

 

 

こうしてアタシたちは忍術を教わり、二ヵ月後にアタシは旅に出た(その時に恋がかなりぐずって離してくれなかったけど、何とか宥めた)。

 

 

 

 

 

・・・マトメがひでえ!!コラ作者!考えて書けよ!

 

(無理です。by作者)

 




零「変更版?」

基準「流石に酷いと思ったんで変更を。前のは一旦削除して投稿したんです」

零「たいして変わって無いように見えますが」

竜「My turn is what time?Although the story of REI will probably continue for a while.(俺の出番はいつだ?多分暫く零の話が続くんだろうが)」

基準「日本語を喋りなさい。予測は有ってる」

零「ヒロインは決定してるの?」

基準「勿論。ハーレムだけどねフッフッフ」

竜「Est-ce que l'auteur est un amant de harem?(作者ってハーレム好きか?)」

基準「だから日本語を喋りなさい。別に嫌いじゃないけど、好きでもない」

零「まあ作者の性格上ラブラブになる?」

基準「否定したりしなかったり。これからの展開によって考えるよ」

竜「Es ist mein regulär-ization auf alle Fälle!(是非俺のレギュラー化を!)」

基準「だから日本語喋れと。どっちにしろ零がレギュラーで竜は・・・限りなくレギュラーに近い準レギュラー?」

竜「・・・(ショボーン)」

基準「まあ出来るだけレギュラーにするよ。零が軸なのは変わりないが」

零「そろそろお時間です。それでは『戦士と悪魔の外史旅行』!」

基準「次回は零とヒロイン2の出会いです」

竜「Lei è di nuovo poi, la prossimo volta!(それでは皆さんまた次回!)」

零「結局最後まで日本語喋らなかったね」


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第肆話 刺激的な初対面とビックリな新事実

遅れてすいません!!後書に発表が有ります。


やー皆。旅に出て二日目の零で御座います。ちょっと近況報告を。

 

 

・・・迷った!

 

 

うん、迷った。旅の開始早々迷った。アタシってこんなに方向音痴だっけ?仕~方っが無いのでスケート付~けても~りの真ん中走る零でしたっ!あ、スケートはローラースケートの事ね?

さて、ここでMy特典の一つ目を公開しちゃいましょう。そうじゃないと『何でこの時代にローラースケートがあるんだっ!!』って言われる気がするから。

アタシの特典一つ目は、『某ネコ型ロボットのポケットのポーチ版(秘密道具無し)に自分愛用の物を幾つか入れて持たせてくれる事』です!

別にそこまでチートじゃないからね?自分愛用の物っつってもボード類一式とかスケート類一式とかそういう移動手段的な物が殆どだからね?

 

 

『愛刀』や『愛槍』類も有りますが。

 

 

兎に角今、山のど真ん中をローラースケート(以下RS)で滑走しながら彷徨ってます。一応向かってるのは父さんの母親の桜ばあちゃんの所。まず真っ先にそこに行けってゆう父さんからのお達しだからね。イヤーそれにしても便利だねRS。歩きの二倍ほどのスピードで進めるからね。文明の素晴らしき発明d『――止めて下さい!』ほぇ?

 

「へへ、良いじゃんかよ別によぉ」

 

「おい、俺もう我慢出来ねえ!ここでヤッちまおうぜ!」

 

「俺一番にヤリてえ!」

 

「俺が始めだ!テメエは下がってろ!」

 

・・・ちょっと物陰から覗いて見ると、一人の女の子に四、五人の男が暴行を加えようとしてた。黄巾党・・・には見えないし着てる服は汚れてるから、洞窟暮らしの賊ってとこか。見て見ぬフリは・・・出来る訳無いよね!

 

「という事で、チェストオオオオオオ!!」

 

「ぐふあっ!?一体なn――おい!新しく女が来たぜ!上玉だ!」

 

「おお!こりゃイイ女じゃねえか!オイ嬢ちゃん、俺たちと一緒に楽s――おい!無視するんじゃねえ!」

 

下卑た笑いを浮かべる男共を無視して、襲われそうに成ってた女の子に近づく。

 

「大丈夫?怪我は無い?」

 

「は、はい・・・。有難う御座います」

 

「オイテメェ!無視するなって言ったr――いだだだだだだ!」

 

「ほーんと、救われようの無いクズだこと」

 

近づいて来た男の手を捻り上げる。こりゃ雑魚ね。オマケに沸点低いし。

 

「あ!?舐めてんじゃねえぞクソアマが!」

 

「ハッ!この人数に勝てる訳ねえだろが。俺たちゃ有利だ。焦るこたぁねえ。甚振った後、ゆっくり美味しく頂いちまおうぜ?」

 

「その慢心が命取りって、教わらなかった?」

 

「ん?何いって「えい」――へ?」

 

リーダー格と思われる男の首を、左手に持った『莫耶』でただ一刀の元に切り落とす。

 

「な、概陀!?このアマが、何しやがる!」

 

「やれ!一斉に掛かれ!」

 

「・・・はぁ、馬鹿は死んでも治らない、かぁ」

 

そう言って、両手に持った『干将・莫耶』で賊共(クズ)を全員斬った。この間、約五秒。

 

「へ!?あ、うぷ・・・!」

 

振り向くと、助け出した女の子が死体を見て吐き掛けてた。まさか戦場初心者!?

 

「あ、大丈夫!?ほら、コレ舐めて。気分が良くなるから。後目を塞いだ方が良いよ」

 

「あ、はい、ありが――ひっ!!」

 

あ、怖がられた、アタシ。まー目の前で惨劇(スプラッタ)見せられたらソリャ引くわね。

 

「大丈夫よ。襲わないから、安心して?(ニコッ)」

 

「あ、はい・・・///」

 

あり?顔が赤い・・・アタシって天然誑し(フラグメーカー)なのかな?

 

(はい、天然誑し(フラグメーカー)です。 by作者)

 

・・・何だろ、今すっごいムカついた。後で作者を締めるとして(おい!!)、女の子を死体から引き離した。

 

「さて、ちょっと嫌なモン見たばっかだけど、貴女の名前を教えてくれる?」

 

「あ、はい、姓名を周泰、字を幼平って言います・・・」

 

「へ~、周泰ちゃんね?アタシは呂天、字を地洋って言うの」

 

・・・まさか呉軍の周泰とは。見た所アタシと同い年位かな?

 

「で、周泰ちゃんは何でここに居るの?」

 

「それは、この山を越えた先に有る町におばあ様と一緒に・・・はっ!!おばあ様は!?私と一緒に襲われてそれから・・・!!」

 

「ねえ、そのおばあさんの特徴を教えてくれない?探すから」

 

「え、身長は約七尺(約160cm)、白髪の若干小太り気味なんですが・・・どうするんですか?」

 

「こうするの。写輪眼!『周辺探索(Umfangssuche)』!!」

 

写輪眼発動させたのは少しでも見つけ易くする為。周辺探索は言わば見聞色の覇気の気バージョン。流石に覇気は無いし、起動キーがドイツ語なのは、Fateの魔術に憧れてるから。

 

「・・・見つけた!こっちよ!」

 

開始20秒で発見。容姿の情報が役に立った。周泰ちゃんを連れてアタシは駆け出した。

 

 

 

 

「大丈夫ですか!外傷治療(Es heilt)!」

 

周泰ちゃんのおばあさんを見つけて、すぐさま気で治療を開始する。おばあさんは肩口を斬られていて、発見が遅かったらやばかったかも。

 

「う、うん・・・?」

 

「おばあ様!大丈夫ですか!?」

 

「う、明命かい・・・?それと、そちらは・・・?」

 

「その話は後で。幸い傷は浅いですし、このまま安静にすればすぐ良くなります」

 

「ああ、ありがとね。明命、貴女も大丈夫?」

 

「はい!呂天さんに助けて頂きました!」

 

「呂天・・・!?じゃあ貴女が、晶の娘かい?」

 

「え、はい、そーですけど」

 

「そうかい、まさか孫娘が助けてくれるとはね・・・。」

 

「え゙、もしかして桜ばあちゃん!?」

 

「気付くの遅いよ(ペシッ)」

 

「あいて」

 

何と目的の桜ばあちゃんでした。あるぇ?そーいえば周泰ちゃんって桜ばあちゃんの事を『おばあ様』って言ってたよね?

 

「あのー、失礼ですがおばあ様とはどういうご関係で・・・」

 

「ん?孫だけど」

 

「え、私もなんですが」

 

・・・ワォ。

 




基準「どうもです。先ず先に見苦しい言い訳を。宿題に追われてました。何分中学2年生なもんで」

零「周泰ちゃんがアタシのヒロイン2?」

基準「うん。選んだ理由が、自分の好きな小説の周泰が可愛かったから」

竜「ほほう、因みに俺にヒロイン2は居るのか?」

基準「勿論。タグにハーレムって有るでしょ」

零「それで、読者の皆さんに発表が有るんでしょ?」

基準「そうでした。この前執筆作業中に、小5の時に衝動的に書いたこの作品の原型を見つけまして、折角書いたんならこちらも載せたいな、と思ったんです。そこで、今気になってる小説の『カゲロウデイズ』も突っ込んで、無謀無知無茶な事に平行連載をしようかと思った所存で御座います。」

竜「この小説の執筆にも手間取ってるのに何をバカな事を」

零「しょうがないよ、作者バカだから」

基準「自覚してますよ!!そこでなんですが、この小説を読んで下さっている読者の皆さんに、小説のタイトルを考えて頂きたいんです。何分センスが無いもので・・・」

零「皆様が考えて下さった中から作者が独断と偏見でカッコいいと思う物を勝手に決めさせて頂きます」

竜「締め切りは2月6日の午後八時まで。この作品の感想に書き込んで下さい。後、この作品で、こんな所を変えた方が良いとか、コレはダメだとか、批評のほうも書いて下さると嬉しいです。一方的な批判は受け付けていません」

基準「内容は、メカクシ団のメンバーと、オリ主である佐久間零の一団、『佐久間ファミリー』が恋姫世界に飛ばされるという物です。ファミリーのキャラクターはオリキャラですが、別の作品から容姿とか力とかを引っ張ってきます。特に使うのが仮面ライダー」

一同「それでは皆さん、是非ともお願いします!」


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第伍話 建業到着、忍術披露。

今回はちょっと短め。恋姫って名言少ないから、名言集は休むときは休みます。


「へー、じゃ明命は桜ばあちゃんと一緒に下蔡から建業に行く途中だったんだ~」

 

「うん、途中であの通り、襲われちゃったけどね」

 

はいはいどもども~、零ちゃんですよ~。今、桜ばあちゃんを近くに転がってた荷車に乗せて建業に向かっております。いや~、明命って良い子だね~。可愛くて礼儀正しくて、今まで会った人の中では恋の次に良い子だね!え?孫堅さん?破天荒だから却下。父さんと母さん?親バカだから論外。黄忠さんと厳顔さん?酒が絡むと豹変するからNG。

前回桜ばあちゃんの孫である事が判明した明命なんだけれど、明命のお母さんが父さんの妹だったらしく、アタシの従妹でもあった。あ、明命はアタシの一つ下ね。

明命が敬語じゃないのは、『一つしか年違わないし、従妹だし、アタシ敬語ってキライだから敬語は無し!!』って言って普通にして貰った。私語の方が距離が近く感じられて早く仲良く成れそうだし、アタシって敬語殆ど使わないから。使うのって公的な場だけだしね。

 

「そういえば明命って何か武術ってやってるの?」

 

「うん、剣術を少し、まだ戦場に立った事は無いけどね。」

 

「あ、だからさっきあんな風だったの。ま~確かに戦場に慣れてなきゃあんな光景見せられて平気な筈無いもんね」

 

「うん・・・」

 

「あ、ごめん、デリカシー無かった」

 

「ありがと・・・でりかしぃ?」

 

あ、やば、横文字使っちゃった。

 

「ああ、気にしないで」

 

「アンタって時折変な言葉使うわね零?」

 

「ばあちゃん気にしたら負けだよ」

 

「何に負けるんだい?」

 

「自身の常識」

 

「それはもう負けてるよ。アンタは昔から非常識だったからねぇ・・・」

 

「ひどっ!?明命も苦笑してないで何か言って!?」

 

「ゴメンまだ会って少しだから何も言えない(苦笑)」

 

「わーん!!」

 

「ほんとに昔から破天荒だったからねぇ、アンタのする事で何年寿命が縮んだか・・・」

 

Stop!! My life is already 0!!(訳:やめて!!アタシのライフはもう0よ!!)

 

「あ、大丈夫だよ!零は私を助けてくれたし――――」

 

落ち込むアタシを明命は優しく――――

 

「――――常識が無いお馬鹿さんでも零は良い人だって分かってるからね!!」

 

――――傷を抉った、深く、そりゃもう深く。

 

「明命、それ、逆に傷を抉ってるよ」

 

「あああごめんなさい!!」

 

いいよ・・・いいよもう・・・グスン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、そんなグダグダな話をしている内に、いつの間にか建業に着いてました。

 

「あ、そーいえばばあちゃんたちって建業に何の用事で来たの?」

 

「あー、言ってなかったねぇ。ウチの村で少し足りない物が出てきてね、色々と買いに来たのさ。ああ明命、アンタは零と一緒に建業見物でもしてな。折角会ったんだしねぇ」

 

「いいのばあちゃん!?」

 

「え、でも、それじゃおばあ様に何か有ったら・・・!!」

 

「あーそうだねぇ、でもこんなババァのお守なんざ楽しくないだろ?」

 

うん、楽しくない。

 

「楽しいとか楽しくないとかそういう問題じゃ無くてですね!!」

 

でも、明命って真面目な子だから引き下がらないし・・・そうだ!!

 

「そんじゃ、こうしよう!」

 

「「え?」」

 

「ばあちゃんはアタシたちに気を使わせたく無い。明命はばあちゃんに着いてないと心配。ならこうすれば良い。ちょっとこっちに来て」

 

二人を路地裏に連れて行く。コレは見られるとヤバイからね。

 

「で、何しようってんだい?」

 

「こうするの。『影分身の術』!!」

 

「「・・・ゑ?」」

 

二人の目が点に成りました。そりゃまあ驚くよね。行き成りアタシの隣にもう一人『アタシ』が出て来たら。

これぞアタシの十八番、『影分身の術』。何か有ったら影分身。困った時の影分身。

 

「これで良いでしょ?本体のアタシが明命と観光して・・・」

 

「・・・分身のアタシがばあちゃんに着いて行ったら良い。ってコトでヨロシクね本体」

 

「分身もヨロシクね~。じゃ、明命、行こっか」

 

「はいはいばあちゃんも行くよ~」

 

「「ゑ、ゑ、ゑ~~~!?」」

 

混乱するばあちゃんを連れて分身は、混乱する明命を連れて本体のアタシは街へと繰り出した。

 




基準「感想が・・・無い・・・」

零「おお!?どうしたよ作者!そんなに打ちひしがれて」

竜「題名募集してるのに感想さえ来てないからショックだったんだと。他の人の自分のより話数少ない作品見ても感想有る人多いのに」

零「乙」

基準「酷くないっすか!?」

竜「はいはい、乙」

基準「皆さん!!もう何でも良いからメッセージ下さい!!」

零&竜「「はいはい、乙」」

基準「うわあああああん!!」

零「あ、作者が泣きながら出て行ったんで今回はコレまで」

竜「皆さん、感想下さい。作者が見てられないんで」


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第陸話 零「仕事しろ馬鹿呉おu「イヤよ(キリッ)。」」

更新遅れてごめんなさい。宿題に追われてまして・・・。連休宿題多いよ!!
真に勝手なんですが、名言集の方を削除させて頂きます。恋姫、少ないんですよ。それに話にあったの探すの難しいんです。この小説の投稿後、以前のものを削除させて頂きます。勝手ですいません。


どもども~、最近ずっとアタシ目線な零デ~ス。ばあちゃんの付き添いは影分身に任せて、明命と建業観光やってまーす。

 

「あ、明命!コレ可愛いよ!猫耳!」

 

「猫耳!どれ、どれ!!」

 

「コレコレ。はい、どーぞ」

 

「わあああ・・・!!」

 

「お、こっちには尻尾がある。肉球手袋も有るよ!」

 

「・・・!!(キラキラキラキラ)」

 

「おじさん!コレ一式頂戴!!」

 

「あいよ!五銭だよ!」

 

「ありがと!はい、五銭ね。そんで、明命にプレゼント~!」

 

「い、いいの!?(キラキラ吉良・・・じゃなかった、キラ)」

 

「気にしない気にしない。可愛い妹にあげちゃいます!!」

 

「わああああ・・・!!!!(キラキラ綺羅キラ吉良キラキラキラ)」

 

「おお、嬢ちゃん太っ腹だな!ほれ、オマケだ。つか、デケェなその大剣、使えんのか?」

 

「ありがと。おじさん、外見で人を判断しちゃいけないよ」

 

「はっはっは!そうだな!ウチの領主様もそうだしなあ!」

 

「・・・!!!!(キラキラキラキラキラキラキラキラキラ)」

 

あー、可愛いなあ和むなあ癒されるn『おじさんもう一本!!』っと?

ふと横に目を向けると、居酒屋?に既に何本もの酒瓶が転がってる机と、その席に座っている桃色の髪をした見覚えの有る女の人が見えた。周りの人はその様子を見て、『ああまたか。』みたいな目を向けている。

 

「ちょっと鳳蓮(ファンレン)ちゃん!?流石に飲み過ぎじゃねえのか?」

 

「良いのよ!お酒でも飲んでなきゃやってりゃんにゃいのよ~!!」

 

既に呂律が怪しい。酒瓶が、一、二、三・・・十五!?明らかに飲み過ぎでしょ。

 

「零、どうしたの?」

 

「いや、あれ」

 

「んー?ああ、まーた酔っ払ってやがる。あの様子だとまた仕事から逃げ出してんな」

 

「え、おじさん、あの人は?」

 

「ああ、あの人がウチの領主様、孫堅様よぉ」

 

「ええ!?あの人がですかあ!?・・・人は見かけによらないんですねぇ・・・。」

 

そう、あの酔っ払いはこの建業の領主で母さんの友人、孫けn・・・否、酔っ払いである。

 

「いやいやいや酔っ払いは否定しねえがちゃんと紹介してやれ。流石に名前が『酔っ払い』はかわいそうだ」

 

つっこまれた。心を読むな。別に良いじゃないか、事実なんだし。(ここ、え○りか○き風に)

さて、このまま見過ごす訳には行かないので、スタスタと彼女に近づいて行って――――

 

 

 

 

 

 

ゴン!

 

 

 

 

 

 

――――その頭を思いっきりぶん殴った。

 

「おいいいいいい!?」

 

「えええええええ!?」

 

周りの人が驚いて、雑貨屋のおじさんと明命は叫んでいるけど気にしない。

 

「いった~い!ちょっと何するのよ!!」

 

「真昼間から飲み過ぎよ鳳姉」

 

「あら、零じゃない。何で居るの?」

 

「只今諸国行脚の途中。つか鳳姉。仕事は終わったの?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(やったわよ)

 

「いや何よ今の間は。絶対やってないでしょ声も小さいし。仕事しろ馬鹿呉おu「イヤよ(キリッ)。何で私が仕事してないって分かったの?」」

 

「いやさっきの間で丸分かりだし、雑貨屋のおじさんも言ってるし、それに・・・」

 

「それに?」

 

「そもそも鳳姉が真面目に仕事したら世界が終わると思う」

 

そう言われた鳳姉は近くに居たグラマラスな体型の黒髪眼鏡美女に泣きながら抱きついた。あ~あ・・・

 

「うわ~んめ~り~ん零がいじめる~!・・・・・・はれ?」

 

「おやおや可哀想ですねぇ鳳蓮様?ですがそんな事を言えるお立場ではない事は理解しておられますか?」

 

鳳姉が抱き付いたのは周喩、字を公謹、真名を冥琳という。孫呉の筆頭軍師で優しい女性である。今も鳳姉に向かって微笑んでいる。

 

 

が。

 

 

今の彼女は優しいとは程遠い。目が全く笑ってない。後に般若が見えるほど怖い。怖い、うん、怖い。

 

そしてそんな冥琳を見た鳳姉の取った行動は。

 

スタスタスタ(冥琳から離れる)

 

チャリン(居酒屋のおじさんに代金を払う)

 

ガサゴソ(身支度を整える。)

 

 

そして――――

 

「逃げるっっ!!」

 

「「逃がすかあぁっっ!!」」

 

フッ。甘いわね鳳姉。冥琳の投げ縄(この時代に有ったっけ?)の技術とアタシの鎖操作の技術のコンボに捕らえられぬ物なしっ!!

 

「うう、冥琳一人ならまだ勝機は有っt「これで私の999戦999勝ですね鳳蓮様。」わ~ん!!」

 

「何回脱走してんだアンタ。ってか冥琳強っ!」

 

「済まないな零。助かった」

 

「良いって事よ。それよりも冥琳、痩せた?顔色も悪いけど」

 

「ああ、以前ここで鳳蓮様を捕まえに来たときに倒れてn「倒れたぁ!?」ああ。その際偶々ここに来ていた華陀という医者に見て貰ったんだが、

 

 

『精神的疲労と肉体的過労によって肺の臓に病魔が巣食っている。今ここで治療したい所なんだが生憎病魔に届くだけの長さの鍼が無い。まだこの程度なら薬で進行を食い止められる。この薬を毎食後に一粒ずつ飲んでくれ。疲労回復と精力増強、そして治療薬だ。暫くこの町に滞在するから何か有ったら遠慮なく呼んでくれ』

 

と薬を渡された。」

 

「・・・アンタ部下を病気にさせて何やりたいんだ?」

 

「・・・返す言葉もゴザイマセン・・・」

 

「・・・全く。冥r「た、大変だああーーーっ!!」んなあ!?」

 

何故こうも色んなトラブルが起きるかなあ!!

 




皆「皆さん、お久しぶりです」

零「今まで何やってたの?」

基準「多量の宿題。連休が殆ど潰れた・・・」

竜「はい、お疲れちゃん」

基準「何で複数の先生が幾つも大量の宿題を出すかなあ!!やっぱ、私立だから?」

竜「どこ行っても一緒だ、宿題が多いのは」

零「アタシたちも苦労したよね~」

基準「・・・はあ。もう疲れたんで、今回はコレにて」

零「はーい皆さんまた次回~」

竜「なあ、そろそろ俺の出番は?」

基準「何とか頑張るよ」


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第漆話 トラブルメーカーじゃない。トラブルエンカウンターだ

短いです。はい。やっぱり未だ慣れんなぁ・・・


はいどうも。ここ最近出番の無い竜の事が不憫に思えてきた零ちゃんですよ~。作者も早く書いてあげたら良いのに。

まあそんな事は置いといて。前回のラストで又もやトラブルに巻き込まれました、と言っても二回目なんだけどね。何でも叫んでた人によると。お婆さんが賊の人質に成っちゃったらしい。鳳姉、冥琳、明命と一緒に急行中です。

 

(トラブルメーカーだな。はっはっは! by作者)

 

トラブルメーカーじゃない。トラブルエンカウンターだ。

・・・語感悪いな。

 

「本体のアタシ!!」

 

「分身のアタシじゃない!どうしたの!?」

 

「それが、目を放した隙に桜ばあちゃんが・・・」

 

「お祖母様が!?」

 

「人質って桜ばあちゃんかい!!」

 

ばあちゃん・・・柔術の達人じゃなかったんかい・・・「まだまだ若いモンには負けんわ!!」と豪語してたくせに・・・「この前村に来た賊共をあたし一人で追い返してやったわ!!」っつうのは嘘かい・・・ハアァ()・・・

 

「ちょ、ちょっと零?何かドンドン暗くなってるけど。それに、そっちのもう一人の零は・・・」

 

「あ、あの、孫堅様?零は自分の分身を作り出せる様で・・・」

 

「ちょっと零!?初耳なんだけど!?」

 

「アタシもコレを会得したんは一ヶ月前よ・・・それからそこの眼鏡軍師。アタシを召抱えて人手不足を解消しようとか変なこと考えないでね」

 

「・・・・・・・・・・・・考えてなどいないぞ?(汗」

 

「その間と冷や汗は何よ」

 

そんなこんなの内に、事件現場に到着しました。状況は・・・と。

 

・賊の人数は三人。

・一人がばあちゃんの首に腕を回して抑えてて、他二人が周りの人を威圧。

・三人とも、お店を背にしている。お店の中にいる人たちは全員一般人。警邏の兵は全員賊の真ん前に。

 

・・・ふむ。

 

「お祖母さm「明命待って」零さん!?」

 

(分身のアタシ、賊の注意を引いてくれる?)

 

(時間稼ぎね。本体は後から、でしょ?)

 

(うん。二人ほど新しく出すけどね)(それかばあちゃんの身代わりに成るとか)

 

(OK分かった。Good Luck!!)ちょっと良いかしら?」

 

小声で作戦会議を交わして、分身体が賊を引き付ける。その隙に本体のアタシが路地裏に回って分身を二人増やし、屋根に登って賊の背後を取る

 

「あ?何だテメェ?」

 

「その人はアタシの祖母なの。返してくれるかしら?」

 

「あ?テメェ分かってんのかこの状況。このババァは人質だ。おいそれと渡せるか」

 

「それじゃ、ばあちゃんの代わりにアタシを人質にしてくれる?アンタたちもヨボヨボの婆さんよりピチピチの女のこの方が良いでしょ?」

 

「「「零!?」」」

 

「ホホウ。そいつぁイイな。いいだろ。お前、こっち来い」

 

「言っとくけど。ばあちゃんに手ェ出したら、承知しないよ?」

 

「分かってら。余計な事して捕まって、刑が重くなるのはこちらから願い下げだ」

 

「じゃ、交渉成立と言う事で」

 

分身は人質に成り、ばあちゃんは解放された。

 

「お祖母様!」

 

「ああ、明命かぃ?心配かけたねぇ。でも零が・・・」

 

「あ~あ~、アタシは大丈b「人質が喋んじゃねぇ!」ガッ!」

 

「零!!」

 

あ、顎を打たれた。

 

「あいててて・・・」

 

「そうそう、静かにしてりゃいいんだ」

 

「あ~、そんなに強く殴らなくても良いでしょ?もう。それに・・・」

 

「あ?」

 

「――後はヨロシクね、本体♪」

 

(ボウン!!)

 

「「「んなあ!?」」」

 

突然分身体が消える。それと同時に三人のアタシが賊に躍りかかった。

 

「グフッ!?」

 

「ガハッ!!」

 

「グアッ!!」

 

「はい、いっちょ上がり!」

 

「コッ、コイツ・・・!!」

 

「はいはい動かないでね~。兵士さん、後はヨロシクね~」

 

「あ、ああ・・・」

 

賊三名を兵士に任せて、鳳姉たちの所に向かった。

 

「ちょっと零!?何人にも分かれられるなんて聞いてないよ!?」

 

「よし零?模擬戦しましょ?」

 

「やはり何人にも分かれられるか。零、うちに来ないか?」

 

「はっはっは、腕上げたねぇ零?」

 

「一度に喋り掛けないで下さい暑苦しい。明命、別に分身は一人しか作れないとは言ってないよ。冥琳、勧誘するな。未だ旅の途中だから。ばあちゃんはありがと。そりゃ父さんにビシバシ鍛えられてたら二百人はイケルよ」

 

「むむむ・・・!!」

 

「私だけ無視!?」

 

「む、残念だ」

 

「・・・あいつは何したいんだか・・・」

 

知らんがな。あのチート好きの考える事なんか。

 

「ふむ、そんじゃ零、明命も旅に連れて行ってくれんかねぇ?」

 

「「・・・は?」」

 

えらく突然だなオイ!!

ばあちゃん、突然にトラブルを起こすのは止めましょう。

 




基準「長く書けないなぁ・・・」

零「もうちょいガンバレ作者」

竜「後書にエネルギー使ってんじゃないのか?」

基準「もうすぐ期末なんだ・・・」

零「ガンバレ、うん」

基準「宿題・・・多いな・・・」

竜「・・・愚痴を言う為に来たのか?」

基準「数学・・・嫌いだな・・・」

零「・・・皆さん、また次回~」

基準「あああ・・・」


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第捌話 予想外の答え

お久しぶりです。基準です。何故こんなに遅れる事になったのかというとですね・・・

学年末テスト&補修!!

に見事引っ掛かってしまいました。
皆さんは学年末テスト、どうでしたか?私は・・・死にました・・・
兎に角、かなり短いですが、どうぞ!


 

「ちょいとそこのばあさんや、もう一回言ってくれる?零さん、何か予想外の言葉が聞こえた様な気がしたんですけど空耳なんでしょうか」

 

「いんや。あたしゃちゃんと『明命も旅に連れて行ってくれんか』と言ったよ?」

 

前回、ばあちゃんから予想外のお言葉を頂きました零でございます。ハイ。

 

「・・・何故?」

 

「修行の為、かねぇ。あたしらの村には明命に教えられるほど強い奴は居ないから、あんたに頼みたいんだ」

 

「・・・鳳姉のトコでも良くね?」

 

「あら零、明命が嫌いなのかい?」

 

「そうは言っておらぬ。アタシの非常識な頭でもどこかに仕官させて経験積ませるっつうのが一番良い方法だというのが結論なんですが。そもそも明命、殺ったこと無いっしょ?」

 

「自分が非常識だって認めるんだ。非常識って言ってる割にはその考え方常識的だけど・・・」

 

明命の顔が強張る。まあ当たり前だと思うわ。ばあちゃんの話だと、仮に賊が攻めて来たとしても明命は未だ戦場に立つには技術と覚悟が甘いらしい。戦場に立った事は無いって言ってたし、殺るシーン見て気分悪くなってたし。経験が無さ過ぎる。え?自分が非常識だって認めるのかって?当たり前だよ。だって転生前に比べてかなり非常識になってるって主観的にも客観的にも分かってるもん(転生前も転生後も非常識さは然程変わっていません by作者)。

とまあ脱線話は置いといて。

 

「だからこそだよ。どこかに仕官させてチマチマやらせるより、あんたに付いて行かせてドンと経験積ませる方が早いからね。こんな物騒な世の中で、そっちの方が楽だし覚悟も技術も付きやすい」

 

「実際の負担はアタシな訳ですが・・・」

 

ばあちゃんって、アタシに負けず劣らず非常識なんじゃないかな?(零の方が数倍非常識です by作者)

 

「そもそも!先ず明命に聞いてk「私は良いよ?」良いの!?つか即答!?」

 

もーちょっと考えようよ!いくらなんでも早いよ!!

 

「・・・私は・・・さっきみたいに何もしないで居るのはイヤ。零は直ぐに動けたけど、私は何も出来なかった・・・」

 

「・・・」

 

「――――だから、私も連れて行って。何もしないで後悔するより、何かして後悔する方が良い」

 

「――――それが『人殺し』の道であっても?アタシ達が進むのは修羅の道。人を殺すという罪と、大勢の人の恨み、憎しみを背負って行かなきゃ成らない。アタシは若干淫楽殺人症、殺人鬼の気が有るみたい。会った時も賊を殺す事に愉悦を、未だほんの一寸だけだけど、感じる自分が居た。今は未だ抑えているけど、もしかしたら明命も感化されて人殺しを楽しむ『化物』になっちゃうかも知れないよ?それでも明命は――――」

 

 

 

 

 

 

「――――全てを背負う覚悟は有る?」

 

 

 

 

 

 

そう、明命の眼を見て言い放つ。これが最終警告。この答えで、次にアタシがするべき事が決まる。明命と共に旅をするか、それとも、ここで突き放すか。

 

 

「――――零はそんな事にならないよ」

 

 

・・・え?

 

「もし零が殺す事が好きなら、何でさっきは殺さなかったの?」

 

「・・・」

 

「もし零が、間違った道に行こうとするなら、私が止める。殴ってでも、止める」

 

「・・・」

 

「人の恨みを背負う覚悟は、剣術を習い始めた時から持ってる。お祖母様からも教えられたし、それに――――」

 

「――――零は、初めて出来たお祖母様以外の家族だから」

 

「・・・!」

 

「どんな事が有っても、零は殺人鬼になんかならないって信じてる。私だって、なってあげない。それでも――――」

 

 

 

 

 

 

「――――もし堕ちる時は、一緒だよ?」

 

 

 

 

 

 

そう言って、明命は微笑んだ。

予想外の答えだった。殺す覚悟を問うたのに、帰って来たのは見当外れ答えだった。の人を殺す覚悟はまだまだ甘い事が分かる。それでも、明命はこの『化物』を『家族』と言ってくれた。甘い。甘すぎる事は分かってる。でも――――

 

「そんな甘い答え、アタシは好きだよ」

 

「え・・・?」

 

「明命、アタシの修行は厳しいよ?血反吐吐く迄厳しく鍛え上げるから、覚悟しなよ?」

 

「・・うん!!」

 

――――アタシも、甘いわね。

 

「それじゃあ明命、村の方にはあたしが話を点けて置くから、あんたは安心して行って来な」

 

「はい、お祖母様!ありがとうございます!!」

 

「零、明命の事、頼んだよ?」

 

「任せといて!明命を一端の武将に育てて見せるから!!それじゃ明命、行こっか」

 

「うん!それではお祖母様、行って参ります!」

 

「気を付けなよ明命。もし怪我なんかしたら、塩水で傷を洗ってやるからね!」

 

「ばあちゃんそれ痛いから」

 

「あはは・・・」

 

「それじゃ明命、先ずはアタシの実家に行こう。明命に得物をあげなきゃいけないし、会わせたい子も居るし!」

 

「会わせたい人・・・?」

 

そしてアタシ達は、実家のある村、恋達が居る村に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、江東を中心として二人組の山賊狩りが名を馳せる事になる。

人は彼らをこう呼ぶ。

 

 

『虐殺者の黒狼(こくろう)』と『暗殺者の白猫(はくびょう)』と――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ冥琳、私達、忘れられてない?」

 

「く う き を こ わ す な」

 




基準「遅れてすいませんでしたー!!」

零「遅れた理由は前書きの通り?」

基準「うん。学年末テストの勉強と引っ掛かった補修で時間が潰されたよ・・・」

竜「別に合間を縫って書いたり出来たろ?」

基準「甘い!補修はα(代数)とEA(英語1)に掛かって、宿題が山積み」

零「テストはどうだったの?」

基準「オデノカダダハボドボドダ!!な感じ。察して。もう聞かないで」

零「あー、ご愁傷様?」

基準「何故に疑問系!?」

竜「はいはいこんなgdgdな話は切り上げて、さっさと締めるぞ」

零「ゴホン・・・それでは、次回の『戦士と悪魔の外史旅行』!!」

基準「次回はようやく、竜の話になる予定です」

竜「#\w△ft+@ー!!(訳:いよっしゃあああーー!!)」

基準「壊れた竜は放っといて、次回もよろしくお願いします」

竜「hsa:@30"#$'%/:p;ーー!!」

零「煩い!!」


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第玖話 従妹の思い

本日二度目の投稿です。

・・・R-15?


side竜

 

いいいいいいいいいいいいいいよっしゃああああああああああああああ!!!!よおおおおおおやく俺の出番だぜええええええ!!!!

 

兄様(にいさま)煩いです!」

 

(ズガン!!)

 

「あべしっ・・・」

 

side凪

 

ゴホン・・・どうも、先程は兄様が失礼s「え!?俺side終了!?未だ三行しか喋ってねーのに!?しかも一行ただの呻k「煩いですよ!!」(ドゴン!!)グハッ・・・」

 

・・・ふう。改めて、失礼しました。

自己紹介が未だでしたね。私は楽進、字を文謙、真名を凪と申します。こちらで崩れているのは、私の従兄である楽蛟、字を虹蜃という妹好きのへn・・・変態です。因みにここは宿屋の一室です。

 

「待て凪!今俺の紹介ヲ言イ直シダイヴィベェゾ(言い直した意味ねぇぞ)!?ナディダヨベンダイッデ(何だよ変態って)!!オレァソンナンジャベェゾ(俺はそんなんじゃねぇぞ)!!」

 

「復活早いですね。お願いですから人の言葉を話してください、変態」

 

「グアアアアアアアア!!!!」

 

すみません画面の前の皆さん。お見苦しい所をお見せしました。(ペコリ)

えーっと、確かこんな発言を『めた発言』と言うのでしたっけ。兄様(変態)に聞いたんですけど、あまり声に出さない方が良いと言われたんですが・・・何ででしょう?

 

(答:一人で何かブツブツ言っている変人と思われる可能性が有るからです)

 

・・・そうなんですか。確かに変態と呼ばれるのは兄様だけで十分ですね。兄様が大好きだという本心諸共心の中だけにしておきます///」

 

「・・・凪さんや、声に出てますよ」

 

「~~~~ッ!?!?!?///い、何時からですか!?///」

 

「『確かに変態と~』からだな」

 

「・・・した?」

 

「え?」

 

「・・・き、聞きましたか?///その・・・兄様が・・・」

 

「そうそう俺の事が大好k「記憶をッッッッ失ええええええええ!!!!///」ゴハアアアアアアアアアア!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side竜

 

「・・・ハッ!!い、一体俺は何を・・・」

 

えっと、確か久々の出番で嬉しくてはしゃいで、凪に煩いって突っ込まれて、それで・・・あれ?その後の記憶が無い・・・

何でだ?

兎に角、現状確認を――――

 

 

 

フニョン

 

 

 

・・・ん?

 

「ん・・・///」

 

ふと左を向くと、可愛い可愛い従妹の凪が居た。

・・・待て。凪さん何でこんなに顔が近いんですか?何で添い寝してるんすか?何で左腕に抱き付いてるんすか!?何で胸を押し付けるようにしてるんすか!?俺の左手をどこで挟んでるんすかーー!?!?///

よし、落ち着け俺。先ず凪を起こさない様に引き剥がしてだな――――

 

「ん・・・」

 

凪が俺の左腕ごと身体に抱き付いて来た。そりゃもうしっかりと。動けない位。

 

・・・詰んだーーーー!!

 

あああ凪の胸の感触が・・・立ち去れ煩悩!!立ち去るな理性!!オイコラ立ち去るな作者ァ!!この展開をどーにかしろお!!

 

(ゴメン、無理(笑)。 by作者)

 

コンチクショーーーー!!俺叫んでばっかりだなーーーー!!この小説gdgdだなーーーー!!

・・・ハァ。最後に一回だけ叫ばせて下さい・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふ、不幸だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題part2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・///」

 

「・・・///」

 

アレから30分、凪が起きてこの状況を理解した瞬間、顔を赤くして飛び退り、俺はどうにか大人の階段を登らずに済んだ。もう夜だよ。

・・・何だこの変な敗北感は・・・!!

 

「・・・///」

 

「・・・///」

 

き、気まずい・・・!!

と、兎に角、今の俺達の状況を説明しよう。

俺は今15才、凪は13才、俺達は旅に出ている。

何故かっつうと、凪の誕生日に親父に『修行に行って来ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!』と長音符20コ使って追い出されたからだ。うん。理由も無しにナ(クソ親父帰ったら●す!!)。

賊を狩ったり道に迷ったりして、村から二つ目の町に辿り着いたんだ。まあそこまでは良かったんだが・・・

 

問題は、だ。

 

凪が偶にくっ付いて寝てくるから、俺の理性がガリガリと削られていくんだよ!!凪って出るトコ出て締まってる、俗に言う『ボンッ・キュッ・ボンッ』の理想的な体型だからさ。そん時はいつも今みたいになってる。・・・耐えられるのか、俺?何か、いつか暴走してしまいそうで怖いんだけど。

そーいえばさ、ウチの親父がまさかの転生者だったらしく・・・

 

俺と凪に有るんだよ、『白眼』。

 

原作の日向家みたいに最初(ハナ)から白目じゃ無いんだけど、発動時に白目になるんだよ。よし、これで零に(何のリードか分からんが)一歩リードだぜ(竜は零が写輪眼を持っている事を知りません by作者)!!

 

まあ兎に角。

 

「・・・凪?」

 

「ひゃ、ひゃい!!///」

 

「・・・あ~、前々から思ってたんだけどさ」

 

「にゃ、にゃんでしょう!?///」

 

「噛んだ・・・」

 

「あうううう///」

 

あ、顔が赤くなった。

 

「まあそんな凪も可愛いんだけどさ」

 

「~~~~~~~~!!!!///」

 

あ、耳まで赤くなった。

 

「俺が聞きたいのはさ・・・偶に抱き付いて寝る理由なんだが・・・」

 

「え、あ、え、そ、そのですね・・・///」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・すか?」

 

「ん?」

 

「・・・めですか?」

 

「え?何て?」

 

「だから・・・」

 

 

 

「抱き付いて甘えちゃ、駄目ですか・・・?」(涙目+上目使い)

 

 

 

「ぐふううううううううううう!!!!」

 

俺は鼻を押さえて後退った。くっそう・・・破壊力抜群だぜ・・・

 

「い、いや、駄目じゃないけど・・・その・・・」

 

「そ、その・・・?///」

 

「・・・凪って結構胸が有るから、理性が・・・///」

 

「ッッッ!?!?///」

 

凪が胸を抱き締める様にする。駄目だ凪。そのポーズは余計に・・・///

 

「このままだと・・・いつか・・・凪を・・・その・・・襲ってしまいそうでな・・・」

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

「・・・良いですよ?」

 

 

 

 

 

 

「・・・え?」

 

今・・・凪は何つった?

 

「だから・・・別に襲って貰っても良いと・・・言ってるんです・・・///」

 

「いやいやいや流石にそれは・・・!!そーだよ!!俺なんかよりももっとイイやt「『なんか』なんて言わないで下さい!!」っ!!」

 

凪が叫ぶなんて・・・いつぶりだ?

 

「五年前・・・兄様が私を庇って大怪我して・・・その時以来です、兄様を、『兄』じゃなくて『男』として見るようになったのは・・・」

 

「・・・っ!!」

 

あの・・・時・・・?

 

「あの時・・・私の失態で兄様が大怪我したのに、兄様は私を責めずに、『大丈夫か?』って声を掛けてくれました・・・」

 

「あの時に、兄様に負けない位強くなろうと思って・・・一緒に、兄様の顔がずっと頭の中でグルグル回って・・・その時です、これが、『恋』なんだって気付いたのは・・・」

 

「あれ以来、兄様は私の中で一番大切な人になりました。だから・・・」

 

 

 

「私はっ、兄様が大好きなんですっ!!自分を『なんか』なんて言わないで下さい!!」

 

 

 

――――告白された。誰にでも分かる。凪は・・・俺の事を・・・でも・・・

 

 

 

「『俺なんかに釣り合わない』って、思っていませんか?」

 

「・・・何で分かった?」

 

「伊達に13年従妹をやっていないんです。兄様の考えてる事なんてお見通しです。・・・こうしたら、受け入れて頂けますか?」

 

「こうって、どういう――――ムグッ!!」

 

口を塞がれた。――――凪の口で。

 

甘い香りがする。頭がぼうっとする様な、癒される優しい香りだ。

 

次第に、凪の眼がとろんとしてくる。

 

凪の舌が口の中に入って来た。・・・コレは、ディープキスというやつか?

 

嫌な感じはしない。寧ろ、ずっとしていたいな・・・

 

「んっんっんっ・・・プハッ。ふぅ~・・・///」

 

「・・・凪、これ、お前初めてじゃないのか?それにしては・・・」

 

「母上と伯母様に教えて頂きました。///」

 

「あの2人は・・・」

 

「兄様、もう、ここまで来たら、する事は一つですよね?///」

 

凪はそう言って、顔を真っ赤にしながら徐に服を脱ぎ始める。

 

「確かにそうだが――――」

 

俺は凪を抱き寄せ、ベットに倒れ込んだ。

 

「――――後悔、しないな?」

 

「しません。絶対に」

 

「・・・分かった」

 

俺達は再度口付けを交わす。

 

「――――行くぞ」

 

俺は凪を抱き締めて――――

 

「――――はい、来て下さい・・・///」

 

――――蝋燭の火を、吹き消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の事なんだが。

 

翌朝、満足そうな顔で俺の身体に顔を埋める凪が居た事と――――

 

「・・・太陽が・・・黄色いぜ・・・」

 

――――俺の寝起きの第一声がコレであった事を、記して置く。

 




竜「コラ作者あああああああああああああああ!!///何だこの話!!///俺の久々の出番が何でこんな話なんだよおおおおおおおおおお!!///」

基準「いやー書いてる途中で暴走しちゃってねー。友達に『このまま行って良いかな?』って聞いたら『良いともー!!(誇張)』って帰って来てねー」

竜「作者の友達何考えてんだああああああああああ!?///」

基準「何って・・・ナニだが?」

竜「その返しはいらーーーーーん!!」

(コンコン)

基準「あ、はいはい開いてますよー」

(ガチャッ)

凪「し、失礼しま~す・・・///」

竜「なななな凪!?何でここに!?」

凪「いえ、基準さんに呼ばれたんです。今日は呂天さんが居ないから、代わりに来てくれって・・・」

基準「零の書置きならここだぞー」

『ちょっと恋と明命と一緒に遊びに行ってくるから、アトヨロ!! 零』

竜「あのやろーーーーー!!」

基準「あー凪さん、竜がそろそろ煩いから、引き取ってくれる?完全防音の別室が有るから」

凪「あ、ありがとうございます・・・///ゴホン!えー、それでは、『戦士と悪魔の外史旅行』!!」

基準「次回はいよいよ、原作突入です!!」

竜「俺の話はアレで終了なのか!?」

基準「時間が無いからね。割愛させて貰うよ」

竜「ぬがああああああああああ!!」

凪「それでは、次回もよろしくお願いします!!それでは兄様、行きましょう?///」

竜「ま、待て・・・作者ああああああああああ!!」


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第拾話 原作開始ッ!あれ、何か人数増えてね?

やっと原作開始です。


side北郷一刀

 

やあ皆。北郷一刀だ。今、俺達は――――

 

「かずピー、ほら、そっち早よ片付けてーな!終わらへんで!」

 

――――リストを片手に学校の倉庫の片付けをしていた。

・・・どうしてこうなった!!

始まりは、つい一時間前に遡る――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は、今日が「二人」が死んで2ヶ月だってことで、あいつ等の家に行く筈だったんだ。

メンバーは俺を含めて四人。

眼鏡を掛けた二次元オタクのエセ関西人、及川佑。

成績優秀で真面目(という猫を被っていて実は腹黒で悪戯とか大好き)な奴、大河道昭。

口は悪いが根は優しい元不良、南浦祐司。

この三人と俺と「二人」とある「一人」は小学校からの幼馴染みで親(悪?)友で、いつも7人で遊びまくってた。

でも、一ヶ月前、「二人」は不慮の事故でアッサリ逝ってしまった。

一人は更に三ヶ月に死んでいる。

祐司は荒れに荒れたな。何しろ幼馴染みを「三人」も亡くしたんだから。

学園も活気が無くなった。二人は学園一の人気者で、二人目当てにうちの学園を受験した奴も多いから。

まあ、そんなこんなで今はもう落ち着いたけど、俺達は一ヶ月毎に三人の家に行って、色々と報告をしようって事になってるんだが・・・

 

「ほらそこ、さっさと片付けろ」

 

「へいへい、分かりましたよ~」

 

俺達をよく思っていなかった先公に捕まって、強制的に片付けを手伝わされている。

俺達七人は学園でかなり人気だったらしく、その先公は『お前等が居る所為で女生徒にモテないんだ!!』と教師にあるまじき逆ギレでいつも無いこと無いこと吹っ掛けて来た。つかそんな事してるからモテねぇんだよ。しかも教師にしては馬鹿過ぎんだよ。よくなれたなって思う位。

で、七人が四人に減って、『これで俺にもモテ期到来だ!!』って思ったんだろうな。俺達イビりがエスカレートしてきた。そして更に先公の人気が無くなっていく。人気が無くなっていくのは俺達の所為だと更にイビりまくる。そしてまた・・・

分かる?この悪循環。

 

「・・・ふう。俺は疲れたから帰る。お前等は今日中に片付けろよ」

 

「あ、おい、先生!?」

 

「じゃあな、人気者(笑)諸君?」

 

・・・早く帰りたいからって逃げやがったあの先公。しかもニヤニヤ気色悪い顔をしながら。あいつホント何で教師になれたんだ?今でも疑問に思う。

 

「裏口で大学行って、金を積んで免許取ったらしいぞ、あの人」

 

「地の文に返さないでくれます?てか道昭、それ本気と書いてマジ?」

 

「真剣と書いてマジだ」

 

「うっわ、最悪な野郎だな・・・」

 

「あ、その情報、ワイの学園ネットワークにも挙がってたで。教育委員会に金積んで免許取ったって。他にも、別の学校で生徒脅して金巻き上げたり、行き過ぎた体罰で骨折ったり。あと先公ん家が金持ちで、父親が走り回って金積んで全部揉み消してるって噂もネットのスレに出てるしな」

 

「「よし、あいつ殴ろう」」

 

「まあ待て、実はな、その噂の証拠をもう掴んでいるんだ。父さんに頼んで、マスコミに全部暴露する手筈が整っている。あいつが居なくなるのも時間の問題さ」

 

「「「最高だ(や)お前!!」」」

 

「フッ、それほどでも無いさ。僕はただ、あいつの顔が悔しさに歪むのを見たいだけだからね。クックック・・・」

 

「ホンマミッチーてエエ性格しとるよなぁ・・・」

 

とあの先公の悪口を言い合ってると、時刻は既に五時を過ぎていた。

 

「あーヤバイな。これじゃ今日行くのは無理か?」

 

「ショーガネェ、さっさと片付け終わらせて、行くのは明日に――――って、何だこれ?」

 

「どうした?」

 

「いや、棚の下の隙間にこんなモンが・・・よいしょっと」

 

祐司が取り出したのは、どこかのRPGに出てきそうな銅鏡だった。

 

「んー、こんな物倉庫のリストに無いぞ?」

 

「こっ、これは・・・!!」

 

「知ってるのか?」

 

「いや知らん」

 

「ネタかよ!ホント流石オタクだな!!」

 

「まあ言いたかっただけやしな!そやけど隠された銅鏡って・・・冒険の予感や!」

 

「流石に無いだろ。そんな突拍子も無い――――なあ、何か光って無いか?」

 

「「「え?」」」

 

よく見ると、銅鏡が光り始めている。同時に――――

 

「突拍子も無い事が起こっていますね、解説の道昭さん?」

 

「・・・皆さん自分の胸を見ましょう」

 

「は?胸になんて何もな――有ったし」

 

俺達の胸の所に、変な模様が出て来た。

佑には青い蛇。

道昭には白い虎。

祐司には赤い鳥。

俺には、紫の亀。

胸の模様の光が強くなってきている。それに合わせる様に銅鏡の光も強く、銅鏡自体も熱くなってきている。

 

「・・・何かヤバくないか」

 

「光も強くなって来てるし――――」

 

 

 

カッ!!

 

 

 

強い光が、俺達を包み込んだ。段々と銅鏡に吸い込まれていく様な感覚。

 

「ウワッ!」

 

「ゆうピーが銅鏡なんか見付けるからやあああ!?」

 

「お前が『冒険の予感や!』なんて言うからだろうがあああ!?」

 

「今更言い合ったって手遅れだあああ!?」

 

「あいつの悔しさに歪む顔を見たかったのにいいい!?」

 

四人が四人ともバラバラの言葉を出して、俺達は、倉庫から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――蒼天が墜ち、黄天が立たんとする時、この地に七人の御使いが舞い降りん

 

御使いは戦場を駆け、戦乱の世を終結へと導かん

 

青藍の御使い、白馬を守護し、その智を以て彼の者を名誉へと導かん

 

純白の御使い、その知略を以て、覇王に栄光を齎さん

 

真紅の御使い、愛しき者と共に紅き虎の悲願を叶えん

 

黒曜の御使い、その人徳にて桃園を核とし大いなる絆を紡がん

 

黄金の御使い、その大いなる力により、常勝不敗の栄誉を与えん

 

漆黒の御使い、暗黒を以て月と蒼天を守護し、紅炎と疾風を従えて鬼神の如く戦場を駆け抜けん

 

白銀の御使い、龍となりてこの地に降り立ち、参本の刃と津波と地震の如き力を携えん

 

 

――――管輅の予言は、今正に実現しようとしている。

 




基準「今日は、北郷組4名に来て頂いてま~す!」

一刀「あー、どうも、北郷一刀です」

佑「ども、及川佑でっす!!」

道昭「大河道昭です。よろしく」

祐司「・・・南浦祐司だ」

基準「さて、原作が始まったけど、皆さん、何か心意気とか有る?」

一刀「はいはーいちょっと疑問!!上の予言なんだけど、俺達の所属先のネタバレっぽくないか?」

基準「それが何か?」

一刀「いや、もっと伏線張っても・・・」

基準「張ってるじゃん、黄金の御使い」

佑「あれ、結局誰なん?ワイ等七人グループのラスト一人なん?」

基準「さあ、どうでしょう」

道昭「ラスト二人はあの二人で良いんだよね?」

基準「それは勿論。主人公二人が出ないなんておかしいっしょ」

祐司「なあ、真紅の御使いの『愛しき者』って・・・」

基準「ネタバレになるので却下」

零「はいそれでは『戦士と悪魔の外史旅行』ーー!!」

一刀「うわっ!?どっから出て来た!!」

零「多分次は一刀の回だね!!」

一刀「スルー!?」

零「皆さんそれではまた次回~!!そんじゃっ!!」

一刀「あ、こら待てー!!」

佑「かずピー、放っとけ、零はイツだって非常識や」

道昭「あいつに常識を求めるな」

祐司「済まんな、こんなグダグダで」


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第拾壱話 黒曜、青藍、考察、黄金。

短いッ!!色々情報が飛び出してきます。


「・・・漸く、原作開始か。長かったわねこの十七年・・・」

 

「なーにしてーるの♪」

 

「お、ああ、ちょっと感慨に耽っててね。聞いたでしょ?管輅の予言」

 

「うん。この地に七人の御使いが降り立つっていう」

 

「そ。これから、激動の群雄割拠の時代が始まるわ」

 

「これからどうするの?誰かに付くの?」

 

「うん。洛陽に行こうと思ってる。曹操にはアタシの知り合いが付くだろうし、袁紹は論外。孫呉にも行きたいけれど、やる事が有るから、洛陽の董卓軍に付くわ。但し付くのは黄巾の乱が終結してから。涙の再会は未だ先ね」

 

「棟梁、出立の用意が完了したわ。いつでも行けるわよ」

 

「分かったわ。・・・聞け!これより我らは蒼天に仇為し、友を屠る者を狩る修羅となる!我らが力を世に知らしめよ!月と虎との絆を胸に、暴れるしか能の無い馬鹿共に地獄を見せてやれ!!」

 

『『『『『ウオオオオオオオオオオ!!!!』』』』』

 

「始めに冀州の黄巾党を狩り尽くす!『月影』、出陣だっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~陳留付近の森~

 

「兄様、これからどこへ行くんです?」

 

「そうだなあ・・・ちょっと遠いが、蜀にでも行くか。足を気で強化して行くぞ。修行だ」

 

「え・・・兄様、私は強化は苦手d「そんな言い訳通用しないぞ~?ほら、先行くぞ~♪」あ、待って下さい兄様~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side一刀

 

・・・俺が桃香、劉備に拾われて2週間経った。いやあの頃は大変だった。平和な日本からいきなり戦国乱世の三国志の時代に飛ばされたんだぜ?これで狼狽えない方がおかしいよ。それに、この世界が『恋姫†無双』の世界だってのも驚いた。あの時は焦った焦った。間違えて真名呼んじゃって・・・死ぬかと思った。許して貰えたけど。

それで、今は幽州の公孫賛の所に向かって旅を続けている。

 

「着いたー!!」

 

着いたけど。

 

「それじゃ、ばい、ばい・・・えーっと・・・パイパイちゃn「待て桃香それ真名だよなてか絶対間違ってんだろ!」ううう~だあって~」

 

「だってじゃありません!姉上、公孫賛殿に失礼です!」

 

「兎に角、公孫賛に会いに行くんだろ?だったらこんな所で足踏みしてる場合じゃない。早く行くぞ」

 

「あ、待つのだ皆~!」

 

――――こんなグダグダで大丈夫か?

