一色いろはと家庭教師 (煌弥)
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一色いろはと家庭教師【番外編】
家庭教師一日目 ~八幡side~ 前編


⚠番外編です。初めて読む方は先に本編を読まれることを強く推奨します。

今回はリクエストしていただいた家庭教師の八幡視点です。
べ、別に本編のネタが浮かばなくて書けなかったとかではないですよ?




「どうも、イッシキさんの家庭教師を担当することになりました、比企谷です......どうも、イッシキさんの.......」ブツブツ

 

俺は今、自己紹介の確認をしている。

何故かというと、クソ親父が振り込み金を大幅に減額したせいで非常に遺憾ながら働かざるを得なくなった俺は、バイトとして「家庭教師」を選んだのである。

今は俺が担当することになった生徒、「イッシキさん」の家に向かっている途中だ。

「イッシキさん」の家についたらまず、自己紹介をしなくてはならないのだが、コミュ障の俺が自己紹介をするには、こうして予め文を作っておいてそれを言えばいいのだ。

我ながら完璧すぎる作戦だ。

これなら失敗する訳がない。

 

道行く人たちは不審者を見る目でこちらを見てくる。

まあ目が腐ってるやつがなにかブツブツ言ってたら完全に不審者ですよね。

向こうでこっちをチラチラ見ながら電話をしてる人は、警察に電話してる訳じゃないよね?

大丈夫だよね?

 

 

スマホとにらめっこしながら歩くこと十数分、

 

「...ここか」

 

スマホを確認しても、ここで間違いなさそうだ。

よし、イッシキさんの家であってるな。

それじゃあさっそく...

 

.............

 

もうやだ八幡帰りたい。

いや無理でしょ?

まだ会ったことない人の家インターホンを押すとか、知り合いの家のインターホンを押したこともほとんどないボッチオブボッチの俺が出きるわけねぇだろ....

 

ボッチの俺にも出来そうな仕事ということで選んだ家庭教師だが、もう始まる前から終わってるよ....始まってないのに終わってるのかよ。

 

あー、バックレたい....

でもそれすると本部の人に迷惑をかけるからな.....

せめてギリギリまで自己紹介の確認をして緊張を誤魔化そうそうしよう。

 

そう思って時間を確認すると、

 

「もう時間じゃねぇか!?」

 

くっそ、もうなるようになれ。

 

『ピンポーン』

 

インターホン押しちゃったよ....

どうすんだよこれ、とりあえず扉が開いたら自己紹介をするだろ....

え、そのあとどうすればいいんだ?

ふぇぇ、八幡わからないよぅ...

って現実逃避してる場合じゃねぇ、なにか考えないと.....

 

しかし、現実は考える時間を与えてくれなかった。

 

扉の向こうで物音がしたかと思うと、その扉が開かれた。

 

「い、いらっひゃい」

 

やばい話しかけられた、こうなったらさっきまで練習してきた自己紹介の成果を見せてやるぜ!!

 

「ど、どどど、どうも、え、えっと...イッシキさんのか、きゃてい教師を担当することになりました....比企谷です。」

 

...俺はもう二度と自己紹介をしない人生を歩もう.....

 

「え!?」

 

「ファッ!?」

 

え、なにこの子急に大きな声出して。

めっちゃ変な声でちゃったじゃねぇか。

今頃の家庭教師って自由に先生をチェンジできるみたいだからこれはチェンジルートまっしぐらですねわかります。

 

「せ、せんぱい...?」

 

「え?」

 

俺さっきちゃんと比企谷って言ったよね?

せんぱいなんて名前じゃないよ?

ん? せんぱい? 先輩?

 

ここにきてようやく俺を出迎えた人の顔を確認した。

肩ほどの長さの髪はゆるくウェーブがかかっていて、綺麗な亜麻色をしている。

そしてその目は驚きと戸惑いで揺らいでいて....ん?

 

「...ってお前一色じゃねぇか。何でこんなところに。」

 

「だ、だってここ、私の家ですもん」

 

「は?」

 

いやだってこの家はイッシキさんの家で...一色?

 

「...って俺が担当する生徒の名前って一色じゃねぇか。」

 

「さっき自分で言ってましたよ?」

 

「そりゃお前、コミュ障の俺が初対面の人の家に行くとか無理に決まってんだろ。頭がまっ白になって、何も考えられなくなるに決まってるだろうが。」

 

「いや、そんな自慢気に自慢するようなことではないことを言われましても...」

 

俺はボッチに誇りをもっているから自慢するようなことなんだよ。

 

「え、えと、あの...」

 

一色は突然の出来事に状況をうまくのみ込めてないのか、あわあわしている。

まるで小動物を見てるようだ。

 

そういう俺も状況をうまくのみ込めずに呆然としていた。

 

「お二人さんがとってもが仲良しなのはよぉくわかったけど...そろそろ説明してもらってもいいかしら?」

 

緊張と驚きで、一色の後ろに人がいたのに気がついていなかった俺は、少し驚いてその人を見た。

 

一色よりも長めの亜麻色の髪を一つに纏め、左肩から前に流した綺麗な人だ。

きっと一色の母さんだろう。

 

いろはすのママだからママはすと呼ぼう。

ママはすは俺と目が合うとにこりと微笑み、そして少しだけ横に移動し、俺から見てちょうど一色と重なったところで

 

「比企谷君とはどういう関係なの? いろはちゃん?」

 

そのとき、一色の肩がビクッとしたが、ママはすの表情は一色に隠れて見えなかった。

 

 

※ ※ ※

 

 

俺たちは今、ママはすに連れられてリビングにいた。

そこで俺と一色はかりた猫のように大人しくなり、ママはすの質問にただ答えていた。

この人の第一印象は「とても落ち着いた綺麗な人」だったが、この数分でそれが間違いだということがわかった。

俺や一色に質問するときには目をキラキラと輝かせてとても楽しそうにきいてくる。

その姿はまるで幼い子供のようだった。

 

「そうだったのー。比企谷君は高校時代、ずっといろはの生徒会のサポートをしてくれていたのね。それはどうも、娘がお世話になりました。」

 

「い、いえ....生徒会をすすめたのは自分ですので。」

 

ママはすはずっと笑顔でこちらを見ながら話しかけてくる。

やめてっ!! そんなに綺麗な人が純粋な笑顔で俺を見ないでっ!!

 

「あ、何かにお飲み物とお菓子を用意しますね。いろはも手伝いなさい。」

 

そういってママはすは一色をつれてリビングを出ていった。

ふぅ、やっと一息つけるぜ....

 

一人になったことでようやく落ち着いた俺は、頭の中でこれからやらなければいけないことを考える。

....よし、システムの説明はこれで落ち着いてできそうだ。

 

しばらくすると、ママはすと一色が飲み物とお菓子を持ってきた。

それからシステムの説明をすること十数分...

 

「えっと...話は以上となります。さっそく授業を始めようと思いますが...どこでやりますか?」

 

「あ、それならいろはの部屋でお願いします。」

 

「え!? 昨日話し合ったときは確かりb 「いろはの部屋は二階ですので案内しますね♪」ってちょっとお母さん!?」

 

「あ、あの...娘さんが何か言ってますけど。」

 

「気にしないでください。」

 

「え、でも」

 

「気にしないでください。」ニッコリ

 

「...はい」

 

笑顔のうらに、何かよくわからないは迫力を感じた。

俺はどこか疲れたような顔をした一色と二人でママはすについていくことしかてできなかった。




少し短めですがキリがいいので今回はここまでです(`・ω・´)
いろはすの霊圧が弱かったですねw
次回はあの2828回なのでもっといろはすがでてくると思います!!

この話は読者の方のリクエストからうまれました!!
リクエストは感想でもメッセージでもいいので遠慮なくください(´∀`)
リクエスト全てに応えることはできないかもしれませんが、できる限り応えたいと思います!!

ではでは、感想をお待ちしています(´∀`)

次回は明日か明後日にはあげたいのですが、書く時間があるか微妙なので遅れるかもです。



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家庭教師一日目 ~八幡side~ 中編

まさかの中編w

急いで書く

できた!!

後書きを書いて時間を確認する

ぴったし21時!!


予約投稿じゃないんですよすごくないですか?w


「ではでは、あとは若いお二人でごゆっくり~♪」

 

.....なんか、キャラが濃いお母さんだな。

というかごゆっくりしていいのかよ。

なんか甘い匂いするし....女子の部屋って皆こうなの?

 

一色の方を見るといつものあざとさはなく、緊張しているかのようにおとなしい。

おいやめろよ、いつものお前はどうしたんだよ。

急にしおらしくされると、どうすればいいかわからないんだけど?

あぁ、くそ、調子狂うな....何かは話しかけるか....

 

「なんというか...すごいお母さんだな。」

 

「...ごめんなさい」

 

.....え、それだけ?

あっれぇー?

おい、本当にいつものお前はどうしたんだよ。

普段からこんだけ大人しかったら.....いや、大人しかったらそもそもこいつと関わりなんて持ってないな。

 

というかどうすんだよこの雰囲気.....

 

俺は居心地が悪くなって部屋を見渡した。

こいつの部屋って意外とシンプルなんだな....

ベッドに目をやると、枕元にくまのぬいぐるみが置かれている。

それがますます女の子の部屋ということを俺に意識させてきて、急に緊張してきた。

 

もう一度一色を見てみると、顔を俯かせ、髪の隙間からわずかにのぞくうなじがうっすらと赤く色づき、妙に色っぽかった。

服装も見慣れた制服姿ではなく、かわいらしい私服で一色にとても似合っている。

やばい、どうした俺落ち着け?

相手は一色だぞ?

いやでもこいつ普通にかわ......本当に、今日の俺はどうかしてる....

 

そんなことを考えていると、

 

「...なんでそんなに赤くなってキョドってるんですか? キモいですよ?」

 

...こいつ大人しいと思ったら急にジャブをいれてきたよ?

返してっ!! 俺の緊張返してっ!!

 

「いや、そりゃお前あれだよ.....あれ」

 

「何ですか? 『あれ』で伝わると思ってるんですか? そうやって俺とお前はもう『あれ』でわかりあえるぜアピールですか? まだ心の準備が出来てないので出直してきてください、ごめんなさい。」

 

....さっきのは夢かな?

普通にいつも通りのいろはすですよこれ?

 

「俺はお前に何回振られればいいんだよ...というかこれ懐かしいな。まあ...あれだよ、いや、あれじゃわかんないんだったな....。その、小町以外の女子の部屋には入ったことがほとんどなくて...」

 

一色はそれを聞いて納得したような表情をしたかと思ったら、急に表情が固まった。

そして何か考えているような表情をしたあと、

 

「ほとんどって、何回かはあるんですか?」

 

え、なに?

なんか今声低くなかった?

気のせいだよね?

 

「あぁ....その、雪ノ下とか由比ヶ浜とかな...」

 

「あぁ、そういうことですか。」

 

やっぱりさっきのは気のせいかな?

今の声も普通だったし。

 

「あとは....お前の私服姿を久々に見てな。その...似合ってるんじゃないか?」

 

女子の服装を褒めるということは、散々小町に叩き込まれてきたからか自然と口から出ていた。

俺自然とこんなこと言えたのかよ、すごいな俺....

 

「ふぇ?」

 

おいやめろ、そんなかわいい声を出すんじゃない。

 

「え、えと、それはどうも....」

 

「お、おう。」

 

 

...キモいと言われるか、また振られるかのどちらかと思っていたから、そんなしおらしく反応されると俺が対応できないんで止めてもらえませんかね.....

 

そしてまたお互い無言になる。

...そういえば、何で俺はここにいるんだっけ?

 

「じゅ、授業!! 授業を始めましょう先輩!!」

 

そうだよ家庭教師だよ。

 

「あ、ああ、そうだな。」

 

こうして不思議な雰囲気の中、授業は始まったのだった。

 

 

※ ※ ※

 

 

授業を始めてからは、さっきの不思議な雰囲気は消え去っていた。

というのも、授業が始まったとたん一色の雰囲気が引き締まり、とても真面目な生徒になった。

そんな空気を隣で感じた俺も気合いをいれ、人生初の先生をした。

まあやったことなんていつも小町にやっているようなことだけどな。

 

そして、あっという間に一時間が過ぎた。

 

「よし、お疲れさん。五分ぐらい休憩したらまた一時間やるぞ。」

 

「了解でーす!! それにしても先輩、教えるのが上手ですねー。」

 

「家でよく小町に教えてたからな。期末前には何度徹夜に付き合ってやったことか...。かわいいから許すけど。」

 

弟だったら絶対にやってないな。

 

「うっわ、シスコン....。それはそうと、先輩は何で家庭教師をやってるんですか?」

 

「うちのクソお親父がな、振り込み金を最小限にしやがって...まじで命が危ないから仕方なしにだよ。」

 

「あ、あはは...そんなことがあったんですね。ん? 振り込み? 先輩今一人暮らしなんですか?」

 

「大学に入ってからな。」

 

「ご飯とかはどうしてるんですか?」

 

「前はラーメンとか食べに行ってたが、今は金がないからな...。適当に安いやつを買って食ってる。」

 

自分で言ってて悲しくなるなこの食生活...

 

「それいつか絶対体壊しますって...。ちょっと待っててください。」

 

そう言って一色は部屋から出ていった。

 

....女子の部屋で一人になると何か緊張するな.....。

とりあえず後半の授業のプランでもたてて気をまぎらわそう。

 

 

 

数分後、

 

「ただいま戻りましたー!! 私がいない間へ部屋とかあさってないですよね?」

 

一色が聞き慣れたあざとい声で部屋に入ってきた。

それだよ....その声をまってたんだよ.....

やっといつも通りに振る舞えるぜ。

 

「そんなことしねぇよ....。久々にお前のあざとい声を聞いたわ。」

 

「あざとくないですぅ。それはそうと、先輩今日の夕飯うちで食べていきませんか?」

 

なん...だと....?

そうさせてもらうとかなり助かるんだが、さすがに悪いだろ....

魅力的な提案だが断るか。

 

「いや、さすがに悪いだろ。」

 

「大丈夫です!! お母さんにはすでにか許可をとってあります!!」

 

ママはす娘に甘すぎじゃぁないですか?

 

「まじかよ準備いいな。いやでもな...」

 

「それに大学の話とか聞きたいですしー!! 私も助かるんですよ!!」

 

「そういやお前うちの大学目指してるんだったな。自分で言うのもなんだがうちは結構レベル高いぞ? なんというか、さっきの授業でも思ったんだがお前がここまで勉強できるとは思わなかったわ。」

 

「む、なんかそれ失礼じゃないですか? まあいいです、それで、ご飯どうしますか?」

 

どうするかな...

夕飯をご馳走してくれると、金がない俺にはめちゃくちゃありがたい。

それに一色も大学の話を聞きたいっていってるしな。

ここはご馳走してもらうか。

 

「まあ迷惑にならないんだったらいいか。なんか悪いな。」

 

「いえいえ、気にしないでください!!」

 

「じゃあそろそろ時間だから授業始めっか。」

 

「はい!!」

 

 

※ ※ ※

 

 

それから一時間が経過した。

 

「よし、お疲れさん。今日はここまでだ。」

 

この二時間、一色はとても集中して勉強していた。

正直、こいつがここまで真面目に勉強するとは思っていなかった。

 

「ふぅ.....。せんぱーい、つーかーれーたー」

 

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!!

一色が「つーかーれーたー」とかいいながら俺の腹に抱きついてきてそのまま頭をぐりぐりしてきたんだ。

何を言っているのか(以下略)

 

というかこいつほんと何してんの?

え、ちょ、何してんの?

 

「おいバカやめろ。何かいい匂いするし........おい、離れろって。」

 

「うりゃうりゃー!!」

 

不覚にもちょっとかわいいと思ってしまった

 

「何がうりゃうりゃだよかわいいなおい...じゃなくて放れろって。」

 

いい加減にしないと色々とまずいだろ、いやまじで。

 

「いーやーでーすー!!」

 

一色はそう言うと、さらに強く頭を押し付けてきた。

....女子ってやわらk...いやまてなにを考えてるんだ俺は?

 

そうして一色にしばらくじゃれつかれたところで、一色の動きが一瞬ピタリと止まった。

そしてその直後、ゆっくりと俺から離れた。

何だったんだ....

 

「...ったく、やっと離れたか.....。っておい、どうした?」

 

一色は耳まで赤くして顔を俯かせていた。

 

「い、いえ、何でもないです.....あ、もしかしたらもうご飯ができてるかもしれないのでリビングに行きましょう!! 先にい行っててください!!」

 

一色は早口でそう言ったあと、俺の背中を押してきた。

まあ先に行ってろって言われたしそうしますか。

 

 

 

 

先にリビングに行った俺は、ソファーに座って一色を待つことにした。

そうして待つこと数分

 

「やかましい!!」

 

階段の方から一色の声がした。

何があったんだ一体.....




いかがでしたでしょうか?
感想をお待ちしています!!

このたび、Twitterを始めることにしました(´∀`)
https://twitter.com/irohasukatekyo?s=06

IDはirohasukatekyoです!!

作品についてのことを呟くとおもいますw
興味があるかたはぜひ見てみてください!!

次回は26日か27日の21時に投稿したい(願望)


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家庭教師一日目 ~八幡side~ 後編

今回で八幡視点はラストです!!
いやー、思ったより長かったですね!!

二日目や三日目の八幡視点はどうしようか悩んでいます。
皆さん的には読みたいですかね?


夕飯は肉じゃがだった。

その肉じゃがは、じゃがいもに味がよくしみていてとても美味しかった。

 

「この肉じゃがめちゃくちゃおいしいです。」

 

「ふふ、たくさんあるからいっぱい食べてね?」

 

ママはすは目を細めて肉じゃがを食べる俺を嬉しそうに見ている。

 

自分の親よりもよっぽど愛情を感じるんですけど?

どうしよう、俺この家の子供になろうかな?

ならないけど。

 

この人から一色はたくさん愛情を注がれて育てられたんだろうな。

たまにからかわれたりはするものの、お互いがお互いを信頼して愛しているのがわかる。

いや、俺の親が俺のことを愛してくれなかったとかではないよ?

ただ小町が生まれたとたんに、全部そっちにいっちゃっただけで。

 

すると、楽しそうに俺を見ていたママはすが突然、

 

「ところで....比企谷君は彼女いるの?」

 

「ガハッゴホッ!?」

 

一色がなにやらむせている。

 

.....彼女か

中学時代の黒歴史がフラッシュバックする。

あのときから、俺はどうもこの手の話が苦手だ。

一時期は人を信じることが出来なくなっていた。

 

しかし、高校でそんな俺でももう一度信じたいものができた。

最近では周りでそういう話が出る度に、黒歴史の他に三人のことが頭に浮かぶ。

.....あいつらはそんなのじゃない。

俺はその三人のうちの一人である一色を横目でちらりと見る。

一色は水を飲み干して落ち着いたみたいだ。

こいつの事を最初はなんとも思ってなかったんだがな....気がついたらあの奉仕部の中にとけこみ、他の二人と同じぐらいには大切に思っている。

その感情が恋愛なのかと言われたら....違う、と思う...。

もしそうだったら俺は三人にそういう感情を抱いてるってことになるからな。

 

「あー、そういう人はいないっすね。...生まれてから一度も。」

 

「そ、そうなんだ...」

 

あ、やべ、最後の一言でなんか言ってて悲しくなってきた。

ママはすの目もどこか同情的だ。

 

「まあ先輩ですからねー♪」

 

「何でお前が嬉しそうなんだよ...。」

 

「だって、私に彼氏がいないのに先輩に彼女がいたらなんか負けたような気がするじゃないですかー?」

こいつまだ彼氏いなかったのかよ。

こいつならいくらでも男がよってきそうなんだけどな。

....なんかイラついてきた。

俺は一色のお父さんかよ.....

 

「いや、勝ちも負けもねぇだろ....というかお前まだ彼氏いないのかよ。お前ならいくらでもいいやつよってくるだろ。」

 

「「.....」」

 

え、なにこの雰囲気。

俺なんか変なこと言った?

言ってないよね?

 

「だってー、彼氏とかいてもちょっと前までは生徒会で忙しかったし、今は受験で忙しいじゃないですかー? いても邪魔になると思うんですよねー。」

 

....え、最近の女子高生の恋愛ってみんなこんな感じなの?

もうちょっとキラキラしたものだと思ってたんだけど違うの?

まあでも言ってることはわかる。

 

「あー、確かにそうか。」

 

「そうなのです。彼氏にするなら仕事をたくさん手伝ってくれて、私のことをちゃんと見てくれて、一緒にいると安心して、勉強まで見てくれる人じゃないとダメです。」

 

なんだよその超人。

そんなやつこの世にいるのかよ。

今までそんなやつ見たことねぇぞ。

 

「いやいや、そんな奴いないだろ。」

 

「「は?」」

 

え?

何その目、そんなじっとりとした目でこっちを見てどうしたの?

え、え?

 

「ま、まあ、いないですよねー。」

 

え、何その反応、そんなやついるの?

いないよね?

 

「じゃ、じゃあ先輩はどんな人を彼女にしたいですか?」

 

「俺のことを養ってくれる人」

 

そこは譲れない。

専業主夫万歳。

 

「デスヨネー」

 

ママはすがゴミを見る目でこちらを見てるが気にしない。

いや嘘、超ダメージ受けてる。

 

「じゃあ年下と年上だったらどっちが好みですか?」

 

「あー、別にどっちでもいいんだか...強いて言うなら年下か?...小町や一色がいるからな。年上は...うん、まぁ、いい思い出が...」

 

本当に年上にはいい思い出が.....

いやでも城廻先輩がいるな。

ただその癒し以上にマイナス要因がいるからなぁ...

 

「あ、ならうちのいろはとかどう?」

 

いやママはすさん?

そんな娘を簡単に男に渡していいんですか?

大体本人の意志がなければ意味な....まて、意志があれば俺はいいのか?

