俺はラムちゃんのことが好きだけどロリコンなわけじゃない (ふーあいあむ)
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プロローグ
俺には好きな人がいる。
ラムちゃんことホワイトシスター。
ルウィーの女神候補生にして
彼女と初めて出会ったのは女神様たちがギョウカイ墓場に囚われていた時だ。
プラネテューヌの教会で働いていた俺はイストワール様の使いでルウィーへと赴いていた。
ルウィーの教会へ向かう途中である幼……ゲフンゲフン、少女が暗い表情で座り込んでいたのだ。
『どうしたの?』
他国とは言え、女神様に仕える身だ。
いや、それ以前の問題だろう。一人の大人として、落ち込んでいる子供を見過ごすことはできなかった。
『ロムちゃんとね、はぐれちゃったの』
涙目になりながら暗い表情の少女ーーーーラムちゃんはそう答えた。双子の姉とはぐれたらしい。
今思えばそれくらいで泣くような娘じゃない。彼女の姉である女神ホワイトハート様が囚われ脅えていたのだろう。
姉のいない世界に。
当時の俺は彼女がルウィーの女神候補生だということを知らなかった。
より正確に言えば、“ルウィーの女神候補生・ホワイトシスター”という名は知っていたものの、『ラム』という名前もその容姿も知らなかったのだ。
俺は職務そっちのけで彼女を笑わせようとした。
プラネテューヌ教会の者として良ろしくないことなのだろうが、ネプテューヌ様ならきっと俺と同じことをしただろう。
最初はぐずっていたもののラムちゃんは段々と笑顔を見せてくれ、仕舞いには泣き止んだ。
『お兄ちゃん、おもしろいね!』
そう言って、彼女は今までよりもいっそう明るい笑顔を見せた。
……思えば俺はこの時から彼女に惹かれていたのかもしれない。本当に天使のような笑顔だった。というか天使そのものだった。
その後二人で彼女の双子の姉……ロムちゃんを探した。
案外すぐに見つかったが、今度はロムちゃんの方がぐずっていてラムちゃんと一緒に泣き止ませるのに苦労した。
そこではたと思い出したんだ。
『あ、仕事……』
焦った俺はラムちゃんとロムちゃんにほぼ一方的に別れを告げ、ルウィーの教会へと急いだ。
当然大遅刻。ルウィーの教祖様ーーーーミナ様にかなり怒られたが、そこにラムちゃんとロムちゃんが現れて事情を説明してくれた。
後に聞いた話だが、二人は俺にお礼を言おうとして追いかけてきたところルウィーの教祖様に怒られている俺を見つけたとのこと。
事情を聞いたミナ様は怒ったことを謝りお礼を言ってくれた。
悪いのは俺なのに。
『いえ、私たちの国の
びっくりしすぎてスタ〇ドが発現するかと思った。
天使は天使じゃなくて女神様だったのだ。候補生だけど。
俺がス〇ンドを発現させようとしている間にいつの間にかルウィー滞在中(俺は仕事で数日ルウィーに滞在することになっていた)ラムちゃんとロムちゃんの遊び相手をすることになっていた。
俺得だから全然オッケーだけど。むしろウェルカム……いや、俺から頼みたいくらいだった。
しかし楽しい時間はすぐに過ぎていき、プラネテューヌに帰る日がやって来た。
見送りに来てくれたミナ様とロムちゃん、そしてラムちゃんの顔を見て寂しく思ったが仕方ない。仕事だからね。
そしてプラネテューヌに帰り、いつも通りの日常に戻った。
……はずだったのに。頭に浮かぶのはラムちゃんの笑顔。
そこで俺は気付いた。
『あぁ、俺はラムちゃんが好きなんだ……』
出会った時から惹かれ、彼女の遊び相手をするうちにその思いは強くなっていたのだ。
自分でも気付かないうちに。
気付いてしまえば後は楽だった。
日に日に深まるラムちゃんへの思い。
時が経ち、女神候補生の手によって女神様が救われ犯罪神が倒された。
時が経ち、昔あった古い国の女神様により世界が滅亡しかけそれを女神様と女神候補生たちが阻止した。
時が経ち、昔のプラネテューヌの女神様を中心として起きた猛争の渦が幕を閉じた。
その合間にもラムちゃんとロムちゃんはちょくちょく会いに来てくれた。
最近は忙しいのかあんまり会えないけど……。
俺はラムちゃんが好きだ。それに異論はない。
でもこれだけは言わせてくれ。
ーーーー俺はラムちゃんが好きだけどロリコンなわけじゃないッ!
基本的に日常6:恋愛4くらいにしたいと思ってます。
タイトルはああだけどラムちゃんがヒロインになるかは未定ですのでご注意ください。
こんなこと書いてますが作者が一番好きなのは髪をほどいたぷるるんです(笑)
もちろんラムちゃんも大好きですが。
ロリコンじゃないッ!