エルシャダイネタで心の中で愚痴ってると、

 

「――――大丈夫だ、問題ない」

 

と誰かがエルシャダイネタで返してきた。誰だと思って振り返ると――――

 

「誰だ――――って佑!?」

 

我が悪友、及川佑がそこに居た。

 

「久しぶりやな、かずピー♪今の地の文エルシャネタやろ?」

 

「地の文読むなっ。後略すなっ」

 

「・・・ご主人様?そちらの方は一体・・・」

 

「ああ、ワイの名前は及川佑。しがない占い師ですわ。しかしかずピー、ご主人様て・・・」

 

「俺の所為じゃない。勝手に呼んでるだけだ。お前知ってるだろ?蜀√はご主人様って呼ばれるって・・・それにお前はハム√か?」

 

「いやいや、ワイはしがない占い師y「嘘吐け。管輅の予言で青藍の御使いは白馬を守護するって有ったぞ。お前が青藍かどうかは兎も角、一緒に飛ばされたんだから、御使いは決定だろ。」・・・バレたか」

 

「バレるわっ!!」

 

「で、白蓮(ばいれん)に会いたいんやろ?仕えたいか、義勇軍欲しいかで」

 

「お前のスルースキルには敬服する。理由は後者だ」

 

「ほんじゃ付いて来。今ワイ軍師見習いで、ある程度の顔利くからお目通りなら大丈夫やで♪」

 

「お、サンキュー。頼むよ」

 

俺は及川について城に向かう。やっぱり持つべき者は友達だな!!

 

「ご主人様!待ってよ~!!」

 

「忘れ去られている気がするのですが・・・」

 

「あそこの肉まん美味しそーなのだ!」

 

・・・ごめん皆。忘れてた。それと鈴々、城に行くから、肉まんはお預けだ。

 

「にゃあああああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあかずピー。管輅の予言、どう見とる?」

 

城に着くまで、俺と佑は管輅の予言について話し合っていた。

 

「予言か?えっと確か、『蒼天が墜ち、黄天が立たんとする時、この地に七人の御使いが舞い降りん。御使いは戦場を駆け、戦乱の世を終結へと導かん。青藍の御使い、白馬を守護し、その智を以て彼の者を名誉へと導かん。純白の御使い、その知略を以て、覇王に栄光を齎さん。真紅の御使い、愛しき者と共に紅き虎の悲願を叶えん。黒曜の御使い、その人徳にて桃園を核とし大いなる絆を紡がん。黄金の御使い、その大いなる力により、常勝不敗の栄誉を与えん。漆黒の御使い、暗黒を以て月と蒼天を守護し、紅炎と疾風を従えて鬼神の如く戦場を駆け抜けん。白銀の御使い、龍となりてこの地に降り立ち、参本の刃と津波と地震の如き力を携えん。』だっけ?」

 

「ようそんな覚えられたな・・・」

 

「フッ。俺の記憶力を舐めるな」

 

これでも暗記に関しては全問満点なんだ!!

 

「まあええか。で、青藍の御使いがワイで、黒曜の御使いがかずピーやっちゅうのは分かっとるよな?」

 

「ああ」

 

『白馬』は『白馬将軍』の公孫賛、桃園は『桃園の誓い』から桃香達。だから、青藍の御使いは佑、黒曜の御使いは俺になる。

 

「じゃあな、純白と真紅の御使いってミッチーとゆうピーやって分かるよな?」

 

「え、何で?」

 

2人のどこに白と赤が入ってるんだ?そんな俺に、佑は呆れ返ったような顔で説明を始めた。

 

「ええかかずピー。予言に『四神』が入ってるのは分かるか?」

 

「『四神』っつうと、『青龍』、『白虎』、『朱雀』、『玄武』の事だろ?」

 

「そうや。これな、狙ったようにワイらにピッタリやねん。先ず、『青龍』。青龍は東、青、流水、春、木行を司る神獣や。流水は川の事。ほら、ワイの苗字は及『川』やろ?」

 

「おお~」

 

「次に『玄武』。北、玄、丘陵、冬、水行を司る。かずピーの苗字は『北』郷やしな。」

 

「成程・・・で、道昭と祐司は?」

 

「『白虎』は、西、白、大道、秋、金行を司る。ミッチーのフルネームは大河道昭。『大河』→『たいが』→『タイガー』や。後、道昭の『道』」

 

「ああ成程!じゃ、『朱雀』が司るのって確か、南、赤、それから・・・」

 

「湖沼、夏、火行や。『南』『浦』やから、ビンゴやろ?それに、ワイらが飛ばされる前に胸に浮かんでた紋様。ワイが青い蛇、ミッチーが白い虎、ゆうピーに赤い鳥で、かずピーは紫の亀やったやろ?」

 

「納得納得!!ってあれ?何で俺の紋様が黒じゃねぇの?」

 

「黒って見にくい時が有るからな。紫で代用される事も多いねん。」

 

「・・・道昭n「かずピー、ゆったらアカン」でm「アカン」・・・OK。で、残り3人は?」

 

「分かるかそんなん。飛ばされたんワイらだけやんけ」

 

「どんな奴らなのかな~♪」

 

そんな事を言ってる間に、城に着いていたらしい。いやあ、時間が経つのって早いな~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・結論から言おう。

 

大多数の義勇兵(+趙子竜)が集まりました。

 

・・・桃香スゲエエエエエエエエエエ!?

 

流石未来の蜀王。その人気は伊達じゃない。

佑も苦笑いしかなかったよ。「実際見るとこんなんやねんなあ・・・」って言ってたよ。

ごめんなさい白蓮(真名は受け取った)さん。兵を大量に連れて行っちゃって。

あっさりし過ぎじゃないかって?いやこの場面って他のSSでもよく見るじゃん?それにこれからの展開の都合上時間無いから削ったんだって。

・・・まあ言っちゃえば作者が面倒いからサボったんだが。あっ!やめて!そんなにバッシングしないで!!

 

「まあ、これで兵は集まったな。桃香、愛紗、鈴々、行こうか。黄巾党を討伐しに」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

「出発なのだ!」

 

天の御使いとして呼ばれたなら、俺はこの乱世を鎮めて、皆が笑い合えるハッピーエンドを作って見せる!!

この決意を、「親友」に否定されるなんて、今は未だ、全然思ってもいなかったんだ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは、何もない荒野。

夏候惇、夏候淵の2人は、どう見たって場違いな金色の鎧に身を包んだ、金髪紅眼の男と対峙していた。

 

「・・・貴様、何者だ?」

 

男の首に剣の切っ先を当てて、夏候惇は問い掛ける。男は、悠然と構えている。恰も自身が絶対的な強者であるが如く。

 

「・・・フン、その程度で(オレ)を殺せるとでも思っているのか、雑種」

 

「貴様ッ・・・!!」

 

「姉者落ち着け。今ここで暴れても何にもならん。して、貴殿の名は?」

 

「我の名は天統(てんどう)帝王(みかど)。黄金の御使いで、最強のオリ主になる男だ。覚えて置くがいい、雑種」

 

――――黄金の御使い、その大いなる力により、常勝不敗の栄誉を与えん。

 

ここに、転生者であり、最後の御使いが魏に降り立った。

彼の行動が、破滅への道標とも知らずに――――

 




零「作者ッ!!最後のギルガメモドキだれ?」

基準「かませキャラに決まっておろう」

竜「絶対曹操苦労するな」

零「意外とキーだったりする・・・かも?つか最初のやり取りIt's me!!だよね?」

基準「それが何か?別にドーでも良いじゃないか。後々明かされて行くんだから」

竜「さてさて、俺はどこに付くのだろうか・・・」

零「ずっとフリーだったりして」

竜「それは無いだろ」

基準「大丈夫だ。百合女王には行かんから」

竜「こちらから願い下げだ!!」

零「へーい、それじゃ、『戦士と悪魔の外史旅行』ー!」

基準「次回は・・・黄巾の乱!直ぐ終わるけど」

竜「言って良いのか!?次回もヨロシクッ!!」


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第拾弐話 黄巾の乱前の邂逅

ちょっと無理がある・・・難しいなあ・・・

3/27 ちょいと変更。魔力無かったら『王の財宝』使えねーじゃん!と気付いた。


「う~ん、冀州で大分兵の補充が出来たわね~。計二万。十分な人数ね」

 

「補充って・・・まあそうだけど」

 

「さってっと!じゃあ諸国を回りますか!!」

 

「どこからそんな決定に繋がるの!?」

 

「アタシの非常識から。黄巾の乱は官軍立てなきゃだし、ウチの子を迂闊に出すと討伐されそうだからね。向こうに残ってるのは殆ど『黒』だけだから然程気にしないし」

 

「諸国を回るのは実戦経験を積ませて鍛える為?」

 

「大当たり。じゃ、行くわよー!!」

 

「突然すぎるよっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side北郷

 

よう、北郷だ。今俺たちは、黄巾党の本拠地を付き止めた官軍に合流した所だ。そこには名だたる諸侯に義勇軍が陣を構えている。官軍に袁に・・・おっ、あれは曹に孫だな。三国集結じゃん。因みに俺達は劉と十文字な。あ、公が来た。

 

「姉上、先ずは中央天幕に行き、将軍にご挨拶を」

 

「分かってるよ。ご主人様も行こ?」

 

「分かってるって。桃香じゃないんだから忘れないよ」

 

「む~、それどーゆー意味?」

 

「そーゆー意味」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それで中央天幕に来たんだが、そこで曹操と孫策にバッタリ。更に――――

 

「やあ一刀に祐司。奇遇だね」

 

「テメェらも居やがったか・・・」

 

「おう二人共。祐司、テメェらはないだろ・・・」

 

更に、親友二人がいらっしゃいました。

 

「何大河、知り合い?」

 

「祐司、友達?」

 

道昭の横には金髪ツインドリルのレズビアンサディスト・・・もとい曹操。祐司の横には桃色の髪の色気のある女の人、孫策が居る。

 

「ええ、華琳様。彼は北郷一刀。そちらの彼は南浦祐司。僕の友人です」

 

「あ、どーも。ご紹介に預かりました北郷一刀です。一応黒曜の御使いらしいです」

 

「・・・南浦祐司、真紅の御使いらしい。鳳蓮、あの眼鏡は大河道昭だ」

 

「へー。どうも、孫軍の総大将の孫堅よ」

 

・・・孫策じゃなかった!!しかしそっくりだな・・・

 

「・・・(ジトーッ)」

 

「痛い、痛いから愛紗さん腕を地味に抓るの止めて頂けます?」

 

「・・・(プイッ)」

 

「お願いですから腕から頭に攻撃を移すのを頭が割れる様に痛いいいいいいいいいいい!!」

 

「「おお、リアルバカテス!」」

 

「感心してないで助け今度は桃香で左腕の間接がヤバイいいいいいいいいいい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題(痛い、痛、アーーーーーーーーーー!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ドウニカ愛紗ト桃香ノ折檻カラ無事ニ生還シタ俺ダガ。

 

「いやいや無事じゃないだろ何故に片言!?起きろっ!!」

 

「(ガスッ!)ハッ!!俺は今まで一体・・・」

 

「兎に角、天幕の中に入って何進大将軍様にお目通りだ。ほら、行くぞ?」

 

「あーちょっと待って?白蓮・・・公孫賛が来てるなら、佑が居る筈だから」

 

「「・・・マジか」」

 

「マジだ」

 

何だこのやり取り。

 

(俺にも分からん。 by作者)

 

おい。

 

そんなやり取りをしていると、

 

「よう皆。奇遇やな」

 

「「「どこが奇遇だ」」」

 

「綺麗なハモリごっそさん」

 

佑、重役出勤(笑)。

 

「何だ華琳、お前も来たのか」

 

「勿論。私の名を示す為には格好の舞台よ。勿論民衆を助ける為というのも有るけど、この大舞台に参加しないでどうするの、白蓮?」

 

「何や白蓮、知り合いか?」

 

「私塾の同門、それだけ――――いや、麗羽、袁紹に苦労した仲、とでも言おうか」

 

「嫌な事思い出させてくれるわね・・・まあ今は麗羽以上に嫌な事が有るけど」

 

「あいつか・・・」

 

曹操の言葉で曹軍一同が露骨に嫌そうな顔をする。そして――――

 

 

 

 

 

 

「何をしている?大方この我の噂でもしていたんだろう?雑種共」

 

 

 

 

 

 

その場に響いた声で、曹軍の不機嫌ボルテージが限界を突破した。

現れたのは、逆立った金の短髪に赤い瞳、金ぴかの無駄に豪華な鎧に身を包んだ男――――って。

 

(((リアルにギルガメッシュじゃん!?)))

 

俺、佑、祐司の心境が一致した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何進将軍に面会した後、俺達4人組は天幕を一つ借りて、緊急会談をした。

 

「・・・道昭、アレ、誰?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・黄金の御使いだ」

 

「「「嘘ォ!?」」」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・事実だ」

 

「・・・認めたくない現実ッッ・・・!!」

 

「・・・宝具入り『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』所持」

 

「「「チートだっ!!」」」

 

「クソッ、コレじゃ勝ち目ねぇじゃねえかっ!!」

 

「よりによってテンプレチートオリ主がここで来るんか・・・!!『恋姫†無双』の世界やから有りえると思ってたけど・・・!!」

 

くそう・・・ヤバ過ぎるだろ・・・そう俺は思っていた。駄菓子菓子(だがしかし)っ!!

 

「大丈夫だっ!!調査結果を報告しよう!!」

 

「「「調査結果?」」」

 

打ちひしがれていた俺達に、道昭は一筋の希望の光を齎してくれた!

 

道昭の調査を簡潔に纏めると。

 

・『王の財宝』は有るものの宝具の殆どは贋作(例外は『乖離剣エア』と『天の鎖(エルキドゥ)』のみ)

・『ニコポ・ナデポ』所持、しかし原作キャラには逆効果の様子

・魔力が真名開放出来る程無い

・方程式が解けない等、かなり頭が悪い事が伺える

・KY。兎に角KY。キング・オブ・KY。

 

「・・・まだ、マシか?」

 

「ほぼ射出オンリーなら、未だ勝機はある・・・!!」

 

「頭が悪いんなら、巧く乗せたら前線に配置したりで利用出来る・・・裏切りそうなったら直ぐ切って縛り上げたらええ・・・使い捨て戦力としては申し分ないな」

 

データから、俺達にまだまだ勝機が有る事が覗える。

 

「・・・ところで、あのアホは転生者なんか?」

 

突然、佑がそんな事を言った。

 

「え?ああ、あのバカはそう言っていたが」

 

その質問に何の意味が有るんだ?そう思った俺達3人に、佑は――――

 

「って事は、『零』と『竜』がこの世界におる可能性が有るっちゅう事やんな?」

 

言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・どういう事だよ」

 

「佑、あいつらの名は『禁句』だ。それを分かって――――」

 

「話を聞き!ええか、ワイがそんな風に思ったのには根拠が有る!!」

 

佑は、話し出した。疑心暗鬼に駆られる俺達に、根拠を。

 

「――――先ず、一つ目の理由。2人のイメージカラー。零は黒の服を、竜は銀色に近い服をよう着てた」

 

それがどうした。そんな顔をする俺達に、佑は続けて話す。

 

「二つ目。この世界に『虐殺者の黒狼』っちゅう奴がおる。そいつにくっ付い取る『暗殺者の白猫』はこの際無視してええ」

 

「次に三つ目。先に竜の方の根拠から言っていくで。管路の予言の、『白銀の御使い、龍となりてこの地に降り立ち、参本の刃と津波と地震の如き力を携えん。』の部分や。『龍』は竜の事を表す暗喩やとワイは思てる」

 

「四つ目。ちょこちょこ噂を聞く。『そこらの奴じゃ相手にならない程強い銀髪の兄妹が魏に居る』っちゅう噂や。しかも、兄の方は――――」

 

「――――三本、刀を持っとると言う。ミッチー、聞いた事有るやんなこの噂。」

 

「・・・この世界じゃ刀を持っている人間は限られている。予言にも『参本の刃』とある、なら考えられるのは・・・」

 

「――――三刀流、か?」

 

「そんな・・・!!」

 

三刀流。『ONE PIECE』の『ロロノア・ゾロ』が使った架空の流派。両手と口を使って刀を操る。でも。

 

「この世界じゃ、三刀流を使える人間なんて居ない筈だ!あんなの、再現出来る筈が――――」

 

そこまで言って気付いた。この世界の人間に出来ないなら、『特典』を持ってるなら出来るんじゃないか。居るじゃないか。『転生特典』を引っ下げてやって来た『黄金の御使い(転生者)』が。つまり――――

 

「白銀の御使いは、特典を持って転生した『佐久間竜』だって事か!?」

 

 

 

 

 

 

「大当たりだ、野郎共」

 

 

 

 

 

 

声に反応して天幕の入り口を見ると、銀色の髪の毛を持ち、腰に三本刀をぶら下げた、紛れも無い親友の姿が有った。

 




基準「無ー理がーあーるー♪」

零「歌うなっ!」

竜「ラストに俺が出てきたな」

基準「この話を考えるのに一週間は掛かった」

竜「掛かり過ぎだ!」

基準「基本その場のノリと気分で書いてるからね。大まかなストーリーや重要な事件は決まってるけど、細かい所はノリ!」

零「そーいえば、別のサイトの人にメッセージ送ってたよね?」

基準「話を変えないで。とあるサイトのとある小説に触発されて、小5の時にこの小説のプロトタイプを書いたんだ。で、この小説まで発展した。面影なんて零と竜とヒロインのしかないよ」

零「何故メッセージを?」

基準「いや、題名がさ、考えれば考える程その人の小説の題名に似ていくんだよ。リズム的な所が似てる。内容もその小説に触発されてる所が多いしね。メッセージはそれのお詫びと事後承諾のお願い。許可をちゃんと頂きました!」

竜「良かったなー(棒読み)」

零「良かったねー(棒読み)」

基準「もうちっと感情込めてくれても良いんじゃね!?」

零「あーはいはい。次回の『戦士と悪魔の外史旅行』ー」

基準「スルーか!次回は、黄巾の乱終結です」

竜「早いな!!」

基準「重要なのは反董卓連合編だから。零も暗躍してるし」

零「じゃ、次回もよろしくー」


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第拾参話 対面後の色々なお話

前回この回で黄巾党編は終了だと言ってましたが、予想以上に長くなったので一話伸ばします。書き方も変えてみました。


side三人称

 

 

「・・・竜・・・なん、か・・・?」

 

及川佑が呻く様に声を掛ける。それもその筈。自身の目の前に居るのは、この世界に来る二ヶ月前に死んだ筈の、親友なのだから。

 

「何呆けていやがるんです?正真正銘お前等の親友、佐久間竜様でございますですよ?銀髪になってるがな」

 

「・・・竜~~~~~~~!!」

 

ブルブルと身体を震わせていた北郷一刀が竜に突撃した。色々言いたい事も有るのだろう。彼の名を叫びながら突撃した。

・・・さて、この世界は『真・恋姫†無双』の世界だ。彼、佐久間竜は、楽蛟、字を虹蜃、真名を竜と名乗っている。つまり、『竜』とは真名だ。一刀達が呼ぶ名は、この世界では真名に当たる。

竜は、この世界で彼ら四人とは初対面だ。つまり、竜の周囲に居る人とも初対面な訳で。

 

「ゴハアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

「兄様の真名を気安く呼ばないで下さい!この変態!」

 

竜さんぞっこんLOVEな凪さんの鉄拳制裁が待ち受けている事が確定済みな訳である。

 

「こら凪、止めなさい。この(変態)は俺の友達だから、大丈夫だ」

 

「サラッと変態ってルビを付けるの止めt「喧しい」ソゲブッ!?」

 

友人を変態認定した竜に抗議の叫びを上げるも、顎に一撃を喰らい沈んだ一刀。桃香・・・劉備と愛紗・・・関羽にバカテスの様な制裁を受けた後に凪の鉄拳、そして顎への一撃と、かなりボロボロにされている。某ウニ頭の少年の台詞を借りれば、「ふ、不幸だーーーーーーーーーー!!」だろうか、無論、叫べば4度目の制裁が待っているから黙っているが。

因みに、残り三名はというと。

 

「「「(ズズズ・・・)」」」

 

まったりお茶を飲んでいたりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで落ち着いて、野郎五人&美少女一人in天幕。

 

「・・・で、自己紹介から始めっか?」

 

「ムー!ムー!」

 

「やな。たつピーってこっちじゃ何て名前なん?後、今まで何してたんか教えてくれると嬉しいんヤケドナー」

 

「ムー!ムー!」

 

佑が竜に自己紹介と説明を要求する。因みに竜さんぞっこんLOVEな凪は、

 

(兄様を軽々しく愛称で呼ぶとは何様のつもりですかこの人はしかも私の知らない事も知ってるようですしああ羨ましい妬ましい恨めしい――――!!)

 

と呪いを込めて佑を現在進行形で睨んでいる。佑はどこ吹く風だ。

 

「へいへい分かりましたよ。凪、そろそろ睨むのは止めろ。お前もこれからの話に参加しなきゃなんねえから」

 

と、竜が凪の頭を撫でる。凪は「ふにゃあ」と声を出して竜に寄りかかる。懐柔成功。

 

「ムーーーーーーーー!!」

 

「煩い!!」

 

さっきから煩く響いている声は、腕と足を縛られた上に猿轡を噛まされ簀巻きにされた一刀の物である。何故こんな事になっているかというと、

 

 

凪(と竜)の気分である。

 

 

「ムーーーーーーーー!!(訳:気分で俺こんな目に逢ってんのかーーーーーーーー!!)」

 

現在、彼が呻いている間に自己紹介は(凪と彼の分も含めて)終了し、これから竜の十七年の人生物語の朗読大会が行われようとしている所だ。

 

因みに凪への一刀の紹介は「そこで呻いている劉備軍の天の御使い(へんたい)は北郷一刀だ」と変態ネタを引っ張られたものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~竜説明中(一刀は未だに簀巻き)~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほ~。で、この状況に繋がるっちゅう訳なんやな?」

 

「YESだ。というか凪、そろそろ離れなさい」

 

「ヤです。私に隠し事してた兄様なんて嫌いです。許しません」

 

「それなら離れりゃ良いんじゃねえの?」

 

「兄様の秘密を話してくれるなら許してあげます」

 

「あ、そーなるのね」

 

現在の状況を説明しよう。不機嫌な顔をして背中に抱きつく凪を撫でながらの説明が終わった所だ。凪が不機嫌な理由は、竜が一刀達との関係(前世の出来事)を凪に秘密にしていたからだ。

竜からの説明を簡潔に纏めると、

 

誕生→2年後、凪誕生→修行の日々→15歳の時、凪(13歳)と共に旅に出る→賊潰しの毎日→黄巾党を潰す為に軍が集まっている事を聞く→行ってみようじゃん?→付いた!→曹操が空き天幕をくれた→あるぇ?一刀達が居るぞ?→感動の再会(?)←今ココ

 

後になればなる程細かく説明されている事に突っ込んではいけない。「という事でこれからずっと俺の(凪への説明)ターン!」とは竜の台詞。ドロー(する振り)付き。

 

 

 

で、説明された凪はというと。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

頭がパンクしている。それはそうだ。いきなり「日本」だの「車」だの「飛行機」だの、21世紀の常識が通用する筈が無い。

そしてそんな状況の凪はスルーされ、竜の特典の話になっている。

 

「それで、竜の特典はどんな物なんだい?」

 

「『「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」が直撃しても折れない刀を三本』が一つ目」

 

「「「ハァ?」」」

 

「え、三刀流じゃなくて?」

 

「俺達が最初からチートは嫌いだって知ってんだろ?」

 

「それもそうか」

 

「で、三刀流は会得出来たんか?」

 

「何とかな。ああ、残り二つなんだが、一つは第肆話で明かされた零の特典と同じ様なモンで、もう一つは秘密にしとく」

 

「メタ発言は禁止や。何で秘密に?」

 

「ぶっちゃけ作者が未だ決めてないから。」

 

「だからメタは禁止だと。」

 

和気藹々(?)と語り合う4人。彼らの夜は長い。

 

 

 

因みに一刀は、最後まで簀巻きのままだった。

 

「ムーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~注意!ここから先は作者も意味不明なカオスが書かれています。閲覧の際、気分を害される事が有ってもこちらは一切責任を取りませんのでご注意下さい~

 

 

「そーいえば竜、楽進ちゃんとはどんな関係なんや?」

 

「・・・恋人?」

 

「何仲間内で勝手に彼女作っとんじゃ!」

 

「2年前に凪からの誘惑でチェリー卒業(Vサイン)」

 

「キエエエエエエーーーーーー!!」

 

「一刀が壊れたぞ!」

 

「バカな・・・僕の渾身の作の縄が容易く引き千切られるなんて・・・!!」

 

「ザヨゴォォォォォ!」

 

「オンドゥル語は俺の専売特許だッ!!」

 

「■■■■■■ーーーーーー!!」

 

(バーサーカー)化したぞ!!」

 

「煩いです!!」

 

ゴン!×3

 

ドゴン!

 

「「「グハッ・・・」」」

 

「何で俺だけ強く・・・」

 

「何だこのカオス」

 




基準「イエーイ長くなったぜー」

零「他の人に比べたら短いけどね」

基準「ここで切った方がキリいいからさ」

竜「後半にメタ発言が有るな」

零「何なの最後のアレ」

基準「私にも分からんッッッ!!」

零「じゃあ書くなよ」

基準「フッ、どうでもイイのさそんな事!それでは次回の『戦士と悪魔の外史旅行』ー!!」

竜「何時にもましてテンション高いな。次回は正真正銘、黄巾の乱終結です」

零「それじゃ、また読んでね~」


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第拾肆話 黄巾の乱、終結。

気付けばUA一万越え、お気に入りは90件。そして評価は低評価。
・・・ありがたいけど最後は喜んでいいのか!?

四回場面の転回が有ります。ご注意下さい。


「総員突撃ーーーーー!!」

 

『『『『ウオオオオオッ!!』』』』

 

黄巾党との戦が始まり、早二刻。地の利、兵の質、量、どれも官軍が勝っていた。

抵抗する黄巾党は悉く斬られ、射られて絶命していく。楽蛟――――竜も、凪と共に曹操軍の先陣として戦場を掛けていた。

 

「鬼・・・斬りィ!」

 

「猛虎蹴撃!」

 

竜は一瞬で数十人を切り裂き、凪は一撃で数十人を屠る。一騎当千、無双な2人の攻撃に、黄巾党軍の一角が崩れていく。

 

「・・・何か・・・」

 

「兄様、どうしたんです?」

 

「・・・何か、おかしいんだよな・・・」

 

竜は、この戦場に違和感を感じていた。

 

「何か・・・とは?」

 

「分からん。ただ、何かしっくり来ねぇんだよな・・・」

 

言葉に出来ない、謎の違和感。分からない。でも、何かがおかしい。

 

「では、この戦を終わらせた後に、ゆっくり確認する事にしましょう。今気にしても、どうにもなりませんし、ねっ!」

 

と、後から襲い掛かって来た賊を殴り飛ばす。

 

「そうだなっと、オラァ!」

 

右手に持った「七赤金星(しちせききんせい)」を、袈裟懸けに振り下ろし、賊を叩き切る。

違和感は拭えないが、この戦が終われば、何か分かるだろう。そう結論付け、竜は目の前の賊を左手の「八白土星(はっぱくどせい)」と、口に銜えた「九紫火星(くしかせい)」で切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、黄巾党の首領と言われる、張三姉妹はというと。

 

「不味いわよ人和!もう官軍が取り囲んでるわよ!」

 

張三姉妹次女、地和こと張宝が天幕に怒鳴り込んで来た。

 

「どーしよ~、このままじゃ私達捕まって・・・」

 

「姉さん不吉な事言わないで!大丈夫よ!『あの人』が渡してくれた札が有るじゃない!」

 

長女の天和・・・張角が不吉な発言をし、それを三女の人和が諌め、解決策を提示する。

 

「あ、そっか!でも、私達に付いて来てくれた人は・・・」

 

「そっちも大丈夫よ。あの人が『白』だって断定した人達にも同じ物が配布されてるから。」

 

「確かにね。一度見せて貰ったけど、ちぃ達が持ってるのと同じ物だったわ」

 

「・・・よし!趙弘さん!銅鑼を鳴らして皆に伝えて!私達も行くって!」

 

天和は天幕の外に居る趙弘に呼び掛け、懐から一枚の札を取り出した。地和、人和も倣って札を取り出す。

 

「あいよ天和ちゃん!直ぐに呼び掛けらぁ!おい、銅鑼ぁ鳴らせ!札持ってる野郎共に伝えろ!」

 

「おいっす!天和ちゃん、地和ちゃん、人和ちゃん、無事で居てくれな!」

 

「ごめんね、ホントは私達が最後まで残らなきゃいけないんだけど・・・」

 

「気にしなくていいよ。俺達も直ぐに合流する。先に行って、『あの人』に伝えといてくれ!」

 

「・・・出来るだけ、死なないでよ!死んだって歌ってあげないから!」

 

「はっは!これじゃあオチオチ死ねなくなったな!」

 

「姉さん達、行こう!」

 

「うん!『飛雷神の御符』!」

 

そう叫んだ後には、張三姉妹の姿は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、戦が終わり、天幕。竜は凪を連れて、彼が感じていた違和感について話していた。

 

「人数が少ない?」

 

そう言ったのは曹操。竜が感じていた違和感を、彼女も感じていたのだ。後に控える夏候惇は気付いていなかった様だが。

 

「ああ。ここに居た黄巾党の数は八万。対して、捕虜になった奴、死んだ奴の合計人数は七万しか居ねぇ。残り一万、どこにも見当たらねぇんだ。おかしくねぇか?この包囲の中、一万もの人数が逃げ出したら嫌でも気付く。それなのに死体も何も残ってない。ここに来るまでに何十人もの捕虜に問い正してみたんだが、誰も分からないっつうんだ」

 

「確かに・・・幾ら散らばって逃げ出したとしても、後に控えている兵に気付かれない筈が無いわね・・・」

 

「絶対何か噛んでる。恐らく異能、呪術や妖術を使うような奴が一枚噛んでやがる。でなきゃこんな事は有り得ん。俺達も探ってみっから、曹操達も何か分かったら教えてくれ」

 

「分かったわ・・・って貴方達どこに行く気!?」

 

危うくすんなり納得しかけ、慌てて竜を問い正す。

 

「劉璋、というか厳顔の所だけど」

 

「・・・簡単に行かせるとでも?」

 

「ああ、引き止めても無理矢理行くから。『黄巾党との戦が終わったら行く』って約束しちまってんだ。今更反故に出来ねぇよ」

 

「・・・そう、それならしょうがないわね・・・いいわ、行きなさい。でも、貴方の事、諦めた訳じゃないから」

 

「オー怖い怖い。精々諦めて貰える様に頑張りますか。んじゃな~」

 

そう言って竜は凪を引き連れ天幕から退出、厳顔の所へと向かった。

 

余談だが、凪と夏候惇が一切喋らなかったのは、『一言でも喋ったら、金輪際可愛がってあげない』という竜と曹操の言葉が原因だったりする。

更に余談だが、夏候惇は竜を、凪は曹操を殺気を込めて睨み、途中からそれに気付いた凪と夏候惇同士で睨み合っていたりする。

更に更に余談だが、言い付けを守った御褒美として、その晩、凪は竜に、夏候惇は曹操に美味しく頂かれてしまったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてここは、洛陽近くの山の中――――

 

「はーい重傷者から見ていってマース軽傷者は悪いけどもうちょっとだけ我慢してねー」

 

居たのは、二万人規模の傭兵団と、黄巾の乱決戦地から消え失せた一万の黄巾党。そして、張三姉妹。

 

「でも、ホントに良いの?ちぃ達を匿ってるなんて知られたら、評判ガタ落ちだよ?」

 

地和が話しかけたのは、血で染めた様な燃える赤色の髪を持ち、漆黒の外套に身を包んだ一人の少女。背負った漆黒の大剣は、固定もしていないのに落ちる気配は無い。

 

「別に良いのよ評判なんて気にして無いし。アタシらはやりたい事をやって、やりたい様に民衆を守ってるだけ。そこに評価なんて要らないよ。ただ『守れた』という事実が有りゃそれで良い」

 

「そもそもウチの棟梁殿に常識を求める方が間違ってるよ。『道理と常識と仕来りと掟はぶっ壊す為に有る』というのが口癖だから」

 

少女の補足をしたのは、長い黒髪を持ち、背中に大きく長い日本刀の様な物を背負った少女。真っ白の仔猫を抱き抱えている。

 

「長いわね!?」

 

「基本は四つの内一つだけを取ってるから、然程長くないよ。今のは纏めた奴だから。『道理はぶっ壊す為に有る』みたいな?ねー風華(ふうか)ー」

 

「ニャー」

 

「あはは・・・」

 

苦笑する地和に代わり、人和が赤い髪の少女に話しかける。

 

「それで、ホントに私達を守ってくれるのよね?」

 

「疑い深いなあ人和ちゃんも。そもそもウチの半分から助命嘆願出てんのよ?守らない訳無いじゃない」

 

「まあ、それもそうね・・・」

 

少女が右手を差し出す。人和は、その手を握り返した。しっかりと握った手に、期待と希望を込めながら。

 

「これからよろしく頼むわ、『黒狼』」

 

「ようこそ。傭兵団『月影』へ」

 




基準「どーも、どーもお久しぶりです」

零「確かにお久しぶりです。今までどうしてたの?」

基準「1日からの一週間は春休みの宿題のラストスパートで、8日に始業式。担任に落胆しながら翌日の実力テストで(結果はまだ出てないけど)惨敗。で、初授業して、今日が健康診断で午前だけだった。」

竜「詳しい説明をどうもありがとう」

基準「初めて長期休みの課題で夜更かしせずに済んだ!」

竜「それはおめでとう」

零「今回は竜・凪と張三姉妹の話だったね」

基準「前回の宣言通り、今回で黄巾の乱は終了です!次回から、反董卓連合編に向けて走ります!」

零「まだ出てない子ってイッパイ居るよね」

基準「それも出せたらいいな・・・それに張ってる伏線も回収しなくちゃだし」

竜「伏線と呼べる代物かどうかは分からんが」

基準「フッ、そんな事どうでもいいんだよ、明智君」

竜「誰が明智だ。まあいい、そろそろ終わりにするぞ」

零「凪ちゃんとイチャイチャしたいから?」

竜「違わあ!凪に稽古つけてやるんだよ!」

零「本音は?」

竜「凪マジ天使、って違う!マジに稽古だ!」

基準「はいはいそーいう事にしときましょ。それでは次回の『戦士と悪魔の外史旅行』ー」

竜「何かもういいや。次回は・・・俺のヒロイン2の話?誰?」

零「一応の予定なんで期待しないで下さい。それではまた次回~♪」


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第拾伍話 最強VS最高

いつもの二倍の長さだ!内容が薄いのは、勘弁してください・・・


ここは巴郡の城の中。竜は――――

 

「さあ、構えろ!この魏延が、どちらが最強か教えてやる!!」

 

――――魏延に勝負(ケンカ)を吹っ掛けられていた。

 

「・・・どうしてこうなった、どうしてこうなったどうしてこうなった!?ふこーだーーーーーーーーーー!!」

 

「大事だから三回言ったんですね。分かります」

 

話は、二時間前に遡る――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜と凪は曹操の下から旅立った後、巴郡へと向かっていた。黄巾の乱の決戦前に交わしていた、「この戦が終わったら部下にしてくれ」という約束を果たす為だ。

 

「・・・さて、そろそろ蜀領だな。もうすぐ巴郡だな」

 

「・・・本当に巴郡に行くのですか?あちらには、自分を最強だと勘違いしている魏延とかいうのが居た筈ですが・・・」

 

「じゃあどこ行けっつんだよ。曹操は百合女王、劉備んトコには我らが種馬北郷一刀、孫堅一家は興奮すると性欲が強くなるって聞くし、袁紹は論外。公孫賛はパッとしないし、黄忠は貞操が怖い。董卓は・・・まあ、アレだし。必然的に巴郡しかねえんだよ」

 

「聞いた感じでは公孫賛殿の所でも良いのでは・・・?」

 

「いや、あっちには佑が居やがるし、それにだな・・・」

 

大きく深呼吸し、キリッとした顔で尤もらしく言い放つ。

 

「思い上がった天狗を叩き落すのって楽しいだろ?(キリッ)」

 

「結局それが一番の理由ですよね!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で」

 

「・・・」

 

「「何が有った(んですか)!?」」

 

と叫んだのには理由が有る。

 

「どおおおおおおおおおおりゃああああああああああ!!」

 

目の前に賊相手に一騎当千する魏延が居るからだ。兵は、居る事には居るが、全く動いていない。そんな中でも魏延は気にせず突き進んでいた。

 

「・・・なあ凪?」

 

「・・・何ですか」

 

「・・・人ってあんなにポンポン飛ぶモンなんだな」

 

「・・・ですね」

 

賊を弾き飛ばしながら。

「跳ぶ」のではない。「飛ぶ」のだ。魏延が持つ鈍砕骨で、賊を叩き潰して、十メートル(!)はかち上げ、或いは纏めて二十メートル(!!)位吹っ飛ばして。凪に聞けば、「私は出来ませんが、怪力・・・いえ、神力?な兄様なら出来るでしょう」と言うだろう。

 

「・・・何か変な事言われた気がする。俺でも流石に出来んぞ」

 

気のせいです。そして、出来るでしょ?

 

「・・・まあいいや」

 

「魏延将軍!危険です!お戻り下さい!!」

 

「何言ってる!ここで完膚なきまでに叩き潰さなければ、無辜の民が傷付くんだぞ!!」

 

「いえ、そういう意味では・・・!」

 

「大丈夫だ!何たってワタシは『最強』だからな!!」

 

「しかし・・・将軍後です!!」

 

「なっ!」

 

部下の言う事を一切聞かずに突き進む魏延の後から、賊が切りかかる。油断した所に完璧な不意打ち。万事休すか――――そう思われたが、そうは問屋が卸さない。

 

一剛力羅(いちゴリラ)二剛力羅(にゴリラ)!三刀流・・・二剛力斬(ニゴリザケ)!!」

 

賊の刀を叩き折り、二剛力斬で周囲の賊を切り飛ばした。

 

飛距離、約八十メートル。

 

出来てるじゃあないか!

 

「・・・飛んだな」

 

「飛びましたねえ」

 

「貴様、何者だ!?」

 

魏延を助けたのは良いが、助けられた人に敵意を向けられるという某正義の味方見習いの様な状況に陥っている竜。

 

「不幸だ・・・味方だよ。ミ・カ・タ。つか前顔合わせたろ?楽蛟だよ」

 

最近すっかり口癖になってしまった某ウニ頭の少年の台詞を使いながら、呆れた口調で言葉を吐く。魏延は竜の事を思い出したのか、納得の表情を浮かべた後に嫌疑の表情を浮かべた。

 

「・・・何で貴様がここに居る」

 

「今そんな事言ってる場合か?」

 

と、魏延の後から切りかかって来た賊を再度切り飛ばす。

 

「ほら、先に賊の殲滅だ。凪、行くぞ」

 

「はい!それでは、また後に」

 

「あ、おい!」

 

竜と凪はさっさと突き進んで行く。負けじと魏延も突き進む。竜への質問内容を考えながら。

 

(それにしても、アイツ口に剣銜えてどうやって喋っているんだ?)

 

どうでも良い事も考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで賊を倒し、陣の天幕で――――

 

「ワタシと、最強を掛けて勝負だ!!」

 

と、冒頭に戻る(質問は無かった事になったらしい)。

 

 

二人が居るのは陣の中の広めの空き地部分。睨み合う(魏延が一方的に)両者は、臨戦態勢を整えていた。

 

「いいか!この勝負に勝った方が最強なんだ!」

 

「へーへー」

 

「何だその腑抜けた返事は!!」

 

「・・・ハァ・・・」

 

 

 

「・・・厳顔さん」

 

「・・・何じゃ」

 

凪が話しかけたのは厳顔。巴郡の太守だ。

 

「この勝負、どちらが勝つと思います?」

 

「・・・武器の相性で考えれば、焔耶(魏延の真名)じゃな。お主は?」

 

「・・・兄様が勝つと思います」

 

「・・・理由は?」

 

下らない理由なら許さない、とその目が語っている。凪は目を逸らさずに言い放った。

 

 

 

「兄様ですから」

 

 

 

「はあああっ!!」

 

「・・・」

 

鈍砕骨を振り下ろす。破壊力の有る一撃を、竜は身体を捻って避わした。

鈍砕骨の連撃。悉く竜は避わしていく。

因みに竜が使っているのは「七赤金星」、「八白土星」、「九紫火星」の三本。模造刀では無いのは、魏延の意向だ。

 

「どうっ、したっ!そんなんじゃっ、ワタシにはっ、勝てんぞッ!!」

 

幾ら「約束された勝利の剣」が直撃しても折れないとは言え、梃子の原理という物が有る。下手に受ければ、折れるのは必至だろう。故に避ける。

 

「・・・なあ、お前、何で最強になりたいんだ?」

 

「何で・・・だと?」

 

魏延が動きを止めた。怪訝な顔をする魏延に構わず、竜は話し続ける。

 

「何で最強に固執するんだ?別に最強にならなくたって、武の道には関係ねえだろ」

 

「最強を求めて何が悪い!」

 

「悪いとは言ってねえ。気になったんだよ。大抵、最強を求める奴ってえのは、三流の悪党か――――」

 

 

 

「――――約束」

 

 

 

魏延が完全に動きを止めた。

 

「図星か・・・そう躍起になってる所を見ると、死んじまった家族の為ってトコか?」

 

ピクリと、体が反応する。次の瞬間には、竜の居た場所を鈍砕骨が抉っていた。

 

「なら尚の事、最強を求めるのは止めるんだな。そんなんじゃ、『最強』にh「貴様に何が分かる!!」」

 

「ワタシは姉上と約束したんだ!いつの日か大陸最強になって、故郷に錦を飾ると!!最強になって、故郷の皆が自慢出来る様な武人になると!!」

 

感情に任せて振り続ける。単調な攻撃は見切られ続ける。

 

「だがたった一人の家族である姉上も三年前に死んだ!だからワタシは、天国に居る姉上まで届く、『最強』という名声を手に入れなければならないんだ!!」

 

大振りされた鈍砕骨が竜を襲う。直撃すれば骨折、最悪死に至るだろう。

しかし竜は、避けなかった。真正面から、()()

 

「三刀流・・・刀狼流し」

 

直撃するかと思われた鈍砕骨は、刀の峰に沿って流れ、刀の先が魏延の服()()を切り裂く。

 

「ッッ・・・!!」

 

魏延は眼を見開いた。自身の渾身の一撃が、こうまで容易く受け流され、更には自分を一切傷付けず、服だけを切り裂いただと――――!!

 

「見せてやるよ、魏延。『最高』の剣技ってやつを」

 

「『最高』・・・」

 

「ああ。『最高』だ。『最強』じゃねえ」

 

竜は、九紫火星のみを残して二本を鞘に収める。九紫を両手で持ち、刃が上になる様地面と平行にして顔の右横に構えた。

 

「お前が最強になれない理由が有る」

 

「何だとっ・・・!!」

 

「お前は、最強になりたいが為に、他の奴らの助言まで無視してる。助言ってえのは、そいつがより強くなれる様に改善点を教えてくれる事だ。お前は助言を無視し、自分がより強くなれる道を勝手に閉ざしちまってるんだ」

 

魏延は驚いた。確かに私は人の言葉を流す事が多い。しかし、助言まで流していたとは・・・

 

「それに慢心。自分が最強だっつう妄執に囚われ、周りが見えないのも最強になれない理由だ」

 

「慢心なd「して無いと言い切れるか?」むう・・・」

 

言い切れない。言い切れる筈が無い。今回の戦とて、部下の陳言を、「私は最強だ」といって聞かなかった。だから後ろを取られたんだ。

 

「最後に――――」

 

 

 

「『最強』を求めるから、『最強』になれないんだよ」

 

 

 

「な、に・・・?」

 

「お前が最強を目指す限り、最強にはなれん。『最強』っつうのは一種の到達点だ。最強になれば、それ以上強くなる事は無い」

 

「『最強』って位置に胡坐かいて陣取って、努力をしなくなれば、そいつは最強の座から直ぐに転落(おち)る。そうなりゃ本末転倒だ」

 

その言葉を聴いて、魏延は考え込む。私は努力をしているか?「最強」だからといって怠けてはいないか?

 

答えは否。最近、努力をせず、怠ける事が多くなっている。

 

「『最強たるな、最高たれ』」

 

「ッ!!」

 

「親父の教えだよ。『最強』という到達点を目指すんじゃなく、『最高』という、誰も届いた事の無い場所。『最高』を目指せば、『最強』なんざ勝手に付いて来る」

 

最強たるな、最高たれ――――よく姉上に言われていた。過去の記憶が掘り起こされ、魏延の脳裏にその事がフラッシュバックされる。

 

「魏延」

 

「っ・・・!な、何だ」

 

「受けてみろ。この俺の、現時点での『最高の一撃』を」

 

竜の眼光が鋭くなり、濃い殺気が漂い始める。魏延も静かに構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一刀流奥義――――大威鳴(おおいなり)!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

振り下ろされた刀は地面に激突し、衝撃が発生する。その衝撃は地面を抉りながら魏延へと突進した。

魏延は抗うも、強すぎる衝撃に吹き飛ばされた。

 

何故だか、とても清々しかった。そんな思いを抱きながら、気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――う、こ、ここは・・・?」

 

目を覚ました魏延は起き上がろうとして、痛みに顔を顰めた。鈍い痛みで、身体に傷は無い。打撲の痛みに近いだろう。

 

「お、起きたか」

 

「楽蛟・・・」

 

最初に会ったのは竜。その姿を見て、竜との対決に負けた事を思い出した。

 

「――――ああ、そうか。ワタシは、負けたんだな・・・」

 

負けたというのに、清々しく、胸の支えが取れた様な気分だ。

 

「ああ。――――なあ、お前ってさ、誰の為に武を奮ってるんだ?」

 

「突然何を・・・誰の為にと言われても・・・」

 

寝起きの頭をフル回転させて考える。師匠?違う。姉上?そちらも違う。民?違う。なら、誰の為?

 

「・・・誰、何だろうな。ワタシの中には、約束と、最強だけで、後には何も無かった様だ・・・」

 

「何も無いって。悲しくないか?ならさ、こっから、作ってけば良い」

 

「どうやって作れと・・・」

 

そう悲しそうな顔をした魏延に、竜は手を伸ばす。

 

「じゃあさ、最初は、『俺の為に』って事にしといてくれよ」

 

「お前の為・・・?」

 

「ああ。俺ってさ、弱いんだよ」

 

「弱い?お前が?」

 

魏延は竜の言葉に目を丸くする。

 

「ああ。(コッチ)は立つんだけどさ、誰かが支えてくれないと、俺って直ぐに崩れちまうんだ。この『弱さ』は治る事が無い。だから、この弱さに負けない為に、先ずは、『友達』になって、支えてくれないか、魏延。ほら、昨日の敵は今日の友って言うじゃん?」

 

アハハー、と笑う竜に苦笑しながら、出された手を掴んで、魏延は言った。

 

「ああ。このワタシの武、楽蛟、貴方の為に奮おう。それと、『焔耶』だ。真名で呼べ」

 

「俺の真名は『竜』だ。よろしくな、焔耶(ニコリ)」

 

「ッッ・・・!!///あ、ああ、よろしく頼むぞ、竜///」

 

「ん?どうした?熱でも有るのか?」

 

「な、何でもない!!///」

 

この焔耶の様子を見た凪は、「あ、堕ちた」と思ったらしい。

 




基準「よっし十五話投稿!!」

竜「お疲れ。もう十二時半だぜ?」

基準「眠い!!」

竜「テンション高いな・・・当たり前だ。所で零は?」

基準「寝た!」

竜「寝たのか。まあ居ても居なくても変わらんから別に良いだろ」

基準「まあどうでも良いがね!天然フラグメーカーに比べれば!」

竜「何の事だ?」

基準「何でもございません。さて、今回竜のオリ技が出て来ました」

一刀流・大威鳴(おおいなり)
Fateのアサシンの『燕返し』に似た構えを取り、振り下ろして地面を抉りながら突き進む衝撃波を発生させる技。一対一向きの技だが、気を込める事で十人程度まで衝撃の範囲が広がる。
元ネタは「お稲荷」。

竜「ネーミングが・・・(笑)」

基準「煩い!今回ので使えそうな候補がコレしか無かったんだよ!」

竜「あ、色々考えてるんだ」

基準「これでも考えてらい!」

竜「あーはいはい。それでは『戦士と悪魔の外史旅行』ー」

基準「次回もよろしくお願いします!ではでは!!」



竜「所でさ、何で題名が『戦士と悪魔の外史旅行』なんだ?」

基準「大昔の設定の名残。今となっては『戦士』も『悪魔も』ただカッコいいからって理由になってるっぽい」

竜「オイ」


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第拾陸話 朱雀が愛すは麒麟なり

何とか駄文を書き上げた・・・!!


ここは、呉領、建業の川の辺の土手。彼、南浦祐司は一人大の字で仰向けに寝っ転がっていた。

その瞳には何も移っていない。ただただボーっとしている。時折、何かを懐かしむ様に電池の切れないスマホの画面を眺めている。

 

「最近のアイツ、ずっとああよね・・・」

 

「黄巾の乱の戦が終わってから、ずっとですね・・・」

 

離れた場所から祐司を見ているのは、ピンクの髪に中々露出度の高い服を着た女性と、紺色の髪を持つ褌がほぼ見え掛けている何とも挑発的な服装をした女性。

ピンクの髪の女性を孫権、紺色の髪の女性を甘寧という。孫権は鳳蓮――――孫堅の次女で、甘寧は孫権の直属の部下だ。

 

「一体何が有ったのかしら・・・」

 

「分かりません。ただ、あの目を見るに、何か思い悩んでいるようですね・・・」

 

「・・・相談してくれたら良いのに。私達は『家族』でしょう?」

 

「私に言われましても」

 

祐司はふと立ち上がり、ふらふらと町の方へ歩いて行った。

 

「・・・ホント、何が有ったのかしら」

 

孫権と甘寧も町へと戻って行った。その為、祐司が呟いた言葉は全く聞こえなかった。

 

「『安里』・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ、玉座の間。呉の代表的な将が集まり、何かを話し合っていた。

議題は、建業近くに巣食っている賊の討伐についてだ。

 

「・・・現在襲われたという報告が一件、建業に程近い村から入って来てます~」

 

少し間延びした言葉で報告したのは、呉の軍師見習い、陸遜。

 

そこに、孫堅に良く似た女性、孫策が口を出す。

 

「じゃあ討伐隊を編成するわね。総大将は勿論私!」

 

「言うと思った・・・」

 

孫策の言葉に、周喩が呆れた様に溜息を吐く。

 

「策殿が行くなら儂も行こう。引き止め役が必要じゃろう?」

 

立候補したのは黄蓋。呉で孫堅に並ぶ古参の宿将だ。

 

「私そんなに暴走しないわよ!!」

 

「どーだか・・・亞莎、軍師として付いて行ってくれ」

 

「は、はい!頑張ります!」

 

答えたのは呂蒙。軍師見習いだが、実力は確かだ。目を凝らす時に目付きが悪くなるのが欠点だが。

 

「・・・」

 

「シャオも行くー!!」

 

「はいはい。じゃあシャオも行きましょうか」

 

元気良く立候補したのは孫尚香。チャクラム「月下美人」を扱う一端の武将だ。

 

「・・・」

 

「・・・祐司、お前も行け」

 

「・・・ん?」

 

「討伐隊だ。お前も行って来い」

 

「・・・いや、俺h「そうね。呉王としてこの孫堅からも命じるわ。討伐隊に加わりなさい」・・・チッ」

 

「ちょ、ちょっと母様!?」

 

「何?」

 

「いや、(大丈夫なの!?)(祐司今すっごい落ち込んでるわよ。)(こんな状態で出したら、)(不味いんじゃないの!?)