 

「いやいやいや、それはないって。何ですか先輩、お母さんをまず味方につけて私を落とす作戦ですか? 試みはいいですけどもっと正々堂々ときてください、ごめんなさい。」

 

「俺まだ何も言ってないよね? 何で今ので振られたんだよ理不尽すぎるだろ....。」

 

 

 

 

そのあとは俺の大学の話になり、受験生のときにやったことや大学での授業のことを話した。

ずっとニコニコしてたママはすが無表情で一色のことを見てたのが気になったが、触れないでおいた。

 

 

※ ※ ※

 

 

「じゃあ指定したところを次までにやっておけよ。あと英単語のテストもするからな」

 

「はーい!!」

 

「本日はどうもありがとうございました。またよろしくお願いします。」

 

「いえいえ、こちらこそご馳走さまでした。」

 

あの肉じゃがは今まで食べた中で一番うまかった。

また食べたいが、さすがに二回も世話になるのは悪い。

 

「では、二日後にまた来ます。お邪魔しました。」

 

そう言って一色の家に背を向けて歩きだす。

曲がり角で後ろを確認してみると、一色がまだこっちを見ているのが見えた。

 

 

 

 

電車に乗りながら、俺は次の授業のことを考えた。

次はどこまでやるか、今日の授業で一色はどういうところが苦手だったかを一つずつ考える。

 

そして、次の授業が楽しみになっている自分がいることに気がつく。

まさか家庭教師を始めて、楽しくなるとは思っていなかった。

 

 

 

 

 

電車をおりて自動販売機でMAXコーヒーを買う。

一口飲むといつもの甘さが口に広がる。

やっぱMAXコーヒーは偉大だな、さすが千葉のソウルドリンク。

 

MAXコーヒーを片手にいつもより上機嫌で家に向かって歩きだす。

次の授業のテストで意地悪な問題でもだしてやるか。

そう考えるとまた楽しくなってくる。

 

家庭教師も案外悪くないかもしれない。

 

 




終わらせ方が難しかった...w
今の終わらせ方も完全には納得出来てないんですけど、これ以上考えてもなにも出てこなさそうだったので妥協しましたw

八幡視点、いかがでしたでしょうか?
感想をお待ちしています!!!


昨日からTwitterを始めたのですが、さっそくフォローしてくれる方がいて嬉しいです(´∀`)
Twitterでは、今現在どの話を書いているだとか、ボツになったネタをいくつかあげようと思っています!!

次回の投稿は28日の21時です!!
皆さんお待ちかねの本編です(´∀`)


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神田晴斗の日常 1

今回は番外編です(´∀`)

オリキャラ視点となります!!

投稿する場所が本編の前になり見つけにくくなってしまうと思いますが、番外編はあまり多くならないと思うのでご了承くださいm(__)m


「はぁ....」

 

僕、神田晴斗は学校帰りの電車のホームで一人ため息をついた。

今年高校に入学したのだが、コミュ障の僕は入学から二ヶ月経った今でもクラスに馴染めないでいた。

くっ、やっぱり休み時間にイヤホンをしながら完全一人用のスマホゲームをやっていたのがだめだったか....

しかも、かなりマイナーなやつで、操作も上下左右のフリックしかない地味なやつだ。

確かに、休み時間に一人で黙々とそんなゲームをやっている人がいたら周りも話しかけづらいよね......

 

でもさ、しょうがないじゃん!?

入学式が終わって教室に集まったときのあのシーンとした雰囲気!!

そして、勇気をだして近くのやつと話し出したやつらの会話にじっと耳をすませるしかない雰囲気!!

あの重々しい空気に耐えられなくなってスマホを弄りだしたら、こんな作業ゲーにはまってしまい、気がついたら自分を除いて周りはそれぞれグループに分かれて楽しそうに会話をしていた。

 

そして、そのままズルズルと二ヶ月が経過した今でも、僕は見事にボッチだ。

 

だが今日、いつものように教室の端の方でイヤホンをしながらゲームをしている僕にクラスの男子が一緒にお昼ご飯を食べようと声をかけてくれたのだ!!

その時の僕はとても舞い上がった。

舞い上がりすぎてつけていたイヤホンがスマホから外れた。

 

大音量で教室に響くゲームキャラが死んだときの悲しい音楽と、「GAME OVER」の音声。

そして、その音に驚いて静まり返った教室に響く僕の

 

「あ、新記録が.....」

 

の声。

二ヶ月間この作業ゲーをやりこんだおかげで、僕のそのゲームの腕前は全国ランキングに載るほどになっていた。

そして、後少しで新記録を叩き出せそうな時に声をかけられてミスをしてしまい、自然と口から声が漏れてしまったのだ。

確かに、新記録を出せなかったのは悔しいけど、今の僕にとってはそんなことよりも友達を作る方が大切だから、気持ちを切りかえて声をかけてくれた男子に返事をしようとした。

 

しかし、その男子は

 

「あ、ご、ごめん!! 俺のせいだよな、ミスしたの......。その、本当にごめん!!」

 

と言って僕から離れていってしまった。

コミュ障の僕はそれを見ていることしかできなかった。

 

そして、折角のチャンスを逃してショックで動けないでいる僕に追い打ちをかけるかのように聞こえてくる女子の会話。

 

「うっわぁ、神田くんってやっぱり暗ーい」

 

「折角声をかけてもらったのにゲームの心配をするとかないわー。」

 

「ほんとそれ。まじキモーい。」

 

泣いてもいいですか?

泣かなかったけど、泣かなかったんだけど!?!?

僕、キモいのかぁ.....

 

 

と、まあこんなことがあって今の僕の心はポッキリと逝っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が彼女に出会ったのはそんなときだった。

 

 

 

電車に乗ってドアの横の寄りかかれる場所を僕は確保した。

すると、僕の向かいのポジションに一人の女の子が同じドアから乗ってきた。

 

うわ、めちゃくちゃ可愛い....

あの制服は総武高校かぁ。

僕の通っている高校の近くにある高校だけど、総武高の方が学力がかなり高い。

 

肩ほどまで伸ばした亜麻色の髪、ぱっちりとした大きな目、そしてスカートは短くおられていて太ももがまぶしい。

 

正直、めちゃくちゃタイプです。

直球ど真ん中ストライクです。

 

でも僕には一生関わりを持つことができないタイプの人なんだろうなぁ....

というか、こんなに可愛いなら彼氏もいるだろうし.....

くそっ、リア充爆発しろ!!

 

でも眺めるだけなら自由だよね?

 

僕は彼女に気がつかれない程度に彼女を眺めた。

彼女はスマホを弄っている。

けっ、どうせ彼氏とLINEでもしてるんだろ!?

.....悲しくなってくるからやめよう。

 

でもよく見ると、彼女はスマホを弄りながらどこか心あらずといった感じだ。

何かを考えているような......どうしたんだろう?

 

僕がそう思ったときだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一輪の花が咲いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......っ!?!?」

 

か、かわぇぇぇぇえええ!?!?

 

その日、僕は名前も知らない彼女に恋をした。

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

フラフラとした足取りで駅から家まで歩く。

頭の中は電車で見たかのじょのことで一杯だ。

 

どんな声をしてるんだろう?

きっと可愛い声なんだろうなぁ.....

 

そんなことを考えながら歩いていると、あっという間に住んでいるアパートに到着した。

家庭の事情で両親は今外国に行っていて、僕は一人暮らしをしている。

本当はもっと学校に近いアパートに住む予定だったんだけど、父が

 

「すまん晴斗!! 学校の住所を勘違いしてて少し遠いアパートになっちまった!! がっはっは!!」

 

と言ってきた。

いや、がっはっはじゃないからね?

なんて大雑把な父親なんだ.....

まあ通えない距離じゃないからいいけど。

 

「はぁ......」

 

そんな父に呆れたり、今日の学校の出来事に憂鬱になったり、そして電車で出会った彼女へのもやもやとした感情など色々なものを込めたため息をつきながら階段を上がる。

 

「.....また会えるといいな」

 

そう呟いて自分の部屋、205号室の前で立ち止まると鞄の中から鍵を探し出す。

すると、隣の204号室の玄関が開かれ、中から男の人が出てきた。

僕はなけなしのコミュ力を振り絞って挨拶をした。

 

「こ、こんにちは....」

 

「え?」

 

その人は驚いたように一瞬僕を見て、すぐに周りをキョロキョロとしだした。

そして、その後口元をひくつかせたかと思うと、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべて

 

「.....こんにちは」

 

挨拶を返してきた。

 

「ひっ....!?」

 

こ、怖すぎる!?

何この人!?

腐った魚のような濁った目をしていて、口元にはニヤリとした邪悪な笑み。

これは関わっちゃいけないタイプの人だ......!?

目をつけられる前に逃げようそうしよう。

 

「で、では僕はこれで!!」

 

僕は急いで部屋の鍵を開けると、素早く中に逃げ込んだ。




番外編の新主人公の神田晴斗くん、いかがでしたか?
皆さんは本編の10話の最後の意味深な一文を覚えていらっしゃるでしょうか?
あの時の男子は晴斗くんだったんですね(´∀`)
これからこの番外編は本編につまった時にチマチマと投稿しようかと思います!!


pixivの方でも投稿を開始しました!!
ハーメルンの方と今のところは何も変わらないのですがw


次回は二日後か三日後の予定です!!
そろそろいろはと八幡の甘い話を書きたいですね(´∀`)


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一色いろはと家庭教師【本編】


初めまして!!
拙い文章ですが楽しんで貰えると嬉しいです!!


「よし、今日の分はこれで終わりっと」

 

私は大きく背中を伸ばしながら参考書を閉じた。

今年の4月から高校3年生となり早2ヶ月、私、一色いろはは受験生として毎日机に向かっていたのだが

 

「はぁ、きっつ...1年前に戻りたいなぁ」

 

すでに受験勉強に疲れてしまった。

大学受験がここまで辛いとは思っていなかった。

そもそも、こんなに辛くなるはずではなかったのだ。

最初に志望してた大学は自分の学力に合っていて、それなりに勉強していれば問題なく合格できるはずだったのである。

しかし、今の私はとある事情でその大学よりはるかに上のレベルの大学を目指している。

 

「よし、学校ま帰りに買ってきたシュークリーム食べよーっと♪」

勉強を全て終わらせた後の夜に食べるスイーツ、これが私の最近の楽しみだ。

太る?何それ?

 

「んー!!おいしいー!!!」

 

実はこのときも単語帳を見ている。もはや日課だ。

シュークリームを食べ終えた私は歯をみがき、ベッドにはいる。

そして携帯に保存されている1枚の写真を見る。

写真に写っているのは1人の男子生徒。

その生徒は写真を撮られていることに気が付いた様子もなく、あくびをしている。

私はその写真をたっぷりと眺めた後に眠りにつく。

 

「おやすみなさい、先輩...」

 

※ ※ ※

 

朝起きた私は昨日覚えた英単語を確認し、朝ごはんを食べて学校に向かう。

電車の中では古典の文法書を読む。

少しの時間も無駄にはできない。

そして学校に着くと鞄から参考書を取り出し、それに取り組む。

大門を2つほど解いたところで後ろから声をかけられた。

 

「いろはおっはよー!!って今日も勉強してるし...ちゃんと休むときは休まないとか体壊しちゃうよ?」

 

「そうだよいろは。ちゃんと寝てるの?」

 

この2人の名前は早川 遥と篠崎 彩音。

1年生の頃から同じクラスで一緒のグループにいた。

そして偶然に3年連続で同じクラスになり、いつも一緒にいる。

 

「んー、昨日は4時間ぐらいかな?」

 

「え!? 少な!? 私なんて昨日10時間寝たよ?」

 

「いや、それは遥が寝過ぎなだけだから...。でも4時間はやっぱり少ないよ。具合とか悪くない?」

 

「うん、体調とかは大丈夫。まあこんくらいやらないと届かないから...。」

 

何度も言うが私が目指している大学のレベルはかなり高い。

あの先輩が実はあんなに頭がいいなんて...

 

「いろはが目指してる大学レベル高いもんねー。」

 

「いろはが急に『国立大目指すー!!』って言ったときはびっくりしたよ。でも国立大って聞いたから葉山先輩のところかと思ったけど違うんでしょ? いろはの大学に行った先輩っていたっけ?」

 

「うん、何人かいるみたいだよー。」

 

そんなことを話しているうちに1限目が始まった。

今の私にとってはさ授業もばかにできない。

真剣に授業を受け、あっという間に放課後になった。

 

「いろはー。一緒に帰ろー。」

 

「あ、うん!! 今行くー!!」

 

私は荷物をまとめ、彩音のところへ急ぐ。

遥は塾があるらしく今日は2人だ。

 

「いろはっていつも一緒に帰れるけど塾とか行ってないの?」

 

「塾かー、それもいいんだけどここら辺にないから行くのに時間かかっちゃうんだよねー。」

 

「あー、やっぱりそうだよねー。私も同じ理由で行ってないんだけど家庭教師に来てもらってるよ?」

 

「家庭教師?」

 

「そう!! 私も最初は家で1人でやってたんだけど、やっぱり教えてくれる人がいると全然違うよー!!」

 

「家庭教師ねぇ...」

 

「あとは大学生の先生だと受験の体験談を生で聞けるし、歳も近いからすごく馴染みやすいよ!!」

 

「あ、それいいかも。」

 

「でしょでしょ!! あ、あと...」

 

「ちょっとまって、何でそんなに必死なの?」

 

「え、えーっと...その.....知り合いを紹介すれば安くなるんだ」アハハ

 

「それが目的かー!!」

 

「い、いや、でも本当におすすめだよ!! やっぱ1人だと辛いでしょ!!」

 

そんなことを話しているうちに駅に着いてしまった。

私と彩音は電車が違うのでここで別れる。

そして電車に乗った私の手には家庭教師のパンフレットが。

彩音の勢いにおされて貰ってしまった...。

でも彩音の言ってた通り、1人はやっぱり辛い。

 

「うーん、どうしようこれ...。とりあえずお母さんに相談かな」

 

電車の中で1人、そう呟いた。




いかがでしょうか?

短いですが最初なんで(-_-;)
こういうの本当にやったことなくて...
2chも眺めているだけで書き込みをしたことなんてないネット初心者ですが暖かい目で見てくれると助かりますm(__)m

書き方にアドバイスとかあればどんどん言ってください!!
感想もお待ちしています!!


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今回も短いです(-_-;)

途中で視点変更があります。


家に帰ってからは夕飯までずっと勉強していた。

最近では当たり前だが、やはり辛い。

そして夕飯の時に、家庭教師の話を両親に持ち出してみたが、

 

「家庭教師?あら、いいじゃない」by母

 

「いろはは最近すごく頑張っているからな。好きなようにしなさい」by父

 

え、こんなに簡単でいいの!?

もっとこう...お金の話とかいろいろあるんじゃないの!?

というか、まだやると決めてたわけじゃないんだけどやるような雰囲気になっちゃっし...

まあでも、気になってはいたしやってみようかな?

 

決まってからはあっという間だった。

お父さんがネットで申込み、システムを説明するために家庭教師の会社から人が来た。

あと彩音がとてもよろこんでいた。

そんなに安くしたいか.....

私も遥を誘おうかな?

でもあの子塾行ってるしなぁ.....

 

そして数日が経過して、とうとう家庭教師の先生が家に来る日になった。

 

 

※ ※ ※

 

~八幡side~

 

「はぁ....」

 

比企谷八幡はただ今、絶賛バイト探し中である。

別に偽者だとか心を入れかえたとかではない。断じてない。

俺の夢はいつでも専業主夫だ。

ではなぜバイトを探しているかというと....

 

大学に入学した俺は一人暮らしを始め、自由でぐーたらな生活を満喫していた。

先月までは.....

先日、クソ親父から電話がありその内容とは、今後の振り込みのお金を減らすとのことだった。

あわてて銀行で確認したところ、最低限の食費分しか振り込まれていなかった。

え、何これ? 八幡死んじゃうよ?

この歳で家の中で孤独死しちゃうよ??

まあガス、電気、水道などは親の方で出してくれるみたいだが、それにしてもこれはどうなのだろうか。

訴えたら勝てるかな? 訴えないけど。

 

そういうわけで自分の命を守るためにバイトを探しているのだが...

 

「くっそ、俺にどうしろってんだよ...。接客とかできねぇよコミュ障なめんな。」

 

全然いい仕事が見つからない。

そもそも学生のアルバイトを募集している店の大半は飲食店等の接客業である。

コミュ障に優しくない世界だ。

 

「何かいい仕事はないのかよ...せめて接客する人が一人だけとか.....。」

 

そんなバカなことを呟きながらパソコンに向かうこと十数分、

 

「...家庭教師か」

 

 

※ ※ ※

 

~いろはside~

 

私は今、お母さんと二人で家庭教師の先生を待っている。

お父さんは仕事でいない。

 

「いろはが目指してる大学の一年生が先生なんてよかったわね。でも男の子みたいだけどよかったの?」

 

「ほんと、ラッキーだよ!! それに男の方が扱いやすいしねー。」

 

「それもそうね」ニヤリ

 

私の黒いところは絶対にお母さんから受け継いでいると思う。

 

「そういえば、家庭教師の先生の名前ってなんていうの?」

 

「あら? まだいろはに伝えてたかったっけ? 確かー、ひk『ピンポーン』...って噂をすれば来たようね。」

 

「あわわわ、ど、どうしよう。来ちゃったよ...」

 

「何緊張してんの。扱いやすいんじゃなかったの? ほら、ついていってあげるから自分でお迎えしなさい。」

 

「う、うん」

 

私は緊張で震えそうになる体を抑えながら、玄関に向かった。

 

 




書き溜めがそんなにあるわけではないので、短くさせてもらいます。
今日中にあと一つか二つはあげたい...


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今回はついにあの人が...


 

私は玄関の前で大きく深呼吸をし、笑顔を作った。

よし、いける、いつもの私だ。

私は意を決して扉を開けた。

 

「い、いらっひゃい」

 

かんだぁぁぁぁぁぁぁあああ!?!?!?

え!? えっと、どどど、どうしよう...!?

絶対に変な子だと思われた...

 

「ど、どどど、どうも、え、えっと...一色さんのか、きゃてい教師を担当することになりました...」

 

あれ? そんなことないぞ?

なんか向こうの方が緊張してるぞ?

というかこの声どこかで...

 

「比企谷と申します。」

 

「え!?」

 

「ファッ!?」

 

私が大きく驚きの声をあげると比企谷さん...先輩は面白い声を出した。

 

「せ、せんぱい?」

 

「え?...ってお前一色じゃねぇか。何でこんなところに。」

 

「だ、だってここ、私の家ですもん。」

 

「は?...って俺が担当する生徒の名前って一色じゃねえか。」

 

「さっき自分で言ってましたよ?」

 

「そりゃお前、コミュ障の俺が初対面の人の家に行くとか無理に決まってんだろ。頭が真っ白になって、何も考えられなくなるに決まってるだろうが。」

 

「いや、そんな自慢気に自慢するようなことではないことを言われましても...」

 

自分でも声がうわずっているのがわかる。

私が今の大学を目指す理由は、ある人を追いかけて。

そしてそのある人とは、紛れもなくこの比企谷先輩だ。

先輩は本物の私に誰よりも早く気がつき、そしてそれを受け入れてくれた。

最初は役に立つ先輩ぐらいにしか思っていなかったが、本物の私を受け入れてくれる先輩の存在が私の中で次第に大きくなり、そして気がつけば先輩に恋をしていた。

今までに異性を好きになったことがないことはないのだが、何となく「この人いいかな?」ぐらいにしか思えていなかった。

しかし、先輩は初めて、私が心から好きだと思えた人だ。

 

「え、えと、あの...」

 

そんな人と思わず再会してしまい、私は何をすればいいのかわからなくなり、あわあわしていた

 

「お二人さんがとっても仲良しなのはよぉくわかったけど...そろそろ説明してもらってもいいかしら?」

 

はっ!? そうだった、ここには私と先輩以外にもう一人いたんだった!?

恐る恐る振り返るとそこには、

 

「比企谷君とはどういう関係なの?いろはちゃん?」ニッコリ

 

新しいおもちゃを見つけたといわんばかりの、とってもいい笑顔をしたお母さんがいた。

あ、これはもう誤魔化せない...

 

 

※ ※ ※

 

 

私たちは母につれられてリビングにいた。

私と先輩は預けられた猫のようにおとなしくなり、私はただお母さんの質問に答えていた。

ここ、私の家なのに.....

 

「そうだったのー。比企谷君は高校時代、ずっといろはの生徒会のサポートをしてくれていたのね。そへはどうも、娘がお世話になりました。」

 

「い、いえ...生徒会長をすすめたのは自分ですので。」

 

さっきからずっとこんな感じで二人で話している。

私はお母さんの隣に座っておとなしくしているだけだ。

ここ、私の家なのに.....(二回目)

 

「あ、何かお飲み物とお菓子を用意しますね。いろはも手伝いなさい。」

 

そう言ってお母さんは私を連れてリビングを出た。

そして先輩が見えなくなるとバッと振り返り

 

「ねねね!! いろはは比企谷君のどういうところが好きなの!!」キラキラ

 

なんだろう...とても輝いて見える。

そんなに娘の恋バナがが楽しいかこの人は.....

とにかく、この人に本心を知られたら後で根ほり葉ほりきかれる。

ここは誤魔化さねば!!

 

「べ、別に先輩のことなんか全然好きなんかじゃないんだからね!!」

 

うわぁぁぁぁぁぁあああ!?!?!?

何っ!? だからねって何っ!?

ツンデレか? ツンデレなのか!?

うぅ...前に彩音にかりた漫画に出てきたヒロインの口調が動揺のあまりうつっちゃった....

 

そして、お母さんはというと

 

「......っっ!!!」バンバン

 

うずくまってプルプルしながら床を叩いていた。

そのあとも、お母さんにからかわれては笑われるということを繰り返しながらお菓子とコーヒー (私がお母さんに言ってとても甘くしてもらった。お母さんはこんなに甘くていいのか心配していた) をなんとか準備した。

 

そして先輩と家庭教師について事務的な話をして十数分。

 

「えっと...話は以上となります。さっそく授業を始めようと思いますが....どこでやりますか?」

 

「あ、それならいろはの部屋でお願いします。」

 

「え!? 昨日話し合ったときは確かりb「いろはの部屋は二階ですので案内しますね♪」ってちょっとお母さん!?」

 

「あの....娘さんが何か言ってますけど。」

 

「気にしないでください。」

 

「え、でも」

 

「気にしないでください。」ニッコリ

 

「...はい。」

 

私はお母さんのされるがままになっていた。

もうどうにでもなれ...

 




いかがでしたか?
個人的にお母さんが何か好きです(´∀`)

感想やアドバイスをお待ちしています!!


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感想が、感想がきました...(震え声)
うれしさのあまり感想を読んではニヤニヤし、読んではニヤニヤするを繰り返してましたw
感想をくれた方々、本当にありがとうございます!!
もっと感想くれてもいいいんやで┃∀・)チラッ

しかもお気に入りが108になってました...
まだ4000字ぐらいだと思うんですけどいろはす効果は絶大ですねw


「ではでは、あとは若いお二人でごゆっくりー♪」

 

そう言ってお母さんは私の部屋からでていった。

これで今、私は先輩と二人きりだ。

.....なんか緊張してきた

 

「なんというか....すごいお母さんだな。」

 

「....ごめんなさい。」

 

本当に、あんな母でごめんなさい。

 

それっきり、私たちは無言になってしまった。

おかしい、前はこんなことなかったのに....やっぱ不意打ちで会ったから気持ちが整理できてないのかな?

