GAKKOU ~自衛官 彼の地にて、斯く戦えり~ (tako1125)
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#0 用語解説

一応やります、というかとある友人に「この用語ワカンネ」って言われたんでその点をピックアップして紹介していきます。


89・・・本文の登場箇所の前述だったり後述だったりするが自衛隊正式採用小銃「89式自動小銃5.56mm」のこと。

隊内では名称の頭をとって「89」と呼ばれるが、極稀に「バディ」と呼ばれることもあるらしい。

弾種はNATO規格5.56mm弾、その他のことはwikipedia参照。

 

9mmけん銃・・・自衛隊正式採用拳銃「9mmけん銃」のこと。

スイスのSIG社からライセンスを受け製造していることから形式は「SIG SAUER P220」。ライセンス生産はミネベア社が担当。

 

実包・・・銃火器における実弾のこと。

対義語として空包がある。

 

 

リアサイト・・・89式に限らずさまざまな銃についている照準器の一部。日本名で照門とも言う。

 

V8・・・自衛隊正式採用「JGVS-V8個人用暗視眼鏡」のこと。型番にある「V8」から「ブイエイト」と呼ばれることもある。

 

イグニッションキー・・・車のエンジンをかける鍵のこと。

特筆すべきことはないが分からないという声があったので解説。

 

PTT・・・Push to Talkの略。

無線機における送信ボタンのこと。MGSを知ってる人ならわかるのではないだろうか。

 

鉄鉾・・・自衛隊正式採用「88式鉄帽」のこと。

隊内では「てっぱち」や「うそっぱち」などの愛称があり、レプリカも多く出回っている。「鉄帽」が正式な表記であるが「鉄鉾」のような表記も存在する。

 

ライトアーマー・・・正式には「軽装甲機動車」陸上自衛隊の普通科によく見られる車両。

警備活動によく使用されるが、警務隊は専ら白色のジープを使用する様子も駐屯地内ではしばしば見受けられる。

 

高機動車・・・文字通り高機動な車両。基本は2人乗り、後ろにはシートもあるが大きなものを置くために倒すこともあり、小隊規模の人員移動にはうってつけの広さがある。また作戦によっては運転席と助手席のドアを取り外す場合がある。

 

73式大型トラック・・・文字通りトラック。主に兵装の移動や人員輸送に使用する。

名称として「大型トラック」と表記しているが明確な耐久重量は筆者が設定していない模様。※作品の流れで伊丹が「3t半」と言っていたので大型に変更しました。

 

回転式けん銃・・・警察官が持ってるあのけん銃。5発のうち1発目は空砲らしいが私はそんなこと知らん(投げ)形式はニューナンブM60(らしい)ダブルアクション式なので発狂しながら打つとすぐに弾切れを起こす。

 

ドーラン・・・俗に言う戦闘ペイント。顔に塗り隠ぺい性を向上させる。

しかし筆者は「あれ汗で普通に落ちるんじゃね?」と少々疑問に思っている。

 

ウエス・・・雑巾のこと。語源は英語のWaste(ウェイスト:廃棄物の意)で主にフェイスタオルやそこら辺のタオル等を再利用して機械油等を拭うために使う。しかし単にウエスというのはぼろ布のことであるから、用途はこの限りではない。

 

以降、登場次第追加

 




とまぁこんな感じです。

・・・イグニッションキーわかるよなぁ・・・?

2015/11/14 22:34
感想欄にてトラックの積載容量が違うと指摘を頂いたので訂正しました。

2016/07/09 10:47
感想欄にて89式自動小銃の通称が違うとのご指摘をいただいたので訂正しました。

2018/09/21 01:38
感想欄にて回転式けん銃の装弾数が違うとのご指摘をいただいていたので訂正しました。
(ヤッベ放置してた)


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#1 はじまり

どうもはじめまして、takoと申します。

まぁご覧の通りがっこうぐらし!とゲートのクロスオーバーです。

特に書くことはないかなぁ
どうぞ楽しんでってください。


・・・楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


自衛官 伊丹耀司は嘯く。

 

「俺はね、趣味に生きるために仕事してるんです、だから、趣味か仕事どちらかを選べと言われれば、趣味を優先しますよ」

 

-----巡ヶ丘市 某歩道-----

 

太陽の光がすがすがしい朝。

今日もいい天気だ。

今日は地元のムックメイトで同人誌即売会の品目が入荷される日だ。

即売会では目当てにしてた品目が買えなかったのでこれを逃せば通販サイトでの委託販売と増版待ちだ。

東京にいればこんなこともないのだが、急きょ転勤になったので文句を言っても始まらない。

どうせ休暇が終われば駐屯地内での生活になるのでそんなことできるわけもなくここしか買うチャンスがないわけだ。

 

「さぁて、開店時間までまだ若干時間があるなぁ。スマホゲーでもしてるか」

 

 

そんなことを言いながら、各種店舗の揃う商店街へと向かうバスに乗った。

こうして伊丹の"食う・寝る・遊ぶ、その合間にほんのちょっとの人生"に基づいた一日が始まる。

 

はずだった。

 

-----私立巡ヶ丘学院高等学校 1F廊下-----

 

「おはよーめぐねえ」

 

生徒の一人が挨拶をする。

 

「もう、めぐねえじゃないでしょ?"佐倉先生"」

 

訂正を求めるが

 

「あーはは、ごめんめぐn・・・じゃなくて佐倉先生」

 

と、大体の生徒が私のことを「めぐねえ」と呼ぶ。

教頭にも

 

「適度な距離感を大切に、友達感覚はよくない」

 

と指摘されている始末。

はぁ、やっぱり私って教師向いてないのかな・・・。

そんなこと思いながら廊下を歩いていたら、一人の女子生徒がかなりのスピードで走っていた。

 

「あっ、丈槍さん!廊下は走っちゃだめよ!」

 

「うぁっとっと、危ない危ない」

 

と、女子生徒の丈槍由紀さんが転びそうになる。

 

「だ、大丈夫?」

 

「も~めぐねえが急に呼ぶから~」

 

「めぐねえじゃないでしょ?"佐倉先生"」

 

「はぁい、で、何?めぐねえ」

 

言い直してくれなのであきらめて話を進める。

 

「・・・そんなに急いでどうしたの?」

 

「ぅあ!遅刻しそうなんだった!!」

 

そう言って彼女は振り返る。

 

「またねーめぐねえ!」

 

丈槍さんは廊下を走って自分の教室を目指して行ってしまった。

一人廊下で立ち尽くし

 

「めぐねえじゃなくて"佐倉先生"なんだけどなぁ」しょぼーん

 

と、つぶやく。

うなだれているが腕時計を見て現実に帰る。

 

「あ、朝のHRに遅れちゃう!」

 

と、生徒に「廊下を走るな」と注意したことも忘れ、小走りで担任のクラスに向かう。

こうして、私立巡ヶ丘学院高等学校の国語教諭、"佐倉 慈"の一日が慌ただしく始まる。

 

はずだった。

 




今回はこれだけ、次回から原作に沿って行きたいと思います。


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#2 事の発端

前回からの続きです(当然)

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 某電気店 TV前-----

 

伊丹がテレビで見た"それ"は、まさしくテレビの中でしかありえないものだった。

人の形をした人ではない何かが一般人を襲っている。

そしてそれはこの地元で起こっているというニュースであった。

 

「マジ・・・?ありえない・・・!!!!」

 

伊丹は一目散に走り出し、交差点に出た。

 

「このままでは!同人誌を乗せたトラックがストップしてしまう!!」

 

すでにあちらこちらで黒煙が何本もの柱のように天高く上っていた。

そんなところに一般人の女性が座り込んでいる。

「立てるか!?」

 

「ヒッ!?!?」

 

いきなり声をかけたことに腰が抜けたのかなかなか立ち上がらない。

 

「つかまって!死にたいのか!?早くここから逃げるんだよ!!」

 

「ぁ、あなた誰!?」

 

「ッ・・・俺は・・・とにかくここから逃げるんだ!!」

 

伊丹は無理やり女性の手をつかんで安全なところまで引っ張り込んだ。

 

-----私立巡ヶ丘学院高等学校 屋上-----

 

それはまさに地獄のような光景だった。

生徒が生徒襲っている。

生徒が教員を襲っている。

教員が生徒を襲っている。

教員が教員を襲っている。

人が、人を襲っている。

いつか見た、ゾンビものの映画のままの光景だった。

 

「先生!!」

 

園芸部の若狭悠里さんから声がかけられ我に返る。

 

「っ・・・みんな・・・扉を重たいもので塞いで!!!!」

 

丈槍さん、若狭さん、私の3人でそれぞれ洗濯機とロッカーをドアの前に押し込む。

 

ガンッガンッ

 

"生徒だったもの"は執拗にドアを叩いて開けようとする。

教師が生徒を校内に閉じ込めるというのもいささかおかしな話ではあるが、今この場で平生時における一般論を考えても仕方がないというものである。

というより、そんなことを考えている余裕は、頭の中のどこにもなかったのだ。

 

ふと振り返ると恵飛須沢胡桃さんが、この学校のOBの子の様子を見ている。

そのOBの子は首辺りから酷く出血しているようだった。

常識的に考えればその時点で”人間”は息絶えているものだ。

そう考えた、そのとき。

OBの子が恵飛須沢さんに襲い掛かろうとした。

 

「恵飛須沢さん危ない!!」

 

そう叫んだ直後。

 

「きゃっ」

 

恵飛須沢さんが弾き飛ばされた。

 

「っ・・・!」

 

OBの子が恵飛須沢さんを手にかけようとしたその時

 

「ぅうあ"あ"あ"あ"あ"!!!!」

 

と叫び声が聞こえた直後に空中に何か液体のようなものが飛び散ったのが見えた。

 

恵飛須沢さんを見ると顔に赤い液体が付着していた。

そして倒れて起き上がろうともがいているOBの子に・・・

 

ガッ

 




パンデミック起こっちゃいましたね(起こんなきゃ話にならない)
実は元を書いてからこっちにコピペしてさらにつぎ足すっていうめんどいことしてます。


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#3 ひなん

話しを重ねるごとに適当になっていく前書き(殴

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 市立体育館前交番-----

 

この体育館は普通の体育館と違い、実にバスケットボールコート8枚分という広さを誇っていた。

さながら球技用の陸上競技場と言っても過言ではないだろう。

現在押し寄せている市民を避難させるには十分なスペースがあった。

 

「早く開けてくれよ!!」

「あいつらが来たらどうするの!?」

「こいつケガしてるぞ!!」

「ケーサツぁ何してんだ!!!」

 

避難してくる人間から非難の声が殺到する。

別にボケたいわけではないのだが、この場においてこの状況を言い表すならこれが一番妥当だった。

 

「民間人を避難させて、市立体育館に立てこもるんだ!!」

 

伊丹は警官に向かって言い放つ。

 

「誰なんだ君は?」

 

「私たちの指示に従いなさい!!」

 

交番勤務の警官は伊丹を鬱陶しげな眼で見ている。

それは「そんなことこっちだってわかってるよ」と言わんばかりに。

 

「このまま奴らが来てみろ、避難所前が血で染まるんだぞ!!」

 

「っ・・・!」

 

伊丹の気迫に負け警官が押し黙る。

その時、交番の電話が鳴る。

 

「はい・・・!警部補、これを!」

 

「?・・・はい、・・・はっ、はい、了解いたしました・・・」

 

「・・・?」

 

伊丹は首を傾げている。

 

「おい、今のまさか?」

 

警官が静かにうなずく。

 

「・・・です」

 

「市民を・・・、最優先に」

 

警官の一人が鍵を持って体育館の入口に急ぐ。

体育館で、数百人が助かる瞬間だった。

 

-----私立巡ヶ丘学院高等学校 屋上-----

 

とりあえず、"生徒だったもの"の猛攻は収まった。

あとは助けが来るまで待つだけしか、できることはなかった。

ただ、いつまでたっても助けが来る気配はなかったし、ともかく今は屋上は占拠できたのだから、今夜は屋上で過ごすことになりそうだ。

 

「どうして・・・こんなことに・・・」

 

若狭さんがつぶやく。

丈槍さんは泣き疲れて今は眠ってしまった。

恵飛須沢さんもしばらくは気持ちの整理をつける時間が必要だろう。

 

「私にも何が起こってるんだか・・・とにかく今は休みましょう?」

 

このとき、私の心の奥に、何か引っかかるものがあることを感じ取ったのだが、その時は、その感覚を特に考えずに手放してしまった。

後に、この感覚を忘れなければよかったと思うとは、まだ思わなかった。

 

「・・・そうですね、今、私たちに何かできることがあるとすれば、明日を生きるために休むことですね」

 

そう言って若狭さんも横になった。

明日にはきっと助けが来る。

そう信じて今日を生きて明日を迎えるために、私もそっと眠りについた。

 




1話1話がすっごい短いっすね←書いてるのこいつ

まーしょうがないね、文才ないから←じゃあなんで書こうと思ったのさ

次回もお楽しみに~


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#4 心配

今回地味に長いです。そーいや書いてなかったけど巡ヶ丘にいる間ずっと伊丹たちは3偵です。異論は認めない※銀座事件は起こっていない模様

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 広域交差点 交番前-----

 

警官の放つ銃声がする。

しかし5発しかない回転式拳銃ではすぐに弾切れを起こしてしまう。

 

「ぁぁ・・・ぁあぁ!!!」

 

警官は2回ほど余分に引き金を引いたが、その拳銃から弾が発射される気配はない。

無情にもハンマーが空撃ちする音がする。

警官の後ろには一般市民もいるので警官がパニックを起こし再装填もままならない。

 

「ヒッ」

 

一つの人型の何かが警官に向かって歩み寄ってくる。

 

タッタッタッタッタッ

シャッ、ドスッ

 

一つの人影が警官に向かってくる人型の何かを絶命させる。どうやらナイフを使って仕留めたようだ。

 

「っ、大丈夫か!?」

 

人影から警官の安否を確認する声がする。

その人影は顔に返り血を浴びている。

人型の何かは頸動脈を切られたようで、骸は真っ赤に染まっていた。

 

「き、君は・・・」

 

「・・・一般市民に警官が発砲、おまけに自衛官がナイフキル、か、はは、笑えねぇな」

 

「・・・ぁ」

 

警官は気が抜けたのか青ざめた顔でへたり込んでしまった。

 