 

(だからこそよ。)(溜め込んでる物を発散させたほうが良いわ)

 

(でも・・・)

 

(大丈夫よ。祐司を信じなさい)

 

(そこまで言うなら・・・)

 

「じゃあ、討伐隊の将は、雪蓮、祭殿、小蓮様、亜莎、祐司の五人で良いな」

 

そう締め括られて、会議は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日時計を二日程戻し、建業近くの村。

 

「おじさーん!お団子一つー!」

 

「あいよ!」

 

茶屋に居たのは、茶髪を背中まで伸ばし、剣を腰に下げた少女。

 

「で、徐庶ちゃんだっけ?これからどこ行くんだい?」

 

「建業に行って、仕官しようかなって思ってます。こう見えて、頭には自身が有るんで」

 

「へえ。じゃあ、道中気を付けなよ。最近この辺りで賊が暴れてんだ」

 

「ありがとうございます。でも、行かない訳には行きませんから。腕の方にも自身が有るんで、心配しないで下さい」

 

「まあそう言うn「東から賊が攻めて来たぞー!!」んなっ!?マジかよ!?」

 

「早く逃げないと!おじさんも!!」

 

「徐庶ちゃんは先逃げな!!俺は村の自警団として、守らねえと!!」

 

「・・・分かりました。なら、私m「へえ、中々の上玉じゃねえか」・・・えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「孫策様!伝令より、村がもう一度襲われていると!!」

 

「本当!?皆、急ぐわよ!!」

 

情報を受けた討伐隊は、急いで村へと向かう。しかし一足遅く、村は火に包まれていた。

 

「くっ・・・黄蓋隊は生き残りを探せ!!尚香隊、呂蒙隊は黄蓋隊の補佐及び村に居る賊の殲滅を!!孫策隊、南浦隊は賊を追う!!」

 

『『『はっ!!』』』

 

「行くわよ祐司」

 

「ああ・・・」

 

(・・・ホントに大丈夫かしら。)

 

孫策、祐司達はすぐさま賊の隠れ家へと向かおうとする。だがそれを引き止める者が居た。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」

 

「ん?あなたは?」

 

「俺はこの村の自警団に所属してる――――じゃなくて!俺の事なんてどうでも良い!!賊共に、旅の女の子が連れてかれちまってるんだ!!村の女子供に幸い死者や捕虜はいねぇ。俺の力が足りねえばかりに、助けられなかった・・・」

 

「・・・分かったわ。必ず助け出すから。おじさんはゆっくりその怪我を治して。それと、その()の特徴は?」

 

「ええと、身長が大体五尺(約百五十センチ)、背中まで有る茶髪にスラリとした身体だった」

 

「・・・!?」

 

「分かったわ。祐司行くわ――――祐司?」

 

「っ!あ、ああ、何でもねえ。大丈夫だ・・・」

 

「なら良いけど・・・」

 

改めて、二人が率いる隊は駆け出した。駆けながら、祐司は情報を反芻していた。

 

(身長百五十センチ、背中まで有る茶髪にスラリとした身体・・・まさか・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

賊の隠れ家に着いたのは夕暮れ。見張りが居る所を見ると、どうやら未だ居るらしい。

 

「それじゃ作戦を説明するわよ。賊達が使ってる隠れ家は、表門と裏門が有る砦の廃墟。南浦隊はここで陽動、孫策隊の半分は南浦隊と陽動で、半分は裏から突っ込むわよ」

 

「・・・雪蓮、突入に、俺も連れて行ってくれないか」

 

「ダメよ。あなたが今するべき事は陽動。それに、はっきり言うけどあなた今、全く使い物にならないわ。そんな不安定な状態で突入を任せられると思う?」

 

「・・・思わん。だが、今ここで行かなかったら、後悔する様な気がするんだ。頼む」

 

祐司は勢い良く頭を下げる。ここで断られても、勝手に突っ込みそうで、無理して止めたら自殺しそうな勢いだった。

 

「・・・はあ。分かったわよ。但し、絶対私から離れない事。良いわね」

 

「分かっている。無理を通しているんだ。雪蓮の言う事に従うのは道理だからな」

 

孫策は頷くと、全員に作戦開始を宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外から叫び声が聞こえる。一刻の猶予も無い。自分達が今するべき事は、捕らえられた女の子の救出と、内側からの撹乱だ。孫策隊の兵達の心はそれに統一されていたが、祐司だけは、不安を募らせていた。

 

(・・・嫌な予感がする)

 

祐司はある扉の前で立ち止まった。注意しないと、見逃してしまいそうな扉。

 

(この部屋・・・ここを無視したら、俺は自分を許せなくなる様な気がする・・・)

 

「祐司!何してるの!!」

 

孫策が小声で叫んで、走り寄ってくる。その声をBGMに、祐司は扉を開け放った。

有ったのは鉄格子。その中に、攫われたと思われる女の子が鎖に繋がれていた。

 

「ここが・・・!?兎に角、早く助けないと!祐司、手伝って!!・・・祐司?」

 

祐司は反応しない。彼の目は、ただ一点のみ、その女の子を見詰めていた。茶色い髪に、スラリとした身体。

 

彼は、彼女を知っている。

 

彼の脳裏を過ぎるのは、あの日の記憶。中学二年の春。春休みを過ぎれば、中三へと進級する、その前の三学期の終業式の日の屋上。

 

――――ずっと好きだった、幼馴染に告白した、あの日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私、「桜庭(さくらば)安里(あんり)」は、幼馴染、南浦祐司の事が大好きです。私からも、宜しくお願いします』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長年抱き続けてきた想いが、漸く叶った記憶。翌日、交通事故で帰らぬ人となってしまった、あの娘の記憶――――

 

「――――安里!!」

 

鉄格子を掴み、必死に声を掛ける。ただ、自分を覚えてくれている事を信じて、ただ声を上げ続ける。賊に気付かれる、何て事は頭に無い。ただ、この想いは、彼女の為に――――

 

「う、あ・・・」

 

「ちょ、ちょっと祐司!ばれるから、声を――――」

 

「安里!?安里!!俺だ!!祐司だ!!分かるか!?」

 

孫策の声など聞こえない。ただ、彼女の言葉に耳を傾ける。

 

「う、うあ・・・」

 

そして、目が合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ゆう、く、ん・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覚えていてくれた。彼は安堵し、慌てて気を引き締める。

 

「大丈夫か!?待ってろ、今、この檻から出してやるから!!」

 

檻の扉に掛かった南京錠に手甲を付けた拳を何度も振り下ろす。何度も、何度も。爪が食い込んだ手から血が出ようと、食いしばった歯茎から血が出ようと、振り下ろす。

孫策は魅入られた様に動かない。祐司のこのような姿は、初めてだ。必死の形相で、ただただ、殴り続ける。

 

そして、南京錠が外れた。

 

「安里!!」

 

「祐司下がって!」

 

共に飛び込んだ孫策が、安里に繋がっている鎖を切る。祐司は安里を抱き抱えた。

 

「安里・・・良かった・・・会えて良かった・・・!!」

 

「ゆうくん・・・ないてるの・・・?」

 

「当たり前だ・・・!勝手に死んじまって、どれだけ悲しかったか・・・!!」

 

「ゆうくん・・・ごめん、ね・・・?」

 

「良い、良いさそんな事!安里が生きててくれたなら、そんな些細な事なんて・・・!!」

 

力強く、そして限りなく優しく、抱き締める。安里も、弱った体で祐司を抱き締める。

 

 

長い時、長い道程を経て、二人の恋人が、再会した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、賊は(バーサーカー)化(誤字に有らず)した祐司に叩きのめされ、全員お縄となった。

弱った安里は馬車に乗せられ、建業の華陀の所に運ばれた。勿論、祐司は付添いだ。

 

「我が身、我が鍼と一つになり!一鍼同体!全力全快!病魔覆滅!げ・ん・き・に・なれええええええええええ!!」

 

暑苦しい。

 

「・・・ふう。体力を回復させる為に鍼を媒介にして気を送った。今はぐっすり寝ている。後は、栄養の有る食事で療養すれば完全回復だ」

 

「ああ、ありがとな華陀。助かった」

 

「どういたしまして。所で祐司、あの娘、お前のコレか?」

 

「ニヤニヤしながら小指を立てるなそして答えは肯定(はい)だ」

 

「そーかそーか。ならコレをあげよう」

 

「だからニヤニヤするなと・・・んだコレ」

 

「どうせヤるんだろ?精力剤と避妊薬だ」

 

「・・・礼は言わんぞ///」

 

「顔が赤いぞ?んん?」

 

「煩い!!///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで祐司、彼女の事を教えてくれる?」

 

二日後。完全回復した安里と登城すると、甘寧に安里諸共連行され、鳳蓮の前で正座させられる祐司が居た。

 

「あの~、その前に一つだけ聞いても宜しいでしょうか鳳r(ギロッ)孫堅様?」

 

「何?」

 

「・・・何をそんなに怒ってi「全く怒ってないわよそうですとも祐司がすっぽかした分の仕事を押し付けられたからってちっとも怒っていませんの事ですよ?」真にっっっ申し訳有りませんでしたあああああああああああ!!」

 

正座から土下座までの形態移行時間、0.03秒。安里は横で「アワワワワ・・・」と真っ青になって震えている。

 

「私が良いって言うまで土下座を止めちゃダメよ。それで、その娘は?」

 

「故郷での恋人で御座いますですハイ」

 

誤魔化せばコロス――――そんな声が聞こえる様な気迫の前で誤魔化す事が出来る筈も無く。あっさりと喋らされてしまう祐司。安里は責めない。だって、目の前に修羅が居るから。

 

『『『恋人?』』』

 

「ハイ」

 

「・・・そこの貴女、それは本当の話なの?」

 

「ハッハイ!ゆうくんとは恋人同士です・・・///」

 

やはり恥ずかしいのか、声が尻すぼみになって顔が赤くなっていく。

 

「へえ・・・」

 

「して、貴女の名は?」

 

「そういえば俺も未だ聞いて無いな」

 

未だ土下座状態の祐司。

 

「三日間何してたの!?」

 

「看病したり看病したり以下省略」

 

「あはは・・・コホン。改めまして、私の名前は徐庶、字を元直と申します」

 

『『『徐元直!?』』』

 

全員が驚いて声を上げる。祐司も土下座を解いてしまった。

 

「徐元直とは、まさか君があの、『幼麟』なのか!?」

 

「私、そんな二つ名が付いてたんですか・・・」

 

※幼麟:伏竜・諸葛亮、鳳雛・鳳統に並ぶ名軍師の一人。

 

「・・・なあ徐庶殿、呉に使えr「お受けします」即答か!?」

 

「元々仕える為に来たんですから」

 

「なら、これから宜しく頼む。所属は祐司の副将、部屋は祐司と同じで良いな?」

 

「分かってますね周喩さん。私の事は安里で良いですよ」

 

「では私も冥琳で構わん」

 

「「フフフフフフ・・・」」

 

黒い。軍師二人が黒い。

 

「なあ、当事者スルー!?」

 

未だにやり直させられた土下座を続けている祐司だった。

 

 

 

その後、安里は正式に軍師に就任、孫呉を支えていく事になる。

 

そしてその晩、祐司の部屋では、幸せそうに抱き合って眠る二人の姿が有ったそうな。

 




祐司「予言の『愛する者』って安里の事か」

基準「うむ。頑張って書いたけど駄文になっちった。てへっ☆」

祐司「・・・男でそれはねぇよ」

基準「自分で書いてて無いと思った。うっ、気持ち悪・・・」

祐司「自分でやったんだろ!!」

安里「あの~、失礼しま~す・・・」

祐司「あああ安里!?何でこんな所に・・・」

基準「俺が呼んだ」

祐司「お前か!」

基準「何か悪いかバカップル。あ、安里さん、後書終わったらこの部屋好きに使って良いから」

安里「あ、ありがとう・・・」

基準「さて、祐司と出会えて、今のお気持ちは?」

安里「今、すっごく幸せです・・・///」

祐司「・・・///」

基準「で、祐司とのこれからの新婚生活プランは?」

祐司「マテ。質問がおかしい」

安里「その、イチャイチャして、一緒に寝て、念願の『あ~ん』と、『ご飯にします?お風呂にします?それとも・・・』をして、三番目の選択肢を選んで貰って・・・キャーーーー!!♡♡♡」

祐司「具体的だなオイ!!」

基準「モゲロ!!」

祐司「お前が作ったキャラだろうが!!」

基準「(∩ ゚д゚)アーアーキコエナーイ。では、『戦士と悪魔の外史旅行』ー」

安里「夫共々、宜しくお願い致します」

祐司「マテ!!未だ結婚して無いぞ!?」

基準「ではまた次回~。さて安里さん、祐司、私は出て行くから、後はごゆっくり~」

祐司「マテコラ!逃がさねえ・・・って安里?」

安里「さ、ゆうくん、あっちにイこ?」

祐司「マテ、その言い方はあああああ!?」


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第拾漆話 始まりは

漸くっっっ・・・しかし駄文っっっ・・・


その日、大陸に激震が走った。

漢王朝の皇帝、霊帝が崩御したのだ。

王朝は表向きは喪に服してはいるが、水面下では次期皇帝に劉協、劉弁のどちらを即位させるかで内紛状態に有る。

そして、劉協を帝位に就けようと画策した十常侍の一派の手により漢王朝に楯突いた反逆者として何進が殺害されそうになるも、「月影」により殺害は阻止、董卓の手により協、弁姉妹は保護された。

本来なら、この情報が諸国に流れ、董卓、月影は漢王朝を救った英雄として称えられるだろう。しかし、「名家」である事を自慢し、やたらとプライドが高い袁紹がこれを聞いて嫉妬しない訳が無い。だが今ここで董卓を攻めれば自分が逆賊扱いを受けるのは必至。袁紹は涙を飲んだ。

だがこの情報は十常侍の生き残りの手により袁紹以外に流れず、「董卓は次期皇帝に劉弁を就け、裏から操り漢王朝を牛耳ろうとする逆賊である。その証拠に、洛陽では天子を保護した董卓がその権力を悪用し、圧政を行っている」という偽情報のみが流れた。「月影」の情報は一切流れていない。

袁紹はこれ幸いと各地の諸侯に檄文を発した。「董卓は漢王朝を牛耳ろうとする逆賊である。天子を傀儡に圧政を強いる董卓を討つべく、意志の有る将は立ち上がり、『反董卓連合』へ加入せよ」と。

勿論これは袁紹の董卓を陥れる為の策略だ。袁紹の人となりは諸侯に知れ渡っている。誰もがこの文を読んだ時、斥候を出そうとした。しかし文の後半に、「この檄文に立ち上がらぬ者は、漢王朝に楯突く逆賊、董卓と同じ悪漢である」と書かれていた。言う事を聞かなければ漢王朝に楯突く逆賊として討伐する――――遠回しの脅迫である。

檄文を鵜呑みにした者、この脅迫に屈した者、そして野心を持つ者達が続々と集結し始めた。

 

 

因みにこの内容、袁紹が発した本にすれば百頁は優に超えそうな檄文の、最後の十行に書かれていた物だ。この文を読み終えた者達が最初に思った共通の感想は、「檄文からお家自慢抜かんかい!!」である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーっほっほっほっほ!!お久しぶりですわね華琳さん?重役出勤ご苦労様です?」

 

「皮肉を言ってる暇が有るならさっさと進めなさいよ・・・」

 

天幕内の袁紹以外が「うんうん」と一斉に頷く。しかし、「名家」の袁紹が「そんな事に気付く必要等無い」のだ。

 

ここは、洛陽に繋がる街道の途中に有る大平原。「袁」「劉」「曹」「孫」「公」「馬」「袁」等、並び立つ牙門旗がここに居る人物がいかに重要か物語っていた。

・・・若干一名、重要でありながら重要で無い人物が居るが。

 

視点を天幕内に戻そう。

 

「さて、凡そ皆さん集まられたようですので、自己紹介と参りましょうか・・・私は袁紹。この連合の発起人ですわ」

 

「副官の顔良です」

 

「同じく文醜だ」

 

金髪縦ロールの阿呆。彼女を表すのにこれほどピッタリな言葉は有るまい。「名家(笑)」の袁紹だ(「名家」の後に(笑)を付けるのは諸侯の中だけの標準だ)。

顔良。苦労人、まる。どれ程か。あの孫堅、孫策が同情する程。

文醜。袁紹の副官というより、腰巾着だろう。

 

「平原の相、劉備です」

 

「北郷一刀です」

 

二人の瞳は爛々と輝いている。袁紹の檄文(の最後の十行)を鵜呑みにした典型的な例だ。現在の彼らの最大戦力を全て連れて来ている。

 

「袁家の正統嫡子、袁公路じゃ」

 

彼女が自身を正統嫡子と言ったのには、袁紹が彼女の父親の妾だからという理由が有る。

 

「傍付きの張勲です~」

 

腹黒性悪女!以上!!

 

「幽州太守の公孫賛だ」

 

「副官の及川言います。どうぞよろしゅう頼んます」

 

もう普通と言わせない!!公孫賛も参戦。勿論佑も参加だ。

 

「袁術軍客将、孫策よ。母の代理でここに居るわ」

 

「軍師の周喩だ」

 

「・・・南浦祐司だ」

 

「南浦の副官(つま)の徐庶です」

 

ルビは決して間違ってなどいない。徐庶――――安里が祐司の副官(つま)である事は、孫呉内の既成事実だ。

 

「西涼の馬超だ。母の代理で来ている」

 

董卓の地元、西涼より馬超。母より受け取った董卓を助け出すという目的を隠して、将兵全てを騎兵にして参戦だ。

 

「劉璋だ、よろしく頼む」

 

「副官をお務めておる、厳顔という」

 

「厳顔配下、楽蛟だ」

 

「厳顔の友人として参上しました、黄忠と申します」

 

劉璋は血縁関係にある劉姉妹を助け出すと言う名目で参戦。副官の厳顔、黄忠も参戦だ。

 

「陳留の曹操よ」

 

「副官の、大河道昭と言います」

 

「黄金の御使い、天統帝だ。覚えておくが良い、雑種共」

 

流石KY、天幕内の空気は天統の一言で一気に悪くなる(「名家」の袁紹が(ry)。

 

「さて、この度の連合ですが、洛陽で圧政を敷き、民を苦しめる逆賊董卓を討つ為に召集した物です」

 

袁紹は口火を切るも、それに賛同(のふり)したのが劉備、曹操、孫策の三人のみだった。勿論真剣なのは劉備だけで、曹操と孫策はフリだ。

 

「そこで、先ずはこの連合を取り纏める総大将を決めたいと思いますわ」

 

その一言で始まった。世界一グダグダな軍議と言えない様な軍議が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議は踊る、されど進まず――――この軍議の為に有る様な言葉だろう。

 

袁紹は、「私の様な者こそ総大将に相応しい」のような言葉を繰り返すが、決して自分がなりたいとは言わない。文醜は袁紹の腰巾着と言う役割を十二分に果たし、顔良は苦労人という役を200%発揮していた。

 

劉備は軍議の様子に目を回し、一刀は頭を抱える。

 

袁術は「自分こそ総大将に相応しい」という言葉を繰り返していたが、疲れたのか張勲の膝枕で寝息を立てる始末。

 

白蓮は「発起人の麗羽がすれば良い」と言っているが、影の薄いキャラのせいで全く取り合って貰えず、佑は「あのシーンって、こんな感じやったんや」としきりに感心(呆れも勿論含む)している。

 

孫策は何も語らず。周喩はしきりに斥候を放って情報を集めている。

祐司は安里の膝枕で寝ていて、安里は幸せそうな表情を浮かべている。

 

馬超も周喩に習い、斥候を放っている。

 

劉璋?既に自分の思い通りになる世界で遊び回っている。言ってしまえば寝ているという事だ。

 

曹操は孫策と同じく、語らず。大河は必死に眠気を堪えている。天統は・・・言わずもがな。

 

軍議はいつしか平行線を辿り、曹操さえも眠気を催した頃、とうとう孫策が一手を打った。

 

「・・・下らないわね」

 

「・・・貴女、今何と?」

 

「下らないと言ったのよ。公謹、後は任せたわ。自陣に戻ってるから、終わったら結果を教えて。じゃ」

 

「おい、伯符!」

 

言ってさっさと退出する孫策。勿論芝居だ。周喩とは阿吽の呼吸である。

 

「・・・全く、客将の分際で生意気な・・・」

 

「主の非礼は代わって詫びさせて頂くが、主があのような態度になるのも無理ないと思われるが?」

 

周喩はこの軍議を終わらせる為に一気に畳み掛ける。袁紹、袁術、劉璋、祐司、天統以外の全員も同じ心境らしい。

 

「では誰が、総大将になれば良いと仰るんですの?」

 

「もう袁紹さんで良いんじゃないですか?」

 

半ば投げやりに劉備が発言する。つかれた。ねむい。かえりたい。そんな雰囲気がダダ漏れだ。

 

「そうね。連合の発起人である麗羽がするべきでしょう?」

 

「私さっきからそう言ってたのに・・・」

 

白蓮の嘆き等誰も聞こえない。軍議は一気に終息へ向かう。

 

「じゃ、満場一致で麗羽を総大将に推薦するわ。まさか断るとは言わないわよね、『名家』の袁紹殿?」

 

「・・・分かりましたわ。不肖ながらこの袁本初、反董卓連合の総大将を務めさせて頂きますわ」

 

本当に不肖だ――――一刀は慌てて言葉を飲み込んだ。

 

「おい、我を無視するとはどういう了見だ雑種共!」

 

聞こえない。

 

「では、総大将として、作戦を発表させて頂きますわ」

 

「へえ、貴女に作戦を考える頭脳が有ったのね。驚きだわ。明日は世界の終わりかしら?」

 

「華琳さん、何か?」

 

「いえ?何も?」

 

うっかり揚げ足を毒舌で取ってしまった曹操。突っ込み役の白蓮は未だに地面にのの字を書いている。

 

「それで、どんな作戦なのかしら?」

 

いつの間にか起きていた全員が、聞き逃さない様に耳を澄ます。間違っても聞き直しては恥だ――――

 

「『雄々しく、勇ましく、華麗に前進』ですわ!!」

 

『『『・・・』』』

 

いちどー、ぜっく、まる

 

「あの、袁紹さん、出来ればもう一度・・・」

 

「あら劉備さん、聞き逃してしまいましたの?良いですわ。私は寛大ですから。『雄々しく、勇ましく、華麗に前進』が作戦ですわ」

 

・・・聞き間違いでは無いらしい。劉備、聞き直した事は恥ではない。だから気にするな――――そんな視線が幾つも集中する。

 

作戦内容が「戦力集中による短期決戦」や、「兵糧攻めによる降伏を狙う」等ならまだしも、「雄々しく、勇ましく、華麗に前進」が作戦とは――――

 

 

正直、呆れない方が可笑しい。

 

 

だがこの作戦、裏を返せば、「雄々しく勇ましく華麗ならば、どんな手を使っても良い」と言う意味にも取れる。これほど馬鹿馬鹿しく、これほど便利な作戦は他に無いだろう――――いや、有るまい。

 

だが、諸侯はこう思った。

 

 

それはさくせんといわない。

 

 

「さて、劉備さんでしたか?」

 

「は、はい?」

 

微妙な空気の中、袁紹は気にせず劉備を呼ぶ。

 

「貴女の発案で総大将になれましたわ。感謝致します。お礼と言っては何ですが、先陣を切れる権利を差し上げますわ。」

 

「え・・・ええっ!?」

 

一刀の頭の中に言葉が浮かんだ。

 

それは、おれいといわない。

 

「武士の本懐を遂げられるのですから、嬉しくなくて?」

 

全然、嬉しくない。

それもその筈、劉備は、諸侯が五桁の軍勢を率いる中、八百というダントツの少人数なのだ。

こんな状態で突撃などかませば、三桁が一桁になる事間違い無しだろう。

劉備は断ろうと――――

 

「あ、これは総大将命令ですので」

 

――――出来なかった。憐れなり、劉備。

済し崩しに、先鋒が決まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――だって?」

 

「作戦という言葉に謝れ!!って言いたいですね」

 

シ水関、広間。居たのは、女が六人。

紫色の髪にサラシの女。

銀髪に若干露出の多い服を着た女。

水色の髪をサイドテールにした女。

金髪をツインテールにした女。

長い黒髪を持ち、猫を抱いた女。

そして、血で染められた様な髪に、漆黒の服を着た女。

 

「・・・作戦、ねえ・・・」

 

「幾ら元黄巾賊の私でも、流石にこのような『画期的』な作戦は思い付きませんでしたね・・・」

 

「幾ら元猪の私でも、下策中の下策としか思えんな」

 

「先鋒が劉備、やったっけ?じゃあ、関羽とはウチにやらしてえな!一遍()ってみたかってん!」

 

夫々が思い思いの言葉を吐く。

 

(しあ)?あくまで策は篭城だからね?打って出ないからね?」

 

「ガーン!!」

 

「翼さんも、侮辱されて打って出ない様にして下さいよ?」

 

「いつまで私を猪にするつもりだ・・・」

 

「こっちの情報は、主将が霞と翼って流してるのよね?」

 

「はい。他は私と来夏のみと流しています」

 

「じゃ、私達の情報は流れて無いんだね?なら、油断を誘えるかもね。アッチは『原作知識』から霞と翼以外の将は知らないし」

 

「その翼も矯正されてるから、向こうは混乱間違い無しやな!」

 

「そー言う事。って事で皆!」

 

彼女の一言で全員が彼女の方を向く。

 

「この戦、勝つよ!!」

 

『『『おう(はい)!!』』』

 

ここに、反董卓連合戦が正式に開始した。

 

ここまで、原作がかなり壊されている。

 

孫堅の存命。

 

周泰の呉不加入。

 

楽進の蜀参入。

 

張三姉妹の魏不加入。

 

天の御使いの増加。

 

反董卓連合、一体どうなるのか――――

 

 

 

――――誰にも、分からない。

 




基準「漸くここまで来たね・・・」

零「さて、どう展開していく?」

基準「五話位で終わらせる予定だよ。一応」

竜「ちゃんと俺の出番出せよ?」

基準「分かってる。時間が無いので、今回はここまで!!」

零&竜「次回も宜しく!!」


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第拾捌話 シ水関、決闘、鬼登場

お久しぶりでーす!!本文は相変わらず駄文で、内容にバッしんぐしないで下さい!!


時は進み、シ水関攻略戦が開始した。

シ水関の屋上に立つのは、銀髪に金剛爆斧を携えた女性、華雄。

地上より向かい合うのは、長い黒髪に青龍偃月刀を持った女性、関羽。

流れは原作通り、関羽と華雄の舌戦へと移る。

 

原作通りになるというなら、華雄は関羽の挑発に乗り関より打って出て、戦死してしまう。

 

だが。この世界は既に様々な要素が崩壊している。その壊れた要素の中に、「猪武者・華雄」が有ってもおかしくは無いだろう。

 

「我が名は劉備の家臣が1人、関雲長!!シ水関を守る武将、華雄よ!我が青龍偃月刀を恐れぬなら、正々堂々と出てくるが良い!!」

 

「・・・」

 

「どうした華雄!貴様の武はこの大陸に轟く程の物だと聞いていたが・・・何だその有様は!!」

 

「貴様は亀の様に甲羅という関に篭っているばかりではないか!貴様の武は所詮はその程度だと言う事か!!」

 

「・・・クッ」

 

「何が可笑しい!!」

 

「・・・関羽と言ったな。貴様、頭の方は大丈夫か?」

 

「・・・何だと・・・!?」

 

「私は篭城兵だ。その様な安い挑発に打って出るなど有り得ん。我が武は董卓様の為に有る。董卓様を守る為だと言うなら、矜持など喜んで捨て去ろう。武の矜持を持つなとは言わんが、囚われる事は有ってはならんからな・・・しかし随分な焦りだな、功だけでは不服か?一体何に焦っている?・・・ああなるほど、これが『ガキ』と『オトナ』の違いから来る余裕の差か。ああ、武の矜持に囚われた『ガキ』にはこの様な『難し過ぎる』話は意味が分からんか。済まんな関羽。ハッハッハ!!」

 

「きっ・・・貴様ァーーーーーーーー!!華雄出て来い!!我が偃月刀の錆にしてくれる!!」

 

「だから打って出るなど有り得んと言ったろう?そんなに私と戦いなら、貴様がこちら側に来れば良いのではないか?ああ、門が閉まっていたな。これでは入れんな。悪かったな無理強いをして。そうだ門を開けてやるとしよう。そうすれば入って来れるだろう?まあ貴様の様な『ガキ』にそんな度胸が有れば、の話だがな?ああ、他の武将は手出し無用だ。武士としての矜持が有るならな」

 

舌戦は華雄に軍配が上がる。清々しいまでに、完膚無きまでに自身の武を貶められた関羽は、今にも暴発しそうな鉄砲の様だ。

さらに華雄は宣言通り、シ水関の門を開け放った。挑発され、完全に頭に血が上っている関羽に正常な判断能力など有る筈が無い。関羽はいとも簡単に誘いに乗った。

 

「マテマテマテ愛紗!誘いに乗るな!!死ぬぞ!!」

 

「愛紗ちゃん落ち着いて!!」

 

「止めないで下さい!!我が武を貶められて、黙っているなど出来ません!!」

 

「だからって・・・あーーーー!!落ち着けーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三十分後(オチツケ!カユーー!アーモーー!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼエハアゼエハアゼエハア!!・・・で、愛紗、落ち着いたか?」

 

「・・・」(←放心状態)

 

「・・・ご迷惑をお掛けしました・・・」

 

三十分後、前線には何とか落ち着いた愛紗と、愛紗を止める為に体力の八割を使った一刀、放心状態の劉備が居た。

 

「・・・あ、主、大丈夫です、か・・・?」

 

趙雲が一刀に声を掛けるが、「大丈夫な訳無いだろう。何で手伝わなかった」と視線が帰ってくる。

 

「何だ関羽、もう疲れたのか?ガキはさっさと寝ていろ。ほら行った行った」

 

「貴さm「フッ!!」ソゲブッ!!」

 

華雄の挑発にもう一度切れた関羽は、シ水関に突っ込む前に趙雲によって女子に有るまじき声を上げながら気絶させられた。

 

「ふう・・・最初からこうしておけば良かったのですよ、主」

 

「だったら最初からやれーーーー!!」

 

ワイワイと騒ぐ劉備軍を尻目に、「何やってんだ・・・」という言葉と共に前に出たのは竜。

 

「シ水関の将の華雄だったな。俺は楽蛟という。一騎打ちだが、関羽の代わりに俺が受けよう。シ水関前で良いか?」

 

「ほう、貴様が楽蛟か。良いだろう。今から降りる。待っていろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、シ水関前。

 

「この一騎打ち、勝った方が負けた方の軍に何でも命令できるってのでどうだ?勿論、死ねとか、そういうのは無しで」

 

「良いだろう。私が勝てば、劉備・劉璋は退いて貰う。私が負ければ、華雄軍はシ水関より撤退しよう」

 

華雄は金剛爆斧を構え、竜は右手に七赤金星、左手に八白土星を持ち、口に九紫火星を銜える。竜が構えた瞬間、雰囲気が変わった。

 

(何だ・・・?突然気迫が・・・というより、雰囲気その物が変わったな・・・)

 

「驚いてるか?何でか刀ァ構えると、性格が変わっちまうらしい。生憎直す事は出来んが、支障は無い。気にするな」

 

「なら良い。行くぞ!はああああーーーーっ!!」

 

金剛爆斧を横に構え、一気に振り抜く。竜はそれを七赤と八白を逆手で持って流す。

華雄に出来た隙に後から刀を叩き込む。

 

「牛・・・針!!」

 

「小癪なっ!」

 

華雄は難なく弾き返し、すぐさま斧を叩き付ける・・・と見せかけ、足を薙ぐ。竜は跳んで避わす。

 

(がざみ)()り!!」

 

逆さまになりながら華雄の首目掛けて斬り付けるが、それも弾かれる。

 

たった三合だが、一進一退のハイレベルな攻防。シ水関も連合軍も、水を打ったように静まり返っている。

 

「・・・やるな、テメェ」

 

「・・・貴様こそ」

 

不敵に、そして楽しそうに笑いながら、向かい合う二人。

 

「もうちっと()っていたかったが、生憎と時間がねえ・・・」

 

「次で決めるか、良いだろう!!」

 

この勝負は、終わりの時を迎えた。次が、たったの四合目。だが、この短い時間は、将兵たちを震わせるには充分過ぎる程だった。

 

「三刀流・・・牛鬼勇爪(ぎゅうきゆうづめ)!!」

 

「はああああーーーーッ!!」

 

両者、激突――――しなかった。

 

『『『うおおおおおおおおっ!!』』』

 

「んなっ!?」

 

「何だ!?」

 

突如、袁紹軍より響き渡る叫び。同時に、袁紹軍が攻撃を開始した。

 

「おーっほっほっほ!!門を開け放っている今こそ、シ水関を落とす好機ですわー!!一気に攻め落としてしまいなさい!おーっほっほっほ!!」

 

「袁紹ッ・・・!!」

 

「袁紹・・・テメエェェーーーーーーーー!!」

 

華雄はギリリと歯を鳴らし、竜は叫ぶ。一騎打ちを・・・武士の矜持を汚された怒り。それは、袁紹以外の全ての将が抱いた気持ちでもあった。

 

「おりゃあ!!」

 

「甘い!ハッ!!」

 

切りかかって来た兵を、華雄はいとも簡単に切り裂く。華雄を守る為に打って出た華雄軍と、袁紹軍の大混戦の中、竜は、静かに立っていた。

 

「・・・」

 

「おい、さっさと華雄を討ち取っちまえy「(うるせ)え・・・」あ?」

 

話しかけてきた袁紹軍の兵を、竜は一刀の元、切り捨てた。

 

「おい!何してやがる!敵は董卓g「煩えっつってんだろうが!!」」

 

「華雄・・・行け・ここは俺が食い止める」

 

「何故だ!?私とお前は敵同士だろう!?」

 

「敵・・・?今の敵は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「矜持を汚しやがった、袁紹だ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華雄は見た。竜の目に煌く、激しい怒りの炎を。

 

「三刀流・・・『三・千・世・界』!!」

 

『『『ぎゃああ・・・』』』

 

「行け!!華雄!!」

 

竜に怒鳴られ、背を向ける華雄。肩越しに、声を掛けた。

 

「『翼』だ・・・そう呼べ」

 

「・・・『竜』だ。またな、『翼』」

 

「・・・いずれ決着を付けるぞ、『竜』」

 

駆け出す翼、その姿を見てから、竜は再び前を向いた。

 

「翼を(ツブ)してえんなら・・・俺を(ツブ)してからしろ、クソ野郎共!!」

 

特大級の殺気を出しながら、宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって、曹操軍本陣。曹操軍軍師、荀彧が曹操に訴えかけていた。

 

「華琳様!我々も行きましょう!袁紹の言う通り、今がシ水関攻略の好機です!!」

 

「駄目よ」

 

「何故です!?今ここで華雄を討ち取ってしまえば、これからの戦が我々に有利n「桂花・・・私は誰?」は、覇王にして最高の武将、曹操様に有らせられますが・・・」

 

「なら分かるでしょう?貴女は私に恥を掻かせたいの?『私に、覇王の矜持を貶めよと言うの?』」

 

「い、いえ、そういう訳では・・・」

 

「なら黙っていなさい。この戦には無益しかないわ。こんな、『武士の矜持を極限まで踏みにじる戦』にはね・・・!!」

 

曹操のその様子を見て、桂花は口を噤んだ。曹操も激怒している。「守る為に矜持を捨てる」翼と違い、「私益の為に矜持を踏みにじった」袁紹に――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「焼、鬼、切り!!」

 

竜の刀が容赦無く袁紹軍を襲う。刀に乗せられるのは、華雄との一騎打ちに見せた武士としての喜びではなく、激しい怒り。

 

「・・・楽蛟さん!何をしているんです!!敵は華雄ですよ!!敵を倒す事こそ武人の誉れでは無いのですか!?」

 

「そーだよ!!斗詩の言う通りだよ!!」

 

前線に出てきた顔良と文醜が竜に叫ぶ。しかし。

 

「黙れ・・・!!」

 

強大な重圧(プレッシャー)が襲う。袁紹軍の兵は全く動けなくなった。

 

「その武人の誉れを踏みにじりやがったテメエらが・・・俺の敵だ・・・!!」

 

「楽蛟さん・・・」

 

竜は九紫と八白を納刀し、七赤を構える。

 

「眼・耳・鼻・舌・身・意・・・人の六根に好・悪・平!!また各々に浄と染・・・!!一世三十六煩悩」

 

「一体何を・・・」

 

「俺は今、テメエらに大砲(おおづつ)の砲口を向けている・・・威力も間合いも俺が勝ってる・・・死にたくねえなら逃げやがれ」

 

「・・・仕方有りません。ここで討ち取らせて頂きます!!」

 

「飛ぶ斬撃を見た事が有るか・・・?」

 

「戯言です!!」

 

「一刀流・・・三十六・・・煩悩(ボンド)(ほう)!!」

 

七赤を一気に振るう。同時に、袁紹軍の前線部分が殆ど切り裂かれた。

 

煩悩鳳――――飛ぶ斬撃。七赤から放たれる鎌鼬はいとも簡単に兵を切り裂いていく。

 

「きゃあああああ・・・」

 

「うわあああああ・・・」

 

無論、顔良と文醜も例外ではない。何とか防ぐものの、吹き飛ばされた。

 

「ちっ・・・」

 

だが、前線は吹き飛ばしても、後には大量の兵団が待ち構えている。更には袁紹軍は五万と、連合の中でも最大勢力なのだ。竜は囲まれ、舌打ちする。

 

「おーっほっほっほ!!この(わたくし)に逆らうからこうなるのです。皆さん!そちらに居る身の程知らずさんを討ち取って差し上げなさい!!」

 

「あんの自己中女・・・!!」

 

竜はもう一度煩悩鳳を放とうとする、しかし、数名に後ろから羽交い絞めにされてしまった。

 

「兄様!!」

 

「竜ーーーー!!」

 

どこからか凪と焔耶の声が聞こえる。だが非情にも、肩口に剣が振り下ろされる。避けられない。竜は死を覚悟した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『体を沈めろ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然響いた声に従い、竜は急いで体を沈めた。刹那、三日月形の斬撃が袁紹軍全体を襲う。

 

「っっはあっ、はあっ、はあっ、はあっ・・・」

 

極度の緊張状態から解放された竜は膝を着く。

 

『ちっ、この俺が敵の人間を救うなど、随分甘くなったものだ・・・』

 

「誰だ!!姿を見せろ!!」

 

竜に駆け寄った凪が声を張り上げる。程無くして、返答が有った。

 

『後だ、人間』

 

その声にシ水関の方へ振り向く竜と凪。合流した焔耶もその方向に目を向ける。

 

「マジかよ・・・」

 

竜が呻いた。それもその筈。

 

 

黒い体躯。

 

 

厳つい棘の様な物が付いた鎧。

 

 

腰に付いた黒いマントに、バックル部に付いた黒く輝く宝石。

 

 

三日月形の漆黒の大剣。

 

 

そして・・・一本角を生やした、狼の様な顔。

 

 

「何で・・・狼鬼がこんなトコに居るんだよ・・・作品(ちげ)えだろ・・・」

 

スーパー戦隊、「百獣戦隊ガオレンジャー」の世界、デュークオルグ、狼鬼がそこに居た。

 

「フン・・・さっさと行け。頼まれたんでな、しょうがないから助けてやる」

 

「男のツンデレ何ざ嬉かねえよ・・・だが、恩に着る」

 

「ウラのクズに利用されて死んだと思えば、こんな下らん(モノ)に付き合わされるとはな・・・ガオの戦士共の不幸でも回ってきたか・・・兎に角、死ね、人間共」

 

狼鬼がクレッセントウェーブを放ち、袁紹軍が切り刻まれている間に、竜は凪と焔耶に抱えられて戦場から離脱した。

その様子を一瞥した狼鬼は、一際大きな衝撃を放ち、姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーっほっほっほ!!では厳顔さん?そこに居る不届き者さんを引き渡して頂きましょうか?」

 

いちいち笑うの止めろと全員の心境が一致するのはこの際置いておいて、袁紹は厳顔に宣告した。

天幕内には、厳顔、竜を始め、曹操達、孫策達、一刀達・・・早い話、連合のトップ達が集まっている。

 

「何故そんな事をする必要が有る?」

 

「決まっているでしょう?私の軍に被害を与えた不届き者さんを処刑する為ですわ!」

 

「不届き者は貴女じゃ無いかしら麗羽?」

 

「・・・華琳さん、今何と?」

 

「貴女が不届き者だと曹操殿は言ったのよ自己中女。ホント何で貴女みたいのが総大将に立候補したのかしら」

 

「孫策さんもですか。貴女方、今何をしてらっしゃるかお分かりですか?」

 

袁紹の言葉に曹操と孫策が毒舌を吐く。込められるのは、明確な怒り。

 

「我が軍の裁定では、竜に何の落ち度も無いわ」

 

「ウチでも同じよ。あれは袁紹、貴女が悪い」

 

そうじゃそうじゃー!!と叫ぶ袁術は無視する。

 

「一体私のどこに落ち度が有ったのか、教えて頂きます?場合によっては斬刑も辞しませんが」

 

「「武士の誇りを踏みにじったアンタに言われたくないわよ!!」」

 

「なっ・・・」

 

怒鳴り声と共に発せられる怒気に袁紹は冷や汗を流す。

 

「武人と武人の一騎打ちはそれは神聖な物」

 

「誇りと誇り、思いと思いのぶつかり合いだ」

 

「それにあのような横槍を入れるなど持っての外だ!」

 

「貴様も剣を持つなら、矜持の一つや二つ持っておるじゃろう!!」

 

「アンタがしたのは許されざる事」

 

「貴女がもし竜を殺すというなら、俺達は全軍董卓側に着く」

 

曹操、関羽、夏候惇、厳顔、馬騰、一刀から口撃を受け、タジタジになる袁紹。天幕の中、袁紹に味方は(文醜以外)居ない。

 

顔良も流石に不満があったようだ。

 

「ぬぬぬ・・・分かりましたわ!今回は不問と致します!ですが二度目は有りませんよ!!」

 

プンスカという文字が見えそうな分かりやすい怒り方で袁紹は天幕を出て行く。顔良と文醜はそれを追いかける。三人の背中に、竜は言葉を投げつけた。

 

「そんときゃテメエを殺して(きって)やらあ。一昨日来やがれ自己中野郎」

 

 

 

(しっかし何で狼鬼は「董卓軍」に協力してんだ・・・?)

 




基準「ただいまー!!土曜に合宿から帰って来ました!」

竜「ああお帰り。で、あれ何?」

基準「狼鬼はどうしてもやりたかった!!というか狼鬼がこれから重要になってくるよー」

竜「あっそう。で、俺の特典は決まったのか?」

基準「罠カード『神の宣告』発動!!」

竜「質問拒否すんのにそんな仰々しいモン使うなよ・・・『盗賊の七つ道具』発動」

基準「なら黙秘権を行使します!」

竜「最初からやれっての・・・」

基準「まあ決まってんだけどね」

竜「あっさり話したな・・・」

基準「今回は発動しなかったけど、後々使わせるから」

竜「『発動』って何!?」

基準「次回も『戦士と悪魔の外史旅行』、宜しくお願いします!!ではでは~」

竜「逃げたし・・・」

基準「あ、そういえばお気に入り件数がとうとう百件超えてたんだ。ありがとうございます!!」

竜「そういう大切な事は最初に言え!!」


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第拾玖話 原作知識披露は良いとしてキャラ崩壊の挙句放置しないで下さい

注:つまらないギャグの上に駄文です!ご注意下さい!


翌日、再度のシ水関攻撃において、全主将が集まる天幕に最初にもたらされた報告は。

 

「たった五人・・・?」

 

「はっ!シ水関には五人の将以外猫の子一匹見当たりません!」

 

「流石に展開が速すぎへんか!?原作もかなりぶっ壊され取るし、何が何やらよう分からんくなっとる・・・」

 

佑は頭を抱える。無理も無いだろう。天の御使いの増加に加え、黄巾の乱から反董卓連合までに大部分の原作が崩壊している上に、翼の性格改変、狼鬼までが参加している。気にするなと言う方が無理だ。

 

「・・・なあ佑、お前達『天の御使い』がよく言う原作って何なんだ?」

 

白蓮が佑に言葉をかける。佑は白蓮に説明を返そうとするが、直前で言葉を喉の奥に押し込み、代わりの言葉を吐いた。

 

「今ここで話してもええんやけど、この話、御使い組を傘下に入れとる人らにしか聞いて欲しくあらへんっちゅうのがワイの勝手な願望なんや。やから、曹操はん、孫策はん、劉備はん、白蓮、あと厳顔はんにしか話されへんねん」

 

「ちょっと!私には話して下さらなくて!?」

 

「今佑が言っただろうが。御使い連中を『所有』してる奴らにしか話せねえって。」

 

袁紹が入れた横槍を、祐司がすんなり弾き返す。

 

「悪いが、今佑が名前挙げた奴、ウチの空き天幕に来てくれるか?拒否権はねえ。全員来い」

 

「申し訳有りませんが、天統『様』にはご辞退しては頂けませんか。そもそも、我ら下々の会合など、『陛下』にとっては苦痛でしか無いでしょう?」

 

祐司が会合を拒否しそうな曹操に牽制をかけ、道昭が慇懃無礼に、そりゃもう慇懃無礼に、い・ん・ぎ・ん・ぶ・れ・い・に天統を拒絶する。

天統は最大級の皮肉が込められた「様付け」、「陛下」に気を良くしたのか快諾した。名前を呼ばれた全員と御使い+α組の心境は「良くやった道昭(大河)!!」で一致していたなんて、言わずとも分かるだろう。

 

 

 

で、空き天幕で。

 

「で、ワイらがゆう『原作知識』やねんけど、ワイらが『未来から来た御使い』ちゅうんが前提条件や」

 

「未来から・・・?」

 

「そうや。ワイ、かずピー、ミッチー、ゆうピー、たつぴー、んでから、安里ちゃんでええやんな?」

 

「ちょっと!何気安く安里の真名を呼んでるのよ!!直ぐに訂正を――――」

 

「良いんです雪蓮様。友達ですから。お久しぶりです佑さん」

 

佑の言動に文句を言う雪蓮に、安里がやんわりと事実を言う。

 

「うん、久しぶりやな。えー、ゆうピーとの関係、ご馳走様――――ちゃうちゃう、おめでとうございます」

 

「オイマテコラ佑ちょっと表出ろ」

 

『『『事実じゃん(やん)』』』

 

「ぬがあああああ!!」

 

そして無駄な事を口走った佑に祐司がケンカを売るも、一刀、道昭、竜、佑の一斉射撃にあえなく返り討ち。

 

「ゴホン!で、話の続きは?」

 

曹操が流れを戻し、佑が話を再開する。

 

「そやったそやった。えー、さっき言った六人は、今から1800年後の未来から来てんねん」

 

「1800年後!?」

 

「そや。たつピーと安里ちゃんに至っては『輪廻転生』――――、言ってもうたら、一遍死んでもっかい生れ直したってトコや。で、安里ちゃんとゆうピーは幼馴染で両想いやったと」

 

「無駄な事言ってねえでさっさと進めろ」

 

照れ隠しに祐司が怒鳴る。佑はニヤニヤしながら話を戻した。

 

「それで、その未来に何の関係が有るの?」

 

「たった数百年前の漢楚の戦いが今に伝わってるんや。1800年もの未来やったら、この時代の話が伝わっててもおかしくないやろ?」

 

「成程ね、貴方達は言わば、項羽と劉邦の戦いに巻き込まれた私達のスケールを大きくした感じ――――って理解で良いのかしら?」

 

「ミッチー、もう曹操はんに横文字教えとんのかい」

 

「別に良いじゃないか。あ、スケールって言うのは規模って意味で覚えていて下さい」

 

脱線が多いと今まで空気だった一刀が言う。

 

「俺にはマトモな括弧もくれないのか!?」

 

「やかましいでかずピー」

 

一刀両断。一刀、哀れ。

 

「で、ワイらの時代にはこの時代が『三国志』っちゅう題名で基本小説で出回っとる。それを基にした小説で『恋姫無双』っちゅうのが有んねんけど、三国志の英雄の大方を女性化した世界がこの世界や」

 

「ぬ、ならわしらは竜達の世界では男だったのか?」

 

「ああ、性転換の例外は孫尚香、華陀のみで、女から男になったのが二人。名前は黙秘権を行使するから聞くな」

 

「で、この反董卓連合に関して、シ水関の舌戦は、『猪武者』の華雄が関羽の挑発に乗って打って出て戦死、張遼は兵を率いて虎牢関まで下がるっちゅうんが流れやねんけど・・・」

 

「華雄は猪じゃ無かったしな」

 

「狼鬼まで出て来たし・・・」

 

「ねえ、その『ろうき』って何なの?」

 

劉備が佑に問う。確かにあれは疑問に思うだろう。佑に代わり一刀が答えた。

 

「狼鬼は俺らの時代にあった特撮・・・簡単に言えば作り話の中に出て来る敵役で、実在しないんだよ」

 

「え、でも私ちゃんと見たよ!?」

 

「『外史』って知っとる?」

 

「『外史』って、本来の歴史から分岐した歴史っていうあれかしら?」

 

「正解や曹操はん。外史はつまり可能性の世界や。例えばワイがここで右手を上げたとする。若しかしたら左手を上げたり、両手を上げたり、そもそも手を上げへんかったかも知れへん。可能性の数だけ正史――――正しい歴史から外れた世界、それが『外史』や。その理屈で行って、若しかしたら狼鬼が実在する可能性の世界も有るかも知れへんやろ?」

 

「ぶっちゃけ、この世界も俺らの間じゃ作り話の世界なんだけどな」

 

「え!?」

 

一刀の言葉に桃香が驚愕する。

 

「さっきも言っただろ。この世界は『恋姫無双』っていう小説の世界だって。本家の三国志を基にした作り話の世界なんだよ、ここって。まあ俺達が居る時点で現実なんだけどな」

 

「危険なのは『転生者』だ」

 

祐司の言葉に雪蓮が疑問の声を上げる。

 

「え、何で?転生者って言えば、楽蛟や安里のことでしょ?別に危険じゃないけど」

 

「天統ですよ。奴も転生者です。転生者の中には竜や安里ちゃんのような人も居る中、天統のような自分が主人公だと疑わないバカも居るんです。俗に『踏み台転生者』と呼ばれていますが。」

 

「踏み台の典型的な特性として、この世界を唯の物語としてしか見ていない事、転生特典――――転生の際に手に入れる力の事だが――――が反則に強い奴を持ってる事が多いのが挙げられる。あのクソ野郎はその典型的な例だ」

 

道昭の説明に竜が補足を入れる。天統に暴言を吐く事も勿論忘れない。祐司が後に続く。

 

「アイツの特典はギルガメッシュ――――僕達の知る作り話の中の登場人物の容姿と能力、ニコポ・ナデポ、EX級魔力――――矢鱈多い気って考えてくれ――――の三つだ」

 

「能力って?」

 

雪蓮が問いかける。

 

「『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』、過去の英雄達の武器の原点を納めた蔵だな。道昭の調査によって殆どが紛い物だって事は分かってる。ニコポ・ナデポは――――」

 

祐司は口を噤む。余りにも馬鹿馬鹿しい能力に辟易したのだ。佑がそれに助け舟を出す。

 

「笑いかけた奴、撫でた奴を惚れさせるっちゅう能力や。大抵の踏み台はそれを持っとる。基本、原作キャラて呼ばれとるんには利かんし、同じ転生者にも利けへんから殆ど意味無いけどな」

 

「それは良いけど、その矢鱈多い気、かしら?それは危険じゃないの?」

 

「良い質問だが、曹操、アイツからそれっぽいモンは感じ取れるか?」

 

「・・・無理ね。全く普通の一般人よ」

 

「だから大丈夫だ、問題ない」

 

「たつピー死亡フラグ立ててどうすんねん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原作知識プラスαの説明が終わり、そんなこんなでシ水関前。

 

董卓軍の五人+狼鬼がまったりお茶を飲んでいた。

 

約二名、酔っ払いが鼾を掻いている。

 

狼鬼、正座で抹茶を飲んでいる。

 

「いやまったりし過ぎだろ!?」

 

「お前達が遅いのが悪い」

 

「全くです」

 

翼が返し、黒髪の少女――――周泰が同意する。

 

「やっぱり周泰はそっちにおったんか・・・」

 

「情報が間違ってたな。隠密の訓練厳しくすっか?」

 

「うう、やっぱり狼鬼さんもそっちに居るんだね・・・」

 

「勝てるかしらこの戦・・・(ボソッ)」

 

桃香の弱音と雪蓮がボソッと呟いた言葉に、ものすごーく狼鬼が反応した。

 

「・・・諦めんなよ」

 

『『『ゑ?』』』

 

董卓軍勢も目が点になる。

 

「諦めんなよ、お前!どうしてそこでやめるんだそこで!? もう少し頑張ってみてみろよ!ダメダメダメダメ諦めたら。周りのこと思えよ!応援してる人たちのこと思ってみろって!!あともうちょっとの所なんだから。俺だってこの不利な状況の中、一生懸命勝とうと頑張ってんだよ!ずっとやってみろ!必ず目標を達成できる!だからこそ、Never Give Up!!」

 

『『『はあ!?』』』

 

何か狼鬼がおかしい。おかしい。どこかで聞いた事有るような・・・

 

「何と無く生きてんじゃないですか?迷ってんじゃないですか?イキイキしたい!簡単ですよ。過去のことを思っちゃダメだよ。何であんなことしたんだろ・・・って怒りに変わってくるから。未来のことも思っちゃダメ。大丈夫かな、あはぁ~ん。不安になってくるでしょ?ならば、一所懸命、一つの所に命を懸ける!そうだ!今ここを生きていけば、みんなイキイキするぞ!!」

 

何か、熱い。

 

「あれ~、何だっけ?コレ」

 

一刀も首を傾げる。そして狼鬼は何故か切なそうな雰囲気を出す。

 

「世間はさぁ、冷てぇよなぁ。皆、君の思いが感じてくれねぇんだよ。どんなに頑張ってもさ、何で分かってくれねえんだって思うときが有るのよね。俺だってそうよ。熱く気持ちを伝えようと思ったってさ、お前熱過ぎるって言われんだ。でも大丈夫!分かってくれる人はいる!そう!俺について来い!!!」

 

『『『何で!?』』』

 

そして更にヒートアップする。

 

「頑張れ頑張れ出来る出来る絶対出来る頑張れもっとやれるって!!やれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだそこだ!諦めんな絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張れ頑張れ!!北京だって頑張ってるんだから!」

 

何故か応援された。

 

「いや今北京は関係無いだろ!!」

 

そして暑苦しさは最高潮に達する。

 

「もっと熱くなれよ・・・熱い血燃やしてけよ・・・人間熱くなったときがホントの自分に出会えるんだ!だからこそ、もっと!熱くなれよおおおおおおおおおおお!!!」

 

狼鬼が萌え――――じゃなかった、燃えている幻影が見える。

 

『『『・・・』』』

 

そして戦場に沈黙の女神が舞い降りる。

 

気まずい。ヒジョーに気まずい。

 

「静かだぁあああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「・・・ああ、思い出した」

 

『『『しゅ○ぞうだ、コレ』』』

 

御使い組は自己完結&達観し、その他大勢は余りのキャラ崩壊に唖然とする。

 

「・・・ハッ!!俺は・・・一体・・・何をしているんだ!!ヌガアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

狼鬼は元に戻り、自分のやった事を思い出して悶えている。

何だろう、このシリアルな雰囲気は。

何か気まずい雰囲気を変える為、慌てて一刀が口を開いた。

 

「と、兎に角董卓軍の皆さん、自己紹介をお願いします!」

 

「あ、ああ、董卓様が配下、華雄だ」

 

「同じく張遼や」

 

「傭兵団『月影』が一、周泰です」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

水色のサイドテールの女と金髪のツインテールの女は互いに顔を見合わせた後、意を決したように口を開く。

 

「元黄巾賊、現月影所属、鄧茂です」

 

「同じく波才だよ~」

 

「・・・マジかよ元黄巾賊!?」

 

「月影が居る事にも驚いたけど、黄巾賊まで引き入れてたとはね・・・」

 

祐司が驚き、道昭は嘆息する。

 

「うおあああああああああああああああああああああああ!!」

 

狼鬼は未だ悶えていた。

 

((((クールな面影全くねえ(ない)・・・))))

 

そう思うのも無理ない。華雄が狼鬼に呆れたような顔をしながら口を開く。

 

「兎に角!私達は言わば顔合わせの為にここに残ったのだ。別に敵対しようとは思っていない。そもそもたった六人で十万の大軍を相手に出来るなど自惚れてはいない」

 

「すっげえ・・・あれが元猪か?」

 

「猪言うな!!」

 

一刀は地雷を踏んだようだ。

 

「ゴホン!!兎に角、私達はこれで引く。ああ、勿論シ水関は壊していくぞ。敵に居所を与えるなどバカのやる事だ。ほら狼鬼、いつまで悶えている。撤退するぞ」

 

「ハハハ・・・どうせ俺ァ・・・俺なんか・・・」

 

((((アイツ本当に狼鬼か!?))))

