この素晴らしい世界に友人を! (きゅうじょう)
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プロローグ

 

気がつくと俺は神殿の様な場所にいた。

 

風間(かざま)(はやて)さん。ようこそ死後の世界へ。私はあなたに新たな道を案内する女神、エリス。この世界でのあなたの人生は終わったのです」

 

そう言われて自分がなぜ死んだかを思い出す。

 

死ぬ前に友達が死んでしまった。そいつは学校に行かず引きこもりであったがゲームの話しなどでよく一緒に遊んだりしていた。もちろん俺は学校に行っていたが。そいつがこの前ショック死で死んでしまい、次の日悲しみながら学校に行く際に車に轢かれてしまったのだ。

 

「そうか、俺も死んだんだな」

 

「はい。悲しい事ですが過ぎてしまったことはどうしようもありません。そこであなたには二つの選択肢があります。一つは生まれ変わり新たな人生を歩む。もう一つは天国でお爺さんたちの様な生活をするというものですが…」

 

そこでエリスは一旦止めて新たな案を言った。

 

「今ではもう一つ選択肢があります。そのもう一つと言うのはゲームの世界に転生することです」

 

「ゲームの世界に…転生ですか?」

 

俺はイマイチ飲み込めずに首を傾げた。

 

「はい。ゲームの世界には魔王がいます。その魔王達に殺された人は怖がりその世界での生まれ変わりを拒否してしまいます。なので今その世界での人口が減って来ているのです。なら違う世界の人達をそのまま送ってしまおうと言う案が出ているのです。そして、その世界に転生する人は何か一つ、特殊能力や伝説級の武器などを差し上げているのです。…この世界で生まれ変わるか天国に行くか異世界へと飛ぶか、どうしますか?」

 

「異世界でお願いします」

 

俺は即答した。

 

「では一つ持って行くものを選んでください」

 

そういってエリスは特殊能力や武器などの名前が乗った一覧をこちらに見せて来た。本格的なものからネタを入れた物まで様々な物があった。俺は一つの能力で目が止まった。

 

「じゃあ、この『ラーニング』でお願いします」

 

このラーニングとは他の人が使った技を一瞬で覚えて自分の物にする事が出来る特殊能力。この能力で魔法なんかを使って見たいと言う訳だ。

 

「分かりました。風間颯さん。あなたをこれから異世界へと送ります。魔王討伐のための勇者候補の一人として。魔王を倒した暁には神々からの贈り物を授けましょう」

 

「贈り物ですか?」

 

「そう世界を救った偉業に見合った贈り物。……たとえどんな願いでも一つだけ叶えて差し上げましょう」

 

それは嬉しい。俺はとりあえず魔王を倒す事を考えなくてはならない誰よりも早く。まあ、今の所何も願いなんて無いのだか。

 

「さあ、勇者よ!願わくば、数多の勇者候補の中から、あなたが魔王を打ち倒す事を祈っています。………さあ、旅立ちなさい!」

 

そして俺は明るい光に包まれた。



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ああ、駄女神さま
冒険者


 

「本当に異世界だ…」

 

俺の第一声はそれだった。見たことも無い街ヨーロッパ辺りの様な作りだ。車なんて物は無い。周りには人が沢山いたがその中にエルフや獣人の様なやつもいた。

 

「とりあえず何したら良いんだ?こう言う時はまずギルドかな」

 

そういって俺は道を尋ねながら酒場に向かった。

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー。お仕事なら奥のカウンターへ、お食事なら空いてる席へどうぞー!」

 

ウェイトレスが愛想よく出迎えてくれる。俺は迷わず奥のカウンターへ行った。

 

「すいません。冒険者になりたいですが…」

 

「そうですか。では登録手数料千エリスが必要になりますが大丈夫でしょうか?」

 

…手数料?

 

俺は冷や汗をかきながらポケットに手を入れた。中からはジャリジャリと金属がこすれる様な音がする。出して確認すると合計で三千エリスあったので千エリスを出した。

 

「では冒険者の簡単な説明を…。冒険者とは街の外に生息するモンスター。人に害を与えるモノの討伐を請け負う人の事です。とはいえ基本は何でも屋みたいなものです。そして冒険者には各職業がございます」

 

ゲームで言うジョブやスタイルと言うやつだろう。受付の人が免許証くらいの大きさのカードを差し出した。

 

「こちらにレベルと言う項目がございますね?ご存知の通り、この世界のあらゆるものは、魂を体の内に秘めています。どの様な存在も生き物を食べたり殺したり。他の何かの生命活動にとどめを刺すことで、その存在の記憶の一部を吸収できます。通称、経験値、と呼ばれるものです。それらは目で見ることができませんが、」

 

受付の人がカードの一部を指差し、

 

「このカードを持っているとそれが表示される様になります。この経験値を貯めて行くとレベルが上がります。そしてレベルが上がるとスキルを覚えるためのポイントがもらえますので是非頑張ってレベル上げをしてくださいね」

 

説明が終わると受付の人は書類を出して来た。

 

「ではこちらの書類に身長、体重、年齢、身体的特徴等の記入を願います」

 

身長167cm体重58kg年齢16、黒髪に黒目…

 

「はい、ありがとうございます。ではこのカードに触れて下さい。それでステータスが分かるので、その数値に応じた職業を選んでください」

 

俺はカードに触れた。

 

「ありがとうございます。カザマハヤテさん、ですね。ええと普通の人よりかは優れていますね。敏捷性が凄く高いですね。ですがこれではギリギリ冒険者しか選べませんね」

 

「あはは。これから頑張りますよ。それに初期の職業って言うのも悪くないでしょうしね」

 

「レベルを上げると転職も可能なので頑張ってください」

 

受付の人は元々よかった姿勢のまま笑顔を浮かべて

 

「冒険者ギルドへようこそ、カザマハヤテさん。スタッフ一同、今後の活躍を期待しています」

 

こうして俺は異世界で冒険者になった。



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初戦闘そして再開

 

俺は今バイトをしている。

 

なんでバイトをしているのかって?

 

装備を買うのに全く金が足りなかったんだよ!と言うわけで二週間ほどバイトをしていた。そろそろ金が溜まって来たので次の日に装備を揃えて冒険者らしくモンスターを倒しに行くことに決めた。

 

 

 

 

 

俺は今モンスターを倒しに草原に来ている。この草原には他の冒険者もいた。だが一組の冒険者達がよくわからないことになっていた。まず女性が何かを力説していた。それは別に気にならないのだがそのすぐ後ろにジャイアントトード、所謂巨大なカエルが女性を食べられてしまっている。今はカエルに食われた女性を少年が助けに行っているところだ。

 

そして俺はその少年に見覚えがあった。

 

その少年を確かめるために俺はその二人組の所へ向かった。

 

「あの大丈夫ですか?」

 

取り敢えず俺は女性の心配をした。流石に巨大カエルに捕食されたらトラウマになるだろう。その女性は泣きじゃくっていてまともに話しなんて出来なかったので、少年が答えた。

 

「ああ、大丈夫です…ってすいません俺の記憶違いじゃ無かったらあなたの名前は風間颯じゃ無いですか?」

 

「やっぱり和真だったのか!久しぶりだな!…と言って話を盛り上げたいんだが取り敢えずこの女性をどうにかしないとな」

 

「そうだな。大丈夫かアクア、その、今日はもう帰ろう。受けたクエストは三日間でカエル五匹の駆除だけど俺達の手に負える相手じゃない。もっと装備を整えてから挑戦しよう」

 

「ぐすっ……。女神が、たかがカエルなんかにこんな目に遭わされて黙って引き下がれるもんですか!カエルに相手に引き下がったなんて信者に知られたら美しくも麗しいアクア様の名が廃るってものだわ!」

 

ちなみにアクアと呼ばれた女性。今のアクアの姿はカエルの粘液でヌラヌラとてかっている。凄く汚い。立ち上がったアクアはそのままカエルに向かって走って行った。

 

「あ!おい、待てアクア!」

 

アクアはカズマの制止も聞かずにカエルに殴りかかった。

 

「神の力、思い知れ!ゴッドブロー!」

 

