ダンジョンで趣味で英雄《ヒーロー》やるのは間違っているだろうか (サイレン)
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プロローグ1

書きたくなったから書いた。後悔はしていない。
誰か書かないかなーっと思っていたのですが、意外とない気がしたので書いてみました!
優しい心でご覧ください。

※加筆・修正しました。


 

『──男ならハーレム目指さなきゃな!』

 

 幼い僕へ、祖父は頻りにそう言っていた。言われ過ぎて、他に何を言われたかあまり覚えていないけどそれは置いといて。

 物心ついた頃から、祖父が読み聞かせてくれた英雄譚が大好きだった。

 自らを顧みず巨悪に立ち向かう勇者の話。

 迷宮に潜む怪物を退治する話。

 遥か遠くに囚われたお姫様を助け出す話。

 全てが全て、僕の心を湧き立たせてくれた。大層な理由なんてない。ただ単純にカッコいいと感じていたのだ。特に鍛え上げた自身の力で敵を打ち倒す場面が、どの英雄譚でも僕のお気に入りだった。

 そんなだから物語の中で活躍する英雄達に憧れを抱き、自分も彼らのようになりたいと夢想するのも自然なことだった。空想の中で大活躍する自身の姿を、何度も祖父に話したものである。

 

 祖父曰く、英雄達の物語の中で最大の醍醐味は可愛い女の子の出会いらしい。異性との運命的な出会いを重ねること、つまりハーレムを目指すのが『男の浪漫』なんだとか。

 ただ、僕はあまりそっちには興味を持てなかった。

 田舎育ちで、同年代の女の子が周りにいない僕にとって、異性との運命的な出会いとかハーレムとか、そもそも恋愛というのがピンとこなかったからだろう。

 

 ──というより、ハーレムって何? 祖父の言葉を纏めるなら沢山の女性に好意を持たれている男性のことなんだと思うけど、普通一人の人としか結婚出来ないから意味ないんじゃないの?

 

 幼いからこそ純真に、そして誠実な僕の疑問に対して祖父は一瞬固まったが、呵呵大笑して受け流した。いや、笑い事ではないと思うんだけど……。

 

 まぁ色々あったが、祖父のことが大好きな僕が祖父のことを疑うことなんてなかった。祖父が目指すべきだと言うのだ。きっと楽しいものに違いないと、ハーレムについても日夜学んでいた。

 

 それでも、僕が一番憧れたのは英雄譚で活躍する英雄達だ。彼らのように何が立ち塞がろうと負けず折れず挫けず、自分の信念を貫き通す存在になりたいと夢を描いていた。

 ただ、夢は描いてばかりではいけない。実現する為の努力が必要である。

 華々しく描かれている物語の英雄達も、死に物狂いで努力をしたに決まってるのだから。汗水垂らし、身を削り、血反吐を吐き、それでも突き進んだからこそ手に入れた強さなんだ。

 

 だから、僕も頑張ろうと決心した。

 夢・理想・空想を現実に体現して英雄になるために、出来ることは何でもしてやろうと心に誓った。

 

 行動は迅速に、僕は比較的何でも(こなせ)る祖父を師匠に、自分を鍛え上げる訓練を始めた。当初は乗り気ではなかった祖父だったが、頼みに頼み込んだら最終的に根負けしたのだ。

 まだ身体が小さいからと、祖父は無理だけはしない程度に慮って訓練の内容を考えてくれた。僕は少し物足りないと感じることもあったが、祖父が自分の為に色々と考えてくれているのだ。ここで我儘を言ってはいけないと、提示された訓練内容を必死で続けていった。

 

 でも、それは間違いだった。

 

 五才から訓練を始めて八年の年月が経過したその日、僕は祖父を亡くした。

 

 

 

 *   *   *   *

 

 

 

 その日は祖父と二人で暮らしている村から少し離れた、大きな町に買い出しに行っていたのだ。

 

「久しぶりの遠出だね!」

「あぁ、そうだな。これほどの遠出となると、数年前にモンスターの巣窟に突っ込ませたときか?」

「……あの時は死ぬかと思ったよ」

「甘ったれるな。英雄を志す者があの程度で根を上げてどうする?」

「分かってるよ!」

 

 日頃から「英雄! 英雄!」と連呼しているため反論しにくい。

 ……いや。でも、やっぱり、流石にあれは酷いと思うんだ。だからこそ不貞腐れたような声で応えてしまった。

 

 思い出すのは地獄の光景。

 急に見知らぬ森に連れてかれ、いつの間にか置いてかれ、仕方なく帰ろうと方向転換したその先にいたのは血気盛んなモンスターたち。バッチリと目と目があった。

 ギョッとする間も無く、即座に戦闘開始である。

 予め武器を携帯するよう言い含められていた理由が判明した瞬間であり、同時に、初めての命懸けの実戦でもあった。

 

 僕はその時、完璧に狼狽えていた。

 

 恐怖に心が鷲掴みにされ、痙攣したように身体が震える。真面に動くことすら出来なかった。こんなにも土壇場で動かなくなるのかと、当時は本当に驚いたものだ。

 

 そんな僕を覚醒させたのは死の痛みだった。

 

 迫る爪撃。何とか無理矢理体勢を捻り、辛うじて致命傷を避けることが出来たが、掠った僕の二の腕からは鮮血が舞った。定まっていなかった焦点でその光景を捉え、はっきりとした痛みを感じる。

 

 瞬間、僕の身体の奥底から熱が滾ってきた。

 

 ──動かなければ死ぬ!