「オイオイ、休んでる暇なんかないぞ、さっさと生存者を安全なところに誘導するんだ、大丈夫か?」

 

返り血を浴びたその姿は、まさしく国民の守り人だったが、同時に周囲へ恐怖心を植え付ける材料となっていたことに、この自衛官、伊丹耀司は気づいていない。

 

「・・・さて、とりあえず駐屯地に行かないとな、実包と89、あとはライトアーマーがあれば・・・お?」

 

伊丹が何かに気づき、そちらの方を見ると、だんだん近づいてくる音があった。

何かのエンジン音だった。

 

1両の普通乗用車ではない車両が伊丹に向かって一直線に走ってくる。

 

「あれは・・・高機動車?」

 

「たぁぁぁいちょぉぉぉぉぉ!!!!」

 

高機動車から声がする。

 

伊丹の体に突っ込むか突っ込まないかぐらいの微妙な間隔で高機動車は止まった。

 

「ぅおあっ、っぶねぇ!!!」

 

「伊丹隊長!!!お迎えに上がりました!!!」

 

そこには第3偵察隊の倉田がいた。

 

「ぉっまえ倉田!?!?無事だったのか!?」

 

「はい!ご覧の通りピンピンしております!」

 

「ぁ、ってことは駐屯地は無事なのか!?」

 

「・・・ぃぇ、それが、3偵のほかの連中とは連絡が付いたんですが・・・警務本部から応答がありません、自分は演習場からそのまま来たので・・・。」

 

「そ、そうか・・・。」

 

「あ、でも、予備の戦闘装着セットとV8、それから89二挺、実包5箱積んできました、ほかの連中もライトアーマー1両とジープ1両、一人当たりのフル装備を持ち出して現在生存者の確認に向かってます!」

 

そこまで聞いてふと嫌な予感がよぎる。

 

「・・・イヤーな予感がすんだけど、ひょっとして栗林あたりが奴らをもう何人か殺っちゃってたりする?」

 

「・・・ノーコメントでいいっすか?」

 

・・・ぁーやっぱりか。

まぁ、この際だしね、仕方ないね。

 

「と、とにかく生存者の収容と輸送を優先しろ、3t半は強奪できなかったか?」

 

「今、富田辺りがぶんどりに行ってます」

 

「よし、場所を連絡してちょーだい、俺はここで待機してっから、89と装着セットくれ」

 

倉田から戦闘装着セットを受け取る。

やっぱ自衛官たるものこれがないとね。

生身じゃやっぱ限界あるから。

 

「そー言えば倉田、おやっさんは?」

 

「・・・。」

 

倉田が黙る。

 

「・・・おい聴いてんのか?」

 

「桑原曹長は・・・連絡が取れません」

 

ドクン

 

「・・・マジで?」

 

ドクン

 

「・・・はい、原隊の訓練に出向してっきり・・・」

 

ドクン

 

「・・・ま、まぁおやっさんのことだし・・・大丈夫だろ・・・」

 

ドクン

 

「・・・そう・・・ですね」

 

「原隊ってことは今は巡ヶ丘にはいないってことか」

 

伊丹は恐る恐る尋ねる。

 

「・・・いえ、つい3時間ほど前に出発したばかりです」

 

倉田は静かに答える。

 

「・・・まぁ、隊を成して行動してるんだし、歳食ってるったって自衛官のはしくれだ、大丈夫だ」

 

伊丹は倉田と自分にそう言い聞かせる。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 屋上-----

 

「・・・テレビが映らないわ」

 

私はスマホのワンセグ機能を使ってテレビを見ようとしていた。

しかし、つい昨日まで使えていたテレビの電波が何一つ捕まえられなくなっていたのだ。

 

「ぅん・・・ぉあよ、めぐねえ」

 

丈槍さんが目を覚ました。

 

「おはよう丈槍さん、あとめぐねえじゃないでしょ?佐倉せんs」

 

いつもの返事をしようと思ったら丈槍さんが口を開いた。

 

「あれ?私なんで学校の屋上で寝てるの?」

 

と、何でもないようなことを聞いてくる眼差しで私に質問する。

 

「え、・・・丈槍さん、昨日のこと覚えてないの?」

 

「ん?何?昨日のことって?」

 

ドクン

 

「え・・・」

 

ドクン

 

丈槍さんが手すりまで小走りで駆けて行って元気に言う。

 

「あっ、運動部のみんなが朝練してる!」

 

ドクン

 

「・・・なに・・・言ってるの・・・?丈槍・・・さん」

 

ドクン

 

「え?何って、運動部の人たちが朝練してるって・・・」

 

ドクン

 

丈槍さんはあっけらかんと言う。

もちろん校庭で朝練している運動部なんていない。

 

いるのは"生徒だったもの"だけだ。

 

ここで私は悟った、丈槍さんの中では事件は起こっていない。

いや、仮に起こっていることを深層心理が理解しているとして、その現実を受け止めるにはキャパシティが足りなかった。

そのために丈槍さんの中では事件は起こっていないように感覚が上書きされるのだ。

所謂現実逃避の状態に近い。

 

とりあえず今は平生のように取り繕うしかない。

そう思ったその時だった。

 

「ぇ・・・ぁ・・・」

 

丈槍さんが急におびえ始めたように見えた。

 

「ど、どうしたの?丈槍さん?」

 

「こ、校庭のみんなが・・・なに、あれ・・・」

 

どうやら正しい情報がそのまま頭の中に入ってきたようだ。

 

「丈槍さん・・・こっちにいらっしゃい」

 

丈槍さんはまっすぐ私に向かって飛び込んで来た。

 

「大丈夫、生き残ってるのはあなた一人じゃないわ。先生や、若狭さん、恵飛須沢さんもいるの。一人じゃない、だから大丈夫、そうでしょ?」

 

私は丈槍さんの頭をなで、気持ちを落ち着かせるように努力する。

そうこうしてるうちに、若狭さんと恵飛須沢さんが目を覚ました。

今日も生き残るために精一杯行動しようとみんなで決めた朝だった。

 




ごめんなさいねぇ、内容ぐっちゃぐちゃで

まあやりたいとこまでは何言われようと頑張ります。

ではでは~


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#5 いどう

これからどんどんオリジナル要素が入ってくるかもです。

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 某高台-----

 

「おい、あんた」

 

伊丹が警官に向かい尋ねる。

 

「は、はぃ・・・」

 

警官だというのになんだこの頼りない生き物は、と悪態づきたくなる伊丹だったが

 

「ハァ、まだ人が残ってる可能性があるところはわかるか?」

 

伊丹としては、こんな状況下なので同人誌のことなど頭の端にもなかった。

そして生存者が居るなら一人でも多くの生存者を目の届くところに集めておきたかった。

ましてや、高台なんて雨が降ればもろで雨ざらしになるような場所に避難者を長期滞在させておくわけにもいかないので、できれば生存者のいるまだスペースに余裕がありそうな建物を探したかった。

 

「ぁ、ああ、なら巡ヶ丘高校なら・・・ひょっとすると人がいるかもしれない・・・です」

 

伊丹はダメだこいつと思いながらも出発の準備をしていた。

 

「倉田ぁ、出発の用意をしろ。89式の予備弾倉3本と高機動車だ、巡ヶ丘高校に行くぞ」

 

「へ、はっはい!」

 

伊丹は高機動車の無線機に手を伸ばし

 

「サンスター、生存者の確認状況はどうだ?送れ」

 

同じ3偵の戦闘きょ・・・もとい栗林を呼び出す。

 

<<こちらサンスター、特に新たな生存者の発見はなし、送れ>>

 

「そうか、わかったできれば高台の警備に来てくれないか?これから俺と倉田は巡ヶ丘高校に向かう、送れ」

 

と伝達する

 

<<サンスター了解、ま、せーぜー死なないように、隊長>>

 

と皮肉が返ってくる。

 

「へーへー、ご心配どーも、通信終わり」

 

さてと、準備も終わったし。

 

「倉田ぁ、出発するぞー」

 

「了解!」

 

こうして、巡ヶ丘高校を目指すのだった。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 屋上~3F階段前-----

 

「よし、あいつらはいないな」

 

恵飛須沢さんがシャベルを担いで安全確認をしに行く。

 

「今なら通れるよ」

 

そして私たちは3階へ降りた。

目的地は生徒会室だ。

各種日用品もある生徒会室に拠点を置くことでとりあえず必要最低限の生活を送ることにした。

 

「少なくとも今日のところは・・・ね」ボソッ

 

「めぐねえ、誰としゃべってるの?」

 

丈槍さんが不思議そうな顔で私を見ている。

 

「あ、何でもないわ、独り言よ」

 

声に出てしまっていたのか。

とにかく生徒会室に陣取ってしまえはこっちのものだ。

今のところ私の目に見える限りでは"生徒だったもの"の姿は3階廊下にはない。

もしかすると部屋の中なのかもしれないがそれは確認しながら進むしかないだろう。

 

「よしっ、突っ切るぞ!」

 

恵飛須沢さんの掛け声でみんな一斉に生徒会室に向かって走った。

3-Aから3-Cの教室にはいくらかの影があったがそこから先には影が見当たらなかった。

生徒会室にも影は見当たらなかったのでそのまま全員で飛び込んだ。

 

「はあっ、はあっ、はあっ、なんとか・・・たどり着けた、わね」

 

一番肩で息をして呼吸を荒げているのは若狭さんと私であった。

ほかの二人はなんであんなに元気なのかしら・・・。

 

「とにかく、今は何か食べましょう?先生おなかすいちゃったわ」

 

事実、昨日の晩からトマトと水以外何も口に入れていない。

どうにか栄養を取らなければ3日もたたないうちに倒れてしまうだろう。

 

「そうですね。あっ、カンパンと・・・これはレトルト食品、こっちには缶詰が3っつにパスタ一袋・・・電熱器まであるんで

 

すね。生徒会室って意外と生活スペースになってるのねぇ」

 

若狭さんが言う通り、生徒会室には4人が暮らすには十分な居住空間があった。

今のところ電気も水道も使えるし、ある程度の食器も用意されている。

使い道があったのかどうかはわからないが冷蔵庫まで設置されていた。

 

「冷蔵庫の中にもいろいろあるわ、とにかく、適当なものを作って朝ごはんにしましょう」

 

私は若狭さんと協力して朝食を作る準備を始めた。

その間、恵飛須沢さんはずっとシャベルを雑巾で磨いていた。

丈槍さんはうずくまったままあまり言葉を発しなかった。

 




次回当たりから設定とかめちゃくちゃになってきます、主にKが生きてたりとか。
あっ

これ以上は次回に

ではでは~


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#6 邂逅

細かい表現(?)のせいで地味に過去最長文字数。

あと、学校占拠陣は地味にサブタイトル詐欺になってるかもしれません。

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 駅前-----

 

「う~ん?どこだここ?」

 

伊丹たちは迷っていた。

実は、倉田は武器と移動手段は確保してきたが、地図は持ってきていなかった。

 

「え~っと・・・ここが駅で・・・あれ?」

 

肝心の運転手がこのざまである。

 

「なぁ倉田・・・前から言おうと思ってたんだが・・・」

 

伊丹は少々呆れた声を混ぜる。

 

「お前なんで自分で地図を用意しないんだ?前に3偵で演習行った時もおやっさんが測定手やってたろ」

 

「・・・あっ」

 

倉田が気づく。

勝本ではないが「遅いよ!」

 

「はぁ・・・しゃーねぇー、そこのモールの中行って取ってくるわ」

 

「ちょ、一人で大丈夫ですか?隊長」

 

倉田が至極当然のことを訊いてくるので至極当然な返事をした。

 

「そう思うんならついてこい。もしかしたら生存者が居るかもしれない」

 

入口は全面ガラス張りだったのかすべて割られていた。

中では数体の"奴ら"がうごめいていた。

 

「あんま弾薬を消費したくないからできるだけ音を立てるなよ」ヒソ

 

「了解」ヒソ

 

中は暗いのでV8を装着し、慎重な足取りで1階のホールを抜けていく。

 

やがて書店コーナーにたどり着き、地図コーナーを物色した。

なるべく1枚っきりで街全体を知れる地図と、市街地図の本を数冊かっさらっていく。

雑嚢に詰め込みそそくさと書店を後にする。

 

すると出た先の廊下で何かが走っていった。

 

「ぉわっっと」

 

小さかったので犬か猫かと思い放っておこうかと思ったら、突然奥から声がした。

 

「太郎丸っ!」

 

「っ!?」

 

伊丹は急いで倉田を呼んだ。

 

「倉田!生存者を発見したかもしれない!」

 

<<マジっすか!?今行きます!!>>

 

無線が切れまもなく倉田が来た。

 

「どこです!?」

 

「あの奥に何かが走って行って、それから声が聞こえたんだ。間違いなく意思を持った人間の声がな」

 

警戒しつつお互いの死角をカバーしながら進んでいく。

 

突き当りに窓付きのドアと思しきものが見え、その窓の向こうには箱のようなものが積み上げらているようだった。

中からは微かに話し声が聞こえる。

 

「太郎丸・・・心配したんだから・・・!」

 

「そうだよ、太郎丸、どこいってたの?」

 

太郎丸・・・おそらくさっき走っていったものだろう。

名前からして犬か?