とりあえず、何か言わないと!!

そう思い顔をあげ先輩を見ると、

 

「...なんでそんなに赤くなってキョドってるんですか?キモいですよ?」

 

見事にキョドっていた。

自分より動揺している人がいると落ち着くって本当だったんですね。

 

「いや、そりゃお前あれだよ....あれ」

 

「何ですか? 『あれ』で伝わると思ってるんですか? そうやって俺とお前はもう『あれ』でわかりあえるぜアピールですか? まだ心の準備が出来てないので出直してきてください、ごめんなさい。」

 

「俺はお前に何回振られればいいんだよ....というかこれ懐かしいな。」

 

先輩は苦笑いしながらそう言った。

 

「まあ...あれだよ、いや、あれじゃわかんないんだったな....。その、小町以外の女子の部屋に入ったことがほとんどなくて...」

 

理由がとてもかわいらしかった。

そっか、先輩は女の子の部屋に入ったことがほとんどないのか...。

ん? ほとんど?

 

「ほとんどって、何回かはあるんですか?」

 

嫉妬が混ざったのか、声が少しだけ低い気がする。

 

「あぁ...その、雪ノ下とか由比ヶ浜とかな...」

 

「あぁそういうことですか。」

 

まあその二人なら納得だ。

むしろなんで気が付けなかったんだろう?

 

「あとは....お前の私服姿を久々に見てな。その...似合ってるんじゃないか?」

 

「ふぇ?」

 

この先輩は急にこういった不意打ちをしてくる。

私よりあざといんじゃないか...?

 

「え、えと、それはどうも...。」

 

「お、おう。」

 

そしてまたまた無言タイムだ。

というか先輩はなんでいるんだっけ...?

あ、そうだ家庭教師だ。

 

「じゅ、授業!! 授業を始めましょう先輩!!」

 

「あ、ああ、そうだな。」

 

こうして不思議な雰囲気の中、授業は始まったのだった。

 

 

※ ※ ※

 

 

授業を始めてからは、さっきの不思議な雰囲気は消え去っていた。

そりゃ、本気で先輩の大学に行きたいからね。

大切な勉強時間に遊んでなんかいられない。

 

そして、あっという間に一時間が過ぎた。

 

「よし、お疲れさん。五分ぐらい休憩したらまた一時間やるぞ。」

 

授業のうちに、私と先輩は前のように自然体でいられるようになっていた。

 

「了解でーす!! それにしても先輩、教えるのが上手ですねー。」

 

そう、先輩は教えるのがとても上手なのだ。

私が問題につまると、先輩はいくつか質問をしてきて、その問題のどういうところがわからないのかを的確に判断し、私がわかりやすいように例えも使いながら解説してくれる。

そして私が本当にその問題を理解できたか確認するために、最後に私にその問題を解説させる徹底ぶりだ。

これで身に付かないわけがない。

 

「家で小町によく教えてたからな。期末前には何度徹夜に付き合ってやったことか...。かわいいから許すけど。」

 

「うっわシスコン....。それはそうと、先輩は何で家庭教師をやってるんですか?」

 

わりと本気で気になっていたことを聞いてみた。

 

「うちのクソ親父がな、振り込み金を最小限にしやがって...まじで命が危ないから仕方なしにだよ。」

 

「あ、あはは...そんなことがあったんですね。ん? 振り込み? 先輩って今一人暮らしなんですか?」

 

「大学に入ってからな。」

 

「ご飯とかはどうしてるんですか?」

 

「前はラーメンとか食べに行ってたが、今は金がないからな....。適当に安いやつを買って食ってる。」

 

「それいつか絶対体壊しますって...。ちょっと待っててください。」

 

そう言って私は部屋を出てリビングに向かった。




いかがでしたか?

いつかやらなければと思っていたいろはのお断り芸。
うまくできているでしょうか...?

そして先程この作品のタグに「ボーイズラブ」が付いているのを発見しましたw
気がつかずにタップしちゃってたんでしょうか...?

感想やアドバイスをお待ちしています!!


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前回の話の途中に、ゆきのんやガハマさんの名前が出てきましたが、この作品に登場させるかは未定です。
本編の前に二つほど言いたいことがあります。


文字数のことで何件か意見をいただきました。
自分では気がつけないこともあるのでこういう意見はとてもありがたいです!

さて、今後の文字数についてですが、増やすことも視野に入れています。
ですが、無理に増やして自分にあわない更新ペースになってしまい完結させられないということが一番あってはならないと思うので、最終的には自分にあったペースでやっていこうと思っています。
しかし、ハーメルンの先輩?から文字数が少ないとそれが理由でプラウザバックする人もいる、それはもったいない、ということなのでできれば3000字程度までは増やしていきたいと思っています。
書いているならやっぱり多くの人に読んでもらいたいですからね(´∀`)

ご理解のほどよろしくお願いしますm(__)m


八幡が原作で目指していたのは私立文系では?とのご指摘をいただきました。
はい、にわかさらしてごめんなさい!! 何でもするから許してください!!
と、冗談は置いておいて、自分は原作を友達からかりていたので家にありません。
なので、そういうところを確認することが出来ずにこういう原作との矛盾点ができてしまいました。
今後も原作との矛盾点はいくつかでてくると思いますが、そういう設定なのだと割りきっていただけると嬉しいです(´∀`)

では本編の方をどうぞ!!


リビングに行くと、お母さんはテレビを見ていた。

 

「あら? いろは休憩中?」

 

「うん。あとお母さんに話があって。」

 

「比企谷君と付き合うにはどうすればいいかってこと?」

 

「...」

 

「ごめん、いろはちゃん。お母さんが悪かったから真顔で睨まないで?」

 

「まったく...話っていうのは今日の夕飯のこと。最近先輩はちゃんとした食事をとってないみたいだから、今日はうちで食べてもらってもいい?」

 

「あらあら、未来の旦那さんの体調を心配するなんて...って痛い!! いろはちゃん痛い!! お母さんが悪かったから叩かないで!! リモコンは痛い!!」

 

「もう...で、夕飯は大丈夫? 一人分多く作ってもらえる?」

 

「それくらいなら全然大丈夫よ。三人分も四人分も作る手間なんてほとんど変わらないしね。」

 

「本当? ありがとう!! じゃあ先輩に伝えてくるね!!」

 

「いやー、まさかいろはがこんなにメロメロになる相手がいただなんてね」

 

「そ、そんなんじゃない!!」

 

「はいはい、わかってますよー(棒)」

 

「もう...」

 

私はリビングを出て部屋まで戻った。

扉の前で深呼吸をして、顔に精一杯の笑顔を浮かべて思いっきり扉を開けた。

 

「ただいまも戻りましたー!! 私がいない間部屋とかあさってないですよね?」

 

「そんなことしねぇよ....久々にお前のあざとい声を聞いたわ。」

 

「あざとくないですぅ。それはそうと、先輩今日の夕飯うちで食べていきませんか?」

 

「いや、さすがに悪いだろ。」

 

「大丈夫です!! お母さんにはすでに許可をとってあります!!」

 

「まじかよ準備いいな。いやでもな...」

 

むぅ、しぶといですね。

 

「それに大学の話とかいろいろ聞きたいですしー!! 私も助かるんですよ!!」

 

「そういやお前うちの大学目指してるんだったな。自分で言うのも何だがうちは結構レベル高いぞ? 何というか、さっきの授業でも思ったんだがお前がここまで勉強できるとは思ってなかったわ。」

 

「む、なんかそれ失礼じゃないですか? まあいいです、それで、ご飯どうしますか?」

 

先輩はそれからしばらく悩んでいたが、

 

「まあ迷惑にならないんだったらいいか。なんか悪いな。」

 

「いえいえ、気にしないでください!!」

 

「じゃあそろそろ時間だから授業始めっか。」

 

「はい!!」

 

先輩と一緒にご飯を食べる、そう考えただけで嬉しくなり、あっという間に一時間が過ぎていった。

 

 

※ ※ ※

 

 

「よし、お疲れさん。今日はここまでだ。」

 

「ふぅ...。せんぱーい、つーかーれーたー」

 

そう言って私は先輩のお腹に頭をぐりぐりした。

最近勉強尽くしの毎日なので無性に甘えたくなった。

 

「おいバカやめろ。何かいい匂いするし....。おい、離れろって。」

 

私は楽しくなってきてさらにぐりぐりした。

 

「うりゃうりゃー!!」

 

「何がうりゃうりゃだよかわいいなおい...じゃなくて離れろって。」

 

「いーやーでーすー!!」

 

そうやって先輩とじゃれあっていたらふと、視線を感じた。

扉の方を見てみると少しだけ開いていて、その隙間から

 

「...」ニヤニヤ

 

お母さんが覗いていた。

先輩は気がついていないようなので自然に先輩から離れる。

 

「ったく...やっと離れたか.....。っておい、どうした?」

 

「い、いえ、何でもないです....。あ、もしかしたらもうご飯ができているかもしれないので

リビングに行きましょう!! 先に行っててください。」

 

そう言って先輩を先にリビングに行かせた。

お母さんは扉から離れたときに左に行ったのが見えたから、きっと寝室にいるだろう。

私は寝室に向かい、扉を思いっきり開けた。

 

「あらいろは、愛しの先輩を一人にしていいの?」ニヤニヤ

 

「い、いや、あれは違くて」

 

「せんぱーい、つーかーれーたー(声まね)」

 

「そこから見てたの!?」

 

「それはもうばっちりね。」

 

「うぅ...」

 

一番見られてはいけない人に見られた....

 

「いやぁ、若いっていいわねぇ....。うりゃうりゃー(声まね)」

 

「.....」

 

「ふふ、いろはちゃんを弄るのはこれくらいにしておきましょうか。ささ、比企谷君を待たせるのも悪いからリビングに行きましょ!! 夕飯もできてるしね。」

 

そう言ってお母さんはリビングに向かった。

残された私はこのあとの夕飯もお母さんのペースになると思い深くため息をついたあと、その後についていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....ため息をつくと幸せと一緒に比企谷君も逃げてくかもよ?」

 

「やかましい!!」

 

本当にこの母は....!!

 

 

※ ※ ※

 

 

夕飯は肉じゃがだった。

私のお母さんは料理がとても上手だが、中でも肉じゃがは特に得意だ。

お父さんをおとしたのも、この肉じゃがだとか....

 

「この肉じゃがめちゃくちゃおいしいです。」

 

「ふふ、たくさんあるからいっぱい食べてね?」

 

お母さんはとても楽しそうだ。

ここ数年で一番楽しそうにしてるのではないだろうか?

お母さんからすると、娘が好きな人を連れてくると嬉しいものなのかな?

よくわかんないけど。

お父さんは....うん、先輩に襲いかかるところまで想像できた。

お父さん、私にメロメロだし。

その方が扱いやすいからいいんだけど(暗黒微笑)

あ、ちなみにお父さんは仕事で遅くなるらしい。

見事な社畜っぷりだ。

 

「ところで....比企谷君って彼女いるの?」

 

「ガハッゴホッ!?!?」

 

むせた。 み、水....じゃなくて!!

いきなり何を聞いていらっしゃるんでしょうかこの人は。

いや、確かに気になるけど....

 

「あー、そういう人はいないっすね。...生まれてから一度も。」

 

「そ、そうなんだ...」

 

先輩が何やらへこんでいるが、私には嬉しい情報だ。

いや、いないだろうとは思ってたけど、万が一、万が一雪ノ下先輩とか由比ヶ浜先輩とかとそういう関係になっていた可能性は0じゃないわけで...。

そっか、いないのか...

 

「まあ先輩ですからねー♪」

 

嬉しくて声が弾んでしまった。

 

「なんでお前が嬉しそうなんだよ...。」

 

「だって、私に彼氏がいないのに先輩に彼女がいるとか何か負けたような気がするじゃないですかー」

 

「いや、勝ちも負けもねぇだろ....。というかお前まだ彼氏いないのかよ。お前ならいくらでもいい奴よってくるだろ。」

 

お母さんが「うわ、この人超鈍感」みたいな目で先輩を見ている。

まあ普通だったら彼女がいないって聞いた女の子が喜んだら、「あれ? もしかしてこの子自分のこと...」って思いますよね?

でも先輩は過去の黒歴史? からそういう勘違い(私の場合は勘違いではないのだが) をしないようにしているのだ。

むぅ...手強い.....

 

「だってー、彼氏とかいてもちょっと前は生徒会で忙しかったし、今は受験勉強で忙しいじゃないですかー? いても邪魔になると思うんですよねー。」

 

お母さんが「いや、あんたは比企谷君が好きだから作らなかったんでしょ」って顔をしている。

というか口パクしている。

無視だ無視。

 

「あー、確かにそうか。」

 

「そうなのです。彼氏にするなら仕事をたくさん手伝ってくれて、私のことをちゃんと見てくれて、一緒にいると安心して、勉強までみてくれる人じゃないとだめです。」

 

ちょっと勇気を出していってみた。

さすがにここまで言えば超鈍感な先輩でも、「え、それって...いやそんなはずないか」 ぐらいには思ってくれるはず!!

今は少しでも私を意識させないといけないしこれなら...っ!!

お母さんも私の狙いに気が付いたようで、二人で息をのんで先輩を見つめる。

 

「いやいや、そんな奴いないだろ。」

 

「「は?」」

 

いやいや、え?

この人少しも動揺する素振りもなく、さも当たり前のように言い切っちゃったよ?

いるじゃん!! 自分ですよ自分!!

 

「ま、まあ、いないですよねー」

 

この人は超鈍感なんじゃない。

言葉で表せないぐらい鈍感だ。

それとも私のことは妹みたいに見ていてそういう相手として見られてないとか....

 

「じゃ、じゃあ先輩はどんな人を彼女にしたいですか?」

 

押してだめなら引いてみる、とはちょっと違うけど、自分のアピールがだめなら相手の情報を集めないと。

 

「俺のことを養ってくれる人」

 

「デスヨネー」

 

うん、知ってた。

なら質問の範囲をもっと狭めて、

 

「じゃあ年下と年上だったらどっちが好みですか?」

 

「あー、別にどっちでもいいんだが....強いて言うなら年下か?」

 

よし!! 年下、年上の問題はこれからどうすることもできないのでこれは大きい。

 

「小町や一色がいるからな。年上は....うん、まあ、いい思い出が...」

 

....なんだろう、年下が好みと聞いた後に私の名前を出されて嬉しいような、小町ちゃんと並べられて言われたからやっぱり妹みたいな感じに思われてるのかなと不安なような....

 

「あ、ならうちのいろはとかどう?」

 

ちょっとお母さん!?

さっきから静かだと思ったけどここで急に核爆弾落とさないで!?

な、なんとかしないと

 

「いやいやいや、それはないって。何ですか先輩、お母さんをまず味方につけて私をおとす作戦ですか? 試みはいいですけどもっと正々堂々と来てください、ごめんなさい。」

 

「俺まだ何も言ってないよね? なんで今ので振られたんだよ理不尽すぎるだろ...。」

 

お母さんが無表情でこっちを見つめている。

うん、今のは自分でもどうかと思うけど急に変なこと言うお母さんも悪いと思うんだ。

心の準備とかいろいろしてからじゃないと....

 

無表情のお母さんに見つめられながら時間は過ぎていき、大学の話などを聞いているうちに夕飯が終わった。




ママはすかわいいよママはす←

いかがでしたか?
ちょっと頑張っていつもの倍ぐらい書きました!!
これなら5000字とかを毎日じゃなくて2日か3日おき更新ならできるかも?
まあもうちょっと考えてみます。

次回は八幡が家に帰っていろはの学校の出来事をメインに書きます。
たぶん、八幡はほとんど出てきません。

次の投稿は17日の21時の予定です!!
余裕ができたら明日投稿するかもしれません。

感想やアドバイスをお待ちしています!!


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昨日の朝、日間ランニングをみたらなんと7位に「一色いろはと家庭教師」が入っていました!!
さらに、ルーキー日間ランニングでは2位に!!
これも皆さんのおかげです(´∀`)

これからもよろしくお願いします!!


「じゃあ指定したところを次までにやっておけよ。あと英単語のテストもするからな」

 

「はーい!!」

 

「本日はどうもありがとうございました。またよろしくお願いします。」

 

「いえいえ、こちらこそご馳走さまでした。」

 

私とお母さんは今、先輩の見送りをしている。

寂しいけど、これから週に二、三回は家に来るのだと思うと、とても嬉しくなる。

 

「では、二日後にまた来ます。お邪魔しました。」

 

そう言って歩いていく先輩の背中を見えなくなるまで眺めていた。

 

先輩が帰った後に、私は授業の復習をさっとやって英単語帳を開いた。

昨日までは辛かった地道な単語の暗記も、ちゃんと覚えたら先輩に誉めてもらえると思うとやる気がでてくる。

モチベーションって大事。

 

そして、久々にすっきりとした気分でベッドに入った。

高校の時、こっそり取った先輩の写真を見て幸せな気持ちになる。

今日はいい夢が見られそうだ。

 

※ ※ ※

 

次の日、いつもよりすっきりと目覚めた私は一通り身仕度をした後、いつもより早く学校に向かった。

そして誰もいない教室で黙々と勉強する。

誰もいない教室はかなり集中して勉強できる。

 

しばらくするとパラパラと人が来はじめた。

前は男子とかが話しかけてきたけど、勉強のしたい私が若干不機嫌に対応し続けたら声をかけてこなくなった。

 

「おはよーいろは。今日もやってるねー」

 

「おはよー。うわー、毎朝ご苦労なことで。」

 

「あ、二人ともおはよー!!」

 

遥と綾音も学校に来たようだ。

この二人とは男子と違い笑顔で話す。

友達だからね。

男子は....うん、その話はおいておこう。

そして私の朝の勉強時間はこの二人が来た時点で終了だ。

最初は二人とも気にせず続けるように言ってきたが、私が二人との時間も大切にしたいことを伝え、このルールができた。

伝えたときに遥が感激して私を思いっきり抱き締めてもみくちゃにされたのはいい思い出だ。

 

「あれ? いろはなんかいつもより元気いい?」

 

「え、そう?」

 

「うん。前は勉強を義務感でやってた感じだったけど、さっきはなんか楽しそうだったよ。」

 

す、鋭い....

 

「そういえばいろは、昨日初の家庭教師だったよね?」

 

あ、綾音?

 

「もしかして、その時になにかあったんでしょ!!」

 

鋭すぎぃ!?

 

「え、いや、何もなかったよ。」

 

「「嘘だ」」

 

くっ、付き合いが長いから簡単にはごまかせない...!!

 

「本当に何もないんだってばー」

 

「いろは知ってる? あんた嘘つくときにやる癖があるの」

 

「え、嘘!?」

 

な、なんだって!?

 

「そういう反応したってことはやっぱりなんかあったな!! あ、ちなみに嘘つくときの癖とかないから。」

 

騙された!?

遥汚い!! 騙すなんて汚い!!

 

「ほれほれ、何があったのか言ってみ?」

 

「言ってみ言ってみ?」

 

「...あ!! 一限目教室移動だよ!! 早く行こっ!!」

 

「あ、誤魔化した。」

 

「まあ楽しみは昼休みにとっておきますか!!」

 

どうやら私は、昼休みに全て吐かされるらしい。

 

 

※ ※ ※

 

 

「さて綾音さん、昼休みですな?」

 

「昼休みですね遥さん。」

 

「「お楽しみタイムだっ!!」」

 

お母さんといいこの二人といい、いい性格してるな...本当に...。

 

「え、えっと、さっき平塚先生に呼ばれてて...」

 

「私達朝からずっと一緒だったよね?」

 

「ぁぅ...」

 

「もう諦めて全部話しちゃいなよ!!」

 

どうあがいても誤魔化せそうにない。

まあこの二人になら話してもいいか....。

 

それから私は昨日来た家庭教師が比企谷先輩だったことを二人に話した。

 

「比企谷先輩って確かいろはの生徒会をよく手伝ってた目が腐ってる先輩ですよね綾音さん?」

 

「えぇそうね遥さん。」

 

さっきからこの話し方はなんなんだ...。

とりあえず私をからかいたいのだというのは良く伝わってくる。

 

「ふむ...前々から怪しいとは思ってたけど、いろはもしかしてその先輩のこと好きなんでしょ?」

 

「「「ガタッ」」」

 

周りの男子の席から音がしたように感じるけど気のせいだろう。

 

「え? え?」

 

「なるほど、葉山先輩は隠れ蓑だったと。」

 

「え、ちょっ、」

 

「「なにこの展開めっちゃ面白い!!」」

 

あぁ....

家ではお母さんにからかわれ学校ではこの二人にからかわれるのか....

私の安息はもはや先輩の隣にしかないのか。

 

その後、周りの目とかもあるので二人に別の場所に連れ去られてから全て吐かされた。

いつかこの二人の恋バナとかあったら全力で仕返しをしよう。

 

私達三人が教室に戻ってくると男子がチラチラとこちらを見ているような気がしたが、私はもうぐったりしていたから気にする暇がなかった。

遥と綾音の二人はとてもツヤツヤしていた。

 

 

※ ※ ※

 

 

そして放課後になった。

 

「いろはごめんって元気だしてよ!!」

 

「さすがに調子のりすぎたから反省してるって。」

 

「....もう」

 

今日は塾がないらしい遥も一緒に帰っている。

 

「いやー、それにしても比企谷先輩かー。」

 

「確かあの人って一時期すごく嫌われてなかった?」

 

「先輩はすぐに自分を犠牲にして他の人を助けようとするんだー。きっとあのときも何から理由があったんだと思う。」

 

「へぇー、比企谷先輩ってそんな人なんだー。」

 

この二人は周りの評価にあまり流されない。

そういうところが私はすごいと思うし、この二人と友達でよかったと思える。

 

「いろはこれから大変かもねー。」

 

「え、なんで?」

 

「気がつかなかった? いろはの好きな人とかそういう話になったとき周りの男子がすごく反応してたよ?」

 

「え、うそ!?」

 

まったく気がつかなかった。

いや、よく思い出してみれば確かにあのとき音がしたような...