 ──殺らなければこっちが殺られる!

 ──僕はこんなところで死にたくない!

 ──死にたくない、死にたくない、死にたくない!

 ──動け、動け、動けッ!

 

 必死の形相でモンスターを睨み付ける。恐怖を捨てて、前を向く。あらん限りの力を振り絞って歯を食い縛る。

 

「あぁあああああああッ!!!」

 

 裂帛の気合いと共に雄叫びを上げて己を奮い立たせた。

 

 ──行くぞッ!!

 

 その強烈な意志は身体の自由を取り戻し、恐怖を勇気へと塗り変えた。

 あの時初めて、己の意思で一歩前へ踏み出すことが出来たのだった。

 

「……お前も、あの経験があったからこそ、一段と強くなった。違うか?」

「まぁ、その通りだけどさぁ……」

 

 確かに今となっては懐かしいなー程度の思い出話として語れるが、当初は本当に死ぬかと思ったのだ。不満がないと言えば嘘になる。やっぱりもう少し文句を言ってやろう。

 呑気にくだらないことを考えていたその時。

 

『グガガギャアッ!』

「「ッ!!?」」

 

 突如、モンスターの群れが現れた。

 突然の出来事だったが、僕は怯えることもなく冷静に武器を構える。長年の訓練のお陰か、緊急事態に対する心構えも整っていた。

 

「お祖父ちゃん……」

「分かっとる」

 

 祖父と背中合わせになるよう立ち位置を変え、何処から襲撃されても対応出来るように集中力を高める。

 

 ──数は……十以上いる……!?

 

 種族が異なるモンスターたちが協力しているのにも驚いたが、群れの多さにも瞠目する。危機的状況に手が汗で湿ってしまうほどだ。正直なところ、かなり分の悪い状況だった。

 唯一の救いは、目の前に蠢くモンスターの中に特別凶悪な個体が存在しないことだろう。ゴブリンやコボルト、精々がインプといったモンスターである。

 

 これなら問題無い、そう油断していた。

 

 順調だったのは最初だけ。

 戦闘が長引くにつれて僕たちは不利になっていった。数が多過ぎたのだ。

 僕自身は上手くモンスターを躱し捌き斬り裂きと数を減らしてたのだが、次第に祖父の動きが精彩を欠き鈍化していった。確かに祖父は僕の師匠だけど、流石に歳には勝てなかったのだ。その身体には幾つもの傷を負い、身に纏っていた衣装は血に濡れ紅く変色している。

 

 ──僕が守らないとッ……!

 

 直ぐさま祖父の元へ駆けつけなければならないのに、翻弄された僕たちは、既に連携不可能な程に距離を離されていた。

 祖父の身を護るために急いで合流したい。だけど、それを阻むようにモンスターが立ち塞がってくる。まるで僕を邪魔するように、お前の相手は俺らだと言わんばかりに。

 

「どけぇえええええええええッ!!!」

 

 喉を震わせ叫ぶ僕は、数の不利など物ともせずに群体へと突っ込んだ。縦横無尽に刃を瞬かせ、狂ったように絶叫を上げる。

 既に余裕は消えていた。所々に裂傷を負い、直撃を受けた肋骨は何本か折れている。

 それでも、止まることはない。祖父の元に辿り着くまで、歩みを止めることなどあり得ない。

 

 ──もう少しッ……!! あと少しでッ!

 

 一刀の下に眼前のモンスターを斬り伏せる。今ので邪魔だったモンスターは全て消滅した。代償として負った怪我はそれなりのものだが、身体を動かすのに支障は皆無。これも長年の訓練の成果であろう。

 微かに開いた隙間を無理矢理中央突破して駆け抜けて行く。早く、早くと一心不乱に走り抜けた。

 そして、その先の開けた視界で僕は見た。

 

 崖からゆっくりと落ちる、祖父の姿を。

 

「お祖父ちゃぁあああああんッ!!」

 

 急いで手を伸ばすも、未来は変わらない。

 絶望的なまでに遠い距離は埋まらない。

 最後に見たのは、全身傷付きながらも、それでも此方に笑い掛ける祖父の姿だった。

 

 

 

 *   *   *   *

 

 

 

 気が付いたとき、辺り一面は血の海と化していた。

 あの後どうなったのかは詳しく覚えていない。でも、状況から考えると、残っていたモンスター共を殲滅したのだろう。赤い池には幾つもの魔石が浮かんでいた。

 僕はそれらを拾い集めることなく家路へと就いた。崖下へと探索に行こうとは思わなかった。生存は、もう、絶望的だったから。

 

 一人家へと辿り着き、ベッドに座り込む。

 そして、僕は大声で泣いた。

 

 ──どうしてッ!? あんなに訓練したのに、唯一の家族すら守れないっ! 何が英雄だッ! 何が努力しただッ!!