なんかさっきから神様を自称しているアクアが変な技名を叫びながら殴った。だがその拳はカエルにめり込みカエルは何事も無かったかの様にアクアを捕食した。

 

俺とカズマはアクアを助けにカエルに切りかかった。アクアを助けた後俺はカズマに聞いた。

 

「なあ、自称神様のアクアは馬鹿なのか?」

 

「そうだな知力が最低レベルな位馬鹿だ」

 

「なんか見た目凄く綺麗なのに中身で損してるな」

 

「本当に勿体無いと思うよ、俺も」

 

カエルに再び捕食され泣きじゃくっている神様を連れて俺達三人は街へと戻った。



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新しい仲間・アークウィザード編

 

俺はカズマと一緒にいたアクアという人と酒場に来ていた。

 

「あれね、二人じゃ無理だわ。仲間を探しましょう」

 

いきなりアクアがこんな事を言い出した。俺は良い機会だと思い自分も仲間に入れてくれと頼んだ。

 

「あの、アクアだったか?俺も仲間に入れてくれないか?」

 

「嫌よ。だってあなた最弱職の冒険者でしょ?私は上級職を探してるのよ。分かったらとっととどっかに……ってカズマさん?この手は何?ねぇ、ちょっと痛くなって来たんだけど!ねぇ、カズマさん離してよ!痛い痛い!」

 

カズマがアクアの首根っこを強く掴み俺に謝って来た。

 

「すまない、ハヤテ。こいつ口が悪くてな。俺たちなら大歓迎だこれからもよろしくな。俺の職業は冒険者でアクアがアークプリーストだ。プリーストの上級職だ。知力は壊滅的だが他の部分は優秀だからこき使ってやってくれ」

 

「なによ!カズマだって運以外殆ど最低辺じゃない!それに、私は水の女神アクア様よ?あなたみたいな最弱職とは訳がちが痛たたたたた!」

 

アクアがカズマの悪口を言おうとするとカズマがまだ掴んでいた首根っこを強く掴み直した。

 

「うん、まあ、よろしくな。カズマはまたこれからも仲良くやろうぜ」

 

「おう!お前がいると心強いよ!」

 

「そう言ってもらえるとありがたいよ。アクアもよろしくな」

 

「あら?私は水の女神アクア様よ?きちんとアクア『様』と言いなさい?」

 

「良い加減にしろ、この駄女神!」

 

そう言ってカズマがアクアの頭を叩いた。

 

 

 

 

 

「なあ、流石にハードル下げないか?上級職だけ募集しても集まらないと思うんだが。ここって駆け出しの街だろ?絶対無理だろ」

 

「うう、だってだって…」

 

昨日に求人の張り紙を出したのは良いが、条件を上級職だけに絞っていたので誰一人と来なかった。今も待ち続けているが今の所こっちに来る人がいないので俺がハードルを下げようと提案した。

 

「ハヤテの言う通りこのままじゃあ一人も来ないぞ?大体お前は上級職かもしれないが俺とハヤテは最弱職なんだぞ?それに俺は強い能力とか持ってないし。……そういやハヤテはなんか特典もらえたのか?」

 

「ああ、俺はラーニングを貰ったよ。見ただけでスキルが覚えられる固有能力。使い勝手が良いと思ってこれにしたんだ」

 

「確かにRPGでそんなのあったらチート級だな」

 

「おい、カズマ。ここはゲームの世界なんだぜ?俺はチート保持者となんら変わらないんだぞ?」

 

「そういえばそうだったな。さて雑談も終わったし俺は募集のハードルを下げに行って………」

 

カズマがそう言って立ち上がろうとすると一人の女の子がこちらに歩いてきた。

 

「上級職の冒険者募集を見て来たのですが、ここで良いのでしょうか?」

 

気だるそうな声、眠そうに開いた紅い瞳。肩口まで届くか届かないかの長さの黒い髪。そして、黒マントに黒いローブ、黒いブーツに杖を持ち、トンガリ帽子を被りさらに眼帯までしている典型的な魔法使いの少女が声をかけて来た。

人形の様に可愛い女の子。年齢は12、3歳位だろうか?そんな小柄な少女がマントをバサッと翻し、

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者…!」

 

「冷やかしに来たのか?」

 

「ち、ちがわい!」

 

カズマが突っ込むとめぐみんという少女は慌てて否定した。

 

「その赤い瞳。もしかしてあなた紅魔族?」

 

アクアは何か知っている様でめぐみんはその質問に頷き、俺に冒険者カードを渡して来た。

 

「いかにも!我は紅魔族随一の魔法の使い手、めぐみん!我が必殺の魔法は山をも崩し、岩をも砕く……!という訳で、優秀な魔法使いはいりませんか?そして図々しいお願いなのですが、もう三日も食べていないのです。できれば、面接の前に何か食べさせてくれませんか…」

 

お腹を押さえて悲しい視線を送るめぐみん。

 

「じゃあ俺が出すよ。何を食べたいんだ?」

 

「ありがとうございます!ではこれとこれを…」

 

めぐみんに言われたものを頼みカズマが眼帯について触れたが怪我などではなくただのオシャレらしい。そしてアクア情報だと紅魔族と言う種族は生まれつき高い知力と強い魔力を持っていて、変な名前を持っているらしい。

 

「ちなみに両親の名前は?」

 

「母はゆいゆいで、父がひょいざぶろーです」

 

誰だ紅魔族に変な名前つけ始めた奴は。凄くダサいぞ。

 

「まあ、気になることはあるが強い魔力を持っていて上級職のアークウィザードなら良いんじゃないか?」

 

カズマがそう言うとアクアも承諾した様に頷いた。

 

「おいその気になることが何か聞こうじゃないか」

 

めぐみんは頼んだ飯を食べながら文句を言った。

 



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爆裂魔法の威力と代償

俺たちはめぐみんと共に草原へ出ていた。

 

「爆裂魔法は最強魔法。その分魔法を使うのに時間がかかります。その準備が終わるまで足止めをお願いします」

 

「OK。任された。カズマ、俺は先に行くぞ」

 

「おう、前衛は任せた。おい、行くぞアクア。今度こそリベンジだ。お前は元なんたらなんだろ?その元なんたらの実力を見せてくれよ」

 

「元ってなによ!現在進行形で女神よ!」

 

と、後ろで何か騒がしいことになっていたが俺はそれを無視してジャイアントトードに向かって走って行った。ファンタジーの世界といっても駆け出しの街の目の前にある草原にいる雑魚モンスターだ。多分こいつらはスライム的なポジションなんだろう。

 

ジャイアントトードは捕食しかしてこないようで、こちらに噛みつこうとするが、俺は俊敏が速いことを活かしてヒットアンドアウェイの戦い方をして一体を倒した。

 

そして一体を倒したところで後ろからめぐみんが魔法の準備が整ったことを知らされたのでめぐみんと同じところまで下がった。

 

「見ていてください。これが人類が行える中で最も威力のある攻撃手段。これが究極の攻撃魔法です」

 

めぐみんの持っている杖の先に光が灯る。凝縮されたような光が小さいながらも眩しいくらいに光っている。

 

そして見ている俺がとる行動はラーニング。究極の攻撃魔法。そんなことを聞かされたら覚えないわけにはいかない。

 

「『エクスプロージョン』!」

 

めぐみんの杖から一筋の光が飛び出す。その光がカエルに飛んでいき、カエルに当たると、突如俺たちは光に飲み込まれた。震える空気と大地。それが消えた頃にはカエルの姿は無くなっていた。カエルがいた場所は大きなクレーターが出来ており、その大きさは二十メートル以上の大きさだった。

 

「すっげー。これが魔法か…」

 

「この魔法強すぎるだろ…。明らかにオーバーキルじゃねぇか…」

 

正直いって俺がこれを使うのはまだ先になるだろうと思った。魔力とか絶対足りないし。俺は冒険者カードを確認しスキル欄に『エクスプロージョン』と書かれていることを確認してポケットにしまった。

そして、ふとめぐみんの方を向くとめぐみんが倒れていた。

 

「お、おいどうした?」

 

