魔法と科学の共鳴世界 (杜木 馨)
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科学と魔法 〜二百年前の世界大戦〜


 魔法と科学、あなたは何方を信じますか?






 

 〜古からの言い伝え〜

 

  世界戦争があった

  かの戦争を止めた者は(じゅう)神柱(じんちゅう)を持つ神獣(しんじゅう)の使い手

  かの者は自分の強さに飢え世界を滅ぼしかける

  かの者を鎮める者が現れる

  その者は空を舞う十一(じゅういち)の神柱を持つ神獣の使い手であった

  その者は十の力を九つに分散し

  かの使い手を封印し

  その者は姿を消した

  世界は真の平和へと

 

 かの者を封印した者の子孫現れる

 その者の名は深い龍と名乗る

 

 

 

 ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎

 

 

 

 ――魔法。

  それは伝説やおとぎ話などで語られる物。

  この世界は 魔法 により裏から支えられている。

  なぜならば 魔法 は魔導士のみが行使出来る術だから。

 

 

 ――科学。

  これはこの世界において普遍的な物。

  この世界は 科学 により表から支えられている。

  なぜならば 科学 は誰しもが行使出来る術であるからだ。

 

 

 

 しかし、この世界に、新たな ”力” が誕生する。

 

 

 

  科学 と 魔法 、この二つの力は、本来ならば交わることなどはない。

  だが、この世界は 科学 と 魔法 が交わり、共鳴する世界。

  そして、無限の可能性を秘めた、混沌とした世界である。

  魔法 が 科学 を、 科学 が 魔法 を、共に助け合い、共存して行く、そんな世界。

 

 

 

 だが必ずしも全ての国が、そうと言うわけではないのだ。

 

 

 

  この世界には複数の国や地域が存在し、その国々には人が行き交い、生活し生きている。

  人が多数存在する国となると、そこにはギルドがあり魔導士が存在し、国の軍隊もあれば兵士もまたそこには存在する。

  時代背景的には、君たちが住んでいる時代に近いと言えよう。 

  ――最も、平和な世界であるとは限らないが。  

 

 

 

 これから語られる話は、今から二百年も前の話。

 

 

 

 

 この世界での歴史の転換点である話。

 

 

 

 

 

 ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎

 

 

 

 

 

 〜法暦四百八十九年〜

 

 

 魔法という物が見つかってからおよそ五百年弱、魔法は人々に繁栄を促していた。

 それに準じて魔法に巡り会えない人もまた居た。

 

 

 法暦四百八十九年——この時、世界は第二次世界魔法科学大戦の真っ最中である。

 この戦争が起きたきっかけが発生したのは、魔法が世界に浸透しそれに遅れはあるものの、科学技術も発展していた時の事――。

 

 魔法と科学の発展に伴い、安定的な医療の確立、食料の充実。それに伴い、人口が爆発的に増加。

 その結果、急速な人口増加に伴う食料事情の悪化問題、狭くなった土地の領地問題、エネルギー資源枯渇など、それらの問題を解消する為、幾多地域や国同士の戦争が魔法側を主軸に勃発。

 一部地域起きていた紛争から、やがては世界規模の戦争へと昇華してしまったのだ。

 

 ――なぜ、魔法科学大戦と呼ばれるのか?

 それは、戦い方や国々の文化など、民族間の違いによるものが大きい。

 魔法が著しく発達した国、科学技術が著しく発達した国、魔法と科学が共に発達した国など、多種多彩な国が存在する。

 国々により得意とする能力は違い、その戦術も千差万別。

 これら魔法と科学の力を行使した――魔法と科学兵器などによる戦争なのでそう呼ばれるようになったのだろう。

 

 未来の記録の中でこの大戦は、四度起きている。

 

 

 戦争は、魔法側が優勢であった。

 

 

 

 というのも――。

 

 

 

 〜科学側〜

 

 バババババッッ!

 

 バァンッ!

 

 バァンッ!

 

 歩兵の銃より銃弾が発射され、大砲より放たれる砲弾が各所で飛び交う。

 

「攻撃対象距離500m! 着弾座標入力完了!」

 

「ミサイル発射!」

 

 バシュンッ!!

 

 白い煙を上げ、発射機からミサイルが数発発射され、弧を描き飛翔する。

 

 ドガアアァァン!!

 

それら兵器により、土煙が巻き上げられ、兵士たちの目前にまで砂埃がブワリと迫ってくる。

 

「くっ! リロードする!」

 

 岩陰に隠れ、兵士が銃の弾倉を急いで交換している。

 兵士達の練度は高い。

 武器の扱いに長け、ミサイルや砲弾の着弾点を正確に割り出し、着実に攻撃している。

 

 しかし、これらの光景を垣間見た魔導士は、こう嘲笑うであろう。

 

 

 ――なんとも原始的な戦い方だ――と。

 

 

 

 〜魔法側〜

 

「攻撃用魔法陣エクスプロージョン、展開開始!!」

 

 キュイイン。

 

 魔導師の頭上に、赤い魔法陣が展開される。

 

「標準目標、敵重要拠点」

「展開準備完了しました」

「放て!!」

 

 スンッ。

 赤く丸い魔法陣から、静かに魔力弾が放たれる。

 

「敵のミサイルがくるぞ、防御魔法展開準備!」

 

 緑色をした半透明な障壁が出現し――。

 

 

 ドドドオオオオオンッッ!!

 

 

 魔法障壁にミサイルや砲弾が当たる。

 

 

「隊長!やはり、敵に対して効果があまりありません」

 

 振り向いて叫ぶ科学側の兵士。

 

「……やはりか」

 

 悔しがる隊長。

 戸惑う兵士。

 

 

 ——だが、そんな暇は彼らの与えられない。

 

「敵砲弾直上っ!!!」

 

 

 敵の魔力弾が着弾する。

 大きな爆発音と煙が立ち上がり、それによって見事に防壁が壊され、建物が半壊する。

 

「ぐああぁぁっ!!」

「ああぁぁっ!!」

「着弾っ! 敵攻撃、着弾っ!」

「くっそぉ! 魔導士には……敵わないのか……」

 

 ガチャガチャと音をたて、震えながら銃を構える科学側の兵士。

 

「ミサイル装置、大破。使用不能です!!」

 

 ガシャッ! ガシャガシャンッ!!!

 

 機会が損傷し、あたりにバラバラと残骸が崩れ落ちる音が辺りに響く。

 

 

「……ククッ。そうだ、ただの人間ごときでは戦えやしない!! この魔導士にはなぁ!!」

 

 土煙の中から魔導士がふわりと科学側の兵士の前に姿を表す。

 そして、まるで嘲笑うかのように、魔法を行使せずに己の拳のみで兵士の顔面を思いっきりぶん殴る。

 

 グシャッ!

 

「グハッ!? ……く、くそっ! ふざけるなああぁぁ!!!!」 

 

 ドオオンッ!!

 

 兵士が近距離で銃を撃つ。

 魔術側の魔導師、科学側の兵士、どちらも血飛沫をあげる。

 

「――っ!? こ、この――」

 

 この時魔導士の目には、煙の中から薄っすらと、血が流れながらも座ってい

 る兵士の姿が見えた。

 彼はにたりと笑みを浮かべながら、手に持つスイッチを掲げる。

 

「へへっ......。一緒に、くたばろうじゃあねえか」

「なっ!? き、貴様っ! ふざけるな――」

 

カチッ。

ドゴオオオオオオン!!!!

 

 

 ――このように、明らかに魔法側が有利であると言える、残虐的な戦争が幾年にもわたり、続いていた。

 

 

 

 

 だがある時、科学側の兵士数名に、ある変化が起き始めていた。

 

 

 

「曹長!しっかりして下さい!」

 

 頭から血を流し横たわる兵士。

 

「くそがああぁぁぁ!」

 

 一人の兵士が立ち上がり、そして体が光り出す。

 

「――っ! 自爆する気か!? 死ねぇ、人間!!!」

 

 魔導士達が攻撃する。

 

「はああぁぁ!!!」

 

 その兵士が両手をゆっくりと下から上へと上げると――

 

 ドンッ! ドンッ! ドンッ!

 

 魔導士の攻撃が、突如目の前に現れた岩に阻まれた。

 

「――な、なにぃっ!? あれは、魔法かっ!?」

 

「い、いや! 違っ! 魔力を感じないぞ!?」

 

 魔導士達が混乱する。

 

「皆! 銃をよこせ! 早くっ!」

 

 一人の兵士が叫ぶ。それに乗じて皆んなが銃を投げる。

 すると、空中で銃が静止し、銃口が魔導士に向く、そして――。

 

 雷や炎、障壁など、魔法に見える――だが、魔法ではない技が次々と。

 

 そのような”力”を持つ者達を人々は<超能力者>と言った。

 

 ――そして、それは後々<技能師>と呼ばれ、技法という術が確立された。

 

 

 

 

 ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎

 

 

 

 

 科学側がの能力の目覚めにより、さらに戦争が激化した。

 だが、その後すぐに停戦協定が結ばれた。

 

  

 だが二十年でまた戦争が――第三次世界魔法科学大戦として、再開した。

 対魔導士用の兵器の開発で、今回は科学側が優勢で始まったこの戦争。

 

 

 しかし、その戦争はある一人の若者の手によって集結してしまう。

 

 

 この時代、始まって初めて魔法と科学の血が混ざった者。

 そう、のちの最初の<魔等技師(マギ)>と言われる存在。

 

 彼はその時代最強にして最凶の魔等技師(マギ)

 

 

 

 その者の名はーーーーー。

 

 

 

 

 

 ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎

 

 

 

 

 

 魔法と科学、それは殆ど混ざり合う事のない存在。

 この世界ではその2つが混ざり合った世界、互いが互いを、助け合う存在として生きていく世界。

 

 そして、この世界は、”無限の可能性”が秘められている世界。

 

 

 

 

 この世界の名を――”Infinite World”――と、名付けよう。

 

 

 

 

これより語られる物語は、この時よりも平和になった世界。

 

 




☆あとがき☆

皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めまして、作者の杜木(もりき) (かおる)です。


今回はこの小説を読んでいただいてありがとうございます。
これは前に投稿していた『魔法と科学の共鳴世界 -Outside a story-』の本編にあたります。
と言っても昔話とこの世界の背景になります。

本編自体は0話から始まります。
次と次は登場人物や説明とかになるので飛ばしてください!!

また今回<小説家になろう>にも投稿を開始する予定です。
そちらと並行して改訂したのを順次同時にアップしていきます。

艦これ同様こちらもよろしくお願いします!
では次回!
またお会いしましょう!



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登場人物・用語設定
登場人物・名称説明



※ネタバレが存在しますのでご注意ください。


このページは登場人物の設定が書かれています。

本編は2つ目からとなります。



本編でも紹介していますので、少し忘れたときや、気になった時に来てください。

本編で紹介されているものと多少文章が異なる場合がございます。

また、本編をより楽しくする要素も含まれます。



11月27日登場人物説明文を追加しました!



 

 

 

 

 

 

 

 〜 登 場 人 物 〜 

 

 

 

 

 

天翔(てんしょう)光星(こうせい)) 深龍(しんかみ)主人公 139MR

 18歳 男性 無属性魔導士

 天翔家の生き残り。星那の兄。

 今作の主人公である。

 髪は黒色で目の色も黒色。だが目は本当は別の色である。

 身長は180cmと高く体重も68kgで筋肉質な体だ。

 

『温厚で戦いを好まないような性格に見える雰囲気から、よく変な輩から絡まれる、その都度返り討ちに合わせている。

 よく黒系の服を好んできている。』

 

天翔(てんしょう)光星(こうせい)) 星那(せいな) 148MR

 16歳 女性 得意魔法『水』『雷』系統

 天翔家の生き残り。深龍の妹。

 透き通るような青い髪の色でショート。

 身長は167cmで少し高め、健康的な体で手足が長く美人で可愛いと評判である。

 

『主人公の妹で少し天然なところがある兄を支えているしっかりした妹である。

 家事全般ができて、学校時代は相当モテたようだ』

 

 

聖嵐(せいらん) 晴奈(はるな) 48MR

 16歳 女性 得意魔法『風』『聖』系統

 

 聖嵐家の生き残り。

 剣術の名門家、聖嵐古法流の筋を持ち剣術はかなりの腕を持っている。

 今作のヒロイン。

 小柄で身長は150cmぐらいで細身である。

 髪の毛は水色に近い白で、肌はとても柔らかそうな感じの若干ピンク色の白い肌をしている。

 目の色は右が青色で、左が少し薄い青色のオッドアイ。だがこれも本当の色ではない。

 

『学校時代からその可憐な容姿の所為で周りからチヤホヤされ女子からは妬まれていた。

 男子からはあまりにも容姿がいいので近寄れず、その為独り身だった。

 ギルドに入っても同じで、唯一仲の良かった子たちからも見放される

 マスコットキャラ的存在の扱いでパーティーに入れたがる人が多い』

 

(MRとは魔導士ランクのこと)

 

 

 〜 用語説明 〜

 

 

 ♦︎ 師 族 ♦︎

 

 この世界において、家系、血筋は魔法に対して影響力が大きくその中でも特に秀でた家系を『師族』と言う。

 名前に数字や自然を意味する言葉が入る家系はが多く存在する。数字の場合は若いほど。

 だが近年それは消えつつあり、一定の師族がそれを守っている。

 

▼《師族界》

 なんらかの目的を持った一定の師族の集まりのことを指す。

 『〇〇師族界』と言う。

 

▼《 八方星師族界(はっぽうせいしぞくかい)

 天翔(てんしょう)聖嵐(せいらん)地羽(ちば)闇冥(あんめい)北城(ほくじょう)東城(とうじょう)西城(せいじょう)南城(なんじょう)の師族からなる。

 他の国にもその名は知れ、世界最強と名を馳せる師族界である。

 10年前に天翔家と聖嵐家が戦争を起こしたことにより八方星師族は解散することになってしまった。

 現在も残っている師族は存在し、力もそれなりに持っている。

 解散ご暗冥家は突如姿を消した。

 

▼《 聖嵐師族 》

 天翔師族と対立関係に陥った師族

 魔神、滅神魔法を扱う師族

 聖嵐古法流という剣術が存在する。カウンター攻撃を得意とする。

 

▼《 天翔師族 》

 聖嵐師族と対立関係に陥った師族

 滅龍魔法、ドラゴン・ソール(Dソール)を扱う師族

 体術や天法流と言う剣術など、多彩な能力を兼ね備えた師族である。



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魔法用語説明



本編は次の話からです!!


こちらの内容は、本編でも紹介されいる、主に魔法用語をまとめたページとなっております。

本編でも紹介していますので、少し忘れたときや、気になった時に来てください。

本編で紹介されているものと多少文章が異なる場合がございます。

また、本編をより楽しくする要素も含まれます。


17.11/28 追加しました。
18.6/7 魔導士階級を変更させていただきました。
18.8/13 一部変更及び、追加しました。



 

 

 

 

 

 

 〜 魔法用語説明 〜

 

 

 

 

 

 ♦ 基 礎 編 ♦

 

 

 

◆《 魔法 》

 起動式をパラデュルに送る(ほぼ無意識下、魔法陣を書く)事により、

 魔法として、発動する事が出来る。

 

 魔法には複数の種類が存在します。

 〔系統属性魔法、系統外属性魔法、無属性魔法、詠唱魔法、法陣魔法〕

 

◆《 魔力 》

 魔力とは、空気中または体内に存在するパラデュル原子の一定以上の集まりの事。

 または、パラデュルその物指す。

『諸説によると、魔力とはパラトーン魔法石になる途中段階の存在、とも言われています』

 

◆《 パラデュル 》[Pdl]

【 別名:魔力 】

 魔法の原子、又は素粒子

 原子の中で一番最小

 原子核よりも小さい

『魔法式(文字数式)をパラデュルに流し込む事により、他の原子が原子核、電子、陽子へと変化し新たな属性となり魔法として発動する。

 パラデュルは体内または空気中に存在する』

 

『パラデュルは○○○古代語であり現代語訳はでは【魔の根源】』

 

◆《 パラトーン 》[Pt]

【 別名:魔法石 】

 魔力を秘めた鉱石

 パラデュルの集合体

『パラデュルの超高密度集合体と言われており、いろいろ色、形が存在する。

 生成するのはとても、困難である』

 

 

◆《 魔導士 》

【 魔導師、魔法師 】

 パラデュルに起動式を送り、魔法を発動する者である。

 また、魔法を使って仕事、職業にしている者の事を指す。

 

 

◆《 魔導等級 》〔MR〕

【 魔導士ランク(階級)】

 1MR〜999MR

 魔道士の能力や技術力などによって決められる等級である。

 1MR〜150MRまでは、ギルドマスターか書類などの提出によって決める事が出来る。

 それより上の等級はある場所により決められる。

 151以上の特別上級魔導士とは普通の魔導士とは少し違い管轄がギルド外に変わる。

 一等級魔導士はギルド(200名以上の大ギルド)に1、2人いるか居ないかのレベルでそのほとんどは国に所属する。

 まださらに上の階級があると言われている。

 

 階級別け、及びクエスト難度:推奨ランク

 下級魔道士 E:1-5 D:6-15

 準中級魔道士 C:15-25 B:26-40

 中級魔導士A:41-100

 上級魔道士(S級魔道士) S:101-150

 特別上級魔導士(S級魔道士) SS:151-300

 一等級魔道士 G:300-999

 

 

◆《 魔法値測量 》

 

 その人の魔法能力を数値化したもの

 軍や、教育機関、魔導士のランク付けなどに使われる。

 現在はいろいろな測定方法があり、かなり正確に数値を出すことが出来る。ある意味、怖い

 スキャニングや観測魔法等で測れる。現在は機械により測定するのが主流。

 

           平均値

 QMP:魔力保有量  :5800q

  魔法の保有量≒体力 とされている

 

 MMS:魔法発動速度 :0.760s

  魔法の発動速度である 

  魔法元素が起動式を読みとって魔法として発動するまでの時間

 

 MIP:魔法干渉力   :780p

  魔法が物に対する干渉力≒魔法の威力 

  魔法種類で若干変化する 

  魔法干渉力の数値が高いと発動速度が遅くても上書きが出き、発動する事ができる。

 

 

 

 ♦ その他 ♦

 

 

 

◆《 虹彩色眼(こうさいしょくがん) 》New!!

 魔法力の強い人が自分の意思に関係なく目の色がその色に染まるのである。

 現段階でこれを隠す技術は存在する。

 魔法別の虹彩色 火:赤 木:緑 雷:黄 地:茶 風:白 水:青

 

 

 

 



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第壱章 『少女と龍』
0話 始まりの悪夢



 大切な人が命を落としそうになった時、



 あなたならどう選択しますか?



 その選択はあっていると思いますか?





 朝、俺が寝覚めた時、背中が湿っている感覚に気がつき、起き上がった。

 

「これって――、俺の寝汗か……」

 

 それはベッドの7割を埋めるほど濡れていたからだ。

 

 さっき見た悪夢に近い夢がそれを語っていた。

 いや悪夢と言っていいかもしれない。

 それは今でもある時期になると俺の事を苦しめる、そして俺がこの時以上に強くなるようになった要因でもある悪夢……。

 

 

 

 [0]

 

 

 

 月も出ていない夜。

 当たりは暗く、禍々(まがまが)しい。なぞの鳴き声が聞こえてきそうな、そのような雰囲気を醸し出していた。

 

「ハァハァハァ」

 

 黒い服に身を包んだ、一人の若い男が息を切らしながら走る。

 背中には自分の背丈ほどに大きな武器を担いで。

 

 

 

 (暗い。なんで、これは俺か? 俺は走っているのか? いったいここはどこだ?)

 

 

 

  と思いながら。

 

 

 

 その男は月も出ていない暗闇を、木々や地面の草花を避けながら、走っていた。

 時折服に草や枝が擦れる音が、本人には聞こえてないだろう。

 それよりも、早く、早く、走らなければ。

 

 

 (俺はいつまで走るんだ、クッソ、体が言うことを効かない。)

 

 

 そんな、彼の考えとは裏腹に、走る。

 走る。

 何かから逃げているかのよに走る。

 

 同じ道なき道が続く――。

 

 

 そして数分後――。

 

 

 道が開け、視界がクリアになる。

 だが、そこは……。

 

「ハァハァ……」

 

 ゴックン。

 唾を飲み込み、息を整える。

 そして下をのぞき込む男。

 

「高さは10mってとこか」

 

 ここで気がついた、彼は一人で走っていなかった。

 後ろから一緒に行動していた3人が現れた。

 彼は安全を確認する為に先頭を行っていたのだ。

 そして4人は崖の端に立っていた。

 暗くてわかりづらいが、彼ら彼女らの見た目は、中学生か高校生ぐらいの感じだ。

 

「しんちゃん、ちょと早い――」

 

 一人の黒髪で髪の長い、弓を背負った女の子が、先頭を行っていた男に声をかけた。

 だがその言葉は最後まで言い終えずに終わった。

 途中で言葉を止めたことに、気がついたメガネをかけた男が、声をかけてきた。

 

「どうした!?」

 

それに応える黒い服を着た、しんちゃんという名の男。

 

「崖だ」

「早くしないと、このままじゃ追いつかれちゃうよ」

 

 そういう、弓を背負った女の子。

 

 

 

(なんだよ、もうこれ。でも聞いた事がある声だ。誰だ)

 

 

 

 もう一人、背中で剣を背負っている男があることを言ってきた。

 その内容は、あまりいい提案とは言えるものではなかった。

 

「俺が、囮になる。そのうちに皆は――」

 

 

 

 (よせ!)

 

 

 

「よせ、ゆうき! 皆で生きて帰るんだろうが! なにか別のいい方法があるはずだ」

 

 その提案を言ったのは、ゆうきと言う男だった。

 

 キュアアァァァ!

 後ろから、そう遠くないところから鳴き声が聞こえた。

 それも、ドラゴンの鳴き声が。

 

 少し考える黒服の男。

 目の前は崖、なぜだか分からないが、ドラゴンから追いかけられているということ。

 崖の下をのぞき込み何かを確認する。

 そして決心する。

 

 

「ここで奴を倒す」

 

 

 

(違う、その考えは――!!)

 

 

 

 すると、メガネをかけた男が。

 

「まて! あんなのに勝てるのか」

 

 とっかかって胸ぐらを掴む。

 掴まれた方は動揺しない、むしろすることは決まっている。

 俺にやらせろ、と言っているかのようだった。

 

「勝算はある」

 

 といって背中の武器をチラ見する。

 その武器は、製造が制限されている武器である。

 この時代、世界最強シリーズの武器。

 

 「お前……」

 

 

 

 (違う! その考えは、間違っている!)

 

 

 

 (みんなで、逃げろ!)

 

 

 

 彼はずっと叫び続けたが、彼等には聞こえない。

 

 胸ぐらを掴んでいた男は手を離して、――すまん――と言った。

 そして崖の端に立ち直す。

 

「最初、皆は岩陰に隠れろ。俺の最初の攻撃後にユウキが上から奇襲。ナナは弓で翼を、マグナは奴の足を狙え。行くぞ!!」

 

 4人は下に降りた。

 3人は岩陰に隠れた。

 1人は真ん中に立って。

 そして……。

 

 

 

 

 (違う! そのまま隠れて、戦わずにやり過ごせ!)

 

 

 (奴は……、奴は!)

 

 

 

 

 フッ!!

 と、目の前が暗くなる。

 何が起こったのかわからない。

 頭が重い、首を左右に向けれない。

 俺は何を、しているんだ。

 

 

 ――数分後

 

 

 ドガアァァ!!!

 

 

 真っ暗なか、大きな爆発音が聞こえた。

 

 

 パラパラパラ。

 

 

 石や砂が地面に落ちる音が聞こえた。

 すると、雲が晴れ、月明かりが地面を照らし、草木を照らす。

 辺りが明るくなり、人が――、人が、4人倒れている。

 付近はクレーターのように凹んでいた。

 近くにドラゴンの姿は見受けられない。

 大きな武器を持っていた男が起き上がり、血みどろになっている仲間の元に駆け寄る。

 

 

 

 (あの時の。あの時の記憶か……)

 

 

 

 彼はどうして血みどろになっているのか……。

 俺にはわかる……。

 

 

 

「―――! ――き! ゆうき! しっかりしろ! 大丈夫かっ!」

 

 目を開けるゆうき。

 視界には男の子が一人映っている。

 泣き顔で……、涙がボタボタと落ちてくる。

 

「ーー、お前……は、大……丈夫か……?」

「あぁ、大丈夫だ。それとあまり喋るな」

 

 目を開けて、少し涙顔だったのが、和らぐ。

 他2人も起き上がり足を引きずりながら歩いてくる。

 辺に落ちている木を拾い、杖のように使いながら。

 さっきの大きな爆発音で吹き飛んで、怪我をしたのだろう。

 

「ゆうき君!」

「ゆうき!」

 

 2人がその名を読んでいた。

 

 

 

(俺は、俺はなんて愚かなことを……。早く治癒術を――)

 

 

 

 リアルな映像を見ているかのようなこの感覚。

 VRのように目の前に見える映像。

 自分の思うように体は動かせない。

 でもなぜだか感触は確かにある。

 生暖かい、感触が伝わってくる。

 両手が赤く染まっている。

 

 

 

「ーー、あ…り…がと……な…….」

 

 

 

 

 ゆうきが名前を言っているように見えるが、なんと言っているのか、聞き取れない。

 

 

 そしてあたりが真っ暗に、何も見えなくなる

 

 

 そして奥から誰かが歩いてくる、ふらふらと。

 

 その姿は血まみれになった、ゆうきだった。

 顔は片目が赤く光っていてそのまま迫ってくる。

 後ろに足を引こうとしたが、足がすくんで動けない。

 目の前でゆうきが立ち止まる。

 

 

「ねぇ、なぜあの時助けてくれなかったのか?どうして?」

 

 

 ゆうきが話しかけてきた。

 

 

「いや、そんなわけでは」

 

 

「どうして?」

 

 

 血まみれになったゆうきがどんどん近づいてくる。

 

 

「どう……して?

    どう……シ……テ、

      ド……オ……、シ……、テ、」

 

 

 と手を差し出しながら、迫ってくる!

 何かを奪おうとするような手つきで……。

 

 

「ド……オ、

     シ……テ……、

          ド……オ!!!!!!」

 

 そして襲ってくる!!!!!

 

 

「ゆうきっ!!!」

 

 

 ガバ!!!!

 

 布団から起き上がる深龍(しんかみ)

 

 

「ハァハァハァ……、ハァァ……」

 

 

 とても息が荒い。

 深龍はベッドの上に座り込む。

 今見た夢のことを思い返していた。

 あの時の俺の判断は本当に正しかったのか……、と。

 

 

 

「ゆうき……」

 

 

 

 

 

 ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎ 

 

 

 

 

 

 〜大戦の終戦期〜

 

 

 

 とある都市の、高層ビルが崩れた跡地に立つ3人の男。

 

 

 

「お前はここで封印する!」

 

 

「やれるものならしてみろ! この十の神の力を持つ! この破壊神である俺に勝てるというのか!?」

 

 

 と言い、背中に十本の白い六角中の柱を生やし、腕が左右に五本ずつ、十本も生えた人とも言い難い禍々しい姿をした巨人が現れた。

 それに負けじと、漆黒に染まる龍と、腰に刀を4本差した純白の武者が現れた。

 そして戦いが始まる。

 

 

 

 

 ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎  ♦︎ 

 

 

 

 

 〜古からの言い伝え〜

 

 

 

  世界戦争があった

  かの戦争を止めた者は(じゅう)神柱(じんちゅう)を持つ神獣(しんじゅう)の使い手

  かの者は自分の強さに飢え世界を滅ぼしかける

  かの者を鎮める者が現れる

  その者は空を舞う十一(じゅういち)の神柱を持つ神獣の使い手であった

  その者は十の力を九つに分散し

  かの使い手を封印し

  その者は姿を消した

  世界は真の平和へと

 

 

 かの者を封印した者の子孫現れる

 その者の名は深い龍と名乗る

 

 

 その者の物語である。

 

 

「十一の力をなめるなよ」

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

事情があり、冒頭部分を前より大幅に変更しました。

次回からは本編とは別の2ヶ月前にあたる話をかいた、 - Outside a story - の総集編をお送りします!!
ではお楽しみに!