 ──……足りない。全然足りないんだ。これで満足してたから、祖父を守れなかったんだ。僕が弱いから、家族すら救えなかったんだ!

 ──……僕が憧れた英雄は挫けない。だから僕も此処で止まることなんて駄目だ!

 ──今度は絶対に救ってみせる。助けを求めてる人を、僕の大事な人をっ!

 

 哀しみに暮れながらも、新たに決意を固めた。胸から湧き上がる熱い想いを形にするために。

 そのとき、祖父の声が聞こえた気がした。

 

『──ならば、どうすればよい?』

 

 ……思えば、ここが分岐点だったのかもしれない。このまま村で安穏とした生活を送るのか、それとも、英雄として名を轟かせることになるかの。

 

 ──もっと、もっと強くなる! どんな逆境でも打ち破れる、圧倒的な力を身に付けるっ!

 

 効率的な方法など知らない。

 効果的な方法など知らない。

 僕はただひたすらに特訓して、訓練して、修行して、己が肉体を鍛え上げることしか出来ない。

 ただ、今迄の身体に配慮した訓練じゃ駄目だ。それでは祖父を守れなかったんだから。

 晴れの日も、雨の日も、嵐の日も、猛吹雪の日も、休むことなく訓練した。

 全身が軋みを上げようとも、病気に掛かり高熱になろうとも、鍛えてる最中に身体からブチブチと嫌な音を立てようとも、毎日毎日自分を痛み付けた。

 

 変化は少しずつ現れた。

 まず第一に、髪が伸びなくなった。ていうか異常に硬くなった。試してみたが、そこらに転がる岩に突き刺さるほどの剛毛と化していた。

 この時点で、「あれ? もしかして僕おかしくなった?」とも思わなくもなかったが、きっと僕が知らないだけで強い人は皆こうなんだと思い込むことにした。でなければ、自分が人外になったのだと認めなければならない。そんなのは断固として嫌だ。僕は普通、僕は普通……。

 

 何か超えてはならない一線を大幅に飛び越えた気もしないではないが、それにより得た力は大きかった。

 腕試しにと遠出をしモンスターの住処に突貫した際には、奴らを一撃で屠れるようになっていたのだ。しかも、武器などは一切使わず、己の拳のみで。……まぁ、目の前で弾け飛ぶモンスターには驚いたけど。

 じゃあ武器を使ったらどうなるんだろうと愛用していた剣を持ち出したのだが、残念ながら剣の耐久性が僕の力に及ばなかったのか早々に折れた。地味に傷ついた。

 

 それ以降、武器を持つことは無くなった。無くても何の支障もない。むしろ要らないほどであった。

 殴ればモンスターは木っ端微塵になる。手刀でモンスターは斬り裂ける。拳圧でモンスターは潰れる。指弾でモンスターに風穴が空く。蹴ればモンスターは吹き飛ぶ。僕にとってモンスターとはそういうものになっていた。髪に変化が現れてから、モンスターに苦戦した経験がない。

 されど慢心することなくその後も訓練を絶えず継続し、同時に実戦と称する野生のモンスター狩りや、其処らにに跋扈する賊狩りなども行い、早一年。

 

 十四歳になった僕──ベル・クラネルは、英雄達が繰り広げたような冒険の舞台に憧れて、『ダンジョン』と通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市、オラリオへとやって来た。

 

 

 

 *   *   *   *

 

 

 

「きゃあああああああああっ!?」

『ヴヴォオオオオオオオオッ!!』

 

 地下迷宮に響き渡る悲鳴。怪物の汚い咆哮。

 逃げ回るのは種族特有の耳の長さを有するエルフの少女。瞳には涙を溜め、それでも止まることなく、脚を動かし続け駆けて駆けて駆け抜けていく。

 

 しかし、死神はすぐ後ろにまで迫っていた。

 

『ヴゥムゥンッ!!』

「きゃっ!!?」

 

 怪物の拳が地面を砕く。

 直撃は避けたものの、衝撃波に脚をとられ体制が崩れ、そのまま為す術なく転がっていく。

 

『フゥー、フゥーッ……!』

「いや……、来ないで!!」

 

 恐怖に駆られ後ずさるも、背中に感じるのは冷たく固い壁の感触のみ。

 