「ふ…。我が奥義である爆裂魔法は、その絶大な威力ゆえ、消費魔力もまた絶大。要約すると身動きが取れないので助けてくれませんか?あ、近くからカエルが湧き出してきました。やばいです。食われます。ちょ、助け…ひぁっ…!?」

 

俺とカズマはアクアとめぐみんを食べている間にカエルにとどめを指しジャイアントトード五匹の討伐を完了した。

 



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爆発音の後の帰り道

遅くなりました。めぐみんが可愛かったので1時間位で仕上げました。


 

「うっ…うぐっ…。ぐすっ…。生臭いよう……生臭いよう………」

 

アクアはカエルに食われて粘液まみれになりカズマに手をひかれていた。そしてめぐみんは俺の背中におぶさって「カエルの粘液って良い感じに暖かいのですね」などといらない知識を増やしていた。

しかし、まさか魔法使いが魔力を使い果たすと生命力まで削られるとは思わなかった。めぐみんは強力な爆裂魔法を撃つ代わりにその貧弱な体力を減らしていた訳だ。

俺だったら絶対撃たないな…。

 

しかしラーニングをしているので俺の冒険者スキルには『爆裂魔法』としっかり記されている。

今後使う機会はなさそうだが。

 

「今後は爆裂魔法は緊急時以外使用禁止だな」

 

「そうだなあんなにリスクがあるなら何度も使っていられないしな。今度は他の魔法を使ってくれ」

 

俺の背中におぶさっているめぐみんが、肩を掴むてに力を込めた。

 

「……使えません」

 

「え?」

 

「使えません」

 

「もしかして爆裂魔法しか使えないのか?」

 

まさかと思いながらも俺はめぐみんに質問する。

 

「……そうです。私は爆裂魔法しか使えません。他にはいっさい魔法が使えません」

 

それを聞いたカズマが

 

「……マジで?」

 

「……マジです」

 

そこでやっと泣き止んだアクアが会話に参加する。

 

「爆裂魔法以外使えないってどう言うこと?爆裂魔法を習得できる程のスキルポイントがあるなら、他の魔法を習得してない訳が無いでしょう?」

 

確かにRPGの世界ならレベルが上がりスキルポイントが手に入っても、いきなり最強の攻撃魔法には割り振れ無い。基本的には前提のスキルをとってから習得するものだ。この世界は違うかもしれないが…。

 

ちなみに俺がそんなことを思っている横でカズマはアクアにスキルポイントについて教えて貰っていた。

 

スキルポイントはレベルが上がれば手に入ったりするが、それ以外にも優秀な能力を持つ人は初期のポイントが多かったりする。それ以外にポイントを手に入れる方法はスキルポイントが増えるポーションなんかがあるそうだ。

アクアは何故か宴会芸スキルを全習得してからアークプリーストのスキルを全習得したらしいが、宴会芸スキルなんてものがあるのか?いつ必要なんだ?

 

「爆発系の魔法って複合属性って言って火や風系列の魔法の深い知識が必要なの。つまり爆発系の魔法を習得できるなら、他の属性なんて簡単に習得できるはずなのよ」

 

「爆裂魔法なんて上位のスキルを習得しているなら、下位の魔法を使えないわけが無いってことか。…で、宴会芸スキルってのは何時どうやって使うんだよ?」

 

そんなカズマの疑問にはアクアは一切答えずにめぐみんがポツリと呟いた。

 

「…私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。爆発系の魔法が好きなんじゃありません。爆裂魔法が好きなのです」

 

「いや、まあ、敵を吹き飛ばすならあの魔法は最高だけどリスクが大きすぎるからなあ…」

 

「もちろん他の魔法を習得すれば冒険が楽になるでしょう。火、水、土、風。この基本の四属性だけでも取っているだけでも違います。…でも。ダメなんです。私は爆裂魔法しか愛せない。たとえ一日一回の魔法でも私は爆裂魔法しか愛せないのです!」

 

キラキラと目を輝かせ熱弁しているめぐみんにアクアが感動していた。

 

俺は「まあ、ロマンちゃあロマンだが…」と思っていた。

 

「そっか。多分茨の道だろうけど頑張れよ。それじゃあギルドに着いたら報酬を山分けしよう。うん、まあ、また機会があれば何処かで会うこともあるだろ」

 

そう言ってめぐみんにさようならをしようとするとめぐみんの手にさらに力が入る。

 

「我が望みは魔法を放つこと。報酬などおまけに過ぎず、なんなら山分けでなく、食事とお風呂とその他雑費を出してもらえるなら、我は無報酬でもいいと考えている。アークウィザードである我が力が今なら食事とちょっとだけ!これはもう、長期契約交わすしかないのでは無いだろうか!」

 

これはもう、怪しい商品を売りつけてくるのとおんなじでは無いだろうか?

俺はこういうのは可哀想であまり見捨てたくはないのだが…能力的には仕方ない。俺らのリーダーはカズマだしな。

めぐみんの言葉にカズマはご遠慮願うとばかりに断っていたが街の人に「小さい子を捨てようとしている」

「粘液まみれの女の子を連れている」

などなどいろんな誤解を受けている。めぐみんは口を歪めて

 

「どんなプレイでも大丈夫ですから!先ほどのカエルを使ったヌルヌルプレイだって耐えて見せ「よーし分かった!めぐみん、これからよろしくな!」……よし!」

 

俺は苦笑しながら粘液で濡れていない所の髪を優しく撫でて言った。

 

「これからよろしくな、めぐみん」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

その顔には笑顔が溢れていた。




このすばで好きなキャラはめぐみん、ゆんゆん、エリス様、クリスです


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二人目の上級職

1話1話の文字数が少ないですが許してください


 

めぐみんを仲間に加えた俺たちはギルドに来ていた。

 

「はい、確かに。ジャイアントトードを三日以内に五匹討伐。クエストの完了を確認致しました。ご苦労様でした」

 

受付に報告を終えて、規定の報酬を貰う。俺はクエストを受けていなかったので報酬はカズマ達のものなので俺は貰わない事にした。

 

現在俺のレベルは3だ。カエルを自分で2匹でこの程度である。カズマも自分のレベルを見ていたらしい。

 

「本当にゲームの世界なんだな…」

 

「ああ、モンスターを倒すだけでレベルが上がって強くなるんだな…」

 

めぐみんは俺たちを見て首を傾げるだけだった。

レベルが上がったのでスキルポイントも上がっていた。俺のスキルポイントの初期値は5なので、今は2上がって7だ。

正直に言ってスキルポイントを使わなくても誰かの魔法、技を見るだけでラーニングが発動してスキルを覚えれるのでスキルポイントを使わなくても良いと言うチートである。このまま貯め続けても良いかもしれない。

 

「ではジャイアントトード二匹の買い取りとクエストの達成報酬を合わせまして、十一万エリスとなります。ご確認ください」

 

と言って、受付の人がカズマにお金を渡す。

 

「ハヤテ様もどうぞジャイアントトード二匹の買い取りで一万エリスです。ご確認ください」

 

そう言えば俺は別に二匹倒していたんだった。思わぬ所で収入があったのでありがたい。

これからどうしようかとカズマと相談しようとすると女性が話しかけて来た。

 

「…すまない、ちょっと良いだろうか?」

 

その姿は女騎士。身長約170センチ、金属鎧に身を包んだ、金髪碧眼の美女だ。

 

「あ、えーっと、なんでしょうか?」

 

若干上擦った声でカズマが応える。

 

「うむ。この募集は、あなたのパーティーのものだろう?もう人の募集はしていないのだろうか」

 

カズマとアクアが貼った募集の紙。めぐみんをパーティに入れてから、まだはがしていなかった事を思い出す。

 

「あー、まだパーティーメンバーは募集してますけど、あまりオススメはしませんよ?」

 

「ぜひ私を!ぜひ、この私をパーティーに!」

 

カズマがやんわりと断ろうとすると女騎士が、カズマの手をガッと掴んだ。

 

「い、いやいや!ちょっ、待って待って、色々と問題があるパーティーなんですよ。仲間2人はポンコツだし、俺ともう一人のやつは最弱職で、さっきだって仲間二人が粘液まみれにな、いだだだだっ!」

 