 

「きっと今日中に男子でいろはに好きな人がいるって広まるよ。」

 

「そして明日からその噂が本当か確かめにきたり、一気に告白してきたりする人もいるかもねー。」

 

「うわー....」

 

葉山先輩と雪ノ下先輩が付き合っているという噂が流れた時のようだ。

確かに、私は女子はともかく男子にはかなり好かれているのでそういうことになりそう...。

 

「まあこれもモテる女の宿命ってことで。」

 

「私達もそれとなく男子を牽制しておくからさ。」

 

「ありがとう...」

 

この二人はたまに調子に乗りすぎるが友達思いなのだ。

そうして駅に着き、二人と別れた。

電車の中で明日のことを考えると若干鬱になる。

だが、明日の放課後は先輩が家に来る。

それを楽しみにして、明日を乗り越えようと気合いをいれたのだった。

 

 

※ ※ ※

 

 

翌日、結論からいうと、すごかった。

 

私は最近は勉強するために一限目が始まる一時間半前には学校にいるのだが、何人かの男子はそれよりも早く学校に来て私を待っていた。

最初は愛想よくやんわりと断っていたのだが、朝早くから来る人は気合いが違うらしく、とてもしつこかった。

なので私もだんだんイライラしてきたところで、この事態を予測してた綾音と遥が学校に到着し、男子たちを追い払った。

 

その後二人が周りを牽制していたためか朝は平和だった。

しかし、昼休みに男子の団体に呼び出されたのだが、これも綾音と遥の二人がそれはもう上手く対応してくれた。

持つべきものは親友なのだとこのときは本気で思った。

たまに調子に乗るけど。

 

そして驚いたのが、女子からも呼び出されたことだ。

なんでも、その子が好きな男の子に告白したところ断られたようだ。

そしてその後、その男の子がほかの男子と真剣に私の噂について話していているのをみかけ、私のことが好きだということに気がついたとのことらしい。

 

私からすればそれを聞かされても 「え、それで?」って感じなのだが、その子からすれば大問題らしい。

しかも最後は泣き出してしまい、その子の付き添い (女子はこういう話の時大抵は一人じゃない) が私が悪いなどと責めてきた。

そこで遥がぶちギレたのを、私と綾音で宥めるというよくわからない状況に発展した。

 

 

「ほんと、すごい一日だった....」

 

「そうだね....」

 

私は今、綾音と二人で下校中だ。

遥は塾でいない。

遥は今日の女子の件で正義感がうまれたらしく、私達と別れるときに

 

「いろはのことは私が守るからね!!」

 

と言っていた。

ほんと、素直でいい子だと思う。

たまに調子に乗るけど。

 

「今日ほど二人がいて良かったって思った日はないよ...。本当にありがとう!!」

 

「どういたしまして。でもこの騒動、きっともう少し続くよ? いろは二年間も生徒会長やってめちゃくちゃ有名だからね。」

 

「勘弁してよ...。」

 

そして駅に着き、綾音と別れた。

後は家に帰って先輩の授業を受けるだけだ。

自然と口元がゆるんでくる。

私はお母さんに見つからない程度に先輩に甘えることにした。

 

 




「「お楽しみタイムだっ!!」」←気に入った

この話を書いての感想「ママはす、ほとんどでてこなかったなぁ...」

遥と綾音といろはで会話をすると、遥と綾音のどっちの言葉なのかが読み返してて分かりにくく感じました(-_-;)
イメージとしては、遥は元気な方で綾音は落ち着いている方です。
しかし、いろはをからかうときは二人ともテンションが高いのでもはや判別不能です(-_-;)
こういうところもしっかりと使い分けられる人が人気作品を生むんでしょうが、生憎自分にはそんな高等テクニックがつかえませんでした。
皆さんの好きなように判断してくださいw

次回は家庭教師二日目です!!
19日の21時に投稿しようかと思っています。

感想やアドバイスをお待ちしています!!


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家庭教師二日目です(´∀`)

これを三日目、四日目と真面目にやっていくとネタもなくなるし長くなると思うので、もしかしたら「~ヶ月後」みたいになるかもです。

そしてふと週間ランキングをみたらなんと16位に!!
これも皆さんのおかげです!!
ありがとうございます!!!






家に帰った私はすぐにお風呂に入った。

授業のときは先輩との距離がすごく近くなるから、汗を流しておきたかったのだ。

後は先輩の授業を受けるだけか.....

 

「~♪」

 

自分でも気がつかないうちにお風呂の中で鼻歌を歌っていた。

あぁ、早く先輩に会いたいなぁ...

 

 

お風呂から出てきた上機嫌の私を見てお母さんはニヤニヤしていた。

 

「...何?」

 

「べっつにー?」

 

くっ、その「全部わかってますよー」みたいな笑顔が腹立たしい...!!

もうあの人のことはほうっておこう。

完璧にはしてあるけど、一応先輩が来る前に英単語を見直しておこうっと。

 

 

※ ※ ※

 

 

今の時刻は16時15分。

そして先輩が来るのが16時30分。

リビングにおりてきた私はそわそわして、窓に寄って外を確認してソファーに戻るを繰り返していた。

お母さんはそれをみてまたニヤニヤしている。

 

「...何?」

 

「いろはちゃん可愛いなぁって!!」

 

「もう!! お母さんはあっちいってて!!」

 

「え、ここリビングなのに追い出されちゃうの!?」

 

向こうの方で「うぅ、いろはちゃん酷い...。これが反抗期ね...。」などと馬鹿なことを言いながら嘘泣きをしているお母さんは意識しないようにした。

それよりも先輩早く来ないかなー?

 

私はまた窓に寄っては、外を確認する。

お母さんはまだ「およよ」とわざとらしい嘘泣きをしては、こちらをチラチラと見てくる。

これは反応したら負けなやつだ。

無視しよう。

 

外に先輩がいないのを確認した私は、キッチンに飲み物を取りに行った。

そしてリビングに戻ってきたら、私にスルーされたお母さんが拗ねていた。

子供かこの人は....

拗ねたお母さんの相手を適当にしながら時間を潰して、もう一度外を確認した。

 

「いた!!」

 

向こうの方から先輩が歩いてくるのが見えた。

急いで玄関まで走り、ドアノブに手をかけたところで気がついた。

 

インターホン鳴らしてないのに玄関が開くのっておかしくない?

どんだけ張り切ってんだよって思われるよね?

張り切ってるんだけど。

 

そう考えた私は玄関を開けられなくなり、扉の前でじっとインターホンが鳴らされるのを待った。

懲りない誰かさんが、こっちを見て笑うのを必死に堪えてるけど知らない。

あ、吹き出した。

そして待つこと数十秒。

 

『ピンp...』

 

「先輩いらっしゃい!!!」ガチャッ

 

「うお!? びっくりしたわ、インターホン押してから出るまで早すぎない?」

 

しまったぁぁぁぁあああ!?!?

インターホンを押した瞬間に玄関が開いたらそりゃびっくりするよね!?

これじゃあインターホンが鳴るまで、玄関を開けないようにした意味がなくなっちゃうじゃん.....

 

「た、たまたまです!! たまたま郵便が届いてないか確認しようとして玄関に来たところだったんです!!」

 

「お、おう、そうか。」

 

先輩は私のあまりの必死さに少し引いていた....

そして私の後ろでは、先輩から見えないように移動した誰かさんが大爆笑していた。

 

....後で何か仕返しをしよう。

 

 

※ ※ ※

 

 

玄関でのことを何とか誤魔化した私は、そのあとすぐに先輩を部屋まで案内して、授業を開始した。

集中して勉強に取り組むこと四十分

 

「よし、ちょうどキリがいいし、時間も調度いいから、英単語のテストをやるか。」

 

きたっ!!

 

「はい!! やりましょう!!!」

 

「え、何でそんなに嬉しそうなの? テストだぞ?」

 

「いえ、別に嬉しそうではないですよー?」

 

「いや...まあいいか。じゃあ俺が単語帳に書いてある範囲内の英文の訳を適当に読み上げるから、お前はそれを英語にしてくれ。」

 

「了解でーす!!」

 

テストとは何て素晴らしいんだろう?

だって、これでいい点を取れば先輩に誉めてもらえるんですよ!?

私はそのためにこの二日間、空いてる時間があれば英単語帳を開いていた。

そして今では、先輩に指定された英単語帳の範囲内のところを、英文から説明文まで一語一句全て暗記してしまった。

人間って案外やればできるものだ。

 

そして....

 

「満点...だと.....?」

 

「当然です!!」

 

そりゃ全部覚えてますから!!

 

「二日前に授業をやったときに、お前が苦手そうな単語をそれとなくチェックしたんだけどな....。お前、この間も言ったけど思ったより頭いいのな。」

 

「いや、だからそれ失礼じゃないですか? そんなことより、満点ですよ満点!!」

 

「そうだな。」

 

「誉めてください!!!」

 

「自分からねだんのかよ...。まぁ、よくやったんじゃないか?」

 

うーん、誉めてるといえば誉めてるんですけど....

 

「もう一声!!」

 

「もう一声ってなんだよ...。まぁ、頑張ったな。お疲れさん。」

 

そう言って先輩は私の頭を撫ではじめた。

え? え、え??

 

「...ふぇ?」

 

「あ、すまん、つい小町の時の癖で...」

 

先輩は申し訳なさそうにそう言うと頭から手を離そうとした。

 

「だめ!!」

 

私は無意識のうちに手を伸ばして、先輩の手を抑えていた。

 

「え?」

 

「あ、え、えぇっと....い、嫌じゃないですから、もっと撫でてください...。」

 

「お、おう」

 

先輩は恐る恐る、私の頭を撫でるのを再開した。

 

なでなでなでなでなでなで....

あ、これやばい。

気持ちよすぎる...。

何と言うか、頭もそうだけど、心が暖まって精神的にすごく気持ちいい。

 

「.....」

 

「.....」

 

お互い無言です。

どうしよう、やめるタイミングを見つけられない。

というかやめてほしくない。

 

時間感覚が麻痺してしまったが、たぶん数分ぐらい撫でられただろうか?

先輩もタイミングが見つけられないのか、何も言わないで撫で続けている。

本当にこのままずっと撫でられ続けるんじゃないかと、そう思ったとき

 

「失礼しまーす。比企谷君は今日も夕飯たべて...い....く.....?」

 

三人とも凍りついた。

 

時計を見ると授業が始まってから一時間経っている。

休憩中だと思って入ってきたのだろう。

 

「.....お邪魔みたいだから出直してきまーす...。」

 

お母さんはそう言って部屋からでていった。

お母さんもさすがに、今回はからかわずに気まずそうにしていた。

 

「.....」

 

「.....」

 

すっごく気まずい。

お母さん、何てタイミングで入ってくるの.....

 

「あ、えぇっと、先輩....その.....夕飯、どうします?」

 

「え? あ、いや、どうしようかな?」

 

「た、多分、食べていってもらった方が、お母さんも喜びますよ?」

 

「そ、そうか、じゃあご馳走になるかな。」

 

「じゃ、じゃあお母さんに伝えてきます。」

 

そう言って私は部屋からでた。

そしてリビングにいくと...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で扉を少しだけ開けて覗かなかったの私!! とってもいいシーンを見逃しちゃったじゃない私っ!!!」

 

......。

 

ほんっと、この人はぶれないな....。

部屋から出ていくときに気まずそうに見えたのも、あれは後悔している表情だったか...。

 

先輩が来たときの玄関での仕返しも含め、私はティッシュの箱でお母さんの頭をはたいた。

あ、すごくいい音がなった。

 

「痛っ!? え、何!? 今の何!?」

 

「お母さん、今度から部屋は入るときはノックしてね? あと覗くの禁止。」

 

「えぇー、というかさっきの何? 結構痛かったんだけど...。」

 

「えぇーじゃなくてマナーとして当たり前だから!! まったく...あと先輩、夕飯食べていくって。」

 

「あ、そうなの? じゃあ気合いいれて作らなきゃね!! ところでさっきのはいったい...」

 

私はお母さんが言い切る前にリビングをでた。

なんで母親と話をする方が勉強するより疲れるんだろうか...?

 

 

※ ※ ※

 

 

あの後部屋に戻り、少し気まずい雰囲気の休み時間を終えた後、授業を再開した。

後半は古典の授業だ。

私は古典が苦手だから、英語の時よりも先輩に質問し、あっという間に一時間が過ぎた。

 

「うし、今日はここまでだな。」

 

「終わったー!!」

 

私は机に突っ伏した。

あ、ひんやりして気持ちいいー

 

「じゃあ今度までやってくるのは、ここから.....ここまでな。あと英語は...」

 

先輩が次回までの宿題を考えている。

先輩の悩んでいる横顔を眺めてると幸せな気持ちになった。

口元がゆるんでくる。

 

「...ここまでだな。次回までにやっておけよ。ってなんで笑ってんだよ」

 

「別に笑ってなんてないですよー♪ そろそろ夕飯もできる頃だと思うので下に行きましょー!!」

 

そう言って先輩の手を引っ張りながら部屋を出る。

 

「いや、お前手を離せよ...」

 

「あれー? 先輩もしかして恥ずかしいんですかー??」

 

「はぁ....お前これお前のお母さんに見られたらどうすんだよ...」

 

た、確かにそれはめんどくさそう.....

私は渋々先輩の手を離した。

 

リビングに行くともう夕飯は出来ていた。

 

 

※ ※ ※

 

 

それから三人で楽しく夕飯を食べ、先輩が帰る時間になった。

 

「夕飯ご馳走さまでした。」

 

「お粗末様でした。これからも遠慮なく夕飯食べていってね♪」

 

「え、いやさすがにそれは...」

 

「いいのいいの!! うちは子供がいろは一人だから、比企谷君がいると息子がいるみたいで楽しいのよ!!」

 

「そ、そうですか。じゃあ...よろしくお願いします。」

 

先輩はお母さんの勢いに若干押されていた。

 

「いろはも嬉しいだろうしねー!!」

 

「余計なことは言わないで!!」

 

「本当のことでしょうが」

 

「もう!!」

 

「あ、あはは。じゃあ俺はこれで失礼します。」

 

「はい、またよろしくお願いします。」

 

「先輩さようならー!!」

 

今日も歩いていく先輩の背中を、見えなくなるまで眺めていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...健気ねぇ」ニヤニヤ

 

「...うるさい」

 

 

 




ママはす「いろはちゃん可愛いなぁって」
あなたの方が、可愛いです(´∀`)
と思ったけど撫でられた時のいろはもかわいい(*´∇`*)

次の更新は二日後の21日の予定ですが、怠けててまだ何もかいてないのでもしかしたら遅れるかもです。

では、感想やアドバイスをお待ちしています!!


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すいません、今回はとても短いです(-_-;)

昼に某イカゲーを友人とやっていて、夕方に書こうとしてたら突然夕飯を作らされて気がついたら20時を過ぎてました(-_-;)
ちゃんちゃん焼きおいしかったです(´∀`)

それから急いで書いたのですが、自分は書き出すまでが遅くて書き出したらスラスラいくタイプなので、書き出したのが20時半過ぎでしたw

ということで時間が足りずに量が.....
見直しもしてないので誤字とかあったら言ってくれると助かります(-_-;)
今日上げる予定だった続きは明日にまわすことにします、楽しみにしてくれてた方々、申し訳ありませんm(__)m


「えぇっと、ここで牛乳を入れて....」

 

私は今、今日の夕飯を作っている。

勉強をサボっているわけじゃないよ?

勉強は根を詰めすぎると効率が落ちるという話をきいたことがあるだろうか?

なんでも、適度に休息を入れた方が勉強の効率が上がって、より多くのことを覚えられるようだ。

月に一度全く勉強しないで一日中遊ぶ日を作るのもいいらしい。

 

ということで、息抜きとして夕飯を作っているわけだが、目的は息抜きだけではない。

今日は先輩が家庭教師に来る日なのだっ!!

先輩が家に来るときは、毎回夕飯を食べていくことになっている。

今までは全てお母さんが作ってくれていたのだが、今日はお母さんに頼んで私が作ることにしたのだ。

先輩はガードが固すぎるから、まずは胃袋を掴んでガードをゆるめないと!!

 

そんなわけで、学校から帰ってから張り切って夕飯を作っているのだが、

 

「ねぇねぇ、お母さん、なにか手伝うことない??」

 

お母さんが五分に一回はこのように話しかけてくる。

娘が好きな人のために、夕飯を作っているのが気になってしょうがないようだ。

 

「もう!! 何もないってば!! お母さんはあっちで大人しくしてて!!」

 

「はーい...」

 

一人で作ったものを先輩に食べてもらうことに意味があるんだから、そんなにしょんぼりされても手伝うことはありません!!

お母さんもそれはわかっているだろうけど、どうしても気になるみたいだ。

 

ちなみに今日のメニューはドリアにした。

授業が終わったあと夕飯まで先輩を待たせなくていいように、あとは焼くだけの状態まで作って置いておけるドリアを選んだのだ。

 

「よし、ホワイトソースはこれで完成!!」

 

先輩褒めてくれるかな~?

 

 

※ ※ ※

 

 

ドリアが完成して時計を見たら先輩が来るまでのこり30分を切っていた。

かなり夢中になって作っていたらしい。

 

お母さんは途中から声を掛けてこなくなったが、何度もキッチンに来ては作業がどこまで進んでいるかを確認し、リビングに戻るを繰り返していた。

あの人は暇なのか....

 

「うーん、残り30分どうしようかなー?」

 

何をやっても中途半端になりそうな時間だ。

英単語を確認しようかな?

でも今回も英文から説明文まで完璧に覚えちゃったしなー....

 

そんなことを考えながらリビングに行くと、

 

「あ、いろはちゃん夕飯できた? 見せて見せて!!」キラキラ

 

....たまに本当にこの人が母親なのか疑問に思うことがある。

今だって、まるで新しいおもちゃを与えられた子供のようなとても輝いている笑顔を浮かべている。

 

残りの30分はお母さんの相手をして過ごそうかな。

 

 

私が作ったドリアやサラダを見てはとても楽しそうに「おー!!」などと声をあげるお母さんの相手をし始めて約30分後、

 

『ピンポーン』

 

「あ、きた!!」

 

今日は先輩との距離を一気に縮めてやるぞ!!

そう心に決めて私は玄関を勢いよく開いた。

 

「いらっしゃい!! 先輩!!」

 




本当は夕飯を食べるところまで書くはずだったのに...

あれ!?
お気に入りが1000越えてる!?!?!?


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9時に一度投稿しましたが、それが途中だったので今日二度目の投稿です!!

くぅ、疲れました!!
更新お疲れさまですっ(いろはすボイス)
これを頭の中で再生すれば頑張れるw


ちなみにこの話の前半は、9時に投稿したやつとまったく同じなので、すでに読んだ方は半分くらい飛ばしてくださいm(__)m

9時に投稿したやつはあとで消します。


「先輩!! いらっしゃい!!」

 

「...おう」

 

先輩はこうやって笑顔で出迎えると、少しだけ顔を反らしてぶっきらぼうに返事をする。

そういう反応がとてもかわいらしく思える。

 

「...ん? なんかいい匂いするな? もう夕飯作ってるのか?」

 

むっ、鋭い...

しかしここで知られる訳にはいかない。

先輩には私が作ったと知られるよりも先にドリアを食べてもらいたいのだ。

ここは適当に誤魔化して.....

 

「あ、それはいろはちゃんg「先輩早く部屋に行きましょう!!!」...ったの!!」

 

あ、危なかった.....

お母さんの言葉を遮ったことに不審な表情を浮かべている先輩の背中を押して二階に上がらせる。

 

「お母さん!! 折角秘密にしようとしてるんだから言わないでよ!!」ヒソヒソ

 

「ご、ごめん...。いろはが頑張ってるのを見てたらつい言いたくなっちゃって...」ヒソヒソ

 

お母さんは親にしかられた子供のように、とてもしょんぼりとしていた。

その表情を見ると、とても今年でよn「いろは...?」...そのしょんぼりとした表情は年相応若々しかったです。

 

 

※ ※ ※

 

 

授業を始めて一時間半が経過した頃、

 

「先輩!! 問題解き終わりました!!」

 

「よし、見せてみろ。」

 

私はルーズリーフに書いた答案を先輩に渡す。

先輩はそれと答えを見比べながら丸付けをしている。

 

....先輩が真剣に物事に取り組んでる時の横顔かっこいいなぁ......

いつもは少しだるそうにしている目もほんの少し見開かれていて、普段よりも一段階も二段階も男前に見える。

丸を付けるときにしなやかに動く手先、答案の間違いを見つけてそこをどうやって私に解説しようかを考えている時に口元に持っていく指、そういう一つ一つの仕草でドキドキしてしまう。

葉山先輩のときはこんなことなかったんだけどな...。

 

「...sき? おーい、一色大丈夫か?」

 

「うぇ!?」

 

「うぉびっくりした...。急に大きい声出すなよ。」

 

いつの間にか答案の確認を終えた先輩が、こっちを見ていた。

ぼーっとしてた私を心配したのか、いつもより距離がちk....

 

「だだ、大丈夫です!! な、何でもありません!!」

 

「いや、なんか顔赤いし...熱とかあるんじゃないか?」

 

そういって先輩は私の額に手を当てた。

 

「あ....」

 

「....熱はなさそうだな。...って一色?」

 

...これって頭撫でられてるようなものだよね。

そう意識してしまった私は恥ずかしくて顔を伏せてしまった。

耳まで赤くなっているのがわかる。

 

そこでようやく先輩も状況に気がつき、

 

「あ、いや...すまん....」

 

「い、いえ....」

 

この状況は前の授業のときと似ている。

確かそのときは、このあとお母さんが....

 

「っ!?」バッ

 

「うぉ!?」

 

振り返ってドアを確認する。

....よし、開いてない。

 

「あー、本当に悪かったな...。急に額に手を当てて...。」

 

「え?」

 

先輩がとても申し訳なさそうにしている。

な、なんで....ってあ、

 

「ち、違います!! さっきのは嫌だから振り払ったとかじゃなくて、いつもだったらここら辺でお母さんが覗いてるからそれを警戒しただけです!! 本当に、嫌なんかじゃなくてむしろ...ってなんでもありません!!!」

 

「お、おう、そうか...。嫌じゃないならいいんだ...。熱もないみたいだし残り時間もちょうどいいからテストでもやるか。」

 

ひ、引かれた...ってテスト?

 

「やります!!」

 

「だからなんでそんなにテスト好きなんだよ...。まぁいいか。じゃあ前回と同じ形式でやるぞ。」

 

「了解です!!」

 

私がこんなにやる気なのは、当然テスト後のご褒美のためだ。

今回は昨日の夜からずっとご褒美を考え、そして満足のいく案が浮かんだのだ。

もちろん、ご褒美をもらうためにはいい点をとらなければならないのだが、

 

「...お前すごいな」

 

「えっへん!!」

 

まあ当然満点だ。

何回も言うけど、ご褒美のために英単語帳に乗っている英文から説明文までを暗記してるからね!!