 もう、逃げられない。

 少女は死を覚悟した。

 

『ヴォッ!!』

「いやぁあああっ!!」

 

 振りかざされる拳に目を閉じ、せめてもの抵抗として腕を交差する。

 

 そして──

 

「──普通のパンチっ!」

『ヴぉ?』

 

 怪物の間抜けな声が聞こえてきた。

 素っ頓狂なそれはどうにも耳に残り、少女は未だ生きているんだと認識出来た。

 

「……?」

 

 いつまでも襲ってこない痛み。

 そう思えば、怪物の気配も声もなくなったことに気付く。

 何が何だか全く分からないが、少女は恐る恐る目を開けた。

 

「……へっ?」

 

 今度は自分自身が変な声を出してしまった。それ程までに、信じられない光景が目の前に広がっていたのだ。

 視界の先は血の海で、怪物の姿は肉片と魔石しか見当たらない。肉片もすぐさま黒い灰へと変わり、辺りはもう静寂に包まれていた。さっきまでの喧騒が嘘のようだ。

 

「……一体、何が……?」

「──大丈夫ですか?」

「ひゃわぁっ!?」

 

 意識の外側、だけれどすぐ側から掛けられた声に吃驚して飛び上がる。

 少女は勢い良く振り向いた。

 そこには筋骨隆々な体を持つモンスター、ではなく、処女雪を連想させる真っ白の髪に、ウサギのように赤い瞳をした少年が立っていた。

 

 

 

 

(見失った……!)

 

 金色の髪を靡かせ疾駆する少女──アイズ・ヴァレンシュタインは焦っていた。

 

 遠征の帰りの中層で、彼女たち【ロキ・ファミリア】はミノタウルスの群れに遭遇していた。彼女たちの精鋭からすればミノタウロスなど雑魚に変わりないモンスターである。

 遅れを取ることはあり得ない。それ程までに存在する彼我の実力差。

 だからだろうか。ミノタウルスは想定外の行動に出た。

 

『ヴォオオオオオオオオオオオオッ!?』

「……えっ?」

 

 素っ頓狂な声を漏らしたのは誰だったのか。

 呆気に取られ固まっている内に、ミノタウルスたちは足並みを揃え綺麗に回れ右。その後に爆走を開始。

 まさかの集団逃走を開始したのだ。

 

 そんな事件が在ったために、アイズたちは追走を余儀無くされていた。

 ミノタウルスは中層のモンスター。にも関わらず逃げている方向は上層へと向かう階段であった。

 これをこのまま放置すれば、下位冒険者達の骸の山が完成するだろう。アイズからしたら取るに足らない相手だろうと、駆け出しの冒険者からすれば脅威にしかならないのだ。

 もし犠牲者が出るなんてことになれば、ファミリアとしての責任問題にも繋がりかねない。そのため、早急に駆逐する必要があった。

 だというのに、ミノタウルスの逃走は破竹の勢いで続いていった。実はお前ら道知ってるんじゃないの? と錯覚してしまうくらい正確に、上層への階段を駆け上っているのだ。その所為で【ロキ・ファミリア】の面々は遮二無二駆けずり回る羽目になった。

 

 その最前線。

 アイズは遂に5階層にまで登っていた。

 

「きゃあああああああああっ!?」

『ヴヴォオオオオオオオオッ!!』

 

 遠くから悲鳴が聞こえた。

 

「っ!」

 

 アイズは全速力で駆け出す。

 耳を傾け、悲鳴と咆哮が混ざった方向へと身を馳せる。一分一秒でも早く目的地に到着出来るよう、形振り構わず疾走する。

 

(見つけた……っ!)

 

 襲われているのはエルフの少女。恐らく駆け出しの冒険者なのだろう。身に纏う装備からも、所作の一つ一つからも熟練とは程遠い拙さが見て取れた。

 

『ヴォッ!!』

「いやぁあああっ!!」

 

(早くっ……!)

 

 ──自分が助けなければ死んでしまう。……そんなことは許せないっ!

 

 悲惨な光景を否定するために、アイズは駆け出そうと脚に力を入れた──その時だった。

 

「──普通のパンチっ!」

『ヴぉ?』

 

(……えっ?)

 

 流星の如く現れたその影は、アイズの見間違いでなければ自身の拳の一撃でミノタウルスを葬った。今の今まで猛威を振舞いていた怪物は花火のように爆散し、肉の欠片へと姿を変えていたのだ。

 

(……何、今の?)