粘液まみれというワードを聞くと女騎士の手にさらに力が入った。

 

「やはり、先ほどの粘液まみれのの二人はあなた達のなかまだったのか!一体何があったらあんな目に……!わ、私も……!私もあんな風に……!」

 

うわー。この人Mだ。俺的には苦手な人である。

俺がMだなと思っていると、女騎士はすぐに訂正した。

 

「いや違う。あんな年端もいかない二人の少女、それがあんな目に遭うだなんて騎士としては見過ごせない。どうだろう、この私はクルセイダーというナイトの上級職だ。募集要項にも当てはまると思うのだが」

 

正直に言って俺は無理だ。ドSや、ドMと言った人達は俺には無理である。近づけない、喋れないというわけでは無いが、常に距離をおきたくなる人達だ。

しかしパーティーリーダーはカズマなので全てあいつに任される。

 

そしてカズマも断ろうとしていたのだがこの人の駄目な部分が更に出て来た。

 

「実は、私は耐久力と力には自身があるのだが不器用で……。その、攻撃が全く当たらないのだ……」

 

そう言いながらカズマに近づいて行く。カズマは断ろうとしたのだが、粘液まみれになるかもしれない、という言葉を聞いてもやはりと言うか「望む所だ!」と胸を張って言った。カズマも断りきれなかったのか取り敢えず様子見となった。




ハヤテ、後半全然喋ってねぇな


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盗賊の少女

ちょっと雑になってしまった

そして、UA2000突破!ありがとうございます!


 

「なあ、ききたいんだがスキルの習得ってどうやるの?」

 

カエル討伐の翌日。カズマ達と昼食をとっていた。俺とカズマは普通に食べ、めぐみんは一心不乱に定食を喰らい、アクアは近くの店員におかわりを注文していた。そしてカズマの質問に答えたのは定食を食べていためぐみんだった。

 

「スキルの習得ですか?カードに出ている、現在取得可能なスキルってとこから……。ああ、カズマは冒険者でしたね。冒険者は誰かにスキルを教えて貰うんです。目で見て、やり方を教わると、カードに取得可能なスキルとして出てきます。後は、それにポイントを使って習得できます」

 

「カズマお前なんも知らないな。最初の受付の人にも教えて貰ったと思うんだが?」

 

「あ、あの時はちょっとぼーっとしててな…」

 

完全に忘れていたカズマであった。

 

「じゃあ、めぐみんに教えてもらえば、俺も爆裂魔法撃てるようになるのか」

 

「その通りです!」

 

「うおっ!」

 

カズマの何気ない一言に、意外に食いつきを見せるめぐみん。

 

「その通りですよカズマ!まあ、習得に必要なポイントはバカみたいに食いますが、冒険者はアークウィザード意外で唯一爆裂魔法が使える職業です。爆裂魔法を覚えたければ幾らでも教えて上げましょう。と言うか今から早速覚えに行きましょう!ハヤテも行きましょう!」

 

「ちょ、落ち着けロリっ子!つーかスキルポイントってのは今3ポイントしかないんだが、これで習得できるのか?」

 

「ろ、ロリっ子…!?」

 

「ま、まあ、俺は既に爆裂魔法覚えてるからな。他のスキルを…」

 

「な、なんですって!」

 

更に興奮しためぐみんが顔を近づけてくる。

 

「い、いつ!いつ習得したのですか!?」

 

「お、落ち着けってめぐみん!習得したのは昨日だ。めぐみんが爆裂魔法を撃ったのを見たからな」

 

「撃った所を見ただけで習得したと言うのはどう言うことですか!」

 

めぐみんの興奮が止まらないので早急にネタバラシをする。

 

「落ち着けって。俺はラーニングっている特殊能力を持っているんだ。この能力は、見たスキルを一瞬で覚えることができるんだ。だから見ただけでスキルを習得できるんだよ」

 

そうめぐみんに言うと。口をぽかーんと開けていた。信じられなかったのだろう。そりゃそうだ。こっちの世界の人にとってはそれはあり得ないことである。

 

「信じてくれるなんて思ってないから大丈夫だぞ。今度見せる機会もあるだろうしな」

 

「じゃあ今度に期待することにします」

 

めぐみんとの会話が終わると、横から声がかけられる。

 

「君たちがダクネスが入りたがっているパーティの人かな?有用なスキルなら盗賊スキルなんてどうかな?」

 

 

 

 

 

冒険者ギルドの裏手の広場で俺達は今さっき出会った盗賊のクリスと言う少女にスキルを教えて貰うことになった。

 

「めぐみん、俺のカードだ。今からラーニングを使って盗賊スキルを覚えるから見ててくれ。ちゃんと発動したらスキル欄に追加されるから」

 

「分かりました」

 

今の俺のスキル欄には『エクスプロージョン』しかない。俺を見ればめぐみんは多分信じるだろう。

 

「じゃあ話し合いも終わったようだし、『敵感知』と『潜伏』を行ってみようか。じゃあダクネス、向こう向いてて?」

 

「ん?分かった」

 

言っていなかったが昨日のドMのダクネスも来ている。そして、ダクネスは反対方向を向いた。クリスはと言うとちょっと離れた樽の中に入った。…多分これが『潜伏』なんだろう。

めぐみんは俺のカードを見て驚いていた。と言うことは多分覚えたんだろう。本当に楽な特殊能力である。

クリスは更にダクネスに石を投げつけた。ダクネスは振り向きクリスが隠れている樽に向かって歩き出す。クリスは

 

「敵感知…、敵感知!ダクネスの怒っている気配をピリピリと感じるよ!…ねぇダクネス?これはスキルを教えるために仕方なくやってることだからあああああぁぁぁ!」

 

そのまま、樽に入ったまま転がされていた。

 

 

 

次はクリス一押しの『窃盗』を教えてくれるらしい。ようは相手のアイテムをランダムに奪うと言うスキルだ。

 

「じゃあまずカズマに使って見るからね?『スティール』!」

 

クリスが手を前に突き出して、叫ぶ。するとその手にはカズマの財布が握られていた。

 

「俺の財布!」

 

「お、当たりだね。こんな感じで使うわけさ。それじゃ、財布を…」

 

クリスが渡そうとしていた財布を引っ込めこんな事を言ってくる。

 

「ねぇあたしと勝負しない?カズマが窃盗スキルを使ってあたしのアイテムを盗む。それはこの財布と交換って事。どう?やる、やらない?」

 

カズマはこの賭けに乗りスキルを覚えてクリスの目の前に立つ。

 

「さぁ、何が取れるかな?財布が敢闘賞。当たりは魔法が掛けられたこのダガーだよ!残念賞はさっきダクネスにぶつけるために多めに拾った石だよ!」

 

「ああ!きったねぇ!そんなのありかよ」

 

確率的には石が多いんだろうと思う。まあ、財布とその辺の石ころが交換となると最悪である。気持ちはわからなくもない。

 

「くらえ!『スティール』!」

 

そしてカズマが握ったアイテムは…!