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- Outside a story - [1]

皆さんこんばんは!
お待たせしました
今回の話と次回の話は『魔法科学の共鳴世界 -Outside a story-』を短くした総集編をお送りします。
話し言葉で、少し追加している文もありますが、基本は総集編です。
それではどうぞ!


 

 俺が朝寝覚めた時、布団から起きたらすごいことになっていた。

 

「これって、俺の寝汗か……」

 

 さっき見た悪夢に近い夢がそれを語っていた。

 

「ゆうき……」

 

 ゆうき、本名はまだ伏せておくとして、この名は俺を一生苦しめると思う。

 彼は俺の最初の友人にして、一番親しかった友だった。

 

 

 俺はその彼を失ってしまった。

 

 

 その時の記憶が蘇る。

 

「見殺し!」

「最低!」

「後先考えずに突っ込むなよ……」

「この仲間殺し」

「そんな無茶、一人で行けよ」

 

 ま、昔話はこの後いくらでもするから、先に進もう。

 

 俺の名前は深龍(しんかみ)

 昔は大きな師族界の1家で最強の名を馳せていた。

 が俺が幼い頃に大きな争いがあり、事実上消滅した。

 

 ま、俺にとっては今は何でもないがな。

 

 深龍はベッドから起き上がると、

 服をいつも着ている黒目の服に着替えて、1階に降りて行った。

 

 1階では妹の星那(せいな)が朝ごはんを作っていた。

 

 ここは一般家庭にあるようなリビングルーム。

 机の上にはご飯と少しのおかずが乗ったお皿と緑茶が2人分置かれていた。

 そして、ソファーを挟んで前には壁掛けの黒い枠のテレビが、朝の二ュース番組をしている。

 

 中には女性キャスターと男性キャスターいた。

 今日、インターネットや魔法による情報の発信が発達している世界でも、テレビによる情報源は、用事をしなが耳で聞き、目で見えるものとして欠かせなものである。

 この世界で新聞や雑誌はほぼなくなっている。小型の端末がフォログラムで新聞のような感じに映し出すことができる。

 紙媒体は一部の地域でしかもう使われていない。

 

 女性キャスターが話し出す。

 

 

 テーブルには朝食が用意されていた。

 深龍は椅子に座った。

 そしてテレビを耳で聞きながらご飯を食べ始めた。

 星那も一緒に食べ始めた。

 

 テレビに映っているキャスターが次の話題に話を変えた。

 

『襲われましたグレントウ村の調査が終了し、その後の会見でこの村を襲ったのは闇ギルドであることが確認取れました。

 以前にも襲撃したギルドと同じで…』

 

「あの時どうだったの?結構大変でったんでしょ?」

 

 ご飯を中途半端に食べていた星那が言っていた。

 ご飯を食べながら少し行儀が悪いように見えたが、まぁいいだろう。

 

「そうだな、確かに大変だった」

 

 ちょっとだけ昔話をしよう。

 この物語の前の「魔法と科学の無限世界(インフィニティー) -Outside a story-」

 ギルドマスターからの依頼で、俺は今ニュースをしている村に行くことになった。

 最初ギルドマスターから依頼を受けた時はあまり乗り気ではなかったが、報酬が欲しいものだったので、つい受けてしまったのだ。

 1ヶ月間の村の護衛任務だった。

 本来村や町などは数十人規模の魔導士か軍隊が配備されるが、今回は俺一人に一任されたわけだ。

 自分でもいうのもあれだが、俺は1対複数の戦闘を得意とする。

 昔最大で50人の魔導士と戦ったことがあるが、俺自身どれだけ数相手できるか正直見当がつかない。それに強い相手なら、複数来られれば流石に俺でも、へばることもある。

 

 あと軍隊が選ばれなかったのは、その前に襲撃を受けた村では軍隊が護衛をしていたが、全滅したということだった。

 というわけで、できれば魔導士がいい、それと大勢でない方がいい、ということで複数の相手との戦闘を得意とする俺が抜擢されたわけである。

 それと同時に俺は戦闘が起こる可能性を考えて、軍の方と開発中であるMRB(モロバ)M(.)odel bipedalism dR(.)one mounted with an independence B(.)attle system》

『自立戦闘システム搭載型二足歩行無人機』(とまぁ長い名前だが、いづれ短縮しよう。)

 の戦闘データが取れればなぁと思って、家を出る前に出撃準備をしてから、出た。

 俺がその街について初日は街の人はガッカリしたようだ。

 なぜなら、1人で来た上に、正直俺の目的にはあんまり強く見えないところもある。

 そのせいでよく絡まれるけど……。(返り討ちにしてる)

 向こうは大人数の大男を期待してたのだろう。

 だが強い魔導士と言って体型大きとは限らない。体型はそんなに関係ないのだ。

 

(俺より小柄で、やばい魔導士もいるしなw)

 

 歓迎を受けた後は、街全体に対して魔法陣を組み込んだ杖を設置した。

 その杖の役割というと外部からの進入してきた者の感知や、有事の際に村の住人がどこにいるのかを確認できるようにと設置したのもだ。

 

 正直これに関しては、プラーバシーの侵害だよなぁ〜と俺は思った。

 けれど悪さに使わなければ問題ないか、と思ったのも事実…。

 まぁ1ヶ月間の間これを見る機会はほとんどなかったけどね。

 

 初日の俺は村を一周していた。

 その時だった、何かの異変に気がついて小さな丘に駆け寄ったが時遅しだった。

 その異変は当たっていてその場には複数の足跡が残っていた。

 この時、若干の《水》系統の残留魔法が残っていた。

 それは水ではなく、氷や雪に近い感じの魔法で、敵に氷、雪系の魔導士がいるのは間違い無く、情報通りであることがわかった。

 雪系の魔法は珍しいということを先に行っておこう。

 

(少し懐かしい感じの魔法だったのは気のせいだと思う。)

 

 俺はここに来ている時に護衛の他にもすることがあった。

 基本任務は村の護衛だが、その間俺は開発中のものの実験や、現地の子供達にたいして魔法を教えたりもした。

 大人たちにも護衛用の防御魔法や、護身術などを教えたり、剣術の稽古をつけたりと、案外充実した毎日を送っていた。

 

 だが事件は最終日起きた。

 

 最終日は村長さんの家でお別れ会を開いてくれた。

 その時だった。

 突如として大きな、今言えば、何かが陥没したような音だったと思う。

 音が聞こえたのだ。

 

 俺は外で何が起こっているのか、確認のために地下室に降りて、状況を確認した。

 フォログラムで映し出される街の図に、注意を向ける。

 すると街の中心の噴水のある広場に大きな穴が空いていたのだ。

 そこからだんだんと赤い、敵勢力である可能性があるマーカーが出てきた。

 そう恐れいたことが起きたのだ。

 闇ギルドの《レッドスコーピオン》危険度は7段階中、危険度5の闇ギルドである。

 ジャックによる解析で敵の人数は200人、その内訳は

 

 危険度ランクDが120人、ランクCが50人、ランクBが25人、ランクAが4人で識別不能が1だった。

 

 識別不能はよっぽどの相手と認識しなければならない。

 

 俺はその時に出撃準備をしていたMRBを出撃させた。

 今回は出ずに終わるかと思っていたが、ここ着に来て出撃となるとは。

 俺は外でた。

 外は猛吹雪で前がほぼ見えなかった。

 

 すぐに穴が空いたと思われる現場に行ったが、すでに穴は埋まっていた。

 俺はあたりを捜索したが穴らしきものは発見できなかった。

 その時だった、俺は捜索に集中で地面から敵の存在に気づくことができなかった。

 そのまま俺は地面に、雪の中にすっぽりと埋まってしまった。

 すると敵が雪の上を歩いて俺の目の前に出てきた。その時俺はスキャニングを使って敵の能力を察知した。

 スキャニングで魔法力を探った。

 

 魔力保有量   

  QMP:7503  平均5800

 魔法発動速度  

  MMS:0.990  平均0.760 

 魔法干渉力

  MIP:1450   平均780

 

 攻めてきた敵の一人。ランクAのロット・グロークス。

 岩男のような大きな体をの持ち主で。主に『ロックムード』という《地》系統、岩の魔法を使う魔導士である。

 この人の情報を見ると、

 

 最初に『魔法保有量』

 まぁイコールではないが体力と言える。

 これは平均より多い。

 だいぶ多いかというとそうではなく、多い分類になる。

 多い人だと2万は余裕でいく。

 

 次に『魔法発動速度』

 これは意識してから、魔法が発動されるまでにかかる時間のことである。

 これ関しては、生まれながら才能がものをいうが、鍛えれば多少は早くなる。

 これも大して遅いわけではない。

 強い人でも1に近い人もいる。最速は0.185これは絶対域と言われている限界速度だ。

 

 最後に『魔法干渉力』

 これは魔法の強さをあらわるものである。

 この値が大きければ大きいほど強い魔法を放たれるが、大きくなるにつれて、消費する魔力量も多くなる。

 ちなみに5000を超える人物も存在する。

 

 こやつはスピードが少し遅い分この干渉力、パワーでそれを補っている。

 

 1つ目の3つ目は鍛えれば上がるが、潜在的限界も存在するのでそれに達せれてばそこまでである。

 

 

 深龍はおかげで敵の情報を少し知ることができたが、そのまま俺は意識を失ってしまい、雪の中に埋もれてしまった。

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?

期間が空いてしまって申し訳ないです…。
(よく謝ってる気がする…)
と今回から2回は総集編をお送りします。
まぁ -Outside a story-を見てくれれば早いのですがそれは皆様にお任せします!
迷ったのですが、一応、物語上、後々に出てくるのでとりあえず書こうという感じです。
闇ギルドやMRB、MRBの想像がつかない方はアイアンマン2のハマーロボをイメージしてくれたらいいと思います。
少し違うんですけどね
これを書いたのは、この物語りのさわり的な物でもあるので、読んでくれれば幸いです!
ではまた次回!


今回感想をくれた方ありがとうございました。
非ログインユーザーの方だったのでこちらで挨拶させていただきます。
大変貴重なお言葉ありがとうございます。

今回は先に知っていもらい、どこで出てくるのか、
待ってもらうのも良いかな?と思い書きました。(文字の都合上もあります)
いろいろと試行錯誤しながら進めてまいりますので
良い、悪いなどありましたら意見おねがします。
今後とも皆様よろしくお願いします。




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- Outside a story - [2]

 

 意識を失うと同時に俺は仮想世界に厳密にはネットワーク上に意識を飛ばしたのだ。

 そして、そこから軍隊に援軍の要請をした。

 この国の軍にも、魔導士相手に戦闘できる特殊部隊が存在する。

 それは『特88小隊』(86〜89までである)対魔導士特殊部隊である。

 基本的に軍人の人は非魔導士がほとんどを占めている。

 この特88小隊非魔道士であるが、魔法を使える人もいる。

 彼らの部隊は対魔法用に作られた武器の使用が許可された特殊部隊である。

 その運用は厳しく、かつての大戦で全ての魔導士を戦闘不能にした逸話もあるぐらいの強力な武器を持っている。

 一番は、魔法を一時的に無効化することのできるグレネードや、魔抗弾(まこうだん)と言うものを持っている。通常の弾丸だとその強固な防御魔法を破壊できない可能性もあるので、魔法力を込めらた魔抗弾を使うのだ。

 言っておくがこの二つはとても高価である。

 それともう一つ、腕装着型プロテクタータイプの疑似魔法発動器具である。

 詳しく言えばこれは技法と呼ばれる部類の技になる。

 出てくるのはまだ先だが、この器具を使う人と使わなくても発動できる人の2人がいる。

 

 

♦技法♦

 性質上攻撃系の技は少なく、アシスト援護する技が多い。

 『水の無いところに水はではい』のように水は出せないが、『空気中の水分を集める』という事をすれば水を集めることができる。

 簡単に言えば超能力とでもいっていい。

 技法の特徴は『事象の改変』を得意とし、ここにあった物の座標軸を違う場所に変える『瞬間移動』

 物体は浮遊し動く、のような『念力』などがある。

 他にも雷を発生する、火をともすなどある。

 これらの利点としては

 魔法は発動すればどんな形であれ、残留魔法が残るが、技法の場合は起こったということを後から確認するのが難しいといことである。

 そこには『思念』が残ると言われているが現状では、計測がとても困難である。

 

 

 軍の人が出撃準備をしている中、深龍は村のはずれの森に別の体を転送していたのだ。

 そしてその中に意識をダイブさせたが、これは残念。

 まだ起動プログラムが入っていなかった。

 ということで長い長いダウンロードが始まりました。

 

 そんなこんなで軍の連中がVTOL機(オスプレイに似たやつ)に乗り込み現場に向かうことになった。

 軍隊の連中は侵略してきた敵の3割程度、30人ぐらいを相手にして欲しいと言われたようだ。

 それ以外は深龍の方でなんとかすると。

 雪の中に埋もれているのに、なんとかすると……。

 だが実際に戦ったのは深龍ではなく、軍の人を乗せているVTOL機の横を高速で横切って行った4機MRBが戦うのだ。

 

(『MRB』『自立戦闘システム搭載型二足歩行無人機』

 《M()odel bipedalism dR()one mounted with an independence B()attle system》

 通称『MRB(モロバ)

 対魔道士戦闘及び困難地域派遣用に開発されている、いわばマルチロボットだ。

 

 現場に着くと4機は2機づつに分かれて戦闘を開始した。

 タイプBのMRB(重戦闘型)はロットとフーゼ、その他の魔導士を相手にしての戦闘を始めた。

 

 フーゼ・バードス

  風系統の魔法を使う魔導士で、通り名が《風殺のフーゼ》一時期スパイ、アサシンとしても活動をしていた。

  その為次に狙う村の情報を収集する役目も買って出ていたのだ。

  初日に来ていたのがこの男である。

 

 戦闘はいきなりMRBの銃撃から始まった。MRBの腕から放たれる弾丸は魔法力により強化された弾丸であり、敵の防御魔法をことごとく粉砕し敵を撃破していく。

 辛うじて残った4人ほどの魔導士、ロットとフーゼは戦闘を開始した。

 ミサイルや弾丸の攻撃を食らいながらも敵の魔導士は攻撃をした。

 その時ロットが1機のMRBに捕まるが、馬鹿力で胴体を真っ二つにした。

 けれどMRBが背中のブースターを最大出力以上で出し自爆攻撃を仕掛けロットを倒す。

 

 フーザは自身の必殺技の『風魔、烈風千牙』を繰り出すもまだ倒れることはなく、そして肉弾戦に入って行った。

 

 同時刻に他のところを散策していたも一人のランクAの魔導士ウッデ・ドーゴー。

 

 ウッデ・ドーゴー

  闇ギルドのレッドスコーピオンの幹部であり、木系統の魔法を得意とする。

  《大木のウッデ》という通り名を持ち、自由自在に木を操るのだ。

 これまた厄介…。

 

 ということで2対のMRBタイプAが到着(通常型)

 そして戦闘が始まったが、その卓越した技量で木を操りMRBを捉える。

 捕まえられたMRBも一度は脱出するが、尖った木の枝に刺され爆発し、もう一度捕まり木で締め付けれられて壊れてしまった。

 ウッデによって簡単に撃破されてしまった。

 

 一応防御壁は展開されているのだが…。

 やはり供給するエネルギーの問題か…。

 

 MRBが全て倒されたが、別のところに転送してあった体のシステムのインストールが完了して動き出したのだ。

 深龍は村人の安否を確認するとすぐにウッデのいるところに向かった。

 

 それと同時刻に軍隊の『特88小隊』が到着し戦闘を開始した。

 最初に魔導パルスグレネードで相手の魔法を無力化し、魔抗弾を撃ち、敵の魔導士を戦闘不能に追いやったのだ。

 魔抗弾は非殺傷弾で、当たると衝撃波が発生し相手を吹き飛ばすのだ。

 そして軍隊の連中はそのような戦闘を繰り返し行い、どんどんと制圧して行ったのだ。

 

 その時ある地点から大きな爆発音が聞こえた。

 それは新しくなった深龍とウッデとの戦闘音だった。

 

 深龍の体はいわばアンドロイドのような感じで、この体自体には魔法は組み込まれていない。

 それを知った深龍は別で作っていた体に装着するタイプの全身プロテクターの腕の部分だけを腕に転送し、その転送した腕の手のひらからビームのような魔弾を出して攻撃を繰り返したので。

 

 だがそれだけでは倒せず、時折触れて魔法陣を組み込みんでいた。体が一時的に動けなくなる魔法を。

 だが相手は本気を出してきて*魔装をしてきたのだ。

 

 *魔装(まそう)とは

  魔法を体の(服の上から)表面上に鎧として展開固定する魔法

  その鎧は硬くごつい。主に自身の身体能力を向上させる。

  一応これがどのような魔法に属するのか決まっているが、今は伏せておこう。

 

 俺は相手が魔装を使ってきからこっちもとっておきを出さなくてはいけなくなった。

 それは科学側が極秘裏に研究しているもので、機械やロボット、人工筋肉を使っているの者の身体能力を一時的に今の何十倍に膨れ上がらせるということをしたのだ。

 結果的に敵を倒しが、体の90%以上に外傷を受けてしまい次の戦闘は満足にできない状態になってしまった。

 腕に装着したプロテクターも、もう使いもにならず解除した。

 

 そのままの体で俺は自分の体が埋もれている場所に、行った。

 まぁ相変わらずの猛吹雪で前が見えなくなっている。

 

 スキャナーで自分の位置を確認しながら歩いてた。

 すると前方から高速で何かが接近していてた。

 俺はバックステップで右左右と氷の矢を3つかわした。

 かわしたすぐに目の前に黒いコートを着た人が現れ、殴りかかってくる。

 それを腕でガードするが、相手はその腕を掴み凍らせてきた。

 

 俺はとっさに腕を払いバックステップで大きく距離を取ったが、この雪の上で足が埋まってしまう。

 その時同時に腕の感覚がないことに気づいた。

 あの払った時に壊れて取れしまったのだろう。

 さっき、ウッデと戦った時のように腕を転送して戦うにも耐久値と、それに片腕はエネルギーを供給するところがないので、意味がない。

 

 だがそんなことを考えている間にも敵は攻めてくる。

 

  俺は左手を額に当て瞬間移動する。

  敵はその場で止まる。

  俺はその後ろから足で蹴る。

  敵はしゃがみ躱す。

  そして、俺の足に手を伸ばすが、俺は間一髪で消える。

  俺はこの魔法に覚えがあった。

  雪の魔法と、氷の魔法。

  どちらも似ているが、魔法としては全くの別である。

  元々は水魔法からの派生ではあるが、発動のプロセスが違う。

 

 雪は雪魔法(ゆきまほう)

 氷は氷魔法(こおりまほう)

 

 両方使う魔導士のことを氷雪(ひょうせつ)魔導士といい、このような魔導士は数少ない。

 水が使えるからと言って雪や氷の魔法が使えるとは限らず、氷や雪の魔法が使えるからと言って水の魔法が使えるわけではない。

 このように似た魔法ほど同時に扱うのは難しい。例外はいるよ。

 

 逆に全く違う魔法の方が同時に発動しやすい。

 

 相手は人間、こちらは機械。

 こちらは深手を負っている。

 向こうは無傷。

 

 これは言うまでもない、俺は首元を掴まれる。

 

 そして敵は力を込めて一気に解放した。

 一瞬にしてあたりは凍りついて、青白い銀世界になった。

 

 同時に吹雪は消えた。

 

 氷の魔導士でも、物その物自体を凍らせるには、相当の技量が必要になる。

 

 

 俺はハッと自分の本当の体に意識を取り戻した。

 あの時はものすごく寒かった。

 

 簡単な魔法《オーバーヒート》で体温を上げて回りの雪を溶かした。

 が、俺の周りにしかすでに雪は存在してなかったようだ。

 倒れている敵や捕まっている奴ら以外はすでに撤退した後だった。

 

 そのあといろいろとあったが、今は面倒くさいので、できれば-Outside a story-の方をみてほしいかな?

 

 帰り道も楽に帰れなかったな…。

 

 と前置きが長くなったが、俺はその村で戦闘し、懐かしい魔法に触れた。

 

 

 

「……ちゃん?おーい…、おにいちゃん?」

 

 と星那が顔を覗き込んできた。

 

「あぁぁ、ごめん、ごめん」

「また〜、何か魔法式でも考えていたんじゃないの?」

 

 俺の癖で、いつもボ〜とすると、すぐに新しい魔法式のことを考えてしまう癖がある。

 自分で考え出した魔法式はたくさんあり、研究所にも提出したり、学校教材としても提出しているほどである。

 昔から魔法式を考えるのは得意であり、魔法発動は得意としなかったが、魔法式を考えるのは好きでやっていた。

 空でも魔法式を書くことができる。

 

「いやこの前の事をな」

「ふん〜〜〜、最近発作がまた出てるんだからきおつけてね」

 

 発作、深龍は自分の心臓が強く掴まれるような感覚に陥る発作が起こる時がある。

 精神状態から来ているものと思われいるが、自身はそう思っていないようで、別の何かが関係していると言っている。

 一時期収まっていたがここ数ヶ月の間、時折起こっている。

 そう忠告して星那はご飯の残りを食べ終え、流し台に持って行った。

 

 

『今回の調査で分かったことはここ数年で闇ギルドと言われる非正規ギルドが表立って行動し始めたということです。

 これはいいことではありません、それに感化してこのような行動をとる闇ギルドが増えてくることでしょう。

 聖魔法評議会の今後の動向が気になります。

 魔道士や軍の人、それに関係する人はご注意ください。

 それでは』

 

 とニュースはエンドロールに変わった。

 

 深龍はさっさとご飯を食べ終わると、流し台に置くと妹の星那が洗い出した。

 

 そして深龍は自分の部屋に向かった。

 自分の部屋は2階にある。

 階段を上がるとドアが4つあり(右に1つ左に2奥に1つ)、一番手前右のドアが深龍のだ、その反対側のドアが妹の部屋である。

 ドアを開けると案外部屋の中は整理されていて、床には何も散らかっては…、いない。

 右側には天井まである本棚があり、魔法関係の書籍から科学系の書籍と大小さまざな本がジャンルごとに整頓されていた。

 そして正面には机があり、モニターが5つあるPCが置いてある。

 その隣がベットになっており、クローゼットがある。

 

 自分の部屋に入ると、PCの電源を入れて、メールを確認して閉じた。

 

 矛盾を感じると思うが、この世界にもインターネットというものが存在する。

 彼自身独自の(厳密に言えば違うが)ネットワークを持っている。

 メールの内容は『近いうちに上にいく』と書かれていた。

 

 紙媒体が少なくなってきた言ってもそれは一部の地域でしかない。

 他の地域ではまだまだ行き渡っていないところもある。

 国によっても違ってくるが基本的に紙類は少なってきている。

 

 魔法書籍も古いものは別として、電子版も最近では出来ている。

 それは…、とここだ語りすぎるのも良くないな。

 

 深龍は作りかけの魔法陣を確認すると閉じた。

 

  そして身支度をして家を出た。

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?

と言っても今回もほぼ-Outside a story-のまとめになりすね(汗
最後の方は少し話を追加しました。
-Outside a story-は直接的に関わって来るのは物語の中盤を予定しています。
その時にまたこちらに戻って来るのもいいと思います。
この物語の設定をわかってもらうために書いたようなものですが、実は少し関係のある物語である。
ということですね、

ということでこれにて-Outside a story-の話は終わります。
次回からは進んでいくと思いますのでこれからよろしくお願いします!

半年間お待たせしました!!!


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1話 少女と世界

これより本編の始まりです!

それではこの世界についてのイロハと今作のヒロインの紹介です!
ではどうぞ!

10/14に少し改変しました。


あなたは"魔法が使える側の人"ですか?