 

 アイズは目を見開き驚愕を露にする。今の光景は奇想天外で驚天動地、天変地異に匹敵する不可思議なものであったから。

 別に素手でモンスターを倒すのはまだ良い。アイズでもやろうと思えばやれるし、同ファミリアの古参、ガレス・ランドロックは深層のドラゴンを投げ飛ばせる程なのだ。別に素手喧嘩(ステゴロ)での戦闘でも、モンスターは倒せる。

 だが、先ほどの光景はどうだろうか? 確かに素手で倒していた。しかし、本題はその点ではない。問題はミノタウルスの惨状の方である。

 

 爆散。爆散である。いや、爆散って何だ……。

 

 アイズは絶賛大混乱していた。

 

 彼女の心中など露知らず、エルフの少女と、颯爽と敵を屠った少年は会話を交わしていた。

 処女雪を連想させる真っ白い髪に、ウサギのように赤い瞳。それがミノタウルスを倒した少年である。風貌は大人しそうで、荒くれ者の多い冒険者に決して見えない。防具も身に付けておらず、ダンジョンで出会わなければ絶対に一般人と勘違いしていただろう。

 それでもアイズはその少年に興味を抱いた。

 

 ──あの圧倒的な力。目の前の少年の秘密が分かれば、自分は更なる高みへと飛躍出来るかもしれない。

 

 そう考えたアイズは、少年と接触を図るために息を潜めて様子を伺うことにした。不純な動機なのは重々承知の上だが、それでも少年とお近付きになりたかったのだ。

 涙ながらに御礼を述べるエルフの少女に、少年は気遣うように笑みを浮かべている。暫しの間問答をしていた彼らだったが、何か用事を思い出したのか、渋々といった様子で少女が何処かへと消えて行った。少年はそんな彼女を爽やかに見送った。

 残されたのは少年ただ一人。アイズにとっては都合が良かった。

 この機会を逃してなるものかと、アイズは物陰から姿を出し、少年の元へと歩み寄った。

 

「……あの?」

「はい?」

 

 声に振り向いた少年。やはり強いとは一切思えない。それでもアレを見た後なのだ、表には出さずに警戒だけはしておくことにする。

 何を言おうかあまり考えてなかったアイズは一先ず頭を下げた。

 

「あの、ありがとうございました。私達の不手際で迷惑をお掛けしました」

「いえ、僕は全然大丈夫なので。頭を上げて下さい」

 

 慌てることなく微笑みながらそう言う少年はかなり年不相応に見えた。

 

(私より年下、だよね?)

 

 少年は年上ではないはずだ。アイズから見ても、少年が自分より早く産まれたとは思えない。

 自分より年下。それでいてあの圧倒的な強さ。

 アイズは少しだけ欲張ってみることにした。

 

「私は【ロキ・ファミリア】のアイズ・ヴァレンシュタイン。……君は?」

「……えっ? 僕ですか?」

「うん」

 

 この自己紹介の仕方なら、必ずファミリアと名前が聞き出せる。これ程までに実力のある冒険者なのだ、(さぞ)かし有名なファミリアに所属しているのだろう。

 だが、アイズはこの少年を見たことがない。加えて名前も知らない。正体を知りたいと思うのも無理はなかった。

 対する少年は困ったように頭を掻いているが、その仕草の意味が分からないアイズは小首を傾げる。

 

「……あのー、うーん、あっ! 僕はベル・クラネルです!」

 

 思い悩んだ態度の後、とりあえずといった感じで自己紹介された。アイズはその名前を自身の記憶で辿ってみるが、やはり過去にそのような人物の名前は聞いたことがなかった。

 

「……ファミリアは?」

「えーとですね、まだ所属してないと言いますか……」

「……えっ?」

 

(ファミリアに所属してない? ……うん?)

 

 うん?

 

「じゃあ、君は一体……?」

「……えーとですね……僕はその──」

 

 困ったような、それでいて清々しい笑みを浮かべて彼は言った。

 

「趣味で英雄(ヒーロー)をやっている者です!」

「………………はっ?」

 

 

 

 ──これは、どんなモンスターであろうと一撃で屠る、ちょっと変わった少年のお話。



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プロローグ2

評価が赤くなったのが嬉しくてとりあえず書いてみた。

一話を加筆・修正したのでそちらから読んでくれると助かります。


 

 見上げた先には、白亜の巨塔が天高く聳え立っていた。距離はまだ十分に遠いのに、誰の目を憚かることなく悠然の屹立している。都市を囲む市壁もこれまた高いのだが、白亜の巨塔はそれより更に天へと伸びていた。

 

「おぉ! あそこが迷宮都市オラリオ!」

 

 その光景を初めて目に映した少年──ベル・クラネルは、目を輝かせて感嘆の声を上げていた。

 

 ついこの間まで暮らしていた故郷を離れ旅立った彼であったが、道中は中々に大変なものであった。

 道を歩けばモンスターに絡まれ、乗り合いの馬車に便乗すれば荷を狙った賊に襲われ、偶々寄った町では賞金首と遭遇するなどと、実に楽しい日々を送っていたのだ。忌まわしいほどの運の無さを嘆くべきなのだろうか。