 

「じゃあ先輩、満点なのでご褒美をください!!」

 

「ご褒美っていわれてもな....特に何もあげるものなんて持ってきてねぇよ。」

 

「まあ先輩ですから、どうせそんなことだろうと思っていましたけど。」

 

「...言い方酷くね?」

 

「...こほん、そこで先輩には一つお願いを聞いてもらいます!!」

 

そのお願いこそ、昨日の夜からずっと考えてきたものだ。

そしてその内容とは...

 

「今度先輩の家で授業してください!!」

 

「....は?」

 

家庭教師は、名前が「家庭」教師 なので生徒の家でのみ授業をするというイメージがあるが、実はそんな決まりはない。

先生の都合が合えば、そこら辺のファミレスやカフェなどで授業をすることもできるらしい。

 

「いいですよね?」

 

「いや、でもな...」

 

「あーあ、せっかく頑張ったのになー。先輩がだす意地悪な問題もちゃんと正解したのになー。」

 

「ぐっ....さすがに親御さんが許可しないだろ。年頃の娘と男を二人きりにするなんて...。」

 

「え!? 先輩、私に何する気ですか!?」

 

「おいやめろ、そんな獣を見るような目付きでこっちを見るな。そんなことするつもりは無いが親御さんは心配するだろ。」

 

....心配、するだろうか...?

お父さんに言ったら反対されるだろうけど言うつもりはないし、

お母さんならむしろ喜んで、帰ってきたら赤飯がたかれているなんてことがありそうだ。

 

「じゃあ許可とれればいいんですね!!」

 

「....まぁそうだな」

 

 

※ ※ ※

 

 

「なんだと....」

 

「じゃあ決まりですねー♪」

 

授業が終わり、リビングにおりてお母さんにさっきの話をしたところ、

 

「!! ぜひお願いします!! なんなら保健t...痛い痛い痛い、いろはちゃんつねらないで!!」

 

とまあこんな感じですぐに許可をもらえたのだった。

後半、変なことを言おうとしたときは全力で阻止したけど。

 

先輩の家に行く予定は後で考えるとして、今は...

 

「先輩!! 夕飯にしましょう!!」

 

「あぁ。皿運ぶのでも手伝うぞ。」

 

「いえいえ、先輩はお客さんですから座って待っていてください!!」

 

「いや、さすがにこれからも夕飯をいただくのに座って待つとか申し訳ないから落ち着かねぇんだよ。」

 

....確かに気持ちはわかるんですけど...まだドリアの仕上げが残っているから、なるべく先輩をキッチンに入れたくない。

ここは......

 

「お母さーん!! 先輩がお母さんと話がしたいんだって!!」

 

「え、ちょ」

 

「ほんと!! 比企谷君からお話しに誘ってくれるなんて嬉しいな♪」

 

お母さんは、私が先輩の足止めをしてほしいことを理解しているようでとてもノリノリだ。

いや、あれは素なのか...?

まあどっちでもいいや、ここはお母さんに任せて私はドリアの仕上げをしよう。

 

 

 

 

 

キッチンに到着した私は、手早くドリアの仕上げをし、オーブンの中にいれた。

そしてサラダを盛り付けて、食事に必要なものをリビングに運んでいく。

リビングではとっても楽しそうなお母さんと、とっても疲れた顔をしている先輩が会話していた。

 

必要なものを全て運びきったと同時にドリアが焼き上がり、それをリビングに運んで準備完了だ。

 

「準備できましたー!!」

 

「あぁ、悪いな....」

 

な、なんかげっそりしてる。

コミュ障の先輩にお母さんの相手は荷が重かったかな?

 

だけどドリアを見た瞬間、

 

「ドリアですか。俺、ファミレスとかでよく食べるんですけど大好物なんですよね。」

 

元気がもどった。

そっか、ドリアが大好物だったのか.....よかった!!

敬語なのは、ドリアを作ったのがお母さんだと思っているからだろう。

実は私が作ったって知ったらどんな反応するかな....

なんか緊張してきた......

 

「ふふ、美味しくできてると思うから楽しみにしてね。それじゃあいただきます!!」

 

「「いただきます(まーす)」」

 

緊張でさりげなくお母さんがハードルをあげたことに気がつけなかった。

あぁ、先輩が真っ先にドリアに手をつけようとしてる....

ホワイトソースの中にスプーンを沈め、その下にあるご飯と一緒に掬い上げてゆっくりと口に....

 

「.....そんなに見られると食べにくいんだが...。」

 

「っ!? み、見てませんよ!? 自意識過剰なんじゃないですか!?」

 

「いや、見てただろ...まあいいけど。」

 

あんまり露骨に見すぎるとそりゃバレるよね...。

お母さんは先輩の前だからか、いつもだったら絶対に笑うのに何事もないように振るまっている。

肩がぷるぷるしてるけど。

 

私は今度こそばれないように、横目で先を見た。

先輩は猫舌なのか、スプーンで掬い上げた同時にふーふーしている。

そしてついに....

 

「お、これとっても美味しいです!!」

 

「本当ですか!?」

 

「うぉ!? いきなりどうした。」

 

「ブハッ」

 

嬉しさのあまり先輩が美味しいと言った瞬間に反応してしまった。

そしてお母さんがとうとう堪えきれなくて吹き出していた。

 

先輩の素の反応も見れたしそろそろネタばらししてもいいかな?

 

「実は...今日の夕飯は全部私が作りましたー!!」

 

「は?....え、全部って...このドリアもか?」

 

「はい!!」

 

「まじかよ.....」

 

先輩はそれっきり黙ってしまった。

え、どうしたんだろう......

なにか言ってくれないと、とても不安になる....。

 

「...あの、もしかしてお口にあいませんでしたか?」

 

「え? あぁ、いやそうじゃなくてだな...。なんというか、うますぎてびっくりしたんだよ。お前料理めちゃくちゃ上手いのな。...って一色?」

 

.....私は絶対にニヤニヤしている。

こ、こんな顔先輩に見せられないけどニヤニヤがおさまらないよ...

 

「ふふ、いろはが比企谷君のためにとっても張り切って作ってたから味わって食べてあげてね!!」

 

「お母さん!! 余計なことは言わないで!!」

 

「はいはい」ニコニコ

 

もう、お母さんはいつも一言多いんだから....

 

「こんだけ料理出来るならそれこそ彼氏なんていつでも作れるだろうな。その彼氏はこんなに旨い料理をいつも食べられるのか....羨ましいな。」

 

「「.....」」

 

先輩、それ狙ってます?

狙ってますよね?

じゃないとおかしいですよね?

いや、狙ってないのはわかってるんだよ?

わかってるんだけどおかしいでしょ!?

お母さんも( ; ゜Д゜)って顔しちゃってるよ!?

 

本当に、先輩は時々私以上にあざといんじゃないかと思うときがある。

 

 

※ ※ ※

 

 

「ごちそーさん。うまかったぞ。」

 

「....お、お粗末様でした。」

 

うん、改めて面と向かって言われるとまたニヤニヤし始めちゃう。

先輩に見えないように顔を伏せないと。

 

「今日もいろはの勉強見てくれてありがとね。またよろしくお願いします。」

 

「いえいえ、いろはさんは自分の想像以上によくやってくれていて教えがいがありますよ。」

 

先輩に「いろはさん」って言われるととても恥ずかしい.....

 

「では、今日はここで失礼します。お邪魔しました。」

 

「気を付けてね」

 

「さ、さようなら...」

 

私は未だにニヤニヤがおさまらずに、下を見ながら先輩に挨拶をしたのだった。




八幡が敬語で作ってもらった料理の感想を言うのって想像しにくくないですか?
今回はその台詞を考えるのが一番苦労しましたw

ある方に、この話とは別の世界線(R18)でいろはすとママはすの親子丼を見たいとの意見をいただいたのですが、他の方も見たいですかね?
あんまり自信ないですけど見たい方が多ければ、今すぐは無理にしてもいつか書く...かも?

次回は24日の21時に更新予定です


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10

本当は明日投稿する予定だったのですが、たくさんの人から早く続きがよみたい!! と言われて調子にのりましたw
こんなことしてるから書き溜めができないんだよなぁ...w


久々の本編です!!


「一色さん!! 俺と付き合ってください!!」

 

「ごめんなさい」

 

先輩にドリアをご馳走してから三日たった月曜日の昼休み、私は一人の男子に呼び出されて告白されていた。

週があければおさまると思っていたけど、そんなことはなかった。

 

「理由を...理由を教えてもらえませんか!! もし俺に気に入らないところがあるなら直すし、あと...」

 

「いや、そもそもあなたのことよく知らないので。しかも今は受験で忙しいから誰とも付き合う気はありませんので。」

 

その男子は普段の私と違う淡々とした口調にたじたじになっている。

私も最初の頃はちゃんと「ごめんねー、今受験で忙しいからー、誰とも付き合うつもりはないんだー。」みたいな感じで断ってたんだけどね?

こうも続くと断り方も雑になってくる。

 

何も言えなくなっている男子に「じゃ、私はこれで」と声をかけてその場を立ち去る。

 

「はぁ...」

 

ため息をつきながらこのごろお昼食べている場所に向かう。

最近は教室教室だといろいろとうるさいからね。

 

その場所につくと、綾音と遥が私を待っていた。

 

「いろはお疲れー。本当に一人で大丈夫だった?」

 

「そうだよいろは!! 何か変なことされなかった!?」

 

二人は最初、私についてこようとしたのだが、さすがに何度も来てもらうのは悪いし、今回の相手は大人しそうな感じだったから断って一人で行った。

 

「まあ、今回の相手は一人だけだったしねー。あと遥は心配しすぎだって。」

 

遥は、あの女子の一件から私を守るという謎の正義感に燃えている。

 

「何もなかったならよかった。....じゃあいろはも来たことだし、いつものやりますか?」

 

綾音はそう言って遥とアイコンタクトをとると、

 

「「お楽しみタイムだっ!!」」

 

.....それ気に入ったのね。

 

二人の言う「お楽しみタイム」とは、私から前回の家庭教師の話を聞く時間のことだ。

家庭教師があった次の昼休みに、毎回この「お楽しみタイム」が開かれるようになった。

最初は抵抗してた私も、この二人なら言ってもいいやと諦めた。

この二人なら他の人に言うなんてことはしないしね。

 

「で、で!! 金曜日は何があったのっ!!」

 

さっきまで私を守ると意気込んでいた遥はいったいどこへ....

 

「えっと...私が夕飯を作って、先輩にごちそうしま...し....た.....」

 

私の言葉の途中から二人の目がとても輝き出していた。

 

「「....おぉ!!」」

 

「まずは胃袋をつかむとか、さすがいろは!!」

 

「で!! 先輩のは反応は!! 反応はどうだったの!!!」

 

遥が興奮して身を乗りだしてきた。

 

「ちょっ、遥近いって!! ...先輩は...まあ、うん.....美味しいってほ誉めてくれたよ?.......えへへ」

 

今思い出しても嬉しくて頬がゆるんでくる。

 

「.....ねぇ、遥さん?」

 

「.....なんでしょう、綾音さん?」

 

二人が何やらうつむいてプルプル震えている。

え、どうしたの?

すごく怖いんだけど.....

 

「ちょっとこの子可愛すぎませんかねぇ!?!?」

 

「だよね!? 比企谷先輩には悪いけどもう私がもらいます!!」

 

「え、え? ちょっ、二人ともどうしt....って遥は飛び付かないで!!」

 

 

~数分後~

 

 

「「ごめんなさい調子にのりすぎました。」」

 

二人は私の前で正座をしている。

 

「まったく...綾音はもういいとして、遥はどさくさに紛れて変なところを触ろうとしてきたよね?」

 

「いや、それはですね...着々と大人の階段を登りだした友人の成長を確かめようとしてですね....」

 

「いろはさん、こいつ反省してませんよ。やっちゃいましょう。」

 

「綾音!?」

 

綾音はいつのまにか立ち上がって、私の横で遥を見下ろしている。

 

「はぁ...もういいよ。今度から気を付けてね?」

 

「「はーい」」

 

綾音は普段落ち着いていて、どこかの令嬢のような雰囲気なのだが、私たちと遊ぶときは感情を素直に表に出してくる。

たまたまその姿を目にして、そのギャップにやられた男子も少なくないだろう。

遥は....いつもこんな感じかな。

 

この二人といると、気を張らなくていいからとても心が休まる。

さっきのだって私は怒った表情をしたけど、実際は全く怒ってない。

二人もそれが分かっているからのってくる。

本当に、いい友達をもったなぁ....

 

 

そろそろ昼休みも終わりだから、三人で教室に戻る。

うーん、何かを忘れてるような.....

 

「あ、そういえば先輩の家に行くことになったんだった。」

 

「「ちょっとその話詳しく。」」

 

「.....もう授業が始まるから急ごう!!」

 

「あ、いろはが逃げた!!」

 

「後で絶対に話してもらうからねー!!」

 

私達は笑いながら走って教室に戻る。

こういう友人同士のバカみたいなやり取りが本当に楽しい。

今は先輩がいるから勉強を頑張れるけど、家庭教師を始める前はこの二人がいてくれたから頑張れていた。

恥ずかしくて口には出せないけど、二人ともありがとね!!

 

「こら!! 廊下を走るんじゃない!!」

 

「やばっ、平塚先生だ!!」

 

「平塚先生ならいろはを差し出せばきっと大丈夫!!」

 

.......あれ?

 

 

※ ※ ※

 

 

「いやだー!! 塾なんか行きたくないー!! さっきのいろはの話を聞くんだー!!」

 

「そんなこと行ってないで早く行きなさい。遅刻するよ?」

 

遥の塾は校門をでて私達の駅と反対にあるから、校門でお別れだ。

 

「うぅ....綾音、後は任せた...」

 

「任されました」

 

「いや、任せないでいいから」

 

「後でちゃんとメールで詳しく教えてね!! それじゃ、ばいばい!! 」

 

そう言うと、遥は塾に走っていった。

そんなに急ぐならさっさと行けばよかったのに...

 

「さて、私達も帰りますか。いろはの話を聞きながら。」

 

「やっぱりそうなるよね....」

 

「当たり前でしょ。友達が大人の階段を少しずつ登りだしたかと思えば、本当に大人になっちゃいそうなイベントなんですもの。」

「え!? そ、そんなことしないよ!!」

 

「あっれぇー? 私は別に具体的に何をするとかは言ってないんだけどなー? いろはは何を考えたのかなー?」

 

「え? あっ...ちがっ....」

 

「あははは、ごめんごめん。最近のいろはは the 恋する乙女って感じでとっても可愛らしいから、ついからかいたくなっちゃうんだよね。」

 

「もう!!」

 

 

 

こんな感じでからかわれながら、私は綾音に先輩の家に行くことになった経緯を話した。

 

「い、いろはやるね...。というか、そこまでされて比企谷先輩は何も思ってわないのかな?」

 

「うーん、どうだろう....先輩は言葉にできないくらいの鈍感さんだからなぁ...」

 

「そこまでいくと、呆れるを通り越して感心するよ.....いろはに好かれたい男子なんて山ほどいるのに、いろは本人は想い人に好かれようと努力するって.....比企谷先輩、刺されなきゃいいけど...」

 

 

それから数分後、駅について綾音と別れた。

私は先輩の家に行ったら何をしようかと考えながら、電車の中で一人微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その笑顔を見た一人の男子が恋に落ちるのだが、それはまた別の話

 

 




最後の意味深な一文.....

いかがでしたか?
感想をお待ちしてます!!

二日目、三日目の八幡視点ですが、やるとしても全て完結してからになりそうです!!
理由としては、八幡の心情がわからないからこそ、いろはのもやもやが読者の皆さんにも伝わると思う、という意見をいただいたからです!!
それを聞いてめちゃくちゃ納得しましたw
なので、今後番外編は八幡でもいろはでもない別の人の視点で書きます!!

次回の投稿は、今度こそ二日後ですw
そして次回はいよいよお待ちかね八幡の家の話!!



ついに、ママはす&パパはすの名前が決まりました!!
たくさんの方から案をいただいて本当に最後まで迷ったのですが、最後は自分の好みで選ばせてもらいましたm(__)m
Twitterでは、少し早めの19時頃に発表させてもらいました(´∀`)
採用させていただいた方にも、先にメッセージで知らせてあります!!

それでは発表します!!

【パパはす】

名前→蓮司

由来
①いろは唄は真言宗(仏教の宗派)で学問的に使われていたものであり、仏教と言えば釈迦が蓮華(蓮の花)に座していることから

②一色蓮司→色蓮→いろはす


実は、蓮司という案を二人の方からいただいてました!!
しかし、どちらの方も理由は書いてなかったのですが、ママはすの名前で「蓮」の漢字を使った名前をくれた方がいて、その方の由来がとてもよかったので由来はそこからです(´∀`)



続いてはママはすです!!

【ママはす】

名前→楓

由来
①カエデとは紅葉のことであり、紅葉には「イロハモミジ」という種類がある。

②楓の花言葉「大切な思い出」「美しい変化」が俺ガイルという作品にぴったり!!


②の理由でびびっときましたw
しかし、楓という名前にした一番の理由は「響きが自分の中のママはすのイメージにぴったり」だからですw
つまりは好みですねw
あと楓にはもう一つ、「遠慮」という花言葉があるのですが、ママはすは遠慮....しませんねw
そこはもうあれです、細かいことは気にすんな☆

他にも素敵な名前はたくさんあったのですが、この二つにさせてもらいました!!


これからも「一色いろはと家庭教師」をよろしくお願いします!!


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11

更新遅れてすいません(-_-;)
ほんと、いろいろあったんです....
とても愚痴りたいんですが家族にも愚痴ったし軽くTwitterでも言ったのでここでは止めときますw


ついにこの日がきた。

今日は待ちに待った先輩の家にお邪魔する日だ。

休日のため、学校はない。

ずっと楽しみにしてきたからか、昨日は興奮して眠れず、寝不足気味だ。

授業は2時からスタートで、1時40分に先輩の家の最寄り駅で待ち合わせになっている。

 

そして今の時刻は朝6時。

寝不足なんだからもう少し寝ろよ、と思われるかもしれないが、楽しみすぎて寝て待ってなんかいられない。

ばっちり目が覚めてしまった。

 

うーん、どうしよう.....

時間もあることだし勉強をしとけばあっという間だよね。

 

そう決めた私はさっそく勉強にとりかかった。

 

 

 

しばらくして、時計をみると.........6時10分....え?

さっきから10分しか経ってないの!?

全然やってないじゃん!!

もっとやらなきゃ...........

 

 

 

そして、しばらくしてまた時計を見ると---

 

 

 

 

 

 

 

 

-------6時30分

 

 

「あぁー、もう!! 全っ然集中できなーい!!!」

 

どんだけ楽しみなの私....

時間が気になりすぎて勉強に集中できないなんて......

よし、勉強するのは諦めよう。

うーん、まだ早いけど準備だけでもしておこうかな!!

 

私は来ていく服を決めるために、クローゼットの中にある服を全て掻き出した。

 

 

 

 

服選びに集中し、気がついたら8時になっていた。

 

「嘘!? 8時!? そんなに時間経ってたのか....うーん、どうしよう...」

 

服をなんとか三組まで絞り込めたけど、どれにするか悩むなぁ....

 

「うーむ....これはちょっと子供っぽすぎるかな?」

 

「そうね。比企谷君を見てると、いろはを恋愛対象というよりも妹みたいに思われてる可能性があるから、その服は止めた方がいいかもね。」

 

「だよねー.....そうするとこの二つのどっちかなんだけど......」

 

「うーん、難しいけど、こっちの明るい組み合わせじゃない? 元気なイメージを与えられるし、何よりいろはの笑顔にすっごく似合うもの!!」

 

「そっか、そうだよね!! ありがとうお母さん...ってえぇ!? いつからいたの!?」

 

「うーん、部屋に入ってきたのは今だけど、30分くらい前から部屋の外でずっと見てたわよ?」

 

ドアの外を見ると、持ち運び用で折り畳み式の小さい椅子が置いてあり、その横には茶菓子と空になったカップが置かれていた。

完全に見せ物になってる.....

 

「いやー、朝からおもし....じゃなくてたのし......でもなくて、えぇっと....」

 

「もう誤魔化さないでもいいから...」

 

「ふふ。服も決まったんだし、朝ごはん食べてきなさい。準備してあるからね。」

 

「はーい」

 

 

※ ※ ※

 

 

朝ごはんを食べた後、身だしなみを整えたりと先輩の家にい行く準備をして、待ちきれずに家を出た。

そうして待ち合わせ場所についたのだが、

 

「どうしよう、早く着きすぎた.....」

 

今の時刻は11時40分。

待ち合わせ時間が1時40分だから、2時間も早く来てしまった。

 

うーん、まあでも、

 

「お昼ご飯食べてないし、どこかで食べて時間潰すかなー?」

 

私は周りを見渡していい感じのお店を探す。

うーん、昨日お父さんに「最近勉強ばかりで疲れちゃったから、明日友達と遊ぶんだー!! だから

お金ちょーだい?」って甘い声で言ったらすぐに諭吉さん出してくれたから、お金には余裕あるんだよなぁ.....

まあそれを見てたお母さんにお父さんは怒られて、結局半分になったんだけどそれでも十分だ。

駅前にはマックとサイゼ、それにお洒落な感じのカフェがある。

うん、ここはカフェにしよう!!

 

さっそくカフェに向かって歩きだすと、後ろから声をかけられた。

 

「お前なんでこんなに早いんだよ....」

 

「ふぇ?」

 

本当に驚いた。

だって、2時間前だよ?

 

「せんぱい...? え、なんで....まだ2時間前ですよ?」

 

振り向くと、そこには比企谷先輩が立っていた。

 

「それは俺の台詞だ。まだ2時間前だぞ?」

 

「そ、それは....そう、お昼!! お昼ご飯を食べようかと思いまして!!」

 

本当は楽しみすぎて早く来てしまったなんて言えるはずがない。

 

「そういう先輩は何でこんなに早く...?」

 

もしかして先輩も.....

 

「俺はそこのサイゼで勉強してたんだよ。調度中から駅前も見えるしな。」

 

まあそうだよね。

先輩に限ってそんなことあるはずないか....