 その日と同じ時刻、同じテレビを見ていた子がもう一人いた。

 厳密にいえばその時間帯はそのニュース番組を見ている人が多いので誰とはわからない。

 だけどその事件に関しては人一倍気になっているのは確かである。

 

 ギルドに近い建物、ひとり暮らし用のマンションが建っている一室である。

 この建物は女性専用のマンションである。一応2人以上の部屋も用意されている。

 座っている長い髪の毛の女の子が、食べていたパンを止めてテレビに見入ってしまった。

 

「あ、この話汽車に乗った時に聞いた話しだ…」

 

 と呟いた。

 気になるニュース内容だが、そろそろ家を出る支度をしなければならない時間と思い出し、机の上にあるパンを食べ終え、スープを飲み干して一息ついた。

 彼女は自分が着ている、ピンク色に白い雲のような模様のあるふわふわしたパジャマを着替えることにした。

 朝起きてご飯を作ってからまだ着替えていなかったようだ。

 椅子から立ち上がると、椅子の座の部分まである長い透き通るようなぁ薄い水色の髪の毛が1本1本サラサラと揺らぐ。

 その髪は少しウェーブがかかっていて、長さは腰よりも下の位置まである。

 ちなみに前髪は少し長く眼にかかり、髪の毛の間から垣間見えるガラスの様に透き通る青い色の眼をしている。

 はっきりとは見えないが、眉毛と目尻が垂れ気味で、ちょっと気弱そうな感じの可愛い女の子だ。

 彼女自体の身長は150cm弱だろう。

 

 流し台の横の食洗機に水で流した食器をセットして、クローゼットの前まで行った。

 部屋は玄関、右にトイレがあり左にはドアがり浴室と洗濯機。そのまま右にキッチン。

 奥にはドアがありドアを机とテーブル左後ろにはクローゼット右にベッドがあり、テーブルにテレビとなっている。

 

 クローゼットを開け、水色のカラーで模様の入った半袖の服をとり、青と水色のチェック柄の短いスカートを手に取り着替え始めた。

 

 パジャマを脱ぐと薄いピンク色の白いレースのついた下着をつけていた。

 服を脱いで肌が露わになる。体の線は細く肩幅も狭い。手足も細長くその肌は若干ピンク色の白い肌をしている、とても柔らかそうな感じである。

 目の色は空色に近い蒼色をしている。

 

 そして服を着て、クローゼットを閉じた。

 かけていた青に黄色の柄が描かれているヘアバンドを上からつけ髪の毛を全て後ろに流した。

 部屋の壁にかけている薄いピンク色の小さい、色々な小物がついたリュックサックを背負い、ドアを開け外に出た。

 自分のいるところは4階、この寮の最上階は10階。彼女は自分の部屋のドアを閉め、深呼吸をしてから階段に向かった。

 寮から見える景色は近代的なビルが立ち並ぶ風景だった。

 

 

   [ 1 ]

 

 

 この世界には2つの人種が存在する。

 

 魔法が『使える人』『使えない人』。

 

 使いない人も一概に全く使えない、という事ではない。それに魔法が使えなくても困る事はない。

 

 魔法が使える者は魔導士となり、ギルドと言われる企業に就職し、そこで仕事を貰い生計を立てている。

そのようなギルドには様々な依頼が来る。

 この世界にはモンスターと呼ばれる魔物も出現する。モンスターとの遭遇は大変危険なため、安全地区以外は戦闘能力のない人は近寄れない。

 魔導士はその危険性のあるモンスターの退治や捕獲をしたり、常人ではなかなか行きにくい場所に赴き材料取りに行ったり開拓などをしている。

 その他にもVIPやその他護衛をして欲しい人を護衛したりして稼ぐ人もいれば、アリーナで戦闘して稼ぐ人もいる。

 

 護衛に関してはこの世界にも警察や軍が存在するが、個人的な護衛をしてもらうなら、直接会って綿密な計画を立てたりできる、魔道士の方が好まれる。

軍や警察は護衛をしてるのがバレてしまうが、魔導士なら基本私服なので陰ながらの警護にも向いてる。

 

 だが魔導士の方は通常よりも依頼料が高額になる傾向があり、またプライベートも人によって保証されるのかも怪しい。また彼らの信頼によって、来る依頼も変わる。

そこに関しては軍や警察の方が信頼度は高い。

 

 ギルドに入らない魔導士もいる。それらは基本的に『魔導師』と書き教師になったり、企業に就職して自分の魔法を使ったりする。

武器、防具を作る鍛冶屋も現存する。

 

 

 魔導士の事を話してきたが魔法が使えない者は仕事がないわけではない。

 実を言うと少ないながらもこの人たちには魔法に近い現象を起こす人がいる。

 それは超能力。エスパー、サイコキネシス。

 魔法では説明できない事象の変化をする技が出来る人がいるのである。

 企業や会社に就職して仕事をする人や、警察や軍に入る人もいる。

 

 その人達のことを『技能士(ぎのうし)』と呼んでいる。

 

 軍や警察は魔導士でなくてもある装置を装備して有事の際に魔導士との戦闘をする人がいる( -Outside a story-を参照)。

 世界全体の人口の割合はこのような人達の方が多い。

 

 それに魔法が全く効かない生物も鉱石も存在するので、決して魔法が使える人が優遇さている訳ではない。

 一般的には魔導師は「頭が悪い人が多い」「理解に苦しむ」「すぐに気が立って戦い始める」「戦闘魔族」という価値観を持った人が多かれ少なかれいる。

 この国は珍しくそれらの風潮があまり感じない国である。

 

 この世界には魔法のみが発達した国、また魔法ほとんどなく科学技術が発達した国など色々な国が存在する。

 

 

 

  ♢ ♢ ♢  

 

 

 

 女の子がドアを開けてギルドの寮である建物から出た。

 門から出て右に、300mほど歩くと寮からも見える、形は聖堂風であり3箇所大きな鐘が入っている建物。外見色は白が基調でところどころに和風感を醸し出している建物が左前方に見える。周辺は2mほどの高さの壁で囲われている。

 寮とギルドの間には小さなお店街を挟んで両隣である。敷地内にないのにはある理由がる。

 

 今の時間帯は通勤、通学の時間であり、道は色々な人で賑わっている。

 

 彼女から見て右側がギルドになっている。

 ギルドの前は大通りになっている人が10人以上横に並んで歩ける歩道があったり、車の車線が片側で2車線あり、それと中央にはレールが敷かれて、そのレールの上を人を乗せて走る乗り物が動いている。一度に30人から50人程度、乗れるようになっていて、それが2、3両で走っている。

 名前は、『ノルン』と呼ばれている。

 ギルドが位置する場所は他のとこよりも土地が高くなっている。これにはある理由があるのだが、今は伏せおこう。

 

 ここはこの国の中では1番発展していて賑わっているところである。

 いわば首都圏であり、国の最高機関が揃っている。

 

 ギルド光の三柱(ライトトライアングル)(通称ギルド:ライグル)、(こう)稀科学(きかがく)魔法科学校、(こう)稀法(きほう)大学、この建物群は正三角形の形で位置している。そして真ん中には六芒星の形をした聖堂評議会塔が存在する。高さはそれほど高くない。だが長い塔が7本出ている真ん中の塔が一番高い。

 そしてこの建物は行政、内閣や魔法評議会、法律など、いわゆるこの国の中心的な機能を持っている。

 そしてその聖堂評議会塔はこの3つの建物とあと3つの物により強力な最硬度の六法魔法陣による結界が貼られている。

それにより、聖堂評議塔は守られている。

 人の出入りは自由にできる。

 

 といった建物がある街だ。

 少し離れたところには高層ビルなどが建っている。

 

 そして門の前に立った。石畳が敷かれており、女の子はその上を歩いた。ちょど今の時間は色々な魔道士達がくる時間だ。

 いわば出勤時間みたいなもの。

 

 

 ギルドでは2つの報酬方法がある。

 安定してお金が入る、《給与制》

 自分にあった任務をこなして稼ぐ《報酬制》がある。

 

 給与制はギルドマスターから依頼を直々に受け、それを定期的に行なっていく。それと違い任意の任務をこなしていく方が報酬制である。報酬制は正直自分の実力がない頃はしないほうがいい。高額な任務になるにつれて、その難易度も跳ね上がる。

 

一気に色々なことを説明してしまったな、ここで一呼吸を入れていこうか。

 

 

 女の子は綺麗な長い髪の毛をなびかせながら歩き、すれ違う人々が振り向くほどのその姿で、その女の子はギルド光の三柱(ライトトライアングル)の大きなドアを開けて中に入って行った。

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?

ということで8月からえっと3ヶ月半あき本編始動となりました!!
大変お待たせいたしました。
なかなか自分の思い描いているものを文字に起こすのはとても大変ですね。
艦これの時もそうでしたが、もっと言葉の勉強しないといけいないと感じました。
次の話もできいますので近いうちに投稿します。
それでは!!



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2話 誘いと事変

それではいよいよ!!今回は詐欺ではありません
本当に本編始動です!!
長っかった。
それではどうぞ!!!!



 私の名前は聖嵐(せいらん) 晴奈(はるな)16歳。この春に(こう)稀科学(きかがく)魔法科学校を卒業しました。

 そのあとは大学には進学せずに在学中からお世話になっていたギルド《ライグル》(光の三柱(ライトトライアングル))に入ることに決めました。マスターや周りの人たちも心良く受け入れてくれ、正式にライグの魔導士になりました。

私が得意とする魔法は『風』『聖』系統の魔法。魔法以外にでは剣術が得意で、実力は学年で上位に入るほどです。

 もともと自分の家系が剣術の凄い家で幼い頃、学校に入学するまでの間、祖父母に稽古してもらっていました。

 学校に進学してからは寮生活になりました。けれど向こうの手違いでルームメイトがいなく、学校生活のなかでは結局のところ仲のいい友達は出来なかった。

 

 でも高学年になってギルドに仮に入るとみんな優しい人達で私のことを仲間にしてくれた。

 そしてこのギルドに正式に所属してその時の人たちと一緒にクエスト今もクエストに行ったいます。

 見た目はとてもチャラそうに見えるけどいい人達だと私は思っている。

 時折魔法以外で「良いことをしよう」と誘われるけど、正直魔法以外は興味ないから、断っている。けれど最近は…、少し強引な気がする。

 

 

「それで、私、一緒に連れて行きたい人がいるんですけどいいですか?」

 

 何時ものように皆と集まって今後行くクエストを探していた。

 クエストや依頼をこなすことで報酬を受け取る、それを生業にしているのが私たち魔道士である。漢字で書けば魔導師も居る。

 で今私は使っている武器、背中に背負って居る片手長剣の強化をしたくて、あるモンスターの討伐依頼を受けようとしていた。(街中では許可を得なければいくら魔導士でも武器を携帯することはできない。杖や術札などの魔法を発動する媒体になるものは別とされている。が許可は必要)

 そしてその頼みとは、一緒に同行していきたい人が一人居ると言ったのだ。

 なぜ一緒に行きたいかと言うと、今回行くモンスターは強いと言われているから、でも本当のことを言うと私はその人に少し好意抱いていたのかもしれない。

 

「誰??」

 

 テーブルに座り足を組んでいるチームメンバーの一人が聞いてきた。

 そして晴奈はカウンターの椅子に座っている黒いコートを来た男を指差した。

 すると皆んなは彼を見た。

 

「彼?、なんかあまり強そうには見えないけど…、そんなことよりさ…」

 

 男が言葉を最後までいい終わらずテーブルから下りて晴奈の肩に腕を回して話かけた。

 真横にある顔を、目を見ながら言った。

 

「あの人とても、強い…方ですよ。ですので、きっと…大丈夫です!」

「知っている人なのか?まぁ晴奈がそこまでいうならなぁ」

 

 晴奈は少し強めに言ったようだ。

 だが、あまりいい顔をしていないようだ。

 彼らにとって彼女、晴奈は可愛いからチームメンバーに入れたようなもの。

 そこまでして強くならなくても、俺らが守るから問題ないと、思っているからだ。

 

「なら、誘ってこいよ」

 

 と言うと晴奈はウキウキしながら誘いに行った。

 

 だが…、

 

「あまり人とは関わりたくは無いんだ」

 

 晴奈が誘うとYesともNoとも言わずに、彼らの方向を見ながらそう言ってきた。彼と私のほぼ最初の会話はとても冷たいもので始まった。

 彼は向こうで話をしているのが自分の話題だと気付き、私の話が途中でそう言ってきた。多分最初から用意していたのだろう。

 

 そして彼は彼女の方に目線を戻し話を続けた。

 

「それに君は彼等とはあまり関わらない…」

 

 と、途中で話を切って彼こと深龍(しんかみ)は席を立った。

 深龍が立つと同じタミングで金髪の男がやって来て彼の前に立ち止まった。二人とも背がとても高い。180cmはある高さ。

 

「意外と身長あるんだな」

 

 無口のまま金髪の男の方に向く。

 

「ま、そんなこと言ってやらなくてもいいじゃね、まぁ背は俺と同じで高いけど見た目弱そうだしな」

 

 ヘラヘラとした態度でそう言って来た。

 深龍がその言葉を聞くと口元が緩み少し笑い気味な顔になった。

 確かに深龍の顔は強面というには程遠く、どちらかというと優しそうなお兄さん。のような顔をしている。

 晴奈は一瞬その笑顔に恐怖を感じ取った。けれどこのチャラ男は気がついていない。

 深龍は金髪男の方に近づいていく。

 

「それ良く言われるよ、けど君より強いと思うよ。」

 

 最初は優しい声だったが、後半は少し刺さるような言い方になった。

 と深龍が金髪の男の肩に手をポンと乗せた時、金髪男が殴りかかってきた。

 それをしゃがんでかわし、少し距離をとった。

 

「予備動作が大きすぎだ」

 

 と言うと床を蹴って2階に上がった。そしてそのまま奥に行き姿を消した。

 

「んだよ、彼奴、偉そうにしやがって」

 

 と言いながら元いたグループに二人は戻って行った。

 

「さっきのはダサいぞ」

「うるせぇ!!!」

 

 と言いながら机にドン!!!と大きな音を立てて座った。

 しかし奥に行ったはずの深龍は2階から彼女らを見ていた。

 

「ダメでした。」

「あんな男なんか放っておいてさぁ、別の楽しいことしようぜ」

 

 と、別の金髪の少しチャラめの顔は残念系の男が肩に手を回して、顔を頬を優しく触った。

 そしてその男はギルドの奥の方の扉を見ながら言った。

 

「楽しいことって、あんたそれ」

 

 と今度は同じ見た目の今度は女の方が話に入ってきて、その手を離した。

 そうされるのは何時もの事、晴奈は気にも止めず話をやめなかった。

 

「私は、そのぉ、」

 

 晴奈の言葉に彼らの視線が集まる。

 

「どうした?」

 

 紙を握りしめてもう一度強く言った。

 

「このクエスト行きたんです!」

 

 と晴奈言うとチームメンバーが黙り込んだ。

 なぜにここまで言うのかと言うと、武器を強化して自分も強くなって、いつも守ってばかりの自分を辞めたいと思っているから。でもそれは彼らにとっては不要な事。

 しかし晴奈にとってそのクエストは少し難易度が、と言うよりこのパーティでも難易度が高いように思える。

クエストランクは《A++》。だが《S》にも相当するようなクエストだ。

晴奈の魔導士ランクは48MRで階級はA+に相当するが…。

 

「付いて行ってもいいんだけど、今は別の用事があるから…」

「私も、」

「おお、俺らもな、なおみ」

「ええ、つっ君」

 

 と皆行く気は全くないようだ。だが晴奈は諦めず。

 

「わかりました。では一人で行ってきます。」

 

 と言って手続きをしにカウンターに向かおうとした。

 だが不意に腕を掴まれる。

 

「ちょっ、晴奈」

 

 晴奈は掴まれた手を振りほどいて金髪の男の顔を一度見て、正面を向き直した。

 

「いいんです、これぐらい一人で出来ないと…」

 

 と言ってスタスタと歩いてクエスト発行届けを出して出発してしまった。

 

 今までの晴奈では考えられない行動に対して皆呆気に取られてしまった。

 

「ちょっとどうしたのよ晴奈ったらぁ」

 

 と呆然と立ち尽くして居る男の横に一人、見た目が似た女が横に立った。

 

「一発ぐらいさぁ」

「そこかよ、」

 

 とため息をついて、男の腹を殴った。

 

 事件が起きたのは晴奈が出発してから2時間後ぐらい経ったあとだった。

 急にカウンターの奥でザワザワとし始めたのだ。すると奥から一人白髪ショートの女の子が出てきた。そしてマスターの元に駆け寄って行った。

 その顔は蒼白で、少し冷や汗が出ている。ただ事ではないことが想像できる。

 その女の子の荒々しさにギルド内もザワザワと騒ぎ出す。

 

「マスター大変です!!ネビラ山の《ホワイトカリバーン撃退》のクエストですが急遽変更で《稀少種 聖・ホワイトグロードラゴン》に変更されました」

 

「それは大変じゃ……」

 

 マスターの顔が悪くなった。

 

 突如《通常クエスト》であった依頼が《緊急クエスト》に変更されたのだ。こう行ったことは稀にあることで、特段問題ない。だがそれよりも、そのクエストはすでに発行してしまい、一人行ってしまったことに問題がある。

 と言うよりも最も大変なことに、このクエスト変更は異常でランクが一気に跳ね上がる。

 ランクは当初の《A++》A ランク帯から4つ上がり(S、S+、SS、SS+)Gランク帯《G1》にまで上る。

 しかも行った人は一人で、その子は晴奈だった。

 

 最低魔導士ランクが151MR以上は必要とされるランク帯だ。

 晴奈は48MRでAランク準中級魔導士である。このドラゴンは並みの魔導士では殺されかねない。

 

 それを聞いたあの連中は

 

「マジかよ」

「ねぇはるな大丈夫かな?」

「誰か助けに行かないと」

「俺は絶対いけーぞ、あんなの相手とか死にたくねーよ」

「あなた達!!はるなは仲間じゃないの?」

 

「「えっと…、それは…、」」

 

 (なるほどな、そういうことか。聖嵐…)

 深龍は2階でそのことを聞いていた。そして1階に飛び降りて、その話している集団に横に行った。

 

「誰も命がけで助けに行こうとはしないんだな」

 

 いきなり男が横に現れ驚く4人。

 

「所詮その程度の仲だったってことか。お前らがどういう理由で彼女をそばに置いているか分かったよ」

 

「なんだよお前さっきの」

 

 一人金髪の男が深龍の前に立った。

 

「彼女は飾り物じゃない。仲間の為に死ねない奴らに彼女と一緒にいる資格はない、と言いたいだけだが」

 

 突拍子もない発言を聞いて少し固まる金髪男、フリーズが治ったのか話始める。

 

「お、お前には関係ねーだろ」

 

「あぁ、だが、個人的に死なれては気分が良くない、それに…、まぁお前には関係ない事だ」(あの時俺がもっと忠告していれば…)

 

「死ぬって…、お前!」

 

「あぁ確実に死ぬな。ならお前が行くか?」

 

 金髪の男に詰め寄る深龍。深龍の気迫につい後ずさりする男。

 

「行った所でお前も殺されるぞ、」

 

 見つめ合う形で男はそう言った。その言葉に深龍は少し驚いた顔をした。

 

「俺の心配をしてくれるんだな。ありがとう」

 

 と言い残すと身を(ひるがえ)して深龍はドアの向かって走って行った。

 ドアを開け、入り口の先をジャンプして捕まり、そのまま屋根を2度3度4度ジャンプして登って行く。

 クエストの場所は大体把握している。

 屋上に立ち、少し目を閉じて力を入れる。そしてその屋根から助速をつけて飛ぶ。

 すると腰のあたりに魔法陣が展開し光り出し、その光は両腕を伸ばしても届かないくらいの長さまでに伸び、ジェットエンジンユニッットも付く。

光は腰だけにとどまらず体の上半しも飲み込みアーマーをつける。

 光がなくなるとカラーはダークブルーにダークグー色のデジタル迷彩。ヘルメットも装着する。そうこうしている間にも落下は続けている。そして地面から2mのところでジェットエンジンユニットが点火して、加速し、ギルドの前の道路を高速で飛行。そして空高く飛び上がった。

 

 

 彼女を助けるまでは。

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?

やっと本編を話し始めます!これこそがこの物語の1話になります!
今まではこの世界の説明をざっとしてきました。
それでは今回の話の詳しい説明ですね。
とりあえず晴奈が一緒にいたメンバーは…、まぁ、あれですよねぇ。とにかくやりたい連中なんですよ!
全く、多分今回限りで出番はないかもしれないです。

この小説では魔導士にランクが存在します。そしてそのランクが今回のキーとなります。
深龍のランクはまだ未公開だったかな?彼はとても高いランクなので(主人公補正ってやつです)安心してください。
最後に出て深龍の装着した飛行ユニットは魔法と科学技術の融合した装備になります。エネルギーは魔力でそれに…
とまぁそんな感じの装備や、武器なども今後登場して行きます!!
それでは今回はこの辺りで!!


次回予告
クエスト依頼のあった街に到着する晴奈、大男でも倒すのは困難なドラゴン。
晴奈は果敢に挑むが太刀打ちできない、そして命の危機に!!



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3話 初!ドラゴンとの戦闘!!

一人で行く晴奈、初めて一人で行くのに不安で一杯だがどうしても行きたかった。
それは自分を強くする為、だがそれは波乱の始まりだった。
果たして一人で倒せるのか!?

お待たせしました!!
さておよそ半年ぶりの投稿!?
ではどうぞ!


 少し(さかのぼ)って1時間半前・・・

 晴奈がまだ、討伐対象が変更になったとは知らなかった頃。

 

 村に到着した晴奈は、目的地である村の大きな家にたどり着き、村の方々から色々と歓迎を受けていた頃だ。

 

「ありがとうございます、本当に魔導士様がきてくれるとは」

 

 高価な机と椅子に座り、晴奈が入り口に近い方に座っている。そしてその正面に村長的立場の初老の方、左右に若い男性が二人後ろにも数名女性も含めていた。

 彼らと少し挨拶をする感じになった。

 

「いえ、私の実力で倒せるかわかりませんが精一杯頑張ります」

 

 と言い深々と頭を下げる。

 

 と言っていたが、村長の後ろや周りからはあまりいい声は聞こえなかった。

「本当にあの娘でいけるのかしら」「うちの男どもでも叶わなっか相手なのに」

 などと、

 

 この村は首都圏から100キロほど離れいている。

 今までは街にいたが都心の駅から魔導汽車(魔法石を原動力に動かす汽車のことである。また別に電気動くものも存在する)に乗り、最寄駅から降りて徒歩で来た。

 村の周囲は深い森に囲まれており、モンスターが出現しそうな気配がある。

 正直なところ安全地区とは言い難い。

 

 モンスターの出現率は低いかもしれないが、時折このようにドラゴン種が飛ぶようだ。

 今回は村から離れた所の塔、聖域でもある塔に出現したようだ。そこは村から歩いて半時間。

 少し高い山から下りたどり着ける場所である。降っているときからわかっていたが霧が濃いのが特徴。

 

 挨拶をした後に、村の村長に道案内をしてもらいながら移動を開始した。その間少し話を聞いていた。

 

「この数ヶ月前にドラゴン達がやって来て村を襲ったのじゃ、その時村にいた魔導士に手伝ってもらって聖域まで連れ込むことができたのじゃが、その魔導士でも手が出せなくてな…」

 

 その聖域はある意味では大型モンスターを誘導して隔離する役目を負っているそうだ。

 

「何回も討伐隊を組んだのじゃがあの鱗が硬くて…」

「そう…でしたか」

 

 魔導士ですら適わなかった相手に私1人で倒せるのだろうか、と不安になっていた。

 二人はそのまま歩いてた。少しの沈黙の後また口を開いた村の村長。

 

「あの白くて白銀に輝く龍、古より伝えられし龍ならば、厄災が訪れる前触れかもしれん」

「厄災ですか…」

「あぁ、厄災じゃよ、と着いたぞ」

 

 と村長は山の中腹まできて立ち止まった。そこには石で出来た立派な門があった。その先は霧で前が見えない。

 

「先週から霧が濃くなって来てな、急に落ちるから来おつけてくれよ」

「わかりました、行って来ます」

 

 というと晴奈は深呼吸をして霧の中に突っ込んで行った。

 

 

 そしてその後その霧はある特別なモンスターから出ているとい事に気がついたのはもっと後のことだった。

 またこの霧の影響で調査隊の調査が上手くいかず、疑問に思った調査隊の人達がもう一度調査しに来たが、その時にはすでに1人の魔導士が戦闘に入った後だった。

 

 そして本当のモンスターが判明したのだった。

 

 その名が…

 

 

 

  ♢ ♢ ♢  

 

 

 

「さて着いた」

 

 石の階段を100段ほど下り、石畳を歩いてまた大きな石の門をくぐり、目的の場所についた。

 だがそこは霧が濃くて先が見えない。

 霧の濃さは10mといったところか、あまり良い視界とは言えない。

 

 感覚的にここはとても広い場所で、何かの広間的なところだとわかる。

 実際には100mを超える幅で奥行きは500mはゆうに超える広さである。

 

 晴奈が着いてからほとんど変わりない時に全身が今までにないくらいの恐怖に包まれた。

 全身に走る悪寒、その感覚に沿って体の芯からふつふつと湧き出る魔力。

 今まで経験した事ない、とても恐怖な何かがこちらに近づいてくるのがわかった。

 晴奈は背中に手を回し、片手剣を抜く。さやからはブレイド部分が翡翠(ひすい)色に輝き両側面は軽く反っている。ガードの中央にある赤い宝石がきらめく、フラーの溝部分には波打つ模様が描かれている。

 それを両手でしっかりと握り構える。

 

 するとバサァ、バサァと大きな翼が羽ばたく音がくるのが聞こえてくる。その音はだんだんと近づいてくる。

 音が近ずいてくるに連れてだんだんと霧が濃くなってくる。

 そしてうっすらと影が見え、大きな翼の影が、そして大きな声が唸り声が轟く。

 

 

 グググギャァァァァ《《《《

 

 

 その唸り声に呼応するかのように、辺りの空気が震える。詳しくいえば空気中の魔力の粒子が震えているのだ。そして大地が地面が震える。

 周囲に漂う魔力が一気に散る。それと同時にあたりの霧が晴れる。そしてその大きな巨体が目に写る。

 

 

 その体に光があたり神々しく白光りしている。まるで天から舞い降りた神の遣いであるがごとく。

 そして何よりその龍の鱗は鉄より硬い。

 

 今目の前に現れたのはいわゆる龍、ドラゴンと言われている存在だ。

 

 その白く輝くドラゴンを目にして晴奈は剣を構えたまま数歩後退りしてしまう。

 

 無理もない。

 

 普通にドラゴンを目の前にして後退りしない方がどうかしてると言えよう。自分の体よりも数倍、いや数百倍の大きさの存在を目にして、誰っだって後ずさりはするだろう。

 

 出現の仕方を見てもらってわかる通り、このドラゴンは特別な属性を持ち合わせている。

 

 

 基本的にドラゴンは《火》《水》《地》《風》《雷》《木》と言った基礎6系統の魔法を使用するのが通常である。又は基礎6系統に準ずる系統の魔法を保有している場合がある。例をあげると《雪》《鉄》《岩》などがある。

 だがそれ以外に別に系統外魔法といい魔法が存在しそれは《光》《聖》《闇》《重力》などの特殊な属性をもったドラゴンがいることが確認されている。(《光》《聖》に関しては同一であるという文献が一部あるが、詳しく研究出来ていないため現在は別々に扱っている。ある文献では《聖》は《光》からの派生ともあるが未だ謎が多い。魔法の構造自体は近いと言われている)

 そして今回のドラゴンが、

 

 《稀少種 聖・ホワイトグロードラゴン》

 

 名前の通りに聖属性を保有するドラゴンである。

 

 聖属性は特殊であり、浄化作用があることが知られている。それは他の魔法を無力化、相殺することができ、特別な魔法も一部をのぞいて無力化できる。(《光》も同様である)

 その性質の魔力を持ち、またグロードラゴン種というドラゴンはドラゴン族種の中では好戦的な種類に分類されるため、危険度は極めて高く、討伐できるハンターや魔導士は限られている。

 また表面の鱗は通常のドラゴンの物よりもよりも質が違う。

 基本的には肉の固くなったような少しザラザラした質感があったり、金属の特有の光沢などが普通である。がしかしこの《聖・ホワイトグロードラゴン》(以下:ホワイト)の表面はクリスタルのような輝きを放ちその硬度はとても硬い。なおかつ聖属性で魔法攻撃は無力化され『魔法攻撃を通しにくい』クリスタルと言われている。

 またそのクリスタルは高額な値段で取引されるので有名である。

 

 

 ドラゴンと向き合い、抜刀した剣に力を込める。

 魔力を体の芯から出し、腕、手を伝い剣の方に注がれ、翡翠色の剣が青く淡く光だす。

 今度は足の方に魔力を溜める。溜めた魔力を放出して強く地面を蹴る。足の形に地面が少しえぐれる。

 ホワイトは動こうとせずに晴奈からの攻撃を頭を少し下げて受け止める。

 

 魔力を帯びた剣が硬いクリスタルの輝きを放つホワイトの頭に当たる。

 キーン!!!という高い音が響く。

 金属同士が擦れるような黄色い、橙色の火花が散る。

 固すぎて、剣の刃が刺さらない。

 

 ホワイトは剣を受けたまま少し顔を下に向けて、斜め上に薙ぎ払う。

 

 晴奈は左手に剣を持ったまま後ろに飛ばされる。そして近くにあった岩に背中を強打する。岩に当たる直前に防御魔法を展開して強打を緩和する。

 

 晴奈は岩に手をあて立ち上がり、もう一度攻撃を繰り出す。

 今度は剣を右手で持ち、地面にすれすれまでに姿勢を低くして前屈みで走る。

 ホワイトからの攻撃が来る。少しにやけた口から炎が溢れる。そして三連続の火炎弾を右、左、正面に放つ。

 それを晴奈は見切り、瞬時に判断し右左によけ正面にきた火球をジャンプで避ける。

 着地と同時にスライディングして移動魔法で摩擦抵抗を減らしスライディングする。

 ホワイトのお腹に着くと右手の剣が光出し突き刺す。

 

 その攻撃にホワイトがビックリして少し浮かぶ。がそういかない。翼を羽ばたかせ空に飛び立つ、

 

 晴奈はドラゴンを睨み魔法陣を展開して詠唱する。

「《聖なる剣よ!10の輝きを持って、我に(まと)え!!》聖なる剣よ!10の輝きを持って、我に(まと)え!!」

 そして最後に

 

 「聖天(せいてん)!!」

 

 すると体の周りから白く光る剣のようなものが10本出現する。手に持っている剣を上にかざすとその周りの剣が一斉にドラゴンに向かっていく。これは詠唱魔法という。

 

 ホワイトも負けじと咆哮を繰り出すと周囲に4つの魔法陣が展開され乱回転しそれが球体になる。聖なる流星が現れる。

 

 白い剣は聖なる流星に消され、そのまま流星は晴奈めがけて落ちる。

 

 地面にあたり爆発と白煙が立ち込める。

 人影が爆発で飛んで行くのが煙の中で見える。

 

 ホワイトの後ろに存在する魔力、それに気づき振り向くが遅い。煙の中で見えた人影は変わり身であり、本体は既に裏に回っていたのだ。

 翡翠色の剣が白金に輝き出し、その大きさは10倍にまで膨れ上がる。それを振り下ろす。

 

 

 ホワイトは少し耐えるが耐えきれず地面に叩き落される。

 

 晴奈は魔力が尽きてしまう。

 

 「これで、どうだ…聖属性なら効くはず」

 

 だがホワイトは地面から両足を使い起き上がる。魔力を溜める。

 

「まだ、倒れないの…」(もう魔力が、防御に回す魔力すらない…)

 

 今までにないほどの魔力を感じる。そしてそれはとても高密度、これだけの魔力の密度は今までに感じたことがないくらいだ。

 そしてその魔力はあたりから吸収しているのがわかるくらい、そして、少しホワイトの顔がゆがんで見える。高濃度に溜められ魔力で空間が歪んでいるのだ。

 溜めながら、二足で立ち上がり、胸の部分が白く光り出し、膨れる。

 

 そしてブレスを出そうとする!!