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一話
「ーーーーってわけだ! わかったか、俺はロリコンじゃない!」
俺は目の前に座る女の子ーーーー天王星うずめに
「いやぁ……う~ん……どうだろうなぁ……」
しかしそれを聞いても渋るうずめ。
こいつ……ッ!
「だから! 俺は“ラムちゃんが”好きなのであって幼女が好きなわけじゃない! いや幼女も可愛いとは思うけど!」
「……ほら、やっぱりロリコンじゃねーか」
「だーかーらーッ!」
違うと言ってるだろうが!
「好きになった相手がたまたまロリだっただけだ!」
「……ま、いいんじゃないのか。お前が幸せならそれで……アイツは悲しむかもしんないけどなー」
「ご先祖様は関係ないだろ」
遠い昔、うずめはプラネテューヌの女神だったらしい。
その時に彼女をサポートしていたのがうちのご先祖様なんだとか。
ま、その頃はまだ俺は生まれてすらいないからよく分からないんだけどな。
「いーや、関係あるね。アイツの子孫である以上、俺にはお前の行く末を見守る義務があるんだ」
「何だそりゃ……」
うちの家系は代々プラネテューヌの教会に勤めている。
もちろん、俺も例外ではないが……訳があって辞めてしまった。
「……で? 今日もクエスト行くのか?」
「いや、今日は家でゆっくりするよ」
「そうか! そいつはよかった! 俺的にはあんまりお前に危ないことして欲しくないからな! ……いや、でも外に出ないで室内に引きこもってるっていうのはそれはそれでだめなんじゃ……?」
「母親か、お前は」
誰目線なんだよ。
それと、別に俺は引きこもってるわけじゃない。
「……まぁいいや。で、俺がロリコンじゃないのは理解できたか?」
「いや全然」
「引き千切るぞコラ」
ーーーーやっぱり家にこもりっぱなしはよくないよな! というわけで遊びに行くぞ!
ロリコン疑惑を解くために必死に説明をしていたら、うずめが突然そんなことを言い出して無理矢理遊びに連れてこられた。
「クレープ! クレープ食べたい!」
「お前……女神が一般市民にたかるなよ」
「えー……いいじゃんかよー」
こいつは……女神としてのアレはないのか。
何か……ほら、アレ。
「うずめ的には~、甘いあま~いクレープを二人で食べさせあいっこして~、それでそれで~……」
「うずめ、口調。あと何でそんなことお前とやらなくちゃいけないんだよ」
「なっ!? お、俺とじゃ嫌なのかよ……?」
嫌って言うか、そういうのはラムちゃんとやりたい。
ラムちゃんにあーんってしてもらって、そんで俺もあーんってしてあげて……。
「ふっ…………ふぉぉぉおおおおおああああああッ!!!」
「うおっ!? び、びっくりしたぁ……! い、いきなり叫ぶなよ!」
こっ、こうしちゃおれん!
「ルウィーに行く!」
「は?」
「ルウィーに行ってラムちゃんとクレープ食べさせあいっこする!」
「え!? い、今からか!?」
今が昼ちょっと過ぎだから、超急げばおやつの時間には……。
いや、気合いでおやつ前に着いてみせる……!
「ではワタクシはこれで!失礼します、うずめサマ」
「あ、コラ! 俺のことは冗談でも様付けで呼ぶなって言ってるだろ!? って、ちょっ、待てってば!」
ルウィーに向けて走り出そうとすると、うずめがしがみついてくる。
「くっ、離せうずめ!」
「断る! 今日は俺と遊ぶんだ!」
「駄々っ子か、お前は!」
ラムちゃんと……ラムちゃんとラブラブせねば!
ラムちゃんといちゃいちゃするんだ!
「そもそもお前、別にラムっちとはラブラブでも何でもないだろ!」
「な、何てこというんだ貴様! 現実を見せるな!」
「いやそれはちゃんと見ろよ!」
……そう。うずめの言うとおり、ラムちゃんとはラブラブでも何でもない。
確かに仲はすごく良いが、
「いや、かっこいいも思ってないだろ。仲の良い普通のお兄さんだろ」
「いいじゃんそんぐらいの幻想ならッ! 夢を見させてよッ!」
涙が出ちゃう。
だって恋する男の子だもん。
「あー、ほら、泣くなよ! さっきは言い過ぎたよ。お、俺はかっこいいと思うぞ!」
「もういーですよー、どうせ普通レベルの男ですよー、キモいですよー……」
「うわぁ、めんどくせえ……」
どうせ彼女いない歴=年齢-1年ちょいですよー……。
「……おい、待て。聞き捨てならないこと言ったぞ。マイナス1年ってどういうことだ」
はぁ……どうせラムちゃんとは月とスッポンですよ。
サイズ的にも。
「おい、マイナス一年ってなんだよ! おいってば!」
「はぁ……ラムちゃぁん…………」
「おいってばぁぁぁあああっ!!!」
結局、この日はうずめに一日引っ張り回されたがそのほとんどが記憶に残らなかった。
ラムちゃん………………。
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