 

 

クリスのパンツだった。

 

「ヒャッハー!当たりも当たり!大当たりだ!」

 

「いやああああぁぁぁ!ぱ、パンツ返してええええぇぇぇ!」

 

クリスが自分のスカートの裾を抑えながら涙目で絶叫した。




この調子で投稿して行きたい


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カズマの運そして変態クルセイダー

 

クリスはパンツを返してもらうのと引き換えにカズマの財布とクリスの財布を渡した。そのため一文無しになってしまったので臨時のパーティを組んで稼ぎに出かけた。

 

「で?ダグネスさんは行かないの?」

 

「うむ。私は前衛職だからな。前衛職なんて何処にでも有り余っている。でも盗賊はダンジョン探索に必須な割りに、地味だからと言う理由であまり人がいないから需要なら幾らでもある」

 

「だけどもう夕方だぜ?今からダンジョン探索に行くのか?」

 

俺の疑問に答えたのはめぐみんだった。

 

「ダンジョン探索はできることなら朝一で突入するのが望ましいです。なので、ああやってダンジョン前で朝までキャンプするんですよ。ダンジョン前にはそういった商売すら成り立っていますしね。それで?カズマは無事にスキルを習得できたんですか?」

 

「まあ、見てろって。いくぜ!『スティール』!!」

 

カズマがめぐみんに手を突き出しスキルを発動する。その手には白い布が握られていた。

 

ぱんつである。

 

「……なんですか?レベルが上がってステータスが上がったから、変態にジョブチェンジしたんですか?……あの、スースーするのでぱんつ返してください……」

 

「あ、あれ!?おかしいなあ、こんなはずじゃ…。ランダムで何かを奪うはずなのに……」

 

顔を赤らめてスカートの裾を抑えているめぐみんにぱんつを返したらダクネスが椅子を蹴り飛ばし机を叩きながら立ち上がる。

 

「やはり…やはり私の目に狂いは無かった!こんな幼気な少女の下着を公衆の面前で剥ぎ取るなんて、なんと言う鬼畜!是非とも…!是非とも私をこのパーティーに入れて欲しい!」

 

「いらない」

 

カズマがバッサリと断る。だがドMのダクネスにはご褒美のように聞こえているらしく「んっ…くぅ……!」などと言っている。

 

「そういえばさハヤテもスティール出来るようになったんだろ?やって見せてくれよ。めぐみん相手に」

 

こいつ俺も巻き込もうとしてやがる…。ドMクルセイダーもめぐみんもこっちを見ているので取り敢えずめぐみんに確認を取る。

 

「えっと、めぐみん。お前にスティールするけどいいか?」

 

「大丈夫ですよ。カズマみたいに変な物を取らないならですけど」

 

「そ、そこはランダムだから、変な物取っちゃったら許してくれ」

 

始めてまともに使えるスキルを手に入れてこの世界に来て始めて使うスキル。少しワクワクしながらも俺はそのスキルを放った。

 

「いくぜ!『スティール』!!」

 

そして俺が握っていたのはめぐみんが手に持っている杖だった。何時の間に取ったのだろうか。

 

「おお!こんな感じなんだな!」

 

「私の杖が何時の間にか目の前に!本当にスティールって何時の間に取られるんですかね?」

 

「くそッ!なんで俺だけ変な物を取ってしまうんだ…!」

 

「普通だな。と言うことはこの前のカエルのプレイはカズマがやったのか…!思い出しただけでも…んっ…くぅ……!」

 

と、めぐみん、カズマ、ダクネスの順に感想を述べる。取り敢えず取った杖はめぐみんに返しておく。

 

「あれ?カズマさんこの人誰?昨日言ってた面接に来た人?」

 

「そういえば断ると行っていましたけど、この方クルセイダーですよ?断る必要なんて無いのではないですか?」

 

俺は是非とも断って欲しい所だ。本当に何故だか分からないがドMは嫌いだ。

 

「ダクネス聞いて欲しい。実は俺とアクアとハヤテはマジで魔王を倒そうと思っているんだ」

 

あれ?俺そんなこと言ったっけと思いカズマを見ると。話に合わせてくれとハンドサインを送って来たので合わせることにする。

このハンドサインは俺らが中二病の頃2人にしか分からないような事を考えようと思いついた物だ。中二病にかかっていたとはいえ、かなりの出来なので中二病が治っても授業中にカズマとハンドサインを使って会話したりもした。まあ、機から見たらかなりの恥ずかしいと思うが。

 

「そうだな、めぐみんもついでだし聞いて欲しい。俺たち三人は魔王を倒そうと冒険者になったんだ。過酷な旅になるかもしれない。それでも良いのか?」

 

「特にダクネス。女騎士のお前なんて魔王に捕まったらそれはもう大変な目に遭うかもしれないぞ」

 

そんな脅しのような言葉を掛けるが、

 

「ああ!全くその通りだ!昔から魔王にエロいことをされるのは女騎士と相場が決まっている!それだけでもついていく価値がある!」

 

「「えっ!?」」

 

「えっ?…私は何か変なことを言っただろうか?」

 

思いっきり言ったよ!この人もう手遅れだな。

 

「めぐみんも聞いてくれ。相手は魔王。この世で最強の相手に喧嘩を売ろうと思っているんだ、俺たちは。そんなパーティーに無理して残る必要は…」

 

無い、とカズマが続けようとすると、めぐみんが突然立ち上がり、マントをバサッ!と翻しながら。

「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操りし者!我を差し置いて最強を名乗る魔王!そんな存在は我が最強魔法で消し飛ばして見せましょう!」

 

おおう。中二病全開ですね。もう二人ともやる気になってるし。

 

『緊急クエスト!緊急クエスト!街の冒険者の各員は至急冒険者ギルドに集まって下さい!繰り返します!街の冒険者の各員は至急冒険者ギルドに集まって下さい!』

 

今度は一体なんだ?そう思わずにはいられなかった。



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キャベツ収穫クエスト!

 

「なんだ、緊急クエスト?モンスターが街に攻めてくるのか?」

 

俺の質問にダクネスが嬉々とした声音で言ってきた。

 

「ん、多分キャベツの収穫祭だろう」

 

「そろそろ収穫の時期ですしね」

 

めぐみんも追加で情報をくれたが全くわからない。なんでキャベツを収穫するのに緊急クエストなんて出されるのだろうか?俺が考えている間にカズマが同じような質問をしていた。

 

「は?キャベツ?キャベツってモンスターの名前か何かか?」

 

するとダクネスとめぐみんが可哀想な人を見る目でカズマを見る。

 

「キャベツとは緑色丸いやつです。食べられる物です」

 

「噛むとシャキシャキと歯ごたえのする美味しい野菜の事だ」

 

「そんなこと知っとる!じゃあ何か?緊急クエストだの騒いで、冒険者に農家の手伝いをさせるのか?」

 

「あー、カズマとハヤテは知らないんでしょうけどね?ええっとこの世界のキャベツは…」

 

アクアが説明を終える前にギルドの職員が大声で説明を始めた。

 

「皆さん、突然のお呼びだしすいません!今年もキャベツの収穫祭がやって参りました!今年のキャベツは出来が良く、一玉につき一万エリスです!では皆さん、できるだけ多くのキャベツを捕まえて、ここに納めてください!報酬の支払いは後日まとめてとなります!」

 

……は?キャベツ一玉一万エリス?この世界のキャベツは一体どうなっているんだと思いながらギルドを出るとキャベツが飛んでいた。

 

アクアが説明したのを簡単にまとめると、この世界のキャベツは飛び、大陸を渡りひっそりと息を引き取るのだそうだ。なら自分たちが美味しく頂こうと言うわけらしい。

 

「俺、馬小屋に帰っていいかな?」

 

横からそんな声が聞こえてきた気がする。他の冒険者は歓声を上げてキャベツに向かって走っていく。俺はそれを見て叫んだ。

 

「なんなんだこの世界は!!!!」

 

そして走る。

 

………キャベツに向かって。

 

 

 

 

 

収穫祭が終わり皆でギルドでキャベツ料理を食べていた。

 

「ああ、美味いな」

 

それなりにスキルを使ってキャベツを収穫したが何かが違う。異世界まで来てキャベツを収穫してる俺ってなんなんだろうか?