 

 ドーン!!!

 

 ホワイト周りでブレスが爆発を起こしてあたりに白煙が立ち込める。

 煙が散るとそこにはホワイトが地面にはいつくばっていた。

 そして、ホワイトの目の前に人が一人、黒い服を身に纏った人が立っていた。




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

いやぁ6話目(本編2話目)完成するまでに時間かかりました〜
(これ完結するのいつになるのやら…)
今回から戦闘多目でのお話になりますね、いわば前編で次が後編的な感じです。
いやぁ最後に一人来ましたねぇ、一体誰なのかww

もうお分かりですね?

色々と説明文等がこれからも出てくると思います。それも楽しみにしていただければ幸いです。
といことで次の話ももう完成して今チェック作業していますのでもうすぐ投稿できると思います!
では次回も宜しくお願いしますね!



♦︎次回予告♦︎

晴奈のピンチに駆けつけた黒い人。
黒い人と聖龍とのバトルが開始される!
次回『深い龍対聖なる龍』
お楽しみに!

よかった評価していただけると嬉しいです。
(PS.艦これもそろそろ投稿します)


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4話 深い龍 対 聖なる龍

皆さんこんにちは!!

今回は見せ場です!
注目して欲しいのは『眼』ですね、あとは戦闘がどう描かれているのか、頑張って想像してください!
ではどうぞ!





 煙の中から全身黒い服で覆った長身の男性らしい姿が見えた。

 その彼の右手に黒光する大きな武器を持っていた。

 その武器は肘から先の腕を完全に覆い、自身の腕よりも2回りも3回りも大きく太く、大砲のような形をしている。

 中心部にはリボルバーらしき物が付いており先端には刃が2本付いている。

 

 この武器の名は《砲刃機(ほうじんき)》と言い、先端に刃があり砲口からは圧縮した魔力弾を発射することができる。

 リボルバーが内蔵タイプとリボルバーが無い物があり、リボルバーにはそれぞれ役割の付いたバレットを装填することができる。

 この武器にはいくつか種類があるが、詳しい話はまた別の機会にしよう。だが今彼が身につけているのはとても希少な物であると言える。

 

 ホワイトの頭に叩きつけている砲刃機を離す。

 そして砲刃機をおもいっきり右に薙ぎ払う。

 砲刃機はホワイトの顔に当たりホワイトは軽く数十m飛んでいく。

 

 男は晴奈に背を向けたまま言葉をかける。

 

「すまない、遅くなった」

 

 晴奈は今ここで何が起こったのかわからずにポカンとしている。そして力が抜けたのか立ち上がろうとするが立てない。

 男は晴奈が力が抜けていること確認すると、そばに駆けつけた。

 右膝をつき晴奈を見る。

 

「今まで良く頑張ったな。ケガをしてるようだな、大丈夫か?」

 

 ここに来てようやく晴奈は誰が来たのかを確認した。それは深龍だった。

 

「はい、でもどうして?」

 

 晴奈は驚きが隠せない。

 どうしてここに深龍が来たのか謎だ。

 深龍達とは別に、気絶から目を冷ましたのかホワイトが少し動き出した。

 

「今は話して言る余裕はなさそうだ」

 

 そう深龍が言うと、正面に居た深龍は晴奈と向き合う感じで左側に移動し腰を落としながら自分の左手を晴奈の肩に当てた。

 そのまま魔法を治癒魔法をかけ始めた。すると晴奈の体全体が緑色に発光する。

 

 ホワイトの咆哮が聞こえてくる。

 先ほどと同様に、魔力が高まるのが空気伝いに肌で感じ取とることができる。

 治癒を完全にし終える前に止めて、深龍はホワイトの方を1度見た。

 

「少し離れていて」

「は、はい、」

 

 ホワイトの咆哮を確認して晴奈に「少し距離を置くように」と言うと深龍は腰を上げた。

 深龍は自身の魔力を高め、ホワイトの方を見ながらつぶやく。

 

「やるのかドラゴン」

 

 そう呟くと深龍はさらに魔力を高めた。

 左眼が黒から青色へと変わり、そこに薄っすらと文字が書かれているのが見える。

 

 大きな岩の影に隠れた晴奈はその影から少し覗いていた。

 岩越しであるが深龍の気迫に押し飛ばされそうになる。体感的には風速20m以上はあるだろう。

 そして青色の蒸気が漏れ出して、たなびく。目に見えるほどだ。なかなか色付きで目に見えるまで魔力を高めれる魔導士はいない。

 ホワイトの白い覇気とぶつかる。

 お互い数秒睨んだ後先手を切ったのはホワイトの方だった。

 

 先ほどよりも早く火炎を5連発、高速発射した。

 

 ホワイトからの火炎を見た深龍はそれを避け、近づくために地面を蹴った。

 地面を蹴ったその衝撃で地面がえぐれる。それに離れると同時に後ろに防御魔法を展開した。

 そして深龍の姿は早すぎて消えた。

 そう目で捉えられないぐらいの早さで移動した。

 

(あのドラゴン私と戦った時よりも、強くなってるの…、)

 

 深龍は一瞬でホワイトの横顔まで行き顔の横に砲刃機を殴りつける。

 ホワイトは今度こそは飛ばされないと、力を入れその攻撃を耐える。

 耐えられたことを瞬時に判断し深龍は上にジャンプしてホワイトの背中に砲撃を3連弾くわえた。

 

 魔法攻撃が効かないホワイトが少し怯む。それを確認する。

 怯んだ理由は、その鱗では浄化しきれない魔法であるからだ。その攻撃が効くのを仮説から確信に変える。

 

 ホワイトは怯みながらも周りから青白い魔法陣を高速で展開、数種類の魔法陣が重なり一つとなり、そこから鋭い聖なる矢が飛び出す。その矢が深龍を襲う。

 深龍は空中でそれを数発回避して地面に着地、さらに来る攻撃をステップで避け最後は、右手に持っている武器で弾く。

 弾くとバフ〜と言う音とともに白い煙が発生し視界を遮る。その攻撃は視界を塞ぐだけではなく、ある魔法の妨害機能も持っている。

 

 つかさず後ろにホワイトが回り込み、右の翼を青白く発光さて、薙ぎ払いをする。

 その攻撃に少し遅れて気がつき振り向くが、間に合わずに吹き飛ばされる。

 そのまま柱の方向に飛ばされ4本の柱を崩壊させながら5本目で止まった。だがその柱に亀裂が走り、崩れ土煙が立つ。

 

 ホワイトは続けて特大の火炎弾は放ち、追撃で聖なる矢の攻撃を仕掛ける。

 

 爆発音が轟く。

 普通の人では跡形もなく消え去る威力だ。

 一分ほどでとても高度な戦闘を目の当たりにして、唖然とする晴奈。

 今まで見たことのない次元の違う戦いを見せられて何か湧き立つ物があった。

 

 数秒経つ。

 煙は一向に消える気配はない。

 すると煙の中で青白く光る物を見た、するとものすごい勢いで青白い光の矢が無数にホワイトに向かって絶え間無く飛んでいく。かなりの数でその矢は太い。

 

 それを翼で体を隠してガードをする。よく見ると矢が翼に当たる前に障壁が出て来て矢が壊れる。

 しばらくすると攻撃が止む。

 翼に魔力をため、突風を煙の方に向かわせる。すると深龍を纏っていた煙が晴れる。

 

 煙が晴れると深龍の姿が見えた。

 すでに立ち上がっており目はホワイトを見据えている。

 頭からは少し血を流している、少しふらついているがすぐに立ち直る。

 服は少し焼け焦げている感じだ。

 

 ホワイトはここぞ言わんばかりに翼を大きく広げ飛び立つ。

 空中でホバリングしてブレスの準備に入る。

 それを見た深龍も右手の武器を45度にまであげ左手で支え充填を開始する。

 ホワイトは何かを吸い込むように溜め胸が膨らみ、口から炎がほとばしる。

 深龍方は光の粒子が砲刃機(ほうじんき)の砲口の方に集まるのがわかる。そして砲口の中で何か歪んだ球体が徐々に大きくなる。

 

 両者はそれらを同時に発射した。

 ホワイトは今までの比にならないくらいの巨大な自身の体の半分ほどの大きさの白い火焔玉《龍奥義ー聖火焔豪球(せいかえんごうきゅう)》を繰り出した。

 深龍も同じくこちらは青白い滅龍属性のついた球体《波動滅龍弾》を放つ。

 

 白と青い高魔力の両者の攻撃が二人の中間地点であたり融合する。そして凝縮して縮こまり爆発する。

 

 その爆発の爆風が両者を飲み込む。

 爆風を喰らってもビクともしない両者、さらにはホワイトが爆炎の中に突っ込んで行く。

 深龍もジャンプをして同様に突っ込む。

 ジャンプの衝撃で、地面がえぐれ、小石が飛び散る。

 両者が空中でぶつかり合う。

 深龍の振り下ろし攻撃を顔で受け止める。

 空中での力の押し合いで動こうとしない。

 

 砲刃機がホワイトの頭に当てているので深龍が右手に力を入れ、さらに上に行き、上から叩き落とす。

 ホワイトは地面に叩きとされる。

 そのホワイトに砲刃機を紫色に発光させて攻撃を繰り出す。

 

 ドーーン!!と轟音が轟く。

 感触がない。

 そこにホワイトの姿はなかった。さっきの攻撃で消し飛んだのか。

 否、攻撃が当たる寸前に高速移動で別の場所に移動していたのだ。

 

 すると深龍の背中で魔力が高まるのを感じる。ホワイトが覚醒したのだ。

 

 全身が少し縮こまり、さらに宝石のような鱗が発光する。

 深龍は後ろ向き言う。

 

「お前、俺たちの言葉わかるんだろ」

 

 一度返事を待つが答えがない。

 

「二度は言わない、死にたくなければここから立ち去れ」

(リュウ)(チカラ)()タヌ(モノ)(ワレ)(ヤブ)レン』

 

 ホワイトはそう答えた。声で聞こえるわけではなく、脳の意識の中に直接答えて来た。

 

「なら、遠慮はいらないな」

 

 少しニヤけたあと、深龍は自身の魔力を増幅させる。さっきよりもさらに魔力が上がっているのを晴奈は肌で感じていた。

 鳥肌が止まない晴奈、だがそれはすぐに消えさる。

 そしてその魔力が一気に深龍の体の中に消え去っていき眼から、右眼が左眼と同様に虹彩が黒から青色に変わり、さらに青く(ほのお)のように揺らぐものが現れる。左眼はさらに青白くなり漢数字の四に見える。

 

 何も感じない。魔力というものを完全に感じなくなった。それよりも今度は冷や汗が額からこぼれ落ちる。

 これは、恐怖、そう晴奈は感じたのだ。

 

 そして右に持っている武器の形状が変形して行く

 ガシャ、ガシャと回転したり、縮んだり、いまの形状よりスタイリッシュに、短く、細く、そして鋭く。

 大きさは半分になり地面に擦れていた刃先はすでに膝の位置まで来ていた。

 

 お互い居合をする。ホワイトの眼力が鋭い眼が赤く光だし、その光のは動くと同時に光の筋が出来る。

 

 ジャリ、

 

 お互い消える、

 

 赤い光と青い光が空中で激しくぶつかり合う。

 幾度も幾度も空中戦が繰り広げられている。

 またぶつかる度に衝撃波が発生し、地面がそれに沿って筋ができる。

 

 ドン!ドン!

 

 二人が地面に降り立つ。

 

流石(サスガ)ダ、(ホムラ)()宿(ヤド)(モノ)、ダガ」

 

 その言葉を聞いたか聞いていないのか、深龍は真剣な顔になり考え込む。

 

「やはり通常攻撃だけでは無理か」

 と呟く。そして

 

「滅龍…」

 

 と言い眼を瞑る。深龍の周りの黒い剣が現れる。

 刃先を上にして10本周囲を漂う。

 

 ホワイトがダッシュしてくる。

 

 眼を開けると焔が出ている右眼の虹彩が赤色に変色し光だし、瞳孔が縦に細長い楕円形になっている。左眼は別の漢数字の五に近い模様が写っている。

 そして黒剣がホワイトの動きを止め、吹き飛ばす。

 そしてその剣がホワイトに刺さり動きを止める。

 ホワイトはビクとも出来ない。

 

「波動滅龍砲」

 

 先ほど同じように光の粒子が集まる。そして砲身の先をドラゴンに向ける。

 砲口に楕円形の球体が現れる。それは青系統の色が色鮮やかに輝く。

 

「発射…っ…」

 

 小さい声で言う。トリガーを引く。

 一瞬その球体が消える、そして青白い自身の半分ぐらいの太さのものが一直線に放射される。

 だがその攻撃はホワイトには当たらなかった。

 ホワイトをかすめ、動きを止めていた黒剣が砂のごとくサラサラと消えていく。

 深龍が苦しそうに胸を左手で抑える。

 

 ホワイトはそれを見逃さず、龍風を深龍に向ける。

 

 深龍は俯いた顔を上げると、構えるが力が入らず体制を崩し飛ばされる。

 

 ホワイトは魔法の拘束具で岩に深龍を縛り付ける。

 飛ばされた時に砲刃機が外れ近くに落ちる。

 

 深龍は力を入れるが力が入らない。それに胸が苦しい。

 締め付けられる。

 

 ホワイトがドシ、ドシ、と歩きながらエネルギーを溜める。

 その時深龍の目の前に青い髪の毛を揺らして立つ少女が現れた。

 

「よせ!!」

 

 現れたのは晴奈だった、そして晴奈は後ろにいる深龍をみて、

 

「大丈夫だよ」

 

 と笑顔を見せて正面を見た。

 深龍は驚きのあまり眼を見開いた。

 全てがスローモーションのように見える。

 ホワイトは足を止めブレスを放つ。

 すると眼の前で何かが輝いた。

 

 そしてホワイトは翼を羽ばたかせ、どこかえ飛び立っていった。

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回は色々と詰め込みました〜
まだまだ言えないことだらけなんですが…、察しの言い方は「多分あれかな?」とわかるかもしれません。
深龍にはまだまだ色々な能力を隠し持ってますからね〜
楽しみにしていてください!

では次回!

♦︎次回予告♦︎
無事に終わったクエスト
少し怒られる晴奈、二人の仲は一体どうなる?
次回『観察する者』
お楽しみに〜

よかった評価していただけると嬉しいです。


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5話 観察する者

こんにちは!!
さて龍との戦闘も終わりましたね!物語はこれかです
ではどうぞ!


 ドラゴンが飛び去るとあたりの霧は晴れていった。

 

 岩に白い拘束具を取れつけらたまま呆然しとしている人ががいた。一瞬何が起こったのか、理解に苦しんでいる深龍だった。

 深龍は何が起こったのか、考えようとしたがそれを辞めた。考えたところで終わったしまったことだと。

 だが結果的にはとっておき(・・・・)を出さなくて済んだ、と言うことだ。

 

「ありがと」

 

 深龍は背中を向けている晴奈にそう言った。

 晴奈はビック!!と動くと声のした方向に体を翻して深龍の方を向いた。

 深龍の姿をみてビックリしたのか、深龍の横まで駆けつける。

 

「大丈夫ですか!!今その白いの外しますね!」

 

 晴奈はその拘束具を外そうと触りわりかけるが。

 

「あ!いや触らないほうが…」

 

 と深龍が声をかけるも晴奈は拘束具に両手で触れた。

 だがその拘束具は、拘束した相手以外の魔力を吸う、特性を持っていた晴奈魔力を吸われてしまい地面にペタンと座り込む。

 

 深龍は少し呆れた顔をするが、すぐにやめて、ドラゴンがいなくなり拘束力の下がった拘束具を破壊する。

 地面にペタリと座っている晴奈の顔をみる。

 

「大丈夫かい?」

「だ、大じょ…」

 

 とそのまま後ろに倒れてしまった。

 深龍はやれやれと思い、彼女を晴奈を横に寝かせ適当なのもで頭に枕を置いた。

 数分が経ち、晴奈が意識を取り戻す。

 

「目が覚めたか?」

「はい」

 

 立ってあたりを見てた深龍が晴奈の横に座る。

 

「君」

「はい!?」

 

 晴奈は正座をする。

 両手を膝の上に置き、話を聞く。

 

「人の話は最後までよく聞く事!大事な事を聞き逃すよ。」

 

 案の定深龍からのお叱りの言葉だった。

 

「すいません…」

「さっきも、ギルドの時も」

「ギルドですか?」

 

 ギルドという言葉を聞いて首をかしげる晴奈。

 深龍は少し違うかと思ったが話を続けた。

 

「ギルドの時は少し違うか、途中で横槍が入ったからね。」

「あ、そうでしたね、どうして一緒にいない方がいいんですか?」

「君は人がいいね」

 

 深龍は少し考え込む、そして口にした。

 

「彼らは正直なところ任務やクエストに行って、も良い評判は聞かいよ。まともに行かないし、迷惑かけることが統計的に多し、君が入ったぐらいからは減ったようだけど。それに今回クエストのが緊急に変更されても誰も君を助けに来ようとしなかったしね」

「そうだったんですね、良い人達と思っていたんですが…、」

 

 晴奈は少ししんみりとした表情になり、俯いた。

 今まで色々と面倒を見てくれたような気がしてたのに、と。

 深龍が「さぁ行くか」と言って立ちあがったとき、まだ地面に座っている晴奈が声をかけて来た。

 

「あの!!!」

「ん!?」

 

 声をかけらて、晴奈の方をみる深龍。

 何か言いたそうにしている晴奈をみる。

 胸のあたりで両手を握り、力を入れているようだ。何か真剣な話でもあるのか?

 

 まさか「強くして」と言われないだろうな。と考えていると。

 

「私を強くしてくれませんか!!?」

 

 当たった。深龍の考えは当たったようだ。

 今回だけの戦闘ではない。晴奈は昔、一度だけ深龍の戦闘を見ている。それも対人戦だ。

 晴奈自身は強くなろうとしている。今回彼を誘ったのも、これを言いたかったためである。

 結果的には彼ら、同じチームの人がいなくてよかったと思う。

 だが深龍の答え一つしかなかった。

 

「俺は他の人とチームを組みたく無いんだ」

 

 深龍はあまり人と付き合うのが好きではない。今回のような事は稀ではあるが、時折戦いを見た人が『弟子にしてください』と言われる事はある。

 助けに来た理由も、彼女をもう少し説得して入ればこんな危険な合わせず済んだのにと思っていいるし、そもそも死なれては後々面倒だからだ。

 他人といば他人だが、彼女が俺と一緒にこのクエストに行こうとしていたのは多かれ少なれて知っている人はいる。

 ならその人達から言われるはずだ。

 

「お前が行かなかったから死んだ」と「見殺しも同然だ」と。

 そう言われるを回避したかった為だ。

 全て自分の為にした行動だ。

 

「そうですか……。」

 

 晴奈が顔をそらした時、深龍が胸を押させて膝をつく。

 声が出せないほど、苦しいようだ。とても苦しそうな顔をしている。

 

 それに晴奈が気がつき晴奈そっと背中をさする。

 

 深龍の精神の中。

 暗闇の中の何かから声をかけられる。

 

(苦シイカ、苦シイナラ、ソノ苦シサヲ解放シロ)

(ふざけるな、お前は一体誰だ!?)

 

 と言いながらあたりをキョロキョロと見渡す。

 

(オ前ノ中ニ潜ム闇ノ部分ダ、オ前ハ光ニ接シ始メタ、アノ忌々シイ光メ)

 

 赤い光りの筋が見える。

 何かの生き物の目に見える。

 

(光…、だと?)

 

 真っ暗の中突如一筋の光が差し込む。

 それが暗闇を飲み込み白へと変えて行く。

 その時、ぼんやりとだが白鳥のような影を見かける。

 

 意識は元の世界に戻り、深龍はとっさに肩にかかっている晴奈の手退けてしまう。

 晴奈少し驚くが、深龍がその退けた手が晴奈の物だと知ると「すまない」と呟いた。

 晴奈驚いた顔を戻すと深龍の顔を覗き込む。

 

「大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だ。最近発作がね」

 

 深龍は俯いたままじっとする。

 おもむろにポケットからケースを取り出し、錠剤を2つ飲み込む。

 晴奈が発作のことについて来てくる。

 

「最近ですか?」

「あぁ、3ヶ月前までは収まっていたんだけど……、そう最近……」

 

 自分で言った言葉になぜか、疑問に思ってしまう。

 そう最近また発作が多い。いつもなら考える事はないのになぜか考えてしまう。

 また発作が起き始めたのは最近。

 そう、いつから。

 1年ぐらい、いやそれ以上前?

 収まっていたのは何故?

 

 では前はいつ起きた?

 

 正確に覚えているのは半年前。

 半年前は何が有った。

 確か、ギルドに学生魔道士がいた頃。

 気にもしなかったが、そうだ、星那(せいな)がまだ学生で学生魔道士だった時期だ。

 その間発作は時々起きていた。だが彼女等が学校に帰ってからは発作は止んだ。

 

 そして最近また起き始めた。

 最近変わったこと。

 

 少し前2ヶ月前の記憶が蘇る。

 

 「今日は一段とうるさいなぁ」

 

 「まぁ、まぁ、しゃーなかろう、深龍(しんかみ)

 「マスター」

 

  なぜ騒がしい?

 

 「新人が入ったからのぅ」

 

  新人?そう新人魔導士歓迎パーティーをしていたから。

 

 「新人ですか?」

 「卒業生だとよ、あんたの後輩じゃな」 

 

 卒業生、どこの?

 後輩?

 

 深龍は考える、あのときの記憶を思い出しそこにいた人たちの顔を思い出す。

 そうか!あの時、あそこに居た娘。

 それが!

 

 俯いていた深龍の顔が上に向き、晴奈をみる。

 

「君、出身校は?」

 

 深龍は聞く、

 

(こう)稀科学(きかがく)魔法科学校です。」

「そうかぁ」

 

 俺と同じ学校。ギルドが契約している学校で学生魔導士が来る。

 あの時にきていた娘で間違いない。

 だがまだ確証はない。

 

 そういやさっき、彼女が庇ってくれた時に、目に白く大きく羽を広げる鳥のような生き物を見た。

 あれと同じか。

 あれが、俺の発作の原因?

 気になるな、少し調べる必要があるか……。

 

 ま、いいか、これも何かの縁だ。

 

「いいよ、君が一人で自立できるようになるまで面倒見てあげるよ。きっと何かの縁かもしれないしね」

 

 深龍は重い表情から、明るく笑顔に変えてそう言った。

 

「あ!!!ありがとうございます!!」

 

 晴奈は満面の笑みを浮かべた。

 

「そう言えばまだ自己紹介してなかったね」

 

 そう言いながら深龍が立ち上がる。

 

「知ってますよ!光星(こうせい) 深龍(しんかみ)さんですよね?」

「そうだけど…なんで?」

 

 続いて晴奈も立ち上がる。

 パンパンとスカートの土埃を叩く。

 

「学校の先生がよく話していたんです」

「俺の学校での評判は良く無いと思うけどなぁ…」

「そんなことないですよ!!」

 

 俺が頭を掻きながら、答えたのに対して晴奈は真剣な表情で答えた。

 深龍は誰が俺のことを話していたのか気になった。

 

「ちなみに誰が言っていたの?」

「体術の東城(とうじょう) (ごう)先生です」

「剛さんか、なら良いかな?俺の師であるしね」

「そうなんですね!」

 

 東城 剛:光稀科学魔法科学校所属の体術、近接戦闘魔法の先生である。

 全国的にその実力は有名で、あの八方星師族界(はっぽうせいしぞくかい)に属していた東城家の一人である。

 

 体調が戻った二人は聖域から離れて行き、依頼のあった村に戻って行った。

 

「深龍さん、晴奈さんありがとうございました。」

 

 村の村長さんをはじめ村の大半が集まって出迎えてくれた。

 

「いえいえ、今回はただ撃退しただけなので。いつまた来るかわかりませんが当分は来ないと思います。」

「ありがとうございます」

「今回と同じような龍が現れたらこちらに連絡をください」

 

 と言って、名刺的なものを渡す。深龍の連絡先が書かれている物だ。

 

「わかりました。何から何までありがとうございます」

 

 お辞儀をする。

 すると村長の後ろから何かごそごそと持ってきている。

 

「それとこちら依頼の報酬になります」

 

 ビックリする深龍。

 大きな巾着型の袋にたくさんの素材が入っていた。

 村の特産品や今回討伐し損ねたモンスターのカケラなど、色々と入っていた。

 

「そんな、今回は撃退になりましたので。クエストクリアというわけでは…」

「私たちにとっては同じことです」

「そうですか」

 

 と言って、謝礼金と素材を受けとった。

 

「ありがとうございます。ではこれにて」

 

 と村長ら村の人たちと別れ、帰路についた。

 

 

  ♢ ♢ ♢  

 

 

 村の片隅で深龍と晴奈の別れをみている一人の男。

 体格は分からないが、スラッとしている。

 

『トウジョウか』

「はい。報告です。」

『言え』

「龍の方は戦闘中に離脱しましたが、無事に確保しました。」

『そうか、戦闘した相手に手を出さなかったのか?』

「えぇ、焔眼(フレイムアイ)を使用していたので、流石に通常の眼(・・・・)では追いきれませんでしたので。」

『お前でも敵いそうにない相手か?』

「難しいですね、何せ例の黒服の砲刃機使いですので」

『何!?』

 

 少し間が空く。

 

「間近で観察していましたが、あの調査資料の結果は本当かと。」

『そうか、もし戦闘できていたら色々データが取れたかもしれんな』

「あの文献の

 【焔眼(フレイムアイ)焔眼(フレイムアイ)でなければ対等に戦うことが出来ない。】

 は誠のようであります。」

『詳しくは帰ってから聞く、すぐに帰還しろ』

「はっ!」

 

 と言ったあと消えた。

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?
無事に晴奈ちゃん深龍とバディを組めてよかったですね〜

この世界では一人で任務やクエストを攻略する人もいればパーティーを組んで攻略する人がいます。
それは個人によりますけどね!

自分だとん〜、一人かなww
てなっ感じです。
ではまた次回もよろしくお願いします!!


♦︎次回予告♦︎
帰り道に汽車に乗る二人そこに現れたのは妹?
眼ことが気になる二人さてどうなる?

次回『青い眼と漢数字』
お楽しみに〜

よかった評価していただけると嬉しいです。


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6話 青い眼と漢数字

お待たせしました〜
今回は色々と入れています。
複雑な内容のような気がしますが読んで見てください!
ではどうぞ!


[ 2 ]

 

 二人は駅のホームで立っていた。

 深龍は背中に背負っていた砲刃機を魔法によって片付け、代わりに魔補具(まほうぐ)を、棒状の物を取り出し背中に五本背負った。

 魔補具とは魔法発動補助器具の略称である。

 

 背負うと同時ぐらいに汽車がやってきた。

 二人は乗り込み、席についた。

 

「お疲れさま、突然大変だったね?」

「はい……」

 

 晴奈は一呼吸置き続けた。

 

「ドラゴンとても強かったです」

「あれは特殊な個体だったからね」

 

 深龍がそう言うと汽車は動き出した。

 二人は車窓から見える景色を眺めていた。

 あたりは草木に覆われていた。緑がとても多い。

 

 深龍はふと晴奈の目の色が少し違うことに気が付いた。

 

「眼の色が左右で違うんだね」

 

 深龍からそう問われて少し戸惑いを見せる晴奈。

 

「えぇ、わかるんですか!?!?」

「右眼の方が薄いのかな?」

 

 確かに晴奈の目は両目で少し色が違う。だがパッと見で分かるほどではない。

 

「はぁ、結構頑張って隠してるんですが…」

「いや、パッと見では分からいよ、上手く出来てるよ」

「ありがとうございます」

 

 頑張っていると言うのは魔法で自分の眼の色を誤魔化しているってことだ。

 なぜそのようなことをしているのか?