でも、

 

「それって私を待っててくれたってことですよねー♪」

 

「....ばっか違げぇよ。ただ暇だっただけだ。」

 

「そこは爽やかな笑顔で....それは先輩には無理ですけど、君を待ってたんだぐらいは言えなきゃだめですよ?」

 

「知らねぇよ.....で、飯食うんだっけか?」

 

「はい!! どこかいいお店ってありますか?」

 

先輩はしばらく悩んでいたが、

 

「....サイゼとか?」

 

「はぁ、先輩に聞いた私が馬鹿でした。」

 

「お前サイゼなめんなよ? すごいんだぞサイゼは?」

 

「あー、はいはい。そういうのはいいので、じゃああそこのカフェに入りましょう!!」

 

「俺も行くとか言ってないんだけど....まあ飯食ってないからいいけど。というかあの店入ったことねぇよ....」

 

「男の人一人だと入りずらそうな雰囲気ですもんねー。今日は私がいるから入れるんですよ!! か感謝してください!!」

 

「さらっと一人って決めつけないでくれる? いや一人なんだけどさ。 それと、別にあの店に入れなくてもよかったんだが....」

いつもは夕飯の時間をいれても3時間ぐらいしか一緒にいられないけど、今日は昼前から先輩と一緒にいられる。

そう考えるだけでゆるんでしまう顔を先輩にま見られないように、先輩のす少し前をカフェに向かって歩く。

 

 

 

 

 

 

カフェにはいると、混みすぎず空きすぎず、大体半分くらいの席がうまっていた。

そして、お客さんのほとんどがカップルらしき男女だ。

 

「...爆発しろ」

 

「何やら物騒なことを言ってますけど、はたから見たら私たちも.....」

 

私たちも.....カップルに見えるよね?

先輩と私が.......カップル..........

 

「......」

「一色? おい一色どうした?」

 

「ぇ? い、いえいえ、何でもないです!!」

 

急に慌てだした私を、先輩は不審そうに見ている。

 

「いらっしゃいませー。二名様でよろしいでしょうか?」

 

「あ、はいそうです。」

 

「かしこまりました。ご案内しますね。」

 

店員さんナイスタイミング!!

 

店員さんに案内された席は窓際で、外がよく見える席だった。

 

「ごゆっくりどうぞ。」

 

席についてあらためて店内を見渡してみる。

少しだけ照明を暗くしていて、置いてある小物もお洒落なものばかりだ。

 

「結構雰囲気いいお店ですねー。」

 

「まあそうだな。」

 

気になるところと言えば、お客のほとんどがカップルというところだろう。

何でこんなにカップルが多いんだろう.......あ

私はカウンターに立て掛けてある小さい黒板を見つけた。

そこには大きく「カップルセット」と書かれている。

パスタにサラダとドリンク、デザートにケーキがついて700円。

や、安い......

さらにはツーショット写真を撮ってくれるサービスもある。

だからこんなにカップルが多いのか。

 

「くっそ、こういう店ってやっぱ高いか.....。パスタで1000円もしてサイゼより絶対量少ないんだよな......」

 

先輩はメニューを見ながら悩んでいる。

判断基準がサイゼってあたりどうなのだろうか?

でも今の先輩は振り込み金が減額されててお金がないみたいだから、安いサイゼ基準でもおかしくないのかな?

.....普段からサイゼ基準な気もするけど。

 

.....ツーショット写真か

 

「先輩、あれ見てください!!」

 

「あれ?.........いや、あれは、なんか違うだろ。...俺らが頼むものじゃない。」

 

「でも先輩いまお金無いみたいですし!! あれにした方がいいですよ!!」

 

「お前なんでそんなに必死なの? 確かに助かるけどさ.....お前はいいのか? その、周りからそう見られても....」

 

「大丈夫です!! じゃああれでいいですね?」

 

「....お前がいいならいいけど。」

 

「決定です!! じゃあパスタとか選んじゃいましょう!!」

 

 

※ ※ ※

 

 

「んー!! おいしいです!!」

 

「確かにうまいな。」

 

届いたパスタは本格的で、とても美味しかった。

 

「先輩のやつも美味しそうですね。ちょっともらいますね!!」

 

「え? あ、ちょっ」

 

「んー!! こっちも美味しいです!!」

 

「.......いや、いいんだけどさ、こういうの気にしないのかよ...」

 

「何がですか?」

 

「いや、何でもない。」

 

「?」

 

 

 

パスタを食べ終えたらケーキが運ばれてきた。

先輩はチョコレートケーキを頼んでいて、私はチーズケーキだ。

 

「おぉ!! ケーキもとっても美味しそうですね!! それじゃあ先輩、あーん」

 

「.......お前なにしてんの?」

 

「見てわかりませんか? 早く口をあけてください!!」

 

「......いや、あけねぇから」

 

先輩は顔を赤くして背けてしまった。

 

「先輩? 私たちは今カップルですよね?」

 

「....まてその考えはおかしいだろ」

 

「おかしくないです!! 私たちはカップルセットを頼んでしまったのでちょっとはカップルらしく振る舞わないとダメなんです!! さっ、早く口をあけてください!!」

 

実際、ここの体制でいるのも結構恥ずかしい。

周りのカップルからのニヤニヤした目が.....

 

「.....一口だけだからな」

 

「え?」

 

周りのカップル達に気をとられている隙に、手に持ったフォークに重みがかかったかと思うと先についていたケーキがなくなっていた。

そして向かいには顔を真っ赤にしてな何かを食べている先輩....

え!? もしかして食べてくれたの!?

み、見てなかったぁぁぁぁぁぁ!!!

 

「も、もう一口だけお願いします!!」

 

「嫌だ絶対にやらん。」

 

「そこをなんとかー!!」

 

 

結局先輩はそのあとあーんに応じてくれなかった.....

 

 

 

 

 

 

ケーキも食べ終え、しばらく先輩とゆっくりお話をした。

 

「じゃあそろそろ出るか。時間もいい感じだしな。」

 

「はーい!! あ、少し待ってください。 すいませーん!!」

 

私は店員さんに声をかけた。

 

「お待たせしました。」

 

「写真お願いできますか?」

 

「はい、大丈夫ですよ。お客様の携帯でよろしいですか?」

 

「はい!! お願いします!!」

 

携帯を店員さんに渡して、私は先輩の横に移動する。

 

「え、何これどういうこと?」

 

「カップルセットには写真を撮ってくれるサービスがあるんですよ!! ほら、あそこに書いてあります!」

 

「まじか、いやでも俺たちは....」

 

「つべこべ言わずに撮りますよ!! お願いしまーす!!」

 

「ふふ、可愛らしい彼女さんですね。では撮りますよー。はい、チーズ」

 

 

※ ※ ※

 

 

私たちは今、先輩の家に向かって歩いている。

 

「ふんふふーん♪」

 

「....機嫌良さそうだな」

 

「そういう先輩はあんまり元気ないですねー?」

 

「いや、あそこで急に抱きつくか? 何、リア充の中では普通なの? 周りからめっちゃ見られてたじゃねぇかよ....」

 

「こんな可愛い女の子に抱きつかれて嬉しくないんですかー?」

 

「自分で可愛いとか言うんじゃねぇよ....」

 

 

やっぱり先輩と二人で過ごす時間はとても幸せだ。

しかもこれから先輩の家で二人っきり....

 

私はこれからのことを考えて嬉しくなり、先輩の腕に抱きつく。

 

「お前ばかやめろ」

 

「ふふふ、そんなにキョドってたら変な人みたいですよー?」

 

本当に幸せだ。

 




マックって俺ガイルでもマックでしたっけ?
作品によってはワッグだったりマグロだったりするんですが俺ガイルはどうだか思い出せませんでした(-_-;)

まさか八幡の家に着くまでに1話書けるとは思ってなかったw

そして眠くて後半部分の感情描写が.....
もしかしたら大幅に修正するかもです。

次回の更新は10月の1日か2日の21時です!!


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12

お待たせしました(´∀`)

ママはすが、書きたいです.....


「ここが先輩が住んでいるアパートですかー。」

 

先輩のアパートは、駅から10分ほど歩いたところにあった。

外観はいたって普通だ。

古すぎるわけでもなく、かといって新しいわけでもない。

どこにでもあるような普通のアパートだ。

 

「そんなとこにつっ立ってないでさっさと二階にあがるぞ。」

 

「はーい。」

 

先輩の後を追って二階にあがった。

先輩は204号室の前で立ち止まると、鞄から鍵を取り出して鍵穴に差し込んだ。

 

い、いよいよ先輩の家に入るときが....

さっきまではわくわくしてたのに、今は緊張で体が震えている。

鍵を回している先輩の手がとてもゆっくりに見える。

そして『カチャリ』という音がなり、鍵が開けられた。

緊張で震える体を押さえながら、私は覚悟を決めた。

 

「あー、少しだけ片付けてくるから、しばらくここで待っててもらえるか?」

 

「ぇ? あ、はい、大丈夫です。」

 

「悪いな」

 

先輩はそう言うと部屋に入っていった。

ホッとしたようなガッカリしたような.....

さっきの私の覚悟は一体.....

でもさっきまでの私は固くなりすぎていたかもしれない。

むしろ落ち着く時間ができてラッキーかな?

 

私は大きく深呼吸をしたあと、手鏡を取り出して髪の毛を整える。

こういう慣れた作業をすると落ち着いてくる。

よし、今の状態なら大丈夫だ!!

 

すると、先輩の隣の部屋の扉が開かれ、中から高校生ぐらいの男の子がでてきた。

 

「こんにちはー。」

 

「あ、こんに....ち.........ぇ?」

 

どうしたんだろう?

男の子は私の顔を見た瞬間驚きの表情を浮かべて固まってしまった。

 

「あのー、どうかしましたか?」

 

「だだだだ、大丈夫です!! で、では僕はこれで!!」

 

男の子はそう言うと、私の横を走ってすり抜けていった。

何だったんだろう....?

あと階段の方から転げ落ちるような音が聞こえたけど大丈夫かな?

 

 

 

それから少しして、目の前の扉が開かれた。

 

「女の子を待たせるなんてポイント低いですよ、先輩?」

 

「悪かったな。というか、さっきすごい音がしたが大丈夫か?」

 

「はい!! 大丈夫です!!」

 

私は敬礼しながらそうこたえた。

小指を少しだけ離して、軽く折り曲げるのが可愛く見せるコツだ。

 

「あざといあざとい。...じゃあ準備もできたし、入っていいぞ。」

 

先輩はそう言って扉を押さえながら体をずらし、私が入れるようにしてくれた。

 

「お、おじゃまします」

 

中にはいると、すぐそこはキッチンになっていた。

あんまり知らないけど、アパートは大体こうなのかな?

玄関やキッチンに置いてある物はどれもシンプルで色が少なく、それが先輩の家に来たのだと余計に意識させる。

 

「....うわぁ」

 

「いや、うわぁじゃなくてそろそろ先に進まない? お前がそこに立ってると玄関が狭いから先に進めないんだが...」

 

「あ、す、すいません!!」

 

先輩に急かされて早歩きで先に進む。

キッチンを抜けると、その奥には大体8畳ぐらいの部屋があった。

真ん中に低いテーブル、端にはベッドがあり、その向かいにはテレビが置いてある。

ベッドがおいてない方の壁にはクローゼットがついてある。

カーテンは無地の薄い青色で、今は閉じられていた。

 

ここで先輩が暮らしてるのかぁ.....

 

「...立ってないで座れよ。家にはイスがなくて座蒲団だけどな。」

 

「あ、はい...」

 

先輩にすすめられたと通り、私はテーブルの前に置かれた座蒲団に座った。

何だろう....先輩が家庭教師に来た最初の日を思い出す。

あのときもこんな感じの雰囲気で、何をすればいいかわからなくなっていた。

 

「...まだ2時まで少し時間あるし飲み物でも準備してくるわ」

 

「あ、ありがとうございます...」

 

先輩はキッチンに歩いていった。

キッチンといってもすぐそこなのだが、私の座っている場所からだと角度的に見えなくなっていた。

先輩がいなくなると私は周りをキョロキョロと見渡しだした。

そして、私の後ろにあるベッドから視線が離せなくなった。

 

.....ここで毎日先輩が寝てるんだよね。

手を伸ばして軽く触ってみると柔らかく、触れたところからフワッと先輩の匂いがした。

す、少しだけなら.....

私はゆっくりと掛け布団に手を伸ばし、軽く引っ張って鼻まで持ってき....

 

 

 

 

 

 

 

 

「MAXコーヒーでいいよな?」

 

「わっひゃぁ!?」

 

「うお!? え、何どうした?」

 

「ななな、何でもありませんよ?」

 

ギ、ギリギリセーフ!!

あ、危なかった....

というか今私は何をやろうとしたの?

先輩のベッドに触ったら先輩の匂いがして、それを嗅いだら頭がボーッと....

 

先輩は私の前にMAXコーヒーを置くと向かい側に座った。

そしてお互い無言。

ひたすら無言。

 

時計を見ると1時50分。

このままでいるのも辛いから、少し早いけど授業を始めよう。

 

「じゅ、授業!! 授業を始めましょう先輩!!」

 

「あ、ああ、そうだな。」

 

あれ?

この会話前にもしたような.....

 

 

※ ※ ※

 

 

「よし、お疲れさん。キリもいいしここでやめにするか。」

 

「はーい!!」

 

今の時間は4時5分。

授業開始から二時間が過ぎて、ちょうど終わったところだ。

 

それにしても、授業を挟むとさっきまでの不思議な雰囲気が消えさるのってすごいと思う。

将来先輩と喧嘩しても何かを教えてもらったりすれば仲直りできるんじゃないだろうか?

 

.......

 

というか将来ってどういうこと!?

すっごく自然に考えてたけどそれって先輩とけっk......

あぁ、先輩の家に来てから考えることが先輩のことばっかりだ。

 

「授業も終わったことだしどうするんだ? 帰るか?」

 

「何でそんなナチュラルに帰る選択肢を強調するんですか...帰りませんよ?」

 

「いや、ここにいたって何もすることないぞ?」

 

「いいんです!! 私はここにいたいので!!」

 

「....まあそれならそれでいいけど。」

 

何か意外だ。

もっと帰るのをすすめてくるかと思ったけど、結構あっさりと私がここにいるのを許可してくれた。

 

「うーん、でも何しましょうかねー? あ、先輩今日の夕飯はどうします?」

 

「どうするって言われてもな、カップラーメンにするか家にあるもので作れそうなものを適当に作って食べるかのどっちかだな。」

 

なるほどなるほど。

カップラーメンは論外として、先輩の手料理か.....

 

「私、先輩の手料理を食べてみたいです!!」

 

「は? ...いや、適当に作るだけだぞ?」

 

「それでもいいので食べたいでーす!!」

 

「いやいや、さすがにそんな時間まで残るなんて親御さんが.....許してくれるかもな.....」

 

さすが先輩お母さんのことをよくわかっている。

 

「じゃあ作ってくれますか!!」

 

「.....いやでもな、本当に適当だぞ?」

 

「大丈夫です!!」

 

「.....はぁ、わかったよ。何があったかな......」

 

先輩はキッチンに行って家にあるものを確認してくるみたいだ。

先輩、どんな料理をつくるのかなー?

 

「ふわぁ....」

 

うーん、寝不足だから眠い。

授業も終わって気が抜けたら一気に眠気がきた。

先輩が戻ってくるまで少しだけ休もうかな?

 

そう思った私は目を閉じて、後ろにある先輩のベッドにもたれかかった。

その拍子に先輩の匂いが広がる。

 

あ、これすごく落ち...着.......く.......

 

 




世の中の女性は好きな人の匂いが大好きだって噂を聞いたのですが、それは本当なのですか?
いえ、決してそういうのを聞ける相手がいないとかじゃないんですよ?(必死)
.........ちょっと次元が一つ違うだけです。何も問題ありませんね(白目)

八幡の隣に部屋から出てきた謎の男子高校生は一体誰なのか
ちゃんと設定を作ってあるので楽しみにしててください(´∀`)

授業は基本的にカットで、テストなどいろはが甘えるイベントのところだけ授業の描写をいれていこうとお思います

次回の更新は3~5日の21時の予定です(^-^ゞ
最近ちょっと忙しいのでもしかしたら遅れるかもです。


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13

お待たせしました!!


感想で、章が別れているから更新したのが分かりにくい、という意見をいただきました。
解決策として、最新話の横に「New」とつけることにしました。
これは、某R18小説の作品のやり方を真似させてもらったのですが、作者の方から直接許可をもらいました(´∀`)
とてもいい方でしたヽ(・∀・)ノ


昨日確認したところ、UAが10万を突破してました!!
とっても嬉しいです!!
この作品を読んでくださってありがとうございます!!
今後もよろしくお願いしますm(__)m




「うぅん.....あれ? ここは....?」

 

目を覚ましたら見慣れない天井があった。

え、どういうこと?

ベッドから上体を起こして寝起きで働かない頭を使って状況を整理する。

えっと、寝る前は何をしてたんだっけ?

たしか先輩の家に.....ん?

あー、授業のあとそのまま寝ちゃったのかぁ

あれ?

でも確か眠ったときはベッドの上にいなかったはず....

 

「.......っ!!」

 

え!?

そ、そういうこと!?

先輩が私を.....

その事を想像した瞬間、一気に眠気が飛んでいった。

 

そういえば先輩はどこに.....

周りを見渡しても見当たらない。

すると、キッチンの方から何か食材を切るような音が聞こえた。

 

先輩、ちゃんと料理してくれてるんだ!!

私も手伝おっと!!

 

そう思ってベッドから片足を出したところで、私は動きを止めた。

 

私は今、先輩のベッドの上にいる。

布団にくるまると、先輩の匂いに包まれてとても幸せになれる。

そして、先輩は私が起きたのに気がついていない。

....こんな機会なかなかないんじゃないか?

 

そこまで考えて、私は素早くベッドの中に戻った。

 

ベッドを軽く叩くと、先輩の匂いがさらに広がる。

こ、これは...!!

 

「.......先輩」

 

やばい、これは本当にやばい。

何がやばいかというと、ここにいると先輩への愛しさが止まらずに溢れてきて色々とやばい。

 

 

 

それからたっぷりと先輩のベッドを堪能した。

先輩は何度か様子を確認しに来たけど、私がまだベッドの上にいることを確認すると、すぐにキッチンへ戻っていった。

......先輩、私に興味がないのかな?

いや、だって普通は女の子が無防備に寝てたら何もやらないにしても、もう少し反応するものじゃないの?

え、普通は無関心なもんなの?

違うよね?

何かもやもやしてきた.....

 

ベッドを強めに叩いて少しだけ多く匂いをだす。

それを嗅いだだけで幸せな気持ちになれてしまう私って、ひょっとしたらちょろいんじゃないか?

 

「ん?」

 

ベッドのふちに手を持っていったときに何かに触れた。

それ手に取ろうとするが、壁とベッドの間に挟まっていてなかなかとれない。

それでも何とか引っ張り出した。

 

「........香水?」

 

先輩が香水をつけるとは思えない。

それに、この香水は.....

 

 

 

 

「......女物の香水」

 

すっと心のなかが冷えていくような、熱くなるような不思議な気持ちが心の中をかけめぐる。

この香水はベッドと壁の隙間にあった。

普通にしているだけだったら、そんなところにあるはずがない。

それはつまり、この香水の持ち主が先輩の布団を使ったということで....

 

「......ぇ」

 

私は香水を見ながら固まっていた。

思考がどんどんネガティブになっていく。

胸が締め付けられるように痛い。

自分の鼓動の音がやけにはっきりと聞こえる。

 

「......あれ?」

 

気がつくと、涙がこぼれていた。

 

「あれ...ちがっ、ひっく....なんで.....ひっ、うぅ.....」

 

考えたくないのに、先輩が他の女の子と一緒にいる姿を想像してしまう。

楽しそうにデートをする先輩、面倒くさそうにしながらも女の子の我儘に付き合ってあげる先輩、恥ずかしそうに手を繋ぐ先輩....でもその隣にいるのは私じゃない。

 

私はそれからしばらく泣き続けた。

 

 

※ ※ ※

 

 

しばらくないたことで、少し落ち着いてきた。

ちょっと前からキッチンの方からカレーの匂いが漂ってくる。

......そろそろ起きなきゃ。

 

私はゆっくりとベッドから立ち上がった。

あんまり先輩に今の顔を見られたくないな....

 

そう思った私は、その場から先輩に声をかける。

 

「せんぱーい、洗面所をかりてもいいですかー?」

 

声が少し震えていたかもしれない。

 

「うぉ!? 急に声をかけんなよびびったじゃねぇか....。洗面所なら勝手に使っていいぞ。タオルは横にあるから、使ったら洗濯機に入れてといてくれ。」

 

「はーい。」

 

洗面所はキッチンの向かいにある。

私は先輩に顔を見られないように、足早に先輩の後ろを通って洗面所に入った。

 

それにしてもあんなに泣くとは思ってなかったなぁ....

私って独占欲強いのかな?

 

蛇口を捻って冷たい水で顔を洗う。

何度も何度も冷たい水を顔にかける。

「....ふぅ」

 

かなりすっきりとした。

泣きはらした顔も大分ましになったし、気持ちがシャキッとした。

 

....とりあえず、一旦香水のことは忘れよう。

今はせっかくの先輩の手料理を楽しまないと!!

 

「....よし!!」

 

私はポケットに香水をいれて、鏡の前で気合いを入れてから洗面所を出た。

 

カレーはもう完成したみたいで、先輩はキッチンにはいなかった。

部屋にいくと、テーブルにコーヒーの入ったカップが二つ置いてあり、先輩は座布団に座ってちびちびとコーヒーを飲んでいた。

 

「おー、先輩気が利きますね!!」

 

「そりゃどうも。 ....というかお前、男の家で寝るとかどんな神経してんの? 襲われても知らねぇぞ。」

 

「え!? 先輩私を襲おうとしてたんですか!?」

 

「ばっか違げぇ...おいやめろ、その手に持っている携帯をしまいなさい。」

 

「冗談ですよー。」

 

「まったく...」

 

先輩はため息をつくと、コーヒーを口に含んだ。

私も先輩の向かいに座ってコーヒーを飲む。

 

 

 

 

「.....なあ、お前何か『サガシニユクンダー』....誰だよこんな時に」

 

先輩が何か言おうとしたところで、先輩の携帯が鳴った。

 

「電話出てきてもらって大丈夫ですよ。」

 

「あー、悪いな」

 

先輩は携帯をもってキッチンの方へ歩いていった。

先輩が見えなくなったところで、私は大きく息を吐いた。

 

『...う......した』

 

何とかいつも通りに振る舞えたかな?

 

『わ.....もの?......を....ん.....』

 

先輩もいつも通りだったし、多分大丈夫だったはず。

 

『....香水?』

 

..........え?

今香水って言ってた?

私はポケットの中にある香水に触れる。

もしかして、先輩が電話をしてる人って香水の持ち主さん?

 

私はふと、先輩が初めて家に来たときのことを思い出した。

先輩はそのとき、彼女はいないといっていた。

嘘はついていなさそうだったし、それは本当のことだと思う。

そして、奥手の先輩にこの短期間で彼女ができるとは考えにくい。

つまり、香水の持ち主さんは彼女ではないんじゃ....