 

ハンドサインで「ノックする、合図があるまで後方警戒」と倉田に指示し、伊丹はドアを軽くノックする。

 

「っ!!だっだれ!?」

 

中から女の子の声が聞こえる。

 

「安心してくれ怪しいもんじゃない!俺は伊丹、自衛官だ!」

 

「じえ・・・いかん・・・?」

 

ドア越しだから不信感がぬぐえないのだろう。

ま、しゃーないか。

 

「これから巡ヶ丘高校に行くんだが、案内してくれないか?」

 

「っ、学校?」

 

「そう、学校。もしかしたら生存者が居るかもしれないんだ。俺の仲間も今必死になって救助活動してる!よければ協力してくれるとありがたいんだが・・・」

 

しばらく沈黙が続く。

やがて、ドアが開いた。

 

「・・・ど、どうぞ」

 

中には高校の制服と思われる服装をした女の子が2人、そして犬が1匹。

やはりその犬が太郎丸だろう。

 

「ありがとう、倉田、いいぞ」

 

合図をすると後ろから倉田がむくっと出てくる。

 

「大丈夫でしたか?隊長」

 

「おう、普通に女の子だったぜ」

 

「いや、隊長ではなく生存者の精神が」

 

少々癪に障るので

 

「んだとこの~」グッ

 

とヘッドロックをかましてやった。

 

「ちょいたい、生存者の前ですよ!」グギギギギ

 

倉田が伊丹をいさめる。

 

「おっとそうだった、とりあえず君たち、巡ヶ丘高校まで案内してくれないか?」

 

尋ねてはみるが

 

「・・・」

 

黙ったまま不安な顔でこちらを見ている。

 

「大丈夫、君たちが襲われそうになっても俺たちがちゃんと守るから」

 

「・・・」

 

ん~、ダメかな

 

「『三人』とも・・・守ってくれますか?」

 

おそらく3人目は太郎丸のことだろう。

 

「だ~いじょうぶ、まーかせて!」

 

そう答えると、満面の笑みを浮かべ頼みに応じてくれた。

 

こうして、"5人"で巡ヶ丘高校を目指すことになった。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 3F生徒会室-----

 

「これからどうしようかしら・・・」

 

私は悩んでいた。

これからの生活、これからの対応、これからどう生きていけばいいのか。

 

「?めぐねえどうしたの?」

 

丈槍さんが顔を覗き込んでくる。

 

「あっゆきちゃ・・・じゃなくて丈槍さん。んーん、なんでもないの、ただちょっと・・・」

 

ただちょっと、これからの身の振り方を考えていたなんて、到底言えない。

 

「みんなテストの点が少し悪かったから、どう授業したらわかりやすいかなって考えてただけよ」

 

私は、笑顔でそんな嘘をつく。

傍から見ればそんな嘘すぐにばれそうなものだが。

 

「んーそっかなぁ?めぐねえの授業わかりやすいと思うけどなー」

 

と無邪気に言う。

ほんと、この子の笑顔にはいつも助けられるわ。

そんな風に思わせてくれる丈槍さんは正直すごいと思う。

でも

 

「あはは、そう思うんなら、いつもの定期テストでもうちょっと点数取ってくれると先生はうれしいなぁって」

 

と、ちょっと意地悪してみる。

 

「う"、あ、ちょっと生徒会室の備品片づけてくるねー」

 

と逃げられてしまった。

相変わらず逃げ方がうまいなぁと思う一方で、どうにかならないものかとさらに私の頭を悩ませる。

 

「どうしました?先生」

 

若狭さんが声をかけてくる。

 

「うん・・・これからどう生活していけばいいのかなぁって考えてただけなの」

 

今のところ正直なところを話していいのは恵飛須沢さん、若狭さんの2人。

 

「おいおい、それはなになにしてただけってのにはちと重たすぎるんじゃないか?めぐねえ」

 

恵飛須沢さんが呆れた体で言う。

 

「ん~~~っ、あぁ、正直なところ先の見通しなんかつかないわよね~」

 

私は背伸びしながら一人ごちる。

 

とにかく、今を生きるために目の前のことをしよう。

そう思い立って廊下を見渡してみた。

今廊下には"生徒だったもの"の姿は1つもない。

 

「・・・恵飛須沢さん、若狭さん、お願いがあるの」

 

2人を呼び出した。

 

「ん?なんだよめぐねえ」

 

「どうしたんですか?先生」

 

2人ともキョトンとした顔でこちらを見ている。

 

「みんなでバリケードを作りましょう?"あの子たち"が居ない内に」

 

そう提案した。

数秒の沈黙ののちに

 

「・・・いいんじゃないか?」

 

と、恵飛須沢さんは同意してくれた。

 

「でも丈槍にはなんて言うんだ?」

 

そこだ。

彼女には現実をあまり突き付けたくない。

でも、バリケードを作らせたら彼女の"幻想"に矛盾を生み出すことになる。

そんなときだった。

 

タッタッタッタッタッタッタッ ボスンッ

 

「ぉっとっと、どうしたの?丈槍さん?」

 

私に向かって丈槍さんがタックルに近い形で飛び込んで来たのだ。

 

「めぐねえ・・・こわいよ・・・どうしたらいいの・・・?」

 

彼女の声は震えていた。

 

「何があったの?」

 

と問いかけてみる。

 

「・・・お化けが・・・いっぱい・・・怖いよぉ・・・」

 

きっと朝の光景を思い出してしまったのだろう。

 

「・・・じゃあ、お化けが入ってこないようにバリケードを作りましょう?」

 

丈槍さんには悪いがこれは格好の機会だ。

 

「・・・ぅん・・・」

 

こうして、バリケード作りが始まった。

 

 

 

日もすっかり暮れて、廊下の一部に電灯を灯して作業するようになった。

しかし問題があった。

完成目前のバリケードの向こう側に"生徒だったもの"の1体が居た。

その姿はまっすぐ電灯のある方向へ歩いていく。

どうやら"生徒だったもの"は光のような人体の感覚に対し何かしらの刺激を与えるものに目標を定めるようだ。

 

「ぅぅぅ・・・ぁ・・・」

 

当然のことながら丈槍さんは怯えきっている。

 

「っ・・・!」

 

恵飛須沢さんはシャベルを持ち直し、今にも飛び出して行かんばかりの気迫を放っている。

 

「だ、だめよ恵飛須沢さん。今はとりあえずこのままにして、今日のところは生徒会室に戻りましょ?」

 

「・・・」

 

説得に応じてくれたのか恵飛須沢さんはシャベルを背中に戻す。

そう、また明日続きをやればいいのだ。

 




そういえばがっこうぐらし!の学校の構造、原作とアニメで大幅に変わってるんですね。
主に地下室とか(殴


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#7 なかま

タグにオリジナル設定って入れたほうがいいのかなぁ?

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 某交差点-----

 

「ここもダメか・・・」

 

伊丹たちは頭を抱えていた。

というのが、"あの日"起こった交通事故などで車が道をふさいでいたり、建物の一部が崩壊し道が使い物にならなかったりとさまざまなところで足止めを食っていたからだ。

そればかりではない。

街の様子がすっかり変わってしまったせいか、昨日救助した2人の少女も、学校への道がわからなくなってしまっていたのだ。

 

「参りましたねぇ・・・これじゃどこが通れなくなっているのか見当もつきませんよ」

 

運転席の倉田が言う。

一応、助手席では伊丹が地図上に通行できなくなっている箇所をマークしている。

それでも、裏道まで合わせればどこまで通行できなくなっているかは予想ができない。

 

「・・・ま、どのみちあまり土地勘ないんだし。ひとつづつ潰していくしかないでしょ」

 

と開き直る伊丹。

 

とりあえず進むことにした伊丹たちだったがそこで気になる音が聞こえた。

 

ブロロロロロロロ・・・ギュルルルル、パスン

 

トラック用のディーゼル音とブレーキのエアー音だった。

しかもこの市内で走っているトラックと言えば、おそらく自衛隊の73式大型トラックだろう。

 

「停車ァ!」

 

倉田に指示を出す。

 

危うく交差点で自衛隊車両が仲良く顔をつぶしていただろうとどうでもいいことを考えながら、伊丹はトラックの乗員を確認した。

 

「富田!無事だったか!」

 

確認したところ乗員は富田だった。

 

「・・・隊長、よくご無事で・・・」

 

ところが富田の顔はとんでもなく色がよくなかった。

ドーランを塗っているわけでもないのにどうなっているのかと思い伊丹は尋ねた。

 

「おい、富田、どうしたんだお前。顔色がとんでもなく悪いぞ」

 

「・・・」

 

富田は答えない。

しかし目線は荷台に向いていた。

伊丹はそのことに気づき荷台をのぞいてみると・・・

 

「・・・こりゃひでぇ・・・」

 

荷台は民間人の骸で山になっていた。

しかしなぜ富田はこんなもの載せてトラックで走り回っていたのか?

 

「富田・・・この"荷物"どーすんだ・・・?」

 

伊丹は恐る恐る尋ねる。

 

「・・・どこかで火葬してやれたら・・・そう思っています」

 

富田は静かに答える。

 

「・・・そうか、とりあえずお前もついてこい。これから巡ヶ丘高校に行く」

 

「・・・生存者探し・・・ですか?」

 

富田は顔を若干歪めながら伊丹に問いかける。

 

「ああ、そうだ」

 

伊丹はきっぱりと答える。

だが、富田は不服そうだった。

 

「・・・隊長、この状況下で生存者が居ると本気でお思いですか?」

 

富田が少々声を荒げて切り出す。

そして

 

「・・・隊長、もう自分はたくさんなんです!これ以上民間人の無残な姿を見たくはありません!ここには絶望しかない!希望なんか持つだけ無駄なんですy」

 

そこまで言って富田の言葉は途切れた。

それと同時に

 

ゴスッ

 

鈍い音がした。

伊丹が富田を殴ったのだ。

 

「・・・富田、俺たちは"自衛隊"だ。国民の生命と財産を守る"自衛官"だ。そこに希望があるかどうかなんて関係ない。自分が嫌だと思うことなんて国民には関係ない」

 

伊丹は富田を諭すように語りかけた。

 

「やめたけりゃ端から救助に参加しなけりゃいい。だがそれは"自衛官"をやめることだ。俺たちは何のために国民を助けてる?自分のためか?」

 

伊丹はさらに続ける。

 

「どっちなんだ?お前は誰のために"敵"と戦ってるんだ?」

 

「・・・」

 

富田はしばらく黙ったまま動かなかった。

しかし、しばらく経って

 

「すみません・・・隊長、少々取り乱しました。隊長の後に続き高校に向かいます」

 

富田の顔は、伊丹に諭された影響か、若干晴れやかになったように見えた。

しかし、さらに晴れやかにしてくれる情報が、富田の鼓膜を叩いた。

 

「ぁあ、そうそう、言い忘れてたが、俺たちはすでに2人の生存者を救助している。もう生存者が居ないなんて言うな」

 

「・・・そう・・・だったんですか」

 

富田の心は、わずかな希望に揺れていた。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 3F生徒会室-----

 

「ふあぁ、あれ?私何でここで寝てるんだっけ・・・?」

 

私、丈槍 由紀は生徒会室で目覚めた。

もちろん、理由なんてわからない。

ただ、何か嫌なことがあったことだけは覚えてる。

とってもとっても怖いことだ。

横では知らない子が2人とめぐねえが寝てる。

しばらくボーっとしていると、

 

「ふあぁ~、・・・んーーーーーっ」

 

めぐねえが起き上がって大あくびをした。

 

「・・・?あ、おはよう丈槍さん」

 

眩しいぐらいの笑顔で挨拶をしてくれた。

 

「え、あ、うん、おはよーめぐねえ」

 

「もー、めぐねえじゃありません、"佐倉先生"」

 

いつものやり取りをしてめぐねえが私の質問に答える。

 

「えっと・・・いつも丈槍さんが遅刻しそうになるからって今日は早めに来てここでもう一度寝てたのよ」

 

何故か困り顔だし、私自身も覚えがないけど、めぐねえが言うんだからきっとそうなんだろうと思った。

 

「ふーん、まいいや、それよりもめぐねえ~おなかすいたよ~ぅ」

 

「そうね、朝ごはんにしましょう」

 

めぐねえが言い終わると同時ぐらいに、隣で寝てた2人も起きてきた。

 

「ふあぁぁ~、ぁぅめぐねえおはよ~」

 

「おはようございます、先生」

 

「おはよう、恵飛須沢さん、若狭さん」

 

知らない子と挨拶してる。

まあめぐねえ先生だもんね、当たり前か。

 

「めぐねえ、その2人は?」

 

「あ、え~っと、あなたと同じようにそれぞれ用事があって朝早くに来たのよ、ね?」

 

めぐねえはほかの子たちと目を合わせる。

 

「あ~、そうなんだよ!あたしは3年の恵飛須沢胡桃、同い年だな!よろしく」

 

「私は若狭悠里、3年よ、仲良くしてね」

 

くるみ・・・さんは元気な女の子って感じだね。

ゆうりさんはなんかお母さん的なオーラが出てるように見えるよ。

 

「私!3年C組丈槍 由紀!よろしくね!」

 

 

 

最初はほんの数分だった。

しかし、最近丈槍さんの現実逃避時間が若干長くなっている気がする。

言動もどこか幼児後退しているような気もしている。

だが、まだこの生活が始まって2日しかたっていない。

まだ希望を捨てる時ではないと、そう私は自分に言い聞かせた。

そして、昨日中断していたバリケード作りの続きに取り掛かった。

 

「んしょ、よいしょ・・・ふぅ」

 

学生たちの勉強机ってこんなに重たかったかしら。

そう思う程度に心身共に疲弊していたのだろう。

そんなとき、

 

ガタンッ

 

「あぅ!」

 

一緒に机を運んでいた丈槍さんが転んでしまった。

 

「ゆきちゃん!大丈夫?」

 

私は若干慌てながらも、丈槍さんのそばに駆け寄る。

 

「・・・グスッ・・・わたし・・・力ないし・・・頭もよくないし・・・いるだけで迷惑だよね・・・グスッ」

 

丈槍さんは、連日のストレスからか精神的な許容範囲を大幅に超えていたようだ。

 

「そんなことないわ、ゆきちゃんの笑顔に先生はすっごく元気をもらってるもの。迷惑なんかじゃないわ」

 

「・・・でも」

 

泣きじゃくる丈槍さんに私はある提案をしてみた。

 

「先生ね、とっても楽しいことを始めようと思うの」

 

「・・・楽しいわけないよ」

 

「先生ね、みんなと一緒に部活動を始めようと思うの」

 

「・・・ぶ、かつ・・・?」

 

「そう、部長は悠里さん、部員は恵飛須沢さんにゆきちゃん、顧問は私。みんな一緒なら、楽しいでしょう?」

 

丈槍さんは、少し落ち着いたように見えた。

 

「・・・でも私・・・みんなの迷惑にならないかな・・・?」

 

丈槍さんは不安そうな顔をして私に尋ねてくる。

 

「迷惑なんかじゃないわよ、さっきも言ったでしょう?ゆきちゃんの笑顔に元気をもらってるって。だから、ゆきちゃんはゆきちゃんのままいてくれればいいのよ」

 

「私・・・このままでいいの・・・?」

 

「そう、きっとあの2人もそう思っていてくれてると思うわ」

 

