テンプレでテンプレなテンプレのお話 (冴え渡る)
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ベッタベタである。

主人公の周りは面白いくらいにベタな設定で溢れている。
青春を謳歌したい主人公はこの世界をどう生きていくのか。


俺の周りは面白い程にテンプレである。

よく2chなどで見かける『幼馴染ss』というものがあるが、まさしくあれの設定とほぼ同じなのだ。

家の隣にそれはもうアイドル顔負けの幼馴染がいて、超がつくほどの馬鹿で友達思いの友人がいて、クーデレを絵に描いたような後輩と色気で年下を惑わせている先輩がいる。

クラスにはライバル意識を持っているイケメン野郎がいて、よく衝突する不良もクラスにいる。

妹はいるがここだけはあまり見ない。所謂『義妹』である。

両親は帰ってこない事はないが………放任主義もいいとこの馬鹿夫婦、そして何よりこの俺。

 

俺こそが最もテンプレなのだ。

 

部活はやっていない。顔は中の中でイケメンよりも普通に近く、友人よりは整っている。そして地味である。

アイドルと一般人が付き合ってたらどうなる?答えは『一般人を消す』だ。付き合ってなどいないが。

 

ここまで同じ部分が多いといっそ笑えてくる。

実際に自分がこんな設定の中で生きてみるとどういう反応をすればいいのか分からなくなるものだ。

分かりやすくフラグを立ててくる幼馴染に対してなんて言えばいい?

馬鹿みたいな馬鹿をする友人が幼馴染に片思いしていたら?

幼馴染がイケメン野郎をあしらった後にイケメン野郎にどんな顔をすればいい?

ていうか妄想と現実は違うからこそいいんだよ!

実際にこんな設定の世界だったら生きづらいわ!

 

…………と、まぁこれが俺の心の叫びです。はい。

 

ssとか二次小説とかは好物なのでよく見る。

だからこそ反応に困るのだが。学校で不釣り合いもいいとこのカップル紛いの奴らがいたらどうする?

とても糾弾される。辛い、辛い。とても辛い。いっそ不登校になっていいですか?だめですか、そうですか。

本当にもう学校行きたくない………が、そうもいかないのが世の中の辛い所で………

 

???「一馬くん、おはよう!」

 

隣のかわいい幼馴染(天然馬鹿な高嶺の花)はこっちの気持ちも汲まずに毎朝家の前に待機している。

すぐ近くの壁際にファンクラブの奴らがいるのが気づいていないのだろうかこの馬鹿は。見ろよ、あそこのゴリラみたいなやつなんて血の涙流してんぞ?

 

一馬「あぁー…………おはよう亜利沙、毎朝来なくてもいいんだぞ?」

 

俺の心労が増えるから

 

亜利沙「うぅん、私が待ちたくて待ってるの。だめ?」

 

ダメです。とか言えないよな………後ろの人達怖いし。あんたらどうせどっちの選択でも怒り狂うんだろうが。詰んでんじゃねーか。

 

一馬「いや、その、あれだ。早いとこ行くぞ」

 

亜利沙「わわ!待ってよぅ!」

 

追いかけてくる姿でさえ側から見れば愛らしいのだろうが………後ろから一定の距離を保ったまま、足を全く動かさずについてくる忍者のようなファンクラブの方々(ストーカー集団)がいるのでとてもシュールだ。ていうかキモい。この場から離れたい、今すぐに、迅速に。

 

亜利沙「今日ね?お弁当作ってきたんだけど………」

 

今日ね?じゃなくて今日も、だろうがこの馬鹿め。毎朝鞄の容量以上のとんでもない大きさの弁当持って来やがって。あれ食いきるのに昼休み使い切るんだぞ?トリコにでも食ってもらえよもう。

 

一馬「へ、へぇ………」

 

次にお前は『良かったらお昼に食べない?』と言う。

 

亜利沙「良かったら今度から食べない?」

 

予想の斜め上を行きおったぞこのあま………なんだよ今度からって、これまでと何が変わるんだ?量か?量なのか?力士にでもなれってのか?

 

一馬「悪いが俺は」

 

チィン!

 

瞬間、俺の頬をガスガンから放たれたBB弾が掠めた。

 

亜利沙「うわっ!な、何……今の音、って一馬君血が出てるよ⁉︎」

 

ガスガンを未だこちらに向けて構えてるゴリラ共は言っている。『悲しませるな』と………どないせぇっちゅうねん。

そしてこの馬鹿女め、テニス部なんかに所属してる癖に目の前を通り過ぎたBB弾すら捉えられないのか。

 

一馬「なんでもない。とりあえず行こうぜ」

 

亜利沙「で、でも………」

 

一馬(ここにいたら危険過ぎる………比較的安全な校内なら)

 

とか思っていた俺が馬鹿だったよ。

 

 

 

校舎の中に入ると確かにストーカー共は消えた。流石にこの時期に問題を起こすのは怖いらしい。………そうでなかったら怖すぎる。

だが一難去ってまた一難。この馬鹿はに好意を抱いてるのは何もストーカー共だけに留まらない。

 

???「よお。朝から見せつけてくれるじゃねーか。お?」

 

一馬「………ブルータス、お前もか」

 

俺の数少ない友人、一ノ瀬耕太郎も馬鹿の一員なのだ。

こいつは俺と付き合いを続けてるのはこの馬鹿との唯一の繋がりだからなどと言ってるのだ。すじがねいりの

 

???「誰だよブルータス」

 

ブルータスを知らないのかこの馬鹿は。中3で知らないとか受験に喧嘩売ってんのか………

 

亜利沙「おはよう耕太郎君。ブルータスはローマの為にカエサルを裏切った人だよ?」

 

耕太郎「おはよう亜利沙ちゃん!亜利沙ちゃんは物知りなんだね〜」

 

なんだこの扱いの差は…………俺仮にもお前の友人だよね?

えっ?違うの?違わないよね?ねぇ?

 

一馬「おいおい…………なんだこの扱」

 

耕太郎「喋るな。お前に話す権利は無い」

 

一馬「どこの独裁者だお前は………」

 

耕太郎「五月蝿え!こちとら数少ない癒しの時間を満喫しとるんじゃ!お前は邪魔なんだよ!」

 

癒しの時間て…………お前基本的に俺か腐れイケメンのどっちかとしか居ねぇじゃねーか。てことはあれか?俺たちとの時間は苦痛なのか?

 

一馬「わーったよ。じゃ、また後でな」

 

今日の授業はなんだったっけ?

 

 

 

 




耕太郎はガチに馬鹿である。勉強はできる。しないが。
そして講堂面が馬鹿である。そしてエロい。ど助平である。


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