 

時間が経ったからか、とても冷静に考えられる。

香水を見つけたときは気が動転してここまで頭がまわらなかった。

 

もし、香水の持ち主さんが彼女だったら私がいまからやろうとしていることはよくないことだ。

でも、彼女じゃないんだったら牽制をしておかなくてはいけない。

 

私はキッチンに向かうと、電話の相手に聞こえるようにわざと大きめの声で先輩に話しかけた。

 

「せんぱーい!! コーヒーにお砂糖を足したいんですけどどこにありますかー?」

 

電話の相手は突然聞こえてきた私の声に驚いたことだろう。

ここからは女の戦いだ!!

そして、その戦いは今先輩と一緒にいる私の方が有利!!

 

「砂糖? それならそこに.....え? あぁ、今一色が家に来てんだよ。」

 

相手は私のことを知っている!?

それならかなり絞れてくるけど.....

 

「どんな関係って....いや.....」

 

ここだ!!

 

「先輩と私はもうただの先輩と後輩の関係じゃないですよねー!!」

 

嘘は言っていない。

今は教師と生徒の関係でもある。

 

「おい、勘違いをさせるようなこと...いや、だから違う....っておい? ....切りやがった」

 

勝った!!

 

「まじかよ...後で説明すんの面倒くせぇ....」

 

む、先輩は香水の持ち主さんの誤解をとこうとしている。

やっぱり先輩の大切な人なのかな......

いや、気持ちで負けちゃだめだ!!

 

「小町めちゃくちゃはしゃいでたからなぁ....」

 

「大丈夫です、先輩には私が....へ? 小町ちゃん?」

 

「あいつ、俺のこういう話に目がないからな.....あぁそうだ、小町が昨日遊びに来たときに香水を忘れていったらしいんだが、見かけなかったか?」

 

「........これですか?」

 

「おぉ、それだ。探す手間が省けたわ。ありがとな。」

 

「..............いえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恥ずかしいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!

私、何一人で勘違いして一人で悩んで一人で暴走してんの!?

 

ここからは女の戦いだ(キリッ

 

相手は小町ちゃんなのに女の戦いって......

顔が熱い.......

でも.....

 

 

 

「....よかった」

 

「ん? 何か言ったか?」

 

「いえいえ!! 何も言ってませんよ?」

 

「...お前急に元気になってないか?」

 

「気のせいですよ!!」

 

「いや、でも.....まあいいか。夕飯できてるが、どうする?」

 

「うーん、起きたばかりですし、もう少し後でもいいですか?」

 

「はいよ」

 

それから私と先輩は夕飯まで一緒にテレビを見たりお話をしたりして時間を潰したのだった。

 

 




嫉妬するいろはすを書こうとしたらすごいことに....

この話の八幡視点めちゃくちゃ書きたいですw
いろはからは見えない八幡のことがどんどん頭にうかんでくるんですw


作品を作るにあたって、自分は恥ずかしかったので知り合いには一切教えてなかったんですけど、いろいろあって知り合い (しかも年下の女の子) がこの作品を読むことになりました。
何この羞恥プレイ?
恥ずかしさで死にそうなんですけど?


次回の更新の目標は10月8日ですが、テストが近いので現実を見ると10月12日ぐらいになりそうです....
テストが終わったら更新ペースを戻します!!



~同人サークルの宣伝&募集~

メンバーの募集は打ち切らせてもらいましたm(__)m

「やはり俺と彼女は青春を間違い続ける。」の作者の冬奈水沙さんに同人サークルに誘われて、参加することになりました!!

メンバーは
「後輩の俺と先輩の私」の作者の大和天さん
「死神のIS」の作者の亜月さん
を含む12人です!!

目標としては、皆で楽しく仲良く活動しながらノベルゲーム等を作成し、数年後にコミケ出展を目指すといった感じです(´∀`)

応援よろしくお願いします!!



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14

お待たせしました!!
これにて八幡の家編は終わりです!!

読者の方から、「更新に気がついて最新話を見に行っても、一番下にあるのが番外編だからそっちに飛んでしまう。本編と番外編の位置を入れかえたらよくなると思う」という意見を貰ったので、入れかえてみました!!
どっちの方がいいですかね?
個人的な都合で申し訳ないのですが、本編は本編、番外編は番外編と分けたいので本編の合間に番外編を投稿した順にいれるというのはしないと思います。


八幡の通っている大学は原作通りにいくと私立のはずなんですが、この話だと国立になっていますm(__)m
狙ってやったんじゃなくて素で間違えてたんですが、初期から国立大と言ってしまっていたんでそのまま国立大でいこうと思います!!

ママハスガカキタイ





香水騒動から少し経ち、私と先輩は二人でテレビを見ていた。

こうして二人きりでまったりとテレビを見ていると、何だか恋人になったみたいで心が満たされる。

 

テレビでは動物番組がやっていて、今は子猫がたくさん出ている。

........か、かわいい!!

 

「先輩!! 子猫ちゃんとってもかわいくないですかっ!!」

 

「....まあそうだな。」

 

先輩は素っ気なく振る舞っているけど、さっきからチラチラと横目で子猫をみては口元がゆるんでいる。

男の人って素直にこういうのを可愛いっていうのは恥ずかしいのかな?

 

それからしばらくして、番組が終わってしまった。

途中から見はじめ、最後の10分くらいしか見れなかった。

 

うーん、まだ夕飯には早いしどうしようかな?

 

私がこのあとのことについて考えていると、先輩が話しかけてきた。

 

「....もしよかったら勉強するか? 見てやるけど...」

 

「...ほぇ?」

 

先輩から予想もしていなかったことを提案され、びっくりして変な声が出てしまった。

 

「えっと、私的にはとってもありがたいんですけど、今日の授業は終わってますしさすがに先輩に申し訳ないです。」

 

「いや、やらないんだったらそれでもいいんだけどな....もしやりたいんだった遠慮すんな。家庭教師とか授業とか関係なく先輩として見てやるよ。」

 

.....誰?

いや、先輩なんだけどそれはわかってるんだけど....

私の知ってる先輩は自分からこういうことを提案してこないはずだ。

 

先輩はまっすぐとこっちを見てそう言った。

その表情はとても真剣なもので、私はドキドキしてきた。

 

「....本当ですか?」

 

「おう」

 

ちょっ、そんなに真剣な顔でまっすぐと見られると顔が熱く...

 

「一色? どうかしたか?」

 

恥ずかしさとドキドキのあまり俯いた私に先輩が声をかけてくる。

 

「...何でもありません。その...じゃあお言葉に甘えて勉強を見てもらってもいいですか?」

 

まだ顔がほてっていて正面から先輩を見れなさそうだから上目で先輩を見る。

 

「...っ!! あ、ああ、いいぞ......あとそのあざとい上目遣いやめろ....」

 

「へ?あざとい...? えっと、素なんですけど....」

 

「は?」

 

「え?」

 

沈黙が訪れた。

お互い固まって何を話したらいいか分からなくなっている。

 

「...ど、どの科目を見てもらいたいんだ?」

 

「へ? あ、あぁ、えっと....これです。」

 

また変な雰囲気になりかけたけど、先輩が何とかそれを防いだ。

私は持ってきたバッグの中から数学の教材を取り出して先輩に渡す。

 

「......すまんが数学はわからん」

 

「え?でも先輩国立大に通ってますよね?」

 

私立と違い国立大学は大学によっても様々だが、基本的には国数英の3科目は必要のはずだ。

 

「....受験前に他の科目でカバーできるぐらいまで死ぬ気で詰め込んだんだよ。受かったら全部忘れた。」

 

「何ですかそれ...」

 

「そういうわ訳だから、俺は理数系はほとんどできん。見るなら文系科目がいいんだが...」

 

私はどちらかといえば理系だったから、数学や化学はそれなりにできる。

だから、家庭教師を頼むときに「英、国などの文系科目を教えてもらいたい」とお願いしていた。

もしそこで理系科目も教えてほしいと頼んでいたら、こうして先輩と再会できていなかったかもしれない。

あのときの私ナイス!!

 

「しょうがないですねー、じゃあ古典を見てください!!」

 

「よし、任せろ」

 

「はい!!」

 

私は返事をすると、勉強道具を持って先輩の向かいから隣へと移動する。

 

「.....何でこっち来たの?」

 

「いいじゃないですかー!! こっちの方が近くて見やすいと思いますよ?」

 

「近いのが問題なんだが.....はぁ、まあいいか。......いや、よくないな、さすがに近すぎませんかね?」

 

私は座布団を先輩の座布団と隙間なくぴったりと合わせそこに座った。

 

「まあまあ、近い方が見やすいですよ!!」

 

「それにしてもこれは近すぎるだろ....。そういうことをするから、世の中に勘違いをして黒歴史を作っちゃう男がたくさんいるんだよ。」

 

そんなにたくさんはいないと思うんだけど....

それにしても、やけに感情こもってたけどもしかしてそれって先輩の体験談かな?

 

そこでふと、高校一年生のときにやったバレンタインのイベントのことを思い出した。

あのときから先輩に惹かれ始めてて....じゃなくて、それは今はいいんだ。

あのときに海浜の生徒で先輩と知り合いの女の子がいたはずだ。

名前は.....折本だっけ?

そして、その人と話すときの先輩はどこか気まずそうにしていた。

もしかして先輩が勘違いしたのって.....

 

一度は治まったドロドロとした感情がまた沸き上がってくる。

違うところは、さっきは悲しくなってきて泣いちゃったけど、今回はそういう感じじゃない。

嫉妬だ。

先輩が他の女の子が好きだったと知っただけで、終わったことだとしても何とも言えないモヤモヤとした感情が胸を締め付ける。

 

先輩には私だけを見てほしい..........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....こんなことをするのは、先輩だけですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がついたらそんなことを言っていた。

無意識に先輩の袖を軽く摘まんで引っ張っていた。

 

「なっ....」

 

先輩の目が驚きで見開かれた。

 

距離はお互いの息遣いをはっきりと感じられるくらい近い。

 

「おまっ....何言って.... 」

 

頭がボーッとしている。

先輩の息と自分の鼓動の音だけがはっきりと聞こえる。

 

「嘘じゃ...ないです.....」

 

徐々に顔の距離が近くなる。

先輩は金縛りにあったかのように固まっていて動かない。

 

そして.................

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガチャッ』

 

 

隣の部屋の玄関が開かれた音がした。

普段だったら別になんとも思わないような小さな音だけど、静まり返っているこの空間ではやけにはっきりと響いた。

 

そして、その音を聞いた瞬間に麻痺していた理性が戻ってきた。

私は何をしているの?

 

「..........っ!!!」バッ

 

急いで先輩から離れる。

今私は何をやろうと.........

 

「ど、どうですか今の!! これならどんな男の人でも落とせますよね!?」

 

「...ぇ? あ、あぁそうだよなそういうことだよな......はぁぁぁ」

 

先輩は上を見上げて大きく息を吐いた。

そして、握り拳を作ると、コツンと軽く私の頭に当てた。

 

「いいか、からかうぐらいならいいがさっきのはやりすぎだ。そういうのは本当に好きな人にしかやるんじゃないぞ?」

 

「ぇ? え、えっと....」

 

そのあまりに真剣な口調に私はたじたじになっていた。

やりすぎというのは、多分顔が近づいていったことだろう。

 

「いいな?」

 

「は、はい....」

 

勉強をやるかと提案してきたときとは比べ物にならないほどの、怖いくらい真剣な表情に私は目がそらせなくなっていた。

実際には数秒なのだろうけど、何時間とも思える時間先輩と目を合わせていた。

 

「はぁぁぁぁ」

 

先輩はもう一度大きく息を吐いて私から目をそらした。

そして、私の頭に当たっていた握り拳を開くと優しく私の頭を撫で始めた。

 

「ならいい」

 

その優しい声と撫で方に、私は何だか泣きそうになった。

 

「....ごめんなさい」

 

「謝んじゃねぇよ、次から気を付てくれればいい。....えっと、古典をやるんだったな」

 

「あの...先輩?」

 

「なんだ?」

 

「...その、気持ちが落ち着くまで撫でてもらってていいですか?」

 

「.....まあそれくらいなら」

 

それから私は落ち着くまで先輩に撫でてもらった。

 

 

※ ※ ※

 

 

あのあと古典を一時間ぐらい先輩に見てもらい、ちょうどいい時間になったから夕飯を準備しだした。

その準備のときに、私が手伝うか手伝わないかで一悶着あったんだけど、先輩に

 

「一色の家で夕飯をご馳走してもらうときに俺は座ってるだけだからな。自分の家の時ぐらいはやらせてくれ。」

 

と言われて私は手伝うのを諦めた。

 

先輩はキッチンからどんどんとコップやお皿を持ってくる。

その姿は専業主夫そのもので、将来こういう生活をするのも悪くないかなって思ってしまった。

まあ働いてもらうけどね。

.....その前にそういう関係になれるかわからないけど。

 

 

そうして先輩の手で手際よく夕飯が準備された。

 

「「いただきます(まーす!!)」」

 

メニューはカレーだ。

特別な味付けとかはされていない、ごく普通のカレーだったけど私にとっては今まで食べたどんなカレーよりも美味しいと思った。

 

「おいしいです!!」

 

「ルーの箱に書いてあった通りに作っただけだけどな。」

 

「それでも美味しいんです!!」

 

「....そりゃどうも」

 

先輩は恥ずかしそうに頬をかいている。

 

「先輩!!」

 

「なんだ?」

 

「今日はありがとうございました!!」

 

「.....おう」

 

 

※ ※ ※

 

 

夕飯を食べ終わった私は先輩に送られながら駅まで歩いた。

道中会話は少なかったけど気まずいとかそういうのではなくて、こうやって一緒に歩くのが自然な感じがして、それが心地よかった。

 

そして駅の改札の前で先輩と向き合う。

 

「とっても楽しかったです!! ありがとうございました!!」

 

「...まあ俺も悪くなかったよ。」

 

改札を通ると先輩とさよならしなくてはいけない。

......ずっと一緒にいたいな。

そう思っても帰りを引き延ばすいい案があるわけでもない。

 

私は寂しい気持ちになりながらも、ゆっくりと先輩に背を向けて改札へ歩き出す。

 

「....一色」

 

そこで先輩が声をかけてきた。

私は半身で振りかえる。

 

「何ですか?」

 

「あー、いや、そのな...」

 

先輩はそれからしばらくどもっていた。

そして

 

「.......いつかまた来いよ」

 

「.....へ? い、いいんですか?」

 

「.......そんなに頻繁に来られたら困るが、まあたまにならな。」

 

予想外の一言に、私は混乱していた。

しかし、徐々に頭の中が整理できて、それと同時に嬉しさが沸き上がってきた。

 

「はい!! また今度おじゃましますねっ!!」

 

「.......おう」

 

そのときの私の笑顔は、今までの中で一番いいものだった。

 

「では先輩、さよならでーす!!」

 

「ああ、またな」

 

さっきとは違い軽い足取りで改札へ歩く。

そして、改札を通りホームへ向かう。

後ろを確認して見たら、先輩は私が見えなくなるまでずっと改札の向こうから私を見ていてくれた。

 

 




前半に力を入れすぎて後半がキツキツになってしまったw
気分屋なので、今回の前半のように書きたいところを書き終わっちゃうと満足してしまい、そのあとがどうしても短くなってしまうんですよね(-_-;)


「子猫ちゃんかわいくないですかっ!!」
のところは自分の頭の中でとあるアニメのヒロインが紐を引っ張ると温かくなる駅弁を手にして言った
「すっごくないですかっ!!」
と同じトーンで再生されますw


来週からテストが始まり、金曜日に終わるので次の投稿はいつになるかわかりませんm(__)m

そして次の話からはパパはすを登場させようと思っています!!




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15

大変長らくお待たせしました.....

リアルの方が落ち着いたんで投稿を再開します!!


「ただいm 「お帰り!!!」....何どうしたの?」

 

先輩の家から帰ってきて玄関を開けると、顔をキラキラとさせたお母さんがリビングから陸上選手も驚きの速さで駆けつけてきた。

 

「ねぇどうだった!! どうだったの!!! ねぇねぇねぇ!!!」

 

ピョンピョンと跳ねながら先輩の家でのことを聞いてくる姿は、まるでお父さんにプレゼントをねだる幼い少女のようだ。

その歳でそういうのをやるのは見苦しいかと思ったけど、お母さんがやるとどこも違和感がない。

むしろ似合っているのだから驚きを通り越してもはや呆れてしまう。

 

「えっと、特に何もなk 「どこまでいったの!!」...話聞いてる!? というかどこまでって何が!?」

 

「まったくもう、いろはちゃんも分かってるくせに~。どこまでっていうのはね...」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ言わなくていい分かってるから!! そしてそういうのは何もないから!!」

 

「えー、つまんなーい。でも何もなかったなんてことはないよね?」

 

そう言いながらお母さんは好奇心たっぷりの顔を近付けてくる。

 

「いや、まあ.....何もなかったなんてことは.......ないかなぁ?」

 

何で私ってこういうことを素直に言っちゃうんだろう...

お母さん、そして遥と綾音には何故か話してしまう。

というか言わなくてもバレる。

 

「おぉ!! おぉ!!!」

 

お母さんはテンションがどんどん上がってまたピョンピョンしだした。

家用のラフでひらひらとした服を着ているからおへそがチラチラと見える。

.....何でこんなに綺麗なお腹なの?

だ、大丈夫だよね?

負けてないよね?

.....明日から甘いものを控えよう。

 

自分のお腹を触りながら真剣に悩んでいると、リビングの方から声がした。

 

「楓? 急に飛び出してどうしたんだ? あぁいろは、お帰り。」

 

声がした方を向くと、お父さんがリビングから顔を出してこちらを見ていた。

 

「ただいまー!!」

 

私が笑顔でそう言うと途端にデレッとした顔になる。

うん、扱いやすくて助かる。

 

「蓮司さん、今いいところだからあっちいっててもらえるかしら?」

 

「え?」

 

冷たっ!?

冷た過ぎるよお母さん!?

せめてお父さんの方を見て言ってあげて...

お父さん凄く困惑してるじゃん.....

 

「いや、でも...」

 

「あっちいっててもらえるかしら?」

 

「...はい」

 

あぁ、お父さんが悲しそうな顔をしながらリビングに戻っちゃった....

というか私まだ靴も脱いでないや。

 

「さて、じゃあ何があったか詳しく教えてもらおうかなっ!!」

 

「え、えーっと、その前にお風呂で汗を流してきてもいいかな?」

 

「だめです」

 

「え!?」

 

「冗談よ。○○してもいいかって聞かれると無性にだめって言いたくならない?」

 

「ならないから....」

 

もう何回目になるかわからないけど、子供かこの人は....

 

「うーん、でもこの話は蓮司さんがいないところでしたいのよね.........一緒にお風呂入る?」

 

「はいりません!!」

 

 

※ ※ ※

 

 

お風呂は最高だ。

一日の疲れが全て吹き飛んでいく。

何時間も勉強をしたあとに入るお風呂なんて気持ちよすぎてそのまま寝てしまいそうになるくらいだ。

 

でも、今日のお風呂はリラックスできそうにない。

 

「いやー、いろはもこんなに大きくなっちゃって!!」

 

「ちょっ、撫でないで!! 子供じゃないんだから....」

どうしてこうなったんだろう.....

あの後お風呂に入る準備をして脱衣場にはいったらお母さんがスタンバイしていた。

最初は断ったんだけど、駄々をコネだしたからもう諦めた。

駄々をコネる大人ってどうなの.....

しかも全く違和感なかったし.....

 

「ふーん、私には撫でられたくないのかー。比企谷君に撫でられてた時はすっごく幸せそうにしてたのにねー」ニヤニヤ

 

「なっ!?」

 

そ、そうだった!?

この人には前に先輩に撫でてもらってるところを見られてたんだった!?

 

「いや、えっと、あれはその.....」

 

「ふふっ、どうせ今日も撫でてもらったんでしょ?」

 

「うぇえ!?!?」

 

「.....ここまで分かりやすいとなんか心配になってくるわね」

 

「....ブクブク」

 

私は恥ずかしくなって顔を半分湯船に沈めた。

 

「あぁ、もう!! こんなに可愛く育っちゃって!!」

 

そう言うとまた私の頭を撫でてくる。

 

「.....ブクブク (やめて)」

 

「いろはが今日のこと話してくれるまでやめませんー」

 

....うぅ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから今日あったことを全てお母さんに話した。

いくつか隠そうとしたこともあったけど、全てお母さんに聞き出されてしまった。

 

そしてお母さんはというと.....

 

「........ぷっ、あははははははは」

 

大爆笑している。

私はもう恥ずかしくて目ギリギリまで湯船に沈んでいる。

 

「勘違いで比企谷君の妹に勝負を挑むって...ふふふ、何やってんだか!!」

 

「それはもう言わないで.....自分でも恥ずかしいんだから......」

 

あぁ、思い出せば出すほどあのときの自分が恥ずかしい.....

 

「でも、比企谷君がいろはの行動に対して説教をしてくれたのは、いろはのことを大切に想ってくれてるからだと思うわよ?」

 

「.....そうかな? もしそうだとしても、どちらかといえ言えば兄とか父親的な感じの気持ちだと思うけど....」

 

「最初はそれでもいいのよ。いまから言うことをよく聞いておきなさい。」

 

お母さんが真剣な表情で私を見つめてくる。

 

「う、うん」

 

「最初は兄が妹に抱くような感情でもいいのよ。ましてや、いろはと比企谷君は一つしか歳が離れてないんだからね。今は比企谷との時間を大切にしなさい。どんどん自分をアピールして比企谷君の中でどんな形でもいいから大切な存在になるの。二人でいる時間を大切に思わせることが出来たらベストね。そして、勝負をかけるのは......」

 

 

※ ※ ※

 

 

お風呂からあがってリビングに行くとお父さんが一人で寂しそうにテレビを見ていた。

完全に一人だけ蚊帳の外だったもんね.....

 

「お父さんお風呂あいたよー」

 

「......あぁ」

 

あー、これは完全に拗ねてますわ。

しょうがないなー

 

「お父さん、お金くれてありがとっ!! おかげですっごく楽しかったよ!!」

 

私はお父さんの正面に回り込んで満面の笑顔でそう言うと、

 

「おぉ、そうかそうか!! 最近いろはは頑張ってるからな!! お父さんはそういう些細なことしかできないが、いろはの為になれたなら嬉しいよ!!」

 

デレッデレとした顔になった。

うーん、結婚する前はお母さんにいいように扱われてたのが目に見えて分かる.....