「ああ、そうだぞゆき」

 

どこからともなく恵飛須沢さんがやってきた。

 

「お前の笑顔はあたしたちに元気をくれる。いろんなことに対してやる気をくれるんだ。だから、ゆきはゆきのままでいいんだよ」

 

「そうよ、ゆきちゃん」

 

「くるみちゃん、ゆうりさん・・・」

 

「りーさん、でいいわよ」

 

若い子の友情って素晴らしいわぁ。

ちょっと感動してしまったのだが、今はそんなこと言ってる場合じゃない、というかもうこの学校にはこの子たちしかいないのだからお互い仲良くしてくれないと困る。

 

「・・・うん!私、がんばる!」

 

「おいおい、笑顔は頑張るもんじゃねーだろ」

 

「そうねぇ」

 

二人はとても明るく、とても暖かい笑顔で丈槍さんを見ていた。

 

「うふふ」

 

私も、少しばかり気が晴れやかになったような気がした。

 




書き溜めって大事だともう今日この頃、っていうか正直なんでみなさんあんなに早く次回がかけるんですか?(切実)

次回もお楽しみに・・・とかいうハードル上げは絶対しない(笑)


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#8 到着

書き溜めって大切(確信)

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 某路上-----

 

89式自動小銃の連射音と何かから血でも飛び出すかのような水音が聞こえた。

もちろん、そんなもの使っているのはここには伊丹たちしかいないし、その水音の正体と言えば"奴ら"の骸から大量に噴出する血液の飛沫音である。

ある時はナイフキル、ある時は飛び道具でヘッドショット。

パンピーである後部収容席の2人には、とても衝撃的な画だったであろう。

にもかかわらず、割と2人は平常心を保っていた。

 

「君たち、結構スプラッタな画見ても、あんまりショックじゃないんだね」

 

伊丹が何気なく聞いた。

 

「・・・モールでは、もっと間近で"あいつら"の顔を見ましたから・・・それに比べれば・・・」

 

そう言って保護した生存者の一人は俯く。

 

「あ~・・・その・・・なんだ、無神経なこと訊いてスマン」

 

伊丹は何となくやるせない気持ちになった。

 

相も変わらず"奴ら"はどこからともなくフラッと湧いてくるもので、たまには高機動車の重みでグシャッと嫌な感覚を受けつつも撥ね飛ばし、もしくは轢いていくしかなかったのである。

後続の富田と言えば、やはりこの現実をあまり直視したくないらしく、たまに無線で話しかけてもあまり声色は元気そうではなかった。

そうこうして市街地を突っ切り、少々小高い丘の道を上る手前で伊丹は倉田と富田に停車を指示した。

 

<<どうしたんです?隊長>>

 

富田から質問の無線通話が飛んでくる。

 

「もうじき日が暮れる、暗闇の坂道で奴らに遭遇するのだけはなるだけ避けたい。今夜はここで野宿だ」

 

そう言って伊丹はPTT(プッシュ・トゥ・トーク)ボタンから指を離す。

 

<<野宿ったって、ここじゃどのみち奴らの餌食じゃないですか?>>

 

「そうですよ隊長」

 

富田と倉田から批判の声が上がってくる。

 

「だから俺たち自衛官がしっかり交代で見張り番するんだろう。何のための89だ?」

 

そうあっけらかんと答える伊丹。

倉田は「ダメだこりゃ」と小声でつぶやきながら半ばあきらめた顔でイグニッションキーを「切」の位置に回す。

そのあとに富田もあきらめたのか73式トラックのエンジンを止める。

ローテーションは1930~2330まで富田、2330~翌0330まで倉田、同0330~同0730まで伊丹の順にすることにした。

もちろん「とっとと寝させてくださいよ~!」と倉田が嘆いていたが、富田の運転するものの扱いを考えれば富田が真っ先に寝る権利を得られるのは当然だ。

 

 

 

 

結局、朝まで"奴ら"の襲撃はなかった。

手近な食糧を各々口の中に放り込み、野営地からそそくさと走り出していく。

そして、昨日たどり着いた丘の道を上っていく。

数はそれなりにいるのだが何を目的としているのかあまり伊丹たちに反応を示さない。

反応そのものも顔をこちらに向ける程度で、特に飛びかかってくる様子もなかった。

よく見れば、この一帯にいる"奴ら"はカッターシャツにスラックスという組み合わせや、セーラー服らしき衣類を着用していた。

そのことから考えるに彼らは巡ヶ丘高校に向かっているのではないだろうかと、伊丹は推測した。

 

「倉田、ちょっと急いで行ってみるか」

 

「そうですね、少し飛ばします」

 

そう示し合わせると、伊丹は無線に手を伸ばした。

 

「富田。少し急ぐぞ、遅れるなよ?」

 

<<了解>>

 

少しばかり速度を上げてしばらく走っていると、校門が目視できた。

しかし妙だ。

昇降口と思しき中央のガラス部分は木材で固められていて、挙句の果てには1階から2階のすべての窓が割れている。

しかし校庭を含めこの敷地の屋外には"奴ら"が見当たらない。

 

グラウンドの校門付近で車両を停車させ、全員降りる。

 

「・・・とにかく、生存者の確認だ」

 

倉田と富田がうなずき、3人とも臨戦態勢に入る。

3人はまず突入前の装備準備に入った。

鉄鉾(てっぱち)にはV8、89式のリアサイトのゆがみも確認し着け剣をする、防弾ベストを着用、弾納が3本分、その中にちゃんと予備弾倉が入ってるか確認しすべての準備が整う。

最後に各員の無線機の調子を確認し、これで突入が可能となった。

 

救助した2人を3人で囲み、全周警戒で突入する。

 

今まさに、伊丹たちが巡ヶ丘高校に足を踏み入れた瞬間だった。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 3F生徒会室-----

 

バリケード作りもひと段落し、これから朝食をとる。

今朝はスパゲティのようだ。

調理は若狭さんがしてくれる。

 

「みんな~できたわよ~」

 

調理台から若狭さんの声がする。

 

「はぁい」

 

「今行くよ~」

 

恵飛須沢さんと丈槍さんが小走りで調理台に向かう。

すべてが配膳され、みんなの着席が確認できた。

 

「それじゃあ、みんな?」

 

「「「「いただきまぁす!」」」」

 

一人だけものすごい勢いでスパゲティをすすっている子がいる。

丈槍さんだ。

 

「おいゆき、もっとよく噛んで食べろよ?」

 

恵飛須沢さんが少々呆れたような顔で諭す。

 

「ふえ?」

 

「ほれ、めぐねえを見てみろ」

 

え?私?

私は普通にフォークで2~3本巻き取って食べてるだけなんだけど・・・。

 

「・・・」クルクル

 

「・・・」アー ハクッ

 

おいしい、なんだか目の前が光で満ちてきた気がする。

 

「な?ああやって食べるんだぞ」

 

「おお・・・」

 

恵飛須沢さんが私を手本にするよう勧めていた。

 

「ちょ、ちょっと、私は普通に食べてるだけよ」

 

顔が熱い。

たぶん、真っ赤になってるのかもしれない。

 

「・・・」クルクル

 

「・・・」アー ハクッ

 

「おいしい・・・」ペカー

 

私の真似をしてか、食べた後ものすごく良い顔になる。

え?私ってあんな顔してたの?

 

「そこは真似せんでよろしい」

 

恵飛須沢さんが的確にツッコミを入れる。

 

「ええー!」

 

「ゆきちゃん、普通によく噛んで食べればいいのよ?」

 

若狭さんが補足をする。

 

「ええー!」

 

「もう・・・、ゆきちゃんったら・・・」

 

私は恥ずかしくて顔を伏せてしまう。

あうう・・・地味に恥ずかしいよぉ、こんな年にもなって食べるだけであんな顔になるだなんて・・・。

羞恥心に悶えているうちに朝食は済んでしまった。

 

「さあ丈槍さん、補修、行きましょうか」

 

「ぅー、そだね、めぐねえ・・・」

 

「露骨に嫌がらないで」

 

そんなやり取りをしている、その時だった。

 

正門の方からエンジン音のようなものが聞こえてきた。

 

「?なにかしら?」

 

廊下をまたいで向かいの教室から外をのぞいてみる、すると校庭に緑色の大きな車とトラックが止まっており、そのすぐ目の前に俗にいう迷彩服をまとった人影が3人、それから巡ヶ丘学院高等学校の制服を着た女子が2人、その女子の1人の腕の中に犬がいた。

 

「・・・っ!?」

 

まさか?本当に?救助に来てくれたのだろうか?

 

私は内心舞い上がり、その衝動でみんなのところへ駆けだそうとしていた。

というより駆けだしていた。

 

ガラッ

 

「みんな!救助よ!救助が来たわ!」

 

そう叫んだ。

 




いよいよ着きました、巡ヶ丘学院高等学校!

ただでさえシャベルで無双できる世界なんだから飛び道具なんか持ってたらチート級でしょ
※予備弾倉1本当り30発×3

まあ長物だから槍としても使えるし・・・あれ、これ原作でちゃんと自衛隊が生きてたら普通に無双できたんじゃ・・・?

次回もお楽しみに!・・・なんてハードル上げは絶対(ry


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#9 であい

サブタイトル詐欺・・・かな?
巧いサブタイが思いつきませんでしたorz

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘学院高等学校 1F昇降口-----

 

正面から建物全体を見ていて大まかな予想はついていたのだが、この学校はかなり広い。

さらに言えば、広いだけに恐らく"生徒だった奴ら"も多い、こりゃ簡単には3階に行けないぞ。

 

そんなことを考えながら、伊丹はV8で辺りを確認する。

伊丹が予想した通り、"奴ら"は廊下のところどころにうろついている。

幅約4mほどの廊下での近接戦は、普通ならさまざまな場所に体を打ち付けるので危険なのだが、なんせ"奴ら"は動きが遅い。

ましてや長物である89に着け剣までしているのだ、3体以上同時ならともかく捌いて3階まで行くのはそこまで苦ではないと思われた。

 

「んー、ちっと走るか、倉田、富田、俺が先行する。2人を守りながら後に続け」

 

「「了解」」

 

「2人とも、ゆっくりでいいから俺の仲間と一緒についてきてくれ、なるべく2人を挟むように進んでいくからそのつもりで」

 

そう2人に言う。

ちゃんとうなずいてくれたので、タイミングを見て突撃する。

 

「突撃にぃ~~~・・・前へ!」

 

伊丹の号令に合わせ小走りで廊下を抜けていく。

途中襲い掛かる"奴ら"に向け刺突したり9mmけん銃で発砲するなどして伊丹が払いのけた。

中央階段で2階に上り全周確認する。

 

「・・・よし、いないな」

 

伊丹が3階に上がろうとして階段を振り返ると

 

「ん?なんだこりゃ」

 

見れば学校によく置いてある机が3段ほど重ねられ、バリケードが構築されていた。

それも3階へ続く階段いっぱいに。

 

「・・・こんなものがあるってことは・・・」

 

倉田がポツリとつぶやく。

 

「生・・・存者・・・?」

 

富田が、何かの希望に縋るかのような顔でつぶやいた。

 

「・・・希望は持ってもいいんじゃないか?」

 

伊丹が返す。

 

とりあえず伊丹が真っ先にバリケードをよじ登り向こう側に行く。

続いて生存者の2人と富田、最後に倉田がバリケードの内側へ入った。

 

一度に大勢入ったせいだろう。

物音が大きくなりすぎたのか、確かに地面を踏みしめ走ってくる複数の足音が聞こえていた。

 

「ヤバい・・・かな?」

 

伊丹の顔は引きつっていた。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 3F生徒会室-----

 

「救助だって!?」

 

恵飛須沢さんが勢いよく立ち上がる。

その勢いでパイプ椅子が倒れてしまった。

 

「おっとっと」

 

「先生それほんとですか?」

 

若狭さんが疑いのある目で質問する。

無理もない、もうかれこれ2日はここに籠城していて、今まで救助活動をしているなんて話は入ってこなかったのだから。

 

「ええ、確かに見たの。校庭に大きな乗用車とトラックが来てた。迷彩服の人たちだったから、きっと自衛隊の人たちが来てくれたんだわ」

 

そう見たまま説明している時だった。

 

パパパパパパン

 

何かの破裂したような音が聞こえた。

きっと銃声だろう。

 

「っ!?」

 

恵飛須沢さんがシャベルを手に取り飛び出して行こうとする。

 

「ダメよ!恵飛須沢さん!」

 

「だって!もし救助ならここまで呼ばないと!!」

 

彼女が言うことはもっともだった、でも

 

「きっと、救助に来たのなら、バリケードを見てその先にいるってわかってくれるわよ。信じて待ちましょう?」

 

今、助かる見込みのあるこのときに、この子たちを危険な目に遭わせるわけにはいかない。

 

「大丈夫、もしさっきの人たちが自衛隊なら救助のプロよ。見逃すはずがないわ」

 

そう言って恵飛須沢さんを諫める。

 

「・・・うん」

 

どうやらわかってくれたようだ。

そういえばさっきから丈槍さんが静かだけど・・・。

 

「ゆきちゃん?どうし・・・あら?」

 

丈槍さんの姿が見当たらない。

 

見ると生徒会室のドアが開けっぱなしだった。

 

「おいゆき!」

 

きっと銃声に驚いて駆けだして行ってしまったんだわ。

 

「ゆきちゃん待って!!」

 

私は急いで廊下に出る。

ところが丈槍さんは中央階段の前に居た。

 

「ゆきちゃん?」

 

私は落ち着いて丈槍さんに近づいてみる。

丈槍さんの目線は2階へ続く階段の踊り場を向いており、その視線を追ってみた。

すると、迷彩服を着て銃を持っている人が3人、そのほか2人に犬1匹。

 

「あっ・・・」

 

「・・・」

 

こちらは言葉を失い、相手は目を見開いて黙っている。

しばらくの沈黙が続き

 

「あ、あの、生存者・・・ですか?」

 

と、間の抜けた質問が飛んでくる。

 




今回若干短いっすね(2・3話無駄に長い話があっただけでこの作品では1000文字ちょいが標準)

ようやっと学校に着きましたよ。
まさか9話もかかるなんて思いませんでしたよ。←書いてんのこれ

数字の上でしか確認できてませんがこんな作品を3000人以上の方に読んでいただけてホントに驚いています、ありがとうございます。
友人からは「暇つぶしじゃね?」と言われたのですが、たとえ暇つぶしでもちょっと覗いていただけるだけで当方の励みになります。

そんなわけで、どこまで続くか、また続けられるかわかりませんが今後とも「GAKKOU ~自衛官 彼の地にて、斯く戦えり~」をよろしくお願いいたします!