 

「しかし、やるわねダクネス!あの鉄壁の守りは流石のキャベツ達も攻めあぐねていたわ」

 

「いや、私など、ただ硬いだけの女だ。私は不器用で動きも速くは無い。その点めぐみんの魔法は凄かった。キャベツの群れを爆裂魔法一つで吹き飛ばしていたでは無いか」

 

「ふふ、我が必殺の爆裂魔法において、何者も抗うことなど叶わず。それよりもカズマの活躍こそ目覚しかったです。魔力を使い果たした私を素早く回収して背負って帰ってくれました」

 

「私がモンスターに囲まれ袋叩きされてるときもカズマは颯爽と現れキャベツを収穫してくれた」

 

「確かに、潜伏スキルで気配を消して、敵感知で素早く動きを補足し、背後からのスティールで強襲するその姿はまるで暗殺者の如しです」

 

「カズマ良く仲間を見てるんだな」

 

「そういうハヤテはどこにいたんだよ。全然見当たらなかったぞ」

 

「悪かった。ちょっと半狂乱になりながらキャベツを収穫してて、あまり覚えていないんだ。今後はこんなこと無いようにするよ」

 

そしていつの間にか決まっていた事が一つある。

 

「では、名はダクネス。職業はクルセイダーだ。一応両手剣を使ってはいるが戦力として期待しないでくれ。何せ不器用すぎて攻撃がほとんど当たらん。だが壁になるのは大得意だ。よろしく頼む」

 

はい、仲間が一人増えました。

 

自己紹介をダクネスが終えるとアクアが満足気にパーティーを見渡し、

 

「ふふん、ウチのパーティーもなかなか、豪華な顔ぶれになって来たんじゃ無いの?アークプリーストの私、アークウィザードのめぐみん。そして防御特化のクルセイダーであるダクネス。そして特殊能力持ちのハヤテ。五人中三人が上級職、さらに一人が特殊能力持ち。こんなパーティーそうそう無いわよカズマ?あんた凄くついてるわよ?感謝なさいな」

 

詳細を言うと、一日一発の魔法使い、攻撃が当たらない前衛職、未だに一回も役に立っている所を見たこともないプリースト。なんだこれ?

 

はぁ…。こんなに上級職が多いパーティーなのに不安しか無いのは俺だけなんだろうか…?



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スキルポイントの使い道

この話は最初読みにくいかもしれません。
深夜テンションで書いてしまったので許してください。


 

俺たちは今墓地にいる。アクアのレベル上げも兼ねてアンデッドモンスターの討伐クエストを受けた。

あのキャベツ収穫クエストの日でレベルが上がりレベル7になったので手に入れたスキルポイントを使おうと他の冒険者にスキルを教えてもらった。覚えたスキルは《二刀流》《初級魔法》《中級魔法》だ。そして教えてもらったは良いが、スキルポイントを使わずに習得できるので、スキルポイントを一切使っていない。これでは溜まる一方なので、自分でスキルを開発することにした。まだ考え中なので、どんなスキルにするかは決まっていない。

初級魔法は攻撃性が皆無なので中級魔法を教えてもらったはのだが教えて貰った子がめぐみんと同じ様な服を来ていたので聞いてみると、やはり紅魔族だった。名前はゆんゆんと言っていたので今度覚えていたらめぐみんを聞いてみようと思う。

まあ、そんなこんなで何が言いたいかと言うと、新しいスキルを使って見たいと言うことだ。

しかし相手がアンデッドモンスターなのでこちらの攻撃はアクアくらいしか良いダメージは出ないだろう。

 

「?敵感知に引っかかったな。いるぞ、一体、二体……三人、四体?」

 

今回討伐するアンデッドモンスターのゾンビメーカーと言うのは、取り巻きのゾンビがニ、三体らしい。

予定より少し多いが問題ないだろう。そんな事を考えていると、墓地の中央に青白い光が走る。

大きな魔法陣を見える。そしてその隣には黒いローブの人影が見えた。

 

「あれ?ゾンビメーカーではない…気が……するのですが…」

 

めぐみんが自信なさげに呟く。

突然アクアが叫びローブの人影に向かって走り出した。

 

「リッチーがノコノコこんな所に現れるとは不届きな!成敗してやる!」

 

リッチーとは魔法を極めた大魔法使いが魔道の奥義により人の身体を捨てた、アンデッドの王。結構メジャーな存在である。そして今そのアンデッドの王が、グリグリと魔法陣を踏みにじるアクアの腰に何ながらしがみつき、食い止めていた。

 

とりあえずアクアと止めてリッチーと会話する。

 

「大丈夫か?えっと、名前は?」

 

「助けていただいてありがとうございます。私はリッチーのウィズと申します」

 

俺の質問に大丈夫と言うウィズ。なんか全然強そうに見えない。

 

「ウィズ?あんた、こんな墓場でなにしてるんだ?」

 

「私はアンデッドの王で、ノーライフキングなんてやってます。アンデッドの王なんて呼ばれるくらいですから、私には迷える魂の話が聞けるんです。この共同墓地の魂の多くはお金が無いためロクに葬式すらしてもらえず、天に還ることなく毎晩墓地を彷徨っています。それで、私は定期的にここを訪れて、天に還りたがっている子達を送って上げているんです」

 

カズマの質問に事情を話すウィズ。良い人なんですけど。さらに話を聞くと、ここの街のプリーストは金儲けのことしか考えておらず、金の無い連中が埋葬されているこの墓地を、供養しなかったらしい。

 

「それなら仕方ないな。でも、ゾンビを呼び起こすのはどうにかならないか?俺たちがここに来たのは、ゾンビメーカーを討伐してくれってクエストを受けたからなんだが」

 

カズマの言葉に困った表情を浮かべ。

 

「あ、そうでしたか。その、呼び起こしているのではなく、私の魔力に反応して勝手に目がされちゃうんです。…その、私としてはこの墓地に埋葬されている人達が、迷わず天に還ってくれれば、ここに来る必要もなくなるんですが…。………どうしましょう?」

 

 

 

 

話し合った結果、アクアが定期的にこの墓地に浄化しに行くことで折り合いがついたが、その事でゾンビメーカー討伐の事を完全に忘れていた。

 

クエスト失敗

 

 

 

 

 

「知ってるか?なんでも魔王軍の幹部の一人がこの街からちょっと登った丘にある、古い城を乗っ取ったらしいぜ」

 

冒険者ギルドに併設されている酒場で俺とカズマは情報収集をしていた。

 

「魔王軍の幹部ねぇ。物騒な話だけど俺達には縁のない話だよな」

 

「違いねえ」

 

「少しくらいは自分の身をあんじろよな」

 

「そんなに心配しなくともこの街なんかには来ないさ。まあ、しばらくは廃城近くのクエストは避けた方が良いだろうな」

 

「そうしておくよ。じゃあ俺達はこれで。また、今度飲みに行こうな」

 

「おう!楽しみにしてるぜ!」

 

俺とカズマは冒険者と分かれて自分達のパーティーのテーブルへと向かう。すると野菜スティックをポリポリと食べながらアクアとめぐみんとダクネスが俺達を見てきた。

 

「なんだよ?」

 

「別にー?カズマとハヤテが他のパーティーに入ったりしないか心配なんてしてないし」

 

アクアがちょっと不安そうな目でチラチラ見てくる。カズマがアクアの野菜スティックを食べようとすると野菜スティックが逃げる。

この世界の野菜って凄くね?

今度はめぐみんが俺を見て呟く。

 

「…むう。楽しそうですねハヤテ。他のパーティーと随分したし気でしたね?」

 

めぐみんが拳を作りテーブルドンっ!と叩き野菜スティックを怯えさせて口に運ぶ。

あ、そんな食べ方するのね。

 

「…なんだこの新感覚は?カズマが他所のパーティーで仲良くやっている姿を見ると、胸がのやもやする反面、何か、新たな快感が…。もしや、これが噂の寝取られ……?」

 

このドMはもう知らない。

 

「はあ、今はどうでもいいや。それより聞きたいことがあるんだろ、カズマ?」

 

「そうだ、お前らこれからどんなスキルを取るのかなって思ってな。このパーティーはバランスが悪いから自由の利く俺とハヤテが穴を埋める感じて行きたいんだが……。そういやお前らのスキルってどんな感じだ?じゃあダクネスからどうぞ」

 

なんか発表会みたいな感じで言われたダクネスは自分の習得スキルを言った。

 

「私は《物理耐性》と《魔法耐性》、各種《異常状態耐性》で占めているな。あとはデコイと言う囮スキルくらいだ」

 

「間違っても《両手剣》スキルとかは取らないんだな」

 

「取らない。私は言ってはなんだが体力と筋力には自信がある。攻撃が簡単に当たる様になってしまってはら無傷でモンスターを倒せる様になってしまう。かといって、手加減してわざと攻撃を受けるのは違うのだ。こう、必死に剣を振るうが当たらず、力及ばず圧倒されてしまうと言うのが気持ちいい」

 

「もういい、お前は黙ってろ」

 

ダクネスは何故か顔を赤らめて何かに耐えていた。ダクネスに見向きもせずカズマがめぐみんに向くと少し首を傾げて口を開いた。

 