 それは眼が特殊であるからだ。『眼は口ほどに物を言う』上級魔導士になるほどそれはおもむろになる。

 戦闘をするときは相手の情報を知ることが重要だ。その時に一番てっとり早いのが『眼』である。

 魔法を扱う魔導士のレベルが高くなればその属性の色素が現れる。

 それが一番体面にでやすい眼に現れるのだ。

 それは属性毎に色が決まっており、その色を隠す意味で眼の色を変える魔法を使うのである。

 それほど高度な魔法ではないが、それを戦闘中も維持できる魔導士は少ない。

 

「あのぉ、深龍さん」

「なんだい?」

 

 晴奈少し質問をするのをためらった。本当に聞いていいのか?

 見たことない『眼』に興味を持ってしまった。

 で気になることがあるようだ。

 

「さっき気になったことがあるんですけど、眼の中に漢数字が見えたんですけど、あれってなんですか?」

「あぁ、あれか」

 

 深龍は心の中で驚いた。

(まさかとは思っていたが、見ていたか)と。

 深龍の眼に『四』の文字が刻まれていたのを晴奈はしっかりと見ていたようだ。

 

(流石に六道の眼のことは言えない、まだそれを言うほどでは……、どうする。)

 とその時だった。

 深龍の前の方から声が聞こえた。

 

「あ!いたいた!やっぱり乗ってた」

 

 そこに現れたのは長身で健康的な体で手足が長く、透き通るような青い髪の色でショート。

 の女性が現れた。そう深龍の妹の星那だ。彼女の眼の色は一応言うと右が水色で左が黄色だ。

 彼女は色を隠していないようだ。

 

「お兄ちゃんと同じ魔力を持った人を感じたから探してたの」

 

 天使のような表情をしながら星那が言ってきた。

 どうやら深龍の妹の星那もこの汽車に乗っていたようだ。

 

「相席いい?」

「いいよ」

 

 と言って星那は窓側に座っていた深龍を退けて、ではなく深龍が移動して窓側に座った。

 晴奈の目の前に座った星那、晴奈その顔を見て思い出したかのように手を合わせた。

 

「あの、もしかして今年卒業した『水雷(すいらい)星女(せいじょ)』星那さんですか?」

「え!」

 

 戸惑い固まる星那。まさかこんな所でその前を言われとは思っていなかったのだろう。

 卒業してギルドに入った時には散々言われて最近は治ってきたと思っていたけれど…、また言われた。

 

「うん、そうだけど」

 

 その名前で呼ばれて照れている星那。

 

「その名前で呼ばれるのはちょっと恥ずかしいな」

「へぇ〜星那、そんな異名あったんだな」

 

 と横目で星那を見る深龍。

 深龍は本当は知っていたけれど知らないふりをしていた。

 

 晴奈は話を続けた。

 

「はい!在学中に魔導ランクを100を超えたことで有名で雷と水の魔法を自在に操ることができるって」

「あれは、お兄ちゃんが魔法を組んでくれたからね。あ!そういえばあなたは聖嵐 晴奈さんよね?」

「え!私のこと知っているんですか!?」

「知ってるよ、とても可愛い美少女が居るって!」

「あわわわ、それこそ恥ずかしいです…。」

 

 (こう)稀科学(きかがく)魔法科学校では低学年(1〜3年生)、中学年(3〜6年生)、高学年(7〜9年生)、と三段階あり中学年の後半(6年生)から高学年にかけて地域のギルドに所属することができる。 

 そこで自身の技術を磨ける。

 魔法学校在学中で魔導等級(まほうとうきゅう)(魔導士ランク)が100MRを超える人はほとんどいない。

 そもそも100MRを超えるのは難しくわずか3年でそこまで到達するのはなかなかの逸材だ。だいたい早くて5年、普通に行けば10年はかかるほどだ。

 年齢的に見れば30代からが多い。10代で100MRを超える人は少ないのだ。

 そんな中聖奈は天性的な魔法の技術と深龍の魔法のおかげで短期間でここまで来れたのだ。

 

 そんなこんなで3人とも笑っているとき、ふと聖奈は兄である深龍の方を向いて、少し違和感を感じたようだ。

 眼のあたりにいつもとは違う何かを感じ取り、そして深龍に声をかけた。

 

「お兄ちゃん!」

「ん?」

 

 妹の聖奈から声をかけられて聖奈の方を向く深龍。

 その言葉は親しく呼ぶような「お兄ちゃん!」ではなく、少し怒りが混じったような感じの声だった。

 

「まさか六道の力使った!?フレイムアイだけならまだ許すけど、併用とかしたら!」

 

 星那は少し怒っているようだ。

 なぜ怒っているのか、晴奈には全く理解ができないようである。それに六道とは一体……。

 

(星那のやつ見やがったな、勝手なことを……。)

 

「仕方ないだろ、相手が普通の龍じゃ無かったんだだから」

「いくら力の制御用に開眼したと言っても、体は」

「星那!!」

 と大きな声を出す深龍。周りに座っている他の乗客も何事かとこっちらを見てくる。

 

(これ以上を言わせてはまずい、)

 

「それ以上言うな」

 

 と言って晴奈の方を見た。

 晴奈はビックリしているようだった。

 

「ごめん……、でも…」

 

 星那は深龍のことが心配なんだと伝えたかったのかもしれない。

 

「少し疲れたから、寝る」

「うん……、」

 

 と言って深龍は星那に背を向け座席にもたれかかり寝た。

 

 星那は少し俯いた。強引だった気がしたからだ。

 そのまま少し時間が経過した。

 数駅止まり、また動き出し、と。

 

 すうすうと寝ている深龍を斜め前に見て、正面では携帯端末をいじっている星那いた。

 晴奈は聖奈に声をかけた。

 

「あのぉ、六道ってあの六つの魔道の?」

「えぇ、そうよ」

 声をかけられた聖奈は端末を膝の上に置いた。

 そのまま外の風景を見ながら話を続けた。

 

「六道の力って血系とかに関係なく手に入れることが出来る瞳術なの。それを手にれると途轍もない力を手に入れることが出来るんだけど、それには色々と制約があって、お兄ちゃんはそれを利用してるの。」

「利用?制約?どう言うことなの?」

 

 星那は晴奈の顔を見て一度ためらったがそのまま言い続けた。

 

「『六道の眼を開眼した者、天翔道まで行かなければ力を奪う』六道の最後の眼、『第6魔道』まで行かないと通常時の力は1割程度まで落ちるの」

 

「え?」

 

 よくわからない様子の晴奈。

 通常時とはいつもいるときのことだ。

 眼に漢数字が現れなく、普通にいる時。

 

「六道の力は強大。だけど最初はその力に飲み込まれないよう、制約をかけられるの。力に飲み込まれないように修行して力を馴染ませる。それを約6回繰り返す。でその修行の間は力が制限される、そして第6の魔道《天翔道》を開眼すれば力は元に戻る。けれどそれまでの間全力は出せない。それにその状態でその時の全力を出せば、体には相当の負荷がかかる。

 だけど、お兄ちゃんは使用してない時でもあんまり関係ないみたい、だって本気出せば……、」

 

 言葉を濁す。

 

「強すぎるんだもん、自分の強さに溺れない為に、力を抑えるた為に、六道に手を出した」

 

 と言って深龍を見る聖奈。

 

「六道って誰でも手に入るものなのですか?」

「そうね、修行すればかな?でも私の知る限り、3人ぐらいしか知らない。お兄ちゃんが修行に行っている時には100人ぐらいいたけど、一を開眼したのはお兄ちゃんだけ。他の人は全て、死んだは六道に飲まれてね。」

 

 少し背筋が凍るような話だった。

 だが晴奈はまだ気になることがあるようだ。それは眼から出ていた謎の炎。

 

「あと一つ聞いていいですか?」

「何?」

 

 深龍を見ていた聖奈が晴奈の方を向いた。

 

「眼から炎が出てたのは?」

「あぁあれね。あれはフレイムアイ、別名は焔眼(ほむらがん)って言うの」

 

 さっきは暗い感じの話声だったが、少し明るくなったようだ。

 

「高濃度に練られて魔力が眼から吹き出るの。フレイムアイを使えば一時的に全力まで持っていけるけど、六道の力が作用して数分しか持たないの。だから多分併用したと思う」

 

 また星那の話声が暗くなった。

 

「フレイムアイも六道も体に対して相当の負荷がかかる。フレイムアイはただ魔力を増強させて活性化しているからまだ安心だけど、六道は……、瞳術は、完成してない物は、術者の体を蝕む、」

 

 フレイムアイはとても強力。魔力を高め極限にまで活性化させる術で最高難易度の魔法になる。

 だがそのフレイムアイも六道の瞳術の前では効果は薄く本来の力が出せなくなる。

 それだけではなく、同時に高度な魔力コントロールが必要となり、下手をすれば暴走し体が壊れてしまう恐れがある。

 

「ご覧の通り、今お兄ちゃんは寝ています」

「そうなんですね」

 

 普通は全て開眼するまで道場や修行場などで修行を積むのが当たり前なのだが、深龍はそうしなかった。

 深龍は最後まで開眼する必要がなかったからだ。

 

「実は、私、深龍さんに修行をつけてもらうように頼んだんです!」

「え!そうなの!?」

 

 星那は少しばかり驚いたようだ。今まで仲間というものを遠ざけてきた深龍がまさか仲間を作るとは。

 星那はニヤニヤと何か良からぬことを考えてるようだ。

 

「お兄ちゃんはとても強いからいっぱい勉強できると思うよ、頑張ってね!」

 

 そのあと二人は楽しい会話をして過ごした。

 このまま、終点の駅まで進めばよかったのだが、突如汽車が止まる。

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?
眼の色の違いに、六道、そしてフレイムアイ。
まだまだ隠された深龍の力はありますが当分はこの二つ?の予定です。
(フレイムアイは多分当分使わないと思いますw)

六道だと他作品に色々ありますが、この作品でもとても強いですよ〜
本当にこれでパワーバランス行けるのか思うくらいですww
ご安心ください。
強い敵ゴロゴロ出てきますのでw
まだまだ始まったばかりで今回は箸休め(と言っても情報量多い気が…)的な感じで後々用語説明等に記載して行きます!わからないことがあれば質問は承っていますのでどうぞ!
ではまた次回!!

♦︎次回予告♦︎
汽車の前に現れる魔導士、ここで深龍の本当の戦い方を眼にする。
次回『魔補具』

お楽しみに〜
よかった評価していただけると嬉しいです。


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7話 魔補具

完成!
では投稿します
第7話です!
今回も多少設定の説明がありますがそんに難しくないので気楽に読んでくださいね〜
ではどぞ!


 二人が学校の話や、世間話をしているときだった。

 聖奈が不意に進行方向を見た。

 

「魔導士?」

 

 と呟くと、ドン!!という音とともに乗っている汽車が急停車した。

 

『何かと接触したため、急停止いたしました』

 

 とアナウンスが入り、深龍が目を瞑ったまま聖奈に話しかけてきた。

 

「星那、敵の数は?」

「えっと……、3人」

 

 少し考えた後に聖奈が敵らしき人数を数えそれを深龍に行った。

 彼らがいるのは2両目、先頭車両からは遠くない。

 

「わかった。」

 

 と言い深龍は目をあけ席から離れて、先頭車両に向かった。

 

 

 外にでは謎の人物に声をかけられている乗務員の姿があった。

 

「さぁ、てぇ、今乗って居る乗客を全て下ろしてもらおうかぁ」

 

 少し強面の男が乗務員に詰め寄っていた。

 後ろには金色の髪をして逆立っている奴と、少し腑抜けた顔をしている奴がおり、全員で3人のようだ。

 

 ここ数年は線路周辺には結界が貼られて侵入できなくなっているのだが、どうやって侵入したのか。

 結界を破れば中央管理センターに通知される。

 たとえ解除キーを持っていたとしてもそれを解除した、という情報が中央管理センターに通知される。

 考えられるのはそれを上回る結界魔法か、あるいは……、と深龍はそう考えながら歩いて行った。

 

 

「君達、ここらか早く退きなさい。すぐに警務部隊がここにやってきますよ」

 

  警務部隊。一般市民の乗る乗り物には警察の管轄内にある魔法が使える部隊がある。それが警務部隊が。

 即座に到着、即展開、即座に制圧。

 

 「それは無いのだよ、」

 という強面の男。

 

「確かに10分もすれば警務やつらがくるだろう」

「誰だ、お前!!」

 

 と深龍が複線の汽車が止まっていないほうから歩いてきた。

 

「お客様!危険です!」

 

 と乗務員の一人が深龍に駆け寄るがそれを腕で断りを入れる深龍。

 

「大丈夫です。それよりここは本職に任せください。それと汽車を少し後方の方にお願いします。」

「は!はい!」

 

 二人いた。乗務員がすぐに汽車の方かけた。

 そこに残るのは4人の魔導師。

 見たからに強そうな金髪の男と強面好きヘッドの男が前に立つ。

 

「確かここは結界が張られていてそう簡単に入れる訳ではないのだが、どうやって入った」

「あぁ、あの結界か我らにはその結界を破れる人がいてね」

 

 そう言ったのは後ろにいる金髪の頭の男だ。

 その金髪の後子が前に出てくる。

 

「なるほど、この結界は穴が開けばそれを検知しすぐに警務部隊がくるのだが……。まぁいい、もうすでに私の方で連絡しているからな、くるのは時間のうちだ」

 

 金髪の頭は深龍が背中に背負っているものを見てあることを思いついたようだ。

 

「ふん、魔補具(まほうぐ)など所詮弱いものが身につけて、自分を強く見せているだけにすぎない」

「魔補具をつけてる奴が弱い?確かにそれも一理ある。だが一流の魔導師ほど補助的に使っている人は少なくはない。案外便利なものだぞこれ?」

「知るかよ!!!自分で発動できないような三流に言われたくないね!」

 

 啖呵をきる金髪の男。

 自分で発動とは、魔法を発動する媒体を使用しないで発動することだ。

 

「三流か、参ったな。」

 

 頭を掻きながら言う深龍、完全に煽っているようにしか見えない。

 だが金髪の言うことも一理ある。

 本来はこの《魔法発動補助器具》(通称:魔補具)魔法発動弱者を手助けする役割で開発された器具である。だがこの器具は万能で術者の能力によって様々な使い方を発見されたのだ。

 その中でも深龍が身につけている魔補具、《魔棒具》は魔法を発動するのに必要な魔法式(魔法陣)を入れ込むことができる。

 なので魔法を使うときは使いたい魔法の入った杖を選び、それに合うように魔力を流すことで簡単に発動できる代物だ。

 基本的には5種まで魔法しか収納できない。

《魔棒具》には現段階では数種類あり、ネックレス型、剣型、盾型、銃型などがあり、最近では指輪の形をしたものまであると言う。

 

「それを使う暇なんてあげないがな!!『雷蛇(らいじゃ)』!!!」

 

 金髪の男が右腕を黄色く光らせて腕を深龍の方に伸ばす。

 黄色い蛇の形をしたものが深龍に3つ地面を這う。

 それを深龍はジャンプで避ける。

 

 それと同時に強面スキンヘッドと、腑抜けた顔をしている他の二人が突撃してくる。

 

 深龍の下を通り越した雷蛇を、指をクイッと動かしてその蛇を引き戻す。

 再び深龍を襲う。

 

 背中の杖を二本取り出し、一つを遠くに投げもう一方を地面に突き立てる。

 

「雷蛇とはなかなか強い魔法を使うじゃないか。しかも三匹か」

「まだまだ出せるぞ」

 

 深龍は絶縁性の杖の上に立ち、雷の攻撃を避け。

 地面に降り立ち杖を取り、足でなぎ払い二人を転かす。

 

 すぐに深龍は立ち上がり杖を胸の前で横にかざして魔法を発動する。

 

「5連魔法陣!!『神楽(かぐら)』!!」

 

 こけている二人と奥で雷蛇を出した魔導師の地面周辺に5種類の色の魔法陣が展開し、それが一つに重なり合う。

 二人はギリギリで立ち上がり、その陣から退きもう一人も余裕で回避する。

 そのあとすぐに黄色く光る柱が地面から天空にかけて貫いた。

 

 その光を見て星那と晴奈はすぐにその側に駆け寄った。

 

 少し離れたところから深龍を見ている。

 

「晴奈ちゃん?」

「なんでしょう?」

「お兄ちゃんの戦いを見たんだよね?」

「はい、とても凄い戦闘でした。何が起こっているのかわけがわからなかったです」

「多分あの時ほどの戦闘ではないと思うけどお兄ちゃんの本当の戦闘を見れるよ」

 

 というと晴奈は深龍を注視した。

 

 攻撃をかわした3人。

 それぞれ違う体制で次の攻撃がくるのを待っている。

 

「そんな発動動作の大きい魔法を喰らうわけないだろう」

 

 立ち上がりながらスキンヘッドの男が言う。

 

「『神楽』か、攻撃ランクはCと言ったところか。まさかその棒にそんな能力があったとはな」

 

 その言葉に深龍が反応した。

 

「ほぉ、魔法ランクがわかるとは、君が使っていた『雷蛇』は確か魔法階級A級の魔法だね。かなり強い」

「エレク様はなんとS級の魔法も持っているんだぞ!!」

「コバ!勝手なことを言うな!!ノゼ準備しろ」

「あぁ」

 

 深龍からみて左側にいる奴が答えた。

 どうやらあの雷蛇を使う魔導師はエレクと言い、腑抜けた顔をしている奴はコバ、強面スキンヘッドはノゼか。

 

「なるほど、それは警戒していないと、いけないな」

「ちっ」

 

 なぜ警戒をするのかそれは魔法階級による魔法の性能によるものだ。

 

 魔法階級に大まかに3つに分けられる。

 そしてさらに分けると9階級に分けることができる。

 

《一般魔法》

  《D、C級》ごく一般できに使われる、日常的使うことのできる魔法。殺傷能力はない。

  《B級》日常的に使う魔法も含まれ防御系の魔法が多い階級。打撲程度

 

《上級魔法》

  《A級》攻撃系の魔法が多くなり相手を気絶させるほどである。主に魔導師が使う魔法である。切り傷や、あざなど

  《S級》複数使える魔法があれば『魔導師としては一人前』と言われる。魔法式が複雑になる。攻撃防御ともに存在する。一部殺傷能力がある。会得するには1年~3年。

  《剛級》『一つでも使えれば一流』と言われる。ほとんどは魔法式がより複雑になり発動までに少し時間がかかる。会得するには一般的に5年~10年と言われる魔法である。

 

禁忌(きんき)魔法》

  《()級》禁忌魔法の一つ2種。個人での発動は難しく、なんらかの補助器具が必要になる魔法。

  《(ゼロ)級》禁忌魔法の一つ1種。その人の才能でしか使うことできない魔法、もしくは超高度な魔法式の構築が必要な魔法。大量虐殺や集団催眠など危険な魔法が存在する。ちなみに深龍も一つ持っている。

  《禁法(きんほう)》禁忌魔法の最上位種。使用が国際的に固く禁じられている魔法。その一撃で一国を滅ぼせるほどの魔法である。

 

 

 という感じに分けられている。

 その中でS級の魔法は殺傷能力があるので気をつけなければいけない。

 ま、深龍とっては杞憂でしかいが。

 

 構えを取る二人を前にして深龍が語り始めた。

 

「今の一連の流れを見てだが、君たちはいいチームプレイをしているね。前にいる二人が遊撃で後ろの一人が攻撃の主体。前二人が陽動をかけ、その隙にエレク君が攻撃を仕掛ける。『雷蛇』は相手を拘束するにはもってこい魔法だ。対象に巻きつき放電し気絶させる、どうかな?」

 

「エレク、完全に読まれているぞ」

「あぁわかっているノゼ」

 

 と言ってエレクという男は深龍の後ろに方にいる二人の少女を見た。

 ノゼはエレクが次に何をしようとしているか考えたようだ。

 

 動き出したのはノゼだった、さっきと同じなら雷蛇を使うはず、彼の雷蛇は地面を這うだけで空中まで来ないだろう。

 深龍はコバを一瞬にて目の色を空色よりも白く、二重の輪っかが、眼に浮かぶ。そうこれはスキャニングと言う技だ。

 相手の魔法を瞬時に読み取ることができる技である。

 コバの行動を見て何をするのか魔法式を読み深龍は行動する。

 

 ノゼが深龍突っ込んでくるので深龍も突っ込む。

 二人が出会う瞬間に深龍の足元の草が異様に伸び始め深龍の足に巻きつき始めるが、それを予測していた深龍は素早く足を空中に畳、右回転し、通り過ぎるノゼに右手の手のひらに溜めていた魔法攻撃を繰り出す。

 

 手のひらがノゼの横腹にあたり手に少しひねりを加えると、ノゼは回転しながら飛んでいく。

 

 自分の攻撃を避けられた衝動で地面にぺたりと座り込むコバに対して、杖を一つコバに投げ深龍は魔法を繰り出す。

 二つを手に持ち胸の前でクロスさせる。

 

「十五連魔法陣!雷!『神楽雷柱(らいちゅう)』!」

 

 基本無属性の神楽に雷属性が加わったのだ。

 先ほどとは少し変わり黄色い大きな魔法陣3つ重なる。コバは動こうとするが動けない、体が痺れているようだ黄色い柱がコバを包む。

 

「ぐわあああああああああ」

 

 と叫ぶコバ。

 

「何!あいつも雷を使えるのか!」

 

 エレクが少し驚くが驚きながらその顔は冷静だ、もう一度攻撃を仕掛けてくる。

 

 雷蛇だ。

 

 深龍はそれを華麗に回避し、その雷蛇に杖を差し込む。

 するとその雷蛇は杖に吸い込まれていく。

 

「これは雷を吸収する杖でね、案外使えるだろ?」

 

 苦虫を噛んだような顔をするエレクだがその顔をの中には少しの余裕が見える。

 そしてニヤリと口元が緩む

 なぜなら。

 

「キャーーーーーーー!!」

 

 深龍の後ろで叫ぶ声が聞こえた。

 深龍は振り向く。

 すると、晴奈が岩で体を包まれ、ノゼが聖奈を後ろから鋭利尖った岩で首元にあて襲う。

 

「おい!よせ!」

 深龍が反応する。

「悪いことは言わない、彼女から離れるんだ」

「そんな事を言える立場かね?」

 

 と言いエレクは親指以外の指を交互に胸の前で組み、親指を立てて魔法陣が展開する。

 腕から手にそして光りだす。

 その腕を伸ばす。

 

「君はもう逃げられないのだよ、この攻撃を避ければ彼女らはあいつが殺す。いや連れて帰ったほうがいいか」

「貴様ら、」

 

 深龍はちょうどエレクと晴奈たちの真ん中の位置にいる。

 どうすることもできないのか。

 

「終わりだ!雷法(らいほう)!『雷餓狼(らいがろう)』」

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?
魔補具の話と魔法階級の話ですね。
魔補具の方は多分頻繁に出てくると思うですけどね主人公使っているし。
割と色々あります。意外なの魔補具だったりとかねw現段階では一応ですが砲刃機も魔補具の一種と考えてくれて結構です!
魔法階級はね多分そんなに出てこないかもしれないw←おいwww
でもこんな魔法だとどれかな?って考えるのは楽しいのでいいと思います。

では私はデレステのイベントを走ります。
(文書考えるので1日使って1日はしれなかったorz)

では次回!!


♦︎次回予告♦︎
ギルドに戻るとそこであることが起きる。
次回『  武眼』

お楽しみに〜
よかった評価していただけると嬉しいです。


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8話 武眼

少し遅くなりましたが!
続き行きます!!

 ー ー ー ー ー ー ー ー ー
名称

光和国(こうわこく)》New!!
 天翔 深龍が所属しているギルド《ライグル》(正式名称:光の三柱(ライトトライアングル))が存在してる国であり、リュウノゴウ大陸の一部である。
 隣国には煌皇帝国(こうおうていこく)、他2つの国が接している。
 また海があるため港町としても交易が盛んである。
 科学技術と魔法技術が平等に発達した稀な国である。

四武陰陽眼(しぶいんようがん)
 四武陽眼、四武陰眼、それぞれの眼のことである。
 武眼の一つである。
 四武陰眼は時空間魔法を扱うのに長けている。




「終わりだ!雷法(らいほう)!『雷餓狼(らいがろう)』」

 

 エレクから放たれる狼の形をした雷属性の魔法が深龍に襲いかかる。

 だが深龍はその攻撃を残像を残して紙一重で躱す。

 そのまま餓狼は晴奈たちの方へとかけていく。

 

瞬残身(しゅんざんしん)!?」

 

 エレクの表情が焦っている。

 瞬残身とは身体強化魔法の一種で瞬間的に自分の体を移動させる瞬体と同じげんりだが、自分のいた所に幻影を残す幻術を合わせて使う、上級魔法だ。

 エレクの魔法の雷餓狼(らいがろう)は苦しそうしている聖那めがけて駆ける。

 星那はその魔法に対して右手を前に出す。

 

「何!?エレクこっちくるぞ」

「わかっている!俺の誘導が効かない!!?」

 

 エレクが焦ったのは瞬残身(しゅんざんしん)を見た、それもあるが一番は雷餓狼の誘導ができないことだった。

 本来は自分で誘導ができる魔法だが、それができない。

 そして、誘導ができないまま星奈の腕に『雷餓狼』が当たる。

 なぜ誘導できなかったのか?