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#10 相談

どもーお久しぶりです、絶賛筆ならぬキータッチ止まってます(ォィ

早くマニュアルの全容が明らかにならないかなぁ・・・。
あ、そういえば、ちょっとだけ既投稿分の校正とオノマトペ等抽象的な表現を【削除】や【文章に変更】しました。
元を知ってて、でも少しは改善されたかな?と興味を持ってくださる方は再読お願いします。
(あ、でも文章バランスはまだ治ってないです。)

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘学院高等学校 2F-3F階段踊り場-----

 

「あ、あの、生存者・・・ですか?」

 

伊丹が、誰もが「見りゃ分かる」というような質問をする。

 

「・・・?」

 

目の前のピンク色の髪の女子高生が首を傾げている。

 

階段から向かって右側から一人の女性が走ってくる。

黒いワンピースのような服に十字架を下げているという、なんとも時代錯誤や風土からの違和感が半端ない感じのいでたちだ。

 

「・・・!」

 

その女性は至極驚いた様子でこちらを見ている。

 

「・・・あの・・・あなたたちは?」

伊丹は少々遠慮気味・・・というよりは警戒気味に質問する。

 

「・・・私はこの学校で国語教師をしています、佐倉 慈です。あなたたちは・・・?」

 

しっかり言葉を使い返答してくる。

伊丹は警戒を解き、

 

「あ、自分は陸上自衛隊 男土駐屯地司令隷下第3小規模偵察隊隊長、伊丹耀司2等尉、とりあえずあなたたちの他に生存者はいますか?」

 

と自己紹介と生存者の確認をする。

すると佐倉と名乗った教員が

 

「私たちの他に2人います、立ち話はなんなので部室の方h」

そこまで言うと、2人の女子高生が走ってきた。

 

「めぐねえ!」

「佐倉先生!」

一人は普通の女子高生とは若干格好が違う。

膝に申し訳程度のプロテクターに腕には白黒のストライプで彩られたサポーターか何かをしており、右手にシャベルをもって走っている。

もう一人は若干袖が余っているのか少しだけ手が隠れている。

普通の学生服の上にセーター(?)を着用し武器らしきものは何も持っていない。

 

「2人ともなかなか帰ってこないから心配したんだぞ」

 

シャベルを担いでいる少女が言う。

 

「ごめんね、救助の人たちとちょっと話してたのよ、伊丹さん、この2人がさっきお話しした残りの生存者です」

 

佐倉はそう伊丹に説明した。

伊丹の視点からするとシャベルの子はすごく不審そうに伊丹たちを見ているし、もうひとりのおっとりしてそうな子は佐倉先生とピンク色の髪の子の安否を確かめているようで、どうやら周りのことはしっかり見えているようだ、とひとまず安心できた。

しかし、伊丹の見解は若干間違っていた。

例によって、ピンク色の髪の子は現実逃避気味なところがある。

もちろん学校外から突然やってきたこの5人と1匹はそのことを知らないし、知っていたとしてもやることは変わらないのだから関係のないことだろう。

 

「とりあえず伊丹さん、しばらくここで過ごしませんか?ここにはとりあえず食糧はありますし、電気も使えます、お風呂はありませんがシャワーが使えるので、少しの間これからのことを考えてから行動されてはいかがでしょう?」

佐倉は伊丹にそう提案する。

 

「アハハ・・・願ってもないことなんですが、まだ救助活動が終わってませんし、何より女子ばかりのところにいきなり俺たちみたいな物騒なのが居るのもよくないでしょう。」

 

伊丹はどちらかと言えば断りの文言を並べる。

伊丹はさらに続ける。

 

「食糧だって、自分たちで食べる分に大切なはずだ、自衛官である俺たち男組のことは気にせずどうか自分たちで・・・あ、それより、この子たちをお願いできますか?」

 

そう言って先日救助した2人を指した。

 

「え、あ・・・あの・・・」

 

「あ、あの、2Bの直樹 美樹です。こっちは・・・」

 

「・・・同じく祠堂 圭です・・・よろしく・・・お願いします」

 

どうもほかの生存者が居ることに驚いたのか若干戸惑っているようである。

 

「国語教師の佐倉よ、よろしくね、直樹さん、祠堂さん」

 

にこやかに挨拶を交わしていた。

 

「それと・・・佐倉先生、ちょっと立ち入った相談が・・・」

 

富田が突然口を開いた。

 

「あなたは・・・?」

 

「伊丹2尉同じく陸上自衛隊 第3小規模偵察隊所属 富田3尉です。実は・・・」

 

富田は少し集団から離れた場所で"例の相談"をした。

 

「実は・・・犠牲者をどこかで火葬してやりたいのですが、どこかいい場所はないでしょうか?」

「・・・!」

 

佐倉はひどく驚いた顔をしていた。

 

「・・・あ、それなら、教員の車両用通用門から出て少し行くと少々広い場所があるので・・・そこで火葬されてはいかがでしょう?」

 

佐倉は戸惑いながらも提案してくれた。

 

「わかりました、ありがとうございます」

 

丁度相談が終わった時に

 

「おーい、富田ァ、もう行くぞ!」

 

とお呼びがかかったので、

 

「はい!今行きます!」

 

そう返事して階段に向かおうと振り返ったところだった。

富田が教室の窓越しに見た光景は、それこそ肝が冷えるなんてものじゃすまないものだった。校庭の4分の1ほどを"奴ら"が埋めていた。

 

「あ・・・ぁぁあ・・・」

 

見る見る富田の顔が青ざめていく。

伊丹が富田の異変に気づき近づいて富田の視線を追う。

 

「・・・こりゃ、とても車両までたどり着けないな」

 

伊丹の出した結論だった。

 

「佐倉先生、さっきの申し入れだが・・・"あいつら"が校庭から捌けるまでの間だけ、謹んで受けようと思う」

 

伊丹がはっきりとした声で言う。

 




ストックが切れるなぁ(なぜ溜めておかなかったのか

もういっそのことマニュアル無視していこうかな(殴


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#11 さがしもの

アッカリーン(殴

すんません、お久しぶりです、takoです。

うわぁ・・・丸2ヶ月近く空いてるぅぅぅ・・・。

ま、まぁストックができたからいっか!・・・ストックできたかぁ・・・?

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘学院高等学校 3F階段前-----

 

「佐倉先生、さっきの申し入れだが・・・"あいつら"が校庭から捌けるまでの間だけ、謹んで受けようと思う」

 

伊丹が全員の耳に届く声で、はっきりと言う。

 

「・・・」

 

いきなりのことに驚いたのか、生存者6名は黙っている。

しばらく沈黙が続いたが、

 

「・・・ええ、歓迎します、ようこそ巡ヶ丘学院高等学校、『学園生活部』へ」

 

佐倉先生が、笑顔で返答してくれた。

 

話もついたところで、"部室"である生徒会室に案内された。

 

「すげぇ、何でもそろってるんですね!」

 

倉田が目を輝かせ興奮気味に感嘆の声を漏らす。

 

「電気も使えて湯が沸かせてなおかつ水道まで無事・・・か、出来過ぎだがとんでもなく便利だなこりゃ」

 

伊丹がブツブツと言っているが、その言葉は誰にも聞こえなかった。

 

「めーぐねえ!この人たち新しい先生?男の先生はちょっと怖いかなー・・・」

 

ピンク色の髪の子が佐倉先生に向かいそんなことを言っていた。

 

「丈槍さん、めぐねえじゃなくて"佐倉先生"。この人たちは先生じゃなくて学校のお客さんよ」

 

佐倉先生が若干ごまかしを入れて説明をしている。

この状況下で普通の学校生活をうかがわせる態度からして、きっと"タケヤさん"と呼ばれたこの少女は現実逃避気味なのかもしれない。

 

「ふーん、はじめまして!3年C組!丈槍 由紀です!」

 

元気に自己紹介をしてくれる。

 

「えと・・・俺は自衛隊の伊丹、職業案内で学校に来たんだ、よろしくな」

 

と、見た目ガッチガチのフル装備で伊丹は自分は広報活動に来たんだと説明する。

誰がどう見ても職業案内しに来る格好ではないし、そんなところに銃を持ってこないだろうと周囲5人程度が思ったのは後にわかることである。

 

「丈槍さん、あまりご迷惑になっちゃいけないから部活動に戻ってね」

 

佐倉がそう諭す。

 

「はぁい、じゃあまたね!伊丹さん!」

 

「ハハハ、バイバーイ」

 

微妙な笑顔で手を振る伊丹。

 

「隊長、ビジネスマナーの駅前留学したほうがいいんじゃないっすか?」

 

「うるせぇ」

 

そんな茶化しあいも早々に終わり、伊丹が佐倉先生に話題を振る。

 

「佐倉先生。できればこの学校の見取り図のようなものがあればありがたいんですが」

 

「それなら・・・たぶん職員室にあると思います。でもあそこは2階だし・・・」

 

佐倉は心底行きたくなさそうな顔をする。

 

「・・・まぁお気持ちはわかります、我々が護衛しますので、どうか」

 

伊丹はまたも微妙な笑いで提案する。

 

「わかりました・・・それに、なんだか職員室には今重要なものがあるような気がしてならないんです。行きましょう」

 

そう言って佐倉先生は承諾してくれた。

 

「若狭さん、恵飛須沢さん、ちょっと職員室行ってくるわね」

 

「なっ!?」

 

「先生、大丈夫なんですか!?」

 

ワカサとエビスザワ、どちらがどちらか伊丹達にはわからなかったが2人が心配そうに佐倉に尋ねる。

 

「だーいじょーぶ、まーかせて!俺たちがしっかり護衛するから、でなきゃ銃持ってる意味がないしね」

 

伊丹はドヤァと言わんばかりの雰囲気を若干はらんだ笑顔で2人に答える。

するとシャベルの子が

 

「・・・わかった、信じるよ、めぐねえをしっかり守ってくれよな!」

 

と、まだ若干不安感を拭えず、でも一縷の望みに賭けるかのように伊丹に言う。

 

「ああ!」

 

伊丹は頼もし気な笑顔で相槌を打つ。

 

学園生活部と伊丹たちの溝が、少しだけ埋まったようだった。

 




まぁ無理やり「だーいじょーぶ!まーかせて!」をねじ込みました。

次から先5話分ぐらいがたまったら投下していく形にしていきたいと思います。

まぁ今回も文字低限ギリギリだったんであんまり1話あたりを期待しないほうがいいかもですね。

ではっ


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#12 事実

どもーtakoです。

いやぁ~すっかり間が空いてしまいましたね。
ほんとに完結すんのかこれ・・・(不安)

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘学院高等学校 2F職員室-----

 

「・・・妙だな?」

 

伊丹が何に気づいたのか、ポツリとこぼす。

 

「どうしたんです?隊長」

 

富田が伊丹に尋ねる。

 

「気づかなかったか?ここに来るまでに俺たちは1発も撃ってないし1回もナイフを振ってない」

 

「敵が襲ってこなかった・・・ってことですか」

 

「そうだ、それに見渡す限り2階廊下に敵影がない、3階に上がるまで俺たちは弾倉1本分消化してることを考えたらおかしいと思わないか?」

 

そこまで伊丹が言うと、倉田が気づく。

 

「っ!じゃあ、ここにいた連中がどこかに移動したってことですか?」

 

「ああ、そう考えるのが妥当だと思う。ただ、あいつらが目的もなしに動くとは到底考えにくいし・・・」

 

伊丹が言い切るか言い切らないかぐらいのタイミングで何か遠くから音が聞こえてきた。

 

 

 

どれほど経っただろうか、その音は近づいたかと思ったら引き返して行ってしまった。

伊丹が校庭を見下ろすと、さっきまで車両に群がっていた奴らも含め校舎に入ってくる様子がうかがえた。

 

「・・・とりあえず、今は見取り図を探そう、佐倉先生お願いします」

 

「ええ、たぶんこの辺に・・・あら?」

 

佐倉先生が書類棚に陳列してあるファイルの隙間から何かビニールに包まれた書類を取り出した。

 

「うわ、ビニール付きとか、まさか誰かのエロ本じゃないでしょうね」

 

「馬鹿なこと言ってんな倉田、そんなもんこんな見つかりやすい場所に置かねーだろ」

 

馬鹿やってる伊丹と倉田を尻目に、富田が佐倉の異変に気付く。

 

「どうしました?佐倉先生?」

 

「なに・・・これ・・・」

 

富田が佐倉の後ろからヌッと顔を出して覗き込んでみる。

 

佐倉が持っていたものの表紙には

 

『職員用緊急避難マニュアル』

 

と書かれていた。

ご丁寧に開封指示付きで。

 

「ッ!?隊長!」

 

「ん?どした?」

 

伊丹が間の抜けた返事をする。

 

「見てください、あらかじめ何かを予想して設置されていたと思しき書類です!」

 

富田が若干荒い抑揚で伊丹に報告する。

 

「・・・中、見てみるか」

 

伊丹は何でもないような手つきでその書類のビニールをはがしていく。

 

ビニールをすべてはがし終えてそれぞれが改めて『やけに薄い書類だな』と思った。

 

「隊長、これマニュアルっていうにはちょっと薄すぎやしませんか?これじゃまるでどu」

 

「ワーッ!ワーッ!こら倉田ァ!!このシリアスな状況下で何言いだしてんだこのバカヤロウ!!!」

 

倉田が言おうとしたことを察し、伊丹が全力で制止した。

もちろん倉田も悪気があったわけではないがこの状況下でそれを言うことは甚だ場違いだというものだろう。

 

「あっ、さーせん!でも隊長にそんな一般常識あったんですnっっっだぁ゛!!!」

 

倉田が謝ったのだが余計なひと言のおかげで鉄鉾の上から伊丹に89の銃床で小突かれた。

 

「それにしても・・・、なんでしょうねこれ。まるで元からこんな事態が予想されていたかのようなことが書かれています」

 