 しかし、ベルにとってそれらはある意味日常的であったので苦労という苦労は全く感じなかった。むしろこれは英雄(ヒーロー)として活躍するための試練なのでは? と、至極前向きに考えていたほどだ。

 そもそも、ベルはそれら事件を障害とすら思っていない。慌てる理由が分からない。

 目の前にモンスターが現れれば倒せばいい。賊が襲撃してきたら返り討ちすればいい。賞金首を見掛けたら捕まえればいいのだ。単純ではないか。

 しかもお小遣いまで手に入ると考えれば役得ですらある。お陰でオラリオにたどり着くまでに懐が暖かくなった。万々歳である。

 

 そんな日々を過ごして数週間、遂に目的地であるオラリオへと到着した。

 

(あそこにはダンジョンが、英雄譚に不可欠な舞台がある!)

 

 ベルは期待に胸を含まらせる。待望の冒険の舞台に心躍るのは仕方のないことだろう。

 

「坊主! 随分と楽しそうだな!」

「えぇ、それはもちろんですよ! あそこに行くために遥々故郷から来たんですから!」

 

 この旅で仲良くなった乗り合い馬車の御者に言葉を返す。商人として活動しているようで、丁度オラリオへと荷を運んでいたところを頼み込んで同乗させてもらっていたのだ。こういうのも冒険の醍醐味だと思っていたベルにとって、この出会いは色々と良い経験になった。

 

「おじさんにはお世話になりました」

「何言ってやがる。世話になったのはこっちだぜ。坊主がいなきゃ俺は死んでたかもしんねーだからな」

「そう言って貰えて何よりです」

 

 度重なる賊の襲撃には長年商人として旅している彼も流石に驚いたらしい。護衛もベルと出会う前にいなくなり、仕方なくベルを雇う形でここまで来たとのこと。予想外だったのはベルのその強さだったようだ。

 

「にしても坊主は強いな。本当にまだ冒険者じゃないのか?」

「はい。僕はずっと田舎に住んでいたので、【ファミリア】にも入ってませんし、『神の恩恵(ファルナ)』というものも授かっていませんよ」

 

 ベルは道中何もしていないわけではなかった。モンスターや賊の討伐の他に情報収集を行っていたのだ。祖父から沢山のことを学んではいたが、実用的なものはそれはもう少なかった。覚えているのはハーレムの作り方、女の子の扱い方、男として格好良い生き方、仕草、振る舞い、修羅場に陥らない方法などなどである。今まで実践する機会には恵まれなかったが。

 そのような裏事情があり情報収集は必然であった。それに英雄譚での冒険でもそういった活動に勤しんでいたから、こういうのもベルの憧れの一つであった。まぁベルはそもそも冒険者という言葉すらよく分かっていなかったのだから、御者には笑われたものだ。

 

 冒険者というのは神に【ステイタス】──『神の恩恵(ファルナ)』を刻まれた者達のことらしい。神にのみ許された力であり、これを刻まれた下界の者達は普通の者とは比較ならない強さを身に付けるようだ。

 また【神の眷属(ファミリア)】とは文字通り神の眷属であり、要するに神の派閥である。『神の恩恵(ファルナ)』を刻まれた者達の共同体といったところだ。

 因みに、全て御者に教えてもらった情報である。

 

「やっぱり信じられないぜ。坊主ほどの奴がただのヒューマンとは」

「僕からするとこれが普通なんですがね」

「ははは! そりゃ愉快な話だぜ」

 

 御者の彼はベルの言葉を笑い飛ばす。余程おかしなことを言っているようだ。

 一般的に、モンスターはどんなに弱かろうと普通の人ではまず勝てない。モンスターの中でも最下級として有名なゴブリンであろうとも例外ではない。モンスターと下界の者達では絶対なる格差が存在するのだ。

 ベルがその事実を知ったのはつい最近である。というより、教えてくれたのがこの御者であった。やはり自分は人外へと足を踏み入れていたのだと驚愕(ショック)を受けた。

 

「おっと、着いたぜ」

「おぉ、ありがとうございます! 助かりました」

 

 よっという掛け声とともに馬車から飛び降りる。ベルは祖父の言い付け通り、一挙手一投足に格好良さを追求する癖が付いていた。全てはあまり興味の見出せないハーレム達成のためである。

 

「坊主はあっちの検閲口から入れるはずだ。まぁ頑張ってこいよ」

「はい。ありがとうございました。お元気で!」

「おぉ! また機会があったらな!」

「はい!」

 

 拳を合わせ別れを告げる。こういうのもやりたかったのだと、ベルは一人満足して目的の検閲口へと向かう。

 

 遂にやってきた冒険の舞台。

 最初の関門は数えるのも馬鹿馬鹿しいほどの行列であった。

 

 

 

 *   *   *   *

 

 

 

 オラリオに来て数週間。

 僕は遂にダンジョンへと潜り込むことを決断した。

 