 雷餓狼が星那の手に吸い込まれていく。

 深龍が避けた時に魔法式を書き換え、星那が誘導できるように主導権を変えたのだ。

 

 そのまま吸収した雷が腕を伝い全身に行き渡る。

 後ろから絡んでいたノゼはその雷の影響で全身に雷撃を受け反動で腕を外す。

 その隙を逃さずノゼの腕を聖奈が掴むそして魔法を発動する。

 

「『水牢雷獄(すいろうらいごく)』!!」

 

 ノゼの体が水の球体に包み込まれる。

 そしてその球体の表面に十本の雷の線が出来上がる。

 

「残念ね」

 

 とはにかみながら答えた星那。

 

「クソォ、こんな水!」

 

 と球体の水の中でもがくノゼ。

 球体の周りを囲っている雷にもがくことで手が触れて感電する。

 そのままダウンする。

 

「ノゼ!!!なぜ俺の『雷餓狼』が効かないだ」

「あぁ彼女は雷と水に対して異様に干渉力が高いからね、君が持ち合わせている雷の魔法で効く技はなと思うよ」

「私に雷の攻撃は効かないよ〜」

「クソォ!!!!!」

 

 もう一度『雷餓狼』を構えをするエレク、その隙を与えまいと右手に魔力を溜めて突っ込む深龍。

 魔法発動の体制に入りながらも深龍からの攻撃をかわす、が背中に何か違和感を感じる。

 ドスッと音がする。

 そう最初深龍が投げた杖にぶつかったのだ。

 杖から錆びた鉄の色をした鎖が出て来てエレクを縛る。

 だが実際は金属ではなく魔力の塊である。

 

「体が……、動かない……、だと」

 

 全身に纏わりつく魔力の鎖、それは体の動きを止める効果も付随している。

 

「もう終わりだ、五十連魔法陣!『御神楽(みかぐら)五柱(ごちゅう)』!!!」

 

 5つの魔法陣が一つに重なり、そしてそれが10個

 2個ずつ重なり合い、敵の下に大きな魔法陣を形成する。

 そしてその上に5つか連続で宙に浮き空中からまた別の魔法陣が5つ展開し、それがエレクに当たる。

 エレクに当たった攻撃はさらに増幅され、上へと貫く。

 エレクはその場で倒れた。

 

 

 [ 3 ]

 

 

 警務部隊が到着してエレクを含めた3人を拘束していた。

 深龍はずっと戦闘中から気になっていた、魔力の元へと足を運んでいた。

 

 場所は近くの雑木林の中だ。

 深龍は魔力を感じたところに、右手に持っている杖をその付近に投げた。

 

「そこにいるのはわかっている。出てこい」

 

 ガサガサと音がした後、人影が半分見えた。

 

「ドラゴンと戦っている時からいたな、誰だ」

 

 晴奈と一緒にいた時から、ホワイトグロードラゴンとの戦闘中からこの魔力は薄々と感じ取っていた。

 だが特に出てくる気配がなかったからそのままにしておいたが……。

 

 深龍の言葉にゆっくりと言うその口調で答え始めた。

 

「そう荒立(あらだて)るな、別に君と戦闘をしよとして来たわけではないのだからな。

 その六道の目を閉じてくれないか、でなければ俺のこの眼が戦闘を欲してしまう」

 

 そう言ってそいつは瞑っている眼を開けた。

 それは赤く光っていた。

 その中にひし形を細長くしたのもが十字に重なっていた。

 

「その眼は!!!!どこで手に入れた」

「さすが、この眼の事を知っているか。

 まぁ 八方星師族界(はっぽうせいしぞくかい)にいたからなぁ天翔(てんしょう)

 

 険しい顔をする。

 木かの陰から半身を出している人物は声からに男だと推測できる。

 

「お前は北城《ほくじょう》か南城(なんじょう)師族(しぞく)の者か、事と次第ではお前をここから生きては返さんぞ!」

「まぁ、この眼は吸収した。いや今は貰ったと言っておこうか」

 

 深龍は魔力をあげ、謎の眼の男は少し笑みを浮かべながらそう答えた。

 

「だからそう荒々しくするな、それにこの眼の前ではお前の攻撃は当たらないのはお前ならわかるだろ」

 

 と言ってその見せていた眼の瞳孔の形が変わる。

 流動的十字の形をしていたのが丸に戻りそして今度は同じ形で斜めの×の形に変形する。

 

 深龍は驚き、言葉をなくす。

 

「お前……、四武陰陽眼(しぶいんようがん)、両方使えると言うのか……」

「さすがに、同時には使えんがな、ま、これでも十分な抑止力になるだろ」

 

 流石にこれはまずいと思ったのか、深龍は相手の目的をさぐり始めた。

 

「何が目的だ」

「やっと聴く気になったか、天翔どうやってか知らんが、俺らのこと探っているようだな。

 今日はその忠告をしにきた。これ以上深くさぐれば俺はお前を消さなくてはならない。

 だが闇ギルド(うち)マスター(ボス)が天翔、お前を大層気に入っていてな、大ごとにはしたくないんだよ、わかってくれるかね」

 

「俺が探っているという証拠でもあるのか?」

「言ってもいいが……、」

 

 一度視線をそらす四武陰陽眼(しぶいんようがん)を使う者。

 

「今は伏せとくよ、いずれわかる。それだけを言いに来た」

「さっき倒したやつはお前の手下か?」

「さぁな、俺は失礼するよ」

 

 と言って木陰に姿を消した。

 深龍がすぐにその場に行ったがいない。それどころか周辺に彼の魔力も感じ取れない。

 

「時空間魔法で消えたか、」

 

 深龍はその後周辺を見たが、その後聖那の方に戻って行った。

 

「林の方は問題なかった、星那ほかに感じたものはあるか?」

「んーん、特にないよ」

「そうか、ならもう問題ないようだ。さて帰るとするか」

「おう!」

「はい!」

 

 聖那でも感じ取れなかったか、自らを消せる能力があるようだが……、あの眼あいつは何者だ。

 

 

  ♢ ♢ ♢  

 

 

 ギルドに着くと、ギルドの中は賑わっていた。

 

「あいつが」「あぁあいつだよ」「あの隣の女魔導士って」「あいつのランク幾つだ?」

 

 などと深龍を見ながら皆々、呟いていた。

 

「悪いな深龍、つい口が滑っての……」

「マスター…、俺のことはあんまり喋らないでくださいよ」

「わかっておる。このギルドは安全じゃから安心せい」

 

 深龍がここまで必死になる理由。

 深龍は表向きには光星(こうせい)と名乗っている。

 なぜそのように名乗るのか、それは本名の天翔(てんしょう)であるが少し問題があるからだ。

 

 師族とは、この世界において、家系や血筋、魔法能力に対して影響力が大きいと言われている存在である。その中でも特に秀でた家系を『師族』と呼称する。

 基本的に名前に数字や自然を意味する言葉が入る家系が多く存在し、数字の場合は若いほど能力の高い家系と言われている。

 だが近年それは消えつつあり、一定の師族がそれを守っている。

 

 深龍が幼い頃に師族同士での戦争が勃発しのだ。その戦争相手は同じ師族界である聖嵐(せいらん)であった。その戦争自体は大きくはならなかったもの、天翔師族と聖嵐師族は大きな損失を出し両師族ともそのままなくなった。

  八方星師族界(はっぽうせいしぞくかい)天翔師族と聖嵐師族をはじめとし地羽(ちば)闇冥(あんめい)北城(ほくじょう)東城(とうじょう)西城(せいじょう)南城(なんじょう)が存在し、その名は世界にも駆せていた。だが、天翔師族と聖嵐師族の戦争をきっかけに事実上消滅した。

 

 師族は国にとっては重要な戦力でり、軍事力でもあった。

 抑止力である。

 

 このような師族界は各国に存在し、この国《光和国(こうわこく)》には多数の強い師族界が存在するが、今やそれもどうか……。

 

 この国で最強の師族が、師族間同士での戦争で消滅した。それをいいともう奴もいれば、それをよくないと思う奴もいる。

 

 深龍が引きつったような顔をした中、ギルドマスターはそうたど!と言わんばかりの顔をして深龍に言った。

 

「そうじゃ、深龍お客さんが上でお待ちかねだよ」

「わかりました」

 

 深龍と晴奈、聖那はギルドの屋上に上がった。

 ギルドの屋上は風がよく通り、眺めがいい。

 目の前の道は一本道で続いている。

 

「いいですねぇ、」

 

 すると深龍はつかずく二人を腕を横に伸ばして遮った。

 

「少し下がっていろ」

 

 すると深龍は片手に小型ナイフを召喚して、

 

 キンキン!!!!

 カン!!!

 キンキン!!!

 

 と金属音がした。

 目が追えないほどの早業。

 

 深龍の首元に腕を回してクナイを突きつけ、深龍の後ろに立つ男。

 だが深龍も手にもったナイフを相手の横腹に突きつけていた。

 

「お前の負けだ、深龍」

 

 元気のいい、男の声だ。

 

「それはどうかな」

 

 と声が聞こえたのは後ろからだった。

 

「それは俺の分身だ」

 

 と言って、片手を伸ばして魔法の発動体制に入っている深龍がいた。

 

「深龍、魔法は無しだ」

「お前にはもう体術では敵わんからな」

「全く……、」

 

 と言って深龍は発動途中の魔法をキャンセルし互い武器を納めて二人は向かい合った。

 深龍より少し背の低い、短髪の、全身を黒いなんかの装束を着た男がいた。

 

「ほれ、これ。言われていた物だ」

「かなりの量だな」

 

 と言って男は深龍に書類の束を手渡しした。

 

「まぁな、お前と違って電子媒体にするのが苦手だからな」

「そうか…、」

 

 と言って深龍はその書類に目を通した。

 ざっと50枚くらいはあるであろう書類の束。

 それはあるギルドの調査資料だった。

 深龍が最近調べているギルド。そうレッドスコーピオンの内部資料だ。

 

「そこに詳しく書いてあるが、お前の言っていた奴はいた。

 だが彼女はマスターの側近だ、流石に詳しいことはわからなかった」

「そうか……、」

「あぁ、ま、得意な魔法と、どのチームに所属しているのか、少しの行動履歴はわかった」

 

 深龍はまだ読み続けていた。

 

「ギルドとなる拠点んは複数ある。それを定期的に移動している。

 まだその周期はわからんな。今はまだやめとけよ」

「あぁ、わかっている」

「あのぉ」

 

 と星那がそっと会話に入っていくる。

「ん?」と黒装束を着た男が振り向いて答えた。

 

「君が星那ちゃんかな?こいつの妹の」

「はい?そうです」

 

 と言うと粗方読みを得た深龍が答えた。

 

「紹介するよ、こいつは伊賀・トモヒ。忍者だよ」

 

「えぇ!!忍者っているんですか!?」

 

 それを言ったのは晴奈だった。

 

「お前が女を二人も連れているとは意外だな、どうした?」

 

 とあごをさすりながら言ってきた。

 

「あぁこれには深いわけがあってな、また今度ゆっくりと」

「まぁいつでもいいさ」

「まぁこいつとの関係は戦友かな?忍術という、古代魔法忍術を使う奴だよ」

「へぇ、」

「ま!魔法の上位の術だがな!」

「ふん、言ってろ」

 

 と笑いながら言った深龍、すると伊賀は動き出した。

 

「俺はここで失礼するぜ、まだ仕事が残っているからな」

「伊賀」

「ん?」

 

 深龍がそっとそばに行く。

 

「どうやら俺らのことを感づいている奴がいる。調査は慎重にいけよ」

「まさか、いや。あぁわかった」

 

 と言うと伊賀は消えた。

 

「あの忍者って強いんですか?」

「あぁ、魔法力に関しては魔導士の方が総合的に高い。だだ忍び達は少しの魔力で強力な技を発動できる。それに忍びは戦闘のプロだ。まともに戦えば殺させるぞ」

 

 忍び、もう数自体は少なくなったが、今もなお残っている。

 忍者と呼ばれる彼れは主にスパイや暗殺と言った裏の仕事をするのほとんどである。

 それに忍者の使う技は残留魔法が少なく、特定が難しい魔術を使用する。

 印と呼ばれるものを使用して魔術、忍術を発動する。

 

「さて、帰るか」

「晴奈ちゃん今日うち来る?」

「え!?」

 

「いいじゃない!!」

「いいんですか?」

 

「はぁ、構わんよ」

「やったーーーー!!」

「じゃぁ先に帰って晩御飯の準備してくるね〜」

「あぁ」

 

 第1章 完

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

 本日は西日本豪雨で被災者の皆様、謹んでお見舞い申し上げます。
 亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

 私の友人も広島に行っており、いまは無事で地元に帰って来ているそうです。
 私の住んでいる場所では大きな災害はなく、近くの河川が氾濫危険水位まで達しましたが無事に耐えたとのことでした。
 今なんの不自由なく過ごせるのが幸せである、と言うことを再び実感しました。


と言うことで無事に第1章『出会いの魔法』完結しました!!
投稿始めて半年長いですね…
およそ4、5年前に考えたシナリオを思い出し、書き出し、追加し…、
長かった。
これからはもう予定にない道になるので、また長くなるかもですね!
予定では4章以上は確定しているので、お楽しみしていてください!!ではまた

次回は題名が決まり次第投稿します。



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第弐章 『赤い針《レッドニードル》』
9話 幻魔獣


お待たせしました!!!!!
なんとか、おおまかなシナリオが完成したので投稿再開します!
(こんなに時間かかって大丈夫なのか……)
色々と大変な目にあった晴奈ですが、2章でも苦労しますよ〜
前半は戦闘、後半の話は少しダーク系かな?
では第2章『赤い針(レッドニードル)編』スタートです!!

 ー ー ー ー ー ー ー ー ー

《警務部隊》
 光和国の民の安全を守り、事件や事故の解決や調査をする組織のこと。
登場人物

一銀(いちぎん)(ろう)
ギルド《ライグル》に所属している魔導士。
MR86 中級魔導士で身体強化や硬化魔法、地属性魔法を得意とする。
晴奈と同じチームを組んでいたチーム《金狼の一団》のリーダーで気性が少し荒い。



 次の日の朝

 

 ドラゴンと遭遇しそのまま戦闘を経験し、深龍に助けてもらい、その帰り道で盗賊との対人戦を経験した晴奈は、夕食を深龍の家でご馳走になった。

 その後、深龍の妹である星那と楽しい会話をした後、次の日の予定を深龍と組んだのだ。

 

「おはようございます!!!」

 

 ギルドの正門で立っている深龍を見つけてすぐに駆けつけてきた晴奈。

 本来はここまで行動的ではない少女なのだが……。

 深龍に会えるのが嬉しかたのだろう。

 

「おはよう」

 

 深龍は普通に挨拶の返事をした。

 

「今日から特訓ですか!?」

 

 晴奈は自分の青い眼をキラキラとさせ、さらにワクワクとした顔で深龍を下から見上げる。

 深龍は身長が180cmあり、晴奈は150cmと小柄で華奢な体型だ。

 小さい可愛い女の子が顔を少し上に向けしかも上目遣いで、キラキラと言ってくる時の破壊力はいうまでもない。

 

「流石にまだかな、君の実力をハッキリと確認しておきたいし。

 対人戦闘なら俺が相手すればいいけれど、それ以外の対応能力を見たいから、クエストに行くよ」

 

 と晴奈に言った時だ、晴奈が北方向とは逆の方から今度は男が深龍に声をかけきた。

 

「勝手に俺のチームメンバーを連れていかないでもらえますかね?」

 

 と声をかけて来たのは晴奈の前のパーティーメンバーの金髪の男だった。

 

「昨日断りを入れただろ?」

 

 昨日、伊賀と話をした後、晴奈と深龍がパティーを組むということを話したところだった。

 深龍は昨日のクエストの件の事や、晴奈に対してのセクハラまがいなことなどを話してチームから脱退したのだ。

 ギルド内で、チームを組むことは許可されている。

 だがギルドによって、書類でチーム編成を管理したり、ギルド側がバランス保持で組むこともある。

 うちのギルドは特に決まりはない。

 

「あぁ、だが気にくわねぇ」

 

 彼は晴奈を取られると思い、それに腹がったているようだ。

 可愛いからね。

 

「晴奈を返してもらうぞ!!」

 

 と、ギルドの正面で右手に魔力を溜め、おおっぴらに戦闘を始めようとする。

 そのまま深龍に殴りかかる。

 

 今彼が使っている魔法は接触した相手を一方向に飛ばすという簡単な魔法だ。

 

 その魔法を深龍は片手で防ぐ。

 触れただけで吹っ飛ぶはずの魔法が発動しない。

 同様するが次の一撃を繰り出す。

 

 左足に魔法陣が展開し固定する。

 色が紫色をして、ヘキサゴンの結晶が足に纏わりつき、足の形に沿うように固定する。

 これは硬化魔法。

 物理的威力を上げる魔法だ。

 それに追い打ちをかけるように加速魔法を重ねがけして、右足を軸にして左足で回し蹴りをする。

 

 足は空気を切るだけで深龍には当たらなかった。

 

「都市圏内での魔法の使用は緊急時を除いて原則禁止だ。それを忘れているのか?」

 

 都市圏内での魔法の使用は原則禁止、この都市圏内とは街全体を表している。

 魔法使用法によって、魔法は物理的ではある物の殺傷能力がある魔法も存在する。ということで、一般的に魔法は危険視されることもあり、刃物や銃器と同じ扱いを受けている。

 魔法発動使用条例

 第一条

 《魔法使用は、使用が確立されている、学校や大学の戦闘アリーナ、研究開発特別施設、魔法訓練棟、特別に許可された建物以外での魔法の発動および使用を(緊急時を除き)制限、又は禁止とする。》

 と一番初めににも記載されている。

 これは国や地域によって変わってくる。

 今は危険性がある魔法があれば自動的に防御魔法が発動し、対象を守る仕組みを開発中らしい。

 

「くそ!!勝手に俺のもの(・・)を取りやがって、そんなに欲しいのか!」

 

 話が噛み合わない。

 

「欲しいわけではない、それに彼女はお前のもの(・・)ではない。

 人を、チームメンバーを、ものとしか見ていない奴に仲間を守る資格はないし彼女を一緒のチームに入れる筋合いはない」

 

 とここで騒ぎを聞きつけ何事か!と警務の奴らが駆けつけてくる。

 前章からでくる警務、警務部隊。

 そちらの世界でいう警察のような存在だ。

 

「っち、覚えておけよ、俺の名は一銀(いちぎん)(ろう)だ!」

 

 と言って人混みの中に消えて行った。

 

「すいません、ただの身内のゴタゴタです」

「そうですか?都市圏内での魔法の使用は厳罰なので気おつけてくださいね」

 

 と言って騒動は済んだ。

 

 仲間、深龍にとっては正直いらない存在。

 足手まといになったり、面倒ごとを起こすことがあるからだ。

 一緒にいて守れずに死んでいくくらいなら、最初から仲間なんか作らないければいいだけの話。

 それは昔のある事件がきっかけだ。

 まだ幼すぎた、あの時は。

 

 そんなことより深龍は晴奈に今回のクエストを提示した。

 今回は前回より簡単なクエストだ。

『最近村に出現しだした魔物の退治、及びその原因の調査をお願いします』

 との事だ。

 

「魔物ですか、」

「ここに書かれてるのは【ノザーク】【ケルベロトス】の2種だ。危険度は高いけど君なら大丈夫だろ」

「わかりました!!やります!」

「よし!では行こう」

(マスター少し匂うと言っていたが、なんとかなるだろう

 

 

  ♢ ♢ ♢  

 

 

 今の乗っているのは昨日と同じ乗り物だ。

 いた街から30分ほどの距離である。

 今回は流石に何もないよ

 

「そういえば君はどんな魔法が得意なんだい?眼の色から推測するに水系統の魔法のだけど、違うよね?」

 

 深龍の言う眼の色とは1章でも少し説明したが属性ごとにその色素が眼に現れその色になる。というモノだ。

 その色分けは《火:赤》《木:緑》《雷:黄》《地:茶》《風:白》《水:青》となっている、さらに詳しい色分けはあるものの今の所は基本属性の色だけにしておく。

 

「ちょっと特殊な色なんです。左眼が赤色で右眼が白金色です。左眼は赤なんですけど、火属性の魔法が使える訳ではないんですよ……不思議ですよね」

 

「そうかな?赤色でも火は使えない人はいる。

 元々が赤眼の人もいるからね、だから眼の色だけでその人を判断してはいけない。

 もっと別の魔法が使えるかもしれないからね」

「なるほど、別の魔法ですか……、」

 

 少し矛盾的な話だが、何かその別の力が強いと魔法色素の以外の色が付くことがある。

 例えば六道、あれも眼の色は赤色だ。

 それに先日雑木林であった、謎の魔導士の眼、あれも赤色だ。

 基本的に瞳術は赤色が多い。

 その可能性があるかもしれない、と言う事だ。

 

「それに赤色だと他に何か秘めた力、自分でも気づいていない力があるのかもね」

「そうですね!!あ、そういえば話ずれましたね」

「あ、確かに、」

 

 二人の会話から少し笑い声が聞こえて来た。

 改めて晴奈自分の属性を言った。

 

「私は聖と風の魔法を使えます」

「聖属性か、珍しい魔法だね。」

 

 聖や光属性、闇や黒系魔法は基本系統の魔法から外れる、珍しい魔法だ。

 

「なん工程までの魔法なら発動できる?」

「えっと、確か10工程までならいけます。最大で15工程ですね使える聖魔法は4つほどしか持ってないです。」

 

 工程。

 工程とは魔法を発動するのにどれだけ難しい魔法を発動できるか?といものだ。

 基礎的に学校で習うもの最大で10工程まで。

 簡単な紹介として移動魔法。

 魔法力のみで移動す魔法のことだ。

 A地点からB地点まで、その距離の移動をするとなると。

 

 1工程で発動対象の物体の認識

 2工程で物体の加速

 3工程で物体がルートを外れないようにコントロールして

 4工程で物体の減速

 5工程で物体の停止

 

 となる。

 行動な動きや、複雑な発動魔法になるともっと増える。

 ゲームやシステムのプログラムを書く原理に似ていると思う。

 

 先日晴奈が使用した

  「《聖なる剣よ!10の輝きを持って、我に(まと)え!!》」

  「聖天(せいてん)!!」

 これを詳しく分解すると、

 

 聖なる、剣よ、10の、輝きを持って、我に、纏え、

 

 1工程に聖属性の魔法を発動準備

 2工程で聖属性の剣を生成し始め

 3工程で聖属性の剣を固定する

 4工程でその同じ剣を10本生成する

 5工程で位置情報を自分に設定し

 6工程で自分の体周辺に滞空させる

 7工程で敵を認識

 8工程で移動を開始する

 

 大体の魔法は10工程内で発動できる。

 

「そうかぁ、なら後で色々と魔法を教えてあげるよ」

「ありがとうございます!!」

 

「深龍さんは何工程まで行けるんですか?」

「あぁ、ええぇと、戦闘するのにあんまり複雑な工程の魔法はいらないからね、自分でもどこまでいけるかわからないかな〜、」

「そうなんですね〜!色々と教えてくださいね!!」

「うん任せて」

 

 

 

  ♢ ♢ ♢  

 

 

 

「キャーーーー」

 

 晴奈が犬の形をしたモンスターにど突かれて飛ばされる。

 

「大丈夫?」

 

 といい晴奈のそばに寄る深龍、モンスターと戦闘をしているのだ。

 

 今戦っているのは【ケルベロトス】頭が1つから3つまである犬の形をした魔獣だ。

 若干の魔法が使えるほか、群れを成して襲ってくる。

 手なずけることができるとかなりいい番犬になる。

 

「はい、大丈夫です!まだ行けます!」

「よし!剣術は得意だよね、残り三匹いくよ」

「はい!!!」

 

 ケルベロトスが晴奈を襲う。

 晴奈は片手に剣を握り、魔力を溜め威力を高める。

 剣にかける魔法は属性を付加する魔法があるが、ほかには威力を高める、硬化させる、鋭さをあげる、など多彩に渡る。

 魔補具に剣型があるが、晴奈が持っている剣は魔法を発動を補助する魔補具とは違い、魔法を吸収して強化する武器だ。

 深龍が使っている砲刃機、これも同じ類だ。

 

 今、深龍は砲刃機ではなく、剣を持って戦っている。

 

「はぁ、はぁ、疲れた……、数が多いですね」

「ケルベロトスは全て倒したかな?にしても少し変だな」

「なんですか?」

 

 深龍はケルベロトスに近づき、その体を触る。

 

「おかしいな、これは」

「どうしたんですか?」

 

 深龍はケルベロトスを触り、少し違和感を覚える。

 色々な魔獣と戦ってきたが、これは少し違うようだ。

 

 

「魔法は基本的に打属性、いくら鋭利に尖った魔法でも魔法で切ることはできない。

 だがいくら切れないと言っても、切り傷はできるし、血しぶきや血反吐を吐く」

 

 魔獣相手には基本武器を持って戦うのが定石だ。

 普通の武器なら切断属性がおもむろなので、魔獣を切ることができ、切り傷ができる。

 だが魔導士は魔法を使って戦うことが多い。

 魔導士は普通の人と違い身体能力が高いため、そのまま武器を持たずに戦う。

 魔導士の戦闘で少し飛ばされても打撲で済むことがある。

 なぜ打撲で済むのか。

 魔力が高ければ、魔法による防御があるからだ、それとは別で魔法の性質が関係している。

 今深龍が言った、打属性。

 魔法は球体の形をしているので、打撃属性となるのだ。

 

「だがこれは少し違う、」

 

 そう言って、深龍は剣を持ち方を逆手にもちに変える。

 そしてその剣を倒れているケルベロトスに軽く突き刺す。

 

 パキーン!!!

 

 まだ生きているのか、6角形の障壁が出来る。

 深龍はそれを確認して、そして次は思いっきり、突き刺す。

 障壁が出来るが、それを壊して、そのままつき刺す。

 

 グサッッと音が出るだけで、血しぶきをあげない。

 

「やはりな、これは生き物では無いな」

「え!?どういうことですか?」

 

 晴奈が疑問に思う。

 

「これは魔法で作り出した獣。《幻魔獣(げんまじゅう)》だね」

「幻魔獣……、」

 

 すると、剣を突き立てられてケルベロトスは全身が青白く光だし、ガラスが割れるように散った。

「え〜と、幻魔獣がいるといことは、まさか……」

「あぁそのまさかだ、召喚している魔導士がいる。

 それもかなり強力な魔導士だ」

「強力なのですか?」

「あぁ間違いないだろう、これは召喚獣の中でも、かなり高度な召喚魔法だよ。

 魔法で生物を生成してそれを固定、さらに個別に行動をさせることができる、人工知能を搭載している。

 こんなことが出来るのはかなりの手練れだ」

「そんな魔導士と戦うんですか?」

「この獣の原因調査もクエストの一環だからね、最終的には」

 

 そうこうしてるうちにさらに魔獣、いな、幻魔獣がゾロゾロと群がってくる。

 どこからともなく現れてくる。

 この幻魔獣は何か命令されているかのごとく、ということは近くにこの幻魔獣を召喚している魔導士がいるということだ。

 

(まぼろし)系の魔法は聖属性に弱い、晴奈、チャンスだよ」

「ここからは魔法もありで戦おう」

「はい!!!!」

 

 晴奈が魔力を溜め始める。

 その溜めを妨害するようにケルベロトスが攻めてくる。

 前方から三匹、口を大きく開け、襲ってくる。

 深龍が晴奈の前に立ち、右手を背中に回し、周囲から魔力が集まり、剣の柄が現れる。

 それを握ると、一気にロングソードの形になる。

 色は黒色をしている《黒曜絶闘剣(こくようぜっとうけん)》というロングソードだ。

 長さは100cmずっしりと重たいロングソードになっている。

 

 深龍は自分の体の前で片手に持ち構える。

 

 襲ってくるケルベロトスに向かって斬りかかる。

 まずは縦斬り、ケルベロトスの体を守る紫色の障壁を壊し、紫のエフェクトがきらめく。

 そのまま地面に叩きつけられ「ギャウ」と鳴く。

 

 ケルベロトスは晴奈をターゲットにしていたが、深龍をターゲットに切り替え、二匹加わり、四匹襲ってくる。

 

 横になぎ払い、二匹を飛ばし、近寄ってきたケルベロトスを左足で蹴り飛ばす。

 もう一匹は後ろの晴奈の様子を見て、そのまま頭に突き立てた。

 

「行けるかい?」

「いけます!!」

 

 魔力が十分に溜まったようだ。

 

「詠唱!!」

 

 魔法陣が浮かび上がる。

 両手を胸の前で水平に重ね、空間を作る。

 

「《聖なる光よ!悪しきモノを!駆逐する矢となり!穿(うが)て!!!》」

 

 前に突き出す。

 

「ホーリーアロー!!!」

 

 晴奈のての空洞部分が眩い光をだす。

 その中から無数の矢の形をした、白い魔力の物体が幻魔獣である、ケルベロトスに向かっていく。白い、聖なる光の矢はケルベロトスが防御用で展開する障壁を物ともせずに貫通し、砕いていく。

 攻撃を受けたケルベロトスは体が光だし、霧散する。

 いくつも同じ光景が繰り広げられる。

 

 白と青い結晶が煌めき、とても神秘的な光景が広がった。

 

 一回の魔法で10匹以上いたケルベロトスを倒した晴奈、少し疲れている顔をしていた。

 

「よくやったな、」

「ターゲットロックオンするのに少し時間がかかりました」

 

 と少しうつむき呼吸を整える。

 

 

「上出来だ」

 

 と二人に近ずいてくる足音と手と手てを叩く、拍手のような音が聞こえてくる。

 

 パチパチパチパチ、

 

「いやぁ、素晴らし。実に素晴らしい。

 我が幻魔獣の弱点を見つけただけでなく、弱点にて攻撃をして倒すとは、流石ですね」

 

 と一人、片方の目、左眼を長い髪で隠した、紫色をした長髪ストレートの男が拍手をしながら現れた。

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?

今回もなかなかに説明をぶっ込んだ内容をお送りしました。
始めのうちはこういうの多いですよね……。
工程の話は割と直近で考えたので、もしかしたら少し矛盾があるかもしれませんが、お許しを〜
主人公に関してですが、実は複雑な工程を有する魔法が苦手なのですよ、作れるけど発動までに時間がかかる……。
というねww
主人公の深龍については近いうちに話しますのでそれまでお楽しに〜

あ、それと実は2話目で登場して終わりの予定だったあの金髪野郎なんですけど、なんと名前が決まりました
それが、一銀(いちぎん)(ろう)という名前になりました!!パチパチパチ!!!
いつまでも金髪男だと味気ないので、いっそのことつけました。
金髪なのに銀ww、彼も名前に漢数字がついてのるでそれなりに強いはず!!
またいずれ出てきますのでお楽しみに〜

ではまた次回!!