富田の言う通り、そのマニュアルの中には学校の見取り図・各感染系統のウィルスの説明・緊急時の対応法・緊急時における行動原理と心得・緊急連絡先、そしてこのマニュアルがどこかで紛失・内容の漏えいが起こった場合にどう対処すべきかと、あたかもこの事態が予測されていたかのような事項が記されていた。

 

「まさかね・・・でもこのランダルってのは怪しいかもねぇ」

 

伊丹が納得したようにうなずく。

 

「まぁ、もともと何やってるかわかんないような会社見たいですからねぇ」

 

倉田が思い出したかのように言った。

 

「ん?倉田なんか知ってんのか?」

 

「いや、ネットの掲示板で偶然見てたんですけどね、ランダル・コーポレーションってとこは表向きこの巡ヶ丘市の都市開発出資企業なんですが、どーも裏じゃヤバい商売やってる感じの噂が流れてるんすよ。地元民からもなかなかにランダルの建物が気味悪いって最悪の評判ですし」

 

確かに倉田の言う通りこの話題の掲示板にかなり不穏な書き込みがあった。

曰く、「ランダルってなんか細菌兵器作ってるって話聞いたことあんだけどマジ?」

曰く、「あの建物なんか気味悪いよね。なんか知んないけど会社の建物にしたってのっぺりし過ぎっていうかさ、こう凹凸がないから何か頑丈な壁みたいでさ」

曰く、「裏口をちょっとのぞいたことあるけど、なんかスゲェゴツイ防護服(?)みたいなん着たのがうろうろしてた。あれぜってーヤベェ奴だわw」

と、不確定要素もかなりあるがある意味マニュアルとの関係を裏付ける事実もあるようだった。

 

「ランダル・コーポレーションって言えば、この学校の提携先も確かそこだった気がするし、この街の一大ショッピングモールの"リバーシティー・トロン・モール"もその会社が運営してた気がするわ」

 

佐倉はそう漏らした。

このとき、

 

「ぁぁ・・・これのことだったのね・・・」

 

と佐倉が何かに納得したようにうなずいていたが、誰の耳にも届くことはなかった。

 

「うーん・・・なんとも決め手に欠けるが・・・まぁ今そんなこと考えてもしょうがないか」

 

伊丹はとりあえずこの話題はいったん置いておくことにした。

 

「とりあえず、車両の周りの奴が捌けたらまずここの物理準備室にあるだろうアルコールを電装品以外に吹っかけて消毒。電装品はアルコールを含ませたウエスで拭いてそのウエスも焼却処分。可能なら3t半の"ご遺体"を供養して荷台を同じく消毒。そのあとは学園生活部のみなさんひっつれて一旦駐屯地を目指そう。弾薬の補給もしないとまずいだろうし、できるなら戦車中隊から74を1台ぐらいいただいて行きたいしね」

 

伊丹はそう3偵の面子に指示をし、とりあえずマニュアルがほかの人間の目に触れないよう伊丹の背嚢に収納してから部室に戻ることにした。

しかし、この大移動でこれからすぐに苦労する羽目になるなんてことは、このときの伊丹達に知る由はない。

 




やっと学校出られるかなぁ?

でもこれ原作基準で考えると卒業できないんですよねぇ・・・どうすっかな(ォィ


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#13 ていあん

ちょっと早めの投稿。

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘学院高等学校 3F生徒会室-----

 

どれぐらいたっただろうか。

伊丹達は一度生徒会室、もとい学園生活部の部室に戻りつかの間の休息をとっていた。

まず部室に帰ってきたときに、外では雨が降っていることに気付いた。

 

「あ~降ってきちゃったなぁ・・・こりゃ小1時間止まないやつだぞ」

 

伊丹が漏らす。

伊丹が言うとおり雲が広範囲に広がっているようで、しばらく止みそうにない。

しかも最悪なことに、雨が強くなるにつれて"奴ら"が校舎の中に入ってきているようだった。

 

「あ、運動部のみんな雨宿りしてる」

 

と、丈槍が言う。

 

「ああ、みんな濡れるの嫌だもんな」

 

伊丹が"奴ら"があたかも"生徒"であるように受けこたえる。

そのうち丈槍がほかの物に気を取られ伊丹から遠ざかった時に富田が声をひそめて言う。

 

「隊長、いいんですか?」

 

「何が?」

 

「あの娘、丈槍さん、どう見たってあれはヤバいやつですよ。このまま現実逃避させていたらいずれ矛盾が生じます」

 

富田は冷静に丈槍を分析していた。

 

「・・・まぁそうだよな、だがな、俺らはカウンセラーじゃない。仮にここに黒川でも居りゃ話は別だが・・・」

 

「そう・・・ですね・・・すみません出過ぎたことを言いました」

 

「・・・いや、まあちょっとだけ気にしといてあげてね」

 

「はい」

 

それからしばらくして、雨が上がったようだったのでグラウンドを見下ろしてみた。

 

「・・・"奴ら"の姿は見えないが・・・さっき校舎に入って行ってたよな・・・」

 

「・・・入ってましたね・・・確か」

 

伊丹の懸念した通り、1階から2階の廊下にかけて"奴ら"で埋め尽くされていた。

 

「・・・佐倉先生、提案があります」

 

伊丹は佐倉に真剣な顔で話しかけた。

 

「これから俺たち自衛官組で車両まであなたたちを護衛しながら移動します。なので、一度学園生活部全員でここを出る準備をしてください」

 

伊丹はやや早口で簡潔に提案を済ませた。

 

「えっ・・・えっ!?」

 

佐倉は少々混乱しているようだ。

 

「車両にたどり着いたらまず車両の消毒をします。なので、一度物理実験室を経由して、アルコールを入手した後で車両に向かいます。消毒の間は少し時間がかかりますがその辺は我々でうまくやるので指示に従ってください」

 

富田が補足する。

しばらく沈黙が続いたのち、佐倉が意を決したのか

 

「わかりました、でも少し時間を下さい。ほんの30分でいいんです」

 

「・・・わかりました、まだ日没までにも時間があります。その間に用を済ませてください」

 

 

 

 

「めぐねえ、何してんの?」

 

丈槍が佐倉の手元を覗き込む。

 

「あ、ゆきちゃん、部活のみんなを集めてくれる?」

 

「ん、なんか用?」

 

「ここにいますよ、佐倉先生」

 

気づくと既にほかの2人もそこにいた。

 

「先生ね、3日ほどの職場見学に行こうと思うの。この部活で」

 

佐倉は学園生活部員に向けてそう言った。

 

「しょくば・・・けんがく・・・?」

 

丈槍はきょとんとした顔をして復唱していた。

「そう、職場見学よ。自衛隊の人たちに「せっかく来たんだから、ついでにお仕事してるところを見ないか」って誘われたの」

 

佐倉はそう説明する。

もちろん嘘である。

 

「ふ~ん、それって面白いところなの?」

 

丈槍が質問する。

 

「ん~、面白いかどうかは人によるわねぇ・・・でも、自衛官って立派なお仕事よ?私たち日本のみんなの安全を守る、大切なお仕事なんですもの」

 

「ん~悪くないかもな」

 

どことなく心が躍っているかのように恵比須沢は言う。

 

「もしかしたらいい武器があるかも」

後ろのほうで恵比須沢が若狭に周りに聞こえない声で呟いた。

 

「そうね、いいかもしれないわ。でも、そうなると外出用の書類を提出しなきゃねぇ」

 

「そう思って今作りました!」

 

佐倉はドヤァと効果音が付きそうな満面のドヤ顔を浮かべている。

 

「・・・さすが先生」

 

「ふっふ~ん、あっ、捺印忘れちゃった!」

 

佐倉があわてて自分の印鑑を探している。

 

「・・・やっぱりめぐねえはめぐねえだね」

 

「先生です!あ、書類は私が整えておくからみんなは出発の準備をしておいてね」

 

「「「はぁい」」」

 

こうして一行は巡ヶ丘駐屯地へ向かう準備をするのであった。

 




ん~なかなかどうして進まない
※原因:想像力不足

書き溜めてもなーんか溜まった気がしない(現在3話分ストック)


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#14 地下室

今回若干長い(?)

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘学院高等学校 3F~2F階段踊り場-----

 

富田と伊丹が何やら話し込んでいる。

 

「富田、さっき見たマニュアルの地下室、覚えてるか」

 

「ええ、それがどうかしたんですか?」

 

「万が一ってこともある、初期感染者用の治療薬が入っていると書かれていたケースだけでも持っていこうと思う」

 

伊丹がそう提案したとき、富田は顔を真っ青にしていた。

 

「き、危険すぎます!」

 

「シッ!馬鹿、声がデカい!」

 

伊丹が慌てて富田の口を塞ぐ。

 

「あくまで薬だけだ。ほかのもんは放っておけ」

 

「しかし、あと30分足らずで取ってこられますかね」

 

「俺が取りに行く。お前は援護してくれ」

 

「ちょ、隊長」

 

富田はまたも顔を真っ青にしている。

 

「おいおい、俺はレンジャー持ちだぞ?早々死にゃしないって」

 

伊丹は軽く笑い飛ばす。

 

「さて侵入経路だが、エレベーターホールのはしごを使う。ただしはしごは帰りだけだ、行きはエレベーター用のワイヤーでリぺリングする」

 

「しかしそううまくいきますかね」

 

「うまくやるんだ、俺たち国民を守る自衛隊だろ?」

 

「・・・そうですね」

 

富田は自分を奮い立たせるためか、若干笑っている。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 エレベーターホール3F部分-----

 

「倉田、聞こえるか?」

 

<<はい、隊長、どこにいるんです?>>

 

「悪いがこれからちょっと地下室行ってくるわ」

 

<<ハァ!?何しに!?>>

 

「"お薬"取りに行ってくる。その間生徒会室の防衛は頼んだぞ。こっちは富田が同行してるから心配すんな」

 

<<・・・わかりました、早めに帰ってきてくださいね>>

 

「ああ、行ってくる」

 

伊丹は無線の電源を切った。

万が一下に"奴ら"が居た場合、むやみやたらに音を出すとまずいと考えたためだ。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 エレベーターホール エレベーター天板上-----

 

「まさか、途中で止まってるとは思わんかったわ」

 

伊丹がぼやく。

今はエレベーターホールの中で、推定1階から2階の間に停止中のエレベーターの天板の上にいる。

 

「どうします隊長、エレベーターに入れてもそれ以上下に行けませんよ」

 

富田にそう言われ、伊丹は考え込んでしまう。

しばらくたった後、ある考えが伊丹の頭に浮かんだ。

 

「富田、針金かゼムクリップ持ってない?」

 

何をトチ狂ったのか、伊丹はそんなことを言い出した。

 

「何をするつもりなんです?」

 

「あるのかないのか」

 

「えっと・・・あ、ありました」

 

富田は雑嚢から針金を取り出すと、伊丹に渡した。

 

「サンキュー、よし、とりまエレベーターの中行こうか」

 

言い終わると同時に伊丹は天板の入口を蹴破って、中に入った。

入るとすぐに、伊丹はエレベーターのコンソールにライトを当てて何かしている。

 

「何してるんです?」

 

富田がのぞき込むと、伊丹はコンソールについている鍵穴に針金を突っ込んでいた。

 

「まぁ見てなって」

 

しばらく弄り続けて急に明かりがついた。

 

「おーし動くぞー」

 

何事もなかったかのように伊丹は地下に行くボタンを押した。

当然のことながらちゃんと地下に着いた。

 

「隊長、何をしたんです?」

 

「エレベーターの電源ってのはもともとずっと入れっぱなしなんだ。しかも電源系統の管理はエレベーターの機種にもよるが大体コンソールについてるキースイッチでされるんだ」

 

伊丹がそこまで説明すると富田は理解したらしい。

要約すると、エレベーターの電源はキースイッチによって管理されているので、そのスイッチを点検用にした後、再起動したということらしい。

 

「さ、"金庫"に着いたぞ~」

 

伊丹たちはしらみつぶしにドアを開けて探した。

シャッターの向こうに行くにはどうやらパスコードが必要らしいが、シャッターの下に学習机が挟まっており既に解錠されていた。

中に入ると、何やらコンテナらしきものが陳列された大量の棚があった。

しかし伊丹たちはコンテナの中身は気にも留めないで、真っ先に奥の方に向かった。

するとそこには何やら事務机が置いてあり、ノート・文房具・リングファイルに一昔前の出席簿のような紐綴じの業務日誌があった。

日誌には何も書かれていなかったし、ノートなどの文房具から筆記用具まで使った形跡がない。

 

何もないなと伊丹が視線をずらすと、事務机の傍らに少し大きめの箱があった。

 

「・・・これか」

 

伊丹が箱の側面を確認すると"医薬品"と書かれており、開けてみると非常持ち出し袋と初期感染者用治療薬のセットが入った小分けの救急箱がそれぞれ4つずつ詰め込まれていた。

 

「・・・エレベーターもあることだし箱ごと持ってっちゃう?」

 

「備えあれば患いなしですよ。持っていきましょう」

 

お互いの意見が合致したことで持っていくことにしたのだが、富田が床に何かを発見した。

 

「隊長、これ・・・」

 

富田が指さす先を見ると、血痕のようなものが1つの扉に向かって続いていた。

 

「・・・見てみるか、嫌な予感しかしないけど」

 

意を決して伊丹が扉を開けた。

すると中には中年男性の宙吊り死体があった。

 

「・・・たぶんこうなることが予測されているのを知ってたんだな。その責任に耐えかねて・・・って奴だろう」

 

見ればそこそこ位の高そうな格好をしており、副校長か教頭クラスの人物のようだった。

 

伊丹たちは申し訳なさそうに"何も見なかった"ことにして医薬品箱をもって3階に帰って行った。

 




なんだろう、最近ネタに走ることが多くなった気がする
※感想の返信


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#15 しゅっぱつ

眠い・・・。

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘学院高等学校 3F生徒会室-----

 

「みんな、準備は良いか?」

 

伊丹が呼びかける。

 

「「「「「「はい!!」」」」」」

 

学園生活部とほか2人の返事が聞こえる。

 

「よし、じゃあ出発だ!でもその前にちょっと物理準備室によっていくから俺たちから離れないようにな」

 

「「「「「「はぁい」」」」」」

 

こうして決死の補給用大移動作戦が始まったのだった。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 2F物理準備室-----

 

「・・・1人もいなかったな」

 

「ですね」

 