 

「・・・はあ、明命、来夏、瀬蓮、狼鬼を叩き起こしてくれ。霞、行こう」

 

「・・・逃がすと思って?」

 

曹操がドスの利いた声で言う。華雄はどこ吹く風で、御使い組に話しかけた。

 

「伝言だ。『待ち草臥れた。さっさと来やがれバカ親友共。いい加減にしねえと姉貴の飯改悪版食わせるぞ』だそうだ。確かに伝えたぞ」

 

『『『最悪だああああああああああああああああああああ!!』』』

 

突然御使い組(天統除く)が頭を抱えて叫んだ。安里も顔を真っ青にして震えている。

 

董卓軍組は御使い組に唖然とする連合軍を無視してさっさとシ水関を通り抜け、門を閉じた。

 

そして十数分後、シ水関は爆散した。

 




基準「長い連休より平日の方が書きやすいと思う今日この頃」

零「どうしたよ変な事言って」

基準「久しぶり。いや今ね、兄貴が帰って来ていてね、夜更かし執筆出来んのだよ」

零「へえ」

基準「お陰で昨日投稿する筈だったのにずれたよ。友達に宣言したのに」

零「この駄作作者の友達が読んでくれてるんだ!」

基準「ユーザーネーム、廻廻廻廻!!さん。こいつも小説投稿しようと頑張ってるけどタイピングが遅いらしい。後一人ネームが決まらない奴が居て、そいつも登録したら投稿しようと思ってるらしい」

零「三人で頑張ろう!!的な?」

基準「そゆこと。仲間内じゃ私が一番進んでる。おっと、時間だね。それじゃ『戦士と悪魔の外史旅行』!!次回も宜しくお願いします!!」

零「またね~!!」


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第弐拾話 虎牢関、団体戦

友人の頼みにより前書き削除しました。


『『『・・・・・・・・・・・・(がたがたがたがたがたがたがたがた)』』』

 

天幕に がたがた震える 男五人

 

「いや川柳にするなよ!?」

 

「・・・ご主人様、大丈夫?」

 

「・・・・・・・・・・・・(がたがたがたがたがたがたがたがた)」

 

「大丈夫じゃなかった!!」

 

改めて。一刀、佑、祐司、道昭、竜の五人は顔を真っ青にしてがたがた震えている。

凪、安里の二人は夫々想い人を抱き締めている。

因みに言っておくと、二人は中々スタイルが良い。つまり、胸も中々大きい訳で。竜と祐司の頭がその豊満な胸に抱き締められている訳で。佑がそれを見て「リア充爆発しろ・・・」と(がたがた震えながら)言っている訳で。それに劉備達は一刀達の今まで見た事の無い様子にオロオロしている訳で。袁紹は相変わらず「おーっほっほっほ!!」と高笑いしている訳で。

 

 

 

とどのつまり、初っ端から混沌(カオス)である。

 

 

 

十分後、結局五人とも気絶した。

 

「ご主人様ああああああああああ!?」

 

そんな劉備達を無視して、凪が竜を抱き締めながら安里に問いかける。

 

「それで、徐庶さん「あ、安里で良いですよ」じゃあ安里さん、兄様達は何故あれ程までがたがたと・・・」

 

「・・・竜さんの従兄弟に、零さんって人が居るんですが、お姉さんがいらっしゃるんです。偶に、『弟と友人で居てくれるお礼だ』とか言って料理を振舞ってくれるんですよ。初めての時は塩焼そばでした」

 

「・・・はあ」

 

別に良い人じゃないか。そんな事を思う凪。どこにも問題は――――

 

「それを食べればアラ不思議、三日間意識不明になりました」

 

――――あった問題大問題。

 

「見栄えは綺麗なんですよ。けど、それを食べた時の皆さんの台詞が、『麺はゴリゴリと芯が残り、キャベツは舌の上で発泡しながら溶けていき、豚肉はグネグネと噛んでも噛んでも噛み切れず、辛過ぎる、甘過ぎる、渋過ぎる、苦過ぎる、酸っぱ過ぎる混沌とした味わいが何とも――――――――んごぱっ』でした。あははははは・・・」

 

――――一体なんだその料理(さいしゅうけっせんようかがくへいき)は。天幕内に居た全員が青褪める。

 

良く見れば、乾いた笑い声を上げる安里の眼が死んでいる。そう、まるで「姫路○希の引き起こした惨劇を見る一般人」のように。

 

「しかもそのお姉さんの料理を彼女のお父様が摘み食いしまして、『あれ?死んだ爺さんが川の向こうで手ぇ振ってる・・・』と倒れながら呟きまして、七人全員三日間意識不明です、と言うより一度心臓止まりました。何とか蘇生しましたが。因みに華雄さんの伝言は恐らく零さんでしょう。零さんも勿論被害者で、更にはそれから続くお姉さんの試作品――――しかも段々威力が上がっていきました――――の処理係ですから、あの料理(さいしゅうけっせんようかがくへいき)を改悪するなんて容易い事です」

 

天幕内の全員が戦慄する。その料理(さいしゅうけっせんようかがくへいき)の最終進化の改悪版。食べれば・・・考えただけでも恐ろしい。

 

「まあお陰でそんじょそこらの毒は効けへんようになってんけどな。まさかリアルにバカテス風殺人(キリング)料理(ディッシュ)食う破目になるとは思わんかったけどな・・・」

 

「いつ復活したんだ!?」

 

いつの間にか復活した佑が割り込んできた。佑の言葉に復活した他四名も頷く。

 

「ワイの人生にあの料理ほど怖いモンは無い!」

 

(・・・零は別だがな)

 

ワイワイガヤガヤと話し合う中に、天幕の外から一羽の赤い鳥が黒い塊を持って飛び込んできた。

 

『キューイ!!』

 

「・・・何ですのその鳥は」

 

「俺に聞くな俺に」

 

赤い鳥は何周か旋回すると、天幕内の机の上に塊を投げた。

 

「・・・CDプレイヤー?」

 

一刀が呟く。一刀の言う通り、その塊はCDプレイヤーの形だった。違う所と言えば、CDを保護するカバーが無い事ぐらいだろう。

赤い鳥は機械に向かって降下する。同時に、その形をディスク状に変えた。

赤い鳥が変形したディスクは機械の窪みに綺麗に収まる。そして、ディスクが回り始めた。

 

『――――――――ザッ、ザザザ・・・』

 

ノイズが一瞬走り、クリアな音声が聞こえ始める。

 

『――――――――あー、あー、もう喋って良いのか?』

 

「この声・・・まさか華雄か!?」

 

関羽が反応する。事実、ディスクから流れる声は翼の物だった。

 

『聞こえるか、連合諸君。私は華雄だ。本来なら直に会って話すのが礼儀だろうが、生憎我々が使者としてそちらに行っても無事で居られる保証は無いので、この・・・「でぃすくあにまる」だったか?これを介して一方的に話をさせて貰う』

 

「『ディスクアニマル』て・・・んなアホな!今度はライダーかいな!!」

 

『えー、我々董卓軍は、連合に対して五対五の変則勝負を申し込む。これで無いと勝ち目が無さそうなんでな』

 

翼の声が一方的に告げていく。

 

『試合内容は簡単だ。連合側と董卓軍側から夫々五人ずつ出場者を決め、一人ずつ一騎打ちをする。私達からは私、張遼、周泰、呂布、そして「黒狗(こっく)」を出す。先に三勝した軍が勝利で、この死合に勝利した側が、敗北した側に何らかの命令を出せる。但し命を奪うような事は駄目だ。勿論一騎打ちの時も殺しはご法度だ。無駄な恨みと被害は出したくないんでな。それと、一騎打ちに勝利した者が負けた者に何らかの命令を出せるという規則も有る』

告げられる内容に天幕内の人間が顔を思い思いに歪める中、佑はその頭をフル回転させている。

 

(五対五の変則勝負やて?これ、どう考えたって、Fクラス(とうたくぐん)Aクラス(れんごうぐん)に申し込んだ「試験召喚戦争」やんけ・・・狼鬼が出えへんのは嬉しいけど、ディスクアニマルが有ったりするし、月影が居るなら、向こうに恐らく最後の御使い、零が居る。これはかなり不利になりそうやな、というか「黒狗」って何や。「黒狼」の補佐かなんかか?)

 

『後、こちらから二人、対戦相手を指名させて貰う。楽蛟は黒狗、天統とやらは呂布とだ』

 

「俺かよ・・・」

 

「フッ、我に挑もうとするか雑種め。良いだろう、受けて立つ!」

 

竜はやりたくないのか呻き、久々の(台詞の)出番の天統が嘲笑うように鼻を鳴らす。

 

『日付は明日の正午から、虎牢間前で行う。その「アカネタカ」が案内してくれる筈だ。そして袁紹』

 

「何ですの?」

 

「いやこれただの録音やから・・・」

 

翼の声に律儀に返した袁紹。それに佑が突っ込んだ。

 

『まさかとは思うが、武士と武士の神聖な決闘に、以前のような横槍を入れる事は無いだろうな。二度目だが、無駄な犠牲は出したくないんだ』

 

「何を言ってますの?あなた方如き賊軍の願いを聞き入れる筈が無いでしょう?そもそもこの勝負を受け入れる筈が――――」

 

『言うと思った。そーかそーか、「名家」の袁紹殿は「劉協陛下」と「劉弁陛下」の「ご厚意」を無下にするのがやり方なのか、そーかそーか勉強になったよ。これからは「名家」の袁紹に見習っていくとしよう』

 

「――――ッ!?」

 

袁紹は翼の問い掛けを一蹴するが、袁紹の言葉を予想していたかのように、翼が劉協、劉弁の名を出した。袁紹は瞬間言葉に詰まる。

 

「・・・分かりましたわ。しょうがありませんから、この勝負、受けますわ・・・」

 

『感謝する。ではな』

 

その言葉を最後にディスクは回転を止めた。

 

「・・・それでは、この勝負に参加する人を決めたいと思いますわ・・・」

 

渋々といった感じに袁紹が言葉を搾り出すが、竜がそれを一刀両断する。

 

「んなモン決まってる。俺、天統『閣下』、関羽、孫策、夏候惇だ。関羽は張遼に、孫策は華雄に、夏候惇は周泰に当てる」

 

「何故?」

 

「張遼はどうせ関羽を指名するし、華雄も孫策を指名するだろ。最後の周泰は暗殺を得意とする『静』の剣だ。ここは『動』の剣士の夏候惇を当てるべきだと思う」

 

「なっ、何故私が!!」

 

「華雄なら納得ね。前に負かしてるし」

 

「成程ね。分かった。春蘭には言っておくわ」

 

関羽、孫策、曹操が夫々竜の言葉に反応する。関羽は疑問の声を上げているが、一刀がそれを宥め、会議は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は変わり、現在は正午の時間帯。

虎牢間前には九人と付き添いとして数名が来ていた。

翼が前に出て口を開く。

 

「決闘を受けて貰って感謝する」

 

「・・・一人足りねえぞ?『黒狗』とかいうのはどうした」

 

竜が即座に切り返す。確かに、董卓軍からの出場者は四人しか居ない。

 

「私達の死合が終われば来る。さっさと始めよう。時間が惜しい。霞!頼むぞ!!」

 

「まっかせときー!!さあさあ()んで!!ほらほら関羽!早よ出てきいな!!」

 

「・・・楽蛟殿の予想通りか・・・」

 

「じゃあ私が審判を務めさせて貰うわ」

 

翼の言葉に反応して霞が元気良く関羽を呼ぶ。関羽は渋々といった感じで出てきた。曹操も前に出る。

 

「では両者、位置に!・・・始めっ!!」

 

開始の合図と共に、両者共に飛び出した。

 

「神速の張遼、行くで!!」

 

「劉備軍関羽、参る!!」

 

二人の偃月刀が激突する。霞は偃月刀を横に振るい、関羽はそれを柄で防ぐ。それを見越したように霞は体を回転させ、関羽に近づいて逆向きに偃月刀を振るうが、関羽は後に飛んで避わす。

霞は高速で偃月刀を何度も突き出す。関羽はそれを往なしていくが、顔に余裕が無い。

 

「はっはーー!!楽しいで関羽!!」

 

「私は辛いがなっ・・・!!」

 

少し大振りになったのを見逃さず、関羽は霞の偃月刀を上に弾く。がら空きとなった腹部に関羽は左足を跳ね上げるが、霞も同じ様に関羽の腹部に左足を跳ね上げた。

鈍い音と共に二人の身体が飛ぶ。関羽は体勢を立て直すが、先に体勢を立て直した霞に追撃を許してしまった。

力任せに振るわれた偃月刀を自身の偃月刀の柄で防ぐも、衝撃までは殺し切れずに又もや吹っ飛んだ。

 

「どうやウチの一撃は!速さを追求してってる内にいつの間にか腕力も強うなっとったんや!」

 

「くっ・・・中々の物だな・・・!だが、私は負けん!!」

 

「そうこーへんと!!まだまだ勝負は終わらんで!!」

 

今度は関羽が攻め始める。速さを追求した霞の副産物的な腕力も、元から力を求めて鍛えていた関羽の腕力には及ばない。速さはそれ程でもないが一撃一撃が中々重い関羽の斬撃に霞は追い込まれていく。

 

「くっ・・・流石に力強いな!!」

 

「伊達に鍛えている訳ではない!はあ――――――――っ!!」

 

下からの斬撃を霞は偃月刀で防ぐも、勢いの付いた関羽の斬撃はいとも簡単に霞の手から偃月刀を弾き飛ばした。関羽は霞の首元に刃先を突き付ける。

 

「――――詰みだ」

 

「・・・あーあ、負けてもうたわあ」

 

「――――そこまでッ!!勝者、関羽!!」

 

曹操の言葉に連合側から歓声が上がる。

霞は偃月刀を拾い上げながら呟く。

 

「あーあ、折角関羽にコクろうと思ってたのにな・・・」

 

「勝利者命令権で金輪際私に告白する事を禁ずるっ!!」

 

関羽は急いで新たな(百合の)世界に誘おうとする霞を両断する。

 

「んなあ!?そんな殺生な!!」

 

「私は百合じゃない!まともに男が好きなんだっ!!」

 

「じゃあ誰が好きなの?(ニヤニヤ)」

 

「そっ、それは・・・///」

 

口を滑らせた関羽の揚げ足を曹操が取る。関羽は顔を真っ赤にして黙り込んだ。

 

「とっ、兎に角これで私達の一勝だ!さっさと次を始めろっ!!」

 

関羽は誤魔化して次を促す。

 

「それじゃ私が行くわ」

 

「なら、私が行こう」

 

連合からは孫策――――雪蓮、董卓軍側からは翼が前に出る。

 

これで連合側の一勝。後二連勝すれば連合の勝利だが、道程は中々長いようだ。

 

「以前の私と思うなよ、孫策――――!!」

 

「勝つのは私よ!!」

 

「それでは――――始めっ!!」

 

曹操が開始の合図を出す。同時に翼が雪蓮に向かって突っ込んでいった。

 

「はあああああああっ!!」

 

斧を振り下ろす。雪蓮は南海覇王を斧に添えて受け流す。振り下ろされた斧は一気に地面に激突し、半径二メートル程の浅いクレーターが出来た。

 

「嘘ッ、どれだけ強くなったのよ!!」

 

「私に霞程の速さは無いが、力に関しては負けん!!」

 

翼は斧を左から振るう。雪蓮は後に飛んで避わそうとするが、翼は斧の軌道を無理矢理変え、そのまま追撃した。翼の突きを避わし切れないと踏んだのか、雪蓮は剣を横にして防ごうとする。しかし、予想以上の翼の剛力に押され、吹き飛ばされかけた。その隙に翼が雪蓮の懐に飛び込む。雪蓮はニーキックカウンターで翼を迎撃しようとする。だが――――

 

「甘いッ!!」

 

翼は雪蓮の右膝を左手で押さえた。ニーキックカウンターは失敗し、ならばと右手に持った剣で突き上げようとするも、突きは翼の左肩を掠めただけで、瞬間出来た隙に右手だけで軽々と持ち上げられた斧の先が雪蓮の首元に添えられた。

 

「――――借りは返したぞ」

 

「そこまでッ!!勝者、華雄!!」

 

今度は董卓軍側から歓声が上がる。

 

「あっちゃー、こりゃ私はまだまだねー」

 

「そうでも無いさ。以前の私ならまた負けていたぞ」

 

「もっと強くならないと。また手合わせしてくれる?」

 

「いつでも大歓迎だ、孫策」

 

「あ、なら雪蓮で良いわよ」

 

「なら私も翼で構わん。これからも宜しく頼むぞ雪蓮」

 

「またお願いね、翼」

 

二人の間に好敵手としての友情が芽生える。どちらも嬉しそうだ。

 

これで、一対一。勝負はまだ、分からない。

 




基準「眠い!!」

竜「当たり前だよ」

基準「まあ何とか5000文字越えるように頑張ったぜ!!色々疲れたけど」

竜「一体何に疲れるっつうんだ・・・」

基準「知らんがな。あ、そうだ、えー、活動報告の方にデビューしたんで、そちらも宜しくお願いします」

竜「手厳しい感想しか来ないって分かってるのに?」

基準「言わないで!!私真面目に『あんまり批判されると気分が悪くなる病』なんですよ。これ真面目な話。ワ○ピのウ○ップの病気じゃなくて、ホントに」

竜「嘘付け」

基準「真面目なんですよ!!ネーミングはこの際置いといて、真面目に気分悪くなるんですよ!!」

竜「自虐ネタ多いけどな」

基準「まあね。それでは『戦士と悪魔の外史旅行』!!」

竜「次は団体戦の続きだな」

基準「次回も宜しくお願いします!!」

竜「またな!!」


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第弐拾壱話 団体戦 三・四回戦、ついでに顔合わせ

最後の方がより駄文になってます!!ご注意下さい!!


虎牢関前の団体戦も中盤を向かえた。現在、関羽が霞に、翼が雪蓮に勝利し、一対一の同点。

 

「では行きますか」

 

「周泰か、なら私の出番だな」

 

三回戦は、董卓軍側から周泰――――明命、連合側からは夏候惇が出る。

周泰は自身の身長程もある長刀、魂切を、夏候惇は漆黒の大剣、七星餓狼を持っている。

 

「それでは三回戦――――始めッ!!」

 

開始の合図を曹操が出した瞬間、明命の姿が掻き消える。

 

「何・・・!?」

 

『フフフ・・・ここで夏候惇さんの誇りを貶して冷静さを失わせるのも良いんですが、それだと面白く有りませんので。では、「暗殺者の白猫」の実力、お見せしましょう・・・』

 

この場に居る事は気配で分かる。ただ、()()()()()()()()()()()()()()

 

夏候惇は明命の居場所を掴めるよう、神経を研ぎ澄ませる。が、突如後から殺気が放たれ、同時に幾つもの鎌鼬が襲いかかってくる。

夏候惇は急いで剣で防ぐが、殺気の方向に目を向けた時には既に気配は無かった。

 

「・・・成程、『暗殺者』の二つ名も伊達では無いか」

 

『実は、もう一つ有るんですよ、二つ名』

 

「・・・それは?」

 

夏候惇の後から声が掛かる。

 

「『疾風巫女(はやてみこ)』ですよ」

 

声の方向に目を向けると、風を纏った明命の姿。

 

「黒狼の修行のお陰で、風を操れるようになったんです。しかも、素質が有ったのか、呪力というのをを然程使わないでも」

 

「・・・自然支配系能力者・風使いか、今度は『結界師』かよ・・・これホントに恋姫か?原作崩壊しまくりじゃねえか・・・」

 

明命の言葉に竜が呻く。

 

――――自然支配系能力者。その名の通り、呪力によって特定の自然物・自然現象を操る能力者。希に、呪力ではなく『術者の存在』によって自然物・自然現象を支配する『真の自然支配系能力者』が存在し、支配対象さえあれば自身の状態に関係なく操ることができる。(Wik○pe○ia引用)

 

「呪力を使ってるなら、『真の自然支配系能力者』じゃねえ。呪力を乱せば未だ勝機は有る、が・・・」

 

「気配を周りに拡散させとる。こら骨折れんで・・・」

 

祐司が対応策を呟くも、佑がそれを両断する。事実、周泰は周囲に気配を拡散させ、居場所が掴めないようにしている。目の前に居る周泰も、気を抜けば見失ってしまいそうだ。

 

『それでは、「疾風巫女」周泰の風の舞台、存分にご堪能あれ・・・』

 

明命は一礼し、姿を消す。同時に、四方からの鎌鼬が夏候惇を襲う。その数、約百。

 

「ぐ、ぬうっ!!くっ、はあああああああああああっ!!」

 

夏候惇は鎌鼬を弾いていくが捌ききれず、その身体に切り傷が増えていく。

 

『では、そろそろ終幕と致しましょう・・・』

 

無情に明命が宣言し、巨大な鎌鼬が夏候惇を襲う。あわやと思われたが――――

 

「――――なっ!?」

 

「はあああああああああっ!!」

 

明命の胴を、夏候惇の大剣が捉えた。明命は「静」の剣士にして、「速さ」の剣士。残念ながら、速さを追求した者の防御は必ずと言って良い程「薄い」という不条理が有る。明命も例外ではなかった。

吹き飛ばされた明命、地面に倒れ伏し、上から夏候惇が剣先を突き付ける。

 

「私の勝ちだ」

 

「勝者、夏候惇ッ!!」

 

連合の歓声が響き渡る。明命は身体を起こし、夏候惇に問いかけた。

 

「ゴフッ、良いのが入りましたね・・・どうやって私の居場所を突き止めたんです?」

 

「簡単だ。お前は攻撃する時に決まって気配がブレる。それを捉えれば後は当てて下さいと言っているような物だ」

 

「・・・成程、まだまだ改善の余地が有りそうですね・・・未だ風も風の塊を作ることまで『しか』出来ませんし」

 

「ほう?」

 

「風を操れると言っても、身体に風を纏わせる事と、(てのひら)大の風の塊を作るのが精々です。でも、この修行を始めたのが二年前ですから、これでも結構な成長なんですよ?因みに鎌鼬は魂切に風を纏わせて飛ばしてます」

 

「確かに結構な成長だな」

 

「でしょう?あ、私の事は明命で良いですよ」

 

「なら私も春蘭で構わん」

 

ここでも新たな友情が芽生えたようだ。明命は更に春蘭に話しかける。

 

「ではこれから春蘭さんと・・・所で春蘭さん、猫はお好きですか?」

 

「まあ嫌いではないな。別段好きだという事も無いが」

 

「何でスト!?」

 

「い、一体何だ!?」

 

突然明命が叫ぶ。何か立ち昇っているオーラは気のせいだろう。

 

「春蘭さん、貴女は人生損してます!!」

 

「は、はあ?」

 

「猫、いえ、『お猫様』を好きではないなんて人生絶ッッッッ対損してますッッッッ!!」

 

「お、お猫様?」

 

「そうです!!」

 

ずずいと春蘭に顔を近づける明命。その瞳がキラキラと輝いているのは恐らく気のせい・・・ではない。というか本当に煌めいている。

 

「良いですか?そもそもお猫様というのは(以下、三十分以上かかるので略)と言うわけです。分かりましたか?」

 

「・・・(プスプス)」

 

春蘭の頭から煙が出ているのは決して見間違いじゃない。

 

「おろ?春蘭さん、どうしたんですか?」

 

「・・・ね、猫なんて嫌いだ・・・!!」

 

そしてトラウマも出来たようだ。

 

「・・・明命、何してるんだ、もう恋の死合は中盤だぞ」

 

「ええっ!?」

 

明命がお猫様談義(一方的)をしている間に、恋対天統の死合は中盤戦を迎えていた。

このまま書かないのは作者のプライドに関わるので、時間を三十分程巻き戻そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~三十分前~

 

「では、両者前へ!!」

 

「・・・」

 

「フッ、精々楽しませろ、雑種」

 

恋はずっと黙ったままで、天統は、まあ、いつも通りである。

 

「では、始めッ!!」

 

曹操はこれ以上天統を喋らせる気は無いのか、さっさと死合を始めさせる。

 

「・・・行く」

 

「フン、精々足掻け雑種」

 

天統の言葉と共に、彼の背後に無数の金の波紋が浮かび上がり、その中から幾百もの剣、槍が姿を現す。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)。天統は、今までこの力によって勝利して来た。連戦連勝、無敗である。

右手を挙げ、恋に向かって振り下ろす。その動作に従って幾百の武具が射出されていく。

 

「・・・」

 

恋は無言で弾いていく。いつしか、恋の周りには弾き返した武具の山が出来ていた。

 

「ハッ、武器を弾き返せたからといって調子に乗るなよ小娘」

 

((((((いや調子に乗ってるのお前だから))))))

 

そんな心の声など聞こえる筈も無く、天統は高笑いを上げながら武具を射出する。

 

「ハーッハハハハ!このまま果てるが良い!小娘!!」

 

「・・・飽きた。そろそろ本気出す」

 

「・・・何?」

 

天統が疑問の声を上げ、その()瞬後、恋を中心に爆発が発生した。

 

「何ッ!?」

 

爆発の中、恋は涼しい顔で立っている。否、()()()()()()()立っている。

 

「・・・『飛将軍』改め『火焔巫女(ほむらみこ)』呂布、行く!」

 

新たな二つ名を名乗り、方天画戟を背負って天統に向かって高速で近づいていく。両手は何かを高速で組んでいた。

 

「クッ、調子に乗るなと言っているだろうが!小娘!!」

 

天統の背後にある波紋が増え、新たな武具が射出されていく。恋は全く冷静のまま、空中に跳び上がった。

 

「・・・火遁・豪火球の術」

 

恋の口から直径が等身大の火球が放たれ、射出された武具を蹴散らしていく。その光景に竜は驚く。

 

「性質変化・火遁か!クソッ、忍術使えんのが他にも居たのか・・・!!」

 

「その口振りからして、たつピーも使えんの?」

 

「親父が転生者で『白眼』持ちだったからな。凪も貰った」

 

「なら呂布ちゃんのお父さんも転生者かもね。ほら、彼女の目」

 

道昭に促され、竜、佑、一刀、祐司は恋の瞳を見る。

 

赤く染まった瞳に、二つの勾玉模様。

 

「・・・ありゃ『写輪眼』か?」

 

「うわ、恋姫の面影全然無いじゃん」

 

「・・・こら天統負けるな。っつか呂布ちゃんが忍術持ちとかホンマチートやわ。こら\(^o^)/オワタ」

 

「これで『軍神五兵(ゴッドフォース)』とか持ってたら最強チートだね」

 

祐司、一刀、佑、道昭の順に発言し、竜は佑にのみ突っ込む。

 

「顔文字使うな」

 

突っ込みは聞かなかった事にして視点を戻そう。

 

恋は射出される武具を全て避け、「轟」という文字が見えそうな程の熱気を放ちながらかなりのスピードで天統に近づいてく。天統の顔には焦りが浮かんでいる。

 

「ぐぬッ・・・おのれえええええ!!」

 

天統は叫びながら、波紋から一振りの剣を取り出す。

否、それは「剣」と言うには余りにも形状が歪だった。

刀身は無く、赤いくの字型の模様が浮かんだ黒い円筒状の物体が三つ付いている。言わば突撃槍のような形状だった。

 

 

――――乖離剣エア。彼の英雄王、ギルガメッシュが愛剣である。

 

 

「回れ、エアああああああ!!」

 

本来ならば、エアが回れば周囲に莫大なエネルギーが発生し、赤い渦状の閃光が迸る。だが、彼の魔力操作技術は最低ランク。エアに流し込もうとする魔力の殆どは零れ落ち、刀身を回す事は出来ても、薄い赤のオーラを纏わせるだけで精一杯だった。

 

「おおおおおおおおおおおおッ!!」

 

咆哮を上げながら恋と激突する。恋は方天画戟に炎を纏わせ迎撃する。

 

―ガキイッ!―

 

―ギャリイイィィ!!ガッ!ガキン!!―

 

そんな耳障りな音が響き渡る。回り刀身に巻き込まれて方天画戟の刃が欠けてもおかしくは無いが、方天画戟は強化されているのか傷一つ付かない。

 

「・・・バカなッ!!この我がッ・・・」

 

天統は必死でエアを振るうも、恋には悉くが受け流されていく。

 

「このような・・・登場人物(にんぎょう)如きにいいいいいいいいいいいい!!」

 

振るう。振るう。振るう。ただただ無様に振り続ける。

 

「お、のれええええええええ!!」

 

振るう。振るう。振るう。だが、弾かれる。

 

「おのれええッ!!おのれ己おのれオノレオノレおのれ己ッ、おのれおのれオノレおのれえええええ!!おのれ己オノレおのれおのれッ、オノレ己おのれええええええええええええええ!!」

 

―ガキイイイイン!!―

 

一際大きい金属音が響き、天統の手からエアが弾き飛ばされた。

 

「ぐうッ・・・!!」

 

天統は悪足掻きを試み、後ろ向きに走る。だが恋がそんな天統を見逃す訳も無く。

 

「・・・フッ!!」

 

天統の黄金に輝く鎧の腹部に、炎に包まれた恋の方天画戟が減り込んだ。天統は、偉大なる科学者達が発見した慣性の法則に従って吹き飛んだ。彼の身体は竜の真横を通り過ぎ、後方に居た兵士をボウリングのピンのように弾き飛ばす。

 

「・・・・・・ッ!!しょ、勝者、呂布!!」

 

衝撃の光景に気を呑まれていた曹操がハッと我に帰り、呂布の勝利宣言を出す。歓声は全く聞こえない。

そもそも、音さえしない。完全な無音の世界。風さえも、鳥さえも、地球さえも静まり返ったように。

 

その無音の世界に、パンパンパンと、拍手の音が響き渡った。

 

音の出所は、虎牢間、屋上。この場に居る全員がその方向を向く。

 

「いや~、恋、ホント強くなってるわね。っつかあの金ピカ綺麗に吹っ飛んだわね。流石のアタシも度肝抜かれちゃった♪」

 

テヘペロッ☆と笑う彼女。それに向かって放たれる言葉は勿論――――

 

「テヘペロの使い所が違う」

 

――――ピントのズレた、竜のツッコみだったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「GUMI・・・?」

 

竜の突っ込みに再度固まった周囲を気にせず、佑が呟く。

確かに、彼の目線の先に居る少女は、寸分違わずボーカロイドのGUMIの顔だ。髪の毛が緑と紅という違いは有るが。黒いコートを羽織っている。

 

「恋ちゃん鍛錬欠かさず続けてるようね。おねーちゃん安心☆」

 

「何かウゼェ・・・」

 

祐司の呟きに大多数が共感する。

 

「おっとっと、自己紹介、未だだったね。アタシは『黒狗』。気軽にクロちゃ――――ダメダメダメそれだけはダメ絶対ダメアタシはあの高い声のハゲじゃない・・・」

 

自己紹介の後にその場で思いついた愛称を言おうとしたが、顔を青褪めさせて首を振り出す黒狗。

確かに彼女はあの赤い褌の団長とハスキーボイスのハゲと大食いデブの芸人三人組の一人ではない。

 

()()()()()()黒狗殿・・・ってか。で、テメエが俺の対戦相手・・・で良いんだな?」

 

()()()()()()楽蛟さん♪アタシがアナタの対戦相手よ」

 

「はじめまして」の部分だけ強調して言葉を交わした後、じっと二人は見詰め合う。そして――――

 

「「クッ・・・ハハハハハハハハハハ!!」」

 

二人して突如、笑い出した。

 

「え、お、たつピー?いきなりどうしてん?」

 

「黒狗もだ・・・何がそんなに可笑しいんだ?」

 

佑が竜に、華雄が黒狗に言葉をかける。

 

「いや何・・・ただ、三文芝居に耐え切れなかっただけだ、ハハッ」

 

「アタシもよ・・・ククッ、あーあ、ダメだこりゃ」

 

一頻り笑った後、二人同時に言葉を交わす。

 

 

「久しいな、『零』」

 

 

「アンタもね、『竜』」

 

 

「「「「!!」」」」

 

二人の言葉に、明命、恋、凪、焔耶の四人が反応する。

 

「貴方・・・今零の真名を許可無く呼びましたね?」

 

「許さない・・・!!」

 

「貴様、兄様の真名を気安く呼ぶとはどういう了見だ!!」

 

「覚悟出来てんだろうな・・・!!」

 

突然殺伐とした雰囲気になるが、四人を零と竜が引き止める。

 

「大丈夫よ明命、恋、竜とは『この世界じゃ初対面』だけど『親友』だから」

 

「凪、焔耶、二人も落ち着け。俺は構わん」

 

「零、でも・・・」

 

「零姉・・・?」

 

「しかし兄様・・・」

 

「竜、それはどういう・・・」

 

「ちょ、たつピー、あの女が零やて!?んなアホな話が有るかい!!」

 

「そうだぞ竜、第一零は『男』だろ?」

 

そこに佑が疑問の声を上げる。一刀もそれに賛同する。対して道昭と祐司は何か気付いたような顔をする。

 

「成程、盲点だった」

 

「別におかしかねえか・・・」

 

「え、道昭、祐司、どういうことだ?」

 

一刀が疑問に思って道昭と祐司に問いかける。それに答えたのは竜だ。

 

「佑・・・分かってるか、俺達は『転生者』だぜ?」

 

「んな事分かっとる!でも、あの女が零やなんて、そんなん性転換でもしな――――!?」

 

そこまで言って佑は気付く。一党は未だ首を傾げたままだ。

 

「え、佑、どういう事なんだ?」

 

「成程な、確かに盲点やわ。ええかかずピー、ワイらにとって、零は『親友』で、たつピーの『従兄弟』やったやろ?」

 

「ああ、けど、それに今一体どういう意味が――――」

 

「話は最後まで聞き!ええか、零はたつピーの従兄弟や。それには前提条件として、零が『男である』必要がある。でも、あの女が零である事は間違いない。何でか。ほら、良く二次創作なんかで見るやん、死んだ男が『美少女』になって生まれ変わる話」

 

一刀も漸く気付く。

 

「・・・TS転生、ね。つまり、あのGUMIモドキは零がTSした姿って事か」

 




基準「何か最後の方グダグダになっちゃったな・・・」

零「しょうがないよ。それが作者の限界だよ。諦めな」

基準「それは慰めてるのか貶めてるのかどっちですか!?」

零「ちょ、今の善意100%だよ!?何故に!?」

基準「自分で作ったキャラだけど、君って結構真顔で嘘付く事あるから警戒しないと」

零「確かに自分で作ったキャラだよね・・・」

基準「まあ、ね。っつーことで『戦士と悪魔の外史旅行』ー!!」

零「おろ?今日は短いね?」

基準「後でステータスを更新しないといけないからね。後設定したOPも」

零「設定してたんだ。じゃ、次回もヨロシク!!」


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第弐拾弐話 ゼロとドラゴンのデュエット

試験期間中の癖に何してんだオレエエエ!!







駄文ですが本編どうぞ。後、拾伍話の一部(ホントごく一部)を変更しました。
5/24 改訂しました。


「・・・TS転生、ね。つまり、あのGUMIモドキは零がTSした姿って事か」

 

一刀は呆れたような声で呟く。まさか親友が「女」に、それも「GUMIモドキ」に転生しているとは思っていなかった。

 

「コラコラコラ、GUMIモドキとは失礼な。アタシにはちゃんと呂天っていう名前が有るんだから」

 

一刀の言葉に反応して零は自分の言葉を思い出させようとする。自分が黒狗と名乗り、本名を教えていない事に全く気付いていない。それに佑が竜とは違った的確な突っ込みを入れる。

 

「今初めて聞いたで、零」

 

「あり?そだっけ?」

 

米神に右の人差し指を当て、可愛らしく首を捻る零。不覚にもドキッとしてしまった男は多い。

そんな中、御使い組(天統は気絶中)が感じた事は、萌えと同時に「アレは本当に男だったのか!?」という魂の叫びだ。声には出さないが。

 

「今聞いたんなら、自己紹介しとくべき?じゃあ改めて。はじめまして――――って言っても、『久しぶり』の方が多いかな。アタシは呂天、字を地洋。七大御使いの最後、『漆黒の御使い』だよ」

 

「んなこた分かってる。で、零、テメエがそこに居るって事ァ、董卓軍側てこったな?」

 

「当たり前じゃん竜?ほら、予言にも有ったっしょ?『漆黒の御使い、暗黒を以て月と蒼天を守護し、紅炎と疾風を従えて鬼神の如く戦場を駆け抜けん』って。『月』は董卓を、蒼天は漢王朝を表してるに決まってんじゃん」

 

「『紅炎』と『疾風』は呂布と周泰だな。『暗黒』は黒狗って名前の事か?」

 

「ああ、違う違う。黒狗は仮。月影の『虐殺者(スラウタラー)』ってアタシだから」

 

零の言葉に連合の全員が思い思いの表情を出す。素直に驚く者、恐怖に怯える者、はたまた隠していた事に怒る者・・・

竜は素直に驚く者の一人だ。

 

「へえ・・・じゃあテメエが『黒狼』だったのか」

 

「そ。アタシとしては『虐殺者(スラウタラー)』より『狩人(ハンター)』って名乗りたいんだけどね」

 

「『狩人』・・・あれか、堕ちた奴らを狩るのか?」

 

「まあね。完璧に『クロ』になった奴らにゃ『負力』が溜まってるみたいだから、狩って『吸収してた』らいつの間にか『虐殺者』って呼ばれるようになってて――――どったよ竜、そんなに冷や汗流して」

 

「・・・・・・・・・・・・(ダラダラダラダラダラダラ)」

 

零の目が竜に留まる。主観的に見ても、客観的に見ても、竜の体からはダラダラと大量の冷や汗が噴出していた。竜は一言。

 

「・・・・・・・・・・・・シゴトワスレテタ」

 

零が気弾を撃ち込んだのはしょうがない事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・兎に角このアホは置いといて。おっひさ呉の皆!!二年振り?華琳達も元気そうだねえ」

 

気弾を撃ち込まれて気絶した竜は凪と焔耶に回収され、零は顔馴染みのメンバーに声を掛ける。顔馴染みとは勿論呉のメンバーで、曹操――――華琳とは傭兵団として雇われていた時の仲だ。勿論、南浦夫婦、道昭、天統の馬鹿とは初対面だ。

 

「マテ、未だ夫婦じゃねえから」

 

「将来夫婦になる事は認めるんだね?」

 

「道昭チット表出ロ」

 

「ここ外だよ」

 

「揚げ足取んな!やんのかゴラ!!」

 

零を置いて夫婦漫才w「「誰が夫婦だぬっ殺すぞ!!」」竜と違って、地の文に突っ込みを入れられる程元気なようだ。

 

「ケッケッケ、やっぱユーとミチはいつも通り元気だね。ね、雪蓮に華琳?」

 

悪魔フェイスで雪蓮と華琳に話を振る。

 

「「Q:何でそこで私達に振るのよ」」

 

「A:アタシが非常識だから」

 

「で、一刀くーんはあ・・・原作ハーレム種馬は蜀か」

 

「原作ハーレム種馬って何!?」

 

「あり?知らないの?恋姫の()()()()()()って一刀なんだよ?」

 

「本来・・・?」

 

佑が首を傾げる。突然親友が「本来の主人公」と呼ばれて疑問に思わない筈が無い。

 

「じゃあ、説明しようか。御使い組の皆は、『春恋*乙女』は知ってるよね?」

 

――――春恋*乙女。正確には、「春恋*乙女 〜乙女の園でごきげんよう。〜」という名称の、BaseSonより発売された十八歳未満購入禁止のパソコンアダルトゲームソフト。恋姫†無双の前作に当たる。

 

「当たり前や。こちとら伊達にやり込んでへんねんで。聖フランチェスカ学園全女生徒攻略済みや」

 

「それはテメエだけだバッカヤロー。俺達はテメエに無理矢理教えられたんじゃねえか。同類にすんな」

 

佑の言葉に手厳しい言葉を投げつけて打ち落とす祐司。一刀と道昭と竜はブンブンと首を縦に振っている。そして一刀が真っ先に竜に気付いた。

 

「・・・あれ?竜いつの間に復活?」

 

「ついさっき。で、零、『春恋*乙女』に今何の関係が有るんだ?」

 

「それを今から説明するのよ。ねえ佑、『聖フランチェスカ』って聞いて、面白いと思わなかった?」

 

「思った思った。ウチの学校と同じやったもん、名前」

 

「そりゃそうだよ。だって、ウチの母校こそ、『春恋*乙女』に登場した聖フランチェスカ学園その物なんだもん」

 

「その物やて?そら一体どーゆう・・・」

 

佑が何度目かの疑問の声を上げる。自身の母校が作中の学校だと言われて疑問に思わない訳が無い。そして作者はこの文に既視感(デジャヴ)を感じている。

 

「だからそのまんまの意味よ。アタシ達が通ってた我らが聖フランチェスカ学園は、本来は『春恋*乙女』に登場した()()()学園の聖フランチェスカ学園なの」

 

「・・・ワイらが登場人物なんか?」

 

「『春恋*乙女』の()()()主人公は我らがハーレム野郎の友人早坂(はやさか)章仁(あきひと)。そしてルート毎のヒロインが、妹の羽未(うみ)ちゃん、三年の不動(ふゆるぎ)如耶(きさや)先輩と楠原(くすはら)彩夏(あやか)先輩、同じクラスの芹沢(せりざわ)結衣佳(ゆいか)ちゃと織戸(おりと)莉流(りる)ちゃん、一年の桐生(きりゅう)ソーニャちゃんの計六人。後ヒロインじゃないけど早坂と関係持つのが一年の真宮(まみや)璃々香(りりか)ちゃんだとよ」

 

佑は零が言った七人の名前を反芻して、何かに気付く。

 

「・・・もう全員関係持っとるやん」

 

「マジ!?アタシらが生きてた頃は先輩オンリーだったけど!!」

 

「ん、一ヵ月後にその七人になったで」

 

衝撃の事実。零はフラリと一回転し、屋上で綺麗な「orz」の形になった。

 

「あのヤロォ・・・いつか締める(コロス)

 

「マテ今物騒なルビが見えてんけど!?」

 

「それから「スルー!?」煩い。で、早坂の悪友として登場するのが佑、アンタよ」

 

「佑もか、それはそれはwwwwwwww」

 

「たつピー!?んな笑い方ヤメテ!!ワイはハーレム男ちゃうで!!」

 

Wを八つ使った笑い方で竜が佑をおちょくる。佑はそんな竜に懇願。しょうがないからと竜は笑うのを止めた。

 

「大丈夫だよ。佑にヒロイン居ないから」

 

「それはそれでショックやな・・・」

 

「んで、『恋姫†無双』。主人公は北郷一刀。聖フランチェスカ学園に通い、及川佑はその悪友」

 

「なぜ簡単に済ませる・・・」

 

「竜君や、答えは一つしかなかろう。時間が無いからだよ」

 

竜の言葉をバッサリ切り捨てる零。言葉を続ける。

 

「まあつまり?アタシ達は『春恋*乙女』と『恋姫†無双』の登場人物な訳。お分かり?」

 

「おい、俺と道昭、安里の名前が出てねえぞ。それにお前と竜も」

 

「本来の『正史』にゃ居ないキャラなんよ、アタシ達。さーて、無駄話はこれっ位にしてえ?ゴホン・・・楽蛟氏、一つ、お頼みしたい」

 

今までの軽~いノリを止めて、突然真面目な表情になる零。呼ばれた竜は真面目な顔をして次の言葉を待つ。

手を顔の前で合わせて一言。

 

「この勝負、アタシに勝ち譲ってくんない?」

 

シリアスは五秒しか続かなかった。

 

「・・・は?」

 

目を丸くして固まる竜。見れば、その他大勢も似たような感じだ。

 

「いやそのままの意味。この勝負棄権してくれって話。お分かり?」

 

「・・・何で?」

 

「いや無駄な労力使いたく無いし」

 

『『『理由はそれ!?』』』

 

一斉大合唱で突っ込む全員。竜は勿論断ろうとしたが――――

 

「棄権してくれたら洛陽の激辛マーボー奢るよ」

 

「何をバカな事を。兄様がその程度の事で悩むとでも?ねえ兄さ――――兄様?」

 

凪が鼻で笑い、竜の方を向けば、竜はブルブルと震えていた。怒りを溜めているのだろう。そう思ったのもつかの間、

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドウシヨウ」

 

 

 

『『『悩んでたんかいッッ!!』』』

 

またもハモる皆さん。御使い組は納得の表情。

 

「アー、ヤッパリナー」

 

「だろうと思った・・・」

 

「はあ、竜も変わらないね」

 

「流石やな竜。ある意味感動するわ」

 

「あはは・・・相変わらずですね」

 

上から、一刀、祐司、道昭、佑、安里の順で発言する。安里に孫策が質問する。

 

「え、安里、どういう事?」

 

「竜さん、さっき言った(前話参照)ように料理(さいしゅうけっせんようかがくへいき)の一撃に遭ってまして、その反動でやたらめったらな辛い物好きなんです」

 

「・・・そんな事で?」

 

「『そんな事』だとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!?!?!?!?」

 

「ハイイイイッッ!?!?」

 

突然大声で叫ぶ竜。この場に居る殆どが一瞬地面から三センチ程飛び上がった。

 

「良いか孫策ゥ!?あの料理(さいしゅうけっせんようかがくへいき)を食った事が無いからんな事が言えんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!・・・それに比べて辛い料理は良いな。あの刺激が堪らん」

 

怒鳴り散らしたかと思えば、一瞬で沈静化して幸せそうな雰囲気を出す竜。こんな竜は凪でも初めて見たらしい。目をまん丸にしている。

 

「辛いものの為なら例え火の中水の中ああああああああああああああああああ!!・・・あ、勿論凪と焔耶の方が大事だぞ?二人の為なら例え火の中水の中台風の中雷の中土の中人食い植物の中。あ、人食い植物は実際有ったな」

 

「こんな所で惚けるなアホ竜」

 

『『『ツッコむ所はそこじゃないッッ!?』』』

 

またもやシャウトし、その後に惚け始めた竜に零が突っ込む。その突っ込みに全員が突っ込む(凪と焔耶は顔を赤らめてイヤンイヤンとくねっている)。

 

Q:普通人食い植物の中に入った事に突っ込むべきでしょ!? by雪蓮&曹操

 

A:零は非常識だからそんな常識通用しない。 by御使い組一同

 

そんなやり取りが有ったとか。

 

「しかし・・・・・・・・・・・・棄権するべきかするべきでないか、そこが問題だ、ああ悩む・・・」

 

「いやいや、兄様!?危険なんて持っての外でしょう!?武人としての誇りをお捨てになる気ですか!?」

 

「誇りは捨てたくない・・・でもマーボー欲しい・・・」

 

「兄様!!」

 

凪の説得に段々と竜の気持ちが欲望から遠ざかっていく。このまま、このまま・・・!!といった気持ちが連合に広がっていく。そして、竜は誘いを蹴り、零と戦う事を決意した。それをいつの間にか目の前に居た零に伝えようとして――――

 

 

「今なら何と『外道神父ソンマーボー』を食い放題!!勿論代金はアタシ持ち」

 

 

「交渉成立今後ともヨロシク」

 

 

――――ガッチリと握手を交わした。

 

『『『おいいいいいいいいいいいいいい!?!?』』』

 

戦場に大人数の大声が響き渡る。そんな中、御使い組男四人はどこか達観したような表情で竜を見ていて、竜と目が合う。

 

「・・・」

 

「「「「・・・」」」」

 

「・・・・・・」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「・・・・・・・・・」

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」

 

「――――――――お前らも食うか?」

 

「「「「食うかッ――――――――!!」」」」

 

お約束だ。

 

「ん゙ん゙ッ!で、零、棄権するから勝負はお前らの勝ちって事で――――」

 

気を取り直して、竜が勝負の棄権を宣言し、董卓軍の勝利を宣言しようとするが。

 

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――――!!」

 

 

 

突如として響いた咆哮に中断せざるを得なかった。

 

「あ?何だ?」

 

後を振り向いて竜が見たのは、どう見たって錯乱状態にある天統の姿。

 

「オ・・・レ、ハ・・・!最強、ノ、天ノ御、使イダ・・・!!常、勝不敗ノ・・・英雄、王ナ、ンダ・・・!!」

 

目は既に何も映してはいない。言葉もたどたどしく、鬼の形相で恋を睨んでいる。

 

「我ガ負ケルナド・・・有リ得ンノダアアアアアアアアアアアア――――――――!!」

 

その咆哮と共に、彼の体から赤黒いオーラが立ち昇っていく。魔力が暴走しているのだ。

 

「ちょっと天統!!止めn「黙レエエエエエエエエエエ――――――――!!」キャアッ!?」

 

曹操が天統を止めようとするも、一切聞く耳を持たない。そればかりか、「王の財宝」を展開し、四方八方に乱射し始めた。

 

『ひ、ひいいいいいい!!』

 

『助けてくれええええええ!!死にたく無いいいいいいい!!』

 

『ああああああ!!腕がああああああ!!』

 

パニックになって泣き叫ぶのは殆どが袁紹軍の兵だ。だが、天統は曹操軍に程近い場所に居る。被害に会うのは専ら曹操軍の兵だ。

 

射出された武器によって、戦場に幾つも存在する(くび)から(あか)い血の華が咲き乱れる。

さながら阿鼻叫喚。血の華が咲く度に頸の残骸(かふん)が飛び散り、グチャリと嫌な音を立てる。

また一つ、また一つと脳髄が弾け、心臓が地面を転がりながら鼓動を打ち、千切れた腕が生を求めて人の身体に掴みかかる。

 

―ヒュッ・・・ポトリ―

 

「え――――ヒッ!!きゅう~・・・」

 

桂花は、足元に飛んで来た種子(がんきゅう)と目が合ってしまい、悲鳴を上げる間もなく気絶した。

 

「あんのクソ野郎!!錯乱するなら他所でやれ!!」

 

「「同感です/だ!!」」

 

悪態を吐きながら竜が飛来する武器を叩き落す。凪と焔耶も何とか叩き落していく。

一刀達は一刻も早くここから離れるよう命令を出している。

 

「■■ハ■ハ!!我ハ最■ョウナ■ダアア■■アアア■■■アア!!」

 

天統の言葉の所々にノイズが走り、どんどんエスカレートしていく。

 

「■■■ハハ■■■ハ■■ハハハ!!呂■ゥゥゥゥゥ!!死■エエエエエエ!!」

 

恋目掛けて大量の武器が射出されていく。恋はそれを弾こうとするが――――

 

「――――ぐッ!!」

 

突然右足首を抑えて蹲る。よく見ると、右足首から血を流している。傷口は毒々しい紫色に変色している。

 

(い・・・た、い・・・掠ってた?毒・・・?)