♦︎次回予告♦︎

謎の男の正体、そして村が!!
次回『10話 召喚魔導士』
お楽しみに〜
よかった評価していただけると嬉しいです。



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10話 召喚魔導士

長く空いてしまって申し訳ない。

では10話どうぞ!!!

 ー ー ー ー ー ー ー ー ー

《分身魔法》
分身魔法とは一般的に戦闘を行うときに、囮や陽動のために自分とそっくりな存在を魔法によって、同じ行動思考の幻を作り出す(・・・・・・)魔法である。

《幻魔獣》
幻を魔獣の形に生成する魔法。
大きさは様々で小さいものから特大サイズまで存在する。
幻魔獣は基本系統外の魔法になる。




「いやぁ、素晴らし。実に素晴らしい。

 我が幻魔獣の弱点を見つけただけでなく、その弱点にて攻撃をして倒すとは、流石ですね」

 

 と一人、緑の迷彩色の戦闘服に身を包んだ、片方の目、左眼を長い髪で隠し、紫色をした長髪ストレートの男が拍手をしながら現れた。

 

「お前は誰だ?」

 

 深龍(しんかみ)の目の前に来た男に対して声をかけた。

 深龍の身長からして少し低い。

 おおよそ170cmは超えているだろう。

 

「誰だ?か、

 人に名を訪ねるときは、まずは自分から名乗るというものだ」

 

 一度言葉を止めて続ける。

 

「まぁいい、にしても貴様らなかなかのものだな。

 男の方は剣の一振りで滅ぼし、女子の方は魔法で一撃で粉砕する。

 なかなかの相手だな、」

 

 俺と晴奈の戦闘を見ていたようだ。

 それに俺たちを確信はないもの敵と認識している。

 

「この幻魔獣(げんまじゅう)を召喚したのは君で間違いないようだな」

「あぁいかにも私だ。まぁまだ中ぐらいの強さだがな」

 

 深龍の思いは正解だった。

 あまりにあっさり答えて来たので少し驚いたが、それほど問題ではない。

 問題なのは彼の強さだ。

 

「そうか、一体一体丁寧に作られていて、最初はびっくりしたよ。

 途中で攻撃対象を変更することが出来るとは、なかなかの腕だね。

 だが二流どまりだ」

 

 相手の召喚獣の幻魔獣を分析し、それを褒めている。

 深龍自体は幻魔獣はそこまで得意ではないが、出来ないわけではない。

 深龍は物体の形成というよりかは、幻魔獣の中枢核の司令部を作るのが得意と言える。

 そして、分析をしてそれを二流と言った。

 それはなぜか?

 

「何!?どういうことだ!!?」

 

 二流と言われ、怒る。

 相手はかなり精度の高い物を作っているはずだ。

 それを否定された気分になる。

 

「一体づつの性能はいい、賢い知能を持っている。

 だが、戦闘中少し気になった動きがあった。

 効率的に相手のダウンを取りに行くのならもっと沢山同時に攻撃するようにすればいいのだが、どうやら2匹までしか同時に攻撃ができないようだな」

 

 深龍は戦闘中に召喚されたケルベロトスの動きを1体1体ちゃんと観察していたのだ。

 

「なんだと、お前に対しては4匹むかって行ったはずだが?」

 

 そうだ、確かに深龍には4匹むかってたはずだ。

 だが攻撃を加えたのは2匹だけだ。

 だが深龍はそのこと言っているのではく、別の事に気が付いていた。

 

「出現したケルベロトスは全部で20匹近くいた。

 だが最初の攻撃を仕掛けてきたのは3匹。

 自分で生成し召喚できるのなら数など関係ない、倒されると、また増やせばいいだけ。

 だがそれをせずに相手の出方を見るかのように少数で攻めてきた。

 戦術的には正解だが少し守りに入りすぎている」

 

 そうだ、幻魔獣の利点は、場所を問わずに倒されてまた召喚することができるのが利点だ。

 だが魔導士の能力によって召喚できる数は上下する。

 ケルベロトスみたいな幻魔獣を5体が精一杯の魔導士が入れば100体でも召喚できる魔導士もいる。

 だが相手の魔導士この動きから見てもっと多くの幻魔獣を召喚、生成できたはず。

 

「俺なら最初の攻撃は陽動で、後ろで魔法発動の準備に入っているやつを後ろから攻める。

 だがそれをしなかった、そのような行動プログラムが組まれていないからだろう。

 だが指揮する人がいればそれも可能。

 となると相手は召喚はできるが、自分の思い通り行動させるのは苦手、もしくは出来ない可能性がある」

 

(この戦闘でそこまで読んでいたの!?)

 と心の中で驚く晴奈。

 

 深龍の言う通りだ。

 幻魔獣は術者の式でいくらでも動かすことができる。

 だがそれがうまく出来ていない、可能性がある。

 

 少数なら大丈夫でも数が多くなると無理になる魔導士いくらでもいる。

 

「確か、このような召喚術を使う魔導士が闇ギルドにいると聞いたな、確か赤い針(レッド・ニードル)に居ると。名前は……、」

 

 そして深龍はトドメと言わんばかりに相手の素性を暴こうとしていた。

 

「お、お、お前は一体何者なんだ!!!!?

 一体誰だなんだお前は!!?!?!」

 

 混乱している。

 

「おっと、自分の言葉を忘れたのか?相手の名を訪ねるときは自分から名乗るのだろう?」

 

 自分の最初に言った言葉を思い出したのか、少し静かになり冷静になったようだ。

 

「ふん、まぁいいさ、確かに君の言っていることは当たっている。

 だが、それは加害機能制御を入れ仲間を傷つけないというプログラムを入れているからだ。

 だがそれを外せば彼らは獰猛と化す恐ろしいほどの破壊衝動に駆られている化け物となるのさ」

 

 加害機能制御とは主に同じ幻魔獣に対して攻撃をしないように、気づけないよにするシステムのことである。

 基本はこれを組んでいるが、それを組むことで処理が複雑になり、回避行動や攻撃停止命令など、複数組み合わせることだある。

 それは大変な作業だ。

 だがその機能を退けると幻魔獣はターゲットとされた物を破壊する。

 たとえ味方が近くにいようがそれを無視して攻撃をするようになる。

 

「それがどうした?」

「今君と話している、こうしている間にも既に奴らは獰猛な化け物として街を襲っているだろうね〜〜」

 

 とニヤニヤしながら話す。

 そう、彼は深龍たち魔導士が来るのを知って彼らをここで足止めさせていたのだ。

 クエスト依頼を受けて、討伐に向かっている魔導士がいるにもかかわらず、街は魔獣たちが襲って被害が出ている。

 そう、それはクエストがちゃんと出来ていないと言ってもいい。

 下手をすればギルドの評判を下げることにもつながる。

 

「僕の名前は不動(ふどう)一郎(いちろう)以後お見知りおきお……、」

 

 とお辞儀を煙のように消えた。

 消えた、消滅したと言った方が表現的にはちかいだろう。

 彼、不動一郎自体ここに来ずに、分身体をよこしていたのだ。

 それなら話は合点する。

 分身体では基本、幻魔獣の操作や、召喚や生成はほぼ不可能。

 

 《分身魔法》

 分身魔法とは一般的に戦闘を行うときに、囮や陽動のために自分とそっくりな存在を魔法によって、同じ行動思考の幻を作り出す(・・・・・・)魔法である。

 

 現代の分身魔法はある程度簡略化されている。

 一昔前は発動するのに複雑な魔法式を使用していた。

 現代では、魔法発動補助器具の登場や、確立された魔法式に自分の形となる雛形(ひながた)を組み込み、魔法式に魔力を流すことで自分と同じ、幻を簡単に作り出すことが出来る。大体10歳前後で使えるようになる。

 《分身魔法》は一般魔法に分類され《C級魔法》である。

(厳密に言えば自分以外の人にも分身できる。外見だけだが)

 

 基本的に分身体自体が魔法を発動することはできない。

 分身は魔法式によって作られており、別の魔法式を発動することがほぼできない(身体強化等は可能)、そのため相手の陽動や、物理的な物、剣や銃を持たせて奇襲をかけることは可能である。

 だが高度な分身体である結晶分身や分裂分身、自分と全く同じ存在の実体を作り出す(・・・・・・・)分身なら、魔法発動の補助や、魔法を単体で発動することができる。

 

「くそ!これは俺たちをここに留ませる為の罠だったのか!!

 晴奈急ぐぞ!!不動が言っていた街は多分俺たちの依頼主の街だ」

「そんな!!!」

 

 晴奈は口を両手で抑える。

 

「急ごう!!」

 

 2人は走り出した。

 普通に走るのではなく、魔法によって自身を加速させて。

 移動した彼らはすぐに現場に到着した。

 街はとても悲惨な状態だった。

 

 暴れ狂うモンスターに街が襲われている。

 家々が崩れて、応戦する人もいるが殆どが返り討ちにあっている。

 人的被害も沢山出ているだろう。

 

「酷いな、」

「なんてことを……」

 

 2人は言葉を失った。

 

「深龍さん!早く助けに行かないと!!住人の人達が死んでしまいます!」

「これだけとの数がいるとは……」

「早く助けを呼ばないと!!」

「今から助けを呼んでも遅いだろう…」

「そんなぁ…」

 

 ここは少し都会から離れている。

 周辺に存在するギルドに連絡したとしても、到着すまでには1時間はかかるだろう。

 それに軍隊でもすぐには動けない。

 幾度も幾度も彼らを特88小隊を呼ぶわけにはいかない。

 

「こういう場合は術者を先に探す方が早い。だが……」

 

 約1キロほどの円形の街に魔獣がおおよ100体以上は出現しているだろう。

 村の男たちが数名戦っているが、数が圧倒てきに足りない。

 幻魔獣は基本術者を倒せばその魔法の効果は消え、霧散する。

 100以上全て相手してから術者と戦闘するよりも、先に術者を倒すのがセオリーだ。

 それにこれだけの幻魔獣を召喚しているとなるとあの不動一郎という男は相当の魔導士ということになる。

 

「私がモンスターの足止めをします!しんかみさんは術者を探してください!」

 

 晴奈がそう言ってきた。

 確かに晴奈は聖属性の魔法を使う。

 幻魔獣に対しては効果は高い。

 むしろ弱点である。

 だが今の幻魔獣はリミッターが解放されて、とても危険な状態とも言える。

 

「君一人では無理だ!今度こそ死ぬぞ!」

「でも……」

 

 今度こそ死ぬぞ、

 前回のドラゴン戦とはまた違う。

 あの時は相手が一体だけだったからまだ生きているものの、今回は攻撃力こそドラゴンに劣るものの、数が多すぎる。

 一瞬の判断ミスで周辺を囲まれておしまいだ。

 だが深龍はまだ諦めていなかった。

 

「まだ諦めるな、」

 

 といい深龍は何やら自分の魔力を7等分にしだした。

 一体何をするのか?

 深龍はまだ諦めていない。

 術者を探している間にも幻魔獣は住人を襲う。

 それを最小限に抑える。

 

『結晶分身』

 

 深龍の前に青い魔法陣が6つ出来る。

 そこに集まる魔力。

 光って目で見える。

 

 光の粒が人の形に変形する。

 深龍と同じ形のものが6つ出て、同じ配色になる。

 

「すまない、今はこれが限界だ」

 

 オリジナルの深龍がそう答えた。

 《結晶分身》陽動や囮として幻を作り出す分身魔法とは違い、自身の魔力を等分させ、元素であるパラデュルを放出し魔法陣にて結晶化させて作るあげる、実体ある分身体である。

 普通の分身魔法と違い、結晶分身には魔法を発動した術者(オリジナル体)の魔力が等分に分けれれている。

 そのため魔力を消費して魔法を発動することが可能だ。

 

「問題ない」

「久しぶりの登場だな」

「フゥ」

 

 深龍が7人に増えて少し変な感覚になっている晴奈。

 

「知っていると思うが、今依頼主が住んでいる街が幻魔獣に襲われてい、あの有馬様だ、」

 

 と襲われている街を見横目に見ながら言う深龍。

 

「これは確かにひどいな」

「確かに」

 

 一応分身になる前の意識は深龍と共有している。

 なので知っているのが、実際分身体自体が目にするのは初めてだから、確認の意味を込めて行ったのだろう

 

「6っつに散って各々各個撃破してくれ、魔法はあまり使えないと思ってくれ」

 

 深龍は街の幻魔獣を倒す作戦を伝えたあと、注意をした。

 魔法はあまり使えない。

 それが何を意味しているのかというと、それは魔力が十分に分散されていないという事だ。

 

「あぁ、だがオリジナリのお前は大丈夫なのか?」

「お前たちよりかは魔力を少し多く残している。が、大技は使えないだろうな」

「どのみち気おつけろよ」

「あぁ」

 

 深龍は軽く答えて指示を出した。

 

「abcは南の方から、defは北側から行け!!!散!!!」

 

 というとすぐに散った。

 

 

  ♢ ♢ ♢  

 

 

 結晶分身達と別れたあと、加速魔法で移動速度をあげて移動した。

 その間深龍はエリアルサイトを使用して捜索していた。

 そして案外すぐ見つかった。

 

「やっと見つけたぞ」

「あらぁ、案外早いですね。もう見つかっちゃいましたか」

 

 そこにはさっき会った人物と全く同じ人が居た。

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?

最近はバイトとモンハンワールドをずっとしていてなかなか投稿できなくて申し訳ないです。
分身魔法〜〜〜〜
忍者の世界ではよく聞く言葉ですが、魔法ファンタジー系ではあんまり聞かないですよね??
主人公が使う結晶分身なんですが、某忍者漫画のシャドウ分身のオマージュですね。
結構色々なアニメや小説の名前と被ったりして、色々と変更したりとても大変ですね……。
個人的には少し気になるので、違う名前を考えたりして対応してます。
(今もある魔法の名前に困っている…登場はまだ先ですが)
結晶分身の裏話をするとなぜ結晶なのか?
それは実態にしたいからなんですね。
普通の分身は幻、触れると煙や綿のような。
でも結晶分身は結晶化しているので、少し硬度があって頑丈ですwww。
効果音をつけるとすれば『しゅ〜〜〜ぅ。パーーン!!!!』

ということで、世間はお盆ですが、私は頑張って投稿して行きますよ〜

そろそろ艦これの方も投稿しますのでお待ちください!!!
では!!!

♦︎次回予告♦︎

男と戦闘を開始するが、相手はかなりの強者!!
前回の疲れが残っている深龍はたして勝てるのか!?
次回『11話 不動 一・二郎?』
お楽しみに〜
よかった評価していただけると嬉しいです。


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11話 不動 一・二郎?

遅くなりました〜〜
完成したので11話投稿します!!!
ではどうぞ!

ーーーーーーーーーーーー
今までのあらすじ
ドラゴンとの戦闘ご晴奈を強くするため、
その前の前段階として実力を測る為に来たのがだ、思いも寄らない敵に遭遇してしまったのだ。



 召喚魔法を使い深龍は武器を装備する。

 体のいたるところだ光だし、装備する。

 腕には革籠手、肩、腰、レーザーアーマーを装着する。

 腰にはクナイや手裏剣などを装備し、胸には巻物らしき筒を左右三本ずつ計六本装備した。

 パッと見では黒い服を着ているので忍者にも見える。

 

「装備ですか?」

「あぁ、昨日の今日で魔力が回復しきってないからね、相手は相当の魔導士だ。

 今の俺では魔法力では勝てないかもしれない、出来るだけ魔力は温存して戦闘を行う。

 周りに出てくる幻魔獣は晴奈に任せるよ」

「はい!!頑張ります!!!」

 

 結晶分身達と別れたあと、加速魔法で移動速度をあげて移動を開始した。

 元のスピードが早い分、加速魔法での魔力消費はあまり消費はしないようだ。

 その間深龍は《エリアルサイト》を使用して捜索していた。

 

 《エリアルサイト》とは深龍が持っている特殊能力の一つだ。

 深龍には複数の異能の力を持っている。

 六道の力もそれに分類する。

 《エリアルサイト》を使うのに必要なのが、《エレメント・アイ》(別名:総元(そうげん)眼『(すべ)ての(もと)を視る眼』という意味)が必要になる。

 よく聞くのは《スキャニング》というものが代表に挙げられる。

 《エリアルサイト》は眼で辺りを見る(・・・・・・・)というより、眼で辺りを知る(・・・・・・・)という方が表現的には近い。

 レーダー波と似たものを放出し、周囲の状況を観ることができる。

 

 そして案外すぐに相手を見つけた。

 

「やっと見つけたぞ」

「あらぁ、案外早いですね。もう見つかっちゃいましたか」

 

 そこにはさっき会った人物と全く同じ人が居た。

 場所は村を一望できる高台の雑木林の中。

 周辺に彼以外の魔力は感じ取れない。

 

「村の方はいいのかい?」

「そうだな、今は別のやつに頼んでいる。

 それにさっき言った言葉を撤回しよう、あれだけの数を召喚できるとは流石の一言だな」

「あれぇ?褒めてくれるのか、今更褒めたところで何も変わらんぞ!」

 

 最初は優しい口調だったが、後半はとても怖い声で怒鳴るように言い放った。

 

「あぁわかっている。

 街をあのような姿にしたのだからな。

 手加減なのしない」

「ほぉ、俺を倒す気か…、面白い来るがいい」

 

 深龍は両手を胸の位置で交差させ、手首の内側にある紋章の部分に魔力を流し込み、武器を転送する。

 長さが20cmほどのダガーを両手に持ちそれを不動に投げる。

 

 肩や、腰に触れてダガーをさらに転送する。

 それを次々に投げる。

 

 不動一郎はダガーの軌道が見えているのか、それをいとも簡単に避ける。

 ダガーの速度はかなり早い。

 不動とは50mも離れていない距離にいる。

 ダガーは2秒もなく不動のすぐそばまで飛翔する。

 

 

「これはどうだ!」

 

 胸の巻物状の物を取り出し、胸の前で大きく左から右に向かって開ける。

 そして巻物に親指を触れさせ、一気に横までスライドさせる。

 すると糸でつながれたダガーが転送され、浮遊する。

 そしてそれに指が触れるとそのまま前に飛ぶ。

 単一、移動魔法を使って対象に向けて放ったのだ。

 

 間髪を入れずに腰から巨大な手裏剣を転送する。

 直径1mはある四つの角がある大きな卍手裏剣、その名も《風魔手裏剣》

 風属性の魔法が魔力を流すだけで発生することができる手裏剣の中でも最大級の威力を持つ。

 普通の人が触れれば簡単に真っ二つに切れてしまう。

 深龍はどうやら殺すきでいるようだ。

 

 大きく後ろに腕を下げ、勢いよく前に投げ出す。

 不動はそれを今度はジャンプして身を(ひるがえ)し、かわした。

 投げた風魔手裏剣が躱されるのは深龍の予想通り。

 不動が身を翻し着地するときに前を見るが、そこには深龍がいなかった。

 少し動揺するが、もう一度ジャンプして、後ろから来る風魔手裏剣をかわす。

 

 そう深龍はすぐに不動の後ろに移動して、飛んで来た風魔手裏剣を掴み投げ返したのだ。

 ドスッ!!!

 風魔手裏剣は晴奈のすぐ横で地面に突き刺さる。

 

「あれを避けるのか!?!?」

「間一髪だった、流石にそう来るとは思わなかったね」

 

 背を向けて避けられたことに驚く深龍に、背を向けたまま話す不動。

 だが、すぐに真剣な顔に戻る。

 

「よく感知したな、自分の背後から来る攻撃を」

「なに、俺には見えるんだよ」

 

 と後ろを振り向きながら言った。

 

「見えるか、後ろに眼でもあるのか?」

「それはどうかな?」

 

 と首を横に傾げながら言い終えた。

 そして腰にさげている手裏剣を取り出し、さらに2つ風魔手裏剣を転送する。

 

「そんな小道具では倒せないよ〜俺らをね」

「試してみるとしよう」

 

 両腕に持っている風魔手裏剣を大きく後ろに下げ、不動の右側面に瞬間移動する。

 そして右手に持っている風魔手裏剣をなげる。

 次は反対側に移動し不動の左側面から風魔手裏剣を投げる。

 二つを投げる終えるまで

 

 不動は1つ目が投げられたタイミングではなく、2つ目を見てから避ける。

 右側の風魔手裏剣は不動の首の高さ。

 左側の風魔手裏剣は不動の膝の高さ。

 ちょうど真ん中が空いてるのでその隙間に入るように体をねじりよける。

 

「なるほど君は瞬身の魔法が使えるのか。

 そこに落ちているダガー、その付近に君は瞬間的に移動している。

 ダガー自体に何らかの魔法式が組み込まれている。そうだろ?」

 

 不動が話している最中に晴奈の所に瞬身する。

 どうやら不動にこの魔法の事がバレてしまったようだ。

 

「ご名答。魔法の名称は《飛転魔法》だけどね。にしてここまで俺の飛転連投弐ノ段を回避したのは君が初めてだよ」

 

 《飛転魔法》

 自分又は相手を印のつけた所に転送することが出来る魔法である。

 それは人もの関係なく発動する事ができる。

 《飛転魔法》は《上級魔法》に分類され階級は《S級》である。

 会得するにはかなり精度の高い魔力調整が必要になり、たとえ会得出来たとしても、実戦で上手に発動できるとは限らない。

 

「へぇあれに技名があるのか、いや最後のはビックリしたよまさ忍者の技を混ぜて来るとはね」

「これが忍者とわかるのか?」

「え?君は忍者ではないのかい?

 てっきりそんな服を着ているから忍者と思ってしまったよ」

 

 

 忍者の技というのは元々この《飛転魔法》は忍術の瞬間移動術を手本に考えられ、組まれた魔法である。

 マーキング(印)をした所に移動できる利便性を考えた魔導師が開発したが、自分の位置をマーキングの位置に持って行くのに大変苦労したと聞く。

 下手をすれば全身が転送できず、一部だけ転送してそのまま死ぬ。ということがあったそうだ。

 今は魔法式が確定しているので、不十分な魔力や発動だと不発になるように仕組まれている。

 

(さて彼相手に攻撃するには複数方向から同時に攻撃するしかない。だが…。

 そもそも彼はなぜいその場所から動こうとしなんだ?)

 

 と深龍が心の中で考えていた。

 そこで一つの仮説を立てて、それを実行することにした。

 俺が移動した時、平面上はすぐに感知できていた。

 だが後半俺が風魔手裏剣を投げた時、不動は飛んでくる位置を確認してから避けた。

 なら相手は上下はあんまり感知できないのでは?

 と感じた。

 それを実行してみる。

 

「どうした?急に黙り込んで?」

「いや、少し考え事をしてね」

 

 晴奈の近くに刺さっている風魔手裏剣を抜き取り、腕を後ろに構える。

 

「また、それを使うのか、どんな攻撃をするのか知らないけど、

 俺には当たりはしないよ」

「どうかな?」

 

 そして投げる。

 魔力を帯びてない、ただの大きな手裏剣が不動目掛けて飛んで行く。

 

 そして深龍がまた不動の後ろに飛ぶ。

 不動は最初と同じく風魔手裏剣を避けた。

 深龍は風魔手裏剣を掴み同じ攻撃を繰り返した。

 が同じ攻撃ではない、ガシャんと音が小さくした。

 

「ふん!!!同じ攻撃食らうわけ!」

 

 不動が半テンポ遅れ後ろを振り向くと風魔手裏剣の下に、なんと同じ風魔手裏剣が2つの重なっていた。

 不動はその攻撃に気がつくが回避に遅れた。

 そして下の方の風魔手裏剣に当たってしまい軽く飛んでしまう。

 

「クッ!!」

 

 そして深龍は地面に突き刺さっているダガーを手に取り、とどめを刺しに行く。

 

 だがその時不意に上で奇妙な視線を感じ途中で上にダガーを投げる。

 

 すると上から人が一人落ちてきた。

 

 ドサ、、、

 

 地面にうまく着地した不動一郎と瓜二つの人間がいた。

 

 「二郎!」

 

 と不動が呼ぶ。

 深龍のすぐ近くに立っている男は、深龍を警戒しながら、不動の近くにすぐに駆け寄って行った。

 

「すまない兄者。立てるか?」

 

 と手を差し出す。

 その手を取り立ち上がる不動。

 

「問題ない。怪我はないか二郎?」

「僕は大丈夫だよ」

 

 どうやら彼は二郎というようだ。

 深龍は何か謎が溶けたような、気がした。

 

「なるほど、君のことを感知タイプの魔導士と最初は思っていたが、どうやら違ったようだな。

 不動、君がその場から動こうとしなかったのはその上に協力者がいたからか。

 そして俺の位置や攻撃をどの方角からくるか教えていたのだな」

 

「兄者普通にバレてしまったよ」

「何、俺らの本当の力は分からないだろうからな」

 

 と不動兄弟は何やら、まだ隠していることがあるようだ。

 深龍はすぐに晴奈の横に行き、体制を整える。

 

「晴奈、武器を構えろ、この二人は相当強い。

 魔力が完全に回復しきってない今の状態では厳しい。それに昨日の影響でまだ体も完全に動けない。」

 

 今深龍はほとんど魔力がない。

 この一連の攻撃もいつもなら大量にある魔力で問題なが、今の状態ではこれ以上武器を転送して投げるのは厳しい。

 大技で一撃で倒せるほどの魔力もなく、先日のドラゴンとの戦闘で無理に六道の力を使った影響が徐々に出て来だしている。

 すでに立っているのが限界に近くなっている。

 

「わかりました!」

「殺す気でいけ」

「は!はい!!」

 

 殺す気でいけ、それは本気以上の覚悟で行けと言う意味だ。

 だが晴奈はほとんど対人戦を経験していない。

 いつもなら深龍がサポートして戦えるが、晴奈の実力派どれほどか……。

 

「どうやら俺らを殺す気ですけど、どうします兄者?」

 

 と不動二郎が耳打ちする。

 それに対して普通の声で返す一郎

 

「無論、殺してもいいが、なかなか、ビジュアル的に女の方はいいから、それに男は頭がきれる捕獲の方がいいな。事情は知らんが弱ってることだし」

「お〜けい!!」

 

 と二人の目が、獲物を捉える動物の眼へと変貌した。

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?
1ヶ月空いてしまって申し訳ないです。
これは月一更新?
にはならないようにします!!

ということで、今回は魔法にあまり頼らずに敵を倒そうとしています。
前のドラゴンとの戦いで協力は魔法を持っている。
で今回はそれ以外の武器があるというの知って欲しいな〜と思います!
では次回!!

♦︎次回予告♦︎
2対2で戦闘を始めた。
相手はかなり強い魔導士
完全ではない深龍と対人戦経験がほとんどない晴奈
さてどうなる
次回『12話 幻術』
お楽しみに〜
よかった評価していただけると嬉しいです。



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12話 幻術

大変お待たせしました。
初めての方は始めまして!杜木 (かおる)です!
それでは完成したので第12話です!どうぞ!

その前にあらすじ行きますか!