伊丹、倉田の両名が言っているのはもちろん"奴ら"のことだ。

3階からこの物理準備室に至るまで1体たりとも遭遇していなかった。

 

「この分だとだいぶ捌けてるのか?それともまたグラウンドに散っただけか?」

 

「どっちでも変わんないッスよ、結局いたら倒すんですから」

 

この二人、民間人の前でさらっととんでもないことを言う。

 

「えーっとエタノールエタノール・・・これか」

 

棚にエタノールのラベルが貼られたビンを見つけた、どうやら薬品棚の鍵はしまっていなかったようだ。

 

「無防備だなぁ、ここの薬品管理者どこのどいつだ」

 

倉田が愚痴る。

 

「まぁいいじゃないか、難なくエタノールが手に入ったんだし」

 

「それもそッスね」

 

倉田は、富田の持っている医薬品箱の中にエタノールを入るだけ詰め込み、後方警戒に戻った。

 

「うし、じゃあいよいよ我らが自衛隊の車両にご案内しよう!」

 

伊丹がアップテンポ気味にテンションを変えて先導した。

 

「わーい!」

 

なぜか丈槍がはしゃいでいた。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 1F昇降口-----

 

「んー?おかしいな、ほんとに1体も遭遇しなかった・・・」

 

伊丹が疑問にうなりをあげている。

見れば1階廊下はおろか、グラウンドにも"奴ら"は見当たらなかった。

 

「・・・まぁ、消毒しやすいからいいか、富田、先行して"荷物"を処理して来い」

 

伊丹が富田に指示を出す。

 

「・・・ちゃんと供養してやれよ」

 

富田に対し伊丹が小声で付け足した。

 

「・・・っ了解!」

 

富田は返事するや否や、トラックへ駈け出して行った。

トラックは校舎の左側へ周りしばらく戻ってこなかった。

 

「よし、じゃあ倉田、ウエスにエタノールは染み込ませたな?」

 

「はい、準備オッケーです!」

 

伊丹はエタノールを適当に薄めた溶液の入ったバケツを大きく振りかぶり、思い切り高機動車に向かって吹っかけた。

 

「倉田、俺は外の乾拭きやるから、お前は電装品周りやってくれ」

 

「了解」

 

伊丹達は、いつも通りのチームワークで除染作業を進めていく。

 

「す、すごい」

 

「これがプロの連携力なのねぇ」

 

「かっこいいなぁ『じえいかん』さんたち」

 

「そうねぇ」

 

学園生活部の面々からは感嘆の声が上がっていた。

そのうちトラックも戻ってきて、同じく除染作業をした。

 

「よし、じゃあみなさん乗ってください!3偵、全員乗車!」

 

生存者は高機動車とトラックの助手席へ、弾薬などの装備品はトラックの荷台へ移し、一路巡ヶ丘駐屯地を目指し

 

「全車、前へ!」

 

今、出発したのだった。

 




アンケート(?)やってます。
ぜひ活動報告へ


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#16 合流準備

この際なんで第3偵察隊の名前変えました(大して変わってない)

駐屯地にも名前つけましたけどこれ適当ですw

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 ランダル・コーポレーション行 道中-----

 

「ん~~~??」

 

伊丹は首を傾げていた。

 

「どうしたんすか隊長?」

 

倉田が伊丹に質問する。

 

「いんやぁ~、なーんかこの大学が気になってさぁ・・・。」

 

伊丹はそう答える。

伊丹の言う大学とは地図上にある"聖イシドロス大学"のことである。

 

「その大学がどうかしたんすか?」

 

またも倉田が質問する。

 

「たしか"本"の中にも載ってたよなぁって」

 

伊丹の言う"本"とはマニュアルのことだ。

パンデミック時の緊急連絡先としてあの高校やランダル・コーポレーション、駐屯地と並んで記載されていた。

 

「あの"本"に書かれている場所に共通の避難施設や物資があると考えるなら大学もかなり臭うなって」

 

伊丹の懸念はもっともで、話を聞いた倉田は賛成の考えを浮かべた。

 

「なら、どうします?行ってみます?」

 

倉田が提案する。

 

「ん~、ちょっと話し合おっか」

 

そう言って伊丹が無線を取る。

 

<<おーい、富田ァ。ちょっとそこのガソスタで休憩だー。ついでに話もあっから先生連れて集合>>

 

富田がいきなりの無線連絡に少々びっくりしつつも無線を取る。

 

「了解、前方のガソリンスタンドですね」

 

通話が終わったのでマイクを置く。

後部座席では丈槍が「かっこいー!プロっぽーい!」などと無線を見てはしゃいでいた。

 

-----巡ヶ丘市 某GS 空きスペース-----

 

「・・・そんなわけで、大学寄って行こうと思うのよ」

 

一連の情報のつながりを全員に説明したのちに、伊丹はそう提案した。

 

「そうですね・・・大学にも生存者が居る可能性もありますし」

 

富田がそう言った。

 

「でも、長旅になりませんか?今のあの子たちを長期間緊張状態に晒すのは少し気が引けます」

 

佐倉が心配気な声でそう言う。

 

「まぁ、ササッと見て行くだけですし、仲間ももう若干名こっちに呼べばあまり緊張はしなくて済むと思いますよ」

 

伊丹がそう説明する。

 

「ほんとは放送設備でも持ってりゃ、どうにかして呼びかけることができるんだが・・・あいにくあれは駐屯地にあるしなぁ」

 

と、ここに来て伊丹は装備品不足を呪った。

伊丹は高機動車に戻って無線のマイクを取った。

 

「こちら3REC(サン レコン)、周辺の入感各隊返信求む、送れ」

 

各隊に連絡を取ろうとするも、伊丹の指揮下にある第3小規模偵察隊の他車両コールサイン以外からの返信がない。

 

<<サンスターからリーダーへ、大方の防護処理は終わりましたけど、もうここ離れてもいいんですか?>>

 

軽装甲機動車割り当て人員の栗林が質問した。

 

「ああ、防護が終わったんならそこら辺の警官ぶん殴って目ェ覚まさせてから監督に任じてその場を離れていいぞ、はっきり言うと今はこっちにも人手が足りない」

 

伊丹が返信した。

 

<<サンスター、了>>

 

<<クルーズ1からリーダー、こっちもそちらに向かいますか?>>

 

栗林が通話から抜けた後に演習場から高機動車をかっさらってきた笹川が質問した。

 

「ああ、頼む、ところでお前ら、誰か他の隊の奴ら見てないか?」

 

<<サンスター、なし>>

 

<<クルーズ1、なし>>

 

<<クルーズ2、同じくなし>>

 

それぞれ栗林・笹川・古田から報告が返って来た。

 

「りょーかい、まーいいや、とりあえず大学に集まってちょーだい」

 

<<サンスター、了>>

 

<<クルーズ1・2、了>>

 

各所に指示を出した後に伊丹は無線のマイクを置いた。

 

「ふー・・・マジで他の隊はいないのか・・・?」

 

伊丹はその疑問を駐屯地に着くまで抱え込むことになった。

 




う~ん、やっぱり文字数増えないや(涙)


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#17 らじお

やぁぁぁぁっと更新できた!!

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 聖イシドロス大学行き 道中-----

 

それは一瞬の出来事だった。

 

<<ガザッ・・・か・・・る・・・こち・め・りがお・・んわん・・ほうs・・きょく>>

 

気まぐれでスイッチを入れた高機動車のコンソールのラジオから放送音が流れたのだ。

 

「っ!?倉田、今の」

 

「ええ、確かに聞きましたよ、さっきの開けた場所で聞こえたとするともっと西かもしれませんね」

 

伊丹と倉田が意見を交わしあう。

倉田が言う通り、放送が聞こえた地点では西側が開けていた。

 

「富田、少し西に進路を変えるぞ、そっちもカーラジオ点けとけ」

 

<<どうしたんです、隊長>>

 

「急に放送波が掴まったんだ、そっちも聴いといた方がいい」

 

伊丹は伝令と状況を早口でまくしたてると、倉田に進路を西向きに取らせた。

 

<<ガサッ・ガーーーーーー・・ぃいや、ワンワンワン放送局はっじまるよー!>>

 

しっかりとした口調で、人語をしゃべっている。

明らかに生存者だ。

 

<<隊長、聴きました。やっぱり居るんですね、まだまだ生存者が>>

 

「ああ!どこかに停車してしばらく聴いてよう。自分で居場所を流してくるかもしれない」

 

伊丹たちは、四方にそこそこ開けた場所でラジオを聴いていることにした。

 

<<・・・どんなにつらい日々でも希望と音楽をお届けするよ!じゃ、また明日!・・・ザーーーー>>

 

「・・・結局居場所は言わなかったな」

 

伊丹が若干渋い顔をする。

 

「そうですね・・・でも、明日もするようですし、毎日聴いていればいつか・・・」

 

「そうだな、とりあえずしばらく移動以外何もすることないんだし、暇つぶしと思ってラジオをかけながら移動しよう」

 

-----巡ヶ丘市 聖イシドロス大学行き 道中宿営地-----

 

「ん・・・ぁぁ~よく寝た」

 

伊丹は目を覚まし、大きくあくびをして天を仰いだ。

 

「倉田ァ、昨晩はラジオになんかあったか?」

 

「いいえ、全くもってなにも」

 

「そっか、ま、今日もゆるりゆるりと行きましょや」

 

そういいながら高機動車のラジオの電源を入れる。

 

<<ガザッ・・・おはよう、いい朝だね!外は見てないけど。きっといい朝なんじゃないかな!こちらワンワンワン放送局、今日も一日よろしくぅ!>>

 

「富田ァ!みんな起こせ!」

 

そう言うと、学園生活部の面々と共にカーラジオにかじりついた。

 

<<リスナーのみんな、この放送が聞こえたならこっちに顔を出してくれないかな?コホッコホッ>>

 

よく聴くとパーソナリティーは咳き込んでいるようだった。

 

「もしもーし、どこに住んでますか?」

 

いきなり丈槍がラジオに向かい話しかけた。

 

「そんなこと言って通じるわけ・・・」

 

倉田が突っ込みかけたとき

 

<<コホン、今ならお茶とお菓子もサービスするよー。住所はね・・・>>

 

なんとタイムリーに住所が放送されたのだ。

 

「通じた!?」

 

と、あるはずのない出来事で若狭が驚いていた。

もちろん、この2人以外は

 

「「「「「「いやいやいやいや」」」」」」

 

と突っ込んだ。

 

「うっし、これでわかったな」

 

倉田が個人用の地図で確認した。

 

「えぇっと・・・ここ・・・かぁ?」

 

「こっちでしょ」

 

倉田が悩んでいたところに、丈槍がさらっと解答を出す。

 

「ぉ、あ、ありがとう」

 

「おいおい倉田ぁw大丈夫かぁ?w」

 

指摘され赤面している倉田に伊丹が追い討ちをかける。

 

「・・・」イラッ

 

さすがにイラッと来たのか、倉田は急加速と急停止を助手席の伊丹にお見舞いした。

 

「おわっ!・・・ちょっ倉田やめっ!悪かった悪かった!」

 

少しばかり空き地の中で暴れてすっきりしたのか、倉田は車を止めた。

 

「ったく・・・よしっ!とりあえずさっきの住所を目指そう。全員乗車!」

 

こうして今日も1日がはじまる。

 



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#18 ラジオ局

やっと更新です。えらい間空きました、まあ社会人にもなりましたしこれからは1年に1回更新できればいい方じゃないですかね。

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘市 ラジオ局(?)行き 道中-----

 

「空が青いねぇ~、さすが"人"のいない廃都市(まち)」

 

伊丹が皮肉交じりにか呟く。

 

「こんな空、北海道にもありますよ。あ~あ、"例のトラック"待ってたのにとんでもないことになっちゃったなぁ・・・」

 

倉田が愚痴る、"例のトラック"とは伊丹も待ち望んでいた同人誌を満載した配達トラックのことだ。

 

「そろそろ着く頃か?」

 

伊丹は地図を確認している。

 

「ん~、あ、あれですかね」

 

倉田の指す方向を見てみると巨大なブロックにシャッターを付けただけのような建造物が鎮座していた。

「なんかコンクリの豆腐みてぇだな、マイ○ク○フトで15分かければこんなのできる気がする・・・」

 

伊丹はそんなことを言いながら車を降りる準備をしている。

 

-----巡ヶ丘市 ラジオ局(?)-----

 

コンクリートの建造物を前に全員で降車した。

 

「富田は車両の見張り、生存者の皆さんの防衛も任せる。倉田は俺と内部の探索だ、安全を確保した後に無線で外の富田たちを呼ぶからそのつもりで」

 

「「了解」」

 

「それから倉田、念のため初期感染者用試薬を3本もってけ、ホントに念のため、な」

 

「え、あ、はい」

建造物側面に付いていた梯子を使い屋上らしき場所に上る。

おそらく"奴ら"対策だろう。

 

「何だこりゃ、砂か?」

 

倉田の言う通り地面のそこら中に粒状の物質が散乱している。

 

「・・・コンクリ固めて間もないのかもしれない、雨が降ると表面のコンクリが若干浮いてこんなことになるんだ」

 

伊丹はどこで得たかよくわからない知識を倉田に伝授した。

 

「しかし変だな・・・なんで足跡がないんだ・・・?まだ4日ほどしかたってないのに、建てられてから1度も外へ出ていないのか?」

 

「見るところによるとこの建物はそこのハッチか正面のシャッターしか出入り口は見当たらないですしね」

 

「そもそもなんで一般の建物に屋上ハッチなんかついてるんだ、意味が分からん」

 

確かに一般の家宅に屋上用のハッチなんて必要ない。

伊丹はそこに引っかかりを覚えたのだった。

 

「ぐぐぐ・・・んにしても固ってぇなこれ!」

 

「さぁびてんじゃないっすかぁ!?」

 

現役自衛官2人が音を上げるほど・・・と言っても某かの装備が解放弁を回すときに干渉して回しづらいだけなのだが。

それでも日常的に利用してることを考えると固すぎるのだ。

 

「ぉぉもてぇぇ・・・」

 

伊丹がさらに音を上げる。

解放弁の固さもさることながらハッチ自体も厚みのためか結構重たい。

 

ハッチを開くとさらに梯子があり、降りた先にも銀行の金庫を彷彿とさせる解放弁の付いた扉があった。

 