 

恋の推測は当たらずとも遠からず。正確には毒ではなく、天統の暴走した魔力が毒性を持った物。魔力は恋の傷口から侵食し、足の気を澱ませ、激痛を引き起こしている。

そんな恋を気にせず、武器は非情に襲い来る。恋は咄嗟に方天画戟を前に構えるが、それより早く人影が目の前に降り立った。

 

 

 

「――――熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)ッ!!」

 

 

 

突如現れる七枚の花弁。飛来する武器を悉く弾き返し、花弁を展開する零は恋に笑いかけた。

 

「恋、大丈夫?」

 

「ありがと、零姉」

 

「どういたしまして。可愛い従妹(いもうと)を守るのは従姉(あね)の役目だからね♪」

 

零は花弁から手を離す。花弁は自然に粒子に還元され、消滅した。

恋の傷口に右手を当て、何かを呟く。右手からぼんやりと光が放たれ、傷をどんどん治していく。傷が完治すると、恋の頭を撫でて零は立ち上がった。

零はコートを脱いで、戦闘態勢を整える。コートの下には、白い部分が黒く、黒い部分が赤く染まった「インビジブル」の服装だった。

コキコキと首を鳴らす零に竜が呆れたように声を掛ける。

 

「・・・今の、熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)だな。忍術使えて写輪顔プラスで更に『無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)』とかどこの無理ゲー?」

 

「あ、投影出来んのは『干将・莫耶』と『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』、そこらの剣とかだけだよ?宝具の『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』は出来ないから『鶴翼三連』は出来ないし、魔力回路は十本しか作ってないし」

 

「十分チートだと思うが」

 

「キサ■キサマ■サマアア■■■■アア!!オ■ノジ■マヲスル■ハバ■シニアタ■ス■ウウウウ■■■■!!」

 

天統がノイズ混じりの声で怨嗟の叫びを上げる。零と竜はそれを聞いて顔を顰めた。

 

「もう狂戦士(バーサーカー)ね、こりゃ」

 

「まあ?凪と焔耶にも被害及びかけたし?零は呂布が傷付きかけたんだから、やるこた決まってるよなァ?」

 

「勿論!勿論――――」

 

言葉を交わしながら天統に向かい合う二人。そして、原子を操るお嬢様と、全てを反射するアルビノの最強の言葉を借りるとするなら――――

 

 

 

「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね♪」

 

 

 

「スクラップの時間だぜェ、クッソ野郎がアアアッッ!!」

 

 

 

天統は、最強の御使い(シスコン)の怒りの引き金を引いたようだ。

 

「「作者、テメエ、死体決定だ」」

 

メタるな。死体にしたら続きが書けなくなる。

 

「「チッ・・・」」

 

気を取り直して、零は「干将・莫耶」を、竜は三本の愛刀を構える。天統は狂ったように、否、狂った叫びを上げ、宝具から投影品の「絶世の名剣(デュランダル)」を取り出し、左手に持つ。右手に持つのは勿論エアだ。

 

「■■■■■■■■■■■■――――――――!!」

 

天統は咆哮を上げながら零に近づき、デュランダルを振り下ろす。だが、力任せに振り下ろしただけの一撃では零に傷一つ付ける事は出来ない。あっさりと流され、竜がバッティングの要領で力任せに胴へ刀を叩き込む。

力任せの点では同じだが、竜はしっかり狙いを定め、身体全体をバネにしている。綺麗に決まった一撃はまたもや天統を吹き飛ばす。

 

「■ッ、ガ■アッ!!グッ、キ、キ■マ■ッ!!■■■■■■■■――――――――!!」

 

天統は起き上がってまた突っ込んでくる。零は簡単な短剣を投影し、天統に向かって投げる。短剣は天統が弾いた瞬間爆発し、彼の視界を遮った。

天統はエアを回転させ、その勢いで爆風による煙を消し飛ばす。次の瞬間に見たのは、刀に何らかのオーラを纏わせた竜が身体を捻って技を繰り出す瞬間だった。

 

「三刀流・・・二剛力斬(ニゴリザケ)ェ!!」

 

またも吹き飛ぶ天統。最早これは勝負ではなく、一方的な蹂躙だ。

 

「・・・ねえ竜、そろそろ本気、出してみる?」

 

飽き飽きしたように零がそう言う。もう何度目か分からないが、竜がまた呆れる。

 

「・・・お前、持ってきたのかアレ」

 

「ん。今明命に預けてる」

 

「おーおー、零にたつピー、本気出してさっさと天統(ソレ)、潰してもーてーな」

 

と佑が横槍を入れ、その佑に白蓮が声を掛ける。

 

「なあ佑、今の二人は本気じゃないのか?」

 

「そやで。二人の本気は或る特定の条件下によって発動する。ソレが、今周泰が持っとるアレ――――CDレコーダーや」

 

そう言って佑は明命が持つレコーダーを指差す。余りにも場違いなソレ。だがソレが、零が本気を出す為の始動キーになる。

 

「じゃ明命、009番流してー」

 

「はいはい」

 

ポチッと、明命が再生ボタンを押す。スピーカーから流れ出すのは、ドラムとベースの音。

約十秒後にギターが鳴り始める。その十秒後。

 

「「Ah――――――――!!」」

 

二人して大きく叫ぶ。「One,Two,OneTwoThreeFour!」と言う掛け声と共に、零が歌いだす。

 

♪「散弾銃とテーレキャスターこ、とばの整列アーンハッピー!」

 

「今日は『アンハッピーリフレイン』ね。歌い出しはまあまあか」

 

「ちょ、祐司、アレ、何?」

 

審査員のように祐司が意見を言い、孫策が祐司に声を掛ける。

 

「佑が言ったろ、あいつら二人の本気は『或る特定の条件下によって発動する』って。それがアレ、『歌』だ」

 

「歌・・・?」

 

「何故か昔っから、歌を流しゃあ強いんだよ。今は自分で歌ってるがな。本気を出す条件にゃ別のモンも有るが、今回はアレらしい」

 

周囲を気にせず二人は歌う。片方が歌っている間にもう片方が天統に攻撃を仕掛ける。今までとは違う動き、天統は翻弄されていく。今は竜のパートだ。

 

♪「ワンマンライブだーい成功ー!!あったまの中は少女漫画!!」

 

どこから取り出したのか、自前のマイクで大熱唱する(さけぶ)竜。正直煩い。

 

「ああもううるっせえな!!ちっとはボリューム下げれんのか!!」

 

そんな祐司の怒りの叫びも馬耳東風。彼らの歌声は全体に響いていく。

天統への蹂躙戦は、もう蹂躙ですらない。唯弱者を甚振るだけの簡単な作業だ。

 

「■■■■■■■■――――――――!!」

 

天統の叫び声でさえ聞こえない。二人の歌は、確実に、戦場全体を飲み込んでいく。

 

「上手い・・・」

 

曹操がボソリと呟く。初めて聞いた筈の激しい歌。唯の騒音と取られかねない二人の歌は、何故か今まで聞いたどの歌より良い物に聞こえた。

 

「零と竜のデュエットな、最強やでホンマに。何歌ったって上手い」

 

そして、曲は最後のサビを迎え、天統は、いつの間にか倒れ伏していた。

 

「あーッ!!ひっさびさに歌ったー!!」

 

「久しぶりだったから心配だったが、まあいけたな」

 

天統はピクリとも動かない。完全に気絶しているようだ。ハッと我に返った曹操がすぐさま天統を捉えるように指示を出そうとするが――――

 

―パンパンパン―

 

『いやはや、中々良い歌でしたね。危うく呑まれる所でした』

 

突然響く声。感心したように言う声は、嘲笑の波動を含んでいた。

 

「・・・誰?顔見せてよ」

 

『これは失敬。こちらですよ』

 

声の聞こえる方向に顔を向ける。「彼ら」は、真上の()に居た。

 

「自己紹介と致しましょう。私はナエム。ナエム・アスティクという者です」

 

「夜咄ディセイブ」に出てくる仮面を付けた道士風の男がそう名乗る。

 

「・・・トリューグ・イジャスだ」

 

同じ仮面を付けた白髪の少年が不機嫌そうに名乗る。

 

「・・・で、アンタら二人は何しに来たの?」

 

「いやなに、貴方の抹殺を命じられて来たんですよ、『佐久間零』さん?」

 

ナエムと名乗る男が、知らない筈の零の「本名」を知っている。零は警戒を強めた。

 

「へえ・・・アンタ、『管理者』?」

 

「『元』が付きますがね。先程言った通り、貴方の抹殺を命じられて来たんですが・・・今は流石に分が悪い。大人しく引き下がるとしましょう。トリューグ、彼を」

 

「オレはお前の駒じゃねえんだよ・・・ったく・・・」

 

トリューグは仏頂面をしながら動いた。いや動いた素振りも見せず、肩に天統を担いでいた。

 

「いつの間に・・・!!」

 

「アタシらが視認出来ない速さで動いたわね、しかも空気を殆ど()()()()()()

 

写輪眼を発動させていた零が結論付ける。

 

「ちょっと!!天統(バカ)をどうするつもり!!」

 

「元々コレの確保がミッションだったんです。佐久間零の抹殺は出来るならですよ。それと顔合わせも」

 

「・・・アタシらを殺したのって、アンタらの差し金?」

 

「正確には『ツグ』様のご命令です。時間も押しているのでコレくらいにしておきましょう。御機嫌よう、佐久間零に佐久間竜」

 

「・・・お前らは、いつか、殺す」

 

天統を連れ、二人は一瞬で消え去った。

 

「アイツら、一体何者・・・?」

 




竜「試験期間の癖に何投稿してんだ!!」

基準「いや~時間が空いたからね~」

零「ハッハー!アタシに負けず劣らず非常識だねー!!」

基準&竜「大丈夫、零並に非常識な人はこの世に存在しないから」

零「ソレヒドク無い!?」

基準&竜「はてさて何のことでしょう」

零「白々しいわボケ!!」

―ガチャッ―

恋「零姉、探した」

零「え、恋!?」

基準「どうやって入ってきた!?この空間には私と零と竜以外呼ばないと入って来られないのに!!」

恋「気合」

三人「気合で済むならセキリュティは要らない!!」

恋「ん・・・零姉、雪蓮が呼んでる」

零「もう真名交換したんだ・・・分かった、ちょっと待って、〆するから」

基準「それじゃ、『戦士と悪魔の外史旅行』!!」

竜「次回もまた読んでくれ!!」

恋「・・・また次回」

零「飛び入り参加ですか、朱に交わって赤くなりましたか」

基準「ちゃんと調教しないと」

零「三枚に下ろそうか?」


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第弐拾参話 シリアス既に無くなった、ここで処罰下そうか

side視点に試験的に戻してみました。それではどうぞ!!


side零

 

はい、何か久々のマイサイドです。作者がこっちで自信が付いてきたらしい、駄文に変わりないけどっと、メタはここで止めよう。

で、仮面野郎二人組が去って行った後の事なんだけど。

 

「おーっほっほっほ!!今こそ好機!身の程知らずの董卓軍を討ち取ってしまいなさーい!!」

 

馬鹿袁紹が(トラップ)カード「最終突撃命令」を発動したんだよ。え?罠カードじゃない?うん知ってる。ここはノリよ、ノリ。人生娯楽が無いとつまらないわよ。ふざけてる場合じゃないけど、コレが零クオリティ。

んで、袁紹が余りにも馬鹿な命令出すから、周りがほっとんど呆れ返っておりますハイ。例外は腰巾着の文醜と、子供っぽい袁術。

 

「・・・ねえ麗羽、それ本気で言ってる?」

 

「勿論ですわ!今こそ――――」

 

「あーもう良いわ、同じ事聞く気無いから」

 

華琳、貴女の選択はとても正しい(キリッ)。アタシも聞く気無いし。ほぼ本能&直感で動く恋ちゃんも呆れてるしね。

 

「・・・北郷・劉備軍、一抜ーけた」

 

「曹操軍二抜けします」

 

「三抜けは袁術と孫策軍で」

 

「ワイら四抜け」

 

「俺ら劉璋軍五抜け」

 

「えーっと・・・六抜け?」

 

「はあ!?」

 

一刀、道昭、祐司、佑、竜、馬超が順番に連合から抜けていく。袁紹(バカ)はバカ面を晒してる。

 

「ちょ、ちょっと皆さん!?何をいきなり――――」

 

『『『バカに付いて行く気が起きないだけだ』』』

 

見事なハモリで袁紹の言葉をぶった切る皆。いやー見てて気持ち良いね。

 

「ぐぬぬ・・・良いですわ!!貴女方如きの力を借りずとも、私達だけで戦いますわ!!」

 

『『『いやーソレは無理だろ』』』

 

「またですの!?いい加減にして下さいます!?」

 

うがー、と吼える袁紹。一体どこに起こる要素が有るの?皆が袁紹をおちょくってるだけじゃん(ソレが理由です)。

 

「フ、フン!強がっていられるのも今のうちですわ!!この戦に勝利した暁には、貴女方全員漢王朝に刃向かう逆賊として討伐して差し上げますわ!!」

 

強がってんのはアンタでしょ。そう思ってたら――――

 

『ふむ、漢王朝に逆らう逆賊とはお主の事を指しておると(わらわ)は思うのじゃが?』

 

聞き覚えの有る声にあるぇ?と思って後ろ見て――――はあ!?

 

「ちょちょちょちょちょ(あかり)!?何でいるの!?」

 

「何か悪いかの?」

 

「いやいやいやいやいやここ戦場よ!?危ないじゃん!!」

 

虎牢関の上に立ってる女の子に向かって叫ぶ。しょうがないじゃん。だって驚いたんだし。

 

「な、なななな・・・!!」

 

袁紹も驚いてる。しょうがないよね。だって――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『劉弁殿下』!?何故このような場所におられるのです!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『殿下ァ!?』』』

 

うん、漢王朝の小帝が居たらそりゃ驚くでしょ。

 

「何故と言われても・・・董卓が妾に仕えておるからではダメか?」

 

「いや居る理由にはなって無いから!!何で来たの!?」

 

「いや心配じゃったから、月に脅は――――もとい、お願いしてな、無理矢理来た。姉上も一緒じゃぞ!」

 

「脅迫ッ!?何か段々悪影響受けてない!?特にアタシの!!」

 

「分かっておるではないか」

 

「『分かっておるではないか』じゃねエエエエエエエ!!だからといって脅迫までしやがる小帝がどこに居らあ!!」

 

「ここに。ちゃんと自覚しておる」

 

「自覚してンなら尚性質(たち)悪ィわアアアアアアア!!」

 

照とのコントでアタシのモード一方さん、起動。何か唖然としてる周囲なんて気にしない!!

 

「ちょ、零!?貴女、陛下にそんな口利いて――――」

 

「構いませんよ。零とは友人ですから」

 

「劉協殿下!?」

 

雪蓮がアタシに文句(で良いのかな?)をいうも、それは(そら)――――劉協に遮られる。

 

「天ァ・・・照を止める事位出来ねェのかよォ・・・」

 

恨みがましく見詰める我が視線も空しく、天はスルーして袁紹に向かって口を開く。

 

「さて袁紹・・・何か申し開きは有るか?」

 

「無視すんなゴラアアアアアアアアアア!!」

 

雄叫びを上げてみるんだけど、動じない天。

 

「は・・・申し開き、とは?」

 

白を切ろうとする袁紹に、天は冷静に逃げ道を塞ぐ。

 

「調べは付いている。貴様が我が友である董卓の暗殺を企み、更には十常侍の出任せであると知りながら『董卓は洛陽の民に圧政をしている』などという理由で無辜の民に牙を向けた事はな。その名誉欲、感心できる」

 

「で、ですg「更に貴様、勝手に漢王朝の名を使い、我々にまで牙を向けているではないか。漢王朝に逆らう逆賊とは、貴様の為に有る言葉ではないか?」・・・・・・」

 

袁紹が完全に沈黙する。つかアンタ、月暗殺しようとしたの?

 

「では、今ここで命を出そう。董卓軍以外の兵よ、即刻武器を捨てよ。これは漢王朝の勅令である」

 

連合から抜けた六軍がすぐさま武器を地に投げる。袁紹軍は不満げな顔だ。バカは死ななきゃ治らない、良い言葉よね、アイツらみたいで。

 

「聞こえなかったか?これは『勅令』だ。貴様らに拒否権など無い」

 

あくまで冷徹に務める天。そんな顔も出来たんだね~知らなかった~。まあ?ここまで言われたら逆らう気なんて起きないっしょ。

 

「・・・そっ、そんな命令聞けっかよ!大体こんなトコに漢王朝の皇子が居る訳ねえだろ!!」

 

「そ、そうだよな!!そうだよ、あれは偽モンだよな!!」

 

前言撤回。救いようの無い馬鹿が板、じゃない居た。しかも百人程。

 

「へェ、天に逆らうたァイイ度胸してやがンなァ袁紹、エエ?」

 

「なっ!?これは私には関係あr「アレは元々テメェの兵だろォが。兵を従えンのは君主の責任だろォが。今更自分に関係ねェとかグダグダ抜かしてンじゃねェぞ!!」くっ・・・」

 

今更に責任逃避しようとした袁紹をぶった切ってみる。これが中々楽しいんだよね。

 

「で、天ァ、照ィ、あの馬鹿共、どォする?」

 

「勿論、決まっておるじゃろ!!」

 

「零、貴女の好きにして下さい」

 

念の為に天と照の二人に確認を取ってから、アタシは百人程の馬鹿を駆逐する為に懐から黒い笛を取り出す。

 

「お?零、そりゃ一体・・・つか、その喋り方何?」

 

「気が高ぶると自然にこォなる。気にすンな。で、コイツはなァ、こォやって使うンだ」

 

吹き口に口を添えて、思いっ切り吹き鳴らす。

 

―ピイイイイィィィィッッ!!―

 

笛には黒い波動が纏わり付き、邪気を発散している。竜は耳を押さえて若干引き気味だ。

 

「え、何かヤバげな雰囲気がするんでございますが・・・」

 

「フッフッフ、コレがアタシの最後の特典だァ。確り目に焼き付けとけよォ」

 

笛を額に近づける。黒い波動は次第にアタシの体にまで纏わり付き、身体を隠していく。アタシの額には、一本角の狼の顔。

 

「フーウ・・・シャアッッ!!」

 

右手を掲げ、振るう事で体に纏わり付く波動を振り払う。

 

漆黒の胴体、腰マントが風に靡く。

 

腕甲、脚甲は刺々しく、邪悪な形をしている。

 

アタシの胸に輝くのは血のような(あか)の宝石。ソレを中心に身体全体に赫いラインが走る。

 

狼の耳のような飾りが付き、額からは赫に輝く一本の角。

 

荒々しくも優雅に、女性の曲線を描いた鎧は、美しくも邪悪な印象。

 

コキコキと首を鳴らして、右手に三日月剣を携えて、名乗る。

 

「董卓軍総大将、黒狼の虐殺者、狼鬼!!いざ参る!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side竜

 

・・・ん?俺視点か?えー、今、零が一騎当千ならぬ一騎当百をしている所だ。ザ・ワンサイドゲーム。

いや突然変身した時は驚いたな。ついつい「ナンダドゥル!?」って叫んじまった。狼鬼って零だったんだな。

零の特典って、制限付き「無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)」に、鬼の能力か。

・・・結構チートじゃね?

 

「ハッハー!何だ何だよ何ですかァそのザマは!!腕に自身有るンじゃねェのかァ!?ヒャーッハー!!」

 

「ひ、ひイッ!ゆ、許してくれえ!!」

 

「アア!?許す訳ねェだろ!天と照にケンカ売るって事ァ、アタシに殺される覚悟が有るって事だろォ!?ンならさっさと殺されろォ!!」

 

「ひ、ひいい・・・」

 

・・・めっちゃ悪役じゃん。一方通行語も相まって完璧中ボスにしか見えませんぜご主人!!

何かやり過ぎそうな気がするなー。早く止めないとなー。

 

「・・・まったりお茶飲んでそんな事思ってるなら行って来て下さい。別に止めませんよ」

 

「最近凪が冷たいぃ・・・とうとう反抗期か・・・お兄ちゃん悲しいぜ・・・」

 

「愛の鞭です」

 

「いや慰めるとか無いの?」

 

「――――」

 

スルーですか、さいですか。精神的に効くぜ。

 

「イイねイイねェ最ッッ高だねェ!!その恐怖に怯える顔がヤベェよォ!!ヒャーッハー!!」

 

・・・零は敵幹部でハイだなあ、いつに無く。

 

 

 

三分後、悪役化した零により、劉姉妹にケンカ売った百人全員粉砕!玉砕!大☆喝☆采!!あ、カップ○ードル出来た。

 

「たつピー、この時代にカッ○ヌードル無いから」

 

佑、揚げ足取るな。っつーか有るから、ここに。あー、シーフードうめー。

 

「・・・ツッコまん。ツッコまんで。何でこんなトコにカップヌー○ルシーフード味が有るかなんて追求せえへんで」

 

佑、その選択は非常に正しい。気にしていたら身が持たんぞ。

 

「ちょと竜、アタシまで無視しないでよ。唯でさえside取られたんだから」

 

零がそんな事言ってるけど気にしない。今はカ○プヌードルだ!

 

「・・・アンタ以外全員洛陽に向かう準備してるけど。因みに連合は全面降伏。あ、曹操軍が出発した」

 

「いつの間に!?」

 

やべえ、さっさと準備しねえと!!と思ってたら凪と焔耶がやって来て。

 

「準備は私達がやっておきました」

 

「お前がいつまでもそれに(こだわ)っていたからな」

 

凪と焔耶の心遣いが身に沁みる。ああ二人はいい娘だなあ・・・

 

「アンタがバカなだけじゃないの?」

 

・・・零にだけは言われたく無いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで数日後、洛陽の会議室っぽい所。

 

「事実会議室なんだけどね」

 

良いじゃん別に。零、いちいち揚げ足取るのは感心しないぞ。・・・このレズハーレム野郎め。

 

「何ノ事カナ★カナカナ★」

 

「御願いですからその真っ黒な笑顔を止めて下さい」

 

マジシャレにならんから。零ってキレルとこえーんだよ。

 

「そろそろ、良いですか?」

 

「ああごめんごめん天。このバカは放っといて始めて良いよ」

 

今ここに居るのは、小帝殿下お二人、バ一刀(かずと)、劉備、道昭、曹操、祐司と安里(ふうふ)、孫策、二次ヲタ(たすく)、公孫賛、馬鹿(えんしょう)ウチの君主(りゅうしょう)、厳顔、俺、馬超、零、呂布の十八人。早い話、御使いと代表陣。呂布?零に抱き付いていますが何か?馬鹿?知るかんなもん。

 

「さて、これよりこの戦に関する信賞必罰を下す。袁本初、前に出ませい」

 

「はい・・・」

 

劉弁殿下が厳かに告げ、馬鹿が神妙に出てくる。ぶっちゃけ、ざまあwwwwwwww

・・・ゴホン、自重自重。で、袁紹は小帝殿下が座る玉座の前に出て、包拳礼を取る。浮かない顔で、これから出される処罰に身体を震わせているみたいだ。

 

「袁本初よ、汝が董卓を妬んだ気持ち、分からなくは無いが、あのような所業、到底許される物ではない」

 

「・・・この袁本初、面目次第もございません・・・」

 

そう言って平身低頭・・・土下座する袁紹。「何故この『名家』の私が土下座などしなければなりませんの?」といつものKYお気楽発言が来るかと思ったが、流石に空気を呼んだみたいだ。ここで口答えすれば、不忠、不敬と見なされて人生ジ・エンドになるからな。

 

「ふん、口では何とでも言えるがな。袁本初よ、汝が犯した罪をこの場で述べてみよ」

 

「・・・十常侍の妄言に踊らされ、董卓殿の暗殺を企むばかりか、董卓殿を逆賊と決め付け、諸侯に檄文を送り、都に攻め入った事にございます・・・」

 

「一応は分かっているみたいだな。本来なら、私達に弓を引く逆臣行為も甚だしい、が・・・」

 

「今回は事情が事情。大事にはせぬが・・・袁本初、汝に命ず」

 

「はっ」

 

はてさて、どんな罰になるのかね。この場に居る全員が唾を飲む。

 

「袁紹軍はこれより六月の間、戦、及びその準備をする事罷りならぬ」

 

「ゆっくりと己の行いを省みて、同じ轍を踏まぬように精進せよ」

 

あるぇ?軽くね?ほら、他の皆も目を丸くしてるし。

 

「・・・は?」

 

袁紹も間抜け面を晒す。「てっきり領地召し上げとか、厳罰を下されるものと思っていました」的な顔だし。

 

「何だ、不満か?」

 

「零からの頼みも有って最大限の譲歩をしたのだが、より重き罰の方が良かったか?」

 

「あ、いえ、小帝殿下の寛大な処置に感謝致します」

 

慌てて頭を下げる。うん、まあその気持ちも分からんでも無いが。つか、まさか零が助命嘆願(コレで良いよね?答えは聞いてない!!)するとは思わんかった。

 

「なら良い、それと他の者共に話をしなければならんからな。この部屋より退出せよ」

 

「はっ」

 

すごすごと退出する袁紹。張り詰めていた空気が若干和らいだ。

 

「はあ・・・疲れた。零さん、ちょっと良いですか?」

 

「ふえ?何?」

 

劉協殿下が突然喋り方を変えて、零に言葉をかけた。

チョイチョイと劉弁殿下と手招きして、何故か有ったソファ的な物に零を座らせる。

その後、ちょこんと二人して零の膝の上に座った。

 

「ムフフ~幸せ~」

 

零は二人を抱き締めてご満悦の表情。殿下二人も何か嬉しそう。

 

「・・・良いのか、コレ」

 

「・・・良いんじゃない?殿下も何だか幸せそうだし」

 

俺の言葉に曹操が律儀に返してくれる。そうか、良いのか。

 

「ああ、楽にしてよいぞ。別に咎める気は無い」

 

劉弁殿下の言葉で空気が一気に柔らかくなる。って事で質問を一つ。

 

「・・・零、お前、ロリコンか?」

 

「あむあむあむ、ちっちゃい頃の恋が破壊力抜群だった。ソレが何か?」

 

「・・・殿下甘噛みするのはヤメロ」

 

撫でるのは未だ構わんが甘噛みはちょっとな・・・

 

(そこは問題・・・だな。うん。 by作者)

 

ふと目線を若干下げると、零の指を掴んでる殿下二人。

 

「「あむあむあむ」」

 

「お前ら何零の指甘噛みしてんだコラ!?」

 

いきなり甘噛みし始めるもんだから、ついツッコんじまった。

 

「ちょ、殿下に対して不敬よ!?」

 

「あ゙、失礼しました!!」

 

孫策の言葉に気付いて、即土下座する。

 

「別に良いんですよー。今は私達は唯の『協』と『弁』ですからー」

 

「は、はあ」

 

何か劉協殿下に許して貰えた。焦った意味無かったか?

 

「だからー、今は私は唯のきょお・・・すーすー」

 

寝たよオイ!!何か劉弁殿下も寝てるし!!

 

「さっきの姉上の台詞は両方寝言なのじゃ!!・・・すーすー」

 

「・・・えらくはっきりした寝言だな」

 

零の非常識が二人に伝染(うつ)ったな、絶対。

 




基準「いえーい、これで零の特典が全部出ましたねー」

零「モード一方さんも出たしねー」

竜「久々にオンドゥル語も出たしなー」

基準「って事で、唐突に暴露大会ー!!」

竜「本当に唐突だな」

基準「いや、この小説を書くまでに没になっていった設定をいっその事ここで暴露してみようと思ったり。2話に1回」

零「で、最初の暴露話は?」


初期段階、零は存在しなかった!!


零「嘘オ!?」

基準「正確に言えば、元々考えてた主人公は脳内イメージの零男Ver.の格好に佐久間竜って名前。でも、『そーいえばお気に入りの小説の主人公2人だったなー・・・そうだ!ウチも2人にしよう!!』ってなって、竜を零って名前に変えて別に竜を作った。当時の竜は比較的零に近い性格だった」

竜「非常識?」

基準「いや、非常識設定は零が出来てからの後付設定。まともでクールなシスコンだった」

零「あ、そう、シスコンは元からだったんだ・・・」

竜「よし、そろそろ時間だ」

基準「では『戦士と悪魔の外史旅行』!!」

照「次回も宜しくなのじゃ!!」

天「今回はこれにて、失礼します」

3人「どっから入ってきた!?」


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第弐拾肆話 説明から質問タイム

何かお久しぶりです。色々急がしかったんすよ・・・ではどうぞ


6/25追記 零の源性について、後の展開に支障が出てしまう為変更しました。


side竜

 

さてさて?前回「零の非常識は伝染する」という新定理を発見したんだが。一先ずソレは置いといて、質問タイムと洒落込もう。

 

「はいはーい、色々聞きたい事も有ると思うけど、アタシの人生譚を基にして話してくんで、そこんとこヨロシクー」

 

出鼻を挫かれた。まあそれでも良いか。

 

「ふむふむ、では準備は良いかね?」

 

「何の準備だ」

 

零のセイで最近ツッコみの練度が上ってきたような気がする。

 

『『『嘘だッ!!』』』

 

「はい!?」

 

な、何だ皆!?俺の言う事が間違っているのか!?

 

『『『(ブンブン!!)』』』

 

思いっ切り頷かれた。てかその音、普通は首を振る時に使うんじゃないのか?

 

『『『イインダヨー』』』

 

「グリーンダヨーって懐かしいな!!つか三国組よく知ってたな!!」

 

『『『いや何と無く』』』

 

・・・もう何も言うまい。

 

「・・・シクシクシク。誰にも構って貰えない・・・唯一の女神は恋だけか・・・」

 

・・・あ。悪い、忘れてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・十分後、どうにかこうにか現在地点を、確認する目玉を欲ーしーがってーは居ない。どうにかこうにか零を慰めて復帰させる事に成功した。

 

「ゴホン、あー、あー、マイクテスマイクテス・・・よしOK!それじゃ、アタシが死んだ時から始めますか。ところで竜、死んだ時の事って具体的に話した?」

 

「具体的にって・・・あー、『殺された』事か?」

 

『『『殺されたぁ!?』』』

 

零の言葉に頭を捻って、思い出して出した言葉に周囲(御使い組)に驚かれる。

 

「・・・ああ、いいや、今の反応で分かったから」

 

呆れたように睨んでくる零を尻目に、佑が焦ったように話しかけてくる。

 

「え、え、え、たつピー!?どうゆうことやねん!?聞いてへんで!!」

 

「言ってなかったからな。詳しい説明は零にして貰え」

 

「ほらほら皆ちゅうもーく!!

 

パンパンと手を叩いて注意を向けさせる零。「目を奪う」能力が有ったら良いよな。

 

「じゃ、説明していくよー。アタシ達が死んだ時の事なんだけど・・・『プロローグ』参照ッ!!」

 

『『『盛大に手を抜くなッ!!』』』

 

「そしてメタるな」

 

皆で叫ぶ。因みに俺はこれ程までに滅茶苦茶で盛大な手抜きを未だ嘗て(SSでしか)見た事が無いッ!

 

「いや有るんじゃん」

 

「零、お前はボケ専だ。突っ込みは俺達の役目だ」

 

「アンタも結構ボケるよね」

 

言葉の応酬は零に軍配が上がった。いやー強いな零。

 

「アンタが弱いだけよ・・・で、死んだ後に北一っつう神(モドキ)と会って、特典を貰った。アタシが貰ったのは、『四次元ポーチ』と制限されまくった『無限の剣製』と、『仮面ライダー響鬼に出てくる鬼に必要な道具一式』の三つ。あ、質問は全部話し終わってからね。で、竜、アンタは何貰ったの?」

 

いきなり俺に振りやがる零。確かに俺も特典を貰ったがな、別に後でも良いんじゃないか?そんな事を思いつつ、渋々話す。

 

「えー、『四次元メッセンジャーバッグ』と、『「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」が直撃しても折れない刀三本』に、『武装色、見聞色の才能を有した「ONEPIECE」世界の身体』の三つだ」

 

「あー、中々チートになってるわねー。で、『六式』は?」

 

「一応。殆ど嵐脚特化だけどな」

 

と零と駄弁っていたら、

 

「無駄口叩いてないでさっさと進めろ」

 

と祐司にキツイ一言を貰った。

 

「はいはい。で、アタシらが転生してからだね。アタシは恋ちゃんと明命を父方の従妹に持つポジション――――位置って事ね――――で生まれた。因みに親父も転生者で、忍術と写輪眼は親父の特典」

 

「あ、それはウチもだ。ウチは白眼だったけどな。普段黒目だけど」

 

と零に補足すると。

 

「・・・白眼、意味有る?」

 

「言うな」

 

気にしているんだ。だってさー、俺徒手空拳で戦う事ってあんまり無いじゃん?専ら三刀流だし。いや凪は使うぜ?閻王(凪の武器(?)の手甲と脚甲)付けた拳で点穴突かれてみ?物理衝撃&経絡系からの気乱衝撃のツインバースト。真面目に死ぬぜ?

 

・・・凪には是非、ツッコみで使うのを止めて頂きたい。

 

「んで、紫苑さんと桔梗さんから遠距離の指南受けて――――あ、改めて、お久しぶりです桔梗さん」

 

「うむ。いつ頃そう言ってくれるか心待ちにしておったわ」

 

「あーすいません。すっかり忘れてました」

 

突然和気藹々と話し始めた零と桔梗さん。つーか。

 

「桔梗さーん。聞いてねえんスけどー」

 

「言ってなかったからな(キリッ)」

 

オイコラ。使い所が間違っておろうが。

 

「・・・(ドヤァ)」

 

いやドヤ顔されても。

 

「「・・・(ドヤァ)」」

 

二人してドヤ顔されても。つーか零は話続けろ。

 

「ククク・・・やはり竜弄りは止められない止まらない・・・(カ○ビーか○ぱえ○せん)・・・で、八歳頃かな?鳳姉・・・孫堅が襲撃して(たずねて)きた。『あ!やせいのそんけんがあらわれた!!』的な感じ?」

 

「所々ネタを入れんのヤメロ。そして『襲撃して(たずねて)きた』よりかは『訪ねて(しゅうげきして)きた』の方が良い」

 

「突っ込みにネタの改善点は要らんで」

 

零に突っ込んで、佑に突っ込まれる。・・・何だ皆その顔は。まるで俺が頭が可哀想な子供みたいじゃないか。失敬な。俺は常識人だ。零に毒されてなんかいない。大丈夫だ、問題ない。だから安心しろ。

曹操が突然口を開く。

 

「ねえ道昭・・・『大丈夫だ、問題ない』って言われて、突然寒気がしたんだけど・・・」

 

「華琳大正解。あれは死亡フラグって言って、多数の人が言った、若しくは行った後に死んでしまう魔法の旗。有名なのは、戦争前に『俺、この戦争が終わったら結婚するんだ』とか、『帰ったら一緒に○○食べよう』とか、『もう何も恐くない』とか、仲間に自分の持ち物を預けるだとか。悪役の場合なら『ここがお前たちの墓場だ!!』とか『冥土の土産に教えてやろう』とか、勝ち誇るとか、しゃしゃり出るとか、野望の為に封印された力を復活させるとか、人質使うとか。共通するのは、戦闘中に上がる土煙の前で『やったか?』って言うとか。上記の台詞を言うか行った人はまあ大抵死ぬ」

 

「とーてもくわしーせつめーをどーもありがとーごぜーます」

 

やたら詳しい説明を繰り出した道昭に祐司が嫌みっっっったらしく言う。まあ俺もこの説明はウザイと思った。長えよ。

 

「ん゙ん゙っ!!はいはーい、こっちちゅうもーく!アタシ忘れないでねー!あと道昭ー、長い!!」

 

ほら、零も言ってるだろ?兎に角もう一度零に皆の注目が向く。

 

「で、鳳姉から剣術指南受けたり、剣術指南受けたり、剣術指南受けたり、偶にキッツイお酒イッキさせられたり。いや、焼酎一升瓶を持たされて『それイッキ!イッキ!!イッキ!!!』って言われた時は本気で殺意沸いた」

 

「・・・ウチの母親が申し訳無い」

 

孫策がずーんと申し訳なさそうなオーラを放ってる。・・・ついでだから。

 

「あ、俺も桔梗さんに焼酎一升瓶を『男児たる者これ位一気飲み出来ずして何とする!!』って言われて無理矢理口ん中ぶち込まれた時はマジ殺意沸いた」

 

「・・・すまん」

 

俺と零に同情の眼差し、桔梗さんに白眼視が一斉に向けられる。

 

憂さ晴らし、完了。

 

「・・・で、十の時かな。裏山で狼鬼の御遺体を発見致しましたハイ」

 

「あ、そこで入手したのか」

 

「三日月剣は解析した後ぶっ壊れちゃって、武器は全部投影品。三日月剣は奇跡的に『普通の剣』扱いだったから投影出来た。で、その三年後に建業で明命拾って、旅に出て、『黒狼の虐殺者』っていう二つ名が付いた。自称は『狩人』だけど。その後に『月影』作って、張三姉妹込み黄巾党吸収して、今に至る」

 

「簡単な説明をありがとう。で、何か零に質問は?」

 

俺の言葉に一斉に手が挙がる。そういう俺も挙げる。

 

「そーだねー、じゃ一刀から」

 

トップバッターに選ばれた一刀。自信満々に重大(と思い込んでる)質問を言う。

 

「何ゆえ女に?」

 

「知らんがな」

 

即答。コラ一刀。声を殺してさめざめと泣くな。佑が続いて口を開く。

 

「次はワイやな。かずピーみたいなヘマはせえへんから安心してな。ズバリ!『無限の剣製』の制限とは!!」

 

「あー、えーと、投影出来るのが『干将・莫耶』と『熾天覆う七つの円環』、普通の剣だけ。あ、普通の剣ってのは宝具化してない剣だから、三日月剣とか七星餓狼なんかは違うから。で、真名解放出来んのは『熾天覆う七つの円環』だけ。『壊れた幻想』は出来るけど、オーバーエッジにはなんないから『鶴翼三連』は出来ない。あ、でも『全投影(バレット)待機(クリア)』からの『全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)』は出来る」

 

「・・・『偽・螺旋剣Ⅱ(カラド・ボルグ)』や『赤原猟犬(フルンディング)』も有ったらワイらフルボッコやったな」

 

「良かったねー無くて」

 

うん、これはまともな質問になったな。良かった良かった。

一刀?そこでのの字書いてるけど。

次は・・・祐司か。

 

「忍術って何使えんだ?」

 

「ああ、写輪眼持ちだから火遁、後は大体の性質変化は使えるよ。と言っても精々D~Cレベル。血継限界も使えないし。得意なのは螺旋丸とか影分身とか、時空間忍術とかの性質変化以外ね。張三姉妹を引っ張って来れたのは『飛雷神の御符』っていう、口寄せと飛雷神の術を御符に封じた隠密系御符を渡してたから。因みに親父は血継限界Sレベルノーリスクで全部使えた」

 

「お前の親父さん何モンだよ」

 

零の言葉に祐司が突っ込む。俺も同感だ。つか零の親父さんチート過ぎるだろ。それで野心無いとか何?

 

「はい、じゃあ次は僕から。狼鬼って、えっと邪なる波動だっけ?それを持ってるなら、清めの音を使う鬼とは相容れないと思うんだけど」

 

道昭の質問が飛ぶ。しかしそう来たか。

 

「ここは俺が説明しよう。零が狼鬼と適合したのは恐らく『源性』が理由だと思う」

 

『『『源性?』』』

 

「簡単に言えばそいつが元々持ってる属性の事だ。固有の源性によって得意な能力が違う。例えば零の源性『闇氏(やみうじ)』は、闇気(あんき)――――つまり闇に関連する物、例えば怒りや悲しみの負の感情やら月光、影なんか――――を取り込んで自身の強化をする。ただ一歩間違えば闇気に呑まれて暴走する危険の有る、背水の陣の属性だ。この源性のお陰で零は狼鬼を反発無しで使える訳。上手く使えば戦場で一番会いたくない敵になる。所謂『殺る気』なんかも吸収出来るからな」

 

「・・・うわ、それは確かに」

 

道昭が呻くように呟く。確かに俺も同感なんだよなコレ。

 

「因みに源性が『闇氏』だからと言ってそいつが邪悪な魂だとは限らない。例えば昔、『聖清』の源性の奴で、子供を絶望させてから殺して喰らい、余った身体をを『芸術(しゅうあく)作品』にして幾つも飾った奴が居たと聞く。まあ若干引っ張られるがな。零の非常識はそのセイだったりする」

 

俺の言葉にこの場の全員が顔を顰める。勿論例え話の方だ。まあ当たり前だろ。そんな人食いジル・ド・レェみたいな真似をした奴に何も思わん方がおかしい。

 

「因みに俺のは『武才・刀槍』だ。名の通り、刀と槍の才能にほぼ限界が無いっつう源性。他もいけるが精々二流止まりだ――――で、何か他は無いか?俺のを聞いたって何にもならんだろ」

 

俺は色々と無理矢理に促す。そうすると曹操が手を上げた。

 

「董卓は?」

 

アッサリとした質問だったが、一番重要な質問だ。零は笑いながら言う。

 

「ん、隣の部屋に居るよ。じゃどぞ~」

 

零の言葉に促されたように、部屋に有った(今まで気付かなかった・・・)もう一つの扉から七人組が入ってくる。

 

灰色の髪の女性、サラシを巻いた女性、金のツインテールの女の子、水色のサイドテールの女の子、黒髪ロングの女の子、緑の髪の眼鏡っ娘、そして、お淑やかと儚さを混ぜて擬人化して守って上げたくなるオーラを出している女の子。

 

最初の五人は、順番に華雄、張遼、波才、鄧茂、周泰だって分かる。で、最後の二人は――――

 

「董卓軍師、賈駆よ」

 

それから――――

 

「あ、あの・・・董卓、です・・・」

 

 

 

『『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はああああああああああッッッッッ!?!?!?』』』

 

 

 

やっぱりコウナルヨネー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十分後、何とか落ち着いた三国勢。

 

「・・・で、零、ボク達を引き合わせて大丈夫なの?コイツら、(ゆえ)を討ちに来たんでしょ?」

 

「まーダイジョブじゃね?」

 

「そこで疑問形なのは何でよ」

 

賈駆と零とのやり取りは置いといて、じろっと見詰めながら孫策は董卓にもう一度聞く。

 

「えっと・・・董卓、で、良いのよね・・・?」

 

「は、はい・・・」

 

ほぼ睨んでいた孫策に若干怯え、サササッと零の後に隠れる董卓。小動物を連想した。

 

「・・・・・・ッッッッ!!!!」

 

コラそこのど変態(れい)、鼻から(はなぢ)は完全で瀟洒(しょうしゃ)な従者と寡黙なる性職者(ムッツリーニ)の特権だ。

 

「しょっ・・・しょうがないじゃん!!月がこんな風にしたらッッ・・・クッ・・・ダメ・・・ああ・・・月と天と照とねねとシャオと・・・ダメ、ダメ・・・!!これ以上想像したらッッ(ツツーッ)・・・ああでも・・・こんな素晴らしい事が実現出来るなら良いのに・・・(ピシッ)待て、もしアタシ達が呉領に移住したら・・・・ハッ!!(クワッ!!)この夢が現実にッッッッ・・・!!!!あっ・・・(プシュー!バタリ)」

 

妄想が頂点に達し、零は鼻から綺麗なカーブを描いた赤黒い橋を作った。そしてその場に倒れ込みドクドクと流れ出る(はなぢ)によって惨殺現場(被害者:零)が出来上がった。一刀、佑、道昭が悪乗りして叫ぶ。

 

「「「ム、ムッツリーニイイイィィィ!!」」」

 

「「いや違うだろ/でしょ」」

 

即座に突っ込む祐司と安里(ふうふ)。そして当の零はというと、幸せそうな笑みを浮かべて――――

 

「わ、我が人生に・・・一遍の・・・悔い・・・な・・・(ガクリ)」

 

おーい誰か、AED持って来ーい。

 

因みにその他三国勢(董卓軍込み)はこのコントの間にメッチャ仲良くなってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、何とか零を()()KILL(ぎる)して叩き起こした後、質問大会を(強制的に)再開させた。

 

「ちょっと!物騒な起こし方しないでよ!!」

 

(∩゚д゚)アーアーきこえなーい。

 

「ったく・・・で、次誰?」

 

そう零が言うと、おずおずと劉備が手を挙げた。

 

「あの~、確か虎牢関で、『ふりょく』って言ってた気がするんだけど・・・」

 

「・・・良く覚えてたね、んな事」

 

劉備の記憶力に零は感心している。そういう俺もだが。

 

「あー、説明面倒(めんど)いなあ・・・」

 

「まあ頑張れ」

 

「ウェーイ・・・」

 

愚痴る零を促して、俺は壁に寄りかかる。零は神から受けた説明をそっくりそのまま話し始めた。

 

「えっと、神から送られてきたメールによると・・・」

 

「待て、俺には送られてないぞ」

 

俺は話をすぐさま止める。零はポーチからスマホ見たいな物を取り出し、俺に投げ付けた。

 

「ハイコレ。神特製端末。アタシ達『旅人』の役割と外史の説明、転生者を見分けるアプリも付いてる。アイツが『竜に渡すの忘れてたから渡しといて』ってP○Pやりながら送ってきた」

 

「あいつイツカ殺す」

 

俺は呪いをかけながら呟いた。

 

 

~その頃の天界~

 

「ヒッ!?」

 

「ん?どうした北一?」

 

「いや何か今呪われたような・・・」

 

「気のせい気のせい」

 

「そ、そうか――――って何で上から鉄柱――――!?ここ建設中のビルなんて無いよね――――!?」

 

♪「らーっかしてきた鉄柱が、君をー貫いてー突き刺さるー」

 

「歌ってないで助kぎゃああああああああああ!!」

 

 

 

・・・電波か。無視するか。零の説明に話を戻すか。

 

あ?時間が無いから説明回入れる?それならそうと早く言え駄作者。

 




零「おっそーい!!何やってたのよ!!」

基準「仕方ないじゃないッスか!!忙しかったんだから!!」

竜「この回書くのに何日かかってたんだ?」

基準「・・・」

零「黙るな」

基準「・・・次回は説明回です!!それではッ!!」

零「あ、逃げた」

竜「書く事無いんだろ。次回は比較的早いと思うから期待しないで待っててくれ」


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第弐拾伍話 「正義」という免罪符と、彼女の悩み

お久しぶりでございます!!二週間も間が開いてしまって申し訳有りません!!
設定とかヒロインとか考えてたら時間食いまして・・・この回も難産でしたし・・・

兎に角どうぞ!!

8/8 変更「初代・大殿御上様→初代様」


side零

 

えー、前回色々と皆さんに説明しました零でございます。

作者の都合かなんかで、連合参加者に対する処罰シーンは丸々カットオオオオオ!!ってことになったと。

説明回とか言っときながらその実設定集だった奴に許される事じゃないよね!!でも作者権限でやると。オーボーだ!オーボーだ!!

でもどうにもならないんだよねェ・・・

 

で、サラッと処罰について言っとくと、

 

曹操、孫策、袁術:六ヶ月間戦及び三ヶ月間準備禁止

 

劉備:四ヶ月間戦、及び二ヶ月間準備禁止

 

公孫賛:三ヶ月間戦禁止(元々乗り気じゃなかったから)

 

馬超:二ヶ月間戦禁止(参加理由が月達を助ける為だったから)

 

劉璋:処罰・・・というより、自分から「自らへの罰として、領主の座を降りようと思います。次期領主には人望のある劉備にでも」と言って一同唖然。その間に霞も真っ青なスピードで必要書類に印を押して、劉備に押し付けた。何でも普通の女の子として生きたかったらしい。元々人望も然程無かったから、領民も無責任だと怒るより寧ろ劉備歓迎。因みに桔梗さんと紫苑さんは済し崩しに劉備に仕える事になってた。

 

 

・・・なんだろコレ。

・・・まあ、兎に角、今アタシと明命と恋ちゃんは劉備軍本営前に来ています。理由は今まで来た事無かったから(恋ちゃんはデフォ装備化)。

 

「っつー事で、おっ邪魔っしまーす!!」

 

「いやいや何が『っつー事で』だよ」

 

「おろろ?なーんで竜殿がこちらに居られるのでザンス?」

 

劉備陣営に突撃したアタシが最初に遭遇したのは、何を隠そう我が親友竜である。

 

「その無駄に変にしようとして失敗した言葉遣いに少々話し合いたい所だがソレは今度にしておこう。疑問に答えるとだな、ほら、ウチの上司劉備になったろ?」

 

「あー軍が合体したのねー」

 

納得な表情のアタシに竜は呆れたように額を押さえる。

 

「あのなあ、非常識を治せとはもう無駄だから今更言わないが、重要な事位少しは記憶しろよ」

 

「いや覚えてたよ?ただすっかり忘れてただけだから」

 

「・・・で、ウチに何用だ?」

 

スルーしたな。だが正しい選択だ。そんなバカな事を考えていたアタシに代わって明命が用件を伝える。

 

「えー、劉備さんと正式にお話したいと思いまして。呉軍の皆さんとは元々懇意にしていますし、曹操軍の皆さんとも傭兵として共闘していた時期が有りますし、金ぴかは放っといて、公孫賛殿とは曹操軍と同じ理由で、残るは劉備さんだけなんですね」

 

「ああ、そーいや桔梗さんと紫苑さんは零の母さんと仲が良いんだってな。つか紫苑さんとは叔母姪の関係だったな」

 

「・・・しおんとききょーは弓の先生、ふぁんれんは剣の先生、あきら叔父さんは忍術の先生」

 

「豪華四点セット、ってか?」

 

恋ちゃんが挙げた名前に竜が茶化す。

 

「まっ、付いて来い。今ならど真ん中の天幕に居る筈だ」

 

竜はニッと笑いながら手首をスナップさせて付いて来るよう促してくる。そんな竜を尻目にアタシは――――

 

「忘れてた今日の分の『レニウム』と『ミンメイウム』補給~」

 

恋ちゃんと明命にギュギュギュッと抱き付いていた。

 

※レニウム:恋を抱き締める事で摂取される成分。一日一回は必ず摂取しないといけない。三日間摂取しないとイライラ、心拍数の上昇、身体の震えなど禁断症状が発生する。

 

※ミンメイウム:明命の場合で同上。

 

「オイコラ、医学の常識まで覆す気かテメエ」

 

聞こえない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レニウムとミンメイウムを十分補給した後、アタシは竜に連れられて天幕前まで来ていた。

 

「お?零?どうしてここに居るんだ?」

 

そしてその天幕の中から、あ!やせいのタネウマ(ほんごーかずと)があらわれた!!

 

「そのポケモン風のネタで俺をタネウマ扱いするの止めてくれないかな!?」

 

「お邪魔しまーす」

 

「mssnnkrー!!(訳:無視すんなコラー!!)」

 

何故か母音を発音しなかった北郷君は置いといて、天幕に入って劉備と改めてご対面。あ、関羽と諸葛量が居る。張飛と趙雲も居る。鳳統・・・は居ない。

 

「はれ!?こっくさん!?」

 

「呂天って呼んでよ」

 

「劉備が言うと何か料理人みたいに聞こえるのは何故だろう」

 

横でどーでも良い事を真剣に考え始めた竜は、ヤッパリ結構な非常識に分類されると思う。まあソレは置いといてだね。

 

「いや、一対一(サシ)で話した事無かったじゃん?」

 

「・・・そーいえばそーですね」

 

「もちっと成長して大人っぽくならんかねウチの君主は」

 

子供っぽい言葉遣いの劉備に手厳しい評価を下す竜。

 

「・・・楽k「竜で良い」・・・竜殿、諦めろ」

 

そんな竜に同情する関羽。

 

「ウチの君主様と愛紗は胸と尻だけ大きくて頭が散々だからなあ」

 

「それどーゆー意味!?」

 

「星・・・それは喧嘩を売っているのか?」

 

「セクハラ発言やめい」

 

「セクハラっつーのは性的な嫌がらせって意味の筈だ」

 

趙雲のセクハラ発言に劉備と関羽が反応し、竜が突っ込み、突っ込みに一刀が補足をする。

 

「趙雲もメンマに関してのアホ頭はどっこいだと思うんだけど。劉備は子供っぽくて関羽は頭が固いって事で良いんだよね?」

 

「零頼むから場をこれ以上引っ掻き回さないでくれ・・・」

 

ヤダ。だって面白いじゃん?