 時間が掛かったのには理由がある。ずっと情報収集をしていたからだ。

 迷宮都市オラリオ。白亜の巨塔、通称バベルを中心に広がる世界で最も栄えている都市である。

 道行く人達は僕と同じヒューマンから、ドワーフ、ノーム、獣人、パルゥム、エルフといった亜人(デミ・ヒューマン)まで様々だ。絶えず響き渡る男達の野太い声は喧しいが、こういった賑やかな喧騒も悪くないと感じる。気付けば都市の様子や目ぼしいお店などを散策するのが楽しくなっていて、時間を取られすぎていたほどだ。

 特にお気に入りが『豊穣の女主人』という酒場である。料理は美味しいし店員さんは皆美人揃いと完璧なのだ(女の子をあまり見たことがないから美人の基準は分からないけど多分美人)。お祖父ちゃんからも、そういう酒場はいち早くお得意様になれと仰せつかっていた。

 昼は都市中を駆け回り、夜は酒場で店員さんと話しながらの情報収集。実に有意義な日々を過ごしていた。

 

 ただ、問題が一つ発生した。

 ダンジョンに入るためには【ファミリア】に所属し、『神の恩恵(ファルナ)』を授からないといけないらしい。都市とダンジョンを管理している『ギルド』の人にそう言われたから逆らうのはまずいだろう。

 というわけで早速行動を開始した僕であったが、早々に【ファミリア】への所属を諦めた。行く先々で「お前みたいな弱そうな奴が」だとか、「サポーターとしてなら」だとか、「失せろ」と厄介払いされたのだ。ブチ切れなかった自分を褒めたいと思った程である。……いつか殴る。

 

 しかしこのままだとダンジョンに入れない。どうしよーかなーと悩んで数日、悩むのも面倒になったのでもう突っ込むことに決めた。

 勝算はあった。ダンジョンの入り口を観察していたが、一々冒険者なのかの確認を取っている様子はない。膨大の数の冒険者がいるからそんなことしないのだろう。そもそもとして、冒険者でもないのにダンジョンに入ろうとする者が馬鹿なのだ。一人や二人堂々と忍び込んでもバレるわけがない。

 魔石などの換金所でもやって来た人に対応するだけ。実際、僕が持っていた魔石を換金しに行っても普通にしてくれた。

 

 ……うん、何の問題もない。行けるなこれは。

 

 流石に手ぶらだと怪しまれるので短刀だけ装備していざ出陣した。余裕で入ることが出来た。

 

 

 

『『『グギャアァッ!』』』

「おっ、『ゴブリン』だ!」

 

 ダンジョン1階層。初めてモンスターと出会した。今まで幾度も倒したことのあるモンスター『ゴブリン』である。

 この緑色は正直雑魚のはずだが、ダンジョンで現れるモンスターは外のモンスターよりずっと強いと聞いたことがある。油断せずにいかないと……。

 気合いを入れた僕は踏み込んで懐に潜り込んだ。ゴブリンは反応すら出来ていない。

 

「ふっ!」

 

 一息挟んで殴り付ける。断末魔の声も上げることなくゴブリンは消滅した。……あれ?

 近くにいたゴブリンの背後に立ち、さっきよりは手加減して殴った。ゴブリンは消滅した。……ん?

 残った一匹には歩いて近づく。ゴブリンは何故か動かなかったのでこれまた手加減して殴った。ゴブリンは消滅した。…………。

 戦地にも関わらず僕は顎に指を寄せて考え込む。僕は何かおかしなことをしただろうか……?

 

『グガァッ!』

 

 今度現れたのは『コボルド』。『ゴブリン』の次に代表的な最下級モンスターだ。

 

「……………」

 

 僕はろくに見向きもせずに指弾を一発かましてみた。コボルドの頭が無くなった。

 

「……………」

 

 ……いや、最下級モンスターだからこんなもんなんだよ、きっと。そうに違いない!

 

 あまりの手応えの無さに驚いたがここはまだ1階層。下に行けば行くほど強くなるのだから、この程度で落胆してても意味がない。

 僕は歩調を少し早めて下へ下へと向かって行った。

 

 

 

 ダンジョン5階層。相変わらずモンスターは指弾一発で倒せる。本当に強くなってるのかな〜……。

 

「きゃあああああああああっ!?」

『ヴヴォオオオオオオオオッ!!』

 

 遠くから悲鳴が聞こえた。

 

「っ!」

 

 ──今のは女の子の声だっ!

 

 僕は全速力で駆け出した。英雄(ヒーロー)がここで止まっていいわけがない!

 聞こえた悲鳴を頼りに声の元へと疾走する。でも道が分からない。まだこの階層の地理を把握出来ていないのだ。このまま闇雲に走り回っても効率的ではないだろう。……なら!

 

「はぁぁっ!」

 

 壁を殴り付けた。爆音を轟かせた後、綺麗に削り取られた洞窟が完成した。よしっ!