「・・・開けるぞ?」

 

「了解」

 

伊丹が扉を開き、即座に2人とも89式を構える。

 

中にはCDの並べられたラック、放送器具と思われるコンポやアナログミキサーのコンソール、何に使うかわからないモニタにマイクスタンドが置かれている。

よく見るとミキサーは小型のもので普通の机の上に置かれており、ミキサーの周りは文房具などで雑然としている。

その中に何かが書かれた紙と鍵、倒れたマグカップがあった。

それら以外には特に目を見張るようなものはなく、辺りに誰かがいる様子もなかった。

 

「・・・」

 

伊丹は紙を持ち上げ内容を読んだ。

 

『扉を開けるな! 扉の先には私がいる。なるべく始末をつけるつもりだけど、うまくいくかはわからない。

 音がしたらそういうことだと思ってくれ。この手紙を見つけた人に、この家とこのキーを預ける。

 できれば、あなたと一緒にお茶を飲みたかった。できれば、あなたと一緒にここを出たかった。

 できれば』

 

「・・・?まだ手紙が温かい?」

 

伊丹は辺りを見渡し、右に扉があることを確認した。

耳を当てて音を聞いてみると、荒い息遣いが聞こえた。

 

「!!倉田!すぐに薬を準備しろ!!!」

 

「はっ、はい!」

 

倉田は自分のダンプポーチから初期感染者用試薬を取り出し、折れないよう注射器をスタンバイする。

 

「行くぞ・・・」

 

扉を開け中に入ると、床に倒れこみ、肩で息をしている生存者"らしき"人影を発見した。

 

「大丈夫か!?・・・外傷はないな、倉田!投薬用意!」

 

「了解、投薬用意!」

 

「ホントは黒川が居てくれりゃいいんだがな・・・まぁいい、俺らでも応急処置ぐらいできるだろう」

 

倉田の準備が完了し投薬を開始する。

 

「この人、妙に体温が低いですね・・・」

 

「こんな状態なんだ、当然だろう」

 

「・・・投薬完了!」

 

「よし、富田に連絡して搬送準備!」

 

そう言って、伊丹はPTTを押す。

 

「富田、要救助者だ、トラックの後ろを開けて待機せよ、あとどこかから板を持ってきて準備しておけ」

 

<<こちら富田、了解>>

 

伊丹は指示を出し、搬送準備にかかる。

 

「絶対助けてやるからな・・・」

 

伊丹は先ほど投薬を終えた生存者"らしき"人物に呟いた。

 




進んだ?いや進んでないな(泣)

ま、まぁ頑張ります


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番外編 #01 悪夢の始まり

最近東京マルイの89式買いましたよ。

やったねたえちゃん!これで挿絵が描けるよ!

うp主「でもペンタブないんだよねぇ」


ペンタブがほしい OTL

ぶっちゃけこの番外編はうp主の趣味なんであんまり話重視の人には向かないかもしれません(っていうかこの作品から離れた方がいいレベルかもしれない)
あとオリキャラ入ります。
それでもいい人はどうぞ


楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


ーーーーー巡ヶ丘市 某所ーーーーー

 

「なんだこれ・・・」

 

そこに立っていた数分間では、後にも先にもその一言以外は口にすることがなかった。

いや、口にすることができなかったのだ。

それは現実で起こるには余りにも非現実的で、非現実と捉えるには余りにも生々し過ぎた。

 

偶然巡ヶ丘市にやって来ていた岩国(いわくに) 蒼空(そら)は、さっきまで立っていたその場所を力いっぱい蹴り込み、一目散に自分の車へと戻った。

 

「こんなこと・・・有り得てたまるかッ!!」

 

岩国は車に乗り込むと、鍵が壊れるのではないかと心配になる勢いでエンジンに火を入れた。

 

「どこか高いところは・・・」

 

ぶつぶつと言いながら、街に入ったときに買っておいた地図を食い入るように覗き込み、目的の場所を探す。

 

「・・・あった!!」

 

場所を把握した岩国は周りの安全確認もすることなく手早くカラムをDのポジションにし、アクセルを力の限り踏み込んだ。

 

ーーーーー巡ヶ丘市 森林前の山道ーーーーー

 

「まったく、なんなんだ一体・・・なんか不気味だしとりあえず今日はここに車中泊か」

 

車を飛ばして15分少々の場所に位置する山道を少し上った待避所で停車中の車内で岩国が独りごちる。

もうすぐ日が落ちきり辺りも真っ暗になろうかとしていた。

ロケーションとしては巡ヶ丘市街に向けて開けた場所である。

にもかかわらずどういうわけかラジオが聞こえない。

そればかりか、ワンセグさえ入らない。

スマホの画面をよく見ると圏外のようである。

 

「明日になれば、みんな夢でした・・・とか映画の撮影でした・・・とかなら良いんだがな・・・」

 

何一つスッキリしないまま、岩国は眠りにつくことにした。

 

ーーーーー巡ヶ丘市 森林前の山道ーーーーー

 

岩国は、朝目が覚めてすぐに車のエンジンをかけカーラジオで情報収集をしようとした。

しかしAM、FMの両方のどの局も沈黙を守っていた。

 

「・・・一晩経ってもこの様・・・ね」

 

ひとしきり通信機器を確認した岩国は、車を走らせ市街地に戻ることにした。

 

ーーーーー巡ヶ丘市 某所ーーーーー

 

「・・・ゾンビ・・・か?これ」

 

茂みの中に隠れている岩国が疑問符を浮かべる。

市街地に戻った岩国が真っ先に目にした光景は、昨日のそれと打って変わって静かではあった。

しかし静かなのは“人“が居ないからであり事態が収集したわけではなさそうだった。

 

「とりあえずこれは・・・、非常事態だな!うん!!」

 

なぜか一人納得し、結論を得た岩国は車に戻り市内を探索することにした。

 

ーーーーー巡ヶ丘市 巡ヶ丘警察署ーーーーー

 

見る限り駐車場にはゾンビは2~5人、戦える武器がないので警察署にガサ入れしに来てみれば早速戦わなければならない状況に立たされているわけだ。

などと一人脳内で誰かに解説している岩国が警察署前の車道で駐車場の状況確認をしていた。

 

「ん~、轢き飛ばすしかないかのぅ・・・」

 

一般人ではまず考えることすら憚られる案が真っ先に岩国の頭に浮かんできた。

そんなときに岩国の目に留まったものがあった。

 

「・・・消火器、投げつけるもよし、吹っかけるもよし・・・あいつらって目に頼ってんのかね」

 

消火器は“奴ら“と岩国の間にあったので取りに行くこと自体は差して困難ではなかった。

 

「・・・よし、一か八かだな」

 

岩国は独りそう呟くと勢いをつけて車から飛び出した、その勢いに任せ消火器を引ったくり“奴ら“に向かい吹き付けた。

 

「ア“ア“ァ“ァ“ァ“ァ“ァ“ァ“ァ“」

 

見たところ効果はあったようだ。

そう確信した岩国は空の消火器を所持したまま警察署に飛び込んだ。

自動ドアは動かなかったが、もともと開いていたので岩国はそのまま突入した。

しかし、岩国はここで一度考えるべきだったのだ。

ドアが開いてると言うことは中にも“奴ら“が居るという可能性を。

 

「うわっ!?」

 

“奴ら“の存在に気付いた岩国は、間一髪で攻撃(?)を回避することができた。

 

「あっぶねぇな、こちとらパンピーなんですよぉ!?ちったぁ見逃してくれるのが人情ってもんでしょう・・・ってどっからどーみても人じゃないなこれ」

 

一人でボケて一人で突っ込んでいる辺りまだ余裕があるようだ。

 

ーーーーー巡ヶ丘警察署 2F 押収物品保管庫前ーーーーー

 

結論から言えば詰んでいるに等しい。

教室1つ分有ろうかという押収物品の中から武器になりそうな物を探すなどとてつもない時間と労力が必要である。

それを考えた岩国は、真っ直ぐ警察備品である銃器を拝借するべく武器庫を探し入ってみた。

案の定鍵付きのロッカーに収納されているようなのでロッカーの扉を壊して中身を取りだそうとしたところ、何と消火器を叩き込む程度ではビクともしなかったのだ。

さらにバールがないかと署内を探し回るも空振り、倉庫にあるかと思いきや倉庫はどこも鍵がかかっており探すどころか入ることさえままならなかったのだ。

無論、押収物品保管庫も決して例外ではない。

鍵がかかっており武器を探すどころではなかったのだ。

では鍵を探したらどうか、とも考えはした岩国だったのだがもちろんキーボックスの所在など一般人である岩国に判ろうはずもなく結局振り出しに。

そして現在に至るわけである。

 

「まあ、そんな警備ザルなわけないわな、仮にも警察署なわけだし」

 

残念そうに岩国が頷いていると、ガタンと同じフロアのどこかから物音がした。

 

「・・・おーい、誰かいるのかぁ?」

 

岩国は消火器を握る手に力を込め物音の主に問い掛ける。

すると刑事課のカウンターを乗り越え拳銃を構える人影が現れた。

 

「おいおいおいおいおいおい撃つなよ!?俺パンピー!!はっきり言うと被害者!!!」

 

岩国は銃口を向けられたことによって取り乱している。

 

「・・・、お前、意識はあるか?」

 

人影が岩国に問い掛ける。

 

「あるもないも見りゃわかんでしょ!あんた意識のない人間がしゃべってんの見たことあんのか!!」

 

岩国は半狂乱で応答する。

すると人影は銃口を下ろし、やがてその顔に僅かな光が当たり若干見えるようになった。

 

「いや、すまなかった、外があんなことになって疑心暗鬼になっちまってな」

 

先程まで拳銃を構えていた男が笑いながらそう弁解する。

 

「俺は朝野(あさの) 霞津夫(かつお)だ、よろしく」

「よろしくじゃねーよ!!マジで怖かったんだぞこんチキショウ!」

 

自己紹介も忘れ岩国は憤慨の意をこれでもかと力を込めて朝野にぶつける。

 




通信機器(意味深)←これうp主の趣味の一つね

一応岩国の設定としては新卒採用1年目ですね。
んで朝野さんはいい歳したおっちゃん刑事って感じですかね。

何はともあれ続きを早く書きたい(泣


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番外編 #02 心強い味方・・・?

お久しぶりです、takoです。

なかなかマニュアルの全容が出てこねぇな(爆)

キータッチ本格的に止まっちゃいました(オイ)

一応番外編でつなごうと思います(策無し)

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


-----巡ヶ丘警察署 2F 廊下-----

 

ひとしきり喚き終わった岩国が肩で息をしていることを確認した朝野は拳銃弾の残りを確認していた。

 

「・・・さすがに10発そこらじゃ危ねぇかな・・・」

 

朝野は小さく呟いた。

が、小さくというのは本人が思っているだけで、かなり大きな独り言に近かった。

 

「・・・すんません、取り乱して。俺、岩国(いわくに) 蒼空(そら)って云います。一応社会人1年目っす」

 

岩国が自己紹介をし、先ほどまでの罵詈雑言について謝罪した。

 

「いやなに、かまやしないさ。俺だっていきなり銃口向けられりゃわめくだろうさ」

 

「そうですか、ところで、この押収物品用の倉庫って開けられないんすか?武器とかありそうなんですけども」

 

岩国はそう尋ねる。

しかし朝野は渋い顔をしている。

 

「まさか・・・お前が?使うの?警官の俺の前で?」

 

朝野が怪訝な顔で岩国に訊く。

 

「ん~銃が駄目なら改造エアガンとかでもいいんですけど」

 

「んー・・・あ、そういやこの前生安課が逮捕(パク)ってきたやつらの押収物品にいいのがあった気がするな」

 

そう言って朝野は鍵を探しにカウンターの奥へ入って行った。

 

しばらくすると鍵の束を持って戻ってきた。

 

「一応開けるがマジモンのハジキは持ってくなよ?後で監査入っても困るし、頼むからエアガン辺りにしてくれよ?」

 

朝野は岩国に念を押す。

 

「大丈夫ですよ、そもそもガチの銃なんか持ってったってまともに中らないのは目に見えてますし、まだ肩壊したくないですし」

 

そう言って岩国は物色にかかった。

朝野も後に続く。

 

しばらく倉庫内を探していると、岩国は何やら長い箱の一群を見つけた。

 

「・・・お宝の予感?なんて言ってる場合じゃないけど」

 

箱を一つずつ開けていくと中身はスナイパーライフルやアサルトライフルといった、所謂長物系のエアガンだった。

 

さらに周辺を見渡すとハンドガン系、果ては手榴弾(BB弾詰め)がいっぱいに詰め込まれた段ボール3箱を発見したのだった。

 

「・・・俺土地勘ないんですけどよっぽどここって治安悪いんすか?」

 

岩国は朝野に尋ねた。

 

「・・・俺も知らん、どーせ管理責任者の私物も混ざってんだろ、今なら俺が許す、パチっとけ」

 

岩国は、ご丁寧に予備のガスやBB弾・バッテリー・ガンアクセサリー(スコープ等)が満載された段ボールを倉庫の外に運び出した。

 

「ぅぅ・・・腰痛い・・・」

 

「シャキッとしろ若いもんが」

 

岩国は重い段ボールをいくつも運んだことにより若干へばってしまっているようだ。

朝野はそれを叱咤している。

 

「朝野さんも運んでみればいいんすよ。玩具(おもちゃ)のくせして重いんすからコレ」

 

「文句言うな、とっとと車に運んじまえ」

 

「いじわる~ぅ・・・」

 

そんなやり取りをしながら、何とか岩国の車までたどり着いた。

 

「朝野さんはこれからどうするんすか?」

 

岩国が尋ねる。

 

「んー・・・辺り見た感じじゃ車全滅っぽいしどっかまで乗っけてってくれないか?」

 

「いいっすけど具体的にどこまでっすか?」

 

「とりあえず駅周りだな、あの辺なら車の1,2台転がってんだろ」

 

朝野は適当そうに返す。

 

「まぁ・・・それじゃ行きますか」

 

2人は車に乗り込み、一路駅を目指すことにした。

 

「・・・って!あなた警官のくせして他人の車パクる気ですか!!!」

 

出発する前にようやく気付く岩国であった。

 




短いね!(泣)

もういっそのことマニュアルどっかに投げてオリ路線突っ走ろうかな(爆)


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