 

((私達は然程胸が無いのにああ羨ましい妬ましい恨めしい――――――――!!))

 

諸葛亮に明命、頼むからそんなに殺気を込めた視線を送らないで。

 

「何の事なのだ~?」

 

張飛ちゃん、貴女はそのまま純真無垢で居てね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side竜

 

で、十分後。って俺視点?

 

何故か周泰、呂布、張飛、趙雲、諸葛亮が出て行った天幕内で、気を取り直して零の劉備への質問タイムが始まった。

 

「ゲフンゲフン、で、アタシらが来た目的なんだけど、劉備の目指す道を聞きに来た。華琳は天下統一に天命を見出して覇道を突き進むぜ、雪蓮と鳳姉は同じく天下統一覇道だけど、その実孫呉の平穏の為。で、アンタは?」

 

「え、えーと、私の理想はこの大陸の皆が笑って暮らせる世界です!!」

 

「俺も桃香と同じで、皆が笑い合えるハッピーエンドを作りたい」

 

劉備と一刀は自信満々に言ったは良いけど。

 

「ハーイ出ました無茶振り理想ろーん。つかアンタ馬鹿ァ?頭大丈夫?のほほんとしたまんま夢と現実の区別が付かないとか無い?」

 

と零は馬鹿にした。いきなり毒舌ですか。「のほほんと~」は割と本気で心配してるみたいだけど。

 

「なッ、貴様、桃香様の夢を愚弄する気か!?」

 

「おい零!どういうことだよ!!」

 

関羽と一刀が激昂するが、零は馬鹿にした空気を全く崩さない。

 

「そーですよー。ぶっちゃけアンタ馬鹿っしょ?無理無理そんな事。そんな穴だらけの理想論誰も求めてないから。もっぺん諸国行脚した方が良いよ?あ、アタシ斬ったら月影及び董卓軍が宣戦布告することになるから」

 

ブチ切れタイムの関羽に対して釘を刺す。こうしないと今にも薙刀持ち出して斬りかかって来たりしそうだしな。

 

「貴様ッ・・・!!桃香様の理想n「アンタは黙ってな。アタシは今劉備と話してんだ。アンタは何、君主同士の話にしゃしゃり出て割り込んで来るような無礼者な訳?分かる?アンタはソレも解らないような馬鹿?アタシに対する侮辱として戦吹っかけても良いんだよ?アタシらが勝つけど。簡潔に纏めると、邪魔だから黙ってろしゃしゃり出んなどクズ」なっ・・・」

 

「うっ・・・」

 

うっわ、容赦ねえ・・・しかも笑って言いやがったし。俺もコレはビビるわ。ほら、一刀もビビッてる。

 

「ちょっと、ソレは言い過ぎじゃないの!?」

 

「劉備、関羽、ついでに一刀、止めとけ。分が悪すぎる。それにコイツが言った事は正論だ。暴言は混じってるが、コイツは本気でやりかねん」

 

「だが・・・!!」

 

「だけど・・・!!」

 

「俺だけ何でついで扱いなんだよ!!」

 

「だがも何もねえよ。関羽の口出しはつまり、『貴様如きに主が出る必要など無い。私が代わりに聞こう』的な侮辱な感じで受け取れるぜ?」

 

「ぬう・・・」

 

「でも・・・」

 

「スルー!?」

 

俺が諭して漸く押し止まる関羽。どうやら今自分が何してたか解ったようだ。ただ劉備は未だ分かって無いらしい。一刀?何ソレ美味しいの?

 

「だからでもじゃねえよ。テメエは未だ自分が居る立場を分かってねえ。交渉とか、他国との対話なんざ非情なんだよ。そんな甘っちょろいこと言ってるといつか足元掬われるぜ?下手すると徹底的に叩き潰されるな。捕虜にされたってどうせテメエ、『こんなの私の理想じゃない!!』とか言って反乱起こしそうだしな。そうすっと斬首決定だ」

 

漸く分かったようだな。はあ疲れた。劉備は関羽の件で謝罪しようとするが、零に先に遮られる。一刀?未だに不満顔だけど取り敢えずここは黙る方向で行くらしい。

 

「ああ、謝罪とか要らないから。誠心誠意謝罪するなんて今うっとおしいだけだし。無駄だし。そもそも聞きたくないし。で、劉備、アンタの理想論が穴だらけな理由、分かる?」

 

「・・・分かりません」

 

だろうな。理想ばっかで後振り向いて無いなコイツ。

 

「やっぱり?アンタはさ、『皆が笑っていられる世界』って言ったよね?じゃあさ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「それは・・・!!」

 

零に穴を突かれて押し黙る劉備。代わりに関羽が怒鳴る。

 

「賊など切り捨てて当然だろう!!彼奴らは無辜の民を幾万も殺してきたのだぞ!!私達は『正義』の元に斬って来たのだ!!」

 

「だからしゃしゃり出るなと・・・まあ良いや。賊だろうが何だろうが、ソイツらも『大陸の皆』に含まれてるわよ。勿論、アンタらが『悪』だと決め付けて討ちに行った月――――董卓もね。

 

アンタ袁紹の檄文の裏取った?取って無いでしょ?他の皆は最初から董卓が無実だって分かってたわよ。鵜呑みにしたのはアンタらだけ。ソレが理想主義のアンタらと他との違いよ。現実を見てる。

 

そもそも、賊とか月とか、悪と決め付けられた中にもマトモなのも居るわよ。来夏達は元々腐敗した漢王朝に嫌気が差して決起。大事な家族を食わしていく為に賊になった奴も居る。黄巾党だって、元々は天和達の歌を聞きたいだけの善良な民が殆ど。それをアンタらは殺してきたの。お分かり?アンタらが守るって言った奴らを自分で殺してンだからざまァ無いわね。

 

だからこそ、皆が幸せなンて有り得ない。賊を討って討って討ちまくって、その遺族は?彼らが本当の幸せを掴むなんて有り得ない。アンタらは彼らからしたら唯の仇でしかねェしな。身の丈以上の物を望むなんて愚の骨頂。笑い話にすらなンないわァ。甘過ぎて反吐が出る。

 

それに『正義の元に』?ハッ、ふざけンじゃないわよ。そンな傍迷惑な正義なンざ誰も求めてねェッつの。アタシに人の『正義』にとやかく口を出す権限無いけどさ、一方的にアンタらの正義押し付けてんじゃねェよ。

 

ハイ一刀君!ここで問題です!『正義』って幾つ有る?」

 

ここで振るかコイツに。

 

「え・・・一つじゃないのか?」

 

「「お前/アンタ・・・頭大丈夫(か)?」」

 

即座に俺と零でぶった切る。馬鹿だ。コイツ馬鹿だ。

 

「二人揃って俺を馬鹿扱いすんじゃねえよ!!」

 

「いやだけどな・・・」

 

「まぢ馬鹿だよ?その回答。ほら、力こそ正義、知識こそ正義、血筋・家系こそ正義、徳こそ正義・・・色々有るでしょ?例えば某正義の味方見習いなら、人助けこそ正義って言うでしょ?」

 

零は一刀(サル)でも解る説明で解説してやる。とっても解りやすい。

 

「誰がサルだッ!・・・なら、何で『悪』は一つしか無いんだよ?」

 

「「コイツ本気(マジ)で馬鹿だーーーー!!」」

 

つい二人で叫んじまった。今は反省している。でも後悔はしていない。

 

「まあ確かにさ、『悪』は一つって言われて、納得出来ない事は無いけどさ」

 

「・・・つまり、己の正義を貶める物は全て悪だ、ということか?」

 

ここで来るか、関羽。だけどな。

 

「ソレが分かってながら何故に矛盾に気付かない・・・」

 

零が頭を抱える。同感だ。心のそこから同情するぜ。

 

「まあいいか、そういうことだ。一刀、劉備、今から挙げる四人を『正義』と『悪』に分けてみろ」

 

圧政を敷く君主。

 

賊へと堕ちてしまった者

 

他人を害した者。

 

他人を害した者を討った者。

 

「勿論、最初の三人が『悪』で、最後の一人が『正義』だよ!!」

 

と、劉備は思いっ切り自信満々に言う。が。

 

「・・・なあ、コレって、全員が『正義』で、『悪』じゃないのか?」

 

「一刀、正解だ。今挙げた四人を『正義』と『悪』に分ける事は出来ない」

 

「え、え、何で!?」

 

劉備が疑問の声を上げるが、零がソレに対する答えを言う。

 

「圧政を敷く君主には、高額な賄賂を渡さなければ娘を殺されてしまう、みたいな、ソイツなりの『圧政を敷く理由』が有る。賊に堕ちてしまった者には、生活苦で家族を養っていけるだけの蓄えが無いから、やむなく他者の者を奪うしかないといった、『賊に堕ちる理由』が有る。残り二人も同じ事。まあ全員か全員、そんな綺麗な理由であるとは言わないけどね」

 

「劉備、結局はな、『人間』っつー生き物は、究極的には全員自己中心的で、利己主義者なんだよ。極論だがな。劉備が他人を救いたいと思う。それは別に構わんが、結局はそれも助けられた人間以外から見れば、『人を助けて名声を手に入れ、自軍の勢力を拡大し、自身の正義を押し付ける利己主義者』としか写らねえんだよ」

 

「で、でも、私達賊に襲われた人を助けて恩を着せて、食べ物を奪うとかはして無いよ!?」

 

「それも『無欲を装って人の心につけ込んでいる悪党』として捉えられる事も有るぜ」

 

「そんな・・・!!」

 

ショックを受ける劉備だが、今更こんな事に気付くって、どれだけ楽観的だったんだよ・・・

 

「つまりアタシが言いたいのは、『正義』を理由にするなって事よ。幾ら正義掲げたって、そんな物は人を殺す『免罪符』にはならない。そもそもアンタらが使ってる正義とアタシが言う『正義』の意味が違う。アンタらは正義を『人の道にかなっていて正しいこと』って意味で使ってるのかもしれないけど、アタシが言う『正義』っつーのは『己が誓った信念』っていう意味。人と人の争いは正義と正義の対立。自分の『正義』は所詮は他者から見れば自らの正義を侵す『悪』でしかない。正義を掲げて賊を討つって事は、『コイツは自分の正義に反して気に入らないからブチ殺す』っていう究極の利己主義なのよ。お分かり?」

 

「・・・・・・」

 

だんまりを決め込む劉備。代わりに関羽が零を詰問する。

 

「ならば、貴様の『正義』とは何だ!!」

 

「アタシの正義?んなモン簡単よ。ちょいと長いけど」

 

一呼吸置いてから、零は軽く宣言する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『例え全ての世界(いのち)を虐殺する事になろうとも、この世全ての悪(アンリ・マユ)を背負う事になろうとも、我が異能(ちから)は家族の為に』、コレがアタシの正義よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・どういうことだ・・・?」

 

一刀が呻くように呟く。零の言葉が瞬時に理解出来なかったらしい。零は噛み砕いて説明する。

 

「そのままの意味よ。家族を害するのなら、例え胎児でも容赦せずに殺す。世界の全てが牙を剥くなら、あらゆる人、あらゆる生き物を虐殺する。例え殺人鬼と呼ばれても、殺戮者と言われても、世界中から憎しみを向けられても、この身が狂気に支配されても、命の灯火が消え去っても、『アタシ』という存在が世界から完全に忘れ去られるまで、この力はたった一握りの家族を守る為に。ソレがアタシの『正義』よ」

 

「「「・・・」」」

 

予想外に重すぎた零の「正義」は劉備には辛すぎたようだ。顔を俯かせ、悩み始める。関羽も同じ顔をして黙り込む。

 

「ま、精々悩んどきなさい。また今度、アンタらの甘っちょろい無駄でしかない『覚悟』がどう変わったかを聞きに来るから。じゃあね~」

 

零はあっけからんと言い放ち、天幕から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は天幕から出て行った零を呼び止めた。

 

「俺の天幕でちょっと良いか」

 

「おn?なになに?若しかして我慢出来なくなってナニのお誘い?」

 

(ちげ)ーよ!!」

 

馬鹿な事ぬかしやがる零を無理矢理引っ張っていく。

 

天幕に着いた後、零を椅子に座らせ、もう一つ有る椅子に俺が腰掛ける。

 

「で?アタシをここまで連れて来て何用で?」

 

「先ず率直に疑問。陳宮の姿が見えないが」

 

コレはずっと疑問に思っていた事だ。紹介された董卓軍の中に、陳宮の姿は確認出来なかった。

 

「ああ、鳳姉の所、つまり呉よ」

 

「はい?まさか先に寄越してたのか?」

 

「まあね。マスコット的な感じで」

 

陳宮マスコットかよ。つか何で孫軍は罰が重い――――ってああ、秘密にしてたのか。なら仕方が無い。

 

「で?他に何か?」

 

「・・・お前、俺と親父達と伯父さん達以外に未だ『家族』居ねえだろ」

 

ニヤニヤと笑っていた零の顔が一瞬で凍り付く。

 

「・・・悪い?」

 

「悪い。お前この世界に親父達居ねえから、現段階で心の支え俺だけだろ。そんなんじゃいつか『ぶっ壊れる』ぜ?」

 

「・・・そんなこと、さいしょからわかってるもん」

 

言葉を全部平仮名にしながら、零は椅子の上で膝を抱える。瞳からは自信満々に輝いていた光が消え、塗りたくったような濃い灰色をしている。所謂「死んだ目」だ。

 

「そーいう竜だって、『あの事』話してないんじゃないの」

 

・・・耳が痛え。俺は聞こえないフリをして耳を塞いで目を逸らす。

 

「・・・ひとのこといえない」

 

「・・・だけどなあ、お前の『源性(ちから)』は初代様御2人が『禁忌』とされた代物だ。俺が咄嗟に誤魔化したから良かったが、暴走しちまったら『闇氏(ウソ)』がバレるぜ?幸い二人は優しい奴みたいだからな。比較的すんなり受け入れられる筈だ」

 

「・・・でも・・・」

 

「怖いのか」

 

俺の一言にビクリと身体を振るわせた零。ハァと溜息を吐いて、俺は零を抱き締める。

 

「・・・りゅう?」

 

「だーかーらー俺をもっと頼れって言ってんだ。未だ人に離せないなら今は俺を頼れば良い。全部受け止めてやっからさ」

 

「・・・つよいね、りゅうは」

 

「ばーか、強かねーよ。俺だって(こえ)ーけど、凪と焔耶は裏切らないって信じてる。俺は『受け入れられ易い異能』だからな」

 

「・・・そうだね」

 

俺達は口を噤む。暫くしてから、零がポツリと言った。

 

「・・・ないて、いい?」

 

「今なら誰も聞いてねえ。胸貸してやる」

 

零は顔を埋めて静かに泣き始めた。俺は零を抱き締めながら、優しく頭を撫でてやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーアリガト!お陰でスッキリしたよ!」

 

零が泣き止んで暫くしてから、俺は見送りに陣の入り口まで来ていた。零は憑き物が取れたようなスッキリとした笑顔をしている。

 

「スマホ有るし、いつでも連絡しろ。流石に最中とかは繋がらねえけどな」

 

「そこまでKYじゃありませんー!!」

 

べーと舌を出す零に苦笑しながら、俺は周泰と呂布に耳打ちする。

 

「零を頼む。アイツこう見えて実はかなり心が弱くてな。しっかり支えてやってくれ」

 

「・・・分かってます。『堕ちる時は一緒』ですから」

 

「・・・零姉は、恋が守る」

 

「ハハッ、頼もしい。じゃあ後もう一つ。どんな事が有っても、アイツを信じてくれるか?」

 

「「勿論!!」」

 

元気良く返してくれる二人に俺は安堵する。遠くから零が呼んでいた。

 

「ちょっと明命!恋!早く行くよ!!」

 

「ああ、ちょっと待ってよ零!!ではコレで失礼します!!」

 

「・・・待って、零姉」

 

走り去っていく三人の背中を眺めながら、俺は口の両端が吊上がっているのを感じた。

 

 

 

――――良かったな、零。お前の『家族』は直ぐ近くに居るみたいだ。

 

 

 

 

 

 

~オマケ~

 

「もしもし凪さんに焔耶さん?どうして俺の両腕を掴んでらっしゃるのでございますか?」

 

「「・・・他の女の匂いがする」」

 

「いやソレはだな、零の相談に乗っていたからで――――イダダダダダ!!関節はダメだって!!」

 

「「やっぱり・・・他の女と・・・」」

 

「ヤンデレ!?ヤンデレでございますかコンチクショー!!俺的にはヤンデレよりかは普通の嫉妬の方が未だ良いんだけど――――って俺を引き摺ってどこに!?」

 

「「勿論、埋め合わせをシて貰いに逝くんですが/だが、何か?」」

 

「待て!?二つ程気になる文字が――――」

 

 

次の日、真っ白に燃え尽きた竜と、肌が艶々になった凪と焔耶が目撃されたらしい。

 

 




基準「更新遅れて申し訳ゴザイマセンでしたああああああああああ!!」

零「ホントだよ駄作者!!」

竜「言い訳を聞こう」

基準「いやそれが、問題集の宿題が大量に出たり、問題集の宿題が大量に出たり、友達に色々と相談したりしてたらこんなに遅く・・・それにこの回、この前書いてたやつは結局某魔術師殺しの人生譚になっちまったから書き直してたり」

零「そーいえば必死になってカリカリやってたよねー」

竜「・・・答えを丸写し、何てマネはやってないだろうな」

基準「したくても出来ませんって!!そもそも解答が答えだけで、解き方とかを解説した冊子は先生が所持してるんですから!!」

竜「バカテスの明久みたいに――――」

基準「いや無理だからね!?そもそも職員室に強襲かける事なんて出来ないよ!!」

零「作者の根性なし!!」

基準「君にだけは言われたくないっ!!」

竜「ハァ・・・で、今回は劉備ボッコ&零の秘密回だったな」

基準「難産でした・・・私も人生経験浅いし・・・」

零「お疲れ様です」

竜「というか何だ最後のは。綺麗に終わったかと思えば俺搾り取られてるじゃないか」

基準「いやオチは付けないとね。・・・ふぁ~あ、そろそろ眠くなってきました」

零「じゃあそろそろ締めますか!それでは『戦士と悪魔の外史旅行』ー!!」

竜「次回投稿は未定だ。作者の学校が期末の二週間前だからな」

基準「期待せずに、気長にお待ち下さい」

零「またね~!!」


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第弐拾陸話 無理矢理っぽい後日談

ただいま戻りました!!期末・・・一部やられた所が有りました・・・

グダグダ話すのもなんですし、駄文ですが、どうぞ!!

第弐拾肆話の方を一部改訂している事をここでお知らせしておきます。

7/11 トリューグ・イジャスの呼ばれ方を訂正


蜀漢陣営の後日談(で良いのか!?)

 

side一刀

 

よう、北郷一刀だ。今、俺は――――

 

「「待・ち・や・が・れええええええええええ――――――――――!!」」

 

「誰が待つかああああああああああ!!」

 

――――必死に竜と魏延から逃げている。

 

・・・ドウシテコウナッタ!!

 

デベェガ(テメェが)エンャ(焔耶)()クガエヲ(着替えを)ドゾ()()()()()()()()()アアアアアアアアアア!!」

 

「事故だったんだああああああああああ!!」

 

そう、ソレは今日の朝――――

 

ククョル(桔梗)ザァン(さん)ディ()ダド()バリデ(まれて)ヨビ(呼び)ディ()クダ(来た)カラダ(からだ)ドゥ()イッデェ(言ってぇ)ドッグ(ノック)ボセズ(もせず)ディ()ヴァイ()ドゥ()ャヅ()()ア゛ドゥ(有る)()アアアアアアアアアア!!」

 

回想(ゲンジツトウヒ)ぐらいさせてくれええええええええええ!!」

 

もう竜が言ってしまったので回想には入らないけど(決して作者がメンドクサイからじゃないぞ!!)、兎に角俺は、修羅(りゅう)と、顔を真っ赤にした魏延に追いかけられている。

・・・「鬼気九刀流阿修羅」は是非とも止めて頂きたい。マジ怖いです。

 

「■■■■■■■■ーーーーーーーー!!」

 

「もう人語喋ってな――――グエッ!?」

 

突然やって来た横からの衝撃に倒れ伏した俺は、竜の魔の手に捕まってしまった。つーか俺を殴ったの誰だ――――

 

「・・・(グッ)」

 

「「凪、よくやった」」

 

さいですか。

 

絶体絶命な俺。と思ったら、目の前の角を曲がってこっちに来る愛紗の姿が!!

 

「愛紗、助け――――」

 

「・・・(スッ)」

 

綺麗なムーンウォークをどうもありがとう。というかどこで覚えた。

 

「(ニヤニヤ)」

 

「星もニヤニヤしてないで助けて――――!!」

 

「(ギロッ)」

 

「♪~(サッ)」

 

竜に睨まれた星に目を逸らされた。口笛と冷や汗付き。幾ら「常山の昇り竜」と言えど、(しゅら)には勝てないか。

 

「逝くぞ一刀、神への懺悔は十分か?」

 

「待てッ!?『いくぞ』のニュアンスが――――ハッ!!」

 

さよなら俺の青春、そう思った瞬間、救いの手(天の声)は差し伸べられた。

 

 

≪神は言っている――――≫

 

 

やはり、神は俺を見放さなかった!!

 

 

≪――――ここで死ぬ運命(さだめ)■■■■と≫

 

 

見放された。

 

 

「「さあ・・・お前の罪を数えろ!!」」

 

「骨は拾ってあげます」

 

「ネタが多――――ギャアアアアアアアアアアア!!」

 

 

結論 死(死んでないけど)者一名:北郷一刀 享年十八歳

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曹魏陣営の後日談

 

side道昭

 

・・・あれ?一刀サイドはもう終わり?何も重要な事喋ってないけど良いのかな?まあ竜があんな状態(しゅら)じゃあしょうがないけど、それでも劉備とかが説明するとかは無いのかな?

 

・・・何で知ってるかって?いや、ほら、二次小説には「電波」という便利な物が有るでしょ?

 

 

~その電波~

 

『テメエがッ!泣くまで!!殴るのを止めない!!!』

 

『竜!!泣くのを通り越して気絶してるぞ!!』

 

『落ち着いて兄様!!ああもう落ち着け――――!!』

 

『いいぞもっとやれー』

 

『星ッ!?お前も止めろ!?煽るなッ!!』

 

『ちょ、ご主人様しっかりー!?』

 

『はわわわわわわわわわ・・・』

 

『俺は人間止めるぞジョジョ――――!!』

 

『『『ジョジョって誰――――!?』』』

 

~電波供給停止~

 

 

・・・うん、中々にカオスだね。というより、本題に入らせてください。

 

今僕らは、どっか逝った(誤字に有らず)天統の穴埋め(というか事後処理。某外道神父さんみたいに「ああ、事後処理が・・・」見たいな状態)をしている。

皆は嬉々として手伝ってくれている。「あの天統(クズ)が居なくなってこれほど嬉しい事は有りません!!事後処理なんてアイツに比べれば、百億倍マシですよ!!」との事。

 

・・・どれだけ嫌われてんだ、アレ。確かにアレが居なくなって、城内の空気がかなり綺麗になったような気はするけど。

 

・・・ただね、ヤッパリ、大変なんだ、事後処理。

考えても見てよ!!アイツのやった事コンナンだよ!?

 

壱、「王たる者、ハーレムは必須だろう!!」とか言って若い娘(しかも身長百四十センチ以下、つまりは華琳より下のロリ、年齢は十六才以下)を二十人ほど連れ込んでいた(しかも殆ど洗脳及び性奴隷化)。

弐、上記理由により怒った彼女らの親兄弟をいつの間にか取得していた暗示術で洗脳。

参、高級酒(三百本程)を部隊費で落としていた。

肆、偶に変な癇癪を起こして「王の財宝」を乱射するので、領内九割の城の城壁が一部破損、若しくは破壊、若しくは崩壊。

伍、同理由により、領内に穴だらけで脆くなった門が大量発生、というか全部。

陸、同理由により、領民の九分の八がトラウマ持ち化。

漆、殆ど戦果を挙げて無いのに文官を脅して無駄に多い報酬をパクる。

 

どう!?この迷惑具合!!しかも壱~参と漆がバレてなかったんだよ!?不思議過ぎるよ!!

壱、弐、陸、漆のケースの人達のアフターケアも有るし、参の影響で兵士達も悪辣な環境で過ごさなきゃならなかった(お金が足りなかったんです・・・)し!!肆、伍で破損した城壁と門の補修もしなきゃいけないから余計にお金掛かるし!!

 

「不幸だ・・・」

 

だから今、書類の山脈(エベレスト)鉛筆(ピッケル)を両手に持って完遂(とうちょう)しようと頑張っているんだよ・・・

 

横では桂花(何故か真名を許してくれました)が書類の山地(モンブラン)と戦っている。

 

「ちょっと、無駄口叩いてないでさっさと終わらせなさ――――」

 

「・・・・・・・・・(カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ)」

 

「――――何か、ゴメン」

 

呟いた僕を睨もうとして、必死の形相で竹巻を一本三秒終わらせる僕を見て、次に全く減る気配を見せない書類の山脈(エベレスト)を見て、もう一度僕を見て、向けられたのは哀れみだった。

 

「謝らないで・・・泣けるから・・・(タパー)」

 

「もう泣いてるじゃない・・・珈琲作って来るわ、ストロー付きで」

 

ああ、桂花の(珍しい)優しさが何だか嬉しい。

 

鉛筆?珈琲?ストロー?こっちで作ってみた。かなり好評で、城下にもう珈琲店(カフェ)とか有るからね。

 

「・・・えっと、道昭、コレも頼めるかしら?春蘭と季衣が後一歩で倒れちゃって・・・」

 

扉を開けて華琳が入ってきた。腕には書類の山(ふじさん)

 

「・・・休暇、二週間に延長で手を打つよ」

 

「・・・アリガト」

 

どんどん出て来る不祥事の山。華琳も春蘭も秋蘭も季衣(許緒)ちゃんも流琉(典韋)ちゃんも稟(郭嘉)も風(程昱)も真桜(李典)ちゃんも沙和(于禁)ちゃんも、つまり魏の全員が今書類の山脈(モンブラン)と戦っているんだ。

・・・そういえば、「魏の三羽鳥」って、楽進ちゃんが竜に付いて行って居ないから、二羽鳥なんだよね。

 

「押し付けて、ホントごめんなさい・・・」

 

「・・・別に・・・いいさ。全てはアイツが・・・(グシャッ)」

 

「ちょ、その黒いナニカは何!?」

 

おっとっと、アイツへの怒りで黒化しかけてしまったよ。鉛筆も粉々になっちゃったし。

 

「道昭ー、珈琲入れた――――って華琳様!?」

 

「あら桂花、その珈琲は道昭に?」

 

ナイスタイミングに帰ってきた桂花が華琳に驚き、その桂花を華琳が茶化す。

 

「ああああのこれはですねッ!?コイツがどうしても飲みたいって言うからホントに渋々仕方なく仕様が無くですねッ!?」

 

「そう言っても満更じゃないんじゃないの?道昭は男嫌いの貴女が唯一心を開いてる人だしね」

 

・・・そういえば、最初はかなり厳しかったけど、最近は「ツン」だけど優しいような・・・って、集中集中!!

 

「顔を赤くして否定するのは肯定と一緒よ?」

 

「かかかか華琳様ッ!?」

 

「あらあら照れちゃって♪そういえば、最近余り(ねや)に来なくなったわね?道昭はどう思う?」

 

「・・・・・・・・・(カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ!!)」

 

聞こえません。秒速六巻で忙しいんです。

・・・最近、僕のスペック(主に内政)が人外化してきたなあってつくづく思う。並列思考(マルチタスク)も三分割出来るようになったし。

 

「ちょっと道昭?折角振ってあげてるんだから少し位反応しなさい?」

 

そう言って後から抱き付いてくる華琳(若干顔が赤いのは気のせいだと思いたい)。役得と言えば役得なんだろうけど、生憎反応する暇が有りません。青い顔色を一切変えずに仕事をこなして行く四徹目の僕であった。

 

「むうう~・・・」

 

桂花さん、怒ってるんですか嫉妬でございますか。でも赤い顔で頬を膨らませても可愛さしか有りませんよ?

 

・・・何だ?僕がハーレムルートに突っ込みそうな気が・・・いやいやいや!!僕に限ってそんな事は!!一刀じゃないし(マテコラ!!)!!

 

それはそうとして。

 

「仕事、さっさと終わらせようよ。唯でさえ多いんだから、時間を浪費するのは得策でないよ」

 

「「・・・分かったわ(この鈍感・・・)」」

 

結局全部片付いたのは五日後で、曹魏の将全員が生きた屍になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孫呉陣営の後日談

 

side零

 

ハロハロ~美少女零ちゃんですよ~。

自分で美少女言うなって?フッ、だが断る。

 

「何一人で変な事やってやがる。ほら、さっさとやれ」

 

「分かってるって!!・・・恋、ゴメン、ちょっと離れて。筆が持てない」

 

「・・・・・・・・・・・・スゥ」

 

「寝てた!?」

 

「恋どのぉ~、少しはねねも見て下さ~い・・・」

 

「ねねはさっさと処理せんかい!!ちょ、祐司、へるぷ!!」

 

「無理」

 

「即答かテメー!!」

 

はい、こーゆー訳です。え?意味不明だって?

 

何・・・だと・・・!?

 

とまあネタはコレくらいにして、今の状況を説明しよう。

 

アタシら月影、及び董卓軍は孫呉に押しかけてます。どうせ洛陽に居たって結局は華琳が主導権握ってるだけだし。華琳って結構硬いから、自由奔放な孫呉に来たんだよね。それに、明命は原作じゃ呉の将になる「予定」だったから、その通りにしたんだよ。それに呉って人材不足だから、友人の(よしみ)で提供してあげようとも思ったり。それにほら、ねね(陳宮)も送ってたし。

 

・・・だからと言って、

 

「コレは無いでしょ、コレは」

 

書簡の()。そう、壁。なにゆえ新入りのワテらに重要込みの書類の山を回すかオドレは。横で処理している祐司の顔が見えない。まあ道昭よりはマシだろうけど。

 

「・・・華雄は書類雪崩に潰された」

 

「翼ああああああ!?」

 

「・・・呂布と陳宮は、それだし」

 

「月と詠は!?――――って、そうだ、今日月一の不幸の日だった・・・!!」

 

 

そのとき、突然外から大声が――――

 

 

『鳳蓮様ッ!!雪蓮ッ!!張遼ッ!!どこ行ったああああッ!!』

 

 

「・・・つまり、六人分と」

 

「正確には冥琳のとお前のを含めて八人分」

 

「フッ・・・あのヤロォドモオオオオオオオ!!」

 

どーん★アタシの不機嫌ゲージがフルスロットル★

 

「ちょっと待ってて。直ぐに捕まえてくるから」

 

「・・・おk」

 

さてさて、では逝きますか。

ドバンッ!!と扉を開け放ち、冥琳に協力を申し出る。

 

「冥琳、手伝うよ・・・」

 

「ああ、零か――――(ガタタッ)」

 

ん?何そんなに怯えてるの?ただ笑ッテルダケジャナイ。

 

「あ、いや、うん」

 

「じゃあ、先ずは霞、捕まえに逝きますか・・・しィィィあァァァくゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」

 

 

 

 

 

 

side鳳蓮

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ここまで来ればもう大丈夫ね」

 

やっほー、鳳蓮でーす。雪蓮連れてめーりんから逃げてきましたー。

 

「母様、速過ぎ・・・」

 

「でも、こうまでしないと逃げられないでしょ?」

 

「でも・・・さっき悪寒が・・・」

 

「あら、貴女も?」

 

うん、さっきからものすっごい嫌な予感がしてるのよね~。

 

 

『・・・・・ェ・・・・・・・ゥ・・・・・・・』

 

 

「・・・ねえ母様、何か聞こえない?」

 

「ん?何か聞こえた?」

 

 

『・・ォォ・・ェェンく・・・・・・ゥゥン・・』

 

 

「「何・・・今の?」」

 

きょろきょろと周りを見回す私達の目に飛び込んできたのは、

 

 

「ふぁァァァンれェェェンくゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」

 

 

肩に何かを担いで走って(突撃して)来る零でした。

 

「・・・何か、ヤバクない?」

 

「・・・逃げましょう。ソレが良い――――」

 

「逃がすかオラアアアアアアアアアアア!!」

 

勢い良く零から発射されたのは、ボロボロになった霞でした。

 

 

 

~ステータス情報が更新されました~

 

 

回転して突撃する神速の槍兵(ブーメランサー・しあ)

 

ランク:B+

種別:対軍宝具

レンジ:1~∞

最大効果:∞

 

鳳蓮及び雪蓮に対してはクリティカル効果。

紫の光が高速回転しながら、軌道線上の全ての対象に必ず命中する。

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)同様の効果を持つが、ブーメランのように投げた者の手元に戻ることはない。

 

 

 

「「キャアアアアアアアアアア!!」」

 

 

 

その後、霞、鳳姉、孫策は自身の分に加え、華雄、呂布、陳宮の分の仕事をこなす事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~???~

 

暗く長い廊下を、眼鏡を掛けた男と白髪の少年が、金一色の男を引き摺りながら歩いていた。金髪の男が吼える。

 

「おい!!この我にこのような仕打ち、許される物ではないと分かっているだろうな!!」

 

「・・・リューグ、黙らせて下さい」

 

「・・・トリューグだ」

 

トリューグと呼ばれた少年は、金髪の男の腹部に軽く足を振り下ろす。それだけで簡単に男は悶絶し、気絶した。

 

「・・・お帰り、ナエム」

 

「お帰りなさーい!!」

 

二人の男に声を掛けたのは、長い黒髪の少女に、アルビノの少女。黒髪の少女は眼鏡の男に声を掛け、アルビノの少女はトリューグに飛び付く。

 

「ああ、『エリセド』ですか」

 

「んなッ!?『エカト』!!いきなり飛び付くなッ!!」

 

エカトと呼ばれた少女に抱き付かれたトリューグは、顔を赤くしながらも振り放そうとはしていない。

 

「青春してますねぇ」

 

「蹴り殺すぞテメェ」

 

殺気を放ちながらイジャスはナエムに詰め寄るが、正直言ってエカトに抱き付かれているせいで怖くない。

 

「リュ~グ!!マカロン食べる?」

 

「・・・また後でな」

 

横でいちゃつき始めた二人を無視し、エリセドはナエムと話し始める

 

「・・・それで、『転生者』天統の確保及び『旅人』佐久間零、佐久間竜の抹殺には成功した?」

 

「確保の方は上手く行きましたが、今あの二人に仕掛けるのは得策では無いでしょう。ツグ様の情報と違い、佐久間零の『源性』は闇の類でしたから、私では相性が悪かったですし、リューグ「トリューグだ」を当てようと思っていた佐久間竜の方は、所有する刀に全て『絶世の名剣(デュランダル)』の概念が宿っていました」

 

「・・・闇の力に不壊の加護、それは厄介」

 

「ええ・・・ですが、佐久間零の方は、コレを使う事で何とかなるでしょう」

 

ナエムは天統を一瞥して自身有りげに言う。エリセドは目を閉じて暫く考えた後、

 

「・・・分かった。任せる。私はツグ様に報告に行って来る」

 

「お任せを」

 

そう言ったナエムの顔は、邪悪に歪んでいた。

 




基準「ハイ!!お久しぶりです!!」

零「お帰りー!!」

竜「お帰りー、は良いとして、後日談になって無いじゃん」

基準「許して下さい」

零「出て無い奴とか、名前しか出てない子とか居るよね」

基準「今の私の実力じゃコレが精一杯です・・・ここで補足しておくと、公孫賛、袁紹、袁術は特筆する所は無く、いつも通り。蜀は、仕事の引継ぎでてんやわんやの所に一刀君のハプニングですね」

零「天統、凄い事やってたね~」

竜「典型的な自称オリ主・・・より酷いな」

基準「色々と最低感出そうと思うとあんなんになりました。裏でこそこそやるタイプ」

零「それに最後の方で新キャラ出てきてたし」

竜「作者、お前・・・」

基準「言いたい事は分かりますが、これからどんどん出てくるんで」

竜「あ、そう」

零「お時間ですよー!!『戦士と悪魔の外史旅行』!!」

基準「これにて反董卓連合編は終了です!!ご愛読ありがとうございました!!」

竜「次回もヨロシクな!!」


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第弐拾漆話 夢

えー、遅れてすいません!!今更ストックを作っていたり書き方変えてみたりしてたらいつの間にかこんなにも・・・

そういえば、ふとUAを見てみたら2万超えてました。拙作がこんなにも読まれているなんて吃驚です。ありがとうございます。出来れば・・・感想欲しいなあ・・・

本編をどうぞ。

7/28 最後の予言の内容を一部削除


どもども皆さん!! 零ですよー!! 元気ですかー!? アタシは勿論の事元気でーす!!

えー、今ですね、いつもの如く、書類に追われていますハイ。

・・・多いよ!! どう見ても3人分有るよね!? もう大変だから影分身使ってひったすらカリカリと・・・

 

お陰で長期休暇が取れません。

 

お陰で長期休暇が取れません。

 

大事な事だから2回言いました。

 

お陰で明命と恋を可愛がる事が出来ません。

 

お陰で明命と恋を可愛がる事が出来ません。

 

お陰で明命と恋を可愛がる事が出来ません。

 

とても大事な事だから3回言いました。

 

・・・鳳姉、雪蓮、また逃げました。

・・・あんのクソ親子ーーーーー!!

 

そんなこんなで、大変な毎日です。

 

ところで、色々と事後報告?

 

袁家(両方)及び公孫賛陣営、終了しました。

 

大事な事じゃないんでサラッと言わせて貰いました。

・・・ホントはとっても大事なんだけどね?

「じゃあ書けよ!!」という人も居ると思うけど、よーく考えて?作者にそこまでの文才と、余裕が有ると思う?

 

(A:無いです。by作者)

 

ほらね?それに、

 

公孫賛:史実通り袁紹に攻撃されて蜀に亡命。

 

袁術:孫家及び旧董卓軍の総攻撃にてアッサリ陥落。

 

袁紹:数だけ揃えた癖に背後から本陣突っ込まれてアッサリ壊滅。

 

・・・書く価値、無いよね?答えは聞いて(ry

 

そうして、曹魏(主に量)と孫呉(主に質)はか~な~り強化されました。

因みに、袁紹組3人は蜀方面へ逝きました(誤字に有らず)、案の定フルボッコされました(竜談)。袁術は月影傘下で養蜂、張勲は月影所属軍師になりました。

蜂蜜水大好きっ子な美羽(真名貰いました)には異様な才能が有って、大成功を収めまして、はい。孫呉の特産品として蜀と魏に売ってたりします。お金がどんどん入って来てます。大人気です。

今なら大瓶3つセットで何と19,800円!! 今すぐお電話を!!

 

「「「コラ本体!!ふざけないで早くやって!!」」」

 

・・・ごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零は何とか仕事を終わらせて現在正午、お手製の料理で皆と昼食という名のプチパーティであるというか突然ナレーター(わたし)に振らないで欲しい。この小説のナレーターは薄給なのだ。月5万しかサラリー無いのだ。朝から晩までバイトなのだそして全て食費に消えるのだッ(何の話だ)!!

 

 

「こら照!!その春巻きは私のだぞ!!」←春巻きを横からパクられて怒る天

 

「姉上、早い者勝ちなのじゃぞ!!」←天の春巻きを食べながらドヤ顔する照

 

「・・・天、恋のあげる」←自分の春巻きを天の皿の上に置く恋

 

「何・・・だと・・・!?」←食欲魔人の筈の恋の行動にネタで驚愕する明命

 

「明命そのネタどこで覚えた(モグモグ)」←ネタに呆れつつちゃっかり明命の春巻きを掻っ攫う零

 

「皆さん、春巻きならまだ有りますから・・・(汗)」←上記5名の行動を何とか収めようとする苦労人のメイド服月

 

「少しは落ち着いて食べなさいよ!! ・・・でも明命に同意」←騒がしい食卓に怒りながら恋の行動に少なからず驚くメイド服詠

 

「かゆー、のんどるか~?」←真昼間から酒瓶片手に酔っ払う飲んだくれの霞

 

「・・・お前後で20斤(約12kg)の錘背負って日が暮れるまで鬼ごっこな」←酔っ払いに対して冷静に死刑宣告する翼

 

「(もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ)」←喋る暇など無いみたいに飯をかっ食らうねね

 

「わん!! わんわん!!」←恋の気を引こうと懸命に服を引っ張る何気に本編初登場な赤兎(年齢:3才 ♂)

 

「ふにゃー」←明命の頭の上でコタツに入った某中国代表候補生みたく仰向けで溶けている風華(年齢:2才 ♀)

 

 

・・・最早何も言うまい。

天と照が居る理由?取り敢えず呉に避難中。天と照の命を狙う阿呆が出るかも知れないからという華琳のお願いによる(本当の理由は零と離れたくないからだという。懐き過ぎだろ)。

 

「結論、赤兎と風華見てたらペット欲しくなってきた」

 

「今までの流れのどこからそんな結論が!?」

 

「しょうがない、ペット飼う為に先ずは逆立ち腕立て500回から始めますか」

 

「全く関係ないよね!?だから何でそんな結論になるの!?」

 

「・・・明命、落ち着いて、そして諦めて」

 

「恋からそう言われる日が来ると思ってなかったよ!!」

 

「だれがイケメンやぁ!!」

 

「霞さんの言動にどう反応して良いか分かりません!!」

 

「「表に出ろお/出るのじゃあ!!」」

 

「2人とも喧嘩しないでッ!?」

 

突然突っ込み役にされた明命は哀れと言うしか無いだろう。

 

そんなこんなで、呉は今日も今日とて平和である。

 

 

「いったい作者は何書きたかったんだろそしてナレーターが投げやりな感じがするんだが」

 

「何でボクに振るのよ」

 

「月はどう思う?」

 

「だから何で私達に振るんですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼食が終わって現在未の初刻(午後1時)。ギリギリ時間の取れた零は恋と一緒にショッピングである。

 

「ショッピングって言うより散歩だけどね」

 

「・・・誰に言ってるの?」

 

「画面の前の人達」

 

メタは自重しなさい。

零は恋の手を握って大通りをずんずん進んで行く。月が2つの魔法世界のとある首都のように狭くないのであしからず。

でも進みにくい。理由は2つ。

1つ目、人が大勢いらっしゃる為。今日は平日。でもいっぱい。

2つ目。

 

「ああ恋ちゃん!! 桃まんいるかい?」

 

「恋ちゃん恋ちゃん!! 胡麻団子持ってきなよ!!」

 

「美味しい果物が有るんだが、恋ちゃんいらねえか?」

 

恋、恐るべき人気である。デン、デン、デンと恋(と零)の腕に積まれていく食料共。

ハッキリ言って邪魔でしかない。いつの間に零は荷物持ちになった。

 

「ちょ、恋、向こうの土手で休憩しよッ!?」

 

「・・・・・・」

 

零の問い掛けに反応すら出来ない恋。首を動かせばタワーが崩れる。口を開けば銜えた桃まんが蟻の餌。どう考えたって貰い過ぎだ。

 

よたよたと土手に向かう2人はかなり滑稽だった。

 

 

 

鳥に食べ物を狙われたり犬に食べ物を狙われたり虫に食べ物を狙われたりと、苦労を重ねて漸く到着。お疲れ様です。

 

「つ、疲れた・・・」

 

「・・・・・・(ぐでーん)」

 

もう放心状態である。しかも現在申の初刻(午後3時)。土手に向かう事を決定したのが未二つ(午後1時半)。大通りから土手まで普通に歩いて10分。つまり、10分の道を1時間半掛けてやって来たのだ。恐るべし食料の魔力。

 

「恋、お、休、みいぃぃ・・・」

 

「・・・・・・(チーン)」

 

そしてそのままブラックアウト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だれも、みかたなんていなかった

 

どこにいっても、きらわれた

 

いつだって、むけられるのは「■■■」だけだった

 

 

『■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね』

 

 

いつだって、どこでだって

 

 

『■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね』

 

 

だれだって、なんどだって

 

 

『■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね』

 

 

みんな、ぼくに、

 

 

『■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね■ね』

 

 

「■■■」をくれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っはあっ、はあっ、はあっ、はあっ・・・」

 

目を見開き、汗だくになって飛び起きる零。いつの間にか抱き付いていた恋も目を覚ます。

 

「・・・零姉、どうしたの?」

 

「・・・ううん、何でもない」

 

いつもと違う零の様子に恋は首を傾げるも、それ以上の詮索はしなかった。

 

 

 

零が鳳蓮と雪蓮を庇って毒矢に倒れたと恋が聞いたのは、翌日の朝の事だった。

 

 

 

 

 

 

――――予言敗れし黄金、名も無き一団に連れられ、(うつつ)へと舞い戻る。

 

呉の仙人、逆向く六の意味、魏の道士、逆向く八の罪、黄金に黒き蛇を植え、開闢の時は再び。

 

嘲笑(わら)う黄金、白銀は輝かず、風は止み、火は凍る。

 

柱を失う漆黒、この世の負を取り込み、闇と化す。

 

暴力と破壊と絶望。(とこやみ)は狂い出す。

 

(あやかし)(わら)い、(かげ)は泣く。

 

儚き(まぼろし)は、(ひとり)を嫌った。

 

 

 

舞台は、急展開を迎える。

 




零「あれだよね、今回最後を若干シリアスにしようとしてるけど、夢の内容が薄っぺらいよね」

基準「いやー、最初は夢の具体的な内容を書こうとしたんだけどねー、書いたら書いたで『うわ、ないわー』って思ったんでね、一番マシなのを書いてみた。因みに『■ね』の一番長いのは私のPC画面のツールバーとか抜いた所にギリギリ入るぐらいの長さだったりしますね」

竜「・・・つか、袁家と公孫賛の話書いて無いとはどういう事だ?」

基準「書いたら長くなり過ぎると思ったから飛ばしました。どっちにしろ原作と然程変わりないですし」

竜「そしてナレーター。あれ何?」

基準「後で人物紹介に書いときます」

零「書くの!?」

竜「要るのか?」

基準「正直、反省しています。でも」

零「後悔はしていない!!」

基準「台詞取らないでよ台詞」

竜「グダグダ言ってないで、ほら、時間だ。では、『戦士と悪魔の外史旅行』」

基準「次はシリアス・・・の筈?」

零「疑問系でどーする。じゃ、次回もヨロシクねー」


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第弐拾捌話 名も無き一団

初めて予約投稿をしてみました。投稿時は学校の修学旅行で長野に行ってます。
それと、前回の予言の内容を一部削除しました。
相変わらずの駄文ですが、どうぞ!!


――――事の始まりは数日前、それぞれの国の首都から大体同じ距離に位置する町で、1人の男が暴れているという情報がもたらされた時だ。

否、「狂ったように」暴れていた。

余りにも強過ぎるその力は視覚化され、力の奔流が柱となって吹き上がり、それぞれの首都にも何らかの被害を与える程だった。

事態を重く見た当主及び天の御使い陣は、全勢力を持ってその男を止める事を決断。曹操、劉備、孫堅らが、計十万という軍勢を引き連れ、全速力で現場へと向かう。

そこで見たのは、更地になった町と、狂ったように笑う天統、当人を攫ったナエム・アスティク、トリューグ・イジャスの姿だった。

 

「ハハハハハハハハハハ!! 凄い、凄いぞこの力!! ナエムとやら、感謝するぞ!!」

 

「フフフ、どういたしまして、とでも言っておきましょうか」

 

「・・・フン、そんな事より、来てるぞ」

 

軍勢の中から竜が歩き出て、ナエムとトリューグを睨み付ける。

 

「・・・テメェら、こんな所で何してやがる」

 

「貴様は楽蛟!? 貴様はここで我g「リューグ、黙らせて下さい」「トリューグだ」グフアッ!?」

 

竜に掴みかかろうとした天統を、トリューグが鳩尾を蹴り上げて気絶させる。何事も無かったようにナエムは話し出す。

 

「見て分かりませんか。駒に力を与えてやった、ただそれだけですよ」

 

仮面の下でニヤリと笑ったナエムは、隠そうともせずに話した。

 

「簡単な事です。『蛇』を植え付けただけ。まあ、蛇の力にどれだけ耐えられるのか、という生体実験も兼ねていますが。ただ徒に消費する訳にも行かないので、あなた方御使いを排除する仕事もさせています。一石三鳥ですね」

 

「・・・オーフィスの、『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』の『(ちから)』か」

 

「ええ。ドーピング薬としてはは最適ですから、実験データを利用して副作用の小さいドーピング剤や、『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』の力を封じた物でも大量生産しようかと」

 

「・・・まあ、天統が自滅してくれるに越した事は無いが、何とも鬱陶しい事しやがって・・・原典(オリジン)と一緒で性格悪ィしひん曲がってやがんなぁ、管理者『于吉』殿?」

 

「・・・その名前は呼んで欲しくないですねえ」

 

竜が名を口にした瞬間、ナエムから尋常じゃない量の殺気が放たれる。文官や劉備等の、戦場に立って戦う事が殆ど無い者達は立っているのも儘ならない量だ。

 

「何、コレ・・・!!」

 

「あ・・・う・・・!!」

 

「文官組は辛ぇだろ、下がってろ」

 

ナエムが口を開き、竜に対して静かな声で質問する。

 

「・・・どうして私の本名を知ったんですか?」

 

「管輅の予言のお陰だよ。『呉の仙人、逆向く六の意味』ってフレーズが頭ん中に引っ掛かってな。ふと思い立って正史じゃ呉の仙人のテメェの名をヘボン式で書いてみたんだ。『UKITSU』ってな。『逆向く』ってんで逆に書いてみっと『USTIKU』。無理すれば『()()TI(ティ)KU()』って読めるからな。

それで気付いたんだ。テメェらの偽名は全部、何かの英単語の綴りをひっくり返したのと本名のヘボン式綴りをひっくり返したのとの複合だってな。数字は知らんが。『MEAN(意味)』は『NA()()()』になりやがる。

そうやって考えると白髪のテメェ

は左慈だな?『GUILT(有罪)』は『()LIU(リュー)()』、『SAJI』は『()JA(ジャ)()』にならあ」

 

「・・・管輅め、余計な真似を・・・」

 

苦虫を噛み潰したような表情を仮面で隠して吐き捨てるナエム。トリューグも似たり寄ったりだ。

 

「まあ良いでしょう。兎に角、駒にあなた方を倒させる事にしましょう。リューグ、天統を叩き起こして下さい」

 

「トリューグだ」

 

毎度の如く同じ言葉で返事したトリューグは、天統を再度鳩尾を蹴り上げる事で覚醒させる。

 

「ゲボアッ!? ッはあッ、ッはあッ、貴様ァ・・・!!」

 

睨み付ける天統を意に介さず、ナエムは懐からガラス瓶を取り出す。中には、黒い蛇が2匹入っていた。

 

「リューグ、口を抉じ開けて下さい」

 

「だからトリューグだ」

 

「貴様、何を――――ガッ、アグオッ!?」

 

上に向けて無理矢理開けさせられた天統の口に、ナエムが蛇を2匹同時に入れようとする。

 

「――――させると思うか? 三刀流、百八煩悩鳳!!」

 

同時に、竜が煩悩鳳で妨害を試みる。が――――

 

「『嵐脚(ランキャク)・乱』」

 

トリューグの振り上げられた脚から放たれる3つの鎌鼬によって阻まれた。

 

「チッ、六式まで修得してやがんのか・・・」

 

その間に、蛇は既に1匹、天統の体内へと侵入を果たしていた。

 

「2匹目はやらせねえ!! 五刀流、百八十煩悩鳳!!」

 

竜は今度は両足も使い、煩悩鳳のオリジナル発展版、百八十煩悩鳳で攻撃を仕掛ける。

 

「嵐脚手裏剣」

 

だがそれも、トリューグにまた阻まれるが――――

 

「猛虎蹴撃!!」

 

凪の繰り出す気の弾がトリューグの横を通り過ぎ、ナエムの手のガラス瓶に直撃する。

 

「遅かったですね。既に完了しています」

 

砕け散ったガラス瓶は空で、蛇は2匹とも天統に同化していた。

 

「貴様ッ・・・ガッ、アアアアアアアアアアア!!」

 

「ウワッ!?」

 

「キャッ!!」

 

突然天統の身体から魔力が溢れ出し、衝撃波となって竜達を襲う。

 

「■■■■■■■■■■――――――――――!!」

 

「・・・グッ、『貴様』としか言わない内に力に呑まれて理性失いやがったなタコ野郎・・・凪、下がってろ」

 

刀を杖代わりにして竜は立ち上がり、凪に下がれと言う。勿論簡単に頷く訳もなく。

 

「イヤです!! 私も兄様と一緒に戦います!!」

 

「竜!! あたしも忘れんな!! 仲間外れにすんなよ!!」

 

焔耶も加わり、竜と共に戦おうとするが。

 

「八卦空掌」

 

「キャアアッ!?」

 

「ウワアアッ!?」

 

竜が掌から真空波を放って凪と焔耶を吹き飛ばす。

 

「イッ・・・兄様、何を・・・!!」

 

「下がっていてくれ。こいつらは俺出なきゃ相手に出来ねえ。孫堅が十人集まっても無理だろ。・・・危なくなったら助けに来てくれや」

 

竜は静かに構え、天統と向かい合う。

 

「・・・二刀流、首死爪(スシヅメ)!!」

 

「■■■■■―――――!!」

 

竜は天統の首を狙って鋭く斬撃を放つが、天統は半歩下がってそれを避ける。

 

「逃がすか・・・龍巻き!!」

 

すかさず口に刀を銜えて技を繰り出すが、今度は天統の魔力放出に阻まれ、失敗した。

 

「この野郎・・・魔力に関する才能無いんじゃねえのかよ・・・!! 豹・琴・玉ァ!!」

 

極端な前傾姿勢から弾丸のように天統へ突っ込んで行く。一気に懐に飛び込まれた天統は咆哮を上げながら無理矢理竜を跳ね

 

飛ばそうとするが、腹部に直接攻撃を喰らい、後方へと飛んで行った。

 

「■■・・・■■■■■―――――!!」

 

呻きながらも咆哮を上げ、またも衝撃波が発生する。

 

「チッ・・・アスティク、俺も出る。結界張れ」

 

「はいはい。それと、いい加減『ナエム』とちゃんと名前で呼んで下さいよ、リューグ?」

 

「死んでも呼ばねえよこのホモ野郎!! それとトリューグだッ!!」

 

着ける必要の無くなった仮面を投げ捨て、ファインティングポーズを取るトリューグ。それを見て竜は舌打ちしながら同情した。

 

「チッ・・・2対1かよ、めんどくせぇ。・・・同情するぜ?」

 

「面倒なのはこちらも同じだ。・・・同情には感謝する。アスティクいい加減死んでくれマジで」

 

かなり微妙な絆は兎も角、2対1なのには変わりない。更には結界のせいで曹操達の援護も見込めない。より鋭い気迫を出しながら、竜は2人を睨み付けた。

 

「■■■■■―――――!!」

 

天統は相変わらず咆哮を上げながら突進してくる。トリューグもこちらへ駆け出す。一瞬どちらを狙うか迷ったが、狙いをトリューグに定め、技を繰り出す。

 

「三刀流・・・三・千・世・界!!」

 

突進する竜に対し、トリューグは手を地面に突き、回転する。

 

「嵐脚・周断(あまねだち)

 

技同士の激突は、トリューグに軍配が上がった。竜は吹き飛ばされ、受身を取って着地し、悪態を吐く。

 

「クッソ、キリンジャーじゃねえ癖に周断の威力は折り紙付きか・・・!!」

 

所で、同じく突進していた天統は。

 

「火遁・火龍弾」

 

「風遁・大突破!!」

 

竜に加勢した恋と明命に叩かれていた。

 

恋が放った火龍弾は明命の大突破によって増幅され、威力だけなら火龍炎弾と同程度となって天統を襲う。

 

「■■■■――――!?」

 

「おい呂布!! 周泰!! 何でここに居る!?」

 

2人に気付いた竜が怒鳴るが、恋と明命はただ淡々と答える。

 

「・・・結界なら無理矢理入った」

 

「零が居ないなら、私達が零の代わりに戦います」

 

「非常識が移ったか・・・つかいつ起きやがんだあんにゃろ・・・しょうがねえ!! 2人には天統を任せる!! 俺はトリューグをやる!!」

 

「分かった」

 

「分かりました」

 

竜はトリューグに、恋と明命は天統に攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ア、れ?」

 

時計を逆回しして建業から孫堅達が出発した3日後、零は病室で目を覚ましていた。

 

「・・・・・・ここ、ハ?」

 

「起きたか零」

 

「・・・・・・れツ?」

 

横から掛けられた声に反応して首の向きを変え、烈の顔を見上げる。

 

「お前が毒矢に倒れたって祐司が血相変えて駆け込んで来たんだ。で、お前の治療をして、泊り掛けで面倒を見ていた。お前が倒れてもう一週間が経つぞ」

 

「ウ、ん・・・」

 

「ほら、水だ。喉が渇いてるだろ?」

 

ゆっくり身体を起こして烈から水の入った湯飲みを受け取り、一気に飲み干す。掠れた声も若干マシになった。

 

「・・・皆は?」

 

「ああ、確かそれぞれの国の首都から大体同じ距離に位置する町で、1人の男が暴れているという知らせを受けてな、全勢力を引き連れて向かったぞ」

 

「・・・男?」

 

「ああ。何でも金色の鎧に身を包んだ男らしい」

 

「・・・天統だ」

 

疲れたような顔をして、零はゆっくりと寝台から降りる。

 

「一応傷は塞がってはいるが、激しい運動はご法度だ。気を付けろ」

 

「・・・分かってる」

 

どこで覚えたか、一瞬で服を着替える零。その姿を見ながら、烈は思い出したように零に予言の事を話した。

 

「そうだ、お前が眠っている間に管輅が新しい予言を伝えに来たんだ」

 

予言の内容を零に伝えると、零の瞳が一瞬収縮し、次の瞬間。

 

 

 

―ッガアアアアアアアアアアン!!―

 

 

 

部屋の壁に大穴が空き、零の姿が掻き消えていた。

 

「・・・!! ったく、激しい運動はご法度だと言ったばかりだろうに・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ・・・!!」

 

零は足にローラーブーツを履いて荒野を駆ける。気のブーストも相俟って、速度は時速100kmを優に超えていた。

 

(もし『予言敗れし黄金』が今暴れてる天統だとしたら・・・『白銀は輝かず、風は止み、火は凍る』っていうのが竜、明命、恋の敗北、重傷の予言だとしたら・・・!!)