「私はもちろん爆裂系のスキルです。爆裂魔法の威力上昇、高速詠唱などですね。最高の爆裂魔法を放つためのスキル振りです。これまでも、これからも」

 

「…どう間違っても、中級魔法スキルとかは取る気はないのか?」

 

「無いです」

 

俺が軽く手を上げて言う。

 

「あ、中級魔法ならもう覚えたから大丈夫だ。魔力が弱いから威力は低いけどな」

 

「おお!これで一つ悩みは無くなったな。でも、誰に教えて貰ったんだ?」

 

「紅魔族の女の子だよ」

 

「その子の名前は誰ですか?」

 

「ゆんゆんって言ってたな」

 

めぐみんはゆんゆんの名前を聞くとびっくりした顔でこちらを見た。

 

「どうしたんだ?」

 

「いえ、あのゆんゆんが、あの人見知りの子が男の人と会話したと思うと驚きで…」

 

「まあ、最初全然喋ってくれなかったしな。俺の話はいいじゃないか」

 

「では後で教えてください」

 

「分かったよ」

 

「まあ、こんなものか。でもやっぱり偏ってるな」

 

「ねえ!私は!?」

 

最後に聞かれなかったアクアが喚く。カズマは目も合わせずに。

 

「お前はいい」

 

「ええ!?」

 

と言い放った。アクアが取るのは多分宴会芸なんだろうなと俺も思ったので追求しなかった。

 

「なんでこんなにバランスが悪いんだろうか…。全く纏まり無いし。本当に移籍を考えたくなるぜ…」

 

カズマが言った言葉に三人がピクリと反応したので一応フォローを入れてやることにした。

 

「でも、個性的なメンバーだけど、個々の力は凄いんだよな…。一日一発の魔法と、攻撃が当たらない前衛、そして未だ全く役に立ってないプリーストだけどな……」

 

最後は結局俺も本音を出してしまい、三人は少し体が震えているのだった。



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スキルの作り方

最近絵を描くのにハマっています。
めぐみんが可愛いからね。


 

キャベツ収穫クエストから数日が経過した。アクアが「それぞれ手にした報酬はそのままに」と言ったので各自思い思いに報酬を使っている。

 

「カズマ、みてくれ。報酬が良かったから、鎧の強化を頼んでみたんだが…どうだ?」

 

「なんか成金趣味の貴族のボンボンが着けてる鎧みたい」

 

「わ、私だって普通に褒めて欲しい時もあるんだぞ…」

 

と、少しダクネスが落ち込み気味に言った。そして少し気持ち悪いのがめぐみんである。

 

「ハァ……ハァ……。た、たまらない、たまらないです!魔力溢れるマナタイト製の杖とこの色艶……。ハァ……ハァ……」

 

「おい、めぐみんかなり気持ち悪いぞ」

 

俺がそんなことを言ってもめぐみんには聞こえていないみたいなので今は無視することにする。俺も換金が終わって金に余裕がある。何に使おうかと悩んでいた時に知っている声が聞こえた。

 

「なんですってえええぇぇ!?ちょっとあんたどう言うことよ!」

 

何かと思うとアクアがギルドの受付のお姉さんの胸ぐらを掴み文句を言っている。

 

「なんであんなに捕まえて5万ぽっちなのよ!どれだけキャベツ捕まえだと思ってんの!十や二十じゃないはずよ!」

 

「そ、それが申し上げにくいのですが……。アクア様が捕まえて来たのはほとんどがレタスなので…」

 

「なんでレタスが混じってるのよ!」

 

「わ、私に言われましても!」

 

アクアはこれ以上は無駄だと思ったのか、カズマの所に行った。多分、金を借りるのだろう。

 

「カズマさーん、今回の報酬おいくら万円?」

 

「百万ちょいだな」

 

「「「「ひゃっ!?」」」

 

……驚きである。俺でも50万ちょいなのに、なんであいつは俺の倍も貰っているのだろうか。

 

「ちなみにこの金は使い道決めてるからな。貸さないぞ」

 

「カズマさああぁぁぁん!私、クエスト報酬が相当な額になるって踏んで、この数日で、持ってたお金全部使っちゃったんですけど!ていうか、大金入ってくるって見こんで、ここの酒場に十万近いツケまであるんですけど!!今回の報酬じゃ足りないんですけど!!」

 

バカだな〜何て思いながら俺はこっちに被害が飛んでこないようにしてアクアとカズマのやりとりを見ていた。

結局カズマが折れてアクアに金を貸してしまったとさ。

 

 

 

 

 

「ハヤテ、カズマ!早速討伐に行きましょう!それも、沢山の雑魚モンスターがいるやつです!新調した杖の威力を試すのです!」

 

突然めぐみんがそんなことを言い出した。

 

「俺もゾンビメーカー討伐じゃ、結局覚えたてのスキルを試す暇も無かったからな。安全で無難なクエストでもこなしに行くか」

 

「いいえ、お金になるクエストをやりましょう!ツケを払ったから今日のご飯代もないの!」

 

「いや、ここは強敵を狙うべきだ!一撃が重くて気持ちいい、凄く強いモンスターを……!」

 

と、カズマ、アクア、ダクネスが順に言った。俺は別に死なないクエストなら何でもいいので取り敢えず掲示板を見に行った。

 

「……おい、何だこれ?全然依頼がないぞ」

 

「は?マジかよ。どうしようか?」

 

「ちょっと受付の人に聞いてくるよ」

 

俺は受付に移動して何故依頼が少ないのかと聞くと、最近魔王軍の幹部らしい奴が、町の近くの小城に住み着いたらしい。それで弱いモンスターは隠れてしまい、高難易度の依頼しか残らなかったそうだ。来月には王都の騎士団が来るのでそれまでこんな依頼しかないそうだ。

 

「………だってよ」

 

それを皆に伝えると、アクアが叫んだ。

 

「な、なんでよおおおおお!」

 

こればっかりは可哀想だと思ったよ。

 

 

 

 

 

そんなこんなでクエストも受けられないので、町の人に聞き、強い魔法使いの所に来た。少し聞きたいことがあったからだ。そして俺は今は道具屋の前にいる。

 

『ウィズ魔法具店』

 

これ絶対あの人の店だろ…。

取り敢えず俺は中に入った。

 

「どうも〜」

 

「いらっしゃいませ。あら?あなたはこの前の…」

 

「そういえばあの時自己紹介して無かったな。俺はハヤテだ、よろしくウィズ」

 

「はい、よろしくお願いします。それでハヤテさんはどうしてここに?」

 

「そうだ、俺少し聞きたいことがあって…」

 

俺が聞きたかったことはスキルと言うのは作れるのかと言うことだ。もしこの世界で新しいスキルが作れるのならやってみたいのである。というかやってみたいだけだ。本当に。

だって、この世界で俺が作ったスキルが使われるんだぜ?俺凄くね?

 

「はい、スキルは作れますよ。ですが完成までに時間がかかるので、やる人がいないんです」

 

「ちなみにどれくらいかかるんですか?」

 

「そうですねぇ。ざっと五十年くらいでしょうか?」

 

ご、ごじゅう!?そんなにいたら俺もう六十超えるじゃん!

 

「どうにか出来ないんですかね?」

 

「うーん、作り方は分かるのですが後はセンスの問題で大抵の人はそこで躓くんです。固定概念みたいなものがあるので」

 

「まあ、一回頑張って見るんで作り方を教えてくれませんか?」

 

「話すと長くなるんですが、よろしいですか?」

 

「大丈夫です。よろしくお願いします」

 

魔王の幹部がどっかに行くまで時間が掛かるので、問題はない。

俺は事が動くまでウィズにスキルの使い方や魔法の基礎などを教えてもらうことになった。



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魔王軍幹部登場

明日からテストなので頑張ります!(じゃあこんなもん書いてないで勉強しろってはなしなんですけどね)


 

ウィズにスキルの作り方を教えて貰ったが、なかなかに難しく手間取っている。俺が今作ろうとしているのはパッシブスキル『魔力消費量軽減』である。だがこれは効率的に魔力を手や杖などに持って行かないといけないので、難しい。何気にあと少しって所までは来ているのだが、そこからが上手く行かない。急いでいるわけでも無いので気長にやって行こうと思う。

 

『緊急!緊急!全冒険者さんの皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってください!』

 

俺たちはその放送?を聞き武装して、街の正門に集まった。なんとそこにいたのは上位のアンデッドモンスター、デュラハンだった。

漆黒の鎧を身に纏い左脇に己の首を抱え、兜に覆われた自分の首を自分達の前に差し出した。

 

「…俺は、つい先日、この近くの城に越して来た魔王軍の幹部だが…」

 

やがて首はプルプルと震えだし……!