いや、今もいいように扱われてるか。

 

「じゃあ私は部屋に戻って単語を覚えてくるねー」

 

「あぁ、いってらっしゃい。いろはは本当に偉いなぁ...」

 

「えへへへ」

 

お父さんも元気になったことだし、言った通り単語でも覚えようかな?

 

「おっと、その前に....」

 

私は携帯を取り出して待受を今日カフェで撮ってもらった先輩と私のツーショット写真に変える。

そこには私に抱きつかれてオロオロと周りを気にしている先輩と、抱きつきながら少し恥ずかしそうに目を伏せている私が写っていた。

......だめだニヤニヤしてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「廊下の真ん中で何やってるのかと思ったけどなるほどなるほど、これがお風呂で言ってた例の写真ですかー」ニヤニヤ

 

「うわ!? お母さん!?」

 

お母さんが後ろから私の携帯を覗きこんでいた。

 

「いやー、青春してるねー」

 

「もう、からかわないで!!」

 

「まあまあそうプリプリしなさんなって。ふふっ、今を大切にしなよ?」

 

「....うん」

 

お母さんは掴み所がなくて私がいくら怒ってもいつも流されてしまう。

我母ながら不思議な人だなぁ....

 

「明日学校あるんだしあんまり起きてちゃだめよ。勉強するならほどほどにね。」

 

「はーい」

 

「わかってるならよろしい!! じゃあおやすみー」

 

そう言うとお母さんは寝室に歩いていった。

 

 

 

 

私は部屋に戻って単語帳を開く。

しかし、先輩の家での出来事や、お風呂でお母さんが言ってたことを思い出してしまって集中ができない。

こういうときはもう何をしても集中できなくて時間がもったいないだけだからまだ早いけど寝ることにしようかな?

 

電気を消してベッドに入る。

そのときに無意識にベッドを叩いてしまう。

先輩のベッドで一回寝ただけなのに叩く癖がついている私が何だか可笑しくて笑ってしまった。

 

先輩の匂いが広がってこないことを寂しく感じながら私はゆっくりと目を閉じた。

 

 




ママはすきたぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!
ママはすかわいいよママはす(*´∇`*)
というか今回もうほとんどママはすとの会話ですねw
あぁ^~ママはすがぴょんぴょんするんじゃ^~

ついにパパはす登場です!!
パパはすと八幡の初対面の話は何となく考えてあるのですが、まだ細かく作ってないのにニヤニヤしちゃいますw

そして、皆さんにつけてもらったママはす&パパはすの名前も初登場です!!
素敵な名前をありがとうございました(´∀`)

次の投稿は21日か22日です!!
更新ペースを二、三日ペースに戻します!!

ではでは、感想をお待ちしています(^-^ゞ


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16

遅れてごめんなさい!!

キリの良いところで切ったら今回はちょっと短くなってしまいました。


先輩の家に行った翌日、いつも通り早く登校して勉強をしていた。

昨日先輩に教えてもらったところの復習をしているのだが、どうしても昨日の出来事を思い出してしまい、頬がゆるむ。

だめだだめだ、我慢しないと!!

こんな顔を他の人に見られるわけにはいけない。

 

そうしてしばらく勉強していると、綾音と遥が登校してきて、一直線に私の元にくると私に顔を近づけて見つめてきた。

 

「お、おはよー。二人ともどうしたの...?」

 

「うーん、どう思います綾音さん?」

 

あ、この口調は.....

 

「嬉しいことがあってそれが顔にでちゃうのを必死に我慢してるように見えるわ遥さん。」

 

ばれてる!?

 

「そ、そんなことないよー」

 

「「ダウト」」

 

この二人には勝てる気がしません。

 

「これはお昼休みの『例の時間』が楽しみですな綾音さん。」

 

「えぇそうね、『例の時間』がとっても楽しみだわ遥さん。」

 

あぁ、また今日も全部はかされちゃうんだろうなぁ....

 

 

※ ※ ※

 

午前の授業が終わるチャイムがなり、日直が号令をかける。

そして号令が終わった瞬間に私は『例の時間』から逃げるために素早く、そして静かに教室から脱出する。

よし、完ぺk

 

『ドン』

 

「あ、ごめんなさい」

 

いけない、誰かにぶつかってしまった。

でも今は時間がないから、申し訳ないけど一言謝ったし行かせてもらおう。

 

私はぶつかった人の横を通りすぎようとした。

だが、その人は私の手をがっちりと掴んできた。

 

「そんなに急いでどこにいくの、いろは?」

 

「...へ?」

 

そ、そんなはずはない....

だって、あの二人の席は私よりもドアから遠いはず....

 

恐る恐る顔をあげると

 

「お昼ご飯食べに行こっか!!」

 

すっごくいい笑顔をした綾音がいた。

 

「なんで!? なんで私よりも早く廊下にいるの!?」

 

「まあまあ、細かいことは気にしないでレッツゴー!!」

 

楽しそうに笑いながら私の手を掴んでいない方の手を「オー」と掲げて綾音は歩きだす。

すっごくかわいいんだけど、それ完全に私たち三人でいるときのテンションだよね?

あんまりそういうところを見られたくないみたいだから教室では大人しくしてるみたいだけど、ここ教室の前だよ?

あ、何人かの男子がこっちガン見してるし。

これは落ちたな....

 

「いろはー、綾音ー、お昼ご飯食べに行こー.....ってあれ? 二人は?」

 

遥はいつも通りで安心したよ。

 

 

 

 

 

 

遥も連れて、私たちはいつもの場所にたどり着いた。

 

「さあさあいろはここに座って!!」

 

「う、うん」

 

遥かが私の座る場所を用意するが、そこは教室と反対側で、教室に戻るには二人の横を通らなければならない。

この場所って完全に私が逃げられないようにしてるよね?

 

「まあいきなりっていうのもあれだから、まずはお弁当食べましょうか!!」

 

綾音のその一声で私たちは持ってきたお弁当を広げる。

そして、他愛のないことを話ながら時間は過ぎていく。

 

 

 

数分後お弁当の中身が減ってきた頃、綾音と遥が明らかに何かアイコンタクトをとっていた。

あぁ、とうとうくるか....

私は覚悟を決めた。

 

「いい、綾音いくよ?」

 

「えぇ」

 

「「せーの」」

 

よしこい....!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お楽しみタイムだ!!ってえぇぇぇぇええ!?!? 綾音なんで!? なんで言わないの!?」

 

「いやー、これって端から見たら私たちかなり恥ずかしいことを叫んでるなぁって」

 

「大丈夫だよ誰も周りにいないよ!?」

 

「あはははは、いやー、最近いろはばかりからかってたけど遥もやっぱりいい反応するねー」

 

「くっ、このドS女め....」

 

あのー、私結構覚悟決めて待ってたんですけど.....

何をやってるんだこの二人は....

 

「さてさて、久々に遥のいい反応も見れたところでもう一回やりますか!!」

 

「ねぇ、今度はちゃんとやるよね? また私だけとか無いよね?」

 

「大丈夫大丈夫、ちゃんとやるから。」

 

「おっけーおっけー、じゃあ....」

 

「あ、もし遥がやらなかったら遥の趣味を皆にばらすからね?」

 

「.......そ、そんなこと考えてるわけ無いじゃないですかイヤダナー。」

 

遥の趣味というのは別に変なものではなく、可愛らしいぬいぐるみが大好きだということだ。

遥の部屋にはたくさんのぬいぐるみが綺麗に置いてあって、どこかのテーマパークみたいになっている。

私は別に他の人に知られてもいいと思うんだけど、遥は天真爛漫で少しだけ男勝りなところがあるから、そういうのが好きだと知られたくないみたいだ。

 

「ならよし。じゃあいくよー、せーのっ」

 

「「お楽しみタイムだっ!!」」

 

あぁ、ついにこの時間がきてしまったかぁ....

 

「私はもう覚悟を決めたからなんでも聞いて.....」

 

「お、いろはが隠すことを諦めましたよ綾音さん」

 

「うーん、それもそれでちょっとずつ崩していく楽しみが無くなっちゃうけどまあいいでしょう」

 

うっわドSだぁ....

綾音はおしとやかに見えてこういうところがあるからなぁ....

 

「で、で、どこまでいった!! キスとかしたの!!」

 

「っ!? ガハッゴホッ!?!?」

「まあまあ落ち着きなさいな遥さん。いろはもびっくりしてるじゃない。まだ時間はたっぷりあるんだし、最初からゆっくりと聞かせてもらいましょう。」

 

「あー、それもそうかー」

 

綾音はもはやプロの領域に達している....

 

「じゃあまずは比企谷先輩の家につく前のことであったことを教えてもらいましょうか」ニッコリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから私は洗いざらい全て話した。

カフェでの出来事から香水騒動、そして二回目の勉強の前の出来事まで隠さずに話した。

二人はその間「おぉ」っと声をあげたり笑ったり爆笑したり爆笑していた。

 

「....なんというか」

 

「.......うーんと」

 

「「いろはってアホの子?」」

 

「うるさい!! 昨日お母さんにも笑われたんだからもうそこには触れないで....」

 

「あはははは、いろは顔真っ赤にしちゃってかわいいやつよのー 」

 

うりうりと遥が私のほっぺを弄ってくる。

 

「いやー、でも香水一つ置いてあっただけで嫉妬しちゃうなんて、いろはは本当に比企谷先輩のことが好きなんだねー。私も比企谷先輩と知り合いになってればよかったかなー? 」

 

「だ、だめ!!」

 

とっさに声が出てしまった。

綾音は突然大声をあげた私をキョトンとした顔で見ている。

それからくすくすと笑いだした。

 

「ふふっ、大丈夫だよいろは、比企谷先輩はとったりしないから!!」

 

「べ、別にそんなんじゃないもん....」

 

「「ガハッ!?」」

 

あれ、二人が俯いてぷるぷるとしだした。

何かこういうこと前にもあったような.....

 

「......ねぇ、綾音さん?」

 

「言いたいことはよーくわかってるわよ遥さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょぉーっとこの子やっぱりかわいすぎませんかねぇ!? 私もうお持ち帰りしてぬいぐるみと一緒に並べたいんですけど!?」

 

「だめよ、いろはは私が貰うんだから!!」

 

そう言うと二人して私に飛びかかってきた。

 

あぁ、やっぱりこうなるのね.....

私はどこか諦めたような冷静な気持ちで二人にもみくちゃにされたのだった。

 

 

 

「ひゃっ!? ちょっ、遥どこ触って....もう!!」

 

結局冷静ではいられないのだった。

 

 

 




【家庭教師一日目が終了した後の一色家の会話】

「ただいまー」

「あら蓮司さん、おかえりなさい」

「おぉ、楓か。今日だよな、いろはの家庭教師が始まるの?」

「えぇ、そうよ。とってもいい人だったわ」

「ほう、どんな感じの人だ?」

「うーん、そうねぇ.....比企谷さんっていうんだけど、(からかうと反応が)可愛らしくて教え上手なとってもいい子よ!! いろはも気に入ったみたい!!(元々だけどね) 」

「そうかそうか!! それなら安心していろはを任せられるな。じゃあお風呂にはいってくるよ」

「はーい、いってらっしゃーい」

______________________________________________________________________________________


ママはすの戦略によって女の子が家庭教師だと思い込むパパはすでした(^-^)



ふとお思い付いて、「一色いろはと家庭教師」でググってみましたw
そしたらなんと、ブログで紹介してくださっている方がいてめちゃくちゃ驚きましたw
ニヤニヤしながら10回ほど読ませてもらいました(´∀`)


いつもたくさんの感想をありがとうございます!!
常連の方々もいて、本当に励みになります(´∀`)
新しい方々の感想もとっても楽しく読ませてもらっています!!
感想があるとそれだけで頑張る気力がわいてくるので、じゃんじゃんくれると嬉しいです(´∀`)


前回と今回は八色の絡みはありませんでしたが、次の本編からはどんどん入れていきます!!
なぜこんな言い方をするかというと、本編書くのに少し疲れたので息抜きに番外編の方をすすめようかと考えているからです(´∀`)
こういうときに本編を書いてもいいのが出来そうにないんですw

次回は本編と番外編のどちらになるかわかりませんが、番外編になったらオリキャラ視点でいこうと考えているのでお楽しみに!!

そしてその次回は2日後か3日後です!!






【サークル活動の近況報告】

自分が所属することになったサークル、「re:connecting」の活動は順調にすすんでいて、ノベルゲームを作成することになりました!!
このサークル名には、「自分達は趣味で繋がったメンバーであり、これからもどんどんと人との繋がりをひろげていきたい」という意味が込められています!!
企画書ももう出来上がっていて、その企画書の本格差に驚きを隠せませんでしたw
最初は無料のノベルゲームを作るみたいなので、完成して暇があればぜひやっていただけると嬉しいです(´∀`)

あ、ちなみに自分はシナリオを少しやることになるのかな?


re:connectingのツイッターはこちら↓
https://twitter.com/reconeing?s=06

IDは@reconeingです!!

まだ始動しはじめたばかりのサークルですが、よろしくお願いしますm(__)m


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17 New

⚠二日前に番外編を投稿したので、まだ読んでないかたはそちらを先に読むことをお勧めします(^-^ゞ


午後の授業は眠気との戦いだった。

例の時間で体力を消耗したからか、とてつもなく眠かった。

遥なんか机に突っ伏して爆睡してたしね。

 

 

そして放課後、遥は塾に行き、私は綾音と二人で駅まで歩いた。

駅で綾音と別れてホームで電車を待っていると、後ろから声をかけられた。

 

「あ、あの!!!」

 

「へ?」

 

なんかすっごい裏返ったような声で驚いた。

振り向くと、総武高の近くにある私立高校の制服を着た男子生徒が立っていた。

背は私と同じくらいで、可愛らしい顔立ちをした男の子だ。

 

「こ、これ.....」

 

そういって男の子が差し出したのは私の生徒手帳だった。

 

「さ、さっき、かかか、鞄から落ちてました!!」

 

なんかすっごく緊張してるけど大丈夫かな?

 

「ありゃりゃ、気を付けないと。ありがとね!!」

「ハグァ!?」

 

だ、大丈夫かな....?

 

同級生以下の男の子に可愛く見せるために敬語を使わないのはもはや癖だ。

敬語を使うと親しみにくく感じちゃうからね。

相手が年上だとまた別だけど。

 

でも先輩以外の人と付き合うつもりはないのに周りの男子から好かれるようなことをするのは自分でもどうかと思う。

思うんだけど、これはもう癖みたいなものだし、急にこういうことを止めると先輩に何か言われそうだし....

でもでも、こういうことをしてるから先輩はいつまでも気がついてくれないんだよなぁ....

でもでもでも............キリがないからこれくらいにしておこう。

 

意識を私の前でガチガチに固まっている男の子に戻す。

 

「.....ん?」

 

あれ、この子どこかで.....

 

「えっと....いきなりで悪いんだけど、君の名前を教えてもらってもいいかな?」

 

「うぇえ!?!?」

 

この子と話すと一々反応があって面白いな...

 

「そ、その、えっと....か、神田晴斗と申します!! 」

 

「晴斗くんかぁ....あ、私は一色いろはって言うの!! よろしくね!!」

 

名前呼びもあざとく見せる癖だ。

 

「ひゃ、ひゃい!!」

 

神田晴斗.....聞き覚えはないなぁ

となると顔だけどこかで見たことがあるとかかな?

でも道を歩いてる人の顔なんて一々覚えてないから、見覚えがあるってことはどこかで会話をしたことがあると思うんだけど.....

もう少しだけ詳しい質問をしてみようかな?

 

「えっと、私ってもしかして晴斗くんとどこかで会ったことない?」

 

「!?!? へ? いや、うぇ!?」

 

な、なんかめちゃくちゃ動揺してる....

この子が動揺してる姿ってなんか小動物みたいで可愛らしいな。

 

晴斗くんはそれからしばらくオロオロしていたけど、突然何かに思い当たった顔をした。

 

「あ、き、昨日アパートで....」

 

「アパート?」

 

昨日行ったアパートって言ったら先輩のアパートだ。

.....ん?

 

「あ、205号室の人!!」

 

そうだ!!

先輩の部屋の前で待っているときに隣の部屋から出てきた男の子だ!!

 

「そ、そうです!! 205号室の人です!」

 

「...ふふ、自分で205号室の人って言うのなんかおかしいよ?」

 

「えぇ!? えっと、その、、、」

 

「ふふ、そんなに緊張しないでもいいよ」

 

「は、はい....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはチャンスだ(ニヤリ

 

何がチャンスかと言うと、晴斗くんと仲良くなっておけば先輩のことがもっとよく知れるかもしれない。

具体的に言うと、先輩の家に女の子が来ていないかとか、先輩の家に女子が来ていないかとか、先輩の家に女性が来ていないかとかだ。

ライバルは常にチェックしなければいけない。

 

 

というか、晴斗くん可愛いな.....

私の周りにはいないタイプの男子だ。

戸塚先輩も可愛いけど、戸塚先輩は女の子みたいな可愛さで....いや男なんだけどさ、晴斗くんは弟みたいな可愛さがある。

 

そうしている間に電車がホームにやって来て、私たちは電車に乗った。

 

晴斗くんと仲良くなろう計画のため、会話は続行中だ。

 

「晴斗くんって何年生なの?」

 

「え、えっと、一年生です」

 

「おー、どうりで可愛らしいと思ったよ!!」

 

「か、かわっ、えぇ!?!?」

 

「ふふ、ちなみに私は三年生で受験勉強真っ只中です!!」

 

「はぅ!?」

 

びしっと敬礼をしながらそう言うと、晴斗くんは変な声をあげた。

お、面白いよこの子....

 

「あ、あの、その...えっと、」

 

「ん?」

 

晴斗くんが何か私に話そうとしてるけど、もごもごとしていてよくわからない。

.....何だろう、男子がそんなことしても正直キモいだけだと思ってたけど、晴斗くんがやると小動物にしか見えない。

 

「えっと....か、」

 

「か?」

 

「か、カレーって美味しいですよね!!」

 

「へ? あ、うん、美味しいよね。私昨日の夜カレーだったよー」

 

しかも昨日のカレーは先輩作のレアカレーだ。

あぁ、幸せだったなぁ...

 

というか何でこのタイミングでカレー?

そんなに好きなのかな?

 

「ぁ...へ、変なことをいきなり聞いてしまってごめんなさい.....」

 

「あ、いやいや気にしないで!! 晴斗くんって面白いんだね!!」

 

「そ、そんなことないですよ!!」

 

 

 

 

こんな感じで晴斗くんと会話を続けて、私の降りる一つ前の駅に着いた。

晴斗くんは先輩と同じアパートに住んでいるから、ここからもう少し先の駅で乗り換えてそこからさらに30分くらい電車に乗るはずだ。

 

晴斗くんとも大分仲良くなれたし、先輩のことを色々と聞くために連絡先を交換しないと。

 

「ねぇ晴斗くん、LINEを交換しない?」

 

「ぇ? えぇぇぇえええええ!?!?」

 

「だめ....かな....?」

 

必殺上目使い

 

「い、いや、大丈夫です、ぜひお願いしましゅ!!」

 

私たちはスマホを取り出してQRコードを使ってLINEを交換する。

よし、連絡先ゲット!!

 

LINEを交換している間に、電車は私の降りる駅に到着した。

 

「じゃあ私はこの駅だから!!」

 

「あ、はい!! その、さ、さようなら...!!」

 

「うん、ばいばーい!!」

 

電車から降りて振り返り、晴斗くんに手を振る。

それだけで晴斗くんはまたオロオロとしだした。

 

 

改札を抜けて家に向かって歩き出す。

 

晴斗くんと知り合いになれたのは大きいなぁ。

 

私は晴斗くんからそれとなく、先輩の家に女の子が来てないか聞き出す方法を考えながら家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰るとすぐに部屋にこもって勉強を開始した。

最近、ますます先輩と同じ大学に行きたいという思いが強くなってきた。

でも、この間の模試だとD判定だった。

先生は、この時期にE、D判定は当たり前で、現役はこれからどんどん伸びていくと言っていたけど不安なものは不安だ。

....頑張らないと。

 

「おっと、その前に」

 

私はスマホを取り出してLINEを開き、晴斗とのくんのトークを開く。

 

『これからよろしくね(^-^)v』

 

うん、まあこんなもんかな。

 

私はスマホをしまうと、それから夕飯まで勉強を続けた。

 

 

※ ※ ※

 

 

「いろはー、ご飯できたわよー!!」

 

「はーい!!」

 

お母さんに呼ばれて私はキッチンに向かい、準備を手伝う。

 

数分で準備が整い、お母さんと食卓につく。

お父さんは今日も仕事だ。

夕飯までに帰ってくるときもあるんだけど、先輩と鉢合わせたことはまだない。

でも、いつかは鉢合うんだろうなぁ....

どうなるのかな....

まあ今考えてもしょうがないか。

 

「いただきまーす」

 

「はいどーぞー」

 

夕飯を食べながら、お母さんと色々と話をする。

学校のことだったりテレビのことだったりと、話題は様々だ。

 

「そういえばいろは、次の家庭教師って明後日だっけ?」

 

「そうだよー」

 

「....明後日って台風来ないっけ?」

 

「....あ」

 

そういえば朝そんなニュースを見た気がする。

 

「そ、その場合どうなるんだろう....?」

 

「うーん、もしかしたら延期になるかもねー。」

 

「そっか.....」

 

そうなると先輩と会えないのか....

 

「愛しの比企谷先輩と会えなくて残念ねー♪」

 

「なっ...そ、そんなことないもん!!」

 

どうしてお母さんは私の考えてることが分かるのかな....

いや、今のはさすがに分かりやすいか。

 

 

 

 

夕飯を食べ終わって部屋に戻ると、晴斗くんからLINEがきていた。

 

『こちらこそよろしくお願いします!』

 

よしよし、友好な関係が築けそうだ。

 

私はそれに返信をすると、スマホをしまって勉強を開始した。

 




さっそく晴斗くんが本編に登場しました(´∀`)
晴斗くんのヒロイン力が高いw

そして3話連続で八幡が出てこないってこれいかに...?
いろいろと伏線を入れようとしたらこんなことにw
た、たぶん次回出てきます...

八色ssを読んでいると、いろはが八幡を好きになったことで周りの男子にあざとさを振り撒くのを止めるという設定を多く見かけますが、自分の中のいろはすのイメージはやっぱりあざとはすなので、この作品ではそうさせてもらいますm(__)m
八幡を好きになってあざとさを振り撒くのをやめるいろはすも可愛いんですけどね!!
健気な女の子かわゆす(´∀`)

次回は二日後か三日後です!!
お泊まりお泊まり♪
お楽しみに!!


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