 

心の内に抱え込んだ不安を抑え、零は駆ける。

 

 

 

現場に到着した零が見たのは、血に塗れて動かなくなった3人の姿だった。

 

結界が解け、3人のもとに駆け寄る三国勢。

 

「兄様!! 兄様!!」

 

「おい竜!! 大丈夫か竜!!」

 

竜は呻くだけで、反応すら出来ない状況だ。

 

「おい恋!! 起きろ恋!!」

 

「呂布っち!! 確りしい!!」

 

恋も重傷だ。あばらが何本か折れ、気を失っている。

 

「明命!? ちょっと明命!!」

 

「明命さん!! 確りして下さい!!」

 

一番傷が重いのは明命だろう。元々防御が弱かったのも有ってか、無事な所を探す方が困難だ。

 

「・・・・・・あ・・・・・・」

 

零はそれを見て、固まったように動かない。

 

「・・・・・・う・・・・・・れ、い・・・・・・」

 

微かに明命が発した言葉に気付き、零はヨタヨタと明命に近づく。

 

「ご・・・・・・めん・・・・・・ね・・・・・・」

 

「え・・・・・・」

 

「明命、もう喋っちゃダメ!! 傷に響くわよ!!」

 

蓮華から止められても、それでも明命は零に言葉を紡ぐ。

 

「てんとう、たおして・・・・・・れいに・・・めいわくかけないように・・・って・・・・・・れんとふたりで・・・アグウッ!! ・・・おもったん・・・だけ、ど・・・・・・けっきょく・・・・・・どうにもできなかったよ・・・・・・」

 

「みん・・・めい・・・・・・」

 

必死に言葉を紡ぐ明命に零は手を伸ばそうとする。

 

「だいじょうぶ」

 

「――――え?」

 

明命の言葉に、零は手を止めた。

 

「わたしも・・・れんも・・・れい、が・・・なんで・・・あって――――」

 

言葉は続かなかった。明命の近くに着弾した王の財宝が周りに居た人ごと明命を吹き飛ばした。明命は地を転がり、動かなくなる。

零がゆっくり横を向くと、いつの間にか狂気から解放された天統がニヤついた顔をしていた。

 

「フン、所詮は小娘か。王たる我に勝てる道理も無い。所詮は犬死にした愚か者よ」

 

ゆらりと零は立ち上がり、感情の篭っていない目で天統を見る。

 

「止めなさい天統。今彼女らを侮辱するのは得策じゃありません」

 

「我に指図するな愚民が!! 我は王だ。王が何をしようと勝手だろう!!」

 

ナエムの言葉にも耳を貸さず、暴論を振り翳す。零が自分を恐れたと思ったのか、更に調子に乗る。

 

「しかし、殺すには惜しい女共だ。貴様ら、我の者になれ。精々慰み者にでもしてやろう。我の寵愛を受けられる事を誇りに思え。ああ、その3人は要らん。我に刃向かったのだ。『生きる価値も無い』わ!!」

 

 

――――生きる価値も無い

 

 

零の脳裏にフラッシュバックする。

 

 

生きる価値も無いと罵られ、暴行を受けた自分自身。

 

 

そんな零を守ろうとして、瀕死の重傷を負った竜。

 

 

背中から斬り付けられ、血を流して倒れる姉。

 

 

重傷を負いながら、それでも自分を守ろうとしてくれた両親。

 

 

様々な光景がフラッシュバックする中、零は思う。

 

 

 

――――また、みてるだけ?

 

 

―ピシッ―

 

 

――――また、まもれない?

 

 

―ピシピシ―

 

 

――――またみんな、わたしのせいでいなくなる?

 

 

―パキッ―

 

 

――――また、「独り」?

 

 

―パキパキパキ・・・―

 

 

 

 

 

 

『貴様らに生きる価値など無い!!孫と呼ぶにもおこがましい化物めが!!』

 

 

 

 

 

 

―バキイィッ!!―

 

 

 

 

 

 

――――(こころ)とは、酷く脆く、そして割れ易い物だ。

 

 




基準『どうも基準です!! 今長野に逝ってます!!』

竜「『行く』の字が間違ってるんじゃないか?」

基準『気にしたら負けだよ竜君』

竜「気にさせたのは作者だ。つか零はどこ行った」

基準『本編見たら分かるでしょ。あんな状態の零をココに引っ張って来る心算ですか』

竜「あー、この部屋精神に関しては本編と連動してたっけな」

基準『お分かり頂けたようで何よりです。あ、その代わりにゲスト呼んでるから。どーぞー!!』

―ガチャッ―

竜「ん? ってギャー!!」

?「だぁれが見ただけで吐き気を催して痙攣起こして、」

?2「そのまま死んでしまいそうな醜い化物じゃとおおおおおお!?」

竜「まだ何も言って無い!! 叫んだだけだッ!!」

基準『お分かりの人も居るでしょうが、本編に未だ一度も登場していない、貂蝉(W○KAMOTO)卑弥呼(ようかい)です』

貂蝉「ちょっと作者? 私達の紹介が酷くない?」

基準『知ったこっちゃねーです。さて「戦士と悪魔の外史旅行」!!』

竜「お前この2人何の為に呼んだ!?」

貂蝉「次回も宜しく頼むわねえ~ん!」

卑弥呼「また次回もよろしく頼むぞ!!」






基準『竜さん竜さん、この私もうすぐ止まる筈なんで、声のテープ抜いて処分しといて下さいねー(カチッ)』

竜「・・・・・・何でもありだなここ。百八煩悩鳳!!」

基準『ぎゃー!!』

竜「え!? 本物!?」


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第弐拾玖話 暴走と涙

あれ、あれえ? UAが25000超えてる・・・

ではどうぞ。


 

何かが割れるような音。それは、立ち尽くす零の中から聞こえた。

 

「・・・ま・・・」

 

ボソリと零が何かを呟く。それを天統は零を薄ら笑いを浮かべながら眺めている

 

「どうした? 命乞いか? 聞くだけ聞いてやるぞ? 我は寛大だからなあ」

 

調子に乗っている天統をナエムが抑える。冷や汗を流すその顔には警戒の色が見て取れる。

 

「待って下さい。様子がおかしい」

 

俯き加減で立っている零。目は隠れて表情が分からない。周りに居る将達も零の異常に気付き始めた。

 

「て、天っち? どうしたんや?」

 

「ちょっと、零? 大丈夫なの?」

 

掛けられる声を無視して、また呟く。

 

「今・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今・・・ミンナヲワラッタナァ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ひと)の口から出された声としては、余りに異質。更なる異常に周囲が気付けたのは奇跡と言っていいだろう。周りから

 

霞達が飛び退いた瞬間、膨大な量の殺気と「妖気」、「邪気」が周囲を包み込んだ。

ドッと脂汗が吹き出る。ただ単に恐怖(こわ)い。歴戦の将達でさえ、(ソレ)に恐怖した。

 

本能が警鐘を掻き鳴らす。あれは脅威だ。危険過ぎる。立ち向かうな。相対するな。ここから逃げる事だけを考えろ。逃げろ逃げろ逃げろ似解呂(にげろ)弐外炉(にげろ)煮下路(にげろ)荷毛絽(にげろ)にげろにげろにげろにげろにげろニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロNIGERONIGERONIGERONIGERONIGERONIGERONIGERO!!!!

 

天統の口から奥歯が鳴る音が聞こえる。汗で手が濡れている。動きたくても動けない。息も詰まりそうだ。

障壁を張ったナエムとトリューグは驚愕していた。零の源性が闇の分類に入る事は分かっていたが、流石に予想以上だった。

普通、誰がも思わないだろう。

 

 

 

――――身体の中にこの世全ての悪(アンリ・マユ)(クラス)(ヤミ)を飼っているなど。しかも、今も尚、外史の負力を吸収して増大し続けている。

 

 

 

気の量は人より多いだけ。忍術は性質変化以外。(パワー)速さ(スピード)技術(テクニック)でカバーしてるだけ。転生特典も中々のチートだが、それだけ。

どこにでも居そうなよくあるオリ主。その筈「だった」。

 

ならあれは何だ。何なんだあれは――――。

 

 

 

―キヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ―

 

 

 

「な、何、だ・・・?」

 

どこからか、笑い声が聞こえる。

 

 

 

―ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ―

 

 

 

人じゃ、ない。そもそも「生き物」ですらない声。

 

 

 

―カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ―

 

 

 

愉悦の感情が伝わって来る。

 

 

 

―ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ―

 

 

 

まるで、新たな同胞(はらから)の、(ヤミ)の誕生を祝福するかのように。

 

 

 

―アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ―

 

 

 

声は、嗤う。

 

不意にザシュリという音がして、ナエムの横で、天統の頸が()んだ。

 

「「・・・・・・・・・・・・え?」」

 

余りにも、あっけない最期。気付いた時には遅過ぎた。

天統の身体は、重力に従ってゆっくりと倒れ伏す。

ナエムとトリューグは、否、この場に居る全員が、それを見ている事しか出来なかった。

ゆっくりと、ナエムが零の方を向く。

零はナエムを見て嗤っていた。口は、赤い三日月の体裁をなしていた。

ゾクリとする間もなく、零の影が現世(うつしよ)に躍り出る。影は瞬時に槍の形を取り、ナエムを襲う。

 

「グッ!!」

 

障壁を斜めに張って槍を逸らし、トリューグに腕を掴まれて空中へ退避する。腕は衝撃で痺れ、動かす度に激痛が走る。

 

(クッ、細い骨が何本か逝きましたか・・・気や魔力での補助でもギリギリ・・・化物ですか「アレ」は!!)

 

ナエムは戦慄する。あのような化物、勝てる気がしない。今すぐここから逃げなければ――――。

しかし、ナエムは未だ、狙われていた。

 

「ッ!? 来るぞ!!」

 

零は影を戻し、右手を2人の方に向ける。何かを呟いたかと思うと、零の周囲に突如大量の刀剣が現れた。しかも、投影出来る筈の無い物ばかりだ。

 

「『宝具』だと!? 奴は『干将・莫耶』と『熾天覆う七つの円環』以外投影出来ないんじゃなかったのか!?」

 

トリューグがソレを見て驚愕する。零の周囲には事実、大量の宝具が漂っていた。

螺旋剣(カラドボルグ)然り、原罪(メロダック)然り、刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)然り、必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)然り・・・

挙句の果てには、無毀なる湖光(アロンダイト)勝利すべき黄金の剣(カリバーン)幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)さえも投影していた。

 

「――――停止解凍(フリーズアウト)全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)

 

「チイッ!!」

 

腕が逝ったナエムの代わりにトリューグが障壁を張る。だが、基本戦闘専門のトリューグは、防御用の術を苦手としていた。

ガラスが割れるような澄んだ音がして、障壁が容易く突破される。あわや――――と思われたが、突如として2人の姿が掻き消えた。同時に、何かが割れるような音がして、零が瞬時に正気に戻る。

 

「ッッ!? あ、れ?アタシは、何を――――」

 

周囲を見渡し、絶句する。

 

「何、これ・・・」

 

今更のように、将達も異常に気付いた。先程から、異様に静かなのだ。

 

 

 

――――周囲は、惨殺された死体が転がる、血の海だった。

 

 

 

半径100mに渡って、頭部を撃砕された死体や、四肢を失った死体、挙句何かに食い散らかされた死体が所狭しと並んでいる。将達がそれを呆然と眺める中、零は瞬時に振り向き己の腕を凝視した。

黒い紐状の何かが巻き付いた腕。所々隙間から見える素肌は、血で濡れていた。

 

「あ、ああ、ああああああああああああああ!!」

 

ガタガタと震える腕で零は頭を抱えて、絶叫した。

瞬間、新たな闇の奔流が天へと駆け上る。

逸早く正気に戻った鳳蓮が零に呼びかける。

 

「零!! 零!? 落ち着いて!! 大丈夫だから!!」

 

「いや、いやああああああああああああああああああ!!」

 

しかし、零は頭を抱えて叫び、震えるばかりだ。

自分の声が届いていないと理解し、鳳蓮は零の元へ駆け寄ろうとする。

 

「近づくなッ・・・!!」

 

それを、満身創痍の状態で尚、刀を杖にして立ち上がった竜が止めた。

 

「何でよ!?」

 

「今零に近付くと・・・『喰われる』ぞ」

 

「喰われるって・・・」

 

それだけ言うと、竜は何とか零に歩み寄ろうとする。勿論身体はボロボロで、寧ろ立っているのがおかしい位だ。

 

「兄様!? そんな身体で無理しないで下さい!!」

 

「竜!! 止めろって!! 自滅する気か!?」

 

「俺が・・・止めるしか・・・!!」

 

無理矢理に零の元へ動こうとした時、竜に向かって光の奔流が降り注ぐ。

地面に押さえ付けられた竜の前に、2人の老人が立っていた。2人は唯の老人ではない。

 

「いつかの駄神に、宝石翁!?」

 

かたや、零と竜を転生させた神、北一。

 

かたや、世界を渡る宝石翁、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。

 

片方の実力は未知数だが、もう片方は言うまでも無いだろう。

 

「ふむ・・・まさか『この世全ての悪(アンリ・マユ)』と同等の闇とはな・・・」

 

「わしも計算外じゃ。転生の際、濃い闇の力じゃとは思っておったが・・・」

 

「兎に角、力尽くでも抑えねばなるまいて。北一とやら、行くぞ」

 

「言われんでも分かっておるわい。・・・フウウウッ!!」

 

北一は右手に持った杖に魔力を込め、竜を地に押さえ付けた光と同じ物を零に放つ。ゼルレッチは宝石剣を取り出し、横に振るって魔力の斬撃を飛ばす。

しかし余りにも濃い闇の力にそれは容易く弾かれ、魔力の斬撃は吸収されてしまう。

 

「ぬうッ!! いかんな、流石に斬撃を連発しては力を与えるようなものじゃしなあ・・・」

 

事実、零の闇は斬撃の魔力で力が増している。魔力を扱うゼルレッチには分が悪い相手だ。

 

「ならわしに魔力を譲渡せい!! 神力に変換すれば何とかなるじゃろ!!」

 

「それしかないか、はああああああ!!」

 

ゼルレッチは魔力を一気に北一に流し込む。北一は受け取った魔力を神力に変換し、散弾にして撃ち出した。一発一発が突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)並の威力が有ると思われる。

 

「あああああ、ああああ、あああああ、あっ・・・・・・」

 

頭を抱えて苦しんでいた零は、不意に力が抜けたようにその場にへたり込む。どうやら自分への恐怖に精神が耐えられなかったらしく、気を失ったようだ。だが、それにより闇を抑えるストッパーが外れた事になり、より強い闇の波動が零を包み込む。それは神力の散弾さえも簡単に弾き返す程だった。

 

「・・・何じゃと?」

 

「・・・こりゃあ不味いのお」

 

冷や汗を流して後退る老人2人。何気にカッコ良さげな登場をした割には結局使えないジジイ共である。

 

「・・・・・・アンタら、下がってろ」

 

気で無理矢理細胞を活性化させて傷を応急処置した竜が前に出る。勿論重傷が治った訳ではないので、凪と焔耶に支えて貰っている状態だ。

竜は目を閉じ、静かに宣言しようとする。

 

「――――無銘流・禁術、封道・源性解――――」

 

だがそれは、2人の少女の行動によって遮られる。

 

「「――――零(姉)!!」」

 

恋と明命だ。満身創痍の身体で無理矢理駆け出した。

 

「なあッ!? 無茶だ!! 2人とも下がれ!!」

 

しかし、2人は止まらない。傷から血が噴き出しても、必死に走る。

己の身体が傷つく事も厭わず、零に駆け寄って、抱き付いた。

途端に、闇の波動が2人を襲う。それでも尚、2人は零を離さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「お願い!! 元に戻って!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叫んだ後、涙が2粒、零れて弾ける。瞬間、零の瞳に意識と理性の光が灯った。

それに乗じて、闇の波動が急激に収束する。

全て零に飲み込まれた後、零、明命、恋の3人は、抱き合ったまま地面に倒れ伏した。

 




基準「零さんの暴走回です」

竜「言ってしまえば、二次創作かなんかでよく有るパターンだよな。今回もヤッパリ零は来てないのか」

基準「当たり前です。今日はゲストも居ないですし」

?「ここにいるぞー!」

竜「またか。結界突破」

基準「ちっ、博霊大結界と同じ物を幻想郷の皆さんに頼んで張って貰っていると言うのに・・・という訳で、飛び入り参加、今でも本編未登場の蒲公英こと馬岱ちゃんです」

竜「何て無駄にレベルの高い結界を張っときながらこうも易々と・・・しかもまたシリアスぶち壊すような奴が来やがったし・・・」

蒲「ちょ、竜さん扱い酷いよ!!」

基準「因みに馬騰さんは原作通りお亡くなりになっておりまして、馬超、馬岱の2人は蜀に身を寄せているという設定です」

竜「書けよ。忘れてたのか?」

基準「すみません・・・」

蒲「うわー、作者まで扱い酷いよ私達の事忘れるなんて・・・後で罠に嵌めるから」

基準「言っちゃったら罠じゃ無いでしょ。兎に角! 偶には本編に付いて何か話しましょうよ!! 後書でシリアスムードぶち壊しですよ!?」

竜「書いたのはテメエだよ。・・・うん、零暴走したな」

蒲「したね」

基準「しましたね」

竜「しかも何だよ『この世全ての悪』と同ランクって。ハッキリ言ってチートだろ?」

基準「この展開に付いては前々から考えていたんです。ここまで長かった・・・」

蒲「金ぴかアッサリご退場? 『王の財宝』の射出だけでも大陸征服出来るのにね」

竜「まあ慢心王選んだ時点で運の尽きだっつーかこの回何もやってねーじゃん」

基準「噛ませですから」

竜「にしても酷いな。他のSSでももうちっとは活躍(?)したり噛ませとしての役割ちゃんと果たしてるのに」

基準「展開早めないと終わらないんですよ。もう続編のテロップまで考えてるんですから」

蒲「獲らぬ梟の羽算用は止めといた方が良いよ?」

竜「よく知ってたなその諺。出てきたの謎プリだっけ?」

基準「というか三国時代に無いでしょハリポタ」

蒲「作者の部屋の本棚の一番下の横山光輝『項羽と劉邦』『史記』の後に有った」

基準「無駄に細かい描写をどうもありがとう」

竜「書いてるのお前だからな!? ・・・む、時間だな」

基準「今回後書長いですねー」

蒲「じゃ、私が行くね!! 『戦士と悪魔の外史旅行』ー!!」

基準「次回の投稿は未定です。宿題が・・・」

竜「頑張れ。じゃ、次もヨロシクな!!」



蒲「さーて! 焔耶を罠に嵌めるとでもしますか!!」

竜「おい」


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第参拾話 We love you

長期休暇より通常授業の方が時間的余裕がたっぷりな、3~4割夏休みの宿題が残っている基準です。

・・・恨むぞ学校!!

少し酷いですがどうぞ。


 

揃って気絶した3人を大急ぎで建業に運び、それぞれ個室に寝かせた後、関わった全員が広間に集められた。

呼び寄せたのは、竜、北一、宝石翁の3人だ。

 

「それで、私達を呼んだんだから、ちゃんとした説明を要求するわよ? 先ず貴方達が誰なのか、それから零のあの力は何なのか」

 

全員を代表して華琳が3人に詰問する。

やれやれといった感じで北一が口を開いた。

 

「・・・先ずは自己紹介からじゃの。わしの名は北一(ほくいつ)。零と竜を転生させた張本人で、北方の方角を司る転生神じゃ」

 

「ワシはキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。職業としては世界を渡る魔法使いかな。大師父、宝石翁、ゼル爺、好きな呼び方で構わんよ」

 

「・・・まさかとは思たけど、ホンマに本人やねんなあ・・・」

 

宝石翁の自己紹介に、佑が感嘆の声を漏らす。フィクションの中の大物が目の前に居たら誰だってそーなる。作者だってそーなる。ナレーター(わたし)だってそーなる。

 

「何で来たんだ? 特に宝石翁」

 

「小奴に無理矢理連れて来られたんじゃ」

 

竜の言葉に、宝石翁は横目でジロリと北一を睨む。

 

「・・・何か済まん。じゃがわしだけでは無理じゃったんじゃ」

 

「その割に周泰と呂布の2人にアッサリ収束させられてたよな」

 

「・・・返す言葉もゴザイマセン」

 

やはり頼りないジジイである。

 

今度は鳳蓮が口を開いた。

 

「それで、零のあの力が何なのか、楽蛟、説明してくれる?」

 

「もう全員竜と呼べ。あの力、か。その説明をするなら、先ずは先に実家の事と、零に付いて話すとしようか――――」

 

もったいぶった話し方で、竜は話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――先ずは実家について話そうか。

実家(ウチ)は、一刀達は知ってるだろうが、二千年以上前から、下手すりゃ紀元前から古流武術を伝える続ける由緒有る家だ。

流派の名は「無銘」。無銘流だ。曰く、この世のあらゆる「武」の大元となったと言われる厨二感溢れる武術流派だとさ。因みに俺達の姓は佐久間だが、元々は「無銘」という姓だったらしい。

事実、無銘流は他の武術とは一線を画していた。小説やらの創作物(フィクション)にしか出て来ないような、「気」を扱う術が有った。

俺達が使う「気」には、所謂属性という物が有る。

 

火や感情などを司る「炎」。

 

氷や水などを司る「水」。

 

雷や音などを司る「雷」。

 

岩や金属などを司る「地」。

 

草木や生命などを司る「樹」。

 

風や癒しなどを司る「風」。

 

以上六つが、自然気と呼ばれる――――ネーミングはまんまだが――――大自然を司る属性。

 

光や(ひじり)などを司る「光」。

 

闇や(よこしま)などを司る「闇」。

 

竜族の者にしか宿らない力の属性「竜」。

 

それと、基本となる「無」。

 

この四つを基源気と呼ぶ。因みに、「竜」と「無」を除いた八つを捌大属性と呼ぶ。

 

俺達の一族は、自らの源性によって得意な属性が変わる。俺が「竜」、零が「闇」、という具合にな。

 

で、俺達の一族は二つの本家を軸に、「鳳凰族」、「麒麟族」、「朱雀族」に「白沢(はくたく)族」など、数多くの分家が存在する。

一つ目の本家を「無銘流格闘武術幻精本家」。零の実家だ。

もう一つを「無銘流格闘武術竜鬼本家」。こっちは俺の実家だ。

何で二つ有るかっつーと、開祖が2人居たかららしい。

 

本家の方の開祖を「幻獣帝」、その妻を「精霊帝」、竜族の方の開祖を「神竜帝」、妻を「百鬼帝」という。中々に厨二センス溢れる名前だろ?

幻獣帝はこの世の幻獣達、青龍を除く四神や聖獣達の、神竜帝は鱗持つ物、蛇や竜なんかの、精霊帝は文字通り精霊の、百鬼帝は魑魅魍魎の祖先と言われてる。つまり俺達は人外生命の末裔という訳だ。分家も、族を象徴する生命が先祖だという。嘘かホントかは分かんねえけどな。

だかららしいが、一族は気が使えたり、常人を超える身体能力を持つ。まあ精々、1階から2階に跳び上がったりする程度だけど。気を使えば話は別だがな。

 

だけど、今の一族の()()は気が「使えない」。退化しちまって、精々指先に火を灯す程度だ。

だが本家は違う。他の家の人間と交わらず、代々一族の中で婚姻を重ねて来た。基本は従姉妹や分家、本家同士で。時には家庭内での近親結婚、更には特殊な術を使って女同士で子を「産んだ」なんて事も有ったらしい。流石に薔薇(おとこどうし)は無かったようだがな・・・

そのせいで、血を薄める事無く純潔を保って来た。そのお陰で、二大本家はあらゆる聖獣や精霊、竜族に化生の血を宿す事になり、結果気の才能が失われる事無く保たれて来たっつー話だ。

 

・・・さて、ここまで何か質問は? 無いか? まあ有っても後回しだ。次行くぞ。

 

俺と零は、二大本家の長男として生まれた。親父もお袋も兄弟姉妹だったから、従兄弟に当たる。何の因果か、誕生日は一緒で、挙句全く同時刻、秒単位で数えても全く同時に俺達は誕生した。ここまで来ると作為的な物を感じるね。

俺達は双子の兄弟同然に育った。同じ家に住んでた事も有って、双子その物だったよ。

勿論他にも兄弟はいた。2人とも、姉、弟、妹が1人ずつ。癖の強い奴ばっかりだったな。

まあ俺達は、どこにでも居るような幸せな家庭だった。朝起きて、朝飯食って、小学校行って、友達と遊んで、帰って来て晩飯食って、宿題やったり遊んだりして、寝る。午後に修行をするっつー点と、二世帯12人が一軒家に住んでる――――つっても結構な豪邸だが――――って事を除いたら、普通の一般家庭となんら変わりなかった。

 

 

 

 

 

 

その筈だったんだけどな。

 

 

 

 

 

 

切っ掛けは9才の、俺達の誕生日、6月26日日曜日。これは一族全員の記憶を纏めて想像(シュミレート)してみたんだけどな?

 

その日、一族の代表者を集めて俺達の誕生日パーティをする事になってたんだ。6才の時もそうした。本家のしきたりだ。

あいつはいつも通り、家に帰って来て門を開けた。

無邪気に走って玄関の扉を開けて、零は異変に気付いた。

家の中に漂っていたのは、鉄の匂い。鉄と言うよりかは――――血。

修行で怪我する事が多かったから、その匂いは嫌でも識別出来た。

そして、家は集団が居るにしては静かだった。いや、「静か過ぎた」。

怪訝に思った零は、靴を脱ぎながら呼び掛けた。次の瞬間に、

 

『れ、零!! 来るんじゃない!! 早く逃げ――――ぐああああッ!!』

 

自らの父親の苦悶の声を聞いて、零は居ても立っても居られなくなった。

声が聞こえたのは居間。12人全員が卓を囲んで飯を食う場所だった。

零は居間に駆け込んだ。そこに居たのは、縄で縛られた全員と、短刀(ナイフ)を膝に突き立てられた伯父さん、つまり零の父さん、それと、複数の短刀を所持した男の姿。

誰だって零は男に怒鳴り付けた。怖かったのか、足は微かに震えてた。

男はニヤリと笑って、お前の父さんを刺した男だ、夜叉族の加賀山狭霧だって男は自信満々に言った。

何でこんな事を零が呟くと、

 

『何で? 簡単な事さ。俺には所謂野望が有る。兄貴は腑抜けて従順になっちまったが、俺は違う』

 

『本家の人間を皆殺しにし、俺が一族のトップに立つ!! そして世界をこの手に収めるんだ!! 一族の身体能力は垢抜けているからな。鍛えれば米軍を超えるだろう。これはその前哨戦。俺がこの世の王になる為の第一歩だ!!』

 

男はそんな風に舞台で歌うように宣言した。今思えば、怒りより先に昔懐かしい世界征服の野望を掲げて恥ずかしくなかったのかって思う。

で、男は零に攻撃して動けなくした後に、目の前で伯父さん達を傷付けようとした。零を絶望させて無気力状態にして、傀儡にしようとしたらしい。

 

で、案の定失敗した。

零の妹が傷付けられようとした瞬間に、「アレ」が発動した。

「アレ」を無意識に操って、零は男を攻撃した。

結局は噛ませ犬だったらしくて、最期は悲鳴を上げながら影に喰われていったよ。

 

零が行った、最初の「殺し」だった。

 

で、その後零が迫害され始めた。

味方は俺達11人だけだった。それ以外全員が零を忌み子として憎んだ。

祖父母だって零をゴミを見る目で睨んでた。

学校でも虐められて、教師は見て見ぬふり――――なら未だ良かったんだけどな。生徒を守る筈の教師自身が虐めを扇動してた。

擦り傷、打撲、切り傷なんてザラ。酷い時には全治3ヶ月の大怪我。

挙句、誰もが零を拒絶して、無視するようになった。誰に話しかけても、まるでそこに居ないかのように振舞われた。鼻で笑って突き飛ばされるなんて事も有った。

 

そいつらの理由は、決まって「正義の為に」だったよ。そっからだ。あいつが「正義の味方」を嫌うようになったのは。

 

周りは敵だらけだった。だから、零は人間不信に陥った。あいつが「家族」にしか心を開かない理由はそれだ。

 

でもあいつは、愛されたかった。

人に認められたかった。

孤独(ひとり)になりたくないから、必死で修行して、勉強して、認められようとした。

結果あいつは一族の中で「鬼才」とまで呼ばれる程の実力者になった。

でも何も変わらなかった。

地元から逃げるように、私立中の受験をした。俺も零に付いて行った。心配だったからな。

 

そこで、一刀達に出会った。

あいつに俺以外に初めて出来た、親友だった。

それだけで、あいつは救われた。初めて認められた。初めて愛された。初めて拒絶されなかった。初めて、「孤独(ひとり)」じゃなくなった初めて――――、全てが変わった。

 

初めてあいつに、明るい未来(あした)ってのが訪れたんだ。

 

だからあいつは、「孤独(ひとり)」を極端に嫌う。独りの怖さが、拒絶される怖さが誰よりも分かってるからだ。

そして、人に裏切られるのを怖がって、人を信じず、人を愛さず、人を拒絶して独りになろうとしながら、人に信じられたくて、人に愛されたくて、人に拒絶されて孤独になる事を恐れる矛盾を抱えた哀しい奴になった。なってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――だから頼む。あいつを孤独(ひとり)にしないでやってくれ。もう一度、絆を与えてやってくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って竜は頭を下げる。場は沈黙に包まれた。

月並みでベタベタな理由だと思う人も居るだろう。だが、当事者からしてみれば、重くて、重くて、ただただ重過ぎる事だ。

「俺達がお前を拒絶するような奴に見えるか」なんて台詞は通用しない。

理想を抱いたまま溺死するのがオチだろう。

 

「・・・結局、『アレ』って何なんだ?」

 

一刀が喋り辛そうにおずおずと声を出す。竜も喋りにくそうだ。

 

「・・・あれは、零の源性、『邪黒』だ」

 

「え? でも呂天さんの源性は『闇氏』だって前に――――」

 

「その場しのぎさ。ああ言わねえとそん時お前らが受け入れられるかどうか分からなかったからな」

 

桃香の言葉に竜が返す。竜は手を組んで肘を膝に突いた姿勢で話し始める。

 

「零の源性は『邪黒』。その名の通り、『負』の概念を持つ物全てを統べる」

 

「全部?」

 

「ああ。闇だけじゃない。葬炎や、邪気、妖気、悪意とか、化生に悪魔などなど。『負』に属する物全てを統べる。そして『邪黒』は、零の意思に反応する。非常識なんて比じゃない。凶暴性、残虐性、冷酷非情。そういうのも零の性格に含まれてる。精神に直接干渉する例外で、初代様御2人が唯一『禁忌』とされた最高にヤバイ代物だ。暴走すれば下手すりゃ世界を『喰らう』からな。全生命皆殺しだ。邪悪という言葉はこの源性の為に有ると言っても過言じゃない。今までの『邪黒』所有者は皆、人を殺し、人を喰らう事を快楽とした『ナニカ』になり、破滅していったとさ」

 

竜の言葉に全員(老人2名除く)が顔を青褪める。祐司は含む所が有ったのか、竜に問いかける。

 

「なあ、なら何であいつは毒矢で死に掛けたんだ?」

 

「ああ、多分『毒』だったからだろうな」

 

「『毒』だから、だと?」

 

「ああ。『毒』は自然気、『樹』の分類(カテゴリー)に含まれる。元々植物が自衛の為に作り出したモンだから、『毒矢』に込められた『呪』や『殺気』は吸収出来ても、『毒』という負に属さない力は吸収出来ねえんだ」

 

「成程な」

 

宝石翁は俺の言葉を反芻して、問いかける。

 

「力としては、黒聖杯のようなモンか?」

 

「黒聖杯の方が百万倍マシだよ。世界の抑止力(ガイア)霊長の抑止力(アラヤ)ごとアッサリ呑み込むからな。まあ今回は未成熟だったからあの程度で済んだが、あれで本来の5%から10%らしい」

 

「・・・ワシとアルクェイドと二十七祖が束でも無理そうじゃのお」

 

「だろう――――」

 

―ガシャアアアアアアアアン!!―

 

「――――なーってあいつ起きたか」

 

突然響いた物音に誰もが驚く中、竜は平静を保っていた。

 

「兎に角行こう。多分話せる状況じゃないとは思うが」

 

『『『え?』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激しい物音は零の部屋から。全員がそこに駆けつけると、見えたのは、粉々に割れた花瓶と、散らばった花。そして――――

 

「あうああ・・・・・・うう・・・ああああ・・・・・・あああああ・・・・・・・」

 

頭を抱え、ガタガタと震えて怯える、余りにも弱々しい零の姿。

 

「れい・・・?」

 

思わず、雪蓮が零に向かって手を伸ばそうとするが、

 

「ヒイイイッッ!?」

 

盛大に怯えられる始末だ。雪蓮は思わず手を引っ込める。

 

「な? こうなると暫く宥め賺さねえと――――いや、それでも無理か? ぶっちゃけ俺には手に負えん。俺もここまで恐怖の感情を露にした零は初めてだ」

 

改めて零を見る。瞳は光を失い、絶望しか映っていなかった。肌は血の気を失ったように真っ白で、ガタガタと震える姿は、反董卓連合戦の時に見せた勇猛ぶりは面影すら残っていなかった。

 

そこに有るのは、唯単に全てに怯えるか弱き少女の姿のみ。

 

「・・・どーしょこれ。俺だけじゃ無理だな・・・」

 

間の抜けたような声で言う竜に一部の人間が殺気の篭った目で睨み付けようとするが、声に反して眉間に皺を寄せた厳しい顔を見て直ぐに収める。

 

そこに、ねねの声が響き渡る。

 

「れ、恋殿!? そのような傷で出歩くなど、無茶にも程が有りますぞ!? 明命殿も、恋殿よりも重傷なのに、どうして出歩いているんですか!! 烈殿!! 医師である貴女が何故(なにゆえ)患者を安静にしておかぬのです!!」

 

「あ、いや、断り切れなくて・・・(首に刃突き付けての脅しってよく有るけどこんなに効果覿面だったんだな・・・)」

 

その声に全員が振り向いて、無意識に道を空ける。そこを、松葉杖を突いて、右腕を吊るし、左足を浮かせた状態でいる恋と、烈が押す車椅子(※真桜(李典)作)に座る明命が進んで行く。

零が乗る床の横まで辿り着くと、激痛に苛まれる身体を無理矢理動かし、床の上に乗った。

その様子を見ていた竜はどこか安堵した表情で、他を促し退出させる。部屋の中に居るのは、零、恋、明命の3人だけ。

 

「いやあ・・・いやあ・・・!!」

 

零はずっと震えている。頭を抑え、恰も物の怪に囲まれた少女の如く。

 

不意に、零の身体が2人に包まれる。

 

「大丈夫・・・ここには零を虐める人は居ないよ・・・」

 

「零姉を虐める人が居たら、恋達が全部やっつけるから・・・」

 

零の怯えは止まらない。2人は続ける。

 

「前にも言ったよ・・・零がどこまで堕ちて行っても、あの世の果てでも着いて行くから・・・」

 

「零姉にずっと着いてく。零姉のお願いなら何だってするから・・・」

 

零の震えは止まらない。だが、ゆっくりと、本当にゆっくりと、治まって来ているように思えた。

 

「・・・・・・・・・で、も」

 

ポツリと、零が言葉を発した。

弱々しい語気で、震えた声でゆっくり話し始める。

 

「でも・・・でも、あたし、なんかがいたら・・・みんな・・・みんな・・・」

 

「『なんか』なんて言わないで」

 

ピシャリと明命が遮る。

 

「零姉が居たから、恋、鍛練頑張れた。零姉居なかったら、恋、今ここに居るか分からない」

 

「零が助けてくれたから、私は今、ここに座っていられるの。零が居るから皆が傷付くんじゃない。零が居るから、皆、笑っていられるの。ベタな台詞だけど、これが、私達の本心だから・・・」

 

痛みを気にせず、2人はより強く零を抱き締める。

 

「・・・・・・やだ・・・ひとりは、もうやだ・・・・・・」

 

「零姉は独りじゃない。恋が、皆が付いてる」

 

「例え離れ離れになっても、例え何億年かかっても、私達は絶対零に会いに戻って来る。だから、独りじゃないよ・・・」

 

簡単な言葉。歯の浮くような台詞。どこかで聞いたような文章。上っ面だ。罵られても構わない。

 

2人の言葉は、ただ純粋に零を愛するが故に。

 

「・・・・・・いつまでも、そばに、いてくれる?」

 

「「ずっと」」

 

3人の鼓動が一つになる。とても、暖かかった。

 

 

 

翌朝、抱き合って安らかに眠る3人の姿が有った。零の顔は、とても幸せそうだったらしい。

 




基準「更新遅れてすいませんっしたああああああああああ!!」

竜「確かに遅いな。今まで何してた?」

基準「前書きにも書いたように、残った宿題をひたすら消化してました。しかも今年前より多いんだよ!! 1.3割増しだよ!! 卒論も有るんだよ!!」

竜「卒論って、作者ん所って中高一貫じゃなかったか?」

基準「知らんがな。私に聞かないで下さいよ」

竜「・・・そういえばさ、弐拾参話で没話の暴露を2話に1回するとか言ってなかったか?」

基準「あれですか? 後々気付いたんですよ、『2話に1回出来る程ネタがねえ!!』って」

竜「・・・あっそう」

基準「でも章最終話の座談会にはしますよ!?」

竜「・・・作者って結構テキトーだよな」

基準「・・・・・・(シクシク)」

竜「こらこら、声を押し殺してさめざめと泣くなで、今回の話だが」

基準「・・・ああ、零の過去話はあれで精一杯です。これ以上思い付かなかった。でも、零が転生前は嫌われてたってのは前々から決まってた設定ですよ」

竜「それはそれは。孤独を極端に嫌うのも前から決めてたのか」

基準「ええ。この話で明命と恋の2人を絡ませる事も考えてました」

竜「・・・授業中とかに考えてねえだろうな」

基準「どうでもいい授業の時は考えてます。倫理とか倫理とか倫理とか」

竜「・・・どれだけ倫理が嫌いなんだ」

基準「スカイツリーの高さ位」

竜「・・・では『戦士と悪魔の外史旅行』ー」

基準「次回もよろしくお願いします。次回はとある作品からゲストをお招きしようと思っています」

竜「無許可か?」

基準「許可取ってますよ!! では、また次の機会に」


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第参拾壱話 獣耳、鎖、奴の疑問

大幅に遅れてすいませんでした!!


現在時刻は辰の正刻、つまりは午前8時頃。タイミングとしては休日の朝に、若しくは目覚まし時計の努力も空しく遅刻という不名誉を引き起こす、勉強が好きとは言い難い学生達が漸く目覚めた時間帯。

大広間の扉の前、松葉杖を突いた恋と、車椅子に座った明命、そして、車椅子を押す零の3人の姿が有った。頭の上には何故か麦わら帽。服装も白のワンピースと、夏を意識したかのような女の子らしい清楚なものに変わっている(現在季節は夏)。

 

「ねえ・・・ホントに大丈夫かな・・・?」

 

零は顔を若干青くし、爪を噛んでいる。それもそうだろう。つい先日(4、5日前)、己が力で恐怖を振り撒いたばかりである零としては、自身が恐怖の対象として迫害されても可笑しくは無いと考えている。

 

「大丈夫だよ。皆零を怖がるような人じゃないって、分かってるでしょ?」

 

「・・・もし零姉を拒絶したなら・・・!!」

 

そんな零を明命が優しく諭す。横に居る恋は、ゴゴゴという擬音語でも見えそうな不穏なオーラを振り撒いている。下手をすればコンマ1秒で千切りにされそうなふいんき、じゃなかった雰囲気である。

 

「恋、アタシを心配してくれるのはいいんだけどちょっと落ち着いて? 若干怖いよ?」

 

「・・・ごめんなさい」

 

瞬時にオーラを収め、シュンと項垂れる恋。心なしか頭の触覚も萎えているように見える。

 

「あっ、いや、別に起こってる訳じゃ・・・(汗)」

 

すぐさま零がフォローに回る。幾分か気が楽になったようだ。顔色も最初に比べ良くなっている。

零は深呼吸をすると、扉のノブに手をかけた。そのまま勢い良く扉を開く。

零は、扉が外開きである事を忘れていた。勢い良く開かれた扉は明命の座る車椅子へカーブを描きながら一直線である(どっちだ)。

 

「ちょ、危なっ!?」

 

「うわっとと!!」

 

慌てて扉を止める。扉はギリギリの距離で止まった。

 

「・・・何してんだお前」

 

扉の向こうから右腕を吊るした竜が呆れたような言葉を投げかける。

 

「あ、あは、あはは・・・」

 

「とりあえず中入れ。そんなトコに突っ立ってられると邪魔だから」

 

「はーい、すいませーん・・・」

 

苦笑いで広間に入る。顔は苦笑いだが、零は内心嫌われないか心配で心臓バクバクである。

 

「あ、零に明命に恋ちゃん、おっはよー! って零その服は!? 滅茶苦茶似合ってるじゃない!!」

 

「あら、中々早いお目覚めね。もう少し寝てると思ったんだけど。零、服似合ってるわよ」

 

「天っちに呂布っち、泰っちおっはー!! 天っち、あんまそーいった服って見た事なかったから新鮮やわー」

 

「おはようございます零さん。服、似合ってますよ。恋さん、明命さんもおはようございます」

 

上から雪蓮、鳳蓮、霞、月の順で3人に声を掛ける。零の心配とは裏腹に明るい雰囲気だ。

 

「あ・・・」

 

「ね? 大丈夫でしょ?」

 

「・・・もし零姉を裏切ったら・・・刺殺? 惨殺? 銃殺? 圧殺? 撲殺? 絞殺? 斬殺? 焼殺? 毒殺? フフフフフフフフフフフフフフフフフフフ・・・(ブツブツ)」

 

呆然とする零に明命が声を掛ける。そして恋はかなり物騒である。というかキャラ崩壊も甚だしい。それに銃殺はこの時代に無い。

 

「ちょ、恋、何か黒いの漏れてる! 何か出てるー!」

 

慌てて蓮華が恋を止めようとする。

 

「殴殺? 射殺? 絞殺? 暗殺? 薬殺? 挟殺? 轢殺? 屠殺? 爆殺? 封殺? 焚殺? クククククククククククククククククククク・・・」

 

怖い。正直、怖い。つかもう、アンタ誰?

そんな恋をスルーして、竜が零に話しかける。

 

「所で零、その服は一体・・・?」

 

「ああ、明命に目を煌かせながら言われて無理矢理・・・アタシ的にはボーイ系の方が良いんだけどね・・・」

 

「あー、まあ元男だもんなー・・・で、麦わら帽は?」

 

「これは・・・その・・・」

 

麦わら帽について指摘されると、真っ赤な顔を俯かせて黙り込んでしまう。

頭の上にクエスチョンマークを掲げながら竜が頸を傾げていると、窓から強い風が吹き込んで、零の麦わら帽を飛ばした。

 

「あ・・・!!」

 

麦わら帽の下に有ったのは、人に有る筈の無い物。

学名、Canis lupus familiaris、食肉目イヌ科イヌ属に分類される哺乳類が持つ、猫よりは少ないものの従順系キャラなどに比較的多く見られる三角形の云々――――

 

「・・・なんでさ」

 

早い話、犬耳である。

 

「正確には狗耳、それか狼耳ね?」

 

「テメエは某運命さんの使い魔か若しくは夜天の主の守護獣か」

 

「長いよ」

 

ペタンと床に座り込む零。頭の犬「狗、それか狼」狗耳を恥ずかしげに両手で隠している。

 

赤い頬+涙目+上目使い+αケモ耳=無敵!!

 

そんな文が野郎共の頭の中でリピートされたとか。

 

「可愛いーーーー!!」

 

そして暴走した奴が約1名(明命)。

 

「あいたたたたたたたた!!」

 

抱きつく前にそのまま撃沈。大怪我している状態で暴走するからである。

 

「・・・で、その耳は?」

 

「朝起きたら尻尾付きでこうなってた。人の耳は無くなってる。狗耳引っ込めようとすると代わりに猫又仕様になる」

 

「・・・なんでさ」

 

「知らないよそんな事」

 

頭を抱える2人に、偶々居た北一が自分の予想を話す。

 

「その獣耳なんじゃが、無銘一族は元々人ならざる者の一族なんじゃろう? 更にはお主らは本家の子で血が濃いから、以前の暴走によってストッパーのような物が外れ、一族の根幹とも言うべき力が解放されたんではないかのう?」

 

「・・・先祖返りってか? なら俺も?」

 

「ちょ、竜、助けッ・・・!!」

 

「やーもーかわいーーーー!!」

 

竜の横で、零が雪蓮に揉みくちゃにされていたのはご愛嬌だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零が漸く脱出して、北一が声を掛ける。

 

「所でなんじゃが、零、これを渡しておこうと思う」

 

そう言って差し出されたのは、両端にニードルと三つの鉤爪、紫の宝石が付いた鎖、が数本。

 

「これ・・・天の鎖(エルキドゥ)?」

 

「天統とかいう輩の宝物庫から(もら)って来た。あのまま消滅させるにはちと惜しいのでな。別に天の鎖(ギルガッシュ)と呼んでも構わんし、どう呼んでも構わんぞ? 既に使用(マスター)権はお主に移行させてある。お主が付けた名がそのままこれの名になる」

 

「ああ、天統の宝物庫のモノホンね・・・」

 

少々ガッカリと言うか何と言うか、な雰囲気を醸し出している零ははたと気付く。そう言えば乖離剣エアも本物じゃなかったっけ?