 

「毎日毎日毎日!俺の城に、毎日欠かさず爆裂魔法を打ち込んでくる頭のおかしい大馬鹿者は、だれだぁぁぁぁ!」

 

俺は頭を抱えたくなった。

 

 

 

 

 

そして、その言葉に周りの冒険者がめぐみんに視線を集めた。

そしてめぐみんはフイッと自分の隣にいた魔法使いの女の子を見る。

それに釣られて周りの皆もその子に視線を……

 

「ええっ!?あ、あたし!?なんであたしが見られてるの!?爆裂魔法なんて使えないよ!!」

 

ですよね。そしてめぐみんを見ると冷や汗だろうか。物凄く汗を流していた。ため息を吐き、嫌そうに前に出る。そしてデュラハンとめぐみんが対峙する。

 

「お前が…!お前が毎日毎日俺の城に爆裂魔法をぶち込んでくる大馬鹿者か!俺が魔王軍幹部だと知っていて喧嘩を売っているのか!そうなら、正々堂々と城に攻め込んでくるが良い!何故こんな陰湿な嫌がらせをする!低レベルだらけの街だからと思って放置しておれば、調子に乗って毎日毎日ポンポンと撃ち込みおって!頭おかしいのか貴様!」

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードにして、爆裂魔法を操るもの……!」

 

「めぐみんってなんだ、バカにしてるのか?」

 

「ちっ、違わい!」

 

デュラハンに突っ込まれたが、めぐみんは調子を取り直すと。

 

「我は紅魔族の者にして、この街随一の魔法使い。我が爆裂魔法を放ち続けていたのは、魔王軍幹部のあなたをおびき出すための作戦…!こうしてまんまと街に、一人で出て来たのが運の尽きです!」

めぐみんを省いた俺たちはボソボソと呟いた。

 

「おい、あいつあんなこと言ってるぞ。毎日爆裂魔法撃たなきゃ死ぬとか駄々こねるから、仕方なくあの城まで連れてってやったのにいつの間に作戦になったんだ」

 

「…うむ、しかもさらっとこの街随一の魔法使いとか言い張ってるな」

 

「カズマ、お前何で城の中確認しなかったんだ。そのせいでこんな面倒なことになってるんだぞ。まあ、面白そうだし良いけどな」

 

「しーっ!そこは黙ってあげなさい!今日は爆裂魔法撃ってないし、後ろに冒険者がいっぱいいるから強気なのよ。今いい所なんだからこのまま見守るのよ!」

 

俺たちの囁きが聞こえたのかほんのりと顔を赤くするめぐみん。

 

「爆裂魔法を辞める気は無いのか?これ以上あの迷惑行為をしようと言うなら、こちらにも考えがあるぞる」

 

「迷惑なのは私達の方です!あなたがあの城に居座っているせいでまともに仕事も出来ないんです!余裕ぶっていられるのも今のうちです。こちらにはアンデッドのスペシャリストがいるのですから!先生、お願いします!」

 

「おい、丸投げするのかよ!」

 

おっと、思わず突っ込んでしまった。いや、誰でも突っ込みたくなると思う。

 

「しょうがないわね!魔王の幹部だがなんだから知らないけど、あんたのせいでクエストが受けられないのよ!覚悟は良いかしら!」

 

アクアが片手を前に突き出す。対してデュラハンは自分の首を前に出してアクアを見た。デュラハンなりの相手をマジマジと見る方法なんだろう。

 

「ほう、プリーストではなくアークプリーストか。この俺は仮にも魔王軍幹部の一人。こんな所にいる低レベルのアークプリーストなどに浄化されるほど落ちぶれてはおらんし、アークプリースト対策は出来ているのだが、ここは一つ、紅魔の娘を苦しませてやろうか!」

 

「ダクネスお前の出番だ!さっさとめぐみんをお前の後ろに隠せ!」

 

俺はそうダクネスに言い放ってから剣を取り出してデュラハンに接近する。俊敏だけがこの身体の取り柄だ。

 

「なっ!?ダクネス!?ハヤテ!?」

 

デュラハンに近づき剣を振り下ろすのとデュラハンが言葉を放つのは同時だった。

 

「汝に死の宣告を!お前は一週間後に死ぬだろう!!」

 

黒い光が直線上に飛んで自分へと飛んで行くがその光に当たることも気にせず剣を振り下ろす。

キン!と高い音が鳴り相手の鎧を少し傷つける。デュラハンはすぐに大剣を構え振り回す。すかさず剣でガードするが後ろに後ずさる。

 

「貴様なかなか筋が良いな、だが!まだまだ鍛えが足らん!そしてお前は呪いで一週間後に死ぬ!そこの紅魔の娘の愚かな行為がその男を殺してしまうのだ!紅魔の娘よ、その男に掛けられた呪いを解きたくば城に来るが良い!クククククッ、クハハハハハ!」

 

デュラハンは哄笑しながら街の外にある首の無い馬に乗りそのまま城へと去って行った。

 

 

 

 

 

「はあ、行っちまったな」

 

デュラハンを取り敢えず撃退?したがその代わりに呪いを掛けられてしまった。カズマとダクネスの隣にいるめぐみんは青い顔でわなわなと震え、杖をギュッと握り直し、一人で街を出て行こうとする。

 

「おい、どこに行く気だ。何しようって言うんだよ」

 

カズマがめぐみんのマントを掴みめぐみんを止めようとする。

 

「今回の事は私の責任です。ちょっと城まで行って、あのデュラハンに直接爆裂魔法をぶち込んでハヤテにかかった呪いを解かせてきます」

 

怒っているように見えるのは、自分のした行いからなのかそれとも俺が勝手な事をしてしまったからなのか。そんな事よく分からないが、めぐみんに近づく。

 

「俺も行くぜ。自分にかかった呪いだ、こう言うのもRPGの醍醐味だろうしな」

 

「なら、お前はベッドに寝てないとな。RPGなら呪いに掛けられた奴はベッドに寝てるって決まってるだろ。俺も行くよ。めぐみんだけだと雑魚一匹も倒せないだろうしな」

 

「…じゃあ一緒に行きますか?アンデッドは物理はあまり効きません。魔法の方が効くので私の出番ですね」

 

「なら俺も戦えるな。教えて貰った中級魔法がやっと使えるぜ」

 

「なら潜伏で進んで倒さないと進めない場所はハヤテの魔法で、ハヤテが魔力切れになったらめぐみんの爆裂魔法で一掃して、次の日もう一回って感じで行こう。一週間もあればそれで行けるだろう」

俺とめぐみんが頷く。カズマの作戦を聞き終わるとめぐみんが近づいてきた。

 

「あの、ハヤテ。本当にすいませんでした。私が軽率な行動をしてしまったせいで…」

 

「気にするなって。今から城に行くんだぞ?頼りにしてるよ、めぐみん」

 

そう言ってめぐみんの頭を撫でる。少し微笑んでくれたのでこれで良いだろう。カズマが号令を掛けた。

 

「よし、じゃあ城に向かってしゅぱ……「セイクリッド・スペルブレイク!」」

 

アクアが俺に向かって魔法を放つ。

 

「どうどう?デュラハン程度の呪いなんて、このアクア様にしたら楽勝に解けるわ!」

 

「「「えっ?」」」

 

せっかく盛り上がっていた、俺たちの気持ちを返せ。と言いたいが、呪いが無くなるのは嬉しかったのでなんとも言えない気持ちになった。




ハヤテとデュラハンカッコ良く書けたかな?
めぐみんは可愛いのでメインヒロインで行きましょう!(予定


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