 僕はそのまま掘削作業を継続して駆け抜けて行くと、ドンドンッという重い足音が大きくなってきた。目的地までもう直ぐのはず。

 

 ──見つけたっ!

 

 怪物の姿を視界に捉えた瞬間、僕は脚に力を与えて踏み込み飛翔する。後ろで爆発が起こった気がするが気にしない。

 ……あれ? てかあのモンスター『ミノタウロス』だ! 結構強いんじゃないかな! ……なら少し強めの──

 

「──普通のパンチっ!」

『ヴぉ?』

 

 ミノタウロスは爆散した。残ったのは魔石だけだった。一撃だった。

 ……ちょっと虚しくなった。

 

 

 

「ありがとうございました! 本当にありがとうございました!」

「いえ、気にしないで下さい」

 

 助けたエルフの少女に熱心にお礼を言われる。うん、やっぱり人に感謝されるのは嬉しいな。

 

「何かお礼をさせて下さい!」

「お気持ちだけで充分ですよ。怪我はありませんか?」

「はい、大丈夫です」

「良かったです」

 

 こういうときは見返りを求めない。それが格好良い男の装いだとお祖父ちゃんに教わった。『男ならクールに』は僕の家訓だ。……断じて僕が考えたわけではない!

 

「あっ、すいません。私この後用事が……」

「大丈夫ですよ。お一人で帰れますか?」

「え? あ、は、はい! 大丈夫だと思います」

「では、お気を付けて」

 

 なるべく優しく対応し微笑みを浮かべながら見送る。うん、お祖父ちゃんの訓えはしっかりとこの身に叩き込まれているみたいだ。

 姿が見えなくなるまで見守った後、背後から誰かが近付いて来るのを感じた。さっきからずっと見られてたのは知ってたけど、一体何の用事なんだろう?

 

「……あの?」

 

 ──声は女の子、優しく対応しなければ!

 

「はい?」

 

 どうやらお祖父ちゃんの訓示は魂にまで刻み込まれていたらしい。

 振り向いた先にいたのは、女神様と比べても遜色ない美貌を携えた少女だった。

 靡くのはどんな金銀財宝にも負けない輝きを纏った金色の髪。

 金色の瞳は宝石のように綺麗で、目が離せないくらいだ。

 

 ──蒼い装備に身を包んだ、金眼金髪の女剣士。

 

 僕は彼女を知っている。情報収集の一環で耳にした、オラリオで最強の一角に名を連ねる少女。オラリオ最強派閥【ロキ・ファミリア】に所属するLv.5の第一級冒険者の一人。

 【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。

 

 なんでそんな有名人が僕に声を掛けて来たのか全く分からないが、とにかく敵意はなさそうだ。

 

「あの、ありがとうございました。私達の不手際で迷惑をお掛けしました」

 

 ゆっくりとこっちに歩み寄って来たヴァレンシュタインさんはいきなり頭を下げてくる。何のことなのかさっぱり分からないんだけど……。

 

『──女性に頭を下げさせてはならない』

 

 天啓を受けた。お祖父ちゃんの声だった。

 

「いえ、僕は全然大丈夫なので。頭を上げて下さい」

 

 人生の半分以上をハーレムの勉強に費やしたためか息を吐くように台詞が出てくる。ほぼ初めての実践だったけど問題なさそうでなによりだ。

 顔を上げたヴァレンシュタインさんは、キョトンとした顔付きでこっちを見ている。美少女にまじまじと見られてると落ち着かないよ……。

 

「私は【ロキ・ファミリア】のアイズ・ヴァレンシュタイン」

 

 知っています。

 

「……君は?」

「……えっ? 僕ですか?」

「うん」

 

 コクリと小さく頷くヴァレンシュタインさん。無表情なのに動作のひとつひとつが可愛らしい。美少女は不思議だなー。

 しかし困ったことになった。こっちは『ギルド』の定めた法を無視してこの場にいて、【ファミリア】に所属なんてしていない。あぁーもう! ダンジョンに入る前に言い訳と弁論と屁理屈を考えておくべきだった!

 

「……あのー、うーん、あっ! 僕はベル・クラネルです!」

 

 とりあえず自己紹介する。これで誤魔化せないかな?

 

「……ファミリアは?」

 

 無理でした。

 

「えーとですね、まだ所属してないと言いますか……」

「……えっ?」

 

 無表情だったヴァレンシュタインさんがほんの少しばかり目を見開いた。まぁそういう反応ですよね。……やばい、どうしよう。

 

「じゃあ、君は一体……?」

「……えーとですね……僕はその──」

 

 ええい、面倒くさい!

 

「趣味で英雄(ヒーロー)をやっている者です!」

「………………はっ?」

 

 

 

 ──これが【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインさんとの出会いだった。

 





やっぱり一人称は苦手です。


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