 

「ねえ、エアは? あれも本物の宝具でしょ?」

 

「エアは俺が貰った」

 

竜が右手に逆手持ちで持って見せてくる。ああ、と納得しながら、どこか不思議そうな顔をする零。

 

「・・・竜が持つ意味有る?」

 

「・・・言うな」

 

魔力を未だ持たない竜では、宝の持ち腐れである。その事が分かっているのか、項垂れる竜の後に黒い線が何本も見える。

それを尻目に零は天の鎖の名前(正確にはルビ)を考え込んでいる。

 

「名前か・・・エルキドゥはギルガメと被るし、ギルガメッシュだったらご本人が『勝手に我の名を使うとは!!』とか言って怒りそうだしそうでなくても呼び捨てにしたとか何とか言って怒りそうだし・・・明命とかにしたら恋が怒るし逆も然りだし・・・悩むなー」

 

頭をワシャワシャ(ガシガシでないのは耳が有るから)と掻きながら悩む零。

 

「『カテナ』なんてどうだよ」

 

「アタシはステンドグラスの王様じゃねえ」

 

竜の意見を一刀両断する余裕は有るようだ。

そんな中、祐司がポツリと言う。

 

「・・・でぃあーな」

 

「え?」

 

「『ディアーナ』、なんてどうだ?」

 

「「ほほう・・・」」

 

零と竜の2人が感心したような声を出す。

 

「闇から夜、夜から月、月の女神でディアーナか、良いんじゃないか? 零の守護星、月だったよな?」

 

「狩の女神だし、自称『狩人(ハンター)』なアタシにはピッタリじゃない!!」

 

((((自分で自称と認めるんだ・・・))))

 

零の言葉に、全員が全く同じ感想を抱く。が声には出さない。

 

「よしっ!! 名前(ルビ)天の鎖(ディアーナ)で決定ッ!!」

 

と零が宣言した瞬間。

 

―ジャララララララララララララ!!―

 

騒がしく本体を鳴らしながら、零の部屋から長い鎖が2本、空中を飛んで来るという異常事態。

 

「へぶうっ!? の゛っ!? どふぁっ!!」

 

1本目の鎖は竜の顔面と正面衝突した後、2本目は竜の脛に激突して転倒させた後に、唖然とする周囲を気にした風も無く(そもそも無機物だから意思が無いのだが)、天の鎖(ディアーナ)に吸い込まれるようにして融合した。

 

「ぬごあっ!?」

 

そして鎖――――天の鎖(ディアーナ)っていちいち書くの面倒だからもう鎖でいいや――――は零の足(脛)と両腕、胸部(巻き付いた鎖で中々大きい零の胸の形が卑猥に潰れ、野郎にとっては眼ふkもとい目の毒である)に巻き付く。勿論竜の横っ面を殴り飛ばすのも忘れない。

 

結果、何が何やら分からぬまま鎖に巻き付かれた零と、唖然とする周囲、ついでに頭を押さえて膝を抱えた姿勢で床に転がる竜という情景が出来上がるのだ。

 

「ふ、不幸だ・・・!!」

 

「あー、りゅ、竜? 大丈夫――――じゃ、ないよ、ね?」

 

「何故に疑問系なんだ・・・!!」

 

激痛(5割が脛の痛み、4割が顔の痛み、残りが怪我の痛み)に苛まれながら竜は身体を起こす。そして叫ぶ。

 

イッ()ダイ()オリ()()ナディ()シダッデンダ(したってんだ)!? ア゛()ア゛()!? ダリ()()()()コド()ンディ(んで)グザァディ()ディ()()()()バワ()ザァ()()ディャ(なきゃ)イカンドダ(いかんのだ)!! オリ()ダッデ(だって)()()ディン()ダゾ(だぞ)!? ヴザケンジャベエゾ(ふざけんじゃねえぞ)|!!」

 

可哀想な事に、オンドゥル語のせいで何を喋っているか分からない。哀れだ。哀れ過ぎる。

 

「兄様、落ち着いて下さい。オンドゥル語になって何言ってるか分かりません」

 

「はーっ、はーっ、はーっ・・・おk、落ち着いた。鎖の件は置いておこう。で、零、胸の鎖をドウニカしろ。目の毒だ」

 

「因みに、スリーサイズどの位有るんですか?」

 

「あー、これ? さっきからやってんだけど離れないんだよねー。そしてスリーサイズは上から93、57、88。アンダーは65」

 

「93-65=28だから・・・ハッ!! H・・・だと・・・!!」

 

ブツブツと何かを呟いていた安里がショックを受ける。序に後に雷が落ちている幻覚が見える。

 

「えっと・・・兄様、『えいち』ってどういう意味なんですか」

 

おずおずと凪が竜に問う。竜は嘆息しながら。

 

「・・・まあ、デカイって事だ。しかも着痩せするタイプらしいから見かけよりは。桃香よりは、だろうな」

 

その瞬間、格差社会の低所得層者(持たざる人達)からビシイッ!! という音が聞こえたかと思うと。

 

「「「「ふふふふうっふっふうっふふふふフッふうううふふふふふ」」」」

 

「な、何か笑い方が変な気がするんで――――ひにゃあああああああ!?」

 

後は、お察し下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・///」

 

零は息を荒くしながら頬を赤く染めている。私は何も見ていない。野郎共も何も見ていない。神に誓って何も見て無い。

 

聞いてはいたが。

 

「で、鎖は斬るか」

 

「止めろ」

 

落ち着いて早々どこからとも無く刀を取り出そうとする竜を焔耶が止める。

 

「たつピー、宝具やからそもそも斬れへんって斬れても零が(性的に&肉体的に)危ないって」

 

「俺の辞書に不可能という文字は無い!!」

 

「どこの仏軍人だテメエ」

 

不味い。竜が壊れた。プログラムを強制終了――――

 

「俺はパソコンじゃねえしそもそも壊れてねえし」

 

デスヨネー。

 

「それは兎も角、零の服が斬れたらどうするんだい? もしそうなったら怪我人2人が狂戦士(バーサーカー)になっちゃうよ」

 

道昭が何とか竜の危機感を煽ろうと恋と明命の狂化を指摘する。当の2人は道昭の言葉を聞き、後で竜に向かって殺気を大量に放出している。

 

「・・・そいつァ不味い。俺精神的にも物理的にも社会的にも抹消されるかも」

 

「大宇宙的にも抹消されそうだね」

 

「世界からも拒絶一辺倒か!?」

 

「大丈夫ですよ兄様。そうなったら私と焔耶で引導を渡しますから」

 

「具体的にはだな・・・」

 

「聞きたくねえッ!! 全ッ然聞きたくねえから止めてくれッ!! つか死者に鞭打つ行為は止めてッ!!」

 

やはり最後は竜を弄って終わるのだ。そして蚊帳の外にほっぽり出された零は――――

 

「・・・こんどは、あまてらすコンビですか」

 

「「むふふ~♪」」

 

天と照に揉みくちゃにされていた。

 

なんだかんだで、零の周りは平和である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・白、白、白。部屋の壁も天井も道具も全て真っ白に染められた、窓も、照明も無い部屋の、2つのベッドの上。

ナエムとトリューグは、両腕を白い包帯で巻かれ、真っ白の治療着を着て横たわっていた。

 

「・・・やはり、神経まで障害がありましたか」

 

ナエムは包帯に巻かれた腕を眺めながら悔しそうに言う。それに返したのは、黒の膝下までのスカートに黒のシャツ、黒のコートと黒尽くしの服装、髪と瞳はくすんだ銀色という女性である。足を組んで座っており、玉のような肌を持つ美脚は同性さえも魅了しそうだ。

 

トリューグは鼾を掻きながら爆睡している

 

「ああ。幸い障壁のお陰で傷は浅い。暫く休んでいれば直ぐに治るだろう。が、身体にかかった呪力の負担は重い。最低3日は絶対安静だ」

 

「分かっていますよ・・・所で『エヴィ』」

 

「『エヴィラ』だ」

 

エヴィと呼ばれたその女性はすぐさま名前を訂正する。

 

「ああ・・・何で私が愛称で呼ぶと誰も彼もが即訂正するんでしょうか・・・」

 

「貴様が気持ち悪いからだ。それよりさっさと本題に入れ薔薇(ホモ)

 

かっくりと落ち込むナエムに辛辣な言葉を浴びせるエヴィラ。ナエムはふざけたような雰囲気を消して真面目に――――とは言い難い楽な雰囲気で問いかける。

 

「・・・私達を助け出したのは、『(ナンバー)0』でいいんですよね?」

 

「ああ」

 

「・・・後でホワイトチョコでも渡しに行こうかな(ボソッ)」

 

「止めておけというか何故ホワイトチョコなんだ。別に普通のチョコでもいいだろう」

 

「それは勿論――――」

 

「ああもういい聞かせるな嫌な予感しかしないからというか貴様今すぐSLB(しろいまおーのしゅーそくほー)で死ね原子1つ残さず死ね全ての存在から記憶毎消え失せろ」

 

「・・・冗談ですよ、別にそこまで言わなくてもいいでしょうに」

 

「言われたく無いなら貴様の嗜好(ホモとへんたい)を矯正してから死ね治らなくても死ね」

 

彼女の毒舌は止まらない。句読点を一切挟まず言い切った事は賞賛に値する。

 

「・・・他にも聞きたい事が有ります」

 

「逃げたなならそのまま野垂れ死ね禿鷹に啄ばまれて吐き出されろ」

 

「・・・『佐久間零』についてです」

 

打って変わって真面目な雰囲気を出すナエム。エヴィラは目を細めた。

 

「・・・『QE』の御面々が仰った事と違っていた事か? 別に疑問点は有るまい。単に『今度の』佐久間零は闇をベースとした力だっただけだろう」

 

「にしては異常過ぎるのですよ。幾ら『幻獣帝』の末裔だとしても、幾ら先祖返りの力が強くても、現在は気が使える身体能力が常人よりも高いだけの、殆ど人間と言っても構わない存在の筈です。しかし、あれは異質過ぎる」

 

「・・・確かにな。殆ど人の身で、あのような闇を抱えていれば普通は直ぐに自壊する」

 

「至急『アカシックレコード』への調査が必要です。それに、佐久間零があれでも佐久間竜が通常である、という確立は低いでしょう。そちらの調査も必要だと思います」

 

「・・・分かった。エリセドに伝えておこう」

 

立ち上がったエヴィラは、下手をすると見失ってしまいそうな程白い扉を開けて、振り返って一言。

 

「・・・まあ、3日限りの有給だと思って休んでおけ、『№6』」

 

「よろしくお願いしますよ、『№3』」

 




基準「疲れた・・・!!」

零「お疲れー、何してたの?」

基準「ストックを作ってました。今一応2個有ります」

竜「夏休みに作らなかったのか? 時間は幾らでも有っただろ?」

基準「宿題が終わったのは31日」

零&竜「あー・・・」

基準「後ふと思いついた参章の1話目を書いてたりもしました」

零「・・・弐章も書いてないのに?」

基準「頭の中で六章分の流れは出来てるんです」

竜「それを乏しい文才で書けるかどうかだな」

基準「・・・言わないで下さい。ゴホンッ!! それでは、前回予告していたゲストをお招きしたいと思います。『バカとテストと召喚獣~新たなる出会いはましろ色~』から、瓜生明久君です!!」

明久「えーと、どうも、瓜生明久です」

零「久しぶり! 元気にしてた?」

明久「零さん、竜さん、こんばんは。この前はありがとうございました。送って頂いた物はちゃんと活用させて貰いました」

基準「明久君の出演は霊光さんからちゃんと許可を頂いていますので、賛否両論有ると思いますがご了承下さい」

零「で・・・アタシの狗耳何?」

竜「狗というと青い槍兵を思い出すな」

明久「んー、紗凪に猫耳似合いそうだな・・・」

基準「これも前々から思ってた設定です。猫耳と狗耳なら明命と恋に絡めやすいでしょ?」

零「確かに」

明久「それで、敵の幹部が新しく出ましたね」

竜「エヴィラとかいう奴か。番号だけ出てきた奴も居るな」

零「一体何者!?」

基準「幹部連中も全員決まってます。さて、誰なんでしょう?」

零「うわー、すげーイラつきます」

明久「・・・あ、そろそろ帰らないと、桜乃達が心配しそうだな」

竜「じゃあお土産にこれ持ってけ」

明久「・・・聖典(エロ本)?」

零「表紙はアタシの写真だけど、中身は貂蝉と卑弥呼の写真集だから。FFF団に使って」

明久「ありがとうございます(苦笑)」

基準「では、『戦士と悪魔の外史旅行』!!」

零「また次回もヨロシクね!」

竜「次は出来るだけ早めに更新出来るよう頑張らせる」

明久「ではまた次回に!! 『バカとテストと召喚獣~新たなる出会いはましろ色~』の方も、よろしくお願いします」


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第参拾弐話 にちじょー編たんぺんしゅーなのですよー

遅れてすいませんでしたッ!!


 

いちー! れいのひじょーしきえぴそーどー!!(第参拾壱話後日談)

 

 

暑苦しい夏の昼下がり。凪と焔耶は1つの疑問を抱えて竜に突撃取材を敢行した。

 

「「兄様/竜」」

 

「何だ?」

 

「零さんって、自分の事を非常識って言うじゃないですか」

 

「ああ。昔っからそうだったしな」

 

「・・・ワタシ達、零の非常識っぽい所を見た事無いから、イマイチピンと来ないんだが」

 

「・・・そういえばそうだな」

 

言われてみればそうである。零はこの世界に来てから、本編中で余り非常識な所を見せていない。精々バカをする少女程度だろう。

 

「・・・そういえば俺達もあんまり知らないな。非常識料理に耐えられる事位かな知ってるのは」

 

「・・・どっから出てきた」

 

そこに御使い組が全員(零除く)登場。確かに、5人も余り零の非常識シーンを見た事が無い。

 

「明命とかに聞いてみたか? あいつらならちょこちょこ知ってると思うけど」

 

「それは未だです。先に兄様に聞いてみようと思いまして」

 

「ふーむ、零の非常識エピソードか・・・」

 

顎に右手を添えて唸る竜。暫くして。

 

「怪我の治りが少し早いって事が有るな」

 

「少し早い?」

 

道昭が首を傾げて言う。

 

「ああ。全治1ヵ月位の怪我だったら一週間で治る」

 

「それは少しって言わねえ」

 

竜の言葉に祐司が即座にツッコむ。

 

「しかも気とか使わない自然治癒だ」

 

「確かに非常識やな。治るスピード4倍かいな」

 

呆れたような声で今度は佑がコメントする。竜は続けて別エピソードを話し始める。

 

「こんなのも有ったな。俺と零が2人で妹の誕プレ買ってついでに街中ぶらついてる時に、高層ビルの屋上で暴力団が銃撃戦やっててな」

 

「「「「マテマテマテ」」」」

 

直ぐに全員(凪と焔耶除く)が話を遮る。

 

「どうした?」

 

「状況がおかしい。何で高層ビルの屋上でヤクザがドンパチしてるんだよ」

 

「いや、してたモンはしょうがねえだろ。因みにビル1の屋上に暴力団1が居て、ビル2の上に暴力団2が居る状況でのドンパチな」

 

「「「「余計におかしいから」」」」

 

残念ながら凪と焔耶にはよく分かっていないようだ。さっきから頭の上にクエスチョンマークを出している。

 

「話を続けるぞ。で、どっちか忘れたが、ライフルを見当違いの方向に撃ちやがった馬鹿野郎が居てだな」

 

「・・・なんか話の展開が予測出来るんだけど」

 

「零はそん時、『嫌な予感がする!!』つって身体を若干右に逸らしたんだ。その瞬間、ライフルから発射された銃弾が零の左胸に命中した」

 

「「「「マテマテマテ」」」」

 

またも竜の話が遮られる。

 

「今度は何だ」

 

「いやおかしいやろ!? 普通そこは『間一髪で銃弾を避けた』とかやろ!? 何命中しとんねん!!」

 

「あ、それも有ったぞ。弾を受けて倒れる際に間半髪で額を掠めるギリギリを避けた」

 

「有ったんかい!! しかも何や間『半』髪って!!」

 

「文字通り髪の直径の半分の距離」

 

「具体的な説明は聞いとらへん!!」

 

「ああもう煩い黙れ」

 

ぎゃあぎゃあと追及する佑の口を物理的に塞いで黙らせた後、竜は三度目の正直とばかり話を再開する。

 

「話を戻すぞ。で、零は倒れた訳だが、左胸のポケットに入れてた零の妹への誕プレに命中してて難を逃れたんだ」

 

「何ですかその刑事ドラマ的パターン」

 

「そんで零がブチ切れて、2つの暴力団を30分で壊滅に追い込んだ」

 

「「「「・・・」」」」

 

もう何も言うまい。

 

「まあそういう感じで、零は非常識扱いされたんだ。凪、焔耶、分かったか?」

 

「「いや全然」」

 

結局2人には全く分からなかった。

 

 

 

 

 

 

にー! げどーまーぼー!!(第弐拾肆話後日談)

 

 

洛陽の大通りに繋がる小路を進んだ一画。そこにあの店は有った。

薄暗い路地に掲げられた深紅の暖簾。そこには達筆な字で「紅洲宴歳館 泰山」の白文字。

暖簾を潜って引き戸を開くと、全く持って唯の少女にしか見えない店主の(ばつ)が、特徴的な言葉使いで盛大に挨拶をしてくれる。

そしてそのまま2、3歩進んだ所に有る4人席。そこに、彼らは居た。

 

「はふはふはふがつがつがつむしゃむしゃむしゃもぐもぐもぐ」←皿の山(構成枚数推定20枚)を作りながら一心不乱に麻婆豆腐をかき込む竜

 

「「・・・」」←竜と麻婆豆腐と皿の山に目線を行ったり来たりさせて唖然とする凪と焔耶

 

「てんちょー、麻婆5人前追加ねー」←出来るだけ竜の方向を見ないようにしながら麻婆豆腐を追加注文する零

 

「直ぐ作るアルー!! もうちょっと待つアルよー!!」←十字鍋を軽々と振るいながらマーボーを練成(誤植に非ず)していくロリっ子店長魃さん

 

竜が、麻婆豆腐をかき込む。それも凄い勢いで。

額に汗を滲ませて、水など要らぬ、一度手を止めれば二度と匙が動かぬわ、という修羅の如き気迫で。

しかもその麻婆豆腐、衛○士郎(プライバシー保護の為一部伏字)君が、「若しかして美味いのか。あのラー油と唐辛子を百年間位煮込んで合体事故の挙句オレ外道マーボー今後トモヨロシクみたいな料理が美味いというのか」と評した程の、彼が地の文から「士郎は冷静にパニくってます」と言われた程の物である。

 

それを、嬉々として喰らい尽くす竜の異常さがお分かり頂けるだろうか。

 

「がつはふむしゃはふ――――ん?」

 

蓮華を口に入れた状態で(「蓮華」の読みを間違えたら大変な状況になる)凪と焔耶を見る竜。

 

2人と、目線が合う。

 

「――――」

 

「「――――」」

 

「――――――」

 

「「――――――」」

 

「――――――――」

 

「「――――――――」」

 

「――――――――食うか?」

 

「食わ「じゃあ一口」ないってえええええ!?」

 

横から聞こえてきた言葉に盛大に驚く焔耶。

 

「凪正気か!? こんな麻婆豆腐ならぬ麻婆唐辛子みたいなモンを食う気か!? 悪い事は言わない、止めてお――――」

 

 

 

「アイ!! 麻婆豆腐お待たせアルー!!」

 

 

 

焔耶の必死の叫びは店主によって中断の憂き目にあった。

ドン!! と2人の目の前に置かれる麻婆豆腐。

 

(あか)い。赤いではなく、紅いでもなく、ただ、只管(ひたすら)に赫い。

言葉が出ない。煮立った釜のような、溶岩を髣髴させる様相。

待て待て心はHOTに頭はCOOLに。焔耶は、頭を無理矢理冷静にして、思う。

 

 

 

――――コレ(げどーマーボー)は、「食べ物」に分類して、良いんだろうか。

 

 

 

つかコレ何? 何? ホント何? 赫いよねえ赤だよ真っ赤だよコレ食べれるの舌が死にそうなんだけどへんじがないただのしかばねのようだにはなりたくないよファイト一発リポ○タンDでドウニカなる範囲超えてるよそもそもホントに食べ物なの溶岩じゃないよね何か燃えてるように見えるんだけど気のせいだよね光の反射だよねでも紅いよ赤いよ葱も豆腐も肉もマッカッカだよフィーバーだよ十六連鎖ダヨばよえ~んダヨねえちょっと教えてよアルプスのお爺さんに家庭教師のト○イさんいっその事家庭教師(かてきょー)のリボ○ンさんどうかちょっと○ぬ気弾ワタシに撃って下さい――――(以降意味不明支離滅裂)

 

頭の中がカオス化している焔耶の横で、凪が徐に蓮華でソレ(マーボー)を掬う。

 

一口。

 

「・・・・・・!!」

 

凪の瞳が輝いたのは、決して見間違いじゃない。そのままソレを嬉々として食べ始める凪。ようこそ、辛味の世界へ。

 

「・・・」

 

焔耶は凪を見て、目の前のソレに視線を戻す。

 

「・・・」

 

見詰める。

 

「・・・・・・」

 

じっと見詰める。

 

「・・・・・・・・・」

 

穴が開くほど見詰める。

 

「・・・(スチャ)」

 

意を決したように蓮華を手に取る。

 

「・・・」

 

頭の中は未だ絶賛混乱中。

良いのか良いのだろうか良いのでしょうか三段活用ってワタシは何悩んでるんだ所詮は食べ物じゃないか凪も竜も美味そうに食べてるじゃないか2人が食べられてワタシが食べられない道理は無いそうだ食べ物なんだから害にはならない筈だ大丈夫だ――――

 

「・・・行くぞ、辛味の水準(レベル)は十分カッ!!」

 

最後の最後で声が裏返った事を隠すように、ガッと掬ってガッと頬張る。

 

 

 

瞬間、口の中が炉心融解(メルトダウン)してジェノサイドした(何のこっちゃ)。

 

 

 

「くぁwせdrftgyふじこlp!?」

 

焔耶は奇声を発して後に倒れ込む。

 

痛い。辛いなんてモンじゃない口の中を焼かれて針で串刺しにされたみたいだ!! ええいこんな兵器を平気な顔して平らげる2人は化物かっ!!

 

「焔耶、それ駄洒落?」

 

「ひがう!! はんひれひがう!!(訳:違う!! 断じて違う!!)」

 

零の言葉を(余りの辛さで)必死な顔+涙目で否定する。しかし口の中がフルバースト(だから何のry)なせいで言えてない。

 

「はい水」

 

と零から渡された水を一気に飲み干す。ぷはぁ、と一息吐けば何とか普通に話せるようになった。

 

「・・・何入ってるんだよコレ。普通に死ねるぞ。お前ら舌大丈夫か?」

 

「「何で? 美味い/美味しいじゃない(です)か」」

 

「お前らホントに大丈夫か?」

 

呆れ返る焔耶を尻目に、竜と凪は黙々と食べ続ける。既に凪は2皿目に突入していた。

 

「凪、ついでだからワタシのも食って――――」

 

―ガッシ―

 

凪に渡そうとした瞬間、右肩ががっしり掴まれる。

後を振り向くと、慈母のような微笑で背後に悪鬼羅刹を従えた店長。

 

 

 

一口でも食べたら、自分で全部食べるアルよ。残したら、分かってるアルね――――?

 

 

 

脳内に響く声。優しい優しい声で恐怖を誘う。

 

焔耶は思った。あ、ヤバイ、と。

 

辛党2人に目線を向けると、相変わらず黙々と食べ続けている。

零の方向に目線を向けると。

 

「・・・ごしゅーしょーさまです」

 

チーン、合掌。

 

「神は死んだ!!」

 

焔耶は頭を抱える。

 

「・・・焔耶、頑張れ」

 

「何で零は食べて無いんだよ!!」

 

「・・・食べて無いモン勝ちだよ」

 

冷たい言葉に撃沈する。暫くして、光を失った目をしながら。

 

「――――なあ、竜」

 

「がつがつがつ――――ん?」

 

「ワタシが生きて帰ってこれたら、一緒に寝てくれるか?」

 

「別に良いけどって待てそれ死亡フラグ――――」

 

「聞きようによっては卑猥に聞こえるよねそれ」

 

2人の言葉に耳を貸さず(貸したのは竜の言葉の前半だけ)、焔耶は蓮華を手に取り。

 

 

 

「――――大丈夫だ、何も問題ない」

 

 

 

更に死亡フラグの重ね掛け。

 

結果は、翌朝幸せそうな雰囲気を出しながらお粥(口の中が天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)したから)を食べる焔耶が居た、と言っておけば分かるだろう。

 

 

 

 

 

さーん! いがいなじゃくてん!!(第参拾壱話後日談)

 

 

建業の城のとある一室。明命、恋、凪、焔耶の4人が集まって、小さな女子会を開こうとしていた。

 

「そこに俺が居るというこれは何という矛盾」

 

「兄様何アホな事言ってるんですか」

 

+αで竜も居た。

 

「で、何で俺を呼んだんだ?」

 

竜はゲストらしい。

 

「・・・零さんって、何でも出来るお姉さんって感じじゃないですか」

 

「まあそうだな。アイツは基本万能型だから」

 

「・・・弱点って、有るんですか?」

 

「弱点、か・・・トラウマは弱点になるけどな。明命達は何か知ってるか? こっちに来てから新しく出来た弱点とか有るんじゃないか?」

 

腕を組んで、零ラバーズの2人に問いかける。

 

「えーっと、辛い物がダメっていうのが有りますね」

 

「え? でもこの前泰山に連れてって貰ったけど」

 

明命の言葉に焔耶が反論する。それに恋が答える。

 

「・・・その時食べて無い筈。 見るの大丈夫、でも食べるのピリ辛もダメ」

 

「あーそういえば一切食べてなかったな」

 

「でも、アイツ前は普通に食べてた筈なんだけどなあ・・・」

 

うーん、何でそうなったのか・・・と悩む竜。

 

「・・・多分、零姉が小さい時、伯父さんがいっぱい辛いの無理矢理食べさせたから」

 

「「「「それだ」」」」

 

満場一致で原因解明。

 

「つか、何でそんな事したんだ?」

 

「・・・零姉、『かるぁい・・・』って涙目で言うの、凄く可愛かった・・・ッッ!!」

 

突然目を見開いて鼻を押さえる恋。その隙間から、赤い液体がツツーッと。

 

「早い話、親バカの暴走か。そして恋は洗脳されたと」

 

「(コクリ)自覚してる」

 

零のキャラ崩壊に何とも言えない雰囲気になり、凪が話を矯正する。

 

「・・・そ、それで兄様は何か知りませんか?」

 

「他、ねえ・・・」

 

記憶を辿り、何か無いかと探す。意外に直ぐ見つかった。

 

「そーだ、お化け屋敷が苦手なんだ」

 

「「「「お化け屋敷?」」」」

 

「ああ。妖怪を見たり、殴りあうのは出来る。どれだけヤバイ死体――――例えばグッチャグチャになった肉塊とか――――を見ても顔を顰める程度だな。でも、それが子供騙しなお化け屋敷になると話が変わる。もうガッタガタ震えるぞ。前お化け屋敷の中に突っ込もうとして、『ムリムリムリムリムリムリ絶対ムリだって!! テメエ俺を殺す気か!! ホントダメだから、なあ・・・ホント、それだけは許して下さい・・・』って言って土下座した」

 

意外な弱点。凪と焔耶は唖然とするだけだが、明命と恋の瞳はギラーンと、「キラーン」じゃなくて「ギラーン」と輝いた。

そんな2人に竜はアドバイス。

 

「やるのは良いけど気ィ付けろよ。アイツいっぺん暴走してお化け屋敷半壊させたからな。いやあ、あん時は揉み消すのに苦労したぜ・・・」

 

「半壊って・・・」

 

「揉み消すって、兄様何してるんですか・・・」

 

遠い目で呟く竜には焔耶と凪の呆れ声が待っていた。

 

「・・・そういえば、竜さんには無いんですか?」

 

我に返った明命がそう訪ねる

 

「俺? 俺は・・・博打だな」

 

「ばくち・・・?」

 

「ああ。戦とかの賭けは十割勝つんだけど、麻雀とか将棋とか、娯楽に関する博打は壊滅的に弱い」

 

「一度無一文になりかけましたしね・・・私が何とかしなかったら今頃何しているか・・・」

 

凪が遠い目で言う。若干怒りのオーラも混じっている。

 

「・・・何かゴメン」

 

 

 

因みにその後、半壊したお化け屋敷と泣きじゃくる零、慰める明命と恋が建業で見かけられたとか。

 




基準「・・・ハァ」

零「何そんなに疲れ切ってんのよ」

基準「・・・宿題多いって、嫌だよね」

零「ああ納得」

基準「宿題多くて書く時間無かったし、何故かモチベが駄々下がり。コレで書けという方がムリ」

竜「・・・まあ、学生だしな?」

明久「分かる。分かるよその気持ち」

「「「あ、明久居たんだ」」」

明久「酷くないかな!?」

基準「良いんじゃない? アッキーだし」

零「アキだしね」

竜「明久だしな」

明久「皆して酷いよ!! 非道いよ!!」

零「まあそれは兎も角。今回、短編集(?)なんだね」

基準「イエス。最初は零の非常識さを強調させようと」

竜「まあ確かにシチュが非常識ではあるな」

零「で、2番目。これは外道麻婆の話だね」

明久「焔耶さん、ご愁傷様。凪さん、激辛の世界へようこそ」

竜「この小説じゃこれが凪が辛党になった切欠なのか」

基準「で、3番目。」

零「弱点か・・・何でお化け屋敷が苦手って設定にしたの?」

基準「いや、プロット上零達には結構過酷な旅路を歩んで貰う予定だし、その際ジルとかの作品っぽいのを見る機会も有るし。だったら子供騙しが苦手っていう設定は面白いんじゃね? っていう安直な考え」

明久「竜は博打が苦手なんだね」

竜「苦手だぞー。命掛かってるなら強ぇけど」

基準「イカサマも出来ないタイプだから、マジ恋とかじゃ大和や冬馬にボロ負けするタイプだね」

零「あ、普通に想像できる」

明久「そして零に泣き付くと」

竜「・・・俺そんななの?」

「「「それが何か?」」」

竜「・・・もういいや」

明久「じゃあ今回は僕が言うね? 『戦士と悪魔の外史旅行』!!」

基準「次回は出来るだけ早くあげるつもりです。でももう直ぐ中間だから保障出来ないかも」

零「意味無いじゃん。じゃ、次回もヨロシクー」


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第参拾参話 修行と覚悟と

 

零の狗耳騒動から2日後。桃香、華琳、鳳蓮の3人が建業の玉座に座る天照姉妹の前で 円形になって机に座っていた。

 

竜がぼやく。

 

「・・・色々素っ飛ばして天下三分って、何なんだろうな」

 

「・・・知らないわよ、んな事」

 

零もぼやく。

 

事の発端は、一刀の阿呆が「天下三分の計」についてうっかりバラしてしまった事だ。

朱里が未だ誰にも話していない筈の事を一刀がバラした事により、トップ3人が食い付き、「ネームレスという共通の敵も居る事だし、盟約結んじゃう? 大陸平和にはこっちの方が手っ取り早いし」といった軽ーいノリで相談が纏まり、現在に至る。

 

「天下三分は良いけど、突発過ぎるでしょ・・・」

 

零の呟きに、御使い組がうんうんと頷いている。

 

因みに一刀は口を塞がれ簀巻きにされている。

 

「んーーーーーー!!(またかーーーーーー!!)」

 

因みに一応調印式の形を取っているが、事前に作られた用紙にチョロッと名前を書くだけなので、この場に居るのはトップ3人と皇帝姉妹、御使い組の12人(1名簀巻き)な為、形式張った堅苦しい儀式のような物は無く、5、6分で終わった。

 

「早ッ!!」

 

「こんなに簡単に済ませて良いのか!?」

 

A:良いんです。だって重要じゃないし、そもそも作者が書かねえし。

 

「「そっちが本音か!!」」

 

うん。

 

「「頷くな!!」」

 

作者に文才を求める方が酷だもん。

 

「「諏○部ボイスで『もん』とか言うな!! 意見には同意するけど!!」」

 

あー、はいはい、幕、幕ー。

 

「「ちょ、待t

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、翌日の朝。

 

「修行しよう!!」

 

突然零が言い出した。

 

「何故に?」

 

聞く所によると、何でも自分の力不足を感じたかららしい。自身の今の実力では、于吉達と対等に渡り合うのは難しいと。

 

「でもお前天統をアッサリ殺ったじゃねえの?」

 

「あれはアタシもアイツも暴走してたから。于吉には術で、左慈には体術で負けてるし」

 

「あーそうだな・・・俺も六式極めねえとなあ・・・」

 

 

 

 

 

 

「「という事でお願いします」」

 

「話が見えんのじゃが」

 

2人してゼルレッチに土下座している。2人はいたって真面目な顔で土下座を敢行していて、土下座をされている当人は困惑顔。

 

「つまり、カクカクシカジカ」

 

「マルマルウマウマっつう事で」

 

「まーるか○てフォイッ!! っちゅう事じゃな。じゃがワシに頼まんでもええじゃろ。北一はどうした?」

 

「「『用事が有るんで後ヨロピコ』つってどっか行った」」

 

「逃げおったな駄神め・・・」

 

舌打ちと歯軋りして北一を呪う死徒二十七祖の第四位さん(ちょうど同時刻にどっかの誰かさんがトラックに轢かれたとか轢かれてないとか)。

 

「「所で○るかいてフォイって何?」」

 

何を聞いてるんだ。

 

「Andr○idのネタアプリじゃ。○を描いたら○フォイが出てくるんじゃ。他にも激おこぷんぷん丸○ォイとか、進撃のフ○イとか、あっち向いてフォ○! とか、まるかい○フォイ2とか有るぞ?」

 

「「頑張れ○フォイ」」

 

テメエらさっさと修行しろよ。

 

 

 

 

 

 

コントをして余計な時間を潰した3人は、中庭に居た。

 

「それで、2人は何をしたいんじゃ?」

 

「俺は六式を極めたい、ついでに魔術も」

 

「アタシは蹴り技を習得したい、出来れば六式も」

 

「ワシ何で居るの?」

 

二人の心無い言葉にゼルレッチが落ち込んだ。2人の目指す道が体術系な上、竜から魔術会得を「ついで」と言われてしまった。ゼルレッチが教えられる範囲が殆ど無いなら落ち込むのも道理だろう。そもそも何でゼルレッチなの?

 

「「第二魔法」」

 

「ワシに秘密のポッケはないぞ!?」

 

早い話、並行世界から誰か連れて来てよ、という事らしい。ゼルレッチはすっかりどこで○ドア扱いである。

 

「ほらほら早く」

 

「時間無いんだって」

 

「・・・こ奴ら(ピクピク)」

 

時間を無駄にした最大の理由が自分達に有る事を棚に上げて、零と竜はゼルレッチを急かす。

ゼルレッチは米神をピクピクさせながら、宝石剣を取り出した。

というか、彼が文句を言いながらも無償で協力する事自体奇跡である。

彼を顎で使う2人には、何れ天罰が下るに違いない。

 

ゼルレッチは空間に穴を開けると、そこから数人を引っ張り出した。

ドサドサと乱雑に放り出される彼らは、何が起きたのか分からない状況で辺りを見回している。

その内の2人がケンカを始めた。

 

「おいおい何でテメェが居るんだクソ狼!!」

 

「それはコッチの台詞だクソコック!! 今度は俺がぶち殺してやろうかァ!?」

 

「ハッ!! エニエス・ロビーの二の舞にしてやらァ!! かかって来やがれェ!!」

 

一触即発の事態。中庭で大喧嘩が始まろうとしている――――

 

「「やめろ」」

 

「「ゴブウッ!?」」

 

ぶん殴られた2人は地に沈む。竜と一緒に二人を殴った彼――――ロブ・ルッチは、手を払いながらゼルレッチを睨み付ける。

 

「それで、俺達をこんな所に呼んだ訳を教えて貰おうか」

 

「それはの、カクカクシカジカ――――」

 

「――――マルマルウマウマ、という訳か」

 

『『『『通じるの!?』』』』

 

ルッチと共に居たCP9メンバーが声を揃えて叫ぶ。

ルッチにまで通じた正体不明言語に付いての考察はまた今度。ゼルレッチはルッチに同意を求める。

 

「・・・構わんが、聞きたい事がが1つ有る」

 

「何じゃ?」

 

「・・・何故俺達なんだ? 他にも六式使いは居るだろう」

 

「そうだジジイ!! ナミさんやロビンちゃんとの至福の一時を奪いやがってェ!!」

 

復活した金髪の男――――サンジも加わり宝石翁を詰問する。

 

「あー、先ずサンジ君、君の技術を教えて欲しいのは、あちらの赤毛の――――」

 

「はじめましてマドモアゼル。どうぞ貴女のお名前を」

 

サンジは零を見た瞬間、一瞬で彼女の元へ移動し、跪いて右手を取る。

 

「あー、零です・・・」

 

「ああ零さん!! 貴女に似合って何と美しい名前なんだ!!」

 

「は、はあ・・・(こんなにウザかったんだ・・・)」

 

苦笑しながらそんな事を考える零。

ゼルレッチはそれを極力見ないようにしてルッチと話を続ける。

 

「それで、何故君達か何じゃが、六式使いで知っているのは君達だけなんじゃ」

 

「ネロとかゆーのは論外だし、バカ長官のスパン・・・スパん・・・すぱん・・・スパンカー?」

 

「それは帆船の帆じゃ」

 

「スパンクレープ」

 

「絹織物ね」

 

「スパンコール」

 

「装飾用の金属片などだな」

 

「じゃあ」

 

「もう目的変わってるよな!?」

 

零がCP9長官の名前を言おうとし、いつの間にか「スパン」と付く言葉をどれだけ言えるか、という物に変わっていたのを竜が止めた。

律儀に付き合ったカク、カリファ、ブルーノも立派なバカである。

 

「えー、後思い付くのはスパンダム位だけど、違うでしょ・・・?」

 

「いやそれで合ってるから」

 

「スパンダイン!!」

 

「だからスパンダムで合ってるから!! そんでそれは父親の方!!」

 

そんなこんなでグダグダなまま修行開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後。

 

「・・・(ずーん)」

 

そこには両手を突いて落ち込むサンジの姿。何か気持ちが沈んでるCP9メンバーの姿。

 

「いやね? 勿論レディーが俺の足技を習いたいって言うのはそれはもう嬉しいぜ? けどさあ・・・たった3日で六式まで全部習得はねェだろ・・・何もやってねェよ俺・・・」

 

「・・・六王銃までも習得され、更には私よりも上手いとなると・・・流石に自信がな・・・」

 

勿論その「レディー」とは零の事である。

何故ここまで落ち込んでいるのか。竜が一言で説明してくれた。

 

「写輪眼ってチートだよな」

 

因みに零の修行の内分けを見てみると、

 

1日目:六式、足技全てを写輪眼でコピー。

 

2日目:多重影分身の術を使用して1体に付き技を1つ練習する。ついでに派生技も開発する。

 

3日目:模擬戦(六式、足技のみ)。オリジナル達に完勝圧勝大勝利。

 

サンジが落ち込むのも頷ける。

因みに竜の方は、5体で1つの技を練習する事で六式を習得した(その分疲労困憊した。模擬戦の結果は零と同じ)。

 

魔術の方は魔術回路を10本作る事しか出来なかった(十分過ぎる)。

 

「残念じゃ・・・久々の弟子じゃったから期待しとったんじゃが」

 

「・・・生きてる事に何か安心してる自分が居る」

 

※竜が魔術を習ったのは弟子は成功か破滅の二択しかないゼルレッチさんです。

 

「・・・それで、俺達はもう用済みだろう。さっさと戻して貰おうか」

 

「そうださっさと戻しやがれクソジジイ!! ナミすわ~ん!! ロビンちゅわ~ん!! 今君達の専属料理人(ナイト)が会いに行くからねえ~!!」

 

あくまで冷静に努めるルッチがゼルレッチに要求する。某オカマのように回りだしたサンジは視界に入らない。

 

「分かっとるわい。ほれ」

 

と、クイッと腕を動かしたと思うと、CP9メンバー及びサンジの足元に空間の歪が出来ていた。

 

「「「「・・・え?」」」」

 

3秒経って、思い出したかのように彼らは落下し始めた。

 

「チャパッ!? おれ達出番無し!?」

 

「あしばし待ァちゃ~・・・!?」

 

結局全員が最低1回は台詞を喋って、退場。

 

「ばいばーい」

 

「じゃあな」

 

歪が閉じ、中庭に静寂が訪れる。

 

「さて、戻るか」

 

「そうね」

 

「ねえワシは? ワシに何も感謝とか無いの?」

 

最後まで締まらないゼルレッチだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「何で私達も誘ってくれなかったんですかッ!!」」

 

「「そんな事言われても」」

 

修行終了その日の午後、2人は6人(明命、恋、凪、焔耶、来夏(鄧茂)、桜花(波才))に詰問されていた。

理由は修行に誘ってくれなかったから、らしい。

 

「・・・いや、まあ、危険だったからな」

 

「うん。狼が2人(精神的にも肉体的にも)居たからね」

 

「「「零/棟梁だって女の子じゃない/ですか!!」」」

 

「・・・あ、いや、その・・・」

 

正論を述べる2人だったが、零は明命、来夏、桜花に同じく正論で詰め寄られどもる。

 

「・・・まあまあ。零だっt「「「竜さんは黙ってて!!」」」ハイ」

 

竜は、使えない。

その内、若干下を向いて零が呟く。

 

「・・・だって、明命達がアイツらに色目使われるの、ヤだったし」

 

「嫉妬か」

 

「なっ!?/// 違ッ、違、ちが・・・///」

 

竜の言葉に顔を赤らめて否定しようとする零。が、説得力が無い。

暫くして、俯いてまたも呟く。

 

「・・・だったら?///」

 

「カワイーーーー!!」

 

「・・・(グッ!!)」

 

「ちょ、ヘブッ!!」

 

零の可愛さにまたも暴走した2人(勿論明命と恋)が突撃する。

 

「ちょッ、2人とも止めてッ!?///」

 

「そんなに尻尾振ってたら全然説得力無いぞー」

 

形式的には拒んではいるが、零の尻尾(狗)は言葉に反して千切れそうな程振り回されている。

飛び付かなかった来夏と桜花は、上を向いて鼻を摘んでいた。

そんな2人に竜が一言。

 

「・・・ようこそ、萌えの世界へ」

 

「何か違くないですか?」

 

「良いんだよ雰囲気だから」

 

「焔耶お前分かってるな」

 

「フフン。これでも北郷や佑から色々教えて貰ってるんだ」

 

「情報リソースの片方がダメだった!!」

 

「確か零のような人間を『しすこん』、『ろりこん』と言うんだったか?」

 

「今すぐその道から離れるんだ!! 碌な事にならん!!」

 

「ああもう何でこんなに可愛いんだか」

 

「・・・同意!!(もっふもっふ)」

 

「ちょっ、ヘルプ!! HELP ME――――!!///」

 

ワイワイと騒がしい(若干カオス?)一同。そんな折、コンコンと扉がノックされる。

 

「あぶっ、は、はーい!! どーぞー!! はぶっ!?///」

 

「あ、あのー、失礼・・・しました~」

 

扉を開けて入って来た桃香は、中の様子を見ると同時に扉を閉めようとする。が、それは竜に阻まれる。

 

「まあ待て。暫くしたら落ち着くだろうから、話はそれからだ。零だろ? 用事有んの」

 

「あ、竜さん。うん、零さんに少し用事が」

 

「おーけーおーけーちょっと待って。明命、恋、離れて。後で・・・その・・・い、幾らでも・・・///」

 

恥らうように言う零に、明命と恋は(はなぢ)を溢れさせながらサムズアップ。恋は勿論の事ほぼ無表情でサムズアップ。

 

「・・・///」

 

桃香はそんな様子を見て、顔を赤らめさせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で、ご用件は?」

 

揉みくちゃにされていたのとは別の部屋。零と桃香は一対一(サシ)で向かい合っていた。

 

「・・・以前、零さん言ってたじゃないですか」

 

ポツリと桃香が話し出す。どこか自信無さ気に、そして、何かを決意したかのような力強い目で。

 

「『正義』というのは、人を害する免罪符にはならないって。私達の理想はただの理想でしかなくて、甘い覚悟しかないって」

 

「あー、んな事も有ったわねえ・・・」

 

記憶の奥底からその時の情景を引っ張り出してくる。確か、あの後竜の胸で泣いたんだっけ。そんな事を思いながら、桃香の話に耳を傾ける。

 

「・・・覚悟、決まりました。もう、今更なんですけどね。三国は協定を結んで、この後に大きな戦いが有る、って事も何と無く分かるんですけど、一応とはいえ、この大陸に平和が訪れた訳ですし」

 

「確かに、恐らくナエム達はまた襲って来るわね。(やっこ)さんの狙いは負力で、戦を起こせば嘆きやら憎しみやらで幾らでも量産できるし」

 

「それでも、それを乗り越えれば、平和な大陸、というのがやって来るんだと思います。勿論山賊や江賊とか、宦官の汚職の後始末とか、荒廃した町の復興とか、まだまだやらなきゃいけない事は沢山有りますけど」

 

「最初は私、何でも話し合いで解決できるって思ってました。よくよく考えれば、それがどれだけ無茶な事か。昔の私はまだまだ青かったなーって、思うんです。・・・まだ、2年位ですけど、愛紗ちゃんや星ちゃん、朱里ちゃんと考えて、やっと答えが出せました」

 

居住まいを正して、桃香は零の眼を確り見詰め、以前とは違う、確固たる意志が存在する眼で話す。

 

「私には、零さんみたいに自分の正義を貫き通せる自信も、力も、心の強さも有りません。でも、私には、掛け替えの無い仲間が、姉妹が、友達が居ます。ご主人様達も居ます。皆と手を取り合って、最低でも蜀だけでも、私が生きている間だけでも、精一杯幸せにしようと思います。華琳さんや鳳蓮さんとも手を取り合って、この大陸を、皆が笑い合えるような世界にしてみようと思います」

 

「それでも賊とかは出て来るよ? 他にも、『外側』の人達とか、海の向こうの言葉が通じない人達とか、問題は沢山有るよ?」

 

「先ずは話し合って出来る限りの問題を解決しようと思います。それでも解決出来ないなら、また話し合って、話し合って・・・どうしても無理だと言うなら、一騎打ちなんかで決着して貰う事も考えてます。言葉が通じないなら、先ずは言葉が通じるように努力します」

 

「その為に自身の手を汚す事も視野に入れてる? 一騎打ちなら、自分の妹を死地に放り込む事にもなるわよ?」

 

「だから話し合うんです。出来るだけ双方が血で汚れないようにする為に」

 

桃香と話し合って、零は黙り込む。腕を組んで考え込み、一言。

 

 

 

「――――甘い」

 

 

 

「甘い。そりゃもう甘い。甘くて甘くて砂糖が吐きたくなる位甘い。理想論から未だに脱出できて無いし、現実が見えてない。自分の手を血で汚す覚悟も無い。甘くて甘くて――――もう可愛さ余って憎さ百倍みたいな感じで甘いわね」

 

「・・・やっぱり、ですか・・・」

 

桃香は予想してたように下を向く。若干震えているのは、眼から水滴を零さないように必死で我慢しているのだろう。

 

 

 

「――――まあ、嫌いじゃないけどね」

 

 

 

「へ?」

 

アッサリと言い放つ零に、桃香は一瞬呆気に取られる。

 

「まあ? ホントぶち殺したくなる位甘いけど、別に良いんじゃない? 理想論が暴走するなら鳳姉とかに止めて貰えば良いし、良心的で徳が有る夢見る乙女なら国も平和だろうし、別に良いんじゃね?」

 

「え、え、えー・・・」

 

何だか良く分からないというような顔をしていた桃香は、ハッと我に返って言う。

 

「私の覚悟がダメなんじゃないんですか!?」

 

「誰がいつダメだっつったよ。アタシは『甘い』とは言ったけど『ダメ』とも『嫌い』とも言ってねえし」

 

「・・・あー、ああー・・・」

 

唖然とした表情で呻く桃香は、ガクリと顔を下に向けて。

 

「何だろ、この言いようの無い虚脱感・・・」

 

「まあ、前の理想よりかは一歩は進んでるから良いんじゃね? 皆が皆アタシみたいな奴じゃねえし」

 

「・・・」

 

もう一言も発さなくなった桃香を見ながら零は言う。

 

「つか、別に態々言いに来なくても良かったし」

 

「何なんだろ、私の覚悟って・・・」

 

完全破壊されてしまった桃香のハート。結局は損な役回りである。

 

「じゃ、これでお話は終了!!」

 

「え、あ、はい」

 

取り合えず立ち上がろうとして、桃香はその場に倒れる。

 

「どったの?」

 

「あ、足が痺れて・・・!!」

 

どこまでも、締まらない役回りの桃香だった。

 




零「1ヵ月も遅れるなんてね。何やってたの?」

基準「中間テストと文化祭準備です。中間でクラス順位が10位も下がりました」

竜「ああ、お疲れ」

明久「まあ、その気持ちは同じ学生として良く分かるよ」

3人「何だ、明久居たんだ」

明久「居たよ!? 最初から居たよ!?というか前からずっと居るよ!?」

零「桜乃ちゃん達はどうしたの? 女誑し」

竜「霊光さんの小説はちゃんと投稿されてたから、また遊びに来たのか、唐変木」

基準「にしても誰彼構わず落とし過ぎでしょ、鈍感野郎」

明久「皆して酷いよね!? 僕は女誑しでも唐変木でも鈍感でも無いって言ってるじゃないか!!」

3人「・・・ハッ」

明久「笑ったね!? 今鼻で笑ったね!?」

零「まあそんな事は置いといて。一番最初のはスルーとして、修行回なのね、今回」

竜「さすが『どこで○ドア』のゼルレッチだな」

基準「2つ名に悪意しか感じられないです。まあゼルさんが居るからサンジとかルッチとか呼べたんですけど」

明久「でも、たった3日でオリジナル追い抜くとか、どんなチートなのさ」

竜「気合で何とかなる。零は写輪眼有るし」

零「でもサンジがあんな奴だとは思わなかった!! 幻滅した!!」

基準「そこまで言わんでも・・・」

零「じゃあ作者!! 自分の好きな女の子が跪いたサンジが手の甲に口付けする様子思い浮かべてみ!? それが明命と恋だったら殺意沸くね!!」

基準「あ、自分未だ女子にときめいた事無いんで。通ってるのも男子校だし。明久はどうよ? 桜乃達で想像してみると」

明久「・・・殺すか」

竜「バイオレンスになったな。で、後半が忘れ去られかけていた劉備の決意表明か」

零「アタシ結構甘いと思うんだけど」

基準「零さんは昔のトラウマで他者を一方的に拒絶する事に忌避感有りますしね。キツイ言葉をかけても一方的に否定はしません。話を聞いた上での否定は有りますけど」

明久「うーん、島田さんが話を聞いてくれないのは何でなんだろ」

3人「頑張れ唐変木」

明久「・・・もう良いよ。えーっと、『戦士と悪魔の外史旅行』」

竜「もう時間か。そんじゃま、次回もヨロシクな!!」

基準「さてと、勉強勉強」

零「さて、明命と恋を愛でに行きますか」


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お知らせ

活動報告に投稿したのですが、見て下さってる人が余りいらっしゃらないようなので、ここにも投稿させて頂きます。

 

前回の活動報告にて、自身の小説である「戦士と悪魔の外史旅行」を第壱章を終わらせてから改訂する、などと書きましたが、決戦編の第二話目の執筆中、どうしてもしっくり来ない点や矛盾点、無理矢理な点が発見されまして(今更ですが)、このまま執筆してしまうと滅茶苦茶になってしまいそうな状況となりました。

 

前回「自分の心情的には~」などと書きましたが、この無理矢理な作品を投稿するのは読者の方々にとってかえって迷惑だろう、という結論に達しました。

 

コメントでは、「作品は完結させてから改稿させたほうが良い」、「途中で消えた作品が魅力的になって帰ってきたことがない」とのご意見を頂きました。最もだと思ったのですが、初期のプロット構成が甘々だった状態でこのまま続けていくのはこれからの展開に矛盾が出たりと執筆にも影響がでそうな現状です。ご意見を下さったと十十さん、申し訳ないです。

 

ですので、コメントをお寄せくださった方、この作品を読んで下さる方には申し訳ないのですが、「戦士と悪魔の外史旅行」の更新を完全に停止、及び非公開にし、また新たに再投稿しようと思います。

 

途中で放り投げるのは気持ち悪いのですが、リアルの友人にも相談し、悩んで出した結論です。温かい眼で見て下されば幸いです。

 

以下全く文字数が足りないので、予告編を書いてお茶を濁します。

 

 

 

 

北刀(ほくとう)様、ご両人の魂が参られました」

 

「そうか……すぐに向かう」

 

 

 

――――物語は動き出す。

 

 

 

「『旅人(ヴィアジャトーレ)』になって、『外史』を救ってもらいたい」

 

「ここ……何処?」

 

「この(オレ)に刃向かおうとは、その無謀さだけは褒めてやる、雑種」

 

「――――イッツ・ショウ・タイム」

 

 

 

「今度はうっかりの下か」

 

「アタシはアンタを助けて、恋路を応援する。アンタはアタシらに寝床を提供する、お分かり?」

 

「俺はッ……一体今まで、何をしてたんだッ……!!」

 

「ではな――――我が友よ」

 

 

 

「アイツを助けてくれ!!」

 

「何だ? 俺に勝てるとでも思ってんのか、ああ?」

 

「良かっ……た……」

 

「くはははは!! 貴様が勝てる道理なの無いのだよ、吸血鬼」

 

 

 

「やっと……会えた……お兄ちゃん……」

 

「私はこの郷の――――管理者、といった所かしら?」

 

「アンタは死なせない。それがあの子の望みだからね」

 

「そうだ、思い出せた」

 

 

 

――――何が正義で、

 

 

 

「お姉ちゃんになるの?」

 

「何でここにいるの姉さん……」

 

「アタシは、会わせる顔、無いから」

 

「私が、貴女をお守りします」

 

 

 

「あたしはちょっーと、特別製なんだよね」

 

「これで晴れて、無実の身だ」

 

「馬鹿な……我々が、ここで……!!」

 

「私達はそんな栄誉なんて要りません。皆がいれば、十分です」

 

 

 

「最強、その程度?」

 

「貴女に足りないのは、『傷付ける覚悟』です」

 

「――――ただいま」

 

「頑張ってね、お2人さん」

 

 

 

「同じ、顔……!?」

 

「アンタは、責任を知ってるみたいだね」

 

「――――覚悟の無い奴は、要らないわ」

 

「夢物語は聞き飽きました。もっと現実を見て下さい」

 

 

 

――――何が悪か。

 

 

 

「はてさて、この乱世がどう転ぶか、見物だねえ」

 

 

「――――行くよ言峰。神への懺悔は十分か!!」

 

 

「おはよう、ミク」

 

 

「俺の名は志々尾限。幻想郷より烏森の守護及び結界師の補佐役として派遣された」

 

 

「……この身体……大体10億年ぶりか……」

 

 

「俺達は海賊だ。この程度でくたばってられねえんだよ」

 

 

「百代は……俺が守る!!」

 

 

「刀奈……オレは……」

 

 

「帰って来たぜ、親父」

 

 

 

――――決めるのは、彼らだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、何とまあ良く分からん予告編です(笑)。まあ生温かい眼で見て下さい。

 

次は、改訂版「(くろ)(しろがね)の転生旅行」にて、皆様にお会いしたいと思います。それではまた。

 



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