ーーーーーーーーーーーー
前回までの あらすじ

ドラゴンとの戦闘後、晴奈は自分がもっと強くなりたい為、助けに来てくれた主人公深龍(しんかみ)に今まで組んでいたパーティを抜けて弟子入り志願した。 深龍はそれを承諾。 面倒を見るその前の段階として晴奈の実力を測る為、ある依頼に来たの。 だがそこで思いも寄らない敵に遭遇してしまった。 そしてその敵と会敵し、戦闘を始めたのだった。


「さぁ!!!行くぞぉぉぉオラァ!!!!」

 

 不動二郎は両手に魔方陣を展開し、手の3倍はあるだろうと大きな紫色の鉤爪を装備した。

 そのまま晴奈に向かって走り出す。そしてそのまま晴奈を攻撃するかと思いきや、その横を通り過ぎ晴奈の背中を超えたあたりで後ろに振り向く。

 そして振り向きざまに右腕を大きく振りかぶり晴奈に襲いかかる。

 晴奈はすぐに後ろに振り向き翡翠色に輝く両側面が軽く反っている両刃の剣を、両手で持ち、中段で構えて攻撃をガードする。

 

 ガキーン!!!と大きな金属音がし、火花が散る。

 相手の攻撃は魔法攻撃だが、その強度は金属に劣らない強度を持っている様だ。

 

「くっ、、」

 

 今まで感じたことのない衝撃が剣から手に伝わり、腕に伝わる。

 手と腕が痺れる感覚があり、思わず剣を落としてしまいそうになった。

 だがここで剣を手放すわけにはいかない。

 

「ふぇ〜い、やるね〜」

 

 不動二郎の顔に笑みがこぼれる、それと同時に自分の攻撃が剣によりガードされて、少し驚く。

 不動二郎は2度バックステップして3メートルほど距離をとる。追撃がこないことを確認すると、言葉を続けた。

 

「さぁて、ここから連続攻撃行くよ〜」

 

 と苛立ちを覚えるような言い方だで言い放つと、両手を後ろに垂らしながら突っ込んでくる。

 わざわざ連続攻撃をしてくると宣言してくれるのはよほどの余裕があるのか?それとも罠か?バカなだけなのか?そんなことを考える余裕は今の晴奈にはなかった。

 

 両腕を使った連続攻撃を晴奈はどうにか頑張って剣でガードしている。

 だが二郎の攻撃は若干ではあるが少し衝撃波を出しており、その衝撃波が晴奈にあたっている。

 軽い打撃が、ムチで打たれる様な感覚が晴奈を襲う。

 キンキン、ガン!!キンキン、防戦一方の晴奈、ジリジリと後ろに後退する。

 一向に止む気配がない。

 

「やれやれ、ああなると彼はもう制御できないからね〜」

「晴奈!!」

 

 と後ろを見て駆けつけようとするが、すぐさま一郎が剣を握り、地面をけり深龍に襲いかかる。

 片手で持ち、剣を高く上に掲げ、上段から振り下ろす。

 深龍はいつの間にか腰に差していた剣を鞘から抜き出し、左下から迎え撃つ。

 

 二つの剣が上下でぶつかり大きな金属音を発生させる。

 上から切りつける一郎は力をさらに込める。

 上から攻撃を受け、それをしたから受け止める。力のぶつかり合いでは、下からの迎撃は不利になる。

 

「ぐぬぬ、」

 

 深龍の声にはならない声が出る。(万全な体の状態ならこの程度の剣戟、軽く弾き返せるのに。)と心で思いながら、体が沈み片膝を右膝を地面についてしまう。

 

「どうした力があまり入っていないぞ」

 

 と一郎は上から声をかける。少し反発が来た時に上段の攻撃を取りやめ、横、水平切りに変更する。

 深龍は上に向かって力を入れていたので、とっさの出来事で剣が大きく上に上がり、大きな隙ができる。

 そこに一郎の水平切りが迫って来る。

 深龍は足に力を入れ、後ろに飛ぼうとする。だが飛ぼうとするにも片足だけでの跳躍、また姿勢が悪かったため、そのまま地面に背中から倒れる。

 そしてその上を剣が通り過ぎる。

 

「チャンス!!!」

 

 一郎がそう言った。

 

(くそ、魔法が使えたら、魔法が使えない……、魔法が使えない。そうか、ならあれが使える。)

 

 一郎が大きく剣を上に掲げる。

 高く掲げられた剣に魔力が集まする、赤く光だす。

 そのまま深龍の倒れているところに振り下ろす。

 剣が膨張したように大きく見える。

 不屈流《上段岩殺し》

 深龍の上に赤く光った大ぶりの剣が直撃する。

 

 ドーーーン!!

 と土煙を高だかにあげ、大きな音が響く。

 剣先が地面にめり込んでいる。その先3mほど地面がえぐれている。

 そこに深龍の姿はなかった。

 

「クククク、あれ、消しちゃった?

 弱いやつだったな、し……、」

「死んだとでも思ったか?」

 

 と一郎の後ろに立つ深龍の姿があった。

 剣の刺さったえぐれた地面を見るとほんの少しだけ、電気を帯びている感じがした。

(電気?)

 深龍は体を電気で活性化して一瞬のうちに不動一郎の後ろに移動した。

 そして左足を踏み込み、右手に持っている剣を大きく水平に振る。

 不動一郎は一瞬戸惑うもいつの間にか抜いていた剣を右手で逆手に持って深龍の剣戟を防ぐ。

 

「やるな!」

「ふん!」

 

 深龍の水平切りを逆手で持った剣でガードし、剣を支点に体を浮かせて右足の蹴りを入れる。

 だが深龍は後ろに飛び、蹴り技を回避する。

 不動一郎がその場所に着地する、動く気配は無く追撃はしてこなかった。

 

「動かないつもりか?」

「ふん」

 

 深龍はもう一度攻撃を仕掛ける。

 それを不動は一歩も動かずに剣で防御する。

 後ろ、左、右、と剣戟を入れるも不動は一歩も動かずにいる。

 

 ガキン!!!

 お互いに剣が重なり、鍔迫り合いをしている。

 

「それは魔法ではないな、忍術か技法か?」

「よくわかったな、忍術は流石に使えないよ、これは技法だ」

「なるほど、君は魔法も使えて技法も使えると、これは上物だ良い獲物を見つけた」

「それはどうも、だがずっと遊んでいられないからな、そろそろケリをつけさせてもらうぞ」

「いいだろう。魔法に劣る技法がどれほどの力を持っているのか、この身で実感して見るか」

 

 深龍が後ろにバックステップで下がり距離を取った。

 深龍は剣を持ち直し右下に下げ、目を閉じて深く深呼吸し、目を開ける。

 そして不動一郎を見据える。そして膝を曲げて地面を蹴る。

 土が少しえぐれた。

 深龍は電気で身体能力を上げているのでもちろん移動スピードは上がっているそれも数十倍だ。

 一瞬のうちに一郎の左側までにつくと、すでに左側に移動してた剣が不動の横腹に決まる。

 そのまま後ろに倒れこむがすぐに起き上がり、通り過ぎた深龍を追撃してくる。

 急停止をして後ろ振り向く深龍に、不動の大きく振りかぶった剣が頭めがけて来る。

 それをギリギリで背中に攻撃を加えようとするが、振りかぶった剣が逆さになって攻撃をガードした。

 そして後ろ蹴りをしてくる一郎の攻撃をかわす。

 そのあとは何度も何度も剣がぶつかり合い火花がちる。

 

 剣に魔力を込めて赤く光る不動の奇跡と、雷で全身を強化している、青い深龍の軌跡がぶつかりあう。

 

 二人の距離が少し開くが、つかさず深龍は姿勢を低くして、ステップで一気に距離を詰める。

 剣の柄を右胸あたりに持ち左側に流すように持つ。左手を剣先に触れるか触れないかの位置に固定していた。

 そのまま高速で近づき右から左への水平切り左へ抜ける剣を強引にもどして左から右切る。

 そして大きく振りかぶり上から下へ3連撃を決めた。

 だがそれを難なく凌ぐ一郎。

 

「この程度か?」

「ふん、なかなかきついね」

 

 深龍と一郎の戦闘はどちらかと言うと深龍が防戦をしてるに近い形だった。

 先日の無理がやはり体にこたえているのだろう。

 思うように力が入らないようだ。

 相手の攻撃に反応ができるくらいに体が慣れてきた頃だった。

 晴奈の様子をちらりと見ていた。

 

 晴奈は二郎ずっと攻撃受けていた。だがそれは単とずっと攻撃を受けていた訳ではなかった。

 それは不動二郎の攻撃パターンを見極めていたのだ。

 ずっとその攻撃を見て、足の動き、手の動き、目の動きそして、相手の呼吸。同じ場所に、同じスピード勢いで攻撃が繰り出されている。

 右、左、右、右、左、右、左!!

(ここだ!!次の攻撃が右から来る、この時ワンテンポ遅れて来る、そこに合わせて!)

 

 晴奈はずっと攻撃に耐えながら相手を観察していた。

 そして聖嵐家の特技を発動した。

 

 カウター攻撃 聖嵐古法流(せいらんこほうりゅう)緑三日月下法(りょくみかづきげほう)

 

 右下から緑色に光る高速の切り上げを発動した。

 この技はカウンターで高速の技になる。そしてなおかつ相手の魔法を一部吸収するのだ。

 それは吸収した魔法を次の技へと繋げる。

 

「な!!」

 

 下からの攻撃で、大きく後ろにのけぞる二郎、間髪を容れず追撃する晴奈。

 右手の剣を顔の横で後ろに引き、赤く光り出す技を発動する。

 

 聖嵐古法流奥義《嵐撃(らんげき) 突ノ型(とつのかた)》と密着するほどに近い位置で、赤くそして螺旋状に白い筋が入った突攻撃を繰り出した。

 それをガードしたが踏ん張ることが出来ずに、後ろにいる一郎にぶつかる。

 

「はぁはぁ…、やった!!」

 

 一郎は深龍と間合いを取っていたので、二郎を受け止める形だ、二人が重なった。

 

「兄者、すまない、」

「いいから早く離れろ!!」

 

 深龍は好機と捉えたが、ここでミスればズルズルと負けてしまうとさとり、一度晴奈と合流をした。

 一郎が二郎の受けた攻撃を見て、少し驚いた顔をするが、目の前の敵に深龍に視線を移した。

 お互い無言のまま牽制しあっている。基本的に一郎はその場から動かない。二郎の方は好戦的でつこんでくるが、晴奈の攻撃が効いたのか、その場を動かずに胸のあたり、突かれたあたりをさすっている。そこで深龍がとっさに腰にぶら下げている筒を地面に投げつけた。すると白い煙がもくもくと上がってきて二人を煙幕で隠した。

 

 二人の周りだけは煙が来ていない。

 

「晴奈、何か戦闘をして気がつくことはなかったか?」

 

 いきなり、顔を近づけられて声をかけられる晴奈。少し驚くものの答える。

 

「えっと、ずっとあの人、深龍さんの方を見るんです。私には興味がないように」

「そうか、それは一郎の方にもあったな。他には何かあるか?」

 

 一郎も同じく、よく晴奈の方を見ていた、あの戦闘が始まる前までは。

 

「えっと、途中から攻撃をかわすタイミングが少し変わったんです、でもなんだか、攻撃をしてる時誰かに見られている感覚がありました」

「なるほど、」

 

 数秒深龍は敵のことを考えてから口にした。

 

「晴奈、今からすることは決して妹の星那には言うなよ」

「え、なんでですか?」

「なんででもだ。それとーーー」

「わかりました」

「よし、」

 

 すると深龍は目を閉じ、一気に魔力を上げた。

 残り少ない魔力を一点に、それも左の眼一点に魔力を集める。

 そして目を開く。

 すると黒色だった眼が赤色に変わっていた、すると漢数字の『一』の文字が徐々に刻まれる。

『一』の字が浮かび上がったと同時に身体中の皮膚が切れ、血がしたたれた。

 両足で立っていたが、左膝を地面について、右手で倒れるの防ぐかのように地面に手を出す。

 下を向いたまま、ボソボソ言い始めた。

 

「くっ…。流石に、一 が限界か……。

 はぁ…、三 以上を、出す…、相手では、ないというわけか……。仕方ない、あの、方法で倒すか」

 

 と深龍が言った。

 深龍の六道は通常状態では最大『三』までしか展開できない。フレイムアイを併用すれば『五』まで可能だ。

 晴奈が手をさし出そうそするが、それを制し、起き上がる。

 そして、二人の位置を確認する。

 

「兄者突っ込むかい?」

「いや、待て。あいつは策略家だ迂闊に近づくな」

 

 その時、煙の中から魔力の衝撃波が押し寄せてきたの感じた。

 

「構えろ!」

 

 とっさに一郎が口にした。

 だがその隙もなく煙の中から深龍が出現し、二人の顔面を手で鷲掴みして地面に背中から叩きつける。右に一郎、左に二郎。

 

 ドーー ン!!!!

 

 地面が人の頭分めり込み、ヒビが走る。

 

 煙の中から晴奈が駆け寄り、深龍から見て右側に立ち止まる。

 すると二人が深龍を蹴飛ばし、起き上がった。

 少し離れて地面に背中から倒れこむ。

 

「おいおいボロボロじゃねーか」

「きゃーーーーー」

 

 と言い二郎は右側にいた、おどおどした晴奈を掴み首に腕を回して捉えた。

 

「よく見ると、可愛いじゃねぇか、強さと、可愛さ、これは高値で取引出来そじゃないですかね兄貴!」

 

 うなづく一朗

 そして起き上がる深龍、その見た目は血だらけだ。

 

「晴奈!大丈夫だよ、」

 

 腕の中で苦しそうにもがく晴奈を視界に入れながら二郎が話す。

 

「弱い仲間が居ると、足でまといだなぁ、お前もついてない、こんなやつと一緒に戦って。そして負けて、売られる。」

「そうだなぁ、足でまといは必要ないな、戦いの邪魔だ。

 晴奈そのままじっとしてな」

「何そんなにヘラヘラしてんだよ?」

 

 その時、深龍の右手が青白く光った。

 すうぅと右手を肩の位置まであげ、そして青い雷の刃が晴奈と二郎を2人を穿った。

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?

リアルでの仕事(主に卒論)が終わり、やっと投稿ができる平和な時間ができました〜。
前回の投稿から5ヶ月ほど空いてしまい申し訳ないです。

ということで、2VS2の戦いをご覧いただきました〜そして驚きの最後!!!さてどうなることやら〜
剣での戦い、結構毎回のことですが、文字に起こすのが大変です。
自分の体を動かして、右手の位置はここで〜左手は、足はここかな〜?
と色々と頑張っております。
また今回新たに技法と呼ばれるものが出て来ましたね。あれは魔法とはまた別物で、詳しい紹介は次ぐらいしようかと思います。
ではまた次回!!

(早めに投稿頑張ります)

♦︎次回予告♦︎

剣術、格闘術、魔法、それに幻術
深龍は様々な技を使えるようだ。
不動たちを始末した後彼らの所属するギルド聞き出す。
そして深龍がとった行動とは
次回『13話 六道の一と二』
お楽しみに〜



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13話 六道の一と二

 

「弱い仲間が居ると、足手まといだなぁ、お前もついてない、こんなやつと一緒に戦って、そして負けて、売られる」

「そうだなぁ、足でまといは必要ないな、戦いの邪魔だ」

 

少し俯いて知る深龍の顔は不気味な笑みをこぼしていた。

 

「晴奈、そのままじっとしてな」

「何をそんなにヘラヘラしてんだよ?」

 

相手をあざ笑うかのようなその顔は見るだけで恐怖するだろう。

その時、垂れ下がっているい深龍の右手が青白く発光したのを二郎は見ていた。

その光は点滅から、バチバチと雷の如く光だし深龍の手にまとわりつく。

そして右手がすうぅと肩の位置まで上がった。

そして――、蒼雷(そうらい)の刃が晴奈と二郎の2人を穿った。

 

「おっ……、お前……、仲間ごと」

 

隣にいた一郎が驚き二郎の方を見る。

深龍のゆっくりとした動きだったのにも関わらず動く事が出来なかった。

 

「俺に仲間などいない。足手まといになるような仲間など論外だ」

「仲間じゃ……、ないというのか」

「あぁ、仲間など必要ないからな」

 

とゴポット、血反吐を吐いた。晴奈も同じくだ。

だが貫かれた位置は二人で違う。

二郎は心臓に近い位置だが、晴奈は背が低いので肩のあたりで急所は避けられている。

 

「兄者早く……、彼奴を……」

「……」

 

無言のまま立ったままでいる不動一郎。

名前の通りに動かない、いやそもそも動く気配すらしない。

 

「無駄だ、彼は動けないさ」

 

不動二郎の目が右に左に、動き動揺がうかがえる。

 

「な、なぜ!!」

「自分が今抱えている存在をよく見てみな、それは誰だ?」

「俺は敵の女っ――!!」

「晴奈は今俺の隣にいるぞ」

 

深龍の後ろから歩いて姿を現わす晴奈。

二郎は自分が今捕まえて居る少女が目の前に現れ驚き、恐る恐る自分が抱えている人を見たら、髪の長い少女ではなかった。いつのまにか同じ背丈の自分と振り二つの一郎の後ろ姿だった。

 

「二郎……、おまっ……、」

 

一郎の口には血がついている。

 

「あ、ああぁぁ!! 兄者っ!!!」

 

不動二郎が捕まえた思っていた人物は晴奈ではなく、兄貴の不動一郎だった。

 

「一体どうやって……、俺には幻術耐性があるはずなのに――!」

 

そう、二郎が捕まえていたのは確かに晴奈だった。

深龍が襲って来たときにその隣に――。

もしかしたらそのときに何かを深龍が仕掛けたのかもしれない。

 

「確かにお前は幻術耐性が高い。だから幻術に嵌めることが出来なかったから空間幻術をつかったんだよ」

 

「なっ!!」

 

ドサッ、ドサッ――。

と不動一郎と二郎の二人が地面に倒れこんだ。

《空間幻術》とは相手の精神に攻撃をしかけ、幻や幻聴などを見せる幻術とは違い、攻撃対象とは別にその対象が存在する空間全体に幻術をかけてることにより、今見えている風景、音、感覚、など全てが幻になる高等魔法である。対象が戦闘している人物ではなく、環境に幻術をかける為その変化を察知できなければ見破る困難である。また空間幻術はその空間内にいれば全ての人物に見せる事ができる。

 

「はぁはぁ……」

 

深龍は力が抜けて、倒れそうになったのを片膝をついただけで地面に倒れ込むのを防ぐ。呼吸がとて荒く苦しそうだ。

無理に魔法を発動した反動が、魔法を解いたから一気に襲ってきた。

 

「くっ――」

 

服の胸ぐらを掴む。

 

「深龍さん!大丈夫ですか!!」

 

心配になりすぐさま晴奈がかけよる。

 

「あぁ、問題ない。多少魔法を無理に使っただけだ」

「すぐに治癒魔法をかけます」

「触るな!!」

 

晴奈が治癒魔法をかけるために触れようとするのを声を強張らせて防ぐ。

 

「大丈夫だ……」

 

「さて、彼らの魔力を奪って行くか」

 

深龍は立ち上がり、不動の二人に手を当ててた。

 

 

 

深龍と晴奈は不動兄弟を連れて村の役所に戻って来た。

不動は役所の牢屋に連れ込まれ魔法使えないように手錠がかけられた。

その後場所を応接室に変え、今回の依頼についての説明を終えた。

 

「――、これで事件の詳細は終了です。あとは警察に引き継いでください」

「ありがとうございました。魔導師様」

「所長、少し訪ねていいか?」

「なんでございましょう?」

「この村では、人(さら)いはあるか?」

 

深龍は突然突拍子もないことを聞いて来た。

それは不動の魔力を吸い取ったときに不思議な記憶をみつけたからだ。

 

「えぇ、一月前に2人ほど。ですがあまり大沙汰にはならいですね」

「それはなぜだ?」

「……」

 

深龍の問いに答えた、所長だが口ごもる。

 

「言えぬ事情がるという事か」

「申し訳ございません」

「わかった」

 

村長との会話が終わったと思った役所の人の1人が金品を持ってきた。

 

「こちらが報酬金となります」

 

と言い、鞄から札束を一つ出して来た。

1枚1万なのでそれが100枚、今回は村の敵襲の排除と敵を捉えたことで倍増した。

これが多いか少ないかといえば結果的に村全体の任務になった上に、主犯格を捕まえたので少ないといえる。だが村もかなりのダメージを負い高額な報酬は出せないそうだ。

 

「あぁ、確かに」

「これで、依頼完了だ。少々荒れたが、復興の方は大丈夫か?」

「えぇ、大丈夫かと。魔導師様が村を魔物から守っていただいたお陰で」

「では失礼する」

「ありがとうございました」

 

その後書類にサインを施し、村を後にする深龍と晴奈。

二人は村の門からでて数分あるいたところで足を止めた。

 

「晴奈」

「はいっ!!」

「少し寄り道をしていいか?」

「えぇ、大丈夫ですけど?どこへ行かれるのですか??」

 

晴奈の頭にはてなが浮かような顔をして訪ねる。

 

「もうすこしだけ稼いでおこうと思ってな」

「はぁ?」

 

と言いながら深龍と晴奈は足を進めた。

少し村から離れた小屋に深龍は入って行った。

そこは村から2キロほど離れたところで、もう少しそのまま先に行くと大きな幹線道路がある。

この倉庫には何があるのかというと。

 

「盗まれていないようだな」

「そのようですね」

 

そこには大きな二輪車が、厳密言えば原動機がついたオフロード用のオートバイが保管されていた。

原型はデュアルパーパスに近い。いろは黒と灰色で塗られており、カーボン的な雰囲気をしている。

「これに乗るのですね……」

「帰りはゆっくり帰るよ、それと俺の背中にくっつくのがいやか?」

「いえ、そ、そういうわけでは……」

 

すこし顔を赤面している晴奈を見るが、深龍は特段気にも止めなかった。

よく妹を乗せて走行しているので、あまり違和感はない。

むしろ、背中に当たる圧力が少ない上に軽く楽なくらいだ、と深龍は思っていた。

 

「さて、出るか」

「はい」

 

バイクのエンジンをかけて二人はヘルメットをかぶり、またがった。

今更かもしれないが、この世界にも車はを普通に走っている。

だが君たちの世界と同じく、車には免許が必要で、それも16歳からとなっている。

深龍は18歳だが、車は小回りがバイクより効きにくく、深龍が欲しいと思う車は高額だ、そのため今の所必要ではない。移動は概ねバイクか、公共の交通手段を使っている。

 

バイクで走る事十分少々、車の通りがすくなった頃にあるお店を見つけて停車することにした。

ちなみに帰る街とは反対方向に向かっている。

小洒落た喫茶店のような建物に目を向ける深龍。その周辺には建物が10件ほど建ち並んでいるのを確認すると深龍は、その喫茶店の10箇所あるうちの一番端の駐車場にバイクを駐めた。

ここは隣の町までの中間場所であるから、休憩所的な立ち位置だろう。

他にも何台か車とバイクが駐車している。

 

「ここか、晴奈は俺が言った通りにそのケースを持って、ドアの近くで立っていてくれ」

「わ、わかりました。一人で大丈夫ですか?」

「あぁ、この手のことには慣れている」

 

ここまでに来る道中で深龍がこの後何をするのかを事前に説明していた。

 

「そうですかぁ」

 

少し、不安そうな表情を見せる晴奈に対して、特に気にも止めず深龍はそのまま店のなかに入っていく。

 

外観は茶色のレンガで作られてレトロモダンな雰囲気。

ドアを中心にして左右に3つづつある窓、窓に装飾が施されていて、あまり中を伺うことが出来ない。

金色に光る金属質なドアノブを手で握り少し重い、木製のドアを手前に引いて開ける。

 

「いらっしゃい」

 

深く渋目の声が深龍を迎える。

 

中は暗めなで外見ににあうレトロモダンなお洒落な内装。

 

中には外に停まっていた車やバイクの持ちぬであろう格好の客が6人ほどいた。

かなり人気なお店なのだろう。

(先ほどの町からそう遠くないので来るお客さんには困らなさそうだ。

ただ、そのような客がこの店にどれぐらいのだろうか……)

などと深龍が考えいた。

 

不動兄弟に幻術をかけて聞いた内容によれば、ここは裏取引の場所。

主に奴隷を扱う闇店。

店内のぐるりと見渡した深龍は、店内にいる人数と机椅子の配置を記憶しているのだろう。

そしてそのままカウンター席に歩いていく。

初めて来た人が店内を見回すのは別に不審な行為ではない。それは本当に初見で始めて来たような客に見えればの話だが。

 

マスターらしき人が立つ前の席に腰を落とす深龍。

 

「いらっしゃい、なにしますか?」

 

といい布のカバーに包まれたメニューを出して来た。

深龍はメニューをペラペラとめくりながらマスターらしき人に声をかけた。

 

「ここで良質な カラ(・・) が手に入ると聞いたのだが」

カラ(・・)ですか?はてそのような物は、違うお店ではないでしょうか?」

「違う店か、ここに紹介証があるんだが」

 

といいカウンターにある紙を出す。

 

「どれどれ……」

 

と謎の紙を深龍は見せ、それを臨こきこむように見るマスター。

 

ガタッ!!

 

と椅子から一人の男性が立ち上がる。

 

「金なら外に待機させてある。黒い服の人物だ」

 

マスターは先ほど立ち上がった男性に目線でその人物がいるか確かめさせるように促し、窓際に一人の男が立ち寄り、確認し、頷く。

 

(どうやらこの中に居る人物は全員関係者なのかもしれないな)

 

マスターは深龍の方を向く。

 

「確かに……」

 

「だが、うちの店ではカラは扱っていない。よかったらあちらのドアの向こうの品でも見て帰ってくれ」

 

すると、深龍の横にある男が寄ってくる。

「こちらへ」と案内を勧められ深龍はそのままついて行く。

 

ドアを開けられ進めるままにその中に入って行く。

 

中は様々な薬草や鉱石などを置いてあった。

 

(なるほど、こういう物も売っているようだな、それならたとえ魔導士が来たとしても不審がられることはない無いというわけか)

 

そしその奥にさらに扉がありその方向に勧められ、歩いて行きドアを開け中に入る。

 

「いらっしゃいませ〜〜ぃ」

 

今度は背の引くい、まん丸な男がやってきた。

語尾が異様に特徴的な話し方だ。

 

「聴きましたよ、聞きましたよ〜〜あの不動さんの紹介だそうで」

 

両手を重ねてスリスリとしながら男が歩み寄って来る。

謎の雰囲気に深龍は半歩足を下げる。

 

「あぁ、この前たまたま仕事が一緒になってな」

「不動さん紹介したならその報告してくださいよね〜〜」

「つい先日だったものでな」

 

と困った、困ったという表情をすうる謎の男。

 

「そういうやここ数日姿を見てないですな」

「そうなのか?」

「えぇ、まぁ、不動さんのあまり紹介しない人なのですが、紹介する人物にハズレがないので、今回も不問にしときましょう〜〜」

 

(不動という人物はこの辺りでは相当の権力があったのだな)

 

「そう言えばまだ名前を言ってませんでしたね〜〜ぇ。 私は、奴隷商をしていますマカロと言います。以後お見知り置きを」

 

と奴隷商を名乗る男はマカロと名乗った。この世界でも奴隷商が存在し奴隷が売り買いされている世界だ。

だが奴隷の売買はこの国では違法である。見つかれば厳罰となる、だが必要とする人がいるから消えることは無い。

 

 

「さて、今日はどのようなご用件で?」

「ここで上品なカラがあると聞いたのでな。こちっではカラと言ってるが」

「えぇ、カラでも通じますよ。何にでも利用ができる人間の事ですよね?」

「あぁ、そうだ」

 

カラ、ガワ、マメ、そう素体とも呼ばれたり色々な呼び名で呼ばれている。

何にもで利用できる人間、奴隷とはそういうものだ。

労働や自分の身の回りの世話、強いどれなら用心棒に使用したり、挙句には人体実験に使っている。

 

「普段は会員様限定ですが。まぁ今日は特別にいいでしょう」

 

といいマカロは階段を降り始めた。

深龍はマカロに続いて少し暗い階段を降って行った。

 

「さて、お客さん、今回はどのような素体をご要望で?」

「そうだぁ、数が欲しいからな。良質な素体から全て見せてくれ」

「かしこまりました。それでは――」

 

といいながら階段を降り終わった。

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?
さてそろそろこの物語も大詰めです。
なんか短いようなぁ……、まぁいいか

それと!こんかい小説家になろうにも投稿をはじめました!
ストーリーは同じで、改訂したものを投稿していきます!
そのうち追いつくかもw

ではまた次回!!


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